【ドラマ】花ざかりの君たちへでエロパロ

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1名無しさん@ピンキー
って需要ある?
2名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 15:04:22 ID:AUuyXZPV
もちw
堀北カワユス(゚∀゚)
3名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 17:07:02 ID:zF9qJ6Ym
小栗旬×生田斗真
4名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 17:10:23 ID:4osHK8Yd
待ってました
5名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 19:53:38 ID:84CU5h7W
佐野→←瑞希←←←←中津
6名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 23:38:30 ID:rrVkXoMC
>>3 腐女子うざ
7名無しさん@ピンキー:2007/07/09(月) 16:09:50 ID:NlMJ6tnw
ここってドラマの設定オンリーなの?
自分は原作の方が好きなんだが
8名無しさん@ピンキー:2007/07/09(月) 19:02:48 ID:w/tTtcgN
ドラマオンリーのつもりで立てたよ
原作しらないからなぁ
9名無しさん@ピンキー:2007/07/09(月) 19:34:09 ID:3EBe4O1n
なーんだ
10名無しさん@ピンキー:2007/07/09(月) 23:55:54 ID:HQ5F8+gI
別に原作アリでもいいと思うのは自分だけ?
ドラマも原作も大まかな違いは無いけどさ。

というわけで、佐野×瑞稀←中津萌え。
11名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 00:05:49 ID:cjB6SKrs
うん、自分もそれでもいいとオモ
どちらかに脳内変換すればおk。
でも原作の中津って関西弁なんだよね?
12名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 16:46:29 ID:LF6wI4oI
そだお。自分もその辺の違いが特に気になった
あと瑞稀以外の女キャラも好きな自分はひばりとかが原作と違いすぎるのも困る
と言っても瑞稀のネタしか需要なさげだけど
13名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 22:33:27 ID:x90eeQRR
放送age
14名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 23:37:33 ID:/slA2Ti3
腐スレ晒しage
15名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 11:56:13 ID:+xY0SlsH
瑞亀に早く突っ込んで欲しい
そして泉のようにドクドクを流し込んで欲しい
16名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 14:00:29 ID:UXyYH2W9
地味だが天王寺×カンナが好き。
ドラマの天王寺はかなりむさ苦しいが、カンナにとっては王子様なんだろうなww
17名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 19:08:27 ID:a9OH+VqB
昨日の保健医が瑞稀問い詰めるシーンはエロかったのにゲイだなんてヒドス
中津や難波に期待する
18名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 12:20:58 ID:itBruITA
男装の少女萌え
19名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 14:52:38 ID:2z67tyVr
みずき×中津が見たい
20名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 17:34:06 ID:TOE5QZZj
中津がかなり酔ってみずきを犯っちゃって記憶が無くて
犯ってた時は女だったような・・・気がするのに
みずきを男と思ったままだから混乱して真剣にホモだと悩む
21名無しさん@ピンキー:2007/07/12(木) 21:33:09 ID:KTitUpoM
王道だが佐野×瑞稀で読みたい。
22名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 14:21:57 ID:gybjGTiO
早く見たいのだが・・・・

誰か書いてくれ
23名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 14:23:28 ID:gybjGTiO
頼む!
24名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 01:49:20 ID:BCzT5ojH
まあおちつけ
25名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 01:57:57 ID:R7mls4NE
中津×瑞希みたい
26名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 14:50:35 ID:x1NrcHaa
ならば俺はあえての、兄貴×瑞希で!!ww
27名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 19:35:43 ID:EzAGPW+Y
>>25
に同感。俺も中津×瑞希が見たい
誰か書いてくれないかな
28名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 13:42:29 ID:2sjyhTMp
早く読みたいです!!
作家さん待ってます!
29名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 13:53:38 ID:D2r1bU7K
とうとう中津×瑞稀が夢にまで出てきたorz
それにしても先週の肩に手置いただけで興奮したりドレス姿で鼻血出してる中津を見ると
いざ瑞稀とセクロスしようとしたら失神するんじゃないかと心配になる
30名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 14:09:07 ID:2sjyhTMp
失神www
……ありえるねww
31名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 15:49:52 ID:Uyof7Pdp
中津ww情けないwwww
32名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 18:33:02 ID:2sjyhTMp
中津×瑞稀まってます!
33名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 22:09:08 ID:kIgHvCDr
瑞希が寝てる時に中津が部屋に入ってきて、声出すなとかいって別のところに連れて行ってやってしまうとか・・・

とにかく、ほんと見たい。
やっぱ、中津×瑞希だよな
34名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 07:42:32 ID:uMP62+Vs
すまん
萱島×瑞希が好きなのは自分だけだろうか
35名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 15:06:34 ID:ojTpbUdX
俺は瑞希が入ってれば相手は誰でもいいのだが・・
でもやっぱり、中津×瑞希だな

誰か書いてくれ
頼むよ
36名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:24:21 ID:P4FN7jZu
ドラマと原作だとキャラ違うらしいがドラマを基準で書けばいいのかな?
とりあえず来週を見てから中津×瑞稀を書いてみようと思う
他に誰か書けそうな人いたら構わず先に投下してくれ
37名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 18:42:24 ID:gmjVhCGg
これだけたくさんの男が登場すると、いろんな組み合わせができそうだな。
そんな自分は普通に佐野×瑞稀を期待している。
38名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 19:33:47 ID:ojTpbUdX
>>36
ありがとう。ドラマ基準がいいと思う
というか来週待ちきれないかも。できれば今週書いてほしいと思うのは自分だけ?
無理いって申し訳ない。
楽しみに待ってるよ
39名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:55:28 ID:OzvmD5iW
先に書けたので投下。36の作品も待ってる


「中津、食堂でパンツかぶって踊ってたって本当?」
唐突なツッコミに、俺は口の中のお好み焼きを吹いた。
瑞稀はそんな俺を見て、コテを持ったまま
あー・・・とため息を零し、顔をしかめる。
「まったくもう、またかよ何やってんだよ」
瑞稀はコテを置き、自分のポケットからハンカチを取り出し
俺の口を拭き始める。
反射的に体が固くなる。
「いや、あのな、別に俺はかぶって踊ることが第一の目的じゃなくな」
「じゃあ第一の目的って?」
「いやそのあれだな。ある種の喜びの表現をした訳で」
「へー、中津って喜びの表現にパンツかぶりを選択するんだ」
「いやややややや違ういつもそんな訳ではなくなくなくな?」
「なくなくな?」
あとは自分でやれとばかりにハンカチを俺の手に押し付け、
澄ました顔でお好み焼きを食べ始める瑞稀は、しれっと言った。
「何がそんなに嬉しかったんだよ?」
「いやその・・・・」
勢い余って立ち上がっている俺は、
座ってお好み焼きをパクついている瑞稀を見下ろす。
長い睫毛が、良く見える。
その長さに一瞬固まってしまう。
不意に見上げた大きな瞳に捕えられ、息を飲む。
40名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:56:33 ID:OzvmD5iW
「食わないの?」
瑞稀は言った。
俺は、あ、ああと答え座る。


実際、あの神がかり独創ダンスを披露した理由は、
俺は女にちゃんと反応する「普通」の体だと確認出来て
安心と喜びの感情を爆発させたというものだ。
「パンツかぶりが目的じゃないんだ・・・」
「もういいってパンツは」
瑞稀は軽く笑いながら言う。
コテを握り締め、鉄板をコツコツ叩きながら肩を落としていると、
瑞稀がふと言った。
「ああいうのって・・・・見ると興奮したりすんの?」
「は?」
「パンツ」
ふと見ると、瑞稀も鉄板をコツコツ叩いている。
というより、鉄板にコテで「の」の字を書いている。
「いやまあ・・・やっぱするだろう」
「ふーん」
キキキーと耳障りな音がして、俺はぎゃっと逃げた。
「おい!お前何やってんだよその不快な音やめろ!」
瑞稀は真顔で鉄板を引っかいている。
コテでだ。
41名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:57:39 ID:OzvmD5iW
「やっぱり中津、変だよな」
「変じゃねーよ。男ならまあ普通だろ。お前だってスケスケが好きなんだろ?!」
「すっ・・・好きじゃねーよ!!」
「フリフリよりスケスケなんだろ!」
「スケスケじゃねえ!!」
ドン、と机と叩いて瑞稀が立ち上がった一瞬後には、
俺達は店中の注目を浴びていた。
立ち上がった瑞稀は、何だかすごく憤慨していた。
そのせいか目尻がうっすら赤く染まっていた。
「スケスケより、フリルだ」
コテで俺をビシッと指し、言い放つ。
瑞稀はうんうん、と自分の発言に頷いている。
ご満悦だ。
俺は反応に困ったが、何とか答えた。
「つか、正直どっちでも・・・・」
「おし、帰る!」
瑞稀は威勢良く立ち上がった。
「お、おい待てって!」
こいつは時々唐突だ。
42名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:58:12 ID:OzvmD5iW
「あれ?佐野いねーの?」
「出掛けてるみたいだな」
部屋を見回して言う瑞稀の声に、少しだけ浮かない色が混じる。
俺は小さくため息をつく。
「何か飲む?コーラ?」
「あー・・・おかまいなく」
「コーラでいいよな」
瑞稀は階段上の自分のロフトから、コーラを投げて寄越す。
俺は慌ててキャッチした。
「おわっ!お前炭酸投げんなよ」
「あれー・・・オレンジジュースない・・・」
ロフトの上で何やらごそごそやっている。いつもあそこで寝ているんだろう。
瑞稀はほとんどうつ伏せで探し物をしていて、足がロフトからぶら下がっている。
小さな足だ。
俺は階段を上った。
「あった?」
「ない」
瑞稀はがっかりしたのか、ぺたん、と体を投げ出した。
「これ半分にして飲めば?」
「んー・・・仕方ない」
瑞稀はうつ伏せの体勢から起き上がろうとして、
うまくいかないのに気づいて唇を尖らせた。
俺が上から覆っているから、うまく動けないのだ。
43名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 23:59:29 ID:OzvmD5iW
「中津ー・・・」
「あははー」
「もう、どけって重い」
俺の体の下で、瑞稀がもがく。
「やなこったー」
「中津ー!」
瑞稀がもがく。
けれど、その力が本当に弱い。
細い首筋が目に入る。
俺は息を詰めた。
体重をかけることを止め、ゆるゆると起き上がり、座る。
瑞稀は呆れ顔で前髪をかき上げた。
「もうー!お前の方が体でかいんだから重いんだよ!」
「だよな」
俺はうんと頷いた。
「アホか!」
「アホです」
「納得すんなよ!」
「いやお前が言ったんだって」
「一応否定しろって」
「いや、アホなんだよ・・・・」
俺はうなだれた。
本当にアホだ。こんな風になるなんて。
「・・・・中津?」
瑞稀はきょとん、と目を丸くする。
「何?どうした?」
44名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 00:00:00 ID:B1KXlK3m
俺を覗き込む。俺はうなだれた顔をおずおずと上げる。
そこには、まっすぐに見上げる大きな瞳。
少し心配そうに見上げている。瑞稀。
ダメだ。
もうダメだ。俺は一気に息を詰め、俺よりも一回り細い肩を掴んだ。
大きな瞳が見開かれる。
抱き締め、唇を合わせる。
腕の中の瑞稀は、目をきつく閉じ、もがいた。


小さな体だ。
ほのかなコロンの香り。
柔らかい唇が、少し震えている。
「・・・・・ごめん」
唇を離し、俺は視線から逃れるように、瑞稀の肩に額をつけた。
45名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 00:00:33 ID:B1KXlK3m
俺にそうされたまま、瑞稀は俯いたようだった。
かさり、と布擦れの音がする。
俺は心臓が張り裂けそうだった。とうとうやってしまった。
いくらなんでもこれはない。
何の言い訳も出来ない。
だけど真実だった。
「ごめん、だけど・・・・・」
何とか瑞稀の顔を何とか見ようと努力する。
「だけど・・?」
瑞稀の声が掠れている。
「いや、あの・・・・」
「中津はその・・・男が好きなの?」
「いやその」
俺はぶんぶんと首を振った。
「違ういやそれは断じて違う!」
「言ってることとやってることが合ってない」
瑞稀は何か考え事をするような表情をしていた。
俺はその反応が意外で、当惑した。何でここで考えるんだ?
「別に男が好きなわけじゃないなんだ、だけどお前だけは別なんだ」
瑞稀は、ゆるゆると顔を上げた。
そして、目をまたたかせる。
俺は零すように言った。
「俺にも、よくわかんねーんだよ・・・おかしいんだ」
46名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 00:01:04 ID:B1KXlK3m
「・・・・ん・・・」
瑞稀は、何故か頷いた。
少し頬が赤く染まっている。
「・・・瑞稀?」
「中津は・・・・おかしくなんかないよ」
「え?」
瑞稀の手がすっと上がる。そして、俺の頬に触れた。
俺は息を飲んだ。
瑞稀は、はにかむように微笑んでいた。
俺は、くらくらした。
「・・・・瑞稀・・・・!」
「・・・パンツかぶり以外は」
いや。
待てよ、おい。

 
47名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 00:45:19 ID:EY73Bx+l
>>39
GJ(*´Д`)中津と瑞稀いいわ〜
こんなシーンがドラマにあったら良いな。

「スケスケより、フリルだ」に吹いたw
48名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 07:38:44 ID:OARUNMkK
>>39
GJ…!
ありがとう、良いものを見せてもらいました
オモシロ可笑しくも中津やや切なめで見入ってしまったよ
また何か書けたらぜひ投下して欲しいな
49名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 13:08:11 ID:aC6KWS5y
ネ申すぎる…
GJGJ!!また投下してください!
50名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 19:28:00 ID:ZtcI5scN
GJ!!
是非ともまた投下してほしい
51名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 20:31:17 ID:HipGR/m5
>>16
自分も天王寺×カンナ好きだ。
体格差萌える(*´Д`)
52名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:16:52 ID:sxB/2JxC
海でバイトの時、名前忘れたけどあの男の子に襲われる話きぼん。
佐野は助けにこれなかった方向で
53名無しさん@ピンキー:2007/07/19(木) 22:51:11 ID:ZtcI5scN
>>52あの男の子?

自分は瑞希が中津に襲われる話がみたい。
54名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:13:39 ID:keSjuw32
今日も学校帰りに瑞稀とお好み焼きを食べて、一緒に帰宅した。
好きな洋楽の話で盛り上がり、その流れで今この部屋にいる。
205号室。佐野はいない。
俺はちゃっかり瑞稀のベッドに腰掛けている。

「み、み、み、み、瑞稀」

自分のと俺の制服のジャケットをハンガーに掛けながら、
瑞稀が無言で振り向き、小首を傾げて俺を見る。

「ん?」

(げ。やっぱり、かわいい…)

「…あ、えと、その、なんだ…今日は残念だったな!特大お好み焼き、完食できなくて」
やけに緊張して、自然に会話が出来ているか不安になる。

「もう少しだったのにさ!くーやーしー!」
目をぎゅっと瞑って、手をぎゅっと握りしめて悔しがる。

(はあ。やっぱりこいつかわいい…)

どうしてドキドキしてんだよ。なんだよ。
やっぱり俺は男が好き?
いやいやいやいやいや。
俺は決して男が好きなわけではない。
違う。断じて、違う!
たまたま好きになったのが、瑞稀だったというだけだ。
え…
好き?
やっぱり俺は瑞稀が好き?
まさかぁ…
まさかぁ…!
55名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:14:34 ID:keSjuw32
「おい、中津?」

悶々と考えていると、いつの間にか瑞稀は俺の横に座っていた。
そして、俺の顔を覗き込むように見ている。
顔が、近すぎる。
いっそ、このまま…。

「う、わっ…ぷッ…は!」

俺は盛大に取り乱すが、なんとか落ち着く事に成功。
駄目だ。駄目だ。
流石にそれはヤバイから。
頑張れ俺。
頑張れ俺。


「へーんなの。やっぱり変わってるな!」


ちょ……!
とびきりかわいい笑顔(中津フィルター)で俺を見るな!


……俺、

もう無理。


「中津、これだよこれ〜、さっき話したCD!聴い……」


意を決して目の前の小さい体をぎゅっと抱きしめる。
もう、どうにでもなれ。


「瑞稀、ごめん…。ごめん……」

「ちょっと…中津?」

意外にも俺の腕の中の瑞稀は大人しい。
恐る恐る腕の中を覗いてみると、見上げてくる瑞稀と目が合った。
癖なのか、少し小首を傾げながらなのがやっぱりかわいい。
不思議がりながらも無言で俺を見てくるので、しばらく沈黙が続く。
もちろん俺も黙って瑞稀に魅入ってしまう。
そして俺は、
今にも心臓が出そうになっている自分の口を塞ぐ為ではなく、
俺の気持ちを伝える為、瑞稀の唇にそっとキスをした。
56名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 00:15:41 ID:keSjuw32
「………!」

瑞稀の体は一瞬小さく反応したが、その後は微動だにしない。
驚いて動けないのかもしれない。
そっと唇を離す。瑞稀の唇はとてもあたたかかった。


「………中津の唇、やわらかい」

俯いた瑞稀がボソっと言うので、俺は我に返った。

「ごめん!」

恥ずかしさで顔を見ることが出来ず、再び瑞稀を抱きしめた。
瑞稀の耳が真っ赤になっていたのが見えて、俺の胸の鼓動も一気に早くなる。

「俺、瑞稀の事好きみたい」

反応を見ようと腕の中を覗くが、俯いていて顔は見えなかった。

「ごめん…男に告られても迷惑かもしれないけどさ」

「………ありがとう」
小さく声が聞こえて、
もぞもぞと瑞稀の腕が動き、そっと俺の背中に回った。

「中津の気持ち、迷惑なんかじゃない…、でも…とにかく今はびっくりして、混乱してて…えーと」

「だ、大丈夫、返事に困るのは仕方ないよな。俺も気持ちを知っておいて欲しかっただけだから…」

腕の中の瑞稀が少し困ったような顔で、でも笑顔で俺を見上げた。

「ありがとう…気持ちは嬉しかったよ、中津」
「お、お、おう、そうか…」

返ってきたのはなんとも曖昧な返事だったけど、
今の俺はそれどころではなく、やっぱり自分のした事に動揺して、
優しい笑顔の瑞稀と目が合うと、一気に全身の体温が顔に集まった。

「じゃ、じゃ、じゃあ、じゃあ、このCD借りてくわ!サンキュ!」

俺の背中に回っていた瑞稀の腕を振り解き、
一目散に階段を下り、扉を開けて、部屋の外へ出た。



どーする、俺。
どーなる、俺。



完。
尻切れでごめん。
チュー止まりでごめん。
57名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 01:43:23 ID:lIsKxO/1
GJ!中津瑞稀は初々しいな

ベタだが正体知った奴(難波辺り)が「ばらされたくなかったら…」と体要求してくるのが読みたい
むしろ全員既に知ってるのに知らないふりしてエロいことするのもアリ
58名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 08:02:14 ID:Xijm35h6
>>54
GJです!
静かにエロへの過程を見守ってやりたくなるようなふたりだな
可愛かった!

自分、原作知らなくてドラマで初めて見て、まだ贔屓の組み合わせがない状態なんだがこのスレ来て中津瑞稀にヤラレそうだw
でもこれからもいろんな組み合わせに期待してますんで、職人さん頑張ってください!ノシ
59名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 16:03:52 ID:qF4dlleE
GJGJサイコーっす中津瑞嬉
60名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 19:27:33 ID:tfsR9VZ1
待ってましたー!!!
61名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 21:47:30 ID:2D4dNaix
お二方GJ!!個人的にだけどエロ無しも大歓迎です!中津瑞稀は可愛いな
他の職人さん達にも期待!
62名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 22:03:22 ID:S6phBW2g
GJ!!すごくいい!

>>57
その設定いいかも・・・・・
職人さん待ってます!
63名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 22:08:23 ID:S6phBW2g
エロありも見てみたい・・・
職人さん頼む
64名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 00:31:19 ID:54a16a8k
原作設定も読みたいのは少数派なのかな?

天然無防備な瑞希に強固な理性を崩される佐野が読みたい
6539:2007/07/21(土) 01:37:55 ID:WVhJbtLV
「ヌルいな」
液晶の画面を眺めながら、寮長は腕組みをした。
「実にヌルい。せっかくこうしてセッティングしたってのに何てこった!」
「セッティングって、これすか」
俺は椅子の背凭れに顎を乗せたまま、画面を指差し、平坦に答えた。
「まー確かにねー」
「せっかく集まったのにこれじゃねーよなー」
数々の感想が飛ぶ室内。
画面では2人の男女が絡み合っている。

秘密のAV鑑賞会と称し、皆を集めたはいいが、
内容がハーレクインロマンスもいいとこで、
前置きがやたらと長い上に濡れ場が実にヌルい。
「何だこれは!少女マンガか!」
寮長はこれ以上見てられるかとばかりに部屋を出て行ってしまった。
「まーそうだよな」
「俺らもそろそろ行く?」
「外れだったなー」
2寮の面々はぞろぞろと部屋を後にする。
6639:2007/07/21(土) 01:38:26 ID:WVhJbtLV
俺もため息をついて椅子から立ち上がると、最後方に立っていた瑞稀と目が合った。
目が合った瞬間、びくっと肩を竦める。
「・・・・行く?」
DVDの停止ボタンを押し、俺が言うと瑞稀はぶんぶんと頷いた。
「うん、行こう、よし」
瑞稀は歩き出す。
「あ、おい」
「えっ何っ?」
「上着忘れてっぞ」
机の上に置き忘れた瑞稀のパーカーを俺が掴むと、瑞稀は小走りに駆け寄って来た。
「あ、ありがと」
「ほい、行くぞ」
バン、と背中を叩くとかすかにのけぞって、正面をやたらと見据えたまま歩き始める。

「・・・・・・・・・」
横を歩く瑞稀の耳が、真っ赤に染まっていることに、さっきから気づいてはいた。
ちら、と流し見ると、たまたまあちらも俺をチラ見した瞬間だったらしく
バッチリと目が合ってしまった。
丸く開いた瞳。
その上、不自然なほど首の位置を真正面に修正するものだから、
俺は取り繕うように咳払いをした。
「あー・・・何か、ジュース買いでも行くか」
「う、うん」
瑞稀はこくこくと頷いた。
6739:2007/07/21(土) 01:38:57 ID:WVhJbtLV
ベンチに座り、なんとなく黙ったままコーラを飲んでいると、
ふぅ、と小さいため息が聞こえる。
風がゆるく吹く夜。
瑞稀の細い前髪が少し揺れている。
おもむろに右の手の平を頬に当てて、またため息をつく瑞稀は、
正直なところ、かなりぼーっとしていた。
「刺激強すぎた?」
俺の問いかけに機械的に頷いてしまっているのにも、あまり気づいていないようだ。
内心、俺はちょっと笑いをこらえていたりもした。
こいつはきっと初めて見たんだろう、ああいうビデオを。
「ロマンチックだよなあ・・・」
唐突な声に、俺はジュースを吹いた。
「え?えぇ?!」
「色々な苦難を乗り越えた上で結ばれる二人かあ・・・いいなあ」
あろうことか、瑞稀はうっとりしていた。
両手を組んで、いわゆる乙女ポーズだ。
いつもなら瑞稀がハンカチを差し出してくれるところだが、今回は本人それどころでは
なさそうなので俺は仕方なく自分の袖で飛んだコーラを拭いた。
「え・・・あ、いやそうかな」
「そうだよ・・・やっぱり愛の力だよな」
な?と俺を見上げてにっこり笑う瑞稀の周囲に、
花が咲いた。
6839:2007/07/21(土) 01:39:30 ID:WVhJbtLV
「中津?」
「いや・・・・なんでもないんだ大丈夫」
俺は鼻血が出そうになるのをとりあえず手で押さえた。
「でも何か皆はあんまりノッってなかったなー」
瑞稀は手でTシャツの裾をパタパタ揺らしながら呟く。
「いやー、まあ、見慣れてる人間からするとかなりソフトな出来だったもんで」
「ふーん」
ちょっと不服そうだ。唇を尖らせている。
ヤバい。
俺は内心ソフトどころではなかった。
するすると腕を瑞稀の肩に回す。
ツツツ・・・と伸びる腕に、瑞稀はすぐに気づいて、少し俯く。
目を大きく開いたまま俺の動向を全身で伺っている。
だけど、いいのだろうか。
この間の驚愕の瞳にまた責められたらこれ以上は二度と出来ないと思った。
けれど、ゆっくり顔を近づけると、
そこには見たこともない表情をした瑞稀がいた。
6939:2007/07/21(土) 01:40:10 ID:WVhJbtLV
軽く唇を開いて。
少し眩しそうに俺を見上げる瑞稀。
心臓がどくんと波打った。
「い・・・いいのか?」
俺がみっともなく訊ねると、瑞稀はこくんと頷いた。

「ん・・・・」
少し合わせるだけだと思っていたのだろう、長いキスに戸惑って
身じろぐ。
小さなため息が漏れる。その声と柔らかい唇がたまらない。
一旦離し、顎を捉えて俺は言い聞かせる。
「・・・中津?」
「瑞稀、歯食いしばらないで」
「・・歯?」
「えー・・と、あーん、てしてみろ」
俺は満面の笑みになってしまう。
うん、と頷き、頬をうっすら染めたまま言いなりに唇を開くから、
そこに舌を滑りこませた。
「・・・・・!」
7039:2007/07/21(土) 01:41:07 ID:WVhJbtLV
途端に体が固くなる。
小さな手が俺を押し戻そうとするけれど、両手で顎を包みこむ。
「や・・」
明らかな抗議の声を唇で押し戻す。
貪るようなキスに瑞稀の背中がぴくん、と跳ねた。
ゆっくりとその背を撫で続けていると、
頑なな背が少しずつほぐれていくのが感じ取れる。
瑞稀の、潤んだ瞳。
「ん・・・ぁ・・っ」
時折漏れるのは。
もう、どうしていいのか分からない。
だってそれは、どう聞いても欲情の喘ぎだ。

「あ・・・・・」
唇を離した後も瑞稀は俺の腕の中で体を震わせていた。
時折抱きしめ直すと、肩がビクッと反応する。
「・・・熱い?」
「・・・・熱い」
はぁっ、と息をつく。
「熱いよ、中津・・・・」
「瑞稀・・・・」
俺は、ごくりと息を飲んだ。
だけど。
これ以上、どうしたらいい?
7139:2007/07/21(土) 01:41:38 ID:WVhJbtLV
どうするんだ。だって、こいつは女の子じゃないんだ。
俺は唇を噛み、考えあぐね、
そして太腿に手を滑らせた。
すると、今までにないくらいの強い拒絶のサインが迸った。
「・・・・ダメ!」
高い声がこだまする。
それは、目を閉じ、両手を突っ張った瑞稀だった。

「・・・瑞稀?」
「あ・・・・」
自分の声に驚き、瑞稀は。
そして瞳を潤ませた。
「あ・・・」
俺は愕然として反射的に頭を下げた。
「・・・ごめん!ごめん瑞稀・・・!もうこんなことしないから・・・」
謝る俺を震えながら見つめ、瑞稀はふるふると首を振った。
「・・・ちが・・」
掠れた声が漏れる。
俺が憔悴して瑞稀をおずおずと見た。
瑞稀は目を閉じて言った。
閉じた瞬間に涙がこぼれた。
「違う・・・・違うんだ・・・ちゃんと言うから、中津には、ちゃんと言うから」
「瑞稀?」
「言わなきゃいけないことがあるんだ」
7239:2007/07/21(土) 01:42:09 ID:WVhJbtLV
涙で濡れた長い睫毛。
瑞稀は、震える手を俺の腕に伸ばした。
その手が、俺の手を導いていく。
「あ・・・え・・・瑞稀?」
手は瑞稀のTシャツの中に。俺は驚いて、手を引こうとしたが
強い力で押しとどめられた。
何かが外れる音がする。何か固いものが瑞稀の胸を覆っている。
それが外れ、手が直に瑞稀の胸に触れる。
「あ・・・・」
瑞稀は、ゆっくりと俺を見上げる。
俺は手の中の存在を認めた瞬間、体に電流が走った。
片手で収まるほどの。
けれど、それは、確かに胸の膨らみだった。

「ごめん・・・」
瑞稀は、両手で顔を覆った。
「中津、騙しててごめん」
俺は気が遠くなりそうだった。
これは、何だ?
この手の中にあるもの、そして、この、どう見ても男にしては華奢な体。
瑞稀はしゃくりあげ、泣き出した。
俺は反射的に瑞稀を力の限り抱きしめた。
それしか、出来る行動を思いつけなかった。
7339:2007/07/21(土) 01:44:23 ID:WVhJbtLV
本日ここまでです
また今度エロがんばります
74名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 06:13:30 ID:4N4hghsX
>>65
39氏、GJ…!
エロなくとも、ふたりの過程そのものにクギヅケです
投下本当にありがとう

今後、やさしい中津の箍が外れまくることを祈りつつw
75名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 09:48:20 ID:athSRfZi
GJ!!!!
なぜか目から汗が出てきたお(・ω・`)
76名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 11:00:00 ID:yA6atlHs
GJ!!!!
涙なんかじゃないお、汗だお(´;ω;`)
77名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 20:06:47 ID:fEDYsXBm
GJ!!! 
続きがみたい・・・また投下待ってます!
78名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 19:40:34 ID:v2UHp4TQ
GJ!
初々しい2人にドギマギしたよ。超ワッフル・・。
79名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 23:13:12 ID:gxUBF+DR
GJ!もっと読みたいです。
中津×瑞稀も好きですが…佐野×瑞稀も読んでみたい。
>>64のシチュでどなたか書いてくださいませんか?
80名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 23:51:06 ID:eQVaryHp
GJ!!!!!!続き読みたいです
81名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 00:23:27 ID:tIzPODF0
GJ!!!!
続きおながいします
82名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 01:14:49 ID:HiVttNBB
やっぱりスレ立ってたのかw
>57
少女漫画スレのまとめサイトに瑞稀脅されてご奉仕SSあるよ
相手は匿名の生徒という設定で
83名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:55:27 ID:9f5obewN
>>82
まじですか??
8439:2007/07/23(月) 21:40:44 ID:08CzZU9L
投下します
続いてたりするのはこれで最後です
8539:2007/07/23(月) 21:41:43 ID:08CzZU9L
感触の残った手の平を眺める。
なんとか泣き止んだ瑞稀を部屋まで送り、俺は自室に寝転がっていた。
目の前の景色にソフトフォーカスがかかったように、ぼやけている。
そうか。
だからこそ肩を抱いた時や見上げられた時、
俺はあんな風になったんだ。
そうか・・・。

瑞稀は、ぽつりぽつりと理由を語り、
語るごとに段々と落ち着きを取り戻していった。
ひとつ話す度に俺の瞳を見上げる。
頷いてやると、頷き返してまた話始めた。
瑞稀は眩しそうに俺を見上げていた。
そうして、最後には頷くと同時に口元に笑みを浮かべた。

柔らかい体。そして胸。
でも、瑞稀の胸は手に力を込めると少し固かった。
きっと、まだ体が幼いのだ。
8639:2007/07/23(月) 21:42:39 ID:08CzZU9L
「中津」
壁に寄りかかり本を読んでいた萱島がす、と両手胸の辺りまで上げた。
「なんか・・・さっきまで爽やかなオーラが出てたんだけど」
萱島は手を下げる。
「段々濃ゆいピンクに変わっていってるよ」
「え?」
萱島にじっと見つめられて俺は取り繕った。
「いや?べっ別にピンクくねーぞ?」
「可愛いよね」
「へ?」
「芦屋」
萱島は流し目で笑った。
あんまり見ない表情だったのと、内容に俺は慌てまくる。
「な・・・なななな何言ってんだお前?あぁ?はーん?!
 まあ確かに顔は可愛いけど、な?!」
萱島は俺をまたしてもじっと見つめる。
独特の雰囲気を持った目をしている。
オーラとか関係なく、これに見られると何だか全部見透かされているような
気がして不思議だ。
・・・オーラ?
「・・・・萱島?」
「大丈夫だよ、皆に言ったりしないから」
ページをめくる。一応、俺と話しながらも読んでいるようだ。
「・・・・気づいてたのか?」
「うん」
俺はぺたん、と腰を降ろした。
「そうか・・・・」
8739:2007/07/23(月) 21:43:10 ID:08CzZU9L
「中津が好きになっちゃったらしいっていうのも知ってた」
俺はガバっと顔を上げる。
「はぁ?!えっじゃあ何で」
言ってくれなかったのか、と続けると萱島は、にっこり笑った。
「面白かったから」

まあそれは冗談なんだ。
脱力した俺に萱島は言う。何だか楽しそうだ。
芦屋が自分で伝えるのが一番いいと思ったから。
萱島は、いつもの不思議な瞳に戻り、また読書に戻った。

「うーん・・・・」
朝の通学路を歩きながら、俺は考える。
つまりはすっかり遊ばれていた訳だ。萱島にはいつも敵わない。
途中、いつもの女生徒の喧騒の中の一際大きな騒ぎの傍に佐野を見つけた。
あちらも俺に気づき、軽く目で挨拶する。
散々無愛想だったが、最近は挨拶くらいは出来るようになってきたようだ。
「あっ中津!おはよう」
するとそこに、瑞稀もいた。人波に隠れて見えなかったのだ。
「早く行くぞ」
「あ、うん」
佐野の呼びかけに続く瑞稀の姿に、何故かおもしろくないものを感じる。
「あっおい瑞稀!」
「ん?」
「放課後開いてっか?お好み焼き食いに行こうぜ」
「おう、分かった!」
8839:2007/07/23(月) 21:44:13 ID:08CzZU9L
すっかり「男」の振る舞いをした瑞稀が、元気良く答える。
最近では、女生徒のファンも出てきたようだ。瑞稀を呼ぶ嬌声も聞こえる。
途中、一度俺を振り返って、瑞稀は微笑んだ。
・・・・・あ。
また花が。
「しかし、佐野と行くのか・・・・まあ、同室は遅刻連帯責任だし」
俺はぶつぶつ言いながら、そしてはたと気づいた。
同室の佐野はどうなんだ?
一緒の部屋にいて、気づいていないのか?

「・・・という訳で」
「ん?どういう訳?」
瑞稀はコテで焼いたものを等分にするのに夢中になっている。
「実際、佐野は気づいてんの?えー・・、お前が、その」
「あー」
瑞稀は半分に切れたものを皿に入れ、食べ始める。
「全然気づいてねーよ。大体、俺に関心ないし、佐野」
「それはどうかなー」
頬杖をついて、瑞稀を見る。
8939:2007/07/23(月) 21:44:45 ID:08CzZU9L
瑞稀は少し笑みを浮かべた。
「なんだよー、何気にしてんだよ」
「だってお前、佐野がもし気づいてたらとしたらだぞ、その、
 お前の身の危険が、だな」
「えー、ねーよー大丈夫。佐野、巨乳好きだし」
俺はずるっとコケた。
「あぁ?!何でお前そんなこと知ってんの」
「だって、雑誌があったし。部屋に。こう、
 どーんと胸がおっきくて、髪はくるくるしてて」
言った後、瑞稀は少し黙った。
そして自分の短い髪の裾をすいた。
「・・・男なら、ああいうのが好きなんだろ?みんな」
伏目がちな睫毛。
瑞稀は、今の自分の姿に、本当は胸を痛めているのだ。
俺は、思わず立ち上がった。
「いや!ちげー!俺はむしろ微乳好きだ!!女は微乳だ!」
箸を持って絶叫する。
店内の視線が俺達に集中した。
「・・・・・・・中津」
瑞稀は、顔を真っ赤にして俺を見上げていた。
9039:2007/07/23(月) 21:45:16 ID:08CzZU9L

「・・・・いや、そのな、取り繕いとかじゃなくもともと俺は微乳派でして」
「あー、もういいって」
たまには俺の部屋へ行こうと戻ると、萱島は出かけていた。
図書室にでもいるのだろうか。
瑞稀は珍しそうにジョーバに揺られている。時々おかしそうに笑うが、
そういう光景はけしからん目で見るとちょっと、アレだ。
「俺が微乳なのは確かだし」
「いやその、あれだな」
瑞稀の口からそう言われると、この間の感触を思い出してしまう。
思わず自分の手の平を自分でさする。
ジョーバに乗って楽しそうな瑞稀に近づき、コホンと咳払いをしてから
耳元に囁いた。
「微乳も、可愛いよ」
瑞稀は盛大に噴き出した。
「・・・っ・・・てっ・・・・あははっ!」
俺の真面目な声と内容のズレ具合が相当おかしかったらしい、
腹を押さえて笑っている。
9139:2007/07/23(月) 21:45:48 ID:08CzZU9L
「てっうわっ落ちるっ」
「・・・っと」
落ちそうになる瑞稀を抱き止める。瑞稀の腕がすがるように俺を掴んだ。
「あ・・・と、ごめん」
「・・・いや、落ちるぞ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
顔を近づけると、瑞稀は反射的に目を閉じる。
「ん・・・・」
すがる手が俺をぎゅ、と掴む・・・・
が、
「ふむっ・・中津っ・・・揺れっ・・・」
「ああ、揺れるな」
・・・って当たり前だジョーバの上だ。瑞稀は声を殺して笑っている。
「降りましょうか」
俺は瑞稀を降ろした。

まだ笑い続ける瑞稀の体をそのまま抱え、ベッドの上にすとんと置く。
瑞稀は俺を見上げる。少し開いた唇が、可愛い。
目を見つめながら唇をゆっくり合わせていく。
体もすっかり押し倒してしまうと、ベッドの上に細い髪が流れた。
唇を離して、瞳を覗き込む。
真っ赤に染まった頬に手を当てる。
「中津・・・」
戸惑ってはいる。けれど。
9239:2007/07/23(月) 21:46:20 ID:08CzZU9L
すっ、とTシャツの中に手を入れると瑞稀は俺の肩にぎゅっとすがりついた。
この間のサポーターはつけていないらしい、柔らかい肌が直に触れる。
小さな膨らみを包み込むと、先端は硬く尖っていた。
俺はごくりと息を飲む。
「ん・・・」
そこを指で撫でると、瑞稀の喉から鼻にかかった声が漏れる。
たまらずにTシャツをたくし上げる。
敏感そうな胸が露わになり、瑞稀はゆるゆると両腕で自分の顔を隠した。
「・・・あんまり・・・」
見るな、と続くんだろう。
「ん?」
安心させるように胸を撫で続けると、瑞稀は腕の中から俺を覗いた。
「あ・・の、やっぱ、初めてだよな」
こくんと頷く。
「わ、分かった。とりあえず、リラックスするんだリラックス」
「中津も」
「え?」
「鼻息、すごいよ」
瑞稀の瞳がちょっとだけいたずらに光った。
俺は自分の鼻を塞いだ。
「えっ!いやっ!そのっ」
「フンガーって感じ」
瑞稀はくすくす笑う。
9339:2007/07/23(月) 21:46:52 ID:08CzZU9L
「おかしー」
「・・・・・瑞稀ー・・・・」
俺は頭をくしゃくしゃに掻いて、そして言った。
「ちょっと黙ってなさいこの子は」
「だってー」
このままでは、いつまでたっても埒があかない。
俺は瑞稀の首筋に吸い付いた。
「あははっ・・・くすぐったい」
もう笑いには構わずに、唇を胸にずらし、口に含むと
小刻みに漏れていた笑いは止まった。
「・・・・あ・・っ」
舌で転がす度、甘い声が漏れる。何も知らない細い腰をくねらせ、
ゆるゆると逃げようとするが俺は逃がさなかった。
「駄目。じっとして」
「・・・あ・・・」
なめらかな肌を執拗に撫で続ける。
まといつくような感触が心地よい。
次第に、瑞稀の声に変化が見えた。
キスをし、顔を覗き込むと甘く揺れる瞳が俺を見上げた。
「・・・どんな感じ?」
「・・・・何か、ヘンな感じ・・・」
「ん、そっか」
頭を撫でてやる。
9439:2007/07/23(月) 21:47:25 ID:08CzZU9L
猫のように目を閉じた瞬間に、腿に手を伸ばすと瑞稀の体がビクッと震えた。
「・・・・あ」
「・・・怖い?」
こくん、と頷くがこの間のような抵抗はない。
履いているものを少しずつ脱がせていくと、細い腰と白い脚が目に飛び込んできた。
きれいな脚だ。
ふくらはぎから上へ手を這わせる。
瑞稀の体がゆっくりと弓のようにしなる。その姿は、本当に女の子そのもので。
たまらない。
誰も知らない、俺だけの瑞稀だ。
「中津?・・っ・・・」
下着の中、何も知らないそこへ指を忍び込ませる。
濡れそぼった感触に驚く。
「瑞稀・・・」
「や・・・っ中津のバカ・・っ」
抗議の声すらも可愛い。悪態をつく可愛い唇からそれでも漏れる喘ぎに、
俺は唇を噛み締めた。
「瑞稀、俺もう、我慢の限界が・・」
「え・・?」
ベルトを外す音が、自分のものではなく俺のものだと気づいた瑞稀は
ハッとしてからシーツを強く握り締めた。
下着を取り去り、細い足を抱え上げる。
瑞稀の腰は少し震えていたが、
俺はもうためらうことは出来なかった。
9539:2007/07/23(月) 21:48:25 ID:08CzZU9L
「・・・瑞稀」
誰も知らないそこに、体を押し進めていく。
あまりに狭い。
狭くて、熱い。
「・・・っ・・・・い・・・」
瑞稀の瞳がきつく閉じられる。
抱え上げた足が震えているのも、全てが扇情的でもう、
俺には余裕なんてものがなくなってしまった。
「瑞稀・・っ」
「中津・・・痛いよ・・・っ」
頬に伝う涙。
「う・・・」
こんな性急なら、無理もないんだ。
唇を噛み締めて痛みに耐える、俺だけの瑞稀。
「痛い・・・」
瑞稀は俺にすがりついて、何度も涙混じりの声を零した。
ごめん、瑞稀・・・
9639:2007/07/23(月) 21:48:58 ID:08CzZU9L
「大丈夫か・・?」
こくん、と頷いて涙を拭く。
「ごめんな、痛かったよな」
抱きしめると瑞稀はゆっくりと俺にもたれてきた。
「・・・・ん・・・でも」
体育座りのポーズで、ほのかに微笑む。
「仕方ないよ、初めてだから」
瑞稀はそう言うが、そうでもないことを俺は知っている。
もっと待ってやれば、もう少し楽だったと思う。
実際いたたまれなくなったが、そうそう否定するのもおかしいので、
爽やかな笑いで返しておいた。
「中津も、フンガーってしてたしね」
瑞稀はにっこり笑う。
「ふ、フンガーって言うなよ」
「鼻の穴がすごく開いちゃって」
「って・・・オイ」
「なるほど、我慢できないんだろうなーって」
しれっ、と言ってみせる瑞稀に俺はタジタジになった。
なんだかんだ言って、観察されていたようだ。
「でも」
瑞稀は言った。
「中津だから、いいかなって」
9739:2007/07/23(月) 21:49:30 ID:08CzZU9L
正直、降参だ。
それは、初めて見せる、瑞稀の色っぽい目つきだった。
俺はくらっときた。
「・・・・ところで」
俺はコホンと咳払いをした。
「下着って、いつもその女物?」
実際、そんなものが洗濯室で回っていたら、さぞかし目立つだろう。
「・・・・」
瑞稀は、俯いて、言い放った。
「今日だけ、特別!」
・・・そうえば、胸をガードするサポーターも今日はつけてなかった。
「・・・そうかー・・・」
鼻の下を伸ばして笑っていたら、今度は枕が飛んで来た。

9839:2007/07/23(月) 21:50:47 ID:08CzZU9L
長々とすいません
感想くださった方どうもありがとうございました

他の方のも読んでみたいです
待ってます
99名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:28:16 ID:Pu98wJji
「帰れつってんだよ! どうしてわかんねえんだよ!
おまえの願いは俺がハイジャンに戻ることかもしんねえ。
けど、俺の願いはな、おまえが俺の視界からいなくなることなんだよ。
  だから ・・・・・・ 頼むから消えてくんねえかな」

「・・・・・・!」

 やっちまった。

大きな瞳が凍りついた。綺麗な瞳。
唇を一回噛みしめると、彼女は足早に部屋から出て行った。
俺はベッドに倒れこむ。胸の奥がキリキリと痛い。
扉の向こうから彼女の嗚咽がかすかに聞こえてくる。

「痛ってぇ・・・」

あいつの将来を思っての事なのに、なんでこんなに辛いんだろう?
・・・・・・ 泣いてる。俺のせいで泣いてる・・・。 俺って最低だ。
違う、本当はそうじゃないって、肩をつかんで言ってやりたい。

夜遅く、あいつは何もなかった様に帰ってきた。
翌朝も明かるい笑顔で「おはよう」と言ってきた。

一日中、あいつのことを考える。 そして、結局

「芦屋には笑って帰って欲しいんです。あいつを信じてやって下さい」

・・・ 俺はあいつを人知れず預かることになってしまった。

P.S. 佐野、弟を頼んだ

ズキッ。 

・・・・・・ なんか俺、とんでもない状態に自分を追い込んだ様な?





すんません、チューにも行かなかったw
現状の佐野と瑞希だと、どうにもおぼこい。
原作知らんです。明日の放送ではお互い意識しだすそうですが。
佐野が酔っ払ったフリをして瑞希にチューしちゃうの書きたい。
100名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 23:37:03 ID:mYjnX4q9
レベルが低すぎて・・GJをあげられないのが悲しい
101名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 23:41:08 ID:f3g8h36N
おお〜書き手さん達ありがとう!


>>39さん
長編乙でした!!中津×瑞稀いいね〜(*´Д`)
中津はきっとがまんできなさそうw

>>99
佐野×瑞稀もいいね〜(*´Д`)
これからもいろいろ萌えシーンが出てきそうでwktk!
102名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 00:14:46 ID:DY/0q0ra
>>39
GJ!!!!!
あなたの文章の書き方がすごく好きだ!
103名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 00:17:28 ID:8rUinLix
>>99
佐野×瑞稀萌えの佐野の悶々心情描写大好物派には、
大変美味しゅうございました。今後の進展に期待。
104名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 14:09:23 ID:sxiepNuf
どうしてくれるんだ萌えたじゃないか
105名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 19:16:28 ID:1Y1gTgB2
女みてーな奴、と思ったことは山ほどある。女だと思ったことは一度も無い。
しかし瑞稀とその兄のあの会話から察するに、奴は女、だということになる…
思いあたるふしは山ほどあるんだ。だけど…

「佐野っ!早く起きねぇと遅刻だぞっ!連帯責任なんだからなっ」

高い声も丸い瞳も細い体も、あの会話を聞いてからはもう女にしか見えない。
そしてその姿にハっとさせられることも…

「あぁっ!宿題やってねぇ!佐野〜見せてく…」
「誰がお前なんかに」
「ひっでー!それ、同じ屋根の下で暮らす仲間に言うことかぁ!?」

そういって俺にひっついてくる奴は、うっとうしくてたまらない。
俺に跳べ跳べうっせーし、どうにかなんねーかな…

「ちょっと、佐野おめーボタンずれてるぞ!しょーがねーなぁ」

そういって奴は俺のワイシャツのボタンを付け直す。
俺よりもずっと背の低い奴を眺めると、ちょうど腰に手の回るような、頭を撫でたくなるような位置じゃないか。

「ほらっできた!早く行こっ」

奴はポンと俺の胸を叩いてにこっと笑う。しょうがない奴はどっちだ。

だから俺は彼女を、手放せないんだよなぁ

おわり
106名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 21:32:33 ID:xZghwz2f
男装スレから飛んできた俺ガイル
107佐野と瑞希(1/3):2007/07/25(水) 01:44:52 ID:E9q2AtRW
直に書いたので誤字脱字すみません。

 佐野泉が寮の部屋で本を読みながら寛いでいると同室の芦屋瑞希が小箱を抱えて帰って来た。
「難波先輩が女の子から貰った差し入れ、いっぱいあったからお裾分けしてくれたよ〜
 佐野、お茶入れるから食べようよ」
「俺、甘いの好きじゃねぇからお前が食えば」
「そー言うと思って甘さ控えめなやつを先輩がくれたんだ。一緒に食べようよ〜」
「……わかったよ。」
渋々ながらケーキに手をつけた佐野から目を離し、紅茶の準備をしていると瑞希の肩に
急な負荷がかかる。
慌てて横を見ると目前にドアップの佐野の顔。
「ななな何?どうしたの、佐野」
「にゃはははは〜」
完全に目がいっちゃっている佐野の姿に在りし日を思い出す瑞希。
コイツはキス大魔人佐野様だ。
不意にケーキをくれた難波の含み笑いを思い出す。
やられた。洋酒たっぷりのケーキを手渡されてしまっていたのだ。
ヤバイと身の危険を感じた時はすでに遅し、完全に抱き込まれて深く唇を貪られていた。
「……んっ…ぁ…っ……やめっ…」
必死で引き離そうとしても男と女の力差は歴然で、全く動かないどころか言葉を発するために
唇を開いたせいで、良いように舌を奪われ瑞希の頭は真っ白になっていた。

108佐野と瑞希(2/3):2007/07/25(水) 01:45:48 ID:E9q2AtRW
 瑞希が正気に戻ったのは、佐野のベッドに組み敷かれ、裸の佐野に見下ろされている状況だ。
慌てて自分の身形を確認しようとして、青ざめる。
既にその身には何も纏う物がなかった。
「やっ!あの、さ、佐野……」
両手を交差して胸だけでも隠そうとするが、佐野の手によって阻止されてしまった。
「芦屋、力抜いて」
優しく話し掛ける佐野は、きちんと視点が定まっているように見えた。
「えっもしかして佐野、正気に戻ってる?」
「ああ、気がついたら裸のお前を抱いてて驚いたけどな。まぁせっかくだし」
瑞希の胸を舐めながら、色っぽい上目遣いをしている。
「ひゃあ!…えええ!何普通に進めてるの?私、男じゃなかったんだよ」
「そうだな。控えめながら胸もあるし」
両手で瑞希の胸を鷲掴みにして、その存在を確かめていた。
「バカ!そうじゃなくて…前から知ってたの?」
「まぁそれなりに…」
「どうして黙ってたの?」
「別にお前が俺の傍にいれば、男の振りしてようが女の格好だろうが
 どっちでもいいからな。俺はお前が好きだから」
「う嘘、そんなことって……」
真っ赤に頬を染めながらも、ずっと憧れていた男性であり一緒に過ごすうちに
本当に好きになった佐野からの告白を瑞希は心から喜んでいた。
「そういうわけで、続きしていいか?もうすでに俺、結構キテんだけどさ」
言われて佐野の下半身に目を向ければ、かなりな臨戦体勢になっていた。
「えっあ…その……どうぞ」

109佐野と瑞希(3/3):2007/07/25(水) 01:47:35 ID:E9q2AtRW
意識を飛ばしていた間に大魔人佐野によって前戯を施されていたようで
瑞希の体のほうも準備が整っていた。
「芦屋、いいか?」
「うん。来て」
仰向けの瑞希に重なるようにゆっくりと挿入していき、痛みに耐える瑞希を
気遣いながら頬や唇にキスをしていた。
全然心に余裕などないはずなのに、瑞希は『佐野ってキス上手だな〜』と思っていた。
それを余裕と感じ取ってしまった佐野は、全て埋まったことを確認するとすぐに動き出す。
「あ…ぁ…さの…イタ…ぁぁぁ……」
「痛いだけ?……瑞希」
耳元で名前を囁かれた瑞希は、それに感じてしまいキュッと意識せずに締めていた。
急な刺激に油断していた佐野は、顔を顰めるが何とか耐えた。
「瑞希は俺の名前…知ってるよな」
「あっあっ…ん、さの……いずみ…」
自然と二人の唇が合わさる。
「泉…大好き…」
瑞希のその言葉を合図に佐野は、彼女の中に全てを注ぎ込んだ。

「芦屋、お前卒業まで男の振りするのか?」
「う〜ん…出来る事なら佐野の傍にずっといたいな〜」
瑞希と一緒は嬉しいが、野獣どもの群れから可愛い彼女を守るのは大変だと
つい溜息をついてしまう佐野だった。

終わり

110名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 09:21:31 ID:ics56Ct0
佐野×瑞稀大好物!
みなさんGJです!
111名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 17:14:09 ID:9fR+XDEE
GJ!!!!
佐野×瑞希いいですね!
112名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 18:05:48 ID:Dy9Lb2Zj
第5話予告先取りカキコ。 当然どんな内容かは知りません。原作未読だし。

「ただいまー! あれ、佐野?」

元気なソプラノが部屋に響きわたった。
何でそんなに嬉しそうなんだよ。

「・・・おかえり」
「佐野も帰ってたんだ。 どうだった? 久しぶりの合宿?」
「まあ、正直ちょっときつかったな」
「しょうがないさ、しばらくブランクがあったんだから」
「おまえこそ、海の家で強制バイトだったって?」
「おう! だいたい俺、拉致されたんぜ、拉致!」

・・・威勢がいい割に、瞳が泳いでいる。
一瞬不思議に思った佐野だが、すぐに自分の裸のせいだと気づいた。
シャワーの後、下はスウェット上は裸で歩く姿に、瑞希はいつもアタフタしている。

スッと一歩佐野は前に出た。あわてた瑞希が後ずさる。もう一歩前に。

「佐野、あの、ちょっと、近いって、佐野!」
「海の家では、どんなことしてたんだ?」
「海の家? あの、えっと、うんと、佐野のことばかり考えてた」
「・・・えっ?」
「・・・あ、ちげーよ! 佐野が合宿でどうしてるかなって、考えてたんだよ!!」
「もう一回。 何だって?」
「だから、佐野がどうしてるかなって、あっもう、近づかないで〜(泣)」

ガタンと背中が扉にぶつかる。もう後ろに下がれない。
113名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 18:06:54 ID:Dy9Lb2Zj
迫ってくる胸元に耐えられず顔を上げると、驚くほど近くに佐野の顔があった。
ずっと憧れ続けた人の瞳。今はやさしい瞳。まっすぐに自分を見つめる瞳。
髪に佐野の息がかかる。破裂しそうな胸のドキドキがどうか聞こえませんように。

「もう一回。 何だって?」
「・・・」
「もう一回ちゃんと言ったら、離れてやるよ」
「・・・・・・ “佐野のことばかり考えてた”」

「・・・ おれも、芦屋のことばかり考えてた」

「えっ?!」

次の瞬間、瑞希の両肩に佐野の手がかかった。
「!!」

「嘘だよ! お節介なおまえがいなくてせいせいしてたよ。
あれ、芦屋顔が真っ赤だぞ? ちゃんと息してる? 大丈夫か(笑)」


それだけ言うと、佐野は瑞希を横に押しやり、高々とXサインをして部屋を出て行った。

「佐野のばかあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜」


瑞希の絶叫を背後に、佐野は笑いが止まらない。
両手を上下にブラブラ、さらに目の前に持っていき、深呼吸。

「危なかった。寸止めだ。・・・ しっかし、おもしれえな、あいつ(笑)」





今回もチューまで行かなかった。エロパロの道は遠い。
114名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 18:18:32 ID:5TzH08Fy
どこからつっこめば…
115名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 18:30:58 ID:UYEweRxg
>>107
GJ!!!
佐野が生身の高校生男子っぽくて萌え〜
116名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 21:28:15 ID:77Aign+k
>>113
原作知らない割に、どっちかっていうと原作の佐野に近い印象を受けた。
117名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 22:06:10 ID:Kbv2st27
・・・まぁ、これはこれじゃないか、うん。
118名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 22:15:20 ID:Dy9Lb2Zj
>>116
原作の佐野ってこんな雰囲気なの?
裸ネタはベタだなって思うけど、動かすならやっぱりこう、なんて思ったんだけど。
119名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 22:35:48 ID:77Aign+k
>>118
確信犯で上半身裸のままで瑞稀に寄って行ったりとかはわりとある。
あと、「もう一回ちゃんと言ったら」とかわざと瑞稀に言わせようとするとことか、
「おれも芦屋のことばかり考えてた」とか素で殺し文句言ったりするとことかも、
原作中盤以降の佐野っぽい感じがした。

っていうより、上記の台詞をドラマの佐野が言ってる姿が
今の段階じゃまだ想像できないんだわさw
120名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 22:45:39 ID:3dzQBxXG
>ドラマの佐野が言ってる姿が今の段階じゃまだ想像できない
そんなこと言われたらエロパロなんて書けないのでは?
121名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 22:59:51 ID:qyxsr4q2
とりあえず原作派とドラマ派がいるわけだし、
職人は投下前に注意書きすべきじゃない?原作寄りとかドラマ版とか。
そのほうが、親切だし揉めないと思うな
自分は原作もドラマもどっちも好きで楽しみにしてるので
書き手さんたち頑張ってねー
122名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:21:04 ID:deR7VQ3O
天王寺とカンナが好きなのさ
123名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:31:08 ID:Dy9Lb2Zj
>>119
へー、そうなんだ。 少女漫画は吉田秋生の BANANA FISH で卒業してから読んでないです。うわ大昔だ。
ドラマなんだけど、せっかく男女が同室、お互い気になるという美味しい状態なのに、今一萌えないっていうか、
ツボを外してるっていうか、さっさとイチャつけよ! とイラついて諸少女漫画風に!と考えたらああなったんだわ。
って、原作は本当に少女漫画らしい少女漫画なんだね。
124名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:34:25 ID:Dy9Lb2Zj
じゃ、ドラマ版で連投します。
4話のラスト 佐野の「行くぞ」がカッコよかったのと、後ろを嬉しそうについていく瑞希がカワイかったので。


昼休み。
学園の中庭でくつろぐ、難波、中央、萱島、中津のすっとこどっこいな四人組。
日差しはきついが、アカシアの大木が茂り、風が通り抜けるこの庭は気持ちがいい。

「おい、あれ見てみろよ」

難波が気取った、だが決して嫌みではない仕草で指をさした。
指先の50mほど先に、佐野と瑞希が歩いていた。

スタスタ歩く佐野の後ろを、瑞希がチョコチョコとついて行くのが微笑ましい。
話が弾んでいるとは到底見えないが、二人はどこか楽しげだ。

「佐野のやろー! また瑞希と一緒かよ!」
「落ち着きなしゃい、中津くん」
「・・・一緒なだけで、何してるわけじゃないから」
「あた、あた、あた、当たり前だ、あいつら男どうしだぞ!」
「・・・・・・」

「でもさ、この頃いい雰囲気だよな、佐野と芦屋」
「えっ?」
125名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:36:22 ID:Dy9Lb2Zj
「佐野ってあのタッパであの足の長さだろ? 俺でも一緒に歩くのはきつい。
なのに見ろよ。 知らんぷりしてるけど、小さな芦屋がついて来れる様に
佐野は調節してるんだぜ、自分の歩幅」

「・・・なーる」

「それでも時々芦屋が遅れる。するとちょっと走って、ポケットにつっこんだ
佐野の袖口を芦屋がそっとつかむんだ。すると佐野の歩幅がまた戻る」

鵜の目鷹の目で見ていると、まさしく難波の言った通りだった。

「そんな観察力を持った難波が怖い」
「そんな観察力を持った先輩が好き」
「二人とも有難う。うるさいよ」

「・・・あっ!」
「今度は何だよ、不思議少年!」

「・・・今二人のオーラが共鳴してる。二人同じことを思ってる」
「阻止! 断固阻止!」

「止めとけよ中津、無粋なまねは」
「そーだ、そーだあ」
「・・・かわいそうにね、中津」
「エンドカウントで言うなー! 俺はあきらめないぞおおおおおお」


そんな騒ぎはつゆ知らず、瑞希は佐野だけを見て歩いている。
一緒に歩く幸せ。時々走って行って袖口をつかむ幸せ。
その度にちょっとだけ振り向き、佐野が笑ってくれる幸せ。


126名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:36:25 ID:u9HByBN1
127名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 23:39:14 ID:wLZd4KY0
>>118
>>123
  (  ゚д゚)
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/    /

  ( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/    /
128名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 00:41:49 ID:BPbBMWSu
>>125
あのさ、ここエロパロ板なんだけど?
スレの雰囲気によってはエロ無しもありだろうが、ちょっとは空気読め。
ここは君専用のブログじゃないんだよ。
129名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 05:46:34 ID:5cVj8uA8
携帯で読む人もいるんで
エロ 微エロ 鬼畜 レイープ なども投下前に入れてくれるとうれしい

130名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 18:18:10 ID:2wnF6Eg1
んー微エロ?あんまりエロくないけど投下…短い。
131名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 18:34:34 ID:2wnF6Eg1
ぐーっ

幸せそうにぐっすりと眠る芦屋瑞稀を、佐野泉はじっと見つめる。
今目の前で寝ているこいつは、女のくせに男子校の男子寮に来て俺を飛ばそうと思っている。
「ん〜むにゃむにゃ…佐野…」
………女だと思えば言い寄られるのもまんざらじゃないかも…
なんてよこしまな思いを払拭しようと、頭を振った。
本当にそうなのか?女なのか?まだ少し疑わしい…
……よし、確かめよう。

ちょうどよく、芦屋は万歳をした状態で仰向けに寝ている。
佐野は一息ついてから、覚悟を決めて芦屋の寝巻きのボタンをはずす…
「…なんだこれ?」
女性の象徴とも言えるふくらみがあるべき場所に、ぐるぐるにして巻かれたさらし。
さらしの上から触れてみる。ん〜〜この様子だと、女だとしてもかなりペチャパイだな。
………別にペチャでも構わないけど…
なんて頭によぎるとちょっと顔が熱くなった。待て待て、女と決まったわけじゃない…
そっとサラシを取る。確かにふくよかではないが、かわいらしい乳房がポロっと出てきた。
「あ…やっぱ女か…」
なぜか安心すると同時に、思わず手で触りそうになる。
「待て、それはやばい…けど…」
目の前にこれでもか!!とこぼれているそれを、何もなかったようにしまうのも…
「…男子寮にもぐりこんできた方が悪い。」
佐野はそこに手を伸ばす。少ないけど、確かにある。
「ん…」
「ん?」
芦屋と目があう。ばっちりあう。
「佐野…?どうし…」
「なななんでもないっ」といって芦屋に布団をかける。
「何か…うなされてたから」あぁ〜なんてめちゃくちゃな言い訳…
「あ…そう。」

というとまた眠りだした芦屋。
佐野は唖然としながら、その感触を忘れないようにベッドに戻って行ったとさ。


佐野キャラ崩壊してる…すま
132名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 20:43:51 ID:zX8U0cW+
もしかしてエロパロ初心者ばかり?
133名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 21:21:06 ID:/YNDolg+
【審議中】
    ∧,,∧  ∧,,∧
 ∧ (*゚◇゚ ) ( ゚◇゚*) ∧∧
( *゚◇) U) ( つと ノ(◇゚* )
| U (   *゚) (゚*  ) と ノ
 u-u (l    ) (   ノu-u
     `u-u'. `u-u'
134名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 21:22:41 ID:Sm5URIXX
135名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 21:37:09 ID:fYXM2Pqo
>>112=>>113=>>118=>>123=>>124=>>130=>>131
とりあえず半年ROMってろ
136名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 22:19:15 ID:EuzL9h0g
夏だな…
137名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 14:06:25 ID:Qq1ow0BR
>>124>>125
遅ればせながらGJ!
微笑ましい二人の描写もかさることながら、
観察者の掛け合いが楽しい。キャラ掴んでるww

二人の仲が進展したらまたヨロ。
138名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 14:19:40 ID:bhnH4SH/
夏だな本当に。
139名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 18:22:08 ID:AkqIhDOg
>>137=>>124か…
140名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 19:56:07 ID:GPMQYcfT
夏ですねぇー
141名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 00:07:57 ID:gjJ95f29
佐野×瑞稀ってあんまり人気ない?
書いてみようかと思ったんだけど、中津のほうが面白いのかな…
142名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:18:03 ID:7MqoBNlW
そんなことない!
是非頼む
143名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 01:18:20 ID:wlQnlgkg
どっちでも書いてくれるなら待つよ
144名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 02:34:57 ID:6+JDOqI0
佐野×瑞稀が読みたいよ!頼みます
145141:2007/07/28(土) 07:17:50 ID:PfgmQOhC
とりあえず佐野×瑞稀で書いてみる。
すぐには投下できそうにないので、気長に期待せずにお待ちいただけるとありがたいです。
146名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 10:24:01 ID:b7BN3Uid
ドラマ版の佐野×瑞稀で投下します。
原作未読、ドラマ4話のその後です。
初めて書いたので、多少の事は大目に見て下さい。
147名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 10:27:15 ID:b7BN3Uid



「秋の全国大会で会おう」


瑞稀は佐野の言葉に一瞬固まり、
佐野を見上げ、湧き上がってくる嬉しさに鼓動が高まった。
『佐野が跳んでくれる。また跳んでくれるんだ…!』

「…行くぞ」

瑞稀は顔を赤くして、こみ上げてきそうな涙をこらえ
歩き出す佐野の後をついて行くのが精一杯だった。

桜咲学園に帰るまでの道のり、佐野の背中を見つめながら
『ありがとう、ありがとうな…佐野』と瑞稀は心の中で何度もつぶやきながら
どんどん歩いていく佐野を、追いかけるように歩き続けた。

寮の部屋について、ドアを閉めたとたん
意を決して「…佐野!」と後ろから呼びかけた。

振り返った佐野の、今までに見た事がないほど
穏やかな、優しい表情に、胸の奥がしめつけられた。
心が高鳴るのを感じて、瑞稀は思わず口をつぐんだ。

148名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 10:31:46 ID:b7BN3Uid

瑞稀を見つめ、少し目を伏せて、佐野はポツリと話し始めた。

「おまえが知ってる頃のように、俺は跳べないかもしれない。
 …それでもいいか?」


その言葉を聞いた瞬間、瑞稀は佐野の胸に飛び込み、
こみ上げる涙を抑えきれず、堰を切ったように大声で泣き始めた。

「そんなことかまわない…かまわないよ!
 佐野がまた跳ぼうと思ってくれた…俺はそれだけで十分なんだ。
 もし前のように跳べなくったって、佐野は佐野だよ!」

そう言いながら、本当の佐野の心の弱さ、その傷の深さを思うと
わざわざ自分をあの場所に連れて行って、森と神楽坂の前で
どんな気持ちであの宣言をしたのかと思うと、涙が止まらなかった。

佐野の胸に顔をうずめて泣きじゃくる瑞稀に、佐野は黙ったまま
小さな子供をあやすように、瑞稀の細い肩に手をおいて優しくなでた。


瑞稀がようやく泣きやむと、肩に佐野の腕の重さを感じ
自分が佐野の腕の中にいる事に気がついて、我に返った。

「あ、ごめん…俺…こんなに泣いて、抱きついたりして…
 なんだか嬉しくってさ……佐野?」

瑞稀が離れようとした時、耳元で佐野の声が響いた。

「…おまえのために、跳びたいと思った」

その言葉に瑞稀の鼓動は一気に高鳴った。


149名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 10:41:05 ID:b7BN3Uid


佐野に両手でぎゅっと抱きよせられ、華奢な瑞稀の体は
佐野の胸の中にすっぽりおさまって、身動きがとれない。
胸がぴたりと合わさって、このままじゃ佐野に女だってばれてしまう
と瑞稀が体を硬くした瞬間、佐野の腕が緩んでゆっくりと体が離れた。

瑞稀は顔を真っ赤にさせてうつむきながら、両腕を胸の前に持ってきて身構えた。

「…お…俺のためって…どういう事?」

佐野を見上げると、優しい瞳で瑞稀を見おろす佐野がいた。

「もう隠さなくてもいい、わかってるから…」

顔をそっと両手ではさまれ、佐野の端正な顔が迫ってきた。
おでこに触れるだけの優しいキス。
瑞稀はあまりの衝撃の大きさに、動く事ができなかった。
そのまま、涙の跡を伝って瞳の下、頬とキスが降りてきて
瑞稀の唇に佐野の唇が優しく触れた。

「……いつから?」という瑞稀の言葉をかき消すように
佐野のキスで唇がふさがれた。佐野の唇が離れると、
瑞稀はうつむいたまま、佐野に背中を向け、声をこらえて泣き始めた。
震える瑞稀の小さな背中を、佐野が背後からぎゅっと抱きしめた。

「俺の前ではもう無理しなくていい。
『自分に嘘をついて生きるのは、寂しい、苦しい』
 そう言ったのは、おまえだろ?」

佐野の言葉に瑞稀はひざが震え、体の力が抜けて
その場にへたり込みそうになった。崩れ落ちる寸前に抱き上げられ
そばにあった佐野のベットの上に静かに下ろされた。

150名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 10:53:53 ID:b7BN3Uid


「気持ちが落ち着くまで、ここで休め…いいな」

離れかけた佐野の手を、瑞稀がとっさにつかんだ。

「…あ…あの…佐野!
 …ずっと…ずっと、嘘ついててごめん…ごめんな」

瑞稀の小さな手につかまれたまま、佐野はベットの脇に座り
涙に濡れた瑞稀の大きな瞳を見つめた。

「もう泣くな…おまえには笑ってアメリカに帰ってほしい。
 俺が跳べるまでそばにいてくれ。
 それまでは、おまえに一緒にいてほしいんだ」

その言葉を聞いて、瑞稀は佐野の腕に抱きついた。

「一緒にいる…ずっと一緒にいたい…
 もし跳べなくったって、佐野とずっと一緒にいたい!」

そのまま後ろに倒れ込んで、ベットがきしむ音が響いた。


気がつくと、瑞稀が佐野を押し倒すような体勢になっていた。

「……ああ、俺も」と佐野の低い声がしたと思うと
佐野は下から顔を持ち上げて、酔った時と同じ姿勢でキスをした。

「…酔ってない…よね」とつぶやく瑞稀に、
「酔ってない…けど?」と佐野は不思議そうな顔をして、キスを繰り返した。

瑞稀は初めての感覚に、だんだん頭が真っ白になり
なにも考えられなくなってきて、そのまま佐野に身を任せた。

151名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 11:12:07 ID:b7BN3Uid


キスを繰り返したまま体勢が入れかわり、佐野が上になると
ついた両手の間にある瑞稀の瞳をまっすぐ見つめて、佐野が聞いた。

「…いいのか?」

瑞稀は小さく頷いて、恥ずかしそうに目を伏せた。


そっと瑞稀の制服のネクタイに手をかけると
「ネクタイはずすって、なんかへんな感じだな」と佐野がつぶやいた。
「ホントだね…」と瑞稀がくすっと笑うと、佐野も小さく笑った。

ボタンをひとつづつはずしていき、シャツを開くと
硬いベストが見えた。瑞稀が「…ちょっと待って」と言い
「これ、結構苦しいんだ…」と照れたようにうつむいて、それを外した。
佐野は、瑞稀が毎日これをつけて暮らしていた事にも驚いたが
そこに現れた瑞稀の、白くて華奢な体にも驚きを隠せなかった。

「細いな…おまえ」とつぶやいた佐野に
「…色っぽくなくて、ごめん」と瑞稀は消え入りそうな声で言った。
「いや、そうじゃない」佐野は瑞稀の首、肩に口づけながら降りていき
「よくこんな細い体で、男どもの中でやってこれたな…と思って
 やっぱおまえはスゲーよ」と瑞稀の柔らかな頂にそっと口づけた。
「…あっ」と声を上げ、瑞稀はくすぐったそうに仰け反った。

そのままベルトに手をかけズボンと下ろすと、男物の下着が現れた。
「あぁっ!それ…見ないで…」というため息まじりの瑞稀の声がもれた。

「…中は女だから気にするな」と佐野がすっとそこを撫であげた。

瑞稀は初めての感覚に息が止まった。佐野が上から手を滑り込ませると
「んっ…んんっ」と何かに耐えるような声をもらし、しばらくすると
「んっ…あっ……ああっ…佐野!」と切なそうな声を上げ始めた。
下着を取りはらうと瑞稀の細い腰が現れて、生まれたままの姿になった。
瑞稀が身をよじるようにして動き、潤んだ部分がシーツを濡らした。

152名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 11:34:48 ID:b7BN3Uid


佐野が自分の制服を脱ぎはじめ、引き締まった広い背中が見えると
瑞稀は紅潮した顔で、その姿をまぶしそうに見上げた。

「佐野のからだ…すごくきれい」
「…なんだよ、それ」
「いつもそう思ってたけど、一回も言えなかったから…さ」

シャワーの後や、着替えの時に何度も見た
普段から見慣れたはずの佐野の裸が、こんなに近くに迫ってくる。


もう一度深くキスをされて、佐野がゆっくり体を重ねてきた。
硬いものがあたって、瑞稀がビクッと震えた。
「大丈夫だから…力抜いて」と佐野が耳元でささやいた。
その声に瑞稀が息を呑むと同時に、佐野が瑞稀の中に入ってきた。

「………っっっっ!!!」瑞稀は声にならない声を上げて
瞳を閉じ、その痛みに喘いだ。無意識で両手を佐野の首にまわし
佐野の腰に細い足をからめて、必死に佐野にしがみついた。

少しでも痛みが和らぐように、佐野は瑞稀を抱きしめたまま
座るように起き上がると「そのまま…じっとして」と動きを止めた。
座って抱きあった姿勢のまま、瑞稀は佐野の肩にもたれて息を吐いた。

「…痛いか?」佐野が瑞稀を気遣って声をかけた。
「……ん…痛い…けど、やっと佐野とひとつになれたと思うと
なんか…嬉しい」とつぶやいた。長い睫毛の大きな瞳を開くと
瑞稀は震える唇で、佐野にそっと控えめなキスをして
「佐野…ありがとう…大好き…」と小さな声でささやいた。
予想外の瑞稀の行動に、佐野は体の中心に血液が集まるのを感じた。

「…俺も…好きだ」佐野はそう答えて、すっと息を吸うと
ひと呼吸おいて、そのまま瑞稀をベットに優しく押し倒した。

「……悪い…ちょっと動くぞ」
顔を紅潮させて喘ぐ瑞稀を見つめながら、ゆっくりと動き出した佐野を
瑞稀は、精一杯その痛みに耐えながら見つめ返した。
お互いに見た事のない表情を見つめ合って、体を重ねるうちに
佐野の心の奥から伝わってくる感情が、静かな波のように押し寄せ
それが快感となって瑞稀の中に流れ込んだ。

瑞稀に痛みとは違う快感が一気に押し寄せ、
体の奥が締めつけられるような感覚が訪れた時
ずっと無表情に見えた佐野が、少し苦しそうな表情を見せた。

「…さの…佐野…佐野!…佐野っ!!」心の中で何度も叫んで
瑞稀は強烈な感覚の流れの渦に放りこまれ、意識を失った。

153名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 11:43:47 ID:b7BN3Uid




「佐野!!」

瑞稀が大きな声で叫んで目を覚ました。


「…ぉぃ…おい、大丈夫か?」

「あ…佐野!
 夢、夢を見たんだ…佐野がハイジャンを跳んでる夢…
 すごいきれいに跳んでて、俺もすっごい嬉しかったんだ」


しばらくの沈黙の後
「…これ、飲むか?」と佐野が水のボトルを差し出した。

「あ…ごめん、俺どうかした?」
佐野に差し出された冷たい水を一口飲んで、
そのひんやりとした感触にのどを潤すと、現実に引き戻された。

急にすぐ目の前に、上半身裸の佐野の姿が目に入り
ドキッとしてうつむくと、素っ裸の自分を見つけて、さっきまでの行為を思い出した。
「うわっ!」と叫んで瑞稀はタオルケットの中にもぐりこんだ。

ぷっと吹き出して、笑いだした佐野が、
そのタオルケットごと瑞稀を抱きしめた。
瑞稀はそっと顔を出して、佐野を見ると、
見た事のないような笑顔で佐野が笑っていた。
そう、ハイジャンをクリアした、あの時のような無邪気な笑顔で。

『あ…佐野が笑った!』と瑞稀は幸せな気持ちでいっぱいになった。


「おい、一緒にシャワーでも浴びるか?」と耳元でささやく佐野に
瑞稀は恥ずかしくなって、またタオルケットの中にもぐりこんだ。


翌朝、佐野は陸上部の合宿に出かけていった。


今は、まだ佐野が跳べるかどうかわからない。
でもきっといつか佐野は跳んでくれる。
きっといつか、あの夢で見たようなきれいな姿で。



 〜〜〜完〜〜〜


154名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 11:46:36 ID:b7BN3Uid
以上です。
読んで下さった方ありがとうございました。

先に書けたので投下しましたが
>>141さんや他の方の作品もお待ちしています。
155名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 14:59:00 ID:hfR7iM+S
>>154
超GJ!!!
ぜひともまた書いてください
156名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:57:52 ID:wlQnlgkg
GJ!!!!!
また投下頼む!
中津×瑞希も読みたい
157141:2007/07/29(日) 10:34:57 ID:2RV7RsDB
>>154さんGJ!
とても素敵でした。ぜひまた投下してください!

さて、佐野×瑞稀で書いていたのですが、ふと中津×瑞稀を妄想したので
そちらから投下させていただきます。
原作既読ですが、今回はドラマの中津のイメージで。
158141:2007/07/29(日) 10:36:52 ID:2RV7RsDB
「瑞稀…お前オンナだったんだな…」
なぜか二人きりになった。灯りを消したから、部屋は薄暗い。
中津のベッドの上で、服を脱がされた瑞稀は静かに横たわっている。
…女みてぇと思ったことも、女であってほしいと願ったことも数え切れないくらいあるわけだが、
実際に女だったとわかった今は、「やっぱりそうだったんだ」という妙な安堵感に包まれていた。
「俺、瑞稀のことが好きなんだ」
そう告白したところまでは鮮明に記憶に残っている。
それからは…無我夢中で抱きしめてキスをして、そして…

「本当にいいのか?」
瑞稀に覆いかぶさりながら問いかける。
今さらダメって言われても、もう止められねぇけどな。
「…今日だけ…一度だけ…」
聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、瑞稀が答える。恥ずかしそうにしているのが
たまらなく可愛くて、今まで抑えていた感情があふれ出す。
それを表現するかのように、中津は激しく唇をふさいだ。
華奢な肩に触れながら、舌を絡めて深いキスを繰り返す。
瑞稀が少し苦しそうな、切ないような声を漏らす。
首筋にゆっくりと唇を這わせて…ふと吸い付きたい衝動にかられる。
…だめだ…痕を残すのはまずい。
柔らかな膨らみに手を添えると、ビクっと瑞稀の肩が震える。
見ると、枕に顔を埋めて声を潜めている。
反応を窺うようにゆっくりとその膨らみを掬い上げて、頂にあるかわいい蕾を口に含むと
んっ…と聞いたことのない艶のある声が耳に入る。
…マジでやばい。俺、最後までやさしくなんかできねぇよ。
159141:2007/07/29(日) 10:38:12 ID:2RV7RsDB


それからはもう、欲望のままに瑞稀の体を探っていった。
時々漏れてくる吐息やかわいい声が、頭を、体を痺れさせる。
ひとつになった時、瑞稀は苦痛を訴えなかった。
…すでに経験済みなのかという嫉妬にも似た感情と、こうしてやっと手に入れたという征服感にも似た感情が
自分の中で交錯するのがわかる。
そして…どうしても聞きたいことがあった。
「…っ…なぁ…瑞稀」
「な…に…?」
動きを止めずに、中津は瑞稀に問いかける。
「俺の…こと…好き?」
「…」
瑞稀は相変わらず吐息や声を漏らすだけで、何も言葉を発しない。
「瑞稀…?」
「…なか…つは…いつも優しいし…はっ…すごく…思ってくれてるし…」
「…うん…」
「…んっ…だから…あっ」
…だから、好きになってくれたって、思っていいのか?
何も言わず、何も言えず、そのまま強く瑞稀を抱きしめるようにして、俺は果てた。

「電気、つけるぞ」
瑞稀が服を着たのを確認して、灯りをともす。
恥ずかしそうにうつむく瑞稀の顔を覗きみつつも、なんとなく気恥ずかしくて直視できない。
そっと近づいてそばに立つと、瑞稀はなぜかすっ…と一歩下がった。
離れたくない…
相変わらずうつむいたままの瑞稀の腕を掴んで、自分の胸に引き寄せる。
ぎゅっと抱きしめて、耳元で囁いた。
「俺…本当にお前のことが好きだ」
「…」
…なんで何も言ってくれねぇんだよ…
「瑞稀…」
ふと…首筋…ちょうど耳の下あたりで髪に隠れている…に目がとまる。
赤い…誰かの所有の証。

…俺…じゃない。

「瑞稀、これ…」
はっとしたように、瑞稀が首筋を押さえる。
「誰…と…?」
今日だけ、一度だけの理由…?
真っ赤な顔をして目を閉じていたけれど、決心したように瑞稀が俺を見上げる。
「ごめん、中津。オ…あたし、やっぱりあの人じゃないとダメなんだ」
「あの人って…」
本当は。
聞かなくても答えはわかっている。心のどこかで、いつも考えていた。
瑞稀は…瑞稀が好きなのは…
「あたしは…佐野のことが…佐野としか…」
160141:2007/07/29(日) 10:40:04 ID:2RV7RsDB


***************

「もういいっ!」
勢いよく…布団を蹴り上げていた。
「ええええぇっ、夢!?」
…そっか、夢か。夢…だったんだよな。
瑞稀が女で、告白して、それから…
「ヤバイ…俺、もう重症だ…」
のそのそと起き上がり、フラフラと頭を振る。
瑞稀が女なら、こんなに悩まずに済むのだろうか。いや、そうではないのかもしれない。
…夢でよかった。あの二人が現実でそんな…
「はっ!遅刻する…」

バタバタと用意をして教室に駆け込むと、いつもの笑顔で瑞稀が「おはよう!」と声をかけてくれる。
夢の中で…俺コイツと…
ボッと顔が赤くなるのがわかる。
「…お前…大丈夫か?」
怪訝そうな表情で、佐野が中津に声をかける。
「そうだ!聞いてよ中津〜。昨日佐野がさ…」
「オマエいちいちうるせーよ」
「えぇっ、なんで?いいじゃん別に」
…そうだよ、この二人がそんな仲のわけねぇじゃん。
だいたい瑞稀は男だし。

夢でよかったのか夢でないほうがよかったのか…
俺…しばらく安眠できねぇかも。
授業開始のチャイムを聞きながら、中津は深いため息をついた。


     END
161141:2007/07/29(日) 10:42:55 ID:2RV7RsDB
夢オチかよ!…という声が聞こえてきそうですが、どうかお許しください。
読んでくださった方、ありがとうございました。
佐野×瑞稀も書けたらまた投下させて下さい。
いつになるかわかりませんが…
162名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 11:53:16 ID:5grKAfzh
GJ!面白かったよー
163名無しさん@ピンキー:2007/07/29(日) 23:50:48 ID:dDL7zfPQ0
>>147
GJ!!!
すごく素敵です
佐野×瑞希、また是非とも書いて下さい
164名無しさん@ピンキー:2007/07/29(日) 23:57:00 ID:Mr5HfyZB0
>>141
GJ!!
夢オチってとこに中津らしさがあってヨカッタよ
165名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 11:11:39 ID:o9KoN4yu
だれか、梅田校医×難波もお願いキボン
166名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 14:16:49 ID:WWy/iAi5
>>165
腐女子氏ね
167名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 17:55:58 ID:gQLmJ26Q
難波は女を食いまくる役どころだろ?
168141:2007/07/31(火) 22:10:43 ID:aeaQasCL
GJありがとうございました。
佐野×瑞稀…どうも書き終えることができません。佐野のキャラが原作とドラマで違いすぎる…
修行して出直してきます。
169名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 23:38:07 ID:J5DpNjeu
ドラマしか知らないんだけど原作の佐野とどう違う?
170名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 01:23:25 ID:tYEcpAd6
原作の佐野はむっつりスケベ
171名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 01:28:31 ID:g6nR1JDT
>>154です。
>>141さんGJ!! 面白かったです。
また投下されるのをお待ちしています。


>>147-153
佐野×瑞稀の続編を投下します。
中津への嫉妬に燃える佐野がメインです。
長くなったので、とりあえず前半部分を投下します。
172名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 01:36:32 ID:g6nR1JDT


中津と瑞稀は、今日も他愛もないネタで盛り上がっていた。

「今朝さぁ、女子から手作りのクッキーもらっちまってさー
 ほら、瑞稀も食うか?」
「おう、いっただきー!
 ………うっまい、うめーなこれ!
 やっぱ手作りはちげーよな、中津」
「…ったりめーだろ、愛がこもってんだからな!」
中津は胸の前で、両手でハートマークを作ってポーズをとった。

「愛か〜〜やっぱ愛だよな、愛…」
瑞稀が佐野を思い浮かべて、うっとりした表情になる。

その瞬間『中津フィルター』がかかり
にっこり微笑む瑞稀の顔の周りに、ピンクの花がキラめいた。
中津はポーっと赤い顔で、口を半開きにして
クッキーを食べこぼしながら瑞稀を見つめた。

「あっ!そういや中津、こないだ呼び止められた子とはどうなったんだよ。
 『こまり』っていったっけ。あの子とデートの約束でもした?」
「…はっ…デート?!…ん…んなわけねーだろっ」

「あ〜〜照れんなよぉ中津ぅ〜モテモテだな!」
瑞稀は中津の肩をポンとたたいて、笑いかけた。

中津は目を泳がせて、ドギマギしながら
「…だから、ないって!」と逃げるように歩き出した。
「おい、ごまかすなってー教えろよ!中津ー」
瑞稀も中津の後を追いかけて教室を出て行った。


その様子を、後ろの席からじっと眺めていた佐野がつぶやいた。

「……中津……か」
173名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 01:41:18 ID:g6nR1JDT


数日後の夕方、佐野は裕次郎の散歩中に
中庭のベンチに並んで座る、中津と瑞稀の後姿が目に入った。

瑞稀は居眠りでもしてるのか、中津の肩に頭をもたれていた。
中津が静かに左右を見回し、中津の顔が瑞稀に近づいていく。


「ワンッ!」突然、裕次郎の鳴き声が響く。


ビクッと中津の動きが止まった。
中津の肩から、頭がガクッと落ちかけて瑞稀が目を覚ました。

「あ、俺…寝ちまってた?……最近、寝不足でさ〜〜
 …ふわぁ〜」大きなあくびをする瑞稀の隣で、
中津が慌てた様子で、周りをキョロキョロ見回した。

佐野は裕次郎の頭を押さえて、とっさに木陰に身を隠し
「……なんで隠れてんだよ…」とつぶやいた。
頭をなでられ、佐野に褒められたと勘違いした裕次郎は、
伏せの姿勢で佐野の顔をベロベロと舐め、嬉しそうに尻尾を振った。


「わっ、もうこんな時間だ!
 俺、佐野の筋トレ手伝う約束してんだ!またな、中津」

走っていく瑞稀の後ろ姿を、中津は切ない表情で見送った。

「…また、佐野かよ…瑞稀…」中津の独り言が聞こえた。
174名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 01:47:28 ID:g6nR1JDT


1時間後、佐野と瑞稀は運動部のトレーニングルームにいた。

「なぁ佐野、今日はもう少し負荷を上げてみる?」
「…ん…ああ…」

マシンを動かしながら、佐野が浅い息で話しかけた。
「………なあ」
「ん…なに?」瑞稀がこちらに顔を向けた。

「おまえ……中津に…油断しすぎ」
「…え、どーいう意味?」

「…あいつには…気をつけろ…って事だよ」
「…あははっ大丈夫だよ!俺達、ただの友達だもん」
瑞稀は腰に手をあてて笑い出した。

ピタリと動作を止め、息を吐くと、佐野が少し強い口調で言った。

「おまえがそう思ってるだけで、あいつはそうは思ってねーぞ」

「え…そんな事ないって!だってあいつホモじゃねーし」
 瑞稀は周りを見回して、佐野に顔を近づけて声をひそめた。
「俺が女だなんて、佐野と梅田しか気づいてないんだし…さ」

佐野は少し苛立ちながら、心の中でつぶやいた。
(…中津は無意識のうちに、女だって本能で嗅ぎつけてんだよ)

「いいから…とにかく気をつけろ。…わかったな?」
「…おぅ…わかったよ、佐野の言う通りにするからさ。
 そんな事より、早くここんとこに筋肉つけなきゃ跳べないぞ!
 ほらっ早く続けて…!ビシビシいくぞぉー!」

「…ったく」とため息をついて、佐野は筋トレに戻った。

175名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 01:55:24 ID:g6nR1JDT


瑞稀は佐野に忠告されてから、中津と少し距離を置いた。
中津に話しかけられても「おう、そうだな!」と答えるだけで
前のように自分から積極的に話しかける事を控えた。
放課後お好み焼き屋に誘われても、何かと理由をつけて断った。

そんな瑞稀の変化に、中津は苛立ちをつのらせた。

教室で机に腰かけ、佐野に笑って話しかける瑞稀を見て
中津は、胸の奥がキリキリ痛むのを感じた。

「おい…瑞稀」
「お…なに?中津」
「ちょ…ちょっといいか」親指で外を指差した。

瑞稀は佐野の顔をチラッと見てから
「…おぅ」と小さな声で答え、中津の後を歩きだした。

佐野が二人の姿を目で追うと、中津と一瞬目が合った。
すぐに目をそらした中津の思いつめたような表情を見て
佐野は「……まずい…な」と心の中でつぶやいた。


校舎を出て、中庭の木の前まで歩いてくると、
中津は瑞稀の方に向き直り、うわずった声で話し始めた。

「なぁ…瑞稀…
 おまえ最近、なんか俺の事さけてねーか?」
「…そんな事ねーって、なんでそんな事言うんだよ」
「…おまえに…さけられると、なんか分かんないけど
 苦しいんだ…つらいんだよ!」
「……中津」


少し離れた場所で、佐野が木にもたれながら
その会話を聞いていた。

176名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 02:15:21 ID:/G6hTeBJ
 
177名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 02:29:34 ID:MXCJ80Hm
期待してまっせ
178名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 10:04:37 ID:VHz/6OcY
がんがれ!!!
179名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 10:12:58 ID:g1HUOvGC
「おだまりこまり!」ビシッ、ビシッ
「ああっ、ああっ、あっ」
180名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 13:17:22 ID:pmp0G5Qb
佐野と中津と瑞樹で3Pがいーなー
181名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:23:52 ID:NoEC+psA
初めて書きます。ロムってたら書きたくなりました。
原作なので受け入れられるかどうか・・・
中津×瑞稀です。長いかも。
182名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:24:34 ID:NoEC+psA
「ひぃ〜〜。今日は佐野がいないのに・・・萱島の怖い話聞いちゃった〜〜」

瑞稀は一人で青い顔をしながらクッションを抱えて床に座り込んでいた。
同室の佐野は陸上部の合宿で今日からいない。
一人だとガランと感じる部屋で今夜は一人で眠らなくてはいけない。
「やばいよやばいよ〜。俺、怖い話聞いた後は絶対一人じゃ眠れないんだよなぁ・・・」
中津と萱島の部屋で怪談話大会が行われるということで、
こういったイベント好きの瑞稀は、つい後先考えずに参加してしまった。
相変わらずリアルな怪談話をする萱島にみんなでギャーギャーと怖がったまでは良かったけど、
いざお開きになって部屋に帰ると、萱島の語った話がエンドレスで頭の中を巡る。
「どうしよっかなぁ・・・今夜は一晩中電気を付けて・・・勉強でもして気を紛らわそうかな」
ビクビクと部屋の隅が気になりながらもゴソゴソと行動を開始しようとすると、ガチャっと部屋のドアが開いた。
「瑞稀〜♪」
「ひゃっ!!」
恐る恐る行動していたところにノックもなく現れた中津に瑞稀は驚いて飛び上がった。
「な・・・なんやなんやぁ。瑞稀何ビビってんねん?」
「いや・・・ちょっと・・・」
テヘヘと頭を掻きながら苦笑いすると、
「はは〜ん。さてはさっきの怪談話が怖かったんやろ?な〜んや、瑞稀はかわええなぁvv」
遠慮なく部屋へ上がりこんだ中津は、背後に隠し持っていた物をドンとテーブルに置いた。
「お・・お酒?」
中津が持ってきたのは一升瓶の酒だった。
「そうや。今日から泉がおらんやろ?瑞稀一人で怖がってんちゃうかな〜て思てな。
 酒でも飲んだら気ぃも紛れて気持ちよく眠れるやろ?」
「中津・・・・」
「瑞稀が眠たなるまで俺が付き合ーたるで♪」
ニコニコと懐こい顔をしながら中津は手早く酒盛りの準備を始める。
「中津〜〜〜。おまえ、いいやつ・・・」
瑞稀は中津の優しさに感動した。
「ささっ。瑞稀乾杯や!」
勝手知ったる芦屋&佐野部屋でグラスを拝借し、持ってきていた柿ピーやらのつまみを広げ、
瑞稀に空のグラスを渡す。
瑞稀が受け取ると、「どうぞどうぞ」とお酌をし、自分のグラスにもなみなみと注ぐ。
「かんぱ〜〜い!」
「かんぱいっ!」
カチンと良い音が響き、グラスを傾けくーっと飲み干した。
183名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:25:15 ID:NoEC+psA
「みじゅき〜〜。もぉ飲まへんのかぁ〜〜」
中津は半分テーブルに突っ伏し、顔を真っ赤にしている。
酒に強い瑞稀も今夜はちょっと酔っている。頬がほんのりと赤い。
「中津は〜?中津はもう飲まないの?」
ヘラヘラっと陽気に自分のグラスを口に運び空にする。
「・・・・・・」
ぽけーっと口を開けたまま自分を見つめる中津。
「中津?」
どうした?と尋ねる瑞稀。
「みじゅきぃ・・・。俺、俺・・・もう・・・・」
「もう?」
「・・・ねみゅい・・・」
そのままバタンと後ろに倒れ、ぐぉ〜と豪快なイビキが聞こえ始めた。
「なんだよ〜。付き合うって言ったくせに・・・中津〜〜」
寝転がった中津に近づき、顔を覗き込みながら揺さぶった。
「中津〜中津〜。そのまま寝たら風邪ひくぞ〜」
「ん〜・・・」
少し覚醒したようで、中津は薄く目を開いた。
ぼやっとした視界に写る瑞稀は相変わらず可愛くて・・・・
「中津?」
半目で自分をぼーっと見つめる中津をさらに覗き込むと、いきなり中津の腕が伸びてきて、ぎゅっと抱きしめられた。
「な・・・中津!?」
慌てて離れようとしたが、中津の拘束する力が強くて離れられない。じたばたと手を動かせるだけだ。
「ちょっ・・・!目ぇ覚ませよ!」
「ん〜〜みじゅき〜〜。好っきや〜〜」
ちょうどつむじの上にある中津の口からは相変わらず酔い口調。
そのうえ瑞稀の頭にすりすりと自分の顔を摺り寄せてくる。
「な〜か〜つっ!」
瑞稀の呼びかけはまるで耳に入らないらしい。相変わらず強い力の腕は弱まらない。
「ん〜〜〜vvv」
幸せそうにすりすりとしている中津に呆れながらも、なんとか腕の中から逃れようともがいていると、
急に吐き気がこみ上げてきた。
やばっ。酔いが回ってきた・・・
暴れたせいで酔いが回り、さらに自分の胸を締め付けている例のベストが苦しさを助長している。
「な、かつっ・・・ちょっと・・・気持ち、悪い・・・」
さすがに気分の悪そうな様子の瑞稀には酔った中津も気づいたようで、
「どしたん瑞稀〜?気分悪いんか?」
腕の力を緩め起き上がり、今度は瑞稀を支える。
「ん・・・・ちょっと、ね・・・」
口元を抑え、気持ちの悪さを堪えていると、中津が背中に手を回しさすり始めた。
「大丈夫か〜?よしよし・・・」
まだ酔っているらしいが、瑞稀を心配する様子はいつも通りだ。
「あり、がと・・・だいぶ、良くなったよ・・・」
中津のさする手のおかげか、だいぶ楽になった。
ほうっと一息ついていると、
「そやっ!服脱いでまえばええねん!裸がいっちゃん楽やで〜」
良いことを思いついたと言わんばかりに、いきなり自分で自分のTシャツを脱ぐ中津。
「えっ?」
と驚いて見たものの、あまりまじまじと上半身裸の中津を見ていられず、ぱっと目を逸らしたのだが、
中津が今度は瑞稀のTシャツに手をかけた。
「ほら!瑞稀も!」
「え!?待っ・・・!」
脱がされまいとTシャツを抑えようとしたが間に合わず、すっぽりと頭から脱がされてしまった。
「わーーーーっ!!!」
慌ててベストの胸元を隠しながら中津に背を向ける瑞稀。
184名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:25:46 ID:NoEC+psA
「あれ?瑞稀そのベスト何なん?なんでそんなん着てんの?」
後ろから中津が覗き込んでくる。
「いや・・・これはっ・・・ちょっと・・・寒くて・・・!」
しどろもどろになりながら胸元を両手で押さえて中津から離れようとする瑞稀。
「寒いんやったら俺が暖めたげんのにぃvvみ〜じゅきっ!」
いきなりガバっと後ろから中津が覆いかぶさって来た。
「ぎゃっ!!」
色気のかけらもない叫び声を上げながら慌てる瑞稀。
瑞稀の首元に顔を埋めながら中津は鼻を摺り寄せてくる。
「あぁ〜。瑞稀はええ匂いやわ〜」
「ちょっ・・・中津っ・・・!」
瑞稀の体がビクっと反応してしまった。
「あれ・・・?瑞稀、もしかして感じたん?」
耳を真っ赤にして「ちがうっ!」と言っている瑞稀が可愛くて、もっと意地悪をしたくなり今度は首筋に唇を押し当てた。
「・・・・やっ・・・・!」
瑞稀の可愛らしい高い声が聞こえ、ますます中津は燃え上がる。
「あかんやん瑞稀・・・。そんな可愛い声出してもーたら・・・俺・・・・抑えられへんやん・・・」
瑞稀の耳元で熱っぽくささやきながら、また唇を首筋に落とし肩の方に向かって滑らせる。
「んっ・・・!」
耳元で熱い囁きを受け、体がゾクリと震えてしまった。首元がぞくぞくする。
「中津・・・やめ・・・・」
後ろから中津に抱きかかえられたまま、首から上だけ後ろを向け中津に抗議をする瑞稀。
その顔は、ほんのりと赤く、困ったようで・・・
あまりにも色っぽい顔で・・・中津は吸い寄せられるように瑞稀に口付けた。
「っ!!!」
驚いた瑞稀は慌てて逃れようとしたが、それより先に中津の右手に後頭部を押さえつけられ動けなくなった。
「んん・・・!」
なんとか抗議の声をあげるが、口を塞がれているためくぐもった声にしかならない。
そのうち、ぬるりとしたものが唇に当たり、びっくりした拍子に今度はソレが口の中へ侵入してきた。
「んーーーーー!!!!」
他人の舌が自分の口の中へ入ってくるなんて初めての経験で、瑞稀は固まってしまった。
まさぐるように縦横無尽に口の中を侵され、だんだん体の力が抜けていく。
奥のほうで縮こまっていた舌を吸い上げられ、絡み取られ、頭の中が真っ白になっていく。
無我夢中で瑞稀の唇を味わっていた中津は、瑞稀の力が抜けたのを良いことに、身体を自分の方へ向けながらそっと後ろへ押し倒した。
頭を右手で支えながら、左手で瑞稀の腰を支え、ゆっくりと瑞稀を横たえる。
執拗に絡みつく中津の舌に翻弄されている瑞稀は気づかない。
そっと目を開けて瑞稀の顔を伺うと、至近距離でぼやけてはいたが、瑞稀は眉間に皺を寄せて必死な顔をしていた。
かわえぇ・・・あかん、もう止まらん・・・
激しい口付けはそのままに、中津は瑞稀のベストのボタンに手をかけた。
プチ、プチとボタンが外れていく。上から順番に外され、最後のひとつが外されても瑞稀は気づかなかった。
完全に前開き状態になった瑞稀の白い素肌に中津の右手が触れた。
「ん!!!」
その刺激に瑞稀の意識は覚醒した。
慌てて顔を右に背け中津の唇からやっと逃れた。
「だめっ!!!」
声を上げ、今度は中津の手から逃れようと身体をよじったが、大きな身体の中津の体重がかかっていて逃れられなかった。
中津の手が瑞稀の小さな膨らみへ到達した。
「ぃやっ・・・!」
「・・・・ん?」
男の自分とは違う、柔らかな感触に中津は不思議に思い顔を上げた。
その隙にバっと両手で胸を覆う瑞稀。
顔を真っ赤にして、目の端に涙を浮かべて・・・その胸元に目を落とすと、両手で胸を寄せ押さえつけているせいで谷間が覗く。
「み・・・瑞稀・・・おまえ・・・・・」
あまりの驚きで二の句が告げられない。
「・・・・・・」
瑞稀は何も言わず、真っ赤な顔を背け唇を噛み締めている。
「その胸・・・」
中津がぼそっと口にすると、瑞稀は思い切ったように中津を真正面から見据えた。
「・・・そうだよっ・・・!俺、俺・・・オンナなんだよ!」
真っ赤にした顔でキっと中津を睨み上げ、瑞稀はとうとう白状した。
185名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:26:21 ID:NoEC+psA
突然の瑞稀の告白に中津はしばらく放心状態だったが・・・・
「・・・ほーなんか・・・。いや、そっか・・・。うん、なんや・・・納得するわ・・・・」
「・・・・え?」
妙に落ち着いた様子の中津に瑞稀も少し困惑する。
「ほら、だって、俺ホモやないはずやし・・・なんで瑞稀のことこないに好きになるんか、やっとわかったってゆーか・・・」
「・・・・・」
「でも、これでもう何の問題もないな。スッキリした」
「・・・え?」
やけにサッパリした顔の中津に今度は怪訝な表情を浮かべる瑞稀。
「俺は男。瑞稀は女。何の問題もあらへん。ちゅーことは・・・瑞稀を抱ける!」
「はっ!?」
ニッコリ笑顔で微笑んで、いきなり中津がまた覆いかぶさってきた。
急なことで両手に力を入れ忘れ、片手で簡単に両手首を捕まれ頭上に押さえつけられた。
そのまま反対側の手で、瑞稀の小ぶりな胸をぐっと掴まれた。
「あっ!!」
突然の刺激に驚いて声をあげる瑞稀。
すかさずその口元目掛けて中津が熱い唇と舌を滑り込ます。
「んんっ!」
荒々しいキスに、大きく揉まれる胸。
急に性急になった中津からの激しい刺激に瑞稀は翻弄された。
暴れることも忘れ、ただ必死に中津のキスを受け止める。
強く揉まれている胸も、痛いような痛くないような・・・なんだか変な気持ちになってくる。
瑞稀に抵抗する余裕がないのを見て取ると、両手を拘束していた手を外し、
瑞稀の身体のラインをなぞるようにその手を滑らせていく。
腰のあたりを撫ぜると、ビクビクっと瑞稀の身体が跳ねる。
「ん・・・んん・・・」
中津に塞がれている口元から、堪えきれず声が漏れる。
それに気を良くした中津は、先ほどから存在を主張している瑞稀の可愛い胸の頂をこりこりと刺激してみた。
「んんっ!」
激しく反応する瑞稀。中津は瑞稀の唇を解放してやり、
「瑞稀、気持ちええん?」
耳元で熱く問いかける。
「ちがっ・・・あぅっ・・・!」
抗議の声を上げようとした瑞稀だが、今度は両方の胸の先端を弄られ、抗議の声は喘ぎ声に消えた。
「瑞稀・・・・めっちゃ可愛え・・・」
瑞稀の前髪を片手で払いながら、そのまま手を頬に滑らせる。
「ほら・・・俺、もうこんなになってもーてんねん」
中津は瑞稀の太ももに、ズボン越しからでも分かるほど熱く大きくなっている自分のモノを押し当てた。
「きゃっ・・・!」
瑞稀は驚いて逃れようとしたが、また中津に押さえつけられた。
「ほらな・・・。えらい硬くなってもーてるやろ・・・・?瑞稀が可愛えからやねんで・・・?」
中津は熱い自分をぐいぐいと押し当てながら、瑞稀の鎖骨にキスをした。
そのまま唇を滑らし、先ほどまで指で弄んでいた胸の頂をパクっと口に含んだ。
「あぁ!」
また違う刺激を与えられ、瑞稀は顎を仰け反らせて声を上げた。
左手で胸を揉みしだきながらその先端を口に含み、右手は腰から下へどんどんと侵攻していく。
一旦太ももまで撫で上げたあと、短パンの裾から手をいれ下着の上から大事な場所の近くを撫ぜた。
「やっ!だめっ・・・!!」
慌てて膝を曲げ中津の手の侵入を拒もうとしたが、逆にそれが中津にとって良いタイミングとなってしまったようで、
一気に短パンと下着を下ろされてしまった。
膝で引っかかってしまったが、器用にまた足先まで滑らし、完全に脱がされてしまった。
守ってくれるものが何もなくなり、両手で中津の胸を押し上げ瑞稀は逃げようとするが、
すかさず足の間に中津の身体が入り込みぎゅっと抱きしめられる。
「瑞稀・・・ほんまに俺おまえが好きやねん。おまえが欲しい」
真面目な声で懇願してくる中津に、瑞稀はどう言って良いのかわからなかった。
中津は・・・好きだけど・・・でも・・・俺は・・・
186名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:27:22 ID:NoEC+psA
瑞稀が固まりながら困っていると、中津が顔を上げてじっと見下ろしてきた。
真剣な顔だ。
「中津・・・・・」
こんなに真剣な瞳で見つめられると困ってしまう。
「瑞稀・・・好きや・・・」
先ほどの性急なキスとは違い、優しく、触れるようにそっと口付けられた。
ついばむような優しいキスに、うっとりしてきた。
唇を軽く舐めたり、ちゅっと音を立てて吸ったり、瑞稀が大人しくなったのを良い事に、
中津は瑞稀の柔らかな唇を十分に堪能していた。
その間に自分のズボンを下着ごと下ろし、横へ脱ぎ捨てた。
瑞稀の太ももに手を置き、徐々に滑らしながら・・・そっと瑞稀の女の部分を撫で上げた。
「ひゃあっ!」
今まで誰にも触れられてことのない場所を撫でられ、瑞稀は驚いた。
「だ・・・だめだめ!中津やめて!」
中津の胸を両手でドンドンと叩き抵抗したが、中津がぬっと指を瑞稀の前に差し出した。
「見て瑞稀。ほら、こんなに濡れてた」
中津の指はぬらぬらと光っていた。
かぁっと瑞稀の顔が赤くなる。
もう一度その手を戻し、今度は探るように撫でさすった。
「あっ・・・あぁ!」
瑞稀の手が中津の両腕を掴み、瑞稀は与えられる刺激に必死に耐えていた。
「ほら、気持ちええんやろ?」
入り口付近をぐちゅぐちゅと刺激すると、ますます喘ぎ声が上がる。
「あ・・・ん・・・やっ・・・!」
そのまま少し指を上にずらし、ぷくっと存在感を主張する花芽を刺激してやった。
「ああぁ!!!」
今までになく高い声が上がり、中津の腕を掴む瑞稀に一層力がこもる。
ぐりぐりとそこを刺激すると、腰がびくんびくんと跳ねる。
「ここが気持ちええん・・・?瑞稀・・・」
見たことの無い瑞稀の女っぽい顔に、自分がそうさせているんだと思うと中津も自然息が荒くなる。
「あ・・っ、くっ・・・!」
このまま瑞稀の堪える顔を見ていたい気もしたが、そろそろ自分が限界だった。
中津の手の動きが止まると、はぁっと瑞稀が大きく息をつきぐたっと身体の力を抜いた。
中津は体制を整えると、瑞稀の両足を抱え込みぐっと腰を突き出し狙いを定めた。
「瑞稀・・・いくで・・・」
ぐぐっと腰を押し当てる。
気が抜けていた瑞稀だったが、熱く大きな刺激に反応する。
「やっ!中津・・・っ!!」
「瑞稀・・・力・・・抜いて」
瑞稀が上体を起こしたせいで力が入り、ただでさえ狭い入り口が余計きつくなった。
中津は瑞稀をゆっくりと押し倒し、もう一度腰を押し進める。
「いたっ!中津痛いっ!無理っ」
引き裂かれるような痛みに逃げようとする瑞稀の腰を掴み、逃がすまいと押さえつける。
「瑞稀、ちょっとじっとして、落ち着いて・・・」
何分中津も初めての経験で、何とか奥まで押し進めるのに必死だった。
「んーーー!いたいーー!」
涙をぽろぽろこぼしながら暴れる瑞稀に、
悪いと思いながらも痺れを切らして思い切り奥までぐいっと腰を押し進めた。
「ああぁぁぁ!!!」
「くっ・・・!」
187名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:27:58 ID:NoEC+psA
ぎゅうぎゅうと締め付けてくる瑞稀の中で、早くも果てそうになってしまうのを必死で堪える。
瑞稀は眉間に皺を寄せて涙を流している。
「ごめん・・・ごめんな瑞稀。でも・・・俺めっちゃ嬉しい・・・・」
強く閉じていた瞳を開いて瑞稀は中津を見た。
見たことの無い中津だ。少しつらそうに眉間に皺を寄せて・・・
中津も・・・痛いのかな?
瑞稀の涙が止まったのを見て取ると、
「瑞稀、動くで」
そう言って中津はゆっくりと動き始めた。
「う・・・うぅ・・・っ」
痛さのあまり瑞稀は顔を歪めていた。
瑞稀の中は思いのほかきつく、中津は歯を食いしばって堪えていた。
もうちょっと・・・もうちょっと瑞稀にもええ気持ちさせてやりたい・・・・
腰を掴んでいた手を離し、動きは止めず両胸を揉みしだいた。
「んっ・・!」
少し瑞稀の声が変わった。
そのまま胸の頂も刺激しつつ、律動を続ける。
「んっ、んっ、んっ」
動きに合わせて瑞稀の声が上がるようになって来た。
「なぁ瑞稀・・・・、気持ち、良く、なってきた・・・?」
自分自身も堪えているため、途切れ途切れにしか話しかけられない。
「んん・・・・!」
まだ必死に目を閉じて耐えている瑞稀に、少し角度を変えて突き上げてみた。
「あぁっ!」
首を仰け反らせて瑞稀が喘いだ。
「ここが、気持ち、ええんかっ・・・?」
同じところに狙いを定めてスピードを速めて突いてみる。
「あぁっ、あっ、あんっ!」
瑞稀の声音が完全に変わった。先ほどまでの痛みに堪える顔ではなく、眉を寄せて気持ち良さを耐えているような顔だ。
「瑞稀、瑞稀・・・・俺、もうアカン・・・!」
喘ぐ瑞稀にさらに興奮してしまい、もう自分が堪えられそうになかった。
一気にスピードを上げ、激しく瑞稀を突き上げる。
「あっ、やっ!あぁっ!」
「・・・・くっ!」
奥深くへ根元まで突き刺し、ビクビクっと震えそのまま瑞稀の中へ熱い塊を吐き出した。
そのままドサっと瑞稀の上を倒れこむ。
「はぁ・・・はぁ・・・・」
お互いの心臓がバクバクいっているのが密着した素肌越しに伝わってくる。
「・・・瑞稀・・・」
「・・・・・」
問いかけても瑞稀の反応は無い。
「瑞稀、堪忍な。・・・でも、俺ほんまにおまえが好きで・・・」
「もういいよ」
「え?」
もういいとはどういう意味だろうか、上体を起こして瑞稀の顔を見つめる。
まだ呼吸も荒く頬を赤らめた顔の瑞稀。
ほんのり唇が開いており、投げ出された肢体が白くて艶かしくて・・・
アカン。俺、また・・・
「あっ!」
まだ中に入ったままだった中津の変化に瑞稀が気づいたらしく、顔を真っ赤にした。
「中津っ!1回きりなんだからな!!もうダメ!」
瑞稀が逃げようとしたが、ガシっと肩を押さえつけて、
「1回きりって?そんな風に割り切ってくれたん?じゃあ怒ってないん?」
「怒ってるよ!・・・でも・・・・最終的に同意しちゃったみたいなもんだから・・・俺も悪いっていうか・・・」
「同意してくれたん!?ほんなら何の問題もないやんか♪もっかいやろーvv」
よいしょを瑞稀の足を抱え上げる。
「・・・あっ!・・・ってちょっと中津!ちがっ・・・!!!」

瑞稀の抵抗もむなしく、もう1ラウンド開始したのだった。
188名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 14:28:32 ID:NoEC+psA
以上です。長くてスマン・・・
189名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 16:00:13 ID:s8o4bR0O
すげぇよ^^
190名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 17:24:13 ID:uY9BvSZn
GJ!!!!!!!
やっぱり中津は関西弁に限るな〜
191名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:05:00 ID:g6nR1JDT
>>188さんGJ!! 
関西弁の中津が新鮮で面白かったです。


>>147-153 の続編
ドラマ版の佐野×瑞稀
>>172-175 の後半部分を投下します。

192名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:09:15 ID:g6nR1JDT


「…なーに言ってんだよ!気のせいだって。
 俺が中津の事、さけたりするはずないだろ?
 …俺達…友達だろ?」

瑞稀は、不安そうな顔で見つめる中津に、優しく話しかけた。
中津の呼吸が荒くなり、瑞稀との距離が近づく。

「……瑞稀…もっ…もし…
 お…俺が…おまえの事…す、す…すっ……」

「……す…?」首をかしげる瑞稀と目が合い、
中津の瞳に、キラキラとピンクの花が飛ぶ瑞稀の顔が映った。

「ぅおっ!」中津が突然鼻を押さえて倒れこんだ。

「おいっ中津…大丈夫?!」
鼻血を流して倒れ込んだ中津に、瑞稀がハンカチを差し出した。
「もう、しょうがないなぁ…ほら、ここを手で押さえて」
中津の鼻血を拭いてやりながら、
「なーんか、しょっちゅう鼻血出して…中津っておかしいよなー」
と瑞稀がケタケタ笑い出した。
無邪気に笑う瑞稀を見て、中津は「……瑞稀」と口をつぐんだ。

「ほら、肩貸してやるから保健室に行くぞ」
「……おう」
瑞稀の肩に触れて、さらに鼻血が流れるのを感じつつ
中津と瑞稀は肩を組んで、ゆっくり歩きながら校舎に戻っていった。

佐野はその後ろ姿を、複雑な気持ちで見送った。
「余計…まずい事になってきたな…」と大きなため息をついた。

193名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:12:10 ID:g6nR1JDT


その夜、シャワーから出てきた佐野は、上半身裸のまま髪を拭きながら
ふと見上げると、ロフトの上の瑞稀と目があった。

「…なに見てんだよ」
「ん…なんか、だんだんイイ体になってきたなーと思ってさ。
 トレーニングの成果が出てきてる…よな」
「……そうか?」佐野はそっけない返事をして、ロッカーの扉を開けた。

「…佐野、今日…俺が中津に呼ばれてついてった事…気にしてる?」
「…………」佐野は無言でTシャツを取り出し、ロッカーの扉を閉めた。
「ねぇ…佐野、怒った…の?」
「……別に、怒ってねーよ」

瑞稀はロフトから飛び降りると、後ろから佐野に抱きついた。
「…俺が好きなのは、佐野…佐野泉だけ…」
素肌の背中から体の中を伝わって、瑞稀の声が佐野に響いた。


ポタッ……佐野の髪から水が滴って床に落ちるのと、
佐野が振り返って瑞稀の唇を奪ったのは、ほぼ同時だった。


佐野は瑞稀のすべてを奪うように、激しいキスを繰り返した。
佐野が舌をからめる動きに合わせ、必死で瑞稀もそれに答える。
「…んっ…んっ…」と瑞稀から苦しげな声がもれると、
息のあがった二人の唇が、糸を引きながら離れた。
佐野からぎゅっと強く抱きしめられ、ためらう瑞稀の頬に
佐野の濡れた髪が触れて、同じシャンプーの香りがした。

194名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:18:42 ID:g6nR1JDT


「…佐野…どうした…の?」瑞稀が小さくつぶやいた。
「……俺以外の奴を…優しく見つめないでくれ」
「…中津の…事?」
佐野は再び瑞稀の唇を強引に奪うと、ベッドに押し倒した。
瑞稀の腕を両手で押さえつけ、足の間に自分のひざを割り込ませた。
「あっ…」今までにない佐野の荒っぽさに、瑞稀は驚きの声をあげる。

「…おまえの口から、その名前は聞きたくない」

瑞稀の唇に、佐野の熱い唇と舌が音を立ててからみついた。
Tシャツの間から手を差し込み、力まかせに胸を下から撫で上げる。
瑞稀のTシャツを掴んで一気に脱がせると、ふたつの膨らみがあらわになった。
薄いピンクの頂を口に含み、舌で転がすと濡れた頂が固くなり、瑞稀が身をよじる。
強引な口づけに、瑞稀の真っ白な胸のまわりに、いくつもの赤い花が散った。
瑞稀が喘ぎながら「…見える所は…ダメ…だよっ」と言うと

「俺だけのものにしたいんだ…」と佐野が低い声でつぶやいた。

瑞稀の残りの衣服を、すべて剥ぎ取って投げ捨てた。
後ろから瑞稀を抱きすくめ、そのままの姿勢で倒れこむと
片手で胸を撫で上げ、もう片手を瑞稀の敏感な部分にすべり込ませた。

瑞稀の中心を撫で上げると、そこはすでに潤みきっていた。

「…まだ触ってもいないのに…あふれてる」と佐野が耳元でささやくと
瑞稀は、体の中心がしびれるような感覚に震えた。

「……もう…ダメなんだ…佐野じゃなきゃ……あぁっ!」
佐野の手が急に激しく動いて、瑞稀は快感の波にのまれた。
容赦なく蠢く指に翻弄され、瑞稀のからだが仰け反った。
「ぅ……ん……ぁあ…っっっ!!!」
瑞稀はガクガクと痙攣し、そこから潤いがあふれ出て佐野の手を濡らした。

195名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:25:35 ID:g6nR1JDT


佐野が脱ぎ捨てたスウェットと下着が床に落ちると
均整のとれた佐野の体が動き、華奢な瑞稀の体の上に重なった。
瑞稀の片足を持ち上げると、佐野は自分の肩にかけた。


「……いくぞ」

瑞稀のあふれきった部分に、熱いものがこすれるように前後し
その感触に瑞稀が喘いだ途端、佐野が瑞稀を一気に貫いた。

「……………!!!」
瑞稀は熱く大きな衝撃に、体の奥まで満たされた。
ゆっくりと動き出した佐野を、瑞稀は艶めいた表情で見上げた。
佐野の筋肉質な上半身が動くたびに、濡れた黒い髪がゆらめく。

二人の荒い息遣いと、お互いの体がぶつかる湿った音が響いて
ねっとり絡みつくような瑞稀の中の感覚に、佐野からため息がもれた。

瑞稀の白くなめらかな肌が赤く上気し、ふたつの膨らみがゆれ動く。
全身を襲う、震えがくるような深い快感にこらえきれず、
「…あっ…ああっっ!!」と瑞稀が高い声を上げると
「…おい…外に聞こえるぞ」と佐野が瑞稀をうつ伏せにした。
瑞稀は枕に顔をうずめ、両手で枕を掴みながら必死に声をこらえた。

佐野が後ろから瑞稀の腰をかかえ、ひざをついた姿勢で重なり合う。
瑞稀は体に力が入らず、上半身をベットに沈みこませた。
佐野が瑞稀の腰を片手で引き上げ、そこにあてがうと後ろから突き上げた。
瑞稀は激しい動きに揺さぶられ、体の中をかき回される快感に身をゆだねる。
声が出そうになる度に枕に顔を押し付け、肩を上下させて身悶える。

瑞稀を激しく突き上げながら、佐野が片手をすっと前の方に伸ばし
繋がったままの瑞稀の敏感な前の部分を撫であげ、揺するように刺激した。
瑞稀はその強烈な刺激に大きく震え、佐野を中から締めあげた。
「…っっっんぁぁぁぁぁーーーーー!!!」
瑞稀の叫び声が、枕にかき消されながら響いた瞬間、
佐野が腰を引いて、白い雫が瑞稀の背中に飛び散って流れ落ちた。

佐野は肩で息をつきながら、瑞稀の隣にゆっくりと倒れこんだ。

196名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:29:32 ID:g6nR1JDT


「……み…ずき」

お互いの浅い息遣いだけが聞こえる部屋の中に
佐野の少しかすれた声が響いた。

(………!)


「…瑞稀」

さっきよりも、はっきりと聞こえた。

瑞稀は手を伸ばし、濡れた髪がかかる佐野の頬にそっと触れた。
そのまま唇に手を滑らせ、瑞稀がつぶやく。


「今、初めて…ここから聞こえた…」


佐野は瑞稀の手を握ると、自分の胸の上に置いて押しつけた。


「…ここでは、いつもそう呼んでた」


瑞稀の手の平に、ドクン、ドクンと佐野の鼓動が伝わった。


「うん…聞こえる…聞こえてたよ……泉…」



瑞稀は佐野の胸に顔をうずめて瞳を閉じた。

197名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:33:40 ID:g6nR1JDT


ドアの外に息をひそめて座り込む影があった。


「……ダメなんだ…佐野じゃなきゃ…あっ…」
途切れ途切れの瑞稀の声が聞こえた。

しばらくして
「…あ…ああっ…」という瑞稀の高い声と
「…おい…外に聞こえるぞ…」という佐野の声がした。

間違いなく、瑞稀と佐野の「あの」声だ。



中津は鼻血で汚れた瑞稀のハンカチを、寮の洗濯室で
きれいになるまで丁寧に洗い、アイロンをかけて乾かした。
消灯前に、それを返そうと部屋の前に立った時、
瑞稀の「その声」がかすかに聞こえ、一瞬でその場に固まった。

頭に血が上り、ひざが震えてその場に座り込むと
おもわずドアに耳をつけ、聞き耳をたててしまった。


なんてこった…!!
瑞稀は…佐野とこんな関係だったのか…

中津は頭の中が混乱し「落ち着け…俺!」と心の中で何度も唱えた。

いつから…いつからなんだ…?
はっ…そういえば最近、瑞稀が俺をさけるような態度だったり
寝不足とかで眠そうだったのは「この」せいだったのか??


どうすればいいんだーー俺!!
佐野と瑞稀がゲイだったなんて…ホモだったなんてーーー!!!


中津はとんでもない勘違いをしながら、心の中で叫んだ。

何かに押し付けられたような、瑞稀の叫び声が聞こえた直後、
中津は流れ落ちる自分の鼻血に気がつき
せっかくきれいに洗った瑞稀のハンカチで押さえた。

198名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:37:12 ID:g6nR1JDT


「うぅっ」
よろめきながら、忍び足で中津は自分の部屋に戻った。
部屋に入ると、消灯時間が過ぎた暗闇の中から萱島の声がした。


「…中津…なんかスゴイ色のオーラがでてるよ」


「ううっ……しばらく俺をほっといてくれ…」と呻いて
涙と鼻血に濡れた顔で、中津は自分のベットに倒れこんだ。

「…なんか、複雑そうだね……おやすみ」萱島が声をかけた。

その後、中津のすすり泣く声が暗闇に響いた。


暗闇の中で萱島がスーッと足音もなく動き、
いつのまにか中津の枕元に立って、中津に両手をかざした。
暗闇でポッと萱島の両手が一瞬光った。

すぐに中津の泣き声がおさまり、静かな寝息にかわった。


「…中津も大変だね…今日ぐらい、ゆっくり休みなよ」


次の日の朝、瑞稀のハンカチをにぎりしめて目を覚ました中津は
昨夜の事を、まったく覚えていなかった。

「おはよう、中津………鼻血ついてるよ」

「どわっ!寝てる間にヘンな夢でも見たか…俺!」

あわてて洗面所に走っていく中津。


萱島は無表情のまま両手を上げて、静かに微笑んだ。




 〜〜〜完〜〜〜

199名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:41:26 ID:g6nR1JDT

途中、中津×瑞稀も書きたかったのですが、
ドラマの「中津=鼻血」のイメージが強すぎて
中津への嫉妬に燃える佐野×瑞稀のみになってしまいました。
中津ファンの方ごめんなさい。

またドラマが進んだら、そのエピを取り入れて投下します。
もしリクエスト、感想があればお願いします。
200名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 18:55:44 ID:C4xJdM0b
GJ!そして乙です!
中津×瑞希も読んでみたいなあ
201名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 23:18:55 ID:w6isZ3wN
>>191さんGJ!
やっぱり独占欲の強い佐野がいいな〜。


ドラマ版 佐野×瑞稀投下します。これより5レス(予定)使用。

エロなしですが、一応エロありの続編を想定してまして、
その前フリ話になります。
それでもダメな方はスルー願います。
202201:2007/08/01(水) 23:20:01 ID:w6isZ3wN
さっきからシャワーの音が聞こえる。
その音を聞くと、佐野はひどく落ち着かない気分にさせられる。
別に、今初めてのことではない。
彼のルームメイトの正体を知ってからは、ほぼ毎日のように。

バスルームの磨りガラスの窓から、輪郭の曖昧な白い肢体がちらちらと見える。
佐野は努めてそちらの方を見ないようにしていたが、どうしても気になってしまう。
寮の部屋の内装を担当した人間を、佐野は心から呪ったが、
そもそもここは男子寮なのだから、バスルームの内部が多少見えようが何だろうが、
気に病む必要は皆無なのである――本来ならば。
ふうっ、と佐野は溜息を一つついた。

普段は意識の外に置いている、芦屋瑞稀が女であるという事実にこうやって直面させられる度に、
彼女を日本に残すよう、彼女の兄に進言したことが、果たして正しかったのか否か自問させられる。
瑞稀の抱えている負い目を取り除いて、笑顔で帰国してもらう。
そのためにも、自分はもう一度跳ぶ。
――それが佐野の選択であり、その選択に後悔はない筈なのに、
こうして瑞稀を側に置いていることに、時折ふと迷いを感じてしまう。

「佐野、弟を頼む」――瑞稀の兄・静稀のメッセージは、
一見佐野に対する信頼感の表れのようでいて、
その実、「弟」の一語で佐野を牽制しているのではないかと考えるのは、穿ち過ぎだろうか?
どちらにしても、それが覆されるのは、そう遠い未来ではないように佐野には思えた。
203201:2007/08/01(水) 23:20:25 ID:w6isZ3wN
「お先ー。…あれ、どうしたんだ、佐野?」
入浴を終えた瑞稀は、机の脇で所在なげに突っ立っている佐野に、怪訝な顔を向けた。
「…別に」
「ふーん」
佐野の素っ気ない返事にはもう慣れてしまった瑞稀は、
大して気にも留めずに、ロフトへ向かった。
もう一度、今度は小さく吐息をついて、佐野も自分のベッドに向かった。

横たわり、読みかけの文庫本を開きかけた時だった。
部屋の対角線側から、ドタドタッと大きな音がしたのは。
顔を上げると、瑞稀がロフトの階段上にうつぶせになって倒れていた。
「おい、どうしたんだ!?」
「ふぁいだんに、ふぇひゅまついふぁ…」
何を言っているのかよくわからないが、どうやら階段にけつまずいたらしい。
「立てるか?」
佐野は手を貸して、瑞稀を抱き起こした。
彼女がいま少し敏感であったなら、佐野の転校初日の対応との違いに気づいたかもしれない。
瑞稀は気づかなかった。佐野の対応の変化にも、その内側の変化にも。
「どっか怪我は?」
壁に寄りかからせるようにして立たせる。顎の下から、シャンプーの甘い香りが立ち上った。
佐野がわずかに眉をひそめた。
「おう、だ、大丈夫。助けてくれて、ありがとな」
作った低い声に男言葉。やっぱりどこか不自然で無理があった。
繊細な顔立ちも、肩に届くか届かないかぐらいの身長も、
線の細さも、腕にすっぽり包み込まれそうな華奢な身体も、
そして、触れた時に感じる柔らかさも。
言われるまで気づかなかった自分が低脳だとさえ思えるほどに、
芦屋瑞稀が女であることを示している。
204201:2007/08/01(水) 23:20:48 ID:w6isZ3wN
濡れそぼったショートヘアの下から、零れ落ちそうなほどに大きい瞳が佐野を見上げる。
アメリカの少女の容貌を、佐野は克明に覚えているわけではない。
暗かったし、何より非常時で、相手の顔をじっくり観察できるような、そんな余裕はなかったからだ。
けれど、街灯に反射した艶やかな長い髪と、
不安と恐怖におののきながらも煌めいていた瞳は、佐野の印象にも残っている。
それと同じ瞳が、今、目の前にある。
「……佐野?」
気づいたら、瑞稀の唇に自らのそれを重ねていた。

「…ん、んん…、……ん、ん…」
もがく細い身体を壁に押しつけて、佐野は瑞稀の唇をひたすらに貪った。
合わせるだけのキスから、唇を割って押し入り、深いキスへ。
逃げる舌を容赦なく捕らえて、絡ませる。
細い腰を抱き、相手の膝の間に自分の膝を割り入れる。
時間が経過していくごとに、佐野は理性を奪われていった。
「やっ……!」
ふと腕の拘束が緩み、唇がわずかに離れた途端、瑞稀は渾身の力で佐野を突き飛ばした。

――今、俺は何をしたんだ……?
佐野は自分自身の行動と心理の不可解さに当惑した。

視線の先で、瑞稀の濡れた唇がはあはあと荒い息をついている。
その光景は扇情的ではあるものの、
瞳にわずかに浮かんだ涙が、佐野に理性を取り戻させた。
「どう…して…?」
どうして、なんて佐野の方が聞きたい。

初めは鬱陶しいだけの存在でしかなかった芦屋瑞稀。
それは、その内側に抱えているものの重さと、
そこから逃げない強い心を知ることで敬意へと変わり、
今では友情めいた感情さえ抱いている。
けれど、それは異性に対して抱く種類の感情とは、一線を画していた筈だ。
筈――なのに、無意識のうちに彼女にキスをしていた。
それだけでなく、もし突き飛ばされてなかったら、
その先にまで行為は及んでいたかもしれない。
205201:2007/08/01(水) 23:21:14 ID:w6isZ3wN
「…もしかして、佐野、酔ってる?」
少しだけ落ち着いてきた様子の瑞稀が、おそるおそる訊ねる。
「別に酔ってなんかねーけど、何でだ?」
「え、それはその……」
怪訝そうに聞き返され、まさか本当に佐野に自覚症状がないと思わなかった瑞稀は、
口ごもりながらも遠慮がちに彼の酒癖について真相を語った。
「……マジかよ…………」
佐野は「やべぇ」という風に手を口元にやってそっぽを向いた。
瑞稀の説明は控え目であったものの、その表情や口調の端々から、
被害はそれ以上に甚大であったことは、想像に難くない。

それと同時に、佐野の脳裏にはもう一つの場面が浮かび上がっていた。
――「恋愛感情なんかじゃない」
あの時、瑞稀は確かにそう言ったのだった。
だとすれば、酔っているいないにかかわらず、
自分のした行為は、彼女にとっては最悪なわけで。

「悪かった。謝ってすむ問題じゃねーけど」
佐野の口からは素直にこの言葉が出ていた。

けれど、それに対する瑞稀の反応は、少なくとも佐野にとっては意外なものだった。
「謝らなくていいよ」
「…え?」
気づけば、瑞稀は階段を駆け上がっている。
そして、ロフトの上から佐野に向かって小さく叫んだ。
「お願い、謝らないで!」
「……どういう意味だ?」
佐野の問いには答えず、瑞稀は自分のベッドに行ってしまった。
「何なんだよ…」
主の姿の見えないロフト部分に向けられた佐野の呟きは、虚しく虚空に消えていった。
206201:2007/08/01(水) 23:21:55 ID:w6isZ3wN
ベッドに寝転がった佐野の目蓋の裏に、様々な瑞稀の表情がぐるぐると巡っている。
――「謝らないで!」
――「どう…して…?」
――「やっ……!」
――そして、彼女の涙。

泣かせたくなんてないのに。
笑っていてほしいと思うのに。

いつか、瑞稀をアメリカに帰すために冷たい言葉を放った時のことを思い出す。
あの時と同じように、一瞬、ベッドを叩きつけたい衝動に駆られた。
自分自身に対する苛立ちや歯がゆさ、やるせなさが佐野の胸を支配している。

泣かせたくなんてないのに。
笑っていてほしいと思うのに。

……その感情を何と呼ぶのか、そして瑞稀の最後の言葉の意味も、
佐野は、まだ、知らない。

                        完
207201:2007/08/01(水) 23:22:17 ID:w6isZ3wN
以上です。続編は書け次第投下したいと思います。
208名無しさん@ピンキー:2007/08/01(水) 23:49:45 ID:d9Gvq0la
>>201さんGJ!
ドラマ版の佐野は、なかなか瑞稀に恋愛感情を自覚しなさそうな雰囲気ですが
こういう展開になってくれればいいなーと自分が妄想している内容に直球ストライクです。
続きもヨロシクー!
209名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 01:14:41 ID:74CIxFYw
ドラマ版の佐野×瑞稀でお願いします。
210名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 01:21:15 ID:Uyr/K1a8
とりあえず、ここに画像でも張っとけ
http://yotabach.dyndns.org/
211名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 00:08:45 ID:Byfej0qN
前に瑞希が前からと後ろからでヤられてるのあったな
212名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 00:14:33 ID:wEmC/guE
>>201さん続きまだー?
楽しみにしてるwktk
213名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 09:42:04 ID:vQ/z7a+0
>>209さんと同じく
ドラマ版の佐野×瑞稀お願いします。
214名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 17:46:26 ID:0KEodvz7
おとなしく保守だけして待ってなさい
クレ厨は嫌われます
215名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 14:28:27 ID:japPkG0D
GTO見るとちょっとだけ悲しくなります
216名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 17:33:00 ID:NtRheMpv
なんで??
217名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 21:04:39 ID:U653Q9qZ
小栗だろ?
釘をさしておくが、中の人の話はナシの方向でね。
218名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 22:51:29 ID:m6iqjdhe
ここイイハナシ多いなぁ〜みんなGJだ!

ドラマ版とか注文だしてる人、頭固いの?
原作版でもドラマ版でも、読み手が脳内補完したらいいだけ…
せっかく書いてくれた人に失礼ではなかろうか。
219名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:00:12 ID:/hZinY59
今日のキャプ まきまきのパンチラキャプもあたー
http://2server.harikonotora.net/tv/pc/img.php?src=../src/206-21.jpg
220名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 22:21:18 ID:vtqe31/8
投下します。
初めてなので拙いと思いますがお許しを…。

関西弁の中津×瑞稀です。
関西弁が苦手な方はスルーお願いします。
221220:2007/08/07(火) 22:22:41 ID:vtqe31/8
中津が目を覚ますと、瑞稀の部屋に居るのは自分一人だった。
佐野が合宿で居ないので瑞稀が寂しいだろう、と遊びに来て
瑞稀お気に入りのMDを聴いているうちにうとうとしてしまったようだ。

瑞稀はどこいったんやろ?

と思った途端に、今まで気づかなかった水音が耳に入った。

なんや、瑞稀はシャワーかぁ……ってシャシャシャシャシャシャワー!!!
あかん、何どきどきしてるねん、俺は!
あほやな、あそこでシャワー浴びてるんは男やぞ
そうや、男や、どんなに可愛くても男なんや、うんうん

と自分に言い聞かせているうちに、ふと気づいた。

そういや瑞稀と一緒に風呂もシャワーも入ったことなかったなぁ…
そうや!瑞稀の裸を見て、つくモンついてるのを見たら
俺のこの気持ちもおさまるかもしれへん!
もともと俺はホモやないはずやし…よし、ものは試しや!
一緒に入ったれ!!
もしついてるのん見ても好きやったら……それはしゃーないやろっっ!

と心を決めた中津は勢いよく立ち上がり、勝手知ったる佐野のチェストから
バスタオルを取り出すと、服を全部脱いでシャワールームに向かった。
シャワールームのドアノブをそっと掴んで回してみると、
瑞稀はしっかり鍵をかけている。
だが、こんなことでくじける中津では無い。
器用に外から鍵を外し、明るく声をかけながらドアを開けた。
「瑞稀〜、一緒にシャワーしようや…ぁ…」

思いっきりドアを開けた中津の目に飛び込んできたもの───

それは、泡だらけの髪に両手を突っ込んだまま、上半身だけをこちら向きにひねり
目を丸くする瑞稀の姿だった。

両手を挙げているせいで無防備に晒されている瑞稀の体。
華奢な背中から、細い腰に流れるしなやかなライン。
小振りで形の良いヒップ。
そして何より、斜めにこちらを向いている胸の柔らかなふくらみ。

これらが一瞬で中津の目に焼きついた。
と、次の瞬間
「きゃーーーーーっ!ばかっ、いやっ、出てってーーーーーーっ!」
瑞稀が叫ぶなり、シャンプー、リンス、石鹸、洗面器など
あらゆるものが中津目がけて飛んできた。
「うわっ、すまん」
と言って外へと飛び出て、後ろ手にドアを閉めた中津は
その場に座り込んでしまった。

嘘やろ、俺が今見たのはなんやねん…
瑞稀の胸についてんは…あれは、あれはまさしく…

しばらく呆然としていた中津だったが、今みたばかりの瑞稀の姿が
脳裏に蘇り、鼻から生暖かい液体が流れ落ちる。
慌ててバスタオルで押さえた中津の胸に歓喜がこみ上げてきた。

そうかぁ!俺はやっぱりホモやなかったんや!!
そらそうやで、あんなに可愛い男がおるわけないもんなぁ
瑞稀の体、綺麗やったなぁ……
222220:2007/08/07(火) 22:24:33 ID:vtqe31/8
ふとバスタオルから更に下に目をやると、足の間から力強く天を向いている
己のモノが目に入る。
「お前だけは気づいてたんやな…」
中津は感慨深く呟いた。

その時、もたれていたドアからおずおずとした声が聞こえた。
「なか…つ?…出てもいいか?」
「おっ、おうっ!ちょ、ちょっと待ってくれ」
中津は大急ぎで服を着ると
「出てきてええぞ」
とドアに向かって返した。
ゆっくりとドアが開き、Tシャツにハーフパンツ、首からバスタオルをかけた
濡れ髪の瑞稀が、顔を赤くしながら俯いて出てきた。

「えーっと、その、いきなり開けて悪かったっ!」
しばらく続いた沈黙に耐えかねて、中津が頭を下げる。
「うん、びっくりしたけど…いいよ、こっちも騙しててごめん」
そう言うと、瑞稀はポツリ、ポツリ、とここにいるいきさつを話した。
すべて語り終えると
「せっかく仲良くしてくれたのに、ずっと嘘ついてて悪い……」
と中津に頭を下げた。
「いや、ええねん、ええねん。事情が事情やからしゃーないわ、そんなん。
それよりお前はよぉやったよ。佐野が陸上部に戻ったんも瑞稀の力や。
一人で頑張ったお前は偉いわ」
と言うと、中津は瑞稀の頭を優しく撫でた。
張り詰めていたものが緩んだのか、瑞稀は大きな瞳から
ポロポロと涙をこぼし始めた。
中津は瑞稀を抱き寄せ、自分の胸に瑞稀の顔を埋めさせ
「よしよし、よぉ頑張ったなぁ。一人で偉いで」
とあやすように何度も囁いた。

「ひとりじゃ、…無かった、よ?」
瑞稀がしゃくりあげながら、中津の顔を見上げて言った。
「中津、いつも優しくて、気遣ってくれただろ?
だから、一人じゃなかったんだ。いつもありがとう」
まだ涙を一杯にたたえた瞳のまま、瑞稀は微笑んだ。
その笑顔に、中津は愛おしくて堪らなくなった。
「瑞稀、俺瑞稀が好きや。ずっと前から好きやった……。
お前が男でもかまわんと思ってた。…ほんまに、お前が好きなんや」
そう言うと、中津は瑞稀の顎を捉えて上を向かせ、
ゆっくりと顔を寄せていった。
瑞稀は驚いた顔をしたものの、中津の顔が近づくと、
長い睫毛を伏せて目を閉じた。

中津のキスは優しかった。
何度も唇を触れさせているうちに、次第に瑞稀の唇を深く貪り始める。
瑞稀の後頭部を左手で押さえ、甘く柔らかい感触に我を忘れ、夢中で味わう。
息苦しくなった瑞稀が口を開けたのに乗じ、
深く舌を差し入れ、口中を蹂躙し、舌を弄ぶ。
右手でしっかり抱き抱えていた瑞稀の体から、次第に力が抜けてくるのに気づき、
中津はそっと床に瑞稀をよこたえた。
激しいキスを続けながら、中津は瑞稀の首にかかっていたバスタオルを外し
Tシャツの上から瑞稀の胸にそっと手を這わせた。

223220:2007/08/07(火) 22:28:26 ID:vtqe31/8
触れた瞬間、瑞稀の体がびくっと震えた。
唇を覆われたままの瑞稀は、
「ん〜、んんっ」
とくぐもった声を上げながら、両手で中津の胸を押した。
Tシャツの下には何もつけていなかったのだ。
中津はかまわず唇を首筋の方に滑らせながら、瑞稀の胸に置いた手を
そっと動かした。
手のひらに収まる大きさのふくらみを包み込むように柔らかく揉む。
瑞稀の両手から抵抗する力が抜け、中津のTシャツの胸元を握り締めた。
耳たぶを唇にくわえると
「んっ」
と瑞稀が甘い息を漏らした。
その吐息に、中津は全身の血液が逆流するような興奮を覚えた。

あかん、可愛すぎるっ!もう我慢できへんっ!!

瑞稀の首筋に強く唇を押し当てながら、右手をTシャツの下へもぐりこませる。
直に強く揉みしだきながら、左手でTシャツをめくりあげた。

眩しいほど白い胸と、その頂にあるピンクの蕾が中津の目に飛び込んでくる。
先程からの愛撫で、先端が尖り始めていた。
「瑞稀…綺麗やで…」
中津はそう囁くと、そっと蕾を口に含んだ。
「あんっ、あ…、んっ、んっ……あぁっ」
舌で蕾を転がすと、途端に瑞稀の口からこらえきれない甘い声があがる。
自分が瑞稀にこんな色っぽい声をあげさせていると思うと、中津は嬉しさで眩暈がしそうだった。
右手で片方の蕾をつまんで、軽く捻ったり先端を押しつぶすように刺激する。
もう片方は強く吸い上げ、周りをねっとりと舐め、
唇で挟んで先端を舌先で細かく摺るように弄ぶ。
突然激しくなった中津の愛撫に翻弄され、瑞稀の頭の中は痺れたように真っ白になっていた。
「やんっ、…あっ…ぁあんっ、…んっ…」
口からは絶え間なく声が漏れてしまう。

白い肌を紅潮させ、腰をくねらせて中津の動きに反応する瑞稀。
そろそろええかな、と中津は瑞稀のハーフパンツの中に
素早く右手を滑り込ませた。
下着にも難なく進入した中津の手は、瑞稀の中心に指を這わせる。
すでに潤みきったそこは、中津の指を滑らかに受け入れた。
「やっ、…だめ…なか、つ……ぁあっ」
瑞稀は一瞬体を強張らせたが、初めて受ける強烈で甘い刺激に
恥ずかしさを感じる暇も無く飲み込まれていった。
胸の蕾を唇と舌で刺激し続けたまま、指をそっと沈める。
中津が指を動かす度にくちゅくちゅと湿った音がなる。
あまりの刺激に息を詰めていた瑞稀の耳にもその音は届いた。
更に全身がカーッと熱くなる。

一方中津も、いやらしく乱れた瑞稀の姿に
すっかり余裕が無くなっていた。
瑞稀から体を離して起き上がり、瑞稀の下半身から
衣服を取り払うと、自らのも脱ぎ捨てた。
快感で息も絶え絶えになっている瑞稀の上に覆いかぶさると、
瑞稀の両脚を押し開き、体を進めようとする。
「瑞稀、いくで…ええな…」
荒く息を弾ませながら中津が囁いた。
224220:2007/08/07(火) 22:29:55 ID:vtqe31/8
その声で我に返った瑞稀が、中津の顎を両手で突き上げ
力一杯押し返した。
「わーっ、中津っっ、ちょと待ってーーーっ」
あまりの瑞稀の勢いに、中津の体は横に転がってしまった。
いよいよ、という瞬間での瑞稀の仕打ちに
中津の顔はショックで蒼ざめる。
「瑞稀……俺やったら…嫌、なんか…?」
その切なそうな顔に胸が痛むと同時に、中津が心底愛しくなったが
瑞稀もここで流される訳にはいかない。
慌てて言葉を探した。

「そ、そうじゃなくって!……そうじゃないんだけど、その…」
瑞稀は真っ赤になって口ごもる。
「そうじゃないんやったら、なんやねん?」
「あの……その、ほら…もうっ、馬鹿っ!この前の保健の授業っ!!」
そう叫ぶと、瑞稀は恥ずかしさのあまり
傍にあったバスタオルを顔に押し当てた。

そう言われた中津の耳に、保健の授業で聞いた校医の梅田の声が蘇る。
「お前らいいか、ヤルなとは言わん。だが、生は駄目だぞ。
もし相手が妊娠でもしてみろ、自分も相手も人生設計やり直しだ。
安易に堕ろせばいいじゃん、とか思ってる奴が居るかもしれないけどな、
手術なんてもんは大なり小なり命がけなんだ。
妊娠は、女が断然負担が大きい。心も体もな。
相手が大事なら、きちんとコレをつけろ」
そう言うと、梅田は手にしたコンドームを軽く揺らした。
「それから、相手が大事じゃなかったらつけなくてもいいって言ってるんじゃないぞ。
病気はどこの誰に潜んでるか、外からは分からない。
性病科に駆け込むはめになりたくなけりゃ、やっぱりつけとけ。
今から一人一箱ずつ配るから、ヤル時はちゃんと使えよ。
相手がいない奴は、いざって時の為に練習しとけ。」

そこまで思い返して、中津は我に返った。
「うわっ、ほんまや。瑞稀、すまんっ。お前のことはめっちゃ大事やで!
ちょっと興奮しすぎて忘れてただけで…」
中津のあまりの慌てぶりに、思わず瑞稀は笑って言った。
「うん、わかってるよ」
「で、瑞稀、アレはどこにしまったんや?」
「えーっと、…ベッドの横の引き出し…」
恥ずかしさに真っ赤に顔を染めた瑞稀が、消え入りそうな声で告げる。
「そうか、ほな続きは上でしょーか。ここの床は硬いしな。
瑞稀もベッドの方がええやろ?なぁ?」
「訊くな〜〜〜〜っ!」
真っ赤な顔のまま怒る瑞稀の可愛らしさに惚れ惚れとした中津だが、
ついからかい続けてしまう。
ロフトを指差し、真顔で訊く。
「瑞稀、先行くか?」
「そんなわけないだろっ!」
バスタオルを巻きつけて体を隠した瑞稀が律儀に答える。
「そーか、残念やなぁ」
とニヤニヤしながら、中津が先に上がっていく。
中津は素っ裸のままなので、瑞稀は目のやり場に困っていたが
中津の姿がロフトに消えると、恐る恐る上がって行った。

225220:2007/08/07(火) 22:31:45 ID:vtqe31/8
ロフトの上では、瑞稀の困惑に気づいていた中津が
タオルケットをはおって待っていた。
「瑞稀、どこの引き出し?」
「うん、今出すよ…」
ベッドサイドの小さなチェストの引き出しを開けると
綺麗にアイロンが当たったハンカチがたくさん入っており、
その下から瑞稀は薄い箱を取り出し、中津に手渡した。
「あれ?瑞稀開けてへんやん」
「あ、当たり前だろ。俺が開けてどーすんだよっ」
「まぁ、瑞稀が練習するわけないもんなー。俺はちゃんとしたでぇ。
せやけどそんな格好して『俺』って言われてもなぁ」
滑らかな頬を上気させたまま、巻きつけたタオルをしっかり押さえ
ちょこんとベッドの上に座っている瑞稀は、どこから見ても女の子だった。

うわー、やっぱり可愛いわ、堪らんっ!

下半身に再び血液が集中していくのを感じた中津は、
タオルケットを放り出して、コンドームを取り出した。
練習していただけあって、中津は手早く装着すると瑞稀の方に向き直った。
「瑞稀…好きや……」
掠れた声で囁き、唇を重ねた。
今度のキスは初めから激しく、その勢いのまま瑞稀を押し倒していく。
舌を荒々しく吸い上げながら、バスタオルの前を開いて
強く胸を揉み、先端の蕾を指で転がす。
「あんっ、あっ…んんっ……」
すぐに瑞稀の体がうねるように応えだした。
中津の唇は瑞稀の首筋を滑り降り、もう片方の蕾を含む。
「んっ、あんんっ…」
瑞稀の声が大きくなり、胸を突き出すように体をよじる。
中津の右手が胸を離れ瑞稀の太ももにかかり、そこから上へと動いていく。
潤ったままの中心に中指を沈めていくと、瑞稀の中は熱く絡み付いてくる。
唇で胸の愛撫を続けたまま、中指をゆっくり出し入れしてみた。
瑞稀は断続的に甘い声を上げながら、我知らず腰をくねらせる。

確か…ここらへんやったよな……。

瑞稀の蜜でぬるぬるになった中指が、花裂の上の方をまさぐる。
すぐにぷくっと膨らんだ小さな花芯を見つけ出し、指先で円を描くように優しく撫でた。
「ぁああぁっっ!」
瑞稀の腰が跳ね上がった。
先程までとは比べものにならない位、蜜があふれ出てシーツを濡らした。
中津は力が入りそうになるのをこらえて、あくまでもソフトに花芯を撫で続けた。
瑞稀はイヤイヤをするように首を振り、シーツを握り締め、全身が波打つように悶える。
全身にしっとりと汗をかき始め、きめの細かい肌が艶やかに光っている。

瑞稀…あかん、色っぽ過ぎや…
もう、限界……

中津は先程と同じ様に瑞希の脚を押し開き、
己の先端を瑞稀の潤んだ中心にあててぐっと腰を進めた。
「いたいっ、やだ…なかつぅ…」
いきなり現実に引き戻された瑞稀は、ベッドの上の方にずり上がって逃げようとする。
その腰をしっかりと捕まえ、中の狭さに驚きながら更に進入を続ける。
「みず、き…力抜いてぇや…」
「やっ、駄目だって…無理だよぉ…いたっ」
硬く熱い塊が下半身を引き裂くように入ってくる痛みで、瑞稀の目からは
大粒の涙が零れた。
「瑞稀、ごめんやで…でも、ここで、やめ、られへん…」
荒い息で謝りながらも、中津は一気に腰を一番奥まで押し進める。
226220:2007/08/07(火) 22:33:54 ID:vtqe31/8
うおおおおぉぉぉっ!めっちゃ気持ちいい〜!!
あったかくて、締め付けて絡みつく感じが……あかん…今動いたら…
くぅっ、耐えろ俺!耐えるんやぁぁぁ!!!

「っっっ!…いた……痛いっ…」
中津が無言で己と闘っている間に、瑞稀が痛みに耐えかねて中津にしがみついた。
「瑞稀…瑞稀、大丈夫か?」
瑞稀がぎゅっと閉じていた目を開けると、中津が心配そうに覗き込んでいる。
中津の顔も苦しげだった。
「うん…痛いけど、大丈夫」
「瑞稀…可愛い……ほんまに好きやで…」
中津が瑞稀の涙を指でふき取り、やさしく唇を重ねた。
ついばむようなキスをしながら瑞稀の胸に指を這わせると、
体がぴくんと動くのと同時に、瑞希の中が中津をきゅっと締め付けた。

あぁっ!あかんて…そんな締めたら……
あかん…もう、無理や、止められへん……

「瑞稀、堪忍やで…もう…」
そう告げると、中津は大きく腰を動かし始めた。
瑞稀の腰に、自分の腰をぶつけるように激しく突き上げる。
「んっ、んっ、んっ…」
瑞稀は懸命に中津の首にしがみつき、痛みをこらえる。
「みずきっ!」
中津の動きが突然止まり、瑞稀の中でぐっと太さと硬さを増したかと思うと
先端から熱いものが迸るのが瑞稀にも分かった。

「はぁっはぁっはぁっ」
荒い息を吐きながら、中津の体が力を失って瑞稀の上にのしかかる。
中津はしばらく瑞稀の胸の上に顔を乗せていたが、やがて瑞稀の顔を見つめて言った。
「最後、乱暴にして悪かったな…大丈夫か?」
「うん、平気……中津だから…大丈夫」
健気に微笑む瑞稀を、中津は抱きしめた。

ようやく瑞稀から体を離すと、タオルケットをかけてやり
背を向けてごそごそと後始末をする中津。
「おっ、なんや…外しにくいなー、いてっ」
などと呟く中津に、瑞稀はなんて声をかけて良いのか困ってしまう。
起き上がってタオルケットにくるまると、中津の広い背中を見つめた。
始末を終え、瑞稀の方を振り向いた中津は照れた笑顔だった。
「とるとこ見られんのって、なんかマヌケやなぁ」
「ううん、そんなことないよっ!だって…俺…あたしの為なんだし……」
「瑞稀っ!あたしって言うたんか?今…」
「うん、だってもう中津に隠し事する必要ないしね」
本来の済んだ高い声で言うと、中津の頬にちゅっとキスした。
「ありがと、中津。大好き」
「みずき……のわっ!」
「きゃーっ、なんでここで鼻血なの〜〜〜」

─────終─────
227220:2007/08/07(火) 22:34:32 ID:vtqe31/8
以上です。
なんか長くなってしまってすみません。
228名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:03:28 ID:FFc55xRe
関西弁(笑)
229名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 23:18:34 ID:CrGR36Kp
>>220
GJ!エエがな!
関西人だけど関西弁気にならなかった
佐野もいいが中津もやっぱイイ
230名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:09:33 ID:w6WUqHxS
k
231名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 01:12:10 ID:w6WUqHxS
>>230
ごめんミスった

>>220
GJ!
今度産むにワロタw
梅田の避妊講座聞きてぇww
232名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 03:33:08 ID:HRSDFmhl
>>220
GJ
原作ベース(*´Д`*)ハァハァ
中津はやっぱ関西弁やな!
233名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 20:13:05 ID:FIhcP0yc
>>220
GJ!

>くぅっ、耐えろ俺!耐えるんやぁぁぁ!!!
男子ってこんなこと考えるの?
教えてエロい人。
234220:2007/08/08(水) 22:47:55 ID:ONqe77b9
>>229,>>231-233
GJありがとうございます。

昨日のドラマで佐野×瑞稀に激萌えしてしまったので
いつかそちらにもチャレンジしてみたいです。
235名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 00:56:36 ID:FW5JDCpz
>>234
顔テッカテカにして楽しみに待ってる!
236名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 13:55:13 ID:mJ7r4bvB
>>233
友達の言葉
「あんまり早いともったいないし申し訳ない」
よって耐えるらしい
237名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 00:33:21 ID:Zc9FeJH5
投下します。
ドラマ版の佐野×瑞稀のエロ無しです。

6話を見終えた勢いで書いたので
粗が目立つと思います。
さらっと流していただけると有難いです。
238237:2007/08/10(金) 00:34:24 ID:Zc9FeJH5
やっと分かった。
あたしは佐野のことが…好きだ───

佐野の腕の中で、瑞稀は思った。
いつもやたらと気になって、いちいち腹が立ち、
ちょっとした笑顔で幸せな気持ちにさせられるのは、佐野だけ。
それは罪悪感と期待からだと思っていたが、間違っていた。
今、瑞稀は初めて気づいた。
突然自覚した感情に頭が真っ白になった瑞稀は、
佐野が自分を抱きしめた意味を考えることさえ出来なかった。
しかし、頭の中で警報が鳴った。
(いけない、あんまり近すぎて女だって気づかれちゃう!)
慌てて身を離し、しどろもどろで佐野に声をかける。
「なななななんだよっ、佐野っ。練習でつ、疲れすぎて足がふらつくのかよっ。
お、俺が肩貸してやろうか?」
「…………いらねーよ、そんなチビじゃ、却って疲れちまう」
佐野が、いつもの無愛想な顔に戻って言った。
ギクシャクした瑞稀と、ポーカーフェイスを取り戻した佐野は
連れ立って寮へと戻って行った。
衝撃のあまり、とっさに身を隠した中津には気づかずに。

その夜ロフトに上がった瑞稀はやっと、佐野が何故自分を
抱きしめたのか、という疑問を思いついた。
自分の気持ちにも衝撃を受けたが、落ち着いて考えると
佐野の行動は全然『らしくない』。
しかし佐野はそもそも普段感情を表に出さないので、瑞稀がいくら考えても
納得のいく答えは出ない。
(とりあえず跳べて、部員にも認められて嬉しかっただけなんだろうな…)
それくらいしか思いつかなかった。
そこでまた自分の方に考えが戻ってしまう。
(だって…佐野はあたしのことを男としか思ってないんだし…
飛び始めたら、もうあたしがここにいる意味は無いのかもしれない
佐野が昔の調子を取り戻したら、試合で勝つのも時間の問題なんだろうな…
あたし……いつまでここに…佐野の傍にいられるんだろう…)
そっと下を見下ろすと、佐野はもう寝ていた。
月明かりにぼんやりと浮かぶ佐野の寝顔を、瑞稀はいつまでも見つめていた。
239237:2007/08/10(金) 00:35:15 ID:Zc9FeJH5
「お前、なんか最近顔色悪くねーか?」
突然の抱擁から一週間ほどたった日の朝、珍しく佐野から瑞稀に声をかけた。
あれからまたいつものそっけない佐野だったが、実は瑞稀の変化には敏感だった。
3,4日前から顔色が悪く、ぼーっとしていることが多い。
目の下には薄く隈ができている。
頻繁に、思いつめた顔で自分を見つめている瑞稀にも、佐野は気づいていた。
「ん?そうか?…大丈夫っ!俺は元気だぜっ。それより早くいかねーと遅刻だぞ」
どう見ても空元気の瑞稀だったが、佐野はそれ以上追求できなかった。
あまり突っ込むと、瑞稀が女だと知っているとばれそうだったからだ。
「…じゃ、行くぞ」
そう言って、部屋を出るしかなかった。

放課後、瑞稀はこっそり隠れて佐野の練習を見ていた。
───お前には、ちゃんとした舞台で見て欲しいから
そう言われて嬉しかったが、近くで佐野が練習しているのを見られる時間は
もうあまり残されていないかもしれない。
そう思うと、瑞稀はいてもたってもいられなくなり、少し離れた植え込みの陰で
佐野の練習する姿を目に焼き付けていた。

練習中にグラウンドから出て行こうとする佐野に、関目が気づき声をかける。
「あれ?佐野、どこに行くの?」
「汗かいてベタベタだから、Tシャツ替えてくる」
「でももうすぐ上がる時間だよ?」
「いや…今日もまだやるから…」
「ねえ、佐野やり過ぎなんじゃないの?早めに切り上げた方がいいよ」
「ああ、分かってるよ。じゃ、ちょっと着替えてくる」
そう言い残して佐野が歩き出したのは、瑞稀が隠れている方向だった。
(やばっ、こっちにくるっ!もっとちゃんと隠れなきゃ)
瑞稀は急いで移動しようとしたが、視界が白く霞んでその場にしゃがみこんでしまった。
(あれ?貧血かな…しばらくなかったのに…最近あんまり寝られないからかな…)
「何やってんの?」
突然背後から聞こえた佐野の声。
瑞稀は言い訳しようと勢い良く立ち上がったが、これがいけなかった。
「さ、佐野っ?いや、なんにも…」
言いかけたまま、瑞稀はゆっくりと崩れ落ちた。
「おいっ!芦屋?おいっ!!」
かろうじて瑞稀を抱きとめた佐野は、必死に声をかける。
だが、紙のように蒼白の瑞稀はぴくりとも動かない。
佐野は瑞稀を抱きかかえると、強く揺らさないように気をつけながら
出来る限りの速度で保健室に向かった。
240237:2007/08/10(金) 00:36:19 ID:Zc9FeJH5
保健室に飛び込み、梅田に状況を説明した佐野は
「よし、じゃあ診察する。芦屋をそこに寝かせたら、お前は外に出てろ」
と言われ、ハッとした。
「えっ、し、診察って…」
診察なんかしたら梅田に瑞稀が女とばれてしまう、と佐野は慌てた。
「いや、でも…それは…」
「なんだぁ?野郎が診察されてるところなんか見ても楽しくねえだろ。
とっとと廊下に出てろ」
もごもごと言う佐野を、梅田はあっさり追い出した。
梅田が驚く声が聞こえてくるのでは、と佐野は廊下で身構えていたが
予想に反し保健室の中は静かだ。
瑞稀の病状も心配だが、いつ女とばれるかと思うと気が気ではない。
じりじりしながら待つ時間は長い。
しばらくして、保健室の扉が開いた。
「よし、入っていいぞ」
梅田のごく普通の態度に、佐野は困惑した。
(ばれてないのか?いや、でも診察しといて気づかないわけないよな?)
だが、面と向かって尋ねる訳にもいかない。
佐野の心境をよそに、梅田は言った。
「多分貧血だな。プラス熟睡」
「は?」
「じゅ・く・す・い。爆睡と言ってもいい。つまり今ぐっすり寝てるんだよ、コイツは」
「寝て…る…」
ホッとしたと同時に腹が立ったが、梅田の言葉に気をそがれた。
「顔色も悪いし、しばらくろくに寝てないんだろう。お前同室だったな。
何か気づかなかったか?夜更かしでもしてるのか?」
「いや、最近こいつやけに早く寝に上がってたし…でも、
ここんとこずっと顔色が悪いし、様子もおかしかったな…」
「まあいい、明日にでももう一度来るように言っとけ。
それから、お前もう練習終わる時間だな。着替えて来い」
「えっ、でも俺まだ練習が…」
「佐野、オーバーワークは故障の素だ。休んで疲れをとるのも練習の内って
ことぐらいお前なら分かってるだろう。顧問命令だ。今日は休め、いいな。」
「…はい」
「着替えたら芦屋を寮に運べよ」
「俺がですか?」
「なんだ、嫌なのか?ここにいつまでも寝てられたら迷惑だしな。
お前が嫌なら、誰か二寮の奴…」
「すぐ着替えてきます」
急いで出て行く佐野を、梅田は意味深な笑みで見送った。
241237:2007/08/10(金) 00:37:07 ID:Zc9FeJH5
瑞稀を横抱きで抱えた佐野は、なんとか自分の部屋の扉を開けた。
抱えた不自由な姿勢で扉を閉めると、瑞稀のベッドがあるロフトを見上げた。
抱きかかえたまま昇るには階段は狭いし、万が一落っことしでもしたら大変だ。
仕方が無く、すぐ横の自分のベッドに下ろすことにした。
左肩に寄りかかっている瑞稀の頭をそっと支え、右手を下げ足の方から
ゆっくりおろす。
続いて自分の左肩をそのまま下ろし、腕枕をするような態勢で瑞稀の
全身を横たえた。
起こさないように注意深く腕を抜こうとした時、瑞稀が
「んー」
とわずかに動いた。
佐野は体を強張らせて動きを止める。
しばらく息を詰めて見ていると、瑞稀は起きる気配が無い。
またゆっくりと抜こうとすると、瑞稀がまた身じろぎをする。
(しょうがねーな、もうちょっとしてから抜くか)
諦めた佐野は、自分も瑞稀の隣に横たわった。
冷やしてはまずいかと思い、薄い布団を掛ける。
視線をずらして寝顔を見ると、睫毛が長い。
血の気の無い頬は滑らかで、唇が柔らかそうだ。
慌てて目をそらすと、左手で瑞稀の肩を抱くようにし、目を閉じる。
(こいつ本当に華奢だよな…寝不足ってどういうことだよ……やっぱり俺のせいか?
………あったかいな…あー、ねみぃ……メシ…行かないとな……)
佐野の意識もゆっくり眠りに落ちていった。
242237:2007/08/10(金) 00:38:03 ID:Zc9FeJH5
(ん?なんか布団重い…)
瑞稀はねぼけた意識のまま、もぞもぞと寝返りをうった。
細く開けた目に、佐野のアップが飛び込んでくる。
(さっ、さのーーーーーっ!?な、なんで?どうして?ここどこ?)
あまりの驚きに声も出ず、瑞稀は硬直した。
鼻先3センチのところにある佐野の顔にどきどきして、
口から心臓が飛び出そうだ。
うろたえながらも、自分の状況を把握しようとする。
ロフトが上に見えるので、佐野のベッドにいるらしい。
佐野の肩に頭を乗せて、腕の中にすっぽり納まっている。
さっき重いと思ったのは佐野の右腕だ。
(なんでこんなことになってるの〜?どうしたらいいのよぉ???)
すー、すー、すー
佐野の規則正しい寝息を聞いている内に、少し落ち着いてきた。
(昨日…貧血起こして……それから記憶が無い。佐野が運んでくれたのかな?
……綺麗だなー、佐野の寝顔。鼻筋通ってるし、意外と唇可愛いかも…)
そんなことを考えていると、うっすらと佐野の目が開いた。
瑞稀が息を止めて再び硬直した瞬間、その顔を見た佐野が柔らかく微笑んだ。
その笑顔に、瑞稀の胸が締め付けられる想いがした。
(佐野…大好き……)
ふと、佐野の顔つきが変わり、驚いた声を上げた。
「芦屋っ、おまっ、何してんだよ…いててっ」
瑞稀の頭から腕を引き抜き、体を起こして顔をしかめた。
放り出された形の瑞稀はベッドから落ちそうになったが、
慌てて佐野の腕に手をかける。
「佐野っ、どっか痛めたのか?大丈夫?」
心配気に大きな瞳で下から見上げる瑞稀の顔を、佐野は一瞬見つめて
すっと目をそらした。
「ばーか、痛めてねーよ。痺れてるだけだ。心配すんな」
「痺れてるって…あっ、腕まく…ら…」
腕の中に包まれて至近距離で見た佐野の笑顔を思い出し、
瑞稀は真っ赤になって佐野に背を向けた。
「な、んか、世話になったみたいで悪かったなっ!お、俺あのまま
倒れたんだろ?」
「ああ、梅田が言うには貧血だってよ。今日また来いって言ってた。
ちゃんと行けよ」
「おう、分かった。ありがとな、佐野」
「…ああ」
「やばいっ、佐野!時間!!」
「おいっ!遅刻じゃねーか、急げっ!」
微妙な空気が一気に吹き飛び、二人は大慌てで準備にとりかかった。

─────終─────
243237:2007/08/10(金) 00:43:25 ID:Zc9FeJH5
以上です。

間に佐野を中津が呼び出して、
問い詰めてる最中に
佐野「中津」
中津「ん?」
佐野「近い」
てのを入れたかったんですが
力量不足で挫折しました orz
244名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 01:07:02 ID:oV4ex2gd
エロ有りキボン
245名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 13:02:25 ID:/06dW07g
>>237
GJ!佐野×瑞稀大好きな自分はエロなくてもオゲ!
萌えますた〜!
246名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 17:21:07 ID:g58UeNn5
下品な話で申し訳ない。
貧血で思ったんだけどさー、瑞稀って生理ん時どーしてるんだ?
保健医に助けてもらってんのか?
247名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 19:10:26 ID:etpL4CZG
別に普通にしてるんじゃ……
ごみだけ持ち帰ればいい話じゃない?
248名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 19:46:10 ID:wC1oDYmw
漫画読んだらわかりますよ。ちゃんとナプキン買ってきてもらってる
249名無しさん@ピンキー:2007/08/10(金) 20:21:44 ID:g58UeNn5
>>247-248
そっか。ありがと。
自分の連れが大変そうなもんで気になって。
スレ違いスマソ。
250名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 01:36:39 ID:pndOTXgY
>>237
GJ!
お姫様抱っこと添い寝に(*´Д`*)ハァハァ
251名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 02:49:06 ID:Wn7CCsLz
>>249
ちなみにトイレは職員用(♀)にこっそり忍び込んでる
252名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 08:31:33 ID:c0HKZxVQ
>>251
なるほど!
>>249じゃないけど、疑問だった
トイレだけにすっきりしたw
253佐野×瑞希@6話後-0:2007/08/12(日) 03:03:21 ID:G5AhMbGS
小説も書き込みも初です。よろしくお願いします。

備考
・佐野×瑞希
・原作、ドラマ両方好きです

お、お手柔らかにお願いします。
ちょっとビクビクしながら投下。

6話後です。
254佐野×瑞希@6話後-@:2007/08/12(日) 03:07:23 ID:G5AhMbGS
あの時私を強く抱きしめてくれた腕、鍛えられた厚い胸板、
そしてあの運動後の汗ばんだ匂い。
その全てが佐野が男だという事を強く私に教えてくれた。

そして私の頭が肩までしか届かないような大きな体を感じたとき、
自分はやっぱり女の子なのだと感じた。


(あたしは…、佐野のこと好きなんだ…)


-------------------------------------------------

季節は青春にぴったりの夏まっさかり、8月2週目。
瑞希は佐野のベットに寄りかかってひとりソーダアイス食べながら、
雑誌をぱらぱらと捲っていた。

「この夏彼と行く花火スポット!可愛い浴衣で彼のハートを鷲づかみ★…かぁ」
佐野と浴衣を着てデート…、いいかもしれない。佐野は浴衣を着るだろうか、それとも甚平だろうか?
浴衣の方が似合うかもしれない。もしかしたら浴衣を着た自分に何か言ってくれるかもしれない。
屋台でタコ焼きを買って2人で分けるのもいいかもしれない。
ついでに焼きそばと林檎アメと綿菓子も食べたい。

「って…違うちがう!!」
「何が違うんだ?」
「…さ、佐野!?いつ帰って来たんだ?」
気がつくといつの間にか佐野がロッカーに荷物を投げ込んで
着替えを取り出していた。
「今。気がつかなかったのか?」
「お、おう。ちょっと考え事しててな」
「どうせ食い物の事だろ?」
あっさりと瑞希の考えを見抜くと、
佐野は練習着を脱ぎ捨て洗い立てのTシャツに袖を通した。
夏の太陽で程よく日焼けした均整の取れた綺麗な体。
急にドキドキしてしまう。
「なんだよ、人のことジロジロみて」
「えっ、あ…いや、な、なんでもねえよ!っていうかみてねぇよ、佐野の事なんか!」
耳まで真っ赤にしながら瑞希は反論する、こんなんじゃバレバレもいいとこじゃないか。
「あ?今見てただろ、確かに。」
「だから見てないって言ってんだろ!じ、自意識過剰なんじゃねぇの?」
「はぁ?見てただろうがよ。この…ど」
「俺、トイレ行ってくるからっ!!!!!」
そう言うや否や、瑞希は風の様な速さで部屋から飛び出していった。

255佐野×瑞希@6話後-A:2007/08/12(日) 03:08:35 ID:G5AhMbGS
「なんなんだあいつは…」
呆れつつ、佐野はふと目に付いた瑞希が置きっぱなしにした雑誌を手に取る
「この夏彼と行く花火スポット!可愛い浴衣で彼のハートを鷲づかみ…。可愛いのに鷲づかみ、随分アグレッシブだな。」

この学園に芦屋が来て、暫くして女だという事を知って。
過ぎていく日常の中で女という認識は持ち続けてきたつもりだったけど、
次第にあんまり気にならなくなってきて…。

「でも…」

あの時の涙、思わず抱きしめた俺の肩までしか無い小さくて華奢な体。
あいつが女だって事を強く感じさせられた。なんで今まで忘れていたんだろう。
もやもやが止まらない。




-----------------------------------------------------------

ど、どうでしょうか?
この先えろ路線に突っ込んでもよろしいでしょうか?


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256名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 06:18:03 ID:PVfcEukv
GJ!!!!!
情景が浮かんでくるよ〜
続き、楽しみに待ってます
257名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 08:43:43 ID:qSLZHt7X
GJ!
エロキボン!!!!!!!!
258佐野×瑞希@6話後-B:2007/08/12(日) 13:17:17 ID:G5AhMbGS
「た、ただいま〜…佐野、はもう寝てるよね…?」
部屋を飛び出してから5時間、瑞希は月明かりに照らされた室内を物音を立てないようにそっと爪先立ちで進んでいた。
結局部屋に帰る勇気が無くて中津と茅島とトランプをしていたのだ。まぁ結果は何故か茅島の大勝だったけど。
「随分遅かったな、実家のトイレにでも行ってたのか?」
月の光しかない暗闇の中、佐野の布団がもぞりと動いて瑞希に声を掛けた。
「ひっ…お、起きてたのか。」
「ひっ、って何だよ。チビだからトイレにはまってるんじゃないかと思って起きてたんだよ」
「は、はぁ?はまんねーよっ!!そ、それに、そんなにチビじゃねーし!」
いつもの調子の会話、でもどこかぎこちない。
このままだとボロが出てしまいそうだ…瑞希は足早にロフトへ向かおうとする。
「なぁ…芦屋」
不意にびっくりするほどセクシーで低い声で名前を呼ばれ、
瑞希は思わずその場から動けなくなってしまった。
「…な、な…んだよ」
佐野がギシリと大きな音を立てベットから立ち上がり、瑞希の後ろに立つ。
どうしてだろう、心臓のドキドキが止まらない。
耳が赤い…体が熱い、自分でどうしていいのか分からない。
「芦屋、次飛ぶときは特等席空けておくから、見に来いよ」
「…」
勇気をだしてくるりと佐野のほうを向く、
部屋に電気が付いていたら、きっと真っ赤な顔をからかわれたに違いない。
「あ、あたりまえだろ!俺、佐野のシャンプをみに日本まで来たんだし
…それにっ、この前見せてくれなかったんだから最高の席で見せるのがあたりまえ…」
259佐野×瑞希@6話後-C:2007/08/12(日) 13:18:14 ID:G5AhMbGS
---------あの時私を強く抱きしめてくれた腕、鍛えられた厚い胸板、そしてあの運動後の汗ばんだ匂い。
その全てが佐野が男だという事を強く私に教えてくれた。

でも今日は髪の毛からほのかなシャンプーの匂い、体から石鹸のいい匂いがした。
そしてやっぱり、私の頭が肩までしか届かない程大きな体なのだ。

そのままひとつ、佐野は瑞希に小さな口付けをした。

「さ、さの…?」
突然のことに驚いた瑞希は佐野を大きな瞳で見つめている。
なんて可愛いのだろう、そして何故今まで何もしなくて大丈夫だったのだろう。
「芦屋、好きだ」
もう一度口付け。緊張からくる瑞希の細かい身体の震えが止まらない。
もう一度強く抱きしめる。折れないように、でも力強く。
「さ、佐野…俺、男なんだ…ぜ?いいのかよ?」
そのまま無言で佐野は瑞希を抱き上げてベットに投げ、押し倒す。
「う、うわ…さ、佐野っ!!」
「こんな色気出してる奴が男な訳、あるか」
260佐野×瑞希@6話後-D:2007/08/12(日) 13:18:59 ID:G5AhMbGS
そういうと佐野は瑞希の首へ舌を這わせ始めた、時折ついばんでは薄赤い印を付けてゆく。
「うぁ…ちょっと、さの…、な、何やってんだよ。誤解だって、俺男だから…!!」
「ホントに…男なのか?」
そういうや否や、佐野は瑞希のTシャツの中に素早く手を滑り込ませ、ベストのジッパーを下ろした。
ベストに抑圧されていた今はまだ小さい胸が、瑞希が女であることを主張していた。
「ホントに男なのか?」
再度同じ質問を投げかける、今度はその胸を揉みながら。その先端に刺激を送りながら…。
「やっ…、んぁ…男だって言ってるじゃないか…」
「男にはこんな胸は付いてない」
佐野は瑞希の服を捲り上げその先端に口付ける。最初は優しく舐めて、次は少し強く吸って。
そしてその白い肌に赤い花火を散らしてゆく。いくつもいくつも。
「さのっ…さの…私、本当は…」
「知ってる、女だって知ってる。知ってた…」
「…さ…の」
表面上の言葉は少なく、たまに交わす言葉もどこか口喧嘩じみていたけど…心の中でずっと葛藤していた。
芦屋を思わず抱きしめたあの日から、もうどうしようも無くなっていた。俺の中で何かが爆ぜたのを感じた。


261佐野×瑞希@6話後-E:2007/08/12(日) 13:19:31 ID:G5AhMbGS
なにが起こっているのだろう、佐野に抱きしめられて。キスされて。
しかも私が女だって知っていただなんて、知ったうえでこんな事をされているなんて。
身体がふわふわする、身体が熱くて自分の中の何かが疼いている。

ふと身体を見ると無数の花が咲いている、
胸に、腹に、腰に…このまま全身真っ赤になってしまうんじゃないだろうか?

そんな事をぼーっと思っていたら、佐野がズボンに手をかけてきた。
「さ、さの…それはマズイって…駄目だって、やっ…」
「駄目…か?」
「いや…駄目、じゃ無いけど、いや…」
「じゃあ構わないんだろ」
カチャカチャとベルトを外す音が聞こえる、違う、そういうことじゃなくて。
「さのっ…、俺、恥ずかしい!はずかしいよ…」
佐野の手が止まる、そしてきょとんとした顔で私をみる。
「あ、…俺服着たまんまだもんな。悪ぃ。」
そういうや否やがばっと上下を脱ぎ捨てる、月明かりに映える綺麗な身体
夜吼える狼って怖いと思っていたけど、本当は物凄く美しいものなのかもしれない。
初めて見る酷く反り立ったそれも怖いはずなのに、何故かそんなに恐怖を覚えなかった。
「芦屋…。俺じゃなくて”私”でいいから。今夜は」
「お、…おう」
佐野は微笑むとそのまま瑞希のズボンを脱がせた。
続いてTシャツとベストを、そして最後に下着を。
そのあいだ瑞希はぎゅっと目を硬く閉じていた。

下着を取られた感触を感じてから数秒…
瑞希が恐る恐る目を開くと、そこにはまっすぐに自分を見つめる佐野の姿があった。
「きゃっ…」
慌てて布団を掴もうと手を伸ばす、しかしその手は佐野に阻まれてしまった。
「もっと見せて」
佐野の顔が私の首に近づく、そして優しく押し倒されてまた首についばむようなキス。
それと同時に下部に佐野の指を感じた。
「ひゃっ…、さの…うぁっ」
もうどうにかなってしまいそうだった、全部が熱い。最初は撫でるだけだった佐野の指が
次第に強弱を付け、そして中に入ってこようと入り口をほぐしてゆく。
「んー…、だめっ、さの…さのっ」
そして遂に1本、指が中に入ってきた。佐野の長くて綺麗な男の子の指が。
その事実を考えただけで自分の体温が数度上がってしまったかのような感覚を覚える。
もう壊れてしまうかもしれない、壊れてしまってもいい。
262佐野×瑞希@6話後-F:2007/08/12(日) 13:20:46 ID:G5AhMbGS
最初は男だと思っていた芦屋の身体がこんなに女っぽくてこんなに綺麗だなんて思わなかった。
首筋を舐めて、芦屋の入り口を指で弄って…そのたびに上げられる甘い嬌声に何度も限界を迎えそうになった。
指を出し入れするとびくっとする芦屋の姿が容赦なく俺の脳みそに刺激を与える。

もう限界だった。

「っ…あしや…いいか?」
「さの…?…う、うん…い…いよ」
そっと自分を芦屋にあてがい、ゆっくりと推し進めてゆく。
辛そうに歪む芦屋の顔にどうしようもない色気と欲情を感じた。

それから時間をかけて芦屋の中に自分を入れることが出来た。
芦屋も痛みに慣れてきたようで、次第に先程のように顔を歪めることは無くなった。

「…あしや…動いていいか?」
コクリと瑞希が頷く、佐野は少しづつ自分の出し入れを始めた。
最初はゆっくり、少し引いて少し入れて。
「ぁ…、さの…さのが中に居る…へんな、かんじ」
次第に速度も速く、スパンも長く…奥へ、少しでも芦屋の奥へ。
「さのっ…」

必死にしがみついて来る芦屋が可愛くて、いじらしくて、佐野は更に瑞希に刺激を送り続けた。
そして遂に堪えきれずに全てを放出した。全てを。
263237:2007/08/12(日) 14:49:48 ID:VmGADqEQ
>>258
つ【萱島】

脇に興味無いのかも知れんが、このミスは萎える。
264237:2007/08/12(日) 14:51:36 ID:VmGADqEQ
途中で送ってしまったorz

でも他はGJ!
自分が辿り着かなかった佐野と瑞稀のエロ、萌えた。
265佐野×瑞希@6話後-G:2007/08/12(日) 15:02:12 ID:G5AhMbGS
「芦屋…立てるか?」
「お、おぅ…と、言いたいところだけど、無理…かな。」

30分後、服をきた2人…佐野はベットに腰掛けて、
瑞希は脱力したようにベットに寝っころがっていた。
「そうか…なら」
そういってひょいっと瑞希を抱きかかえると、
佐野は机に置いた何かを器用にポケットに突っ込んでそのまま瑞希を外に連れ出した。
「ど、どこ連れて行くつもりだよ!!、佐野!?」

着いた先は寮内の小さな広場、瑞希をベンチに下ろすと
「ホラ、これ」
渡してくれたのは線香花火だった。
「佐野?」
なんでもないという風に佐野がいう
「さ、さっきコンビニで買ってきた。花火、やりたかったんだろ?」
「有難う、佐野…。嬉しい」


そうやって2人でした線香花火はどの花火スポットのものより美しい輝きをしていた。

今年の夏はまだまだ残っている、一体どんな夏になるのだろう。
瑞希は隣に居る佐野の顔を見て、佐野は瑞希の顔を見て、微笑みあうのだった。






----------------------------------------------

すみません、連投のせいで最後の投稿が遅くなってしまいました。
次はもうちょっと勉強してから投稿したいと思います。

エロの声があったのでエロで書いてみました…、つたなくてゴメンナサイ。
でも楽しかったです。読んでくれた方有難う御座いました。
266佐野×瑞希@6話後:2007/08/12(日) 15:04:45 ID:G5AhMbGS
萱島…!!初歩的なミスしてしまってすみません。
萎えますよね…反省です。

267237:2007/08/12(日) 15:08:10 ID:157iphfj
すみません、話の途中に送信してorz
終わったのかと思ってしまった。

>>266
本当に申し訳ない。
268名無しさん@ピンキー:2007/08/12(日) 15:17:23 ID:rHe+kkQT
鼻血でた。GJ!!
269名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 00:37:27 ID:1Ex7DyKv
GJ!!
萌えますた…
270名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:06:19 ID:izP8OVQf
大変遅くなりましたが、>>202-206の続編
ドラマ版佐野×瑞稀 エロあり投下します。
佐野を動かすのにえらく苦労しました……orz

・14レス使用予定。無駄に長くてすみません。
・4話を見て話の骨格を思いついたので、5・6話の流れは無視して下さい。
>>237さんと一部ネタがかぶっているところがあります。ご了解願います。
271佐野×瑞稀 1/14:2007/08/14(火) 00:07:14 ID:izP8OVQf
終業のチャイムが鳴り、教室は途端に騒々しさを増した。
部活へ向かう者、帰寮の準備をする者、寄り道の算段を立てる者……。
「なーなー、瑞稀、お好み焼き食いに行こうぜ!」
斜め前の中津が佐野の左横を通り過ぎ、すぐ後ろの席へ向かった時、
それまで何の気もなしに教科書をぱらぱらとめくって鞄にしまおうとした手が、半瞬止まった。
「え、またお好み焼き〜?」
「いーじゃねーかよ! この間、オレが金ない時に奢ってもらった代わりに、今日奢ってやるからさ」
「そりゃいいけど……。って、中津、サッカー部はいいのかよ?」
「いいって、いいって。たまにはこう、息抜きもしないとな!」
背後の会話に、無意識に聞き耳を立てている自分に気づく。
「また」だとか、「この間」だとか、何度も一緒に行っていることを示す単語が、
なぜこうも耳に引っかかるのだろう?
別に、この二人が仲が良いのは、今に始まったことではないのに。
「な〜か〜つ〜〜!! このサッカー部のキャプテンであるオレ様の隣で、
よくそんな話ができたな〜!?!?」
瑞稀の隣の席の嵯峨が、おちゃらけた普段とは打って変わった鬼の形相を中津の横に並べる。
「え、お、嵯峨!?」
「罰としてグラウンド20周、な」
「え、ちょ、おい…っ!」
嵯峨は中津に反論する間も与えず、その襟首を捕まえて引きずって教室を出て行った。
小さく「バカ」と呟きつつ、心のどこかでほっと安堵の息をついている自分こそが、
佐野としては馬鹿馬鹿しかった。

272佐野×瑞稀 2/14:2007/08/14(火) 00:07:58 ID:izP8OVQf
「佐野は?」
「あ?」
立ち上がりかけながら、佐野が視線をわずかに後方に向ける。
「佐野も…、今日、陸上部?」
「ああ」
今度は身体ごと後ろを向いて答えた。
その声のトーンが素っ気ないながらも柔らかく聞こえて、瑞稀は少し安心したように表情を綻ばせた。
「そっか。頑張れよな」
「……何なら、見に来るか?」
「え?」
言った直後に、佐野は「しまった」と後悔した。
こんなことを言うつもりは微塵もなかったのだ。
まさか、中津に対抗意識を燃やしたわけでもあるまいに。
第一、自分はまだ跳べない。
そんな今の己の姿を見せたところで、瑞稀を不安にさせるだけだ。
瑞稀の方だって見たくないだろう。
「…いいのか? おれ、見に行っても」
その答えの意外さに、佐野は思わず瑞稀の顔を正視した。
「俺はまだ跳べねーぞ」
「うん、わかってる。…というよりわかった。そんなに簡単には行かないってことが、よく。
でも、佐野は頑張ってるから。佐野がもう一度跳びたい、って思ってくれてることが、
諦めている佐野を見ていた時よりずっと嬉しいし、励まされるんだ。
だから、佐野が迷惑じゃなかったら、見に行きたい」
瑞稀のその言葉は、佐野に意外な感慨をもたらした。
「……好きにしろよ」
素っ気なくそう言い残して、佐野は部活に向かっていった。
他にも言いようはあったのかもしれないが、不器用な彼にとってはそれがせいぜいだった。
273佐野×瑞稀 3/13:2007/08/14(火) 00:08:55 ID:izP8OVQf
衝動的に瑞稀にキスをしたあの夜から、佐野の中で徐々に形作られているものがある。
けれど、それはピースの足りないジグゾーパズルのように、まだ輪郭の曖昧なままだった。
例えば、彼女が中津と話しているのを見る時。
例えば、彼女の真っ直ぐな瞳を見つめる時。
例えば、彼女が他の寮生と一緒にいる時。
例えば、彼女の息づかいを同じ部屋で感じる時。
新しいピースが嵌められることもあれば、また見失うこともある。
正体のわからぬ感情の存在は佐野を苛立たせ、このところ彼の睡眠時間は減少していく一方であった。

ただ、一つだけはっきりしている感情があった。
あの翌朝、いつもと変わらない態度を取る瑞稀に、佐野は妙に腹立ちを覚えた。
佐野にとってもその方が都合がいいにもかかわらず、
なかったことにするつもりなのか、と、問いつめたい気持ちに駆られた。
瑞稀を泣かせた自分を悔やんでいるにもかかわらず、
佐野自身はあれを、なかったことにはしたくないと感じていた。

「佐野、どうした? 上の空だけど」
部長の関目に声をかけられて、佐野がはっと我に返った。
淡々とトレーニングのメニューをこなしていくうちに、埒もない考えに陥っていたようだ。
「ちょっと息抜きに休憩したら?」
「ああ、そうする」
関目のアドバイスに従って、佐野はその場に腰を下ろした。
一旦深呼吸をして、佐野はスタンドに視線を送った。
……来てねーか。
そう考えて、ふと、佐野はいつの間にか瑞稀を待ち望んでいた自分に気づいた。
そんな自覚に目を見開くと、遠くから小さい影が走ってくるのが見えた。瑞稀だ。
手に大きな袋らしきものを下げているため、いつもの俊足よりは幾分ペースを落としているが、
すぐさまその姿は佐野たちの目の前に近寄ってきた。
「これ、差し入れ。みんなの分あるかわかんないけど、良かったら食べてくれよ」
と、荒い息をつきながら、寮生御用達となっている近所のコンビニの袋を差し出した。
中にはポカリスエットの大きなペットボトルと、袋菓子が幾つか入っていた。
部長である関目が代表して、有難くそれを受け取る。
「悪いな、わざわざ気ぃ遣ってもらっちゃって」
「大丈夫か、おまえ? 顔色悪いぞ」
佐野が気遣いを見せると、瑞稀は笑顔を作って手を振った。
「え、あ、走ったからじゃねーか? 大丈夫だよ、すぐに治るって」
そして誤魔化すように、「じゃ、おれ、スタンドで見てるから」と、客席の方へ歩いていった。

佐野の数メートル先で、瑞稀の身体がぐらりと揺れた。
次の瞬間、どさりと芝生に倒れた。
「芦屋!?」
異口同音に叫び、佐野と関目が瑞稀の傍に駆け寄った。
仰向けに姿勢を変えさせると、不自然なほどに蒼ざめた肌が目に入った。
頬を軽く叩いても、瑞稀が意識を取り戻す気配はまるでない。
佐野の背筋を氷塊が滑り落ちた。
相手に意識がなく、しがみつくことができない状態では、背負うことはできない。
佐野は瑞稀の背中と膝裏に腕を差し入れて抱き上げた。
「俺、こいつ保健室に連れて行ってくる」
「ああ、任せた」
274佐野×瑞稀 4/13:2007/08/14(火) 00:09:25 ID:izP8OVQf
「貧血だな」
「貧…血……?」
一連の簡単な診察を終えて、梅田はそう判断を下した。
拍子抜けがして、佐野がほっと小さく安堵の息をついた。
ここに来るまで、心が不安にざわめいて仕方がなかったのだ。
「少し寝不足もあるみたいだな。…ま、こいつにもいろいろあるみたいだし」
と、瑞稀の頬をぺちぺちと叩きながら、佐野に意味深な視線を送った。
「どうした? 随分心配そうだな。芦屋のこと興味ない、とか言ってたクセに」
見透かしたような梅田の表情が勘に障って、佐野は冷ややかな目つきで見やった。
興味がなかったわけではない。興味を持つまい、と思っていただけで。
瑞稀の言葉に耳を傾けてしまえば、
高跳びに戻りたい気持ちを認めてしまうことになるから。
でも、もう、無視できなかった。高跳びに対する気持ちも、そして……。
「おい、佐野。おまえ、同室のよしみだ。こいつが目を覚ましたら、寮まで送っていけ」
「…わかりました」
梅田に命令されるまでもなく、佐野は元よりそうするつもりだった。
「おや、『何で俺が』とは言わないんだな?
以前の排他的なおまえだったら、間違いなくそう言ってただろうに」
揶揄の声を、佐野は無視する。
それにしても、梅田はどこまで勘づいているのだろう?
佐野の心情についても、そして瑞稀の正体についても。

その時、瑞稀の意識が戻ってきた。
「…あれ、ここ……?」
「目ぇ醒めたか。あ、すぐに起き上がるな。もう少し安静にしとけ。
後で佐野に寮まで送らせるから」
「え、ええ!? 別にいいですってば! おれ、一人で帰れます。
佐野だって部活あるし、迷惑…だろうし」
「いいから、大人しく甘えとけ。佐野には顧問命令出しといたから。
何なら、佐野の筋トレの手伝いでもすると思っとくんだな」
そう梅田に言われて、心苦しく思いながらも、大人しく説得され、
しばらく休息を取った後、瑞稀は佐野に負ぶわれて帰って行った。
275佐野×瑞稀 5/13:2007/08/14(火) 00:09:50 ID:izP8OVQf
「佐野、重くねーか?」
「別に。重くなんてねーよ」
「お、おれ、やっぱ自分で歩けるから…」
「つまんねー遠慮なんかしてねえで、しっかり掴まってろ」
と、佐野はもう一度負ぶい直す。
「う、うん…」
瑞稀は掴まっている腕に、わずかに力を込めた。
押しつけられた柔らかさを感じて、佐野は背中に全神経が集中したような錯覚に陥った。
人知れず、頬に熱を帯びる。

倒れている瑞稀を目にしたあの時、佐野の中でパズルの最後のピースが納まった。
意識を失った、死人のように蒼白い顔を見た佐野は、
彼女が自分の中で、大切にしたい、失いたくない存在であることを知った。

むしろ本当は、とっくに気づいていてしかるべき感情だったのだ。
けれど。
瑞稀が自分に対して抱いているのは、罪悪感であって、決して恋愛感情ではないという思い。
そして、自分が跳べるようになれば、いずれ彼女はアメリカに帰ってしまうという怖れ。
求めても得られない。いずれ失うものである。
そんな思いが、佐野に予防線を張らせ、彼の目を曇らせていた。

そして何よりも。気づいてしまったが最後、
自分の気持ちが止められなくなるのを、心のどこかで自覚していたから。
同じ部屋で、理性を保てる自信なんてないから。
そうしたら、また瑞稀を傷つけて泣かせてしまう危惧があったから。
――だから、自分の気持ちから目を背けていた。

けれど、もう無視できない。認めるしかなかった。
276佐野×瑞稀 4/13:2007/08/14(火) 00:10:15 ID:izP8OVQf
205号室に辿り着いて、またもや短い押し問答の末、
佐野が負ぶったまま、瑞稀をロフトの上に連れて上げる。
しかし、低いロフトの天井に腰を低くして歩くのは慣れなかったため、
最後の最後でよろけて、瑞稀をベッドの上に落としてしまった。
次いで、佐野も足元のバランスを崩してその上に倒れ込んだ。
「って…。悪い、大丈夫か?」
「あ、うん」
幸い、ベッドがクッションになってくれたお陰で、二人とも大事には至らなかったが。
佐野が身を起こすと、ちょうど瑞稀の両脇に腕を突いて、
上半身が覆い被さるような格好になった。
瑞稀が見上げ、佐野が見下ろす形で、二人の視線がぶつかった。
やめろ……!
頭の中で警告の声がするにもかかわらず、
磁力で引き寄せられるかのように、ゆっくりと佐野は顔を瑞稀に近づけていった。
瑞稀は硬直したように、佐野を見つめたまま動かない。

けれど、唇がまさに触れようとするその寸前で、佐野は思い留まった。
そして、思い留まることができた自分に、少し安堵した。

「なん…でっ」
「別に酔ってんじゃねーよ」
身体を離しながら、瑞稀の先回りして佐野は言った。
「あれ以来アルコールは口にしてねえし、金輪際口にする気もねえから。
少なくとも、おまえの前以外では」
その言葉に、がばっと跳ね起きて瑞稀の目が見開く。
「佐野っ、それどういう意味だよ…!? まさか……」
「おまえ以外の奴にはキスする気はないってことだよ」
そしてくるりと瑞稀に背中を向ける。
「おまえにとって迷惑なら、忘れてくれ」
言い逃げなんて卑怯だな、と自嘲しつつ、そのまま歩み去ろうとした。
本当は告げるつもりなんてなかったけれど、
酔った勢いや衝動でキスしようとしたなんて思われるのも嫌だった。
277佐野×瑞稀 7/13:2007/08/14(火) 00:10:50 ID:izP8OVQf
「待って…!! 行くなよっ!」
瑞稀は佐野のシャツの背中を掴んで引き留めた。
「今言ったこと、本当……?」
「嘘や冗談でこんなこと言わねーよ。いいから、忘れろ」
「やだ!!」
今度は佐野が目を見開く番であった。
「だって、佐野なんていつもおれのこと迷惑そうで、
素っ気なくて、怒ってばかりで、恐くて、
絶対おれのこと嫌ってるって思ってて、嫌われてもいいからなんて思ってたけど、
嫌われたらやっぱり悲しくて、でもしょうがないって思ってて……。
あれ、ヘンだね、おれ。さっきから何言ってんだろ…。
とにかく、だから、佐野がそんな風に思っててくれたなんて夢にも思ってなくて、
でもすっげえ嬉しかったから、おれ……」
感情が昂ぶりだした彼女は、その大きな瞳からぽろぽろ涙を溢れさせた。
それを見て、佐野がうろたえる。
「おい、泣くなよ…」
「え、あれ、おれ、何で泣いてんだろうね。嬉しいのに…。あれ?」
涙腺を壊れさせた瑞稀に溜息をつくと、佐野はゆっくりと彼女に近づいて、親指で涙を拭った。
その指の優しさに、瑞稀の涙はようやく止まった。
雫を湛えた瞳が見上げ、今までになく穏やかな瞳が静かに見下ろす。
引き寄せられるようにお互いの顔が近づき、瑞稀が長い睫毛を伏せた。
今度はもう、途中で止めはしなかった。

3度目のキスは、今までで一番優しいキスだった。
278佐野×瑞稀 8/13:2007/08/14(火) 00:11:17 ID:izP8OVQf
唇が離れて、ふと瑞稀はあることに行き当たった。
「あれっ、でも、佐野、おれ、男……」
そして転校初日の佐野の言葉も思い出す。
「えっ、でも、佐野って、『そういう気ない』って……?」
瑞稀の混乱した言葉の奥にあるものを、佐野は見通していた。が、黙ったままでいた。
女だと知っていることを、自分から告げることは簡単だ。
けれど佐野は、瑞稀の方から自分を信頼して、正直に告白してほしかった。
その気持ちに感応したわけでもないだろうが、瑞稀がおずおずと口を切った。
「……佐野、おれ、佐野に言わなきゃならないことがあるんだ。
あの、怒らないで聞いてほしいんだけど……」
「大人しく聞いててやるから、言えよ」
「今まで嘘吐いててごめん! 
佐野っ、あの、おれ…っ! おれ……、本当は女なんだ…っ!!」
一気に言い終えると、瑞稀は肺が空になるほど息を吐き出した。
「……?」
おそるおそる佐野の様子を伺うと、彼の口元にはうっすらと柔和な笑みらしきものが浮かんでいた。
「どうして驚かないんだよ?」
「知ってた」
「え?」
「おまえが女だってこと、俺は知ってるんだ」
「ええっ、いつ、どうして!?」
「いいだろ、そんなことどうだって」
「どうだって、って……」
知ることになった経緯までは、佐野は話そうとは思わなかった。
話せば、瑞稀がアメリカで助けた少女であることに気づいていることまで知られることになる。
瑞稀が自分から言い出すならともかく、佐野の方からはそれを告げるつもりはなかった。
2人の間には、そういった過去のしがらみや負い目などの要素は、一切入れたくなかったのだ。
あるいは、佐野が知らないと思っていることで、瑞稀は却って引け目に感じるかもしれない。
けれどそれは別の方法で取り除く――そう決意する佐野であった。
279佐野×瑞稀 9/13:2007/08/14(火) 00:11:45 ID:izP8OVQf
「それより聞きたいことがあるんだけど。何であの時泣いた?
『謝らないで』と言ったのは、どういう意味だ?」
「え、あ、それは、キスされたのは嫌じゃなかったんだけど、
また酔ったからで、佐野は覚えてないのかと思ったら、なんか悲しくなってきちゃってさ…。
ま、酔っぱらって、ってんじゃなかったからいいんだけど、
佐野に謝られたら、佐野はあたしとキスしたこと後悔してんのかな、って思えてきちゃって、
そしたらまた悲しくなってきちゃったんだよね」
それでか、と、佐野はようやく得心がいった。
そして、「なかったことにしたくない」と思っていたのが自分だけではなかったことに、
安堵と喜びを感じた。
「わかった。じゃ、撤回する」
「え?」
「謝ったのは取り消す。謝らねぇ。俺は、後悔してねーから。
おまえにキスしたいと思ったから、したんだ。――はっきりわかったのは、今日だけど」
悪びれずに言い放つ佐野に、瑞稀は柔らかく顔を綻ばせた。
花のような笑顔だった。

「俺、そろそろ下戻る。おまえ、安静にしてゆっくり休めよ」
「あ、あの…。迷惑…じゃなかったら、もう少しここに居て、くれないか?」
引き返そうとした佐野のシャツを、再び瑞稀が引っ張る。
「いや、だってさ、まだちゃんと信じられなくて、
明日の朝になったら、また前みたいに素っ気なくて冷たい佐野に戻ってそうでさ…」
「おまえな…」
過去の己の言動による自業自得とはいえ、そこまで自分は信用がないのかと思うと、
佐野は少々不機嫌になった。第一。
「おまえ、もうちょっと危機感持てよ。
これ以上ここにいて、自分を抑えられる自信、俺にはねえんだけど」
「…え?」
半瞬後に佐野の言葉の意味を理解して、瑞稀は耳まで赤くなった。
「え、あの……、そ、それでもいい…よ…?」
佐野のシャツを掴んだまま、頬を染めて、それでも上目遣いに佐野の目をしっかりと捉える。
「おまえ、自分の言ってる意味がわかってんのか?」
こくんと、顔を赤くしたまま、瑞稀は頷いた。
280佐野×瑞稀 10/13:2007/08/14(火) 00:12:13 ID:izP8OVQf
「本当にいいのか?」という佐野の再度の確認にも、
むしろ瑞稀の決心は一定の方向へ押し出されたようであった。
そんな瑞稀の反応に、佐野は眩暈がしそうになる。
こんな状態でなお理性を保てる男がいたら、お目にかかりたいものだ。
「途中で嫌だと言っても、止められねーぞ」
瑞稀の背中に腕を回して、ゆっくりとベッドに押し倒す。
瑞稀が佐野の首に両腕を回して力を込める。それが答えであった。

2人の唇が触れ合う。さっきとはうって変わった激しいキスだった。
この前は一方的に口腔内を蹂躙されるだけであった瑞稀も、
おずおずとぎこちないながらも積極的に応じてきた。

唇が離れて、至近で見つめ合う。
少しぼうっとしたような蠱惑的なその表情に、いつもの少年の面影は全くなかった。
急く思いで佐野は瑞稀のネクタイに手をかけた。
まさか同じ制服をこの手で脱がせる日が来ようとは、
桜咲に入った時には夢にも思っていなかったと、ふと苦笑を覚える。
ボタンの最後の1つを外し終えて、佐野が前を開くと、
白いバンドが身体に巻き付けられているのが目に入った。
胸を抑えつけるためなのだろうが、こんなものを身に着けていたとは……。
「おまえ、こんなもん着けてるから、貧血なんか起こすんじゃねーのか?」
「あ、そうかも」
「バカだな、無茶しやがって」
言葉とは裏腹に、そこには優しい響きがあった。
本来の自分の姿と自分の生活を捨ててまで海を越えてきた、その意志。その想い。
佐野が瑞稀に対して敬意を感じる部分をその白い物体は象徴していて、
それを目の前にして、彼には他に言葉が見つからなかったのだ
せめて、自分と2人でいる時ぐらいは、本来の彼女に戻してやりたい。
そう思って、バンドを解き、現れた白い小さな胸に口づけを落とした。
「…あ…っ」
色づいた声が頭上から降りかかり、佐野の体温を一層上昇させる。
佐野は内心で頭を振って、前言を撤回した。
「戻してやりたい」なんて御大層な考えを抱いているわけじゃない。
ただ単に、自分がそうしてほしいだけなのだ、と。

281佐野×瑞稀 11/13:2007/08/14(火) 00:12:42 ID:izP8OVQf
小振りだが形の良い胸を掌に包む。佐野の大きな手にすっぽり収まるそれは、
力の加減を変える度に自在に形を変え、その都度瑞稀の紅唇から艶やかな声を押し出させた。
「やっ…はっ……ぁん」
指の間から覗く、固くなった蕾を口に含む。
歯を立てて甘噛みすると、白い身体が激しくくねり、一際高い声を上げた。
「やぁ…っ!」
頂きを舌で絡め取って、ふくらみに唇を這わせる。空いた方の胸を掌で揉みしだく。
その度に瑞稀は身をくねらせながら切なげな声を上げて、視覚と聴覚の双方で佐野を煽らせた。

佐野はもどかしそうに片手でベルトとボタンを外してジッパーを下げ、
いきなりショーツの中へ手を差し入れた。
「やっ、だめ…っ!!」
いきなり秘められた場所に手を伸ばされて、瑞稀が慌てる。
構わずに佐野が瑞稀の一番大事な部分に触れると、そこは既に滴っていた。
思わず佐野が瑞稀の顔を見返すと、瑞稀は表情を羞恥に歪めて、視線を避けるように顔を背けていた。
そんな表情が、余計に相手の嗜虐心を煽ることを瑞稀は知らない。
しばし佐野がその辺りを探ると、指先が小さな突起に触れた。
瞬間、瑞稀の肩が激しく跳ねる。
「ひゃぁああんっ!」
「ここか?」
確かめるように佐野が同じ場所に繰り返し触れる。
「ちがっ! だめっ、佐野っ、そこは……っ!!」
語るに落ちてしまっている。佐野がそこを中心に執拗に攻めると、
瑞稀の身体はガクガクと痙攣した後、深くベッドに沈んで、一層熱い蜜を滴らせた。
程なく、佐野の指がゆっくりと中に進入していった。溢れ出たものが佐野の掌を濡らす。
奥で探るように動かすと、再び瑞稀の身体がびくびくと跳ねた。
何度か抜き差しして馴らすと、指を2本に増やして、中への攻めを強めた。
自分の身体が立てる濡れた音に対する羞恥に、瑞稀が固く目を瞑ると、
目の端から涙が流れ出てきた。その雫を、そっと佐野が唇で拭う。
こめかみに落とされたその口づけの熱さと優しさに、
瑞稀はわずかにほっとしたような瞳を送ったが、それも一瞬のこと。
次の瞬間には中への激しい攻めに、再び目を瞑って身を捩らせた。
282佐野×瑞稀 12/13:2007/08/14(火) 00:13:12 ID:izP8OVQf
「そろそろいいか?」
佐野の確認を受け、瑞稀はわかっているのかいないのか曖昧な、茫とした表情で小さく頷いた。
佐野は瑞稀のズボンとショーツを脱がせ、次いで自分のそれを脱ぎ去った。
瑞稀の脚を開かせ、膝裏を腕に抱えると、
散々指で攻め立てた場所にすっかり固くなったものを押し当てた。
緊張に強ばった身体には難しい注文かもしれないと思いつつ、
「力抜いてろよ」と声をかけ、ゆっくりと腰を前に進めていった。
「…………っ!」
先刻までの快感に悶えた表情とは明らかに違う。額からは冷や汗が吹き出ている。
「痛いのか?」
我ながら愚問だと思った。瑞稀は気を遣って首を横に小さく振るが、その表情からは明らかだった。
初めてか……。
その事実自体には満足を覚えるが、自分の欲望が彼女に苦痛を与えていることには胸が痛んだ。
けれど、今の佐野には引き返すことは考えられない。もう限界に近かった。
「悪い、もう少し我慢してくれ」
相手の頬に顔を寄せて耳元で囁くと、瑞稀は二度小さく頷きながら、首にしがみついてきた。
再び中への侵入を再開する。そこは狭く熱く佐野を締めつけ、包み込み、追い詰める。
瑞稀は苦痛を逃がそうとするかのように荒い息を繰り返し吐き、
それを聞くごとに、佐野は先を急いた。

最奥まで辿り着くと、瑞稀が一際大きく深呼吸をした。
「大丈夫か?」
またもや愚問であったが、それに答えるかのように、
瑞稀は苦痛に顔を歪めながらもゆっくりと微笑んだ。
「なんか不思議な感じ。佐野とこんな風になるなんて思ってもみなかったから…。
男としてしか傍にいられないと思ってたから、
こうして女の子としていられて、嬉しい。ありがとう」
瑞稀の言葉は佐野の胸中に波のように広がった。静かに唇を相手のそれに落とす。
そしてゆっくりと動き始めた。

次第に強く激しくなっていく動きを、瑞稀は苦痛に喘ぎながら必死に全身で受け止めようとする。
そんな姿がたまらなく愛おしくて、佐野の精神を揺さぶられる。
一瞬意識が真っ白になった次の瞬間、全てが解放された――。
283佐野×瑞稀 13/13:2007/08/14(火) 00:13:57 ID:izP8OVQf
……しばらく放心状態だった瑞稀だが、我に返ってふと自分の身体を見下ろすと、
左胸の中腹にある、赤い印が目に入った。脳味噌が瞬間沸騰する。
「さ、佐野っ、ちょっ、これ……マズく…ない?」
「だから、見えないところにしてやっただろ」
「してやった、って……」
まったく悪びれる様子のない佐野に、瑞稀の口は開いたまま塞がらない。
「逆に、そんなとこまで他の誰かに見られるようなことになったら、承知しねえから」
「…………」
元々赤い瑞稀の顔が、ますます赤くなる。思いがけず佐野の嫉妬心に触れて、
怒る気も失せたというか、むしろふわふわとした、面映ゆい気持ちで一杯になる。
「…佐野がそんなこと言うなんて思わなかった」
「実は俺も結構驚いている」
ふと佐野が微笑を見せる。
実際、自分がここまで独占欲が強いとは、今日まで佐野自身も思っても見なかった。
瑞稀といると、次々と自分の意外な一面を発見させられる。
それは案外悪くない気分であった。

こうしていられる日々は、そう長くはないだろう。
瑞稀を元の生活に帰してやらなければ、という思いがある。彼女の兄との約束もある。
けれど、既に瑞稀を帰したくないという気持ちが芽生えてしまっている自分に、
それができるだろうか。
佐野は一つ頭を横に振った。今はそのことを考えるのはやめておこう。
想いが成就した歓びに、素直に身を浸していたかった。
自分の気持ちが固まり、瑞稀と心が通じ合っても、まだまだ彼の悩みは尽きそうになかった。

「あのさ…、このまま、朝までいてくれない?」
遠慮がちに冗談めかしたその口調とは裏腹に、懇願するその瞳は意外に真剣で切なげで。
もしかしたら瑞稀の方も残りの時間の少なさを感じているのかもしれない。
それに気づかない振りをして、佐野はわざと素っ気ない口調を装って、
瑞稀にブランケットを軽く投げるように掛けた。
「ほらっ、いてやるから、さっさと寝ろ。寝坊したら…」
「“遅刻は連帯責任”…だよね?」
瑞稀が悪戯っぽい笑顔で続きを受ける。
最初の朝の自分を思い出して、佐野がわずかに苦笑した。
そして、2人抱き合って眠りに就く。久しぶりに深い眠りを享受できそうだった。



……結局、翌朝2人揃って寝過ごし、文字通り「連帯責任」となったのである。


284名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 00:16:10 ID:izP8OVQf
以上です。
書くのがトロくて、時機を逸してしまった感がありますが、
読んで下さった方、どうもありがとうございました。
285名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 01:08:07 ID:xVfZ7Ldg
GJ!!!!超きゅんです。フォントサイズが弄れないのが悔しいです!!
佐野が佐野っぽくて瑞稀が瑞稀っぽくて想像しやすかったです。



遅ればせながら…253です。
GJくれた方有難う御座いました。
286名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 19:34:47 ID:9UEN9emX
>>284
GJ!!!
独占欲強い佐野に萌え〜
287名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 19:59:31 ID:4wG/WKX/
ちょっと見ない間に沢山投下されていて
皆さんGJ!!ですね…ドキドキしました。

ドラマ版6話、抱きしめ…その後
佐野×瑞稀を投下します。
10レス使用予定です。
288名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:01:22 ID:4wG/WKX/

「佐野が跳んだんだよ!」


関目が言い終わる前に、瑞稀は駆け出していた。

夢中で走り続けると、校門から入ってきた佐野の姿が目に入った。

「…ったく…遅せーんだよ」
「遅せーじゃねーよ。跳ぶなんて一言も言ってなかったじゃねーかよ!
 跳んだってホントなのかよ!」
「あんなの跳んだうちにはいんねーよ」
「なんだよそれ…意味わかんねーよ、跳んだんだろ?」

「……かもな?」
「ふざけんなよ!なんで一言も言ってくんないんだよ」
「さっきも言ったろう、あの程度じゃまだまだなんだよ」
「わかんねーよ!そんなに俺に見られたくなかったのか?」

「…あぁ……お前には、ちゃんとした舞台で見てほしいから…」
「……え…?」
「だから…まだ見せたくねーんだよ」
「…佐野…」瑞稀は目を伏せてうつむくと、急に泣きだした。

「おい…どうしたんだよ」突然泣きだした瑞稀に佐野は戸惑う。
「……良かったなぁ…と思って…」泣きながら笑顔がこぼれ
また涙を流す瑞稀の顔を見ていると、佐野は不思議な感覚に襲われた。
佐野の瞳に優しい光が浮かぶと、右手で瑞稀の肩を抱き寄せ
ぎゅっと瑞稀を抱きしめた。

瑞稀は突然の佐野からの抱擁に、目を見開いたまま立ち尽くした。
佐野のジャージからほんのりと汗の匂いがして、蝉の鳴き声だけが聞こえる。
リアルな感覚に、今、佐野に抱きしめられているという現実を疑う余地もなかった。

佐野は、瑞稀を発作的に抱きしめてしまった自分自身に驚きながら
胸の高鳴りを覚えて口から息をついた。


その時、瑞稀の心の中にひとつの言葉が浮かんだ。

「やっとわかった…
 私は佐野の事が…好きだ…」
289名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:03:36 ID:4wG/WKX/

どれくらいの間、抱きしめられていたんだろう。
密着した佐野の体から、ドクン、ドクンと鼓動を感じた気がして
その感覚を辿ると、それは瑞稀自身の鼓動だった。

…声が出ない。
息苦しさとめまいを感じ、意識が遠のいた。
薄れる意識の中で、佐野の声と、遠くから中津の声が一緒に聞こえた。
「ぉぃ……おい…芦屋っ…」
「……瑞稀…!」 


瑞稀が目を覚ますと、そこは保健室のベッドの上だった。
「…お…目が覚めたか…気分は…どうだ?」
梅田の低音が瑞稀の頭にガツンと響く。

「急に走って倒れたそうだが、走る時はその胸バンドを緩めてから走れ。
 そんなもんつけたまま走って、また倒れても知らんぞ」
「…ぁ……佐野は?」
「倒れたお前を運んできたが、中津と一緒に部屋に帰らせた。
 どうした…何かあったのか?」
「え…あ…それは…あの…」うつむいて口ごもった瑞稀を
梅田は横目でチラリと見ると
「まあいい、もう大丈夫そうなら部屋に戻れ」と言った。
「…戻り…たくない、戻れない…」と瑞稀は小さな声でつぶやいた。

梅田はニヤリと笑いながら、ささやくような口調で言った。
「…なんだ?佐野に…キスでもされたか?」
「…は?…ちがっ…抱きしめられただけ…わっ!」口に手を当てる瑞稀。
「ほう…そりゃ災難だったな。あいつはゲイじゃないはずだが…」
「…じゃあ、なんで…まさか…俺が女だって…?」
「その可能性が…大…だな」
「ますます佐野に会えない…どうしよう…」髪を手でくしゃくしゃにしながら、瑞稀は頭を抱えた。
「…自分で確かめてみたらどうだ?」
「…えっ…どうやって?」
「それは自分で考えろ…とにかく時間外勤務なんだ。さっさとここから出ろ!
 こないだみたいに勝手に入れないように、鍵をかけとくからな」
保健室から追い出され、瑞稀は途方に暮れながら寮の方向に歩き出した。
290名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:06:10 ID:4wG/WKX/

部屋の前まで来て、瑞稀は深呼吸すると部屋のドアをそっと開けた。
ベッドの上で横になり、本を読む佐野の後ろ姿が見えた。
思わずバンっとドアを閉めて、はぁ…と息を吐くと
後ろからいきなりドアが開いて、瑞稀は前のめりに倒れた。
「おい…そこで何してんだよ」
「いや…その…梅田に…帰されちまって…さ」
「もういいのか?…急に倒れたから…中津も心配してたぞ」

「それより佐野!…なんで、さっき…その、あの…」
「…なんだよ…ハグで倒れるほど驚いたのか?…ハグ位、アメリカじゃ普通だろ」
いつもと同じ、そっけない態度の佐野は、部屋の奥を向いていて表情が見えない。
「ハグ?…Hug?
 …あ…そっか…佐野も跳べて嬉しかったんだ……な?
 そーだよな、ハグ……だよなー。ハグ…ハグかぁ…」
何度もつぶやきながら瑞稀は、ほっとした安心感からポロッと涙をあふれさせた。
「あれ…なんか…おっかしーな…また」
慌ててロフトにのぼろうとした瑞稀は、突然後ろから引き寄せられ
再びぎゅっと佐野に抱きしめられてしまった。

「…おい…泣くなよ…」耳元で佐野のハスキーな声が響く。
「……佐野?」
「お前は…なんでわかんねーんだよ…」
「これも…ハグ…?」ドキドキと瑞稀の鼓動が高まる。
「なんで…わかんねーんだ……じゃねーって」
「……え?」瑞稀は驚きで固まった。
「ハグじゃねーって…」佐野がかすれた声でつぶやく。
「ハグ……じゃ…ない?」息も絶え絶えに聞き返す瑞稀。
「………」
「…さ…の…?」

肩をつかんで振り向かされ、真剣な表情から発せられた佐野の声が響く。

「…お前の事が……好きなんだよ!」

「………!」

抱きしめられた時に感じた想い。

『私は佐野の事が…好きだ…』

同じ言葉が今、佐野の口から聞こえた。
291名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:09:02 ID:4wG/WKX/

瑞稀の心臓が早鐘を打ち、そのまま破裂してしまいそうな気がした。

『佐野は…私が女だって、気づいてたんだ…』
瑞稀はその事実に気がつくと、頭の中が真っ白になった。

しばらくの沈黙の後、瑞稀は思いもよらない言葉を発した。

「……アメリカに帰る…」

「…えっ」佐野が気の抜けたような返事をした。

「…もうここにはいられない」
「なんで…だよ」佐野の表情がかわった。
「……ごめん…」瑞稀は佐野から目を背け、床に目線を落とした。

「…約束したんだ…お前の兄貴と。
 お前には笑ってアメリカに帰ってほしいって…」
「…ごめん…佐野」瑞稀の瞳に涙が溜まる。

「…お前はまだ笑ってない…まだ俺が跳んだ姿も見てねーだろ!」

佐野は感情をあらわにし、険しい表情で言葉を荒げた。

瑞稀は、ボロボロと涙がこぼれ落ちる大きな瞳で、佐野を見上げた。

「……これ以上ここに居たら、きっと帰れなくなる。
 佐野の事を本気で好きになって…帰れなくなる…
 二度と離れたくなくなるのが怖い……怖いの!!」

その言葉に、佐野は瑞稀を抱き寄せ、きつく抱きしめた。
瑞稀も佐野の背中に手をまわし佐野の服を両手でにぎりしめた。

佐野の瞳にうっすらと涙がにじんだ。
「…なんで…最初から…そう言わねーんだよ…」

「やっと気がついたんだ…ずっと…ずっと…」

『好きだったって』

お互いの心の中に、同じ言葉が響きあった。
292名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:11:35 ID:4wG/WKX/

ゆっくりと体が離れ、見つめあったお互いの顔が自然と近づく。
震えるお互いの唇が、触れるか触れないかの距離をさまよい
柔らかな唇の感触を感じて、求め合うように引き寄せられる。
佐野は瑞稀の頬に口付け「おまえ…涙の味がする」とつぶやきながら
瑞稀の唇に深いキスを落とした。

瑞稀は瞳を閉じ、高鳴る胸の鼓動に息苦しさを覚えて、ため息をもらす。
「…ん…ぁ…」初めて聞く瑞稀の扇情的な声に、佐野の鼓動が早まる。
両手で瑞稀の顔を優しく包みこみ、熱に浮かされたように
夢中でお互いの唇を求め合った。瑞稀は体が浮き上がるような感覚に
佐野の背中に手をまわし、ぎゅっとしがみついた。

唇が離れ息をつくと、瑞稀が震える声で「佐野…」とつぶやく。
「お前と…離れたくない、ずっと一緒に居たい…」
「…私も」瑞稀は目を伏せて、佐野の肩に顔をうずめた。

お互いを見つめ合いながら、佐野のベッドに静かに座った。
佐野は瑞稀の髪をなでながら、瑞稀の大きな瞳をじっと見つめると
首の後ろに手を添えて、そっと瑞稀を引き寄せた。
今にも折れてしまいそうな、か細い瑞稀の体が小さく震えている。

瑞稀は佐野の肩におでこを乗せたまま
「…私は…どう…したらいい?」とつぶやいた。

「俺は…これ以上、お前を傷つけたくない…」

瑞稀は静かに立ち上がると、ベットに座る佐野を抱きしめた。

「…佐野は私を傷つけたりしない。
 いつも…私を救ってくれた。何度も、何度も…
 傷だらけなのは佐野だよ……私じゃない」

瑞稀はそっと佐野から離れ、部屋の明かりを消すと
佐野に背を向けて、自分の服を一枚ずつ脱ぎ始めた。
男物のシャツ、Tシャツ、短パンが床に落ち、胸部を押さえている白いバンドが見えた。
バリッとそれをはずす音がして、瑞稀の白い背中が薄暗い部屋の中に浮かび上がる。
瑞稀の白くなだらかな後ろ姿のシルエットに、佐野は息を呑んだ。
293名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:14:53 ID:4wG/WKX/

胸を両手で隠し、横顔を見せた瑞稀が、小さく息を吸うと
「佐野…お願い、目…つぶって…」震える声が部屋に響いた。
言われるままに目を閉じた佐野に、最後の一枚が床に落ちるかすかな音が聞こえた。
ベットに瑞稀が腰かけた振動が伝わり、佐野の背中に柔らかな感触が触れた。
「……佐野も」瑞稀が後ろからTシャツをつまんで、そっと引っ張った。
佐野は大きく息を吐くと、天を仰ぎながら目を開き、服を脱いだ。
服を床に落としながら、佐野がゆっくりと振り返ると
天窓からの月明かりに浮かぶ瑞稀の白い肢体が浮かび上がった。
「恥ずかしいから、見ないで…」
そう言いながら抱きついてきた、瑞稀の柔らかで温かい体に
佐野はどうしようもない愛おしさを感じて、ぎゅっと抱きしめた。
素肌が触れ合い、小刻みに震えながら肩で息をつく瑞稀を直に感じた。

「お前…なんでこんな無茶してんだ」
「……佐野が…好きだから…」

「……鬼太郎を好きになったのか?」
「…っ!…それを言うなら、目玉の親父呼ばわりしたのは誰だよっ!」

お互いにぷぷっと噴き出し、
「あはは!ダメだ…おかしくって涙が出る…」笑い転げる瑞稀。
お互い裸なのも忘れて、ベットの上で笑いあった。

佐野はそんな瑞稀をみて微笑むと、
「…いつも笑っててくれ…瑞稀」とささやいた。
「え…あっ…今…瑞稀って呼んだ…」
ベットの上に裸のまま座り込み、きょとんと佐野を見上げる瑞稀に
「おい…そんな格好で…
 はぁ……押さえが効かなくなるだろーが…」
佐野が眉間にしわを寄せて、目をそらしながらため息をついた。

「押さえなくていいよ…」
「瑞稀…」
「佐野の事、ずっと好きだったんだ…だから我慢しないで…」
「…途中でやめる自信ねーぞ…」
「…うん…いいよ。…鬼太郎」
瑞稀は佐野の頬にチュッと音を立ててキスをし
勢いよく佐野に抱きつくと、そのままベットに倒れ込んだ。
294名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:17:40 ID:4wG/WKX/

上になった佐野から、瑞稀の唇から首筋、胸に口づけが降り注ぎ
ピンク色の蕾に唇が触れると、瑞稀は「あっ」っと驚いて身をよじった。
大きな手が肩から胸をゆっくりとなで、なめらかな肌の上を揺れ動く。
ウエストからそっとすべり降り、瑞稀の中心に佐野の手が触れた。
その瞬間、瑞稀はからだ全体をビクッと震わせた。
佐野の指が瑞稀の中心を撫でると、瑞稀は両手の甲で目を覆うように顔を隠した
「…ん……あっ…やっ…」と瑞稀から、ため息がもれる。
ほんのりと湿った瑞稀の中心に、佐野の指が分け入り
吸い付くような柔らかい手触りの部分を優しく撫でた。

佐野の長い指がゆっくりと強弱をつけ、そこを撫で続けると
初めての刺激に、瑞稀は声をもらし始めた。
「あっ…あぁっ…」
瑞稀の中からトロリとしたものが溢れ、佐野の手を濡らす。
「あ…なんか変…さ…佐野っ!」
佐野は無言のまま、瑞稀の唇や体に優しいキスを落としながら
溢れだした瑞稀の中に、浅く指をうずめた。
「…変…変かも…どうしよう…ぁ…あっ…あぁ…」と瑞稀は喘ぎだした。
佐野が中指をうずめたまま、手の平で包み込むように揺らしながら
そこへの刺激を強めると、瑞稀は「…ん…ぁあっ!!」と声をあげ
頭の中に白い霞がかかって、脳に響くような快感に大きく体を震わせた。

「はぁ…はぁ……私…やっぱり…変だよ……」
荒い息に唇を薄く開き、額に汗を浮かべて瑞稀は佐野を見上げた。
紅潮した瑞稀の頬をなでながら、佐野は微笑んだ。

「感じる事は…別に変な事じゃない。俺も、お前も」

お互いの手の平を合わせ、指と指を絡めながら、佐野は瑞稀に体を重ねた。
瑞稀の両足の間に、佐野の筋肉質な体が滑り込み、繋いだ手を握りしめた。
「あらかじめ言っとく、痛いのは最初だけだ…いいな?」
瑞稀は佐野の顔をじっと見つめ返し、こくんと小さく頷いた。
295名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:20:59 ID:4wG/WKX/

溢れかえった瑞稀の中心に、熱いものが当たる感触がした。
不安と緊張が最高潮に達した瑞稀を、佐野がぐっと貫いた。

「っ………んぁ……!!」瑞稀はその大きな圧迫感にのけぞる。

「力抜いて…ちゃんと息吸って…」
「ぁあっ…そんな…無理だよ…ああっ!」瑞稀が身をよじりながら喘ぐ。
瑞稀の中の狭さに、佐野が眉間にしわを寄せ、顔を歪める。
佐野は瑞稀を抱き寄せ「もうちょっと…我慢して…」とつぶやいた。
瑞稀はぎゅっと目を閉じて、佐野のささやくような声を聞きながら
中心を貫かれた感覚に耐え、ようやく落ち着きを取り戻した。
瑞稀の表情が穏やかになったのを確認し、佐野がゆっくりと動き出した。
「ん……っ」粘膜が擦れ合い、佐野が少し動くたびに瑞稀の中に鈍い痛みが走る。
「…痛いなら声に出していいぞ」
「…うん…ぁ…あっ……佐野…は?」瑞稀がそっと目を開けると
揺れる前髪の間から、何かに耐えるような、見た事のない佐野の表情が見えた。
「…俺の…心配はいいから…」

瑞稀はハッとした。
『…佐野は我慢してるんだ…私のために…』


「佐野…大丈夫だから…お願い…好きにして…」

「………わかった…」

佐野が大きく息をつくと、腰を押し上げ、ぐっと奥まで打ちつけた。
「んぁっ!!」瑞稀は強い圧迫感と、奥に当たるような鈍い痛みに悶える。
引いては押され、強い波に揺さぶられるような動きに翻弄された。

「瑞稀…」佐野がため息混じりにそう呼ぶと
「あぁっ……さのっ…佐野っ」と瑞稀も夢中でその声に答えた。
何度も打ちつけられ、瑞稀は痛みの感覚が麻痺したような妙な感覚に襲われた。
体の間で瑞稀のふたつの膨らみが揺れ、白い足が空中に持ち上がり
さまよいながら、佐野の腰に絡みつく。
瑞稀の動きに合わせ、佐野が角度を変えて動きだすと
瑞稀の声に、徐々に甘い響きが帯び始めた。
「んっ…あっ…あぁっ…」瑞稀の声と共に、繋がった部分から水音が溢れだす。
佐野と瑞稀の体が擦れ合い、ぶつかるたびに瑞稀の敏感な部分を刺激した。
突然押し寄せてきた不思議な感覚に、瑞稀は痛みも忘れて佐野にしがみついた。
「…………っっっ!!」
瑞稀は大きくのけぞり、痙攣する体の奥で佐野をきつく締め上げた。
「……っ!」佐野は、体ごと瑞稀の中に吸い込まれるような感覚に
息を呑み、瑞稀の一番奥で動きを止めた。
その瞬間、瑞稀の体の奥にドッと熱いものが流れ込んだ。
296名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:24:02 ID:4wG/WKX/

「はぁ…はぁ…」

瑞稀の荒い息遣いと、佐野の浅い息遣いが
二重奏のように薄暗い部屋の中に響く。

佐野が静かに起き上がり、ティッシュを手に取ると
瑞稀の中心をそっと優しく押さえた。

「あ…ごめん…ありがと…」照れたようにうつむきながら
赤く染まったティッシュを見つめる瑞稀を、佐野がそっと抱き寄せた。
「…痛かった…よな」佐野の心地良い声が、体の中を伝わって響く。

瑞稀は佐野の胸に顔をうずめ、今までに感じた事のない安心感に包まれた。
「ううん……嬉しかった…それに…なんか……」
「………なんだよ?」
「佐野、キレイだった…跳んでる時と同じ位…素敵だった」
「………」瑞稀の言葉に、佐野は一瞬固まった。

「…また見せてくれるよね? 佐野が跳ぶとこ…」
「……ああ」
「…絶対だよ、約束だからね!」

瑞稀は佐野の胸元に、そっと小さなキスをして
佐野の手を取ると小指をからめ
「指きり…」とつぶやくと、安心したように瞳を閉じた。

佐野の腕に頭を乗せた瑞稀から、すうっと寝息が聞こえ始めた。
佐野は片手でタオルケットを引き寄せると、瑞稀の体にそっと掛けた。
小さな子猫のように無防備に、自分に体を預けて眠りについた
瑞稀を見つめながら、佐野も静かに目を閉じた。
297名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:26:54 ID:4wG/WKX/

幸福な時間が過ぎ、暗闇の中で佐野の心の中にある想いが浮かぶ。

『俺が、こいつの為にしてやれる事は……?
 約束通り、全国大会に連れて行ってやりたい。
 でも…本当に行けるだろうか?』

跳んだ後に、バーが揺れ、ゆっくりと地面に落ちていく光景が
フラッシュバックのように浮かんでは消える。

佐野の心に言い知れぬ不安がよぎり、ドクッと鼓動が高まった。
背中に嫌な汗が滲み、忘れかけていた跳ぶ事への恐怖感が湧き上がる。

その時「………佐野…」かすかに瑞稀の声がした。
目を開くと、腕の中で眠ったままの瑞稀が、寝言で自分を呼んでいた。
「…瑞稀?」そっと佐野が呼びかけると
「…ふふっ」っと微笑み、瑞稀は穏やかな表情を浮かべた。

瑞稀の柔らかな寝顔に、佐野は優しい眼差しを向けると
そっとその頬にキスを落とした。
不思議と動悸がおさまり、不安な気持ちが溶けていくのを感じた。

『こいつとは離れられそうにないな…
 瑞稀をがっかりさせたくない。
 その為に出来る事をやるしかない…か』

佐野は口元に小さな笑みを浮かべたまま
目を閉じて、静かに眠りに落ちた。



 〜〜〜完〜〜〜

298名無しさん@ピンキー:2007/08/14(火) 20:29:24 ID:4wG/WKX/

以上です。
読んで下さった方、ありがとうございました。

原作未読なのですが、瑞稀が胸バンドで倒れるというのは
デフォなのでしょうか?
保健室ネタが、少々かぶってしまいました。

もうすぐ7話の放送ですね〜どう話が進むのか楽しみ。
299名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 03:10:16 ID:0D2/DDDm
GJ!

7話良かったな〜
何故か天王寺×カンナに萌えてしまうw
誰か書いてくれないかな
300名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 16:43:07 ID:a+0IJQFw
>>299
空気嫁ないクレ厨氏ねよ
301名無しさん@ピンキー:2007/08/15(水) 17:11:41 ID:tBFaaXDW
>>300
まーまー、そうカリカリしないでw

>>299
いっそ自分で書いて投下するのはどう?
触発されて他カプ増えるかもよw
302名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 02:22:35 ID:jeanSP3l
ひばりとこまりとか需要あるかな。
303名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 06:15:15 ID:4/eYO+Fq
個人的にひばこまは激しく萌えるカプだけどスレ違いってか板違いかな?
公式のキャラ紹介にも、こまりは可愛さゆえにひばりのお気に入りとか書いてあるw
304名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 10:06:13 ID:fnpu0w4W
自分はここに投下してくれてもいいんだけど、嫌な人もいるのかな?
百合スレもあるから、不安だったらそっちの方がいいかも知れん。
そっちもたまにチェックしとくよ。
305名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 11:35:53 ID:j+gfG4Tr
できれば百合スレで……
306名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 14:48:22 ID:fajliWEE
>>302
最初に断っておけばいいんじゃね?

>>305
嫌な人はスルーかNG登録すればいいだけ。
大人の対応で行こうよ。
307名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 15:05:28 ID:NdFWnuJp
初期のこのスレ
投下前のマナー守れない初心者が多かったからねぇ
308名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 16:35:30 ID:12y7tLfe
今も十分初心者の多いスレだと思うけどね
百合おkにしたらホモもおkになっちゃいますけど?
普通に考えて、♂♀カプ以外は別板行くべき
309名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:41:04 ID:lA7t8iO9
でも原作では北斗がヤってるとこ(もちろん♂と)とかあるし、中央→難波だし、そゆのはアリじゃなぃ?
でも百合は勘弁かな?
コレ矛盾?笑
310名無しさん@ピンキー:2007/08/16(木) 21:42:40 ID:cD3Dsm+4
極論ホモが好きって事だよね。
311名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 02:11:33 ID:AvrRz8rY
パロ板で百合NGとか聞いたことないんだが
801は論外だけど
312名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 02:12:24 ID:Yldq9DY0
>>308>>309
半年ROMれ
313名無しさん@ピンキー:2007/08/17(金) 13:45:42 ID:eIyIp7Op
くだらねーこと言ってないで作品投下を待てゴルァ
314名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 04:57:10 ID:qoN+1uqa
次回の作品に期待!
315名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 13:49:26 ID:qpSaeH4O
今日の話のサブタイトル
「俺は瑞稀が好き」みたいな感じだった。
どうなるのだろうか…

正座して待つ俺
316名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 21:12:39 ID:fYgpeUpq
ヌード要求されてピンチに陥る瑞稀が見れる!?…かも。
期待age!!
317名無しさん@ピンキー:2007/08/21(火) 21:58:42 ID:59wn557X
まきまきキャプ キス顔キャプもあったよ
http://2server.harikonotora.net/tv/pc/img.php?src=../src/382-19.jpg
318名無しさん@ピンキー:2007/08/23(木) 07:42:06 ID:PI4Kb+EO
保守
319名無しさん@ピンキー:2007/08/25(土) 10:34:35 ID:dXo2BHcp
あげ
320名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 11:56:55 ID:4La8oV01
>>309
お前バカなの?
バカだよね?
相当なバカだよね?
死ねば?
321名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 23:09:42 ID:L4wXrASq
ドラマが進むにつれてどんどん佐野に萌えていく…
322名無しより愛をこめて:2007/08/27(月) 02:47:31 ID:BVq8/Zxu
書いている職人さんには、申し訳ないんだけど、
出来れば名前の所にCP名入れて欲しい。
スレ最初の方の作品は、そういう意味で見にくかった。(最近のものは、大分入っているのが多いから見やすい)

どんな男女CP投下でもいいんだが、出来れば苦手なCPはスルーしたいのでよろしくお願いします。
323名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 03:52:51 ID:ZtY8p74l
ドラマも原作も両方好きだけど
原作の佐野はお色気ムンムンだよね。

新作、待ってますよ
324名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 23:43:38 ID:ZUkmYn8c
>>221
ドラマもシャワーで女バレきたねw
325名無しさん@ピンキー:2007/08/29(水) 11:59:14 ID:rnnYLRD5
中津派だったのに昨日は佐野に萌えてしまった
職人さんまだまだ待ってますよー
326名無しさん@ピンキー:2007/08/31(金) 00:58:54 ID:bhdzh0nT
新作見たーい
327名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 19:31:02 ID:MDYJIS0Z
ほしゅ
328名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 04:02:07 ID:P4hT02Wt
天王寺×カンナきぼん
329名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 04:03:45 ID:P4hT02Wt
sageわすれた
330名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 07:01:47 ID:S3lDrnMa
あのさ…もう職人さんたち他所に流れてるよ
ここクレクレばっかで雰囲気最悪だからさ
331名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 12:55:59 ID:vkHc7Z1u
視聴率はイマイチだった火9過去ドラマの
ヒミツのスレが5までいってる件
332名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 16:04:38 ID:YKpIYD5m
ここって原作駄目なの?
ドラマじゃ萌えられない
333名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 16:23:41 ID:Rq6orE1n
>>332
過去ログ読め
わざわざ萌えられないと言う必要があるのか?
334名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 19:28:40 ID:p8ulLDEu
>>331
あれは火10
335名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 02:14:57 ID:+xgguGaC
放送日あげ
336名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 09:55:32 ID:YpeEErPa
>>332
原作ダメじゃないよ
投下前に原作寄りとかドラマ版とか書けば
嫌な人はスルーしてくれるから無問題
337名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 20:38:47 ID:6Q9cJ1In
ドラマ版7話その後、佐野×瑞稀を投下します。
とりあえず微エロ前半のみ。11レス使用予定。
無駄に長いのですが、大目にみて下さい。
338佐野×瑞稀 7話後 1/11:2007/09/04(火) 20:40:18 ID:6Q9cJ1In

「行くなよ…」


あれからずっと
その言葉が、瑞稀の心に何度も浮かんだ。

「行くなよ…」

その前は、突然抱きしめられ、今度は行くなよと引き止められた。
あの時の佐野を思い出し、瑞稀の鼓動がドキッと跳ねる。

「跳んでねーよ。
 まだ跳んでねーよ。
 ちゃんとした舞台で…おまえの前で、まだ跳んでねーだろ。」

「だから……行くなよ…」

いつものそっけない態度で、サラッと言われた言葉だった。
でも…自分を見つめる佐野の表情は、見た事がないほど寂しそうに見えた。
私は、佐野のあの言葉で学園に残る決心をした。

でも、どういう意味なんだろう…瑞稀は考え続けた。
「もう少し、ここにいてもいいって事かな…?」
瑞稀はシャワーを浴びながら、ポツリとつぶやいた。

今日、佐野は部活と筋トレで遅くなるって言ってたっけ…。
バスルームの小さなバスタブにお湯を張り、
両親が来日した時に、ママがアメリカから買ってきてくれた
瑞稀のお気に入りの入浴剤を入れ、その乳白色のお湯に浸かった。
甘いジャスミンの香りに癒され、静かな時間が過ぎる。
「あ〜…やっぱ、いい香り…」
水音だけが響く静かな時間の中、佐野の言葉を思い返す内に、
温かなお湯に浸かったまま、瑞稀はウトウトと眠りに落ちた。
339佐野×瑞稀 7話後 2/11:2007/09/04(火) 20:43:38 ID:6Q9cJ1In

「おい、芦屋…大丈夫か?」

目を覚ました瑞稀の耳元で、佐野の声が聞こえた。

「…ん…」

まぶたを震わせ薄く目を開くと、瑞稀は自分のベッドに横になっていた。
体がだるくて起き上がれず、顔だけを声がした方向に向けた。
佐野が枕元に座り、うちわでこちらをあおいでいる姿が目に入る。

「…俺、どしたの?」
「……はぁ」ため息をつき、微妙な表情で目をそらす佐野。

瑞稀はハッとした。
風呂場でお湯に浸かっていたのを最後に、記憶がない…?

自分に目をやると服は着ていた。
でも、この服を自分で着た覚えが…ない。
瑞稀は血の気が引くのを感じながら、佐野に尋ねた。

「俺っ…もしかして…風呂場で?」
「…ああ、倒れてた。」言いにくそうに佐野が答える。

「それって…バスタブの…中?」
「………」佐野のうちわをあおぐ手が止まり、答えがない。
瑞稀の青白かった顔が、みるみるうちに真っ赤に染まる。

「まさか…こ、この服…佐野が?」
「いや、服…着て、倒れてた。」佐野の目が微妙に泳ぐ。
「ホントッ!?」
「ああ…風呂上がって、のぼせて倒れたんじゃねーの?
 これ飲んで、しばらく休んでろよ…」
ポカリスエットのボトルを、ポンと瑞稀に投げると
佐野はロフトをさっさと降りて行った。

はぁ…良かったぁ〜服着てから倒れたんだ…。
のぼせたのか〜ぜんぜっん覚えてないけど、あぶなかったぁ〜。
能天気な瑞稀は、佐野の言葉を信じ、
ホッとしてポカリを一口飲むと、タオルケットにもぐりこんだ。
340佐野×瑞稀 7話後 3/11:2007/09/04(火) 20:45:00 ID:6Q9cJ1In

ロフトから降りた佐野は、そのままバスルームに入った。
シャワーを勢い良く出し、白いお湯が張られたバスタブを見つめる。

「はぁ…ったく、勘弁してくれよ」
大きなため息と共に、佐野はひとり小さくつぶやいた。


その日の部活後、部屋に戻った佐野は、シャワーを浴びようと
バスルームに入ろうとしたが、鍵がかかっていて開かない。
ドアをノックし、声をかけても返事はなく、水音も聞こえない。
中の明かりはついていたが、ガラスブロックの窓からは、中の様子までは見えなかった。
「おい、芦屋…まさか溺れてんのか?…おいっ」

ロフトの上にも、さっき通りかかった食堂にも瑞稀は居なかった。
嫌な予感がし、中津がシャンプーを借りにくる時と同じように、外から定規で鍵を開けた。
「……入るぞ」静かにドアを開け、シャワーカーテンをそっとめくると
瑞稀がバスタブの中で倒れているのが目に入った。

とっさに瑞稀の口元に手をかざし、呼吸があるのを確かめ、
瑞稀に触れるのを一瞬迷いつつ、瑞稀の手首を取り脈をとった。
「おい…大丈夫か?」頬をそっと叩いてみるが、返事がない。

小さなバスタブで水の量が少なかったのが幸いし、溺れてはいなかったが
バスタブの縁に紅潮した顔をもたげ、裸の瑞稀がぐったりと横たわる光景に
佐野はドキッと鼓動が高鳴り、瑞稀の姿から目が離せない。

誰かに知らせようにも、知らせようがない。ここは男子校の寮内。
こいつが女だと知っているのは、自分しかいない。

「…マジかよ…」
341佐野×瑞稀 7話後 4/11:2007/09/04(火) 20:47:39 ID:6Q9cJ1In

甘い香りの乳白色のお湯の中に、瑞稀の身体がうっすらと透けて見える。
瑞稀は顔に汗を浮かべ、皮膚が赤く色づいて明らかにのぼせていた。
佐野は意を決して屈みこむと、瑞稀の肩とひざの下に手をかけて
バスタブの中から、瑞稀を抱き上げた。

真近に見える、濡れたふたつの膨らみと薄いピンクの頂。
なだらかな細い腰の中心に見える淡い茂み、そこから細く華奢な両足が続く。
抱き上げた拍子に瑞稀の片腕がすべり落ち、体から水が滴った。
はっきりと瑞稀のすべてが目に入り、思わず目をそらしながら
佐野は心臓がドクンと高鳴り、顔が赤くなるのを感じた。

こいつ…思いっきり女じゃねーかよ…。

頭ではわかってはいた事だが、現実にそれを目にして佐野は戸惑う。
抱え上げると思ったよりも軽く、女だからか…と今更ながら実感した。
お湯がボタボタと滴り、バスルームの床に屈んで自分のひざの上に瑞稀を降ろすと
生暖かく濡れたジャージ越しに、瑞稀の柔らかい感触を感じた。
後ろ手にバスタオルを取って、さっと瑞稀の体にかけた。
上から手でそっと押さえると、タオル越しに柔らかな感触が伝わってくる。
タオルの端から見え隠れする瑞稀の白い体から、女が匂い立った。
高揚感を抑えきれず、手が震え、体の中心が疼くような感覚に佐野の表情が曇る。

視線の先に、瑞稀が置いたのであろう着替えが目に入り
それを何とか着せ終えると、もう一度抱き上げバスルームを出て
ロフトの上の瑞稀のベッドに運び上げた。

ベッドに瑞稀の体を降ろした時、ジャスミンの甘い香りがふっと漂い
佐野の鼻腔をくすぐる。瑞稀の肩とひざの下に腕を挟まれたまま
そのままの姿勢で、一瞬佐野の動きが止まった。
そっと腕を引き抜くと、佐野は顔を左右に振りながら息を吐いた。
342佐野×瑞稀 7話後 5/11:2007/09/04(火) 20:50:20 ID:6Q9cJ1In

佐野は重い足取りでロフトを降り、ずぶ濡れになったジャージを脱いで、
部屋着に着替えた。冷蔵庫からポカリスエットのボトルを取り
濡らしたタオルと、うちわを手にロフトへ戻った。

瑞稀を見下ろしながら、佐野は片ひざを抱えて座り込むと
火照った瑞稀のおでこに冷たいタオルを乗せ、
瑞稀の顔を静かにうちわであおぎながら、ため息をついた。

なぁ…おまえ、なんで風呂場で倒れてんだよ。
ちったぁ男子校にいるって、自覚もてよ…。

服を着てベッドに横たわる瑞稀は、いつもと同じ瑞稀に見えたが
目の前をさっきの鮮やかな光景がちらつき、佐野の目が泳ぐ。
手の平に、瑞稀の柔らかな体の触感がよみがえり
ドキッと鼓動が跳ねあがった。

「おい…どーしてくれんだよ…ったく」

佐野がかすれた声でつぶやいた。

しばらくして目覚めた瑞稀に、服を着て倒れていたと話し
佐野はロフトを降り、バスルームに入った。
バスタブの栓を抜き、渦を巻いて流れていく乳白色の水を眺めながら
鼓動の高まりと体の火照りを抑えようと、冷たい水のシャワーを浴びた。
「…冷てぇっ…」
壁に両手をついた佐野の体から、熱を奪った水が滴る。

「はぁ…」ため息をつきながらバスルームを出た佐野は
髪をタオルで拭きながらロフトを見上げた。
「あいつ……大丈夫か?」
ロフトに上がると、瑞稀はタオルケットにもぐりこんだまま
静かな寝息をたてていた。
「無邪気な顔して、寝てやがる…」ふっと佐野は小さく笑った。

ロフトを降り自分のベッドに座ると、グーッとお腹が鳴った。
「そういや、夕飯食ってねーじゃん、俺…」
もう食堂は閉まっていて、消灯時間も過ぎ、出かける事もできない。
こないだ風邪で寝込んだ時に、瑞稀が預かってきた差し入れを思い出し
そのお菓子を口に放り込んで、ペットボトルの水を飲んで空腹を満たした。

あんな姿見せられたら、眠れそーもねーな…。
手元の明かりを灯しベッドに横になると、枕元の小説を開いた。
343佐野×瑞稀 7話後 6/11:2007/09/04(火) 20:52:32 ID:6Q9cJ1In

瑞稀は、唇に暖かい感触を感じて目を覚ました。
「…んっ?」一瞬、夢かと思い、妙にリアルな感触に目を開くと
目の前に佐野の顔が見えて、唇を奪われていた。
「んんーーーっっ!!」

佐野ーっ!!なにやってんだよっ!と叫ぼうにも
唇が塞がれ、強引に舌を差し込まれていて声がでない。
佐野から、ほのかに甘苦いチョコレートの味がした。

佐野…お酒入りのチョコレートかなにか食べて、酔ってる?!

佐野に押し倒され、キスが繰り返される内に、瑞稀は抵抗できなくなり
最近の佐野との出来事が、頭の中をグルグルとまわりはじめた。

跳べた佐野にぎゅっと抱き寄せられ「私は佐野の事が…好きだ」と気がついた。
「行くなよ…」と佐野に引き止められてドキドキしたっけ…
熱を出した佐野に添い寝して、ベットから転がり落ちて笑いあった。
最近の佐野との思い出が、次から次へと浮かんでは消え
さっき目が覚めた時、うちわであおいでくれていた穏やかな顔が浮かんだ。

酔ってても、佐野だから…いっか…。瑞稀は佐野のキスを受け入れた。
体の力を抜いて、佐野からのキスに意識を集中させた。
下唇をついばむように唇に含まれ、そのなめらかな感触に瑞稀の鼓動が高まる。

「……ん…っ」

でも、前に奈良漬で酔った時のキスと全然違う…なんで?

しばらくして唇が離れ、佐野はうつろな表情のまま
瑞稀のベットにゴロンと転がった。

「はぁ…はぁ…っ」息が上がった瑞稀が、佐野を見ると
佐野は目を閉じたままニヤけて、完全に酔いつぶれていた。

「おいっ佐野…しっかりしろよ…佐野っ!!」
寝返りをうちながら、佐野は瑞稀にぎゅっと抱きつくと
「ん〜っ」と頭を瑞稀にすり寄せ、胸に顔をうずめた。
「…佐野…」普段の佐野からは想像できない、子供っぽい仕草に
瑞稀は母性のような妙な感覚が湧き上がり、佐野を抱きしめた。
344佐野×瑞稀 7話後 7/11:2007/09/04(火) 20:54:26 ID:6Q9cJ1In

「朝になったら、どうせ佐野は覚えてないんだろうな…
 今夜だけは、こうしてても、いい…よね?」
瑞稀が佐野を抱きしめたまま、静かに目を閉じた時、
いきなり佐野が瑞稀の胸にキスをした。
「ひゃっ!」Tシャツ越しでも、そこは明らかに瑞稀の胸のてっぺんで
瑞稀が声を上げると、Tシャツの下から手が差し込まれ、
佐野の手が瑞稀の膨らみに直に触れた。
「あっ!」瑞稀が抵抗する間もなく、Tシャツがまくり上げられ
瑞稀の両胸があらわになり、そこに佐野の口づけが降り注ぐ。

「ちょっと待って…ダメだって!…佐野っ」
「んふっ…ちゅう〜〜」佐野が意味不明な言葉をつぶやきながら
瑞稀の胸を撫で上げ、キスの雨を降らせた。瑞稀は体をくねらせて
なんとか逃れようとしたが、佐野の体が上に乗っている上に
胸を撫でる佐野の腕に押さえられ、身動きがとれない。

下から持ち上げるようにそっと胸を掴まれ、佐野の顔が近づいた。
ピンクの頂が優しく唇に含まれ、ゆっくりと舌先で転がされる。
「わっ…どこに吸い付いてんだよっ…佐野!」
控えめな乳房を揉みしだかれながら、頂に甘く歯を立てられ
「…んんっ」と瑞稀がくぐもった声を上げた。
赤く色づき始めた中心部が濡れて光り、プックリと立ち上がる。
「ちゅっ」と音を立てて離れた佐野の口元に、不敵な笑みが浮かんだ。

佐野の顔が胸を離れ、鎖骨から首筋を這いながら瑞稀の唇に近づく…
唇が塞がれ、強く優しくリズムをつけながら、なめらかに動く舌が
瑞稀の舌を絡めとるように濃厚に絡み付き、口内を蹂躙する。
湿った音が暗闇に響き「はぁ…」瑞稀の口からため息が漏れた。
何だろう…頭の中がぼーっとして、もう何も考えられない。
酔っぱらっているとはいえ、好きな人からのキスで
こんな気持ちになる事を、生まれて初めて知った。

なんで…キスだけじゃない…の?これ以上は…ダメだよっ

頭ではそう思いつつ、佐野からの責めに瑞稀は抵抗できなくなっていた。
佐野がゆっくりとキスを繰り返しながら、瑞稀の服を脱がし始める。
Tシャツ、短パンが脱がされ、下着に手をかけられた時、さすがに瑞稀は
身をよじって抵抗したが、あっけなく脱がされてしまった。
佐野はキスをしながら、器用に自分のTシャツを脱いだ。

首筋から胸へとキスを落としていった佐野が、すっと瑞稀を見上げると
口元に笑みを浮かべ、見たことのないような妖艶な表情で

「ねぇ……しようよ…」とささやいた。
345佐野×瑞稀 7話後 8/11:2007/09/04(火) 20:56:34 ID:6Q9cJ1In

月明かりに浮かんだ佐野のその表情に、瑞稀は一瞬理性が飛びそうになる。
数秒間言葉に詰まり「ダ…ダメだってば…」と小さく言い返した。

佐野は、瑞稀の言葉など耳に入っていないような様子で
わき腹からおへその上にキスを降らせ、キスがだんだん下におりていく…

「ひゃっ!ヤダよ…やだってっ」足をバタつかせる瑞稀に
佐野の手が瑞稀のふくらはぎに触れ、ひざの裏を下から掴むと、瑞稀の動きが止まった。
太ももの裏にキスを落とし、そのまま淡い茂みにもキスを落とした。
「……っっっ!!!」瑞稀はその唇の動きに体が震え、気が遠くなった。
クチュッと派手な音を立て、佐野は唇が濡れて光った顔を上げた。

「ふふっ…でも、ここはヤダって言ってない…」

瑞稀はあまりの驚きに声も出ず、顔を真っ赤にして体をこわばらせた。

ど…どこでそんなセリフ覚えてきたんだよっ!
ってゆうか、なんてとこにキスしてんだよっこの変態キス魔っ!!!

普段の佐野とは別人の、酔っぱらった目の前の佐野に混乱し、
あまりのショックで枕につっぷした瑞稀に、佐野は思わぬ反応を示した。

「ふーん、イヤならやんない。キライなんだ…俺の事」
その言葉に「えっ?」っと振り向き、
佐野を見ると、今にも泣き出しそうな顔で、下を向いていじけている。
はぁ…どういう事〜〜?瑞稀は急に体の力が抜けた。

瑞稀は、酔った佐野が見せる百面相な変わりっぷりに戸惑った。
「…別に、キライじゃない…でも、こんなの急すぎるって!」
「じゃあ、好き…?ねぇ…好き??」すねた子供のように
瑞稀の顔を覗き込む佐野が、なんだが可愛らしくて
思わず「うん…好き…」と答えてしまった。

「ぐふふっ…好きなんだ……俺も好き!…瑞稀の事」
ニコッと子供っぽい笑顔を浮かべたかと思うと
瑞稀の胸に顔をうずめ、ふっと力が抜けたと思うと
そのまま佐野はグーッと寝入ってしまった。
346佐野×瑞稀 7話後 9/11:2007/09/04(火) 20:58:10 ID:6Q9cJ1In

「えぇ〜〜!なんなんだよっ…もうっ」
瑞稀は、それ以上の事に及ばなかった事にホッとし
佐野の重い腕をどけると、ベッドから起き上がった。

服を拾い上げながら、振り返って佐野の寝顔を見た。
その唇が、その手が、自分の体のあちこちに触れた感触を思い出す。
ドキンと胸が高鳴って、キスされた場所をそっと手で触れてみた。
何箇所かに赤いキスの跡が残り、所々濡れて光って見える。

ぎゅっと服を抱えたままロフトから走り降り、バスルームに入った。
おそるおそる手を下に這わせ、その部分の自分の変化に驚く。
「やだ…キスだけで、こんな事になってる…」
体の奥からトロリと溢れ出し、濡れた感触に戸惑いながら
瑞稀はシャワーを浴び、服を着てバスルームを出た。

佐野のベッドの上にあった、差し入れのお菓子の箱を開けると
佐野が食べたらしく減っていたのは、ブランデーたっぷりのフルーツケーキと
ラム酒のきいたトリュフチョコレートだった。

「しまった…神楽坂のお見舞いは果物だったし、
 卵酒騒ぎに気をとられて、確認し忘れてた。
 あの女の子達からの風邪のお見舞いが、まさかお酒入りのお菓子だったなんて…」
お酒の入ってなさそうなお菓子だけを残し、お酒入りのお菓子を
とりあえず自分のロッカーに隠すと、はぁっと一息ついた。

ロフトに戻ってみると、佐野は瑞稀のベッドを占領し、ぐっすり眠り込んでいる。
脱ぎ捨てられたTシャツを拾い、佐野になんとか着せると、タオルケットをそっと掛けた。
幸せそうな佐野の寝顔に「おやすみ…佐野」とつぶやくと
瑞稀はロフトを降り、1階の佐野のベットにもぐりこんだ。
ふっと佐野の香りが漂い、佐野からのさっきの行為を思い出してドキドキする。
「あのままだと…どうなったのかな?」と考えながら眠りについた。


翌朝、強烈な頭痛で目を覚ました佐野は、見えた景色の違いに気がついた。
「……?」自分がなぜ、ロフトの瑞稀のベットの上で寝ているのか
理解できないまま起き上がり、ロフトから下を見ると
瑞稀がなぜか自分のベッドで眠っていた。

「…どーいう事だよ」とつぶやき、もう一度瑞稀のベットに横になった。

何度考えてみても、思い出せない。
347佐野×瑞稀 7話後 10/11:2007/09/04(火) 20:59:27 ID:6Q9cJ1In

瑞稀は、ベチッとおでこをはたかれて目が覚めた。
「おいっ起きろ…」
「いって〜…なんだよっ!」
枕元に立った、眉間にしわを寄せて不機嫌そうな佐野を見ると
昨夜の酔った別人のような佐野を思い出し、ハッとして顔を伏せた。

佐野は佐野で、手荒く瑞稀を起こしてみたは良いけれど
風呂場の瑞稀の裸を思い出し、急に目が泳ぎ、ドキマギと怪しげな態度になった。
「おっ…お前は、なんで俺のベットで寝てんだよ」
「さっ佐野が、夜中に寝ぼけてロフトに上がってきて、俺のベットで寝ちまったんだろっ!
 だから俺は仕方なく、佐野のベットで…」
「……覚えがない…」
「ったく、寝ぼけるにも程があるだろっ!」
「悪りぃ…」佐野は、風呂場でのぼせる奴に言われたくないと思いつつ、謝った。

「ぶっ…あははっ!おっかしーの!!」瑞稀が急に笑い出した。
「ぶっ」佐野もつられてふきだすと、お互いに笑い合っている所に
いきなりバーンとドアを開けて中津が入ってきた。

「おっはー瑞稀ぃ!なんだぁ〜佐野も朝っぱらからご機嫌だなっ」
「…おうっ中津、おっはよー」瑞稀は腕を胸の前に組んで微妙に隠しながら答えた。
佐野はそれを見て『こいつ…確か下に何もつけてねーはず…』と気がついた。
「早く顔洗って、朝メシ一緒に食おうぜー!」瑞稀と肩を組もうとする中津に
佐野はサッと割り込んで、中津と肩を組むと
「俺はもう行けるから、先、行ってんぞ」
「はぁっ?俺は瑞稀と食いてーんだよーー!」と叫ぶ中津を連れて行ってしまった。

「あ〜助かった…でも、佐野って朝メシ食う奴だったっけ?」と言いながら
洗面台で顔を洗うと、急に昨日の大胆な佐野を思い出し、
顔から火が出るような気がして
「うっわーーヤバイ…またドキドキしてきた」
冷たい水でバシャバシャと顔を叩いた。

佐野は中津と食堂に行き、なぜガンガンと頭痛がするのかわからないまま
昨日の事を思い出していた。
「おいっ佐野、聞いてんのかよっ!
 俺はなぁ〜毎朝、瑞稀と一緒に朝メシ食うって決めてんだよっ!!」
「…中津……うっせーよ」頭を押さえて佐野がつぶやく。
「ハァーッ?俺は秋の対抗試合にむけて、毎日サッカーの練習なの!
 朝くらいは瑞稀と、ゆっくり、まーったり過ごすって決めたんだよ!!!」
「お前…寮でも学校でも、毎日いっつも芦屋と一緒じゃね…?」
「それがどーした!
 さ、さてはあれだな?嫉妬っつーか、ねたみっつーか、
 あれか?お前、俺に妬いてんだな?えっ?!」
「……はぁ…頭イテ…」佐野は頭を抱えた。
348佐野×瑞稀 7話後 11/11:2007/09/04(火) 21:00:39 ID:6Q9cJ1In

それからしばらくの間、瑞稀と佐野はお互いを意識しながら
それを悟られないよう牽制しつつ、微妙な距離を保っていた。

その均衡を崩したのは、以外にも中津の一言だった。

「俺は瑞稀の事が好きだ!」

「………」佐野は中津の顔を見上げ、じっと眺めた。

新学期の朝一番から、何を言い出すかと思えば
突然の佐野への宣戦布告だった。

「もー我慢できねーから言っとくわ。
 俺は瑞稀の事が好きだ。
 お前には、ぜってー負けねー!」

「……なんで俺に言うんだよ…瑞稀に言えよ。」

「瑞稀はなぁ…お前の事が好きなんだよ。
 それもわかんねーのか、この鈍感ボーイ!」

「………」

「俺は男だろうがなんだろうが、瑞稀が好きだ。
 お前にその覚悟があるなら、俺達は晴れてライバルってワケ…OK?」

「……勝手に言ってろ…」


佐野は、自分は瑞稀が女である事を知っている。
でもそれを瑞稀に言ったが最後、自分達のこの関係は終わる。
だから瑞稀にそれを知られる訳にはいかない。

瑞稀は、佐野が自分を女である事を知らないと信じている。
自分が女だと、アメリカで助けた女の子だと知られたら最後、この関係が終わる。
だから佐野にそれを知られる訳にはいかない。

中津は、男の瑞稀が好きだと佐野に宣戦布告した。
瑞稀に告白し拒否されたが最後、瑞稀とのこの関係が終わる。
友情のままでもいい、それでも瑞稀のそばにいたい。

このトライアングルがいつまで続くのだろうか。





とりあえず、前半はここまでです。
長くなってすいません。以降は8話後の後半になります。
後半部分はまた後ほど投下します。
349名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 22:16:39 ID:r+tZpKUn
萌えたーーー! 頑張って欲しい!
350名無しさん@ピンキー:2007/09/04(火) 23:46:32 ID:lflng+/v
泉佐野テラエロスwGJ職人さん!
351名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 00:03:20 ID:h90NgzZU
ギガ萌え!
期待ageage!!
352名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 01:23:02 ID:2f0m3hit
っつか、佐野、おまえホントに酔ってんのか!?www
353名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 01:54:22 ID:AH1PdYrp
>>337
GJだよー!萌えました!ありがとう
ドラマ佐野のツンデレ具合が好きすぎる
次の投下も期待してます
354名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 01:56:42 ID:YxCQU5J5
職人さん、後半も期待してます!
待ちますのでムリせず頑張って下さい。
355名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 08:25:47 ID:pABY55cu
>>337
素晴らしいです!
後半も期待してますね!
356名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 14:54:51 ID:xojcV+4u
佐野エロ魔人w
357名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 20:05:11 ID:GoiFfXJo
わざわざロフトに上ってまでするとは、佐野www
続き正座して待ってます。
358名無しさん@ピンキー:2007/09/05(水) 20:51:53 ID:lAwj7IOY
よっぽど瑞稀の全裸に興奮したんだなw

続きwktkだぜー
359名無しさん@ピンキー:2007/09/06(木) 18:39:36 ID:i6LYj+10
今晩続きくるかなーwktk
正座して待ってますノシ
360名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 01:11:51 ID:5rklcA8R
>>337です。
GJありがとうございます。
微エロのはずが…佐野エロ魔人呼ばわりw
こっそり続きを投下します。

佐野×瑞稀 ドラマ版8話後、
>>338-348の後半部分です。
エロあり、11レス使用予定。
長いのが苦手な方はスルー願います。
361佐野×瑞稀 8話後 1/11:2007/09/07(金) 01:21:00 ID:5rklcA8R

中津に宣戦布告された夜、佐野は大きな賭けに出た。

「…芦屋…もう寝たか…」
「…ん…起きてるよ〜なに?」

「お前…好きな奴とか…いるのか?」
「…えっ」
突然の佐野からの問いに、瑞稀の鼓動がドクンと跳ねた。
佐野は、急に何を言いだすんだろう…。

「中津の事、どう思ってんだ?」
なんで中津の名前が…?瑞稀は不思議に思った。
「それは…友達として?」
「いや……男として。」
「…なんで、そんな事聞くのさ…」
「………」階下の佐野からの返事がない。

「佐野…なんでそんな事聞くんだよっ!」
瑞稀はベットの上に起き直って声を荒げた。

「中津に言われたんだ、お前の事が好きだって。」
「中津が…佐野に?」

「俺は…お前が誰を好きでも構わない。」
「………」
「…好きにしろ、お前は自由だ。」

「……俺は…俺はっ」

―― 私は、佐野の事が好きなのに…っ!!――
こう叫んでしまえたら、どんなに楽だろう…。
そう思いながら、瑞稀はこの言葉をぐっと飲み込んだ。

静まりかえった部屋に、ロフトの上から瑞稀の嗚咽が漏れ始めた。
瑞稀の泣き声が聞こえ、佐野は胸の奥がズキッと痛んだ。

「なんで…泣くんだよ?」

「俺は…中津の事…友達としか思ってない。」

「………」
362佐野×瑞稀 8話後 2/11:2007/09/07(金) 01:25:22 ID:5rklcA8R

佐野は心底思った。
瑞稀を泣かせてまで、気持ちを確かめようとする自分は…卑怯者だと。

なぜ瑞稀を傷つけ、泣かせてばかりなんだろう。
瑞稀の気持ちにも、自分の気持ちにも、気づかない振りをしてきた。
でも中津に宣戦布告され、ようやく気がついた。

でも、瑞稀が男として扱われたいと考えている以上、
俺は…どうすればいい?

佐野は重苦しい空気をはらうように寝返りを打ち、壁の方を向いた。
ふと気配を感じて振り返ると、瑞稀が悲しそうな顔をして階段の下に立っていた。

「芦屋…」佐野は手をついて起き上がり、ベッドに腰かけた。

「…佐野、中津は関係ないよ…どうして?」

「あいつは本気で…お前が好きだと言ってる。」

「…何が言いたいんだよ。」

「どうするか…決めるのはお前だ。」

「………」

瑞稀が突然後ろを向いて、ロッカーからお菓子の箱を取り出した。
「お腹減った。これ食べよ。」
「…急に、どうした?」

「はい、あーん…」トリュフを瑞稀が口の前に差し出す。
瑞稀の迫力に負け、口を開けるとトリュフが放り込まれた。

「…美味しい?」とつぶやき、瑞稀は目を伏せると
トリュフをつまんで、自分もひとつそれを食べた。

ふたりの口の中でトリュフが溶け、喉の奥に洋酒の風味が広がる。
しばらくすると、佐野の意識がそこで途切れた。
363佐野×瑞稀 8話後 3/11:2007/09/07(金) 01:33:53 ID:5rklcA8R

瑞稀は気がついた。
佐野が酔うと、普段は隠れている佐野の本心がわかる事を。
普通に酔えば、ただのキス魔で終わってしまう。
でも自分には見せた、大胆で弱虫な、本能むき出しの本来の佐野の姿。
今日こそは、佐野の本心を聞き出したかった。

―― 好きなんだ…俺も好き!瑞稀の事。――

酔ってはいたけれど、あの言葉が佐野の本心と信じたかった。

「佐野…聞こえてる?」
「……ん?」口元が緩み、フラフラと上半身が揺れている。
「ね…俺が誰を好きでも構わないってホント?」
「ゃだ…」子供のような態度の佐野。
「俺が中津を好きでも構わないって言ったよね。」
「やぁーだっ!」まるで駄々っ子だ。
「なんで?」
「ハーイッ!」佐野が勢い良く手を上げた。
「…はい、佐野君。」
「だって〜俺はぁ〜瑞稀が、好きだから…ぶっ」笑いだす佐野。
「…理由は?」
「だって…瑞稀、可愛いじゃん。」
「そっそれだけ?」瑞稀はむっとした。
「スタイルも〜悪くないし。」
「はっ?!」
「風呂場で〜倒れてた時に見た〜ふふふっ」
「えぇーっ!見たって何を?」
「ぶふふふ〜ぜんぶ…!なんちゃって。」ベッドにつっぷして笑う佐野。
「ふざけるのもいいかげんに…」そう言いかけた瑞稀は
振り返った佐野に腕をつかまれ、ベッドに押し倒された。

「ねぇ…こないだキスしたの…忘れた?」

頭上でそう囁かれ、瑞稀の心臓がドクドクと早鐘を打ち、この危機感を知らせた。
ちゅ…っと軽く瑞稀の唇にキスをしたかと思うと、
そのまま全身の力が抜けた佐野は、瑞稀の上に倒れこんだ。

「ちょっ…重いよ…佐野っ!」
突然、肩をぎゅっとつかまれ、ゴロンと体ごと体勢が入れ替わった。
上になって重さから開放された瑞稀に、下から佐野の端正な顔が近づく。
「あっ」避けようとした瑞稀は、両頬をはさんで引き寄せられ、
佐野の深く、長いキスの海に落とされた。

息が続く限りキスを繰り返し、舌がからみ合い、お互いの唾液が混ざり合う。
ゴクリとと喉を鳴らし、佐野の唇が離れた。佐野は長い指で唇をなぞり
「トリュフ味…」と妖しい目つきでつぶやいた。
364佐野×瑞稀 8話後 4/11:2007/09/07(金) 01:50:30 ID:5rklcA8R

『はぁ…なに…これが佐野の本当の姿…?』

瑞稀は大きな瞳を見開き、佐野から目が離す事ができない。

『ケモノみたい…。なんて…なんて目をするんだろう…』

瑞稀の心臓はドキドキを通り越し、バクバクと高鳴った。

「ん…なんか心配になってきた?」首をかしげて佐野が微笑む。
「なんで…わかったの?」
「瑞稀の気持ちはわかってる…。
 ホントは俺が好きって事も、知ってた。ずっと前から。」
「…えっ?」
「気付かない振りしてた…バカみたいに。」
「なんで…いつから?……どうして?」
「ふふっ秘密…」佐野がちゅっと瑞稀の頬にキスをした。
「…秘密?!」
「みずきのことが〜すきだから、ひ・み・つ」反対側の頬にもキスをする。
「……好きだから…秘密…?」
「好きなんだ…」そうつぶやきながら、瑞稀の唇に優しいキスを落とした。
「…瑞稀は?」ふっと目の前の佐野が、真顔に見えた。

「…私も…佐野が好き。」
「あ〜〜〜私って言った!」ぶっと吹き出して笑う佐野。
「…なんで女だって知ってんだよ!」
「見りゃわかるじゃん、ぶふふふふっ」
「あ、そっか…」瑞稀は夜中に襲われた時の事を思い出した。

「ねぇ…瑞稀。」
「ん?」
「愛し合おうよ。」
「…今っ?!」
「うん。でも、瑞稀が望まないなら、強要はしない。」
「我慢…できるの?」
「どう…かな…?でも瑞稀が一番大切だから、瑞稀がヤダって事はしない。」
「私の自由って事?」

佐野はこくっと頷き、ニッコリと笑って言った。

「うん。瑞稀は自由。」

ついさっき、シラフの佐野が言った言葉と同じだった。

瑞稀は、思わず自分から佐野にキスをした。

「ん…これが返事?」
「…私の事、ホントに好き?」
「うん。」
「なら、イイよ…」
「ホント?」
「うん、佐野の事が、好きだ…」
「…俺も、瑞稀が好きだ。」

二人はぎゅっと抱き合うと、そのままベッドに倒れこんだ。
365佐野×瑞稀 8話後 5/11:2007/09/07(金) 02:05:44 ID:5rklcA8R

「んっ…あぁっ…」

月明かりが差し込む部屋の中に、瑞稀の声が響く。
瑞稀の白い体の上に、日に焼けた佐野の体が重なりあう。

耳元でお互いの息遣いが聞こえ、佐野の蠢く指に翻弄された
瑞稀の敏感な部分から熱い雫が溢れだし、クチュッと水音をたてた。
潤いを含んだ花弁を撫で上げられ、徐々にその動きが激しくなる。
羞恥心と快感の狭間で揺れ動く瑞稀に、初めての感覚が押し寄せた。
どうしようもない快感の波にもまれ、体を震わせた瑞稀の動きが止まった。

「…っっ!!」

「……どう?」佐野が瑞稀の顔を覗き込んだ。
「どう…って…今の…なに…?」息も絶え絶えに瑞稀がつぶやく。

「ふふっ…瑞稀のここ、スゴイ事になってる。」
佐野は瑞稀の溢れかえったその部分を眺めながら、指でそっと撫で上げた。
軽く達したばかりの花弁が濡れて輝き、ビクッと震えるのを見て
佐野の口元に笑みがこぼれる。

瑞稀の両足がそっと開かれ、そこに佐野の腰が割り込んで進むと
ためらうように瑞稀の腰が揺れた。

「あっ…待って…」
「…待てない。」

佐野の先端が瑞稀を塞ぐと、瑞稀はその圧迫感にのけぞる。
弓なりにのけぞった姿勢のせいで、ぐっと中まで一気に突き進まれ
貫かれた瑞稀は、体の一番奥底まで占領されたような衝撃に震えた。

「…あっ…はぁ…はぁ…」浅い呼吸を繰り返しながら
痛みから逃れるように、瑞稀の体が上に徐々にずり上がる。

「動かないで…」佐野が瑞稀の腰を押さえた。
「……っ?」
「今動かれたら、即イキそう…」
「…なに?…わかん…ないっ…よっ」
「じっとして、瑞稀…」
繋がったまま、佐野がぎゅっと瑞稀を抱きしめた。

しばらくして「ふぅ…」っとため息をつき、
佐野がゆっくりと腰を引いた。
「うっ…んぁっ」瑞稀がうめき声を上げ、佐野は動きを止めた。
「…痛い?」
「…んっ…」目をぎゅっと閉じたまま、うなずく瑞稀。
「俺も…キツい…」
「……佐野も?」瑞稀がそっと目を開けて佐野の顔を見ると
「うん。」佐野が困ったような表情を浮かべて、小さく笑った。
366佐野×瑞稀 8話後 6/11:2007/09/07(金) 02:09:52 ID:5rklcA8R

「やめたら…どうなるの?」痛みで弱気になった瑞稀に
「……生殺し?」と佐野がつぶやく。
「進んだら…?」瑞稀は不安そうな顔をした。
「最初は痛い。でも、きっと後悔させない。」佐野の優しい声が響いた。

佐野の顔をじっと見つめ、瑞稀は覚悟を決めた。
「……わかった、来て…」
「瑞稀なら、そう言うと思った…」佐野はグッと腰を押し込んだ。

「ああっっ!!」
瑞稀は佐野に貫かれ、白い喉を仰け反らせて喘いだ。
佐野が打ち寄せるたびに、その痛みから逃れようと瑞稀の腰が浮かび上がる。
打ち付けられながら、瑞稀は両手でシーツを掴み、力を込めた。
ベッドがきしみ、繋がりあった部分からほんのり赤く濁った雫が溢れだした。
グチュッという水音に、体がぶつかりあう音と、ふたりの息遣いが重なる。

敏感な部分がこすれ合い、その蠢くような刺激と痛みが混ざり合って
瑞稀のまぶたの裏が白く霞み、体が痺れるような感覚に襲われた。
顔を左右に振り、眉を寄せ、唇を薄くひらいた表情で瑞稀が身悶える。

佐野の腰が円を描き、瑞稀の中の感覚をむさぼるように動くと
耐え切れなくなった瑞稀が「佐野っ…!」と切なげに声を上げた。
瑞稀が前に伸ばした手を、佐野がしっかりと握り返すと、瑞稀は佐野にしがみつく。

佐野は瑞稀に体重をかけ、瑞稀の唇に口づけを落としながら
「もう…限界…イキそう…」とつぶやいた。

佐野は、繋がり合った部分に手を這わせ、指先で小さな突起を捕らえ
グリッと揺り動かしながら、さらに奥へと突き上げる。

「…ああっっ!!」瑞稀が今までにない高い声を上げ
その強烈な刺激に体を震えさせ、両足で佐野の腰を締め上げた。

奥まで腰を打ち付け、瑞稀の内壁がぎゅっと収縮した瞬間
「愛してる…瑞稀」と佐野がささやいた。
「………!!!!!」瑞稀は目の前が真っ白になり
ガクガクと体を痙攣させた瑞稀の奥に、熱いものが放たれた。
367佐野×瑞稀 8話後 7/11:2007/09/07(金) 02:19:57 ID:5rklcA8R

「んっ…」
けだるい空気の中、瑞稀は佐野の腕の中で目を覚ました。
「そっか…私、佐野と…」隣で眠る佐野の寝顔を見つめた。
「きっと佐野は覚えてないよね…」
時計を見ると明け方の4時すぎだった。
瑞稀はそっと起き上がると、下腹部に鈍い痛みを感じて動きを止めた。
「…いたたっ…」腰が重く、体全体がだるい。

瑞稀は、裸でベッドに横たわる佐野を前に、考えをめぐらせた。
佐野に気づかれたら終わり…もうここにはいられない。

「えっと、まずは…」
とりあえず、自分の服を拾って身に着けた。
佐野の裸に跳ね上がる鼓動を抑えつつ、見ないようにしながら
濡らしたタオルで佐野の体を拭いて、順番に服を着せていった。
「ん〜…」と声を出して意識が戻りかけた佐野は、ゴロンと寝返りを打ち
壁の方を向いて寝てしまった。その隙に赤い染みのついたシーツを引き抜いて、
新しいシーツを敷き、佐野にタオルケットを掛けた。

「よしっと…」
瑞稀はバスルームに向かい、温かいシャワーを浴びた。
ふと下を見ると床を流れる水が、ほんのりと赤く染まった。

大好きな佐野と望んでこうなった…後悔はしてない。
でもなぜか寂しい気持ちになった。佐野がこの事を覚えてないから?

体に目を落とすと、佐野が残した赤い印があちこちに散らばっていた。
手を触れながら「佐野が、私を愛してくれた証…だよね?」とつぶやいた。

バスルームのドアを開け、そっと顔を出して佐野を見ると
さっきと同じ姿勢で、規則的な寝息を立てていた。
赤い染みの部分を洗ったシーツと衣類を、洗濯カゴに放り込むと
瑞稀は冷蔵庫から水のボトルを取り出し、そっとロフトに上がった。
自分のベッドに座り、冷たい水で喉を潤す。

ロフトから、眠る佐野を見下ろしながら
「ふふっ…なんか変なの…」瑞稀から笑みがこぼれる。
「きっと佐野は覚えてない…
 目が覚めたら、いつも通りの生活に戻るんだ…」

瑞稀は、けだるい体をベッドに横たえて眠りについた。
368佐野×瑞稀 8話後 8/11:2007/09/07(金) 02:26:31 ID:5rklcA8R

翌朝の教室。

「おっはよー!佐野」
「…大声出すなよ…頭いてぇ…」ぼそっと佐野がつぶやく。
覚えのない二日酔いの頭痛で不機嫌な佐野に、瑞稀は笑いがこみ上げた。
「機嫌悪りぃなぁ…もしかして、生理か?」耳元で瑞稀が囁くと
「…はぁっ?」佐野が固まった表情のまま、こちらを見上げ目を泳がせた。
「冗談だよっ!」笑いながら瑞稀は後ろの席に座った。
椅子に座った拍子に、瑞稀にズキンッと鈍い痛みが走る。
ハッとうつむき、瑞稀は後ろから佐野の広い背中を、切ない表情で見つめた。

佐野は、瑞稀を女だと知りつつ、それを隠している。
瑞稀は、佐野が女だと知っている事に気がついていない。
そして…佐野は瑞稀と結ばれた事を覚えていない。

瑞稀の秘密と、佐野の秘密。
お互いに隠しあったまま、学園生活が続いていく。


その日の放課後、中津は瑞稀のシャツの襟元からのぞく首筋に
見慣れない赤い跡を見つけ、我が目をを疑った。

『キ…キスマーク?!
 まさか…虫刺されの跡かなんかだよな…』

一瞬、佐野が熱を出した時、ドアを開けて見てしまった
佐野と瑞稀がベッドで一緒に寝ていた姿が、目の前をよぎった。

「まさか……」目の前が真っ暗になり、中津の目が泳ぐ。
ハッと佐野の方を振り返ると、ふと視線を上げた佐野と目が合い
不安げな中津からの視線に、佐野は不可解な表情を浮かべた。

「どうした?中津…急に黙りこんで。」
中津を覗き込む、瑞稀のドアップが目に入った。

「いやっ別にっ…その…
 だあっ!そうだ、瑞稀、俺サッカーの部活があるからよっ」
カバンを掴むと、中津は走って教室を出て行った。

転がるように、慌てて走っていく中津を見送り
「変なヤツだよなぁ〜」瑞稀は佐野の方に歩み寄った。
「あいつが変なのは、今に始まった事じゃない」冷たく答えた佐野に、
瑞稀は『いや…佐野も、そーとー変だけどさ…』と心の中でつぶやいた。
369佐野×瑞稀 8話後 9/11:2007/09/07(金) 02:40:16 ID:5rklcA8R

瑞稀と佐野が…?

佐野が跳べたあの日、佐野は瑞稀を抱きしめていた。
ハグだと佐野は言ったが、友情以上の感情があったのかもしれない。

まさか佐野も瑞稀の事を…そんな…俺が宣戦布告したせいなのか?

中津はサッカー部の更衣室で、ロッカーを拳をガンガンと叩きつけた。
「くそっ…妄想が止まんねー…」かすれた声でつぶやいた。

床にポタッと落ちた鼻血を見て、後ろのベンチに座っていた嵯峨が
「おいっ中津…鼻血でてんぞ?」と声をかけた。
「ハァーッ?!うっせー!バーロー!!」
中津はぐっと鼻を手でぬぐい、ボールを蹴って部屋を走り出て行く。

「お〜気合入ってんなぁ〜!みんな中津に続けーー練習開始だ!」
嵯峨はキャプテンらしく他の部員に声をかけ、グラウンドに出た。


数日後、瑞稀は中津から携帯で中庭に呼び出された。

「中津、どうした?…もう部活の時間じゃねーの?」
「どーしても、お前に確かめたい事があってよ…」
「ん…なに?」小首をかしげる瑞稀が、
心なしか以前よりも色っぽくに見えた気がして、中津はめまいがした。

中津は突然、両手で瑞稀の肩をつかんで、ガバッと頭を下げた。

「瑞稀…頼む…ハッキリ言ってくれ!
 俺と佐野の…どっちが好きなんだ…?」

「…えっ?!」

中津は顔をあげ、真剣な顔で瑞稀の瞳を見つめた。

「瑞稀…俺…お前の事が好きだ!」

突然の告白に、瑞稀は中津の顔をじっと見つめ返した。
370佐野×瑞稀 8話後 10/11:2007/09/07(金) 02:49:07 ID:5rklcA8R

そういえば…佐野が言ってた。
中津が私の事が本気で好きだと、佐野に言ったって。

でも、中津の気持ちには応えられない。
私が好きなのは、佐野だ…。


「…ごめん、中津…」
「……っ…!」
「…中津の事は、友達として好きだ。
 でも、それ以上には考えられない……ごめん。」
「……瑞稀」
悲壮な表情で瞬きもせず、瑞稀を見つめ続ける中津の顔を
見ていられず、瑞稀は目を伏せた。
「…ごめん」瑞稀の瞳にうっすらと涙が浮かんだ。

「まさか、佐野…佐野に……」
 …抱かれたのか?という言葉を中津はぐっと飲み込んだ。

瑞稀は中津から肩をつかまれたまま、ぐっと体ごと木の幹に押し付けられた。
肩から木に手をすべらせ、両手の間の瑞稀を見つめながら
中津は搾り出すような声で言った。

「…もし、お前が佐野の事が好きだとしても、俺は諦めない。
 絶対に諦めねーからな…」

数日前に見つけた、瑞稀の首筋からもう消えかけている
赤い跡の部分に、中津の顔が近づいた。

瑞稀がぎゅっと目をつぶって、中津を腕で押し返し
「…やっ…中津…っ」と叫びそうになったその時、
中津の体が瑞稀を離れ、ガッと音がして中津が後ろに倒れこんだ。


「…何してんだよ。」


佐野の低い声が響いた。
371佐野×瑞稀 8話後 11/11:2007/09/07(金) 03:00:10 ID:5rklcA8R

「…佐野っ!」瑞稀は目を見開いて佐野を見上げた。

「…いっ…てぇーっ!
 っつか…なんでいきなり殴んだよ!佐野っ」
芝生に転がった中津が、口元を押さえながら叫んだ。

「お前が…真っ昼間から、校内で男に言い寄ってるからだろ…」
中津を見下ろした佐野が、静かな口調でつぶやく。

「…瑞稀に言い寄ったら、わりーのかよ!」中津は佐野を睨みつけた。
「ああ…芦屋が嫌がってる限りはな……だろ?」佐野が瑞稀の方を見た。
「…おぅ…まあ、な…」うなずく瑞稀。

「なんでだよ…瑞稀」中津が芝生の上に座ったままうなだれた。
「中津…」瑞稀は肩を落とした中津を見つめた。

「揉め事はゴメンだからな……行くぞ。」佐野はスタスタと歩き出した。
「おう。…中津、どっか痛かったら保健室行けよっ」瑞稀はそう言い残すと
瑞稀は佐野の後ろにくっついて、早足で駆けていった。
その二人の後ろ姿を、中津は切なげな眼差しで見送った。

瑞稀は早足で歩きながら、佐野に後ろから話しかけた。
「ごめん…佐野…でも、中津もさ…悪気はなかったと思うんだ。」

佐野が突然立ち止まり、その背中に瑞稀はドンとぶつかって止まった。

「……自分の身は、自分で守れ。」佐野の声が響く。

「えっ?」

「…男子校には、ああいう勘違い野郎が、少なからずいるんだよ。」
「……」
「お前みたいに、ちっこくて…女っぽい奴が
 一番危ねーつーか…狙われるっつーか…。」

しどろもどろになってきた佐野の顔を、瑞稀はそっと覗き込んだ。
「俺の事…心配してくれんのか?」

「…んなわけねーだろっ」ぼそっとつぶやいた佐野の目が泳ぐ。
「佐野っお前…いいヤツだな〜」
瑞稀は佐野の背中をバシッと叩いた。

また早足で歩き出した佐野の背中を眺めながら
瑞稀は、この背中にずっとついていきたい…と思った。

『やっぱり…私は、佐野の事が好きだ…!』

にっこり微笑むと、瑞稀は佐野を追いかけて走った。




以上です。
読んで下さった方、ありがとうございました。

ドラマ版から多少脱線しつつありますが、
この続きは、中津×瑞稀に突入の予定です。
書け次第、後日投下します。
372名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 03:16:12 ID:sVxbmrtr
リアルタイム遭遇!(*^ー゚)b グッジョブ!!

恋する乙女は積極的。素晴らしい!
酔うと、以前の酔った記憶が蘇るのね佐野。『後悔させない』男らしい台詞だ!く〜。
失恋中津は可哀想だけど、恋に狂った男の行動力もスゴイことになりそうで、瑞稀は『自分の身が守れ』るのか!?
期待大!
373名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 12:37:26 ID:QxlBGKY6
映画の予告のあおり文句みたい>>372
374名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 16:29:20 ID:a/o82MCJ
>>372
きもちわるいw
375名無しさん@ピンキー:2007/09/07(金) 22:05:58 ID:USvfndDE
おまいらそんな事より>>360-371に乙くらい言ってやれww

つことでgj!佐野は絶対確信犯だと信じてる
続きも期待してます!
376名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 00:38:44 ID:wBUR3Mv+
まだ暑いから湧いたんジャマイカ?ww

>>360-371
GJ!続きwktk
377名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 01:33:22 ID:1CERiL+x
ネ甲すぎる…!!長編乙
楽しかったですー
378佐野×瑞稀女バレ妄想:2007/09/08(土) 03:28:04 ID:MXAlTXus
佐野×瑞稀で女バレ妄想ネタです。ドラマ設定を借りてます。
続きがなかなか書けないので女バレの一段落がついたとこまでで投下。
微エロあり。7レス使用予定です(多分)

379佐野×瑞稀女バレ妄想(1/7):2007/09/08(土) 03:30:00 ID:MXAlTXus
真夏の夜。男ばかりの週末。
さほど広いとはいえない寮の部屋が、今は沢山の男の体温でむせかえるように
じっとりと暑い。窓を閉め切っているため風もまったく入らない部屋で何故誰
も文句を言わないかといえば理由はひとつ。
『っあ、あんっ!っああっ!』
難波がこっそり調達したというプロジェクターの画面から途切れなく響くあえ
ぎ声に瑞稀はさりげなく視線を画面から逸らしながら周りの様子を伺った。
隣の中津の横顔をそっと盗み見ると、小さな声でおおっ、と呟きながら画面に
釘付けになっている。他の寮の面々も皆周りのことなど気にもせず食い入るよ
うに前のめりで乱れる女性の姿に集中していて誰もミズキの様子に気づいてい
ない。
(参っちゃったな〜…)
瑞稀ははあっと溜息を洩らした。
夕食後、特に予定もなく部屋でぼーっとしていた瑞稀を中津が部屋に誘いに来
たのは1時間くらい前のことだ。難波先輩が面白いビデオを手に入れたから観
に行こうぜ、と言われた時には何の疑いもなくうん、と頷き誘われるままにつ
いてきてしまった。
(まさかアダルトビデオの観賞会なんて…)
いや、よく考えればコーコーセーの男子寮。AV観賞会なんて毎週どころか毎日
どっかでやっててもおかしくはない。
「お前、アメリカにいたんだから割とイケんだろ?つか日本のじゃヌルいとか
?」
最初、難波に意味シンな視線で話し掛けられた時、てっきり英語の字幕映画な
のかと勘違いして「そりゃ伊達に何年もアメリカで生活してませんよ」なんて
オバカに答えてしまった自分が恨めしい。
実はAVなんて見るのは初めてだ。だいたいどういうものなのかは勿論分かって
いたけれど、それでも聞くと見るのとでは大違いだ。ぼかしが入っているとは
いえ今まで見たこともない程に際どい男性の身体が映ったりしていて、頬が火
照ってしまうのを止めることが出来ない。

380佐野×瑞稀女バレ妄想(2/7):2007/09/08(土) 03:31:21 ID:MXAlTXus
画面はもうクライマックスで、悲鳴のような女性の声がひっきりなしに響いて
いる。
(ああ、もう早く終わって!!)
瑞稀の念が通じたのか、しばらくしてビデオは終わった。画面にENDの文字が
浮かぶと変に張り詰めていた部屋の空気がようやく弛んだ。
「…おー、割と良かったっすねーこれ」
「あの女の子、女優のあの子に似てね?」
「あー似てる似てる!」
「あー皆、これで終わりじゃねえぞー続いて第2弾!」
難波の声にヒューと歓声が上がる。
「えっ!まだあるの?」
思わず叫んだ瑞稀に中津が不思議そうな顔をした。
「なんで?ヒマなんだろ?別にいいじゃん」
「あ、そ、その…あ、そう!俺、佐野に英語教える予定があったんだよ!佐野
そろそろ練習から帰ってくると思うから、じゃ、お先に!」
一目散に逃げ出すようにして部屋を出て行った瑞稀の背中を中津達はぽかんと
した顔で見送った。
「…あいつらテスト終わったのに勉強なんかするんだ?」
「まあいいじゃねえか別に。それに芦屋がいなくなったのは丁度いい」
「え?何でですか?」
中央の問いかけに難波はにやりと人の悪そうな笑みを浮かべた。
「それはすぐに分かるって★」


381佐野×瑞稀女バレ妄想(3/7):2007/09/08(土) 03:32:47 ID:MXAlTXus
「あー…良かった逃げ出せて…」
自販機で買ったジュースを一気に飲み干すと瑞稀は誰もいない暗い廊下で、
はーっと大きく息をついた。
男の振りをしているといっても、中身が変わったわけではない。ああいうとき
どうしていいのか女の自分には全く分からない。
頬を触ってみるとまだかなり熱い。多分赤くなってるのだろうが、部屋に帰る
と言った手前、あまりここでのんびりしているわけにもいかない。
(…なんか佐野に顔を合わせにくい…)
できればまだ佐野が部屋に戻っていませんように、と祈りながら部屋に戻ると
、佐野が丁度シャワーを浴びて出てきたところだった。
「おう、どっか行ってたのか」
「あ、佐野お帰り…ちょっと中津んとこ、に…」
「ふーん、珍しいな、あいつがこっちに来ることが多いのに」
ふと、佐野のタオルで髪を拭いていた手が止まった。
「お前、顔真っ赤だぜ?どうかしたのか?」
「えっっっ!?」
「夏風邪でもひいたのか?」
「な、なななんでもないっ!!」
慌ててロフトの階段を駆け上がろうとした瑞稀だったが慌て過ぎて思わず足を
滑らせてしまった。派手な音を立てて転んだミズキに佐野が仕方ねーな、とい
いながら手を差し出した。
「お前、なんか変だぞ。やっぱ熱あるんじゃねえの?」
ふっ、と伸ばされた手が瑞稀の額に当てられた。熱を確かめるように当てられ
た佐野の掌から佐野の体温が伝わる。間近で覗き込むような佐野の視線が恥ず
かしくて目を逸らすと、まだしっとりと濡れている佐野の裸の上半身が目に飛
び込んできた。
(や、ヤバ…!)
上気した肌がさっきまで見ていたAVに被る。ジャージのズボンの下まで思わず
リアルに想像してしまい瑞稀は思わず目を瞑った。
「…熱はないみたいだけど、ホントに真っ赤だぜ。大丈夫か?」
こくりと頷く瑞稀に佐野はまだ何か言いたそうだったが、これ以上はどうしよ
うもないと悟ったのか、
「風邪だったらちゃんと言えよ」
そう言って瑞稀から身体を離した。
「あ、ありがと…俺もシャワー浴びる、よ」

382佐野×瑞稀女バレ妄想(4/7):2007/09/08(土) 03:35:01 ID:MXAlTXus
着替えを持って慌ててシャワーブースに駆け込むと、瑞稀は今度こそ脱力した。
(ああっもう私のバカバカバカ…!)
せっかく佐野があんなに優しく接してくれたのに!
鏡を見ると確かに耳まで真っ赤になっている。佐野が熱でもあるんじゃないか
と勘違いしても仕方ない。
水シャワーでも浴びた方がいいんじゃないのかな、と思いながら下着を脱ぎか
けて、瑞稀はある変化に気づいた。
下着が一部分だけじっとりと濡れて色が変わっている。つーっと引く透明な糸
が下着と瑞稀の恥ずかしい部分とを繋いで…
(…っやだ…私…濡れて…っ!)
恐る恐る、手で自分の濡れている場所に触れてみると、そこは信じられないく
らいぐっしょりと濡れていた。
(っやだ、恥ずかしいっっ…!)



いつもあっという間にシャワーから出てくる瑞稀が、今日は珍しく10分経って
も15分経っても出てこない。
(どうしたんだ?まさか熱で倒れたりとかしてんのか?)
さっき計ったカンジではほぼ平熱だったような気がしたのだが。そこまで考え
て佐野は少し頬を赤らめた。
(つか、アイツあんなに可愛い顔するんじゃねーよ…)
真っ赤になっていた瑞稀が目を閉じていた時の表情を思い出す。真っ赤に上気
した顔で僅かに唇を開く様は無防備な女そのものの表情で、思わずその唇に触
れそうになった。
それにしても遅い。ホントになにかあったんじゃないだろうか。
痺れを切らして佐野はシャワーブースの扉をノックした。
「おい、芦屋。珍しく長く入ってるけど大丈夫か?」
「あ、うん!ごめん!すぐ出る!」
383佐野×瑞稀女バレ妄想(5/7):2007/09/08(土) 03:36:40 ID:MXAlTXus
直ぐに返事がきて佐野はほっと胸をなで下ろした。ばたばたと慌てて着替えて
いるらしき音がする。
「ごめん!佐野!」
はあはあ息を切らして瑞稀がシャワーブースから飛び出してきた。
「いや、別にいいんだけどお前が倒れてるんじゃないかと思、っ…て…っっっ
っっっ!!」
「?どうしたんだ佐野」
「っ近付くなっっっ!」
まだちゃんとしっかり乾かしていない瑞稀の髪からはしずくがぽたぽたとTシャ
ツの肩へ滴っている。下は華奢な身体を一層際立たせるようなぶかぶかのハー
フパンツ。しかしそれが問題なのではない。
問題は。
「佐野、ごめん、俺が遅いから怒ったのか?」
困った犬のような表情で瑞稀が下から見上げてくる。
「お前、っっし…」
「し?」
佐野は続きを叫びたい気持ちをぐっと堪えた。こんなことを言ったらこいつが
女だということを俺が気づいているということがバレてしまう。
けれど、けれど。
(何でコイツこんな迂闊なのに女だってバレないんだよ!)
瑞稀の胸には、Tシャツ越しにちいさな膨らみが見えた。そう、慌てて出てき
たからだろう、下着をつけ忘れているのだ。
そしてその胸の膨らみの中心に覗く小さな突起は。
「ねえ、佐野」
ホントにごめんって。そう言って瑞稀が佐野の身体に触れた途端、佐野は自分
の中で理性の糸がぶちっと切れる音を聞いた。
「佐っ…!」
瑞稀の肩を掴んでそのまま傍らのベッドに押し倒す。ぼすんっ、という派手な
音を立てて倒れこんだ瑞稀の顎を指で持ち上げると、赤く濡れた唇に佐野は強
引に自分の唇を押し付けた。
「んっ…!」

384佐野×瑞稀女バレ妄想(6/7):2007/09/08(土) 03:38:11 ID:MXAlTXus
びくりと身体を竦ませる瑞稀の身体を上から押し付けるようにして自由を奪い
ながら佐野は何度も何度も繰り返して唇を重ねた。そのままTシャツ越しに胸
に指を這わせると指先に柔らかい感触と小さい尖りが触れた。その誘うような
感触に思わず揉みしだくとようやく瑞稀は自分が下着をつけていなかったこと
に気がついたのか猛然と暴れ出した。
「っっは、なして、佐野っ!!」
自分にのしかかる胸を何度も何度も拳で叩きようやく離れた佐野に、瑞稀は呆
然としながらも尋ねた。
「佐野、わたしが女だって、いつから…?」
「…お前の、兄さんが来た時」
「…な、んで、黙って…」
目一杯見開いた両目に今にも溢れそうな涙を浮かべて問いかける瑞稀の頬を、
佐野はできる限り優しい仕種でそっと撫でた。
「言っただろ、お前にまだ飛ぶ姿を見せてねえって。だから、帰るなって言っ
ただろ」
「っ…じゃあ、今のは…」
「…お前のことが、好きだからだよ。つーか、お前、俺が我慢してるってのに
すんげえ無防備でスキばっか見せて、今だって胸が見えてたし!いくら俺でも
我慢の限界があるんだよ!」
「ご、ごめんっっ!って、ちょっとまって、佐野、今俺のこと、好き、って
言った?」
「…ちゃんと聞いてなかったのかよ」
凄むような佐野の声に瑞稀はぶんぶんと首を横に振った。
「ううん、ちゃんと聞いてた!聞いてたってば!…けど、びっくりして…信じ
られない…」
瑞稀の目からぽろりと一筋涙が溢れた。
「お、おいっ」
焦る佐野の胸にしがみつくように瑞稀がしゃくりあげながら抱きついた。
「何で泣くんだよ」
「だって…俺、じゃない、わたし、男の振りでずっと佐野の近くにいるつもり
だったから、佐野のこと好きだったけど、男の振りしてる以上、片思いで終わ
るってずっと思ってたから…」
信じられないんだ、そう言って一層強く抱きついてくる瑞稀を佐野も両腕で強
く抱き締めた。
「馬鹿、もう泣くんじゃねーよ」
「うん、でも佐野、もうちょっとだけこうしてて…」
385佐野×瑞稀女バレ妄想(7/7):2007/09/08(土) 03:40:40 ID:MXAlTXus
睫に涙を溜めたまま、瑞稀が佐野の胸に頬を擦り付けてきた。
「…いや、ヤバいから、もう離れてくれ」
「え?」
「え?じゃねえよ、俺がさっき言ったこと忘れたのか。…我慢の限界なんだよ」
ほら、そういって佐野がぐい、と腰を動かした。固く勃起した下半身が瑞稀の
腰に擦り付けられて瑞稀はその生々しい感触に思わず頬を赤らめた。
どくん、と心臓が大きく跳ねる。さっきまで見せられていたAVの映像が瞬時に
プレイバックする。同時にさっき火照りを覚ましたばかりの自分の身体がまた
熱くなっているのにミズキは気づいた。
「…佐野、わたしはいいよ」
「え?」
「わたしも、今すっごく佐野に触れたい。駄目?」
「…冗談言ってるんだったら…」
「冗談なんかじゃない。本気だよ。佐野とだったら…いい」
ゆっくりと目を閉じて、瑞稀は唇を差し出すように上を向いた。小さな舌打ち
の後、佐野が「逃げるなよ」と吐息がかかる距離でそっと呟いた。



寸止めみたいですみません。この後が上手くまとまらず…
この週末頑張ってみます。
386名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 10:36:18 ID:nKRZFd23
GJ!
つか、寸止めって…。
生殺しの状況をどうしてくれるww
wktkして待ってる。
387名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 10:58:34 ID:IGDIZ+Bf
GJ!GJだけどえぇぇぇぇーーーーー!!!

生殺しですね、続きが超楽しみです。
388名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 15:06:25 ID:Y3HeKxJn
すげーーーGJ!!

続き楽しみにしています〜
389名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 15:27:55 ID:4oDryiWd
(^o^)なんという焦らしプレイ
>>385は間違いなく鬼畜

続き待ってるよ
390名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 22:30:51 ID:/916N1jO
ハァハァハァハァ……幸せすぎる投下
391名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 22:50:22 ID:59uYiszY
wktk
392名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 10:01:26 ID:frgWRGne
佐野は飲酒量の一定を超えると、今度はヤリ魔になっちゃって、
ああ、哀れ瑞稀の清純は花と散るらむ…ってのは?
393名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 15:32:32 ID:2UdNRJP1
それ、散るのが瑞稀の清純だけならいいけど、
あちこち(それこそ男女関係無く)散らすような男になったら困るなw
しかも本人記憶ないんだろ?w
別の意味でも瑞稀が大変だ。
394名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 22:12:39 ID:6kVKTbCk
GJ過ぎる!

つか佐野×瑞稀の続きも気になるが、
ビデオ鑑賞会場も気になる!
瑞稀がいない方がいいって…何があるんだ?
395名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 22:25:21 ID:pbXZ4YD5
>>394
自分は瑞稀似の女優が出てるAVがあるのかと思ったw
396名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 01:10:55 ID:xAXRcbpv
瑞希と佐野の部屋盗撮とかいったら限りなく神。
セクースを皆で鑑賞中津が鼻血で死にそうになるとか
<ビデオ鑑賞会
397続・佐野×瑞稀女バレ妄想(1/6):2007/09/10(月) 03:20:18 ID:BMPiUT+I
続きです。2人の性格といまいち合ってない気がするんですがこれ以上
書けないので勘弁。


佐野の両腕の中、きつく抱き締められたまま何度もキスを繰り返す。重なった
唇が何度も離れてはまた重ねられる。
「ん…」
事故のようなキスは前にもあったけれど、好きな人と交わすキスは身体中が溶
け出しそうな甘さだった。甘い幸せに指先まで痺れてくるようだった。
「芦屋、もうそろそろ、手、離して」
縋り付くようにしてキスを強請る瑞稀を宥めるような仕種で、佐野の手が瑞稀
の両腕を佐野の身体からそっと離す。そのまま瑞稀のTシャツの裾を捲ると素肌
に佐野の指先がそっと這わされた。
「んっ…!」
瑞稀の体温を確かめるように撫でていた佐野の掌が素肌の胸に触れると瑞稀は
びくりと身体を揺らした。柔らかさを確かめるかのように佐野の指が瑞稀の小
振りな胸をやわやわと揉みしだく。その指先が既につんと尖った先端に触れる
と瑞稀は思わず「ひあっ」っと声を上げた。
「や、さ、佐野…っ」
「何?」
指先でくりくりと転がされて瑞稀はか細い悲鳴を上げた。自分自身でも滅多に
触れない部分を他人にこんな風に触られるのは初めてのことだ。捏ねるように
指先で弄られる度に甘い電流が足の指先にまで流れる。
「芦屋、腕上げて」
佐野に言われるがまま瑞稀が腕を上げるとするりとTシャツが脱がされた。それ
まで布に覆われていた瑞稀のやや小ぶりな両胸が佐野の目の前でぷるんと弾け
るように揺れた。思わずごくりと喉を鳴らした佐野だったが、そのままがっつく
のもあまりに性急過ぎるかと躊躇っていると、瑞稀が困ったような顔で佐野の顔
を覗き込んできた。
「…佐野?」
見つめてくる瞳はいつもの犬のような甘えた表情だったが、赤く染まった頬と曝
け出された両胸という姿は女性そのもので香りたつ色気に佐野は思わず視線を逸
らした。
(ヤバイ。このままじゃ俺、最後までいく前に出ちまうかも…少し落ち着け俺!)
398続・佐野×瑞稀女バレ妄想(2/6):2007/09/10(月) 03:23:21 ID:BMPiUT+I
「む、胸」
視線をやや逸らしたまま佐野は小さく呟いた。
「胸?」
「…想像してたよりは意外にあるな、って思って。…いやその、押さえ付けて
誤魔化してたからもっと…」
苦し紛れの佐野の言葉だったが瑞稀はそれを聞いて目を見開いて怒った。
「ちょ、ちょっと!!想像してたよりって何だよ!」
「あ、それはその…」
「佐野、もしかしてわたしが女って気づいてからずっとそんなこと思ってたの
?エッチ!」
今にも投げ付けんばかりに傍らの枕を抱えた瑞稀を佐野は慌てて押し止めた。
「違うって!すぐにはそんなこと思わなかったけど…お前のことが気になり出
してからは…」
想像したに決まってんだろ、と佐野は半ばやけっぱちに答えた。
「好きな女が同じ部屋で毎日寝てたんだぞ、想像するくらいしょーがねえだろ」
けど、想像なんかよりもずっと、ずっとクる。
「な、続き、…イイ?」
もっと、もっと触れたくて、堪らない。
佐野の懇願に瑞稀は少し恥ずかしそうに頷いて、ひとつだけお願い、と続けた。
「なに?」
「あのね、…もう一回、瑞稀って呼んで。そして、好きって言って?」
「っ…名前、か、よ」
「ん、お願い」
確かに一度だけ呼んだことがある、けれど、それがどんなに勇気を出して呼ん
だのか分かっているのかいないのか。佐野は僅かに頬を染めながら、瑞稀の両
肩を抱き寄せて告げた。
「分かった。…瑞稀、好きだ」
「ありがとう。わたしも佐野が、好き…」
溢れんばかりの笑顔の瑞稀に佐野はもう一度深く口づけた。小さな瑞稀の唇を
割るように舌を差し入れて上顎の内側を舐めると瑞稀がんっと声にならない喘
ぎを零す。溢れる唾液の跡を辿るように首筋、鎖骨と口づけていくと、ふるふ
ると震える桃色の乳首に吸い寄せられるように顔を近付けその先を唇に含んだ。
399続・佐野×瑞稀女バレ妄想(2/6):2007/09/10(月) 03:24:20 ID:BMPiUT+I
「む、胸」
視線をやや逸らしたまま佐野は小さく呟いた。
「胸?」
「…想像してたよりは意外にあるな、って思って。…いやその、押さえ付けて
誤魔化してたからもっと…」
苦し紛れの佐野の言葉だったが瑞稀はそれを聞いて目を見開いて怒った。
「ちょ、ちょっと!!想像してたよりって何だよ!」
「あ、それはその…」
「佐野、もしかしてわたしが女って気づいてからずっとそんなこと思ってたの
?エッチ!」
今にも投げ付けんばかりに傍らの枕を抱えた瑞稀を佐野は慌てて押し止めた。
「違うって!すぐにはそんなこと思わなかったけど…お前のことが気になり出
してからは…」
想像したに決まってんだろ、と佐野は半ばやけっぱちに答えた。
「好きな女が同じ部屋で毎日寝てたんだぞ、想像するくらいしょーがねえだろ」
けど、想像なんかよりもずっと、ずっとクる。
「な、続き、…イイ?」
もっと、もっと触れたくて、堪らない。
佐野の懇願に瑞稀は少し恥ずかしそうに頷いて、ひとつだけお願い、と続けた。
「なに?」
「あのね、…もう一回、瑞稀って呼んで。そして、好きって言って?」
「っ…名前、か、よ」
「ん、お願い」
確かに一度だけ呼んだことがある、けれど、それがどんなに勇気を出して呼ん
だのか分かっているのかいないのか。佐野は僅かに頬を染めながら、瑞稀の両
肩を抱き寄せて告げた。
「分かった。…瑞稀、好きだ」
「ありがとう。わたしも佐野が、好き…」
溢れんばかりの笑顔の瑞稀に佐野はもう一度深く口づけた。小さな瑞稀の唇を
割るように舌を差し入れて上顎の内側を舐めると瑞稀がんっと声にならない喘
ぎを零す。溢れる唾液の跡を辿るように首筋、鎖骨と口づけていくと、ふるふ
ると震える桃色の乳首に吸い寄せられるように顔を近付けその先を唇に含んだ。
400続・佐野×瑞稀女バレ妄想(3/6):2007/09/10(月) 03:27:05 ID:BMPiUT+I
「あっ…!」
舌先でころころと転がすようにしながら吸い付くと面白いように瑞稀が甘い声
を上げる。
唇で瑞稀の両の胸を代わる代わる堪能しながら、佐野は空いている手で瑞稀の
ハーフパンツをずるりと引き降ろした。中に穿いていた男物らしき下着もその
まま一緒に引き剥がすと恥ずかしがって身を捩る瑞稀に構わず付け根に指を進
めると、指先にとろりとした感触があった。
「っや…っ」
触れた途端、瑞稀が両手で自分の顔を覆ってしまった。しかし隙間から覗く耳
朶は真っ赤だ。
佐野が覗き込むと瑞稀のそこは既にとろとろと透明な汁を溢れさせていた。ひ
くひくと震える二つの花弁の上に赤い小さな花芯が顔を出している。
「すげ…めちゃめちゃ濡れてる…」
思わず零れた佐野の呟きに瑞稀が一層身体を捩ったが佐野は構わず身体を割り
込ませて瑞稀の両足をぐいと広げた。
ぱくりと割れた間に佐野が指を這わせる。
「はあ、あんっっ!」
瑞稀が今までとは比べ物にならないくらい甘い喘ぎ声を洩らした。
誘われるままに指を蠢かせ、そのまま一番濡れている穴へ指を付き入れると瑞
稀がびくっびくっと震えか細い悲鳴と共にがくりと身体の力を抜いた。
「んっ、さ、の…ぉ」
いやいや、と首を振る瑞稀だが腰は佐野の指に答えるようにゆらゆらと揺れて
いる。とろとろに融けた内は佐野の指を2本、3本と包み込んでもっと、と強請
るようにきつく吸い付いてくる。
「も、我慢できね…」
瑞稀の痴態に佐野はもどかしく自分のズボンを下ろすと瑞稀の濡れた入口に先
端を当てた。
「や、佐野っ…!あ、あれ着けて…っ」
瑞稀の言葉に佐野はあ、と我に返った。
そういえばコンドームを着けていなかった。あまりに突然の出来事で身体が先
に暴走して理性が追いついていなかった。
が、そういえばコンドームなんて…
「…やべ、俺、持ってない」
401続・佐野×瑞稀女バレ妄想(4/6):2007/09/10(月) 03:29:46 ID:BMPiUT+I
ここまできて最後までやれないなんて、ありえねえ!
焦った佐野に瑞稀が自分の机の引き出しを指差した。
「わたしの机に、難波先輩からもらったのが一個入ってるハズ…」
瑞稀の指し示す引き出しをあけると、一番奥の隅にひっそりとコンドームが仕
舞われていた。
「どうしたんだ?これ。難波先輩って…」
「海の家に手伝いに行った時、ナンパが成功した時の為にって持たされたん
だ…」
「あ、そ…」
相変わらずな先輩だと呆れつつ、しかし今日ばかりは感謝せずにはいられな
い。
「あ、佐野っ…」
「ちょっと待て、…ん」
銀色の袋を手早く破ると佐野は中から取り出したコンドームを着けて再度瑞
稀の濡れてひくひくと蠢いているそこへと自らをあてがった。ぐちゅ、とい
う音をさせながら先端を進めると瑞稀が顔を歪める。
「痛っ…!」
「力、抜いて」
ふるふると震える瑞稀の小さな身体を佐野は優しく抱き締めた。慣らすよう
に少しずつ身体を進める。痛い思いはさせたくない。瑞稀の目尻に浮かぶ涙
を舌で掬い取りながら佐野は辛抱強く身体をゆっくりと進めた。
「あ、あ、っんっ!」
一番太い処を飲み込むと後は一気だった。最奥まで突かれて瑞稀は声になら
ない悲鳴を上げた。
「っは、あ、瑞稀っ…」
「さの、さのっ…!」
瑞稀が身体をびくびく跳ねさせると佐野が小さく唸って、そして瑞稀の中で
そのまま果てた。
はあはあと息を切らしながら二人でぐったりとベッドに沈みこむ。目が合う
と恥ずかしくて堪らなかったが、それでも、気持ちが通じた、その嬉しさの
方が何倍も強くて二人は目をあわせるとそのまま微笑んでキスをした。
402続・佐野×瑞稀女バレ妄想(5/6):2007/09/10(月) 03:32:17 ID:BMPiUT+I
「よう、おはよう中津」
「みっみみみ瑞稀!お、おはよっ!」
翌日、ややだるい身体をそれでも引きずって食堂へ行くと、中津がすごい顔を
してそのまま「ごっそさん!お先に!」とダッシュで帰ってしまった。
「?どうしたんだ?中津の奴」
いつもなら頼んでもいないのに隣にきて一緒に朝食を食べるのに。
「あ、難波先輩、おはよーございます」
「っお、おう!芦屋!げげ元気か!」
「?はい」
難波はハハハ!と大きな声で笑いながらそのままどっかへ行ってしまった。中
央も一緒に変なカオで引きつった笑い顔で、どうしたんだろう?隣の佐野に尋
ねてもさあ、と首を傾げるばかりだ。
「腹でも痛いんじゃねーの?」
「皆、朝食で変なモンでも食べたのかな…?ナマモノ、やめとく?」
「そうだな」
和定食の生卵を一緒に避けてみる。
「えへへ」
「なんだよ」
「なんでもない」
こんなちっちゃいお揃いでも、嬉しくって、幸せで。
「ボーっとしてないで、早く食べろよ」
コツン、と額を佐野に突つかれて、瑞稀はでへへ、と締まらない顔で答えた。
隣に佐野がいてくれる。大好きな、佐野が。
瑞稀はにっこりと、これ以上ない幸せの笑みを浮かべた。
403続・佐野×瑞稀女バレ妄想(5/6):2007/09/10(月) 03:33:21 ID:BMPiUT+I
「よう、おはよう中津」
「みっみみみ瑞稀!お、おはよっ!」
翌日、ややだるい身体をそれでも引きずって食堂へ行くと、中津がすごい顔を
してそのまま「ごっそさん!お先に!」とダッシュで帰ってしまった。
「?どうしたんだ?中津の奴」
いつもなら頼んでもいないのに隣にきて一緒に朝食を食べるのに。
「あ、難波先輩、おはよーございます」
「っお、おう!芦屋!げげ元気か!」
「?はい」
難波はハハハ!と大きな声で笑いながらそのままどっかへ行ってしまった。中
央も一緒に変なカオで引きつった笑い顔で、どうしたんだろう?隣の佐野に尋
ねてもさあ、と首を傾げるばかりだ。
「腹でも痛いんじゃねーの?」
「皆、朝食で変なモンでも食べたのかな…?ナマモノ、やめとく?」
「そうだな」
和定食の生卵を一緒に避けてみる。
「えへへ」
「なんだよ」
「なんでもない」
こんなちっちゃいお揃いでも、嬉しくって、幸せで。
「ボーっとしてないで、早く食べろよ」
コツン、と額を佐野に突つかれて、瑞稀はでへへ、と締まらない顔で答えた。
隣に佐野がいてくれる。大好きな、佐野が。
瑞稀はにっこりと、これ以上ない幸せの笑みを浮かべた。
404続・佐野×瑞稀女バレ妄想(6/6):2007/09/10(月) 03:38:17 ID:BMPiUT+I
そんなふたりのラブラブバカっぷりはホントだったらすぐに寮生にバレるとこ
ろだっただろうが、この日は少し話が違ったのだ。

「難波先輩、ぜんっぜん芦屋に対してフツーじゃないですってば!」
「わ、分かってるって!つかお前もフツーじゃねえぞ!」
「あーもう、難波先輩に唆されてあんなビデオ見なきゃよかった〜」
昨夜のAVメンバーが揃って嘆くのは。
「芦屋のそっくりさんのせいで俺、ぜんっぜん昨日寝れなかったっす…」
「俺も、つか俺あれから芦屋で…ちゃったんだけど」
「…俺も」
「俺も…つか俺芦屋の隣の部屋なんですけど夢でも芦屋のエロい声を聞いた気
が…」
昨夜の難波スペシャルAV。学園のアイドルとHしちゃいましたと銘打たれたその
AVの主演女優が瑞稀にそっくりだったのだ。
難波としてはもちろん受けを狙ったつもりで用意したモノだったが、意外にイ
イ出来に(以下略

第2寮のメンバーが2人の両想いに気づくのは、もう少し後の事だった。



予想通りのオチでスマソ。そして途中で同じのが何度も送信されてた
みたいでorz
スレ無駄遣いスマソ…ところで396の話を読みたい。誰か!
405名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 03:46:20 ID:6Ij/u82Q
起きててよかった!
GJにもほどがある
406名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 03:48:53 ID:eZjYQJN+
>>404
リアルタイム遭遇!!GJ!!!!!!!!!!
意外に余裕の無い佐野が良い感じですたw
ごちそうさまです。
407名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 07:35:52 ID:NFcml1rS
ごちそうさまでーーーっさす!
そーかコンドームはその経緯で入手済みなのかw
佐野が持ってないのも納得だった。
408名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 08:30:16 ID:09P6JU/t
GJ!GJ!
すばらしすぎるよ

瑞稀がしっかりしてて佐野が微妙尻に敷かれてたのがまたイイね

夫婦になったら…
妄想が止まらんorz
409名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 08:58:06 ID:4XTM69Mt
>>404
GJ!GJ!!!
瑞稀似をあてちゃった者ですw満足&堪能しますた。
今後も期待でwktkだぁ〜!
410名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 22:49:15 ID:UYilLiVN
SMプレイキボン
佐野×瑞稀
411名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 23:16:22 ID:emDvfyCF
>>396さんのネタを今書いてみているのですが、
>>404さんの設定・ストーリー展開をお借りしても差し支えないでしょうか?
412名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 23:22:49 ID:EPwNtNj8
別にいいんじゃないか?
投下wktk
413名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 23:30:55 ID:Ft0QQRV7
>>411
本人が読みたいって言ってるんだから、良いとオモワレ
wktkで待つ
414名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 23:32:14 ID:D9Pi7ZIl
鼻血受け用バケツを前にお待ちしておりますwww
415名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 17:21:19 ID:U4WaP8Ga
ドラマ版  佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれ  原作知りません。

芝居とは言え似てる兄弟だなあ、という感想からの妄想です。
弟10話の大喧嘩の後の数日と思っておくんなさい。

中津くんの告白はなかったことに。出したいんですが、三人を交えて
動かす頭がなくて。

エッチも足りないと思いますがご勘弁を。会話ばっかりですみません。。
後半が森の瑞稀への一目ぼれで、佐野大嫉妬になる予定です。
416佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれ@:2007/09/11(火) 17:23:09 ID:U4WaP8Ga
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、ああ・・・・・あっ」

一度出してしまった声はもう止まらなかった。
思わず口に持っていった左手を佐野の大きな手がさえぎる。

「・・・聞かせて・・・俺だけの声。他の奴には聞かせない」

両手は佐野にからみ取られ、瑞稀の頭の上である。
目を閉じていても佐野が分かる。何ひとつ見逃すまいとしている佐野が。

長くしなやかな指が瑞稀の淡い茂みと若芽を蹂躙していた。
自分でも触れたことの無い部分に、佐野は中指の先で緩急のある愛撫を
繰り返す。小さく丸をかく。強く押し付けては離す。淫らで愛しい佐野の指。

自分の下半身から聞こえる粘着性のある音に、瑞稀は耐えられなかった。
逃げ出してしまいたい・・・。 行為ではなく、喜びに悶える自分の声から。


佐野に初めて抱かれてから数日しかたっていない。
それなのに、これほどの快感を覚える自分の身体が信じられなかった。
・・・そうだ、数日前まで自分は“男子生徒の芦屋瑞稀”だったのだ。

「あっ、いやっ、佐野・・・」

ふいに熱い唇と舌が瑞稀の胸を襲った。白い裾野から桜色の先端まで佐野は
喉を鳴らして味わう。張り詰め、濡れそぼった先端を甘噛みされ、瑞稀は声に
ならない悲鳴をあげた。

その瞬間、佐野は瑞稀の一番奥まで自分を埋め込んだ。大きく瑞稀がのけぞる。
衝撃と硬さと熱さにただあえぐ。助けを求める様に佐野の背中に瑞稀は両手を回した。

「渡さない誰にも。森にも、中津にも、誰にも・・・。好きだ、好きだ、芦屋・・・」

森にも・・・。 森、森くん・・・。
朦朧とする意識の中で、瑞稀はあのグラウンドを思った。
アイスキャンディーを差し出し微笑む少年が一瞬浮かんだが、すぐに瑞稀は何
も考えられなくなった。
417佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれA:2007/09/11(火) 17:26:04 ID:U4WaP8Ga
「やっぱり似ている・・・」

瑞稀は“その少年”の頬を、人差し指で触りながらつぶやいた。
月間 陸上競技。メダル掲げて微笑む“佐野森”の写真が載っていた。

「佐野を殴ったあの時の顔とは全然ちがう・・・」

『おまえには・・・俺の気持ちなんか分かんねぇよ。・・・分かって欲しくもねえ』

佐野の冷ややかな声と瞳が蘇り、瑞稀の瞳に涙がまた溢れた。
笑ってほしいのに、誰よりも笑ってほしいのに・・・。
明日、桃郷学院のグランドに行ってみよう。そして謝ろう。
無人のベッドを眺めながら、瑞稀は自分に言い聞かせた。

翌日、桃郷学院のグランドに佐野の姿はなかった。
それでも瑞稀が帰らなかったのは、練習に励む佐野の弟“佐野森”が練習の
合間に見せる屈託のない笑顔に、兄の姿を重ねたからだ。

その翌日も佐野は一日現れなかった。
毎日どこかで練習をしているのは、疲れきった姿と汗の匂いで分かる。
「お帰りなさい」とロフトから声をかけても返事はなかった。

三日目も同じだった。グラウンド脇の林の中、肩を落として帰る瑞稀は背後に
人が近づいて来たことに気づかなかった。そしていきなり、

「あんた何? 俺のファン? 昨日今日とずっと俺だけ見てたでしょう?」

思わず振り向いてしまったことに瑞稀は後悔した。
ジャージーパンツを膝までたくし上げ、スポーツバックを肩で後ろ手に持った
佐野森が、さも胡散臭げに瑞稀を見下ろしていた。

(どうしよう・・・。)

「どこかの学校のマネージャーにも見えないし、何かすげー気になって」

瑞稀は答えることが出来ない。
それでなくても佐野とは今だギクシャクとした毎日が続いているのだ。
更なる仲たがいの種を蒔きたくはなかった。

森がジリッと前に出る。瑞稀は一歩後ろに下がった。さらに一歩・・・。

「返事がないのは、どーゆー ・・・あぶない!!」
「あっ!」
418佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれB:2007/09/11(火) 17:28:22 ID:U4WaP8Ga
桜の木の根元に足元をすくわれ、瑞稀は後ろにバランスを崩す。
とっさに手首を掴むと、森は瑞稀を自分の胸に抱きこんだ。

「・・・たくもう。後ろ見ないで逃げようとするからぁ」
「ごめんなさい・・・」
「なんだよ、素直にあやまりやがって。俺のせいだろ」

半ベソをかいた瑞稀が顔を上げると、驚くほど近くに森の顔があった。

(・・・やっぱり似ている・・・) 無意識に瑞稀は微笑んだ。

頭一つ小さな瑞稀を見つめる森の頬がいきなり紅潮した。
突き飛ばす様に瑞稀を離すと、落ち着かない様子で指を口元にあてた。
そして。

「あんた、えっと、あんたさ、・・・・・・ “ガリガリ君” 食べる?」
「・・・ ガリガリ、クン?」

夏の名残りの風が吹くグラウンド。誰もいなくなった桃郷学院のグラウンド脇の
ベンチで、二人はしばらく黙ってアイスキャンディーをほおばっていた。
長い足を持て余しぎみに放り出し、かかとだけを地面につけた佐野の弟。
(・・・しぐさも似ている) 瑞稀はまた小さく微笑んだ。

「・・・信じらんねえ。日本人で“ガリガリ君”知らない奴がいるなんて」
「・・・自分、アメリカ育ちだもん」
「はー? そうか。 それじゃしょうがねえ。許してやるか〜」
「許すって・・・(笑)」

不思議な時間が流れていった。 さっきまで何も知らなかった二人が、今は
昔からの友人の様に会話をしながら座っている。

「あんたさ、もしかして泉のガールフレンド?」
「えっ!・・・」
「あんた泉が俺に戦線布告をしに来た時、一緒にいたでしょう?」
「・・・」
「どこかで見た気がしたんだよ。あの時も男の子みたいなカッコしてたね?」

森は瑞稀の顔を覗き込んだ。

「・・・ガールフレンド・・・じゃない・・・友人」

瑞稀は混乱した。はなから女性と認識している森に、今更嘘が通用するものだろうか?
しばらく考えると瑞稀は決心した。
419佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれC:2007/09/11(火) 17:30:29 ID:U4WaP8Ga
「・・・私。私なの。佐野が怪我をしたのは、私のせいなの」

森の顔に驚きが走った。

佐野の跳ぶ姿に憧れていたこと。アメリカの強化合宿先を訪れた時に事件がおこったこと。
佐野が跳ぶことを止めたと聞き、居てもたってもいられず、アメリカから日本に来たこと。

「でもダメなの。佐野を怒らせてばかり。この間もよけいなことを言っちゃって・・・」
「・・・あんたのせいじゃねえよ。俺たちアスリートとケガはつきものだ。あいつは怪我を口実
に自分自身から逃げたんだ。親父から逃げたように。あんたのせいじゃない」

瑞稀は泣きそうになった。森の言っていることは間違っていないだろう。でも・・・。
『佐野が好き』 気がつかなければよかった。怪我、責任、本当はそうじゃない。
自分の嘘がさらに複雑になった背景は自分のせいなのだ。
『佐野が好き』 誰かに言ってみたかった。誰かに聞いてほしかった。

「さっき友人って言ったけど・・・片思いなの。私の。佐野は何も知らない。私の片思い・・・」
「・・・やっぱりあいつは馬鹿だ」

瑞稀の告白に森に特別なことは言わなかった。
ただ、瑞稀にアメリカでの生活を聞きながら、自分たち兄弟の話をさりげなく話した。

「勉強が出来て、スポーツが出来て。小さな頃から期待の星だったよ、泉は。母さんに愛され、
父さんに愛され、ハイジャンに愛され。それがある時すべて放りだした」
「・・・」
「親父の指導は俺に集中した。現実を考える暇もなかったな。それが今頃になって突然現れて・・・」
「・・・それでいきなりお兄さんを殴っちゃったんだ?」
「うわっ、そこまで喋ったのかよ、馬鹿兄貴」
「ううん。見てたから・・・」

『馬鹿兄貴・・・』 瑞稀は思った。この家族は大丈夫だ。いつかきっとすべていい方向に行く。
そしてその時、自分はどこにいるのだろう。少なくとも佐野のそばではない。

「・・・あのさ、あんた泉のどこが好きなの?」

森が妙に真剣な面持ちで聞いてきた。

「・・・どこがって言えたらいいのだけど。気がついたら好きだった・・・」
「ちっ、おもしろくねぇ〜」

わざと大げさに森は顔をしかめてみせた。

「俺は“佐野森” あ、もう知ってるか? あんたは?」
「私は・・・芦屋瑞稀」
「あしやみずき・・瑞稀って呼んでいい?」
「・・・いいよ。私は森くんって呼ぶね」
420佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれD:2007/09/11(火) 17:35:43 ID:U4WaP8Ga
夕日が落ちかけ、互いの表情も見えにくくなった頃、二人はやっと立ち上がった。

「明日も観に来いよ。すごくいいことがある」
「いいことって、何?」
「明日も “ガリガリ君”おごってやるよ」
「・・・佐野も “ガリガリ君” 好きだった?」
「ちくしょう、やっぱ頭にくるなアイツ。ああ、泉も大好きだったよ」

二人は声をあげて笑い、瑞稀は明日も来る約束をした。
その夜、普段と変わらない瑞稀の「お帰りなさい」に、明るさと弾みを佐野は感じ取った。


そして翌日、瑞稀は約束通りグラウンドにやって来た。
知らん振りしながらも、森が小さくガッツポーズをしたことを瑞稀は気がつかない。
パワフルに跳躍を決める森を見つめながら、瑞稀はどこかで跳んでいるはずの佐野を思った。


「はい、“ガリガリ君”。 ソーダ味とコーラ味、どっちにする?」
「・・・えっと」
「『佐野はどっちが好き?』 なんて聞くなよ」

図星をさされて瑞稀は赤くなった。

「・・・ソーダ味にする」
「ちぇ、また当たりだ」


昨日と同じ夕間暮れ、昨日と同じベンチで、二人の会話は尽きない

「・・・へえ、瑞稀は足が速いんだ」
「長距離はちょっと苦手だけどね。短距離は自信がある」
「ちゃんとやらないの?」
「・・・やりたい気持ちもあるんだけど・・・」
「泉のことで手一杯?」
「うん・・・今は佐野のことだけ考えていたいから・・・」
「ヒュー、ヒュー やってらんね〜」

森は上手に口笛を吹いて瑞稀をからかった。
佐野への気持ちを素直に言えることが、これほど幸福なことだったとは。
いつか言えるのだろうか、佐野本人に好きだと。それとも。

「知ってる? 泉って虫が苦手なの」
「え、知らなかった。どんな虫?」
「足が細くてもげそうな奴だな。カマキリとか、カマドウマとか」
「わー、そうなんだ」
「自分こそ長くて細くて、カマキリみたいな身体してるくせにさ」
「! いやだ似てる、どうしよう!」
421佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれE :2007/09/11(火) 17:41:40 ID:U4WaP8Ga
「・・・でもね、森くん。そう言うあなたも佐野に似てる」
「ど、こ、が、だ、よ」
「全体の雰囲気が似てるのは勿論だけど・・・特に」


ふっと瑞稀が人差し指し先を上げた。

「ここと」 目元を指差す。
「ここと」 次は鼻だった。

「それと・・・佐野よりふっくらしてるけど、この頬」

チョンと右頬に指が触れた瞬間、瑞稀の指は森の手に包まれた。
思わず瑞稀は手を引いたが、森は離そうとしなかった。

「森くん・・・離して」
「・・・」

瑞稀を見つめたまま、森は黙って瑞稀の手を口元に寄せた。
唇が指先に触れようとした・・・その瞬間。
冷やかな恫喝が背後から聞こえた。

「やめろ、森」

振り向いた二人の視線の先に、佐野泉が立っていた。

「佐野・・・」

ジャージーパンツのポケットに手を入れ、普段と変わらない様子で近づいて来る。
長身がベンチの二人に影を投げかける。
ゆっくりとした動きで佐野はポケットから手を出した・・・。
次の佐野の動きは、瑞稀の記憶になかった。

気がついた時、地面には右頬を押さえてうずくまる森の姿があった。

「佐野、やめて!」



佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 一目ぼれ編

おしまい。


この続きは、佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 嫉妬編 になります。
佐野の大ジェラシー会、佐野による瑞稀折檻エッチになる予定です。
ご要望があれば書かせて頂きたいと思うですが・・・。
422名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 18:10:12 ID:2PbETCjS

要望! 要望!

凄く楽しみにしてます。

靴下だけ履いて正座して待ってます!
423名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 18:38:23 ID:JuzxFLmH
森×瑞稀新鮮でいい!
佐野の嫉妬も楽しみ
裸マフラーで待ってます
424名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 19:28:48 ID:+1HLH2pS
裸で透明ビニール傘さして待ってます
425名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 19:58:03 ID:Gr3Hm5s/
>>421
GJ!続き待ってますよ
426名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 20:02:42 ID:cYMuFRE/
裸にはちまきしめて待ってます。
ありがとう、すっげゾクゾクしてるよ!
427名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 20:35:37 ID:dblcym2m
じゃあ自分ははだかにフンドシしめて待ってる
428名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 20:48:46 ID:n7d3DSoA
>>427
普通じゃん(゜o゜)\(-_-)
429名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 21:34:28 ID:KXKt9ZHl
森×瑞稀・・・!
原作の頃から気になってなんで是非…!!
430名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 21:56:17 ID:H84H9fbZ
もう、ここの住人大好きすぎる!
431名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 22:03:54 ID:/Cgt9oP1
ここ読んですぐドラマ見たからなんか変にドキドキしちゃったw
佐野も森もミズキもみんな可愛くて萌えるw
432名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 22:14:13 ID:dxZinfLh
原作では作者がちらっと森→瑞稀フラグを立ててそのまま、膨らませることなく終わったので
(そういえばモデルのアレックスも)期待大!
待ってます!
433名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 23:41:14 ID:U4WaP8Ga
皆様、ありがとうございまーす。じゃあ、頑張って「嫉妬編」書いてみますね。
「佐野の嫉妬」と「森の嫉妬」にもみくちゃにされ、毎夜悶えにもだえる瑞稀。
434名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 00:26:19 ID:F9vZAG8R
G★J!!!

読み終わった後部屋でじたばたしてしまいました。
421はなんて罪な人なの…!!もう私も裸になにかオプションつけて正座してます。
435名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 00:41:23 ID:fAiPGPRm
壊れてる?!
今までの神作品保存しとけば良かったorz
436名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 02:20:42 ID:eifk755i
>>411です。
>>379-385>>397-404さんのお話の佐野×瑞稀、
>>396さん提案(?)の盗撮バージョン投下します。
やたらと長くなってしまったので、とりあえず前半部分を。

何だか求められているものとは方向性が違ってしまった気がしますが、ご容赦を。
(中津より難波の方が目立ってます)
どっちかっていうと与太話の部類で、全くエロくはありません。

台詞などは、一部言葉尻を多少自分仕様に変えてますが、お許し下さい。
437佐野×瑞稀 396盗撮Ver. 1/6:2007/09/12(水) 02:22:45 ID:eifk755i
「それはすぐに分かるって」
何故、瑞稀がいなくなったのが丁度いいのかという中央の問いに、
難波はにやりと人の悪そうな笑みを浮かべた。


「さてと、野江、準備はいいか?」
「はいー、先輩。いつでもオッケーっすよ」
野江がプロジェクターと繋いだノートPCを操作している。
そのPCからは更に用途不明の装置が繋がれていて、それが妙に期待を煽ってくる。
野江の例のごとくアヤしげな発明品が絡んでいるとすれば、
それはかなりアングラなシロモノ、言い換えれば過激なシロモノを想像させ、
一層期待感が膨らんでくる。
自ずと「盗○」の2文字が脳裏に浮かび、第2寮生達の喉がごくりと鳴った。
「おっと、その前に、今から見たこと聞いたことについては、全て他言禁止だ」
野江に指示して、A4大の用紙を全員に配らせる。
「今からこれにサインと拇印をしてもらう。
もし万が一、これからこの部屋で起きたことが少しでも外部に洩れたりしたら、
連帯責任として、全員分のこれを学校に提出させてもらうからな!」
「え――っ!!」
一斉に起こったブーイングにも、「不満だったら、この部屋から出て行って
見なければいいだけの話だぞ」と、難波は取り合わない。
難波が配ったその紙は、退学届であった。
裏ビデオとクビとを引き換えにするのは割が合わない。
だが、逆に言えば、クビを賭けなければならないほど過激なシロモノなのだろうかと思えば、
何となく見逃してはならないような気もする。
結局、好奇心に負けて、ほぼ全員がその場に居残り、署名捺印済みの退学届を難波に預けた。


……かくして、企画・脚本・演出:難波南によるバーレスクの幕が上がった。
438佐野×瑞稀 396盗撮Ver. 2/6:2007/09/12(水) 02:23:25 ID:eifk755i


リモコンを片手にした難波が、操作しようとする手を止めた。
「おっと、その前に」
まだあるのか、と寮生は心の中で総つっこみする。
「中津、縛りつけとけ。暴れられると困る」
「ちょーちょーちょーちょー! 何でオレがっ!?」
周囲の連中も「何で中津を!?」と思い、その更に一部の生徒は「芦屋絡みか!?」と考えたが、
そこはそれ、脇に置いといて、難波の命令に従うべく、中津の方に総員がにじり寄った。
「ちょっ、待てよ! 何でオレが縛られなきゃなんねーんだよ。ワケわかんねー!」
中津は自室内を逃げ回ったが、ただでさえ人員過多で逃げ場所がない上に、多勢に無勢。
あっという間にガムテープで身体を腕ごとぐるぐる巻きにされた。ご丁寧に口まで塞がれている。
「(ふがふがふが!)」
何やら激しく訴えているが、何を言っているのかは皆目わからない。
それに対する難波の応対はいっそ酷薄だった。
「鼻は塞がってねーから、窒息死はしないだろ」
ひでぇ…。幾人かは心の中で中津に同情したが、
それを寮長に主張する勇気のある者はその場に存在しなかった。
難波が中津に対してここまでするからには、やはり芦屋絡みなのだろうか……?
もしかして、ビデオの女優が芦屋に似ているとか?
という彼らの想像は、まだ可愛らしい、或いはヌルいと言えただろう。
439佐野×瑞稀 396盗撮Ver. 3/6:2007/09/12(水) 02:24:02 ID:eifk755i


「よし、始めるか!」
やっとか、と皆は思い、待たされた分だけ膨らんだ期待に、再びごくりと喉が鳴ったが、
その期待感は、難波がスイッチを入れた瞬間、失望に取って代わった。
瞬時には、スクリーンに映ったものを一同は理解できなかった。
しかし、いち早く理解した中津が「ん〜〜〜!!」と意味不明の唸り声を上げ、
そして次の瞬間、その理解は全員に波及した。
それは、シャンプーを借りたり、はたまたその他の用事で幾度となく入った、
勝手知ったる第2寮の205号室であった。第2寮生達はがっくり肩を落とした。
何が嬉しくて、同じ男子校の同級生の生態を盗撮しなけりゃならないのか。
騙された、とばかりに一斉に恨みの視線が難波に集中するが、
難波は、「まあ大人しく見てりゃ、わかる」と、意に介さない。
画面が切り替わり、この部屋の主である2人――佐野泉と芦屋瑞稀の姿が映った。
どうやら、複数の盗撮カメラが設置されており、
野江がPCのモニター画面を見ながら切替えているらしい。
ちょうど瑞稀はシャワールームから出たばかりのようである。
『ごめん! 佐野!』
『いや、別にいいんだけど、お前が倒れてるんじゃないかと思、っ…て…っっ!!』
『? どうしたんだ、佐野?』
『っ、近付くなっ!』
何やら佐野が慌てている。
佐野がキョドっている姿なんて、確かに滅多に見られないものではあるが、
だからといって学歴と引き換えにするほどのものでもない。
露骨に落胆の溜息が室内に拡がりかけた次の瞬間、
しかし数人が「あるもの」に気づき、部屋がざわめいた。
――おい、芦屋の胸……。
――ちょ、よく見えねーんだけど。
――アレ、膨らんでねーか?
――胸筋じゃねーのか?
――バカ言え、某第1寮長じゃあるまいし、芦屋にんなモンあると思うか?
『ねえ、佐野』
瑞稀が佐野の腕に触れた途端、佐野がもの凄い勢いで瑞稀の肩を引き寄せた。
そのまま倒れ込み、画面からフレームアウトしたと思った次の瞬間、
絶妙のタイミングで野江が画面を切替え、ベッドに倒れ込んだ2人の姿が映った。
「佐野!?」
「また奈良漬かっ!?」
カメラのアングルは佐野のベッドを真横から見下ろす形になり、
瑞稀の上からのしかかり、執拗に唇を相手のそれに押しつける佐野の姿が画面を占める。
「んー! んん――っ! んん――っ!!」
中津が半泣きになりながら、床に転がってジタバタ暴れている。
もしかすると、「ちょー! 待て――っ! 佐野――っ!!」と言いたかったのかもしれないが、
人間外の言語を解する人間はこの場にはいなかったため、真偽の程は不明である。
(いや、約1名いることはいるのだが、通訳の必要を認めなかったようだ)
そんな中津を放置して、一同は食い入るように画面に見入っている。
幾人かが、キス魔・佐野とのキスを思い出したのか、口元を押さえていた。
しかし、先ほどまでの佐野には、酔っ払った徴候は見られなかったはずだ。
ってことは、まさか素面…? ってことは、まさか佐野ってそのケが……?
んなバカな!! ……ってことは……? 一同の疑惑は、次の瞬間、確信に変わった。
『佐野、あたしが女だって、いつから…?』
「芦屋が――」
「女ぁ!?!?」
室内が蜂の巣をつついたように騒然となった。
中津はあ然と目を見開いたまま、呻き声すら上げることができず、
その他の面々も、口々に思い思いの言葉を発して、その驚愕を表現した。
驚いていないのは、この場のシナリオを書いた難波と、
超自然的な能力の所有者である萱島だけであった。
440佐野×瑞稀 396盗撮Ver. 4/6:2007/09/12(水) 02:24:36 ID:eifk755i


難波は、その女性経験の豊富さ(?)から、瑞稀が女であることに気づいていた。
今まで黙っていたのは、自分の任期中に余り騒ぎを起こしたくないという、
事なかれ主義もないでもなかったが、それ以上に、瑞稀に対して芽生えた仲間意識ゆえでもあった。
別に不穏な目的を抱いて桜咲に来たわけではなさそうだ。
それに周囲とも馴染んで上手くやっている。
だったら別に、あえて事を公けにして平地に乱を起こずとも、
瑞稀の思うようにさせてやったらいいではないか。
そう考え、難波は好意混じりの好奇心から瑞稀の様子を観察していくうちに、
彼女が佐野に対して恋心を抱いていること、
そして佐野の方でも彼女を憎からず想っていることに気づいた。
しかし、彼らの間に色めいた雰囲気はついぞ感じられない。
ありえねぇ…。「歩く生殖器」と謳われた難波にとっては、
好きな相手と同室にもかかわらず「紳士」でいられる佐野の存在は、容易に信じ難かった。
そこで、その鉄面皮を剥がしてやりたいと、一計を案じた。
ビデオ上映会を催し、そ知らぬ顔で瑞稀を招待する。
案の定、純情な彼女は、初めて観たと思われる映像の数々に、
ちょっとした興奮状態で部屋に帰っていった。
その瞳は羞恥に潤み、頬は赤く染まり、端から見ればひどく扇情的な有様で。
状況が状況でなければ、難波の方が押し倒していたかもしれない。
この状態の瑞稀を同じ部屋に放り込んで、それでも佐野は果たして理性を保っていられるだろうか?


……そうして、事は難波のシナリオ通りに進んでいる。
しかし、難波の書いた脚本はここまで。
ここから先の展開は、舞台上の俳優達のアドリブにかかっている。
ところがこの主演女優と主演男優、難波の見たところ、おそらくこれが初舞台。
事が首尾よく進むのか否か、脚本家兼演出家である難波にも皆目わからず、
彼は肩を竦めて、2人の新人俳優達の名演を胸中で祈った。
441佐野×瑞稀 396盗撮Ver. 5/6:2007/09/12(水) 02:25:12 ID:eifk755i


いつの間にか騒然としていた室内は静まり、
第2寮生達は食い入るようにクラスメイト2人のラブシーンに見入っている。
『っ…じゃあ、今のは…』
『…お前のことが好きだからだよ。つーか、お前、俺が我慢してるってのに、
すんげえ無防備で隙ばっか見せて、今だって胸が見えてたし! 
いくら俺でも我慢の限界があるんだよ!』
『ご、ごめんっっ! って、ちょっと待って、佐野。今、おれのこと、好き、って言った?』
『…ちゃんと聞いてなかったのかよ』
一連の告白に、中央や京橋、嵯峨達がヒューヒューと口笛を吹く。
画面の中で、佐野と瑞稀が固く抱きしめ合っている。
佐野の腕の中の瑞稀は、もうすっかり女の子の顔をしており、
逆に何故今まで気づかなかったのだろうかと思わされるほどであった。
「芦屋って、可愛かったんだな」
誰かが感心したかのようにぼそっと呟いた。
『馬鹿、もう泣くんじゃねーよ』
『うん、でも佐野、もうちょっとだけこうしてて…』
『…いや、ヤバいから、もう離れてくれ』
「おい佐野、そこで引くなっ!」「行け行けーっ!」などと、
どこかからまるで野球かサッカーの試合か何かと間違えているかのような声がする。
『あたしも、今すっごく佐野に触れたい。駄目?』
『…冗談言ってるんだったら…』
『冗談なんかじゃない。本気だよ。佐野とだったら…いい』
「おおっ! 芦屋っ、だいた〜ん!!」
「くぅ〜っ、オレも言われてみてぇ〜!」
何故だか自然に拍手が沸き起こり、難波はヒューと小さく口笛を吹いた。
そして憐れな中津はパニック状態であった。
442佐野×瑞稀 396盗撮Ver. 6/6:2007/09/12(水) 02:25:43 ID:eifk755i


愛しの瑞稀が実は女で、佐野のことが好きで、佐野も彼女のことが好きで、
そのことを告白し合い、佐野が彼女の胸に触れ、何度も深い口づけを繰り返し、
そして今、それ以上の行為に及ぼうとしている。
次々と絶え間なく押し寄せてくる事実の数々は、中津にとって脳細胞の処理能力の限界を超えていた。
そして、画面中の瑞稀が「佐野とだったら…」と言った瞬間、プッツリとオーバーフローを起こし、
中津は後にぶっ倒れた。文字通り、泡を吹いて。
「中津っ、中津!」
先刻から中津に同情的な視線を送っていた萱島が、中津を介抱する。
もしかするとぶっ倒れたままにしておいた方が中津にとっては幸せかもしれないと、
起こすのをためらっているところを、中津が自らむっくり起き上がってきた。
倒れた時点で、口のガムテープはさすがに外されていた。
またうるさく喚きだすかと思いきや、俯いて「ふふふふふ…」と不気味に笑っている。
余りのショックにとうとう気が触れたかと周囲の者が疑ったが、そうではなかった。
「オレも男だ。こうなったらしょうがない。瑞稀が佐野を好きだと言うんなら、
素直に負けを認めて、瑞稀を佐野に譲るぜいっ!!
(譲るも何も、おまえのものじゃねーだろ、という突っ込みは、この際彼には通じない)
だがなっ!! 瑞稀を泣かせやがったら、承知しねーからなっ!!」
「別の意味で啼かせるかもしんねーけどな」
さらりと言ってのけた難波の台詞の意味を理解して、純情な中津はまたまた失神した。
443名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 02:30:11 ID:eifk755i
続きはまた書け次第投下するつもりです。
寮生達のツッコミを書くのが楽しくて、ついつい長くなってしまいましたorz

中津はリアルに考えると、かなりキツい状況でシャレにならないので、
ちょっと動かしにくいのですが、そこを何とかカラッとした感じに書ければと願っております。
444名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 02:40:53 ID:VLuTr1yM
>>443
イイ!すごくイイ!
寮生達の反応が見てて楽しいしこっちまでイケナイことをしてる気分になるw
中津はちょっとかわいそうだがw
全裸でボンボン持って続き待たせてもらう
445名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 03:20:49 ID:OK580EWm
>>443さん…笑い死にさせる気ですか?www
>>421さんの作品には萌え死に寸前。
GJ・GJ・GJすぎます!!!
裸に全員お揃の赤いヒモの白スニーカーで待ってます。

以前の続きを投下しに来たのですが
話が「ヌルすぎる」ので日を改めます。
446名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 12:11:19 ID:aWQYRBRs
>>445 置いて帰ってくれてもよかったのに…

いやしかしGJ!
>>421>>443もGJだ〜!
まだ経験浅い瑞稀をそこまで感じさせるとは…佐野、恐るべし。

真っ昼間から全裸、ちょんまげでお待ちしてます
447名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 12:28:44 ID:3lIWmSk9
ここには原作好きな方はいらっしゃいますか?
最近読んだんですけど、あのあとどんな設定になのか、想像しましたか?

同時に、職人さん方GJです。全裸に手袋して待っています。
448名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 12:41:12 ID:pbMSBBYu
みなさんGJすぎて震える・・・
神職人さん多すぎな上、裸族な住人も大好きだ!

全裸に蝶ネクタイして正座で待っています。
449名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 13:34:51 ID:rN9HYHcN
神のような書き手さん方、いい作品読ませて頂いてどうもありがとう〜!


ではわたくしは裸に腹巻きで続きをお待ち致しますわ
450名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 14:35:34 ID:uRWZZjra
呼吸が止まりそうです、GJ

裸で頭にタオルを巻き顔を水の中に入れて待っていますわ
451名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 15:15:41 ID:hHctJpvY
最ッッッ高!!

携帯だからこのログをとっておけないのが悔しすぎるー(´;ω;`)

裸で火を起こしながら待ってます。
452名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 15:16:44 ID:hHctJpvY
最ッッッ高!!!

携帯だからこのログをとっておけないのが悔し過ぎるー(´;ω;`)

裸で火を起こしながら待ってます。
453名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 17:03:15 ID:hHctJpvY
興奮しすぎた。

ハズかしす……
454名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 17:35:59 ID:rN9HYHcN
>>453
許しちゃうよかわいいし
だってみんな裸仲間じゃないか


自分次は裸でハイジャンしてくる
455名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 18:22:04 ID:hHctJpvY
>>454

ちょ、猥褻物陳列罪ww

ここでしか言えないんだけと、昨日のドラマの丸太切り競争が
オ〇ニー中に見えてしまう私は汚れています。
456名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 18:33:57 ID:YnrIuypF
帰宅したら裸族が群れをなしててワロタw
おまいら大好きダゾ!

じゃ、裸にエプロンして飯の支度でもしてくるわノシ
457名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 18:45:58 ID:ibfiZqj5
揃いも揃ってお前らw

俺は裸にタキシードペイントでパーティーに行ってくるわ。
458名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 19:31:08 ID:vipFfAxu
裸族多すぎだろw

じゃ、自分は裸で膝の間に薔薇挟んで腹筋して待つぜ。
459名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 19:39:34 ID:apTj9fux
裸族www
ここのみんなだいすちだ!

じゃあ自分は裸でまさお的開脚ポーズして待ってる。
460名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 20:01:59 ID:6SZex1EF
おおーw
そんじゃ俺は裸でブリッジしつつ待とうではないか。
461名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 20:03:35 ID:KgpBE2bj
裸でイナバウワーして待ってます
462名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 21:25:36 ID:ZtSiqiHj
この流れ見て思ったんだが…。

人間が服を着る習慣がなかったら、裸で生活してんのかね。

(全裸+口にバラくわえて、遠くを見つめながら。)
463名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 21:57:54 ID:0weKkJKI
流れd切るよーごめん

昨日のマッサージシーン見てイケナイ妄想をした人いませんか
太ももサワサワされて佐野もムズムズしたに違いない!
きっと「俺もマッサージしてやるよ」とか言って瑞稀にあれこれ・・
464名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 22:04:54 ID:pd/EI1Qw
瑞稀が自分の足を触ってる時点でもやもやしていた俺は早過ぎかorz
465名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 22:58:49 ID:Ewt18ygl
>>445さん、本当に置いていってくれて良かったのに……!
続き楽しみにしてます!

作家のみなさん本当にGJ!
裸でヨガポーズ決めて待ってます
466名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 23:10:40 ID:rGsB+jZy
>>463

・・・・・・。
鼻の上に汗をかきながら、まだ瑞稀はマッサージを続けていた。
専門書を横目に、それは真剣な表情で。

( くそっ、限界だ・・・)

佐野は瑞稀の手首をつかみ、自分の身体の下に巻き込んだ。
本に気をとられていた瑞稀は、あっけなく佐野のものになった。
・・・驚きで丸くなった瞳が、真上の佐野を見上げている。

「・・・どうしたの・・・佐野?」

さりげなさを装っているが、瑞稀の声は小さく震えていた。

「・・・どうしたい・・・芦屋?」
「・・・・・・離して・・・ほしい」

「・・・ダメだ」
「あっ!」


・・・・・で、今度は瑞稀が佐野にマッサージ(一晩中!)されちゃいましたとさw
めでたし、めでたし。
467名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 23:33:12 ID:0weKkJKI
>>466
な、なんて素敵な!!GJだよ!
佐野はいろんなツボを知ってそうだw
468佐野×瑞稀 396盗撮Ver. 6/6:2007/09/12(水) 23:36:54 ID:uSNmAplR
>>466
試合の前は自重しろよ、佐野w
競技に響くぞ、アレは。
469名無しさん@ピンキー:2007/09/12(水) 23:41:06 ID:hHctJpvY
キタキタキタ━━(゚∀゚≡゚∀゚)━━━!!
470名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 00:39:14 ID:MMJqsVTn
>>463

「なぁ佐野」
「んー?」
「なんで半端に腰上げてんだ?」
「な、なんでもいーだろ」
「マッサージしにくいんだけど、佐野は苦しくねーのか?」
「この方が楽なんだよ」
「ふーん」
「気にすんな、な?」
「へんなの。ま、いっか」

エロどころかオチもなくてごめんなさい。
471名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 01:33:44 ID:3+2bqGVX
はじめまして。
作家様達の素晴らしい文章に触発されて、私も書いてみました。
折角なので投下させてください。
性描写有りのSSは初めてなので、いろいろとお見苦しい点も多々あるかと思いますが、
生暖かい目で見守っていただければ幸いです。

佐野×瑞稀、ドラマ設定です。
11話の佐野の暴走ぶりを見てから書いたので、ちょっと佐野の人格が壊れ気味です…。
8レス程消費予定です。
472佐野×瑞稀 (1/8):2007/09/13(木) 01:34:41 ID:3+2bqGVX
「なあ、佐野。中津どこ行ったか知らないか?」
「…俺があいつの行動なんかいちいち把握してると思うか?」
瑞稀の問いに、読書中だった佐野はやや不機嫌な声で答えた。
「いや〜、佐野ならなんか分かりそうじゃん。妖怪アンテナとかついてそうだし」
「…中津は妖怪じゃないだろ」
妖怪アンテナの所持については否定せず、佐野が顔を上げる。
「そっか、確かに中津は妖怪じゃあないな、うんうん」などと真剣な面持ちで独りごちる瑞稀を見て、思わず吹き出した。
「で、中津に何か急ぎの用事でもあったのか?」
「あ、別に急ぎじゃないんだけど…。借りてた本、返そうと思って」
「本?あいつ、本なんて読むのか?」
「いや、本って言うか…。『すっげー面白いから貸してやる』って渡されたんだけど、その…」
瑞稀の腕には、紙袋が抱えられていた。
瑞稀の言葉からすると中身はどうやら本のようだが、単行本や文庫本にしては大きすぎる。
怪訝な顔をする佐野の様子を見て、瑞稀は紙袋の中身をそっと取り出すと、おずおずと差し出した。
473佐野×瑞稀 (2/8):2007/09/13(木) 01:35:36 ID:3+2bqGVX
どぎつい彩色の表紙。中央にはほぼ全裸の女性が横たわっていて、その周りには扇情的な文句の見出しが躍る。
爆乳、モロ出し、全部見せますetc.…。
一目見てエロ本だと分かるその下品な装丁に、佐野は一瞬狼狽した。
しかし瑞稀の手前じっくり眺める訳にもいかず、興味の無い素振りで突き返す。
「…お前、これ読んだのか?」
「い、一応、ひととおり見てみたんだけど、何が面白いのかよく分からないや。あ、あはは」
瑞稀は明らかに動揺していた。そしてそれを悟られまいと、不自然に高いテンションでぺらぺらとページをめくっている。
「うっわ〜…この女の人、縛られちゃって痛くないのかな〜。まったく、こんなののどこが面白いんだか。分っかんねーなー、なあ佐野…わあぁっ」
瑞稀は体勢を崩して倒れこんだ。急に佐野に腕をつかまれ、そのままベッドへ引きずり込まれてしまったのだ。
「ちょっ…佐野!いきなり何するんだよっ」
じたばたと暴れる獲物を逃がすまいと、佐野の長い腕が、瑞稀の華奢な身体に絡みつく。
「…それ、お前には何が面白いのか分からないんだろ?」
床に放り出された本を顎で示し、佐野が問う。
「あ?…ああ、うん。佐野はこーゆーの、面白いのか?」
「俺も興味はないな」
少しだけ意外そうな表情を浮かべた瑞稀の唇を、佐野の親指がそっとなぞる。
「…瑞稀以外の女の裸なんか見ても、全然興奮しねえ」
474名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 01:36:56 ID:fUeu9PjR
>>470
感じすぎておしりを高々と上げている佐野しか思い浮かばなかった自分…

裸族生活愛好者のみなさん、寝る時はちゃんとあったかくして下さいね
475佐野×瑞稀 (3/8):2007/09/13(木) 01:37:06 ID:3+2bqGVX
瑞稀。

初めて身体を重ねて以来、佐野は瑞稀を名前で呼ぶことが多くなっていた。
特に夜、部屋にふたりきりでいる時に名前で呼ぶのは、
口説き上手とは言えない佐野なりの誘い文句なのだということに、瑞稀は最近気がついた。
『今、私のこと名前で呼んだよね…。ってことは佐野、もしかしてえっちしたいと思ってる…?』
顔を真っ赤にして目を泳がせる瑞稀を愛おしそうに見つめながら、佐野は瑞稀の服を器用に脱がせていく。
「瑞稀。それ、自分で脱いで」
ふと気がつくと、瑞稀の上半身は胸を覆うベストを残し、全て脱がされてしまっていた。
いつもはこのベストも佐野が脱がせているのだが、今夜の佐野は何故かそうしようとはしない。
意地悪な笑みを浮かべ、瑞稀を見上げているだけである。
「早く」
優しく、しかし有無を言わせない佐野の口調に瑞稀は逆らえない空気を感じ、言われるままにベストを外した。
小振りだが形の良いバストが圧迫感から解放され、佐野の目前に曝される。
「…下も」
「えっ?」
「下も自分で脱いで。早く…瑞稀」
476佐野×瑞稀 (4/8):2007/09/13(木) 01:38:24 ID:3+2bqGVX
挑発するような佐野の眼差し、そして甘く囁くその声に、瑞稀はやはり逆らうことができない。
戸惑いながらもゆっくりと下衣を脱いでいく。
その様子を満足そうに眺め、佐野は眼前に曝された瑞稀の双丘に手を伸ばした。
先端を指先で転がし、柔らかな膨らみを揉みしだく。
まだまだ幼さの残る瑞稀の乳房は、佐野の掌に弄ばれ、面白いように形を変えている。
「あっ、やぁっ…」
堪らず瑞稀が声を漏らすが、佐野は意に介さない様子で、更に激しく先端を攻めたてる。
「あぁっ…ん…、さ、のぉ…やめ…」
「ダメ。…ほら、早く下着も脱いで」
気を失うくらいの恥ずかしさに耐え下衣を脱いでいった瑞稀だったが、最後の砦である下着だけは外すことができずにいた。
「で、でもっ…んっ…恥ずかしぃ…」
「何度も全部見せてるのに?」
「だってそれは…あ、さ、佐野が勝手にっ…あっ、あぁ…んっ」
一際大きく喘いで、瑞稀は仰け反った。そのまま仰向けに倒れそうになるのを、佐野が優しく抱きとめる。
「…仕方ないな」
軽い絶頂の余韻に浸り動けずにいる瑞稀を横たわらせ、佐野は手早く最後の砦を剥ぎ取った。
そしてもどかしげに自らの服も脱ぎ捨てると、覆い被さるようにして瑞稀と抱き合う。
「意地悪してごめんな。瑞稀があんまり可愛いから、虐めたくなったんだ」
「…もう、知らない」
頬を膨らませて抗議する姿が愛おしくて、佐野は思わず瑞稀に口づけた。
477佐野×瑞稀 (5/8):2007/09/13(木) 01:39:34 ID:3+2bqGVX
何度も、何度も唇を重ねる。
深く、浅く。瑞稀の小さな口腔を、佐野の舌先が犯してゆく。
佐野は瑞稀の唇を堪能しつつ、その左手を瑞稀のつややかな髪に絡ませた。
そして同時に右の指先では、外気に曝された瑞稀の秘裂を執拗に責め立てる。
既に充分に潤っているそこは、佐野の指を難なく咥え込んで離さない。
そればかりか、もっと欲しい、とねだるようにひくひくと蠢いている。
瑞稀自身も無意識に腰を揺らし、より強い刺激を求め、佐野が与える快感に身を委ねていた。
存分に瑞稀の唇を楽しんだ佐野は、その唇を徐々に下へと移動させていく。
首筋に、胸元に、腰に。瑞稀の身体の至る所に、口づけが落とされる。
「あ、あっ…う、ん…あぁっ」
水音が大きくなり、瑞稀の秘所から透明な蜜が溢れ出す。
シーツに零れたそれは染みとなって広がり、酷く卑猥な光景を作り出した。
「瑞稀のココ…すっげー濡れてる…」
秘裂を犯す指は徐々に増やされ、既に3本も咥え込んでいるというのに、瑞稀のそこは「まだ足りない」と言わんばかりに佐野のしなやかな指を締め付ける。
ねだられるままに親指の先で花芯を擦り上げてやると、瑞稀は堪らず悲鳴をあげた。
大きな瞳を潤ませ、頬を紅潮させた瑞稀の艶めかしい表情に、佐野の劣情は更に刺激される。
「さ、佐野…私、もう…」
「ああ、俺ももう我慢できねぇ…」
しとどに濡れた指を引き抜いたそこに、今度は己の先端をあてがうと、佐野は一気に腰を沈めた。
478佐野×瑞稀 (6/8):2007/09/13(木) 01:40:44 ID:3+2bqGVX
幾度か佐野を受け入れている瑞稀の膣内は、屹立した佐野自身を苦もなく飲み込み、やわやわと包み込んでくる。
それだけで達してしまいそうになるのを必死に堪え、佐野はゆっくりと腰を揺らし始めた。
「あっ、あんっ、…はぁっ…」
佐野の動きに、瑞稀は嬌声を上げて応える。
佐野は緩急をつけながら更に奥を突き上げていくが、徐々にその動きが早くなっていく。
瑞稀もまた一際高い声で喘ぎ、絶頂が近いことを示していた。
「佐野っ、さのっ…」
「すっげ、瑞稀の中、めちゃめちゃ気持ちいぃっ…」
押し寄せてくる快感に、最早抗うことはできない。本能の命じるままに互いを求め合う。
「みず、き…っ、名前呼んで。俺の名前っ…」
「あっ、やっ…なま、え…?」
激しい快感が渦になって、ふたりを飲み込んでいく。
「い、泉っ…。や、あ、あぁっっ」
「はぁ、あ、瑞稀っ…」
佐野の先端が瑞稀の最奥を貫いたその刹那、がくがくと身体を震わせて瑞稀が気を遣った。
そして同時に佐野もまた、自身を内壁にきつく締め上げられ、
そのまま瑞稀の中へ熱いものを吐き出した。
479佐野×瑞稀 (7/8):2007/09/13(木) 01:41:50 ID:3+2bqGVX
激しい脱力感と同時に幸福感に心を満たされ、暫し快感の余韻に浸る。
繋がったまま浅い口づけを幾度となく交わして見つめ合うと、自然に笑みが零れた。
存分に情事の余韻を楽しんでから、佐野はゆっくりと自身を引き抜き、
後始末をするために上体を起こした。
その様子を見て、何を思ったか瑞稀も身体を起こす。
「瑞稀、どうした?」
「佐野…、その、私がキレイにしてあげる…」
そう言うと瑞稀は佐野の前に跪き、先程まで自分を責め立てていた佐野のそれを、
そっと掴むと、おそるおそる口づけた。
「みっ、瑞稀っ!?」
瑞稀の突然の大胆な行動に、佐野は一瞬戸惑ったが、すぐに意識は快感に支配されてしまった。
瑞稀の小さな舌が、唇が、己のモノに必死に奉仕している。
自身に与えられる快感もさることながら、その扇情的な光景に佐野の劣情は刺激され、
欲望が再び鎌首をもたげてくる。
だがそれと同時に、ひとつの疑問が佐野の脳裏によぎった。
480佐野×瑞稀 (8/8):2007/09/13(木) 01:42:59 ID:3+2bqGVX
「瑞稀…こんなこと、どこで覚えた?」
至極尤もなその問いに、瑞稀は怯えたような目で佐野を見上げながら答えた。
「…本で…中津に借りた本で読んだんだ。
男の人はえっちした後、その…ここを舐めてキレイにしてあげると嬉しいんだよね?」
瑞稀の答えに喜びと安堵を感じつつ、
佐野は嬉しいような哀しいような、複雑な気持ちになった。
『中津…。感謝していいものか…』
眉間に皺を寄せる佐野を見て、瑞稀は不安げに問いかける。
「佐野、こんなことしちゃ嫌だった…?」
「いや、凄く嬉しい。ただ…折角綺麗にしてもらったけど、これじゃまた汚しちまうな」
「え?…わあぁっ」
再び押し倒された瑞稀が見たのは、
…アルコールも入っていないのにエロ魔神と化した佐野の姿だった。



翌日の教室には、明らかに寝不足と分かる程目が据わったうえ、
何故か腰をさすっては溜息をつく瑞稀と、
これまた寝不足のようだが何故かやたらと上機嫌な佐野の姿があったという。
481472:2007/09/13(木) 01:46:15 ID:3+2bqGVX
以上です。
長い上に今ひとつ盛り上がりに欠けてます。もっと文才が欲しい…。
しかもところどころ改行しくじって、
読みにくくなっちゃいました…。
本当にスレ汚し&お目汚しで申し訳ありません。
482名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 07:54:56 ID:VmC6sIfy
>>472
SS投下はあまり経験ないのかな?

でも内容は超GJ!!!!
朝ごはん代わりに美味しくいただきました。

佐野が羨ましすぐる…!

文才ないとかそんなことないんで、また気が向いたら是非投下してください。
全裸に鼻眼鏡で土下座して待ってます。

ついでにage。
483名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 11:27:58 ID:LKstWIcb
GJ!
484名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 15:56:36 ID:hW2FXjFh
>>472
いいよいいよGJだよ!
これからもどんどん投下してね
慣れるともっと自信つくと思うよ
485名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 18:45:36 ID:ujkKYdWT
>>472
GJ!!良かったよ〜
ぜひまた投下してくださいな。
486@:2007/09/13(木) 19:28:15 ID:EwuTuZKO
>>472
GJ!GJ!
487名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:35:19 ID:QRsRpxY6
>>472
GJ!ごちそうさまでした

佐野と瑞稀がHに行くまでは時間かかりそうな感じがするんだなあ。
お預け状態の佐野見たい。
488名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 22:52:49 ID:phOo9fmv
>>472
何が良いって、佐野と端稀の相思相愛っぷりがGJでした!
愛あるエロは読み手を幸福にしますね。また何か書けたらぜひ投下しに来てくれベイベー!


…さて、今夜は裸族はお出かけ中かな?w
自分は今夜も裸でビリーしながら職人さんを待ってるぜ
489名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 04:08:15 ID:FTTFbIcB
>>379-385>>397-404さんのお話の佐野×瑞稀 盗撮バージョン
>>437-442続き投下します。

思っていた以上に長くなってしまったので、
後半部分を2つにぶった切って、中編ということでご容赦願います。
490佐野×瑞稀 盗撮Ver. 442続き 1/6:2007/09/14(金) 04:09:28 ID:FTTFbIcB


『んっ…!』
佐野が瑞稀のTシャツの裾から手を潜り込ませる。
布地に遮られて直接は見えないが、
胸を揉みしだき、先端を弄んでいるであろうことは想像に難くない。
『ひあっ』
『や、さ、佐野…っ』
瑞稀の紅唇から色づいた声が上がり、画面を見ていたほぼ全員がごくりと唾を呑み込んだ。
「芦屋…声、エロい…」」
複数の声が溜息とともに洩れる。股間を押さえ始める者さえ出現した。
そこへ再び中津が起き上がってくるが、意識を回復した途端、
耳に飛び込んできた瑞稀の艶声に、中津の頭は瞬間沸騰した。
三度(みたび)ぶっ倒れそうになったところを萱島が支え起こして、
中津の眼前に手をかざした。
「中津、これは全部夢だから」
いくら何でも、中津にとってこれは刺激が強すぎる。
この場で起きたこと全てを夢だと思い込むよう、萱島は中津に暗示をかけたのだ。
「そっか、夢か」
……こういう時、この友人の単細胞な性質はありがたい。
それにしても、難波先輩にはつくづく困ったものだ。
「遅れてきた七夕伝説」の時といい、毎回のごとく厄介事を持ち込んでくれる。
萱島は疲れたように肩を脱力させて難波の方を見やると、
難波が彼に向かって「わりぃ、サンキュな」と言うように無言で片手を挙げていた。
中津のアフターフォローに萱島の力を頼るのは、初めから難波の想定内であったのだ。
そしてそれは中津に対してのみではなく、この場にいる全員に対しても同様であった。
難波は依然として瑞稀の秘密を外部に漏らす気はなく、
この場で見聞きしたことは、あくまで「真夏の夜の夢」で済ませるつもりであった。
それでも、もしかすると暗示のかかりの悪い者もいるだろうから、
万が一のことを考えて、件の「退学届」で二重に保険をかけた次第である。
491佐野×瑞稀 盗撮Ver. 442続き 2/6:2007/09/14(金) 04:10:10 ID:FTTFbIcB


そうこうするうちにも事は進み、いよいよ瑞稀の裸体のご開帳の運びとなった。
『芦屋、腕上げて』
佐野の静かな声に、一同はいよいよ来るべき時が来たと、握り拳を作って身構えた。
鼻息が自然、荒くなる。
佐野がするりとTシャツを脱がせ、白い上半身が顕わになった瞬間、「おおっ!」と歓声が上がった。
「胸だっ!」
「胸〜っ!!」
「ドキがムネムネっ!!」
皆、発する言葉はマトモな文章の形態をなしていない。
「わーっ、中津――っ!!」
叫び声に難波が振り返ると、中津が盛大に鼻血を噴出させていた。
「み…み……みじゅ…きの…む、ね…………」
画面の中で、瑞稀の可愛らしい膨らみがぷるんと揺れたのが、どうやら最後の引き金となったらしい。
「…ったく、なっさけねーなぁ。このチェリーボーイどもが」
オマエらどんだけ胸に飢えてんだ。難波が呆れ顔で後輩達を論評するが、
彼自身、ここしばらく女日照りの日々が続いていることから、
自然、下半身が反応してしまうのは否めなかった。
後輩達の手前、そしてプレイボーイの体面上、必死に表面を取り繕ってはいたが。
それにしても。
「芦屋のヤツ、案外、なかなか、いや、思っていたよりも……」
難波がよくわからない表現で瑞稀の胸の膨らみ具合の感想を洩らしていると、
それに呼応したわけでもないだろうが、画面の佐野の方も、
『む、胸』
『胸?』
『…想像してたよりは意外にあるな、って思って。
…いやその、押さえ付けて誤魔化してたからもっと…』
ガクガクッと一同ずっこける。
気持ちはわかる。わかるが、この状況で言うことがそれかいっ!? 
ってゆーか、他にもっと言うことがあるだろう!?
つーか、思ってても、それだけは言っちゃなんねーだろ!
「彼女ナシ歴=年齢」のメンツですら、その程度の判断はつくというのに……。
「佐野ってどっかズレてんなー…」
関目がぼそっと呟き、その呟きにその場にいた全員が深く頷いた。
(おまえに言われたくないと、佐野などは思うだろうが)
492佐野×瑞稀 盗撮Ver. 442続き 3/6:2007/09/14(金) 04:10:42 ID:FTTFbIcB
案の定、その感想は姫君の不興を買ったらしく、
『ちょ、ちょっと!! 想像してたよりって何だよ!』
『あ、それはその…』
『佐野、もしかしてあたしが女って気づいてから、ずっとそんなこと思ってたの? エッチ!』
いつしか205号室の空気は不穏なものへと変わっていた。
このまま事態が推移すれば、第2寮生にとっても本来の目的は達せられない。
退学届を賭けてまでこの場に集ったのは、別に2人の痴話ゲンカを覗き見するためではないのだ。
行け行け、GOGO! 佐野、GOGO! 何とか状況を立て直すんだ!
……いつしか(約1名を除いて)佐野応援モードになっている一同であった。
『好きな女が同じ部屋で毎日寝てたんだぞ、想像するくらいしょーがねえだろ』
「お、開き直った」
「まあ、そりゃ想像するわな。しょーがねえな。佐野に罪はねえ」
「ってか、想像するだけで済むか?」
「ぜってぇー、済まねえ!」
「だよな」
「ってことは、佐野も……」
「くぉおお〜っ! 佐野のヤツ、許さねーっ! オレの瑞稀に不逞な想像をしやがって!」
怒りの雄叫びを上げたのは、無論中津である。
鼻血を垂らしながら、「燃える若獅子」が本当に燃えている。
(だから、おまえのじゃねーだろ、という突っ込みは……以下略)
「いやだから、これ、夢だから」
「夢でも何でも、許さねー!」
己が言ったはずの「素直に負けを認めて」やら「佐野に譲る」やらの台詞は、既に大気圏外である。
「うるせーよ」
後頭部を難波に叩かれて撃沈し、ようやく静かになった中津であった……。
493佐野×瑞稀 盗撮Ver. 442続き 4/6:2007/09/14(金) 04:11:26 ID:FTTFbIcB


瑞稀に口づけていた佐野の唇が顎、首筋、胸元…と白い肌を滑って、膨らみの頂きに辿り着く。
『あっ…!』
瑞稀の唇から、抑えようとしても抑えきれない声が漏れる。
「オレも吸い付きてぇ〜!」
AVに比べれば、遙かに控え目でぎこちなく、焦れったい佐野の責めや瑞稀の反応が、
逆に初々しく新鮮に感じられ、妙にエロく見える。
それに対して、市販のAVはいかにも作り物めいていて、却って興を殺ぐかもしれない。
画面の中の2人は、演技などではなく、素のままで身体を絡めている。
しかもそれがよく見知った友人達であるというのが、やたら生々しくリアルで、一層そそられた。
ぼたっ、ぼたぼたっ。
瑞稀の甘い声を耳にして、中津の足元の床にできた血溜りに、更に数滴が加わった。

「佐野っ、行けっ!」
とうとう佐野が瑞稀のハーフパンツに手をかけたのだ。
そのまま一気に下着も脱がせると、「おおっ!!」と本日2度目の感嘆の声が上がった。
芦屋瑞稀が、生まれたままの姿を第2寮生に晒していた。
一同、目を爛々と輝かせて、興奮状態で画面にかぶりつく。
しかし、一番大事な部分は佐野の身体に遮られて見えない。
「おいっ、佐野、どきやがれ! 芦屋の肝心なとこが見えねーだろうがよ!」
本来の趣旨を忘れて不満を鳴らすのは、この場をお膳立てした当の演出家自身であった。

瑞稀の股間にある佐野の手が動くたびに、瑞稀が喘ぎながら身を捩らせる。
『っや…っ』
『すげ…、めちゃめちゃ濡れてる…』
「やっべ、芦屋、エロすぎ」
「恥ずかしそうにしてる顔がメチャメチャ可愛いし、えろいし、くっそ、佐野のヤツ羨ましーぜ」
「もー、オレ、耐えらんねー!!」
誰かが萱島に断ってトイレに駆け込もうとすると、既に2人ほどが並んでいた。
「っつーか、めちゃめちゃ濡れてる、ってどんなんよ?」
「佐野、ずりぃ〜! オレにも見せろー!」
「ってか、オレも芦屋を責めてみてぇ…」
「……すごい。部屋の中がショッキングピンクと紫のマーブル模様のオーラだ…」
嫉妬と羨望と煩悩が複雑に入り乱れた203号室の空気を、萱島がそう表現した。
494佐野×瑞稀 盗撮Ver. 442続き 5/5:2007/09/14(金) 04:14:01 ID:FTTFbIcB


佐野の長い指が瑞稀の秘芯を蠢く度に、
瑞稀の白い裸体が操られているかのようにうねりをあげる。
無論細部まではわからないが、そこはそれ、
日頃鑑賞しているAVと、イメージトレーニングによって鍛えられた想像力で補う。
佐野の責めはなかなかに執拗で、日頃女に興味なさそうな、クールな素振りをしているが、
実はめちゃめちゃムッツリなんじゃないのか? という認識を一同は共にした。
『はぁ、あんっ!』
瑞稀が一際高い声を上げ、がくがくっと痙攣したかと思うと、一気に脱力した。
「イったな?」
「イったな」
「やるな、佐野…」
「オマエら、甘えよ。あんなのまだまだお子様ラベルだ」
「レベルでしょ」
「ってことは、難波先輩はもっとすごいテクを…?」
「当たり前だろ」
実は「結構やるじゃねーか、佐野」と密かに感心していたことは、口が裂けても言えない。
『んっ、さ、の…ぉ』
身も心もすっかり蕩けきった瑞稀は、腰を艶めかしく揺らしながら、佐野の愛撫に応えている。
少し童顔で小柄の、いつも元気な可愛い少年としか思わなかった同級生の痴態に、
寮生達の興奮もMAX値に達した。
『も、我慢できね…』
「オレも」
「オレも」
「オレも」
「おりも」
「正夫」
「わ・た・し・も」
佐野の思わず洩らした本音に、寮生達も唱和した。

「おいー、中津ー。生きてるかー?」
「はらほろひれはれぇ…」
難波が中津の顔面で手を振るが、中津の口からは意味不明の呟きが洩れるばかりであった。
佐野の手によって瑞稀の肢体がくねり、艶めかしい喘ぎ声を上げる度に、
中津の鼻は鮮血の噴水口となり、右に左に撃沈し、
今やパンチドランカーのボクサー状態となっていた。
「しかし、こんだけ鼻血出して、よく失血死しないもんっスね。
さすが元から血の気の多いヤツは違うわ」
京橋が半ば感心したように言うと、難波も両手を広げて肩を竦めた。
「なっさけねーな。こんなのまだまだ序の口だぜ。本番はこれからなのによ」
495佐野×瑞稀 盗撮Ver. 442続き 5/5:2007/09/14(金) 04:16:48 ID:FTTFbIcB
とりあえずここまでで中編です。レス数間違えてすみません。

残りは今晩か遅くとも明日の夜には投下できると思います。
496名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 08:23:59 ID:5kEqbRIi
>>490->>494
GJGJGJGJGJ!!!!!!!

京橋も関目も見てたのね。
そこがまたよかったです。
497名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 08:45:16 ID:c+REc7D8
>>495
うはー超GJ!!
文章がすごく面白くてスラスラ読める!!
つか唐突なまさおにワロタw
498名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 08:51:32 ID:wWZERJ2e
>>495
スゲーGJ!
おりもまさお吹いたw世代の壁がありそうだ・・w
499名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 12:10:52 ID:41op+vUp
佐野が入れただけで出ちゃったのバレちゃうぅーッッッ!


見ちゃらめぇぇーッッッ(*´д`*)!!


誰かwktkを止めて下さい(`Д´)
500名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 13:50:55 ID:8t36XxwK
>>495
GJ !! GJ!! GJ!!
みんなのツッコミがたまらなくおかしいよ〜
学生時代に、エロビデオを仲間であにゃあにゃしながら見たことを思い出した。
この後、佐野と瑞稀が二人でいるだけで、皆いろいろ想像して大変なんだろうねw
裸に9cmモダンシューズ、ワルツを踊りながらお待ちしています!
501472:2007/09/14(金) 22:39:00 ID:CuZWHL70
みなさん、読んでくださってありがとうございます。
温かな感想&アドバイス、心に沁みました…(;v;*)
嬉しさのあまり目から汗が…。
もっと精進して、また何か書けたら投下させていただきます。

それにしても他の作家様達の神様ぶりは相変わらず最高ですね。
>>495様の続き、私もwktkして今夜も眠れませんw
何という良スレ!!
私は全裸に赤白帽で体育座りして待つことにします。
502名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 10:06:14 ID:+WrJBXHy
>>495
神認定! 設定も、コミカルな文体もドラマにはまっていてたまらん!
503名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 14:53:31 ID:gOU+VcDr
GJ!!GJ!!
504名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 16:47:08 ID:9tjlov1a
GJだけで無限大捧げたい。
一同の突っ込みも男子高校生の性欲魔人っぷりも全部最高です。
完結編が待ちきれません。つーか本番目撃した中津がどう壊れるやら・・
505名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 16:57:07 ID:Qo6xityU
GJ!GJ!!!幸せです。
更なる幸せ求めて布団の上で全裸でんぐり返ししながら待っています。
506名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 23:47:47 ID:qjsIRVGf
>>495
超絶GJ!!!
素晴らしすぐる!

全裸に黄金マントを扇風機でなびかせて待ってます。
507名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 00:22:00 ID:8dlsHC2l
>>506
風邪引かないようにね
508名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 00:22:52 ID:8dlsHC2l
違った。
全裸になるのはいいことだけど、みんな風邪引かないようにね!
509名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 00:32:14 ID:hSYu8jRq
>>495さん…面白すぎます。どこまで笑わせる気ですかw
>>472さんもGJ!!

495さんの続編が投下されるまでの暇つぶしに
>>361-371の続きで、中津×瑞稀を投下します。
ドラマ版とは違う女バレ&微エロ、10レス使用予定。
ヌルい長編が苦手な方はスルー願います。
510中津×瑞稀 1/10:2007/09/16(日) 00:35:53 ID:hSYu8jRq

中津は、瑞稀に告白してからというもの
瑞稀との距離が遠くなった気がした。

あの日の翌日、瑞稀は中津の顔を覗き込みながら
「俺達、これからもずっとダチでいような!」と明るく言ってくれた。
中津は作り笑いを浮かべ「おう…そうだな。」と答える事しかできなかった。

『…ダチ?ダチじゃイヤなんだ。無理だって…瑞稀。』

中津の心に瑞稀への熱い想いが渦巻く。
無意識に瑞稀の姿を目で追い、視線が合うとドキドキしてしまう。
話すとギクシャクとした態度になり、中津は自分の気持ちを持て余していた。
佐野とは、視線を交わすだけの微妙な関係に陥ってしまった。


中津はその悩みを萱島に打ち明けた。

「…うん、気付いてた。…波乱の幕開けって感じだね…」
「俺、もーどうしていーのか、わかんねーよ。」中津はため息をついた。
「…芦屋の事…諦められないんだ…?」
「諦めらんねー!でも、あいつは佐野の事が好きなんだよな…」

「…どんなに想っても、芦屋は中津には振り向かない。と思うよ…」
「なんで、そんな事わかんだよ?」
「…わかるんだ…芦屋のオーラで…」
「でも佐野は…瑞稀の事、なんとも思ってねーはずだろ?」

「…佐野も、芦屋の事を想ってる…」
中津のために、萱島はあえて事実を告げた。
「…えっ?」信じたくない…という目で中津は萱島を見つめる。

「…二人の間には、誰も割り込めないよ…」
「なんで佐野が…どーしてだよっ」中津は言葉を荒げた。
「…それでもさ、中津には前向きでいて欲しいんだ…」
「1%の望みもねーのかよ…」

「…中津、芦屋の事は諦めた方がいい。僕が相談にのるからさ…」
「なんで…なんで佐野が…」瑞稀に言い寄った自分を
佐野が殴った理由が、やっとわかった気がした。
『やっぱり…佐野も、瑞稀の事が好きなのか?』
511中津×瑞稀 2/10:2007/09/16(日) 00:39:16 ID:hSYu8jRq

数日後の夜、寮の部屋の瑞稀を中津が訪れた。
佐野は陸上の強化合宿に出かけていて留守だった。

「おう…ちょ、ちょっといいか?」
「うん…どうしたの、もうすぐ消灯時間だよ?」

中津は部屋に入ると振り返り、机に軽く腰かけた。
佐野がいない部屋の中で、少し重たい空気が流れる。

「なぁ…瑞稀。
 お前、佐野のためにアメリカから転校してきたって言ったよな?」
「うん…佐野には内緒だけどね。」
「佐野は跳んだよ…お前のためにな。」
「そうだったら嬉しいけど…中津やみんなの支えもあったしさ。」
「瑞稀が、俺らを…佐野を動かしたんだ。」
「そっかな…?」瑞稀は嬉しそうに、はにかんだ。

「佐野の事が…好きなのか?」
「…中津」
「そうなんだろ?」
「……ん…」瑞稀は小さくうなずいた。
「そっか…」
「ごめん…中津。」
「なんで謝んだよ。」
「だって…中津はさ。いつも俺の側で、俺を支えてくれたのに
 俺は…中津の気持ちに応えられない…」瑞稀の瞳にじわじわと涙が溜まる。

ポロッと涙をこぼした瑞稀が、中津を戸惑わせた。
「おいっ…泣くなっ…泣くなって…」
男のはずの瑞稀が、泣きだすと儚げな少女のように見えた。
中津は思わず瑞稀を引き寄せ、その肩をぎゅっと抱きしめる。

「お前がそんなんじゃ、諦めきれなくなるじゃねーかよ…」
「…中津」

瑞稀にまわした腕に力を込めた中津の指先に、柔らかな感触が触れた。
「……っ?」くにゅっとしたその膨らみの上で、中津の手が止まる。
瑞稀が「あっ」と思ったその瞬間、中津の手が瑞稀の胸をぐっと掴んだ。
…それは、まぎれもなく女の胸の膨らみだった。

『……なんだよ…今のっ…?』
中津は驚きのあまり声が出ない。

「…ぃやっ!」瑞稀がとっさに中津の手を振り払って逃れた。
風呂上りの瑞稀は、胸を押さえるベストを付けていなかった。

「……瑞稀、お前…」中津は自分の手と瑞稀を交互に見た。
「………」瑞稀の視線がさまよい、胸の前でTシャツをぎゅっと握り締める。
「まさか…まさかお前…」唇をわなわなと震わせた中津が、呆然と瑞稀を見つめた。

中津は瑞稀を見るたびに感じていた違和感を思い出した。

『そうだ…そっか…
 瑞稀は…おんな… 女 …だったのか!!!』
512中津×瑞稀 3/10:2007/09/16(日) 00:41:15 ID:hSYu8jRq

ふたりの間に沈黙が流れる。
先に口を開いたのは中津だった。

「瑞稀…なんで黙ってた?」
「………」目をそらしたまま、瑞稀は答える事ができない。

「佐野は…?あいつは知ってんのか?」
「…知らない…知らないよ。」瑞稀が小さくつぶやく。

「あいつは…お前が好きだって事も知らねーのか?」
「…知らない、知らせるつもりもないっ」顔を小さく振った。

「なんで言わねーんだよ…言えばいーじゃねーか!
 …なんの問題があんだよっ!」

瑞稀がぐっと中津を見上げた。
「佐野の翼を奪ったのは俺なんだ。
 アメリカで襲われそうになった俺をかばって、佐野は怪我をした…
 俺がその女だって知ったら、佐野が苦しむ…だから知られたくないんだ。」

「佐野のために…なんでお前がそこまで…」

「…だって…どうしようもないだろ!」瑞稀の大きな瞳に涙が溜まる。

―― 好きなんだ…好きなんだ!佐野の事が…!!――

瑞稀は両方の瞳からボロボロと涙をこぼし、床に座り込んだ。
「んっ…うっ…」瑞稀は抱えた自分の膝に顔を伏せ、嗚咽をもらした。

中津は座り込んだ瑞稀の隣に座り、静かにつぶやいた。

「…瑞稀…俺じゃだめか…?」
513中津×瑞稀 4/10:2007/09/16(日) 00:43:50 ID:hSYu8jRq

中津はそっと手を伸ばし、瑞稀の頭をポンポンと撫でる。

「お前が泣く事ねーじゃん。…泣きてーのは俺だよ。」
ふぅっと息をついて、中津は天井を見上げた。

「……中津…」瑞稀が泣き濡れた顔を上げ、中津の横顔を見上げた。

「俺はさぁ、なーんもお前の力になれねーのかな?」
寂しげな表情で、上を見上げたままの中津がつぶやく。

「そんな…中津は、いつだって俺の力になってくれてる…」

「そっかぁ?お前は、いっつも佐野・佐野・佐野ー!ってさ。」

「ホントに中津には感謝してる…中津が一緒じゃなきゃ…俺…」

「んぁ?瑞稀…そんな事言ってっと、襲っちまうぞ〜コラ!」

中津は笑いながら瑞稀の肩にぐいっと手をまわし、瑞稀の顔を覗き込んだ。
「あっ!」とっさに身をを硬くした瑞稀が、バランスを崩し横に倒れた。
床に倒れそうになった瑞稀の頭を、中津が腕でかばう様に倒れ込むと
腕の中で驚いた表情で見上げる瑞稀を、中津が至近距離で見下ろす格好になった。

無言で見つめ合うと、ドクンとお互いの鼓動が鳴った。
瑞稀が頬を少し赤らめ、戸惑いの表情を浮かべながら
「は…離して…中津…」とつぶやき目を伏せた姿に
中津はもう自分を抑える事ができなかった。
514中津×瑞稀 5/10:2007/09/16(日) 00:45:46 ID:hSYu8jRq

「…瑞稀」

中津の顔が瑞稀に近づく。
瑞稀はぎゅっと目を閉じて、握った両手で自分の顔を隠した。
そんな瑞稀の様子を見て、中津は瑞稀の唇に触れかけた顔を
ふっとそらし、瑞稀の白い頬にそっと口付けた。

「好きだ…瑞稀」

目を閉じていた瑞稀の頬に、ポタッと冷たいものが滴った。
瑞稀が目を開くと、それは中津の瞳から落ちた涙だった。


「なんで…泣いてるの?」

「お前が…女だったのかと思うと、嬉しくってよ…
 泣けてきた…悪りぃ…」

「中津…」

瑞稀は中津が見せた初めての涙に驚いた。
時々熱くはなるけれど、いつも明るくて、お調子者な面ばかり
見せてきた中津が、自分の前で泣いている…。

「バカだよなぁー、俺も…
 こーんな長い間、ずっと一緒だったのに気がつかねーなんてよ。」

中津はため息をつき、瑞稀の横に並んでゴロンと床に転がった。

「お前がさぁ…女だったらって、想像ばっかしてた。
 瑞稀が男じゃなかったらなーってさ。」中津はぐすっと鼻をすすった。

「……中津」

中津が瑞稀の手をそっと握り、ふたりは同じ天井を眺め続けた。

中津はふいに起き上がると、瑞稀の手を引いて床から起こした。
床に座って向かいあったまま両手を握り、じっと瑞稀の顔を見つめた。

「俺はさぁ、やっぱ女が好きだったんだよな…。
 瑞稀が女で良かった…ホント良かったよ。」中津の目から涙があふれた。

中津は瑞稀を引き寄せ、正面からしっかりと抱きしめた。

「お前が佐野を好きでもいい。
 俺は、お前が好きだ。
 瑞稀の事が、世界一好きだ…」

耳元で中津の真剣な声が響いた。
515中津×瑞稀 6/10:2007/09/16(日) 00:48:23 ID:hSYu8jRq

中津に抱きしめられたまま、瑞稀は
「ありがと…ありがとな、中津…」そう何度もつぶやくと涙をこぼした。
瑞稀は、なぜかホッとするような安らぎに包まれた。

どちらともなく体が離れ、涙でくしゃくしゃになったお互いの顔を眺める。
瑞稀は、中津の顔に流れる涙を、両手の指で拭った。
「ふふっ…こんなに泣いて…ホントは泣き虫だったんだなぁ…中津」

「お前こそ、こんなに泣いちまって、せっかくの可愛い顔が台無しだぞ…」
中津も瑞稀の頬を伝う涙を両手で拭った。

至近距離で瑞稀と見つめ合い、頬に触れあうと、中津の鼓動がドクッと跳ねた。
『瑞稀が…女…おんな…オンナ……』心臓がドキドキと鳴り出して止まらない…。
中津は急に体の中心が、熱く疼くのを感じた。

「う…ぁっ」微妙に前屈みになった中津に
「えっ…なに…?」と瑞稀が驚いた声を上げた。

「スマン…瑞稀…反応しちまった…」
「ええっ…そんな…困るよ、中津っ!」
「お前が女だと思うと、体が勝手に…」
「ど…どうすんの?」
「やべっ…マジでおさまりそうもない…」
「そんな…」

「…手、貸してくんない…?」
「やだっそんな事、急に言われても…」
「つっ…」中津が床にうずくまった。
「中津…」
「…瑞稀ぃ」中津が切ない表情で見上げた。

「…もう、しょうがないなっ…こっちきて!」
瑞稀が中津の手を引いてバスルームに向かった。

中津は『水でもぶっかけられんのかな…』と思いつつ
手を引かれるままバスルームに入った。
516中津×瑞稀 7/10:2007/09/16(日) 00:51:30 ID:hSYu8jRq

「……脱いで」

「おう!って……ええっ!!」驚く中津に
「いいから…早く」と瑞稀は言い放った。
中津が慌てて自分の服を脱ぎ、瑞稀がその服を濡れない場所に置くと
すっかり臨戦態勢な中津の体に、温かいシャワーをかけた。

「瑞稀…いいのか?」
「……ダメだよ…でも中津がこんな事になってるから…」
裸の中津がシャワーで濡れた姿に、瑞稀は顔を赤らめ、うつむいた。
中津も瑞稀の前で素っ裸な自分に、恥ずかしさでいっぱいになる。

体の前に屈みこんだ瑞稀に、中津の鼓動がドキドキと高鳴る。
「瑞稀…」
「手、貸すだけだからね…」
瑞稀が猛り立った中津の部分にそっと触れた。
「あっ…」
中津の体がビクッと震え、瑞稀にも緊張が走る。
そっと手で撫で上げると、そこがドクッと脈打った。
「こう…?」瑞稀がつぶやいて見上げると
「ん…っ」と中津がうなずいた。

瑞稀の両手が包みこむように動くと、中津がため息をついた。
「はぁっ…瑞稀っ」
瑞稀が自分のそこに触れている信じられない光景に興奮し、
中津の心臓はいまにも爆発しそうだった。

「なぁ…俺も…瑞稀に触れたい」中津がつぶやく。
「えっ」
「頼む…」
「…見ないって…触れるだけって、約束できる?」
「…わかった。」
瑞稀のTシャツの下からそっと手を入れ、中津は目を閉じた。
上へ上へと手を這わすと、柔らかな膨らみに行き着き、指の先に小さな突起が触れる。
手の平で包み込むようになでると『やっぱり瑞稀は女だったんだ…』という実感が
中津の心の中に広がった。『今、オンナである瑞稀に触れている』という事が
中津にとっては、とてもスゴイ事のような気がし、興奮を加速させた。
517中津×瑞稀 8/10:2007/09/16(日) 00:56:51 ID:hSYu8jRq

直に触れた瑞稀のなめらかな肌の感触が、中津を急激に追い立てる。
瑞稀が手をゆっくりと上下させ、中津へ刺激を加え続けると
中津は目を閉じたまま、体を仰け反らせて喘いだ。
「はっ…はぁ…」
中津はバスルームの壁に体を預け、その快感に悶えた。
身じろぎ、呼吸するたびに、濡れて光った中津の体の
サッカーで鍛えたしなやかな筋肉や骨格を際立たせた。

閉じた瞼を震わせ、唇を薄く開いて快感に耐える中津は、
普段とはまるで別人のように、色っぽく見えた。
『こんな中津、初めて見た…』瑞稀はそう思いながら
そんな中津の姿を冷静に観察している自分に驚いた。

『そっか…私、中津を異性として意識してない…のかな?
 だから、こんなにも冷静でいられる…』

そう瑞稀が気がついた時、
瑞稀の体を離れ、壁に這わした中津の手が壁のレバーに触れ
突然、二人の上にシャワーが降り注いだ。
「あっ…!」驚いた瑞稀は片手を顔の前にかざす。

瑞稀が上げた声に、思わず目を開けた中津の瞳に映ったのは
濡れたTシャツからくっきりと透けた、瑞稀の女の体だった。
女らしいふたつの膨らみが、濡れて張り付いたTシャツから
頂までハッキリと浮かび上がり、中津の視覚から脳へと伝わる。

『やべっ…見ちまった、瑞稀の…』

いきなりの視覚からの刺激で、中津は限界が近づくのを感じた。
そこがぐっと硬くなって脈打ち、瑞稀が離しかけていた手を
中津はとっさに自分の手で上から握り締め、擦り上げた。
「瑞稀っ……」と声を上げ、中津が達した。
白い雫がバスルームの壁に飛び散り、流れ落ちた。
518中津×瑞稀 9/10:2007/09/16(日) 00:59:33 ID:hSYu8jRq

「ごめん…中津、こんな事しかしてあげられなくて…」
瑞稀は申し訳なさそうにつぶやき、シャワーに打たれたまま、
浅い息で床に座り込む中津に、バスタオルを差し出した。

「はぁ…俺こそゴメン…瑞稀にこんな事させちまって…」
「ううん…大丈夫、だって中津だしさ。」
「ダチだし…って事?」
「ん…もうちょい上かな。」
「友達以上か…ま、今はそれで我慢すっか…サンキュ、瑞稀。」
「…ほら、早く体拭いて服着ろって!」
「おう…つかお前……誰と…いつこんな事覚えたんだよ?」
「え?!誰って…」
「ま、まさか…お、おま…お前っ」
「あーもう、うるさいよっ中津!」

瑞稀は慌ててバスルームを出ると、ロフトに駆け上がった。
「なんで…中津とこんな事に…?はぁ…」
タオルで頭を拭き、濡れて張り付いたTシャツを引っ張りながら
瑞稀はうつむき、顔を赤くしながら服を着替え始めた。

服を着て、バスルームから照れくさそうな顔をして出てきた中津に
瑞稀はロフトから声をかけた。

「中津…俺が女だって事は、秘密だよ?」
「…ったりめーだろ。俺は瑞稀と一緒にいたい。
 もしバレたらお前、ここにいられなくなるじゃねーかよ。」
「うん…そうだね…」瑞稀は考え込むように黙り込んだ。

「どした…?瑞稀。」
「中津…俺、やっぱアメリカに帰った方がいい…のかな?」
「へ…なんでだよ?」

「中津にも迷惑かけて、佐野にはプレッシャーばっかかけてる。
 …俺、そんなつもりじゃなかったんだ。
 もう一度佐野に跳んでほしくて…ただそれだけだったのに…ホントごめん。」

「瑞稀…俺はお前を迷惑だなんて思った事ねーし、
 佐野だって…きっとお前のために頑張ってんだと思うぞ?」
「………」
「女だったとしても、お前は俺達の大切な仲間なんだよ。
 仲間が一緒にいちゃダメなのか?
 瑞稀は俺らと一緒にいたくねーのかよっ」
「中津…」

「瑞稀のいない生活なんて、俺にはもう耐えらんねぇ…
 お前だってそーだろ?」
「うん、俺も中津や佐野やみんなと一緒にいたいよ…でも」
「でも、じゃねーんだよっ!
 それ以上言ったらなぁ……マジで襲うぞっ」
ロフトの下から、中津がビシっと瑞稀を指差し
その手をあごに当てて、ウインクしてみせた。
「安心しろ、俺が瑞稀を守ってやるからよ!」

そんな中津に、瑞稀はぷっと笑って
「…バカ」と中津に向かって枕を投げつけた。
519中津×瑞稀 10/10:2007/09/16(日) 01:02:37 ID:hSYu8jRq

消灯後の暗い寮の部屋の中。
萱島はロフトの上で空を眺め、手をかざして何かをつぶやいていた。
部屋に戻ってきた中津のオーラの変化に、萱島は驚いた。

「…中津…気がついたんだ…芦屋の事…」

「お前…知ってたのか?」
「…うん。」
「そっか…知ってたんだな…」

「……怒んないの?」
「いーんだ、お前の判断は正しいよ。」
「………」
「あいつと佐野はって、お前言ったよな?」
「…うん、言った。」
「あれ、ホントだった…薄々わかっちゃいたんだけどなー」

「…でも失恋したにしては、ずいぶん晴れ晴れとしたオーラだね…」
「まーな、事がハッキリして、悶々としてきた疑問が晴れたっつーか、
 開放された気分っつーか…俺は女が好きだぁー!って気分?」

「…そっか、良かったね。中津…」
「おう…気ぃつかわせちまって悪かったな…萱島」
「…ううん…中津が幸せなら、それでいい…」

中津はベッドに倒れ込むと、
『…瑞稀のヤツ……微乳かと思いきや…美乳じゃね?』
そんな事を思い出しながら、タオルケットを丸めて抱え、身悶えた。

ビシバシと中津のピンクいオーラを感じた萱島は、
ロフトの上から、少し困ったような表情で中津を見下ろした。

萱島は思った。
中津はいつもそうだ。
誰よりも繊細で、人の顔色ばかり見ているのに
なぜか鈍感で、肝心な事は見えてない。

今度もそうだ。
肝心な事を、中津はまだ知らない…でも知らない方が幸せかな…?

中津が寝静まった暗闇の中で、萱島は空中に向かって手をかざし
「うんうん…そっか…」と小声で見えない何かに話しかけた。


520名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:06:13 ID:hSYu8jRq
以上です。
中津のジョークを真に受けちゃった瑞稀、という感じで
中津は瑞稀が好きすぎて?意外と奥手なイメージがあり
今回はここまでという事で…次回の後編で完結予定です。

>>495さんの続きをお待ちしています。
521名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:09:36 ID:VsFNLV89
GJ! GJ!

すごい私のツボに入った内容でかなり嬉しい!!
今日は寝れない!
522名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:43:29 ID:bLUqRVhc
わたくしも眠る前に…とこちらに参りましたら、なんというGJ!!!!!!!!!!!!!
中津スキーなわたくしにとってはど真ん中ストライクすぎる素敵な作品
もう一度リピって参りますっ!


ナース中津のメガネをつけて全裸で後編うpをお待ちしております
523名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:45:49 ID:VsFNLV89
では佐野派の私はゴスロリノーパンで待ってます(*゚Д`*)ハァハァ
524名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 01:51:31 ID:pQ3iWXQx
中津といい佐野といい人を眠らせてくれないスレだな・・・明日も早いのにorz

ともあれGj!
525名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 02:34:15 ID:rW+ycDG0
>>520さん、GJ! 後編楽しみにしています。

さて、
>>379-385>>397-404さんのお話の佐野×瑞稀 盗撮バージョン 後編
>>437-442及び>>490-494の続き投下します。

大変遅くなってしまってすみませんでした。
投下予告なんて自分の首絞めるような真似はするものじゃないと悟りましたorz
526佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 1/8:2007/09/16(日) 02:35:44 ID:rW+ycDG0


そう、本番はこれからなのである。
『いいか…?』
熱っぽい瞳と声で瑞稀に囁くと、佐野はもどかしげに自分のズボンを下ろした。
ちなみに、佐野の下半身が露わになった瞬間、
瑞稀の時とは多少異なる意味の叫声が上がったのは余談である。
佐野が瑞稀の脚を抱え上げ、自身をそこに当てると、視聴者の面々も握り拳にぐっと力を込めた。
いよいよ、と思った瞬間。
『や、佐野っ…! あ、あれ着けて…っ』
「あ、」
「そういや」
忘れてた…。画面の中で佐野がフリーズしているのがわかる。
つーか、女の子からそんなこと言わせんなよ。
つーか、そもそも佐野は持っているのか?
『…やべぇ』
「持ってねーな…」
ありえねえ! 画面のあちら側とこちら側で、男どもは共通の思いを抱いた。
ここまできて本番ナシかよ。これじゃあヘビの生殺しじゃねーか。
無論、寮生達は佐野のために思っているのではなく、自分達の猥俗な好奇心のためである。
「だーっ、佐野のバカ! 芦屋と同室なら用意しとけよっ。
どうせ我慢しきれるワケねーんだからよ!」
(彼らが佐野に「バカ」と言える機会は、今回ぐらいかもしれない)
「あーっ、もうメンドくせっ、そのままやっちまえっ!」
一人が苛立ちまぎれに叫ぶと、難波がそいつの後頭部をパコンと殴った。
「ダメだ、ダメダメっ! 男と生まれたからには、女性には気を遣ってやるのが使命ってもんだ。
そんな心構えじゃ、イケメン失格だぞ! ほら、オレなんかいつでもこうやって準備してるぜ」
「せっかく準備してても、ここんとこ使う機会はなかったですけどね〜」
ツッコミを入れるのは、無論難波の彼女ナシ歴を詳細に把握している中央である。
「誰のせいだと思ってるんだぁ〜〜!!」
「ボクのせい〜♪」
難波に首を絞められて、何故だか楽しそうな中央であった。
527佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 2/8:2007/09/16(日) 02:36:21 ID:rW+ycDG0

しかし、このままでは事態は一向に進展しそうにない。
「ちょっ、誰か佐野の部屋にゴム差し入れに行けよ」
「誰が行くんだよ!? そんなオソロシイ…」
盗撮していることを佐野に知られたらと思うと、身の毛がよだつ。
「ほら、芦屋! アレだ、アレを使え。この前1個やっただろ?」
相手に聞こえやしないのに、難波は画面に向かって指をさして指示を送る。
そんな難波の声が届いたわけでもないだろうが、
『あ、あの、佐野…、あたしの机に難波先輩から貰ったのが1個入ってるはず…』
瑞稀に遠慮がちに教えられた通りに、
佐野は瑞稀の机の抽斗の奥に転がっていたそれを入手してきた。
『どうしたんだ? これ。難波って…』
『海の家に手伝いに行った時、ナンパが成功した時のためにって持たされたんだ…』
「でかしたっ、先輩!」
「こうなることを見越してたんスか!? さぁすが〜!」
「ナイス遠隔操作〜」
「ハハハハハ、ま、まあな」
嘘である。瑞稀にそんなもの渡したことなんて、
今の今まで無責任にもスッカリ忘れていたのである。だが、そんなことを口外して、
寮長の威厳――そんなものがあったとしての話だが――を損なうことはない。
528佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 3/8:2007/09/16(日) 02:36:47 ID:rW+ycDG0


ようやく全てのお膳立てが整い、佐野が再度瑞稀の中への突入を図る。
『痛っ…!』
『力、抜いて』
「芦屋、処女か?」
「ちくしょー! ますます佐野が羨ましいぜ」
「つーか、佐野はどうなんだ?」
京橋と嵯峨が視線を交錯させる。
これまで一見、落ち着いて事に当たっているように見える佐野であったが、
風呂上がりの瑞稀に対するキョドり方とか、胸に関する失言とか、
ゴムの件での狼狽ぶりなどを見るにつけ、案外……などとも思う。
そう考えると、急に佐野への親しみが増してくる第2寮生一同であった……。

画面の中では、佐野がじわじわと瑞稀の中へ侵入を果たそうと腰を進めている。
辛そうな瑞稀を優しく抱き締めたり、涙を口で拭ってやっている様はなかなかに感動的だ。
そして無事貫通を果たした瞬間、再び第2寮生達の間から拍手が湧き起こった。
「お――っ!!」
つーか、やっぱりコイツら、なんだかんだ言って、いつの間にか応援モードになってねえ…?
難波が目を見開いて辺りを見回した。
寮生達にしてみれば、常に人気No.1を誇り、学園一のモテ男と称される佐野も、
男の一大事を目の前にすると、なかなかおマヌケな姿を晒すんだなあ、と思うと、
何だか親近感が湧いてくるのである。
殊に、さっきのゴムを求めてタオル一丁で室内を徘徊する姿など、
録画してDVDに焼き、ファンの女の子達に配って回りたいくらいである。
「この佐野の姿、ひばり様に見せたらどうなるかな?」
「んなオソロシイこと言うなよ…」
佐野様信者を自負して止まない花屋敷ひばりの狂乱した姿を想像して、
京橋と嵯峨は顔を見合わせて首を竦めた。
障らぬ(疫病)神に祟りなし。危険な考えは遠ざけておいた方がよさそうだ。
529佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 4/8:2007/09/16(日) 02:37:17 ID:rW+ycDG0


……そして今や、203号室の興奮は最高潮のものとなっていた。
熱帯夜の、窓を閉め切った密室。
汗臭い野郎どもが、さして広くもないスペースに密集状態で。
無論、空調なんて気の利いたシロモノは、ない。
酸素は極限まで薄まり、各々から発せられる体温と蒸発した汗による湿気とで、
不快指数は200を超えるだろうか。
それでも彼らはその場から離れようとせず、息を詰めて画面を食い入るように見つめていた。
彼らの視線の先では、佐野が腰を前後させている。
最初は瑞稀の様子を窺いながら、ゆっくりと遠慮がちに。
けれど、次第に抑制が失ったように激しく。
日頃、陸上以外は何事に対しても斜に構えた風情のこのクラスメイトの、
こんな思い詰めたような切羽つまった顔を、誰も知らない。見たことがない。
そしてそれは、彼の下で喘いでいる少女についても同様で。
苦痛に歪む顔がいたいけで、妙にクる。嗜虐心が刺激される。
その顔に快感の微粒子がないまじっていく過程は、なお一層。
「あの」芦屋瑞稀が、脚を大きく開いて高く抱え上げられたイヤラシイ格好で、
イヤラシイ表情で、イヤラシイ音を立てながら男を咥え込んでいる姿なんて、
本来なら大枚はたいたって拝めやしないのだ。
室内では、ハァハァと荒い息づかいの輪唱が奏でられていた。
股間を押さえて、トイレに駆け込もうか、
でもそうしたら一番肝心なところを見逃すんじゃないだろうかと、右往左往する者が約数名。
「マジでやべぇ…」
「抜ける……」
「あれ……本当に佐野と芦屋…だよ、な…?」
下半身の合わさった間からは時折濡れた結合部がバッチリ見え、
中津ならずとも鼻血が噴き出そうだった。
そりゃ「無修正ビデオ」なるシロモノも見たことがないわけではない。
しかしこれは、今、リアルタイムで、
しかも壁を隔てたわずか十数メートル先で、現実に行われているのだ。
そのリアリティと希少性といったら、どんな過激な既製品だって比ではない。
この場にいるほぼ全員が、脳内で佐野に成り代わって瑞稀を責め立てていた。
佐野に知られれば、間違いなく殺されるだろうが。

……普通なら、秘密をエサにして、実際に関係を強要する流れになるのだろうが、
そんな悪辣な発想を思いつくには、彼らは単純バカすぎたようであった。
530佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 5/8:2007/09/16(日) 02:37:48 ID:rW+ycDG0


そして画面は、いよいよクライマックスを迎えようとしていた。
佐野の動きが加速度を増し、瑞稀の声が一段と高くなる。
『あっ、あっ、やっ…だめ…っ!』
『っは、あ、瑞稀っ…』
『佐野っ、…さ、のっ…!』
瑞稀が身体をびくびくと跳ねさせるのとほぼ同時に、
「くっ…!」と佐野が小さく唸って、一瞬その身体を硬直させたかと思うと、
両者ともにぐったりとベッドに沈み込んだ。
それと同時に、張り詰めていた203号室の空気も弛緩した。
「…終わったか?」
「終わったな」
皆ぽかんと呆けた顔を見合わせ、一斉に大きく息を吐き出した。
本当に、長い夏の夜の夢でも見たかのような感覚だ。
行為そのものはヌルかったのに、10本分観たかのような濃密さであった。
半瞬後に、「わ――っ!!」っと、この日一番の盛大な拍手が湧き起こった。
「スゲ〜〜っ! マジでスゴかったー!」
「なんか……濃かった、よな…」
「オレ、マジで明日っから佐野と芦屋の顔見らんねー」
「つーか、オレ…………でちゃった(超小声)」
皆口々に感想をまくし立てている。
中には、「痛み耐えてよく頑張ったっ! 感動した!」などと、
完全に何かはき違えたようなコメントをする者もいたが。
トイレは順番待ちの列を作り、誰が作ったのか整理券まで配られている。
ならば他の部屋に行けばいいじゃないかと、常人であれば思うのだが、
このおバカ達にはそういう頭はないようである。

そして気の毒な約1名の運命はというと。
「瑞稀…。佐野…。2人ともオレを置いて、オトナの世界に旅立ってしまったんだな……。
オレは…、オレは…、オレは寂しいぜ〜、ヨロレイヒ〜〜……」
意味不明な呟きを残しつつ、自らの作った床の血溜りで溺れている。
もうすっかり彼は事実に対して抵抗する気力を失っていた。
唯一の救いは、中津がこれを夢だと信じ込んでいることである。
もっとも、いずれ現実を知るまでの、わずかな執行猶予期間ができただけに過ぎないのだが。
531佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 6/8:2007/09/16(日) 02:38:19 ID:rW+ycDG0


事は終わっても、映像はまだ終わっていなかった。隠しカメラは事後の2人の姿を捉えていた。
視線を合わせ、微笑み合い、抱き合って、キスをする。画面から幸福感が溢れ出してくる。
緩んだ空気の中、脱力しながらぽけっと佐野と瑞稀のイチャイチャぶりを眺めていた面々は、
次第に複雑な心境に駆られてきた。
「…なーんか、らぶらぶじゃね?」
「…つーか、オレ達こんなとこで何してるの?」
「なんかムナしくなってくるよな」
「オレも彼女欲しい〜…」
指をくわえてヨダレを垂らしながら、羨望の眼差しを画面の2人に送っている。
これまで散々ツッコミや茶々を入れてきたが、
何だかんだ言っても、あっちは相思相愛の相手と一線超えまで果たした勝ち組で、
こっちは彼女もなく、男ばかりでそれを覗き見しているだけの負け組なのだ。
まさかこんなところで、世間で騒がれる「格差社会」を思い知らされるとは。
「情けねーこと言ってねーで、だったら頑張って彼女作ればいいじゃねーかよ」
「って、彼女のいない先輩に言われたくないっスけどね」
すっかり僻み根性に捕われている。
「何だとぅっ!?」
「まあまあまあまあ」
ヘタレ返上して仲裁に入った関目の勇気は正しく報われなかった。
「そういや関所、おまえ、エリカちゃんとはどうなんだよ。
もうヤったか!? ヤったのかっ!?」
「や、ややややや、ヤったのかって…そ、そんな……。つーか、関目だよ」
「ヘタレゴマメにデキるわけねーじゃん。
それより嵯峨っ! オマエこそ樹里ちゃんと何かあったのかよっ!?」
「え、えーと…」
嵯峨が視線をあさっての方向に泳がせる。
佐野と瑞稀のらぶらぶっぷりは、思わぬところに波及効果を及ぼしてきたようである。
「えーっ、くそっ! もう信じらんねー! エリカちゃんと樹里ちゃんに、
オマエらがこんなモン見てたってこと、ぜってー言いつけてやる!」
「そ、そんなぁ〜。ボ、僕は見るつもりなんてなかったけど、
難波先輩がエリカちゃんとのために予習しとけって言うから……。
あ〜、でもこんなの見てたって知られたら、エリカちゃんに嫌われるかなぁ…?」
関目がいじいじと床に「の」の字を書いている。だから「ヘタレ」の烙印を押されるのだが。
しかし、考えてみれば、彼女のより先に同級生の全裸を見てしまったのだ。
ラッキーなのかアンラッキーなのか、判断に迷うところである。

だんだん収拾がつかなくなり、カオス化してきた室内の空気に辟易として、
難波は萱島に助力を請うた。
しょうがないなぁ、と思いつつ、このままにもしておけないので、
萱島は一人一人の前で両手をかざして回った……。
532佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 7/8:2007/09/16(日) 02:38:52 ID:rW+ycDG0


「よう、おはよう、中津」
「みっみみみ瑞稀! お、おうっ!」
「あれ、顔赤いよ? 熱でもあんのか?」
と、瑞稀は額をゴツンと中津のそれにくっつけた――途端、中津は勢いよくそれを引っぺがし、
「なななな、何でもねー! ごっそうさん、先行くぜっ!」と、脱兎のごとく勢いで逃げ出した。
「ヘンなの」
首を傾げている瑞稀の腕を取って、傍らにいた佐野は自分の方に向かせた。
「おまえ…、中津にあんなことすんじゃねーよ」
「なんで?」
「なんでって…………おまえなぁ!」
瑞稀は小首を傾げたまま、大きな瞳を丸くして佐野を見上げている。
佐野の言葉の意味を本気でわかっていないようだ。
だからといってこの場で説明するわけにもいかず、
佐野はしばし口を開閉させた後、はぁーっと大きな溜息をついて肩を脱力させた。

そんな佐野に構いもせずに、瑞稀は新たに登場した寮長に挨拶の声をかけた。
「あ、難波先輩、おはようございまーす」
「っお、おう! 芦屋! げ、げ、元気か!?」
「…? 元気、ですけど?」
「そ、それならいい! ハハハハハ…」
と、食堂に来たばかりなのに、またどこかへ消え去ってしまった。
同じく微妙そうな引きつり笑いを浮かべた中央とともに。

「なぁ、何かみんな、朝からおかしくね?」
さすがの瑞稀も気づいたようで、隣に座った佐野に耳打ちすると、
「ああ、確かに」と彼も同意した。
気づけば、中津や難波、中央だけじゃなく、その他の寮生達も、
佐野や瑞稀にチラチラといわくありげな視線を送ってきている。
まさか、瑞稀の秘密がバレたんじゃないだろうかと、佐野は嫌な予感に襲われた。
如何せん、瑞稀が女であるということだけではなく、
更にそれに言い訳不可能な既成事実までが昨夜加わったのだ。
情報セキュリティには一層の留意が必要だった。
……それから数日、佐野は周囲に注意と警戒の視線を配ったが、
第2寮生の一部が挙動不審である以外は、それらしい兆候は見られなかった。
533佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 8/8:2007/09/16(日) 02:40:12 ID:rW+ycDG0


結論から言えば、瑞稀(と佐野)の秘密は守り通された。
萱島の暗示は見事効力を発揮し、皆それぞれ一夜のことは夢だと思い込んだようである。
結局のところ、第2寮生総単細胞だったということなのだろう。
第2寮生のみならず、おそらく桜咲学園生の中で暗示にかからない者は、
当の萱島を除いては、佐野と校医の梅田北斗、
それから部外者であるが原秋葉ぐらいなものかもしれない。

それでも、夢の内容が口の端に上れば、皆同じ夢を見ていることに不審を抱き、
事が露見してしまう可能性はあった。
だが、皆自分がそのような淫夢を見ていたことに羞恥を覚え、
その内容を口外することに躊躇を感じたようである。

「ちょ、ちょちょちょ、ちょー、落ち着け、オレ。アレは夢、夢なんだぞ。
そんな、瑞稀と佐野が……(ごにょごにょ)なんて、そんなことあるワケねー!!」(一人芝居&鼻血付)

「そりゃボクはゲイじゃないけど、なんであんな夢見てんだろうなぁ?
先輩をゲットしろってお告げかなぁ?」

「どうせならエリカちゃんと僕との夢を見せてくれればいいのに、
なんで佐野と芦屋なんだよぉ…?
あー、こんなことエリカちゃんに知られたら嫌われちゃう…」

「はぁーっ、なんであんな夢見てんだろーなぁ、オレ。
欲求不満かよ…。こんなこと恥ずかしくって、誰にも言えねーや…」

「芦屋が女だったなんて、なんてバカな夢見てんだって言われそうだよな。
……それにしても、エロ可愛かったよな、あの芦屋。もう一度拝みてーぜ」

「つーか、何でオレの計画が夢でそっくり再現されてんだよ?
なんかもーお腹いっぱい? ってカンジで、やる気失せちまったぜ」

……難波にしてみれば、自分まで暗示にかかってしまったのは、
想定の範囲外であったに違いない。
自分を酷使してくれた先輩に対する、萱島のささやかな意趣返しである。

そうして今、萱島の目の前のPCには1つのファイルが存在していた。
こっそり野江のPCから移しておいた、佐野と瑞稀が映った例の動画ファイルである。
難波は自分こそがそれを所持しておくつもりだったようだが、
萱島にかけられた暗示のため、すっかりその存在を忘れ去っていた。
本当ならば、佐野と瑞稀のプライバシーに関わるこんな危険なファイルは、
即行削除してしまうべきなのだが、何故かそれができず、
幾重にもパスワードをかけて、ハードディスクに残したままにしてある。
時折、中津が寝静まった後、こっそりそれを見ていたりするらしい。
霊感少年とはいえ、煩悩と無縁なわけではないのだ。

今夜もそれを鑑賞しつつ、萱島は行動と矛盾する台詞を呟いた。
「誰か僕にも暗示かけてくれないなぁ……」


―― 完 ――
534名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 02:40:43 ID:rW+ycDG0
以上です。
アホみたいに長くなってしまってすみません。

最後に、元の作者の>>404さん、元ネタ発案の>>396さん、
それから萱島の能力についての設定をお借りした>>198さん、
勝手にネタや設定をお借りしてしまってすみませんでした。

最後までお付き合い下さった方、どうもありがとうございました。
535名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 03:23:58 ID:hSYu8jRq
>>520=>>198です。
設定借りて頂けて光栄です。

>>534さんにGJ!!×∞を捧げます。
いやー起きていて良かった。面白かったです。
寮生達の会話がリアルで目に浮かぶようでした。
またぜひ投下して下さい。
536名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 07:21:48 ID:pQ3iWXQx
朝っぱらから楽しませて頂きました。しかし萱島は萱島で大変だ。
GJ×∞+神認定でお礼させて頂きます。
537名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 08:44:11 ID:fikpuV0d
なんてGJ!!
ドラマの雰囲気でてる!&エロ!
萱島、ご苦労さん…
538名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 09:13:09 ID:bLUqRVhc
すばらしい!すばらしい!と校長先生がおっしゃっていました!!
ほんとドラマの雰囲気そのままでおもしろすぎました
総単細胞な第二寮にカ・ン・パ・イ♪

作品また作られましたらぜひぜひupして下さいませ
539名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 12:30:45 ID:wBzgfPVz
>>520>>534
GJ!超GJー!!
お二人共イイ!!ありがとう!
映像がリアルに浮かんできたよ。

ところで、いきなりだが佐野×ひばりってどうかな?
ひばりのエアエロとか
なぜか最近気になっている
540名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 12:38:46 ID:nK2c3F0/
いやーエロくて笑えて最高でした!
寮生達みんなバカでいい奴らだ
また書いたらぜひ投下して下さい

ひばりだったら相手は正夫もよくないか?
濃ゆい二人の濃ゆいエロ…
541名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 16:27:31 ID:symSi9sf
404です。最後までめちゃめちゃ楽しませていただきました!!
寮生達のおバカな掛け合いがサイコーです!ホントGJ!
裸でリンボーダンスを踊りだしそうに幸せだ!
542名無しさん@ピンキー:2007/09/16(日) 20:55:03 ID:Oj+iDpdW
GJ!GJ!GJ!!!!!
GJだけじゃ足りないっす!
エロもいいし、寮生たちの掛け合いが最高!
神!!!
543名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 01:29:39 ID:VbZ/l94m
>>520
GJ!! 結構すごいことしてるのに中津と瑞稀がチャーミング! 後半お待ちしてます! 

>>534
GJ!! これまた刺激的で、もうど〜したらいいの〜。思わず皆の様にトイレに駆け込もうかとw

お二人ともありがとうございました。 すごくすごく、楽しかった!
次の作品も全裸にアンクレットでお待ちしております!
544名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 01:31:02 ID:VbZ/l94m
421です。

「佐野泉×芦屋瑞稀×佐野森 嫉妬編」を書こうと思っても、すでに最終回のカウンドダウンが
始まって腑抜けた状態に。もう寂しいやら、切ないやら。最終回のスポットを見ては茫然自失。
そんな訳で、なーぜかオセンチになってこんなの書いちゃいました。

大変美味しいご馳走の後に、こんな青臭いのを読んで皆さん食中毒にならないか心配ですが・・・。
545佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜@:2007/09/17(月) 01:39:38 ID:VbZ/l94m
噴水広場を吹きぬける風が秋の気配を告げている。
いよいよアメリカへ帰る前日。瑞稀は一人桜咲学園に別れを告げていた。

2年C組の教室に入ると、緊張で胸が破裂しそうだった初日を思い出す。
サッカーボールやテニスボールが頭に降ってきたっけ。・・・最後は靴まで。

瑞稀はククッと喉で笑うと、自分の机に手を触れ言った。 「・・・さようなら」
佐野の机にも同じ仕草をして、瑞稀は教室を出て行った。

夏の名残りのバラが咲く哲学の林。
中津と肩を組んで歩いたコンコース。
裏庭のベンチ・・・佐野と二人で座ったあのベンチ・・・。

・・・ さようなら・・・さようなら。 みんな・・・サヨウナラ・・・。

午後の陽光に、学園はどこも金色に輝いていた。

が、瑞稀は首をかしげた。 ――生徒の姿がない。

レイ・ブラットベリの小説に出てくる街の様に、気配を残したまま人の姿が消えていた。

その不思議に首をかしげたまま、瑞稀は食堂に向かった。

やはり誰もいない。静かな食堂は見知らぬ場所の様だ。
食堂の真ん中に立つと、瑞稀はゆっくりと周囲を見渡した。

ドリス式の太い円柱。色ガラスの嵌ったアーチウインドウ。壁のアクセントの白いタイル。
この美しい食堂で行われた沢山の 『愛すべき馬鹿騒ぎ』を、瑞稀は懐かしく思い出した。
タイル張りの床についた特徴のある傷。 原秋葉に集合写真を撮ってもらった時についたものだ。

・・・・・・ 右肩と右足は佐野に触れている。

あの写真をずっと持っていよう。結婚をしても、子供が産まれても。おばあちゃんになっても・・・。


瑞稀は床の傷に触れようと腰をかがめた。その時――。
546佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜A:2007/09/17(月) 01:46:51 ID:VbZ/l94m
「一人で何をしているのですか? 芦屋瑞稀くん」

驚いて立ち上がった瑞稀は目を疑った。

生成りのコットンパンツに同色のサマーセーター。涼やかな服装、涼やかな笑顔の姫島。
日頃の装飾過剰な服装では分からなかった美丈夫ぶりだ。


「・・・姫島先輩」

色ガラスをすり抜けた水色と金色の光が、瑞稀に向かって歩いて来る姫島に淡い迷彩をつけた。


「聞きましたよ。いよいよ明日発つそうですね」
「・・・はい」
「寂しくなりますね。元気な貴方が居なくなると」
「・・・・・・」

「・・・ 今更何を言ったらいいのか・・・・。本当に、本当にありがとうございました!!」

瑞稀は深々と頭を下げた。 その頭にポンと姫島の手が乗った。

「あなたを見ていると、私が好きだった物語を思い出します。いえね、随分と昔の少女漫画」


「・・・ドイツの全寮制の学校に一人の美少年が転校して来ます。無邪気でパワフルで自分勝手。
それでいて人一倍純粋な心を持った彼は、騒動を起こしながらも仲間の中で唯一無二の存在に
なって行きます。“ル・ベベ”そう皆に呼ばれ、皆に愛される・・・あ、フランス語で赤ちゃんって意味です」

「そのル・ベベが恋をします。相手は黒髪のクラス委員長。同じ寮の同じ部屋。禁断の恋」

「・・・恋・・・同じ部屋・・・」

赤くなる瑞稀に意味ありげな視線を投げ、姫島は続けた。

「委員長はある事件が元で心と身体に傷を負っています。誰も信じない。誰も愛さない。自分は誰か
らも愛される資格は無いと。 そんな委員長にル・べべはぶつかっていく。 ある時は相手を傷つけ、
ある時は自分を傷つけ。・・・そして委員長は気がつく。本気で愛されていることを。愛を欲する自分を」


「“人は一人では生きて行けない” それがやっと分かった時、彼らは別の道を行くんです・・・」
547佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜B:2007/09/17(月) 01:50:07 ID:VbZ/l94m
「別の道・・・」

深いため息を一つして、姫島は更に続ける。

「・・・桜咲学園はおかしな学校ですよね。一年中お祭り騒ぎ。一年中文化祭、あるいは体育祭?」

「能天気な学校方針に、能天気な寮生。どうしようもない馬鹿ばっかりですよ(笑)」

「そんな・・・姫島先輩」

「でもね、私はそんな“馬鹿”を愛しておりましてね。・・・それにこの“お祭り”もいつか必ず終わります。
芦屋瑞稀くん。あなたはそのお祭り会場を、少しだけ早く後にする、それだけのことです」


「いつか大人になった時、思い出すでしょうね。老人になった時、輝きに満ちたこのひと夏を夢の様に
懐かしむでしょう。女の子でありながら男子校に乗り込み、私達にいろいろな事を教えてくれた果敢な
女性は今どうしているのだろう?・・・・。繰り返し、繰り返し・・・。 だって、思いは永遠ですから」


「もう一度言いますよ。思いは永遠ですからね」

「・・・・・・姫島先輩!」


瑞稀は姫島に抱きついた。

「あらっ!・・・ 抱きつく相手を間違ってやしませんか?」

姫島の胸に顔をつけ、瑞稀は温かい涙を流していた。


「姫島先輩! 姫島先輩 ・・・ ありがとう、ありがとう・・・」
「・・・私こそありがとう。 この学園に来てくれて。我が友・・・芦屋瑞稀」


ふいに瑞稀は顔をあげ、真面目な顔で言い放った。、

「・・・わたし、“姫島正夫は世界で一番変な人”と思ってたけど、撤回します!」
「ま〜! なんて失礼な子なんでしょう〜(苦笑)」
「・・・あは」
「それと、“正夫”って言うな(笑)」
548佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜C:2007/09/17(月) 01:53:13 ID:VbZ/l94m
佐野が階段を降りて来る。瑞稀は小走りに近寄り、その長身を愛おしげに見上げた。

「・・・佐野?」
「なっ・・・なんだ?」
「佐野、どうしたの? 顔真っ赤だよ?」
「・・・・・・」


すれ違いざまに、姫島がささやいたあの言葉。

―――今晩寮には誰も居ません。誰も近づきません。無茶して芦屋を壊さない様に。


わざとらしい咳をして、佐野は質問を無視した。

「・・・ もしかして、お邪魔だったか?」  
「えっ、何を言ってるの?(笑) 相手は姫島先輩だよ」

佐野はやっと笑った。


「不思議なの。誰もいないの」

「・・・ああ、誰もいない」

「二人だけみたい」

「・・・ああ、二人だけだ」

「・・・二人だけ?」

「俺たち、二人だけだ・・・」


二人は黙って見つめあった。
黄昏が色濃くなる食堂で二人は見つめあい、ただ時間だけが過ぎていった。

―― そして。


佐野の腕がゆっくりと動いた。

「・・・瑞稀」
549佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜D:2007/09/17(月) 01:57:30 ID:VbZ/l94m
「・・・何、佐野?」 

佐野の問いかけにホッとした声で瑞稀が答えた。

「踊ろうか、瑞稀。」

「えっ? 佐野踊れるの!?」

「アメリカのホームステイ先で無理やり・・・ワルツとジャイブを少し」

「・・・嬉しい!」

瑞稀は手を叩いて喜んだ。

・・・佐野が右手をそっと瑞稀の肩甲骨の下に添えると、それに答える様に瑞稀は
左手を佐野の右腕に置いた。緊張した面持ちで瑞稀はカカトを上げる。
佐野の開いた左手に瑞稀の右手が重なり、それはゆっくりと閉じられた。

瑞稀の頬が染まる。

佐野のボディがふっと動くと、瑞稀はごくスムーズに左足を後退させた。
右足を斜め後ろに置くと、左足は自然に揃えることが出来た。

「クローズド・チェンジ!」 思わず瑞稀は歓声をあげた。

「すごい、本当に踊れるんだ!」

瑞稀の喜び様に、佐野は苦笑した。

「覚えているもんだな。あの時はすごい苦労したけど・・・」

クローズド・チェンジ、ナチュラル・ターン、リヴァース・ターン、コーナー・チェンジ・・・。


ある時は瑞稀が、ある時は佐野が悲鳴をあげながら、二人はたどたどしいワルツを楽しんだ。

「瑞稀上手だな・・・」 余裕があるのか無いのか、佐野が真顔で言った。

「舞踏会の練習、頑張ったもの・・・。じゃあ、ナチュラル・スピン・ターンに挑戦!」

「あっ、馬鹿!」
550佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜E:2007/09/17(月) 01:59:52 ID:VbZ/l94m
瑞稀が前進し反転した。佐野がその勢いで回転しかけた時、二人はバランスを崩した。
・・・気がついた時、佐野は瑞稀を、瑞稀は佐野を抱きしめていた。

熱い。触れている部分が火傷をしそうだ。
息かかかるほど間近に二人の顔がある。
互いを見つめる瞳が揺れていた。

長い間心に閉じ込めてきた気持ちが、言葉が、溶けていく。


佐野の顔が瑞稀に近づく。 ―――。 瑞稀は長いまつ毛を伏せた。
瑞稀の唇に佐野の息がかかる。

「好きだ・・・」  言葉と共に、佐野の唇が瑞稀の唇に重なった。

・・・・・・。

「わたしも佐野が好き・・・」 瑞稀の言葉は激しい口づけで遮られた。 何度も、何度も。

「・・・ずっとこうしたかった。 抱きしめて、キスしたかった」

「佐野、佐野、嬉しい・・・」

「ダンスのドレスを着た時、すごく綺麗だって、そう言いたかった・・・だけど、誰とも踊って
ほしくなかった。誰とも中津とも・・・」

「私、佐野と踊りたかった・・・女の子の姿で」

「瑞稀・・・瑞稀・・・」


繰り返される抱擁と口づけ。

学園の森に住む梟がホウと一つだけ鳴いた。

・・・・・・二人は気づくことなく、ただ、互いの吐息の甘さに溺れていた。



おしまい。
551名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 02:01:22 ID:VbZ/l94m
以上です。
ホントは、オスカーが自分の部屋に帰ると、第三寮のメンバーは勿論、第一寮と第ニ寮のメンバー
全員が部屋に居て、うっとうしいーーーー!叫びながらも、天王寺や難波と佐野と瑞稀の恋の成就
を喜びあい、でもって、ひと騒動ってのを書くつもりだったのですが、エッチないし、もういいかとw

ああ、もう明日が最終回ですね。ううう、来週から何を楽しみに生きて行こう〜。
552名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 02:07:29 ID:M4lttzw9
>551
GJでした!まさかオスカーがこんなに活躍するなんてwww!!

是非、佐野x瑞稀x森の続きも読みたいなー。 気になっていたので。
気が向いたら是非投下お願いします!
553佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜Bの2:2007/09/17(月) 02:15:45 ID:VbZ/l94m
「・・・さあ、もう行きなさい。“あっち”はそろそろ限界だと思いますよ」

瑞稀の背中をトンと叩き、気取ったしぐさで、こたなを指差す姿は、いつものオスカー・M・姫島だった。
入り口の階段に困惑した表情の佐野が立っていた。


「じゃあ、私は帰ります〜。第三寮の坊や達が首をながーくして私の帰りを待ってますのでねぇl」

さあ、と姫島が瑞稀をうながした。

「おーっ、ほっほっほっほっ、おーーーーーっ、ほっほっほっほっほ〜」

舞台をはける女優の様に、姫島は優雅に去って行った。


※ すみません! 抜かしちゃった(涙)
「佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜B」 と 「佐野泉×芦屋瑞稀 別れの夜C」に入れて読んで下さい。
554396:2007/09/17(月) 06:06:41 ID:vWBwHns8
>>551
ああ、もうドラマ終わっちまうんだなーっつーすげー切ない気分になったよ。
こんな感じのラストかな? どんな感じの2時間ドラマになるんだろ?
とか思いをはせちまった。GJ!

あと、盗撮ネタも今更ながらGJ!
元ネタ出したのそーいえば自分だったと今気付いた。
ふとした思い付きから書いたカキコがこんな楽しく萌え〜な小説が読めるとは。
ありがとうございます!
555名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 21:17:16 ID:38pbAMla
>>551
素敵すぎます!まさおGJ!!!!!!!!!!!!!!

今まで中津しか眼中になかったけどまさおも愛しちゃいそうだ…

まるで詩のような物語
宝物にしたい
この夏を忘れたくない…

そんな気持ちになりました
本当にありがとう


そして森のお話も全裸に明石ハチマキでいつまでもお待ちしておりますわよ
556名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 22:36:35 ID:vzCRJBzA
自分はこういうソフトな話が好きです。
オスカー素敵すぎ。



盗撮はきついです。
寮生の皆に見られるなんて瑞稀がかわいそう。
全部読めませんでした。
寮生達が酷い奴らにしか見えませんでした。
557名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 23:09:34 ID:tD78hRXo
裸ざかりの職人さまへw
ほんと、皆さまいつもありがとございますGJです!

明日という日を目前に、別れが淋しくもあり、しかし結末が待ち遠しくもある夜ですね
来週からたぶん、ふにゃけて時間を持て余す自分がいると思うのですが…
ここに来ればいつでもエロ素敵な彼らに会えると信じw、これからも全裸で流鏑馬しながら通います
職人の皆さま、これからもぜひ、気持ちの赴くままに頑張ってください!
気長〜にお待ちしております
558名無しさん@ピンキー:2007/09/17(月) 23:47:33 ID:N/9zTmp8
読みたくなきゃ読まなければいい話。
559名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 00:12:00 ID:IDwMgEWC
>>556
嫌ならスルースルー
560名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 00:28:30 ID:ZE0hIgZx
GJ!
「ドイツの全寮制の学校・・・」←もしかして「トーマの心臓」ですか?
姉がコミックス持ってました。
違ったらゴメンナサイ。
561名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 01:21:44 ID:8KRzXNW2
そうです。 「トーマの心臓」です!
私も560サンと同じで、姉がコミックスを持っていました。
全寮制の男子校と言われると、条件反射の様に頭に浮びます。
562名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 01:34:19 ID:kAjboa55
>>551さん……泣かせる気ですか?
しかも、オスカー!!!!!!!
独自の世界観があって、本当に素敵でした。GJ!!
今日で、本当にこのドラマが終わってしまうのかと思うと
寂しくて仕方ありません。

それでは、
>>338-348 >>361-371 >>510-519の続編を投下します。
最後は佐野×瑞稀。これで完結です。
8レス使用予定。
563佐野×瑞稀 完結 1/9:2007/09/18(火) 01:40:26 ID:kAjboa55

佐野は最近、おかしな夢を見るようになった。

瑞稀がもう一人の自分に抱かれている夢。
その姿を、自分は離れた場所から眺めている。
声も出なければ、体も動かない。
ただ黙って、その光景を見つめている。

瑞稀を抱くもう一人の自分は、
自分自身とは思えないほど大胆で饒舌だった。
「愛してる…」と耳元でささやき、瑞稀の体を責め抜いて悶えさせる。
ある時は言葉責めにし、瑞稀が泣き出すまでじらしたりもした。
瑞稀も普段とは別人のように女らしく、淫らだった。
もう一人の自分と体を絡ませ、快感に溺れた表情で、
仰け反りながら、もう一人の自分の体の上で果てる。

「忘れないで…佐野…」とつぶやきながら。

その夢を見て目が覚めると、決まってひどい頭痛がし、
シーツと服が乱れ、Tシャツに汗が滲んでいる。

またあの夢か…意識が戻った佐野はため息をつく。
「…つっ…まずい…」
バスルームに駆け込むと、冷たいシャワーを頭から浴びた。

「はぁ…はぁ… 何なんだ、いったい?」
体の表面を冷たい水が滴り、握った手でタイル張りの壁を叩いた。

原因はわかっている。
風呂場で倒れていた瑞稀の裸を見てから、徐々におかしくなり始めた。
自分の深層心理がこんな夢を見せるのだろうか?

食欲が落ち、体重が減ったせいか、ハイジャンの記録は伸び始めた。
秋の全国大会の選考基準である、標準記録もクリアし
自己ベストが跳べる日も多くなってきた。
でも、このままじゃ身が持たない…。

支度を済ませ、ロフトを見上げたが、瑞稀が目を覚ます気配がない。
ロフトに上がると、瑞稀はお腹を出して大の字で眠っていた。
ふと見ると瑞稀のウエストのまわりに赤い印が見えた。
二の腕の内側にも赤い跡が見える。
ひとつ…ふたつ…
それは今朝の夢で見たもう一人の自分が、瑞稀の体にキスしていた場所だ。

「まさか……」

佐野は慌ててロフトを降り、下から瑞稀に声をかけた。
「おい…芦屋…10分以内に出ないと遅刻だぞ!」
「……ん…ぁ…えっ…マジで?!」眠そうな声で瑞稀が叫んだ。
靴を履きながら「先、行ってんぞ」と言い捨て
瑞稀と顔を合わせずに部屋を出た。

佐野は閉めたドアにもたれかかり、天井を見上げながら
「どう…なってんだよ…」とため息をついた。
564佐野×瑞稀 完結 2/9:2007/09/18(火) 01:42:58 ID:kAjboa55

数日後、陸上部の練習帰りの佐野は
薄暗い寮の廊下で、背後から突然声をかけられた。

「…佐野…」

ハッと振り向くと、青白い顔をした萱島がそこに立っていた。
「なんだ…萱島か…」
「…ちょっと…いい?」
「ああ…なんだよ。」
「…ねぇ…なにか悩み事…ない?」手をかざしながら萱島がつぶやく。
「中津から…なんか聞いたのか?」
「…ううん…そんなオーラがでてる…」
「………」佐野の表情が陰る。

「…辛そうだけど…大丈夫?」
「なぁ、萱島、
 夢で…もう一人の自分が見えるって、どう思う?」
「……もう一人の…自分?」
「そいつが、実在してるような気がするんだ。」
「…たとえば…幽体離脱してるような感じ?」
「ああ…」
「…大丈夫だよ…佐野はそういう憑依体質じゃない。
 むしろ…」
「むしろ…なんだ?」
「…ううん、なんでもない…」
「え…?」

「…ねぇ…佐野。中津の事なら心配ないよ。
 …中津には僕がついてる…だから、大丈夫だよ。」
萱島は目を細め、にっこりと静かに微笑んだ。

「ああ…わかった。」

佐野がいったん部屋のドアに目を向け
「ところで今、何を言いかけたんだ?」と振り返ると
そこにはもう萱島の姿はなかった。

「…ったく、ホントに神出鬼没な奴だな…」
佐野は部屋のドアを開けながらつぶやいた。
565佐野×瑞稀 完結 3/9:2007/09/18(火) 01:46:26 ID:kAjboa55

佐野は強化合宿から戻った後、
中津の瑞稀への態度が変化した事に気がついた。

告白直後のような、ギクシャクとした中津の態度が消えている。
迷わず瑞稀の肩に手をまわし、人目もはばからず教室でも寮内でも
今にも瑞稀と頬をくっつけんばかりに、ベタベタと寄り添っている。
瑞稀はあきれながら「中津…近いってっ!」と押し返していたが、
特に瑞稀が嫌がっている様子もなかった。

そんな二人の姿を見るたびに、なぜか佐野の心に苛立ちが募った。
「萱島の『中津は心配ない』って意味は、開き直ったって事かよ…」


ある日の夜、風呂上りに「あっちぃ〜」とつぶやきながらロフトの柵から
ブラブラと足を出し、タオルで髪を拭いている瑞稀に、佐野が下から話しかけた。

「お前…ずいぶん中津に好かれてんだな。」
「えっ?」瑞稀の髪を拭く手が止まった。
「やたらベタベタしてると、中央みたいに誤解されっぞ。」
「えー!俺が中央っ?!難波先輩じゃなくって?」
「な…中津が中央って柄かよ?」むっとした佐野がつぶやく。
「そりゃ見た目は違うだけどさ…ふふっ」瑞稀はタオルを首にかけた。

「お前、まさか…中津に気ぃ持たして楽しんでんのか?」
「まさか…あいつは大事な友達。それだけだよ…なんで?」
「とにかく…お前ら、もっと人目を気にしろって事だよ。」
「…そっか、そう…かもしんねーな。」瑞稀は目を伏せて黙り込んだ。

「実は……佐野が合宿中にさ…」
ドキッとした佐野が、一瞬間をおいて聞き返す。
「…何があった?」
「中津に泣かれたんだ…佐野は中津が泣いたとこ見た事ある?」
佐野は目を細め、記憶をたぐりよせた。
「……ない…な。」
「だよね…中津はさ、ホントに純粋で、すっごいイイ奴だと思う。
 でもさ、好きではないんだよね。ずっと良い友達でいたいんだ。」
「………」
「大丈夫だよ。心配ないからさ。」
「そうか…」
佐野は少しホッとして、手元のボトルから水を飲んだ。
566佐野×瑞稀 完結 4/9:2007/09/18(火) 01:49:26 ID:kAjboa55

「ところで佐野はさぁ…
 今まで男子から好きって言われた事ないの?」

水を飲み込んだ佐野が、ゲホッとむせて咳きこんだ。
「ゴホッ…はっ?…ねーよ、そんな事…」
「えーホント?女子ばっか?男からもモテそーなのに。
 前に『悪いけど、俺そっちの趣味ねーから』とか言ってたしさ…」
瑞稀はキス魔佐野の餌食になった、男子達の顔を思い浮かべた。

「妙な事、聞くんじゃねーよ…」
「じゃあさぁ…女子からは何回くらい告られた?」
「…んなもん、数えた事ねーし。」
「やっぱ、数え切れないほどあるんだ…」
「…だったら何なんだよ。」
「ん…別にぃー…嬉しかった?」
「別に、嬉しかねーよ。好きでもねー女から告られても…」
「佐野…まさか無愛想に『誰とも付き合う気ねーから…』とか言って
 毎回冷たくあしらってんじゃねーの?」瑞稀は佐野の口調を真似してみせた。

ハッとした表情で佐野がこちらを見た。
「……見たのか?」

「図星かよっ!」瑞稀の口元にひきつり笑いが浮かぶ。
「………」黙ってしまった佐野は
ベッドに寝転がり、横を向いてしまった。

「はぁ…じゃあさ…
 もし、もし好きな子から告られたらどーすんの?」
「……それはない。」
「何で?あるかもしんないじゃん。」
「…ねーよ。」横を向いたまま、佐野が答える。

「わかんないよ?ほら、俺が中津に告られたみたいに
 世の中、何が起こるかわかんないし…さ。」

「………」

ロフトの上から瑞稀が佐野をじっと見つめた。
その視線に気がついて、佐野も瑞稀を見つめ返した。

息が詰まるような沈黙の中、お互い何かを探り合うような視線がぶつかる。
その時、瑞稀の頭の中で、何かがプチッと弾けたような感覚がした。


「佐野の事が、好きだ…」


瑞稀の声がロフトから響いた。


「好きなんだ…」もう一度、瑞稀がつぶやいた。
567佐野×瑞稀 完結 5/9:2007/09/18(火) 01:53:05 ID:kAjboa55

佐野がベッドにひじをつき、上半身を起こした。
驚きの浮かんた表情で、呆然と瑞稀を見上げている。

「苦しくってさ…もう我慢できなかった。ゴメン…」
瑞稀はふふっと寂しげに笑い、わずかに首をかしげた。

「…なんで…謝るんだよ。」

「だって、迷惑だろ?佐野にとってはさ…」
瑞稀はそこまで言って、言葉を詰まらせた。

佐野がベッドから静かに立ち上がり、ロフトの真下に立った。

「お前…本気で言ってんのか?」

佐野は真剣な眼差しで、下から瑞稀を見据えた。

その迫力に押され、瑞稀の頭に「後悔」という二文字が浮かんだ。
佐野を怒らせちゃったのかな…という不安が瑞稀の心をよぎる。

難しい顔をしながら、佐野がロフトの階段を登ってくる…。
『どっ、どうしよう…』ドキッと瑞稀の鼓動が跳ね上がり、
慌てて柵から足を抜いて体の向きをかえると、そこに佐野が立っていた。

「…なぁ…本気か?」

佐野の顔に、困惑の表情が浮かんでいる。

「うん…ゴメン。もう…自分に嘘はつけないよ。」
瑞稀は顔を伏せ、ベッドに座り込んだ自分の膝を握る手に力を込めた。

「そっか…」

その短い返事に続いて、今までにないほど優しい声が聞こえた。

「俺も……瑞稀が好きだ。」

その言葉が、優しく瑞稀の心に染み込んだ。
568佐野×瑞稀 完結 6/9:2007/09/18(火) 01:57:09 ID:kAjboa55

声が届いたのと同時に、突然ぎゅっと抱きしめられた。
驚いて目を開けると、立ったままの佐野から抱きしめられているらしく
暗い視界の中で、Tシャツ越しに温かい佐野の体温を感じた。

佐野が…『瑞稀が好き』って言った…?
…今、『瑞稀』って?『好き』って言ったぁーー?!

酔っていない佐野に、両手で頭をぎゅっと抱きしめられているのは
本当に自分で、これは…本当に現実…――現実――?!

喜んだのも束の間、瑞稀は佐野に女である事を隠しているという
重大な事実に気づいた。

「佐野っ!おれっ…俺……お…」
「男じゃねーんだろ…?」
「……知ってたの?!」
「ああ…」
「いつから?」
「お前の兄貴が来た時。」
「…そんなに前から?」
「言ったらお前…アメリカに帰ってたろ?」
「それじゃあ…」
「お前が、あの時助けた子だって事も気づいた。」
「…知ってて、ずっと?」
「ああ…」佐野が瑞稀の頭上でため息をついた。

瑞稀を抱きしめたまま、佐野が床にひざを着き
瑞稀の高さまで降りてくると、耳元にその声が近づく。
「お前を帰したくなかった。
 一緒に居たかったのは…俺の方だ。」
「佐野…」
「お前を見るたびに思ってた。
 こいつは俺が助けてやらねーとってな…」
抱き合ったまま、顔が見えないせいか、佐野は素直に話し続けた。

瑞稀の脳裏に、アメリカで助けられた時の光景が鮮やかに浮かんだ。
マラソンの時、怪我をした自分を運んでくれた佐野の広い背中。
兄を説得してくれたのも、きっと佐野だ…。

「なんか…佐野の助けになりたくて日本に来たのに、
 佐野に助けられてばっかりだね…」
「そうでもない。
 お前のおかげで、また跳ぶハメになっちまった…」
「と、跳ぶハメって…」
「…お前のせいで、また跳ぼうと思った」
「お前のせいってのも、なんか…微妙…」

佐野が体を離し、むっとした顔で瑞稀を見た。
「じゃあ…何て言やいーんだよ。
 お前のために跳んだ。とか言わしてーのかよ?」
「ん…あの…そうじゃなくってさ…」
「なんだよ…」

「瑞稀って…もう一度、呼んで欲しい…」
569佐野×瑞稀 完結 7/9:2007/09/18(火) 02:00:15 ID:kAjboa55

そう言って頬を赤らめた瑞稀を見て、佐野はようやく
無意識に「瑞稀」と呼んで告白していた事に気がついた。

「…瑞稀…?」

「ん…ありがと…なんか…嬉しい。」
顔を真っ赤にさせて、うつむいた瑞稀の顔を
佐野は大きな両手で包むと、瑞稀にそっと顔を近づけた。

「瑞稀…」
その言葉の響きを、確かめるようにつぶやいた佐野の唇が、瑞稀の唇に触れた。
そのまま頬を寄せた佐野のため息が、瑞稀の耳にふっと触れる。
ドキドキしながら、お互いを抱きしめあった。

瑞稀が佐野の背中に手をまわし、ぎゅっと抱きつくと
その体の感触に、佐野は懐かしいような、不思議な感覚を覚えた。
『なんだ、この感じ…?初めてって感じがしねぇ…』
ふと佐野の頭に、夢で見た瑞稀の姿がチラついた。

瑞稀の唇にもう一度触れてみると、吸い寄せられるようにピタリとフィットする。
まわした腕を緩め、佐野は瑞稀の背中を撫でながらゆっくりとベッドに倒した。
紅潮した瑞稀の顔にかかる短い髪をかきあげ、その姿をじっと眺めると
ほんの一瞬、瑞稀の服が消え、裸の瑞稀が見えたような気がした。

『やっぱり知ってる…この感じ…俺は知ってる。』

既視感…強烈なデジャビュを感じ、目を泳がせながら瑞稀から視線を外した。
そんな佐野を様子を見て、瑞稀が「…どう…したの?」と声をかけた。

「妙な事…言いだした、って思うなよ…?
 俺は…お前と、こうして抱き合った事がある気がする…」

「佐野……思い出したの?」

「……どういう意味だ?」

「………」

「まさか…」

瑞稀は黙ったまま、静かにうなづいた。
570名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 02:04:33 ID:hwIhVLAQ
『芦屋、出すぞ?ちゃんとこぼさず飲めよ?ほら、こっち見ながらって何度言ったらわかるんだ?』
椅子に腰掛けた自分の股間に顔を埋め、必死に奉仕している瑞希に
吉岡は言った。からかうように頭を撫でてやると、瑞希はキッと睨みつけるような視線を送ってくる。しかし、その可愛らしい口は、吉岡のペニスをくわえさせられたままだ。
これで1週間、瑞希は毎日、ここ生徒指導室で吉岡に命じられるまま、恥辱にまみれた奉仕を強要されている。
(あのとき…見られさえしなければ…)
悔しさで瑞希の目には涙があふれてくる。それでもやめるわけにはいかないのだ。
佐野が全国大会に出場するまでは…
椅子に座ったまま瑞希の頭を掴んで前後に無理矢理動かし、吉岡は自分の股間のものをくわえた瑞希の口を犯していく。
制服の前は開けられ、捲り上げられたシャツからは瑞希の白くて丸い胸の膨らみが晒されている。瑞希の唇からは涎がこぼれ落ち、苦しげに吉岡を見上げる。手は吉岡の膝を掴んで体を引き離そうと必死だ。
しかし苦しそうな顔や、屈辱に泣きそうになる様子、それでも佐野への思いから
どんな要求にも健気に応じる瑞希の態度は、吉岡を一層興奮させるだけだ。
『そうかそうか。そんなに嬉しいか。だったら、ほら、たっぷり出してやるから、今日も残さず飲めよ?俺の精液を…うぅっ!』
言うのと同時に瑞希の口の中に熱く、生臭い精液が大量に放出される。
『んぐぅ!!っぅ…んむぅ!!』
吐き出したい、ここから逃げ出したい、そんな思いを瑞希は堪えながら、吉岡の足下にしゃがんだまま、口に出される精液を必死に我慢して受け止める。
淡いピンクの唇は吉岡の精液で卑猥に滑っている。
でもやはり…毎日こうして犯されているのに…飲み込むのは躊躇ってしまう。
唾液と精液にまみれたペニスを引き抜き、手で扱いて瑞希の唇に擦り付け、さらには露出させられた胸へと、なおも射精していきながら吉岡はつぶやく。
『くっぅ…ふぅ…飲まないと…かわいそうだよなぁ、佐野も。お前の起こす騒動のせいで…』
ニヤニヤと笑いながらいうだけで、目の前の美少女はどんな変態行為もしてくれる。そう、また自分を恨めしげに睨むことくらいしか抵抗できないのだ。
『ん…ぅ…ぁ(佐野のため…佐野のためなんだから)ごくっ…ん…の…のんだ』
目をそらして瑞希はつぶやく。吉岡はにやけたまま何も言わない。
屈辱感で涙が止まらない。それでも仕方なく、教えられた台詞を瑞希は言う。
『み…瑞希の…お口に精液…出してもらえて…嬉しいです…』
そして口を開け、吉岡に本当に飲んだことを示すのだ。
571佐野×瑞稀 完結 8/9:2007/09/18(火) 02:05:02 ID:kAjboa55

瑞稀は、酔うと佐野がどういう事になるかを説明した。
酔う前後の記憶がキレイさっぱり無くなっていたので、
何を食べて記憶を無くしていたかも、佐野は今まで気づかなかった。

ベッドに並んで腰かけている、佐野の横顔が青ざめて見えた。
「じゃあ、俺は……お前を?」
「ん…」瑞稀が頬を赤らめてうなづいた。
「なんてこった…」額に手をあて、佐野がうつむいた。
「佐野は悪くない…私がそう望んだの!
 嘘じゃない…初めての時、私から佐野にお酒入りのチョコを…」

“初めて…”という瑞稀の言葉に、佐野は酔った自分自身への理不尽な嫉妬を感じた。

「……やり直そう。」
「えっ?」
「初めてを…やり直そう、瑞稀。」
佐野がぐっと瑞稀を抱き寄せた。

「お前の“初めて”が…見たいんだ…。」

瑞稀の肩の後ろで、佐野の顔に感情を押し殺したような複雑な表情が浮かんだ。

「佐野…」

優しく唇を押し付けられた瑞稀は、そこに佐野の熱い想いを感じた。
酔った時の佐野とは違って、少しぎこちない、とても優しい動きだった。
まるで初めて触れ合うように、ひとつひとつ確かめるような愛撫。
それでも、酔っていない佐野に初めて愛される喜びは、
瑞稀を今まで感じた事のない快感へと突き落とした。

「…瑞稀」
「佐野っ!」

お互いをこれ以上ない程求め合い、何度も体を重ね合った。
瑞稀は、佐野をこれまでのどんな時よりも愛しく感じ、その喜びに震えた。
佐野は、知っているようで知らなかった瑞稀を感じ、満足感に満たされた。

体中が溶けて混ざり合い、崩れ落ちてしまいそうな感覚に身を任せる。
心の底まで愛し合い、身も心もひとつになって光の中に堕ちていく。
572佐野×瑞稀 完結 9/9:2007/09/18(火) 02:07:32 ID:kAjboa55

瑞稀が気がついた時、佐野は瑞稀の髪の毛を指で弄びながら
天窓から見える月をじっと眺めていた。
腕の中で目を覚ました瑞稀に気付き、佐野は優しい瞳を瑞稀に向けた。
自分を見つめる佐野に、瑞稀はハッと驚き、思わず涙ぐんだ。
「…どうした?」
「…ん…だって、佐野が…起きてる。」
「…え?」
「佐野が起きてたの、初めてなんだもん…」
「…いつもは寝てんのかよ…」ため息をつき、佐野は目元を手で覆った。
「うん…」瑞稀が佐野の胸に顔をうずめて泣き始めた。
「ほら、泣くな…」瑞稀の頭をそっと撫で、よしよしとなだめた。

ずっと長い間、殺伐としていた佐野の心に、温かな感情が押し寄せた。
…あの日、お袋が死んでから…俺は一人で生きていこうと決めた。
でも、瑞稀が突然やってきて俺の心を踏み荒らし…溶かしてしまった。
こいつは、どこまで俺の心を占領すれば気が済むんだ…?

「瑞稀…愛してる。」佐野は瑞稀を抱きしめながらささやいた。
「…私も…愛してる…」瑞稀が涙声でつぶやいた。
これまで、酔った佐野には一度も言えなかった、
――愛してる――という言葉が、瑞稀の口から自然と溢れ出た。
佐野と瑞稀は、やっと心からひとつになれた気がした。

泣きながら眠ってしまった瑞稀を、佐野は優しい眼差しで見つめ続けた。
佐野の心から、自分へのつまらない嫉妬心や、言い知れぬ不安感が消え去り
穏やかで、幸せな気持ちに満たされていくのを感じた。
腕の中の瑞稀を抱きしめたまま、天窓の月を見上げ、そっと目を閉じた。


翌朝、あの妙な悪夢から開放され、気分良く目覚めた佐野は
天窓から差す朝日に光る瑞稀の寝顔を見て、静かに微笑んだ。


こいつのために跳ぼう。
瑞稀のために、俺は全国大会で跳んでみせる。
――見ててくれ…瑞稀。


佐野はそっと瑞稀の頬に口づけた。



 〜〜〜完〜〜〜


573名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 02:09:21 ID:kAjboa55

以上です。
長い話を読んで下さった方、ありがとうございました。
いよいよドラマの最終回、本当に楽しみですね。

他の方の新作もお待ちしています。
574名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 02:22:26 ID:DpLvEwCA
>>563
激しくGJ
575名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 03:44:11 ID:hwIhVLAQ
『芦屋、出すぞ?ちゃんとこぼさず飲めよ?ほら、こっち見ながらって何度言ったらわかるんだ?』
椅子に腰掛けた自分の股間に顔を埋め、必死に奉仕している瑞希に
吉岡は言った。からかうように頭を撫でてやると、瑞希はキッと睨みつけるような視線を送ってくる。しかし、その可愛らしい口は、吉岡のペニスをくわえさせられたままだ。
これで1週間、瑞希は毎日、ここ生徒指導室で吉岡に命じられるまま、恥辱にまみれた奉仕を強要されている。
(あのとき…見られさえしなければ…)
悔しさで瑞希の目には涙があふれてくる。それでもやめるわけにはいかないのだ。
佐野が全国大会に出場するまでは…
椅子に座ったまま瑞希の頭を掴んで前後に無理矢理動かし、吉岡は自分の股間のものをくわえた瑞希の口を犯していく。
制服の前は開けられ、捲り上げられたシャツからは瑞希の白くて丸い胸の膨らみが晒されている。瑞希の唇からは涎がこぼれ落ち、苦しげに吉岡を見上げる。手は吉岡の膝を掴んで体を引き離そうと必死だ。
しかし苦しそうな顔や、屈辱に泣きそうになる様子、それでも佐野への思いから
どんな要求にも健気に応じる瑞希の態度は、吉岡を一層興奮させるだけだ。
『そうかそうか。そんなに嬉しいか。だったら、ほら、たっぷり出してやるから、今日も残さず飲めよ?俺の精液を…うぅっ!』
言うのと同時に瑞希の口の中に熱く、生臭い精液が大量に放出される。
『んぐぅ!!っぅ…んむぅ!!』
吐き出したい、ここから逃げ出したい、そんな思いを瑞希は堪えながら、吉岡の足下にしゃがんだまま、口に出される精液を必死に我慢して受け止める。
淡いピンクの唇は吉岡の精液で卑猥に滑っている。
でもやはり…毎日こうして犯されているのに…飲み込むのは躊躇ってしまう。
唾液と精液にまみれたペニスを引き抜き、手で扱いて瑞希の唇に擦り付け、さらには露出させられた胸へと、なおも射精していきながら吉岡はつぶやく。
『くっぅ…ふぅ…飲まないと…かわいそうだよなぁ、佐野も。お前の起こす騒動のせいで…』
ニヤニヤと笑いながらいうだけで、目の前の美少女はどんな変態行為もしてくれる。そう、また自分を恨めしげに睨むことくらいしか抵抗できないのだ。
『ん…ぅ…ぁ(佐野のため…佐野のためなんだから)ごくっ…ん…の…のんだ』
目をそらして瑞希はつぶやく。吉岡はにやけたまま何も言わない。
屈辱感で涙が止まらない。それでも仕方なく、教えられた台詞を瑞希は言う。
『み…瑞希の…お口に精液…出してもらえて…嬉しいです…』
そして口を開け、吉岡に本当に飲んだことを示すのだ。



576名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 06:13:03 ID:iacmxMN0
>>573
読んでるこっちまでなんだか幸せになりましたー
GJGJです!!
577名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 07:31:54 ID:dJQC2V2c
>>563
真剣に読んでしまって目が痛いくらいGJ!

次回も期待しています
578名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 12:41:13 ID:8KRzXNW2
>>573
妙にリアルでドキドキが止まらない! いい! すごくいい! GJ!!
ああ、今日で終わっちゃうんですね。分かっちゃいるけどやはり寂しい。 
「さよならの向こう側」に幸せが待ってることを祈るわ。
579名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 18:20:53 ID:yzX9gTU4
>>573
すごく良かったです!!
最高すぎて感動をうまく言葉にできない自分が悔しい…。

それにしてもこのスレ、神多すぎ。
ドラマは今日で終わっちゃうけど、
このスレのおかげでしばらくは萌えがおさまりそうにないです。
どうしてくれるんだ…。
神様達、本当にありがとう!!
580名無しさん@ピンキー:2007/09/18(火) 21:52:52 ID:A4v8Fu/S
キモッ
581名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 03:18:37 ID:b+r54PMz
>>573, 574, 577, 578, 579
キモい話と自演乙
582名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 08:16:41 ID:12XgWXCP
>>573
GJ!やっと本当の意味で両想いになれたね!


アンカの打ち方も知らん厨房ワロスw
583名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 21:54:50 ID:FwEVM0T8
584名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 22:29:07 ID:jBwDrjtv
あー終わっちゃったなぁ。最後の空港のキスよかった
部屋で握手したときそのまま抱きしめるのかと思ったけどなくて
ちょっと肩透かしくらった感があったけどw
最後の抱きしめてチューでキタ━(゚∀゚)━! って感じだったw
瑞稀と佐野を見てるとニヤニヤしてしまうわw
585名無しさん@ピンキー:2007/09/19(水) 23:26:07 ID:G2QcrzXL
しかしトイレで男子生徒達に絡まれてる瑞稀を見ると今更ながら
あんなカワイイ女の子が男子校に潜入ってつくづく危険な行為だと思ったよ
現実にあったらそのまま輪姦だよな
586名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 00:27:48 ID:YdS1n2z0
そういや輪姦・凌辱ネタは投下されないね。
シチュエーション的にはアリだけど、
やっぱり和姦のが好きだな。

カリフォルニアへの修学旅行で、ホテルの手配ミスがあり、
仕方なく(?)佐野が芦屋邸にホームステイしてイチャイチャ…。
というネタを妄想したのだが、文章にできない。
587名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 00:32:55 ID:QXBpvLxW
>>586
ガンガレ!読みたいっす。
588名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 00:39:02 ID:VQyfM0De
台詞だけでもオケですよー。
589名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 01:09:26 ID:WWmc9OLr
瑞稀が寮の新歓コンパで泥酔し
しかたなく寮長難波が介抱する内に
瑞稀が難波のとある部分(w)をいたずらしだし
結果的に酔っぱらい瑞稀を難波がソフトレイプ

くらいなら読みたい
590名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 01:16:56 ID:X6IcJlSG
まさおとひばりもいいよね
エチーのときひばりはデレっデレになると予想
まさおはベッドの上で一番イケメンになるはずだー!
591名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 03:14:54 ID:+AK1V50T
どの作品も楽しませてもらっています。皆様GJ!

正夫といえば、「オスカー」って>>544さんの作品中で正夫が
好きだって言ってる『トーマの心臓』の登場人物なんですよね。
原作は長いこと読んでないんで忘れちゃったけど、正夫が
「オスカー」を名乗ってるのは、原作の正夫も『トーマ〜』が
好きなのか、もしくは原作者さんが『トーマ〜』好きなのかの
どっちかなのかなぁ。
592名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 03:34:40 ID:7VFE2urx
梅田瑞稀に非常に萌えを感じたのだが
神は現れないだろうか
593佐野×瑞稀 盗撮Ver. 後編 7/8:2007/09/20(木) 06:00:56 ID:utJZQuFt
>>591
原作者曰く、「オスカー賞から来てるのではないか」らしい。

原作で「プロージット!」とかやってたから、
てっきり某ロイエンタール元帥からかと思ったよw
594名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 06:01:42 ID:utJZQuFt
クッキー食い残した……orz
595名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 08:50:24 ID:xdNkkTfV
見なかったことにしてあげるから、一本書きなさいw
596名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 10:52:49 ID:kZ4S2yKh
初めて書かせて頂きます。
最終回の終わり方から、パート2orスペシャルを期待して。
エロにはたどり着けませんでしたが、
ここから久しぶりに会う瑞樹に燃える佐野っていうシチュに持って行きたいんですけど。
もし完成したら読んでいただきたいと思います。
597596:2007/09/20(木) 11:26:27 ID:kZ4S2yKh
「いってきまーす。」
元気よく玄関を飛び出していく瑞樹。
今日は待ちに待った2ーCのみんなに会える日。そして愛しい佐野に会える日だった。
桜咲学園の修学旅行先がカリフォルニアに決まるなんて、夢にも思っていなかったけれど。
もしかして、校長先生のおかげなのかな・・・?
退学届けを出したとき、イマドキ珍しく、話の分かる人だと感じたから。
なにはともあれ、久しぶりにみんなに会える!
それだけで、瑞樹の胸は高鳴り、歩くのももどかしく足は自然と小走りになっていく。
結果、飛行機の到着時間より、かなり早く着いてしまったが、待っている時間さえ、瑞樹にとっては愛おしく感じられた。
「よぉーっ。瑞樹ーっ!」
「中津!みんな!」
「芦屋!久しぶりだな。」
空港で口々に交わされる挨拶とハグ。
3寮長も相変わらずの貫禄で、
「芦屋、元気だったか!」
「久しぶりだな。」
まるで妹(弟?)を見つめるように、優しい眼差しを瑞樹に向けた。
「お久しぶりです。その節はお世話になりました。」
ぺこりと頭を下げる瑞樹。
懐かしい面々に、もみくちゃにされながらも、一番会いたかった人の姿を見つけだそうと、しゃがみこんだり、ジャンプしたりしてみる。
見つけた!
相変わらず、すらりとして均整のとれた背中が、人混みから少し離れて佇んでいる。
あれから数ヶ月しか経っていないのに、ずいぶんと大人びて見えた。
「佐野!」
ようやく会えたその人物は、名前を呼ばれると、ゆっくりと振り返り、
「おぅ。」
相変わらずのポーカーフェイスで、一歩ずつ近づいてくる。
瑞樹の方は再会の喜びがあふれ出して、緩みっぱなしの頬を思わず押さえた。
ドクン、ドクン、うるさすぎる心臓の音だけが、瑞樹の頭の中に響く。
「久しぶりだな。」
涙声で佐野の顔を見上げると、嬉しさで顔を綻ばす瑞樹とは対照的に、佐野は視線を合わしてはくれず、どこか不自然な態度。
全身が喜びでいっぱいの瑞樹からすれば、佐野の反応は物足りなくて。
離れていた距離と時間の重さを改めて感じ、言葉に詰まる。
「なんで・・・?」
ようやく口を開いた佐野が発したのは、その一言だけで。瑞樹には、何のことなのか、理解できない。
「どうしたんだよ、佐野。オレ、何か悪いことしたか?」
久しぶりの再会だというのに、気まずいこの状況を早く何とかしたくて瑞樹が詰め寄ると、
「はぁ〜。」
佐野は大きなため息を1つついてから、
「なんで、オレなんだよ。」
聞き取れないくらいの声ぼそっと呟いた。
それでもその声に怒りの色が含まれているのは、瑞樹にも伝わったから、余計返事に困ってしまう。
何て答えたらいいんだろうか。
もうみんなにはバレてるわけだし、別に女の子の姿で登場しても構わないだろうとも思ったのだが、
2−Cのみんなに会うのに、「女」の瑞樹じゃみんなが話づらいだろうと思い、
迷ったあげく、あえて以前のように、男っぽい服装と言葉遣いでいくことに決めたのだった。
一方、佐野の中では、空港で別れたあの日から、完全に瑞樹は男ではなく、女になっていたわけで。
女の子らしい服装で、女の子として振る舞うホントの瑞樹に早く会いたくて、この日を楽しみにしていた佐野にとって、
空港に現れた瑞樹の姿はあまりにも残酷すぎる。
これから始まる数日間、男として自分の傍にいる瑞樹を想像して、佐野はがっくりとうなだれると同時に、やり場のない怒りみたいなモノが沸々とわいてきたのだ。
598596:2007/09/20(木) 11:33:35 ID:kZ4S2yKh
スミマセン!
前置き長すぎですよね。
でも私としては、佐野が女としての瑞樹を愛したいって拘ってるところが好きなので。
勇気出して続きを投下します。
エロなし許せいない方は、スルーしてください。
 そんな佐野の気持ちに気づかない瑞樹は、愛くるしい黒目の大きな瞳を泳がせて、佐野の機嫌を直す言葉を探していた。
「もう桜咲学園の生徒じゃねぇだろ。」
「・・・そうだけど。」
佐野の言葉から、あの日、空港で別れ際に交わされた会話が蘇ってきて、なんとなく瑞樹にも佐野の不機嫌の理由がわかってきた気がした。
せっかく久しぶり会えたのに、どうしてこんなことになっちゃうんだろう?
瑞樹には、自分がそんなに悪いことをしたようには思えなかったし、
「なんだよ!オレがオレって言うのがそんなに気に入らないのかよ!
みんなに会うの久しぶりだし、上手く話せるか心配だったんだ。
その上オレが、女のカッコで来たりしたら、前みたいに話してくんねぇんじゃねぇかと思ったから、だからっ・・・。」
絶対泣かないつもりだったのに、悔しくて涙がこぼれそうになる。
目の前の佐野の顔がぼやけて見えなくなると同時に、瑞樹の頭が、佐野の大きな掌に引き寄せられて、その胸の中にすっぽりと収まった。
「ごめん。」
瑞樹の頭の上から、ぽつりと佐野が呟く。
「そうだよな。どんなカッコしてても、瑞樹は瑞樹だもんな。」
「佐野・・・。」
瞳を潤ませて見上げてくる瑞樹は、まるで迷子の子供みたいで、佐野は些細な事に拘っていた自分を恥ずかしく思った。
瑞樹は佐野の胸に頭を預けて、会えなかった時間を埋めるように、しばらくじっとそのままでいた。
「佐野の前だと、自然と女の子なっちゃうんだもん。参っちゃうよなぁ。」
ふふっと微笑みながら独り言みたいに言う瑞樹に、佐野の耳は一気に真っ赤になる。
そんな照れた自分を悟られまいと、
「ほら、行くぞ!」
佐野は、突然瑞樹の髪をくしゃっと撫でると、荷物に手を掛ける。
急にいつもの調子に戻ってしまった佐野に、瑞樹は首を傾げながらも、嬉しそうに横に並んだ。
狙ってないから余計に恐ろしい、瑞樹の天然男殺しの才能が、
「こいつ・・・、目ぇ離すと危ないな。」
と、佐野に二人の遠距離恋愛に対して一抹の不安を抱かせた上、この旅行で瑞樹との関係を確かなものにする決意までさせることになるとは、この時は誰も知らず。
「おい、こら、そこの二人〜。いつまでイチャこいてんだっ!!」
からかうように親指立てて中津が怒鳴る。その声に含まれた、嫉妬の感情に気づいたのは萱島ただ一人だった。
「オーラが入り乱れて、葛藤してる。複雑なんだな、中津・・・。」
両手をかざして呟く萱島の声は、遠巻きに二人を見守っていた、クラスメイト達の冷やかしや口笛にかき消されて。
「悪ぃ。」
頬を赤らめて、バツ悪そうにみんなの方へ向かおうと瑞樹は身を翻す。
その手首を、佐野が捕まえたと思ったら、自分の方へグッと引き寄せると、空いている長い腕を瑞樹の首に巻き付けるようにして、後ろから抱き留めた。
「え?」
何が起こったのか、一瞬、瑞樹にも、みんなにもわからなかった。静まりかえる一同。
「悪ぃかよ。」
佐野の声だけが低く、でもはっきりとロビーに響いた。
睨むような迫力ある視線に、周りは本気か冗談かの区別が付かず、凍り付く。
「ちょっ、佐野、離せよ。」
言葉とは裏腹に、縋るような瑞樹の視線に、佐野は渋々その手をゆるめる。
瑞樹は、少し名残惜しそうに身を離すと、
「みんな、今日はオレに任せて!どこでも案内するぜ!!」
その場を取り繕うかのように、明るく大きな声で声を掛ける。
「よっしゃーっ。」
「イェーイ!」
口々に叫ぶみんなの背中を押し、肩を叩き、歩き出す瑞樹。その笑顔に、クラスの雰囲気が一気に和んでいく。
一瞬、瑞樹が申し訳なさそうに、チラリと佐野の方を振り返ったことに、佐野は気づいただろうか。
取り残された佐野を見つめる難波寮長は、この先起こるであろう数々のトラブルを思うと、深いため息をもらさずにはいられなかった。
「これだから、恋愛初心者は扱いに困る。ったく、先が思いやられるぜ。」
「確かに。クールでニヒルな佐野君はどこへやら。今やジェラシー大魔人と化してますからね。」
横でうんうん頷く中津の顔面に、
「お前のせいだろっ!!」
という激しい突っ込み兼パンチがお見舞いされたのは言うまでもない。
そして佐野は、そんな様子を横目で見ながら、邪魔者筆頭であるこの二人を、どうやって消すか、密かに作戦を練っていた。
599596:2007/09/20(木) 11:53:58 ID:kZ4S2yKh
ごめんなさいっっ!!!
「瑞稀」の「稀」が違いますよねっ!!「樹」じゃないです。
もう恥ずかしすぎて、何ておわびしていいやら。
最終回まで欠かさず見て、このスレも大好きなのに、今頃漢字間違いなんて、
エセファンだと言われても仕方ないんですけど。
ホントこのドラマ大好きだったんで、どうかお許し下さいませ。
600名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 11:58:26 ID:4I6IAOrJ
>>598
ストーリーと自分語りは分けて欲しい。読みにくいから。
あと謝りすぎだよw

続きを激しくキボン。
策士佐野を期待してるよ!
601名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 16:28:03 ID:rSkdASO8
>>596
自分も続きキボン
楽しみに待ってます!
602名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 18:26:28 ID:ME37fiJq
>>596
携帯から投下してるのかな?
パソコンから見ると見づらいので適度なところで
改行してくれるとありがたいな。
内容おもしろいので続き期待してます!がんばれー!
603名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 21:04:16 ID:NV0ZTuk8
>>591
>正夫といえば、「オスカー」って>>544さんの作品中で正夫が
>好きだって言ってる『トーマの心臓』の登場人物なんですよね。

そうです。主役の一人、オスカー・ライザーね。
でもって、このオスカーに憧れて問題をおこす下級生役が、正夫くんを演ってる
姜くんの舞台デビューでの役なんだよね。舞台でオスカー、オスカー言っては
ぶったたかれたり、おどしてキスを求めたり、ビデオを見返すと感慨深いものがある。


>>593
>原作者曰く、「オスカー賞から来てるのではないか」らしい。

へー、そうなんだ。自分はてっきり、ヅカのオスカル様から来てるのかと思ってました。
もしそうだったら、オスカーじゃなくてオスカルにするかw
604名無しさん@ピンキー:2007/09/20(木) 22:36:40 ID:+AK1V50T
>>596
続き期待してますー。

>>593
ああ、なるほど、そっちか!

>>603
姜くんの舞台デビューは『トーマ〜』かぁ。
確かに感慨深いですね、いろんな意味で。
605名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:02:00 ID:TNvZWLcE
>>598
ドンマイ! すごく面白いよ。 続き待ってる!

598サンの設定で逆も有りもかと。
久しぶりに逢った瑞稀が“花の如き美少女”に変わっていて、佐野は顔みたとたんに赤面。
中津は行け行けGOGO、俺GOGO!と、「やっぱりあきらめきれない」と再チャレンジ宣言。
更に難波先輩が「俺ともあろうものが、何故気がつかなかったんだ〜」と女瑞稀に一目ぼれ。
中津に加えて難波先輩が参戦しての、瑞稀争奪戦カリフォルニア大会に。
でもって、相変わらず鈍い瑞稀は難波先輩にデートに誘われても、平気でついて行って、
佐野ヤキモチ&アタフタ。中津は瑞稀の危機と違った意味で大暴走。 

>>604
ええ、アンテ・ローエ役です。
初舞台から足掛け8年、生き残ってるなあ、頑張ってるなあ、と思ったりね。
606名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:24:41 ID:1jrSHo+K
>>605

行け行けGOGO、俺GOGO!ワロスwww
中津のひとり芝居思い出した。
争奪戦設定、いいね〜。
607名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:31:47 ID:iLuSIXQv
>>605
何その素敵な妄想ww
難波先輩が瑞稀に惚れるとなると、中央もじっとしてられないだろうなぁ
608名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:43:51 ID:l4xN0HqI
>>605
萌える!萌えるぞぉ〜!
その設定で書いてくれ
609名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:46:36 ID:TNvZWLcE
そうだね、中央がいたね。
難波先輩が瑞稀の部屋に夜這いを決行。 ドアを開けたら、瑞稀と中央が 「いらっしゃーい!」
二人して頭にカーラーまいちゃってパジャマ着て、ベッドで仲良く女子高生みたいにきゃぴきゃぴ。
中央の影の声 『難波先輩の行動なんて、150% お見通し〜』
610名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 00:49:17 ID:1jrSHo+K
>>609
ちょww中央最高
611名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 08:03:50 ID:rtDhcn03
ちょwwwwwそれ激しく読みたい

妄想、妄想…w
612596:2007/09/21(金) 14:21:13 ID:Zb5PQy0l
「くっそ、なんだよ佐野のヤロー!」
空港からホテルへと向かうバスの中。
中津は苛立ちを隠せずに前の座席を蹴り上げた。
『瑞稀はオレのモノ。』とでも言いたげな佐野の、突き刺さるような視線は、
明らかに自分に向けられたモノだと、中津は確信していた。
失恋確定の中津に対する、佐野のあの勝ち誇ったような態度が頭に来て。
純粋に旅行を楽しもうと決心して来たはずの中津に、佐野の牽制は全くの逆効果だった。

『どうしちゃったんだろ、佐野のヤツ。』
隣で窓の外を眺めている佐野の横顔を見つめながら、瑞稀は思わず自分の体をギュッと抱きしめる。
さっきの佐野の逞しい腕を思い出すだけで、体が熱くなる自分を持て余して、どうしようもない。
出かけにママが言った言葉が頭を過ぎる。
「今晩帰って来なくていいからねっ!!」
フツーの母親ならありえないけど、瑞稀の母親は特別理解があった。
『ママがあんな事言うから、余計に意識しちゃうじゃないっ!』
悶々とする瑞稀が横目で佐野を盗み見ると、涼しい顔で景色を愉しんでいる。
『人の気も知らないで、いい気なもんだよな。』

ホントは佐野は佐野で、悶々としていたのだ。
さっきの自分の行動が信じられなくて。
自分で自制できないほど、瑞稀を欲していると自覚してしまって、
迂闊に瑞稀に近づいたら、何をしでかすかわからないから。
それにしても・・・、オレってみんなの前で、あんなこと出来るヤツだったのかと、
『案外度胸あるな・・・。』
なんて、的はずれに感心している佐野だった。


613596:2007/09/21(金) 14:24:42 ID:Zb5PQy0l
「集合!」
ホテルのロビーに響く難波寮長の声。
もうここはさながら、桜咲学園の食堂のようになっている。
「部屋割り発表するから、ちゃんと聞いとけよ!
えーっ、部屋割りは、基本的に寮の部屋割りと同じだ。」
「げぇーっ!?」
「なんで?」
「またコイツと一緒かよ〜。」
ほぼ全員が抗議の声を上げたが、
「その方がトラブルが少ないからな。」
「三寮をシャッフルしたら、オメーら間違いなく揉めるだろーが。」
三寮長に軽く一蹴されてしまう。
だが、それは誰もが疑問に思って当然のことだった。
どうしてカリフォルニアに来てまで、毎日同室で寝起きしてる相手と、一緒にいなければならないのか。
旅行気分も、ぶち壊しである。
そんな皆の激しいブーイングは、難波にとっては想定の範囲内であり。
「お前ら、野暮だな。
そうでも言わないと、芦屋が佐野と一緒に居づらいだろーが!」
声を潜めて耳打ちし、ウィンクすると、
「あ、そうか。」
「なるほどね。」
単純でお人好し揃いのクラスメイト達は、皆うんうんと頷き、
「まだまだ夜は長いんだ。楽しもうぜーっ!」
難波のかけ声に乗せられて、夜の街へと連れ出されていった。
「よろしくな。」
「おう。」
何も知らずに、輪から少し離れたところで、見つめ合う佐野と瑞稀。
しかし、しょせんは恋愛初心者の二人。
百戦錬磨の難波の手に掛かっては、赤子の手を捻るも同然。
超おせっかいな先輩の思惑通りに事態は進む。
瑞稀は自宅に戻るつもりでいたのだが、まだ夕飯前だし、もう少し佐野と一緒にいたいと思っていたから、
難波先輩の粋なはからいが、有り難かったし、
佐野は、二人きりのシチュエーションでもない限り、瑞稀とゆっくり話できないと思っていたから、
やはり、難波先輩に感謝、という感じで、その先にまで考えがおよんでいなかった。
瑞稀がトイレに行った隙に、難波が佐野に声を掛ける。
「佐野!俺達これから、カリフォルニアの夜を楽しんでくっけど、お前どうする?」
返事に詰まる佐野を助けるように、
「ムリしなくていいんだぜ。瑞稀とつもる話もあるだろうし、なぁ?」
「そうだ。別に構わんぞ。」
「お二人でごゆっくり。」
三寮長は、ホテルに残るように勧めているように聞こえる。
「じゃ、じゃぁ、お言葉に甘えて・・・。」
三人の提案に乗ってきた佐野に、難波が一言、
「いいか。テクニックなんかどうでもいい。大事なのは気持ちだからな。」
そう残して、佐野のジーンズのポケットに、何かをねじ込んで去っていった。
きょとんとしている佐野に向かって、振り返り親指を立てる難波。
「ところで、中津の方はどうなってる?」
「我が一寮の精鋭がすでに拉致してある。」
「お気の毒様。」
どこまで用意周到なのか?
こういうときのわけのわからない結束力は、恐ろしい。
取り残されて呆然とする佐野は、わけがわからずポケットを探ってみる。
出てきたのはカラフルなパッケージに包まれたコンドームが一つ。
「難波先輩っ!」
有り難いんだか迷惑なんだか自分でもよくわからないが、あの人なりの好意なんだろうと、受け取っておくことにした。
614596:2007/09/21(金) 14:27:10 ID:Zb5PQy0l
スミマセン。
策士は佐野じゃなく、難波になっちゃって。
場数踏んでそうなんで、自然とそうなりました。
中津は今回可哀想だけど・・・。
次回はようやく結ばれる、かな?
615596:2007/09/21(金) 14:32:14 ID:Zb5PQy0l
「お待たせっ!」
戻ってきた瑞稀に見つからないように、またそれをポケットに収めると、
「んじゃ、行くか。」
「おう。」
そこからの佐野は、自分が何を喋り、何をしているのかわからなくなるほど緊張してしまい。
エレベーターのボタンを押す指さえ震えている気がした。
もちろんそのつもりがなかったわけではないが、こうまでお膳立てされると、逆にプレッシャーを感じてしまう。
それに対して瑞稀は、地元だからなのか、鼻歌なんか歌ったりして、いつもよりリラックスして見えるくらいだ。
佐野は自分一人が意識しているのかと思うと、だんだん腹がたってきて、
上っていくエレベーターから夜景を楽しんでいる瑞稀の額めがけて、一発、でこピンを喰らわせた。
「きゃあっ。いったーい!」
突然の攻撃に額を押さえてしゃがみ込む瑞稀。
その声は、いつもの男言葉の瑞稀ではなく、紛れもなく女の子のもので。
佐野は、前髪の隙間から恨めしそうに佐野を見上げてくる瑞稀の目が、まともに見れない。
エレベーターが目的の階へ到着すると、
「何すんだよ、いきなり。いってぇなぁ。」
と男言葉に戻って、文句を言いながら降りていく瑞稀。
エレベーターのドアが閉まると同時に、続いて降りてきた佐野に抱きすくめられて。
「もう、我慢できない。」
「え?ちょっ、ここ、エレベーターホール・・・。」
「ホントはエレベーターの中でも、ずっと我慢してた。」
「そんなこと言われても・・・。」
「でも、もう限界。」
強引に顔だけ後ろ向かされて、ぎこちないけれど強めのキス。
大きな佐野の体に、すっぽりと包み込まれるようにして、繰り返されるキスは、だんだんと深いモノに変わっていく。
「んっ・・・。」
苦しそうに瑞稀が吐き出す声が、腕にしがみつく細い指先が、ますます佐野を煽って。
朦朧として立っていられなくなった瑞稀を、佐野が後ろから支えて、ようやく部屋へと歩き出す。
『キスだけでこんなになっちゃって、この先どうなっちゃうんだろう?』
二人が互いに同じ想いを抱いているとは知らず、佐野は黙って部屋のドアを開け、瑞稀を中へ促す。
この部屋へ足を踏み入れてしまえば、もう戻れない。
みんなの前だけ男でいることも、難しいかもしれない。
それでも、瑞稀は佐野と一つになりたいと思った。
片方のベッドに並んで座り、しばらく何も言わずに見つめ合うだけの二人。
未知の世界への期待と不安で震える瑞稀を抱きしめる佐野も震えていた。
616名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 18:46:22 ID:gtjv9k9i
>>596
GJ!GJ!
続きの投下お待ちしてます〜
617名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 20:58:42 ID:kjHcbHUb
>>596
イイよーイイよ〜
618名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 21:30:41 ID:MEdRqHDB
>>596
中津の描写最高っ!!!!
佐野も瑞稀もこれから一体どんなあんなことやこんなことを…!!
妄想膨らみすぎて鼻血でちゃうよ〜

では裸で桜スポ読みながら続きを待たせてもらいます
619名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 23:14:11 ID:w4JLMiXy
>>596
続き楽しみ〜
しっかし難波先輩=コンドームのイメージがすっかり定着w
620名無しさん@ピンキー:2007/09/21(金) 23:21:32 ID:mwceuk5g
>>619
原作で既に(女バレした後)佐野にこっそりコンドーム渡して
佐野を脱力させた実績の持ち主ですからw
621596:2007/09/21(金) 23:35:54 ID:JTm8GbCz
「瑞稀・・・。」
「佐野・・・。」
名前を呼び合い、さっきのキスの続きが始まる。
もう十分に刺激を受けている口内は、より敏感に互いの舌を感じて。
「んっ、・・・はぁっ。」
息継ぎをする瑞稀の吐息が、甘いモノへと変わると、
佐野は長い指で瑞稀の髪を梳き、耳たぶから首筋、鎖骨へとその指を滑らせていく。
そんな些細な動きにも、声が漏れそうになる瑞稀は、下唇を噛んで堪えようとしていたが、
「ん、・・・やぁっ・・、」
思わず声が出たのは、佐野が耳の中に舌を入れてかき回してきたから。
その間にも華奢な瑞稀の体を、佐野の大きな掌がはい回る。
もう意識がボンヤリし始めた瑞稀は、佐野が次にどうしようとしているかなんてことにまで、頭が回らなかった。
「瑞稀、かわいい・・・。」
掠れた囁きと共にくちゅくちゅと耳の中で音がして、暖かいモノが蠢いているのがわかる。
Tシャツの中に潜り込んだ佐野の手が、瑞稀の脇腹や背中をやさしく撫でていく。
一応男っぽい服装では来たけれど、中の下着は女性ものを付けてきた瑞稀。
それが佐野は単純に嬉しかったし、よりいっそう瑞稀が愛しいと思えた。
瑞稀もここまで予測していたわけではないが、やっぱり佐野の前では、女の子でありたかったのかもしれない。
かわいらしいピンクのレースのブラが、まくり上げられたTシャツの下から顔を出す。
押さえつけられていないその胸は、きちんとカップに収まっているせいか、佐野の予想よりずっとボリュームがあって。
じっと見ている佐野の視線に耐えきれず、
「佐野っ、・・・そんな見ないで。」
消え入るような声で瑞稀が呟くと、佐野ははっと我に返った。
「悪ぃ。見とれてた。」
ストレートな佐野のコメントに、瑞稀は恥ずかしさで全身の血が沸騰するような気がした。
両手で自分の顔を覆う瑞稀の背中に、ゆっくりと佐野の腕が回され、外されたブラが落ちる。
そのままゆっくりとベッドに倒されていく瑞稀。
柔らかく白い瑞稀の胸に、佐野のキレイな長い指が食い込み、ゆっくりと動き始める。
622名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 00:16:15 ID:82O9Pq/O
>>596
すげーイイんだけど、切れ切れに落とされると
若干読みづらい…
623名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 00:19:37 ID:6qorCF27
切れ切れ投下?
ノンノン、あえての焦らしプレイw
624596:2007/09/22(土) 00:35:31 ID:ktk6uhq2
切れ切れでスミマセン。
エロって慣れてないので、H度が低すぎるかな?とか、
みなさんの反応見て手を加えようかと思ってたので。
でも、もう開き直っちゃうことにして、最後まで一気に行っちゃいますんで、
かなり長いんですけど、よろしくお願いします。
625596:2007/09/22(土) 00:38:26 ID:ktk6uhq2
「はぁっ、あぁっ・・。」
初めて触れられる刺激に、堪えきれず荒い息を吐く瑞稀。
自分の手で瑞稀が感じていると思うだけで、佐野はもう達してしまいそうに興奮していた。
だんだん尖ってくる先端に、指先で触れると、のけぞるように身を反らす。
「や・・・、あっ、ダメぇ。」
首筋に胸元にキスを落としながら、両方の胸の頂をつまんでやると、瑞稀は我慢できずに声をあげた。
シーツを掴んでいた手を口元に当てて、どうにか抑え込もうとするけれど、次々に送られる刺激に着いていけないようだ。
瑞稀の短パンに佐野の手が掛けられると、その先を察した瑞稀は咄嗟にその手を掴んで、
「ダメっ!」
「瑞稀、・・・コワいのか?」
言われてはっとする瑞稀。
掴まれた手をほどいて瑞稀の手をそっと握り尋ねる佐野は、大事なモノを見つめるような優しい眼差しだった。
答えあぐねて顔を逸らす瑞稀に向かって、
「オレは、・・・コワい。」
思いがけない佐野の言葉に、瑞稀が顔を上げると、まっすぐに自分を見つめる佐野と目が合った。
「瑞稀のこと壊しちまいそうで、コワイ・・・。」
見たことのない、男の顔をした佐野見つめられて、瑞稀は自分の奥の方がキュンとなるのを感じた。
1秒でも早く瑞稀と繋がりたい衝動を抑えながら、真剣に話す佐野は色っぽくて、
求められている喜びと期待が、恐怖心を上回った。
「コワくないよ。佐野と二人なら、コワくない・・・。」
瑞稀はそう言って腰を浮かすと、決心したように自分で短パンを一気に引き下げた。
「瑞稀・・・。」
その瑞稀の動作に応えるように、一旦ベッドから降りた佐野はポケットからアレだけを取り出すと、着ているものを全て脱いだ。
瑞稀も胸元に残っていたTシャツを脱ぐと、両手で胸を隠してベッドに身を沈めた。
さっきのブラとおそろいのピンクの下着だけを身につけて横たわる瑞稀は、佐野の想像をはるかに超えたかわいさで、思わず息を飲む。
ベッドが軋んで、佐野の引き締まった体が瑞稀へ覆い被さり、瑞稀はギュッと目を閉じた。
閉じた両腕をそっと開かされ、その間に佐野が顔を埋める。
「きゃっ。」
いきなり胸の頂上を舐められて、驚いた瑞稀が叫んだ。
佐野はそんな瑞稀の反応に手応えを感じて、容赦なく胸を責める。
ひたすら瑞稀を気持ちよくさせようと、先端を口の中に含み、吸ったり転がしたりした。
押し寄せる快感から逃れようとして、頭を振る瑞稀に、
「瑞稀、声、我慢すんな。」
「でも・・・。」
「大丈夫、みんな出てるから。」
それだけ告げて、また佐野は愛撫を再開する。
「あぁっ、あん、あっ、やぁぁっ・・・。」
もう我慢する必要がないと言われてしまって、それでも堪えきれるほど瑞稀は強くなかった。
一度声に出してしまうと、そうしなければどうにかなりそうで、恥ずかしいのに止められない。
全部の神経を胸に集中していると、突然、佐野の指が、瑞稀の中心を下着の上からゆっくりとなぞった。
「はぁっ、ああっ。」
大きく体を跳ねさせて、新しい刺激に瑞稀はおののいた。
『今の、何?』
全身を甘く痺れるような快感が駆け抜け、気づいたら自分でも信じられないような声をあげていた。
下着越しでもなんとなくわかる湿り気に、佐野はそのままそこで中指を縦に往復させ始める。
だんだん大きくなる水音と共に、指の動きは激しくなり、瑞稀の大事な部分の形がはっきり浮き上がる。
佐野にされるがままの瑞稀は、かわいらしい声で身もだえし、腰をくねらせた。
そんな瑞稀の姿を見ているだけで、佐野は自分自身が張り詰めていくのを感じた。
626596:2007/09/22(土) 00:41:10 ID:ktk6uhq2
「脱がすぞ・・・。」
安心させるように声をかけてから、最後の一枚をゆっくり下ろし、引き抜いていく。
電気をつけなくても、瑞稀のそこが夕闇の中で煌めいて、潤っているのが十分にわかった。
佐野ははやる気持ちを抑えて、なるべく優しくと、そっと瑞稀の中に指を沈めていく。
瑞稀のそこはもう溶けてしまいそうに熱くぬめり、佐野の指を奥へ奥へと誘い込む。
「うぅっ。」
眉間にしわを寄せて、うめき声をあげる瑞稀を心配そうに覗き込む佐野。
汗ではりつく前髪をよけ、額にキスを落とすと、瑞稀が余裕のない笑顔をこちらに向けた。
痛くないように慎重に指を進めながら、親指でそっと花芽に触れると、
「きゃんっ。」
と瑞稀の腰が飛び上がり、中から熱い密がとろりと佐野の指を伝ってきた。
佐野は感じていることを確信して、その一点を執拗に責めながら進む。
「やぁっ、あっ、あっ、あぁぁっ、んーっ」
引き込むように蠢く中に、佐野の指は根本まで収まった。
『狭いな・・・。』
こんなところにホントに入っていいものなのか?
そんな疑問が頭をよぎったが、瑞稀の中が佐野の指を誘うように熱くまとわりついて、
佐野の思考能力を奪っていく。
躊躇している様子の佐野の腕を瑞稀はそっと掴むと、
「いいよ。」
いたわるような眼差しを向けて微笑む瑞稀に、佐野も覚悟を決めた。
「瑞稀、行くぞ。」
とうとう難波先輩にもらったアレが、活躍する時がきた。
素早く封を切って自分自身に装着すると、瑞稀のそこにあてがって、
「力抜けよ。」
「うん。」
入り口からゆっくり腰を押し進めていった。
「痛っ・・・。」
苦痛に歪む瑞稀の瞼に口づけた佐野は、絞り出すような声で、
「瑞稀、ごめんっ。」
「うぁぁぁぁっ、・・・」
佐野にはもう瑞稀を待ってやる余裕は残っていなかったのだ。
一気に最奥まで貫いて、二人はようやく一つになった。
「悪ぃ・・・。」
「ん、・・・だい、じょーぶ、だよ。」
しばらく二人はギュッとしがみつくように抱き合い、じっとその喜びに浸っていた。
瑞稀の耳元で、佐野が呻くように、
「も、限界。動くぞ、瑞稀。」
言い終わらないウチに、瑞稀の返事も待たず、佐野は腰を動かし始める。
「あぁっ、待って、あん、あっ、」
瑞稀の抗議はすぐにあえぎ声に変わり、自分の下で女の顔をして乱れる瑞稀に、
佐野の征服欲がいっそう燃え上がる。
瑞稀へと打ち付けるスピードはますます加速して、均整の取れた佐野の胸板に汗がにじんだ。
「ああぁっっ!!」
小さな体を震わせて耐えている瑞稀の目尻につたう涙を、佐野がそっと唇で拭う。
627596:2007/09/22(土) 00:42:48 ID:ktk6uhq2
目を開けた瑞稀の髪を撫でて、舌を絡めながら優しくキスを繰り返すと、
瑞稀の中がうねり始め、佐野を柔らかく包み込んでいく。
「んんっ、んっ、」
瑞稀も感じ始めているのか、夢中で佐野の首に手を回し、キスに応える。
瑞稀の積極的な行動に気をよくした佐野は、今度は両手で胸を愛撫し、もっと感じさせようとする。
何カ所からも送られる刺激に瑞稀は身を捩り、そのたびに反応して締め付ける瑞稀の中が、佐野に自信を与えた。
『瑞稀、感じてるのか・・・?』
自分だけが気持ちいいなんて、申し訳ない気がしていたけど、瑞稀を気持ちよくすることができるなら・・・。
繋がった部分を大きく動かして、さっきまでと違う刺激を瑞稀に与えていく。
「あぁっ、あん、あ、あ、やぁっ・・・、」
佐野に激しく揺さぶられながら、顎をのけ反らせて、規則正しいリズムで声をあげる瑞稀の表情は、さっきまでと違い、
苦痛だけでなく快感を堪えるモノに変わっていた。
「ずっと、こうしたかったんだ・・・。」
まるで想いを吐き出すような、吐息混じりの佐野の言葉に、瑞稀の心は震え、
無意識に佐野自身をキュッと締め付ける。
「佐野っ、佐野ぉ・・・。」
「瑞っ、稀、くそっ!。」
絶頂が近いことを知らせるように、瑞稀の爪が佐野の両腕に食い込んでいき、小さな傷を作った。
佐野は瑞稀の腰をしっかりと掴むと大きく息を吸い込み、最後のスパートに入る。
快感を逃さないようにと、無意識に佐野の腰に絡みつく瑞稀の足。
密着したことで、繋がった部分が擦れて花芽が刺激されると、瑞稀の中はまたきつく締まって、
中からの刺激と重なり、瑞稀自身を追いつめていく。
「も、ダメ、佐野ぉっ!!!。」
「瑞稀っ、・・・っ。」
佐野が瑞稀を思い切り突き上げ、その最奥に達した瞬間、快感だけが瑞稀を包み、
瑞稀は、体が宙に浮き上がるような感覚に襲われた。
そのままビクビクと体を震わせ崩れ落ちた瑞稀の中へ、薄い膜越しに佐野自身が熱い塊を放った。
628596:2007/09/22(土) 00:47:29 ID:ktk6uhq2
体を離し瑞稀の横にドサッと転がる佐野は、浅い息を繰り返す。
ついさっきまでの情熱的な佐野を思って、瑞稀は恥ずかしさから思わず背を向けた。
そんな瑞稀の髪を、佐野の掌がくしゃりと撫でると、いつもと変わらない仕草にほっとして、
「・・・佐野。」
振り返ってじっと見つめてくる瑞稀。
その唇を佐野が唇でそっと塞ぎ、離れていくのと同時に、
「大好きだぜ!」
と佐野の方から想いを告げ、初めて言葉をもらった瑞稀は涙ぐんだ。
二人は額をコツンと合わせて、幸せを噛みしめて微睡む。
腕の中でうとうとし始めた瑞稀の髪を撫でている佐野の頭は、意外なことにはっきりと冴えフル回転していた。
心の中で、佐野は難波へ感謝の言葉を述べながらも、この後に待ち受ける尋問をどうやったらクリアできるか、
そのことが気がかりで、寝てなどいられないのだ。
相手はあの難波先輩だ。どんな手を使ってくるかわからない。
「オレが守るから・・・。」
自分に言い聞かせるように呟く佐野の頭には、もう中津のことはカケラもなかった。

「うーっ、うーっ、」
布団にグルグル巻きにされて、タオルを噛まされ、床に転がされている中津のうめき声は、
眠る瑞稀には届かない。
まさか、今二人が結ばれた部屋の隣で、まさにその瞬間の二人の声を中津が聞いていたなんて、
一体誰が予想できただろう。
一寮の面々は上からの命令に従っただけで、こんな残酷な仕打ちが行われるとは知るよしもなく。
この修学旅行もまだまだ先は長い、ややこしい事はゴメンだと、この際中津を完全に諦めさせるため、
非情な作戦に出た難波寮長、恐るべしである。
心も体も打ちのめされて横たわる中津の頬には、幾筋もの涙の後が・・・。
そして窮屈な体勢の中、中津自身はジーンズの前を押し上げ、しっかりとその存在を主張していた。
『って、興奮しちゃってんのかよ!』
と動かない腕で一人ノリ突っ込みの中津であった。
629名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 00:49:00 ID:gyk1oWUE
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630名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:16:03 ID:pjLieiUi
GJ!中津ネタも笑えたwww
631名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:32:43 ID:EsQR0ev+
GJ!
萌えた〜!
632名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:49:22 ID:nRdvVs2W
中津、おねえさんが心も身体も慰めてあげるから…戻ってこーーいっ!!

GJ!でしたよー!アリトゥース!
633名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 02:04:45 ID:DoznQSiH
GJ!
ヤバイ萌えすぐる
634名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 11:47:22 ID:yhvC+g03
GJ!
萌え過ぎて鼻からトマトジュースが(´∀`)
635名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 18:25:12 ID:fnEchd3k
うわぁ!最後の中津オチにw
GJ!
636名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 00:26:37 ID:zoRDxFTo
GJ!!GJ!!
良かったよー。
また期待してます!
637596:2007/09/23(日) 09:18:37 ID:XhaNlehG
Hからラストまでがすごく難しかったので、
皆さんの暖かい言葉に感激です!!
この逆シチュも確かに面白そうですよね。
妄想してるのは自分一人じゃないんだなぁと、励まされます!
スペシャルとかパート2ないかなぁ?
まさか映画化とか!?
638名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 14:07:59 ID:ajjD5O+M
GJ!
639名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 16:11:01 ID:zPrhV1Ga
>>596
GJ!ホント、良かった〜!
SPは、ありそうな気がするよね。
640名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 14:22:01 ID:bifX2v9+
前の佐野×瑞稀×森の作者さん、どうしちゃったかな?
ずっと続きを待っているんだが。佐野の嫉妬祭りwktk
641名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 15:16:21 ID:ILen28EX
自分も佐野嫉妬話みたい
イかせないとか…
642名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 19:18:44 ID:BbYOfbtg
私も読みたいです、嫉妬祭り!
作者様よろしくお願いします!!
643名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 19:32:33 ID:VRSI454k
どマイナーだけど京橋瑞稀読みたい…。

瑞稀を引き上げる京橋にやられたorz
644名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 21:02:33 ID:4MbRRgTb
>>643
いいよいいよ〜
京橋かこいいよ〜
645瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:22:45 ID:WHWDU5iQ
投下します。
中津強引にいってます。やさしいだけじゃない、
そんな中津です。
646瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:23:25 ID:WHWDU5iQ
「あ〜部屋が広いなあ....」
瑞稀はロフトから下を見下ろしてため息をついた。
佐野は父親、そして弟の森と和解して合宿に出かけていった。
「俺の留守中、裕次郎の散歩頼むな。
....あと、絶対部屋に誰も入れるなよ?」
という過保護な父親的な言葉を残して。
「...絶対部屋に誰も入れるなっつっても、中津は入ってきちゃうしな〜」
瑞稀はまたため息をついて足をぶらぶらさせている。
中津は「瑞稀〜〜!入るぞ〜!」の言葉とほぼ同時に
部屋の中央まで来てしまうのだ。
佐野の言いつけを守るのはかなり難しい...そう思った直後に、
「み〜ずき〜〜!」と中津が勢い良く入ってきて、瑞稀の真下の位置で
にこにこ人懐っこい笑顔を浮かべている。
「頼みたい事があるんだけどさ、今、いいか?」
瑞稀はあきらめの笑顔をみせつつ、「何だよ、頼みって?」
とロフトから降りていった。
「マッサージ、してほしいんだよね〜」
「え、マッサージ?」
「おう、佐野にもしてるんだろ?俺もサッカーで筋肉疲労なんだよ〜」
お願い!と両手を合わせてぺこりと頭を下げる中津に、
瑞稀は(中津はほんと母性本能くすぐるタイプだな...)と、くすっと
笑って「まったく、しょうがないな〜。今日だけだよ!」と言った。
中津の顔がぱっと輝く。「ほら、ベッドにうつぶせになって」
瑞稀にうながされ、嬉々としてジャンプと同時に寝転がった。
647瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:24:20 ID:WHWDU5iQ
「え〜と、....痛くない?」
「全然!すげー気持ちいい!」
瑞稀に足のふくらはぎをもまれ、至福の表情を浮かべる中津。
瑞稀は佐野の言いつけを破って佐野のベッドで佐野にしか今まで
していないマッサージを中津に施していることに
多少の罪悪感を感じつつ、はたと手を止めた。
「あれ?なあ、中津、なんで俺が佐野にマッサージしてるって知ってんの?」
瑞稀の問いに中津は少し間を置いて、
「....佐野がさあ、梅田に嬉しそうに話してるの聞いちゃったんだよ」
「え?」
「すげー嬉しそうにさ、あの佐野が...あいつ、ほんと変わったよ」
瑞稀は内心飛び上がりたいほど嬉しかったが、
先日中津に抱きしめられて告白されたことを思い出して
それを顔に出さずに「そっか」とだけつぶやいた。
「あ、ごめん。マッサージ続けるね」
瑞稀が再び中津の足に触ろうとすると、
「俺も変わったよ。瑞稀に会ってから。」
と中津が真剣な顔でつぶやいた。
「え...」瑞稀が手を止める。
「こんなに人を好きになる気持ち、知らなかったし」
むくっと中津がベッドから起き上がる。
「絶対渡したくないって気持ちも...初めて。」
そういって中津は瑞稀の手首をつかみベッドに引き倒した。
瑞稀はとにかくびっくりして身動きができない。
上から瑞稀に覆いかぶさる、今まで見た事がない中津の
真剣な眼差しから目が逸らせない。
「や....やめて、中津っ...こんなの反則だよ..だめだって....」
中津は瑞稀の両手首を掴んで話さない。
瑞稀の目がどんどん潤んできてることに煽られて、
(もう引き返せねーな....)と覚悟を決めていた。
648瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:25:18 ID:WHWDU5iQ
瑞稀は必死に中津の腕から逃れようと、もがいていた。
「離してっ...ん〜っ...中津!だめ...やめて...」
切れ切れに訴える瑞稀は、だんだん息切れがしてくる。
はあはあと切れ切れにもがく瑞稀は中津が今までに
見た事がないほどに女のコっぽくて。
中津はもう我慢が出来ないというふうに、
瑞稀の細く白い首筋に吸い付いた。
「あっ.......やあぁっ.....」
中津の切なそうな表情に気を取られた一瞬に与えられた愛撫に、
瑞稀は思わず声をあげた。
瑞稀のかわいい鳴き声を聞いた中津は首筋から耳たぶにかけて
唇を這わせ、ちゅっとわざと音を立てた。
「可愛い....瑞稀、もっと声聞かせて....」
耳のなかに下を這わせてまたそれから何度も唇で首筋に吸い付く。
「あぁっ、んっ、やぁ....ん、ん、あっ」
もがくとその度白い首筋から鎖骨のラインが見え隠れして、
中津を誘う。
中津は鎖骨にちゅっとキスを落とすと、そのまま瑞稀の
しろい首筋をのぼってかわいい小さいあごにもキスを落とした。
(キ、キス、されちゃう...初めてじゃないけど...でも.....)
佐野の顔が浮かぶ。佐野のベッドでこんなことになってしまった
自分を呪う。佐野の言いつけを守っていれば...
瑞稀の目から一筋涙がこぼれ落ちた。
649瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:26:26 ID:WHWDU5iQ
中津はその涙を指ですくって
「瑞稀、お前が佐野が好きでも構わない。お前が欲しい...」
切なそうに言った。「ごめんな」
「中津....」瑞稀は中津を見上げて、中津が今にも泣き出しそうな
ことに気づいた。それ以上何も言えなかった。
中津は瑞稀の唇にそっと自分の唇を合わせた。
想像していたよりもはるかにやわらかい瑞稀の唇を
夢中でついばむように口づけた。
「んんっ....」
瑞稀は中津の優しいキスに徐々に酔わされていった。
(気持ちいい...)
そう思ってしまう自分を止められなかった。
中津は瑞稀が少しずつ自分を受け入れていってくれるのが
嬉しくて、たまらなかった。
少し中津が体を起こして、瑞稀のTシャツをまくって
瑞稀のお腹にちゅっと吸い付いた。
「可愛い、可愛い...瑞稀。」
そう言いながら、そのままおへそのまわりを舐め、
だんだん上に上がっていった。
脇腹、脇に何度も吸い付きながら舌を這わせた。
「やっ....んんっ....あっ、やっ」
部屋に響く中津が瑞稀を愛撫する(ちゅぱ...ちゅ....ちゅ....)
という音と自分のいやらしい声に、
瑞稀はどうにかなってしまいそうだった。
650瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:27:24 ID:WHWDU5iQ
とうとう中津の移動してきた愛撫の下が、脇腹から
瑞稀のかわいい胸にたどり着いた。
中津は瑞稀のTシャツを取り去り、その反動で
ぷるんっと揺れたおっぱいに釘付けになった。
「あ....あんまり、見ないで.....」
恥ずかしそうに両手で胸を隠そうとする瑞稀の
手首をつかんで、顔を胸に近づけた。
敏感になった胸に中津の呼吸を感じて、それだけで
身をよじる瑞稀。
「可愛い...まじで。食べさせて.....」
そういって中津は瑞稀の胸の突起に吸い付いて音を立てた。
(ちゅぱ.....)
「ああぁっ.....!やんっ、ん、ん、あんっ....んんっ、やっ、んっ」
そのまま中津は夢中で瑞稀の胸にむしゃぶりついて
愛撫した。瑞稀の喘ぎ声がいっそう中津を興奮させた。
651瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:28:03 ID:WHWDU5iQ
「瑞稀....瑞稀.....おいしい...もっと舐めさせて」
「やっ.....中津、そんなにしたら、もう...だめぇっ、んっ」
もはや二人は快感に溺れるしかなかった。
中津は瑞稀のショートパンツをゆっくり下げて、
瑞稀のお腹をさすり、口は胸の愛撫を続けた。
瑞稀のかわいい女の子の下着を見て感動していた。
(瑞稀が女の子で良かった.....)
その感動のままに、手をピンクのレースのパンティの中へ
滑らせていった。
瑞稀のそこはもう濡れていて、中津の指が動くたびに
くちゅくちゅと音を立てた。
「あぁあっ.....だめえ.....んっ。やぁっ....中津ぅ....」
切なげに声を出す瑞稀。
中津の長い指が瑞稀のそこを縦になめらかに上下する。
その度に瑞稀のそこからは熱いぬるぬるしたものが溢れた。
「瑞稀、ここ、すごいことになってる....」
「やぁっ....言わないで....あぅんっ、あっ、あっ...」
とろけるような表情を見せる瑞稀に中津は見とれていた。
「瑞稀のここ....おいしそう」
そういって中津は瑞稀の大事なそこにぱくっと吸い付いた。
652瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:28:48 ID:WHWDU5iQ
「ああっ、やっ、んん....だめ、そこ...汚いよ...」
「美味しいよ、瑞稀。もっと舐めさせて.....」
舌で突起をクリクリと嬲り、ちゅっと吸い付く。
顔を左右に動かして瑞稀の大事な部分を愛撫する。

「瑞稀、ひとつになりたい....」
興奮して息も絶え絶えになりながら、中津は瑞稀の
耳元で囁いた。
「だめ.....中津、それは....」
だめ。と言いたかったが瑞稀はもう感じすぎていた。
中津の瑞稀を愛おしく思う気持ちが痛いほど伝わる愛撫で、
引き返せない所まできていた。
「だめって言われても、もう、無理だから...」
そういって中津は張りつめた自分自身を瑞稀のそこに当てた。
「ほら....瑞稀がほしくてこんなになってる」
そのまま先端を瑞稀にこすりつけると瑞稀はもう意識がとんでいた。
「あん...中津....だ、め.....んんっ、やぁん、んっ、」
「入れるよ....」
中津は一気に瑞稀のなかに自分自身を埋め込んだ。
653瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:29:17 ID:WHWDU5iQ
「っ.....くっ....瑞稀っ.....!」
「あああっ.......!中津、中津.......っ!」
瑞稀は初めての衝撃にのけぞった。
中津はのけぞった瑞稀の突き出された胸の先端に
むしゃぶりついた。
「あんっ!やぁっ、んっ、んっ、あぁん....やっ」
上と下、両方から同時にくる快感に瑞稀は嬌声をあげた。
中津は瑞稀のいやらしい姿に我慢が出来なくなり、
激しく動いた。
「ごめんなっ....瑞稀、俺っ....もう、我慢の限界....」
初めての瑞稀をいたわる余裕もない。
瑞稀の体中に吸い付きながら、何度も腰を打ち付ける。
「ああっ、んっ、やっ、なんか、変だよう...中津っ、やっ、あっ」
瑞稀は初めての感覚に翻弄されつつ、
快感を追って体をいやらしく動かしていた。
「瑞稀、一緒に、いこ?」
「あ、やっ、こわい.....んんっ、んっ、んっ」
中津の動きがさらに早くなり、瑞稀を追いつめる。
「あんっ、やあぁっ......」
「瑞稀っ、瑞稀っ.....はあっ、はあっ.....」
中津はそのまま瑞稀のなかに全てを放った。
瑞稀は初めての感覚に頭が真っ白になった.....
654瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:30:46 ID:WHWDU5iQ
「瑞稀、ごめん.....」
中津が沈黙を破り、言葉を発した。
「謝るってことは、後悔してるの.....?」
瑞稀が服を着ながら尋ねる。
「してない」
「じゃあ、もう謝らないでよ...俺も同罪なんだから」
佐野のベッドで佐野の留守中に
他の男としてしまった。佐野が好きなのに....どうして....
瑞稀は佐野にも中津にも悪い事をしてしまったと自分を責めた。
「でも、もう二度としないから」
瑞稀は中津を見据えてきっぱりとこう言った。
「瑞稀.......」
中津は瑞稀の決意に気圧されながらも、
「でも、俺、諦められないから。さっきまでの瑞稀は
俺を受け入れてくれたから。すげー嬉しかった。」
中津のまっすぐな瞳に、瑞稀は目を逸らしてしまう。
「だめ、だってば.....」
「ごめんな、瑞稀......」中津は上着を着てそのまま
部屋を出て行った。
瑞稀は佐野のベッドにそのまま横になりつぶやいた。
「佐野、......会いたいよ......」
瑞稀の目から涙がこぼれ落ちた。
655瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:31:17 ID:WHWDU5iQ
中津は自分の部屋に戻っても、まだ瑞稀との情事の余韻に
浸っていた。
あの艶かしい瑞稀を知ってしまったら、もう一度触れたい、
抱きたいと思う自分を止められなかった。
「佐野は明日も帰ってこねーな、確か.....」
656瑞稀×中津:2007/09/24(月) 23:39:12 ID:WHWDU5iQ
以上で終わりです。
変な含みもたせてしまいすみません。
駄文失礼しました。
657名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 07:41:08 ID:Nbitfgf6
GJ!

京橋瑞稀チャレンジしてみます。
658名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 12:49:05 ID:io1FVBH9
>>656
GJ!

>>657
楽しみに待ってますー


難波と瑞稀もいいなと思う今日この頃
難波は焦らしプレイが得意そうだなぁ
659名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 15:59:08 ID:L9g7Duoe
>>657

京橋瑞稀! 新鮮でいいね! 楽しみに待ってるよ!
660596:2007/09/25(火) 16:41:44 ID:D0mLqxZI
自分で書いた佐野と瑞稀の再会の逆バージョン、
ちょっとさわりだけ書いてみたんですけど。
またまたエロには到達できず、未遂に終わってます。
難波×瑞稀で。
661596:2007/09/25(火) 16:43:14 ID:D0mLqxZI
ざわめく到着ロビーで、桜坂学園の生徒達は、ある一人の生徒の合流を待っている。
「おっせーな、瑞稀のヤツ。」
一刻も早く会いたい中津は、苛立ちを隠せず、クマのようにウロウロする。
「じっとしてろよ。」
そういう佐野も、さっきから何度も腕時計を見ては、
『アイツ、時間間違えてんじゃねぇか?』
なんて、心配でたまらない様子だ。
その頃瑞稀はひたすら走って、人混みの中に桜坂学園の制服を探していた。
団体だからすぐに見つかると思っていたのに、
『もう行っちゃったのかな?』
それもそのはず、今回の旅行は全員私服だったのだ。
それでも、人目も気にせず大騒ぎしているみんなのおかげで、
瑞稀はようやく桜咲学園の一団を見つけることができた。
「おーい、みんなっ!」
嬉しさの余り、遠くから大声で呼びかける。
瑞稀の声は聞こえるが、姿はどこにも見あたらない。
「こっちだって、こっち!」
前から駆け寄ってくる女の子が、何度も大きく手を振る。
口を開けたまま見とれる2−Cのクラスメイト達。
「あれ、芦屋なのか?」
「だって、髪長い・・・。」
「スカート履いてるぞ!!」
それが間違いなく瑞稀だとわかる距離まで来た時、
「おぉーっ!」
みんな地鳴りのような唸り声をあげどよめいた。
「あんま見んな、おまえら!」
佐野は慌てて大きな背中の後ろに瑞稀を隠す。
「マジかわいい」、「俺好みかも」、「いいよー芦屋・・・。」
それぞれが思い思いの感想を呟く。
「やっぱり俺の目に狂いはなかった。」
中津は真の瑞稀の姿を目の当たりにして、改めて自分の目は確かだったと小さくガッツポーズ。
「なんだよー。せっかくびっくりさせてやろうと思っておしゃれしてきたのにぃ。」
恥ずかしそうにそっぽを向いたままの佐野は、なかなか瑞稀の方を見ようとはしない。
瑞稀との手紙のやり取りで、今日は女の子らしい格好で来るのは聞いていたが、
ここまで似合うとは。
レース使いのキャミソールを重ね着し、ふわふわ揺れる膝上のプリーツのスカートを履いて。
そこから出た素足には、キラキラした華奢なミュールを履いている。
「気に入らなかった?」
寂しそうに俯いてしまった瑞稀に、佐野は慌てて、
「気、気に入らないとか、っ、そーゆーことじゃねぇって!
そのカッコはマズイだろ、腕も足も出しすぎなんだよ!」
「そっかな?」
「そーだよ。」
「なんで?カワイイのに。
ちょっとは惚れ直した?ねぇ?」
瑞稀は佐野の心配をよそに、無邪気に聞くけれど、惚れ直したのは佐野だけじゃなく中津も同じで。
皆の目の色が変わったことに瑞稀は気づいてもいない。
佐野してみれば気が気じゃなかった。
「ちぇっ、つまんないの。
せっかく驚かせようと思ったのにな。
みんなもなんかイマイチ反応ないし・・・。」
『違うだろ。みんな見とれてるんだって、なんでわかんねぇかな。』
「やっぱ、もうちょいスカート短い方がよかったかな?」
裾を引き上げる瑞稀の手を慌てて掴み、
「何やってんだ、ばか!」
佐野が咄嗟に言ってしまった言葉に、瑞稀はひどく傷ついた顔をした。
「ばかって何だよ、ばかって!もういい!」
佐野自身も、さすがに『しまった』と思ったけれど、後の祭りで。
佐野はすぐに瑞稀を追いかけたが、速すぎて人混みの中に見失ってしまった。
662596:2007/09/25(火) 16:47:59 ID:D0mLqxZI
一人でとぼとぼと歩く瑞稀を先に見つけたのは、佐野ではなく。
「いやぁ、佐野もまだまだ青いねぇ。」
いきなり話しかけられ、びっくりして振り返ると、そこには心配して探しに来た難波が立っていた。
「カワイイもんだぜ。佐野のヤツ、照れてやがんの。」
「照れる?」
「あぁ。芦屋があんまり女の子らしくなっちまってるもんだから、アイツ照れてんだ。
ま、アイツもハイジャン一筋で女に慣れてないからな・・・。
こういう時になんて声かけたらいいのか、わかんねぇんだろ。
でもって、そんなお前を他の誰にも見せたくないときてる。」
「そんな、まさか・・・。」
「信じられない?」
慰めようと肩に回した難波の腕に露出した瑞稀の肌が密着する。
背の低い瑞稀がキャミソールなんて着ていると、こちらに覗くつもりはなくても、
横に立つだけで胸の谷間がよく見えた。
ふと、難波の心にイタヅラ心が沸き上がる。
少し伸びた瑞稀の髪を弄びながら、
「いいか、見た目だけ女っぽくしてもダメなんだ。
女らしさってのは、まず内面から醸し出さなきゃ。お前には、そういう色気が足りないんだよなぁ。」
「はぁ。」
どうにもうさんくさい話に、曖昧な返事の瑞稀。
「お前もさ、キスぐらいしたことあるだろ?」
「え!?」
いきなりの単刀直入な質問に瑞稀は絶句する。
「なんだ、佐野のヤツ、あんなおいしい状況でキスもしてないのか?
・・・信じられん。」
首を傾げる難波に、瑞稀は言っていいものかどうか迷いつつ、
「いや、あの、キスは・・・、」
「したのか?」
俄然やる気になって身を乗り出す難波に、瑞稀は正直に答えたことをちょっと後悔しつつ、
「はぁ。」
仕方なく肯定の返事。
「キスだけ?」
目を輝かせて、さらに聞く難波。
「だけですっ!」
これが中津だったら、間違いなく殴ってると瑞稀は思った。
「キスだけ、か・・・。」
難波は腕組みして何か考え込んでいるように見える。
「おんなじ部屋で寝起きして、キス止まりとは、恐るべし佐野・・・。
こりゃよっぽど芦屋に色気がなかったのかもなぁ。」
「うっ。」
「女だってこと、随分前から知ってたんだろ?」
「・・・。」
グサグサと瑞稀の胸に難波の言葉が突き刺さった。
この上、キスは別れ際に一度だけだなんて知ったら、何を言われるか・・・。
「ま、そう落ち込むな。」
「難波先輩・・・。」
女の子の瑞稀に至近距離から潤んだ瞳で見上げられて、
『中津の気持ちがちょっとわかったような気がするぜ。』
瑞稀を男と信じながらも惚れた中津の先見の明に、難波は尊敬の念を抱いた。
『オレの後を継げるのはヤツしかいねぇ。』
と、わけのわからない期待を寄せられた中津も迷惑な話だ。
『佐野も芦屋もオレにとってはカワイイ後輩だ。手を出すわけにはいかない。
だが、困っている後輩を見捨てるのも、人の道に反する。』
無防備な瑞稀を目の前にして、難波の中に黒い欲望が渦巻き、葛藤を始めた。
しかし、難波は意外にも簡単にその答えをはじき出す。
663596:2007/09/25(火) 16:52:42 ID:D0mLqxZI
「オレの事佐野だと思って、・・・いいか?」
「はい。」
難波は瑞稀に自分のテクを伝授すると同時に、
自分の欲望を満たすことができる方法を思いついたのだ。
「大人のキスってのを教えてやる。これさえ身につければ、お色気アップ間違いなしだ。」
なんでこんな意味不明な説得で落ちるのか、恋する乙女は時として愚かである。
難波はすでに妄想に耽り、『レッスン』と称して、瑞稀にあんなことや、こんなことまで・・・。
にやける顔を抑えつつ、律儀に目を閉じた瑞稀の顎に難波が手を掛けた。
ゆっくりと首を傾けながら瑞稀へと近づいていく。
「瑞稀っ!!!」
大声で自分の名前を呼ばれ、瑞稀が驚いて振り返ると、
息を切らした佐野が駆け寄り、難波から瑞稀を引き剥がすように腕の中に収めた。
「チッ、騎士のおでましか・・・。」
難波と瑞稀のキスは、ギリギリのところで未遂に終わった。
「何してたんですか?」
一応敬語だが、難波に対して威圧的な佐野を、瑞稀がなだめようと口を出す。
「難波先輩は慰めてくれてたんだ。オレが一人で飛び出して来ちゃったから。」
言い終えると、慌てて口を押さえて難波の方をチラリと見た。
『オレなんて言ったら、ますます色気がないと思われちゃう。』
そんな瑞稀を見て、難波がくくっと喉を鳴らして笑った。
二人の間に言葉なしに通じるモノを感じ、苛立ちを隠せない佐野は、
怒りにまかせて、難波を追及する。
「だったら、・・・なんであんなに近づいてんだよ!まるで今にもキス、」
その先を遮るように、大声で難波が笑い出す。
「かんべんしてくれよ、このオレが芦屋にキスなんて。ありえねぇだろ。」
おどける難波を睨むように見つめる佐野は、難波の言葉に納得したようには見えなかった。
劣勢に立たされた難波は、なんとかこの場を切り抜けようと、逆ギレするという手に出、
「そんなに心配なら、ちゃんと捕まえとけ!
つまんねぇことで痴話ゲンカしやがって、みんなに余計な世話かけんじゃねぇよ!」
と最後には寮長の権力を振りかざして、佐野を黙らせた。
「じゃぁな。」
と、すれ違いざまに瑞稀の頭にぽんと手を乗せて、難波は去っていった。
『殴られるかと思ったぜ。佐野のヤロー、コワすぎる。』
内心ビクビクだったが、何とか寮長の威厳を保つことができて、ほっとしたのもつかの間、
「いやぁ、残念でしたねぇ。」
どっから湧いて出たのか、神出鬼没な中央だった。
「もうちょっとでチューできたのに。思わぬ邪魔が入っちゃっいましたね。
一体何企んでたんですか?難波先輩・・・。」
「そりゃ、オレ様のテクで芦屋をメロメロに・・・って、何も企んでねぇよ!
つーかお前いつからいたんだ?」
睨み付けられても凹むことなく、中央は却って嬉しそうだ。
「最初からです。僕はいつでも難波先輩のお傍にいたいんです。」
「いなくていいから。
はっ、まさか、お前が佐野を呼んだのか?」
難波の追及も軽く受け流し、
「なんだったら僕がさっきの続きのお相手しましょーか?
僕だったらキスだけじゃなくて、その先もOKですよ。」
難波の耳に中央が息をふーっと吹きかける。
「その先って・・・?」
「うふふ。」
意味ありげな笑みでウィンクされた上、投げキッスを喰らって、
「だぁーっ!想像しちまったじゃねぇか!ありえねぇ!絶対にありえねぇ!」
頭をかきむしり身もだえする難波にお構いなしに、その腕を取り歩き出す中央は一人ご機嫌だった。
664596:2007/09/25(火) 16:57:21 ID:D0mLqxZI
ホントはこの後、佐野と瑞稀が嫉妬と共に結ばれるはずなんですけど・・・。
書けたらまた、投下したいと思います。
H未遂じゃなくキス未遂なんて、ヌルすぎてスミマセン。
665名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:02:38 ID:6/B0yiiN
初リアルタイム遭遇!!

GJです!!中央イイヨイイヨ
佐野の嫉妬楽しみにお待ちしております!!
666名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 17:52:10 ID:0dW9Yuhx
きゃーああああ!GJ!
続き気になるー。

嫉妬する佐野って萌えるんだよねwww
596さん、楽しみにしてます。
667名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:09:18 ID:I3QlzAWi
GJーーー!!
佐野のマジ怒りって寮生ドン引きするくらい怖いんだろうな
中央テラかわいす
668名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 18:45:07 ID:QSS+mIDU
>>661
GJ!
続き楽しみに待ってます
669名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 21:16:48 ID:etdwuM85
GJ!!

先週はまだ最終回見てたんだなぁ…と思うと切ない。
670名無しさん@ピンキー:2007/09/25(火) 22:01:55 ID:Bq1RoB5Q
596さん、本当に上手いなぁ〜!
GJ!
続き、wktkして待ってます。
671名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 00:14:28 ID:QQ3vVcTt
良いよ良いよ!!
続きがはよ読みたい…!!
佐野の嫉妬と共に結ばれる…
くー!!
良いじゃないっすかぁ!!
待ってます!
672佐野×瑞稀 メール:2007/09/26(水) 01:25:50 ID:vgYmzEwd
PCから新スタートレックのテーマが響いた。―― 瑞稀からのメールだ!

佐野は椅子に座るのももどかしげにメールを開けた。

―― 瑞稀です。無事に自宅に着きました。沢山書きたいことがあるのですが、
逢った時のためにとっておきます。とにかく、ありがとう、佐野! 
p.s. 空港でのこと嬉しかったです。今も思い出すとドキドキしてます。

佐野の頬に笑みが浮ぶ。

―― 無事に着いた様で安心した。 一日に一度は連絡する。
練習の様子も知りたいと思うし。 それと、、、ありがとう、瑞稀。
p.s. 空港でのことだが・・・。初めてだから、俺。一応言っておくぞ。

クリック。 ・・・・・ カッコーン。

―― 言いにくいのですが。・・・私は二番目でした。あれはいきなりですごく驚いた。

佐野の頬がかるく引きつる。

―― それは意外だ。でもどうせ、父さんとか、幼稚園の幼なじみとか、裕次郎とか言うんだろう?

クリック。 ・・・・・ カッコーン。

―― 裕次郎とは何度もありましたが(笑) 初めての相手は桜咲学園の生徒です。

佐野の頬が更に引きつる。

―― ちょっとだけ、ちょっとだけ気になるな。 まさか中津じゃ? まあ、別に誰でもいいけど。

佐野の頬ピクピク。


―― 中津じゃないです。でもすごく大事な友達で、佐野もよく知ってる人。とてもステキな人。
そういえば、その後にベッドで抱きしめられたけど、抵抗したので未遂でした。
時差ボケでしょうか、眠くなってきました。これから少し寝ま〜す。 お休みなさい、佐野。


――― 佐野呆然。

「だれだ? 誰だ? だれなんだーーーー!」
 
佐野の我を忘れたむなしい問いかけが205号室に響く。

中津やら難波やら、果ては天王寺や姫島まで総動員。 彼らが瑞稀を抱きしめている姿を想像し、
嫉妬で眠れない夜を過ごす佐野泉であった。 


・・・・・・ つーか、瑞稀って意外と小悪魔ちゃん?


おしまい。
673名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 01:36:52 ID:vgYmzEwd
火曜日がつまんないよ〜。
最終回を見直して、ちょこっと書いてみました。
エッチない上に、アホな佐野でごめんね。

>>640>>641>>642
佐野泉×瑞稀×佐野森 嫉妬編 やっと書き始めました。

>>596
GJ!! どっちのバージョンも面白い! 続きが楽しみだ〜!
674名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 03:54:19 ID:BQBIJ5L3
いいよ、いいよ〜
>>672いいよ〜!
佐野カワユス

脳内でBGMとかカット割りまですごく自然に映像化されて再生されたー
どんだけりの君好きなんだよ、自分…そしてぬけがらだ…orz

森の出るお話、待ってました!
胸ポケットに真紅のバラさして正座して待ってます
675名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 08:57:19 ID:1Y7LYJ1Z
みんなGJGJだ!ここは神が多くて毎度楽しみです。
佐野はやっぱりかわいいwそして瑞稀もますますかわいい!
学園生徒みんなかわいいぞー。

>>673
裸にオペラ座のマスク着けてジョギングしながら待ってます
676名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 13:11:48 ID:pv9pmARS
>>672
GJ!!天然小悪魔瑞希萌えww普段はクールな佐野が
瑞希の事になると世話したりヤキモチ妬いたりキャラ変わったりするのが凄くいい。
独占的強い佐野禿げ萌え!
677名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 14:08:48 ID:FF3lD3++
原作にある修学旅行のときの話。
夜中にこっそり瑞希が温泉入ったら佐野とばったり会っちゃったときのが読んでみたい。
ほんとは佐野が何とか我慢するんだけど
もう我慢できずにそのまま襲っちゃうみたいなのが読んみたい。
誰かお願いします。
678名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 22:18:03 ID:RMbF3m6S
>>677
それ自分も読みたい
神よ…お願いします!!
679名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 22:31:55 ID:mLTVQyTX
>>677>>678
原作版の二人でってことだよね?
680名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 22:40:16 ID:+mSOYCgz
最終回あとの修学旅行のホテルが何故か露天風呂で…嫉妬佐野に攻められる?
ってのはどうでしょうか?今まで手を出さなかった佐野爆発!みたいなの。
681名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 22:57:35 ID:pv9pmARS
本当に小栗と堀北付き合ってほしいと思う自分はもう完全にイケパラ中毒orz
だってかなりお似合いだろ二人。ただ6歳も離れてるから現実的にはお互い兄妹みたいな感じかな―。
でも二人の仲良しエピを知ったらめちゃめちゃ嬉しい。だが人気俳優と人気女優だからこれからは
あんまり二人の話聞けないんだろうな…二人でどこ行ったとか言ったら週刊誌が目光らすだろうし。
けどやっぱ二人が付き合ってほしい!他の女や他の男と付き合ってるとはっきりしたら複雑だろうな…
682名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 22:59:57 ID:/SL+MJM0
>>677
実はネタだけなら考えたことはある。

しかし、一番の障害は「どこに出すんだよ、佐野」ってことであった。
中に出すのは論外だし、湯の中もどうかと思うし、湯の外の岩場とかも問題あるし。

それに瑞稀を岩場に寝かせるのは痛くて可哀想だし、
かといって湯の中で座位というのも処女にはキツいし、
しかも初めてで青姦なんて、こんな初えっち最低最悪なので、
「手出さなくて正解だったよ、佐野」という結論に達したw

まあ、読みたい気持ちもわかるけどね。
683名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 23:14:27 ID:mLTVQyTX
>>682
すごい!そこまで考えるなんて
言われてみたら、確かにある意味ハードだ
684名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 23:16:47 ID:1Y7LYJ1Z
>>682
なんかいろいろすげーwww
でも確かにそう考えるとそうだね

そこで妄想した。
二人で旅行とか行っちゃえばいいじゃん!
内風呂(露天風呂)付きの旅館部屋。
風呂でいちゃいちゃしてそのままお布団へGO!!
685名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 00:02:41 ID:+mSOYCgz
>>682

確かに…。

>>684
そういえば原作verだとミズキの父親が風呂マニア
(佐野も風呂マニア)設定でカリフォルニアなのに総檜風呂なんですよね
…お家にお泊りもなかなかいいかも。
686名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 00:30:21 ID:PDFrkiN6
>>682の説得力は異常。
687名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 08:59:03 ID:zFDzDvzf
>>682
> 中に出すのは論外だし
これ言い出したら多くのSSが(ry
688名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 10:19:49 ID:AtK+EiIL
>>682の佐野×瑞稀に対する愛情の深さを確認した
瑞稀、実は初めてじゃないって設定はダメか
そこにすら嫉妬してしまう佐野
そして爆走のオンパレードでw
689596:2007/09/27(木) 10:45:16 ID:O+4bbCIV
661の続きです。
673の方の嫉妬編、私も密かに待っていたので嬉しいです!!
私の方も一応佐野が嫉妬することになっているんですけど、
どうにもヌルいので、先に投下させてもらいますね。
どうしてもイイ子になってしまうんです、佐野を書いてると。
なので、できれば嫉妬のことは忘れてお読みください・・・。
690596:2007/09/27(木) 10:54:55 ID:O+4bbCIV
空港からホテルへ向かうバスの中で、瑞稀はクラスメイト達に囲まれていた。
佐野はその輪からはずれたところで、一人で座席に座っている。
「これホントに芦屋かよ。」
「全然わかんなかった、オレ。」
「イケてるよ。超イケてる。」
「カワイイだろー。やっぱオレの瑞稀はどんなカッコしてもカワイイんだよなーっ。」
中津は嬉しそうに瑞稀の肩を抱き寄せる。
露出した素肌に中津の腕が回されると、佐野は思わず声を上げそうになって、慌てて口を押さえた。
自分の女の子らしい姿をやっと褒めて貰えた瑞稀は、素直にそれを喜んでいた。
ニコニコして何も気にしていない様子の瑞稀に、佐野はますます腹が立つ。
「なぁ瑞稀、なに拗ねてんだ?佐野のヤロー!」
何も知らない中津は、瑞稀にワケを尋ねるけれど、
「うーん、それがさぁ、わかんないんだよねぇ・・・。」
と、原因作った張本人が、全くわかっていない様子。
沈んだ表情でため息をつく瑞稀のために、中津は一肌脱いでやろうと佐野に近寄ろうとする。
しかし、信じられないほどの不機嫌オーラに、思わず後ずさると、
萱島が黙って首を横に振っていたので、その場は仕方なく諦めることにした。
瑞稀の傍に戻り、隣に座りかけたとき、中津の目に瑞稀の胸の膨らみが目に入った。
「うっ。」
鼻血が出そうになって、慌てて上を向く中津。
ゆっくり瑞稀に視線を戻すと、周りの視線が瑞稀の胸元あたりに集中していることに気が付いた。
やたらと瑞稀の体に触れようとするヤツらまでいる。
「あいつら・・・。」
『なるほどね。佐野が不機嫌になるわけだ・・・。
にしても、瑞稀のヤツ、鈍感過ぎじゃねぇ?』
瑞稀をガードするように体を割り込ませながら、中津は佐野にちょっと同情した。
691596:2007/09/27(木) 11:02:14 ID:O+4bbCIV
「よぉし!これから、『部屋割り大くじ引き大会』だ〜!」
到着早々、ホテルのロビーに全員を集めて大声で叫ぶ難波。
遠くカリフォルニアに来てまで、そのイベント大好き精神を発揮するとは、さすが桜咲学園。
大盛り上がりのみんなをよそに、佐野は難波の前に無表情で立ちふさがると、
「これ、もらって行きます。」
トランプのように扇形に広げられたカードキーを難波の手から一枚抜き取った。
佐野はそのまま瑞稀の手を引いて、さっさとエレベーターを目指し、歩いていく。
「あーあぁ。行っちゃったよ。
・・・若いねぇ。」
難波は二人の背中にひらひらと手を振った。
エレベーターの中でも佐野はキツく瑞稀の手を握りしめたまま、ずっと無言で。
横顔をじっと見つめてくる瑞稀には目もくれず、ガラス越しに外の景色を眺めている。
目的の階に着くと、また瑞稀の手を引いて歩き出す佐野。
部屋のキーを差し込むと、瑞稀の背中を押して中へ入れ、後ろ手にドアを閉めた。
「佐野っ。」
気まずい雰囲気に耐えかねて、思い切って振り向いた瑞稀だが、
その声は覆い被さるように唇を塞ぐ佐野の中に全て飲み込まれていく。
瑞稀は何がなんだかわからなかった。
突然の激しいキスに翻弄され、瑞稀は苦しくて佐野の胸を押すけれど、
佐野の大きな掌が瑞稀の後頭部を押さえて逃がそうとしない。
息をする間も与えないほど、佐野は執拗に瑞稀の舌を追いかける。
懸命に背伸びしていた瑞稀の体はすっかり力が抜け、佐野に抱きかかえられるようにして、
やっと立っていられるような状態で。
その様子に佐野は満足したのか、瑞稀を少しの間解放した。
肩ではぁはぁと息をしながら、濡れた唇を半開きにして、瑞稀は佐野の肩に頭を預けている。
こんな姿を自分じゃなく難波が見ていたかも知れないと思うと、
佐野は瑞稀の無防備さが許せなかった。
同時にわき上がる嫉妬という感情を持て余してしまう。
「瑞稀、その顔すげぇそそる。」
掠れた余裕のない声で囁くと、もう一度深い口づけを再開する。
「んんっ、」
瑞稀の口から漏れる吐息も佐野にはあえぎ声にしか聞こえない。
静かな部屋の中で、互いの唾液が混ざり合う音だけが延々と続いた。
朦朧としている瑞稀はチクリとした痛みに目を開けると、
佐野がキャミソールから見える鎖骨にキスマークを残していた。
「ダメだよ、佐野。そんなとこ、・・・見えちゃうよ。」
「だから付けたんだ。
他の誰にも触らせたくないから。」
いつもの冷静な佐野とは思えない言葉に、瑞稀は驚きを隠せなかった。
「佐野?なんか変だよ。どうしちゃったの?」
「瑞稀のせいだろ!」
「え?あたし・・・?」
「なんでアイツらに体触らせたりすんだよ!
アイツらがずっと、胸や足ばっか見てたの、お前知らねぇだろ?」
「そんなの、佐野の気にしすぎだよ。みんなダチなんだし、肩組むくらい、いつものことだろ?」
「お前がそんなだからっ・・・、」
『こいつは何もわかってねぇ・・・。』
もう佐野の怒りは言葉にならなかった。
瑞稀の両方の手首を掴むとそのまま体を預けてベッドに押し倒す。
692596:2007/09/27(木) 11:06:37 ID:O+4bbCIV
「きゃっ。」
「消毒してやる。」
二人はベッドに沈み込み、佐野はいくつものキスマークを瑞稀の肌に付けていく。
「ちょ、佐野、待って。」
小さな瑞稀の抗議も佐野の耳には届かない。
キャミソールの肩ひもに佐野の指がかかると、
「や、いや、ヤメテ!!」
泣き叫ぶような瑞稀の声に、ようやく佐野は我に返った。
ベッドについた両腕の間で、震えるように泣いている瑞稀の姿を見つけて、
佐野は瑞稀を傷つけてしまったことに気づく。。
「瑞稀・・・。」
「佐野ぉ、ひっく、ゴメ・・・ン、ゴメン、な。」
それでも自分を責めずに謝る瑞稀が、佐野はたまらなく愛おしくて、
こぼれ落ちる涙を何度も拭い、その額に、頬に、優しく口づけた。
「ゴメンな、瑞稀。オレ、どうかしてた。
あんまり瑞稀がカワイくなってたから、焦っちまって・・・。
誰かに取られそうな気がして、・・・怖かったんだな、きっと。
情けねぇよな。」
自分の気持ちをあまり話さない佐野の本音が聞けた気がして、
瑞稀は泣きながら、ふっと笑みを浮かべた。
「笑うなよ。」
勘違いしている佐野に向かって、首を横に振り、
「嬉しいの。あたしも、おんなじ気持ちだったから・・・。
今日佐野に会った時、佐野がすっごくカッコよくなってて、どうしようって思った。
あたしなんて、着てく服ばっかり気にして、中身は何にも変わってないから。
なんか置いてかれちゃったような気がして・・・。」
気持ちが確認できた二人は、ほっとしたのか、顔を見合わせてぷっと噴き出した。
しばらく笑いあってから、
「だからって、なんで難波先輩にキスされそうになってんだよ。」
さっきほど怒ってはいないけれど、佐野はまだ納得いかないと、瑞稀から真相を聞き出そうとする。
「違うの、あれは、先輩が・・・。」
その先は言いたくないという風に、俯いて黙ってしまう瑞稀。
それでも佐野はそれを許さず、その言葉の先を何も言わずに待ち続ける。
「・・・色気が足りないって。」
聞こえるか聞こえないかの声で恥ずかしげに瑞稀が呟いた。
佐野は俯いたままの瑞稀の顎をぐっと持ち上げて、自分の方を向かせると、
その大きな瞳をしっかりと見据えて、
「色気なんて、・・他のヤツの前で見せんなよ。
オレに、・・・オレだけにちゃんと見せて。」
悩ましいほどの佐野の眼差しに、色っぽいのは佐野の方だと瑞稀は思った。
胸が締め付けられるように切なくなって、気づいたら自然に佐野へと両手を伸ばしていた。
693596:2007/09/27(木) 11:08:15 ID:O+4bbCIV
「瑞稀・・・。」
「佐野・・・。」
そこからの二人は、もつれ合うように抱き合い、お互いの衣服を脱がせていった。
早く一つになりたいという思いから、ボタンを外すのももどかしい。
その間も、啄むようなキスが繰り返されて、瑞稀は息も絶え絶えになっていた。
触れる唇が、舌が、指先が、全てがさっきまでとは比べモノにならないほど熱い。
もう何も考えられなくて、体中が佐野を求めているようだった。
一糸纏わぬ姿になった瑞稀の胸を、じれったいほど優しく佐野の手がなぞる。
固く尖った先端に指先が触れただけで、瑞稀の全身は電流が走ったように跳ねた。
『これが、感じてるってことなの?』
敏感に反応する瑞稀に佐野は興奮を隠せず、新しい快感を与えようと、瑞稀の全身をまさぐった。
かわいらしい胸の頂を口に含むと、瑞稀はたまらずに声をあげ、佐野の頭を抱きかかえる。
「佐野、佐野ぉ・・・。」
切れ切れに自分の名前を呼ぶ瑞稀を、もっと啼かせたくて、両方の胸を一度に責めると、瑞稀はビクビクと何度も細い体をしならせた。
「瑞稀・・。」
初めてみる瑞稀の乱れた姿に、佐野の中で、瑞稀を独占したい気持ちがどんどん膨らんでいく。
腰をくねらせて身もだえする瑞稀の太腿の付け根をすっとなぞると、そこはもう十分な潤いに満ちていた。
佐野は熱い瑞稀のそこが、指を飲み込みそうなほど柔らかく蠢いているのを感じて、思わず唾を飲む。
そのまま指を奥へ進めると、包み込むようにまとわりついてきた。
どうやら体の方は準備が出来ているみたいだ。
濡れた中指を出し入れするだけで、聞こえてくる水音は大きくなる一方だった。
片方の手の甲を口に当ててあえぎ声を抑えながらも、快感を追いかけようと無意識に腰を揺らす瑞稀は、たまらなく色っぽい。
「瑞稀の声、聞きたい。」
誘惑するように耳元で囁かれて、瑞稀は思わずぞくっと身震いする。
「オレだけに聞かせて。」
『そんな顔するなんてズルイ・・・。』
瑞稀は佐野の切なげな表情に母性本能をくすぐられ、仕方なく腕をおろした。
「やん、あ、あ、あぁん、」
自分の発する淫らな声に頬を染めながらも、体がその先を求めているのがわかるから、
余計に恥ずかしくて。
佐野は瑞稀の蜜に濡れた自分の指を、満足気に眺めると、
「・・・瑞稀はオレのもの、だよな?」
そう言って、自分自身の高まりを瑞稀の中心に押し当てた。
「あたしは、・・・佐野の?」
言われるままに口にする瑞稀のそこは、佐野を待ちきれなくて細かく震えている。
「そう。
いい子だから、力抜いて・・・。」
優しく髪を撫でる仕草とは裏腹に、佐野は一気に瑞稀の奥へと腰を進めた。
「うあぁっっ。」
突然の衝撃に、反り返る瑞稀の体。
その細い腰を掴んで、佐野はゆっくりと動き始める。
「瑞稀、瑞稀っ。」
佐野が名前を呼ぶ声と、肌と肌のぶつかり合う音が部屋に響き渡る
「う、うぅっ、」
苦痛に歪む瑞稀の顔さえも、佐野には愛おしい。
瑞稀をやっと独り占めできたという思いが、佐野の心にほんの少し余裕を与え、
「大丈夫か?瑞稀。」
「ん、・・・多分。」
優しく声をかけられ、少しほっとした瑞稀だったが、
「絶対誰にも渡さねぇから、・・・覚悟しろよ。」
「え?あのっ、待って!」
「もう、待てない。」
低く呟くと同時に、腰を思い切り引いたかと思ったら、さっきより速いペースで瑞稀を追いつめていく佐野。
694596:2007/09/27(木) 11:29:03 ID:O+4bbCIV
乱れる前髪の間から覗く佐野の思い詰めた瞳に、瑞稀は求められる歓びをコワイくらい感じて。
深く浅く、緩急をつけた佐野の律動に、高くなっていく声を止められない。
「佐野、そ、・・な、激しっ、あぁっ、」
最後まで言わせて貰えないまま、鈍い痛みとぼんやりと甘い感覚の間で揺さぶられ、あえぐしかなくて。
精神的に深く繋がったことで、何倍にも増幅されて返ってくる快感の波に飲み込まれていく二人。
汗ばんだお互いの掌を合わせて見つめ合い、指を絡めるように繋いだのを合図に、
佐野が最後のスパートに入った。
「瑞稀、愛してる。」
荒い息の中から、何度もそう繰り返す佐野が愛しくて、瑞稀の瞳に涙がにじんだ。
「もう、どうなってもいい。」
涙声で呟いた瑞稀の言葉に、佐野の中にかろうじて残る理性の糸が、プツリとキレた。
瑞稀の細く白い足を高く持ち上げると、瑞稀の中をより深く、えぐるように打ち付ける。
弓なりになる瑞稀の胸の突起を代わる代わる愛撫しながら、己の欲望に身を任せるように。
声にならない声をあげ、身を捩る瑞稀の限界は、もうすぐそこだった。
痛みの後に来る甘い感覚に気づき始めた瑞稀だが、それが何なのかまだわからない。
ただ、佐野が出し入れするリズムに合わせて漏れる声が、最初と変わってきているのは自分でもわかった。
「あ、あ、あぁ、あん、あっ、あ、」
佐野は瑞稀の両足を抱きかかえると、角度を変えて瑞稀を突き上げる。
「あぁっ、やぁっ、」
瑞稀はもう何も考えられなくなって、夢中で佐野にしがみついた。
「瑞稀っ、くっ、」
「ああぁっ!!!」
うねるような瑞稀の中がキュッと締まって、佐野はその中に思いの丈を吐き出した。
695596:2007/09/27(木) 11:29:50 ID:O+4bbCIV
そのまま倒れ込むようにして、横たわる二人。
呼吸が落ち着くのを待って、照れくさそうに無言で見つめ合う。
肩先まで伸びた瑞稀の髪を、珍しそうにくるくる巻き付けて遊ぶ佐野をぼんやりと見ていた瑞稀は、ふいに、
「はっ、そうだ!」
まだしっとりと汗ばむ自分の身体に付けられた無数のキスマークを思いだし、顔面蒼白になる。
「こんなんじゃウチに帰れないよぉ。」
半べそかいてる瑞稀と正反対に、佐野はご機嫌で、
「じゃ、泊まってけば?」
なんて軽く言う。
「そーゆー問題じゃないっ、」
振り上げた瑞稀の腕を掴んで、佐野は瑞稀を引き寄せる。
抱きしめたまま瑞稀の首筋に顔を埋めて、
「帰りたいのかよ?」
耳元で甘えるように尋ねられると、何も言えなくなってしまう。
「もう、それ反則!」
照れてふくれる瑞稀の頬に、佐野が軽くキスをした。
「ウチに電話しとけよ。帰れないって。」
「???」
意味不明な佐野の言葉にきょとんとする瑞稀。
「心配するだろー、ウチの人。」
「いや、だって、あたし、・・・・・えーっ!?」
やっとその意味がわかった途端、瑞稀は赤面し、絶叫した。
「うるせぇよ。」
穏やかな笑みを浮かべて瑞稀の額を指ではじく佐野に、
「もう怒ってないよね?」
恐る恐る瑞稀が尋ねると、
「さぁ?」
佐野はとぼけてぷいと横を向いてしまう。
「佐野ぉー。」
佐野の体を揺らして瑞稀が訴えると、
「まだ全部消毒終わってないし。」
と妖しい目つきで瑞稀の全身を見つめてくる。
「はっ、ダメ!絶対ダメだからね!」
身の危険を感じて、自分の身体を慌てて抱きしめる瑞稀。
そんな仕草がかわいくて、ついからかいたくなる。
「どうしよっかなぁ?」
「そんなぁ〜。」
瑞稀の悲鳴が部屋にこだまして、二人の長い夜はまだまだ続くのであった。
696596:2007/09/27(木) 11:32:20 ID:O+4bbCIV
いいのかなぁ?こんなんで・・・。
そう言えば、難波先輩にゴムもらうの忘れちゃいました!
初心者マークの二人なので、許してください。
697名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 11:39:45 ID:9WYknKf8
>>696
リアルタイム遭遇!嬉!
GJ!
嫉妬する佐野、カワユスw
698名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 15:32:54 ID:AtK+EiIL
>>696
ちょ//また会社でこのスレのぞいてしまったぁぁぁぁ
GJ!×100をあなたに進呈します(はあと)

佐野かわいいなぁ
いつもはあんなにツンなくせに〜www
699名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 21:41:24 ID:ouJqY3B8
>>596さん、GJ!
596さんの描く佐野、かわいくて、でも結構強引で大好きだ〜
700名無しさん@ピンキー:2007/09/28(金) 01:10:11 ID:2rLKpGYu
>>596
(;´Д`)ハァハァGJ!
701名無しさん@ピンキー:2007/09/28(金) 10:47:06 ID:Np/VmrDA
>>696さん
GJ!!!!
嫉妬する佐野、良い〜!!
コトの後の二人の描写もまた…!!!
リアルに浮かんで来るよ!!
GJでした!!
またよろしくです!!
702名無しさん@ピンキー:2007/09/29(土) 21:58:51 ID:7T60K4P0
>>696
GJ!
703名無しさん@ピンキー:2007/09/30(日) 19:39:41 ID:K+Rqm/cW
瑞希がオナニーしてる設定が見たいです。
704名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 00:05:55 ID:X8KBRRyY
>>596
GJ!GJ!
596さんの佐野、色っぽくていいよ〜!
705名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 17:59:43 ID:pUxKCIm4
キモいな
とりあえず他の普通のスレにURL貼るのだけはやめてよね
こんなの大半の人が見たくない
706名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 19:30:39 ID:3dkY8ib+
どっかに晒されてんのかな?
707名無しさん@ピンキー:2007/10/01(月) 20:48:49 ID:pUxKCIm4
どことは言わないけど晒されてますよ
age進行やめたらいいんじゃないですか?
708名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 03:22:28 ID:jZAOGI+8
sageで投下いいでしょうか…?
佐野×瑞稀←中津で、取り敢えず佐野×瑞稀部分です。
もともと佐野も中津も好きなので、両方絡めたくなってしまいました。
佐野×瑞稀がすでに結ばれた後、少し経った
高校生くらいのそれぞれが成長するとあり得るかな?という設定で。

物語部分とエロ部分を分けるとどうしても上手く行かなかったので
長いけど、一気に投下して逃げます。長くてすみませんっ!
709名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 03:25:15 ID:jZAOGI+8
「はぁー」瑞稀は夕飯後に裕次郎の散歩と言って外に来ていた。
(きっと佐野待ってるだろうな…。今日も…するのかな…。)
大好きな佐野に抱かれる事は幸せな筈なのに、瑞稀は最近夜が気が重かった。

佐野と中津、3寮長に女って事がバレてもしばらくはそれまで通りの生活を送っていた。
でもある晩マッサージをしている時に、ふいに佐野が抱きしめてきて初めてキスをして
そのまま優しく、ゆっくりと瑞稀を抱いてきた。
恥ずかしかったし思わず逃げようとはしたけど、佐野がやんわりと抵抗を封じ
舌と指で優しい長い愛撫をされて徐々に力が抜けて、結局その時に最後までしてしまった。
初めてだったので痛かっただけではあるが、瑞稀は心が通じ合った喜びで一杯だった。

必然的にそれからは、他の寮生に見つかる心配をしながらも
瑞稀は好きな佐野を断われず、ほぼ毎晩佐野に抱かれているのだった。
「でも最近…。佐野ちょっと変わったよな…」瑞稀は裕次郎にボソっと話しかける。
何度も抱かれる内に体がすぐに感じるようになって確かに快感が強くなっている。
でも、最初のように大切な物を扱うような佐野の愛撫は今はなく
快感を与えるための愛撫だけに変わってるのが分かるのが嫌だった。
それなのに自分の体もそれに反応してしまうのが瑞稀はもどかしい気持ちになるのだ。
終わった後に感じる虚しさを佐野には勿論、誰にも相談出来ずにいるまま
心の中のしこりが大きくなって夜が近づくと胸がつかえた気分になってしまうのだ。

「どうしようー」と呟く瑞稀の視界に人影が映った。
少し道から外れた木の陰に制服姿の男と髪の長い女が立っているのが見える。
「あ、中津…?」
目を凝らすと、二人が濃厚なキスをしてるところなのがわかった。
随分大人びた服装の女は中津の首に両手を回しているが、中津は片手だけ女の腰におき
もう片方の手をズボンのポケットに入れたまま、ダルそうな姿勢のままキスをしている。
(う、わ…)と固まって見ていると、女はゆっくり中津から離れ
「じゃ、またね」と声をかけて
「ああ…じゃ。」中津の低い答えに薄く微笑むと振り向かずに行ってしまった。

『そういえば、誰かが中津に年上の彼女が出来て羨ましいって騒いでたな…』
何となく瑞稀は知らない人のように見える中津から目が離せず立っていると
中津はけだるそうに手の甲で口を少し拭いながら、うつむいて歩いてきて
「おわっ!なんだよっ!? み、瑞稀ーっ!!? おま、何でここにいんだよっ!」
瑞稀に気付き飛び上がった。その顔がいつもの中津なので嬉しくなって
「なーにやってんだよ、中津こそっ!」
わざとニヤニヤしてやると、一瞬中津は困った顔をしたがすぐに戻って
「うっせーなー、俺も色々忙しいんだよ」
瑞稀の頭を子供をあやすようみたいにポンポンと叩いた。
何となく彼女の存在も知って罪悪感も和らぎ、昔に戻った気分になって
「こんな時間まで遊んでるの難波先輩に言っちゃおうかな〜」
とからかい続けるが、中津はそれには答えず、まとわりつく裕次郎を撫で
「お前そんな事より、夜遅いのに一人で出歩くなよ」
少し怒った真面目な顔で言うと、瑞稀手から裕次郎の紐を奪い取った。

そのまま下らない冗談で笑いながら、いつもの散歩コースの公園で
裕次郎を離し、ボールを投げてやる中津を見ながらベンチに座る。
(久しぶりだな、中津とこうやって話すの)
告白を断った後も中津は普通に接してくれているが、やはり気まずく
特に佐野に抱かれるようになってから、何となく後ろめたくて
二人っきりにはなってなかった。でも今の中津は昔のままですごく楽しい。
(中津っていつから女なのを知ってたのかな?)
やけに密着度が高い奴って思ってはいたけど、女として触られて嫌悪感を
感じるような箇所を触られる事は無かった。それは佐野もそうだったし。
(そう考えてみると、二人ともほんとに紳士だよな。)
と佐野の顔も思い浮かべた途端、瑞稀の胸にまた例の重苦しさが蘇った。
710名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 03:31:37 ID:jZAOGI+8
「どした、何か浮かねぇ顔してんなぁ。腹でも壊してんのか?」
中津が隣に座ってふざけた口調でいう。前もこうやって心配してくれたな。
「んな訳ねえだろ、拾い食いしてる中津じゃあるまいし。」
「おい、俺がいつ拾い食いしてんだよっ!」
「あれ?中津って裕次郎のエサも食べてんだよな?」
「俺は犬か!?俺は外で寝てんのかぃっ!」
「ま、賢さでいうと裕次郎の方が上だしなぁ。あ、中津裕次郎と部屋代われば?」
「瑞稀何かあったのか?」
「…っ!」
いきなり真面目な顔で聞かれてフイをつかれた。何も言い返せないままでいると
「俺元気な瑞稀は好きだけど、カラ元気の瑞稀はあんま好きじゃねぇなぁ」
「・・・・・」目が見れずにうつむく。
「最近ずっとお前カラ元気じゃね?」
「・・・・・」
「悩みを話せとは言わねぇけど、無理に笑う必要もねぇんだぞ?」
さとすような優しい声を聞いていたら、一気に気がゆるんだ。
思わず涙が目に溜まってきたので、気付かれないようにこらえていると
「…だからぁ、そういうのが良くねえんだって」
顎をつかまれて中津の方を向かされた。いつものちょっと片方の眉をあげた笑い顔。
「ほらー泣いてるじゃねえか、泣け泣けー、スッキリすんぞ?」
頭を両手でクシャクシャ掴まれて揺らされながら、そのまま泣いてしまう。
一度涙をこらえるのを止めるとドンドン溢れてきてなかなかとまらない。
でも泣けば泣くほど胸のつかえが取れて楽になってもいた。
中津は何も言わず、隣に座って片手を頭の上に乗せたまま待っててくれた。

「・・ぅっく・・・ぇっく・・・」
沢山泣いたのでしゃっくりが出て、でも涙は止まってきた。
「ほらよ」
中津が差し出したハンカチを「ありがとう」と受取り涙を拭く。
「お前さあ、前から言おうと思ってたんだけど、女ならハンカチくらい持ってろよ」
心底あきれた声で言うのでおかしくなって
「本当だね、私、前も中津のシャツで拭いてたね。友達にもよく言われてたんだ」
笑って中津の方を見ると、ビックリした顔で中津が見つめている。
「どうした?中津…いつもにも増してアホづらになってるぞ?」
瑞稀がからかっても反応しないで
「おま、いま、わ、わたし、・・・いやなんでもない」
いきなり立ち上がると、遠くで遊びつかれた感じの裕次郎を繋ぎにいった。
「え?おい、中津?アホづらって言われたから怒ってるのか?悪かったよ」
寮の方にスタスタ向かう中津を後ろから瑞稀は追いかける。
「ちげーよ、そんなんで怒るかよ、って怒るよ!」
「そーだよなー、悪かったよ本当の事なんて言っちゃって」
「本当なのかよ!こんなイケメンつかまえて、目ぇおかしんじゃね!?」
「そーだよなー、綺麗なお姉さんとキスしちゃうイケメンだもんなあ」
「・・・おまえなあ・・」
中津が立ち止まる。その怒った声で、流石にふざけ過ぎたと思い瑞稀も止まる。
「俺を振ったおまえが、そういう事いうのは反則だろ?」
ちょっと辛そうな中津の顔を見て瑞稀は慌てた。傷つけたくはなかったから
「ごめん、私…、本当にごめんね」いそいで頭を下げた
「・・・・」
何も中津が言わないので、まだ怒ってるのかなと瑞稀がそっと見上げると
さっきとは違う困った顔ような複雑な表情の中津が瑞稀を見つめている。
711名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 03:33:05 ID:jZAOGI+8
「中津・・?」
瑞稀から視線を外して何かを考えてる中津が、また知らない人みたいになりそうで
「ごめん、中津。」もう一度謝ってみた。
中津が大きく深呼吸を一つしてから真っ直ぐ瑞稀を見つめる。
「みずき・・・」
そっと中津が瑞稀の両肩を掴む。痛くはないけど動けない。
(この目…、この目、知ってる。佐野と一緒だ。そういう事する前の…)
いつも佐野が夜になるとする目と、今中津がしている目は一緒だった。
瑞稀を女として見て、男として扱う目。中津がその目で見つめたまま
ゆっくり瑞稀の肩をひき寄せた。
(っ!!キスされる!?)
思わず身構えて身を硬くする瑞稀の体を中津の両腕がフワっと包んだ。
「!?」
予想と違う行動で思わず中津の顔を見る瑞稀の頭を
中津はそのまま自分の胸にそっと抱き寄せ、その耳元で
「おまえ、やっぱりバカだよなあ」とかすれた声で呟いた。
中津は動けないままの瑞稀を更に少し抱きしめるが、あまり力をこめないように耐えた。
中津があまり体を密着させないように、気を使って抱き寄せている体勢なのが
瑞稀を安心させた。妙に心地よい抱擁に瑞稀の力が抜けていく。
(なんか、気持ちいい…)
と思った瞬間、中津が瑞稀の両肩を掴んで自分から引き離した。
あまりの勢いに驚いて中津を見ると、せつない目で笑ってる。
「やべっ!あんまり遅いと萱島にまた文句言われちまう」
「そ、そうだな、早く帰んないとな」
「じゃ、俺裕次郎繋いでくるから、おまえもう部屋戻れよ」
「あ、わるい、サンキュ」
(部屋かあ…佐野もう戻ってるよな…)
また瑞稀が考えていると、中津が肩に手をポンと置いて
「じゃな・・・おやすみ。」
と裕次郎を連れて走っていった。



ガチャ。深呼吸をして、瑞稀は部屋のドアをあけた。
もう寝る支度をして佐野が自分のベッドに横になって本を読んでいる。
「ただいま…」
「…随分遅かったな」本から目を離さずに佐野がいう。
「おう、裕次郎が遊んで遊んでってしつこくってさー」
「ふーん…。もう消灯だしシャワー行けよ」
「あ、うん…。あ、もう遅いし電気消して先寝ててもいいぜ」
明るく佐野を見ずに言うと、佐野が本を閉じベッドの上で身を起こした。
「瑞稀、もうその話し方やめろよ。二人きりなんだし。」
佐野は最近いつも瑞稀の男言葉を嫌がる。かといって瑞稀もすぐに変えられない。
「あ、ごめん。ついつい出ちゃって。使いこなすの難しいから」
「使いこなすっていうより、気持ちが女に戻ればいいんじゃねえの?」
佐野がベッドから降りて、シャワーに入ろうとする瑞稀を後ろから抱きしめた。
「さ、佐野…」佐野はそのまま瑞稀の首筋に唇を滑らせた。
「っ…!」慣れた佐野の行為に瑞稀も反応してしまう。
でもやはり気分は乗らなかったので、なるべく拒絶にならないように身を捩り逃れ
「私、シャワー行かないと…」
慌てて離れようとした瑞稀の腕を掴んだ佐野が一瞬止まった。
「…なんだ、これ?」
712名無しさん@ピンキー:2007/10/02(火) 03:34:09 ID:jZAOGI+8
佐野が瑞稀の手に握られているものを険しい顔で見た。中津が貸してくれたハンカチだ。
サッカー好きの中津は身の周りの小物をほとんどサッカーグッズで揃えている。
今日のハンカチもフランスチームのマークが入ってる。
「それ、中津の、だよな…。…今まであいつといたのか?」
「あ、いや裕次郎の散歩の途中で出くわしてさ」
「そんな遅くまで部活ねえだろ」
佐野の声はいつにも増して低くなる。
「あ、なんかデート帰りだったみたい。それが綺麗なお姉さっ!んんっ!」
佐野がいきなり乱暴にキスをしてきた。掴まれている腕が痛い。
「ん〜っ、んっ」
少し抵抗している瑞稀の腰を抱き寄せ、更に激しくキスをする。
わざと苦しくさせるかのような勢いで佐野は瑞稀の口内を舌で犯していく。
瑞稀は息が上手くできなくて、苦しさのあまり佐野の胸を強く押すが
かえって強く抱き寄せられてしまうだけで、佐野のなすがままになるしかなかった。
「っはぁ…あ・・」
ようやく唇を離すと、佐野は瑞稀のシャツの裾から手を入れると
胸を押さえているベストを乱暴に取り外した。
そのまま瑞稀を壁に押し付けてキスをしながら胸を強く揉みはじめる。
「やっ…佐野、待って…お願い…んんっ」
必死にキスを逃れても佐野はそれを許さず、舌を深く差し込みながら
戸惑う瑞稀の舌を絡めとり、何度も吸いあげる激しいキスを続ける。

自分が待っている間に瑞稀が中津と居たという事が佐野を苛立たせていた。
瑞稀が今抵抗しているのも、何故かそれと関わりがある気がして
佐野は何かに対して挑戦的な気持ちになっていった。
苦しそうな瑞稀から唇を離し、掴んでいた腕に握ったままの中津のハンカチを
無言で奪いとり投げ捨てると、瑞稀の目を上から見つめたまま
反対の手の手首と一緒に左手一本で、立ったままの瑞稀の頭の上に押さえつけた。
瑞稀の目が少し怯えているのも、かえって佐野の気持ちを煽る。
わざとゆっくり右手で服の上から胸を揉むと、耳にそっと舌を挿し入れた。
「あっ…!」思わず感じてしまう瑞稀の反応を見ながら、ゆっくり胸を揉みしだく。
舌で触れるか触れないかの感覚で耳をなぶりながら、そっと息を吹きかけると
「っ!」瑞稀が体に力を入る。そのまま耳を舐め首筋を唇でなぞるように下がる。
顔をそむけて声を出さずに耐えているのが気に入らず
今度は唇から少しだけ舌を出し尖らせながら首筋を上がっていった。
「やっぁ…」思わず膝がガクッとなる瑞稀。佐野は更に舌でなぞりながら
揉んでいる胸の先端が尖ってくるのを手のひらに確認した。
その周りを人差し指でゆっくり円を描くようにしながらも先端には触らないまま
何度も揉んだりなぞったりを繰り返した。
瑞稀がすぐに触られず焦らされるのに弱いのはもう知っている。
「はぁ…んんっ…」胸と首への愛撫で瑞稀の息は乱れていた。
(感じたくなくても、体に力が入らない…こんなの嫌なのに…)
触りそうで触らない佐野の指に、嫌でも神経が集中してしまい意識が快感を求めてしまう。
首筋から降りて鎖骨の辺りにはう舌の感覚も瑞稀から思考能力を奪っていった。
「あぁっ…!」
いきなり焦らしに焦らされた乳首が摘まれて瑞稀は声をあげた。   
軽く摘んだまま少しだけこね回される。
「やっ、だ、だめ…」そのままシャツの上から軽くひっかかれ
「あぁ・・・」瑞稀は強い快感に耐えられず思わずしゃがみこみそうになったが
両腕を押さえてられているので動けない。佐野はそんな瑞稀の唇に再び唇を重ね
舌を味わいながら乳首を指の腹で転がしたり、摘んで揉んだりと執拗に責める。
そうしながらもすでに昂り固くなってきている下半身を瑞稀の体に押し付けた。

(あぁ…、また…)快感のせいで考えられなくなりながらも瑞稀はもどかしさを感じる。
佐野のキスや愛撫が愛情ではなく、性的な欲からの行動に思えてしまう。
決して佐野が自分だけ快感を得ようとしている訳ではないのは分かっている。
でも、いつにも増して無口になって行為に没頭していく佐野からは
以前のような穏やかな優しさが感じられず、むしろ自分への攻撃にさえ思える
何か激しいものを強く感じてしまい、気持ちが落ち着かないのだ。
713名無しさん@ピンキー
フッと瑞稀の両手が自由になった。と思った瞬間
「!…」佐野が両手で瑞稀の乳首を軽く摘んだ。
胸への刺激が増え、キスをされながらも瑞稀は軽くのけぞってしまう。
いつも責められているうちに、すっかり感じやすくなっているそこへの刺激で
瑞稀は体の中から甘い感覚が湧き上がるのを止められなくなっていた。
「…ん、んっ…」
自由になった両手で、胸を責める佐野の両腕を力なく掴むが
それが自分から引き離すためなのか、もっと快感を求めてなのか自分でも分からない。
「瑞稀…」佐野がかすかな声で名前を呼ぶ。
そしてTシャツの下から直接手を滑らせて、肌を撫でながら上がると
そのままシャツをめくり上げてすでに固くなっている先端に舌を這わせた。
「…ぁっ!あぁっんっ…、いゃぁ・・」
舌全体で強く乳首を舐められ、瑞稀は一気に快感に飲み込まれてしまい
立っている力も抜けて膝から崩れ落ちるが、佐野は胸に吸い付いたまま
瑞稀の腰と背中を抱き支えて床へ横たえるとそのまま口と指で両方の胸を責め続けた。

交互に乳首を舌で舐められ転がされ、指で摘まれて弄られているうちに
瑞稀の体の中心にじれったい疼きが生まれ、自然と瑞稀の腰がくねりはじめた。
佐野はその腰を撫でるとそのままズボンの中へと手を差し入れる。
「あ、いやっ…!」
シャワーを浴びてないことを思い出し、瑞稀は一気に現実に引き戻され
佐野の手を止めようと掴んだが、佐野は構わずにその中の下着へと手を進める。
「さ、佐野…お願いシャワーに…っ!ぁっ!」
瑞稀が頼む言葉をいう間もなく、佐野の指がすでに濡れているその部分へと沈められた。
「…ぁっ…や、…おねが…い…、さ…のぉ……」
瑞稀の懇願を無視して佐野は更に指を増やし、一度奥深く挿し込むと
そのまま早い速度でクチュクチュと音をたてながら出し入れする。
�「はっ…ぁあっ…、んっ…はぁっ…」
さすがに瑞稀も強い快感から逃れられず、喘いでしまう。
その細い顎にキスをすると、佐野は指を入れたまま身を起こし
胸に吸い付きながら腰を抱きかかえて、瑞稀の下着をズボンごと一気に脱がした。
「あっ…、まって…」少し抵抗を見せる瑞稀に、一瞬軽くイラっとした視線を投げると
乳首を強く舌で舐め回しながら、上に着ていたシャツもTシャツも剥ぎ取り
そのまま抱きかかえてベッドに瑞稀を運び、少し乱暴にその体を投げ出した。
恥ずかしそうに自分の体を抱きしめている瑞稀を見下ろしながら
佐野は自分の衣服も脱ぎ捨てた。