不良少年×優等生

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1名無しさん@ピンキー
不良と真面目っこという組み合わせでエロパロしましょう
2名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 01:17:34 ID:uhJYra89
2
3名無しさん@ピンキー:2007/03/14(水) 01:23:34 ID:/jMazkW5
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!

.         ,:::-、       __     >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
    ,,r   〈:::::::::)    ィ::::::ヽ    >3 >>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
  〃   ,::::;r‐'´       ヽ::ノ     >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
  ,'::;'   /::/  __            >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
.  l:::l   l::::l /:::::)   ,:::::、  ji     >6 いまさら>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
  |::::ヽ j::::l、ゝ‐′  ゙:;;:ノ ,j:l     >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
  }:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;!     >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
.  {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/      >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
  ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/      >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
.   `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ       >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
        `ー-"
4ロク ◆7W9NT64xD6 :2007/03/14(水) 01:24:32 ID:QKNJOoW7
>>2
GJ
5名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 03:55:55 ID:bkMKZbnL
まずは>>1が投下汁。

話はそれからだ
6名無しさん@ピンキー:2007/03/15(木) 08:32:11 ID:csYVsr5e
この組み合わせって王道だよな
自分に逆らう優等生を黙らせるためにレイーポ
不良少年の自分に無い部分に惹かれて恋に落ちる内気な優等生
女を肉便器としか思って無かった不良少年が優等生と恋に落ちて純情になる
とかいろいろと楽しめる
7名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 11:07:41 ID:59Ev1YYV
このCPからBL臭を感じだ自分は腐ってる?orz
8名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 21:48:48 ID:DvfwFzp2
>>7
あれ? 俺がいる…
9名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 21:55:39 ID:LRh/9G96
801の王道ww

良スレ晒し上げ
10名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 22:33:09 ID:IiVVtccz
優等生は眼鏡みつ編みがいい…
11名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 23:04:00 ID:SnRen12y
とりあえず幽遊白書のエロパロ書けばいいじゃない
121:2007/03/16(金) 23:57:35 ID:KSPTfGFA
 体育館倉庫は、学校行事以外ではあまり使われる事のない場所で人気もない。
そのせいか不良達がたまり場にするのか…充満した煙草の匂いに涼子は思わず
顔をしかめた。マットの上で堂々と煙草を吸う佐藤を見つけて、涼子はキッと
睨みつける。
「先生を呼ぶぞ」
「ああ?」
 やっと涼子に気付いたのか、佐藤はかったるそうに顔を上げた。ふぅ、と白
い煙を吐き出してニットの帽子を深く被り直す。
「生徒会長さんが何の用だよ」
「煙草を吸うのをやめろ。あと、ここを溜まり場にしないでくれないか」
 ピシリといい放った彼女に佐藤はハッと軽く笑い声をあげた。よく聞こえね
ェなぁ、と煙草をくわえ直す。
「先生を呼ぶぞ」
 その様子にいらっとしたのか、涼子は先と同じ言葉を繰り返す。
「生意気なんだよ、てめーは。呼べばいいだろうが」
「停学じゃ済まないぞ」
「こんな学校やめたってどうとも思わねーし」
「フン。退学どころで済まんかもな。私が少し演技をしてしまうだけでお前は
少年院にでもぶちこめるんだぞ?」
 涼子は黒い長髪を大げさに振ってみせて、佐藤を嘲笑ってみせた。周りでは
可愛いく振る舞ってみせるが、佐藤の前ではこうなのだ。態度や口調、その目
すら普段の彼女とは豹変してしまう。
 糞が、言い捨てると彼女の目の前まで近づいて、思いっきり煙草を踏みつけ
る。
「これで満足かよ、猫かぶり」
「あら、その言い方私は満足できませんわ」
 わざとらしく可愛いく言う涼子に拳を上げかけて、ぐっと自制した。少年院
に入れられては困る。
「殴ってもいいぞ?しかし、先生や校長には何て言おう?そうだな、犯されたと
でも言おうかな」
「卑怯な手ばかり使いやがる。てめェが一番最低だよ」
「ふっ、風紀を守る為には脅しも必要だ。時には卑怯な手も正しい事もある」
 さあ、さっさと此所から出ろ。彼女が振り返って出て行く前に、その肩を掴
んでマットの上に押し倒した。
131:2007/03/16(金) 23:59:29 ID:KSPTfGFA
とりあえずここまでで
優等生は内気よりも強気で尊大でツンデレの方が好み
14名無しさん@ピンキー:2007/03/17(土) 00:52:53 ID:jTU8HAeQ
これは期待
15名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 00:11:57 ID:l/kRUJck
続きwktk
161:2007/03/18(日) 14:43:31 ID:wZfM5x65
「何をするっ!」
 暴れる涼子を片手で制して、開いた手でポケットから避妊具を取り出す。こ
れ何だと思うか?と目の前に突き出すと、一瞬のうちに彼女の顔が青く染まっ
た。
「佐藤!お前、何を考えているか分かってるかッ」
「うっせぇんだよ、お前。コレ使わなくても良いんだぜ、俺はよ」
「な…」
「流石に高校生で妊娠は可哀想だもんなァ、生徒会長」
「や、いやだ!頼むからっ」
「やだろうなぁ。俺の優しさに感謝しろよー」
 上半身を折り曲げて彼女と唇を重ねる。喰いしばった涼子の唇に舌を這わせ
ていく。下唇、端っこ、隅から舐め上げるとだんだん力が緩んで来たので舌を
滑り込ませる。思い切り噛まれるかと思えばそんな事も思いつかないのか、た
だ佐藤のされるままに口内を貪れた。ただ時にくぐもった声を上げるだけで反
抗する腕の力も弱くなっていく。
 充分堪能して唇を離せば、ようやく彼女が泣いている事に気付いた。だから
何だ、と続けようと手を服にかける。
「…お前のせいだぞ」
 なんとなく罪悪感に駆られながらも制服のブラウスを脱がそうと襟に手をか
けた。煙草の匂いが充満する中に、ふと花のような匂いを感じて手を止める。
「…っやだ…やだやだやだ…悪かったから…」
「何だよっ!」
 彼女らしくない言葉に苛ついて、乱暴に彼女の肩を押さえつける。ツンとし
た涼子の泣き顔はあまりにも意外すぎて戸惑う。
「許してくれ…頼むからっ」
「うっせェッ!」
「ふっ…えっく…」
 バン、と床に拳を打ち付けて、佐藤は涼子から飛び退いた。このまま逃がし
て状況は悪くなるだけなのに、どうせなら本当に犯してしまった方がいいかも
しれないっていうのに。
「さ、佐藤?」
「出てけ!」
「え…」
「いいから出てけっつってんだろ!犯されてぇのかッ!」
 佐藤が大声をあげると、彼女はハッとしたように乱れた服装を直して急ぎ足
で出て行った。
 これで終わった。未遂とはいえ犯罪なんだから。それに不良を目の敵にして
いるお固い生徒会長が、この事を言わない筈もない。
「…すっげぇー馬鹿じゃん」
 ニットの帽子を脱いで彼女が出て行った扉に投げつけて、怒りのままに髪を
毟った。おかげで男にしては長めの髪はボサボサだ。
 彼女の残り香がいつまでも鼻について、苛々だけは収まる事はなかった。
171:2007/03/18(日) 14:46:54 ID:wZfM5x65
あと二回くらい続きま
不良は極道よりもヘタレの方が好み
18名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 15:54:45 ID:tmcHaEYr
続きはよきぼんぬ
19名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 16:44:22 ID:V5hFYL+n
>>17
自分もヘタレ不良が好きだ
続きもひっそりと楽しみにしてる
20名無しさん@ピンキー:2007/03/19(月) 23:33:11 ID:02yzZLo+
期待あげ
21名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 16:55:53 ID:MpxzVAe2
ほす
22名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 21:00:04 ID:hmIhCCjj
保守
231:2007/03/28(水) 00:49:53 ID:4T91fIoV
あんまり進まないから期限決めとくわ
日曜日までに書き上げるよ
24名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 22:03:49 ID:y+6PZrcq
>>23
wktkして待ってます
25名無しさん@ピンキー:2007/03/29(木) 23:14:55 ID:VvGoaOEb
日曜マダー?
26名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 15:59:56 ID:60yaGbt4
優等生=委員長でも良いわけ?たとえば、
「学校一の悪と言われる和人が惚れたのは、難攻不落の委員長、愛美だった!
 彼女を振り向かせようと努力する和人、そんな和人に心が揺らぐ愛美。
 幾多の困難を乗り越えて、二人の恋は実るのか!?」
みたいな、ちょいベタな青春ラブストーリーはダメか?
27名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 21:16:41 ID:MsrP7LxK
駄目どころか寧ろど真ん中だろ?
28名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 19:35:45 ID:07qeWzGC
>>26
みんなお前を待っていた
291:2007/04/01(日) 22:18:57 ID:TuLE/KPy
 あれから三日経った。少年院にぶち込まれるわけでもなく、学校から連絡が
あるわけでもなく。なんの変化もない状況に、自然と家なんかに籠らなくても
大丈夫なんじゃないか、と思う様になった。あんな事をしでかしてからのうの
うと学校へ来て良いわけがないが。それでも足は校舎でなく体育館倉庫に向か
っていて、佐藤はアホか、と毒づいた。
 いつもの指定席にドンと居座るといつもの煙草を取り出す。ライターがきれ
たのか火がつかなくて少し苛つきながら煙草の箱を放り出した。
 もう彼女はここへ注意しにはこないだろう。ああせいせいする。あの憎たら
しい顔を見なくて済むのだから。
「…うっぜェんだよ。あいつも、俺も」
 静かな体育館倉庫に響く声は無様な程にしゃがれていた。そういえば、最近
は喉がイガイガする。煙草の吸い過ぎだろうか。生徒会長の警告を少しでも聞
いていればよかった、知らぬ間に彼女の姿を思い出している事にも気付かずに
あーあとため息をつく。
 どうせ暇なのだ。コンビニでのど飴でも買って、そこら辺で時間を潰せばい
い。たいして何も入ってない鞄を引っ掴んでやや乱暴に倉庫の扉を開けて、さ
あ飛び出そうとばかりに踏み出す前に――驚いてその足を引っ込めようとして、
佐藤は目の前に立っていた人物に向かって倒れ込んだ。こけた自分を瞬時に支
えた誰かさんの腕は馬鹿みたいに細くて、いやそれよりもここにヤツがいると
いう事に驚いて、佐藤は思わず目を見開いた。
「せ、せいとかいちょう」
「…何を驚いている」
 いつもと変わらぬ鋭い目で、涼子は佐藤を睨みつけた。体育館倉庫を見回し
ながら、今日はまだ煙草を吸っていないようだな、と呟く。
「お…おい。」
 意外な訪問に思わず情けない声がでた。声が震えているのは煙草のせいだけ
ではないだろう。
「なんだ」
「…その、よく来れるな、ここ」
「規律を乱す者に注意するのが生徒会長の役目だ。風紀委員はへっぴり腰で役
にたたんからな」
「そ、そうか」
「というより、早く手をどけてくれんか。いつまでも抱きつくな」
 言われて気付いて、急いで手を離した。何故自分の方だけ焦っているのだろ
う。もしかしてあれは夢だったのか、一瞬そう思って――まぁあり得ない。
301:2007/04/01(日) 22:19:39 ID:TuLE/KPy
「…授業はどうしたんだよ」
「今日は午前だけで終わりだ。」
「ぶ、部活があるだろ。さっさと行けよ」
「職員会議があるから総下校だ。残っているのはお前が最後だ」
「そ、そうか。ええと、じゃあ帰るさ。うん、あーっと」
 焦りは不自然な言葉だけを紡いで、余計に自分を情けなくしてしまう。前の
あの勢いはどうした。なんだか今ばかりは彼女に見下されても何も言い返せな
い気がして、無性に寂しくなった。これは早めに切り上げた方がいい、そう思
って体育館倉庫に投げ捨てた煙草を拾いにいく。背中に突き刺さる彼女の視線
が痛い。
 まだ沢山入っていた煙草は、投げ出された時に床にバラまかれていたようだ
った。微かに舌打ちをして一本一本拾い上げる。面倒くさい事をしてしまった。
「…仕方のないヤツだな」
 丁寧に扉を閉めてから、涼子は佐藤に近づくと同じ様に煙草を拾い集めた。
ただし彼女の場合は煙草を自分のポケットに入れていたが。
「…返せよ、それ」
「…何を言ってる。没収だ」
 近頃じゃ煙草の値段さえ上がっているというのに。大分少なくなったを鞄に
収めて顔を上げると、彼女と目が合った。普段は意識していなかったが、結構
コイツは美人な方だという事に気付く。
「…あーっと」
 不自然な程に焦りながら目を逸らして、鞄を担いで立ち上がる。スカートを
叩きながら、涼子もスッと立ち上がった。
「…帰るか。」
「早く出るぞ。ここは煙草の匂いが染み付いてる」
「嫌いか?」
「煙いから嫌いだ」
 だから煙草に関してはやけに煩かったのか。私情混じってるんじゃねェか、
言おうとして言葉を飲み込んだ。三日前の事を意識してしまい、なんとなくと
っつきにくい。そう思いながら、開けようと扉に手をかける。
「あ゛?」
「どうした?」
 開かなかった。力任せに扉を引っ張るが、びくともしない。体育館倉庫は内
鍵式なので鍵が掛かっているという訳でもない。
311:2007/04/01(日) 22:20:27 ID:TuLE/KPy
「…そんな」
 涼子が呆気にとられたような声をだした。何か引っかかってるのではと目を
凝らすが、小窓から入る光だけでは周囲も見渡しにくい。振り向いて、涼子と
向き合う。
「誰か呼べよ」
「…生徒はもう帰った。教員は会議中だ。職員室まで声が届く筈が無い」
「携帯電話あるだろ」
「私は持っていない。こういうのはお前が持っているだろう」
「充電すんの忘れてたんだよ」
「つくつぐ使えんヤツだな、貴様は」
「うっせぇな、てめェだってこーいう大事な時頼りになんねぇだろ!何が生徒
会長だよ、だっせぇ」
「何を言う!脱出は専門外だ!」
 む、と暫しにらみ合ってからそっぽ向く。ここで不毛な言い争いをしても仕
様がないだろう。はぁとわざとらしくため息をつくと、マットの上にどかと座
り込む。二人きりは嫌だがここで助けがくるまで待たなければいけないだろう。
 座り込んだ佐藤を見て、涼子もマットの隣にあった平均台に腰を下ろした。
彼女の少しウェーブの掛かった黒髪が揺れて、前と同じ香りがした。香水のよ
うにキツいわけでもないので、きっとリンスの匂いなのだろう。
「なぁ」
 沈黙が辛くて、先程の言い合いは忘れて彼女に声をかける。
「なんだ」
 顔も向けずに彼女は素っ気ない言葉を返した。別に特別な返答を求めていた
訳ではないが。
「…お前の名前、知らねえんだけど」
「クラスメートだぞ」
「てめーが、リョーコって呼ばれてる事しかしらねーよ」
「じゃあそう呼べばいい」
 いや流石に呼びにくいだろう。自分の女という訳でもないのに。けれども、
「わかったよ」と返した。なんとなく特別な気がしたから。それで会話が終わ
ってしまった事に気付いて、慌てて次の話題を探す。
「ええと」
「なんだ」
「…早く開かねぇかな」
「…開く筈無いだろう」
「え、えっと」
「なんだ」
「…何で三日前のこと、誰にもいわなかったんだよ?」
 ようやく、涼子がこちらを見た。なんも感情も感じ取れないその顔は人形の
ようだ。
「…お前と会えなくなっては困るからな」
「はあ?」
「あれはただの脅しだ。お前は私が更生させてみせる。そのためには身体も張
る」
「そうか」
 身体を張るか。もしあの時そのまま犯していたとしても、もしかしたら彼女
は誰にも言わなかったのかもしれない。
「それに…あの時はつい恐くて泣いてしまったが、お前が小心者って事わかっ
てたからな」
「……そうかよ」
321:2007/04/01(日) 22:21:02 ID:TuLE/KPy
とりあえずここまで
次でおしまいです
33名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 00:58:19 ID:+FoOP0E+
ここは不良(♀)×優等生(♂)でもいいわけだな?
34名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 01:00:56 ID:+FoOP0E+
ちょっと訂正

こけは不良少年×優等生とあるが、不良(♀)×優等生(♂)でもいいのか?
35名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 02:23:48 ID:KWmClstY
>>34
問題ないと思う
ただ個人的にはやっぱり不良(男)×優等生(女)のほうが…
すまん聞き流してくれ
36名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 15:58:25 ID:oM9DxefP
佐藤と涼子萌える。
なんつうか、単純にエロに走らない焦らされ方が心地よいな、これ。
期待GJ
37名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 15:46:50 ID:gdGfv58l
ヘタレ不良×強気委員長

「ちょっ、委員長!や、やめろ、放せー!こらっ!ズボンから手を放せっ!」
「うるさいわね!ヘタレのあんたの童貞を学校bPのあたしがもらってあげようって
言ってんのよ!ありがたく思ってさっさと差し出しなさい!」
「(ナ、ナンバーワンって)う、うるせぇ!なんでお前にそんなこと言われなきゃ
なんねぇんだよ!だいたい、なんで俺が童貞だって言えるんだよ!」
「じゃあ、したことあるの?」
「そ、そんなの・・・」
「あるの?」
「いや、だから、そのぉ・・・」
「あるのって聞いてんの!」
「・・・・・・ないです。」
「でしょ?だからあたしがあんたの童貞をもらってあげようって言ってんの。」
「ぐぅ・・・。お、おれにだって不良としてのプライドがあんだよ!」
「プライドがなんだってんのよ!ほら、諦めてあたしのモノになりなさい。」
「ひぃっ!目が光ってる。涎垂らしながらくるな!い、いやだ!
初めてはお嫁さんにあげるって決めてるんだから!」
「ならあたしがお嫁さんになってあげるから、童貞よこせえぇぇ!」
「あ、や、やめろ!放せ、放してぇ〜!」
                   以上。
38名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 16:51:51 ID:BIk2hPNQ
>>37
おまwww
39名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 20:44:46 ID:rDLKih03
>>37
わはは、なんか好き
40名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 23:55:34 ID:DO59uKvR
>>37
その現場にいてもニコニコしてる自信がある(微笑
41名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 14:55:24 ID:d/NfFGNC
保守
42名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 16:50:34 ID:VfaxWrBr
>>37
委員長カコヨスwww
43名無しさん@ピンキー:2007/04/09(月) 23:39:09 ID:gYIfqcVS
ほしゅ
44名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 20:23:05 ID:iutT2ZOv
屋上の主的存在な不良少年と屋上に息抜きしに来た優等生(眼鏡を取ったら美少女)とかベタだけどイイナーと思いつつ保守。
45名無しさん@ピンキー:2007/04/12(木) 21:29:13 ID:3PN40e3d
>>44
さあSSにおこそうじゃないか
46名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 12:21:32 ID:EXXSgLlK
あー、だりぃ。
今もまたそんな風に独りごちて、少年はここで風に吹かれていた。
「いたいた、ソウタ!」
不意に名を呼ばれ、気付いた彼が面を上げる。
バサバサの長い前髪に隠れた、少し荒んだ目がそちらを見、ニヤリと笑う。
「おう、お前ら、掃除はどうした」
「ギャハハ!5限からサボってる奴がそんなこと聞くんじゃねーよ」
鉄扉を押し開け屋上に出てきたのは、所謂不良仲間のクラスメートだ。
友人達はゲラゲラ笑いながら長髪の少年――ソウタの隣に座る。
そして他愛の無い会話で彼らはまた笑い合い、学生である本分を忘れた。
こいつらと居るのは、それなりに楽しい。
だけど、やはり何処かがだるかった。
この気持ちをなんと呼ぶのか、そんなことすら知ることもかなわず、
ソウタは今日もまたつまらない気分を乾いた笑いで上塗りするのだった――が。

バタン!

突然響く乱雑なドアの音に、少年達はギョッとして肩を強張らせる。
だが、それが教師の仕業でないと知ると、一同、安堵したように息を吐いた。
扉を開け、一目散に駆け込んできたのは一人の女生徒であった。
彼女は一度ガシャンと両手を金網に押し当てたきり、じっと立ち尽くしている。
俯いた姿が見せるのはポニーテールの下のうなじだけで、こちらから顔は判らない。
「……アイツ自殺でもすんじゃね?」
「おま、何言って」
「シーッ」
ヒソヒソと耳打ちする声が聞こえたのだろうか。
徐にビクリとした気配で、彼女が振り向いた。そして目が合う。
「あっ、青野、くん?」
ポニーテールの女生徒は、同じクラスの浜田ユリだった。
「チッ」
正体を知り、ソウタは思わず舌打ちを零す。
それもそのはず、彼女はソウタの苦手とする学級委員長なのだ。


というのを、44から妄想した。
4746:2007/04/13(金) 12:22:12 ID:EXXSgLlK
ごめwww あげちゃったwww
48名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 17:01:23 ID:yENYCBb5
不良♀「テメー、シャバいんだよ!!!」

優等生♂「がはっ…………」







・・・・あれ?
49名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 17:27:33 ID:3nMHcXdY
>>46
wkwktktk
続きはないのかい
50名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 02:04:15 ID:ZOLINYMP
>>46
頑張るんだ!頑張って我らを楽しませてくれ!
51名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 17:46:08 ID:JFHsAke4
期待age
52名無しさん@ピンキー:2007/04/19(木) 17:55:09 ID:Nse3J3kw
俺は>37が濃いエロSSとなって再投下されるのをひっそりと待つぜ!
53名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 00:08:05 ID:QbNzd91/
良スレ保守
54名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 09:46:16 ID:n42hXsMG
>>52俺も待とう。
55名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 22:34:34 ID:tAQz4lhU
待ち続けるぜ
56名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 19:26:38 ID:6+Ku2l2m
保守
57名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 23:50:56 ID:va9SpaLl
ほっしゅほっしゅ
58名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 01:54:50 ID:1UtZ1LLg
ちと妄想したので投下

何でこうなるかな……。
「良くん、英語にしよっか」
由衣は、鼻歌を歌いながら教科書を出した。ついでに、俺の隣に席を移動する。
「勝手にしろ」
俺は、今更ながら図書室に来た事を後悔している。
ちょっと一人になりたかっただけだ。一人で静かに過ごしたかっただけ。
でも、いつもの場所には行きたく無かった。

しかし、今日は運が悪いらしい。
たまたま本を読んでいた成績優秀者と鉢合わせしてしまったのだ。
そう言えば、朝のホームルームでも、くじ引きで掃除当番になったっけな。サボったけど。

目の前の幼馴染は、何を思ったか二人で勉強しようと言い出した。
俺は勉強なんかやりたくねえ。
「やっとその気になったか。うんうん」
腕組みをしながら、大げさに頷く。
”その気”ってどの気だ。そもそも、お前が勝手に進めているだけだろう。
「来年は大学受験だし、良くんはやれば出来るんだからさ、いつまでも不良なんて……」

由衣の小言を聞き流し、窓の外に目を向ける。
今にも落ちて来そうなほど、雲が低く垂れ込めていた。
「雨…」
「え……?」
由衣が、つられて外を仰いだ。
「傘忘れちまった…」
つくづく運が悪いらしい。
窓に映った俺は、いかにも不満げに眉を寄せている。

「だいじょぶだよ。あたし持ってるから」
用意のいいことで。流石は優等生だな。
アイアイガサなんて死んでもゴメンだけど。


すまん、これ以上はムリっぽい。長くなる上に本番が書けない…… orz
何とか妄想してみる。
59名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 14:47:52 ID:SYIbB8jn
長くても書いて下さい……orz
萌えることさえできれば良いのです

本番なんて飾りです
エロい人にはそれがry
60名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 16:34:14 ID:k02NiZS/
お前等、とらぶるDAYSってエロゲーやれ。
不良少年×優等生のカップリング好きなら損は無いぜ
61名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 22:02:18 ID:M3q3uCrH
学級委員は好きだけどメガネ属性が無いから複雑だ…
62名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 12:06:57 ID:dHErxTD5
ちょいとスレ違いかもしれんが
優等生×不良少女ってのはジャンルとしてどうだろう?
成績は優秀だが取り立てて夢がなく進路希望を偏差値で決める優等生と
その日が楽しければいいという自分の生き方に、少しずつ疑問を持ち始めた不良少女が
偶然出会って、お互いに夢がないという共通項から知り合い惹かれあっていく、ってのは?
63名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 13:15:02 ID:JmyRVv3P
>>62
そのカップリングはベタだが悪くないと思うけど、男女逆でも
全く問題が無い訳で。従ってこのスレ的にはチョット…
641:2007/05/11(金) 21:41:03 ID:Uo6SzeK/
 寝っ転がってだらだらして涼子に時々ちょっかいをだして、幾ら時間が経っ
たかわからない。上がりかけの太陽の光りが小窓から眩しく射して、佐藤は眠
たげに目を閉じた。冷えた空気が寒気を誘って、小さくくしゃみをする。
「…寒いのか?」
「別にさむくねー」
「ウソをつけ」
 涼子がマットの上に寝転がる佐藤に近寄って、自分の着ていたカーディガン
を腹の上に被せた。もこもことした肌触りが気持ちいい。
「これでも被っていろ」
「…サンキュ」
 礼を言って、ふと思い出す。戻ろうとした涼子の腕を捕まえて、だるい上半
身を起こした。
「なんだ」
「俺謝ってねえ」
「何の事だ?」
「押し倒した事。悪かったよ」
「…ああ」
 許してくれるという事だろうか。そう解釈する事にして、にっと涼子に微笑
んだ。彼女は一瞬驚いて、それから微笑み返した。それはいつも見る皮肉気な
笑顔ではなくて、とても新鮮に思えた。
「こんな事して許すのは、お前だからだぞ」
「どういう事だよ?」
「お前の事…嫌いではないという事だ」
 驚く事はなかった。自惚れる訳ではないが、なんとなくそういう可能性があ
ったりして。なんて事思っている自分がどこかにいたから。
65名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 21:41:18 ID:gXNtLpZN
過疎ってるしヤンキー少女も見てみたいので個人的には別に無問題
661:2007/05/11(金) 21:42:16 ID:Uo6SzeK/
 なんとはなしに伸ばした右手が、彼女の頬を伝う。彼女の長い髪を耳にかけ
て、そのまま重ねるだけのキスをする。何度か繰り替えすと、彼女が佐藤の胸
を押して離れた。前キスした時とは正反対の顔色に、こちらまで少し顔が熱く
なる。
「こ、こういう事をする前に、順序というものが」
「順序ォ?んなの気にしてんのかよ」
「お、思いを伝え合ったりとか、あるだろう」
「好きだ。しよう」
「そッ、率直すぎる!馬鹿め」
「じゃあお前から言えよ!」
 言い返すと、涼子はうっと声を漏らして頭を佐藤の胸に押し付けた。心臓が
早く脈打っているのがバレてしまいそうで、彼女の肩を掴んで少し引き離す。
「…涼子」
 彼女が顏を上げて、上目遣いでこちらを見据える。紅く染まった顏は互い一
緒だろう。

「佐藤」
「おう」
「…す、すきだ…」
「…おう」
「佐藤は?」
「好きだ」
「ん」
 再度唇を重ねる。離しては角度を変えて、また口付ける。舌を伸ばして、唇
や歯をなぞった。舌を絡めれば、彼女が苦しそうに「んっ」、と喉を鳴らした。
限界になるまで口内を貪って、離す頃にははあはあと息を荒くする。そのまま
頬を伝って耳朶にかぶりついて、飴のように舐めていく。右手は彼女の身体を
這って、制服のボタンを一つずつ外していく。
「ふ、あっ…」
 ボタンを全部外すと、白いブラジャーが見えた。包まれる胸はあまり大きい
とは言えないが、その小振りの胸さえも今では可愛いく見える。彼女の背中に
指を這わすとくすぐったそうに少し震えた。
67名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 21:42:40 ID:F8rR8qab
>>64
いいねいいねー
681:2007/05/11(金) 21:43:59 ID:Uo6SzeK/
次で終われたらなぁ
ヤンキー少女だって待ってます

とらぶるDAYSは既に体験版やったんだぜ?
69名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 21:46:50 ID:F8rR8qab
>>68
GJGJ
次のエロに期待して待ってる

とらぶるDAYSって体験版があったのか
70名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 21:26:54 ID:uieGtq3m
あげ
71名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 00:46:14 ID:te+31vDY
非常に>>58の続きが書きたい。
だがあいにくと某禁断症状的なスレの分書いてるので、
そっち終わってから書きたい。
7271:2007/05/19(土) 12:21:05 ID:JEqkgnOS
というわけで某所の分は上げ終わったので、
>>58の続きを勝手に書いてもよいアル?
73名無しさん@ピンキー:2007/05/19(土) 19:07:34 ID:erwNHC6d
>>72
 wktkしながら、待ってりゅ
 全裸正座で

 
7471:2007/05/19(土) 22:37:49 ID:jYpBd/Np
>>73
ありがとう。がんばる。何気にもう5千字くらいなんだ。

だけどオジサン不良ってうまくかけないんだよね。
どうしてもへたれるんだ。本人がヘタレだからorz
7573:2007/05/20(日) 10:05:46 ID:cUYTdZxY
>>74
 ヘタレが愛のためにがんばっている姿、好きだなぁ……

 ごめん、このままだと風邪ひきそうなのでニーソだけ履いても良い?
7671:2007/05/20(日) 10:58:30 ID:EHszz/Zh
>>75
YOUはHEARTもHADAKAのままでいちゃいなYO
77名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:35:51 ID:42J2xRLT
勝手に>>58の続き。すまんが途中まで。まあ長いような気もするので分割投稿の意味も含めて。

 何でこうなるんだろうか。
「良くん、英語にしよっか」
 由衣が鼻歌を歌いながら教科書を出し、ついでに俺の隣に席を移動する。
「勝手にしろ」
 どうせ断っても動きゃしないから、悪態を一つつきながら今更ながら図書室に来た事を後悔した。
 放課後、すぐ帰るのもかったるく、かといって誰かとつるむのも面倒だったので、一人で静かに過ごせる場所として図書室を選んだのだ。この手合いにはうってつけの場所

には、諸般の事情もあって行きたく無かった。
 しかし、どうやら今日は運が悪いらしい。たまたま本を読んでいた成績優秀者と鉢合わせしてしまったのだ。
 そう言えば朝のホームルームでも、くじ引きで一緒の掃除当番になったっけな。サボったけど。
 図書室に入ってきた俺を見つけ、幼馴染は何を思ったか二人で勉強しようと言い出したのだ。
 当たり前だが俺に勉強する気なんて、髪の毛ほども存在しない。なのに。
「やっとその気になったか。うんうん」
 腕組みをしながら大げさに頷き、現在に至る。 その気、ってどの気だ。そもそもお前が勝手に進めているだけだろうに。
「来年は大学受験だしさ、良くんはやれば出来るんだからさ、いつまでも、さ……」
 今年に入ってから幾度となく耳にしてきた由衣の小言を聞き流し、窓の外に目を向ける。そこには今にも落ちて来そうなほど、雲が低く垂れ込める光景があった。路面まで

視線を落とせば水溜りが踊っているのもわかる。
「あ、雨だ……」
「え……?」
 由衣が俺の言葉につられて外を仰ぐ。見たって何も変わらないけど、まあこれは仕方ないか。それよりも。
「傘忘れちまった……」
 顔に手をやり、一人ぼやいてみる。どうやら今日は厄日確定らしい。窓に映った俺はいかにも不満げに眉を寄せていた。
「大丈夫だよ。あたし傘持ってるから」
 用意のいいことで。流石は優等生。天気予報もちゃんと見ているのだろう。だけどそれは一つの方法を除き、俺には関係ないことである。
 そして唯一濡れない方法であろうアイアイガサなんて死んでもゴメンだ。誰かに見られた日には、後ろ指指されること間違いない。
 こっそりため息をついて、明日学校サボる理由に「制服が濡れて着るものがないので」が使えるかを真剣に考えながら、隣でほらほらと英語の教科書を押し付けてくる幼馴

染をジト目でみやる。
 どうやら、こいつと一緒に勉強するまでは解放してくれないらしい。試しに立ち上がるそぶりを見せたら、腕をつかまれて椅子に再着席。やれやれ。どうにでもなれ。
 由衣からペンを借り、渋々ながらもグラマーと睨み合いをすることにした。

78名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:37:05 ID:42J2xRLT
「あーもうやだ。疲れた。無理」
 二時間半延々と関係詞について叩き込まれた後、whereだのwhenだのといった新たな刺客が出てきたあたりで俺はペンを放り出した。おかげさまで、whoがwhatしてwhichに

howとか何とか頭が疼いている。
「お疲れ様。やっぱりやればできるよ、良くんは。あの時だってそうだったでしょ?」
 つい二時間半前に聞かされた言葉を右から左に聞き流しながらも、後半部分があんまり思い出したくもない高校受験期をよみがえらせてくれる。

『一緒のところに行こうよ、ねえ、お願いだよ良くん!』
 高校に行かないことを宣言した俺に泣きついて離れない由衣の姿。由衣は学校のレベルを落としてまで、俺と同じところに行くことにこだわった。
 もちろん周囲は(中学校の先公中心に)進学先のレベルを落とすこと、そして既にならず者扱いだった俺にかまうことに大反対をしていた。
 だが、当時(というか今でもそうだが)大人で唯一俺の味方だった由衣の両親からの
『良。頼むから由衣と一緒に高校に行ってあげくれ』
という願いには、さすがに肯かざるを得なかった。
 俺がいたばっかりに由衣も駄目になった、なんてことを言われたくはなかったので、期間限定で優等生となり、どうにか中堅の中では上位クラス、かろうじて由衣の進学先

として許された一番下の学校に滑り込んだ。
『ありがとう良くん!』
 合格発表のとき、自分のことよりも俺の合格を本当に喜んでいた姿が忘れられないとともに、今の俺の重石ともなっている。

「ほらほら、早く帰ろうよ」
 など急かす声を背に、窓際まで歩いて空を見上げてみる。
 未だ空は黒くにごり、駐輪場のトタンに雨粒がザァザァと派手な音を立てて特攻している。どうやら雨はまだまだ続きそうだった。
「早く帰りな。俺、寄るとこあるし」
 振り向かずに手だけ動かし、しっしと追いやる。無論、寄るところがあるなんてのは嘘だ。どこにも寄りたくないし、さっさと帰って寝てしまいたい。だけども、こいつと

一緒に帰るのは勘弁してほしい。
「傘、どうするの?良くん濡れちゃうよ」
「いーの俺は。風邪引いたら引いたで休めるし」
 なおも一緒に帰りたそうにしている声にひかれて振り向きそうになるが、そこはこらえて無言で手を振るしぐさを繰り返す。
 しばらく動く気配がなかったが、ようやくあきらめたのか、一人でかばんにモノをつめていく音が聞こえてくる。どうやら帰ってくれるらしい。
 振り向くことのないよう曇り空にメンチをきりつつ、時が過ぎるのを待つ。
 5分位して、再び気配がなくなった。ふう、とため息をついて自分も帰り支度をしようと机に戻りかけたその時だった。
79名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:37:58 ID:42J2xRLT
 ポン、と背中に軽い衝撃。続いて自分の腰に回される腕。
「ねえ、どうして……?」
 服越しにくぐもった声。それを聞く前に、自分を掴んで話さない腕を見ただけで今後ろから俺を抱きしめてるのが由衣だとはわかっていたけども。
「どうして、私を遠ざけようとするの……? 5年前からずっと、ずーっとそうだった!」
 唇がうごめき、シャツ越しながらも音が肌に伝わってくる。
「何で、何でなのよ良くん!?」
 下唇をかみ締め、拳を握り締め、由衣の叫びに倒れこみそうになるのを必死にこらえる。今ここで振り向いて流されてしまったら、この5年間が無駄になってしまう。
 落ち着け、落ち着け。大丈夫、ちゃんと説得しきれる。小さく呼吸を整え、頭をクリアにしていく。
「……由衣、前にも言ったろ?」
 決して後ろは振り向かずに、俺を捉える華奢な腕を外す。それは無言でも表現できる抵抗の意。
「お前は、俺と一緒にいちゃいけない。俺なんかと一緒にいちゃいけないんだ」
「そんなことないよ。そんなこと、あるはずない」
「……お前はないと信じても、回りには確かに存在するんだよ……」
「でもそれは、良くんのせいじゃない。第一あの時わ」
「由衣っ!」
 ……由衣が口にしてはいけないようなことを言いかけたので、大慌てで遮る。できれば由衣からは、妙な言葉を聞きたくない。
「いいか、由衣。それは関係ないんだ。今関係あるのは、俺がどういう人間なのか、それだけなんだよ。俺といることが、お前にとってはよくない事なんだ」
 決して由衣の方は見ずに振り返り、机の上に放り出していたかばんを掴む。
「……じゃあな」
 そのまま図書室の外へ。追ってくる気配はない。
 ――今回も、どうにかなったか。
 悲しみという名の安堵感を胸に、昇降口へ。途中で廊下から見上げた空の様子では、まだ、雨は止みそうにもなかった。
80名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:38:59 ID:42J2xRLT
 ブレザーの胸ポケットに忍ばせておいたマイセンの箱を取り出し、一本銜える。同じところからライターも取り出し、カチカチと着火を試みるが、あいにくとガス切れなの

か一向に火がともらない。
 舌打ちを一つしてライターを放り出し、所在なさげなタバコは銜えたままその場にごろんと寝転がった。下にある鉄骨は折からの雨で濡れていたが、気にしない。どうせ反

対側は直接雨に打たれてるわけだし。
 額に腕に足に打ち付けてくる雨の感触が楽しい。容赦なく体温は削られていくが、気にしない。明日は休みにしよう。

 ここはバブル期に建設が始まり、鉄骨が組みあがってきた段階でその完了をつぶされた未完成ビルの成れの果てだった。普段は仲間連中がつるむ場所と化していたが、全天

候型ではないためだろう、今日は誰もいない。
「来たくないつって来てるんだから、俺も相当馬鹿だなあ」
 一人愚痴って、苦笑。よくよく考えれば、誰もいなけりゃ別に来たくない理由はなかったりするんだから、人間勝手なものである。
 まあ、来たくない理由が単に仲間内連中が最近鬱陶しく感じるのと、あいつらに由衣を見つけられたくないだけだけども。
「……くそっ」
 何もできない自分がもどかしい。この5年間、人の倒し方とか無駄なことは覚えてしまったのに、唯一つ、由衣を「自分」という呪縛から解き放つ方策だけは見つけられて

ない。
 ちょっとした身内の不幸と、ちょっとした大人の醜い争いの影響を受けるのは、俺だけでいいのに。
 由衣を傷つけるのは、あの時だけにしておきたいのに。
 目を瞑り、体を弛緩させる。張り詰めていた気も緩み、すぐに睡魔がやってくる。もちろん、まもなく6月になるとはいえ、気温が15度前後で雨に打たれるのは自殺行為

に等しかったが、どうでもよかった。
 このまま覚めない眠りにつくのも悪くない。
「……ごめん、由衣」
 掴んでいた意識の紐を、そっと離した。
81名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:39:58 ID:42J2xRLT
 ――ぅ……り……
 耳元で、誰かの声が聞こえる。雨音にも負けずに染み入ってくるそれは、温かさを与えてくれる。
「くん、良くん、起きてよ!}
「ゆ、い……?」
 瞼を開けるとそこには、懸命に俺を起こそうとする由衣の姿があった。濡れるのもかまわず、全身全霊で俺を揺さぶり、叫ぶ。
「なんで、ここを……」
 由衣にだけは見つかってはいけない場所が、見つかってしまった。たまたま誰もいなかったからよかったものの、他のやつらがいた日には、最悪……と想像しかけて、目覚

ましついでに首を振る。冗談じゃない。由衣をあいつらの慰み者にされてたまるか。
「知ってたよ、良くんが前から時折ここに来て、他の人たちといるのを」
 なのに、由衣は恐ろしいことを言ってくれる。
「良くんにこっそりとついていって、他の人に見つからないように注意してた。良くんが、私を近づけないようにしようとしてたのはわかったから」
「……この、馬鹿っ」
 心底、今日が雨で誰もいなかったことを喜ぶ。どうやら厄日の癖に、この辺は運がよかったらしい。お願いだから危ないことはしないでくれという意味を込めて怒鳴り声を

あげる。だが。

「……馬鹿なのは良くんだよっ!」
 ――由衣が、泣いていた。彼女の瞳から頬を伝って流れ落ちる水滴は、雨なんかじゃなくて、まごうことなき涙だった。顎まで伝った後、自由落下を経て俺の唇まで降り注

ぐ。
 ……しょっぱい。
「私だって、良くんが私を守るためにずっとそっけない態度とって離そうとしてるのはわかってたよ!私と一緒にいないのは私の学校での評価を下げないように。私と一緒に

出かけたりしないのは良くんの友達が私に目をつけないように。全部、私を守るため!」
「それは、お前の、思い込みだろ」
 必死に歯を食いしばり、耐える。負けるな、俺が負けたらそれは由衣の負けでもあるんだ――
「……お母さんに聞いたよ。どうして良くんは私を避けようとするんだろうって何回も相談して、お母さん、ずっとぼかしてたけど、最後の最後に言ってくれたんだ。『……

あいつは、お前を傷つけたくないから、そうしてるんだ』って」
「っ!?」
 由衣の母親に言ったのは事実だった。なじられても殴られても俺は真実を話さなかったが、『なあ、私にすら言ってくれないのか?私にすら頼れなくなったのか?』と、初

めてみた涙とともに訴えられては言わざるを得なかったのだ。
「知ってたら何で……なんでわかってくれないんだ!俺は、お前が俺と一緒にいてけなされたりしてほしくないから、ずっと、あれからずっと、あの日からずっと耐えてきた

のにさあぁっ!!」
82名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:41:15 ID:42J2xRLT
 ――5年前。
 両親が交通事故で亡くなった。過労を強いられていたトラックの運転手が、居眠りにより信号を見落としてしまったのだ。
 呆然としている間に公判だの慰謝料だの相続だのは過ぎていき、ようやく周囲に意識を配れるようになったころには、父方の叔父がすべてを握り締めようとしていた。
 至極普通の家庭だったために資産なんか家くらいのものだったが、当時過労によるトラックの交通事故が頻発していて慰謝料を請求する民事訴訟も多かったために、慰謝料

をふんだくろうと叔父が画策していたのだった。
 無論、そんなことを考える人間が、残された子供に資産を分け与えようとするはずが無い。あの手この手で俺に干渉し、自分に有利になるように進めようとしていた。
 その黒さに、俺は呑まれた。
 気付いたときには、腕を切られてうずくまる叔父の姿が目の前にあり、自分は紅く染まる包丁を握り締めていた。

(これは非常に幸運だったのだが)弁護士だった由衣の父親のフォローもあり、俺は単なる保護観察処分ですんだ。そして遺産関係も同じく由衣の父親がきれいに整理してく

れて、手元には両親の変わりに保険金と慰謝料、そして誰もいない家が残った。
 彼の一家は俺を迎え入れようとしていたが、俺はそれを断っていた。理由はただ一つ。
『由衣を傷つけたくない』
 すべてが終わって荒み切っていた俺の、唯一とも言えるアイデンティティ。俺が一緒にいることで彼女にマイナスがもたらされるのは明白だったのだ。
 由衣は既に、優等生の鑑のような存在だった。何でもこなし、人望も厚い、頼られる存在。
 反対に俺は……

「俺といたら、由衣が不幸になるんだ。それに、あんときみたく傷つけちまう。そんなの、見てられるわけないだろ……」

 不意に視界が暗くなる。続いて、唇に暖かい感触。
 耳元に未だ雨が鉄骨や路盤を叩く音が聞こえる中、新たに生まれた温かい感触と頬に触れる髪の感触が五感のすべてを満たす。
 ……それが口付けだと気付くまで、何分かかったのだろうか。
「キスは初めて、だったよね」
「……なんで」
 唇が解放されたとき、俺が漏らした言葉はひどく震えていた。
「なんでって、簡単だよ」
 彼女の右手が頬をなでる。雨のせいかその手はひどく冷たくなっている。

「良くんが好きだから。大好きだから。好きな人と一緒にいられることほど、幸せなことはないでしょ?」
83名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:42:35 ID:42J2xRLT
 彼女は真っ直ぐこちらを見つめていた。すぐ近くで、覗き込むように。こちらも手を伸ばせば柔らかそうな頬に触れられる距離に、由衣はいる。
「私は何言われたっていい。大体、何も知らない人に言われる筋合いなんてないよ。私は全部知ってる。良くんがつらい目にあったことも、どうしようもなくなったときも、

そして……私を守ってくれてることも」
「っ……」
「不良、なんて言葉で一くくりにまとめようとするけど、良くんは違う。違うんだよ」
 ゆっくりと、自分で築き上げた壁が崩されていく。
「良くん……」

 ――お願い、一緒に、いてください。

「由衣っ!」
 もうだめだった。我慢が出来なかった。5年間、たった一回を除いてずっと我慢してきたけど、もう俺には無理だった。
 腕を伸ばし、華奢で、だけど柔らかい体を抱き寄せる。
 手と同じように、雨に濡れたその体は冷め切っていた。せめて俺にくれた分くらいは熱を返したくて、強く抱きしめる。
 だけど、ここが鉄骨の上だということを忘れていた。狭く不安定な場所の上での重心移動。あっという間にバランスを崩して地面に落ちるが、自分が下になることでどうに

か由衣に怪我させることだけは回避。由衣の頭を抱えてそのまま濡れたアスファルトの上を2回転。
「……悪い、怪我なかったか?」
「うん、大丈夫。良くんが守ってくれてるから」
「また、あん時みたく傷つけるかもしれないぞ?」
「大丈夫、良くんだから」
 すぐ近くに、ずっと守ってきたものがいる。
「わかった。由衣のそばにいて、由衣のこと、ちゃんと守るから」
 
 雨が降りしきる中、ずぶぬれになりながら、俺たちは二度目のキスを交わす。
 それは甘くて、少しだけしょっぱい味がした。
84名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 01:46:06 ID:42J2xRLT
うぼあー改行がめちゃくちゃだー
適宜脳内保管か下のテキスト直接読んでくださいorz

hajime14356.txt

こっから先は、23時ごろ投下します。
一応エロありで。
85名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 19:48:56 ID:twddoM4k
保守age
86お魚 ◆5Z5MAAHNQ6 :2007/05/21(月) 21:16:44 ID:2HGxAfmq
エロ無しですが投下します。
87お魚 ◆5Z5MAAHNQ6 :2007/05/21(月) 21:19:08 ID:2HGxAfmq
 黒い世界が揺れる。
「……君、……がき君!」
 耳元で甲高い声が響き続け、間垣朗(まがき あきら)の意識は徐々に眠り
から覚めていった。
「……んぁ?」
 ぼんやりとした茜色の視界の中、超至近距離に怒った顔の少女が映っていた。
「間垣君!!」
 ワンレングスの黒髪が、夕陽に反射して輝いている。怒りながらも、その和
風美人的な美貌はいささかも損なわれていない。
 このクラスの委員長、木吉静香(きよし しずか)だった。
「っせえなあ、聞こえてるっつーの。耳元で怒鳴るな」
 朗は、まだハウリングの影響が残る耳を小指でほじった。
「もう放課後よ? ……結局、学校来てから、一度もまともに授業受けなかっ
たわね」
「……しょうがねえだろ、眠いんだから。来ただけでも上等だと思え」
 なるほど、確かに放課後のようだ。
 クラスメイトがそそくさと帰り支度をしているのは――ああ、そうか、と朗
は納得した。自分は逆立った金髪(地毛)だし、喧嘩のせいで生傷が絶えない
し、いかにもチンピラで――今一番大きな理由は、寝起きの自分の目つきは、
いつになく凶暴と評判らしいのだ。
88放課後の小競り合い(2/5):2007/05/21(月) 21:21:10 ID:2HGxAfmq
 一番最近それを指摘したのは、目の前で怖い顔をする委員長なのだが。
「来ただけじゃ意味ないでしょ! 眠くても真面目に授業受けなさい!」
「ほー」
「な、何よ」
 朗は静香の耳元に顔を近づけ。小声で囁く。
「眠いのは、一体誰が原因だと?」
「……っ!?」
 おー、夕陽のお陰で、真っ赤な顔はあんま目立たねーな、と朗は感心した。
「十分で一発計算で、ご休憩百二十分フルだったから――おう委員長、計算し
てくれや。ついでに、俺のこの痩せこけた頬についても察してくれると助かる
んだが」
 周りの連中に聞こえないように、念仏のように静香に呟き続ける。二人が付
き合っているのは、誰にも秘密の関係だった。
 静香は朗から身体ごと遠ざかり、人差し指を突きつけた。
「ま、ままま、間垣君! とにかく済んだ事は仕方ないわ! で、でも、明日
からはちゃんと授業を受けるのよ!?」
「体調次第だっつーの……」
「で」
 ため息一つ。
 静香は、朗の机に両手をついた。
89放課後の小競り合い(3/5):2007/05/21(月) 21:23:16 ID:2HGxAfmq
「あん? 『で』?」
「間垣君の授業態度ぶりのあまりの酷さ&定期試験が近づいているという事も
ありまして――」
「……おい、まさか」
「黒須先生から試験期間中、間垣君に授業を教えるように言われたのよ。とい
う訳でこれから、間垣君の家に行くわよ」
「待て! 待て待て待て! 勉強なら図書室でいいじゃねえか! 何で俺の部
屋なんだよ!」
 教室を見回すと、もう残っている生徒はいなかった。道理で委員長にしては、
大胆な発言である。
 それにしても、どうして自分の部屋なのか。
「間垣君、図書室入った瞬間寝るじゃない」
「……お前、俺の部屋に入った瞬間欲情するだろーが」
 間。
 朗自身もともかく、静香も否定できない事実であった。
「じゃあ、どうするのよ」
「勉強しねー方向で」
 バン、と静香に机を叩かれた。
「それじゃ立場上、私が困るのよ」
「ほー」
 う、と静香が二、三歩退く。
90放課後の小競り合い(4/5):2007/05/21(月) 21:25:26 ID:2HGxAfmq
「そ、その返事は何だか、嫌な予感がするんだけど」
 その予感は正解だった。
「じゃあ、賭けようじゃねーか。今日、俺んちで『何事もなく』勉強が終われ
ば、明日からもやってやろーじゃねえか。っておい待てそこ。何でそこで深刻
そうな顔になってんだテメエ。顔の影がすげえ濃くなって劇画調になってるぞ」
 えらく本気で悩んでいるようだった。
 本能と理性が葛藤中なのだろう。
 やがて結論が出たのか、静香は朗に向き直った。
「い、いいわよ。飲もうじゃない、その条件。――じゃあ、早く帰るわよ」
 早く早く、と静香は急かすように朗の机を叩いた。
 どうも、彼女はとても重要な事を忘れているようだった。
「……俺の方が言うのはおかしいと思うんだが」
「え? 何?」
「俺らが一緒に帰るのはまずいだろーが。昨日と一緒で、一旦別れてから合流
するぞ」
「うー」
 唸られても困る。
「お前の立場上、困るだろーが」
 不良と、学年でも一二を争う優等生が並んで帰るような事態、変な噂になっ
て困るのは静香の方である。朗的には、知られて困るような事は特にないが、
恐ろしく面倒くさい事態になる事だけは確かだった。
91放課後の小競り合い(5/5):2007/05/21(月) 21:28:04 ID:2HGxAfmq
「…………」
 やがて、小さく頬を膨らませた静香は、自分の席に戻っていった。
 学生鞄を手に取り――朗はそれを見て、脂汗を流した。
「待て! 何だ、その膨大な参考書の量は! っていうか、何でその量がごく
普通の学生鞄に入ってんだ!? どこか変な所に繋がってねーか、その鞄の中!?」
「さ、早く帰り支度済ませて勉強始めるわよ、間垣君♪」
 朗に一矢報いた静香はそう言って、教室を出て行った。
 最後に教室に残った朗は、深々とため息をついた。
「……あいつが我慢できるとは思えねーけどな」
 待たせるとうるさいし急ぐかと、朗も帰り支度を始めたのだった。
92お魚 ◆5Z5MAAHNQ6 :2007/05/21(月) 21:30:06 ID:2HGxAfmq
以上です。
何年か前に自サイトで書いたカップルのSSですが……。
あかん、この二人は今書くと、
もう本っ気でとらぶるの二人にしかならねえわ……。orz
主人公金髪だし。
ヒロインは眼鏡じゃないですがー。
どうも今、別件で同人の原稿頼まれてるんで、エロ書く気力がない。
すまぬです。
93名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 23:54:20 ID:G8Hr8p7P
うぼぁー
押しとどめ系かと思ったら続くですか
94名無しさん@ピンキー:2007/05/22(火) 01:19:09 ID:p8jv0sQ3
何だよこの祭りは・・・・・

うああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!二人ともGJ!!
シリアス系と明るい系がちょうどいいバランスでktkr
ずっと続き待ってる。
95名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 14:23:58 ID:aAMZoHQx
>>92してその自サイトとは何処に!?
96名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 15:07:05 ID:bJeyhFjG
>>95の言うとおり。
97名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 20:57:38 ID:jM3lKeJm
98名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 12:35:42 ID:sz3HqQPx
晒すような真似していいのか?
まあサイトはすでに移転してるようだが。
99名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 19:14:07 ID:whoq/RqF
感謝!! 
やばっこの委員長可愛過ぎる
100名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 16:17:34 ID:Z/eeaMLA
世界を優等生と不良だけにしよう!!
はっ、じゃあ俺は優等生?不良?
ってか、それ以前に俺・・・・・・学生じゃねぇ!!
101名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 22:01:08 ID:J7as8Bl7
不良インテリ系美少年
102名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 22:50:23 ID:bPMIs3S5
>>101

>不良インテリ系美少年

ひねくれたメガネ野郎を連想しました。

頭が良い分、周囲の人間を見下し続けていて、相手の意見に全く耳を貸そうとしない少年。
外見は美しかったが、そんな態度の彼を慕う者は誰もいなかった。

そしてある日、彼は一人の女子生徒と出会う。
成績は悪いが、多くの生徒のみならず教師からも愛されている上級生。
頭の悪い人間を嫌う少年は当初、まるで相手にしていなかった。
しかし実は彼女も自分と同様に孤独を感じているということに気付いてからは、少しずつ親近感を抱いていくようになる。

家庭に、自分の居場所が無い。
学校でいくら慕われていても、家に帰れば一人。

いつの間にか、一緒にいる時間は多くなって。
そしてついに、二人は身体を重ねる。互いの心の隙間を埋めあうように。
この関係が友達か恋人かどうかなんて関係無い。求め合うから、繋がる二人。
103名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 04:18:44 ID:pB+llgIo
実は周囲の誤解だったろ知る。結果と原因は常に表裏一体であり、
自分が全て勝ち取ったものだと思うがふとした時に空しさを感じて
しまうのは否めなかった。
周囲の期待に答える事ができなかった時の落胆と、
ふとした時に介間見える己の冷酷さ、残酷さ。
くだらん情報に左右され自分を見失うくらいなら
冷たくされていたほうがよっぽどまし。
与えられたものよりも人に何かを与えた時の快感を、
幼い頃からよく実感しており、またそれを続けると決意。
金は後から沸いてくるというか、何にしても求めれば求めるほど・・

無力だと思うことがある。それまで自分の積み上げてきたものの
中で無駄をなくそうと勤めた結果すべてが白になる。
もう少し単純に物事を楽しめと自分に言い聞かせる。
何度も何度も経験を繰り返し、うまく希望を持ち得て生きるには
どうしたらいいかよくわかった。

そういう訳で他人の指図は受けないよ。
104名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 04:26:41 ID:pB+llgIo
あともう一つ。へーこんな考え方もあるんだみたいに思ってくれたら
いいものの周りの人がそれを受け入れようともせず難しく捉えすぎるから
あれなんじゃ・・
と少年は雑誌を斜め読みしながらふとしたときに思う
105名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:37:35 ID:pB+llgIo
必死で書き込んだのに反論ねぇのかよ!w
それはそれで寂しいじゃまいか。
106名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:39:17 ID:pB+llgIo
ポルノ小説ってやっぱおもしれぇなとか思いながら少年はほくそM
107名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:39:57 ID:pB+llgIo
周囲かまわず好きな事をやれる喜びをたまに実感する心優しき天才少年
108名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:40:37 ID:pB+llgIo
意外とかまってちゃんな連載少年
109名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:41:44 ID:pB+llgIo
pmが午前なのか午後なのかいまだによく分かってない返済少年
110名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 21:43:37 ID:pB+llgIo
鏡の前であれ座りした後の2分後に虚しくなったなら
髪の毛をくくってごまかしたらいいじゃないかとか適当こくスレッド
111名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 01:58:22 ID:RYMVwZIl
保守
112名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 22:58:35 ID:rlKt74Zt
保守する人を保守
113名無しさん@ピンキー:2007/06/05(火) 22:59:26 ID:rlKt74Zt
おやじ、茶
114名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 19:16:33 ID:rQ1//2J7
>>113
つ 旦
115名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 21:00:26 ID:Dd+CFb9L
なんだこりゃあ!酒じゃねえか!!
116名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 22:27:24 ID:3R509+zb
と、驚き立ち上がったときにちゃぶ台でひざ小僧をぐぁんと打ち
七転八倒する少年
117名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 00:23:11 ID:0aGoDvbq
内心心配しながらもそれを冷ややかに見つめるツンデレ委員長
118名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 07:37:27 ID:CXBOxgDl
流れを読まず
教師にイタズラされてる優等生女子と偶然現場を目撃してしまった不良男子
というネタを放り投げてみる
119名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 23:41:10 ID:pylDtBG5

 彼、西村恭平が芸術科棟3Fの廊下を歩いていたのは、全くの偶然だった。

「っ、……んぅ、っあぁ……」
「まま、まったくけしからん、まったくけしからんぞ、近頃の女子高生ときたら、なんだこのだらしない胸は。ハァハァ」
 めったに使われることのない書道室の中。セーラー服の裾から手を差し入れている男性教師、されるがままに胸をまさぐられている女子生徒。
(へえ、うちみたいな平凡な学校でも、こんなことがあるのな)
 片田舎のそこそこレベル、教師も生徒もどこかのんびりしたところのあるこの学校で、真昼間から情事に及ぼうとしている男と女。
(せめてドアはちゃんと閉めろっての)
 厄介ごとに関わりたくない――ただでさえ、ロシア人の祖母から受け継いだ髪のせいで窮屈な思いをしているのに、これ以上変なトラブルに巻き込まれたくない恭平はその場を足早に立ち去ろうとした。が――

「ぁ――」

 何故か彼まで届いた、驚いたような、戸惑うようなため息。そのため息は不思議な拘束力で恭平の足を止めた。
(――級長)
 扉の隙間から、女子生徒と目が合った。知らない顔ではない、どころか、毎日同じ教室で顔を合わせているクラスメイトだ。
 新実佳奈。野暮ったいメガネに野暮ったい髪型、真面目だけがとりえで級長を押し付けられた少女だ。
 そんな彼女が、教師と――この学校で最も性根が腐っている体育教師と肉体関係にあるとは、クラスの誰もが夢にも思わないだろう。
(オレには関係ない、関係ない、関係ない)
 心の中でそう唱えるが、視線は彼女から外すことができない。
 事実、関係がない。そもそも同意の上での行為であったら、恭平などに口を挟む権利などあるはずもない。
 しかし、恭平は微動だにできなかった。大きく見開かれた佳奈の瞳と、そこに浮かんだ涙が、どうしようもなく胸に突き刺さる。
「ふぃー、きょきょきょうも、ちゃんと白のパンティーをははいてきてるようだな。ひひ」
 男性教師が長めのプリーツスカートをたくし上げる。
 華奢な足と、飾り気のない下着。どちらも驚くほど白く、繊細だ。それだけに、そこを這いずり回る教師の指が醜悪に見えた。
「あ……あぁ……た」
「おおおれのザーメンで、ももっとしろくしてやるからな。なかもそとも、たっぷりな。ふひ」
 引きつったように硬直している佳奈に構わず、自分の欲望を吐き出す準備にかかる教師。全校集会でも着っぱなしのジャージをずり下げ、佳奈の太ももに赤黒い肉を擦り付ける。
「た……す、ぅ……」
「おう、おおうぅぅ、すべ、すべすべすべ。で、でるっ」
 さっそく吐き出す体勢にはいる。佳奈の下着を引っ張り、自分の怒張を差し込む。
「おう、おうふ、おうふぁ、ううぅ……」
「たす、けて……」
(関係ない、オレには関係ない)
 そう繰り返しながら、恭平は力いっぱい扉を開けた。



「おお、おま、おまっ。なんでここに!!」
 慌てて佳奈から離れ、必死にジャージをはきなおす男性教師。教師に突き飛ばされた佳奈はなすすべもなく床に転がる。
「教育的指導っすか。アンタの大好きな」
「自由、自由恋愛だっ、大人の事情に口を出すなバカヤロー!」
 こんな状況になっても張り切って立ち上がっている性器をどうにかトランクスの中に押し込む教師。
「へえ、大人の事情。そんなのは大人同士でやってくださいよ。生徒とすんのはまずいんじゃ」
「だまれぇっ!!」
 恭平の言葉を遮り、教師は金切り声を上げながら平手を打った。
 体育教師からの一撃に一瞬意識が遠のいた恭平だが、机に手を突いてどうにかやりすごす。
「……さすが、墨汁で生徒の髪の毛黒くさせた先生っすね。やることが違う」
 恭平はこの教師と因縁があった。入学当初、なかなか髪を黒に染めてこなかった恭平は、この教師から頭から墨汁をかぶせられたのだ。
「きさ貴様のような不良には、体罰がひつようなんだッ。毛唐の血が混じるとこれだから」
「てめえっ」
 建前だけでも下手に出ていた恭平だが、教師の一言で一気に沸点を超えた。
「おおっと、お俺に手を出したら、また停学だぞ?!」
 その言葉は恭平に届かない。大好きな祖母をけなされた、それもこれで二度目だ。
 前回も同じ単語で切れてしまった。そのときは一週間の停学。それでは今回は? ――確実に、それ以上になるだろう。
(――知ったことか)
 煮えたぎった感情が恭平の体を突き動かす。近くにあった椅子を掴み、男性教師に踊りかかった。
120名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 23:43:27 ID:pylDtBG5




「――いってえ」
 気がつくと、もやがかった視界に女子生徒の顔が写っていた。
「気がついたっ、……あの、大丈夫?」
 上半身を起こす恭平。体のあちこちが痛む。
「また負けたか……」
 相手は、性根は腐っているが体育教師である。柔道も剣道も空手も、正規の教育で習得した人間だ。ガキのケンカしか経験してこなかった恭平がかなう訳もない。
「駄目だよ、まだ寝てないと」
 佳奈の嘆願を恭平はやんわりと拒絶した。意識を失っていたときはともかく、正気のままで膝枕をしてもらうほど彼の神経は太くない。
「その、ありがとう……助けてくれて」
「アイツに、いつもあんなことされてたのか?」
「ううん、今日がはじめて。わたしは、だけど」
「ありゃ相当手馴れてるんじゃないか? ゲス野郎、何人喰ったんだか」
 青ざめる佳奈。最近性犯罪に走る教師は多く報道されているが、まさかこんな身近に居るとは、しかも自分が被害にあうとは思ってもいなかっただろう。
「アイツ、オレをボコッてからどうした? そのあと何かされなかったか?」
「うん、だいじょうぶ。すぐに出て行ったから」
「ならよかった。……また停学か」
 ため息混じりにつぶやく。両親とは折り合いが悪いのでどうでも良いが、祖母を悲しませてしまうのはどうしても罪悪感を感じてしまう。
「そんなっ……西村君は悪くないのにっ」
 恭平の呟きは佳奈にも聞こえてしまっていた。
「二回目だしな。それに、問題児のオレの言葉なんて信用しないだろ。明日には一方的な悪者になってるさ」
「わたしが証人になれば」
「駄目だ」
 確かに優等生の佳奈が証言すれば信用されるだろう。だが、こんな片田舎で『性犯罪の被害にあった』と公言すれば、ろくなことにならないことは目に見えている。
「学校だって不祥事は勘弁だろうし、証言してもおおっぴらにならない可能性もある。胸糞悪い話だけど」
 立ち上がって制服の汚れをはたく恭平。
「帰ろうぜ。送ってやるよ」
 佳奈もうつむいたまま立ち上がった。

 窓の外は、とうに日が暮れていた。
121名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 23:46:22 ID:pylDtBG5
>>118
どうっすか、こんな感じで。エロまでいけんかったが
122名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 02:42:14 ID:HJ3f3iI1
wktkwktkwktkwktkwktwktwktwktkwktwktwkkwかjそぢじゃおふぃgじゃふぉkがfぽk
123118:2007/06/16(土) 09:00:36 ID:m2/edet9
おおおdクス!
女子も男子も二人ともいいな!
124名無しさん@ピンキー:2007/06/17(日) 01:23:20 ID:b/ho/PiG
>>>119-120
GJ!!
125名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 18:57:22 ID:/7/mNg7a
不良DQNを優等生が更生させる話とかも読んでみたいな。
126名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 22:11:05 ID:LITWDb3q
その話書いてみたいな
…頑張ってみるか
127名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 21:34:59 ID:fJOq/OgI
期待
128名無しさん@ピンキー:2007/07/05(木) 23:06:24 ID:s9D+j52o
保守
129名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 06:40:59 ID:qF8F0BcQ
書け
130名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 01:46:57 ID:38o9ftgm
期待age
131名無しさん@ピンキー:2007/07/08(日) 05:51:09 ID:7l3ls1Lw
神奈川でリーゼント・長ラン・ドカンのツッパリを見た記念にアゲ
13258:2007/07/14(土) 01:52:06 ID:82Gpd1AR
58です。
今、自分なりに続きを書いてます。
が、遅筆+文才無し+本番が書きにくいと3拍子揃っています。
書き終わるまで投下しないつもりですが、後どれくらい掛かるか…orz
取り敢えず、執筆中です。

勝手に続きを書いてくれた人、GJです。
自分も見習いたいです。文章能力とか、構成とか色々…
133名無しさん@ピンキー:2007/07/14(土) 05:00:12 ID:yZBfnR0b
待ってます!!
wktk
134名無しさん@ピンキー:2007/07/15(日) 05:59:30 ID:nxHSp54x
保守
135名無しさん@ピンキー:2007/07/16(月) 14:17:19 ID:qtOQ4DkC
136名無しさん@ピンキー:2007/07/17(火) 08:01:50 ID:KTzN6gK/
保守
137名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 20:38:02 ID:XKW9K0fm
オレンジロード的じゃだめかな? 80年代的不良少女×優等生は?
138予告だけ:2007/07/19(木) 23:29:01 ID:H/Or0iGM
誰にでも好かれていて、でもどこか冷めている優秀な転校生と、
喧嘩ばかりして周りから孤立している不良少女。

そんな真逆に位置する二人が、ひょんな事から親友になった。二人はほとんどの時間をともに過ごした。

そして月日は流れ、二人は同じ高校に通っていた。親友と言う立場はかわらないまま・・・。

少女は気付き戸惑っていた。いつまでも親友と思っていた少年に「恋」という感情を持っていたことに。
しかし、唯一無二といってもいい親友を失いたくないと言う不安に襲われていた。

これは、不良だった少女が悩み、苦しみながらも力強く成長していく姿を綴った物語。

   少女の淡い淡い恋物語
139予告編に沿わないかも…:2007/07/20(金) 02:21:41 ID:xfCSvVAl
 廃工場の敷地の門前で、市立中学指定の学生服を身に纏った少年がたった一人で立っていた。

 「いいかい、君は間違ってる。こんな事で自分の進路を閉ざしてどうするんだい? …帰るんだ」
 「うっせえ! お坊ちゃんは黙って学校で勉強してりゃあいいんだよッ! オレに関わるな! 」
 「そうやってバイクのアクセルを開いて空吹かしか。そんな事で僕が怖がると思うのかい、松倉さん」
 「…退(ど)け。…本当に轢くぞ」

 15歳にしては発育の良すぎる、出るトコは出て引っ込むトコロは引っ込んだメリハリの効いた身体を
黒革のライダースーツに無理矢理押し込んだ少女が、黒の詰襟の学生服を着た少年を睨みつけている。
少女のヘルメットを掴んだ左手が怒りでブルブルと震えていた。少年は冷徹な視線を少女から外さない。

 「それを僕に投げつけても、僕は退かない。意味の無い喧嘩なんて僕が絶対にさせない」
 「オレが行かなきゃ、アイツらは学校に乗り込んで来るんだよ! そうなったら…!」
 「…そんな事だろうと思ったよ。君は自分のためには暴れないと僕と約束したからね」

 少年が布切れを少女のバイクの風防に放った。少女の目が見開かれた。この市の一帯を取り仕切っていた
暴走族の「配流緋虎亜」の特攻旗の一部だった。少年はその隙に少女のバイクに近寄り、エンジンを止める。
そして少女の左腕を強く掴んだ。ヘルメットを持つ手の力が抜け、少年の手にすんなりとヘルメットが渡る。
そっとヘルメットを片手で置き、少女と視線を真っ直ぐに合わせた。アーモンド形の大きな吊り気味の目が、
少女のどこか気の強い、猫を思わせる眼を映していた。

 「僕と君とは親友だ。君一人を辛い目に遭わせるものか」
 「キョウ…? どうして…これが…?」
 「昨日の深夜から今日の早朝にかけて手に入れたよ。…奴等が君を輪姦すると息巻いていたのを聞いたから」

 少女はバイクから飛ぶようにして降り、少年の学生服の胸元をボタンを引き千切らんばかりに開く。学校指定の
白いカッターシャツに、所々血が滲んでいた。カッターシャツも脱がせると、U首のアンダーシャツの下に青痣、
切り傷、擦り傷の応急手当てをした跡が所狭しと並んでいた。少女はそのままズルズルとしゃがみ込み、ペタンと
女性の骨盤にしか出来ない座り方で座り込む。自分の視界に涙が滲むのを拭こうとして、少年の衣服を掴んだ
ままだったことに気付く。見上げると少年も一緒にしゃがみ込んでいた。少年がニッコリと微笑んだ。

 「さあ、学校へ行こう。着替えても4時限目には、まだ間に合うだろう? 今日の給食はカレーだ」
 「キョウ…キョウッ…黙ってて…ごめん…ごめんよぉ…」
 「僕は郷(ゴウ)だよ、松倉さん? いつも言ってるじゃないか」

 少女が少年の胸に顔を産め、泣きながら頬擦りするたびに眉根を寄せる。打身が痛み、擦り傷が沁みるのだ。
しかし少年は口には出さず、少女の為すがままに任せていた。折角ここまで骨を折ったのだ。ささやかな報酬だ。
140予告編に沿わないかも…:2007/07/20(金) 02:23:39 ID:xfCSvVAl
 少女の艶やかな黒髪を撫で、ポニーテールを纏めた蒼色のリボンに手をやる。その校則に違反しない色を
したリボンは、少年が『一年前の少女の誕生日』に、一緒に勉強した期末テストで上位に入ったのを記念して
贈ったものだった。これを贈った時、少年はある『誓いの儀式』をした後、照れる少女に言い切ったのだ。

             『誰が何と言おうと僕だけは、君を見捨てない。僕が君を守る』

 互いの左手の小指を傷付けて素焼きの小さな杯の水に血を一滴垂らし、互いに半分ずつ呑んだ、血の誓い。
少年の育った環境は少女の想像にも及ばない、厳格な旧家のしきたりに染まったものだった。その誓いは己の
全てを賭けて守らねばならない。親友のためにこの身はあるのだ。…純粋な少年の心は今も、満ち足りていた。
 
 「いい加減…オレの事さぁ…イズミって・・・名前で呼んでくれよぉ…キョォ…」
 「…嫌だ。僕達は親友だろう? 君こそ僕をゴウと呼ぶべきだ」
 「じゃあ、義弘…は…やっぱやだ…オレの…キョウだもんっ…」

 少女が少年をどうして正確な姓や名前で呼ばないか、実は少年は聞き知っている。独占欲から来ているのだ。
委員会で一緒になった女子生徒や、少年を慕っている女子生徒を脅して『オレのキョウに近づくな』と言ったと
聞いた。それを指摘されれば『テメエらと同じ呼び方はしたかネェんだよ!』と目を剥いて怒ったと言う。困った
ものだと少年は思う。手を出さないようになっただけでも進歩したものだとは思うが、少年は聞いてない振りを
続けていた。…どちらかが我慢し切れなくなったら、この『素晴しい友情』は、終わってしまうのだから。

 「さあ、帰ろう。…バイクには乗っちゃいけない。法律違反で君の進学の内申書に響く」
 「やだ。もう少し…このままでいたい…」
 「あと10分だけだよ。単位が足りなくなるからね」

 少年の口利きさえあれば、ほとんどの教師は文句も言わずにすんなりと少女を授業に参加させてくれるだろう。
さあ、君の輝かしい未来を見せてくれ。少年は少女の未来に思いを馳せながら、ただ少女の髪を撫で続けていた。 
141名無しさん@ピンキー:2007/07/20(金) 09:59:56 ID:sCUiwuy/
いいねぇ。まだ続くよね?

 「郷、義弘君。郷クン? …また欠席かしら?」

 英語教師の出欠の誰何(すいか)に応える者は居なかった。教師が目で辺りの生徒に消息を聞くが、目の合った
生徒は沈黙を保っている。5分後、一人の女子生徒が意を決したように立ち上がるのを見た教師は深い溜息を吐く。
今年に入ってこんな事が毎日、繰り返されていた。この英語読解のクラスは三段階中の最上位クラスだ。

 「郷クンはいつものところね_ 違う? 松倉さん? 」
 「…私が連れ戻して来ます!」
 「やめて頂戴。無理に連れ戻すと『また』授業が進まなくなるわ」

 最初は無理に連れ戻した事もあった。だがそうすると郷と言う生徒は悪意を持って授業を潰しに来る。テキストの
和訳文の教師の模範回答を「意訳だろう」と鼻で哂い、接続詞の解釈で論陣を張り周りの生徒そっちのけで授業の
残りの時間を議論に費やした。教師と言う立場にしては『最悪の生徒』だった。優秀過ぎて困るのだ。せめてもの慰めは、
そうした行動に出るのが自分の授業だけでは無い、と言う事だけだった。教師の発言に、ただ一人を除いた生徒から
笑いが生まれる。少女の秀麗な顔が一瞬だけ軽蔑に歪む。

 「私…行きますから! 」

 眦を決した女子生徒が、蒼いリボンとポニーテールを靡かせて笑いでざわめく教室を後にした。誰も居ない廊下を
疾風の如く走り、階段に向かう。そして階段を駆け上がり、4階を越え、屋上へとつながるドアへ到達する。そのドアは
通常施錠されているはずだが、ドアノブが簡単に回る。彼はシリンダー錠を開錠出来るテクニックも身に付けている。
ドアを開け屋上に躍り出た女子生徒は、夏の陽射しの強烈さに目を細めた。突風がスカートを捲り上げそうになる。

 「…君か…。『また頼まれて』来たのかい? 」

 ティアドロップ型のサングラスを掛けた『青年』が微笑んでいた。あの時、少女を『親友』と呼んだ面影を残したまま
たくましく成長した姿がそこに在った。優等生の成れの果てだ。少女とべったり付き添い勉強させ、県下随一を誇る
公立名門進学校を受験、そして合格。だが、その後がいけなかった。授業内容、指導方針、生徒の質の全てが彼を
「こんなものか」と落胆させ、他人と協調する意欲を失わせたのだ。彼は全国模試や校内試験だけには顔を出した。
そしてトップをもぎ取って行くのだが、学校は絶対に彼の名を上位者名簿の羅列の筆頭に張り出す事は無い。

 「んなわきゃネェだろうが! キョウなぁ…いい加減にしろっつぅの! オマエが出席しねぇと進級させねぇって…」

 今の台詞を校内で今の少女を知る者が聞いたら、言葉遣いの乱暴さに目を白黒させるだろう。少女はかつての少年の
ように今や完璧な『優等生』を演じていた。元々頭の中身は悪くなかったのもあるが、中学時代の荒れ様は大人に対する
正直な反発だった。少年の無私の献身がその激しい反発を宥(なだ)め、静かな軽蔑へと導いたに過ぎない。

 「全く心配無いね。話の決着が着いてないのはあの英語読解の教師だけだ。あとは皆、話せる人達だったよ」
 「何…したんだよ…オレに黙って…」
 「授業を荒らされたく無かったら単位を認めろ。あと体育教官には少し汚い手を使ったがね? 聞きたいかい? 」
 「…部活の助っ人だな! 剣道部の! あれ止めろよっ! また雌どもをサカらせるのかよ…」
 「中身の無い人形に興味を抱く僕だと思うのかい? 松倉さん? 」

 少女は頬を緩ませそうに為るのを必死に堪えた。そうだ、キョウはここにずっと居ればいい。自分だけが、こうして彼の
内面に触れる事が出来ればそれでいいのだ。青年を無理に周囲に引きずり出したならば、自分の最高の宝物が台無しに
されてしまう。この輝きを…奪われてたまるもの、か…? 少女は思考を展開するうちにふと、違和感に気付く。自分でも
触れたくは無い黒く汚く醜い部分を、わざと解析していく。…少女はそして、その明確な答えをついに…得てしまった。
もう、我慢が出来なかった。目の前の青年に縋(すが)り付いてしまう。

 「キョウ…オマエ…馬鹿だ…。オレよりずっと…一直線な馬鹿だよぉっ…」
 「僕のこの行動の理由の理解が、出来たんだね。僕にとって一番大切なのは、君の未来だけだ。残る不確定要素は
  『親友』である僕だけなんだ。あとは僕さえ居なければ…君は一人でだって歩いていけるんだ。だが僕は見たかっ…」
 「もういい、もういいからっ…! キョウ…オレを…オレを…ここで…抱いてよぉ…もう…『親友』なんかじゃ…! 」

 青年が少女を押しのけ、首を左右に振る。その顔は酷く優しい微笑みを浮かべていた。だが、今の少女には青年が全身で
啼いているのが解った。少女は自分を心の底から呪っていた。まだ愚かだったあの日に『誓い』に応じてしまった昔の自分を。
144名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 00:49:00 ID:tS9SH1QU
後半のは不良少年じゃなくて無頼少年になってるしw
145さあ終わらせるか。:2007/07/21(土) 22:03:26 ID:QGxuGH+0
 
 「連続狙撃犯め、そこを動く…! どうしてここに…」

 あの夏の日から7年が過ぎた。彼、郷義弘は高校卒業後行方不明になった。松倉泉は問題無く大学進学、
そして警視庁キャリアの道を順調に進んでいた。必ず泉の誕生日に贈られてくるメッセージカードとリボンが
郷の健在を示す定期便だった。泉が悲嘆の涙に暮れる時、必ず郷から電話があった。タイミングを計ったが
如くアドバイスは的を射たものであり、泉の周囲の環境を知らなければ出来ないものだった。

 「嘘…だよな? そのライフル…G3SG-1…拾ったんだろ?」
 「君の嗅覚はどうなっている? 強い硝煙の匂いがしないかい? …僕がやったのさ」

 泉はこれまでに郷の痕跡を見つけられずにいた。探偵を雇って調べさせた事もある。三日後には公園の
ゴミ箱にバラバラに為って死体で発見された。郷が何をして生活の糧を得ているのか今まで解らなかったが
これでハッキリした。狙撃技術は一朝一夕で身に付く程甘いものでは無い。この郷の身に纏う独特な緊張感…!
間違い無い。郷義弘は、どこかの組織にスカウトされて戦闘訓練を受けたのだろう。あの遠い夏の日に見た、
青年の爽やかな微笑みが泉を迎える。ライフルの銃口は向けられていない。泉は構えたSIG239を下ろす。

 「どうして? どうしてオレの前から消えた! …どうしてっ!」
 「僕の自制心が利かない段階まで来ていた。僕は最後まで君の…『親友』で在りたかった」
 「今回の狙撃だけは納得行かない。前まで殺られた連中は、殺られても可笑しくない糞野郎ばかりだったのに」
 「…今回の公安関係者は、君を高級売春コネクションの内偵に回そうとしていた。…理由はそれだけだよ」

 泉の頬が真っ赤になる。まだ彼女は『娘』のままだった。内偵と言う事は即ち…! 郷がティアドロップ型の
サングラスを外す。遠いあの日、少女の時の無謀な泉を停めた、少年のままの瞳が現在の泉を映していた。
労わりに満ちた優しい視線が、まともに見てしまった泉の胸の奥と胎を熱くさせる。郷の黒いロングコートが
強風にはためく。狙撃された人間のリストを思い出す。若い女も少年も少女も居た。だが、皆裏の顔を持ち、
法で裁けぬ悪行を為していた。それほどまでに仕事を選んでいた郷が、この自分のためだけに原則を曲げ…!

 「風邪でも引いているのかい、松倉さん…? 済まなかった。日本に来るにはオファーを受けるしか無かった」

 泉の胸の奥が切なく痛み、股の間から熱い粘液が漏れ出して来ていた。幸い郷には下半身の醜態を気付かれて
いないようだった。用意周到に行動し、狙撃のポイントや痕跡を撹乱し続けていた冷静な郷が、自分の、松倉泉の
貞操の危機を知るやこんな稚拙な真似をして、危機を自ら呼び込んでしまう。もう、たまらなかった。たまらなく…
郷がいとおしかった。もう、撃たれてもいい。殺されてもいい。郷の存在を実感したかった泉は、郷に飛び掛かった。

 「…松倉さん? 」
 「イズミって…呼んで」

 撃たれなかった。それどころか狙撃手の命とも言えるライフルすら捨てて、抱き留めてくれた。片手に持ったままの
SIGを迷わず捨てて郷の胸に縋りつき、逞しい背中をさする。7年間、ただひたすら夢に見た男の存在がここにある。
互いの立場など知った事では無い。今、この瞬間、郷義弘は松倉泉だけのものになったのだ。もう、誰にも渡さない。
胸板に頬擦りし、郷の体臭を胸いっぱいに吸い込む。自分の『女』から恥蜜がまた溢れて来るのが誇らしく思える。
146さあ終わらせるか。:2007/07/21(土) 22:06:14 ID:QGxuGH+0
御題が不良少年と優等生なので、スレ違いになりそうなので一旦退却。
147名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 22:16:33 ID:BpInsAlA
え?不良の話じゃなかったのか。
誰かポルナレフのAA(ry
148名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 22:27:18 ID:wMl3477y
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは不良少女×優等生のSSを読んでいたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったら不良少年×優等生SSになっていて
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |        最後には狙撃手×警察キャリア組SSに』
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    不良少年だとかヤンキーだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
149名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 22:33:45 ID:FgRBZYiZ
すごい展開だなこれw
150名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 23:56:49 ID:kVvaJ5jK
ジェットコースターみたいで好きだぜー。
151…いいのか本当に? ま、いっか。:2007/07/22(日) 01:06:47 ID:OVNe3Xis

 郷が泉の背中に手を回し、髪に顔を埋める。警察学校で「切れ」の連呼を敢えて無視し、たった一人のために
伸ばした自慢の黒髪だ。今のリボンは紺色だが、これも郷が贈ったものの一つだ。芳しい匂い、若い女性特有の
フェロモン臭が郷の官能を絶え間無く刺激する。郷は女性を識(し)らない。それがこれまで郷を戦場で生き延び
させてきた。女を識らなければ、躊躇する事なく撃ち殺せる。余計な事を考えずに、任務を遂行出来る。性欲が
無いとは絶対に言わないが、あの輝く夏の日の思い出の女(ひと)に比べれば、どんな女も色褪せて見えたのだ。

 「いいよ…キョウ…ここで…」

 嬉し涙に濡れた泉の顔が、困惑する郷を許していた。郷の屹立した男性自身が、黒のバトルファティーグ(戦闘服)
のトラウザース(ズボン)の下から泉の身体を押し退けていたのだ。慌てて離れようとする郷を泉は強く抱き寄せて、
とまどう郷の右腕を、おずおずと自らのスカートの中に導く。指が熱く粘つく液体の存在を感知する。ふと郷は理性を
取り戻し、泉のスカートから慌てて右手を抜く。泉は口を尖らせて咎めるように何事かを呟き、胸にまた顔を埋める。

 「オレの事で我を忘れて熱くなってるキョウを想像したら…こんなになったんだからな…?」
 「これ、は…?」
 「ストップ! バカ、恥ずかしいマネするなっ」

 郷が人差し指、中指、親指を擦り合わせて液体の粘度を確認し、泉の出したのそれが糸を引くのを確認するのは
まだ我慢が出来た。だが、匂いを確認しようとする所で泉は強く制止した。絶対わざとだ。昔からキョウは意地悪な
所があったから。…泉はそう信じた。だが郷にとっては知識はあるが実体験は無い。全くの好奇心からの行動だった。
匂いを嗅ぐ。後頭部の辺りが痺れてくる生々しい薫りだった。心臓の鼓動が早くなる。屹立の根元が血液の凝集で
痛くなって来る。…心音が『誓い』を守らねばならない自分の決意が音を立てて崩れて行く破滅の音に聞こえて来る。

 「僕はいまでも…君の『親友』かい? 松倉さん…? 」
 「悪いけどオレの方は違うから…。キョウはたった一人の大事な男で…オレのモノだよぉ…」
 「…もう、逃げられない、か…『イズミ』、こんな所で、済まないっ!」
 「あ…ふぅ、はぁぐっ、ふぐっ…ん、あぐ、んぐぅ…」 

 どんよりと曇った冬の日のビルの屋上で、二人は初めての接吻を交わす。これまでの二人の期間を埋めるが如く、
二人の過ごしてきた『親友』と言う壁を行為で押し流そうとするかのように、長く、激しい行為だった。歯がカチカチと
なり、接吻と呼ぶには下品過ぎる程に互い噛み付くようにして唾液を交換し、飲み下す。はふはふぅと息継ぎする刻も
惜しいとばかりに延々と行為を繰り返す。長い長い接吻が終わりを告げた時…泉は上着を脱ぎ捨て、ホルスターを
取り、ブラウスを引き裂くようにして取り去った。豊かに実った双乳が、郷の目を鮮烈に焼いた。…まだ、間に合う。
郷は黒のロングコートを脱ぎ、泉の肩に掛けようとする。…そんな郷に泉が突進し、体当たりで押し倒す。

 「いい加減っ、観念して、正直に、為りやがれっ、この…バカぁ…」

 郷の視界に星が飛ぶ。マウントを取られて頬を拳で殴られていた。抵抗しようと思えば出来たが、そうすれば郷の体は
勝手に泉を無能力化させるために『殺してしまう』。敢えて抵抗しなかった郷は、自分のベルトのプラスチックバックルを
外され、トラウザースを引き下ろされたの感じる。目を開けると、下着からまろび出た自分の屹立に泉が目を丸くしている
所だった。思わず、笑みがこぼれてしまう。…君が冗談半分で下ろして観察していた十年前のあの日の僕と、違うだろう?
泉とふと目が合い、泉が頬を赤らめて目を逸らす。こんなもの、何でもないんだと言わんばかりに、黒の豪奢なレースの
ブラジャーを外した。みっしり中身の詰まった丸い二つの白い果実が垂れずに半椀型の威容を顕わす。
152名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 02:04:07 ID:S2gYXy95
それからどうした? 早く続き書け!
153名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 11:33:25 ID:UR/5pDbv
久々にいい作品にめぐり会えたぜ!!
154…キモは難しいね。こんなのどう?:2007/07/22(日) 14:54:42 ID:37e5l7MH

 「まだまだ、こんなモンじゃないぜ? 驚くなよ…」

 泉は立ち上がり、郷の腹を右足で踏み付けながらホックを外し、スカートを下ろした。…寒くは無いのだろうかと
郷はふと、思った。泉がそれに気付き、郷を踏む足に力を入れる。しかし訓練と実戦で鍛え上げられた郷の腹筋は
びくともしない。忌々しげに蹴る真似をしてから、片足ずつパンプスも脱いでしまう。なかなかシュールな光景だった。
女に踏みつけられながらストリップを生で観賞すると言う現実離れした経験など郷には当然、無い。

 「ああ寒いよ。だけど…どうかな? オレ…イロっぽく…無いかな? 」

 胸乳の下で腕組みをした含羞の装いで聞いて来た泉に、郷は自分の肉柱に視線を移す。天に向かって鎌首を
もたげるイキモノは全く外気による衰えを知らなかった。先走りで湯気さえ立てている。耐え切れずに郷は視線を
天に移した…もうじき雪が降るだろう。黒く重そうな雲が空全体を覆っていた。…空が近い。この手を伸ばせば、
届きそうなくらいに。…あの夏の日は空が遠かった。どんなに手を伸ばして願っても、届きそうもないくらい遠く…

 「なぁに他の事考えてんだ、よっ! 」

 気付くと郷の腹の上に泉が座っていた。両手で郷の顎を掴んで無理矢理己の方に向かせていた。視線が合うと
また、照れて顔を背ける。こう言う所は全く変わって居なかった。甘えたいくせに、素直に甘えないのだ。強いふりを
して、実は脆い。少年の日の郷が支えなければ、松倉さん、いや、イズミは傷付いてボロボロになっていただろう。
『親友』に為って日も浅い頃、廃工場にイズミが呼び出される前日に、自分が愚かな連中を『処理』しなければ…

 「もう…。キョウったらぁ…今はオレだけ見てればいいんだからぁ…。んっ…こぉらぁ…ダメぇ…んぅ…」

 この寒さで尖っている朱鷺色の乳首も、現在の郷の指で弄ばれる事も無く、他の誰かの汚い舌で思うがままに
舐(ねぶ)られていたに違いない。もう僕のものだ。誰にも渡すものか。スナイパーシステム、G3SG-1のトリガーを
非情に絞る繊細な郷の指が、イズミの悦楽へと導く突起を官能へと導く。異性の同業者から羨望の目を向けられる
奇麗な手が、イズミの双乳をこね、乳首をはじき、抓(つま)み、捻る。イズミが喉の奥で呻きを噛み殺すのが解る。
郷の黒いアサルトベストが、イズミの芳香を放つ恥蜜で濡れて行く。眉根を寄せ快楽に耐えるイズミの顔を見る。

 「イズミのこんな姿を生きて見られるとは思わなかったよ…」
 「いじわるだ…キョウはやっぱり…いじわる…ぅん! 」

 唇を開いた好機に郷は迷わずイズミを攻める。何せ使うアテが無いと諦めていたが、知識だけは大量に仕入れて
あるのだ。…この一時の逢瀬に、己の知る全てを以ってイズミを快楽に導かなければならない。郷が仕入れた知識
の中には残酷なデータがあった。『性交により女性が快楽を自覚するのは最初の男との事より次の男との事である』
ご丁寧にアンケート調査によるパーセンテージの円グラフまで設えてあったその内容に絶望したのを思い出す。

 「僕のイズミだ! 僕のものなんだっ! 誰にも渡すかよっ!」

 郷は腹筋を使って上体を起こし、イズミを力の限りに抱き締め、郷の愛撫で小さな嬌声を上げ始めていたイズミの
唇を己の唇を以って塞ぐ。互いの鼻息が鞴(ふいご)から押し出される空気の如く荒く、そして熱い。唇を離すと、二人の
唾液が混ざり合って透明な糸を引き、垂れる。郷の親指がイズミの下唇から垂れる唾液をそっと拭く。イズミがもぞもぞと
胴を震わせた。郷は『寒いのかい』との思いを込めて見つめる。イズミは目元を染め、ゆっくりと左右に首を振った。

 「郷のがお尻に当たってて…切ないんだ…。だけど…どうしていいか…わからないんだ…ねぇ郷ぉ…教えてよぉ…
 オレ…どうしたらいい? この後のこと…オレ…」
 「…僕にまかせて。…腰を浮かせるんだ、イズミ。そして…そう…自分で…ここも奇麗だね…イズミ…」
 「あんまり見るな…やだぁ…また…出ちゃう…」

 騎乗位で破瓜とは残酷過ぎる。だが、正常位ではロングコートを敷いたとしてもコンクリートでイズミの美しい背を
傷つけてしまうだろう。後背位にしても肘と膝、場合によっては顔や頬を擦り剥いてしまうだろう。郷はその背徳に
自らの男根が硬度を増して行くのが呪わしかった。処女が自ら恥蜜に濡れる陰裂を開き、潮まで飛ばしている。
そして今、人生で最初で最後の、守り通してきたものを想い人に捧げようと腰を浮かしているのだ。郷は屹立を握る。
155名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 15:24:50 ID:/pTazDbD
よかとですから続きください
156名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 16:22:01 ID:LfXIv+RC
神キタコレ
157名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 17:13:39 ID:eRhkSR9e
1は?つぅか佐藤と涼子が気になるんだが。
158名無しさん@ピンキー:2007/07/22(日) 18:43:55 ID:ZIqjGTeb
このいいところでそれがどうした!
もしかして本人ならスマソ
1591:2007/07/22(日) 21:23:37 ID:HqiSnjiw
まだ待ってる人いたのかと驚き
忙しいから中々書けてないよ
もうちっとだけ待ってて下さい

郷とイズミ期待
160名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 02:20:35 ID:lbyE3ETm
バイクに乗ってた不良時代の伏線を言葉責めかエロシーンに生かしてくれると期待w
161名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 03:18:46 ID:BVhJmkq9
まだ誰も言ってないので俺が言っておく


ヤンキーくんとメガネちゃん
162名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 07:36:02 ID:xKKhe7oi
郷と泉にwktk
だが、もうすこしまとめて投下してくれると嬉しい。
163名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:02:36 ID:Rb9IpoFh
>>161
スレあったんだけど落ちた
164名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 18:43:22 ID:1flxY4Ym
>>161
ああっ、言おうと思ってたのに!

 「んっ…く…」

 郷の屹立の亀頭が、ついにイズミの未発達な陰裂に触れた。鮮紅色の郷の亀頭が、破瓜の期待に慄いている。
イズミの自分の心に正直に過ぎる淫口が、涎を垂らして男を頬張らんと蠢動している。ついに郷の剛直の鈴口から
滴る先走りと、イズミが陰唇から漏れす恥蜜が混ざり合う。郷は口唇を噛み締め、必死に射精衝動を堪(こら)えた。
まだだ、まだ「触れただけ」だ。イズミは別の意味で堪(こら)えていた。痛いのだ。指一本もきつい陰口に、この郷の
モノは太すぎた。郷の亀頭を収めたのはいいが、そこから先へ進めない。心では郷が欲しい。しかし身体は明確に
拒否している。この二律背反のもどかしさがイズミを責め、イズミの心が手に取るように解ってしまう共感能力に
長けた郷をさらに昂ぶらせる。

 「…キョウ…もう…はいらないよぉ…? キョウがこんなにほしいのにぃ…キョウにはいってほし、ぃ…!」

 郷の亀頭を飲み込む事によって押し出されたイズミの真珠型の陰核に、郷はそっと指をかざした。
その空気の流れだけの刺激で、電流にも似た快美感がイズミの全身を貫く。その拍子に脚から力が抜け、
また郷の剛直の侵入を僅かに許してしまう。痛みが倍増する。イズミは「破瓜」の文字通りに現在、自分以外の
異物により身体を「裂かれて」いるのだ。だが裂いている郷の方も歯を食い縛り、我慢を強いられていた。
感受性の強い郷は、イズミの心理状態を想像し、さらにイズミの中に完全に包まれている亀頭から伝わる
快感の相乗効果で射精衝動がもうどうにも止まらないのだ。しかし郷は己の自尊心とイズミの苦痛を思い
忍耐の限界に挑んでいた。だが、暴発が、近い。陰茎を握っている手が脈動を残酷に伝えている。
もう、駄目だ。郷は決意した。陰茎から潔く手を離し、イズミのくびれた腰を両手で支える。
 
 「…イズっ、ミぃ…」
 「なに? キョお…」
 「…もう…やめよう…もう…イズミが辛、いのは…見ていられ、ない…んだ」
 「そんなの…そんなの嫌(や)ぁらぁぁっ! 」

 郷のここに来ての中止宣言は、瞬間的にイズミの心を沸騰させた。生来の跳ね返りで反撥心に溢れた
イズミは、郷を逃がすまいと脚の力を抜き、そして重力に逆らう事を止めた。体内から何か生々しい
異音が聞こえたと同時に、想像を絶する苦痛がイズミの大脳を焼く。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。
叫びたい。叫びたい。叫びたい。叫びたい。しかしイズミの心がそれを必死に押し殺す。この痛みこそ
待ち望んでいた痛みなのだ。これをくれた者は自分を唯一、求めてくれた誰よりも優しい郷なのだ。
郷はこんなになってる自分を見てられなくて、止めようと言った。もし、叫んだりなんかしたら・・・!
イズミは苦痛を堪(こら)え、涙を拭く。そして、郷にそっと微笑んで見せた。

 「はいっらよ…キョウ…。ちゃんろ…れきたよ…わらし…」
 「イズミ…イズミっ…っ!!」
 「あ…あつぃよぉ…キョウら…なかれぇ…ひくひく…してぅぅ…」

 郷はイズミの中を貫通して直ぐに強烈で反射的な締め付けに逢い、耐えたが次に来た膣内の蠢動で
たまらずイズミの最奥で濃厚な精液をぶちまけていた。茎肌を締め付けられ、カリを締められ、裏筋を
何かコリコリと刺激され、さらには亀頭全体を奥へ奥へと誘う、男性にとっては凶悪極まりない刺激が
今も郷を苛(さいな)んでいた。童貞を守り通していた郷に、これ以上耐えろと言う方が無理な注文だ。
放出した屹立が、萎えぬままにまたイズミの膣内で刺激を与え続けられる。郷が動かなくても、勝手に
イズミの膣内が蠢き、郷の精を搾り取ろうとする。郷は自分の腹に置かれていたイズミの両手を取り、
手を繋ぐ。痛みで体にもう力が入らないのか、イズミはそのままポスンと郷に凭(もた)れかかる。
  
 「頑張ったね、イズミ…。 落ち着いたかい? 」
 「まだ…痺れてる。キョウの意地悪ぅ…。普通、あんな時に止めようなんて言わないよぉ…」
 「タ行がちゃんと発音出来る程には、落ち着いたようだね」
 「もう…バカぁ…」

 互いに身体を摺り寄せながら、郷やイズミの事をよく知る関係者が聞いたらきっと捏造して作ったに
違いないと口を揃えて証言するだろう程の甘い雰囲気の会話が繰り広げられる。会話の間に頬擦りや
舐めたり吸ったり唾液を交換し合ったりとまた忙しい。何時の間にか黒雲の色が薄れ風が止んでいた。
急にイズミが身をよじらせ、郷の分身をきゅん、と締め付ける。

 「ひゃうん! 」
 「降って来たか…。降りて、イズミ」

 ついに雪が降って来たのだ。二人が過ごした市の雪よりも軽く、ふわっとしたものだ。だが、こんな
可愛らしい雪でも、少し積もれば首都圏の交通機関は麻痺してしまう。郷の冷静かつ冷徹な、兵士として
鍛えられた部分が頭をもたげつつあった。イズミはしぶしぶ郷の言う事を聞いて、上体を起こしたかに
見えた。だが、立ち上がろうとしない。郷の屹立を己の中に迎え入れたまま、それ以上動こうとしない。

 「イズ…ミ…?」
 「やだ…もう…やだよぉ…キョウがいなくなるなんて…やぁらぁ! 」
 「ちょっ、イズミ…くぁっ! こら、やめ…おぅッ! 」

 イズミが腰を押し付け始める。郷は耐え切れず腰を引っ込め抜こうとし、イズミは離れていく郷を追う。
その繰り返しでイズミの流した鮮血と郷の精液が入り混じったものが二人の合間から次第に溢れ出て来る。
傍目から見れば、まるでイズミが暴れ馬を押さえつけ乗りこなすロデオを演じているように見えてしまう。
違うのは、イズミがしっかりと握り締めているのは手綱と鞍では無く、逃げようとしている郷の両手だった。
しばらくして郷は諦めて腰の動きを止めたが、イズミの淫らなロデオは止まらない。逆に激しくなる一方だ。

 「やらぁ…キョウ、うおあぁないれぇ…にぇなぃえぇ…! 」
 「ぼ、くは、動、いても、ないし、逃げ、ても、ないよ、イズ、ミっ…! 」
 「え…? わらしぃ…? …うそ…うそぉ…! こんなの、こんなの…ちぁうのぉぉぉ…! 」

 快感に耐える苦しい息の中、郷はイズミに指摘する。イズミは結合部を見て、そして自分が淫らに腰を
振り続け、郷の剛直を恥じらいも無く貪欲に貪っている様を自覚する。だが、止められない。郷の胴を
跨(また)いだままの両脚の太腿をきゅっと締め、その微妙な動きでまた膣内に新たな動きが生まれ、
郷は声に為らない呻きを上げる。芯の残る半椀型の胸が軽く揺れを見せ続ける。

 「とまらない…? とまらないよぉっ…ろぉしてなのぉぉぉぉっ…?!」

 郷の左手がぎゅうっと握られる。イズミの足首がピク、ピクッと動く。郷の脳裏に去来した姿があった。
…ギアダウン。アクセル絞り、タンクの締め。またギアダウンの動き。…もしかして? 郷は快感に耐え、
腰を突き入れる。イズミの手足の反応が郷の予想した通りに返って来た。性科学者達の…嘘吐きめっ…! 
郷は唇の端を歪めて哂う。イズミの状態はもう、下世話に言えば「イキそう」なのだ。身体が覚えている
似たような反応でそれを押さえようとしているのだ。…イズミの身体がまだ出来て居ない15歳の頃に
乗っていたバイクは、少女の身体で押さえつけるには排気量の大きいタイプだった事を郷は思い出す。
ジュプ、ジュポ、ニチャ、クチュと止まない激しいスラスト音がエンジン音に聞こえるのだろう。
 
 「こわい…こわいよキョお! これ…これとまらないよぉ…! キョウ、ろこぉ…? 」
 「僕はここにいるよ、イズミ…。二人で、一緒に、行こう」
 「ひとり…ひとりはいやぁ…いやらよぉ…こわいよおっ…」
 「僕はここにいる…ここにい…るからぁ! 」
 「ぁんっ! 」

 郷は自分の上体を起こし、騎乗位から対面座位に移行する。…腰がグギ、と嫌な音を立てたが、痛みは
幸いにして、無い。郷はしっかり握っているイズミの手を振り解き、郷自身の首を抱かせた。イズミの
目の焦点が全く合っていない。芽生え始めた快楽に溺れ切っているのだろう。郷はいる筈の無い存在の
『イズミの2番目の男』に向かい高らかに勝利の雄叫びを上げたい心境に駆られた。イズミはもう完全に
僕のモノだ! 激しく下から腰を打ち付ける。イズミを強く抱きしめ、双乳がもたらす弾力に酔い痴れる。

 「イズミ、イズミぃっ! 」
 「きょぉ、きょぉぉぉぉぉぉっ! 」

 郷の剛直が2度目の爆発をイズミの奥で遂げた時、郷は鞭打ち症に危うく為り掛ける程に強くイズミの
両腕に抱かれていた。勿論、郷の分身はその痛み以上に強い快楽をイズミの膣内よりもたらされていた。
荒い息を吐く二人の痴態を覆い隠すように、雪は絶え間無く降り続いている。しばらくしてまた、どちらが
始めたとも解らない、腰の蠢動が始まった。互いを求め合い貪り合う二人に、もう言葉は要らなかった…。
あとは脱出、そして新たな不良×優等生の存在を匂わせる後日談?で終了の予定です。
…それでは、また、いつか。
169名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 20:05:06 ID:np//1+U8
GJ!!!×∞
エロ杉!!!
この世の物理法則を無理やり捻じ曲げてでも
このカップルには『二人は死ぬまでずーっといっしょに幸せに長生き』して欲しい!!!

 大日本化製商事本社ビルの受付嬢が、突然突きつけられた写真に目を白黒させる。…ティアドロップ型の
サングラスを掛けた、黒い戦闘服姿の青年を望遠レンズで撮って拡大したものだ。細面でアングルによっては
少女のようにも見えるその青年は、受付嬢が数時間前に見かけた『物腰が非常に丁寧な人』とよく似ていた。
違うのは、写真の青年からは冴え冴えとした、誰も寄せ付けない印象を受けるのに対し、その『丁寧な人』は
微笑みだけで受付嬢に『今晩の予定はありますか?』と業務を忘れて質問させた程に親しみ易い雰囲気だった。

 『こんにちわ、ここに写真の彼は来ていて? 』

 写真が引っ込められそうになり、受付嬢は慌ててそれを引っ手繰ろうとする。数秒の差で写真は彼女の手に
渡らなかった。写真を突き付けた声の主は大袈裟なジェスチャーで優雅に肩を竦めて見せた。女優のように
動作が芝居がかって、キマっている。頬骨があまり出て居ない、日本人好きのする顔をした明るい金髪で碧眼の
『いいオンナ』が紺のスーツを身に纏い、ビシッと立っていた。ニンマリと底意地の悪い笑顔を見せても、
どこか隠せない愛嬌がある。

 『アナタの反応を見れば、一目瞭然ね? …ここで待たせて貰うから』
 『何者ですか? 』
 『アタシ? それとも彼? アタシはこんな関係の人。ロー・エンフォースメント。所属はDIA。彼は…
  そうね、アナタはどう思うかしら? …まぁ知らないほうがいいわ、絶対に。恋敵は増やさない主義なの』

 スーツの襟を寛(くつろ)げ、ホルスターに納まった自動拳銃を見せる。受付嬢はそれきり沈黙を守った。
自分が映画か何かフィクションの染みた世界に不幸にして巻き込まれてしまった事を自覚したのだ。屋上階に
あったエレベーターの階数表示が1階ずつ下がって行くのを横目で確認する。5階、4階、3階…1階まで
あと僅かだ。忌々しい舶来モノの女も自分に釣られてエレベーターを注視し始める。そして軽い到着音と共に、
エレベーターの扉が開いた時…! 彼女達は最早、生涯に渡り忘れる事はないだろう光景を目に焼き付けていた。

                         その15分前。 

 「非常階段ももう駄目だな…警察にもう押さえられているだろう…。時間が経ち過ぎてしまったな」
 「ごめんねキョウ…わたしのせいで…」
 「イズミの責任じゃ無いさ。…わたし…? …可愛くなったね、イズミ…」
 「髪…撫でないでぇ…また…おかしくなっちゃうぅ…」

 対面座位で繋がったまま、まだ二人はビルの屋上にいた。郷は精を放ち続け、イズミは受け止め続けた。イズミの
なだらかな腹部が未だ萎えぬ郷のモノの形に膨らんでいる。男性の一回の精液の放出が平均10〜20mlと言われる
ならば、イズミの膣内には郷の精液が抜き差し潤滑漏出分も合わせると軽くコップ1杯は流し込まれている計算だ。
イズミに言わせると「子供なんていらないけど、キョウのだから欲しいの。だから抜かないで、お願い!」との事だ。
だからこうして繋がったまま、屋上を移動した郷は狙撃銃を回収し、ロングコートのあちこちのポケットを探っている。
手探りで目当てのものを探り当てたらしい郷は、迷わずそれを取り出した。それは黒いガムテープと弾倉2本だった。
まだイズミと繋がったまま歩く郷の体力と持続力とスタミナは相当のものだ。郷がイズミの耳に噛み付くように囁いた。

 「一つだけ…一つだけ方法があるんだよ…。だけど…もうイズミはお嫁に行けなくかも知れない」
 「どんな方法なの? わたしなら大丈夫だから…。それと! …キョウが貰ってくれるんでしょう? 」

 ポツリ、ポツリと内容を話した郷の頬を、イズミは顔を赤面させて、郷の首に廻した腕を解いて平手にて往復で張る。

 「バカ! ド助平っ! 変態っ! ずっとわたしと居たときからそんな事ばっかり考えてたんでしょう?! 」
 「それを実行しなかったのをイズミ自身がよく知ってるだろう? 何しろ僕達は『親友だった』んだからね…」 
 「…誰のせいなの? もう…」

 イズミは軽く溜息を吐き、唇を尖らせ言い訳する郷を暴力抜きの実力行使で黙らせた。そうだ。他の誰よりも一番、
イズミ自身が郷の『誓い』と『友情』を実感していたのだ。そうでなければ『あの夏の日』に『なるようになっていた』。
失われた刻を惜しいとはもう、イズミは思わない。自分が今まで郷に守られていた分、今度は自分が郷を守り通すのだ。
イズミは自分から唇を離し、郷に微笑む。そして腰を浮かし、中に容れたままで郷に背を向け、座位になり、腕を後ろに
廻す。ビビビッ、と郷がガムテープをロールから延ばす音を耳にしたイズミの胸の奥が甘く切なく、疼いた。

 「なるべく痛くしないようにするから、我慢して、イズミ…」
ごめんなさい。書き上げ次第投下します。それでは、また。
173名無しさん@ピンキー:2007/07/24(火) 23:22:01 ID:OvlL5CbS
不良少年あらわるw

 「もうすぐ1階だよ、イズミ。…覚悟はいいかい? 」
 「うん…キョウ…好きだよ…? 大好きぃ…」
 「…口を開けて。もう猿轡をして置かないとね…。そう、いい娘だ…」

 郷はイズミの口に、イズミのブラウスの袖を切った布を咬ませて縛り、猿轡にする。準備は出来た。
後は…『誓い』を破った罰を神様か氏神さまか鬼神が下さない事を祈るのみ。エレベーターが停止する。
そして…二人の新たなる運命の扉を暗示するかのように、ゆっくりと内扉と外扉が開かれて行く。が、
郷が階数表示を確認するとまだ6階だった。エレベーターに乗ろうとしたこの会社の社員だろう若い男が、
口をポカンと間抜けに開けて、しっかりと手首に鎖を付けて持っていたブリーフケースを取り落とす。

 「失敬。君、済まないが今、ここは貸切なんだ」

 郷は不敵にニヤリと笑い、エレベーターの扉を閉じた。イズミの息が荒い。…思わぬ所でこの作戦の
『威力』を確認出来た。郷は閉ボタンを押し続け、エレベーターを止める人間がもう居ない事を願う。
郷の予想外の反応をイズミの『身体』が今、示してくれたので、計画を見直さなければ為らなかった。

 「ここから全ては僕の体力と忍耐力にかかっている…イズミ、出来るだけ、なるべく我慢して」

 イズミがコクンと軽く頷いた。その衝撃すら今の二人には快感に溺れそうになる引金となるのだ。
5…4…3…2…1! ついに一階に到着した。今度こそ、二人の運命を暗示する扉が…開いた。

                 そして世界は動き出す。
 
 二人の女性は魅入られていた。黒いコートを羽織った男性にでは無く、彼の首に腕を後ろにまわされた
ままガムテープでグルグル巻きにされ、また脚も彼の腰に後ろ向きに廻され、足首もまた同じ様にガム
テープで固定された全裸の女性の表情に。ちょうど大航海時代の帆船の船首に飾られた女神像のような
格好で、その奇麗な胸を誇らしげに突き出すような体勢になっていた。さらに目を引くのは…陰部だ。
なんと青年はその男根を彼女に『ハメた』まま平然と歩いている。もう『それってどんなプレイ?』
状態だ。これを見られた女性は恥ずかしいどころの騒ぎでは無いだろう。受付嬢と舶来女は、同時に
生唾を飲み込んだ。舶来女は装備した拳銃を抜いて、向けることすら忘れていた。ふと受付嬢は縛られて
いる女性に違和感を覚えた。…眉を一応しかめては居る。が、『ぜんっぜん嫌そうな顔をしていない』のだ。

 『この女性は不幸にも僕の人質になって、哀れにも純潔を失ってしまいました。そんな女性にまだ、
  こんな恥をかかせるつもりですか? 貴女方、各国政府機関関係者は? クリス・パッカード? 』
 『あのねヨー? 一言言わせて貰うわ。貴方に羨ましくもしっかりハメられてるそこのビッチ、全く、
  恥とか思ってない。何よその顔っ…ワタシはヨーの女ですよー、って! 難なら賭けてもいいわ』
 『…何を賭ける? 』
 『逃走手段よ。いまコッチは貴方に逮捕されたら非っ常ぉ〜に、困るの。ただでさえ人権人権とね、
  うッさい議会の息のかかった連中が嗅ぎまわってるのに、ここで捕まって貴方が依頼されて殺した
  人間の事を喋られたら本当に困るのよねぇ〜? 身の安全はアタシが保障する。…勿論、そこのビッチもね』

 舶来女と青年の遣り取りを、受付嬢とイズミはしっかりとヒアリングしていた。ビッチ、と言う単語が
出るたびに郷は眉を切なげにひそめる。実はイズミがきゅん、きゅんと単語が出るたびに甘く締めて来るのだ。
イズミは本能的にこの舶来女、クリス・パッカードが不倶戴天の敵である事を感じ取っているのだろう。
だからこそ、女の目の前で郷にこうして抱かれている事に優越感を感じ、自分を蔑む言葉に強い嫉妬が
含まれているのが何よりも嬉しいのだ。何よりも今、郷と親しく話すこの女に勝利しているのだ。

 『感謝する、クリス』
 『で、何発ヤッたの? と言うより、童貞だったんでしょ貴方? ずっと誇りにして来たくせに…』
 『…紹介するよ。彼女がイズミ・マツクラ、逃走が完了次第イズミ・マツクラ・ゴウになる予定だ』
 『…ねえ、この場で誤射していい? このビッチ? もう殺る気マンマン。止めないでね。ヨー』
 『彼女は警察官だ。…それに殺すと言うならこの場で僕が相手になるが? 』

 クリスは軽く首を左右に振り、格好良く肩をを竦め、二人に向かって自動ドアに停めた高級日本車を指差した。
郷は警戒しながらドアを開け、後部座席に潜り込んだ。…狙撃手、『ヨー・ゴー』のその後の足取りを知る者は居ない。
誤字すいません。一応これでケリつけました。ウザくてすいませんでした。また、どこかで。
176名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 03:46:10 ID:FJ0amgrA
あんたかなりの馬鹿だろw(いい意味でw)
177名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 08:39:36 ID:VTWhqKvV
ジェットコースターかと思ってたら、紐無しバンジー→因果地平 になってるし(w

後日談の不良少年×優等生のどっちが、この馬鹿ップルの子供かしらんが
どちらにしても、物凄いマザコンかファザコンになってるよーな希ガス
178名無しさん@ピンキー:2007/07/25(水) 22:39:09 ID:4gvJKOm+
彼は最後まで模範的な不良生徒であった
敬礼
179名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 00:51:37 ID:kv+GloGX
不良「少年」じゃなきゃダメなのか?
不良少女と優等生男子は無し?
180名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 01:21:46 ID:6wfEGmXM
>>179
>>139-140に答えがある OKってことさ
181名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 17:02:53 ID:H/JBOq92
なんつーか・・・破壊力バツグンだよこれ
H書くために引き伸ばしたんだな
182名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 21:54:05 ID:keyhVK8F
エロなしだが、「空下堂書店」(管理人:空下樫樹氏)の『午後の恋人たち』って作品も
このスレ向けだと思う(あえて直リンしない。検索汁)。
ベタだ王道だと言いつつ、この手の作品て、いざ見つけようと思ってもなかなか見あたらないんだよな。
その分、見つけたときの感慨もひとしおなわけだが。

余談だが、俺的に幽白は(>>11じゃないが)、このセン期待して手ェ出した作品だったりするw
183名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 09:32:52 ID:lDoQ48eK
>>182
 非常に面白かった、本当にありがとう。

 ただ、これは自分が全面的に悪いんだが
 現在、延々推敲中の駄SSと諸被り(w
 ゴミ箱空にして、ちと攣ってくるノシ

 ΛllΛ
184名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 11:10:48 ID:2gtqDOxu
俺今まで「ヤンデレ」ってこういうジャンルのことだと思ってたwww
185名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 11:11:52 ID:zx9Z8+25
いま読み終わった。
郷とイズミ、ぶっ飛んだストーリー展開いい!
もしかして妄想都市伝説の人?

完結してないSS、続き待ってるよ〜。
186名無しさん@ピンキー:2007/07/27(金) 16:13:14 ID:luLREe+X
このヤンキー少女のデレ、古典派ヤンデレはものすごく甘いなw
187名無しさん@ピンキー:2007/07/28(土) 23:38:06 ID:H1o/blrY
ニャ━━━━ヽ(゚∀゚)ノ━━━━ン!!
188なんとなく書いてみたり…:2007/07/29(日) 02:43:09 ID:8RZqUz78
意識がぼんやりする、目を開けている筈なのにどこかふわふわしたような浮遊感があって
なんとなしに空を見上げて手を伸ばす。
届かないのなんかとっくの昔に分かってる
餓鬼の頃は手を伸ばしていればいつかは空にも手が届くなんて夢みたいなセリフを吐いていた気がする
……いや、実際それは子供の頃の俺に取っては大きな目標で夢で。
毎日が新鮮で新しい事があって友達と落書きして普通の日々が楽しかった
いつから俺はこんな風に……

「…っ!!……かっ!?」

呼びかけられる声に意識が急速に引き上げられていく。
ふわふわとしていた頭は次第に現実へと引き戻されていゆっくりと目を開けば
目尻に少しだけ涙が浮かんでいた。てか、何泣いてるんだ俺…

「夢…か…。なんかすげー懐かしい夢だった気がするな…」
「『夢…か…』じゃないですよ…。みんなとっくに帰ってますけど?」
「……授業は?」

いきなり掛けられた声にそちらを向けば頭を押さえて溜息を吐いてたりする女が一人。
聖 綾音(ひじり あやね)。腰まで届く艶のある黒髪にはっきりと通った鼻筋とぱっちりとした瞳。
黙っていれば何処かのお嬢様でも通るだろう…というよりお嬢様だったりする
容姿端麗スポーツ万能、おまけに勉強も出来るしクラスの中でも人気者つまり絵に描いた様な優等生って奴だ

「そんなものあなたが起きる30分前にとっくに終わりましたけど…?」
「まぁ、退屈な授業聞かなくてすんだんだ、よしとするか。つーか、相変わらず口うっせぇのな。黙ってろよ綾音」
「…それが起こしてあげた人に対する言葉ですか。別にいいですけど…」
「誰も頼んでない上におせっかいなんだよ。てか、何様だよ?ただ寝てるの起こしただけで恩を着せようってか?」
「……はぁ。好きにしてください」
「好きにするさ」

心底疲れたと言う顔をして大きく溜息を吐いて頭を抱える綾音に言葉を返せば
視線を合わせぬままに鞄を手に立ち上がる。そのまま乱暴にドアを開けて教室を出て
当てもなく歩く。このまま帰るのもなんか損した気分になるのはなんでなんだろう…

「クソがっ!?」

面白くない…。



189名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 07:16:09 ID:MKsWY2IW
正当派ヤンキーキター!
190名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 13:06:16 ID:K5gK6cMQ
王道的でいいな。
続きに期待しておk?
191名無しさん@ピンキー:2007/07/31(火) 19:06:17 ID:bTA0R+nB
>>188
おお…これはきた
続き頼む
192名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:11:43 ID:N4kSXGUx
頼むから投下するならある程度まとめてからにしてくれー
193名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 22:48:35 ID:+B27GxrC
殴り書きスレでちょっと前に見たネタがここ向きぽかった
エロないけど
194名無しさん@ピンキー:2007/08/03(金) 00:51:30 ID:gpfJsytQ
書いてはいるけど自分の下手さがよくわかる。
その内に投下するけどイジメないでね。
195188:2007/08/03(金) 22:53:30 ID:kWrLoTWF
中途半端でゴメンネ!?
一応、いま続き書いてるからのんびり待ってくれたら幸いなんだZE
196名無しさん@ピンキー:2007/08/04(土) 04:44:24 ID:6bh9T3XI
待ってるぜ
19758:2007/08/05(日) 03:11:58 ID:Olbcu96w
ちわ
何とか生きてます。執筆してまつ。
もう少しで出来ると思うのですが、今暫くお待ちを。(ニガワラ)

なんか色々、GJなものが投下されてますな。
198名無しさん@ピンキー:2007/08/05(日) 16:37:17 ID:6FJDkaaz
>>197
 なにかと体調を崩しやすい季節柄、息災でなによりです
 地道に弛まず前進し続ける、貴方の生き方が大好きです
 エロ神&文章神は、気まぐれで遅速なお方と心得ておりますので
 wktkしながら待つ事は、あまり苦になりません

 一日も早く、貴方にGJを送れる日が来ますように
19958:2007/08/06(月) 22:42:29 ID:a09A6FiU
ばんわ
自分なりに書き上げました。

・最初から投下し直し
・過去が少し暗め
・タイトル未定

以上
200無題:1:2007/08/06(月) 22:44:37 ID:a09A6FiU
何でこうなるかな…。
「良くん、英語にしよっか」
校倉由衣は、鼻歌を歌いながら教科書を出した。ついでに、俺の隣に席を移動する。

「あのよぉ、由衣…“良くん”って呼ぶの、止めねぇか?」
「何で?“辰川良輔”だから“良くん”でいいじゃん。それに良くんだって、“由衣”って呼んでるし」
「ぐっ……ちっ、勝手にしろ」

俺は、今更ながら図書室に来た事を後悔している。
ちょっと一人になりたかっただけだ。一人で静かに過ごしたかっただけ。
でも、いつもの場所には行きたく無かった。不良仲間たちが馬鹿騒ぎをするからだ。

しかし、今日は運が悪いらしい。
たまたま本を読んでいた成績優秀者と鉢合わせしてしまったのだ。
そう言えば、朝のホームルームでも、くじ引きで掃除当番になったっけな。サボったけど。

目の前の幼馴染は、何を思ったか二人で勉強しようと言い出した。
俺は勉強なんかやりたくねえ。
「やっとその気になったか。うんうん」
腕組みをしながら、大げさに頷く。
”その気”ってどの気だ。
そもそも、お前が勝手に進めているだけだろう。

「もう3年生になったんだよ?年が明けたら大学受験だし、良くんはやれば出来るんだからさ、いつまでも不良なんて…」
由衣の小言を聞き流し、窓の外に目を向ける。
今にも落ちて来そうなほど、雲が低く垂れ込めていた。

「雨…」
「え……?」
由衣が、つられて外を仰いだ。
既に降り始めているらしい。

「傘忘れちまった…」
つくづく運が悪いようだ。今日は厄日か?
窓に映った俺は、いかにも不満げに眉を寄せている。

「だいじょぶだよ。あたし持ってるから」
用意のいいことで。流石は優等生だな。
アイアイガサなんて死んでもゴメンだけど。
濡れれば、風邪引いて休めるし…。
201無題:2:2007/08/06(月) 22:47:08 ID:a09A6FiU
「ほら、外見ないでこっちを見る!」
腕を引っ張られて、現実に戻された。
このまま外を見ていたかったが、そうもいかないようだ。
「あ〜あ〜、分かったよ、やりゃあいいんだろやりゃぁ……ったくよぉ…」

勉強は嫌いだ。特に外国語ってヤツは、何がどうなっているのか、よく分からない。
一番苦手な部類だ。
でも、由衣の事だ、やるまで放してはくれないだろう。
渋々、俺は由衣に従う事にした。

「じゃ、まずはこっち♪」
由衣は、嬉々として本を広げ始めた。
そんなに嬉しいのか。俺が苦しめられるのが。

「っておい。これ、高一の教科書じゃねーか」
「そだよ。だって、高校入ってから、あんまり勉強して無いじゃん」
「……んで、いつ終わるんだ…?」
想像は付いたが、一応聞いてみた。

「授業に追いつくまで全部。今日一日で終わらないと思うから、毎日ね♪」
予想通り、地獄の答えが返って来た。しかも、今日のノルマを達成するまで、放してくれないらしい。
「マジかよ…」
由衣は、頭を抱えた俺を無視して高一の教科書を広げた。

「はい、今日はここからここまで。最初の方は授業出てたから分かるでしょ」
……なめてんのか。それぐらいは俺でも分かる。
内心毒づきながら、ペンを握った…。


1時間後…
「お、終わった、ぞ…」
体がダルい。頭も重い。
暫くアルファベットは見たくねぇ。マックやコンビニも、今は近づきたくねぇ…。
しかし、明日は知恵熱で休めそうだ。これで家に…
「じゃあ、休憩したら国語ね」

……待て。
「まだやるのか」
「だって、他の教科も、ほとんど授業に出て無いじゃん♪」
鬼か。何だその笑顔は。なんなんだその口調は。

「門限ってもんがあんだろーが」
「良くん相手だったら、図書室が閉まるギリギリまでいいって」
笑ってやがる。
ここは、閉まるにはたっぷり数時間は余裕がある。

親子揃って、俺には危険を感じないのか。病院の院長の一人娘なのに。
しかし、今の俺には怒る気力は全く残っていない。
それを知ってか知らずか、由衣は、本棚へ国語の参考書を探しに行った。

戻って来る前に帰ろうか。
そんな事を考えながら、もう一度空を見上げた。
雲はさっきよりも分厚く低く、更に圧迫感を増した。
雨が屋根や窓を打つ音が聞こえる。
202無題:3:2007/08/06(月) 22:51:05 ID:a09A6FiU
「結構…激しい、な」
確かこんな日だ。あれがあったのは。
あの日も、ドシャ降りの雨だった。

突然、ピカッと雷光が走った。スイッチが押されたように、あの日の記憶が押し寄せて来る。
雨…雷…橋の下…一瞬の閃きに照らされる血…。
何度か経験した、フラッシュバックだ。

左足が鈍く痛み出した。
「っ…くそっ…」
思わずしゃがみ、古傷のあった太腿を擦る。

物理的には癒えた。
でも、俺の心には、十字架が突き刺さっている。ばかでかい、罪の十字架だ。
俺は、その重荷を一生背負う事に決めた。由衣には、絶対に背負わせられない。
これは……俺の、罪だ。


………
……………
中3の時だ。
あの日俺は、ドシャ降りの中、近くの橋に向かっていた。由衣と一緒に。
そこの橋の下で、知り合いのおじさんが捨て犬と暮らしていたからだ。いわゆるホームレスってヤツだ。
尤も、知り合ったのは2ヶ月ぐらい前の事だった。

「何でお前まで付いてくんだよ」
「だって心配でしょ、イチローおじさんとタロウの事」
「チッ…勝手にしろ」
そっぽを向いた俺の腕に、由衣が自分の腕を絡ませた。この頃、俺と由衣は付き合っていた。
元々、死んだ父さんと由衣の父親が仲良しだった事もあり、家族ぐるみで時々遊んでいたのがきっかけだった。

いつからだろう。俺は、由衣には勝てなくなっていた。惚れた弱みだ。
あの日も、由衣にせがまれて、一緒に行く事を渋々了解した。
ムリにでも帰らせていれば…今ではそう思う。

橋に近づいた時、タロウが吠えているのが聞こえて来た。
「タロウが吠えてる…なんだろね?」
いつもと様子が違う。
203無題:4:2007/08/06(月) 22:54:19 ID:a09A6FiU
「お前はここに居ろ」
「えっ、あっ良くん!」
俺は、由衣に傘を渡すと、一目散に走った。
一瞬、背筋が寒くなったからだ。

タロウは、滅多な事では吠えない。
普段は人懐っこくて大人しいから、あんなに必死に訴えるような吠え方は普通はしない。
由衣の声も聞こえず、俺は直ぐに橋に辿り着いた。

「!?…なっ…」
いつものダンボールの上に、いつもと違うおじさんが寝転がっていた。
真っ赤な水溜りの中に、おじさんは沈んでいた。
それは、おじさんであっておじさんでは無かった。
むせ返るような血の臭いが辺りに充満していた。

その傍に、少年が一人立っていた。俺と同じ学校の制服。
その手には、折りたたみ式のナイフが握られていた。

「おまえ……佐々木、か…?」
見知った顔…うちのクラスの学級委員だった。
「くっくっく……あれぇ、もうくたばっちゃったの?ほら、お客さんだよ。ねぇ、辰川君」
頭に血が上った。
「てめぇ、ふざけんじゃねぇ!」
言い終わらない内に、そいつに殴りかかっていた…。
……………
………


「……くん…良くん!…大丈夫?」
……由衣、か…。気付かずに蹲っていたのか。
時計の針は、あれから20分先を刻んでいる。

「もしかして、フラッシュバック?…先生呼んでこようか?」
由衣が、本気で心配そうに覗き込んできた。
「もう…だい、じょうぶ、だ」
「でも…やっぱり呼んだほうが…」

今は一人にはなりたくない。行くな…頼むから…
「…傍に、居てくれ…」
声が震えてかすれた。
「え……っ!?」
手首を掴んで引っ張った拍子に、二人とも床に倒れこんでしまった。

俺は、上か。四つんばいになって、由衣を押し倒した格好だ。
何も知らないヤツが入って来たら、俺は100%悪者だな。
「りょう、くん?脂汗…大丈、夫?」
俺を疑う事を知らないのか。こんな状況でも、俺の心配しやがって。
「あぁ…」
また、傷つけそうになった。守ろうと、決めたのに…。
204無題:5:2007/08/06(月) 22:56:35 ID:a09A6FiU
起き上がろうとした時だ。
「ねぇ…もう、赦してあげたら?」
「え…?」
許、す…?
「自分自身を、赦してあげたら?」
「俺、自身を……?」

ドクン、と心臓が高鳴った。
俺の動揺を完璧に見透かした目で、純粋な色を湛える力強い眼差しで、真っ直ぐに俺を見返す。
目を、逸らせない。吸い込まれそうだ。
俺の頬を熱いものが伝い、由衣の顔に散った。

そのまま、俺は床に顔を伏せた。
「おれ…」
「良くんは、悪く無いよ。おじさんだって、最後に笑ってくれたでしょ」
そう言って、由衣は俺の頭を撫でる。
引き金、だった。

涙を拭いた後、半ばむりやりキスをする。舌をねじ入れると、由衣が舌を絡めて来た。
「ふ、むぅ…ん…」
お互いの唾液を混ぜあう感覚に、脳髄が痺れて来る。
「んぅ…ふ、は…ぅむぅ…」
そのまま味わっていると、由衣の腕が首に巻きついて来た。
頭の中で、ブレーキが壊れた瞬間だった。

キスをしたままブラウスのボタンを外し、シャツをたくし上げる。
胸に手をあてがい、下着の上から揉み始めると、由衣の手に力が篭った。
唇を離すと、ちゅぱ、と音がして、糸が垂れた。

間髪入れずに、耳たぶを責める事にした。
「あふ、りょう、くん…んあ、耳、は…ゃ、だ、め」
「おまえ、耳敏感だったよな」
「ん、ば、かぁ…そ、んあ、なの…ぉ、ぼえて、な、くてい…よぉ…」

涙目の抗議にはお構い無しに、舌と歯で耳を責めながら両手は胸をまさぐる。
ブラジャーの上から、微かに指先に触れたものがあった。
「乳首、硬くなってねぇか」
「そ、させ…たの…だ、れぇ…」
「わりぃ…」

弄くる内に気付いた。
「ホック、前に在るんだな」
「う、うん…」
耳を真っ赤にしてそっぽを向いた。
恥ずかしがる表情を見て、今更再確認した。
俺は、コイツの事が好きだ。あの頃も、今も。
205無題:6:2007/08/06(月) 23:03:33 ID:a09A6FiU
ホックを外して、直に触る。
「はぅ…りょ、くぅん…ん、むぅ…」
そんな切ない声出すなよ。むりやり犯しそうになったじゃねーか。
何とか唇で口を塞いだが、頭ん中は結構いっぱいいっぱいだ。

掌で膨らみを揉み、指で乳首をいじると、由衣の腕から力が抜けて来た。
「んふっ…むぅ、ん…はん、ふぅ、む…」
あ…ムリかも。漏れてくる喘ぎ声を聞くと、欲望が高まってくる。
唇を離すと、由衣の口から、息を吐くように声が漏れた。

両手でおっぱいを刺激しながら、顎、首筋を舐め回し…
「由衣…」
「な、にぃ…」
潤んだ眼でこっちを見てくる。虚ろな顔で、目線が合った。
「着やせするタイプ、か」
「ふぇ…?」

普段の制服姿からは想像できない。
「…ブラジャー、小さいんじゃないか」
「…んぁ、見ちゃ、やぁ…」
何となくいじめたくなって来た。これが嗜虐心ってヤツか。
少し冷静になった。萎えた訳では無いが、官能も度を越すと、こうなるのだろうか。

胸の頂に在る突起物を口に含むと、由衣の体がピクッと反応した。
舌でちろちろと転がし、もう一つの突起を指でこね回すと、面白いように反応が返ってくる。
「ひぅっ…ゃ、ふん…くぅ……んぁ…」

なんか楽しい。調子に乗って甘噛みしてみた。
「んやぁああん…!」
仰け反って背筋がピンと張り、両手が床の上に落ちた。

力が抜けてぐったりしているらしい。
軽くイッたのか、苦しそうに息をしている。
「はぁ…はぁ…はぁ……りょう、くん」
「ん…?」
「……き、て…」
心の中で、何かが爆発した。

服を脱ぎ、スカートとショーツを剥ぎ取ると、秘所は既に濡れていた。
指を入れると、じゅぶ、と音を立てて呑みこんだ。
前後に動かすと、由衣の体が面白いように跳ねる。

「お前…」
「な、に?」
「結構、淫乱だな…」
「ぅぅ、ばかぁ…」
顔を上気させながらこっちを見つめる。そんな事されたら、俺もうダメだ。

「わりぃ」
「え…?」
「もう、我慢できねぇ」

屹立したペニスを割れ目にあてがうと、由衣が目を閉じた。
「あっ…んんっ」
「ゆ、い」
ゆっくりと挿入し、ゆっくりと押し進めて行く。
206無題:7:2007/08/06(月) 23:07:46 ID:a09A6FiU
由衣は2回目のはずだから、念のためだ。
それに、俺自身が保てない危険性がある。
最奥まで入ったはいいが、かなり締め付けがきつい。
速く動くと、直ぐに果ててしまいそうだ。

抱き締めるように華奢な由衣の体を支え、腰を動かす事にした。
「はっ…ん…ゃ…んぁ…」
「うっ…くぅ、はぁっ…」
腰を動かす度に、中の襞が絡み付いて来る。
律動を繰り返す度に、理性が飛んでいく。

「はあ、はあ、はあ…ゆ、いぃ…」
「あ、んふ…や、りょ、くんぁ、はっ、ん…」
自分を保つのが精一杯だ。
押し寄せる快感に、腰のピストン運動が段々と速くなって来た。
由衣も、動きを合わせてくる。

「はっ、はっ、はっ、ふっ、はっ…」
「あっ、あっ、ん、はっ、あ、やっ、んっ、くっ…」
もう、何も考えられない。快感に従って、ひたすら腰を動かすだけだ。
でも、そろそろ限界かも知れない。
どんどん上り詰めて行く。

「ゆ、い…おれ…もう…ムリ」
「あん、あ、はん、んぁ、はっ、あ、たし、も、ぅん、あ、い、イクぅっ」
頭が真っ白になっていく。
最後の抵抗で、由衣の耳朶を噛んだ。

「ひぅ!やぁあああん…!」
「うぐっ、があああ…!」
子宮がきゅぅっと締まり、臨界点を超えた俺の意識は、そこで途切れた…。


………
……………
あの時…佐々木に殴りかかった時、正直あまり覚えていなかった。
気付いたら、俺の左足にはアイツが持っていたナイフが突き立てられ、アイツは俺の前でのびていた。
由衣と、たまたま居た目撃者の話では、佐々木は一発で倒れたらしい。
おじさんは救急処置が間に合わなかったが、最後に俺を見ると、にっこりと微笑んでくれた。
タロウは、由衣の家で引き取ってくれる事になった。

当然、裁判沙汰になったが、由衣と目撃者の証言、そして現場の様子から、俺は正当防衛になり、佐々木は少年刑務所に入
る事になった。
だが、裁判にまで発展した事件の当事者という事で、俺は好奇の目に曝された。
由衣の事を知られなかったのがせめてもの救いだった。
事件の前の晩に、俺たちは結ばれた。だけど、これが明るみに出れば、事件の所為で由衣に傷が付く。
由衣自身は気にしないと言っていたが、俺から一方的に別れを告げた。
そして…見知らぬ人間から見ると、俺は所謂”不良”という事になった。
207無題:8:2007/08/06(月) 23:11:41 ID:a09A6FiU
由衣と両親に頼まれて、由衣と同じ高校には合格した。
「良くん!一緒に行こうよぉ!」
涙ながらにそうせがまれては、無下に断る事は出来ない。
元々、中学を卒業したら働こうと思っていた。
父さんが死んだ後、無理をしていた母さんが病気がちになって、由衣の家の病院に世話になっていた。
それに、勉強はそれほど好きじゃ無かったからだ。

由衣の両親に頼まれた時は断ったが、相手が由衣になると、俺は甘くなってしまう。
この時も仕方なく了解し、高校受験のシーズン限定で根性と気合を入れ直した。
しかし事件の事があって、入学してからは、普通のヤツは誰も寄り付かなかった。
代わりに、悪友と呼べる連中が周りに集まっていた…。

一方、由衣は高校の人気者になっていった。
見た目が可愛く、性格も人当たりも、ついでに成績も良かったため、学校中に名前が知れ渡っていた。
有志でファンクラブが作られたが、珍しく、メンバーの半分は女子らしい。

由衣は、日なたの存在になった。
俺は、日の光を浴びる事は、高校では有り得ない。
それでも、俺は構わない。由衣が傷つかなければ、それでいい。
今まで、そう思っていた…。
……………
………


「なあ……由衣…」
「ん?なあに?」
「後悔、してねーか?」
「別に。良くん、優しいし」
「俺が?」
「うん!だって、2ヶ月も毎日毎日、ホームレスのおじさんと捨て犬の世話なんて普通出来ないもん♪」
「……タロウ…元気か?」
「…うん。良くんの匂いを見つけると、嬉しそうに尻尾を振るんだよ」
「…そうか…」
「今度、良くんちに連れてくね♪」
「……勝手にしろ」

アイアイ傘も、たまにはいいか。小降りになって来たけど。
しかし、俺たちが付き合ってるって発覚したら、学校中が大騒動になりそうだ。
取り敢えず、図書室は片付けて証拠隠滅はしたが…。


<終>


…後日談どうしようか。(苦笑)
20858:2007/08/06(月) 23:28:46 ID:a09A6FiU
長かった…。orz
という事で1ROMらーに戻ります。



と言ってる傍からネタ投下。

@女王様タイプ
「ほらほら、もっと腰を動かしな!」
「ぎゃああ!」
「そんなんじゃこのあたしはイカせられないよ!」
「だ、だずけでぐでぇ〜…」
女王様が一回満足するのに、男の方は10回ぐらい…w

Aメイドタイプ
「も、もう止めてくれ…」
「むぅ、まだダメですぅ、ご主人様ぁ…あん、あん、あん…」
「ぐぅ…毎日朝・昼・晩はきつい……調教し過ぎたか…」
…メシか。orz
どっちのパターンも腹上死ケテーイ?


皆さん、付き合うならどっちがいいでしょうかww
209名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 03:51:34 ID:L92u1xp7
結構な数のSSを今までに見たが・・・
一線を隔ててる出来だな。とりあえず今から24時間は右手の立てた親指をおろせそうにない。

神GJ!!世界最高の小説ごちそうさまでした!
210名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 15:33:52 ID:jQ7fro25
そしてその大袈裟な賛辞に愕然とした他の職人は呆れてスレを去るのでした、まる
211名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 15:34:48 ID:Yuxet0pC
狂おしくGJ!!!

後日談は学校中に知れわたって一騒動が……
212名無しさん@ピンキー:2007/08/11(土) 21:43:27 ID:KoiIfwWB
>>193
おお、本当だ。
教えてくれてthx
213保守小ネタ:2007/08/12(日) 02:29:16 ID:/X3czjn1
大粒の雨が激しい勢いで地面を叩き続けていた。雲が重く垂れ込めた空は、夜が近い
とでもいうような暗さだ。
遠くで白い光が閃いた。雷鳴は少し遅れてやってきた。
「……もしもし、おかあさん? うん、私。今ねえ、雨宿りしてるの……」
腹の底にびりびりと響く音の隙間を縫って、細い声が続く。
「……うん、うん。でも、小降りになるのを待ってたほうがましだもの、平気」
小さな笑い声のあと、あ、という短い叫びが続いた。白いセーラーの夏服からすらりと
伸びた腕が、駅舎の壁に手を突いて体を支える。
木が石畳を叩く硬い音とともに、松葉杖が薄鼠色の石畳に転がった。
長い髪が揺れた。右脚を軽く曲げ、左手を壁に突いたまま体を屈める。杖を拾い上げ身を
起こした彼女と、前髪の下から一瞬目があった。
「……ううん、大丈夫。ちょっとふらついただけだから……」
彼女はすぐにこちらに背を向け、電話の向こうの母親と話し続ける。俺もそいつから
目を逸らし、降り止まない雨の幕を見るともなしに眺める。
雷光。
「……あ、今一瞬雑音が入ったねえ。……うん、大丈夫。そろそろ切るよ……」
雨音にカツンとパネルを閉じる音が混じり、すぐにもとの雨の音しか聞こえなくなった。
滝のように降り続き、視界を覚束なくさせる雨。
「……すごい雨だね……」
ぽつりと真由子が呟いた。数年ぶりの俺に向けての言葉だった。彼女は無言の俺をちらりと
見て、声をかけたこと自体が無かったかのように、白い飛沫で霞む灰色の町並みを見遣った。
大人しい真由子と、規則と上手く折り合いを付けることができず放校寸前の俺が、幼稚園からの
幼馴染みだったことを覚えている人間はいない。当の俺たちですら、ほとんど忘れかけている。
同じ高校に通っていても、顔を合わせる機会は少ない。まして、会話など。
それでも、時折ふと、子供の頃そのままのような言葉が口を突いて出る。
俺とこいつの基盤に、いまも共通の時間の記憶が存在することを思い知る。
「……親は迎えに来ねえのか」
俺の声を、真由子は仕返しのように無視し、真っ直ぐ顔を上げて空を仰いだ。
色白の頬には、それより白いガーゼ。足首には包帯。外から窺えない傷は、少し褪めた
青色のスカートの一番奥まった処にある、という。
「真由子」
真由子は白い貌をほんの僅かこちらに向けた。前髪の陰から、切れ長の黒い目が俺を
見返している。
「負ぶってやる。乗れよ」
「いい。雨が止むのを待ってる」
「止まねえよ」
「止むよ。いつかは」
「……真由子」
真由子は少し眉を顰めた。
「来いって」
真由子はそれ以上何も言わず、軽く足を引きずりながら、差し出した俺の背に負ぶさった。
お前は優等生で、俺は不良で、子供時代なんかとうに昔のことで、今では顔を合わせても
ろくに言葉も交わさず、互いに顔を背け合っている。
それでも、お前の体に下種な欲望を突き立て、取り戻せない傷を刻んだ奴らを殺しても
飽き足らないと思い、同時に俺の腹の底に押し込めた同種の願望を嫌悪しながら、
時折お前の夢を見る。
俺の肩先で黒髪が揺れる。ふたつの柔らかい丸みが背中を圧迫し、なめらかな膝の白さが
生々しく目に焼き付く。セーラーの半袖から伸びた片腕は俺の首に巻き付き、もう片手は
細い傘の柄を握っている。雲の波間に遠雷が轟いた。一瞬、雨足が弱まった。
「……竜ちゃん、煙草吸うの……」
途切れそうな細い声音とともに、熱い吐息が耳をくすぐった。
「……煙草は嫌い。本当に駄目なの。ねえ、いいから下ろして……」
「我慢しろ。ちょっとの間だろ」
真由子は口を噤んだ。うっすらと汗の滲んだ頬が襟首に擦りつけられ、シャツの襟元を掴む
指の力が強くなった。また雨の勢いが激しくなる。
俺は自分の欲望とそいつらの欲望がひとつに重なるのを感じ、今なお真由子の信頼を
勝ち得ている自身を誇る一方で獣欲を満たした奴らを羨望しながら、頼りなく揺れる重みを
背に、土砂降りの中をひたすら歩き続けた。
すれ違う人影はなく、雨は未だ止む気配を見せない。
214名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 00:22:09 ID:uRLGVPjq
神SSの後日談を待っています
良と由衣の純愛カップルが好きです
215名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 09:38:55 ID:gdTd9piI
スレタイが「優等生×不良」だったら優等生と不良少女を書けたのに…と思ってる俺は異端
216名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 09:51:21 ID:DG7Exs2N
>>215
少年には少女も広義の意味で含まれる。>>130あたりで不良少女モノもある。書いてください。お願いします。
217名無しさん@ピンキー:2007/08/19(日) 02:46:58 ID:VJxllvIC
保守
21858:2007/08/22(水) 21:57:42 ID:ioj7/GRm
ばんわ。
良くんと由衣の話ですが…。
シリーズ化しそうな勢いで脳内を回ってます。
翌日とか夏休みとか卒業旅行とか極めつけは10年後とか…。
取り敢えず、妄想して期末。
21958:2007/08/23(木) 23:02:11 ID:oCvYruol
気分転換に小ネタ投下
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
校舎の裏に数人の男子生徒がたむろしていた。
輪の中心に居るのは、方言を話す少年だ。地面に屈んで寛いでいる。
「それでな、あのおっさんに捕まってもうて…」
「拓也、良く帰って来れたな。あのゴリラに捕まったら…」
拓也と呼ばれた少年は、仲間と一緒にゲームをしながら喋っている。
もうすぐ昼休みが終わるという時だった。
「…”中畑”君?もうすぐ午後の授業が始まるんだけど…」
拓也が振り返ると、腕を組んで仁王立ちに構えている少女が居た。
「ゲッ…瑞希…」
「うっ、風紀委員長だ、やべぇ」
彼女の放つ殺気と無表情さに、全員が凍りついた。
彼女が拓也の事を苗字で呼ぶ時は、怒っている時だった。
「ど、どないしたんや瑞希。そんな怖い顔したら、皺が増え」

ゴスッ!

「ぐおっ!……かかと落としはツッコミにはキツイで…」
頭を両手で押さえながらぷるぷると震える。
「あんたは一言多いのよ。ほら、教室に戻るわよ」
「えぇ〜、戻りた無いねんけどぉ〜。何とか見逃し」
「ムリ」
「即答かい!しかも人が喋ってる途中で…ボケ殺しか」
ぶつくさ文句を言う間に全員立たされ、束の間の休息はお開きとなった。
拓也は瑞希に見張られ、半ば引きずられるように廊下を歩く。
「全く、何で同じクラスなのかしら」
「ホンマやで。別のクラスに引っ越したいわ」
「瑠夏も、こんなヤツの何処がいいんだか」
"瑠夏"とは、瑞希の友人で、拓也の彼女である。
「瑞希もぼやぼやしとると誰も相手してくれへ」

ガツン!

「教科書の角はやめれ」
「次は広辞苑よ」
「マジで死ぬわ!」
「いっぺん死んでみる?」
一瞬、彼女が地○少女に見えた拓也であった…。
22058:2007/08/23(木) 23:15:05 ID:oCvYruol
ところで、良輔・由衣の作品に郷・イズミをサブキャラで出そうと思うんですが。
作者さん、宜しいですか?
仮におk出たとしても、夏休みor祭りの時なので、結構先ですが。
221名無しさん@ピンキー:2007/08/26(日) 00:50:57 ID:/Lz7u4Bm
保守
222松倉泉と郷義弘作者やで:2007/08/27(月) 15:18:11 ID:iePzpqrx
>>220
OK。ウチとこの2人組み、どんどん使ったってや。
ウチ本人は後日譚書く心算が、ヘタれてしもうてん。
郷クンはやるときやる子やさかいにあんじょうようしたってや?
泉チャンはアクセル全開で郷クンは専用ブレーキやさかいにな。
ただし泉チャン犯られたら郷クンは問答無用でブースター着火で
誰にも止められへんから、加減よろしゅうにな?

厨房の頃は泉チャンイケイケやけど、工房は猫被っとるからな?
本質は郷クンに近づく泥棒猫排除やからな? 間違えんといてや?
ほな、よろしゅうに。
223名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 16:05:27 ID:l9fcviZs
>>222
 このカキコミからあーんな事やこーんな事など
 自分だけがおっきできる妄想を延々と捻くり出せる
 勝ち組な自分、GJ
22458:2007/08/29(水) 00:23:40 ID:1BWgS5pA
>>222
サンクス
だけど、近所に引っ越してきた新婚夫婦って設定なので泉ちゃん身重でつ。
その前に、後日談書かねば…。まだ手を付けて無い…orz
225名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 11:00:32 ID:MgiMEYxo
馴れ合い自重
226名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 20:53:26 ID:z1JzMSlT
>>224はもはや不良少年×優等生から外れてる様な気がする
まあ期待だけどね
227名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 18:05:26 ID:4mKnHUHr
保守
228名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 07:50:36 ID:IsRAVPRR
映画化はいつ?
229名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 23:47:47 ID:njCQ8eDB
密かに>>213の続きを期待している
230名無しさん@ピンキー:2007/09/24(月) 08:55:10 ID:gMCfs7o6
保守
231名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 12:57:56 ID:LuR3K/GB
「ちっ…保守しといてやるよ」
「全くもう…素直じゃないんだから…」
232名無しさん@ピンキー:2007/10/03(水) 22:52:38 ID:WQ2ny4G2
優等生男×不良少女ってあり?
ツンデレじゃなく、優等生に恋した不良少女が、彼のために更正するとか。
233名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 03:59:24 ID:PuZYZKvk
>>232
あり派となし派がいるが過疎を止めてくれるなら
なんだっていい気がする

書いてくれ
234名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 23:04:24 ID:GKMJ0eSq
「あとは恭介くんだけだよ」
 何が? と訊ねる前に、絵里子が紙を差し出した。進路調査表と銘打たれた長方形の中
に、五つの空欄がある。公立高校の名前を二つ、私立高校の名前を三つまで書き込めるよ
うだ。
「あれは高校になんか行かねえ」
 絵里子から視線を逸らすために、不て寝する。
「まだそんなこと言ってるのー? だめだよ、高校くらい出なきゃ」
「おふくろみたいなこと言うな。俺に構わない方がいいぞ」
 俺とこいつはまるで正反対で、かたや学級委員と務める優等生。かたや学校のお荷物と
も言える劣等生。両性から慕われるカリスマ性を持つ絵里子に対し、俺と接しようという
物好きはこいつくらいのもんだ。
 ことあるごとに俺を気にかけてくる理由は、小学校から九年間同じクラスという奇跡的
な腐れ縁のためだろう。修学旅行で不良三人組と組んでくれたのは、絵里子を筆頭とする
美少女三人組だった。
「進学しないならしないで、就職希望ってところに丸付けとくの! はい、丸書いて!」
「代わりにやってくれ。まさか書き間違うこともないだろ」
「だめです。自分で書きなさい」
 あんまり顔を覗き込むな。髪の毛が頬に当たってこそばゆい。
 渋々ペンケースからボールペンを取り出し、就職希望に丸を――付けたはずなのに、ど
うやらインクが切れているようだ。肝心なときに使えない。
「レイカちゃん、ボールペン貸してあげて」
 絵里子は親友の名前を呼ぶ。俺の隣にいるこのレイカという少女も、俺と関わるのに抵
抗がない稀有な存在だ。
「絵里子もよくやるよ。私も幾度となく彼とコミュニケーションを取ろうと試みたが、結
果は言わずもがなだ。中倉を飼いならせるのは絵里子くらいだろうな」
 ご覧の通り、レイカは男らしい口調に小難しい言い回しを併用した、なんとも珍しい女
子生徒だった。絵里子を優等生と称するなら、こいつは奇才と呼ぶのが相応しい。その奇
才ぶりは後々分かる。
 レイカから手渡されたペンを握り、乱雑に円を描く。
「はい、じゃあ先生に提出しちゃうよ……本当に、高校行かないの?」
「何度も言わせるなって」
 度重なる俺の素っ気ない態度に目くじらを立てたような絵里子だったが、始業まで五分
ほどと時間も差し迫っていたので、教室の外へ消えた。
 ふあぁ、と気のない欠伸をし、俺は机の横にかけられた鞄を背負う。
「おや、もう帰るのかい恭介。また絵里子からうるさく言われるぞ」
「五、六時間目は受験についてなんだろ? 俺が出る意味ねえよ」
 帰って昼寝でもしようか、と考えながら去ろうとする。が、レイカに「恭介」と呼び止
められ、振り返った。
「実は私も、君が進学を希望しないのは残念だと思うんだ。確かに君は成績も素行もよろ
しくないが、人としてはそこらにいる秀才と呼ばれる人種以上に素晴らしいんじゃないか
と評価している。現に、君は基本的に他人の迷惑になるような行為はしない。深夜の暴走
行為や、授業妨害などはしたことがないだろう? ケンカだって、ほとんどが売り付けら
れたものに過ぎない。自ら売ることもなければ、極力挑発に乗らないよう努めている。実
は恭介ほど素直で優しい男はいな――」
「あんたの話は長い」
 レイカは目を円くし、それから肩をすくめた。
「ああ、悪い癖なんだ。すまないね。つまりは『私や絵里子は、君の理解者であると自負
している』と言いたかったんだ。どうだい、意識過剰かな?」
 答えるのも面倒な問答だ。俺は黙秘してドアをくぐった。危うく頭をぶつけそうだった
ぜ。無駄にタッパがあるのも困りものだな。
235名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 23:05:15 ID:GKMJ0eSq
 カップラーメンをすすっていると、呼び鈴を連打された。
 来訪者は確認せずとも明らかだ。どうせ絵里子が叱りに来たに違いない。
「恭介くーん、開けてー!」
「騒ぐな、近所迷惑だから」
 制服を着たままの絵里子が、タッパーを持って現れた。
「ああっ、またカップ麺! ちゃんと栄養取らないとだめだよっ。はい、これ野菜炒めだ
から。まだ温かいから今すぐ食べて。余ったら冷蔵庫に入れて明日食べてよっ」
 絵里子がこうしてお節介焼きになったのは、多分、俺たちが小学五年生くらいからだろ
う。
 親父はトラックの運転手という職業柄、家を空けていることが多い。が、帰らない日の内、三割程度は別の女と過ごしている。愛想を尽かしたおふくろは別の男と出ていった。
あとには貯金の三十万と、俺と親父と、汚いマンションの一室が残った。
 三十万は、絵里子に預けた。親父に見つかったら愛人に貢ぐに決まっている。家の中に
置いていては不安なので、絵里子を通して原田家に渡った。今でも、ちゃんと保管されて
いるらしい。
「それから、なんで途中でエスケープしたの? 必ず最初から最後まで出てって言ったの
に……」
「俺がいるとセンコーの機嫌が悪いんだとさ」
「それは、先生たちが勝手に恭介くんを煙たがってるだけだよ。恭介くんがいるとね、授
業がスムーズなんだよ。騒いで授業妨害する人がいないから」
 俺は寝てるか、レイカに教えてもらってるかだからな。
 それから小一時間ずっと説教を食らった。正直、こいつには頭が上がらない。
「じゃあ、あたし帰るからね」
「おう。勉強しろよ、受験生」
 一服しよう。タバコを指に挟み、百円ライターで点火する。
 ふと玄関を見ると、絵里子はまだ帰らず、そのままぼうっと立っている。
「……キス」
「は?」
「キスしよーよ」
「しゃーねえな」
 タバコを灰皿に残し、立ち上がる。
 数秒の沈黙。唇を触れ合わせるだけのものだが、俺はこれで満足している。
「……えへへ、恭介くんの味」
「どんな味だよ」
「うーん、クールの味?」
 俺が吸ってるタバコの名前じゃねえかよ。俺の唇は既にそこまでタバコに染まってしま
ったのか。
「ねえ、やっぱりもう一回しよーよ」
 俺の返事を待たず、絵里子は唇を重ね――舌を絡ませてくる。くちゅりと唾液が混ざり
合う。お互いの唾液を交換する。口を離すと、俺と絵里子の間に銀糸が架かった。
 中学二年生のころと比べると、積極的になったなと思う。そのころの絵里子は性に奥手
で(それは俺にも言えることだが)、付き合い始めて半年経ったクリスマス、ようやくキ
スにまで辿り付いた。
 糸がぷつりと切れる。
 絵里子はもう一度口付けを求めて、目を瞑った。
236名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 23:06:04 ID:GKMJ0eSq
 収まりが付かなくなった俺は、口内を犯しながら赤いスカーフを抜き取り、セーラー服
の裾から手を忍ばせ、柔らかな乳房に触れた。左手で絵里子の腰を抱き、右手は制服の中
で怪しくうごめいている状態になる。
「んむっ……んんっ、ぷはぁ……恭介くん、気持ちいい……んっ……」
「胸、少し大きくなったか?」
「当たり前だよぉ……十五歳だもん」
 ブラジャーのホックに指をかけ、慣れた動作で外す。いとも簡単にホックを外す俺かっ
こいいとか思ってる俺は、全然かっこよくないのだろう。
「場所を変えないか?」
 場所が悪い。まさか玄関でするわけにはいかない。
「じゃあお姫様だっこしてっ。それでベッドに優しく下ろしてっ」
 実質俺の一人暮しとなっていて、あまり掃除もしないのだが、部屋は思いの他きれいで
ある。絵里子が週に一回ほど掃除してくれるからだ。最近、さすがに申し訳なくなってき
たので、たまに自力で掃除をするようになった。
「持ち上げるぞー」
 よっと声を上げ、絵里子を持ち上げる。華奢な身体は全く重量感がない。羽毛の塊を抱
えているようだ。
 シーツも絵里子がまめに洗濯してくれているので、清潔に保たれている。『エッチのと
きにシーツが汚かったら嫌』というのが本音らしい。
「寝かせるぞ。おらっ」
「きゃあ! もう、乱暴なんだから」
 スカートがめくれているが、絶妙に見えていない。太ももが大きく露出されて、なんと
も艶めかしい。
 俺がワイシャツを脱ぐ間、絵里子も自分で制服を脱いでいた。そこは俺にさせてほしい、
とはさすがに言えない。それでも下着は残してくれているようで……俺の楽しみのためで
なく、恥ずかしいからなんだろうけど。
「電気消して」
「嫌だ」
「……ゴム」
「……付けるよ」
 トランクスを下ろし、いそいそと装着。不良のイメージとは、避妊具を付けず後先考え
ず中出し――のようなのが一般的だろうが、俺はそこまでワルになれずにいた。
 絵里子らしい薄桃色のパンツを穿いただけのの身体を眺め、気分を昂ぶらせる。今から
この肢体を犯すのだと考えれば、興奮しないわけないだろう。
 絵里子の覆い被さり、今日四度目のキスをした。
 そのまま顔を胸の辺りまで移動、ピンと張った突起を口に含む。充血して硬くなった乳
頭を、舌で転がした。
「あっ、ん……恭介、くんっ……」
 右の乳房は深く俺の指を受け止め、それでいて押し返そうとする。柔軟性と弾力性を持
ち合わせた魅惑の部位に酔いしれる。
「下も……お願い」
 そっと触れると、絵里子は布越しでもはっきり分かるほど濡らしていた。
 指の腹で、敏感な芽を弄ぶ。絵里子は嬌声を上げ、身をびくりと跳ねさせた。
 腰のゴム部分に手をかけ、真っ白な肢体を覆うものを一切なくす。新雪のように白く光
る身体に、俺は見惚れた。
「きれいな身体だな」
「やだ。恭介くんらしくないこと言わないでよ」
 頬を朱に染め、絵里子が呟く。
 魅了的な太ももの奥にある秘境。俺以外の者には荒らされていない聖域に到達する。蜜
をだらしなく溢れさせた園へ、舌先を這わせた。
 絵里子が硬直する。甘味な声を聞かせてくれる。
 完全に冷静さを失った絵里子は、恥らうことなく喘ぎ続けた。
「きょうす、け、くん、もう、だめ、い、いっちゃう、よぉ!」
 肉芽を刺激してやると、絵里子は全身を震わせて、果てた。
「……ふぁ……恭介くんの舌でいっちゃった……」
「かなりかわいかったよ」
「恭介くんが、かわいいとか言うの、反則だよ……」
237名無しさん@ピンキー:2007/10/06(土) 23:07:34 ID:GKMJ0eSq
 薄皮に包まれた陰茎を、入り口に触れさせる。
「入れるぞ」 
「優しくしてね」
「俺がいつ乱暴にしたよ」
「この前、すぐに入れたじゃない」
「ああ、あれか。悪かった。反省してるよ」
 あれは俺の人生においてトップクラスの罪になると自覚している。いろいろとストレス
やら何やらが溜まってたんだ。許して欲しい。
 大分慣れたのか、そこはあっさりと俺を受け入れてくれた。まるで俺を受け入るためだ
けにあるんじゃないかと錯覚する。俺が拓いて、俺が均した場所だ。
 すべて繋がると、絵里子がぎゅっと、俺に抱き付いてきた。
「恭介くん、大好き」
「俺もだよ」
 腰を引き、そして深く沈める。
 ゆっくりと運動を開始する。チョコレートが溶けていくように、俺と絵里子の結合部も
融合していく。
 今日のここは割と素直だ。多少、抑えを解いてもいいかもしれない。
「んっ……恭介くん、激しっ……」
 ベッドが軋む。絵里子の身体をシーツが擦れ合う。二人の息遣いが荒くなる。
 吐息が、喘ぎに変わっていく。
「絵里子……気持ちいい……」
「あたしも……気持ちいいよ……んっ」
 絵里子の爪が背中に深く埋まっているが、そんなことは気にならない。
 水音と喘ぎ声だけを聞いて、最愛の人と交わる。
「恭介くん、あっ、もっと、ちょうだい、恭介、くんっ……」
「くっ……絵里子、もう出るっ」
 最後のスパートをかけ、ひとしきり動くと、俺は絶頂を迎えた。

「おや、どうしたんだ二人とも。やけにお疲れのようだね」
 二人揃って登校すると、レイカは既に席に座り文庫本を開いていた。
「……若気の至りという言葉があるけど、羨ましいね。私の場合、度が過ぎる前にどうし
てもセーブしてしまう。一緒に過ちを犯せる伴侶がいることは喜ばしいことだ。君たちが
愛情を間違った方向へ曲げるなんて愚行はしないだろうが、一応注意しておくよ。
 限度ってものを知っておくと便利だ。過ぎたることは及ばざるが如しと言うじゃないか。
それから、全ての行動は性的欲求に裏付けられたものと考える理論があるけど、私はそう
は思わない。その衝動を正しい方向へ結び付けられれば、今からでも高校生にはなれる」
「……長い」
 この冗長な独白は控えてもらいたい。長話を聞くのは苦手だ。
「つまりはだな、高校でも君たちを見ていたい。どうだい恭介、今からでも高校受験に挑
戦してみないか?
「俺が? 高校?」
 無理だ。だれでも入れる偏差値四十くらいのところならまだしも、絵里子とレイカは有
名私立進学校に行くらしいのだから。
 断ろうと口を開いたが、絵里子の言葉で塞がれた。
「あたし、恭介くんのためなら、志望校のランク落とすよ? 勉強も手伝うから、一緒に
―― 一緒の高校に行こう?」
 そこまで言われたら、やってみるしかないじゃないか。

――終わり――
238名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 01:43:40 ID:RklYoGlv
GJ!
絵里子かわいいなあ
239名無しさん@ピンキー:2007/10/07(日) 12:13:16 ID:7xV6kOTQ
GJ
主役二人もさることながら、レイカがいい味出してる
続編があるならレイカをもっと話に絡めてほしい。
240名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 20:56:52 ID:ML2RqCoZ
保守あげ
241名無しさん@ピンキー:2007/10/22(月) 07:16:25 ID:v8HqDQNj
唐突にカップルだったので、端折られた感が
242名無しさん@ピンキー:2007/11/03(土) 22:03:29 ID:1VNnrJcu
なかなかエロに持ってくの難しいと思うこのネタ。
自分に文才が無いことをこれほど悔やんだことはない。
というわけで保守!
243名無しさん@ピンキー:2007/11/04(日) 23:38:57 ID:jHc73G3R
俺も保守だ!
244名無しさん@ピンキー:2007/11/07(水) 02:52:58 ID:QkxyRzmO
保守しつつ、レイカ主人公の話も読みたいと思った俺。
245レヴィとテス_1:2007/11/13(火) 07:51:37 ID:0gBKpQQl
「レヴィ……レーヴィ! レヴァイン!」

 心地よい午睡に、今まさに深々と落ちんとしていたレヴィは、耳に馴染んだ凛とした声音に、びく、と身体を揺らした。
 目を開けなくても声の主は判っている。
 美貌の主席どの、タッサーニアだ。
 校内の有名人である彼女は、3日前に入学をしたような生徒からもテス、と親しげに呼ばれる。
 それに対して爽やかで申し分のない――たぶんレヴィには一生作れない笑顔でハァイと手を振る。
 彼女の人気の所以だ。

「寝煙草は危険よ」
 片目をちらりと開けて、うるせぇな、と顔中で表現をしながら上体を起こす。
 第一、指摘はそこじゃないだろう。仮にも学生長なら、校内での喫煙を咎めたらどうなのだ。

 テスはその細く白い指を優雅にのばすと、ひょい、と煙の残る煙草を取り上げた。
 指先だけで向きを変えると、無言でまたレヴィにそれを差し出す。

「早くして。臭いがうつるわ」
 ち、と舌打ちをしながら、ポケットから携帯灰皿を取り出した。
 口を開いて差し出すと、彼女は満足そうに微笑みながらぽい、とそれを放り込む。

「で? 用件は?」
「あら、用事がなければ会いに来ちゃいけない?」
「そんなに暇じゃねぇだろ、おれと違って」
「そうね、その通りだわ」
 憎々しい不遜に満ちたその返事も、彼女にとっては全く事実と相違ない。

 首席代表、学生長、風紀委員長、女子寮長、クラスリーダー、学内ニュースサイト発信責任者、
フェンシング部のエース、文芸書評ノーティス常連ライター。
 ありとあらゆる肩書きを持っている彼女が、暇を持て余している姿など見たことがない。


 天は二物を与えず、とは言うが、テスは他人の才能を奪い取って身につけたような女だ。
 男女問わず釘付けになるその美貌。
 恐ろしいほどの回転速度と容量をもった頭脳。
 しなやかにほっそりとした、どんな訓練にもスポーツにも的確に順応する肉体。
 決して穏和ではないが人当たりがよいその物腰と、絶対的なカリスマ性。

 一般生徒の投票で選ばれる、スチューデント・オブ・ザ・イヤーとかいうわけの判らない称号を、3年連続受賞している。
 3年連続、は贈賞が始まって以来の快挙だそうだ。
 今年も彼女の受賞はほぼ確定。
 このままいけば、在学中パーフェクト受賞なんて、前人未到の領域まで達成してしまうに違いない。
246レヴィとテス_2:2007/11/13(火) 07:52:25 ID:0gBKpQQl
 学園史上最高の才色兼備。
 ミス・パーフェクト。
 教官より優秀なトレーニー。
 会話と食事を楽しむ高性能軍用アンドロイド。
 難攻不落のヴァルキリー。
 プレジデント・タッサーニア。

 彼女の異名は数知れず、そしてそのすべてが真実だ。
 テスのウィークポイントと言えば、家名の価値が少々低くて、父親が下品な成り上がりであるというその一点である。

 テスは、何もかもがレヴィと正反対だ。

 唯一の国営軍学校であるこの学園に在籍する、それ自体がステータスである。
 自慢ではないがここに入るにはそれなりの金か頭脳が必要だ。
 レヴィは前者を、テスは後者を最大限に駆使をして、ここに通っている。
 レヴァインの特技は、父親の役職しかない。


 テスはちら、と周囲を見渡して、誰の気配もないことを確認すると、レヴィのすぐ隣にその細い膝をついて、耳元で小さく囁いた。
「今日、来られる?」
 吐息に耳をくすぐられて、ぞわりとする。
「三日前にやったろ」
「だから?」
 さらりと言いのけて、さっとくちびるを重ねる。
 とっさに目を閉じ、柔らかいテスのそれを受け入れた。
 入り込んだ舌を絡めあう。

 理性的な女はキスを楽しもうとしない。
 それがレヴィの持論だ。
 手っ取り早く相手を煽って、さっさとセックスに持ち込む。
 特にテスはそうだ。
 今のこのくちびるも、レヴィをその気にさせるためだけに重ねたんだろう。
 その証拠に、瞳を潤ませたりなどは絶対にしない。

「来るの、来ないの?」
「…………行けばいいんだろ」
「よかった。待ってるわ」
 にこり、と鬼軍曹すら虜にする笑顔で、テスは微笑んだ。
 この笑顔に屈しないのはおそらく学園中で自分だけだ。
 この女の本性を、知っているのもおそらく自分だけ。
「ニコチンを抜いておいて。嫌いなの知ってるでしょう」

 じゃあねまた夜に、と儀礼的に呟くと、個人専用端末を胸に抱えて立ち上がる。
 短い制服のスカートからすらりと伸びた細い太ももが、ちょうど眼前に迫って目を奪われる。
 小走りで立ち去っていくテスの、潔く高い位置にまとめた髪を見つめた。
 その揺れる深い茶色は、温かい小春日和の陽ざしを受けていつもより明るく光っていた。
 長くさらさらのあの髪に指をからめて幾度も撫でて、しまいにはぐちゃぐちゃに振り乱しながらレヴィを欲しがるであろう今夜に、多大な期待を抱く。

 タッサーニアは知らないだろうけど、レヴァインは相当彼女に入れ込んでいる。
 彼女のために、中毒の煙草を断とうかと思うほどには。


247レヴィとテス_3:2007/11/13(火) 07:53:41 ID:0gBKpQQl
*

 演出が過剰すぎる庭のグリーンのせいで、簡素な部屋着の裾が濡れた。
 だれがこんな人工的な、野ばらに癒されるというのだ。
 一年中その花びらを美しく彩られてはありがたみも何もない。
 自分が子どもの頃にはもう少しマトモな盛栄衰退があったはずだが、コントロールが過ぎるここでは全くそれが感じられない。
 花は、咲く間際が一番いいと、誰にも言ったことはないがレヴィはそう思っている。

 こん、とテスの部屋の窓を叩く。
 間髪入れずに、かちり、とロックの外れる音がして室内の明かりが漏れ、その出窓が外側に開いた。

「待ってたわ」
 押し付けるようにランチタイムを告げる校内放送と同じトーンで、テスがレヴィを迎える。
 白魚のような手でレヴィの手を求め、それを握るとぐっと引いて室内に誘いこむ。
 鮮やかで慣れた手つきだ。

 窓から身を乗り出して、テスが周囲を確認する。
 もちろん、誰にも見られてはいない。
 慎重に慎重を期して、毎度この部屋へ忍び込むのだ。
 面倒ごとがごめんなのは、テスもレヴィも同じだ。


「来て。早く」
 情緒もへったくれもなく、部屋の照明もデスクのライトもさっさと消して、テスがベッドに腰掛けて手を伸ばす。
 嫌な女だ、とレヴィはいつもながらにそう思う。

 だけど逆らわずにその手を握り、乱暴に細い身体を押し倒しながらくちづけた。
 それ以外の方法を、レヴィは知らない。

「……んんっ、むぅ……んー……」
 高く甘い声を洩らしながら、テスが隙間から舌を差し入れてくる。
 ついでに、下くちびるを強く吸われて全身が熱くなる。
 欲望に素直な女は可愛い。
 だけど理知的に計算づくでそれを露にする女には、情を移さないと思っていた。
 テスの恥辱はすべてが演技だ。
 知っている。

 彼女が触れて欲しそうに身を捩るが、あいにく応えてやるほど素直に出来ていない。
 以前は衝動のままに身体を繋げたこともあるが、最近はそれをしない。
 早く、と切望されればされるほど、焦らして、焦らして、気持ち悪いほど丁寧に愛撫をして、もういやだと懇願をするまで肉をぶつけたい欲求が沸いてくる。

「あ……や、レヴィ、レヴィ……」
 途切れ途切れに呼びながら、自ら衣服を脱ぐべくボタンに手をかけたその手を攫ってシーツに縫いとめた。
 ぎゅ、と柳眉をきつく中央に寄せ、テスが熱っぽく睨み返す。
 素知らぬ顔でキスを落とした。
 抗議のようにくちびるをかぷりと強く噛まれて、ますます加虐心が沸いてくる。
248レヴィとテス_4:2007/11/13(火) 07:55:24 ID:0gBKpQQl
 ちら、と片目で時計を確認する。あと10分。
 キスは15分以上、と決めている。
 勉強は鳥肌が立つほど嫌いなレヴィにも、時間配分は可能なのだ。
 きちんと意識をとろけさせてからじゃないと、テスの達者な口から文句がぽんぽんと飛び出して、げんなりすることこの上ない。
 そんな気力をすべて吸い取ってしまうかのように、くちびるを甘く噛んで、舌を口蓋に這わせて、つるつるの歯列をなぞって、空いた手のひらで頭を撫でる。

 くちびるを放すと、至近距離の顔の間で荒い吐息が混ざり合う。
 うっすらと潤んだ大きな丸い瞳が、暗闇でも判るほどはっきりとレヴィを見上げる。
 はやく、と眼だけで訴えられる。

 私には時間がない。
 早くして。

 言葉にしない彼女の通念が胸をえぐり、眉根を寄せながら、首筋に乱暴に口づけた。
「あっ、ん! レーヴィ!」
 他の誰も知らない、囁くような高い声。
 ぺろりと舐めあげると、組み敷いた身体がびく、と震える。
 耳朶からその穴の中まで丁寧に舐めまわす。
 小刻みに身を震わす完璧な優等生のしなやかな肉体が、徐々にその力を抜いていく。
「レヴィ……んん、もっと、あ……」
 素直すぎて気持ち悪い。とても本能から出た言葉とは思えない。
 鉄の才女どのは、乱れる様すら演出をして見せる。

 手を滑らせて、乱暴とも思える手つきで柔らかな胸を揉む。
 薄い布地の上からでもそれと判るほど、ぴんと尖った先端を指先で引っ掻いた。
「あっ……」
 一瞬だけそこをかすめて、すぐに下肢へと手を伸ばす。
 すべすべと手馴染みのよい太ももを撫で上げて、顎を舐めながら眉根を寄せる。
 薄っぺらいワンピースの下には、何も身につけていないようだ。
 
 どうせ裸になるとはいえ、脱ぐのと最初からないのではまるで違うだろう。

 合理的であればいい、という考え方は好きじゃない。
 用があるのは確かにその中身だが、至る過程が存在するはずなのに。
「お前な」
「なあに?」
「たまには官能小説でも読んでみろ」
「そんな暇ないわ……大体、あんたが男のくせに女々しい触り方するからよ」

 言いながらずるりとレヴィの下から上体を引きずり起こすと、ぷちん、と胸元のボタンをひとつ外した。
 レヴィの視線に気がついたテスが、くちびるを歪める。
「着たままのほうがいいの?」
 頭痛がする。
 この女にロマンを理解させるには、どうしたらいいんだろう。
「……好きにしろよ」
 くすくすと笑いながら、テスは優雅にその部屋着を脱ぎ捨てた。

 薄闇に、白い裸体が浮かび上がる。
 つんと形よく上を向き、上品な大きさの乳房。
 細いだけではなくきちんと筋肉のついた二の腕。
 きゅっとくびれたウエスト、完璧なラインのヒップと太もも。
 よくもまあ、こんな絵にかいたような理想的な肉体が存在するものだと、レヴィは思う。
 
249レヴィとテス_5:2007/11/13(火) 07:55:56 ID:0gBKpQQl
「レヴィ……」
 膝を立ててレヴィににじり寄り、テスがキスをしながら彼の洋服の裾に手をかける。
 キスに応えつつ、大人しくすべてを脱がされた。
「……焦らさないで」
 とても、焦れているようには見えないと言いかけて、やめた。

 テスはレヴィの首筋に軽く触れると、すぐに身を屈めて、固く張りつめたそれを躊躇いもなく口に含んだ。

「…………く」
 不覚にも声が漏れて、くちびるを引き結んだ。
 白いテスの背中に、さらさらの髪が広がっている。
 こめかみからさらりとそれを撫でて、指通りを楽しんだ。

 テスは口内にたっぷりと唾液を溜めて、先端をきゅっと吸い上げた。
 こんなことまで、テスは優秀にこなしてみせる。
 レヴィの反応を冷えた目で伺って、確実に快感を与える。
「ッ!」
 掠れた息に、テスがちらりとこちらを見上げて、楽しげに眼を細めた。
 根元を熱いくちびるでぎゅっと咥えられ、喉もとで先端を刺激されて意識が白く濁る。

 柔らかなくちびるが厚い肉を忙しなく上下して、レヴィを支配する。
 先端を、ぬるりとした舌が舐めまわす。
 品行方正なテスが見せる、そのふしだらな様子に、レヴィの下らない自尊心が満たされる。

 ぐ、と肩を抱いて、その身を起させる。
 期待を込めた瞳で、テスがレヴィの顔を覗き込んでくちびるを重ねた。

 前触れもなく、痛いほどに欲望を露にした先端が、テスの性器に触れて、ぞわりと身体が震えた。

 イニシアティブを握られたままでは、どうにも釈然としない。
 征服欲、というものが、何もかもを諦めたレヴィにも存在すると、テスは知らないらしい。

 ぐ、とその細い肩を押して、身体をベッドに沈ませた。
「……っ!」
 今度はテスが、掠れた悲鳴を上げた。

 ぐ、とはしたなく張りつめた乳首を口に含んだ。
「あッ!」
 余裕なく漏れた甘い声音が、耳に心地いい。
 本能のまま手を伸ばして熱い下肢に触れる。
 溝をなぞると、そこはすでにぐちゃぐちゃに湿り気を帯びて、レヴィを待ちわびている。

「…………レヴィ、んっ、あ、く……! もう、いい……早く、いれて……っ」
 ねだるようにテスが腰を揺らす。
 そんな彼女に、保とうとしていた理性をすべて放り出して指を敏感な尖りに擦りつける。
「あっ!」
 もともと自制がきかない思惟が飛んだ。
 機械的に、でも、確実にテスを追いつめるべく指を滑らす。
250レヴィとテス_6:2007/11/13(火) 07:56:33 ID:0gBKpQQl
 きっと、腕力以外でテスより優位に立てることはないのだろう。

 そんな面白みのない予感に、ますます自虐を強くして、くちゃ、とわざと音を高く立てながらそこを捏ねる。
「あ、ああっ、う、ん……!」
 テスが、我を忘れた自分を装って、レヴィの指を求める。
「は、あ…ふ……! ゆび、入れて……!」
 猫のような声を洩らしながら、切羽詰って欲望を口にする。

 要望のまま、指を突き立ててぐちゃぐちゃとかき回した。
 テスの弱いところは知っている。
 そこを幾度も指の腹でつつくと、簡単にテスは快感を露にしてみせる。
「あっ、いや、そこ……だめ!」
 だめ、という言葉が、真実なのかどうかレヴィには判らない。
 ただテスを快楽の淵に追いやりたくて、だめ、と声を高くするそこをこすり上げて、ふと、思いついて指を止めた。

「…………ん、」
 眼尻に涙を浮かべたテスが、抗議混じりにレヴィを見上げる。
「……レヴィ……?」
 高い声音は、愛されていると錯覚させるに十分だった。
「お願い……いかせて……」
 卑猥な懇願に、レヴィは陥落をする。

 手玉に取られている、と知っている。
 だけど、テスを悦ばせることに、楽しみを覚えている自分も知っていた。

 ぐちゃ、と指をかき乱しながら、親指で尖りを刺激した。
「あ、ああっ!」
 高い悲鳴をあげて、テスが絶頂を迎える。
 いつもながらに躊躇いもなく達するものだ、とレヴィは関心をする。

 はあ、と深く息を吐いたテスの、形のいい鼻に自分のそれをぶつけながら、くちびるを塞いだ。

 熱い吐息が心地いい。
 くびに回る両腕の温度が、レヴィの意識をますます奪う。

 本能のまま、乱暴にテスを突き上げた。

 細い背を弓なりに反らせて、テスが快楽から逃げるように貪るように腰を揺らす。
 上半身を捩って、シーツをぐっと握るその手がいい、とレヴィはどこかで思った。

「んっ! レヴィ、あぅ、……の、や!」

 その身体を串刺しにするかのように、奥の奥まで何度も何度も突き立てた。

「んんー! ん、やあ……く! あ、だめ! やああッ!」
 いっそう高い悲鳴を上げて、テスの身体がぴん、と硬直して、すぐにその中がびくびくと激しく収縮を繰り返す。
 一旦動きを止めてその締め付けを楽しんで、だけどすぐに堪えられなくなって再び腰を揺らした。
「ん! レヴィ、まって……やあ、も、やだっ……ああっ!」
 逃れようと身を捩じらす肩を押さえつけて、この細い身体を壊してしまいたくて、乱暴に激しく何度も叩きつける。

251レヴィとテス_7:2007/11/13(火) 07:57:06 ID:0gBKpQQl
「もう……やっ、レヴィ、レ…ヴィっ! ああん! いやっ」
 とうとうテスが、大粒の涙をぽろぽろとこぼしながらレヴィの首にすがりついた。 
「……レヴィ、く、くち……ん、塞いで……ッ」

 キスして、ぐらい言えばいいのに。
 ほんとうに可愛げのない女だ。
 だけどお望みのままにくちびるを重ねる。
 絡んだ舌の隙間から、高い、けれど押さえた喘ぎが漏れる。
 
 その声に、一瞬戻った意識がまた飛んだ。
 レヴィは思考をすべて捨てて、ただこの行為に没頭をする。

 またテスが、全身をがくがくと震わせて声にならない悲鳴を上げる。
 ぎゅう、と締め付けられた。

 一瞬だけ遅れて、レヴィもどくどくと滾る白濁液を、テスの熱い体内に吐き出した。


 ぐったりと全身から力を抜いて、細い腕でテスが顔を覆い隠した。
 汗のにじむ形のいい胸を上下させて、荒い呼吸を繰り返している。

 ずる、と身体を引き離すと、テスの赤く染まったくちびるから、ん、と言葉にならない息が小さく漏れた。
 ふと視界に飛び込んだ白い股の間から、どろりとした精液が溢れ出して太ももを汚す。
 周到に用意された大判のタオルの上にも、それはとろとろと漏れた。

 テスは生理痛が酷いとかホルモンの分泌量を調整したいとか、呆れるほど適当なことを言って、ピルを服薬している。
 コンドームは信用できないと、薄く笑った彼女の顔を、今でもよく覚えている。
 非完全なものは信用しない、完璧主義者なテス。
 いつでも準備なく挿入を果たせる手軽さが、テスを淫らにしているに違いない。

「…………やりすぎよ……こんなの、頼んでないわ」
 細い手をぶるぶると小刻みに震わせながら、涙に濡れた鋭い目でレヴィを睨む。
「知るか」
 見えるところに痕さえつけなければ、何をしてもいいと宣言したのはそっちじゃないか。
 勝手に感じすぎて文句を言われる筋合いなど、レヴィには全くない。

「……水、取って……」
 ベッドサイドのミネラルウォータをひょいと手にする。
 起こそうとしたテスの身体を押さえつけて、ぬるいそれを口に含む。
 なに、と言いかけた赤いくちびるを塞いで、舌を伝わせて水分を流し込む。
 重ねた口を震わせながら、ごく、とかすかな音をたててテスが従順に飲み込んだ。

「なに、謝罪のつもり?」
「そんなめんどくせぇこと、するかよ」
 身体はすっきりと軽くなったが、未だ冷めない胸のなかがぎゅっと締め付けられる。

 スキモノのくせに溺れたりしない、嫌味な優等生。

 キスを楽しめ。
 セックスはスポーツじゃない。
 おれは、お前の駒じゃない。

 おれは、おれは、お前が、
252レヴィとテス_8:2007/11/13(火) 07:58:30 ID:0gBKpQQl
「もうひとくち、ちょうだい」
 手を伸ばしてテスが求める。
 彼女が求めるのはレヴィのキスではなく手の中の水。

 乱暴にボトルをあおって、上体を屈ませた。
 飲ませてやるついでに、必要以上に長く、長く、舌を絡ませあう。
 
「もっと。足りないわ」
 テスは貪欲だ。
 知識も信頼も羨望も権力も快楽も、欲しいままに手に入れる。
 テスにだけは絶対に惹かれない、と深く誓ったはずのレヴィの心まで奪っていく。

 この女なら、軍史上初のレディ・コマンダーにだって、なってしまうかもしれない。


*

 テスが思っているほど、レヴィの眠りは深くないし寝起きも悪くない。
 腕の中からするりと彼女が抜け出せば、それだけで目覚めは訪れる。
 どれだけテスが慎重に上手くやっても、だ。失ったぬくもりは、彼女が考えるよりも大きい。
 だけどあえて覚醒を伝えず、デスクで淡々と端末のキーを叩くその細い背中をじっと見つめるのが密かな楽しみなのだ。
 焦げ茶色の髪は、薄闇の中で濡れたようにつややかに黒く光る。
 先程までさらさらとレヴィの腕をくすぐっていたあの髪に、また触れたくなってすぐに諦めた。

 朝の5時。
 テスが腰を上げる。
 レヴィは慌てて目を閉じて、深く深く寝入ったように見せかける。昔から狸寝入りは得意だった。

 ぎ、とベッドを軽く沈ませて、ベッドに腰掛けた。
 テスの気配が広がる。
 柔らかい空気、薔薇の香り、微かな吐息。
 細く白い指が伸びてきて、レヴィの額をそっと撫でた。
 前髪を優しく、別人のように優しく撫で上げて、弄ぶ。
 盗むようにテスがくちびるをふわりと重ねて、しかしすぐにその身を離すとほう、と深く息を吐いた。

「レヴィ、時間よ。起きて」
 ぱん、と軽く頬を叩かれ、眉根を寄せる。
 不快を露に身を捩って、シーツにもぐりこむふりをする。
「レヴァイン! 起きなさい」
 抑え目のトーンで、でもきつく名を呼びながら肩を揺すられる。
 
 仕方なく、目を開ける。
 盛大なあくびの真似ごとをしながら、上体を起こした。
 テスに差し出された部屋着を受け取って、その白い頬をじっと見つめる。
 まだ少女の面差しを残す、人形のように恐ろしく整ったその顔。
「……なに?」
「べつに」
「早く帰って」
 言われなくてもそうする、と早口で伝えて、服を着る。
 視界が塞がる一瞬前に、テスが少し儚げな顔をしていたように見えたが、おそらくレヴィの気のせいで、見苦しい自惚れだ。

253レヴィとテス_9:2007/11/13(火) 07:59:21 ID:0gBKpQQl
 その証拠に、服を身に付ける間にさっさとテスは立ち上がってレヴィに背を向ける。
「送っておいたわ。端末チェックして」

 これはギブアンドテイク。
 テスは、レヴィにスポーツとしてのセックスを要求する。
 その後に、肌を絡めて眠ることを。
 見返りとしてレヴィは、及第の確実なレポートやアビリティ・チェックの要点をまとめたファイルをテスから送られる。

 時間が惜しい、タッサーニア。
 眠らないテス。
 眠れないテス。
 メジャーな現代病であるそれに、簡単に睡眠剤のアンプルは処方されるが、彼女は神経科の受診履歴を残したくない。
 不眠症のパイロットは欠陥品だし、たとえ医者にだって弱みを見せられない、自意識過剰な完璧主義者だ。

 なぜこんなあほらしい取引を思いついたのか、レヴィには想像もつかない。
 ――賢いヤツの考えることは判んねぇ。
 胸のうちで呟きながら、気まぐれにテスを後ろから抱きしめる。
 細い身体が、大げさにびくりと揺れた。

 形のいい顎を掴んでキスをする。
 短いけれど、まるで愛のようなキスを。

 だけどテスは、しなやかにその身を捩って、優雅にレヴィの腕から逃れた。
「……離して」
「テス、」
「早く、出て行ってちょうだい」

 身を離してしまえばちらりとも彼を見ない。
 ぬくもりが欲しいと、こちらから奪うだけ奪って、レヴィが求めればつめたく否定をする、
機械仕掛けのようなテス。
 レヴィは知っている。アンドロイドに愛されるほど、自分は価値のある人間じゃない。

「じゃあな。淫乱な学生長」
「あら、難しい言葉を知っているのね」
 馬鹿にしたようにテスがくちびるを歪めて、カーテンを握る。
 完璧なコントロールの朝日が彼女を照らすまで、あと1時間。
 できたらその中で、端正な顔を飽きるまで見たいと、らしくなく願った。


254レヴィとテス_10:2007/11/13(火) 07:59:56 ID:0gBKpQQl
*

 端末を開いてメッセージをチェックする。
 パーフェクトすぎるそのレポートに、適度な誤字脱字を追加して終了だ。ありがたい。
 常ならタイトルもテキストもなく、ただファイルのみのそっけないメッセージに、今日は珍しく本文が添えられていた。

『もう少し上手に吸って。落第も退学も許さない』

 テスが望めば、どんな恋人も手に入るはずなのに、彼女は稀にレヴィに執着をしてみせる。
「次の抱き枕を探す手間をかけさせないで」
 それだけで、こんな面倒な取引を頻繁にこなすのか。
 レヴィはときどき、自分がもしかして特別な人間であるような錯覚に陥る。
 有り得ないことだ。
 出来る女の考えることは、ほんとうに判らない。

 第一、許さない、などと言われなくても、レヴィにもその気はない。
 

 タッサーニアは知らないだろうけど、レヴァインは相当彼女に入れ込んでいる。
 彼女のために、中毒の煙草を、生涯断とうかと思うほどには。


*

おわり
255名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 11:32:11 ID:8ZbtUGre
ツンデレ夫婦漫才(w、GJ!!!
256名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 20:15:24 ID:MRri9wiK
思わず読みふけってしまった…
GJー!続きはないのかい?
257名無しさん@ピンキー:2007/11/14(水) 18:23:07 ID:qd1CGlgj
GJ!!
本人達だけがすれ違ってる所詮バカップルですなw
258名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 01:44:20 ID:mpE+a+e5
GJGJ!!ほんとに二人ともツンデレだなw
こういう自分達だけがすれ違ってる喧嘩っプル話がツボだからすごくいい。
259名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 12:41:08 ID:0gOfhB+B
GJ!
端から見てると甘ったるいなwww
260名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 09:32:04 ID:9C5V6KZ7
261名無しさん@ピンキー:2007/11/23(金) 01:27:24 ID:SJLWwi4C
262名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 01:41:31 ID:HjBShMp9
263名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 23:54:16 ID:TvQT9eBN
264名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 22:39:11 ID:5qjt27CK
265名無しさん@ピンキー:2007/11/27(火) 22:39:28 ID:sSOOkYHR
266名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 00:19:56 ID:z1tzI17t
267名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 02:23:53 ID:G/zevM14
268名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 17:11:16 ID:Tou3ZYJw
269名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 02:05:42 ID:1z1+1o5h
270名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 03:25:51 ID:0uN+/XFO
271名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 15:53:07 ID:DPSoAIJq
272名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 21:17:22 ID:tTZ6zme4
273名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 17:21:01 ID:kwG1+pK1
この前恋空って映画見たら、ここのスレにぴったり合ってる気がした。
274名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 22:43:03 ID:5EuVDIOY
相変わらずの過疎っぷり。

不良少年は、落ちこぼれとイコールではないよな?
275名無しさん@ピンキー:2007/12/05(水) 23:09:37 ID:ABIL+Ja3
過疎の割にSSが良質だから困る。つい巡回してしまうじゃないか。

>>274
頭はいいけど学校には来ないし素行のせいで先生には目つけられてる男子生徒が
頭は悪いけど素行はいいし真面目な優等生女に勉強を教えつつエロイこともする

なんて妄想が駆け抜けました。でもこれって女は優等生ではないな
276名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 00:18:34 ID:zZJvZtNI
勉強が出来るから優等生じゃない。
おちこぼれだから不良なんじゃない。

真面目に不真面目な人より。
277名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 00:57:08 ID:QgK3yZnx
>>275

>>頭はいいけど学校には来ないし素行のせいで先生には目つけられてる男子生徒が
>>頭は悪いけど素行はいいし真面目な優等生女に勉強を教えつつエロイこともする

ネタ、ちょっと改変していただきました。

エロはないですが、保守がてらに投下。
「フレンチキスの夜」 全部で5レスです。
278フレンチキスの夜・1:2007/12/10(月) 00:58:46 ID:QgK3yZnx
 煙草の煙。地鳴りするほどの大音量の音楽。人の笑い声、熱気、話し声。私は扉を開けたことを後悔しつつ、ぐっと前を見据えた。
「お嬢ちゃん、ここに何の用ォ?」 
 金色の髪をパイナップルのように逆立てた男が、私の目の前をさえぎった。
「あなたには何の用もありません」
「ああん、何だって? ほんじゃあ誰に何の用があるのよ?」
 舐めるように私の顔を見るいやらしい顔をきっと睨みつけてやる。
「私が用があるのは、柴崎駿介(しばざきしゅんすけ)です。彼はどこにいるの」
 パイナップル頭の顔がひきつった。ぴくぴくと動く頬のまま、彼は私に背を向けた。
「あの方のフルネーム知ってるんなら、いいだろう。ついてきな」
 私はパイン君の導きで、その場へ足を踏み入れた。
 ここは店ではない。廃墟のようなビルの地下街に、街の不良たちが自然に集まってできた、ひとつの街だった。その中心に座るのが、この街の王者。圧倒的な知力と武力で、周辺の不良たちを配下に従えた、絶対君主。
 パイン君は私を振り向きもせずに歩いていく。ここに集まる人達は誰も私に手を出さない。パイン君はたぶん、案内人。その案内人が案内している相手は、王者が必要としている人、という認識なのだろう。私をみんな遠巻きに見ている。
 けど、これはまだまだこの街の入り口だ。この辺りになら誰だって入ることができる。普通に遊んでいる程度の制服の女の子の姿もあって、私の制服もそんなに浮いていない。
 とはいえ、こういう場所に免疫がない私は、びくびくしながら歩いた。パイン君の背中を見失わないように、パイン君の影響下から離れてしまわないように、私は必死で歩いた。
 パイン君の行く先に、彼はいる。多分、この街の一番奥、一番深いところに。


 予想に違わず、街の一番の奥に彼はいた。カーテンと屈強な男に囲まれた小部屋に。
 その小部屋には、ここが廃墟だったとは微塵も感じられない、革張りのソファに豪華な装飾品が置かれていた。バーカウンターの中ではバーテンダーがシェイカーを振り、バニーガールの女の子が傍に控えている。
 バニーガールは皆、大きな胸と腰を揺らしながら、彼に近づく。彼女たちの媚びた笑みも誘うような仕草も全て彼に向けられたものだ。この街の王者たる、彼に。
 そんな彼女たちの身体をみるたびに、自分の胸の大きさや顔の美しさを省みて、自己嫌悪に陥る。いつもそう。私が彼に相対する時、いつも感じる気持ちは、劣等感だ。
 どれだけ学校で優等生といわれ、常にテストの結果ではトップの成績を誇っていても、生徒会長として実権を振るっていても、いつも私は感じている。
 かなわないんだ。彼には私はかなわない。私が百、努力して手に入れるものを、彼はなんの努力もなしに手にしている。私が欲しくてたまらなくてようやく手に入れるものを、彼は誰かから貢がれている。
 その彼がソファにふんぞり返って私を見ている。震える身体を押さえるように、私は深呼吸して彼を見た。
「あ、明日はテストだよ。学校、来なよ」
「ダルイこと言ってんなよ。俺ァもうどうでもいいんだよ、テストとか、学校とか、そんなもんは」
「困るのよ、私、先生から、連れてくるようにって言われてるんだから」
「へえ? まだ俺に学校来いっていう教師がいるのかよ」
 私の言葉を鼻で笑って、彼は煙草を口に咥えた。早速隣のバニーがライターを胸元から取り出して、火をつけている。。
「もう、俺のことはほっとけよ。学校だって退学寸前だ。俺は、こっちの世界のほうが、お似合いってことだろ」
「じゃあ、じゃあ私はどうすればいいのよ。私はまだ、あなたが捨てようとしているその世界にいるのよ」
「お前は、もう俺の助けなんかいらないだろ」
 バニーガールが私に挑むような目をして、彼にグラスを差し出して、しなだれかかっている。私は彼の前まで思わず歩いていった。
「いるわよ!」
「どこに、何にだよ。お前は無敵の生徒会長だろうが。文武両道、家柄、性格、指導力、なんもかんもが一流だ。おまけに大人たちの信頼も厚い。俺なんか、いないほうがお前のためだろ」
 バニーが差し出したグラスの中の茶色のお酒をあおりながら、彼が言った。ついでにバニーの大きな胸に顔をうずめることも忘れてない。そうやって、私を遠ざけようとしているのだ。
 でも、私はいやだ。私の世界の中から、彼を排除したくない。なんとかして、私の世界に、彼をとどめておきたい。誰のためでもない、私自身のために。
「そんなことないよ! 教えてよ!」
「何をさ」
「え……英語!」
 その場にいた全ての人の空気が止まった。パイン君に至っては、はあ? と呆れた声をあげていた。
279フレンチキスの夜・2:2007/12/10(月) 01:00:12 ID:QgK3yZnx
「英語、ね。確かにお前の唯一の弱点だわな」
「だから、教えてよ。英語! ねえ、駿ちゃん!」
 私が彼の名を呼んだ瞬間、もう一度この場の空気が固まった。固まったというより、凍ったというほうが正しいのかもしれない。彼が、ぎろりとサングラス越しに私を睨んだからだ。ひぃ、とパイン君が息を飲んだ。バニーちゃんも驚きの顔をして彼を見ている。
「その呼び名で俺を呼ぶなって、前に言ったよな?」
「でも、私にとってはッ」
 私にとっては、いつまでたっても駿ちゃんは駿ちゃんだもん。
 そんな私のせりふは、声にならなかった。彼が立ち上がって、吸っていた煙草を私の口にねじ込んだからだ。唇でふさぐとかのロマンチックな展開ではないことに、多少がっくりきた。
「俺の言うこときかねえヤツには、お仕置きが必要だな」
 彼は煙草を私の口から奪い、無造作に指から弾いて捨てた。そして私の腕を掴んで入り口へ歩き始めた。私はその腕の力に抗うことなく、心地よい力を感じながら、歩いていた。
「お仕置きはいらないから、英語教えて」
「英語なんか簡単だって、何度言ったら分かるんだよ」
「だって、分からないもん」
「しょうがねえな。今度から、お前とは英語だけでしゃべってやろうか? そうすりゃ、嫌でも覚えるだろ」
「やだよォ、それじゃあ駿ちゃんが何話してるかわからないじゃない」
「奈月(なつき)、二回目。教えて欲しくないのか?」
「うッ」
 私がうめいていると、後ろからついてきていたパイン君が口を挟んだ。
「あの、柴崎さん。英語、どこで覚えたんすか?」
 彼はパイン君をぎろりと睨み、指差した。
「俺の昔の女がどんな女だったか、覚えてるよな? なんだって、実戦経験がモノを言うんだぜ?」
 きっと、彼の「昔の女」はみんな外国の女なんだろう。パイン君が、あ、と言ったまま口を押さえていた。
 でもね、彼はそんな女に教えてもらわなくても、英語はできたんだよ。
 私はパイン君の顔を見ながら、心の中で語りかけた。キミたちの王者は、いつも、どんな時でも、いつもトップをひた走ってたんだよ。
「今日だけだぞ」
「だめ。明日からのテストも出るの。そうすれば、きっと退学にならないよ」
「しょうがねえな」
 彼は私を見て微笑む。たぶんその微笑みは、ここにいる誰もみたことがない柔らかな顔。私だけに向けてくれる、優しい顔。パイン君が悪い夢でも見たかのように、口を大きく開けていた。


 そうして私たちは、彼の家へ行った。
 彼の両親が私の母親の知り合いだったとかで、私とはほんの子供のころから、一緒にいた。孤独な彼が、私の家にいる時だけは、安らいでくれていた。そう私は思っている。
 けど、最近は彼は私の家にはこない。うちから少し離れたところに、小さなアパートを借りてひとりで暮らしている。
 もう自分とは世界が違うと思っているらしい彼は、彼の世界に私を染めないようにしてくれる。その優しさが、嬉しくも寂しい。
「久しぶりに帰るから、埃っぽいぞ、たぶん」
「うん。いいよ。じゃあ、掃除しよっか」
「そんな暇あんのかよ。英語のテスト、いつだよ」
「う……明日」
 私はうつむいて彼に答えた。その私の頭をぽんと撫でて、彼は言った。
「なら、ほんとに時間ねえだろが。勉強すっぞ」
 彼が言ったとおり埃っぽい彼の部屋を、とりあえず簡単に掃除機だけかけて、綺麗にした。それから私たちは教科書とノートを広げた。
 彼は私の最高の家庭教師だ。私がなんでわからないかを、彼は瞬時に理解して、解決方法を教えてくれる。そうやって私たちは数時間、英語づけの時間を過ごした。その時間の中で、私はテスト範囲のことを理解し、テスト勉強の手ごたえを得た。
「ありがと。なんとかなりそう」
「そっかあ?」
「え? まだなんか分かってないこと、ある?」
 私は不安に駆られて訊いた。彼はにや、と口の端をあげて、私を見た。
「そうだなあ……」
 きょとんとしたまま私はローテーブルの前に座って、彼を見つめていた。
280フレンチキスの夜・3:2007/12/10(月) 01:02:52 ID:QgK3yZnx
 やがて彼はテーブルをどけて、私の前へにじり寄ってきた。
「奈月。ここは英語で?」
 彼は自分の口を指差している。
「マウス?」
「じゃあここは?」
 今度は彼の指が唇に移動する。
「リップ」
「……お前、英語じゃなくてカタカナでしゃべってるだろ」
 図星だ。一体なんの勉強なのかわからないけど、これ以上難しいところの英単語なんて、分からない。教室で教師に指される時よりも緊張しながら、私は彼の次の動作を待った。
「なら、ここは?」
「きゃッ」
 彼の指は私のセーラー服の胸に置かれた。胸が跳ね上がって大きな音を立て始める。
「バスト」
「セーカイ。なら、これは?」
 言いながら、彼は私の腕を掴んで自分に引き寄せ、私の唇に自分の唇で軽く触れた。
「駿ちゃん……」
 思わず彼の名前を呼んだ。すると彼は私の目を見つめて、にやりといつものように口の端をあげた。
「またその呼び名で呼んだな。よっぽど、お仕置きしてほしいんだろ」
 ゆっくりと彼の顔が私に近づいてくる。薄く開いた赤い唇が、迫ってきている。
「目ェ閉じて」


「え……」
 言われるまま、私は目を閉じた。見えなくなったけれど、彼の息と存在が感じられ、私の唇は彼の唇でふさがれた。
「んんッ」
「鼻で息しろよ、苦しいぞ」
 ちょっと唇を離して彼は私にそう言った。それからまた唇が重なり、私の口の中へ彼の舌が忍び込んできた。
 硬くすぼめた舌先で、私の舌をつついていく。じわじわと彼の舌先は私の舌を伝って、付け根に到達した。撫でるように付け根の部分をつつき、それから舌の裏の筋を舐めあげてくる。それはやがて私の舌先にたどり着く。すると今度は舌先を自分の舌で包み込んだ。
 私は必死で彼の肩にしがみつき、言われたように鼻で息をして目を閉じていた。私の背中にあった彼の手が、私の腕を撫であげて手を握った。
「ん……」
 私たちは手を重ね合わせ、指を絡めてお互いの手の平の熱を感じていた。喧嘩ばかりしているせいでゴツゴツとして傷だらけの、彼の手の甲に、指を這わせる。ぱっと彼の手が離れたと思った次の瞬間、彼が私を自分のほうへ引き寄せた。
 私の胸が、彼の胸にくっついている。心臓の音が彼に伝わってしまわないかだけが、心配だった。
 彼の手は背中から徐々に首筋を撫で、私の頭にうつってきて、そして緩やかに重なっていただけの唇が、強く深く押し付けられた。
「あっ……ぅ……ん」
 びっくりして思わず口を離そうとした私の頭をぐいと掴んで、彼は自分の唇を押し付けてきた。唾液が絡む音がしそうなほど、私たちは何度も何度も唇を重ね合わせ、触れ合った。


 やがて彼は私の舌を開放した。いつの間にか、私の舌は彼の口の中へ引き込まれていて、彼が体を離したことで、私は舌を突き出している形になっていた。
 その差し出していた私の舌に、再び彼の舌が絡んできた。ふたりの舌の結合部分から、どちらかの――もしかしたらふたりの――唾液が伝ってカーペットに落ちた。
「これは?」
 ぼんやりした頭では言葉が浮かばない。私はただ、首を振った。
「フレンチキス。奈月の唇は柔らかいな」
「峻ちゃんの口は、煙草の味がするよ。煙草、吸いすぎ」
「それが俺のキスの味だよ。また言ったな、奈月」
 そして小さくついばむように、私の唇に何度も唇で触れた。
「これもお仕置き?」
「そう。今のは、バードキス」
「もっと欲しい」
 こんなお仕置きなら、いくらもらってもいいよ、と惚けた頭で考える。
「ワガママだな、奈月」
「駿ちゃんにだけだもん」
「また言ったな、しょうがないヤツだ」
 そして彼は英語で何かを言った。わからないよ! と胸を叩くと、その手を掴んで、そっと手の甲にキスが落ちてきた。
「今のがわかるようになるまで、勉強しな」
「教えてよ、何? なんて言ったの?」
 しつこく訊くと、彼はまたもやにやりと笑った。今度を何を企んでいるんだろう。
「そんなに知りたいなら、教えてやるよ」
 彼はまた私の胸に手を当てた。にこりと微笑んだかと思うと、いきなり彼は私を押し倒した。そしてセーラー服を手際よく脱がせていく。
 期待と不安で私は胸を膨らませて、彼のやることを固唾を呑んで見守っていた。あっという間にセーラー服の上は脱がされていて、私はブラジャーとスカート姿で彼の部屋に横たわっていた。
281フレンチキスの夜・4:2007/12/10(月) 01:04:12 ID:QgK3yZnx
 今日は可愛い下着じゃないのにと、どうでもいいことをこの期に及んで考えた。雑誌などで「勝負下着」という単語を見るたびに、馬鹿にしていたけれど、こうなってみるとやっぱりそれが女の気持ちなんだと、よくわかる。
 どうせなら可愛い下着で身を包んでいる自分を見て欲しい、お気に入りの下着を好きな男の子に脱がせてもらいたい、という女心。
「下着……。可愛くないでしょ」
 普通のベージュのブラジャーだ。ついでにいえば、下だって綿のストライプのパンツだ。ちっとも可愛くない。だってこんなの、想像してなかったもの。
「奈月が可愛いから、関係ないよ」
「でもォ」
「そんなに気に入らないなら、脱げばいいじゃないか」
 すっと背中に手を回して、ホックをぱちりと外して腕から抜いてしまった。
「ほら。こうすれば、奈月の体だけだ。胸、隠すなよ。つーか、今度は胸小さいからとかなんとか言いだすんじゃないだろうな」
 まさしく今、言おうとしていた言葉だった。先手を取られて何も言えなくなってしまう。
「小さくないから、安心して。十分だ。――じゃあ、始めようか、勉強」
「え? なんのこと?」
「さっき、あれ、俺は『俺の一番の得意科目は性教育だから、それを実地で教えてやる』って言ったんだ。知りたいんだろ? 教えてやるよ」
 はめられた、と気づいたのは、彼のいつもの不敵な笑みを見た時だった。
 
 
 彼が着ていたシャツのボタンを外した。あわせの中からは、彼の鍛えられた筋肉質な体が現れた。子供の頃は、よく一緒にお風呂に入り、一緒に眠った。その頃の彼の体とは全く違うものになっていた。大人なんだ、と私の胸は更に高鳴る。
「胸、隠すなって言ったろ」
 シャツの袖から腕を抜きながら、彼は言った。それでも私が胸を隠していると、さっきほどいたセーラーのリボンを口にくわえ、私の両腕をまとめて上に引き上げて、リボンで縛ってしまった。
「やだ!」
「俺の言うこときかないからだな」
 文句を言い続けた私の唇を、上から塞ぐ。口づけというような甘いものではなく、セックスの途中の一動作、というような感じのキスだった。私の口の中を舌でまさぐりながら、彼の大きな手は私の首筋を撫でている。
 首筋から肩、肩から鎖骨、鎖骨から乳房、乳房から脇、脇から体の側面、と徐々に彼の手は下半身へ向かっていく。下半身はまだスカートで守られていた。スカートのウエストにたどり着くと、今度は彼の手は上にのぼってきた。下腹部、おへそ、あばら、胸の谷間。
 撫でるというよりは、触れるか触れないかというぎりぎりのタッチで触れていく。くすぐったいと最初は思っていたその仕草が、途中からはもっと強く触ってほしい、と狂おしく願うまでになった。
「しゅ、駿ちゃ……ん、ぁあん」
「まあた言ったろ」
「こ、これは、なあに?」
 勉強だ、と言った彼の言葉を逆手に取って、私は彼に訊いた。
「フェザータッチ」
 身をよじらせたために、スカートはまくりあがって太ももが露になっている。可愛くない下着も見えてしまっている。恥ずかしくて足をすり寄せる。膝をたてて、ぐっと足をくっつけた。


 そんな私を、彼は口に笑みを浮かべて見ている。余裕たっぷりの表情だ。
「しょうがないなあ、奈月。そんな格好したら、我慢できなくなるだろうが」
「や……やだぁ。駿ちゃん……」
「ほらな、またその呼び名で呼ぶ。それにそんな顔されて、我慢できる男じゃないんだぜ、俺」
 閉じていた膝頭に手をおいて、ぐっと力を入れる。必死で抵抗するが、彼の力にかなう訳がない。少しずつ足がこじ開けられていく。
「奈月」
 突然、驚くほど真剣な優しい顔で私を彼は見た。
「えっ?」
 集中がそれた瞬間を彼は見逃さずに、私の足の間に自分の体を入れてしまう。
「ずるい!」
「何がだ。俺はお前の名前を呼んだだけだろ」
「でも、この体勢だったら、スカートも下着も脱げないもんね」
「なあ奈月。そんなもの、切ったって裂いたって、脱がせられるんだ。お仕置きなんだから、それくらいしてもいいかもな」
 腰についていたチェーンの先にあるナイフを取り、刃をきらりと私の目の前で振ってみせた。びくりと私は震え、体はこわばった。
「なんてな」
 にこりとまた彼は笑って、ナイフの刃をしまってベッドの上に放り投げた。
「ごめん、奈月。他の女ならともかく、奈月にそんなこと、するわけないよ。怖がらせてごめん」
「バカ! 怖かったんだから!」
「ごめんって。泣くなよ、奈月」
 思わず涙を浮かべてしまっていた私の体を引き起こして、彼は自分の膝の上に私を乗せて抱きしめてくれた。
282フレンチキスの夜・5:2007/12/10(月) 01:05:03 ID:QgK3yZnx
 抱きしめられると、お互いの裸の胸が触れ合った。ハッとして、私は体を離した。その意味に気づいた彼が、手首のリボンをほどいて私の胸の頂きに唇を寄せた。
「あん……」
「可愛いよ奈月。乳首、桜色で綺麗だな」
「変なこと言わないでよォ」
「もしかして、奈月、初めて?」
 乳首を舌で転がしながら彼が上目遣いできいた。
「キスも初めてだったんだから、当たり前でしょッ!」
「え? ファーストキスだったのか、あれ」
「そうだよ。何度も言わせないで。恥ずかしいから」
 くっくっと彼は肩を震わせて笑い出した。
「へえ。難攻不落すぎて、誰も手を出さないってところか。牽制のし合いなんて、ダセェことしてんな、うちの学校の奴ら」
「駿ちゃん?」
 ぴん、と舌で乳首を弾いた彼は、背中を伸ばして私の顔を覗き込んだ。鼻先がくっつきそうなほどの至近距離に、私の鼓動が早くなった。
「また言ったな。今度こそ、ほんもののお仕置きだな、奈月。――この続きはさ、お前が英語で成績一番になったらしようぜ」
「は?」
「英語、今までお前一番だったろ? で、確か、学年で一番の成績だと、A大学の推薦、無条件でもらえるんだったよな。だったら、成績、下げるわけにいかないよな? だからさ。英語で一番の成績とったら、この続き、しようぜ」
「え、ええええ?」
「お仕置きっていうより、ご褒美っぽいかなあ」
 成績を下げるわけにはいかない。そのために勉強をしてテストを受けて一番になることが、彼に初めてを捧げることを意思表示していることになるということか。


 そんな、積極的にエッチしたいなんて、思ってないんだから。
 馬鹿にされるかもしれないけど、もう少しロマンチックなシチュエーションで、自分のバージンは捨てたかった。
 好きだよと告白されて、私も、なんて恥じらいながら、ふたりの唇と体が合わさっていく。そんなシーンを夢見ていた。
 少女漫画趣味と言われようが、そういう夢を持って何が悪いのだろう。
「や、やだよ! 何言ってるのよ」
「もう決めた。奈月が今の話に乗ることが、俺が明日からのテスト受けることの条件だ」
 またしてもはめられた。きっと彼はここまでを想定していたに違いない。なのにうっかり彼を小さい頃と同じように呼んでしまう私は、やっぱり彼にはかなわないのだろう。
「復習する?」
 油断していた私の唇を、再び彼は塞いだ。裸のままの胸をくっつけあって、彼の腕が私の裸の背中を抱きしめる。服ごしとは違って筋肉や心臓の動きがダイレクトに伝わってきて、さっきのキスよりももっと私の頭は何も考えられなくなっていった。
 どくん、どくん、とふたりの鼓動まで重なり合う。私の口をこじ開けて入ってきた彼の舌の動きを、私はただ呆然を受け入れていた。馬鹿げたことに、彼の唇が離れていった時、寂しいと思ってしまった。これはまずい。彼の思うつぼではないか。
「なっ、なんの復習なのよ、馬鹿ッ!」
「フレンチキスの復習」
 くす、と彼が微笑んだ。


 その後、彼にうちまで送ってもらって、門のところで別れた。
「ちゃんと明日、テスト受けにきてよ」
「わかったよ」
 別れ際、くいと私の顎を上に向かせて、一瞬、唇をあわせた。
「復習。これは?」
「バードキス?」
「正解。よくできました。じゃ、明日な。おやすみ、奈月」
 私が家の中に入ってドアを閉めてしまうまで、多分彼は門のところで私を見守ってくれている。その姿を見たことはないけれど、私はそう確信している。
 彼が触れた唇に、指で触れてみた。まだ彼のぬくもりが残っているようで、どきんと心臓が鳴った。
 私は部屋に入り、英語の教科書を出して復習を始めた。彼が教えてくれた今は、ちんぷんかんぷんだった英語の教科書が、まるで絵本のように感じた。
「明日の英語のテスト、頑張らなくちゃ」
 英語の教科書に彼が書き込んでくれていた文字を見て、私はそう呟いた。


――了
283名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 01:06:15 ID:QgK3yZnx
以上です。

読んでくださった方、ありがとうございます。
284名無しさん@ピンキー:2007/12/10(月) 02:28:27 ID:ZVB4J7t1
おわあああ!GJGJーー!!!
自分275だけど、俺の妄想が活かされてやたら感動した。ありがとう神。
285名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 01:35:22 ID:vsar/6Yz
これはいい不良×優等生!続きにwktk!……続くよね…?
286283:2007/12/14(金) 15:15:27 ID:jlV+yX28
283です。

終わりにするつもりでしたが、続きが浮かんだので投下します。
「フレンチトーストの朝」 全部で9レスいただきます。エロは6レス目くらいから。

ベタ甘っぽくなってしまったので、苦手な方はスルーしてください。
287フレンチトーストの朝・1:2007/12/14(金) 15:18:19 ID:jlV+yX28
 翌日、私はハラハラしながら教室にいた。
 クラス中が教科書やノート、参考書に目を走らせている中、彼の席だけが空っぽなのだ。私は友人の質問に答えながらも、上の空で彼のことばかり考えていた。
 来るって言ってたのに、何してんのよ。
 幼なじみなのに、携帯の番号ひとつ知らない自分が歯がゆくて仕方なかった。


 予鈴が鳴った時、ドアが開いて彼がやってきた。一応制服は着てきたみたいだ。
 遅いじゃない、と言おうとした私を目で牽制して、彼は自分の席にどかりと座った。教室内がしんと静まり返っている。無理もない。この前に彼が学校に来たのはいったいいつだったのか、誰も覚えていないくらい昔なのだ。
 オマケに、ヨレヨレの白いシャツには、血と思しき赤いシミが飛んでいる。捲り上げているジャケットの袖から覗いている腕は、刃物でつけられたような傷の痕が見えていた。サングラスこそかけていないが、逆にその鋭い目が直接見えて、誰もが恐ろしさに目をそらしている。
 私に彼を連れてこいと言った担任教師までが、教室に入ってきた途端、彼の存在を見つけてひるんでいる。
 けれどみんな、彼から目が離せないでいる。彼はただ不機嫌そうに座っているだけなのに、全員の意識が彼に向いていた。目が合えば目をそらすくせに、彼を見ずにはいられない。彼はそういう人だった。
 私が必死に演じて手にした、人を引きつけるオーラのようなものを、彼は生まれながらに持っているのだ。
 奇妙な緊張感に包まれたまま、今回のテストは開始された。


 彼は学校では私と口を利こうとしない。
 通っていた中学から、かなり離れた高校へ通っているため、私たちが幼なじみだと知る人物はほとんどいない。だから、全方向に優等生である私と、一直線に極悪人まっしぐらの彼が幼なじみだと、誰かに言っても信じてくれないだろう。
 彼が私と口を利こうとしないのは、自分と一緒にいるところを見られたら、私の立場が悪くなると考えているからだ。あくまでも、生徒会長として彼と接しているように見せかけるように、と口をすっぱくして言われている。
 気にしないよ、と言っても、お前がそうでも他のヤツは違う、と取り合ってくれない。それなら自分が普通に戻ればいいのに、と言いたいところだが、それは言うだけ無駄のような気がしていた。
 一回も授業を受けなくても、教科書をさっと見るだけで全ての内容を理解し、私にどの教科であれ教えてくれる人だ。学力は、多分この学校の誰よりも上だ。それもダントツに。
 テストではいつも適当に手を抜いて、平均点程度を彷徨っているが、本気でやれば私の成績など、赤子の手をひねるかのように抜いていくだろう。
 でもきっと、今回も彼は手を抜くに違いない。私はこの時、そう思っていた。
 午前中のテストを終え、みんな三々五々帰宅していく。気づいた時には彼はもういなかった。


 自宅の最寄駅で電車を降りると、改札の向こうに彼の姿があった。私は走って改札口を出て、彼の後姿に飛びついた。
「遅ェよ。帰ろうかと思ったぞ」
「学校で待っててくれればよかったのに」
「そういうわけにも、いかねェだろうが」
「いいもん、私、別に」
「俺が良くないの」
 ぽんと私の頭に手を置いて、ホラ、と手を差し出した彼に、驚いて戸惑った。
「置いてくぞ」
「やだ」
 差し出された手に自分の手を重ねると、彼は私の手を握って歩き出した。子供の頃にいつも繋いでいた手の温もりが、そこにはあった。


 私たちは今日のテストの話をしながら歩いた。話していたのはほとんどが私で、彼は相槌を打つ程度だったが、久しぶりに彼と長く話すことが嬉しかった。
「お前、絶対に俺の後ろから出るなよ」
 突然彼が暗い声を出して立ち止まった。そこは住宅街の中にぽかりとできた、空き地の角だった。その角から、ゆらりと数人の男が現れた。漫画や映画でよく見るような、典型的な不良の姿をした男たちだった。
 彼は私をブロック塀に押し付けて背中にかばって、男たちを見ていた。
「女連れかァ? いい気なもんだな。この間と違うツラじゃねーか」
 真ん中にいる鼻がつぶれた男が、ガラガラの声で唸るようにして言った。
「俺はお前らと違ってモテるんでね」
「そういうスカした態度が、気に入らねえんだよッ」
「気に入ってもらいたいとも思わねえな、あいにく」
「ケッ、よくみりゃ、後ろの女もかなり上玉じゃねえか。お前倒して、その子と4Pとしゃれ込むか」
 三人は下品な笑い声を上げた。
「やれるもんならやってみろよ」
「死ねよ、柴崎ィッ!」
 私は彼の背後で、恐ろしくて目をつぶった。
288フレンチトーストの朝・2:2007/12/14(金) 15:19:54 ID:jlV+yX28
 恐る恐る目を開けると、彼の拳が真ん中の男の顔面に埋まっているシーンだった。彼は続けざまに、崩れかけていた男の横面に向かって振り抜く。男の顔がひしゃげた。
 変な声を出して、男は重力に従って落ちていく。思い切り腹に向かって足を前へ突き出した。下腹部あたりに靴がヒットする。つんのめる状態の男に顔に、もう一度拳を振りぬく。勢いそのままに肘うちも食らわせた時点で、男は白目を剥いて崩れ落ちた。
 彼は、仰向けに寝転んだ男の股間を思い切り踏みつけて、足先で転がす。背中を向けた男は、ぴくぴくと痙攣のような動きをしていた。
 もうふたりの男たちは、そいつがやられたことに目をむいてひるんでいた。
「どうした? もう終わりか? かかってこいよ」
 彼はその背中にまた蹴りを入れた。傍にいたふたりの男は、顔面を真っ白にして逃げ腰になっていた。
「おい」
 背中を向けて走り去ろうとしたふたりに彼は声をかけた。ふたりはぴたりと立ち止まり、振り向いた。
「こいつ、持って帰れよ。邪魔だろ」
 ふたりが、地面で伸びている男の腕を自分たちの肩に回した時、その頭上から彼は言った。
「二度と俺たちに近寄るなよ。次は手加減なしだ。死にたくなけりゃ、ママのスカートの中に隠れてんだな」
 あれで手加減していたというのはにわかに信じがたかった。けれど、彼がそう言うなら事実なのだろう。私は彼の後ろで震えていた。私が知る柴崎駿介とのあまりのギャップに、どうにかなりそうだった。


 男たちが立ち去ってしばらくしてから、彼が私を振り返った。
「大丈夫か?」
 声もなくただ頷いただけの私を見て、彼は少し寂しそうな顔をして首を振った。
「だから、あんまり俺に近づくなって言ったんだ。俺のこんなところ、奈月には見せたくないんだよ」
「ね……ねえ、駿ちゃん」
「何?」
「もしさァ? 私が誰かに襲われてたら、助けてくれる?」
「――当たり前だろ。馬鹿なこと訊くなよ。それに、また言ったな?」
 お仕置き、と言って彼は私の額をぴんと指で弾いた。私は彼の腕に自分の腕を絡めて、彼を見上げた。気のせいか、ほっとしたような顔をしていた。
「帰ろ? 今日はうちでご飯食べてきなよ」
「お、いいねえ。おばさんのメシ、久しぶりだな」
 ふたりで私の家へ行き、夕飯まで一緒に勉強をした。夕飯を食べ終わった彼は、夜の街へ消えていった。


 それからテストは滞りなく進み、彼もマジメに毎日テストを受けに学校に来ていた。だが、初日以来もう一緒に帰ることはなくなり、必然的に一緒に勉強をしたり夕飯をとることはなくなっていた。
 私はどことなく彼との距離を感じて、今まで以上に寂しく感じていた。学校では彼は私に一瞥すら与えてくれない。気になってチラチラと彼を見てばかりいる私を、睨むことはするけれど。
 そしてテスト結果の発表の日。成績発表の掲示板の前で、どよめきが起こっていた。
 英語以外の全教科で、今まで私が守ってきたトップの座が奪われたのだ。柴崎駿介に。もちろん総合でも彼が文句なしの一番だ。
「奈月ィ、どうしたのよぉ! っていうか、柴崎くんって、頭よかったんだね、驚きだよ」
 クラスメイトが私に話しかけてきた。
「う、うん。そうみたいね」
「まぐれにしては、すごいよねえ。英語はさすがに奈月が死守したのかあ」
 カンニングしたのでは、と職員室は大騒ぎだったそうだ。
 だが、彼の周囲の生徒はいつも彼と最下位を争うような生徒だったし、彼の机の上にはエンピツ一本しかなかったことは、監督教師が確認している。消しゴムも持っていないのか、と目を疑って何度も彼の机の上を見たから間違いないらしい。
 更に、今も昔も机の中に何も入っていないのは、後ろの席の生徒の証言で証明されている。そんなわけで、どうやらこれが彼の実力らしいということが判明して、結果発表に至ったらしい。


 学校中が驚きに包まれていたが、私は驚きというより、またはめられたという気持ちで一杯だった。
 彼に文句を言いたい気持ちを抑えて、私は生徒会室へ向かった。参考書を副会長に貸す予定にしていた。生徒会室へ置いておいてくれれば、取りに行くから、ということだったのだ。
 生徒会室へ入ると、珍しい人の姿があった。夏まで生徒会長だった、三年生の荒川先輩だった。夏までは私は荒川先輩の下で、副会長をしていた。そして秋口に行われた選挙で、生徒会長に就任したというわけだ。
「やあ、奈月くん」
 荒川先輩は私に微笑んだ。
289フレンチトーストの朝・3:2007/12/14(金) 15:21:22 ID:jlV+yX28
 私はカバンを自分のデスクに置き、中から貸す予定の参考書を取り出した。
「どうなさったんですか?」
 参考書をしまいながら、私は先輩に話しかけた。
 人望厚く、女子生徒からの人気も高い先輩の周りには、いつも女子生徒がいた。けれど、個人的にその中の誰かと付き合ったという話は、一向に伝わってこなかった。
「奈月くんが来ると思ってね」
「え? ここに来たのは、たまたまですよ。用事があるなら、おっしゃってくださればよかったのに」
「いや、必ず来ると思ってたよ」
 がたりと椅子から立ち上がった先輩は、入り口のボタンロックを押して、私の方へやってきて笑った。爽やかな笑顔のはずなのに、どこか陰鬱さが見える。


「だって、参考書貸してくれって頼め、って言ったのは、僕だから」
「え?」
「重いだろうからココに置いといてくれと言え、と言ったのも、僕だからね」
 先輩が私に近づいてくる。私の背後はキャビネット、右は窓、先輩は、唯一の通路である左側にいる。私はじりじりと後ずさりした。
「奈月くん。僕がずっとキミを見てたの、気づいてた?」
「い、いいえ。すみません……」
 声が震えそうになるのを、かろうじて抑える。どん、とキャビネットに体が当たって、もう逃げ場がないことを私は悟った。
「僕らなら、お似合いだと思わない?」
「や……。そうですかね。アハハ。いや、そうは思わないです。先輩には、もっとふさわしい女性がきっと……」
 キャビネットが揺れて、びくりと身を竦めると、先輩が私の背後のキャビネットに手をついていた。ゆっくりと先輩の顔が私に近づいてくる。私は先輩の顔を見て、ひきつった笑いを浮かべた。
「やだな先輩。私、先輩とはそういうつもりで接してたこと、ないです。先輩もそうだと思ってました」
「僕はそんなことなかったよ。ずっと、キミが入学してきた時から、キミを見てたんだ。キミが好きだ」
「や……やだ……」
「いやだ、じゃないだろ。キミだって僕と一緒にいられて楽しいと言っていたじゃないか。だから、もっと楽しいことをしようよ」
「助けて、駿ちゃん」
 先輩の手がセーラー服を引き裂いて、露わになった胸に先輩の唇が触れた。先輩の手と唇は、容赦なく私の体を這いずり回った。
「いやあああああッ!」
 私が叫んで目を閉じた時、ドアが蹴り破られて、私を呼ぶ声がした。


「奈月ッ!」
 閉じていた目を開くと、彼が先輩の襟元を掴んでいた。先輩は抵抗しているが、彼の力には負けるようだった。
「奈月に何しやがんだ、手前ェ、ふざけんじゃねえぞ」
 テスト初日に襲ってきた男たちに向けた目よりも怖く鋭い目を、彼は先輩に向けていた。振り上げた拳を、容赦なく先輩のボディに叩きつけている。当たり前だろうが、先輩は喧嘩の経験などないだろう。最初の一発で、失神寸前のようだった。
「だ、だめ! 駿ちゃん、だめ! 死んじゃうよ!」
 私は彼の腕を必死で止めた。あの時の彼の暴力で、あの男は白目を剥き口から泡を吹いて、ぴくりとも動かなかった。死んでしまったのかと思ったほどだった。それと同じことを、先輩にしたら本当に死んでしまう。彼を人殺しにはしたくない。
「離せ奈月。こんなくらいじゃ死にゃあしねえ」
「だめ、だめだめ。学校で喧嘩しちゃだめ! お願い、駿ちゃん、やめて! 退学になっちゃうよ!」
 彼が退学になっていないのも、騒ぎを起こすのが常に学外だからだった。学校の中で暴力を振るえば、即退学にしてやりたいと思っている教師は少なくない。


 舌打ちしながら彼は制服のジャケットを脱いで、私の肩にかけてくれた。
 セーラー服は先輩が引き裂いたため、無残なことになっている。中から下着と素肌が見え、肌寒い。彼は私をぐっと自分の体に抱き寄せて、先輩に言った。
「退学なんぞどうでもいいが、奈月が泣くから勘弁してやる。奈月に感謝するんだな。ああそうだ。ドアの鍵壊しちまったんで、適当な言い訳、しといてくださいよ、センパイ? それから、俺と奈月の名前出した時には――死ぬよりひでえ目にあわせてやる」
 胸倉を掴んで顔をぐっと近づけてそう言うと、彼は先輩の顔に唾を吐きかけた。
「行くぞ」
 ぐったりとしている先輩を残して、私たちは生徒会室を後にした。
290フレンチトーストの朝・4:2007/12/14(金) 15:23:33 ID:jlV+yX28
 彼はテストの結果を見てから、生徒会室の裏で煙草を吸っていたのだと言った。生徒会室は、各クラブの部室がまとまっているクラブ棟の一階にある。今はクラブ活動は停止中だから、そこが一番誰も来なくてちょうどいいと思ったのだそうだ。
 煙草を吸い終わり、帰ろうかと立ち上がると、窓の中に私の姿が見えた。
「用事が終わったら一緒に帰ろうかと思って、ドアの方に回ったんだよ。そしたら、あのヤロウがなんかヤバそうな顔して中に入ってくのが見えてな。あのヤロウ、とうとう告んのか、って思ったんだ。
 それなら、そのほうがいいかと思って帰ろうとしたんだよ。そしたら、お前の悲鳴が聞こえたからさ」
「……そのほうがいい、って?」
「あいつなら、お前とお似合いかと思ったからな」
 彼のこの科白に、私は落胆を隠せなかった。駅までとぼとぼ歩いていた歩みが、思わず止まってしまう。
「なんだよ? ちゃんと助けただろ?」
「うん……。そうだね。ありがとう」
 あんなにドキドキして嬉しかった、この間のキスの練習も、彼にとっては遊びのひとつだったのだ。彼の周りには、私なんか足元にも及ばないような美人がたくさんいるのだから、当然かもしれない。


 私と一緒にいてくれるのは、あくまでも幼なじみだから。私にとってのアドバンテージはそれだけ。
 とてつもなく、寂しかった。だから、それを隠すためにわざと明るく振舞うことにした。
「ねえねえ。着替え、買いたいな。あとね、スーパーも行こうよ」
「なんでだよ」
「夕飯、作ってあげる。一緒に食べようよ」
「奈月の料理ィ? 食えるのか、それ」
「ひどいなァ。たまに作ってるんだから」
 そんな風にじゃれあいながら、私たちは歩いた。もうそのうち、こうやって一緒に歩くこともなくなるのかな、と私は思っていた。


 買い物を済ませて、私たちは彼のアパートへ帰った。貸してくれていた彼のジャケットを脱いで、彼に返す。
「見ないでよ」
「この間見たんだから、別にいいだろ?」
「そういう問題じゃないの。もういい、お風呂場で着替える」
 買ってきた服の値札を外して、私はバスルームへ入った。脱衣所で制服を脱ぐと、先輩にひっかかれたと思しき傷跡が見えた。思い出すと、先輩の唇の感触が甦ってきた。気持ち悪さを忘れるために、体を洗いたかった。


 お湯を溜めようと思って、買ってきた服を着てからシャワーで軽く洗っていると、彼が入ってきて扉を閉めた。
「何やってるんだ?」
「お風呂、入れようとと思って」
「それは見りゃわかるけどさ――。あそうだ、英語はお前、トップだったな。偉いぞ、俺が教えた甲斐があるよ」
 いつもと違う位置に自分の名前がある、見慣れない成績表を思い出した。いろんな意味で、体が震えたんだった。
「ずっ……ずるいよ駿ちゃん! 全部トップで、なんで英語だけわざとらしく二位なのよッ!」
 頭にきて、持っていたシャワーを彼の顔に向けた。
「つ、冷てェッ! 何すんだ、奈月ッ」
「やればできるのに、英語だけ手、抜いたでしょ! もう、許せないんだから! 馬鹿!」
「やめろ、奈月、風邪引くだろうが。冬なんだぞ、今」
「知らない! もう、馬鹿!」
 シャワーを握り締めて彼に向かって冷水を浴びせかける。彼はシャワーの栓をひねって水を止めた。私の武器がなくなって、心細くなる。当然のように、彼の睨む視線が私に突き刺さった。


 彼は、私が胸の前で抱きしめたシャワーを奪い、私の顎をがつりと掴んだ。シャワーを持って暴れたせいで、私も彼と同様、ずぶ濡れだった。
「奈月。さっき、どさくさに紛れてまた言ったな。忘れたりしねェからな?」
 にじり寄ってくる彼に押されて、バスタブに転げ落ちそうになる。叫び声を上げる暇もないくらいあっという間に足が滑って、体がふわりと浮いて――彼の腕が、落ちそうになった私の体を支えてくれた。
「俺がいて、よかっただろ?」
 私は頷いて彼にしがみついたが、よく考えれば彼がにじり寄ってこなければこんなことにはならなかったのだった。それに随分後にならないと気づけない私は、やっぱり彼にはかなわないのだ。
 だけど、いつだって、私は彼が傍にいてくれてよかったと思っている。そしてこれから先も、ずっとそう思える自信がある。だからこそ、ずっと傍にいて欲しい。
「あいつの感触なら、俺が消してやるよ」
 彼が私を抱く腕の力が強くなったように思えたのは、自意識過剰だろうか。
291フレンチトーストの朝・5:2007/12/14(金) 15:24:13 ID:jlV+yX28
 バスルームから出て、せっかく着替えた服を私は脱いだ。制服のスカートの上に着ていた、腰丈のカーディガンのリボンを外す。彼に背を向けて座り、カーディガンを床に落とした。下に着ていたカットソーを頭から抜く。
 後ろにいた彼が立ち上がり、部屋のカーテンを閉めた。突然訪れた薄暗闇に、私はびくりと体を震わせた。濡れた髪から、雫がぽとりと膝に落ちる。彼がバスタオルで私を包んで、その上から抱きしめてきた。
 どくん、どくんと心臓がフル回転して働いている。逆に脳みそは全く動いていない。何も考えられなくて、私はただ、彼の腕の強さとタオルの暖かさを感じているだけだった。
「奈月……」
 彼の声が耳元でする。息が耳たぶと首筋にかかって、ぞくりと背中に何かが走った。彼は後ろから私を抱きしめたまま、耳元で何かを言った。また英語だった。多分、この間言ったのと同じ言葉だ。耳に響く音が、同じような気がした。
「なんて言ったの?」
「勉強しろって言ったろ」
「教えてよ。教えてくれなきゃ、いつまでたっても分からない」
「性教育の実地教習」
「嘘」
 髪をくしゃくしゃと軽く拭き、お役御免になったバスタオルを彼は後ろに追いやる。私たちの肌が触れ合って、触れ合ったところから熱を持っていくようだった。背中にある彼の心臓も、ドキドキと高鳴っているように感じた。


「約束通り、英語でトップだったから、続き、しようか」
「それって、お仕置き……?」
 私が訊くと、彼は小さく吹き出して、それまでよりもきつく私を抱きしめた。
「どっちかっていうと、全部で一番になった俺へのご褒美、かな? それか、奈月に英語教えた俺への報酬」
 片手で私を抱きしめ、片手でブラジャーのホックを外しながら、彼は言った。
「今日は、下着可愛くないって言わないのか?」
「ん、だって、今日は」
 家を出る時からこんな予感がしていて、私は今日はとっておきの下着をつけていた。上下おそろいのピンクの下着。びっくりするほど高くて、涙が出た代物だ。
 彼はへえ、と言うと外したブラジャーをひょいと顔の前に持っていき、カップの部分に顔を埋めた。
「やだ、何してるのよ!」
「奈月の匂いがする」
「……ヘンタイッ!」
 ムードもへったくれもありゃしない。


 私は彼の方を向いて座りなおした。彼は私を膝の上に乗せ、私の腰に手を回して体を支えてくれた。
「ブラジャーより、こっちのほうがいい匂いだな」
 私の胸の谷間に口づけながら彼は鼻をうごめかした。鼻先が胸に当たって、くすぐったくて私は身じろいだ。感じる? と彼は笑い、私の乳房に舌を這わせ始めた。
「あっ……あぅ……ぅんふっ……あ」
 決して彼は私の乳首に触れようとしなかった。胸のふくらみ部分を舐め、唇で優しく噛み、吸い付き、脇から腰にかけての体の側面に手を這わせる。いくら我慢しようとしても、喘ぎ声が歯の間から漏れてしまう。
「我慢するなよ。気持ちよかったら、気持ちいいって言えばいい。奈月。可愛いよ」
 言いながら今度は彼はスカートの中へ手を差し入れて、腰から足にかけてを今までのように撫でた。
 素肌に触れられるたびに、味わったことのない刺激が体中を駆け巡る。熱を持った肌はピリピリといつも以上に敏感になり、彼のほんの少しの動きにも、私は声をあげてしまいそうになる。
「なんで我慢するんだよ。声、聞かせてくれよ」
「や……やだ」
 必死で私は言った。
「なんで」
「だって……ぇ、駿ちゃん、なんて言ったのか、教えてくれてない」
「勉強しろって――」
「駿ちゃん」
 冗談で混ぜ返そうとした彼の言葉を遮った。すると彼の手の動きが止まり、胸に埋めていた顔を起こして、彼は私を正面から見つめてきた。


 薄暗い部屋の中、夕方の淡い太陽がカーテンの隙間から漏れてきていて、私たちをぼんやりと照らしていた。彼の顔に夕日が差し込み、いつもはきつい印象を湛えている瞳が、柔らかく優しく私を見ていた。
「――ガキの頃、初めて会った瞬間に、俺はお前に一目惚れしてた。それ以来ずっと、俺はお前を愛してる。これからも、永遠に」
 ふさがれた唇の温かさと、抱きしめる彼の手の強さが、私の頭をショートさせた。目を潤ませながら、私は彼のキスを受けていた。
「クソッ、英語で言うなら平気なのに、日本語だとこっぱずかしいのは何でなんだろうな」
「それは駿ちゃんが日本人だからだよ」
 恥ずかしがっている彼を笑ってやると、照れ隠しにか、彼は私を床に押し倒して、また深く口づけてきた。
「今のはなんだった? 奈月」
「……フレンチキス」
「正解。今日は我慢しねえからな」
 スカートを脱がしながら、彼は言った。
292フレンチトーストの朝・6:2007/12/14(金) 15:26:07 ID:jlV+yX28
 彼は私の上におおいかぶさり、また手と唇と舌での愛撫を繰り返した。私の足の指を口に含み、足の裏を舌でくすぐりながら、一本一本の指を丁寧にしゃぶる。
 それから徐々に上に上がってきて、足首に触れられた時、足首も性感帯なのだと初めて知った。
 でも、すねだろうがふくらはぎだろうが、彼が触れるところは全て感じたのだから、そんなことは関係ないのかもしれない。
 太腿にゆっくりと舌を這わせた彼が、ああ、とため息をついた。
「俺、別に脚フェチじゃないけど、奈月の太腿、柔らかくて気持ちいい」
「どうせバニーちゃんたちみたいに細くないもん。ついでに、彼女たちみたいに胸も大きくないし」
「妬いてんのか?」
「ちっ、違いますよーだ」
 拗ねた声を出すと、彼は喉の奥で笑い、大きく音を立てて太腿にキスをした。


 そして、制服のズボンを脱いで私の手をとり、自分の股間に当てる。ボクサーブリーフの下で、大きく自己主張している彼のペニスは、すでに硬くなっていた。
 初めて触れる男性のそれに、私はどうしていいのかわらかなかった。
「俺、半分不感症ぎみでさ。女にしゃぶってもらわないと、勃起すること、ないんだよ」
 言いながら彼は下着を下ろす。中から出てきたそれは勢いよく彼の腹に反り返った。初めて見る、グロテスクとも取れる物体に、私の視線は釘付けになってしまった。


 それは赤く、黒く、太く反り返っている。作り物でない証拠に、青筋のような血管が脈打ち、浮きあがっている。
 私の視線で彼も感じているのか、ぴくぴくと時折動いて、更に太さを増していくように見えた。はちきれそうなてっぺんからは、透明な液体が滲み出ている。
「何にもされてないのに、こんなになるの、奈月だからなんだぞ?」
「これ……。これが、私の中に入ってくるの?」
 じっと見つめながら私は訊いた。どうやったらこんなものが入ってくる余地があるのだろう。そんなに大きな穴が開いていたっけ、と自分の足の間を見たくなってしまう。てっぺんの三角の部分は子供の握りこぶしくらいありそうに思えた。
「ああ。最初は痛いかもしれないけど、我慢してくれ」
 私は意を決して、そのてっぺんにキスをした。
「なっ、奈月ッ?」
 いつも余裕たっぷりの彼が、心底驚いた顔をして、声を裏返して私を見た。そっと唇をつけただけだったけれど、そのてっぺんの穴からは透明の液が更に溢れてきた。
「だって、これも、駿ちゃんでしょ? 駿ちゃんの物は何でも、大好き」
 私がそう言うと、彼は突然思いつめたような顔をした。


 私の下着に手を掛けると、一気に引き下ろして足首から抜き取った。そして私の足の間へ体をねじ込んで、ため息と共に吐き出した。
「……馬鹿が。優しくしてやろうと思ったのに」
 私は小さく悲鳴を上げたけれど、彼には聞こえていなかった。私の両足を自分の肩に乗せ、浮いた腰をぐっと自分の顔の前に持ちあげた。秘所が彼の目の前にさらけ出されて、私は恥ずかしくて身をよじった。
「や、や……だァ」
「今日は我慢しないって言っただろ」
 彼の指が私の割れ目に沿って動いた。誰も触れたことがない、誰も見たことがない私の一番大切な部分。そこを彼はまじまじと見つめ、溢れていた液体を指でねちゃねちゃとねぶっていた。
 とろりと垂れた蜜を指ですくい、割れ目の一番上の突起に塗りたくるようにしてそこをこねた。
「こりこり硬くなってる。俺が何もしなくても中から溢れてくるしな。奈月のここ、震えてるんだぜ?」
 チュっと音を立てて彼は私の赤い割れ目に口づけた。我慢なんて、できるわけがなかった。私は何度も声を上げた。やがて彼の舌が中に入ってきて、私は経験のない感覚に、今度は息を止めた。これが快感というものなのだと、初めて知った。


 彼が起き上がって、はちきれそうな棒を私の穴にあてがった。不安で、怖くて、私は固まってしまった。それに彼は気づいたのか、私の上にかぶさって抱きしめてくれた。
「大丈夫だ、奈月。できる限り、ゆっくりするから」
 そしてぐっと腰を私の方へ寄せた。さっき私がキスをした傘の部分が、私の中へ侵入してきたのが分かる。私は彼の背中にしがみついた。
 奈月、と彼は私の名を優しく呼び、言った通りゆっくりと腰を進めていた。彼の熱を帯びた吐息が私の耳をくすぐる。それだけで私の体は震え、痺れるような感覚が突き上げてくる。
「なあ奈月。誰の中より、一番、あったけえよ」
 熱いの間違いじゃないの、という言葉は、声にならなかった。
293フレンチトーストの朝・7:2007/12/14(金) 15:27:45 ID:jlV+yX28
 彼が動くたび、私の中が軋みをあげる。快感というよりも鈍い衝撃が私の体を駆け巡る。
「いっ……いた……ァ。あ、駿ちゃ……ん」
「悪いな、我慢してくれ。これでもかなり優しくしてるつもりなんだ」
 彼も苦しそうな顔をして、汗の粒を額に浮かべていた。ゆっくりと進んできた彼の腰と、広げられた私の腰がぶつかった。
「これで、全部。奈月の、一番深いとこで繋がってる」
 何がなんだか分からずに、私はただ首を縦に振っていた。


「好きだ、奈月。ずっと、ずっと好きだったんだ。やっぱり、他の男には、渡せない」
 今度こそ何も考えられなくなって、私は知らず涙を流していた。
「ああ、ごめん。もう、限界だ」
 その言葉を合図に、彼はそれまでより何倍も早く、強く、激しく腰を動かし始めた。ふたりの肌がぶつかり合う音と、汗や私の蜜が混ざりあう粘着音と、ふたりの息だけが、聞こえていた。
 ふたりの体から立ち上る熱で、すぐ傍のガラス窓が曇っていきそうだと思った。
 くぐもった甘い匂いが、痛みと衝撃の中に僅かに感じる快感のようなものを引き出した。知らない世界へ連れて行かれるようで怖くなった私は、手を伸ばして彼の腕に触れた。
「なつき……ッ!」
 余裕のない彼の声がしたと思ったら、彼の動きが止まった。そして、私のおなかの上に暖かいものが降ってきた。


 なあにこれ、と虚ろな意識で私はおなかに吐き出された液体を、指ですくった。
「あ、おい。やめろよ」
 後ろに手をついて息を整えていた彼が、慌てたように私を止めた。だがすでに遅く、私はすくったどろどろした液体を、指になすっていた。
「わ。どろどろしてる」
「……あんまり素でそういうこと、言わないでくれ。それが、俺の精液、ザーメン」
「え!? や、やだぁ」
「やだじゃねえよ。傷つくなあ。やめろって言っただろ、俺は」
 立てるか、と訊かれたので、無理、と首を横に振った。すると彼は立ち上がり、バスルームから濡らしたタオルとバスタオルを持ってきて、私の体を綺麗に拭った。自分の汗は、私の汗を拭ったそのタオルで軽く拭いていた。
「へ……。まだ勃ってやがる。元気だなあ、俺の息子」
「ばか」
 彼に寄っていって、さっきと同じように先端に軽くキスをする。するとぴくりと息を吹き返したかのように、それはうごめいた。
「やめてくれ、奈月。お前がもう無理だろ。そんなことされたら、何度だって襲っちまう」
「え。む、無理、無理ですぅ」
「だから、やめとけ。嬉しいけどな」
 逆に彼が私の額にキスをして、押入れの中のケースからTシャツを私に着させてくれた。大きなTシャツは、それだけで私のお尻を隠した。よろめきながら立ち上がり、それまで着ていたふたりの服をハンガーにかけて乾かす。
「かー、色っぺえなあ。お前が動くと、Tシャツの裾からケツが見え隠れして、いいねえ、そそるぜ」
「馬鹿なこと言わないでよ! スケベ! ヘンタイ! オヤジ!」
「最後のはなんなんだよ。てか、下着も着られないくらい、びしょびしょってか、奈月?」
「……誰のせいよ、馬鹿」
 よろよろとバスルームに向かい、洗面所で下着を洗う。シャワーの水で濡れた分と、私の中から出た液体とで、ぐっしょりしていた。洗い終わって、見つけたハンガーにこっそりと干す。


 バスルームを出ると、ベッドの上で寝転がりながら煙草を吸っている彼が見えた。イージーパンツだけ身に着けて、上半身は暑いのか裸のままだ。
 体の中心がえぐられたような穴が開けられたような感覚と、ふわふわと足が地に着かない感覚と、そして歩くたびに襲われる痛みに、もうそれ以上歩きけなかった。
 ふう、とため息をついて立ち止まると、彼が煙草を捨ててベッドから降りてきた。
「辛いんだろ。多分、明日も辛いぜ」
「えぇー」
 がっくりするような情報を私に伝えた彼は、ひょいと私を抱き上げてベッドへ連れて行った。
「ま、明日もどうせ休みだ。ゆっくりしてればいいさ」
 ベッドに横たえられ、私の隣に彼は横になった。
「奈月、頭、ちょっとあげろ」
 言われるままにちょっとだけ頭を上げると、彼の腕が滑り込んできた。肩に手を置いて、彼は自分のほうに私を引き寄せる。


 私の目の前に、彼の裸の胸があった。彼は私の髪を撫で、顔にかかっていた髪の一筋を後ろに撫で付けた。
「さっき言ったこと、覚えてるか?」
 瞬時に、『初めて会った瞬間に、俺はお前に一目惚れしてた』と言った、彼の真剣なまなざしと声が甦った。嬉しさと照れが再び襲って、思わず照れ隠しに思ってもいないことを口にした。
「ん? どれのことォ?」
 その瞬間、彼の眉がきゅっと釣りあがった。
294フレンチトーストの朝・8:2007/12/14(金) 15:29:20 ID:jlV+yX28
「ほおォ。ああ、そうかよ。そういうこと言うのか、お前は」
「嘘、嘘です。ごめんなさい」
 私の肩を抱いている腕を引き抜こうとする彼を引き止めるために、私は彼の首に抱きついた。彼は笑みを浮かべて、私をもう一度きつく抱きしめた。
「奈月の返事、聞いてねえんだが?」
「は?」
「俺はちゃんと、お前に気持ちは伝えたからな。お前はどうなんだよ」
「え?」
「俺のチンポが好きだってのは聞いたけど、それだけ? 寂しいなあ。俺は十何年の秘めた思いを、勇気を振り絞って告白したってのに、俺の存在意義は股間だけか?」
 ちょっと待ってよ、と言ったが、彼は意地悪く私を見ている。体を許したことって、その意思表示だと思っていたのに、とブツブツ呟いた。
「ちゃんと、奈月の言葉で聞きたいんだ」
「わ……私も、ずっと、子供の頃から、ずっと。駿ちゃんのこと、好きだったよ。それに、きっと、これからも……」
 どもりながら、私は必死で言葉を見つけながら、彼に伝えた。


 彼は私の言葉を聞き終わると、にこりと笑った。
「きっとってのが余計だけど、ま、いいか」
 じゃあさ、と彼は言葉を続けた。
「今のそれ、英語で言ってみようか、奈月」
「は?」
「お前、何度も何度も俺をちゃん呼ばわりしたよな。お仕置きだ、お仕置き。勉強になっていいだろ?」
 にやりといつもの笑みを口の端に浮かべて、彼は私の額にキスをした。
「キッ、キスなんかで誤魔化されないんだからッ! 馬鹿! 馬鹿馬鹿馬鹿! もう知らない!」
 思い切り彼の胸を拳で叩き、最後には背中を向けて毛布を顔まで掛けてうずくまった。
「ごめん、奈月。なあ、俺、あいつの感触、消せたかな?」
 彼の声が聞こえてきたが、いつの間にか私は夢の中へ旅立っていたようで、それに返事をすることはできなかった。


 次に目覚めた時は、すでに日は落ちて外は真っ暗になっていた。
 彼は私の横で寝息を立てている。裸の胸が毛布から見えていて、私はそっと毛布を肩までかけてあげた。家に帰れる時間なら帰ろうと思い、時計を見た。時計の針は夜中の一時を過ぎた時間を指していた。
 もうここから家に帰るのも馬鹿らしい時間だ。携帯には親からのお叱りのメールが入っていた。彼のアパートにいます、と返事をしたら、親は安心するのだろうか、不安に思うのだろうか。
 とりあえず居場所を知らせるメールを送り、私は冷蔵庫へ足を向けた。夕方に買ってきたお茶のペットボトルを取り出し、一口飲む。そのままローテーブルの前で座ってぼんやりしていると、突然、ベッドの上で彼が起き上がった音がした。
「奈月!?」
 焦ったような声を出した彼に驚いて、私はどうしたの、と言って慌ててベッドに駆け寄った。
「そこにいたのか」
 脂汗を額に浮かべた彼は、腕を伸ばして私の頬に触れた。
「何かあったの?」
「いや……。目が覚めたら奈月がいないから、夢だったかと思った」
「そんなこと、ないよ」
 彼の手に導かれるようにして私はまたベッドに入り、彼の腕に抱かれた。


 帰らなくていいのか、と今更訊かれたので、ここにいるからってメールしておいた、と言った。
「それ、安心させてんのか不安にさせてんのか、どっちなんだよ」
「返信見る限り、安心したみたいだよ。よかったね、信頼されてて」
「へえ? なら、これからも泊まりに来いよ」
「いいの?」
「もちろん」
 そして私たちは暗闇の中で見つめ合った。明かりはなくても、お互いの存在は確かにそこにあり、それを私たちはちゃんと感じていた。私は彼の頬に手を添えて、彼は私の体をしっかりと抱きしめて、ふたりの唇がゆっくりと重なり合っていった。


 唇を離すと、彼は微笑み、私の唇を指でなぞりながら訊いた。
「今のは? 奈月」
「フレンチキス」
「よくできました」
「ご褒美に、もう一回して?」
 何度だって、と彼はまた口づけてくれる。
 舌を絡ませて深く長くする、フレンチキス。彼が最初に教えてくれたキス。私は彼を見ながら思う。
 これからもいろんなキスを教えてね。たくさん復習して、もっと上手になるから。キスでも成績トップになるように、頑張るよ。大好きなあなたのために。だから、ちゃんと学校きてくれると、嬉しいなあ。
295エピローグ:2007/12/14(金) 15:32:47 ID:jlV+yX28
 雀が鳴く声と、カーテンの隙間から差し込む朝日のまぶしさに、俺は目が覚めた。隣にいると思った彼女は、夜中と同じように、またいなかった。頭を振って覚醒を促すと、コーヒーの香りが漂ってきた。
 体を起こしてキッチンの方を見ると、すりガラス越しに誰かのシルエットが浮かんでいる。
「奈月」
 俺は彼女の名前を呼ぶ。ベッドサイドの煙草を咥えて、火をつけた。それでも彼女は俺の傍へやってこない。
「奈月」
 もう一度、呼ぶ。実は彼女ではないんじゃないのかと勘ぐった瞬間、ガラス戸を開けて彼女がやってきた。
「あ、おはよう。起きた?」
 一晩干して乾いた服を着て、彼女は微笑んでいる。彼女はコーヒーが注がれたマグカップを両手に持ち、ベッドの横まで歩いてきた。カップを俺に差出し、俺が受け取るとまたキッチンへと消える。


 煙草の煙を肺まで吸い込んで、吐き出す。彼女を、夕べのようにまた押し倒したかった。夕べのように、いや、あれよりももっと激しく、もっと何度も彼女の体をむさぼりたい。夕べは痛いだけだっただろう彼女に、絶頂感を味合わせたい。
 けれどキッチンとの行き来をする彼女は、未だに歩くのが辛そうに足をすり合わせている。普段ならそんなことはおかまいなしだが、彼女にそうするつもりはなかった。
 灰皿の煙草を再び口に咥えて、俺もベッドを出る。
 ローテーブルには、サラダ、スクランブルエッグ、ソーセージにベーコンが並んでいた。そして最後に彼女が持って来たのは、黄金色に輝くフレンチトースト。
「――フレンチつながり……か?」
 吹き出してしまった俺に、彼女はえへへと照れ笑いを向けた。


 彼女は自分で作ったフレンチトーストにかぶりつき、あまーい! と歓喜の声をあげている。
 俺のことをちゃんづけで呼ぶことだけは気に入らなかったが、ほっぺた落ちるぅ、とホイップクリームを鼻の頭につけて喜んでいる彼女を見ていたら、そんなことはどうでもいいことのように思えてきた。
 甘いものが大好きで、うっかり屋で、甘えたがりの彼女。学校では無敵のクールな生徒会長を演じている彼女の、こんな姿を見られるのは俺だけだ。それなら、俺をちゃんづけで呼ぶことを、彼女にだけは許してもいいのではないか。
 俺はそんなことを思いながら、コーヒーと煙草を交互に味わっていた。
「甘くておいしいよ、駿ちゃん!」
 たっぷりのクリームと、滴り落ちるメイプルシロップのフレンチトーストを頬張って、幸せそのものの顔をしている彼女が言った。
「――やっぱり、気にいらねえ」
「え?」
「またその呼び名で呼んだな」
 あ、と彼女の動きが一瞬止まった。その隙を逃さずに、俺は僅かに残ったフレンチトーストを奪って口の中に放り込んだ。途端、悲鳴とも怒号ともつかない唸り声を上げて、彼女が俺に襲い掛かってきた。


 押し倒された格好の俺は、彼女の振り上げた腕を掴んで抱き寄せた。すると彼女は慣れない口調で言った。
「えっとね。When we were young, I fell in love with you at the first sight. And my feelings haven't changed. えーとなんだっけ」
 俺が言った科白そのままだった。英語の教科書の隅に書き残したのを見つけて、暗記したのだろう。発音はまるきりカタカナだ。
「I still love you and I know I will love you forever. 好きだよ、奈月」
「うん、私も!」
「英語で言えよ」
「えっ……。あ! ミートゥー!」
 自信満々の笑みを浮かべて、彼女は言った。
「バァカ、まるっきりカタカナじゃねェか」
 彼女の鼻先についたクリームを舐めとってから、俺たちはまたキスを交わした。


 「フレンチトースト食べたい」
 これが俺たちの合言葉だ。
 彼女が俺に会いたくなった時、俺が彼女に会いたい時、俺たちはこの合言葉をメールで流す。彼女は相変わらず俺を「駿ちゃん」と呼び、俺はその度に「お仕置き」と言う。
 フレンチキスで始まる俺たちの夜と、フレンチトーストで始まるふたりの朝。
 何が変わろうとも、それだけは変わらない。彼女が俺の腕の中で微笑んでいる限りは、俺は彼女の甘くてたまらないフレンチトーストを食べ続ける。
 甘いモンは苦手だが、それが惚れた弱みってヤツなら、その弱みは甘んじて受け入れよう。
 だから、朝の摂取カロリーを先に消化しておくために、夜の運動がちょっと激しくなるのは、勘弁な。


――了
296名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 15:33:55 ID:jlV+yX28
以上です。

読んでくださった方、ネタを下さった275さん、どうもありがとうございました。
297名無しさん@ピンキー:2007/12/14(金) 22:22:15 ID:QasAGlUJ
ふぁいあ(ryじゃねえ、GOD JOB !!!
298名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 02:42:37 ID:5wE4BMlp
これはGJとしか言いようがない
奈月がかわいすぎる
299名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 18:12:17 ID:oaRxB9F1
むしろ男の方に萌えた
とにかくGJすぎる。
300名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 23:36:30 ID:y4BjXqxR
これはもうどっちも可愛いというべきか。
ベタ甘すきだから嬉しい。てかお互いにだけ甘い二人ほんといい。
GJ!またネタが浮かんだらぜひ書いてください。
301名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 00:24:49 ID:Zam/v0mQ
>>291
>全部で一番になった俺へのご褒美

これって「全教科一位」って読めてしまうが、合計点数(ないし平均)が一位(「総合でも彼が文句なしの一番」>>288)って意味だよな?
奈月が英語(だけ)トップだったことと矛盾するし。


揚げ足取りみたいで恐縮だが気になったもので。
302名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 00:07:37 ID:DoKaxH5l
英語は手を抜いたんだから全部一位でいいんじゃね?
303名無しさん@ピンキー:2007/12/19(水) 23:49:27 ID:bAkQQ/Pw
つ【フレンチ(料理)】
つ【フレンチブルドック】
つ【フレンチフライ(フライドポテト)】
304名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 02:34:50 ID:zh9bgTCe
クリスマス終了のお知らせ保守。
305名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 17:21:20 ID:LE4/sZ2U
緊急保守
306名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 23:46:19 ID:g3W09pPD
保守
307名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 23:59:54 ID:p9wEZcpF
保守
308名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 08:16:02 ID:UXhz3Zgw
age
309名無しさん@ピンキー:2007/12/29(土) 18:08:32 ID:kqsbsWmp
幼馴染みスレに紹介したいくらいのGODJOBでした
310名無しさん@ピンキー:2007/12/30(日) 00:59:56 ID:qll9fvnm
男も最高に萌えるし奈月も可愛いし
めっちゃくちゃ萌えた!!GJGJGJ
311名無しさん@ピンキー:2008/01/03(木) 01:35:32 ID:2o9Jieop
ほs
312名無しさん@ピンキー:2008/01/04(金) 11:14:42 ID:DO7kpuJT
新年祝いage
313名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 21:59:26 ID:rW8Fv0aJ
保守がてら投下。
エロなし、優等生若干黒いです。
314名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 22:02:43 ID:rW8Fv0aJ

「痛っ!」
突然、私は屋上の固い地面に押し倒された。
背中まで伸びた髪が、灰色のコンクリートに広がった。
視界いっぱいの雲一つない青空がキレイだなんて、一瞬、思考は現実逃避しようとする。
が、身体に圧し掛かる男の重みと、首筋を這うナメクジみたいな唇の感触に、私は一気に
現実に引き戻された。

私を押し倒した男は、付き合って半年になる彼氏の吉田だ。
高校に入って一年とちょっとで、私がフッた男は、学校内だけでも両手で数えられないほどになり、
告られることと、それを断わることに疲れた私は、しぶしぶ彼氏を作る決意をした。
彼を選んだ理由は、私との釣り合いが一番とれたからだ。
常に学年トップ10に入る成績と、生徒会副会長の肩書きを持つ吉田は、それなりのルックスで、
何より、シャイで奥手だった。
だから私たちは、自他共に認める優等生カップルとして、これまで清く正しく付き合ってきた。

だというのに、夏休み明けに親密度が増した周りのカップルに触発されてか、ここ数週間、
吉田はヤりたいオーラを隠すことなく私に接するようになっていた。
私はそれに気付かぬ素振りでやり過ごしてきたのだけれど、それももう限界だった。
コイツは切ろう。
そう思って、私は彼を放課後の屋上に呼び出したのだ。

だけども、高校生男子の性欲を甘く見ていたことを、私は認めなくてはいけない。
吉田は、こちらが別れ話を切り出す前に、これまでの純朴な仮面を脱ぎ捨てて、
私をコンクリートの地面に押し倒した。
そして今、大胆にもセーラー服の中に手を差し入れてくる。

「沙耶(さや)は、俺のこと嫌いなのか!?」
「嫌いじゃないけど、こんなことする吉田君は嫌い!」
吉田に罪悪感を抱かせようと、私は涙ぐんで目を瞬かせた。
しかしそれは逆効果だったようで、彼は感極まったように目を細めた。
「沙耶! 愛してるんだ!」
そう言って、吉田はぎゅっと私を抱きしめる。
私は思わず舌打ちしそうになった。
愛してるなんて言葉、むしずが走る。

「沙耶の全部が欲しい! 半年も付き合ったんだから、そろそろいいだろ?」
勝手な理屈を押し付けて、吉田はスカートを捲り太腿を撫で回し始めた。
こいつ……。
もう、ただヤりたいだけだな。
私はどこか冷めた気持ちで思っていた。
もちろん、こんなヤツに処女をくれてやるつもりはない。
急所に一撃、と思った瞬間。
吉田の身体が、勢いよく真横に吹っ飛んだ。

315名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 22:04:45 ID:rW8Fv0aJ

「サカってんなよ、童貞が」
いきなりの第三者の登場に、さすがの私も驚いた。
日差しが逆光になって顔が見えないが、どすの利いた低い声の持ち主だ。
脇腹を押さえて悶える吉田が、自分を蹴りつけた相手に恨みがましい視線を向ける。
「な、ナツメ!? 何すんだよ!」
私はびっくりして、素早く半身を起こし、太陽を背にして立つ長身の男の顔を確かめた。

吉田が言うように、そこには、同じクラスの夏目遼二が立っていた。
夏目は、いつもの眉間に皺を寄せた仏頂面で、吉田を見下ろしていた。
私は、サボりの常習犯が放課後まで学校にいたことにも驚いたが、それ以上に、いつも人との
関わりを避けている夏目が、他人のいざこざに首を突っ込んできた今の状況が信じられなかった。

夏目は、吠えるだけの弱い犬のような吉田をギロリと睨みつけた。
それだけで吉田は、傍から見ても分かるくらいに縮こまる。
そうなる前から想像がついたことだけど、いわゆる不良を前にした時の、今のこの吉田の態度に
私はがっかりした。
もし、私を襲ったのが夏目で、助けにきたのが吉田なら、一溜りもないだろう。

それにしても、夏目はどういうつもりで、私たちの間に入ってきたのか。
夏目の真意が分からなくて、私は不機嫌そうな夏目の顔を座ったまま見上げた。
意外に整った顔してるな、なんて悠長に思っていた私は、次ぎに夏目の薄い唇から
発せられた言葉に耳を疑った。
「ここでヤルなら、立ちバックだろ」
「!」
確かに、固いコンクリの地面で下になったら、女はボロボロだ……って、そういう問題!?
反射的に突っ込みそうになった私の腕を、夏目が素早く掴んだ。
「ちょっ……!」
あっという間に立たされて、私は背後から夏目に抱きしめられていた。

「何するのよ!」
吉田に押し倒されたときよりも、私は焦った。
こいつ、女慣れしてるんだ!
直感で思った。
夏目は私の抗議を完全無視し、下腹部にまわした固い腕で、私の身体を引き寄せた。
「やだっ」
夏目に持ち上げられるようにして私は爪先立ちになる。
バランスを崩した上半身が前に傾くと、ヤツの股間にお尻を押し付けるみたいになって、
私は慌てて身体を反らした。
316名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 22:06:28 ID:rW8Fv0aJ

すかさず、夏目が私の右耳に息を吹きかけた。
「ん!」
一気に顔が熱くなる。きっと耳まで真っ赤だ。
「離して!」
私は、悔しくなって叫んだ。
背後から抱きしめる男の身体を跳ね除けようと腕に力を入れるが、夏目はびくともしない。
はっとして吉田を見ると、彼も赤い顔をして、他の男に羽交い締めにされている私を見ていた。
彼氏として、止めようとするかと思いきや、吉田は茫然自失といった感じで何もしようとしない。
硬直した吉田の中で、彼の自尊心が木っ端微塵に壊れていくようにも見えて、私は一瞬吉田を
憐れんだ。

そして、吉田は私から目を逸らした。

そこからの彼は、とても行動が早かった。
転がるように起き上がり、脱兎のごとく屋上の出入り口へと走り出す。
吉田ーーーー!!!
私の悲鳴が声にならないうちに、彼は扉の向こうに消えた。
ちょっと! 私がここで夏目に犯されたら、どうするつもりなの!?
バカバカバカ!!!!!

私は、心の中で散々吉田を呪った。
すると、私を拘束していた夏目の手が不意に緩んだ。
拍子抜けして、私は後ろを振り返る。
結局、彼は私を助けてくれただけなのだろうか。
問いただそうとしたとき、夏目が口を開いた。
「お前って、酷い女だな」
ぼそりと言ったその言葉に、私は目を見張った。

どういう意味?
ヤツは何の感情も読み取れない無表情で、私を見下ろしていた。
「酷いのは、吉田君の方よ。無理やり押し倒して」
涙ぐんで可愛く言えたらよかったのに、私は夏目につられて無表情で返した。
「その気がないなら、付き合うなよ」
「一緒にいるだけで満足ってこともあるわ」
そう言った瞬間、夏目が鼻で笑った。
「何よ?」
薄い唇に冷笑浮かべる男を睨みつける。
「ヤツのこと、そんなに好きでもないくせに」
「そんなこと……」
私は口篭もった。
『そんなことない』その一言が言えない。
そういえば、吉田にも一回も『好き』と言わなかった。
私って、変なところで嘘が付けないみたいだ。
317名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 22:09:07 ID:rW8Fv0aJ

「吉田のヤツ、トラウマになるかもな」
自己分析中の私をよそに、夏目が他人事のようにさらり言った。
「さっきのは、私より、夏目の方が酷いと思う」
「そうだな」
夏目は素直に認めて、微かに笑った。
人を寄せつけない雰囲気が、少し和らいだ気がして、私はドキリとした。

「たっく、昼寝し過ぎて、とっくに授業終わってるし、変なことには巻きこまれるし、
 ついてないな」
そう言った夏目の眉間には、また皺が寄っていた。
「あの、助けてくれたんだよね?」
私は勇気を出して聞いてみた。
「そこの給水タンクのところで昼寝して起きたら、お前らが下でもみ合ってて
 邪魔だっただけ」
夏目は、すぐ側の一段高くなっている給水タンクを、気だるそうに顎で差した。
別に積極的に動いた訳ではないってことだ。
私が納得すると、夏目は「じゃあな」と小さく言って、屋上の出入り口に歩いていった。

「夏目!」
自分で呼びとめておいて、私はその行動に自分でびっくりした。
素行の悪いクラスメイトに関わっても、何のメリットもないのに。
「……一応、ありがとう」
「あんまり、男を弄ぶなよ。そのうち、痛い目みるぞ」
顔半分だけ振り返って、幾分気安い感じで夏目は私に忠告した。
「しばらく、彼氏はいいや」
私の返事を聞くと、夏目はそのまま行ってしまった。

一人になった私は、屋上の手すりに寄りかかって頬杖をついた。
夏目のおかげで、吉田とはすんなり別れられそうだ。
あとは、変な噂にならないように、夏目とは何もなかったことを、吉田にきっちり伝えておかなければ。

眼下のグラウンドと校門までの道を眺めながら、私は無意識に下校する夏目の姿を探していた。
「やだ」
そんな自分に気付いて、慌てて空を見上げる。
秋の空はどこまでも高かった。


(終)
318名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 22:13:27 ID:rW8Fv0aJ
以上です。
本番までいくのって難しいですね。
319名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 22:14:37 ID:oOsKumxF
GJ!
出だしとしてはこれ以上無い感じ。
320名無しさん@ピンキー:2008/01/06(日) 23:24:30 ID:iRfz2Tjq
いいよいいよー!
計算高い優等生が余裕なく振り回されてエロエロにされるのが楽しみだ
321名無しさん@ピンキー:2008/01/07(月) 23:17:08 ID:PZ3FO9MH
立ちバックだろで笑ってしまったじゃないか
322名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 00:11:29 ID:dc7eN6so
突きage〜
323名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 01:00:06 ID:EEDvk+XR
男を振りまくってるのに処女なのか?
324名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 09:31:52 ID:fd5FREvm
しぶしぶ彼氏を作ると言う文章からして
告白された段階で振るという意味になるから別に変じゃない
325名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 10:56:04 ID:y70D8O92
>>告られることと、それを断わることに疲れた私は、しぶしぶ彼氏を作る決意をした。
>>324も書いてるけど、一体これでどうして>>323みたいな疑問を持つのかと(ry
326名無しさん@ピンキー:2008/01/19(土) 13:38:38 ID:TixFoxUb
保守
327名無しさん@ピンキー:2008/01/25(金) 22:31:03 ID:CpYqtUmc
保守
328名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 14:21:05 ID:yO79RE0v
保守
329名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 01:22:33 ID:KrBK+nLH
保守
330名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 06:42:43 ID:fe9RldqQ
保守
331名無しさん@ピンキー:2008/02/10(日) 23:29:12 ID:vfIFns0o
捕手
332名無しさん@ピンキー:2008/02/15(金) 23:53:21 ID:0sPO/MgJ
保守
333 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:20:52 ID:kadcqXd0
バレンタインも数日過ぎましたが、バレンタインデーものを保守がてら投下します。
295の「フレンチトーストの朝」のその後の話となります。

相変わらずベタ甘になってしまったので、苦手な方はスルーしてください。
今回はエロはありません。

「チョコレートの誘惑」 全部で6レスいただきます。
334「チョコレートの誘惑・1」 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:22:54 ID:kadcqXd0
 もう随分長い間、私はその店の前をうろうろといったりきたりしていた。端から見れば、不審者そのものだ。だが恐らく店の人は、店の外にいる不審な動きをしている女なんか、気づいてもいないだろう。
 何故なら、その店は雑誌などにも掲載されたことがある、おいしいと有名なチョコレート屋さんだからだ。更に今日はバレンタイン直前の休日。つまり、大量の女性でその店はごった返しているからだ。
 私も彼にチョコレートをあげようと思って、さりげなくリサーチをした。

――ねえ駿ちゃん、甘いもの好き?
――俺が甘いモン食わないの、知ってるだろ。フレンチトーストも、もういらないからな。

 はい、終了、チーン。
 開始のゴングがなることすらなく、私のバレンタインデーは終わった。
 ……はずだった。
「ナツキ! いい加減に入っておいでよ!」
 店の中から、赤い顔をして手招きしているのは、私をここに連れてきた張本人。クラスの友人、野上リカ(のがみりか)だ。帰国子女の彼女は、お父さんの仕事の関係とやらで、三学期になってから転校してきた。
 慣れない日本で大変だろうから面倒をみてやりなさい、という担任からの依頼で、私は彼女と話すようになった。だが、私が話すこともなく、いつの間にか彼女は持ち前の明るさで、クラスに溶け込んでいった。
 日本でのバレンタインデーは、女の子が好きな男の子にチョコレートを送って告白をする日だと、誰かに吹き込まれたようだ。もちろん間違ってはいないけど、何かが違うような気がしてならない。
 それを知ったリカは都内のおいしい店をピックアップし、事前に味見をするという徹底ぶりで、張り切っていた。誰にあげるの、と訊いても、当日のお楽しみ、と答えてくれない。
 それどころか、チョコレートを買おうかな、と私が呟いたのを聞きつけたらしく、満面の笑みで私をここに引っ張ってきた。
「ナーツーキー、ほら、ここのチョコレート、ほんとに美味しかったから! ね、好きな男の子がいるなら、チャンスだよ!」
 チョコレート、チャンス、といった英単語がいちいち本場の発音で、英語が苦手な私はその都度聞き返す羽目になる。
「リカ、私は、いいよ……」
「いいって、どうして? ホワイ!?」
 ほわい、の後はなにやら英語で話しているのだが、もちろん私には理解できない。ポカンとした顔でリカを見ていると、ようやくリカが気づいて、日本語に切り替えてくれた。
「好きなんでしょ、その男の子のこと」
「うん」
「付き合ってるの?」
「……ううん」
 学校では、私と彼のことは秘密だ。幼なじみということも秘密なら、付き合っているということも秘密。同じクラスにいるはずなのに、彼は誰よりも遠い存在だった。
 そして気づいたのだが、私とのことは、彼は仲間うちでも秘密にしているらしい。私の存在がバレると、もしかしたら危険なことに巻き込まれるかもしれないから、というのが彼の説明だった。
 だからって、私と一緒にいない時は今まで通り、奔放に女遊びをしていいってわけじゃあないと思う。そう私が言うと、そうしないとバレるだろ、という一言で、あっさりと却下された。
 あんな浮気モノに、大切な小遣いを使ってまで、チョコレートをやる義理なんかあるもんか。
「それなら、まさしく、チャンスでしょ、ナツキ。こういうイベントは、使わないと損だよ」
「いい。もういいの。甘いもの、嫌いって言ってたし」
「食べる食べないが問題じゃない! 気持ち、ハートよ、ナツキ! チョコレートを選んで、その人にあげるっていうハートが大事なのよ。わかる?」
「わかった、わかったよ。買ってくるから、ちょっと待ってて」
「OK、OK。ここで待ってるよ。寒いから早くして」
 こうして私は、女性客でごった返す店に突入し、人の波をかきわけ、大声を上げて店員を呼び、小さなチョコレートが四つ入ったセットを購入した。
 チョコレートが溶けそうなほどの熱気の店内から、ようやくリカのところに戻った時には、コートはすっかりしわくちゃになっていた。
335「チョコレートの誘惑・2」 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:23:35 ID:kadcqXd0
 バレンタイン当日の校内は、どことなく全体が浮ついていた。
 私のカバンの中には、チョコレートが入っている。けれど、渡すべき相手は学校にきていない。そして、リカがチョコレートを渡しているところも見ていない。まさか、と私が思っていると、彼がようやくやってきた。
 それまでざわざわしていた教室が、一気にしんと静まり返る。彼はそんなことにはお構いなしで、自分の席に座るとカバンの中から文庫本を取り出して、読み始めた。
 先生が入ってきて、彼は文庫本を机の中にしまった。代わりに何かを取り出した。紙切れだった。それを読んで、怪訝そうに彼は私の方を見た。違う。私を見たんじゃない。リカを見たのだ。
 私の背後で、リカが小さく投げキッスをする音が聞こえた。彼はそれを見て、ニヤリと笑って前を向いた。
 ただでさえ、聞いていないとさっぱりわからない英語の授業だというのに、私の耳には、自分の動悸しか聞こえてこなかった。
「成功を祈ってて、ナツキ」
 放課後になり、颯爽と教室を出て行くリカを、複雑な気持ちで私は見つめていた。彼はすでに教室から姿を消していた。
 リカが出て行ってしばらくしてから、私はいてもたってもいられなくなり、彼がいつも煙草を吸っている屋上へと向かった。
 屋上に通じる階段をそろそろ上がり、そうっとドアを開けると、金網から外を眺めている彼と、彼を見ているリカの姿が見えた。少し遠くて、声までは聞こえなかった。
 リカは彼に近づき、チョコレートを差し出す。
 彼はゆっくりと振り向き、チョコレートの包みとリカの顔を見比べる。
 リカが何か言ったのか、彼が口を開いて話すのが見えた。
 差し出されたチョコレートの包みを彼は受け取り、リカに近づく。
 胸が大きくて腰が細い、モデル体型のリカの、その細い腰に彼は手を回す。
 リカの手が彼の胸に置かれ、ふたりの唇が重なる。
 やがて彼の顔がリカの大きな胸の谷間にうずめられた。
 リカが気持ちよさそうに空を見上げた。
 私はドアをそっと閉めた。どうやって家まで帰ったのか、覚えていない。


 自分の部屋でぼんやりとしていると、隣から声が聞こえてきた。十歳離れている次兄の将志(まさし)が、空手の稽古を部屋でやっているのだ。
 頭にきて、将兄(まさにい)の部屋のドアを荒々しく開けて怒鳴った。窓が全開になっているのに、奇妙な熱気で部屋がもわっとしていた。
「うるさいッ! 稽古するなら道場でやってよッ! バレンタインデーなんだから、女の子とデートでもしてきなさいよ! できないんだ? モテないんだ? 空手バカだからモテないんでしょ、ダッサーイ、将兄」
「なっちゃん、なんで今日はお兄にそんなに厳しいんだよ。今日くらい、お兄に優しくしてくれてもいいのに」
「うるさいからでしょッ。バカ兄!」
「なんだぁ、駿介くんにフラれでもし……」
 最後まで言わせることなく、私は将兄に回し蹴りを食らわせた。
「パンツ見えるぞ」
「うるさああああああああああい!」
「お、俺じゃない、俺じゃないって、今の、お兄じゃないってば」
 必死の形相で兄が窓の外を指差している。
「うるさい! ここは二階だよ、こんな時間にそんな非常識なところから声かけてくるのなんか、門限破った将兄か、駿ちゃんくらい……」
「非常識で悪かったな、おい」
 兄の部屋の窓の外にある柿の木の枝に、彼がいた。
「入っていい? 将兄」
「おうおう、入れ入れ。久しぶりだなあ、駿介くん」
 私の怒りの矛先が自分から彼に移ると思ったのか、将兄はにこやかに彼を招き入れた。私はぷいとそっぽを向いて、将兄の部屋を出た。自分の部屋に戻ると、壁の向こうからおろおろしている将兄の声が聞こえる。
「駿介くん、何があったんだよ。なっちゃん、今日は帰ってきてからずっとああなんだよ。俺と親父のハンバーグ食べても、まだ怒りが収まらないみたいなんだけど……。駿介くん、どうにかしてくれよ」
「ああ、あいつ、ハンバーグ好きだもんなあ……。ガキの頃から」
「成長してなくて悪かったわね! 不法侵入者は帰りなさいよッ!」
 壁にパンチを叩き込み、私は怒鳴った。途端、隣の部屋は静かになった。私の部屋のドアをノックする音がしたけれど、私はそれを無視し続けた。
「奈月。明日、ちゃんと学校来いよ」
 それは私の科白だよ、と呟いた。でも私は何も言わなかった。彼が階段を下りていく音がした。階下で家族に挨拶をして、出て行った音もした。
「……駿ちゃんのばか」
 彼とリカのキスシーンが、目に焼きついて離れなかった。
 散々なバレンタインデーだった。
336「チョコレートの誘惑・3」 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:24:43 ID:kadcqXd0
 翌朝、腫れた目をこすりながら私はダイニングへ下りた。我が家では、長兄の桂太(けいた)が朝食の当番だ。
 桂兄(けいにい)は、私とは実に一回り離れている。高校を卒業してから家を出て、ほとんど家には寄り付かなかったのに、最近ふらりと戻ってきた。
 どこかのバーでシェイカーを振っているらしい桂兄は、仕事を終えて帰ってくると、私たち家族の朝食を作ってから眠りに就く。疲れているはずなのに、いつも穏やかな表情を崩さない。私が桂兄を見るのは、朝食の席だけだ。
「奈月」
 キッチンで味噌汁を温めていると、桂兄が私に声をかけた。
「朝ごはんできるまで、まぶた冷やしておきなさい」
 火傷の時などに使うクーラーパッチを手渡してくれた。
「大切なものを守るためになりふり構わないのは、かっこ悪いことじゃ、ないんだよ」
「よく……わかんないよ」
「たまには、人前で素直になってみても、いいんじゃないかな?」
 くしゃりと私の頭を撫で、桂兄はフライパンを握り締めた。そのうち将兄も降りてきて、食卓についた。
「なんだよぉ、ずっと泣いてたのか、なっちゃん。泣くならお兄の胸で――」
「将志。それはお前の役目じゃないだろ」
 ピシリと言い放った桂兄が、私たちの前に朝食を並べていく。私たちはそれを黙々と胃の中に納めていく。
「ごちそうさま」
 先に食べ終わった将兄から、甘い香りが漂ってくる。
「なあに、その煙草」
「これ? チョコの味がする煙草。もらったんだよ」
「彼女に?」
「……同僚に」
 いわゆる義理チョコってやつか。
「しかもワンカートンも。吸ってるうちに、太りそうだよ」
「将兄。いっこちょうだい」
 兄たちふたりは一瞬顔を見合わせ、にっこりと笑った。


 学校に行くと、たいてい私より先にきているはずの、リカが来ていなかった。私に学校へ来いと言った張本人も来ていない。ふたり示し合わせていないって、どういうことなんだろう、と私は悲しいやら腹立たしいやらでイライラしっぱなしだった。
 昼休みになって、彼とリカはやってきた。時間は少しずらしていたけど、一緒にきたのではないかと私は確信していた。
 リカは席につくなり、私の席で一緒にお弁当を食べていた美由紀(みゆき)の横に移動した。だが、無言だ。お弁当を広げるでもなく、私と美由紀の傍でじっと黙っている。
 彼は教室に入るなり、自分の机の中から何かを掻き出す。全部、綺麗にラッピングされた包みだった。多分、バレンタインチョコレートだろう。
 美由紀が彼のほうを見て、こっそりと私に言った。
「見て。全部チョコだよ。昔っから人気あったけど、去年、成績総合トップ取ってから更に人気になったみたいだね」
「昔から人気があった?」
「成績総合トップ?」
 私とリカが同時に美由紀に疑問を投げかけると、アッ、という声が上がった。彼が、掻き出したチョコの包みを全部窓から放り投げていた。
 それを見ていたリカは、英語で何かを呟き、涙をほろりと一粒こぼした。
「リ、リカ……?」
 美由紀が恐る恐る声をかけた。俯いていたリカは、一瞬肩を震わせると顔を上げて、笑った。
「フラれちゃった」
「え?」
 美由紀が驚く。
「柴崎くんにチョコレート渡したんだけど、フラれちゃった。付き合ってる子がいるんだって」
 リカのその言葉に、私の心臓は飛び出そうなほどに跳ね上がる。
「You can have me tonight, but my heart belongs to someone else.」
「……どういう意味?」
「体ならいくらでもあげるけど、心は他の人のものだから無理。そう言われたの。続きもあったけど、ショックで忘れちゃった」
 ちょっと胸がキュンとしそうになったが、「体ならいくらでもあげる」ってどういうことよ。うっかりいつものように、彼の言葉にだまされそうになった自分を戒めた。
 そうこうしていると、全てのチョコレートを窓から捨て終えた彼が、私たちの方へやってきた。
337「チョコレートの誘惑・4」 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:25:43 ID:kadcqXd0
「奈月」
 彼が私の隣に来て、私を呼んだ。。学校では、柴崎くん、生徒会長、と呼び合うのが私たちのルールだった。しかも、彼が私に言いつけたのだ、絶対に名前で呼ぶなよと。
 なのに、今、彼は初めて学校で私のことを名前で呼んだ。
「奈月。俺になんか渡すもん、あるだろ」
「な……ないよ。何言ってんの」
「ないの?」
「ないよ。駿ちゃんにあげるものなんか、何もないよ」
 横で、美由紀とリカが息を呑んでいるのが聞こえた。
「まあた、そうやって呼んだな。そういや、夕べもそうだったな。思い出したぞ」
 お仕置き、と言って彼は私の額を指で弾いた。痛い、と言った私を見て、彼はニヤついた。
「ハンバーグ三つ食うなんて、どうかしてるぜ、お前の胃袋」
「う、うるさいッ! 駿ちゃんにそんなこと言う権利、ないんだから! 小さい時は私のハンバーグ、いつも食べてたくせに!」
「いっぺんだけだろォ」
「ねえ、奈月! ねえったら!」
 私と彼が言いあいをしているのを、呆気に取られてみていた美由紀が、私たちの会話の間に入ってきた。
「ちょっと、どういうこと? 奈月と、柴崎くん、昔からの知り合いなの?」
 しまった、と今更ながら私が答えをためらっていると、彼が笑みを浮かべて、美由紀に答えた。
「うん。こいつんちのお隣に、俺が三つの時にうちが引っ越して以来の、幼なじみ」
 ぽかんと美由紀の口があいた。
「ほんとなの、奈月」
「う、うん……。黙ってて、ごめん」
「黙ってろって言ったのは、俺だから、奈月は悪くないよ。ほら、俺と仲がいいなんて知れたら、奈月の印象、悪くなるだろ? でも、もう限界」


「え?」
 私と美由紀とリカが同時に言った。美由紀はなにやら、わくわくした顔で私と彼を交互に見ている。
「もう、俺、腹減って限界。こいつんちの弁当、うまいんだよねェ」
 ひょい、とお弁当箱の中から、私が大事にとっておいたエビフライを摘み上げた。
「あッ! 返しなさいよッ!」
 私は椅子を蹴倒す勢いで立ち上がり、彼の手の中のエビフライを取ろうとした。彼は腕を伸ばしてエビフライを私から遠ざけて、逆の手で私の腰を引き寄せた。
「奈月。俺とエビフライと、どっちが好き?」
「エビフライ。返して!」
「即答って、まじかよ。クソッ、もういっぺん訊くぞ、奈月。俺とエビフライと、どっちが大事?」
――大切なものを守るためになりふり構わないのは、かっこ悪いことじゃ、ないんだよ
 桂兄の言葉が、突然甦った。
「……う」
「どっち?」
――たまには、人前で素直になっても、いいんじゃないかな?
 人前ではいつも優等生の殻をかぶっている私を知っている、桂兄の優しい言葉だった。
「う……」
「奈月、どっち?」
「駿ちゃん……」
「よくできました」
 彼はいつも私に向けてくれる優しい笑みをまた浮かべて、私の唇に軽くキスをした。
「続きは、帰ってからな」
 そして、手にしていたエビフライをそのまま口に入れた。彼の口の中で咀嚼されていく私の大事なエビフライを、私はただ見ていることしかできなかった。
「かっ……返してよォッ! 楽しみにしてたのにッ」
「エビフライのほうが大事みたいね」
 叫んだ私の横で、美由紀が冷静に呟いていた。
338「チョコレートの誘惑・5」 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:27:38 ID:kadcqXd0
 エビフライの恨みは恐ろしい。
 その日、奈月は初めての無断早退をした。理由は簡単。俺に、エビフライをおごらせるためだ。
 アパートの近所にあるファミレスで、奈月はたらふく食べ、満足気にアパートのベッドに倒れこんだ。そしてそれから先、俺がどれだけ誘おうと、指一本触れさせてくれなかった。
「奈月? 奈月ちゃん? 奈月さん? なあ、俺が悪かったって。エビフライおごっただろ、頼むよォ」
「知らない」
「奈月ィ……。俺が勃起したまま悶え死んだらお前のせいだからな」
「ヘンタイ! 触らないで! だいたい何よ、体ならいくらでもあげる、って。ヒドイよ、駿ちゃん」
「リカって子のことなら、なんもねえって。学校でチョコ返すのも悪いかと思ったから、他んところで返しただけだってば。誓って何にもしてません」
 だいたい、重要なのはそっちではなくて、「心はあげられない」っていう方だろうが、と俺は言い返す。
「キスしてたでしょ!」
「そんくらいはいいだろ、役得だよ」
「バカ! 悶えすぎてねじれちゃえばいいのよ」
 こんな調子だ。結局俺は一睡もできないまま、部屋の床で朝を迎えた。灰皿には煙草の吸殻がてんこ盛り、怒りに任せて潰したビールの缶が、床に散乱していた。


「おはよう、駿ちゃん。学校、行くでしょ?」
 奈月は、そんなことをさらりと言いながら起きだした。
「ふざけんな。一睡もしてねえんだ。学校なんか、行くわけねえだろうが」
「ふうん。でも私は行くよ」
 言って、奈月は背伸びをした。硬くたっている乳首が朝の光に透けて見えて、小さな奈月の乳房がふるんと揺れていた。
 ぷちん、と俺の中の何かが切れ、俺は胸にしゃぶりつくようにして、押し倒した。着ているTシャツをまくりあげ、桜色の硬い突起を舌で転がす。柔らかなふくらみを手の中におさめ、やや乱暴に揉んだ。
「あっ……だめだよぉ。学校……遅れちゃう」
「なら、行くな。休めばいい」
「皆勤賞なのにぃ」
 お前が悪いんだぞ、という言葉を飲み込んで、俺は自分の服を脱ぎ捨てた。抵抗する奈月の服も、やはり乱暴に脱がしてしまう。なめらかな肌や体のパーツを眺めている余裕は、今日の俺には全くなかった。
 痛いくらいに張り詰めた俺自身を、奈月の赤く熟れた割れ目にあてがう。すでに潤んでいたそこは、俺の先端が愛撫していくに連れて、たっぷりと蜜を滴らし始めた。
 もう彼女の抵抗の声も聞こえてこない。代わりに、欲しがって鳴く甘い吐息が俺の耳を打つ。
「駿ちゃぁん」
「欲しいんだろ」
「ん……。ちょうだい。はやくぅ」
 眉をひそめて快感に耐えながら、上下の唇を開いて俺を求めているこの「女」が、カンペキ超人みたいな生徒会長様と同じとは思えなかった。
 俺はゆっくりと、彼女の中へ屹立しているモノを沈めていきながら、にやりと口を歪ませた。
 こいつのこんないやらしい顔や、淫らな体や、熱い中を、知っているのは俺だけだ。一番奥へたどり着くと、奈月はため息をもらし、うっとりと目を細めた。どうだ、この顔を見られるのは俺だけだ、という優越感と満足感に、俺は酔いしれる。
 やがて彼女は俺の名前を呼んで、もっともっとと俺を抱きしめてきた。その求めに俺は応じて、ふたりで感じあって、一緒に果てた。
339「チョコレートの誘惑・6」 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:29:46 ID:kadcqXd0
 俺たちはその後、昼過ぎまでいちゃいちゃと抱き合ったり、まどろんだり、くだらないことを話したりして過ごした。
「奈月ィ? 本当に、俺に渡すもん、なんもないのか?」
「ないよーだ」
「本当は、カバン中に、隠してんじゃねえの? 手作りチョコみたいなの」
 奈月のカバンに手を伸ばして、中身を探ろうとすると、猛烈な勢いで奈月がカバンを奪い取った。
「人のカバン、勝手に開けないでよ」
 そう言いながら、奈月はカバンの中から小さな箱を取り出し、俺に差し出した。
 あるじゃないか、と言おうとした俺は、箱を見てその言葉を飲み込んだ。箱の中身は、四つに仕切られた仕切りと、そこに僅かに溶け残った、チョコレートの残骸がひとつ。あとの三つの仕切りは、空っぽになっていた。
「食ったんだろ、奈月。せっかく買ったものを、なんで自分で食うんだよ。くれればよかったのに」
「駿ちゃんにあげるものだとは言ってないでしょ」
 ついと上を向いて誤魔化す奈月の鼻をつまんでやる。
「ほう? じゃあ誰にやるつもりだったんだよ、言ってみろよ、ああ?」
「言ったらどうすんのよ」
「どうするだとォ?」
 奈月は強がりながら、俺を睨んできた。俺は、普段「街」でやっているのと同じようにすごみ、奈月を睨み返す。漫画のように、顔をつき合わせて、俺たちは睨みあった。
 俺は拳を奈月の胸にあてた。
「……決まってんだろ。お前、奪い返しに行くんだよ」
 そのまま俺は奈月をベッドに押し倒し、今度は睨むのではなく、奈月の瞳をじっと見つめた。長い髪がベッドに扇のように広がり、黒い瞳が俺を見つめ返していた。
「奪い返しても、いい?」
 奈月は、一瞬呆気に取られたような顔をしてから、すぐに顔をほころばせた。
「どうやって、自分から奪い返すの?」
 下半身が正直に反応しているのを感じながら、俺は奈月の唇を塞いだ。


 本日何個目かのゴムを消費して、俺は奈月の上に崩れ落ちた。
「あ! 駿ちゃん。チョコ、あげる」
「ドロドロに溶けたあれなら、遠慮するぞ」
「違うよ。カバン、貸して」
 カバンを渡すと、奈月は銀色のパッケージを取り出した。なんだろうかと訝しげに俺が見ると、奈月はそのパッケージから何かを一本取り出した――煙草だった。その煙草を俺の口に差しこみ、奈月は興味深げに俺を見た。
「う、うわ、甘ぇえ」
 思わず煙草が口から落ちる。
「まずい? 煙草がどうおいしいのかよくわかんないけど」
「吸ってみないと、味は分からないなあ。――でも、いいよ」
「何が、どう、いいの?」
 目を丸くして俺を見つめている奈月の頬に、俺は手を添えて言った。
「甘いのは、お前の唇だけで、十分だから」
 長いキスを交わして、唇を離した後に奈月がぼそりと呟いた。
「ようするに、その煙草はいらないってことだよね」
 そうして俺たちはまた、夕方まで抱き合いながら、のんびりと過ごした。学校サボるのって、ちょっと快感、と奈月は笑い、クセになりそうと耳元で囁いた。
 サボリがじゃなくて、俺の体がクセになるんだろ、と言うと、顔を真っ赤にしながら、そうかもね、とまた笑った。


 My heart was stolen by someone a long time ago and hasn't come back to me yet.
 リカに言った言葉の続き。俺の心はずっと昔に奈月に囚われて、そのままだ。だから他の女に体はやれても、心はやれない。でもきっと、英語で言っても通じないから、奈月に言うことはないだろう。
 リカは唖然とした後に、キザね、と笑っていたけれど、本当のことだからしょうがない。
 奈月の肩をしっかりと抱き、俺は奈月の髪にそっと唇をつけた。俺の腕の中で身じろぎをした奈月が、俺を見上げた。
「駿ちゃん」
「なに? 奈月」
「だいすき」
 とろりと溶けるチョコレートよりも甘い顔をして、奈月は俺に微笑んだ。二日遅れの、最高のバレンタインデーだった。


――了
340 ◆T24RU/jbYI :2008/02/17(日) 21:32:38 ID:kadcqXd0
以上です。

今回はあまり不良っぽくも優等生っぽくもありませんでしたが、
このスレの雑談から生まれたカップルなので、多少のスレ違いを承知の上でこちらへ投下させていただきました。

読んでくださった方、ありがとうございます。
341名無しさん@ピンキー:2008/02/17(日) 21:59:07 ID:jaNUNvMn
も、悶え死んだ
顔のニヤニヤが収まらないじゃないか
342名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 00:22:09 ID:VZ8dohRN
台詞のいちいちににやけが止まらなかった。
甘すぎる、良すぎる。個人的にエビフライをめぐる二人の会話が大好き
343名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 23:50:34 ID:L+SwZQV5
下手くそだけど長編書こうと思うんだけど、需要ある?
344名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 08:27:28 ID:zVh3XTdY
>>340
通りすがりですがよかったー!
元ネタも読みたくなったので読んできました。
奈月かわええ。ベタ甘好きだわ〜。
345名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 01:06:34 ID:gb4K2HG0
>>343
あるよ。楽しみだ(´・ω・)
346名無しさん@ピンキー:2008/02/29(金) 20:37:45 ID:O8xeB9sr
保守
347名無しさん@ピンキー:2008/03/04(火) 16:59:03 ID:4WtGauLH
保守2
348名無しさん@ピンキー:2008/03/10(月) 23:54:46 ID:O/Ybb8CW
保守3
349名無しさん@ピンキー:2008/03/15(土) 12:41:40 ID:/C2/lEvN
保守
350名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 20:22:24 ID:7G7I2Z6o
保守
351名無しさん@ピンキー:2008/03/21(金) 00:38:18 ID:ClIRD9Hc
補習
352名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 21:30:45 ID:iL35BO9g
補修
353名無しさん@ピンキー:2008/03/28(金) 00:43:35 ID:ipigBJ2T
新作読みたいわ〜…
保守
354名無しさん@ピンキー:2008/03/31(月) 17:24:16 ID:vzgyTYhy
保守
355名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 19:20:08 ID:+KPAlrUo
「……三島」
「ああ? なんだ、結衣か。何度言われても煙草はやめねーかんな」
「……そんな事、どうでもいいよ」
「……? なんだお前。おかしなもんでも食ったのか?」
「だったら良かったんだけどね……はは」
「…………?? 何なんだよ一体……?」
「あのね、三島……私、さ……癌なんだって」
「はぁ?」
「肺癌。……いつもアンタの隣で、口うるさく言ってたからかな?
 この歳で癌なんて、洒落にならないわよね……」
「おま……え、お……マジかよ!?」
「この前私忌引きで学校休んだじゃない? あの時ね、実は……病院行ってたの」
「……まさか……なんか、最近変な咳してたのは……」
「うん……それで、診てもらったの」
「……手術とか、するのか?」
「ううん、しない。……だって、するだけ無駄だもん」
「無駄って……お前、まさか……」
「末期癌だって。もう手遅れ」
「………………!!??」
「だからね、今日はお別れ言いに来たの」
「お別れって……お前、うそ……嘘だろ!?」
「もって後一ヶ月だからねー。一応、明後日くらいから入院するし、
明日はその準備があるから……今日で、三島ともお別れ、かな?」
「………………俺の、せいか?」
「え?」
「俺がこんなもん吸ってたせいか!? だったら今すぐやめる! 二度とこんなもん吸わねえ!
 お前が治るように、俺にできる事は何だってする! だから! だから!」
「ちょ、ちょっと、三島……落ち着いてよ」
「落ち着けるかっ! とにかく、俺は金輪際煙草なんて吸わねえ! 授業もさぼらねえ!
 喧嘩もしねえし、親父やお袋の言うことだって聞く! だから……嘘だって、言ってくれよ……」
「……なんか、凄い言いにくいんだけど……」
「何がだよ……」
「嘘よ」
「へ?」
「ぜーんぶ嘘。今日は何月何日?」
「……今日って……ああああああ!? 4月、1日!?」
「そ。エイプリルフール」
「………………」
「……いや、ホントごめん。まさか、ここまで真に受けられるとは思ってなかった」
「ホントに……嘘なのか?」
「うん……ホントごめん。性質が悪かったよね……まさか泣かれるとは」
「泣いてなんかいねえよ、ったく。……本気で焦ったんだからな」
「うん、ごめん。……けど、なんか、私……愛されてるんだなぁ、って思った。えへ」
「う……!? ……さ、さっきのは忘れろっ!」
「い・や・よ♪」
「う、う、う……うがぁぁあああ!? し、死にたいぃぃぃぃぃいい!!???」
「とりあえず、さっきの約束は約束として有効って事でよろしくー」
「へ? 約束?」
「たばこ。やめるんでしょ?」
「………………」
「……私とアンタは……これからもずっと一緒にいるんだから」
「………………」
「その時、さっきのがホントにならないとは、限らないでしょ?」
「………………」
「……そっか、ずっと一緒にいてくれないのかー」
「わ、わ、わーったよっ! やめりゃいいんだろやめりゃ!」
「よーし、約束だからねっ! ついでに他のも実行することー」
「………………で、できる範囲でなっ!」
「よーし、じゃあ……できるまで、ずっと傍で見てるからね……」
356名無しさん@ピンキー:2008/04/02(水) 13:33:27 ID:uYJw7GvI
>>355
時期ネタGJ!
357名無しさん@ピンキー:2008/04/04(金) 08:27:50 ID:DnJRPz9d
久々来たら投下が・・・保守

>>355
こういう話好きです
会話のみなのに情景が見える
GJだ!!

>>340
駿と奈月の二人好きだ〜!!
しかし、はたして秘密の交際が何時まで続けられるのだろう?(クラスじゃバレたが)
奈月の性格を考えると駿の女遊びをこのまま許す性格には思えんし
駿に浮気(?)がどんなに嫌かとんでもないおしおきを実行しそうな気が・・・
今後もこの二人に期待してる
340氏にたくさんのGJを!

358名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 15:38:39 ID:Zr18tCT/
保守
359名無しさん@ピンキー:2008/04/12(土) 10:53:59 ID:e85q+l1W
スレタイのせいで不良少女×優等生男が少ないな
360名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 20:15:52 ID:Lv4CAOY+
保守
361名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 11:36:03 ID:/xuN8sqJ
ほしゅほしゅ
362唐突に保守代わり小ネタ:2008/04/23(水) 20:53:37 ID:C0xtI69s
 いつものように、あいつは今日も遅刻してきた。
 まったく、いつになったら懲りるのか。
 ……スカートで壁を乗り越えるんじゃないと何度言ったらわかるのか。
「よっしゃ、誰も見てないな……セーフセーフっと」
「アウトだ」
 僕は目を逸らしながら、飛び降りてきた彼女に告げた。
「げっ、委員長!」
「お前の記憶は揮発性か? いい加減この時間、この場所には僕がいるという事
 くらい、覚えておいたらどうだ?」
「今日あたりいないかも、って思ってたんだけどなぁ……いたのかよぉ」
 ……まったく、言葉遣いも女らしさとは程遠い。
 着ている服と、腰まで伸びた綺麗な髪がなければ、男と見間違えらる事請け合いだ。
「いるさ。お前がちゃんと遅刻せずに登校できるようになるまではな」
「じゃあ卒業まで無理だな」
「それを何とかするのが僕の仕事だ」
「委員長、他に仕事無いのかよ?」
「……言い換えよう。それを何とかするのが僕の仕事の一つだ」
「暇人だなぁ、委員長」
「お前のお陰で、その暇が無駄に浪費されてるわけだが」
「委員長の暇つぶしに貢献してる俺って偉い?」
「偉くない」
「あはは、冗談だよ、怒るなよ委員長!」
「はぁ……」
「なんだよ、ため息なんかつくなよー。元気出していこうぜ、ほら!」
 まったく……ため息の一つもつきたくなるさ。
 いくら委員長としての勤めとは言え、毎日毎日こうして遅れてきたこいつを
教室まで連れて行き――でないとコイツは平気で屋上辺りで昼寝を始める――、
授業が終われば逃げ出さないように捕まえ――でないとこいつは以下略――
昼休みには金が無いからと昼抜きで済まそうとするこいつに弁当を与え、委員会の
仕事が無い日には、こいつが試験で赤点を取らないように復習を手伝い……
 そういった諸々を、一体俺がどういうつもりでやってるのか、こいつは全然わかっちゃいない。
 まったく……ため息くらいつかせてくれ。
「はぁ……」
「なんだよー。具合悪いのか、委員長?」
「お前がもう少し真面目にやってくれたら、具合もよくなるかもな」
「あはは、そりゃ無理だ」
「……はぁぁぁぁ」
 海よりも深いため息をつきながら、僕はジト目で彼女を見つめた。
363唐突に保守代わり小ネタ:2008/04/23(水) 20:53:59 ID:C0xtI69s
「けどまあ、委員長が元気ないままだと俺も張り合いないしさ、おまじないしてやる」
「おまじない?」
 ……なんだそりゃ。
「おお。とりあえず委員長、目を瞑って」
「……言う通りにしたらちゃんと教室行って授業受けるか?」
「もっちろーん」
 ……微妙に信用できないが、まあいいか。
 どちらにしろ、首根っこ引っつかんででも連れていくんだから同じ事だ。
「わかったよ」
 言われるがままに、僕は目を閉じた。
「じゃあ、行くぞ、おまじない……」
 ふわりとした感触が頬に当たる。
 これは……髪?
 そして、鼻先に感じる、小さな吐息と甘い香り。
 これは……まさか……。
「……ん」
 次の瞬間、僕は唇に何か柔らかい物が触れる感触を覚え……固まった。
「………………」
「……ふぅ」
「………………」
「どうだ、おまじない? 効いたか?」
「………………」
「……どうした、委員長?」
「………………」
 僕は、目を開ける事もできないまま、唇に触れた柔らかい感触が何であるかを
認識する事ができないまま、ただひたすらに固まっていた。
「……委員長、こういうのに弱かったのかぁ」
 いや、お前、そんな事言われてもな、まさか、そんな、いきなりこんな……。
「いひ♪ 次から活用させてもらおっかな。んじゃま、委員長もそろそろ教室帰れよー」
 足音が遠ざかっていく。
 今日は美術室か、それとも第三会議室か、どこかはわからないが、適当な場所で
サボるつもりなんだろう。止めなきゃいけないんだが……僕の方が止まったまま
動けないんだから、世話は無い。
「………………」
 結局、一時間後、帰ってこない僕を心配して、クラスメイトが様子を見に来るまで、
僕は固まったまま動けないでいた。
 ……なんで、僕はあんなのを好きになっちゃったんだろうなぁ、とか考えながら。
364唐突に保守代わり小ネタ:2008/04/23(水) 20:54:35 ID:C0xtI69s
ここまで投下です。

・・・性別逆だな。
365名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 00:21:21 ID:LqhVDUr5
GJ! か ま う も の か !!

続編にwktkしながら待ってます!
366名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 12:21:07 ID:mu/iMdQz
死ぬほど萌えた。
バカかわいい不良少女っていいなあ…
367名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 17:07:39 ID:+lsFScMT
かなり楽しめた
続きでも小ネタでもいいから気が向いたら頼みます
368名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 20:31:41 ID:H6BQPprV
委員長がラノベ口調すぎる…
369名無しさん@ピンキー:2008/04/26(土) 00:40:08 ID:5eznxAkU
じゃあ委員長の名前は羅野部スグルで
370名無しさん@ピンキー:2008/04/30(水) 12:50:59 ID:tX8nxGuC
不良♂…暗め・短めの茶髪をワックスで固めた腰パンの雰囲気イケメン。
    ノリが良いので先生にも好かれている要領の良い奴。
不良♀…茶髪ロングストレート、鈴木えみ系美人。
    不良♂に本気で恋するが報われない。
優等生♂…長めの黒髪、口下手、成績クラストップ。
     優等生♀に恋するがアプローチすら出来ない。
     運動できないガリなのでモテず、
     愛想が無いので先生受けも悪いフツメン。
優等生♀…黒髪内巻きセミロングで前髪を下ろしているロリ美少女。
     成績は中の上。運動は苦手でよく見学する。
     一見地味だが男子からの人気は絶大。
371名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 20:49:07 ID:axlSnABo
>>370
なんか優等生♂が暗黒面に落ちそうな気がするのは気のせい?
話としては不良♀と優等生♂が空回りを繰り返す間に、
少しずつ距離の縮まっていく不良♂と優等生♀という構図になるんだろうか…
372名無しさん@ピンキー:2008/05/05(月) 03:02:14 ID:GmnZTUbZ
最終的に不良♂と優等生♂のやおい展開になるんですね。わかります
373名無しさん@ピンキー:2008/05/06(火) 21:07:13 ID:UT64Qn5J
>>372
おいwwww
374保守代わり小ネタ:2008/05/07(水) 19:22:59 ID:iDhsMFAF
「一本ちょうだいっ!」
「あ? なんだ、お前かよ……あー、どうすっかなー」
「なぁに? またこの前みたいに一本欲しけりゃキスしろ、とか?」
「……お前なぁ、ああいう事言われたら普通躊躇するだろ?」
「情緒がなかった?」
「……そういうあっけらかんとしたところがな」
「で、くれないの? チューはするよ、チューはほれほれ」
「唇突き出すな。間抜けだ」
「あ、ひっどーい」
「自分で買えばいいだろうが」
「だって、最近自販機で買えなくなっちゃったじゃない?」
「……だからって人にたかるか?」
「買い方教えてくれたら自分で買うけど?」
「……嫌だ」
「けちんぼ」
「頬膨らませても嫌だ」
「けちんぼ♪」
「かわいく言っても嫌だ」
「じゃあ、一本くれるの?」
「そうだな……一本につき一回」
「キス?」
「フェラを」
「………………」
「流石のお前でも引いたか。……ま、俺はこういう奴なんだよ。
 わかったら今後俺に」
「じゃあ、本番やったら一箱くれる?」
「………………」
「あ、引いてる」
「……お、お前なぁ」
「あっ……もしかして、経験無い?」
「………………」
「……そ、そんなに真っ赤にならなくてもいいじゃない」
「ばっきゃろ! 怒ってんだよ!」
「図星突かれて?」
「……え、あ、ぐ……」
「にへへー」
「わ、笑うなっ! 仕方ねえだろ、こんな奴で、さして顔もよくねえし、
 今まで、その、だな……彼女とか、いたこと、ねえんだから……」
「じゃあ、私がなったげよっか?」
「………………?」
「私があんたの彼女になる、って言ってんの。嫌?」
「………………」
「……あ、そっか。嫌だよね、こんな急に言われても。
 残念だなぁ。彼女になったら一本どころか貰い放題だと思ったのに」
「……それ、目当てか?」
「へ?」
「タバコ目当てなのか……結局は?」
「なわけないじゃん。何怒ってるの?」
「……あぁ?」
「それはきっかけと実益。……相手があんたじゃなきゃ、そんな事言わないよ?」
「………………」
「どうもこういう事言っても信じてもらえないんだよねぇ、私ってば。
 普段から軽すぎるせいかな? 明るい性格も考えもんだねこりゃ、あはは」
「………………」
「で、どうする? 嫌だったら別にいいけど。あ、その時もフェラくらいならしたげるよー?
 代わりにちゃんと一本くれればねー」
375保守代わり小ネタ:2008/05/07(水) 19:23:26 ID:iDhsMFAF
「……なんつうかさ」
「へ、何?」
「お前、ホントに優等生って言われてるのか?」
「これが自分でも信じられないけどホントの話なんだよね。まあ、たまたま
 勉強ができるってだけの話なんだけどね。そういうトコしか先生は見てくれないし」
「………………」
「友達も、適当に合わせてあははー、って笑ってると皆楽しそうにしてくれるんだよね。
 まあ、私も楽しくないわけじゃないんだけどさ、あは」
「………………」
「でも、あんたは何か違うと思った。だから気になった。だから……こうして
 毎日会いに来てるんだけど……伝わってなかったかな?」
「………………」
「気になって仕方がないのよね、あんたの事。なんでも知りたいって思って、
 それであの時ああいう事言って、ああいう事してみたわけ。そしたら、
 すっごいドキドキして……そんで、すっごい嬉しかった」
「………………」
「ねぇ、これって……好きって事、だよね?」
「……俺に聞くなよ」
「あはは、その通りだね」
「でも……」
「え?」
「……俺も、何かお前の事が無性に知りたくなってきた」
「おおっと、ここに来ていきなりの宣言だよー?」
「茶化すなよ」
「ごめん……ちょっと、ドキドキしたからさ」
「……さっきの話、本当に……俺で、構わないのか?」
「彼女になるって話?」
「……ああ」
「あんたがいいの。むしろあんたじゃないと駄目だと思う」
「……俺みたいなののどこがそんなに気に入ったんだか」
「さあ? 自分でもわかんない」
「おい」
「でも、恋ってそういうもんなんだと思うよ、多分」
「……多分?」
「だって、これ、私の初恋だもん、多分」
「……違ったらどうすんだよ」
「大丈夫! きっと違わないから!」
「……はぁ」
「なんでため息つくかなー」
「……いや、なんで俺はこんな奴にとっ捕まっちまったんだろうな、って」
「ふふふー、その分いい目をみさせてあ・げ・る♪」
「………………」
「な、なんでぐったりするのー?」
(さ、先が思いやられるな……ちょっとだけ、楽しみだけどな)
                                        終
376獣達の宴1:2008/05/07(水) 20:06:58 ID:jLdsI/dM
佐倉優子が男たちから集団で暴行を受けたのは、中学三年生の冬、彼女が十五歳の時だった。
彼女を襲ったのはクラスの同級生で、校内でも札付きの不良として有名な三人組だった。
夕暮れの体育用具室。優子はいまでもあの時の、扉が閉まる大きな音と、錠がかけられるカチリ
という冷たい金属音をはっきりと覚えている。
心を凍らせる恐怖と絶望とともに。

「なに、どうしたの……?」
背後に扉の閉まる音を聞いて、当時中学生だった優子は驚いて振り返った。
扉の前に、彼女をここまで連れてきた不良グループのリーダー格の少年、西田龍一が立っていた。
優子の見ている前で、西田は後ろ手でカチリと扉に錠を掛けた。 
その冷たい金属音を聞いて彼女が感じたのは、「嫌な予感」などという曖昧な感覚ではなかった。
彼女ははっきりと、自らの身に迫った危険を感じ取っていた。
物言わぬ少年たちから漂う気配が、彼らの目的を如実に物語っていた。
「西田君……?」
それでも、彼女は藁にもすがるような思いで少年に呼びかけた。これが質の悪い冗談だと言ってほしかった。
だが、西田と呼ばれた少年は優子の問いかけを無視して、無言のままゆっくりと彼女に近寄ってきた。
近寄ってくる少年の顔には表情がなかった。その無表情が、優子をさらに怯えさせた。
少年が近づくだけ、優子は後ずさった。だが、用具室は狭く、優子はすぐに壁際に追い詰められてしまう。
背後の壁に退路を絶たれたところで、優子は残るふたりの少年たちに両脇を抑えつけられてしまった。
「は……はなして……」
優子の声は、自分でも驚くほどに小さかった。
紺色のセーラー・スカートから覗いた両足は、冗談のように大きくガタガタと震えていた。
「おい、そのまま抑えてろよ」 リーダー格の少年が命じる。
「おう、まかせろ」「早く済ませろよ」と左右の少年たちが応じた。
彼らの言葉に、これから自分の身に起こるであろう出来事への確信が深まる。
だが、優子はろくに抵抗することさえできなかった。
「大声で人を呼ぶわよ」、「こんなこと許されると思っているの」
彼らを諌める言葉はいくつも頭に浮かんだ。
だが、そのうちの一つでも、優子の口から発せられることはなかった。
恐怖に心を鷲?みにされた優子の喉は、彼女の意志を裏切って、「は」の形に開かれたまま、ただ喘ぐような
大きな呼吸を繰り返すことしかできなくなっていた。
何一つ、言葉はでてこない。
377獣達の宴2:2008/05/07(水) 20:07:31 ID:jLdsI/dM
優子が次に、わずかながらも言葉を発することができたのは、胸のふくらみを服のうえから荒々しく掴まれた
時だった。
「い……た……ッ」
痛みを訴える優子の悲しい声は龍一の耳には届いた。だが、心までは届かなかった。
少年は己の衝動に導かれるままに行動し、その滾った欲望は、ダッフルコートの厚い布地越しにも、優子の
身に強い苦痛を与えた。
一方で、龍一の方はコートごしの感触が不満だったのか、すぐに次のステップに取り掛かった。
「……まって、まってよ……、お願い」
なんとか制止しようとする優子を無視して、龍一は興奮に震えた手つきで彼女のコートの前を開き、制服の
ブレザーの二つしかないボタンを引き千切ると、続けて学校指定の白いシャツをブラジャーごと一気に捲り上げた。
目の前に露になった十五歳の少女の膨らみかけの淡い乳房に龍一はごくりと喉を鳴らした。
「い、イヤッ! はなしてよ。お願い、誰か、助けて……!」
そこまでされて、優子はようやく、大声で助けを呼ぶことができた。
だが、三人の少年たちは、優子の大声にもまったく動揺する素振りを見せなかった。
優子を押さえつけていたふたりの少年――アキオとコウジは、押さえた手の力を緩めようともしない。
龍一にいたっては、少女の乳肉を眺めるのに夢中で聞いてもいなかった。
少年たちが大声を出されるのを厭わない理由は、優子にもわかっていた。
体育用具室は、校舎から遠く離れた体育館の、さらに奥に、体育館の影に隠れるように設置されているのだ。
用具室の裏は低い塀を挟んですぐ外が学校の敷地外になっていたが、裏手は山になっていて帰宅する生徒は誰も通らない。
今日は二学期の終業式で、部活動も休みだった。冬休みを控えて、用事もないのに体育館に近寄るような奇特な
学生はいない。
いくら叫んでも、助けはこない。
剥き出しにされた乳肌に触れる空気の寒さと、そこに受ける男の視線のおぞましさに優子の首筋が冷えた。
少年たちはそのことを計算済みで、彼女をここに誘い込んだのだ。
「お願い……、謝るから。私が何か、あなたたちの気に障るようなことをしたのなら謝るから。だから、こんなことは
もうやめて……!」
助けはこない。それならば、少年たちを説得するしかない。
気を失いそうな恐怖のなかで、それでも優子は必死に頭を働かせていた。
「別に謝ることはないぜ、オレら別に、お前に恨みがあるわけじゃないし」
「そうそう。むしろ、オレらお前のこと好きだし」
優子の訴えに、アキオとコウジが口々に答えた。
少女には到底理解できなかったが、それは彼らの本心から出た言葉だった。
378獣達の宴3:2008/05/07(水) 20:08:00 ID:jLdsI/dM
かざらない性格の優等生で異性からも同性からも慕われていた彼女は、西田たち不良グループを怖がる他のクラスメート
から頼られて、クラスの中で、彼らと他の生徒たちとの橋渡し的な役割を任されていた。
西田たちが怖くないわけはなかったが、優子は持ち前の責任感から、真面目に、誠実に彼らと対応した。
なにかと話しかけ、用事をいいつけてくる優子を、西田たちは始めのうちこそ煙たく思っていたものの、彼らを不当に
蔑視しない優子の態度に次第に好意を抱くようになっていった。
二学期に入るころには、彼らは優子の頼みがあれば、つまらないクラスの行事などにもある程度は協力するようになって
いたのだ。
他校の不良に絡まれた優子を彼らが助けたこともあった。 
だが、
しょせん、優子は彼らとは住む世界が違う女だ。
今彼女との間にある繋がりのようなものは、彼らが中学を卒業すれば跡形も残らず消え去ってしまうだろう。
まるで、そんなものは元から存在しなかったかのように。
優子は県でも有数の公立高校に進学し、そして彼らは高校にもいかず、就職するか、フリーターをはじめることになる。
彼らと優子の繋がりはそこで途切れてしまうのだ。
彼らには、それが我慢ならなかった。そこで三人で相談し、今日の計画を立てたのだ。
計画は万全だった。そして、万が一外部にバレて誰かがこの用具室にやってきたとしても、彼らは途中でやめる気はなかった。
たとえ警察を呼ばれようとも、錠をかけた扉を強制的に突破されるその時まで存分に優子を犯し抜く覚悟なのだ。
「心配しなくても、ちゃんと朝には帰してやるよ。今晩だけの辛抱だ」
そう言ったのは、龍一だった。彼はそれだけ言うと、目の前の優子の淡いふくらみの先端にむしゃぶりついた。
「きゃあ……!」
まだ成長途中の乳房の敏感な先端を熱い口で吸われて、優子が驚いたような悲鳴をあげた。
だが、そんなことで口を離す龍一ではない。
優子の乳房は無数に唇の跡をつけられて、真っ赤になっていった。
未発達の円筒形の乳首の先端が、龍一の唾液を垂らして濡れていた。
「お願い、お願いだから、もうやめて……!」
優子はほとんど泣き出すようにして、想いを込めて懇願した。
一度は淡い友情のようなものも感じていた彼らなのだ。気持ちは通じるはずだった。
だが、少女の泣き顔は、彼らの獣欲を刺激しただけに終わった。
龍一は、むきだしの少女の白い腹に舌を這わせると、スカートに手をかけてショーツごと一気に下に引きおろした。
「い、イヤ――……ッ」
もっとも恥ずかしい部位をむき出しにされて、優子はその現実が信じられないと言いたげな表情で、泣き出すような声を
あげた。
嗜虐心をそそられる光景だが、少年たちに、少女の羞恥を味わうような余裕はなかった。
ズボンの下はもう、欲望ではち切れそうになっている。
憧れの少女の秘部を目にして、平静でいられるはずがなかった。
龍一は焦った手つきでカチャカチャと自分のズボンのベルトを緩め、股間に猛ったモノを手で取り出しながら、乳房にす
るのと同じ勢いで腰のひけた少女の股間にむしゃぶりついていった。
379獣達の宴4:2008/05/07(水) 20:08:32 ID:jLdsI/dM
「ひ……、やだ……ッ! やめ、やめてぇッ!」
動転した少女の声に、龍一の興奮がますます高まる。
龍一は経験は浅かったが、童貞ではなかった。
だが、これだけ興奮するのは初めてのことだ。
目の前にいるのは、ヤることしか頭にない不良女ではないのだ。
中学に入学した時から、学内で一番かわいいと目をつけていた憧れの少女だった。
ぴちゃ、くちゃ、むちゃ、くちゃ、
龍一の舌が、熱っぽく少女の股間を這っていった。
優子は必死に身をよじってその舌から逃れようとするが、両手を押さえ込まれて、脚の間に顔を埋められては逃げられる
わけもない。ただ歯を食いしばって、舌の蹂躙を受け続けるしかなかった。
入り口を唾液でぬかるませるだけの、愛撫とも呼べない龍一の愛撫はすぐに終わった。
だが、もちろん、それは優子にとって長い悪夢の夜の始まりでしかなかった。
唾液で濡れた口の端を手で拭うと、龍一は優子の柔らかな股間の肉の合わせ目、幼い膣口に己の滾りきったモノをあてがい、
一気に刺し貫いていった。
少女の胎内は痛いほど狭く、そして熱かった。
「い……た……!」
胎内に初めての侵入を許して、その激痛に優子は顔を歪ませた。目じりから涙を溢れさせる彼女を、龍一は心の底から
可愛いと思った。
剥き出しのまっ白な乳房を両手で荒々しく揉みしだいて、龍一は注送を開始した。
ズ、ズ、ズとリズミカルに腰を前後させると、優子はその激痛に身をすくませた。
少女の純潔の証明である破瓜の血が、優子の太ももを伝い落ちていった。


To be continued?
380名無しさん@ピンキー:2008/05/07(水) 23:01:04 ID:VQiPTuro
不良少女に萌える
381名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 00:52:33 ID:+GCFXf9n
 「まだ黒いお下げ髪かよ。天然記念物だなこりゃ」
 「皆が染めてる訳じゃないの。…まだ吸ってるの」
 「そんな目で見るなよ、久しぶりだろ」
 「でも体に毒よ、それから運河に捨てたら黒田のお爺さんに悪いわ」
 「じっさんに迷惑かけるような真似を俺がするかよ」
 「あら、中学の時運河に落ちて命拾いしたのはだあれ」
 「け、んな昔のこと良く覚えてるな」
 「だってあの時でしょう、私達が初めて…抱き合ったのって」
 「俺がお前に初めて殴られたのもその時だがな」
 「もう、相変わらず減らず口ね」
 「お前さんとはいる世界が違うんでね。部活はやってんのか」
 「ううん、春で終わっちゃった。もう受験で忙しいのよね」
 「そうか…親父さんの為にもちゃんと受かれよ。で大学行って何やるんだ」
 「考え中だけど…文学部に入ってイギリス文学でもやろうと思ってるの」
 「本の虫だった優等生にはお似合いさ、全くあんなつまらねえ長ったらしい物を良く読んでたよな。何だっけ、『豪腕と平均』??…」
 「それは『高慢と偏見』でしょ。少しは漫画やエッチな雑誌だけじゃなくて本も読みなさいよ」
 「だからっておめ、部屋に文庫本を何冊も置いてくなよ…高さんから『よ、大学生』て皮肉られたんだぜ」
 「真面目に学校通ってたら功ちゃんも行けたと思うよ、大学」
 「そういう話は止せ。んなことある訳ねーよ。全くたまに会っても可愛げが無い奴だな」
 「どうせ私には女の魅力は無いのよ」
 「いや、変にませたメス犬に比べりゃ、子猫ちゃんは可愛いもんさ」
 「もう、何時までも子供扱いしないで」
 「俺がお前を大人扱いしたら、それは学校に…いや神様に怒られちまうからな、多分」
382名無しさん@ピンキー:2008/05/09(金) 01:57:17 ID:l2YPrCKz
>>379
GJ!!
だけど女の子がこのままでは可哀相だ…
というわけで続き〜
383379:2008/05/10(土) 18:43:37 ID:tjCGqARw
この後続けば、女の子はもっと可哀相な目に合う予定なんだ・・・w

というかごめんなさい、to be continued とか書いておいて、デブやブサイクに犯されるスレ
にも書いてる途中で、今あっちで手一杯だったりしますorz
384名無しさん@ピンキー:2008/05/10(土) 20:57:43 ID:whRFehbK
むしろもっと可哀相な目にあって欲しいかもw
それはそれで良い物だし。
385379:2008/05/10(土) 22:12:06 ID:tjCGqARw
一応、ここまで(もうちょっとエチシーン続が続く)がプロローグで、本編はこれから16年後。

結局朝まで輪姦された優子ちゃんは身ごもっちゃって、優等生だから
堕胎は選択せずに女児を出産。
子どもに父親の悪い噂を聞かせない為に遠くの土地に渡って女手一つで
子どもを育て中。
そして子どもが15歳になった年。
あの一件で集団暴行罪で鑑別に送られ、出てきてからもドロップアウトな
人生を送っていた3人組が当時を忘れきれずに優子の後を探しはじめる。
見つけられた優子は「子どもに父親のことをバラす」と脅されて3人の言いなりに。
結局娘もヤられちゃって母娘丼完成、が未来絵図。

時間が取れたらいつか書きたいな・・・
386名無しさん@ピンキー:2008/05/11(日) 16:26:24 ID:pzv2fp8Z
>>375
満足だけど、続きが読みたくなる俺の馬鹿
とにかく、GJと言いたかった
387名無しさん@ピンキー:2008/05/17(土) 23:19:52 ID:zq/F5F9r
ほしゅほしゅ
388名無しさん@ピンキー:2008/05/22(木) 16:03:13 ID:ZS/rhbeu
ほしゅ
389名無しさん@ピンキー:2008/05/23(金) 18:20:34 ID:ALtg82jz
>>385
それ読みたい…
390名無しさん@ピンキー:2008/05/29(木) 20:23:27 ID:cnesKv5j
保守
391名無しさん@ピンキー:2008/06/12(木) 19:04:23 ID:Drv8b+N1
ほしゅ
392名無しさん@ピンキー:2008/06/16(月) 01:48:06 ID:lQ4VZ5EX
ほしゅ
393名無しさん@ピンキー:2008/06/22(日) 21:38:54 ID:p22+zQXt
ほしゅ
394名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 11:58:35 ID:IKb0QQlC
だれから不良少女が陵辱されるの書いて
395名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 12:09:51 ID:r56QzjC6
ホシュ
新作求ム
396名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 22:18:10 ID:RiNZJtpJ
保守
397名無しさん@ピンキー:2008/07/22(火) 23:54:09 ID:hiOjBFIS
書こうかと考えてるんだが・・・燃料がたりない
誰が萌え補給できるような不良×優等生のオススメ紹介してくれませんか?
398名無しさん@ピンキー:2008/07/29(火) 23:52:23 ID:FZwerJ0x
ttp://www.shonenmagazine.com/works/yan_mega/index.html

ただし表向きだけで実際は両方不良だがw
399名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 14:12:21 ID:RHmJJF7E
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1417012664
小説でも漫画でもないけどこれ読んでちょっと萌えた
400名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 23:14:33 ID:N5V9aEIQ
>>399
やべ不謹慎かもしれんがこりゃ萌えた
彼女のために真面目になりたいとか王道だよな
彼氏がんがれ
401名無しさん@ピンキー:2008/08/05(火) 17:15:02 ID:K/LBlJ6A
まえだとちあきみたいな?
402名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 16:17:11 ID:BGKbOv6v
>>399
湘爆
403名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 02:51:01 ID:sTZ3MTYB
爆笑
404名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 03:59:37 ID:Lcwo5YXm
こんなのは有りか?ここ。
成績“不良”少年×優等生
真面目だが成績は悪い男と学年一の秀才で普通の女。
数学Aが2点とか…そんな感じは違う?素行が悪くないと駄目か?
405名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 12:38:41 ID:PZN+zumk
明るい茶色に染めたツヤツヤストレートロングのツンデレ不良少女
→短めの黒髪をワックスで立てているがどこかモッサリ感の抜けない弱気な優等生少年
→セミロングの黒髪をゆる巻きした清楚オーラを放ちまくりな学級総務の優等生少女
→長めの茶髪をホスト頭にセットし家庭の事情から身に纏う憂いのオーラが女の心を掴んで離さないモテモテイケメン不良少年

ていう感じで片想い連鎖してたら萌える
406名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 22:11:16 ID:7qlzl9at
>404
別にいいんじゃなかろうか。冒頭だけ投下して意見を聞くって手もあるし
407名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 23:49:41 ID:ujZXeVcG
閉所恐怖症な不良少女がお仕置きされるシチュ萌え
408記憶[ノンフィクション60%]:2008/08/25(月) 01:53:53 ID:0t6RfKvY
私は満員電車の中で揺られている。ふと目を開けると、公式が書かれた紙を読んでいる少年がいる。
…私は成績が良い方だった。中間・期末考査でも平均60台と言う安定した数値だった。
ただ、そんな私にも弱点があったのだ。数学である。こればかりは50点以上は取った事がない。
高一の期末考査では数1 .A両方とも1点2点と言う絶望的な点を取ったその年に起こった出来事を思い出した。
学年トップで、英検2級保持していたアイツとの出会いを思い出した。
当時、私は平均的な男子高校生だった。今で言うイケメンだった訳でもなく、容姿は地味で坊主頭と規定通り
特技は無く、変わり者と呼ばれていた。その私に、声を掛けて来た女が一人居た。
私のクラスには個性的な面々が居た。巨漢でアニメ・ゲームオタクの小浦、電子機器オタクの猪野等々…
私は軍事・政治に秀でていた。そんな面々だったから色恋には疎かった。
初めて声を掛けられた時、私は「新手の美人局か?」と問いつめた。ま、退路の確保も行っていたがね…。
すると彼女は苦笑いした後、「付き合って下さい」と来たものだ。言われた事よりも別の意味で感動した。
“この現代社会で”現実にその台詞を言う奴がいたのか
409記憶の語り手:2008/08/25(月) 01:58:49 ID:0t6RfKvY
取りあえず試験投下…
名前・地名・団体名等以外は殆ど事実なので余りおもしろく無いかもしれません。
多少の脚色は交えていますが…
410名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 12:05:36 ID:e1x3ZkjO
内容はともかく、フィクションとか実体験とかってのは、この板ではあまり言わない方がいいかと。
411名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 21:01:23 ID:yyRqNuQT
6年ほど前、当時高校生だったオレは付き合い始めたばかりの彼女と夜道を
歩いてた。
そこで3人組の不良に絡まれた。
不良の目的は明らかに彼女。
オレがいうのもなんだが、ショートにメガネの委員長タイプで、そこそこ可愛い娘だった。
対してオレは当時からアニヲタで見た目は弱そうだった。
だけど、実はオレ、当時空手道場に通っててケンカだけは無駄に強かったんだ。
結果、不良どもをマンガの主人公のように格好良くフルボッコ(というほど
楽でもなかったけど)にしてしまった。
彼女もその時はスゲーいい感じにオレに惚れ直してくれたんだけどね?
結局、オタ趣味が元でオレはその彼女に振られた。

↓振られた時の台詞
「あんたが格好良かったの、あの夜だけだった」

…正直、あそこで負けるか逃げてればよかった
そしたらこのスレに合致するシーンをリアルで拝めたかもしれないのに
オレ、ちゃんとNTR属性持ちなのに。
なんで空手なんて習ってたんだ、オレ。
新しい彼女ができたら次こそはぜったい負けてやると思ってたら、今度は彼女ができない。
オレは千歳一隅のチャンスを逃した。
412名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 11:48:25 ID:+QZe7CMx
なんというか・・・酷くコメントし辛いなw
413名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 00:34:57 ID:yo7WZRV8
慰めてやろうと思ったけど
本当に何も思い浮かばないわ
414名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 10:14:56 ID:a2nyv92b
とりあえず、千歳一偶じゃなくて千載一遇だと思うんだ。
415名無しさん@ピンキー:2008/09/16(火) 06:01:14 ID:QIS2wu8t
416名無しさん@ピンキー:2008/09/21(日) 19:31:10 ID:QsFGUHns
保守
417名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 20:17:07 ID:t92FUWjS
保守あげー
418名無しさん@ピンキー:2008/09/29(月) 14:39:39 ID:76ZvffsA
>>414
本来の意味からは外れてないけどな。
「千年に一度ぐらいの」って意味だから。
419名無しさん@ピンキー:2008/10/14(火) 21:41:11 ID:gpqDD0W6
保守
420名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 02:16:09 ID:dqLm/Jf3
『愛と誠』は既出なのか?最高の優等生×不良少年ネタなんだが。
421名無しさん@ピンキー:2008/11/15(土) 11:34:24 ID:yhHWmMgv
422名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 14:24:00 ID:0sZ2JQTc
ビートルズ=いい子 ストーンズ=ワル
このイメージは商業上の売り方と音楽性から来てるもので
実際にはワルだったのはビートルズ、だが自慢できるようなことはしてないので
「ビートルズのどうせたいしたことない悪行についてkwsk」なんていわないで欲しい。
当時http://www.beatlesource.com/savage/1961/61.06.XX%20cavern/02.jpg
を知る関係者の話だといろいろ悪いことをしてきたらしい。
でジョンはプレスリーよりも有名になりたいと言ってたらしく、
マネージャーがスーツを薦め、売れるためならってことで着替えたんだろう。
ストーンズはデビュー時、マネージャーがメンバーがやってもいない悪事を
やったといいふらして悪にしたてた。だから本当は悪い人たちじゃないだろう。
http://img.coxnewsweb.com/B/00/54/46/image_4846540.jpg←大人しそう
スーツに着替えてもビートルズの方が気が強そうhttp://homepage2.nifty.com/discomixrecords/THE%20BEATLES%20-%20LOVE.JPG
この動画見てもミックよりジョンの方が強いと思う。http://jp.youtube.com/watch?v=LAjdRHzH4M8
なにも俺は「ビートルズのほうがワルだったんだぜー、ストーンズは雑魚」って言いたいんじゃない。
どっちも音楽性は違えどいい曲がたくさんあり、俺の好きなバンド。
だが彼らの商業上イメージを実像と一緒だと思ってる奴等がストーンズと比較して貶すから。
これはなにもビーとストン図に限った話じゃない。族みたいに売った銀蝿も大学出。
ストーンではこれが特に気に入ってるhttp://jp.youtube.com/watch?v=WQz_cTHCtJg粗い音にミックの歌い方がいい
ビートルズからも1曲http://jp.youtube.com/watch?v=6OBgPyK9J6M
423名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 20:50:37 ID:KjB6TIuY
保守あげ
424名無しさん@ピンキー
ほ し ゅ