バイブを入れたまま・・・その2

このエントリーをはてなブックマークに追加
79器具責めマニア ◆goRs2ddbmQ
【幼婚】― 婚姻届(1) ―

町役場の自動ドアがスッと開いた。

夏の一日、まだ涼しい午前9時半。
新幹線の開通を受けて無理矢理ベッドタウン化しようとした、小さな町。
中途半端に流入してきた首都圏文化によって、人々の交流は一層希薄化していた。
故に、入ってきた女の子の様子を、誰もが怪訝に思いながらも、誰も関わろうとしなかった。

S学校中学年くらいの女の子。
真っ先に人々の眼についたのは、彼女が全身を覆う厚手のコートを纏っていたことだ。
まだ午前中とはいえ、夏に着るようなものではない。
それだけでも十分に違和感ある装い。
いや、異常と言ってもよいだろう。
異常は他にもある。
コートの襟を立てているため目立たないが、よく見れば首にはチョーカーを巻いている。
随分と頑丈そうな、真っ赤なチョーカー。
いや、果たして本当にチョーカーなのだろうか。
なにやらリングのアクセサリーが付いている。
それはまるで・・・

大人たちがそんな邪推を始めた時、少女のすぐ後ろに、30半ば程の男が一人入ってきた。
男が少女の肩に手を置くと、少女はビクンと身を震わせて、俯いた。
男はそのまま、まるで威嚇するかのような目線で役場の中をグルリと見回す。
目の合った大人たちは、本能的に目線を外す。
邪な目で見ようとした直後に自己防衛という名の蓑を被る彼等に、男はフンッと鼻を鳴らした。
「さぁ、行こうか、由香。」
「は、はい、りょーいちさん・・・」


――衆人環視の下でありながら、二人と世間とが切り離されたような奇妙な空間が出来上がった。