【諸君】ヘルシングでエロパーロ!【私は】

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148名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 17:38:28 ID:lnDEDXZQ
文にしたら良いと思うよ。
149名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 21:29:59 ID:PbMbk4Aw
化け物同士だから本気で挑んでもどっちか壊れなくて済むからいいな大尉×婦警。
150147:2007/11/21(水) 03:53:42 ID:XsMskv39
大尉×セラス書いてみた
いつも読み手だたから文章稚拙ですみません

しかも肝心のエロまでいってないんだ…それでもよければ




(だめだ……強すぎる…)

冷たい鉄骨と、コンクリートの感覚を全身に受けながら、
セラス・ヴィクトリアは力なく横たわっていた


ここに来て、いくつもの吸血鬼達に一瞬で終わりを与えてきたセラスの前に
静かに立ちはだかった彼は、今まで対峙してきたどの敵とも違う、異質な存在だった。

獣へと姿を変え、それまでの無機質な表情が一変した瞬間、本能的に恐怖を感じたかと思うと
次の一瞬でセラスの体は攻撃を避ける間もなく宙を舞い、戦意は完全に消されていた。

ぐったりと倒れたままのセラスの耳に、カツ、カツ、と軍靴の音が近づいて来る。

(だめ…だめだ…)

意識が朦朧とし、手の先すらも動かせない。

(…マスター、インテグラ様、ごめんなさい…)

カツン、とセラスの目の前で軍靴が止まる。

一瞬の間の後、セラスの体は固い地面へと大きな音を立てめり込んだ。

「ぐぅっ…!!」

振り下ろされた彼の手は、セラスの首を掴み、そのまま彼女を押しながら締め上げる。

「ぅ…ううっ…か、は…!」

みしみしと、骨の鳴る音が聞こえ、意識が途切れ途切れになる。
苦痛に歪め消えそうなその目線の先に、セラスを静かに見下ろす彼の視線があった。

151名無しさん@ピンキー:2007/11/23(金) 20:18:53 ID:8duYbtBV
ガリペタ長身雀斑眉太女のリップタンが随所でエロいエロいと言われていたのが
どうにも???だったんだが漫画見てやっと理解した。
これほど初登場時(見た目)とその後お印象が違うキャラも芽ずらしか。
152名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 08:35:33 ID:XDbwgvXb
>>147
想像するだけで股座がいきりたつな
是非続きを、プリーズ?
153147:2007/11/26(月) 02:59:41 ID:CZCrx8pr

あれだけの戦闘をしても顔色一つ変ないその無機質な瞳を見た時、
セラスはもう一度ぞくり、と恐怖を感じた

(…殺られ…る…)

その言葉が頭に浮かんだ瞬間、ふいに首の締め付けが緩み、
待っていたかのように気管から肺へと一気に空気が流れ込んだ

「が…はっ!!ッは…!ゴホッ、ゴホッ!!」

大量の空気に肺が対応できず、激しくむせ返る。

(ど、どうして…?)

あのまま締め付けられ、首を折るなり心臓を貫くなりされれば確実に殺されていた、
なのに、この男は途中でそれを辞めてしまった。

情けをかけられた?
いや違う、あの恐ろしい感覚は確かに殺意だ。

混乱するセラスの首には、まだ彼の手がかかっている。
分からない―。彼の表情からその意図を探ろうとしても、やはり無駄だった。

セラスがまじまじと彼の顔を見つめていると、セラスの首にかかっていた手が、スッと動いた。
ビクッ、と反射的に体を震わせ、強くと目を閉じたと同時に、
ふわりと鼻先で空気が動き、首筋に痺れに似た感覚が走った。

「…ッ!?」

ぞくり、と、恐怖とはた違う感覚がセラスの身体を走る。

154名無しさん@ピンキー:2007/11/30(金) 16:51:41 ID:Q8PDKy8H
大尉って犬だよね はっ!まさか・・・獣k
155名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 17:54:08 ID:+Yh/ALdH
旦那とロリ局長って需要ありますかね?
今ちょっと書いてみてる所なんですが、むずかし〜。
156名無しさん@ピンキー:2007/12/01(土) 21:09:28 ID:aMl4zGmp
ロリ旦那とロリ局長・・・
157名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 01:39:50 ID:BSy0c3uY
>>155
さあこの胸に飛び込んでおいで

オーダーを果たせ!
158名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:55:51 ID:/hF/bhHJ
長いのにエロ次回持ち越し、ごめんなさいorz
書いちゃったから思い切って投下。
159名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:57:55 ID:/hF/bhHJ
「名前は?」
「アーカード」
「先代はそう呼んでおられました」

あの時、彼女を『我が主』と呼んだ化物は、狂気の瞳を宿し眼前の
まだ幼い容貌を残す彼女に眼差しを向けた。
それが始まり、彼女の初まり。
総てを薙ぎ払い、目の前に立ちはだかる敵を駆逐する彼女の戦いの始まり
戦の楔は抜かれたのだ。
立ちすくむ事も、振り返る事も、逡巡する事も無く、血塗られた道を、
否応も無く課せられた道を。

陽が暮れてゆく。茜色に染まった部屋で彼女は本に目を向けていた。
表紙は擦れ、題名も判然としない、硬い革の手触りが手にひやりと張り付く。
銃弾を受けた右腕が時折痛む。
擦れた文字を克明に追っていた彼女は、扉を軽く叩く音でびくりと顔を上げた。
「失礼致します。インテグラ様、明かりを」従順な執事は軽い足取りで室内へ足を向ける。
ほぅ…と深い息を吐いて、執事に向け無理やりに口元に笑みを作った。
「ありがとう、ウォルター」
室内に光が灯される。
「紅茶をお持ちいたしましょう、アフタヌーンティには少々遅い時間ではありますが」
「ええ、お願い。調度一息付きたいと思っていた所なの」

160名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 22:59:05 ID:/hF/bhHJ
程良く温められた茶器に温かいミルクを入れ、きっちりと時間で蒸らされた紅茶を注ぐ、
琥珀色の香り高い紅茶がカップに満ちた。
「して、お嬢様は何をお悩みで?」
主がミルクティに口を付け一息ついた所で、ウォルターはそう問いかけた。
「確か、その本は…」その目はひたりと先程までインテグラが読んでいた本に向けられていた。
聡い執事は、まだ若いヘルシング卿の事などすべからくお見通しなのだろう。
あの事件からそう何日も経っていない。
叔父と当主の座を巡り、殺されようとされ、インテグラ自らが銃弾で殺したあの事件から。
地下の忘れ去られた牢獄にいたヘルシング家の宿敵、吸血鬼、アーカードと名乗る化物と出会ってから。
ヘルシングの医療班に手当てを受け寝室から出られる様になったのは先日の事だ。
あれから時間を惜しむように、父の使用していた執務室に篭り吸血鬼にまつわる文献を読み漁った。
敷地内にある魔導研究所にも足を踏み入れ、所員に話を聞き、機密文書も読んだ。
隠されるようにして書庫の奥にあった硬い革の本を見つけ出したのは先刻の事だ。
「お父様の日記…」
それは、父の述懐、アーカードにまつわる物語。…否、闘争の記録。
「ほほう…それで、何か解りましたか?」
本から視線を外し、インテグラに向けられるその視線を真っ向から受け止める事ができず、
うろうろと目を彷徨わせた。
「…あの吸血鬼が、ヘルシング家の…、
王立国教騎士団、HELLSING機関の鬼札なのは解かった…、だけど……」
「だけど?」有無を言わせず、ウォルターは言葉を促す。
「…っ」言葉がつまる、口に出してしまえば認めるようなものだ。だが感情を殺すにはまだ彼女は若すぎた。
「…だけど、わたしはあの化物の主(マスター)になんか…っ!!」
なれそうもない、いや、御せるはずもない、
相手は化物、不死の王、ノスファラトゥ、夜を歩く者、夜族、伝説上の化物。
ちっぽけな小娘に何ができる?化物相手に何ができる?
父親の庇護も無く、頼りであった叔父を殺害したこの血塗られた手で何ができる?
怖かった、無いもかもが。
これまでひた隠しにされていた真実が、暗闇の中からインテグラを引きずり込み
べったりとまとわり付いて離れない。
これまで抑えていたものがこみ上げ、今にも慟哭しそうだ。
161名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:00:06 ID:/hF/bhHJ
不意に空気が動き、ハッとしてインテグラはミルクティに落としていた視線を上げた。
カッ
靴を揃えたウォルターが、うやうやしく頭を垂れて主君に対する礼を形作る。
陰影を色濃くうつしたその顔は、わずかに口角があがり、嘲笑ともとれる笑みを浮かべた。
「英国人としての矜持をお忘れですかな?インテグラ様」
「…なっ?!」

「王立国教騎士団(HELLSING)局長、インテグラ・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング…!」
「それが、今の、現在の貴方の、『銘』なのです」

冷徹ともとれる真摯な眼差しは、インテグラにウォルターの主としての資質と覚悟を問いていた。
貴方は仕えるに値する主君なのかと、幼くとも大人として扱い、同じ目的を完遂するに足る主なのかと。
「…っ!わたしは…っ!」
次の言葉が出てこない。
そのまま沈黙が続く。
「………」
均衡を破ったのは執事だった。
ふと気配を緩め、もとの温厚な空気を纏う。
「失礼いたしました、お嬢様。…時期尚早でしたな」
そうまだあれからいくばかりも経ってはいないのだ。
親を亡くし、事件が起きたばかりの不安定な少女に問うのはいささか早急過ぎた。
「間もなく、夕食の準備が整います。本日はお嬢様の為に用意した兎をご堪能ください。
と料理長から言付かっておりますゆえ」
主に向け礼をし、きびすを返して執事は扉を閉めた。
162名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:01:08 ID:/hF/bhHJ
主としての覚悟が無ければ、自分が仕えるに値しない。
決断力が無ければ、ヘルシング機関として脆弱、判断力が無ければ無能にも等しい。
脳の無い主を飼う位なら、いっそ居ない方がまし。
来るべき未来の為に、従僕に冷徹なまでに指令を下す裁量を持つ者でなければ、対峙もできない。
闘争もできない。
だとしたら、処理してしまえば良い。これまでそうしてきた様に。
下僕があっても主に血に染まる覚悟が無ければ意味がない。
だがヘルシング家執事ウォルター・C・ドルネーズ残された時間は少ない。
約束の地平はもうすぐそこまで迫って来ている。どちらにせよ分の悪い賭けには違いない。
「兎の檻をこじ開けるか」
口元に薄らと笑みを浮かべ、暗く長い廊下を死神は歩き去った。
163名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:02:53 ID:/hF/bhHJ
深夜、真っ白な月がうっすらと雲の切れ間から見え隠れしている。
夜の帳が降り、照明はベッドの脇にしつらえられた飾台の仄かな灯り。
暖炉には赤々と火が焚かれている。
右腕の痛みを抑える為、投与された鎮痛剤がゆるりと眠気を誘う。
冷たいリネンの手触りが睡魔をほんの少し奪っていた。
インテグラは夕方、ウォルターに言われた事をうつらうつらと思い出していた。
「…ヘルシング…」彼女はヘルシング家の当主、
「…化物の主(マスター)」
対化物にヘルシング一族が100年かけて栄々と作り上げた最強の化物(アンテッド)。
あの吸血鬼を飼いならす事ができるのか、と己の内に語りかける。
主と認めてしまえば楽になる、だけどもう後戻りはできない、
羽毛に包まれた柔らかな世界から抜け出ていかなければならない。
では、あの化物は?不意に訪れた吸血鬼について想いを巡らす。
忘れられた牢獄に干からびた死体として置かれた不死の王。
数百年の刻を越えた伝説の魔物は何を考えているのか?
所詮数十年に満たない年端のいかない少女の考えも及びもつかない思考を持っているのだろう。
話してみたいと思った。
あれから会っていない、彼女の下僕。
話をしたら何かが掴めるかもしれないと淡い期待を寄せる。
「……アーカード……」
名前を聞いた日から、初めて名を呼んだ。
不意に空気が変わった、周囲の闇よりまだ濃い闇を、濃密な死を纏った男。
壁から現れるなどと言う芸当は、化物以外に無い、だとしたら該当するのは
アーカードと言う男 唯一人 だけのはずだ。

だが、壁からありえない出現をしたのは少女だった。
純白の薄いドレスで長い裾をひき、ふわりと、インテグラの横たわるベッドに腰掛ける。

「…なっ??!」
飛び起きようとしたが、思いのほかよく効く鎮痛剤で飛び起きる事ができない。
「だ、誰…??」驚愕でドクドクと鼓動が早くなる。
ニヤリ…と少女は毒々しい笑みでインテグラに向かって言った。
「姿形など、私にとっては、何の意味もない」
その声で、夜から切り取ったような艶のある声で、インテグラは悟った。
あの化物だ、と。
164名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:03:44 ID:/hF/bhHJ
「呼んだろ?私の名を」
だから来たと言うのか、いくらなんでもオカシイ、ぐるぐる回る悪夢のような。
「可笑しい事は無い、主が従僕を呼びつけた所で不自然な事など何も、無い」
薄いドレスがひらりと舞い眼前に暗い影が落ちる、
闇夜にあっても底から光る深紅の双眸がインテグラの目前まで迫る。
悪戯にしては悪趣味すぎる。
有り得ない程の馬鹿馬鹿しさにインテグラはぐらぐらと眩暈が増長してゆくような錯覚を覚えた。
「アーカードなのね?」
何を今更と言う様に、アーカードは喉の奥で笑った。
「キスしたくなっちゃった」
「……っ!?」
ベッドに身体ごと押さえつけられ、捕まれた腕に痛みが走る、抵抗しようとしても
その力は見た目どおりの少女のものではなかった。
「ん…っ…」
少女とは思えないような乱暴で噛み付くようなキスだった、荒々しく、無理やりに舌を絡ませられ
思い切り吸い付かれている。吸血行動では無いが牙を突き立てていないだけだ。
息をつく暇もなく、苦しい。
「……ん、んっ……」
首を振っても離れてはくれない。
幼い少女には不釣合いのアーカードの鋭い牙も感じる。
そして何より錆びにも似たむせ返る程の血の臭い。酔いそうな程の血の臭い。
生ぬるい温度。ヌルヌルとした触感。ねっとりとしたこそばゆさ。
ぞわりぞわりと何かが這い出してくるような感覚をインテグラは感じた。
アーカードが唇を離した事で、一気に肺へと空気が流れ込む。
アーカードは服を指で容易く引き裂き、露になった未成熟な胸元に舌を落とした。
直に触れる舌先の感触が、熱く感じる。
「……っふ」
思いも寄らぬ刺激に襲われる。思わず目をつぶり、声を漏らしてしまったが
自分の身体を揺るがした突然の変化に、インテグラは動転した。
息を止めていた事でドクドクとした心臓の鼓動と火照りが襲う
「っ…何の、つもり…?!」
身体を押さえつけられたまま、少女の型をした吸血鬼は心底嬉しそうに淫猥な笑みを浮かべる。
「児戯にも等しい行為など、俺には興味がない、
私がそんなものにそそられる事などありはしない」
「私の主、本質を見せろ『己の闘争』を晒して見せろ」
「さあ、教えてくれ、インテグラ。夜はまだ始まったばかりだ」
165名無しさん@ピンキー:2007/12/02(日) 23:08:22 ID:/hF/bhHJ
申し訳ありません、ここまでです。
すいません。
>>156さんが早かったのでロリ旦那。
ネコ耳吸血鬼に似てるよね。
166名無しさん@ピンキー:2007/12/03(月) 01:46:51 ID:GyJ3gYGs
素晴らしい!!!
ぜひ、時間かかっても結構ですので
続き願います。
167名無しさん@ピンキー:2007/12/06(木) 23:41:33 ID:qPjdHRFr
保守
168名無しさん@ピンキー:2007/12/07(金) 21:02:27 ID:3sVrxTd5
>165
猫耳吸血鬼
何かそういう漫画(アニメも)あつたね。
169名無しさん@ピンキー:2007/12/09(日) 23:24:14 ID:yGYyXO7p
遅くなりましたがGJ!
続き楽しみにしてます
170165:2007/12/11(火) 00:03:42 ID:kOoMBkRF
保守がてら投下。

>>166 >>169
ありがとうございます!
暖かい言葉に、調子に乗って続きです。

>>168
髪型とか似てると思うw
171165:2007/12/11(火) 00:04:30 ID:8/aK1xUh
アーカードの気配がゆるりと動いた。
それだけで、自分とアーカードを取り巻く気配が濃密になった気がした。
胸元に落とした舌がゆっくりとゆっくりと動き出す。
振動とも呼べない僅かな揺らぎに、産毛がそそけ立つ。
先程までの口腔への陵辱が後をひき喉奥の息苦しさは去っていない。
その意味をインテグラは未だ理解できていない。
混乱と脳が沸き立つような理不尽さに未だ対処が思いつかない。

すると。
「どうした?もっとわたしを楽しませろ」
舌を胸元に這わせていたアーカードは、ニヤニヤとしながら少女には不釣り合いな邪悪な笑みで、
そう余りにも邪悪としか言いようの無い笑みで、インテグラを現実に引き戻した。
あり得ない事態に、脳が一時考えているのを止めてしまっていたみたいだ。
…ッ
声にならない声で僅かに身じろぎし、少しでも身を離そうとするが、僅かに拘束が緩まる事がない。
「…い、いや…離して…っ!!」
やっとのことで声を絞り出す。
口元に笑みを張り付けたまま、アーカードは動きを止めた。
それだけで、インテグラはほっと息をつく。
これ以上は続かないと、アーカードの理不尽過ぎる襲撃が、インテグラにとっては襲撃としかとれない
アーカードの突然の来訪が終わりを告げたと、…浅はかな思いを持って。
172165:2007/12/11(火) 00:05:39 ID:8/aK1xUh
そんなインテグラの淡い思いに、アーカードは無慈悲な言葉を告げた。
「そんなものがお前の『本質』か?」
まだまだ、そんなものではないだろう、インテグラ。
薄っぺらい、脆弱で、薄暗がりで助けを待って、震えるような娘ではないだろう、インテグラ。
そう問いかけられた気がした。

(アーカードは私の反応を試している…?)

なのに。せいぜい、唇の端でその自覚を噛み潰すことくらいしかできない自分が
腹立たしい。
あがいても。
もがいても。
この少女の姿をした、吸血鬼の腕からは非力な自分では抜け出すことさえできないのだ。


アーカードは胸から胸元へ、胸元から、喉元へ、ゆっくりと着実にうなじへ舌を這わせる。
じっくりとゆっくりと獲物を嬲るように。
耳元へ、耳たぶへ、首筋へ。
冷たい、だけどじんわりと熱さを伴った熱が徐々にこみ上げてきた。
吸血鬼が喉元へ唇を這わせている。
その事が恐怖となって突きつけられている。
173165:2007/12/11(火) 00:06:09 ID:8/aK1xUh
なのに。
甘美な、そして強烈な、体の痺れ。
 ――快楽。

そう呼ぶ事しかできないような身体の変調にインテグラは、動揺した。
いや、自覚させられた。と言うべきか。
「…ふ…ッ…」思わず声が漏れる。
処女であるインテグラにはまだ判断は付かないばかりか、及びもつかないことだったに違いない。
これまで、貪欲に触れられた事もなければ、首筋に舌を這わされた事もないのだ。
(…っ、なに、これ…っ!?)
吐息が首筋にかかる、それだけで何かが溶けていくような感覚。
アーカードの匂い。
血の匂い。
それだけで酔いそうだ。
首筋を吸血鬼に嬲られている。
命をその手に握られている、生殺与奪をその手中に握られている。
絶望感が、全身が、ずぶずぶとした底無し沼のように浸してゆく感覚。
けれど、それだけじゃ無い、なにか。
174165:2007/12/11(火) 00:07:18 ID:8/aK1xUh
未発達な、柔らかさと少女の柔軟性がそうさせるのだろうか。
インテグラは、思いも掛けない刺激に貪欲に反応した。
アーカードの化物には似つかわしくない柔々とした、舌の動きが耳朶を舐る。
「…んッ」びくりと身体に震え。
身体の奥からの震えが、インテグラを揺るがす。
それは恐怖からか。
人間の本能である、快楽への享受からか。

いつから触れられていたのか気づかなかった。
少女のまろみを帯びた、未だ未発達な胸にアーカードの手は伸びていた。
触れたか触れないか、分からないくらいの加減で。
少女から大人の女への過渡期として、胸の固さが取れていないインテグラの胸は
ほんの少しの刺激で疼痛を覚えた。
(い、痛…ッ)
それでインテグラは、ほんの少し我にかえった。
だが次なる刺激に、またも身体が反応した。
胸元のまろみを帯びた、その先端への刺激。
陥没乳頭ぎみだった自分の胸が、いつのまにか自己主張を始めていた。
むにゅりとアーカードは面白いものでも見つけたように、執拗に胸の先端へ指の挿入を繰り返す。
「……ッ!……ッ……ッ!」
その様子を愉しんだ様子で、
「人間は柔らかい」と耳朶に甘いともとれる息を吹きかけつつ、インテグラへ嘆息した。
インテグラは唇を固く結び、眦を引き絞っていた。それだけを見れば、苦痛に耐えているかのようだ。
だが同時に、その柔肌は上気し、小刻みに微動していた。持ち上がらない右腕はプルプルと震えており、
今では自由となった左の手も動きがままならない。
捕まえられていない足の先はピクリピクリと蠢いていた。
そう、インテグラが耐えていたのは、痛みなどではなく――
甘みだった。
175165:2007/12/11(火) 00:08:52 ID:8/aK1xUh
アーカードに薄い有るか無しかの胸を撫でられる、その度に疼痛だったはずの痛みに快楽、が加味されてゆく。
「…っ、くっ…んっ…」
首筋や鎖骨の稜線、基本的な性感帯を舐られ、声を忍び漏らした。
ジンジンとした疼きが、段々と下に溜まり始める。
今では胸の先端が起立をはじめ、コリッと指を立てられ、
アーカードの手袋の布による摩擦が合わさる。
そして魔手の動きの、そのリズムまで変化させ始めた。荒々しい責撫のときには、踊るような早さで。
緩やかな淫撫のときには、あやすような鈍さで。
急激な変化。
(な、なんで…、なんでなのっ?)

ぞわぞわと快楽が広がっていく。
刺激が段々と増大していく。
どくどくと身体中の血が、奥まで駆け巡っている。
身体の芯をぐらぐらと揺すぶる。
波はインテグラの肉の奥で共鳴してゆく。
褐色を帯びた少女の身体には、ほんのりと赤みが増し、しっとりと汗がにじんできた。

いやがるようにむずがるように太腿を動かしたとたん、
インテグラにとっては異質の湿り気が、熱くなり始めた下腹部に異変を告げた。
ぬるり。
くちゅり。
粘着質な滴り。
とろりとした蜂蜜のような。
足を動かす度に、粘膜はぬるりとした動きでインテグラの処女の部位をじわじわと侵していく。
(な、に、これ…)
トロトロとした粘性はかろうじて下着に押さえ込まれてはいたが、今や滴りそうな程に濡れていた。
「身体がどうかしたか?」
含み笑い。
「あ……ハっ…ン、ん…っ」
アーカードの胸への陵辱をやめない指先とは、別の手のひらが徐々に下ってゆく。
それを自覚しながらもインテグラは止める手だてがない。
胸に、薄い肋骨の隙間を辿り、脇腹へ、腰へ、腰骨に。
ゆっくりと、ひたすらゆっくりと下に落としていく指先。
ぞくぞくした。
176165:2007/12/11(火) 00:09:36 ID:8/aK1xUh
「…んっ」
面白いように、嬲られに嬲られる。同時にまた、今では敏感になった、なってしまった乳首も弄られに弄られた。
指の腹でこすられ、つまんでひねられ、押しつぶされ、爪を立てられる。
「あっ…あっ、ヤっ…、あ…」
そうやって快感を灼く微熱は身体中を巡り、奥まで溜まっていく。
荒くなった吐息を噛み殺す。
トロトロとした流れは止まらない。
掴み取った胸の敏感な先端を指の先でぐりぐりと揉み込むアーカードは、いっそ容赦がなかった。
とめどなく流れてくる波に翻弄され、溢れてくる快楽。
インテグラの、その波を舐るように観察していたアーカードは、人指しの先を伸ばしたまま目的地へ向かう。
標的は、下着に隠れ濡れそぼり、摘まれた事も無い、肉芽。
指は、まるでスイッチを押すように、朱色の突起を押しつぶした。
「っ……っ…!!」

まるで炎が灯されたように、熱くなり、身体が疼きはじめる。
もっと、もっと、もっと。
意思の力とは真逆の身体の奥からの渇望。
動き始めた指先が、僅かに粘性の音を出しながら、ゆっくりとゆっくりと動き始める。
ぬるり。
くちゅり。
粘着性。
湿り気。
蠢き。
どくどくと鼓動が聞こえるようだ。
緩慢ともとれる動きで、焦燥が募っていく。
身体が熱い、何だか胸が締め付けられる。叫びだしたいような、暴れだしたいような、どうしようもない焦燥。
それは突然変貌を遂げた。
177165:2007/12/11(火) 00:11:47 ID:8/aK1xUh
「あっ」
肉芽を指の間で弄び、摘み、押しつぶす。
「…いやぁ…っ、だ、だめェ…ええええっ!!!」
どくんどくんとまるで それ 自体が意思を持ったように、鼓動していく。
先端へ、容赦のない蹂躙。
摘み、ぐりぐりと容赦のない刺激。
肉が融けていく。
規則的ですらあるそのリズムが、悦楽の階段を性急に昇っていく。
一瞬の刹那、インテグラは初めての快楽に恐怖を覚えた、が次の瞬間には頭からそんな思いなど消し飛んでいた。
「……ッ!……ッ!……」
女の芯が、脳髄まで駆け巡り、中枢が一気に燃えた。
びくんびくんとうねり、悶え蕩けた膣内は、急激な収縮を繰り返し、その更なる刺激で目の前が爆ぜた。
インテグラは、アーカードにより快楽を植え付けられた。
――否、絶頂を教え込まれた。
178165:2007/12/11(火) 00:13:48 ID:8/aK1xUh
すいません。ここまでです。
次回決着付くと思います。
「わんわーん」とか出せればいいなw
179名無しさん@ピンキー:2007/12/12(水) 21:02:56 ID:LPJX+4B5
>>165
乙!この先で寸止めなんて殺生だ〜。続きを早く読みたい!
お嬢が調教されていく過程がたまらん。相手が幼女だから
エロを通り越して耽美な世界に昇華してしまったかのよう…。
文章が上手いから手に汗握って読みふけってしまうよ〜!!
180名無しさん@ピンキー:2007/12/13(木) 17:41:02 ID:Mb1O75mT
>文章が上手い
駆け上ってく過程がほんとにね。
181165:2007/12/15(土) 20:47:57 ID:jPjNiINH
>>179 続き。

ビクビクと身体が震える。
奔流のように押し寄せてくる快楽。
下半身の火照りが止まらない。
焼け付くような焦燥感と肉体が蕩けていくような感覚。
絶頂に達しても、アーカードの指はなおも躍動を続けていた。
一度達しただけでは、まだ足りない、とでも言うかのような執拗な責め苦。
「やっ…や、やめっ…」

一度達してしまった身体は、更に敏感に、ほんの少しの刺激でも過敏に反応する。
指が奏でる律動が、また一層深まっていく。
膣内がチリチリと熱くなって、インテグラは声を出す事すら辛くなった。

だが、アーカードは止まらない。

指は更に肉芽に深さを増し、ぬかるみの中で擦り上げ、嬲り、
縦横無尽に、丹念に、2本の指を動かし続ける。
肉芽に、肉襞に、そして膣口へ。
処女への秘裂、奥への入り口付近で、淫猥な音が滴り鳴るくらいに、淫弄し続ける。
ちゅぷ、クチュ、にゅち、にゅちっ、にゅちぃ

身体が感電したように跳ねる。
(あ、んぁ…っ、きっ…きちゃっ…っ)
残酷なほど丹念に、拷問のような責めに、全身を痙攣させて、
「ふああっ、…ああああああっ!!!」
インテグラは瞬く間もなく2度目の絶頂を迎えさせられた。
182165:2007/12/15(土) 20:49:18 ID:jPjNiINH
快楽に次ぐ快楽で、身体は弛緩し、自他の見境さえつかなくなっていた。
ぱちん  と音がした。
朦朧とした頭で音の方向へ、インテグラはゆっくりと覚醒しつつ、重い眼差しをアーカードへ向けた。
アーカードが指を鳴らしたようだ。
「さぁて、お次は」
(…な、っ!?)
なおもこの響宴を続けるつもりなのか、と愕然とする。
意識の中では、反応できたが身体が反応しない。

この少女の姿をした化物は、なんて凶悪に、そして嬉しそうに嗤うのだろう。
「わんわーん」
少女の口から飛び出した言葉は、インテグラを更に混乱に陥れた。
(い、犬…!?なにを言っているの…!!?)
アーカードの両手が上がり、ある一つの型を執り始める。
低く小さな呟きだが、地獄の底から聞こえてくるかの様なその声にインテグラの身体は僅かに震えた。

「拘束制御術式」
「第3号、第2号、第1号…開放」
深紅の瞳が輝度を増していく。
「状況H」
「『クロムウェル』発動による承認認識」
「目前、我が主の本質発動までの間、能力使用…限定解除開始」
ざわざわ、と闇が深くなり、空気が鳴動を始めた。

呆然となる。
と、同時に呪文のような詠唱に、インテグラの脳裏に疑問が沸き上がる。
この化物は何と言った?
何と言っていた…?
何度も何度も繰り返し言っていた、あの言葉は何だ?
その意味は何だ?

―――――本質―――――

『闘争の本質』
183165:2007/12/15(土) 20:58:33 ID:rfpaCSMV
ギチギチと歯を噛み合う様な音。
アーカードの身体から、両腕から這い出てくる、何か。
軋み、混沌から這い出てくる、何か。
揺らぎ、不確定ながらも質量を確かに持った、何か。
黒く、一片の光を通さないかのような漆黒の躯を持ち、
歯軋りのような嫌な音を奏でながら、アーカードの両腕から生えてきた、何か。
それは―――――黒い仔犬の姿をしていた。

犬、それも仔犬。
ただの仔犬なら可愛いものだ、しかしこれは違う。
ギラギラと輝く眼を躯の各所に宿し、荒い息を、唾液を垂れ流す犬は
化物の眷属、魔犬に他ならない。 

黒い暗い仔犬を見つめながら、インテグラは半ばぼんやりと考えていた。
動きもせず、瞬きもせず、虚ろな瞳。
これから起こりうる最悪の事象と結末。
しかし不思議と先程までの恐怖が、霧のように晴れて行くような気がしていた。
徐々に覚醒しはじめる意識。
陶然となっていた意識から無理矢理に拾い上げる理性と言う名の錨。
脳裏に次々とアーカードの言っていた言葉がフラッシュバックのように思い出される。

その様子をひたりと見つめていたアーカードは、既に次なる布石を打っていた。
ベロリと唇を舐め上げる。
「少々腹が減った」
そう言うが否か、魔犬はインテグラを目掛け疾走した。
ギチギチと歯を鳴らしながら、
膨らみかけた双乳へ向けて。
184165:2007/12/15(土) 20:59:54 ID:rfpaCSMV
その反応に付いていくなど到底思えないような迅速な攻撃。
インテグラは声も出せず、一瞬喰らいつかれた、かと思った。
否。
ベロリと舐められ上げた。
少女の薄い腰から、柔らかい脇腹を抜け、上気して浅く呼吸を吐き出す細い肋骨を、
なだらかな半円を描く双乳の下へ向けて。
軽く圧しをかけ、その柔らかさと弾力を確かめつつ、魔犬はネットリと愛撫した。
「…んんんっ!!」
ペチョ、プチャ、ペチョ
獣が吐き出す荒い息と唾液が交わり合い、少女の身体を浸していく。
再び繰り返される胸への二重攻撃。
燃やされ尽くされたはずの、欲望の燠火がじわじわと熱を放ち始める。

ぬらりと唾液が滴り落ち、舌の先端で、平らなざらつく舌で、ぬろぬろと
円を描くように胸を侵していく二匹の犬。
ジリジリと胸の頂へ向け這いずり、にじり寄ってくる。
(…ああ)
インテグラの鼓動は早さを増し、内側にべったりと侵入し、
吐きだす息さえ温度と湿度を増してくかのよう。
理性との狭間に、快楽の油が灯されていく。
そのたびに、喜悦の揺らぎが、理性と忍耐を綻ばせていく。
185165:2007/12/15(土) 21:00:29 ID:rfpaCSMV
それとは別の律動が、へそを抜けゆるゆると下降していく感触。
するりとインテグラの膝を割り、両腿の間に身体を滑り込ませたのはアーカードだった。
二匹の魔犬にも負けず劣らず、丹念に執拗に下半身へ向け舌を這わす、ゆっくりと。
だが着実に、未だ滴る事を止めない、果実へ、快楽の秘裂へ。

大きく足を開かされたまま、インテグラの秘所へ舌の根をゆるゆると降ろしていく。
アーカードは、ほんの僅か唇の端を吊り上げた。
ヌルリ
それと共に注がれてくる、内側にしみこんでくるような淫痺。
熱い刺激が大事な部分を目指して、ゆっくりと這いずってくる。
目指すはそれぞれの頂か。
ヌチャ
くるくると円を描くように、インテグラの敏感な部分を浸食していく。
(……んんんんっ!!)
犬は双乳を同時に舐め尽くす、脇下を抜け、鎖骨、鎖骨のくぼみ、
薄い胸の谷間を抜け、焦らすようにゆっくりと一定のじんわりとした速度で舌を這いずりまわしている。
だが、胸の頂、敏感に尖り、高ぶり、これでもかと主張している箇所には到達していない。
いや、意思を持ち、焦らしているのだ。
胸への嬲りを2匹の犬に任し、アーカードは足の付け根を舌で絡めとっていた。
溢れる果実はすぐそこにあるのに。
本来足の付け根は快楽を引き出す類いのものでは無いが一番皮膚が薄く、感じやすい部位のひとつ
その部位を丹念に舐め回す。
舌の振動がじわじわと秘裂の奥の、欲望の奥を揺らがしていく。
186165:2007/12/15(土) 21:01:43 ID:rfpaCSMV
事実インテグラは、焦燥を覚えていた。
摘み、捻り、尖りに尖ったそれぞれの起立に刺激が欲しいと身体が訴えていた。
そこ、さえ蹂躙してくれたら、この責め苦から開放されるのに。
この、悦楽を思う存分吐き尽くしてしまえるのに。
何もかも蕩け、自我も手放してしまえるのに、と。

プリーズ。
そう一言、その言葉を言えば、思うざまこの化物は、絶望的なまでの快楽を与えるだろう。
破壊し、粉砕し、蹂躙しつくし、インテグラの魂の一滴を搾り尽くし、自我さえも無くなるまで。
何故かインテグラは、そう感じていた。
(…っ、わ、わたし、はっ…)

奥から溢れ出てくる、奔流が怒濤のように迫る、追い立て、身体がびくりと跳ねる。
だがしかし、インテグラは声を噛み殺し、快楽を享受する事に必死で抵抗を続けた。
(くぅ…っ!!)
舌での蹂躙。
敏感になり、成ってしまった尖りに尖った三箇所への同時責め。
じわじわと範囲をせばめ、目標地点まであとほんの僅か。
ピチャリ
舌の先端が、肉芽に触れた瞬間、
電流が流れた。
(…っ!!!!!)
それだけで終わるはずもない。
滴り。
濡れ。
揉まれ。
揺さぶられ。
嬲られ。
弄られ。
これまでの手段が柔らかだったと思えるほどの激しい追い打ち。
胸は上気し、浅く熱い息を吐き出す。
瞳は欲望で潤み、唇は快楽でわなないていた。
どくどくと痺れと共に駆け上がってくる、甘い戦慄。
意識が跳びそうになる。
だが、インテグラはともすれば甘く声を、息を吐き出そうとするのを懸命になって押しとどめる。
187165:2007/12/15(土) 21:02:53 ID:rfpaCSMV
舌の攻めは、ピチャリと淫猥な音を発しながら、グルリと3箇所の先端に巻き付いた。
緩く。浅く。上下に。収縮し。しごき。
(ああっ…ま、またっ…っ、きちゃっ…!!)
――――強く、キュッ、と舌が引き絞られた瞬間。
「…………………!!!!!!!!!!」
白熱する閃光が弾ける。
快楽が溢れ出し、それに続く硬直と痙攣。
意識は頂に昇り、悦びは身体中を駆け上り、蕩け、溶け、奔流が決壊しようとする刹那。
――――その刹那。

ぱちん。

あまりにもか細い音だった。
ともすれば聞き逃してしまう位の、脆弱な。
しかし、確実に。
――――音は、アーカードの頬の上で、鳴った。
インテグラの平手が、弱々しく鳴った。
余りにも脆弱で、貧相な攻撃。
荒く息をつき、呼吸を、身体を、声を震わせながら、
不死の化物を真っ向から見据える。
「…っ、わ、わたしは…っ!」
身体が震える。
188165:2007/12/15(土) 21:05:00 ID:rfpaCSMV

「わたし…は、インテグラル ファルブルケ ウィンゲーツ ヘルシングですっ!!!」
瞳には涙が滲み、頬は快楽の名残を残しながらも、眼差しは燐光を放っていた。
それは高らかなる宣言。
惑い、迷い、困惑。
安寧、揺らぎ、不安定からの決別。
本能から出る快楽からの決別。
その快楽すらも、頑強な意思を持って打ち倒し、踏破し、屈服させて。
本能すらも凌駕してみせたのだ、この少女は。

―――――本質―――――
インテグラの持つ、意思の、鉄火にも似た
『闘争の本質』

アーカードとインテグラは対峙していた。
相手は化物、不死の王、ノスファラトゥ、夜を歩く者、夜族、伝説上の化物。
ちっぽけな小娘に何ができる?化物相手に何ができる?
だが。もう。
もう、怖くはない。
この胸にあるのは、誰にも覆す事の出来ない矜持。
インテグラがインテグラである故の本質。
自分は、自分だけのものだ、誰にも手出しはさせない!
静寂が満ちる。
これまでの甘さにも似た空気を裂き、びりびりとした緊張が満ちる。
ふいに
緊迫感を破ったのはアーカードだった。

ふっ、と息を吐き出したかと思うと笑いだした。
愉しそうに、心底愉しくて堪らないとでも言うかのように。
「そうだ、そうでなくては、そうだろうとも」
「インテグラル ファルブルケ ウィンゲーツ ヘルシング」 銘を呼ぶ、
びくりと少女は反応する。
「我が主(マイ マスター)」
深い穏やかな瞳で、声で、そう呼んだ。

立ちすくむ事も、振り返る事も、
逡巡する事も無く、血塗られた道を、
否応も無く課せられた道を、
総てを薙ぎ払い、目の前に立ちはだかる敵を駆逐する彼女の戦いの始まり。
延々と続く夜の始まり。
189165:2007/12/15(土) 21:06:24 ID:rfpaCSMV


「…久方ぶりの夜の散歩はどうだったかね」
気配さえ読めない闇の中で声を掛けたのは、漆黒に融けた執事。
慌てる素振りさえ見せず、闇を根城にする吸血鬼はゆったりと返答した。
「いい夜だ、本当に、いい夜、だ」

「…ほう……、それは良かったな、アーカード」
口の端を僅かに歪め、嗤う。
見とがめる者はいない。
闇の中でも見渡せる夜族以外には。
その様子を一瞥し、アーカードの口元には執事と同じ、…否
それよりも尚、深淵なる嗤いが刻み込まれていた。


タイトル
第2話   MASTER OF MONSTER 〜間奏〜

end
190おまけ:2007/12/15(土) 21:09:25 ID:rfpaCSMV
「あれからもう、ちょうど10年か…」
新聞に目を落としていたインテグラは、ぼんやりと彼方に視線を彷徨わす。
日頃の疲れが、溜まり、なんとはなしに昔を思い出していた。
疲れているのはつい最近、騒ぎがあったからかも知れない。
ヘルシング機関を揺るがしたのは、若い婦警。
あの、アーカードが吸血鬼に   して   しまった女の事だ。

それが原因かどうかは知らないが、今夜のアーカードは上機嫌だった。
「ほう、めずらしい。インテグラが昔の思い出にひたっている」珍しく饒舌だ。
その言葉に反感を抱いたのか、鼻をならす、「私とて、思い出位ひたる」
脳裏には昔の思い出がよぎってでもいるのだろうか。
自嘲にも似た苦笑いを含みながら、「10年前の事、思い出していたのよ」とポツリと言った。
珍しい、本当に珍しい、明日槍が降ってもおかしくないくらいに珍しい。
インテグラが胸の内を言うなんて、本当に珍しい。
アーカードは主に対して無礼がないよう充分配慮しながら、目線を逸らして言った。
インテグラの顔を見てしまったら余計な一言まで飛び出してしまいそうだったから。

「ああ、 『 あ の 時 の コ ト 』 か、
『 あ の コ ロ 』は、まだ小さな女の子だったからな」

ほんの僅かな、僅かな意味深い含みを、知らず漏らしてしまった。
それにすら気付かず、インテグラは侮辱とも取ったのだろうか
インテグラも疲れて鋭利な頭脳が半分も巡っていないようだ。噛み付いてくる。
「 あ の こ ろ は ま だ ? じゃあ、今はどんな感じだと?」語気を多少強める。
わかってない、本当にわかっていない。
あの夜の事を少しでも思い出しもしない、と言う訳か。
いや、むしろ『悪夢』とでも思っているのかも知れない。
191おまけ:2007/12/15(土) 21:10:23 ID:rfpaCSMV
「鉄の女、ってかんじ??  …ですかね???」じゃなきゃ、ミス悪役ヅラ…ってカンジ…
ひょっこり会話に参加しだす、新米吸血鬼。
主従に流れる微妙な空気を読まず、割り込んでくる。最悪な台詞を伴って。
最後の台詞も言った当人は小さく聞こえないよう言ったつもりだろうが、インテグラにはしっかり聞こえているだろう。
天然だ。…いや、微妙な空気を読んだからこそ、こいつなりに和ませようとしたのかもしれない。
しかし、益々インテグラの怒りを増長させた。
途端にぎゃあぎゃあと、叱責と言うにはおそまつな言い争いを始める。
ここら辺が、インテグラの疲れを誘発しているのだろう。
だが、この年齢の女には普通の事だ。
言いたい事を言い、吐き出す相手がいるのは存外良い事だ。

「似た様なモンだったじゃないか、…昔も」
ぽつりと言った一言を逃さず、インテグラの怒声が屋敷内に響き渡る。
その声をそよ風ほどにも感じず、聞き流しながらアーカードはふと思っていた。
…鉄の女。鉄の乙女。鉄の処女。
そう呼ばれた、中世の拷問器具。
閉じ込めた虜囚を鉄の顎で、断罪し、血の一滴までも絞り尽くす、慈悲深き、魅手。
あれと同じく、彼女は、自分を、血を、魂を、命も全て。
一かけらの悔いもなく絞り尽くしてくれるだろう。
もうすぐ、もうすぐ…に。
不死の王は、薄く、嗤った。
192おまけ:2007/12/15(土) 21:19:03 ID:rfpaCSMV
これで終了です。
長い話におつきあいしてくださった方、ありがとう。

>>179,>>180
ありがとうございます。転げ回るほど嬉しいです。
でも、実は初めてSS書きました。エロ含めて、マジでw

書き手が少ないのは少々寂しい。
人が少ないのは、もっと切なさと恋しさと心細さが募る。  
萌え談義に花を咲かせたいいぃいいい〜!
193名無しさん@ピンキー:2007/12/15(土) 23:36:49 ID:Xn2pe97y
そういう所はあるにはあるが、ヘルシングのキャラだけじゃねえんだよなあ…
194名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 08:57:54 ID:FiIj0CYR
投下乙です!
本筋からネタまで原作を意識されてるところがいいっすね

局長かわいいよ局長
195名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 19:36:08 ID:HzewCQiR
後半乙!!!
ココ来た甲斐がありました。
196名無しさん@ピンキー:2007/12/18(火) 22:38:07 ID:ZOQEUFML
可愛い局長て………
旦那「たぎってきたか」
局長「ばか!知るか、馬鹿!」
の時の局長が、うろたえてて可愛いと思う。
それで妄想してみる。
197名無しさん@ピンキー
うろたえたり動揺したりな時の局長はエロスMAXだからね。