ほ
し
今さらだけど姫君と家庭教師って硬派な上官〜と同じ世界の話だったんだね。
どういう過程を経て女帝とその夫になったかすごく気になる。
ほ
ライブドアの方の保管庫のメニューバーが
弄られまくられて、大変な事になってます
直し方が解らんヘタレで、本当にごめんなさい
>>419 このレスみた直後に直したんだけど、またいじられてた。
で、また直しておいたけど、こりゃいたちごっこだね。
左側の「ページ一覧」からみていくのが、一番安全だと思います。(ここはいじれない部分なので荒らされません、多分)
定期的にみてみるよ。
420超乙華麗様です。
自分もWikiのやり方調べてみる。
中途半端な容量で長く止まってる少し埋めるよ〜。
いい保守ネタなくてごめんご。
, -‐'"´ ̄ ̄ ̄ ``ヽ
/爪 ヽ `ヽ、`ヽ、 \
/ / !lヽヽ \ \ \ }、
/ l l l ヽ ヽ、_弐_ --ヽ _ヽノノ!
/! ll__l ヽ-‐' "┴─` l/rヌ、ノ|
!l/fri刀 >'〉} ノ!
l ̄ 、 _ ,Lノノ | 保守だぞよ
', ヽ'´ヽ / | 「||l!,| 平民どもひれ伏すがいい
ヽ、 ー' / .| | | |!|
``ー-ャァ' ´ _」、lLl l!|
__ノ /==三三ヽL
/ }ム/==ニ三-ァ-─‐ヽ
」ll /O/ ニ, -'´ / , -'´!
i´{、/ // / , -'´ |
/ ̄  ̄ ー─‐'´ l |、
/l /`ヽ ノ /」ヽ
/ l/ l 、 ヽ / /'iヽヽ
、―-、___
ゝ (h)ヽ
lニlニiニiニl
爪リ‘ー‘リ<下々の者に気安く名乗ってはいけないと爺から言われています
犯ス<) ∀iつ
<YYY>
ヒヒ!
_ /⌒ヽ
/ /  ̄ `ヽ
/ (リ从 リ),)ヽ
| | | . ' .Y |
| (| | " ヮ " | | ねんがんの おじょぉさま を 手に入れたぞ
ヽ `>、_ . ノ_ノ
|⌒| [∞] l
/| └n/l二二二.l
`ー`//ヤマト便/)
↑執事
∩___∩ ∧∧ ∧∧
| ヽ ( 。_。) ( 。_。) <旦那様が
/ ● ● ヾ /<▽> /<▽>
| ( _●_) | |::::::;;;;::/ |::::::;;;;::/ 「エサはまだか?」
彡、 |) |∪| .B`ミ |:と),__」 .|:と),__」
_/ _‖ ヽノ ‖_\__. |::::::::| .|::::::::| と申しております
(___) (__ノ \:::::::| |:::::::|
,. --- 、 _
/ \ア´ \
/ ヽ
/ ! | | ! '. ハ
/ | |-|-|ト./| l !.! | l '.
| | l,r==K |ト、|Tトl ! ! |
| | | | |{ |:トr| f圷|ハ.| ! |
| |∧| | | マり ヒリ ! |ハ| |リ
| { {_ヘ. !ハ| ' | | |、|
| ヽ.__,|/ /`ー‐ァ ノ |∨ ヽ!
| | 、 ヽ.__// |
|| | ! ` -r‐ '´ ∧| ハ
. |∧ ∧トハ |、∧リ リ
∨_,/ __\_,/_\
,. -‐ ´/´ |\_l_/| \-、
,r ¨´ く ! /l|ヽ\ ノ ` ー- 、
. / ヽ > !/ /! ヽ.ノ \ | '.
f ! く .|V || |j! / ! i
| | ヽ l !! / / / !
| | ヽ ! | ./ / / |
執事例
だめだ中々うまんねー。
480超えた時にいたら次スレ立てます。
ライブドア保管庫の編集権限
制限かけた方が良いと思うです
430 :
保守ネタ:2007/12/09(日) 22:46:16 ID:F2/PpeMd
「保守、したいんですの」
「へっ?」
我ながら間抜けな声を出したものだと思う。
だが腰の引けかけた自分の前でお嬢様はご自分の上着のボタンに手をかけ始めた。
一つ。また一つ。開かれた布の隙間から白い肌があらわになって俺はごくりと生唾を飲み込んだ。
夢にまでみたお嬢様の裸身が今、目の前にある。
お嬢様は頬を紅潮させ、恥ずかしそうに胸元を隠していた。
意識しまいと焦点をわざとずらしても、形の良い彼女の白い膨らみは俺の脳裏にはっきりと焼き付けられてしまっていた。
甘い匂いに誘われるように、思わず足がよろめいた。
うっかり目の前の女性を押し倒してしまいたい衝動にかられる。
酒に酔ったようにくらくらする頭はまともな思考ができそうもなかったが
それでも彼女の肩に手をかけた瞬間、頭の中で浮かんだ映像があった。
(わたしが大人になったらお嫁さんにしてね)
幼い頃のお嬢様だった。その笑顔が浮かんで消える。
我にかえった俺はお嬢様を傍らからそっと引き剥がし、自分の上着を脱いで手渡した。
「……自暴自棄になられてはいけません」
お嬢様は愛らしい瞳を震わせながら俺をみあげていた。
その瞳に傷ついた色が見えることに、罪悪感を覚えたが
これが一番いいのだと自分に言い聞かせながら俺は口をつぐんだ。
それを見てお嬢様が口を開く。
431 :
保守ネタ:2007/12/09(日) 22:48:39 ID:F2/PpeMd
「なぜですの……?
今はスレ住人だっていないし、容量だってあと少しですのよ」
俺は唇をかみしめた。お嬢様のおっしゃっていることは事実だからだ。
それでも、それでも俺はこんな形で彼女を自分のものにしたくはなかった。
それはむしろ、別の意味で彼女を永遠に失うような気がしたからだ。
俺から上着を受け取ろうとしないお嬢様に、顔の筋肉を総動員して笑いかけながら上着をきせかけた。
「きっと……」
そこで言葉をきる。頬が引きつったような気がした。
彼女がその事に気付かなければいいなと思う。
「きっともうすぐ新スレの季節です。そうすればお嬢様のお気持ちだって変わります。
俺と……早まったことをしなくて良かったと、そう思う時がきっと来ます」
涙を一筋頬に伝わらせてお嬢様は首を振った。
そんな事はないと苦しげな声で呟いていた。
耳をくすぐるあまやかな声は、わたしはずっと……と聞こえたような気がした。
その言葉だけで充分だった。
だから時がきて、このスレを見送ることになっても耐えていける。
そんな風に思った。
***
終
432 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 22:56:56 ID:YGQdM7de
思いの募ったお嬢様が新スレになってどう行動するかすごくwktkしてる
だ れ
うめ
つぎ たて
冬ですね
ひといないねぇ
そうですね
437 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/22(土) 20:24:41 ID:AZSS1HoN
埋め
「わたくしには少し難しいのではないかと思うの」
呟いた少女の傍らに控えているのは漆黒の燕尾服に身を包んだ壮年の紳士。彼は少女の言葉を聞き、はたと首を傾げる。
「……難しい」
自分の聞き間違いだろうかという顔をしている紳士を見上げ、少女は拗ねた顔で唇をとがらせた。
「わかりました。伯爵夫人としてわたくしは……伯爵家に縁ある人々の名前を、この名簿すべてを、顔と名前と親戚・縁戚関係まで、すべて! 覚えればよろしいのね」
「はい。ご理解が早いようで嬉しゅうございますよ」
名簿の束を見て、少女は嘆息する。自慢ではないが人の名前と顔を覚えるのは苦手だ。人並み外れて不得手と言っていい。
しかし、傍らの紳士は頑張るという姿勢を見せただけで嬉しそうに笑うのだから頑張らないわけにはいかない。
少女は名簿を持ち直し、一人一人の名前をゆっくりと記憶に刻みつけていく。
「一通り目を通されましたら一度休息いたしましょう。あなたのお好きな菓子をお持ちいたしますから」
とびきり甘く囁かれれば胸がどきりと高鳴る。
見上げた紳士は極上の笑顔を浮かべて少女を見ている。
父と同じか、下手をすれば父より年が上だというのに、少女の目に紳士の笑顔は魅力的に映る。
「一緒に?」
「お望みならば、私が手ずから食べさせて差し上げてもかまいませんよ」
「……っ!」
「あなたはいつまでも甘えん坊ですからね。かまわないのですよ、甘えても。私はいつでも受け止めて差し上げますから」
紳士の瞳にからかいの色が浮かんでいるのを見て取り、少女はふいっと顔を背けた。
「結構よ! わたくし、一人で食べられますもの」
それは残念ですと笑いをこらえた様子で話す紳士を意識的に無視し、少女は再び手元の名簿に集中した。
名前を一つ、一つと記憶する。そうする度に傍らの紳士と離れねばならない日が近づいてくるようで少女の胸は僅かに軋む。
「やはり、わたくしには難しいと思うわ」
ここ数日何度も吐き出した台詞をまた口にする。
覚えようが覚えまいが結果は変わらないことは理解している。それでも、覚えるまでは伯爵夫人になれないと言ってもらえるかもしれないと少しばかり期待する。
「あなたは出来る人ですから。諦めないで下さい」
困ったような溜め息を受けつつ、少女は今日も覚えられない名簿を記憶するための努力にいそしむのである。
◆◆
以上。保守小ネタ。
保管庫には保存しないで下さい。
三者三葉の葉子様と充嗣はなかなかいい感じでござる
ho
441 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 19:12:40 ID:ZcKjbmG8
shu
おじょうさまああああ
443 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 05:28:31 ID:dTAdx7yz
保守
「おじょぉさむぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そんなむさ苦しい叫び声に、私の優雅なティータイムは終わりを告げた。
まだ飲み掛けのティーカップを背後に控えていたセバスチャンに片付けさせ、ちょうど良いシーンである恋愛小説に栞を挟み、
私は声が聞こえた方に目をやった。
青々と茂った草原の彼方から、物凄い勢いで走り来る青年の姿が見て取れる。
細身で長身、割と美形で足も長い。腰まである長髪は首の辺りで赤いリボンで纏められている。一見すれば爽やかな青年だ。
「ぅぉぉおおおじょぉぉぉさむぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ああ、もう!! アンタの馬鹿でかい声なんて十分すぎるほど聞こえているというのに、返事をしないとココにたどり着くまで馬鹿みたいに
私を呼び続けるんだから。
私はイヤイヤ手を上げて、聞こえているとアピールをした。
「おじょぉさまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
あ、音量が下がった。やっぱりアソコまで声を張り上げるのは辛かったのね。ていうか、分かったからもう叫ばないで頂戴!!
私は優雅に立ち上がり、手にしていた小説をセバスチャンに預けた。
アイツときたら、あと1分もすればココに辿り着けるような距離まで迫ってきている。
「まったくもう、あの馬鹿……」
戦災に追われ、路頭に迷っていたのを拾ってあげたくらいで、私に付き従う事に命を掛けるなんて言うんですもの。
性格は単純で一本気すぎる気もするけど、学もあるし、私の元で働かなくとも、真剣に仕事を探せばもっと給料の出る職に就けるでしょうに……。
「本当に――馬鹿な人」
私は頬が熱くなるのを感じながら、もう一度アイツに手を振った。
私はアイツの事が嫌いではない。
アイツの話は面白いし、アイツは絶対に私の味方で居てくれる。
「セリアおじょぉさまぁぁ!!」
でも、私は彼を好きにはなれない。なることはできない。
貴族と平民という立場とか、そういったものを気にしているわけではない。
ただ、私は……。
私は振っていた手をLに構え、駆け寄ってくるアイツの元へと笑顔で駆け出した。
「セリアおじょぁさまぁぁぁ!! 愛していますぅぅぅ!!!!」
「その言葉、本当なのね?」
「勿論ですともぉぉぉ!!」
「だったら――」
私はアイツの胸へと飛び――込まず、彼とすれ違いざまにL字に構えた腕を彼の喉元に叩き込んだ。
互いに駆け寄る勢いと私の腕が綺麗に首に決まった事で、アイツは首を軸に綺麗に半回転し、地面に頭から叩きつけられた。
「だから、何度言えば分かるの!! 私の名前はマローネ!! 何処をどう間違えればそんな名前になるのよ!!」
私は地面でもがいている馬鹿を放って置いて、セバスチャンが準備をしていた馬車に乗った。
また何処か、落ち着いて本が読める場所を探さないといけないわね。
「お、おじょお……さまぁ……グフッ」
こちらまで這おうとして途中で力尽きた馬鹿を無視して、私は馬車を走らせた。
私が彼を好きにならないのは、つまりそういう事。
どうして自分の名前も覚えてくれない人なんかを好きにならなくちゃいけないのよ。
私が彼を一人の異性として感じるかは、彼が私の名前を覚えてから……ってなるかしらね。
そんな思いつき保守
保守なりよ
>>444 バロスwww
エロにたどり着くまで読みたい!
執事の朝は早い。鶏が目覚めるよりも先に起きる事こそ、正しい執事の一日の始まりであるといえる。
「あー、うん、おほんおほん」
今日の喉の調子も絶好調。さっそく本日の第一声といくとしよう。
「おじょぉさむぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
うっすらと覗く太陽。黒から蒼へと変わる空。世界に光が溢れ、神秘的な一瞬。
私はその一瞬に、全ての想いを込めて咆哮する。
「愛していますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
屋敷の裏手の丘の上。その頂上にある一本杉の枝から、お屋敷へ、太陽へ、そしてお嬢様に向けて。
届け、この想い!! そして帰って来い、お嬢様からの愛!!
この私の愛は不滅、そしてあの太陽のように熱く燃え滾っているのだ!!
む、お嬢様がバルコニーに現れた!? ななな、なんと破廉恥な、まだ寝巻き姿のままではないか!!
いや、しかしコレはコレで……ああ、お嬢様の艶やかな体のラインがハッキリと!! コレはイカン、けしからん、だがしかし、だがしかし!!
お嬢様に劣情を抱くのは執事失格!! 早朝からこんな卑猥な思考に耽るとは何事だ自分!!
そうだ、こういう時こそ精神統一、初志貫徹!! お嬢様への溢れる想いをもう一度!!
「リズおじょぉぉ――」
ダダーーーーン……
一本杉の枝に立っていたアイツがコロリと地面に落ちていくのを見届けて、私は手にしていた(まだ銃口から硝煙を上げている)猟銃をセバスチャンに返した。
まったく、まだ夜が明けたばかりだってのに、毎朝毎朝、恥かしい台詞で起こされる身にもなりなさいよ。
「よろしかったので――?」
ナニがかしら?
「今回は普段の威嚇用ではなく実弾でしたが……」
「ええ、構わないわ。どうせ例の如く、私の朝食時にはいつも通りの笑顔で控えているだろうしね。というか、アイツさっきリズとか言ってなかった?」
「は、確かにそう言っておりましたが……」
「…………」
私はセバスチャンから猟銃をもぎ取る様に構え、一本杉の根本の茂みに数発連続して弾を打ち込んだ。
特に反応は無いけれど、手ごたえはあったから……おそらく直撃は二・三発位ね。
それにしても、アイツ、本当に私の名前を覚える気あるのかしら……?
まさかとは思うけど、こうやってヤキモキさせられていること自体がアイツの狙い……な訳ないか。
アイツがそういう小細工できるほど器用で下心があるヤツなら、そもそも気にもかけないわ。
……てことは今、私、アイツの事意識して……る?
「――ッ!!」
カァッと顔が熱くなる。
ないないない、そんな事無い!! 朝早くに起こされたせいでまだ寝ぼけてるんだわ、そうに違いない!!
突然沸いた変な考えを振り払うように、私は銃をセバスチャンに押し付けてズカズカとベッドに潜り込んだ。
食事時までにもう一眠り。「できるなら、いい夢を見られますように……」と呟きながら。
過疎ってる?
やっぱり思いつきと勢いだけの保守。
お嬢様ツッコミ最高っすwww
GJwwww
セバスチャンも大変だなwwww
GJ!!
ツンデレお嬢様最高!
他の所の名前が残ってた、スマン逝ってくる
イ`
456 :
うめ:2008/01/15(火) 23:46:02 ID:d5kuJVbq
うっすらと湯気の立ち上る湯上がりの肌。普段は白雪のごときそれも熱を帯びて僅かに赤らんでいる。
氷のように鋭い眼差しが惚けて魅入る男に突き刺さる。
はっとして、男は自分より頭一つ分背の高い女性の前に跪いた。そうして、肌を濡らす水滴を丁寧に布で拭っていく。
女性の体は彫刻のように美しかった。均整のとれた体つきは最早芸術の域に達している。美しすぎて、欲望の対象にするなど恐れ多いと思ってしまうほどだった。
長く伸び、尖った耳はエルフ族の証。対する男の耳は丸く、彼がエルフではないことがうかがえる。
体を拭い終え、男は彼女に薄い夜着を羽織らせる。長椅子に掛けた女性の背後に回り、男は布で髪の含む水分を丹念に吸い取っていく。
「便りがないは無事の知らせ、か」
細く柔らかな巻き毛が縺れぬよう細心の注意をはらっていた男は女性の言葉に顔を上げた。
「それにしても、愛しい妻を何年も放っておくのはどうなのだ」
遠方の夫を思っている女性の表情は普段と違い幼く見えた。いつもの怜悧な彼女は女手一つで土地屋敷を守るための武装なのだと改めて実感する。
「恐れながら、マダム」
男は控えめに、けれどきっぱりと答えた。
「今しばらくの辛抱かと。あなたが立派に女主人として館を守られたと知れば旦那様もさぞやお喜びになられることでしょう」
女性は顔を上げ、男へと緩やかに手を伸ばす。
「しかし、私は寂しい」
しなやかな指が頬を撫で、唇に触れる。
「ジーク」
名を呼ばれ、男は嘆息する。しかし、拒むわけにもいかず、女性の求めるままに口づけた。
「あの人がなぜお前を置いていったか、考えるだに腹立たしい」
苦笑をこぼし、男は彼女の正面へと回り込む。
彼女に求められるままに体を開くのは男の義務だ。
「お前がいるからあの人は平気で私を一人にする」
幾度となく触れた体ながら、未だに緊張する。男がまだほんの幼子の頃から彼女の姿は変わらない。
「お前が憎らしい」
美しい女主人は男の憧れであった。その憧れを汚しているようでひどい罪悪感に苛まれる。けれどその一方で与えられる快楽には抗い難いものがある。
「それなのに、お前は可愛い。昔から変わらない」
「マダム、変わらないのはあなたです。私は、変わってしまいました。もう幼子の愛らしさはないでしょう」
まるで拷問だと思いながら、男は今宵も女主人の一時の慰めになるのであった。
*
以上、埋め小ネタ。
GJ!
いいね。
続きも書いてー。
459 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/22(火) 05:47:20 ID:O0NWxxte
うめ
hosyu
こんにちは。ご無沙汰しています。島津組です。
埋めがてら、冬の日のヒトコマをどうぞ。2レスいただきます。エロはありません。
-------------------
「ゆびきり」
冬の冷たい空気に息が白く揺れる。厚いコートやマフラーのせいで、夏の倍は狭く感じるS街の、とあるビルの前に、岩淵は立っていた。
今日の夕方から雪になるかもしれません、と出がけに見たテレビでアナウンサーが笑顔で言っていたのを、岩淵は忌々しく思い出した。
寒さにかじかみそうな手で、胸ポケットの煙草とライターを取り出したところで、その寒さを吹き飛ばすような声が聞こえてきた。
「岩淵さん!」
岩淵は、口にくわえたところの煙草を慌ててパッケージに戻した。暖かそうな格好の瀬里奈が、岩淵の傍に駆け寄ってきた。
「おや、お嬢さん。どうなさったんですか」
「うん。辻井さんを探してるの。そういえば最近は岩淵さん、うちに来ないね。どうしたの?」
「自分は元々、代行――辻井のアニキの舎弟なんですよ。勉強ってことで、おやっさんの下につけてもらってたんですが、アニキのところへ戻ったんです」
そうなんだ、とわかったようなわからないような顔をして瀬里奈は頷いた。
「代行なら、まだもうちょっと時間、かかりますから……。そうですね。あの角の喫茶店で待っててください」
仏頂面では島津組で一、二を争う岩淵が、僅かに口元に笑みを浮かべて、瀬里奈に言った。
「わかった。遅くっても待ってるから、ちょっとでいいから、来てって辻井さんに言ってね」
「はい。――あ、お嬢さん、今日、大学の発表の日じゃないですか?」
「あッ! ダメ、ダメダメ。最初におめでとうって言ってもらうのは辻井さんって決めてるの!」
瀬里奈は顔の前で大きく腕でバツマークをつくり、じゃあね、と手を振って喫茶店へ向かって走り出した。
どうやら大学には合格したらしいな、と、岩淵は駆けていく瀬里奈を微笑ましく眺めた。
ビルから出てきた辻井を、寒さに身を縮めた岩淵が迎えた。
「ご苦労様ッス」
「寒い中、悪かったな」
「いえ。いかがでしたか」
辻井が煙草を取り出したのを見て、さっとライターをつける。問題ねえ、後で詳しく話す、と煙を吐きながら辻井は言った。
「お嬢さんがアニキに会いたいって、あそこの喫茶店でお待ちです」
「お嬢さんが?」
今日、大学の合格発表みたいですよ、とライターをしまいながら岩淵が頷いた。
「ああそうか。わざわざ俺に言いにくるってことは、合格してたんだろうな」
先ほどの瀬里奈の様子を岩淵から聞き、辻井は喉の奥で笑った。相変わらず、子供っぽい感情表現をする少女をまぶたに浮かべる。
吸いかけの煙草を岩淵に渡して、喫茶店へと向かった。
「遅くなりました、お嬢さん」
「ううん、いいの、あのね」
瀬里奈は大きな瞳をキラキラと輝かせ、テーブルから乗り出さんばかりにして話す。
「合格、おめでとうございます」
「ありがとう! 今日の大学がね、第一志望だったの。だからね、一番最初に辻井さんにおめでとうって言ってもらいたかったんだ」
ご機嫌な瀬里奈を見て、逆にずっと機嫌の悪い親分を、辻井は思いだした。
瀬里奈からの合否の連絡をそわそわと待ちつつ、それが全くこないことに段々苛立ってきて、なんで俺に連絡してこねェんだ、あの親不孝モン、と若い衆に当り散らし始めた。
そんな島津をなだめるのに、辻井は苦労したのだった。
「お嬢さん。お嬢さんのお気持ちはとても嬉しいですがね、誰より心配してる人を、お忘れじゃありませんか?」
「ん、誰? あ! お父さん? 忘れてたぁ」
親の心、子知らず、という言葉が頭をよぎる。連絡してあげてください、と辻井が言うと、瀬里奈は携帯を取り出した。
ごめんねお父さん、などと猫なで声で、瀬里奈は言い訳をしている。話の内容で、電話の向こうの島津の機嫌が直っているのがよくわかる。
瀬里奈が島津と話している間に、窓の外ではちらちらと雪が舞い始めた。道を行く人たちが立ち止まり、空を見上げている。
辻井も知らずのうちに、雪をじっと眺めていた。
「あ、雪だぁ。寒いもんねえ」
いつの間にか電話を切っていた瀬里奈が、辻井に言った。
「試験、全部終わるのはいつですか」
「最後の発表が二月の中頃だよ」
「――なら、二月最後の日曜日、俺とデートしませんか」
突然の辻井の誘いに、瀬里奈が驚いて辻井を見つめた。合格のお祝いに、またあのレストランへお連れしましょうと、瀬里奈の頬をそっと撫でて、辻井は微笑んだ。
「う……うん! 行く! 行く! 嬉しい!」
年相応なら、彼氏くらいいてもおかしくない少女が、自分の誘いを無条件に受けてくれる。誰よりも――父親よりも――まず一番に自分のことを思い出してくれる。
そして、少女の気持ちを独占していることが、嬉しいと感じている自分がいる。
この危ういほどの微妙な距離を、いつまで保っていけるだろうか。
いつまでも、このままでいたかった。瀬里奈が永遠に女にならず、ずっと子供のままでいてくれればいいと、心のどこかで辻井はいつも願っていた。
「あとの試験も全部合格するように頑張るね」
嬉しそうに頬を染める瀬里奈を見て、辻井は珍しく後悔の念にかられた。
デートをしようなどと誘うべきではなかった。単にお祝いしようと言えばよかったのだ。子供のままでいてほしいと思いながら、自らの言葉で瀬里奈を女にしてしまったようで、落ち着かなかった。
何もかも、都会を非日常に染める白い雪のせいだ、と無理やり決めつけ、後悔を心の奥底に押し込んだ。
そんなことを辻井が思っているとは知らないだろう、瀬里奈が辻井に話しかけてきた。
「もしさあ。もしぃ、全部合格したらさあ」
左耳をいじりながらちらりと辻井を見る。何かをねだる時の子供の頃からの瀬里奈のくせだ。
「なんのおねだりですか」
「おねだりじゃないよ。あのね」
耳、貸して、と瀬里奈は辻井の耳を引っ張り、こそこそと囁いた。それを聞いた辻井は、思わず吹き出した。
「やっぱり、おねだりじゃないですか」
「え、そっか。そうかな」
照れ笑いを浮かべて鼻を触る。これはいたずらがバレて誤魔化す時のくせだ。
こうやって幼い頃からのくせがまだ続いているうちは、大丈夫だ。きっとまだ、瀬里奈は自分の前では幼い子供のままだろう。
自分が忠誠を誓う絶対の存在、島津隆尚。その彼が大切にしている娘を、誰よりも強く思い、守ってやれる特権は、何があっても手放すつもりはない。
瀬里奈が産声をあげた時から見守り続けてきた自分だけの、かけがえのない権利なのだ。
男と女に芽生える愛情関係などよりも、強く、固く、深い情愛が、自分と瀬里奈の間にはきっとある。少なくとも、自分の心には存在する。
その気持ちは、島津への忠誠心と共に、辻井凌一というひとりの極道を支えている源だった。
ただ、少女が女に生まれ変わることで、自分の手の内から巣だっていくのが、寂しい、それだけだ。
子供のままでいて欲しいと願う一方、いつも自分にそう言い聞かせていた。瀬里奈へは、それ以上の気持ちはを持ってはいない、持ってはいけないのだ。
「いいですよ。その代わり、全部合格したらですからね」
「ぜぇったい頑張る! だから、約束ね?」
「ええ。約束しましょう」
じゃあゆびきり!
幼い瀬里奈の声が脳裏に甦った次の瞬間、目の前の瀬里奈が言った。
「じゃあ指きり!」
瀬里奈の左の小指が差し出された。左手で指切りをするのも、幼い頃からの瀬里奈のくせだ。
辻井はその指に自分の小指を絡めた。
瀬里奈とふたり、並んで店を出る。
寒いね、と辻井を見上げた瀬里奈の息が、白く空気に舞った。そうですね、と辻井は答えた。瀬里奈は島津と待ち合わせをしていると言って、手を振って走り去った。
凍てついた風が街をなめるように吹き、凍える寒さに、辻井は身体を縮めた。だが、指切りをした小指だけは、温かいままだった。
この温もりを手にし続けるためにも、ヘタを打つわけにはいかないな、と辻井は寒さとは違う意味で、身を震わせた。
――了
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以上です。読んでくださったかた、ありがとうございました。
アニキ、久々のお作、ありがたく頂きました。
瀬里奈が18になってる〜〜〜!
辻井さんが変わらぬ距離で見守っている姿にジンと来ました。
おねだりの内容はやはり『お泊り』でしょうか?
辻井さん素敵ー。
このシリーズ大好きです。
がんばってください。