前スレからの転載
ちょっと注目!!
ゼロ魔関連のssでバトル系ssを読むチャンス。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/9783/1188561710/l50 に行って、
【ゼロの使い魔(シリーズ)】
とコピペしてくれ。
なお単票では怪しまれるので他に、
【Fate/stay night】
【MONSTER】
【School Days】
【うたわれるもの】
【スパイラル〜推理の絆〜】
【美少女戦士セーラームーン(シリーズ)】
【舞-HiME 】
【R.O.D(シリーズ)】
上記八作品から四つ選んで一緒にコピペを出来れば頼む。
一人一回、出来ればでいいのでよろしく頼む。
本当にお願いします。
そういえば
>>2が空白になってるが何があったんだ?
昨日「女子高生」って漫画読んだんだが、
これと似たような内容のSS誰か書いてくれねーかな。
才人がいないとこで女性陣が赤裸々な会話をするやつ。
毛の処理のこととか生理のこととか男漁りのこととか。
書けば新たなジャンルの開拓者として名を残せるぜ!?
個人的には一番体毛濃いのはテファかシエスタで、薄いのはタバサだと思うんだがどうか。
タバサとルイズは薄いっていうか…ないんじゃないか?
>>14 濃いだの薄いだの…おまえたちは…
おっきしたwwwwwww
>>15 ヒロインたちをより身近な存在に感じるためにも、
生理的なことに関する議論は避けては通れない道なんだぜ。
シエスタが毛深いのは決定項だろ。農民の血を侮ってはいかん。
農民が毛深いというのが露骨な偏見だという事実はさて置くとして。
アニエスとキュルケも濃そうだ
ルイズは生えてなかったらかなりコンプレックスだろうなぁ。たたでさえ貧乳をかなり気にしてるのに
あの歳で貧乳パイパンって
「はぁ〜〜〜」
透き通るような青空の下、爽やかな午後の陽気に不似合いな深い溜息が響く。
俺がついたものではない。ベンチの隣に座ってるルイズのものだ。
ヴェストリの広場にやってきてから、今ので何回目なのか数えるのも馬鹿らしい。
「ダメだわ、やっぱりわたしなんかに詩作なんて無理よ」
その愚痴も何度目かわからない。ルイズはここ数日間の間、アンリエッタ王女様の
結婚式の際にルイズが唱えるという、祝辞の言葉を考えている。
しかし前に聞いた限りでは、ルイズの作った詩は出来が良い悪い以前に
詩と呼べるのかどうかすら怪しいもので、俺がダメ出しをして以来ちっとも進展がない。
今日もルイズは祈祷書とやらを眺めてうんうんと唸っており、
俺は意味もなくそれに付き合わされている。だって逃げると機嫌悪くするし、こいつ。
けど、ルイズはこれだけ苦心していて、何度も無理だ駄目だと繰り返しているわりに、
諦めて投げ出すとか姫様に断りに行くといったことはしない。
プライドが高いのか、責任感があるのか。それに根気も一応伴っている。
その点は尊敬できるのだが、何せ致命的に詩のセンスが無いのが涙を誘う。
「あのさ、思うんだけど、参考にするものが何にも無い状態から
素人が詩を作ろうってのがそもそも無茶なんじゃないのか?」
見かねてそう聞いてみると、
「でも、この始祖の祈祷書を持って詔を考えるしきたりになってるんだもの」
ルイズは頬を膨らませた。白紙の本を眺めて何が変わるというのか甚だ疑問だ。
「そういう決まりなのかもしれないけどさ……」
俺は、地球にいたころ学校の課題で作文やレポートを書かされたことを思い出す。
そういうとき、いきなり原稿用紙やワープロを前にしたって何も書けない。
課題の題材に見合った資料とかと照らし合わせて書く内容を決めたはずだ。
ルイズが考えなくてはいけない、祝辞の詩の場合どうだろう。
図書館で詩の本を読んで参考にしてみる、とか?
頭を捻っていると、広場の端っこを小さなマント姿がてくてく歩いている姿が見えた。
身長より高い杖を重そうに持っているあの子は、タバサ。
無口で何を考えてるのかわからなくてとっつきにくいと思っていた彼女だけど、
この前の宝探しの時に色々あって、少し話しかけやすくなった。
タバサが小脇に小難しそうな本を抱えているのが目に入って、ピンとひらめく。
彼女にだったら相談できるかもしれない。
「ルイズ、ちょっと来い」
「え、何よ急に?」
ベンチから立ち上がって、ルイズの手を引きタバサのところまで走っていく。
「タバサ」
すぐ後ろまで行って呼びかけると、彼女は静かに振り向いた。
「?」
「悪いけど、ちょっと相談に乗って欲しいことがあるんだ。これから何するつもりだったんだ?」
「図書館に」
タバサは本を持った手を少し動かして、そう答えた。
「ちょうど良かった。実はだな……」
ルイズが姫様の結婚式のために祝辞の詩を作らなければいけない事情を話す。
「――それで、迷惑じゃなかったらでいいんだけど、参考になりそうな詩の本とか
そういうのを知ってたら教えて欲しいんだ。ほら、タバサっていつも本読んでるし」
手を合わせてタバサにお願いする。恩を着せるつもりじゃないけど、
タバサは『月の涙』の探索の時に俺に助けられたことについて、まだ義理を感じているらしい。
体で”続き”を払うっていうのは流石に冗談だと思うし本当にそんなので払われても困るので、
こういうお願いを聞いてもらうことでお礼の代わりにしてもらえないだろうか。
「ちょっと、この子にそんなこと頼んだって……」
「いい」
ルイズが呆れた声で俺の脇腹をつついたが、タバサは短くそう返事をする。
「え?」
「構わない、協力する。図書館まで来て」
タバサは俺とルイズの顔を交互に見た後、踵を返して図書館の方へ歩き出した。
「相談に乗ってくれるってさ。ほら、行こうぜ……って、いてて!」
後を追おうとしたら、ルイズに耳を引っ張られた。
「ちょっと、いつの間にあの子を手懐けたのよ」
「手懐けたって、宝探しの時にうち解けただけだよ。痛いから離せって」
「ほんと? それだけ?」
ジト目を俺に寄せてくるルイズ。ごめんなさい、本当はそれだけじゃありません。
「今はそんなこといいだろ、早く追いかけようぜ」
「あ、ちょっと待ちなさいよ!」
ルイズをどうにか振りほどいて、俺はタバサの向かった先に走り出した。
「使えそうなのは、これとこれと、これ……」
タバサは図書館に着くなりそびえ立つ本棚の塔の上の方まで飛んでいき、
本をいくつか選び取って戻ってきた。それらを読書机の上に積み重ねる。
「各国の冠婚葬祭で使われた詩が解説されてるのが、この本。
こちらは有名な詩人の、四系統を季節になぞらえて詠われた詩の全集」
タバサはそのうち何冊かを取り上げて、ルイズに差し出した。
「あ、ありがと。でも、こんなのを参考にしちゃったら、盗作なんじゃないの?」
「まず、詩を読み慣れていないことには詩作なんてできない。
遠回りに思えるかもしれないけど、とりあえず自分で作ることは忘れて読んでみるべき」
タバサはルイズの目を真っすぐ見つめてそう言った。ルイズもその言葉と視線に
気圧されたのか、やや納得しきれない顔をしつつも椅子に座って読み始める。
タバサのやつ、ルイズをあっさり説得するとは俺も見習いたいもんだ。
「んー、俺はどうしようかな」
ルイズが詩集を読み始めてしまったので、俺は手持ち無沙汰になった。
何気なくタバサが持ってきた本のひとつを手にとってページをめくってみる。
さほど厚くもなく、挿し絵がちらほら載っている本だ。児童書か何かかな。
凛々しい剣士が宝探しやら幻獣退治やらをしている様子の絵が描かれている。
「これって、ひょっとして『イーヴァルディの勇者』?」
「そう。イーヴァルディの勇者を題材にした、詩……というより、童謡集」
タバサに聞くと、すぐに答えが返ってきた。あまりルイズの詩作の助けには
ならなそうだけど、どうしてこんなの持ってきたんだろう。
「ここは何て書いてあるんだ?」
童謡だけあって文章も簡単そうだ。最初のページを開いて聞いてみる。
「『イーヴァルディ、勇気ある少年、心優しい少年。剣を振るのは友のため……』」
タバサは指で文字をなぞりながら、中身を朗読してくれた。
「……あれ?」
「どうしたの?」
何だか変な感覚に襲われる。タバサが読んでくれた部分が、急に”わかる”ような
気がしてきたのだ。この単語が『イーヴァルディ』で、その単語が『少年』で、という風に。
「えっと、隣のページには何て?」
「『イーヴァルディは友のため、深い森に向かう決意をした。
病気で伏せる友のため、魔物の巣くう森の中、薬草を採りに踏み行った』」
やっぱり。タバサに読んでもらう前から、そのページには『イーヴァルディが友人のために
何かすることになった』といった内容の文章が書かれていることが何となくわかった。
一度教えられた単語をすぐに覚えて、別の文章の中でどのように使われているのかが
一瞬で判断できてしまったことになる。俺ってこんなに語学力あったっけ?
首を傾げつつも、ルイズがメモを取るために持ってきた紙とペンをひとつずつ拝借する。
これならわりと簡単にこの世界の文字が読めるようになりそうだ。
「悪いけどタバサ、ちょっと言葉を教えてくれないか? そうだな、まず『ルイズ』」
タバサは俺の態度を見て何か感じ取ったのか、隣に座って紙にペンを走らせてくれた。
アルファベットを崩したような字が六文字。その隣にカタカナでルイズと書いておく。
その調子で、読めたら後々便利そうな単語をタバサに書いてもらってリストにした。
英語の授業で単語帳を作ったのに似ている。
その後にもう一度イーヴァルディの童謡集を読んでみたら、やはりさっきよりも
わかる部分が増えている。単語帳を参照しなくても大丈夫なくらいだ。
まだ知らない単語はタバサに教えてもらいつつ、本を読み進めていく。
「……ちょっと。人が詩の勉強してる横で、何してんのよ」
しばらくの後、不意に禍々しい怒気を孕んだ声が聞こえてきた。
気がつけば、俺とタバサの顔は目と鼻の先まで近付いて、肩を寄せ合って
本を覗き込んでる状態。俺は慌てて離れて、ルイズに誤魔化し笑いを向ける。
「えっと、ほら、俺たちも勉強だよ。せっかくだし字を学ぼうかな〜って」
言い訳すると、ルイズは俺を睨みつけた後、その視線をぎろりとタバサに向ける。
「……何かヘンじゃない? どうしてタバサがそんなにアンタの言うこと聞くようになってるのよ。
やっぱり何かあったんじゃないの?」
ぎくっ、鋭い。普段は誤解ばっかりするくせに、なぜこういう所でだけ鋭いのか。
「差し当たり、それは問題じゃない。あなたは詩作に専念すべき」
タバサはルイズのガン見にも動じず、そう言い切った。ルイズはむぐ、と言葉に詰まる。
「後できっちり説明してもらうかんね。覚悟しときなさいよ」
タバサの正論に何も言い返さず、ルイズは詩の本に視線を戻した。
助かったけど今夜大変なことになりそうだ。
溜息をつくと、タバサがまた俺に肩を寄せてくる。まだ本を読むのに付き合ってくれるらしい。
やっぱり、タバサの方も『月の涙』の時の恩返しのつもりなのかな。
すぐ近くにタバサの顔が迫って、吐息まで感じられる。あの夜素肌で抱き合ったことを
思い出して胸が高鳴ってしまいながら、タバサの好意に甘えて勉強を続けることにした。
∞ ∞ ∞
夕食前の時間までわたしたちは図書館で過ごすことになり、ルイズとサイトは
わたしに礼を言った後、本をいくつか借りてから帰って行った。
夕食を済ませて部屋に戻ったわたしは、懐から一枚の紙を取り出す。
今日、成り行きでヒラガサイトに字を教えることになった時、
彼は見たこともない字を書いていた。この紙は、その字をこっそり模写したものだ。
わたしがトリスタニア公用語の単語を紙に書いて教えた後、彼はその単語の意味を
”自分の使っている字で”その横に書き加え、簡易的な辞書のようなものを作っていた。
つまり、彼は文字が扱えないわけではなく、母国語の字は使えるがトリスタニア公用語は
読み書きできない状態であるのだということがわかる。
彼が書いた単語の写しを眺める。彼の主人の名前、『ルイズ』。わたしの偽名、『タバサ』。
それぞれ三文字。最初から母音と子音が合わさって一文字になっているのだろうか。
次の単語に目を向けると、『平賀才人』。これで彼のフルネームを意味するらしい。
彼が書いた単語のうち、『ルイズ』や『タバサ』、あるいは『トリステイン』等に比べると、
明らかに複雑な文字が使われている。
さらに見ていくと、『学校』『魔法』『姫様』『街』……。正確に写せているのかどうか
自信が無いくらい込み入った文字が並んでいる。
そして、『火』『水』『風』『土』。四系統を示す言葉が、それぞれ一文字で表されている。
これで大体の予測がついた。彼の母国語は、トリステイン公用語が表音文字であるのに対し、
表意文字という形式のものなのだろう。東方にはそういった字を使う国もあると聞いている。
けれど、わたしが知っているどんな文字とも合致しない。完全に異質な言語。
その紙を机の上に置くと、わたしはベッドに腰掛けた。
彼は自称していたロバ・アル・カリイエよりも、もっと遠い所から来たんじゃないだろうか。
容貌や常識がわたしたちとは大きく離れていることに加えて、
『月の涙』探しに巻き込んでしまった時に彼がわたしに言った言葉が印象に残っている。
昔の人間は摩擦熱で火をつけていたとか、人間が他の動物に負けなかったのは
武器を扱えたからだとか。彼はさも当然のような口調でそう言った。
そんな話は聞いたことがないのに、完全な出鱈目だとも思えない口ぶりと内容。
以前から疑念を抱いていた。彼はそもそも、貴族と平民の身分差や……それどころか、
魔法すら存在しない土地からここに召還されたのでは、と。
大きく溜息をつく。どうしてこんなに真剣に彼のことを考えているのだろう。
ただの好奇心? それとも?
思い当たるところがある。それは、彼が始祖ブリミルの使い魔であったという
『ガンダールヴ』なのではないかと思えること。左手のルーン、武器を自在に扱える能力、
そして人間の使い魔であるという特殊性。
それらの観点から、ヒラガサイトは伝説の使い魔なのではないかと予測できる。
――けれど、仮に彼が伝説の使い魔だったとして、だから何?
わたしは宝探しの時の一見で、彼に恩と借りを感じている。それは返すべき。
重要なのはそれだけであって、彼の素性は関係がないはず。
無用な詮索も勝手な想像も、まったく意味がない。
そう頭を切り換えようとしたとき、窓が開き、夜風と共に人影が室内に転がり込んできた。
「あいたた……やっぱり慣れないのね、きゅいきゅい」
長い髪を纏った裸身をよたよたと立ち上がらせてそう言うと、わたしの使い魔、
風韻竜のシルフィードがベッドの側に寄ってくる。
視線で何か用? と聞く。彼女が人間の姿に化けてまで自らわたしの部屋に来るのは希だ。
「お姉さまが何だか悩んでるみたいだったから。最近のお姉さま、何だか様子が変なのね」
そんな自覚はないけど。遠目からでもわかるくらい変わった態度をとっていただろうか。
「シルフィを甘く見ないで欲しいのね。お姉さまのことなら何でもわかるの。
ずばりお姉さま、あの平民の子のこと考えてたでしょう?」
シルフィは得意げに指をくるくる回しながらそう言った。当たっているのが少し癪だ。
彼女にまで言い当てられて、わたしの心がちくりと痛む。
「……わたしは、打算的なことを考えてる」
自分でも後ろめたかったからだろうか。話し相手が出来て、わたしは柄にもなく口を開いた。
「? どういうことなの?」
「彼……サイトのことが気になってるのは事実。けれど、それは彼に窮地を助けられたから。
彼が有能で、頼りになる存在だと知ってしまったから。
だから……わたしは今後何かあったときに彼の協力を得るために、彼のことを知って、
彼にある程度近付いておきたいと考えている」
わたしは胸の中に渦巻いていたものを一気に吐露した。そう、結局こういうこと。
わたしは独りで戦うと決めていた。それは他人を巻き込まないためという意味と、
他人に甘えないための意味があった。
でも、わたしは『月の涙』の探索の時に、彼が強い人……、ただ能力があるだけでなく、
機転を利かせることも仲間を勇気づけることもできる人だと知った。
そんな人と協力することがどれだけ有効なのかも知ってしまった。
そして何より、彼が損得抜きで他人のために助力してくれる、優しい人だと知ってしまった。
もしわたしが甘えて頼っても、受け入れてくれる人だと。
だからわたしは、彼に付け入ろうとした。報いだなんて言って体を差しだそうとしたのも、
その後に冗談交じりに思わせぶりなことを言ったのも、今日彼の相談に乗ったのも。
全部彼に近付くため。わたしに関心を持って貰うため。
そして、いざというときが来たら、彼の力を”使わせてもらう”選択肢を得るため……。
彼の正体についてのヒントを調べているのも、その一環に過ぎない。
突き詰めればそういうこと。自分の浅ましさに嫌気がさす。
「わたしは目的のためだったら汚い手だって惨めな手だって使う。
それを改めて確認してただけの話」
自嘲してそう言うと、シルフィは眉をひそめて額に人差し指を当てた。
「きゅい、お姉さまの考えることはごちゃごちゃしててシルフィにはよくわからないのね」
「あなたにはわからなくていい。わからない方がいい」
そう返すと、シルフィは腕を組んでわたしをじっと見た。
「もっと簡単に言って欲しいのね。つまり、お姉さまはあの子……サイトのことが好きなのね」
「え?」
あっけらかんとした口から飛び出してきた言葉に、わたしは一瞬呆ける。
「だって、頼りになる男の子のことが気になって、その子と仲良くなりたいって思うのは、
要するにお姉さまがその子のことを好きだってことなのね。ちがう?」
「ちが……!」
何を言ってるのかこの使い魔は。とんでもない台詞にいつになく混乱する。
「そんな浮ついた感情じゃない。もっと不純で、即物的な……」
「また難しい言葉でややこしくするのね。そんなこと言われてもわかんないの」
シルフィはやれやれと肩をすくめた。とりつく島もない。シルフィの言い分を
否定する言葉を探すけど、見つからない。自分でも不思議なくらい動揺している。
違う。恋っていうのはもっと純粋な……、いや、わたしだって恋愛がそんな
綺麗で甘美なだけのものじゃないことくらい知ってる。お互いの立場とか条件とか、
感情だけで済まない周囲の環境要素も含めた上で恋愛というものは成立する。
そもそも恋愛感情というのは男女がより優秀なパートナーを見つけ出し、
その相手と結ばれることを目的として存在する感情のはず。つまり、簡単に言えば
自分に対しより多くのメリットを提供してくれる異性を”好き”になるようにできているはず。
……あれ? 待って。そうすると自分を助けてくれた、自分にとって頼りになる異性に
恋してしまうのはむしろ必然? しごく当然のこと?
おかしい。落ち着いて。シルフィの言葉を否定するつもりだったのに、
これじゃあ逆に肯定することになってしまう。
いつも冷静であるように努めてるのに、頭が熱くなってくる。あと体も。
「……なんだか余計に悩んじゃってるみたいなのね。でも恋をすると悩むって話なの。
じっくり一人で悩むといいのね、お姉さま」
「あ……シルフィ!」
シルフィは呆れた声で言うと、窓から身を躍らせて風竜の姿に戻り、飛び去ってしまった。
わたしを混乱させることだけ言って帰るなんて、一体何をしに来たのか。
とっさに立ち上がってしまい……わたしは、いつになく自分が興奮していることに気付く。
ただ座っていただけなのに心拍が早くなっている。頬に手を当てると、熱くなっていた。
「彼のことが、好き……」
シルフィが出て行った窓を閉めると、わたしはベッドに身を横たえて呟く。
ヒラガサイト。ゼロのルイズの使い魔。あらゆる意味で普通の使い魔とは異なる、
変わった存在。彼に対してまったく興味がないといったら嘘になる。
彼については、あの『月の涙』探しの一件よりも以前から、ある程度関心があった。
その理由は……彼が、強いからだ。ギーシュ・グラモンに決闘で勝ったこと。
『破壊の杖』を使って盗賊フーケを捕まえたこと。わたしは直接は見ていないけど、
アルビオンでスクウェアメイジであるワルド子爵を倒したということ。
メイジの強さとは質が違う彼の能力。その正体を知りたいとは思った。
けれどその関心は、わたしが知識を得るために本を読みあさるのと
同等のものであるはずだった。興味があるのは彼の能力であって、彼自身ではない。
それは今だって変わらないはず。
「……本当に?」
自問する。自分の感情を考え直す。
『月の涙』の探索の際に杖を手放してしまい、また彼も剣を失ってしまったとき。
その時、わたしは彼に助けられた。魔法が使えなくなり、また毒により体力も奪われていた時、
わたしは剣を持っていない、普通の平民とさほど変わらないはずの彼を頼った。
わたしはあの時……安心した。あれだけの窮地で、生きて帰れる公算が極めて低い状況で、
彼が側にいてくれたことで。彼がわたしのためにしてくれたことで、安心してしまった。
平時の学院にいても意識することなどない安心。あの夜のわたしは、それを感じた。
目を閉じて、あの時の感覚を思い出す。冷えた体。失われた体力。
意識もはっきりしない状態で、わたしは彼の肌が、彼の体温が、心地よかった。
彼がわたしを慈しむように抱きしめ、温めてくれたのが嬉しかった。
嬉しかったからこそ、わたしはそれに溺れてはいけないはずだった。
他人の温もりに甘えたら、そこから決心や覚悟が鈍る。いざというときに自分一人で
窮地を切り抜けることができなくなる。だからわたしは、彼の優しさを拒むべきだった。
――なのに。
胸の中に、熱く切ない物が膨らむ。
わたしは彼の優しさを享受してしまった。それどころか、自分の方からもっと求めてしまった。
自分を律することができなかった。それほどまでにわたしはあの時心も体も弱っていて、
そして彼の温もりが、彼の言葉が甘美だった。
それがわたしの弱さ故のことならばまだいい。けれど、あの時わたしは彼に対し、
わたしに関心を持たせるようなことを言った。彼の能力と優しさを、後々利用できるように
するために。自分の弱さにも汚さにも、嫌気がさす。
こんなわたしの感情が、恋なわけがない。
それに。わたしは目を瞑ったまま、自分の胸にブラウス越しに手を当てた。
その指を腹部の方に滑らせていき、腰から足まで移動させる。
下級生まで含めて、この学院で一番貧相なんじゃないかと思える子供そのままな体。
こんな体でわたしは、彼に媚びを売って関心を持ってもらおうなんて思った。
身の程知らずもいいところ。惨めさと滑稽さに、自嘲の笑みまで浮かぶ。
あの夜自分が彼に言った言葉を思い出して、羞恥が湧き上がってくる。
やっぱり、あの時のわたしはどうかしていた。
仮に恋であったとしても、こんな体で恋愛だなんて文字通り十年早い。
わたしは内面も外見も、恋をするに足る資格が無い。
自分の体の幼さを再び確認するかのように、
足まで這わせた手を再び胸の方まで持ってくる。すると――。
『タバサ、可愛い……』
あの時。わたしが彼に無茶な要求をして、体を弄らせた時の言葉が頭の中に響く。
そう言われたとき、彼はわたしの胸を触っていた。こんなまるで膨らんでいなくて、
乳房とも呼べない胸を。こんな風に。
指に力を入れて、胸全体を撫で回す。じわじわと甘い痺れが湧き上がってくる。
心臓が早く鼓動しているのが感じられる。
彼にされたときは、こんなものじゃなかった。もっと、頭も体もとろけてしまうような……
甘くて温かくて、なのにもどかしい感覚だった。
『本当だよ。絶対に嘘なんかついてない。俺は小さい子が好きだからタバサに
下心持ったんじゃなくて、タバサが可愛いから下心持ったんだよ。わかるだろ?』
その後、やや焦ったような口調で彼はそう言ってきた。耳元に吐息が当たって、
耳たぶを舌でくすぐられて、小さく噛まれて……。まるで自分の体が自分の物で
なくなってしまったみたいに、未知の感覚に震えた。
わからない。彼がわたしに下心を持ったなんて言ったのは、わたしが言わせたから。
彼がこんな体に興奮なんてするわけない。だって、キュルケや彼と仲が良いメイドの、
女性らしい体つきに目を奪われていた。彼女たちに近寄られて嬉しそうにしていた。
あんなの、ただわたしに気を遣っただけの方便。
『可愛い、綺麗……』
「……っ!!」
その声を思い出して、体がびくんと跳ねた。ベッドがきしむ。嘘? 本当に嘘?
あんなに優しく、労るような手つきでわたしを撫でてくれたのも。
その時かけてくれた言葉も。全部嘘? 演技?
違う。彼はそんなことができる人じゃない。そんなことをする人じゃない。
嘘がつけない人で、真っ直ぐで……わたしとは正反対で。
だから、わたしはあの時彼に――惹かれたんだ。
「ふっ……は、ぁ……ぁあ……!」
それを認めてしまったとき、体中にびりびりと快楽が走り抜けた。
抑えていた吐息があられもなく口から漏れる。
あの時の彼の指。ブラウスの上からじゃ再現できない。上手く動かない手で
シャツのボタンを外すと、前をはだけた。その下のシミーズを胸の上まで捲り上げる。
あの時と違って自分の背中に触れているのが温かい肌ではなく、
冷たいベッドのシーツだということを物足りなく感じながら、露わになった胸の先に
指を持って行く。
指先で引っ掻くと、弾けるような刺激と共に胸の奥が締め付けられる。
わたしの乳首、虫さされの跡か何かと区別がつかないような小さなところが、
固くなって熱くなっていた。夢中になってその部分を摘み、揉みほぐす。
顎が持ち上がった。喉の奥からよくわからない声が絞り出される。
気持ちいい。頭がとろけそう。でも、彼にされたときはもっと良かった。
もっと満たされた。わたしが記憶を頼りに真似をしたって、とても追いつかない。
触り方が違うっていうのもある。けど、一番違うのは……温もり。
彼の胸の温かさ。彼の指の温かさ。彼の吐息の温かさ。彼の言葉の温かさ。
それが、わたしを包み込んで。わたしの心を覆い隠した雪を溶かすみたいな
柔らかい灯りになって、わたしを弱くした。わたしを安心させてしまった。
体だけでなく、心まで愛撫してきた。
わたしは、その心地よさを、温かさを。また得たいと思ってしまった。
だからだ。『それじゃ納得できない』だの、『続きは後にしてもいい』だのと彼に言ったのは。
彼への恩や借りという名目こそ、わたしが彼に使った方便。
わたしは今日、中庭で彼に声をかけられて、期待してしまった。
もちろん、彼が正直にわたしの言った『続き』を求めてくるなんて思っていなかった。
けれど、彼がわたしに話しかけたということは、わたしにいくらかの関心を持ってくれたと
いうことだから。
そして、彼の隣に彼の主人であるルイズがいるのを見たとき……落胆した。
彼のわたしへの頼み事が、ルイズを助けるためのものだということを知って、
残念だと思った。
彼に対して何か明確なものを求めていたわけではないのだけれど……。
それでも、わたしの中には確かな不満が生まれた。
わたしが彼に対して借りがあるのだから、わたしから何か求める権利なんて無いのに。
その気持ちは何なのだろう。彼と一緒に本を読んでいたときに、ルイズから咎めるような
声をかけられて”邪魔をされた”と思ったのは。
二人で連れ添って部屋に帰って行くのを見送って、胸に嫌な気持ちが灯ったのは。
わたしは何を求めていたというのだろう。
火照った身体の中に、甘い快感と、切ない苦みが同時に溜まっていく。
あの夜の感覚を思い出すようにして、指を胸から下の方へずらす。スカートのホックを外して
膝の方まで下ろし、下着の上から”そこ”に触れると、じんわりと湿気を帯びていた。
彼の指は、壊れ物を扱うみたいに、繊細にここを触れた。わたしの女性器。
恐らく、子供を産むための機能どころか、男性を迎え入れるための機能すら
備えていないであろう、未発達の性器。
下着の上から手を差し入れて、直接触れる。発毛もない。濡れ方もたぶん少ない。
スリットを開いて膣と思しきところに指を差し入れようとしてみても、すぐに苦痛が襲ってくる。
今までさして気にしていなかったのに、不安になる。このままわたしの体が
ろくに成長しなかったらどうしよう。そう思ってしまう。
凍り付いたように時を止めてしまった体。それが、今さらながら疎ましく感じられる。
誰に差し出すわけでもないのに。誰に抱かれるつもりでもないのに。
けれど、もし、ちゃんと成長していたら……身長も、肉付きも、年齢相応のものだったら。
そうしたら、あなたは――。
身体の奥に膨らんだものが、今にも弾けそうになってきた。
彼にそうされたように、片手の指をスリットに当てて滑らせる。もう片方の手は胸を弄る。
この心の雪を溶かしてしまいそうになったのだから、もしかしたら、この身体の氷まで
溶かしてくれますか。まともにものを考えられなくなった頭に、幻想に似た思考が浮かぶ。
そのままわたしは指を動かして、追いつめられていって……。
あの夜、彼に抱かれながらの時よりもずっと冷たく味気ないベッドの上で、独りで達した。
波が引いた後、荒くなった息を整えながら衣服を整えようと身をよじらせると、
手に何か固い物が当たった。引き寄せると、それは一冊の本。
寝る前に読んでそのままベッドの上に放置してしまったものだ。
『イーヴァルディの勇者』の研究書。題材が創作物語なので、一般的な意味での
学術書ではない。その中では、イーヴァルディの勇者とガンダールヴの類似性が
指摘されていた。もちろん、ただの俗説に過ぎない。
わたしはその本のページをぱらぱらとめくった後、枕元に戻して再び目を閉じる。
胸の奥から深い溜息が漏れる。彼の腕の中の温かさと、彼の背中の広さとを
思い出してしまって……。一人でいるこのベッドの上が、やけに冷たく感じられた。
つづく
これでようやく原作3巻の部分がお終いです。
次回、ゼロの飼い犬12回 『セーラーふくを持ってかないで』
続きます。
>28
タバサが可愛くていじらしくてたまらん
なんとか幸せにしてあげて欲しいものですよ。
とにかくGJでありました。続きを期待してます。
GJです! 今回も最高でした!
33 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 05:54:11 ID:KrAhvaew
>>28 もう、原作と同じぐらい楽しみです。
細かい心理描写がとても好みです。これからも期待してます。
>>28 タンク空になるまで撃ち尽くした…
なんという僥倖、なんというGJか!!
>>28 GJ!! です!!
タバサが逡巡するシーンが最高です。こういうの大好き
きゅいきゅいは誰が書いててもうっとうしいと思ってたのに、いいアシストでした。
続編期待
12巻からのif物を少し書いてみたんだが…
ここってif物の投下おk?
おkおk うぇるかむ
でも百合は簡便な
少しばかり12巻の内容が入ってる
読んでない方は飛ばしちゃってくれ
ちなみに、エロはまだ入ってない
直前で止まってます
12巻135項 15行目より
つまり……、俺には友達が出来たんだ。
いっしょになって笑ったり、バカ話したり、そして、命を張ってくれる友達が……
そんな風にしんみりとしていると、すっとカーテンが引かれて、桃髪のご主人様が顔を見せた。
「サイト。」
「ルイズ。」
「良かった…ひどい怪我しなくて。手の怪我は大丈夫?」
ルイズは心底ほっとしたようだった。先刻は感情の昂ぶりからサイトのことを気遣えてなかったのだ。
そんな様子のルイズを見て、マリコルヌに申し訳なく思う。
そして、ルイズはサイトがアルビオンより帰ってきてから、サイトの怪我に敏感になっていた。
自分の『お仕置き』の時には全くといって気にしないのにおかしな話だった。
「ティファニアがサイトに感謝してたみたい。『ありがとう』って伝えるように言われたわ。
直接ここへ来るみたいだったんだけど…あたしを見つけたら、サイトにさっきの事を伝えるように言われて
さっさと言っちゃった。何なのかしら…?」
ティファニアはルイズがサイトの恋人であるように思っていた。邪魔をしないほうが良いと判断したのだろう。
もちろんこの2人は気付かない。
「ルイズに怯えてるんじゃないか?あんな大爆発を見た後だしさ。」
「馬鹿言わないでよ もう。ほら、手の包帯を取り替えてあげるから出しなさい」
サイトはルイズが世話をしてくれることに心底驚いた。
( …!! ルイズが世話?!もしかして放置してたのが良い方向に働いてるのか?!
でないとこの対応に説明がつかない!間違いない!)
「今日はえらく優しいんだな。何かいいことでもあったのか?」
サイトは素直に手を差し出しつつ、答えをわかっていながら、そんな風なことを聞いた。
実際の所サイトの行動は全くの無関係だった。ルイズはそこまで考えていない。
『サイトが怪我をした』
それだけを聞いてお見舞いに来たのだった。
「何言ってるのよ。前にギーシュと決闘したときも看病して…」
ルイズは自分でそう言いながら、決闘の時の怪我のことを思い出す。三日三晩目を覚まさなかった。
あのとき取り乱したりしなかったが、今そんなようなことになったら自分はどうするのだろう。
そんなことを考えて急に怖くなった。そして、目の前にいる元気なサイトを見て安心する。
「はい。出来たわ。他に怪我してない?」
「あぁ。大丈夫だ。」
そう返しつつサイトは想像以上に放置していたことが効果的だったと心の中で歓喜する。
あのルイズがこんなに甲斐甲斐しく…可愛いなぁルイズ!畜生! やっぱり俺すげぇ。天才だ。こんなルイズを引き出すなんて俺天才。
とても真剣に包帯を巻いてくれるルイズをずっと見ていたサイトは、あまり記憶にないような姿のルイズを
可愛いと悶える事と、自画自賛することで忙しかった。男は得てしてギャップに弱いのである。
繰り返すが、この包帯を取り替えてあげるということに関して、あまりサイトの行動は関係がない。
「ところでルイズ、シエスタはどうしたんだ?」
「シエスタなら、怪我した人の包帯を取り替えてるわ。あんたみたいに、その、人気がないというか、
包帯を取り替えてくれる女の子が居ない人も居るから。一部だけみたいだけどね。」
そういってマリコルヌの方にちらっと視線を向ける。
サイトは自分が見ると目が合うような気がしてなんとか見ずにこらえた。
「それに今日一日シエスタは忙しいみたい。事情は良く分からないけど、今日は部屋に戻れないらしいわ。」
「先生、このベッドの患者の移送許可をいただきますわね。」
「えぇ。助かるわ。」
「サイト、とりあえず私の部屋へ戻るわよ。」
ルイズとサイトは2人揃って部屋を出た。
マリコルヌの恨むような目がサイトに刺さる。サイトは苦笑しつつ、手を使って謝る動作だけをして謝る。
部屋へ戻る途中、サイトは考えていた。
アルビオンから帰ってからというもの、冷静に分析をして、出した答え。
余裕を見せ、さらに無視をする。
その結果がどうだ?見たか?俺。さっきのルイズを。
あぁ見ましたとも。どう見ても出来上がっている。
俺の計画通りに進んでいる。
ルイズという名の猫は案の定近づいてきた。
近づいてきた?じゃあこの後にやることは?
首 根 っ こ を 捕 ま え る だ け じ ゃ な い か 。
今日はシエスタも大変だそうで。つまり、邪魔者、といえば聞こえが悪いが
途中で入ってくるような人も居ない。
いいのか 俺。いや、今やらないでいつやるんだ。そうと決まれば実行だ!
いきなり行くと前みたいに拒まれるかもしれない。少しずつだ。焦るな俺。
やはりサイトは底なしにヌけていた。
そしてルイズもまた考えていた。
ここの所サイトいつも素っ気無かったのに、さっきからちゃんと私のことを見てくれてる。
サイトはそれを私が無視するからだ、と言った。でもどこかが違った。
しかし今はそんなことはどうでもいいように思えた。
話しかけてくれる。笑ってくれる。
たったそれだけの事なのに胸が躍った。『いつもの』サイトが居て、とても嬉しかった。
包帯を取り替えてる間は終始一生懸命になってしまい、全く考えなかったが
冷静になり嬉しさがこみ上げてくる。
そこまで考えて、冷静になったことでまた疑問に思う。
アルビオンから戻ってからのサイトの行動は何なんだろう、と。
やはり私の事は好きじゃないのかしら…アルビオンのフネの中のことは一時の気の迷い?
でもでもあのときのキスはそんなものじゃない…
…でもちょっと待って。サイトが正気(?)に戻ってから、はっきりと好きって言われてない!
うやむやのまま事は進んでいたが、確かに言われてないのだった。
胸が不安で溢れていく。このまま考えても悪い方向へ向かうばかりだった。
部屋に戻ったら聞いてみよう。きっと今のサイトなら答えてくれる。
そこまで考えたところで部屋の前へ着いた。
部屋に入ると、ルイズはサイトにベッドの上に座らせた。ルイズはその隣に腰を掛けた。
少しの間沈黙が流れる。
「…ねぇ。」「…なぁ。」
同時に話しかける2人。
「何?あんたから言いなさい。」
「いや、俺のことは大したことじゃない。後でいいよ。ルイズから言えよ。」
「………。」
また少しの沈黙。
「…あのねサイト。聞きたい事があるの。」
不安が募る中 意を決して尋ねるルイズ。
「あの…その…あのね、サイトは…わ、私のことをその…
どう思ってるの…?」
サイトは平静を保ちつつ歓喜した。
やはりこれはデき上がっている!
「どうって…ご主人様だろう?」
ルイズが欲しい答えが分かっていながら意地悪を言うサイト。
「そうじゃなくて!女の子として…その…「好きだよ。」
突然言われて嬉しくて赤くなるルイズ。
でも…と頭のどこかがまだ信じられない。
そして、ずっと聞きたかったが怖くて口に出せなかったことを尋ねた。
「信じらんない。だってサイトってばメイドやらおばけ胸ばっかり見てるし…。
…ねぇ。お願いだから正直に言って。私みたいな身体をした子より、ティファニアみたいな子の方が好きなんでしょ?」
「俺は男だから…、どうにも引かれることは否定しない。できない。それは本能なんだ。
だがな、だけどな……」
ルイズを真っ直ぐな目で見て、サイトは言った。
「ルイズみたいなのも好きだ。いや……、むしろそっちの方が好きだ。」
ルイズは一瞬、頬を染めた。しかしそれでもまだ頭のどこかは冷静だった。
この答えは以前に想像していたのだった。
そして、聞きたくないが、聞かなければならない事を尋ねる。
「じゃ、じゃあ…やっぱり私よりタバサの方がいいの…?」
サイトはこれを聞いて少し笑う。ルイズは不思議で仕方ない。
「……?ねぇサイトどうなの?何で笑うの…?」
「悪い悪い。あまりにもルイズが…そのなんていうかな。」
あまりにも子供のようで、なんて言ったら雰囲気がぶち壊しになるような気がしてサイトはごまかす。
「まぁ、とにかくだ。いいかルイズ。よく聞けよ。男が一番欲情…といえば聞こえは悪いか。
興奮とでも言えばいいか。同じか…?まぁどっちでもいい。
ともかく、そうなるのは好きな子の身体と相場は決まってるんだよ。」
思いがけない言葉にルイズは言葉を失った。
そして頬は赤くなり、涙が溢れサイトに抱きついた。
欲しかった答え。優しい言葉。考えもしなかった返答。
全てが嬉しかった。
泣いてサイトに抱きついた。
そんなルイズをサイトは優しく抱きしめ頭を撫でる。
「サイト…サイト…。もっと早く言ってよバカぁ…。
不安だったんだから…アルビオンから帰ってきたらサイトは冷たいし…。
相変わらず女の子の人気は凄かったし…ティファニアも居て…。」
泣きながら胸のうちを話すルイズ。
そんなルイズにサイトはすっかりやられてしまった。
自分がアルビオンから帰って出した答えが想像以上に効いたことに驚いた。
そして、泣かせた時点でサイトが悪いのだ。もう少し考慮すべきだったと今更ながら後悔をする。
「悪かったよルイズ。俺が悪かった。」
ルイズは顔を上げて上目遣いに言った。
「今度冷たくしたりしたら許さないんだから…」
「あぁわかってる。」
そしてどちらからともなく唇を合わせた。
12巻ifってことで、多少なり12巻から引用してる
これが初めてのSSだから不備があるかもしれんが許してくれ
とりあえず今日はここまで
エロは難しいね 本当
終わった?終わった?
>>43GJ!
ていうかノボルルートは全年齢向けだから、ウチらが補完するしかないのよw
さあ、続きを書け!ローエーな続きを!ルイズが悶えまくるエロSSを!
…などとプレッシャーかけたところでアン様の続き。
前スレ699の続きでーす
才人はアンリエッタの拘束を解くと、その耳元で囁く。
「じゃあ、スキルニルを元に戻してください」
アンリエッタは、言外に『戻さないとシテあげません』と言われている様で、素直にルーンを唱える。
すると、ベッドの上でぐったりと横たわるアンが、見る間に縮んで、小さな人形の姿に戻る。
「はい、よくできました」
言って才人はアンリエッタを椅子から立たせる。
すると、アンリエッタは慌てた様子で叫ぶ。
「あ、待ってっ」
しかし才人は聞き入れない。
ぬちゃぁ…。
牝の淫液と失禁でぐしょぐしょになった椅子とショーツの間で、女王の小水と愛液の混合物が、卑猥な音をたてる。
「いじりもじてないのに…。ものすごい変態マゾさんですね、姫さまは」
才人の言葉に、真っ赤になってアンリエッタは顔を逸らす。
「いやっ、言わないでぇ…っ!」
泣きそうになっているアンリエッタの耳元で、才人はもう一度囁く。
「女王のくせに、縛られて焦らされて、こんなにべしょべしょにするなんて、変態マゾ女王以外のなんだっていうんですか?」
「いや、いやぁ…」
才人の言葉責めに、アンリエッタは泣き顔で頭を振るしかできない。
そして、才人の次の言葉が、アンリエッタの心を手折った。
「俺、そんな変態マゾ女王なアンが大好きだよ」
「えっ…」
顔を上げたアンリエッタの唇を、才人は柔らかく塞ぐ。
そして、啄ばむような優しいキスを、何度も何度も降らせる。
ひどい責めのあとの、恋人のような優しさに、アンリエッタの心は完全に折れた。
…サイトさま、サイトさま、サイトさまぁ…。
もう、頭の中は才人の事を考えるだけで精一杯だった。
そして、唇を離した才人は、名残惜しそうに見つめる頬を上気させた女王に、尋ねる。
「さ、言ってごらん?アンは?」
「アンリエッタはぁ…サイトさまのぉ…」
「俺の?」
「サイトさまの…へんたいマゾどれいですぅ…」
恍惚とした表情で自らを奴隷と呼ぶその顔には、女王の威厳はカケラもなかった。
男に依存することに悦びを感じ、肉欲に溺れ、虐げられる事すらも快感に感じる、変態マゾ奴隷の顔であった。
才人はそんなアンリエッタに満足そうに頷くと。
「じゃあ、試してみようか。俺専用変態マゾ奴隷のアンが、本当に俺専用に相応しいかどうか」
「…ふぇ…?」
主人の言う事を理解できず、才人専用の変態マゾ奴隷はベッドの上で首をかしげたのだった。
布で目隠しをされて腕を後ろ手に縛られたメス奴隷は、前後の穴を二本の棒で同時に貫かれていた。
ぐちゅ!ぶちゅ!ぶちゅぅっ!
「いやぁっ!らめぇっ!こんなのぉ!ひぬ、ひんにゃうっ!」
しかし、前後を挟む二人の主人の動きは止まらず、更に激しくメス奴隷の肉穴を突き上げる。
時間は少し遡る。
『俺専用なら、どんな状況でもちゃんと俺の事わかるよね?』
才人は何かを企んでいる顔でそう言った。
『はいっ、アンは、どんな状況でもサイト様の事わかりますっ』
まるで主人に尻尾を振る犬のような顔で、アンリエッタはそう応えた。
『それじゃあ、今から目隠しして、スキルニルの俺と、本物の俺を見分けてもらうよ』
そんなアンリエッタに、才人は意地悪く、そう言いはなった。
『…え…?』
思わず呆けてしまうアンリエッタを、才人は手早く拘束してしまったのだった。
アンリエッタはてっきり、交互に犯されて、どちらが本物の才人か聞かれるのだと思っていた。
しかし、その予想は覆され、アンリエッタは一時に二つの肉棒に貫かれていた。
ぐちゃぐちゃと女陰が淫らな水音を立て、ぶちゅぶちゅと肛門が肉のひきつる音を立てる。
才人専用の変態マゾ奴隷は、二人の才人の間で、肉の快楽と焦燥感に牝の穴と口から涎を垂らし、達する。
「らめぇ、いっひゃう、いっひゃうのぉ!」
びくびくと震えて、二つの肉棒に貪欲に絡みつく奴隷の柔肉。
くったりと力の抜けたアンリエッタの耳朶に、才人の声が響く。
「一人で逝っちゃったの?本当、どうしようもない変態奴隷だなあ」
「あ…ひ…」
才人の罵倒に、アンリエッタのマゾ肉襞がぴくぴくと反応し、才人に快感を与える。
しかし才人はそれに堪え、アンリエッタに答えを促した。
「じゃあ、聞きますよ?どっちが本物?」
言うと同時に、二つの肉棒がぐりっ、と捻られる。
「あひ……っ!」
その衝撃に再び軽い絶頂を迎えるアンリエッタ。
しかし、気丈にもアンリエッタは必死になって意識を繋ぎとめ、愛しい愛しい主人のモノを判別しようとする。
ところが、アンリエッタの穴を貫く二つの才人は、当然の事ながら全く同じ形をしている。そこから真贋を見極めるのは不可能だった。
だったら。
サイト様は、どちらの穴がお好きなのかしら…?
もし、才人が貫くとしたら、どちらの穴か。
きっと。
「ま、まえのあなの、サイトさまが、ほんものれす…」
穴を埋める熱さに必死に耐えながら、アンリエッタはそう応えた。
しかし。
「は・ず・れ」
「…え…?」
予想外の答えに、アンリエッタは愕然とする。
そして、才人は。
「あーあ、アンの俺に対する愛情はこの程度なのかぁ」
言って、奴隷の身体を持ち上げ、自らを引き抜く。
「や、やだぁっ!」
しかし、アンリエッタは才人の腰を自由な脚で抱え込み、引き抜かれかけた才人をもう一度咥え込む。
そんな牝奴隷に、才人は意地悪に言った。
「そんな、ワガママで自分の主人も分からないようなダメ奴隷には、お仕置きが必要だね?」
その言葉に。
『お仕置き』という単語に。
アンリエッタの背筋にぞくぞくと電流が走る。
その電流に命じられるまま、才人専用の変態マゾ奴隷は、蕩けるような声で口走った。
「おしおきしてくださいっ、アンはワガママでダメなへんたいマゾドレイなんですぅ…!
サイトさまのおちんちんで、ダメなアンをいっぱいおしおきしてくださいぃ…!」
その言葉に才人はニヤリと笑い。
「ほんと、ワガママでダメな変態マゾ奴隷だっ…!」
アンリエッタの中を、乱暴に犯し始めた。
「あ、あの、幻滅しないでくださいね…」
行為の後、毛布の中で、全裸のアンリエッタは才人の胸を枕に、そんなことを言った。
才人はくすりと笑うと、そんなアンリエッタの額に優しく口付けする。
「幻滅なんかしませんよ。
むしろすっごく素敵でした、姫さま」
元通りの呼び名でアンリエッタを呼び、才人はにっこりと笑う。
才人は、アンリエッタのあの言動は、普段抑え付けられているアンのが、一時的に吐き出した欲望の成れの果てなのだと理解していた。
…ちょっと、いやかなりへんたいさんではあるが。
アンリエッタはその言葉に、真っ赤になって、俯いてしまう。
そして、意を決して言った。
「あ、あの、二人きりのときは、サイト様専用のメス奴隷でいて、いいでしょうか…?」
ぶは。
な、何を言い出すかこのへんたい女王。
アンリエッタは才人の呆れた視線に気付かず、続ける。
「あ、あの、変態だなんて思わないでくださいね。
で、でも、自分がサイト様の奴隷だって考えるだけで、私、私ぃ…」
言いながら、アンリエッタは目の前の才人の胸板を。
なんと、ぺろぺろと舌で舐め始めたのだ。
既にその顔は、女王アンリエッタではなく。
才人専用の変態マゾ奴隷、アンリエッタの顔であった。
「ご主人様ぁ…アンは、アンはぁ…」
「俺専用の変態マゾ奴隷だコノヤローっ!」
「あぁんっ、ご主人様乱暴ですぅ♪」
そして二人は、再び行為に没頭したのだった。
そしてその被害を蒙るのは、身代わりを押し付けられるアニエスなわけで。
「…マジでトリステイン乗っ取っちゃおうかなぁ…」
魔法でアンリエッタに化けたアニエスは、執務室で大量の書類にアンリエッタのサインをしながら、ぽそりとそう呟いたのだった。
月に数度の『お稽古』の際、スキルニルを使えばいい事にアニエスが気付いたのは、しばらく経ってからのことであった。〜fin
以上、アン様終了。
女王様の面影カケラもなし!w
超!原作無視!それがどうした!
設定が壁となって立ち塞がるなら!いつだって!風穴開けて突き破る!
それが俺のSSだ!
(訳:原作ブレイカー)
…すまにゅ、グレンラガン見すぎて頭がパーに(ぁ
んじゃまたねーノシ
>せんたいさん
一番槍でGJ!
アン様可愛いよアン様
>>43 微妙にリアルタイムGJ。
イイヨーイイヨードンドンヤッテー。
>>49 文字通りりあるたいむGJー。
いやさ相変わらずのエロさだねぇ…。
前にも誰か言ってたけど、せんたいさんのSSに『へんたい』が出るとどうしても笑ってしまうよ。
>>49 奴隷ビッチのアンに全トリステインが興奮した!
アンかわいいよアン
53 :
588:2007/09/02(日) 22:30:25 ID:xLGoPgZM
前スレの736へ
実はもうちょっと続き書いてあったが流石に書いたあとにアレだなーと控えておいたやつがあったりする。
なんか続きとか言ってるので書いておいた分だけあげとく。
今回も色々と混じってるのは愛嬌ですよ。
ここまでで魔法少女タバサ誕生編完結だったりするのだ。
「他になにか買うものあるか?」
「ううん、あとはいい」
虚無の曜日、約束どおりサイトと買い物に来ている。
タバサはとても充実した休日を過ごした。
(たすけて…)
誰かに呼ばれた気がしてタバサは振り返る。
しかし誰もいない。
「どうした?」
「なんでもない」
気のせいだろうと、また歩き出す。
(たすけて…)
またきこえた。
振り返るが姿はない。
でも、なぜか声の主がこの先の公園にいるとわかった。
なぜそう思うのかは自分でも謎だったが…
「お兄ちゃん…、わたし、ちょっと買いそびれた本があるから買ってくる」
「俺もいこうか?」
「いい」
「じゃあ、ここで待ってるぜ」
公園へはひとりでいかないといけない。そんな気になっていた。
『ああ、わたしの声が届いた人がきた。きゅいきゅい』
タバサがみつけたそれは、猫くらいの大きさの不思議な生き物だった。
そのまま大きくさせれば漫画に出てくる竜そのものである。
『たすけて』
「あなたがわたしを呼んでたの?」
『殺される。悪い奴に追われてる。きゅいきゅい』
よくみればところどころ傷だらけである。
「手当てするから家にくる?」
『だめ。もうあいつがくるの』
「あいつ?」
『とっても悪い奴。
きっとわたしを殺したあと、この街でいっぱいいっぱい悪いことする。きゅい』
「悪いこと…」
『いっぱいいっぱい人が死んじゃう』
「わたしもこの街に大切な人がいっぱいいるから、なんとかしてあげたけど…無理。
そんな力ないもの…」
『きゅいきゅい』
青いきれいな宝石がタバサの前に浮かぶ。
『わたしの声が届いたあなたには素質がある』
まるで吸い寄せられるようにその宝石を両手で握り締める。
『さあ、願うのね。
大切な人たちを守る力をこの手にくださいって。きゅいきゅい』
言われるままに願う。
大切な守りたい人たちの姿、最後に絶対に失いたくない人の後姿が浮かぶ。
宝石からまばゆい光がほとばしる。
その光が収まるとタバサは不思議な衣装に身を包んでいた。
『魔法使いの服もしっかりと実体化できたのねー』
タバサは近くの池で自分の姿を確認する。
「これ、顔全然隠してないけど大丈夫?」
いまからくる相手に顔を見られてしまったら
四六時中狙われることになるんじゃないだろうか?
そう心配する。
『大丈夫。変身中は魔法の力でその姿を正確に認識できないのねー』
「つまり相手からわたしの姿がかすんで見える?」
『ちょっとちがうのね。
変身中の姿と変身前の姿を同じ人と認識できないようになっているのね』
なんとなく理解した。
そこで敵がやってくる。
「おや〜?」
フードを被った女がタバサの前に降り立つ。
「どうやらその子に契約を譲渡したみたいね」
「あなたが悪い人」
「あら、酷い言われようね」
タバサは油断なく服と一緒に出現した杖を目の前の女に向けて構える。
「本来ならこの勝負わたしの勝ちなんだけど、そんなに負けるのがイヤだったの?」
『お前にあの力を渡したらいいことない。きゅいきゅい』
女の足元から五メートルはある土の人形が出現する。
「まあ、力に目覚めたばかりの子じゃあ、すぐ終わるだろうけど」
両手を振り上げて襲いかかってくる。
「お兄ちゃんはわたしが守る」
杖が輝き目の前の土人形が凍りづけになる。
「う、嘘でしょ…この魔力…トライアングルクラス…。
目覚めたばかりだっていうのに…信じられない…」
土煙が巻き起こり視界を遮る。
それが収まると女の姿はどこにもみあたらなくなっていた。
『撃退できたのね』
「そう」
『それにしてもすごいの。いきなりトライアングルなのね』
「わたしの家についたら、いまの状況を詳しく教えて」
『わかったのね。きゅいきゅい』
「いやー、フーケの魔力を感じてきてみたら、すげー面白い現場に遭遇できたな」
『みたいだな、相棒』
「ありゃ、もっと強くなるぜ」
『今のうちに叩いておくかい?』
「いや、やめとく。
それに時間がかかって遅れたら、あいつ心配するだろうし、戻る」
『相変わらず妹思いだね。せめて相手の正体を確認しとけば?』
「やだね。万が一知り合いだったら気まずい。
どうせ戦わないといけないなら正体なんて知らなくていーさ」
『さよで』
「戻ろうぜ、デルフ」
『了解』
「伝説の力を手にできるのは最後に残ったひとりだけ…。
どんないい奴だろうと戦わないとな」
『つれーな、相棒』
「俺は俺の守りたい奴らのために戦うだけさ」
書いてあった分はコレで終了。
なんという魔法少女タバサww
魔法少女リリカルタバサ GJ
何と言うwktk
ここスレ速度半端じゃねえ
ここまで過疎知らずなスレはこの板じゃまず無いんでないかい?
62 :
ボルボX:2007/09/03(月) 01:45:05 ID:Zu/XwZ2x
またまたアン様もの書いて参りました。ただ、その・・・
エロなし。長いし。原作のコミカルな雰囲気ほとんどないし。
しかもオリジナルキャラ二名出てるし(でも固有名は無いです)
そんな原作レイプ作品ですが、どうかご容赦を。↓
63 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:48:22 ID:Zu/XwZ2x
秋の嵐吹き荒れる夕方だった。
馬車から降りてすぐ、アンリエッタは丁重な礼を受けることになった。
その領主は、強まる雨風の中で立って、自らの領地への急な女王の来訪をでむかえたのである。
アンリエッタの馬車に同乗していたマザリーニが、まず彼に返礼した。
彼女もむろん、じゅうぶんに礼儀正しい言葉を述べた。
その三十代前半ほどの、刈りこんだあごひげを持つ若い領主は、背高くがっしりした体格で、通った鼻筋と涼やかな目を持っていた。
じゅうぶんにハンサムと言えるだろう。
アンリエッタは彼をじっと見つめた。
白いドレスを着た女王といつもの黒衣の宰相が、この地の領主と儀礼を交わしている間、その後方で、アンリエッタの同行した数十名の近衛兵たち――銃士隊および水精霊騎士隊――は、沈黙を保っていた。
雨をふせぐフードつきの外套をはおった才人が、同じ格好のギーシュに何事かをささやく。
ギーシュが無言でうなずいた。水精霊騎士隊の隊長と副隊長、この二人の少年の面には、彼らにかぎってめったにない陰鬱な表情があった。
それはほかの者にも共通している。
領主は微笑をうかべつつ、嵐に負けないように声をはりあげた。
「是非ともわが館においでください、陛下。いえ、なにぶん急なことでもあり、恥ずかしいばかりのささやかなもてなししか出来ませぬが。
しかし、この嵐を避けるにじゅうぶんな屋根と乾いたベッド、供のかたがたにふるまうパンと肉、ワインくらいならいくらでもございます。
陛下の御身のまわりを世話させていただく侍女や召使たちにもこと欠きませんよ」
>>55 GJ!なんか仮面ライダー龍騎を思い出したwwwww
『王になれるのは一人だけだ…戦えっ!!』
65 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:49:00 ID:Zu/XwZ2x
「あなたの善意をありがたく受けましょう。感謝します」
アンリエッタはそう言ってから、首をふった。
「しかし侍女なら一人、同行しておりますわ」
領主は破顔した。
「これは失礼しました。もちろん、かかる至尊の御身におかれては、召使を同行しないなどということは無いでしょうが、せめて晩餐の給仕はわが家の召使たちに……」
その言葉が途中で止まった。アンリエッタが馬車から降りてきた灰色服の侍女に振りかえり、彼女の手をみずからとったからである。常識にそぐわない、異例のことだった。
華奢な体つきのその侍女は、顔を完全に覆う仮面をつけていた。
その異様な光景に気を呑まれたのか、領主は立ち尽くしていたが、そんな彼にアンリエッタが声をかけた。
「彼女は疲れています。彼女のためにも、あなたの館で休息をとらせていただけませんか?」
「あ……ええ、もちろん……」
「何はともあれ、はやく貴殿の館の中に案内してくれないか? 陛下が雨にさらされている」
あぜんとしている領主にそううながしたのは、銃士隊隊長のアニエスだった。
66 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:49:31 ID:Zu/XwZ2x
中小の貴族としてはかなり富裕なほうであるらしき領主の、夕食のテーブルは非常に大きく、それなりに見栄えのよい料理が人数分ならんでいた。
かごに山と盛られた白いパン。バターで焼いた鱒に溶けたチーズをのせたもの。
野ウサギの骨を煮詰めてとったスープに、キャベツと玉葱と赤ワインにつけこんだ野ウサギの肉を加えて半日煮こんだシチュー。
生食用のハーブは太った鶏の丸焼きにたっぷり添えてある。
数種のパイの具は牛肉や果物。
しかし、煉瓦造りの大きな食堂に通された客たちは、けっして明るい表情とはいえなかった。
食前の祈りが済むと、めいめいが黙々と食事をとる。
まだ嵐にさらされてでもいるかのように、領主が朗々と大きな声を出した。
「突然の陛下のご来臨をたまわり、わが家にとってこれ以上の名誉はございません。
このたびの陛下の国土巡幸におかれては、近隣の領主らが宿を提供するという栄誉にあずかり、
残念ながらわが領地を通る予定はなかったように記憶していますが……予定が変わったのは、やはりこの嵐のためでございましょうか?」
67 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:50:31 ID:Zu/XwZ2x
アンリエッタがなにか言う前にマザリーニが、鶏の脂に汚れた口元を布でぬぐいつつ答えた。
「そのようなものですな。通るはずだった道は、泥でぬかるんでおりました。
馬車の轍がぬかるみにはまって動けなくなっても問題ですから、道を変えたしだいです」
このときアンリエッタはマザリーニをにらみ、つぶやいた。
「枢機卿は、慎重に過ぎますよ」
女王の険のある声を、宰相はさらに冷厳としてはねつけた。
「『天国へ行く方法は、地獄への道を避けること』ですよ。回りくどく消極的といわれようとも、それがもっとも確実なやり方であることは多々あります」
女王と宰相のとげとげしい雰囲気を和らげようとてか、領主が笑みをうかべる。
「宰相閣下の今のお言葉は、ロマリアの思想家のものですね? あの思想家に学ぶものは多いと思いますよ、わたしもね」
女王は儀礼上の笑みを浮かべたが、機嫌の悪さが透けて見えるほどにそっけなく答えた。
「わたくしは好きませんわ、あの思想家。言うことがあまりに……酷薄です。まるで誰かのように」
今度はマザリーニが口をはさむ。
「わたしも感性的には決して好きではありませんよ。しかし、君主は感情で行動するものではありません。いい折ですから、陛下にはそれをよく考えていただきたい」
二人の応酬を見て、処置なしとみてか領主は沈黙する。そのまま何かを思案する表情になった。
68 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:51:06 ID:Zu/XwZ2x
食卓の上座のほうで繰り広げられているぴりぴりした会話に、居心地わるそうに水精霊騎士隊の何人かがそわそわと身じろぎしている。
才人とギーシュはぽそぽそと囁きあっていた。
(おいギーシュ、姫さまと宰相さまはなんの喧嘩をしてるんだ?)
(ぼくにきかないでくれ。ああいう上流な方々の喧嘩は苦手なんだ)
(おまえ貴族のいいとこ出だろ!)
(そんなことより、君、あの怪我をした侍女の姿が見えないな)
(姫さまが、自分に割りあてられた部屋で休ませてるよ。銃士隊の何人かも一緒だ)
(……そうか。なあサイト、嫌な気分になってこないか?)
(ずっとしてるよ、吐き気を感じるほどな)
69 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:51:39 ID:Zu/XwZ2x
「ところで、お訊きしてよろしいでしょうか?」
宰相との舌戦をひとまずおいてか、アンリエッタが領主に顔を向けた。
領主は顔をあげ、たちまち笑みを浮かべて「なんなりと」と請け負う。
ただしその笑顔には、薄く緊張がたゆたっていた。
「近隣の領地の諸侯たちにも聞きましたが、あなたはずいぶんと……ええ、革新的(、、、)なかたとのことですが」
「革新的? 陛下はお優しい、近隣の領主どもならばわたしについては悪口しか言いますまいよ。
『貴族とも思えない金回しの芸当をする』くらいのことは言ったはずです、違いますか?
いかにも、わたしは好意をもたれていません。彼らの基準からすれば卑しき職業である金貸しをいとなみ、
剣を使うなど平民の業にも手を染める……その貴族とも思えないふるまいをするわたしが、彼らよりずっと裕福なのですから」
「なるほど。見たところ、羽振りがよくていらっしゃる。この部屋の調度品も見事なものばかりだわ」
「ああ、『清貧』をこころがける陛下には、お気にさわりましたかな? ……そういう意味ではない? それなら是非お聞きください。
近隣の領主どもがわたしについて何をいおうと、それはやっかみにすぎません。
わたしは困った平民に金を貸しているのです。
前年が凶作のため次の年の作物苗が買えないという農民や、腕のいい職人でありながら時世で注文が絶え、次の注文まで食いつなげない、という者にね。
そして、わたしは決して法外な利子をとっておりません。無茶な利子で苦しんでいる者は、わたし以外の金貸しから借りたのですよ。
ところで、ワインはいかがしますか?」
70 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:52:23 ID:Zu/XwZ2x
晩餐の後である。
アンリエッタはアニエスとギーシュを物陰に読んだ。顔をひきしめる近衛部隊
隊長の二人に対し、声をひそめて告げる。
「アニエス、銃士隊は前もっていいふくめたとおりに。ギーシュ殿の水精霊騎士隊は、臨機応変な対応を。油断せぬように」
ギーシュはがちがちに緊張して頭を下げ、アニエスはいつものように一礼してから、何気なさそうにアンリエッタに問うた。
「マザリーニ殿はいまだ反対なのですか?」
アンリエッタは首をふり、苦笑気味に答えた。
「枢機卿はわたくしの父のようなもの。たしかに今日はずっと、わたくしたちは険悪な関係に見えたでしょうが……
厳父は娘に説教するものですし、彼の言うことは政治家としては正しいと、わたくしも理解はしているのです。
わたくしたちの意見は、そもそも根本から対立しているわけではありません。
ことここに至っては、彼も協力してくれるでしょう」
二人が退出しようとすると、アンリエッタは思い出したように呼び止めた。
「それと、サイト殿を呼んできていただけませんか?」
71 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:53:02 ID:Zu/XwZ2x
急に呼ばれていぶかしげな顔をする才人に、アンリエッタは彼の役目を伝えた。
なるほどとうなずいた彼に、信頼の目を向ける。
「『ガンダールヴ』には、水精霊騎士隊をよろしくお願いしたいのです。
守ることにかけては、あなたがいればまさに百人力と信じています」
「はは……いや、買いかぶりっすよ。正直ルイズの虚無がないと心細いなー、なんて」
「すみません、無理を言ってこのようなことにつき合わせて。早くルイズのもとに帰りたいでしょう?」
いやあいつ今は一人で勝手に帰省してますし別にーなどと言いながら、もじもじと照れる才人を見ると、アンリエッタは少しさびしくなる。
かつて自分も、彼にうっすらと惹かれていたときがある。自分が身をひいてから時がたったが、近頃ようやくこの二人も落ち着いてきた。
それは親友のためにも喜ばしいことだったが、こうして顔を合わせて話すとまだ、少しの寂しさを覚えてしまう。
アンリエッタは未練を断つように小さく首をふると、微笑して才人にもさがることを許した。
72 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:53:46 ID:Zu/XwZ2x
アンリエッタは割り当てられた寝室に入った。天蓋でおおわれた、白いシーツの豪奢なベッドに腰をおろす。
先に部屋にいて、ベッドに腰かけていた仮面の侍女は、あわてて立ち上がろうとしたが、アンリエッタはやさしく手を押さえてとどまらせた。
そっと顔を覆う仮面を外す。
髪は漆黒、瞳は青。美しい少女だった。
トリステインの花と呼ばれるアンリエッタと並べても、おさおさ劣らぬほどに。
ただ、その右目をふくむ顔の三分の一は……仮面の下でさらに、包帯に覆われて隠されていた。
「そう慌てないで、ゆっくり動いて。あなたはまだ傷ついているのだから。わたくしも最善をつくしたけれども、治癒できる範囲には限りがありました」
「でも……昨日からこんな、女王陛下にあまりにおそれ多いばかりで……」
「わたくしを見なさい。ね、ただの少女でしょう? あなたと同じよ」
「同じ? 私とアンリエッタ陛下が?」
侍女はとまどう表情になった。
「いいえ、同じじゃないです」
「同じです」
アンリエッタは侍女を抱きしめた。
昨夜は彼女を治療し、彼女の話を聞き、彼女のために泣いた。とうに特別なものを感じていた。
アンリエッタは、貴種らしく他人の気持ちにやや鈍いところがあるが、基本的には心優しい少女であり、他者への同情をごく自然に抱く。
(マザリーニ、あなたは『王は民への憐れみを忘れてはなりません』と自分で言っていたではないですか? なぜ今になって、もっと慎重にふるまえと言うのです?)
73 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:54:26 ID:Zu/XwZ2x
このとき、アンリエッタは普段なら決して話さないことを話す気になっていた。
「不思議に、あなたとわたくしはどこかが似ている気さえするの。あなたは自分の身の上を話してくれました。
よろしければ、わたくしの話も聞いてください」
そしてアンリエッタは告白した。幼き日のウェールズとの恋のこと、彼をアルビオンの革命軍に殺されたこと。
かつての連合軍がアルビオンを攻めた戦は、自分の復讐心から生まれたこと。
「何人も死にました……悔やまなかった日はありません。わかったでしょう、わたくしは女王などと呼ばれていても、愚かな少女にすぎないのですよ。
あなたも、必要以上に壁をつくらないでくださいな」
アンリエッタが話し終わったとき、その侍女は呆然と青い片目をふせ、ひざの上に視線をそそぎ、自分の手に重ねられた女王の手を見つめていた。
ややあって、その侍女はごくりと固唾をのんだ。
「アンリエッタ様……あの……あの、昨夜話していないこともあるのです。
私の兄は兵士でした。
アルビオンとの戦の中で、補給部隊で物資を管理する役目でしたが、物資を横流しして利益をむさぼったかどで捕まりました。
だから私は、国家に対する犯罪者の身内でもあるのです」
「……そうだったのですか。でもそれは、あなたの兄上のことであり、あなたには何の関係もないことでしょう?」
美しい侍女は、黙って同年代の女王を見つめた。それから、おびえたように青い目をそらした。
「あの……アンリエッタ様、本当に慈悲深い言葉を……」
アンリエッタは困ってそっと手をにぎった。かたくなに心を閉ざそうとする人間を、どう扱えばいいかわからなかった。
「そうね、わたくしも唐突すぎました。あなたが落ち着くのを待つことにします。
でも、あなたはわたくしの侍女になったのですから、着替えを手伝ってくれるくらいはいいでしょう?」
「は、はい喜んで……あの、よければお手の世話も。爪をとぐことには慣れています」
74 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:55:02 ID:Zu/XwZ2x
マザリーニが、領主をともなって訪れたとき、アンリエッタは侍女の手を借りて、黒い絹のドレスを身に着けたあとだった。
下半身はふわりとしたスカートに同じく黒い靴。上半身はぴったりとなめらかに、優美な体の線にそったデザイン。肩はむき出し。長い袖は手首まで包む。
領主がドアの外から大声で、アンリエッタに来訪を告げたとき、アンリエッタはベッドに腰掛け、ひざまずく侍女に爪を磨いてもらっていた。すらりと伸ばした細く長い腕。
片目の侍女は差し出された手をおしいただき、棒ヤスリで慎重に、アンリエッタの健康的な美しい爪をといで短くしていた。
来訪をうけてベッドから立ち上がりはしたものの、手をのべたまま爪はみがかせる。
かすかに震えを体に走らせた侍女に、安心させるようにささやく。
「だいじょうぶです。あなたは爪とぎに専念していてくださいまし」
領主が、アンリエッタの出した入室許可に応じてドアを開ける。女王が侍女に爪をみがかせている光景を見たとき、領主はこわばったように立ち尽くした。
領主に続いたマザリーニは、アンリエッタの服をちらと見て、品評した。
「一見、簡素でありながら上質な服ですな」
一瞬のこわばりから解けたらしく、マザリーニに追随するように、領主も手放しで褒めちぎった。
「いや、何よりも陛下がお美しい。つねはトリステインの紋章である白百合の花のごとき美しさですが、黒百合もまた宝石のような」
アンリエッタは上品に一礼した。
「ありがとうございます」
「しかし両者が合うかとなるとまた別ですな。同じデザインなら、白のほうが陛下にははるかに良いでしょう」
いきなりの枢機卿の駄目だしに、領主がぎょっとしたように目をむいた。
75 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:55:38 ID:Zu/XwZ2x
「……ええ、前にも言われましたわね。黒は合わない、と。
しかし枢機卿、わたくしはわたくしなりに思うところはあるのです。『王はつまるところ役者だ』と、どこかでそう聞きましたよ。
わたくしに求められているのは、自分の考えであれ他人の考えであれ、それをふさわしく演じることなのです。役に合う衣装を身に着けて。
黒はたぶん、今夜にふさわしいと思います」
「今宵、あなたが演じようとしているのは道化の役ですよ。自分でどう思われているか知りませんが」
マザリーニは苛々をこめて言った。
領主がそっと彼の黒衣の袖を引っ張っているのは、「もうおやめなさい」と促しているのだろう。
アンリエッタは一心に爪をみがく侍女を一瞬だけ見てから、声をはりあげた。
「枢機卿、あなたはわたくしをあくまで愚弄するおつもりですか?
王の威を傷つけることは、立派な罪ですよ」
「王権の尊さについて、陛下は真に理解してさえいらっしゃりませんぞ。
あなたは、いつまで子供でいるつもりなのですか?」
切り返すマザリーニの冷たい言葉を、アンリエッタはそれまでの怒りの熱をこめた目とは打って変わって、同じような冷たい目で見返した。
(さあ、ここからだ)
「もう分からず屋と話すつもりはありません。じゅうぶんです。
牢で頭を冷やしなさい。
この館に地下牢はありますか?」
その問いかけは、領主に向けて発されたものだった。
若い富裕な領主は、驚愕に目を見開いた。
「い……いけません、陛下……仮にもマザリーニ様のような国家の功臣に、一時のいさかいでそのようなことを……」
「わたくしはそのようなことの確認を求めたのですか? 地下牢はあるのか、と訊いたのですよ。あるならば案内しなさい。アニエス!」
76 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:56:47 ID:Zu/XwZ2x
アンリエッタの鋭い呼び声からほとんど間をおかず、銃士隊隊長が現れた。ほかに三人の部下を連れ、全員が剣をさげ鎧を身に着けて。
明らかに、前もって用意していた。
沈黙するマザリーニの前に立ちふさがるようにして、領主は慌てた声を出した。
「お待ちください、これはこのような高貴な方を遇する道ではありません。
マザリーニ様にたのまれて、わたしは陛下とマザリーニ様の仲裁に役立てればと、ここに同参したのです。彼をわが家の牢に入れるためではありません。
正式な逮捕状もない、これは法にのっとっていません……せめて地下牢ではなく、部屋に軟禁くらいであれば……」
「あなたも王権に逆らうのですか? マザリーニ、あなたは地下牢で頭を冷やす必要があります。そうですね?」
アンリエッタの確認に、宰相は肩をすくめてみせた。
「まあ、陛下がそれを望まれるなら、わたしとしてはこの我がままに付き合いましょう。そういうわけで、地下牢に案内してくれ」
あっさりとあきらめた宰相を、領主は信じがたいものを見るように見た。
アニエスに従ってきた銃士隊員たちが、めいめいの剣を抜き、マザリーニと領主をとりかこむ。
主君のそばに控えたアニエスが、声を領主にかけた。
「早く案内してくれないか? それとも……地下牢を見せたくないのか?」
侍女がこのとき、顔をあげて震える声ではっきりと告げた。
「地下牢の場所なら、私が知っています」
ハンサムな領主の呆けたような表情に、ゆっくりと状況に対する理解の色が広がっていった。
そして、変わって笑みが広がっていった。残忍な怒りに満ちた笑みが。
77 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:57:18 ID:Zu/XwZ2x
地下牢は陰惨きわまった。
暗さと猛烈な悪臭の中で、生き物のうごめく気配とうめき声がする。
手燭の明かりを侍女に持たせて、アンリエッタ達はその中を歩いた。
銃士隊員たちは、マザリーニを囲むと見せて、巧妙に領主を取り囲んで歩いている。
アンリエッタは火に照らされる囚人たちの、「人」から変わり果てた姿と悪臭に、吐き気をこらえて口元を覆った。
地下牢はもとより快適な場所ではないが、この牢は、まさしく入れられるだけで人体を腐らせていく場所だった。
牢ごとの明かり窓さえなく、牢の外の通路に光がさしこまないような作りの通気孔があるのみ。
床は糞尿と腐った血でぬるぬるし、うじが囚人の体から離れて通路を這っている。
(ひどい……)
アニエスが、顔の前をびっしりと飛びまわる蝿を手で追いながら、皮肉っぽくつぶやいた。
「ここの牢はつねに満杯のようですね。あそこの牢なんか、死骸を取り出しさえしていませんよ。マザリーニ様を入れておく余裕はなさそうですな」
マザリーニがひょうひょうと答える。
「老人だからな。拷問されるのもごめんこうむるよ。あの壁の器具なんて見ただけで痛い。
しかし、よくここまで地獄を体現する牢を作れたものだ、最低限の明かりさえないとは」
「……マザリーニ」
「何です? 陛下」
78 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:58:29 ID:Zu/XwZ2x
「あなたは、このような光景をみてもなお、この領主を即刻処断せずにおれますか。
王都に戻り、詳細に調べ上げ、警備隊をつかわし、司直の裁きを待てとあなたは言ったのですよ。焦るべきではないと。
この男の邪悪な支配はそれだけ長らえ、ここの囚人たちはそれだけ生き地獄を味わったでしょう。もしくは耐えられず死んだでしょう。
それでもまだ、急ぐべきではなかったと言うのですか」
マザリーニは奇妙な笑みを浮かべている領主を冷たい目で見やり、アンリエッタに向き直った。
「陛下、この男が通常より残忍であることは、今となっては疑いをいれません。
ですが、このような自ら御身を危地に入れるようなことが、なぜ賛同できたでしょうか」
そのとき、笑い声が響いた。
明るく、心底おかしげに。
領主は腹をかかえて体を折り、笑っていた。そして、彼は笑ったままアンリエッタに言葉を放った。
「陛下、陛下、まったくこれはひどい。わたしはあなたの忠実な臣下ですよ。
王権に対し反逆の意思はありません。そのわたしに対し、あなたは不意をうって訪れ、マザリーニ様と共謀して私を罠にはめた。
この晩、わたしは杖さえ持たないまま御前にまかりこしたのに、あなたは女どもに剣を持たせてわたしに突きつけるのですね」
「王権に対し反逆の意思がない?」
アンリエッタは冷ややかに領主に答えた。
「王の良民を守らずして、何が王への忠誠ですか? あなたに貴族の資格はありません」
79 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:59:08 ID:Zu/XwZ2x
「良民! 良民!」
ほとんど爆笑の勢いで、領主は叫んだ。
「こいつらは金を返さない債務者であり、わたしは領主としての権利で裁きを下したのですよ。
最低限の利率にもかかわらず返せない者たちです。ほかの債権者から借りておきながら、いつまでも金を返さないので、わたしが債権を買った者もいます。
くず共ですよ、こいつらは。そして自らこの運命を選んだのです。
疑いならこいつらの書いた証文書を見るといい、『返せなければ一身をかける』と書いてありますから!
この牢獄ですか? 陛下、あなたのお嫌いというロマリアの思想家は、こう申しておりますよ。『愛されるより恐れられるほうが、はるかに安全だ』とね。これは罰ですよ、罰!」
「領主の地位を悪用して、武力と裁判権と徴税権をちらつかせて借金を取り立てたということですね。この娘の父親もそうですね?」
アンリエッタは狂笑する領主に、片目の侍女を示した。唐突に笑いがやんだ。女王は言葉を続けた。
「あなたはこの娘の美しさに惹かれ、この娘の父が作ったほうぼうへの借金を、債権者たちからまとめて買い上げた。そして厳しく取り立て、領主としての強権を使ってこの牢に放りこみ、この娘を……自分のものにした」
「ええ、彼は私の体を、文字通り切り刻みました」
アンリエッタの冷たい怒りの声にかぶせるように、淡々とした声が侍女自身の口から発せられた。彼女は今では落ち着いているようだった。
「そういう性質なのでしょう。刃物を使うこともあれば、針やペンチや火を使うことも……私の前にも何人も、彼に殺された女はいると思います。
彼の好む道具には、使いこんだ形跡がありましたから」
領主は笑い声はやんだものの、いまだに笑みの形に顔をゆがめたまま、低い声でブツブツとつぶやいた。
「陛下、陛下、その娘は気が狂っているのですよ……その無くなった目は自分でくりぬいたのです。狂人の言うことを信じるのですか?」
80 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 01:59:46 ID:Zu/XwZ2x
娘は残った青い目をきらめかせ、微笑を返した。
「そうでもしなければ、あなた私を棄ててくれなかったでしょう? 顔だけは傷つけまいとしてたものね」
耐え切れないという表情で、アンリエッタが叫んだ。
「この娘が手足を縛られ、のどをつぶして棄てられていたのも、自分でやったことだと言うのですか?
全身の傷、背中にまで刻まれた傷跡も、自分自身でつけたものだと?
わたくしは彼女を治療するときに、すべて見たのですよ。
もしわたくしたち一行がたまたま通りかかって、その中の一人がたまたま森の中に入らなければ、この娘は見つけられずに死んでいました」
領主は黙った。笑みのまま。
暗い地下牢の中、侍女の持つ燭台の明かりだけが、ちらちらと揺れている。
アンリエッタは緊張を悟られまいと、ひそかに息を呑む。
と、領主は、唇をまくれあがらせて吐き捨てた。
「あの愚か者ども、殺して捨てろと命じたのに。直接手をかけることに怯みやがる……ああ陛下、気になさらずに。わが家の召使の話です。
どうやら彼らには罰を与える必要がありそうです、これも主君の義務ですよ」
罪を認めたとみてとって、アンリエッタは静かに宣告した。
「彼らには、女王つまりわたくしと国家の名において、罪に見合った裁きが下るでしょう。あなたがそれを行う余地はありません」
81 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:00:20 ID:Zu/XwZ2x
「陛下、そうお思いですか? この日あなたを出迎えたとき、そこの女の姿を見て、わたしが『もしや』と警戒しないとでも思ったのですか?
何の準備もしないと思っていたのですか?
いいえ、あなたがわたしを小ざかしく問い詰める意図は丸見えでしたよ、だから夕食の間中、領地のほうぼうに使いを出しておきました。
領主は私兵をかかえるものです。彼らは集まり、もうここに来るでしょう」
その言葉に合わせて、地上から銃声がひびいた。
マザリーニがはっと顔をあげた。
アニエスが大して慌てる様子もなく言う。
「銃士隊、および水精霊騎士隊が完全武装で警戒している。まあ問題ない」
「本気で言っているのか、そこの女? 魔法の使えぬ女どもと、餓鬼どもの集団が何の役に立つ? こちらの手勢は数もおまえらと同じだけ集まるのだぞ」
領主の嘲笑に、誰も答えなかった。
ガンダールヴの存在まで説明してやることはない。
かわりに、アンリエッタはもう一度宣告した。
「おとなしく罪に服しなさい。明白な反逆に移った時点で、あなたの領主としての権利は剥奪されたのですよ」
領主は肩をすくめた。
「ええ、陛下にはしてやられましたよ。
本来なら、わたし自身があの兵どもを統率しているはずだった。
しかし、つい先ほどマザリーニ卿にうながされ、御前に出るなら杖を置けと言われた……あとは知ってのとおり……」
82 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:09:12 ID:Zu/XwZ2x
突然で、迅速な動きだった。
領主は自分に突きつけられた銃士隊の三人の剣のうち、一本の刀身をつかむと、
その銃士隊員を蹴倒し、背後から突きこまれた二本の剣を払った。
そのまま女王に向けて突進する。
アニエスが無造作にその前に、剣をぬいて立ちはだかった。「どけ」と領主は絶叫した。
二条の剣閃が走った。
領主の突きはアニエスの胸甲の上をすべり、アニエスの剣は領主ののどを貫いていた。
「なるほど、貴様は変わったやつだ。貴族でありながら剣も使えるとはな。
だが、鎧を着ていないものばかり相手にしてきたようだな?
陛下を人質にしようとしたのだろうが・・・玉体に手をかけようとした時点で、こうなると想像できなかったか?」
アニエスの言葉に、領主は首を貫かれたままごぼごぼと血でのどをならし、笑みを浮かべた。
アンリエッタはその光景を見ていた。
(王は役者、王は道化・・・)
心を、できるかぎり冷たく保つ。
最後まで、怯まぬ女王を演じきらなければならなかった。
アニエスの剣が首から抜かれ、かつて彼女の臣下だった領主が牢獄の床に倒れたとき、
アンリエッタは黒いドレスの裾をつまんで一礼した。
83 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:10:09 ID:Zu/XwZ2x
(……ようやく終わった)
嵐が止んでいる地上にもどり、灯火に照らされた城の庭に出て、アンリエッタは大きく息を吐いた。
あの牢獄の陰々たる空気を、肺腑から追い出すように。
かすかに血と牢獄の臭いのする黒いドレスを、一刻も早く脱ぎたい。
けれども、この夜にはまだやることがあった。報告を受けねばならない。
目の前にギーシュと才人が駆け寄ってくる。
どちらも服や髪がボロボロになっていたが、大怪我はなさそうだった。
「やりましたよ! 連中は大挙してやってきましたが、追い返しましたとも、ええ!」
「ギーシュてめえ、メイジを半分くらい俺一人にまわしやがったくせに、何を威張ってんだ! 見ろこの焦げた服を!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人をあわててなだめ、治癒魔法をかける。
火傷を治療してもらいながら、才人がアンリエッタに聞いた。
「終わったんですよね? 姫さま、今度からちょっと危ないことは避けてくださいよ」
(マザリーニと同じことを言うのね)
なぜかおかしくなり、アンリエッタは軽やかに笑った。
「こう見えてもわたくしは昔、なかなかおてんばだったのですよ。ルイズから聞きませんでしたの?」
「……アンリエッタ様」
静かな声で呼ばれた。アンリエッタは振り向いた。あの片目の侍女が、はかなげに立っていた。才人とギーシュが、目配せをしてそっと退がる。
84 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:10:38 ID:Zu/XwZ2x
「あ……ええ、これで全て終わりましたわ。あなた……これからどうするの?」
アンリエッタは侍女の前に歩み寄り、抱いていた心配を疑問として聞いた。
「あなたさえ良ければ、わたくしの王宮で仕え――」
「アンリエッタ様、お手を」
女王の言葉をさえぎって、侍女はそう言った。
「あなた……?」
「お手の手入れをあと少し。終わっていませんもの」
侍女の唐突な要求にとまどいながらも、アンリエッタは言われるまま手を出した。
侍女は棒ヤスリを取り出すと、丁寧にその爪をといで短くしていく。
そして、片目を伏せたまま、「話さなかったことがもう少しあるのです」と。
「私の父は腕の良い金銀細工師でした。
お金についてはだらしなく、借金がほうぼうにありましたが、父の作る細工物は本当に見事だったのです。
ですから、借金の取り立ても、決してひどくはありませんでした。
遅れてはいましたが、父は返していましたし、細工の注文が来るかぎり返済能力はあると債権者からも認められていましたから。
でも、ある日それが一変しました」
侍女は顔を上げずに、爪をみがきながらしゃべり続ける。アンリエッタは異様な寒気を感じた。
「父は近衛兵団の杖の、銀の鎖飾りの一部を、大きな工房から任されて手がけておりました……近衛兵たちの好む金や銀の飾りもね。
でもある日、新しく王位についた方が、『華美な悪弊』としてそれを廃止してしまったのです」
落雷を受けたような衝撃を感じ、アンリエッタは凍りついた。
(近衛兵団の杖の、銀の鎖飾り? それは……それは……高等法院長リッシュモンを処断する前に、わたくしが廃止した……) ※5巻P182参照
85 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:11:12 ID:Zu/XwZ2x
「それで父は当座の仕事のめどを失いました。
債権者は、父にこれまでのようには金が入ってこないかもしれないと知ると、取立てを厳しくしはじめました。
そしてある日、私に目をつけたあの領主が、父を見放した債権者たちから債権をまとめて買い上げ、速やかに返さねば借金のかたとして私を連れて行くと脅したのです。
訴える? 借金したのは間違いないことで、裁くのは土地の領主ですよ? つまり、あの男です。
連れて行かれたくなければ、期日までに金を返すしかありませんでした。
領主の上にいるはずの王様は何をしているのだろう、とも思いました」
アンリエッタは凍りついたまま、侍女を見ていた。思考も舌も麻痺して、何も言葉が出てこなかった。
侍女の灰色の服、その袖から見える素肌には、いくつもの傷跡がついている。
「……王軍で補給担当の部隊の兵になっていた兄は、それを知るとなんとかして金を作り、送ってこようとしました。軍の物資を盗んで売ってでも。
そのときはすでにアルビオンとの戦になっていました。兄は見つかり、戦時ということで利敵行為のかどで即刻処刑されました。
平時ならねえ。平時なら、補給物資を売りさばいたくらいで死刑にはならなかったかもしれないし、警戒がゆるくてばれなかったかもしれないのに」
顔を上げないまま、侍女は肩をふるわせた。泣いているのか、笑っているのか判別しがたい声が漏れていた。
「アンリエッタ様、アンリエッタ様、あなたのお手手はとてもきれい。
華奢で細い指、傷の無い白い肌、爪だって完璧な形。
私みたいに全身が傷だらけじゃないです」
侍女は一つだけ残った青い青い目を上げて、アンリエッタの目を見る。
手入れしていた彼女の指を口にふくみ、舌をはわせて、まだ爪をといでいない最後の指の爪を噛んだ。
ぷちりぷちりと爪を噛み切っていく。
86 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:12:42 ID:Zu/XwZ2x
「私にも恋人がいました……あなたのウェールズ王子ほどハンサムではなかったけれど、幼いころから知っていて、私を大切にしてくれた人が。
彼の爪が伸びてくると、よくこの糸切り歯で爪を噛み切ってあげました。
彼も兵士として、あの戦に行っていましたよ……でも、連絡が絶えました。
兄が金を作れず、父が牢の中で死んで、私はあの男にさいなまれるようになった後も、彼がどうなったのか、ずっと知りたいと思っていました。
この館に出入りする商人にようやく接触し、彼の消息を聞きました。
彼は戦死したんですって。本当におかしい話、私は死ぬに死ねないでいたのに、戦争ってあっさり死ぬのねえ」
アンリエッタはがたがたと震えていた。
(『あなたとわたくしはどこがが似ている気さえ……』わたくしはそう、言いました……彼女が、恋人をあの戦で奪われたのなら、その仇は……)
先ほど、地下牢で領主と相対していたときには、女王としてふるまえた。
なのに、青い目の前で、今の彼女は、ただの黒いドレスを着た怯える少女だった。
そのとき横から――飛びかかる勢いで――アニエスが侍女を押し倒し、うつぶせにして背中に手をねじりあげ、蒼白な顔で棒ヤスリを奪い取った。
87 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:13:20 ID:Zu/XwZ2x
「申し訳ありません、陛下! でも……このヤスリは先が尖っています、突き刺すこともできそうなほどに」
「………………ぁ……」
アンリエッタは口に両手を当てて、我知らずあとずさった。
アニエスに組み伏せられた侍女は首をねじまげ、青く深い瞳で地面から見上げ、心底から不思議そうに彼女に問いかけた。
「アンリエッタ様、あなたはご自分と私は同じだと言ってくださいました。
それなら、なぜ私が恋人のため、父と兄と自分のために復讐しようとしても、こうして私は組み伏せられ、あなたは立っているのでしょうか?
『私と同じ』あなたは復讐することができたのに。私にはわかりません」
アニエスが怒鳴った。
「おまえの、全ての不幸が陛下のせいか!? あの戦はアルビオンが先に手を出してきたのだ!」
少女は青い、青い、青い一つきりの瞳で、地面からただアンリエッタ一人を見る。
「先に……でも、その後の、私の恋人と兄を奪った大遠征は? する必要があったのでしょうか?
トリステインの白い百合の紋章の下で、オリヴァー・クロムウェルと戦った者たちは、
そして死んでいった者たちは……アンリエッタ様の復讐のために戦場に行ったと、アンリエッタ様自身が話してくれましたよ」
88 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:13:58 ID:Zu/XwZ2x
「死んだ領主の罪を公表します。財産は国家が差し押さえます。かの領主の評判が悪かったのは幸いですな、どこからも文句は出そうにありません。
死者に鞭打つほどに苛烈に行いましょう。国内の諸侯たちも、それを見てあらためて王威を知るでしょうから」
マザリーニの事務的な言葉に、返事は返ってこなかった。
枢機卿はアニエス、そして才人と顔を見合わせ、三人して深いため息を同時についた。
彼は、主君に声をかけた。
「陛下、それ以上飲むのはおよしなさい」
やはり返事は無い。
「陛下。どうしようもないのですよ、どんな施政も万人を幸福にはできません。
かならず、どこかでしわ寄せがくるのです。彼女はあなたの政によって起きた、一番悪い運命を引き当てただけです。運が悪かったのですよ。
多くの民は、あなたを慕っていますよ」
「うそです」
弱弱しい声。アンリエッタは、椅子に腰かけてワイングラスを次々とかたむけていた。
目に光はなく、グラスをつかむ手に力はなかった。
素肌に薄手の、淡いピンクの夜着をはおっただけのしどけない姿。
「枢機卿、あなたは正しい、あなたの言うとおりでした……わたくしはまさに、道化の王です。王権について、何もわかっていなかった」
「陛下! ……このようなことは決して言いたくありませんが、王はときに民の幸福を、数字としてとらえねばなりません。あの娘は、最も少ない部類なのですぞ。
自分の感情に振り回されてはなりません!」
「マザリーニ、出て行って、おねがい。今は……」
マザリーニは悲しげに息を吐き、そして背を向けた。
出がけに、アニエスと才人に目配せしていく。
89 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:14:29 ID:Zu/XwZ2x
アニエスが、気が重そうに口を開いた。
「陛下、あの少女のことですが……彼女は、なかば気が触れているようです。
そういう名目で、修道院に入れることにしました。院の外へ出てくることがないように、修道院側に伝えておきます」
びくりとアンリエッタが震えた。それから、か細い声で訊く。
「……それは……幽閉ではありませんか」
「いかにも。ほかにどうします? 古来より、王の玉体を傷つけた者は、未遂であっても本来は死刑です。彼女を殺しますか?」
「だめ。絶対にだめ」
ほとんどすすり泣くような声で、アンリエッタは拒否した。
「彼女はわたくしの体をなにも傷つけていない、ただ爪を噛んだだけです……わたくしは痛みさえありませんでした」
心は痛んでいるでしょう? と問うような目でアニエスは主君を見、そして続けた。
「……彼女自身が復讐の意思をはっきりと口にしましたよ。それをわたしも聞きました。
どちらにしても、これ以外に彼女が死罪に問われず生きる道はありません。
狂人の支離滅裂な行動であったということにすれば救えるのですよ、陛下。
……彼女が本当に狂っていたのかそうでないのか、わたしにもわかりませんが」
虚脱したような女王を痛ましげに見やり、アニエスは黙って一礼した。
そして、『任せるぞ』とばかりに才人の肩をぽんと叩いて退出する。
90 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:15:11 ID:Zu/XwZ2x
その女傑の後姿を見送ってから、才人は最後に取り残されたことに気がついた。
濁った目でどこかを見つめながら、ちびちびとワインをなめている女王を振り向き、さんざん迷ったあげく話しかける。
「あ……あのさ、姫さま、俺の周りの人たちには平民もけっこういるんだけどさ、決して姫さま憎まれてなんかいないって。
どっちかといえば好かれてるんじゃねえかな」
「……ほんとう?」
「本当本当! マジだって! だ、だから元気出してくださいよ」
「それは、きっとその方たちが、わたくしのために誰か大切な人を失わなかったから……だから、こんな女王をまだ許してくれるのです」
アンリエッタは机にぶつかるほどに頭を垂れた。
衝撃が深すぎて、悔恨の涙さえ出てこない。
(わたくしは愚か者、自分のために死んだ者が何人もいると、ちゃんとわかっていたつもりだった……でも、でも……)
震える手でボトルのワインをグラスにそそぐ。
目の前で才人が何か言っている声が、水の中のようにくぐもって聞こえない。
グラスをふと見つめる。グラスになみなみと注がれた赤いワイン。真っ赤で、どろりとして、戦で流れた血のような。
「う――ええぇぇっ!」
突如として吐き気がこみあげ、アンリエッタは口を押さえて突っ伏し、必死に嘔吐をこらえた。
気がつくと、少年に抱え上げられていた。
そのままベッドに横たえられ、寝具をかぶせられる。
「寝ろよ! いいから、もう寝ちまえよ。一晩寝れば、きっとましになるから」
怒ったような才人の声。涙でぼやけた目で、彼の顔を見上げた。
自分を心配してくれていることが、なぜかはっきりわかった。
91 :
白い百合の下で:2007/09/03(月) 02:16:03 ID:Zu/XwZ2x
「眠れません……」
弱々しく首をふる。
「だって目をつぶると、青い瞳が見えるのです……」
罪を責める声も聞こえる。
『トリステインの白い百合の紋章の下で……』と。
ふと、唇を重ねられた。
少年が離れたあと、彼をぼんやりと見上げる。
才人は顔を赤らめて、アンリエッタの手をにぎっていた。
「……それは、ルイズにするような?」
「……あいつ、キスして触れててやればよく眠れるから」
少女はほんのかすかに、嗚咽を漏らした。少年の手を握りかえして、哀願する。
「おねがい、もう一度してくださいまし。言われたように眠りますから……決して夢は見たくない、夢を見ないように、お願いだからここで手もにぎっていて……!」
才人は言われたとおりに唇を重ねた。
アンリエッタが彼の手をにぎりしめたまま眠ったあと、彼は憮然として頭を垂れる。
「あー……俺ルイズいるのにな……なんかヤベエ」
『ホントにな。いいのか?』
「うわデルフ、いきなりしゃべるなよ! ほっとけないんだよ、この人」
秋の夜、静寂が満ちる嵐の後。
白百合の紋の国、白い寝台の上、
赤い罪悪感にまみれて、
白い女王は眠る。
92 :
ボルボX:2007/09/03(月) 02:22:58 ID:Zu/XwZ2x
はい、これで終わりです。さ・・・30レス近くも使ってすみません・・・
いやー、SS書き出すまでアンリエッタそれほど好きではなかったのですが、書いているうちに
SSネタ拾いのために原作のアンリエッタの部分だけ読み返してると、感情移入しちゃって。
ノボル神がぶった切ったアン様フラグを勝手に復活させてみようとw
「そのためには基本的に、才人が本気でアン様を『ほっとけない』と思えばいいんだよな」
と、その部分だけ書くはずが・・・このようなエロなし自慰作品になりました。マジごめん。
いやもうこんなの書けるのは掛け値無しに凄いと思いました。
えろかどうかはともかく次もイイものをよろしくッス
>>92 コレをよんでたら原作にもこのくらいシリアスなシーンがあっても良かったな、つくづくと思いましたよ
やはりこういうシリアスも時には必要ですよね
これは面白い! のめり込んでしまいました。
>92
もーーーー
へんたいさんに続いて神降臨かYO!
こんなじゃ俺の書いてるアン様モノが霞んじまうよ!
(でも泣きながら書くけどな!)
ひたすらにGJ!泣きながらGJだぜアンタ!
で、このあとラブラブえっちがあるんだよね?ね?
>>92 GJ!!です。重たい話は大好きです。
本編にもほんとは、同じくらい重たいの欲しいくらいで
よく勉強しておいでのようです。
「ロマリアの思想家のものですね?」思わずクスリと笑いました。
その後への伏線だとは気づかなかったのは、私自身の失態です。
ラストへうまくつながっています。やられました。
エロはこちらで補完するので www 問題ないですよ
>>92 すげーよ!力作だよ!続きが読みたくなるくらい面白いよ!
おらリアルタイムで読めて感動したよ!
>天国へ行く方法は、地獄への道を避けること
>ロマリアの思想家のものですね?
この思想家のモデルはマキャベリかな?
100 :
588:2007/09/03(月) 05:05:29 ID:AcuL4s98
そうだね、ちょっとだけ他のメンバーの紹介付け加えて一話完結させとこうかな。
これで魔法少女きゅいきゅいタバサ一話終了。
第一話「はじまりはこの出会いからなの。きゅいきゅい」完結。
元々前スレの埋め立て用に適当に考えたパロディネタだった。
もうね、ほぼ全部に元ネタ一応あるから、気づく人は気づくかな。
ハルヒとキョンのやりとりとか
魔○少女リリカルなのはとかはわかりやすいね。
他にもまだあるし、ちょっとした小ネタも眠ってたりする。
まあ、ほぼ全て元ネタがあるので書くのが非常に楽なのが救いだった。
「カトレア、ルイズの様子はどう?」
「大丈夫、でも…すでにかなりの魔力がルイズの身体に流れ込んでる」
カトレアは心配そうな表情を浮かべる。
「一日でも早く全ての魔法使いを消す。
そしてこんなことが起こらない本来の世界に修正するわ」
「気をつけてね」
「それにしても…ゼロの器になっちゃうなんてね…本当に世話のかかる妹よ」
エレオノールは頭を抱える。
「でも、あの子は偶然選ばれただけ」
「わかってるわ。
だから…、だからこうやってわたしが勝者になって
あの子を助けようとしてるんじゃない」
エレオノールは歩きだした。
「今夜も一人でも多くの魔法使いを狩って帰ってくるわね」
「いってらっしゃい」
タバサは小さな竜を連れて家に戻っていた。
最初この竜をサイトにどのように説明しようか悩んだ。
しかし「怪我した猫か、かわいそうだから手当てするか」と言われて驚く。
どうやらこれも魔法の一種で
タバサ以外の人からは普通の猫にうつっているらしい。
竜はシルフィードと名乗った。
それからいまこの街ではひとつの力をめぐって
魔法使いたちが日々戦いを繰り広げていると知る。
シルフィードが言うには、その力を手にした者は
世界を消滅させゼロに戻し、ゼロから新たな世界を生み出すことができるそうだ。
その力は最後まで勝ち残った魔法使い一人に与えられる。
つまり最後の一人になるまでこの戦いは続くのだ。
流石に話が壮大すぎてイマイチ実感が持てないタバサだったが
すでに当事者となってしまったからには頑張るしかない。
「あと魔法使いには大きく分けてふたつのタイプがあるのね」
シルフィードは説明した。
自分と今日公園で戦った魔法使い(名前はフーケというらしい)は
どちらもウィザードに属する。
ウィザードとは特定の力を軸に多くの攻撃パターンを有するタイプ。
タバサは氷の魔法使いで氷を自由に操る。
さきほどのフーケは土を自由に操る魔法使いだ。
そしてもうひとつのタイプがマスターである。
これはひとつの能力に特化したタイプで
これに属する者は大抵相手との能力の相性に戦局を大きく左右される。
型にはまれば強いが、相性の悪い相手だと、トコトンなにもできない。
「前にこっちの魔法を消しちゃう人にあったの。
きっとウィザードタイプの人は、あの人と戦うのは大変。きゅいきゅい」
「つまり苦手な相手を避けて勝てる相手と戦うのが重要なのね」
「そうなのそうなの。きゅい」
「ふぅ」
とりあえずタバサは色々な出来事があったので疲れきっていた。
せっかく買ってもらった本だが読む気になれない。
タバサはベットに飛び込む。
「おいでシルフィード」
「きゅいきゅい」
タバサはシルフィードと深い眠りへと旅立った。
「くそっ、懐に飛び込めねー」
『相棒、相性が悪すぎるぜ。
こっちはウィザード全般には強いが、マスター相手だとからっきしだから』
「わかってるって」
女が放つ鞭を避ける。
「逃げてばかりで勝てるのかしら」
なんて長さの鞭だ。
相手の鞭はまるで意思を持った蛇のようにうねり襲いかかってくる。
しかもその長さが尋常じゃない。
彼女の周りを漂う鞭の長さは100mを超えているのではないだろうか。
「こうなったら一気に突っ込んでけりをつける」
『危ない賭けだぜ相棒』
「承知のうえさ」
サイトが女に向かって加速する。
鞭が一斉にサイトに襲い掛かるが全て寸前でかわす。
「いける!」
『相棒、ヤバイ!』
デルフの声でサイトは女の左手に気づく。
「げっ、もう一本鞭もってたのかよ」
女の手から二つ目の鞭が襲いかかってくる。
「くっそー」
間一髪だった。サイトは距離をとる。
『二匹の蛇は流石に辛いぜ』
「二匹ですって?」
デルフの言葉に女がおかしそうに笑う。
「これをみても二匹って言えるかしら?」
手にしている鞭が左右四つの首にわかれる。
「この私の鞭に勝てると思っているのかしらね」
全部で八つの首が一斉に襲いかかってくる。
「逃げるぞ」
『異議なし』
サイトは一目散に逃げ出した。
女はそれを追うことはせずにただ見送る。
「まったく今夜は収穫はなしだわ」
思わぬ強敵に出会い、今日の成果がゼロだったエレオノールはため息をついた。
ジュリオは三人の男たちに取り囲まれていた。
「さて、観念するんだな」
「そちらこそ観念したほうがいいよ、ぼくは君たちよりも強い」
ジュリオは余裕の表情で三人の姿をみわたす。
「はっ、お前の魔法がどんなものか知らねーが、三人相手に余裕じゃねーか」
「弱い者たちが徒党を組んでも、弱いことに変わりはないよ」
「て、テメー!」
ひとりが炎のつぶてをジュリオに向かって放つ。
だが、そのつぶてはジュリオの影から出現した塊によって阻まれる。
「さて、敗北する君たちにせめてボクの能力を教えてあげるよ」
ジュリオの影から黒い塊が無数に這い出してくる。
「ボクの魔法はとても単純さ」
それらが一斉に襲い掛かった。
「ぼくに懐いている動物の影を実体化させて戦わせる。ただそれだけさ」
三人の悲鳴が辺りにとどろく。
「ほんと、たった三人じゃ、ぼくの兵隊には勝てないよ」
仕事を終えた影たちはジュリオの影へと戻っていった。
「まったく散々だったよ」
「機嫌が悪いなフーケ」
「まーね」
フーケはワルドに今日のことを話す。
「まあ、無理に戦う必要はない。
最終的に残った魔法使いひとりを我々ふたりで倒せばいいのだから」
「わかってる。それまでは無茶はしない。
勝てる相手とだけ戦う。だったわよね」
「そうだ、最終的に我々のどちらかが力を手に入れれば、それで勝利なのだからな」
「ええ、そうね」
終了。
いやー、二話どうしようか。
まさに勢いのみで書いた作品だからねぇ。
このスレの埋め立て用に二話かいてみるのもいいかも。
とりあえずキュルケとコルベールを共闘にするか
別行動にさせるかが決まらずに一話では戦闘シーンをだせなかった。
ここ一番悩んだ。どっちのネタでいくべきか。
何この最近の活気www
メインカップルのSSは少ないけどな
107 :
ボルボX:2007/09/03(月) 12:39:13 ID:Zu/XwZ2x
>>104 GJです。
>>93-
>>98 ありがとうございます。
>>97,99
いかにもマキャベリですが、本家とは言い回しを少し変えてあります。
宰相の使い方も微妙に違うし。でもわかる人にはわかるものですねえ。
108 :
ボルボX:2007/09/03(月) 12:47:48 ID:Zu/XwZ2x
次はラブエロかコミカルでいきます。
やっぱまたアン様書くんだろうなw だって使いやすいしw
誰かシエスタものを書いてはくれまいか。
絶望した!メインヒロインの名前すら挙げないおまいらに絶望した!
というわけで水浴びルイズ編。
たぶんみんな忘れてると思うけど、投下いくよ?
ルイズは回っていた。
それはもう、景気よくくるくるくるくると。
数秒回って、気持ち悪くなって止まった。
そして、こんな事してる場合じゃないわ、と計画を練る。
そりゃもう、念入りに練りに練る。
練りに練った計画のシミュレーションも忘れない。
しかしシミュレーションと夢の見分けがつかなくなり、次の日の朝日が昇るなどとは当人も予想だにしていなかった。
「あーーーーーーっ!」
しかし時既に遅く。
容赦なく次の日の朝日は昇り。
ルイズは部屋で太陽に吼えていた。
時は一日ほど遡る。
授業が終わって部屋に戻ったルイズを、才人は出迎えた。
「あら珍しいわね。今日は騎士団の演習ないの?」
「さすがにこの暑さじゃな。みんな寮に篭ってるよ」
たしかにここ連日の暑さは異常で、外に出て運動しようなどと考えるのは、よほどの運動好きだけだろう。
実を言うと、ルイズだってメチャクチャ暑い。
ルイズは虚無の魔法は使えても、相変わらず普通の系統はてんでダメだ。
だから、彼女には涼をとるための『氷雪』系の魔法は全く使えない。
しかも、彼女はいつだってメイジの証たる黒いマントを脱がない。
これでは暑さもうなぎのぼりだ。
だから最近、ルイズは才人の前で服を脱がない。
もし汗臭いとか言われたら。
ルイズのガラスのプライドは粉々だ。
しかし。
それはつまり、才人とここしばらくご無沙汰というわけで。
ど、どうしようかしら、今からお風呂行って汗流して、それから…。
なんて才人の暇に合わせて夜のスケジュールを組み始めたルイズに、不意に才人が話しかけた。
「な、ルイズ。
俺さ、水浴びにいい場所知ってんだけど、一緒にどう?」
ルイズは一瞬我が耳を疑った。
「え?」
間抜けにそう聞き返してくる主人に、才人はもう一度言う。
「一緒に水浴びいかねえか、って言ってんの」
「え、何それ。本気で言ってんの?」
信じられないような顔をしてルイズはもう一度尋ねた。
そんな風に言われると、才人は不機嫌になってしまうわけで。
「んだよ、行きたくないならいいよ、一人で行くから」
「ちょ、待ちなさいよ、誰が行かないなんて言ったのよっ…!」
言って真っ赤になって才人の胸倉を掴む。
「ほ、ほら、いつ行くか言いなさい、準備するからっ!」
物凄い勢いで組み付いてくるルイズに引きながら、才人は応える。
「じゃ、じゃあ明日にでも」
明日。明日。
やばいまずい時間ないじゃない!
ルイズはそのままずりずりと才人を部屋の外まで押し出し。
「分かったわ!明日の朝学院の正門で待ってなさい!いいわねっ!」
言って、ばたん!と部屋のドアを閉じてしまう。
「えっと…今夜俺はどこで寝れば…」
その返事に応えてくれるはずの扉の向こうの住人は、いくらノックしても応えてくれなかった。
「しゃーねえ、シエスタんとこ行って、使用人の宿舎にでも泊めて貰うかぁ」
才人はぼりぼりと髪を掻きながら、厨房に向かったのだった。
こ、これはチャンス…!
ルイズは部屋の中で燃えていた。
私の魅力と色気で、サイトを徹底的に悩殺するチャンス…!
そう、釘付けにしてやるのよ!
出来うる限り魅力的な水着で!そしてこの私の色香で!
そしてルイズは、自分の所有する水着ではその役割を果たさない事に気付き、新しい水着を買う決心をする。
新しい、魅力的な水着を着た自分と、才人のラブシーンを妄想して、夜が明けてしまうとも知らずに。
そして話は冒頭へと回帰する。
そして「つづく」なのです。
んじゃ明日も仕事で早いんでこのへんで。ノシ
>>113 うわああぁぁぁGJ!!
気になって今夜は眠れないorz
せんたいさんGJ!!!!
初めてリアルタイムで見れて嬉しかったです。
太陽に向かって「あーーーー」とかいう
ルイズ萌え
>>113 専ブラのID表示が青だったから
(↑いっぱいうpすると赤になる)
おかしいな〜と思ってたんだわさっ。まさしても焦らしプレイ www
お待ちしております(^^/
才人に誘われて聞き返しちゃうルイズ萌え
せんたいさんよ・・・・・
あなたはSか?
すげぇじらしw
>>113 わーい、ルイズ編待ってたよー
続きwktk
ルイズテファタバサで「チュッ!夏パ〜ティ」あたりを歌ってもらいたい。
12巻のお風呂ピンナップを見て
ルイズテファタバサは信号機トリオという印象を持った
此処の住人なら勿論
感じるCDは買ったよな?
キュルケのが赤とだけ
売り切れてたよ
近くに売ってねえんだよボケ 明日買ってくるよボケ
一時期話題になった味噌汁の話って保管庫にないの?
CDネタに誰かSSを書くんでしょうかねぇ。
あ、前スレで貰ったアニエスネタ、予想以上に難しいって言い訳させて貰ってもよろしいですかねorz
アニエスを書くのがここまで難しいとは。
今度はモンモンの作った、「素直になる薬」なるものを飲んでしまったルイズ。
サイトを一日デートに連れまわしたりと普段は見られないような甘えっぷり。そして
水の精霊のいる湖で告白までしてしまう。
しかし次の日、モンモンがあの薬はただの頭痛薬だったはず、とバラされてしまって
八つ当たりでサイトをボコるルイズで締め。
129 :
ボルボX:2007/09/05(水) 01:20:30 ID:xIyUkfrg
コミカル系でSS書いてきましたー。題名こそアン様ですが、
ルイズやシエスタと大して変わらない扱いです、今回。ではUPしますね。↓
「王宮の晩餐会? 呼ばれた?」
こちらに背を向けてクローゼットで服を選んでいるルイズの背後で、才人は首をかしげた。
「姫さまって、あまりそういう贅沢しないんじゃなかったか?」
「全くそういうことしないわけじゃないでしょ。それに、今回はちょっと事情があるみたいよ。
わたしの知り合いも呼べって言ってるし、とりあえずモンモランシーとか声かけるわ。
水精霊騎士団にはあんたから伝えといて。そうそうメイド。あんた来る?」
「え、わたし!? あの、わたしなんかが行っていいんですか?」
「言っとくけど同席はさすがに無理だかんね。給仕とか手伝いなさいよ。本当はそれも駄目だけど、今回は内輪の集まりらしいから」
「あ、はい、嬉しいです! そういうパーティーだと召使にも、貴族の方々の食べ残しとかでいっぱい料理がもらえるんです」
現代日本人の感覚からすると、なかなか切ない発言だが、シエスタは本気で喜んでいる。
きっとそれがこっちの普通なんだろーなーと思いつつ、才人はおそるおそる訊いてみた。
「あの……俺は?」
ぴたりとルイズの動きが止まった。ややあって後姿が、なんだかぎしぎしと動き出す。
「置いていきたいところだけど、呼ばれてるわよ。
『あ、サイト殿も』って、いかにもついでですって感じで姫さまが仰ったわよ。でもなんでそこで頬を赤くするのかしらって思ったわ」
「あ、ああ……そうか」
「犬」
「はい」
「なにかフラチな問題を起こしたら、誓ってあんたを料理するわ。皿に盛って、地獄めがけて円盤投げするからね」
平坦な声なのが怖い。才人はカタカタ震えながら、一も二もなくうなずいた。
「ロマリアから海沿いの地の領主が、トリステインに旅行に来たのですわ。
自らの領地で取れた産物を、わざわざ運んできてわたくしに送ってくれたのですが……ちょっと生ものが多くて。
氷雪系魔法で凍らせてあるのですが、やはり早く片づけてしまわないと。
ごく内輪で食事会にしようかと思いまして」
アンリエッタの説明を聞いた後、晩餐の時間まで王宮で待機。
マリコルヌがわかりやすく満面の笑みである。程度の差はあれ多くの人間が、南国の領主が持ってきたという食材を楽しみにしているらしかった。
さっそく、晩餐会に出るであろう食事について、水精霊騎士隊も輪になってしゃべりはじめた。
「贅沢な餌で育った豚のリブの塩漬けを、ハーブといっしょに水から煮こみ、蜂蜜と赤ワインで味付けしたもの!」
「ロマリア産の肥育鶏を丸ごと、オリーブ油を表面に塗って岩塩をすりこみ、タマネギをつめてオーブンでじっくり焼くに違いない。定番だが素晴らしい味だよ」
「ロマリアのチーズはこちらとはまた一味違うというぞ。きっと幾種類も出るだろう。ワインもやっぱりそれに合わせて、種類を変えて出されるにちがいない」
「いやいや、領地でとれたならやはり野生の獣だろう。猪、野牛、鹿、ツグミやウズラや白鳥など……」
「王宮の厨房には三十年ものの秘伝のソースがあるというぞ。
使ったら、減った分をそのたびにちょっぴりずつ補充して熟成させるんだけど、毎日火を通して、腐らないようにしているんだとか」
男だけでなく、女性陣も楽しみにしているらしく、あっちはあっちできゃいきゃい騒いでいる。
このすべての熱から、才人は精神的に一番遠ざかったところにいた。
これまでの滞在で、こっちの上流階級の料理も多少は食べたことがある。
肉や乳製品が基本で、こってりしたソースがかけられることが多い。
(たまに食うならいいけど、毎日食ってたら食傷するんだよなあ……こっち魚は種類少なくて、タラ、カレイ、サケやマスばかりだし。何かってーとすぐ塩漬けかバター焼きにするし。
いやいや、贅沢を言ってはいけないよな。
……あー、でも日本はほんと魚に恵まれた環境だったよな……もっと食っとけばよかった……)
要するに、才人はそろそろ日本食が懐かしくなっていた。
そんな彼の耳に、ふと会話が飛びこんだ。アンリエッタがルイズに話しているのである。
「ええ、南海の変わった魚もありますわ。人間が横に手をひろげたよりずっと大きいのよ」
「まあ、料理される前にちょっと見てみたいですわ、姫さま……ってサイト、いきなり何よ!」
「姫さま! その魚俺にも見せて!」
「え、ええ……今頃は厨房で解凍していると思うのだけれど」
稲妻のようにすっとんでいって少ししてから、才人は駆け戻ってきてアンリエッタの肩をがっしとつかみ、目をぱちくりさせている女王に血走った目で懇願した。
「頼みます姫さま! あの魚の一部をください!」
「え? え?」
「ちょっとサイト! あんた女王陛下になんてことしてんのよ!」
ルイズに叱責され、はっと周囲の目に気づいて我にかえるも、才人の興奮はおさまらない。手を放しはしたが、土下座しそうな勢いでなおも食い下がる。
「お願い! これを逃したらきっと一生後悔するんです!」
「あ、あの……でも晩餐会で出ると思うのですが……慌てなくても」
「そこを何とか! 両手のひらに載るくらいの魚肉でいいんです!」
「は、はい……」
夜。
女王主催、「宮廷料理人謹製、ところどころ南国風」の晩餐会はつつがなく進行した。
南国で取れた香りのよい茸のスープ。レモンやオリーブやさまざまなベリーをふんだんに使ったタルト。
マッシュルームと角切りベーコンを白ワインで蒸し焼きにし、濃厚なクリームソースであえたもの。
十日間吊るしていたという鴨はローストする。南国の上質な赤ワインに半日漬けてから。
ムール貝やハマグリは、オリーブ油と白ワインで煮溶かしたトマトのシチューの具。そこには小麦粉を練って丸めたパスタの一種と、乾燥したオレガノとバジルの粉も入れる。
ローズマリーやタイムで臭みを和らげた南国産の猪の焼き肉には、砕いたナッツと塩をふりかけて。
子羊の肉は胡椒をふって串にさし、炭火で表面をじっくりとあぶったもの。黒のとろりとしたソースにつけて。
燻製ハムは薄切りにして野菜やハーブの上にのせられてある。オレンジやオリーブも丸ごと盛られている。リンゴは中をくりぬいてバターを入れ、オーブンで焼いてあるらしい。
厚い子牛の腰肉は、勝手に切って食えとばかりにでんと大皿に盛られてナイフが添えられてある。
車輪型の大きなチーズも、テーブル上にざっくばらんに数種類(一つは凄まじい臭いを放っているため、ふたをかぶせられて好事家用にとって置かれた)。
魚もちゃんと出た。
パン粉をつけて揚げたスズキのフライに、塩味をつけたアーモンドミルクを回しかけたもの。
北の海でとれたヒラメを、オリーブ油でソテーし、南国産バジルでソースを作ってかけたもの。
そしてもちろん、「あの魚」。ステーキのように分厚い切り身が焼かれて出てきた。
才人は決して、これらの料理を食べたくないわけではない。むしろ、いざ食事が始まればしっかり人一倍はつめこんでいただろう。
しかし、今日ばかりはそわそわして、どうにも普段ほど食がすすまなかった。酒もひかえてある。
そんな落ち着かない才人を、隣のギーシュがせっついた。
「なんだね君! 食べないのかあ! じゃ、そこのカタツムリをくれ」
「嫌だ。ギーシュお前、そろそろ飲みすぎじゃないか? テンション高いぞ」
「君はいったいなにを言っているんだね? 見ろよこの幾種類ものワイン!
この赤なんか、父上の秘蔵の酒蔵にも置いてある逸品だ。さすがにあれは飲んだら後がこわいので手を出せなかったが、ここで見つけたからには飲まないという手はない。
なんと芳醇な大地の香り、鮮烈で力強い太陽の味! 南の酒は不思議と飲めば陽気になるね!」
「お前が陰気な酒を飲むのを見たことがねえぞ。それは後から飲むからとっといて。
……俺ちょっと出てくるから」
才人が出て行くのを視界の端に見たルイズは、どうにも気になって仕方なくなった。
あいつは何をしに行ったんだろう。順当に考えればトイレにでも立ったのだろうが、どうも出て行く間際のあの顔はそんな感じじゃなかった。
なんだか落ち着かない、けれど楽しみで仕方がないというような顔だった。
逢い引き、という言葉が浮かび上がってきたが、いやいやそんなこともあるまいと思い返す。
(だって姫さまならここにいるし……って、あれ? そういえば……)
「あーっ!!」
絶叫して、ルイズは椅子をけたてて立ち上がった。
隣のモンモランシーが蜂蜜酒を吹き、上座にいるアンリエッタがワインにむせこんだ。
向かいの席のキュルケが「ちょっと、落ち着きないわよ」とたしなめてくるが、それどころではない。
(メイド! メイドを忘れてた!)
まだむせこんでいるアンリエッタに、「すみません、ちょっと犬料理を」とかなんとか言って席を離れる。
才人の後を追って走り出す。
ほどなくして、足取りも軽くせかせかと歩く少年の後ろ姿が目に入った。
なにをそんなにウキウキしてんのよ、と毒づいて、そっと見つからないように後をつける。
やがて、彼は立ち止まった。
厨房の前である。
ルイズの覚えている限り、召使は晩餐のあいだ厨房にひかえているし、そこで下げられた料理をつまんだりしているはずだ。
つまりシエスタもここにいる。
よし死刑。
しかし、事態はルイズの想像を超えた。
才人は、剣をすらりと抜いて中に入っていったのである。
「な、何してんのよあいつ……」
足音を立てないように、抜き足差し足で厨房の入り口に近寄る。
そろそろと首を伸ばして入り口から中をうかがおうとしたとき、ちょんちょんと背中をつつかれ、ルイズは飛び上がりそうになった。
悲鳴をこらえて振り向くと、けげんそうな顔をしたシエスタがいた。
「なにしてるんですか? ミス・ヴァリエール」
「あ、あんたね、もうちょっと人にわかりやすく近寄って……まあいいわ。
あんた、あの犬と待ち合わせしてるんじゃなかったの?」
「え? サイトさんですか? ちがいますよ。わたしたち召使は、あっちの第一厨房にいるんです。
こっちは第二厨房、今日は南国の食材が運びこまれて、食材置き場になってますね。
……サイトさんそこにいるんですね?」
「そうなんだけどね、なんだか様子が変なのよ」
そこまで小声で話したとき、厨房の中からぎゃー! と悲鳴が聞こえた。
「ほ、ほんとにあいつ何してんの!?」
「あ、わたしも見ます、ミス・ヴァリエール!」
才人は至福の瞬間を迎えようとしていた。
手にした冷たい赤いカタマリに、かぶりつく前にほくほくと見入る。
しかしそこで、重要なことに気がつき、一気に青ざめた。
「忘れてた、畜生! 醤油がねえ!」
この重要な瞬間に、それはわりと致命的だった。が、無いものは無い。
ポジティブ思考で、何か代わりになりそうなものを探す。
このボウルの中の、デミグラスだっけ? これでいーやと思いさだめ、手の中の肉塊にそのソースをちょっとかけてかぶりつき……そして、入り口に立っている二人組と目が合った。
「へ? ルイズ、それにシエスタ? お前らなにしてんの?」
「……なにしてんのか、ってね。こっちが聞きたいんだけど……あの……その、魚……」
ルイズの指し示したほうを振り向き、ああこれ? と才人は苦笑する。
「まあ、でかい魚の解体しかけってインパクト強いよな。俺が食ってるのは、姫さまにもらった部分だから。大トロって言うんだぜ、これ」
背は非常に濃い青色で、腹は銀白色。高度な遊泳生活に適応して、丸々と太った紡錘形の体型。
クロマグロ。別名ホンマグロと呼ばれる巨大な魚だった。
その魚の横にはデルフリンガーが置かれ、『サカナ! サカナ斬りやがった! 俺でッ!』と震えている。人間なら泡でも吹いている状態なのだろう。
先ほどの悲鳴は無論この剣である。
「あーいやデルフ悪い、だって包丁よりお前持ったときのほうが力出るし」
『ガンダールヴの力を、サカナ斬るために発揮してんじゃねえ! 魚臭い! 誰か洗って! 今すぐ洗って!』
剣の絶叫を聞き流し、才人はぱくっと手ににぎりしめた大トロにかぶりついた。
「んむ……おお、なんという柔らかさ……すげえ、口の中で溶けるって本当だったんだな! というか手の中ですでにふるふるいってやがる!」
感極まって叫ぶ。大トロの塊にかぶりつけるなんて……ああ幸せ、と才人は感涙した。日本でもこんなことはたぶん出来まい。
そこで、唐突に我にかえった。目の前で、二人の少女が手を取りあって震えている。
自分の状況を整理してみた。
夜中、厨房で、生の魚から腹のあたりの身をえぐりとってかぶりついている。
「サ……サイト……アンタ何ヤッテルノ……」
「ソソソソレ、生デスヨネ?」
「……いや……あの……待って? 生魚って美味しいよ?」
才人は前に手をのばす。
すすすすす、という感じで、手をとりあったままルイズとシエスタが才人から距離をとる。その目は完全に、恐怖をたたえていた。
「あのね、サイト……生魚はさすがにないわ……」
「だって生魚ですよ、生の魚……」
「マッテヨ! 美味しいんだよ本当に! くそう、現代だと世界に認められてるのに!
いやこれは刺身ですらねえけどさ!」
シエスタがはっ、という感じで目を見開いた。
「そういえば、うちのひいおじいちゃんも、時々川でとった魚を生で食べる奇癖があったって聞きました」
それを聞いて、ルイズがなにやら想像したのか顔をしかめた。
「ルイズ! 違う! 『妖怪ガンギ小僧』みたいなのが頭から魚をかじっている光景を思い浮かべんな! 切るから、普通は綺麗に切るから!」
ルイズを連れ、ぐったり疲れて食卓に才人がもどると、となりのギーシュが酒で赤い顔をしかめた。
「……ん? 魚臭くないか?」
「気にするな……しかしなあ、こうして考えるといろいろ食べたいものが出てきたなあ。
梅干とかすげー懐かしくなってきた」
味噌汁。納豆。漬け物各種。海苔巻き。寿司。というか白米。
ほこほこと湯気の立つ、炊き立てのご飯を思い出したとき、我知らず心底からの声が出ていた。
「米食いてぇなぁ……」
間が悪いというべきか、食卓での周囲の会話の多くがいったん途切れていたときだったので、そのしみじみした声はテーブルの上をすべって響いていった。
しんと座が静まりかえる。
才人は慌てた。
「あれ? いや、すみません、聞き流してください。ちょっと故郷の食べ物で」
と、上座のアンリエッタが「あのう……」と発言する。
「お米なら、南国の方から送られた食材の中にありましたけど」
「マジデスカ!?」
才人の声がひっくり返る。アンリエッタはなるほどとうなずいた。
「そうね、お米ってハルケギニアの南のほうの一部でしか作らないですから、北のトリステインではちょっと見つけるのも困難ですわね。
サイト殿、お米が食べたいのですか?」
「YES! 断じてYES!」
アンリエッタはにっこり微笑んだ。
「それなら、もうすぐ出てきますよ」
才人はとりあえず、始祖だか神だかに感謝した。食前の祈りよりよっぽど敬虔な感情である。南国の領主とやらにもGJと親指を立てておく。
もちろん才人とて、必ずしもジャポニカ米に似たものが出てくるとは思っていない。
だが、今は米でありさえすれば何でもいいという気分である。
念のために、隣のギーシュに聞いてみる。
「なあギーシュ、お前米って食ったことある?」
「ん? ああ、あるぞ。何度か、こうした晩餐会で食べた」
「どんな感じ?」
「どうって……ムール貝、鶏肉、タマネギなどの具を入れてパラパラって感じで炒めてあったり、鍋に入れてたっぷりのスープでふやけるまで煮込んであったりな」
なるほど、と才人はうなずいた。欲を言えば一番食べたいのは何をおいても白米だが、どうやらただ炊いただけというのは無いらしい。
まあ、それでもいい。チャーハンみたいなのだろうが雑炊みたいなのだろうが、とにかく米が食えるのだ。
だが、晩餐会のメニューの皿は進んでいくが、じりじりとその時を待つ才人をあざ笑うように、米料理はなかなか出てこない。
いい加減にしびれが切れたころ、アンリエッタが才人をちらりと見て、給仕している召使に声をかけた。
「そろそろデザートを持ってきてくださいまし」
才人に微笑む。
「待ちくたびれている人もいるようですから」
女王陛下の好意をたまわるという、ギーシュあたりだったら感激で座ったまま失神しそうなシチュエーションだったが、才人は猛烈に嫌な予感がした。
……デザート?
「お米のプディングでございます」
「ぷ……ぷでぃんぐ……?」
才人は目の前に置かれたものを一目見て、言葉を失った。
およそ、少なくない日本人にとって悪夢の結晶といえるだろう料理が目の前にあった。
横ではギーシュがばくばくとそれをスプーンで口に運んでいる。
「そうそう、プディングにするという料理法もあったな。うん、いい卵と生クリームを使っている。砂糖もたっぷりだ」
あまりのことに茫然自失しながらも、恐る恐る才人は震える手でスプーンを持ち、口に運んだ。
アンリエッタが嬉しそうに手をあわせて、訊いてきた。
「サイト殿、いかがでしょうか?」
「……………………スゴク…………甘イデス……」
「なんだサイト、きみ泣いてるのかね? 陛下の温情にほだされたかね、それとも故郷を思い出したのかね?」
141 :
ボルボ:2007/09/05(水) 01:30:33 ID:xIyUkfrg
はい、以上です。アンリエッタはどこかずれちゃう人、ってコンセプトで作り始めたはずが、
こんな変な話になりました。
次こそエロ回帰予定。おやすみなさい。
>>141 リアルタイムGJ
もう少しでF5キーが壊れる所だったぜww
>>141 GJです
あぁーこんな時間にお腹がすいてきてしまった・・・
犬料理wwwwww
たしかに一年も経てば日本食が恋しくなるかもなー。盲点であった。まる。
>141GJだぜ!
ところで
「味噌汁飲みてえ…」と呟いてしまったサイトの声を聞き逃さなかったシエスタが
郷里タルブに伝わる曽祖父直伝の「ミソソース」で作ったスープをサイトに食べさせてメロメロにする続編はまだですか?
確かに…日本食は恋しかろうな…
ワインは在るからブドウは取れるんだよな〜
パンはあるし麦・イーストもありそう
食用にする手法が無ければ梅は取れないか…?
大豆など豆類は在るだろうけど、味噌・醤油は難しいよな…
梅干自体は塩と梅が在れば比較的簡単に作れるはずだが、食用の梅ってのは改良種のハズだから
原種だと身が薄くって梅干にし難い
…米が在るなら糠漬けとか作れんかな?
>>141おもしろい設定だな。GJ!!
てかギニアに日本食はあるのでしょうか?
もしあるなら日本の伝統女体盛りをぜひテファかシャルでやってやってください。
あぁ…エロに回帰したいのか…
祖父ちゃんの日記から「女体盛り」って単語を見付けて実践するシエスタとか?
「醤油が実家に在るんです」とか呼び出してさ
…そう言えば、「寄せ鍋」作ってるんだよな?>シエスタ
って事は代用調味料在るって事か…?
良く見たらダブっちまった
何とか米麹を作れないか調べてたんだが、天然酵母利用で作れる可能性も在るな
ドライフルーツ在れば代用調味料は何とか出来るかも…
問題は、作るのに時間が掛かり過ぎる事かw
やっぱシエスタ爺さんの頑張りしだいだな〜
>>141氏
その発想、Yesだね!
てか、最近の連続投下に対応し過ぎて、タマ切れ気味なんだよ。
職人諸氏。またこういう系統ネタ投下ぷりーず。
低湿地があれば「ワイルドライス」っていう米によく似た水草があるんだけどね〜
シエスタのひい爺さんもロビンソン・クルーソーみたいに自力で色々作ってそうだ
才人とシエスタが発見した大豆(に、似た物)とマルトー親父の食材への愛で
醤油、味噌、納豆を作り上げるっていう書きかけSSにもう一度手をつけたくなった
学院の皆からはゲテモノ扱いされたそれらにルイズは少しづつ心許していき
やがて日本食に目覚めたルイズはサイトの三歩後ろを歩き、帰宅を三つ指ついて迎えるようになる
「やっぱり朝は味噌汁と納豆と生卵よね〜、米の飯食わなきゃ虚無ブっ放す力はいんないわよ!」
晩餐会を読んだせいで猛烈に腹が減った。
食い物を旨そうに描写できるのは神な文章力持ちでえろくていい奴と相場が決まっている。
朝飯に生魚貪り食ってくる
大豆はあると思うからその気になれば味噌や醤油も作れるんじゃね?
サイトが正確な作り方知ってるとは思えないけど。
サイト「小麦はあるんだ・・・・・米が食いたいならチネる!」
知識はTVからのみ
困った時の佐々木武雄少尉だな。
やっぱサイトと同じく日本食が恋しくなり、密かに日本語のレシピを作ってた。
もとは農家の生まれで、味噌や醤油、日本食の作り方が分かっていた。
それをハルケギニアに合うよう、食材の代用や醸造法を苦労を重ねて書き留めた。
これぐらいしか、俺の軽い頭では思いつかねえや。w
佐々木少尉はこの土地の言語はどうしていたんだろう…
そういえばあの人は召還されてきたわけじゃなかったんだな
まあジョン万次郎みたいに頑張ったんだと考えればいいんじゃね?
原作の方だと言葉は通じてたらしいがな。
アニメ版は頑張ったんじゃね?
感じるCDやばいわー
寄せ鍋がタルブの村人に受け入れられ、シエスタに継承された裏で
村の面々の口には馴染まず、闇に葬り去られた料理もあったんだろうね
海軍伝統のあの料理とか
シエスタが曽祖父なら習った肉じゃがの持つ行軍食や貧民救済食としての可能性に
着目したアンリエッタが、入手困難な東方のサケやショウユの替わりに
小麦粉とバターのルーと赤ワインを使うことを提案し
それは後に軍隊や家庭の定番料理になったとか
「これを『ビーフシチュー』と名づけます!」
ちねるw
シエ父「それではこれより!第60回、タルブ村名物チネり大会を開催します!」
パチパチパチパチ…
シエ父「ルールは簡単、小麦粉を練ってその塊を小さくチネるだけ!優勝者には我が父の残した伝説のソース『ショーユ』が与えられます!」
ゴメンつい勢いで…
小麦粉をチネって茹でれば、白米もどきが出来る
これはサイトが知っててもいいはず
後はカレーか
サイトは有野並みのチネラーと言うわけですか
そろそろ自重します
日本人がアフリカあたりから帰国すると、醤油を舐めたくなるらしいな。
まあゼロ世界に生魚食う習慣はさすがに無いか。
納豆は稲藁があればどうにかできそうだ。
サイトがきたところがドイツみたいな食生活じゃなくてよかったよ
あいつらつぼの中で発酵させたパン食うんだぜ?
それを言うなら本場のチーズなんか食いもんってレベルじゃねーぞ。
マジ臭すぎて近づくのもヤダ
シルフィのチーズ臭いヴァギナ
にぎりめしとみそ汁と塩鮭に梅干し、納豆とかさ……恋しかろうなぁ。
サイト、こんな長期間日本食なしで生きてるおまえに敬礼するぜ。
俺はみそ汁と米がなかったら生きていけない体質なんで……
俺はタバサさえいればどんな世界でも生きていける。
欲を言えばそこにルイズとテファとシエスタがいれば尚良し。
生きてはいけるが鬱になる自信はある
質さえ気にしなければ、大豆や米といった材料はあるんじゃないか。
問題は普通の高校生の知識で加工食品作れるかどうかだ。
「ここってさ、ハルケギニアだよな」
あの胸みたいな何かとそれを取り巻く周囲のゴタゴタが片付き、ここしばらくご無沙汰な「部屋で二人っきり」の状況にご満悦なルイズだったが、
椅子に腰掛けた才人は何やら思案顔。
ようやく顔をあげて何を言い出すかと思えば、これである。
「ボケるには早いわよ、犬」
「いや俺さ、ハルケギニアってどっかで聞いたことあると思ってたんだよ」
何を言ってるのかしらこのバカ犬は……
「だからそれは、」
「俺の世界でさ」
「は?」
「でもどっか微妙に違うなってずっと思ってたんだ。そーだそーだ、『ハルキゲニア』だ!」
椅子から立ち上がり何やら納得した様子で犬が叫んでるが、まったく理解不能。
かろうじてわかるのは、
「えと……サイトの世界で、『ハルケギニア』って言葉があるってこと?」
「『ハルキゲニア』、だけどな」
「本当!?」
なんとなく、彼の世界にその単語があるのが嬉しかった。
「何ていう意味?」
「意味ってゆーか、名前なんだ、生物の」
「へぇ、大層な生物もいたもんね……」
少しばかりの違いはあれど、自分達の世界の名を冠する生物だ。おそらくは神獣に位置するような存在なのだろう。
「どんな生物なの?」
「あー、口で説明するのは実に難しいな。ちょっと待ってろ、絵を描く」
口で説明するのが難しいとはどういうことだろうか。1分も経たない内に才人が
「出来た! これが『ハルキゲニア』だっ!!」
「随分早いわね……って、は? え? 何コレ?」
「いやぁ俺、勉強はからっきしだったんだけどさ、生物だけは割りと好きだったんだ。で、教科書とか資料集とか眺めてたら大古の生物って欄にこいつがいてさ、やけにインスピレーションが(ry」
ドラゴンやら何やら、とにかく見ただけで神性を感じるような生物を期待してたルイズは、もう全力で脳が停止していた。犬が熱のこもった目で何か言ってるが、まったく頭に入らない。
そもそも、生物? ハァ? みたいな。なんかトゲトゲしてウネウネしてるそれは、サイトの世界にいるらしい。OK、ここまでは理解した。
「……あんたってさ……前にドラゴンとかサラマンダーなんか見たことないって言ってたわよね……」
「ああ、そもそもそんなヤツらは俺の世界じゃおとぎ話の中でしか出てこないっての」
私的にはそんな気色悪い生物、おとぎ話の中でだって見たことないっての……。
「サイトの世界じゃそんなのがいっぱいいるの……?」
「いや、さすがに俺がいた時代にはこんなファンタスティックでファナティックな生き物はいないよ」
「どういうこと?」
「今言ったろ、それは俺が生きてた時代……いや、死んでねぇよ俺。ああつまりだ、俺の世界の遥か昔の時代、まだ人間なんかがいなかった時代に住んでた生き物なんだ」
またルイズの脳が停まる。なんかさっきよりも酷い。
「……人間がいなかった時代? サイトの世界にはそんな時代があるの?」
今度は才人が固まる番である。
「……つかぬことをお聞きしますがルイズさん……人間はどうやって生まれたのでしょう……?」
ルイズは数秒聞かれた事の意味を頭の中で咀嚼し(ここら辺でよく分からないフィルターがかかった)、段々首元から赤くなって、てっぺんで爆発した。
「なななななななななっ、何て事言わそうとするのよ!! このバカ犬!!」
「おちちゅ、落ち着けルイズ!! 多分物凄く勘違いしてる!! 人間って生き物はどうやって生まれたかってことだよ!!」
「そんなの神様が創ったからに決まってんじゃない!!」
まぁ、ある程度は予想してましたけどね。あんまりはっきり言うもんだからこっちではそうなのかな? とか思っちゃったじゃんか。
「それは――」
違う、と言いかけたところで才人は急ブレーキ。
知らぬが仏と言うよりは言わぬが花と言ったところか。いつの時代も異端は弾かれる。それは世界が違っても同じ。
地球史に刻まれた偉人達に感謝しつつ、才人は新たに名言を残す。
「確かに地球は回っている。しかし、沈黙は金なり」
脳内で「時代を追い越した天才・平賀才人」劇場を展開して「やべ、俺また一つ賢くなっちゃった!!」とか考えてた才人だが、
「サイトの世界の人間は違うの?」
「え?」
「さっき言ってたじゃない。人間がいなかった時代って。でもそれっておかしいわよね。時代とか歴史っていうのは人間が作るものでしょ?」
「それは……そうだけどさ」
「人間がいなかった時のことを人間が語れるはずないわ」
あれ? もしかして俺がおかしいのか?
「よって、このトゲトゲしてウネウネした何かも存在しないのよ」
「回り回ってそれが言いたかったのかよ……」
「だって気に入らないじゃない! 何でこんな変なのが『ハルケギニア』なわけ!?」
「ハルキゲニアな」
「どっちでもいいわよそんなの!!」
「んでも、ルイズはあんまりこーゆー話には興味ないみたいだな。生き物とか」
なんとなく、それは面白くない。
「魔法に関係なくなると正直あんまりね」
意味もなく、ちょっと対抗意識なんか持たせてみたくて、言ってしまった。
「タバサなんか俺の世界のさっきよりもっと突っ込んだ生物学の話したら、かなり興味持ってくれたんだけどな」
「あの子は、ちょっと変わってるから」
「この前なんか一晩中離してくれなくてさ、ベッドの上で語りっぱなしだったよ」
「――――へぇ」
底冷えが、した。
「この前、……と言うのはいつのことかしら?」
「え、えと……」
「それがもし、前回の虚無の日の外泊理由なのだとしたら、騎士団で酒盛をやった、と言ったはずよね……?」
人間を創ったのが神ならば、この怒れるご主人様を鎮める術を神は知っているのだろうか
「やっ、やましいことは何もっ!! ハッ!!」
口を抑えた時には、既に彼女は鞭を装備済みであった。
「そう、やっぱりタバサの部屋にいたのね」
ニタァ、と口の端がつり上がる。
才人は、恐怖で薄れ行く意識の中、
昔の人はいいことを言ったもんだ。沈黙は金なり、か。
母さん、今も地球は回ってますか?
最後まで、混乱の極みだった。
そんな虚無の曜日。
おかしい、何故貴族が魔法を使えて、平民が使えないかを書く予定だったのに
やはり終始ストロベリったヤツを書くしか
終わった?
>>177GJ!始めてリアルタイムで見ることができた
そうか、リアルタイムで見る気分と言うのはこういうものなんだな
先人達よ、ありがとう
>>178 早速ハルキゲニアをググって見た。
…なんじゃこのBETAみたいな生物はw
>>180 BETAでアレがいたらタケルちゃんは佐渡島で死んでると予測
184 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 00:13:01 ID:NGqli2V2
むむむ
オパビニアの方が好きだな
アノマロカリス好きな俺が通りますよ、と
俺も生物の授業で習ったなあ。
確か、「幻」とかいう意味だった気がする。
間違ってたらごめんね。
なんつうかさぁ…古代生物ってグロイ見た目のが多いよね…
所でポケモンのオムナイトって実際の古代生物だと何がもとになってるんだっけ?
アンモナイトだろw
>>178 GJ!俺はハルカマニアを連想してしまった。
>>190 そうそれっ!!ありがとうwかなり喉にひっかかってたww
まぁ古代生物の中では好きな方だが…実物がいたら人間とか捕食されんのかね〜?
ハル○○ニアってのを見た瞬間、ハルモニウムと誤認した俺はもうダメな気がする。
いやね、話の流れとはこれっぽっちも関係ないけどね。
>>180 BETA?なんでゼロ魔にオルタが出てくんだよばかかこいつら・・・とか思ってググったらまんま要塞級でしたwww
ほんとサーセンwwwwww
せんたいさんは今晩ルイズ編の続きを書いてくれるんだろうか。
これ以上の放置プレイは勘弁なんだぜ。
お前ら、エロパロ板なのになんて文化的なスレなんだw
すまにゅー。
待たせたな皆の衆。
>>111の続きなんだぜ。
ルイズは顔を伏せて言った。
「…やっぱり行かない」
次の日の朝。トリステイン魔法学院正門前。
悩みに悩んだ挙句、仕方なく手元の水着を紙袋に入れて正門まで出てきたルイズは、才人にそう言った。
才人は一瞬動きを止めたが、何言ってんだコイツ、とか思いながら手を差し出す。
「お前昨日あんなノリノリだったじゃねーか。
それにその袋水着だろ?せっかく準備してるんだから行こうぜ」
しかしルイズは、差し出されたその手すらも払い除ける。
「…行きたくないんだもん」
才人は少しムッとする。
確かに誘ったのは自分だから断られてもしょうがないが。
昨日あんなにノリノリで、しかも自分を部屋から追い出しておいてこの態度は。
何様のつもりだっつーの。
才人は構わずに、ルイズの手を掴んで無理やり抱き上げる。
「ちょっ、いたっ…」
ルイズは抗議の声を上げようとするが、才人は聞かないフリで馬の上にルイズを座らせ、自分も飛び乗る。
そして、抗議の声を上げて降りようとするルイズを抱えるようにして、才人は言った。
「俺はお前と一緒に行きたいの。分かってる?」
言われてルイズは。
…ちょ、バカ、何恥ずかしい事言ってんのよっ…!
真っ赤になって俯いて。
「ば、ばか…。あ、あんたの都合なんて知らないわよっ…」
弱弱しくそう言うのが精一杯だった。
結局、抱きかかえられるような格好と最初のやりとりが決め手になって、ルイズは才人に連れられて件の洞穴まで来てしまった。
それでも、ふてた様な表情で顔を逸らし、不機嫌を露にするのを忘れない。
才人もそんなルイズを気にしてか、洞穴に着くまでルイズと話す事はなかった。
しかし。
洞穴の中を見たルイズは、感動の面持ちで、水面を見つめていた。
才人はそうそうこの顔が見たかったんだよ、と思ったが。
次の瞬間。
「た、たいしたことないじゃない!何よこんなとこで泳げっての?」
ついついルイズはそう口走ってしまう。
そして、ルイズに輪をかけて単純な才人は。
「あー、そーですか。貴族サマはこんなところじゃ泳げませんか。
じゃあ俺勝手に泳いでるから。ルイズはそのへんで待っててよ。じゃー」
怒ってそう言って、さっさと服を脱ぐと、一人でばしゃばしゃと泳ぎだした。
…やっちゃった…。
ルイズは自分の言動を、死ぬほど後悔した。
せっかくサイトが誘ってくれたのに。せっかく二人きりで水浴びなのに。
胸元の紙袋をぎゅっと抱き締めて、切なくなる。
…どうして、私、こんなに素直じゃないんだろ…。
そう考えると、どんどん悲しくなってきて。
「ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇ…」
いつの間にか、ルイズは、紙袋を抱えたまましゃがみこんで、泣き出してしまった。
それを見た、やっぱりルイズが気になってちらちらそちらを伺っていた才人は、慌ててルイズの下に戻る。
「ど、どーしたんだよルイズ!」
「ひぐ、えぐ、うえぇぇぇぇぇぇぇぇ」
目の前にやってきた才人に、ルイズは。
泣き声を上げながら、濡れるのもかまわず、抱きついた。
才人はそんなルイズを、泣き止むまで優しく抱き締めていたのだった。
しばらくすると、さすがにルイズは泣き止んだ。
しかし、自分の行動を反芻して、今度は死にそうなほど恥ずかしくなる。
な、ななななななに泣いてんのよ私ってば!
などと考え、抱き締める才人に、文句の一つも言ってやろうかしら、などと考え。
そして気付いて、自分で自分の考えを否定した。
…素直に、ならなきゃ…。
せっかく、サイトが誘ってくれたのに…。
ルイズは、才人の腕の中で、小さく呟いた。
「…ごめん、サイト…」
才人は幻聴か、と思った。
しかし続いて聞こえたその言葉は、確かにルイズの声だった。
「ごめんね…せっかく誘ってくれたのに…私、私…」
そこまで言って、今までの自分の行為を振り返って、死にたくなる。
こんなんじゃ…私、サイトに嫌われても…仕方ない…。
水着とか、そんなの以前の問題よね…。
そしてまた、才人の腕の中で嗚咽を漏らし始める。
「ちょ、ルイズ泣くなよ」
言って才人は、もう一度ルイズを抱き締める。
「いいって、もういいって。
お前に泣かれるのが俺、一番イヤだからさ」
ルイズはその言葉にはっと顔を上げる。
才人は続ける。
「今からでも遅くないからさ。
一緒に泳ごうぜ?」
その言葉に、ルイズは再び涙を流す。
半分泣き顔で。半分笑顔で。
才人は結局、困った顔でルイズが泣き止むまで優しくルイズを抱き締めていたのだった。
「もうそっち向いていい?」
「だ、だめ、もうちょっとだから待って!」
ルイズは慌てて才人を制止する。
ルイズは今、水着に着替えていた。
ただ、才人に凝視されていると恥ずかしいので、『…あっち向いてて』と、反対側を向かせている。
素直になって可愛さ五割増しのご主人様の命令を、才人が聞き入れないはずもなく。
こうして今、ルイズに背中を向けているのである。
「…いいわよ。こっち向いても」
お許しが出ました。
振り向くとそこには。
袖口にフリルのついた、桃色のワンピースに身を包んだルイズがいた。
「…えっと…ごめんね、体も水着も子供っぽくて…」
ルイズは申し訳なさそうにそう謝るが。
才人の反応は違っていた。
「いや、ルイズは何着ても似合うよ」
ぼむ。
ルイズの顔が軽く火を噴いた。
しかし、お世辞でもなんでもなく、その水着はルイズに似合っていた。
スレンダーなボディをぴったり覆う、桃色の水着。
そこから伸びる手足の付け根に施された、フリルのアクセント。
まさに『可憐』という言葉がぴったりと当てはまる。
ルイズは才人の言葉になんだか気恥ずかしくなって、
「わ、私泳いでくるっ」
と、泳ぎだしてしまった。
しかし。
ばしゃばしゃ…どぽん。
ばしゃばしゃばしゃ!
「…え?…まさかアイツ!」
才人は慌てて飛び込んだ。
ばしゃしゃしゃしゃしゃ!
「泳げないのに深いとこ行くんじゃねえよっ!」
才人が気付いたのが早かったおかげで、ルイズは溺れずにすんだのだった。
「…ご、ごめんなさい…」
才人の腕の中で、物の例えではなく本当に小さくなりながら、ルイズは謝った。
「いいよ、気にしてないって」
「あ、あんな深いと思わなくって…」
「気にしてないから、もう」
そう言う才人だったが。
ルイズはもう、穴があったら入りたい心境だった。
なんだか今日は、全ての行動が裏目に出る。
それに、才人に迷惑をかけてばっかりだ。
普段のルイズなら、そんな事はカケラも気にしなかっただろうが。
さんざん打ちのめされたせいで、ルイズはとんでもなく弱気になっていた。
「あ、あのっ」
不意に、ルイズは才人を見上げてそう言った。
才人はそのルイズを見て。
誰これ。
本気でそう思った。
普段からは考えられないほど弱気な視線で、才人をじっと見つめるルイズ。
それはまるで、捨てられた仔猫のようだった。
そして、信じられない事態はまだ続く。
「き、キライになった?」
「へ?」
「わ、私のこと、キライになった?」
普段の、『アンタは私の事が好きなんでしょ?』な自信満々なルイズからは信じられない言葉だった。
「き、キライにならないで…」
泣きそうな顔のルイズと、信じられない台詞に、才人の頭はいよいよ混乱する。
ルイズはさらに、才人の首に抱きついて、信じられない言葉を吐き続ける。
「サイトが、したい事全部していいからぁ…キライになっちゃヤだぁ…」
そして、才人の耳元で。
再び嗚咽を漏らし始める。
…ヘンだ。絶対ヘンだ。
才人の中の何かが警鐘を鳴らす。しかし。
耳元で泣いて『なんでもするから嫌わないで』と泣き続けるルイズを無視できるほど、才人の理性は強くはなかった。
才人は、すぐそばで震えるルイズの耳たぶを、甘噛みしたのだった。
「やんっ」
その行為に、ルイズの喉から甘い声が漏れる。
まだ震えを帯びているルイズの声に、才人は彼女の耳元で囁いた。
「キライになんかならないよ。
俺はルイズが大好きだ」
その台詞を聞いた瞬間、ルイズの震えが停まる。
そして、才人の首から腕を解き、じっとその瞳を見つめる。
その瞳は、涙で潤んで、いまにも零れ落ちそうだった。
「じゃあ、信じさせて…。
サイトが私を必要だって、言葉以外の方法で」
才人はその言葉に応えて。
ルイズの唇を、優しく塞いだのだった。
ルイズは、水着の股間の布をずらし、己を露にした。
そこは、零れ落ちたルイズの果汁で溢れており、前戯など必要とはしなかった。
ルイズは仰向けに岩の上に寝転がると、才人に言った。
「サイト、して。
いっぱい、愛して…」
ルイズは膝を立てて左手で己を割り開き、才人を待ち受ける。
そんなルイズを見て、才人がガマンできるはずもなく。
「じゃ、いくよ…」
「うん…きて…」
ルイズにのしかかり、蜜を滴らせるその狭い穴に己を押し当てて。
ぶちゅ…!
卑猥な水音をたてて、ルイズの割れ目を貫いた。
「あっあっあっあっ…!
あったかいよぉ…!サイトぉ、だいすきぃ…!」
貫かれながらルイズは才人に抱きつき、貪欲に才人を求める。
「俺も、好きだよ、ルイズっ!」
愛を囁きながら、才人は容赦なくルイズの中を削る。
ずぷっ、ぐぷっ、じゅぷっ。
リズミカルにルイズの蜜壷がかき回される音が洞穴に響く。
高められるままにルイズは才人の腰に脚を回し、より深く才人を求める。
才人はルイズの奥を突き上げ、際限なくルイズを高めていく。
ぶぷっ、ぶちゅっ、ぐちゅぅっ!
密着する性器の奏でる水音が激しくなり、二人はお互いをきつく抱き締めあう。
「サイトぉ、だしてぇ、中にいっぱいだしてぇ!」
「出すよっ、中に全部出すよっ!」
ごぶ、ごぶぶぶぶぶ…!
二人の果てる声に遅れて。
ルイズの中に子種の注がれる低い音が、洞穴に反響した。
「わわわわわわ、忘れなさいっ!全部っ!」
洞穴から出て水着から着替えたルイズは、真っ赤になって才人にそう言った。
なななななななななんで私あんな事!いくら罪悪の念があったからって!
ルイズは、洞穴での自分の行動が信じられなかった。
いくら気弱になってたからってアレはないわアレはー!
そして、いきなり『忘れろ』とか言われた才人は。
「…い、いや確かに洞穴ん中のルイズおかしかったけどさ」
才人も、洞穴の中のルイズに違和感を覚えていた。
弱気になったからといって、ルイズがあんなに素直になるだろうか?
まるで別人と話しているようだった、と才人は思っていた。
しかし。
「でも、可愛かったぜ、さっきのルイズ」
その言葉に、そっぽを向いたルイズの顔がどかん!と爆発する。
真っ赤になって言い返せないまま、ルイズはなんでああなったのか考えてみる。
…そういえば、水着着てからなんかヘンになったのよね…。
水着?チョットマッテ?
ルイズはふと思い出す。
そういえば。
この水着は確か、随分前にちいねえさまにもらったもの。
『この水着には、ちょっとした魔法がかかってるのよ。素直になれる魔法がね』
カトレアの言葉が、ルイズの頭の中でリフレインされた。
…まさか、ちいねえさま、これを見越してたとか…?
真っ赤な顔でルイズは考えたが。
「素直なルイズ、めっちゃ可愛かったのになあ」
アホ面でそんな事を言う使い魔に、そんなことはどうでもよくなった。
ルイズは、真っ赤な顔を見られたくないので、顔を逸らしたまま言った。
「ふ、ふん!そこまで言うなら忘れなくてもいーわよ!」
「へ?」
間抜けな顔で応える才人に、ルイズは振り向いて、それでもやっぱり赤い顔で直視はできなくて、そっぽを向いて。
「ちゃ、ちゃんとご主人様だけ見てたら、その」
そこまで言って、口ごもる。
「何?」
「ま、またちょっとは、素直になってあげるから…。
だ、だから、覚えておきなさい!」
言って、くるんと振り向いて、真っ赤な顔で才人に指を突きつけて、言った。
「世界で一番可愛いのは、アンタのご主人様だってこと!」
「ぷ」
「ちょ、笑ったでしょ!今笑ったでしょぉこの犬ぅぅぅぅぅ!」
真っ赤な顔をして殴りかかってくるルイズ。
そして才人は、いつものようにお仕置きされる。
しかし、才人はなんだか満足していた。
やっぱり。
素直なルイズもいいけど。
こういうふうに、ご主人様風吹かせる、生意気で天邪鬼なルイズが、俺は一番好きだな。
魔法で吹っ飛ばされて遠のく意識の中で、才人はそんなことを思っていた。〜fin
はいおしまいです。
ちょっと素直になったルイズなんか書いてみたくてモヤモヤやってたら遅くなってしまった。
…しかしダメダメのgdgdですね。
修行しなおしてきますノシ
一番槍GJ
208 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 01:44:16 ID:Kuyq7g3R
リアル更新、GJです♪
( ´ω`)b いい仕事してますねぇ…
乙です
久しぶりのリアルタイム。ラッキー
そしてGJ!
ハルキゲニア(Hallucigenia)
| .| | | .| | |
‖‖‖‖‖‖‖ /⌒ヽ
/ 二二二二二二二二. ・ ・ ) <せんたいさん GJ!
=イ ┃┃┃┃┃┃┃ ヽ ∀ノ
┃┃┃ ┃┃┃┃.  ̄
212 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 01:49:45 ID:MxL3aiAv
214 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 02:04:22 ID:bqyhrsgH
初のリアルタイム。
せんたいさんGJです!
お夜食にどうぞ
_
⊥、\
⊥、 \\. | | | .| | | | ______
|\ \ \ ‖‖‖‖‖‖‖ /⌒ヽ /|
\\. /二二二二二二二二. ・ ・ ) / /|
// =イ┃┃┃┃┃┃┃ ヽ ∀ノ // _. --──-- _
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===ニニニニニニニニニニニ二二二二二l
===ニニニニニニニニニニニ二二二二二l
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 ̄
本を得た知識でサイトを喜ばせようとする、にょたいもりしゃるろっとが見たいです。
>>217さん
おいしく頂きました<(_ _)>
ありがとう♪
>>215 箸入れたら腹の中から小型のがわんさか出てきそうだなw
221 :
ボルボX:2007/09/07(金) 14:47:15 ID:UxB3gv2a
今回は、前に言ったとおりエロ回帰しました。まあ最後のエロSSから数日程度だけどw
とりあえずUP↓
ベッドのかたわらの小さなテーブルから、ワインの入ったグラスを手に取る。
夜。王宮の寝室。アンリエッタは薄物を素肌の上にまとったしどけない格好で、ベッドに腰かけたまま晩酌をしていた。
グラスを少しかたむけて、唇をワインで湿らせる。
今夜のワインにはわずかにスパイスと蜂蜜を入れ、人肌程度に温めさせてある。
くぴ、と飲み下すとまずのどが熱を持ち、胸の中までじんわりとその熱が沁みていく。首筋や顔が火照っていく。
ほう、とアンリエッタは息を吐いた。
吐息には、ワインに入れたシナモンの甘い香りがただよっている。
日中の激務の心労もあり、いまだ少女の年齢ながら彼女に寝酒は欠かせないものとなっている。
昼間の、隣り合った領地をおさめる二人の領主の、家畜の放牧にかかわる争いを裁定したことを思い浮かべる。
あれは頭痛を覚える仕事だった。胸ぐらをつかまんばかりの勢いで怒鳴りあう領主二人の前で、マザリーニとうんざりした視線を交わしたものだ。
眉間を押さえる。縦にしわが寄っていたことに気づき、仕事のことはつとめて忘れようとする。
(なにか、楽しかったことを考えて……)
ぽやぽやと、ある日のことが脳裏に浮かび上がってきた。
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
数日前の逢瀬のときだった。
いつものように、木賃宿の安い部屋に入るとすぐ、立ったまま唇を重ねられた。
彼のそういう性急さは、嫌いではなかった。アンリエッタも早くそうしたかったのだから。
それから服を脱がされる。
正体が周囲に気づかれることのないように、会うときにはいつも町娘のような髪型、服装をしていく。
けれど、それもすべてはぎとられて髪をほどかれてしまう。いつもの髪型に。
「アン」と呼んでとは彼に言っているものの、生まれたままの裸に剥かれてしまうと、抱かれるのが町娘の「アン」だとは自分でさえも思えなくなる。
女王であるかというと、それも少し違うのだけれど。
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
(やっぱり、あれは『わたくし』としか言えないのでしょうね……)
ベッドにこてんと横たわりながら、アンリエッタは熱くなっていく頬をシーツに押しつけた。顔が燃えるのが、ワインのせいか回想のせいか判断がつかない。
その後のことが、半ば自動的に脳裏に再生されていく。
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
彼はめったに、最初から服を全部脱ぐことがない。
あらゆる危険にとっさに対応するためです、とか何とか理由をつけている(ちなみに、彼はルイズの話題が出るとさっとドアや窓の外に目を走らせる)。
服を着た彼に全裸で抱かれなければならないこの状況は、アンリエッタにとって、どこか被虐的な官能を意識させるものだった。
服という人間の尊厳をあらわすものを一方的に失って、支配されているような気分になるのである。
立ったままの彼の前にひざまずいて、唇と舌で彼のものに奉仕しているときは特にそう思う。
まず愛情をこめてちゅっちゅっと何度も口づけてから、教えこまれたとおりの奉仕を加えていく。
舌全体を使って根元から上まで舐めあげたり、舌先で裏筋やカリや亀頭などという部分をくりくり刺激したり、陰茎を横ぐわえで優しく甘噛みしたり。
アンリエッタは鼻腔を刺激する男の匂いにくらくらしながら、先走りを走らせはじめた肉棒の先端を口にふくむ。
両手を男の生殖器の下部にそえ、右手で竿の根元の部分をゆっくり上下にこすりながら、左手でやわやわと袋を揉む。
口の中で脈打つたくましい雄を感じながら、栗色の髪を撫でられると、うっとりと幸せな気分になり、自然にちゅうちゅうと亀頭を吸いあげてしまう。
奉仕するだけで高まってきた情欲に、熱く目をうるませて息をはずませる。
アンリエッタの細い首筋にはしっとりと汗がにじみ、触れられてもいない乳首がぷくりと立ちあがっていく。
彼の要求にしたがって、もっと口の中に納めようとした。焦れたように彼が腰を送り、のど奥を突かれる。むせそうになったが、涙目でこらえる。
口腔内の雄肉の存在感と味に、頭がもうろうとする。雌としての本能が刺激され、下腹がうずいた。
とうに膣口には透明な愛液がこぼれだしていたが、のどを深く犯されたときそれよりも奥のほうで、子宮がさらに粘性の高い液を吐きだしたのが感じられた。
張りつめてきた乳房を、いつのまにか彼のズボンにこすりつけていた。
アンリエッタがそんな自分に気づいて顔を赤らめる間もなく、彼がせっぱつまった様子で彼女の口から肉棒を抜き、問いかけた。
「あのさ、そろそろ出そうだけど……どっちがいい? 飲むのとかけられるのと」
「……ぇ」
なにかを選ばされるのは初めてではなかったが、こういう選択肢は初めてだった。
あまりにはしたない選択。
それなのに、こくんと物欲しげにのどを鳴らしてしまった。
全身に、青い臭いのする白い精をかけられて、それを手のひらで肌に塗りこめられ、匂いをしみ込まされて、自分の体が彼の所有物だと実感させられるのも好きだけれど。
その日は。
「の……飲ませて、くださいまし……」
「ん、じゃあその、もう一回くわえて」
ぷっくりした桜色の唇をわって入ってくる肉棒に、アンリエッタは陶然と奉仕を再開した。
左手で栗色の髪をかきあげて、淫らながらどこか上品さを失わない表情。
唇できゅっと締めつけ、舌でやわらかく男肉に媚びる。口の中で吸いあげながら、舌の腹で裏筋の部分をぬりぬりとこする。
白魚のような右手の指は、ぬらつく陰茎の根元にからめて、早くこすりあげていく。
彼が「あ、出る……」とうめいて放出したとき、口の中で雄の肉がふくれあがり、アンリエッタのピンクの舌の上に熱い液がほとばしった。
紅潮してとろけた表情で一心に吸いつき、こくんこくんと精液を飲み下していく。
本能的に、握りしめた肉棒の根元をさらにしごいて、白濁を一滴のこらず出させようとしながら、桃色にふやけた脳裏で思う。
(うそ……飲むだけで、気持ちいい……)
白い精が、飲みこむはしから媚薬となって体を内側から灼くようだった。
さあっと肌が上気し、先ほどこすりつけていた乳肉が内側からじんじんとうずいた。下腹でも、男の精を受けたがってぐぐっと子宮が下がったのが感じられた。
「ずず、ちゅる、ん、こく……ふぁ……終わり、ました……」
教えこまれたことに忠実に、残り汁をすすって終わる。
情欲で煮こまれた脳裏は、もっと続けていたかったという気分と、今すぐにでもこれで切なくうずく下腹を満たしてほしいという期待で埋まっていた。
が、すぐに挿入はされなかった。
彼は、「じゃ、お返しさせてイタダキマス」と言って、座りこんだアンリエッタの手をひいてベッドに連れて行くと、寝台の上でころんと転がした。
「あ、あの……サイト殿?」
「『お返し』で舐めるけど……前からと後ろから、どっちの格好で舐められるのがいい?」
「あ」
これ以上ないというほど、少女が真っ赤になった。
これもまた選択させられるのは初めてだったが、どちらも経験はあった。
『前から』というのは、自分で脚を大きく開いてあお向けになったところを、股間に顔を埋められる姿勢。
『後ろから』はうつぶせの姿勢、ひざをついて上体を倒し、高く突き出した尻のほうから秘部に舌をはわされる。自分で尻の山をつかみ、横に広げなければならない。
口唇で愛撫されるのはたまらなく気持ちいいのだが、はっきり言ってどちらも気が狂いそうなほど恥ずかしい。
「いい、いいです、お返しはいりませんから!」
「ダメです。自分犬ですから、舐めさせてもらいます。さ、さあ選んで」
「ぅ…………」
こういう状況で、強い口調で言われると逆らえなくなる。アンリエッタは羞恥で泣きそうになりながらも、そろそろとあお向けになって脚を開いた。
「ま……前から、してくださいまし……」
か細い声で切れ切れに伝える。しかし、自称犬は首をたてにふらなかった。
「うーん、もう一声。ほら、することと言うことがあるでしょ? 前から舐められるときにはさ」
仕込まれた、あの恥ずかしい行為を催促される。アンリエッタは極限の羞恥にほとんどめまいを感じながら、震える指を股間に伸ばした。
先ほどの奉仕だけですっかり準備のできていた秘花、その花弁に手をかけ、くちゃりと割り開いてみせる。開いた場所からねとりと愛液がこぼれて垂れた。
それだけで終わりではない。秘部の上端に位置する肉豆の周囲を、そっと押さえるようにして、豆にかかった包皮を引っぱりあげるようにそろそろと剥いていく。
可能なかぎりソフトな剥き方だったが、敏感すぎるそこはそれでもビリビリと刺激を伝えてきた。「んっ……ん」と声を漏らしてしまう。
最後に、思い切ってぐっ、と周囲の肉を強めに引っぱると、にゅるんとクリトリスがようやく全部飛び出した。その衝撃で「あぅ」と腰をはねさせてしまう。
それから、これから言わなければならないことを思い出し、火照った顔で涙ぐむ。
もういいでしょうか? と上目づかいで彼をうかがってみたが、首をふられた。
半ばやけくそで、両手の指で花弁をおさえ、剥き身で赤く艶々とした肉豆を見せつけるように、秘唇を左右におしわける。
「ぁ……あ、あの……わたくしにも、お、おしゃぶりしてくださいまし……!」
「どこを? ここ?」
いきなり、彼がそのぷっくりと膨らんだ豆をきゅっとつまんできた。
「ひぁぁぁぁ!!?」
声と体がはねあがる。少年は興奮した顔でつまんだクリトリスを指の腹でこすりながら、さらに確認してきた。
「ほら、どこをおしゃぶりしてほしいのかちゃんと言えるだろ? 姫さま……じゃなくてアン、今つまんでいるとこはなんて言うように教えたんだっけ?」
「ひんっ、ひぃ、やっ、やめてっ、言います、牝おちんちんです、わたくしの牝おちんちんですっ! 言いましたから指をはなしてぇっ!」
ようやく彼が、強烈過ぎる刺激をやめてくれた。そのとたんに甘い汗が全身にふきだす。
アンリエッタははぁはぁと荒い息をついた。いきなりのことだったから快感として認識する間もなかったが、もう一度同じことをされればたまらず絶頂するだろう。
すっかり充血したクリトリスが、ジンジンと敏感にうずいている。ここに刺激を今から与えられる、と思うと、たまらなく怖い。
覆いかぶさってきた彼に、紅潮しながら怯えるという被虐感たっぷりの表情でアンリエッタは懇願した。
「お、お願いですから、優しく扱ってくださいまし……」
彼はぐっ! と親指をたてて、いやらしい笑みを浮かべてみせた。
「わかってます。気持ちよくしますから」
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
(あああああ………………)
アンリエッタは回想途中でうつぶせになり、鵞鳥の羽毛をつめた枕に、耳まで赤くなった顔をうめてぶるぶる震えた。
むろん、屈辱的な格好を取らされたり、卑語を言わされたことに対する羞恥である。まあそれは毎回のことだが。
(抱くときには『アン』と呼ぶように言っておりますのに! あの方、『姫さま』って絶対にわざと言い間違えているんですわ!
だ、だいたい『自分犬ですから』ってなんですか!?
優しくと言ったのは、もうすこし刺激を抑えてほしいという意味だったのに!)
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
ちゅっ、と吸いつかれた時点で腰がくだけた。
「ん――んんんんんっ!!!」
口をおさえて、必死で悲鳴をかみ殺す。
ほんの小さな突起なのに、彼の少しかさかさした唇をかぶせられて吸引されたとたんに、呼吸が止まるくらいの衝撃があった。
彼のものに奉仕したときからずっとこらえていたものが、一斉に呼び起こされる。
急激な絶頂に括約筋が締まり、アンリエッタの陰唇がぎゅっと閉じて愛液がぴゅ、と吹きこぼれた。ひくひくと下半身を痙攣させながら、熱に浮かされたような声を出す。
「……ぁ……イキました……」
絶頂に達したらちゃんと口に出して言うように、とも躾けられていた。
「え、もう?」
彼がアンリエッタの股間から顔を離し、本気で驚いた表情をした。
なにか文句を言う暇はなかった。
彼はすぐまた顔を埋めて、今度は唇で軽くはさんだまま顔を横に振ってきた。唇で横にこすられる感覚に、先ほど達したばかりで敏感に震えていたクリトリスがまたすぐ追いこまれた。
「あっ、ひ、待ってくださっ、今はビリビリしているんです……っ!」
唇でくわえられたままふーっと息をかけられると、全身の毛穴がぞわりと開く感覚がした。舌でつつかれ、押しこむようにくりくりとえぐられるともう悲鳴しかあげられなくなった。
肉豆の隅々までとがらせた舌先で清められ、包皮との境目までちろちろと刷かれたとき、あっけなく二回目が来た。
「イく、イキますっ、あ、あ、イくっ!」
上半身をシーツの上で狂おしくよじって、悲鳴のように絶頂を告げる。
電撃のような鋭い絶頂が去ったあと、くたりと身をしずめ……る暇はなかった。
「んんっ、そんな続けてしないでくださいましっ、あ、ん、お口ぬるぬるしててっ……!」
包皮を剥きあげられて完全に無防備な状態のまま、アメ玉をしゃぶるように彼の舌で転がされていく。
自称犬だけあって、彼の愛撫はねちっこく執拗に続けられた。
彼の上顎の唇と舌にはさまれる。アンリエッタ自身が奉仕したとき、裏筋を丹念に舌でねぶったのと同じ要領で、延々とクリトリス下部をこすられた。
三回目の絶頂を味わわされるまでその責めが続き、アンリエッタはあまりに鮮烈な快感に泣き叫んで、上気した肌をよじった。押さえこまれていなければ、下半身を何度もはねあげただろう。
四回目はまた吸いあげられ、今度はきつく吸引されて前歯で甘噛みされながらのことだった。
挽くようにしてコリコリと歯でつぶされたとき、強すぎる刺激に雷に打たれたかと思った。
なのに数分ももたず体は勝手に、暴力的な責めに屈服してしまう。
「イきますぅ……」
激痛が走るほどのひどいいじめ方をされたはずなのに、躾けられた体が甘い泣き声で絶頂を告げた。ぶるりと身を震わせる。
彼は一転して、あやすように肉豆を優しく吸ってきた。
恥ずかしく開いた自分の股間に埋められた彼の頭を、手で押さえこみながら、アンリエッタは腰がびくびく浮くような絶頂にすすり泣いて耐えた。
「……ぁ……うそ、なんで……いたかった、ですのに……」
余韻にもうろうとしながらも信じられない思いで、下半身のほうを見る。
彼は心得た顔でうなずくと、ぴん、と指で膨れあがった肉豆をはじいた。
「ひんっ!」
「長く責められるほど、強い刺激でも快感として受入れやすくなるんじゃないか? 姫さ――アンの場合、今までもそうだったような。
ところで、そろそろ……いい?」
少年は思いきったように自分も服を脱ぐと、ベッドに膝をついてにじり上がってきた。
彼のものは、すっかり勢いをとりもどしている。
魅入られたようにこくんとうなずいてから、アンリエッタは慌てて言い添えた。
「あ、いえ、やはりもう少し時間を置いてからのほうがよいかと……」
「待てないんで」
手をついて後ろにずりさがると、その分距離をつめられた。
いきなり抱き寄せられて口づけされ、少女の目にとろんともやがかかる。
有無をいわさないやり方で、苦しいほどきつく抱きしめられるのは好きだった。
彼が脚のあいだに身を割りいれ、アンリエッタの腕をつかんでそっと柔らかく押し倒す。
彼が自身のものを、くちゅりと柔らかくほぐれた少女のうるみに押し当て、ゆるゆると入ってくる。
うつろな肉洞をゆっくり満たされる感覚に、アンリエッタは深く切ない悦びを感じた。
ここまではいつもからすると、じゅうぶんに優しい手順だった。だから気づかなかった。
彼に正上位の形で奥まで貫かれ、覆いかぶさるように体を重ねられて、恥骨のあたりも密着したとき、凶悪な電流をそこから流されたような感覚にとらわれた。
「え……え?」
戸惑い、それから気づいて青ざめた。
彼を止めようと口をあけた瞬間、密着した部分をぐりっと押しつけられて、脳裏に火花が散った。
少年としてはむしろ優しくこすりつけたつもりだったのだろうが、アンリエッタはどっと汗を噴き、首をはげしく振り、「止めて、止めてくださいましっ」と必死で懇願した。
「お願いですから待ってっ、腰を押しつけないで!」
「へ?」
わけがわからない、という表情を浮かべた彼に、羞恥に震えながら伝える。
「その、あそこの、か……皮を、戻させてくださいまし……」
クリトリスが、まだ先ほどの愛撫で包皮を剥きあげられたままだった。
すっかり敏感になったその部分は、優しく触れられただけで血を噴きそうなほどに充血している。
そんなところに男の腰を密着させられ、陰毛の生えた下腹でぞりぞりと摩擦されてはたまったものではない。
「ですから、あの……離して……?」
アンリエッタは下から彼の顔を見上げた。今は両腕を体の横のシーツにしっかりと押しつけられて、身動きがとれないでいる。
少年は何か怒ったような、もどかしそうな表情だった。
なぜか、皮膚がぞくりと鳥肌をたてた。恐怖と、それから自分でも信じられないことに、かすかな期待で。
彼の顔はあとから思うと、強烈な欲情の表情だったのだろう。
「……じゃ、こっちにするからさ」
腕をしっかり押さえつけたまま、彼がやや身を起こして、擦れないようにしてくれる。
しかし、そのまま抽送に移ってきた。
奥のほう、下がった子宮の入り口。いつも叩かれると理性が消えてしまう場所。そこをトントントントンと何度も、時間をかけて小突かれる。
クリトリスとは違う、遅効性だが重く深い快楽ポイント。
アンリエッタの一番弱い場所。
「ひ……ぅ、く……」
切なく顔をゆがめ、歯を食いしばるようにして耐える。
最後まで耐えられたことなどない。
いつもかならず、途中で我慢しきれず達してしまい、その後はまともに口もきけなくなるまでぐちゃぐちゃに絶頂させられ続ける。
ドロドロにされながら、めったに聞きいれられないとわかっていても泣いて許しを乞うてしまうし、そのくせ男に征服されることに被虐的な幸福感を覚えてさえいる。
それでも、最初からあのような痴態を晒したくはなかった。
執拗に嬲られつづける子宮が、こぷりと白濁した粘液を吐きだし、足の指がきゅっと丸まってシーツをつかむ。
彼に組み敷かれたまま、ゆるゆると高まっていく快感にあえぐ。
ほどなくして、下腹に力が入りっぱなしになる。気を抜けばすぐ絶頂してしまいそうになるまで、追いこまれた証だった。
足の指と、押さえられた手の指でシーツをつかみ、歯を食いしばって肌を紅潮させ、顔を泣きそうにゆがめて耐えるアンリエッタに、少年が呆れたように声をかけた。
「なんでいつも我慢しようとするんです? 変なところで強情だなあ……じゃ、これでどうです?」
そう言うと、ふたたび腰の前面を密着させてずりずりと擦りつけてきた。
「ひあああぁぁぁっ!?」
急激に訪れた、こすりつぶされるような肉豆への刺激に、一瞬でバチッと音をたてて脳裏がスパークした。
それだけに留まらなかった。
絶頂に震えだしたアンリエッタの肉壺を、彼は力をこめてえぐりはじめた。
急激にからみついてくる媚肉を押し分けるようにして、奥の部屋を強く揺らしていく。
「そ――それ駄目ぇっ! わたくし、また狂いますからぁっ!」
「狂えばいいって、いつもみたいに」
「ひっ……イ……くぅ、ぁ、あ、ああああああああっ!!」
彼に許可を与えられた、と認識した瞬間、アンリエッタは連続して絶頂におちいってしまった。
白いのどをひくんとそらし、足がはね上がり、きゅううと膣壁が締まっていく。
「うわっ、すげ、柔らかくからみついて引き込む感じ……ん、俺も出るっ」
「あああああっ! あーっ! あっ、うぁ、出てっ、お腹の奥でっ、いやぁ、まだイっておりますっ、熱いので叩かれてぇ……!」
「あー……やっぱ姫さまの中って、何度かイかせてからだとすごく気持ちいいー……」
「んんんぅ、ばかぁ! ふぁ? ――ひぃぅ! な、なんで出したばかりなのにまた動いているのですかっ、ひ、ひぁぁぁぁ…………奥、だめ……ぐりぐりしないで……」
その後は、いつものように頭が真っ白になるまでいじめられ続けた。
奥をぐりぐりと圧迫され、あらゆる体液をしぼり出されて、何も考えられなくさせられる。
トントンと子宮を小突かれる。その小刻みな抽送の合間に何度か、力強い律動も送りこまれる。
その強制的に与えられる重い愉悦に逆らえず、甘く泣き叫びながら絶頂してしまうと、さらに奥を小突きまわされるか、剥かれたクリトリスを密着した恥骨のあたりでこすられて、絶頂から降りてこられなくなる。
十分ほど延々と、肉豆をこすりつぶされたあたりで精神が折れ、許しを乞うようになった。
「これ以上いかせないれくらさいましっ、いきたくありませんっ、っ、ぁ、気持ちいいのもぉいやぁ!」
「おねがいれすっ、せめて皮だけは戻させてっ、もうこすられると感じすぎるのっ!」
…………ようやく責めがやんだとき、ほとんどアンリエッタは気絶しそうになっていた。
ひくひく痙攣する肢体をくったりとベッドに投げ出し、汗まみれの全身をピンクに染めて、荒い息をつきながらふいごのように胸を上下させている。
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ…………」
気まずそうに、少年が横で手を合わせていた。
「……あの、大丈夫?」
「……………………」
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
アンリエッタはベッドの上に起き上がって座りなおし、黙ってワイングラスを持ち上げると、くっ、とかたむけた。
(もう本当に……なんであの方は、いつも加減というものを……)
回想が進んで羞恥の極限を通り越し、かえって見た目には冷静に見えるくらいである。
ルイズが嫉妬をはさまず適切な助言をあたえるとするなら、あのバカは本気で馬鹿だからですよと言ったことだろう。
でも、とワイングラスの中で赤く揺れる酒に目をおとして、物憂い表情で少女は思う。
本当は、あのようにいじめられるのが嫌いではない。
特に、何も考えたくないほど心が疲れたときや、切なくてどうしようもないときには。
あの熱い肌が恋しくて、殿方の腕の中で心臓の鼓動を聞きながら眠りたいときには。
力強く組み敷かれて、本当に何も考えられなくなるまでぐちゃぐちゃにすりつぶされて甘く泣き叫び、ときには真っ白になったまま彼に抱かれて眠る濃密な快楽の時間。
それが、決して嫌いではない。
(……でもやっぱり、毎回だと体がもちませんわ!)
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
というわけで。
そのすぐ後、どうにか起き上がれるようになってから、アンリエッタは説教した。
もう少し行為のコントロールを自分にも預けて欲しいと。
少年はぽりぽりと頭をかいて、こう答えた。
「つまり、たまには自分が攻めたいと。姫さま、完璧に受けな体質だと思うんだけど」
「せ、攻めとか受けとかではないのです! ただその、わたくしの体力というものをもう少し考慮していただけると……」
「じゃ、上になってみます?」
「え?」
いきなり両わきの下に手を入れられてつかまれる。その部分でさえ鈍い快感を得てしまい、「ひあっ」とはしたない声をもらしたところで、座ったままの少年に体を持ち上げられた。
そのまま彼はねそべり、アンリエッタは彼の腹の上に下ろされる。
「あ……あの……?」
「アン、自分で入れてみて。そんで動いて」
突然の要求にとまどうアンリエッタの尻を後ろからぴたん、と叩いたのは、反り返った少年の肉棒である。
アンリエッタの口で一回、秘肉で二回出したくせに、もう元気なのだった。
動く? 動くってどのように? とおろおろしながらも、アンリエッタはそろそろと尻を持ち上げ、彼のものにかぶせるように下ろしていく。
何度かすべってうまく入らず、こわごわと手を下に伸ばして彼のものを固定し、ようやく自分の女の場所にあてがうことができた。
くぷくぷと、刀身に濡れた肉の鞘をかぶせていく。
全部入れ終わり、アンリエッタはぺたん、と彼の上にすわりこんだ。
膣奥からの予兆を感じ取り、「ぁ…………」とかすかに切ないうめきをもらす。少年が訊いた。
「……どうかした?」
「……奥から、下りてきてます……」
彼に出された二回分の精液と、子宮から分泌された彼女自身の濃い蜜。
それがどろりと膣口まで下り、少年とつながった部分から少しずつもれ出てきた。
彼が「うわ、二人ともべとべとになった」とちょっと笑う。
確かに、先刻の濃密な行為で桃色に染まっていた二人の下腹は、内股にかけてまでがもう完全にぬるぬるになっている。
少し腰を浮かせれば、ぬちゃぁ……と糸を何本も引くだろう。
アンリエッタは少年の上に座りこんで、彼の胸に手をつき、頭をたれて呼吸をととのえていたが、少しして腰を前後に動かしはじめた。
ただ、ゆっくりと、それもほんの少ししか動いていない。どうみても、「すりつける」程度の動き方だった。
少年が注文をつける。
「もうちょっと腰をまわすようにしてー…えっと、左右とか上下にも振ってみて」
ふるふると、たれたままの頭をアンリエッタがふる。
少年はちょっと焦れた顔で、さらに催促する。
「恥ずかしくないってば。大胆に動かしていいって」
「ち……ちがいます、怖いのです……!」
「怖い?」
「いまは敏感、すぎて……」
あ、と彼が理解した顔になった。
つい先ほどまで、秘肉をグシュグシュとみがきぬかれるような苛烈な抽送を受けていたのである。肉の鞘で彼を食いしめているだけで、腰がとろけそうだった。
「んー、どうしたもんかね……」
なにごとかを考える表情になった彼が、つながったまま上体を起こす。とんと肩を押され、アンリエッタは彼の上に座りこんだまま、後ろに両手をついて体を支えた。
姿勢のちょっとした変化で、彼女の内部の肉棒が当たる場所をぐりんと変え、一瞬腰がはねかける。
騎乗位から変則的な座位に移行した形。向かい合った状態で、少年が右手を伸ばし、アンリエッタの巨乳をつかんだ。またしても、意識せず甘い声を出してしまう。
「体は興奮してるでしょ? おっぱい、ぷりぷりに張ってますよ。なんか、はじめる前よりちょっと大きくなってるかも。
わ、うわ、あそこの中がうねりましたよ、今」
左の乳房をねっとりと揉みたてられる。へにゃ、と表情が泣きそうにゆがんだ。
汗をにじませ、張り詰めた乳肉の表面を、彼の爪の先で刷かれて、ぞくぞくと背筋をかけあがるもどかしい快感に、こくんとのどを鳴らしてしまった。
ずっとかちかちだった乳首をきゅっとひねられたとき、我慢できずに小さく鳴き、腰をくい、と使っていた。
「ほら、少し痛いくらいの強さでつねられるのが好きだろ? ……やっぱりアンって、いじめられたほうが体が燃えると思うけど……?」
彼の言葉に反論できないほど、アンリエッタは快感を得てしまっていた。
もう勝手に腰が動いている。後ろに手をついたまま、羞恥と快楽で新たに肌を上気させながら、くいくいと腰を前後に送っていた。
まだ激しい動きとはとても言えないが、すでに十分すぎるほど気持ちいい。
少年は満足そうに笑うと、つながった部分にも左手を伸ばしてきた。
何をされるのか思い当たって、全身が総毛だった。
「だ、駄目です、そこは本当にもう……!」
「大丈夫。乱暴にはしないから。これくらいなら丁度いいだろ?」
「だめっ、あっ! ……ぁ、あれ? ぅぁ……あ……んんぅ……」
嬲られすぎて固い状態を通り過ぎ、柔らかくなっていたクリトリスに彼は手をかけてきたのだが、心配していたような苛烈な責めはなかった。
自分で言ったとおりに、彼は肉豆の包皮をもどしてくれ、その上から優しく愛撫してきた。
包皮ごとごくごく軽くつまんで、非常に柔らかく押し揉んでくる。
ゆるゆるともどかしく、腰がじんわりとしびれていくような性感に、アンリエッタは瞳をとろんとさせて腰をゆすった。
「…………ぁ……ん……」
ほんの少しずつ、腰の動きが速くなっていく。
彼に乳房を乱暴に、肉豆を繊細に愛撫されることで、発情させられた体が勝手に快楽をもとめて動き出していく。
それまでの前後動から離れ、円をかくように腰をまわしたとき、もっと強い快感があった。
体がそれを覚え、自然に腰がうねるように何度も円をかいた。つながった場所から水音がするようになり、やがてそれが大きくなっていく。
そのことに消えたいほどの羞恥心を覚えながら、アンリエッタは夢中で、覚えたばかりの膣内の快楽ポイントを自分で刺激しつづける。
美貌を紅潮させ、舌を出してよだれをこぼしながら、無心に腰を振っていく。
もう少し、もう少しで、と霞がかった頭で思い、情欲に命じられたところを目指す。
あくまで優しく、くにくにと揉みこまれ続ける肉豆の愉悦が手伝って、ゆるりと天国に上らされた。
「んぅう……んん……」
しばらくぶりにもらえる、優しい絶頂。
目をきゅっと閉じて震える。秘肉では、彼のものを愛しげに食い締めてしまう。
彼がクリトリスから手をはなした。
目をあけて、アンリエッタはぼんやりと疑問を口にした。
「なんで……? わたくしの腰、とまっておりません……」
まだ、くいくいと淫らに腰がうごめいている。すぐに官能が高まりだす。
少年が、「つかまって」というように腕をさしだしてきた。
つながったまま、ベッドに座った彼に身をなげだすように抱きつく。
完全に座位の姿勢になり、奥まで貫かれてぶるりと尻が震える。
すぐひくりひくりと腰がうごめきを再開し、くちゅりくちゅりと水音をたてて円をかいていく。
「あ、これ、怖い……! ほんとうにとまり、ません……!」
アンリエッタはあえいで、彼の首筋に手をまわしてしがみついた。
どんどん自分が自分でなくなっていく。押さえつけられて強引に性感を引きずり出されるときとはまた違う、知らなかった自分自身が出てくるような感覚。
肉体が意思から切り離されたようで、もうどうにもならなかった。
秘肉の敏感さはまったく変わっていないのに、腰の動きが勝手に激しくなっていく。
前後動、円運動にさらに左右そして上下動がくわわる。
彼の刀身に自分から肉の鞘をかぶせ、ねとねとの媚肉でしぼりあげながら卑猥にしごきあげる。
膣内の蠕動も腰の動きも、雄に媚びて精を受けるための本能的な牝の動き。
「ひ、姫さま、ちょっと予想以上に腰すごいんだけど……! 俺もう我慢できねえって……!」
「ぅあ、ああっ、んっ、だっておかしいんですっ、小さいの何度もきてるのにぃ、腰が勝手にぃ……っ!」
彼の首につかまって強く抱きつき、火照って汗に濡れた体をぎゅっと密着させる。
彼の胸板に押しつぶすようにこすりつけた乳房がぬるりと汗ですべり、ぞわりと快感を伝えた。
小刻みな絶頂が何度も起こっているのに、腰から下が自分のものでないかのように貪欲に動き、卑猥にねっとりと腰をうごめかしつづける。
絶頂に達してビクビクとはねているのに、それさえ男のものに奉仕するための動きに利用されている。
「姫さま、俺限界」とうめいた彼が、いきなり唇を重ねた後、自分からも腰を使ってきた。
「ふぁ――あんんんんっ!」
突然の口づけに驚いた瞬間、下がりきった子宮を強く衝かれ、同時に射精されて子宮口にびゅくびゅくとほとばしりを受けた瞬間、ジュッと脳裏が音をたてて灼けた。
離された唇から、快楽の叫びがあがった。
「ぁう!? あひ、んぅぅ! あああああああーっ! ぅ、あああああああああーっ!」
ぎゅっときつく抱きすくめられ、こってりと子宮に熱い白濁を注がれる。
「いっ、いきます、いっております、あ、これだめっ、またぁぁっ!」
精液のほとばしりを一つ受けるたびに連続した絶頂に押し上げられながら、アンリエッタはかすれた声でそれを告げた。
「…………んんっ、ぁ、……ふぁぁ………ぁ…………」
ようやく満足したのか、彼のものをひくひくと食い締めたまま腰が動きをとめていた。
子宮にそそがれる精が、そのまま桃色の霧になって脳裏に流れこんだよう。
腰がとろけて温かいスープになったような、幸福感のある深い絶頂。
甘く淫らな、呆けたような笑みをアンリエッタは浮かべていた。
そのまま夢うつつで口づけをもう一度、自分からねだった。
\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\
王宮の寝室。
アンリエッタはベッドの上で、最後の一口のワインを飲み干した。
赤みがさして熱い頬に手をそえ、目を伏せて、はふ、と熱いため息をもらす。
吐息はシナモンの甘い香りがしているが、色もつけるとすれば間違いなく桃色だろう。
なにやら凄絶に色っぽい空間だった。
(あれはすごくよかった……今度も上でさせてもらおうかしら……
……ち、違います、わたくし何をはしたないことを考えているの! 始祖ブリミルよお許しください!
よく考えれば仕事のこと以外とはいえ、こんなの思い出しても眠れなくなります!
ああ、でも次はいつ会えるかしら? すごく会いたい、かもしれません……)
ベッドの上で悶々とする女王陛下。
もうここしばらく、寝る前はこんな調子であった。
腹心のアニエスやルイズでも、この様子を見たらけっ、と言いそうな顔で、「それは色ボケという状態です」と指摘したかもしれない。
241 :
ボルボX:2007/09/07(金) 15:03:41 ID:UxB3gv2a
はい終わりー。ラブエロで調教って難しいぉ。性の手ほどきみたいになってるしw
キタ━━━━(°Д°)━━━━!!!!
アン様最高!
仕事中でも、見てて良かったww
>>241 ああああんさんはあ、あんさんはなんちゅうもんをお書きなさったんじゃぁ・・・!!!
GJあるだけもってけいコンチクショイ!
>>241 これはエロいね。いやもうほんとにエロいね。というかエロいね。
アンビッチの可愛さに息子がおっきした^q^
エロすぎるよ!!
いやなんていうかGJ!
247 :
純愛センター:2007/09/07(金) 22:54:29 ID:IhPYOVUi
とっさにルイズを背に隠し剣を構える。
「こいつぁ…かなりヤバいことになっとるねぇ」
幾度も共に死線をくぐってきた相棒が最大限の注意、警告を発する。
「あいつらは人間じゃねぇ。人っぽい形はしているがアルヴィー、つまりメイジやそこいらの戦士を倒すことに特化したガーゴイルみたいなもんだ」
周りには剣で武装したもの、銃のようなものを構えているもの、果てには人間の形ですらなくトラと鷹を合体させたようなものまでいた。
「ごめんなさいねぇ。もうすこしだけ付き合ってあげてもよかったんだけど、中睦まじいカップルが自分達の世界に入ってるのを見るとどうにも抑えがきかなくって」
と乱入者は笑いながら、というより口の端を吊り上げて睨みつけるような顔で言い放つ。
「この無礼者!!貴族にも関わらず、名も名乗らずに貴剣を向けるとは!万死に当たると思いなさい!」
アルヴィーといえばれっきとしたマジックアイテム。もちろん平民などに扱える代物ではなく、当然ルイズは「相手は貴族」と考えた。
しかし
「あら、悪いわねぇ。私、貴族なんかじゃないの」
「馬鹿言わないで。これだけの数のアルヴィーを平民が使えるはずがないじゃない」
「ええ、だから私が平民だと言ったおぼえもないわよ」
女は楽しそうにそう言って前髪をたくしあげた。
「お初にお目にかかりますわぁ。虚無の使い魔ミョズニトニルン。以後お見知り置きを…」
額には使い魔である証、古代文字のルーンが浮かび上がり、強い光を放ち続けている。
サイトにはあのルーンに見覚えがある…この半年の間ルイズを守り切ることができた一番の理由。そして今もっとも欲しているものと同じものを忘れられるはずがない。
「ほんとのことらしいな…」
「ええ、もちろん」
人を馬鹿にしているのか、それともこちらの予想通りの驚きに笑いをこらえられないのか、邪悪に声を弾ませている。
「でその虚無の使い魔さんが俺達に何のようがあるんですかね」
もちろん、あちらさんが友好的な行動をとってくれるかもなどという考えは接触した瞬間から捨てている。話し合いをしようという人間が剣を持ってくるはずがない。
これは相手がどの程度自分達に敵意を持ち、どの程度の攻撃を受ける可能性があるのかを計るためのもの。それによりこれからの行動が変わってくる。
相手が自分たちを捕獲、誘拐しようというのであれば抵抗さえしなければ、すぐに殺されるということはない。
しかし、もしも相手が自分たちを殺す目的で襲ってきているのだとすれば…
(最低、ルイズだけでも)
と考えたところでルイズの様子がおかしいことに気がついた。
肩を震わせて必死になにかを呟いている。
「虚無の使い魔…なんで…」
としばらく考えたあと堰を切ったように大声でミョズニトニルンへと詰め寄った。
「ミョズニトニルン!!あなたは私の使い魔であったことがあったかどうか、答えなさい!!」
ルイズは自分が虚無の使い手であることは覚えており、そして自分の使い魔が虚無の使い魔であるということも、普段の勉強による知識から理解していた。
しかし肝心の使い魔がガンダールヴであるのか、ヴィンダールヴなのか、それとも他の二つのどちらかなのか…
自分が理由もわからなく覚えている場所に現れた虚無の使い魔が自分の探している人であると考えるのは自然の摂理である。
女はそれを聞いて、弾んでいた声をさらに震わせて話す。
「さ〜あどうかしら。もしかしたらそうなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれないわよ」
「ふざけてんじゃないわよ!」
「あら、ふざけてなんかいないわよ?からかってるだけ♪」
「なっ!?」
先まで困惑と期待で震えていた肩が列火の怒りで震える。今すぐあの女に飛びかかりたいがそれでも…
(あれが私の使い魔かもしれない)
その希望が消えない。どんなに嫌な奴であったとしても自分の命を救ってくれた人である。7万の軍隊から身を挺して、命を賭けて救ってくれた人である。
その人かもしれない人物に襲いかかるなど誰が出来ようか。
「ついでにボウヤの質問にも答えてあげるわね」
楽しそうな悪魔が死の宣告を告げる。
「もちろん『殺しに』に決まってるじゃない」
(左からの胴への斬撃。相手の持つ武器は大剣、間合いは読みやすい)
前足で地面を蹴り斬線が通るであろう場から逃れる。
唸る風、1ミリ前を通り過ぎる刃。
大剣が通り過ぎた刹那、後ろ足を蹴り懐に入る。
死の特等席。ひとつの間違い、読み違いが生の方程式を死のそれへと連れていく場所。
(剣を振っても間合い不足…!)
「うらぁああああ!!」
そのまま力任せの当身をくらわせる。懐に潜りこんだ後の不自由な体勢、不十分な間合いで剣を振っていれば敵を切り裂くどころか皮一枚を切り裂くのが精いっぱい、ガーゴイルの返しの太刀で胴ごと一刀両断されていただろう。
アニエスとの修行のなかで戦いで散々狙い打たれた点である。そしてこれまでの教えを死の最前線で思い返す。
(いいかサイト。相手が重量の重い武器、斧や大剣だな。あれを相手にするときは敵の体勢を崩すことを考えろ。やつらは…)
当身によって体勢を崩された敵はわずかな時間、持つ武器の重さからそれを振る余裕がなくなる。
そしてその刹那を見逃さず首を一太刀のもと跳ね飛ばす。
「その武器の重さから二の太刀が遅く、体勢を崩されると決定的な隙が生まれる…だったな」
「あら、やるじゃない」
関心したようにつぶやく。自分のガーゴイルが倒されたことな蚊に刺されたこと程度にも気にしちゃいない。
「なら今度はどうかしらね?」
すると今度は二体のガーゴイル。一人は対の短剣を、一人は先と同じ型の大剣を持っている。
「くっ…」
まず短剣を持つ死が襲いかかってくる。
斬撃の暴風、死の雨。先のように前に出て避けられる隙間などあろうはずがない。
それを下がりながら大きめにかわす。
(一、二、三…)
短剣には弱点が二つある。ひとつは長所でもあるその重量の重さ。
その軽すぎる剣は相手の斬撃を受けるに細すぎるのである。
そしてもうひとつ…
(一、二)
「三!!」
サイトは避けられるはずのない剣線をかいくぐり、デルフリンガーを思い切り敵に振りぬいた。
(短剣は相手が未熟なものであればあるほど対処はた易い。その斬撃の多さから本人は全く意識しなくとも回数、斬撃の種類にリズムが生まれる。そこをつけ)
その剣は一対一であれば確実に敵を両断するものであった。しかし…
ギィン!!
それは重たい鉄と鉄がぶつかり合う音で遮られる。今の彼の敵は一人ではなく二人。簡単に倒せるはずがない。
そして斬撃を止められたことによる硬直で二の太刀が振るえないサイトに死神がその身を切り裂こうとその凶刃を振り降ろす。
(まずい!!)
その時、秒にも満たないその瞬間、耳に入った聞きなれた声、呪文。
エオルー・スーヌ・フィル・ヤルンサクサ
サイトはすぐさま後退、短剣による斬撃を左腕にもらうも、衣服を少し裂かれる程度ですんだ。
その数瞬後サイトのいた場所が爆発しそこにいたガーゴイル達は塵と化した。
「ハアハア…ありがとな、ルイズ」
切れる息を整えながら守るべきご主人様に声をかける。
「そんなことはどうでもいいから!いまはあっちに集中しなさい」
いつもの気丈な声。しかしどこか不安そうな声だ。
「はいはい、まかせとけって」
その声に明るく答えてやる。誰が聞いてもカラ元気に聞こえる声で。
二人ともすでに理解している。
このまま戦いが進めば確実に殺される。
それがわかっていながらもどうすることもできない。
正面入り口はすでに幾重にもガーゴイルの包囲が完成している。
虚無の魔法で窓、壁をぶち抜いても、相手のガーゴイルの数だ、外側の包囲も完成していると判断すべきであろう。突破するにはそれこそガンダールヴの力でもない限り不可能である。
「どうにかできんかね。伝説の剣様」
「こういう時だけ伝説扱いなんて…という冗談は後回しにして。あちらさんがこっちを殺す気満々ってなら助かる道は一つしかないね」
剣は無情に告げる。
「あのねーちゃんをぶっ倒す。それしかないわ」
不可能な話である。
この剣はこの平民に数百の剣撃、弓、敵の中に単騎で突っ込めと言っている。
この剣はこの男にその数百の剣、矢、凶刃を全てかわし敵の頭を落とせと言っている。
この剣はこの人にかわしきったあとに一撃のもとに敵を屠れと言っている。
確かに生きるためにはあの女を倒すしかない。
あの女を倒すにはあのガーゴイルの攻撃を全てかわさねばならない。
そしてそのすべてをかわせたとしても、おそらくチャンスは一刀。そのあとに斬撃を繰り出したとしても…否、繰り出せずしてガーゴイルに葬られるのがオチだろう。
「なに無茶言ってんのよ!!この馬鹿剣!!」
「そうは言ってもねぇ…これしか手はないんだよ」
そんなことはわかりきったことである。しかしこれでは
「あの時と…同じじゃない…」
あの背中の剣士と…自分を助けるために7万の軍隊に突っ込んだというあの人と…
また自分は同じことを繰り返すのか。
それ以前にこの平民が自分を守るはずが、会って一日しか経っていない剣士が、自分のために命を張るはずがない。
そうルイズは思っていた。
だが、その考えには間違いである。確かにこの状況はそこいらの剣士、使い魔ですら逃げ出すものである。
ならばなぜ逃げないのか
なぜならそこにいるのは
「きっついなぁ…」
虚無の担い手を半年の間守り通し、今もその身の盾となっている男である。
「…よっしゃ」
主人を守るために7万の軍隊に単騎による突撃をかけ、それを止めた使い魔である。
「しゃあないな」
そしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールに
「指示をくれ、デルフ」
世界で唯一、ただ一人、心から
「突っ込むぞ!」
好きだと言い、愛していると告げられる者であるから。
「待ちなさい!!」
少女は剣士を呼びとめる。
少年は目線を敵から魔法使いへと移す。
「なんで!?なんでそこまでするのよ!!あんたはただの平民、さっさと逃げなさい!今ならまだ見逃してもらえるわ!!」
寺院の中に少女の怒号が響く。
「えぇ、見逃してあげるわよ♪用があるのは虚無のお譲ちゃんだけだし。それにね」
女は舌舐めずりをし、冷たい眼、冷たい笑いでこちらを一瞥し告げる。
「味方を見捨てて逃げていく輩を眺めてるのがとおおおっても大好きなの♪」
冷酷な告白は続く。
「この小さいアルヴィーを使ってね。逃げた相手を観察するの。逃げたヤツは大体が『俺が殺した』とか『なんで逃げたんだ』とか言ってボロボロになっていくの。そこにね、見捨てられた人間の骨とか髪の毛を送りつけてね、こう書き置きしておくの」
そして女はこみ上げる笑いを堪え切れないかのように一気にセリフを吐きだす。
「『あなたが殺したお友達です』ってねえええ!!アハハハハハハハハハハハ!!」
(あの女、狂ってる…)
ルイズは恐怖に震えた。このような狂った頭の持ち主の人間会ったことがない。こいつと関りたくないという気持ちが一気に増大する。
そしてあの狂人に向かおうとしているバカに思い出すように告げる。
「聞いたでしょ?あんたは今すぐ逃げなさい。運が悪くても命だけは助かるから。大丈夫、私もなんとかはぐらかして「黙ってろ」
剣士はその言葉とは裏腹に、温かく、包み込むように呟いた。
「オレは何があっても逃げない、見捨てない。そんでお前は殺させない。俺も死なない」
その眼はもう私を見ていない。
「な、何言ってんのよ!バカ剣、あんたも伝説の剣なら止めなさ…」
そこでルイズは気がついた。
私はこの剣を知っている。私が買ったインテリジェンスソード。
それを持つ剣士つまり…
「だとよ相棒。やめとくかい?」
デルフリンガーは軽く剣士に喋りかけた。
「冗談、約束したからな」
目は敵の方を向いたまま。
「ずっと守るってな」
サイトは死へと駈け出した。
駆け出す直前の背中は少女が見た背中よりも大きかった。
253 :
純愛センター:2007/09/07(金) 23:02:21 ID:IhPYOVUi
はい、また終わらなかったです…
しばらく文を書いてなかったのでアラがひどいと思われますがスルーしてくれると助かります(汗
ちなみにミョズニトニルンが別人なのは仕様です。ラスボスっぽくしたかったので…
ではでは…
254 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 23:14:34 ID:Sj8FI4Eb
純愛センターさんと俺が同学年な件。
というわけでGJ!
GJ。ずっと待っていたんだぜ。
純愛さんキタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!!!
ずっと待ってたんだぜぇ!!!
乙
俺もずっと待ってたよ。
この続きもずっと待ってるから。
258 :
伝説の男:2007/09/08(土) 02:30:04 ID:xodBU9R+
最近、才人は不意に殺気のようなものを背中に感じることがある。
異世界ハルケギニアに召喚されて以降幾度も戦闘に巻き込まれた経験が、そういった感覚を鋭敏に
しているらしい。
たとえばベンチに座ってルイズやシエスタと談笑しているときや、図書館でタバサと一緒に読書し
ているときなど、突如として背筋に悪寒が走り、心臓の鼓動が速くなることがあるのだ。
「またどっかの悪者にでも狙われてんのかな」
ぼやくように呟く才人に、背中のデルフリンガーが笑い混じりの声を返す。
「いやあ、違うと思うね」
「違うって?」
「ああ。殺気感じるときっつーのは、要は女の子といちゃいちゃしてるときなんだろ。嫉妬されてん
のよ相棒は」
「嫉妬、ねえ」
才人としては複雑な気分である。
彼の周囲の女の子達は確かに美少女揃いだし、仲良く談笑しているのも事実だ。
しかし、あくまでも才人としてはルイズ一筋の気持ちなのである。
ルイズ本人が態度をはっきりさせないせいで言いそびれているという事情はあるものの、シエスタ
やタバサやティファニアと一緒になろう、という気持ちは、今のところ全くない。
(俺に嫉妬してる暇があるなら自分らで口説いてみろっつーの)
陰から嫉妬混じりの視線を送ってくる連中に少々侮蔑的な感情を抱きつつ、才人は大きく嘆息した。
翌日、ベンチに座ってルイズやシエスタと談笑しているとき、才人はまたしても例の殺気混じりの
視線を感じた。
(ああもう、うざってえなあ)
少々苛立ちながら後方を振り返る。いつもならば誰の姿も発見できないのだが、この日は違った。
塔の影に、誰かの姿が消えるのがちらりと見えたのである。
(ちょうどいいや、追いかけてって一言言ってやる)
ルイズとシエスタに「ごめん、ちょっと用思い出した」と簡単に言い置いて、才人は走り出す。た
とえガンダールヴの力なしでも、この学校のひ弱なお坊ちゃんたちに体力で負ける訳がない。そう考
えていたので、才人はあえて自分の足だけで先程の生徒を追いかける。
だが、予想に反して、生徒はなかなか捕まらなかった。それどころか、何故か才人だけに向かって
逆風が吹きつけてきたり、突然地面に出っ張りが出現してすっ転んだりして、差が広がる一方だ。
「ちくしょう、何だってんだ」
「誰かが魔法でサポートしてるみてえだね。明らかに罠だよこれは」
背中でデルフリンガーが警告する。才人の胸が怒りで熱くなった。
「ケッ、一人じゃ勝てねーから集団でボコろうってことかよ。そんなだからモテねーんだ。上等だ、
何人相手だろうが全員ぶっ飛ばしてやるぜ」
下げたくない頭は下げない信条で、なおかつ割と喧嘩っ早い才人である。もはや罠がどうだとかは
気にせず、ひたすら前方の背中を追いかけ続ける。
そして、二人はついに学院の敷地内から抜け出し、周囲に広がる森の奥にまでやってきた。妨害は
このときになってもまだ続いていたため、才人はやはり前方の生徒に追いつくことができずにいる。
「あの野郎、一体どこに行く気なんだ」
「安心しなよ相棒、そろそろ追いかけっこも終わりみたいだぜ」
デルフリンガーの言葉どおり、前方の生徒は森が少し開けたところに立っていた掘っ立て小屋に駆
け込んでいくところである。
「なるほど、あそこでモテねー男どもが俺をぶちのめそうと待ち構えてるって訳だ」
「どうすんだい相棒」
「もちろん突っ込む。で、俺の意思をはっきり伝えてやらあ」
「俺はルイズ一筋だってか」
「おうよ」
「相棒の普段の態度考えると、とても信用されるとは思えねえがね」
「お前までそんなこと言うのかよ。俺は誠実で一本気な男だぜ」
「言うだけなら誰だってできらあね。ま、やってみなよ」
いつも通り軽口を叩きあいながら、才人は慎重に掘っ立て小屋に足を踏み入れる。デルフリンガー
は既に彼の手の中である。さすがに、突然魔法が飛んでくるかもしれない状況で、ガンダールヴの力
を使わない訳にはいかなかった。
掘っ立て小屋は見かけどおり狭く、中は木こりのものらしい道具がぎゅうぎゅうに押し込んである
だけであった。先程の生徒の姿も見えない。
259 :
伝説の男:2007/09/08(土) 02:30:40 ID:xodBU9R+
「どこ行ったんだ、あいつ」
「下見なよ、相棒」
デルフリンガーの言葉に従って床を見下ろすと、小さな寝台の下に石造りの下り階段が口を開けて
いた。
「隠し階段か」
「地下に広い施設がありそうな感じだね」
「で、その奥には魔王が待ち構えてるって訳か。RPGのやりすぎだぜ全く」
「RPGってなんだね」
「こっちの話だよ。ともかく、下行って連中と喧嘩すりゃいい訳だな」
才人はゆっくりと階段を下り始める。壁に魔法のランプが灯されているため、地下に降りていくに
も関わらず、周囲はずっと明るいままである。その内に、階段の終わりが見えた。一枚の木の扉があ
る。
「あの向こうにラスボスが待ち構えてるって訳だな」
「ラスボスってのが何なのかは知らねえけど、まあそうだろうね」
「そんじゃ、突撃するとすっか」
才人は勢いよく扉を蹴破り、地下の部屋に突撃した。
「オラオラお前ら、誘いに乗って出てきてやったぜ。どっからでもかかって」
言いかけた才人は、唖然とした。地下の部屋はちょっとした広場ぐらいの広さがあり、そこに多く
の人間がひしめき合っていたのである。
魔法学院の生徒だけではない。騎士らしき者や、町人らしき者までいる。身分から年齢までバラバ
ラな者達が、皆一様に踏み込んできた才人を凝視しているのである。
(オイオイなんだこりゃ、どうなってるんだ)
さすがの才人も内心冷や汗を流しながら硬直するしかない。どうせマリコルヌ辺りの悪戯だろうと
高をくくっていたところもあり、まさかこれほどの人数が揃っているとは予想もしていなかったのだ。
一体何をどうすればいいのか分からずに止まってしまった才人の目前で、不意に群集が真ん中から
割れて、その向こうから一人の少年が姿を現した。
「ようこそサイト」
「ってやっぱりお前かよマリコルヌ」
少々うんざりしつつ、才人は悪友に呆れた声をかける。
いつも通り小太りなマリコルヌは、ふっくらした頬に深い皺を作りながら笑った。
「まあそう言うなよ。大方予想はついていたんじゃないのかい」
「そうだけどよ。こりゃ一体何の集まりなんだ」
相手の態度に敵意が感じられないことに少し驚きつつも、才人はマリコルヌに問いかける。
「彼らは僕の同志たちさ」
「同志って、何の」
「君の周囲に集う女の子達の」
やっぱりそれ関連かよ、とまたもうんざりする才人のことなど気にした風もなく、マリコルヌは向
かって左から順々に、群集を手で示していく。
「紹介しよう。まず彼らがルイジスト、その隣がシエスタン」
「オイ、俺に分かるように説明しろよ。ルイジストってなんだ」
「ルイズファンの集まりだよ」
「なに?」
才人は目を剥いて、群集の内向かって左端辺りの男たちを見やる。すると彼らは皆笑顔を浮かべな
がら、手に手に何かを掲げて、才人に見せた。それは絵画だったり彫り物だったり彫像だったりした
が、どれも才人がよく知るルイズの姿を表現したものばかりであった。
「なんだ、まさかこいつら」
「そう。ルイズに恋焦がれている男たちなのさ」
「そんなバカな」
「バカな、じゃないんだよ。ルイズも君もあれこれと活躍して、少々有名になっているからね。美少
女である彼女にファンが出来るのは当然のことなのさ」
「なるほどねえ。それにしても」
才人は改めて、群集一人一人を見回した。そして、結論付けるように頷いた。
「どいつもこいつも、モテなさそうな顔した連中ばっかりだな」
「事実だ」
「認めるのかよ」
マリコルヌは才人に背中を向けると、群集を見回すようにゆっくりと首をめぐらせた。
「彼らは皆、容姿に自信がなかったり口下手だったりで、マトモに女の子に相手にしてもらえない男
たちばかりだ。君の周囲に集まる女の子達の姿を象った物を愛でることだけが、彼らにとって唯一
の喜びなのだよ」
260 :
伝説の男:2007/09/08(土) 02:31:28 ID:xodBU9R+
「要するにキモヲタな訳だな」
懐かしいフレーズだなあと思いつつ、才人はしみじみ頷いた。
やはり、どこの世界だろうと勝ち組と負け組は存在するのだなあと、思い知った気分である。
「で、改めて紹介しよう。向かって左から、彼らがルイズを信奉するルイジスト、隣がメイドのシエ
スタを愛して止まないシエスタン、隣がちびっ娘タバサに心を奪われたタバシスト、その隣がアン
リエッタ女王陛下に忠誠を尽くすアンリエスト、最後、向かって右端が、ハーフエルフのティファ
ニアに狂うティファニアンだ」
「頭が痛くなってくるぜ、いろんな意味で」
「ちなみに僕はルイジスト会長だ」
「アホか」
才人は首を振りつつ、またかすかに緊張を取り戻した。
「で、お前らの目的はなんだ。モテねー連中が寄ってたかって俺をボコろうってか」
挑発的な物言いをするのには訳がある。たとえこの連中が何人だろうがメイジ混じりだろうが、こ
んな狭い場所で一斉に襲い掛かってこようとすれば、大混乱の内に自壊するのは目に見えている。そ
れを狙ったのである。
が、その予想に反して、こちらに振り返ったマリコルヌの顔には満面の笑みが浮かんでいた。
「そんな訳ないだろう。それどころか、僕らは君に深く感謝しているのだよ」
「感謝?」
予想もしない言葉を聞いて、才人は眉をひそめる。
「どういうことだよ」
「簡単な話だ。僕らの女神たちの魅力的な表情を引き出せる人間は、君しかいないということだよ」
「そうそう」
「あんたのおかげで、明るい表情や怒った表情、エロい表情まで堪能させてもらってますぜ」
「いよっ、さすがトリステイン一強い騎士様!」
「尊敬するぜシュヴァリエ!」
周囲の男たちが口々に歓声を飛ばしてくる。その内、群集の中から一人の細い男が出来て、才人に
何やら水晶玉のようなものを差し出した。
「これ見てくださいよシュヴァリエ」
「なんだこりゃ」
「私の開発したマジックアイテムです。あ、ちなみにわたしはティファニアンなんですけどね」
んなこと聞いてねえよ、と思いつつも、才人は水晶玉を覗き込む。そして、絶句した。
そこに映し出されていたのは、才人のよく知るハーフエルフの娘、ティファニアの姿であった。
笑っている顔、困惑している顔、泣いている顔……千変万化する表情が、鮮明な映像となって映し
出されている。
「これは一体」
「私の女神様の御姿を永遠に留めておけるアイテムです。ああ、私の愛しいティファニア様」
うっとりと呟きつつ、男は水晶玉に口づけする。こいつキメェ、と身を引く才人の肩を、マリコル
ヌがぽんと叩いた。
「これは彼が発明したんだよ」
「マジッスか」
「ああ。彼のティファニアン魂が、ついにあのいけないおっぱいを永遠に記録することを可能とした
のだよ!」
おっぱい言うな、と心の中で突っ込みながらも、才人は驚嘆していた。
(要するに、ティファニアの写真撮りたい一心で、今まで誰もなし得なかったことを成した訳だ、こ
いつは)
キモヲタの情念スゲェ、と唸る才人に、マリコルヌは「さて」と再び背中を向けた。
「サイト。今日君をここに誘い込んだのは、もちろんこんな与太話をするためじゃあないんだ」
「じゃあなんだ。俺をボコるつもりじゃないんだろう」
「ああ。ここに君を呼んだのは、君の意思を確認するためだ」
「俺の意思、っつーと」
「つまり、君が一体、誰のことを一番に愛しているのか、ということだよ」
やはりそう来たか、と才人は唇を噛み締める。話の流れである程度分かっていたことではある。
「君は僕らの女神様たちに魅力的な表情を浮かべさせてくれる、大した男ではある。が、我々は同時
に不安なのだよ。君が一体、誰を選ぶのか、とね」
地下室の空気が、徐々に危険な色合いを帯び始める。やはり最近感じていた殺気はこの男たちのも
のだったのだ、と才人は再確認する。
そして、同時に理解した。ここで自分がどう答えるかで、今後の運命は大きく変わるだろうという
ことを。
261 :
伝説の男:2007/09/08(土) 02:32:24 ID:xodBU9R+
(要するに、こいつらは自分好みの美少女が幸せそうにしてりゃいいわけだ。
ってことは、ここで俺が選んだ女の子のファンは俺に味方し、それ以外の女の子のファンは
『俺の○○ちゃんを悲しませるヤローめ』って理屈で俺に敵対する、と)
才人の背中を嫌な汗が流れる。モテない野郎どもは、皆凄まじい殺気を放っている。様々な死闘を
潜り抜けた才人にも、圧迫感を与えんばかりである。土下座して逃げ出せるなら逃げ出したい気分
だった。
(怖ぇ、マジ怖ぇ、キモヲタ怖ぇ)
内心震え上がりながらも、才人は必死にこの場を潜り抜ける方法を考える。
(俺の気持ちはルイズ一本だ。いやだがしかし、ここに来てシエスタも捨て難いという気分になって
いる。だがタバサの捨てられた子犬のような目を想像すると心が痛むし、アン様に対してもあれこ
れと中途半端なままだ。ティファニアにだって、あの森から引っ張り出してきちまった罪悪感みた
いなものがある訳だし)
ぐるぐるぐるぐる思考は巡るが、一向に答えは出てこない。
「さて、それでは君の答えをお聞かせ願おうか」
才人に背中を向けたまま、マリコルヌが堂々とした口調で問うてくる。彼自身も自らルイジストだ
と名乗っているだけあって、その背中から放たれる殺気だけでかみ殺されそうな錯覚すらある。
(狼だ。こいつらはモテねーキモヲタという名の狼なんだ)
ガクガクと震える才人に、周囲の男たちが一斉に声を上げる。
「さあ、シュヴァリエの答えは」
才人はいよいよ追い詰められ、カラカラに乾いた口を開く。
「俺は」
自分が何を言おうとしているのか理解できないまま、才人はついに、答えを口にした。
「全員、選んじゃおうかなー、なんて」
その瞬間、地下室に沈黙が下りた。
(やっちまったぁぁぁぁぁぁっ!)
才人は心の中で頭を抱える。よりにもよって、一番よくない選択肢を選んでしまった。
(『フザケンな、そんなはっきりしねえ野郎に俺達の○○ちゃんを任せられるか!』
『そうだそうだ、この腑抜け野郎をやっちまえ!』と襲い掛かってくるこいつらの顔が目に浮かぶ
ぜ……!ごめんルイズ、皆! 俺、もう帰れそうにない)
死を覚悟する才人の前で、マリコルヌが背中を向けたまま問いかけてくる。
「その答えに、偽りはないな」
「ああ」
今更否定する訳にもいかず、才人は大きく頷いた。煮るなり焼くなり好きにしろ、という気持ちで
ある。
しかし、予想に反して、振り返ったマリコルヌの顔には、先程以上の素晴らしい笑みが浮かんでいた。
「よく言ってくれた、サイト!」
「は」
何を言われたのか分からず、才人はぽかんと口を開く。それと同時に、周囲で歓声が爆発した。男
たちの野太い叫びがいくつも重なり合って地下室を揺らし、彼らの手から放たれた絵や人形などが
次々と宙を舞う。
「万歳」
「万歳、シュヴァリエ万歳」
「これで我らは救われるぞ」
男たちは口々にそんなことを叫んでいる。
意味不明な展開に困惑する才人の肩を、マリコルヌが労うようにポンポン叩いた。
「本当によかった。これで僕らも安心できるというものだ」
「どういうことなんだ、マリコルヌ。俺の考えは、自分で言うのもなんだけど、あまり常識的じゃな
いような」
さすがにこのままにしておくことも出来ず、サイトは恐る恐る言う。だが、マリコルヌは笑みを崩
さずにゆっくりと首を横に振った。
「分かってないなサイト。確かに、君の考えは非常識だ。だが」
「だが?」
「だから、いいんじゃあないか」
「意味が分からん」
262 :
伝説の男:2007/09/08(土) 02:33:23 ID:xodBU9R+
「いいかい、君が全員物にすると誓ったということはだ。僕らは、互いの利益を損ねることなく、自
分が愛する女の子の多彩な表情を、これからも、いや、これまで以上に楽しむことが出来るという
訳だよ」
「そ、そういうもんか?」
「そういうもんだ」
「……そういうもんか」
「そういうもんさ」
「そうだな。そういうもんだよな!」
ついに、才人も考えるのを止めた。デルフリンガーを放り出し、周囲の男たちとひたすら肩を叩きあう。
「いや、よく言ってくれたよシュヴァリエ」
「シエスタちゃんのこと、よろしく頼むぜ!」
「タバサさまも可愛がってやれよ!」
「おうおう分かってる分かってる、全員俺に任しとけよ」
半ばヤケクソになりつつ、才人は周囲の男たちにそう宣言する。
あまり誠実とは言えない結果になってしまったが、ここまで喜ばれると、これはこれでよかったと
いうような気にもなってくる。
(それにまあ、全員選ぶ、なんてことをルイズたちが承知するとも思えんし。どうせ最後には一人選
んで常識的なところに収まるだろう)
そんな楽観的なことを考えていた才人に、ふとマリコルヌが言葉をかける。
「そうそう、サイト。言い忘れていたが」
「なんだ」
「君は今、全員物にすると誓ったんだ」
「ああ」
「つまり、僕らに対して、あの子たち全員を漏れなく幸せにする義務を負った訳だよ、君は」
「……ん?」
上手く理解できず、才人は首を傾げる。
(今何か、とんでもないことを言われたような)
なかなか頭が回らない才人に、マリコルヌが笑みを崩さぬまま言葉を続ける。
「これで、もしも僕らの愛する女の子達の内一人でも、君のせいで不幸になったり涙を流す結果に終
わったりしたら」
才人の背中がぞくりと震える。マリコルヌも、周囲の男たちも、皆笑顔のままである。
その笑顔が、何故かとても恐ろしい。
「僕らは君を八つ裂きにして肉をオーク鬼に食わせ骨をトロルにしゃぶらせ、目玉を竜の餌にして脳
味噌がウジ虫だらけになるまで地べたにさらしてやる。そのことを、ゆめゆめ忘れないようにな。
なに、僕らだって、彼女らの幸せのためなら努力は惜しまないつもりさ」
「そうだとも」
「タバサのためなら死ねる」
「ルイズの幸せのためならエルフの大群にだって突っ込んでみせらあ」
「アン様万歳!」
「面倒ごとは俺達に全部任せて、あんたは彼女らを幸せにすることだけ考えてくれ」
「そうだとも。あの子らのためなら何だってやれんぜ、俺ら」
「たとえこの世界の秩序を歪めてでもな!」
「まあ、あの子ら不幸にしたら地獄の果てまであんたを追い落とすけどな!」
周囲の男たちが、めいめい好き勝手なことを口々に喚き出す。
こうして、才人は周囲の少女達全員を幸福にする義務を負ったのであった。
263 :
伝説の男:2007/09/08(土) 02:34:34 ID:xodBU9R+
「ねえサイト、サイトってば」
「ん。なんだ、ルイズ」
「何やってんのよあんた。黙っちゃって。寝てたの?」
「いや。ちょっと昔のこと思い出してたのさ」
黙々と数年前のことを回顧していた才人は、ルイズの声で現実に引き戻された。
目の前には、地球にいたころSF映画などで見たような、宇宙船のブリッジがある。
才人はそのブリッジの中でも一番高い、艦長席に座っているのである。
(冗談みてえな状況だ)
だが、冗談ではないのだった。
「いよいよ出発ですわね、サイト様」
微笑みながら才人の左腕に両腕を絡めてくるのは、数年前までトリステイン女王だったアンリエッ
タである。今はその肩書きも外れて、ただ一人のアンリエッタとしてここにいるのだが。
左腕にアンリエッタの腕と乳房の柔らかさを感じながらも、才人は内心冷や汗を流していた。アン
リエッタと同じく彼の傍らに控えている他の少女たちのことが、気になって仕方がない。
(あんまり不機嫌そうな顔するのは止めてくれよ、皆)
才人の傍らには、アンリエッタとルイズだけではなく、シエスタにタバサ、それにティファニアも
いた。今や皆、才人と「恋人同士」という関係である。
ともすれば羨ましくも思える状況であるが、才人にしてみれば嬉しかったり楽しかったりよりも、
恐ろしかったり苦しかったりという感情の方が大きい。
何せ、マリコルヌらとあの盟約を交わして以来、才人は常に「誰も悲しませたり怒らせたりしない
ように、皆といっぺんに幸せになる」ということばかり考えて生きてきたのだから。
故に、この数年間は、常に細い糸の上で綱渡りをしているかのような生活であった。誰かに優しく
しすぎたり、逆にそっけなくしたりするだけで、物陰から銃弾やら魔法やらが飛んでくるのだ。それ
も、少女たちの見ていないところで。
(頑張りすぎだぜ、お前ら)
呆れるほどの情念に恐怖を覚えながら、才人は必死でここまでやってきた。おかげで、当初は不可
能に思われた「皆とまとめて幸せになる」という状況も、ここまで何とか保ててきている。少女たち
一人一人の性格を考えてみれば、まさに奇跡としか言いようのない状況である。
(それにしても)
ハルケギニア製とはとても思えない宇宙船のブリッジを見回しながら、才人は嘆息する。
この船、船名「オストラントZ世」号は、アンリエストたちが総力を結集して作り上げた宇宙船で
ある。
サイトが寝物語に宇宙の話なんかを語ったのが始まりで、
「私、サイトさまと一緒に星の海を飛んでみたいです」
などとアンリエッタが言い出したものだから、「アン様の望みを叶えてやろうぜ!」とアンリエス
トたちが燃えに燃えたのである。
まさか本当に本物の宇宙船を作ってしまうなどとは思いもしなかったが、ここ数年はずっとこんな
感じであった。
アンリエッタが女王という立場に苦しんでいると知れば、スムーズかつ平和裏に王政を崩壊させて
彼女を自由の身にし、ティファニアが母の故郷に行きたがっていると知れば、「オストラント」号に
改造を施してエルフの軍勢をレーザー兵器でなぎ払ったりする。
タバサの復讐もタバシストらの暗躍により実に華麗に片付き、母親の心も容易く元に戻してみせる。
ルイズやシエスタらの場合も同様で、彼女らの望みはそれぞれの信者の尽力でことごとく叶えられ
ているのであった。
264 :
伝説の男:2007/09/08(土) 02:35:32 ID:xodBU9R+
(一体あのキモヲタどもは何者なんだ)
物理法則とか文明レベルとかそういう類の決まりごとを、猛る情念と少女達への愛でことごとく突
破していく男たち。
その凄まじい勢いに薄ら寒さすら感じる才人ではあるが、もはやそんなことを考えても仕方がない。
「まああれだよ相棒。仮に相棒が物語の主人公だとすりゃ、あの連中は読者だったのさ。紙の上の人
間は、それを読んでる人間には勝てんわな」
などと、デルフリンガーは分かるような分からないようなことを嘯いたりしている。
「さてサイト、出発の号令を頼むよ」
少し離れた場所にある副官席に座ったマリコルヌが、こちらを振り返ってまぶしそうに目を細める。
才人の傍らのルイズを見ているのであろうことは、いちいち確かめなくても分かる。
「分かったよ。じゃ、オストラントZ世、星の海へ向けて出発」
才人の命令を受けて、船内の各所から応答の声が上がる。少し経って船体が細かく振動し始め、ブ
リッジから見える景色がゆっくりと上昇していく。
「大丈夫でしょうか。なんだか少し怖い」
傍らに立っていたシエスタが、怯えたように呟く。才人は笑って彼女を抱き寄せた。
「大丈夫だよ。何があったって、俺がついてる」
「サイトさん」
腕の中のシエスタが、頬を赤らめる。船内各所でこの様子をモニターしているのであろうシエスタ
ンたちが歓声を上げる様子が、目に浮かぶようだった。
(ま、これからどうなるかは分からんが)
後で他の娘達にも何かかにかしてやってバランスを取らなきゃならん、と頭の隅で考えつつ、才人
は肩を竦めた。
(俺は、この子らが不幸にならんように、ずっと頑張っていかなくちゃならねえんだろうな)
外の景色が星の海に切り替わるのを眺めながら、才人は再び長く長く嘆息するのであった。
この後も才人は五人の美少女と彼女らを信奉する男たちを引き連れて、宇宙やら別次元やらを次々
と旅していくことになる。
その過程で彼女らに別々の星を与えたやら別々の宇宙を与えたやら、そういうぶっ飛んだ逸話をい
くつか残したらしいが、話の規模があまりにも馬鹿馬鹿しすぎて、どれが真実なのかはいまいち分か
らないのである。
265 :
205:2007/09/08(土) 02:37:41 ID:xodBU9R+
単にシエスタンとかティファニアンとか書いてみたかっただけです。
さあ、諸君も自分の所属を明らかにしたまえ……いや、しなくてもいいけど。
タバシスト乙
タバサスキーのほうがごろがいいと思った
いや、それだけなんだけど
ルイジスト達が作った秘密結社『ランランルイズ(通称RRR)』
シエスタンの集まり 『好き好きシエスタ(通称SSS)』
ってのが思い浮かんだ
ルイズはLouiseだと思ったが・・・
それはともかく、俺がその場にいるとしたら、絶対にマリコルヌの下で働いているに違いない
しっとの心は父心!
押せば命の泉湧く!
見よ!
しっと魂は暑苦しいまでに燃えている!!
間違いなくタバシストの俺が来ましたよ。
>>265GJ!!何度もワロタwwwwww
>269
じゃあLoveLoveLouiseなんだろ
じゃあ俺はAAA(アン・アン・アン様)で。
あちしは典型的アンリエストでございますw
あ、アニエス………
つまりはアニエスがしっと団総統か?
嫉妬パワー100兆×100ギガバイトにパワーアップされてしまうのか
おい、なんかスレの空気がおかしいぞwww
投下ラッシュでテンション上がるのはわかるが一般人にもわかりそうなネタで頼むwww
>>280 ここに来ている時点で一般人とは言えないと思うんだが
俺はアニエスタンだ
アニエスタンってどこの国?
ちなみに「〜タン」あるいは「〜スタン」というのはペルシア語に由来する接尾辞で、
「〜が多い土地、豊かな土地」という意味から転じて「〜族の多い国」という意味になったそうな。
昔アウシタンとローディストというのが(ry
しかし時々変なもの投下するなこの人は
アニエスキーで良くね?w
じゃあアニエスキーで
>>241 GJ!アン様可愛いすぎる。
やっぱりラブラブ調教は良いもんですな。
アニエスキーならもっと短くしてアニキーでもいいんじゃね?
アニキーというと店長が出てきてしまいます><
「マドモヮゼェッルとお呼びなさい」
「ア、アニ…」
「なんだ、ヒラガサイト」
「アニキー、もう、駄目だ!」
「?」
12巻でティファニアンになりますた
七巻で完全にサイタンになりました
あ゛ーっ
先週でコルベリストになりました
最初からタバサー(tabithaer)です
徹頭徹尾ALLヒロインザーです
無論ケティもです
天元突破ゼロの使い魔ンです。
もう何がなんだか
繋ぎの小ネタ投下。黒ルイズ
「さいとぉさいとぉさいとぉさいとぉさいとぉさいとぉさいとぉさいとぉ」
上気した頬に歪んだ微笑みでオレの顔を舐めまわすのはオレのご主人様だったルイズだ。
「私たちはずぅうっと一緒なんだからね」
彼女の目には光を宿してはおらず黒く濁っていた。
「……る、ルイズ。わかったから。オレはずっと側にいるから……」
「ああ、嬉しいわサイト。やっと私の愛を受け入れくれるのね」
「……だからコレを外してくれ」
コレというのはオレを縛っている魔法のロープであり木でできた手枷足枷だ。
それによってオレは地下室のベッドに監禁されている。
「いやぁ……」
「る、ルイズ、頼むよ」
「イヤ!イヤ!イヤ!イヤ!イヤ!!!!!!!!」
突然痛む頬。どうやらまたルイズの鞭で殴られたらしい。
「また他の女の子のところに行くでしょ!わかってるんだから!!知ってるんだから!!!」
振るわれる暴力。
痛い――だがもう慣れてしまった。
もうオレの身体にはキズがついていないところはないだろう。
「ごめんなさい!!お願い!お願いだから嫌いにならないでぇサイト!!」
とても取り乱しているルイズ。
ここに来てからずっとこれの繰り返しだ。
いつまでこんな生活が続くのか……。
オレにはわからない。
オレにできるのはこれが夢であることを願うだけだった。
黒って言うかヤンデレ?
ヤンデレに救いは無いのかい?
救いが有った前例は俺が知ってる限りだと無いな…。
ヤンデレ大全に乗ってたキャラでいくと
フレイかな・・・死んだけどなんか幸せそうだったし
鬼哭街のルイリーなんか幸せになれたんじゃないかな?
救いがないからこそのヤンデレなのね。意外に良いかも。
沙耶の歌とかもヤンデレなのかね。
流石にスレ違いだ、帰れ
アンver
オレは甘ったるい匂いで目を覚ました。
ルイズに監禁されていた地下室の埃臭いものと違い、花や果実のようなどこか女性じみた匂いだった。
「騎士様、お目覚めになりましたか?」
声がする方を見ると今や女王となったアンリエッタの姿があった。
「ひ、姫様!どうして!?ここは何処ですか?」
「……あん」
「……へ?」
「アンと呼んでくださいまし。でないと何もお教えしません」
子どものようにむくれた表情でアンリエッタがそう言った。
「あ、アン。ここは何処?る、ルイズは?」
そうだ。オレはルイズに監禁されていたはずなのに、今ではルイズがいない上に見たこともないほど綺麗な部屋にいた。
「はい、騎士様を虐めた悪い悪い魔法使いなど処分しました。ここは城の客間ですよ」
アンはさも当然という風ににっこりと微笑みながらそう言った。
「……しょ、処分?」
ワカラナイ。彼女の言っていることがわからない。
「はい、だから私達のことを邪魔するモノは何も無いんです」
モノ?ルイズがモノ?
「騎士様。私の騎士様」
混乱しているオレに突然アンが迫り唇を奪った。
「はぁはぁ騎士さまぁ」
甘い声。そこには女を剥き出しにするアンリエッタの姿があった。
舌が唇の間に入ってくる。
歯を一枚一枚丁寧に舐めまわされ強引に開いた口に更にオレの舌を求めて奥に奥にと迫ってくる。
「おいしい♪おいしいの〜♪」
恍惚の表情で止むこと無く貪られる。
「ひめさまぁ!やめて、やめてください」
頭が熱い。拒絶しようとしても身体が動かない。
「ダメですよ無理に動いては。今は騎士様は怪我の治療のために動かないようにポーションを使ってますからね。あと姫ではなくアンと呼んでくださいまし」
嘘だ。
確かにルイズによって至るところに怪我を負わされいたがあの小さなルイズの力だ。
オレに絶対安静を強いる程の傷を与えられる筈は無い。
「だから私がずっと看てあげますよ♪そう永久に………」
そう言葉を繋ぐと続けられる口虐。
「ひめさま……やめ……」
「ですからアンですよ、騎士様♪」
「あ、アン……やめて…」
「イヤですわ。愛してると言ってくださいまし」
「……ダメです……やめてください…」
「強情な騎士様も素敵ですわ。まだまだ時間がありますからゆっくりと私の愛を教えて差し上げますわ♪」
歪んだ表情で笑うアンリエッタ。
まだまだ少女アンとの秘め事は始まったばかりである………。
とゆーわけで投下
『ある日の授業』
「諸君らは、自分が何故魔法を使えるのか、考えたことがあるだろうか」
戦争前に比べて、コルベール先生の授業を真面目に聴くようになった学院生はかなり増えた。
私はもともとどんな授業も真剣に臨んでいたけど、彼のそれはしばしば魔法から逸脱するため、少々軽んじてる部分もあった。
今もそう、魔法学もそこそこに机の上に色々出して実験とやらを繰り返している。
右隣のキュルケは授業内容問わず暑苦しい視線を先生に向けてるし、左隣のサイトは魔法学は机に突っ伏して寝てたクセに、今はさらに隣のタバサに何か説明してる。たぶん、先生の実験とやらについてだろうが、とにかく後でお仕置きしよう。
そんなことを思いながらぼーっとしていた時だった。
「諸君らは、自分が何故魔法を使えるのか、考えたことがあるだろうか」
貴族だから。
最初に浮かんだのがコレ。私だけじゃなく、ほとんどの生徒がそう考えたはず。
でも、そんなことを言いたいんじゃないってこと位は (日頃空気を読めないと言われる) 私でも解る。
「もちろん、貴族だからです。ミスタ・コルベール」
頭の可哀想な金髪がやおら立ち上がり、左手で髪をかき上げ右手の薔薇を前に突き出してほざいた。
隣に座ってるモンモランシーが頭を抱えているのが見える。
>>310 うぉー、超GJ!
まさかアン様版を書いていただけるとわ。
先生は目を閉じて数瞬、また開いて
「確かに、それは間違いではない。我々が常の解釈として魔法を使えるのが貴族、そうでないのが平民という区別をし、時に差別をしてきた」
サイトは今、何を思ってるのだろうか。横顔が少し固い。
「しかし勘違いをしてはいけない。魔法を使えるから貴族なのか、貴族だから魔法を使えるのか」
魔法を使えない貴族。私はだから、気概だけは、貴族たらんとした。
「諸君らが、魔法を使えない者を見下してしまうのは、ある意味仕方ないことなのかもしれない。しかしなればこそ、自分が魔法を使える意味を考えてもらいたいのだ」
私が魔法を、『虚無』を使える意味……。
「では、理論の側面で我々が魔法を使えるのは何故だね? ミス・ヴァリエール」
「はっ、ひゃい!!」
考え事をしてた時に限って当てられるのは何故なんだろう。
教室中からしのび笑いが聞こえる。
「魔法とは杖を介して、呪文を鍵(キー)に自己の意志を世界に表出させることです。その際に世界に影響を与えた分だけ術者から消費される『魔力』を体内で精製出来るのが魔法使いです」
理論は徹底的に叩き込んだが、当時はまったく身を結ばなかった。
どんなに念じても魔力は爆発して霧散するだけ。
そもそも、他のみんなのような魔力を自分から感じなかった。
『虚無』の系統に目覚めてからは、体内から外に向けて走る線の様なものが解ったし、そこに流れる魔力も想像を遥かに超えていた。
まぁ、ちょっと本気で使ったらすぐすっからかんだけど、と心中で呟く。
「よろしい、では次は四系統についてだ。この世界の大気中には、我々が生きていくのに欠かせない成分とは別に、マナと呼ばれる魔力に非常によく似た要素がある。
マナは四種類、つまり我々が四系統と呼ぶ『火』『風』『土』『水』に分類される。また、マナが生産される場所はこの世界に数多くあるが、それを『スポット』と呼ぶ。
一つのスポットから生産されるマナは一種類で、その地域のマナはある特定のマナが非常に濃密になるため、我々人間や他の生物に大きく影響する。
例えば、代々スポットの管理を任されている貴族の属性は全て単一であったり、ミス・ツェルプストーの使い魔である火トカゲは『火』のマナのスポットである火山地帯に生息しているものだ」
昔、エレオノールお姉さまに同じような話をしてもらったことがあったような……
つまりは、学院の授業と言うよりは研究機関じみた講義になってる気がするけど、非常に興味がある議題なので考えないことに。
コモンマジックなら出来るようになったけど、『四系統』はいまだにゼロなのである。
「その大気中のマナを自身の魔力で結合させて一所に集め放つのが系統魔法の基本になる。諸君らはまだ『ドット』が多いだろうが、同じ系統の同じ呪文でも効果に差があることを知っているだろう」
確かに。
以前サイトの提案で、タバサに騎士団連中の魔法をみてもらった時に、マリコルヌがあの子と同じ呪文をぶつけあって吹き飛ばされていたことを思い出した。
「これは、マナに魔力を乗せて作った一塊のサイズが、術者の実力によって大きく異なるからであり、基本的にドットよりもラインの方が大きく、またトライアングルはさらに大きい。
つまり、より強いメイジは、同じ呪文でも低い魔力消費量で大きな効果が得られるということだ。」
そりゃあ、マリコルヌもぶっ飛ぶわけだ。
「しかし、ここにはデメリットも存在する。系統魔法にはマナに加え、自身の魔力による結合が重要だ。
だが、メイジにはそれぞれ生まれつき結合が得意なマナとそうでないマナがある。結合が得意なマナの属性をそのメイジ自身の属性等と言ったりするわけだ。
一般的に『火』の結合が得意な魔力と『水』のマナは相性がよくない。にも関わらず、火と水のラインマジックを使うなら、同じサイズの塊を作らねばならない上に、さらにその二つを融合させねばならないのだ。
もちろん、鍛練を積んだり、その他の補助呪文を併用することで問題は克服できるだろうが、できれば諸君らにはまずはしっかりと自系統を極めてもらいたい。なぜなら、それが苦手な属性でなくとも違う種類のマナは結合させるのは簡単ではないからだ」
ってことはタバサってやっぱ凄いのね……キュルケはトライアングルだけど『火』しか使えないみたいだし。あれ? 私ってば何メイジなんだろ? ドットなのかな……。なんかイヤね……前は何でもなかったから考えたことなかったけど。
「恥ずかしながら、私も『火』以外はさっぱりでね。ドットクラスの『土』ならばなんとかなるんだが」
キュルケに聞いた所によると、先生の『火』はその威力も制御も桁違いとか。やっぱりスクウェアなのかな
「あの……『虚無』はどんなマナを……その……」
声のした真後ろを振り向き見上げれば、何かが。脳が理解することを拒否した何か二つが。それは顔がなく、何か二つが喋ってるとかそんなアレである。
「いや別にっ…それは誰かが虚無の使い手とか……そんなんじゃなくて…えっと……」
ソレがあたふたするとたゆんたゆんと揺れる揺れる。
「んぎぃやぁぁぁいあああああああああッ!!!!!!」
取り出した杖をこちらに半身になってだらしない顔で後ろを見上げていた犬の股間に突き立てた。
机に突っ伏してビクンビクンしてる。気持悪い。
タバサがサイトの背中をぽんぽん叩いているが、しばらくは小宇宙から帰ってこれなさそうだ。
サイトの悲鳴で(どこからか、人が溺れるような音もした)落ち着きを取り戻した先生は
「正確にはよくわかっていない。全てのマナを種類に関係なく使っていたと記された書物もあったが」
先生は少しためて
「何せ、失われた系統だからね」
サイトはまだ帰ってきてない。タバサは腰の辺りをぽんぽん叩いている。
「そろそろ時間か。今日も少し本来の授業からは横道逸れてしまったが、一番言いたかったのは、魔法は強い、強くなる力だということ。それと、強い力を何のために使うかということだ。
諸君らはいずれも才あるメイジだ。力はおのずの手にはいるだろう。だからこそ、君達は自分が何故魔法を使えるか考えねばならない。魔法を使うその時、その時に私の言葉を思い出してくれたら、幸いである。
では、今日はこれまで」
はかったように鐘がなる。
キュルケは猛スピードで先生の方に走っていった。ティファニアはおともだちと約束があるとか。そして何故か隣にサイトの姿がない。
一緒に消えたタバサが目下、一番怪しい訳だが。
見つけしだい『爆発』で吹っ飛ばすか、と考えたところで席を立つ。
いや、でも今日は、
「あー、姉さまにもらった新しい鞭があったわね」
END
次はエロだな
ハルキゲニア万歳
小宇宙ワラタwwww
>>320 | .| | | .| | |
‖‖‖‖‖‖‖ /⌒ヽ
/ 二二二二二二二二. ・ ・ ) <呼んだ?
=イ ┃┃┃┃┃┃┃ ヽ ∀ノ
┃┃┃ ┃┃┃┃.  ̄
>>322 ハルキゲニアktkrww
でもAAだとトゲと触手の違い判りづらくね?
>>322 ハルキゲニアの顔だか尻尾だかの細いほうをウニョーンっと伸ばせばとげとげ鞭の完成!
ってことかと思った
>>323 いや、ハルキゲニアは絵で見ても、どっちが上か下か、体の突起は何なのか訳ワカランぞ。
王立魔法研究所。
通称、アカデミー。
数多の魔法に関する研究が日々行われているここは。
ヴァリエール家長女、エレオノールの職場でもある。
どっかん!
そのエレオノールの研究室で、爆発音が轟く。
「げほ!げほ!」
煤塗れの顔で、その研究室の主が黒煙の中から顔を出す。
「ちょ、ちょっとミス・ヴァリエール!何やってんですか!」
同じ部屋で『錬金』を使い、薬品を練成していた同僚の研究員が、エレオノールに文句を言う。
エレオノールは砕けたフラスコの首を握り締めたまま、その研究員に言った。
「ご、ごめんなさい、ボーっとしてて…!」
「反応性の爆薬を調合している時にボーっとしないでくださいよ…」
研究員は呆れながら飛び散ったガラスの破片を魔法で片付ける。
そして続ける。
「最近ボーっとしてること多いんじゃないですか?疲れてません?」
言いながら、研究員はアカデミーの仕事って結構ハードですよね、最近マトモに有給も取れませんよね、食堂のメニューもう少しいいもの出してくれてもいいですよね、などと愚痴をこぼし始めた。
しかし、エレオノールは疲れているわけではなかった。
エレオノールの脳裏に、あの日の記憶がまた蘇る。
『うん、いい…じょうず…でもっ…、なんでぇ、たりないカンジぃ…』
『もっと気持ちよくなりたいですか?』
『う、うん…して、もっときもちよくして…』
それは、妹の婚約者の、黒髪の騎士との情事。
いや、あれを情事と呼んでいいものか。
妹の婚約者がガンダールヴと知ったエレオノールは、つい好奇心から、彼の精液を採取しようとした。
もちろん彼の意思も妹の意思も一切無視して。
そして紆余曲折あって、エレオノールは彼に生まれて初めて失禁するほど逝かされてしまったのである。
軽い自慰程度の快感しか知らなかったエレオノールの脳裏に、あの日の行為は完全に焼きついていた。
仕事中ですら、あの行為を思い出してしまうほどに。
エレオノールの喉から、ほう、と甘いため息が漏れる。
…はっ!?私何考えてんのっ!?
逝く直前まで思い出して、思わずはっとなる。
そして、手元で傾けている試験管の中身と、ビーカーの中の物質を思い出し。
「あ。」
ちゅぼむ!
今度は、ピンク色の煙がエレオノールを直撃したのだった。
「あーーーもうっ!これじゃ仕事になんないわよっ!」
結局、同僚の心遣いもあって、エレオノールは職場を早退した。
元々大貴族の娘である。多少早退したところでその地位が揺らぐ事はない…のだが。
ここ最近、ぼーっとすることが原因で仕事でミスを連発していた。
まあ、ミス自体はそれほど大した物ではないのだが。
問題は、彼女の母親である。
もし、母に、職場で何度もミスをしている事が知られれば。
厳格な母は、きっと素敵なお仕置きを用意してくれるだろう。
「な、なんとかしなきゃだわ…!」
アカデミーの自室に戻り、あーでもないこーでもないと思索する。
とりあえず、何度か自慰はしてみた。
しかし、その度に自分の指では物足りない事を認識するハメになる。
男作って、シテもらうのが一番手っ取り早いかしら…。
しかし、このプランは問題がある。
彼女の周りの男は、すべからく彼女の性格がアレであることを知っている。
従って、同僚より内側の距離に寄って来る男は、彼女の周りには居ない。
まったく、私の周りの男どもときたら女を見る目がないんだから…!
愚痴ってみたところで始まらない。兎にも角にも、欲求不満を解消し、このモヤモヤを消すしかない。
「…ルイズにバレなきゃ、いいのよねぇ…」
エレオノールは結局、才人にもう一度アレをさせる、という選択肢に辿り着いた。
そのためには幾つか問題点をクリアする必要がある。
一つ、ルイズには秘密にしておく。
あの口の軽い妹の事だ。もし婚約者に手を出された事を知れば、もれなく母に告げ口するだろう。
これは、スル場所を選び、才人の口を封じればなんとかなる。
一つ、才人をその気にさせる。
間違っても自分から迫ったりしない。ここだけは譲れない。
それに、才人に襲わせれば、彼に罪を被せ、口を封じることも容易くなる。一石二鳥だ。
そして最大の問題点。
やっぱり最後までスルんだろうし、痛いのだけは避けないと。
ものの本によれば、最初のアレは物凄く痛いらしい。
たかが皮一枚、とか思ってると酷い目に逢う、と書いてあった。
そういえば、出入りの薬屋、そういう薬も扱ってるって前言ってたような。同僚が熱心に根掘り葉掘り聞いていたのを覚えている。
その時は、男ってやっぱりケダモノね、くらいにしか思っていなかったが。
…明日、そういう薬がないか、それとなく聞いてみよう…。
さて、それじゃあ。
エレオノールは、机に着くと、羊皮紙とペンを執り、計画を練り始める。
どうやって、あの平民に襲わせるか、よく考えないといけない。
来週のアタマには家に帰るから、チャンスはその時。その時までに、完璧な計画を練らないと。
こうして、エレオノールのトンデモない計画は、着々と実行に向けて進んでいったのである。
それじゃあ明日も仕事で早いのでこのへんでノシ
続きはマタ今度ネ
乙!
にしてもこの焦らしプレイ好きめ!
続きが気になって仕様がないじゃないかw
せんたいさんGJ!!!
ピンクなエレ姉様もカワイイですねww
おやすみなのですう
334 :
205:2007/09/10(月) 00:36:50 ID:3PkGBZDc
>>327 アカデミーの研究員の愚痴がせんたいさん本人の愚痴にしか思えない件w
有給とかね。まさに「何それ食えんの」みたいな感じッスよね。
食堂もないから自分で弁当作ってかなきゃいかんしね。
ああ、美少女が毎朝弁当作りに来てくんねーかな……とか考えてる内はいろいろ絶望的なんでしょうが。
そんなこんなで自分も投下します。
相変わらずエロくはありませんが。
「テファ、わたしの可愛いティファニア」
声に振り向くと、母が優しい微笑を浮かべてこちらの顔を覗き込んでいた。
「なあに、お母さん」
ティファニアが首を傾げると、母は人差し指を立てて言った。
「今から、あなたに魔法をかけてあげる」
「まほう?」
「そう」
母は頷いた。
「正確には、あなたの胸に、ね」
「胸?」
言われて、ティファニアは自分の胸を見下ろす。白いワンピースの胸の部分は平べったく、特にお
かしなものは何もない。
「ここがどうしたの?」
「ええとね。わたしの胸をご覧なさい」
幼いティファニアは母の胸を見上げる。そこには、ずいぶん大きな膨らみが存在していた。
「これもね、魔法をかけた結果なのよ」
「そうなの?」
「そう。エルフと言うか、わたしたちの一族に伝わる魔法と言うか。それを今からあなたにもかけて
あげるの」
「どうして?」
「そうしないとね」
母はため息を吐いた。
「いろいろと、困ることになるのよ。特に男関係で」
「よく分かんない」
「成長すればきっと分かるわ。とにかく、この魔法をかければ、あなたもわたしみたいになると思うから」
「お母さんみたいになれるの? わあ、かけて、かけて」
ティファニアは、はしゃいで飛び跳ねる。母は苦笑気味に娘をなだめた。
「分かったから、少し大人しくなさい。じっとしてくれないと、魔法がかけられないでしょう」
「はーい」
ティファニアがむずがゆいような期待を抱きながらその場で動きを止めると、母は短く何かの呪文
を詠唱して、そっとティファニアの胸に触れた。すぐに目を開き、微笑む。
「はい、これでおしまい」
「え、これで?」
ティファニアは自分の体を見下ろす。特に何も変わっていないように思える。
「お母さんみたいになってないよ」
「そりゃそうよ。これはね、テファが大きくならないと効果が出ない魔法なの」
「なんだ。わたしもお母さんみたいに綺麗になれると思ったのに」
「魔法なんか使わなくたって、テファはわたしよりもずっと綺麗になるわよ」
「本当?」
「ええ、本当よ。今魔法もちゃんとかけたし、きっと男関係でも困らないと思うし」
後半はよく聞き取れなかったが、母のようになれるということは分かったので、ティファニアは嬉
しくなった。
そのとき、不意に視界が歪み始めた。母の腕が、体が、笑顔が、じょじょに見えなくなっていく。
「お母さん!」
叫びながら飛び起きると、魔法学院の中だった。夢を見ていたらしい。
「お母さん……」
胸を刺す喪失感に耐えられず、ティファニアは寝台の上で膝を抱え、頭を埋める。
少しの時間泣いたあと、ティファニアはふと、自分の胸を見下ろした。
夢の中の幼い自分と違い、そこには少々立派すぎる二つの膨らみが存在している。
(お母さん、ここに魔法をかけたのよね)
夢に見たおかげではっきりと思い出せる。確かに、あれは現実にあったことである。
(ということは、ひょっとして、わたしの胸って……)
考え始めると止まらなくなり、ティファニアは結局、夜明けまでそのことについて悩み続けること
になった。
「……ってことがあったんだけど。サイトはどう思う?」
「どう思うって聞かれてもなあ」
ティファニアとベンチに並んで座った才人は、事の次第を聞いてぽりぽりと頭を掻いた。
(要するに、この革命的胸部がエルフの魔法の産物かもしれねえってことだろ)
ちらりと、その凶悪な物体に目をやる。
おそらく世界中のほとんどの男を魅了して止まないであろう二つの乳房は、今日も悠然と存在している。
(この大きさ、柔らかさ。全てが魔法の産物だって言うのか)
才人はごくりと唾を飲み込む。すると、ふとティファニアが両手で胸を隠して、恥ずかしげに体を
捻った。
「あの、あんまり見ないで」
「わ、悪い、ついつい。あー」
才人は罰の悪い思いで目をそらしながら、顎を撫でて唸った。
「まあ、タバサの母ちゃんの例もあるしな。エルフの魔法ってのが、心とか体に長い影響を及ぼせる
のは確かなんだろうけど」
「じゃあ、やっぱり」
ティファニアは困ったように俯いた。
「これ、母さんがわたしのことを思って、魔法で膨らましてくれたのかしら」
「そうなるんじゃねえかな」
「どうしてかな」
「どうしてって」
才人はティファニアから聞いた話を下に、母親の意図を推測してみる。
(テファの母ちゃん、妾さんやってたって話だもんな。男に捨てられりゃ終わりの生活だから、
自分の体弄ってでも、男の気を引かずにはいられなかったってことなのかなあ。
娘もきっと同じ生き方をしなけりゃならないと思ったから、胸大きくする魔法かけた、と)
しかし、その推測を、ティファニアに直接伝えるのはどうも躊躇われる。才人は曖昧に笑って誤魔
化した。
「さあ。俺にはテファの母ちゃんの考えはよく分かんないな」
「そうよね。サイトはわたしのお母さんのこと、わたしの話でしか知らないし」
「そうそう。ま、ティファニアのためを思ってしてくれたことなんだし、とりあえず放っておいても
いいんじゃないか」
それで困る人間がいる訳でもないし。と言うか個人的には眼福だし。才人は能天気にそう考えたが、
逆にティファニアの方は深刻な顔で何かを考え込んでいる。
「どうした、テファ」
「うん。あのね」
ティファニアは真剣な顔つきで、真っ直ぐに才人を見た。
「この魔法、解除出来ないかしら」
「ダメだよそんなの」
ほとんど反射的にそう答えてしまっていた。ティファニアが目を瞬く。
「サイト?」
「あ、いや、悪い。だ、ダメ、とは言わないけどさ」
「でも、なんだか気が進まないみたい」
(そりゃそうだ。この革命的胸部が消失したら、どれだけの男が嘆き悲しむことか)
だが、一応下心のない友人として付き合っている(つもりである)以上、そういう男の性を正直に
打ち明ける訳にはいかない。
どう上手く言い訳したものかと才人が悩んでいたとき、学舎の方から荒々しい足音と共に小柄な人
影が近づいてきた。
「この胸が!」
と叫んだその人影は、才人の主人であるルイズだった。だが、どうも様子がおかしい。歯をいっぱ
いに噛み締め髪を逆立て目を爛々と輝かせ、何やら非常に興奮した様子なのである。
「ど、どうした、ルイズ」
「どうしたもこうしたもあるかーっ!」
叫んだルイズは、突如高く跳躍したかと思うと、才人には目もくれず隣のティファニアに飛び掛った。
「おい、何やってんだルイズ」
「うるさい! この胸、この胸が!」
「や、やめて、ルイズさん……!」
か細い悲鳴のようなティファニアの抗議など気にも留めず、ルイズは親の仇でも見るような目で、
彼女の胸を弄り始めた。いや、弄るというよりは攻撃するとでも言ったほうがいい。服の上から乱暴
にもんだりこね回したりはたいたり乳首の部分をつね上げたり、やりたい放題である。
「痛い、痛い」
「黙れ! この胸が、この胸が!」
「お、落ち着けよルイズ! 一体何がどうしたって」
「うるせーっ! 引っ込んでろやこのおっぱい野郎!」
かなり乱暴な口調でそんなことを叫びながら、ルイズが才人を殴り飛ばす。数メイルほども吹っ飛
ばされた才人は、尻餅を突いたまま呆然とルイズの蛮行を見つめることしか出来ない。
「一体、何がどうなってんだ」
ルイズの勢いは留まることを知らない。ベンチの中でもがくティファニアを凄まじい力で押さえつ
け、執拗に胸を嬲っている。
「あ、やぁ、やめてぇ」
その内にティファニアの頬が赤らみ、瞳も潤んできた。吐息は悩ましげで切なげなものに変わり、
漏れ出る悲鳴はもはや嬌声に近い。だがそれでも才人にはどうすることも
「とめなさいよ」
突然後ろから頭をはたかれた。振り向くと、呆れ顔のモンモランシーが立っていた。
「ったく、これだから男ってのは」
「このパターン……モンモン、さてはテメエがまたなんかやったな!」
「うん、ごめんね」
「白状すんの早いなオイ」
「だって、今回は目撃者がたくさんいるから嘘吐いてもしょうがないし」
「どうなってんのよこの状況は」
「かいつまんで言うと、いろいろあってルイズが興奮剤みたいなものを飲んじゃって。で、飲んだ直
後にベンチで仲良さげにお喋りするあなたたちを見たものだから」
要するに嫉妬の発露らしい。それでいて胸ばかり嬲っているのは、やはり普段からそのぐらいティ
ファニアの胸に敵意を抱いているということだろうか。
「って言うか、ホントにとめなくていいの?」
「いや、個人的にはもうちょい見ていたい」
「でも、人が集まってきてるみたいだけど」
「おいやめろルイズ、テファをいじめるなぁっ!」
お前らにティファニアの痴態は見せられん、と抜群の男らしさを発揮し、才人は無我夢中でルイズ
を止めにかかった。
そうして数分後、大乱闘の末にルイズは縄でぐるぐる巻きにされて広場に転がされた。
ちなみに群集は追い払ってあり、モンモランシーも騒ぎのどさくさに紛れて逃げ出してしまっている。
静かになった広場の隅で簀巻きのルイズを見下ろしながら、才人は額の汗を拭う。
「これじゃいつもと立場が逆だぜオイ」
「離せーっ! あの胸、あの世の中ナメきった胸を、全女性を代表して粛清してやらなくちゃならな
いのよーっ!」
じたばたもがきながら、ルイズが歯をむき出して叫ぶ。あくまでも憎いのは胸らしかった。
一方救出されたティファニアは、服の乱れを直すことも忘れてしくしくとすすり泣いている。
「もういや。こんなのがあるせいで、こんな目に遭うのね」
などと言いつつ、恨めしげに自分の胸を見下ろしている。
「だからわたしがもぎ取ってやろうって言ってんのよ! ヘイカモンカモン!」
「いろいろと落ち着け、ルイズ」
「ねえサイト」
ルイズをなんとかなだめようとする才人の背後に、いつの間にかティファニアが立っていた。
「どうしたテファ」
「さっきの話だけど、やっぱりこの魔法、どうにかならない?」
「どうにかって言うと」
「だから、この魔法を解除して、わたしの胸を普通に」
「ちょっと待った!」
叫んだルイズが、簀巻きにされたままで器用に立ち上がった。
「今の話、詳しく教えなさい」
「いや、ルイズには関係」
あの話をルイズに伝えるのはやばい、と判断した才人は、咄嗟に話をそらそうとした。だが、ティ
ファニアにとってはもちろんそんなことはなく、
「あのね」
と、洗いざらい事情を話しつくしてしまった。
話を聞いたルイズは、しばらくの間黙りこくっていたが、やがて低い声で笑い出す。
「ルイズ?」
才人がおそるおそる彼女の顔を覗き込んだ瞬間、ルイズはカッと目を見開き、哄笑を上げながら自
分を縛る縄を引きちぎった。
「そんなバカな! こりゃもう興奮剤ってレベルじゃねーぞ! モンモンめ、何入れやがった!?」
だがそれについてあれこれ考えている時間はなかった。縄を引きちぎったルイズが、物凄い勢いで
ティファニアに肉薄したのである。
「ねえテファ、その魔法、今すぐ解除したいのよね」
「え、ええ」
「わたしなら出来るわよ」
「ほ、本当?」
「任せときなさい。では早速」
と、ルイズは杖を取り出して詠唱を始める。才人にとっても聞き覚えのある呪文である。
「だ、ダメだ、止めろルイ」
「ディスペル!」
才人が止めるよりも一瞬早く、詠唱を完成させたルイズが魔法を解き放つ。
その途端、ティファニアの胸から何か小さな影が飛び出した。淡い青色に光る手の平サイズのその
物体は、妙齢の美女の姿をしていた。
「あれ、なに、どうなってんの」
その女が空中に浮かんだまま、困惑したように周囲を見回す。
「捕まえた、諸悪の根源」
叫んだルイズが、青白く光る女を右手で素早く捕まえる。女は悲鳴を上げた。
「ちょ、なにすんですかいきなり」
「黙りなさい、テファの胸に取り付く悪い精霊!」
「テファ?」
眉をひそめて呟いた女が、ティファニアの方を振り返る。突然自分の胸から出てきた女に、ティ
ファニアはショックを隠せない様子だったが、彼女と目が合うと慌ててお辞儀をした。
「あ、始めまして」
「あーあー、ティファニアさんのことですか」
納得したように、女が何度か頷く。才人は彼女に問いかけた。
「ってことは、あんたが」
「そう。ティファニアさんの胸に憑依していた精霊でございます」
自称精霊の女は、さらりとそう言う。才人は眉をひそめた。
「精霊って、なんだ」
「エルフが使う先住魔法というのは、精霊との契約を下に行使されているのです」
そんなことも知らないの、と言わんばかりに、女が呆れ顔で言う。
「じゃあ、あんたがくっついてたせいで、テファはあんな胸だったのか?」
「あんな胸?」
再度、精霊がティファニアの方を見やる。そして、ぎょっとしたように目を見開いた。
「うわ、なんですかあれ。改めて見ると、ふざけた大きさですね」
「ってお前、自分でこんなにしといて何言ってんだよ」
才人がほとんど反射的に突っ込みをいれると、精霊は呆然とした様子で言った。
「いやいや、この胸に憑依してるわたしだからこそ言うんですよ。まさかねえ。これほどとはねえ」
心の底から感心した様子で、精霊はしきりに頷いている。その体をつかんでいるルイズが、精霊に
顔を近づけた。
「ねえ、あんた、状況分かってんの?」
「状況? ああそうそう、なんでわたしあの胸から引っぺがされたんです? 普通こんなことあり得
ないはずなんですが」
「わたしの虚無魔法の効果よ」
「虚無ですって?」
精霊が悲鳴を上げる。
「な、なんですか、ひょっとしてわたし、消される寸前とか!?」
「多分ね。一発じゃ引っぺがすだけで済んだけど、もう一発撃ったらどうなるか」
「や、止めてください、お願いします!」
精霊が懇願するように目を潤ませる。
「何でもしますから、消すのだけは」
ヤバイ、と才人は思った。今のルイズのテンションなら、高笑いしながら「うるせぇーっ! あん
な暴力的な胸を作る奴は、皆まとめてこの貧乳女王ルイズが塵一つ残らず消滅させてやるぜぇーっ!」
などと言い出しかねない。
(そんなことになったら、テファの胸が、革命が!)
何とかして止めなければ、と才人は焦る。だが予想に反して、ルイズは「そうね」と呟き、さらに
精霊に顔を近づけた。
「じゃ、一つ聞くけど」
「な、なんでございましょ」
精霊は媚びるような笑みを浮かべて両手をこすり合わせる。ルイズは、自由な方の手でティファニ
アの胸を指差した。
「あのふざけた胸は、あんたの仕事だって言ったわよね」
「ええまあ。いや、あれを見て、ちょっと自信を失いかけてるところなんですが」
「んなことはどうでもいいの。わたしが聞きたいのは」
と、今度は自分の胸を指差す。
「あんた、あっちの胸から離れて、こっちの胸にとりつける?」
「え?」
精霊は、困惑したようにルイズの胸を見た。
「そりゃ、出来ますけど」
どことなく、渋るような様子である。ルイズの頬がぴくりと引きつった。
「なに。あんた、まさか『お前みたいなぺったんこにわたしが憑依したって意味ねーよ』とか言い出
すんじゃないでしょうね」
「いやいや、そんなことはありませんですけど」
精霊は慌てて首を振り、躊躇うようにルイズの顔色を伺い始めた。
「そりゃ、無意味ってことはありませんけど。本当にいいんですか?」
「もちろんよ。こんな胸じゃいろいろと不都合だもの」
「はあ。よく分からないけど、変わってますね、あなた」
そう呟きつつ、精霊は「では」と一言呟いた。同時に、その体が強い光を放つ。どうやら、本当に
ティファニアの胸からルイズの胸へ移ろうとしているらしい。
(ああ、これでテファの革命的胸部ともおさらばか! そして、あのルイズが巨乳になるって……!)
あまりの眩しさに腕で目を庇いながら、才人は自分の心が激しく動揺するのを感じた。
(俺は一体何を恐れているんだ。貧乳になったテファを見たくないのか、それとも巨乳になったルイ
ズが想像できないのか……!)
彼の葛藤には全く関係なく、光は次第に小さくなり、やがて消えてしまった。
目を開くと、予想に反して先程と全く変わりない光景が広がっていた。
いや、光も精霊も消えているのだが、肝心のティファニアの胸とルイズの胸には全く変化がないよ
うに見える。
「どうなったんだ……?」
怪訝そうに才人が呟いたとき、それまで呆然としていたルイズが、何かに気付いたようにはっと自
分の胸をまさぐり出した。
そして、高い高い悲鳴を上げる。
「何よこれぇぇぇぇっ!」
見ると、ルイズがまさぐっている部分、すなわち胸の辺りが、大きく凹んでいた。
「……は?」
才人は目を瞬く。確かにルイズは貧乳だったが、さすがに抉れていると表現するほど悲惨なもので
はなかったはずだ。
だが、今はどうか。ルイズの胸はどう見ても、極めて物理的に抉れているではないか。
(……どうなってんだ?)
悲鳴を上げ続けるルイズをよそに才人が呆然としていたとき、突然、後ろから何かが破れる音と、
ティファニアの悲鳴が聞こえてきた。
「いや、なに、なんなの、どうなってるの!?」
振り返ると、ティファニアが悲鳴を上げてしゃがみ込んでいた。
その胸を見て、才人は眼球が飛び出さんばかりに目を見開く。
( 超 で け え ! ! )
ティファニアの胸が、いつもよりも一回りか二回りも大きくなっている。
今までのがメロンだったとすると、今はもうスイカと表現しても足りないぐらいのサイズである。
そのせいで服が破れてしまったようで、ティファニアはむき出しになった自分の胸を必死で隠そう
としているが、あまりにもそのサイズが大きすぎるせいで、せいぜい乳首の周囲を隠すぐらいにしか
役に立っていない。
(……エイケン)
何故かそんな単語が目に浮かぶ光景である。一方、逆にゼロだった胸がマイナスになってしまった
ルイズが金切り声を上げている。
「ちょっと、精霊、精霊!」
呼ぶと、ルイズの胸からこわごわとした様子で精霊が抜け出してきた。
「なんでございましょう」
「あんた、ふざけてんの!? そんなに消したいなら望みどおりに」
「どうしてですかぁ!?」
精霊は泣きべそをかき始める。
「わたし、ちゃんとあなたのお望みどおりにしたじゃないですか!」
「白を切るつもり!?」
「そんな、だって、ちゃんと憑依して、ほら、この通り効果も出てますし」
と、精霊はルイズの抉れた胸を必死に両手で示してみせる。ルイズは半狂乱になって地団駄を踏んだ。
「だから、それがどういうことかって聞いてんのよ! あんた、胸を大きくする精霊なんじゃないの!?」
「はぁ!?」
こちらもすっかり余裕を失くしたらしい。精霊が涙と鼻水を垂れ流しにしたまま、意味が分からな
いというように両手を広げた。
「何仰ってるんですか、わたしはそんなものじゃありませんよ! 見りゃ分かるでしょうが!」
「見りゃ分かる、って……」
そのとき、ルイズはようやく少し冷静さを取り戻した様子で、はっと目を見開いた。
「あんた、まさか」
「はい、そうです」
精霊は、決まり悪そうに身を竦めて、自信なさげに言った。
「わたし、胸を小さくする精霊なんです」
「……なるほど。つまり、こういうことだな」
と、才人は、ルイズの机に座っている精霊を前に、何度か頷いてみせた。
「ティファニアの一族ってのは、エルフの中でもかなり凶悪な胸を持つ一族だと。で、そのせいで男
どもに狙われて、いろいろ危ない目に遭っていたと」
「そうでございます。そりゃもう、生まれてくる女の子はそろいもそろって常識外れの胸の持ち主ば
かりでして」
「だから、せめて人並みの胸にしてやろうと、お前らの種族と契約を結んだって訳だ」
「そうだったの」
今はもういつも通りの(と言っても平均よりはかなり大き目の)胸に戻ったティファニアが、ルイ
ズの椅子に座ったままため息を吐く。
「じゃあ、お母さんも元々はあれよりずっと大きな胸だったのね」
「そうでしょうね。多分、元は今のあなたと同じぐらいのサイズだったんじゃないですか?」
「それが、お前と同じ種類の精霊のおかげで、せいぜい人よりちょっと大きいぐらいの胸で収まって
たって訳だ」
「そういう次第で」
つまり、「男関係で困るだろうから」というのは、「胸が小さいと愛してもらえないから大きくす
る」という意味ではなく、「胸が大きすぎて変な男に狙われないように小さくする」という意味だっ
た訳だ。
ティファニアの母の誤算は、娘が精霊の力で小さくなってもなお革命的と称されるほどの、凄まじ
いサイズの胸の持ち主だったことだろう。
「お母さん、ちゃんとわたしの安全のことを考えていてくれたのね」
少ししんみりした様子で、ティファニアが呟く。才人は微笑んだ。
「いい母ちゃんだな」
「うん。わたしの大好きな、お母さん」
ティファニアの顔にも、ようやく笑顔が戻ってくる。精霊もしたり顔で何度か頷いた。
「いやあ、よかったよかった。これで何もかも元の鞘に収まって、めでたしめでたしですね」
「いや全く」
三人は声をそろえて笑いあう。これで明日からまた平和な日々が戻ってくるのだと思うと、才人の
心もまた軽い。
「ううううううう」
が、その心の平穏は、部屋の隅から聞こえてきた唸り声によって終わりを告げる。
三人が決まり悪げに顔を見合わせて唸り声の方を見ると、そこには寝台があって、上ではルイズが
ふて腐れて寝ているのであった。
変な薬の副作用と、「胸が大きくなるかもしれない」という期待が無残に破られたショックで、精
神的にかなりボロボロになっているらしい。
「あー、その、なんだ」
嫌な沈黙を打ち破ろうとして、才人は乾いた笑い声を上げた。
「あんまり気に病むなよ、ルイズ。お前はそのままでも十分魅力的だって。なあテファ?」
「え、ええ。それに、こんなの、ついてたって邪魔になるだけだし」
「そうですね。だからこそわたしみたいな精霊がいる訳ですし」
「あんたらね」
不意に、ルイズが寝台の上でゆらりと立ち上がる。
「そもそも、あんたらが変な勘違いさえしなければ、わたしが不要な期待を抱くこともなかったのに……!」
さすがに理屈が無茶な気がするが、ルイズ相手にそんなことを言っても通用しないのは百も承知の
才人である。
「おい、精霊。そろそろ戻った方がいいぜ」
「そのようですね。それではごきげんよう」
まず精霊が、ティファニアの胸に溶け込んで見えなくなる。
「テファも、とりあえずここからは逃げな」
「え、でも」
「大丈夫、大丈夫」
才人は達観したような心境で笑顔を浮かべた。
「何ていうかさ。テファの胸がどうしようもないように、俺のこういう境遇もどうしようもないもん
なんだと思うんだよね。運命ってやつ?」
「ええと」
「運命とは上手く付き合っていかなくちゃなあ。ってな訳で、行った行った」
半ば無理にティファニアを追い出したあと、才人は「さてと」と呟いて、寝台の上のルイズに向き直る。
「待たせたな、ルイズ」
「バカ犬ぅ……! 覚悟は出来てるんでしょうねぇ……!」
ルイズが髪を振り乱しながら杖を取り出す。才人もまた、部屋の隅に置かれていたデルフリンガー
を手に取った。
「さあ行くぜ、デルフ!」
「あれ、ひょっとして俺の出番これだけ」
「どっからでもかかってこいやぁ!」
部屋の修理代と怪我の治療費は、当然の如く才人の年金から支払われることとなった。
おしまい。
342 :
205:2007/09/10(月) 00:47:48 ID:3PkGBZDc
改めて見返すと構成が物凄く汚いですが。
どのぐらいの人が途中でオチに気付いてくれるか、ちょっと楽しみだったり。
革命的な発想に吹いた
素だったらどんなにすげえんだテファ!
GJ!!
胸の成長促進だと思ってたら胸の縮小だったとわwww
これは素の状態のテファのSSを期待したいところ
と、思ったら超乳のエルフの同人?マンガがあったな。
そういえば
最近活気があるのはアニメで失望したのがここを桃源郷として流れ込んできてるのか?
実は言う俺もだが。ここのSSに癒されてる。
ゼロどころかマイナスのルイズw
残念なのか?
ラノベとアニメじゃ、狙う方向が違うから当たり前だと思う俺第二期が始まったことすら気付かず、ようつべで観るのもダルい負け組
>>311のスルーされっぷりに泣いた
>>せんたいさん
GJ!!!
続きwktk
>>テファ胸
GJ!!!
達観したサイトワラタwwww
>>349 そういうのも多そうだけど、俺の場合はノベルのアンリエッタフラグ消滅(?)に凹み、
こっちで癒しを求めにきた。
タバサやティファニア関係のも多いんじゃない?
シルフィの裸族生活が読みたいと思う俺は、救いようがありませんw
タバシストに朗報?
10/25 ゼロの使い魔外伝 (2) タバサの冒険
もうここの職人でアニメの脚本書いちゃえよ
アニメの脚本にはガッカリさんだ
>>352 諦めるな!アン様があんなに簡単にサイトを諦めるはずがない。
>>352 あ〜あれも凹んだな。その後のダーク化で更に凹んで12巻も登場しなかったし
11.12巻と何かすっきりしないぜ。せんたいさんの未来モノとかである程度癒されたが。
まぁ
>>354の冒険2巻は期待裏切る展開はなさそうだ
>>355 せんたいさんに監督をお願いしたいね。アニメは今季最低・・・
>>356 。・゚・(ノ∀`)・゚・。 俺の脳内展開だと
アン様暴走→いつかの約束通り才人が止める→死にたがるアン様に死ぬ事は許さない、俺が
見続け支えるから罪を償え的な展開
ゴメン
>>357 352だけど、アンリエッタルートSS勝手に書くつもりになってるから俺(いつもアン様しか書いてないがw)。
あなたも書いてみてはどうでしょう?
>>358 一度書こうとして心が折れたから無理ぽ( ;∀;)
ところでニュータイプ?かなんかでアン様の体操着姿があった。テラ萌えた。
またどっかで見つけたら貼るかも。。怖いけど。ちなみに
>>217も俺。
>>359 あれはGJでやんしたww こんどボルボX名義で猫コスプレ陛下のエロでも書いてみます。
>>360 猫コスプレ陛下のエロ!めちゃ楽しみです!
アニメ版とは日野理恵イチャイチャラジオを作るための名目のことですか?
>>362 監督のオナニーじゃね。まぁスカガ、シャナに挟まれてスタッフが流出しちまったからな。
ちなみにラジオは聞いてねーな。釘宮理恵もルイズよりもアニメではハヤテのナギの方が
インパクトあると思ってるし
アニエスもの投下されないかな
凄い投下ラッシュだな…
せんたいさん、205さん、ボルボ氏に純愛さん
ここでものかきさんや216さんが復活してくれると秋のSS祭り出来そうだ
俺としてはアニエスとルイズのキスシーン後でアニエス姐さんに悶えたので、アニメには既に満足
アニメは瞬間的に原作やここのSSを超える神展開があるからなかなか侮れない
まあ大部分はアニメ化失敗の見本みたいな感じになってるけどなwww
神展開ってなんかあったけ?
まったく思いつかないんだZE…
・ルイズとサイトの告白合戦
・脱ぐ王女さま
・ルイズとアニエスのキスシーン
別にそこは原作通りに映像化しただけのような気がする
平民服のビッチかわいいお
ルイズを買うとハッピーセット(シエスタ)が付いてくる〜
アン、テファ、タバサをもらうと将来もれなく一国付いてくる〜
じゃあアン様とタバサもらっていきますね 三 (lll´D`)
>373
二股の貴様はギーシュ確定w
というわけでタバサを貰っていく
いやタバサは俺が(ry
>>368 スタッフ「やっちゃったZE☆」
変態紳士たちがゼロ魔原作を読んで脳内に作ったワールドや情景に比べたら
アニメが見劣りしてしまうのは仕方ない。
だからキャラが動いて喋るだけで満足だと思うんだ。原作で得られない要素を楽しめると思うんだ。
そう……思うんだ……。
感じるCDは最高。
兎塚の絵と比べるとアニメの方が綺麗だ
アニメは神展開というより超展開。ルイズが才人を温める辺りの流れとか。
しかしここはエロパロ板。素材はどんどん使ってほしい。
原作レイプ
コルベール「どうかね、私の”炎蛇”のごとく充血したペニスは」
風呂に入浴中にいいネタ思いついたからでたら書こうと思ったら
いまPCの前にきたらどうしても思い出せない俺…。
やべ…歳かもしれない。
383 :
205:2007/09/11(火) 01:57:34 ID:rvYfeHEl
参考文献・姫騎士アンジェリカスレ
ということで一つ。今回は一応エロあり。そうは見えんかもしれませんが。
ルイズが変態なので、そういうのが嫌な人はスルーでヨロ。
寝台の上でか細い寝息を立てるルイズの傍ら、憔悴した才人が椅子に座ったままじっとしている。
その背中に、シエスタはそっと声をかけた。
「サイトさん、そろそろお休みになってください。もう三日も、ほとんど横になっていないじゃない
ですか」
こんなことを言うのは、今日でもう何回目だろうか。そして、返事もやはり一緒だった。
「ダメだ、ルイズがまだ起きてない」
シエスタはそっと息を吐く。才人の気持ちは分からないでもないが、このままでは彼の方も参って
しまうだろう。
(ミス・ヴァリエール)
眠り続けるルイズの顔を、シエスタは複雑な気持ちで見つめた。
(早く、またわたしたちに元気な顔を見せてください。サイトさんは、この一ヶ月、ずっとあなたの
ことばかり考えていたんですよ)
紆余曲折、様々な冒険を経て、コルベールが指揮するオストラント号は、ついに東方へと旅立った。
この船には才人とルイズ、そしてシエスタも同行し、他にもキュルケにタバサ、ギーシュにモンモラ
ンシーなど、見知った顔が多数参加している。
だが、当初のどこか浮き立つような冒険気分に反して、この旅は実に過酷なものとなった。
東方のエルフは、予想以上にこちら……特に、虚無魔法を操るルイズに対して、強い敵意を持って
いたのである。そのためにオストラント号も頻繁に襲撃を受け、シエスタ自身何度も危険な目にあった。
一度西方へ引き返した方がいいのではないかという声が上がり始めた頃、事件は起きた。オストラ
ント号に急襲をかけてきたエルフ達の手によって、ルイズがさらわれてしまったのである。
当然、才人は半狂乱になった。すぐにでもルイズを探しに行くと一人で飛び出しかけた彼をなだめ
つつ、一行は根気強くルイズの行方を追った。そして、彼女があるエルフの一団の本拠地に捕われて
いることが知れたのが、四日ほど前。それを聞いた才人が止める間もなく突撃し、そのエルフの本拠
地を壊滅させ、無事ルイズを救出して戻ってきたのが三日前である。
以来、才人はほとんど一睡もせずに、ルイズのそばに付き添っているのだ。
ルイズの行方が知れなかった間の才人を思い出すと、シエスタは今でも胸が痛くなる。それは、才
人の苦しみを思っての痛みであり、才人がどれだけルイズを愛しているかを決定的に悟ってしまった、
女としての心の痛みでもあった。
だからと言って、「このままミス・ヴァリエールが帰ってこなければ」などとは考えなかった。シ
エスタにとっては、自分が一番に愛してもらえないという悲しみよりも、ルイズを失った才人の苦し
みの方がずっと重要だったのである。
それに、ルイズだって、恋敵とは言っても長い間共に過ごしてきた友人である。無事を祈る気持ち
は、シエスタとて一緒だった。
戻ってきたルイズは、予想に反して無傷であった。体に拷問の跡などの外傷は見られなかったし、
意識を失っていることを除けば、体の方は至って健康と言ってもいい状態だ。今眠っている彼女の顔
を見ても、その寝顔は安らかであり、うなされたり苦しげに呻いたりといった様子は少しも見られない。
(後は、目を覚ましてさえくれれば)
シエスタが、祈るような気持ちでそう思ったとき。まるでその願いを神が聞き届けでもしたかのよ
うに、ルイズが低いうめき声を上げながら、ゆっくりと目を開けた。
「気がついたのか」
憔悴しきって嗄れた声に隠しきれない嬉しさを滲ませながら、才人がルイズの顔を覗き込む。ルイ
ズはしばらくの間虚ろな瞳で才人のことを見上げていたが、やがてぽつりと、呟いた。
「……サイト?」
「そうだ。俺だよ」
「……ここは?」
「船の中だ。お前、戻ってこれたんだよ。可哀想に、怖かっただろ。もう大丈夫だぞ」
声に優しさを滲ませて、才人がルイズの頭を撫でる。ルイズは一瞬詰まったような吐息を漏らした
あと、頬を赤らめた。
「……夢じゃないの?」
「ああ。悪い夢はもう終わったんだよ」
「本当?」
「そうだって。信じられないのは分かるけどな、安心していいぜ」
才人がそこまで言ってやっても、ルイズは何故か疑うように、何度も何度も「本当?」と繰り返し
た。あまり何度も繰り返すので、それが何かを待つような、あるいは期待するような態度にも思えて
くる。シエスタは怪訝に思ったが、ルイズは十数回ほどで問うのを止め、安堵したように長く息を吐
いた。
「そう。わたし、戻ってこれたんだ」
自分がいる場所を確かめるように呟いたあと、ルイズは才人を見上げて微笑んだ。
「ただいま、サイト」
「ルイズ、ルイズ……!」
たまらなくなったように名を呼びながら、才人がルイズを抱き起こし、そのまま強く抱きしめた。
ルイズが短く悲鳴を上げる。頬が少し赤く染まった。
才人の激しい抱擁に、シエスタの胸がまた少し痛んだ。だが、耐えられないほどではない。
「サイトさん、サイトさん」
シエスタは苦笑気味に笑いながら、才人の肩に手をかける。
「ミス・ヴァリエール、今起きたばかりなんですから。もっと優しく扱ってあげてください」
「あ、悪い、つい」
才人が慌てふためきながらも、丁寧にルイズの体を横たえなおす。優しい手つきから、相手のこと
を最大限労わろうとする気持ちが滲み出ているようだ。シエスタの胸に、痛みを覆い隠すような暖か
さが生まれた。
(よかった。わたし、嫌な女にならずにすみそう)
内心ほっとしつつ、シエスタはふと、横たえられたルイズを見る。そして、かすかに眉をひそめた。
どうも、ルイズの様子がおかしい。顔が熱を帯びたように赤く染まり、瞳は焦点を失ったまま潤ん
でいる。眉は悩ましげに下がり、半開きになった唇からは湿っぽい吐息がかすかに漏れ出しているよ
うだ。それに、よく見ると、体が小刻みに震えている。
(……お風邪でも召されたのかしら)
だとすると、汗ばんだ服を着替えさせないといけない。シエスタは、椅子に座って一息吐いている
才人の両肩に手を置いた。
「ほら、サイトさん、ミス・ヴァリエールも目覚めたことですし、ひとまず安心できたでしょう。サ
イトさんにもお休みが必要ですし、わたしもミス・ヴァリエールのお世話をしなくちゃいけません
から、一度お部屋に戻られてはどうですか」
「でも」
才人は少し迷う様子だった。本当は、一時も離れずルイズのそばにいたいのだろう。
だが、「ミス・ヴァリエールのお世話」という単語を聞いて、気を遣ったらしい。彼は不意に大き
く欠伸をした。
「いや、そうさせてもらうかな。なんか、ほっとしたら急に眠くなってきた」
「ええ、ゆっくり休んでください」
「じゃあルイズ、俺……っと」
才人はルイズに声をかけようとして、途中で止めた。彼女はもう、布団の中にもぐりこんでいたのである。
「また寝てしまったみたいですね」
「だな。無理もないか、精神的な疲れが半端じゃねーだろうし」
小声で話しながら、二人は部屋を出る。
シエスタが後ろ手にドアを閉めると、才人が疲労の濃い顔に真剣な表情を浮かべて見つめてきた。
「じゃあ休ませてもらうけど。シエスタ、何かあったらすぐ俺を呼んでくれな」
「ええ、分かっています。と言っても、何もないと思いますけど」
現在、オストラント号は西方に向けて帰還する針路を取っている。ルイズが奪還されたことを受け
て、指揮者のコルベールが一度引き返すことを決定したのである。エルフ側にもかなり損害が出てい
るはずだし、おそらく逃げる敵を追う余力は残っていないだろう。
それでも才人は、なおも不安そうな面持ちであった。
「でもな、やっぱ安心できねえんだ。またルイズに何かあったらと思うと、俺」
それから才人は少しの間目を閉じてから、決心したようにシエスタを見た。
「シエスタ。俺、君に謝らなくちゃならない」
「え、どうしたんですか、急に」
才人が言おうとしていることが何かはすぐに分かったが、シエスタはあえて分からない風を装って、
きょとんとした表情で首を傾げた。
「俺、今回ルイズがいなくなって、改めて思い知ったんだ」
才人は少し躊躇いながらも、力強い口調で言う。
「俺が、どれだけあいつのことを、その、好きなのか、ってことをさ」
また、胸に鋭い痛みが生まれる。
「ああ、そのことですか」
だが、シエスタは何でもないことのように、にっこりと笑って才人の言葉を受け取った。
「今更何を仰るんですか。そんなこと、わたしはずうっと前から知ってますよ」
「シエスタ?」
才人が驚いたように目を見開く。シエスタは唇に手をやって笑った。
「もう。急に謝らなくちゃ、なんて言うものだから、びっくりしちゃいましたよ」
「ええと、あのさ、それで」
「分かってます」
喋りにくそうに口ごもる才人の声を、シエスタはすまし顔で遮った。
「お二人のお邪魔をする気はありませんよ。ミス・ヴァリエールだって、ずっとさらわれてて不安
だったはずなんです。今、彼女の心をかき乱すようなことは絶対にしません」
「ごめん」
「謝らないでください。お二人とも、わたしにとっては大切なお友達なんです。ちゃんと、お二人の
幸せを祝福してあげますから」
「シエスタ。俺、なんて言っていいか」
才人が悔やむように俯く。シエスタは苦笑して彼の肩を叩いた。
「そんな顔しないでくださいよ。ミス・ヴァリエールのこと、全力で見てあげるって決めたんでしょ
う? だったら、そんな顔しちゃダメです」
「そうか。そうかな、うん」
才人の顔に、少しだけ元気が戻ってくる。シエスタは「そうですよ」と頷いてから、手を打ち合わせた。
「さ、そろそろミス・ヴァリエールのお世話をしなくちゃいけませんから。サイトさんはお部屋に戻って何も考えずにお休みになってください。今後のことは、それからゆっくり話し合いましょう」
「そうだな。それじゃ、シエスタ、ルイズのこと……」
「大丈夫です。サイトさんの……いえ、わたしたちのお姫様は、ちゃんとお守りしてみせますから」
シエスタが自分の胸を叩いてそう言ってやると、才人はもう一度だけ「頼むな」と言い置いて、二
つほど離れた船室に戻っていった。
才人が船室に消えたあと、シエスタは長い吐息を吐き出した。同時にこらえていた感情が、胸の奥
からせり上がってきて、瞳の奥から涙を滲み出させた。才人に聞こえてはいけないと思い、シエスタ
はしばらくの間その場にしゃがみ込み、声を押し殺して泣き続けた。
「大丈夫?」
と、不意に声をかけられた。慌てて涙を拭いながら顔を上げると、そこに見知った少女が立ってい
た。小柄な体と、肩の辺りで切り揃えられた青い髪、そして湖のように静かな、青い瞳。
「ミス・タバサ」
「これ、使って」
タバサが差し出したハンカチを、シエスタは遠慮なく受け取った。それで完全に涙を拭ったあと、
小柄な少女に問いかける。
「あの。もしかして、さっきの会話」
「聞いてた。立ち聞きになってごめんなさい」
「いえ、それはいいんですけど」
その先を言うのは、少し躊躇われた。シエスタの知る限り、タバサもまた才人に恋焦がれていたは
ずである。だとすれば、彼女も自分同様の胸の痛みを抱えているのではないかと思ったのだ。
だが、そんな気遣いなど無用と言うように、タバサは静かに首を振る。
「わたしは、サイトが幸せならそれでいい。ずっとそう思ってきたし、これからだってそう」
迷いのない声で断言されると、泣いていた自分が少し恥ずかしく思えてくる。「あーあ」と息を吐
き出し、シエスタは照れ笑いを浮かべながら立ち上がった。
「ダメですね、わたし。もうとっくに、諦めはついてたはずなのに」
「大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
今度はちゃんと返事が返せた。泣いたおかげか、少しだけ心が軽くなっているように思える。
「あ、そうだ。ミス・タバサ、お願いがあるんですけど、聞いていただけますか」
「なに?」
「この部屋……ミス・ヴァリエールの船室の周りに、あの、音が聞こえなくなる魔法、かけていただ
けないでしょうか」
この冒険に参加し、間近で貴族と接することによって、シエスタも多少魔法のことを知るように
なった。今タバサに頼んだ「サイレント」の魔法も、以前何度か見たことがあって、思い出したの
だった。
「静かにしてあげたいの?」
「はい。ミス・ヴァリエールも、なんだか少し様子が変でしたし。もっとお休みが必要なのかもしれ
ません」
「分かった」
タバサが詠唱して杖を振る。見た目には分からないが、それで魔法がかけられたらしい。
「これで、部屋の中の音は外に聞こえないし、部屋の外の音は中に聞こえない」
「ありがとうございます」
「わたしは隣の部屋にいる。他にも、何か協力できることがあったらいつでも言って」
「はい、分かりました」
シエスタがお辞儀をすると、タバサは黙ってその場を去り、隣の船室に入っていった。
「さてと。ミス・ヴァリエールのお世話をしてあげなくちゃ」
気持ちを切り替えるように呟き、シエスタはルイズの船室に戻る。部屋に入った途端、航行中はい
つも聞こえる風の音や、階上で誰かが歩き回る音なども聞こえなくなり、シエスタは感心した。
(これなら、ミス・ヴァリエールにもゆっくりと休んでもらえそうだわ)
そんなことを考えたとき、ふと、シエスタは部屋の隅から音が聞こえてくることに気付いた。
かすかな音であった。「サイレント」で部屋の外の音が遮断されていなければ、聞き逃していただ
ろう。
聞こえてきた音は、小さな衣擦れの音。それに混じって、切ない喘ぎ声と、湿っぽい水音がかすか
に聞こえてくる。
(え、なに?)
一瞬状況が分からず、シエスタは困惑する。喘ぎ声の主が寝台の上で寝ているルイズであることを
悟ると、その困惑はさらに大きくなった。
(どうしたのかしら。苦しくて呻いてる、って訳ではなさそうだし)
シエスタは息を潜め、出来る限り足音を立てないように注意しながら、部屋の隅の寝台に近づく。
だが、そこまで注意深くなる必要はなかったようだ。ルイズは寝台に横たわったまま、何かに夢中で
没頭しているようで、そもそもこちらが部屋に入ってきたことにすら気付いていないようだった。
近づくにつれ、音も大きく聞こえるようになる。やはり、衣擦れの音がする。寝台を見る限り、ル
イズが布団の中で何やらもぞもぞと動いているようである。水っぽい音は、先程よりもさらに湿っぽ
さを増しているように見える。
(……これ、ひょっとして)
シエスタの背筋に悪寒が走る。何か、猛烈におかしなことが起きているような気がする。
そして、ルイズの喘ぎ声がさらに明瞭に聞き取れるようになったとき、シエスタの悪寒は背筋から
這い出して全身を駆け巡った。
「だめぇ、指なんかじゃ全然ダメなのぉ……もっと太いの欲しいよぉ……」
頭がクラクラした。何がなんだか分からないまま、不吉な焦燥に駆られて、シエスタは寝台の上の
布団に手をかけた
「何やってるんですか、ミス・ヴァリエール!」
叫びながら布きれを引っぺがすと、その向こうからルイズが現れる。その姿が悪い予感通りだった
ので、シエスタはその場で卒倒しそうになった。
赤い頬と潤んだ瞳のルイズは、薄手の寝衣を激しく乱したまま、左手で小さな乳房を弄り、右手で
股間をまさぐっていたのである。陰裂深く二本の指が差し込まれており、その奥から水っぽい液が失
禁のようにあふれ出して、寝台の敷布を濡らしている。
要するに、自慰の真っ最中なのであった。
(何やってんですかあなたは)
口に出しては何も言うことができず、シエスタはルイズを見下ろしたまま目を白黒させてぱくぱく
と口を開く。
その間もルイズは指を動かし続け、露骨な視線を浴びながらも一向に自慰を止める気配を見せな
かった。それどころか、その指使いはより一層激しくなっているようにも見える。
「シエスタぁ、どうしよぉ」
指で陰裂の奥をまさぐり、時折声を詰まらせながら、ルイズはぐずるように言う。あまりに常識を
超えた状況に頭がついていかなかったが、シエスタはかろうじて返事をした。
「どうしようって、何がですか」
「あのねぇ、さっきからこうやって指でたくさん弄ってるんだけど、どうしてもイケないのぉ」
(何言ってるんですかあなたは)
だが、やはり口に出しては何も言えない。シエスタは軽く現実逃避していた。
彼女が頭の中のお花畑で遊んでいる間にも、ルイズの自慰は休むことなく続けられていた。だがい
つまで経っても絶頂にはたどり着けないらしく、ルイズはその内切なく啜り泣きを始める。そして、
一旦指を陰裂から引き抜いた。
(何やってるんだろこの人)
虚ろな意識で、シエスタはルイズの動きを見守る。陰裂から愛液で濡れそぼった指を引き抜いたル
イズは、その手をそのままさらに下の方に持っていき、
「って、何やってんですかミス・ヴァリエール!」
さすがに今度ばかりはシエスタも声に出して叫んでいた。指を肛門に突っ込む寸前だったルイズの
腕を無理矢理引っつかみ、その常識外れの蛮行を何とか止める。すると、ルイズが狂ったように泣き
叫び始めた。
「やだ、離してよぉ、シエスタぁ!」
「離しません! なんてところに指をいれようとしているんですかあなたは!」
「だって、イケないんだもん、おマンコじゃイケないんだもん。だからケツ穴ホジホジするのぉ!」
「お、おま……けつ……」
ルイズの口から飛び出した卑猥な単語に、シエスタは絶句するしかない。
(い、一体何がどうなってるの……?)
さっきまで己の失恋について傷ついたり、泣いたりしていたところにこれである。この状況はほと
んど非現実的であり、悪夢のようにしか思えなかった。
だが、これはまごうことなき現実なのだった。シエスタが才人との恋愛にケリをつけている背後で、
ルイズは夢中になって自分の性器をいじって、獣のように快楽を貪っていた訳だ。まるで悪い冗談の
ようだが、重ね重ね、これは現実である。
未だ失恋のショックから立ち直りきれていないシエスタの前で、勝利を収めた恋敵は、自分の尻の
穴に指をいれたいと言って泣き叫んでいる。
(なんなのこれ。なんなのこれ)
答えてくれる者はいない。シエスタは呆然としつつも、まだ自分の指を肛門にいれたがってジタバ
タ暴れているルイズを抑えるのだけは忘れなかった。
(落ち着いてシエスタ。ミス・ヴァリエールは、あまりにも状況が目まぐるしく動きすぎて、激しく
錯乱なさっているのかもしれないわ)
無理のある理論で心を落ち着かせつつ、シエスタはルイズを安心させるような笑みを浮かべた。頬
が引きつっているのが自分でも分かったが、さすがにそれはどうしようもない。
「ねえ、ミス・ヴァリエール?」
「やだぁ、離してよぉ」
「じゃ、お尻に指をいれようとするの、やめていただけますか?」
「いやぁ。ケツ穴で気持ちよくなるのぉ」
まるで異常者と会話しているような気分。「もうイヤ、何もかも忘れて逃げ出しましょう!」と叫
ぶ理性を根性で押さえつけて、シエスタはなおもルイズと会話を続けた。
「いやですわミス・ヴァリエールったら。いくらなんでも冗談が過ぎますよ」
「やだぁ、お尻ぃ」
話が全く通じない。仕方がないので、別のアプローチから攻めてみることにする。
「どうして、お尻をいじりたいんですか?」
よもやこんな質問を口にする日が来ようとは、予想もしていなかった。なんとなく泣きたくなりな
がら、シエスタはルイズの答えを待つ。
ルイズは、「えっとねえ」と童子のように呟き、目をとろんとさせた。締まりのない半開きの唇の
隙間から涎を垂れ流しつつ、だらしない口調で言う。
「ケツ穴ホジホジするとねえ、とってもいい気持ちになるのよぉ。わたし、おマンコも大好きだけど
ケツ穴も大好きぃ」
「そうですか」
頭が痛くなってきた。シエスタは歯軋りをしながら、何とかルイズを説得しようと試みる。
「いいですか、ミス・ヴァリエール。お尻の穴はね、とっても汚いんです。そんなところに指を突っ
込んじゃいけませんよ」
なんでこんなことを説明しなくちゃならないんだと、心の中で地団駄を踏む心境である。シエスタ
は噛んで含めるような口調でルイズに言い聞かせた。するとルイズは、「そうよぉ」と、うっとりし
た口調で呟く。
「わたしのケツ穴ね、とっても汚いの。わたし、汚いの。薄汚いメス豚の、精液便所なの。えへ、えへへへ……」
自分の言葉でさらに興奮してきたのか、ルイズは自由な左手をまた陰裂に突っ込んで、夢中で中を
かき回し始める。
このまま発狂してしまいたいと思いながらも、シエスタは寸でのところで踏みとどまる。そして、
有無を言わさぬ口調でルイズに命令した。
「ミス・ヴァリエール! 今すぐ、そんなことをするのはお止めなさい!」
「どうしてぇ」
「どうしてって、考えれば分かるでしょう!?」
「えっとねぇ」
ルイズは唇に濡れた指を当てて、しばらく考えていたが、やがて何かに気付いたように、目を輝か
せて叫んだ。
「分かった、シエスタが弄ってくれるのね!」
「は?」
予想だにしない答えに呆然とするシエスタのことなど全く気にせず、ルイズは寝台の上で四つんば
いになって、こちらに尻を向けてきた。
「え」
「お願いシエスタ、わたしのだらしないケツ穴、たくさんいじめてぇ」
「ちょ」
「早く、早くぅ」
ルイズが待ちきれない様子で尻を振りながら、病的に紅潮した横顔でこちらを見つめてくる。
シエスタはそのルイズの横顔と、自分の目の前に突き出された小ぶりな尻を見比べた。幼い弟や妹
などを除けば、人の尻をマジマジと眺めるなど初めての光景である。ひくついている肛門を見ている
と、この世の理不尽について滔々と考えたくなってくる。
だが、いつまでもそうしている訳にはいかなかった。もしも、才人が気まぐれでおきだして、再び
この部屋を訪れたりしたら。
(破滅だわ……!)
凄まじい恐怖に駆られて、シエスタは思わず自分の左手でルイズの尻をつかまえる。肌と肌が触れ
合った瞬間、ルイズの体が大きく跳ねて、彼女の口から聞いたこともないような激しい嬌声が上がった。
その声を聞いた瞬間、シエスタの中で何かが切れた。
「ふふ、ふふふふ……」
「シエスタ?」
「わたしが真剣に真剣に悩みぬいて、サイトさんをあなたに譲り渡そうと決めた途端に、これですか……」
この一ヶ月間の苦しみと悲しみ、先程までの痛みが、一気に胸の中を駆け抜けていく。
(もう、どうにでもなれ)
シエスタは目を見開き、思いっきり右手を振り上げた。
「そんな悪い子には、たっぷりお仕置きして差し上げます!」
「してぇ、お仕置きしてぇ!」
シエスタの怒りの声に、ルイズがむしろ悦びの声を上げると同時。振り下ろされた平手が、小ぶり
な尻を思いっきり打った。
ルイズが声にならない悲鳴を上げる。だが、シエスタは躊躇せずもう一度手を振り上げ、何度も何
度も憎い尻肉に向かって振り下ろした。そのたび乾いた音が鳴り響く。その響きがあまりにも快いも
のだったので、シエスタはなおさら怒りを募らせる。
「この、いきなり変態になって帰ってきて、本当に、悪い子、悪い子、悪い子……!」
「ごめ、ゴメンなさいぃ、悪いメス豚でゴメンなさいぃ……!」
そうやって、十分ほどの時間が経過しただろうか。
すっかり精根尽き果てて、シエスタは寝台のそばに座り込んでいた。散々ルイズの尻を打った手の
平がひりひりと痛み、腕が痺れたような感覚に包まれている。
病的な怒りと興奮が去ったあとに残ったのは、凄まじい疲労と絶望感である。シエスタはのろのろ
と首を巡らし、寝台の上を見る。
そこでは散々打たれて真っ赤になった尻をさらしたまま、ルイズが半ば白目を剥いて倒れ伏してい
るのであった。尻を叩かれている途中で失禁まで始めたので、異臭と尿に包まれて、目も当てられな
い状態である。
だが、何よりもシエスタの心を重くしたのは、そんな状態にあってもなお、ルイズの口元に締まり
のない幸せそうな笑みが浮かんでいることであった。
「えへへぇ、お尻ぃ、気持ちいぃ……」
そんな、寝言だかうわ言だか分からない言葉まで聞こえてくる。
(どうしよう、これ……)
寝台の上を片付ける気にもなれないまま、シエスタは頭を抱えて長い長いため息を吐き出した。
391 :
205:2007/09/11(火) 02:06:30 ID:rvYfeHEl
ごめん、さすがに「妊娠確実ぅ!」とか言わせる気にはなれんかった。
コンセプトは「調教ゲームのヒロインが、調教完了と同時に元の日常に返されたら」みたいな?
似たタイトルのSSが保管庫の自分のとこにあると思いますが、
それの書き直しみたいなもんなので、元のはその内消そうかなと思います。
乙
「あなたって、本当に最低の屑だわ!」
「行って……」
「え?」
「メイドからの伝言。『ミス・ヴァリエールを、助けて』って。『選んだんでしょ』って」
「でも……」
「エルフ達の足止めくらいなら、私達だけでも、何とかなる」
「…………」
「行って、サイト!」
ルイズは、数瞬の後に訪れるであろう自らの死を自覚していた。
眼前には、今にも虚無の障壁ごと消し飛ばさんと迫る強力な先住魔法。
避けようにも、自分の体は満身創痍、精神力も底をついた。回避など、できる筈も無い。
思わず、目を閉じる。
(ごめんね……サイト。でも、ちゃんと元の世界に帰れたよね……)
自身の不甲斐なさを悔やみながら、心中で想い人に謝罪した。だが、何時までたっても予想した衝撃も痛みも訪れない。
訝しく思い、目を開く。
瞳に映ったのは、自分を消し飛ばす筈だった魔法を縦に割る、見慣れた背中――
馬鹿みたいに強力な魔法を切り裂き、取り込む、それは彼が一番の相棒とした剣の能力だ。
嘘、と呟く前に、目の前の、いつも見続けた背中の、だけどここにはいないはずの人の声が聞こえてくる。
『ゼロを……なめるな……』
耳に届いたのは、自分が愛しく想う人の声。
「サイ……ト……?」
呟く間にも、眼前の彼は腕に力を込め、『ゼロの使い魔を――なめるなァァァァァ!!』
咆哮し、瀑布のような光の奔流を斬り消す――!!
それは、愛しい人との明日を掴むために挙げられた、世界への咆哮――
>>391 乙!!
保管庫にある14-495とは話がつながっていないんですね
>>391 お前、そこはおっぱいエルフ母娘の出番だろうwwww
いぐうううううううう!乙
>>391 アンジェリカはアン様、テファ、タバサで劇場化。
>>393の続きが、すごい読みたいんだが・・・
短い文章だけど、気迫が見れて いい(≧∇≦)b
それは、まるでどこかの型月のような・・・w
でも
>>393GJ。ほんとにこれでSS書いてみたら?
「なめるな」と「咆哮」でオ●タを想像しちまった俺はアゲ信者
>>393 JAMprojectの未来への咆哮が聞きたくなった
>>401 どっちかっーと
>>393は、BGM:【神の摂理に挑む者達〜魔を断つ剣は未だ折れず@デモベ】…な、シチュだけどな。
まーたまには、こういうエロ無縁、ヘタレ&モグラを返上した燃え展開も桶だわな。
なにげに胸が一番おおきいのはクラリス
誤爆った
「行ってください……」
「え?」
「純夏さんが言ってます。『御剣さんを、助けて』って」
「でも……」
「荷電粒子砲を撃つだけなら、私と純夏さんだけでも、何とかなります」
「…………」
「行ってください、白銀さん!」
冥夜は、数瞬の後に訪れるであろう自らの死を自覚していた。
眼前には、今にも武御雷を貫かんと迫る触手。
避けようにも、自分の体はBETAに侵食され思うようにならず、機体も満身創痍。回避など、できる筈も無い。
思わず、目を閉じる。
(すまぬ……タケル)
自身の不甲斐なさを悔やみながら、心中で想い人に謝罪した。だが、何時までたっても予想した衝撃も痛みも訪れない。
訝しく思い、目を開く。
瞳に映ったのは、自分を貫く筈だった触手を掴み取っている、撃震の姿――
データによれば、それは神宮寺まりもが搭乗していた機体だ。
誰だ、と問う前に、通信機から目の前の撃震に乗っているであろう人物の声が聞こえてくる。
『人類を……なめるな……』
耳に届いたのは、自分が愛しく想う男の声。
「タ……ケル……?」
呟く間にも、眼前の撃震は腕に力を込め、『人間を――無礼なァァァァァ!!』
咆哮し、捉えた触手を引き千切る――!!
それは、人類の明日を掴むために挙げられた、未来への咆哮――
誤ば(ry
>>405 気に入った、マブラヴ二次創作板でSSを投稿するが(ry
>>408 そうか、ならば次は理想郷にきて俺のSSを読むがいい。
感動の余り咽び泣きが止まらなくなるだろうこと請け合いだ。まだそこまで書いていないが確実だ
ああ、ついでにこれをくれてやろう。
何、つまらないものだ、遠慮せず受け取っておくといい
_、_
ヽ( ,_ノ`)ノ ω
へノ /
へノ
理想郷がメンテ中なのは皆が
>>409のSSを読むためにアクセスしたからか?w
(仮)(偽)はガチ
スレ違いも甚だしいが、ここはあげ信者多いなwwwww
Wikiでエロ抜きでおまいらのオススメを教えてくれ
暗くなくて笑えるのがいい
たまには抜きモノ以外を読みたくなった十年前の十五の夜
ダメ、絶対。とか
ルイズがいろんな薬飲む話
シルフィもサイトと遊びたい!
ギーシュとモンモランシー
風神
>>415 風神は良かったな。マゾ豚ファンにはたまらない作品だ。
何気に『魔王』が好きである
調べてみると結構良いので載ってないのってあるね
今度洗ってみよう
419 :
205:2007/09/11(火) 22:55:39 ID:DThkf9y/
>>415-417 嬉しいこと言ってくれるじゃないの……とか言いつつ、昨日の続き。
実用には耐えません。エロSSというよりは変態コメディー、みたいな?
あまりのことに茫然自失となったシエスタだったが、残念ながらいつまでもその場に座り込んでは
いられないのだった。ルイズが今少し大人しくなっているとは言え、いつ才人が入ってきてもおかし
くない状況は全く変わっていない。
シエスタは立ち上がり、後ろを向いた。乱れて一部が湿っている敷布、跳ね除けられた布団、その
上に半裸で白目を剥いてぴくぴくと痙攣しているルイズ。
(こんなところを見られたら、おしまいだわ)
慌てて寝台に取り付き、意識が混濁しているらしいルイズの肩を軽く揺さぶる。
「さ、ミス・ヴァリエール。起きてください。今から体をきれいにしましょうね」
ルイズからの反応はない。瞳は虚ろで、口は半開きになったままだ。少し待ってみたが、正気に戻
る気配はない。シエスタは部屋の隅の長櫃から長い布を取り出して、ルイズの体を拭き始めた。まず
彼女から綺麗になってもらい、敷布や布団の問題は後回しにするつもりだった。
汗と尿でぐっしょりと濡れた寝衣を脱がせ、ルイズの肌に直接布を当てて汚れを拭き始める。する
と、先程まで無反応だったルイズが、突然奇声を上げた。その唐突さに驚かされ、シエスタは思わず
ルイズの体から手を離してしまう。
「どうしたんですか?」
「もっと、もっとやってぇ」
呂律が回っていない声である。シエスタは嫌な予感を覚えたが、ルイズを汚れたまま放置しておく
訳にもいかず、嫌々ながら彼女の体を拭くのを再開する。
ルイズはシエスタが布越しに彼女の体を撫でるたびにいちいち淫靡な奇声を上げ、切ない喘ぎ声を
漏らした。その内小柄な体が火照って赤くなり始め、小さな乳首もぴんと突っ立って硬さを増してい
くのが見て取れた。顔に視線を移すと、だらしなく舌を垂らした悦びの表情が浮かんでいる。シエス
タはうんざりした。
「ふざけないでください、ミス・ヴァリエール」
「だって、シエスタが上手すぎるんだもん」
悩ましげな声で言ったあと、ルイズはこちらに身を乗り出してきた。あるかなしかの乳房を両手で
寄せて、ねだるような甘ったるい声で言う。
「ねぇ、もっと、この辺りをたくさんこすって」
「わたしはそんなつもりであなたの体を拭いているんじゃありません!」
怒鳴りつけてやると、「シエスタのいじわる」と拗ねた声が返ってきた。そして、ルイズはまた
黙って自分の股間に手を伸ばしかける。シエスタは慌ててその腕をつかんだ。
「ちょっと、何なさってるんですかミス・ヴァリエール」
「オナニー」
「そういうことを聞いてるんじゃありません。やめてください、お願いですから」
苛立ちを必死にこらえながらそう言うと、ルイズはいやいやするように体を強請りながら、切なく
すすり泣き始めた。
「焦らしちゃやだぁ」
「焦らしてるんじゃありませんったら! もう。とにかく、黙って大人しくしていてください」
「いじわる」
「何とでもお言いなさい」
もうその辺りはすっぱり無視することに決めて、シエスタはルイズの体を乱暴に拭き始める。ルイ
ズは相変わらず奇声や喘ぎ声を漏らし、「ダメ、もっと優しくしてぇ」「でも、乱暴なのも好きぃ」
だのとうわ言を呟いてシエスタの集中をかき乱したが、彼女はなんとか己の仕事を完遂した。
(自分で自分を褒めてあげたい気分)
だが、一仕事終えた達成感に浸っている余裕はなかった。次は寝台を片付けなければならない。
「ミス・ヴァリエール。一度寝台から降りていただけますか」
「うん」
「で、服を脱いでそこに置いてください」
もちろん、「汚れたので服を着替えてください」という意味である。だが、ルイズは何か別の意図
のように解釈したようだ。異様なまでに目を輝かせると、寝台から降りて待ちきれない様子でいそい
そと服を脱ぎ捨てた。そして、一言。
「して」
「何もしません」
もはや怒鳴る気力もない。シエスタは裸で待ち構えているルイズのことは無視して、汚れた布団を
完全に床に下ろし、敷布を寝台から引き剥がす。その途中で、小さな二つの腕が腰の後ろから伸びて
きて、彼女の体に抱きついてきた。背中に火照った体の熱を感じる。
「何してるんですか、ミス・ヴァリエール」
「いじめちゃいや」
「いじめてませんから。いいから早く服を着てください」
「だって、まだ何もしてないのに」
「だから何もしませんってば」
「やだ、切ないの。ねえシエスタ、お願い。何でもするから、わたしのこといじめて」
「じゃあ服を着て大人しくしていてください」
「シエスタぁ」
幼子のような声で恥ずかしげもなく泣きながら、ルイズは自分の体を上下に揺すって、シエスタの
背中にこすりつけ始めた。主に胸の辺りを重点的に。
「んふぅー……気持ちいいぃ」
服の布地越しに湿りきった吐息を感じる。シエスタの背筋に悪寒が走った。
「ちょ、やめてください、ミス・ヴァリエール!」
「だって、シエスタがわたしのこと弄ってくれないんだもん。だからね、自分で気持ちよくなるの」
とろけるような声で言い、ルイズはさらに激しくシエスタの背中に自分の前半身をこすりつけ始め
る。その内息がさらに荒くなり、体の動きも速くなってきた。
(早く、片づけを終わらせないと)
シエスタはメイドとしての半生で得た経験をフルに活かし、素早く寝台を整えた。そのまま、未だ
体を揺すり続けているルイズを引き剥がし、乱暴に寝台の上に放り出す。
「いやぁ、シエスタぁ」
「いい加減にしてください、ミス・ヴァリエール。こんなことがサイトさんに知れたら……」
脅し文句として多少は有効かと思って才人の名を口にしてみる。ルイズはその名前を聞いた途端、
きょとんとした様子で目を瞬いた。
「サイト?」
「そうです。サイトさん。ミス・ヴァリエールがこんなことしてるってサイトさんに知られたら、ど
うなると思いますか?」
ルイズは目を輝かせた。
「たくさんしてもらえる」
逆効果だった。虚脱感のあまり腰砕けしそうになるシエスタの前で、ルイズは夢見るように唇を緩ませる。
「サイト、すごくえっちだもん。わたしもえっちになったの知ったら、きっとわたしのこといっぱい
愛してくれるわ。わたしたちね、昼も夜もずーっと愛し合うの。動物みたいにずぼずぼするの」
淫靡な想像がどんどん膨らんでいくらしく、ルイズの瞳がまた焦点を失い始める。
(これはお手上げだわ。とてもわたしの手には負えない)
シエスタは心の中で白旗を上げた。こうなれば、誰かに助力を求めるしかない。
(でも、こんなこと誰に相談したらいいのかしら。サイトさんに言うのは論外だし、だからって、他
に頼れる人も……あ、そういえば)
タバサの顔が頭に浮かんだ。協力するから何でも言ってと言ってくれたし、彼女は口が堅そうだ。
と言うかそもそもあまり喋らない。それに何より、冷静沈着な知識人である。その知識欲が性的な分
野にまで及んでいるかは定かでないが、とにかくいい助っ人になってくれるはずである。
(よし、ミス・タバサに相談してみよう)
そう決めたものの、シエスタは少し迷う。タバサは隣の部屋にいる。呼びに行くと言っても、部屋
を離れる時間はせいぜい数十秒ほどのはずである。だが、たとえその程度の時間でも、今のルイズか
ら目を離すのは不安だった。
「ミス・ヴァリエール」
「なぁに」
ぼんやりと首を傾げるルイズの眼前に、シエスタは指を突きつけた。
「いいですか、わたしは今からほんのちょっとだけ部屋を空けますけど、その間にさっきみたいなこ
としちゃダメですよ」
「さっきみたいなことって?」
「ええと」
さすがに卑猥な単語を口にするのは躊躇われたので、シエスタは曖昧に説明した。
「だから、自分の指を、その、そこにいれたり、とか」
股間を指差されたルイズは、少しの間何やら考えていたようだったが、やがてにっこり笑って頷いた。
「分かったわ。何もしないで待ってる」
「本当ですよ。絶対ですよ」
何度も念を押しつつ、シエスタは部屋を出ると、滑稽なほど急いで隣の部屋の扉をノックした。
「誰」
静かな声が返ってくる。シエスタが「わたしです」と答えると、中に入るよう促された。
船室の中に足を踏み入れたシエスタは、机に向かって本を広げていたタバサのそばに一直線に歩み
寄り、言った。
「ミス・ヴァリエールが大変なので来てください」
あまりにも適当すぎる説明ではあるが、上手く説明できないので仕方がない。幸い、こちらの様子
から何かがあったことを察してくれたらしい。タバサはすぐに本を閉じ、杖を手にとって立ち上がった。
「こちらへ」
シエスタはタバサの部屋の扉を開け、すぐにまた隣のルイズの部屋に戻ろうとする。
そして、扉を開けて絶句した。
「ああ、サイト、サイトの太いのぉ」
「何やってるんですか!」
寝台の上でまた陰裂の奥を弄っていたルイズのそばにすっ飛んでいって、無理矢理彼女の腕をつか
み止める。先程「自慰は絶対しないように」と厳命してから、一分と経っていない。いくらなんでも
早すぎである。
「こういうことは止めてくださいって言ったでしょう!?」
「そうです」
と、ルイズは何かを期待するかのように目を輝かせた。
「ルイズ、変態なので約束を破っちゃいました。お仕置きしてください」
そう言って、自分から股を広げてみせる。最初からそれが目的だったことは明らかである。シエス
タはため息を吐いた。
「なるほど」
背後から納得したような声が聞こえてくる。振り返ると、タバサが後ろ手に扉を閉めたところで
あった。
「そういうこと」
何やら、確認するように何度も頷いている。変わり果てたルイズの痴態を見ても、全く動揺した様
子が見られない。やっぱりこの人は凄い、とシエスタは内心感心した。
「こういうことなんです」
「いつから」
「起きたときにはもう様子がおかしくて」
「そう」
そんなことを喋っている間にも、ルイズはまた自慰に没頭し始めている。背後から聞こえてくる喘
ぎ声と絶え間ない水音を、シエスタはあえて聞こえない振りで流した。
「どうなってるんでしょうか」
「ある程度、推測はつく」
答えは期待していなかったが、タバサは静かにそう返答する。シエスタは驚きに目を見張った。
「え、それってどういう」
「多分」
と、タバサが何か言いかけたところで、シエスタは不意に背後から服の裾を引っ張られた。
「ねえ、シエスタぁ」
振り向くと、床にしゃがみ込んだルイズが、左手でこちらの服の裾を引っ張っていた。右手はもち
ろん股間に潜り込んでいる。
「無視しちゃイヤ。ね、わたし、シエスタの言いつけ破った、悪い雌犬なの。早く、躾けて。ねえ、
躾けてよぉ」
「何バカなこと言ってんですかあなたは」
「ああ、いい、もっと、もっと口汚く罵って!」
ルイズは目を閉じて大きく体を震わせる。何を言っても興奮の材料になってしまうようだ。こんな
風に邪魔をされては、いつまで経っても話が進まない。
(どうしましょう)
(任せて)
シエスタの困惑の視線に、タバサは小さく頷いた。こちらに歩み寄ってきて、しゃがみ込むルイズ
を無表情に見下ろす。
「ルイズ」
「ああ、タバサ。タバサもいじめてくれるの」
「分かった、いじめてあげる」
言うが早いか、タバサは小柄な体には似合わない力で、ルイズの体を抱え上げた。そのまま寝台に
相手の体を横たえて、ゆっくりと覆いかぶさる。
(え、何を)
驚くシエスタの前で、タバサは躊躇いなくルイズの唇に自分の唇を押しつけた。舌を突き入れ、吸
い上げ、ねっとりとした水音を響かせる。ルイズもまたうっとりと頬を染め、タバサの激しい接吻に
応じている。
そうして激しく唇と舌を絡ませつつ、タバサは同時に腕も動かしていた。左手でルイズの頭を押さ
えながら、右手は滑るように相手の肌を這い回り、要所要所を指先でくすぐったりつねったりしなが
ら、相手の反応を窺っている。
「あ、ああ、そこぉ」
「ここ?」
ルイズの唇を攻め立てながら、タバサはルイズの左胸の辺りを指でなぞる。ルイズの体が小さく跳
ねた。
「そこ。いい、いいの」
「そう」
タバサの唇がルイズの唇から離れ、混ざり合う唾液の跡を残しながら、彼女の体を這い下りる。顎
を伝い首を通り、やがてルイズが最も敏感に反応するスポットに到達する。タバサはその辺りを、舌
と唇で重点的に攻め立てた。甘噛みを交えながら、舐め、吸い寄せ、音を立ててキスをする。そのた
びにルイズはむせび泣くような喘ぎ声を上げ、何度も何度も小さく体を跳ねさせる。
(……凄い)
シエスタは、その光景に淫靡さと同じぐらいの美しさを感じていた。タバサは刻々と変化するルイ
ズの反応を敏感に感じ取り、次々に場所を変えながら、滑らかに相手の体を刺激していく。そのたび、
ルイズは長く、あるいは短く悲鳴を上げて体を震わせる。タバサの洗練された指使いと相まって、そ
れはまるで一流のピアニストが素晴らしい旋律を生み出しているようにも見えるのだった。
そうやってシエスタが見入っているうちに、二人の情交は終わりを迎えつつあった。
タバサの指がルイズの陰裂に潜り込み、休みなく中をかき回している。ルイズは全身を上気させ、
身悶えしながら切なげな喘ぎ声を漏らし続けている。正気を失った顔は、先程自慰していたときより
もさらに崩れ、まさに快楽を貪る獣の表情である。開きっぱなしのその目を、タバサは静かに見つめ
ている。
「そろそろ?」
「うん……ああ、もう、もう……!」
「そう」
小さく呟くと、タバサは最後の仕上げとばかりに、ルイズの陰核を軽く摘み上げる。その瞬間、ル
イズの体が弓なりに反り返った。大きく開かれた口から長い長い悲鳴が上がり、やがて小柄な体が寝
台に崩れ落ちる。半ば白目を剥きかけているルイズの口元から、唾液が一筋流れ落ちて、取り替えた
ばかりの敷布をまたも濡らしていた。
「これで黙った」
ぽつりと言い、タバサは少しだけ乱れた着衣を軽く直す。その言葉どおり、ルイズは荒い呼吸を繰
り返すだけで、もう何も言わなかった。時折痙攣しているものの、もう先程のように興奮して自慰に
没頭することもない。完全に意識が飛んでいるようである。
(ううん、飛ばされたんだわ。この人に、指と唇だけで)
性に関する知識が豊富とは言えないシエスタにも、今目の前で披露されたタバサの手腕が並外れて
いたことだけはハッキリと分かる。
しかも、完全に正気を失くしているルイズに比べ、タバサの方はあれほど激しく相手を弄んだと言
うのに、息一つ乱していない。事前と事後で全く様子が変わらない静かな佇まいに、シエスタはただ
ただ呆然とするしかなかった。
「あの、ミス・タバサ」
「なに」
「ええと、何というか、とてもお見事でしたけど……一体、どこであんな技術を?」
タバサはそっと目をそらすと、ルイズの愛液に塗れた自分の指先を見下ろして、小さく呟いた。
「そういう任務もあった」
なんだかいろいろ怖かったので、シエスタは深く追及しなかった。
424 :
205:2007/09/11(火) 23:00:39 ID:DThkf9y/
コメディーとか言いつつあんまり笑えもしませんが。
タバサってなんかスゲー性技持ってそうだよな!
>>424GJ!
それにしてもタバサのテク凄すぎです。
小さいは性技♪
終わったみたいなので続き投下します。
が、またつづくなのじゃ。
最近残業続きでしんどいのじゃ。
次はちゃんと終わらせるからカンベンしてたも。
>>327の続き。
そして時の歯車は容赦なく回り、問答無用で週は変わる。
エレオノールは準備万端整えて、実家の寝室で最後のチェックに余念がなかった。
出入りの薬屋から買った、『ウンディーネの媚薬』。新金貨七枚。
そのテの本に載っていた、一撃必殺の悩殺コスチューム。新金貨十枚。
念のため湯浴みを済ませて、ちょっとばかり念入りに磨いた自分の身体。プライスレス。
すでにエレオノールの支出は結構なものになっていた。
これで計画が頓挫しようものなら、エレオノールは二重の原因で仕事が手につかなくなる。
さて、それじゃああのアホ面の平民を鹵獲しにいきましょうか…!
そして、エレオノールは妹とその婚約者の住む、別邸に向かったのだった。
「サイトさんならルイズとお出かけしましたよ?」
出迎えたのは黒髪のメイド。
平民が貴族の、しかも主人の婚約者を捕まえて呼び捨てとは無礼千万、などとエレオノールは思ったが今はそんなことにいちいち突っ込みを入れている暇はない。
「どこ行ったか聞いてない?」
とりあえず、二人の去就を知る事が先決だ。
エレオノールの質問に、シエスタは応えた。
「さあ?遠乗りに行くって言ってただけですし。
あ、でもたぶん夕方くらいまで帰ってこないんじゃないですかねえ」
言ってにやにやと意味ありげな笑顔になる。
「どうして?」
「昨日の夜、またつまらないことで喧嘩したんですよ、あの二人。
で、いつもどおりベッドの中で仲直りして、今日の朝二人で『遠乗りに行く』って言ってましたからー。
間違いなく日が沈みはじめるより早くは帰ってきませんねえ」
言ってから、それじゃ私お洗濯物片付けなくちゃいけませんので、とシエスタは去ってしまう。
まずい…!
エレオノールの中に焦りが生まれる。
そんな、日の高いうちから日が沈むまでヤりまくられたら…!
いくらあの平民が伝説のガンダールヴだと言っても、立たなくなる…!
エレオノールは慌てて、ルーンを唱える。
それは、まだ研究段階の魔法。
『風』を応用した、『探知』の魔法だった。
この魔法は、使用者の耳の周囲の空気に干渉し、普段の数倍の聴覚を使用者に与える。
その探索範囲と精度は相当のもので、半径800メイル程度の扇形の範囲内で発生した音を、逃さず聞き取る事ができるようになる。
しかしこの魔法には欠陥がある。
すぐ近くで大きな音を立てると、使用者の鼓膜が損傷する恐れがあるのだ。
さらに、風の届かない、たとえば建物の中の音は拾えない。
だからなおさら、急ぐ必要があった。
あの二人が事に及ぶ前に見つけないと…!建物の中に入られたりしたらおしまいだわ…!
エレオノールは乗ってきた白馬に飛び乗ると、勢いよく鞭を入れた。
そのいななきでしばらくの間エレオノールは馬の上で悶える事になったのは言うまでもない。
そして、幸運にもルイズ達はすぐに見つかった。
少し離れた、あの湖を見下ろせる小高い丘の木の下で二人で座り込んで、呑気にいちゃついていた。
「昨日はゴメンね、サイト」
「いいよ、もう気にしてないって」
「わかってるけど。なんとなくね」
「俺も悪かったし。お互い様じゃね?」
「そうね。お互い様ね。……じゃあ、粗相をした犬にお仕置きしなきゃね…?」
「どうぞ、お好きなように…」
そして、二人はお互いに唇を寄
「…何ハズカシイ会話してんのよ」
呆れたように、二人の背後に立つエレオノールは言った。
突然のエレオノールの出現に、二人は真っ赤になって、一瞬で離れた。
「え、ななななななななんで姉さまがここにいるのよっ!?」
驚いた声を上げるルイズに。
「あなたに用はないから。ちょっと眠ってなさいルイズ」
言ってエレオノールは、懐に隠していた香水の瓶を取り出し、ルイズの顔に吹きかけた。
その中身は強烈な睡眠薬。嗅ぐだけで、数時間は目覚めない。
ルイズはその睡眠薬をまともに吸い込んでしまい、くてん、とその場に横たわった。
そして、獲物を狩る目で、才人をじっと見る。
「用があるのはあなたの方よ、平民」
言って、才人を見下ろすが。
「お、おいルイズ?ルイズ!?」
才人はルイズを必死になって起こそうとする。しかしルイズは気持ちよさそうにすぴすぴ眠ったままだ。
自分の言葉を無視して、婚約者の心配をする才人に、エレオノールは少しムッとする。
「…あなたも眠っていてもらおうかしら」
言って、ルイズに同じく、才人にも睡眠薬を吹きかける。
「あんた、実の妹にっ…ってあれ…?」
勢いよく振り向いてエレオノールに文句を言おうとした才人は。
問答無用でその睡眠薬を吸い込んでしまう。
そして、ばたんきゅー、と眠ってしまった。
…よし、目標を捕獲。これより作戦行動に入る。
エレオノールはてきぱきと才人を乗ってきた馬に乗せ、本邸にある自分の寝室へと向かったのだった。
はい今日は以上。
続きはまた後日。
ではではノシ
投下が終わったと思ったら、また投下が始まった……!
な、何を言っているか分からねーと(ry
抜かずの支援w
>>430 GJ!
しかし、最初から気になってたけどタイトルがw
才人の運命やいかに・・・
ティファニアに内密に呼び出され、相談を受けるサイト。
「最近、胸にしこりができたようなの。サイト、確認してくれないかな?」
喜んで触診に応じたサイトだが、洒落にならないしこりの感触。
医師の診察の結果、乳がんであることが発覚する。
手術を前にして不安に沈むティファニアを、文字通り身体を張って元気づけるサイト。
やがて手術の日が到来。無事成功。
しかし、大きな手術跡が胸に残ることになり、ティファニアは衝撃を受ける。
自分はもう愛される価値を失ったのではないか、そう思い悩むティファニアを、
サイトは抱きしめ、優しく諭す。
なんだよ、そんな胸くらいで、手術で傷が残ったくらいで、テファの価値がどうにか
なるなんて、そんなことあるものかよ、
そりゃ男はおっぱいは好きだし、俺もおっぱいは好きだけど、でもおっぱいって
結局は脂肪細胞のかたまりでしかないんだぞ、
テファの素敵なところは、決しておっぱいだけなんかじゃなくって、
他にもいっぱいあると思うし、俺もそう思う、
だいたいさ、ルイズを見てもわかるだろ、ルイズはあんな胸だけど、お世辞にも
魅力的なおっぱいとは言えないけど、でも虚無の使い手として頑張ってるじゃないか、
俺はルイズのそういうところは凄く立派だと思ってる、おっぱいがアレなのは
どうしても否めないけどな、
だからテファも自信持ってていいんだよ、テファの魅力はおっぱいじゃないって、
おっぱいだけじゃないんだって、俺はちゃんとわかってるし、
きっとみんなだってちゃんとわかってるはずだからさ。
ティファニアを元気づけて意気揚々と帰還したサイトは、麻酔無しでガンの手術を
受けるほうがマシと思えるほどのお仕置きを、主人から受けることになった。
という電波を先ほど受信したのですが、発信源はこのスレで間違いないでしょうか?
エレオノールSS、あれはいいものだ……
>>424 ちょwwwwwタバサwwwwwwwwwおますげーなwwww
>>430 タイトルが既知のエロゲのインスパイアなところで盛大に吹いたwwwwwデレ姉様に期待大wwwww
エレオノール姉さまってリアルに「らめぇぇ」っていいそうだよなw
続きにwktk(・∀・)ウヒョー!!
>>430 エレオノール姉さま容赦ねぇwww
続きに期待。
>>433 いいえきっとそれは、ルイズかエレオノールが飛ばした電波です。
>>433 言葉とは裏腹に、オパーイに拘りすぎだw
ヤンデレアン様に監禁調教されたいぜ!
アンとアンアン!アンとアンアン!
このスレ本当に職人と呼ぶにふさわしい書き手ばっかりだな。
アン様の登場する文章から漏れ出るフェロモンの多さは異常。
感じるCD聞いてるけど、もうエロゲだな
アンアンアン
とっても大好き
コルベール♪
何を言ってるんだキュルケ
>>444 あったまてっかて〜か
さえてピカピ〜カ
そーれがど〜ぉし〜た♪
なあきみ。
その世界では、本当に誰もがきみの言う"くるま"を操り道を行くのか?
遠く離れても意思が通じる(ry
助けてコルえもん!
あんな娘といいな♪ デキたらいいな♪
あんな妄想(ゆめ) こんな妄想(ゆめ) いっぱいある〜けど〜♪
みんなみんなみ〜んな 叶えてくれる♪
タバサの力が叶えてく〜れる〜♪
空を自由に 飛びたいなぁ♪
ハイッ!!戦闘機〜♪
アン アン アン とっても大好き
シャルロット♪
「サイトくん!きみの居た世界では私のように、その、ちょっぴり薄くなった者を
再びフサフサにする事が出来るのかね、教えてくれ!」
「え?あ・・・ん〜と・・・出来るんじゃ、ない、す・・・か?」
>>448 そこはタバタン的にシルフィードだろうがァァァ!
451 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 23:03:11 ID:L0tt2Qpi
今日午後、アンリエッタ王女が自慰を表明。
>>451 安部のシケた顔と重なるからやめてくれwww
シエスタ「一発でーも妊娠♪」
ルイズ「最低だ、コイツ・・・・」
ねえ、ちゃんとしようよ。
と言う事は、せんたい氏はペニス巨大化イベントを用意していると見た。
454の非情なネタバレに全俺が号泣
掃除機エンド?
夢、ふくらむー
458 :
205:2007/09/13(木) 02:25:18 ID:LXU5P2y6
何となく投下。昨日までのとは全く関係ない、シルフィードもので一つ。
459 :
犬竜騒動:2007/09/13(木) 02:28:53 ID:LXU5P2y6
それは、アルビオンとトリステインの間で戦争が始まるより、少し前のこと。
トリステイン魔法学院に通うメイジの少女、タバサの使い魔であるシルフィードは、学院から少し
離れた森の木陰で、のんびり昼寝をしている最中であった。
虚無の曜日ということもあって、本好きの主人は学院の寮に閉じこもって読書に没頭している。急
な任務でもない限りは呼び出されることもないので、シルフィードの方も一人気ままに過ごしている
のだった。
使い魔、と言っても、シルフィードは蝙蝠や蛙の類ではない。ハルケギニアに多数生息している魔
獣の中でも、かなり高位に位置する竜という名の種族。その中でも極めて高い知力と体力を有する、
風韻竜という種類の竜なのである。とは言えまだ齢200ほどであり、幼竜と呼んでも差し支えない
年齢だ。体格も知能も人間とは比較にならないほど発達しているが、それでも同種の中から見れば、
まだ幼い少女に過ぎないのである。色気よりも食い気。シルフィードは、そんな言葉がよく当てはま
る、メスの幼竜なのだった。
(おねーさまは、今日もむっつり顔で読書読書)
目を瞑ったまま、シルフィードは鼻息を吐き出した。
(あんなに本ばっかり読んで、どうして飽きないのかしら。きゅいきゅい)
文句と言うよりは、単純に疑問なのである。ちなみに今日タバサが読んでいた本は童話の類で、白
馬の王子様が登場するような、子供向けの物語であった。タバサは内容問わず本を読むこと自体が好
きなので、たまにそんな本を読んでいることもある。
(白馬の王子様、か)
シルフィードはじゅるりと舌なめずりをする。
(挿絵の白馬、おいしそうだったのね)
色気よりも食い気のシルフィードらしく、頭の中は既に肥えた白馬を食べる想像で一杯だった。閉
じた顎の隙間から、大量の涎が垂れ落ちてくる。
そのとき、シルフィードの耳が異音を捉えた。柔らかい草を踏みながら近づいてくる人間の靴音と、
それについてくる一頭の馬の蹄の音。しかも、意外なほどに距離が近い。どうやら、まどろんでいた
せいで音を察知するのが遅れてしまったようである。
(どうしよう)
シルフィードは戸惑った。相手はおそらくこの付近の農民か何かだろう。大抵素朴で臆病な性格だ
から、こんなところで竜に遭遇したりしたら恐慌をきたして逃げ出してしまうかもしれない。「あの
森で竜を見かけた」なんてことを吹聴されたら、大騒ぎになってしまう。
(そんなことになったら、タバサおねーさまにご飯抜きにされちゃうのね)
かと言って、飛び上がって逃げるには距離が近すぎる。姿を目撃されようものなら、やはり大騒ぎだ。
せめてタバサが近くにいたら、「メイジと使い魔か」と安心してもらえたのだが。
迷っている内に、正面の木々の隙間から、何者かの姿が垣間見えるようになった。こうなっては仕
方がないと、シルフィードは狸寝入りを決め込むことにした。目撃する方にとっても、起きている竜
よりは寝ている竜と遭遇した方が、落ち着いて対処しやすいであろう。
そんな風に考えたのだが、それは結局無用な気遣いというものだった。
「あれ、タバサの竜じゃんか」
木々の向こうから姿を現したのは、シルフィードにとっては見知った顔だった。黒髪に黒目、平均
的な体格をした少年である。
(あ、ご同類なのね)
シルフィードは、彼のことをよく知っていた。彼女の主、タバサと同じ学年の学院生である、ルイ
ズ・ド・ラ・ヴァリエールが召喚した、使い魔の少年である。人間の使い魔など前代未聞だというこ
とで、学院内ではちょっとした話題の種になっている。
(名前は、えと、ヒラガサイト、とか言ったのね。変な名前)
とりあえず騒がれることはなさそうだと安心して、シルフィードはぱちりと目を開く。才人は大人
しそうな白馬の手綱を引いて、こちらに向かって歩いてきた。
(おいしそうな馬なのね)
先程の想像がまだ頭に残っていたため、ついそんなことを考えてしまう。そのとき、不意に才人が口を開いた。
「お前何やってんの、こんなところで」
あまりにも自然に話しかけられたものだから、つい、
(お昼寝中なのね)
と、思わず人語で答えそうになって、シルフィードは慌てて竜の鳴き真似で返事をした。才人の方
もさすがに竜が喋るとは思っていなかったらしく、「って、聞いたって答えられる訳ねえか」と頭を
掻いて苦笑している。
460 :
犬竜騒動:2007/09/13(木) 02:29:45 ID:LXU5P2y6
(危ない危ない)
シルフィードは内心息を吐いた。高度な知能を持つ風韻竜にとっては、人語を話すことなど朝飯前
だが、あれこれ面倒なことになるからという理由で、今はタバサに禁じられている。彼女が人語を
使ってもいい相手は、今のところ主人一人だけなのである。
「しっかし、やっぱ間近で見るとスゲーなお前。竜なんてゲームでしか見たことねえよ。うおー、
やっぱたくましいねー翼とか鱗とか。ちょっと触らしてくれよ」
才人は怯える馬を近くの木につないだあと、シルフィードに近寄ってきた。鼻先の距離で物珍しげ
に彼女の体を眺め回しながら、時折ペタペタと皮膚に触れ始める。シルフィード、というか、竜とい
う凶暴な動物を怖がるような素振りは、全くない。
(変な人なのね)
シルフィードは内心首を傾げる。
たとえば普段から飛竜と接している竜騎士だって、これほど気安く、自分のものでもない竜に近づ
いてきたりはしないものだ。どんなに慣れているつもりでも、所詮相手は獣だから、扱いには細心の
注意を払う。竜に慣れていない人間なら、怯えて近寄りもしないだろう。
そういう、他の人間とは根本的に違う反応を見せるこの少年に、シルフィードは少々興味をそそられた。
(前から少し気になっていたけど、実際どんな人なのかしら)
才人は、シルフィードの翼の辺りを無遠慮にペタペタ触って、「おー、やっぱかてーなー」などと
面白がっている。
好奇心旺盛なこの少年に対して、シルフィードは「陽気で気さくな人」という評価を下している。
触られたからと言って、別段嫌悪感が沸くこともない。シルフィードは触られているお返しにと、首
を後ろに巡らして遠慮なく才人のことを観察し始めた。
黒髪黒目に平均的身長、見慣れない素材で出来ている見慣れないデザインの服を着ている。顔は取
り立ててよくもないが、ブサイクというほどでもない。今は好奇心に輝いているその顔には、根本的
な明るさや陽気さがあり、その点は大きな魅力として捉えられる。
(うん。やっぱり、タバサおねーさまのお相手には、この人が一番なのね)
シルフィードは自分の眼鏡に満足しつつ、心の中で何度も頷く。こういう明るい人と深く付き合え
ば、主人であるタバサも影響を受けて少しは明るくなってくれるだろう、という期待がある。
じっと見つめられていることに気付いたらしく、不意に才人がこちらを向いた。
「ん、どうした、俺の顔になんかついてるか」
(目と鼻と口がついてるのね)
またも人語で返事をしそうになって、シルフィードは慌てた。どうも、この少年は気さくすぎるよ
うである。相手にあまり警戒心を持たせないこの雰囲気を、親しみやすいと表現すべきか、それとも
間抜けだと笑うべきか。
(うん、でも、タバサおねーさまのお相手には、このぐらいお間抜けな人がぴったりなのね)
結局、そこに行き着くのである。上機嫌にきゅいきゅい鳴き声を上げるシルフィードに、才人もま
た楽しそうな笑いを返してくる。
「なんだお前、急にご機嫌になったな。面白れー奴。それにしても」
と、才人は急に顔をしかめて、シルフィードの皮膚を軽く手で撫でた。
「なんか、ずいぶん汚れてんなーお前」
(そうかしら)
シルフィードは「きゅい」と一声鳴きつつ、首を傾げる。すると、その心の声が聞こえたかのよう
に、才人はもっともらしい顔をして頷いた。
461 :
犬竜騒動:2007/09/13(木) 02:30:41 ID:LXU5P2y6
「そうだって。なんか、泥だらけだぜ。折角の綺麗な青い肌が台無しだぞ、これじゃ」
泥だらけというのは、他のところで遊んできたり、ここで寝そべったりしていたせいだろう。同時
に、綺麗な肌、と褒められたので、シルフィードは嬉しくなった。お礼にと、長い舌で才人の顔を舐
めてやる。が、いかんせん舌が大きすぎるせいで、才人の顔が涎でベトベトになってしまった。
「ちょ、お前ホント機嫌いいな。なんか嬉しいことでもあったのか」
(褒めてくれたのね)
シルフィードはきゅいきゅい泣きながら首を上下させる。才人は少しぎょっとしたような顔をした。
「なんだお前、俺が喋ってること分かるのかよ」
(あ、まずい)
普通の竜は喋らないどころか人語を理解することもない。これでは「こいつは普通の竜とはなんか
違うんじゃないか」と疑われてしまいそうだ。
だが、シルフィードの危惧とは裏腹に、才人はまたも感心した表情で何度か頷いてみせた。
「スゲーな。竜ってのは頭もいいんだなー」
どうやら、普通の竜の生態を知らない様子である。シルフィードにとっては好都合だった。ここぞ
とばかりに首を上下させ、相手の言葉が理解できることを伝える。
「そか。言葉が分かるなら、話は早い。こっからちょっと行ったところに川があるんだけどよ、そこ
行こうぜ。体洗ってやるからさ」
才人は森の向こう側を指差してみせる。彼が歩いてきた方向とは逆である。どうやら、その川を目
指して歩いていたらしい。
「いやー、ルイズにちょっと悪戯したら、むっちゃくちゃ怒りやがってよ。あの白い馬の散歩と、体
洗うの命令されちゃったんだよね。しかも『馬に乗るのは禁止』とか言うんだぜ。おかげでここま
で来るのにどんだけかかったか。ったく、人使いが荒いよな、あの女」
話が通じると知った途端、急に愚痴っぽくなった。それでも大して不快感を感じないのは、口調が
冗談っぽいために単なる雑談にしか思えないせいだろうか。
(きゅいきゅい。やっぱり、おねーさまにはこの明るさが必要なのね)
シルフィードの中で、またも才人の評価が一段上昇する。自身がそんな風に見られていることには
気付かないらしく、才人は木の幹に結び付けていた手綱を解きながら、こちらを振り返った。
「さあ、行こうぜシルフィード。お前、メスなんだろ。女の子なら、身だしなみには気を遣わなくちゃな」
そんなことを、さらりと言ってくる。シルフィードの中で、才人の評価がまた一段上がった。
才人の後に続いて(と言ってもシルフィードの巨体では森の中は歩けないから、空を飛んで追った
のだが)辿りついたところは、森の中を流れる小さな川の岸辺であった。幅はシルフィードの体より
少し大きい程度で、深さはそれほどない。要するに、彼女にしても才人が連れてきた馬にしても、中
に入って水浴びするという訳にはいかないのだった。
「さて、それじゃあ洗ってやるからな」
才人はそう言いつつ、馬の背に括り付けていた荷物袋を下ろし、中から桶と大きなブラシを取り出
した。それで水を汲みながら、馬の体を洗うつもりらしかった。
(でも、シルフィの体大きいから、たくさん時間かかっちゃうのね。遅くなったら、またあの怒りん
ぼのご主人様にお仕置きされちゃうのね)
少々心配だったので、シルフィードはきゅいきゅい鳴きながら首を傾げる。才人はズボンの裾を捲
り上げながら、苦笑しつつ振り返った。
「安心しろって、時間かかると思うけど、ちゃんと綺麗にしてやるからさ」
そういう意図ではなかったのだが、才人には伝わらなかったらしい。靴も脱いで川に入ると、「おー、
ちべてー」と笑いながら、桶に水を汲んで戻ってきた。そして、まず最初に馬の方から洗い始める。
「悪いな、先にこいつからやっちまうから、待っててくれよ」
この場合は別に人間の女の子相手でもないし、特にマイナスポイントではないな、と心の中で採点
しつつ、シルフィードは「きゅい」と一言鳴いて返事をする。才人はブラシで馬の腹を擦りながら
笑った。
462 :
犬竜騒動:2007/09/13(木) 02:33:39 ID:LXU5P2y6
「やっぱ言葉通じると面倒がなくていいなー。ちゃっちゃと済ませちまうから、待っててくれな」
そんなことを言いつつ、一生懸命ブラシがけをしている。馬の反応を見て力加減も調節しているよ
うで、理不尽な罰として命ぜられた割にはずいぶん丁寧な仕事振りである。
(根は真面目なのかしら。ううん、使い魔にされて、下っ端根性が身に染み付いてるのかもしれない
わ。きゅいきゅい)
判断に迷うところだった。
才人は馬の体を洗い終えると、また手綱を近くの木に繋いで、シルフィードに近づいてきた。
「お待たせ。さあ、綺麗にしてやるぞー」
やたらと楽しげに言いながら、また桶に水を汲んで帰ってくる。
「っつーか、ブラシがけしていいもんなのかな。な、痛かったら言ってくれよ」
シルフィードの耳元で囁いてから、ブラシがけを始める。シルフィードの体が馬とは比べ物になら
ないほど大きいせいで、予想以上に時間がかかり、何度も何度も川と川原を往復することになる。そ
れでも途中で文句を言うこともないし、それどころかいちいち「どーだ、痛くないか」「傷とかねー
よな。しみるとことかあったら言えよ」だのとこちらを気遣ってくれる。実に好印象である。
「おっし。これでいいだろ。どーよ、綺麗になっただろ」
シルフィードは首をめぐらして、自分の体を見てみた。体表面を覆う鱗全体が夕陽に輝いてきらき
らと光り、なかなか美しい光景を生み出している。才人の仕事の丁寧ぶりに、シルフィードは大満足
できゅいきゅい鳴いた。
その嬉しそうな様子がきちんと伝わったらしく、才人は満足げに腕を組む。
「そか。喜んでくれて、俺も嬉しいぞ」
疲れた体をほぐすように、空似向かってうんと背伸びをする。
「さ、そろそろ帰るかー、って、うわ」
不意に、才人が周囲を見回して焦ったような声を上げる。既に日も落ちかけて、辺りは燃えるよう
な色に染まっていた。
「やっべ、夢中になってて時間忘れてたよ。こりゃまたお仕置き確定だな」
才人は一度肩を落としてから、慌ててこちらに振り向き、大きく手を振った。
「ああいや、別にお前のせいじゃねえからよ。気にしなくてもいいぜ。俺が好きでやったことだし」
なかなかの気遣いである。シルフィードはますます嬉しくなり、同時に、才人のために何かしてや
りたくなった。
(そうだ。シルフィの背中に乗っけて、送ってあげればいいのね)
我ながら名案を思いついたとばかりに、シルフィードは早速才人に背中を向けて、一声鳴く。意図
は十分伝わったらしい。
「え、乗れってのか。でもな、馬もいるし」
(それなら)
シルフィードは、木のそばに歩いていって、前脚の爪で器用に手綱を解くと、馬の腹を口で咥えた。馬は
食われるかと思ったのか激しく暴れたが、その程度なら力ずくで抑えられないこともない。
(大丈夫なのね)
シルフィードは馬を咥えたまま、才人の元へ戻る。彼は苦笑しながら、シルフィードの背中に乗ってきた。
「それじゃ、悪いけど頼むわ」
(任しとくのね)
シルフィードは張り切って、大きく翼を広げた。
463 :
犬竜騒動:2007/09/13(木) 02:34:15 ID:LXU5P2y6
歩いたら一、二時間はかかるであろう距離を、二十分ほどで一っ飛びして、才人とシルフィードは
トリステイン学院の広場に戻ってきた。背中に乗っていた才人も、口に咥えられていた白馬も、もち
ろん無傷である。
(ついたのねー)
馬をゆっくりと地面に降ろしつつ、シルフィードはその場で立ち止まる。才人が背から飛び降りて、
シルフィードの頭を軽く撫でた。
「ありがとう、助かったよ」
(お礼が出来て嬉しいのね)
シルフィードはまたきゅいきゅい鳴いて返答する。才人も目を細めてシルフィードの頭を撫でてい
たが、ふと何かに気付いたように「あ」と声を上げた。
「お前、そこんとこ怪我してるぞ」
何かと思って首を巡らしてみる。確かに、指差された翼の端の方に、小さな傷がついていた。どう
やら、張り切って翼を広げたときに木の枝か何かに引っ掛けてしまったようである。
(でも、このぐらい平気なのね)
シルフィードはそう思ったのだが、才人は「ちょっと待ってろ」と言い置いて寮の方に向かって
走っていき、数分後に一人の女性徒を連れて戻ってきた。
「ちょっと、なんなのよ突然」
「いいからちょっと力貸してくれよ。怪我人だ、怪我人」
「怪我人、って」
才人に手を引かれて走ってきたその女性とは、シルフィードを見つけると、ぎょっとした顔で一歩
身を引いた。
「タバサの風竜じゃないの。怪我人って、これ?」
「これ呼ばわりすんなよな。ほら見ろ、ここんところに傷があるだろ」
「かすり傷じゃないの。こんなの治すのに魔法使えっていうの?」
モンモランシーが呆れた声で言う。シルフィードもその点に関しては同意見だったのだが、才人は
何故か不満そうに答えた。
「いいじゃんか、減るもんじゃねえし、かすり傷なら治すのも大したこっちゃねーんだろ」
「そりゃそうだけど」
「大体な」
と、才人はシルフィードの頭にそっと手を乗せた。
「女の子なんだぜ。いつまでも体に傷が残ったままじゃ、可哀想だろ」
その言葉に、シルフィードは妙な感覚を覚えた。暖かいような、むず痒いような感じである。
モンモランシーは先程よりもさらに表情を引きつらせて、また一歩下がる。
「なに、あなた、今度は竜にまで手を出そうって言うの」
「ちげーよ。いや、なんか、こいつスゲーいい奴だし、こっちの言葉分かるみてーだからさ。ついつ
い人間っぽく扱っちまうんだよなー。な、シルフィード」
問われたシルフィードだったが、先程の才人の言葉に少し衝撃を受けていたせいで、返事をするの
を忘れてしまった。モンモランシーが不審そうな顔をする。
「無反応じゃないの」
「あれ、おっかしーなー」
「おかしいのはあなたでしょ」
呆れた声で言いつつも、モンモランシーは「仕方が無いわね」とため息混じりに杖を取り出した。
「分かった。治してあげるわよ。その代わり、その子おとなしくさせててよね」
「大丈夫だよ。さっきも言ったろ、こいつスゲーいい奴なんだぜ」
「本当? 噛み付いたりしないでしょうね」
「しねーよ、俺が保証してやらあ」
才人は力強く断言する。またも、シルフィードは妙な居心地の悪さを覚える。いや、もしかしたら、
居心地の良さ、なのかもしれない。何にしても、シルフィードにとってはどうも慣れない感覚である。
(きゅい。シルフィ、なんか変な気分なのね)
傷を治療してもらっている間も、シルフィードはそんな風にずっとぼんやりしていたのであった。
464 :
205:2007/09/13(木) 02:35:49 ID:LXU5P2y6
シルフィードってタバサには「恋人作れ」とか言いつつ、
本人は色気より食い気の耳年増で、恋愛経験とかはなさそうだなと
実に都合のいいことを想像してみたりします。
200歳でも幼竜ってのは、なんともツボを抑えた設定だと思いますねハイ。
>>464 一番槍GJ!
才人にその気が無くても勝手に立っていくフラグがw
>>464 うわー
天然で竜たらしなサイトwwww
シルフィ夜這い篇を楽しみに待ってるー
竜たらしと聞いて龍と魔法使いを思いだしちまったぜ
>>464 毎度毎度GJすぎるんだよォォォォ!
これで終わったら駄目でしょ。夜這い編期待してます。
サイトがブラシでシルフィ(竜形態)のいろんな部分をゴシゴシ洗って
シルフィが感じてしまう新ジャンルかと思ったが別にそんな事はなかったぜ!!
>>464 GJ!!こういうほのぼの?も好きだww
>>464 こう言う話しは、大好きですよ〜♪
せかすつもりは無いけれど・・・
続きが気になるぅ〜
>>469 そんなカオスな展開は嫌だwwwwwww
473 :
353:2007/09/13(木) 15:18:41 ID:xQHN/1uB
うをををををををををーーーーー!!
これで、シルフィ【ZENRA ver.】の恩返しフラグ確定ですね、ね!!??(落ち着けw
俺の独り言を聞き逃さなかった205氏は、俺の中では準男爵。www
意図せずして竜のハートをゲットしてしまったサイトの運命やいかに
全然関係ないんだけどさ
少女の体温がこもったジャージって最強じゃね?
モフモフくんかくんかしたい
ルイズの着てるジャージくんかくんかしたい
・人間形態は美人
・寿命を考えるにサイトの生きている間はほぼ不老
・飛べる
・魔法使える
食費はかかりそうだが良いこと尽くめじゃね
平民の使い魔よりレアじゃね?
韻竜の使い魔って
竜形態のシルフとサイトの絡みSSを書けるような猛者は
このスレにはおらんのやろなあ〜
サイズ的に無理過ぐるw
その鱗さわっちゃらめーーーー!!!
逆鱗に触れたということでおk?
逆鱗にクリキャップはめてシルフィをイカせまくる鬼畜サイト
きゅいきゅいカワイイよきゅいきゅい
ときどきここの変態紳士たちにはついてけねぇw
ドラゴンすら性の対象できるおまいらに脱帽
ここも僅かに別世界の住人混ざってるよな。俺もだが
487 :
205:2007/09/14(金) 03:02:09 ID:3DcyPfCV
昨日の続き投下。
488 :
犬竜騒動:2007/09/14(金) 03:02:59 ID:3DcyPfCV
ちょうど一冊本を読み終えたとき、窓の方から何か音がした。見ると、夕暮れの光に染まった空を
背景に、巨大な竜が鼻先で部屋の窓をコツコツと叩いていた。何やらいつも以上に楽しげな様子の使
い魔を見ながらタバサは無言で窓を開ける。途端に、シルフィードが部屋の中に首を突っ込んできて、
タバサの耳元で大きな顎を開いた。何か喋り出す兆候だと判断し、タバサは素早く周辺に「サイレン
ト」の魔法を張り巡らす。同時にシルフィードが捲くし立て始めた。
「おねーさまおねーさま、やっぱりサイトが恋人候補No1よ!」
「何の話」
「おねーさまの恋人の話なのね。明るいし気さくだし優しいし、この辺だとサイト以上の相手はいないのよ」
シルフィードは唾を飛ばして力説する。それを器用に避けつつ、タバサは一言答えた。
「興味ない」
「そんなんじゃダメです!」
シルフィードが物凄い声で吠えたので、本棚が震えて本が何冊も床に落下した。
「とにかく、おねーさまもサイトとたくさんお話するといいのね。きっと楽しくなって、明るくなって、もっと素敵な女の子になれるわ」
「必要ない」
「よーっし、そうと決まったら、シルフィ張り切っちゃうのね! 早速二人にお似合いのデートスポットを探してきまーす!」
一方的に喋りまくって、シルフィードは夕暮れの空の彼方へすっ飛んでいく。その影は見る間に小
さくなり、やがて消えてしまう。タバサは騒々しい使い魔を黙って見送ってから、風魔法を使って床
に散乱した本を片付け始めた。
夜通しハルケギニアの空を飛び回って各地のデートスポットを探索したシルフィードは、翌日の昼
頃になってようやくトリステイン魔法学院に帰還した。睡眠を取らずに、夜の空を全速力で飛びま
わったあとである。古の風韻竜であるシルフィードであっても、なかなかの重労働だ。それでも今は
「早く二人をデートスポットに放り込まなくちゃ」と心が浮き立っていたので、ほとんど疲労を感じ
ていない。
シルフィードは魔法学院の上空から目を凝らし、才人の姿を探した。タバサを連れ出すのは難しい
だろうから、とりあえず才人だけでもデートスポットに連れて行って「ああ、ここはいいとこだなあ。
また来たいなあ」と思ってもらうのが目的である。
主人であるルイズにくっついて教室に入っているとしたら見つけられなかっただろうが、幸い、才
人は外にいた。広場の隅で、何やら水を張ったたらいを前にして地面に座り込んでいる。
その真ん前ではなく、近くの建物の陰に、シルフィードは静かに降り立った。
(あれ、どうしてわたしこんな風に隠れてるのかしら)
建物の陰で、シルフィードは首を傾げる。何故だかよく分からないが、いきなり才人の眼前に降り
立ってぎょっとした顔をされたら、と想像すると、あまりいい感じがしなかったのだ。
(何でかしら何でかしら、きゅいきゅい)
初めての感覚に戸惑い、シルフィードは頭の中できゅいきゅい鳴きながら理由を考える。が、結論
は出なかったので、あっさりと考えるのを止めた。
(そんなことより、今はサイトなのね)
建物の角の向こうに首を伸ばして、その向こうにいる才人を観察しようとする。だが、首を突き出
した瞬間、相手もちょうどよく顔を上げたので、すぐに気付かれてしまった。
一瞬、先程のぎょっとした才人の想像が頭を過ぎった。シルフィードは慌てて首を引っ込めかけた
が、想像とは違い、才人は嬉しそうに笑って手を振ってくれた。
「ようシルフィード、傷は痛まないか」
昨日と同じく、こちらを警戒するような雰囲気は全くない。それどころか、昨日以上に親しげな様子である。
(うん、ちっとも痛くないわ)
一気に軽くなった心の命ずるままに、シルフィードは建物の影から飛び出して、ドタドタと才人の
下に走り寄る。普通、巨大な竜がそんな風に走ってきたら驚いて身を引くところだが、才人はそんな
様子は全く見せずに、のんびりした様子でこちらが近づいてくるのを待っていた。いよいよ、シル
フィードの心が軽やかに躍りだした。
(ねーね、何してるの、何してるの)
はしゃぐように翼をばたつかせながら、シルフィードは才人に向かって首を傾げる。
「洗濯しろって言われたんだよ」
才人が苦笑混じりに、水を張ったたらいと、その横にある洗濯籠を指差してみせる。籠の中には、
女物と思しき服が大量に詰め込まれていた。
489 :
犬竜騒動:2007/09/14(金) 03:03:49 ID:3DcyPfCV
(洗濯)
シルフィードとて、それが何かは知っている。タバサは自分の分は自分で洗濯するし、シルフィー
ドはそもそも服を必要としないので、実際にやったことは一度もなかったが。
(なんでサイトがそんなことしてるの。なんでなんで)
またも首を傾げるシルフィードに、才人がため息を吐く。
「ちょっと溜めててよ。いくらか一気にやった方が、使う水も石鹸も少なくていいから、効率的だろ。
それをあの女、『サボッてないで毎日マメにやりなさいよ』とか言いやがってよ。その上、『罰と
して、今日まで溜めてた分は全部今日で洗っちゃいなさい』だと」
才人は傍らの洗濯籠を叩き、肩を落とした。
「見ろ、籠一杯だぜ。どのぐれーかかるか分かりゃしねーよ。破いたりしないように気をつけて洗わ
なくちゃならないし、その後干さなくちゃならねーし」
(大変なのね)
シルフィードの記憶するところでは、才人は魔法を使えないはずである。風の魔法を応用すれば、
洗濯も乾燥も大して時間はかからないが、それが出来ないとなると。
(そんなことになったら、デートスポット見に行けなくなっちゃう。シルフィも手伝ってあげるわ)
きゅいきゅい鳴き声を上げながら、シルフィードは前脚を洗濯籠に伸ばす。才人が慌ててそれを止めた。
「待て待て。お前の爪で摘まんだら、服が破けちまうよ」
(あ、そっか)
シルフィードは慌てて前脚を引っ込め、うな垂れた。この姿では、洗濯を手伝うことはできないらしい。
「手伝ってくれるつもりだったのか、お前」
(うん)
シルフィードが頷くと、才人は笑って彼女の頭を撫でた。
「ありがとな。やっぱいい奴だなー、お前」
(でも役に立たないのよ)
その意を表すように悲しげに鳴くと、才人は相手を安心させるような、暖かみのある笑みを浮かべた。
「大丈夫だって、俺一人でもやれるさ。ホント、ありがとうな」
労りと感謝の念が感じられる口調である。シルフィードの沈んだ気分が、また少し浮き上がる。
「あー、でも、これやんなくちゃいけないから、今日は相手してやれそうにねーんだ。ごめんな」
と思ったら、すぐにまた落ち込んでしまった。
(それじゃ、今日お出かけできないのね)
シルフィードもそうだが、才人だって長い間主人のそばから離れている訳にはいかないだろう。気
性の荒いルイズのことだ、才人が夜中勝手にどこかを遊び歩いているとなったら、どんなお仕置きを
するか知れたものではない。
(だから、昼間に出かけなくちゃならないのに)
シルフィードはもどかしさを感じた。自分の魔法を使えば、洗濯などすぐに終わらせられる。だが、
いかに才人相手と言えども、「正体を悟られるな」というタバサの命令に背くことは出来ない。
(どうしたらいいのかしら。きゅいきゅい)
シルフィードが困り果ててしまったそのとき、ふと才人が慌てたように周囲を見回し、呆れたよう
に自分の額を軽く叩いた。
「バカだな俺、石鹸忘れちまったよ。これじゃ洗濯できねーじゃん。取ってこなくちゃなあ」
呟いたあと、シルフィードの頬をそっと撫でる。
「ちょっと俺石鹸取ってくるよ。お前の気持ちはありがたいんだけど、その体じゃ洗濯には不向きだ
ろうからな。大人しく待っててくれよ」
申し訳なさそうに言い置いて、踵を返して去っていく。なかなかの気遣いぶりだ、とますます才人
に対する好感度を上げつつ、シルフィードは洗濯籠の方を見る。
(上手い具合に才人もいなくなったし、今の内にすばやくやっちゃうのね)
シルフィードは先住魔法独特の詠唱を素早く完成させ、次々に魔法を繰り出した。風を操って、洗
濯物とたらいの中の水を空中に舞い上げる。水は球の形にし、その中に洗濯物と近くの土から作り出
した石鹸を放り込む。そのまま、服を傷つけないように注意しながら空中で水球を攪拌し、汚れや埃
などを水側に残したまま、洗い立ての洗濯物だけを取り出す。水はたらいに戻し、洗濯物は空中を舞
い躍らせて速攻で乾燥させた後、洗濯籠に戻す。
490 :
犬竜騒動:2007/09/14(金) 03:05:04 ID:3DcyPfCV
(それにしても)
洗濯籠に戻す直前、シルフィードはふと、一枚の布きれを見つめて首を傾げた。俗にパンツと呼ば
れるその物品、人間のメスの股間を覆い隠すためのものである。
(どうして人間はこんなのつけるのかしら。寒いって言うなら分かるけど、熱いときもつけてるし。
オスを誘惑するんだったら、裸になって大事な部分もちゃんと見せた方がいいのね。変なの、変な
の。きゅいきゅい)
当然ながら常時裸の状態であるシルフィードには、何故人間が他人に肌を見せるのを恥ずかしがる
のかがよく分からないのであった。
ともあれ、才人が石鹸片手に帰ってくる頃には、既に洗濯は終了していたのである。
「あれ、終わってる?」
綺麗になって洗濯籠の中に畳まれている洗濯物を見て、才人は目を丸くした。怪訝そうに周囲を見
回すが、シルフィード以外は誰もいない。
「どうなってんだこりゃ。誰か、やってくれたのか?」
(わたしがやったのよ)
心の中では胸を張りつつ、シルフィードは首を傾げて知らん振りを決め込んだ。才人はますます混
乱したように顔をしかめた。
「まさか、お前がやってくれたってこともないだろうし……うーん、謎だ」
腕を組んで悩み続ける才人の服の袖を、シルフィードは軽く噛んで引っ張った。
「ん、どうした」
(お仕事終わったなら、シルフィーと一緒にお出かけするのね)
急かすように才人に背を向けて、乗れ、と言うように翼をばたつかせる。
「なんだ、またどっか乗せてってくれんのか」
才人は困ったように頭を掻いた。
「参ったな、一応洗濯は終わったけどよ。状況がさっぱり理解できないまんまだし」
(もう、じれったいのね)
シルフィードは、洗濯籠を咥えて空中に飛び上がろうとした。才人が慌てて手を伸ばす
「おい、ちょっと待てって」
(早く乗って。きゅいきゅい)
シルフィードが尻尾を振ると、才人は苦笑して頷いた。
「分かった分かった。お前の好きなようにするといいよ。ただ、片付け終わらせてからにしてくれよ。
これこのまんまにしておいたら、またルイズに怒鳴られちまうからな」
シルフィードは喜びの意を表現するために、長く高く鳴いた。
才人が洗濯物を片付けた後、彼を乗せたシルフィードは高々と空に舞い上がった。
「うお、スゲー、お前ってこんな高く飛べるんだな」
シルフィードの背中で、才人がはしゃいだ声を上げる。高所恐怖症の気はないらしく、シルフィー
ドの背から軽く身を乗り出して、物珍しげに地上を眺めている。
(落ちてもわたしが支えてあげるから安心。さて、どこに行ったらいいかしら)
シルフィードは、頭の中に昨夜調べ上げた無数のデートスポットを思い浮かべた。その中でもお気
に入りで、なおかつ今から行って戻ってこれる場所。
(あそこがいいのね)
シルフィードは空中で方向転換すると、ゆっくりと翼を羽ばたかせた。本気を出せばもっと早く飛
ぶことができるが、背中で才人が身を乗り出しているから、安全を考えて多少速度は控え目である。
十分ほど飛ぶと、目的地が見えてきた。どこかの村の近くにある、丘一面の花畑である。その付近、
草地になっている場所に、シルフィードは降り立った。
「お、なかなか綺麗なところじゃんか」
地面に下りた才人が、周囲を見回して感心したように言う。白、赤、黄。丘には様々な色合いの
花々が可憐に咲き乱れ、風が吹くたび模様を変えて、見る者の目を楽しませる。
(気に入ってくれたみたい)
シルフィードは花畑を眺める才人の背中を見て嬉しくなり、きゅいきゅいと鳴き声を上げる。する
と才人が振り返って、こちらの頭を優しく撫でた。
「お前、ここに俺を連れてきたかったのか。いいとこだな、スゲー綺麗だ。心が洗われるっつーか」
シルフィードは、自分のチョイスが間違っていなかったことを確信して、内心で会心の笑みを浮かべる。
そのとき、才人が予想外のことを言い出した。
491 :
犬竜騒動:2007/09/14(金) 03:05:50 ID:3DcyPfCV
「お前も女の子だもんな。綺麗な場所が好きなのは当然か」
(え、違うのよ。別に、わたしが見たかった訳じゃ)
「ほら、もっと近く行って見てみようぜ。中に入らなきゃ、花を潰さなくても済むだろうからさ」
才人に促されるまま、シルフィードはおずおずと花畑の近くまで足を伸ばす。百花繚乱とでも言う
のか、近くで見るとまた違った味わいがある。また様々な花の香りが混じりあって周囲に漂っている
おかげか、自然と穏やかな気持ちになってくる。
(思った以上にいいところなのね。ここに連れてくれば、おねーさまとサイトの会話も弾むってものよ)
そんな風に心の中で満足していたとき、シルフィードはふと、才人が花畑のそばでしゃがみ込んで、
何かしているのに気付いた。
(何やってるの)
後ろから首を伸ばして才人の手元を見ると、摘んだ花を結び合わせて何かを作ろうとしているとこ
ろだった。「何それ何それ」とシルフィードがきゅいきゅい鳴くと、才人は肩越しに振り返って笑った。
「花冠作ろうと思ってさ。女の子ってこういうの好きだろ。幼稚園ぐらいのときかな、一緒に遊んで
た女の子がよく作っててさ。俺も見よう見まねでやってみたんだけど、なかなか上手くできなくて
なー。ま、今はルイズのおかげで手先も器用になってきたし、綺麗に作れるかもしれねーと思ってさ」
そんなことを喋りながら、才人は器用に色とりどりの花を繋ぎ合わせていく。もちろん、シル
フィード自身はそんなことをした経験はないので、物珍しくてついつい見入ってしまう。
(わあ、サイト、上手なのね)
感心して後ろから見ている内に、才人の手の中で花冠が完成した。花の色使いもちょうどよく、なかなか鮮やかな出来栄えである。
(凄い凄い。これならおねーさまも大喜びなのね。でも)
ふと、シルフィードは首を傾げた。人間の頭に被せるにしては、その花冠は少し大きすぎる気がし
たのだ。これでは、首にかけるのがちょうどいいぐらいのサイズである。
(張り切って大きくつくりすぎちゃったのかしら)
疑問を重ねるシルフィードの前で、才人は不意に振り返り、花冠を持ったままこちらに向かって両
手を伸ばしてきた。
驚くシルフィードの頭に、何かが乗せられる。それは、先程才人が作った花冠だった。
「ほら、プレゼントだ」
(え、シルフィに?)
目玉をぐりんと動かして頭の上を見てみれば、確かにその花冠は、シルフィードの頭にすっぽり収
まるように作ってあるようだ。最初から、そのつもりで作っていたらしい。
「おー、ぴったりだな。どうよ、俺もなかなかやるもんだろ」
才人が得意げに笑う。シルフィードは、何故か落ち着かない気分になった。
(なんだか変な感じ)
その気持ちの正体がなかなかつかめないでいるシルフィードの前で、才人は不意に大きく口を開い
て欠伸をした。
「ねみーな……久々にルイズの命令から解放されたせいで、気が抜けちまったのかな」
才人は花畑から少し離れた草地で、ごろりと横になった。
「悪い、俺ちょっと昼寝すっからさ。遅くならない内に起こしてくれよ」
そして、すぐに寝息を立て始める。シルフィードは自分の感情に困惑しながら彼のそばに歩み寄り、
その顔をそっと覗き込んだ。
さっき寝入ったばかりだというのに、才人はもう大口を開けていびきまで掻いている。本当なら
「これはマイナスポイントなのねー」と評価を下すところだが、何故かそんな気にはなれなかった。
シルフィードは少しの間じっと才人を眺めたあと、自分もその傍らで丸くなった。昨日から寝てい
ないせいか、急に睡魔が襲ってくる。頭の上の鼻冠を落としてしまわないように気をつけながら、シ
ルフィードはそっと目を閉じた。
そうして二人ともぐっすり寝入ってしまったために、結局帰りは夜中になってしまった。
492 :
犬竜騒動:2007/09/14(金) 03:06:49 ID:3DcyPfCV
翌日、シルフィードは再び物陰から才人の様子を窺っていた。
タバサの方はシルフィードの方を特に叱らなかったが、才人の方はそういう訳にはいかなかっただろう。
(サイトに迷惑かけちゃった)
後悔しながら、シルフィードは首を伸ばして才人を観察する。今日もまた洗濯をしている才人の横
顔には、特に変わった感じは見られない。しかし、もしかしたら「シルフィードが起こしてくれな
かったせいでルイズにお仕置きされた」と、内心では怒り狂っているかもしれない。そう考えると、
昨日よりもずっと心が重くなった。
(また後で来るのね)
根が臆病なシルフィードは、才人に見つからないようにそっと首を引っ込めようとする。そのとき、
また昨日と同じようなタイミングで、不意に才人が顔を上げてこちらを見た。
一瞬、シルフィードは体を強張らせる。しかし才人の方は、やはり昨日と変わらない気楽そうな笑
みを浮かべて、こちらに向かって大きく手を振った。
「ようシルフィード、元気か。昨日はお互い災難だったなあ」
シルフィードは喜びの鳴き声を上げながら、またドタドタと才人の下へ走って行った。
「おねーさまおねーさま」
「なに」
「サイト、やっぱりとっても素敵なのね。早くおねーさまもサイトとたくさんお話するといいのね」
「そう」
相変わらず一方的に捲し立てるシルフィードと、本のページを手繰りながら無表情にそれを聞き流すタバサ。
その図式はいつもと同じように見えたが、その実少し違っていた。
「あ、えとね、おねーさま」
珍しく、シルフィードが遠慮がちな声を出す。タバサは怪訝に思いつつ、それでも表情は変えない
まま、少しだけ本から目を離した。
「なに」
「あのね、お願いがあるの」
シルフィードは、どことなくもじもじしながら、タバサに向かって前脚を差し出す。その先に、何
かがぶら下がっていた。
「花冠?」
「そう。これに、固定化の魔法をかけてほしいのね」
わざわざタバサに頼むということは、先住の魔法には固定化の魔法がないということだろう。
(どうして、これをずっと保存しておきたいのか)
そこのところは少し疑問だったが、シルフィードの真剣な顔を見ていると、自然と微笑ましい気持ちになった。
(わたしも、昔母様や父様に花冠を作って、プレゼントした)
そんなことを思い出しながら、固定化の魔法を詠唱する。
「終わった」
と言ってやると、シルフィードは大喜びしながら、自分の頭に花冠を乗せた。
「わーい、シルフィのお花、シルフィのお花」
はしゃぎ回るシルフィードを少しの間見つめたあと、タバサはまた読書に戻った。
493 :
205:2007/09/14(金) 03:07:48 ID:3DcyPfCV
明日も普通に会社があるけどまあキニシナイ。
>493
おいおいおいおい
シルフィかわいすぎるだろシルフィ
タバサもちょっとは構ったれよwww
毎度毎度エロってなんすか?wwwwww
ってクオリティで最高だ。GJ!
やっぱしアンタは鬼才だぜ。
エロくはないが、マロい。
それがゼロ魔エロパロクオリティ!(・∀・)
きゅいきゅい可愛いよきゅいきゅい。
新司法試験合格して泥酔中の俺が言って見るw
何ですかこの萌え竜はw
GJ!
会社に行く前に読んでよかった…
仕事中隠れて読んでても確実ににやけてバレるとこだったわww
>>493 そんなに、萌え殺されても・・・
お互いに仕事でも、ここは甘えさせていただいて・・・
続きが気になって仕方が無いのは、俺だけじゃないはずww
サイトの事はドラゴンキラーと呼んでやろう
501 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 09:54:17 ID:q3qyXxll
サイトとシルフィード(人間態)がイチャつく第2部マダ〜?
ダメ・・・無理なのね・・・だって、シルフィードはドラゴン!サイトは人間なのね!上手くいきっこ――
バカ野郎!!俺が、俺がシルフィードがいいって言ってんだから、それでいいんだよ!人間だとかドラゴンだとか、んなの関係ねーんだよ!
サ、サイト
それとも・・・嘘だったのかよ?ずっと一緒にいたいって、あれ・・・嘘だったのか?からかってたのかよ!?
違う、そんな・・・そんなわけ
だったら・・・いいんだよ、俺は、シルフィードがいい。シルフィードじゃなきゃダメなんだ
サッ、サイト・・・!!
すまん、ニヤニヤのあまり、つい勢いのままに……
>>502 キミのその才能をこのスレで活かしてみようと思わんかね?
GGGGGGGJ!!!w
話は進み、タバサ救出後、とかなら人間状態でも問題はないんだがなぁ…
サイトがシルフィを愛すればおk
シルフィに対するサイトのそれは動物愛になりそうだなぁ・・・
キュイキュイで盛り上がりすぎだろ、おまいらwwww
俺未来から来たんだが、ゼロのラストは壮絶な戦いの末に肉体が滅びつつあるサイトを女の子達の祈りと涙、そしてシルフィの加護が竜へと変え、二匹が竜神となって永遠にハルゲニアを見守り続けるって内容だぜ?
>>508 【極めて近く、限り無く遠い世界から】の出張乙。
俺が見た未来はちょっと違っていてな…、
一切のゴタ厄介が片付いた後、帰還を選ぶサイトにルイズが残ってくれと食い下がるが、
『今のお前なら、もう俺がいなくたって大丈夫だろ。そろそろ、一人立ちの頃合いだぜ?』とか諭されて、
泪ぐみながらの『私頑張るから。アンタがいなくても、負けない様に頑張るから。
またいつか逢えた時、アンタに胸を張れる様に頑張るから。だから、アンタも…(ry』
と未練を振り切り、別れを告げて、サイトも『ああ、安心した』と、心からの笑顔だけを残して、ゲートの
彼方へと去り、後はそれぞれの世界でそれぞれの人生航路を歩む……と、言う形であってな。
それなんてあかいあくまと主夫サーヴァント?w
>>508 それって・・・うしお○とらのラストと似て(ry
ラストバトルは新宿上空
激しい戦いの末に勝利し、世界侵攻を防ぐが
二人が喜びの抱擁中に自衛隊の戦闘機にゼロ戦が撃墜されてEND
>>512 (lll゚Д゚)ヒイィィィ!!ー、タワーの先に・・
シルフィードの声、池畑慎之介になるのかw
DOD風に想像したら、マジ鬱になるな……。
きゅい「ついに、や……やったのね……!」
ミサイルドーン→タワーにグサッと
戦闘中、終始シルフィードが人類バッシングするのか…………
ダメだコイツ等…早くなんとかしないと…
投下……開始
「はぁ、はぁ、はぁ」
今日一日の授業を終えたルイズは、辺りに誰もいないことを確認すると猛スピードで自分
の部屋へと帰還し、ロックの魔法で部屋の鍵をかけた。
「はぁ、はぁ……」
呼吸を整えていると嫌でも目に入る“ソレ”
ぺたぺた。
いや、存在しないのであるから、むしろ見えないと言った方が自然だろうか。
とにかくそこにはルイズが求めたモノはなく、ただ虚しい音がするのみだったのである。
ぺたぺた。
(うぅ。やっぱり、ない……!)がっくりとうなだれるルイズ。彼女がここまで悩む理由は今朝にさかのぼる。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ふぁああ」
この日、ルイズは珍しく使い魔より少し早く目を覚ました。隣で寝ている使い魔に背をむ
け、自らの胸に触れる。
(なんかむねが……)
張っている、というのか。良くはわからないが何か妙な違和感があったのである。襟元か
ら胸をのぞいてみるが、特に外見に変化はなさそうだった。
(おかしいわね)
むにむにと自分の胸を揉んでみるが、いっこうにその感覚は消えない。
むにむに。
「こここ、これじゃあ私、へへへ変態じゃないの!」
朝っぱらから、じじじじじ自分のおちちを揉むなんて、と赤面するルイズ。そう言いつつ
止めようとはしないのが彼女たる所以だが。
しかし、そんなことをしてるのを、まさか後ろから見られていようとは、彼女も夢にも思わなかっただろう。
「あ、あのさルイズ」
「っ――――――――!!」
ルイズはあまりの衝撃に口をパクパクさせるしかない。
(見られた……!)
寝てる使い魔の横でゴソゴソやっていれば、起きてしまうのは当然だろう。日頃ご主人様
より早く起きているサイトなら尚更であった。
「あ、あの……これはね?」
ルイズは必死に言い訳をしようとしたが、女の子が自分の胸を揉むのに正当な、しかもご
主人様のプライドを損ねない言い訳があるだろうか。
「こここれは、その、なんていうか」
彼女の頭の中に、以前魔法が使えないことをからかわれた記憶が蘇る。
(ダメよ。どうにか誤魔化さないと、同じ穴の二の舞だわ!)
更に今回は性的な意味でいろいろヤバい状況だ。しかし、どうにも言い訳が見つからない。
彼女はとりあえず思い付いたことを言ってみることにした。
「きょっ、今日はいい天気……」
「あのさ、ルイズ」
そして失敗した。
慣れないことはやるべきではない。しかし、外見は落胆してるようにみえて、実は心の奥
底で性的な展開を期待していた。変態なご主人様だ。
(あぁ、こんな朝から、私、お星さまになるのね。)
お父様、お母様、始祖ブリミルよ、あ……あと姫様、申し訳ありません、とルイズは一割
の絶望と九割の期待を胸にサイトの言葉を待った。
「その、なんだ……。あまり気にしなくていいと思うぞ」
「…………へ?」
余りの拍子抜けにポカーンとするルイズ。
「ナイチチっていうのも、それなりに需要あると思うんだ。それに俺の国では、希少価値としてステータスにすらなり得るし」
サイトは自分が日本の、主に秋葉原にいたころを懐かしみながら、得意気に自説を披露し始めた。
「むしろ、『おっぱいなんてただの飾りです。偉い人にはそれがわからんのです』と声高々に叫ぶ強者すらいるぜ?」
もちろん自分の意見は言わないが。
「というかさ、高慢ちきなお嬢様にはナイチチがピッタリっていうか」
それはもう火に油をそそぐ、というより、さらに酸素まで供給する勢いであった。
「つまり、ルイズも相手を選ばなきゃ需要はバッチシって…………あれ、ルイズ?」
さっきからいっこうに反応のないルイズに、サイトはやっと違和感を覚えた。
「クケ、くけけけけけけ!」
致命的に遅かったが。
「いや、だからね? 人によればルイズが好みだっていうやつもさ……」
空気すら読めてなかった。
「私を貶めた責任、ちゃんととってもらうんだから」
やけに楽しそうな声でそう言うと、彼女は自分の杖を取り出した。
「ひんぬーで悪かったわねーーーーーーーーーーー!!!」
そして、さいと は ほし に なりました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
とまぁ、そういうことがあったのである。
(別に需要がどうとかじゃなくて)
今朝のことを思い出し、ルイズは思う。そして照れ隠しにポツリと呟いた。
「その、あんたが……どう思ってるかっていうか……」
日頃の使い魔の様子をみれば、おっぱい星人だということなど一目瞭然である。そのせい
かルイズも以前より自分の胸ばっかり気にするようになってしまっていた。
「べっ、別にサイトのためじゃないんだからっ!」
何も言われていないのに、そう叫ぶと、まだぶつぶつ何か喋っていたが、いきなり顔を真
っ赤に染めた。
そして、指先をいじってみたり、爪先で円を描いてみたりしていたが、ふと動きを止めた。
「ダイジョウブ。マダ、セイチョウスルワ」
どうしようもなく、片言ではあるが、それでもルイズは、気を取り直し部屋の窓を開ける。
「んんっ。きもちいぃ〜」
夏のジメジメした部屋の中に気持のいい風が入ってくる。それはルイズの頬や髪をなでる
かのように駆け抜け、服の中にも入ってくる。風は服と肌の間をスルリと抜け、溜ってい
た湿気を吹き飛ばしていった。
「……」
だが重要なのはそこじゃない。
風が何の抵抗もなく通り抜けてしまったのである。
ここでルイズにふくよかな胸が存在した、と仮定しよう。
ルイズの襟元から入った風は、ある障害を発見する。無論男の夢が詰まったおっぱいのこ
とである。はち切れんばかりの胸は服と密着し、外からでも膨らみや、その頂点であるさ
くらんぼを見つけることができる。ついでに、密着することにより、空気の通り道を減ら
す。しかしながら一定以上の風が入ってきた場合、どうにかして抜け道を探そうとする。
それは時には胸の谷間、時には胸全体を撫でるように抜けるであろう。
だが題意よりルイズの服の中を通るとき、風はそのまま抜けてしまっていて、矛盾してしまう。
よって仮定に誤りがあり、ルイズにはふくらみがないことが証明された。
以上、証明終わり。
「ひ、ひどい……ひどすぎるわ……」
別に先程窓から入ってきた風に、意思などないし、たんなる彼女の被害妄想なのだが、今のルイズにはそんなことどうでも良かった。
「み、みんなでっ、わたしをばかにしてぇ……」
実際馬鹿にしたことがあるのは3人くらいだろうか。みんなは言い過ぎである。
「あぁ、始祖ブリミルよ、どうかこの哀れな美少女に救いの手を……」
始祖に、胸を大きくしてください、と願う貴族は彼女が初めてであろう。
バサバサッ
そこへ一羽の鳥が手紙をくわえてやって来た。
「え? 手紙?」
それはカトレアからの手紙であった。
「まさか、ね」
ルイズは半信半疑でそれを読みはじめたが、突然物凄いスピードで目を走らせると、手紙
を手に、とある人物のもとへ走りはじめた。
ちなみに、朝の違和感を既に忘れてしまっていることはどうでもいいことではある。
続く。
次回は注意書きが必要そうだな。俺のIDからも分かるとは思うが。(嘘
>>523 GJ! 続きが気になってしまう終わり方だ。
GJ!タイトルは少年よ大志を抱けのもじりですか
ごっめんごめん、すっかり遅刻しちゃった♪てへっ♪
つうわけで続き投下します
注意事項:せんたいさんのエレオノールはばいんばいんの巨乳です。アニメのアレはなかったことにしてくだちいorz
才人が目覚めたのは、ふかふかのベッドの上での事だった。
豪奢な天蓋のついた大きなベッド。しかしそれは、ヴァリエール別邸のそれではなかった。
どこだ、ここは…?
才人は重い瞼を開けて、そう考える。
目が醒めたのは、ベッド脇から聞こえる物音のせい。
がさがさ、ごそごそと聞こえる衣擦れの音に、才人は首を傾ける。
そこには、エレオノールがいた。
長い金髪をふりふり、足元の緞子の中から何か黒い布のような物を広げている。
エレオノールが陰になっているせいで、才人からはその黒い布がなんなのかはわからない。
布を広げたエレオノールは、赤い顔ですうはあと何回か深呼吸すると。
眼鏡を外し、おもむろに着ていた服を脱ぎ始めた。
ゑ?なんすかいきなりっ!
エレオノールの突然の行動に、才人は硬直する。
エレオノールはそんな才人の視線にも気付かず、てきぱきと手早くその服らしい布を着込む。
「…これでいいのかしら」
姿見にその身を写し、エレオノールは首をかしげる。
…やばい。軽く萌えた。
エレオノールの着込んだ衣装は。
例えて言うなら、黒い狼。
黒い毛皮の、体のラインにぴったりと合ったビスチェ。その尾てい骨のあたりからは、同じ色のふさふさとした尻尾が生えている。
その流れる金髪の上には、ぴんと伸びた三角の、柔らかい黒い毛に覆われた耳。
そして、太股の半分までを覆う、ニーハイソックス。足元には、黒いふさふさの毛に覆われた靴を履く。
エレオノールは不思議そうに、姿見の中の自分をまじまじと見つめる。
「…男はこんなのがいいのかしら?」
そう言って、今度は鏡に向かってちょっと科なんか作ってみる。
…なんかいまいち。
「こうかしら…」
ちょっと手を軽く丸めて、右頬の横でそろえてみる。
うん、ちょっとかわいい。
とりあえず満足して、今度は例の薬の使用説明書に目を落とす。
『本製品は、一回分ごとの個別包装になっており、一箱につき、五回分の薬が入っています。
薬は透明な球体に封入されています。一度の行為につき、一個だけ使用するようにしてください。
行為の前に、膣内に球体を挿入し、そのまま膣圧で球体を割ることで膣内に薬が満たされます。
本製品は塗り薬です。けして飲み込まないでください。
なお、薬の効き目には個人差があります。一つで足りない場合は、複数個使用して調節してください』
読み終わった後、エレオノールは、説明書の入っていた紙箱を傾ける。
その中からは、親指の先ほどの大きさの、オレンジ色をした球体が五つ、ころんと転がり出てきた。
…えっと…。コレを、入れるのよね。アソコに…。
エレオノールは机に手を掛け、大きく脚を開く。そして股間の布をずらし、白い恥丘を割り開く。
才人からそれを見ると。
エレオノールがお尻を突き出して、足を広げてアソコを広げているように見える。
才人は思わず吹いてしまいそうになったが、なんとかこらえる。
エレオノールはそんな才人の視線にはカケラも気付かず、薬の入った球体を眺める。
…ホントに効くのかしら、コレ。
薬屋の話では、この薬はとあるメイジが自分の初体験のために作った薬を量産したもので、その効果はお墨付きらしい。
今密かに王都の恋人達の間でも人気が出てきており、品薄状態だという。
エレオノールはそのうち一つを手にとり、指でつまむ。
…よし。
そっと股間に手を伸ばし、その球体を己の肉の割れ目に埋め込む。
くぷ…
「……んっ…!」
自分の指以外の侵入を許した事のない聖域に、オレンジ色の球体が入り込む。
その違和感に、エレオノールは震える。
こんな小さい玉でこんなに…まずいかも…。
才人のサイズがどんなものかはわからないが、ものの本によれば、指なんかよりはずっと太く、硬いらしい。
「もう一個、入れといたほうがいいかも…」
エレオノールは念のためと、もう一つ球体を手に取る。
そして、まだ球体の残る股間に、もう一つ、球体を埋め込む。
くぷっ…。
「…っは…」
入ったぁ…。
身体を震わせ、エレオノールは下半身の異物感に堪える。
エレオノールは股間の布を戻し、股間に集中する。
『行為の前に、膣内に球体を挿入し、そのまま膣圧で球体を割ることで膣内に薬が満たされます』
説明文を思い出し、股間に意識を集中し、力込める。
ぱちゅん。
下腹部の奥で、何かが弾ける音が、肉を伝わって聞こえる。
そして。
エレオノールの体の中を、どろどろとした液体が満たしていく。
それは、配合されたスライムの能力で瞬く間に量を増やし、エレオノールの中を満たす。
びくんっ!
不意に、エレオノールの身体が震えた。
体の中で爆発的に量を増やしたその粘着質の液体は、エレオノールの処女幕の隙間をあっさりと抜けて。
まだ、何も侵入した事のない子宮口すら抜けて、更にその奥、卵巣まで届く。
その液体はまるで温めたミルクのような温かさで、エレオノールの器官を犯す。
「らめっ…らめぇぇっ…!」
エレオノールの膝がかくかくと震える。
それは、ひどく酒に酔った時の感覚に似ていた。
理性が剥離し、普段は抑えられている何かが、自分の奥から沸きあがってくる感覚。
エレオノールはぺたん、と床に膝をつき、己の肩を抱いて座り込む。
「ヘンっ…ヘンになるぅっ…!」
そのままエレオノールは床の上にころん、と寝転がり、太股をすり合わせて、自分の奥から登ってくる何かに必死に堪える。
腰の奥が熱い。まるで、胎内を熱い湯で満たされたような感覚。
エレオノールの股間からは、溢れ出た媚薬が、愛液とともにどろどろと零れてきていた。
「ちょ、大丈夫ですかエレオノールさんっ!?」
一部始終をこっそり見ていた才人は、突然の事態に慌ててエレオノールを抱き上げる。
黒い毛皮に覆われた白い肢体は、思ったよりもずっと軽く、才人の腕の中でふわりと持ち上がる。
二人の視線が、その一瞬で絡み合う。
才人は目が離せなくなった。
美しい金髪に彩られた、普段はするどい眼光をたたえた眼鏡の奥のその瞳は、まるで泣きはらした赤子のように潤み、才人に何かを訴えかける。上気して桜色に染まった頬が、その瞳に色を添えていた。
軽く開いた唇は、興奮して紅く染まっており、ルージュもひいていないのに艶かしく光っていた。軽く開いたその隙間からは、甘く熱い吐息が漏れる。
そして、硬直する才人の顔を。
エレオノールは両手でしっかりと拘束し。
そしてその唇を奪ったのだった。
おとこのひとの…におい・・・あじ…キモチイイ…。
エレオノールはそのまま何度も、才人の唇を啄ばむように吸い続ける。
「ちょっ…やめてくださいよっ」
才人はすぐに理性を取り戻すと、エレオノールの身体を床に放り出す。
エレオノールはくたん、と床に突っ伏す。そしてそのまま、床にぺたん、と転がったままになる。
やば、どっか打った?
才人は慌てて問いかける。
「だ、大丈夫ですか?」
今度は、抱き上げる事はしない。
しかし。
エレオノールは、先ほどと同じ、いやそれ以上に欲情した牝の視線を才人に飛ばし、そして。
腰を高く上げて、己を覆う布を、右手で思い切り引き伸ばす。
どろぉ…。
そこから、大量の粘液が、ぼたぼたと床に零れる。
それは、エレオノールと媚薬の混合物。
牡を求める牝の唾液と、牡を誘う、禁断の蜜。
エレオノールはそこを見せ付けるように腰を振り、そして股の間から才人に呼びかける。
才人の喉が、唾液を嚥下する音でごくりと鳴る。
「たすけてぇ…。おまんこ、あついの…。しにそうなのぉ…」
まるで小さな子供が泣きながら親にせびるように、啼きながらエレオノールはそう懇願する。
そのあまりに淫らな声に。
才人の理性は、一撃で消し飛んだ。
「…え、エレオノールさんがしろって言ったんですからねっ!」
言って物凄い勢いでズボンを脱ぐ。
その下では、すでに限界まで高められた才人が屹立していた。
才人はエレオノールの腰を抱え込む。
「やんっ」
今のエレオノールにはそれすらも快感の波となり、普段の自慰で感じている程度の軽い絶頂をエレオノールに与える。
「行きますよ、エレオノールさんっ」
「は、はやくひてぇ…。おかひくなっひゃう…っ!」
才人はエレオノールの許しを得ると。
一気に、粘液で満たされた膣を、一番奥まで貫いた。
ぶちゅちゅちゅちゅちゅっ!
粘液の溢れる音と、処女幕の裂ける音が入り混じり、部屋の中に響く。
膣道が削られる数瞬の間、エレオノールの中を乱暴な絶頂の波が襲っていた。
無数の色がエレオノールの視界でフラッシュし、呼吸が完全に止まり、音が聞こえなくなる。
そして。
最奥に才人が届いた瞬間、エレオノールの意識は完全にホワイトアウトした。
「──────────────────────!!」
エレオノールは声を上げることも許されず、破瓜の痛みを上乗せされた快感に、背筋を限界まで逸らせる。
しかし、才人は止まらなかった。
エレオノールの中は愛液と媚薬でぬかるんでおり、全く抵抗を生まない。それでいてその中はきつく、才人を全部埋めてもその根元を少し余らせていた。
あまりの快感に、才人は相手をいたわる事すら忘れ、獣のように乱暴に後ろからエレオノールを犯す。
ぐちゅ!ぶっちゅぅ!ぶちゅちゅ!
粘液が飛び散り、才人はその粘液を潤滑油に、スムーズにエレオノールの中を犯していく。
「───やぁっ!?やぇっ!?ひぃ!」
その快感にエレオノールの意識が戻り、また無数のフラッシュの海に意識が沈む。
しかし落ちることは赦されず、エレオノールは無数の絶頂の中で翻弄されるだけだ。
ぶちゅ!ぷちゅ!ぶちゅう!
奥を突かれる度、エレオノールの胸が卑猥に揺れる。
何度か揺れると、毛皮の戒めがはずれ、エレオノールの胸はいよいよ卑猥な軌道を宙に描く。
「やぁ!らめ!らめぇ!おくコンコンしないれぇ!」
舌足らずな声で必死にそう訴えるが、才人は聞き入れない。才人の陰茎から媚薬が回り、既に才人もおかしくなっていた。
才人はぶるんぶるんと揺れるエレオノールの胸を鷲掴みにすると、更に激しく腰を使い始めた。
「こんなっ、けしからん胸なのにっ、ずいぶんっ、中は小さいんですねっ!」
「やぁ!おっぱい、ゆるひ、おっぱいゆるひれぇ!もうひないからぁ!」
長い金髪を振り乱し、エレオノールは必死に許しを請う。
その間も、休みない絶頂の波に、意識が飛びかける。
「何をっ、許すんですかっ!?最高ッ、ですよっ、エレオノールさんっ」
才人のその声に。
きゅぅぅぅぅぅーーーーーーーーーっ!
エレオノールの中が、より一層きつくしまる。
「らめっ!そんな、いわ、ないれぇ!へんに、なるからぁ!」
言葉で責められるのがエレオノールのツボだと知った才人は。
身体をエレオノールに密着させ、その耳元で囁く。
「最高にっ、エッチな身体してますよっ、エレオノールさんっ!」
「やぁ!もうやぁ!こんなの、こんにゃのぉっ!」
かくかくと震え、もう何度目かもわからない絶頂を迎えるエレオノール。
その何度目か分からない締め付けに、才人は限界を迎えた。
「だ、出しますよエレオノールさんっ!」
どくどくどくどくどくっ!
「ひぁっ、あついのぉ、とける、とけひゃぅぅぅぅぅ…!」
ごきゅ、ごきゅぅっ!
胎内を焼かれる快感にエレオノールはもう一度、最後の絶頂を迎え、子宮で才人の精を飲み込んだのだった。
完全に気を失ったエレオノールを、才人はそっとベッドに横たわらせる。
乱れた金髪が白いシーツに広がり、股間から零れた愛液と精液と媚薬の混合物がベッドを汚す。
なるべく乱れたエレオノールを視界に入れぬよう、才人は背中を向けてベッドに腰を下ろす。
そして思い出す。
…かっわいかったなー。エレオノールさん。
行為を思い出し、才人のソレは再び元気になる。
再びしたい衝動に駆られたが、才人は自分の息子を見て軽くショックを受けた。
血がこびりついていた。
自分の物ではない。すると…。
ひょっとして、エレオノールさん初めてっ!?
「コラ平民」
不意に、背後から声がした。
才人はゆっくりと背後を向く。
そこには。
満面に笑顔を湛えた、エレオノールがいた。
エレオノールは突然、才人に抱きついてきた。
その柔らかい胸が才人の背中で歪にゆがみ、才人の背中に極上の柔らかさを伝える。
「ちょっと、何してんすかエレオノールさんっ?」
慌ててそう抗議する才人だったが。
「あら、それはこっちのセリフだわ。人のヴァージンを奪っておいて、今更そんな事言うわけ?」
才人の耳元でにやにや笑いながら、そう囁くエレオノール。
「い、いやだってアレはっ」
「反論は許しません。これからアナタは、私の性欲処理係として生きるのよ」
「え、なんでそんな」
「反論は許さないって言ったでしょ♪」
言ってエレオノールは、無理やり才人の首を自分の方に向けて。
最初にそうしたように、優しくその唇を塞いだのだった。
そして、エレオノールは唇を離し、もう一度才人を、蕩けるような視線で見つめて、言う。
「ね、もう一回…今度はちゃんと、しましょ?」
「なぁにをちゃんとするってぇ?」
扉に鍵はかかっていなかった。
そしてルイズも、それほど睡眠薬を吸い込んでいなかった。
目を醒ましたらラヴラヴ中の才人がいなかった。
犯人は姉さま。
つまり、目を醒ましたルイズはエレオノールのところへ真っ直ぐやってくるわけで。
「姉さまぁ?ソイツは私の使い魔兼飼い犬兼婚約者よ?
手ぇ出していいなんてひとっことも言ってないわよぉ?」
言ってルイズは杖を構える。
白い電撃がその周囲を舞っている。詠唱も完了していないのに、その魔力は十分すぎると言えた。
「アンタに断る義理はカケラもないわよ?
私が気に入ったからもらう。昔っからそうでしょうちびルイズ?」
言って、エレオノールは才人の首をぎゅっと抱き締める。
ぶっちゃけ、才人を盾にするつもりだった。
「ちょ、ルイズやめろって!
え、エレオノールさん放して!逃げたほうが」
しかし。
才人の忠告も虚しく。
虚無がエレオノールの部屋を半壊させ、ルイズの婚約者と実の姉は、思い切り吹っ飛ばされたのだった。〜fin
*追伸:吹っ飛ばされたエレオノールは才人がクッションになって軽傷。才人はエレオノールに乗られて肋を数本折ったのだった。*
以上。
説明書読むのがウザイ人は飛ばしましょう。
説明書読まないのは世間の常識なので。
さあ、ついにエレオノールにまでフラグをたててしまった才人の運命やいかに!
っていうかどんだけエロg(ry
んじゃまたねーノシ
ちょっとサイトに追撃を加えてくる
>>533 せんたいさんエロイよせんたいさん。
文章がどんどんうまエロくなってるなぁ。
アイテムの使い方とかも良い感じにエロイし。
536 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 20:23:05 ID:Yik8TwJ3
>>533 せんたいさん超gj!!
最高でした。鼻血が・・止まらん
>>533 せんたいさんの文章はいつもうまエロだなぁ〜ww
最高にGJです♪
>>533 え?原作>>>>ここのSS全て>>><超えられない壁>>>>>>>>>>アニメ
ですが何か?GJ!
いやっほーぅ! せんたいさん最高ー!
俺はアニメ版見た事無いけどキャストは好みなんで声は思い浮かべて読んでるw
せんたいさんの作品で、タニアが空鍋をかきまわすやつって、
何スレ目に掲載されてましたっけ?
今回のせんたいさんのSSに出てくる媚薬って
昔のせんたいさんのSSでモンモンが作ったやつだよな
つまりモンモンはギージュと上手くいったという事か?
お前らが「感じるCD」ヤバイヤバイとか騒いでるから聞いてみた
マジヤバイ。CD聞いてて耳が痒くなったなんて生まれて初めてだぜ
アレ ハ マジ ヤヴァイ
タバサの寝息が、囁きが耳元でして
悶死しました。
544 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 01:18:00 ID:qsyjJFma
>>542 > お前らが「感じるCD」ヤバイヤバイとか騒いでるから聞いてみた
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
>
> マジヤバイ。CD聞いてて耳が痒くなったなんて生まれて初めてだぜ
iPodのチェックボックスをOFFにしました。
と て も 外 で は 聞 け な い の で w
電車ん中で聞いてて、ニヤニヤしてたらマジヤバス
感じるCDはまだ聞いた事ないけど
原作は公共の場じゃ読めないなー。
元から変質者なのがニヤニヤしてもっと変質者になってしまう・・・
感じるCDは聞いておけばSSの台詞が臨場感タップリに脳内再生できます
感じるCDのタバサの食事がフェラにしか聞こえない
おれはこのスレで汚された!ありがとう本当にありがとう!
549 :
205:2007/09/15(土) 01:51:37 ID:spsQuSzl
萌える萌えると言われちゃいるが、今回ばかりは断言できる。
これは絶対萌えません。
そんなこんなで犬竜騒動の続き投下です。
550 :
犬竜騒動:2007/09/15(土) 01:52:41 ID:spsQuSzl
最近やけに使い魔の機嫌がいいことに、もちろんタバサは気付いていた。上機嫌の理由は分かり
きっていたし、お喋りで読書の邪魔をされたくもなかったので、あえて指摘することこそなかったが。
「ねえねえ、おねーさまおねーさま」
そんなタバサの内心はお構いなしに、シルフィードは長い首を伸ばして頭を寄せてきた。学院の隅
の雑木林の中である。周囲に人がいないのをいいことに、遠慮なく喋りまくる。
「この間はね、サイトと一緒に綺麗な雪山まで行ってきたのよ。サイトったら、白く輝く山々のあま
りの美しさに感動して、ずっと体を震わせていたわ」
それは単に寒がっていただけだろう、と思ったが、あえて指摘はしない。そこから話が長引いたら
面倒くさいし、シルフィードに気を遣って文句を言わなかった才人の気持ちを無碍にするのも気が引
けたからである。
「その前はハルケギニア一巨大と名高い大滝を見に行ったわ。滝のかなりそばまで近づいたら、その
あまりの勢いに興奮して、才人はシルフィの背中の上でずっと跳ね回っていたのね」
それは滝から飛び出した水滴が当たって痛がっていただけだろう、と思ったが、やはり指摘はしな
かった。あの才人という少年は相当我慢強いな、と少し感心する。
「んとねー、あとはねー。あ、そうだ、かの有名な火竜山脈にも行ってきたのね。シルフィがサラマ
ンダーと遊んでたとき、才人も追いかけっこしてたのね。あの左手の紋章も光らせて、一生懸命サ
ラマンダーの遊びの相手をしてあげてたのね」
それは襲われて必死に逃げ回っていただけだろう、と思ったが、指摘する気にもならない。後で何
か才人にお詫びの品でも持っていくべきだろうか。
「とにかく、デートスポットの下見は着々と進んでいるわ。これで、おねーさまとサイトのデートも
ばっちり上手くいくに決まってるのね。サイトったら本当に優しくて明るくて、素敵な男の子。お
ねーさまのお相手にはピッタリなのね」
シルフィードは長々と才人のことを話し始めた。最初こそ「サイトは優しくてカッコイイからお
ねーさまのお相手にぴったりなのね」という内容だったのが、段々「この間はこんなこと言ってくれ
た」「この間はこんなことしてくれた」という内容に変化していく。
(夢中になってるみたい)
使い魔になる前にシルフィードがどんな生活を送ってきたのか、あまり詳しくは知らない。このは
しゃぎ様を見る限りでは、異性(この場合はオスと言うべきか)と深く付き合ったことはないのだろう。
(つまり、子供ということ。おそらく、まだ恋愛感情とは呼べない)
どちらかと言えば、優しいお兄さんに対する憧れのようなものに思えた。風韻竜の恋愛観が、人間
と同じだと仮定すればの話だが。
「ところでおねーさま、今日は何読んでるの」
「これ」
「えーと、『王宮の秘め事シリーズ〜第七王女と若公爵、背徳の逢瀬〜』ってなにこれ」
「王位継承からは程遠い位置にいる、位の低い王女と、妻子ある身の若い公爵が、許されない恋に落
ち、淫靡な情事と身を焦がす背徳感に悶える話」
「……おねーさまみたいな人、耳年増って言うのね。どうしてそんなの読んでるの」
「本なら何でもいい」
「活字中毒なのねー、きゅいきゅい」
呆れたような声で鳴くシルフィードのことは無視して、タバサは本を読み進める。
タイトルの露骨な卑猥さとは裏腹に、登場人物の後ろ暗い心理描写がなかなか秀逸な物語である。
扇情的な部分は興味がないので読み飛ばしているが、話の筋は分かるので問題ない。
(立食形式の晩餐会の最中、騎士隊長の妻は物陰でこっそりと情事にふける、王女と自分の夫の姿を
偶然目撃してしまう……本妻と愛人の対立。これはいい修羅場)
タバサは夢中で本のページを手繰る。こういうときは集中しきっているので、周辺で起きている出
来事など大抵気にならないものだ。だが、そのとき聞こえてきた音はあまりにも大きかったため、さ
すがのタバサも本から顔を離さずにはいられなかった。
551 :
犬竜騒動:2007/09/15(土) 01:53:32 ID:spsQuSzl
「なんなの、なんなの」
根が臆病なシルフィードが、不安げな様子で身を寄せてくる。タバサはじっと、音のするほうに意
識を集中させた。広場の方で、低く鈍い音が、小刻みに絶え間なく響いている。その音が次第に大き
くなっている辺り、発生源はじょじょにこちらに近づいてきているらしかった。
「飛べるのかねー!?」
「大丈夫、行けるみたいッスよーっ!」
ふと、激しい音に混じってそんな会話がかすかに聞こえてきた。両方とも聞き覚えのある声である。
「あれ、サイトの声だ」
シルフィードが呟いた瞬間、広場の方から何かが空中に飛び上がった。驚いて見上げると、地面に
影を作りながら、何か巨大な物体が空を横切っていくところだった。その物体の形には、見覚えがある。
(確か、「ひこうき」とか言っていた)
少し前、キュルケの宝探しに付き合ったことを思い出す。その終わりごろに、同行していたメイド
の少女の生まれ故郷に立ち寄る機会があった。今空を飛び回っているあの鉄の塊は、その村に置いて
あったもので、才人が「これは空を飛ぶ機械だ」と主張して持ち帰ってきたのである。
(本当に、飛んでる)
驚かずにはいられない光景だった。さすがのタバサも、あれが本当に飛ぶものだとは思っていな
かった。シルフィードに至っては、そもそも鉄の塊などには少しも興味を持たず、「サイトがなんか
変なことしてるー」程度の認識で、ロクに見てもいなかった。
だから今、タバサの隣であんぐりと口を開いて空を見上げている。
「おねーさま」
「なに」
「さっきの声からするに、きっとあれにサイトが乗ってるのね」
「だと思う」
頷きながらタバサは空に目を凝らす。ひこうきは、先程からずっとタバサとシルフィードの頭上を
ぐるぐる回っている。どことなく、上機嫌そうに見える動きである。
「サイトを乗せてお空を飛ぶのは、シルフィの役目だったのに」
シルフィードの声が震えている。隣を見ると、声だけでなく体全体がぶるぶると震えていた。
(この状況)
タバサは手の中の本に目を落とした。それから、シルフィードを見る。
(本妻と)
再び空を見上げれば、そこには凄い勢いで飛び回っているひこうきの姿。
(愛人)
タバサは一つ頷いた。
「これはいい修羅場」
「サイトの浮気者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
絶叫で正体がばれては困るので、タバサはとりあえず「サイレント」でシルフィードを黙らせておいた。
「ひどいのねひどいのね、サイトったらひどいのね」
ぶつぶつと呟きながら、シルフィードはヴェストリの広場を荒々しい足取りで歩いていた。向かう先は、もちろん先程の鉄の塊が着地した、広場の中央である。
(泥棒猫、発見なのね!)
心の中で嫉妬の炎をメラメラと燃やしながら、シルフィードはのしのしと鉄の塊に接近する。こう
いうときは、弱気を見せたら負けなのである。「あ、あなた、わたしの主人の何なんですか!」など
と金切り声を上げてはいけない。「オイコラテメ、あたいのオトコに色目使うなんざ、舐めた真似し
てくれんじゃン?」と、初めから喧嘩腰で行くのがコツなのだと、シルフィードの母は教えてくれた。
(睨むのね睨むのね、力いっぱい睨んじゃうのね)
両目に力を込めつつ、じりじりと鉄の塊に接近する。だが、間近まで来て、シルフィードは困ってしまった。
(……こいつ、どこに目がついてるの?)
人を乗せて空を飛んでいたのだから、目の前の鉄の塊だって、ただの鉄の塊に見えてその実竜の一
種のはずなのである。シルフィードはこんな変てこな竜など見たことがなかった。だが、世界は広い。
こんな変てこな竜が生息しているところもあるのだろう。
だが、竜にしてはおかしい。多分、風車の羽のような謎の三枚板がくっついている、突き出した部分が
鼻なのだろうということは推測できるが、どこからどこまでが頭で首で胴体で、といったところが、
全く理解できない。
552 :
犬竜騒動:2007/09/15(土) 01:54:50 ID:spsQuSzl
シルフィードは鉄の塊にしか見えない竜のそばを、困惑しながらぐるぐると動き回った。しかし、
平べったくて飛ぶときにすら羽ばたかない翼にも、上部にあるガラスで囲われた鞍の辺りにも、鼻ら
しき部分にくっついている謎の三枚板の周辺にも、この鉄の竜の瞳らしきものは見当たらない。
シルフィードはきゅいきゅい鳴きながらしばらく考えて、一つの結論を導き出した。
(世の中には、目が見えない竜もいるってことなのね)
どこまでも変てこな竜である。こんな得体の知れない女にサイトを渡す訳にはいかない、とシル
フィードは嫉妬の炎にさらに薪をくべる。
(ふんだ、偉そうにふんぞり返っちゃって)
癪なことに、この鉄の竜はこれだけシルフィードが接近しても何の反応も見せない。余裕を見せ付
けているつもりなのか、ただ悠然とその場に鎮座したままである。先程はあれだけ元気に鼻先の二枚
板を回しながら飛び回っていたくせに、今は借りてきた猫のように大人しくしている。
(さすが泥棒猫、猫を被るのは得意技なのね)
シルフィードは馬鹿にするように鼻を鳴らしながら、鉄の竜に嘲り笑いを投げかける。それでも、
やはり鉄の竜は無言のまま動かない。これはいよいよおかしいぞ、とシルフィードは思った。
(お前、何を企んでいるの?)
まさか罠か、とシルフィードが勘ぐったとき、不意に背後から怪訝そうな声がした。
「なあ、さっきから何やってんだ、お前」
聞きなれた声に、シルフィードは慌てて振り返る。するとそこに、疑わしげな眼差しでこちらを見
ている才人が立っていた。
(はめられた!?)
シルフィードは慌てて、鉄の竜に向き直る。ちょうど差し込んできた日の光を照り返して、憎い敵
は得意げに笑っているようにも見える。
(くぅっ、シルフィが醜い嫉妬の炎に身を焦がして、必死に泥棒猫を挑発している現場をサイトに目
撃させるだなんて。この策士!)
シルフィードは歯噛みした。これでは、気弱で何も言い返せずにしょんぼりと押し黙っている鉄の
竜を、意地の悪いシルフィードが嫌味ったらしくネチネチといじめているように見えたかもしれない。
(違うのよサイト、シルフィそんな悪い竜じゃないのね)
弁解するようにきゅいきゅい鳴くシルフィードを見て、才人は何か納得したように頷いた。
「ああそうか、お前もこいつに興味があるのか」
楽しげに言いながら、シルフィードの横を素通りして、才人は鉄の竜のそばに歩み寄る。そして、
憎い敵の硬そうな緑色の体を、ぽんぽんと気軽に叩いた。のみならず、
「どーよ、シルフィードも結構長生きらしいけど、さすがにこんなのは見たことねーだろ」
と、鉄の竜の体の表面に手を這わせている。その触り方はシルフィードに対する優しい愛撫とは違
い、ほとんど撫で回すと表現してもいいぐらいの無遠慮なものであった。
(ああ、そんな、なんて艶かしい!)
シルフィードは驚愕する。自分の知らぬ間に、才人と鉄の竜がこれほどいやらしい関係になってい
ようとは思いもしなかった。あまりの事態に頭を混乱させるシルフィードの前で、才人はさらに信じ
られない行動に出た。
「いやー、いいよなー。この渋い緑色といい、機能的かつ芸術的な曲線といい。まさに職人芸、これ
ぞ男のロマンってやつだよなー」
うっとりした声で言いながら、鉄の竜の体に抱きついてすりすりと頬を寄せている。そのあまりの
密着具合に、シルフィードは気を失いそうになった。
(そんな、そんなこと、シルフィにもしてくれたことないのに)
心臓を直接つかまれたような痛みを感じ、シルフィードはニ、三歩と後ろによろめいた。涙で滲む
視界の中、まだ才人に抱きつかれている鉄の竜が、先程よりもずっと大きく見える。
(どう、あなたのオトコは今わたしの肉体に溺れているのよ。分かったらさっさとその貧相な体を、
わたしたちの視界の中から消してくださる? 正直ね、目障りなのよあなた)
そんな嘲笑すら聞こえてくるような気がする。シルフィードは泣き喚きながら逃げ出した。
553 :
犬竜騒動:2007/09/15(土) 01:57:33 ID:spsQuSzl
「おねーさまーっ!」
タバサの眉がぴくりと小さく震えた。訳の分からない怒り方をしながら広場の方へ向かったシル
フィードが、今度は泣き喚きながら戻ってきたのだ。
タバサの数倍は生きているくせに、感情を隠すのが下手くそな竜である。内心ため息を吐きながら、
本を閉じて横を見る。シルフィードは、土煙を上げながら物凄い勢いで走ってくる。タバサはとりあ
えず弱めのエア・ハンマーを飛ばして、使い魔を無理やり静止させた。
「い、痛いのね」
「そんなに大声で泣き喚いたら、正体がばれる」
叱るときの声でそう言ってやると、シルフィードは「だって、だって」とぽろぽろと涙を零しなが
ら、また高い声で泣き始める。
(鬱陶しい)
読書を邪魔されて不機嫌なせいもあって、ついそんなことを考えしまう。それでも、声を張り上げ
て悲しげに泣き続けるシルフィードを見ていると、少し可哀想になってくる。タバサは、泣き続ける
彼女の頭をそっと抱いて、ゆっくりと撫でてやった。
「どうしたの。何があったか、話してみて」
「ぐじゅぐじゅ……あのね、あのね」
しゃくり上げながら話し出すシルフィードを見ている内に、ささくれ立った心が少し穏やかになる
のを感じた。
(わたしも昔、こんな風に母様のお膝に泣きついたことがあったな)
タバサの口元に、薄らと微笑が浮かぶ。
だが、穏やかな気持ちも、かすかな微笑も、シルフィードの話を聞いているうちに徐々に固くなっていく。
「そいでね、サイトったら、あの女の硬くて鉄くさいお肌にすっかりメロメロになってるみたいなの
よ。あんな鉄みたいなお肌よりだったら、わたしの鱗の方がまだ柔らかいのね、きゅいきゅい」
シルフィードはかなり憤慨しているようだったが、その怒りには今ひとつ共感しかねるところが
あった。もちろん、「恋の悩みなんて、タバサ恥ずかしくて分かんない!」というような、ふざけた
理由ではなく。
「待って、シルフィード」
「なに?」
「その、女、というのは、誰? と言うか、なに?」
「もちろん、さっきサイトを乗せていい気になって飛び回ってた鉄の竜なのね。あんな見せ付けるよ
うな飛び方しちゃって、すっごく高慢で嫌な奴なのね。きゅいきゅい」
一瞬、ひょっとして冗談を言っているのだろうかと疑ったが、シルフィードは間違いなく大真面目
に怒っていた。大真面目に、鉄の塊に対して、女としての嫉妬の炎を燃やしているらしい。
「サイトを玩具に取られてしまった」と言って、面白くない気分になっているのなら、まだ分かる。
だが、この状況で「サイトを他の女に取られた」と思い込んでいるとは。まさか、鉄の塊相手に、本
気で「本妻と愛人の修羅場」を演じているとは思いもしなかった。
(アホの子)
タバサは手で頭を押さえた。召喚した当初からアホだアホだと思っていたが、ここまでだとは思っ
ていなかった。あんな物体を生き物と判断するとは、このアホ竜の頭の中には一体何が詰まっている
のだろう。これはもう、脳味噌への冒涜とでも表現すべき所業である。知性という輝かしい宝の上か
ら糞を垂れ流すような行為と言っても過言ではない。
554 :
犬竜騒動:2007/09/15(土) 01:58:27 ID:spsQuSzl
「大体、サイトもサイトなのね! あんな鉄臭くて脂臭くて硬い体に欲情するだなんて! きゅい
きゅい。こういうの何て言ったかしら。健全な対象から外れて、異常なものに欲情する……変態。
そう、変態、変態なのね! 変態、変態、サイトの変態!」
「竜に欲情したとしても十分変態だと思う」
一人で興奮しているシルフィードに、一応そう指摘しておいてやる。無論シルフィードは聞いてい
ないようだったが、もうどうでもいい。危険な任務に従事するときの十倍は疲れた。
(こんなのが使い魔として召喚されるということは、ひょっとしてわたしもどこか変?)
そんな疑いすら起きてくる始末である。
「きゅいきゅい。こうなったら徹底的にやっちゃうのね!」
自分の頭について真剣に悩み始めたタバサの隣で、シルフィードは後足を伸ばして立ち上がった。
そのやる気に満ちた黒い瞳を見ていると、とてつもない不安が胸に湧き上がってくる。タバサは嫌々
ながらも問いかけた。
「徹底的にやる、と言うと?」
「もちろん、シルフィのほーまんなボデーで、サイトを正常に戻してあげるのよ」
「……潰さないように気をつけて」
今の精神状態では、そう言うのが精一杯だった。タバサは本を抱えて立ち上がる。疲れ果てた頭を
少し癒すために、今は眠ろうと思う。
寮に戻る途中に振り返ってみると、シルフィードはさっきの場所に立ったまま、拳を突き出したり
戻したりして、意味不明な準備運動を始めていた。
(これが原因で正体がばれたりしたら、本気で風韻竜の肉の値段を調べてみるべきかもしれない)
そんなことを考えつつ、タバサは疲れた足取りで寮の中へと入っていった。
三十分ほど後、シルフィードは再びあの憎い鉄の竜の眼前に立っていた。ほーまんなボデーで才人
に直接迫ろうと考えていたのだが、彼はいないようだった。
(ということは、この鉄臭い竜とシルフィの一騎打ちなのね)
謎の三枚板がくっついている鼻先を思いっきり睨みつける。無論、この程度で相手が怯まないこと
は重々承知である。
(ふん、サイトの前ではしおらしくしてるくせに)
敵の性悪な二面性を軽蔑しながら、シルフィードは大きく息を吸い込み、腹に力を込める。そして、
顎を一杯に開けて、全力の咆哮を敵に浴びせかけた。
(風韻竜の咆哮で、自分のしたことの恐ろしさに気付くといいのね!)
空気を波立たせる吠え声に、敵の体も大きく震えているように見える。シルフィードは自分の勝利
を確信しかけた。
ところで、シルフィードは気がついていなかったが、このとき、ゼロ戦のコックピットに乗り込ん
でいる人物がいた。
才人ではない。この魔法学院の教師、コルベールである。
メイジでありながら機械的なものにも興味を示す彼は、もちろんこのひこうきというものにも興味
を惹きつけられた。今は主人のところに戻っていてこの場にいない才人に、あらかじめこのひこうき
の操作法を聞き出し、自分でも少し動かしてみようとしていたのである。
(えんじん、を動かす方法は、まずこことここと)
と、一つ一つ確認しながら必要な作業を行い、最後に、コックピット内の引き手を引っ張る段にきた。
(これを引けば、プロペラというのが回るらしいが)
ちなみに、このときすでにシルフィードの咆哮が周辺の空気のみならずひこうきの機体も震わせて
いたのだが、読書時のタバサ並に集中しきっているコルベールは、そのことに全く気付いていなかった。
気付かないまま、コックピット内の引き手を思いっきり引っ張った。
555 :
犬竜騒動:2007/09/15(土) 02:00:56 ID:spsQuSzl
成す術もなく沈黙していたように見えた敵が、突然動きを見せた。
(な、なにあれ!?)
シルフィードは驚愕した。今まで止まったままだった、例の謎の三枚板が、突如物凄い勢いで回転
を始めたのである。そこから発生する音もまた凄まじく、まるでこちらを威嚇しようとして叫び声を
上げているようだ。
(ここ、こいつ、舐めた真似をしてくれるのね!)
強がりながらも、シルフィードは拭いきれない恐怖を感じていた。最初は風車の羽根のように思え
た謎の三枚板だが、実際に回転し始めると、その速度は風車など比べ物にならないほど速い。もしも、
あんな速度で回転する板に触れでもしたら、と、嫌でも想像してしまう。
(細切れにされちゃうのね)
あまりにも恐ろしい敵の武器に、シルフィードは恐れおののく。
しかし、どんなに敵が恐ろしかろうと、ここで引き下がる訳にはいかないのである。
(そっちがその気なら、こっちだってやっちゃうのね)
シルフィードは小さな声で、そっと魔法の詠唱を始めた。敵はまだ、「オラオラ、切り刻まれた
きゃかかってこいや」とこちらを挑発している状態である。動き出す前に遠距離から魔法を打ち込め
ば、こちらの勝利は確定したも同然のはずだ。
詠唱は、すぐに完成した。
(よーっし、喰らうがいいのね!)
そのとき、コルベールは「えんじん」が正常に作動したことに気をよくし、「何故このプロペラが
回ると、この鉄の塊が空に浮くのか」ということについてあれこれと考察を始めていたが、そのとき
ふと、操縦桿に何かボタンのようなものがついているのを発見した。
(これは、何だろうか)
ボタンがあるとついつい押してみたくなるのが人情というものである。コルベールもその誘惑に負
けて、そのボタンを押し込んでしまった。
詠唱を終えて魔法を解き放とうとした瞬間、突如凄まじい轟音が鳴り響き、舞い上がった土煙に
よって視界が閉ざされた。
(なになに、今度はなんなの?)
魔法は不発のままに終わり、シルフィードは状況を確認できないまま、その場で時が過ぎるのを
じっと待つ。そして土煙が晴れたとき、彼女の前に信じられない光景が広がっていた。
前方の敵には、特に変わったところはない。だが、シルフィードから少し離れた地面が、何か凄ま
じい力で点々と抉られていた。
(まさか、さっきの音の正体って……!)
シルフィードは内心恐怖に震えた。先程の轟音は、敵が凄まじい威力の魔法を解き放った音だった
のだ。聞いたときは人間が使う銃の音に似ていると思ったが、それにしては連射が早すぎたし、何よ
りもこれほど容易く地面を抉るほど威力がある銃など、シルフィードは知らない。
(そんな、詠唱なんて聞こえなかったのね)
シルフィードは、気づいたときには半歩後ろに下がっていた。目の前に悠然と佇む鉄の竜が、い
よいよ恐ろしい化け物に見えてくる。
そのとき、鉄の竜の上部、鞍がある場所から、誰かが姿を現した。
「いやー、びっくりした。まさか武器の発射ボタンだったとは……誰かに間違って当たっていたら大変だ」
のん気な声で呟きながら、その人間は鉄の竜の周囲を見回した。敵のあまりの強大さに硬直してい
るシルフィードを見つけて、怪訝そうに眉を上げる。
「おや、ミス・タバサの使い魔の風竜ではないかね。こんなところで何を」
シルフィードは悲鳴を上げて逃げ出した。またあの魔法を撃たれたら、一瞬でミンチよりひどい状
態にされてしまうという、恐怖からの逃走であった。
(化け物なのね化け物なのね! これは由々しき事態なのね!)
頭の中で大騒ぎしながら、シルフィードは一度も振り返ることなくその場から逃げ出した。
556 :
205:2007/09/15(土) 02:02:00 ID:spsQuSzl
実際本筋にはあんまり関係ない話なんですが、思いついちゃったものはしょうがない。
どうだ、これなら萌えないだろう。
シルフィがあまりにもアホ過ぎて…www
あほ過ぎて可愛すぎて萌えまくりだぜ
アホの子カワイスwww
っていうかコレ
非エロ作品の中でなら一番面白くない?
こっからどうエロに持って行くか期待アゲ
もうここまで来ると、シュレックだな……
いや、無理にエロに話をもっていく必要はないんじゃ?
そう思えるくらいアホの子(褒め言葉)シルフィが可愛いw
ん〜迷ったが
つtp://chocochip.sakura.ne.jp/
エロゲーの原画さんのサイトなんだがここでコミケ用の商品に描かれたルイズが
うますぎるwこの感動を誰かに伝えたかった。マンガ、アニメよりクオリティが高い(*´д`*)ハァハァ
>>556 >>「これはいい修羅場」
吹いたwwwwwwwwwww神GJ!!
GJ!!
ライバル登場とはなんという王道ラブコメwww
次も竜態のままお願いします
205さんは風神にしろ魔王にしろ
このきゅいきゅいにしろエロがなくても全然。つーか超面白い作品だwwww
何が言いたいのかというとGJ!!!
シルフィードの属性ってなんなんだろうね?
205さんGJ過ぎる
面白すぎて腹筋が壊れそうになったww
569 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 09:56:02 ID:98XyuawX
ゼロ戦って、スロットルレバーに引き金がついてるんじゃなかったか?
205氏、GJ!
画面の前でニヤニヤが止まらねえwww
*****
宣伝
タバサスキーに続け!!
自称!ゼロの使い魔外伝2!
変態紳士(褒め言葉、主筆は205氏w)達による、シルフィードonlyのファンアート!!
『しるふぃーどぼん。』 発 売 決 定
帯には
ノーヴォル・ヤマグッティー氏呆然、
「逆らったら負けかなと思っている」
との諦めのお言葉あり!!
乞うご期待!!
*****
こんな電波を受信はおろか、発信した俺ってマジ外道www
ちょっと吊る縄を糾ってくるw
test
後少しで竜姦に目覚めそうだ
書くなよ!絶対にシルフィとにゃんにゃんするSSなんか書くなよ!
>>572 (´゚д゚)え…………だ、だめだったの?
っていうか仮にサイトがシルフィとヤっても
シルフィに尻尾で尻穴掘られて早漏フラグが目に見えr
ルイズに見つかったら、おしおきどころかドン引きだな
まぁ染色体の数が違うから妊娠はないから安心だな
ドラゴンの生殖ってどんな感じかな。
シルフィが産んだ卵に、サイトが精子をかければ受精するのか?
・人間態
・妊娠はない
・基本裸族
これに耐えられるサイトがいたら、勲章やるから連れて来いよwww
サイト限定かよw
>>575 ルイズ「変態!!変態!変態!」
サイト「ルイズ・・・・綺麗・・・・・」
竜フェチサイト
「と、いうわけでサイト!! シルフィは人間になれるのよ! きゅいきゅい!!」
「えぇ……? ちっ、マジかよ……。お前、俺の前ではその姿になるなよ。興ざめだから」
「?? よくわかんないけどシルフィ、愛されてるのね? るーるる!!」
つかいっそのことサイトが竜になっちゃえば
>>584 あれ、下の描写ってここのSSにあったような・・・
王冠と体操着って似合ってないな・・・・
>>584 おれ、七万の存在をしっかり確認できたのはこれが最初だ。
王冠と体操着だとお!?
そりゃ美少女が重火器背負ってる並のアンバランスさの中で垣間見るバイタリティーとファンタジスタの
コラボがあるんじゃねーか?!
とかwktkしながらリンク先飛んだけが、別にそんなこともなかったぜ!!
しかし俺のカトレアがひどいことに…
>>586 てか王冠ってこんな見た目ショボかったか?
原作の扉絵だともっとかっこよかった気が・・・
>>589 確かに。眼が・・・
イメージが崩壊するな。
アニメだと7万に突っ込んで終わりなのか?これ見る限り。ティファニアでないと。
残念なり。
>>590 7万に突っ込んで、「その後、サイトの姿を見たものはいないという」で完。
アニメは血の気が引いたルイズとやらが見られればいいや。
3期への伏線だろ
はい、シルフィ人気が高まりつつある中タバサスキーの俺が通りますよ。
KYぃ?でもそんなの関係ねぇ!!
タバサモノです。
視点をいじってあるんで、見にくいかも知れませんがご容赦を。
……。
「………ん、んん……」
…ガタガタッ
「―――――――っ!?」
………。
「……無理」
「帰ってこねぇな〜」
なんか、ここん所トラブル続きでどっと疲れた気がする。
ギーシュたちに引っ張り出されて女風呂覗きに行ったり、それがばれて女子に追い回さ
れたり……。
かと思ったら、「1日使用権」なんつーもんでシエスタに宿舎に連れ込まれて、惚れ薬飲
まされそうになった上に、それをモンモンが飲んじまって大パニックになったり。
で、まぁこうしてようやく部屋に戻ってきた頃には夜になってたりする。
「……ひまだなぁ」
ちなみに一向にルイズもシエスタも帰ってこない。覗きに行ったら殺されそうな気がす
るから気になるけど行かない。
……コンコン
「お、帰ってきたかな?」
ん? まてよ? ルイズ達だったらノックなんてしないだろうし……。
「………私」
「なんだタバサか。ほいほい〜」
ドアを開けてやると、タバサが神妙な面持ちで廊下に立っていた。パジャマ姿で。
「どうした?」
そうタバサに質問したけど、俯いたっきり何も話そうとしない。
替わりとでも言うように、タバサはシャツの裾をくいくいと引っ張る。
うは、結構かわええ。
いや、そういう問題じゃなくて。
「な、なんだよ?」
「……来て」
それで十分、といわんばかりにタバサは裾を引っ張りながら進もうとする。
「ま、まてまてまて!! どうし…」
「いいから」
問答無用ですか……。
…。
……。
………。
おい貴様! 貴様は今どこにいる!? 五秒以内に答えろウスノロがぁ!!
サーイェッサー! 私は今タバサ嬢の部屋のベッドの上に座っているであります!!
「……いや、なんだこれ」
「?」
なにか重要な話がある。そう思って付いてきたんだけど…。
あれよあれよという間に、何故か俺はタバサの部屋に連れ込まれていた。
「な、なぁタバサ」
「何?」
その連れ込んだ当事者は、何か問題があるのか? といった風に俺の隣に座っている。
……なぜか俺の腕にしがみついたままで。
「そろそろ、どうして俺をここに連れてきたのかを…」
「一緒に寝て」
はい?
「い、今何と?」
「一緒に寝て」
ふう、どうやら俺の耳が悪くなったわけではないようだ。
だがそうすると、また新たな問題点が浮かび上がるわけで…。
「な、なな、なぜに?」
「こわい」
「へぁ?」
い、いかんいかん。思わず奇妙な声を出してしまった。
にしても、なんていったこの子は? 怖い? 何が? そもそもそれと俺が一緒に寝るとい
う事といったいどんな関係が? なんて質問したら…。
「おばけ」
なんて迷っている間に、とっとと答えが飛んできた。
「寝られない」
どうやら、食堂での一件のせいで眠れなくなったらしく、どうしようもないから才人に
一緒に寝て欲しいということのようだ。
なんていったことがありましてですね、私はいまタバサの部屋のベッドで眠りに付こう
としているわけなんですが…。
「……サイト、寝た?」
「いや、起きてる」
「そう」
無理。絶対に無理。
タバサは小っちゃい子みたいに、俺の身体にしがみついてきている。
そうすると必然的にタバサの青い髪が鼻の辺りをくすぐってきて、ものすごくいい香り
がする。
しかも、時々タバサは顔を上げて、起きてるかどうか確認してくる。
それがまた、可愛いのなんのって…いやいや、落ち着け俺。
「……ん…ふぅ…んん〜」
タバサが頑張って寝付こうともぞもぞ身動ぎをする。
色即是空、南無阿弥陀仏…頑張れ、俺。
え、何をしているのかって?
いやね、タバサが動くとそりゃ色々当たるわけですよ。色々。
そうすると、育ち盛りの自分としましては、覚醒せざるを得ないわけで…。
何が覚醒するのかって? そりゃナニがですよ。
で、頑張って鎮めようとしてる訳なんですが……。
あ、ちょタバサそっちに動くとっ!
「…ん……え?」
「……あ」
しまったぁあああああ!!
タバサがもぞもぞと身体を沈めてきたせいで、暴走してしまっていた才人の愚息がタバ
サの柔らかいお腹に突き刺さってしまう。
「…サイト…これ」
「え、えと、その、なんだ」
タバサは驚いた顔をするが、興味を持ったのかそろそろと手を這わせてくる。
「う、うわ!! ちょ、タバサ?!」
思わず腰を引くが、それでもタバサは追いすがるように手を伸ばしてきた。
「え、えと…その、ゴメン」
「謝ること無い」
「いやでもその…」
その時タバサがうっすらと笑ったように見えたのは俺の気のせいじゃないはずだ。
「大丈夫」
「な、なにが?」
「……鎮めてあげる」
そういうとタバサは布団の中に潜り込んでいく。
タバサが才人の股間にたどり着くと、才人のジーンズを突き破らんばかりに膨らんでい
る怒張へと布越しに口付けた。
「タ、タバサ!? や、やめっ」
慌てて布団を跳ね除けて、タバサをどかそうとするけど、一向にタバサは離れたがらな
い。
「サイト、苦しそう」
「いやそれはそうなんだけど! それは後で自分でっていやそういうことじゃなくて!!」
ほらほら、こんな機会滅多に無いぜ〜とっとと脱いでいてもらえよ〜。
ちょっと待て! 相手はこんなにちっさい子だぞ? それにルイズにばれたらどうするん
だ!!
頭の中で、天使と悪魔がせめぎあっている。
どうすんの? どうすんの俺!?
なんて言っている間に、タバサは器用にもジーンズのジッパーを下ろしてしまっている。
元々ビンビンに張っているせいで、戒めが解けると愚息は自らその姿を現した。
「…おっきい」
突如登場した怒張にタバサは緊張しつつも、先ほどのように先っぽに口付けた。
そのままそろそろと張り詰めた肉筒をその小さい唇に収めていく。
「ふ、んっ…ちゅっ…ぷあっ…ふぅっ…ん…」
「う、あっ…タ、タバサっ」
ゴメン、もう無理、さよなら理性。こんにちは本能。
そろそろとタバサの頭に手を伸ばす。
手のひらに触れる髪の毛がひどく柔らかい。
「んん、ふぅ、ん、んあ…はいほ…ひもひいい?」
タバサがどこか不安げに才人に尋ねる。
「く、あ…あぁ、き、きもちい、からっ…くぁっ」
「ん…」
タバサは才人の声が耳に届くと、喜ぶようにグラインドのスピードを速める。
その口の端からじゅぽじゅぽと卑猥な音がこぼれ、音と共に溢れた涎がベッドに染みを
作っていく。
「タ、バサっ…おれっ…そろそろっ」
「ふきに…ひへいい、れんぶ…うける」
タバサは先端まで戻り強く吸い上げると、すぐさま一番奥まで飲み込み喉で愛撫する。
といった動きを繰り返す。
そんな拙くとも積極的な刺激に才人は限界を感じ、怒張がひときわ大きく膨らむ。
「うあ、で、でるっ………!!」
びゅるっ、びゅくびゅくっ
「――――――――――っ!?」
才人の塊のような白濁液が、タバサの喉にぶつかっていく。
タバサは黙ってそれを全て受け入れる。
「う、あ…あ、あぁ…」
すべての欲望が出きったと悟ると、タバサは怒張を口から引き抜く。
すると、才人の先端とタバサの唇との間に白く卑猥な橋がかかった。
「ご、ごめ…タバサ、ここに出…」
「んっ…こくっ…んくっ…ふうっ…」
ってもう飲んじゃってるし…。
「……………」
「タ、タバサ?」
「……変な味」
タバサはいつもの仏頂面を少しだけゆがめた。
「え〜〜と…」
「でも……」
タバサはコテンと才人の横に寝転ぶ。
「…いやな味じゃない」
言うと、タバサはチュッと頬にキスをしてきた。
「……寝よ?」
窓から見えた二つの月はいつもより綺麗な気がした。
〈おしまい〉
オチなし!!
本番なし!!
続きなし!!!
ども、すんずれーしました。
あ、ごめんなさいおこらないですいません。
タバサにはエロよりも頬にキスのほうがドキドキすることを再確認したGJ
>>600 GJ!
タバサスキーがビンビン伝わってきました
>>600こ れ は エ ロ い GJ!!
ところでヤンデルイズとヤンデタバサが才人を巡って本気で殺し合いしたら、どっちが勝ちそうだ?
俺はタバサに一億えきゅー
>>604 ルイズの呪文は詠唱が長いから
一対一ならタバサじゃね?
なんやかんやでタバサにサイトを取られてしまったルイズ。はじめは何とか奪還しようとするが、タバサの実戦慣れした詠唱速度に手も足も出ない。
ルイズ「卑怯よ!小技で詠キャンばっかりして!」
タバサ「卑怯じゃない、戦術。サイトは渡さない」
ルイズ「ななななに言ってるのかしら!サイトは私の使い魔なんだからね!あんたなんかに渡さないわ!」
タバサ「でも彼は私に優しくシテくれた」
ルイズ「!?…う、嘘よ!そんなわけないわ!」
そしてまるで狙ったようなタイミングで顔を出すサイト。
サイト「あれ?二人ともなにしてんの?」
そんなサイトにルイズが詰め寄る
ルイズ「ああああんた!本当にこの子にてて手をだしたの?!こここんな小さい子に!あたしよりいろいろ小さい子にッ!」
ちょっとムッとするタバサ
サイト「あー…シャルロット、喋っちゃったのか」
気恥ずかしげに頬をかくサイト
タバサ「ごめんなさい、でもこの人がしつこくて」
ルイズに見せつけるように腕を組みながら答えるタバサ
ルイズ「なっ?!」
サイト「俺たち、一通りの騒動が収まったら結婚するから」
さらっと爆弾を落とすサイト、そんな彼に今まで見たことないくらいの笑顔で抱きつくタバサ
ルイズ「嘘っ?!嘘でしょサイト!ねえ!」
サイト「本気なんだ。わかってくれルイズ」
ルイズの顔色が怒りの赤から絶望の青へと変わっていく。そんなルイズにタバサがとどめと言わんばかりに言いはなつ
タバサ「昔の女は邪魔」
ルイズ「嘘…嘘よ…サイトは私の…」
ブツブツと何かをつぶやくルイズを無視してさっていく二人
ルイズ「何で…何でよ…サイトは私の…私がサイトのことを…」
ふと視線を感じて顔を上げるルイズ
ルイズ「サイト?!」
しかし
ルイズ「なっ…」
そこにあったのは
ルイズ「何よそれ…」
見せつけるようにキスをする二人の姿
ルイズ「ふざけるな…」
この後ルイズは学院から姿を消す。最後に目撃した馬の飼育係はまるで東方に伝わる鬼のような形相だったと語る。
そして数年後、ハルケギニア中にある噂が広まる。それはカップルを襲う桃色の悪魔が現れたと言うものだった。
「ぶるぁぁぁぁ!あたしより幸せぶってんじゃねぇぇ!!殺戮のッ!エクプロージョンッッ!!」
ごめんなさい、勢いで書きました。しかもエロなし
文章書くの難しいね。せんたいさんはやっぱすげーや
>>607 ちょwwwGJwwww
『避妊具なんてつかってんじゃねぇっ!!』断罪のエクスプロージョン!!
>サイト「俺たち、一通りの騒動が収まったら結婚するから」
これは死亡フラグ?
使い魔の契約って、使い魔側はどこまで自由行動が許されるんだろうな。
サイトだけじゃなく、例えばシルフィードとかでも、主人の認可無しに交配は
できない、というような制限があったりするのだろうか。
実は使い魔の結婚は主人にとって喜ばしいことで、それに協力するのが理想的、とか
キュルケやタバサはいつも自分の使い魔のいい縁談を探してるが、当然ルイズは無視!
ギーシュも「ヴェルダンデ〜、お前を嫁になんてやらんぞ〜〜〜!!」
主人が必要としてるときにすぐ行動に入れる状態でなら何してたっていいんじゃない?
どこぞのルイズ・フランソーワズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールさんじゃあるまいしそんなに束縛もないと思うから
交尾も自由だろ。妊娠は禁止だろうけど
主人は使い魔の目と耳を使えたよね、ルイズとサイトは逆になっててさらにルイズが危険じゃないとダメみたいだけど
触覚や嗅覚、味覚は描写がないか
>>615 ルイズがサイトの射精する感覚を味わいスーパービッチに(ry
フレイムとキュルケによる感覚共有獣姦と聞いてやってきました。
我をまとう風よ 彼の姿を変えよ
ぎゃーーーー!!俺が、俺が竜の姿にーーーー!?
きゅい♪ やっぱサイトは竜になってもカッコいいのね♪
さぁ早くシルフィを(ry
(中略)
待てよ。
これは獣姦ならぬ「竜姦」で、ご主人様に仕返しできるチャンスかもしれねえ…。(ニヤリ
お前らどうあっても竜形態のシルフィードをアンアンさせたいらしいな・・・
このっ!!この変態紳士どもめ!!!お前らの社交パーティは司会のスピーチまで下ネタかよっ!!
そういえばアンリエッタって使い魔いるんだろうか。
馬車を引いていたユニコーンは違うよな。
てっか学生と学院長以外のメイジの使い魔って出てない気が
7万のとき、アルビオンの貴族が偵察に使ってたぞ
>>622 原作者によって嘆かされるあまり、ここに集った我らだ。
はよルイズとセクロスさせろだの
なんでシエスタ出番減ってんだよだの
エエエタバサやテファ友達どまりかよだの
なんで撤退なんだよアン様がぁぁぁぁだの
ちょw 百合w ノボル空気嫁w だの
混沌と満ち溢れた嘆きがわれわれをここに導いた。
よって原作者にとやかく言われる筋合いはない!
いや、たまにやりすぎかと思わないでもないのだがw
セクロスしないのは、したら終わりだからじゃね?
ノボルはこういうとこ覗いてんだろか
これファンタジーっていうより
徴兵される少年の物語だからな・・・・
戦争に行く前に一発ってのは・・・・
>>627 もちろん、お守りも必要ですね。
桃色がかったブロンドのを筆頭に、青いのやら金色のやら黒いのやら、色とりどり。
一個だけ、妙な鱗が混じってます。
サイトをして「上と下とでは、色が微妙に違うもんだなー」と言わしめる謎のお守りですが。
タバサ「(・・・・・・まだはえてない・・・・・)」
みんな変態紳士すぎるなw
何で下のおけけじゃないとだめなんだろうね?
wikiによると
性を神秘的なことと繋げるという考えから来てるみたいだと
ルイズ「私の予想だけどね、赤ちゃんはエルフが作ってると思うの」
サイト「お前その程度の認識で星になるとか、三ヶ月はダメとかいってたのか」
>>629 アムロがセイラさんの下毛欲しがってたのを思い出した。しかし下毛もらってもなぁ……
>>625 ぶっちゃけ18禁じゃないからでは・・・?
>629
ちょ、鱗ってwwwwwww
保管庫更新されてるな。名無しのページが出来てたり。
>>633 ルイズ「早く私とサイトの子を作りなさいよ!」
テファ「む、無理ですよぉ。どうやって作るんですか?」
ルイズ「そんなの知るわけないじゃないのよ。気合で作りなさいよ、気合いで!」
こんな絵が浮かんだ。
>>633 お前はもうトンカツ食って寝ろ。
……ハルケギニアにトンカツってあるのか?
田舎のおふくろさんが泣いてるぞ?
謝ろうにも帰れねーんだよ・・・・・・・
なんでかサイトの取調べシーンが浮かんだ俺マツキ
>>637 テファ「ねえサイト。子供ってどうやって作るの?」
サイト「へっ?子供の作り方?どうしてまたそんな事を」
テファ「ルイズが私に(ルイズと)サイトとの子供を作れって言うから…」
サイト「えっ!(テファと)俺との子供!?」
テファ「そう。(ルイズと)サイトとの子供」
サイト「(テファと)俺との子供…よし、今から作るか!」
そして十ヵ月後、サイトとテファの間に可愛い可愛い赤ちゃんができましたとさ。
サイト「一発で〜も妊娠」
ルイズ「最低ねコイツ」
サイト「やぁ私は最低どころかヒラガサイト、正しいゼロの使い魔さ・・・・そんなことより下腹部に注目」
この小説のエルフって死なないエルフ?それとも千年位生きる長生きエルフ?
サイト「30歳まで童貞守り続ければ俺も魔法使いになれる!」
ルイズ「今夜は一時間くらいならなにされても気づかないもん。
今夜はお気に入りの下着だけど、別にサイトのためじゃないもん」
サイト「さらば、魔法使い。俺はやはり剣士としての生きる道を選ぶ!」
種馬めwwwwwwww
>>640 ルイズ「誰が巨乳エルフとの子供を作れなんて言ったってのよーーーー!」
サイト「一発だけなら誤射かもしれないだろ!」
サイトと誠が被ってきた…
サイト死ね
hptがサービス停止したせいで過去ログ消えてるな
「早く元の姿に戻りてーよ」
五歳くらいの少年がため息混じりにつぶやく。
「一日程度で効果が切れるらしいので、今日はこの姿で我慢するしかないね、サイトくん」
「コルベール先生はいいですよ、二十歳くらいの姿だから、俺なんてこんなにちっさくなっちまってさ」
サイトとコルベールはモンモランシーの薬によって一日の間若返ってしまっていた。
サイトは小さい子供に。コルベールは若かりし頃の青年に。
「わたしはとりあえず研究室に戻ることにするよ」
コルベールと別れたサイトは考え込む。
「俺はどうするかなぁ」
「あ、こんなところに子供が…」
ティファニアと出会う。彼女はサイトに気づくと近づいてくる。
「どうしたの? 迷子になったの?」
(ど、どうしよう…)
サイトは悩む。
「あ、この服はサイトさんの…」
今のサイトの服装は身体が急激に縮んでしまった為、サイズが合わなくなり現在は一張羅のパーカーだけである。
まあ、パーカー一枚で全身を覆うくらいの大きさになるので問題はない。
「もしかしたらサイトさんの知り合いの子かしら?」
ティファニアがサイトを抱き上げる。
(はうっ)
サイトの顔一杯にティファニアの育ちすぎの胸が押し付けられた。
「サイトさんのところに連れて行けばなにか分かるかもしれない」
ティファニアはそのまま数歩あるき出すと、何かに気づいて立ち止まる。
「あ、よくみると色んなところが汚れてるわ」
水精霊騎士隊の練習の後だったため、サイトの身体は汚れていた。
「サイトさんの所へ行く前に一度お風呂で汚れを取ろうね」
(な、なんですとー?!)
サイトは顔を真っ赤にして頭から湯気をあげて興奮した。
一方コルベールは――、
ここまで書いて力尽きましたorz
一方コルベールは鉛筆を使った。
キュルケに対して。
自分の鉛筆か
ショタサイトがアン様に逆レイプされるのはまだですか?
450KBOverになったので次スレ立ててこようと思うんだが、どうだろうか?
次長編又は短編うpされればもう480を軽く超えると思うのでね
まかせたー
こんな早く容量オーバーしそうになったの、久しぶりな気がする。
気合いでつづけるんだっ!!
ちなみに、「サイトさん」はシエスタからの呼び名だっ
次スレにも書いたが、
>>657乙。
何となくこのスレの1見たら、まだ立ってから半月ぐらいなのな、このスレ。
長編がかなりうpされたからなぁ・・・
>>657乙
誰か俺の欲を満たしてはくれまいか。
シチュエーションとしては、才人の心はシエスタに流れてしまう。
その原因は才人を人間扱いしないルイズの暴力に遂には死にかけてしまう才人。
本気で怒った才人は、ルイズに対して使い魔の仕事はこなすが、口調は敬語になり本当にただの使い魔としての役目しか果たさなくなる。
その後のシエスタに心が流れる描写はなんでも良い。
もし良ければ、この長年の願望である俺の脳内SSを、誰か長編で書いてはくれまいか。
言いだしっぺの法則
じゃあ俺も俺も
ジョゼフを倒して解毒剤を手に入れたサイトだったが、なんやかやで自分も心を壊す薬を飲まされてしまう。
タバサは悩んだ末、一つしかない解毒剤を母に飲ませ、代わりに要介護のサイトの面倒を一切引き受ける事を誓う。
食事をすることも忘れてしまったサイトに口移しで食事させたり、下のお世話をしたり
定期的に溜まってるものを出してあげたり
その内、自分は母を選んだ罪悪感から介護してるのか、それとも他の感情からやってるのか悩み出すというSSを誰かにですね
シリアスなのは書けないんだぜ・・・
らぶあまとかあまあまが大好きな俺にとっては・・・
シチュ披露ってんなら
夜、ベッドの中でサイトと甘い雰囲気になりかけるルイズ
しかし寝入り前のお茶がよくなかったのか、不意の尿意が
色々と言い訳をしてトイレに行こうとするルイズを才人は
ガッシリと抱きすくめ、指で下腹をつついたりして意地悪
遂には「あぁ・・・もう・・・オシッコよ!オシッコ行かせてぇ〜〜〜!」
最後はベッドで放尿してしまい、今にも死にたくなるような
羞恥を味わったルイズを、尿まみれのまま才人が犯す
翌朝
「あら、ミス・ヴァリエール、自分でお洗濯なんて珍しい
・・・お・・・おねしょ!・・・きゃ〜!ミス・ヴァリエールがオネショしてる〜!!」
666 :
205:2007/09/17(月) 05:24:48 ID:71OJQiuu
長テーブルの向側、上座に座ったアンリエッタが、ナイフに刺した肉を口元に持っていく途中で、
不意に手を止めた。どことなく冷めた目つきで、ソースの滴る肉を眺めている。ベロー伯爵は、内心
どきりとしながらも笑顔を作って問いかける。
「おや、いかがなさいました、女王様。料理に何か落ち度でも」
「珍しいですね」
抑揚のない声が返ってきた。アンリエッタは肉を皿に戻しながら、感情の読めない視線で真っ直ぐ
にこちらを見つめてくる。
「ベロー伯爵家では、毒入りの料理を客に出すのがしきたりなのですか」
その言葉で、ベロー伯爵は計画の失敗を悟った。予想外のことに慌てながらも、部屋の外に向かっ
て声を張る。
「者ども」
そこまで叫んだところで、不意に扉が蹴破られた。部屋の外に向いたいくつもの窓が一斉に割られ、
幾人もの人間が中に踏み込んでくる。彼らが身を包む制服は、ベロー伯爵家のものではなかった。ア
ンリエッタの側近、銃士隊の紋章である。
呆然とするベロー伯爵を、銃士隊の隊員たちが速やかに取り囲み、銃剣の先端を突きつけてきた。
眼前で鈍く光る鉄の刃に、ベロー伯爵は小さく息を呑む。
「妙な動きをなさいませぬよう」
警告してきたのは、晩餐が始まってからずっと、アンリエッタの隣に控えていた銃士隊長、アニエ
ス・シュヴァリエ・ド・ミランであった。こちらの生殺与奪を完全に握ったこの状況でもなお、その
鋭い瞳は油断なく光っている。
「そうすれば、もう少しだけ長生きできましょう」
ベロー伯爵は、この後の己の運命を悟った。体から力が抜け、椅子からずり落ちそうになる。
「な、何が……」
「状況が理解できないご様子ですな」
こちらへの興味を失ったようにワイングラスを傾けているアンリエッタの隣で、アニエスが淡々と言う。
「万一毒に気付かれたときのことを考えて、子飼いの兵をこの部屋の周囲や屋敷中至るところに忍ば
せていた。こちらを完全に信用しきった無邪気な女王は、護衛の銃士隊も最低限の人数しか連れて
きていない。計画が察知された様子もないし、確実に成功するはずだ。そんな風に考えていたので
はありませんか」
己の考えを見透かされ、ベロー伯爵には返す言葉も浮かばなかった。
「貴族の権限を狭め、逆に平民の発言権を高めようとする。そんな陛下の政策に、あなたが不満を漏
らしていたことは当の昔に察知していました。あえて気付かない振りをしていたのですよ、伯爵殿。
何も知らない娘のように無邪気に振舞う女王陛下を見て、『こんな娘、いつでも簡単に始末でき
る』とあなたが思うようにね」
数日前謁見したときのアンリエッタの姿が、ベロー伯爵の頭に浮かんだ。政治に関するニ、三の相
談事に関して答えてやったとき、感極まったようにこちらの手を取って、「あなたほど頼りになるお
方は、他には一人もおりませんわ」と目に涙を浮かべていた。所詮箱入り娘と笑っていた少女が、今
は自分の向かい側に座り、冷めた表情でワイングラスを傾けている。
(この娘のことを、見誤ったというのか)
王位につく前の、何も知らぬ少女の姿と、数日前に謁見したときの無邪気な様子が、ベロー伯爵の
目を完全に曇らせていたらしい。完全に、手玉に取られたのだ。
(女狐めが)
心の中で毒づいたところで、もはや何もかも遅い。アンリエッタは自分のことを許しはしないだろ
うし、銃士の侵入を容易く許しているところを見る限り、屋敷に潜まれていた私兵たちも全て取り押
さえられているか、殺されてしまっているだろう。自分に全く気取られずに、そこまでの仕事を成し
遂げたのだ。
ベロー伯爵はガクリと肩を落とした。完全な敗北である。
そのとき、床を見つめていた視界の隅に、見慣れぬ誰かの足が映った。銃士隊のブーツである。顔
を上げると、そこに盆を持った一人の銃士がいた。無言のまま、盆の上にあったワイングラスをベ
ロー伯爵の眼前に置く。
グラスになみなみと注がれたワインの意味するところが分からず、ベロー伯爵は困惑する。前方に
視線を向けると、ワイングラスを片手に持ったアンリエッタが、こちらを見て言った。
「毒杯です。お飲みなさい」
絶句するベロー伯爵に対し、アンリエッタは静かだが強い口調で続ける。
「あなたは、常日頃から貴族の誇りや伝統のことを何度も何度も繰り返し口にしてきましたね。なら
ば、主君である女王をその手にかけようとしたことの意味は、もう十分に理解しているはず。恥じ
る心があるのならば、その毒杯を呷って自ら死を選びなさい。あなたとて、下賎な平民の下賎な刃
に刺し貫かれて死にたくはないでしょう」
ベロー伯爵は、全く揺れぬアンリエッタの表情と、自分に突きつけられた無数の剣先を交互に見た。
助かる道はない。ワイングラスを手に取ると、液面にかすかな波紋が生まれた。手が震えている。い
や、手だけでなく、体全体が。突如として眼前に迫った死に対する恐怖のためなのか、それとも計画
を台無しにしたアンリエッタに対する恨みのためなのかは分からない。
(何故だ、何故こんなことになったのだ)
女王の勧める通りに毒入りのワインを呷ることもせず、ベロー伯爵はひたすら自問自答を繰り返した。
(何故計画が露見した。何故わたしはこの女狐の能力を見誤った。そもそも、何故わたしは主君たる
女王を暗殺しようなどと)
「決心がつきませんか」
不意に、アンリエッタが言った。長テーブルの向側を見ると、彼女が無表情にワイングラスを掲げている。
「最後の機会です。私自ら、あなたと盃を合わせて差し上げましょう。主君たる女王と杯を合わせて
死んでいけるのです。貴族の名誉を重んじるあなたには、最上の手向けでありましょう」
ベロー伯爵は目を見開く。急に頭がすっきりしてきた。ワイングラスをテーブルの上に置く。腹の
底から上ってくる震えを、哄笑にして吐き散らした。
「名誉。最上の名誉ですと? あなたと杯を合わせることが? ふざけるな、王家に尽くす貴族を蔑
ろにし、卑しい平民にすり寄る売国奴め! 貴様は、このわたしが」
ベロー伯爵は胸元に手を差し入れる。そこには杖と短銃が隠されていたが、状況から考えて詠唱な
ど成功するはずがない。ならば銃を使った方が僅かなりとも女王を道連れに出来る可能性が高い。一
瞬でそう判断し、力いっぱい銃把を握って腕を引き抜き、銃口をアンリエッタに向ける。引き金にか
かった指に力を込めた。
「意外ですね」
アンリエッタがそう言うのと、周囲の銃士たちがベロー伯爵の体を銃剣で一斉に刺し貫くのとは、
ほぼ同時だった。ベロー伯爵の口から大量の血が溢れ出す。なんとか引き金を引こうとするが、指か
らはどんどん力が抜けて、ついに引き金から離れてしまった。
さらに大量の血が、口から溢れてくる。体の端から急激に体温が失われ、最後には全身から力が抜
けた。支えるものをなくした体が椅子から滑り落ち、意識が闇に溶ける直前、ベロー伯爵はアンリ
エッタの冷たい声を聞いた。
「平民の知の結晶である銃を手に、平民の磨いた牙である剣を胸に受けて息絶えるとは。貴族の名誉
を重んじるあなたには、似合わぬ最後になりましたね」
ベロー伯爵は、最後の力を振り絞って銃を放り出そうとする。だが、力一杯握り締めていたために、
銃把は最後まで離れることなく、彼の右手に収まったままだった。
アンリエッタに対する怨嗟の声を胸の中に響かせながら、ベロー伯爵は事切れた。
数十分後、ベロー伯爵の邸宅の中を、銃士隊の隊員たちが忙しく行き来していた。捕えた私兵たち
を連行したり、まだ暗殺者がどこかに潜んでいないか念入りに調べたり、また、王宮に帰還するルー
トに危険がないか偵察したり、やることはいくらでもある。幸い、以前に比べれば銃士隊の規模もか
なり大きくなっているため、人手不足ということにはならないが。
(と言っても、無謀な作戦だったことに変わりはないが)
先程までベロー伯爵の処刑劇が演じられていた広間の外、大扉を背に、アニエスは深々とため息を
吐く。上手くいったから良かったものの、相手がもう少し知恵の働く男だったら、今頃死んでいたの
はベロー伯爵ではなくアンリエッタの方だったはずである。
(ひょっとしたら、それでも構わないなどとお考えなのかもしれないが)
近頃すっかり常態と化した感のある、アンリエッタの冷たい無表情が頭に浮かぶ。そのとき、アニ
エスは不意に声をかけられた。
「隊長」
見ると、副官がそばに立っていた。アニエスと同じくうら若き乙女ではあるが、やはり彼女も相当
な銃と剣の使い手である。
「何か」
「はっ。反逆者たちを連行する準備が整いました。また、屋敷を改めてくまなく捜索させましたが、
暗殺者などの影は見当たりません。帰還ルートに関しても、危険はないとのことです」
「ご苦労。陛下への反逆に加担しようとした不逞の輩だ。連行には十分な注意を払うように」
「了解いたしました」
副官は一礼したが、どことなく迷っているような表情で、ほんの少しだけその場に留まった。
「どうした」
「いえ」
副官は一度そう答えてから、声を落として話し出した。
「ずいぶんと、お変わりになりましたね。女王陛下は」
アニエスはちらりと背後の扉に目をやる。アンリエッタはまだ広間の中にいるはずである。中にも
外にも多数銃士を配置しているので、危険はないはずだ。
「変わられた、か。そう思うのか」
「ええ。冷たくなられた、というか、隙を失くされた、というか。いえ、政治家としてはむしろ優秀
になられましたし、喜ぶべきことなのでしょうが」
この副官は、アニエス同様真面目な性格であり、いつもならばこんな風に少々不敬とも言える噂話
などしない。それでもなお無駄口を叩いているのは、それだけアンリエッタ女王の急激な変化に戸
惑っているということなのだろう。
「我々は何よりも優先して陛下をお守りする盾であり、敵を排除する剣でもある。陛下のなさること
について、あれこれと疑問を差し挟むのは感心せんな」
「はっ、申し訳ございません。過ぎたことを申しました」
副官が慌てて居住まいを正す。「が、まあ」とアニエスは言った。
「気持ちは分からんでもない。確かに、女王陛下はお変わりになった。王族としての自覚がそうさせ
るのだろうが」
「王族としての自覚、ですか」
「そうだ。陛下とて、アルビオンとの戦争を始めとする様々な難局を乗り越えてこられたのだ。政治
家として成長もされようし、国を守る覚悟も自然と身につこう」
アニエスは、副官の肩を軽く叩いて微笑んだ。
「頼もしいことではないか。即位した当初は何も知らぬか弱い少女に過ぎなかった陛下が、王として
の自覚を持ち、我々を手足として治世を行う優れた為政者になられたのだ。我々としても、命を賭
けて戦う甲斐があるというものだろう」
副官は深々と頭を下げた。
「申し訳ございません、任務中だというのに、いらぬことを申し上げました」
「気にするな。我々の任務は責任重大だ。迷いを持ったまま行動される方が困る。今後のこと、任せたぞ」
「はっ」
副官は一礼して、今度こそ立ち去った。迷いのなくなったその瞳を思い出し、アニエスはため息を吐く。
「国を守る覚悟、王としての自覚、か」
苦笑が漏れた。
「我ながら、心にもないことを言ったものだな」
呟き、アニエスは広間の扉を開いた。途端に、血の臭いが鼻をつく。先程までの処刑劇の残り香だ。
扉のすぐそばに控えていた銃士隊員に外に出るよう指示し、人払いをする。
「陛下」
未だに長テーブルの椅子に座り、ワイングラスを傾けていたアンリエッタのそばに歩み寄る。
「なんですか、アニエス」
グラスの中に目を落としたまま、アンリエッタは興味なさげな声で答えた。まだ死体を片付けたば
かりで、部屋の中には血の臭いが強く漂っている。だと言うのに、そのことを嫌悪する素振りなど全
く見せない。その様子は冷静と言うよりは投げやりと言ったほうが正しく、アニエスの胸にはっきり
とした不快感をもたらした。
「撤収の準備が整いました。引き続き、我々が王宮までお守りいたします」
「そう急ぐこともないでしょう。もう少し、ここでゆっくりしていきます。この屋敷の中で最上のワ
インを持ってこさせなさい、アニエス」
「陛下、恐れながら申し上げます」
我慢しきれず、アニエスは苦言を呈した。
「どうか、ご自愛ください」
「何の話です?」
「今回の件についてもそうですが、わざわざ陛下の御身を危険に晒さずとも、他にやりようはいくら
でもありました」
「あら、特に問題はないでしょう。ベロー伯爵は叛意を抱いていました。ですが、警戒心が強く、な
かなか尻尾を出さなかった。だから私が愚かな少女の演技をして、彼の油断を誘ったのです。実際
彼は計画が露見していることになど全く気付かず、今日を好機と見て私を暗殺しようとした。結果
は見ての通りですが」
アンリエッタは口元に薄く微笑みを浮かべた。
「反乱分子の筆頭でもあったベロー伯爵が粛清されたとなれば、他の者たちも少しは大人しくなるで
しょう。改革は滞りなく進み、私はますます王としての評価と、国民からの支持を高めることにな
る。何か問題がありますか、アニエス」
改革というのは、近頃のアンリエッタが強硬に推し進めている、平民の権利を拡大させんとする政
策に関するものである。
魔法を操る貴族が支配権を握り、平民を抑圧している社会。始祖ブリミルが与えた魔法をただ伝え
るだけで、新たなものを生み出そうとしない社会。数千年前からこの世界の文明がほとんど進歩して
いない原因はそこにあると唱えた女王アンリエッタは、今後は正式に平民からも有用な人材を登用し
ていくと発表。平民出の銃士からなる銃士隊の権限と規模が拡大し、銃の製造や化学など、魔法を必
要としない技術の研究に、以前とは比べ物にならないほどの資金や労力が注がれることとなった。
そういった平民の台頭を、多くの貴族が快く思わなかったのは当然である。中には堂々とアンリ
エッタへの不満を唱える輩もおり、トリステイン中に不穏な気配が広がりつつある。
今回のベロー伯爵の暗殺計画も、そういった風潮の中で持ち上がってきた企てであった。
「それは結果論です、陛下。一歩間違えれば、死んでいたのは陛下の方だったかもしれませぬ」
「そうならないためにあなたたちがいて、実際そうはならなかったでしょう。何が気に入らないので
すか、アニエス。私は女王として、常に最善の選択をしているつもりですよ」
女王として、という部分を、アンリエッタは殊更に強調する。最近、彼女はこういった物言いをす
ることが多い。その理由を、アニエスはよく知っていた。
「……まだ、あの男のことを気に病まれているのですか」
「何のことかしら」
アンリエッタは素っ気なく言って、空になったワイングラスを手で弄ぶ。
「サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガは、陛下の苦悩になど全く頓着せずに逃げ出した、見下げ果て
た男です。ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールに関してもそれは同様。陛下が気に病まれる必要など全
くございませぬ」
「だから、何のことですか、アニエス。私は彼らのことなど一度も口にしていませんよ」
あくまでも、アンリエッタは素っ気ない口調で答える。が、ワイングラスを持つその手が震えてい
ることに、アニエスは気付いていた。気付いていながら、あえて気付かぬ振りをして、頭を下げる。
「出立の準備をなさってください。王宮までお送りいたします」
アンリエッタは返事をしなかった。
残った仕事を全て済ませて王宮内の兵舎に戻り、自室の寝台に入っても、アニエスはなかなか寝付
けずにいた。アンリエッタの冷めた表情が、いつまで経っても頭から離れない。
(これというのも、全てはサイトたちが逃げ出したのが原因だ)
今はもう遠く離れた地にいるのであろう少年たちに、胸の中で呪詛の言葉を吐きつける。
アンリエッタの変化は、明らかに彼らが東方に旅立ったのが原因である。彼女自身才人という少年
には心を惹かれていた様子である。本当ならば、何もかも放り出してついていきたかったに違いない。
だが、ガリアの王位継承問題やゲルマニアの内紛等、刻々と移り変わる状況がそれを許さなかった。
そして、そういった難しい問題に直面することとなったアンリエッタを見捨てるような形で、才人た
ちは旅立った。
彼らが西方を去ったこと自体は、さほど間違った判断ではない。ガリアの問題にしろゲルマニア
の問題にしろ、才人たちはそれらに深く関わっていたのだ。西方に留まり続ける方が、むしろ問題は
大きくなっただろう。
しかし、状況が慌しすぎたせいか、彼らはアンリエッタには何一つ言い残すことなく旅立ってし
まった。彼女は根本的に情が豊かな人間である。これでは、自分が見捨てられたのだと解釈してしま
うのも無理はない。
(陛下は、女王という立場に留まらざるを得ない自分に嫌気が差しているのかもしれない)
平民の権利拡大を歓迎するような政策も、そういった情の表れなのではないかとアニエスは考えている。
だが、それでも、アンリエッタはまだ決定的に変わってはいない。
見捨てられたのだという思い込みのせいで多少自暴自棄になっているものの、女王という立場を嫌
悪する向きがあったのは昔からだ。政策に反対する貴族への対策に関しても、時に今日のような無茶
をすることがあるが、判断自体は割と冷静である。これが、たとえば女王として振舞わなければなら
ない自分に完全に嫌気が差して引きこもってしまうとか、あるいは自殺するだとか、そういった破滅
的な行動に向かっているのならば相当問題である。だが、今のアンリエッタは、恋人に捨てられた女
が、それを忘れるために我を忘れて仕事に打ち込んでいるようなもので、さほど病的な訳ではないのだ。
(どちらにしろ感情に振り回されている訳で、王としては致命的な欠点だがな)
それでも、今はまだ上手くいっている。平民からの支持はむしろ向上しているし、貴族の中にも、
世の流れを読んでアンリエッタの政策に協力する者もいるほどなのだ。事実だけを見れば、アンリ
エッタの施政は決して悪いものではない。
だが、それは今だけに限った話である。想い人や友人に見捨てられたという思い込みを抱えたままでは、
いつか精神が限界を迎えて、抜け殻のようになってしまう可能性がある。貴族達の大部分の反感を
買っているこの状況でそんなことになってしまったらと考えると、ぞっとする。
(サイト、お前達は今どこにいる。私では、お前達の代わりにはなれないのだぞ)
アニエスの情報網と言えども、さすがに人類未踏の東方に消えた才人たちの行方を知ることはできない。
アンリエッタの心を癒すことが出来る唯一の人間がどこに行ったか分からないのでは、手の打ちよ
うがないのだった。
苛立ち紛れにアニエスが寝返りを打ったとき、部屋のドアがノックされた。深夜の訪問である。枕
元に置いてあった剣を取り、警戒しながら入り口の扉に向かう。
「誰か」
問うと、聞き慣れた銃士隊員の声で返事が返ってきた。扉を開ける。
「何だ。こんな時間に扉を叩いたのだ、火急の用なのだろうな」
「は、おそらく、そう思われますが」
銃士隊員は歯切れの悪い声で言いながら、用件を口にする。
「アニエス様の邸宅に客人がいらしたと、侍従の者が伝えに参りました」
「客人? こんな時間にか」
「はい。客人のお名前は」
銃士隊員が口にした名前を聞いて、アニエスは目を見開いた。
「ギーシュ・ド・グラモンだと。それは本当か」
念のため確認すると、銃士隊員は困惑した様子で頷いた。アニエスは数瞬押し黙った後、銃士隊員
に命令する。
「わたしの馬を用意させろ。今すぐ邸宅に戻る」
「了解しました」
銃士隊員が一礼して去った後、アニエスははやる気持ちを抑えて、夜着から制服に着替えにかかった。
東方に旅立った一団の中には、ギーシュ・ド・グラモンの名前も含まれていたはずである。その彼
がアニエスの邸宅を訪れたということは、才人たちもまた西方に帰還しているということだ。
何故才人ではなくギーシュが来たのか、またその用件は何かなど、分からないことはいくつもある。
が、今はともかく邸宅に向かってギーシュの姿を確認するのが第一だ。
(お喜びください陛下、あなたの想い人が、東方から帰ってきましたよ)
才人とルイズが頭を下げ、非礼を詫びるのならば、根が優しいアンリエッタは彼らの罪を許し、そ
の関係はまた元に戻るはずである。そうすれば、彼女も今日のような無謀な行動は取らなくなるだろう。
この数ヶ月ほど、常に心を悩ませていた問題に解決の兆しが見えてきたことを喜びながら、アニエ
スは部屋を出た。
673 :
205:2007/09/17(月) 05:31:53 ID:71OJQiuu
埋めにはちょうどいいかと思ったら、ちょっと足りなかったり。
>>663 もしかして、才人が記憶喪失になるやつ?
保管庫にあるなら読んでみるよ。
>>673 埋め扱いはもったいない。次スレに載せればよかったのに。
なんにしてもGJ。
鱗を握りながら205さんに「GJ!」と声を掛ける自分に軽く自己嫌悪w
やさぐれ王女可愛いよやさぐれ王女
続きが見たいぜ
消化試合的な今の流れなら言える
アニメ6話、ルイズとキスした後の、やっちまったアニエス萌えwwww
680 :
◆LoUisePksU :2007/09/17(月) 19:09:35 ID:SbdsU7Eq
おめざのキス〜ルイズ編(1/2)
----トリスティンに朝がやってきた。
ん〜。ルイズはサイトの胸の上で目が覚めた。
寝るときは、いつもサイトの胸に頭をのっけて寝るのである。
そうしないとなんだか寝付けない。嫌になちゃうわ。どゆこと。
こんな使い魔だけどいないと眠れなくなっちゃうなんて。
上目遣いにサイトをのぞくとまだ夢の中にいるようだ。
ちょっと、いいことを思いついた。
サイトの寝ている間にキスしてみようかと何とはなしに思いついた。
というか、サイトの寝顔を見るうちにそんな気になってしまった。
トクトクトクトク・・・サイトの鼓動が聞こえる。
トクトクトクトク・・・ルイズの鼓動が高まる。
少し頬を赤く染めながら、ルイズはもぞもぞとサイトの顔のところまで
近づいていった。
サイトの寝息が感じることができる、すぐそこまできた。
わたしってば、なんてイケナイ子なのかしら。
でも寝てる間だったら、キスしてもいいよね。なんせご主人さまなんだから。
小さな口をさらに小さく尖らせて、ルイズはサイトの唇に口付けた。
--------------------------------------------------------
はじめましてです。◆LoUisePksUと申します。
最近ゼロ魔にはまりこんでいます。
妄想SSをブログに書き溜めつつあるのですが、
このスレの存在を知り、投下することにしました。
おめざのキス〜ルイズ編(2/2)
トックトックトックトック・・・ルイズの鼓動がさらに高まった。
・・・そういえば、あのメイド。この使い魔に舌を入れたと言っていたわ。
なんなの。ご主人さまを差し置いて、舌まで入れるなんて許せないんだから。
妙な方向に考えが向かっていって、ルイズはムカムカしてきた。
じゃじゃぁわたしも・・・
サイトの唇をなぞっていただけだったルイズはサイトに唇を押し付けたまま、
唇を少し開いて舌を出してみた。
その舌をサイトの唇の間にすこしむりやりではあったが、差し入れた。
なにこれ。今までとは何か違う。もっとどきどきする。なにか身体全体が熱をもった
ようになっていく・・・
サイトの口の中をさぐるようにルイズは舌を動かした。動かすたびに身体の中から
弱めのライトニングクラウドが放たれたようにしびれてくる。
サイトの舌。サイトの歯。少しづつ動きが滑らかにそして激しくなっていった。
いけないの。いけないわ。サイトが起きちゃう。だめよルイズ。
でも・・・
うううん。とサイトが呻いた。
ひやっ。ルイズはわれに返りサイトから唇を離し。
がばっと毛布を顔の半分まで覆って、しっとり湿った唇を隠した。
んんん〜。おはよ。ルイズ〜。サイトが、夢の中から戻ってきた。
ドクンドクンドクン・・・ルイズの鼓動の高まりは治まらなかった。
>>680 軽く甘めなどきどき感♪
いいじゃな〜い(^o^)/
がんばって、もっと萌えさせてくれぃ
>>682 ありがとうございます。
がんばります。
いいねーGJ。
でも、このスレもう終わりかけてるから、立てられてる次スレにUPしたらよかったのに。
次スレでもこういう砂糖菓子な甘甘テイスト読みたいわ。
朝の口はヤバい位菌が繁殖しとるという無粋なツッコミはなし?
>>685 余韻が台無しな発言をどうもありがとう
う○こ並らしいなそういえば
スレは1000までいけるものではないのですか?
>>688 レスは1000までつけられるけど、容量は500KBが限界。
だから、このスレももうちょいで容量が限界に達するので、その前に新スレを立てた訳だ。
>>689 そうだったんですね。ご説明ありがとうございます。
まぁこんなに早く500kb近くなるのも珍しいんじゃないかな
とは言ってもSS物のスレを見てるのがここともう一つしかないから
断言は出来ないんだがな
どっかにスレ一つ丸ごと使って投下された作品があったような気がする。
>>692 VIPのハルヒのプリンスレで一回あったよ
「涼宮ハルヒの微笑」というタイトルで約1スレ半使った
スレ違いなのでsage
もっと深い
スレ一つ占領して黒歴史にされたのは別のSSだな
一スレ使うとか、もうそれはある種の罠に近いね
>>696 スレ違いだな。ソレは読み切るのが精一杯だった
罠に近いと言っただけで作品がどうとは(ry
自分で信じてもいない言葉で他人を(ry
才人って誠扱いだが、普通に良いやつじゃね?
誠はなんかもう…
なんもかんも嫌なんだよ→ひかりとセクロス。
こんなやつだよな?
才人はまだまし…だとは思う。
シエスタに手を出してないから擁護するんですがねフヒヒ
ところで、俺は
>>660なんだが、誰か俺のリクエストに答えてはいただけないだろうか。
ウザい死ねと思うなら無視していだいて当然の行為だが、シチュとして気に入ってくれたら書いてほしい。
保管庫から似たようなものがないか探したが見つけられないヘタレでレスしてくれたやつ、スマソ。
701 :
ドロシー:2007/09/18(火) 01:00:33 ID:J0vemCWN
ドロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシー
ドロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシー
ドロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシー
ドロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシードロシー
早く戦争になぁ〜れ♪
間違えて次スレに、埋め立て用の島崎藤村詩をうpしてしまった・・・
気をとりなおして。
狐のわざ
庭にかくるゝ小狐の
人なきときに夜いでて
秋の葡萄の樹の影に
しのびてぬすむつゆのふさ
恋は狐にあらねども
君は葡萄にあらねども
人しれずこそ忍びいで
君をぬすめる吾心
四つの袖
をとこの氣息(いき)のやはらかき
お夏の髮にかゝるとき
をとこの早きためいきの
霰(あられ)のごとくはしるとき
をとこの熱き手のひらの
お夏の手にも触るゝとき
をとこの涙ながれいで
お夏の袖にかゝるとき
をとこの黒き目のいろの
お夏の胸に映るとき
をとこの紅(あか)き口脣(くちびる)の
お夏の口にもゆるとき
人こそしらね嗚呼恋の
ふたりの身より流れいで
げにこがるれど慕へども
やむときもなき清十郎
埋め
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l !::::厶f≦テ千ト< //xz≠< /::::/:::: ..::/.::::/
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く ヽ ヽ___}!:. ハ .::::::/>ヘ、.:.:::::: `ー' /::::::::...:::| '´
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/'⌒く/: : : : : : : { }∧:: :::: f'´ ´ ̄ _} r―-, //  ̄`l:::::Vヘ
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707 :
埋め:2007/09/18(火) 15:27:04 ID:HYriWHst
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生め
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゚∀゚ .)ヽ_∧ ∧∧( ゚∀゚*.) ∧_∧∧_∧( ゚∀゚ .O゚∀゚;)∧_∧(,,゚∀゚)
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゚∀゚ .)∧_∧∧∧ つ ゚∀゚∧_∧∧_∧∧∧∀゚)∧_∧∧_∧∧_∧
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∧_∧ ゚∀゚ )∧_∧ ) て ,,゚∀゚)∧_∧゚∀゚ )
゚∀゚ )∧_∧∧∧゚ ) キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!! ( ∧_∧∧_∧∧∧
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うめ
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゚∀゚ .) ゚∀゚)∧_∧∧_∧(#゚∀゚)∧_∧ (゚∀゚,,)∧_∧∧_∧∧∧
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___
|←樹海|
 ̄ || ̄ オワタ┗(^o^ )┓三 彡
|| ┏┗ 三 ∠
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
§
§
§
§ ティウンティウンティウン
§
| | .§ | |
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|←樹海| __◎§__◎
 ̄ || ̄ |____ ◎_ _|
|| ▼◎▼ ◎▼◎ ▼◎
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
犬のくせに犬/ / 、 \ ヽ 、のくせに犬のくせに
犬のくせに犬l / | \ ヽ ヽ ',のくせになに考えて
んのそれあり|/ / 人 ヽ, ', | !えないからおそれお
おおいったら|| !. l、| / ヽ l /l |_, ! ヽありゃしないというか
姫さまも姫さ ヽ |l | /ヾ|、 ノイ /! /_,|イ'l´ | \まだわ節操ない
ったらありゃし 〉!ヽ\|ー,‐≧、,ノ /_ノ≦___| / ト、 ヽない本気じゃない
のふざけて / |\! ゝー'゙  ̄ ´ ゝ、_ノ 7 .! ヽ \るわなにがこ
の気持ちど/ | | / |ヽ、| 〉うなのかわか
りませぬよヽ | l u u./. |:::::::メ, /許せないやっぱ
り許せない〉 r'゙/ ヽ ー─--、 / |::::::::::::}_ /犬のくせに犬と
女王?お/ {./ |>- ` ー一'_, イ /:::::::::´::::::ヽ `ヽ笑いだわよふん
とに犬/ r'7 ノ:::::∧` >< / /:::::::::::::::::::::::ハ ` 、のくせに犬の
くせ/ /´/ ∧:::::::::∨ ,、 ∧ ヽ; -ー' ´::::::::::::}. \に犬のくせ
. / |::/ /::::::\:::::∨ | /:::::ヽ \::::::::_,:::: に犬のくせに
/ // / // ______ / // /
/ // /| r'7\ ,.ヘ‐'"´iヾ、/\ニ''ー- 、., / /
/ / | |::|ァ'⌒',ヽ:::ヽrヘ_,,.!-‐-'、二7-ァ'´|、__
`'ー-‐''" ヽ、_'´ `| |:::::|'" 二.,_> ,.へ_
/ //__// / / / `ヽ7::/
か ,は な | / // メ,/_,,. /./ /| i Y //
ァ や ん. |'´/ ∠. -‐'ァ'"´'`iヽ.// メ、,_ハ , |〉
| く で ヽ! O .|/。〈ハ、 rリ '´ ,ァ=;、`| ,ハ |、 /
| 終 こ > o ゜,,´ ̄ . ト i 〉.レ'i iヽ|ヽ、.,____
| 了 の / ハ | u ,.--- 、 `' ゜o O/、.,___,,..-‐'"´
| し ス | / ハ, / 〉 "从 ヽ! /
| ち レ |,.イ,.!-‐'-'、,ヘ. !、_ _,/ ,.イヘ. ` ヽ.
ッ .ゃ .こ |/ ヽ!7>rァ''7´| / ', 〉`ヽ〉
! ! う ん .', `Y_,/、レ'ヘ/レ' レ'
ん .な ヽ、_ !:::::ハiヽ. // /
で に ./‐r'、.,_,.イ\/_」ヽ ', / /
す / `/:::::::/ /,」:::iン、 / /
〈 ,,..-‐''"´ ̄ ̄77ー--、_\.,__ /
,.:'⌒ヽ ´ | | , i |ノ `ヾr-、
_______
弋 ̄ ̄ ̄ \`ヽこニニニ= = 、_
ヽ: : : : : : : \>- ‐ ――- 、 _二二二ミ ‐、___
\: : : : / ` ヽ、:: : : : : :フ´
. ∧: / / ! \__::/
. ,' ./ ,.斗;‐< ! ハ ヽ,. -‐ ' ¨¨ヽ、
. / | | i / __| ! /r十ト、 / 厂\
/ .| ! ! |ィ圻Tヽ ! ! r=、 レ! 人_/ / / r‐‐く::::::::::〉
. / V\!∧! トr;r{ \| 心} 〉| /!/ `ー'ーく_:::::::::_rvく
/ | \ ゝ‐' ヒリ レ个く `ヽ{ ヽ
厶イ ! ハ _ ` 八 ', ', ',
. | ! 八 ハ ヽ._ア゛ ,ィ | ! ! このスレもお疲れ様でしたにゃん♪
. ∨从レ| >‐‐く. _,!>-- 、 _, ィ{ ! ! | ',
!/ /ヽ、ヽ.\ | /Vレヘ、 人_ { ',
| / 入 ヽ }__|ノ∨ ヽ∨  ̄ ̄¨ ―-ヘ !
| r火____ノ`T´ −- 、 `ー- 、 \ ',
∨::::::::::::::::::::::/ _____\ ,>‐、_______}
`Vレ个vへ∧___,./:::::::::::::::::`::\_/:::::::::::::\
', ', ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::}
! ', ∨:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}
'、 ', ∨::::::::::::::::::::::::::::::人::::::::::::/
'、 ', ',` ー-----イ´ ` ーr'´
'、 ! ! |
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弋:ー -- 、__:::::><____ ヽ、
ヽ: : : : : :._\:::::::::::::::::::::::`ヽ、_ \
\>'´  ̄`´ ̄ ̄ ¨ヽ:::::::::::−‐-、_\
. / / \_:::::::::::::::ミ= 、
f / ! \: ̄ ̄ ̄ ¨ヾ≧
| i _」_/ i ヽ ヽ: :: : : : : : :/
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V テX、!ヽ ヽ斗 十ト、 ! |_,.イ !
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1189953920/ \| ト心.| ハ レ' ∨ |`ト、 | \ ヽ、
/| リ 、ゝツ|/ 圷七卞く.| ! \ \
( 八 :::: , ヾこソ 个 ! \ ヽ \
\ ! \ 、__ `':::: / / \ ! )
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{:火 、 .} `r--r::r‐_' / ∧. \ \ (
从::\ ヽ ヽ__}_/ ', }::::::::/ ムイ`ー―'⌒ヽ .! ヽ\
从::::`┴f / | ! `^フ |-' ∨ ! \ _
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| ∨ /::::::::::\ ∨ | ', /::/ }
i. | 人:::::::::::::::ヽ } ∧ ∨::::/ /
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