1 :
性戯超人:
落ちて久しいので立てました。
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が
>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!
. ,:::-、 __ >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
,,r 〈:::::::::) ィ::::::ヽ >3
>>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
〃 ,::::;r‐'´ ヽ::ノ >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
,'::;' /::/ __ >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
. l:::l l::::l /:::::) ,:::::、 ji >6 いまさら
>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
|::::ヽ j::::l、ゝ‐′ ゙:;;:ノ ,j:l >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
}:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;! >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
. {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/ >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/ >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
. `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
`ー-"
4 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/11(水) 13:13:35 ID:Dpofc0B8
age
内田ムキ子ちゃん
ジャクのエロ話が読みたい
神はまだかのう… ジャクエロ自分も読みたい。女体化もいいが肉の女性キャラとかも見たい
8 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 23:07:20 ID:TBRH/puJ
フィオナくらいしか思いつかない。
>8
もしかしてなにか投下してくださるのか…!?投下してくれるのならなんだって(;´Д`)ハァハァフィオナ(;´Д`)ハァハァ
10 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 23:33:27 ID:mvzDCHr2
age
ケビジャクで書いてみたいのだが、需要ありかのう?
Vジャンの連載終わっちゃったんだな
フィオナの出番はもう無いのだろうか
>11是非頼む(;´Д`)
マリしゃん再登場キター
hoshu
過疎
恵子たんのエロ読みたいよ
もういっそエロじゃなくてもいい、肉のノマCPの小説読んでみたいよ。
目逸とか行けばあるんじゃまいか?
20 :
ケビ+ジャク1:2007/05/10(木) 07:08:20 ID:bJU6XU3K
空は朝から晴れていた。鉄の骨とガラスで組まれた温室に燦々と光が満ちている。
だが本来なら和やかなはずのその空間に怒涛の黒雲が渦巻いているのは気のせいだろうか?
いや、巻き起してるのは俺だよな。
ケビンは仮面の下でふと自嘲に頬を歪める。可笑しいじゃないか、笑ってやれ。
かといって周りの重い空気が晴れるほどではなかったが。
重い空気に身を浸す周りに気を掛ける気は全く無い。
隣に座っている母だけには気の毒に思ったが、それもほんの少しだけだ。
自分を直接招いたのは母だった。電話を受けたのが数日前。
巨大な家柄と屋敷、その中で独り母を置き去りにしてきた罪悪感から、ケビンは母の誘いに応じることにした。
疎遠を通していた実家との距離は、やっと自分から近づいた分そう遠くない。
父はいないだろうと思った。相変わらず多忙なのだろう。
案の定、待ち合わせたロンドンの高級ホテルのティーハウスにあの姿は無かった。
別にあいつが苦手なわけじゃない、もしいたって決して構わないんだぞ。
だがケビンは安堵を感じるより先に固まっていた。
母は一人ではなかったからだ。
午後のお茶のための白いテーブルセットを囲んで、見知った顔が並んでいた。
その中の紅い髪の女に視線を釘付けにしたまま呆然と立ち尽くす。
兄と父に挟まれたジャクリーン・マッスルは一瞥を投げただけで、あとは謎めいた微笑みを浮かべるだけだった。
その沈黙に嫌な予感を感じてケビンはすぐ踵を返そうとした。逃げろ、そう本能が告げていた。
だが呼び止めた母の声があまりに切実で、思わず動きを止めてしまった。
「ケビン、よく来てくれたわね!」
やめろよ母さん、ほとんど裏返りそうじゃないか。
「やあ、久しぶりだね、調子はいかがかな?」
「ささ、こちらにこちらに」
暑苦しい顔のイケメン・マッスルと狡猾な光を目に走らせたハラボテ・マッスルに押し流されるように、不覚にも席についてしまう。
そしてジャクリーンとはもう一度だけ目が合った。彼女は何も言わず小さく口角を上げた。
貴方ももう逃げられないわ、ご愁傷様。
そんな声を聞いた気がした。ケビンは全ての謀(はかりごと)を悟ったのはもう少し後になる。
21 :
ケビ+ジャク2:2007/05/10(木) 07:15:49 ID:bJU6XU3K
ああ、お馬鹿さん。
ジャクリーンは溜息をつく。あくまでこっそりと。あくまで外面は完璧な美しさを保ったままで。
どんなに腸が煮え繰り返っていても、それを外に出すのは誰も見ていないところでだ。
まああのちょっとばかりとろい兄には見られてしまうかもしれないけれど、適当に脅しておけば大した事はない。
それにしてもよく考えましたわね、こんな悪趣味なこと。
ティーハウスで彼らの真の意図を悟ってジャクリーンは眩暈を覚えた。
父と兄を馬鹿にしてきたつもりは無いが、この時ばかりはどうにも悔しさが苦い。
超人の名門ロビン一族と、まあまあ時代のおかげで委員会の地位を保ってきたマッスル一族。
その放蕩息子とじゃじゃ馬娘とがお見合いですって。
あまりにも馬鹿馬鹿しいったらない。わたくしの見合い相手があのケビンですって!
そう、この席を見合いと言わずしてなんと言おう?大方、より強い家柄へと望む父の独断だろう。
せめて広大なバラ園を臨むティーハウスを場所に選んでくれたことだけが救いだった。
こんな滑稽極まりない陳腐な道化は誰にも見られたくない。
政略結婚の駒は両方とも、最初からお互いに無視を決め込んでいた。
お父様、お兄様、わたくしそんな娘に育った覚えはありませんの、残念でしたお気の毒様。
ここはただの茶会として通してあげるのが礼儀と言う物だろう。
ジャクリーンは持ち前の愛想の好さで、この日初めて会ったアリサ夫人の話相手に徹することにした。
最初は場の雰囲気に戸惑っていたアリサも、今はころころと屈託無く笑っている。見合いなど忘れているようだ。
夫のロビンマスクが、息子との和解のお膳立ての中で立ち会ったジャクリーンを「大変利発なお嬢さん」と気に入っていたらしい。
才色兼備で鳴らしてきたわたくしですもの、それはそうでしょうよ。
でも超人オリンピックの後でなおそれが言えるとはロビンマスクもさすが只者ではないな、と笑顔の裏で思った。
応接間の甲冑の如く黙りこくったご子息は、そんな父から逃げ出す前に社交術は学ばなかったらしい。
ただ黙って真っ黒なオーラを垂れ流すケビンに内心うんざりしながら、ジャクリーンは同情もした
ケビンの前でロビンのことに話が運ぶのは逆に好都合なのかもしれない。彼が混ざらないでも一番不自然じゃない話題だから。
別に彼を庇う気は無い。ただ、傷付いている自分を誰にも見せたくは無かった。
22 :
ケビ+ジャク3:2007/05/10(木) 07:19:39 ID:bJU6XU3K
「大事なお茶会があるのだけれど、一緒に来てくれないかしら?」
そう母は電話で言った。
大事ね、まあ確かに大事だろう。ただしこれを「おおごと」と読めば、だ。
むしろ無謀だろうが。
苦虫をまとめて50匹噛み潰す思いでケビンはその言葉を飲み込む。
もっと他に言いたいこともあったが、それらも全部腹の奥に抹殺して沈黙の鎧に身を沈める。
母の手前だ、我慢しろ。それでも殺気が漏れるのだけは止められない。
普通なら暗黒のムードで覆われるであろうこの状態で、驚くことに茶会は極めて和やかに進行していく。
引っ張っているのはジャクリーンだ。他愛も無い話題で、そこに誰もが気持ちよく会話には入れるように上手く操縦している。
ある種の感心すら込めてケビンはジャクリーンを眺めた。
彼女はよく喋る。だが決して姦しさで相手を煩わせることはない。
澄んだ声がさらさらと今にも澱みそうになる空気を掻きまわしていく。
着ているツーピースに合わせて春のチューリップのようなピンクに塗られた唇は動いてる間も形がいい。
淡いピンク色のワッフル地を纏った肩の上で、紅い髪を笑い声が零れるごとに揺らす。
こんな女だっただろうか?
ケビンはふと思い返す。超人オリンピックで目障りでどうしようもなく自分をイラつかせた女。
今の彼女を前に必死でその感情を思い出そうとする。
俺はお前が嫌いだ嫌いだ、大嫌いなんだ。
だが言葉はうまくケビンに馴染んでくれない。違和感が引っ掛かりそれを飲み込めないままケビンは更に黙りこくる。
この女、何のつもりだ?いったい何を考えてやがる?
女はそんなケビンを実に上手に無視して大輪の薔薇のような笑みを綻ばせた。
そもそもなんのためにこいつはこの席に座っているのだろう?
腹の底から滲む怒りに小さな疑問がインクの染みのようにぽつんと落ちた。
23 :
ケビ+ジャク4:2007/05/10(木) 07:20:30 ID:bJU6XU3K
今日の茶会の相手は、お前にも超人界にも特別なものだから――
そう父に言われた時、聡明な頭はそこに含まれたものを瞬時に悟っていた。
それでも逃げ出さなかったのジャクリーンの胸にはある期待が生まれたからだ。
もしかしたら、と。
女の子なら、一度は憧れるもの。心惹かれる相手との恋。
自分にそんな感覚があるとは思わなかった。甘酸っぱさや、ときめき。浅はかさや、愚かさ。
彼だろうか、あの甘ったれの純粋な坊や…
彼の父と母が一族の確執を超えて結ばれたことを思い起こす。
「超人界にも」という言葉が強くジャクリーンを捕らえた。
なぜ彼がこんなに自分の心を掻き乱すのかがわからない。もっともらしい理由を並べることもできない。
遠くから見る姿の意外な大人っぽさ、側で感じる少年らしさ、ただその全てをいつでも見ていたい。
でも可笑しいことに、彼に近づくのが怖かった。何かきっかけが欲しかった。彼が自分だけを見てくれるような…
そうしてだからうかうかと乗ってしまったんだわ。
結局利己的などうしようもない父も兄も、
こんな馬鹿げた話に乗るダイナスティも、
何より少しでも浮かれた自分も、全部全部、馬鹿だわ。
目の前の鉄化面は沈黙したまま。
なんて無礼なと思わないでもないけど、怒る気にはなれない。
よりによって、一番嫌いな女との見合いでは、ねえ?
精一杯の華やかな笑い声を上げながら、一方で失望の中で虚ろな自分がいる。
深く、深く、ジャクリーンは心が裂けていくのを止められない。
>11です。
この二人無性に好きなんですが、エロまで行けるよう頑張ります。
早速ですが訂正
×鉄化面
○鉄仮面
GJ!!!
保守
27 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/17(木) 22:38:46 ID:gqQK6I05
hosyu
保守
(0゜・∀・)毛×ジャクにずっとワクテカしてるわけだが
保守
31 :
ケビ+ジャク5:2007/05/31(木) 07:41:26 ID:v68HhjPt
夜にこそ輝くソーホーのけばけばしい光は細い路地までには届かない。
東京に少し似てる。でも暴力性では比較にもならない。
ぼんやりとした頭でジャクリーンはそんなことを思った。
「おら、跪けよ。」
「イッちゃうのはまだ早いんじゃないの?」
下卑た笑い声がわんわんと耳を聾する。
普通なら決してこんな男たちの好きにはさせないのに、身体に力が入らないのはアルコールのせいだけではない。
自分の迂闊さにくっと下唇を噛み締める。
周りを取り囲んでる男は3人、皆スーツ姿だ。格好に騙されたという気は無い。
何しろこんな状況になるまでジャクリーンは自分に話し掛けてきて勝手に隣で酒を飲み続ける男の顔すらろくに見ていなかったのだから。
騙されたのは周りの方だろう、きっと酔った女を介抱する若い恋人くらいには見えたかもしれない。
タクシーの多いチャリングクロスやシャフツベリーアベニューからは離れて、その先に男の仲間が示し合わせて待っていることなど誰も考えやしないだろう。
その頃にはとっくに剥がれてる男の優しい仮面もろとも全ては闇に消えるだけ。
このままどうなるのだろう、いや、どうされるのだろう。
このまま開放されるわけは無いから暴力は予想できても、何故?と言う思いの方が強い。
ジャクリーンには意味もなく無抵抗の相手に暴力を振るえる人間がいることが信じられない。
強盗の方がまだ理解できるだけましだろう。彼らは金を求める。
そして、強姦。
肉欲のために馬鹿げたことをする輩がいるのは確かだ。
じゃあ私も、こいつらの欲望のままに・・・・酷い目に遭って、その後は?
裏路地は昼間晴れていたにもかかわらずジメジメと湿気が淀んでいた。
ジャクリーンはふとおかしくなった。
午後を過ごした瀟洒なティールームと、今自分が身を置いているこの場の空気のなんと違うことだろう。
今日の私はお人形だった。綺麗に着飾って、美しく微笑むだけでいい。
本当にただの人形になれたら良かったのに。
考えなくていい、感じなくていい。そうして要らなくなったら、最後には火にくべてくれればいい。
じゃあ、この展開は私にぴったりね。
「こいつ、笑ってやがるぜ」
「お、楽しもうって気になってきたの?」
「いいねー好きだよ、前向きな子!」
足で踏みつけられ、無理やり膝立ちにさせられると流石に痛覚が呻いた。
一人がジャクリーンの細い首を後ろから抑える。
ニヤニヤと近寄ってきた男がベルトを緩める。片手でジャクリーンの頭を押さえつけ上を向かせた。
髪を引っ張られるのが気に食わないが、ジャクリーンはただ虚ろに視線を彷徨わせる。
麻痺した身体でさざめいた恐怖は諦めの澱に飲み込まれた。
32 :
ケビ+ジャク6:2007/05/31(木) 07:43:03 ID:v68HhjPt
今まで手に入らないものは無かった。
お金で買えるモノも、自分の才気であがなえるモノも。
でもどうしても手に入れられない。それは彼の心。
他の女の子に夢中なんでしょ。分かってるのよ、東京でこっそり追いかけようとしたんですもの。
柄にもなく純情ぶってみたら、これね。
この容姿と身体で誘惑するのは簡単かもしれない、興味は持ってくれるかもしれない。
でも、一生懸命彼女を追いかけてる姿を見たら、そのままにしてあげたいと思ってしまった。
自分のものにならなくても、彼が彼女といて幸せならそれを決して壊したくないと。
そうして私が貧乏くじ。
それで満足なわけではない、でも手に入らない人の心というものにどう立ち向かっていいか分からない。
そうして自分は人との繋がりにおいて、非常に未熟なのだと気が付いた。
ぽっかりと開いた心の穴をひゅうと風は通り抜ける。
その冷たさに一つ、見開いた目から涙が零れた。
「俺もね、前向きに楽しみたいんだ。その可愛いお口で挨拶してよ。」
はしゃいだ若い声が耳を掠めていく。次の順番を争ってる声がする。
もういいの。どうなったっていいの。
ティーハウスからずっと呟いていた言葉。
知らない店のカウンターで知らない音楽を聴きながら、胸の中で回っていた言葉。
どんなにどんなにお酒を空けても振り切れなかった言葉。
その言葉通り、自分は自分を殺そうとしている。
これが最期なら遺言はそうね、「つまらない人生にサヨウナラ」ってとこかしら?
股間に顔を押し付けられ、思わずジャクリーンは目を閉じた。
レンガの壁を伝って耳に覚えのある声が届いても、すぐには現実とは気付かなかった。
それを聞くはずだった時間はとうに過ぎていたから。
「その辺にしておけよ、英国紳士の名が泣くぜ?」
33 :
ケビ+ジャク7:2007/05/31(木) 07:53:33 ID:v68HhjPt
ケビンは気が短い方だと自負している。
それを証拠に家は飛び出したし、D.M.Pも我慢が出来なくなるとさっさと見限った。(その例は「自慢にならねえって」とマルスに言われた。)
しかしケビンは、その性分を差し引いても、この時は特別頭にきていた。
だから世界一平和なロンドンの世界一安全なロンドン市民を怒りに任せて前後不覚にしたのは、流石にばれたら大事かもしれない。
俺、一応英国紳士だもんな。ま、ばれるわきゃねえからどうでもいいか。
まず第一に通りは暗かった。第二に顔を見せるほどの時間も隙も相手に与えなかった。
第三にもし見られたとしても、自分にやられたと口外すればどうなるか想像できる分も合わせて身体に教えてやった。
それよりこの女だ。
「立てよ」
苛々と思い切り突き放すように冷たく言い放つ。
それでも路地に座り込んだままのジャクリーンは顔をあげようとしない。
ジャクリーンのピンクのツーピースは泥で汚れて髪も乱されている。
アルコールの匂いがほのかに感じられる。酔っ払いが、と更に胸糞が悪くなった。
「立てないのか?ならそのまま迎えがくるまで座ってろ」
黙ったままの小さな身体に背を向けて足を向けた先で身を屈める。
ジャクリーンの小さなハンドバック(女はどうしていつも何かしら持ち歩きたがるんだ?)は無惨に放り投げられていたが、中の物は壊れてはいないようだ。
彼女の携帯電話を取り出すと、電話帳の兄の番号に発信しようとした。
「やめて」
横から伸びた手がいきなり遮断する。
ジャクリーンは立ち上がってすぐ側に立っていた。俯いて長い髪が隠す顔は見えない。
驚きに一瞬息を呑んだが、人を食ったような態度に再びふつふつと怒りが込み上げてくる。
「うちに帰れよ、お嬢さん。」
無言。
「ここはあんたがほっつき歩いてられるほど善い場所じゃねえ、わかったろ?」
無言。さすがにイラッと来た。
「俺が来なかったら、自分がどうなってたか分かってるのか?!」
怒鳴り声が出た。言っておくが、俺が誰かに怒鳴るなんてことはそうそう無い。
そういう気にさせたこいつが悪いんだ。
でもさすがに女に対して高圧的になるのは後味が悪い。これはマミィの「女の子には優しく」論の後遺症だ。
それにこの女の事だ、きっと怒鳴り返されると思った。
だが女のする事、考える事が手に取るように分かるほど俺はまだ出来ちゃあいなかった。
だから、そのまま抱きついてきた時には不意を突かれてしまい、突き放すことを忘れちまったんだ。
そうだ、不意打ちだったからだ。あいつの予想外の弱さも、泣きじゃくる声も。
だから、しょうがなかったんだ。
泣いてる女を慰めてやるのが男の甲斐性だとすれば、生憎俺はその才能に欠けていた。
だから呆然と胸より下にある小さな頭を見下ろすしかなかった。
こいつ、ちいせえ。
久し振りに会ったマミィも記憶より随分小さかったな、と思い出す。
しかし、腹に当たるものが桁違いだと、頭の中で冷静に分析した後はそれ以上その点に関して意識を止めた。
嗚咽は顔が胸に押し付けられてるせいでくぐもっていた。ジャクリーンが何とか声を殺していたのも分かっていた。
だけど一言だけの言葉はちゃんと耳に届いた。声は割れてるし、尻すぼみだったけどな。
「…ぁりがとぅ…」
その細い肩を抱きしめてしまう前に、相手はあのジャクリーンなんだと理性で止めた。
34 :
ケビ+ジャク8:2007/05/31(木) 07:55:43 ID:v68HhjPt
ホテルには帰りたくない、さりとて他に行くべき場所もないジャクリーンを、迷いに迷った末にケビンは自分個人用のトレーニングルームへ連れて行った。
タクシーを使えばすぐなのだが、意固地に歩いた。ケビンとしては女との二人連れなど誰にも見られたくないのだろう。
ロンドンの中心にあるソーホーからテムズを越えた事以外は、細い路地から更に細い路地への回り道でジャクリーンには自分がどこにいるか皆目見当が付かなくなっていた。
半ば呆れながらジャクリーンは通された空間を見渡す。
超人の中でもトップ中のトップであるケビンのトレーニングルームにしては驚くほど簡素な物だった。
広さはあるが、地下なので天井が低い。窓も無い。まず入り口からして古い雑居ビルの裏の非常口だ。
ここでいう古いはヨーロッパでの感覚なので、ゆうに100年は経っている古さだ。
まずはシャワーくらい使えよと無愛想極まり無い調子でタオルを投げてよこす。
意外にもちゃんと洗濯してあるものだった。ほのかに太陽に匂いがした。
恐る恐るシャワー室に行くと、バスタブとシャワーの形こそ古いが、ここも綺麗に掃除がしてあった。
タイルの割れている所々に色違いのタイルが嵌めてあるのがまるで時間を掛けて作られたモザイクのようだ。
洗面台の鏡をみて、ジャクリーンは改めて自分の様子の酷さに気づいた。泥があちこちに撥ねて擦れている。
服を脱いで身体を確かめる。腕と膝の裏に痣が出来ていた。暫くは長袖と暗い色のストッキングが手放せない。
でもこのくらいで済んで良かったんだわ。
無感覚だった恐怖が熱いお湯に打たれている熱い肌の内にちかちかと弾けた。
もしあのままにされていたら、この体も心もバラバラにされていただろう。
ようやく震えだした膝を抱えるようにジャクリーンはバスタブに座り込んだ。
私は何をしていたの?
情けなさを自覚してそれに安堵も加わって、ジャクリーンは頬を涙が流れるままに任せた。
雫はシャワーより熱かった。それは生きていることの実感だった。
いつまでもいつまでも尽きることの無い喜びに戸惑いながら、ジャクリーンは泣き続けた。
35 :
ケビ+ジャク8:2007/05/31(木) 07:57:52 ID:v68HhjPt
バスタブからお湯が溢れる直前にケビンの声が思い掛けず近くで聞こえた。
「あんま、お湯無駄にすんなよ。水道代ってもんがこの世にはあるんだ」
「…ちょっと、人が入浴中に、なんですの!?」
「うっせえなトイレだよ、バーーカ。」
慌ててシャワーを止めると、確かにトイレの流れる音が聞こえた。
洗面台でケビンが手を洗ってる音も聞こえる。
シャワー室にドアはあるが鍵はなく、更にその中で洗面所とシャワーの間には僅かにカーテン一枚で仕切られているだけだ。
半透明のビニール越しにぼんやりと遠い青い仮面の長身が見える。
湯気が濛々として視界を隠してくれるのが救いだ。
それでも仰天したジャクリーンには気が気でない。
たぷたぷのお湯に守ってくれとばかりに身を沈める。
「あーあ、高い服だろうに、だめだなもう。」
脱いだままの服を見たらしい。確かそこには下着も置いていたと思い当たる。
「さっさと出て行って!!もうお湯も止めましたから!」
今までの感謝の念も吹っ飛んで完全に逆上してしまった。
「別に言われなくても出て行くぜ。たく、ガス代もしらねえくせに」
睨み付けている青い影法師はこちらを見ずにすぐ背を向けた。
そのまま出てってさっさと出て行ってとただそれだけを念じる。
その動きが一瞬ぴたりと止まった時には殺気すら覚えた。
「何で見合いなんかに来やがった?」
ためらうような低い声が聞こえた時、ジャクリーンは思わず立ち上がった。
身を隠す事は忘れていた。
36 :
ケビ+ジャク9:2007/05/31(木) 08:00:35 ID:v68HhjPt
この時まで押さえ付けていた自分を遂に手放したという方が正しいかもしれない。
とにかく、自分が堂々としていないことに猛烈に腹が立った。
恋をして、それを抱え込んでいる自分。
後ろ向きで、お酒に逃げようとした自分。
愚かなお人形でいる事に、甘えようとした自分。
そうすれば愛してもらえるとでも思っていたの?
勢いに任せてシャワーカーテンを開ききる。
背を半分向けて戸口に立つケビンを真っ直ぐに見つめた。
「試したかったの。自分が変われるかどうか」
決然と自分の中のジャクリーン・マッスルが頭を上げるのを感じて、彼女は微笑んだ。
つかつかとケビンの立つ側に掛けたバスタオルを取り身体に巻きつける。
「申し訳ないけど、着替えを持っていたら貸してくださる?」
ケビンはふいっと無言で出て行った。
あ、裸見られちゃったとは思ったけれど、何か吹っ切れた爽快な気分のうちではもう気にもとめなかった。
はしたない女だと軽蔑されたかしら。
でもあんまり堂々としてるとかえって何も言えない物なのね、とくすくす笑いが込み上げてきた。
ケビンはすぐに戻ってきた。
手に何も持ってないのをいぶかしむ前に、空っぽだった腕に自分が軽々と抱え上げられてしまった。
「え?ちょっ、ケビン!?何しますの??!降ろしなさい!」
凄い勢いで進んでいくケビンの腕の中では暴れようにも暴れられず、ただ腕を振り回して胸を背中を頭を叩く。
「着替えはない。」
「Tシャツでも何でもいいんです!」
「るせーし、いてーな。いいから、暫くは我慢してろ」
あら、痛いの?筋肉が厚くて全然効いてないかと思ったんだけど。
って、そんな場合じゃない。
いつの間にかトレーニング場の中央に据えられたリングマットの上に仰向けに転がされた。
「女は普通上げないんだがな。ま、ジャパンのスモーじゃねえしな。」
ケビンはわけの分からないことをいいつつコートを脱いでリングロープを潜る。
恐ろしいことに、超人とはリングに上がると妙にテンションが上がるらしい。
オーラの変わったケビンから逃げようとしたけれど、起き上がろうとしたジャクリーンをやすやすとケビンは捕まえる。
濡れたままの髪をかき上げ、耳元で囁いた。仮面越しの熱い息が耳を擽った。
「試すなら、最後まで付き合うぜ」
つ旦
とりあえずここまでですが
現時点でケビンって20歳として、ジャクって何歳だろう?ふと知らなかった。
>29さん
ぁりがとぅございます
続き待ってます!!