775 :
航夏世3:2007/03/13(火) 02:48:40 ID:Q/zJvXlU
「編集長に頼まれたんです。親戚の子を預かることになってたんだけど、急に仕事が入っちゃったから、って。」
苦笑しながら赤ん坊を横抱きにする。
「連絡来たのが丁度家出る寸前だったんで、ちょっと遅くなっちゃいました」
すみません、と謝る夏世。
漸く事態が飲み込めた四兄弟は、いつもの調子で口を開いた。
「そうでしたか」
「…んだよ。ビックリさせんなよな、ったく」
「そうそう。てっきりオニムスメに隠し子!?とか思っ」
「修?」
「…いえ、何でもアリマセン」
黒い笑みを浮かべる航を前にしては、何も言えない修であった。
兄弟達は一様に、夏世に抱かれた赤ん坊を覗き込んだ。
安心しきった寝顔は本当に天使のようで、見守る大人達の表情も自然と柔らかくなる。
白くて柔らかな頬。紅葉のような手のひら。呼吸にあわせて小さく上下する胸。
(本当、可愛いなぁ…)
夏世も蕩けるような笑みを浮かべる。
「よく寝てんなぁ」
「ええ、預かった時から本当ぐっすりなんですよ」
「ていうか小娘、このでっかい鞄は何よ?」
「ベビー用品が入ってるんです。編集長のお宅に寄ってからそのまま来たんで」
赤ん坊とマザーバッグと自分の荷物、それから頼まれたバナナを抱えてここまで来たという訳だ。
世の中のお母さんは大変だなあ、としみじみ思った夏世だった。
776 :
航夏世4:2007/03/13(火) 02:49:35 ID:Q/zJvXlU
「わざわざすいません。重かったでしょう」
「い、いえっ全然大丈夫です!」
「怪力…」
「何か言ったか修?」
「いいえ何も!(怖い…!航お兄様の視線が怖いッ!!)」
「…ねぇ」
それまで無言だった陽が「触っていい?」と小さく呟いた。
少し照れた風なのが微笑ましいなぁと思いつつ、
笑ってこっくり頷くと、おそるおそる手をのばす。
「可愛いね」
赤ん坊の頬をつつきながら、陽は口を開いた。
「名前なんて言うの?」
「えっと、確か奏太(かなた)くん…だったかな。なんか陽くんと似てるね」
ふふ、と笑う夏世は本当に優しい目をしていて。
至近距離で見てしまった陽は、不覚にも赤くなった顔を見られたくなくて、俯いた。
と、次の瞬間。
「ふぇっ…」
777 :
航夏世5:2007/03/13(火) 02:50:36 ID:Q/zJvXlU
「うぇぇぇーーーーーーん!!!」
耳を劈くような大音量。大人達は思わず仰け反る。
(な、なんで…っ!?今まで気持ち良さそうに眠ってたのにっ)
焦ったのは夏世だ。
子どもは好きだが、触れ合う機会なんぞ精々盆と正月の里帰りの時ぐらいなものなのだ。
冷静に考えれば、赤ん坊は泣いて自分の意志を伝えるのだから当然のこと。
だが、彼女の頭はいきなりの展開に付いていけない。
ふぅええぇん、うえぇ…っ
「かっ、かな、かなたくーん??よしよし、どうしちゃったの??」
「腹減ってんじゃねーの?」
「ぇ、あ、いえあの時間的にはまだのはずなんですけど…っ」
「じゃあオムツじゃないですか?」
「言われてみればなんか臭いが…」
「オムっ…」
ツって、どうやって替えればいいんでしょう。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
…続いた言葉に、一瞬沈黙が流れる(いや、泣き声は響いているが)。
夏世はやっちゃったと言うような表情を浮かべ、顔を赤くして俯く。
気まずい雰囲気の中、最初に口を開いたのは航だった。
「…え〜と、俺がやりますよ。替え、鞄の中に入ってますよね?」
「ぇあ、はい!」
「じゃあこっちの部屋で」
「す、すいません」
航はマザーバッグを持って出ていき、夏世もそれに続く。
泣き声が遠ざかり、リビングに取り残された3人は、顔を見合わせた。
「…大丈夫なの、アレ」
「いや、ちょっとどうかと…」
「…あいつ一人で面倒見さすの危ねーぞ、絶対」
「「「・・・・・・・・」」」
>>770 >>771
レスありがとうございます!
喜んでいただけて光栄です(*^-^*)
他の職人さん方がすばらしいので触発されてしまいました。
一応設定としては、夏世っぺは智に惹かれているけどニブちんなので、自分の気持ちを自覚しないまま雰囲気に流されちゃったってトコです。
なので、「今夜だけなら」とか言っちゃってるワケです。
恋人同士なのかは、ご想像にお任せします。
779 :
航夏世6:2007/03/13(火) 02:51:32 ID:Q/zJvXlU
換気のために開けた窓から吹き込む風が、カーテンを揺らした。
「はい、終わり。」
ぽん、と替えたばかりのオムツを軽く叩く。
当の本人はすっかり機嫌が良くなったのか、「あ〜」だの「う〜」だのと声を発しながら元気良く動いている。
服を着せてやりながら、背後に立つ夏世に声をかける。
「もう大丈夫ですよ」
「すいません…あ、ありがとうござい、ます」
「いえ、」
子どもがいても可笑しくない年の女が、オムツ一つ変えられないとは。夏世はもう恥ずかしいやら情けないやらで、顔を上げることも出来ない。
(なんで、こんなみっともないとこばっかり見られちゃうんだろう…)
もう、泣きそうだ。
そんな胸中を悟ったのか、航は苦笑しながら答えた。
「初めてなら仕方ないですよ。次からは自分で出来そうですか?」
「は、はいっ」
「…じゃ、戻りましょうか」
「…あ!ぁあのっ」
「はい?」
奏太を抱き上げ、いつもの笑顔で振り返る。
夏世は、思わず呼び止めてしまったものの、続く言葉が出てこない。
(もうすこし、)
(もうすこし、一緒に、いたい)
780 :
航夏世7:2007/03/13(火) 02:52:24 ID:Q/zJvXlU
何か言わなくては、と、とっさに口をついて出たのは
「…な、慣れてるんですね航さん…その、オムツ替えたり、とか」
という、実感の籠った言葉だった。
事実、傍でおろおろしながら見守っていた夏世は、てきぱきと作業をこなす航を見て尊敬にも似た念を抱いてしまった。
「あ、ああ…」
ふと、航の表情が柔らかくなる。
「陽で慣れてましたから。もう十何年もやってなかったけど、結構覚えてるもんですね」
「そ、そうなんですか」
「ええ、」
・・・・・・・・
再び流れた沈黙に夏世が気まずい思いをしていると、航は穏やかに口を開いた。
「…なんか」
「え?」
「本当、陽が赤ん坊だった頃を思い出すなぁ」
赤ん坊に気を取られていた航は、今の沈黙を気にしていなかったようだ。
ぽん、ぽん、とゆったりとしたリズムで背中を叩きながらあやす。
笑みを深くして、赤ん坊を見つめるその様は、まるで———
「…お父さんみたい」
781 :
航夏世8:2007/03/13(火) 02:53:16 ID:Q/zJvXlU
ぽつり。
言ってしまって、ハッと我に返った。
目の前の航は、ポカンとした表情でこちらを見ている。
夏世は無意識に動いた口を押さえ、慌てて言った。
「す、すいませんっ!あの、変なこと言っちゃって…っ」
「い、いえ…」
航も、合ってしまった目を不自然に逸らす。
(か、会話が持たない…)
自分達二人の仲が思うように進展しないのは、互いが口下手な所為もあるということは分かっている。
分かってはいる、のだが。
(分かってたって、改善されなきゃ意味ないよ…)
思わず思考が沈みかけたその時、航が口を開いた。
「…あの、」
「っ、はい?」
「子ども、お好きなんですか」
航は、再び夢の世界へと旅立った奏太をじっと見つめている。
人と話す時に彼が相手の方を向かないのは、気まずかったり、照れている証拠だ。
それでも、話し掛けてくれる。
彼なりに歩み寄ろうとしてくれているのだと、ふとした瞬間に気付く。
そう、例えば、今みたいに。
「…好きです」
(好きです)
(子ども も)
(あなたの、ことも)
———愛しさが、溢れ出す。
「大好き、です」
782 :
航夏世9:2007/03/13(火) 02:54:12 ID:Q/zJvXlU
「…今日、」
「…はい」
「締め切りも終わったし、久々にスケッチに行こうと思っていたんです」
「はい」
「…散歩がてら、一緒に行きませんか?この子も、一緒に」
「…はい!」
Fin
783 :
航夏世書いた人:2007/03/13(火) 02:55:15 ID:Q/zJvXlU
終わりです。
なんかもう…THE☆尻切れトンボな感じで申し訳ないですが…ここまでお付き合い下さった方ありがとう!
纏ってない上に赤ちゃん出て来た意味な…いやいや。
本当は散歩の帰りに夕飯の買い物してて夫婦に間違われて照れまくる二人とか書きたかったんです!!(←ぅゎメッチャ具体的)
続き書く余力がもうナイっぽいのでここまでですがorz
きっとガッサンは赤ちゃん抱っこしてる航兄を見て、将来に想いを馳せるんでしょう。んで赤くなったりするといい。
散歩から帰ってきた後は、智を筆頭に「危なっかしくてあんた一人に任せらんない」とか何とか言われて、夕飯まで御馳走になるのでした。
ちなみにお気付きの方多いかと思いますが、赤ちゃんの名前は、字は変えてますが陽の中の人から。
かなた と ひなた どっちもいい響きだなあと思ったので。
では。これからも神職人さんの降臨お待ちしておりますvv
>>773-
>>783 ぐっじょぉぉぶ(´;ω;`)
起きてていかった、優しい気持ちになれます。言葉足らず(スマソ)のふたりが浮かんできます。
個人的には航兄はお父さんというより、おじぃ・・
保管庫さまお仕事早すぎです、乙です!
わー、このエピソードそっくりそのまま本編に頂きたいなー(*´Д`)=з
男所帯ものにはありがちかもしれないけど
一週間赤ちゃんを預かり悪戦苦闘する5人とか
あ、長男が手際良いから悪戦苦闘しないか
眠れなくて覗いたのに萌え過ぎて目がらんらんですw
最後の方のやり取りがあったかくて良かった
保管庫さま、仕事早すぎます。
思わず読みふけってしまいました。会議に遅刻だ〜。
いつも本当にありがとうございます(涙)
そろそろ次スレ…初スレ立て挑戦してみます
789 :
788:2007/03/13(火) 08:59:42 ID:SoKx9h2Z
保管庫さま、おつかれさまでございました。
こんなに早くまとめていただき、ありがとうございます。
保管庫さまの作品も楽しみにお待ちしておりますね。
>>773-
>>783 GJ! 8 の夏世っぺの心の中のせりふがイイ!
ぜひとも続き書いてくださいませ。
航お兄様にはついでに、風景だけじゃなくて、
抱っこした赤ちゃんのぞきこんで微笑む夏世っぺのスケッチもしていただきたいところ。
んで、気づいた夏世がそのスケッチを欲しがるけど、航お兄様はすこーしはにかみながら
「これは僕が持っていたいので……」
なんちて。
この二人についてはほのぼのシーンばかりが思い浮かぶ今日この頃。
わたしの脳内では、いつになったらラブシーンにたどりつけるのであろうか……。
連続すみません。
>>789 スレ立て、ありがとーございました。
>>749 朝から大泣きしてしまった... 。・゚・(ノД`)・゚・。
明日、見たい、でも見たくないというこの気持ち!
>>769 コスプレGJです!
ぜひお姫様ドレスで続きを… (;´д`)ハァハァ
>>783 GJ!
奏太くん、イイ!
ぜひ続きが読みたいです。
赤ちゃんがいると、また違った二人のほんわかムードがいいですよね。
みなさんのおかげで、夏世&4兄弟それぞれのカップリングに萌えることに
なりました。(とくにギャグっぽいのしか想像できなかった次男×夏世に!)
自分も妄想が先週の放送以来、暴走しっぱなしです。陽×夏世の神社のシー
ンが、どんどん発展していっちゃって...
赤ちゃん…テラモエス
ゼヒ続編で放送していただきたい
>>保管庫様
いつもながら素早い仕事、ありがとうございます
また堪能させていただきました
保管庫の作品が100本近くなってきたね(シリーズもの入れたら超えてるw)
一体このスレには何人神々がいらっしゃるんだろう?
複数投下していているとしてもかなりの数だ
>>789さま スレ立て乙でーす。
>>792さま ぜぜ是非その妄想の暴走を投下プリーズ!!すばらしぃぃ〜いWW
>>789さま、乙です。
もう投下は次スレの方がいいのかな?
>>保管庫様
迅速なお仕事ありがとうございます。
感謝です。
>>783 GJ!この二人はほのぼのが似合うね。
いや、黒いのもピンクのもやっぱり似合う。
っていうか、どのカップリングでもOKだ。
>>789 乙です。
>>管理人様
ご苦労様です。
644投下したものですが、ちゃんとミス部分も訂正していただいてて
感動しました。さすがです。
>>749 GJでした〜!
トライアングルシリーズ、お待ちしていました。このシリーズ、大好きです!!
智の切ない恋が、ここでは叶えられていて、こころがあったかくなります。
>>769 こちらもGJでした。なんかバカっプルな智と夏世、面白かったです。
智って、ホントにH上手そうだしw
>>783 四兄弟、みんな赤ちゃん好きそう〜。
陽の中の人?の名前が奏多(かなた)だから
そっからとったのかと思ったw
なにはともあれ…
GJ!!!
>>783 GJ!
いかにも赤ちゃんの扱い慣れてそうデスよね、航兄。
亮子さんに子供を預けたお母さん、度胸ありますね〜。
あと、sage忘れてますよ〜☆
月山、何やら考え事中
航「月山さん、お茶飲みますか?」
夏世「あ、すみませんお父さ…」
航「!?」
夏世「あ、いえあの違うんですなんか航さんって陽くんのお父さんみたいだなーって思ってたらついえとだから…!」
陽「…じゃあ、あなたがお母さんになってくれない?」
夏・航「「!?」」
*
小学生が先生をうっかりお母さんとかお父さんと呼んでしまうのを思い出したら止まらなかった。前後は考えられなかった。
つまり、すみませんごめんなさいROMに戻ります。
甘える覚悟(エロなし・9話の少し後)
携帯から投下させていただきますので、手間取るかもしれません。
キンチョーーしてます、歩いたら、手足同時に出そうな感じ。
「花園先生、原稿取りに」みなまで言わせないで、しぃーと唇に指を立た。
「今航兄寝てるから」リビングのソファに目をやって静かな声でソコに座ってて、と続ける。あのひとはそっと航兄の向かいのソファに座る。
いやん!小ネタGJ!!
思わず、お父さんって呼んじゃう気持ち、なんだかわかります〜!
陽くん、「じゃああなたがお母さんに・・」も良い!!
甘える覚悟
「航さん寝てる・・」
「僕のせいでスケジュールが狂っちゃって、航兄と修兄、あまり寝れなかったんだ」
「そっか、・・」
あの、僕が泣いた日からはじめて顔を合わせるから、少し照れくさい。
「はいミルクティ」
「あ、ありがとう陽くん」あのひとが柔らかくわらった。僕は正面から見れなくて、うん、と口の中で言って隣に腰をおろした。
「花園先生、またよろしくお願いします」言ってからあのひとはお辞儀をした。
「僕たちのほうこそ、よろしくお願いします」ふたりで顔を見合わせて声を出さずに笑った。
「あの、原稿は出来てます?」
「修兄が最終チェックしてるからもう少し待ってて・・で、その荷物なに?」
あのひとが重そうに持ってきた袋を指す。
「バナナと鯛焼きと、プリン。食べる?陽くん」
「じゃープリン」
航兄を気にしながら僕はプリン、あのひとは鯛焼きを手にとった。
「ガッサン、この前は、ゴメンね、急に、押しかけたりして」
「ううん」
あのひとがかすかに僕のほうに頭を近づけたから、あの時と同じ、いい匂いがした。胸の真ん中がジワーってなって、掌がくすぐったい感じ。この人の前ではもう、なにも隠したりつっぱったりしなくていいんだ・・あらためてそう思った。
「あの後、みんなで銭湯いったんだよ。修兄が、こんなときは陽くん風呂だぁーって」僕は微妙に修兄を真似る。
「似てるー」
「みんなで、お風呂入るなんてホントに久しぶりだったから・・楽しかった」
「うん」
「でね、修兄は知らないうちにちょっと太ってて、智兄は」そこまで話してたら、向かい側の航兄が寝返りをうって背中を見せた。
ふたりで(起きた!?)と顔を見合わせて、航兄を見ると微かな寝息が聞こえてくる。
僕は、小さい頃いっつも航兄のあとばっかりついて歩いてた。優しくて、あったかくって、航兄みたいになりたいって・・思ってた。
いつのまにかその背中はあまり大きく感じなくなった。ずっと重いものを背負ってたから、小さくなっちゃったのかな・・
「あのね・・・ガッサンに、お願いがあるんだけど」「なに、陽くん?」
あいかわらず小さな声で話してるから、あのひとはさっきよりもっと近くにいる。
「・・ガッサンっ、て」 「はい?」
「航兄のこと、好き・・だよね?」
とたん、あのひとはすうっときれいに微笑んだ。
「・・・・」
「・・航兄も、ガッサンのこと・・・だから、僕はもう大丈夫だから、ふたりで・・航兄を、お願いします・・夏世姉・・」
その言葉の後、あのひとはたっぷり10秒はうろたえたり、口許を手でおおったりしてから(鯛焼きを取り落としたりしながら)、
「あの、いいい今なんて?ひなたくん?」と、やっと聞いた。
「だから『お願いします』?」
「そこじゃなくて!」
「『航兄』?」
「ちがう!!」
分かってるよ、僕だって照れくさいんだから何度も言わせないでよ、こういうのはサラっと流してほしい所なんだから。ホントに化石だよこの人!
僕自信も、この前のことで覚悟ができた。
ガッサンは僕らのところに全身でぶつかってきた。殻に閉じこもってた(今ならそれが分かる)僕たちはうろたえた、中でも一番に航兄が・・・
だから覚悟。僕の覚悟はこのひとにも、お兄ちゃんたちにも甘える・覚悟。
いつからか誰にも本当の気持ちが言えなくなってた。だから僕は、文章を書くようになったのかもしれない。今は少しだけ、自分の気持ちに素直になってもいいんだって、分かった。このひとが教えてくれた。
だから航兄、夏世姉を幸せにしてあげてね。
陽は知るよしもない、リビングのドアに、原稿チェックが終わった修と、打ち合わせから帰って来た智がいることを。そしてそのふたりが別々の理由で泣いていることを・・
了
甘える覚悟 書いたものです。
夏世姉使わせていただきました。こんなことするのガキのころ以来だから恥ずかし過ぎです。お目汚し、すみません。
神々のずーーーと遠くの末席に加えていただければ幸いです(大照)
いよいよ、あと、2時間・・
803です。
ごめんなさい(><)素敵な作品を途中でぶったぎってしまいました。
本当にスミマセン!!
お目汚しだなんて、そんな!すごい、いいですよ〜!!
帰ってきた兄二人が別々の理由で泣いてたのがまた笑。
こんなあたたかい展開になってくれるといいなあ。
>>801 陽ナイスだ!
>>804 智と修がそれぞれ何で泣いてるのか気になる。
両者ともGJです!
とてもいい締めくくりでした。
>>801 小ネタGJ!航をお父さんって呼んじゃう感じわかりますw
>>802 兄想いの陽に萌えました〜夏世姉(*´Д`)
智セツナス
>>801 陽おそるべし。若いお母さんって何かエロチックだw
>>802 ほのぼのしてイイ!! 航兄を好きかと聞かれて「すうっときれいに微笑んだ」
って所が好きです。静かな決意って感じ。
次スレでも素敵なSSがたくさん投下されますように…!
GJ!!
だけど欲を言えば適当に改行してほしい…
とかわがまま言ってみるw
すばらしいぃ
>>755さん
口元のあんこ、にて妄想。
エレベーターの中で、修さんと子供のように指切りをした後、修さんの口元に
あんこがついているのに気が付いた。
「修さん、あんこついてますよ、ここに。」
「え?どこ?」
修さんが自分の顔を触って探している仕草が可愛らしくて、口元に指を伸ばして
あんこを取ってあげた。
するとみるみるうちに修さんは真っ赤になってしまった。
(照れちゃったみたい。可愛い。)
思わず微笑むと、途端に仏頂面になった。
「そういう夏世っぺも付いてるぞ。」
「え!?ヤダ、何処ですか?」
「ここに。」
「!!」
次の瞬間、エレベーターの壁に両腕を押さえつけられ、修さんの唇が自分の唇の
上に重ねられていた。そして、唇の上をなぞる温かい………修さんの舌の感触。
予想だにしない出来事に驚き身動きが出来なかった。
時間にして10秒くらいだろうか、
チン
と、音がしてエレベーターがどこかの階についた。
その音ではっと我にかえり修さんを突き飛ばしてエレベーターを飛び出した。
「夏世っぺ!!」
背中に修さんが名前を呼ぶ声が聞こえた。
**
こんなドラマチックな展開はアリ?
>>821 放送直前に萌え死にそうになったw
修兄カワイイ!
滑り込みで 長男→夏世←4男 エロなし
4男の家出後、騒ぎが収まった頃で。
***
リビングに夏世がいる生活。
何かの広告のようだが、いつの間にか当たり前になっていたのだと、片岡兄弟は痛感した。
「アンタみたいなのでも、女っ気がないとね〜」
修の照れ隠しの一言に、誰も否定しなかったのが良い証拠だ。…相変わらず本人は気付かずに怒っていたけれど。
「私みたいのって、なんですかーっ。そりゃあ、いつもご迷惑掛けてばかりですけど…」
「自覚、あったんだ」
航と夏世はまだぎこちないけれど、それ以外は以前と変わらず…。
夏世はリビングのソファで、手をさするようにこすり合わせていた。
「…何を、しているんです?」
航が声を掛けると、ピクリと肩を震わせ、無理をした笑顔を見せる。
「ハンドクリーム、塗ってるんです。紙をずっと触ってると乾燥しちゃって…。たまに指を切ったりもしますし」
「ああ、」
その先が続かない。
大量の紙を扱っていれば、油を吸われて荒れるし、切断面に指を切ったりするのは、雑誌を見ているだけでもよくある事。
理解は出来たが、その先をどう続ければ良いのか、航には分からなかった。
突き放したくせに離れられるのは寂しくて、かといえ、寄り添われるのも困るのに。
***
仕事場からリビングは丸見えで。会話は聞こえないけれど、ある程度の雰囲気は伝わる。
どうしょうもなくて、航が無言でソファに腰を下ろしたのが、見て取れた。
「…あ〜、何やってんの。『効くんですか?』とか言いながら、手ぇ握るとかすりゃ良いのに」
「…智君。今まで何度、そんな事をして来たのかな?」
次男の妬ましいような視線に、智は軽く肩をすくめた。
弟達の茶々が聞こえたのかは分からないが、航はようやく「効くんですか、ハンドクリーム」と呟いた。もちろん、手は握らない。
あまりにか細くて聞き逃しそうな航の声に、立ち込めた静寂ゆえに気付いた夏世が微笑む。
「もぉ、スベスベです! 天然成分たっぷりで、赤ちゃんにも大丈夫だそうです」
ひらひらと翻る夏世の白い手に、捕まえてしまいたくなる。
屈託ない笑顔を見せてくれたのも、久しぶりじゃないだろうか。…自分のせいなのだけれど。
「赤ちゃん、ですか」
そんな嬉しさから、航の口元は自然に笑みを浮かべた。
「私が子供っぽいから丁度良いとか、言うんですか?」
「僕は何も言ってませんよ、まだ」
「まだ、って航さん!」
拗ねた風に唇を尖らせて、不意に軽やかに笑う。つられて、瞳を細める航に、また微笑みかける。
(いーい雰囲気なんではないですか。夏世っぺ、ナイス小道具)
(アレやったの、俺)
(…なんでよ、さとぴょん)
(さっき言ったじゃない。手を握る良い口実だって)
(……智君。夜道を歩く時には背後に気を付けなさい。特に俺っ!
きぃーっ。悔しい〜。君のお兄様が一体何年手をつないでないとっ)
(んーと、30…)
(フォークダンスがあるから、違いますぅ!)