ゼノサーガ EPISODE V -エロパロ板住人はかく語りき-
『今後、タブリー鉱山の採掘及び管理はU-TIC機関が行うものとする。』
通達が来たのは突然のことだった。
その頃の鉱山は需要に対して採掘が追いつかないほどで、活気に溢れ多くの人間が働いていた。
そのため、当然ながら鉱山責任者であるテスラは接収命令に対し抗議を行うのだが、反対に無期限の採掘停止処分を受けてしまう。
「お父さん…大丈夫?」
娘のマイが、連日の対応に追われ疲れきった父を気遣う。
「頑張りすぎてお父さんが倒れたりしちゃ、意味ないんだからね」
娘の優しい言葉に微笑みながらも、頭からは心配事が離れない。
さしあたっての課題は労働者の処遇だ。
U-TIC機関に新規に採用となる者以外は解雇せざるを得ないのだが、彼らに落ち度がある訳ではない。
ある程度の退職手当てと、次の働き口くらいは用意する責任がある、とテスラは考えていた。
鉱山で働く人間は、大きく分けて二種類ある。
オーテックの整備や採掘管理を行う管理技術者と、機械では手が回らない部分を手作業でカバーする肉体労働者たち。
手に職を持つ前者に関しては、需要はいくらでもあるので働き口を探すのはさほど苦労しないのだが、問題は後者だ。
オーテックやレアリエン、ナノマシン全盛のこの時代に、人の手を必要とする作業は極めて少ない。
知識も技術も無い肉体労働者の働き口を探すのは困難であった。
そんなテスラの奔走ぶりも知らず、一部の労働者たちは苛立っていた。
いわゆる“日雇い”の彼らの中には、気性が荒く後先を考えない者も多い。
そして仕事を奪われた彼らの怒りの矛先はテスラに向かい、一家にとって最悪の事態を引き起こすこととなった。
その日は突然やってきた。
「寂しくなっちゃったね…」
労働者が去り、火が消えたような鉱山の前でマイは一人つぶやく。
物心ついた頃からここで育ち、人形やぬいぐるみの代わりに機械と火薬と鉱物に囲まれ育った。
忙しそうに、しかし嬉しそうに仕事をする父や祖父の姿を見るのが好きだった。
以前の活気はもう戻らないのだろうか。
そんなことを考えていたせいか、近づく気配に気付くことが出来なかった。
不意に背後から伸びてきた手が彼女の口を塞ぐ、何が起こったのか理解出来ずに頭の中が真っ白になる。
(な…何なの…こ…れ…?)
一瞬の間を置いて抵抗を試みるもすでに遅く、薬品の甘ったるい匂いが鼻をつき、彼女の意識は薄れていった。
マイが連れていかれたのは、鉱山からさらに市街地を離れた、森の中にある小さな古い教会だった。
気付いたとき、彼女は小部屋の据えた匂いするベッドの上で、両手を縛られた状態で寝かされていた。
目の前には三人の男が立っている。
「あなた達…たしか…」
彼らは鉱山の労働者だった。
肉体労働者の中でも特に気性が荒く、周りとトラブルばかり起こす連中だ。
父テスラは東奔西走したが、彼ら三人を受け入れる職場は結局見つからなかった。
男達は父を逆恨みしているようで、悪しざまに罵った。
曰く、“迷惑料”兼“退職金”をせしめるために今回の誘拐を思いついたのだという。
「あなた達、恥ずかしいと思わないの?
そんなことだから仕事だって見つからないのよ!」
鉱山で男達に囲まれ育ったマイは勝ち気な性格で、尊敬する父が罵倒されるのは我慢が出来ず、吐き捨てるように言葉をぶつける。
しかし、この言葉に男達の表情が一変する。
男の一人がマイの首を押さえつけ、ドスの聞いた声で恫喝してくる。
そんな剥き出しの敵意を受けるのは、彼女にとって生まれて初めての経験だった。
「ご…ご…ごめんなさい…許して…」
男性の持つ凶暴性を垣間見た彼女は急に恐怖に襲われ、男に懇願する。
マイは失禁していた。
しかしその様子は、男達の欲望と嗜虐性に火を付けてしまった。
下卑た笑いに顔を歪め、互いに顔を見合わせる三人。
「何…お願い、やめて!」
鉱山という特殊な環境で男親に育てられたために、マイは性知識に乏しかった、ましてや性体験など無縁の生活であった。
それでも男達の笑いの意味や、自分が今から何をされるのかについては、うっすらとだが本能的に感じ取っていた。
“最初の男”は40歳を過ぎてるであろう巨漢だった。
上着を脱いだ男の体はまるで熊のようで、分厚い筋肉と脂肪と体毛に覆われていた。
長年の肉体労働で鍛えられた丸太のような腕は赤銅色に日焼けしており、入れ墨が入っている。
その手がマイの体に伸びる。
「お願い!やめて!」
必死に体を強ばらせ抵抗するが、男の力にはかなわない。
組伏せられたマイを、男は再度恫喝する。
「分かり…ました…言う通りにするから、こ、殺さないで」
男は満足げに頷きマイの衣服を剥がしにかかる、ブラウスを引きちぎり、失禁して濡れたままのスパッツと可愛らしいパンツを無造作に剥ぎ取る。
彼女の母親譲りの絹のような肌を目の当たりにし、男は思わず生唾をゴクリと飲み込んだ。
マイは同年代の少女達に比べると、決して発育のいい方ではなかった。
膨らみ始めたばかりのつぼみのような胸にはピンクの小さな花弁がちょこんとついており、下腹部の割れ目にはまだ一本の恥毛も生えていない。
男の視線を感じ、反射的に足を閉じる。
(怖い…お父さん、お爺ちゃん、助けて…)
願いもむなしく男の行為は止まらない、ゴツゴツした手は無遠慮に彼女の両足を開き、濁った目は性器を舐め回すように視線を這わせる。
男の欲望はピークに達した。
男はマイにのしかかり、その小さな唇を奪いにかかる。
(こんなの…イヤ…)
マイも一人の女の子として、同世代の少女達と同じく、おぼろげながらも恋に対する憧れを持っていた。
素敵な王子様とのロマンチックな状況でのキス…そんな月並みな夢を見ていた。
しかし現実は、その空想とはかけ離れたものとなった。
ひび割れた男の唇が吸いついてきたかと思うと、軟体動物のような舌が彼女の唇をこじ開け入り込み、彼女の舌に絡みついてくる。
荒く生臭い吐息に顔をしかめかぶりを振るが、男の唇は彼女を捉えて話さない。
「んっ!…んふっ…」
“ファーストキス”を続けながらも、男の両手はマイの体をまさぐり始めた。
無骨な愛撫は全身に及び、特に胸、尻、そして股間は念入りに撫で回された。
しばらく経ち、ようやく男の唇から解放されたと思ったら、今度は男の舌はマイの体を求め始めた。
頬、耳、首筋…まるで野生動物が自分の縄張りをマーキングするかの如く、男は一カ所の舐め残しもないように彼女の体の隅々まで舌を這わせ、唾液をまとわりつかせてゆく。
そして男の舌が最後に辿り着いたのは、下腹部の割れ目だった。
左右に開かれあらわになった桃色の秘所に男の舌先が触れる。
「ん…あっ…あふっ!あうっ!」
その瞬間、電気が走ったようにマイの体は痙攣し、我慢しきれず屈辱的な声を上げてしまう。
「だっ…めっ…やめっ…んっ!」
快感と不快感の入り交じった複雑な感覚はマイを困惑させるが、彼女の体は確実に男の行為に応えつつあった。
小さな秘所に男は指をさしこみ、そこが愛液で十分に満たされていることを確認すると、ゆっくりとベルトを外しズボンを降ろした。
男の性器がマイの目の前に顔を出す、子供の頃に風呂場で見た父や祖父のそれとは違い、はちきれそうに膨らんだペニスは醜悪でしかなかった。
「もう…やめてよ…」
しかし男はやめるはずもなく、彼女の両足を開き彼自身の先端をあてがう。
「え?…ちょっと…なに、やめて…ん…んんーーーっっ!!!」
破瓜の激痛に絶叫し顔をしかめるも、男の腰は無慈悲にピストン運動を続け、マイの未発達な膣をリズミカルに突いてゆく。
(痛い…熱い…何をしているの…)
行為の意味も明確には分からず、マイはただただされるがまま受け入れていた。
ほどなくして男は絶頂を迎え、彼女の膣内に欲望を全て吐き出した。
思いを遂げた男がペニスを引き抜くと、マイの膣からは愛液と経血、そして男の精液が入り交じった液体がドロリと流れ落ちた。
(お父…さん…)
この時、自分が大切なものを失ってしまったということは何となく自覚できた。
しかし悪夢はまだ終わらない、二人目の男が間髪入れずに近寄ってきた。
先ほどの男とは違い、引き締まった均整の取れた体と精悍な顔立ちをしている、年齢は20代後半だろうか。
しかしながら頬や体に付いた傷跡の数々は、彼が様々な修羅場をくぐってきたことを物語る。
男はマイの手錠を外すとベッドから降ろし、シャワー代わりに彼女の体にホースで水を直接かけ始めた。
(…冷…たいな…)
冷水の刺激は、一刻ではあるが先ほどの男の体の感触や下腹部の痛みを忘れさせてくれた。
体を拭かれベッドに再び寝かされたとき、マイは人形のような虚ろな目で天井を見つめていた。
二人目の男は女性の体について熟知していた。
本能のままに貪る一人目とは正反対で、マイの体の反応する部分を的確に選び、絶妙の力加減で刺激する。
「んっ…ふっ、あ…んんーっ!」
意志とは無関係に喘ぎ声が口から漏れる、その姿を見て男は満足そうににやついていた。
おもむろに男はマイの足を開く、しかし彼が求めてきたのは秘所ではなかった。
「ん…んっ!、そこ…はっ!!」
男はマイの肛門を舌先で器用に舐めだした。
そして味わい尽くし満足すると、今度は唾液をローション代わりに指先で弄ぶ。
(な…何でそんなとこ…をっ!んっ!)
自分では気付いてないが菊門はマイの一番の性感帯であり、長年の経験からそれを見抜いた男は更に執拗に責める。
指を出し入れし十分に開発したとみるや、最後の仕上げとして彼女を四つん這いにし、黒光りする小刀のような肉棒をアナルに突き立てた。
「あっ!…んぐっ!…ひぐっ!」
快楽を受け入れようとする自分と抗おうとする自分が、マイの中で必死に戦っていた。
あと少しで前者が勝ち理性を失う…というすんでの所で男は果てた。
そして二人目が離れた刹那、最後の男が襲いかかる。
(まだ…続くの…かな、もう…どうでもいいや…)
前の二人の行為をさんざん見せつけられ限界に達していた様子で、先ほどの“シャワー”も使わずにいきなりマイに体を重ねてきた。
捨て鉢となったマイの体を貪る彼は、三人の中では一番若くおそらくまだ10代であろう少年だった。
(この…人…知ってる…)
以前、現場の父に届け物をした帰りに、作業員の少年に声をかけられたことがあった。
マイの顔や体に視線を這わせ、馴れ馴れしい口調でついて来なよと誘ってくる。
彼女は怖くなりその場から逃げ出したが、そのことは誰にも言えなかった。
今マイの目の前にいるのはあの時の少年だ。
あどけなさの残る瞳は情欲に濁り、引き締まってはいるが華奢な体は異様なほどの熱を放っている。
まだ“オチンチン”と呼ぶ方が似合う小振りのペニスの先端は完全には剥けておらず、ピンク色の亀頭を手で剥いて外気に触れさせている。
よほど飢えていたのであろう、少年は前戯もそこそこにマイの中に入ってきた。
(あ…い…痛いっ!)
まだ女性経験も浅いのか、確かめるかのように体の位置を調整してぎこちなく腰を動かす。
挿入から一分と経たないうちに少年は果て、他の二人にからかわれバツの悪そうな顔をする。
しかし、溢れる若さのおかげか彼のペニスはすぐに精気を取り戻した。
少年はぐったりしているマイを抱き上げ四つん這いにさせると、両手で頭を挟み込んで彼女の口にペニスをあてがう。
命じられるがまま、マイは精液と彼女自身の愛液にまみれた亀頭を口に含む、苦みと酸味が口に広がり思わず顔をしかめる。
(苦しい、息が…できない…)
言われるがままに必死で舌を動かすと、ほどなくしてペニスがビクビクと痙攣し、熱い精液を彼女の口内にぶち撒けた。
吐き出したかったが少年はそれを許さず、嫌悪感と戦いながらその汚らわしい粘液を飲み下した。
力尽きた様子でぐったりとなる少年。
(終わった…の?)
残念ながら悪夢はまだ終わりではなかった。
一人目の男がバトンタッチという風に少年と入れ替わり、先ほど以上に吃立させた性器をマイの目の前に突き立てた。
マイは無言でそれをくわえ舌を這わせる。
最初の内はマイの不慣れで拙いフェラチオを楽しんでいた男だが、次第に彼は彼女のくわえ方や舌使いに注文を出すようになった。
男の卑猥な言葉の半分以上は理解出来なかったが、マイは必死でそれに応える。
「んぐっ…んぐっ…んふぅっ!!」
突然、下腹部に電流が走る。
二人目の男がマイの性器や肛門を弄び始め、彼女は四つん這いになり前後を男達に挟まれる形になる。
クリトリスを器用に愛撫され思わず口元に力が入り、くわえていた一物に歯を立ててしまい、一人目に頬を叩かれる。
まだマイの小さな性器を味わっていない二人目は生唾を飲み込むと、メインディッシュを堪能するかのように彼女の膣をバックから突いた。
「んっ!んっ!んーっ!!」
屈辱的な体勢で攻め続けられ、意識が遠のきそうになる。
前後の男達が射精をむかえたのはほぼ同時だった、口内と膣内に熱い感触が広がる。
「……………」
一通り満足した彼らは、ホースから水を流し自分達の体や性器を洗い流した後、酒を飲み始めた。
話題に上るのは当然、マイの体の感想や“具合”についてだ。
成人女性であれば耳をふさぎたくなるような卑猥な内容なのだが、放心したマイの耳には入らない、入ったところで彼女にはまだほとんど理解出来ないのだが…
酒に酔った彼らは、余興としてマイを玩具にする。
猥褻な用語の意味を説明しては口に出させ、自慰の仕方を教え三人の前で実演させ、四つん這いで足を上げた犬のような体勢で放尿させ、喉が渇いたと言うと彼らの小便を飲ませた。
そして代わる代わるマイを陵辱した。
(あれから…何日経ったんだろう…)
数日間に渡り朝な夕な犯され続けたマイは、今や男達の従順な愛玩動物と成り果てていた。
数刻前に男達は出ていき、マイは身じろぎもせず一人で部屋に横たわっていた、自我はもはや壊れる寸前だった。
キィ…
ドアが開く、男達が戻ってきたのだろうか。
しかしドアを開け現れたのは、一人のレアリエンの少女だった。
少女はこの教会が“お気に入り”で、時間を見つけては訪れていた、男達と鉢合わせにならなかったのは少女にとっては幸運だった。
彼女はマイの姿に驚いた様子だったが、事情を察しすぐさま車に運びナノ治療を施す。
幸い身体的な損傷は大したものではなく、簡易設備でも十分に対応できた。
しかし精神的なダメージは計り知れない、マイは自失状態にあり受け答えもままならない。
少女はマイの所持品から身元を調べ、付き添いの者に頼み家族に連絡を取ってもらった。
間もなくしてテスラとアイゼンが駆けつけ、虚ろな目をした娘を抱きかかえる。
彼女の心が癒えるのには長い時間が掛かるだろう。
そして数年が過ぎた…
「えっと、後はこの部品ね…
…はい、もう大丈夫よリューポルド」
オイルの匂いが漂う作業場、一通りのメンテナンスが終わりマイはゴーグルを外す。
あの事件から数年、父や祖父の献身的な治療が実を結び、彼女は心の傷を乗り越え成長していた。
(さて、おじいちゃんにお昼ご飯つくらなくちゃね)
シャワーを浴び汗と体についたオイルを洗い流す、彼女の張りのある真っ白な肌には一粒の水滴も残らない。
三人の男は今も捕まっていない。
金銭要求を出す前に騒ぎになってしまい、そのことに感づいたのか教会には戻って来なかった。
(でも二人だけの食事も寂しいわね、お父さん早く帰ってこないかな)
あの事件だけが契機となった訳ではないのだが、その後テスラは反U-TIC機関の立場を取り公然と批判を始めた。
数週間前から、彼は意見陳情のため機関に直接出向いている。
帰りが遅くなるかもしれないとは聞いていたが、これほど長い間家を空けるのは初めてだ。
(お父さんちゃんと食べてるかな、疲れて体壊してなきゃいいけど)
そんな事を考えていると、突然声を掛けられた。
「えっ?
あ…はい、テスラ・メイガスは私の父です。
父がどうかしたんですか?」
振り返るとそこには、軍服とマスクに身を包んだ一人のU-TIC機関兵が立っていた。
機関を訪れていた父テスラが倒れたので、すぐ来てほしいとのことだ。
「ほ…本当ですか!?
何があったんですか?」
質問するが、詳しいことは知らされていないので、すぐについてきてくれとのこと。
(大変、急がないと…
でもその前におじいちゃんに…)
祖父と相談したいと伝えるが、急を要するので自分達が連絡しておくから取り急ぎ来てほしいと言われる。
「分かりました、案内して下さい」
そう言うと、兵士は微笑んだ。
(あれ…何…この感じ?)
一瞬マイは違和感を覚えたが、父の安否の方が気にかかりすぐに頭から離れた。
この時に“違和感”の正体に気付いていたら、マイにとってのこの一日は違ったものになっていたかもしれない。
麓にはタブリー鉱山と市街地とを結ぶハイウェイが通っているが、鉱山が事実上の閉鎖となってからはほとんど使われることがない。
兵士に案内された先に、おそらく兵の輸送に使われるであろう大型の軍用バンが停まっていたが、それ以外には人や車の影は見当たらない。
小さな窓には目張りがされており、中の様子を窺い知ることは出来ないが、兵士がノックをすると中から二人の兵が降りてきた。
促されるまま車内に乗り込む、後部座席には機器や荷物が散乱しているが、それでも10人程度はゆうに乗り込めるスペースがある。
兵の一人がコーヒーを渡してくれた。
「ありがとう」
山道を歩き喉が乾いていたので、少し苦みが強かったが気にせず一気に流し込む。
マイが飲み終わるのをかたわらで待つ兵士達、彼らは一様に口元をゆがめ微笑んでいる。
(この感じ…どこかで…)
再び先ほどの違和感…というより既視感といった方が近いもの…に襲われた。
「あ、あの…じゃあ急いで下さい」
しかし兵士達は動かない、顔の笑みはさらに増してゆく。
「…ねえ、何してるの?
急いでよ!」
たまらず強い口調で詰め寄ると、兵の一人が笑いだした。
三人はゆっくりと顔を覆っていたマスクを外す。
(そんな…どうして…)
そこにあったのは、マイに忌まわしい思い出を刻み込んだあの三人の顔だった。
「そ…ん…どう…し…」
頭が混乱して言葉が言葉にならない、それと同時に記憶の海に沈めたはずの悪夢がフラッシュバックする。
醜悪な笑みと性器、鼻を突く汗と酒の臭い、耳元でささやかれた卑猥な言葉、精液と小便の味、男の肌とペニスの感触…
五感の全てが疼いている。
先ほどの違和感、既視感の正体をマイは理解した。
「なん…で、あなた達がここに?」
やっとのことで声を絞り出すと、マイの“初めての男”がご丁寧にも全て話してくれた。
彼らはマイを人質にしての金銭授受には失敗したが、その前に鉱山の内部資料やテスラの開発したオーテックのデータをコピーして盗み出していた。
そのデータをU-TIC機関に売り渡し、見返りとして金と職を得たのだという。
しかしながら、兵士として口利きで採用となったものの、何の知識も技術もない彼らが任されるのは専ら単純作業や肉体労働であった。
待遇に不満を持ち、更に“戦争が始まるかもしれない”と知った彼らは機関から抜け出すことにしたのだ、と。
「あなた達…最低ね!」
自分を弄んだだけではなく、父や祖父が積み重ねてきたものまでも食い物にした彼らを許せなかった。
笑いながら近づいてくる男の頬に、平手を浴びせようと手を振りあげた…はずだった。
しかしマイの腕は彼女の意志に反して動かない。
「…えっ!?」
男は先ほどマイが飲み干した空のコーヒーカップをつまみ、嬉しそうに彼女の目の前でちらつかせる。
コーヒーには薬物が入れてあったのだろう、気付いたときは既に遅く、彼女の四肢は自由を失っていた。
今回の彼らの目的は、純粋にマイの体にあった。
機関を抜けミルチアを離れる前の最後の“思い出づくり”の相手として、以前“可愛がった”相手に再び見えようという悪趣味きわまりないものである。
人気の無い道ではあるが、念を入れて男達は車を動かし、道路脇の木立の中に車を隠した。
“三人目の少年”…今では青年と呼ぶ方がふさわしいが…が、一台のモニターを用意する、そこに映し出されたものを観てマイは絶句した。
そこには年端もいかない少女が陵辱される映像が映っていた。
薄暗い部屋の中で、男に覚えさせられた卑猥な台詞を棒読みで叫び、男の上に乗りぎこちなく腰を動かす少女…紛れもなくマイ自身の姿だった。
「何で…こんなものが…」
彼らはマイとの日々を“記録”していた。
おそらく何度も繰り返し観たのであろう、慣れた手つきで様々な場面をマイに見せつける、恥辱と怒りで彼女の頭はいっぱいになった。
彼らは映像を流したままマイの衣服を脱がせ、懐かしむようにモニターの体と見比べた。
以前と変わらぬ…もしくはそれ以上の輝きを持つ白い肌に、決して豊かとは言えないが小振りで形のいい乳房、華奢なくびれや手足、キレイな流線型の柔らかそうな臀部…
成長したマイの体に男達は思わず魅入った。
“二人目の男”が静かに懐からナイフを取り出す、鈍い輝きにマイはおののく。
(そんな…私、殺されるの?)
しかし彼らの目論見は違った。
二人目はポケットからビニール袋に入った錠剤を取り出すと、床の上に置きナイフの柄で潰し始めた。
荒い粉末となったそれを、袋を開けて自身の舌の上に乗せ口に含む。
二人目はマイに近づくと、足を開き彼女の股間に顔をうずめ秘所を舐め始めた。
「かはっ…ふっ!」
男の舌はクリトリスからアナルまでくまなく捉え、唾液と入り交じり液状となった先ほどの錠剤を、クチュクチュと淫靡な音を立てながらマイの鮮やかなピンク色の粘膜に塗りたくってゆく。
するとマイの体にも変化が訪れる。
「あっ!んっ!いぃっ!」
男の舌が動く度に、少しずつだが着実に“感じる”ようになり、次第に快楽に抗えなくなってゆく。
しばらくして男の舌から解放された時には、体中の皮膚が空気の動きすら感知するほど敏感になり、頭から足先まで全身が性感帯となりつつあった。
錠剤は媚薬の一種だった。
満を持したように男達は衣服を脱ぎ始める。
(だ…め…、今、そんなことされたら…私…お願い…
触らないで…
触らないで…
触らないで…
………
触って…)
男達は過去の映像を観ながらそれを真似て、“あの日”をトレースするかのようにマイを抱いた。
まるで叔父が久しぶりに会った姪の成長を喜び慈しむが如く、じっくりと一つ一つのプレイの感触を過去と比べ懐かしむ。
「あふぅ!…ご主人様っ、もっと舐めて下さい!
んっんっ!あっ!あうっ!」
以前のマイが“言わされていた”、男達に仕込まれた卑猥な台詞が口を突いて溢れ出る。
違うのは、今のそれはマイ自身の意志によるものだ。
薬により四肢の自由が奪われ、かつ快楽を与えられたマイは男達に懇願する。
「んっ!んっ!あんっ!
オチンチンほしいです、お願いしますぅ!」
理性は完全に吹き飛び、マイは一匹の牝犬と化していた。
男達は当然それに応える。
彼らもまた媚薬を服用しており、彼らの性器は何度射精しても緊張を保っていた。
そして三人の男に囲まれ、ペニスをくわえ乳首と秘所と肛門を代わる代わる責められる中で、マイは生まれて初めての絶頂を迎える。
「ん…ん…
んっんっあっあっ!
あんっあんっあふぃ
ああぁー、あーーーーーっっ!!!」
マイの頭は真っ白になり、それからのことはよく覚えていない。
しかし男達にたっぷりと蹂躙されたのは確かだろう。
気が付くと、マイは沿道の林の中に裸で一人横たわっていた。
辺りは夜になり、空には星が浮かんでいる。
薬の影響が残っているせいか全身がだるく、まだ上手く力が入らない。
それでもゆっくりと立ち上がると、下腹部の割れ目から男達の精液が溢れ、太股を伝い地面に落ちた。
近くに投げ捨ててあった衣服を探して着直すが、全身に男達と彼女自身の汗や唾液、尿、そして愛液がこびりついてベタベタする。
「あ"ーーーーーーーーー!!!」
マイは怒りを晴らすように叫んだ。
男達への怒りも勿論あるが、何より薬の力とはいえ快楽に負け、理性を失い享楽に耽った自分自身に対して憤っていた。
悔しかった。
情けなかった。
自分自身のあんな一面を知ってしまったことが、何よりショックだった。
「強く…ならなきゃ…」
ぼんやりとだが記憶が戻り、マイを置き去り帰ろうとする男達との最後の会話を思い出した。
彼らに誘拐や鉱山資料の漏洩を持ちかけたのは、U-TIC機関の側からであった。
鉱山接収のための裏工作だったのだ。
そして父テスラは機関に捕らわれ命の危険もある、“楽しませてもらった礼”に彼らが教えてくれた。
「泣いている暇なんて無い…
私が…強くなって、戦わなきゃ…
戦って…父さんも鉱山も守ってみせる…!」
決意した彼女は、夜のハイウェイを一人歩きだした。
−− 終了 −−