飛影×雪菜さん
クソスレたてやがって。
氏ね>1
前スレ落ちショック…
新しいスレ賑わうといいなぁ
5 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 00:37:03 ID:hdHrEdGH
あげてみよう
畜生過疎ってんじゃねーかw
保守しつつ桑原×雪菜さんか小閻魔×ボタンキボンヌ
8 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 22:59:42 ID:5gqeYnb1
飛影と雪菜の恋愛ものが読みたいぜw
このスレ懐かしいし当時アニメ見て萌えてたけど
パロ書けるほど記憶がはっきりしない・・
自分は今ニコニコでみて復習してる幻海と戸愚呂の回セツナス・・・
過疎る原因は作品がリアルタイムじゃないせいだな
それでもこうやって集まる人がいるのはいいことだ
当時低学年だったけど好きだった
保守くらいはしようかねェ
そうそう保守しよう
ニコニコのキャラソン聴いて桑雪に萌えた
なんかもうエロとかいらないから書いて欲しいな
アニメ内容うろ覚えながらこんな台詞が浮かんだ
雪菜「いいんです私、あなたがお兄さんじゃなくても。
それでも一度でいい、あなたのものになりたい。あなたの腕で抱かれてみたい・・
あなたの正体がわからないままでもいい、それでも、好きです・・。」
ええっと、つづ・・・・かない
>15さんの台詞で話が思い浮かんだんだが…書いていいだろうか?
投下まではかなりの日数がかかる気がするが(爆
>>16 書きたまへ。
書いてください。
どうかお願いします。
今日働いてたら変な話が降ってきたんだ・・・。
エロナシでただのネタなんだが・・・置いて行くよ・・・。
俺は今、寝具に溶けてしまいそうなほどの睡魔に襲われている。
にもかかわらず、先ほどからけたたましい女の声がする。
「カズ!いい加減に起きな!和真!!」
カズ・・・?誰だ・・・それは・・・。
「・・・うるさい・・・・・・」
うん・・・?声がおかしいような・・・?呑みすぎか?
俺は昨日、黄泉の尻拭いをさせられて疲れている。
とにかく寝かせて欲しいのだが・・・。
「良い根性してんじゃない・・・・・・はぁ!!」
「ぐはぁ!!」
鈍い痛みが・・・背中に・・・ひ・・・肘か・・・?
この女・・・やるな・・・。
「い・・・いきなり何をする・・・がっ!?」
良い拳だ・・・が・・・俺を怒らせた罪は重い・・・。
「何って・・・わざわざ起こしに来てあげたお姉様に対して無礼な口を利く愚弟に正義の鉄槌を食らわせたに決まってんだろぉ?」
お・・弟?俺に姉はいないはずだ。
というかここはどこだ?
というかこいつ人間か?
ということは人間界か?
あの・・・鏡に映っている失敗ヅラはもしかして俺か!!??
なんだこれは!?
「俺はこんな非現実的な事は認めない!」
「生きるUMAが何を言う!!ふん!!」
『ゴキッ』
鈍痛が後頭部に走る。
鈍器で殴られたか・・・?
意識が・・・・・・と・・・おい
・・・し・・・し・・ぬのか・・・こんな・・・
「ぉーぃ・・・ぉーい」
誰だ・・・俺を・・・呼ぶのは・・・。
「おい!蔵馬!」
ん・・・?ぁあ、今一番見たくない顔だ。
「なんだ・・・黄泉か・・・」
「なんか夢でも見てたのか?魘されてたぞ?」
魘されてた?俺が?
そういえばいやな夢を見たような気がするが・・・。
ぼんやり女の顔は覚えてるが美人だったな。
それ以外は不鮮明だ。
まあ、いい。
「・・・寝るから帰れ。もう一度起こしたら殺す」
「・・・はいはい」
俺はもう一度・・・眠りについた。
おわり
ちなみに静流が使ったのは金属バット。
ノリで書いた。
若干後悔はしてるが反省はしてない。
逝って来ます。
和真家ワロタ
実はこんな話スキだ
>>20 かなり面白かった
GJ!!!
また書いてくだされ!
飛×雪期待保守
25 :
483:2007/05/19(土) 11:47:40 ID:xcRrLrye
>20を見たらバカな奴らが書きたくなった。どうしてくれr(ry
もうお願いですから甦ってその続きを書いて下さいw
しばらく来ておりませんでした。とりあえず蔵えもんバカ話。1レス。
「じゃーん!さぁ見ろ、とくと敬え!」
「・・・・・・・・・・・へ?」
「・・・・・・・・・・・ふぅん、なるほどねぇ・・・」
「・・・・・・・・・・・何だこれは」
ここはとある喫茶店。机の上に置かれた小さな香水瓶が一つに周りにはいい年頃な男が4人。
いや、正確には数えたら●匹と・・・恐いので止めておこう。
「ん〜、この美しい薬剤師鈴木が蝶・サイコーに素敵な配合で作ったフェロモン香水を作って来てやったと言うのに
お前達のその見事なまでの白けた返事、反応っぷりは何だ!酷いぞ、酷過ぎるぞ!お前達!」
きぃ、とぼたん辺りだったら叫んでいそうな位に腕を上下に振りながら、鈴木は他の3人を順番に指さした。
「ふぇろもんこうすい?何だそれは」
怪訝そうな顔で鈴木の顔を見上げるのは、飛影。その飛影にコッソリと耳打ちするように囁くのは、幽助。
「よくあるんだよ、コレを体に噴き付けておくと女がイチコロだぜってヤツ。通販でよくある紛いモンだぜ、どうせ」
「この美しい薬剤師鈴木が作ったモノをそのような紛い物と同じに扱うなーっ!」
ビシ、と耳打ちしている幽助に向かって再度指を突きつける。
と、その香水瓶を手に取り、手馴れた仕草で蓋を開けると手で軽く扇いでその香りを軽く確認しているのは、蔵馬。
確認し終わったのか、また慣れた手付きでキッチリ蓋を閉めて、瓶を光に透かしながら口を開く。
「ま、一応軽くフェロモン作用は見られますが・・・この程度のレベルではどこぞの蝶々の妖精さんに怒られますよ?」
にっこり、と爽やかな微笑みと共に鈴木の手の中へ香水瓶を押し込んで、更に付け足すようにもう一言。
「それに、この程度の簡単なレベルのモノなんて・・・半日頂ければ俺がこの場の人数分作る位出来ますしね」
あはは、と軽く笑い飛ばして壁の時計を見上げると慌てたように千円札を二枚、机の上に置いて席を立つ。
「あれ、蔵馬。もう昼休み終わりかよ、早くね?」
飛影の分だな、と無言の了承で幽助が懐にしまうのを横目で確認しつつ、蔵馬は小さく哂う。
「昼休みの短い時間でも、デートしたいと言う女性陣はそこそこいるものでね。それじゃ、お先に失礼」
小走りで出て行こうとするが、ふと足を止めて振り返ってポツリと呟きひとつ。
「もっと強い効果が欲しかったら催淫効果を強めておかないと意味が無いですよ、鈴木?」
それじゃ、と笑いながら手を振って出て行く狐の背中を、見送るのは寂しい男1人、一応彼女持ち男が2人。
「かー、やっぱり蔵馬ってタラシだよなぁ、鈴木〜。お前も頑張ってちゃんとした彼女作れよっ!紛い物じゃなくて」
ゲラゲラと笑いながら、幽助が伝票と飛影を引きずって店を出て行く。
不満そうに引きずられつつ、飛影がボソリと呟きを。
「あんなモノを使わんといかんとは、人間達は大変なんだな幽助」
「いや、別に俺あーいうの使う気ねぇし。てかバレた後が痛いから無理」
「そういうモノか」
「そういうモノだぜ」
そんな2人のやり取りが遠くなって行くのを耳で聞きながら、鈴木は久々の負けっぷりに打ちひしがれていたとか。
>19ですね、思い切りアンカー間違えてました。失礼致しました。
しかも前スレって入れろ自分ー!
今回バカ組に桑原がいないのは仕様です。
>>26 面白かったよGJ!
どなたか、エロも期待してます
前スレ483さん(合ってる?)!?
顔出しうれしいです。
狐スキですねぇ。
ひーたんのとぼけ具合もGJ!
飛影×雪菜エロ投下します。
苦手な人はスルーよろ
「あなた達は離れていた時間が少し長すぎたのかもしれない」
蔵馬がいつか言った言葉を、飛影は思い出していた。
こうなることを望んでいたのか。
自分が兄だと告げないのはこのためだったのか。
「飛影さん・・・」
自分の目の前にいる少女は、知っているのだろうか。
様々な疑問が浮かんでは夜の闇へと消えた。
すべては胸の高鳴るままに。
雪菜の肩をそっと抱き寄せ、みずみずしい果実のような唇に自分のそれを重ねる。
「ん・・・」
雪菜が小さく息を漏らす。
舌先を割り入れると、雪菜もそれに応じる。その舌は甘く、とても柔らかかった。
くらくらと眩暈がするような幸福な感覚に酔いしれながら、彼女の身体を抱きしめ、
その首筋に舌を這わせる。
「あっ・・・」
衣服の裾から手を滑り込ませると、雪菜がビクン、と身体をこわばらせる。
はやる気持ちを抑えつつ、柔らかな膨らみをゆっくりと揉みしだく。
「んっ・・・ぅん・・・」
胸元をはだけさせると、思ったより豊満な乳房が現れた。
頂点にある薄紅色の乳首をそっとつまみ、指で擦り合わせる。
「あぁっ・・・」
普段の清楚な姿とは打って変わった彼女の姿に、飛影は興奮する。
刺激を与えられ、固くなった乳首を口に含んで吸う。
「はぁっ・・・・・・んっ・・・・・・」
雪菜の甘い嬌声が部屋に響きわたる。
身体をくねらせ、快感から逃れようとする彼女を捕まえて離さず、頂点を舌先で転がす。
「あぁ・・・・・・っ、やあぁ・・・・・・ん」
下半身に指を滑り込ませるとそこはすでに熱く潤み、愛液が溢れ出していた。
飛影が中指をゆっくり抜き差しすると、クチュクチュといやらしい音が部屋に響く。
「あっ、はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
指の動きにあわせて、雪菜が吐息を漏らす。
いったん彼女の唇に優しくキスをし、それから太腿の裏側に手を入れる。
それをそのまま持ち上げて、両脚を広げさせる。
「あ、や・・・は、恥ずかしい・・・・・・・・・・・・」
雪菜は消え入りそうな声で懇願したが、飛影はわざと無視する。
とめどなく愛液のあふれ出る蜜壷に、口付け、舌で割れ目をなぞる。
「っ、ひゃんっ」
雪菜の身体がビクッと反応したが、飛影は黙って顔を動かし、じっくりと味わう。
「やっ、いや、あっ、あっ・・・・・・」
雪菜は首を左右に振り、必死に快楽の波から逃れようとしている。
それでも飛影は舌の動きを緩めない。
いったん強く蜜壷を吸いあげ、そして中に舌を入れて暴れさせる。
「あああっ・・・・・・!、っ・・・・・・!!!」
雪菜の身体が大きく仰け反り、まるで全身に電流が走ったように身体を震わせた。
一度目の絶頂を迎えた彼女は、火照った体で、恍惚の表情を浮かべていた。
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
「雪菜・・・・・・」
彼女の身体を抱きしめる。
首筋や乱れた髪からの甘い匂いが、鼻をくすぐる。
「飛影さん・・・」
雪菜が自分の背中に腕を回してきた。
その行為が、なんともいえず愛しい。
互いの体温が融けあう安心感に身をゆだねながら、雪菜の息が整うのをじっと待つ。
やがて、顔を動かし、飛影は雪菜の顔を見やる。
彼女も彼の顔をじっと見つめる。
しばらく無言で見つめ合った後、額をくっつけあう。
「ん・・・・・・」
口付ける。
そして、ちゅく、ちゅくと音を立てて彼女の唇を吸う。
蕩けるような感触に、再び潜っていく飛影。
「ん・・・・・・む・・・・・・ぅ」
ふいに雪菜の手が、飛影の下半身に触れる。
(っ!!)
驚いて唇を離す。
偶然かと思ったが、やはり、もう一度、今度はしっかりと。
(こいつ・・・)
不意を付かれたのは頂けなかったが、それでも身体は正直に反応してしまう。
しゅる、しゅると上下する雪菜の手の動きにあわせて、飛影のものは次第に固さを増していく。
「・・・・・・っ・・・・・・」
どこで覚えたんだこんなの。
やがて、雪菜の頭が飛影の懐へゆっくりともぐってゆく。
おい。まさか・・・
そう思った瞬間。
飛影のものが温かく柔らかいものに包まれる。
「――――っ」
まるで電流のように、全身に熱い血がかけめぐる。
根元から先端まで、すーっと舌を這わせられ、雪菜の濡れた唇と舌が、飛影のものを咥えこむ。
そのままゆるゆると頭を動かし、唇を這わせ、先端を舌先で突付かれる。
「・・・・・・っ、う・・・・・・」
快感に耐え、息を呑み、飛影は小さく声を漏らす。
雪菜が動きを止め、恥ずかしそうに飛影の顔を見やる。
「あの、・・・気持ちいい・・・ですか?」
「・・・・・・・・・・・」
飛影が黙って小さく頷くと、雪菜は安心したようで、また飛影のものをそっと咥える。
雪菜の動きはまだ若干ぎこちなかったが、飛影にとっては十分快楽を得られるもので、
上下に擦られるたび、それは固さと熱さを増していく。
自分だけが気持ちよくなっているのが悔しくて、飛影は手を伸ばし、雪菜の乳首を指でなぞる。
「あっ、やん・・・」
お互いに刺激を与えながら、だんだんと高みに登りつめていく。
「雪菜・・・もう・・・」
飛影の先からは先走りの液があふれ出ていた。
雪菜が口を離すと、銀色の糸が、つ、と引いた。
元の体勢に戻り、彼女の下半身に触れ、感触を確かめる。
そこは先ほどの愛撫ですでに十分すぎるほど濡れ、その時を待ち構えていた。
「飛影さん・・・」
「・・・入れるぞ」
「・・・はい」
深く息をつき、手をあてがい、それからゆっくりと挿入する。
「・・・・・・あああ・・・・・・っ」
好きな人に貫かれる悦びと、痛みとが入り混じり、雪菜は声を上げた。
「・・・っ、我慢しろ・・・」
少しずつ、だが確実に、飛影は雪菜の中に入っていく。
雪菜の中は、熱く、柔らかく、心地よく締まっている。
その感触だけで、行ってしまいそうになる。
「あん・・・・・・あ・・・・・・はぁ・・・」
やがて、飛影のものが一番深い所まで挿入され、二人の身体は繋がった。
「ああ・・・んっ・・・、飛影さん・・・」
「雪菜・・・・・・」
好きな人とひとつになれる悦び。互いの名を呼び、深く抱きしめ合い、
どちらからともなくゆっくりと腰を動かし始める。
じゅぷ、じゅぷといやらしい水音が、二人の思いを掻き立てる。
「あっ、ん、・・・やっ、あんっ」
前後に腰を動かすと、皮膚と皮膚が擦られ、そこからまた新たな快感が紡ぎだされる。
雪菜の中で飛影のものは一段と大きくなり、さらに締め付けがきつくなる。
絶頂が見えてくる。
ペースを速め、雪菜のさらに奥まで何度も突き上げる。
「あんっ、飛影さん、飛影っ、さんっ」
「雪菜っ、・・・雪菜っ」
何度も、何度もくりかえす。
いつの間にか、雪菜の目からは氷泪石が溢れ、枕元にいくつもこぼれ落ちていた。
「あっ、はああっ、ああんっ!」
そして。
「―――――――っっ!!」
ビクンと身体を跳ね上げ、飛影は雪菜の中に想いを放つ。
想いは一度だけではとどまらず、二度三度と放たれ、溢れるほど雪菜の中を満たした。
すべてが終わったあとで、息を整えながら自然な眠りに落ちかけた時、
ふと、こぼれ落ちた氷泪石を見やり、飛影は気付く。
石の色がいつもと違い、珊瑚のような薄桃色をしている。
手を伸ばし、一粒拾って雪菜の前に持って行くと、彼女の顔が赤くなった。
「気持ちよかったってことか?」
察して尋ねると、雪菜はコクリと頷く。
これは・・・蔵馬の奴に見られたらどう言われる事か。
だが今は余計なことは考えないことにする。
互いの思いはようやく満たされたのだから。
互いの肌の温もりと精神的な充足を感じながら、二人は眠りについた。
以上です。
お目汚しスンマセンでした
新スレになって初めて来たけどエロキテタ━━(゚∀゚)━━!!!!
GJGJ!!!
おお!エロパロキタキタ
新しい神降臨っすね!
泣きそうなくらいGJでした!!
16さんの飛雪にも期待保守!!
え?↑が16の人なんじゃないのか?
>>41 自分35ですが、16さんじゃないっす。
ちなみに40の書き込みも自分です。
紛らわしいタイミングで投下してごめん…orz
そか。勘違いスマソ
ふと思ったんだが幽白キャラの私服ってダサイよな・・・w
>>43 富樫の中では80年代で時が止まっていたんだよきっと。
漫画家でしかもいまだに同人誌まで書いている男が、流行のお洋服の雑誌なんて
読めるかな?
洋服って感覚が身につくまで、自分が着るのも絵に描くのも難しい気がする。
けど、扉絵とかでたまに可愛い服着せてたりしないか?
服にあまり興味ないってのもかなりあるだろうけど、
凝った衣装は描くのが面倒くさい、ってのが一番の理由な気がする
女の子は結構かわいいけどな
最終回の螢子の服はどうかと思ったが、雪菜の服は普通に可愛かったしね
ようつべで飛影とぼたんの捏造動画見つけた…結構ありかもしれない保守
ぼたんと幽助にくっついて欲しかった、そんな当時の自分を思い出した
51 :
48:2007/06/06(水) 01:00:55 ID:gVPxFA7F
みてきた…ちょっと萌えた。が。
やっぱアニメ絵は萌え度が落ちない?ハンタもだけど、
富樫の絵はアニメにすると変になりがちじゃない?
変だよなぁ
よく作画も崩れてるからますます変
幽白は今見ると色使いが斬新だね
55 :
16:2007/06/11(月) 00:50:47 ID:Q1V/e2ku
どうも、飛×雪を書いてみると言っていた16です。
ようやく書きあがったので投下していきます。
かなり長い上にシリアスなんで、苦手な方は華麗にスルーして下され。
ではいきます。
久しぶりの人間界だった。
第一回目の魔界トーナメントが終わって、もう二年が過ぎようとしている。
魔界と人間界を仕切る結界が解かれ、S級クラスの妖怪である彼が
こうして自由に人間界と魔界を行き来できるようになったという事実とは裏腹に、
既に人間界での目的を達成した今となっては、何か理由が無い限り、訪れる事も少なくなっている。
その理由の幾つかには、人間界にすっかり溶け込み、
それでいて魔族としての腹黒さを時々垣間見せる妖狐に用事がある時や、
あの人間に見せかけて実は魔族だった等と言う、元よりれっきとした妖怪である彼から見ても
全く奇妙で摩訶不思議な男につまらない用事で呼び出された時等があげられる。
そして、もう一つ――
***
「うぁぁぁぁぁぁぁぁあぁああああ!!!雪菜っすわぁぁんんん!!
どこに行ったんですかぁぁ!!?雪菜すぁぁぁん!!!!」
「あーーーーーーーもう五月蝿いね!!アンタが探すと余計雪菜ちゃん
体裁悪くて帰ってこれなくなっちゃうんじゃないのかい!?
近所迷惑な探し方するんじゃないよ、この馬鹿は!」
「だってよぉぉぉぉ、もし……もし雪菜さんの身に何か起こったら……
いや、もう既に事件とかに巻き込まれてたりして……
そう考えると居ても立っても居られねぇじゃねぇかぁぁあぁ!!」
「だから探し方に問題があるって言ってんのよ!もーちょっと常識弁えた
人探しをしろって言ってんの!大声張り上げたって雪菜ちゃんは……あーあ……」
そんな彼女の話を最後まで聞かぬ内に、背がのっぽのチンピラ風の男は
大声を張り上げながらあさっての方向へと駆けて行った。
「ったく……あの馬鹿は……」
ぶつくさと声にならない文句を言いながら、ドアノブを回し家に入ろうとしたその時。
「―――おい 」
「 ん?」
女――桑原静流は、聞き覚えのある声のする方に振り向いて。
後ろから声をかけてきた黒づくめの男を一瞥すると、にっこりと微笑んだ。
「あら、久しぶりじゃない飛影君。和馬の馬鹿に用事なら、さっき…」
「―――別にあいつに用事があるわけじゃない」
飛影――そう呼ばれた男は、いつもの如く僅かの感情さえも込めぬ口調で静流の言葉を遮る。
「…そう?じゃあ、後君が用事があるとしたら…雪菜ちゃんかしら?」
「………」
沈黙は最大の肯定の意でもある。静流は図星ね、と悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「雪菜ちゃんは今はここにはいないよ。昨日私に心配しないで、すぐに帰ってきますって行って出ていっちゃった。」
「――何だと…!?」
飛影の顔が――常にはあまり感情を表に表す事の無い男の顔が、明らかな動揺の色を含んだそれへと
変わり、また人一倍感のいい静流が、それを見逃すはずも、気付かぬわけもない。
「必ず帰るから探さないでってね。雪菜ちゃんがそう言うなら私たちは待ってることしか出来ないしさ。
それなのにあの馬鹿がまったく…」
「…そうか…」
思い当たる節はある。そしてそれこそが、今回彼が雪菜を尋ねた理由でもあった。
飛影はそれ以上何も言わず、その場から離れようと踵を返す。
「―――雪菜ちゃん君に会いたがってたよ」
背を向けた矢先に届く静流の思わぬ科白に、飛影は耳を疑い、訝しげに彼女を見る。
「…何だと?」
「雪菜ちゃん、時々蔵馬君や幽助君に会うたび、君の事聞いてたよ。
君の事、すごく気に掛けててね。飛影君ならその眼で雪菜ちゃんの居場所わかるんでしょ?
行ってあげてくれないかな?」
――全てを見通したような、全てを悟っているような、女の眼差し。本当に、ただの人間か?
弟である桑原和馬とは、また違う――独特の雰囲気と直感を持った彼女に、
この時僅かな苦手意識を覚えながらも、妙なプライドが、妙な理性が、
彼の本音をひた隠しにしようと首をもたげて紡がれる。
「……貴様に命令される筋合いはない。大体雪菜がどうなろうと俺には関係が無いことだ…」
そんな飛影の辛辣な科白の裏に潜む本心を知ってか知らずか、静流は顔色一つ変えずにおどけて言う。
「ははっ、そりゃそうだ。ま、気が向いたらでいいよ。ところでさ、飛影君。」
「…?」
…まだ何かあるのか、と忌々しげに静流に目を向けると、
静流は飛影をじっと興味深そうに見つめながら、言う。
「―――背、伸びたね」
山である。玄海が死ぬ間際、守ってくれと遺言にしたためてあったらしい自然のままの土地。
邪眼の千里眼能力で雪菜を探すと、この場所が見え、そして山中の奥深くの洞窟の中。
――雪菜が横たわっていたのが見えた。
想像が、現実に変わった瞬間だった。居ても立ってもおれず、急いでこの場所に駆け付けた。
自分の想像通りだとすると、もし本当にそうであるなら。
自分などが行っても彼女にどうしてやることも出来ないかもしれない。
彼女の為に何もしてやれない己を責めるだけかもしれない。
しかし、それでも。彼女の下へ、むかわずにはいられなかったのだ。
その場所に、その洞窟は確かに存在していた。
しかし、大自然の中の、それも夏という季節の中、それはひどく似つかわない光景だった。
明らかに人為的―――極めて奇妙な光景。
洞窟――本来ならばぽっかりと薄暗い口を開いているはずなのだが、そこは今冷たい氷の壁に閉ざされていた。
それこそが、彼の、氷女の妹――雪菜がそこに居る証であった。
「…雪菜…」
呟きは、彼女の耳には届いてはいないだろう。飛影は惑った。
堅く氷に閉ざされたその洞窟の内部に――自分は入るべきなのだろうか?――と。
やはり予想どおり、自分は何もしてやる事が出来ないのだろうか。
己の炎の力を使えば、或いはその懐に隠し持つ剣で以って他の出入りを拒む
氷壁を壊す事等は容易かろう。
しかし、雪菜はそれを望みはしないかもしれない。
無力感に捕われながらも、躊躇いがちに飛影はその洞窟に近づいていく。すると。
「うー…」
「……」
呻く、獣の声。彼に敵意を持った、鋭い殺気。
洞窟の横にそびえる大木から姿を現す、狼。
とは言え、どうやらまだ子供であるらしく、体は小さく頼りない。
子供独特の高い声で飛影を威嚇する。
「…… 」
おそらく後一歩でも近づこうとすれば、今にも襲い掛かって来んばかりに、子狼の目は鋭かった。
しかし飛影にはそんな威嚇など、威嚇の意味さえも為さない。
こんな小さな狼など、彼の妨げにさえもならぬ微々たる存在であるのだから。
一歩、彼が踏み出すと。
「がるるるるっ!」
甲高い声で獣の咆哮を上げ、飛影に襲い掛かろうとした、その時。
「―――やめてっ!!」
パリーンッ!!
「!!?」
大きなひび割れの音と共に、女の声が響く。飛影と狼の双方が声の方向に顔を向ける。
割れた氷の中に、彼が探していた少女の姿を見つけ、呆然と呟く。
「…雪菜…」
――まだ、こんな力を残していたのか――安堵と共に、強い力を使わせてしまったことに対する
不安も沸き起こる。
体力を、少しでも温存しておかなければならない時だと言うのに。
無茶をする妹と、やはり来るべきではなかったのかもしれない己を交互に責めた。
「飛影…さん…来て、くださったんですね…」
弱々しく…しかし本当に嬉しそうな笑みで、少女は彼を見る。
そんな雪菜の姿に、飛影はたまらない気持ちになった。
「くぅーん…」
先程まで、敵意剥き出しであったはずの子狼が、雪菜の姿を確認するや、
甘ったれたような、もしくは心配しているような、そんな鳴き声をあげた。
「大丈夫よ、この人は私を傷つけたりしないから…ずっと守っていてくれてありがとう。
さぁ、お母さんのところに戻りなさい。私はもう大丈夫だから…」
雪菜がそう言いながら子狼の頭を優しくなぜると、子狼は尻尾をパタ、と一降りしてから、
森の中へと駆けていった。
その後ろ姿を優しく見守りながら、雪菜は言った。
「あの狼さん、私をずっと守っていてくれたんです。私が淋しいのをわかってくれたのか、
ずっとここに居てくれて…さすがに氷の中に入れると凍えてしまうから洞窟の中
には入ってもらわなかったんですけど」
―――笑う。弱々しく、疲れたような、顔色は青ざめていながら頬だけが妙に紅い。
おそらく高い熱があるはずだ。立っているのも辛いだろうに。
「――苦しそうだな…」
すっかり憔悴した妹を前に、飛影はうまく言葉が出てこなかった。
そんな自分がひどくもどかしい。
「…いいえ、これ位で苦しがっていたら、後が大変です。今から…まだこれから、なんです。
飛影さん…ここには、どうして…?」
雪菜の問いに、飛影はなんと答えていいか迷ったが、彼の天邪鬼な性格故に、
まさか雪菜を心配して等と言えるわけがなかった。
「…たまたまここを通ったら氷の壁が見えた。それだけだ…」
飛影の、無理のある不器用な言い訳に、雪菜はおかしそうにくすくすと笑いだした。
「そう、ですか。だったら氷の壁作っておいた甲斐がありました。
そのおかげで、飛影さんに会うことが出来たんですから。」
そう言って無邪気な笑顔を見せる妹を前に、飛影はつまらない言い訳を口走った自分に後悔を覚えた。
同時に、静流の――雪菜が自分に会いたがっていた――という言葉と、この雪菜の嬉しそうな顔が一致して、
複雑な気持ちになった。
「飛影さん…お願いがあるんです。」
「?何だ?」
「お時間が、ある限りで‥構いません。少しでいいですから…」
言うか言わまいか、惑っているように見えた。いったん言葉を切って、そっと目を伏せた。
しかし、次の瞬間、何かを決意したように飛影の目をしっかりと見据えながら、雪菜は言った。
「私と…一緒に居て頂けませんか。私の側で……居て、欲しいんです。」
飛影は、鋭い目を僅かに丸くさせ、驚いたような表情で彼女を見る。
彼女の言葉に、胸を鷲づかみにされたような緊張が彼を纏う。
「何を…」
「お願いします……飛影さん……」
頬が紅いのは熱の所為か。目は潤み、縋るように彼を見詰め、声を絞り出した。
哀れを誘うその姿に、飛影はぐらつく心を押し殺し――いつもの彼らしくあろうと、振舞った。
「…フン……桑原のところから勝手に逃げ出して来ておいて、
今更寂しくなったってところか?随分と強い覚悟だったようだな。」
精一杯の皮肉を、彼女に浴びせる。
寂しいなら、苦しいなら桑原の所に帰ればいい。
元より、こんな家出まがいの事をする必要など、無いのではないか。
それなのに、何故――妹を責める気持ちの方が先立った。
「――はい……でも……」
飛影の毒舌が通じているのかいないのか――分からぬままに。
飛影は、雪菜に翻弄される自分の唇を、噛み締めた。
「――飛影さんを、待っていました。来てくれると――信じていましたから」
***
洞窟の中は寒い。
それは雪菜の作った氷の所為。熱の篭った己の身体を冷やす為の、精一杯の、ささやかな抵抗の為。
飛影と共に洞窟の内部に再び入ると、残った妖力で先程と同様の氷の壁を作り、
夏の熱気が入り込まぬように入口を固く閉ざした。
それでも太陽の光が氷越しに僅かに射して、洞窟内は真っ暗と言うわけではない。
そして中は雪菜が自らの妖気を放出して作ったのであろう氷柱が天からぶら下がり、雪が地に積もり、
異様ではあるがどこか美しい、別の次元に迷い込んでしまったかのような錯覚が飛影を襲う。
力を使ってしまった所為か、或いは高まっていく熱に耐え切れぬ所為か――
雪菜は雪の寝床にその身を横たえている。
はぁ、と僅かに苦しげな吐息が漏れ、頬の紅みと汗で張り付いた髪が痛々しさを増長させる。
洞窟の中が寒いと言っても、飛影にとってはそれは苦になる程では決してなく、
それより彼女の体温が少しでも下がればよいのに、と。
その為なら、彼女が楽になるならもっとこの中の温度が下がればよいのか、と、
無理な願いばかりが頭を掠めた。
苦しさに耐える彼女の寝床の傍らで、彼女の顔を見詰めながら、彼女の作った雪を手に取り
小さく喘ぐその口元へ運ぶ。
口の中に冷たさが広がり、その瞬間だけ雪菜の表情が僅かに清々しいものへと変わった。
こんな事しかしてやれない自分を呪った。
氷の国で生まれながら、氷女である彼女の双子の兄でありながら、持つ力は全く逆の、炎の妖気。
皮肉な偶然。残酷な必然。
妹の無事を願い続けるしか出来ぬ我が身の無力さが、兄を苦しめた。
氷女の衣――真っ白な着物が首元までを覆い、腰を巻きつける帯が酷く窮屈そうに見えて。
どうしたものかと迷ったが、彼女の呼吸はやはり苦しそうで、いたたまれない。
たどたどしい手つきで彼女の帯に、手を掛ける。
「…雪菜……」
飛影の問いかけに、虚ろく潤んだ瞳を薄っすらと開けて、彼を見る。
「…飛…影さん……?…あ…っ…」
彼の手が、自分の帯に掛かっているのを見て、微かに身じろぐ。
「……心配するな。緩めるだけだ。苦しいんだろう?」
「……っ……」
飛影の言葉に、雪菜は紅い頬をさらに紅潮させる。
胸が、きゅうっと締め付けられるような気分になった。男の手で自らの衣を解かれる
その行為に対し、雪菜は恥じらいの感情を持ちつつも、少しずつ与えられる
解放感に、拒む事はしなかった。
衣擦れの音が互いの耳について、飛影は雪菜の衣を脱がしてはしまわないように
注意しながら、襟元を緩める。
固く締め付けられていた襟元から、白い肌が覗く。
同時に、雪菜の表情が解放感に緩む。
「ありがとう…ございます……飛影さん……」
儚い声で、儚く微笑みながら、雪菜が飛影を見詰めた。
「……女の衣は面倒だな。よくこんな窮屈なもの着ていられるものだ…」
「ふふ……慣れですよ……人間界の洋服、を…静流さんがたくさん買って下さったんですけど……
やっぱり、私にはこれが一番落ち着くんです……
その度に……実感させられます…。やっぱり…私は氷女…なんだと……」
「…………」
憎んだはずの種族。同族であるが故に、同胞達の凍てついた心と酷薄な所業を
許せなかった妹。
滅んでしまえばいいとさえ言い切った、その心の内はどのようなものだったろうか。
彼女が人間世界に溶け込もうとした理由の一つに、同族に対する激しい嫌悪が働いたからというのも
あるのかもしれない。
同族を否定し、憎む事で、己自身の存在をも否定する。
そんな葛藤を繰り返しながらも、やはり最終的には自分に染み付いた習性を自覚せざるを得ない。
この現状も、やはり例外では無く。
「飛影さん……」
「…何だ…?」
「……成長…なさったんですね……背が、伸びてます……」
『成長』――雪菜の言葉に、飛影の言葉が詰まる。
「俺…は…、……」
何と言っていいのかわからない。
言えば、大切な何かが崩れてしまう気がした。
ほんのニ週間前だった。彼が『成長期』を迎えたのは。
身体が突然だるくなり、かなりの熱があったように思う。
とは言え、炎を操る妖怪である彼にとっては、熱などは大した問題では無く、
その間移動要塞『百足』の、彼に与えられた一室でひたすら眠り続けていたのだ。
退屈な魔界パトロールに精神的に疲れきっていた本人にとっても、
それをサボるいい口実になる位にしか思っておらず、
ただ寝ている間に骨が軋む音が酷く耳について、原因不明な骨の痛みが唯一彼を悩ませた。
三日程で熱は引いたが、その後も骨が夜毎痛むのは止まず、
ようやくそれが治まった時に部屋から出ると、躯が呆気に取られたような表情で
彼を見るので、そこで初めて自分の背が急激に伸びた事に気が付いたのだ。
人間で言う『二次性徴』というやつらしい事を悟り、ふと雪菜の事が頭を過ぎった。
妖気の特性こそ違うものの、同じ母の胎から産み落とされた双子の片割れが
成長期を迎えたと言う事は――もしかすると。
炎の妖気を纏う自分でさえも身体がだるく、まともに動けなかったと言うのに、氷女である雪菜が
もしあのような高熱を出したとしたら――そう思うと居たたまれずに、
確かな確証もないまま人間界へと降り立ったのだった。
やはり、その予想は当たっていたのだけれど。
それも、人間界の、日本で言うところの夏の気候は氷女である雪菜にとっては
妖力が著しく低下する時期でもある。
厄介な時期に当たったものだと、飛影は心で舌打ちする。
「私も……今がその時期なんです……百年に一度訪れる、氷女の分裂期に……
ちゃんと赤ちゃんを産めるように……、私の分身が残せるように……
その為の、試練みたいなものなんです。」
『試練』……分身を残す為の、氷女に与えられた枷のようなものなのだろうか。
他者を拒み、自由を拒み、感情さえも拒む。
そんな宿命を背負った氷女と違い、氷女から生まれたにも関わらずそのような枷も無く
自由に生きる自分にとって、今回の成長は一体何を意味するのか。
男として――『忌み子』として生まれた自分は子を成す事もなく、ただ
流れるように生きるだけだと言うのに。
「……分身…か……」
「はい……でも……」
飛影の顔をじっと見詰めながら、雪菜は苦しげに微笑んだ。
「私……今母の事が羨ましくて…たまらないんです…。」
「!?何…っ……」
雪菜の言っている言葉の意味がわからなかった。
『忌み子』を産み落とす代償に命を失った女の、どこが羨ましいというのか。
「何を……お前の母親はお前の『兄』を産んですぐに死んでしまったんだろう?
どこが……」
「だって……愛した方と添い遂げて、その方の子供まで産む事が出来たんです…。
私だって……愛した人の子供が産みたい……それが出来なくても、せめて
添い遂げる事が出来るのなら……そう、願います。」
妹の予期せぬ願いに、兄の頭は混乱する。
愛した人、だと?誰の事を言っているのだろうか。誰を思い浮かべて、そんな話を?
可能性で見ると、やはりいつも雪菜の間近にいる桑原の事が真っ先に思い浮かぶ。
けれど、もしそうだとしても……ありえない。考えられない。
「母は、…きっと幸せでした。私も……好きな人と居られたら……」
苦しげでいながらもどこか幸せそうに言う妹に、飛影はかつて無い動揺を覚えた。
まだ少女のような面影を十分に残しながら、そんな妹が具間見せた女の表情。
胸が鷲づかみにされているようだった。
「…飛影さん……どうしました…?」
「!…あ、ああ……」
どうしたもこうしたもない。あまりの衝撃に、次の言葉が出ない飛影を気遣うような
雪菜に対し、飛影はそれだけ言うと雪菜からふい、と目を逸らした。
雪菜の顔を見ていられなかった。
この妹は、いつからこんな大人びた考え方をするようになっていたのだろう。
「飛影…さん……」
「……もう余り喋るな。苦しいんだろう?大人しく寝ていろ。」
それが雪菜の意志であるなら、自分にはそれを止める権利などありはしない。
雪菜が決めた道を、陰で見守る事。兄である名乗りをしない以上、自分にはそうする事しか出来ないからだ。
けれど、…けれど!
「はい……でも…その前に一つだけ…お願いしてもいいですか…?」
飛影の気持ちを知ってか知らずか、雪菜は顔色が変わった飛影を気にも止めずに微笑んだ。
「……随分と多いお願いだな……」
「すいません…でも、これで最後ですから。それに、今と言うわけじゃないんです。」
「…?」
「もし……私が…成長期を乗り越えられたら……その時、一つだけ…私のお願いを聞いてください…」
『乗り越えられたら』――その言葉が、飛影に突き刺さる。
裏を返せば、乗り越えられない可能性がある、という事になる。
考えたくもない可能性であるが。
「…何をすれば良いんだ…」
「今は…言えません……私が元気になったら…お話します。だから…約束だけして下さい…。
お願い……聞いて下さい……」
潤んだ瞳で懇願する雪菜に、飛影は黙って頷いた。
すると、雪菜は安堵の表情を浮かべ、深い眠りへと落ちていったのだった。
これから、自分の経験では三日間程、このような状態が続くはずだ。
雪菜の体力が持つかどうかが不安だった。熱はまだまだ上がっていくのだろうし、
今の内によく眠って妖力と体力を温存しておかなければならない。
これからの事を考えると、飛影はひどく気が鬱になった。
どうにかこの試練とやらを乗り越えたとして、果たしてその先に一体何があると言うのか。
雪菜の考え方は、明らかに氷女のルールからはみ出したものに間違いは無く、
雪菜の願いが果たせた時――それは雪菜自身の死を意味するものだ。
長生きをする事に意味を見い出さないところなどは非常に自分によく似ている。
何かに縛られて死んだように生きるよりも、自由に生きて、自由に死にたい。そう願うところも。
飛影はそう思って苦笑う。
雪菜の『お願い』とは、それに果たして関係するものなのだろうか――
「………」
服越しに、胸に有る二つの石に触れる。
涙の結晶。母の想い。自分と、妹と、一匹の女妖怪の匂いが染み付いた一対の宝玉。
悲しみも、不安も、憎しみも、全て吸い取ってくれるような――そんな不思議な石。
「――……俺は………、……」
――どうすればいい?
この世に生きてさえいない母に――初めて問いかけた。
返事など、返ってこないこと位わかっているのに。
それでも、布越しの氷泪石を握り締めながら、己にも聞こえぬ程の声で、
消え入るように、そう呟いた。
***
それから一日程経った頃、雪菜の体調は明らかに昨日よりも悪くなっているようだった。
呼吸は荒く、顔はひどく火照り、ぐったりとして指先一つ動かすのも苦しいように見えた。
飛影はそんな彼女を前に、どうする事も出来ずにただ見守るだけだった。
これが病気ならば、蔵馬に薬を調合してもらうことも出来ただろうが、
これは成長に伴う発熱の為、もし熱を薬によって無理に下げてしまった時、
雪菜の体がどうなってしまうのか――そう思うと、飛影は雪菜にまったく手が出せないでいた。
氷河の国に連れていく事も考えたが、ここまで状態が酷くなってしまっては
動かすだけでも致命的になりかねない。
己の無力さに、ただただ唇を噛み締めた。
それでも、雪菜は何も言わなかった。
苦しいとも、悲しいとも。
それどころか、時に彼女から紡がれる言葉は、逆に飛影を気遣うような科白ばかりだった。
それに今までは気が付かなかったが、こうして初めて二人だけで過ごしていると、
大人しげでいながらもその内面は自分と同等――いや、それ以上では
無いのかと思える程芯が強く、強情なところがあるように思える。
時々交わす会話の中で、そんな雪菜の意外な一面が垣間見れた気がした。
成る程、あの垂金のところで数年間も我慢出来ただけの事はある――そう思った。
「飛影さん……ごめん…なさい……心配…かけて……」
「…別に心配などしていない。くだらん事を考える間があったら大人しく寝て早く治せ。」
「…はい……ありがとうございます……」
笑う。
苦しい癖に。
自分が居ない方が、雪菜は余計な気を遣わないでいいのではないかと思ってきた。
ここから出ようとは思わないが、雪菜と少し距離を置いた方がいいかと思い、
飛影が立ち上がろうとすると。
「…飛影…さん……」
「!雪菜……」
手を、掴まれる。小さな手で。指先を動かすのでさえも苦しげでいたはずなのに。
瞳は潤んで、少し涙が滲んでいるように見えた。
これがもう少し大きくなれば、氷泪石になるのか――と、こんな状態であるのに心の隅で思った。
「ここに…居て……」
言いながら、飛影の手を自分の方へと引き寄せる。
どこにそんな力があるのかと飛影は目を疑ったが、雪菜の取った行動は、更に飛影を驚かせた。
飛影の手の甲を、雪菜は自らの頬に擦り付けたのだった。
「っ!何を…!?」
「……飛…影さん……」
熱に浮かされたように彼を呼び、彼の手に触れた事で安堵の表情を浮かべると、
再び深い眠りへと堕ちていく。
「雪菜……」
雪菜が眠った事を悟り、飛影は拍子抜けしたように、雪の上にずる、とへたり込む。
「……何…なんだ……一体……」
肌理細やかな白い肌は、飛影の手に滑らかで心地よい感覚を与えた。
雪菜の目が覚めぬよう、――僅かばかりの名残惜しさに気付かぬふりをして――
雪菜から手を離した。
まさかこんなにも、妹に翻弄される日がこようとは……。
自嘲気味に、溜め息をつく。
雪菜の寝顔を見詰めながら、思った。
おそらく、どれだけ強くなろうとも。どれだけの妖力を身に付けたとしても。
たった一人、敵わない者がいるとすると――それはこの妹なのだろう――と。
***
そして、三日目。
あれを最後に、熱に意識を奪い取られていた雪菜が、ようやく覚醒を始めた。
この二日間、一度も目を開ける事の無かった彼女が、薄っすらと重い瞼を開いたのだ。
「!雪菜……」
「……飛…影…さん……」
まだ完全に覚醒したわけでは無いが、自分の存在は間違いなく理解している。
額に手をやると、昨日よりもひんやりとした感覚がそこに有る。
その事実に、飛影はようやく安堵の吐息を漏らした。
しかし自分に比べて、雪菜自体は外見的にそれ程の成長があるようには見られない。
自分の時のように、骨が痛むような事も無かったように思う。
本当に、これで終わったのだろうか。
出来れば、これ以上雪菜の苦しげな姿を見るのは勘弁願いたかった。
「大丈夫か…?」
低く呟くと、雪菜はようやく自分の置かれている状況を理解したらしい。
夢から覚めた後のような、まだ虚ろな瞳のまま、飛影を見詰める。
「はい……もう…あまり苦しくはありません……まだ少し…身体は重いですけど…」
「そうか……」
どうやら心配はいらないようだ。後は体力がもう少し回復すれば動けるようになるだろう。
張り詰めたような空気が、ようやく和らいだ気がする。
「私……どの位……」
「二日程、目が覚めなかったな。」
「そんなに……飛影さん…ずっと側に居てくれたんですね…」
「……お前が居ろと言ったんだろう」
多分、居ろと言われなくても離れられなかっただろうが。
そんな飛影の心を知ってか知らずか、雪菜は嬉しそうに微笑む。
熱の名残で、ほのかに火照った頬を、更に紅くさせて。
「ありがとうございます……」
幸せそうに、呟いた。
別に自分は何をしたわけでもない。礼を言われる筋合いも無い。
そして、こうして終わってしまえばもう自分はここには必要無い。
自分は魔界に戻り、雪菜は人間界で――またいつもの生活に戻るだけだ。
『いつも』の生活。『いつも』の――
――本当に、戻れるのだろうか?
――本当に、戻る事が許されるのだろうか?
『何か』が変わってしまった気がする。
飛影の頭に、変わってしまった『何か』がけたたましいサイレンを鳴り響かせる。
それが何を意味するのか。
わからない。
わからない。
何が変わった?
どう変わった?
この胸騒ぎは――何なのだ?
「飛影さん……」
呼びかけられて、飛影ははっと我に返る。
忘れていた大切な何かを思い出しかけたのに、雪菜の声に、それはまたどこかへと消えていった。
「大丈夫ですか…?」
「………」
何も言えなかった。何故だかはわからない。けれど、飛影の本能が告げていた。
『早く離れなければ』――と。
これ以上、ここに居たくない。
これ以上、ここに居てはいけない。
そう、警笛を鳴らし続ける。
そして自分は――その本能に従うのみ。
「――俺は帰るぞ。」
「え…!?」
立ち上がろうとする飛影に、雪菜は驚きを孕んだ声を上げる。
「もう、大丈夫なんだろう?お前も早く桑原のところへ帰れ。俺は魔界に戻る。」
「ま、待ってください!!」
気だるさの残る上半身を慌てて起こし、飛影の腕を掴もうとした。が。
飛影は雪菜の手をすり抜けて、洞窟の出口へと向かう。
雪菜は飛影の後姿を見て、どうしようも無く涙が溢れ――叫ぶ。
「じゃあ、約束はどうなるんです!?」
『約束』――その言葉に、飛影の足が止まる。
「約束…してくれたじゃないですか…!私のお願い…聞いてくれるって…!
それなのに……」
決して、忘れていたわけではなかった。
『元気になったら』という雪菜の願いがどんなものであるのか、興味もあった。
また逆に、不安に駆られたのも事実であり――今となっては後者の方が強い。
聞けば後悔するかも知れない。知らぬ方がいい事もある。
だが……しかし。
「――自惚れるなよ。俺が、約束を守るような男に見えるか?めでたい奴だ。
いいだろう、言うだけ言ってみろ。無駄だと思うがな。」
辛辣で悪めいた言葉の裏側に、心の動揺をひた隠す。
けれど――やはり次の瞬間、それは後悔へと変わった。
「――兄…さん……」
「―――――!」
頭の中が、真っ白になった。
色々なものが、大切なものが、崩れていく音が響く。
一体、いつから――?
「……な…んだと…?」
声が上擦る。心拍数が上がる。――果たして自分は、今どんな顔をしているのだろう?
「飛影さんは……私の兄なんですか…?」
雪菜の顔がまともに見られず、視線は氷の壁へと向いているが、それさえもこの眼は見ていない。
何も見えない。見たく、ない。
「――ふざけるな。俺はお前の兄じゃない。他人をお前の兄に重ね合わせるな。
俺が兄なら――とっくに名乗っている。」
隠す必要など――無いのだから。
そう付け足した。
そう。隠す必要など、今はもう無い。
それでも、名乗れない。自分でも何故なのか分からぬほどに。
己の業の深さを思い出す度に、心が軋む。
「そう…ですか……そうですよね……飛影さんが兄なら、隠す必要なんてないもの……。
わかりました…。でも……私の『お願い』は……もし飛影さんが兄であったとしても…
名乗って欲しいって事では無いんです。」
言葉を選ぶように 雪菜は一つ呼吸を置いて 儚く微笑んで 縋るように 飛影に言う。
「――抱いて、下さい」
ドクン……と心臓が跳ねる。
飛影は、ただ立ち竦んだ。
ただただ呆然と、雪菜を見た。
雪の上に座り込んだ体勢の雪菜は、帯紐を緩めていた事で胸元まで着物がはだけ、
白い肌を自らの裾で隠している。
瞳は潤み、頬は微かに紅く染まり、その姿は男の情欲を誘うには十分で――
「……!」
目頭が熱い。
指先がちりちりと痛む。
身体が焼け付くように熱い。。
頭の中で一度は治まっていたはずのサイレンが、再び鳴り響く。
そして、その正体が何であるのかを――はっきりと、悟る。
「何を…言って……」
搾り出すように放った言葉は、果たして雪菜まで届いているのかいないのか。
「飛影さんの事が、ずっと好きでした」
何故 なのだろう?
「貴方がたとえ兄で無かったとしても」
何故 もっと早く気付かなかったのだろう?
「貴方の正体がわからないままでも――それでもいいんです」
『成長』の意味を。
「一度でいい…貴方のものになりたい 貴方の腕で抱かれてみたい」
頭の中でけたたましく鳴り響いていた警笛の告げるもの。
「好きです……飛影さん…」
忘れていた、根本的な『何か』。
「お願いします……私を…抱いて下さい…」
兄妹であり――『男』と『女』である事。
「――貴様……何の…つもりだ…!?俺は――っ」
何を、言うつもりだ。
今更、兄の名乗りをするつもりか。
「俺は……!」
言ってやればいい。『貴様に興味など無い』、と。
「…っ…!」
ただの一言――何故、言葉にならない?何故、何故!?
「――飛影さん……」
「…!!」
立ち竦んだ飛影に、雪菜はまだ力の十分に入りきらない身ながらも立ち上がり、
覚束ない足取りで近づいていく。
金縛りにでもあったように動けないでいる飛影を前に、雪菜は激しい不安に駆られた。
飛影の前で立ち止まり、動揺からか自分と目を合わそうともしない彼に、雪菜は
自分の心が傷ついた事を悟ったが、それは仕方が無い事だとも思う。
自分が、突然無理な願いを彼に求めている所為なのだから。
けれど、止められなかった。言葉として、想いを吐き出してしまった以上は。
どうにもならない感情が氾濫し――溢れ出す。
「ごめんなさい、飛影さん……私……!」
「っ、雪っ…!?」
飛影の身体に、雪菜の重みがかかる。
それは、ただ単に雪菜が躓いただけであるのか――或いは故意であったのか。
自分の方に倒れこんで来た雪菜を、飛影は反射的に受け止める。
崩れ落ちそうな華奢で小さな身体を支えた。
「…飛影…さん……私……もうどうしようも無いんです…お願い……!」
「『お願い』…だと…!?ふざけるな……!俺は……」
「お願いします……」
飛影の胸に顔を埋め、細い肩を震わせる。
瞳から流れる液体は、雪菜の目から離れるや固体へと変化し、飛影の服を濡らす事はない。
代わりに、白い雪の上に幾つもの宝石がパタパタと落ちていく。
それを確認し――飛影は悟る。
「――……後悔、…するぞ……!」
今後二度と、妹の前に姿を現す事は無いだろう――と。
「飛影さっ……あっ……!」
雪菜の身体を押し倒し、強引に雪の上に組み敷いた。
「っ……!」
着物は肌蹴て、小さいながらも白くて確かな曲線を描いた膨らみが、飛影の目に止まる。
身体の奥が熱くなるのを飛影は感じ取り、衝動的に、雪菜の露になった乳房を強く弄る。
「っ、…っ!!」
まだ誰にも触れさせた事の無いそれは、飛影の強い力で無遠慮に弄られ、
与えられるのは苦痛ばかりであった。
膨らみは飛影の掌に収まり、中心の突起を親指と人差し指の先で摘み上げる。
「あ、っ……!」
恥辱と痛みに、雪菜の表情が歪む。
眉を顰め、目尻には結晶になる前の液体が溜まっている。
飛影はそれを舌で舐め取り、手に更に力を込める。
「っ…ぅ…!」
声を抑える雪菜の朱に染まった頬へと唇を落とし、段々と下へと降りていった。
唇に触れることを躊躇い、それを避けて首筋をなぞる。
雪菜の頬から首筋――そして鎖骨へと、唾液の筋が出来る。
そうして胸へと降りていき、先端の突起よりも少し上の辺りに――思い切り、吸い付いた。
「――っあ…!!」
鬱血し、紅い痕が段々と浮かび上がる。
一つ目の、傷だった。
唇を離すと、雪菜から安堵の吐息が漏れた。
けれど、すぐ後二つ目は雪菜の首筋に――やはり、それも強く、荒く。
「ぃっ……っ……!!」
雪菜の身体がびくり、と動く。
痛みに顔を顰めながら、――それでも飛影を咎める事も無く。
三つ目、四つ目と、次々に痕を刻み込まれていく。
それは雪菜にとっては官能よりも痛みの方がはるかに勝った行為だった。
けれど、それに耐えながら。雪菜は飛影の愛撫を、何も言わずに受け止める。
「は、ぁ……飛影…さ…っ…!」
男の名を、呼んだ。
「飛影さんっ…飛…影…さん……っ」
飛影は何も言わない。そのことが雪菜の不安を駆り立てる。
けれど、それでいい。雪菜は思う。
確かなもの。飛影が、自分に触れている事。行為に反して、飛影の手はとても暖かい。
心地よい熱。
飛影によってもたらされる苦痛。何より、夢で無い事の証明。
これ以上、何を必要とするのか。
拒まれるかと思っていた。
『お前になど、興味がない』――そう言われてしまったら、最後だと思っていた。
けれど、今、自分は彼にこうして抱かれている。
例え、そこに温かい感情など無くても。――それでも――
「っ…ぁ…ぁ……っ…飛影さん…っ…」
飛影の耳に、雪菜の自分を呼ぶ声が降り注ぐ。
痛みを堪えながら、必死に兄の名を呼んだ。何度も、何度も。
――何故だ。
込み上げてくる怒りにも似た激情に――それは雪菜に対するものか己に対するものか――
流されるまま、雪菜への愛撫に躍起になる。
雪菜の白い肌に、無数の血の刻印が浮かび上がった。
――どうして。
「っ……っ……」
不安げな声を微かに上げながら。――それでも――
「――何…で……!」
己の唇を、血が滲むのでは無いかと思うほど、噛み締めながら。声を絞り出す。
「何で……だ…!?」
「っ…?…は……飛影…さん……?」
初めて聞く飛影の声。雪菜は閉じていた目を薄く開いた。
飛影は雪菜の肌から唇を離し、雪菜と顔を合わせる。
随分と長い間――雪菜と目を合わせていなかったような気がする。
飛影は湧き上がる激情のままに――雪菜を責めた。
「何で……拒まない…!?俺は…!」
「っ…あ…!」
飛影は、雪菜の首筋をぎゅ、と掴む。
力はそれ程入れてはいない。けれど、雪菜の吐息が弾む程度の圧迫ではある。
「はっ…飛…影さん…?っ…」
「――俺がほんの少し力を入れるだけで…俺はお前を殺す事だって出来る。
俺は…お前が思っているようないい妖怪じゃない…。お前が苦しんでいる姿を
見ても何も感じない。わざと痛みを与えてやりたくなる――殺して、やりたくだってなるんだぜ?」
残酷な笑みを、浮かべながら。
雪菜が、自分を恐れるように。
「お前の氷泪石は、俺達盗賊からしたら至高の宝だからな……もっと、苦しめて、泣かせてやろうか…」
雪菜が、自分を拒むように。
「それとも――焼き殺されたいか?」
雪菜が、自分を嫌うように。
そのためなら――そのためなら……!
「――それが…飛影さんの望みですか…?」
想いに反して――目の前には、穏やかな雪菜の顔。
優しく微笑むその表情は、この上なく綺麗で。
「な…に……?」
何故――笑っていられる。
「飛影さんが泣けと言うなら……私は幾らでも泣いて…氷泪石を作ります…」
どうして――
「私の苦しむ姿が見たいと言うなら……私を殺したいと言うなら……飛影さんの
思うようになさって下さい……」
「っ、何でだ!?貴様っ……!」
「私は…飛影さんが望むままに……だって私は…飛影さんにこうやってお願いを
聞いてもらっているんです…だから……」
雪菜の手が――小さい、綺麗な手が、飛影の頬を撫ぜる。
ひんやりとした感触が、飛影の熱を冷ます。
「…そんなに、苦しそうな顔…しないで下さい……。私は――」
貴方の事が、好きなんです
小さく。しかしはっきりとそう呟く雪菜の表情は――この上なく幸せそうで。
「雪…菜………」
苦しそうな、顔。そう言われて初めて、自分がどんな表情をしていたのかを理解した。
――俺の…負けか…――
雪菜の首から手を離し、代わりに雪菜の頬に触れる。
やはり、自分は妹には敵わないらしい。どう足掻いたところで。
だが…しかし…!
「…『罪』を……犯す気か…?お前の…母親のように……」
自然に、口について出た言葉だった。
男と交わる事――氷女の最大の禁忌。それを犯した母親。
否――それ以上に。
『兄妹』で交わる事――それは全ての生命に共通する背徳の儀式。
それを、今から行おうと言うのだ。
妹に――罪を犯させようとしている。
「『罪』を犯すことなんて…怖くはありません……。だって…」
一つ呼吸を置いて、何かを思い出すように目を閉じ――再び開けた時。
綺麗な微笑みに反し、瞳には大粒の涙が溢れていた。
「私は生まれながらの、罪人なんです。禁忌を犯した氷女を母に持ち、
忌み子である兄を持って生まれてきた。私に声を掛けてくれるのも…母の友達の泪さんだけ…。
私の――存在自体が…罪なんです。」
――飛影は、初めて理解した。
雪菜の辿ってきた、孤独を。
雪菜の言葉に秘められた、哀しい思い。
自分と母親の背負った罪は、本来ならば罪が無いはずの妹さえも、罪人にした。
どれだけ、辛い思いをしながら氷河の国で耐えてきたのだろう。
「…、お前は……」
「私、だからもし飛影さんが兄だったとしても……それでも私は同じお願いをして
いたんです。罪を犯すことは何も怖くない……むしろ、その罪を兄と一緒に背負っていけるなら。
そう思っていました。だから……お願いします……」
「………」
切なく懇願する雪菜を見詰め、飛影もまた――覚悟を決める。
自分の罪は二つあった。
誕生と同時に母の命を奪ったこと。
母の形見の氷泪石を一度は失ったこと。
そして、もう一つ新たな罪を背負って生きていくことを。
「っ、ん……っ…!ぅ…!」
強引に――けれど先程までとは違う想いを注ぎ込むように――雪菜の唇を奪う。
雪菜の薄く開いた唇の間に、舌を割り込ませる。
「は、…っ……――…」
吸い付くように深く唇を合わせながら、雪菜の舌に自分のを絡ませる。
くちゅ、くちゅ、と唾液が絡み合う卑猥な水音が漏れた。
雪菜の表情が、先程とは違い恍惚としたものになる。
それを見て取り、飛影は更に交わりを深くする。
雪菜が拒めば、止めるつもりだった。
嫌だと言えば、少しでも抵抗の意を見せたならば。
そして、二度と姿を現すまい。そう思っていたのに。
「ん……ふぁ…っ……」
飛影に与えられる熱に、雪菜は幸せそうにそれを受け入れる。
もう、どうなってもいい。例え、明日死ぬ事があったとしても。
息継ぎもままならぬ激しい想いに、窒息させられたとしても。
「っ、…んっ……ぁ…」
互いの舌を絡ませ合い、深く求め、貪るように唇を合わせる。
雪菜の手が、飛影の服をぎゅ、と掴む。
「――はぁっ……」
それを合図に、飛影が雪菜から唇を離す。
交じり合った互いの唾液が、銀色の糸を引いて名残惜しげに途切れる。
瞳は濡れ、頬は紅く染まり、先程まで繋がっていた唇からははぁ、と短い吐息が漏れる。
そのまだ幼くも見える顔の造りからは想像も出来ぬ、情欲に蕩けた女の表情。
――こんな表情をするのは、俺の前でだけか?
背筋が、ぞくぞくする。
それと裏腹に、身体の芯に、熱が篭るのを感じる。
「飛、影さん……」
艶のあるその声。切なげな表情。胸元までも肌蹴て、白い肌に映える無数の紅い痕。
誰にも、見せるわけにはいかない。こんなにも乱れた妹の姿。
誰にも、誰にも――見せたくない。
「雪菜…!」
「っ、あぁ…!」
その白い肌に、再び唇を落とす。
今度は雪菜に苦痛を与えぬように、膨らみの先端を口に含む。
「っ、飛影…さん……っ…」
ころころと、舌で転がすようにそれを舐めて、片方の膨らみを手で揉みしだいた。
柔らかな感触は、飛影の掌の中でその形を自由に変えて、飛影の目を楽しませる。
身体がしっとりと汗ばんでいるのは熱の所為か、それとも。
「ん…んぁ……」
歯を突起に当てて、軽く食みながら、ねっとりと舌で舐め上げる。
唾液が絡んだそれは、どこか卑猥にも聞こえる水音を立てて、雪菜の耳にも届く。
「っ…」
恥じらいに顔を背け、漏れ出る声を抑えようと手の甲で唇を塞いだ。
そんな雪菜の手を掴み、口元から離させる。
「…抑えるな…」
言いながら、雪菜の乳房から唇を離すと、突起と飛影の唇の間につ…と唾液の筋が糸を引いた。
それが酷く卑猥で、飛影をどこか艶めかしく見せて、雪菜の胸がとくん、と疼いた。
飛影は、雪菜の白い肌を味わうように、再び唇を落とし、胸の下から下腹部にかけてを愛撫していく。
「っ!あ……」
飛影の手と、舌と、そして飛影の服の擦れる感覚に、雪菜の身体がびくっと震える。
身体が、再び熱を持ったように熱くなり――しかしそれは、先程までの熱とはまた全然違った。
身体の奥が、足りない何かを求めていて。
切なささえも感じながら、雪菜は瞳に涙を滲ませながら、飛影を見詰めた。
飛影の表情は、伏せているためここからでは見えない。
今彼はどんな表情をしているのか。
今彼はどんな気持ちでいるのだろうか。
「あ…!」
帯で包み込んでいた部分をやり過ごして、飛影は雪菜の下半身を覆う衣を捲り上げ、
完全には脱がさぬままその白い肌を露出させる。
「飛影さんっ……」
羞恥に、目をきつく閉じる。
今まで誰にもさらした事の無いその場所を、好きな男に見られてしまっている。
白い衣の下に隠されていたほっそりとした足首。そこから華奢ながらも
女独特の柔らかそうな曲線を描いた腿からその付け根と――秘められた箇所。
それを中途半端に白い衣が絡んでいて、全裸になるよりも更に扇情的で、美しくて、卑猥で。
飛影はまるで壊れ物にでも触れるかのように、そっと雪菜のまだ閉じられていた
付け根の中心に手を割り込ませ、小さな割れ目を撫ぜてみると。
「――あっ…!」
雪菜は電流が走ったように身体を仰け反らせた。条件反射のように、高い声が響いて。
其処は、まだ完全では無いにしても。まだ男を受け入れるには足りないものの。
飛影の指先に、確かな潤いをもたらして、それを汚した。
「雪菜……」
はぁ、と飛影は一つ溜め息をついた。自らにも篭った――おそらくは、雪菜と同じ類の熱を
やり過ごす為に。
あるいは、妹を前にこのような反応を示す自分自身に呆れ果てている為か。
けれど、もう後戻りはすまい。もう――手遅れなのだ、何もかもが。
「…雪菜…目を、閉じていろ…。」
「っ…え…?」
「俺がいいというまで、絶対に目を開けるな。いいな…」
「飛影…さん……」
言われた通りに、雪菜は目を閉じる。拒む理由も無ければ、拒める立場でも無い。
飛影の望む事ならば、何でもすると、そう心に決めたばかりだった。
きつくきつく――微かな光さえもその目の中に入れまいとするかのように、雪菜は目を瞑る。
その分他の五感が強まり、雪菜は飛影が何をしているのかが、目を閉じていても
想像がついた。
衣擦れの音。――おそらくは、飛影が纏っていたその衣が、脱ぎ捨てられる音なのだろう。
伴うように――微かに、本当に微かに、何か小さな一対の物が、こつんと互いにぶつかり合い、
反響し合うような音が、聞こえた。
目に頼っていたのでは、聞こえないような、本当に小さな音で。
けれど、どこかで聞いた事のあるような音だった。
そして今度は、空気の流れ。
飛影が、その何か小さなものを雪の上に置いて、その上からバサ…と衣を掛けているのだろう。
きっと、それは自分には見られたくないもの。知られたくないもの。
飛影が、自分にそれを知られるのを、見られるのを拒むならば。
それなら、きっと自分はそれを知らないままでいい。
彼の望む事ならば、何でも――
「……目を、開けろ…」
飛影の言葉通り、雪菜は薄っすらと目を開ける。それ程明るい場所では無いにしても、
先程までの真っ暗な世界から解き放たれた事で雪菜の目に入る光は酷く眩しく思えて。
数度目を瞬かせて、ようやく慣れてきた目を完全に見開いた時。
ふと横を見ると、自分達がいる場所よりも数十センチ離れた場所に、
予想通り飛影の脱ぎ捨てた漆黒のコートが無造作に置かれていた。
上を見ると、そこには飛影の顔。
ようやく、真正面からそれを確認できた事に、雪菜は安堵の微笑みを漏らす。
上半身は何も身に付けてはいなくて、右腕には複雑に包帯が絡んでいる。
しかし、飛影の身体は華奢ながらも以前よりも大きくなっている為、
数年前に見た暗黒武闘会の時の身体つきよりも、ずっと大人びていて。
雪菜の心が、にわかに高鳴り始める。
この身体に、今から自分は抱かれるのだろうか。
そんな想いに伴うように、雪菜の秘唇からはじんわりとわけのわからない液体が滲み、
雪菜を戸惑わせた。
――何なのだろう。これは……。
まだ何も知らない雪菜にとって、それはどういう事なのかわからないながらも、
どこか恥ずかしい、卑猥な事なのだという事だけは感じていた。
飛影は何も言わず、今度は雪菜の足を僅かに開かせ、そこに手を這わす。
「やぁっ…!」
また、雪菜の身体に痺れが走る。
しかし痛みでは無く、甘く疼くような感覚だった。
けれど、雪菜はそれが快感と呼べるものである事に、まだ気が付かない。
「…濡れてるな……」
「え…?」
その言葉の意味が、雪菜にはわからなかった。
飛影が何を言っているのかわけがわからず、否、もしかするとこうなってしまった自分に
飛影が興味を失ってしまうのではないか。嫌ってしまったのではないだろうか。
そんな不安ばかりが、雪菜には募っていく。
思わず謝罪の言葉が口に出たのも、そんな想いからだった。
「…ごめん…なさい……」
涙が滲んだ。言ってしまって、何だか自分がとてつもない罪を犯してしまったような
錯覚に陥る。いや、犯していることに違いは無いのだけれど。けれど――
「――何故謝る?」
雪菜の謝罪の意味が、飛影にはわからなかった。
まだ、たった其処に触れただけだと言うのに、涙さえも滲ませる妹に飛影は戸惑う。
「…だっ…て……」
頬を朱に染めて、恥じらいと不安と罪悪感に身を焦がしながら、雪菜は黙り込む。
そんな雪菜の様子で、飛影はようやくその意味に気付く。
「――ああ…これの事か?」
――くちゅ…
「――っ…!」
飛影が、雪菜の秘唇に指を差し入れた。
途端に、溢れた蜜が粘るような水音を立て、雪菜の羞恥をより煽っていく。
「あ…あ……や……!」
伴うように、得も知れぬ罪悪感が雪菜の心を占めていく。
何に対してかはわからない。
飛影に対してなのか、それとも――
「気にするな。こうなって当たり前だ。多分、な…」
飛影には女と交わった経験こそ無かったが、これまで魔界で生きてきた中で
それらと無縁の生活を送るという事は有り得なかった。
初めて人間界に降り立った時、剛鬼や蔵馬と手を組んだように、魔界に
いた時もその時の成り行き――自分の計画に他人の力が要る事を余儀なくされた時だけ、
飛影は上っ面だけの仲間を作った。
そしてその妖怪達が、自らの欲望とやらを満たすために女を捕らえ、飛影の目の前で
その行為にふけっている姿を幾度も見てきたからだ。
それ故、雪菜と違い飛影にはそれなりの知識もあった。やり方も知っている。
興味こそ無かった為、その時はそれが酷く愚かで下種な行為に映り、
冷ややかな目でそれらを見ていた気がする。
だから、飛影は当たり前だと思っていた。
女とは、こうなって当然なものだと。
雪菜には、どうやらそこまでの知識は無かったらしい。ただそれだけの事だ。
それなのに。
「…どうして…泣く?」
滲ませるだけだった涙は、大粒のそれへと変わり――溢れては溢れては、泪の石を
幾つも作り、冷たい雪の上へと堕ちていく。
飛影に当たり前の事と言われ、安堵したのは事実だった。
けれど、それに反比例するかのように、罪悪感ばかりが大きくなり、涙が込み上げてくる。
「……ごめんなさい……」
己の罪深さに、心が引き裂かれてしまいそうだった。
「…っ…ごめんなさい…っ…」
母も――果たしてこんな気持ちになったのだろうか?
「………」
雪菜の謝罪――それはおそらく自分に対するもので無いことは、何となく飛影にも伝わってくる。
漠然とした罪の意識――この世に在る全てに背いてしまったような、背徳の感情。
それは、飛影自身にも共通して存在するものだったからだ。
雪菜の気持ちが、何となく理解出来るのはその為だ。
飛影は何もかもを憎みたくなった――この世の『不条理』を。
「…どうして…だろうな……」
「…っ…?」
「…男と交わる事が罪なら……どうしてお前ら『氷女』は……こんな風に出来てるんだ…?」
男を受け入れる為に、普通の女と変わらずこうして蜜を垂らし
男を求め、感情を与えられ、その結果男を産んで
「本当に罪なのは―――」
それらを与えた、残酷な『何か』であるはずなのに――
「っ!やぁっ…!ああ…!」
飛影が、雪菜の濡れた秘唇に口付けた。雪菜の身体が、火が付いたように跳ね上がる。
「飛影っ…さんっ…やぁ…!」
くちゅ、くちゅ、と淫らな音を立てて、飛影が雪菜の桃色の割れ目を舐め上げる。
本来ならば不可侵である其処はきつく、男の侵入を固く拒んでいる。
それでも、それを解き解すように、飛影は舌で――時には指先を使い、丹念に入口を押し広げていった。
「は、はぁっ…ぅあ……ああっ……」
切なく疼く体の奥。求めるのは、もっともっと奥。決して指先では届かない、――男でしか
それを満たしてはくれないだろう、子宮への入口。
「飛影さんっ…ああぁ…!」
欲しい。決定的な何か。罪を犯す事を後悔しないで済むものが。
その罪を犯す事さえも、幸せにしてくれる何かを。
「飛影さん……飛影さん…!」
何度も自分を呼ぶ声に、飛影は顔を上げた。
口唇の回りが、雪菜の愛液でべとべとに濡れているのを、飛影は紅い舌でぺろりと拭う。
雪菜が求めているものを悟り、飛影は己のズボンのジッパーを下げ、昂ぶった怒張を取り出す。
それは酷く熱を持って、どく、どくと脈打ちこれから訪れる刺激を待っているように見えた。
そんな己自身に、飛影は自嘲気味に口元に笑みを浮かべた。
――全く呆れる限りだぜ…――
目の前の女は、確かに己の妹だと言うのに。
以前仲間であった、名前も知らぬ女を犯していた奴らの顔を思い浮かべる。
品の無い口振り、容姿、行為。それらを極めて冷ややかに見詰め、愚かだと嘲笑ってきたと言うのに。
――本当に愚かなのは……俺自身だ――
そこまで考えて、飛影は自身の先端を、雪菜の秘唇にぴたりとくっつけた。
「あ…!」
雪菜は、指とも舌とも違う感触に、喉を仰け反らせた。
――熱い…!――
お互いが、お互いの熱を感じ取る。
お互いの求めるものの存在を確信し――飛影は雪菜の顔を覗き込む。
雪菜は飛影の顔を見詰め、潤んだ瞳を隠すように、そっと目を伏せた。
それと同時に、飛影は自身を雪菜の秘唇に侵入させていく。
「っ…いっ…!!」
そこには――いや、雪菜にとってはまだ甘い官能は感じられなかった。
あるのは痛み――身を引き裂かれるようなそれと、圧迫感のみであった。
飛影にしても、快感が無いわけでは無かったが、どちらかと言うと
きつい内部を強引に開いていく圧迫感の方が先立って、思わず眉を顰めた。
「っ…力…抜け……」
「い…ぁ…ぁ…っ…!」
涙を流しながら、苦しげに吐息を吐きながら。
それでもまた、やはり雪菜は何も言わなかった。
痛いとも、苦しいとも。
そんな雪菜に、飛影は苦笑する。
――相変わらず、強情な奴だ…――
本当に、そういうところは自分によく似ている。
けれど、そんなところが痛々しくも、愛しく思えて。
飛影は、雪菜の胎内の奥深くを―― 一気に貫いた。
「あああっっ…!!」
「くっ…!」
雪菜にとっては、酷く苦痛を伴った行為だっただろう。
涙を流して苦痛の色を見せる雪菜に罪悪感は湧いたものの、それでも自分自身が限界だった。
壊したくは無いが、己の破壊衝動が、どこかでそれを望んでいた。
――このまま、壊してしまえたら――
「ひぁぁっ…!!」
雪菜の狭い胎内を、飛影は強く突き上げた。
「あっ…いぁぁっ…!」
雪菜が高い嬌声を上げる。おそらく、まだ快感は無いはずだ。
だとすると、それは痛みゆえの悲鳴であるのだろうか。
それがわかっていて、尚、飛影は自分の衝動を雪菜にぶつけた。
――このまま壊してしまえば…罪の意識は消えるだろうか――
雪菜は必死に苦痛に耐える。不安に駆られ、手を空に彷徨わせると、飛影の肩に触れた。
飛影の存在を感じ取り、雪菜は必死に飛影の首に手を絡め、しがみ付く。
愛しい男の存在を胎内で感じ、汗ばむ身体に頬を擦り付けると、与えられる苦痛さえもが
愛しいものに思えてくる。
これは飛影の熱。飛影によってもたらされる痛み。繋がっている、証。
この痛みを、永遠に感じていられたならばどんなに幸せだろうか。
――そう思っていたのに。
「え…?あ…ぁ…っ…はっ…?」
「っ……雪…菜…!」
明らかに、それは今までと違っていた。
雪菜の内部が、ただ狭かったものから段々と絡みつくような動きを交え始めたのだ。
それを雄芯で感じ取り、飛影は息を詰めた。
「あっ…あ…ん……ふぁ…!」
痛みが引いていくのと反比例して、雪菜の中で今まで味わった事のない感覚が芽生える。
飛影の肉茎が自分の膣襞を擦る度、身体の奥が切なく疼く。
そんな雪菜を見て、飛影は更に突き上げる速度を上げていく。
「はぁっ……あ、ああっ……飛影、さんっ…んぁっ…」
蕩けるような体温の熱さが互いの結合部分から伝わってくる。
このままいっそ、ドロドロに溶け合って、本当に一つになってしまえたなら――そんな想いが雪菜の頭を掠める。
内部を擦る固いものが、一旦引き抜かれてはまた奥まで突き入れられ、
それを離すまいとするように、飛影自身を食い締めた。
ぐちゅ……ぬぷ……ずる…っ…
その度に卑猥で淫靡な旋律が結合部から奏でられ、恥じらいに雪菜はいやいやをするように首を振った。
そんな妹を見て――兄の手によって淫らに喘ぎ、よがる妹に、飛影は怒りとも愛しさともとれぬ
感情をぶつけ、犯していく。
「ひぁぁぁっ…あ、あっ…飛影さ…っ…あっ…」
本能のままでに突き上げると、雪菜は高らかな嬌声を上げて自分にしがみ付く。
快感が大きくなればなるほど、限界が近づけば近づくほど、飛影の心に染み付いた黒い影が
首をもたげる。
その影を振り払おうとするかのように、飛影は快楽のみに身を任せた。
雪菜を己の身体から引き離し、雪の上に縫い付けると、不安そうに飛影を見上げたものの、
手を絡ませあうと、再び安心したような表情を見せた。
結合した部分を見ると、それはたまらなく卑猥な光景で。
突き入れれば雪菜の入口は搾り取ろうとするようにきゅう、と纏わりつき、
引き抜こうとすれば粘膜が捲れ追いすがり、互いの交じり合った体液が、にちゃ…と音を立てて自身に絡む。
そんな光景に魅入られるように、幾度も幾度も同じ行為を繰り返した。
雪菜の嬌声はますます高らかになり、互いの限界も近い。
「飛影さんっ…飛…影さ…っ…あ、あっ…!」
うわ言のように繰り返し愛しい男の名を呼んだ。
身体が震えだし、経験した事の無い快感の果てを知る罪に、雪菜は僅かに恐怖を感じる。
壊れてしまいそうで、怖くなった。
「あ、ああっ…飛影さん…っ……怖いっ…怖いっ…!」
「雪菜……」
「ぁ…ああっ…んぅ!」
罪に脅え、弓なりに仰け反る妹の唇を自らのそれでそっと塞いで。
……………………どくっ…!
快感と呆然で、飛影の頭の中は真っ白になった。
「っ…んっ……!」
唇は繋げたまま、雪菜の胎内に白濁を幾度と無く注ぎ込んでいく。
収まりきらなかった生は、結合部から溢れ出し――破瓜の紅色と混ざり合い、雪の上へと滴り堕ちて――
***
雪の上だった。
自分が生まれたのは、寒い凍てつくような氷河の国。
生きとし生けるもの、すべて凍てつかせてしまうような死の国。
生まれてすぐに、そのような印象を故郷に持った気がする。
しかし、今はもう昔の話だ。
果たして最初に故郷に抱いた思いがどんなものであったのか等、本当はもう忘れているのかもしれない。
けれど、今自分が居るこの洞窟の中の光景は、生まれて初めて見た
あの故郷の光景と酷く似通っていて、何となく、懐かしくも無い昔を思い出してしまった。
あの時、こうなることが分かっていたなら――氷河の国から投げ捨てられたときに、大人しく死んでやっただろうに。
そんな思いが、飛影を掠めた。
隣で、雪菜が眠っていた。今度は安らかな寝息を立てて、飛影の身体にぴたりと身体を摺り寄せて。
――寝返りもうてんな…――
どこまでも妹に弱い自分に、飛影は苦笑する。
ふと何かを思い出し、雪菜を起こさないように気をつけながら、飛影は脱ぎ捨ててあった己の黒のコートに手を伸ばす。
否――正しくはコートの下に隠された二つの氷泪石に。
「………」
雪菜に気付かれぬように、それを手に取り――眺める。
そして、思った。
――分裂期だとわかりながら、男と交わり忌み子を産み落とした母と。
――兄と知らぬとは言え、結果的に実の兄を愛し交わってしまった妹と。
――母の死と引換えに産まれ落ち、妹と知りながら交わってしまった兄と。
一体、一番罪深いのは誰であるのか――
そんなとりとめの無い事を考えながら。
飛影は自身に襲ってくる睡魔の存在に気付き、二つの氷泪石をズボンのポケットにしまいこむ。
「……」
雪菜は、幸せそうに眠っていた。
それは本当に、本当に幸せそうな寝顔で――
そんな妹を少し恨めしく思いながら。飛影は襲い来る睡魔に抗う事無く目を閉じて。
これが夢であればいいのに――そう願いながら、何日ぶりかの、深い眠りに就いた。
終わり。
87 :
16:2007/06/11(月) 01:25:17 ID:Q1V/e2ku
長々と乙でした。
>>15さんこんな話になってしまってスマソです…
期待には沿えてないかもしれんが、勘弁して下され(平伏
飛影×雪菜キテタ━━(゚∀゚)━━( ゚∀)━━( ゚)━━( )━━(゚ )━━(∀゚ )━━━(゚∀゚)━━!!!!
GJGJGJ!!!超GJ です!!!
雪菜が飛影を兄さんと呼ぶとこ、不覚にもそこで泣きました。
早く先が読みたいような、いつまでも読み終えたくないような、そんな気持ちになりながら
読ませていただきました。
長編おつかれさまでした!!ありがとうございます!!
なんというGJ・・・
雪菜ちゃんの「ごめんなさい」が切なくてヨカタ・・・。
90 :
15:2007/06/11(月) 20:30:20 ID:VczEYsFI
いやこんな力作が来るなんて・・・
感動、泣けた、最高です
素敵な飛雪だ…雪の上ってのがまたらしいというか
そういえば成長した二人を想像したらそれはそのまま二人の両親の姿なんだよね
神さまありがとう!
この上ない感動と官能を!
ものっっっすごい良かったです。ナケタ…
雪菜って、つまり成長した途端、フェロモン放出しだしたってことだよね?
可愛さ+色気+恥じらいに飛影もやられたのだな!
ていうかワシがやられた(*´Д`*)
よく考えてみると飛影も、成長したからフェロモンに反応するようになったように見えるのだが・・・
とするとこの兄妹、裟婆に戻った後が大変かもしれない、な。
94 :
16:2007/06/13(水) 22:46:15 ID:iJGHWhM3
住人の皆さん、たくさんの感想レスありがとうございました!
ああも長くて暗い話をまともに読んでくれてたとは……多謝ですw
>>93さん
まさにその通りでございます。わかってくれてかなり嬉しいw
自分の中では今後の双子の続きってのは脳内では妄想しているんだが、
そこらへんは皆さんの想像に任せます。
では自分は名無しに戻り、他の職人さんのSSを麒麟の如く首を長くして
お待ちしてますw
コエンマ×ぼたんとか読んでみたいな、と言ってみるテスト。
飛影と雪菜はまんぷくになったので、
次は桑原と雪菜もみたいなぁ〜。
>>94 93ですが、それは是非とも続きを書いてみるべきではないですか?!
書きようによっては、雪菜総受けの話も書けそうな予感・・・
もっとも自分は躯派なので、躯絡み(つまり飛影絡み)のストーリーしか思いつかないけど(^_^;)
98 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 05:15:38 ID:/7uIaIlF
氷女の元である雪女は、淫乱女で男をふぬけにさす伝説があるから、逆パターンでお願いします。
飛雪でお願いしますわw
飛影と雪菜すきーなので話が読めて嬉しい。
職人さんありがとう
人間をふぬけにさす桑雪もまってま〜す。
>>97 えっ・・・?
16さんの続き、ってことでいいんすよね?
じゃ書いてみます。
が、携帯からなんで・・・紙に書いて打ち直すつもりなんで、時間かかるかもしれないです。
103 :
97:2007/06/19(火) 00:57:26 ID:zK/zLpYj
104 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/21(木) 20:53:52 ID:jtaOQTBw
乱童×ぼたん
乱童×雪奈に萌える。
マイナーだけど萌える。
幽助×ぼたん萌え
というかぼたん萌え
106 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/29(金) 15:30:28 ID:tAxl0mpu
保管庫はねーのけ?
ねーんだわ。作ってけろ
>>101 作者さん健在なのに他者が続きを書くのってますいんじゃないかな…?
ほしゅ
保守
ぼたんちゃんほしゅ。
コエンマとの濃密な絡みが浮かんで消え浮かんで消え…な今日この頃
あー書きおわらねー
蔵静のネタおくれーー!!!
静「きれいな髪ね……。トリートメントはしているの?」
いやほら、美容師の卵なんだし。
一週間後の試験がおわったら、オレSS投下するんだ
死亡フラグ立てちゃらめええええ!!
保守
117 :
114:2007/07/28(土) 03:43:47 ID:DWPBrfl4
フラグたてて、本当に試験死んでしまったので、
当初の予定を変更せずに、がんばって書きますです
多分ムクロか小兎もの
>>117 がんばって!どちらでも楽しみに待っています!
119 :
114:2007/07/28(土) 22:08:55 ID:DWPBrfl4
時間があるわけでないので、とりあえず片方の途中までを。
----------------------
コトコト・・・
「ムクロ様、お食事の時間です」
運ばれてきた食事。以前なら好んで食べていたものだった。
「いや・・・いい」
「は、はぁ・・・」
戸惑う部下。
食事・・・以前と好みが変わった。
そういえば・・・いつから、アレを好んでたべていたのだろうか?
「ふん、ダイエットのつもりか。」
「いや、単にもうアレは食いたいと思わない。」
飛影の腹に軽く穴を開けながら、ムクロは部屋の窓から外を眺める。
「体が変わっていってるのか・・・」
生まれ変わったから・・・か。
「ムクロ・・・お前弱くなったな」
飛影はスッと、そばに近寄る。
「飛影、お前が強くなっただけだろう?」
フッと笑い返す。
飛影の腹にできた、穴はもう跡形すらない。
「だが・・・」
「何も言わないでくれ・・・」
ムクロはそっと飛影を抱きしめた。
---------------------------------
あれは・・・あれは、いつごろのことだっただろうか?
魔界とか、人間界とか、霊界とか、
その世界がどうとか・・・
今いるところがどこかとか、
その世界がどれだけ広いとか・・・
何も知る必要はなかった。
知ったところで何があるものか?
自分がそこにいて、そこにいない世界・・・
「おい、娘・・・」
「・・・」
あの男は他の奴らと変わらず、近づいてきた。
「返事しろよ、ガキ」
「・・・」
話す価値などない。自分になど。
しかし、この男と出会ったときは状況が少し違った。
“ぐー”
腹の音。食っても食っても満たされない何か。
「はっはっは。腹へってるからしゃべれねーのかよ」
男は大きな口をあけて笑う。
「オレが腹いっぱい食わしてやるよ。」
満ち満ちと生気にあふれ、笑った男。
その名を雷禅。
その日から、ムクロと雷禅は一緒に住むようになった。
120 :
114:2007/07/28(土) 22:10:14 ID:DWPBrfl4
ムクロに関してですが、
代わりの漢字であります躯だと、何か違和感あるので
ムクロ表記で書かせていただきます。
121 :
飛×ぼ「1」:2007/07/29(日) 09:54:12 ID:oQFTq2pj
静かな夜だった。
街から遠く離れたこの山奥には、神経を苛立たせる騒音や余計な光はない。
人間界に来るのは久しぶりだ。
そして、相変らず無駄に騒がしいあいつらや、妹に会うのも。
不思議な気分だ。昔は、仲間など目的のための手段にすぎないと思ってきた。
やっと、あいつらから自由になれてせいせいしたと思っていたのに。
たった数ヶ月逢わなかったというだけで、懐かしさにほんの少しだけ胸がざわついた。
妹ー。
あいつは、幽助たちの差し金で、今は桑原の家にいるらしい。
垂金の別荘に監禁されていた時とはまるで違う。
守られているという雰囲気が全身から溢れていた。
上手くやっているのだろう。
122 :
飛×ぼ「2」:2007/07/29(日) 09:58:53 ID:oQFTq2pj
かすかに草を踏みしめる音がした。戦いに慣れた体が緊張する。体は動かさず、全身で気配を探った。
次の瞬間、風が吹いた。
大きく息を吐き、ゆっくりと力を抜いていく。そしてもう一度目を閉じた。
敵意はなかった。
主は、オレの姿を見てどうしたものか迷っている風だったが、やがて近づいてきて隣に腰を下ろした。
この空気を乱す事を恐れているように、何も言ってこない。
「・・・・何だ」
「あっおっ起きてたの?」
「用がないなら行け」
「そんな言い方ないだろ。久しぶりに逢ったっていうのに」
軽く体が触れて、オレらしくもなく少し鼓動が早くなった。
女は、全く相変らずなんだから、と呟きながら軽く睨んで見せるがそれほど怒っているようには見えない。
「・・・・幽助がね、気にしてたんだよ、雪菜ちゃんのこと勝手に決めちゃって。・・・あんたに悪かったかなって」
「・・・・別に」
桑原は、単純で頭の悪い男だが、雪菜のためなら命をかけるだろう。
信用していなかったわけじゃない。
「お兄ちゃんとしては、やっぱり心配?」
からかうような光を帯びた瞳が顔を覗きこんでくる。
黙っていると、その顔が少し寂しげにゆがんだ。
「また、魔界に行くのかい?」
「当然だ」
「いつ?」
オレは何も言わない。多分答えは知っている。
「わっかんないなー男って。何で戦う事を止められないんだろ」
それにしても、女の纏うこの雰囲気は何だろう。オレはこんな彼女を知らない。
それとも、これが本来のこの女の姿なのだろうか。
「たまにはさ、こっちに戻ってきてね」
触れたままの右腕から、微かに震えが伝わってくる。
オレは、頼りないその肩を引き寄せたくなる衝動を抑えなければならなかった。
「・・・・雪菜ちゃん、幸せになるよ。絶対」
「ふん」
今は、雪菜の事は忘れていた。
少しだけだが、体が熱い。
124 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 09:07:23 ID:ZHILwaP6
期待age
125 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 10:35:44 ID:yMVhBB3N
>>122 GJGJGJ!!
蔵×ぼ 飛×ぼ大好物です。
126 :
飛×ぼ「1」:2007/07/30(月) 23:10:01 ID:ZHILwaP6
風に乗って聞こえたかすかな悲鳴に、飛影の足は止まった。
何となく興味を引かれ、第三の眼で気配を探る。
何が起こっているのかは、ほどなく分かった。
品性も理性もない下等妖怪と、切羽詰ったような女の表情。知った顔だ。
そう遠くはない。
しかし、助ける義理などなかった。
飛影は眼を閉じると、また闇の中に消えた。
127 :
飛×ぼ「2」:2007/07/30(月) 23:11:45 ID:ZHILwaP6
うめき声を上げて、あたしは派手に転んだ。
先ほどひねってしまった右足では、思うように走れない。
仕事後の日課になっていた、散歩の途中だった。このでかいだけがとりえの醜悪な妖怪に出会ってしまったのは。
すばやく周りを見渡すと、化け物の向こうに折れた櫂が目に入った。
「俺は女の血と肉と悲鳴が大好きなんだよ」
耳をふさぎたくなるような下品な声で笑いながら、あたしに向かって太い腕を伸ばしてくる。
なんてへましちゃったんだろ。泣きたくなる気持ちで、あたしは唇をかんだ。
化け物は、着物の衿を掴んであたしの身体を持ち上げ、顔を近づけた。
生臭い嫌なにおい。全身に鳥肌が立つ。
怖い。気持ち悪い。
「しかし、簡単に喰っちまうのはもったいないか。少し楽しんでから頂くことにしよう」
あたしは、固く目を瞑って観念した。
次の瞬間、あたしの身体は下へ下へと落ちていった。
直感的に痛みを覚悟する。けれど、あたしが地面に叩きつけられる事はなかった。
化け物の悲鳴。
闇の中、白い閃光が走ったように見えた。
そして・・・・静寂。
全てが一瞬の事で、何が起こったのか分からない。
128 :
飛×ぼ「3」:2007/07/30(月) 23:14:05 ID:ZHILwaP6
雲間から、また月が覗き始めた。
あたしを抱きかかえていた男の横顔を見て、息をのむ。
「・・・飛影?」
飛影?本当に?どうしてここに?
あたしはこいつが、それほど悪党でないことを知っている。
けれど、助けてくれるなんて思わなかった。
「・・・あ、ありがと・・・・」
地面に下ろされてやっと我に返る。
飛影は、あたしをちらりと横目で見た。そして目をそらす。
行ってしまう。
気付くとあたしは、飛影の服をつかんでいた。
「ま、待って。待って!」
ああ、何やってんだいあたしは。
なんだか顔が上げられない。
「ちょっと、待ってくれよ。あたし・・・・・」
どうして引き止めるんだろ。そして、あんたはどうして行ってしまわないんだよ。
飛影は、あたしの目の前に肩膝をついた。
ほっとしたのもつかの間、おもむろに着物の裾をめくりあげられる。
「や、やだちょっとっ何すんだいっ」
抗議の声を上げるあたしを無視して、飛影はそのまま足首に触れた。
「いや、ちょっ・・・・」
「鈍い奴だ」
「へ」
「しばらく痛むだろう」
あ・・・なんだ。
触れているのは、少し色の変わった右の足首。
・・・一人で慌てちゃってさ。あたし馬鹿みたい。
オレには関係ないがな、そう呟いて飛影はあたしを見た。何故だろう、胸がざわつく。
「な、な、何っ?」
らしくもなくあたふたするあたしを見て、飛影は唇だけで笑った。
「何を期待した?」
「え・・・?」
目を見張る。意味が分からなかったのだ。
129 :
飛×ぼ「4」:2007/07/30(月) 23:14:39 ID:ZHILwaP6
直後、全身に震えが走った。
触れていた指が、足首より上に滑っていく。
「え、えっ?」
裾が乱れて、徐々に足が晒されていく。
「や、やだっ何これちょっと・・・」
焦点が合わなくなるくらい飛影の顔が近づいて、あたしはもう何も言えなくなった。
何これ何これ何これっ!
指が膝の裏あたりを撫でて、あたしは声にならない悲鳴を上げる。
思わず開いた唇の中に、なにかぬるりとした物が入り込んできてあたしはパニックになった。
あたしは、こんな風に触れられたことはない。
こうして、他人に肌を晒した事も。
気を抜くと倒されそうで、あたしは必死にやつの胸を押し返す。
すごくドキドキしているのに、奇妙な・・・気分だ。
怯えから、奥に縮こまったあたしの舌を飛影は無理やり引き出した。裏を舐めあげられる。
身体が大きく震えた。
次の瞬間、あたしは、思い切り飛影の身体を押し返していた。
やっと自由になり、肺が空気を求めて、浅く速い呼吸を繰り返す。
「・・・な、何で・・・・?」
飛影は黙っている。あたしの顔も見ない。
「何でなんだよ・・・・・」
もう一度聞き返すと、事も無げに言う。
「さあな」
「さあなって・・・・」
「ただの気まぐれだ」
飛影が、目を見開いてあたしを見た。
あたしだってびっくりしている。
泣いてるなんて。
130 :
飛×ぼ「5」:2007/07/30(月) 23:15:14 ID:ZHILwaP6
女は、飛影の目の前で静かに涙をこぼしていた。
恨み言も言わず、乱れた服を直そうともしない。
わけもわからず苛立つ。
軽く舌打ちし、投げるようにして自分の服を女にかけてやった。
「泣くな」
本当に腹が立つ。
泣かせた自分に。
飛×ぼ好きな125さんに
スレ活性期待sage
132 :
125:2007/07/31(火) 13:50:23 ID:nm6Wpbky
>>131 ありがとう、ありがとう!
だが お願いです、じらさず続きを…!
ぼたんというと、コエンマとの絡みが多く、蔵馬や飛影に
「お前らもっと頑張れYO!」と、悶々としてました。
>「何を期待した?」
萌え死ぬ。
133 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 13:40:59 ID:XW48yHP5
世の学生達は、長期の休みに入っていた。
夏休み。
都会のアスファルトは容赦なく太陽を照り返す。
−−髪を、切ってしまおうか−−
あまりの蒸し暑さに、青年はらしくない事を思う。
黒髪を肩下まで伸ばした、美しい顔立ちの…
名を蔵馬という。
通りすがりの若い女性達が思わず振り返る程に、魅力的な空気を持つ男。
夏休み、といっても、自分はとうに学生生活を終了していた。
今日は只の休日。仕事を忘れ、羽を伸ばす自由な日。
これといってする事も無く、街をブラブラする。
街に出ても、する事は無い。
無地のベージュのTシャツで、額の汗を拭う。
汗を拭った所で、匂いを感じた。
人間達の、汗とは違う「人間の匂い」に紛れ、異質に鼻に付く、匂い。
だが決して不愉快ではなく、むしろ、自分の本性が出てしまうほど、
欲している匂い−−−
殺戮を目の前にすると、とたんに妖孤が目覚める。
だが、それとは別に、生理的に興奮すれば、同様に「昔」の血が騒ぐ。
魅惑的な「匂い」を発している場所を、目だけで探す。
相手はこちらに気付いていない。
周りの雑踏の音が静まる。
今、集中するべきは一つ。
甘く、誘うようなその存在。
「見つけた… ぼたん…」
蔵馬の乾いた唇を、己の紅い舌が這う。
まだ味わっていない、甘い果実の蜜を舐め取るように。
134 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 13:42:21 ID:XW48yHP5
若い人間達でごった返す喫茶店の中。
…エアコン、効きすぎだねぇ。サムッ…
目前に置かれたアイスティーは、まだ半分以上残っている。
暑いからと入った店内は、少しの間いるだけで身体が冷えてしまう。
今日は、休日。
かといってする事も無く、人間界へ降りてきた。
いつもは一つに纏め上げた髪を、白く小さな肩に下ろしている。
長く艶のある髪は大胆に露出した背中へと流れている。
この間蛍子ちゃんに選んでもらったこの服、蛍子ちゃんは、可愛い、絶対に似合うと勧めてくれて、
自分もまんざらではなく買ってしまった。
たまの休日に、それを着て人間に紛れたのは、自分。
だが、何とも居心地が悪い。
上はキャミソールで、大胆に背中が開いた、首の後ろで蝶々結びをしている。
キャミソールの内にパットが付いていて、下着をつけていない。
それが余計に、彼女の居心地の悪さを助長する。
「こ、これっ… 下着が付けられないじゃないか!」
「大丈夫よ。ほら、パットがついてるでしょ?」
「そ、そうだけどっ」
蛍子ちゃんとの服選びの際の会話を思い出し、ぼたんは一人苦笑する。
人間の女の子は、何時だって大胆で、何時だって誘惑的だ。
あたしは?誰かを誘いたい?
誘いたい相手は昔からの顔なじみ。
冷酷で、なのに美しい。
自分が相手にされるとは思っていない。
ぼたんは顔を伏せ、キャミソールと対で購入したデニムのミニスカートの裾を握り占める。
本当なら、こんな休日は一緒に歩きたい。
世間話でもいい、声を聞きたい。
「くら…ま…」
切ない桃色の唇から、小さな小さな声が洩れた。
後ろの客さえ聞き取ることは不可能な。
でも、そんな小さな声を、逃さず聞いてくれる。
「呼びました?」
年の割に、あどけない悪戯っこのように、微笑みながら。
ぼたんの只一つの、太陽が射した。
クルクルと良く動く大きな瞳が、蔵馬を真っ直ぐ映す。
「く!蔵馬じゃないか!久しぶりだねえ、あははははは!!」
今の今まで彼を想っていたなど、微塵にも感じさせてはいけない。
彼にとって自分のポジションは、
「親しい戦友の、親しい友人。」
なのだから。
135 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 13:43:12 ID:XW48yHP5
普段は白い頬をほんのり赤らめ、ぼたんは自分の向かいの席を勧める。
夏休みで若い娘達で満席状態の店内を、一人冷やかす客は、どの位長時間そこに根を下ろしていたのだろう。
「いえ、風邪をひいたら大変だ。少し歩きましょうか?」
ぼたんは気付かなかったが、蔵馬は声をかける随分前から、彼女を見ていた。
美味しそうな匂いを発して、憂い顔で自分の両腕を抱く少女。
だが、
今の今まで彼女を想っていたなど、微塵にも感じさせてはいけない。
彼女にとって自分のポジションは、
「親しい友人の、親しい戦友。」
なのだから。
喫茶店を後にした二人は、当ても無く街を歩く。
たわいも無い話をしながら。
蔵馬はつま先から頭のてっぺんまで、ぼたんを舐めるように見る。
らしくない。
今日の彼女の服装は、実にらしくない。
似合わない訳ではない。
何か謎めいた彼女の存在は、肌を露出し、思わせぶりな雰囲気をかもし出している。
少女のようにあどけなく、なのに艶っぽい瞳と唇。
身に纏った薄布を持ち上げる、秘密の果実。
服を身に着けた意味を問いたいほどに、白い背中が陽に照らされる。
デニム地のタイトスカートから伸びた、眩しい程白い脚。
自分の脚とは違い、歩くために必要な筋肉以外はついていない。
あの脚に噛り付けたなら、あの脚に、自分の痕を付けられたなら。
俺以外に、綺麗な身体を見せないで欲しい。
どうしてこの雑踏の中、そんな格好をして歩けるの。
表情はにこやかに、世間話を続けながら、黒い心が落ちてくる。
真っ暗闇に、銀色の尻尾が上下に揺れるのを、垣間見る。
すこし、困らせてあげようか−−−−
蔵馬は口の端だけに、笑みを浮かべた。
136 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 14:06:29 ID:XW48yHP5
今日は、予定があるんですか?」
狐が飄々と聞いてきた。
「べつに…暇人だよ?」
ぼたんは隠すことなく、本心を述べる。
「酒でも買って、俺の家に来ませんか?外より涼しいし、ゆっくり出来る。」
酒。
ゆっくり。
魅力的な言葉が、ぼたんを支配する。
男の家に、ホイホイ付いていってはいけない。
そのくらい、ぼたんでもわかる。
だが、相手はあの蔵馬。
まるで友人の、半妖怪だ。
…蔵馬だもん、信用できない訳が無い。それよりなにより、あたしは…
なにがあっても、良いと思った。
何かあったほうが、良いと思った。
渦巻く感情。
期待、疑問、不安。
蔵馬を想ったあの月日。
今日、それが終止符を打とうとしている。
137 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 14:39:53 ID:XW48yHP5
コンビ二で買い物を済まし、蔵馬の家へとむかった。
そこは家族との団欒の場ではなく、彼一人の安らぎの場所。
蔵馬はここで何を考え、何を望むのだろう。
「蔵馬…一人暮らししてるんだ…。詩織さんっ…寂しがってないかい?!」
「子供が自立するのなんて、当たり前のことですよ。」
そこはワンルーム。
台所、ユニットバス。
男の一人暮らしとは思えない程、そこは綺麗に整っていた。
ワンルームだから嫌でも目に付く ベッド。
最初の数時間は、酒の勢いに浮かれた。
しだいにはっきりする蔵馬の姿。
…かっこいい。…
彼の向かいに座って酒を飲むなど、数時間前の自分なら想像も出来なかった。
だが、現在、ぼたんは蔵馬本人に部屋に招かれている。
幽助の、友達だから。だ。
自分を特別扱いするわけが無い。するとしたら、幽助… だから、だ。
色気のある文章でにやにやしてしまった自分キモス
139 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 19:12:13 ID:XW48yHP5
蔵馬は、好きな子とか、いないのかい?」
唐突な質問にぼたんを見る。
細く白い指先は、あまり口をつけていないビール缶を弄んでいる。
「…どう、答えたら嬉しい?」
わざと意地悪い答えを返してしまう。
予想通り、ぼたんの大きな瞳は、寂しく潤んでいる。
…彼女は、自分に好意を持っているのかもしれない。
その確信とも言える答えは、嗜虐心をかりたてる。
酒に酔っている訳ではない。
蔵馬は空のビール缶を音を立てて握り潰す。
開戦のゴング。これが合図。
ぼたんの小さい肩が、ビクッと震える。
曖昧な誤魔化しの言葉を、必死に探している。
何を口走ったのだろう。どうして聞いてしまったのだろう。
目の前の美しい狐は、表情こそは笑っているけど、その眼は鋭い。
「例えば、わざと餌をチラつかせる野うさぎは、遠慮なく狩ってもいい、と思うけど?」
「?」
一瞬の隙にぼたんの細く長い脚を睨めつけて、視線を彼女の顔に移し、何もなかったかのように笑う。
意味のわからない答えで誤魔化されたのか。
おもわず洩れた質問とはいえ、こんなにも勇気を出したのに。
蛍子ちゃんに選んでもらった服。
今朝の自分は、まあまあ似合うかな、と一人浮かれていた。
なのに、一番見せたかった相手は褒めてくれない。
いつもと違う服を、話題にも上げてくれない。
慣れない露出した肌は何だか惨めで、こんな格好をした自分が馬鹿みたいだ。
140 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 19:12:47 ID:XW48yHP5
自分の答えをどう受け取ったか知らないが、
彼女らしくない後ろ向きな思考に向かっているのだろう。
ぼたんがしゅん、と下を向く。
こっちを見て。
困った顔が見たいんだ。
上を向いて。
俺の顔を見て欲しい。
「女がいつもと違う服を着るのは、…まあ、色々理由はあるよね。
自分の向上のため、もしくは、誰かに見てもらいたい、相手は、
一般的には、好意を持った、異性。」
わざとゆっくり、ぼたんにあてつける様に低い声で言う。
彼女は一生懸命蔵馬の言葉を理解しようと、頭を働かせる。
「でも、見てくれる異性は、一人とは限らない。ぼたん。何人の男に、
声をかけられた?」
「…あっ…3人位、時間を聞かれたりお茶に誘われたりしたよ!もしかして、あれって、
もしかして、ナンパってやつかい!?」
ナンパをされた事に喜んでいるわけではない。
何でか今日はやたらと知らない人間に声をかけられるなあ、と思っていた。
疑問が解消され、その事にスッキリし、声も弾む。
−−−やはり、な。
狐の巣へノコノコ付いてきた可愛いうさぎは、自分の事にまるで無頓着。
その男共に、すでに犯された事も知らず。
物理的に何もなくても、下衆な人間どもは声をかけるまで、彼女のあらぬ姿を想像しただろう。
自分の下で、艶っぽく涙を流し、許しを乞う彼女を。
それは、許せない。ぼたんのその姿を想像して良いのは自分だけで、実際に触れていいのも自分だけだ。
カタン。
急に席を立つ蔵馬は、自分の潰したビール缶を倒した事も厭わず、そのままぼたんの背後に回る。
ゆっくりとした動作を、ぼたんは顔を動かし、その姿を追う。
141 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 19:32:04 ID:XW48yHP5
彼女の背後に回っても、触れる事はしない。
ただ静かにそこに腰を下ろす。
困惑したぼたんが、自分に向き直る。
柔らかそうな頬を、思わず無遠慮に舐めたくなる。
「答えて?そのイメチェンは、どんな理由?」
一瞬更に大きくなるうさぎの瞳。
「誤魔化しても、いい ですよ?」
わざと他人行儀な言葉で煽る。
いいかい、君から仕掛けてきたんだ。俺はそれにのるだけ。
君がいけないんだよ。
美味しそうな匂いで、俺を誘うから。
その柔らかそうな白い肌を、俺に見せ付けるから。
目の前の獲物をわざわざ逃がす獣はいないだろう?
可愛いうさぎちゃん。
最後まで抵抗してくれよ?
俺は盗賊だから、奪うのが大好きなんだ。
「蔵馬に、会いたかった。お洒落をして、蔵馬に釣り合う自分で、会いたかったんだ。」
おやおや。
せっかく逃げ道を与えてあげたのに。
直球で俺と勝負する気かい?
「フ…、可愛い告白だけど、まだ答えになってないよ。何故、俺に釣り合いたい?」
「だっ…て…、あたし、子供っぽいし、なのに蔵馬は、どんどん大人になって、
綺麗な女の人にももてて、あたしっ… 蔵馬を、取られ、たくない…!」
142 :
133:2007/08/01(水) 19:47:31 ID:XW48yHP5
長々とごめんくさい。
初投稿です。
エロって難しいすね…
143 :
蔵×ぼ:2007/08/01(水) 20:15:18 ID:XW48yHP5
まだ。まだだ。
一番口にして欲しいあの一言を、まだ言ってはくれない。
その甘そうな唇に、早く紡いで欲しい。
「さっき、喫茶店で、俺の名前を呼んだよね?どうして?」
「そっ…れは…」
まだ、何とでもいえるだろう?
それとももう降参?
「あのことば」を言う気になった?
期待に胸が高鳴る。
そろそろ食らい尽きたい。
高い切ない声で、自分の名を呼ばせたい。
「会いたかった。自分の気持ちを、抑えられなかった。あたし、
あ…」
いったん言葉を飲み込む。
俯き消え入りそうなその存在。
蔵馬はじっと続く言葉を待つ。
言ったら、離さない。
ぼたんは意を決し、最愛の男の眼をみる。
そして、はっきりとした口調で告げた。
「あたし、蔵馬が好き。大好きなんだ!今更こんなこといっても、
友達以上は望めないのはわかってる。でも、どうしても伝えたかったんだ!」
大きな瞳にはうっすら涙が滲む。
答えを聞きたい。嫌、言わないで。
怖い。
距離を置かれたくない。
おおっすばらしい!このスレもまた活性化してきたか!?
期待保守
飛影×ぼたん蔵馬×ぼたん幽助×ぼたん萌え。
いや、もうむしろぼたん萌え!
145 :
114:2007/08/02(木) 01:45:50 ID:fglrLywg
なんか書くスペースがないようでw
GJです
試験が終わったかたですね?お気になさらず投下して!
長くしちゃってごめんね。
あたい、完結したら投下するんだ。
だからほんと、気にせず。てゆーか、お願いします!
読みたい!
長いんで申し訳ないけど、でも頑張ったんで一気に投下します!
他の職人さんも待ってくれてるし、申し訳ないので。
↓ドゾー
蔵馬が朗らかに笑う。
何の企みもないかのように。
ぼたんがいけないんだ。
俺を、暴走させるから。
「俺も、もう我慢の限界だったんですよ、ぼたん。」
座ったまま、前に両手を付き、ぼたんににじり寄る。
思わず後ずさろうとするが、ぼたんのすぐ背後にはテーブルがある。
「腹が減って、死にそうだ。それに喉も渇いた。ぼたんを食いたい。
泣いても叫んでも、食いつくしたい。」
愛の告白ではなかった。
欲求を口にしただけだ。
「ぼたんがあんな事言わなきゃ、俺も耐えたのに。もう駄目だよ?
何があっても逃がさない。」
「な、何、を…?何言ってるんだい?!」
蔵馬の黒い瞳は、愛しい者を見る眼差しではなく、
一つの餌を前に、本当に飢えた様にギラついている。
ぼたんは困惑する。
ぼたんが欲しい言葉は、そんな言葉じゃなかった。
だって、自分は頑張って言ったのに。
自分の気持ちを否定されるのは怖いが、
でも、誠実な返事が欲しい。
蔵馬が片腕を上げ、自分の少し痛んだ黒髪に手を入れる。
手品のように、スルスルと何か植物の蔦が伸びて出た。
その蔦で緩慢な動作で黒髪を後ろで一つに纏め、縛った。
「出来れば コレ は使いたくない。ぼたんの可愛い手首に
縛り傷をつけたくないからね。だけど、あまりおいたが過ぎると、
使わざるを得ない。」
縛る…?傷…?
ぼたんの身体が恐怖に支配されていく。
元々色白の彼女は、小さく震えながら真っ青になった。
再び四つん這いになり、蔵馬がにじり寄ってくる。
「だから、いい子にするんだよ…?」
149 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 12:52:26 ID:iyCT5DhQ
吐息がかかる。
彼の顔が、信じられない位近くにある。
コツン、と額同士がぶつかる。
次に、お互いの鼻が擦れる。
―駄目、もう、見てらんないよっ―
大きな瞳をぎゅっと固く閉じてしまった。
多分、自分の勘違いでなければ、
この次は唇同士がぶつかるはず。
蔵馬が怖い。
だけど、自分は恋焦がれ、触れ合う日を夢見続けた。
キスと抱擁、という稚拙な触れ合い。
それは本当に言葉通りの、それ以上もそれ以下もない意味で。
いつも冷静な蔵馬は、どんな感触なのだろう。
しかし、いくら待っても唇に期待した感触は、ない。
「…?…」
そろり。ゆっくりと両目を開ける。
「ぅえっ…!!」
びっくりし過ぎて変な声がでる。
飛び込んで来たのは、蔵馬の漆黒の瞳。
ぼたんが目を閉じている間、ずっとこうして見られていたのだ。
顔が瞬時に熱くなる。
恥ずかしさ、その後、期待はずれ。
キス、されるんじゃなかったんだね…
からかわれたのか。
そりゃそうか、蔵馬が自分に興味などあるはずないし。
言葉で自分を拒否されるより、よほど胸が痛む。
「あのさ、蔵馬?近いよ。もう離れて。」
150 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 12:55:03 ID:iyCT5DhQ
自分でびっくりする位、冷たく、棘のある言い方。
しまったと思ったが、フォローする気はなかった。
蔵馬から顔を背け、両手で彼の胸を押し、距離をとろうとする。
Tシャツ越しに、蔵馬の体温。静かな鼓動。
蔵馬のカラダの感触。
細い。でも、筋肉のついた頼れる胸。
この胸に、腕に包まれるのは、自分じゃない。
「離れてってば!!」
苛立ち、思い切り押す。
びくともしないが、もう悪い冗談に付き合う気は無い。
次の瞬間、凄い力で腰を引き寄せられ、
唇を奪われた。
ばたんが夢見た甘いキスではなく、
獣が喰らいつくような、それ。
「う…ん、んんっ!」
太くはないががっしりした蔵馬の両腕に、身体を拘束される。
片方はぼたんの形の良い頭に。片方は折れてしまいそうな、細い腰に。
蹴っ飛ばしてやりたいが、信じられない事に蔵馬が自分の脚の間にいて、
いつの間に自分はこんな無防備な体勢をとってしまったのだろう。
脚が使えないならと、右手を二人の顔の隙間に滑り込ませ、
蔵馬の額を押し返す。
「ふぅっう!!」
ぼたんの口の中に、柔らかく濡れたものが侵入してきた。
それは彼女の歯列、舌の上下、もっともっと奥へ入りたいとばかりに
ぼたんの口腔を犯し暴れる。
額を押す右手は力を失い、パタン、と蔵馬の肩に落ちた。
「はっ…」
苦しくて何とか少しずらした口の端から、伝い落ちる光の糸。
それすら蔵馬に舐め取られ、蔵馬の肩の上の手に力かこもる。
「少しの抵抗は可愛いから許すけど、瞳を閉じたらいけないよ?ずっと
俺を見てなきゃ、怒るよ。」
やっと唇を開放され、足りなかった空気を貪る。
「も、もう気が済んだろ。帰ってあげるから、どいとくれ!」
憎たらしくワザとらしく、蔵馬が目だけで尋ねる。
どうして帰るのか、と。
「遊びたいなら、別の女にしておくれ!あたしゃそういう関係は
まっぴらだよ!!酷いよ、冗談で言ったわけじゃ、ない、のに」
威勢よく言いたかったが、後半は涙で声が震える。
いったん涙が出ると、もう止まらない。
「ぅええ…えっ ひっぅ」
子供のように声を出して泣きじゃくる。
飾らない素直な子。
酷い話だと、我ながら思うが、こんな風になかれると。
「まいったな、ぼたん。君に泣かれると俺は本当に困ってしまう。」
泣くのを止め、涙でくしゃくしゃの瞳で、蔵馬を見る。
「え…?」
いつもの紳士に戻ったのだろうか。
151 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 12:56:02 ID:iyCT5DhQ
「だって、ほら。ぼたんに酷い事したくて、こんなに身体が震えるんだよ。
もっと泣いて?ねぇ、怖い事して泣かせるよ?でも、泣いたら酷い事するよ?」
「…や…。」
「逃げれば捕まえるよ。お仕置き の口実が増えるだけ。言ったろう?
お前は良い子にして、俺のいう事を聞くんだよ。」
少し低い声で脅せば、ビクンと震え縮こまる。
本当に可愛い、愛しい。
「おねが…やめて、よぉ。なん…なんでこんな事するのっ?
嫌いなの?あたしが、嫌いなのかい?もう、会いに来ないから、
許して…!!」
両手で顔を覆い、伏せてしまう。
コレじゃぼたんの顔が見えないじゃないか。
ぼたんの綺麗な脚と脚の間から、ほんの少しだけ身を引く。
僅かに遠ざかる気配に、少しだけぼたんが反応する。
顔を覆った手の指の隙間から、蔵馬の様子を伺っているのが解る。
「嫌いだって?フフ、そんなはずないだろ?愛してるよ、ぼたん。」
やっと、その眩しい脚に触れる。
ビクン!
ぼたんが跳ねるほど反応する。
快感ではなく、恐怖に。
「愛してなきゃ、酷い事したいなんて思わないさ。本当だよ?」
「アンタ…おかしいよ、狂ってる!」
「そう。ぼたんのせいで。」
華奢な膝に置いた手を、短い布で隠れた脚の付け根へ滑らせる。
「やぁっ…んっ」
否定の言葉に、少し甘い吐息が混じる。
一番触れたいトコロは後のお楽しみ。
片手でぼたんの脚を満遍なく撫で愛する。
もう一方の手は、
頼りなく肌を隠すキャミソールを、思い切り引き裂いた。
愕然と、只の布切れになったお気に入りの服を見つめる。
蔵馬が嫌味ったらしくぼたんに見せ付けるように握った、服だったモノ。
それを着た自分を想像し、心が躍ったあの日。
どんな顔するかなと、想像した日々。
そんな輝いた日々が、蔵馬によって一瞬にして引き裂かれた。
152 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 12:57:10 ID:iyCT5DhQ
露わになった真っ白な乳房を隠そうともせず、愕然と蔵馬の手の中の布を凝視している。
そんなにショックだった?
自分の貞操より、服が大事?
こんな格好してナンパされて、襲われでもしたら、
君は自分より服を守るのかい?
急に苛立ちを覚える。
お前は何が大事なんだ?
優しく撫でていた太ももに、思い切り爪を立てた。
「っ!」
突然の痛みに顔を顰める。
それで我に返ったように、慌てて両手で乳房を覆う。
隠しているのは先端の果実だけで、実際は引き寄せられ出来た柔らかい谷間を
強調しているだけ。
喰らいつこう。
邪魔なテーブルを荒々しく片手で払いのける。
小さな座卓はひっくり返り、上の物が零れ、散乱したが構わない。
今日は週末。このマンションは住人の年齢層も低く、留守がち。
ぼたんの悲鳴が心地よく響く。
乱暴に床に押し倒し、無理矢理腕を広げさせ、魅惑的な肉に喰らいつく。
「いっ… イタいっ痛いぃぃ!!」
白い肌に、獣の歯形。うっすら滲む紅い液体。
それを零さない様、丹念に舌で舐め取り吸い尽くす。
真っ白な雪面に、真っ赤な薔薇の花びらが散っているようだ、と思った。
「ふっ… ひっく… も、やだよお…」
可哀相に、さっきから快感を感じているのは蔵馬だけだろう。
優しく、先端を舌でつつく。
「ゃあっ!?」
両腕をしっかり押さえつけられながら、背中が弓なりに跳ねる。
腕の拘束を解き、優しく背中を抱いてやる。
胸に刺激を与え続けながら。
サワサワと指先で背中を撫でる。
そのまま片手を前に滑らせ、空いている方の薄桃色の実を、二本の指で転がす。
「は、あああっあっ…やっあぁん…」
恐怖と痛みの涙は、切ない快感にこぼれる涙に変わっていた。
153 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 12:58:11 ID:iyCT5DhQ
ふむ。こういうのも、悪くはない。
だが、俺には刺激が足りない。
優しく爪先で引っかいたり乳房全体を手で包んだりしていた愛撫が、
再び牙を剥いた。
容赦なくギュッと指で潰し、歯を立てる。
「嫌ぁぁ!!」
痛みで身を縮こめ、思わず蔵馬の頭を抱え込む。
その仕草が自分から乳房を擦り付けてくるようで、蔵馬の興奮を駆り立てる。
さっきの様に血が出ないよう、力加減をしたが、歯形はクッキリ浮かんでいる。
その歯形をなぞる様に、唾液を多く絡ませ、優しく舐める。
「あ、アアアッ…くら、まぁ!」
もう恐怖なのか、快感なのか、自分でも解らない。
不安で怖くて、なのに蔵馬の体温は、嬉しかった。
…でも、嫌だ。こんなの、あたしは望んでいない!
「ぼたん。」
また、唇を奪われる。
今度は恐る恐る、ぼたんも舌で応える。
蔵馬の下半身に、ズン、と何かがおちてくる。
甘い。甘い、ぼたん。
愛しい。大切に、飼い慣らしたい。俺のだ。俺だけの…
「!」
蔵馬は驚き、唇を離す。
唇に、生暖かい感触。
ぼたんの桜色の唇に、血がついている。
あぁ、俺に、噛み付いたの、か。応える振りして、油断させたのか。
楽しい。
自分の血の味に、益々自身が猛る。
蔵馬の見せた一瞬の隙に、ぼたんは起き上がり、逃げ出す。
走る。ワンルームの、目前の玄関。
あられもない自分になど、構っていられない。
逃げなきゃ、殺される。
腕を伸ばせば、ドアに届く、それなのに。
壁を這い、両側から玄関ドアを隠すように、植物達が邪魔をする。
窓は。ぼたんは振り返る。
蔵馬の作る植物の牢獄は、部屋全体に広がり、もう壁紙の色も解らない。
「あっ!」
その場でぼたんが後ろに倒れ、ドアに頭を打つ。
床も蔦が這いまわり、ぼたんの両足首を捕まえている。
これに足をとられ、転倒したのだ。
痛む後頭部を片手でさすりながら、思い切り蔵馬を睨みつける。
154 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 12:58:55 ID:iyCT5DhQ
「植物が無かったら、鉄のドアにぶつかる所だったね。俺が助けなきゃ、
怪我していたよ?」
ワザとらしく、ニコッと笑う。
そしてぼたんを凝視する。
いつもは後頭部で結わかれた髪は、今はぼたんの白い肩や乳房に
好き勝手に掛かり、中途半端に桃色が見え隠れし、堪らない。
足に絡まる邪魔な蔦に転倒し、だが両膝はガッシリと閉じられている。
ゆっくり、一歩一歩餌に近づく。
ぼたんは何とか逃げたくて、蔦を切ろうと引っ張る。
だが、無駄な抵抗。蔵馬によって、蔦は脚を撫でるように伸び、
無理矢理、両足を開かれる。
「だから言ったのに。あまりおいたが過ぎると、使わざるを得ないって。
こんな無理矢理、したくないんだよ。大事な俺のぼたんに。」
先程まで髪を結っていた蔦をその手にする。
両手でピン、と張りながら、ぼたんの前に膝間づく。
「暴れると怪我してしまうから、縛ってしまうね?」
顔面蒼白になりながら、カタカタと震え、ぼたんは必死で頭を振る。
動けない、怖い。これから何されるのか、解るから怖い。
ぼたんを抱きしめる様な形で、彼女の細腕を後ろ手に縛る。
縛り終え、その可愛い耳元で囁く。
「君の奥まで、これから入るよ―」
嫌だ。言葉ではなく、頭を左右に振る。
「どうして?俺の事愛してるんだろう?」
耳元で静かに囁かれ、言葉が脳に達する。
蔵馬の声が、血流に乗って、全身に広がる。
「あ… ああああっ!」
「俺も愛してるよ。いや、ずっと愛してたよ。昔から。そして、今も。」
ぼたんの腹部が熱い。
蔵馬の声に、全身を、脳内を愛撫されている気分だ。
「いやああああああ!!!」
「大丈夫。これから、ぼたんの深い所を愛するから。」
155 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 13:04:40 ID:iyCT5DhQ
キャミソールと同様に、デニムのスカートも、薄い下着も、蔵馬によって破かれる。
何も隠す物がない。手足は自由を奪われ、抵抗も許されない。
「こんなの…こんな無理矢理っ間違ってるよ!」
「じゃあ素直に受け入れなよ。そんなのぼたんだけの問題だろ。」
最初から、自分の意思なんて関係なかったんだ。
身体が弄べたら、それだけで良かった…
ぼたんの心が冷えていく。凍てつく。
愛してるよって言ったのに。大切って、言ってくれたのに。
「嘘つき。嘘つき!この悪党!!嫌い、大っ嫌い!!!」
蔵馬の表情から余裕が消え去り、だが静かな表情に変わった。
見た事がある。
本気で怒った顔。敵に、憎む者に向けられる、鋭い…殺意…?
そんな視線で心を突き刺され、絶望する。
でも、悪党の手は乱暴にぼたんの腰をつかみ、
貫かれた。
「いやああああああ!!」
「大げさだな。まだ先端しかはいってないよ。」
生娘でしかも充分に潤っていないそこは、
男のものを受け入れるにはあまりに不充分で、
うまく入らず、それが余計に蔵馬の怒りを増幅させる。
「俺が嫌か。そんなに憎いか?ならば殺してみろ。」
ぼたんの両手足の拘束が解かれる。
「ここを貫け。それで全てが終わる。」
蔵馬がどこからか取り出した、草の短剣。
それをぼたんに握らせ、自分の喉下に合わせる。
「ちがっ… 違うの、蔵馬、殺したいんじゃない。そうじゃない!」
「それもお前だけの問題だ。俺にとって答えは二つに一つ。
俺に抱かれたくなければ、俺を殺して自由を勝ち取れ。」
156 :
蔵×ぼ:2007/08/02(木) 13:05:57 ID:iyCT5DhQ
あたしはただ、普通の恋人同士になりたかったの。
気持ちが通じたら、それだけで暖かいと思ったの。
抱かれたくないんじゃない。
もっと真綿のようなものだと思った。
憧れだった。優しい蔵馬が。
短剣の先が、少し蔵馬の喉に食い込む。
ズルイ狐だ。
判ってるくせに。
あたしはあんたを殺せない。
わかったよ。あたしの憧れて来た夢は捨てる。
アンタの色に染まるよ。
ぼたんの手から、短剣が滑り落ち、一枚の葉になった。
「殺せない。でも、許さない。」
「後悔するぞ。殺さなかった事を。」
どうなるか判らない。
ここまで二人の関係は壊れてしまった。
なのに、変わらない一つだけの真実。
蔵馬を愛してる。
以上です。ダラダラと申し訳ない。
初めて投下してみて、反省点がいっぱい。
やはり書き上げて投下するべきだと思いました。
自分でもこんな最低な暗い話になる予定は…
なので、知らずに読んでしまった方で、気分を悪くされた方、
大変申し訳ないです。
次に私が何か書くときは、反省点を生かし、向上します。
では、お待ちいただいてありがとう、
>>145様。
良かったー
GJ
159 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 20:06:04 ID:1za5BsdK
うんうんw良かったよw
GJGJ!
ちなみに桑原×雪菜とか見たいと言ってみるテスト
すまん上げてしまったorz
桑原×雪菜か…
清らかでエロな展開が萌える。
皆さんその場合、桑ちゃんの性格は、強引?アマアマ?
ちなみにあたいは雪菜の肢体を見てタガが外れてエロエロが好き。
いや〜どっちも捨てがたいww
なんといっても桑×雪菜の武器は、
大柄桑ちゃん、小柄な雪菜だとオモ。
ちっちゃい女のこって可愛いよね。(ロリじゃなく)
ぶっとい桑原の腕が、小枝のように細い雪菜の腰を捕まえ、
彼の領域へ引き寄せる。
あぁもう何言ってんだか判んない。
(*´д`*)ハァハァ
萌てきた
萌えがとまんねえから書いたったわ!!って感じがしたw
ドキドキしながら読んだよ 蔵馬がドSなのが自分にはツボったのとぼたん可愛すぎw
できればまとめて投下して欲しいのと、嗜好なんかも書いとくと苦手な人に親切。
あと折角一生懸命書いた作品を卑下するのはもったいないですよ。
また書いてくれるのを待ってます。
半年以上この板来てなかったが、また良い感じに盛り上がってきてるね
ぼたん好きだー
みなさんGJ!
ところで、保管庫昔あったような。無くなったのかな。
無いとオモ。
2か3スレ目には、もうなくなってたような。
168 :
ムクロと雷禅:2007/08/03(金) 18:39:21 ID:5UrkeoW7
>>119 続き
洞窟の中。
雷禅の住まい。
「・・・」
何故自分はここにいるのだろう?
見ず知らずの男の傍。
奴は自分に対して何かをしてくるわけでもなく。
何かをしている、といえば・・・
「10年待ってろ、お前より強くなってやるからな!」
ボロボロの男。
「そのセリフ、100年前くらいにも聞いたぜ。いつでもきな。」
無傷。
寝て起きればいつも違う相手。
そして、結果は同じ・・・
飽きないのは奴が戦いのバカだったからだろう。
「おい、お前!」
「・・・」
雷禅に何かを言われても、喋る言葉を作れなかった。
見えない何かとの戦う毎日。
「てめぇ、何かいえねぇのか?」
意味は理解できる。でも・・・しゃべることを自分の心が許さないようで。
「いつも『お前』とか『娘』とか呼びづれぇんだが・・・」
「(ムクロ)」
喉に出かかった、言葉が寸でのところでとまる。
名前を自由に言うことすら禁止されているらしい。
この名前に愛着があったわけでもないし、
酷い嫌悪があったわけでもない。
ただ、単に喋る能力をどこかにおいてきてしまったような感覚。
「まぁ、いいか。お前とかで。」
細かいことを気にしない奴らしかった。
169 :
114:2007/08/03(金) 18:40:57 ID:5UrkeoW7
まとめて週末にはUPしますが、とりあえずここまでです。
まとめたほうが読みやすいですよね・・・ごめんなさい
>169
楽しみに待ってますw
ぬるぽ
がっ
174 :
114:2007/08/05(日) 15:23:10 ID:E2ZNfFU6
ちょっと、今週末から急な予定が入ってしまって
うpができませんです
本当にすいません
出来次第まとめてUPします・・・・申し訳ないです
>>174 落ち着いたらでいいですよ、待ってます!
じ、じゃあ、あ…あたい何か書こうかな。
職人様待ちのつなぎに、なにか。何にしよう。
176 :
170:2007/08/05(日) 16:10:34 ID:hIAFclc/
>174
慌てず急がずw
>175
私も何かしたいところだけど、書き手じゃないから…orz
文才能力がorz
そこで頑張るんだYO!!
あたいだって文才無いのに投下した差!
皆が貴方を待ってる!!!
職人様を待つつなぎに、小話でも。
飛×ぼ エロなしです。
お嫌いな方は読み飛ばしてくだせぇ。
夜風が心地よい、夏の夜。
人気の無い公園の大木の上に、一匹の妖怪がいる。
足を組み仰向けに寝転がって、両腕は頭の後ろで枕代わり。
目を閉じているが、意識ははっきりしていた。
彼は今、自分の近くをうろつく気配に集中していた。
人間でも妖怪でもない、独特の気配。知った顔だが、親しいわけではない。
そして相手はこちらに気付いていない。
わざわざ降りて自分の存在を教えるのは気が進まないし、
かといってこのまま相手が去るのを待つのはもっと嫌だった。
めずらしく、人恋しかった。
あまりなじみは無いが、人間界の夏の夜は、そんな気分にさせる。
飛影はその場で上半身だけを起こす。
太い枝に腰掛け目を開けて、木に寄りかかり座り込む女を見た。
何をしているのか。
声を掛けようか迷う。
だがこのままだとぼたんは気付かず立ち去るだろう。
握り潰せば消えてしまう、弱い女。
ぼたんにこちらの存在を気配だけで教える術はなかった。
迷ってる間に、少し強い風が吹く。飛影の腰掛ける枝から、木の葉がハラリ、と舞い落ちる。
それは素直に真下に落ち、ぼたんの立てた膝に音も無く降りた。
それは思いがけず、飛影の言葉を代弁したように。
――俺はここに、いる――
声が聞こえた訳ではないが、何気なくぼたんは頭上に顔を向ける。
暗闇の中、何かが動いた。
ザザザッ…
木の葉同士が擦れ合う音と共に、黒い塊が地面に落ちてきた。
「きゃあ!」
突然の事に、ぼたんの心臓が跳ね上がる。
目の前に落ちて――否、降り立ったのは、小柄な知り合いだった。
「ひ、えい。飛影じゃないか…あぁもう、驚かさないどくれよ〜!」
黒い塊の招待が知り合い妖怪だと判り、ぼたんの緊張もほぐれる。
「勝手に驚いただけだろう。俺は気配を消した訳じゃないぜ。」
目に見える相手の動きしか判らないなんて、そんなんでよく夜道をフラフラと歩けるもんだ。
「あんたが眠るにはうってつけの場所って訳さね。ごめん、邪魔したかい?」
ぼたんは慌てて立ち上がり、尻についた土を払う。
「たまには皆でご飯でも食べようよ。あんたも参加で、さ。じゃあ、ゆっくりしておくれ。」
若干名残惜しそうに、だが早々に立ち去ろうとする。
飛影に背を向け、小走りに走り出したところで、飛影が彼女の前に回りこむ。
相変わらずの素早さに、心から感心してしまう。
ぼたんは彼女より頭一つ低い、彼の三白眼をまじまじと見た。
…て、ゆーか、なんだろ。何で行かせてくんないんだろ?
一方飛影も、自分の行動に激しく後悔していた。足止めしたはいいが、これからどうするか。
自分の顔を見るなり逃げ出す彼女が気に入らなかった。ただそれだけで、身体が動いていた。
蔵馬や幽助ならこんな時なんと言うのだろう。
「おい。」
「なに?」
思わず声に力が入る。怒っている様に聞こえたのか、ぼたんが少し構える。
そのままズイッと歩み寄る。ぼたんは当然、後ずさる。
それを数歩続けると、ぼたんの背中はドンッと先程の樹にぶつかった。
「別に邪魔だと言っていない。居たければ勝手に居ろ。」
「…は…」
飛影はそういうなり、樹の上ではなく根元に座って寄りかかり、目を閉じた。
ぼたんは何だか判らないが、逆らうのも怖いし、と隣に腰を下ろす。
膝丈のスカートが少し捲れ上がり、柔らかそうな太腿が見える。
それをしっかり薄目で眺め、再び目を閉じる飛影。
女など、抱いたことは無い。興味もなかった。そんな事より、戦いに明け暮れたかった。
でも今、飛影はぼたんの温もりを欲していた。
手を伸ばせば簡単に組み敷けるだろう。この女の抵抗など可愛いモノだ。
「飛影?」
返事をしない代わりに、薄く目を開ける。
「ちょっと手をみせて?」
大きな瞳でこちらを見ながら、白い細い手を差し出してくる。
飛影は何も言わず、素直に左手を差し出した。柔らかな手が、軽く
飛影の手を握り、自分の顔の前に寄せた。飛影は何も言わない。
ぼたんが何をするのか、ただ見ているだけ。
飛影の無骨な掌や手の甲に、ぼたんのしなやかな指が這い回る。
自分の手と比べたり、飛影の以外に太い指を握ったり。
手と指で触れられているだけなのに、滑々と柔らかい。
この女は全身が柔らかいのだろうか。
そう思うなり、飛影は弄ばれている左手の四本の指先で、ぼたんの頬を
掠める様に撫でてみる。たったそれだけで弾力が伝わり、もっと触りたいと思う。
今度は掌ごと頬を撫でる。きめの細かい綺麗な肌だ。飛影の指は
無遠慮にぼたんの頬、顎、瞼を滑る。ぼたんはそれをただ受け入れる。
ぷるんとした、紅い唇。ここはどんな感触なのか。触れてもいいのか判らない。
迷いながら唇の周辺をさ迷う。
そんな飛影の指にぼたんの傷一つ無い可憐な指が巻きつき、唇に導く。
飛影はゆっくり身体を起こし、ぼたんへ近づいていく。
今日の俺は本当にどうかしている。
これは、人間界の夏の夜が見せる一時の夢だ。
<終わり>
以上です。ありがとう御座いました。
182 :
179:2007/08/06(月) 13:41:39 ID:9wtmdmHy
>>180 黒い塊の招待が→黒い塊の正体が でした。
他の誤字脱字は、脳内補完お願い致します。ごめんね
乙乙!
飛ぼ良いですよね!次はエロも見たいですw
アニメのDVD見てたらまた萌えてきたYO
185 :
179:2007/08/07(火) 13:13:32 ID:BPs2bOXW
>>183 調子に乗って続きを書いちゃった俺、参上。
>>179に続き、飛×ぼ です。エロ蟻。しかしぼたんは乙女なので、
痛そうなのが嫌いな方はすっ飛ばして下さい
186 :
飛×ぼ エロ:2007/08/07(火) 13:14:55 ID:BPs2bOXW
ぼたんと飛影。
二人は隣り合わせに座り、その手を重ねる。
夢見る乙女はいつだって、男にリードされるのが当然だと思っていた。
でも、とぼたんは思う。もしかすると、飛影は経験が無いのかもしれない。
もちろん自分にも、無いが。
躊躇いがちな飛影の指先が、ぼたんの形の良い耳に滑る。触れられた耳を肩で隠すように、
ぼたんが肩を竦めた。くすぐったい。なのに、全身に駆け巡るのは、快感。
「お前、経験あるか?」
戸惑うように、恥らうように、飛影が尋ねる。
それを聞いたぼたんは、何だかとても彼が可愛らしく思えた。
口に出したら殺させるかも、と噴出しそうなのを飲み込む。
彼が垣間見せる「少年」の顔が、激しくぼたんの母性をくすぐる。
もともと勝気な性格のぼたんは、何だか調子を取り戻し、ヒラリ、と飛影の身体に馬乗りになった。
「経験、無いよ。どこをどうするのかも判んない。飛影知ってるかい?」
からかい、クスクスと笑う。
「変な感じだね。あたしと飛影が、こんな事。」
「フン。人に跨っておいて、随分な余裕だな。」
両手でぼたんの白い太腿を撫でる。
「ひゃんっ!」
ぼたんの上半身が力なく崩れ、飛影の身体にしなだれかかる。
目前に飛影の顔。いつもは怖くて、こんな身近で見た事なんて無い。
鋭い目をしているが、いまは穏やかに見える。
「今日の俺はおかしい。何をするかわからんぞ。」
「あたしも、だよ。飛影。あんたって…」
「何だ?」
続きを言ったら殺されちゃうかも、と、ぼたんはその唇を重ねた。
拙い、触れ合うだけのキス。それを何度も行い、お互いの体温を確認しあう。
飛影の両手が、ぼたんに悪戯をする。豊かなその胸を、遠慮がちに触れてきたのだ。
柔らかい。何とも形容しがたい感触。その感触を味わうのに、飛影は夢中になる。
一方ぼたんはもどかしい。何度も触れそうで触れない、彼の稚拙な愛撫。
胸を揉まれても、直接的に快感は得られなくて、経験の無い彼女も、
その頂に触れてくれれば、悦びを得られるのに、と身を捩る。
きっと、彼はまだまだ少年なのだ。いくら力の強い妖怪でも、人生経験は浅いのだ。
彼を大人に出来るのは、あたしだ。きっと一生飛影の記憶から消えることは無い。
ぼたんは言い知れぬ支配欲に飲み込まれる。飛影を食べちゃおう。
目の前の少年に対し、ぼたんは大胆に挑発する。
「ね、好きに触っていいんだよ?今のアンタになら、何されても文句言わないよ。」
自らTシャツの裾ごと、下着すら捲り上げた。
豊かに主張する胸の上で、捲り上げた服を両手で押さえながら。
187 :
飛×ぼ エロ:2007/08/07(火) 13:15:52 ID:BPs2bOXW
「ひ、え、い?」
いつもの五月蝿い彼女ではなく、まるで別人のような大人の女性。
顔に似合わずとても女らしいぼたんの身体に、飛影は息を呑む。
既に起立した自身が、更に張り詰める。
尻の下から持ち上げられる感触がする。ぼたんは少し、我に返る。
―こ、これは、まさか―
飛影に跨ったまま、腰を上げソレを確かめようとする。
わざとじゃないが、プルン、とした胸が飛影の鼻先を掠めた。
恐る恐る、飛影のソレに手を伸ばしかけた時。
「やああっ…ん!」
胸から広がる甘い刺激。慌ててそちらに振り返れば、胸の突起を
口に含む飛影がいた。決して器用ではないが、一生懸命触れようとするその姿。
幼子が母にしがみ付いている様に、必死に。
「ひ…えい…っ」
一気に愛おしさが込みあげてくる。両腕で飛影の頭を抱え込み、その髪を撫でる。
髪に顔を埋めれば、ぼたんの頬をくすぐる。汗と、飛影の匂いがした。
両手で胸の柔らかさを楽しみながら、頂を舌で転がし、唇で甘噛みする。
「ひゃぁっう…やっあっあぁっ」
触れるたびぼたんの身体が跳ね上がり、嬌声が上がる。
飛影は行為に没頭した。未知の感触が夢中にさせる。
両胸から飛影の手が離れ、ぼたんの背中に回された。そのまま、スカートに触れた。
ぼたんはそれを感触だけで察知しながら、まだ続く胸の愛撫に集中する。
指だけでスカートを捲り上げ、双丘を掴んだ。
吸い付くような肌。行為のせいか季節のせいか、しっとりとしている。
「本当に全身が柔らかいんだな…」
愛撫を止め、乳房に頬ずりしながら呟く。
「そ、だよ…。だから、乱暴にしちゃ、駄目だから、ね?」
静かに、優しく諭すように、耳元で囁かれる。吐息が飛影の耳をくすぐる。
背中にぞくっと快感が走り、耳は物を聞くだけの器官じゃ無い事を知った。
さっきから尻を揉む手の指先が、邪魔な薄布に触れている。
破り捨てるのは、いつもならするだろうが、今は憚られた。
なので、隙間から進入してみる。
ヌルリと指先が滑る。粘つく液体が太目の指を濡らして行く。
あぁ、濡れてるとは、こういう事なのか。
頭の中だけで納得し、下着の中を右往左往する。
「はっ…あっ」
一箇所だけ、彼女が過敏に反応する所がある。どこだ?何かあったか?
手探りだけでその場所を探す。視線でぼたんの表情を観察しつつ。
「これ、か?」
不自然にそこにある突起。それを二本の指で優しく挟む。
「やぁっ!駄目ぇ…」
駄目そうには見えないので、くにくにと刺激を続ける。
ぼたんの潤んだ瞳から、みるみる涙が溢れ、頬は上気し始める。
溢れこぼれるのは涙だけでなく、悪戯な指を濡らすその蜜も。
蜜を塗りたくりまた指の腹で擦ると、更にぼたんが悦び声を上げた。
「も、も、ダメェ…おねが…怖いよ、ひえい」
押し寄せる快感の終着点を悟るが、経験が無く、狂ってしまうと危惧する。
不安なままで絶頂を迎えるのは恐ろしかった。
そんなぼたんに優しい言葉を掛けてやれず、代わりに唇を重ねる。
最初のキスとは違う、もっと深いキス。
――俺はここに、いる――
声が聞こえた訳ではないが、ぼたんはそう理解した。
188 :
飛×ぼ エロ:2007/08/07(火) 13:17:12 ID:BPs2bOXW
少年がいる。自分を包み込んでくれる少年がいるなら、何も怖くは無い。
狂っても、死んでしまっても構わない。飛影が受け止めてくれるから。
「あぁぁあああっ――――!!」
気持ちが満たされ、ぼたんの身体の快感が駆け足に登り詰め、果てた。
はぁ、はぁ、と大きく息を乱し、まだ快感の余韻に浸るぼたんを、少し強く抱きしめた。
この女を、愛しているのかと言われたら、それは別だ。多分女もそうだろう。
だが今は、確かにその存在が大きく、
『愛しい…?ふん、馬鹿馬鹿しい』
心の中で悪態をつき、しかしその表情は安らかに。ぼたんを潰すほど強く、
自分の胸に押し付ける。腕の中から小さく叱咤が飛んできた。痛いよ。と。
そうか、と微かに微笑むが、腕の中に閉じ込められたままのぼたんには、その微笑みは見えない。
抱きしめたままそっと押し倒す。もう我慢の限界だ。よくここまで理性を保てたと思う。
「いいよ、飛影。さっきのお返し。今度はアンタが気持ちよくなる番。」
言い終えて、さっきの乱れようを思い出したのか真っ赤になり
「ば、馬鹿!なに言わすのさ!!」
と勝手に怒りだす。何も言ってないのに。だがそれは言わない。
汗と妖しい体液まみれになった下着を、そっと脱がす。
「…っ」
何やら言いたげに脚を閉じて身を固くするが、その脚はやすやすと飛影によって開かれた。
初めて目にする、女の部分。ここに挿入る。
いれる。いれる、いれるいれるいれるいれる…
我慢の限界。もう理性は吹っ飛び、目の前の快感を求める。
手早くズボンから爆発しそうな自身を解放し、ぼたんの秘裂にあてがう。
ぬるっとした奥に、固く閉ざされた、ぼたんの蕾。
先端を少し奥に進めようとした時、ぼたんの顔が酷く歪んだがもう構っていられない。
「ひえ、い。気にしないで、キテ。あたしを、壊してもいいから。」
熱くなった掌で優しく頬を包まれ、飛影は初めてぼたんを可愛いと思った。
「つっ…!」
押し進める度、ぼたんから洩れる苦痛の声。
なるべく声を殺すよう自分の指を噛み耐えるが、想像を絶する痛みに声が出てしまう。
「我慢、するな。叫びたければ叫べ。っく…」
ぼたんとは真逆の吐息が洩れてしまう。ナカは熱くて、柔らかくて、飛影を吸い上げる。
189 :
飛×ぼ エロ:2007/08/07(火) 13:19:05 ID:BPs2bOXW
気を抜くと果ててしまう。何とか歯を食いしばり耐える。
「ひえい、ぜんぶ、はいった…?」
「…あ、あ。動くぞ。う… 」
ゆっくりと、前後に腰を揺らす。う、わ。何だコレ。もう達してしまいそうだ。
「あ、うっく…!」
相変わらず指を噛むのを止めないぼたん。痛い。痛すぎて、他の痛みで誤魔化さないと
失神してしまう。遠くなる意識を、必死で捕まえ押さえ込む。
飛影の手がぼたんの口から、その手を払いのける。
惚れてはいないが、せっかくの綺麗な指に傷をつけるのが許せなかった。
「噛むならコレを噛んでいろ」
無遠慮に突っ込まれた、飛影の人差し指。
さっきまで、ぼたんを困らせた指。少し、自分の味がする。
叩きつけるように動く飛影の腰。ナカが擦り切れているのではないかと言うくらいの
痛みのなか、うっすら瞳を開けると、汗を流し、快感に歪んでいるのだろう、その表情。
――ひえい、飛影、飛影!!
愛しいあたしの少年。惚れてはいないけど、あたしは永遠に、少年だった飛影を愛してるよ。
遠慮なく噛んでいた歯をゆっくりと離し、舌を指に絡める。
その感触に、びくりと飛影が震え、
「う、あっ…!!」
ぼたんのナカに、大量に自身を吐き出した。
ビクン、ビクンと飛影の背中が揺れ、大きく息を吐きながらぼたんの身体に崩れてきた。
「良かったかい…?可愛いねぇ、飛影は。ほんとに可愛い…」
言ってしまってからやばいと思った。恐る恐る彼の表情を確認。
やはり、可愛い にムッとしたのか、三白眼を吊り上げているが、
「ちっ」
と小さく舌打ちした後、ぼたんに口付けた。
夏の夜が見せた、二人だけの秘密の夢のお話。
以上です。ありがとう御座いました!
191 :
183:2007/08/07(火) 13:41:03 ID:6/Xe5/V3
乙女ぼたんと可愛い飛影良かったです。
GJ!!
GJ!!!!!
楽しませて頂きましたw
193 :
幽×蛍「1」:2007/08/08(水) 00:35:43 ID:Na3g8jaZ
×ハッピーエンド
「幽助」
先に切り出したのは、私だった。
「ホテル行かない?」
「あ?」
眉間に皺を寄せ眉をひそめるそのしぐさ、子供の頃からちっとも変わらない。
憎いような切ないような気持ちになって、私の口調は殊更にきつくなる。
「何よ、そのバカ面」
「いや、おめーよー。熱でもあるんじゃねーか?」
身体を合わせた事はある。
ここしばらくはそんな気になれなかったけど。
・・・私から誘うのは初めてだった。
「うるっさいわねー。で、どうすんの。行くの、行かないの」
「そりゃ、ま・・・・」
男らしくなく口篭る幽助を放っておいて、私は先に歩き始めた。
「さっさとしてよね。あんたと違って私、忙しいんだから」
「うっせーなー分かってるよ」
小走りで私の隣に並んだ幽助と私は、どちらからともなく手を繋いだ。
握り合った指先から彼の熱が伝わってきて、目の前が滲む。
194 :
幽×蛍「2」:2007/08/08(水) 00:38:44 ID:Na3g8jaZ
独特な空気を醸し出すこの建物に踏み入ると、私はいつも少し緊張してしまう。
部屋に入るとすぐに、後ろから抱きしめられた。
ちょっと待ってよ、そう言いかけた私の身体を強引に自分の方に向けさせ口付ける。
口内を無遠慮に這い回るものに、私は自分から自分のそれを絡めた。
まるで、全身の力を吸い取られていくみたいだった。下半身が微かに疼き始める。
「ゆう・・・助・・・・っ」
ひざから力が抜けていって、私はだらしなく彼にしがみ付く。
すぐ目の前に、濡れた唇を見つけて気恥ずかしかった。
幽助は、私の身体を横抱きにしてベッドの上に置いた。
そして、すばやくTシャツを脱ぎ捨てる。
私は、その裸の胸に手を触れてみた。
この心臓がもう動いていないなんて、だれが思うだろうか。
姿形は誰とも変わらないのに、誰とも違うなんて。
「・・・蛍子?」
行為を止め、気遣うように顔を上げる幽助に、私はなんでもない、と首を振った。
「オレにはお前しかいねぇんだ。ずっと昔から」
私が不安そうな顔を見せると、いつもそんなことを言ってくれる。
好きだよ、結婚しよう。でも今は、自分に言い聞かせてるようにも聞こえて、悲しい。
・・・もう解放してあげなくちゃね。あんたも私も。
195 :
幽×蛍「3」:2007/08/08(水) 00:41:44 ID:Na3g8jaZ
唇が首筋を滑り、指が服の下へ潜り込んだ。動きに反応して、身体がびくりとはねる。
少しずつ、物を思う余裕がなくなってくる。
胸をなぞる様に触れていた指に、少し力が入った。同時に、その頂に軽く噛み付かれる。
「・・・っあぁっ・・・」
腰から背中へと、嫌な種類の寒気ではないものが駆け上がる。
「・・・蛍子、結婚しよう」
・・・・私は答えられなかった。
足の付け根までせり上がってきたもう片方の指が、
すでに潤んだその場所に差し込まれ、私は一際高く声を上げてしまう。
「あっゆ、幽助・・・っ」
卑猥な水音が更に羞恥心を煽る。
甘い疼きが全身に広がって、私は泣き声のような声を上げ続けた。
恥ずかしいのに抑える事ができない。
幽助の指が唇が吐息が、体を、いや体の中まで這い回ってる。
そう思うと、ますます潤みが増すようだった。
「・・・オレ捨てられかかってんだな」
「そ・・・う・・よ・・・っ」
「愛想つかされたか」
「そう・・・よ・・・・っ」
「もう引き止められねぇんだな」
苦しい息の中、喘ぎながら私は答える。
「そうよ・・・・・っ」
196 :
幽×蛍「4」:2007/08/08(水) 00:43:38 ID:Na3g8jaZ
私は、世界一宇宙一強い男なんて求めていなかった。
好きな人と一緒に、ただ平凡に年を重ねて生きていきたかった。
それでもお互い思いあっていれば、何があっても大丈夫。そう思っていた。
私は子供だったの。
弱くてごめんね。
足を割って、幽助が侵入して来る。彼の汗が降ってくる。
「それでもオレはお前が好きだ」
・・・・私もだよ幽助。
「バイバイ」
あの時とは違う、本物のさよなら。
197 :
幽×螢:2007/08/08(水) 00:55:42 ID:Na3g8jaZ
ごめんなさい。
蛍子→螢子でした。
皆様の作品、本当に素晴らしいです。楽しませて頂きました。
切ねぇ… GJでした!
この後幽助は螢子を追い続けるよな!な!
幽助×蛍子のアンハッピーンドとは…。
このスレじゃ初めてかもしれん。乙でした。
>>179氏
不覚にも飛影に萌えちゃったんだぜ……w
心の中ぼたんにツッコミ入れてるのとか可愛かったwGJw
ぼたんの本体って霊体?とかだよね?
霊体ぼたんって、見える人には触ったりとかできるのかなぁ?
てゆーか幽白キャラのなかで一番謎な人だよね。
まぁ案内人ですからw
人間界にいる時は、着ぐるみみたいの着てるw
202 :
SS保管人:2007/08/10(金) 02:25:33 ID:mo31deue
>>202 わたしは大賛成です!誤字脱字がそのまま載るのは
はずかしいけど ヾ(*´∀`*)ノキャッキャッ
>>202 ありがとうございます!お手数おかけします。
>>203 確かに誤字脱字ちょー恥ずかしい・・・けど保管庫に収納してもらえるのは非常にうれしいです
207 :
SS保管人:2007/08/12(日) 02:17:49 ID:Hoh4yWFY
問題無さそうなので
漫画の部屋→ジャンプ系コミックの部屋→冨樫義博作品の部屋
に収蔵させて貰いました。
ありがとうございました。
>>207 螢子ちゃんって、幽助より早く年取ってしまうんだよね。
寿命とかも・・・。大人になってから読み返すと、不憫なヒロインだと思う色々と。
>>208 だね。現実的に考えれば、
>>193 の結果になるよなぁ。
女として、自分だけ年老いていくのは耐えられないよな。
>>207 乙です!感謝します。
考えてみれば、最初から最後まで振り回されっぱなしだったね>螢子
幽螢好きだけど、螢子の扱いはちょっと可哀想だったな
幽白の画集買ってしまった。
まぁ、自分なりに満足できた。
幽助の、「右手気をつけろ」の台詞の意味が、やっと判ったし。
私はこのスレが好きだし、駄文ながらも文は書いていたし、協力はしたいと思ってる。
…が、二次元でしかも幽白でノーマルカップリングは嫌だ。
801がいいの!?あたいは嫌だ!!
自分は801駄目なんだー。
全盛期、ノーマルほとんどなくて寂しい思いをしたw
だから、このスレはありがたい。
楽しく投下させてもらってるし、他の方の作品も楽しく読ませて頂いてる。
あ、でも801をけなすつもりじゃないので誤解しないで下さい。
私は801大丈夫だが、読み過ぎて飽きた系
このスレ見つけて、新鮮で嬉しいyo!!!
まぁ801でキャーキャー言う歳でも無くなってきたんだが…orz
なので、桑×雪をだっだれか(まだ言ってる
>>217=
>>159?
このスレ書き込みほとんど無いけど、たまにこうやって
人が居るって事は、皆ROMってる?
なんとなく、3.4人くらいで回してるんじゃないかと思ってるw
そんな気は、とてもする。
そんなあなたはもしかして幽×螢な方じゃないかと思ってみる。
>218
同一で私ですw
ここはPCの前に居る時はROMってますw
>220
残念ながら違うんです;;
>>221 ようこそ。あなたと絡むの2回目です。
過疎ってて悲しくて、つい呼びかけてしまいました。
ここの他に巡回する所1個くらいしかないから、
ほぼへばり付いておりますよ、えぇ。
今の所ROM専で自分もへばりついてます
全盛期は確かにノーマル無くて辛かった…orz
>>218 ノシ
毎日見てるww
幽白もこのスレの雰囲気も大好きなんだぜ
あーあ。萌えたいぜ。神はいずこ。
ノシ
自分もROM専 ノマカプ好きなので
専ブラお気ににはいってます
801全盛期は、ほんとにもう・・・いろいろあきらめてましたw
今になって、幽×螢読めて嬉しいんだよー
毎日このスレチェックしてますよw
人は少ないけど良い雰囲気だよNE!
あんまりしょっちゅう書き込むのも、投下するのも
職人神さんや馴れ合い苦手な人に悪いか思って控えめにしてた。
>>229 何か考えてみます。
ノーマル大好きなんで、いろんな方の作品も読みたいな。
そして、もしかしてあなたは、エロなし飛ぼでもレスくれた方じゃなかろうかw
はぁい。こんにちは。なんせ張り付いてるもんでwww
私は蔵ぼ飛ぼ以外は、読んで萌えるけど書けないので、
職人様降臨を待ち望んでおります。
幽白にときめいたリア厨時代から、それを凌ぐ萌えが無くて、
三十…ry近くになってもこのときめきは止まらないのでございます。
>>224 周りみんな801しかいねぇ
他ジャンルでノマカプやってたんだけど801を何度も強制的に描かされそうになって辞めた('A`)
そのうえ会場でリアル百合に迫られたさorz
今は細々と他ジャンルのノマカプエロをカプシチュスレで投下してる…
ネタが出来たら投下考えるよ
>>232 あぁ、それわかるよ。あたいここに張り付いてる者だけど、
リア厨時代にさ、蔵ぼのエロが好きだーって言ったんですよ。
そしたら、友達(801系)に、
「うっそー!!エロくなーい!?」って言われました。
男×男はエロくないんかなぁ…ヽ(`Д´)ノ ウワァァン
あれれ。よーっく読むと、自分のレス、話がズレてんなぁ。
ROMに戻ろう。このスレ保守には、それが一番!!
な、何故解ったの…!?大正解なんです、はい。
話し方でw
雪菜さん!男桑原、あなたを幸せにします!!!!
ちょっと暴走中スマソ
桑雪なら・・・。
いつまでたっても何もしてこない純情桑原くんにじれったくなって、
自分から仕掛ける雪菜ちゃんとかいうシチュも好きかも。
「和真さん…私…そんなに魅力無いですか?」
大きな瞳で訴える。
桑原の家族と同棲して数ヶ月経っていた…。
…orz
小説カケネ…orz
>>238 私もそれ好きです。
桑原はつい手を伸ばしたくなっても、最終的に理性が勝ってしまいそうだからね。
一番はじめは雪菜ちゃんからアクションかけないと進展しなそう、
なんて妄想してしまう。
誰か書いてくれないかしら。他力本願で申し訳ない。
>>
↑途中で書き込み押した。ごめん。
>>239 素敵だ!!是非続き見たい。
雪菜ちゃんを傷つけたくないあまり、手を出せない桑原くんと
それを分かった上でそれ以上の絆を求める雪菜ちゃん・・・みたいな。
職人さん求orz
桑雪といえば、前に読んだ、チカンされてその後桑雪がホテル行く話。
あれの桑原がかっこえかった。
>>240 >一番はじめは雪菜ちゃんからアクションかけないと進展しなそう
か、和真さん…!今日、皆さんお仕事で、いらっしゃらないそうなんです!!」
「へ?」
つい、間抜けな声を出してしまった。
お人形のように愛らしく、どこか儚い雪菜の言う事は、しっかり理解した。
と言うより、そんな事は珍しくは無い。
両親も、五月蝿い姉も、仕事が忙しく雪菜と2人きりで過ごす事は珍しくは無かった。
桑原和真がつい妙な声を出してしまったのは、雪菜の言葉より、その切羽詰った様子。
それに違和感を感じてしまった。
「ち、ちょっと待ってください、どうしたんスか、雪菜さん?」
桑原は何か重大な事が少女に起きているのか、と事情も判らず慌てだす。
理由なんて関係ない、雪菜が困っていれば助ける。
それが桑原和真と言う男だ。
「だ、だから、私達、二人っきりなんですっ…!」
お願い、判って!!
雪菜は大きな瞳を潤ませ、無言で桑原に懇願する。
こうですか?わかりません(><)
>>245 オーウ
アナータちゃんと分かってマース!
是非続きをデース
247 :
16:2007/08/19(日) 00:25:10 ID:fTLLYOAt
どうも、お久です。
ちょっと最近投下ラッシュだったぼたんのSSに激しく萌え、
自分もSSを書いてみますたので、投下していきます。
限りなく桑雪の流れだったのにぶった切って激しくスマソですorz
コエンマ×ぼたんで書いてみますた。ちなみにまた何故か長くなって
しまったので、長文苦手な方、華麗にスルーを推奨します。
ではドゾー。
――霊界――
そこはこの世――『人間界』と『魔界』――に在る全ての生き物達の魂の通過地点である。
魂達はそこで最後の審判を下され、各々の終着地点――天国か地獄――へと送り込まれるのだった。
そして、その最後の審判を下す最高権力者が閻魔大王であり、現在ではその息子がその重役を受け継いでいるのだ。
そして本来ならば、その小さな身体とは不釣合いに立派ないつものテーブルで、
積み上げられた山の如くの書類と睨み合い、認め印を押しているはずの彼の姿が今日は無くて。
久々に人間界の友人から宴会のお誘いがあり、宴会場と化した亡き幻海の道場へ行くと。
予想に反してそこは例の四人組やその家族どころか、見たことがある――かつては敵で
あったはずの妖怪達も交えた大宴会であったのだ。
企画したのはもちろん元人間、今は立派な魔族のあの男である。
妖怪達の面々はかつての暗黒武術会で戦った者たちで、どうやら妖狐の働きかけで、
再会する機会に恵まれたらしい。その辺りはあまり関わりの無かった彼女には
経緯こそわからないにせよ、話せばそれぞれ個性的で、中々に人の良い連中ばかりだった。
すっかり彼らと意気投合している間に、仕事があるから一足先に帰ると言って姿を消した
閻魔のご子息に遅れを取る事二時間。
三途の川の水先案内人――西洋で言うところの死神と呼ばれる存在である彼女がようやく霊界に帰り着いた時、
いつもいるはずの場所に、彼の姿を見つけられなかったのである。
(……仕事するから帰るって、言ってたのに……)
どこに行ったというのか。
他の案内人や鬼達に聞いてみても、誰も彼を見ていないと口を揃えて言うのだった。
彼女――ぼたんは首を傾げる。
つまり帰ってきて、誰にも何も告げる事も無く、それどころか姿さえも見せず、
またどこかへ行ってしまったとでも言うのだろうか。
或いは、帰ってさえもいないと?
「…コエンマ様ー?」
ぼたんは、霊界の建物の中をくまなく探してみる事にした。
別に、彼に特別な用事があるわけではない。
けれど、いつもはそこにいるはずの者が居ないというのは、どことなくぼたんの気分を落ち着かなくさせていた。
どこまでも続く廊下、巨大な資料室、書類の保管庫、宝物庫……
彼が立ち入りそうな場所を、一つ一つ覗いてみるが、彼の気配はどこにも無い。
ぼたんは一つ溜め息をついて、探すのを諦めようとしたその時だった。
ふと、目に入る一つの部屋。そこは普段誰も立ち入る事の無い空き部屋だった。
何故ならば、そこはこの霊界にしては酷く狭い部屋で、
一体何の目的で造られたのかさえもわからないからだ。
とは言え、やはりここは霊界、狭いながらも12畳分のスペースは十分にあり、
ただ霊界の膨大な資料や宝物を収納したり、ここで働く案内人や鬼達の休憩場としては狭いと言うだけの事である。
前に一度覗いた時は、がらんとして殺風景――しかしそれなりの明るい色の壁紙が張られていて、
床はカーペットも敷かれていたり、そこそこ雰囲気は悪くない部屋だったように思う。
思い立って、その中を何十年ぶりに覗いてみる、と。
「あ…!」
壁に背を凭れ、眠っているコエンマの姿が目に入った。
(こんなとこに居たんだ……)
それも、本来の子供の姿ではなく、人間界のみでしか見た事の無い大人の姿。
おそらく人間界から帰った後、子供の姿に戻る事も忘れてこの部屋で
眠り込んでしまったのだろう。
(……そう言えば、コエンマ様が寝てるとこって見た事なかったっけ……)
いつも仕事に追われ、一つ片付けばまた一つ。
挙句にこの三年間は、激動の内に過ぎて行ってしまったように思う。
これまでの『人間界』・『魔界』そして『霊界』さえもが、これまでの価値観や虚構を
捨て、新しい時代へと入り込んでいったのだ。
その中心人物の一人となった――己の父親である閻魔大王さえも敵に回さざるを得なくなった――
彼にとっては、おそらく毎日が気が気ではなかったに違いない。
(よっぽど、疲れてたんだねぇ……)
彼がどれだけの重責を背負ってきたのか、ぼたんはそれを間近で見てきたのだ。
そんな彼にもようやく――それはほんの少しの間に過ぎないにしても――こうして
安息が訪れた事に彼女は安堵した。
この安息の時間が終われば、またいつもの仕事に追われる日々が始まるのだ。
そんなコエンマの睡眠の邪魔をしないように、そのままドアを閉めて立ち去ろうと思った。
それなのに。
「………」
何を思ったのか、彼女はそのままドアを引いて、静かに部屋の中に入っていく。
「……」
コエンマは眠っていた。気持ちよさそうに、微かに寝息を立てていた。
顔を伏せていたので遠目からでは気が付かなかったが、近くに寄って膝をついてしゃがみ、
顔を覗き込むと。
(おしゃぶり、外してる……)
いつもなら必ず口元に咥えこんでいるはずのおしゃぶりも、流石に睡眠中は外すのらしい。
おしゃぶりを外しているときの彼の表情は、端整な顔立ちにどこか中性的な色合いが混ざり、
色も白く、この上なく知性的に見える。
ぼたんはそんな彼の寝顔を見て、思わず手を伸ばす。
「綺麗な…髪だねぇ……」
つい、小さな声でそう呟いてしまった。
起こしてはしまわないかとドキドキしながらも、自らの好奇心には抗えず、彼の細い髪にそっと触れる。
さらさらの髪。少しブロンズがかった、透き通るような色。柔らかな感触が心地いい。
よく考えたら、この姿は人間界バージョンだと言いながら、実際は彼の成長後の姿でもあるのだ。
そう思うと、何だかぼたんは急に気恥ずかしくなった。
とくん、と胸が疼くのを、気の迷いであれば良いと思いながら。
「…いつもこの姿だったら、いいのにねぇ……」
困ったように微笑みながら、手を床について、立ち上がろうとすると――
「――どう言う意味だ、それは。」
「いっ…!!?」
突然耳に降り注いだ、聞きなれた声。
ぼたんは咄嗟に身体がびくっと強張った。
立ち上がろうとするにも、金縛りにでもあったかのように、身体が動いてくれない。
中途半端に腰を浮かせたまま、ぼたんは冷や汗が出るのを抑える事が出来なかった。
「こっ…こっ……!」
コエンマ様、と言いたかったが、言葉さえも出てこない。
どうしよう、どうしよう、と、ぼたんの頭の中に数少ない言い訳の科白がぐるぐると廻る。
「人の折角の快適な睡眠タイムを邪魔しおって……あげくの果てにわけのわからぬ事を
いいおって…全く…」
顔を上げたコエンマに見据えられながら、ぼたんは精一杯言葉を紡ぎ出そうと焦る。
「ごっ…ごめんなさいっ……いっ…いつ…から…っ…!」
いつから起きて、と言いたいらしい事を悟り、コエンマは欠伸を掌で隠しながら答える。
「ふぁ……お前がこの部屋に入ってきてすぐだ。すぐ出て行けばいいものを
わざわざ入ってきおって……おかげで目が覚めてしまったわ。」
「そ、そんな…!」
ぼたんは血の気が引いていくのを感じた。と、するならば。
自分が言ったこと、した事、 全てコエンマは知っている事になる。
何を言っただろうか、他に何か失礼な事をしてはいまいか、等とぼたんの頭には
そればかりが駆け巡った。
一刻でも早くこの場から逃げ出したい気持ちになり、ぼたんはようやく金縛りが
解けた身体を起こして。
「すいませんコエンマ様っ…!失礼しますっ…!……えっ…!?」
――手首を、掴まれていた。
細いながらも自分より大きな手で、――逃がすまい、とするように。
「こっ…コエンマ様っ……!」
「お前、このまま出て行く気か?言い訳をするなら今のうちだぞ?」
コエンマにそう言われ、ぼたんはごくり、と息を呑んだ。
そんなぼたんの様子に。
コエンマは――悪戯じみたような、それでいて極めて優雅に――艶やかに笑んで。
「…お前は、ワシのこの姿が好きなようだな…」
「―――っ…!」
心臓がどくん、と高鳴った。
先程の妙な胸の疼きが、より強くなったような感覚だった。
鮮やかな笑みを向けられ、ぼたんは眩暈さえも感じて。
「……何なら、試してみてもよいぞ?」
――試す?何を?何の事?――
一体コエンマは何を言っているのか。
ぼたんはパニックに陥りそうな頭を精一杯回転させて、その意味を考えてみるが。
――あああもう!わからないよぉ!わからないったらわからない!!――
「こ、コエンマ様っ、な、何言ってんですか!?そ、そのさっき言ったことは、そんな
大した意味じゃなくてっ……はにゃっ!?」
突然手首を力強く引かれ、ぼたんはバランスを崩してコエンマの胸に倒れこむ。
「――っ!!?こ、コエンマ様っ…!何っ…!?」
「…試してみるか、と言ったのだ。わからんか?」
体勢的にはコエンマに抱きかかえられているようになっていて、顔はコエンマの
ちょうど胸元に埋まり、ぼたんの顔は、まるで火が付いたようにみるみる紅くなっていく。
「たた、試すって……!な、何を…!?」
気が動転して、うまく言葉が出てこない。コエンマの腕からどうにか逃れようと
嫌々をするように首をふり、身体をじたばたさせようとするのだが、
華奢に見えて意外に強いその力で、完全に身体を封じ込まれ身動きが取れない。
不敵な笑みを浮かべながら、コエンマはぼたんのポニーテールを形作るリボンを解いて。
ぱさ――
同時に、ぼたんの青く長い髪が、まるで海のように広がっていった。
艶やかな感触にコエンマは自らの指をそれに絡ませ、櫛で梳く様に撫ぜていく。
「ワシも、前からお前の髪には触れてみたいと思っておった。
この綺麗な、青い髪に、な。」
――どくんっ…
今度は、切なささえも伴う疼きだった。
頬はこの上なく朱に染まり、心音はこの上なく激しく高鳴り。
この気持ちは、まるで――
「コエンマ…様……」
ぼたんにとって、それは生まれて初めての感情だった。
否、正確には水先案内人として生まれ変わってから初めての――である。
本当に、本当にずっと昔に――もういつの時代かさえもわからない。
まだ、自分が『人間』という存在であった頃、このような感情を知っていた気がする。
しかし、その感情は報われる事も無く露の如く散り去り、数多の魂から選び抜かれて水先案内人と
なった今でも――魂の欠片は、その感情を覚えているのらしい。
懐かしくも切ない、甘くて、しかしどこか酸いて。
――やだ、これじゃまるで私コエンマ様を……!――
思い至って、ぼたんははっと我に返り、自分がとんでも無い事を考えているのに気が付いた。
コエンマの胸から顔を離し、彼を見上げながら捲くし立てる。
芽生え始めた感情を、振り払うかのように。
「っ、コエンマ様っ…!は、離して下さいっ!お休みを邪魔したのは悪かったけどっ…でもっ!
あ、あれは本当にそう言う意味じゃなかったんですっ!」
「……ほう?」
そんなぼたんに対し、コエンマは人の悪い笑みを浮かべながら。
「では、どう言う意味だったのだ?」
そんなコエンマに対し、ぼたんは明らかな動揺の色を浮かべながら。
「う……それは……、あの……!」
確かに、あの時自分はコエンマのこの姿に見惚れてしまっていたのだろう。
いつもの子供の時の姿とは違い、大人になった彼のこの姿はぼたんの胸の内に
微かなときめきを与えたのは事実だった。
けれど、それを彼に伝えるわけにもいかない。かと言って、
霊界一素直で嘘が下手な彼女にとっては、これと言った言い訳が咄嗟に思い付くわけでもない。
「だから……その……!」
自分をじっと見据えるコエンマの目が痛く、思わず視線を逸らす。
泣きそうになるのを堪えながら、必死に言い訳を考えていた、その時。
「――残念だったな。時間切れだ」
耳元で囁かれ、ぼたんの身体がびくり、と強張る。
――時間切れって…そんな…!――
「ま、待ってください、あの、実は―――っ…!?」
ぼたんは、信じられないものでも見たかのように目を見開いた。
目の前に、この上なく近くにコエンマの顔があった。
逃げる間なんて、与えてはくれない。
唇が合わさったのは、自分が見せたほんの一瞬の隙の出来事だったのだろう。
暖かでしっとりとした感触が唇に触れ、まるで凍りついたように身体が強張る。
「っ…!」
――コエンマ様……!――
あまりに倒錯的な状況に、抵抗する事さえも忘れ――ぼたんは思わず目を伏せる。
唇同士が触れ合う感触。甘くて、切なくて、暖かで。
唇を奪われているだけでなく、心までが奪われてしまいそうになる。
とろとろと頭が蕩けていきそうなその心地よい感覚に、強張っていた身体が解れ、
全身から力が抜け落ちていきそうになる。
一瞬コエンマが唇を離したかと思えば、また角度を変えて、ぼたんの唇に触れる。
何の抵抗も無い彼女の唇に、幾度か啄ばむ様な口付けを与え――それだけでは
物足りないとばかりに、今度は彼女の唇の中に舌を差し入れた。
「っ!?ん、んっ…!」
唇が抉じ開けられ、ぬるりとした生暖かいものが口腔に当たる。
驚いて逃げようとする彼女の唇に追い縋り、彼女の舌を絡め取る。
「ふ…っ、んぅ……!」
淫猥な口付けに、ぼたんの頭の中は真っ白になった。
抵抗しようにも、身体の力が吸い取られてしまったかのようで、跳ね返す事も出来ない。
くちゅくちゅと唾液が粘る淫靡な音と共に、口膣を犯されながら、ぼたんは息苦しさと
それに伴い湧き上がる妙な官能に翻弄されるばかりで。
――何?この感覚は……――
身体が熱くなる。身体の中で、何かが生まれる。
「――…っ…」
唇がようやく解放されると、そこには相変わらず人の悪い笑みを
浮かべた上司の顔があった。
互いの唾液で濡れたその形のよい唇を。先程まで自分の口内を犯していた紅い舌先でぺろり、と
拭うその仕草は、閻魔と言うより、むしろ悪魔のような酷薄でありながらも
人を惹きつけて止まない妖艶さを醸し出していた。
ぞくり、と背筋が凍りつく。
「顔が紅いぞ?ぼたん。初めてか?こういう行為は…」
「――っ!?あ…当たり前じゃないですか!み…水先案内人がっ……
こ、こ…こんな事する暇なんて、あるわけが…!!」
からかうようなコエンマの物言いに対し、どもりながらもどうにか答える。
怒っているような、恥ずかしがっているような、どちらとも取れる動揺の色を含んだ表情で。
「そうか?この数年、お前は仕事以外でよく人間界に出入りしていたからな。
もしかして、と心配しておったのだ。」
「なっ…!?こ、この質問ってセクハラですよっ!?う、訴えちゃいますよ!?」
「お前な……今ではここの最高責任者はワシだぞ。誰に訴えるというのだ。
それに、誰とて自分の物を誰かに奪われるのは癪に障るものだ。」
「じ…自分の物、って…!」
「覚えておるだろう。お前が水先案内人として生まれ変わった時のことを。」
「う……!」
覚えていないはずがない。確か、自分の魂は彼が選んだのだと言っていた。
それまで仕えていた水先案内人などは、全て彼の父親である閻魔大王が
その元となる魂を選んでいたのらしい。
そう。自分は、彼にとって初めての。
「最初に言ったであろう?ワシはお前を気に入っている、と。
だから、お前がワシ以外の物になるのは――許せんのだ。」
「そそ、そんな……あ、あるわけないじゃないですか、そんな事っ!」
「信用出来んな。随分と魔界やら人間界やらの者共と仲良くなりおって。
お前は人懐っこすぎる。見ているこっちがはらはらするわ。」
…………はい?それって、それって……。
「…あの……コエンマ様?もしかして先刻の宴会の事言ってます…?」
確かに、自分は職業柄か余り人見知りをする方でもなく、今回の宴の席でも
特に風使いやら自らを美しいと豪語する魔闘家等とはえらく気が合って、
冗談も交えたお喋りに興じていたりはしたけれど。
けれどそれはあくまで宴会の、酒の入った席だったからであって。
それをまともに真に受けるなんて。それはつまり――……
「あの……それってヤキモチ…ってやつですか…?」
恐る恐る聞いてみると。
「なっ!?誰がヤキモチを焼くと言うのだ、誰が!ただ、お前が
誰にでも何の警戒心も持たずに馴れ馴れしくしておるから、
見ているこっちが苛々してくるだけだわい!そんな俗っぽい感情と一緒にするな!」
……世間では、それをヤキモチと言うのだ、とぼたんは心中で突っ込みを入れながら。
先程はあれほど妖艶で、大人びた仕草や行動で自分を振り回していたはずなのに。
たったの、自分の一言で。コエンマの表情はにわかに崩れ、僅かに頬が上気して、
先程までの余裕を失ってしまっていた。
それを見て、逆にぼたんの方が余裕を取り戻し、コエンマの子供染みた嫉妬に対し、
笑いが込み上げてきた。
「…何が可笑しいのだ、ぼたん…」
「べ、別に何でも……笑ってなんて、いませんよ?」
言いながら、噛み殺せなかった笑いがくすくすと空気の合間を縫って漏れ出る。
七百年生きていても、今は大人の格好をしていても、やはり内面はあの小さな姿の
ままなのだと、ぼたんは思った。
明らかなぼたんの含み笑いに、コエンマはむっとした。
彼女の心中が伝わったのか、まるで子ども扱いされているようで面白くない。
少なくとも、この姿の時位は。この大人の姿のままで、見て欲しいと思う。
本来の姿はアレだが、この姿もまた本当の自分の姿なのだから。
初めてこの姿になった時、世界の何もかもが違って見えた。
自分の身体も、見た目の歳相応の反応を示す事も当に知っている。
だからこそ。
「…?コエンマ様…?」
「…………」
それきり、黙り込んでじっと自分を見つめているコエンマに違和感を感じ、
訝しげに覗きこんだ。
機嫌を損ねてしまったのだろうか。ぼたんはしまった、と思いながら、
あせあせと再びコエンマに詫びる。
「す、すいませんコエンマ様っ…!ち、違いますよね〜コエンマ様がそんな
俗っぽい感情持つわけないしっ…!それも、私に対してなんて、……え?」
コエンマの手が、肩に掛かり。ぐらり、と身体が揺れて。
そのまま、床に押し倒された。
どさ、と倒れこむと、目の前のコエンマも同じようにぼたんの上に上乗りになり、
彼の体重が掛かる。
「――え?えっ!?こ、コエンマ様?あ…あのこれは…?」
何コレ?コレ何?どーゆー状況!?
頬が、再び火照りを強くする。コエンマの目が、いつになく真剣で、じっと自分を見詰めながら。
「ぼたん。――お前が悪いのだぞ?」
「こ…―――っ!?」
彼の名を呼ぶ前に。また唇を塞がれる。今度は最初から、彼の舌が自分の口内へと
侵入してくる。驚きと共に、再び与えられる唇を通しての官能に、ぼたんは眩暈を覚えた。
どうしてこうなったのか。何がどう間違ってこんな事になってしまったのか。
ぐるぐると脳内を駆け巡る疑問の数々が、唾液の絡まる淫らな水音によって
掻き消されていく。
「んっ…んぅ…っ!」
息継ぎさえもままならなくて、息苦しさにぼたんの眉根が歪んだ。
しかし伴うように、身体の内側から甘い官能が湧き上がってくる。
甘い癖に、苦しくて。切なくて。儚くて。
こんな感覚は――知らない。
こんな感情は――知らない。
「……はっ!はぁっ…はぁ…はっ……コエンマ…さまぁ……」
唇を解放してやると。其処には、目に一杯の涙を溜めたぼたんの顔があった。
留め切れずに溢れた雫が、紅く染まった頬を伝い、ぱたぱたと綺麗な髪の上へと滴り落ちていった。
「う…ふぇ……!」
転んで泣くのを堪える子供のような表情で、コエンマを見るぼたんが
何だか可愛くて、切なげで。
思わず、先程までクールだったコエンマの表情が緩む。
「何だ…?何を泣いておるのだ。ワシはお前を泣かせたかったわけではないのだぞ?」
「だ…だって…だって……!」
涙が、止まらない。何で。どうして急にこんな事を?
「ワシでは嫌か?」
違う。そんなんじゃない。嫌なわけじゃない。けど。けど…!
「今からする事が…怖いか?」
「う……だって……こんな急に…っ…そ、それに…!」
「それに?」
「こ…コエンマ様のばかぁっ…意地悪っ…!私、初めてなんですよっ?こんな事…!
それなのに、…それなのに、こんな場所でっ…こんな無理矢理…!
普通、もっとムードがあるとこ選んだりっ…
女の子の都合に合わせてくれたりとかっ…!そ、そーゆーもんじゃないんですかっ!?」
「たわけ。人間界じゃあるまいしこの霊界にそんなムードのある場所などないわ。
他人に見られてもいいのなら場所を変えるが?」
どうする?と目で訴えられて、ぼたんは涙ぐんだ目で恨めしげにコエンマを睨む。
コエンマはそれに対し、涼しげな表情で彼女を見下ろしていた。
そんなコエンマに、ぼたんは小さく呟いた。
「ずるいです……コエンマ様…!」
――この人は、知っているんだ。私が抵抗出来ない事を。
そう悪態をついた唇に。コエンマは満足げに艶やかに微笑んで、再び唇を落とした。
*****
着物が、肌蹴ていた。
薄桃色の、お気に入りのいつもの着物。
皺になっちゃう、そう自分では心配に思っていても、自分の上の男がそんな事
を考えてくれているはずがない。
帯紐を緩められて、初めて人の前に素肌を晒していた。
「…っ…ん…」
ゆっくりと、身体を舌で、指先で撫ぜられて、ぼたんの唇から切なげな声が上がる。
苦しげな吐息は熱を持ち、それが苦しいだけのものでは無いのだという事をコエンマに伝えていた。
「はっ…コエンマ…さま…!」
触れられている部分が熱い。彼の舌が、彼女の膨らんだ曲線をなぞる。
先端の突起を口に含まれて、ぼたんはびくり、と身体が強張った。
味わうように執拗に其処を愛撫され、ぼたんは羞恥に消え入りそうになる。
けれど、何を思ったかコエンマの方に視線を這わすと、その姿は大人だと言うのに何故か
母親の乳を求める幼子のように見えて。
そう思うと、心に暖かい何かが灯る。
可愛い、ね……。
きっと、彼にそう言ったら怒ってしまうだろう。だから口には出さないけれど。
「あ……っ…!」
そう思った矢先、彼の手が下半身を覆う肌襦袢を開かせて、肌蹴て露わになった腿からその
付け根の潤んだ箇所を探り当てる。
「っあ…!や、やだっ……ぁっ…!」
前言撤回。可愛くなんか無い。全然。
自分を見下ろす彼は、相変わらず小憎らしい程に涼やかで意地悪で人でなしで。
ぼたんと違い、余裕な表情のコエンマは、慣れた手つきで彼女の微かに潤んだ秘裂を
なぞり、その上でひっそりと息づく肉芽をきゅ、と摘んだ。
「ひぁっ!?だ、だ…めっ…!あぁっ…!」
高い喘ぎが漏れる。拒絶の言葉さえ、響く嬌声に掻き消されていく。
内部からせり上がってくる初めての快感が、未だ男を受け入れた事のない
彼女の秘所に潤いをもたらしていく。
溢れる蜜がコエンマの手に絡みついて、そのまま彼女の内側へと指先を侵入させる。
「っ…!」
微かな痛みが走り、彼女の表情が歪む。
けれど、彼はやめない。慣らすように、ゆっくりと。指先で割れ目を押し広げながら。
「うぁっ……あっ…だめっ…ひ、広げちゃ……やっ…!」
コエンマの焦れた愛撫に、ぼたんの身体が切なく疼く。
痛みはいつの間にか消えて、打って変わって今度はコエンマの指先を更に深く
飲み込もうと収縮を始めた。
にぃ、と口端を上げて笑み、ぼたんの内部から引き抜いた指先を、ぺろりと舌で舐め取りながら。
「……お前も、ワシが欲しいようだな。」
「や、違、っ…!ひゃっ!?」
先程まで指先を拭っていたはずのコエンマの舌が、ぼたんの濡れそぼった女の箇所に這える。
「ちょっ…やだっ!やだやだやだっ!!こ、コエンマ様のスケベ!変態っ!
そ、そんなとこっ…っあんっ…!」
「馬鹿者。男は皆同じだ。変態とは随分な言いがかりだな。
それにここを慣らさねば、お前がきついのだぞ?」
上身を僅かに起こしコエンマの頭を抱え、引き剥がそうとするも。コエンマの舌が秘裂をなぞる度、
腕に込める力は彼を押しのけるどころか、寧ろ抱え込むように働いてしまう。
あまりの羞恥に消え入りそうになりながらも、段々と目覚めていく快楽の味にぼたんは
すすり泣く様な喘ぎ声を、コエンマの耳元で上げ続けた。
「ふぁっ…ぁっ…んっ…っ…う…!」
止め処なく溢れる蜜を啜りながら、男を知らぬその甘美で未熟な果実に、コエンマはえも知れぬ充足感
が湧き起こり、思わず笑みが漏れた。
「……やはり、お前は可愛いな。ぼたん。お前は――ワシのものだ。」
刻み付けてやるのだ。その証を。
誰にも触れさせないように。彼女が他の誰かを求める事のないように。
コエンマは自らの衣を中途半端に緩め――自らの隆起したモノを取り出す。
「あっ……!んっ…!」
脅えるような瞳を向けるぼたんに口付けながら、コエンマはそれをぴたりと
彼女の秘唇に押し付けた。
「んっ、やっ…こっ…コエンマ様っ…!」
ぬるぬると、秘裂を猛った先端でなぞりながら。目が合うと同時に――
「――ひっ…!あああっ…!」
「っ…!ぼたん……!!」
彼女の内部は熱く、狭く――徐々に、自身が彼女の中に埋もれていくにつれて、
腰の辺りがじんじんと痺れてきた。もちろん、快楽によって。
「痛い、よぉ……コエンマ…様っ……!」
ぽろぽろと涙を流しながら、はぁはぁと荒い呼吸を繰り返しながら、痛みに顔を顰めながら。
それでもどうにかコエンマを受け入れようと――いや、彼女は痛みから逃れたかっただけなのかも
しれないが――吐息の合間に力を抜いて、彼の全てを受け止めていく。
結合は徐々に深くなり――やがて最奥へと辿りついて――
「ひぁぁっ――!」
悲鳴にも似た嬌声が上がり、コエンマの額からは一筋の汗がつ…と流れる。
「はっ……全部……っ…入ったぞ…ぼたん……」
彼女の胎内に自らの存在を確認するように、ぼたんの下腹を掌で上下する。
これで彼女は、本当の意味での自分のものとなったのだ。
自分が、彼女の魂を転生させて、自分の部下として側に置いて――そして彼女の初めてとなって。
果たして水先案内人である彼女が自分の子を宿す事があるのかどうか――そこまではわからないにしても。
「ふっ…うぁ……あっ…!」
圧迫感と純潔を失った証である鈍痛に、ぼたんは苦しげな声を上げて耐えているようだった。
相変わらず涙を流しながら、固く目を閉じていた。
コエンマは苦笑しながら、今すぐにも本能のままに突き上げ彼女を蹂躙したい衝動に耐える。
ほんの僅かな理性と良心で以って、かろうじて本能を押さえ込んだ。
「相変わらず……泣き虫な奴だ…。昔から…何も変わらんな、お前は。」
彼女より以前のほとんどの水先案内人は、その仕事柄故かいつの間にか涙を失い、情を失い
人間であった頃の心を失い、ただひたすら仕事の遂行のみを考えていた。
ぼたんのような、未だ無垢で泣き虫で嘘が下手で情の深い死神など、見た事がなかった。
だからこそ。
「だ、だって……コエンマ様……ど…して……っ…」
「ん?」
「何でっ……こんな…っ……こんな、事……?」
自分のものにしたい。ただそれだけで。それだけの理由ならば――それはあまりにも傲慢ではないか。
多分、自分は彼のこの姿に。自分を作ってくれた存在である彼に、微かな恋心を
抱いてしまったのは間違いないのだろう。でなければ、もっと抵抗もしただろうし、
きっとこんなに酷い事をされてしまっては嫌悪感だって抱いたのだろう。
それが。
「…何か、不満でもあるのか?」
「だって……こんなの、って……!」
もっと、ロマンチックなものだと思っていた。折角、前世でも敵わなかった女としての望みが敵うのなら。
実際前世なんてあまり覚えてはないのだけれど。でも、毎日胸がドキドキして、
その相手にちゃんと想いを告げられて、大事に抱かれて――そういうものだと思っていた。
色んな段階をすっ飛ばして、無理矢理こんな事になったのでは、哀しいではないか。
「……本当にお前は純粋だな。呆れる程に…」
「っ…う……」
「だが、お前のそういうところがワシは気に入っているがな。そうでなければ、こんな事するはずがない…
それにセックスなど、お前が想像しておる程綺麗なものでもなければ、楽しいばかりのものでもない」
「――ひぁっ…!いっ…!」
彼の大きさに随分慣れてきていたとは言え、彼が腰を動かせば、早くも痛みで声が引き攣る。
仰け反る首筋に顔を埋め――耳元で、囁く。
「――ここを擦り合わせなければ、いつまで経っても二人で悦くはなれんぞ。
いいか?」
男と女など、そういうものだ。――そう言い聞かせながら、コエンマは腰を突き上げて、
ぼたんの身体を揺らし始める。
「っう、…っ、…ひぁ…っ…!」
「我慢、せい……、すぐ、イカせてやるから……すぐ…楽にしてやる……」
低く甘く囁かれ、それがぼたんの目に新たな水を湧かせた。
ゆっくりとした動きから段々に早く、濃密に。出し入れの度、にちゃにちゃという卑猥な水音が、
ぼたんの溢れる愛液が増えるにつれ大きくなる。
熱い、熱い、彼女の胎内。
「あっ、あっ…ああっ、あ!あっ…あ……っ…!」
幾度も出し入れを繰り返すうち、ようやく悦びの声が微かに混じり始め、コエンマは安堵した。
流す涙も、今度は悦楽のそれにとって変わるのは時間の問題だろう。
「――ぼたん……!」
はぁ、と深く息をついて――彼女の胎内を一際強く突き上げた。
「あああああっ!やっ…コエンマ様…っ、ああ!」
どうしてこうなったのかわからない。彼に無理矢理抱かれ、こうして彼にいいように扱われて。
「ふぁっ…あっ アっ!コエンマさまっ…コエ…マさまっ…!」
けれどそれを甘んじて受け入れて、こうやって快感まで感じるようになってしまった自分が、
なんだか悔しくもあり、哀しくもあり――けれどどこか幸せで。
「ああっ…やぁっ…も……あ…!」
身体の中の、彼の熱が一際大きくなる。
込み上げてくる絶頂感の中――彼の名を、ひたすら呼び続けて――
「コエンマさまっ……ああっ…コエンマ、さまぁっ…!」
「――――ぼたん………っ……!」
――熱いものが、身体の奥に流れ込んでくる感触。
注ぎ込まれる彼の証。
私の身体に被さる彼の、首筋にかかる熱い吐息。
早い心臓の音。
暖かい彼の体温。
ずっと、求めてたもの。
全てが。
――何でこんなに愛しいんだろう?――
*****
「――まだ機嫌は直らんか?」
ぐったりと、未だうつ伏せに横たわったまま。彼にそっぽを向けてだんまりを決め込んでいる。
惚れてしまっているのは事実だ。愛しいと思ったのも事実。
でも悔しい。これでは彼の思う壷ではないか。
あんなに意地悪をされて、痛い思いをさせられて。
初めて好きな人と結ばれる時の、昔から思い描いていたロマンチックな乙女の夢も打ち砕かれて。
ひどい男。ひどい男。
でも。
そんなひどい男にあれだけのことをされて、悪い気がしない自分が一番ムカついた。
その為か、今は何も話す気にはなれなかった。
身体も気だるくて、起き上がるのも億劫で。
「…話す気にもなれん、か……」
そう呟く彼の、少し寂しげな声。
その直後衣擦れの音が聞こえてくる。おそらく彼が身支度を整えているのだろう。
知るもんか。彼が悪いのだ。彼が、子供染みた嫉妬心なんか起こすから。
自分だって、あやめと仲がいいくせに。
それに私を抱いているときの、彼の余裕な態度、表情。
絶対、私が初めてじゃないんだ。
現に、私の事を好きだとか、愛してるとか、そんな言葉も掛けてくれなかった。
それなのに。それなのに…、…。
「――ゆっくり休んでから仕事に戻れ。悪かったな、無理をさせて。」
「―――……!」
初めての気遣いの言葉。求めていた言葉ではなかったけれど。
彼は立ち上がり、この部屋から出て行こうとしている。
知らない、知らない知らないっ!!
彼が悪いのだ、彼が。今更どんな気遣いをされたって。今更謝られたって。
でも、でも……――
彼がドアの前までたどり着き、ドアノブに手を掛けようとしたその時。
「――待って、下さい…」
小さな声だったが、コエンマが気が付かないはずがない。
声がした方に振り向いて、視線を落とす。
視線に晒されている。きっと、彼は今自分を見下ろしているに違いない。
結局、自分から折れてしまった。悔しいけれど、心には逆らえなかった。
羽織るだけだった桃色の着物を調えながら、ぼたんはけだるい身体を起こす。
やっぱり皺になっている。それを気にしながら、ぼたんは無言で自分を見つめる
コエンマの方を見もせずに、話し始めた。
「……他に、仰ることはないんですか?」
口調は自然厳しいものになる。当たり前だ。自分は今怒っているのだから。
自分が欲しかったのは、あんな中途半端な気遣いの言葉では無い。
もっと、大事な言葉があるだろう。ぼたんはそう言いたかった。
「――他に、か?」
とぼけているのか、本当に思いつかないのか。さっきまで、あれ程饒舌だった癖に。
饒舌だった癖に、肝心な言葉が出てこないから、今こうして彼に問うていると言うのに。
「コエンマ様は……自分のものにしたいって…ただその為だけに、私にこんな事をしたんですか?
なら、私以外の人でも、自分のものにしたいって思ったら――誰にでも、こんな事するんですか…!?」
「何を言っておる?お前以外とは…?」
「とぼけないで下さい!コエンマ様にとってはそんな女の中の一人でも…、私にとっては
初めてだったんです…!それなのに…愛されてもいないなんて…、ただ子供みたいに
嫉妬されて、自分のものにしたいだなんて…ただの、傲慢じゃないんですかっ!?」
だめだ、涙が。
また、零れ落ちる。
もう、最悪だ。今日は本当泣いてばっかり。
こんな事なら、彼を探すのじゃなかった。そうすれば、こんな感情芽生えずにすんだのに。
ああ、思い出した。恋って、辛いものだったんだ。
もっと早く思い出していれば、恋なんてしなかったのに――
「ぼたん……」
コエンマが、ふぅ、と溜め息をつくのがわかる。何の溜め息なのだろう。
この気持ちが、理解出来ない故での溜め息なのだろうか。それとも。
「っ……っ……」
涙を、押し殺す。泣くものか。こんな事で。こんなどうしようも無い男の為に――
「嫉妬、か。先刻は否定したが、確かにそうなのだろうな。だとすれば、お前は大きな勘違いをしておるぞ?」
一体、何をどう勘違いしていると言うのか。でも今は、泣くのを堪えるのに必死で。
「確かにワシは自分で思っていた以上に子供であるらしい。まぁ、お前も十分子供のようだが?」
にぃ、とコエンマがいつもの不敵な笑みを浮かべた。ぼたんとは対照的に。
「いいか、よく聞けよ?ワシが今回お前に対して持った感情が、お前の言うところの
嫉妬やヤキモチと言った類のものであるならば。『嫉妬』の意味は
『自分の愛する者の愛情が他に向けられるのを憎むこと。また、その気持ち。特に、男女間の感情についていう。』
と言うものだ。わかるか?」
「……?」
何を言っているのだろうか。今更そんな事。嫉妬の意味なんて…何で…。
「つまり、だ。お前の愛情が他に向けられるのをワシは恐れた。
お前の事がどうでもいいならば、そんな事を恐れたりはせんよ。故に――」
コエンマが近づいてくる気配がする。すぐ側に、――そして目の前に。
思わず身構えるが、彼は気にせずに、自分の前にしゃがみ込み、覗き込んで。
優雅に、艶やかに――笑む。
「――ぼたん。ワシはお前の事が、好きなのだよ。」
――頭が真っ白になる。何?なに?ナニ?
何て言ったの?いや、はっきり聞こえたけれど。でも…、でも!
「わかるか?」
「う…あ……あ、あの…、でも…!でも…!」
「何だ?ワシの答えにまだ不満でもあるのか?」
焦っている。相当焦っている。頭が混乱している。嬉しくないわけが無い。
でも、だからと言って全てに納得出来るはずもない。だって、彼は。
「だって……そ、そんな嘘だったらいくらでもつけるじゃないですか…!?
今の今までそんなこと…!」
「……疑り深い奴め。幾らなんでも好きでもない相手を抱こうとは思わんわ、たわけが。」
「でもっ、コエンマ様は…初めてじゃないんでしょう!?こんなこと…!」
「――――……はぁ?」
「う、…だ、だって…その……慣れてたし……これから先だって、もっと気に入った人が
出来たら……また、自分のものにしようって…思うんじゃないんですか!?」
涙を堪えながら、コエンマに思っていた事を一気に捲くし立てぶつけていく。
コエンマは呆気に取られたような表情で、その言葉を受け止めているのだか
聞き流しているのだか、ぼたんにはわからなかった。
けれど言い終えてから、ぼたんはしまった、と思った。
これでは自分も嫉妬しているみたいではないか。
どれだけ自分が彼を想っているかを、曝け出してしまったのと全く同じだ。
急に気恥ずかしくなって、彼から目を背けた。
「……ほぅ?」
呆気に取られたような表情から一変して、彼のにやにやと小憎らしい顔が目の端に映る。
「成る程な。『慣れていた』、とはさっきの行為の事か?なら、ワシはお前を満足させてやれた、と
言う事だな。安心したぞ?」
「なっ…そ、そーいう事を言ってるわけじゃ…!」
「そう照れるな。…だがお前の今の口振りを聞いていると、やはりお前は相当勘違いを
しているようだな?納得がいかんぞ。」
「な、わ、私が何をどう勘違いしてるって言うんです!?」
「ワシは、お前が初めてだぞ?」
……………………はい?
「あの……コエンマ様…?」
「だから、女を抱いたのはこれが初めてだ。本当は言うつもりは無かったのだがな。」
「…嘘。」
「ええい!どこまで疑り深いんじゃ、お前は!七百年も生きていれば、例え初めてでも
やり方位普通は知っておるだろう!?全く……」
ぶつぶつと声にならぬ小言を言いながら、コエンマは照れたようにそっぽを向いた。
その姿はとても嘘を言っているようには見えず、…とりあえずは、まぁ。
「…すいません、でした……」
お互いに背伸びして。自分が大人だと信じたくて。
でも、結局はやっぱり化けの皮が剥がれてきて――自分がいかに子供なのかという事を、思い知る。
「……わかれば、いいのだ。」
不機嫌そうな顔に、照れを隠しながらそう呟く彼が、何だかとても可愛く見えて。
思わず、笑みが零れた。それはとても彼女らしい、屈託のないそれで――
「……大人になりましょうね、コエンマ様?」
自分自身にも言い聞かすように。
「…………」
絶句してしまったコエンマに。ぼたんは、初めて自分から彼に一つ、口付けた。
これでやっと――本当の恋が始まったのだ。
――END.
リアルタイムでキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
GJ!
ぼたん可愛い(*´д`*)ハァハァハァ
265 :
16:2007/08/19(日) 00:49:33 ID:fTLLYOAt
長くてスマソ。本当は短い予定だったのだが…orz
前に恐縮ながら自分の飛雪の続きの飛躯を書いて下さると言っていた
>>93さんの飛躯をひたすら待ってる自分が居るw
楽しみにしとりますーwktk
本当ここ一体何人位住人さんいらっさるのか。
自分はSS投下時か他の職人さんへの感想レス以外はカキコした事ないのだが。
>>245さん
シチュに禿萌えw
是非続きを!
実は初めてなのに亀の甲より歳の功なコエンマ萌えv
しかも照れるところがさらに萌えvvv
>>265 ちょ・・・ちょちょちょ、ままま、まってくれ。
待たれてるのか?
待たれてるのか!?
スレ的に、他の人の話に続き書くのはアウツなのかと思って書く気なんてすっかり忘れてたのだが!!
しかも16さんということは、元の話書いた方ですか〜!!1!
そして実は自分が17だったということを今確認してきたwww
てえか、↑だけ書いて投稿しちゃダメダメぢゃん
書くよ、書きます、書かせていただきます!!
明日は日曜だし(あ、今日だ)書いてみます!
ぼたんちゃ可愛い(*´д`*)
16さんありがとうヽ(´∇`)ノ GJでしたw
17さん続き書いてくれると嬉しいww
96=266(=17)ですこんばんは。
16さんの飛×雪(
>>56-86)前提の飛×躯、書いてみたものの1日では書き終れませんでした・・・
賛否あるのは覚悟のうえ、途中まで投下いたします。
*****
魔界に帰り着き、邪眼を開いた飛影は、探し当てた百足――動く要塞の上に一人立つ女王の姿を見た。
腕を組み、進行方向を睨んでいた彼女は、ふと飛影を振り返った。
(!)
飛影は思わずその顔を凝視した。
彼の視線の先で、女王は、何事もなかったようにゆっくりときびすを返し、百足の中へ消えていく。
(相当な距離があるんだぞ・・・)
一人ごちて飛影は、邪眼を閉じ周囲の気配を探る。
躯の偵察虫は見付からない。
(ならば、有り得ない)
飛影は立ち上がり、百足があるはずの方角を見た。
(躯に、俺が見えたはずがない)
今のポイントから百足までは、飛影の足でも半日以上かかるほどの距離が開いている。
躯が千里眼を持っているなら話は別だが、躯にそういう能力はなかったはずだった。
女が『自分を見た』と感じたのは、きっと気のせいだ。
そう考え直して、飛影は百足へと向かった。
***
ほぼ一週間ぶりの百足は、良くも悪くも普段通りだった。
百足の住人たちは、一様に飛影に目礼してすれちがう。
・・・目礼『だけ』はする、と言ったほうが正しいと飛影は思っている。
百足は要塞であり、あるいは戦場と言った方がより近いかもしれないが、同時に生活の場である。百足の住人は押し並べて実力行使を好むが、さりとて四六時中殺し合っている訳ではないし、また、出来るものでもない。
特に上位者は、質力差が自明である下位者がむやみに襲ってくることはないし、対上位者でも、お互い無駄に致命的な流血をするほど暇ではないからだ。
平穏と殺伐が混じりあう、・・・矛盾するようだが、そうとしか言い表せない空気で、移動要塞の中は満たされている。
そんな中をすり抜けるようにして、自室に入った彼は、ベッドの上に転がる塊を見咎めた。
「なんだ、何か用か?」
「『なんだ』とはご挨拶だな」
『塊』は頭を上げて飛影を視認し、起き上がってそこにあぐらをかく。
飛影はフンと鼻を鳴らした。
「ここは俺の部屋だぞ」
「そう。『オレの』百足の一室の、な。」
上はタンクトップ一枚という、これ以上減らしようのない軽装の躯は前髪を掻き上げてくすりと笑った。
「いいじゃないか。そう邪険にするなよ。そんなにオレが邪魔か?」
「邪魔だ」
飛影は吐き捨てた。
普段、躯が飛影の部屋に来ることはない。――逆ならばある、そのときには何とも思わない躯との距離が、今日はなぜか癪に障る。
「はーぁあ」
飛影の様子に気付く気配もない躯は、のんきな声を出して、そのままぼすんと後ろに倒れ込んだ。
「まったく、お前の自覚の無さにも困ったもんだなぁ。」
のんびりした女の声音に、訳も分からず腹の底が騒ぐ。
飛影は、その訳の分からない何かを隠すために渋面を作り、躯の肩を掴んだ。
「おい、ここで寝るな――」
その瞬間、女はビクンと目を見開いた。
「飛影、お前」
きらりと瞳が光る。
その奇妙な輝きに、飛影の脈が振れた。
何かに怯えるように震える唇。そして、潤んだ瞳。
飛影は、奇妙な既視感を覚えた。
(こんな表情を、自分は一度見ている?)
女の表情は、過去の記憶と一致しそうで一致しない。
(馬鹿な、躯が俺に怯えたことはなかったはずだ)
延髄をざわつかせる瞳をしたまま、躯は、唇だけで笑った。
「お前、女を抱いてきたな」
***
「な・・・!」
飛影は絶句した。
少し目を細め、憐れみを滲ませて、女はふっと吐息を漏らし目を伏せた。
「それで、・・・それでも、手に入れることができなかったか。可哀想に・・・」
「貴様に何が分かる!!」
「――!」
一度の打撃で、飛影の拳は躯の義腕をねじ曲げた。
拳を引くと、傷付いた配線から火花が散る。
「貴様に、何が分かる・・・!」
ねじ曲がった金属の腕を、そして飛影の顔を見た女の睫毛が、ぴくりと揺れた。
「お前が分かってないことをだよ」
躯は、義指をぎこちなく飛影に伸ばそうとした。
「なんだと?」
飛影は思わず女の義腕を掴んで、ベッドに押し付けた。
義腕が歪んで耳障りにギリリと軋む。
が、躯は何の反応もしない。
痛そうなそぶりもなく、飛影を振り払おうともしない。
「お前、女の匂いがしてる――なのに今も、飢えた目をしている」
躯はただ、少し潤んだ、憐れみの滲む瞳で、男を見上げる。
「『何が分かる』だって?ここでいじけてるんじゃねぇよ。不満がる前に『だからどうした』とでも言い返してみせろ。・・・そんな、いかにも『飢えてます』って顔じゃ情けないだけだぜ?」
飛影の首筋を、怒りのようなものが走った。
言葉の内容とあまりにそぐわない、ひどく穏やかな表情。
それは飛影を苛立たせるには十分だった。
「貴様・・・!」
「――っ!?」
ビッ、と躯のタンクトップの胸元が裂ける。
「ああそうだ。俺は女に飢えてる。それの何が悪い」
躯は細い眉を顰めた。
飛影の手の中で、引き千切った布切れが煙となって燃え尽きる。
広げた掌から灰がこぼれ、ベッドに落ちる前に、飛影は女のズボンを引きずり下ろした。
「そういえば貴様も女だったな」
下着の脇へ飛影が指を掛けた瞬間、ジッと小さな火が上がり、それはたやすく焼き切れた。
躯も、今度はあからさまに顔を顰めた。
(まずい)
反射的に躯の頭をベッドに叩き付けて、飛影は頭の片隅で思った。
飛影の手の下で、呆気に取られたような躯の目が見開かれる。
(止めなければならない)
理性は、確かにそう言っている。しかし、
――止められない。
理性が、荒ぶるものを抑えられない。
躯は一度まぶたを閉じ、艶やかな瞳を開いた。
「なんだ」
飛影に組み敷かれた躯はうっすらと笑った。
「どうした小僧。もう終わりか」
ぷつっ、と何かが切れた。
どすっと音がするほどに躯の両脚を割り広げ、膝の下に敷く。
女は何も反応しない。
――なぜ、叫ばない?
飛影は憤っていた。
そうだ。これは怒りだ。自分へ、当然向けるべき非難をしない女に対する。
飛影は興奮した自身を取り出して、躯の腹に押し付けた。
それでも躯は微動だにしない。
代わりに、まるで濡れていない彼女は男を拒んで、先端すら無理矢理にねじ込む感じだ。
躯が眉を寄せる。
彼女は痛みを感じているのかもしれなかった。
だが飛影は構わず、摩擦がひどいそこへ腰を進めた。
「く・・・」
ついに奥に突き当たって、女は小さな声を立てた。
けれども表情に苦痛は見えない。
それとも、本当に痛みがないのだろうか?
ぐっと腰を押し付けて、飛影は女の尻を両手で撫でる。
飛影は歪んだ笑みを浮かべた。
――笑ってしまうほど滑りが悪い。
「んっ・・・、ふ・・・、・・・」
そのまま揺するように前後させると、突き上げに合わせて女の息が漏れる。
それとともに、結合部にぬるつく感触がし始める。
だが、躯は感じているようではない。
肌は白く冷めたまま。
「ふ・・・、ぅ・・・っ、・・・」
息すら乱れていない。
薄く開いた唇から、息が抜けているだけだ。
――まるで暖かい人形だ。
しかし人形などではないことに、飛影は慄いた。
彼を包む女の肉が蠢きだしたのだ。
「あっ・・・?!」
ぐっ、と締め付けてくる躯に、飛影は堪らず吐き出した。
***
(つづく)
まだ続きます。
これをネタに飛影をちょっといじめます。
ただしエッチがくっつくので、それほど「いじめてる」って感じにはならない予定。
ではまた。
GJ
続き待ってる
凄い、保管庫に、もう
>>245が載ってる!
お仕事速いですね。
合間の暇つぶし。
>>245の続きっス。
ごめんなさい、
>>239様の台詞をパクッてしまいました。
桑原×雪菜です。
文中、表記は「桑原」です。「和真」は何となくしっくりこなくて。
誤字脱字はご愛嬌、お嫌いな方はスルー推奨です。
276 :
桑原×雪菜:2007/08/20(月) 19:43:39 ID:UIGSeFOz
好き合っている男女が、ナニをどうするか。
雪菜だってそれ位は理解している。
―だって、和真さんのお部屋にあったあの本。きっと、あれをするんだわ…―
意外に耳年増になってしまうのは、女の子の性であろう。
氷女には、その様な風習は無い。
時期になれば自然に子を産むし、異端者は異性と交わう。
後者は、自分と顔も知らない兄の母。
きっと、母もこんな気持ちになったのだろう。
好きな人と、くっついていたい。
いや、もっと一つに。融合したい。
身体と身体が邪魔だ。もっと深い所で、一つになりたい。
もどかしい。身体をすり抜けて、魂で一つに―――
「和真さん…私…そんなに魅力無いですか?」
告げる声は羞恥に震え、その存在は今にも消えてしまいそうに。
どうして触れてくれないの?
何もしない事が、私にとっての幸せだと信じているの?
私を傷付けたくないの?
貴方が傷付きたくないの?
じゃぁ、どうして私に優しくするの?
雪菜はジッと桑原の言葉を待つ。
妖怪とはいえ女の子。
ここまで言って断られれば、もうこの家には居られない。
いつまでも煮え切らない桑原に対し、そんな覚悟を密かに持つ。
一方桑原和真も、雪菜の言葉について真剣に考える。
はっきり言って、雪菜に惚れている。本気だ。マジだ。
夜な夜な想像の中で雪菜を犯し汚した。
その後にやってくるのは後悔と罪悪感。
純粋無垢という言葉かこれほど似合う少女に対し、欲情する自分を何度も恥じた。
今、目の前で小さく震え、声まで震わせ、涙目で何か訴えようとしている雪菜に
変な気を起こさぬよう、必死で込み上げる欲望を散らす。
「和真さん、私。」
そんな桑原の気持ちを知ってか知らずか、言葉を続ける雪菜。
彼は優しい。
それを充分理解しているので、逆手に取ってしまおう。
私のお願いなら、きっと叶えてくれる。
純粋に雪菜を思ってくれる桑原を騙しているようで、そんな自分はきっと
汚い。卑怯だ。嫌われてしまうかもしれない。
でも、もう待っていられない。
私は、和真さんのもの。あなたも、私のものになって――!
自分がどんどん醜くなっていってしまう。
人を愛する事は、綺麗な事ばかりでは無い。
良くあるドラマで、そんな台詞を聞いた。その言葉を雪菜は今ようやく理解した。
欲しい。欲しくて、無理を言ってしまう。彼の考えなど全てを無視して。
自分勝手な我がまま。
「私、貴方が好きです。」
277 :
桑原×雪菜:2007/08/20(月) 19:45:03 ID:UIGSeFOz
桑原の心臓が、痛いほどに跳ね上がった。
す、好き!?雪菜さんが、おおおおお 俺をぉ!!??
「ゆ、雪菜さん!!!」
「はいっ!」
思わず力いっぱい雪菜の華奢な両肩をガッシリと掴んでしまった。
キタ。雪菜は満面の笑みで桑原を見上げる。
が、彼の手はすぐに離れてしまった。
「す、すみません!痛かったでしょう!?」
好きという二文字に、なにをそんなに動揺するんだ。
彼女は人間に監禁され、手酷い拷問を受けたにも関わらず、
「人間(あなたたち)の事、好きです。」
と言ってしまえるほど尊い少女なのだ。邪な意味は何も無いのに。
桑原は再び罪悪感に襲われる。俺はちっせぇ男だなぁ…。
「どうして…?」
雪菜の頬に、涙が一筋。その涙は至高の宝石になると聞いた。
だが球体に姿を変えることは無く、落ちた涙は音も無く消えていく。
「嫌い、ですか?私の事…。私をここに置いて下さるのは、ただの親切なんですか…?」
桑原は硬直したまま動かない。
泣かせてしまった。理由は判らないが、今雪菜は自分のせいで泣いている。
大事にしたい、悲しませたくないと、誰よりも願っている自分が、こんなにも
雪菜を悲しませ、傷つけている。
衝撃の事実に、身体は凍ったように固まり、声も出せない。
「……わかり、ました。もうここに置いて頂く訳には行きません。
出て、行きます。お世話になりました。」
無理にでも笑って告げるべきだろうが、そんな余裕はとても無い。
桑原が与えてくれる愛情だと思っていたものは、困った人に向けられる、
男らしい彼の正義感からきたものだった。
全ては私の思い込みだったんだわ。
顔を伏せ、桑原に気付かれないよう自嘲気味に笑う。
そしてゆっくりと桑原の脇を通り過ぎ、玄関へ向かった。
「ちょっ、雪菜さ…どこへ!!?」
「貴方には関係ありません。皆さんに、よろしくお伝え下さい。」
「関係なく無いっスよ!どうして出て行っちゃうんですか!!」
桑原の大きな手が、雪菜の細い腕を掴む。痛いくらいに。
その痛みは、辛い物ではなかった。むしろ、「行くな」と言って貰えている様で
雪菜の胸に温かい想いが広がる。
「和真さんが、優しいからです。万人に与えられる慰みは、私には要らないんです。
私は和真さんの『特別』になりたかった。でも、あなたはそう思っていないんだもの。」
普段の柔らかい言葉遣いはそのままに、だが声は氷のように冷たく。
278 :
桑原×雪菜:2007/08/20(月) 19:45:35 ID:UIGSeFOz
こんな彼女を、以前見た事がある。
垂金邸で監禁されている彼女の映像。
自分を殺し、何も語らないその表情。
―――あぁ、またこんな顔をさせちまった―――
「だから、行くんです。もうお会いする事は無いと、思い、ま…!」
毅然とした態度は長くは続かず、ハラハラと涙が落ちてくる。
こんなに困らせてどうするんだろう。ほら、和真さん困ってる。
雪菜は振り返り、桑原の胸――に飛び込んだつもりが、身長差の関係で固い
筋肉のついた腹にしがみ付く。
「――ごめんなさい!わがままで、ごめんなさいっ。私、どんどん自分勝手になるんです。
和真さんに甘えて、無理を言ってしまうんです!!」
「雪…」
遠慮がちに震える背中に手を添える。
「私、あなただけの私になりたい。でも、一方的なんです。こういうのって、
愛し合う人同士が望む事なのに、私、あなたに愛されているんじゃないのに、
欲張りになっちゃったんです。…こんな醜い私を、嫌いになっちゃうでしょう?」
物静かな雪菜が、珍しく取り乱している。
雪菜の顔が見たいけど、彼女の両腕はしっかりと桑原の服を握っている。
身体を少し捻れば容易く解けてしまうほど、彼女の力は弱いけれど。
無理に離したくはないし、桑原自身、雪菜に抱きついて貰える事等あり得ない。
緊急事態にも関わらず、今を堪能したかった。
小さな小さな温もりと、少しくすぐったい抱擁。
雪菜すわぁん!!
荒くなる鼻息を何とか落ち着かせる。雪菜の言葉に誠実に答えなければ。
「嫌いになんてならないっスよ!いや、嬉しいッス!恐縮すぎるくらい感激ッス!!!」
暑苦しい喋り方に嫌な顔一つせず、むしろ頬を赤らめ桑原を見上げる。
「一方的だなんて、どうして思うんですか。俺は、雪菜さんに一目惚れして以来
ずっと、ず〜っと雪菜さん命なんですから。」
泣き止んだものの、まだ桑原の言葉の真意を掴めていない、そんな表情。
「つまり、愛してるって事です!!!」
嘘偽りは無い。これは桑原和真にとって、空が青いこと以上に真実であり、当然だ。
「私、を?」
「はい!愛してます!!」
「でも、和真さんは私になにも…」
「したいっス!!」
雪菜の大きな瞳が、更に大きく見開かれた。
「だって、今までそんな事…」
桑原のカサついた指が、雪菜の柔らかい頬に触れた。
「我慢してたんですよ。俺こそ、雪菜さんに好かれる自信が無かったですから。
それに、俺みたいな奴、雪菜さんに相応しくないんじゃないかって。」
だから、せめて見守りたかった。人間である自分は、雪菜より早くにこの世から居なくなる。
もし念願かなったとして、愛する者に先立たれるのはどんな気分であろう。
彼女は姿形も今と変わらないのに対して、俺はどんどん年老いていく。彼女はどんな風に思うだろう。
279 :
桑原×雪菜:2007/08/20(月) 19:46:06 ID:UIGSeFOz
だから。
俺にできる事。
雪菜を守る事。
一生を雪菜に捧げる事。
その笑顔を絶やさない事。
それが、俺が生きている間に、俺だけができる事。
桑原は胸の内を全て雪菜に吐き出した。
雪菜を本当に大切に思っていること。愛している事。
雪菜の頬は真っ赤に染まり、可愛らしい唇は微笑を絶やさない。
「和真さん、私、嬉しいです。同じ、だったんですね?」
ふふっと鈴のような声で笑う。
もっと早く、こうして話をしていれば良かった。
言葉と言葉の絆が、これほど重要な事を初めて知る。
「俺も、嬉しいっス!!雪菜さんに、そんな事言ってもらえるなんて…!!!」
桑原の目じりに、うっすらと涙が滲む。男、桑原和真の嬉し涙。
「和真さん。」
雪菜が桑原の服を、ちょいちょいっと引っ張る。
桑原はなんスか!と目線を合わせるほどに屈んだ。
ほぼ中腰の彼。耳まで赤くなり、今にも泣いてしまいそう。
その目尻に、ちゅっと口付ける。涙を、紅い舌でチロリと舐めて。
「ふふ、しょっぱい、です。和真さん。大好き。愛してます。私を――」
桑原の耳に唇を寄せ、囁く。
―――抱いて、くれますか―――
「い、いいんスか…」
こくり。
笑顔で頷くと、俺の部屋行きましょう、とおもむろに雪菜を横抱きに。
「か、和真さん!?私、自分で歩きますからっ…」
「いえ。気が変わってしまうといけないんで。」
羽根のように軽い少女を、その腕に閉じ込めた。
「…逃がしませんよ?」
抱き上げたまま、雪菜の額に口付けた。
「…逃げません、からっ!!」
予想外の桑原の口付けに、もう雪菜は平静さを忘れてしまう。
今の私は、きっと和真さんにとっては氷泪石なんかより、大切な…宝石みたいなんだわ。
小さな、大切な大切な宝石を、大切に大切に包み込んでくれる。
嬉しい。くすぐったくて、でももっと包んで欲しい。
桑原の胸に、頬を摺り寄せる。好き、大好き。
そうしている内に、桑原の部屋に着く。
器用に片手でドアを開け、そして雪菜を見た。
―いいんスよね。―
―はい。和真さんになら、何をされても、いいです。―
視線だけの会話。この二人以外には決して理解する事のない、秘め事。
バタン。
ドアが閉まった。
二人だけの情事。今まさに、
魂と魂の融合が、行われようとしていた―――
ちょ寸止めwwww
続きwktk
GJ!
うっわ雪菜ちゃんかわいいい!
桑原かっこいい!w
続き超待ってる
282 :
239:2007/08/20(月) 22:25:01 ID:PzURkEJM
ぱくって全然おkですw
小ネタくらいしか出せないんで、それを元に職人さんが
現れてくれるのまっとるとです!!!
桑原&雪菜FANとしては是非続きが見たいw
283 :
114:2007/08/21(火) 05:57:21 ID:2yCDQO+Y
どうもお久しぶりです
ムクロと雷禅のSSの冒頭書いてたものです。
ってここで、SSの続きをあげれたらいいのですが・・・
忙しかったのは忙しかったのですが、それはともかく
その疲労で体にガタが来てしまったらしく
今、内臓関連で手術が必要かもしれない、
という状況になってしまいました。
SS書きたいけど、また戻ってきたとき、イチから書き直します
本当にごめんなさい。
>>114様 しっかりお身体治して下さい!!お待ちしております。
お大事に、ご静養くださいませ。
そうですよ!
命あってのもの種ですよ。
まず体が元気になることを優先してください。
>>114様
そうそう!身体が一番大事だよ!
ゆっくり静養して下さい!
ゆっくり静養して体治して下さいね
SSなんか健康になればいつでも好きなだけ書けますよ
ごめんなさい、
>>239=
>>237様の台詞をまたまたパクッてしまいました。
桑原×雪菜です。
うい奴らのエロなので、非常に淡白かもです。
誤字脱字はご愛嬌、お嫌いな方はスルー推奨です。
289 :
桑原×雪菜:2007/08/21(火) 20:48:32 ID:xnWKGuNP
ギシ…
ベッドが軋む。
そんな音さえ淫猥に聞こえてしまう。
ベッドの中心に雪菜をそっと座らせ、自分も、脚の間に少女を閉じ込めるように座った。
今、腕の中にいるのは、恋焦がれ、あれ程欲した、雲の上の少女。
純粋無垢、穢れを知らぬ尊い存在。
真っ白い膝丈のワンピースの彼女は、天使そのものだ。
「雪菜、さんっ」
その頬に口付ける。
柔らかい。心地の良い弾力が、桑原の唇に充満する。
雪菜の可愛らしい顔中に降る、口付け。頬、額、瞼、顎…
余す所なく桑原の唇に触れられる。時に啄ばみ、弾力を楽しむ。
はぁ、と甘い吐息が洩れるその唇を、彼の舌先で軽く舐められ。
「っ…ふ…っ」
遠慮がちに重ねてきた唇は、柔らかく熱い。
触れるだけの口付けの後に恐る恐る進入してきたヌルリとしたもの。
「んんっ」
これは、きっと舌だ。雪菜の頭はフル回転で、和真秘蔵の本の内容を反芻する。
見た時、これは何の為にするんだろうかと悩んだ。どう、理解すればよいのか。
唇を、口内を舐めるのは楽しい事なのかしら?
でも、してみたら何となく判る気がする。
生き物のように口内を這われる感触は、ゾクゾクとする。
彼が相手なら、それは気持ちの良い感じだが、他の相手では不快なだけだろう。
雪菜の口の中の唾液はもうどちらの物か判らないくらい。
それが体内に入る事も、彼のものなら喜んで受け入れる。
私と和真さん、だけの行為なんだ。二人とも、この二人だから快感で、気持ちも昂ぶる。
唇を離すと、トロンとした雪菜の瞳と、名残惜しそうな唇。
「雪菜さんの口の中って、甘いんですね。」
「そんなはず、ないですっ…でも、和真さんの唇も、柔らかくて好きです。」
「そ、そうですか?良かった、嫌じゃなかったんですね!」
ぎゅっと抱き締められ、雪菜の心は桑原でいっぱいだ。嬉しくて。なのに切なくて。
「嫌じゃないです。とても嬉しいです。キスっていうんでしょう?わたし、大好きです。」
雪菜も桑原を抱き返す。与えられて、与える。何も出来ない私が、
二人きりのこの時は、彼にしてあげられる事が、沢山ある。
それは涙が出る位嬉しくて、絡めていた腕に力を入れた。
「俺も、雪菜さんとするの、大好きっス。…可愛いです。ほんとに…」
雪菜に軽くちゅっと口付け、そのまま下へと滑っていく。
桑原の唇は、雪菜の首を捕らえる。
吸い付き、舌先で舐める。唇で甘く噛む。
「…ぃやぁ…っ」
雪菜の小さな身体は震えながら縮こまる。
その様子を心配げに見つめながら、桑原の大きな手は柔らかそうな膨らみを包んだ。
大きくはない。が、感激するほどに柔らかく、手触りが良い。
びくん!
雪菜の身体が緊張で固まった。いきなりすぎたのだろうか?
触れていた手を離し、雪菜の髪を撫でる。ゆっくり、優しくしなければ。
女の子だもんな。男とは、失うものの大きさが違いすぎる。
ごめんなさい、と、消え入りそうな声が聞こえた。
「和真さんの…お好きなように、していいです。…して、欲しいです。」
言葉と裏腹に、その腕は服に隠れた胸元を覆ってしまう。
見られるのは恥ずかしい。だって、私、和真さんが持っている本の女の人より
……ないんだもの…
貧相な身体を見て、嫌いにならないだろうか。幻滅されたらどうしよう。
「もし、嫌だったらちゃんと言ってくださいね?」
いやと言われて自分を止められるだろうか。いや、止めなければ。
雪菜を怖がらせない様、口付けながらゆっくりワンピースのボタンをはずす。
一つ、二つ。彼女の様子を見ながら。そこから、手を滑りいれる。
下着を少しずらし、雪菜の素肌に直に触れた。
290 :
桑原×雪菜:2007/08/21(火) 20:50:49 ID:xnWKGuNP
ふにゃ とした感触の中、硬く尖がるものが一つ。
それを、指で転がしてみる。
「ゃぁぁ…っ!」
雪菜の表情は、どこか艶かしく、抗議の言葉は甘く響く。
「雪菜さん。気持ちいいっスか…」
爪の先で軽く引っかき、指の腹で押して刺激する。
「あぁああっ」
未発達の割に敏感な身体は、桑原の指一つに、こんなにも反応してくれて。
喜びと、支配欲、愛しさ、様々な感情に飲み込まれそうになる。
「俺は、気持ちいいっすよ。雪菜さんの肌、ぴたっと吸い付くみたいで、」
小振りの胸を、掌で覆い、柔らかさを楽しむ。
「手を、離すなって、言ってるみたいですよ?」
「あっぁあっ…や、恥ずかしっ… い、わないでぇ…!」
堪え切れない快感は、澄んだ瞳から綺麗な涙を零す。
その涙は桑原に舐め取られ、目じりを舌でなぞられる。
たったそれだけでも雪菜の背中に弱く電流が走った。
すっかり身体の力は抜けてしまい、桑原の大きな胸に、その身を預けている。
小さい肩で荒くなった呼吸を整えようとするが、桑原の視線に気付き更に鼓動が早くなる。
彼の手ですっかり肌蹴られた服は、もう真っ白な肌を隠していなかった。
形の良い膨らみに、薄い桃色の頂。それを彼がじっと見つめている。
「あ、いやっ…見ちゃ駄目ぇ…!」
「綺麗っス…綺麗っスよ、雪菜さん。」
名前の通り、雪のように白い彼女の肌に、桜の蕾。
肌に触れれば、吸い付き桑原の手を放さない。そして、我が物顔で這い回っても
嫌がるどころか悦び嬌声を上げてくれる。
本当に、愛おしい。
言葉は意外に不便な物で、気持ちはもっと強いのにありがちな表現でしか
心を伝えられない。
だから、その小さな身体に、俺の気持ちを教えてあげます。
雪菜の腰の辺りに落ちていたワンピースを、臍に口付けながら一気に脱がす。
「か、和真さんっ…」
慣れていない少女は腹に与えられる愛撫にくすぐったさを感じてしまう。
そして、服は脱がされてしまい、身体を隠してくれる物は小さな薄布一枚。
いつの間にか横たわった雪菜に、再び口付ける。
応えてくれた舌を軽く噛むと、甘い声が聞こえた。
雪菜の甘い口腔を犯しながら、彼女の細いももに手を添える。
絹の様な肌をまさぐりながら、秘密の場所にたどり着く。
いったん唇を離し、
「雪菜さん?ここに、入れるんすよ。」
薄布の上から、雪菜の特別な所を指でなぞる。
「俺の、入れるんです。」
顔を見合わせる。雪菜は羞恥に瞳を逸らしてしまうが、桑原はじっと彼女を見つめたまま。
自分の顔が、目の前にあれば雪菜の気持ちも少しは安らぐだろうか。
彼女はこちらを見てはいないが、気配で判るだろう。
あえて雪菜の顔を見つめながら、片手は下着を脱がそうと。
291 :
桑原×雪菜:2007/08/21(火) 20:51:31 ID:xnWKGuNP
「雪菜さん、何でそんなに可愛いんスか。俺、貴女が好きで堪らないです。」
下着は素直に下にさがり、腰を少し浮かせてくれた雪菜のお陰でスルリと脱げた。
見られちゃう、私、あんな所和真さんに――
再び固くなる身体は、愛しい者を受け入れる緊張か、やってくる激痛に対する緊張か。
桑原の両手は、雪菜の両の膝の裏にかかり、押し上げられた。
「っや、和真さ…っ!」
雪菜の非難は本気ではないだろうと解釈し、ソコを凝視する。
産毛に覆われた、桃色の花びら。
妖しく光るのは雪菜自身が零した蜜。
ひくひくと動き、桑原を誘惑するように。
「雪菜さん、動いてます。ひくひくって。どうして欲しいスか?」
「やっ…和真さ…の、意地わっ…!」
すでに痛い位に膨張した自身を、ジーパンを少しずらし解放する。
はた、と思い出し、ベッド脇のカラーボックスに手を伸ばした。
雪菜と交わる日を夢見ていた彼が、何も準備しないはずなどなく。
小さな小箱から、何かを取り出し、モゾモゾと動く。
その一挙一動は雪菜には判らない。彼は今何を――?
「雪菜、さん。」
何かをし終えた彼が、雪菜に向き直る。
「は、い。」
桑原の改まった様子に、雪菜もしっかりと向き直る。
「俺、心から雪菜さんを愛しています。貴女を一生を賭けて守り抜いて見せます。
俺には雪菜さん、貴女だけです。」
真面目すぎる桑原の、最後の問いかけ。
いいんスね、俺で。
雪菜はそれを酌み、頷きながら答えた。
「私…私にも、和真さんだけです!守って、下さい。たとえ貴方が私より先立っても」
考えたくないが、それが現実。人間の理。寿命には、どうしてもあらがえない。
「私は生涯和真さん一人を愛し続けます。死後の世界で…いえ、転生しても私、
貴方を必ず見つけ出します。」
人間、桑原和真と、妖怪氷女、雪菜は恋人同士の口付けを交わす。
丁寧にキスを続けながら、雪菜の固い蕾に己の先端を押し当てる。
きて、下さい、和真さん。早く、私を―――
雪菜さん、好きです。好き、だ。好きだっ!!―――
破裂しそうな自身を、雪菜のナカに押し進める。
雪菜の表情が、苦痛に歪んだ。
上げる声は快感ではなく振動につられ洩れた声。
「っく…っ!」
辛そうな雪菜と対照的に、桑原から洩れるのは快感に悦ぶ声。
俺だけ気持ちいいなんて、雪菜さんに、悪いんじゃない…か!!
ピストン運動を繰り返しながら、『自分』が目覚める。
桑原和真の正義の部分がのし上がってくる。
止めてあげてもいいではないか。快感より優先すべきは、雪菜だ。
だがその決意は雪菜によって砕かれる。
「和真さん、気持ち…いいですか…?私、嬉しい…っ」
セックスとは、与えられ、自分も与え、そんな気持ちの集大成。
一方は苦痛であっても、愛する者が悦んでくれればそれだけで幸せなのだ。
余計な気遣いは相手を傷付けるだけ。
野生の本能に従う事も、時には必要で、かつ相手を幸せに出来る。
「気持ちいいっすよ!雪菜さん、愛してます。一生、愛して…!!」
可愛らしい雪菜の表情と、和真を気遣う雪菜の言葉で、
快感は駆け足に頂上に上り詰め、真っ白く散った。
292 :
桑原×雪菜:2007/08/21(火) 21:03:48 ID:xnWKGuNP
「…和真さん?起きてますか?」
二人は行為後、そのままの姿でベッドに入った。
雪菜に腕枕をしてくれる和真に、静かに問いかける。
「おきて、ますよ?雪菜さん。」
雪菜の額に口付け、髪を手で梳く。
「ありがとうございます。わたし、今とっても幸せです。」
頬を染め、艶やかに微笑む雪菜に桑原も黙っていられない。
「雪菜さん!男桑原、あなたを幸せにします!!!! 」
一世一代のプロポーズ。
言わずにいられない。
天使と思いを通じ合えた、この瞬間。
雪菜さん、愛してます!もっと的確な言葉があればいいんすけど、
これが口で現せる限界みたいです。
俺がどれほど貴女を想っているか、これからその身体に―――!!!
両親も、強い姉もいない、この夜。
桑原家の屋根の上に、たたずむ小さな影。
――わ、わざとじゃないんだよ!?あたしゃ、幽助から飲み会の日時の
伝言を頼まれただけで――
水先案内人は、真っ赤な顔で先程見た光景を思い出す。
―いいなぁ、相思相愛。これほど理想的なもんは、ないさね―
ふわっとオールに腰掛け、夜空に舞い上がる。
「おめでとう、桑原君。…飛影には言わないどくよ。」
どこからどう見ても恋人同士の二人を見て、
西洋で言う所の死神も、祝福の言葉を紡いだと、さ。
ヽ(´∇`)ノわーい
神様ありがとう(´;ω;`)GJです!
いや〜やっぱ桑原×雪菜好きだわ〜w
やっぱ(;´Д`)スバラスィ ...ハァハァ
GJです!
>>211 亀レスすまんが、どういう意味?画集見直して考えても全くわからん
>295 作者によるイラスト解説のとこにある。画集お持ちなら見てみてW
大変良いものを見させてもらいました。
桑雪いいなあ…GJです。
このスレのぞいて見てよかった……
ずっとこんな桑雪が読みたかったんだよォォ
ありがとう ありがとう!
飛×躯の続きが早く読みたいw
期待保守
GJ!
>>299 うわーんゴメンそしてありがとう。
土日私用が立てこんで、手につかなかったんだ・・・
まだ打ち込んでいないから、頭の中で飛影と躯がエロエロしてる妄想が回ってるよ!
早く妄想から逃れられるように頑張る(笑)
>301さん!待ってるYO! 楽しみにしてます!
_・)チラ
・・・こんばんは。
罪悪感に駆られる96=266(=17)です。
今夜も妄想から逃れられませんでした・・・
呆気に取られた。
「はッ・・・はぁッ・・・」
気持ちとは関係なく、飛影の息が乱れる。
「飛影」
躯は、混乱して見降ろす飛影の頬にそっと手を伸べた。
「落ち着いたか」
「!」
手をはね飛ばす勢いで、飛影は頭を上げた。
「躯、貴様」
「出すだけ出してしまえば、とりあえず落ち着くものだろ?」
「な、に・・・を」
躯のセリフに、飛影の気分は、落ち着くを通り越してどん底に落された。
よほど顔に表れていたのだろう。
少し驚いたように瞠目した躯は、ふっと息をつく。
「オレの体は、刺激に慣れきった年寄り向けに改造されてる。だから、それは気にしなくていい」
ふざけた調子でそこまでを言った躯は表情を改め、飛影をなだめるように穏やかな目をした。
「それと、いいことを教えてやろう。お前は、力が急に強くなった。特に、筋力が」
「なんの・・・話だ?」
「これ」
躯は右肩を浮かせ、そのまま何度か揺すって、ぱたりと力を抜いた。
飛影は思わず、怪訝に眉をひそめた。
「躯、何をしている」
「何をしていると思う?」
「・・・分からない」
飛影には本気で分からなかった。躯は軽くうなずいた。
「だろうな」
ふ、と躯は薄く笑い、左腕だけで体を起こす。
「なぜ手を上げないのか、と思ってるんだろう?」
その拍子に飛影のものがずるりと抜けて、彼に躯を見てはいけない気にさせた。
「動かないんだ。お前の一撃で壊れた」
ぎょっとして、飛影は躯の腕を見る。
「そんなはず」
「まず、ソレしまっとけ」
かあっとなった彼がごそごそやっている間、くすくす笑って躯は顔をそむける。
「オレの腕が、お前の攻撃ごときで壊れるほどヤワなはずがない、と言いたいのかもしれないけどな?・・・お前の感覚以上に、お前の出力は大きくなりすぎているんだ。随分いい位置に打ち込んできたせいもあるが」
何しろ配線が切れちゃな、と躯は苦笑いする。
「それだけじゃない。気付いてなかっただろうが、腕っ節だけならオレよりも強くなってる。お前は、早急に自分の出力を覚え直せ。そして」
「待て!俺の力が、貴様より強いだと?」
「ああ、腕力だけならな。・・・元々オレは腕っ節の強い方じゃねぇが、本当に敵わなくなってきたようだ」
「冗談・・・」
「お前は気付いてない、と言っただろう?」
躯はひたと視線を男の瞳にあてた。
「どの程度の出力になってるか、オレには分かってたが、お前は分かってなかった。だからお前には出力をコントロールできなかった。分からないものは、コントロールのしようがない」
圧倒する、女の穏やかな視線。
「俺が貴様より強いとして・・・!」
その視線を跳ね返そうと、飛影は声を荒げた。
「筋力だけな」
「筋力だけなら、なおさらだ!なぜ抵抗しなかった?それはまだ、総合的には貴様の方が強いということじゃないのか?!」
「それは否定しない。だが、オレが抵抗していたらお前は、オレを抑え込もうと力を使ったはずだ」
ぐっと喉が詰まる。
――反論できない。
躯の言葉に、飛影もまた、自分は多分そうしただろうと確信してしまった。
だが・・・
「そうなれば、力の強くなったお前から逃げるには、オレは半殺しにするつもりで抵抗しなければならなかっただろう。オレは、お前を殺す気はない。無駄な労力を使う気もない」
「説明になってねぇ・・・」
頬に血が上るのが分かる。
「殺す気がない、というのは抵抗しない理由じゃない。それに、そもそもなんで俺の部屋にいたんだ」
――そう、部屋に躯がいなければ。
部屋に躯がいさえしなければ、こんなことにはならなかった。
「なぜ貴様が――」
「・・・お前が帰ってきた、と報告があってな」
躯は、どこか飛影をはぐらかすように小首を傾げる。
「その1。百足のNo.2のくせに、どこへ行くかも告げずに連絡不能になったお前に、小言のひとつも言ってやろうと待ち構えていた」
「その1?」
なんだそれは、と言いかけた飛影を、躯は無視した。
「その2。仕事をすっぽかしたお前に罰を、と百足の連中からうるさく言われていて、オレとしては別にいいじゃないかと思ったものの、知らない振りもまずかろうと、とりあえず顔を見にきた」
ありそうな話だ、と飛影は口をヘの字に結ぶ。
「その3。お前が帰ってきたとの報告のついでに、女の匂いをさせていると耳打ちされたので、からかってやろうと・・・」
「何だって?!」
「お前が、女の匂いをさせて帰った、って。ここには鼻のきくヤツがいるってことはお前も知ってる通りだし」
「本当なのか!」
一瞬で顔を真っ赤にした飛影に、躯はいたずらっぽく微笑んだ。
「本当に本当だよ。さて、オレはどの理由でここに来ていたでしょう?」
破れかぶれ、というのは多分こんな気分を言うのだろう。
「全部なんだろう・・・!違うか?!」
焼けっぱちに言い放った飛影を掌で転がすように、女王は優しげに笑う。
「お前は、冷静なら頭いいよなぁ」
「・・・つまり?」
「正解だよ」
簡単に認められてしまうと、それはそれでむかっ腹が立つ。
飛影は頭を掻きむしった。
***
「小言でも何でも言って帰れ」
ベッドの上で不貞腐れた少年の頭を、躯は小突く。
「馬鹿者。小言より先にすることがある。シャワーを貸してくれ」
「え?」
躯は、飛影の答えを待たずベッドの端にいざり寄った。
「部屋には帰るとも。だが、体くらい洗っていってもバチは当たるまい」
左手を軸に体をよじって、背を向けたまま躯は床に足を下ろす。
「タオルも貸せ」
「あ、ああ・・・」
飛影は何と答えるべきか、分からなかった。
こだわりない態度がひどく不自然だった。
下手にふるまえば、今にも女が爆発するような気がしてならない。
「体が拭ければタオルじゃなくて、もっ、ぅわ?!」
立ち上がったはずの躯は、よろめいて右に崩れた。
「何やってるんだ?!」
ベッドの脇にペタンと座り込んでいた躯は、呆然と振り向いた。
「・・・褒めてやろう」
「は?」
「足までやられてたとは気付かなかった」
思考がうまく繋がらない飛影の前で、躯は義足の膝を撫でた。
「微妙に歪んでる。いつもと同じつもりで立って、よろけた。歪み以外に破損はないし、歪んでいたことに気付いさえていたら、転ぶことはなかっただろうが。・・・飛影、オレの体を洗え」
「!」
「左腕を外すのを手伝ってくれ。動かない左腕は外して、バスルームまで運べ。それから、シャワー」
躯は、動く左手で頭のバンダナをほどき、『左耳』と左腕をつなぐコードを外していく。
「バスルームでこの足じゃあ心許無いからな。オレの足がこうなったのはお前のせいなんだから、その責任は取ってもらおう」
***
「ああ、やりにくいなぁ・・・湯船があれば座ってられるのに。ここはなんで湯船がないんだ」
「女王陛下が、部下の部屋には用意してくださらなかったからさ」
「それならそれで、しっかり支えてくれよ」
服を着たままの飛影は、シャワーの中で素っ裸の躯を支えていた。
躯は体を洗えと命じたのだけれども、経験のない少年は、やり方に迷った挙句立ちすくんでしまったのだ。
それで結局は、自分で体を洗う躯を飛影が支えるということになっている。
――今は後ろから抱えられて腹側を洗っている。次は背中側をと言うのだろうか。
想像して、飛影はいたたまれなくなる。
「おい飛影。どこを見てる」
「・・・どこも見てない」
「馬鹿者、だからオレの体が安定しないんだ。膝を見ろよ。ぐらぐらしてるだろう」
本当に、いたたまれない。激しく目のやり場に困る。
躯の年齢は飛影よりかなり上・・・どころではないはずなのに、躯の体は、年齢不詳に若々しいのだ。
めったに陽の光を浴びない、白くきめの細やかな肌。その下には、しなやかで強力な筋肉がある。
それでいて、筋張った自分の手で触れるたびに感じる柔らかな手触りは、躯が女なのだと主張してやまない。
「もうちょっと密着しろよ。安定しないって言ってるだろ?ああ、腕はもう少し下で。しっかり力を入れろ」
「ああ・・・」
飛影は心ひそかに舌打ちした。
『見ろ』と言うなら見てやろうと飛影の目の前で、躯はぎこちなく、ゆっくり脚を開いた。
「!」
そして指を脚と脚の間に伸ばす。
「なんかウマクないなぁ」
少し屈んだ女の、肩の上でシャワーの雫がはじける。
女の肩が視界を遮って、躯の指がしていることは、飛影の目に直接は見えていない。
「おい、バランス崩すだろうが。しっかり抱えてろって」
――こいつ、ワザとか?
「何やってんだ躯・・・」
指を抜いて、躯は体を起こす。
「ん?中を洗ってる」
躯はキョトンとして指先をシャワーにさらし、絡みついた白いものを湯に流した。
「洗わないと後で流れてくるだろ。って、知らなかったのか?」
・・・いたたまれない。逃げ出していいなら、今すぐ逃げ出す。
呆れ顔をした躯が肩をすくめる。
「ばぁか」
ハハハ、と力の抜けた笑いをもらして、躯はぽんぽんと飛影の腕に触れた。
「やりにくい理由がわかったぞ。お前の腕があるからだ」
「抱えてるんだから当たり前だろう」
「だがなぁ」
躯は、腹に回された男の腕を外すと、くるりと向き直った。
「足を持て」
「・・・足?」
「足。太ももだ」
左手で彼の肩に掴まった躯は片足立ちし、右足の膝頭で飛影の腰骨あたりをぽんと触れて見せた。
「ほら、持て」
おずおずと太ももの裏へ手をやった飛影に、躯の唇が悪戯っぽく笑う。
「そうか。続きはお前がやればいいんだ。・・・そう思わないか?」
投稿してから気付いたのだけれど、改行が少なすぎましたね。
ただでさえアレなのに。ごめんなさい。
堪能させて頂きました(*´д`*)ハァハァ
GJ!
全然イイ(・∀・)
GJデスw
揚げ
313 :
小話:2007/09/05(水) 17:53:22 ID:K3JkZwR7
「う〜ん」
眠りから覚めると、視界に入るのは知らない、天井。
見慣れた景色より狭く、酷く眩しい。
まだハッキリとしない頭を乱暴に振り、上体を起こす。
「ゆ、すけ?えらい早起きじゃない。」
動く気配に、隣に寝ていた人物も起き上がる。
―!?どうしてこの女がここにいる?しかも―
起き上がったのは、一糸纏わぬ女。
知った顔。話した事はない。
親しい戦友の、女。
「け、いこ?」
まて。待て待て。おれは誰だ。
俺は幽助じゃあない。
立ち上がり、歩き出す。
いつもより目線が高いのは気のせいか?
狭い部屋の中に、小さなバスルームがあった。
壁についている鏡を見る。
躯のパンチを顔面に食らったような衝撃を感じた。
なんだ?このしまりの無い顔は。俺の顔はもっと整っているはず。
あれだけ苦労して植えつけた邪眼も、跡形も無い。
ショックで鏡の前で固まっていると。
「ゆうすけぇ。おはようも言ってくれないの?」
背中に柔らかな感触。
というか。この女、こんなに甘ったるい感じだったか?
「待て、けい、こ。俺は――」
「なによ?」
女の手が、下へと滑る。まて、ソコを触るな。
「ふふっ。ゆーすけの、えっち。」
なんて事だ。俺は飛影だったはず。
なんで、どうして幽助の身体に憑依(?)してしまったのか!?
314 :
小話:2007/09/05(水) 17:58:21 ID:K3JkZwR7
いきおいでこんな話を思いついてしまいました。
後悔はry
他にも桑原(中身)雪菜とか、
蔵馬(中身飛影)×ぼたんあたりとか、
頭の中でエロエロメロメロしていて、今とても幸せ。
315 :
小話:2007/09/05(水) 18:01:04 ID:K3JkZwR7
他にも桑原(中身)雪菜とか→×
他にも桑原(中身飛影)雪菜とか→○
ごめんなさいやじん
わーーーーーい\(^o^)/
最近過疎ってたから、チョー嬉しいです。
蔵馬(中身飛影)の話も気になりますが、幽助(飛影)の話の続きが読みたいです
私も蔵馬と飛影が体を交換したら……なんて事を考えた事がありますww
確かに続き読みたいwww
>>315 いーなーwwおにいちゃんの苦悩と葛藤が想像できるww
飛影in桑原「(これが180cmの世界か・・・)」
雪菜「和真さん、どうしたんですか?」
飛影in桑原「・・・・・・」
雪菜「ふふ、きょうの和真さん、なんだか飛影さんみたいですね」
飛影in桑原「・・・・・・(汗)」
燃料投下ありがとうございまふ・・・ハァハァ(*´ェ`*)
螢子エロスw
積極的ですねw
>>306 続き待ってた! 女王様の余裕がいいなー
ところで野暮なツッコミだけど、躯のコードがついてるのって左側じゃなくて右側だよね…?
>>321 そーですよね!!
うっわ自分超馬鹿アホ抜けですorz
「向かって左」だからって、なんて大馬鹿野郎な間違いを
ああもうターン:y=-( ゚д゚)・∵; したい・・・
でも書きあげるまではできない・・・orz
そういや気になってたんだが、
>>313で幽助の意識が飛影になってる間、幽助の意識はどうなっているんだろうか?
飛影と入れ変わっているのか、それとも、意識は残っているけど体を動かせないのか。
はたまた、ドミノ状態で別の誰かの体にすっ飛ばされているのかな?
飛影と入れ替わっているとすると、いろんな意味で怖い気がするw
>323 どちらが面白い?人格ゴチャマゼになるか、単純に飛影⇔幽助。
飛影→幽助→桑原→蔵馬 すげえ展開になりそう?
飛影⇔幽助の場合は、幽助in飛影が螢子と絡んだように、飛影in幽助が躯と絡むのか。
二人とも、どこまでやるのかが問題かもしれないな。
ゴチャマゼは、面白そうだが収拾がかなり大変そうだw
飛影→幽助→桑原→蔵馬……想像がつかないw
飛影→幽助
>>313 幽助→桑原「へぇ、雪菜ちゃんって、意外と…」
雪菜「か、和真さん!?」
幽助→桑原「へーきへーき。いいからしっかり脚開けって。」
桑原→蔵馬「ほぁぁぁ。綺麗な顔してんなぁ。これなら女食いほうだ…
馬鹿野郎!俺の馬鹿野郎!!いくら蔵馬に憑依したとはいえ、
俺は雪菜さん命!!……蔵馬ってどんくらいのサイズなんだろ?」
蔵馬→飛影「ふぅうん。なるほど。躯ってそんな表情するんだ。」
躯 「!?飛影、貴様、何、を」
蔵馬→飛影「いえいえ、こっちの話で…だ…。どうだ?躯。目隠しも、
なかなかいいだろう?」
躯「はぁっ…ん!飛影、何か、上手……!!」
みたいな?
>>326 幽助、「意外と」何なんだ!
「へーきへーき」って何が平気なんだ!
気になるじゃないかwww
蔵馬も何かもうやっちゃってるし……。
飛影はやられてたけどw
抑えが効くのは桑原だけなのかよw
桑原はやっぱり紳士なのだよw
桑雪FANより(笑)
幽助→野蛮
桑原→紳士
飛影→お子ちゃま
蔵馬→変態
こんなイメージでFA?
FAwwwwwwwww
自分的に、
蔵馬→紳士の仮面をかぶった変態
なイメージ
幽助のエロは単調平凡
蔵馬はライトSM的な感じ
秀一の方が凝りそう
ネットで見た蔵×ぼ のラブラブ小説だと、ほぼ全てが蔵馬があまあまの優男なんだよね。
蔵馬はこんなこと言わないと、冨樫でもないくせに悶々としてたあの日。
蔵馬は見掛け優男なんだけど、中は少し鬼畜だとオモ
残酷な所があるけど、人や状況によって優しくもする…って感じ
だから、サドっけがある
人や状況て事は、身体が飛影で相手が骸なら、おもいきり蔵馬クオリティでやっちゃってもいいわけだな。そんなん読みたいぜ。
蔵馬クオリティwwドキドキ
飛影になりきりながら、躯を組み敷くwwハァハァ
蔵馬ならどの人にもなりきれるだろう。器用だから(技術的な面だけでなく精神面でも上手く太刀打ちできる)
その後の、本体に戻った飛影の
フォローが楽しそうだww
こっそり期待中w
このスレは、打てば響くというか、
やはり巡回コースに入れてる人は
多いんだろーな
>>335-337 ちらっと考えたんだが、技術的におもいきり蔵馬クオリティでやったら、いくら体が飛影でも躯は疑うんじゃないだろうか。
・・・「お前、本当に飛影か?」と疑うか、「お前、誰に教わった?」なのかのどちらかは定かではないがw
躯は感ずくでしょうね。
でも、そこは上手くやるんですよ。蔵馬だから←?
最初は飛影になりきって、ぶっきらぼうに接するんだけど、段々盛り上がっていくと蔵馬クオリティーが出てくる。疑い出した頃にはもう躯は逃げられない(攻撃出来ない)。www
ナンテ…
×感ずく
〇感付く
間違い…スマソ
344 :
133:2007/09/22(土) 13:11:51 ID:46qE6tYr
>>343 どんな風に続くのか、期待。
私が書いたにも関わらず、想像もつかにゃい。
誰か思いついたら、ヨロ。
┗(*`з´*)┛ヨイショ
┌|∵|┘何かネタ無いかなぁ
347 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 18:07:19 ID:xJdgYoe6
あげちゃだめかなぁ
古い歌なんだけど、ガクトの
バニラって歌。飛影と骸っぽくて
ドキドキしちゃったい
>>348 ごめん知らない。
飛×躯ぽい所だけでも書いて欲しいな。
その曲好きだがまったくそれっぽくないぞ?ww
エロい歌詞ではあるけども
何か男が受けっぽいとことか?
てゆーか、そんな事考えながら曲聴いてるから
何でもそんな風にきこえちゃう。ごめww
>>351 うーん(-_-;)
よく分からなくなってきたけど、つまり躯×飛なんだな。そしてエロいと…
ドキドキドキドキドキ
>>353 見られん(i_i)
でも、大河の謙信Gacktを妖狐にして妄想する。
悪そうな表情が良い。
>>355 ありがd
綺麗だねー!
実写にしたら南野蔵馬ではなく妖狐蔵馬の方だね!
でもあまり書くと嫌な人もいるかもしれないから、この辺で止めておきましょう。
\(^-^)/オチマセンヨーニ
1
あー、やっと書ける様になったー。
いきなりアク禁になって一時は折角書いたものがボツになるところでしたよ。
次のレスから桑原×雪菜を投下しますけど、純粋な桑原×雪菜じゃないので
それが嫌な方はスルーして下さい。
>>326の続きを考えてみた内容ですので。
360 :
桑原×雪菜:2007/10/05(金) 17:52:32 ID:vEkvyW0T
「へーきへーき。いいからしっかり脚開けって。」
桑原の肉体と声を持つ幽助が雪菜を強制的に押し倒し、脚を無理やり開けようと
太腿と太腿の間を強く左右に押し込んだ。
「…あっ……和真さん……」
恥ずかしそうに右手を口元に当て、頬を赤らめ瞳を潤ませる雪菜。
いつもは優しく、相手の事を労わり過ぎる程、私を気に留めてくれる行為を、
何故か今日は少しぶっきらぼうで、粗野な感じがする姿に驚きをなす。
「……和真、さん?」
彼の名前を呼ぶのと同時に、唇を重ねられる。
「んん……」
あ…舌が…!?……桑原の舌が雪菜の舌と絡ませていた。
ねっとりと張り付くように舌を弄ばれる。
「…ぁっ……ん、…ちゅ、ちゅる……」
優しい口付けに安堵し、桑原和真である事を再確認する。
(そうよね…気のせい、ですよね…)
雪菜は甘んじるようについに和真の背中に手を回した。
(おっ、乗り気じゃん……)
桑原の中に入る幽助は、雪菜の態度に内心ニヤリと眼つきを光らす。
着物は既に剥ぎ取られ雪菜の全てをいつでも触れるようになっている状態だった。
(まずは胸を拝んでみようじゃないか…♪)
少し妙な手つきになりつつも、感づかれないように幽助は雪菜の左右の胸の膨らみに触れる。
「あっ……」
丁度良いくらいの大きさで恐らく着物で隠されていたのだろうと、思っていたよりも大きな膨らみ二つに感涙し、息を潜めた。
揉み応えのある胸を大きく揺さぶり、先端を濡れた舌で押し込むように上下に舐める。
「んんぅっ……和真、さ…ん…」
か細く反応し、繭を潜め、背中を少し宙に浮かす雪菜。
361 :
桑原×雪菜:2007/10/05(金) 17:53:40 ID:vEkvyW0T
一方その頃、蔵馬になった桑原は、我先にと現実に引き戻され、
今まで雪菜が側に居た事を思い出した。
そういえば、押し倒そうとしていたんだよな?と、納得しつつも。
「…と、いうことはっ!雪菜さんが誰か別の人と同じ部屋でっ、しかも二人きりっっ!!
そんな事をさせるわけにはいかんっっ!!男、桑原、只今行きまぁっっっっす!!!!」
かなり慌てて自宅に帰る蔵馬、こと桑原。
後もう少しで家に着く。それまで雪菜の身が無事だと祈りつつ。
焦る妙な危機感は、現実と化している事も知らずに。
桑原である幽助は、そろそろ我慢出来ないと、固まりつつあったジーンズのファスナーの先に
対して身震いをした。熱くそそり立つモノがそこに収納されてあるからだ。
「……雪菜、入れるぜ…」
彼も焦っている所為か、普段桑原が言わなさそうな事を言ってしまっている事に気付かない。
「……和真…さん」
幸い、雪菜もまだ気付いていないようだ。
そろりとジーンズから開放し、桑原こと幽助は、雪菜のそこを入れようと、秘密の蜜壷の中に
桑原の綺麗にされた硬く熱いモノを押し込めるように……
「ゆっ、ゆきなすわぁぁぁぁぁんんんっ」
一瞬、桑原の叫ぶような声が雪菜の耳を掠めた。
「え?和真さん…?」
雪菜は驚く。
今ここにこうして桑原が居るのに、何故彼の耳鳴りのようなものが聞こえるのか不思議に思えた。
それが疑問から抜けられず先程までの桑原和真との違いを深く考えてみた。
すると、どこか、何かが違うような気がして堪らない事が言葉として漏れる。
「和真、さん。……あなたは誰なのですか?」
その台詞に桑原の身体の中に入る幽助がビクッと身体を強張らせた。
感づかれたのかを気にし始め、今までのガツガツとした姿勢が一瞬で縮まる。
「……き、気のせいじゃねぇのか?」
額に少し汗ばむ気がする。
362 :
桑原×雪菜:2007/10/05(金) 17:55:13 ID:vEkvyW0T
そこで蔵馬になった桑原が、桑原自身の自宅の前に立ち塞がった。
「雪菜さんっっ、今、俺が助けますっっ!!」
拳を握り締めチャイムを連打する蔵馬。
ピンポンピンポンピンポンッ!!!
ビビビクゥゥゥ!!
と、衝撃が走る桑原の中に居た幽助。
急に背筋に電流が行き渡るような感覚に陥り、意識を失いそうになった。
その瞬間、桑原の中に幽助の存在は消え、桑原和真自身としての意識を取り戻した。
「…ハッ!?……俺は、いったい……」
最初はぼんやりとした視界の中を、次第に見定められるようになり、
目の前に雪菜が裸で横たわって自分が覆い被さっている事に気がついた。
「雪菜…さん!?」
桑原は硬直した。既に真っ裸になっている雪菜の姿を見て困惑してしまう。
いったい誰がこんな事を…、と複雑な思いでいっぱいだった。
も、もしかしたら、蔵馬が!???
普段からは有り得ない想像をしてしまう自分に、自分の首を絞めていた。
「和真…さん?」
雪菜は桑原の仕草を不思議に思い、いつの間にか普段の彼の顔に戻っている事に気がつき
再び安堵の溜息と共に、安心感からくるのか、雪菜は桑原を誘う。
「和真、さん。そろそろ、中に、入れてください…」
顔を赤くしながらも懇願する雪菜を見て、桑原は先程までの事情をあっさりと忘れ去り、
雪菜の全てを愛するように中へと入れる準備をした。
「雪菜さん、入れますよ……」
真剣な顔をして、桑原は雪菜の顔を見つめる。
そして、お互いが同意を示すように顔を俯き、桑原のモノは雪菜の中へと入り込んでいく。
(……くっ、雪菜さん……相変らず、気持ち良いです……)
嬉しそうに心の中でそう呟く桑原だった。
だが、玄関前には蔵馬が立っている事も忘れて。
イイヨイイヨー その調子で全員書き倒してくださいお願いします。
GーーーーーJーーーー!とっても良かったです!
蔵馬wwwwwワロタ
飛影はどうなったんだろう。想像つかない。
流れぶった切りですまんが
ここのSSはどこに保管庫あるんかね?
携帯からはいけるんだが
パソコンからいけない
なんでだ?教えてエロい人
ごめん、いけなかったね。
ならば 2chエロパロ板SS保管庫 でいってみて
ちゃんといけたよ!
どうも有難う!エロイ人大好きだよ
(i_i) ネタガナイ サミシス
あんまり鬼畜じゃない蔵ぼが読んでみたいな
>>372 純粋な蔵ぼじゃないんだけど、こんなんはどうでしょ?
ぼたんが今見ているのは、一体誰なんだろう。
頭では「理解」している。
ただ、「感情」がついていけない。
数時間前の事を思い出す。
まず、螢子ちゃんとお茶していた。
帰り道、蔵馬に出会った。公園のベンチで缶ジュース片手に
他愛ないお喋り。他愛ないのは蔵馬だけかも…いや、話をまとめよう。
そして、突然現れた、妖怪。
低俗なソレは、人間に扮していたが蔵馬の目は誤魔化せない。
妖怪はぼたんに手を出そうとした。妖怪の汚い手が、ぼたんの
白い腕を掴もうとしたその時。
妖怪は砕け最期を迎えた。
ぼたんの大きな瞳が蔵馬に向けられた時、
蔵馬は蔵馬ではなかった。
「く、らま…?」
妖怪一匹を始末した後にも関わらず、息切れ一つしていない彼に、声をかける。
長い銀髪を揺らしながら、彼が振り向いた。
「怪我は無いか」
違う、違う違う。
「蔵馬」の声じゃない。これは低く、冷たすぎる声。
ぼたんを気遣い極力優しく話したつもりでも、それは彼女に届かない。
ビクっと身を固めた彼女が、それを物語っている。
――恐れないで。俺は俺だから――
切れ長の瞳に一瞬、悲しみの色が見えた。
ぼたんは一歩一歩、緩慢な動作で彼に歩み寄った。
そして手を伸ばす。「蔵馬」より大きな「彼」の頬に触れたくて。
ありがとう 妖ぼも全然いいよいいよー
出来れば続きを書いてほしい
い・・・イイ!(・∀・)
どうか続きを!
>>873 GJ!
とっても良かったです!
ありがとう!
>>360 久々だ!GJ!
全員書き倒しにもう一票(笑)
>>373 これまた違う感じでイイですね(*´ω`)
続きお待ちしております!
378 :
373の続き:2007/10/11(木) 13:27:20 ID:e6hOWSqP
白く細い指先が、彼―妖弧―の頬を掠める。
人形のように整いすぎた顔は、触れれば温かくて、妖怪と自分の
境界は一体なんだろうと、ふと思う。
「蔵馬なのかい?」
躊躇いがちに声を掛ける。いつもより背が高い彼を、ほぼ真上を見上げる様に
凝視する。
綺麗な顔立ちだ。目は細いと言うより、切れ長と言ったほうがいい。
形のいい鼻筋に、魅惑の唇。どんな言葉を紡ごうと、魅了されない女はいないだろう。
月明かりにキラキラと輝く銀髪は、ぼたんのくせっ毛よりよっぽど素直そうで。
「…なんだか、ムカっときた。」
「ん?」
真下からまじまじと顔を眺められ、正直気が気でない妖弧はその言葉に眉を顰める。
もっとこう、色気のあるアクションを期待していたのだが。
妖弧の期待と裏腹に、ぼたんはうっとりと見惚れている、ではなく、軽く睨んでいる。
「あんたってどうしてこうなんだろうねぇ?女のあたしより綺麗じゃあ、
あたしの立場がないじゃないか。っていうか、あたしが女でいる意味あんのかい?」
高い声で早口でまくし立てられ、ぼたんの不満を瞬時に理解する。
「…フッ…くだらん事を。」
「くだらない!?あぁそうかい!あんたにゃ判んないだろうねぇ!!『秀一』も
『妖弧』も、どっちもあたしより美人」
しまった。ぼたんは慌てて口をおさえる。おさえても飛び出た言葉が
引っ込むわけではないのに。
その様が面白くて可愛らしくて、妖弧の表情が和らぐ。
「そ、その、ごめん。別にあんたが女みたいとか言ってるんじゃなくて、その。」
怒らせたと思い込んでいる彼女は、もう真上に顔を向けられず、下を向いてしまう。
上を見ていれば、妖弧の微笑む表情が見れたのに。
「女みたいに綺麗だって言う褒め言葉であって、そもそもあんたみたいに大きい
女の子…あぁぁ、違う違う、もう、だめだぁ…」
379 :
373の続き:2007/10/11(木) 13:28:11 ID:e6hOWSqP
一人で盛り上がり一人で盛り下がる彼女を、無言で観察する。
ぼたんはその場でしゃがみ込み、ブツブツと絶望を口にしている。
見ていてとても楽しいが、これ以上彼女が沈んで行っては流石に気の毒だ。
「無理にフォローしようとするから、失言を重ねるのだろう。どちらの俺も
気に入ったのなら、それでいいではないか。何を気に病む?」
大きな妖弧も屈みこみ、ぼたんに目線を合わせる。
突然接近されて、ぼたんは首まで赤くなった。
「な、なに をっ て…だって、蔵馬、女の子に間違えられて、怒ったって、
桑原君が…だからあたし…」
「お前は間違えたわけではあるまい?だがなぁ…。」
少し考え込むように、妖弧が一旦言葉を切る。
ぼたんの顔を覆ってしまう程の大きな手が、ぼたんの紅く染まった頬を撫でて、
そして小さな顎をクイッと指で持ち上げた。
まるで別人の声と姿の中、ふとした仕草や話す事に、いつもの蔵馬を垣間見る。
妖弧に自分の顔を凝視され、恥ずかしさのあまり、泣き出しそうになる。
泣いちゃいけない。だって悲しくないもん。
蔵馬を傷つける恐れのある事はしたくない。
だから妖弧の言葉の続きを待たずに、何か喋ってしまえ。
「…違うのは、外見だけなんだろ?」
「外見だけ、だ。どちらが真の姿と思うかは、お前の自由でいい。いや、
いっそ別人だと思ってもいい。俺など知らぬと。見た事も、触れた事も無い、と。
――俺は『知って』いるがな。」
一瞬きょとんと、ぼたんは妖弧を見つめ返す。そしてすぐに意味を把握する。
爆発してしまうのでは、と思う位に彼女が更に真っ赤になった。
「ん、んな、な、ななっ!!」
「触れてみるか?その瞳で俺の全てを、見てみるか?『いつもの蔵馬』とどこが
どう違うか、―どこが、同じか。試してみるといい。」
380 :
373の続き:2007/10/11(木) 13:31:11 ID:e6hOWSqP
ここまで書き上げましたが、この二人って難しいんですね…
急いで完結させますので、も少しお時間いただきます。ゴメ。
妖弧の言葉遣いが特にやりにくいです。
うぉー!ぐっじょぶぅ!!良かったですよぉ!
ドキドキしました!
お気持ち分かります。幽白メインの中でもこの二人は言動が分かりにくいですよ。
楽しみに続き待ってます。
正直興味ないなーと思って一瞬飛ばしかけたけど
読んだら萌えたw
ぎくしゃくで空回りでたどたどしい感じの
この二人のやりとりかわいいな
wktkで待ってます
妖弧いいwww
うちもドキドキしちゃったよ!
続きまってるww
妖狐はあんま喋るシーンないからねぇ
書く人間にとっちゃ鬼門かもしれん
でも一番好きなキャラなんだ!w続き待ってるw超待ってるw
385 :
373の続き:2007/10/12(金) 19:04:13 ID:tgjHBsU/
妖弧の提案に、ぼたんは戸惑う。姿形の話ではなく、純粋に羞恥心が込み上げてくる。
いつもいつも、その行為は蔵馬まかせだった。自分は固く瞳を閉ざし、
与えられる嵐のような快感に打たれるだけ。
だから、その時の蔵馬がどんな表情か、ぼたんは知らない。
彼はぼたんが瞳を閉じる事を嫌うが、とても直視など出来ない。
見られたくない。だらし無くよがるあたしを。
きっと酷い顔してる。物欲しそうに はしたなくイヤラシイ声をだして。
だからあたしは瞳を閉じる。見て欲しくないから。
蔵馬の代わりに、あたしが視界を殺す。
なのに、目の前の狐はこの瞳で見て、この指で触れてみるか、と言う。
そんな事したこと無い。でも、してみたい?嫌。恥ずかしい。だけど…。
ゆっくりと、妖弧の頬を両手で包み込む。体温を確かめ、少しほっとする。
そして自分の胸に妖弧を引き寄せた。彼は力を抜き、身体をぼたんに預けてくれる。
ふわっと意外に柔らかい、美しい銀髪が頬をくすぐり、そこに顔を埋めた。
思い切り吸い込めば紛れもない『蔵馬』の匂い。全身に蔵馬を取り込んだ気分に、
ぼたんは高揚を覚える。蔵馬だ。蔵馬。あぁ、大好き。
思わず口付けた、ピンと尖った狐の耳。微かに妖弧が反応した。
ぼたんは、その耳に触れてみたいと思った。
優しく、指先で撫でてみる。「っ!!」ビクリと妖弧が身を震わせる。
「く、らま?ごめん、嫌かい?」
「違う…。なぁ、ぼたん?俺はいつも、お前に触れて欲しいと思っているんだよ。」
擦り寄るように、ぼたんの胸に更に顔を押し付ける。
「お前を抱くのは、ただ抱きたいだけではなく、俺も、抱いて欲しいと…
そう、思っているんだがな…。」
固く瞳を閉ざす理由も、蔵馬の与える快感から逃げようとする理由も、
全ては羞恥のためだと理解はしていた。
だが、決して自分を瞳に映そうとしないのが、抱き締めてくれないのが、
拒否の証に思えてしまう時も多々あった。
ぼたんの頬よりも更に紅い瞳に、本来の獣である自分が映っている。
見つめられる幸福感が妖弧を満たしていく。
今この瞬間だけ、ぼたんは自分だけのぼたん。
ぼたんの五感は、全て自分に向けられている。
「あんたみたいに、上手には出来ないけど…でも、あたしも…」
きゅっと両腕に力をこめる。妖弧を離さない様に、出来るだけ一つになれるように。
「蔵馬を、だ…きた、い…。」
あまりの恥ずかしさに、言葉を区切って誤魔化してしまう。
たどたどしい言い方でも、妖弧は嬉しかった。
ハッキリと言葉にしてもらう事は、こんなにも安心できる事なのだと改めて思う。
386 :
373の続き:2007/10/12(金) 19:05:42 ID:tgjHBsU/
再び妖弧の髪に顔を埋める。そしてゆっくりと唇を這わせながら、額に降りていく。
ちゅっと小さく音を立てながら、彼の整った顔中に口付けを落とす。
一つ口付けては妖弧の表情を見つめ、また口付け。
いつもの蔵馬より太い腕は、膝立ちのぼたんの腰に回されて。
ぼたんの頼りない細い腕は、腰を下ろし座った妖弧の頭部に。
――そっか、あたし、キスしてる時も蔵馬に触ってた事、無いんだ。
いつもいつも受身でばかりいちゃ、相手も不安になるよね…
なのに、蔵馬は今の今までずっと言わずに心に秘めていた。
それは彼の優しさなのか、ただ男として言い辛かったのか。
どちらにしても。
「ごめんよ。不安にさせて。言ってくれてありがとう。大好きだよ?
どちらのあんたも、蔵馬は蔵馬だもん。あたしは、この先蔵馬がどんな姿になっても、
たとえ生まれ変わって別人になっても、必ずあんたを見つけ出すんだから。」
「俺が先にお前を捕まえに行こう。きっと俺のほうがお前を見つけ出すのが早いだろうな。」
「そんな事ないさ!生まれ変わったあんたも、沢山の女の子に囲まれて、
あたしの事なんて…きっと、忘れちゃうよ…。」
『秀一』も『妖弧』もこんなに綺麗で美しいんだもん。
「今だって、蔵馬モテるもん。すっごく美人な女の人がいたら、わかんないだろ…。」
お互いの額同士を擦り合わせ、その手を握り合う。
絡み合う指と指。絡み合わせるのは、その唇も。
今のキスはぼたんから。数回妖弧の唇を啄ばみ、そっと舌を差し入れる。
カサついた唇は、普段の蔵馬と一緒。咥内の熱さも、洩れる吐息の切なさも。
いつも蔵馬がしてるみたいに、舌に軽く歯を立てる。歯列をなぞる。
妖弧の口の端から零れる唾液もぼたんの舌で舐め取る。
あぁ、愛しい。彼のモノは、一滴も残らず吸い取ろう。
彼を体内に取り入れる。それが地面だろうと、横取りする奴は許さない。
少し、蔵馬の気持ちが判った気がした。どうしてそんな事するんだろうと
思っていた行動の一つ一つが、愛しさと独占欲のよるものだった。
離した唇。妖弧の瞳が名残惜しそうにぼたんを映す。きっと自分も同じ瞳をしてる。
「…ぼたんだけだ。俺が欲しいのは。口付け一つで俺は気を失う程興奮する。
好きだ、いや、ぼたんだけを、愛している。」
「ほんと?」
「あぁ。」
「絶対だよ?」
「絶対だ。」
ぼたんの大きな瞳から、大きな涙がポロポロと零れた。
「くらまぁ…何で今日はそんなに優しいの?」
込み上げる涙にあわせ、大きな声を出してとうとう泣き出す。
「…俺は…いつもは、優しくないのか?」
「優しいけど…割と意地悪い方が多いよ…。」
「そうか…すまなかったな…」
普段虐めすぎだったようだ。そういえば普段から好きだ愛してると言うのは、
その行為の最中だけだった気もする。
その時は高まる快感に任せてだけれど、純粋に好きだから好きと言っているのは確かだが、
これからはそれ以外でも感じた時に、素直に言葉に乗せて伝えよう。
もう一度愛の言葉を囁こうとした時。
387 :
373の続き:2007/10/12(金) 19:08:01 ID:tgjHBsU/
「ぅっひゃぁあああ〜!尻尾だぁああああ!!」
ぼたんを抱き締めようとした妖弧の両腕はスカッと空を切る。
彼女は体当たりをする勢いで、妖弧の尻尾に飛びついた。
「もふもふ〜っ かわいいぃぃっ ん〜!ぎゅう〜!!」
わざわざ擬音まで口にしながら、戯れるぼたんと尻尾。
無邪気に尻尾に触れるぼたんの手が、何かを探るように動く。
何も言わずにされるがままの妖弧が、ビクッと背中を反らせた。
「ぼたっ…な、にを…!?」
「えへへへぇ 蔵馬さっき、耳、感じてたでしょ?だからきっと、尻尾もと思ったんだぁ。」
尻尾を覆う長い毛を掻き分け、ぼたんが触れたのは尻尾の先端。
「大事な所って、大抵普段は毛とかで隠れてるんだよね。蔵馬の場合は
バレバレだけどね。ねぇ、気持ちいいかい?」
銀色の体毛から見え隠れする地肌の先端を、舌先でチロリと舐めてみる。
「…ぅっ…く… ぼ、たん…」
苦しそうな息遣いと切なそうな声。尻尾の付け根近くを片手でぎゅっと握る。
「はぁっ…!」
もう一方の手で、服の上からでも判る膨らみをそっと撫でる。
「ッ…!!」
綺麗な顔が自分の手によりこんなにも歪むのが、本当にたまらない。
「蔵馬…?見ても、いい…?」
ぼたんの手が妖弧の服にかかる。
妖弧はコクリと頷き、上半身を纏っている服を脱ぎ捨てた。
細いけれど、締まった身体。古傷だろうか、よく見れば傷跡が無数に残っている。
穏やかな人生ではない事を、その肉体が物語っている。
「あんまり危険な事は、もうしないどくれよ…?」
ぼたんの柔らかい唇が、一つ一つ、傷跡を辿って行く。
唇で湿った肌は、空気に触れてひんやりとするものの、体内から熱い何かが込み上げる。
徐々に滑り落ちる、ぼたんの唇。
ぼたんは妖弧の残りの服を脱がそうと、手をかける。
妖弧は少し腰を浮かし、それを助ける。
服を脱ぎ捨てると同時に、臍まで反り返るソレを目の当たりにし、
思わず目を閉じそうになるが、
――いや、閉じちゃ駄目。しっかり見ちゃおう。
ぼたんは観察する。脈打つ彼自身を。いつもの蔵馬のソレがどの位の大きさかは
判らない。でも、目の前のモノは驚くほど…
「こ、んなおっきいの、入るのかなぁ?」
「…あまり見るな…」
見たい。蔵馬の身体の一部なら、全てを記憶したい。
だが妖弧蔵馬は、まじまじと見つめられる事に耐え難い羞恥を感じる
388 :
373の続き:2007/10/12(金) 19:10:51 ID:tgjHBsU/
――いつも、こういう気持ちなのか――
普段と形勢逆転し、初めて知るお互いの気持ち。
と、妖弧の太い指が、ぼたんの服の隙間から肌に触れた。
肌を撫でるように服をずらし、豊かな膨らみを露わにする。
それを合図に、ぼたんも妖弧自身に唇を這わす。
時に舌で刺激し、ソレの形をなぞりあげ。
妖弧の指もぼたんの膨らみの先端を転がし、摘み。
お互いが快楽を貪る。
声にならない吐息が洩れ、肌も汗ばんでくる。
「ん… くらまぁ…あたし、もう…。」
「俺も、限界だ…。」
妖弧の濡れた唇がぼたんの唇に重なり、そして二人は見つめあう。
妖弧は着ていた服を地面に広げ、ぼたんをその上に寝かせた。
そして、自身をぼたんの濡れたソコに押し当てる。
「ぼたん、愛してる。この世でお前だけ。」
「ふふっ。あたしもだよ?狐さん。愛してる。離れないで。」
ゆっくりと、腰を押し進める。
濡れた肉が、妖弧を圧迫する。
「やっ…ぁっ…」
「離れない。離さない。」
荒い息と共に、押し寄せる快感。絶えられず零れる涙。
それを舐め取る妖弧の舌さえも熱い。
愛してる。愛してる。愛してる。
ぼたんの両腕はしっかりと妖弧の背中に回され、飛びそうな意識を必死に捕まえる。
妖弧もまた、小さく愛しい存在を全身で感じ、壊さないよう、だけど激しく。
「ぼたんっ…愛してる。愛してる…!」
「やっぁ…!い、わなっ…でっ…め、だめぇ!!」
思い切り打ち付ける腰の動きと共に、ぼたんの嬌声も激しくなる。
耳元で愛を囁けば、ぼたんの快感は駆け足で登り詰め。
「くらっ…まぁ!だめ、だめぇぇえ!!!」
ビクビクッと背中を弓なりにし、絶頂を告げる。
ばたんの絶頂を見届けた達成感と膣内の収縮の刺激に、妖弧自身も、全てを吐き出す。
「ぅ、くっ…!」
ビクンビクンと脈打ち、それに合わせ熱い体液が注がれた。
快感に溺れつい閉じた瞳をゆっくり開ける。
妖弧蔵馬の苦しげな表情が見える。
――蔵馬も、気持ちいいんだね――
幸福だ。自分にも与えられる事があるなんて。
愛し合う行為の意味が、やっと理解できた気がする。
愛し、愛され、お互いが正直に素直にならなければ。これをする意味など無い。
「…くらま…?」
銀髪に触れようと手を伸ばしたとき、妖弧が白煙に飲み込まれた。
やがて白煙が散れば、現れるのは『南野秀一』の、『蔵馬』。
ぼたんの馴れ親しんだ猫目が、ぼたんを捕らえる。
蔵馬は問う。
「……愛してる?」
ぼたんは答える。満面の笑みで。
「誰よりも、愛してる。」
蔵馬の黒髪をかきあげながら、ぼたんは誤魔化すことなく、ハッキリと告げた。
---糸冬---
389 :
373の続き:2007/10/12(金) 19:15:09 ID:tgjHBsU/
はぁい。完結させた後で申し訳ないですが。
妖弧→妖狐 でしたね。
はずかしいですね、はい。ゴメンナサイ。
もしもこれが保管庫に掲載されるならば、お手数ですが訂正して
頂けるとこれ幸い。私、以前にも
ぼたん○
ばたん×
見たいな事をやらかしてる訳で。でもまぁ、ご愛嬌?
読んでくれた方、お疲れ様っした。
390 :
373の続き:2007/10/12(金) 19:19:54 ID:tgjHBsU/
ぼたん○
ばたん×
またやらかしたorz
いやぁああたまりませんたまりませんwww
そういえばこの人狐耳に尻尾なんて萌えアイテムをデフォルトで装着してたんだった!!!
妖狐萌えええええぼたん萌えええええ(*´Д`)ハアハアハアハアハアハアハアハア
392 :
373:2007/10/12(金) 19:59:22 ID:tgjHBsU/
>>391 ありがとう、ありがとう!!
もっともっと妖狐(学習した!)の耳やら尻尾やらを攻めたかった
んだけど。
…正直、思いつかなかったんだよ。
でも、自分の書いたものに誰かが萌えてくれるのって良いネ!
私も書きながらハァハァしてた(最悪)
小説スッゴク良かったです!妖狐の可愛いさに萌え萌えでしたー!
誤字はそんなに気にしなくてもいいですよ。
それを補ってあまりあるほどワクワクドキドキハアハアしましたから。
それではご苦労様でした!
尻尾の流れワロタwwwwww
GJ!もえた!!
>>326 を便乗して反響?が良かったみたいなので、自爆覚悟で投稿します。
今回は蔵馬の場合……で、ご覧下さい。
嫌な人は見ないでね!!
それは帰宅途中だった。
蔵馬は普通に通学路を帰っていく道先に何か妙な不安を感じていた。
この先で何か特殊な事が起こってしまう予感を。
気がつけば誰かの策略なのか、意識が吹っ飛んでしまっていた。
意識が目覚めた時、そこは見知らぬ場所で座っている事に気付く。
しかも、目の前には躯が裸で横に座っていた。
ベッドの腰掛けつつ、躯は急に黙り込んでしまった蔵馬を眺める。
「……どうした?何か具合でも悪いのか?」
躯は彼を見つめ、彼本来の空気が妙な事に気にし始める。
「……え?」
声にした時に蔵馬は気がつく。自分が自分でない事を。
蔵馬の声帯はどちらかといえばまだトーンが高いはず。
声変わりが妙になされていない、高い声を放つ事は当然自分だから知っている。
なのに、その声はいつもと違い薄暗く声が低い……。
(もしかしてこの声は、飛影のもの!?)
蔵馬は妖狐であるために特殊な聴覚を持っていたりもする。
聞き間違えるはずも無く、念の為の確認として自分が誰だか尋ねてみる。
「……あの…、いや、俺は誰だ?」
その質問の意図が解らず、何処かで頭を打ったのか?と訝しげな顔をし、躯は彼の名を呼ぶ。
「飛影……だろ?何を言っているんだ?」
それで全ては一致した。今の俺は飛影である事を自覚し、蔵馬である飛影は考えた。
一瞬の悩みの末、幸いにも躯は裸でいる事に行為に夢中になろうとしているのであろうと
予測し、自分は飛影になり切る事を徹し、この場を乗り切ってみる事にした。
半ば……面白半分を含め。
「……飛影、いい加減にしろ。私はもう服を着るぞ」
躯はベッドの下にある乱雑に置かれた衣類に手を差し伸べようとしゃがみ込む。
「……その必要はない」
飛影(蔵馬)は躯を咄嗟に抱き締めた。
きっと先ほどまで、飛影は雑に衣類を脱がせ、直ぐに高揚したそれを
欲望のままに貪ろうとしていたのではないかと考えられるからだ。
「……ぁっ……飛影!?」
再開し始めた瞬間、ベッドに再び引きづり戻されて膨らむ胸を激しく揉まれ身悶える。
舌先で耳の裏を舐められ敏感に反応してしまう。
しゅん…と股の間にじわりとした感覚が押し寄せられる。
「ふぅうん。なるほど。躯ってそんな表情するんだ。」
そんな風に言われた事など無い。初めての言葉責め?に妙に興奮し、反応してしまう。
ぐっと唇を噛み締め、乳首を優しく弄られる事にも悦んでしまう。
唇を支配され、舌でお互いを求め突き合いつつ、何やら背後でがさごそ物音が気になる。
でもそれも指先が髪に触れられ、甘い息を漏らしつつ気にならなくなる。
とはいえ、そんな風に言われた事など無いから本当に飛影なのか気にした。
「!?飛影、貴様、何、を」
言葉を塞がれいつの間にか視界が遮られていた。
「いえいえ、こっちの話で…だ…。どうだ?躯。目隠しも、なかなかいいだろう?」
くっくっくっと怪しげな笑いをし、飛影(蔵馬)は躯のジュクジュクに濡れつつある
秘所の芽を軽く摘み、乳首を舌先で転がした。
「はぁっ…ん!飛影、何か、上手……!!」
もう躯はこれ以上何かを考え詰める事はできない。
身体を飛影(蔵馬)に支配され、快楽を得る事に集中するしかなかった。
理性なんて無く、ただ飛影が欲しくなった。
「飛影…っ……飛影……っ…」
躯は必死で彼の名前を呼ぶ。蔵馬はそれに答えるように乳首で遊ぶのを止め、
舌先で秘所の芽を遊ぶ事にし指先は躯の大事な部分をゆっくりと侵入していく。
「……んぁぁああっ……」
高らかな声をあげ、躯は悶え苦しむ。
こんな風に気持ち良くなれる方法があったのか、と意識はそこへ集中してしまう。
切なく、そしていつも以上に飛影という存在が堪らなく欲しくなる。
それは手に入るのに、何か物足りないような、でも期待を胸に寄せ貫かれるのを心待ちにする。
「……飛影ぃ……は、早く……っ」
余計な事は羞恥心の所為で言えない。
飛影はそれでも受け止めてくれる。
たまに、悪戯なところはあるけれども……。
そして飛影(蔵馬)は自らも待ちきれず、大きく膨らんだ股間を握り締め、
躯の中へ溶け込むように侵入しようとし始めた…… その時!!
「………ッ!?」
蔵馬の視界は、元の世界へと戻っていた。
自分の身長に見合った視線。だけど、先ほどまで蔵馬として居た場所とは違っていた。
そこは桑原の家だった。
それよりも不思議なのは、飛影でいた自分が熱いモノを入れようとした時の
熱く迸る高鳴りが止んでいる事の方が変な気がした。
「……今日は桑原くんに会う予定は無いんだけど……」
ぽつり。と蔵馬はそう呟く。
しかし、直ぐに納得がいく考察を掴む。
俺自身が飛影になっていた間の俺の身体は、桑原が使用していたんじゃないか?と言う事に。
妙な悪寒が一瞬走るような気がしたがセックスの最中じゃない事に安堵する。
誰にも会っていない通学途中で良かったと、本気で思っていたに違いない。
398 :
396:2007/10/12(金) 22:07:15 ID:j7o9B3Oq
投下して気付いたけど、意外と内容少なく思えたら?ごめんね。
飛影と躯らしくなかったら更にごめん!!
GJ!あの言葉はそこにつながるのか!と
納得しながら読んだ!!すっごくおもしろかったっす!
ありがとうヾ(*´∀`*)ノ
パチパチパチパチパチパチ良かったですよー!
いやあ見事に台詞がはまりましたね!
顔が思わずニヤニヤしてしまいました。
上手です!
体の交換最初も最後も冷静なのがwwww
さて、飛影はいかに!www
交換後四人は会いにくいだろうなー
「やあよく集まってくれましたね。あぁ、散らかってますが
どうぞ適当に座って下さい。
あ、飛影、今踏んだの…まぁいいか。皆さんお元気でした?」
「…蔵馬。ここ俺んち。」
飛影にバキッと踏まれ壊れた新作ゲームのソフトは、もう再起不能だ。
幽助は諦め、それを無造作に床に放る。
「俺も皆にっていうか、この中の一人に話があんだ。」
何処か怒っているようにも見える、大柄の男、桑原。
「ハッキリと誰に喧嘩を売っているのか、言ったらどうだ?」
最初、唯一散らかっていないベッドに座ろうと、
腰を下ろしかけた飛影だが、ベッドと幽助のしまりのない顔を見比べ、
結局ベッド脇の壁に寄りかかりドカッと座った。
ほのかに顔が赤いのを、蔵馬は当然見逃さないが、今はまだ、いじらない。
込み上げる笑みを何とかやり過ごし、「では。」と咳払い一つ。
「もう皆、わかってるでしょう?俺が何を話したいか。」
「まぁ、な。正直俺は、暫くおめーらに会いたくなかったぜ。」
幽助はチラリと桑原を見る。
(特に桑原には、な。)
視線を感じた桑原は、幽助と目が合う。が、幽助のほうから
スイッと顔を背けてきた。
「?あんだぁ?幽助。おめー、何赤くなったり青くなったりしてんだ?」
「べ、つにぃ?てめぇこそ、誰に話があるっつんだよ?」
「…まだ、わかんねぇ。いや、判った、かも。」
微妙な空気が充満するこの小さな部屋で、実に楽しそうなのは蔵馬一人。
「まぁまぁ。まず俺ですが、気付いたら桑原君の家の玄関前に立ってたんですよね。」
蔵馬を除く全員の顔色が急変する。
―やっぱり!―
確信した。あれは、現実の事だった。
「俺だ。気付いたら蔵馬になってたんだ。んで、雪菜さんが心配で
急いで家に帰ったんだよ。」
ここで飛影が更に青くなる。まさか。妹は蔵馬に何かされたのでは…?
この中で一番たちの悪い、ある意味敵に回したくない要注意人物。
「チャイムを連打したら、意識が戻ったんだ。」
飛影の視線は目まぐるしく桑原に移る。
―意識が戻った後、「何か」したか…?―
蔵馬にしろ桑原にしろ、確実に雪菜に手を出したのが、この中に
存在するのは確かだ。まぁ、妹が合意しているのなら…いや、複雑だが…
「…失敗面…」
飛影の囁きに、桑原が「あんだ飛影いきなり!!」と激昂する。
いや、それに、意識が戻った後の、躯の痴態。
『飛影?はやく。もうこれ以上じらすな…』
なぜ目隠しを?なぜ自分でそれをとらない?
そして、普段より嬉しそうなのは気のせいか?
誰の仕業だ。
失敗面ではないだろう。幽助?蔵馬?あんな卑猥な行為を、誰が躯に…
「実はよ。俺も、気が付いたら螢子に手足拘束されててよ。
んで、あいつに乗っかられてたんだよ。…何か風呂場も部屋ん中も
いろんな物で散らかってるわ、床が濡れてるわ、ケツがヒリヒリするわで…
何があった?って聞いても、あいつ笑うだけで教えねんだよ。」
突然、「げほ!ごほ!!」と、飛影がむせる。
唾液が変な所に入ったのか、三白眼に涙を溜め、顔はこれ以上なく茹で上がり。
その様子を、蔵馬は腹を抱えて肩を揺らしながら見ている。
「飛影…?まさか、俺の体に入ったのって…。」
「知らん!俺は知らんぞ!!」
「いや、もう誤魔化しきかねぇよ。なぁ、おこんねーから教えろ。
何があった?」
「う、うるさいなっ」
蔵馬は飛影の妙な語尾にちょっと萌えたが、とりあえず仲裁に入る。
「まとめると、桑原君は、俺。飛影は幽助。に、憑依したんですね。
じゃぁ残るは飛影と桑原君の身体。誰が入ったんでしょうね?」
「蔵馬。てめぇ、まさか俺になって…?」と、桑原。
蔵馬はちょっと考える。もうどちらにしても飛影の怒りを買うのは避けられず。
「雪菜さん言ってたんだよ。俺の様子がおかしかったって。ちょっと
乱暴で、恥ずかしい要求をされたんだって…可哀相に、俺は許せねぇ!
彼女に詳しく聞く事はできねぇしな。傷を広げる様な、そんなこと…
だから、今正直に吐け!お前か?それともお前か!?彼女を辱め、鬼畜な
命令を繰り返したのは、どっちだ!!」
「鬼畜って…!ちょっと一回だけ『脚開け』って言っただけじゃんか!!」
「「貴様かぁ!!!」」
桑原の突然のグーパンと飛影の膝蹴りが、幽助の顔面と後頭部に綺麗に決まる。
「幽助は、桑原くん、と…。」
今後何かの参考にするつもりなのか、蔵馬がキチンとメモを取る。
「と、いう事は蔵馬。貴様は躯に一体…」
ピンポ〜ン
緊張感のないチャイムとともに、玄関の開く音。
「ゆーすけー?入るわよー??」
ドカドカと上がってきたのは、螢子、雪菜、何故かぼたん。
「おい、飛影。いつまで油を売っているつもりだ。」
玄関のほうに目を向ける男共の背後の窓が、ガラッと開いた。
「む!躯!?貴様ここに、何をしに…!!」
「今言ったろう?さっさと帰るぞ。」
口調と飛影の首根っこを掴む腕は乱暴だが、瞳だけは何故か熱い。
「蔵馬!おい!!お前のせいでこいつは、変な行為にはまっているんだぞ!?」
引きずられながら、飛影は蔵馬に抗議を続ける。
「あはは。何故か全員集合ですね。皆でトランプでもやります?」
「「「やらねぇ!!!」」」
ピキン!!
空気が張り詰めた。
その場の全員が、一瞬硬直したかと思うとハッと回りを見渡す。
「…??」
お互いの顔を見合わせ、瞳に映るは怪訝の色。
『俺(私)は… お前(あなた)は…』
ダレ?
幽霊や妖怪より更に不可解な現象は、エンドレスに…
FIN?
うわぁー、上手い事、世にも奇妙な物語?として解決してくれましたねぇー。
>>360と396と書いてたんだけど、その続きを上手く利用してくれて面白いです。
そういえば最近のssで
>>373さんが書かれた蔵馬×ぼたんを考えると、
どうみてもこの蔵馬はかなり意地悪?な感じがしないでも無いし性格も違いそうなので
そういう風にまとめてくれると納得がいくような気がします。
>>401 GJ!!
こうしてリレーっぽく出来るお話も楽しいですね。
私は
>>313 >>326 >>401 を書かせていただきましたが、
内容などさっぱり考えていなかっただけに、
他の書き手さんが受け継いでくださり、しかもそれが
面白くて、感激でした。
>>360と396=404さん、GJです!!
本当リレーっぽいのも、また楽しかったです!
職人さんにはいつも感謝
GJ!!
407 :
401:2007/10/13(土) 19:07:08 ID:Ha1Kg7Ux
そして、次なるネタを妄想するのだ。全ては萌えの為、ハァハァする為に…!!誰かこんな私にヒントを下さい。
408 :
404:2007/10/13(土) 21:15:43 ID:6mFyRrDV
401さん、すみません。
>>313 >>326 って401さんが書いてたんですね。
でしゃばったようで申し訳ない!
結果的にリレーネタになったのを賛同してくれてありがとう!!
過去形の話で戸愚呂と幻海ネタとかあると面白いかも……
て、そんな話、同人誌とかであったりしたのかなぁ?ssとか。
凄い凄すぎ…こんな連携プレイが見れるなんて嬉しい。
皆さんGーーーーJーー!面白かった!
>>410 はぅ〜(/////) Hだ〜
でも哀しみの中に微笑ましいさがありますね。
幽助×蛍子が読みたいです。幽ぼも好きだけど、H無しのさらっとした関係が合ってると思う。
恋人同士って肌を触れ合う事によって関係が深くなると思いますので、幽助が魔界の事にばかりかまけているので、蛍子が寂しくなって誘っちゃう〜なんて…
413 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/15(月) 05:04:01 ID:CIusgixp
読みたいです
ノシ
415 :
幽助×螢子:2007/10/17(水) 18:36:15 ID:+v02dqk/
>>412さん。これからそのシチュに発展するという前提で。
あっちが神なら、こっちは女神だとよ。
本当にそう思っているなら、どうして傍に居てくれないの?
あたしは、あんたの想像の中で微笑んでればいいの?
勝利の女神?馬鹿みたい。
あたしはあんたに勝ってほしいとも負けて欲しいとも思わない。
ただ、傍にいてほしい。
あたしはあと数十年しか生きられない。
あたしはだんだんと年老いるだけ。
いつまでも少年のあんたとは違う。
あんたと同じ時を歩める――そんな魔法は、どこにも、無い。
今日も、大学の男の子に声を掛けられた。
飲みにいこうよ。
あたしは思う。行ってもいいかな。と。
あたしの想い人は、闘いに恋をしているのだろう。
人間界と魔界を行き来して、最近は魔界に入りびたりなのだ。
だったら、あたしだって好きなことをしてもいい筈。
友達に飲みに誘われて、楽しみに行くのはあたしの自由だ。
あたしは彼の誘いに乗った。その後変な事をしようとしたら、
鉄拳をお見舞いして帰ればいいだけ。
あたしと彼は世間話をしながら、繁華街へと歩を進める。
ドン
彼が人とぶつかってしまった。
「あ、すみません。」
素直に謝る彼。モラルのある人なんだと思う。ここで喧嘩をふっかけるような
人が、あたしの周りには多すぎた。
その代表が、もう顔も忘れた幼なじみ。
「螢子じゃん。あにしてんの?」
そう、こんな声をしてたわ。いつまでも子供みたいに下品な喋り方で―――
って、え?
「今お前を迎えにいこーとしてたんだぁ。」
「ゆ、すけ。」
信じられない。
魔界に居るはずの馬鹿が、今目の前に居る。
「…そーゆー訳だ。オマエ遠慮してくれっか。」
幽助はあたしの連れに脅しをかける。
「ちょ、やめてよ。友達よ!?」
あたしが言うより早く、彼はペコペコと頭を下げながら去っていく。
「あ、ちょ…待ってよ。」
彼の姿は繁華街の人ごみに消えた。
取り残された、あたしと馬鹿。
「はん。根性ねぇな。お前を誘ったくせに、こんな事で逃げるなんてなぁ?」
「………」
416 :
幽助×螢子:2007/10/17(水) 18:38:13 ID:+v02dqk/
魔界での修行を、区切りのいい所で終えた俺。
螢子に会いてぇなー
そんな事をふと思う。
桑原と雪菜ちゃんも、飛影と躯も、やりたいように仲良くしている。
俺らはどうだ?
俺の我が儘で、螢子をほったらかしにしている。
あいつは俺と違い、多くの人間と関わっている。
という事は、それだけ「誘われる」事も多いだろう。
俺は急にあせり始める。
直ぐに帰らなくては、そう思う。
そして、久々の人間界。
この街は、少し変わっちまったかな。
時が経てば、景色は変わる。人間も変わる。螢子だって…
不可抗力とは言え、魔族の一員になった俺。
人間として生まれ育ち、今も人間のままの螢子。
切実な問題。――寿命。
はっきりいって俺は、魔族だから、とかそんなん関係なく、寿命に無頓着だ。
だってそうだろう。老いを感じるのは、30代入ってからじゃねぇか?
俺も螢子もまだ20歳。
自分が死ぬ事なんて、あまり考えないだろう。
ぼけっとそんな事を考え歩いていると、前から歩いてくる若者達。
大学生。タメ。いや、んな事より。
――螢子――
ショックだった。
あいつが、俺の知らない男と仲良く歩くなんて。
これって浮気?いやいや、俺ら付き合ってたっけ。
ともかく、螢子が俺以外の男と楽しそうに歩く。
これは俺の怒りを買う出来事としては、充分だった。
俺はわざと連れの男にぶつかった。
「あ、すみません。」
俺は内心ガックリとした。
普通怒るだろ!どこに目ぇつけてんだ とかさ。
もう俺のテンションはさがり、でもお決まりの台詞。
「螢子じゃん。あにしてんの?」
俺は今気がついたふりをする。
「今お前を迎えにいこーとしてたんだぁ。」
「ゆ、すけ。」
信じられない。といった表情。嬉しいか?帰ってきたぜ。
なのに、螢子は連れのヘタレ男を気にかけている。
気にいらねぇ。
「はん。根性ねぇな。お前を誘ったくせに、こんな事で逃げるなんてなぁ?」
こいつを誘うからには、並みの腕力の持ち主じゃ駄目って事で。
俺は知っている。
幼少の頃から、こいつの鉄拳を食らってきたから。
今じゃ俺のが強いけど。
敵わないんだ。螢子には。
「………」
あれ、何か、怒ってる…?
俺の背中を、冷たい汗がツツっと伝い降りた。
417 :
幽助×螢子:2007/10/17(水) 18:50:33 ID:+v02dqk/
とりあえずここまでで失礼します。
この二人は書いた事ないので、考え考え頑張ります。
>>415 GJ!!!!
続き楽しみにしていますw
>>415-416-417
超ーーーー嬉しいです!!嬉しくて涙目になりそうなくらい!!!
そして二人の感情がそれぞれ良い!!!!
頼んでみて良かった〜
駄目もとでリクエストしたから……
久しぶりに幽白気分を味わわせて頂きました。
ありがとうございました!
420 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:28:47 ID:PkIi2a8M
ツカツカと、自宅に向け歩き出す螢子。
俺はそれをゆっくりとした足取りで追う。
「螢子ー。けーこちゃーん?おーい。」
螢子はとても早足で、俺を引き離そうとしているのだろう。
お前んちなんて知ってるって。何年お前と一緒にいるってんだ。
…そんな事より、螢子が怒る理由を探そう。
螢子は男と歩いていた。
何処かへ行く途中だったのか?
それを俺に邪魔されて怒ってんのか?
だとすると、螢子は既に俺なんて眼中になくて…
さっきの男に惚れてるんだとしたら。
螢子の脚がピタリと止まり、振り返る事無く俺に言う。
「アンタ、時間あるわよね?」
唐突に聞かれ、間抜けに答えてしまう。
「ある、よ。」
あるに決まってる。螢子に会いたくて帰ってきたのだから。
「じゃあ、行くわよ。付いて来て。」
「は…。」
行き先は螢子のみぞ知る。
先程と同じく早足の螢子を先頭に、俺も歩き出す。
あたしが向かった先は、繁華街の外れにあるホテル街。
いかがわしい建物がビッシリと並び、若い男女が仲睦まじくホテルへ入っていった。
あたしがこれからしようと思うことは、彼らと同じこと。
ただ彼らと違うのは、ほぼ無理矢理あたしが彼を連れてきた、という事。
あたしは適当なホテルに入る。幽助も付いて来るのが、気配で判る。
こんな所、来た事無い。だから、勝手が判らない。
フロントに年配の女性がいた。女性は手元しか見えない隙間から声を掛けてきた。
「ご休憩ですか?ではこちらがキーになります。」
それらしい雰囲気に呑まれ、あたしの士気が下がる。
あたしの後ろから伸びた手が、勝手にキーを受け取り、あたしの肩を抱きエレベーターへ。
「素直に言えばいーのに。」
エレベーターの中、幽助があたしの耳元で囁く。
耳をくすぐる彼の吐息。
ざわっと全身が粟立つ。
「そんなに…くっつかないでっ…!」
「くっつかなきゃ何もできねぇよ。」
「そうじゃなくて!まだ部屋にも入ってないじゃない!!」
あたしは幽助の顔面を手のひらで押し返す。
かたん、とエレベーターが揺れ、停まった。
あたしの心臓はそれとは逆に、早鐘を打つ。
勢いでこんな所に来た事を、今更ながらに後悔した。
421 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:30:03 ID:PkIi2a8M
キーを使い、部屋へ入る。
薄暗い照明。大きなベッド。バスルーム。
ベッドの脇にはティッシュ。隣にチョコンと置いてある、小さな包み。
ここで行われる事は、唯一つ。
俺はズカズカと入り、ベッドに腰を下ろす。
本気な筈ないんだよな?
ただ怒って俺を驚かそうとしてるだけだろ。
俺が迫ったら、お前は悪戯っこみたく笑うんだ。
「なに本気にしてんのよ、ばーか」
って。
俺は後ろ手に両手を付き、勝ち誇った顔で螢子を眺める。
お前の企みはお見通しだ。
螢子は濃い青のフリースジャケットを脱ぎ、ハンガーに吊るす。
「シャワー、浴びてきて。」
乱暴にタオルと浴衣を投げつけてきた。
「シャワーって…え?」
「汗を流してきて。…ちゃんと石鹸つけて洗うのよ。」
「ど、どこ、を?」
俺は混乱のあまり、アホみたいな返答しか出来ない。
だって、冗談なんだろ?もう種明かしの時間じゃん?
「お、俺は、おめーに会う前に風呂入ってきた、から。」
「いいから入って来いって言ってんのよ!!」
螢子が脱いだヒールつきのブーツが飛んできた。
俺はそれをヒラリとかわしながら、逃げるようにバスルームへ。
怖いので、言われた通りにシャワーを浴びる。
…ついでにお湯を張っといてやろう。俺ってジェントル。
頭から温いシャワーを浴び、精神統一。
男といる所を俺に邪魔され、怒ってホテル。
意味わかんねぇ。まさか。俺はハッと顔を上げる。
―あたしは大人になったのよ。アンタみたいな子供と違うの―
みたいな展開?嘘だろ、まさか、他の男とやっちゃったとか?
そうだよ、だって、あいつがこんな手の込んだ悪戯するはずねーって。
―あたしはこっちで楽しんでるから。もう人間界に帰ってこなくていいわよ―
俺の想像の中の螢子が悪女のように嗤う。
嘘だ。嘘だ嘘だ。そんな筈ねぇ。螢子はそんな女じゃねぇ。
俺は思い切りシャワーの温度を下げ、水を浴びる。
落ち着け。冷静にならないと、このホテルごと螢子を壊しちまう。
そんな風に文字通り頭を冷やしていると。
「つめたっ!何してんの、風邪引くわよ!?」
「ぅおお!びっくりした!!」
素肌にタオルを巻いた螢子が、俺の背後に立っていた。
422 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:33:59 ID:PkIi2a8M
馬鹿みたい。一人で水かぶってるなんて。
どうせ幽助の事だ、変に勘ぐって誤解してるに違いない。
こいつに女心を理解しろなんて、無理な注文よね。
あたしはシャワーを適温に戻し、幽助に大人しく座るよう言いつける。
すこし頬を赤くしながら、あたしに背を向け胡坐をかく。
広い背中だ。いつの間にこんなに大きくなったのか。
いくつもの傷跡。何度も死にかけて。ほんとに死んだ事もあるけど…
きゅ、とシャワーを止めると、静寂が訪れる。
泡立てたタオルで、幽助の背中を洗う。二人とも無言で。
タオルが立てるごしごしという音がやたらと響く。沈黙を破ったのはあたし。
「どの位、こっちに居られるの…?」
欲室内は、とても声が響く。だからあたしは静かに小さく話しかけた。
「決めてねぇ…。居て欲しいなら、好きなだけ居てやるけどぉ?」
おどけた様子であたしをからかう声。
悪いけど、それってあたしにとって冗談になってない。
背中を洗う手を止める。泡を掻き分け、傷跡を指先でなぞる。
「幽助は、居たくないの…?」
背中を滑らせる指を、ゆっくりと増やしていく。
時折幽助がぴくっと跳ねる。
「螢子…?お前、どうしたの?」
「…あんたは、闘っていられれば幸せなのよね。あたしが行けない所で、
連絡も取れない所で、あんたが帰りたい時に帰って、行きたい時に行く。
全部あんたの都合なのよ。」
口を開けば止まらなくなる。あたしは早口にまくし立てる。
「魔界に居る間、チラッとでもあたしを思い出す?あたしがどこで誰と
何してるか、心配になった事ってある?…あたしは毎日よ。毎日毎日、
あんたが誰といるか、何してるのか、生きてるか死んでないか、
いつもいつも考えてんのよ!」
「螢子…」
「うるさい」
「泣くなよ。」
「泣いてない!!」
幽助が自分の目の前の結露した壁を、手のひらで擦る。
あたしは何となくその仕草を眺めている。幽助が擦った所に、
あたしの泣き顔が映っている。
鏡だ。浴室に入ってからは幽助の身体を見ないよう床ばかり見ていたけど。
幽助は、視ていた。鏡に映るあたしを。
きっと鏡が曇る度そっと手で拭いていたのだろう。
――馬鹿みたいじゃない。あたし。幽助はあたしを見ているじゃない。――
「心配かけて悪いと思ってる。心配しかかけないのに、お前を手放せないのも
悪いと思う。だから…っつーのも、変だけど。」
幽助が身体ごとこちらを向いた。反射的にあたしは身体を腕で隠す。
でも幽助が見ているのは、あたしの顔だった。
「だから、一緒に居る時はずっと見てたいんだけど。」
423 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:35:12 ID:PkIi2a8M
幽助の両手が螢子の頬を包んだ。
「もうそっぽ向けないな。」
目の前でにかっと笑うあどけない「少年」。
「ちょ…っと…。離してよ…。」
「はなさねーよ。やぁっと真正面向いてくれたんだ。」
その言葉に、螢子は気付く。
幽助に会いここまで連れてきて、今の今までずっと、幽助とまともに
目を合わせていない事に。
「…ご、めん。」
螢子は素直に謝罪した。
「あたしって、意外に我が儘ね。幽助にもっと構って欲しいって
駄々捏ねたくせに、自分は目も合わせないなんてね。」
頬を包む幽助の手に自分の手を重ね、ふふっと微笑む。
「判ってる事よ?あんたが落ち着きの無い男だって。それを承知で、
好き、なの。ねぇ、お願い。あたしを…」
幽助の瞳に映る自分を見る。変な顔してないわよね、今、あたし。
こんな時まで自分の表情を気にするのは、螢子が女の子だから。
可愛くいたい。嫌われたくない。
嫌いになりたくない。
「あたしを抱いて?あたしをちゃんと、幽助のものにして。」
心移りしないよう、しっかりあたしを捕まえておいて。
小声でそう付け足す螢子を、幽助は優しく抱き締めた。
場所を移動し、二人は大きなベッドに乗る。
少し固いシーツが素肌に当たり、タオル一枚で幽助と
対峙している事を意識してしまう。
身体を隠すように包むタオルの端を、幽助がそっと摘み上げた。
ごくりと飲む息の音は、どちらの立てた音か。
徐々に露わにされる螢子の白い肌。
「やだ。何かいやらしい。一気に取りなさいよ。」
「焦るなよ。」
焦ってないわよ、と言いかけたが、やがて音も無く取り払われる頼りの無い布。
染み一つ無い艶やかな肌が、幽助の興奮を煽り立てる。
細い身体だ。そして、とても綺麗で。
小さくも大きくも無い形のいい乳房に早く触れたくなる。
「コラっゆーすけ?」
指を伸ばしかけた幽助に、螢子が軽く叱咤する。
「あ、わりぃ。」
「焦るなよ。」
先程の幽助を真似、おどけて笑う。そんな螢子が愛おしい。
幽助も笑い、ゆっくりと螢子の唇に近付く。
ふっと触れた唇は、柔らかく何処と無く甘い感じがした。
424 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:36:39 ID:PkIi2a8M
味わうように何度も螢子の唇を啄ばみ、舌で舐めてみる。
「っ…」
驚き反射的に幽助から離れる。その表情は困惑しながらも朱に染まり。
「大丈夫だから。」
幽助の腕が螢子の後頭部に巻きつき、固定されてしまう。
再び口付け、そっと舌を進入させた。
螢子の舌を探し求めるように、咥内を幽助の舌が這い回る。
「んぅっ…。」
隙間から洩れる声。鼻に掛かった高く甘い声。
もっとそんな声が聞きたい。
咥内で逃げる螢子の舌を歯で優しく捕まえ自身の舌を絡める。
「ふ…っん、んんっ」
ざらりとした感触は舌先から全身に伝わり、触れられていない背筋をゾクリとさせ。
ちゅるんっと音をたて唇を離すと、螢子の艶やかな表情。
潤んだ瞳が訴えてくる。更なる快感を求めている。
幽助は勝手にそう解釈し、螢子の紅い頬に口付ける。
幽助のかさついた唇はいい香りを放つ螢子の髪を掻き分け、
普段地獄耳だと罵るそれを甘く噛む。
「ゃ、あっ」
ビクンと螢子が大きく跳ねた。
感じたんだ、俺に。螢子の反応が幽助の嗜虐心を刺激した。
「螢子っていー匂いするんだ。」
「あ、あ…やだ、やぁっ…!」
わざと耳元で低く囁く。吐息が掛かるよう、更に接近する。
「やじゃねぇよ。…可愛いぜ?凄く…」
唇は首筋に滑る。強く吸い、アトを残した。螢子が気付いていないのを
いい事に、好き勝手に朱を散らす。
先程触れようとして咎められた乳房に指を伸ばした。
『所有印』を付けながら。
手のひらに広がる柔らかい感触。
こんな感触は知らない。こんなに温かく、儚いものは――
「やらけーなぁ…きもちいいよ。触ってるだけで。」
「強くしないでよ?あんたって粗野で乱暴なんだから…」
「お前ってどんな時でもそーなのな…」
突然、幽助が乳房の先端を口に含む。
「ひゃぁんっ…や、やぁっ!!」
初めて知る刺激に自然と背中が反る。
器用ではないが、確実に快感を与えられている。舌の先が、先端を突く。
「気持ちいい?」
唾液を絡め先端を舐めながら、幽助。
螢子は溶けてしまいそうな快感を感じながら、言った。
「気持ち、悪いっ…!」
「あっ…そ」
幽助の頭部が下へ降りていく。腹部に唇が這った時、くすぐったさに身を捩る。
彼の髪が、肌をくすぐる。同時に温もりを感じ、あらためて触れられていると
実感させられ。
425 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:38:02 ID:PkIi2a8M
「やだっなにすんのよ!?」
ぐいっと両脚を持ち上げられ、流石に大声を上げた。
「なにって…触るんだよ。」
「そんな所触んない…でっ…!!」
触れられた。指でなく、舌で。
螢子の知る限り、そこは排泄行為を行う場所。
本来なら汚らわしく忌み嫌われる部位。
なのに。
「やっ… 舐めなっ…でっ!」
溢れる蜜を吸い取るかのように、幽助の舌が暴れる。
「嫌なの?俺はしたいのになぁ。」
秘所の産毛から覗く突起。心の中で『成る程』と納得。
噂によると、それはとても敏感なトコロらしい。
「あんまり…っ見ないでよっ…」
「あんだよ。意地わりぃなぁ。」
どうせこれからこいつを泣かすんだ。言いたい事くらい言わせてやろう。
そんな余裕を感じながら、初めて触れるそれに唇を寄せた。
口内に広がる『螢子の』味。舌先に感じる小さな芽。
それを弾く様に舐めあげると。
「あぁああっ…ぃやああああっ!ゆ、…け…っやめっ!!」
狂ったように腰を振り、大きく嬌声を上げる。
「やぁっ―――!!!」
幽助の髪をくしゃっと掴んだかと思うと、ぐったりと力尽きた。
大きく息を付く螢子に意地悪く話しかける。
「けーこぉ。イッたのぉ?」
嘲笑うかのようなその声に、弾くように反応する。
「ばっ…!!もう、馬鹿っゆーすけの馬鹿!!嫌い!!!」
言った後、螢子はしまった、と青ざめた。
からかわれた事に反応し、こんな時に考えなしの罵声を浴びせてしまうなんて。
「ごめ…」
何かを言いかけた螢子の言葉を待たず、幽助が口を挟む。
「なにぃ?なんだって?」
わざと聞こえなかった振りをし、「もう一度」と促す。
「す…き…。大好き…」
弾みで出た考え無しの言葉を、無かった事にしてくれる。
幽助のそんな気遣いが、とても嬉しい反面、自分の子供っぽさに辟易した。
「俺もだよ。俺を捨てないで?けーこちゃん。」
「…はいはい。なら、捨てられないよう頑張るのね。」
二人はどちらとも無く唇を合わせた。
ずっと、一緒にいようね。
言葉にはしないけれど、想いを乗せて。
426 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:38:56 ID:PkIi2a8M
「螢子、いい?」
「いい、わよ。」
キチンと避妊具を付け、再び螢子に覆いかぶさる。
「俺、さ。」
自身の先端を螢子のソレにあてがう。
「もっと帰ってくるよ。お前に会いに。」
そしてゆっくりと螢子の中に進んでいく。
「ぃっ…たっ…!」
彼の言葉に答えたい。なのに口から洩れるのは、苦痛の声。
「俺が付けた跡が消える前に、帰ってくるようにする。だから…。」
跡…?消える前…?どういう意味だろう。
必死に思考をめぐらそうとしても、痛みがそれを邪魔する。
「いつも、俺を想ってて?」
「あ、ぅっ…!あ、ぁあああっ!!」
想像を絶する痛みの中、幽助が優しい言葉をくれる。
幽助は快楽を貪りその腰を叩きつけ。
―ごめんな、俺だけ気持ちよくて―
心の中で螢子に謝りながら、快感に酔いしれる。
何度も螢子に口付けた。痛みが和らぐ事は無かろうが、何かしてあげたい。
「ゆ、すけ…っ?きもち、いい…?」
口付けの最中、少しずらした唇の端から、
微笑みながら問いかけてくる螢子をみたら。
「きもちい…っ!……っくっ…!!」
甘い香りがする、少し汗ばんだ螢子の首筋に顔を埋めながら、
最愛の女の膣内で、気絶するように達した。
あれから。何時間経っても、幽助は死んだように眠り。
フロントからの電話の音にも目を覚まさず。
仕方が無いので時間を延長したけれど、まだまだ起きそうに無いわね。
この調子だと宿泊になるかしら。
そうすると… あたしは料金を頭の中で計算し、絶望する。
あぁ、学生なのに…お金無いのに。
せめて半額返してもらえるまで、幽助は魔界禁止だわ。
あたしは重い身体を起こし、シャワーを浴びに行こうとする。
歩き出し、下半身の痛みに顔を歪め。
ついに幽助と一線を越えた跡。
あたしは少し嬉しくなり、鼻歌交じりにバスルームのドアを開けた。
鏡に、自分の裸が映る。せめてもっとスタイルがよければなぁ。
…ん?何これ?
あたしの首筋。虫刺され?痒くないけど?
あたしはよく考える。
俺が付けた跡が消える前に、帰ってくるようにする。
あたしはバスルームから飛び出し、幽助に飛び掛った。
片手に洗面器を持って。
「こんのエロ馬鹿〜!人から丸見えじゃないのよぉおお!!!」
いくら強くても寝込みを襲われると弱いらしい。
スカァアン と、小気味いい音が部屋中に鳴り響いた。
糸冬
427 :
幽助×螢子:2007/10/20(土) 13:41:45 ID:PkIi2a8M
長い長い話になり、ほんとすみません。幽×螢の二人に
会話をさせたらダラダラに長くなってしまいました。
私が書くと、どうしても男が意地悪に走りそうになり、
幽助はそんなこと言わないと何度も修正しました。
お楽しみ頂けたら幸いです。お疲れ様でした!
SS保管人様。
>>389のお願い聞いてくれて
ありがとうございました!いつもお疲れ様です。
幽助×螢子良かった!
GJ!!!
萌え要素な小ネタ考えておこう(*´д`*)
ごっつぁんでした!!
>>426 >「こんのエロ馬鹿〜!人から丸見えじゃないのよぉおお!!!」
コラコラ蛍子、「人から丸見え」じゃないと意味無いじゃないかw
萌えっていいですよねー
萌えると一日ウキウキしますよねぇ。
私の頭ん中は、一日中んな事ばっか。
>>429 wktkして待ってます。
幽蛍小説良かった〜すごい良かった〜
幽蛍は会話のやりとりが良いので長くても良いと思います。
はぁ〜セツナス〜
幽助×螢子
飛影×ぼたん
飛影×躯
飛影×雪菜
蔵馬(妖狐)×ぼたん
蔵馬×静流
桑原×雪菜
コエンマ×ぼたん
よくあるカップリングってこんな感じ?
たまには違うカップリングも見てみたいと言ってみるテスト
雷禅×温子とか(爆)
凄そうだねw雷禅×温子www
温子って微妙に食脱医師と風貌が似ていると思う。
でもこの二人がやってたら幽助もビックリだな
>>436 wwwそら驚くわwww
軽く凹みそー
新しいかどうかわからないけど、和真×静流(逆か?)の近親相姦などはどうだろう。いつもはどつきあいしているけど、心の奥底では信頼しあっていると思うから…静流は何気に弟思いだと…
>>473 それうちも考えたわwww
見たいんだけど、桑×雪好きなうちだからなぁ
あぁでも見たい気もするw
439 :
名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 15:45:13 ID:O+jqw+qt
乱童×ぼたん
マイナー過ぎか…
マイナーと言うより、
ちゃんと萌えれるだろうかwww
これはw
あるとしたらレイプになるだろなぁwww
美しい魔闘家鈴木×雪菜… とか?
ぼたんは蔵馬や飛影にはおかされまくってるくせに以外と幽助とは
やってないのな
>>443 なぜ鈴木がwww
それなら氷繋がりで凍矢の方がイイな〜
国の悩み等を相談するうちに、仲良くなっていく…なんてな
こっそり覗く飛影…
↑これはいらないか…
思い切って、桑原×螢子
純人間って事で…orz
幽助×ぼたんも結構好きだなぁw
鴉×静流トリートメントネタとか?(謎)
>>448 鴉×静流のトリートメントネタはエロくなるのか?
幽×ぼも良いね
関係ないけど棗のビジュアル好きだけど性格がよくわからないよね。中途半端に終わったから残念だよ。
カップリング酎じゃ誰も萌えないよね…
棗たんはわかりやすいツンデレでいいんじゃないかw
酎みたいなデレといたらちょうどいいつうか可愛い
幽ぼ密かに大好きなんだが公式が公式なだけに
捏造になんか気がひけるってのはあるな…
螢子がどうも苦手な私orz
幽×ぼの方が萌え度が増してしまう…or2
螢子万歳!
>>451さん、
蛍子嫌いな人多いよね。苦手ならしょうがないよ
私は幽×ぼも幽×蛍も好き
幽助ファンっていうだけ…
螢子苦手な人に聞きたいんだけど、どういうところが苦手?
なんて知りたい螢子はまぁ普通に好きな私なんですけど、
聞いちゃあ駄目なんだろーか? 螢子好きさんには衝撃的かな(汗
なんだろう…何が苦手って訳じゃないんだけど…orz
>>455 蛍子嫌いじゃないんだけど、落ち込んでる姿見るとなぜか気持ちが分かる様な気がする…
実は自分、ムクロ好きじゃないんだよね…
むちゃくちゃ嫌いなわけじゃないんだけど…口では言い表せない、微妙な感じ…
でもここの小説は楽しめました。
確かに蛍子は子供の頃苦手だったな
あらっぽい幽白キャラ達の中で
いきなり優等生すぎて気がひける感じ?
でもそれもアニメの蛍子が苦手なだけなんだよね
原作の蛍子は出るとこ出ててひくとこひいてて好きだ
456です。書き忘れた、ムクロファンの方々ごめんなさい
>>457 確かに、アニメと原作違うよね。蛍子も違うけど、飛影、蔵馬も違うと思う。
私はどのキャラも原作派だな〜
自分、アニメ見てないから、原作しか分からないんだよねえ。
原作で見ると、蛍子もムクロも好きだな。
ムクロ、自分は好きなんだけど、原作でも出始めの頃と「バースディ」の頃じゃ、性格もルックスも違っちゃってる感じがして。
自分は後期の母っぽいムクロも悪くはないが、前期の言葉数の多いムクロの方が好きだな。
長々語ってすいません。
>>459 記憶の共有とかしちゃったからもうあんまり喋る必要なくなったのかもね
というかこのスレに結構人がいたことにびっくりしたwww
なんか書いて下さい職人さん方!
自分でもエロの書き方勉強するぜ!
461 :
陣×ぼたん:2007/10/25(木) 09:52:26 ID:ywH86TwO
「ふう…、少し息抜きに外の空気を吸いに行こうかねぇ…」
暗黒武術大会を観察する際にホテルのチェックインを済ませ、ぼたんは
出入り口の外へでてあまり遠くへ行かないように近くを散策した。
「……とは言っても、ここの空気は良いものじゃないわねぇ」
微量にチリチリとする空気。周囲は黒い雲に覆われている。
魔界の者と人間界の者がやりあう闘技場付近だからこそ、なんとも言えない
殺気立った雰囲気は隠せるはずも無い。
ガサッ…
原っぱを大きく掻き分けられる音が聞こえた。
「だ、誰だい!?」
ぼたんはピクリと震えた。
仲間の内の誰かなら安心だけど、知らない人なら少し不安だからだ。
厄介な相手じゃないと良いけれど……と思いながら、一点に目を懲らしめる。
「……よお」
声は聞き覚えるある声だった。
影の姿がはっきりした時、ぼたんは少しだけホッとした。
「なんだぁ…、確か……陣……だったかい?」
胸を撫で下ろし「ふぅ…」と大きく息を吐く。
「うん、そうだ。人間の女って面白いな。必要以上に警戒しているって感じでさー。
そんなに気になるなら、誰の気か察知出来るくらい鍛えれば良いじゃん」
「………」
ぐさり、と的を突かれた気がする。
「ふぅ…ん。お前、幽助の仲間だったよな?名前は?」
陣はニッとあどけない笑顔で尋ねてくる。
それに戸惑いつつも、この人は大丈夫だろうと名前を教える。
「ぼたんだよ。……ちなみに、あたしは人間界の女じゃあ無いさね。
霊……ッッ!!!」
そこで我に気付く。霊界の者というのはタブーだと思うからだ。
霊界の者と言って快く思う魔界の者は数少ないと聞く。
けれど静止した声を気にせず、陣はこちらに近づいてくる。
「……!?」
いきなりキスをしてきた。
唇を離した後、陣はこう言ってきた。
「人間界の女とこういう事するのって初めてなんだ〜。お前、決まっている
男が居そうにないし、良いだろ?俺はぼたんの事を気にしてたしさ」
やった行為に悪びれもせず、屈託の無い笑顔で問い詰められる。
「う……、あんたっっ!!」
呆然と妙な空気に威圧され、顔を真っ赤にして言いたいけど言えずにいるぼたん。
「な、俺ぼたんが気に入った。一緒になろう」
「んん……」
再び口を塞がれ、咥内を貪られる。
舌がべったりと張り付くような感じに迫られ、息がし難くい。
「ぁ……ん……」
いきなりの告白宣言?で一瞬ドキッとした乙女心が刺激の一旦になったのか、
妙な気持ちになり甘い痺れを起こして身動き出来なくなる。
そして唇が離れた隙を狙って、大きく引き離そうと強く陣の胸元を押した。
「やぁぁっ!!」
突き放し、ぽたんは唇を手で拭い涙を溜め込みながら振るわせた。
「………」
陣は少し悪い事をしたような罪悪感を抱き、ぼたんをぎゅっと抱き締める。
「ご、ごめんよ。……女を手に入れる事で肝心なのは強引さって聞いたものだから」
言い訳にならない言い訳で弁解をしようとするが、そんな事は伝わらない。
「痛くしないから……」
そう言い、陣はぼたんを離すまいと必死で抱き締めた。
ぼたんは手に力を込め、強く引き離そうとしたが上手く離せずにいる。
――あたしは、どうしたら良いんだい……?
いつもなら抗うぼたんだが、今日は少しいつもと違っていた。
抗おうと思ったが潔く諦めてしまう自分がいる。
↑陣×ぼたんって入力漏れた。
そして続きが考えられない。というかこの組み合わせもアリエナイ的??
>>463 アリエナクナイよ!
新鮮なカプは新鮮な気持ちで楽しめる。
続き頑張ってほしい…
461-462
ごめん。陣って一人称オイラとか言ってた気がするのにSSで誤まって
勘違いして「俺」となってる事を詫びる。
「あははっ 今ぼたん、
びくってしたべぇ?
ここ、いーだべか?」
是非ともこの台詞を使ってくださらんか…!
ちなみに陣の一人称は「オレ」
であってます!喋り方は
DBのごくーさみたいな?
続き待ってる、超待ってる
>>448 「ほぉ、人間にしては美しい髪だな」
「あんたこそ妖怪の割にいい髪してるじゃないか。今度カットモデルどう?」
・・・こんなん?w
何故か静流がミス・パンティストッキングで浮かんでくるw
ボスケテwww
温子「ふっ… 酒だったら
あたしの方が強いわよ!」
酎「へっ!勝負するか!?」
とか
ここ初めて来たけど、コエンマ×ぼたんにすっごい萌えた。
もっと読みたいです。
桑原雪菜と幽助螢子の寿命の問題も思いけど、それ故に愛情が心に染みるね。
>>470 酎、温子さんに負けたりして…
幽助に負けた時と同じように頭から倒れる酎…
幽助好き
>>474です。書き込みが出来なかったので、試しがきです。意味無いですから。
誤爆スレでやってくれよwww
>>468 これは無理すぎるwww
しかし、誰かに挑戦してほしい気もするwwww
幽助大好き
桑原大好き
つか、最近動画を観てまた幽白にハマり始めました!
個人的に、コエンマ×ぼたんが好きだぁ。
しばらくぶりに見たら何か凄い事に!新スレになってから桑雪がぽつぽつとあって嬉しい狐の戯言な人ですこんばんは。
相変わらず規制激しいので携帯投下でございます。
>>448 OK、復帰ついでにその台詞頂きました。
そこは闘技場の一角。ほぼ禁煙者の中、唯一の喫煙仲間の温子は客席で酔い潰れてぼたん達に介抱されているのを横目に、
ちょっと一服してくるとだけ言って出て来た、単にそれだけの事。
目の前にいるのが結構美形な男で、綺麗な髪をしているので煙草に火を点けながら思わず、見惚れてしまった。
思い切り見ていたせいか、その相手が急にこちらへと振り返ったもので、視線を逸らすタイミングをずらしてしまい、
ライターを取り落として慌てて拾って顔を上げた時。さらりと流れた自分の髪を、誰かが持ち上げ、呟いた言葉。
「・・・・ふむ。人間にしては美しい髪だ、女」
髪の端を持たれたまま誰なのかと思って髪の先から視線を流せば、先程見惚れてしまっていた、黒髪の男。でも、そう言えば。
「あんたこそ妖怪の割にいい髪してるじゃないの。美容師の卵にカットモデルさせる気は無い?」
クス、と笑いかけながらその相手の髪を持つ。もう片手には、火の点いた煙草。―確か、記憶が正しいなら、こいつは。
「ウチの弟はちょっと癖ッ毛でつまらないしねぇ、アンタみたいな良い男にだったら挑戦してみたいんだけど」
確か、戸愚呂チームとかって言ってたトコの。
「弟?この会場で、そんな連れがいる人間など聞いた覚えは無いが」
マスクと長い髪であまり判らない表情が微妙に傾いたような気が、した。
「ウチのバカ弟はちょっとここに出てるヤツだよ、えーと。鴉?だっけ、アンタ」
「なるほど。貴様が美容師の卵なら、その弟の仲間の一人。髪の長い奴のトリートメントをしてやってくれ」
長いの?と問い返す間も無く、鴉は静流の指から煙草を抜き取ると軽く顔を背けて、恐らく一服したせいでその角度からは
煙がたなびくのだけが見えても、戻された顔はやはりマスクを着けたままで。
「もう少し軽い煙草にしておけよ女。貴様のような髪の人間は珍しい。人間の髪は・・・痛みやすいからな?」
クク、と小さく嗤いながら鴉は呆然とする静流の指に煙草を戻し、踵を返すと陰から現れた鎧の男と一緒にその場を去って。
「あー、蔵馬君の事かな?ちゃんと名前位言ってけ・・・」
と呟いた所で思わず煙草に視線を落とす。さっき、たなびいた煙は明らかに吸わないと出て来ない類のモノで、要するに、
「これ、吸ったら妖怪と間接キスとかって騒がれそうだね」
ふっと静かに笑うと、静流は煙草を吸い始める。その頭の中は、どうやって蔵馬にカットモデルを頼むか、
それを既に考え始めていたりして。
大会が終わって、しばらく経った頃に蔵馬に静流から呼び出しがかかった。待ち合わせ10分前に行ったのに、
彼女は既にそこにいたりして、思わず弟の差をさり気なく考えてみるのは狐の本性か否か。
「どうも、静流さん。お待たせしました、何の用でしょう?」
にこやかに声をかけても、煙草の箱をじっと眺める彼女は顔を上げない。
「俺、待たせちゃいましたかねー」
しらっと言って、少し自分よりも背の低い彼女の顔を下から覗くように、体を曲げる。
「蔵馬君」
「はい?」
「練習したいんだ」
「俺で良いなら。で、何をでしょう?」
「髪のトリートメント、させて」
「だが断る」
思わず脳裏に首筋を触った変態マスクが浮かんで、反射的に断ってから慌てて静流の顔を覗き込む。女の感情はいかんせん、
狐でも読み辛い物だったりするのがまた大変で、困ったりするのです。
「ん〜・・・いや、断られてもいいか、と思ってたし。とりあえず顔上げなよ」
はい、と返事をしながら煙草の箱と自分を交互に見る彼女を訝しげに、思わず見つめてしまう。
やっぱり、弟と同じ血が繋がってるとは思えない人だね、と脳内で密かに呟いてしまうのも、狐ならではの癖か否か。
「決勝戦のさ、黒い髪の・・鴉って奴。アレに何か言われた?トリートメントって言葉で動揺してた気がするんだk」
「何もありませんよ?」
言葉途中に、きっぱりとにこやかに、普段の蔵馬らしからぬ位の勢いで否定の言葉を紡ぐ。そして、その後に彼女の髪を
一筋手に取り、その手触りを確かめてから今度はいつもの彼らしい笑みを浮かべて。
「俺の方がトリートメントが上手かもしれませんよ?今度、してあげましょうか、静流さん」
そう言って髪の先から手を離すと、手土産に持っていたビニール袋を持ち上げて今度はニヤリ、と。
「ま、とりあえずここから先はお酒でも酌み交わしながらどうですか?」
「蔵馬君、一応まだ高校生でしょうが」
「決勝前夜に美少年とか持ち込んで来た人がまた、何を言いますか」
まぁまぁと笑いながらさり気なく彼女の肩に手を回し、餌をとりあえず手にかける勢いで狐はひっそりと嗤う。
―俺、好みの女性の髪の手入れ位は気にかけるんですけれどね、鴉。
そして気付いたらちょうど良かったんでこのスレでもやっぱり483を取ってしまう自分がもう笑うしか無い…orz
はい、済みませんしばらく見てませんでした。ちょっと煮詰まってるんで幽白で何か書くかなー。
賑わってるトコに妙なの投下する癖だけ治らないです。ふへ。
>>481 ありがdw
トリートメントネタ振って良かったぜぃ(セリフはうちじゃないがw)
もうどんどん書いちゃって下さいw
GJ!!!
>>483 wwwwワロタwwww
面白い小説ありがとう!!GJーーーーーーー!!!
「だが断る」wwwww
露伴化する蔵馬ww
漫画で読みてー
セリフ書いてみてよかったwwありがとうww
_・)チラ |彡サッ!
3スレ目の蔵馬(狐)と静流から妄想して書いてみた。
なんか糞長くなっちゃった。
15レスほど続きます。
ドゾー↓
ピンポーン
乾いた陽気な音が響く。
ピンポーン
応答はない。
ピンポンピンポンピンポン・・・・・・
無機質なドアの横に素っ気無くテープで張られた「南野」の文字。
10月の少し冷えた空気の中、静流はなかなか出てこない家主へインターホンを鳴らし続けていた。
後ろ髪を結わえ、サスペンダーを掛けたショート丈のパンツから伸びる長い足をロングブーツで覆っている。
少し大きめのワイシャツが彼女らしい気だるげな雰囲気を漂わせる。
平日の夕方18:00。
会社から真っ直ぐ帰宅していれば家にいるはずの時間。
「何してるんですか?」
背後から降った声に驚きもせず仰け反って答える。
優しい白のニットが視界に入った。
「嫌がらせ」
逆さまに映る青年は、柔和に微笑んで静流の額をペシリと叩く。
いらっしゃい、の意味をこめて。
淡い色のダメージデニムが良く似合っていた。
――悪趣味なお出迎えね
突然の来訪にもかかわらず、全く動じていない上に後ろから気配を消し、近づいてからかう。
少し不機嫌になる静流に構わず、その手に握られたビニール袋をかさかさと覗き込む。
「ラム、ですか?」
「そ♪美味しいのよこれ」
「サカパ、でしたっけ?飲んだことはないですけど」
「貰いモンだけど、こんないいお酒一人で呑んじゃもったいないと思ってね」
ビニール袋から手が離れどうぞ、とドアを開く。
ベッドと二人掛けのソファーに小さめのテーブル、ベランダ付の窓際に観葉植物が二つ並べられている。
本棚には隙間なくきっちりと小説や洋書が並べられている。
生活の匂いはないけれど、微かに人の住む気配がある。
不思議と心を落ち着かせるオフホワイトの空間。
少し広めのワンルーム。
これが一ヶ月半前からの蔵馬の住まいだ。
静流一人でここを訪れるのは二度目になる。
「お酒作るからさ、座っててよ」
蔵馬をソファーに押し込めて静流はキッチンに立つ。
小綺麗に整ったキッチンを眺めて思う。
―料理とかするのかな?
一人暮らしなのだから多少は出来て当然だとは思う、が
調味料は塩とコショウと砂糖のみ。調理器具は手入れして、ではなく未使用でピカピカの状態。
―してなさそうだねぇ
思わす苦笑する。
蔵馬はそれに気づいて、決まりが悪そうに頭を掻きながら声をかけた。
「引越しからずっと忙しかったんですよ・・・・・・」
「はいはい」
グラスは食器棚に丁寧に並べられていた。
笑いを交えた声で静流が受け流す。
「ちゃんと食べないとダメよ?」
「うーん・・・・・・努力します」
―作りに来ようか?
喉まで出かけて、言うのを止めた。
健気を装った打算的な女のようで厭だ、と思ったからだ。
蛍子や雪菜のように見るからに健気な気性の娘なら、ひどく似合ったことだろう。
―我ながら可愛さのかけらも無いね
自嘲気味にため息を吐き、手を伸ばしてグラスを取る。
「静流さんが作ってくれませんか?」
心を読んだように、ソファーから声が届く。
「へ?」
間抜けな声とともに、指から力が抜けてしまった。
ガラスの割れる繊細な音が響いた。
「ごめ・・・・・・すぐカタすから」
慌てて片付けようとした静流の左の人差し指を欠片がかすめる。
「っつ!」
白く捲れた薄皮に、鮮血が滲む。
「大丈夫ですか?」
―何やってんだろ、私。こんなことしに来たんじゃないのに・・・・・・
フローリングにに紅い点を垂らしながら、静流は今日ここに来た理由を思い返す。
瞬間。
音もなく、背後から手が伸びて左手を掴んだ。
「あ」
声が喉から出る前に指先はそのまま、蔵馬の口内へ。
静流は唯、傷口から熱が拡がって行くのを感じるしかなかった。
その熱が痛みなのか、蔵馬の温度なのか、それとも別の感情的な「何か」なのか。
唯々、指先の熱、それだけを感じた。
一方で、蔵馬は鋭敏になる感覚と本能を表層に漏れぬよう押さえつけていた。
舌の上に在る静流の指。
そこから流れる、鉄の匂いの甘いモノ。
「妖狐」という姿の本能は表皮一枚のところで留まっている。
しかし、感覚は戻りきっていて少しでも揺さぶられたら一瞬で戻ってしまいそうだった。
指から口を離して、丁寧に絆創膏を貼り付けグラスを拾い集める。
「・・・・・・指は商売道具でしょう?気をつけて」
平静を保っているかのような言葉を吐こうと努めた。
言葉で繕おってしまいたかった。
当たり障りのない言葉で濁して、静流を、自分の感覚を、どこかぎこちない二人を、誤魔化してしまおうと。
「あ、ありがと」
思い出したかのように、静流は指をさする。
そして、何事もなかったかのように微笑む。
その笑顔は蔵馬の言葉と同種の不自然さを帯びてはいたけれど、とても優しく暖かい。
「さ、飲もう?」
グラスに氷を転がし、トプトプと飴色を注ぐ。
問答無用でロックだ。
差し出されたグラスを受け取り、軽く回す。
―何故だろう?この女を前にすると
「はい、乾杯♪」
静流は笑顔でグラスを鳴らして、一口含む。
―何故・・・・・・こんなにも
静流の鼻腔にカラメルの香りが届く前に、
その細い喉が40度のアルコールを感じる前に、
―自分が……揺らぐ
獣のように、
「んぅ……!?」
その唇を塞いでいた。
彼女がグラスを落とさなかったのが奇跡と言えるほど、激しく。
そのまま、舌を捻じ込む。
少し、煙草の香りがする。
静流の口から注がれる、唾液と体温の混ざったRon Zacapaは甘く、熱く、蔵馬を痺れさせた。
噛み付くようなキスに戸惑いを感じた。
後ろ手にグラスをまな板の上に置いて、両手で蔵馬を抑える。
頬を包み、髪をくしゃくしゃと掴んで。
しかし、腕が力強く腰を引き寄せる。
「……っは、まっ……ぅんっ」
息継ぎも、休止の言葉も許されない。
激しい口付けに、与えられる悦びに、身体が震える。
シャツの中に冷たい手が侵入したところで理性が身体を動かした。
蔵馬の肩を押して顔を引き剥がす。
「はっ……ぁ、ど、どうしたの?急に」
改めて、頬を摺り寄せ耳元で囁く少年のような声。
「……だめ?」
甘えるような、ねだるような、確信犯のその声。
わかっていてもじくりと疼いて、溢れだす。
「だ、だめじゃないけどっ、んぁ……」
首筋を、舌が這う。
「じゃあ、問題ない」
――問題、ない
味も素っ気も無い言葉を頭の中で繰り返す。
全てが急激に冷えていった。
指は遠慮なく、背筋を辿る。
―違う!こんなことしに来たんじゃない
「まっ……って!ってばぁ!」
今度は思い切り、身体を押し返す。
押された胸に目線を落として、流れるように首が動いて静流に視線が刺さる。
―後悔した。
その目は鋭く強く静流を捕らえているのに、表情は拒絶されて傷つく子供のようだったから。
しかし、すぐに顔が歪む。
「最初に誘ったのはお前だ」
先程の甘い声が幻想に思えるほど、唸る様な、威嚇するような声だった。
そう、最初に求めたのは静流だった。
視線から逃れようと顔を伏せる。
静流自身、戸惑っていた。
初めは好奇心みたいなものだった。
人のカタチをして、ヒトじゃないものを隠したその男。
ヒトではない姿をもう一度見たい、と思った。
初めて見たその瞬間、欲求が生まれた。
低く通るその声で、もう一度名前を呼んで。
その、長い爪の指で触れて。
薄い唇で、キスをして。
けれど、それが恋愛感情なのか、ただの欲望なのか分からず衝動のまま動いてしまった。
今日、会えばそれが分かるかもしれないと二度目の奇襲を決行した。
そうして、彼を傷つけた。
「お前に拒否する権利はない」
その言葉で、まとまらない思索をやめて顔を上げた。
喉元に指が絡む。
「は、くっ……」
「お前は俺じゃなくてもいいんだろ?」
指に力がこもった。
その言葉に激しく、違和感を覚えた。
―違う!!
決してそうではない。
言われてはっきりと自覚する。
欲望とは違う、一つの感情。
「出て行け」
指をほどき、冷徹に言い放って背を向ける。
あまりに余裕のない、普段の彼らしくない振る舞い。
その蔵馬の輪郭はどこと無くぼやけて見える。
耐えるように、自身の腕を掴んでいる背中は錯覚ではなく、現実として陽炎が立つように揺らいでぼやけている。
静流がこの現象を目の前で見るのは、二度目。
必死で自らを抑え込むその背中。
―違うのに。君でなければ意味がないのに。
苛立ちと想いが募った。
「秀一」の姿を保つのがやっとだった。
伝説とまで言われ、霊・魔界で名を知らぬものはいないほどの男が、人間の小娘一人に振り回されている。
蔵馬は苛立ちと、後悔と、自嘲の中で震えていた。
出て行けと突き放さなければ、静流を殺していたかもしれない。
ギリ、と奥歯の根が鳴る。
握っている腕の皮膚が今にも破けそうだった。
なんて身勝手な言い分。
――求められて嬉しかったくせに。
静流の気持ちも体もすべて欲しいだなんて、自分の欲深さに吐き気がする。
自分で自分を殴りつけたい気分だった。
そう、思った瞬間。
蔵馬の肩に暖かい手が乗った。
「っ!早く出てっっ!?」
言い終わらないうちに、静流の拳が左頬にインパクトした。
「っなっ!」
「勝手に人の気持ち、結論つけないでよ!」
泣いている。
頬の痛みよりなにより、静流の涙が衝撃的だった。
あまり、感情の揺らぎを見せない彼女が。
ぽたぽたと落ちる涙を拭うことなく、蔵馬を睨み付けて泣いていた。
「っ私だって、わかんなかったのよ!でも、もう一度会ったらって、だ、抱かれたらわかるかもって」
静流は叫ぶように言葉を、感情を吐き出していく。
「でもっ、それでもわかんなくて、もう一度会わなきゃ、伝えなきゃって」
静流が言葉を紡ぐ度に、蔵馬の胸が熱くなる。
妖気が変質していくのが感じられた。
「い、今更だけどっ蔵馬君の気持ちも知りたいって、そう思ったから来たの!悪かったわね!弟と一緒で馬鹿なのよ!」
言い終えてなお、真っ直ぐと目を逸らすことなく、涙を流すままにして静流は立っていた。
泣きながらも強く強く答えを望んで。
そんな静流を包み込んだ長く白い腕は、既に人間のそれではなくなっていた。
体温の低い、青白い腕。
やさしい白だったニットが、目に刺さるように真っ白な布に変わっている。
「俺の気持ちなんて、ずっと決まってた」
低い、透き通るような声だった。
サラサラとした銀髪が、泣きぬれた静流の顔に吸い付く。
「好きだよ、静流」
―激しくて、愚かで、愛しい。必死に、俺を愛してくれる女。
そう、ずっと決まっていたのに。
心の底では、ずっと彼女を求めていたくせに。
ずるいのは自分。
言わずに、流されるまま彼女を抱いた。
意を決して一人で来た彼女を欲望の捌け口にしてしまったのは自分ではないのか。
「すまない」
―長い間、伝えられなくて
一段と強く抱きしめる。
「なんで?」
耳元でスンと鼻をすする静流はなんだか子供のようで、とても愛しい。
謝罪の意味を知ってか知らずか、言葉を綴る。
「私も好きよ。君じゃなきゃイヤ」
―ああ、その言葉を待っていた。それが知りたかったんだ
静流の腕が蔵馬の背中に回る。
「言われて気づいたわ」
笑って頬をすりよせた。
あ、と思い出したように体を離し、静流の手が蔵馬の左頬を撫でた。
「殴ってゴメン。痛かったかい?」
蔵馬は言われて痛みを思い出す。
「いいストレートだった。弟より筋が良い」
悪戯っぽい笑みを浮かべて手重ねた。
目が合って、たまらず二人でクスクスと笑い出す。
「なんか、バカみたいだねぇ」
「だな」
大人ぶって、誤解して、遠回りして、結論に辿り着く。
それはまるで余裕のない子供のようで、愚かしい。
けれど、確かにそこに特別な感情が在った。
順序を違えたとしても、想いはずっと同じかたちで。
蔵馬はふわりとベッドに腰掛けて、口角を上げて笑う。
「さて、どうする?」
開き直ったように、余裕ぶった態度が小憎らしかった。
静流はベッドにひざを乗せ、蔵馬の首に腕を絡ませる。
「どうしたいんだい?」
視線が絡むと柔らかい笑みがこぼれる。
キシ、とベッドが音を立てるのと同時に、唇が重なった。
やさしく、淡く。
「ん」
一度、離れると先程の熱を思い出したように強く、唇を噛み合う。
ただそれだけの行為を、中毒のように繰り返す。
何度も、何度も。
それだけで全身が暖かく包まれるような幸福と、身体の奥が溶けてしまいそうな快楽を得られる。
もう一度、薄い唇を喰む。
―ああ、でももっと・・・・・・もっと、もっと
息が詰まるほど、切なくて、愛しくて。
もっと交わりたいのに、重なりたいのに、この瞬間も続いて欲しい。
思わず、静流から舌を併せる。
ギ、とベッドが強く軋んだ。
蔵馬はしっかりとそれに応えながら、静流を支える。
舌の裏側を絡めあうだけで背中に走る快楽。
やわらかく交わる粘膜が、甘く脳を痺れさせる。
一度、冷めた体がまた疼き出す。
蔵馬の皮膚は少し冷たくて、触れるとそこだけ熱がこもる。
その舌は柔らかで、少しだけあたたかい。
それが静流には嬉しかった。
もっと、その熱を感じたかった。
ゆっくりと舌を解き、唇を甘噛みして離れた。
混ざり合った唾液を互いの指でやさしく拭う。
伏せていた視線が再び絡む。
「もっと・・・・・・」
熱っぽく蕩けた声で求めた。
もう一度、舌先のキスを交わしながら静流の指は白装束の下に滑り込み蔵馬の肩を掴む。
白絹は簡単にはだけて落ちた。
応じるように蔵馬の手はシャツの中に忍び込んでたくし上げた。
冷たい手がやさしく柔らかい肌の上を滑る。
熱を帯びた白い肌。
深翠のシルクと濃紺のレースが良く映える。
それに包まれた美しい丸み。
蔵馬はそれを覆うように手を沿わせる。
細い肢体にのった豊かな乳房は柔らかく、心音が指先から伝わって妙にこそばゆい。
静流はもう片方の肩から布を落とし、蔵馬は背に回した手でそのふくらみを自由にする。
微かにふるえたのを指先で感じ取ると、蔵馬の舌は静流のそれを離れて耳元から首筋へ。
静流の耳に届く、少し乱れた低い吐息。
それにあわせて肌の上を流れる舌と唇。
丁寧に鎖骨のラインを辿ったところで、ちぅ、と音を立てる。
「っ!だ、め」
蔵馬は唇を離すと自分の残したその痕を満足げに指でなぞる。
その指はゆっくり下へもどり、求めるように屹立した乳首を捕らえる。
「ふ・・・ぅん」
細い眉を歪めて、下唇を噛んで声を殺していても喉の奥から刺激に耐える声が漏れる。
普段より高く、甘えるような熱を帯びた声。
もっとその声を、と蔵馬の唇はもう片方を含む。
「んっ・・・・・・や、やダ」
言葉とは裏腹に静流の指は蔵馬の首元に強くすがりつく。
―ほら、もっと
舌で舐めあげ甘噛みし、つ、と強く吸い立てる。
「んんぁっ・・・」
静流は子供がむずがるように顔を反らす。
「嫌、じゃないだろ?」
硬く張った乳首から口を離し不敵に口端をあげて、しかし嬉しそうに笑う。
答える代わりに恥かしそうに、やさしく微笑む。
蔵馬は満足そうに目を細めて笑い、確認するようにその指をするすると下肢に伸ばしていく。
味わうように、焦らすように大腿の裏側から触れるか触れないかの距離で撫で上げる。
その距離がもどかしくて、静流は思わず口にする。
「・・・・・・触っ・・・て?」
―何、言ってんだ私
恥かしさに視線を反らす。
しかし視界の端で狐の嬉しそうな顔を捕らえてしまう。
無邪気な子供のようで、どこか妖しい笑顔。
―かわいい、なぁ
想いを現すように蔵馬の頭をくしゃりと撫でた。
その笑顔に気を取られていた。
指がショートパンツのボタンを外し中に忍び込む。
上と揃いの深翠のショーツ。
その中央、身体の真ん中はさらに深い翠で染みを作って誘う。
その上に、指が乗る。
それまでと違う、はっきりとした刺激。
鮮明な快楽。
「っんん!んっぁあ・・・んっ」
静流は弾けるように身体をくねらせる。
役割を果たさないショーツの上から蔵馬は指を押し付ける。
「静流」
ふと顔の距離が縮まって溶けたような低音が囁く。
静流の耳元に息がかかる。
「やらしい」
顔が火照るのが分かった。
同時に、溢れ出すのも。
耳元を舐めあげて、続ける。
「なぁ?静流?」
甘えるみたいな声で。
「俺のこと考えて、ここ触ったか?」
指はショーツの脇から入り込んで濡れた肉をなぞる。
「ひぁっ、んっ」
「一度でも、俺のこと想って一人で『した』?」
一層、にじみ出る。
「答えは?静流?」
舌は耳元に吸いつき、指は快楽のポイントを外して撫で付ける。
「っく、わかってる・・・・・・くせにぃ」
「静流の口から聴きたい」
考えない訳がない。
想わない理由がない。
一度、知ってしまったから。
蔵馬の指を、蔵馬の声を、蔵馬の体を。
「・・・・・・った」
消え入りそうな声だった。
「聴こえない」
指がひだをかき分けて止まる。
―嘘つき・・・・・・意地が悪いったらないね・・・・・・。
「っく・・・・・・・・・・・・さわ・・・った」
恥かしさで涙目になりながら声を絞り出すようにして答えた。
「したよ!しながらっ・・・ずっ、と・・・!はっ、想ってたっ・・・」
耳元で喉を転がすようにくくっと声がした。
「嬉しいよ」
心底、嬉しそうに言うから許してしまいそうになる。
――ずるいよ、そんなの
ぷつり。
長い爪が静流の中に埋まる。
「っはぁあぅ・・・んうぅ・・・」
胎の底を掴まれたような切なさに、静流はたまらず喉を反らせる。
柔らかに濡れた中は蔵馬の指にしっかりとまとわりつく。
爪先でざりざりと内壁を擦る。
静流の弱い場所だ。
「やっそこ、っん」
「知ってる」
そう言って妖怪らしい妖しさで笑う。
中指がこぷこぷと音を立てながら遊んで、親指は器用にクリトリスを弄る。
静流は思考をもぎ取られ、感覚だけが敏感になっていく。
「そ、ふあっあ・・・・・・ん、な笑い方は・・・・・・嫌いっ、だよ」
「それは嘘だ」
また笑う。
余裕たっぷりで、憎らしく。
「でも、ちゃんと答えたからご褒美をあげないとな」
蔵馬は静流の腰を抱えあげて膝立たせ、枕に座らせた。
指を引き抜いて、静流が垂らした液で用を成さない下着とサスペンダーを外したショートパンツを下ろす。
熱で溢れた粘膜は空気に触れると冷され、静流は少しだけ震える。
震えた大腿に空気より冷ややかな手で触れて開く。
唇が大腿に触れる。
それが静流に次の行為を想像させる。
「っや、だっだめだって!そんなの、しなくていいよ!」
ちゅ、と音を立てて赤い痕を滲ませる。
せめてシャワーを、と抵抗する静流を薄い色の双眸が見上げる。
「静流」
なだめる様な諫めるような声で呼ばれると、何もいえなくなってしまう。
「ごほうび」
真っ白な皮膚の下に薄紅い血の色。
熱い、静流の肌。
乱してしまいたい。
俺のことしか見えないくらいに。
その思いのままに、整えられた茂みに口を寄せた。
「ひっぁあ!ッつ・・・・・・んくっんん!」
外側の襞から舌を這わせる。
丁寧に、獣のように、上品に。
舐めあげて、押しつぶして、差し入れる。
ち、ち、と粘膜の絡む音がした。
「んっ!んん・・・ふぅ、くぅぅ」
つぅ、と舌が糸を引いて離れる。
シャツを咥えて声を抑える静流に蔵馬は不満そうに言う。
「声、殺さなくていいから」
「っ!だって、隣とか・・・・・・」
「いいから」
―もっと、聴きたいんだ
蔵馬はシャツのボタンを外して静流から奪い取ると、また行為に耽る。
クリトリスを唇で吸い上げながら、人指し指で中を擦る。
指先からクチクチ音が立つ。
「だめ・・・ん、く、ぅ・・・や、だぁ」
―しぶといな・・・一本じゃ足りないか?
中指に唾液を塗して、容赦も遠慮もなく突き入れる。
「ぅくっ、ふあっ!くぁ、やぁん」
頼る物がなくなった静流の口からは高い嬌声が垂れ流される。
耐えられない、と言う様に銀色の髪を掴む。
蔵馬は満足そうに目を細めて、いっそう強く吸い立てる。
その舌に力をこめる。
指が速度を上げる。
快楽の波に、静流の身体がはねた。
「っだめぇえ、やあぁっあっ蔵馬くっぁあ」
静流の視界は白く、濁る。
こぽ、と音を立てて愛液が溢れて蔵馬の指を伝い落ちる。
指を抜こうとすると、内膜が『離れないで』と求めているようにしっかりと絡みついて締めつける。
惜しむようにゆっくり指を抜くと逃げ場を得た液体が流れ出る。
それを丁寧に舐めとって飲み下す。
「ふは・・・ぁん。もぉっ、やだって言ったのに」
くしゃくしゃに乱れた髪をほどきながら困ったように言う。
頬は紅潮して目は潤んでいて、それは説得力の欠片もなく、むしろ誘っているようですらある。
頬に付いた愛液を拭って意地悪く笑ってみせる。
「いらなかったか?」
欲しくないか?もう終わりにするか?と蔵馬は意地悪く聴く。
「だぁめ。もっとよこしなさい」
まだまだ欲しいもの、と首元に縋り付き、静流はとびきりの甘い声で囁く。
「それに」
ふわりと微笑を作って続ける。
「終わりに出来ないのはどっちかなぁ?」
腹筋の線を辿って指を下衣をほどく。
はっきりとした硬さと熱を持って主張する男性器に触れた。
「・・・・・・!」
突然の反撃に一瞬、端正な顔だちが歪む。
反射的に身を引こうとする蔵馬の首に絡めた腕に力をこめる。
「こんなになってるくせに。素直じゃないねぇ」
カウパーを指に絡めて舐めあげる。
その姿はこれ以上ないほど扇情的で挑発的だ。
「ねぇ?もっとちょうだい?」
胸の上で細い指が踊る。
ほどかれた髪の毛から甘い香りが立って鼻をくすぐった。
「いらないと言われてもくれてやるさ」
やわらかく微笑んで、薄紅の頬を包んで唇を重ねた。
互いの粘膜が舌の上で混ざる。
蔵馬は静流の腰を持ち上げて、ゆっくりと座らせるように柔らかな肉に自身を送り込む。
しっかりと絡み付いて、まるで彼のためにあるように収まる。
その快楽に思わず嘆息が漏れる。
「はっぁ」
「っんんぁあ」
その体に蔵馬をすべて飲み込むと、静流は幸福そうに目を閉じて体を震わせる。
「や・・・ば、何これっ気持ちぃ・・・」
「ヤバい、な」
触れ合ったところから熱が伝わって、互いが溶けて混ざってしまいそうな錯覚を覚える。
「ん・・・動く、よ」
「あぁ」
静流の腕に力がこもる。
ゆっくり、ゆっくり確かめるように、腰をくねらせる。
蔵馬はただ、静流の髪をするすると撫でていくだけだ。
「んっ、・・・っんで、焦らすのっ・・・うご・・・って」
「嫌だ。もっと味わいたい」
その体温、甘い香り、繋がっているという確かな幸せを。
愛しい。
肩と腰にかかるその重みが、快楽に潤む瞳が、柔らかに通るその声が。
その、存在が。
静流は汗で吸い付く肌を蔵馬に絡めてねだる。
「も、とっ・・・おく、欲しいぃ・・・んっ、ごいてよぉ」
内壁をもうねらせて欲する。
唇を、舌をねっとりと交わらせる。
それだけで意識が飛びそうな快楽が襲ってくる。
「・・・・・・お願い、は?」
「もっ・・・・・・ホンっト、素直じゃない!」
子供みたい、と静流は笑う。
「でも、好き」
首筋に唇を寄せて言う。
「そういうとこも全部。おねがい。全部、ぜんぶちょうだい」
にぃ、と口端を上げて狐が笑う。
静流に見えないように。
じっくりと奥をえぐるように腰を突き上げる。
喉元まで届きそうなほど、激しく、打ち付けられる。
「ぅあっ!」
更に、もう一度。
「んぅ!」
何度も。
「つっ!ふっくぁあん」
喘ぎとも叫びとも言えない声が喉から絞り出される。
ちゅ。くちゅ。
声と一緒に吐き出される甘い水音。
そのリズムに合わせて静流の腰が揺れる。
「・・・る、静流、静流・・・!」
うわごとのように耳元で名前を呟く。
「んっあぁ!す、き、もっと・・・・・・!」
離れていきそうな意識を捕まえながら、想いを口にする。
激しい突き上げに言葉が紡げなくなっていく。
「もぉっ、いっ、くぁ、くぅん」
口を閉じることさえ儘ならず、声をあげ、みだれる。
体を擦り合わせて登りつめる。
「あっんああ・・・・・・」
内壁が悦び、絞め付ける。
蔵馬は喉を反らし、は、と耐えるように小さく息を漏らす。
「・・・・・ちょうだい」
静流は限りなく甘い声で、指先で腹筋を辿りながら、意識的にもう一度締め付ける。
それに耐え切れず、切なそうに眉根を寄せて顔を横に背け、深い息を吐いて全てを注ぎ込んだ。
「んん・・・・・・」
体内で拡散するあたたかな感覚に静流は身を捩る。
そのまま体を倒し、じゃれつくように体を絡ませる
「・・・好き・・・大好き・・・」
どんなに言葉にしても足りない。
もっともっと伝えたい。
ただ・・・体を重ねていれば肌から肌へ熱が伝わる。
それだけが心地よい真実で、ずっと、ずっと肌を重ねていた。
それが、幸福だと感じられて。
* * * *
湯上りののゆったりとした気だるさと共に、空気が湿り気を帯びて雨の気配が漂っていた。
窓際にバスタオルを被って座り込み、呆けた様にタバコをふかす。
静流の頭上から声が降る。
「髪の毛、乾かさないと風邪引きますよ」
声と同時に差し出されるグラス。
「ありがと」
蔵馬が肩からタオルを掛け、ゆったりめのデニムだけを履いて静流の横に座った。
少し体を寄せて、雲に隠れて朧にうつる月を見上げて。
静寂。
なんとなく二人とも押し黙ってしまった。
秋の夜の冷たい空気が言葉を奪った。
先に言葉を取り返したのは静流だった。
「ねぇ?今更なんだけどさ」
蔵馬は答える代わりに、視線を静流へ移した。
「また、来てもいいかな?」
一瞬、あきれた様な表情を作り「それはまた今更ですね」と苦笑する。
グラスを傾けると甘いカラメルの香りが口内に広がる。
静か過ぎる空気は冷たい雨に変わっていた。
オワター。夏前から書いてたんで若干静流が寒そうな格好・・・w
読んでいただけたら幸いです。
リアルタイムでキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
>>491さんGJ!!!
蔵馬(妖狐)×静流って大人な感じでイイw
エロエロ加減が凄い良かったですw
素敵でした━━━━━━━っっ!!!
静流ねーさん、熟れ熟れ♪
白い肌に深翠のシルクの下着、そそるわあ〜。
中原ボイス×折笠ボイスで再生してしまいました。
適所に緒方ボイスもで、妄想再生完璧完了www
すごくよかったっすw
ドSなのに、優しくてちょっと可愛い狐が大好きだぁああ!!!
もぅ、やばいくらい最初から最後まで萌えまくりでした。
静流も可愛いすぎです。
幸せになれてよかったー
素敵なお話をありがとう&お疲れ様でした。
眠れなくて覗いてみたのに余計眠れなくなったw
保管庫・管理人さんいつもながら仕事はええ
保管ありがとうございます。
誰もおらんのぅ('-ω-`)ショボーン
513 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 18:14:09 ID:wvbkv3D1
age
くらま
まきんたろう
うらうらしま
(うつくしい)まとうかのすずき
しりとりな流れを豚切りで飛影x躯を小投下。 ↓
朝になり、瞼を開けばいつもいるのが普通になっていた。だから、今日も当然いるものと思って瞼を開く。
でも、いない。何処にいるのかと気配を辿ってみても、さっきまでいたと思われる痕跡のみで、探す相手の姿が、無い。
自分は、やはり愛されないのか。こんな体にしたせいで、こんな位置にいるせいで、だから?
「飛影・・・」
ぽつりと呟いてシーツに包まる。自分の香りと、飛影の残り香。二人の香りを嗅いでいると少しだけ気分が和らいで。
「飛影、飛影・・・」
自分の呟く声がいつの間にか涙声になっているのも気付かずに、シーツと布団の間に顔を埋める。
不意に、その布団の上から誰かが自分をとんとん、と叩く感触がして慌てて顔を上げれば、そこにいたのは
「ひえ、い?」
「何を変な顔をして変な声を出してるんだ、貴様は」
むっすりといつもよりも不機嫌そうな相手がベッドの上へ上がって来るのに対し、思わず反射的に後退ってしまい、
ベッドと壁の隙間に落ちかけて手を取られる。
「何で今朝はいなかった?」
「それより何で今変な顔をした上に俺から逃げるんだ、躯」
「先にオレの質問に答えろ、飛影」
しばらくの沈黙。見つめ合う時間も、今日は微妙に気まずい。やや間を置いてから、飛影が根負けしたように溜息をつき
片手に持っていた何かを枕元に放り投げ、それに躯がやっと視線を移す。
「最近、お前が寝付き悪い様子だったから蔵馬に頼んでいた薬草だ。気付かれないように用意したのに、貴様は」
薬草、と聞いて枕元に放り投げられたソレを手に取る。ふんわりと香るのは、どこか優しい香りで、何かを
思い出すようで、でも届かないようで、思わず目を閉じてその『何か』を探す。
「・・・・・・・・・躯?」
瞼の裏に映る『何か』に手が届きそうになった瞬間、飛影に呼ばれて瞼を開く。自分の伸ばした手の先には、飛影。
「飛影、これの薬効は何だと言っていたんだ、あの狐は」
「とりあえず安心出来るような効果、とか言ってたが?変な効果でも出たか?」
心配そうに見る飛影に向かって、躯はやっと微笑を向ける。初めて彼から貰った”花束”を見た時のような、微笑。
「いや、これで合ってるさ、飛影。効果は抜群かもな」
「躯?」
スッと飛影の首に腕を絡め、引き寄せるとそのまま体重をかける。いきなりの行動にバランスを崩した飛影は
予想通りに仰向けに倒れ、自分を上に乗せるように。いつでも自分を転ばせないように、危ない目に合わせないように
さり気なく気を使うようになってくれたのはいつ頃からだったか。それが当然になったのは、いつからだろう。
静かに重ねた唇は少しかさついていて、魔界ではなく人間界独特の人間の匂いが軽く漂って来て、それを吸い込みつつ
飛影の唇を舐めては吸いつく。何度も軽くついばむようなキスをすれば、どちらからともなく唇は開いて、やはり
どちらからともなく唇は重ね合わされたまま、舌先を絡め合うような深いキスを始め。
「ん・・・ふぁ・・・」
ちゅるりと音を立てて舌を吸い上げられると自然に唇の隙間から甘い吐息が漏れて、それを合図にするように飛影の手は
自分の体を引いて布団の上へ。先ほどとは逆に、上になった相手の目が緩く細められたと思えば、服が脱がされて行く。
さらりと布団の上へ落ちる服の音。分かっていても、やはり気恥ずかしいのは気恥ずかしい。
「や・・・」
「誘ったのはお前だ、躯。今更何を恥ずかしがる?」
前をはだけさせられ、外気に晒された肌は寝起きなのもあってより一層敏感で、そこに飛影の吐息がかかればそれだけで
自然に体が身を捩ってしまうのが何だか気恥ずかしく、それが、厭なのだが。それでも相手の視線がこちらを
見ているのが嬉しく、たまらない気分になって行けば自然に体は仰け反って嬌声を出す。
「・・・ッ、あ・・・・ふ」
足元に僅かにかかったままの薄布の掠れ具合ですら、今の自分には甘い刺激。
半分は焼け爛れた体、半分は美しいままの体を愛しげに撫でては口付けてくる飛影の方へ手を伸ばして、その体を掴む。
「今日は、も・・・・や、ひえ・・・い・・・」
「一国の主ともなっていた奴っぽくない台詞だな、躯?」
焦れったくて脚を擦り合わせればその間からは淫らな蜜の音。その音で更に身を捩りながら飛影の肩に抱き締めるように
縋り付き、甘い吐息を吐き出す事しか出来ない自分の口をぱくぱくと、地上に上がった魚のように開け閉めながら
その体に少しでも近付こうと、もっと触れ合いたいと、力の入らない腕で力を込める。
「ちゃんと言わないと俺は何もしないが、躯」
クスリと微かに笑う、切れ長な漆黒の目。その額に捲かれた布に隠されている第三の眼にも笑われているような気がして
ほんの一瞬だけ息を飲んで、頬を熱くする。魅力的で、蟲惑的で、一度味わったら離れられない悦楽の眼。
「挿れ・・て・・・・くれ、飛影・・・・」
呟くように掠れた声で言いつつ、相手の眼を見つめる。どこまでも黒い瞳に映る自分は、蕩けて虚ろな目をしている。
「よく言うようになったな」
額に口付けされたと思った瞬間に、胎内に走る衝撃と、熱と、硬さ。
「はッ・・・・あ、ン・・・ッ」
ギリギリと肩に爪を立てるように力を入れながらその後に来る快楽の波に、身を任せる。
飛影の体が軽く揺れる度に揺らされる自分の体。胎内に寄せては返す熱が更に淫水の音を高めて、それがより一層
躯自身の快感も、飛影の快感も、二人分の快感を高めて行く、幸せな波。
爪を立てていた手をそっと離して飛影の体に抱き付く。胎内にある飛影自身が更に奥深くに挿れられるのが心地良く、
でもまだ足りなくて自分も体を揺さぶる。
「ふぁ・・・あ、ん・・・・っ、あ」
段々と自分の中の熱が高まって行き、飛影自身が更に強張ってきているのを感じると潤んだ瞳で相手の顔を覗き込んで
荒く息をつく唇に、口付けをひとつしてから肩に顔を埋めて汗ばむ体の匂いを吸い込む。
「む、く・・」
「ん」
顔を肩に埋めたまま頷きをひとつした時、胎内に更に熱い飛沫が放たれる感触に、自身の体が強張ってからゆっくりと
弛緩するのを感じて、腕の力を抜く。
しばらくしてから飛影の体が離れ、胎内から熱い精がどろりと垂れると微かに身を捩らせて、それでも出て行くソレを
取っておきたくて無意識に体は相手の方へと寄せられていって、額を小突かれる。
「朝から何度もいきなりねだるな、バカが」
「飛影が悪いんだ」
脱がされた服に視線を送りながら、それで自身を拭いている飛影を見て思わずボソッと漏らす一言に振り返る、飛影。
「何で泣いていた?」
「いや、それは・・・・・・!」
一瞬言葉に詰まる。火照る頬に、飛影が不安げに手を添えて来るのがまた悔しくて更に顔が火照る。
「その位自分で考えろ、バカ飛影」
裸のまま、少し汗ばんだシーツの中に包まると飛影に背中を向ける。目の前に、飛影が持って来た『薬草』と言う名前の
”花束”を一撮み持って鼻先に当てて、瞼を閉じる。
上半身を起こしたままの飛影の手が自分の髪を撫でると、それがとても幸福な瞬間なのだと、瞼の裏にいる
自分と、もう一人の姿が笑顔で頷く。
「後であの狐に代わって礼を言っておけ、飛影」
「だからお前が泣いていた理由を」
「それはお前が考えろ」
まったく、と溜息をついてから二度寝に入り始めた自分の隣に入る飛影の体温に、やっと一安心。
これで不安じゃなくなる。いなくなる時はきっと何か言ってからいなくなるのだろう、この不器用な年下の男は。
だから。
「次、狐の所へ行くなら一言何か言ってからか、メモでも置いてから行けよ、飛影」
背中から回される手が了解と言っているようで、そのまま躯は幸せな眠りの中へ落ちて行って、残された年下の彼は
年上の彼女の柔らかな髪を梳きながら、一緒に眠りに誘われる。
ちなみに遅いので起こしに来た奇淋が二人の寝姿を見て驚いたら躯にどつかれたとか、そういう事は企業秘密です。
少し遅くの時間、人間界のいつもの部屋、いつもの二人。
「それで、どうでしたあの薬草、もとい花束」
ニコニコといつもの笑みを浮かべながら、差し出されるココアに口を付ける。ほんのり甘いコレは嫌いじゃない。
目の前にいるこいつの腹の内と比べれたらどんな物だって甘くなるだろうとか、考えるのは気のせいだ気のせい。
「渡したら機嫌が良くなったな、お前に礼を言えとかも」
「おや、それはどうもー」
そこまで気に入って頂けて、とクスクスと笑う狐を見る。その顔とは正反対だった、あの時の躯の顔を思い出す。
「躯が泣いていたのが分からないんだが」
「は?」
「薬草を持って行った朝に泣いていた。もう暗示は解いているから妙な事だと思うんだが、泣いてなかったのか?」
「飛影、それはちょっと」
肩をぽんぽんと叩かれながら、残ったココアを飲み干す。空いたコップを窓枠の机の上に置いてから、腹黒狐の顔を
見上げると珍しく真面目な顔をしている相手にちょっとだけたじろいでみたり。
「俺に聞かないで自分で考えた方がいいですよ?聞いてばかりじゃ躯の相手は務まりませんから」
「知るか」
フンと鼻でせせら笑って、窓の外へ。今日はちゃんと言ってから来たが、それと関係あるのか無いのか。これでまた
帰ってみたら泣いているとかだと、蔵馬に会うのが厭だとかそういう事なのだろうか?
出て行く黒い背中を見送りながら、腹黒狐さんはまた独り言。
「女性の感情の機微が飛影に理解出来るとは思わないんですけれどねぇ、俺だってまだまだですし」
静流さんに連絡しましょうか、と携帯を取り出しながら美味しく頂く方法を考えつつ、残った薬草の花束を手に取る。
「こんな花束一つで感情が揺れるならしっかり望みがあると思うんだけどなぁ、俺は」
この時期には珍しいラベンダーの花束を片手に持ったまま、携帯でメールをやりつつ凸凹な二人の将来に思いを馳せて。
しばらくしてから唇に薄い笑いをのせてポツリ。
「・・・・じゃ、しばらくはまた飛影をからかって遊ばせて頂こうかな?」
523 :
483:2007/11/21(水) 17:59:51 ID:P3dYqIpr
そういう事で狐からはやっぱり離れられない483でございました、ふへ。
脳内がお笑いに走りやすいのでエロスネタが欲しいです。
奇淋は時雨よりも多分躯にどつかれやすいと思っただけです、顔的に。
なんと!なんと!久々にここに来て見たら!タイミングが良い事に驚く!
GJでした!
ムクロカワユス…
最後にどつかれる役は奇林でOKどす
525 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 23:31:44 ID:FAhAz3VB
えろ(*´∀`)す
526 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 23:45:11 ID:nKvH/qfd
むしろぼたん萌え!職人の光臨を切に願う…(=人=)
そろそろ飛影雪菜が来てもいいと思うんだ
>>519 ありがd
躯いいですねぇw
蔵馬雪菜とか幽助ぼたんが来るかもしれない(希望)
幽ぼたいいねぇ
コエぼたも好きだけど…
コエぼたは良い。萌える
531 :
名無しさん@ピンキー: