【MH】モンスターハンターでエロパロ 5匹目【モンハン】

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407名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 12:18:54 ID:CqVVP00i
アキラ好きな俺は異端ですか
408名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 12:49:35 ID:MKG+QuMv
珍味先生GJ!
淡々と進んでいく話の中、急にエロースな展開がはじまると、すごく惹きつけられるモノがある。

>>397
昨日見たガンダムWのせいかも知れんが、"ノイン"がそのまま重なって見えちまうw
妙に丁寧口調だし、自潮癖っぽいトコあるし…あー、声は確か横山智佐…?
409名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 13:12:10 ID:+fVWG2gj
珍味姉さん、ガノトトスの白子ゲッ〜ット!

悲惨な過去を語ってるのに全編軽快さを失わないとか
コメディタッチなのにちゃんとエロいとかスゲェ。
410名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 13:14:59 ID:izHf3nr9
参考までに、話の中で使用する装備に関してだが
・古龍素材を必要とするものは控える
・段階的に集会所下位後半〜上位序盤のもの(使える者はごく少数)
モンスターの強さについては
・古龍は天災クラスのどうしようもない存在(討伐はほぼ不可、撃退は可)
・その他飛竜、牙獣はほぼゲームの強さと習性(劇中ややオリ要素あり)

この位ならOKかね? 無論これは自分の話の基準にするのであって、他の作者氏に求めているわけではないのであしからず
411410:2007/07/18(水) 13:24:31 ID:izHf3nr9
×(使える者はごく少数)
○(上位装備を使える者はごく少数)
412名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 13:27:20 ID:+fVWG2gj
>>410
話のありようでいくらでも変わるんじゃない、その辺りは?
プレイヤーのスキルが高くて装備も古龍から剥ぎ取りまくりで何でも狩れちゃう超ハンターが主役でも、
物語に説得力さえあれば誰も文句いわないんじゃないかな。

ゲームシステムそのまんまSSにもってくると変になりそうだけどね。飛竜すら気絶させるような一撃で
仲間をぶん殴っても無傷とか、手持ちの生肉がどれだけ季節がめぐっても腐ることがないとか、
期間中は街に襲来する古龍がアホみたいにたくさんいるとか……。
そういうどうしようもなさそうな面は職人側でどう料理しても良いと思う。
413名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 13:43:55 ID:1FJ3GRYe
>>410
ぶっちゃけると、すきにしろとしか言えん。
大長老直轄とか孤高であり生きた伝説とも呼ばれる〜〜みたいなハンター主人公なら古竜フルでもいいんじゃない?
414名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 14:42:55 ID:jP4gg6ZN
そのへん「ゲーム内感覚より設定を重視しては」「超レア設定の武器が大安売りされてると萎える」
って意見もすごくわかるんだけど、そういう事言い過ぎると職人さんがやりにくくなるしなあ。
ゲーム中でプレイヤーが体感してる尺度やセオリーみたいなものから説明なしに文中設定が離れすぎてると、
自分はちょっと気になるし。
「このモンスターとこの武器系統で戦うなら、普通は○○じゃなくて□□使うんじゃね?」とか。
(外れてる理由が話の中で語られていれば何も問題ないんだけど)

「設定的には超レアなモンスターが素材になってるから普通に作品に出て来るのはおかしい」
てな事を言いだすと、萌え的には大人気のキリン女装備あたりは
封印確定装備の筆頭に上がってしまいそうな気もしなくもない。
415名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 15:08:08 ID:BLeBOecL
アキラは悪役だから嫌うのは仕方ないけどさ
作者が見てるとわかってる場所で堂堂と好き勝手にボロカス言いまくるってのはどうなのよ
仮にも他人が作ったキャラなんだぞ?
頭おかしいんじゃねえの
416名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:09:15 ID:tiD/ehj/
>>413辺りがなるほどと思う。
あと○○家に代々伝わる〜とかいうのは無理あるかな?
417名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:28:57 ID:+UYvIId/
小説の世界にゲームの価値観を丸ごと持ってくる、なんて無理を作者様に押し付けるのはイケナイんだぜ。
>>416をゲームの中の価値観で考えると「レア度高い物はトレードできないだろ・・・ゲーム内的に考えて」になる。
つまり何を言いたいかと言うと初心者のキリン装備っ娘がメラルーに褌盗まれてオロオロしてる所に通りがかった発情してるコンガに押し倒されてあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛
418名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:39:21 ID:1FJ3GRYe
そんな中、仕事の暇時間に書き上げたSSを投下。
正確には途中なんで『書き上げた』訳じゃないんだが……

・強引。最後ちょっと無理やりすぎる。和姦スキーの妥協と考えてくれると嬉しい。
・でも強姦。ついでにいうと処女。
・前編。
・文章力は無いです……

と言う所で、許容できる人は読んで下さると幸い。
419とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:40:54 ID:1FJ3GRYe
「さてと……今度こそ、きちっと討伐してやらなきゃね。」

 私――本名はイーグレット=カジェスティとちょっと長いから、イグで通している――は、雪山のベースキャンプにたどり着くや否や意思を言葉として吐き出した。
 今、私はドドブランゴの討伐依頼を受け、一人雪山のベースキャンプに荷物を下ろしていた。……訂正。支給品を持ってきてくれて、帰りや気絶させられた時に助けてくれるアイルーたちも一緒だった。

「今度はだいじょぶニャー? 装備はどんどん厚くなってるみたいだけど、心配だニャー……」

 う、ちょっと痛い所を突かれてしまった。……そう、彼らが『今度は』と前置きして心配するには理由がある。
 すでに私はこのドドブランゴ討伐の依頼を2度に渡って失敗していたのだ。……それも、屈辱的な失敗を。

「任せてよ! 今回のザザミ装備は堅さが取り得なんだから、今度こそ1回も君たちのお世話にならずに帰ってくるよ!」
「……前も似たような事を言ってたニャー……」

 胸を張って装備の自慢をする私に浴びせられたのは、アイルーたちの呆れた声。思わず感情的に背中の斬破刀に手が伸びかけるが、ここは我慢。
 現実、彼らの言う通りであり……敗北を喫してしまった事はぬぐい様のない事実であるのだから。
 私はこの場にそのままとどまり、彼らに心の傷を抉られる事は決して精神的に良くないと思ってベースキャンプの外に飛び出す。

「わ、私もう行くから。待っててよね、ちゃんと雪獅子の牙とか持ってくるから!」

 出発前に道具は確認しているし、すでに3度目。何が支給品として贈られるか、という事も把握している。
 とかく雪山は酷く寒い。そりゃ麓は暖かくポポも呑気に草を食む様子すら見られるが、山頂に行けば常時吹雪と思って間違いないのだ。
 だからこそ、私は早速ここでポケットからホットドリンクの入った特性の水筒を開けて四分の一ほどを一気に飲み干す。
 ……早速体が温まってきた。まだ平地に近いここではうっすら汗ばむが、これを飲まないと山に登ると凍えてしまう。
 私は飲んだ分、支給品からホットドリンクを補充して、満タンになった水筒を背中のサックに直した。これで、30分は持つはずだ。
 あとは、予め焼いておいたこんがり肉を取り出して食べる。ついでに支給品から携帯食料を始めとする雑貨を取り出しサックに詰め込んだ。
 腹八分目が丁度いい、とは誰の言葉か。とりあえずハンターではない者の言葉だろう。
 ハンターはとにかく腹が減る。そりゃ、常に集中していないといつ襲われるかわからないのだから緊張しつづけるわけだし。
 それに、何といっても装備と拾ったものの重さ。おなか一杯食べていても、担いで歩いているだけで直ぐにおなかが鳴ってしまうのだ。
 だから私はキャンプで出発前に、まず肉を食う。ここに移動するだけで消化された胃を膨らませるのだ。これで、持続力が上がる。
420とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:41:39 ID:1FJ3GRYe
「ふぅ、じゃ、改めて行ってきまーす!」

 そこまでして準備を完了したと判断し、私は動物避けの細い崖と岩に挟まれた道から山の麓へ降りていく。
 ……ほんの少し。時間にして3分足らずで直ぐに麓の広い敷地にたどり着いた。

「相変わらず風光明媚よねぇ、ここ。」

 独り言が多いのは昔からの癖。なんとなく、ヒトの言葉を耳から聞いていないと安心できないのだ。流石に隠れている時にはやらないが、こんな場所ではその分多くなる。
 そんな場所で流れる水の音と穏やかに鳴くポポの声を聞きながら、私は初めての敗北に意識を移していった……。

 *        *        *

「くっそー! なんだってのよ、あの動き!」

 既に2度目になる、アイルーたちの救出を受けてベースキャンプに転がされて意識を取り戻した私は、思い切り悪態を突いて近くの岩を蹴り飛ばした。
 自慢になるが、私はコイツとの戦闘まで1度もネコタクのお世話になる事はなかった。
 ハンターになって訓練を受け。初めてポッケ村の村長から依頼を受けて行ったギアノスやブランゴ退治もほぼ無傷で終わらせた。
 ……ポポノタン集めのときに見かけたあの竜にだけは、尻尾巻いて逃げたけどね。あんなの、一人で倒せる相手じゃないでしょ。
 村長から認められ、ちょっと上位の依頼も受けれるようになった。そうして戦ったドスと名前のつく中型や大型の獣相手にも、若干の傷で勝利できた。
 そりゃー、イャンクックを初めて見たときはビビったけど、所詮大きな鳥。『先生』とか言われてるらしいけど、私にとっちゃいいカモだった。
 ババコンガはとにかく臭かったなー。あいつ、糞なんて投げてきやがって。あれが私の人生初ダイビング避けだったっけ。
 ……おっと、話が脱線した。
 とにかく、資質でもあったのか運が良かったのか、繰り返すが私は今まで1度たりとてネコタクに転がされたりしなかったのだ。
 それがここに来て、2度目の経験を味わった。

「あと1回気絶させられたら、そのまま村に連れ帰らせてもらうニャー……だから、気をつけてニャー?」

 そういう依頼だから、仕方がない。わかってるよ、と軽く応えて私はベースキャンプから再度飛び出していった。
 手に持つクックツインズは、ドドブランゴが火に弱いって話を聞いて作った双剣。最初は片手剣を使っていた私だけれど、次第に双剣に獲物が移行していたのだ。
 だって、食らわずに避ければいいだけだもの。という理由で。……今まで出会ったモンスターが、みんな直線的な動きしかしなかったからだ。
 防具だって同じ理由でハンター装備。ハンターらしいし、何よりこの装備してるとヤツが何処にいるかよくわかる。
 なんか、気配を察知できるっていうのかな?他の装備だとこの感覚はなかったんで、この鎧を愛用していた。
421とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:42:23 ID:1FJ3GRYe
「ぴょんぴょん飛び跳ねたり地面に潜ったり……あー、鬱陶しいっ!」

 残り少ないホットドリンクを飲み干してしまい、あとは短期決戦を挑むしかない、と覚悟を決めて洞窟に潜る。
 今ヤツは……うん、丸く雪崩があったみたいに抉れた山の中腹にいるみたいだった。なんとなく、ヤツが外を向いていそうな気もする。
 だから私は急いで洞窟を通り抜け、雪原に飛び出す。……勘は的中。ヤツは尻尾を揺らしながら手足を使って悠々と歩いていた。
 卑怯だとは思うが、私はヤツの背中めがけて雪原を駆ける。腰からクックツインズを抜き、一気に斬りかかった。
 悲鳴。どうやら私の一撃はヤツの尻尾を切り落としたらしい。
 ふふん、どうだ。これが私の実力なんだ。ここからずっと私のターンで行かせてもらう!
 目を見開き、いわゆる『鬼人化』という双剣専用の技術を使い一気に10回にも及ぶ斬撃を繰り出した。
 流石にこの攻撃は堪えたのか、ヤツは更なる悲鳴をあげて後ろに飛びずさった。

「さぁ、今までの分まとめて返して上げるんだからね!」

 『鬼人化』すると確かに力や速度は上がるが、下手に使いすぎると身動き取れないほどスタミナを消費してしまう。
 アマチュアならそれでもやりつづけようとするだろうが、私はいっぱしのハンター。そんな愚は犯さないで直ぐに『鬼人化』をやめて双剣を構えた。

「グォァーーーー!!」

 ドドブランゴの咆哮。初めてきいたそれは確かに驚くほどの大音量ではあったが、堪えきれぬほどではない。むしろ、隙を見せたと思ってヤツに突進しようとした、その瞬間。

「くあっ!?」

 背中からの衝撃に、私は雪原に両手をついて後ろを振り返った。見れば、1匹のブランゴが体当たりを仕掛けてきたらしかった。
 鬱陶しい雑魚は先に退治しておいたはず……と悩むが、見れば他に2匹のブランゴがこちらに迫っていた。
 慌てて立ち上がり横に避け、考える。――中でも一番無難な堪えは、さっきの咆哮で仲間を呼んだんだろう、という事だった。
 確実ではないが、確かめるような余裕はない。仕方ないので、4対1という劣勢で戦闘を再開する事にした。
 ……だが、やはり考えは甘かった。
 ドドブランゴが何処にいるかは判る。だが、その気配の大きさに隠れて3匹のブランゴが何処にいるかまったく判らないのだ。
 大ぶりなドドブランゴのラリアットを避けようとした所を、ブランゴに押し戻されて吹き飛ばされる。
 何とか起き上がって反撃しようとしたが、ヤツに攻撃をいれようとするといいタイミングでブランゴが横から体当たりを仕掛けてくるのだ。
422とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:42:58 ID:1FJ3GRYe
「ちょ、不味っ……!」

 悔しいが、此処で負ける訳には行かない。こんな所で気絶すると、ネコタクが迎えにきてくれる前に凍死してしまう可能性があるからだ。
 既に逃げる選択肢しか考えつかなかった私はクックツインズをそれぞれ迫ってきた2匹のブランゴの脳天にプレゼントすると、そのまま細い道へ逃げ出す。
 武器を失うのは惜しいが、それ以上に命の方が大切だったのだ。お陰で、ブランゴは逃げ出し私は安全に山の西側へ退避できた。

「……後でアイルーたちに頼んで、クックツインズ探してもらお……痛っ」

 一息ついて、まだ雪の吹く西側の斜面を下りていく。過去、ベースキャンプがあった場所であろう残骸を左に見ながら道を下ると、そこは麓への近道だったはずと記憶していた。
 そこで気づいた、胸の装甲が完全に破損して、中に仕込んだ鉄の破片が乳房に少し刺さっていたのだ。
 変な場所に傷が出来た……と顔をしかめ、胸から砕けた鉄板を取り出し道に捨てる。バランスが崩れたせいか、ヤツの気配がわからなくなった。
 まぁ、さっきまで東側にいたんだ。大丈夫だろう。……にしても、悔しい。
 どうやって復讐してやるか。そんな事を考えながらさらに細い道を下ると、空気が変わった。やっと麓にたどり着いたのだ……
 安心の余り、少し駆け足になる。あとはそこの崖を上手に飛び降りれば、ベースキャンプまで後少し。今回は村長に謝り、すぐやり直しさせてもらおう。
 そう考えていた矢先で、目の前にヤツが降ってきた。

「な、なっ…!?」

 あまりの事態に困惑する。後少しだというのに、ヤツめ。尻尾を切られた腹いせにか私を此処まで追いかけてきたのだろうか。
 武器はない。防具もない。体力も残っていなければ、後ろに引き返す手は考えられない。
 あるのは、あいつの体をすり抜けて逃げ出すという手だけだった。覚悟を決めるしかない……そう考えた矢先、ドドブランゴはこんな薄い雪の中に潜り始めた。
 焦ってしまう。まだこの攻撃は1度しか見ておらず……故に、どこから出てくるか判らない。
 考えてみれば左右の岸壁にも雪の層がある。もしかしてそこから飛び出してくるかもしれないし、足音に反応して飛び出して
 考えられたのは、そこまでだった。その時には私はもう、大地から飛び出してくるドドブランゴに弾き飛ばされ、空中に投げ出されていたのだから――。
423とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:43:36 ID:1FJ3GRYe
 *        *        *

「……っ……ぁ……?」

 幸か不幸か私は気絶する事だけは回避していた。雪が厚い場所に落ちたせいもあるだろうが……なんにせよ、体は動かない。
 はぁ、後少しって所で負けちゃった……私の人生初黒星め、次は逆転勝利してあげるんだから。とにかく、ネコタクを待って……
 ……あれ?なんで、アイルーたちが助けにきてくれないんだろうか。
 わずかに動く腕でふと腰を探ってみると……げげ、照明弾が無い。気絶して地面に倒れると自動的に発射されてアイルーたちに危機を知らせる、それの最後の1個が消えていた。
 恐らく、あの後ろからブランゴがぶつかってきた時にでも落としてしまったんだろう。…大失敗。
 という事は……依頼期限である50時間経過まで、アイルーたちは着てくれない、という事だ。
 時間は……確か、あと10時間程度?……そんな長い間、ここに寝ていないと行けないのか。ちょっと絶望。
 そこまで考えて、ふと、気づいた。……うっすら目を開けると……

「う、うわっ!?」

 ドドブランゴが、近くにいた。だが、少し様子がおかしい。私を襲って食うでもなく、雑魚ブランゴを呼ぶでもなく。
 うつぶせに倒れて身悶えするだけの私に近寄り、じーっと見ているだけだった。
 逆に、気持ち悪い。そのせいで悲鳴のような声が出た。ドドブランゴのほうも驚いたのか、少し顔を遠ざける。

「な、何見てるのよ……っ」

 まだ体は思うように動かない。だが、モンスター相手におとなしくするなんてのも無理。
 精一杯の虚勢を張り、相手を威嚇しようとしたのだが……そこで、驚くべき行動を取られてしまった。
 ドドブランゴが腕を振り上げ……その大きな手で、私の乳房を掴んできたのだ。

「んっ、ぅ……!?」

 心が怯えていた私は、突然の行為に鼻にかかるような声を漏らしてしまう。
 吃驚していた。モンスターがまさか、こんな行為をしてくるとは思いもしなかったから。だから、動きが止まっていた私に気をよくしたのか、今度は両手を持って胸に触れてくる。

「い……っ!っは、な、何……っ!?」

 よくもそんな大きな手で、そんな繊細な触り方が出来るものだ。――妙に冷静になっていた心の一部がそう考えつつ、私は喘ぐような声を漏らす。
 確かに胸のサイズには自信はあったが、まさかドドブランゴ相手に触られる事になるとは。というか、相手からすると十分小さいだろうに。
 それでも、何も言わずにただ乳房を揉み捏ねる動きに、私は次第にホットドリンクを飲んでいたかのように体に熱を帯びていた。
 ふと、乳房を攻められながら下を見ると……そこには、ドドブランゴの勃起した男性器が聳え立っているのが見えた。
 まさか、こいつ……私相手に欲情している……!?
 心はそれを否定するが、この状況では認めざるを得ない。殺すでもなく、ただ私を攻め。さらに接合の準備まで整えているのだから。
424とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:44:23 ID:1FJ3GRYe
「い、嫌……嫌っ!?」

 再び心に恐怖が走る。冗談ではない。これまで20年護り続けた処女が、こんな人間ではない相手に散らされていいはずがない。
 それだというのに、私の体は胸への愛撫だけで高まり、秘所は潤いを持たせてしまっていた。
 顔も熱を帯び、風を涼しく心地よく感じる。――私の馬鹿。何で、モンスター相手に発情しちゃってるのよ!

「ん、あ、ぐっ……」

 全身の力が抜けていき、最初は逃げようとよじっていた体も動きを止める。すると、ドドブランゴも胸への愛撫を止めた。
 ……悔しい。今、きっと自分は蕩けた顔で寝そべっているはずだ。以前、一人で慰めていたのを友人(♀)に見つかった時、言われたのだ。
 気持ちいいのが凄く顔に出やすいんだね、と。慰めになってない! と、あの時は烈火の如く怒りに燃えたが、だとすると、今もそうなのだろう。
 逃げたい、逃げよう。そう考えるが、体はまったく意思の通りに動いてくれない。ただ全身がかすかに震えるだけだった。
 ドドブランゴはそこでさらに驚くべき行動にでる。……なんと、私の衣類を脱がそうとしたのだ。
 結果だけを言うと、結局フォールドの嵌めベルトが理解できなかったらしく、メイルと同じようにその腕で砕かれ、破壊されてしまったが。
 それでもインナーを破いたりせず、持ち上げて乳房を露出し、引き下ろして股間をさらしただけで済んだ。

「い、一体……何、あんた、何なのよ……ぉ……」

 逆に怖かった。変に理性的に動くから。泣くような声で疑問の言葉を投げるが…やはり、返事をしようとしない。
 ただドドブランゴは脚を開かせようとし……ジョーツがひっかかり、広げきれないのに腹を立てて、結局それを破り捨てただけだった。
 顔は蕩けつつ涙を流し、乳房も露出させてショーツの残骸を両太ももに残し、私はドドブランゴ相手に脚を開いていた。
 泣くしかない。逆に笑えるかもしれない。心は何度も嫌だと、逃げようと思っているのに体は望んでいるのだ。
 私……こんな淫乱じゃない……はずなのに……
 ドドブランゴが両手を私の頭の横におき、何度も挿入しようと腰をグラインドさせる。それがまた、私の体をくすぶらせた。
 童貞なのか、ずっと股から臍にかけてをペニスでこするだけ。向こうもじれったいのか、鼻息荒く腰を動かす。
 にちゃにちゃと、ドドブランゴの先走りの液と私の愛液が混ざり、いやらしい音が周囲に響く。
 聞く者はいないのに、それに顔が更に赤くなって液を多く分泌させてしまった。
425とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:45:03 ID:1FJ3GRYe
「んっ……っひ、ぅっ……」

 悔しいが、認める。私は既に喘ぐ声を漏らしていた。気持ちよさのせいで。数十分も、ただ胸を触られ秘所を擦られただけで、満足できていなかったからだ。
 ドドブランゴの方も気持ちよさそうではあるが、どこか不満そうな顔をしていた。……何故そんな事が判ったかは不明だが。
 とにかく、そんなじれったい時間が過ぎ……ついに、ドドブランゴも我慢の限界に達したのか、私の体をうつぶせに転がした。

「っぅ、冷たっ……」

 少しならば身動きの取れるようになった体だが、もう逃げる気力は消えうせてしまっていた。
 尻を捕まれ、持ち上げられる。……頭に、猿同士の交尾の場面が浮かび上がった。
 ……あぁ、人間もサルで、ドドブランゴもサルだから、発情したっていうのかな?……ありえない。

「痛ぅぁぁぁっっっ!!!」

 余計な事など、その一撃で頭の中から消し飛んでしまった。
 我慢の出来なくなったドドブランゴは、既に前戯が済んだような状況になっているとはいえ、処女の膣に一気にその肉棒を突き入れてきたのだ。
 痛いなんてもんじゃない。あのドドブランゴにやられたタックルなんて目じゃない。これはきっと、リオレウスのタックルを食らうより痛い。

「っきぃっ!?っひ、痛っ!!い、あっっ!!!」

 そんな事も吹き飛ぶくらいに痛い。そもそも相手も理性がないケダモノなんだ。こっちの体の都合など考えず、ただ自身が気持ちよくなるように腰を動かす。
 泣き叫びながら、私は動かない体を前後に揺らしながらドドブランゴを受け止めていた。
 ……やがて、ドドブランゴは限界に達したのか。激しく腰を突き入れたかと思うと……膣の最奥で、中に精を吐き出してきた。

「あ、あぁっ……い、いや……ぁぁっ……」

 感覚で、理解できた。ドドブランゴの精液が私の子宮に注がれているという事実が。辛い、と思ったが……これで、終わったと少し安心もできた。
 だが、そんな安心は直ぐに打ち消される。ドドブランゴはそのまま、再び腰のグラインドを開始してきたからだ。
426とあるハンターとドドブランゴの関係:2007/07/18(水) 16:45:18 ID:1FJ3GRYe
「っひ、ぇ、ぁぁっ……!?」

 純粋に、快感だけによる喘ぎが口から漏れた。驚くくらい、その、肉棒が体を抉る感触が気持ちよかったせいだ。
 異常だとも思っていた。さっきまであんなに痛かったそこが、まったく痛みなど感じさせなくなっていたからだ。

「ん、んんぁぁぅ!っひ、いん!ん!んんっ!!」

 怖い、と一瞬考えたが……やはり、そんな小さな考えもすぐに快楽の波に飲まれて消えていった。
 指では感じる事のできない体の中を、ドドブランゴのペニスがどんどん抉り、私に快楽を刻み込んでくる。
 次第に、私の腰は意思から離れて相手の動きに合わせてくねりはじめていた。するとドドブランゴもより快感を感じたのか、激しい動きで私を攻めたてて行く。

「っひ!っひっぁぁっ!っふ、いぅん!んっ、ぐ、ぁ、いいっ…!!いいっ!ぁっ!!」

 まるで私もケダモノになったかのように、やがて行為に没頭していった。
 自分から腰を動かし、汗を散らし。背後位なので動ける範囲は少なかったが……その時は、まるで愛し合う二人であるかのように、私はドドブランゴに快感を与えるために腰を動かしていた。
 やがて、再びドドブランゴに限界が訪れ…我慢もなく、私の子宮に更に精液を注いでくる。

「い……ぁ、ぃっ!い…っく、イク…ぅっ!!!」

 どぶっ、と体内から粘っこい音が伝わり、その音に脳をかき混ぜられながら、私ははじめての絶頂に達し、意識を手放した……。

 *        *        *

「あの時は辛かった……」

 後で知って安心した事として、ドドブランゴのペニスサイズに関する事がある。
 類人猿に分類されるドドブランゴのペニスサイズは体格に反して小さく、キングサイズのドドブランゴでも大人の男性の腕ほどのサイズなのだそうだ。
 あの時のドドブランゴのサイズは私の報告から最小認定されている。つまり、そんな大きいものではないのだろう。
 ともかく、はぁ、と今でもたまに思い出して苦悩する。アレから私の人生は大きく道をそれたんだと思う。
 いや、大筋は変わってはいないのだが。……ハンターは天職だと思うし、やめる気などさらさら無い。
 ……だが。やはり、道をそれたのだ。

「変に紳士的っていうか……よくわからないヤツだけど……」

 あの後、私はベースキャンプ近くの湖のほとりで発見されたらしい。
 鎧も砕かれて、恐らく負けただけだと処理されたようだ。……現場に、ドドブランゴの姿は影もなかったのだから。
 詳しい事は判らないが、どうやらアイツが私が気絶したのを見て、あの場に放置したんだろう、と私は考えていた。
 何故なら、それは2回目の敗北に意識のあるまま、同じ事をされたのだから。
427418:2007/07/18(水) 16:47:42 ID:1FJ3GRYe
以上となります。
自己反省として、ちょっと改行が少なく読みづらい気がしてます。
申し訳ない。次書く時はもっと読みやすいように考えてみます。
以下何事も無かったかのようにハンターの装備談義をどうぞ
428名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:51:43 ID:e5s2MQpx
武器防具なんざ、書き手が好きなもん装備させてりゃいい。
この作品のハンターの強さじゃ設定的にも希少種装備は不自然?黒龍装備なんてありえない?
二次創作のスレで何言ってんだか。擬人化と一緒でそれもひっくるめてそういう設定、くらいに思っといたほうが楽だぜ。
429名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:55:20 ID:OYTnIhTq
>>427
GJ!!



だが卑屈すぎると逆にアレなんだぜ
430名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 16:58:00 ID:+UYvIId/
>>427
イィィィィィィィヤッホゥゥゥゥゥゥッゥゥゥゥ!!!
久しぶりのエロエロに俺の赤フルフルが戦闘態勢だZE!
431名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 17:11:12 ID:U52B9wBj
>>429
あ、いえ。単純にコピペ終了してざっと見て、右端から折り返してるのが気になっただけです。
環境の問題なんで、どれくらいで改行すればいいかちょとわからないんで、他の人の文章読んでから次のはもっと読みやすいのにしたいなぁ、と思っただけです。
卑屈っぽく取れたらすいません。
432名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 17:36:24 ID:xP7YGICm
>>428
二次創作だからこそ設定を考えるべきだろ
DQの二次創作で戦士が普通にはぐれメタルの剣を持っている事に違和感が無いと思うか?
見ていてポカーンってなるのは流石に考え物
433名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 18:55:16 ID:e5s2MQpx
>>432
その例えなら、書き手がそういう風に設定したんなら俺は別に違和感ない。
その戦士が歴戦の戦士なのか、それとも駆け出しのひよっ子なのか判断できないし。
逆に聞きたいんだが>>375で挙げられているゴルトだが、「このハンターは希少種を狩猟しまくってゴルトリコーダーを手に入れました」って設定があったらいいのか?
それとも、そういう設定があっても「モンハンの設定上、希少種が狩猟しまくれるわけない」って事になるのか?
434名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 19:42:04 ID:xP7YGICm
>>433
すまない例えるにしても言葉が足りなかったな
ゴルトに関しては討伐するのと素材集めは全く別のものと思うんだ
討伐となると対象の体はずたずたになってるだろうから有効活用出来る部分は少ないだろうし
専門のハンターなら生態を完全把握して無力化した状態で始末
んで鱗から骨まで全部捌いてウマーって感じで
全部自分一人でやる理由もないんだから専門のハンターと取引して素材を入手するって手段もあるんじゃないのかね?
飛竜種や牙獣種にしても大きさ考えると一匹で十分素材は入ると考えてる
435434:2007/07/18(水) 20:06:09 ID:xP7YGICm
まあでもこんな考え方しなくてもサクラリコーダーくらいにしたらもっと簡単に落ち着くけどね
これだと結局希少種の乱獲ありそうだし
書いた本人が言うのも何だがんなもん深く考えずに妥協した方が楽しめるよね
436名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:32:03 ID:R400JzOy
>>427
GJ!普通の元気娘って感じが可愛い。
女の子のザザミ装備はいいものだ

この流れから行くと後編がどうなるか実に楽しみなんだぜ
437名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:33:13 ID:e5s2MQpx
>>434
結局、モンハンに限らず二次創作は原作の設定に沿ってないと嫌だってタイプか?
ならこれで最後。自己完結もしてるっぽいし。
正直、そこまで考え付くなら、作品内では書かれてないけどこういうことなんだろなー、って自分の脳内補完で済ませとけばいいんじゃねぇの?
いや、駆け出しハンターが説明もなく黒龍装備とかならつっこんでいいと思うけど、
書き手にお前さんが考えるような細かいとこまで描写しろっていう訳にもいかんでしょ。
438名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:39:02 ID:KNY7Fs5z
こっちみんな!
439名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:39:32 ID:KNY7Fs5z
ごめん誤爆
440418:2007/07/18(水) 20:40:44 ID:BsbbHRvT
うす。仕事場から帰ってきました。
流石に仕事が暇だからと会社でエロSS書く自分はどうなのかと悩みつつ。
否定的な意見がないようですので後編がんばります。たぶん明日の同じ時間くらいに。
所でバッドエンドとグッドエンドは皆さんどちらが好みでしょーか。
頭の中で最後付近までは出来てるんですが、オチに悩んでます。
441名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:50:33 ID:VjeaLgop
グッドバッド両方書く
442名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 21:08:43 ID:/nu+SyyP
バットエンド希望。
443名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 21:44:38 ID:TebIsYC1
俺はグッドエンドがいい。
444名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 22:02:57 ID:+UYvIId/
バッドグッドエンド両方をだね
445名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 22:10:05 ID:NxyAMrGS
グッドエンドがいい。



どうでもいい話だが、ヒトの乳ってものが発達したのは、ヒトが直立するようになって目線が高くなったからだとかな。
成熟の目印であるはずの肉付きのいいおけつが、目線より随分低い位置にある。コイツは分かりにくいなぁと。
女の体の成熟した印ってのをもっと高い位置に付けて分かりやすくしなきゃ!ってんで、乳は尻に似た姿へと膨れていったそうな。
個人的は小さい胸も好きだ
446前スレ778:2007/07/19(木) 00:46:00 ID:aSEfWzH8
ようやく打ち上がったんで前スレより続いているSSを投下。
今回は文面の都合(文字数が多すぎるとか)で投下話数が
多少増減するかもしれない。だが私はあやまらない。
以下10レス前後頂戴する。
447前スレ778「飛竜の主人」その21:2007/07/19(木) 00:47:23 ID:aSEfWzH8
『……交尾、するか……?』

 彼女が繰り返し問いかけてきたが、そこには彼女自身の願望が込められていた、
と言ったら笑われるだろうか? 彼女の方がオレを誘いたがっていた、などと思
うのはある種の自惚れであろうか……?
 どちらにせよ、その時のオレにはそう聞こえたし、それを嬉しく感じていたこ
とも認める。だが、それでもオレは欲望に抗った。ここで刹那的な肉欲に流され
たら、双方にとって悲劇的な結末を迎えるであろう強い予感があったのだ……。

 オレは深呼吸をし、ゆっくり立ち上がって彼女の顔を正面から見た。人間の成
人女性の平均に比べるとやや長身の彼女だが、それでもオレの方が上背が(彼女
が変身する前なら)あった。彼女はオレの目を見上げるように静かに視線を受け
止め、オレが彼女の身体を下側から順に見上げていったのとは逆に、オレの顔か
ら首筋、胸、腹へと徐々に視線を下げて行く。
 オレは彼女に対して欲情などしていないと口にしてはいたが、言葉とは裏腹に
男のシンボルが強く脈打ち、淫らな肉の期待に震えていることを強く意識してい
たため、彼女の視線がそこに降りていくのを見て恥ずかしくなった。パンツも脱
いでしまっていたので、文字通り全裸であったこともある。多分、今のオレは耳
まで赤くなっているに違いない。

「だ、ダメだ! 見るな……!」

 誓って言うが、オレは彼女の視線が下に向くのを止めたかっただけだ。思わず
手を伸ばし、右手は彼女のほっそりした顎を、左手は彼女の肩を掴んでいた。彼
女の肌に触れたいという気持ちが皆無であったかと問われたら……実はかなり怪
しい気もするが、それ以上の意図はなかったのだ。
 少なくとも、彼女の方からオレに触れてくるまでは。

『……羽ナシ……オマエ、身体……きれい……』

 「飛竜」である彼女が人間の裸の肉体を目の当たりにしたら、刺激されるのは
食欲であるとオレは信じて疑わなかった。しかしどうだ、実際に彼女が刺激され
たのは、まぎれもない性欲の方ではないか。
 もしかすると、オレがそうとは知らずに行っていたらしい「飛竜」の求愛行動
――雄が暴力で雌を屈服させ、その後に食肉を与えるという謎に満ちた行為――
が、異種族のオレを性の対象と誤解させる一因になっているのかもしれないが。
 だが何にせよ、彼女はオレが自分に触れたことを問いへの答えだと思ったに違
いない。彼女の方から歩み寄り、掌でオレの胸や腹を優しいといってもよい手付
きでそっと撫でる……そしてそのまま身体を預けてきたのだ。

「ッ……!」

 オレに寄り掛かるように、ほっそりとした肢体を押し付けるようにしてきた彼
女の髪が首筋をくすぐり、その熱い吐息が胸板に吹き掛けられた途端、ただでさ
え抑えの効かなくなりつつある欲望が暴走し、理性が崩壊しそうになった。

『……羽ナシ……身体、くっつく、気持ちいい……』

 彼女はオレの肌の感触が気に入りでもしたのか、小動物が信頼しきった飼い主
に甘えるかのように左右の頬を何度も擦り付け、ますます身体を押し付けてくる。
オレの腹の辺りで丸い二つの肉感的な「何か」が押しつけられ、柔らかく形を変
えているのを感じると、オレはほとんど泣きそうになっていた。
448前スレ778「飛竜の主人」その22:2007/07/19(木) 00:48:15 ID:aSEfWzH8
 どちらかというと淫蕩な肉欲というよりは健全なスキンシップによる心地よさ、
「飛竜」にとっては初めてであろう他者との触れあいによる快適さを求める行為
であったのかもしれないが、己の行為がどれだけ男の性を刺激する過激な接触で
あるのか、おそらく彼女自身は気付いてはいまい(そしてそれがまた恐ろしい)。

「う、うぅっ……な、なぜ神はオレにこのような苦行を……!」

 ロクに信じてもおらず、日頃祈りの一つも捧げない神に文句を言いつつも、オ
レは痩せ我慢を続けた。だがそんな苦悩など微塵も感じていないらしい彼女は、
己の欲望に正直だった。正直すぎた。オレが全身を硬直させて目を白黒させてい
る間にも、人間を堕落させようと恐るべき雌火竜の攻撃は続いたのだ。

『羽ナシ……固い……熱い……』

 川辺の冷たい外気に晒されつつ疼く欲望にそそり立っていた肉茎に、彼女の柔
らかな肉体――川の水に濡れているにもかかわらず、熱く、吸い付くような肌の
感触――が押し付けられた途端、思わず腰を引いてしまう程の甘い痺れが背筋を
這い上がり……オレはまるで初心な女の子のように喘いだ。

「あ……あぁ……うくッ……!」

 歯を食いしばり息を整えようとするが、彼女がモゾモゾと身動きする度に肌と
肌が擦れ、官能が高められてしまう。人間的な思考、理性が揺らいでいき、ただ
目の前の女が欲しい、という根源的な欲望に精神が塗りつぶされようとしている。
早鐘のように打つ鼓動が耳の中でうるさく、考えるという行為の邪魔をする。己
の心臓ですら主人を裏切って誘惑に身を任せろと囁いてくるかのようで、オレの
我慢も限界に達しようとしていた。

「ま、待て……ダメだ、落ち着け……!」

 果たして、オレの台詞は自分と彼女のどちらに対してのものであったのか。
 口では拒否しながらも、オレは彼女を押し退けようとはしなかった。それどこ
ろか、震える両手は知らない内に彼女を抱き締めようとその背中に伸ばされ、寸
での所でそれに気付き、慌てて手を引っ込めるということをすでに数回繰り替え
していた。

『……羽ナシ……交尾……私、熱い……交尾……交尾、したい……』

「……ッ!」

 ちょっと想像してみてもらいたい。目の前に野性的な瞳の輝きを持つ全裸の美
女が居て、その女の顔がモロに自分の好みで、身体の方も文句のつけようがない
素晴らしいものであったとしよう。同じように全裸である自分に女の方から抱き
着いてきて散々誘惑された挙げ句、下から見上げるようにして「抱いて」などと
言われたら……これを断ることがどれだけ苦痛であるか、健康な肉体を持つ男性
諸氏には今さら説明するまでもないだろう。この時のオレが置かれた状況とは、
まさにそういうものであったのだ……。
449前スレ778「飛竜の主人」その23:2007/07/19(木) 00:49:10 ID:aSEfWzH8
 と、その瞬間、ある異変が――果たしてこの異変が起きなかったら、オレは一
体どうしていたのか。それはまさに神のみぞ知る、といったところだ――オレと
彼女を襲った。
 突然、空気を打つ力強い羽ばたきの音が川辺に木霊し、派手に砂ぼこりをまき
散らしながら別の「飛竜」が飛来したのだ。
 「飛竜」は大柄で、全身から凶暴な雰囲気を発しているように思えた。月明か
りが逆光となって顔は見えなかったが、口元の辺りで炎をまとった息吹きが渦を
巻き、その正体が火竜の眷属であることを物語っていた。
 
「……リオレウス……!」

 ゆっくりと地に降り立った「飛竜」の姿は、腕の代わりに一対の翼と足の巨大
なカギ爪、長い尾を生やした大柄な異形の人間の男であり、自ら吐いた炎の息に
照らされた顔は深紅のウロコに被われ、狂気を孕んだ眼光と憎悪に歪んだ口元、
剥き出しの乱杭歯のせいで見るも恐ろしいものになっていた。とてもではないが
好意的な意図の来訪とは思えなかった。
 雄火竜は寄り添うように立っていたオレと彼女の方を睨みつけてくると、逞し
い胸がさらに膨れ上がるほど深く息を吸い込み始めた。

「ヤバッ……!」

 オレは慌てて耳を塞ごうとしたが間に合わず、雄火竜の凄まじい咆哮をモロに
浴びせられるはめになった。ほとんど物理的な圧力を持っているように感じる程
の大声量は、川向かいの崖や固い石畳に反射してさらにその威力を増していた。
 ハンターたちが「飛竜」種と戦う際、ある意味でもっとも恐れられているのが、
このバインド・ボイスと呼ばれる雄叫びだった。当の「飛竜」たちにとっては単
なる威嚇や、挑戦を意味する程度のものでしかないのかもしれない。
 しかしそれを聞かされる側からしてみればたまったものではなく、耳をつんざ
き鼓膜を破るほどのその咆哮を至近で叩き付けられると、激しい頭痛と本能的な
恐怖で金縛りにあったかのように身がすくんでしまうのだ。
 大の大人であっても「飛竜」の咆哮を耳にして失禁してしまった、という者は
実は少なくない。女子供や老人ならショックで心臓が止まりかねないだろう。
ベテランハンターの中にはこの咆哮の克服のためだけに、高い金を払って特製の
耳栓を用意する者も居る位なのだ……。

 雄火竜の雄叫びが雷鳴の如く轟き、耳の奥、頭の中を直接ハンマーで殴られた
かのような衝撃でオレはひっくり返りそうになり、苦痛に呻いてヒザをつかずに
いるのがやっとだった。両耳を塞ぎ、何とか雄火竜の正面から逃れようとフラつ
く足を無理に動かしたのだが、痛みと混乱で自分がどこに向かっているのかも判
らない有り様だった。
 彼女、雌火竜の方は何時の間にか戦闘形態に変身を終えており、翼となった両
腕を広げながら新たな「飛竜」を威嚇していたが、次の瞬間、猛烈な勢いで突進
してきた赤いウロコの雄火竜の体当たりを避け切れず、背後に居たオレを巻き込
んで吹っ飛ばされた。
450前スレ778「飛竜の主人」その24:2007/07/19(木) 00:49:50 ID:aSEfWzH8
「がぼっ……ごぼッ……げほッげほッ……!」

 飛ばされた先が用水路の方だったのは不幸中の幸いだった。これが石畳の上や
岩場であったら、この一撃で鎧を着ていないオレは昏倒、悪くすれば死んでいた
だろう。水中に没し空気を求めて喘いでいたが、すぐに立ち上がって息ができる
ようになった。これは裸で防具の重さがなかったからだが、こうした偶然や幸運
は(護符があろうと)そう何度も続くまい。
 まだ耳の奥に鋭い痛みが残ってはいたが気にしてはいられない。岸に突き立て
ておいた愛剣の姿を求めて周囲を見渡し、位置を確認するとオレは走り出した。

『私、狩り場! オマエ、出て行け!』

 駆けながら横目で見ると、彼女は体躯が自分の倍くらいはある雄火竜と川中で
対峙していた。彼女の動きは機敏で、雄火竜に捕まらないように翼を使いながら
水面上を後退し、足のカギ爪を振りかざしている。雄火竜はそんな彼女に向かっ
てしゃにむに突進を繰り返し、いらただしげに猛り狂っている。

『メス! メス! オマエ、オレのモノ! オレと交尾だ! オレと交合しろ!』

『オマエ、キライ! キライ! あっち行け!』

 密林に雄火竜が姿を現すことは珍しい。雌火竜より大柄な身体と大きな翼の持
ち主であるリオレウスたちは、木々が密集しすぎた場所や狭い洞窟の奥など、飛
び回るのに支障がある場所を嫌うのだ。
 それが一体、何故こんな場所にやって来たのかと思ったが……考えてみれば今
は繁殖期のまっただ中だ。雄は雌の姿を求め文字通り飛び回っているに違いない。
 ようはあのリオレウスは女が欲しくてトチ狂ったスケベ野郎ってコトだが、彼
女の方にその気は無いのか、隙あらばカギ爪を突き立てようという勢いで激しく
拒絶している。先はオレにあれほど「交尾交尾」と繰り返し言っていたコトと比
べるに、随分と待遇と態度に差がある気がする。
 もしかすると彼女は、今ではオレに敵意どころか並々ならぬ好意を持っている
のでは……? などと愚にもつかぬコトを一瞬思って笑みが浮かんだが、そのお
かげでオレは事態に対処すべく冷静に考える余裕を持つことができた。

 雄火竜は己の欲望を満たすためにやって来たが、雌火竜の方はその気がない。
だから「飛竜」同士の凄まじい決闘が行われることになるのだが、見た限りでは
雄の方が有利なようだ。彼女は素晴らしく身が軽く、一見雄火竜を翻弄している
かのように見えないこともないが、その実、体力の絶対的な差が現れ始めており、
徐々に追い詰められていた。
 このままでは彼女は体力勝負で押し切られ、組み伏せられて敗北を喫すること
になるだろう。そしてその後は……雄火竜は食肉……この場合、もっとも近い場
所で手に入る肉と言えば……そう、オレだ。オレを殺して(あるいは生きたまま)
食肉として彼女の前に突き出し、彼女と交尾をしようとすることになるのだろう。

「クソッ……人妻との浮気の現場に怒鳴り込んできた旦那にブッ殺された挙げ句、
 ベッドイン前の軽いオードブル代わりってか? 冗談キツイぜ……」
451前スレ778「飛竜の主人」その25:2007/07/19(木) 00:50:29 ID:aSEfWzH8
 彼女と飛来した雄火竜とがグルになっていたのならともかく、そういうことは
ないのだから事実とは違うのだが、結果としては「飛竜」の美人局(つつもたせ)
にひっかかったようなもの。そして巻き上げられるのは金銭ではなく、一つしか
ない命だというのだから酷い話もあったものだ。
 愛剣を手にすることができたオレが嬉しくない未来を想像している内に、彼女
の悲鳴と雄火竜の勝利を確信した笑い声が上がった。

『……は、離せッ! オマエ、キライ! キライ! キライ……!』

『ウハハハハハッ! メス! メス! まぐわる! 交尾する!』

 彼女は浅瀬で組み敷かれ、雄火竜にのしかかられていた。
 雄火竜は戦闘形態を解いて両腕が人間と変わらぬそれになっており、太い指で
彼女の翼爪の部分――変身前なら掌から手首の辺り――を押さえ込み、足が動か
せないように彼女の大腿部の上に腰を降ろしている。

『ヤダ! ヤダ! キライ! キライ! オマエ、イヤ! 交尾、イヤ……!』

『オマエ、オレのモノ! オレ、オマエの上乗る! まぐわる!』

 彼女は必死で抵抗を試みていたが、こうまで完全に押さえ込まれてしまうと純
粋な筋力差はいかんともし難く、形勢の逆転は不可能に見えた。それでも彼女は
必死に身を振りほどこうと足掻き、牙を剥いて威嚇を繰り返している。だが勝利
に酔った雄火竜にはそんな彼女の抵抗すら心地よいものなのか、吠えるように短
く笑うだけだった。

『オマエ、オレと交尾、タマゴ産む、タマゴから子供出る。オレ、子供喰らう!』

 雄火竜は狂気めいたことを口走りながら彼女の首筋に噛み付いた。オレの居る
場からでも牙が甲殻やウロコを喰い破り、皮膚と肉を裂く音が聞こえてくるほど
の深手だった。赤い鮮血が川の水に混じり、ゆっくり拡がりながら流れていく。

『い、痛い……! イヤ! イヤ! 離せ……!』

 何故、「飛竜」種が強い独立独歩の精神を持ち、群れを造らず孤独な存在であ
り続けようとするのかが今判った。
 子を成すために交尾をするとしても、雄の「飛竜」は子を育てたいとか、後の
世に自分の血を残したいなどとは微塵も考えておらず、ただひたすらに己自身の
欲望を満たすことしか頭にない。産まれた子供は無力な獲物、食べ物程度にしか
思っていないのだ。
 だが母体はそうではないのかも知れない。身の危険を感じた子が本能的に親元
を離れるのか、それとも母親が早々に子を追い出すのかは知らないが、少なくと
も腹を痛めて産卵したのは、我が子を父親に喰い殺させるためではないはずだ。
 そしてそんな実情があるから、発情期の雌雄間ですら「飛竜」種は戦うのだ。
雄は雌を暴力で屈服させ、無力化した上で交尾に及ぶ。事実上の強姦だ。「飛竜」
同士の戦いは凄まじい殺し合いだから、雌は死の寸前まで痛めつけられる。そこ
で失った血を取り戻させるために食肉が必要になるというワケだ。
452前スレ778「飛竜の主人」その26:2007/07/19(木) 00:51:03 ID:aSEfWzH8
 あまりと言えばあまりにも凄惨な「飛竜」の生態に、オレは胸が悪くなる思い
だった。血も涙もない怪物、という言葉は、まさに「飛竜」種の雄のためにある
ような言葉だった。

 オレがそんなコトを考えている内に、雄火竜は長い舌を伸ばして彼女の首筋に
押し付け、傷口から流れ出る血をすすりだした。まるで彼女の血と苦痛が上質な
ワインでもあるかのように咽を鳴らして味わい、堪能していた。
 同種族間の自然な営み、子を成すための行為なのだと判っていても、おぞまし
くも痛々しい光景にオレは目を背けずにはいられなかった。彼女の声からはすで
に力が失われており、目には大粒の涙が浮かんでいたのである……。

『イヤ……イヤ……イヤ……』

 本来ならオレはこの時、迷わずに逃げ出すべきであった。2頭の凶暴な火竜が
取っ組み合いをしている現場に居合わすようなことになった場合、まともな精神
の持ち主なら一目散に逃げだしているはずだ。雌雄間での決着が付き、次に狙わ
れるのは間違いなく自分だと判っているのなら尚更のことだった。

 しかし……オレは逃げ出すことができないでいた。彼女の目から大粒の涙がこ
ぼれ落ちた時、オレの中で何かが膨れ上がり、弾け飛んだ。
 それは怒り。複雑な愛憎の入り交じった、だが純粋な怒りだった。

 半日かけて死闘を演じ、言葉が通じることが判ってからは友情に近い信頼関係
を築けそうな所まで辿り着き、最後の最後には誤解から生じた事態とはいえ情を
通じる寸前までいった女――この時はすでに雌という言葉を使うのは彼女に失礼
な気がしていた――をオレから奪い、傷つけ、泣かした雄火竜への怒り。
 そして何より、彼女に惹かれていながらもそれを認めようとせず、いざという
時には守ってやることもできないくせに信頼だけは欲し、それが勝ち取れず、彼
女が勝ち目のない戦いに一人で身を投じて身の破滅を招いたコトに拗ねた挙げ句、
「人間としてはそれが当然」などと賢し気な言葉で自身を偽り逃げ出そうという
情けない男、卑怯で矮小な自分自身に対する怒りだった。

 認めろ。彼女に惹かれていることを認めるのだ。そして自分にとって大切な存
在……惚れた女が他の男に乱暴されているのを黙って見過ごしてよいのか……?

「……いいワケあるか、このヘタレ!」

 オレは後先かえりみず、愛用の大剣を手に走りだしていた。
 頭の片隅にある冷静な部分が「バカ、やめろ、とっととこの場から逃げろ!」
と警告を発したが、心の奥底からマグマのように沸き上がる熱い怒りがそれを飲
み込んでしまい、憎むべき敵、暴虐な雄火竜の血を求めてオレは吠えていた。

「彼女を離せ、トカゲ野郎! オレが相手になってやる!」

 王宮に仕える騎士が決闘を申し込むが如き堂々たる挑戦の叫びではあったが、
昨日までのオレが「飛竜」相手にそんなマネをする奴を見たら、完全に狂ってい
るか本物の馬鹿だとでも思ったことだろう。だが今のオレは自身の卑小さ、彼女
を裏切り逃げようとしたことを恥じる気持ちでいっぱいで、それら全てを雄火竜
と共に打ち砕いてしまいたかったのだ。決して自暴自棄になったワケでも、恐怖
で頭がおかしくなったワケでもない……はずだ。
453前スレ778「飛竜の主人」その27:2007/07/19(木) 00:51:53 ID:aSEfWzH8
 とは言うものの、ハンターとして培ってきた経験と本能は、裸のまま「飛竜」
と交戦することを全力で避けたがっていた。
 準備万端の状態であったとしても、対「飛竜」戦では叩いては逃げ、逃げては
叩くをしつこく繰り返すことで獲物の疲弊と焦りを誘う。そうやって少しずつ力
を奪っていき、最後には寝込みを襲ったり罠をしかけたりして仕留めるのだ。
 つまり今オレがやっているように不意を突くこともせず、正面から堂々と名乗
りを上げた上、素っ裸に大剣一本という状況で向かっていくのでは殺して欲しい
と言っているようなもの、自殺行為に等しい愚行だった。
 そうと判ってはいても……すでに名乗りを上げてしまったのだから仕方がない。
彼女にまたがるようにしている雄火竜の前に立ちはだかったオレは、剣を背負う
ための皮ヒモの位置を調整しつつ相手の出方を待った。

『……キサマ、しゃべれるのか? 羽ナシ……ではないのか……!?』

 どうやら、人間の言葉が通じるのは彼女だけではなかったらしい。
 オレ自身、前触れもなしに突然連中の言葉が判るようになったのも謎なのだが、
どうして今日は出会う「飛竜」の方でも、ことごとく人間の言葉を解する者ばか
りなのだろう? と驚き不思議に思ったが、雄火竜の受けたショックも相当なも
のであったらしい。口をポカンと開けオレを凝視している。オレは言い放った。

「羽ナシがしゃべれたらどうだってんだ、え? 女をいたぶるしか能の無い変態
 野郎め。火竜の雄ってなぁとんだ臆病な腰抜けだな。女を殴ることはできても
 羽ナシと戦う勇気すら出てこないとはな! さぁ来いよ、トカゲ野郎!」

 人間の言葉を理解できないのなら何を言っても侮辱されたことにも気づくまい
が、この雄火竜はオレの言葉を聞き分けている。「飛竜」の持つ価値観では理解
し難い罵倒が含まれていたかも知れないが、少なくとも面と向かってコケにされ
たことだけは判ったようだ。

『……ト、トカゲだと!? キ、キサマ……オレがあんなチビだと言うのか!
 あんな無力な獲物と同じだと抜かすか! 羽ナシめ、許さんぞッ……!』

 片言めいた、短い単語でしかしゃべれないのだとばかりと思っていたが、意外
にも雄火竜はちゃんとした会話ができるらしい。彼女に対しては欲望剥き出しの
ケダモノのようだったので、てっきり知能のほども知れたものだと思っていたの
だが……怒りを覚えると冷静になるタイプなのか? 実にらしくない話だ。
 まぁ、それはともかく冷静になられるとそれはそれで危険な気がする。ここは
あえて怒りを煽ってモノを考えられなくしてやろう。注意をこちらに向けさせ、
この場から引き離して彼女が逃げ出す時間を稼ぐのだ。

「そんなにトカゲって呼ばれるのがお気に召したか? なら好きなだけ聞かせて
 やるよ! やーい、トカゲトカゲトカゲトカゲトカゲトカゲーッ!」

『キッ、キサマーッ!』

 まるで子供の口喧嘩のレベルだが、この雄火竜にとってはどうにも許せぬ屈辱
であったらしい。吠えると同時に戦闘形態に変身し、彼女の上から身を起こして
オレに突進してきた。まずは狙い通りだった。
 銀色の月光の下、密林に眠る古代遺跡の用水路にて雄火竜との死闘が始まった。
454前スレ778「飛竜の主人」その28:2007/07/19(木) 00:52:41 ID:aSEfWzH8
 雄火竜リオレウスを狩る時に気をつけることは、まず第一にズバ抜けた突進力
である。何の予備動作もなしに加速してくるこの体当たりをまともに喰らったら、
最高級の防具で身を固めていても無事では済まない。ましてや今のオレときたら
ベルトを腰に巻いただけの素っ裸、一発で昇天間違いなしである。
 オレは慌てず騒がず、努めて冷静になろうとし、逃げ出したくなるのを堪えて
正面で待ち受ける。可能な限り引き付けておき、横っ跳びでかわす。雄火竜は突
進の勢いを殺せず石畳の上を滑り、鎮座していた石の柱に頭から突っ込みそうに
なってたたらを踏んだが、強靱な足腰が身体を支え、転倒と追突をまぬがれた。
 オレはその間に体勢を立て直し、少しでも彼女から離れようと移動している。
視界の隅で、彼女が弱々しく起き上がろうとしているのが確認できた。

「そらそら、どうしたトカゲ野郎! 鬼さんこちら、っとくらぁ!」

『羽ナシめ! 逃げるな! 戦え!』

「ケッ、笑わすな! オマエみたいなトカゲなんぞ、弱すぎて相手にもなるか!」

『い、言わせておけば……!』

 口では軽薄に罵倒しているものの、オレは内心焦りだしていた。雄火竜の爆発
的な速度は、そう何度もかわせるものではないと判っていたからだ。このままで
はジリ貧だ。逃げ回っていた彼女が捕まってしまったように、いずれオレも同じ
運命を辿ることになるだろう。もっともあの勢いで吹っ飛ばされたら、おそらく
苦痛は一瞬のこと。生きたまま臓物を貪り喰われることになるのではないか、と
いう心配をする必要だけはなさそうだ……。

「そら来いよ、トカゲ。そんなトロい動きじゃハエが止まるぜ!」

 彼女が起きて逃げだせるようになるまで、まだしばらくはかかりそうに思えた。
雄火竜の注意を引き付けたまま少しずつ木立の方に移動していき、彼女が逃げ出
すのが見えたら、オレも回れ右して密生した木立に飛び込み本格的に逃走に入る、
これがこの場で考えられる限りの作戦だった。
 かなり行き当たりばったりの計画ではあったが、道具らしい道具もないのでは
他にしようもない。そこまで考えて、オレは狩猟用の小道具を詰め込んである背
負い袋の存在を思い出した。
 荷の中には何があった? ……そうだ、閃光玉があったはず……他には何が残
ってたっけかな……?

 周囲を素早く観察し、鎧や衣服と共に放り出してある袋を見つける。雄火竜の
攻撃を避けつつそちら側に移動できないかと考え、飛び出す機会を伺っていたが、
荷のそばに近寄るということは、まだ逃げだせないでいる彼女のそばに逆戻りす
ることでもある。悩みどころであった。
 と、そこで雄火竜は妙なことを始めた。その場に留まり、足のカギ爪で大地を
削りながら低く唸りを上げだしたのだ。吐息に炎が混じり、目だけが憎々し気に
オレをねめつける……火竜が独特の怒りのダンスだった。
 火竜に限らず、「飛竜」たちは種によにって独特のクセというか、状況に応じ
て様々な動作を見せることがある。今目にしているこの怒りのダンスは火竜独自
のもので、雄火竜の内包する怒りが頂点に達しようとしていることが判った。

「うへェ……こりゃ……ち、ちょいとばかり調子に乗りすぎた……かな?」

 オレはやや逃げ腰になりつつも、その隙に滑らかな石畳の上を素早く横切って
背負い袋を拾い上げるが早いか、慌てて口を開いて中身を確かめた。
455前スレ778「飛竜の主人」その29:2007/07/19(木) 00:53:25 ID:aSEfWzH8
 しかし、あてにしていた残り1つの閃光玉以外ロクな物が残っていなかった。
 ペイントボールが3つ、捕獲用麻酔玉が2つ、ツタの葉が2束、砥石が数個、
素材玉、マヒダケ、角笛が1つずつ。光蟲を探していて見つかった米虫が数匹に
釣りバッタ数匹、それに小型の竜骨が2本ばかり……あとは鎧の留め金にぶら下
げていた肉焼きセット一式にボロいピッケルが1本、腰の皮ベルトのホルスター
に納められた回復薬が2本、ハチミツ入りの特製のやつが1本、という悲惨な有
り様だった。

「ち、畜生! オレの馬鹿! せめてタル爆弾とか残しとけよッ……!」

 数時間前の自分を罵ったところで得るものもなく、何とか手持ちのブツだけで
勝負をするしかなかった。

「……特製の大タル爆弾とまでいかなくても……痺れ罠、いや、せめて痺れ投げ
 ナイフくらいあれば……いやいや、贅沢はいわん、閃光玉があと一個……」

 無いものねだりをするのは人の性だ。しかし、文字通り裸で「飛竜」と対峙し
てるんだから、これくらいは許されるはず。同業者ならきっと今のオレのおかれ
た絶望的な境遇に同情してくれるに違いない……。
 ともあれ、オレは袋を背負っていつでも中身が取りだせるようにすると、腰の
ベルトから特製の回復薬が入った鉄の小瓶を抜き出し、首の傷口を押さえながら
半身を起こしていた雌火竜に向けて放ってやった。瓶は澄んだ金属音を立てて石
畳の上、彼女が横たわっていた浅瀬の中に転がる。

「傷に効く薬が入ってる、栓を抜いて中身の半分を傷口に擦り付けるんだ。それ
 で血が止まるはずだ! 残りの半分は苦いが飲み込め、少しは楽になる!」

 彼女は頸動脈から流れ出る鮮血で全身をまだらに染め、その姿は痛々しいこと
この上なかったが動きはしっかりしていた。瓶に手を伸ばし拾い上げ……そこで
戸惑ったように動きを止めた。

『……クスリ? セン? 何だ?』

 『飛竜』に道具の説明をいちいちしていたら、いくら時間があっても足りない
ということにオレは気付いた。どう言えば判ってもらえるか考えようとしたが、
そこへ雄火竜が再び突進してきたので、オレは大慌てで背負った大剣を楯のよう
にかかげ、刀身に身を隠すようにして衝撃に身構えた。
 怒りに燃える雄火竜の口元から炎の尾がたなびき、その身体が深紅の巨大な砲
弾のように突っ込んでくるのを目にした時、とてもではないが避けきれる速さで
はないと咄嗟に判断したからだ。

「瓶の……首を引っこ抜いて血をすすれ! 少し苦いが吐き出すな! 半分は
 傷口にかけろ、肉を喰わなくてもそれで血を止め……ぐぅッ!」

 オレが最後まで言い終わる前に雄火竜の鉄より硬い甲殻と大剣の刀身が激しく
ぶつかり、擦れて耳障りな音と共に火花を散らす。
 「飛竜」に判り易い表現を選んだつもりで叫んだが、彼女がそれを理解したか
どうか確かめている余裕は無かった。舌を噛まないよう、歯を食いしばるのに忙
しかったからだ。
456前スレ778「飛竜の主人」その30
 ランス――見るからにゴツイ、対「飛竜」用の騎兵槍――と合わせて使う分厚
い大楯ならともかく、それ意外の武装で正面から「飛竜」の突進を受け止めよう
とするのは上策とは言えない。仮に最後まで突進に引き倒されずに支えることが
できたとしても、その後は純粋な力比べとなる。そして結局は圧倒的な筋力差に
より武装と地べたの間で押しつぶされるのがオチなのだ。

「……の、野郎ッ……!」

 だから足を踏み変えて上半身を捻り、雄火竜の突進の勢いを流そうと試みる。
 しかし普段なら何とかこなせたであろうこの回避行動も、裸、裸足では上手く
いかなかった。雄火竜の怪力は想像を遥かに越え、体当たりの衝撃で刀身を後ろ
から押えていた左腕の骨にヒビが入るのが判った。石畳の上で踏ん張った足のウ
ラの皮が破れ、自らの血で滑ってヒザが落ちる。
 受け流すというより巻き込まれる、といった方が正しい勢いでオレの身体は宙
に投げ出され、きりもみをうって背中から石畳の上に叩き付けられた。

「……ッッ……!」

 不格好ではあったが何とか受け身を取れたし、背負い袋があったおかげで最悪
の事態は免れた。それでも肺の中の空気が全て強制的に吐き出され、苦痛のあま
り目の前が暗くなる。

『羽ナシ! 立て! くるぞ!』

 彼女が警告の叫びを発してくれなければ、オレの一生はココで幕を閉じたこと
だろう。忘却の闇に沈みかけた意識が浮上し、何とか失神を免れる。
 だがこの時オレが覚えたのは、死を直前にした焦燥感ではなく、奇妙で強烈な
違和感。「飛竜」の言葉や会話のあり方について、何か大きな問題、疑問にブチ
当たった気がしたのだ。
 「飛竜」種の会話……それは目を見開いたり、眉を寄せたりという表情の変化、
あるいは首をかしげる、尻尾の角度を変えるなどの身振りで意志を伝え、身体か
ら発せられる臭気や唸り声の違いによって感情を察知するなど極めて原始的な、
言ってみれば動物的なやり取りだ。本当の意味での言語とは呼べないようなもの
なのだ。
 つまり互いに詳細な意志を疎通させたいのなら、常に相手を視界に捉えていな
ければならず、視覚、聴覚、嗅覚、場合によっては触覚、味覚と五感の全てを駆
使しなければ会話は成立しない。どれが欠けても、正確な意味は伝わらないとい
うような不完全な言葉なのである。
 にもかかわらず、オレは彼女の意志、警告の意味を正確に理解できた。何故?
どうして半ば意識を失い、彼女の姿を見ることもなく、声も聞こえないような状
況で彼女の言葉が理解できたのだろう……? 言葉? 言葉だったのか? アレ
は言葉というより、彼女の声、思いが直接……。 

『羽ナシ! 起きろ! 何してる!?』

 ぼんやり物思いに耽っていたオレは、再び彼女の『声』によって覚醒した。
 体中が悲鳴を上げていたが、本能がすぐに立ち上がって次の攻撃に備えるよう
四肢に命令する。そうしなければ死ぬ。間違いなく殺される。オレは声も絶え絶
えに喘ぎながら、愛剣を杖代わりに立ち上がろうともがいた。

 オレが考えごとをしていたのはほんの一瞬の間のコトだったのかもしれないが、
この一瞬は高くついた。火竜がその名を冠するに至った炎の息吹、口腔から放た
れる火の玉の輝きが夜の闇を切り裂いたのだ。
 オレは恐怖で身をこわばらせ、迫り来る死の予感に凍りついた。