【涼宮ハルヒ】谷川流 the 43章【学校を出よう!】

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726名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 21:40:48 ID:5GNXWmkl
前略

次スレの候、皆様いかがお過ごしでしょうか。

以下ry
727名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:23:28 ID:3K+TBnm4
そういやリンク張って批評してもらうって人はマダー?
728名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:40:10 ID:a32/h8U5
あと…34Kか。微妙だな。
729名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:58:02 ID:C0tlxbqI
上から降ってくる物体にも負けず
上から降ってくる物体にも負けず
上から降ってくる物体にも
上から降ってくる物体にも負けぬ
上から降ってくる物体を持ち
上から降ってくる物体はなく
決して上から降らず
いつも上から降ってくる物体
一日に上から降ってくる物体と上から降ってくる物体と
少しの上から降ってくる物体を淹れ
上から降ってくる物体を知らされずに
よく上から降ってき
そして上から降り
上から降ってくる日なたの
上から降ってくる物体に居て
上から降ってくる物体があれば
行って右に打ち返してやり
上から降ってくる物体があれば
行って右に打ち返してやり
上から降ってくる物体があれば
行って左に打ち返してやり
上から降ってくる物体があれば
行って右に打ち返してやり
右に打ち返した時は上から物体が降り
左に打ち返した時は上から物体が降り
皆に上から降ってくる物体と呼ばれ
呼ばれ
呼ばされ
そういう一般人に俺はなりたい
730名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:59:35 ID:44ImF3Kv
何このムーディー的な文
731名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 23:00:16 ID:5C6qWcNT
>>729
ゲームウォッチのヘルメット思い出した。
732名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 00:11:04 ID:U2yQnDJj
ワロタwww
みやざわけんじだね
733名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 00:47:21 ID:5ppjD7vv
次スレはいいのかね
734名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 01:21:52 ID:AKpcQzDH
ムーディ
735名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 01:30:42 ID:Qw2RJ4gA
「どうしましょう。切りが良い所で481KBになったら立てるというのは」
 全然切りがよくねえ。
「おや、そうですか? 至ってポピュラーな13進数を選んでみたんですが」
 さらに意味がわからねえ。まあいい、その辺りになったら頼むぞ。
「わかりました。あ、そうだ。その時はあなたもご一緒にどうですか?」
 二人で立てたら重複するだろうが。
「ではあなたには谷川スレの方をお願いします」
 俺かよ。ってお前はどうするんだ。
「もちろん立てますよ」
 話を聞けよ少年エスパー。重複だって言ってるだろ。
「大丈夫です。僕が立てるのは谷川氏自身へのエロスレでしから」
 作者へのエロかよ!? 谷川さんを凌辱するなよ!
「無理な相談ですね。……あなたにも判っているはずです。これもまた」
 ハルヒが望んだってか?
「いえ、賀東氏が」
 何でだよ!? フルメタ新作でも書かせとけよ!
「ですからやる気を出させる為にも谷×賀スレを」
 賀東が受けなのかよ!? あぁもういい。次スレも谷川さんもお前に任せた。適当な時期に立てとけよ。


【古泉イツキ】キョン受 the 44章【一樹としよう!】(513)


「何処行きやがったあの野郎! 絶対ひっ捕まえてアイツの人生スペクタクルにしてやる!」
736名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 02:03:41 ID:WsvaVVDZ
このスレも随分カオスになったなw
737名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 11:26:37 ID:ckkZ7AoV
次スレもう立てるか? ちょっと早いような気もするが、立てるなら立てるぞ。
738名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 11:47:01 ID:pWMaur69
>>737
「やっちまえ!」
739名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 11:54:50 ID:21JdiEIs
>>737
480KBになってからでいいでしょう。
740名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:11:11 ID:07yYVNZY
せっかく小ネタを暖めていたのに!
どっかいっちまったorz
741名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:56:13 ID:ckkZ7AoV
いや、やっぱ>>739が言うとおり、480kまで待つよ。
742名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 14:16:58 ID:Yyjv3oxj
長編投下中とか投下待ち状態でなければ次スレは490超えてからでも充分なんだけどな
743ブロント様パロ:2007/03/23(金) 18:22:07 ID:JynYwkYR
俺はキョンなんだが古泉が残念な事に赤い玉に変態したので
「お前それで良いのか?」と言うと
「なるほど、そういうことですか」と言われた。
古泉がハルヒの熟練者なのだがおれはいつも勝つから古泉が気の毒になったので聞いただけなんだが
むかついたので「お前オセロでボコるわ・・」と
言って開始直後に力を溜めて盤上に駒を置いたら多分リアルでビビったんだろうな、
駒を裏返してたからキャンセルしてカカッっとダッシュしながら結局同じとこに駒置いたらかなり青ざめてた
おれは一気に空中にとんだんだけど古泉が硬直してておれの動きを見失ったのか
動いてなかったから長門の本を投げて駒を裏返そうしたら長門が怒ってさらにダメージは加速した。
わざと距離をとり「俺はこのまま帰宅してもいいんだが?」というとようやく必死な顔してなんか手のはしっこから赤い玉出してきた。
おれは長門の本で回避、これは一歩間違えると長門に怒られてで大ダメージを受ける隠し技なので後ろで朝比奈さんが拍手し出した。
俺は「うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り」というと朝比奈さんは黙った
古泉は必死にやってくるが、時既に時間切れ、長門の本で固めた俺にスキはなかった
たまに来る長門の本では防げない攻撃もキックで撃退、終わる頃にはズタズタにされたニヤケ顔の雑魚がいた。
「いつでも帰宅することはできた、あの時赤い玉だそうとしたときにも実は帰宅出来た、」とかいった
そしたら「いや今のハメですよ?機関じゃ今のノーカンですから」とかいったので俺がヒト睨みするとまた俺から視線を外した、
2戦目は長門の本を投げるのをを先読みしてたみたいでいきなりバックステッポで回避された
「ほう、経験が生きたな」
と少し誉めるとマッガーレてくれると言う約束をしたので空中から盤上に駒を置き一気にかけより
閉鎖空間と長門の本の二択を迫り5回くらい閉鎖空間を発生させたら死を感じたのか
赤い玉に変態しようとしたので近づいて長門の本をお見舞いしてやった、
絶望でダウンしているところに閉鎖空間発生のメールが荒川さんからきた。
「今のがハルヒでなくて良かったな、ハルヒだったらお前はもう死んでるぞ」
というと想像して圧倒されたのか動きが鈍くなったので荒川さんで動きをコントロールし
さらに時間までコントロールしていることにも気付かせずに帰宅の準備をした。
そしたら「またですか(笑)」とか負けたくせに言いワケ言ってたから
「限られたルールの中で勝利条件を満たしただけ」といったら顔真っ赤にして3戦目はけっこう攻撃的だったけど
挑発に軽々と乗ってくる馬鹿には確実な死が待っていた。
閉鎖空間の恐怖が完全に摺り込まれている為思うように近づけないでいるようで
空中来たらキックでけん制し飛び込んできたら長門の本でいつの間にか赤い玉に変態していたから
「ハルヒ呼んじゃうよ」と言うと古泉は必死に説得してきたから
狙い通り3コールくらいで電話を切ると予想通り青ざめてオセロしてたから長門の本で強打したのち閉鎖空間でトドメ。
あとは帰宅時間まで粘った。
長門の本は固く、隙を見せなかった。
古泉も本でガードできない攻撃してきたけど反撃もここまで。残念ながら前半の遅れを取り戻す事が出来なかった。
744名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 18:29:32 ID:gYZYxJi4
>>743
何この混沌www
これもアフォ物に分類されるのかな?
745名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:26:40 ID:h+2kQMw7
全然面白くないわけだが。
746名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:43:23 ID:ge/u2Iwh
>>712-714 から繋がっているのかもしれない小ネタ

ゆっくり投下してみますね。
747名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:45:10 ID:ge/u2Iwh
『『『

 窓の外。先程までの鮮やかな夕焼けも今はなく、空は夜という名の紺色の帳をゆっくりと降ろし始めていた。
 他の部員はもう帰っちまったんだがなぁ……どうしてこんなに粘るのかね?
「う〜ん、こんなんじゃリアリティないわねっ。もぉっ! イライラする!!」
 俺に戸締りを言いつけておきながら、一向に席を立つ様子のない我侭女。早く帰りたいんだがな。
「明日にすればいいだろう? そろそろ見まわりが来ちまうぜ」
 SSの為の参考文献と称して俺と同じく読書に勤しんでいた無口少女が、パタリと音をたてて本を閉じたのはもうずいぶん前のことだ。
 これが俺達の下校の合図になっているのだが、無表情自動人形と、
超絶界女神門美麗綱美少女目メイド科先輩属の俺の尊敬と憧れ的であることこの上ない少女が部室を後にし、
胡散臭さを掻き集めて捏ね上げたような少年が一言残して帰っていった。

 もしかしたらそいつがこの爆弾娘の耳に入っちまったのかもな。
 明らかにパソコンの電源を落とそうした動作を止めて、キーボードをガチャガチャしだしたと思ったら、それからずっとブツブツ言っては唸りっぱなしだ。
 インチキ詐欺師が残した台詞は俺宛てだったんだがね。
「あなたの作品が待ち遠しいですよ。文章を創作するというのは、それが二次小説とはいえ本人の感性が現れますからね。
 あなたの心の奥底に秘められた性癖や願望がどういったものなのか、ふふふ、今から楽しみです。
 特に初めての作品ならその傾向は顕著なもので、根が素直な人ほど隠し切れないようですからね」 
 じゃあ、お前みたいに捻くれてるなら内心を暴露しないで済むってワケか。
 俺の精一杯の嫌味だったんだが気にする風もなく、
「そうかもしれません」
 それではお先に、と受け流して帰って行きやがった。

 そうして俺は今、教師の巡回に怯えながら二人でウダウダと居残りを否応なくされているわけなのさ。
「なあ、かなり暗くなってきたし、いい加減帰るぞ」
 腹も減ってきたしな。夕飯はなんだろう。
「ああ! うっさいのよバカ! もぉ! 今すっごくいいセリフが浮かんだのに忘れちゃったじゃないの!
 顔を洗ってくるから、そのへん片付けて帰る支度しときなさいっ!!」
 トイレか? などと聞けるわけもなく、机をバンバンを叩いて部室を飛び出した騒乱女の命令に従っておくかと席を立った。
 帰り支度といっても、俺はもう鞄を持てばいつでも出られるんだがな。カーテンを閉めたら、あとはあいつのパソコンの電源を落とすだけだ。
 適当に題名でもつけてデスクトップに置いとけばいいか。そろそろ洒落にならない時間だ。

748名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:47:54 ID:ge/u2Iwh
 たまにはお前も厳正なるクジ引きとやらに参加しろ、と言っちまったのが俺の最大の失態だ。
 『ギャグ』・『シリアス』・『シュール』・『エロス』の四つ。これに急遽加えられた『エロエロス』を、あいつ本人が引き当てちまったんだからな。
 某掲示板のルールに則って匿名で執筆することしたから、誰がどのクジを引いたのかは解らないんだが、こいつだけは顔を真っ赤にして珍しくキョドキョドしてやがったからまるわかりだ。
 ん? まだ不思議か? 種明かしは簡単だ。俺のクジが『エロス』だったからな。
 やれやれと呟きながら、誰もいなくなった部屋では大きく感じられる唸りを上げるパソコンに手を伸ばし――

「あっ、なにを?」「ふふん、なにをすると思う」
「いや、やめて」「おれのことが好きなんだろう?」
「そんな、あたし・・・」「かわいがってやるよ」
「ああ、いやあん」「声をだすと、はずかしい姿を人に見られちまうぞ」
「ひどいわ」「あいをささやくのはあとでいいのさ」
「はじめてなのに、こんなの」「かんじるんだろ? めちゃくちゃにしてやるぜ」
「あああ、いたい!」「ふはは、いたみもあいもその身にきざめ」
「あっあっあっあっ」「なじんできたか。堕ちちまいな」
「あああああ」「うけとめろ! おれのおもい!」

 眩暈がした。クラックラだ。なんて言えばいいんだろうね? 下校時刻を大幅に過ぎてまで残っていた理由がコレなのか。
 慣れない仕事だから稚拙さと文章?の短さは仕方ないだろう。だがその内容が……感性? 性癖? 願望?
 いやいや! 深く考えるな! あのスマイリーの発言は概ね罠だ。そしてモニタに映った文章も何かの間違いだ。
 あの天上天下以下略女がこんな状況を夢想しているなんて、それこそ夢想だにできん。
 押し倒そうとする物好きがいたら、逆にあいつの運動神経を実証するはめになり地面を舐めるだろう。
 甘い状況に突入してもあいつが主導権を手放すとは思えん。しかし、甘い状況か……どうすればそんなふうに持ち込――いかんいかん!
 罠にむざむざはまり込むところだった。これはパソコンを見なかった事にしてとっとと帰――

 カチャリ。
「……読んだの?」
 あ……。お、俺はパソコンの電源を消そうとしてだな、それでその、
「……読んじゃったんでしょ?」
 ガチャリ! 高らかに鳴り響く……施錠の音?
 ひっ? な、なんで鍵しめるんですかぁ!?
「黙りなさい。見られたからには、仕方ないじゃない?」
 よ、読んでない、読んでないぞ! 実は俺アラビア語萌えなんだ。日本語はない方がいいと思うぞ。

749名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:50:30 ID:ge/u2Iwh
 電気を消すなスカーフを外すな上を脱ぎ捨てるな身体が近いんだよ、なまめかしい!
 うお! パソコンの電源コードを踏み付けたと思ったら、そのままコンセントからブチ抜きやがった!
 それはやっちゃダメらしいぞ。機器的にもデータ的にも。消えちゃったんじゃないかな? さっきの――あ!
「やっぱり見たんじゃないフン!」
 最近温かくなってきたからな、セーラ服の下は直で下着だ。それで目のやり場に困ってそっぽ向いてたのが災いした。
 気付いた時には俺はあいつの運動神経を実証するはめになり、部室の床を舐めていた。
 いや舐めてはいないんだがな。仰向けだったし。視界が回転したかと思ったら次の瞬間にはもう仰向けだ。
 呆然とする俺を片膝で押さえつけたまま、スカートをたくし上げると器用にも反対の膝を上げ、スルスルと三角形の下着を――。 

 ま、待て! なにをする気だ!?
「ふっふ〜ん! わかってるんでしょう?」
 いや落ち着け! 落ち付けって!
「嫌なわけ? 違うわよね? あたしのこと…す……嫌いじゃないんでしょう?」
 そ、それはだな、なんというか、確かに嫌いじゃあないが、俺は、むしろ…す……嫌いじゃないんだが……。
「な、ならいいじゃない! あんたは痛くないだろうから安心して。気持ちよくしてあげるからあたしに任せとけばいいのっ」
 ふぁあ! ベルトに手を掛けるな! これ以上はマジまずいって! なんで俺のシャツのボタンを片手で、しかも流れるような動作で外せるんだよ!?
「あんたの声、嫌いじゃないけど……誰かに見られたらまずいと思わない? 特に、あ・ん・た・が」
 ず、ズルイぞ! 確かに誰かに見られたら……こいつが涙一つでも浮かべたら、俺だけ立派な犯罪者だ!
「なによ? 文句があるなら後で文章にして提出ね。ラブレターにも窓口は開くわよ?」
 出すか!? なぁ、恥ずかしいが経験ないんだよ俺は。だからな、最初はもうちょっと落ち付ける場所で、こう……シットリとだな。
「ふふん、こんなになっちゃってるクセに。すぐ楽にしてあげるわね」
 はぁあ! この温かい海にキュッキュッと包まれる感触は……って! だ、大丈夫なのか!? 血が! 痛いんだろう? 無理するなって!
「んふふ。あんたのこと奪っちゃったのに心配してくれるのね……ありがと。
 聞いた話だけどね、女の子のハジメテってやっぱりちょっと大切なもんなのよ。だから痛みで心に刻み込むの。
 ちゃんと思い出に残るように、その時の気持ちを忘れないようにって」
 そんな健気な少女みたいな顔をするなよ。おまえはいつだって100Wの笑顔を見せ――って、コラァ! 動くな! 動くなって!!
 切ない声を出すな熱い息を吹きかけるな顔が近すぎるんだよ気持ち良い! うごっ、うーごーくーなー!
「我慢してるあんたの顔ってなんかカワイイわね。気持ちよくなってきた? 我慢しなくていいのよ」
 とまれって! マジで放出5秒前! なんて5言ってる場合じゃないぞ!?
 暴発を待つ俺のショットガンに数千万の小弾が4パッケージされた弾丸が充填完了して一塊に撃ち出そうと3お前というトリガーで欲望という火薬が着火し2膨張する快感という燃焼ガスによって当てたら1マズイ標的に向かって今まさに――って、あああああーっ!
「いいわよ、きてっ! 受けとめたげるっ!! あんたの想いをっ!!!」 』

750名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:52:04 ID:ge/u2Iwh

「……これがプロット」
 無表情を表現してやまない表情を張り付けた少女が、静かに告げていた。
「参考にして……」
 神聖不可侵を自称するあいつも流石に絶句している。まあ仕方ないだろう。
 万能選手とはいえ予想外の人物から助け舟を差し出された上に、舟はネットリとナマナマしい雰囲気を湛えているんだからな。
 自分の席で何事もなかったかのように本を開いて静止した少女と、テキストデータを受け取ったまま停止した少女を眺めて俺は嘆息した。
 やれやれ。』

751名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:53:46 ID:ge/u2Iwh

「――といったプロットを用意してみました」
 これは善意ですと詐称して財産を巻き上げようとする詐欺師みたいな微笑の少年がそう語った。
「随分と頭を悩ませていたようですので、差し出がましいとは思ったんですが、参考にしていただければと。
 あとは少し手直しして、肉付けをしていけばそれなりのものになると思いますので、これがお役に立つのなら光栄です。
 ああ、それと最後の所なんですが、【このような状況が発生した】と見せかけて【実は意外な人物からの参考資料だった】……というのが今回のオチになります」
 無軌道な上に一方通行なあいつも流石に絶句している。まあ仕方ないだろう。
 頼りになる参謀役とはいえ、頼みもしないのに助け舟を差し出された上に、舟の船頭は自信ありげに頬を紅潮させ鼻息も荒いんだからな。
 自分の席でどうですか?と俺に片目を瞑って見せる少年と、テキストデータを消去するべきかと両目をパチパチする少女を眺めて俺は嘆息した。
 やれやれ。』

752名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:59:22 ID:ge/u2Iwh

 放課後に入り、さぁ今日も読書に励むかと気合をいれたんだが、どうやら俺には優雅なティータイムは与えられないらしい。
「バカね! そろそろSSを書き始めなさいよアホキョン!」
 バカなのかアホなのかはっきりしろよと問い詰めたいところだが、新しい罵倒表現を投げつけられて困るので俺は黙って引きずられるままに部室へと運ばれた。
 ドカンとドアを開け放ってから挨拶するのがコイツの流儀らしいが、幸いなことに部室専用の天使様はまだ到着していないようだ。
 その代理でもないんだろうが、古泉と長門がすでに部室に待機して、いたのだが……どうしたんだ?
「どうしたの? 二人して固まっちゃって? NASAから飛行士の抽選結果でも届いたのかしら?」
 応募すんな! ともあれ、妙な雰囲気だな。
 長門と古泉が団長席に鎮座するモニタの前でなにやら眉をひそめている。まさかマジで宇宙旅行か?
「…………」
「いえ、これなんですが」
 パソコンがどうかしたのか? 団長専用とはいえ勝手に団員が使用してもハルヒは殴ったりはしないだろう。
 だがここ数日は長机の上にもノートパソコンを設置してあるからな。SSを書くならそちらを使えばいい。
「それなのです。僕はついさきほど、偶然長門さんと廊下で顔を合わせましてね、一緒に部室に向かったわけなんですが、来てみたらこのパソコンの電源が入っていた、というわけなんです。
 長門さんに確認したところ昼休みには確かに電源はオフだったらしいのですが……そして問題はですね、このパソコンに残された文章です」

 それが冒頭からの文章ってわけだ。誰のイタズラだ? 長門も古泉もどう判断して良いのか判断しかねているのか嫌な沈黙を守っている。
 そして文末にはこんなものも書き添えられていた。
 
『――こんな感じのプロットはどうですかぁ?
 初めてだと難しいと思うので、お手伝いになるといいなぁって、書いてみました。
 あ! なんだかややこしいですけど、後半の部分はですね、【こんな状況がありました】って見せかけて実は【ある人物の参考見本でした】って見せかけ
てさらに【そんな捻りを加えた参考見本でした】っていう三段階半捻りのオチなんですよぉ。なんだかすごそうですよね。
 捻るならちゃんと一回転捻ろよ! すごくねぇよ! 蛇足だ!
 しかもこの登場人物、参考見本とかいいながら誰が誰なのか判別ついちまうじゃないかよ。

753名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:02:59 ID:ge/u2Iwh

『そうそう。誰かをモデルにしたわけではないので気にしないで、思い付いたままでキャラをあてハメてくださいね。
 べつに意識を誘導しようとかは全然思ってないので、気にしないでください。
 匿名希望の謎のあしなが……ええと、たかうじ? より――』

 こらハルヒ。沈黙同盟には加入させてやるから赤面しながら俺をチラチラ見るな。
 しかしこれはどう扱えばいいんだよ。とりあえず消去しちまってもいいのかね?
 だからハルヒ! パソコンに繋がったコンセントの位置を確かめるな。時計で時間を確かめるな。自分の襟元から今日の下着をチェックすんな。
 どおすっかなぁ……。
「だれかのイタズラでしょうかね」
「とととりあえず今日は解散にしようかしらっ! もぉ! まったく誰の仕業なのよ!
 こんなことがあったら気分が乗らないしみんな帰っていいわよ!
 あ、キョンはちょっと残りなさい!! いいからっ!」
「…………」
 カーテンを閉めるな! まだ空は明るいだろうが! いや違った、この状況で居残りするのは背中が寒いんだよ。なに考えてんだ!
 初めてはだ、もうちょっと落ち付ける場所で、こう……シットリとだな。

 キイィー……

「あ……」
 部室の入り口に我らが天使……あぁ〜、今日はいいや。朝比奈さんが立っていた。
「み、みなさん早いですねぇ。ちょっと遅れちゃいましたぁ、エヘヘ……」
 今日もメイド服がステキですね。水の入ったヤカンが重そうですが、お持ちしましょうか?
「……ふしゅ〜〜、ぷひゅ〜〜♪」
 唇を尖らせる朝比奈さん。音が出ていませんよ。あと目が泳いでます? あしなが?
「たかうじ! あゎ……あっ! わたしお水汲んでこなくちゃ!」


「「「「おまえかっ!!!」」」」

 今日も、部室に何人かの声が見事に調和した。
754名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:05:54 ID:ge/u2Iwh
オワタ。反省はしてみよう。 
目指せ 490k! えい!
755名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:12:31 ID:QsBc/CPl
>>749

それってこんな感じ?

ttp://www.lili.jp/~up/cgi-bin/uploader2/upload.cgi?mode=dl&file=223

パス:haruhi
756名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:48:36 ID:34XL7CwU
ハルヒがドラマ化って本当かい?
757名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 20:54:05 ID:N1+70poP
>>756
電凸までした勇者のおかげで今のところガセです


たしか
758名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:07:39 ID:34XL7CwU
>>757
そうなのかwww
ありり〜^^
759名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:09:30 ID:+zPaULOY
ありり〜^^
760名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:13:13 ID:6qVg67wZ
ありり〜^^
761名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:15:17 ID:cd+zS6Iz
>>754
昨日の時点では単なる小ネタだったのに、ここまで見事なSSに進化を遂げるとは…
素晴らしくGJです
762名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:18:50 ID:ckkZ7AoV
ありり〜^^







とりあえず次スレ立ててくるわ。
763名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:22:46 ID:ckkZ7AoV
立ててきた。
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 44章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1174652391/
764名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:31:23 ID:gYOZ107G
消失84ページから。

弱々しげな頬がますます赤くなっていく。
本心を言うと、そんな長門は、ちょっと――いや、かなり可愛かった。
俺は、無意識に長門の頬に触れていた。「ひっ…」と長門が身を竦める。
「すっ…すまん長門、なんというか無意識の内に触ってた…すまん悪気はなかったんだ」長門が叫ばなかったのが幸いである。
「いい…少し驚いただけだから…」
ふぅー…良かった、長門は俺に怒ってはないみたいだ。
「あなたは…あの…」長門が頬をますます赤く染めて聞いてくる
「あなたは、私の事どう思っている?」
えっ…俺の中で時計が止まった。長門はいま何といった?私の事どう思っている?えーとそれはつまり…
「好き?嫌い?」
765埋め:2007/03/23(金) 21:42:55 ID:3Olp3cko
風呂で頭を洗っていると、いきなり戸が開いた。
「キョン君、一緒に入ろー」
タタタ、ジャブン、と湯に飛び込む音。
「こらこら、お湯に入る前に体を流しなさい」
「だってーシャワー使ってるしー」
シャワー使うのかよ!とつっこむまでもなく、浴槽から上がってお湯をかける音がした。
それはそうと背中がスースーする。
「寒いから早く戸を閉めなさい」
「ごめんなさい、すぐ閉めます」
意外な声に思わず振り向くと、妹の同級生にして親友のミヨキチだった。
「失礼します」
かろうじて聞き取れる小さな声。
恥ずかしそうに腕を押さえながら浴室に入ってくる。

続かない
766名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:48:19 ID:gYOZ107G
消失84ページより

弱々しげな頬周辺がますます赤くなっていく。本心を言うとそんな長門はちょっと――いや、かなり可愛かった。
俺は無意識に長門の頬に触れていた。
「ひっ…」
長門が身を竦める。長門が叫ばなかったのが幸いである。
「すっ…すまん長門、悪気はなかったんだ」「いい…少し驚いただけだから」
少し気まずい沈黙が続く。その沈黙を破ったのは長門だった。
「あなたは…あの…」頬をますます赤く染めて聞いてくる
「私の事どう思っている?」
それってどういう…
「好き?嫌い?」
767名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:33:52 ID:XMfpg49i
>>765続け!
768名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:53:38 ID:80IEofh5
そういえばリンクの人はどうしたんやろ。
新作を投下することにしたんかね。
769名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:59:02 ID:5ppjD7vv
批評してもらうって言ってたけどね。
どうしたんだろう。
770名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:37:18 ID:2m6xD2cu
埋めます。いきなり最終回っぽいネタ。キョンがいきなり死んだりしてます。
っていうか8Kに収めるのが精一杯。
収まらんかったら尻切れトンボという事で、埋めネタの醍醐味と笑ってください。
771いきなり最終回:2007/03/24(土) 00:38:11 ID:2m6xD2cu

「僕としてはあんたに死なれると大いに困るんだ。何せ僕の生命に関わる事だからね」
 どういう事だ。俺の命が何でお前に関係ある。
「禁則事項なんで詳しくは言わないが、例えばだ。僕があんたの子孫だとしたらどうだい。簡単な話だろ」
 相変わらず酷薄な笑みを浮かべているが、その目だけは真剣な色を見せている。
 俺の将来の何らかがこいつの人生の何処かに深い影響を与えていたとして、その俺がもしその何らかを
する前に死んでしまったら。
 こいつはその存在自体が消失してしまうかもしれないと、そういう事なのか。
「そうさ。多少のずれなら歴史自身が勝手に修正していく。でも僕とあんたの関係は多少のずれじゃ
済まされないのさ。だから、もう一度だけ聞く」
 今まで浮かべていた軽薄と軽蔑のブレンドスマイルを隠し、俺が知る限りで一番の真剣勝負な顔をぶつけてくる。
「明日、涼宮ハルヒかあんたのどちらかが必ず死ぬ。これは変えられない既定事項だ。
 だがあんたは自分か涼宮ハルヒ、そのどちらが死ぬかを選ぶ事ができる」
 未来を知るそいつの言葉はまさに死の宣告、余命幾ばくも無い者の前に現れる死神そのものだった。

「明日の午後三時、涼宮ハルヒの手を握っていたらあんたが死ぬ。握っていなければ涼宮ハルヒが死ぬ。
 あんたがこの事を他の連中に話し、宇宙的、未来的、超能力的な力を極限まで駆使してどれだけ回避しようと
しても無駄だ。ある事項から逃れたとしても別の事項が即座に発生し、そして必ず、どちらかが死ぬ。
 未来は二人のどちらか一人にしか訪れない……それが規定事項だ」

 ハルヒの手を握っていれば、俺が死ぬんだな。この件で一番重要な部分を再度確認する。
「ああ、それで合っている。……本来なら今ここであんたの両手を使いものにならないぐらい痛めつけてでも
涼宮ハルヒの手を握らせないようにするつもりだった。だが、どうやら無駄みたいだな」
 ああ。例え両手が動かなくても俺はハルヒの手を握ってみせる。腕を切られたなら義手をつけてでも実行するさ。
「それがあんた自身と、あんたに関わる未来全てを引き換えにしてもかい?
 言わせてもらうが、あんたがそこまでできた人間だったとは僕は微塵にも思っていない。
 彼女の、涼宮ハルヒのいったい何が、あんたをそこまで動かすと言うんだ?」
 さあな、俺にもよく判らん。あえて言うなら、俺がこの話を知ってしまったから、だと思う。
 俺がハルヒを捨てて生き延びたとして、おそらく俺はその事について一生後悔を背負うだろう。
 そうなれば死んだような人生か、俺と言う精神が崩壊した状態かになるはずだ。ハルヒと言う存在を捨てて
そんなくだらない人生を歩むぐらいなら、俺はあいつに生きる権利ぐらい渡してやるさ。
772いきなり最終回:2007/03/24(土) 00:38:47 ID:2m6xD2cu

「そうだハルヒ、お前に話しておかなきゃならない事が一つある」
 先を歩くハルヒの腕を掴み、俺はハルヒの意識をこちらへと向かせる。
「ちょ、何勝手に手を握ってるのよ。セクハラで訴えるわよ?」
 お前がいつも朝比奈さんにしてる行為に比べりゃ可愛いもんだと思うがな。そんな事より、今は俺の話を聞け。
 時刻を確認しつつ俺はハルヒの手を握ったままで喋りだした。
 ハルヒ、今から言う事の詳細は悪いが他のメンバーに聞いてくれ。長門でも古泉でも、朝比奈さんでもいい。
きっと事細かに全てを教えてくれるはずだ。俺がここで話すにはちょっと時間が無いみたいだしな。
「はあ? あんた、何言ってんのか全然わかんないわよ。それに時間が無いってどういう意味よ」
 いいから聞け。俺はハルヒを真剣に見つめたまま握った手に力を込めて、ハルヒを有無を言わせず黙らせた。

「……今まで黙っていて悪かった。ハルヒ、お前が中学時代に会ったジョン=スミス、あれ俺なんだ」
「え?」


 ──午後三時。
 上から落ちてくる看板に気づき、間抜けな声を発するハルヒを思いっきり後ろへと引っ張りぬく。
 次の瞬間、ハルヒを投げた勢いで踏ん張っていた俺の脚がすべりその場に転んでしまい、俺は最期にハルヒの
姿を目に映しつつ上から落ちてきた看板の洗礼を全身に受け、


 そこで俺の全てが途絶えた。
773いきなり最終回:2007/03/24(土) 00:39:27 ID:2m6xD2cu
「……何処からお話しましょうか」
「全部よ。あいつが、キョンが何を伝えたかったのか、全部」
 いつもの制服姿に喪を表す黒の腕章を付けた左腕を延ばし、古泉くんをはじめとした三人を指差す。
「それがジョン=スミスと名乗ったキョンの遺言よ」
 そう、ジョン=スミス。あたしの深層心理に深く刻まれ続けていた、あたしの初めての理解者。
 その名をなぜキョンが知っていたのか。そしてそれが自分だとはいったいどう言うことなのか。

 古泉くんが一度肩を落とし口を開きかけた時、意外にも有希がそれを制して語りだした。
「条件がある」
 条件? 条件って何よ。
「あなたが聞きたい内容は、わたしと彼が交わした会話並びに共にした行動、その全てとなる」
 有希が静かに、だがまるで旧来の敵を見るかのような熱く黒い視線をぶつけてくる。
「それはわたしにとって掛け替えのないもの。でも彼の意思を尊重し、一度だけあなたに全てを語る。
 ただし、あなたが会話中に一度でも否定を口にしたらわたしは会話を終了させる」
 ……わたしにとって信じられない様な内容だけど、でも有希にとってはキョンとの大切な思い出なのね。
「そう。いつでもいい、準備ができたら」
「できてるわ。そんなの、この喪章を付けた時からずっと」
「……そう」
 有希は小さく頷くと、一呼吸分だけ間をおいてから思い出を語り始めた。

「わたしはいわゆる普通の人間ではない。この宇宙を統括する──」


 三人から全てを聞き終えるまで、あたしは一言も喋らなかった。口を開けば絶対に否定してしまう。
 三人が告げた話はそれぐらい突拍子もなく、非現実的で、しかし前々からあたしが気になっていた部分、
その全てに合致する内容だった。
「あたしに、そんな力が……いえ、そんな事より、あたしはこんなに」
 気にかけられ、狙われ、利用され、そして何より護られていた。
 キョンにも、沢山。

「……さて、ここからが本題です」
 あたしが落ち着くのを待ち、古泉くんが口を開く。いつものような爽快な笑みは無く口調も真剣そのものだ。
「涼宮さん、今のあなたが万能の力を手にすれば何をするか、そんなのはあなたと彼を知る者なら誰でも予想できます。
 しかし、それだけは涼宮さんでも不可能です」
 どうして。万能の力ならそれこそ何だってできなきゃおかしいじゃない。
「死した魂を取り戻す。それでは伺いますが、魂とはいったい何でしょうか。どういった物なのでしょう?
 ……僕の予想を言います。涼宮さんが力を駆使して彼を蘇らせたとしましょう。ですがそれは彼ではない。
 おそらくそれは、涼宮さんがこうだと思っている彼を作り出したに過ぎないのです」

 あたしが知る限りのキョンとしてしか蘇らない……そう言いたいの?
「そうです。あなたにとっては違和感無い彼が生まれるでしょう。ですがそれも一過性に過ぎない」
「じゃあ、じゃあどうしろって言うのよ! キョン一人生き返らせられないなら、こんな力意味が無いじゃない!」
「……方法は、あります」
 あたしの慟哭に対し、みくるちゃんが静かに答える。
「生き返らせるのが無理なら、生き返らせる必要がなくなればいいんです……」
 必要が、なくなれば?
「事故にあう可能性が排除されるまで過去に戻り、そこから修正する……時間移動者、最大級の禁則事項です」
774いきなり最終回:2007/03/24(土) 00:41:33 ID:2m6xD2cu
「あなたの力が覚醒、いや元々存在すらしない事。それが条件」
 力が覚醒した中学一年まで戻り、力を覚醒させず──というより力が無い状態でやり直す。それが今あたしが立つ
この未来以外へと進む分岐点らしい。
「いいわ。キョンが生き残るって言うのなら、こんな力」
 あたしは言いかけて、しかしある事に気づいて言葉を止めた。
 そう。あたしにこの力が元々無かったとしたら。

「それは同時に、情報統合思念体があなたを監視する理由も無くなるという事」
「時間震動が発生しなければ、未来人が調査に来る理由も無くなります」
「そして涼宮さんに力が無い以上、《神人》も、そしてそれを倒す超能力者も生まれません」

 あたしは、この三人と出会えなくなってしまう。
 死なない運命を辿るキョンを取るか、目の前にいる三人を取るか。
 ……悩むまでも無いわ。そんなの、答えはすでに決まってるから。きっとキョンも同じ答えを選ぶはずよ。だから
775いきなり最終回

「あたしは両方取る。有希も、みくるちゃんも、古泉くんも、みんな必ずあの部室に連れて行ってあげるわ。
 有希についてはキョンと約束してるしね。連れて行かれそうになったら全力で連れ戻せって」
「ならば僕も協力しないといけませんね。彼との約束で長門さんが困ったら手を貸すと言ってあるので」
 あたしは必ずキョンを連れて迎えにいく。キョンが有希とも約束しているならなおさらだ。
「そう」
 有希は一度小さく呟き、そして頷くと
「待ってる」
 そう確かに応えてくれた。

「それじゃ古泉くんとキョンとで有希を捕まえて、そうしたら最後にみくるちゃんね。いい、みくるちゃん。
たとえあなたが未来にいようとも、あたしたちは絶対に迎えにいってあげるわ!」
「涼宮さん……わかりました、私も待ってますから」

 あたしの身体がゆっくりと輝きだす。有希とみくるちゃんのサポートで、あたしを過去へと飛ばす予定だ。
「それじゃSOS団は一時解散します。……みんな、最後に一言だけ言わせて」
 自分の姿が少しずつ小さくなっていく感じがする。カチューシャが外れ、あの日ばっさり切った、キョンが好きだといった
ポニーテールを結える長い髪が蘇る。
 あわせて視界が、みんなの姿が自分からの光で見えなくなる前に、あたしは告げた。


「ありがとう」






 新学期の自己紹介で無難な挨拶を終えた俺はこの後驚愕することになる。
 もし未来を知る術があったり過去に戻ったりする事が可能なのだとしたら俺は俺に言ってやりたい気分だ。
 平穏無事な生活が欲しいのならばそいつにだけは近づくな、と。

「あたしは、たくさんの人に護られていた事を知りました。
 あたしは、たくさんの人に愛されていた事を知りました。
 こんなにも終始平穏、万事何ごともなくただ普通に在り続ける世界は、実はあたしが思っていたよりずっと
非日常な毎日が訪れていている事を、あたしは失った掛け替えの無い友人たちから教えられました。
 だから、あたしはこの世界を徹底的に楽しんでやろううと思ってます。

 ──東中出身、涼宮ハルヒ。
 宇宙人も、未来人も、異世界人も、超能力者も、もうあたしには必要ありません。
 今度はあたしが、退屈なんてしている暇が無いくらい愉快な日常をみんなに返していこうと思います。だから──」

 博愛主義者なのか奇妙な電波を受信してるのかよく判らない言葉を並べるその少女は、そこで一度口を閉じると
後ろを見上げていた俺に目を合わせてくる。その瞳はなぜかうっすらと涙を浮かべており、その懐古と愉快に
ほんの少しだけ愛おしさを混ぜたようなその姿は、正直に言って俺の顔を赤面させ鼓動を早めるのに十分すぎる
ぐらいの破壊力だった。
 と、突然そいつは俺のネクタイを掴むと一気に引き上げてきた。もちろん引っ張られる形になる俺は釣られた魚の
ようにじたばたしながらそいつに引き寄せられる形となった。
「って何しやがる! 初対面の相手にすることじゃねえぞ!」
「残念、これが初対面じゃないのよね。一方的にだけど」
 何だと? いぶかしむ俺を無視し、そいつは俺の首根っこを捕まえると我が物顔で宣言した。

「──だから、この世界には面白い事が無いと日々暗澹とした気分で過ごすような、例えばあたしの前にいる
こんなバカ面をした感じの人がまだこの中にいるのならば、あたしの所に来なさい。
 世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団、その団長のあたしと、団員その1のこいつがじっくり面倒見てあげるわ!」
「誰が団員その1だ! 俺はそんな怪しい活動には」
「入るわ。だってその方が絶対に楽しいもの! 以上っ!」