【ジャングル】ハレグゥでエロパロ アフロ2個目【都会】
それにしても、さっきのベルとアシオの会話は聞き捨てならないものがあった。
例のアレ、だとかメインイベントだとか、かなり不穏な空気を感じるぞ。
「ねえベル?」
「はい、何で御座いましょうハレ様」
ベルはオレが呼ぶとすぐさま笑顔を見せ、素早く足音も立てずにオレの隣にやってくる。
プロの動きだ。ってそれは今はどうでもいい。
「あの、何? 今夜のメインイベントって」
「…………」
「ベル?」
「あら、グゥ様も綺麗にお焼きになられて!」
「……へ?」
「普段の儚げな淡雪のような白妙のお肌もお美しゅう御座いましたが、健康的な小麦色もまたよくお似合いで、
素敵ですわ! 今日は新しいグゥ様の魅力をご発見なさって、宜しゅう御座いましたわね、ね! ハレ様!?」
「へ? え? あ、あの、えっと、そうだねえ……」
「ええ、本当によう御座いました。そうそう、私そろそろデザートの準備をしなくてはなりませんわ。
皆様は続けてお食事をお楽しみ下さいませ!! それでは、失礼致します!!」
一方的にまくし立て、ベルまでがこの部屋から逃げるように退散してしまった。それもまたある種、
プロの動きだった。
……一体、なんだってんだ。嫌な予感は益々オレの中で膨れ上がっていく。
「慌しいわねー。みんな疲れてるんだから、そんなにがんばんなくていいのに」
「それが仕事ですもの。ベルにもアシオにも、ウェダのその気持ちは十分、伝わっているわ。ウェダには
いっぱい、元気を貰っているのよ。あの二人も、私も」
「母様……」
いい感じに親子仲良く会話している丁度向かい側にいるはずのロバートは現在、完全にその気配を絶ち、
もはや存在すら忘れ去られている。その妙技もある種、プロのものだった。
「そうそう、グゥちゃんもホントに綺麗に焼けたわね」
いきなりこちらに話が飛んできた。
グゥも無言で目の前の皿から母さんの方に向き直る。
「どうよ、ハレ? いーでしょ。こーゆーグゥちゃんも、たまには」
「な、なんでオレに振るんだよ?」
「だって、ねえ。グゥちゃんはハレのために焼いたのよぉ?」
母さんはニヤニヤと歯を見せて笑い、オレとオレの隣に座るグゥを見比べる。
グゥは少し椅子を引き、慎ましやかにひざの上で手を揃え、何か言いたげにちらりとオレに
目を向けた。
確かに、グゥもベルと同じくらい綺麗な小麦色に焼けている。白いワンピースから見える
褐色の肌にはことさら強調されるまでも無く、とっくにオレの目は釘付けになっている。
これが健康的な色気と言うやつだろうか。……それをグゥから感じる事になろうとは。
胸元が開いてない今の服装では、水着の跡は見えない。ただ胸元から首筋に伸びる二本と、
大きく開いた背中を横断する一本の、細く残った白い線だけは確認できるがその程度だ。
だけど、それだけでも何故か少しきゅんときてしまう単純なオレの心。他の部分も、見せて
貰えるのだろうか。なんて邪な考えに軽く自己嫌悪を覚えるが、しっかり期待してしまっている
自分を偽る事も出来ず。情けないやら、いっそ逞しいやら。
「どう、かな……ハレ」
「……ん、うん。かわいいよ、グゥ」
どこか不安げにこちらを見詰めるグゥに、オレは正直に感想を述べた。
「かっ……それは、感想として正しいのか?」
「え!? や、いや、あれ?」
……しまった、また自爆してしまった。
二人して顔を真っ赤に俯くグゥとオレを前に、母さんは後ろを向いて笑いを堪えている。
おばあちゃんも頬に手を当て微笑ましげにご鑑賞なさっておられる。くそう、見世物の気分だ……。
「ったくもー、まっすぐなんだから。こっちが恥ずいわよ」
こっちも十分恥ずかしいんですがね。茶化すのはもう止めにして頂きたい。
「ご馳走様!! ほら、いくぞグゥ」
これ以上オモチャにされては叶わない。急いで夕食を平らげ、グゥを椅子から引っ張り下ろす。
「あら、デザート来るわよ?」
「いらないよっ」
「ふぅん、一人でグゥちゃん鑑賞会?」
「あーのーねー!! もう、そーゆーんじゃないってのー!」
「ああ、そうだったわね。グゥちゃんだったらなんでもいいんだもんね、ハレは」
「もー!! 知らないよ、もう!!」
「あらら、牛さんになっちゃった」
「ウェダ、いい加減になさい。あまり男女の仲に割り込むものじゃあないわよ」
「いいでしょ、これくらい。息子の恋路は気になるものよ、母としては」
「ウェダだって、クライヴ先生の事はなかなか教えてくれなかったじゃないの」
「な、なんでそこでその話が出てくんのよぉ!」
「私だって、母なのよ? どれだけ心配したか……」
「もう、何よいきなり、もー!!」
「あら、ウェダも牛さんになっちゃったわね」
「もぉ!」
ぷりぷりと頬を膨らませて狼狽する母さんから一瞬、こちらに目を切り、おばあちゃんが
ぱちんとウィンクをくれた。
助けてくれたのだろうか。あまり深く考えている暇も無い。オレはおばあちゃんに小さく
頭を下げ、グゥの手を引きこっそりと部屋から抜け出した。
しかし……ううん、やっぱりおばあちゃんって、よく解らない人だ。
「なあグゥ。おばあちゃんって、ホントはどんな人なんだろ」
「んー?」
廊下を歩きながら、グゥに話しかける。
「最初会った時はさ? 上品で清楚で、お金持ちの奥様ーって感じでさ。それに泣き顔ばっか
見てたせいもあるかもだけど……なんか、今のおばあちゃん見てたらアレは何だったんだって
思えてくんだよなー。イメージ違いすぎって言うかさー」
「ふむ。そうは言うが、ウェダと再会してからの祖母はいつもあんな感じではないか。それ以前の
祖母の姿なぞ、一日二日見た程度だろう?」
「……まあね」
確かに、オレの中のおばあちゃんのイメージが変わりはじめたのは、母さんと仲直りしてからだ。
それ以前の姿なんて、グゥの言うとおり短い間だけしかオレは知らない。でも、あのお淑やかで
どこか寂しげなおばあちゃんの印象がオレの中で大きいせいか、どうにも納得がいかないのだ。
「祖母とてハレとは初対面だったわけだしな。猫を被っていたのではないか? ……グゥのように」
「ああ、なるほどね。最後の一言で思いっきり納得しそうになった自分が哀しいわ……」
母さんといきなり取っ組み合いの喧嘩をはじめたり、夜中に眠れないオレに怪談話を聞かせたり……。
あれが本性なのだとしたら、もしかしたら母さんよりも手強い性格なのかもしれないな……。
「いえ、やはり奥様は随分と変わられましたよ!」
「おわぁっ!?」
突然、にゅっと後ろから現れた黒い影に思わず飛び上がった。
「な、なんですかいきなり……驚かさないで下さいよ」
「驚いたのはこっちじゃ! どっから現れたのさロバート!!」
心臓を押さえ肩で息をするオレを何故か訝しげな目で見詰める男……ロバートは
オレの言葉にますます眉をひそめる。
「あの、ずっと後ろから付いていってたんですが……」
「……いやぁ、全く気付かなかったよ?」
部屋を出る時も出てからも気配を絶ちっぱなしだったのだろう。髪も肌もスーツも黒いせいで余計に
存在感が消えている。
「ロバート、日焼けが治るまではスーツはもっと明るい色にした方がいいと思うよ……」
「は、はぁ……解りました……」
頭をかき、肩を落とすロバート。少し気の毒にも思うが、この姿で物陰に潜まれでもしたら本気で怖い。
ここはお屋敷の平和のためにも本人に努力してもらおう。
「……で、さっきの話の続きだけど、おばあちゃんが何って?」
「ああ、えっと、はい。ウェダ様と再会する以前の奥様は、今のように……何と言うか、明るい姿を
お見せになることは殆どありませんでした」
「やっぱりそうだったんだ……」
「俺たち使用人には努めて平静に振舞っておられましたけど、時折、ふっと哀しげなお顔をお見せになる時が
ありまして。……その原因は、勿論我々も知っていました。でも、こればかりはどうする事も出来ませんから。
ベルさんも、いつも悩まれていましたよ……」
当時を思い出すように、顔を伏せて鼻をすする。オレにはとてもその様子を想像する事は出来ないけれど、
十一年と言う歳月の長さをロバートの表情は十全に物語っているように思えた。
「あんなにお元気な奥様を見るのは、俺ははじめてです。これもきっと、ウェダさんのおかげだと思います」
パッと持ち上げたロバートの顔はまるで憑き物が取れたかのように晴れやかで、まるで自分の事のように
誇らしげで、本当に嬉しそうだった。
『───ウェダにはいっぱい、元気を貰っているのよ』
食堂で聞いた、おばあちゃんの言葉を思い出す。ロバートたちも、皆きっとおばあちゃんと同じ想いで
いるのだろう。
そう言えば、いつか母さんが言っていた。ベルもアシオもロバートも、みんな、家族だって。
臆面も無く、当たり前のようにそんな事が言える母さんだから、みんなも、あのおばあちゃんも素直に
自分を出せるのかもしれないな。
「そうですわ! お嬢様はこのお屋敷の太陽なのです!!!」
「おわぁぁぁッッ!!」
どこから湧いて出たのか、突然現れた人影にまた飛び上がった。このお屋敷の人間はどうしてこう
みな同じような行動を取るのか。
「べ、ベル!? どうしたの、こんなトコで?」
「11年……それはもう長い長い、筆舌に尽くし難い程の風霜で御座いました。奥様はその日々をどのような
想いで耐えておられた事か……」
ベルはオレの声が聞こえていないかのように……実際、聞こえていないのだろうが……ぽろぽろと零れる涙を
スカーフで拭い、ぐすっと鼻をすすった。
「幼き頃の蒲柳のお姿、今もつい先日の事のように思い出せますわ。そのお嬢様があんなにも溌剌とした姿を
お見せになられて……。こんな事を、私などが口に出しすべき言葉ではない事は重々承知致しております。
でも、少し……ほんの少しだけ思う時があるので御座います。お嬢様はこの家をお出でになられて、良かった
のではないかと。この11年間があったからこそ、お嬢様はお変わりになられた。奥様との確執も晴れ、今は
あのように遠慮の無い会話をなされて……。私は、このような時が来る事を何よりも望んでいた気がするので
御座います……ッッ!!」
いよいよ溢れ出す涙を隠すようにスカーフで顔を覆い、目を押さえぐいと拭う。ついでにブフーと鼻をかみ、
流れるように優雅な動きでスカーフを折り畳み当たり前のようにロバートの胸ポケットに仕舞った。
ロバートは文句を言う事も突っ込みを入れるタイミングも見失い、ただその身を凍りつかせていた。
この遠慮の無さは家族の間のそれとはまた別種のような気がするが、あえてオレも突っ込むまい。
「申し訳ありません……少々、取り乱してしまいました」
「いやあ、普段から多々取り乱してるとこ見てるし、気にしてないよ?」
まだグスグスと鼻をすすりながらも、深々と頭を下げる。ようやく落ち着きを取り戻したようだ。
「お嬢様と再会してから、奥様は本当に笑顔がお増えになられました。いいえ、笑顔だけでは御座いません。
あのように感情を露にされる事は、お嬢様がこのお屋敷におられた頃ですら稀だったので御座いますから。
お嬢様と同じように、奥様もお変わりになられておられるのですわ」
改めて、母さんの影響力を思い知らされる。オレにとっては、ただのワガママでだらしないダメ人間としか
思えないのだが、そのワガママでだらしない所を隠さずさらけ出せる所にみんな惹かれていくのかもしれない。
そのワガママに四六時中付き合わされる身としては、あまり喜べないのだが。
「ハレ様のことも、奥様は本当に喜んでおられましたよ」
「え、お、オレ? なんでさ?」
「お嬢様のお腹の子の事も、ずっと奥様はお気になされておられましたから。ですがハレ様のお姿を見て、
本当に安心なさったようで御座いますよ」
……そうか。母さんがこの家を勘当された原因は、オレが出来ちゃったからなんだよな。
オレもその事で随分悩んだけど、おばあちゃんは喜んでくれていたんだ。
「こんなに優しくて可愛らしい男の子に育ってくれているなんて、きっとお屋敷ではこうは育たなかったろう、と
いつも仰っておられますのよ」
「そ、そんな……ちょっと大袈裟だってそれは〜」
顔がみるみる熱くなっていく。面と向かってそんな事を言われると、さすがに恥ずかしすぎる。
「ハレ様を、大事なお友達のみんなに紹介してあげたい。とも、いつも仰っておられますわ」
「と、友達?」
おばあちゃんの友達、って、みんな大人だよな、多分。もしかして、お金持ちにありがちな
社交界とかパーティーとか、そう言うやつだろうか。ちょっと堅苦しそうで、気乗りはしないけど。
「えぇ。奥様はそれはもう、大のお人形好きで御座いまして。特に気に入っておられるのがメリーちゃん……」
「───うぇえええええいやああああああああああああ!!!」
瞬時に、おばあちゃんに聞かされたあの物凄く嫌な話が脳裏を高速で駆け抜ける。
二度と思い出したく無かったのに……今夜も安眠できるか心配になってきた……。
「ど、どうなさいました、ハレ様?」
「い、いえいえいえ、なんでもないですよ……。そ、それよりさ、どうしたのベル? 食堂の方はもういいの?」
げふげふと咳き込みながら、なんとか別の話題を探す。放っておいたらベルからもメリーちゃん絡みの
ヤバイ逸話を聞かされかねない。
「奥様とお嬢様には、他の使用人を当たらせておりますわ。私はお嬢様のお使いで御座います」
「お使い?」
「はい。今夜はちょっとしたイベントが御座いますので、早めに汗をお流しになられますよう、お願い致しますわ。
グゥ様、お嬢様が日焼け跡を早く見たいと仰っておいでですわよ」
言いながら、ベルはにこりとグゥに微笑を向ける。グゥは何故かオレの方をちらりと見てから小さく頷いた。
「私も呼ばれたので御座いますのよ……ああ、お嬢様に私の恥ずかしい日焼け跡をじっくり、たっぷり、
舐り上げるように目で犯されるので御座いますわねーーーー!!!!!!!!!」
お屋敷中に響き渡らんばかりの絶叫と共に、長い廊下の先の先まで槍のように一直線に飛んでいく鼻血。
アレに当たったら冗談抜きで貫通するんじゃないか。いらん想像をして心が冷えた。
「それでは、私も入浴の準備を致しますのでこれで失礼させて頂きますわ。ハレ様、ご入浴がお済みになられましたら
3階の談話室にお越し下さいませ」
それだけを言うと、ベルはしずしずとその場を去った。その姿が廊下の先に消える頃にやっと、
イベントってのは結局何なのか、聞きそびれてしまったことに気が付いた。
「ねえロバート。イベントこと、聞いてる?」
「いえ……すいません、俺もよく知らないんですよ」
申し訳無さそうに頭を垂れるその様子からは、嘘や誤魔化しといった雰囲気は感じられない。
きっと本当に知らないのだろう。海での件もそうだが、ベルやアシオが企んでいる事は何故か
ロバートに伝わっていない事が多い気がする。信用されていないワケじゃあないのだろうが、
ロバートは隠し事が出来ない性格だ。その辺を考慮してロバートには知らせていないのだろう。
「まあ、いいや。ところで談話室って、どこにあるの?」
「はい、それなら解ります。中央の大階段がありますよね。踊り場から二股になっていますが
右の階段を上ってですね、3階のプレートの右手を……」
「ちょ、ごめん、さっぱりわかんないから一緒に行ってくれないかな?」
「あ、はい勿論それは構いませんが……」
ロバートはどこかバツが悪そうに鼻頭をかくと、視線をグゥとオレの間で何度か往復させ
おもむろにオレの傍に寄り、ヒソヒソと耳打ちをしてきた。
「あの、オレ、お邪魔じゃないでしょうか?」
「え、な、なんで?」
つられてオレもひそひそ声で返す。
「いえその、ハレ様、グゥさんと一旦部屋に戻るんですよね? 部屋の前に俺が待機していたら、
落ち着かないのでは、と」
「…………」
どうやらロバートは物凄く下世話な気遣いをしてくれているようだ。いや、ありがたいですけどね。
しかし、もはやどうにもこの問題は言い逃れの出来ない所まで来ているようだ。明日が怖いなあ。
「じゃあさ、ロバートも一緒にお風呂入ろうよ。先にそこで待っててくれたらいいからさ。
上がったら一緒に談話室に行こ」
「……は、はい、俺は全然、それで問題ないです! それでは、早速!」
言うが早いか、ロバートは早足で廊下を駆けて行った。
騒がしい人々がいなくなり、真っ直ぐな廊下を突然静寂が襲う。一人きりだったら、自分の部屋まで
思わず駆け出していたかもしれない。
無言で少し手を横に伸ばす。すぐに、掌がきゅ、と温かな圧迫感に包まれた。
「いこっか」
「ん……」
オレからも手を握り返し、静かに歩き出す。部屋に戻るまでの間、一言も声を漏らす事は無かったけど、
何よりも楽しい会話を交わしているようにオレの心は柔らかい熱を感じていた。
<<8>>
「あー、なんかドッと疲れたなー」
部屋に戻るやいなや、ベッドに備え付けられた大きなソファに持たれかかる。
グゥもオレの隣にちょこんと座り、オレの肩に体重をかけた。
「グゥ───」
何を言う間も与えられず、唇が奪われる。
すぐにパッと離れ、グゥは頬を染めてくすりと笑った。
もう一度、今度はオレからグゥの頬に手を添え、唇を重ねる。
深く密着させず、舌も使わず、唇だけを味わうように優しく吸い付き、離れる。
そうして何度も、グゥと見詰め合いながらキスを交わした───
「───なあ、ハレ」
「……ん」
「そろそろ、風呂に行った方が良いんじゃないか」
「……んー」
グゥの髪を撫でながら曖昧な返事を返す。
今、グゥはオレの股の間にお尻を収め、その背中をオレの胸に預けて座っている。
「もうちょっと、このままでいない?」
「……ウェダが風呂で待ってる」
「ん〜……。もうちょっとだけ……」
グゥの髪に鼻を埋め、頭を揺する。後ろから肩に腕を回し抱き締めるとグゥは一瞬、身体を
弛緩させたがすぐに頭をぐりぐりと捻りオレの顔を押し戻した。
「遅くなればなるほどウェダの想像力に火がつくと思うのだが?」
オレの腕を解き、肩越しに睨みつけてくる。
……確かに、あまり遅れてはまたいらぬ詮索をされてしまいそうだ。
どうせ風呂から上がって、イベントとやらが終わればここに二人で戻ってくるのだ。焦る必要も
時間を惜しむ必要も無いか。
しかし、一つだけ今やっておかなければならない事がある。
「グゥ。水着跡、ちょっとだけ見せて?」
「……ケダモノ」
「違うっての!」
冷やかな目線をオレに送りながら、グゥは自分の胸をガードするように抱いた。
「手触りは違うのかな? 味も見てみよう、とか言ってまたグゥを慰みものにするつもりなんだろう」
「するかッ!! ってか、"また"ってなんだよ、"また"って」
「だいたい、日焼けの跡など別に今見なくてもいいだろ。もうちょっとマシな口実を考えろ」
「……今じゃなきゃ、ダメなんだよ」
「ほう、その心は?」
グゥは腕を組んだまま肩越しにオレを見上げ、次の言を待つ。
ああ、もう。最初の言い方が不味かったか。自業自得ってやつか……。くそう、また恥ずかしい事を
告白せにゃならんのか。
「……母さんに先に見られるの、悔しかったんだよ」
「…………」
「オレが最初に見たかったのッ!」
顔中が熱い。グゥの顔をまともに見る事も出来ず、中空に目を泳がせる。
しばし無言の時が過ぎるが、不意に大きな溜息がその沈黙を遮った。
「ハレは意気地があるのかないのか……」
「……へ?」
「…………なんでもない」
グゥは何度も小さく溜息を付き、ぴょんとソファから降りると落ち着き無くオレの前をうろうろと
うろつく。最後にもう一度大きく息を吐くと目の前でぐっと屈み込みオレに顔を突き出した。
「……一瞬だけだからな」
「…………」
グゥは怒ったような困ったような顔で口を尖らせるとすっくと身体を起こし、ドアの前まで
歩きくるんとこちらに向き直る。
「……ちょっと待ってろ」
そしてそう言うと、グゥは突然後ろ手にスカートを捲り、ごそごそと何かを弄りはじめた。
こちらからはスカートの内部は見えないが、オレはその光景をただ呆然と見守るしかなかった。
「……よし。いいか、一瞬だけだぞ?」
「な、なんだよ……?」
何かの仕度を整え終えたのか、グゥはパンパンとスカートの皺を伸ばすようにお尻をはたくと、
少し前傾姿勢になり足を開く。
そしておもむろに勢い良く上半身を捻り、反動をつけて回転するようにクイッとお尻を前に
突き出した。
「ブ…………ッ!!」
ヒラリと傘を開くように展開するスカートの奥で、純白の膨らみがぷるんと揺れた。
最初は下着かと思った。だけど、褐色の肌とその白い双丘との間には何の段差も無く、
ただくっきりと色の境界線があるのみだった。
先ほどのグゥの怪しい動きはこれだったのだろう、下着はグゥのお尻の谷間に食い込み、
その根元にのみ逆三角形に布地が見えるのみだった。無理に食い込ませているためか、
布地の圧迫で尻肉がむっちりと持ち上がり、より豊満で柔らかそうに盛り上がっていた。
見えたのはほんの一瞬だったが、しっかりと目に焼きついた。小麦色の脚とのコントラスト
にくっきりと映える色白な双丘の、官能的とすら思えるようなふくよかな肉感。
グゥのスカートはとっくに膝元まで降り、更に上からガードするように前も後ろもグゥの
手で押さえられていたが、オレの目の前にはまだ先ほどの光景がそこにあるかのように
チラチラと浮かぶ。
「……満足したか?」
「…………」
「どうした、何か言え」
「………あ……」
「あ?」
「アンコール……」
「……馬鹿」
「アンコール! アンコール!!」
「黙れ!!」
オレの精一杯の掛け声にもグゥは応えてくれず、むしろ益々スカートを守りに入る。
くそう、ああなっては真下から竜巻が発生しても捲れはすまい。
「まったく。すぐ調子に乗りおって。これはサービスだ、サービス。別に、ハレがちゃんと言えば
グゥだってこれくらいの事はしてやっても良いんだからな」
「…………」
言ってから恥ずかしくなったのか、グゥは頬をほんのりと染めてぷい、とそっぽを向いた。
そこまでは、オレも期待してなかったってのに。こいつのやる事はまったく、ホントに……。
「じゃ、グゥは風呂に行くからな」
早口にそれだけを言うとグゥは後ろ手にドアを開け、オレを置いてそそくさと部屋を出て行った。
一人、取り残されたオレの意識と肉体が正常に戻ったのは、それから数分後の事だった。
風呂場に行くと、ロバートが物凄く良い顔で出迎えてくれた。脱衣所の前で随分と長い間
待ってくれていたようだ。「先に入ってくれて良かったのに」と言うオレの言葉にロバートは
ブンブンと首を振った。オレより先に入る事はロバート的に許されないのだそうだ。なんだか、
申し訳無い事をしてしまった。少し、反省する。
さっさと服を脱ぎ、中に入るとロバートも追って入ってきた。腰に巻いたタオルから覗く、
黒と白のコントラストに先ほどの絶景が上書きされそうになり慌てて顔を背ける。
どうやらロバートもアシオも海で本当にトランクス一丁にされたらしく、上半身はもとより
太ももの中ごろから下までもしっかり焼けていた。普通の水着の跡とまるで変わらない。
しかし男の日焼け跡はどこか間が抜けているように思えるのはオレが同性だからだろうか。
身体を洗い、ゆっくり湯船につかりながら部屋でのグゥを思い出す。……途端に、湯船から
上がる事が困難な状態になる。
自分で呼んでおいてなんだが、今ほどロバートが邪魔者に思えた瞬間は無かった。
「いやぁ、いいお湯ですねえ」
「…………ほんとにねえ」
「今日は疲れたでしょう。脚を伸ばした方が楽ですよ?」
「…………いや、オレはいいや」
「男同士なんですから、ほら、お気にならさずに」
「…………いいっつーの……」
最初に待たせてしまった手前、先に出ていてくれとも言えず、その理由を聞かれた際の言い訳も
思い浮かばず、オレは心地良いはずの広い湯船の中でひたすら窮屈な思いに悶々とするのだった。
<<9>>
───これは、あるストーカーの被害に悩まされとった一人の女性の身に起こった出来事です。
仕事の行き帰りに妙な視線を感じる。夜中に窓の外を覗いたら不気味な人影が立ってる。
毎日のように無言電話がかかってくる。
彼女はいつも背筋が凍る思いで過ごしてました。ドアは勿論、家中の窓をいつも閉めっぱなしに
していても不安は募るばかり。
今日も、いつもと同じ時間に電話の無機質な音が部屋に鳴り響いた。
もしもし? もしもし、どなたですか?
何度聞いても相手は無言。返ってくるのは不気味な沈黙だけや。
彼女はもともと気の強い方や無い、どちらかと言えば控えめな子やったけど、ここまでされては
黙ってもおれへん。今回ばかりはさすがに我慢の限界が来た。
「いい加減にしてよこの変態! アンタみたいに誰の心も理解できない人間サイテーだ!いっぱしの
つもりなんだろうけど傍から見ればちゃんちゃらおかしいだけ! なんもなし! 空っぽ! そーゆー
人間はね、結局死ぬまで今に見てろとホントのオレはこんなもんじゃないと、誰も解ってくれないで
誤魔化して! 根拠の無い自信と自己憐憫に溺れ生きていくんだわ! 大迷惑!! ッ死ね!!」
よっぽど腹が立っとったんやろう、彼女は饒舌にそこまで一気に捲くし立てると受話器を叩き付けた。
せやけどな、彼女の心は全く晴れへんかった。受話器を耳から放す瞬間、彼女は聞いてもうたんや。
いつも何を言うても無言やった受話器の向こう側から聞こえてきた、カスレた男の声。
「────死ぬのはお前だ」
彼女は途端に恐ろしくなり、警察に相談した。
幸いな事に、警察も最近はストーカーの被害者対策に力を入れとったから、彼女の相談に
すぐに対応してくれた。
「今度電話がかかってきたときには逆探知を行ってから携帯電話にかけるので、なるべくストーカーとの
電話を切らないようにして下さい」
そう警官に言われた彼女は、百万の味方を手に入れた気分やった。もう怖くない。
むしろ、電話がかかってくるのが楽しみにすら思えた。
そして、その夜も律儀に同じ時間に電話はかかってきた。
……しかし今日はいつもとは様子が違ったんや。
ククククク……ククククク……ククククク……
ストーカーの男はただ電話口で延々と不気味な笑い声を響かせとった。
恐ろしくなった彼女は電話を切ろうと思ったけど、警察が逆探知をしてくれることになっとるから
そうもいかん。我慢して受話器を持って、ただ男の笑い声を聞いてるしかなかった。
そして、ついに彼女の携帯電話が鳴った。警察からや。
彼女は急いで電話を取った。
「逆探知の結果が出ました!今すぐ外へ出てください!」
電話が繋がった途端、警官のテンパった声が聞こえた。
「ど、どう言う事ですか?」
彼女は慌てて聞いた。そやけど警官は、焦れたような声で「とにかく、早く家を出ろ」と
言うばかりや。
何が何だかわからへん。そやけど警官の声にただならぬ雰囲気を感じて彼女は靴も穿かずに
急いで外に飛び出した。
外に出た途端、一台の黒塗りの車が走ってきて自分の前で止まった。そこから二人の私服の男が
出てきて彼女を見てほっとした顔を見せた。その二人は彼女の相談を聞いてくれた警官やったんです。
こうして彼女は無事に保護されました。せやけど、警察署に向かう途中の車の中で聞いた警官の一言に、
彼女は最後の最後で、これ以上ないくらいの戦慄を覚えた。
────犯人は、あなたの家にいたんですよ。
「うぇぇぇええええええええいゃあああああぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」
───談話室に、これで何度目とも知れぬ絶叫が木霊する。
しかし響く声はこの部屋に集まった人間のうちのほんの一握り……って言うか、ぶっちゃけ
オレ一人の声だけだった。
「いやー、坊ちゃんはホンマええ反応見せてくれるわ。話し甲斐があるっちゅうもんやで!」
言いながら、本当に愉快そうにアシオがカラカラと笑う。
……こちとらもう、叫びすぎて喉がカラカラに枯れる寸前なんですけどね。
「いやぁ、夏はやっぱり怪談に限るわ。昼は海で遊んで、夜は怖い話で盛り上がる……これぞ夏の風物詩!」
いや、限らないだろ。スイカ食べながら花火大会とか、普通にほんわか癒し系の夜を楽しんでも
罰は当たるまいよ。
「これで、78本目ね。次は誰?」
「俺、まだまだおもろい話残ってますよ?」
「続けて話すのはダメって決めたでしょう? 私だってまだまだ残ってるわよ」
「あらベル、私もメリーちゃんと体験した不思議なお話がいっぱいあるのよ?」
わいわいと子供のようにはしゃぐ三人をよそにオレは先ほどつい消えた七十八本目の蝋燭のように
燃え尽きる寸前だった。
薄暗い部屋を心許なく照らしている蝋燭の数は残り二十二本。その全てが消えるまで、この悪夢は
覚めることを許さないらしい。
一体、なんでこんな恐ろしい会合に参加してしまったのか。
ベルとアシオの企画した「納涼、百物語 -全ての蝋燭が消えた時、何かが起る-」
……もう既にオレの心中に甚大な何かが起っているのだが、それはともかく。
蒸し暑い夜を少しでも涼しくするため、入念に準備をしてくれたものらしい。確かに、その
気合の入れようはこの部屋に足を踏み入れた瞬間から十二分に伝わってきた。
足下が隠れるほどに厚く立ち込めるスモーク。部屋の中央に置かれた円形テーブルの上には
小さな透明の花瓶のようなものに入った蝋燭が整然と並ぶ。それを取り囲むように置かれた
ソファに円座を組んで座る皆の姿が蝋燭の灯りに下から照らし出され、否応無く不安感を煽られる。
確かに、今オレの身体を襲っている寒気を考えれば企画は大成功と言えるかもしれないが
オレは一言いってやりたい。お前ら、怪談話したいだけちゃうんか、と。
参加メンバーはオレ、グゥ、母さん、おばあちゃん、ベル、アシオ、ロバート、そしてアメ。
母さんとアメは既にソファでぐっすり快眠中。定期的に聞こえる絶叫をものともせずにぐっすり
お休み中だ。オレとグゥは聞き役に徹している。グゥはオレの腕にしがみ付き……いや、逆だ。
オレはグゥの腕にしっかりとしがみ付き、寄り添って座っている。グゥがいなければ、正直オレの
精神は今頃どうなっていたか。考えるだに恐ろしい。
語り部は勿論、都市伝説大好きベル、アシオ、おばあちゃん。……そして。
「ベルさん、アシオさん! 次は俺の番って、さっきクジで決めたじゃないですか!」
……そう、ロバートだ。コイツまでこの手の属性を持っていたとは。ホントに何なんだ
このお屋敷の連中は……。
「あら、あなたはもう話し終わったんじゃなかったかしら?」
「そ、そんな……さっきからそう言って飛ばされてばっかじゃないですか俺!! 俺だって
いっぱいネタ持ってるんですよ? なんたって日本は怪談大国なんですから!!」
オレは二度と日本へは行かない。今決めた。もう絶対決めた。
「しょうがないわねえ。じゃあ次はロバートで……その次はまたクジで決めましょう」
「よっしゃ、残り21本やから……一人あと5話ずつですね」
「もうそれだけなの? 物足りないわねえ」
「メリーちゃん以外のお友達のお話もいっぱいあるのに……残念ねぇ」
四人からあと五話ずつ……考えるだけで眩暈がしてきた。しかしここまで耐えたんだ。
ようやくゴールが見えてきた所じゃないか。諦めるな、オレ!!
……って、なんでそこまでして耐えにゃならんのだ……。何の試練だよ、これは。
「グゥ〜……失神したら部屋まで送ってくれな?」
「んー?」
かすれた鼻声で、グゥに弱々しく声をかける。
グゥは相変わらずのポーカーフェイスで気のない声を返した。こいつは基本的に物事に動じると
言う事を知らない。特に怪談やらの「お話」に関しては鉄壁の耐性を誇っている。オレの耐性が
紙のようにペライせいで余計にそう見えるのかもしれないが……。とにかく、グゥのこの毅然と
した態度がオレの精神を紙一重で繋ぎ止めてくれている要因の一つとなっている事は間違いない。
「なんだ、そんなに怖いのか」
「うう……恥を承知で言うけど、普通に怖いよ……」
「ふむ。少しは和らぐかもしれん方法が一つ、あるが。試してみるか?」
「な、なになに? どんな方法!?」
「ようは、他の事に意識を向ければよいのだろう?」
グゥの言葉にオレは目を輝かせ、藁にもすがる思いでグゥを見る。
グゥは一瞬、ベルたちの方に目をやり、すぐにこちらに向き直ると、
ほんの一瞬、唇を寄せてすぐに離れた。
「……どうだ」
「…………」
ロバートの話はもう始まっているようだった。だけど、キンキンと頭の奥に響く耳鳴りに
かき消され、すぐ傍にいるグゥの声しか聞こえない。
心に蟠っていた不安感も消し飛んだ。ただ、この会合の唯一の成果であった寒気も消え、
身体中がほこほこと火照り出す。でも、その暑さに嫌な感じはしなかった。
「うん。ホントに効果あった」
「ん。それはよかったな」
「……また、効果が切れたらしてくれる?」
「よ、よかろう……」
「もうそろそろ、切れそうな気がするんだけど……」
「……お前と言うやつは……」
一つ口実を見つけたら、もう止まれない。
なおも勝手に盛り上がっている四人の目を盗み、オレは何度もグゥと唇を交わした。
たった二十ちょいの小話を聞くくらいしか時間が残っていないと思うと、ちょっと残念だった。
「────うふふ。これでこのお話はおしまい。ついに、残り1本になっちゃったわね」
「あれ、坊ちゃんそう言えばさっきから、全然怖がってないみたいですやん」
「え? あ、あはは。さすがにこれだけ聞かされたら、慣れるって」
「そうよね、男の子ですものね。それに私の話は、怖い話じゃなくてちょっと不思議な
ファンタジックなお話なんだから。怖がる必要なんて、無いわよね」
「そ、そうですねぇ……ははは」
いや、むしろアンタの話が……ってか、アンタの語り口が一番怖かったよ……。
でも、グゥのおかげで、なんとかここまで耐える事が出来た。最後の一話も軽く聞き流して
終わりだな。ありがとう、グゥ。ありがとう、オレの理性。
「よっしゃ、ついに100本あった蝋燭の火も最後の1本が残されるのみとなったワケやけど、
さぁて次の語り部は誰や?」
誰でもいいから、さっさとやっちゃって下さいよ。
「ふっふっふ。実はそれはもう決まっとる。最初から、決まっとった事なんやで……」
テーブルの上に置かれた最後の蝋燭の前で、アシオがおどろおどろしい声を出す。元々からして
怖い目が蝋燭の火に照らされもはや凶器と呼べるレベルのキモさになっている。
「それは……坊ちゃん、グゥさん、あんたらやでぇ〜〜〜〜!!!!!」
これ以上無いくらいに精一杯演技がかった声を上げ、アシオがオレたちに震える指を突きつける。
怪談話は苦手だが、この手の演出はさすがにオレも素直に怖がってやれる年齢は過ぎてしまった。
逆に、一生懸命なアシオの姿に少し心がホッとする。
「……なんや、ホンマに怖がらんようなってもうたなあ……」
オレの平静ぶりにアシオの熱も少し冷めたのだろう。つまらなそうに口を尖らせた。
「……てかさ、オレ、怖い話なんて全然知らないよ? 最後の語り部って言われてもさあ……」
「いや、それは今語らんでええんです。坊ちゃんは普段どおりにしているだけで、ええんです……」
「……ど、どう言う事だよ……?」
アシオはまだ諦めずに演技を止めようとしない。しかしその不気味な語り口に、少しずつオレの中にも
また不穏な気配が漂いはじめていく。
「一晩で九十九話もの恐ろしい話を聞いた人間は、夜が明けるまでに自分も恐ろしい体験をしてしまうんです。
それが、百話目の話として追加されて、この百物語は完成するんですわ……」
「…………」
ゴクリと、喉が鳴った。
アシオの力技の成果があったか。オレは背筋にゾクリと冷たいものを感じ思わずグゥの手を強く握った。
迷わずに握り返される手の温かい感触に、少し悪寒が和らぐ。しかしそれも、今度ばかりは完全に晴れては
くれなかった。
「この蝋燭は、坊ちゃんが持っといて下さい」
そう言って、蝋燭の入った小さな瓶を手渡された。煌々と揺らめく小さな灯は少し離れた所からでも
ジリジリとその熱を感じる。しかし指から伝わるガラスの硬質な感触は、氷のように冷たかった。
「この蝋燭はいわばセンサーです。怪異が起こる前に、この火がその予兆を知らせてくれるんです」
「…………」
「不自然な揺れ。火が突然燃え上がる。そーゆー変化があれば、すぐそこまで何かが迫ってる証拠です……」
「…………や……」
「この火が前触れなくふっと消えた瞬間……その時こそ、何かが起る瞬間ですから。……気をつけて下さいね……」
「…………いや……」
「あ、これだけは言っときますけど、自分で火、消さんといて下さいね? もしそんな事してもうたら、
今この屋敷に集まってる大量の霊の怒りをかって、何が起こるやわかりませんから…………」
「───いやぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
最後の最後、本日最大級の大絶叫が談話室を震わせる。
それは歓呼の調べか慟哭か。まるでこの会合の成功を祝うかのような最大最後の断末魔が
静まり返ったお屋敷にどこまでも、どこまでも高らかに響き渡るのだった。
<<10>>
「……疲れた……ドッと疲れた……」
部屋に戻るやいなや、ベッドに備え付けられた大きなソファに持たれかかる。
グゥもオレの隣にちょこんと座り、オレの肩に体重をかけた。
「なんか、デジャヴを感じるな」
「……んじゃこの後も、似たような展開になる?」
「お前は……まったく」
呆れ顔で小さく溜息を吐く。しかしすぐに笑顔をくれ、オレの胸元にトン、と額を寄せた。
「……熱い」
胸に顔を付けたまま首を捻り、オレの左手にじっとりとした目を送る。
そこには先ほどアシオに手渡された蝋燭の瓶が律儀にも握られたままだった。
……どうしよう、コレ。
───あの後、オレの最後の叫声と共に、怪談大会は無事幕を閉じた。
パチンと電気が点くとついさっきまで部屋に漂っていた重苦しい空気が一気に晴れた気がした。
時計を見ると、夜中の一時を回ろうとしている所。随分と長い間やっていた気がする。確か、
談話室に入る前に見た時刻が八時ちょっと前。……軽く五時間くらいあの空気の中にいたって事だ。
よく精神が崩壊しなかったものだ。自分を褒めてやりたい。
語り部の四人は皆、凝り固まった身体を解しながら実に晴れ晴れとした笑顔を見せていた。
それでいて、まだ物足りないといった寂しそうな声もちらほら。今度はあんたたちだけで
勝手にやってくれ。
火の消えた蝋燭の瓶や飲み物、お菓子の入っていたトレイなど、テーブルの上は一部を除けば
パーティーの後のような結構な散らかりようだった。後片付けを手伝おうとも思ったが、ベルや
アシオたちにやんわりと断られ、部屋から追い出されてしまう。おばあちゃんも外に出され、
名残惜しそうにオレとグゥにお休みなさいを言うと一人で自分の部屋に帰っていった。
アシオは母さんとアメを部屋に送ろうと背中に背負い、次の瞬間ベルにリアル無限コンボを
食らって昇天した。あれこそが百番目の怖い話として相応しいだろうと思ったのだが、蝋燭の火は
消える気配を見せなかった。あれ以上に恐ろしい事が待っているのかと思うと泣きたくなる。
母さんとアメは、ボロ雑巾のようになったアシオの代わりにベルに背負われて部屋に帰っていった。
ロバートはそんなアシオを背負って医務室に向かったようだ。アシオ、お大事に。
……そうしてオレとグゥは二人でオレの部屋に戻り、今に至る……というわけだ。
その間、ずっとオレの手には蝋燭の灯るガラス瓶が握られていた。そしてそれは今も手の中にある。
さて、これをどうしたものか。アシオの話を信じるわけじゃないが、全く無視するのもなんだか
憚られるものがある。
あれだけ長時間火を灯していたのに、この蝋燭はまだ半分くらいしか減っていない。丁度、瓶の
真ん中あたりでランタンのようにチロチロと淡い灯りが揺らめいている。
さぞ高級なものなのだろう。これなら普通の蝋燭のように蝋が垂れる心配も、倒してしまったり
火が燃え移らないか、なんて事にも気を回さずに済む。
「どうしよう、これ」
「さっさと火を消してそのへんに転がしとけばいいだろ」
「いや、そーゆーワケにもいかないだろ……」
「なんで」
「なんでって……とにかく、どっかその辺に置いとくよ、コレ」
「…………」
ソファから降り、部屋を見渡す。広いわりに殆ど家具の無いこの部屋で置く場所と言えば、
暖炉の上かベッドに備え付けられた小さな机の上くらいだ。オレはベッドに座り、机の上に
置かれたランプを少しずらし蝋燭の瓶を置いた。ここなら、ベッドに横になっても常に
蝋燭の火を確認する事が出来る。
「……随分と大事そうにしおって」
オレの隣に座り、ぱたんと背中を倒しグゥはつまらなそうに呟いた。
少し持ち上がった服の隙間からちらりと小麦色のおへそが見える。
グゥは今、前止めの半袖シャツに長ズボンというパジャマ姿に着替えている。襟は無く、首元は
丸くカットされたシンプルな形。上下共に薄いピンク色で統一されており、袖や裾など末端部分だけ
少し濃い色で太いラインが入っている。第一ボタンまできっちり留めているため、着替える前よりも
ずっと肌の露出が減っているのが少し哀しい。
ちなみにオレは寝巻きもTシャツに短パンだ。……オレって、変わり映えしないなあ……。
「聞いてるのか」
「あだだだッ!!」
言いながら、グゥは寝転がったままオレの耳を引っ張る。そのまま無理やり引き込まれ、
オレはグゥの隣に勢い良く身体を倒した。
「アシオに言われた事、本気にしてるのか?」
「いや、本気って程じゃないけど……でも気になるじゃんか」
「気にするな」
「え、でも……」
「気にするなと言っている」
平坦な声で、命令するようにオレに言葉をぶつけながら、真っ直ぐに見詰めてくるグゥの瞳は
何故か不機嫌そうに見えた。
「そんな事が、そんなに気になるのか?」
「そ、そりゃあ、だって……」
「グゥよりも、気になるのか……」
「…………え……」
一瞬、グゥが何を言っているのか解らなかった。それを理解するよりも早くグゥの口が再度開く。
「もういい。ずっとソレ眺めてろ」
言ったきり、グゥは背中を向けて黙り込んでしまった。何度呼んでも、肩を揺すっても、
グゥは何の反応も示してはくれなかった。
そのうちに、むぅむぅと静かに寝息が聞こえ出す。……この気分屋め、と毒づくも自分に全く
否が無いなどとはとても言い切れない。
時計を見るともう一時をとうに回っている。普段ならとっくに寝ている時間だ。どちらにしろ、
それほどグゥと共に過ごす時間も無かったか。
オレは部屋の電灯を消すともう一度グゥの背中をちらりと見やり、おやすみ、と小さく呟き
グゥの隣に横になった。
……明日、グゥにちゃんと謝ろう。微妙に納得いかないがそれが多分、一番良いんだ。
<<11>>
……眠れない。
カチ、カチと規則的に時を刻む時計の音が煩わしい。
ジワジワと身体にまとわりつく様な熱気は、いくら寝返りを打っても離れてはくれない。
背中や首筋を伝う汗もとにかく不快だ。
今は夜中の何時くらいなのだろうか。
明かりを消し、ベッドにその身を倒してからどれほどの時間が経ったのか解らない。
部屋を淡く照らす常夜灯の光に紛れ、ゆらゆらと揺らめく蝋燭の灯りは寝る前に見た位置よりも
随分と瓶の底に近づいている。
数時間は経過しているようだが、窓の外はまだ真っ暗で、僅かに部屋に差し込む月明かりは
まだ沈む気配を見せていない。
ベッドの後ろの棚に立て掛けてある目覚まし時計を見る動作すら億劫で、身体が言うことを
聞いてくれない。このままでは明日に支障をきたすことは明白だ。
別に明日は何を予定しているワケでもないが、今日はあまりにも色々な事がありすぎて
身も心もへとへとに疲弊しているのだ。
少しでも体力を回復しておきたいと思い目を固く瞑る。……しかし、どうにも身体が火照り
目が冴えてしまう。
都会の夏も確かに熱いが、湿度を考えれば体感気温はずいぶんと涼しい。
ジャングルで生まれ育ったオレにとって、この程度の暑さはむしろ快適と言えるものだったはずだ。
それなのに何故こんなにも、寝苦しいほどに身体が熱を帯びているのか。
……考えられる原因は、一つしかなかった。
自分の隣で寝息を立てる少女を見やる。
オレに背を向け、小さくゆっくりと肩を上下させているその様子から、少女は疑いようも無く
ぐっすりと安眠しているように見えた。
「グゥ……」
ぴたり、とオレの手が少女の首筋に触れる。グゥの身体はひんやりと心地よく、オレの火照った
体から熱を奪い取っていく。
そのまますべすべと肌の上をなぞり、手触りの良い柔らかな感触を楽しんでいるうちに、
オレは身体の熱がある一点に集中していくのを感じていた。
……起きてない、よな。
ぐっとベッドに肘をつき半身を起こす。グゥの顔を覗き見るように自分の顔を近づけ、その横顔に
かかっている髪をそっと指で梳き耳の後ろに回す。
小さな耳。自分のものと何が違うのかも解らないのに、何故こんなに愛らしく感じてしまうのか。
耳の淵をそっと指でなぞると、トクンと、また自分の身体を包む熱の温度が上昇するのを感じた。
吐息のかかるほどに顔を近づけても、グゥはむぅむぅと規則正しい寝息を立て目を覚ます様子は無い。
ぷっくりと丸みを帯びた頬に軽く唇を当ててみる。唇を離す際にチュ、と、わざと少し大きな音を
立てるがグゥに変化は見られない。
耳たぶを優しく唇で噛み、耳の裏に舌を這わせ、軽く口付けをし、首筋にも何度もキスを重ねる。
なおも規則正しく安らかな寝息を立てる少女とは対照的に、オレの鼓動はドクドクと高まりその速度を
上げていく。
たまらず、ギュウ、と己の股間を押さえる。そこはもうズボンの上からでもはっきりと解るほどに膨らみ、
ズキズキと疼きその存在を主張していた。
……グゥ。オレ、もう……。
荒れる呼吸を抑え、コクリと小さく喉を鳴らすと、グゥの肩に置いていた手をゆっくりと
その身体に這わせる。その手は脇を通り、腰を通り、少女の下半身へと滑り降りていく。
やがて服の上からでもその柔らかさが解る、ぷるんと肉厚なヒップへと辿り着いた。
まずは指先でその双丘の周りをくすぐるように周回し、その手触りを確認する。下着のラインを示す
段差はあるが、その生地は薄い。柔らかく張りのある感触が十分に指に伝わってくる。
少し力を込めただけで、くむくむとどこまでも指が埋もれ不定形物のようにその形を歪ませて行く。
指に込めた力を抜くと、プルンとすぐに元の形に戻る。
身体を横に倒しているせいか、ベッドに圧迫された側の尻肉はモチモチとより一層の張りがあり、
また違った感触をその手に伝える。尻肉の谷間に埋めた指を戻した際も、スカートの生地がその肉に
挟まったままにまりムッチリとその形を浮き上がらせていた。
ゾクリと、何かが背筋を通るような快感を覚える。オレは我を忘れてその身体をただ夢中で貪り続けた。
「ん……ふ…」
「────ッッ!!」
突然、耳に届く吐息。その少女の反応に、オレは瞬時に我に返りビクンと身体を引きつらせた。
慌ててグゥの身体を弄んでいた手を離し、目を瞑りたぬき寝入りを決め込む。
「…………」
しばらく凍りついたように硬直し、そのまま時の過ぎるに任せるが少女からはそれ以上の反応は
見られなかった。
何やってんだよ、オレ…これじゃ、まるっきり変態じゃないか……。
はぁ、と小さく溜め息を吐く。
いつの間にか動悸は幾分穏やかになり、身体の熱も引き始めていた。
もう、このまま寝てしまおう。そう思い心を落ち着けるが…どうしても一箇所、熱の引いてくれない
箇所がオレの心を悩ませる。
きゅう、と股に力を込める。自らの太股で強く圧迫するが、それは益々にジンジンと疼きを増していく。
トイレで、済まそう……。
身体を起こし、最後にグゥの寝顔を確認しようと覗き込む。
「うん……ん」
その時、小さな呻き声と同時に、グゥはゴロンと寝返りを打ち身体をこちらに向けた。
ただそれだけの事に、オレの心は大きく高鳴った。普段なら気にも止めないような小さな事に
今のオレは気付いてしまった。気付いてしまったばっかりに、トクン、トクンと、治まりつつ
あった鼓動がまた速度を上げていく。
グゥの胸元。ボタンとボタンの間に開いた小さな穴。寝返りを打った際に服がベッドに挟まれ
巻き込まれたのだろう。そこはくっぱりとひし形に隙間を開け、その向こうに真っ白なグゥの肌が
少しだけ覗いていた。
まだオレが見ていない部分の、日焼け跡。海での行為や、風呂に入る前に見たグゥの可愛いお尻が
フラッシュバックのように頭を過ぎる。
喉に溜まっていた唾を静かに飲み込み、オレはもう一度身体をベッドに倒しその胸元に顔を近づけた。
ちらりとグゥの顔を見上げる。先ほどと変わらず寝息を立て、ぐっすりと眠っているように見える。
オレはまた目の前のグゥの服に開いた穴に目を戻すと、ゆっくりとその隙間に人差し指を挿し入れた。
くにゅ、と指に心地よい弾力が伝わる。じっとりと汗ばんでいるのはグゥかオレの指先か。
少し指を浮かせ、また押し付ける。それを繰り返しながら、指を段々と隙間の奥に侵入させていく。
指が服の影に隠れる度に、指先に受ける感触は柔らかさを増していく。それに比例するように、オレの
鼓動も跳ね上がっていく。
そのまま指全体が根元まで隠れた時、指先に違う感触が触れた。屈伸するように指を曲げると
こりこりとした固い突起が柔らかい肉に埋まる。中指も奥まで挿し入れ、二本の指で摘みきゅ、と捻ると
グゥは身体を一瞬、ぶるっと震わせた。いよいよ心臓の音が身体全体を揺する程に昂ぶっていく。
もう気付かれても良い。そんな開き直りも手伝い、オレの指先はその動きに激しさを増していく。
突起を摘んだまま、親指をも服の中に侵入させ、反対の乳首に押し当てる。両方の突起を指の腹で撫で上げ、
くにゅくにゅと円を描くように揉み込む。
自らの股にあてがわれた指はズボンを盛り上げる膨らみの形を浮き上がらせるようにギュ、と強く握り、
その痛いほどに腫れ上がった己の分身全体を指で揉みこねるように動かしながら手のひらで擦り上げる。
もはや荒れる息や時折う、く、と漏れる呻き声もそのままに、オレは夢中で自らの身体を慰めていた。
「グゥ……グゥ…ッ」
グゥの寝顔を見上げる。その名を呼ぶと、益々その少女に対する想いがキュンキュンと昂ぶっていく。
しつこく弄り続けた乳首はピンと大きく勃ち、その固い膨らみが服の上からでも確認できる
くらいになっていた。
オレは服の上からその突起に舌を這わせ、チロチロと舐め上げる。たっぷりと涎を付けて何度も
舌を擦り付けているうちに、うっすらと透けた布地に乳首がピタリと張り付き、その形や色が浮かび
上がっていく。
ゴシ、ゴシと厚手の生地を擦る音が耳に響く。オレはいよいよ股間に押し当てた手の動きを
早める。その動きに合わせ、ハッハッと荒い息を吐き出すオレの唇が、少女のしっとりと濡れた
突起へと吸い寄せられる。
そうして少し舌を出したその口が、グゥの乳首に吸い付いた瞬間……
「────んぅ?」
不意に首に何かが巻きつき、グゥの胸にぎゅっと顔を押し付けられた。慌てて飛び退こうと
するが、今の体勢で頭を押さえられていては力が入らない。
まさか、グゥが起きたのか。ついさっき気付かれてもいいと思ったばかりなのに、実際に
その状況に直面すると頭から血の気が引いていく。
グゥの顔を見たくても、頭を上げる事も出来ない。なんとか振りほどこうと頭をぐりぐりと
動かすがオレを押さえつける力は益々強まっていく。
「慌てるな……落ち着け」
穏やかな吐息が頭にかかる。やっぱり、いつの間にかこの少女は目を覚ましていたらしい。
興奮の熱が引いていくにつれ、重い罪悪感が心にズシリと圧し掛かる。
……しかし、その声からは何故か、オレを咎めるような色は微塵も感じられなかった。
「それと、あまり激しく動くな。そこはグゥも敏感なんだぞ」
オレの頭にかかっていた力が緩み、何かが髪をさらりと撫でつける。顔を上げると、
グゥの優しげな微笑がオレを迎えてくれた。
「あ、あの、ごめん、オレ、その……」
いまだ状況を完全に把握し切れてはいなかったが、とにかく何か弁解せねばとしどろもどろに
口が動く。そんなオレの様子にグゥはくすりと笑い、額にちゅ、と唇を合わせまたオレを強く
抱き締めた。
「謝らなくてもいい。別に、ハレの夜這いなぞ今日がはじめてでは無いしな」
「ぅぇえッ!?」
首筋を冷たい汗が流れ落ちる。もしかして、これまでの行為も気付かれていたのか。
いや、夜這いなんて大それたものじゃあないつもりだったのだが。
この少女とは毎晩、並んで寝ているのだ。その無防備な寝姿にこれまで何の劣情も催さなかったと
言えば嘘になる。寝惚けたふりをして、寝返りを打ったふりをしてその身体に軽く触れた事は何度も
ある。だけど、次の瞬間には果てしない後悔と自己嫌悪に苛まれそれ以上は何も出来なかったのだ。
「ごめん、グゥ……で、でも、ここまでしたのはこれがはじめてだから……」
「…………」
「……だから……」
グゥの沈黙に、言葉が遮られる。どう言い訳をしても、自分のやった事は最低だ。
本当に、これほど大胆な行動を取った事はこれまでに一度も無い。しかし、程度の差はあれ
無抵抗な状態のグゥを好きに弄んでいた事に変わりは無いのかもしれない。
「グゥ……」
もう一度、声をかけようと口を開いた瞬間、グゥはオレの頭をぎゅうと強烈に抱き締めてきた。
グゥの胸元に頬が埋まり、その鼓動が耳に直接伝わってくる。
「ホントに、してたのか。……夜這い」
「ぐはっ……!」
しまった……またも、盛大な自爆をかましてしまったのか。
「いやそのっ、違っ!」
「違うのか?」
「……違、わない、けど……ごめん……」
何を言ってももう遅い。まんまと誘導尋問にハマってしまったオレに今出来る事と言えば、
ただひたすら謝罪の言葉を綴るくらいのものだ。
「もう、馬鹿だな、お前ってヤツは。……ホントに、もう……ッ」
グゥは両腕でオレを抱え、これ以上ないくらいに力を込めてオレをその胸に押し付ける。
そのせいか心臓の音は先ほどよりもずっと高く鳴り響き、その速度も増しているように思えた。
「ぐ、グゥ?」
「いいから、謝らなくていいから……」
グゥは押し殺すように細切れの声でそれだけを言うと口を紡ぎ、ただオレを抱き締める。
時折ふるふると身体を震わせ、足下からパタパタとシーツを叩くような音が聞こえる。
そうしてしばらくすると、はぁぁ、と大きな溜息と共にその身体から力が抜けていった。
「もっと、早く気付いていればよかったな……」
腕を離し、ずりずりとオレの目線まで滑り降りてくる。久々に真正面から見た
その表情はどこか残念そうに、寂しげな微笑を浮かべていた。
「……今日は、気付いたんだよね。どの辺から起きてたのさ?」
「む? 最初から寝てなどいなかったが?」
「ぐふっ……!」
……グゥは、就寝時も目はばっちりと開いているので寝ているのかどうかの判別が付き辛い。
それでもオレは長年の経験でだいたい見分けがつくようになってはいたのだが、たぬき寝入り
までを含められてしまうともはや判別は誰にも不可能だ。
「じゃ、じゃあ何でオレの好きにさせてたの……?」
「ふむ……。どのタイミングで声をかけたら一番ダメージが大きいか見計らっていたのだが」
「……へぇ、なるほどねぇ……」
こんな時でもこの少女はそんな事を冷静に計算していたらしい。何とも末恐ろしい……と言うか、
今現在既に十分恐ろしい。こうやってオレは今後もこの小悪魔に手玉に取られ続けるのだろうか。
「しかしな。その……あんまりにも、ハレが夢中だったから、邪魔するのも悪いと思えてな……。
……落ち着くまで、愛でていようと思っていたのだが……」
胸の前で両手を揃え、気恥ずかしそうに目を泳がせながらグゥは途切れ途切れに言葉を重ねる。
「結局、グゥの方が最後まで持たなかった。まさかハレがあそこまでするとは思っていなかったからな……」
「……ごめん……」
「だから、謝るなと言うに。……まだ、最後までしていないのだろう? その、グゥは別に、構わんのだが……」
オレを真っ直ぐに見据えたまま、グゥは自らの胸元、パジャマのボタンとボタンの隙間に指を
引っ掛け、小さく開く。
「こんな所から指を入れたのか。まったく、よく思いつくもんだな」
「……すんません」
「それに、パジャマが涎でベトベトだぞ。よっぽど夢中だったのだな?」
「……すんません」
うう、冷静に思い返してみれば、オレと言うやつはどれだけ必死だったのやら。
惨めというか哀れと言うか……人としてかなり情けない。
「……もう少し頭を使っていれば、服を汚さずに済んだかも知れんと言うのに」
そう言って小さく微笑むとグゥは少し腰を浮かせ、ボタンの隙間に入れた指をぐっと引っ張り、
服をずらしていく。強引にずらされた隙間が腋の下あたりまで到達した時、その穴からぷるんと
小さな突起が零れ出た。
「────ッッ!」
……ドクンと、心臓が飛び跳ねる。
半そでのシャツに長ズボン。普段よりもずっと露出の少ない格好をしているのに、ボタンだって
きっちりと全て留められているのに。その小さな隙間から、女の子が最も隠さなくてはならない
部分の一つ、艶やかな桃色の突起だけがてらいなく晒されている。
「ほら、こうすれば……直接、出来るだろ……」
胸を張り、ずり、ずりと少しずつオレの顔に胸元を寄せる。
オレはその様子に身動き一つ取れず、ただ目を皿のようにして見守る事しか出来なかった。
「……ンッ」
そうしてすぐ眼前まで迫ってきた突起が鼻の先に僅かにかすり、ぷるっと揺れた瞬間……
プツンと、頭の中で何かが切れた音が聞こえた。
「わぅっ? ハ、ハレ!?」
オレは弾かれたようにグゥに飛びつき、圧し掛かる。ベッドに背中を倒したグゥの腰をまたぎ、
その小さな隙間からツンと見える突起に唇を寄せた。
「おっ、落ち着……ふぁぁッ!」
隙間に指を掛け、限界まで穴を広げその中に舌を挿し入れる。ぷくんと桃色に膨らんだ乳輪と、
その中心で固くしこった乳首を、舌全体を使って大きく舐め上げる。
突起の周囲の膨らみは乳房よりもなお柔らかく、舌を這わせると乳首が一瞬その中にくぷ、と
埋まり、すぐに舌の動きに引かれて戻ってくる。
そのまま先端部分にちゅぷ、と吸い付き、啄ばむようにちゅうちゅうと音を立てて吸い上げながら、
口内ではただ夢中でペロペロと、何度も何度もグゥの乳房に唾液を擦り付ける。舌の上に伝わる全ての
感触が、オレを興奮させた。
「……ふふ、赤ん坊みたいだな」
グゥはオレの頭を優しく撫で付け、吐息交じりにそう呟いた。
その手が少しずつ、スムーズに身体を滑り降りていく。
「ここは、しっかり男の子なのにな」
「───うぁっ!?」
グゥの手はあっと言う間にするりとズボンの中に侵入し、オレの分身を直接、きゅ、と握り込んだ。
ビクンと腰が跳ねるが、その拍子にぬるりと指先に先端を摩擦され身体の力が一気に抜ける。
「随分と濡れているな……」
「ふっ、うんん……、んむぅぅ……っ」
既に十全に先走りの汁が溢れていた先端部分を、ちゅくちゅくと音を立てて擦り上げられる。
その遠慮の無い無骨な動きに包皮が捲られ、腫れ上がった肉傘に指の段差がコツコツとぶつかる度に
自分の意思に関係なく肩や爪先がぴくんぴくんと跳ね上がる。
それでもオレの口はグゥから離れず、思わず嬌声を吐き出してしまう時にも下唇や舌は
グゥの桃色の肌に這わせたままだった。
「いやらしい事を考えるとこうなるのか?」
分身の先端から分泌される粘液を塗り込むように撫で付けながら、ボソボソと耳元で囁く。
オレは乳首に吸い付いたまま上目遣いでグゥを見やり、ただコクコクと頷いた。
「ふむ……つまりグゥの事を考えるとこうなると」
「…………」
ニヤニヤと口端を歪め、ぎゅっと強く分身を絞り込み、オレに返答を促す。……このドS。
オレは顔を真っ赤にして強く頷いた。グゥも満足げにふむふむ、と頷き返し目を細めて微笑む。
「正直者にはご褒美をやらねばな……」
熱を帯びた瞳がゆらりと波を打つ。
グゥの手がオレの分身から離れたと思うと、グゥはもう片方の手もズボンの中に侵入させ
トランクスごとするりと膝元まで下ろした。
オレは何の抵抗も出来ず、ただグゥの所作に身を任せる。もう、羞恥心なんてどこにも
残ってはいなかった。長く焦らされ続けたオレの分身はもはや限界まで張り詰め、その解放を
待ち詫びているのだ。
窮屈な場所から解き放たれ、外気に晒された粘膜部分は空気の流れすらも敏感に感じ取り、
ピクンと跳ねる。粘液に塗れた表面はスースーと涼しいが、内部に蟠った熱は上昇する一方だった。
グゥはそのまま両手を自らの腰に当て、身をよじりながらスルスルとズボンを下ろしていく。
パンツは残しているのか、と一瞬思ったが、違う。そこに残っていたのは真っ白な水着の跡だけ
だった。勿論、オレの目には水着の跡だけじゃなくもっと大変なものも映り込んでいたのだが、
すぐに顔を上げた。今そこを凝視してしまったら、視覚刺激だけでオレの分身は簡単に爆発して
しまうだろう。
……ってか、何でいきなりグゥまで脱いでるんだ、おい。
「グ、グゥ……オレ、そこまでするつもりは……」
「馬鹿。何を勘違いしてる」
ブンブンと首を横に振るオレに、グゥは呆れ顔を返す。
「そのまま出されたらパジャマが汚れるだろう」
「……あ、そ……」
……どうやら、オレの早とちりだったようだ。
確かに、このままじゃグゥのパジャマもズボンも、オレの熱情の迸りにベッタリと汚されて
しまう事だろう。自宅ならともかく、それを洗濯するのはこのお屋敷のメイドさんたちなのだ。
そのまま手渡すわけには当然いかない。かといってこっそり洗面台などで洗うにしても、その
様を誰かに見られたらおしまいだ。例えばソレを見たのがメイドさんだった場合、彼女はまず
こう言うだろう。私どもにお任せ下さい、と。そして屈託の無い笑顔で言うのだ。ご安心下さい、
ご他言は致しません。……想像するだに恐ろしい。
「……まあグゥとしては、ハレが獣のように襲い掛かってきたとしても、別にいいのだが」
「グゥ……。その気持ちはすごく嬉しいけど、別にいいとか投げやりな言い方されるとちょっとショックだよ?」
「ハレが父親の二の舞になっても、グゥは本望だぞ。……これでいいか?」
「うん、絶対に暴走しないよ。誓うよ。命に代えてもグゥの貞操は守るよ」
まだ、オレの中の防波堤は完全には崩れていなかったらしい。今さらながらも決意を新たに
する事が出来た。ありがとう、保険医。オレは絶対、お前みたいにはならないからね。
グゥは足首まで降ろしたズボンをぺいっと蹴るように放ると、シャツのボタンにも手をかける。
一つ一つ、プチプチと淀みなく外していき、はだけたシャツの襟元に手をかけ左右に開く。
するりと袖から腕を抜き、上体を少し浮かせるとグゥはパジャマを背中から引っこ抜き
ズボン同様にベッドの脇に放る。これで、グゥの身を包んでいたものは全て無くなった。
小麦色に焼けた肌。そのほんの一部、胸元の二つの三角形とそれを結ぶ線、そして首筋に
伸びる二本の線のみが本来の肌の色を残し、その透けるような白さや緩やかな丘の頂点に
色づく桃色の艶やかさがより際立って見える。綺麗、と言うより単純に、エッチだと思った。
目の前に今、生まれたままの姿のグゥがいる。そう思うだけで、簡単に先ほどの決意が
揺らぎそうになってしまう。主の気も知らず、びくんびくんと嬉しそうに跳ねる自分の分身が
いっそ可愛らしい。
「おい、ホントに大丈夫か……流石に身の危険を感じるぞ、グゥも」
「……うう……だ、大丈夫だよ……ちゃんと、理性はあるから」
「ふむ……これはさっさと発散させてやらねばどうなるか解らんな」
「大丈夫だって……ふぁ!? ンッ……やぁ……ぅんぅぅッ!」
不意に、グゥの指先がつつ、と竿をくすぐるように滑った。そのまま裏筋から雛先までを
指の腹で何度も擦り上げられる。突然の刺激に腕の力が抜け、オレはグゥの胸元にその身を
トスンと倒した。
頬の全体を包む柔らかで張りのある感触と、その中に一点だけあるポチっと小さな固い感触。
顔を少し持ち上げる。すぐ目の前にぷるんと飛び出た可愛い突起に迷い無く吸い付くと、オレの
分身を包む圧迫感が一瞬、きゅっと強くなるのが解った。
オレは乳肉に唇を埋もれさせたまま、舌で乳房全体を舐め上げ、ぢゅるる、とわざと音を立てて
吸い立てる。そしながらもう片方の乳房もぐにゅぐにゅと柔肉全体を掌で押し包むように揉み込み、
乳首を人差し指と中指の谷間でしごき上げる。
徐々に吸い付く箇所を敏感な突起のみに絞っていき、強く吸引したままちゅぽっと引き抜く。
水着の跡をなぞるように反対側の乳房まで舌を這わせ、そちら側の乳首にも吸い付き、舌先で
ほじくるように突起を責める。
先ほどまで吸い付かれていた乳首は固く勃起し、指先で簡単に摘める程の大きさになっていた。
また唾液でとろとろに滑り、先端部分を摘み上げきゅ、きゅと強く捻ってもぬるりと指が表面を
滑っていく。逆に乳房の中に埋め込むように揉み潰し、先端を指の腹でチュルチュルと唾液を
塗り付けるように摩擦すると、グゥはそれが気に入ったのか絶え間なく漏らしていた嬌声を
一際強め、吐息交じりの甘くくぐもった声を上げる。
それに合わせるように、オレの分身への刺激も強くなっていく。
指で作った輪でカリ首をきゅ、と絞り込み、開いた傘の裏をなぞるように摩擦する。赤く腫れた
粘膜部分を掌で包み込み、すりすりと先端を磨くように撫で付ける。
オレからもカクカクと腰を振り、更に強い刺激を得ようとグゥの手に分身をこすり付けた。
グゥの手で作られた筒に向かって、まるでグゥ自身を犯しているように抽送を繰り返す。そんな
倒錯的な興奮も混ぜ合わさり、脳から直接分身の先端に向かって甘い痺れが流れ込んで行く。
……いよいよ限界が近い。オレは更に腰の動きを早くし、くちゅくちゅと音を立てて
その柔らかい手に粘液を擦り付け続けた。
グゥの胸元と、オレの下半身。二箇所から聞こえていた粘着質な水音にいつの間にかもう一つ、
ちゅくちゅくとテンポの速い、リズミカルな音が増えていた。ちらりと横目でその音のする方向……
グゥの下半身へと目を忍ばせる。
よく見ると、グゥの左手がその部分へ真っ直ぐに伸びていることに気がついた。オレのものを
弄りながら、自分の秘所をも慰めていたのだ。
「う……ぁ……」
急激に身体の熱が高まっていく。
オレはその指の動きに完全に心を奪われ、グゥの胸を責めるのも忘れ魅入ってしまう。
もはや、何もしなくてもグゥのその姿を見ているだけで達してしまうだろう。それでも
腰だけは動きを止めず、分身に物理的な刺激も与え続ける。
「も、もう……グゥ、…出る、よぉ……ッ」
身体中の熱が一気に分身の先端へと昇り詰める。このまま絶頂を迎えるべく、オレは更に強く
腰を振りつける。
……が、次の瞬間、オレの腰はグゥの手によってぴたりと止まった。
「ちょっと、待て……もうちょっと…だけ……」
「ぐ、グゥ……?」
言いながら、グゥはオレの分身を絞り込むように握り締めてくる。その強烈な圧迫感に、
オレは腰を引く事も押す事も出来なくなっていた。
しかしその手の中で、オレのものは絶え間なくビクビクと脈動を続けている。この圧迫すらも
今のオレには快感としか伝わらない。もう、とっくに限界は来ているのだ。
「ふ、っく……ホントに、んっ、もうちょっと、だから……一緒に……」
「グゥ……」
静まり返った部屋の中で、グゥの左手だけが忙しなく動く。
その指先が激しく自らの秘所をまさぐる度に、ヌチュヌチュと粘液をこねる音が耳に届く。
ぷっくりと盛り上がったほっぺを手のひらで覆い、全体を揉みこねながら、中心にあるスリットを
指でなぞるように擦り上げる。人差し指と薬指で柔肉を押し広げ、中指の腹でちゅくちゅく粘膜をこする。
そうしながら、掌はスリットの上部を強く圧迫し、何かをこねくるように円を描いていた。
「んっ、ク、うン、ふっ、んん……ッ」
身体を小刻みに震わせ、甘い声を漏らす。細切れに吐き出していた息が段々とそのテンポを上げていく。
その様を眺めるオレの息も徐々に上がり、無意識に腰が動く。早く、オレもこの熱を放出したい。
「グゥ、グゥ……」
うわ言のように少女の名を呼びながら、ぐっ、ぐっ、と強く腰を押し付けるが、急所を抑えられ
びくとも出来ない。それでも構わず、オレは何度も腰を振り続けた。尿意にも似たもどかしい
感覚に、下半身が麻痺したように痺れる。お預けを食らった犬のように、オレはただグゥのお許しが
出るまで腰をもじるしかなかった。
「い、いいぞ……も、もう、グゥも……ッ」
「───ッくあ!?」
不意に、分身に強烈な刺激が加わった。分身を包み込んでいた圧迫感が僅かに緩んだかと思うと、
グゥはその手に捻りを加えながら強くしごき上げたのだ。
オレは腰を振る勢いそのままに、その中に向かって自ら分身を強く突き込む。
「ハレ……ハレ……ッッ」
「……グ、ゥ……、ぅんんッッ!!」
そうして二、三度の前後運動にも耐えられず、限界まで張り詰めた膨らみはあっという間に
グゥの手の中で盛大に破裂した。
「…っく…ふン……ンッ……ん…はぁ……」
かくん、かくんと何度も大きく痙攣する。その脈動に合わせ、分身からはドプン、ドプンと
大量の精液が溢れ出し、その身体をドロドロに汚した。その度にオレは小さく嬌声を上げ、
グゥの胸元に唾液の糸を引かせる。
「ひン……ふっ……ぅ…」
白濁した粘液を身体で受け止めながら、グゥもくぐもった声を漏らす。
視点の定まらない虚ろな目でオレを見詰め、全身をふるふると震わせていた。
もしかして、ホントにグゥも一緒に……?
そう思うと、目の前の少女がより愛おしく思え、今すぐにでも抱きつきたい衝動にかられる。
そんな主人の気持ちなぞそ知らぬ顔で、焦らされ続けたオレの分身はその開放の喜びを全身で
味わっていた。どれだけ溜まっていたのか、いまだ小さく脈動を続けている。
「は…あ……ぁ…」
射精感が完全に止むまでの間、オレはグゥの胸元に唇を這わせたまま弛緩した身体を預け、
余韻に浸っていた。
すみません、一旦、休憩って事で
……残り計算するとギリギリのとこで500kを超えてしまいそうですorz
次スレ立ててそっちで投下続けてしていいものかどうか……。
>>245 うほああああああ
ものっそい柔っこそうや……これはあかんでえ……
俺がハレならこの時点で理性ないわw
いっぱいになったらスレ立てちゃえばいいじゃない!
続きを……
このままでもしょうがないので
次のキリのいいところまで進みます。
スレ立て…だれかお願いしますorz
↓から投下します。
<<12>>
「スッキリ、したか」
さらさらと頭を撫で付けながら、グゥはオレの額に小さくキスを落とす。オレはただ無言で
小さく頷き、グゥに頬をすり寄せた。
心地よい疲労感と眠気が身体を包む。このまままどろみの中に沈み込めたらどれだけ幸せだろうか。
だけど、まだ後始末が残っている。グゥの身体にべったりと付いたオレの欲望の跡をどうにかしないと
いけないし、それに一つ、どうしても確認せねばならない事がある。
「グゥ……。グゥは、どうなの?」
「む……?」
オレの言葉にグゥは訝しげな目を向ける。
「グゥもちゃんと、その、いけたの、かな」
「…………」
グゥはますます眉間にしわを寄せ、口を一文字に引くとぷい、とそっぽを向く。そして小さな、
消え入りそうな程に小さな声で「うん」とだけ囁いた。
「……グゥ〜〜〜ッ」
先ほど引いたばかりの熱とは別の、温かい感情がきゅんきゅんと胸を疼かせる。
オレは居ても立ってもいられず、この高揚感を全てぶつけるようにその身を強く
抱き締めた。
「好きだよ、グゥ……だいすき……」
首筋に唇を這わせながら、キスの合間に言葉を重ねる。グゥも無言でオレの肩に頬を寄せ、
そっとオレの腰に触れるが、その手はふるふると小さく震えまるで力が入っていないようだった。
「ぐ、グゥ? 大丈夫?」
そのあまりの力なさに少し不安になり、慌ててグゥを離す。グゥはぐったりとベッドに
四肢を投げ出したまま顔だけをカクンとこちらに向けていた。
「……どうやら、腰が抜けてしまったみたいだ」
「え? ……何で……」
「それと、そのせいで今、グゥは物凄く切迫した状況にあるのだが」
言いながら、グゥはぶるっと大きく身体を震わせ何かに耐えるように手を握ったり開いたりさせる。
足先も忙しなくシーツの上を泳ぎ、ぴったりと閉じた脚をもじらせていた。
……まさか。
…………まさかまさか……。
「トッ、トイレまで我慢できる!?」
「無理」
即答だった。そして、その答えは残酷にもオレの予想を真っ向から肯定するものだった。
「じゃ、じゃあじゃあ、えっと……」
おろおろと部屋を見渡す。ただでさえ物の無い部屋の中を常夜灯の灯りの元で、
この状況を解決する何かを探す。正直、不可能に思えた。
しかし一つだけ、この薄暗い部屋の中でもなおハッキリとその存在を主張し、
しかもある意味で確実に現状を打破しうる可能性を持つものが目に留まる。
他にももっと良い方法はあったかもしれない。だけど、この一刻を争う状況において
オレにはそれ以上に迅速に用意できる手段があるとは思えなかった。
オレは勢いベッドを降り、その脇に備え付けられた机の上から小さなガラスの瓶を手に取った。
「こ、これにして!」
「…………」
ぐっと突き出した小瓶の中から漏れる淡い灯りにグゥの顔が照らし出される。
心底から呆れたと言わんばかりにぽかんと口を開けた表情。が、次の瞬間には
侮蔑と憤怒に塗れたしかめっ面に変わった。
「何のプレイだそれは……変態ドエロガッパ」
「違うわ!! 他になんか良い方法あんのかよっ」
「…………」
オレの言葉にグゥは口に弓を引き、しばし考えるようにそっぽを向くが、もう一度ぶるっと
身体を大きく震わせた途端、サァっと顔が青ざめた。
「……それで、いい」
目を細め、溜息混じりにそう呟く。本当に切迫した状態なのだろう。
その代わり、とグゥは常夜灯を消すようにオレに頼んだ。日に二度もグゥのシモの事に
悩まされるとは。オレはともかく、本人にはショックな事だろう。
真っ暗な部屋を、窓から差し込む月明かりとオレの手元にある蝋燭の灯りだけがぼんやりと照らす。
蝋燭はもう殆ど無くなり、火も瓶の底の方でちらついているだけだったが、数分くらいは持ってくれそうだ。
暗闇に薄らと浮かぶ影の輪郭だけを頼りにベッドに上り、グゥの元へ戻る。
「グゥ、これで良…………」
小さな円形の光の先にグゥの足が見えたと思った瞬間、更にその先にあるものも同時に照らし
出され思わず息を飲んだ。
脚をよじり、腰を震わせ、いよいよ切羽詰った様子で身悶えするグゥの下半身だけがおぼろげに
浮かび上がる。
一時的に引いていた熱がまたトクンと下半身に集まって行く。が、今はそんな場合じゃない。
オレはぶんぶんと頭を振って煩悩を払い、グゥの傍へ寄った。
「……それも消して」
薄暗がりの向こうから、か細いグゥの声。
「でも、これが無いと何も見え……」
「消して」
冷ややかな声で、そう繰り返す。
グゥから見れば、オレの姿と自分の腰から下だけが闇に浮かんでいるのだ。これから行う事を
考えても、その羞恥は耐えられる種類のものじゃあ無いだろう事はオレにも解る。
オレはもう一度グゥの姿を確認し、フッと蝋燭に息を吹きかけた。
「……あれ?」
「どうした、早く消せ」
「いや、その……フッ! ……あれぇ?」
何度息を吹いても、火は揺らめくばかりで消えてくれない。真上から鋭く吹いても、
瓶をゆすっても、ひっくり返しても頑固に灯ったままだった。
ほとんど消えかけのような状態だってのに、これだから高級品は。
「なにやってんだ、馬鹿!」
「で、でもこれ、全然消えなくて……」
「そーゆーときは蓋を……ああッ! んんンッ、も、ういい……お願い、それ、早くぅ……」
グゥはその身を一際悶えさせたかと思うと脚の力をスッと抜いた。そしてオレを招き入れるように
おずおずと開いていく。
「…………ッッ」
思わず、何事か呻いてしまいそうになり口を押さえる。今はいらない事を考えている場合じゃない。
オレは口元を手で覆ったまま、小さく深呼吸をしその開かれた脚の付け根に蝋燭の小瓶を寄せた。
赤い光に煌々と照らされる、むっちりと肉厚のほっぺ。その中心を縦に割る一本のスリットの
上端にはぷっくりと膨らんだ豆粒大の突起が見える。海でそこを触ったとき、そんな感触に触れた
覚えは無いのだが。……なんて事はどうでもいい。
口元の次はドクドクと爆発しそうなくらいに跳ねる心臓をぎゅっと押さえ、はぁぁ、と息を吐き出す。
ただ真ん中に線が一本入っているだけなのに、何故こんなにも胸が高鳴るのか。
脚の付け根から先やお腹は日焼けしているためほとんど闇に融け、パンツの跡にくっきりと象られた
グゥの女の子の部分だけが淡い光を反射している。そこは既に漏らしてしまったのかと思えるくらいに
ぐっしょりと濡れ、お尻を通りシーツにも染みを作っていた。
「……熱くない?」
「…………っくぅ…大、丈夫……」
低くくぐもった声の中に引きつるような嗚咽が混じる。自分が今どう言う状態で
何を見られているのか解っているのだろう。グゥの為にも速やかに済ませなくては。
オレはもう一度深呼吸し、両手で瓶を持ちグゥの秘所へ柔らかくあてがう。
「ここで、いいのかな」
「……いい。もう、なんでもいい……ッッ」
途切れ途切れに言葉を吐き出し、ふっ、と最後に息を飲む音が聞こえた瞬間、プシャッと
黄色い液体が瓶の中に飛び出した。
ちょろろろ、とコップに水を注ぐような音がガラス瓶の中に響く。中の火はジュッと音を
立ててつい消え、代わりに黄金色の水がみるみるうちに瓶を満たしていく。その出所をオレは
じっと見詰め、溢れ出さないように瓶の位置を微調整しながら放水が止まる時を待った。
盛大に噴出していた水のアーチもやがて細り、勢いを失い、最後に何度かぴゅっと飛沫を
飛ばすとグゥの身体はくったりと弛緩し、持ち上げていた膝も緩やかにシーツを滑り降りていく。
……同時に、ぐす、ぐすと鼻をすする音が聞こえる事に気が付いた。
「グゥ……」
「…………」
返事は無い。ただ時折、低い呻き声が聞こえるだけだ。今は、そっとしておいた方が
良いのかもしれない。とりあえず、先にこの瓶の中身をどうにかしないと。
かなり溜まっていたようだが瓶から溢れる程では無かったようで、窓の明かりに透ける
液体の影は瓶の中ごろより少し高いくらいの位置で揺らめいていた。
瓶が傾かないように慎重にベッドから降り、月明かりを頼りに窓の前まで静かに移動する。
一瞬、躊躇したが、勢い窓を開け瓶の中身を撒きすぐに閉めた。
窓の外は緑の庭が広がっているだけだ。さすがにこの時間には誰もいないだろうし、
まあ、草木の栄養にもなるだろう。問題無い、問題無い。
オレは瓶を机に置き、そっとベッドの淵に腰を下ろしグゥが泣き止むのを待った。
「電気、点けて」
……やがて、グゥの震える声が耳に届く。
常夜灯を点け、ベッドに戻る。グゥは両腕で顔を伏せ、力なく肢体を横たわらせていた。
「グゥ、大丈夫?」
「……ハレのせーだ」
「へ……?」
グゥの隣に座り、声をかけるとグゥは腕の隙間からオレをギロリと睨みつけてきた。
「ハレのせいでグゥの腰が立たなくなったんだからな」
「あっ! そ、そうだよ! 何でイキナリそんな事になったんだよ?」
「……だから、ハレのせいだ。ハレが早漏なのが悪い」
「ンなッ!?」
突然の理不尽すぎる畳み込み。男のプライドを傷つける言葉がグサリと心に突き刺さる。
だけどその言葉の真意を読み取るにつけ、オレはその傷の痛みに構っている余裕が消えていく。
「……あのさ、ひょっとして……。一緒にイこうとして、無理させちゃったのかな……」
「…………」
オレの問いに、沈黙で返す。
だがその沈黙は、どんな言葉よりも雄弁に肯定の意思を示していた。
「グゥ……グゥ……っ! 全く、おまえってさぁ……ッ」
「ッハレ……苦しいぞ……」
自分でも気付かないうちに、オレはまだくったりと横たわるその身体を力いっぱい抱き締めていた。
普段はそんな健気さとは無縁の少女が、こんな時ばかりはどうしようもなく愛おしくなる。
オレのせいで、とはさすがに男として認めるわけにはいかないが、グゥがオレを想って取った
行動の結果である事に変わりは無い。そのせいで、恥ずかしい思いもさせてしまった。
精一杯労わってあげなくては。
今、オレがグゥにしてやれる事と言えば。さしあたって汚れた身体を綺麗にしてやる事だろうか。
「グゥ。身体、拭いた方が良いよね」
「ケダモノ」
「だから、違うっての!! グゥ、まだ身体動かないだろ? 安心してよ、グゥが嫌がる事はしないよ」
「……ケダモノ」
「あのなぁー。どーやったら信用してくれるんですかね?」
「……とりあえず、その元気なものをなんとかしろ」
「へ? ……あっ!」
グゥの目線がじっとりとオレの股間に伸びる。
言われて思い出した。そう言えば、オレの下半身は丸裸だったのだ。それも、先ほどから
完全に血が通い張り詰めた状態を維持し続けている。慌てて隠すがいったん灯った熱は
しばらく収まらない。そのまま股間から手が離せなくなってしまう。
「だ、大丈夫、ただの生理現象だから……」
「……ま、よかろう。確かに、このままだと気持ち悪いからな。やるなら早くしてくれ」
くったりとベッドに背中を預けたグゥの四肢が、シーツの上をしなやかに泳ぐ。
またズキンと疼きはじめた堪え性の無さ過ぎる自分の分身が情けない。
しかしもう、これは仕方の無い事だと諦めるしかない。実際、この少女が目の前にいる以上
静かに収まっている時の方が少ないのだ。
部屋を散策し、拭く物を探す。タオルやティッシュはすぐ見つかったが、やはり濡らした方が
良いだろうか。洗面所まで走るのも手だが、人の目を考えると怖い。他に何か無いかとタンスや
小物入れなどを漁っていると……ようやく良い物が見つかった。
ウェットティッシュ。小さな陶器の四角いケースに入っていたので一見でそれと気付けなかったが
ケースの中身は間違いなく市販のウェットティッシュそのものだった。
───よし、あとはこれでグゥの身体を拭いてやるだけだ。
陶器のケースを手に、ベッドに戻る。
そう、あとはグゥの身体を拭いてやるだけ。グゥが許してくれれば、服もオレが着せてあげよう。
それでおしまいだ。そうだ、決してやましい気持ちでこんなことするワケじゃない。紳士だ、紳士に
徹するんだぞ、と固く心に誓いグゥに向かう。
「よし、それじゃあ拭くぞ、グゥ───」
しかし一糸纏わぬ姿でベッドに横たわる少女を確認した刹那、視界がくらりと、軽く歪む。
これは何度見ても、慣れるものじゃない。
いかんいかん、心頭滅却心頭滅却……。スーハーと大きく深呼吸し、いざ少女の身体を開く。
まずはオレが汚してしまった場所からだ。もう随分と乾いていたが、その跡はくっきりと
残っている。おへその周りから胸元まで、付着した粘液の跡を綺麗に拭き取る。
次いで、粗相の方の後始末にかかる。今思えば綺麗に瓶の中に収められたものだと少し自分に
感心するがそれは置いといて。やはり多少は零れてしまっているだろう。太股の内側から
お尻の辺りまでを優しく、丹念に拭く。両足の付け根までは早々に拭き終わり、いよいよ
少女の秘所へと踏み入る。
いくら優しくしても、ごしごしと拭いたら痛いだろうか。自分の敏感な粘膜部分にそうされたらと
思うと、血が下がる。
そう考え、軽くポンポンと叩くようにウェットティッシュを押し付ける。
「ひっ…う……」
それでもティッシュが秘所に当たる度に、グゥはくぐもった声をあげビクビクと身体を震えさせる。
それはただ敏感な部分であるというだけではなく、何かに耐えているような印象を受ける。
「グゥ、もしかしてどっか痛いのか?」
グゥの態度に少し不安になり、オレはティッシュを退けグゥの秘所を晒した。あまり正常な精神で
観察出来るような場所では無いが、なんとか理性的に目を送る。
一番目に付くのは、スリットの上端に見える突起だ。そこはまるで腫れ上がったように隆起し、
赤く膨らんでいた。
ティッシュをそっとその部位に当てると、グゥはビクンと腰を大きく跳ねさせた。やはり、ここが
患部なのだろう。オレと同時に達するために、強く弄りすぎてしまったのかもしれない。
剥けた包皮の先端部分にツルンと見えるそれはジンジンと痛々しげにその存在を主張している。
オレを想って、こんなにしちゃったのか。……チクリと、心が痛む。
ウェットティッシュなんかじゃ、刺激が強すぎるんだ。もっと柔らかくて、水分を含んだ何かで
優しく撫でてあげないと……。
「ヒッ────!?」
突然、グゥの身体がビクンと跳ね上がった。
オレの口内粘膜が少女の小さな蕾に触れた瞬間と、少女のその反応は、どちらが早かっただろうか。
「ハ、ハレ……な、……何を……っ」
───誓って言うが、今この瞬間のオレの心にはやましい気持ちは微塵も無かった。
それがたとえ傍からどう見えようとも、目の前の少女の、腫れ上がった患部をどうにか
癒したいという純粋な気持ちから来た行動なのだと言う事をご理解頂きたい。
「ハレ、駄目だ……、もういいから……やめ……」
にちゅ、にちゅと粘液の擦りあう音が響く。
オレの舌が、優しく柔らかに少女の急所を何度も撫で上げる。たっぷりと唾液を含み、
根元から先端まで、ゆっくりと穏やかな摩擦を繰り返す。
「んぁっ、く、はぁ……そこ…だめぇ……ッッ」
グゥは必死で身をよじるが、それはティッシュで触れた時のように痛みから来る反応とは
違うように思えた。きっと、羞恥心から来るものなのだろう。
女の子にとって最も恥ずかしい部分にキスをされているのだ。恥ずかしがって当然だろう。
でも、ここの腫れが引くまではオレも止めるわけにはいかない。
「らめら……も……らめ………」
虚ろな声で、何度も抗議を訴える。それが、力なくベッドに身を預ける少女に出来る唯一の
抵抗であるかのように。
だけどオレはそれを聞き入れず、ただ少女の身体のたった一箇所をのみ見据え、愛撫を繰り返す。
「あ……ふぁ……ッ、あっ、あぅ……」
不意に、カクンカクンと反射運動のように足が跳ねた。息を細切れに吐き出し、ベッドに
投げ出した両手はシーツを固く握り締める。
ティッシュで丁寧に拭いたはずの秘所からは、またトロトロと粘液が滴りはじめていた。
いつか、本で読んだ事がある。これがいわゆる、女の子の気持ち良いサインってやつだろうか。
……感じてくれているんだ。それで少しでも痛みが和らいでいるのなら、もっと続けないと。
「は、きゅっ……! も、もう、お願ッ……ふや、やぁぁんッ……」
こんなに小さいのに、ここは相当に敏感なのだろう。皮に包まれた上からだとそれ程でもないが、
その中に覗く赤く腫れた膨らみに触れた時の反応の多きさは乳房にある突起の比ではない。舌先で
少し蕾をなぞるだけで、グゥは身体を引きつらせ大きな嬌声を上げる。
ここは、オレの分身の先端と同じようなものなのかもしれない。それなら、ちゃんと皮を剥いて
中身を撫でてあげないと。
莢に収まったままの秘蕾を唇で包皮ごとくにくにと揉みこね、舌を使い根元まで皮を剥き下ろす。
ぴょこんと露出した突起全体に舌を這わせ、じっくりと擦り上げる。スリットから流れ落ちる愛液を
掬い取り、ぬちぬちと敏感な突起に塗り込めるように粘膜刺激を繰り返す。
「ふっ……く、はぁっ、あっ……ッッ」
また、カクッカクッと足先が跳ね上がる。
これで何度目かも知れないが、そのサイクルは段々と短くなっているようだった。
ぴったりと閉じていたラヴィアも完全に弛緩し、くぱ、とその口を開けている。
その中心にある小さな穴からは絶え間無く愛液が滴り落ち、シーツには水溜りが出来ていた。
「なんれ、なんれそこばっかり……そこ、されうと、やぁなのに……やぁ、はれぇ……」
完全にろれつの回らなくなった声で必死に哀願するが、その願いを聞く事はまだ出来ない。
そこは何故か、オレが責める前以上にぷっくりと膨れ上がり、小指の先程の大きさに腫れていた。
どうすれば良くなるんだろう。このまま続けても大丈夫なのか、少し不安になる。
「あう……は、ふぅ……ん……」
あれから更に何度目かの痙攣を見せた時、グゥの様子が変わった。
プルプルと、全身を小刻みに震えさせ、憚る事なく甘い嬌声を吐き出す。
「す……ごい……、もっと、はれぇ……」
その身体はもはや抵抗する意思を無くし、ただ与えられる快楽を素直に受け止めようと
しているようだった。
本当に、感じてくれているんだ。痛みはもう引いているのかもしれない。……だったら。
グゥの顔をちらりと見上げ、オレも愛撫に変化を付ける。
これまではただ舌で舐め擦るだけだった突起を、きゅ、と唇で柔らかく啄ばみ、舌は突起の根元、
剥き下ろされた包皮の裏をくりゅくりゅとほじくる。そのまま、突起全体を引き出すように
ちゅっ、ちゅっと吸い立てる。
「ふぁぁぁッ!! そ、そこっ、おっぱいみたいにするのやぁ……ッ」
弛緩した身体に力を入れ、グゥはガバッと頭だけを持ち上げてオレの方を向いた。
オレもグゥを見詰め返し、目線を合わせたまま愛撫の動きを激しくさせる。
グゥをいかせてあげたい。グゥの反応を見ながら、気持ち良いやり方を一つ一つ厳選していく。
小さな突起を包み込んだ唇をゆっくり先端まで持ち上げ、根元まで一気に吸い付く。
そうして吸い上げたままちゅぽっと引き抜き、また強く吸い立てる。その度にグゥの恥丘に
叩きつけられた唇が、パチュ、パチュと粘着質な音を立てる。
「うそ、うそっ……おかしいっ、これ……グゥ、へんになるぅぅ……ッッ」
シーツを破れそうな程に握り締め、突っ張るように腕を真っ直ぐに伸ばす。足にも力を込め、
膝を立てて踏ん張るように左右に開く。
その表情は完全にとろけ、締まりの無くなった口からはダラダラと涎を垂れ流していた。
「ひ……きゅ……ッッ! くる……すごいの……クル……ッ」
完全に包皮を剥き下ろされた無防備な粘膜突起を根元から吸い上げ、強く圧迫する。
そこに舌でチロチロと、柔らかく根元をほじりながら全体をヌチヌチと舐め上げる。
その裏側に甘く歯を当て、少しずつ先端部分へと掻きこすっていく。
オレは思いつく限りの方法で、グゥの敏感な粘膜突起に快楽刺激を与え続けた。
「らにっ らに゛されて……ッ、しらなひ……こんなのっ、しらな゛い゛ぃぃッッ」
ビクンビクンと身体を大きく弓なりに跳ね上げ、足をバタバタともがかせる。その痙攣にあわせ、
呻くように声を漏らす。
気付けば、ビクビクと全身を震わせつつもその脚はオレの首に絡み付き、両手は自らの乳首へと
伸びていた。
「あーーーー!! あーーーー!! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
身体を動かせない代わり、とばかりに、グゥは全力で叫声を張り上げる。
必死で身をよじるグゥの腰をがっしりと掴み、更に股間に顔を密着させ最後の瞬間までオレは
愛撫を続けた。
「いっ……くぅ……ッッ」
真っ赤に腫れた敏感な突起に這わせた歯が先端部分に到達し、ちゅぷっと強く音を立てその唇から
解放された瞬間、ヒュウと、グゥは喉の奥から声にならない声を吐き出した。
「くぁっ……あ、あぅぅンンンンンンンンン……ッッ!!」
がに股で下半身だけブリッジをするような体勢で、腰をガクンガクンと振り上げる。
その度に秘所から透明な液体が勢い良く噴出し、飛沫が降りかかる。
これが女の子の絶頂、なのだろうか。男と違って、どうなればそうと取れるのか
イマイチ良く解らないが、きっと達してくれたのだろう。
オレはようやくその秘所から顔を離し、静かにグゥをベッドに横たわらせた。
「あ゛…かは……ぁ…ひ……ぐ……」
グゥは大きな痙攣が治まった後もその身体を小刻みに震わせ、ぐったりとベッドに四肢を投げ出し
細切れにくぐもった呻き声を上げていた。
「グゥ……」
そっと傍に寄り、涙や唾液で汚れた顔を優しく拭う。
だけど何度拭っても、虚ろな眼差しでオレを見上げるその瞳からはぽろぽろと止め処なく雫が
零れ落ち、頬を細く伝っていく。
「大、丈夫……?」
涙をせき止めるように、頬に手を添える。グゥは憔悴し切った顔に笑みを含ませ、オレの手に
自らの手を重ね目を瞑った。
「この……ケダモノめ……。何が、嫌がる事は、しない……だ……」
乱れた呼吸を整えるように細く息を吐きながら、ぽつりぽつりと言葉を重ねる。
その強気な声に、心が安らいでいくのが解る。オレ、グゥのこう言う所に助けられてばっかりだ。
「ごめん、最初はホントにそんなつもり、無かったんだよ」
「まったく、よくよくのエロガッパよの……困ったヤツだ」
そう言って、グゥはくすりと微笑ってくれた。
でも、ただグゥの身体を拭くだけって約束だったのに。本人の同意も無しに、あそこまで
弄んでしまったのだ。何か償いをしなくては、自分で自分を許す事が出来ない。
「グゥの大事な所、あんなにしちゃって……ホントにごめん。やっぱり、嫌だったよね……」
「……馬鹿ハレ。嫌じゃないから、困ってるんだ」
「え……?」
グゥは拗ねたように唇を尖らせ、じっとりとした目でオレを睨む。
「あんなにされて……もう、グゥは……戻れないかもしれん……」
「え、え? も、戻れないって……」
「……自分でも、わからないんだ……」
うつろな声でそう呟きながら、グゥはオレの手を両手で握り指先に舌を這わせた。
「ぐ、グゥ!?」
「んむ……ちゅ、ん、ふぁ……ハレぇ……」
指の谷間をぴちゃぴちゃと舐め、掌にも大きく舌を這わせ、手の形をなぞるように
唾液を塗り付ける。一本ずつ指を口に含み、舌を絡めちゅうちゅうと吸い付く。
口内粘液でドロドロになった手を首筋にすり寄せ、そのまま胸元まで唾液の跡を残しながら
ヌルヌルと滑らせ、その乳房にオレの手を押し付け無理やりくにゅくにゅと揉みこねさせる。
「な、なにしてんだよ、グゥ……ッ」
「ハレ……グゥは今、多分、ちょっとおかしくなってると思う。でも、この気持ちを抑える事が
どうしても出来ないんだ……」
オレの手に掴まるようにして上体を起こし、グゥは潤んだ瞳をこちらに向ける。
そしてすがるように腕にしがみ付き、その唇をオレの口に強く押し付けた。
「……ん、ぷぁっ、ちょ、ちょっと待ってよ!」
慌ててグゥを引き剥がし、後ずさる。頼むから、状況を整理させてくれ。
グゥがおかしいって? ああ、確かにおかしい。なんだか、今まさに発情してますって感じだ。
その表情からも物腰からも、芬々と強烈なフェロモンを発散させている。
その桃色の空気に当てられまい、と気を張るも既に下半身はとっくにそっちの世界の住人に
なってしまっている。この上で理性まで溶かされては自分がどうなるか解らない。
「一旦、落ち着こう、グゥ。どうしたのさ、急に」
「どうもこうもあるか……ハレのせいなんだからな……」
グゥは正座の姿勢でオレの正面にすり寄り、オレの両手をきゅ、っと握る。
「ここが熱くて……どうしようもない……」
そしてその手をそっと自らの下腹部にあてた。
「ハレ。最後まで、して」
「──────ッッ」
真っ直ぐに、あまりにもストレートにぶつけられたその言葉に、混乱していた頭がさらに
揺さぶられる。
いやいやいやいや、待て待て待て待て。流されるな、オレ。こーゆー状況が一番危険なのだ。
ここで流されたら後々間違いなく後悔するって事は解っているはずだぞ。
下半身からの声はシャットアウトしろ。性欲に負けるな。気合だ気合ッ!!
「そ、そんなのダメだよ! まだ、早いよ……っ」
「ここまでしておいて……今さら何を言う」
「う……で、でもさ、ほら。その、オレ、そーゆーの持ってないし……そのまましちゃうと不味いだろ」
「……孕まなければ良いのだろう?」
「だから、その保障が無いだろぉ……」
「ハレが出さなければいいだけだ」
「難しい事言うなよ……そんなに制御できねえっての。それに、ホントにそれで大丈夫なの?」
「さぁ? 本にはそんな感じで書いてたぞ」
「うう……」
確かに、学校の授業で聞いた限りでは、中に出さなければ大丈夫的な感じだったけれども。
レジィの言う事だ。ぶっちゃけあまりあてになる気がしない。あの時もらった本、ちゃんと
読んでおけば良かった。
更にそっち系の本職である保険医ですら、母さんのお腹にアメがいるって解った時にあれほど
狼狽していたのだ。ますますあてにならん。不確定要素が多すぎる。
「やっぱりやめよ、グゥ。グゥだって今はちょっと興奮してるだけだよ。これからも
ずっと一緒にいるんだからさ。焦る事、無いと思う」
「ハレ……」
きゅっと手を握り返し、一言一言、はっきりと気持ちが伝わるように言葉を重ねる。
グゥはオレの言葉に眉を顰め、口を引き絞り今にも泣きそうな表情を浮かべると
その顔を隠すように俯き、小さく肩を震わせた。
「グゥも、解ってる。ハレの言う事は、多分正しい。でも……ハレ、今じゃなきゃダメなんだ。
ハレを今、いっぱい感じたいんだ。もう、抑えきれない……グゥはハレの事……ハレのこと……ッッ」
顔を伏せたまま、引き絞るように声を出す。
肺の中の空気を全て言葉に乗せて吐き出しているかのように、その声は徐々に重く、か細くなっていく。
そしてその声が完全に消え入った瞬間、グゥはぐっと顔を持ち上げ、清廉な眼差しでオレを真っ直ぐに捉えた。
「……ハレ……お願い、グゥを奪って……」
静かな、その少女の口からはこれまでに聞いた事の無い程に、穏やかな声。しかし、その声から
伝わる溢れ出さんばかりの感情はそれこそこれまでに感じた事の無い程に濃密で、純粋だった。
沸点を完全に振り切った爆発的な感情の発露。それは言霊に乗り、光の矢となって一直線にオレの
胸を貫いた。
「グゥ、ホントに……」
言いかけて、飲み込んだ。これ以上の言葉は語る意味を持たない。
グゥは、その思いの丈の全てをオレにぶつけてくれたんだ。後は、オレがどうするか、だ。
……そうなればもう、答えは一つしかない。オレはグゥと手を握り合ったまま、そっとその唇に
唇を重ねた。
下半身からの声も、性欲の奔流も感じない。代わりにオレを突き動かしているのは、心の疼き。
一つの感情が、胸をいっぱいに満たしていく。
───グゥが好き。それだけの感情。ただそれだけの気持ちで、オレはグゥの想いに応えようと思った。
うぐぐぐこ、ここまで……
ギリギリすぐる……申し訳ない……orz
ktkr!
次スレサンクスです
これは萌えすぎるwwwww
埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞー埋めるぞ
これは埋めれるのか?
今486K?
486KB梅
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埋め埋め埋めう・・・・・・・・・・・・
かゆい うめ
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上の改造Ver.