「大丈夫ですか?ミリアさん」
「アルフォンス・・・」
体が火照って熱い。
私はベッドに横になっていた。
「起きられます?」
「はい・・・平気です」
「よかった。それならコレを」
そう言ってアルフォンスは私の口元に汁の滴るモノを近づけてくる。
「あ、あの・・・アルフォンス。今はそういう気分では・・・」
「何を言っているんですか。元気になりますよ?・・・さぁ――」
ニコニコと微笑を浮かべながらモノを差し出してくるアルフォンス。
私はしぶしぶソレに口を付けた。
「熱・・・っ」
「おっと、すみません。冷ましたつもりだったんですが」
「い、いえ大丈夫です」
私はソレを口に含んでしゃぶる。
ドロリとした白濁の風味が口内に広がり、
私はコクリ、コクリとゆっくりそれを飲み下していく。
「味はどうですか?」
「はい、とても・・・美味しいです」
「そうですか。実は初めてで少し不安だったんですよ」
アルフォンスは嬉しそうに微笑むと、
ふと何かに気づいたようで私の顔を見ながらクスクスと笑い始めた。
「どうかしましたか?」
「クスッ・・・ミリアさん。く・ち・も・と」
アルフォンスは自分の口の横あたりを指でさしながら言う。
私は慌てて自分の同じ場所を確認する。
「あっ・・・」
私の口の横には先ほどの白濁がヨダレのように一筋垂れていた。
「フフッ、貴女のそう言う所可愛いらしいですね」
「あ、あまりからかわないでください」
恥ずかしくなった私はその白濁を指ですくって口へと運んだ。
「ところでアルフォンス。その白いモノは何なんですか?」
「おや、知らなかったんですか?これは"お粥"といって東方でつくられた食べ物なんですよ。
グラディエールも寂しがっています。風邪、はやく良くなるといいですね」