べただけど「ふんいき」だろ?
(゚д゚)
和服美女でエロ清楚な未亡人姉さん女房だと…!
どれだけ俺のツボを抑えれば気が済むんだ!
GJ!!
ほ
534 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 21:12:34 ID:WYWOzK4P
し
の
カ
ン
保守
539 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 23:36:41 ID:JgzlW2A3
お
540 :
氷の温度1:2008/06/24(火) 06:09:50 ID:ntY08BLF
保守がてら少し。
初めて書くので微妙でもお許し下さい。
歴史物です。WW1中の帝政ロシアが舞台です。
*
婚礼の宴は終わった。
明日、アレクサンドルは一路モスクワに向かう。
今朝到着し、彼と久しぶりに言葉を交わしたばかりの花嫁、ナターシャは、寝室の窓から外を見てため息をついた。アレクサンドルはまだ階下にいる。
予定では婚礼は来年のはずであった。ナターシャが女学校を卒業し、アレクサンドルが正式に家督を継いでから、というのが当初の予定であった。
予定が変わったのは、折からの戦争の状況がどうにも芳しいものではなく、見習いの下士官でしかないアレクサンドルも前線に赴くことが決定したからである。
結局ナターシャはこれまでアレクサンドルと三度会ったきりだ。最初に出会った時から婚約者としてナターシャの前現れた背の高い赤毛の青年、
どうも喋り方がのんびりしていて、酒に弱くて涙もろい、頼りないアレクサンドル・ウラジミルヴィチ。
婚礼の宴の最中、ワイン一杯で顔を赤くしたアレクサンドルは大きな声で何度もナターシャを呼び、キスをして抱きしめた。
「美しいナターシャ!俺はお前のために絶対帰ってくる!」
それは広間一杯に響く大声である。
酔っ払っているアレクサンドルは力の加減がきいていない。
日頃よく体を鍛えた大男に力一杯抱きしめられ、ナターシャは小さく非難の意味を込めて呻くと、キッとアレクサンドルをにらみつけた。
「あまり浮かれないように」
「浮かれてるかな」
「ええ」
「そうか、ごめん」
ナターシャはアレクサンドルの腕から離れると、そのまま人気の少ないテラスに出てそこでワインを飲んだ。
ナターシャは酒に強い。一瓶空にした。
すっかり酔って上機嫌のアレクサンドルは、親戚や友人達から祝福の言葉を受けてすっかり浮かれている。
541 :
氷の温度2:2008/06/24(火) 06:12:04 ID:ntY08BLF
ケタケタと大きな声で笑い、赤い鼻を擦って、また笑う。
滑稽なものだ。
ナターシャはため息をつく。
――あの人はわかっているのだろうか。
戦況は本当に悪くなっているのだ。こんな貴族階級の宴であってすら満足に酒も食事も集まらない。農奴は飢えている。兵士はみな帰ってこない。
「ナターシャ!ナターシャ!」
バンっと大きな音をたてて扉を開いたアレクサンドルが、転がるようにして寝室に入ってきた。
「ナターシャ、いいものを貰った!ベルギーのチョコレートだ。さっき一個食べた。これは素晴らしく美味いぞ、君も一つ食べなさい」
「……あとで頂きます」
「そうか、絶対食べるべきだ、これは美味い」
「……」
「甘いものは嫌いかい?」
「……いいえ」
「じゃあきっと食べなさい。ちょっと寂しい時や元気が出ない時に食べるといい」
にんまりとしまりのない顔で笑うと、アレクサンドルはチョコレートの入った箱をずいっとナターシャに差し出した。
受け取ったナターシャはそれを窓際のテーブルの上に置くと再びため息をついた。
「今日は楽しかったなあ……久しぶりにイヴァンやフェリックスにも会えたし……君も元気そうでなによりだった……」
ベッドに腰掛け、水を飲みながらアレクサンドルはうっとりとした口調で言う。
「みんな君の花嫁姿をすごく誉めてくれた。本当に俺にはもったいないくらいの花嫁だって言われてしまったが、俺も正直そう思う。俺には君はもったいない」
そう言うとそのままアレクサンドルはベッドにバタリと横になった。
じっと天井を見つめるアレクサンドルの濃い茶色の目は、奇妙な深さを持っていて瞳孔の底がしれない。
ナターシャはベッドに腰をかけてアレクサンドルの瞳を覗き込んだ。
「ひどく酔っているようですね」
「……うん」
「まだ大丈夫ですか?」
「なにがだい?」
542 :
氷の温度3:2008/06/24(火) 06:14:08 ID:ntY08BLF
アレクサンドルの無神経な一言にナターシャは顔をしかめた。
「私を抱くのでしょう」
言って再びアレクサンドルの瞳を覗き込む。茶色の目は今度はジッとナターシャの目を見つめた。
それはひどく澄んでいて、謎めいていて、ナターシャはなぜか背筋が寒くなった。
「俺は……」
ポツリ、アレクサンドルが言う。
「俺は、俺はね、ナターシャ」
アレクサンドルが申し訳なさそうに微笑んだ。
「この結婚を成立させたくないんだ」
ナターシャが息を飲む。アレクサンドルはいつものようなのんびりとした喋り方で続ける。
「正直な所、ちゃんと五体満足で帰ってこられるかわからない。
うーん、多少怪我してようと、生きて帰ってこられたらまだマシかもしれないな。
まず帰ってこられるか、そこがまず怪しい。これで俺が帰ってこなかったら、
君はたった一晩の婚礼のためにあまりにもたくさんの大切なものを犠牲にしてしまうだろう」
俺はそんなこと望んでないよ。
そう言ってケタケタとアレクサンドルは笑った。
「君は美しい。幸福になるべきだ。負ければロシアはろくなことにならないだろう。
結婚するなら外国の金持ちとかがいいね。きっと君なら幸せになれると俺は信じている」
ナターシャは開いた口が塞がらないまま、黙ってアレクサンドルを見つめていた。
酔って赤くなった鼻を擦りながら、アレクサンドルは目をつぶる。
どうしてこの男はいつだって検討違いの事ばかり言うのだろうか。
「……どうして」
そう、初めて会った時から検討違いの事ばかり言う男だった。
「どうしてあなたは、いつも……いつもいつもいつも」
アレクサンドルの出征の知らせを受けてからずっとナターシャはこみ上げてくる感情を抑え続けていた。
「いつも勝手に……勝手に決めてしまって……勝手に納得して……どうして私の幸せまで勝手に決めてしまうんですか!」
半分叫ぶようにしてそう吐き捨てると、堪えきれない涙をポロポロこぼしながらナターシャはアレクサンドルの襟首を掴んだ。
543 :
氷の温度4:2008/06/24(火) 06:17:00 ID:ntY08BLF
「ナターシャ?」
驚いて目を見開いたアレクサンドルにナターシャは何も言わずにキスをした。
初めて会った時、アレクサンドルはナターシャに望遠鏡をプレゼントしてくれた。
しかしそれを知った周りの人間が、アレクサンドルの趣味の悪さを揶揄するものだから、彼はすっかり後悔したらしく、バツが悪そうにすまないとナターシャに謝った。
2度目に会った時、アレクサンドルはナターシャと芝居を見に出かけた。
アレクサンドルがナターシャと似ているとしきりに誉めた女優はひどい悪女の役で、芝居の後半二人は黙り込んでしまった。
アレクサンドルはこの時もすっかり恐縮してしまいすまないとナターシャに謝った。
「望遠鏡、私は嬉しかったのに……芝居だって、面白い芝居でした……」
アレクサンドルを抱きしめながらナターシャは嗚咽まじりにとにかくしゃべった。
「いつも、勝手に結論づけてしまって…私に聞いてくれないじゃない。
私は嬉しかったのに。ずっとずっと言いたかった。
あの時のお礼、私は言いたかったし、もっとあなたとお話したかった。
今日はずっと泣いてしまいたかったのよ。明日になったら……行ってしまうんだって、知らせを聞いてから今日まで、とにかく悲しくて…」
悲しくて、と言いながらナターシャは子供のように泣き続けた。しゃっくりあげて声をあげて、体を震わせて。
これまでこらえてきた涙を全て流してしまうくらいに泣いた。
「はやく……言えば良かった。もっとはやく、アレクサンドル。愛していますアレクサンドル」
アレクサンドルに再びキスを落とし、そう何度も告げた。アレクサンドルは黙ったままだ。ナターシャ纏う寝間着の中が暑くて苦しくなってきたことに気がついた。
こんなに取り乱してしまうなんて、もしかしたら自分もひどく酔っ払っているのかもしれない。
「なあ、ナターシャ」
「なんですか」
「俺は、君に謝るべきなのかな」
「この期に及んでっまだっ……まだっ」
「ごめんっごめんってば、そうじゃなくて……あーその、ごめんナターシャ。えーと」
「もう何もおっしゃらないで!帰ってくるのこないの?私を抱くの抱かないの!?それだけおっしゃい!!」
「…帰ってくるよ」
「よろしい、で?」
アレクサンドルはそのままナターシャを強く抱き寄せ、唇で口を塞いだ。
544 :
氷の温度5:2008/06/24(火) 06:21:40 ID:ntY08BLF
「悪魔に魂を売っても帰ってくる。待っていてくれよ」
抱き寄せた腕がナターシャの寝間着の中へ侵入する。
火照った体をアレクサンドルの冷たい指がわさわさと撫でるのが心地よくて、ナターシャは小さく悲鳴をあげた。
「君、酔ってるんだなあ」
「あなた、ほどじゃ……ひゃんっ」
尻をギュッと掴まれてナターシャは全身を震わせた。
「見た目より手応えがある。いい子が産めそうだな」
こんな時までおっとりと話すアレクサンドルをナターシャは不平不満を込めた目で睨んだ。
「どうして欲しい?」
「……だからお黙りになって!」
小さく笑うと、言われた通りに黙ったアレクサンドルはナターシャの乳房にキスを落とした。
白い乳房は少し火照り、汗ばみ、ナターシャが動くのに合わせてゆさゆさと揺れる。
アレクサンドルはナターシャをベッドの上に横たえると、左手で左の乳房を掴み、右の乳房に丹念にキスの雨を降らせた。
巧妙に乳房の頂上を避けて降る快感にナターシャは息を乱して声をあげる。
やがてそろそろと突起部分をアレクサンドルの指が撫で始めると、ナターシャの本能は必死でそれを求めた。
立ち上がった乳首をアレクサンドルが優しく甘噛みする。
「あ……ふぅ、ぅうあ、あ、あぁ……アレク…あぁん…」
ナターシャの頬はすっかり上気して湯気が出そうに赤い。
目を潤ませ震えをこらえるナターシャをアレクサンドルは愛しく思った。
ナターシャは先ほどからずっと太ももを擦り合わせ、尻をゆらゆらと動かしている。
快感が、ナターシャの女としての最奥まできているのだろう。
アレクサンドルはナターシャの足を持つとそれをぐいっと広げた。
擦り合わせていた足を開かれたナターシャは「きゃっ」と短く声をあげた。
ナターシャの茂みの中には真っ赤な花がチロチロと燃えていて、
その花に触れるとトロリとした
濃い蜜が待っていたかのように溢れ出してくる。
「ナターシャ」
「な、なに……うぅ…」
「愛してる」
言いながら指を花の中心に指し入れる。
全身を震わせるナターシャに、アレクサンドルはなおも言った。
「愛してる。君は美しい」
「ひゃ……あぁ……」
花弁を指先で丁寧にそっと撫でて、トロトロとした愛液を塗りたくる。
侵入したナターシャの中は普段の彼女の様子と違い子猫の様に熱かった。
「アレクぅっ……あ、アレク…サンドル…ねぇ、すき……あ、ふぁ…」
「俺も愛してる」
ナターシャの体から指を引き抜く。いかにも切なく蠢動する彼女の体をもう一度アレクサンドルは抱きしめた。
「君は俺のものだ」
夜が明けた。
ナターシャは泣き止まぬままにアレクサンドルを求め、その行為の最後に果てたまま眠り込んでいる。
アレクサンドルはその寝顔をしばらく見つめていた。
内心驚いている。ナターシャは非常に自尊心の強い女性だ。
あんなに感情を表にして男性を求めるとは思わなかった。
あの冷徹な無感動の中に、彼女があれほどの情熱を秘めていたのだ。
その奇妙なほど幼く見える少女のような寝顔にキスをして、アレクサンドルは立ち上がった。
彼は今日、モスクワに向かう。
fin
胃痛が酷くて眠れない勢いのまま書いてしまいました。
未熟者の駄文でスレを6つも消費してしまい申し訳ありません。
ありがとうございました。
GJ!
帝政ロシアの場合、貴族なら最低でも少尉のはずなんだが。
あと、表記はウラジーミ「ロ」ヴィチが正確だと思うぞ。
父称の末尾が子音の場合は"o"の発音が追加される。
何度も読み返してにやにやしたくなるくらいにいい話なだけに、
そういう細かい部分が気になって仕方がない。
ケチつけてすまん。
次も頑張ってくれ。
548 :
540:2008/06/24(火) 20:20:28 ID:ntY08BLF
>>547 指摘ありがとうございました。
慌てて調べて確認しました。初歩的なミスですみません。
あまり詳しくないのですが、なんとなく生存フラグへの道が
厳しそうなものを選んだらロシアだったのでそれで書いてしまいました。
勢いのままにアップしてしまったので今となっては後悔しきりです。
いい話だと言って頂きありがとうございました。
また機会がありましたら投下させて頂きます。
549 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 20:50:47 ID:2OE5hUkI
し
GJ
鉄仮面と子猫マダー?
穂波と大樹の裸エプロン編はー?
神父様とラグビー部の皆さんの大活躍はー?
(゚听)イラネ
そろそろ次スレか?
1スレの容量って512KBだっけ?
512が限界だが500超えた時点で書けなくなる。
やはりwktkすべきは子猫と鉄仮面か‥‥保守
560 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/10(木) 00:26:36 ID:+/tLjvmT
埋めネタ待ち
561 :
埋めネタ:2008/07/15(火) 01:43:53 ID:9VpsNmy8
「お前なぁ、いい加減ここ埋めろって」
「やだ」
「何でだよ?」
「いいじゃん、別に今じゃなくっても」
女は、ぶっきらぼうにそう言い放ち、わざとらしく伸びをした。
「そういうわけにはいかないんだって」
「やだ。なんかもう、色々めんどくさいし」
「面倒くさいって…お前なぁ」
男は溜息をつき、女に非難がましい目をむける。
一方の女はふて腐れた表情で、男から目を逸らしている。
が、本心から面倒だと思っているわけではなさそうだ。
そっぽを向いた横顔の頬が、微かに緊張している。
そのくらいの変化に気づけるほどには、男は女を知っている。
562 :
埋めネタ:2008/07/15(火) 01:44:56 ID:9VpsNmy8
「なぁ…どうしたんだよ、今になって」
ことさら優しい声音でそう問いかけると、女は案外素直に本音を漏らした。
「………この一年、楽しかったじゃない?」
「そうだなぁ…色々あったけど、まぁ大きな喧嘩もしなかったし、
いい一年だったよな」
「でも、ここ埋めちゃっても、これからまた楽しい保証なんてないし」
「そりゃそうだけど…」
「なんか…寂しいっていうか、不安ていうか………さ」
「お前…そんなこと心配してたのかよ」
「そんな事って!あたしには大事なことなの!!」
「………馬鹿」
女の真剣さがおかしくて、男は笑いながら言う。
「バカって言うな!」
「馬鹿じゃなきゃ阿呆だ!お前、新婚は人類の永遠の夢だぞ?
涸れることなき妄想力の泉だぞ?バージンロードでウエディングドレスで
新婦で神父で裸エプロンだぞ!?
なんか慣れてなくて炭水化物ばっかりの手料理だったり、部屋にAVがあったぐらいで
可愛く痴話喧嘩しちゃったりするんだぞ?!
たまには本格的な喧嘩したりもするけど結局モトザヤで夜は燃え上がったりとかだな、
あとは新婚じゃなくてもあれだ、娘とか息子が結婚する年頃になっても
「妹か弟作っちゃうぞ〜」とかだな!ビバ結婚!!!
次の1年どころか…あと50年はいける!!」
「鼻息荒くてキモイんですが…っていうか、50年は無理だろぉよ…」
今度は女が呆れて溜息をつく。
「いや、いけるね俺なら。とにかくそんな薔薇色ライフを送るためには、
ここ埋めてとっとと次に行くしかないだろ?
そんでまた、初夜とか初夜とか初夜とか熱い日々をだなぁ!」
スパーン、と小気味のいい音を立てて、男の頭が丸めた書類でしばかれる。
「ああっ!お前、これで殴るなよぉ!これ大事な…!!!」
「他に言うことないんかいっっ!!!」
重ねてげしげしげし、と3発ほど殴られ、男は床の上に平伏する。
「も、申し訳ありませんでした…」
「で?結局何が言いたいわけっっ?!」
563 :
埋めネタ:2008/07/15(火) 01:46:11 ID:9VpsNmy8
刺々しい声音に、男は恐る恐る頭を上げ、
女の手に握られた書類をそっと取り上げて広げる。
そして再び、女の前に土下座した。
「一生、幸せにします…頼むから、ここ、埋めて下さい」
テーブルの上に広げられた婚姻届には、一箇所の空白。
「………………………もぉ、しょうがないなぁ!」
怒った表情のまま、頬だけを真っ赤に染めて、
女はペンを握り、自分の名前で、空白を埋めたのだった。
564 :
埋めネタ:2008/07/15(火) 01:47:09 ID:9VpsNmy8
終わり。力不足にて結局埋まってなくてスマソ
後は誰か頼む。
次スレの繁栄と、全ての新婚さんに幸あらんことを願って。
ぐっじょぶ
「ああああーっ!イイ!イイのおっ!
気持ちよすぎるよぉ!!…あっ?ダメ!
抜いちゃだめぇぇ!!
まだ、まだ足りないのっ!
ここに…ここに、おっきいの、埋めてえぇ!!」
こうですか?わかりません(>_<)
566 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 07:01:55 ID:vRGmwy9D
梅なんてもったいないGJな作品だ!
新婚ネタ
新婚寝た
新婚寝た?!
いきなり初夜っすか?!
近くに一組とても気になる天然夫婦漫才新婚夫婦がいる。
当然嫁がボケ。
まだ新婚旅行まもない。
グホっ!
この想像を文字にできたらなぁとマジ思う。
埋めネタ
3レスお借りします。
「やっぱり今日は疲れたな」
ここは誰でも一度は名前を聞いたことがあるであろう都内某ホテルのスイートルーム。
そのスイートルームの中にある、どう見てもキングサイズのダブルベッドの上に寝転がった先輩は、
大きな伸びをしながらそう言った。
「はい。聞いてはいたけど、疲れました」
「おまえの方が疲れたろ」
「んー……。疲れたのも疲れたけど、お腹が空いて空いて」
お義姉さんに、花嫁さんは披露宴で食べてる暇なんかないよ、って聞いてたから、
朝はしっかり食べてきたし、式の間もお色直しで控室に戻った時にサンドイッチを食べはしたけど、
二次会でほとんど食べられなかったおかげで、ホテルに帰りついた時は空腹でフラフラしてた。
「確かになあ。おまえ、さっき軽食来たとたんにがっつがつ食べてたもんな」
先輩は自分の腕に頭を乗せて、こっちを見ると楽しそうに笑った。
「がっつがつ……って、しょうがないじゃないですか。
昼にサンドイッチつまんでからさっきまで、ほとんど何にも食べてなかったんですよ?
食べようとすると、誰かが写真撮りに来るから……」
「ま、花嫁さんはみんなのアイドルだからな。
俺なんて、二次会の後半、放置されてた」
先輩は両手で空中に箱の形を描くと、それをぽいっと脇に放った。
「でも、絶対二次会の写真て、顔が疲れてると思うんです。
嫌だなあ。そんな写真もらいたくなーい!」
髪を梳かし終えて、私は先輩の隣にダイブした。
スイートだけあって、すごくふかふかなベッド。
こんな時でもなかったら、スイートなんて絶対泊まれないよね。
私がしばらくベッドの心地よさを堪能してると、先輩が背中に毛布をかけてくれた。
「今日はもう寝ようか。明日からオーストラリアだしな」
先輩は優しく言ってくれたけど、私はがばっと上半身を起して先輩を見た。
「寝ちゃうんですか?」
「だって、疲れてるだろ?」
「それはそうですけど」
「旅行先でもできるって」
そういうことじゃない。
だって、今日は一生に一度の初夜。
そりゃ、えっち自体は初めてじゃないけど、結婚式の夜なのに、同じベッドっていうだけで、
離れて寝るなんて寂しすぎ。
「あのっ、でも、しょ……初夜ですよ?」
「別に結婚式の当日にしなきゃいけないってもんでもないだろ?」
「それはそうなのかもだけど……」
「したいの?」
うう……なんで真顔でこういうことを聞くんだろう。
なんだか私が一人で勝手にえっちな子みたいじゃない。
「先輩は、……したくないんですか?」
「そうだなあ。
奥さんとはしたいと思うけど、後輩とはしたくないなあ」
なぞなぞみたいな言葉に私は先輩の顔を覗き込んだ。
「あの、結婚届けも出したし、式もしたし……でも、私、まだ先輩の奥さんじゃないんですか?」
「……なんだか、まだ後輩みたいな感じだよな。
先輩、って言われてると」
「あ……」
先輩がにっこり笑った。
「あの、えっと……」
高校で先輩と会ってからついさっきまで苗字プラス先輩で呼んでたから、先輩を名前で呼ぶのなんて初めてだ。
先輩は楽しそうな笑顔で、私の方を見てる。
「な、直久……せんっ」
「んー?」
「なおっ、ひさ、さん……」
「はい、なんでしょう」
あーもう、意地悪!
「あのっ、直久さんは、えっと、今日はもう寝ちゃい、ますか……?」
先輩はやっと身体を起こすと私の真隣に来て、
「こんな近くに奥さんが居たら、寝てられませんね」
と言ってキスをくれた。
(了)
なんという甘々新婚さん…!!
GJ!
甘すぎるぜ・・・GJ!
ありがとう職人さんたち。
できれば新スレでこの続きを。
もっと甘い話をっ
575 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 20:35:48 ID:udhUgwtY
まだ埋まってないじゃないか
新スレで予告されてた方が投下されないようなんで、
ちょっと前に書いた小ネタで埋めさせてもらいます。
お買い物して帰ろうとしたら、いきなりレポーターにマイク向けられて、
インタビューされちゃったの。明日のお昼の情報番組で放送されるんだって」
「…どんな内容だったんだ?」
中嶋貴巳氏の胸中に、そこはかとなく嫌な予感が兆す。
雪子の口から出たのは、案の定、背筋が寒くなるほど恐ろしい内容であった。
「んとね、『貴方の旦那さんに点数を付けるなら何点?その理由は?』っていう質問で、
あとは、『旦那さんに日ごろ言いたいけど言えないこと』っていうのも。
テレビ出たことなんて無いから緊張しちゃった。テレビカメラって案外小さいね。
地元ローカルの局だからかなぁ?レポーターの人はね、よく夕方の番組に出てる…」
「待て」
「へ?」
報告を途中で遮られ、雪子がきょとんとした表情を浮かべて、
眉間に深い皺を刻んだ夫の、凄みのある無表情を見つめた。
「…役所内にあるテレビは、ずっと○○テレビが映っているんだが?」
そう、彼の勤める市役所の建物内には、窓口の待合室をはじめ、
部署ごとにテレビが設置され、チャンネルは常に地元ケーブル局に固定されている。
つまり、明日、彼の出勤中に、雪子のインタビューが放送されるということである。
「あ、そっか…大丈夫だよ、別に変なこと喋ってないから」
無邪気に笑う妻に、貴巳は思わず溜息をついた。
雪子には悪気がないのだから、却ってタチが悪いのである。
怒ったとしても、今更番組の内容が変わるわけではないから無意味であるし、
無意味なことはしないというのが中嶋貴巳氏のモットーである。
「…一つだけ確認したいんだが」
「ん、何?」
「質問には、どう答えたんだ?」
「……………んー、えっと、ね…」
目の前の、未だ少女のような風貌の妻が、頬を微かに染めて口ごもる。
そして、犯罪レベルに可愛らしい笑顔を浮かべて、甘い声で言った。
「…………ないしょ♪」
思わずその笑顔に見とれながらも、鉄仮面たるもの、それを表情に出したりはしない。
貴巳は、何やら少し考えてから、雪子に告げた。
「…明日は少し早く出勤する」
「え?どのくらい?」
「そうだな…いつもより1時間早めで充分だろう」
翌日、市役所の職員たちが、待合室にあるテレビの前で首をひねっていた。
「…ダメですねぇ。映りませんよ、ケーブルテレビだけ」
「あれ、待合室のも映らないのか。うちの課のテレビもダメなんだ」
「故障ですかね。それとも受信機の設定を誰かいじったとか…?」
「どっちにしてもよくわからんなぁ…あっ、おーい、中嶋君」
呼び止められて、通りすがりの鉄仮面が足を止める。
「ケーブル放送が映らないんだが、君んとこのはどうだ?」
「企画課のテレビも駄目ですね。今日は市議会の中継もないし、一日くらいはNHKでも映しておけばいいと思いますが」
「それもそうだな。しかしずっと映らないのは困るよなぁ。
中嶋君、機械強いだろ?設定がおかしくなってないか、調べてみてくれないか」
「わかりました。…夕方には少し手が空きますので、そのころに」
こうして市役所内の全てのテレビは、「機械に強い」中嶋企画課長の手によって、
夕方4時には何事も無かったかのように復旧したのであった。
そして貴巳が帰宅し、時刻は既に深夜1時。
「え?故障で見られなかったの?そっか。私もね、見ようと思ってたんだけど、
お母さんと長電話してるうちに、ついつい忘れちゃったんだ。テレビに出ることなんて滅多にないのにねー」
大して残念そうでもなしに、あっけらかんとそう言っていた雪子も、既に寝室のベッドの中である。
隣に寝そべる雪子が熟睡しているのを確認し、貴巳はそっと寝室を抜け出し、真っ暗なリビングルームに向かった。
テレビの音量を、ぎりぎり聞き取れるくらいまで絞り、HDDレコーダの電源を入れる。
録画予約をしてあった番組を、しばらく早送りをしながら見ていると、それと思しきコーナーが始まった。
レポーターの若い男性が、オーバーアクションで喋りだす。
見慣れた白い顔が、画面に大写しになる。戸惑ったような表情が可愛らしい。
「はい…えっと、今日ですか?買い物です…え?えええ!採点ですか?」
聞きなれたはずの声だが、テレビのスピーカー越しに聞くと、何だか妙な感じだ。
渡されたフリップに、何やら一生懸命にマジックで書いている妻の表情は、
撮影用ライトのせいなのか、不思議なほどいつもと違って見える。
有体にいえば、いつもよりも一層、綺麗に見えるのである。
「さっ!若奥様の採点結果です!…おおっ、何と99点!これは高得点ですねぇ〜!あと1点で満点、ということですが、奥様、どうして99点なんですか?」
マイクを向けられた雪子は、困ったような、恥じらうような、蕩けるような微笑を浮かべた。
「えーと…すごくいい旦那様なんですけど、一つだけ、たまに私が嫌がることを、わざとするような時があるので、1点減点しました」
「奥様の嫌がることですか?それはどんなこと?」
「そうですね…無理やりホラー映画を見せて、怖がらせたりとか…あと、嫌がるのをわかってて、私のことをからかったりとか、です」
「ほうほう…いや〜、なんだか小学生男子のような旦那様ですねぇ!奥様のこと好きで好きでたまらないから、わざと苛めちゃう!みたいな感じですかね?いや、もう、ごちそうさまです!」
レポーターに大仰に頭を下げられて、慌てながら赤面している雪子の表情を眺めて、貴巳は思わず頭を抱えた。
(…これが全県に放送されたのか…)
今後、雪子には、こういうインタビューには絶対に応じないよう、きつく言っておかねばなるまい。
リモコンの『録画内容を削除』ボタンに指をかけながら、
そう決意を新たにした貴巳であった。
画面の中では、再び妻の顔が大写しになっている。
「さて、それでは旦那様に、日ごろ言えない一言をどうぞ!」
そう促された雪子は、ちょっと照れたような表情を浮かべながら、
真っ直ぐこちらを見つめて、口を開いた。
「…いつも、お仕事お疲れ様です。身体にだけは気をつけて、ずっと元気でいて下さい。
えっと…それから…あの……………
……………毎日、幸せです。ありがとう」
何やら雪子を茶化すレポーターの声を、上の空で聞きながら、
貴巳の指はいつの間にか、リモコンの『録画内容を保存』ボタンを押していた。
テレビの電源を落とし、真っ暗なリビングから二階の寝室へ向かう途中、
中嶋貴巳氏の口元が、への字に結ばれていたのは、
鉄壁の無表情を誇る鉄仮面にあるまじく、口の端が吊り上りそうになるのを
必死で抑えた結果であった。