4男げと
今後作品投下はこっちで良いのですか?
実は5男がいてヒミツの部屋で(r
>>1 乙
保管庫もできたし、新作の投下はこちらで良いのでは?
ここなら長さを気にせず投下できるし
前スレのような投下&妄想ラッシュで盛り上がりたいな
>>1 乙!
とうとう次スレまで来て本当に嬉しいなぁ〜
>>1 乙です。
まさか2スレまでいくなんて……! 思ってもなかった。
嬉しいです。
じゃあ1発目投下させていただきます。
前スレ>141-150横槍三男×夏世 の 続き。
彼女が少しだけ変わった。
些細過ぎて、遊び人を自負する自分じゃなければ気がつかない程度の変化だ。
例えば、ここに来るのにスカートを穿かなくなった。
膝が見える丈のパンツも、襟ぐりが空いたトップスも着なくなった。
打ち合わせを他の兄弟の前でするようになった。
後ろから声を掛けると、不自然に身体を震わせる。
全員で集まっても絶対に智の近くには座らない。
パタパタと動き回るか、離れたチェアに腰掛ける。
そして何より、他にも担当を持った、との事で、ここに来る回数がぐんと減った。
その程度の事だ。
気がついたとすれば、よっぽど彼女の事を懸命に見つめている証拠だ。
航はどこまで知っているだろうか。
*
「あのさ」
ネーム原稿の散らばったダイニングテーブル。
隣に陽、筋向いに編集者。
特に不自然なところはない構図だ。
夏世の態度以外はまったくナチュラルだ。
先程から智の手が伸びるたびに身体を強張らせて、声を掛けると視線をオドオドと揺らす。
陽の顔は見るくせに、智の目は絶対に見ようとしない。
不愉快だ。
「……何でしょう?」
「それ、やめてくんない?」
「………………」
「智兄?」
「責めるなら責める、忘れるなら忘れる、謝ってほしいならそう言えよ。カンジ悪りぃぞ」
「何のことですか?」
やはりこちらを見ないまま、手元の原稿をせわしなく整理し続ける。
「じゃあ忘れるってことでいいんだな?」
「…………」
「いいんだな?」
もう一度、低く強くはっきりと繰り返す。
夏世の両手が小刻みに震え始めた。
それがどういう意味なのか、智には判らないし知りたいとも思わない。
盛大に舌打ちをして、席を立った。
*
「……何の、話?」
リビングを抜けて出て行った智の背中を見送って、陽にしては珍しく聞きづらそうに口を開く。
夏世は俯いたまま小さく首を振った。
「寒いの?」
言われて、自分が相変わらず震えている事に気がついた。
隠すように両手を握りあわせて、また首を振る。
「智兄と、なんかあったの?」
「……なんでも、ない。なんでもないの」
そうだ、あんな事ぐらいなんでもない。
若い子じゃないんだから、いつまでもみっともなく気にしていたら仕事にならない。
何度も自分に言い聞かせて、自然に振舞ってきていたつもりだった。
だけど忘れていられたつもりでも、どうしても時折思い出すのだ。
航の怒鳴り声。
文字通り抱き締められて、軋んだ背骨。
びくともしない両の手首。
重たい身体。
つめたい声。
生暖かい智の大きな手が首にかかり、段々と白んだ目の前。
そして特に智の香水がダメだ。
近寄られると香る。すると身体が強張る。
息を吐いて落ち着かせてから振り向いていた。
精一杯の努力をしてきたはずだったのに、簡単に見破られた。
いつから知っていたんだろう。
「打ち合わせ、後にする?」
珍しく陽が優しい。
その理由はすぐに合点がいった。
握り締めた両手とその下のネーム原稿の上にぽろぽろと涙が零れた。
「ちょっと落ち着きなよ。ほら」
陽が席を立ち、ティッシュボックスを手にして夏世の隣に立つ。
差し出されたティッシュで濡れた原稿を丁寧に拭う。
もう一枚引き出して、目元を拭った。
陽は無神経だ。
航や智のように、先にこちらの気持ちを勝手に想像して傷つかないオブラードな物言いをしたりしない。
子どものような独特のまっすぐさで、思った事を口に出す。
それが今は少しだけありがたい。
「よくない」
「そうやって、航兄に言ったら?」
「陽くん、今日は親切ね」
「別に。はぐらかすんだったらもう二度と話聞かないよ」
「ごめん」
「で?」
「え?」
「どうしたいの?」
どうしたいのか。
考えた事もなかった。
どうなるんだろう、とは毎日考えていた。
航に怒鳴られて、逃げるようにここから帰ったあの日から約2週間。
彼から連絡はない。メールもない。
こちらからは二度ほどメールをした。返事はなかった。
もうメールを送るのはやめようと決めた。
以前は当たり前だった一人の生活。
誰かを気にしない日常。
電話もメールも待たない毎日。
どうやって過ごしていたのかちっとも思い出せない。
人を好きになる事は弱くなる事かもしれない。
一度知ってしまった暖かさを手放す苦しみに耐えられそうにない。
それでも毎日は無常に過ぎていく。
何の解決も出来ないまま。
避けているのは航だけではない。
自分も、最低限しかここには寄り付かなくなった。
他に担当を持ちたいと、編集長に直談判したのは自分だった。
もう一人の作家はもちろん女性で、ヒステリックなところもあるけれど花園ゆり子に比べればいくらか常識的で、適度にドライだった。
これが普通の作家と編集者の距離だろうと、思い出させてくれた。
片岡家に深入りしすぎていた己に気がついた。
今からでも遅くない、線をきちんと引こうと決意した。
「どうですか」と様子を見に来る事もしなくなった。
そんなことしなくても、智がきちんとスケジュール管理していると、本当は知っていた。
恋する女が一番欲しいのは口実なのだ。
自分は公私混同もいいところだった。
血の気が、少し下がったような気がした。
「顔色、悪いけど」
「……そう?」
誰よりも自分が知っている。
しばらく満足に眠れていない。
目を閉じると航のぬくもりが浮かんできて、すぐに怒鳴り声に変わって、智の香りがして、いろんな事が渦巻く。
このままでは壊れてしまう。
大人気ないとは思うが、今日帰ったら担当を変えてもらえないか直談判しようと決めた。
ダメなら転職しようとも。
もう二度とここには来たくない。
逃げようと決意した。
思えば初日に逃げそびれたのがすべての始まりだ。
「どうしたいか、決まった?」
「……決まりました」
「僕に言う? それとも、」
言葉を切って、急に陽がキッチンに顔を向ける。
「航兄! この人の相手代わってくれる?」
ビクリと顔を上げた。
いつの間にか、航が腕組をしてキッチンの影に立っていた。
「いつから、いたんですか」
「……最初、から」
申し訳なさそうに航が口を開く。
「最初?」
「この打ち合わせの最初から。なんで入ってこないのかなーって思ってたんだけど」
隠れてるみたいだったから、と面倒そうに陽が言う。
言葉が続かない。
「何でもいいけどさ、厄介ごと持ち込むのは辞めてくれる?」
「陽」
「本当のことじゃん。航兄も智兄もなんかピリピリしてるのだって、この人の所為でしょ?」
「陽、違うんだ」
「違わない。修兄だって気付いてるよ。珍しく何にも言わないけどさ。
修兄にまで気を使わせて何やってるの?」
「辞めなさい」
「航兄も同罪だよ。何を気にしてるのか知らないけど、なんでいつまでも黙ってようと思ってたの?」
「それは、」
「辞めて!」
聞きたくない。
夏世の悲鳴のような声に、空気が凍る。
驚く二人を無視して、席を立った。
鞄を引っつかんでダイニングから逃げ出す。
「待って!」
航に腕を掴まれた。
触られた瞬間に、ゾクリと背筋に悪寒が走った。
「離して!」
また叫んで、航の手を乱暴に振り払った。
思ったよりも容易く、航の手が離れた。
けれど航に与えたダメージも、予想以上だった。
眉根を寄せて、じっと夏世を見つめる。口元が何か言いたげに歪む。
――怒鳴られる……!
身が強張った。
眩暈がする。
怖い。
他人にこんな感情を抱くのは初めてだ。
言うべき言葉が見つからない。
「……ちょっと話、しよう。来て」
今度は優しく腕を取られた。
それでも、生理的嫌悪が沸いてくる。
ゆるゆると首を左右に振った。
「…………いや……帰ります……」
「いいから」
自分の感情の正体が判らない。
このわけの判らない恐怖から早く逃れたい。
航の話なんて聞きたくない。
どうせ別れ話だ。
だったらこのまま帰って、消えてなくなりたい。
「……航兄……」
陽の心配そうな声が耳に届いた。
航は何も言わない。
手を引いたまま、航が歩き出す。
助けを求めるように、陽を見つめた。
目が合うと陽は、何か言いたげな表情でゆっくりと首を振った。
*
様子が可笑しいとは思っていた。
自分と目を合わせないのにはもちろん心当たりがあった。
だけど、智と必要以上に距離を開けているように見えた。
しばらくは、出来るだけ彼女と智を二人にしないように気をつけていた。
そんなことをしなくても、二人っきりにはならなかった。たぶん、彼女が避けていたからだ。
今日は陽と智だったから、打ち合わせに参加しようか悩んでいる間にスタートして入りそびれた。
これが修と智だったらこんな事をしなかっただろう。
ともあれ、智を避けていた、あの日智との間に何かがあったのは間違いなさそうだ。
智を嫌っている、というより、怯えているのだ。
今も、何かに怯えている。
自室のソファにそっと座らせ、自分も隣に腰を下ろすと彼女はそわそわと立ち上がった。「……座って」
夏世は迷うようなそぶりを見せた後、航のベッドに腰掛けた。
距離を開けているのは明白だ。
「話って、何ですか?」
「あぁ、何か、誤解があるみたいだから解いておきたいんだけど……」
「何も、誤解なんてありません」
「じゃあなんで避けるんですか?」
「避けてるのは航さんの方です」
「……そう、だね」
「誤解をしているのも、航さんだけです」
「…………」
「別れたいなら、ちゃんとそう言って……」
別れる。
その言葉に戦慄した。
思わず鸚鵡返しに尋ねる。
「別れ、たいんですか?」
小さく彼女が頷いたように見えた。
もしかしたらうなだれただけかもしれない。
「あの日のことは謝ります。あと、メールを無視した事も」
「悪いと、思ってないのに?」
「思ってる」
「あの日の何を、謝るんですか?」
「怒鳴ったこと。感情的になって、あなたを追い詰めた」
もう彼女の事は見ないように努めた。
「メールは、ちょっと、自分の気持ちが落ち着かなくて。
何て返事しようか悩んでいるうちに、日数が経ってしまったんだ」
知っての通りこんな性分だから、と言い訳がましく付け加える。
がましいどころではない。
あの日彼女を否定した言い訳そのものだ。
「僕の話は、とりあえず以上。次は君の話」
「私は、話すことなんて、ありません」
「じゃあ質問に答えて欲しい」
「嫌」
言葉を失った。
今日はずいぶんと攻撃的だ。
立ち上がって、彼女の前に立った。
夏世はベッドの上で膝を抱えて身体を丸めていた。
両膝に顔を埋めて、肩を震わせている。
泣いているのかもしれない。
隣に腰掛けてそっと肩を抱くと、その身体がまた引きつった。
「離して」
身を捩る。
ぐいと引き寄せて、頭を抱いた。
「智と、何があったか教えて欲しい」
耳元でゆっくりと囁いた。
また、ビクリとその身体が震えた。
最近の彼女はいつも青い顔をして震えている。
見ていて本当に痛々しい。
でも踏み込む勇気がないのだ。
彼女が飛び込んできてくれたら受け止める心積もりはある。
だけど、夏世が言いたくないのならと遠回りに面倒ごとを避けていた自覚もある。
「…………抱い、て」
小さく耳元で囁かれたその言葉に、耳を疑った。
「ここじゃ、ちょっと……」
常識的な返答だ。自分は間違っていない。
「そんな冷静なところが嫌」
すっと彼女が離れた。
そんな風に言われては、納得がいかない。
立ち上がってドアの鍵をロックする。
またベッドに戻ると、有無を言わさず彼女のくちびるを塞いで押し倒した。
深く、深く口腔を蹂躙する。
いつもなら息の合間に声が漏れ始める頃になっても、彼女の身体は冷えたままだった。
片手で頭を撫でながら、カットソーの裾から手を入れる。
右側の乳房に触れたところで、彼女が大声を出した。
「や、だっ! いやっ!!」
耳元でつんざく様に叫ばれて、驚愕した。
眉根を寄せて彼女を見下ろす。
夏世は両腕で顔を隠してその身を震わせていた。
「誘ったのは、君だけど?」
意地悪く聞けば、両腕からぐったりと力が抜ける。
「ごめんなさい、大丈夫……」
ちっとも大丈夫じゃなさそうだ。
「何なんだ、もう……」
思わずもれた言葉は、予想よりも冷たく彼女に響いたらしい。
その証拠に、どんと突き飛ばされた。
「帰ります。……私、花園先生の担当を降ります」
予想外の言葉に、また驚かされた。
立ち上がった夏世の腕を掴んだ。今度は弾かれないように、強く握った。
夏世は腕を勢いよく振った。
強く握った手首が、ギリと音を立てる。
「…………痛いっ」
叫ぶ彼女を無視して、腕を引いた。
ぐらりと身体が傾いて、腕の中に転がり込んでくる。
興奮した猫のように暴れる彼女を強く抱き締めた。
痛い、とか離して、とか、言葉にならない呻き声が腕の中から響いて、それは少しずつ小さくなり、最終的にぐったりと力が抜けた。
ぽん、ぽん、とゆっくり背中を叩く。
昔、癇癪を起こした陽を同じようになだめた、などと考える。
そしてふと、いつの間にか弟達と同じように彼女を大切に思い、大事に扱っていたのだと、心が騒いだ。
いい変化だと一概には言えない。
彼女の所為ではもちろんない。
自分の落ち度だ。
長い間、家族を守るため、他人を排除してきた。
それをやめようと決意させたのは夏世だ。
大事なものを入れ替えるのではなく、増えるだけだ、と。
間違いだったのかもしれない。
増えたところで自分は一人しかいなくて、抱き締めるための腕も二本しかないのだ。
新しい「大事なもの」に気を取られすぎていたと自覚はある。
その関係を早く自然なものにしたくて、焦っていた。
そうじゃないと、弟たちに何と説明すればいいのか判らなかったからだ。
しかしその所為で智とギグシャグし、修の配慮にも気付かず、陽の苛立ちも見抜けなかった。
夏世が、自分たちに振り回されている日常に心底疲れ、本気で航と別れたいと思っているのならそうさせてやるべきなのだ。
判っている。
でも彼女が本心を打ち明けてくれるまで引くに引けない。
一度内側に入れたものをまた放り出すのは、とても恐ろしい事に思える。
ここで夏世を手放せば、いつか弟を同じ状況に置く予感がする。
腕の中で、諦めたようにぐったりとなった彼女の息を肩に感じながら、陽ならこのシチュエーションの後にどんなストーリを書くのかと思いを巡らせた。
また抜けたorz
>>17の一行目に
「突然彼女の顔があがり、震えながら両手を航の首に回して首に鼻を埋めた。」
を脳内補完お願いします、ごめんなさい。
解決してないけどとりあえずココまで。
なんかレイプ被害に対する男女の認識の差、みたいな話になってきた……。
この風呂敷、畳めなかったらごめんなさい。
追記:四男は、夏世だけの前だと親切だけどそこに航が入るとツンとしちゃうの希望。
夏世っぺは別に嫌いじゃないけど、お兄ちゃん(お母さん?)取られたくない心理。
1行どころじゃない、1レス抜けてるーー!!! ごめんなさいーー!!
>>10 と
>>11 の間に、下記を……本当にごめんなさい、首吊ってくる。
*
「航兄、呼んでくる」
身を翻そうとした陽の袖を思わず強く握り締めた。
「待って、大丈夫……」
「でも」
「ここにいて」
「…………言う相手が違うんじゃない?」
ため息をついたものの、陽は行かないでいてくれた。
「ごめんなさい」
「いいけどさ。迷惑かけたって思ってるなら何があったか話してよ」
「ネタにされるから、嫌です」
「しないよ」
「信用できない」
「しないってば」
「絶対?」
「絶対」
「判った、信じる。でも、本当に何にもないの」
陽のおかげで少し落ち着いた。
にっこり笑って、陽を見上げる。
彼はちょっと驚いたような顔をして、しかしからかわれたと悟るといつもの子どものような膨れっ面を浮かべる。
抱えたままのティッシュボックスを夏世の目の前にぽんと置くと、また向かいの席に腰を下ろした。
「航兄と、最近、どう?」
「どうって?」
「会ってるでしょ?」
「会ってないです」
「でも、航兄、出かけるよ?」
「ふぅん?」
「付き合ってるんでしょ?」
「…………航さんに聞いてください」
「聞いたけど、そんなんじゃないってさ」
「……。じゃあ違います」
「それでいいの?」
まっすぐに見つめられた。
>>8-20 朝から泣いてしまいました。
夏世も、智も航もなんでこんなに傷付かなきゃならないのか…ひとを好きになる
って本当に大変なことなのだと改めて思いました。
陽君は夏世の事もお兄ちゃん達の事も大切に思ってていい子ですねー。
深夜枠バージョンという事でこの話を是非やって頂きたい!
続きが気になって仕方ありません。
嗚呼、罪作りなっ。
>>20 GJそしてイ`
更に続きが気になるよ
この流れに便乗して投下します
四男視点の長男夏世?かな
初投下なんでミスったらスマソ
23 :
四男視点1:2007/02/24(土) 09:54:11 ID:3hoemmS3
「航兄とまた何かあった?」
僕の一言に彼女は煎れていたコーヒーを盛大にひっくり返した。
ホントにこの人ってわかりやすい。
「……何してんの?」
「ごめんなさっ…だって陽くんが変なコト言うから…っ」
「変な事? アナタの方がいつも以上に変なんだけど」
「それは…ドラマ化の件がダメになって申し訳なくて反省を…」
「ソレは別にどうだっていいよ。僕も反対だったし」
そんな事よりもっと気にしてる事があるクセに。
「航兄の事、避けてない?」
布巾でテーブルを拭く彼女の動きが止まった。
24 :
四男視点2:2007/02/24(土) 09:55:22 ID:3hoemmS3
「さっ、避けてるワケじゃないの!」
「じゃあ何」
「どうしたらいいか、わからなくて……」
「は?」
「航さん、気にするなって言ってくれたけど…あの時…」
妙に顔を赤らめて話す彼女を見た瞬間。
カチリと頭の中でパズルのピースがはまったような気がした。
あ。もしかして。
その時、航兄がリビングへやってきた。
けれど彼女を見て急に立ち止まる。
反対に彼女は航兄を見ると急に慌てはじめた。
「あああ、陽くん! おかわりテキトーに飲んでね!!
私、修さんにコレ持って行くから!」
そして一目散に航兄の横をすり抜けて
25 :
四男視点3:2007/02/24(土) 09:56:31 ID:3hoemmS3
「航兄、どうしたの?」
「あ、ああ…コーヒーもらおうかと思って」
「さっきこぼしたからアレしかないよ」
「……」
「ミルクティー飲む? あの人が煎れてくれた」
「そうか…もらおうかな」
航兄は穏やかな笑顔でキッチンに向かう。
航兄、我慢してる?
だって、こんなに辛そうなのに。
「ねぇ航兄」
「んー?」
航兄に声をかけた直後。
仕事部屋で何かがひっくり返る音と修兄の奇声が聞こえた。
「あの人、ホントにバカだよね」
苦笑いを浮かべた航兄はやっぱり寂しそうで。
26 :
四男視点4:2007/02/24(土) 09:57:45 ID:3hoemmS3
こっちまで苦しくなる。
これ以上航兄にこんな顔させないでよ。
「ホントにバカだ」
ミルクティーを飲んで僕は仕事部屋へと向かった。
修兄に怒鳴られる彼女を見るために。
27 :
四男視点:2007/02/24(土) 10:01:12 ID:3hoemmS3
以上です…
先週の長男夏世の直後みたいな感じで
説明ないとわかんないね
何かイロイロごめんなさい
28 :
四男視点:2007/02/24(土) 10:07:33 ID:3hoemmS3
あ、文字が切れてましたorz
>>24の最後は
すり抜けて行く。
ですね
脳内で変換をお願いします
>>8-20 前スレの続きが読めると思ってなかったので、すごくビックリ&嬉しかった。
でも、ほんと、切なくてっ!
この続き、ぜひぜひよろしくお願いします。
3人の関係を修兄がどう見てるのかも、ちょっと知りたい……。
>>22-28 すんごい切なくなったあとに読んで、なんだかちょっとホッとしました。
いや、航兄も陽くんも辛いんだけど、中学生レベルの恋愛の辛さっていうか、
このあときっとうまくいくよ、ってこっちが思える切なさなのよね。
皆様、ほんとにGJです。こんな作品書けるなんてうらやましい!
>>8 以前棚化ちゃんの「編集者でもガッサンは女だからな…」みたいな呟きを思い出しました。
続きが気になります!
みんなが幸せになって欲しいな…なんて
>>22 光景が目に浮かびますw
最近めっきり優しい陽が好きだ
陽は色々深読みできる言動ばかりしてくれるので妄想しがいがあるw
新スレおめでとうございます〜
>>1さん乙です。
さっそく作家さま方が神作品投下して下さってますね!
本当にすばらし〜い!!!
主題歌ガンガンかけながら読ませていただいてマス。
>>7 素晴らしくGJ!!
壷も壷、超萌えています。こういうシリアスなのも大好きなんだ〜!!
もうこうなったら長男は三男とガチでタイマンはるくらいして欲しいww
>>22 陽がめっちゃかわいいですw
これからも投下待ってます。
新スレおめでとうございます。
どうかこれからも神々が萌えパロを落としてくれますように祈ってます!
新スレッド開店おめでとうございます。
既に神様方が降臨されていて嬉しく思っています。
横槍三男シリーズ(勝手に命名スマソ)に感涙、兄思いの陽君に和ませて頂きましたwww
私も新スレに投下させて頂きます。
航×夏世でエロなしですがシモネタありです。
↓ では投下 ↓
34 :
航×夏世:2007/02/25(日) 06:22:51 ID:gh6PIh7H
「んっっ……がっ!」
「航さん、どうかされましたか!?」
コーヒーカップを手に取ろうと、身体を気持ち起こし気味にして手を伸ばした途端、
腰にそれこそ釘を打ち込まれたような激痛が走った。
「だ、だいじょう、ぶ、です。」
「全然、そうには見えませんけど。」
心配そうに眉根を寄せて彼女が、ソファの上で悶絶している俺の顔を覗きこんでいる。
やって、しまった。
「あー航兄、久しぶりに『ぎっくり』いっちゃったね、腰。」
向かいのソファに座っていた修が、茶をすすりながらそう言う。
「ぎっくり腰、ですか!?」
「そ、この仕事四六時中座りっぱなしだからね、一種の職業病みたいなものよ。
ここ最近調子良かったのに。誰かが連載増やしたせいで一層忙しくなって疲れが
たまったせいなんじゃなーい?」
「そ、そうなんですか?……航さん、大丈夫ですか?」
「アンタ、何言ってるの?大丈夫なわけないでしょ。痛いなんてもんじゃないん
だから。それこそ、頭のテッペンから足の爪先まで雷が落ちたみたいに、激痛が
走るんだから。」
「かわいそう……。」
35 :
航×夏世 2:2007/02/25(日) 06:29:26 ID:gh6PIh7H
1つ前のスレ「航×夏世 1」ってナンバリング忘れました。脳内補完願います。
***
ぎっくり腰なんて、じじむさい姿を彼女に見られてしまいまさに穴があったら入
りたい心境だったが、如何せん身動きが取れない。
そのため二人が話している間も脂汗を垂らしながらひたすらじっと耐えているし
かなかった。
「という事で、小娘。これ保険証と接骨院の地図と電話番号。よろしくね。」
「え!?」
「え、じゃないわよ。航兄を病院に連れて行ってあげたいのはやまやまだけど、
俺は今夜〆切のあんたのところの原稿を仕上げなきゃならないし、さとぴょんは
打合せで出掛けていないし、陽には読み切りのネームがあるし、俺達には物理的
に無理なわけ。
で、だったらどうする、はい、アンタ?」
「……私が、航さんを病院に連れて行くしかありませんね。」
「でしょ?じゃ、航兄の事頼んだよ。
航兄も鬼娘じゃ頼りないとは思うけど、我慢してね。」
という頭上でのやりとりの結果、彼女に接骨院まで付き添ってもらうという大変
みっともない事態になった。
36 :
航×夏世 3:2007/02/25(日) 06:32:38 ID:gh6PIh7H
ぎっくり腰には楽な体勢というものがない。
ただひたすら腰に負担をかけないようそろそろと平行移動するか、這って移動す
るしかない。
月並みな言い方だが、この辛さはやった人間にしか分からないだろう。
「航さん、遠慮せずに私に体重預けちゃって下さいね。」
最初遠慮しようと思ったものの、彼女の手助けがなければ家から出ることも出来なかったため、お言葉に甘え彼女の肩を借りる事にした。
彼女には下から支えてもらい、右腕を彼女の肩に回し、まるで彼女を抱きすくめ
ている体(てい)でエレベーターに乗り込んだ。
なるべく体重をかけないようにはしているが、それでも大の男の身体を支えてい
る訳だから女性である彼女にはかなりの負担だと思う。
「すいません。あなたにこんな事おを願いしてしまって…。」
「いえ、こちらこそすいません。私が新しい連載をお願いしたばかりに……。」
「いや、それは関係ありません。あなたのせいじゃ、ありませんから。」
「…………」
「…………」
地階に着くまでエレベーターには誰も乗ってこなかった。
そのため、やや早めに打つお互いの鼓動を密着した身体から感じていた。
37 :
航×夏世 4:2007/02/25(日) 06:39:27 ID:gh6PIh7H
地階に着くと、エレベーターをそろそろと降り、予め陽に呼んでおいてもらった
タクシーに彼女の助けを借りてなんとか乗り込み、接骨院へと向かった。
「痛み止めを打ちましたから、もうこれで痛みは引くと思いますよ。
まぁ疲れがたまって腰にきたのでしょうな。難しいとは思いますが充分休養をと
られる事です。」
接骨院の先生がそう言うと、治療中傍でずっと心配そうにしていた彼女がほっと
安堵のため息をついた。
この接骨院は還暦をとうに過ぎたと思われる先生と先生の奥様が看護師をされて
いる小さな開業医だ。
しかし腕は確かで遠方からわざわざ通ってくる患者もいる程の隠れた名医だ。
現にあのバチバチと全身を電流が流れるような激痛が、今は小さなスパーク程度
に治まっている。それも後数時間で治まるだろう。
助かった。
38 :
航×夏世 5:2007/02/25(日) 06:47:50 ID:gh6PIh7H
「痛み止めの飲み薬とあと湿布を出しておきます。痛みがまだあるようであれば、
夜寝る前に湿布を貼り直してあげて下さい、奥さん。」
え?
先生、今
なんとおっしゃいましたか?
「完治した訳ではありませんので、くれぐれも無理は禁物です。
ご主人の体調管理にも気をつけて差し上げて下さいね、奥さん。」
先生の勘違いに、彼女は耳まで真っ赤になっている。
「先生、彼女はぼ………。」
僕の妻ではありません、と(幸運な)誤解を解こうと言いかけた時、更に先生が
こう言ったため二人共フリーズしてしまった。
「お若いので辛いとは思いますが………当分夜の営みは控えるようにして下さい。
2週間程の辛抱です。その後は、いくらされても構いませんから。」
(……………)
先生の表情はしごく真面目で、からかいの言葉を投げかけられたわけではないの
は確かだ。医者として治療方法について説明するのと同じ態度のように思われた。
40 :
航×夏世 6:2007/02/25(日) 07:01:59 ID:gh6PIh7H
あまりの事に二人共口もきけずにいたら、更に先生は仰った。
「どうしても、という時は……奥さんが旦那さんの上に乗ってなさって下さい。
但し程々に。
ではお大事に。」
「……はい、どうも、ありがとうございました。」
なんとかそれだけ言葉を絞りだすと、石像と化している彼女の背中を押して診察
室を後にした。
接骨院を出てタクシーを拾おうと歩き出した時、ごく自然に彼女が肩を貸してくれた。
本当は痛み止めの注射のお陰で全くと言っていい程痛みはなかったのだが、折角
なので肩を貸してもらいゆっくりと歩を進めた。
先程とは違い、今は抱きしめている彼女の温かみを感じる余裕がある。
彼女からはふんわりと甘い香りが立ち上り、腕を回している肩は強く力を入れた
ら折れてしまいそうに華奢だ。
そしてその割りにはかなり豊かな胸が歩く度に身体に当たり、早鐘を打つ心臓の
音が彼女に聞こえてるのではないかと心配になった。
更にブラウスの胸元から覗く深い胸の谷間に、一瞬邪な気持ちが心をよぎり慌てて
目をそらした。
(ただ一心に心配してくれている彼女に対して、何考えてるんだ、俺。)
41 :
航×夏世 7:2007/02/25(日) 07:12:19 ID:gh6PIh7H
「……すみません、変な誤解を、されてしまって。」
「いえ……こちらこそ…すみません。」
謝る必要のない彼女まで謝っている様子からも、彼女が困惑しているのは確かだ。
それはそうだろう。
結婚もしていないのに奥さんに間違われ、挙げ句にあんな事やこんな事まで………
って、今自分がした想像に慌ててこう言った。
「こんな、ぎっくり腰をやらかしてるオヤジの奥さんなんて、ははっ、冗談じゃ
ないですよね。」
すると、それこそ小さな声で彼女が
「……私は、嫌じゃないです。」
と言った。
脇の下を覗きこむと下を向いている彼女からは表情を読み取ることは出来なかっ
たが、ちらりと覗いている耳が真っ赤になっていた。
(えーと今のは、どういう意味だろうか??)
自分に都合よく解釈してしまいそうで、更に慌てた。
そしてなんだかもっと彼女の温もりを感じていたかったから、こう言った。
「マンションまでリハビリがてら、歩いて帰りませんか?」
その後反対する彼女を押し切り、普段であれば15分で行けるところを1時間近く
かけて帰った。
もちろん、彼女の肩を借りて。
今はこれだけで、充分。
了
>>41 GJ!!リアル遭遇した、素敵素敵〜!!
そして接骨院の先生、何てGJ!!な発言。
本編は航夏世、今後9話まで胸の痛い展開になりそうだから
航夏世のほのぼのエピソードで癒された…。
43 :
航×夏世:2007/02/25(日) 07:22:25 ID:gh6PIh7H
航を看病(厳密には違いますが)する夏世っぺを見ている当事者航目線でした。
以前何作品かあった風邪を引いた相手を看病(+それ以上)するネタを少し変え
てみました。
でもって、身体接触があるもののそれ以上なし、という厨房レベルの恋愛。
まさに微笑ましい二人(笑)
ちなみにぎっくり腰の時の一番の痛み止めは座薬なんですが、ちょっと書けませ
んでした。
「奥さん、旦那さんに座薬を入れてあげて下さい。」
っって。(^Д^;)
失礼いたしました。
GJ!!
朝から萌えを堪能しました
ありがとう
逆に夏世っぺが片岡家でぎっくり腰になったら…ww
GJ!!新スレで早くも神作品たちが来てた!
職人様いつもいつも萌えをありがとうございます。
早く火曜になーれ。
GJ!
お医者さんの言葉に固まる2人萌え。
赤面する夏世カワイス
もし、この2人が本当に付き合ってたり、夫婦だった場合は、
お医者さんの言うとおり、夏世が上になるのかな。
と想像してしまった。
GJ!
航兄、頭の中で
「今…日は、私が…動きますから…アンッ!」
と言って、恥ずかしがりながらも騎乗位で腰を動かす夏世とか
「航さん…!痛みがなくなったからって…キャッ…そんな…激し過ぎます…イヤァン駄目ェッ!」
とか言って、自分の下で悶える夏世とか想像したんだろうか?
GJです、ワロタw
こんなエピソードが実際放送されても違和感ないドラマって凄い
大真面目に「座薬が一番効くんです、さあ!」と夏世に追いかけられる長男を想像してワロタw
>>48 そのシチュエーションありえそうでワロスw
>48
まさにお母さんw
学校の女先生によくあるような間違えて夏世の事を
「あの、お母さん…あっ!」
と呼んでしまう誰か(陽とか意外と修兄とか)
陽は軽いスキンシップ、修兄は…想像つかんw
>>48 腰痛持ちから一言。
座薬が必要、という事は結構腰に激痛がキテイル時です。
そのため、逃げようとしてもあっさりと捕獲されると思われます。
きっと弟達に押さえ込まれ、航兄はパンツ(トランクス派か?)を下ろされ、
ギュイーンと押し込まれてしまう事でしょう(涙)。
でも、ギックリ腰になったのが修だったら、逆に嫌がる夏世を追いかけ回して
「お願い、して vvv」
って言いそうだ。
>51
某腹黒兎頭巾系「おねがいv」を想像して吹いた
長男×夏世 ほのぼの投下します。エロあり。
っていうかエロのみ。
付き合ってる設定。たぶん付き合って1年後ぐらいw
54 :
幸福な退屈:2007/02/26(月) 01:05:12 ID:fpXfYsJj
短い逢瀬の間にできる事は限られている。
散歩、会話、食事、お酒を飲む、手をつなぐ、キス、セックス。
そんなところだ。
忙しい航は遠出が出来ない。百も承知だ。
普段からそっけないデートを繰り返している。
昼間だったら、公園で航がスケッチをしている隣で夏世が本を読む。
夜だったら、食事へ行って、時間とお互いの気持ちの都合が付けば航が夏世の部屋へ尋ねてくる。
そんなものだ。
退屈と思わなくもないが、特に不満もない。
今日は映画をレンタルして見よう、と言ったのはどっちの提案だったか。
そういう日だったのだ。
55 :
幸福な退屈 2:2007/02/26(月) 01:05:56 ID:fpXfYsJj
*
毎日のように顔を合わせてはいるものの、二人っきりになるのは久しぶりだった。
本当は映画よりキスがしたかったのだ。
言い出せなくて航の袖をぎゅっと握って上目遣いに見つめてみた。
「……なに、かな?」
「…………」
「う〜ん」
困ったような航の声音が好きだ。
少なくともその瞬間は、自分のことだけを考えてくれている。
女性独特の歪んだ感覚だろう。
自覚はある。
でも、全部認めてくれると安心しきっているから、そういうこともするのだ。
その証拠に、航はたっぷりと悩んだ末、軽く夏世を抱き締めた。
「はい」
ぽんぽん、と背中をあやすように軽く叩かれ、航の身体が離れる。
それはそれでいいものだったが、違うのに、と頬を膨らませたのも事実だ。
「これ、見ないと」
DVDを軽く持ち上げて、航は微笑む。
多少迷った挙句、夏世は頷いた。
少し、欲求不満なのだ。
本当に少しだけだ。
56 :
幸福な退屈 3:2007/02/26(月) 01:06:45 ID:fpXfYsJj
*
映画は何てことない歴史ロマンものだった。
昔々のどこかの国で、男が戦いの中で女と出会って恋に落ちて、どうのこうのと言うものだ。
昔から歴史は苦手だった。特に世界史は。
カタカナの人名が覚えられないのだ。
あと外国人の顔も覚えられない。
それ以前に隣の航に触れたくて触れて欲しくて、そもそも映画どころではないのだ。
ストーリーがサッパリ判らなくなってきたところで、タイミング悪くラブシーンが始まる。
何とか顔が判る主役のイケメンが、ヒロインを熱っぽく見つめる。
思わず自分を重ね合わせた。
こんなにも熱っぽく航に見つめられた事があっただろうか。
過去にはあったかもしれないけど、最近はない。
これは確定。
ヒロインは射抜かれて身動きも取れず瞳を潤ませている。
確かこの女には意に沿わぬ婚約者がいたはずだ。
そこに嫁がないと戦争が起こるハズ。
いくら目の前の男がイケメンでも一緒に逃げるわけにはいかない悲恋なのだ。
だからこそ盛り上がるのだろう。
どちらかが「一夜の想い出」とか言い出して、ゆっくり、ゆっくりとくちびるを重ねる。
一度触れ合ってしまえば早かった。
情熱的に、見ているほうが恥ずかしくなるほど野性的に口づけを交わした。
一度くちびるを離して、再び見つめ合う。
その後にまた長い長い口付けが続いた。
最近、こんなエロいキスをしただろうか。
首をひねる。覚えがない。
これも確定。
57 :
幸福な退屈 4:2007/02/26(月) 01:07:23 ID:fpXfYsJj
「……いいなぁ」
思わず口走る。
我に返って声が漏れた事実に驚愕した。
胸のうちで呟いたはずだったのに、確かに声が漏れていた。
隣の航の顔が見れない。
欲求不満がばれてしまう。
なんでもない、と呟くより前に目の前が陰った。
航のくちびるが盗むようにふわりと触れた。
一瞬の出来事だった。
驚いて航を見れば、彼はもう知らん顔で画面を見入ってる。
もしかして、今のは自分の妄想だったのかもしれない。
そう思い直して、自分もラブシーンに向き直る。
ベッドに入って裸が映って、鳥が鳴いて場面が代わるのだろうとの予測は見事に裏切られた。
ヒロインの服をそっと脱がしてベッドに押し倒し、長い長い愛撫も丁寧に描写し、体位を代えて2度果てて。
またねっとりとしたキスを交わして、まだ足りないとばかりに上下を入れ替える。
歴史ロマンにこんな長いラブシーンが必要なのか。
見ていられない。
もう我慢が出来ない。
身体をずいと引きずって、テレビと航の間に割り込んだ。
珍しく航が驚いたような顔をしている。
その首に両腕を回して、くちびるを押し付けた。
ついばむようなキスを繰り返し、航の両手が腰に回されて安堵した。
何度目かにくちびるが離れて、じっと見つめ合う。
「……あとに、しません?」
精一杯の誘い文句だ。
穏やかに航が微笑んだ。
「後に、しますか」
同時に笑って、もう一度くちびるをぶつけ合う。
さっきの映画のような、情熱的で野性っぽいキス。
うっとりと思考が溶ける。
58 :
幸福な退屈 5:2007/02/26(月) 01:07:55 ID:fpXfYsJj
自分には決められた婚約者もいないし、悲恋でも禁断でもなくて平凡だけど、いつでも恋人と触れ合う事が出来る。
それはこの上ない幸福だ。
洋服の裾から航の手が差し込まれる。腰を、背中を優しく撫でる。
口付けが頬に落ちて、耳を舐る。
「……ん、ぅんっ……!」
声が漏れた。
信じられないほど身体が熱くなる。
こんなにも気持ちいい事を、どうして五年間も忘れていられたのだろう。
最近はそれが不思議でならない。
航の愛撫はまるで麻薬のように、甘く狡く夏世を支配する。
ふとつけっぱなしの電気やテレビが気になって、吐息混じりに航に尋ねた。
「あの、ベッドに……」
航は相変わらずの笑顔でテレビとプレイヤーの電源だけ落として、
「脱いでからね」
と耳元で囁き、すっかり慣れた手つきで下着のホックを外す。
どこで脱いだって同じだと思うのに、妙な迫力に押されて抵抗が出来なかった。
たまに航はこういう目をする。
そのたびに少しだけ身のすくむ思いをして、結局はいつも航の言う通りにしてしまうのだ。
丁寧に全裸に剥かれてからベッドに移動した。
何度も身体を重ねたのね、いつまでたっても裸を見られるのには慣れられない。
気恥ずかしさに、手繰り寄せたブランケットを上手に奪われて、ついでにくちびるも奪われた。
豊かな乳房を左右順繰りに揉みしだき、先端に吸い付かれてビクリと身体が震えた。
急にその様が愛しくなって、後頭部をゆっくり撫でる。
航が、くちびるを離さないままきょとんとした顔で夏世を見つめた。
ぎゅっと頭を掻き抱く。
「なんか、赤ちゃんみたい」
くすりとこぼした笑みに、航が表情を変えた。
「あっ、んん!! やっ!」
急にきつく吸われて、大きな声が漏れる。
ついでに下肢の敏感な部分を指の腹でぐいと押され、腰が引けた。
59 :
幸福な退屈 6:2007/02/26(月) 01:08:32 ID:fpXfYsJj
「……夏世」
熱っぽく名前を呼ばれ、潤んだ瞳を向ければまたくちびるを塞がれる。
キスは大好きだ。
触れ合って、追い詰められても、くちびるが触れると何もかもを投げ出していい気になる。
もっとしてほしくて、離れてしまった航のくちびるをそっと撫でる。
その指を、ぱくりと咥えられた。
人差し指を、ゆっくり、ねっとりと舐めあげられ、くすぐったいような奇妙な悪寒がぞわぞわと背を這い上がる。
「……んっ、な、に?」
航はこちらを一瞥して、その舌を中指に移す。
今度は第二関節辺りを甘く噛まれて、指の先に生暖かい航の舌が触れて、くちゅと湿った水音が響いて恥ずかしくなって、軽く瞼を伏せた航の顔が言いようもなく色っぽくて、泣きそうに切くなる。
「っも、やっ……!」
耐えられなくなって、強引に手を引き抜き庇うように胸に抱いて、身を捩って航から逃げるようなそぶりを見せた。
そのまま、肩を押されて顔を枕に埋める。
あらわになった背中に、航のくちびるが落ちる。
ちゅっと音を立てて肩甲骨の辺りを吸われ、背骨の上を舐め上げられてまた腰が甘くしびれた。
「んっ、んんっ」
枕に押し付けたくちびるから、絶えず声が漏れた。
恥ずかしい。
でも、身体が熱くて抑えられない。
航の暖かい両手が腰を掴んで持ち上げた。
突き出すような格好にまた身を捩って逃げようとしたところで、航の器用な手が、下肢に這ってそっと肉芽を摘んだ。
「あぁ!! ん、……ああんっ」
膝ががくがくと震えて、足を閉じたくても言う事を聞かない。
空いた方の手が、ベッドと胸の隙間に入り込んでごそごそと動き回る。
60 :
幸福な退屈 7:2007/02/26(月) 01:09:14 ID:fpXfYsJj
「待って、これ……!」
急に思い立って声を上げる。
なんか、デジャブを感じる。
こんな事が前にもあった気がするけど、体験するのは始めてのはず。
どこで覚えてきたんですか、と聞きたい衝動を抑えたところで、首を吸われた。
熱に浮いた頭で必死に記憶をたどる。
ついこの間、ごく最近のはず。
でも最後に航と身体を重ねたのは少し前のはず。
航が肩に吸い付いたところで、結論にたどり着いた。
さっきの映画だ。
耐え切れなくなった長い長いラブシーン。
そのヒロインと同じ格好を、現在している。
同じ場所を吸われている。
「あっ、いや、まっ……て、まって!」
「せっかく参考資料を見たんだから、活かさないと」
しれっと答えて、秘部に指を埋める。
「んん、ウソっこんなのなか……っ、んあぁ!」
器用に肉芽をきつく擦りあげられ、悲鳴をあげた。
「ああぁっ!」
身体がびくりとこわばって、すぐにぐったりと力が抜けて倒れこんだ。
たったこれだけの刺激で達してしまった。
欲求不満はかなり深刻だったようだ。
ふぅと長い息を一つ吐いて荒い呼吸を整えると、身体を仰向けにされて航に顔を覗き込まれた。
耳元で、小さく囁かれる。
「……もう、いい?」
目を伏せて、小さく頷く。
彼も嬉しそうに、頷いた。
61 :
幸福な退屈 8:2007/02/26(月) 01:10:34 ID:fpXfYsJj
航が後ろを向いて準備をしているスキに、ブランケットをたぐりよせて身体を隠した。
いつもながらこの待ち時間が手持ちぶさただ。
だからって勢いのままってのは絶対嫌だ。
そういえば昔の人は避妊はどうしていたんだろう?
例えばさっきの映画の二人は?
これで子供が出来てたらどうなっちゃうんだろう?
その辺はファンタジーってことで解決なのかな?
――航さんにどう思うか聞いてみたいけど、今ってそういうシチュエーションじゃないよね?
悶々と思い悩む間に、準備は終わったらしい。
振り向いた航にそっと額を撫でられた。
「これは、何かな?」
ブランケットを指さして、にっこり笑う。
「えっと、恥ずかしいから……」
恥ずかしい、と言うといつも航は面白くなさそうに口を歪める。
今日もその口をしながらふぅんと気のない返事をして、乱暴にブランケットを奪われた。
62 :
幸福な退屈 9:2007/02/26(月) 01:12:08 ID:fpXfYsJj
夏世の白い足の膝裏をぐいと掴むと、先端を秘部にあてがう。
この瞬間、いつも最高にドキドキする。
恥ずかしさと期待が入り混じって、パニックと表現できそうなほどの緊張だ。
ぬるり、と彼自身が埋め込まれる。
「……あ、ぁんっ……」
堪えきれなくて漏れた声が、夏世をさらに羞恥に追い込む。
思わず口に当てた手を、航が優しくどけて口付ける。
自分ばっかり熱に浮かされて、妙に冷静に見える航が今は少しだけ憎らしい。
だけどそんなこと、すぐに快楽の向こうへ消えてしまった。
律動にあわせて、甘い声と淫靡な水音とがとめどなく漏れる。ついでにベッドの軋む音も。
興奮が増していく。
首にしがみついて、身体を密着させる。
角度が変わり、違う刺激に腰がくねった。
「……も、いい?」
上ずった航の声。少し甘い。
自分だけではない、とやっと安心する。
「……う、ん……っ、ああっ!」
息も絶え絶えの返事と同時に突き上げるスピードが上がる。
また甘い悲鳴を漏らして、このまま溶けて一つになれたらいいのに、なんて思った。
63 :
幸福な退屈 9:2007/02/26(月) 01:13:19 ID:fpXfYsJj
*
「あのね、さっき考えてたんですけど」
「うん?」
「昔の人って、その、ひ、避妊とかってどうしてたのかなぁ?
例えばさっきの映画ぐらいの時代だとどうなるんだろう?
ゴム自体が生まれてないですよね?」
「……まぁ、その、色々とあったんじゃないかな?」
「色々って?」
「あーえーと、豚の腸とか、木の粉とか、濡らした紙を……とか。
避妊自体を違法とする時代もあったみたいだし」
「へー……って、なんでそんなこと知ってるんですか?」
「時代考証って大事だからね。うちに資料ありますよ、読む?」
「でも少女漫画だからそこいらないですよね?」
「…………。……ところで、それ、いつ考えてたの?」
「えっ、えーと」
「察するに、僕がそれを取り出した頃だと思うんだけど、余裕だね?」
酷いな、と航が背を向ける。
慌てて腕を掴んで抱き込んだ。
「ち、違うんです! あの、なんていうか、あの妙な間? が恥ずかしくって、
よそ事考えてないと耐えられなくって……!」
「うーん、まぁ気持ちは判るけど……」
「全然、余裕とかじゃなくって、あの、えーっと、」
「じゃあ余裕なくなるまで頑張らせてもらおうかな」
「え!?」
「せっかくお誘いいただいてるし」
「は!?」
抱き込んだ航の手の先がふにふにと動く。
慌てて手放したけれど、時はすでに遅く。
くるりと身体を反転させた航に組み敷かれ、くちびるを奪われた。
敏感な先端を弾かれて、スイッチが入る。
「……ん、ぁ!」
「ほら、映画どおりにするんだったらあと2回だっけ?」
「む、無理! ほら、時間ないし!」
「あんな物欲しげな顔してた人が1回で満足するとは思えないけどな」
「……物欲しげな顔、してました?」
「よだれ垂れそうな位」
「嘘!?」
「ほんと。ちょっと大げさだけどね」
ぷぅとむくれた隙に、耳にくちびるが落ちてぺろりと舐められる。
観念した方が早いかも、と思うと同時に、奥から熱が沸いてきて少し切ない気分になった。
早くこれを満たして欲しくて、航の首に腕を回す。
聞きたいことはいくつかあった。
例えば、映画を真剣に見ていたはずの航が、どうして夏世が物欲しげだったと言うのか。
映画と同じにするなら、あのイケメンと同じぐらい歯の浮くような愛の言葉と褒め言葉を囁いてくれないと、とか。
誤魔化された「少女漫画に必要なさそうな知識」について、とか。
自分は航に触れたくてたまらなかったけど、じゃああなたはどうだったの、とか。
だけどこの熱の前ではどうでもいい。
とても幸せだと思う。
いつに抱き合う時も、こうして幸福な気持ちになれたらいい。
幸福な退屈に、願うのはそれだけだ。
65 :
幸福な退屈:2007/02/26(月) 01:15:19 ID:fpXfYsJj
以上です。
ナンバリング間違えた。
>>63は10です。
あんまり最中に会話しなさそうな二人ですよね?
っていうかそもそも会話が少なそう……航兄のせいだ。
早く火曜日にな〜れ。
GJGJGJ!!!
初めてリアルタイムで読めた!
航兄DVDの内容知ってて選んだんだろうなあw
萌えた萌えた萌えた!
航も夏世もすごくらしくて可愛い二人なのにエロくて最高!
文章ウマーでまじで素晴らしいです。
ほんとに一年後にこの二人がこんな付き合いしてたらいいな〜
GJ!!
2人ともラブラブじゃないか(´д`)
素敵な作品をありがとう
一気に目が覚めた
アムロでも聴くか
超GJ!!
禿萌えでした
二人の甘い雰囲気が最高!!
映画見てるようで夏世を見てた航兄がイイ
イケメンのような甘い言葉で夏世を腰砕けにしてしまえ!!
>65さんの読んで一番が欲求不満がたまってそうな修を書きたくなったけど
意外と修難しいなあ
妄想次男というか欲求不満次男
72 :
妄想次男1:2007/02/26(月) 01:52:34 ID:OjRlDhMJ
一人、自室にて正座をして心を落ち着ける。
鍵ヨシ。人が来そうな気配ナシ。
よしっ!
本棚の奥を探り、出てきたのはDVDのケース。
美那絵さんに良く似た女優が主演の大人専用DVD。
お気に入りだから航兄に頼まれても貸せない秘蔵の逸品なのだ。
頼まれたこともないけど。
画面では女教師風スカート姿の"美那絵"さんを
着物姿の美那絵さんに変換する。
やはり着物美人は良い・・・。
伏目がちの目、楚々とした物腰。夏世っぺにはない色っぽさだ。
やや後ろを向いたうなじに唇を落とすと声を漏らし、ため息をつく。
そのままこっちを向かせてふっくらした唇にキスを・・・って夏世っぺ!
ドキドキドキドキ
最近、小娘の顔を見すぎなのか?
美那絵さんが夏世っぺになるとは世も末な。
しばらくは立ち入り禁止にしよう、うん。
改めてテレビ画面と美那絵さんの写真を凝視して即座に修正する。
画面では襟元をはだけ、胸に吸い付かれた美那絵さんがアンアンとっ。
普段は着物でよくわからないが、きっと胸は大きくて形も良くて
もちろん感度も・・・ぐふふ。
乳房をつかんで尖らせた頂を舌先でちろちろと舐めたり軽く噛めば
眉を寄せていつもの泣きそうな顔で、ってちがーうっ!
こんなときまでもしゃしゃり出てきて邪魔をするなんて、本当に鬼娘め!
頭を振って雑念(鬼娘)を追い出す。もう戻ってくるんじゃないぞっ。
手順を踏み、挿入開始。
色々な角度から突きまくり乳やクリを責めたてると
またもや泣きそうな、切なそうな鬼・・・いや夏世っぺが見えてきたが
引き返せないものは仕方ない。
「あぁっ、修さんっ!もうダメぇっ!」
涙をこぼし達する夏世の顔に思いっきりぶちまける!
夏世っぺぇぇっ
はあはあはあはあ
このいつにない満足感・・・
次は夏世っぺ似の女優のDVD買ってこよう!
ティッシュを握り締め決意を固く誓った彼の秘蔵DVDは
購入したその日に兄に没収されることになる。
下げ忘れた・・・スマソ
>>19 >>70 イケメンといったら、三男!!
本命にだけは不器用なプレイボーイってトコが少女マンガそのものなのに
ここでも、本編でも、最初のボタンの掛け違いから、不憫な役回りな彼が
なんとも愛しくて、肩入れしてしまう自分がいます。
三男、がんばれ〜。
>>72-73 GJ! ワロタ
修兄ったらいつの間に夏世っぺのことを……。
>>75 多分
>>70さんの言ってるイケメンは、65さんのSSの中の映画に出てくるイケメンじゃないかな……。
三男に対しては激しく同意。
頑張れ さとぴょん!
>>72-73 GJ!! 最高w
イく時の「夏世っぺぇぇっ」がクセになりそうだ
笑えるエロをありがとう
>>65 GJ!!
指舐めとかめっちゃツボですw
うん、航兄はDVDの内容知ってただろうねw
遅れましたが、スレ立て&保管庫作成本当にお疲れ様でした!
そしてありがとうございます!!
ちょw
凄い勢いで書いちゃう
>>71が大好きだw
いちいち次男の百面相が目に浮かぶよGJ!
>>65 航兄も欲求不満でお出かけよりもっとあんなことやこんなことをしたくて、でも
直接言葉にするのは気恥ずかしいのと夏世にもその気がある事を顕在化させたく
て、色々リサーチしてそのDVDをセレクトしたのではないでしょうか。
後2回って、腰にきませんか、航さん(;^_^A
>>73 航兄、『そこは兄弟といえど絶対に侵してはならない領域』なんですね。
夏世を対象にしてはいかんと。
でも多分サイン会の時の各種スナップ写真をオカズにしてそうだ……。
あの時ドレスを着た夏世を見て「着物が良かった」と言ったのも一種の照れだっ
たのではないか?と思ってます。
初めて投下します。お手柔らかにお願いします・・・;
エロなしですが続きはエロ書こうかと思ってます;
長男×夏世です
82 :
長男×夏世:2007/02/26(月) 11:29:03 ID:INKC3nZr
午後11時。
「それじゃ、失礼します!お疲れ様でした!」
「お疲れ様です」
「疲れたぁ〜」
夏世は原稿を受け取り、部屋を後にした。
ブーツを履いていると、部屋から誰かが出てくる音。
航さんだったらどうしようかといささか心配ぎみに急いでブーツを履く。
「あの・・・」
控えめな声が、夏世の背中に届く。ああ、やっぱり。
こうなったのは先週のこと。
ドラマ化を失敗させてしまった夏世を慰めてくれた航。
今でもあの時のことを思い出すと胸が熱くなる。
航の言葉は深く、優しく心を包んでくれたような気がした。
涙を見せてからというもの、航の存在自体に敏感になり、
顔をあわせても赤くなってしまうし、話そうとしても訳の分からない文になってしまって
やっぱり赤面してその場を後にするのだった。
自分でも知らない間に大きく成長していた。
何年間もしていなかった恋というものが。
83 :
長男×夏世 2:2007/02/26(月) 11:30:06 ID:INKC3nZr
<↑1です>
ジャケットを着てでてきた航。
「遅くまでありがとうございます、送っていきますから」
「ぇっ・・・えっと、いえ、大丈夫です一人で」
チャンスなのだろうが、そんな勇気は夏世にはない。
「駅まで遠いし・・・夜だから」
「だっ大丈夫ですって!寒いですし、航さんはお休みになられてくださいっ」
笑顔・・・不自然な笑顔の夏世。
化粧も崩れているし鼓動が早まっている。こんなところを航に見られたくはない。
一方航も二度まで問いかけて何か焦っている様子だ。
「違うんです」
「ふぇっ」
「えと・・・」
航は少し夏世気味に、目を泳がせながら、
「本当に送りたいんです・・・というか歩きたいというか、一緒に」
文章が少しおかしくなってしまっているのに気づくと
夏世のコートを手に取り、「はい」と腕を通してあげた。
「いいんでしょうか・・・」
「いいんです、はい」
84 :
長男×夏世 3:2007/02/26(月) 11:31:05 ID:INKC3nZr
お互いしどろもどろになりつつ玄関を出る。
二人は一言も交わさずに、一定の距離をとってマンションを後にした。
「寒いですね・・・」
「そうですね・・・」
会話がはずまないのは、お互い意識しすぎてしまっているから。
ちら、と航が夏世の手をみると寒そうにぎゅっと握っていた。
そっと手を伸ばす。
「!」
いきなり大きな手に包まれたのでびっくりした。
夏世の手は大きな航の手と優しく握り合った。
夏世は航のほうを向いて、それでも目線は下に落としながら言った。
「あったかい・・です」
航は微笑んで、
「可愛い」
夏世は赤面し、航は自分の発言に目を見開いた。
あきらかに、素が出てしまった。
ええい、もうこうなればっ
と航は意を決し、
「あっ、あのっ」
夏世の手をぐいっと引っ張り、一気に距離を縮める。
「は、はいっ」
寒さのせいだけではない火照った顔の夏世。大分さっきの可愛い発言に動揺している。
「好きです、あなたが!」
「はいっ!」
大事なことは文が逆さまになってしまう航と、何で返事がはいなのか自分でもわからない夏世。
「ぁ、はいじゃなくて・・・ぇっと、その」
「っ〜と」と、もう目が回ってしまっている。
85 :
長男×夏世 4:2007/02/26(月) 11:31:48 ID:INKC3nZr
「っ、すみません、何か・・・いいんです、別に。伝えたかっただけですから」
「そ、そうじゃなくてですねぇ・・・」
私もです、というたったそれだけのことが言えないうちに、どんどん航の思考は悪いほうへと向かう。
このままではっ!と、咄嗟に思いついたことは
首をかしげ、目をぎゅっとつむり
肩に手を置く。
そして、唇を触れさせ合った。
その夏世の咄嗟の行動は、お互いに鼓動を速めることになった。
航は本日二度目にして、更に目を大きく見開いてとっさに夏世の腰に手を回した。
唇は離さず、
どちらからともなく口を開いて舌を絡ませ合った。
「ん、ふぁっ・・・」
航は夏世をきつく抱き締め、
夏世もまた航の首に手を回した。
陽から航の携帯に電話がかかってくるまで。
人通りの少ない道端で、
街灯に照らされ、夏世の甘い吐息は続いた。
プルルルル、プルルルル・・・
名残惜しそうに、二人は唇を離して航は携帯を取り出す。
ナンバーを見て、
「陽です」
と夏世に告げる。安心すると思ったらしい。実際そうなのだが。
「もしもし」
『航兄ィ?今どこにいんの?』
「ぇーっと・・・駅、駅」
『すぐ帰ってくるでしょ?』
「あ、ああ。すぐに・・・」
86 :
長男×夏世 4:2007/02/26(月) 11:32:20 ID:INKC3nZr
帰る、と言おうとしたのだが携帯が取られてしまったため言うことは出来なかった。
「今日は、航さんをお借りします」
『え・・・?ちょ、』
プチッと電源ボタンを押して、携帯を閉じる。
携帯を返され、ポカンとしている航の手を取り
「こっ・・今夜は返しませんから」
夏世は精一杯の震える声で言った。
「こっちも、返す気はなかったんですが」
照れくさそうに
「一緒に帰ろうと思って、ウチに」
「えっ!!」
と、夏世は自分と航とマンションとを何回も指差して意味のわからないジェスチャーをしていた。
そんな夏世に
「可愛いですね・・、だから・・好きです」
繋いだ手を引っ張って歩き出した航。前を向いているので表情はわからないが、きっと満面の笑みなのだろう。
「さっきのアレは・・・そういう意味で受け取ってしまいますよ?」
夏世は二度目の可愛い発言にまたもや赤面し、ついさっきのアレを思い出して更に赤くなっていた。
「どうぞ!です・・・」
「う」はほとんど発音していなかったかもしれない。「です」は変だと気づいたのは一分後くらいで。
「良かった」
「私もです」
と微笑み合う。あ、と航。
87 :
長男×夏世 6:2007/02/26(月) 11:33:20 ID:INKC3nZr
<あぁ、本当にすみません↑4とか嘘です5です・・・>
「これからどうしましょう?」
「あ・・・」
ポケットの携帯を指差して「言っちゃったし?」
「あ〜・・・ぁ・・・」
短い沈黙のあとに
「ウチ、へ、きます?」と夏世。
区切り方がおかしいのはそういう流れで。
「っ・・・いいんですか?」
「はいっ」
「保障できませんけど・・・」
「はいっ・・・」
「むしろ・・・」
「行きましょう」
「はい・・・」
結局それは熱い夜になるのだけれど、それはまたのお楽しみ。
以上です。ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
↑どちらの発言なのか不明ですが、一応ほとんど交互にしゃべってます;
もっと腕を磨いてきますね・・・!
なかなかGJだし、恋愛偏差値中学生の2人らしい内容だけど、正直文章が「?」な所もあった。
独特な言い回しじゃなくて単純なミスとかだと思うから、もっと頑張ってください。
>>88 うわ〜…萌えた…GJGJ!! 特に
>>84のパートで
盛り上がってしまいましたw
好きだと言われて「はいっ!」と答える夏世、面白可愛いww
そして「可愛い」とつい口に出してしまった航兄、イイヨ!!!
>>89 編集者ktkr。萌えられればいいじゃないですか。
あと自分は特に「?」は感じなかった…
92 :
長男×4男:2007/02/26(月) 14:13:22 ID:MhXLbJKq
「ねえ、どうしてそんな顔なの ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(--)」
>>88 何て可愛い二人!!
自分も「はいっ!」て答える夏世に萌えたよ〜
文章はそこまで疎いとは思わなかった
大切なのは萌えだしね
94 :
長男×4男:2007/02/26(月) 14:51:23 ID:MhXLbJKq
「本当悪趣味だよね
僕たちに黙ってももひき買うなんて」
「・・・・・・・・・・・・・・・(◎◎)」
96 :
89:2007/02/26(月) 17:31:53 ID:Ms+mJbDD
自分は別に、荒らしたくて
>>89みたいな事書いたわけじゃない、内容に多少の問題があったかもしれないけど、ただ個人的な感想を言っただけなのに。
良いと思った場合だけ感想をかけばいいじゃないか
文句を言ったり文体につっこまない・・・が暗黙の了解だと思うんだけど
読ませてもらって(書いてもらって)る立場なんだから
萌えが見つかるだけラッキーだと思わなきゃ
納得いかないなら自分で書いて投稿してみればいいよ
>>88 自分も
>>89さんと同じで、なんていうか状況をイメージするのに苦労した。
>>89さんが荒らすつもりの発言でない事は判ってるよ。落ち着いて。
例えばコレ(自分はまずコレが「?」となった)
「航さんだったらどうしようかといささか心配ぎみに急いでブーツを履く。」
文節が長く続くと読みづらいから、例えば
「航さんだったらどうしようかと、いささか心配ぎみに、急いでブーツを履く。」
読点を足すだけで少し読みやすくならない?
自分だったら、
「(航さんだったらどうしよう)
心配になって、急いでブーツを履き終えた。」
二段にする。センテンスが短い方が相手には伝わりやすいから。
確かに大切なのは萌えだ。
でもそれが伝わらない文章では意味がないのでは、と数度投稿した書き手目線で発言してみる。
とはいえ、ここは添削するスレではないので、
まぁ読み辛かったら読まなきゃいいんじゃないかなー、とも思います。
読んでも無理に感想つけなくていいんじゃない?
自分も神作品のGJ付く早さと自分のSSへのレスポンスで力量を実感してます・・・。
>>88さん色々言ってごめんね。乙でした。
初投稿とのことで、本当にお疲れ様でした。
大丈夫、書いてるうちに慣れてくるよ。
頑張って書き続けて欲しい。
あと、書いたものを3日ぐらい寝かせて読み返してみてはいかがでしょう。
自分は書き手仲間が増えて嬉しいよ。
お互い頑張ろうぜ。めげるな。
褒めるだけが感想じゃないだろ…
なんかおかしいよ。書き手に感謝するのとただただマンセーするのは違うぞ?
>>99 同感。
率直な感想を述べるのは別に悪いことじゃないと思うけど。
このスレのマターリした流れは好きだけど、だからといって
ひとつ批判的な意見が出たところで、やれ殺伐だ嵐だ雰囲気壊したと言われたらかなわない。
いいも悪いも受け止めて切磋琢磨していこう、位の気持ちで行きたいんだけどね
スルーされるのも哀しいけどな・・・
自分SS全く書けないんで、今まで投下された作品
全部面白いと思って読んでた。
>>98みたいな目線もあるのか、深いな。
勉強になった。(あと、投稿いつも乙です!)
「率直な感想」については…こういう事がちょくちょくあると
書き手さんが気軽に投下しづらくなるんじゃないかな、とそれだけが心配です。
マンセーのし過ぎは違和感感じる人もいるだろうけど、私はこのスレの
まったりとした空気が好きなのであまり添削レスは無い方がいいなと思います。
本スレが荒れがちなだけにねw、ここ来るとそのまったり具合に安心する。
長々とスマソ
105 :
104:2007/02/26(月) 18:54:49 ID:3q8UMpig
リロードし忘れた。
>>102 >ひとつ批判的な意見が出たところで、やれ殺伐だ嵐だ雰囲気壊したと言われたらかなわない。
↑ここんとこ了解しときます。
次男の“おしおき”が楽しみだ(*´Д`*)
107 :
89:2007/02/26(月) 19:35:46 ID:Ms+mJbDD
自分のスレを見て不快に思った方がいるのなら、素直に謝ります。すみませんでした。
校了関係の仕事についてるからか、文章にいろいろケチをつける癖があるようです・・・。
個人的な意見はいろいろありますが、今回はこれで失礼します。
>>99 それは言われなくてもわかってるよ
ただそのスレの傾向ってあるじゃん
ここはまったりを求めるあまりGJ意外はあえて黙りの傾向なんだと思ってたけど。
そういう傾向はここにいる住人みんなで作ってたと思う
だからその空気を読んで自分もレスしたし、怒る?人もでてきたのではないかな。
指摘が駄目だなんて思わないし、
ただ今までの流れと空気を読んだだけ
じゃない?
>>95さんも
で
今後、温和な指摘意見も取り入れておkってことなんだよね?
まったり神の降臨を待ちしょうや
111 :
98:2007/02/26(月) 20:04:43 ID:X90opDxo
>>103 書き手と読み手が対等だと思う所以がそこだ。
スルーされたくなかったら、萌えてもらえるようなモンを書く。
読ませてやってるなんて思ってない。
むしろ「読んでもらってる」って、「GJもらったー!」って一喜一憂だよ。
自分はさ、正直「面白くないのかっ?ハッキリ言ってくれぇぇぇ!」って思う事がある。
「文章が回りくどい」とか。「ネタが悪い」とか。
自覚あるんだ。
でもそれは読み手さんに甘えすぎだよな。
自分で精進しなくては。
他スレ見てると、投下直後に違う話題、とかセツナイレスに直撃する事がある。
ここはそれがなくてすごいなーと思っていたけど、
マンセーされると育たない、自分で「なんかいけないみたい」て気がつくチャンスがないって事なんだよね。
しかし
>今後、温和な指摘意見も取り入れておkってことなんだよね?
これはどうだろう?
新人さんが投下しにくいのは避けたい。
揉まれて大きくなるのは当然だが、ココってドラマスレだから、あと4週間が旬じゃん。
書き手を育てるとか言ってる場合じゃないんだ。
自分はOKだが他の書き手さんがどう思ってるのか知りたい。
もうこの話題やめたほうがいい?
>>88 GJ!
かわいらしい2人だな。(*´∀`)ホンワ〜
初めてでこれだけ書けるなんてすごいねぇ。
私は、全然書けないからさ。
私は、
>>89さんの書き込み、そんなに気にならなかったけどな。
こうすればよくなるよってアドバイス的なものだと捉えた。
1度だけ投下した者です
今まで自分は読み手側で、妄想しても脳内止まりだったが
このスレの雰囲気に自分にもできるだろうかと思ったんだ
神作品みたいなGJはあまりなかったんだが
達成感でまた投下してみようって気になれた
自分のように初めての者でも投下しやすい空気は残してほしいな
ここはエロパロスレなのにエロ無しもOKなのがありがたくて好きだ
そもそも指摘コメント一つ位で過剰反応する事が
スレの空気を悪くするんだろ。
それこそ嫌ならスルーしろよ。
スレの特色以前に、転んでも泣かないのが2ちゃんの原則。
以下、何事もなかったように投下ドゾー↓↓↓
えーと、何事もなかったように妄想を投下させていただきます(汗)。
しかも、明日はドラマの日という、かの佳き日に縁起でもない話を投下いたします。
英語でエターナル・トライアングル(永遠の三角形、単にトライアングルとも言う)、三角関係ネタ。
航→夏世←智。
この手の話がダメな方は、スルー願います。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
あ、エロなしです。
***
「あなたのせいで滅茶苦茶だ。金輪際、うちには関わらないで頂きたい。」
と彼女に冷たく言い放ち、一方的に関係を絶った。
その後弟達の仲裁の言葉も聞き入れず、頑なに彼女の存在を排除しようとした。
見かねた陽が彼女の元を訪ねて行っても
「航さんにも皆さんにも迷惑をかけたのは、事実だから。」
と、あの人悲しそうな顔で言ってたよ、ひどいよ航兄と、陽に随分長い間口をきいてもらえなかった
のは、辛かった。
それでも俺は花園ゆり子を、弟達を守りたかった。
そうして、彼女は俺達の前から完全に姿を消した。
それから1年程経ち、ようやく弟達も彼女のことを口にしなくなり、俺の心にさ
ざなみが立つこともなくなった頃のこと。
ある日、智に
「会って欲しい人がいるんだ。修兄に知れるとうるさいから、内緒で。」
と都内のホテルのラウンジに呼び出された。
ふらふらしているように見えた弟もとうとう身を固めるのか、と久しぶりに明るい話題で顔がほころんだ。
そんな俺を待っていたのは
「・・・・どうして、ここに?」
「ご無沙汰してます。」
「驚いた?航兄?」
青ざめた顔をして、少し痩せた彼女がそこにいた。
彼女が片岡家から去り、そしてまた新しく創刊されたファッション誌に戻った後、
半年ほど前に出版業界のパーティーで偶然出会ったこと、それから時々会うよう
になったこと等、智が話す声が随分遠くに聞こえた。
「・・・それで、彼女が航兄の許可がないと、って言うんで来てもらったんだけど。
どうかな、航兄?」
「俺は・・・・・お前が、選んだ、相手ならいいんじゃないか。」
「そう、良かったー。駄目って言われたらどうしようかと思ったよ。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・話はそれだけ。忙しいところわざわざ来てもらって、悪かったね、航兄。」
「・・・いや。」
「じゃ、俺達これから行くところがあるから。行こうか、夏世。」
「・・・はい、智さん。」
智が極自然に彼女の肩に手を回し、彼女もされるがままに智の腕の中にいた。
数歩行ってから、智が振り返りざまこう言った。
「あ、航兄。」
「ん?何だ?」
「俺、今日・・・・・帰らないから。」
「・・・・そうか。」
「悪いけど、後よろしく。」
「・・・・分かった。」
残された俺はラウンジを出て行く二人の姿をただ黙って見つめていた。
数日後、日付がとうに変わった時間に帰ってきた智がノックもせずに俺の部屋に
崩れるように入ってきた。
ひどく酔っている。
「どうした、そんなに酔って。何か遭っ・・・」
「俺、今日あの人を、夏世を・・・・・初めて抱いた。」
「・・・・・・」
「そして、プロポーズした。」
「・・・・・そうか。」
「・・・・・・分かってる。彼女の気持ちが俺に、ないことなんか。」
「・・・・・・」
「でも、必ず振向かせてみるから、俺。」
「智・・・・・」
「だから、航兄・・・・・頼みがあるんだ。」
「何だ?言ってみろ。」
智は気持ちを落ち着かせるかのように息を深く吸い、絞り出すような声でこう言った。
「・・・・・ここから、出て行って、くれない?」
「・・・・・・」
「俺と彼女の前から、消えて欲しい。お願いだ。頼む。」
「・・・・・・」
***
ってここまでです。
レディコミみたいなストーリーで、これ以上肉つけれず。
吊ってきます。 orz
おー投下しようとしたらリアルタイム遭遇。
三角関係も良いねー。
エロなし、長男×夏世(まではいかない感じ?)
投下します↓
「ちょっとオニムスメ。あんたの意見を聞きたいんだけど」
ある日、いつものように片岡家に原稿を取りに来ていた夏世は、ペンを走ら
せていた修にガッと手首をつかまれた。
「はい?」
夏世がきょとんとして問い返すと、修はまるで航のように腕組みをして眉間に
皺を寄せた。
「キャラクターの服装。はっきり言って、女子高生の私服ってどーすればいいのかわかんない」
「ああ……」
机の上には、キャラクターのラフ画が置かれている。
主人公の彼女にどんな服を着せたらいいのか、迷っているらしい。
「あれ? でも、そういうのって智さんが得意なんじゃ……っていうか、
そっち方面は智さんからアイデアをもらってるんですよね?」
「何だよ、そっち方面って。いかがわしいな」
ホワイトボードにスケジュール表を書き込んでいた智が、キッと夏世を睨みつけた。
「いくら俺だってね、女子高生とつきあったりはしてないの」
「えーと、それじゃあ、年齢的には陽くんがぴったり……」
「僕、興味ないから、そういうの」
陽は、パソコンの画面から視線をあげようともせずに言った。
「夏世っぺだって、昔は女子高生だったっしょ」
「そりゃそうですけど、卒業してから十年経ってますよ? 一昔前ですよ?」
夏世の言葉に、修と智は一拍の間を置いて「そりゃあ大昔だな」と声を揃えて言った。
「ひ、ひど……」
自分から振った話だが、他人から言われると傷つく。
ふくれた夏世の様子に、それまで黙っていた航が顔をあげた。
「おいおい、意見を聞きたいって言い出したのは修の方だろう。人にモノを頼む態度じゃないぞ」
「……お兄様は夏世っぺに甘いなあ……」
「何だって?」
「いーえっ、別になんでもございませんっ」
修が、意味ありげに夏世を見る。ついつい夏世は、うつむいてしまう。
(航さんは、私に……甘い、のかな?)
そんな気もする。また、そうであって欲しいとも思う。
この頃は、修に振り回され、智にからかわれ、陽に冷たくされても、
航が助け舟を出してくれるならいいか……なんて考えている自分がいた。
「ま、いーや。小娘、ちょっとこの雑誌見て」
引き出しを開けて、修が女性ファッション誌を取り出した。
「これ、ライバル社のじゃないですか……どうせなら、うちの出版社が
出してる雑誌を買ってくださいよ」
「そんなの知らないよ。でさ、この中に出てる服だったら、
どれが俺の描いたキャラにピッタリくると思う?」
「え? うーん……待ってください、その前に、この雑誌ってOLさん向けでしょ。
たぶんここに出てる服は、女子高生のお小遣いじゃ買えないと思う」
夏世の指摘に、修はぽかんとした。それから、智につかつかと歩み寄る。
「智! お前が買ってきたんだよな、これ! キャラ設定に合わないんじゃ意味ねーだろ!」
「うっさいなー、いくら俺でも、ティーン雑誌なんか恥ずかしくて買えるかよ。これが限界だよ!」
いきなりケンカを始めた二人。夏世は慌てて、その間に割って入った。
「あっ、でも、中にはプリティプライスなブランドもあるから……そう、
これ! ここの服! 私も好きでけっこう買うんですよ、ほら見て修さん!」
夏世があるページを指すと、修と智は渋々それを覗き込んだ。
>>116-120 乙&GJ
とっても良かったので、ここでやめるのがもったいないくらいです。
続きが浮かんだら、またお願いします。
「……ふーん、なるほど」
「あんた、こういうのが趣味なんだ。可愛いとこ狙いすぎてない?」
「うっ……」
「修兄、女の人ってのは少しでも自分を若く見せたいんだから、そこは言いっこなしだよ」
陽の言葉は、フォローになっていない気がした。
「それもそうだなー、オッケー。ねえ夏世っぺ、明日、あんたの家にあるこのブランドの服全部持ってきてよ」
「はあ? どうしてそんな……雑誌の写真を見ればいいじゃないですか」
「後ろ姿が描けないでしょ。漫画はリアリティなんだからさ」
そうそう、と智がうなずく。
(そういうものなのかな? まさか、私を着せ替え人形にする気じゃ……)
不安はあったが、担当編集者としては協力せざるを得ない。
「いいですけど、そんなにたくさん持ってませんよ、修さんの希望に合う服があるかどうかわからないし」
「たくさん持ってないのー? そんなに高くないじゃん、これ、このワンピースとか」
「……先生方と違って、薄給のサラリーマンでございますからっ」
高くないとは言っても、バンバン買える値段でもない。金銭感覚が違うなあ、と思う。
彼らの通帳の残高を見たときの衝撃は、今でも忘れない。
もちろん、それだけ『花園ゆり子』が頑張っているということなのだが。
「そっか、給料少ないんだ」
陽が哀れむような目で夏世を見る。航が、こら陽、と小声で言った。
「でもあそこ、ちゃんとした出版社でしょ。単に、夏世っぺがダメ社員な
だけじゃないのお?」
「そんなことありませんよっ」
「そうかなー。だってさ、ドラマ化の話も潰しちゃったわけでしょ。
あれって会社にとっては痛かったんじゃないかな、って……」
(あ……)
修の言葉に、夏世は固まった。
気のせいか、他の四人も固まって、動かなかった。
今でも悔しくて、申し訳なくてたまらない、あの出来事。
大見得を切ったくせに、結局は自分の力が足りなくて、彼らに迷惑をかけて
しまった――。
「ごめん、なさい……」
震える声で夏世が言うと、場はさらにしーんと静まり返った。
「修」
そこへ、航の重々しい声が響く。
今度もまた自分をかばってくれるのかもしれない、と夏世は思った。
それは嬉しい。嬉しいけれど、さすがにいたたまれない。この件では、
すでに航の胸に泣きついてしまっているのだ。
これ以上慰めの言葉を聞いたら、ここで大声で泣き出してしまいそうだった。
「あの、原稿、届けなきゃいけないので……私、失礼しますっ」
夏世は、仕事部屋から逃げ出した。四兄弟がどんな顔をしているか、見ることもなく。
**
「修」
「はい、航お兄様……」
「ドラマ化の話は、もう済んだことだ。あの人を責めても仕方がないだろう」
「ごめん……でも、責めたつもりじゃないよ」
「同じことだよ」
「……すみません」
修はそう言って、左隣の席にしょんぼり腰をおろした。さっきの元気はない。弟なりに反省しているらしい、と航は判断した。
「別に、俺たち気にしてないのにな。ドラマになったって、原作変えられたんじゃ、
花園ゆり子の名前に傷がつくだけだしさ」
智は、ソファで先程の女性雑誌をめくりながらつぶやいた。
「うん。あの人は、良くやってくれた……と、思う」
陽は、目を伏せて小声で言った。
「そう、だよな」
「うん」
めったに人を褒めない陽が、夏世には心を開き始めている。
航としては、嬉しいような寂しいような、複雑な気分だった。
「俺はさ。もう、あの件であの人を泣かせたくないんだ……」
航がぽつりと言うと、他の三人が「えっ」という顔をした。
自分に視線が集まったのを感じて、航は慌てる。
「な、何だよ」
「お兄様、『もう』って何?」
「もしかして、あのことで一度泣いてるの? あいつ?」
「……いつ? 僕、知らないよ」
しまった、と航は心の中で舌打ちをした。
マンションの前で、涙を見せた彼女に胸を貸したことは、弟たちに話していないのだ。
「なんか航兄さぁ、最近俺たちにヒミツ、多いよな」
「弟に隠し事とは! いけないよ兄ちゃん、俺のこと怒れる立場?」
口々に言い募る智と修に、航は「いや、その、それは」と頼りない返事しかできない。
すると、末の弟がふと思いついたように言った。
「……ねえ。あの人に謝った方がいいかもね、修兄」
「えーっ、突然なんなのよ。……でも、やっぱ、陽くんもそう思う?」
修も修で、彼女が飛び出していったことが気になっているようだ。
「まあ、ね。ただ、方法は選ばないと。修兄の悪い癖で、謝るつもりが余計にからかった、
なんてことになりそうだから……」
**
翌日、日曜日。
目覚めてもベッドの中でごろごろし、なかなか起き上がれずにいた夏世の携帯が鳴った。
三・三・七拍子。着信――花園ゆり子。
「わ」
片岡家の固定電話からだ。かけてきたのは誰だろう、もし航だったら――
ドキドキしながら通話ボタンを押す。
「もしもし?」
「陽」
「あっ……陽くん……」
がっかり感を声に出さないように気をつけたけれど、勘のいい陽には
違和感が伝わってしまったかもしれない。
「あのさ。あなた、今日暇?」
「暇ですよ」
躊躇なく答えられる自分がちょっと悲しい。
でも、実際予定なんて何もなかった。片岡家からヘルプを求められるなら
行ってやろう、と思った。
昨日、妙な雰囲気で飛び出してきてしまったのが気にかかっていたのだ。
「即答だね、だと思ったけど。あのさ、僕たち、あなたにお礼をしたいんだ」
「お礼? 何の?」
警戒心から、声が硬くなる。夏世の脳裏に浮かんだのは、彼らと初めて
会った日にもらった誕生日プレゼントだ。
(びっくり箱の次は、何? その前に、私、お礼される覚えなんて……)
「理由は、航兄から聞いて。っていうか、自分で考えてよ」
「航さんっ?」
思わず大声を出してしまった。
「っ……やめてよ、耳がキーンとした。あと一時間で、航兄が迎えに
行くから用意しておいて。行き先は表参道の……なんだっけ、昨日言ってた
あなたが好きなブランド。あそこで、服を買ってもらいなよ」
夏世は絶句した。
「ちなみにどうして航兄かって言うと、修兄じゃケンカになるかもしれないし、
智兄は打ち合わせ、僕は……僕があなたに服を買ってあげる図ってヘンでしょ。
……だからあんまり、深く考えないで」
くすっ、と陽が受話器の向こうで笑った気がした。
「えーっ? なっ、陽くん、どういうことなのか全然」
「じゃあね」
陽は言いたいことだけ言って電話を切ってしまった。
携帯を握りしめたまま、呆然とする夏世。
(表参道? 服? 航さん?)
「ちょっと待って、あと一時間っ?!」
夏世は慌ててベッドから降り、ユニットバスへ駆け込んだ。
ビューティフル・サンデイ。
予定のまったくなかった今日という日が、忘れられない一日になりそうな予感がする。
急がなければいけないのに、なぜか夏世は、普段よりも念入りに髪を洗ってしまったのだった。
end
以上です。
分割場所がうまくいかず1レスが長くなってごめん。
明日の放送、切なそうなのでせめて脳内ではほのぼのに……
>>129 乙&GJでした。
途中割り込んでしまってごめんなさい。
こちらも、続きが気になります。
航兄と夏世が一緒に洋服選ぶところ、その洋服を四兄弟にお披露目するところetc
>129
GJ!
>126で泣きそうになった夏世っぺを部屋に連れ込め航兄!とか
買い物デート中にいろんな場所でイタズラしまくるとか
ほのぼのじゃない萌え方しながら読んでました
本編でもこんな展開になると良いんだけどな
>>129 GJでした!もうホントにオアシスやw
自分も後ほど・・・まぁ他の職人方には及ばないが
投下しまつ|ω・`)
133 :
88:2007/02/26(月) 23:03:36 ID:INKC3nZr
あと、皆さんありがとうございました!
全部ひっくるめて(ひっくるめちゃいけないけど)
ありがとうございます。考えついたストーリーを数本
一昨日から書いてみて、一番マシかな、と思ったのを
投下してみたんです。
指摘していただけると読み直して「うわぁ〜変だ;」
とか思ったりしてます;勉強が足りなくて申し訳ない!
これからも萌え目指して精進します!
と、また掘り返して申し訳ない><
↑書いたとおり皆さんのアドバイスもちゃんと理解して
後ほど投下します。最終確認を・・。
>>117 GJ!こういう展開燃える。
長男と三男、両方に萌えたけど、特に三男に萌え。
どっちに転んでもいいなぁ(*´Д`)
この三男を見てると、たまには三男に幸せになってほしいと思っちゃう。
夏世の気持ちが自分に向いたら、幸せでたまらないだろうね。
でも、長男もいいな。
>>122 GJ!
ほのぼの系でいいですね。
四兄弟&夏世の会話、和むなぁ。
楽しませてもらいました。
職人さん達GJ!
素晴らしい作品をありがとう
自分は長男夏世がうまく文字にできなくてうらやましい限りです
流れに乗って投下します
しゃぶひな…デス
136 :
しゃぶひな1:2007/02/26(月) 23:20:36 ID:zEtkPQkm
その日、いつものように散歩から帰って来た陽を迎えたのは
兄達でも田中一郎でも月山夏世でもなく…テレビ体操に興ずる川村亮子だった。
「あ、おかえりっ」
「…何してるんですか」
「留守番、よっ」
「いや、そうじゃなくて…」
「あぁ、これっ? 一緒に、やる?」
「…お断りします…」
陽は顔をしかめながらソファに座る。
「あの」
「なぁにっ」
「航兄は…」
「知らないわっ」
「知らないって…」
「修さんがっ、いたけど、出かけるって、留守番頼まれてっ」
「はぁ…」
陽が亮子の後ろ姿を気まずそうに見る。
深呼吸をしている亮子は未だに陽に背を向けたままだ。
自宅にいてこんなに居心地が悪いのは初めての事だ。
しかも相手はあの『しゃぶしゃぶ』。
この空気の全く読めていない田中ちゃんの元婚約者が、陽は苦手だった。
「ふぅー」
「……」
「やっぱりこの時間はコレしないと落ち着かないわね」
「あの、留守番ありがとうござい…」
「お茶もらうわねー」
亮子は勝手にキッチンへ向かう。
陽はますます居心地が悪くなって小さくなった。
137 :
しゃぶひな2:2007/02/26(月) 23:21:29 ID:zEtkPQkm
「はー美味しい。高いお茶飲んでるのねぇ」
長い髪をフワリとかきあげ幸せそうな亮子。
陽は亮子を無視してテレビ体操後のニュース番組に集中しようとした。
しかし亮子が隣に座ったため思わず身を固くする。
「ねぇ、陽くんていくつ?」
「18…ですけど」
「ふぅーん。若いのね。でも負けないから」
「別に勝負した覚えはないんですけど」
「あっついわね。エアコン切るわよ」
「……!!」
全く会話が成り立たない恐ろしい程のマイペースぶりに途方に暮れる。
早く誰でもいいから帰って来てくれないかとそればかりを祈った。
そんな事を考えていた陽は全く気付いていなかった。
まるで獲物に狙いを定めたような目をして陽を見つめる亮子に。
138 :
しゃぶひな3:2007/02/26(月) 23:22:27 ID:zEtkPQkm
ニュースを見ていた陽の視界いっぱいに亮子の顔が迫る。
「ひっ!」
思わず反り返り背もたれによりかかると更に亮子が覗きこんできた。
「なっ…何ですか?」
「やっぱりキレイな顔してるわね」
「は?」
「さすが航さんと智さんの弟ね。
…修さんはどうしてあんな残念な顔なのかしら」
「残念って…ソレ失礼ですよ」
「ニキビ全然ないじゃない。スキンケアしてるの?」
「あの…とりあえず顔が近いんですけど」
陽の声は不覚にも震えていた。
ここまで女性に接近された経験は1度もないのだ、無理もない。
しかし亮子は更に近付く。
「智さんも近くで見るとキレイな顔してるのよね」
「!?」
「あら? 結構口元似てるかも…」
亮子の顔が更に近付いて来た。
きっと生き地獄とはこういう事に違いない。
この時の陽の頭の中は期待と緊張と恐怖で、
『喰われる』
それだけだった。
もう少しで頭の中全てが満たされそうになったその時。
「ただいまぁ」
地獄の底に天からの光が差した…。
139 :
しゃぶひな4:2007/02/26(月) 23:23:22 ID:zEtkPQkm
陽はその声に素早く反応して立ち上がり全力で玄関へ走った。
「ん〜…やっぱり修さんだけ残念なのよねぇ」
陽の思いなどつゆ知らず、顎に手をやり、亮子はブツブツ呟いていた。
「ホントに油断するとすぐコレですね!」
「離せ鬼ムスメ! オレはパチンコに行きたいんだぁぁ」
夏世に見つかり強制送還となった修が夏世と戻って来たのだ。
不機嫌そうな修だったが横に肩で息をしている陽が立っているのに気付く。
「どうした陽くん?」
「おっ…おかえり……」
「陽くん?」
「何、お前泣いてる?」
「…おかえりなさい」
そう言うのがやっとだった陽は、夏世の服の袖を握って離さなかった。
その夜。
「陽! いいから離れなさい!!」
珍しく怒りをあらわにする航の言う事を陽は全く聞かず、
夏世から離れようとしなかった。
こうして彼は生まれて初めて誰にも言えないヒミツを抱える事となった…。
140 :
しゃぶひな:2007/02/26(月) 23:25:25 ID:zEtkPQkm
以上です…
せめてキスくらいと思ったのですが無理でした
エロくならなくてすいません
亮子さんて、テレビ体操してそうな気がしたんです…
>>116 三角関係好きっす〜ww
たまにはこういうドロドロなシリアスもあるとすごく嬉しいです。
頑張って下さい。続き気になる!
>>129 台詞回し上手いですね〜!
つい夏世を甘やかし&かばってしまう航兄テラモエスw
航兄とデートとかすごいほのぼのする。
さり気に洋服屋でブラックカードとか出しちゃうのかな航兄。
なんか似合わないけどw
>>140 GJです!
『喰われる』に爆笑しました。
しゃぶしゃぶ面白すぎるw
「しゃぶひな」というネーミングも可愛いです。
>>140 俯いてしかめつらする陽、脅える陽、泣きそうな陽がリアルに想像できてワロタ&萌えた
甘えん坊な陽可愛いよ陽。
そして夏世にひっついて離れない陽についイライラしてしまう航テラモエスw
新鮮なカプ、面白かったです!
>>140 GJ!
袖を握って話さない陽がたまらなく可愛い(*´∀`)
>>140 GJ!
亮子いいキャラだ。面白かった。
夏世から離れない陽カワイス(´∀`*)
>140
GJ!
陽苦手めだったけど好きになれた。
可愛いよ陽。
>>140 「寝るまでちゃんと手を握っててね、絶対だよ。」
「はい、はい、分かりました。今日の陽君は甘えん坊ね。」
等という会話を陽の部屋の外で聞耳を立てている兄3人。
「子供だからって、陽君役得〜。」
「次は俺の番ね。……添い寝してもらおっと。」
「させるか!!」
あ、航兄もガンタにしてしまった。
GJ!
連投スマソ
>>71 GJ!ワロタw傑作w
次男面白すぎる。
妄想の中の夏世にも萌えた。
>>140 GJ!
陽はまだ18歳だから、年上過ぎる女性&あの迫力はまだ怖いのかも。
でもそれが可愛さだからイイ。
そんな自分は前スレで古典的なお見合いネタを書いたモノだが、
子供番組を見てたら、ちょっくらあの続きが浮かんだ。
今、投下OK?
>149
wktkして待ってます!
151 :
長男×夏世1:2007/02/27(火) 00:31:50 ID:zgxEge9R
んじゃ、お言葉に甘えて。
*
ホテルに向かうタクシーの中、私は考えていた。
「なんでこんな事になっちゃったんだろう…。」
思い返せば、一ヶ月前のサイン会。
四兄弟に頼まれて、花園ゆり子の身代わりをやるはずだった。
でも女の子の純粋な憧れに触れたら、
「花園ゆり子」を待ってる大勢の人達を騙すなんて私には出来なかった。
その時は航さんが土下座までしてくれて事態は収拾したのだけれど。
結局正体バレちゃうわ、兄弟達とはなんかギクシャクしちゃうわ、
私にはアノ副社長夫人からお見合い話まで持ってこられちゃうわで、
もうかなり慌しい日々が続いていた。。
「はぁ…」
152 :
長男×夏世2:2007/02/27(火) 00:32:25 ID:zgxEge9R
そして今、そのお見合いに向かうところ。
正直言って胃が痛い。
少し前の私だったら「これで結婚できるかも」なんて
単純に喜んでたのかもしれない。
けれど、今は違う。
好きな人がいる。
片想いだけど、心に住んでる人がいる。
会社勤めして数年。
社会人として今日のが形だけの事だって判っているつもりだ。
とりあえず相手に会うだけ、それだけで田中さんの顔も立てられるし、
自分の役目を終えられるのだ。
たったそれだけなのに、心がどんよりと重い。
「やっぱり言うべきだったのかなぁ…」
私は三回目のため息を落とした。
153 :
長男×夏世3:2007/02/27(火) 00:32:57 ID:zgxEge9R
やっぱり冗談ぽくでも言えば良かったのかな。
そうすればここ最近の嫌な雰囲気も消せたのかもしれない。
でももしかしたら余計に気まずくなって、
今度こそ本当に出入り禁止になったかも。
何よりあの人に呆れた顔をされたかもしれないと思うと、更に辛い。
まだ何も伝えてないのにいろいろ想像して思い悩むなんて、
私の恋愛力は学生時代の時から成長していないようだ。
少しでもいいから好きと伝えてれば良かった。
まだ何も始まってもいないのに、終わっちゃった感じがするなんて
「切ないなぁ…」
四回目のため息である。
154 :
長男×夏世4:2007/02/27(火) 00:33:55 ID:zgxEge9R
「どうしたんですか?」
運転手さんがミラー越しに顔を覗きこんできた。
「え?あ、いや別に、あの、なんでもないです」
突然の呼びかけに手を横に振り慌てて答えた。
もう今更愚痴を言ってもしょうがない。
私は仕事をしに行くのだ。
そう割り切ろうと思った時、また話しかけられた。
「悩んでるんでしょ?」
あれだけため息つけば判っちゃうよね。
今度は正直に答えた。
「えぇ、まぁ・・・・」
運転手さんは話を続けた。
「悩める事があるって言うのは大事だよ。
その事が自分にとって宝物のように大切な事だから、悩むんだ。
人間、悩んでなんぼだよ。ははは」
「宝物、ですか」
「そう。どうでもいいことじゃ悩まないでしょう?
・・・・でもね、悩んだだけじゃあ駄目。
悩んだら次は行動に移さなきゃ、悩み損だよ。」
155 :
長男×夏世5:2007/02/27(火) 00:34:54 ID:zgxEge9R
今の私がまさにその状態だ。
ただ悩んでるだけ。
ううん、もしかしたら悩んでるフリをしてるのかも。
最初から諦めて、自分の恋に酔っているのかもしれない。
でもそれって、・・・・すっごく馬鹿な事ではなかろうか。
車内がまた静かになっている。
運転手さんが口を開いた。
「為せば成る。為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり。」
心を見透かされたかと思った。
私は俯いていた顔を上げて聞いた。
「それって」
「失敗を恐れちゃあ駄目だ。何もしなきゃ何も生まれないよ、お嬢さん」
誰かに言ってもらいたかった言葉だった。
156 :
長男×夏世6:2007/02/27(火) 00:35:25 ID:zgxEge9R
決めた。
「降ります!」
タクシーを止めて、バッグから財布を出しお金を払おうとした。
「もうすぐそこが目的地のホテルだよ?」
笑いながら運転手さんは止まってくれた。
「でもいいんです。私が行かなきゃいけないところじゃないって判ったんです」
「そうこなくちゃ、若者は」
タクシーを飛び降りた。
あの人のマンションまで今すぐ行こう。
もう!ヒールの靴って走りづらいな。
ハイヒールで走るなんてシンデレラみたい、私。
でもシンデレラはあれきり王子に会えなくても良かったのかしら?
二度と会えなくなる事だってあるかもしれないのに、
想いを伝えなくて良かったの?
私は、私は、もう
「もう何もしないのは嫌!」
そして歩道橋の階段を下りようとしたら、あなたがいた。
157 :
長男×夏世7:2007/02/27(火) 00:36:00 ID:zgxEge9R
航さんの姿が目に入った途端、音が聞こえなくなった。
周りの人も車も止まった。
彼も私を見つけると、階段を上りかけていた足を止めた。
「───なんで、ここに?」
なんて間の抜けた第一声だろう。
「───月山さんこそ、なぜここにいるんですか?」
私と同じように驚いた顔をした航さんが、質問してきた。
「なぜって、あの、実は、今日は、隠していましたが」
しどろもどろだ。
あぁ、もう。
浮気現場を見つかってしまったような気持ちになる。
まずはお見合いの話からしなきゃいけないのかしら。
「あのですね」
航さんは言いかけた私の言葉を遮って言った。
「お見合いをしてるはずじゃなかったんですか?どうしたんですかお見合いは?」
え?!あれ?
「なぜ知ってるんですかぁ?!」
すっとんきょんな声が出てしまった。
「亮子さんから聞きました。」
「編集長から・・・・?」
そういえばタクシーに乗った後、田中さんが誰かとお話をしてたような。
あれは編集長だったのかぁ・・・・。
なんか、一気に肩の荷が下りて力が抜けてしまった。
「なんだぁ、知ってたんですか。」
「知ってたと言うよりは、ついさっき知ったという方が正しいかな。それで、お見合いは?」
「ふふふ、すっぽかしちゃいました」
「はぁ?!」
今度は航さんが大きな声を出した。
どうやらあまりにも意外な答えだったようで、二の句が出ないでいるみたい。
「次は私の質問に答えて下さい。航さんはなぜここにいるんですか?」
そう質問すると、航さんは真っ直ぐ私を見て微笑みながら言った。
「あなたを迎えにきたんですよ。」
夢・・・・じゃなかろうか。
158 :
長男×夏世8:2007/02/27(火) 00:36:32 ID:zgxEge9R
王子は実際にいた。
その彼は、お姫様としては落第点バッチリな私をここまで迎えにきたと言う。
ガラスの靴さえ落とさず、何一つ手がかりを今まで残さなかったのに来てくれたのだ。
「あ、それはそれは誠に光栄でございます!」
「いえ、どういたしまして」
航さんは口を押さえて笑っている。
もう何言ってるの私!
こんな時、気が利く台詞少しは浮かばないの?本当に私ってボキャブラリーが貧困なんだわ。
耳まで熱くして恥ずかしさいっぱいでいると航さんが言った。
「もし気づいてないようなら恥ずかしいので、ちゃんと言いますね。
今のはプロポーズですから」
もちろん判ってますよー。
プロポーズでしょ。・・・・プロポーズ?!
再び眩暈が私を襲う。
「あの、航さん。私達まだお付き合いさえしていないと言うのに?」
「あぁ、そうでしたね。では結婚を前提にという事で。
半年後の入籍を目標としてお互い頑張りましょう。」
にっこり笑った優しい顔に、なぜか悪魔も見えた一瞬だった。
159 :
長男×夏世9:2007/02/27(火) 00:37:09 ID:zgxEge9R
「で、こうなったと」
「・・・・はい」
残りの兄弟が待つマンションに帰り、いつものリビングでソファに腰掛けている私。
今日買ってもらった大量のモノを、ローテーブルの上に並べていた。
智さんの問いかけに、ただ頷くしかない。
「プロポーズまでは判るよ。お見合いの場所まで迎えに行くなんて、
それ相応の覚悟があって行くんだから。」
そうですね、陽くん。
私だって落ち着いて考えれば判ります。
「でもなんでそれから指輪が30個にまでなっちゃうの?」
それはどう考えても判らないんです、修さん!
並べられた箱の中身は、どれも女性が欲しがる一流ブランドの指輪ばかり。
あの後、航さんに連れられてたくさんのショップを回ったのだ。
一つ目は婚約指輪、二つ目は今日の記念、
三つ目はこの間の誕生日のプレゼントとして、四つ目は・・・・。
もうその先の理由なんて覚えていない。
とにかく「金額なんて気にしないで」と言われ、
口を挟む隙さえ与えられず、あれよあれよと言う間にこんなあり得ない数になった。
「これを買った当の本人である航兄は?」
智さんが呆れ果てた顔で聞く。
「ウェディングドレスも考えなきゃね、と言って資料部屋に入ったきりです。」
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」
黙る未来の弟達。
「なにか言って下さい。」
「ご愁傷さま」
修さんが手を合わせて深々とお辞儀をした。
「そうじゃなくてー!!」
幸せだけど、朝とは違う意味で胃が痛い私だった。
陽は長兄が買ってきたたくさんの指輪を眺めながら、
今朝見た子供向け番組を思い出していた。
「何事も適度が大切だという戒め、医者の薬もさじ加減。いい言葉、見つけた!」
*
後添えでスマン。
エロなしです。
子供番組見ながら、妄想って言うのもな・・・・orz
>>160 乙&GJ!
またしても田中ちゃんが可哀想な展開にw
でも、二人が幸せそうだからそれだけで嬉しいです。
30個の記念日を思いついた長男は、ホテルにつくまで、今までのことを沢山思い出したのかもしれませんね。
また、次の作品も期待しています。
>149
GJ!!
こんな航兄可愛いなあ。
コレ買ってアレ買って、って妄想しまくってたんだろうな。
でも指輪30個ってw
ネックレスくらいまぜてやれ航兄ww
鬼畜な航兄を書きたかったけど失敗したorz
短編なんで許して。
大人のおもちゃ使った航夏風味です
「なんかさー、初々しい女子高生ってのが描けないわけよ、最近。
そもそも"初々しい"なんてコ、今時いるわけ?」
「ま、ほらその辺は修兄のたくましい想像力で何とか描いてよ。
女の子ってのはさ、多少無理があっても自分重ねて夢を見たがるものなんだから」
「実物見ないと描けない描けない描けないーっ!」
ジタバタと暴れる修に困ったように目配せしあう。
「・・・とりあえず、あの人呼んでみようか。一応女の人だし」
「でも、"初々しい"だぞ?どうすんだよ」
「何とか・・・なるんじゃないかな。ちょっと良い考えがあるんだ」
怪しい微笑みの航に、夏世っぺ逃げろ!と心の中で叫びつつ
電話を掛けざるを得ない智だった。
「こんにちはー」とのん気に現れた夏世に智と陽が合図を送る間もなく、
航がこそこそと何かを話し始める。
「ええっ?」「イヤです!」「ダメです!」「無理〜〜〜っ!」
と半泣きで抵抗する声が聞こえたが、結局航に丸め込まれたのか
ゲストルームに連れ込まれた。
何をさせるのかはまだ秘密だと教えられていないため、
駄々をこねていた修も固唾を呑んで出てくるのを待っている。
165 :
リモコン2/3:2007/02/27(火) 01:05:53 ID:yr9V0lD9
キィ・・・
ドアが開き、出てきた夏世はどこがどう変わったということもない。
てっきりコスプレだと思ってたんだけどな・・・
予想を裏切られ、何故かショックを受ける約2名。
しかし、夏世の上気した頬に恥じらいの表情、もじもじした態度。
手はスカートを握り、妙に丈を気にしているようだ。
仕種に色っぽさがある、気がする。
「修、どうだ?初々しい感じになっただろう?」
ゲストルームから出てきた航に皆の視線が集中する。
「お、お兄様。初々しいというには変に色っぽいような気がするのですけど・・・」
「そう? ちょっとやりすぎたかな」
ボソっと呟く航に、「何をしたのですかーっ」と叫ぶ次男と「まさか・・・」と呟く三男。
四男は何が何だかわからない様子。
「最近の若い子に"初々しさ"を見せてもらおうにも
年齢的に犯罪者に間違われかねないからね、月山さんに協力してもらったんだけど」
穏やかながらも怪しい微笑を浮かべる航に注目している間に何があったのか、
夏世はくったりと床に座り込んで荒い息をついている。
「ちょっと待って、航兄。それは、陽に説明のできる内容の"協力"?」
航の手の中のリモコンのようなものを凝視しながら聞いてみる。
いざとなったらアレを取り上げて試してみないと・・・イヤイヤ、違うぞ智。
「ん?うーん、陽にはまだ早いかな」
「あのさ、それって、リモコン・・・ってやつ?」
後半部分は陽に聞こえないようにコッソリと。
「うん、そう。音も静かだから使えるかと思って」
シレっと言う航兄に目眩がしたが、気合でこらえる。
「航兄・・・」
少女漫画だよ、レディースコミックじゃないよ、と言うつもりだったのに
「俺にもやらせて」
そんな言葉が出てしまう27歳健康男子。
以上です。
お目汚し失礼しました。
2だけsage忘れorz
いよっ!
>>160、お見事っ!
途中まで脳内BGMが「DESERT MOON」と「SAY YES」でした(古すぎる…)。
愛に暴走する航兄もツボw
頑張れ、夏世っぺ〜w
リロードし忘れすいません。
>>167さんGJ!です。
流石「花園ゆり子」!ちょっとHな少女漫画もいけるのか!
別冊チャーミーに連載決定!
しかし航よ…何のプレイに使う気だったんだ…
すごい投下ラッシュで楽しまさせていただいております。
皆様GJ!!!
ごめん、前スレに埋めネタ投下したんだけど、512KB超えちゃった。
左下のとこは「502 KB 」になってるのに不思議…教えてエロイ人。
こっちで改めて後日投下します。
>>167 こんな航兄待ってた!素敵。
普段から航兄に色々調教されてる夏世を想像した。
ちゃんと後でごほうびあげてね。
朝起きてみたら、すごい投下ラッシュ、鼻血ものです。
皆様乙&GJ!!
三角関係ものあり(続きも出来ればキボンヌ)、お見合いに慌てふためく長男あり、
お詫びと称して長男と夏世のショッピングデートあり(ブラックカードにワラタ)
まさに『喰われ』そうになった陽たん(カワイスw)、等々ドラマで不足している萌
え部分を補ってあまりある神作品をありがとうございました。
今日の8話も切ないのかな。はぁ。待ち遠しいようなそうでないような、複雑な
心境です。
>>117〜
>>120 GJでした〜。やっぱ、三男がでてくるとスリリングで、ドキドキします。
良いです〜w
いいオトコが苦悩してるっていうか、攻撃的かつ切なそうにしてるのって、
たまりません。 萌えまくりました。
ありがとうございました。
つづきができるの楽しみにしています。
testes
2度目投下します☆
自信の無いエロあり、あ、でも描写少なめです。
夏世誰かに強姦されたあと、という無理矢理な設定です。
苦手な方はスルー頼みますw
>176
wktk
原稿を田中ちゃんに渡したらドッと睡魔が襲い掛かってきて、目覚めたら夜中の1時をまわっていた。
起こしてくれれば良いのに・・・、と既に部屋に戻って眠っているであろう弟たちにあたってみる。
まぁいっか、と早くベッドに入りたくて眠い頭で自室へと向かう。
あれ・・・
突き当たりのあの部屋のドアが少し開いている。
・・・人の気配がする。
「!!!」
覗いてみると、暗くて何も見えないが、誰かが倒れている。
その倒れている誰かが、ビクッ、とこちらを見た。
「っ、ひなた!?」
照明をつけるのを忘れて、距離を置いて問いかける。
体の大きさでは陽ぐらいだが、陽がこの部屋に入るはずがない。
「誰です・・・?」
「ゎ、た・・・・」
「えっ!」
震える声の主が手を差し伸べたが、届かず、力無く床に落ちる。
179 :
長男×夏世A:2007/02/27(火) 11:50:00 ID:/j2XKpgz
その声は
「夏世さん!?」
駆け寄り、その顔を確認した。まさしく夏世であった。
上半身を起こし、問いかける。
「っ…?どうしたんですか・・・!?いつからここに? 」
「…ぁ、ゎ」
夏世の目の焦点があっていない。
肩を掴み軽く揺すると、ようやく俺を見た。
欲に濡れた夏世の顔。渇いた涙の跡。
乱れた着衣。所々に残るアザ。
何をされたか、一目瞭然だった。
「だ、大丈夫ですか!? 誰にこんなこ・・・」
夏世の口が航の口を塞いだ。
夏世は苦しそうに息をつき、航のセーターの裾を掴む。
「…抱いて、ください」
涙を流しながら懇願されて、
掴むその手を振り払うことはできなかった。
弟たちがこんなことをしたとは思いたくない。
だが、この部屋にいる以上、鍵が開いている以上。
弟のうちの誰かが、夏世を犯したはず。
だがそんなことを考える前に、
夏世に欲情している自分がいた。
180 :
長男×夏世B:2007/02/27(火) 11:51:35 ID:/j2XKpgz
夏世は慣れているのか、ためないも無く進めてゆく。
完全に立ち上がっている俺自身に舌を這わせた。
先端を口内に含み、ねっとりと吸い上げる。
「…ッあ、」
あまりの快感に余裕のない声がもれた。
夏世は止める様子もなく、さらに深くくわえ込む。
静止しようとして夏世の肩を掴むと、夏世が上目でこちらを見た。
そのせいで生々しい光景を目の当たりにして、掴んでいた肩を離してしまった。
夏世はまたゆっくりとくわえなおし、舌を動かし始めた。
苦しそうに声を漏らしながら、喉も使って口淫を繰り返す。
「…く、」
射精感が高まり、押さえがきかなくなる。
余裕の無い航の様子を感じとり、夏世が航自身をきつく吸い上げた。
たまらずその狭い口内に欲を放つ。
夏世は恍惚とした表情でそれを飲み下した。
ぬめった唇を手の甲でぬぐうと、今度は手を使って達したばかりのものを扱き上げ始
める。
ひどく敏感になっているそれはたやすく硬度を取り戻した。
一方的にされているのが癪で、夏世の肩を掴み床に組み敷く。
夏世のそこは慣らす必要のないくらいに濡れていた。
それを確かめると、ゴムを取り出し、装着した。
瞬間、罪悪感が押し寄せてくる。
181 :
長男×夏世B:2007/02/27(火) 11:52:37 ID:/j2XKpgz
動きの止まった俺の首に夏世が腕を回し、先を促すようにしがみつく。
「…はや、く…」
耳元で切なげに言われ、理性が飛んだ。
腰を掴み、固定して自身をあてがう。
「ん、…ぁ、あ」
つい先ほど入れられたばかりなのか、思ったよりも楽に挿入できた。
それでも圧迫感はかなりのものなようで、夏世は手を握り締め耐えている
。
その手首に縛られたような痛々しいアザが見えた。
白い肌にひときわ目立つ変色したその部分に口付けを落としてやると、夏世は驚いた
ように俺を見返した。
快楽に濡れた大きな瞳を覆うまぶたにも、反り返った首筋にも、何度も何度もキスを繰
り返す。
あのおどおどとしていた夏世がこれほど快楽に溺れ、変
貌するなんて。
その事実が俺をひどく興奮させた。
暗い部屋に、荒い息と嬌声が響く。
「っ、ぁ!…ゃあっ」
強く腰を打ち付ける度にひときわ高い声を上げる。
それが聞きたくて何度も繰り返す。
・・・止めることができない。
快楽で痺れる脳を無理やり働かせ、胸にも愛撫を加える。
「んあ!あ、、ぁ、」
官能的な唇に目を惹かれて、自分の唇を重ねる。
舌を差し入れ、絡めると夏世は息をのんだ。
「…ふ、ぅ…」
夏世の後頭部に手を回し、角度を変え、口付けを深くしてゆく。
眉を寄せ、苦しそうに鼻から甘い吐息をもらす夏世。
その様子にひどく興奮し、繋げたままだった
結合部を揺する。
「んっ、んん、…ふ」
夏世の口を塞いだまま、埋めていた自身をギリギリまで引き抜き、えぐるように最奥
を突く。
それと同時に、夏世の敏感な胸の先端を親指の腹で押し潰すように刺激してやる。
「―――――――ゥ、ん!」
夏世は体を強張らせ達した。内部の締め付けに耐えかね、俺も欲を吐き出す。
緩く腰を揺すりながら、重ねたままだった唇をようやく離す。
「…ぁ、、ハァ、…ァ!」
浅く息を繰り返し、快感の余韻に体を震わせる夏世。
頭を撫でると、潤んだ目を細め、閉じた。
そのまま眠りに落ちた。
服を着せ、弟たちに気づかれないようそっとゲストルームに運び、ベッドに寝かせる。
ぐっすりと眠っている夏世。先ほどとは打って変わって可愛い寝顔だった。
自室に戻り時計をみると
もう2時を回っていた。
183 :
長男×夏世E:2007/02/27(火) 11:55:12 ID:/j2XKpgz
誰なのだろうか。夏世の手首を縛り、犯した者は。
自分も同じことをしてしまった。
誘われたとはいえ、最悪だ。
一回消えた罪悪感がまた戻ってきて、胸に溜まった。
今日は眠れそうにない。
次の日。
夏世は俺に抱かれたことなんてまるで覚えていなかった。
その前のことも。
朝起きてくるなり
「すみませんっ航さん!私昨日お泊りしたんですっけ・・・?」
「へ・・・あ、えーと、はい」
「ごめんなさい、全然覚えていなくて・・・」
「いえ、いいんです」
「これだから小娘は・・・」
と修。
「しょうがないよ、お酒まわってたし」
「つーか朝飯つくって、俺ダリぃ」
陽と智。
「な・・・なんで私がっ・・・」
184 :
長男×夏世F:2007/02/27(火) 11:57:10 ID:/j2XKpgz
「オムライス」
「俺ピザトースト」
「だからっ!!!」
「いーから作れこのバカ娘っ!ハンバーグ!」
「ハンバーグなんて作れませんっ!!! 」
「え〜!?ハンバーグも作れないのアホ娘!?」
「すっ、すみませんっ!!! ・・・ってなんで私が怒られるんですか!!!」
と会話が飛び交う。また、夏世を困らせる弟たち。
しょうがないか、
「はいはい、兄ちゃんが作るから」
忘れようとした。
彼女は何も覚えていない様だし、本当に自分に都合がいいと思う。
それなのにあの濡れた瞳とか、甘い声とか、他人の跡の残る痛々しい傷跡とか、
すべて。
頭から、離れない。
*****
以上です。改行多くてスミマセンw
いよいよ今日っすね。この一週間長かったァ・・・。
ではでは、駄文を失礼しますた。
>184
GJ!!他の男の跡、確認しながらも抱いちゃう航、切なス。
でも犯人は誰だろ?
智、智&修(修の性教育のため)、陽(カワイイ顔して鬼畜)、航(寝ぼけてor酔って襲ったのに、途中で熟睡してそのことを忘れた)…いろんなパターンの妄想が止まらないヨ(´A`)
昨日前スレに書いたやつ改めて投下します。
やってしまった。
泡だらけの手元を見ながら、血の気の下がるのをじんわりと感じる。
陽がいつも牛乳を飲んでいるグラスが、いつの間にか割れていたのに気がつかなかった。
飲み口が欠けていて、それに気がつかずその真上で指をスライドさせた。
ざっくりいったみたいだ。
いつの間に欠けたのだろう?
さっきシンクに置いた時だろうか。
とにかく、陽が飲むときでなくて良かったと思いつつ、泡を簡単に洗い落とした。
「……智さん、ごめんなさい」
隣の智に小さく声を掛ける。
はぁ? と驚いたような声音が遠い。
シンクを支えに、ゆっくりと膝を折って、床に座り込む。
そのまま、慎重にうずくまった。
幸い、貧血には慣れている。
年に1.2度ほど起こすのだ。
最初の時はいきなり倒れて頭を強く打った。
貧血よりそっちが痛かった。
それからは、予知みたいなものが働くようになり、ヤバイと思ったら無理せず座り込むという自衛手段を覚えた。
今回は、アレだ。
最近の乱れ気味の食生活と、昨日の校了で起きた事件のせいだ。
おかげさまで本日の睡眠時間は非常に足りない。
「ちょ、アンタ何してんの!?」
「………………ひ、貧血…………」
ざっくりと切った右手を見せる。
「うわっ、オレ血ダメ!」
智は一瞬怯んだものの、タオルを掴むと夏世の右手に巻きつけて、頭上に上げさせる。
「立てるか?」
首を左右に振る。
「……こうしてれば、大丈夫、」
「冷えるだろ」
言うが早いか、ぐいと抱き上げられた。
これは……、
俗に言う、
お姫様だっこ!!
しかし貧血の渦中にいる夏世には拒否する事も感慨にふけることも出来ない。
ただ襲い来るめまいと戦うしかないのだ。
「陽そこどいて」
リビングのソファに腰掛けていた陽に、智が声を掛ける。
「何? どうしたの?」
「貧血だと。寝かせる。あと救急箱もってこい」
「う、うん」
誰かが頭上でしゃべっている。
こんなヘロヘロの状態を見られるのは物凄く恥ずかしい。
だけど恥ずかしいとか言ってる余裕はない。
やわらかいソファに丁寧に下ろされた。
ふわふわしたクッションが背に当たり、心地いい。
「夏世っぺに病弱ってイメージないなぁ……」
――はいはい、悪うござんしたね。
「アンタよく貧血起こすの?」
――無理、今返事できないから話しかけないで。
心の中で返事をしながら、やっとの事で頷く。
「智、これ」
「ん」
航の優しい声がして、身体にふわりと柔らかいブランケットが掛けられた。
「智兄、救急箱。……何に使うの?」
「右手が酷いことになってんだけど、オレ、血、ダメなんだよね……」
「うわっ。タオル真っ赤じゃん! オレもダメ!!」
「僕も…………」
「じゃあ、救急車、呼ぶか?」
「……だ、大丈夫……!」
切り傷ぐらいで救急車のお世話になっては恥ずかしい。
声を振り絞って拒否をした。
「ほんとに、大丈夫なの?」
心配そうに陽に覗き込まれた。
何だかんだ言ってもみんな優しい。
「しばらく、このままで、治るから……」
「うーん、そう? じゃ、航兄、よろしく」
「え?」
「血、ダメじゃないでしょ?」
「さー、オレたちは仕事するかな、仕事」
「え? ええ?」
航の間抜けな声を置いて、3人がさっさと部屋を出て行ってしまう。
「なな、あの人すげーヘンな倒れ方したんだよね」
「なになに? さとぴょん何?」
「急に『ごめんなさい』って言ったかと思ったら、自分で床に横になんだぜ?
少女漫画っぽくさぁ、ふらぁって倒れてくんないと、オレの立場ないじゃん?」
「ぎゃはははは! 夏世っぺってヘンな所で男らしいよな!」
「僕、倒れた人初めて見た」
「おぅ、陽。良かったな」
そんなのん気な話し声が遠くに聞こえる。
実際の物理的距離も遠いのだが今の夏世の健康状態の所為でますます遠い。
リビングが急にしんとして、気まずい空気が流れる。
「えーと」
「……す、すみません……お仕事、行ってください」
「い、いや、何か、欲しいものありますか?」
「…………ごめんなさい、じゃあ、……冷たい、タオル……」
「ちょっと待ってて」
パタパタとスリッパの音がして、航が消える。
目の前がまだ真っ白だ。
気持ち悪い。
ぎゅっと目を閉じた。
――えーと貧血の時は、頭を低くして、膝を。
そっと膝を立てる。
今日はスカートだったけれど、航の持って来てくれた(のであろう)ブランケットのおかげで、気兼ねなく膝を立てられた。
そっとブランケットに鼻を埋める。
片岡家の、というか、何故か、航の香りがした。
うっすらと目を開けると、航がいつの間にか戻ってきていた。
「手、見せて」
言われるがままに右手を差し出す。
優しくタオルを巻き取られ、ソファの隣に座り込んだ航がごそごそと救急箱を漁る気配がする。
ケガの具合を見ると貧血が酷くなる気がして、されるがままにしたまま目を閉じた。
「痛かったら言ってください」
消毒液の香り。
そっと傷口に触れられて、少しだけ痛む。
「出血の割りには深くないみたいだ。すぐ治りますよ」
緩やかな口調が心地いい。
だけど相変わらず気分は最悪だ。
目を閉じている間に、意外な器用さで航は夏世の指に絆創膏を張り終えた。
「出来た。気分はいかがですか?」
「…………へいき、です」
「まだ、顔、真っ青ですけど」
「…………うん」
「あの、もう少し、頼ってもらっても、大丈夫ですから」
「……え?」
「さっき、智が言ってた、倒れる時。
いきなり倒れても、智ならちゃんと支えられると思うから……」
「あぁ……」
「あと、僕にも」
そっと、絆創膏を張り終えたばかりの右手に、航のあたたかい手が重なる。
「頼ってもらって、大丈夫ですから。一応、男だから」
じっと覗き込まれて、張り詰めていた何かがぷつんと切れた。
目じりがじんわり熱くなる。
「きもち、わるい……」
右手をぎゅっと握った。
少しして、強く握り返された。
ゆるく肩を撫でられる。
「吐く?」
「吐かない……」
「他に、欲しいものは?」
「…………そばにいて」
左手を、航の手に重ねた。
両手で包み込んだ彼のその手を、頬にそっと添えた。
「ええ……ここにいます」
ひやりと、額が冷えた。
ところで二人は忘れていた。
仕事場からはリビングは丸見えなのだ。
出歯亀が三人、ここにいる。
「どうよあれ?」
「いいんじゃねーの?」
「智兄、少女漫画的には、どう?」
「90点だな、ベタだけど女はか弱い自分が好きだ」
「あ、陽くん。次はアレがくるの? スケッチしとこっと」
「おぅ、しとけしとけ。でも切り傷で貧血はないよな」
「ないよね」
今日も片岡家は平和です。
たぶん。
*
192 :
長男×夏世 :2007/02/27(火) 14:22:45 ID:ya96eBrE
あああ。だめだ。気をつけいたのにミスってしまった。
>>191の一行目「ひやりと、額が冷えた。」は
>>190の一行目です。
ごめんなさい。
以上です。
前にあった、「夏世が片岡家で倒れたら」ネタ。
航兄、お世話は出来ないのでこの程度ならどうだ、ということで。
ちなみに反射神経が鈍そうなので、夏世っぺが倒れても支えられなさそうw
というわけで智兄においでいただきました。
リアルタイムktkr
確かに航兄は咄嗟に支えたりできなそうw
でもちゃんと側にいてくれるんだよなぁ
優しい航兄と甘えんぼな夏世っぺ萌え
>>184 痛く切なくそして萌える…
自分も犯人が気になる
続きを希望します
>>184 犯人、兄弟は嫌だ。
特に三男にするのはヤメテ欲しい。レイプ犯とか可哀相すぎる〜
>>184 夏世っぺが何にも覚えてないってのがなんかすごく怖いね…(いい意味で)
夢にしろ現実にしろ、どっちにしても長男泣ける。GJ!
>>192 男らしく倒れる夏世っぺに萌えるww GJ!
そうそう、こういうちょっと他人行儀な距離感がまたこのドラマの萌え所
なんですよねえ…
>>168の「DESERT MOON」と「SAY YES」に禿げしくツボった。
デザートムーン→たにやま→なりたみなこ→シャール君つながりで
「エイリアン通り」読んできますorz
>>192GJ!
前スレで投下が途中だったから心配してたんだ。
早く続き読みたかったから。
甘える夏世がかわいいよ。
>>184 妄想が止まランチ(*´Д`*)
とことん酔わせた夏世で智がDTの修&陽に性教育…
俺に文才があれば小説化したいんだがなぁ
保管庫を見に行ったら、既に2/25に投下された作品までアップされてて感動&
仕事の早さに脱帽致しました。
ありがとうございました!
さーあと2時間だーo(^-^)o
まだ今日の放送見てないのに、
来週のあらすじを見て妄想した。
*
田中さん、亮子さん、陽、夏世と鍋をしてるところに
陽を迎えにくる兄弟達。
あのマンションに帰るのを拒否する陽。
夏世を指差して、
「この人バカだけど、僕好きだよ。
アネキだったらなぁって思ってたんだ。
・・・・そうだ!誰かと結婚してくれればいいんだ」
ビックリする夏世。
納得する兄三人。
航「じゃあ、一番上の俺が」
修「いや、夏世っぺは俺との方が気が合う」
智「ちょっと待ってくれ。俺が一番釣り合ってる」
三人「・・・・」
一触即発状態。
陽「もう誰でもいいから、ジャンケンで決めてよ」
三人「よしっ。ジャーンケーン、ポイっ!!」
誰が勝ったかはお楽しみ♪
>>200 面白かった。
その流れで、ついダチョウ倶楽部を想像してしまったけど。
>>201照れくさがって譲り合うならそれもアリかもw
「俺は他にいくらでも相手いるから兄ちゃん達どうぞ」
「俺は夏世っぺなんか興味ないし〜?航兄どうぞ」
「俺は陽が自立するのを見届けてから結婚するからお前達どうぞ」
と言いながら「じゃあ俺が」と言い出すタイミングを見計らっている
しかし譲り合う3人を見てそんなに自分と結婚したくないのかと落ち込む夏世に陽が一言
「やっぱアネキよりお嫁さんがいいや。僕と結婚しよう」
「!?」となる3人まで想像した
季節外れのアイスネタ投下おkでしょうか。
>>200-202 サイコーです!
更に妄想。
「ひ、陽君!?結婚って!?」
「何で?僕との結婚に、何か問題でも?」
「歳とか、第一まだ陽君未成年だし…。」
「年齢の差は仕方がないけど、経済力もあるし、それに歳の割には頼り甲斐も
あるし、何も問題はないと思うけど?」
「はぁ…」
「あるとすれば、小姑が3人付いてきちゃうこと、くらい?」
「「「!!!」」」
ニッコリ天使の笑顔で未来の伴侶の小姑達に微笑む陽君www
*兄弟全員が夏世っぺに惚れてる設定です。
机の上に置かれた大量のビニル袋。
中身は季節外れのアイスの山。そしてその前にいるのはご機嫌な『我らのお姫様』。
その山を見てふぅ、と溜息を一つ吐いたのは三男の智。
「アンタさ…季節ってものを考えなさいよ。」
「だって安かったんですもん♪」
フンフン、と鼻歌を歌いながらアイスを取り出す夏世。
「ま、いっか。航兄ィ達が原稿終ったら食おう。それまで冷凍庫いれといて。」
「はいっ♪」
トントン、と原稿用紙を揃えて修はニッコリと機嫌よく笑い、夏世に渡す。
枚数をチェックし終わると、夏世もまたニッコリと微笑んだ。
「お疲れ様でした!」
「よーっしゃ!」
「お疲れ様ー。」
兄弟達が部屋に帰ろうとするのを右手で制し、ずずいと後ろへ下がらせる。
三人は頭に疑問符を浮かべた。
「甘いものがあるんですよ。」
「わー!アイスだー!ちょっと食いたいと思ってたんだよねー!さっすが夏世っぺじゃーん!」
嬉しそうにはしゃぎ騒ぐ次男修。
小学生の如くわめき散らす兄を見て、呆れるのは四男陽。
「…この時季にアイス、って。」
「こら、わざわざ買ってきてくださったんだ。御礼くらい言いなさい。」
そういって母親のような微笑を見せ、父親のように叱咤するのは長男航。
一人ずつ夏世に御礼をし、それぞれ好きなアイスを取っていく。
夏世が取ったのはオレンジ味のアイスキャンディー。
「「いっただっきまーす♪」」
「…いただきます。」
「いただきます。」
「いただきまーす。」
ピリ、と封を切り、夏世はアイスキャンディーをぺろりと舐める。
つぅっとアイスに沿って雫がつたっていくのをまたぺろり。
こぼれないようにと気を遣ってくるくるとアイスをまわしながら舐めていく…。
「んぅ」
小さく色っぽく声を漏らす。
相手は二十八歳、脂がのっている女。しかも容姿よし、スタイルよし。
性格もなかなか可愛らしい。加えて兄弟達の想い人ときたら。
『そういう』想像をするのが当たり前、というもので。
>>203 どうぞどうぞ
>>202 >>204 最近陽くん株急上昇でいいですね。
ダチョウ倶楽部の流れでいくと
智「じゃ俺が!」
修「いや、夏世っぺは俺との方が気が合うでしょう」
航「いやいや、ここは長男ということで僕がなんとかしないと・・・」
智、修「どうぞ、どうぞ、どうぞ〜」
航「・・・」
陽「じゃ決まりだね。」
バニラのアイスを掬い、その光景を目の前にして思わずぼーっとしている
誠実で紳士な「ハズ」の長男、航の思考回路を覗いてみましょう。
「んっ…っふぅ…」
彼女は丁寧に、それでいて優しく…
ちょっと苦しくなると涙目になって「もうだめ…」とか言うのかな。
耳元とかも弱そうだし…。そこを攻めたりしても…
あぁでも彼女、そうやって意地悪にされるの嫌いかな…。
「もう、意地悪!」…なんて…。
…って俺は!!何を考えているんだ!
完全にオヤジじゃないか…。
チョコソフトのケースを外し、齧り付こうとしたところで
その衝撃の場面を見てしまった次男、修。
「ふふ…夏世っぺったらいやらしいなぁ…」
ピチャ、と音を立てて俺のにしゃぶりつく夏世っぺ…。
ぐいっと俺が頭を押し付けたりなんかしてさ。
まだ下手そうだよなぁ。経験だってそんな多くなさそうだしさ。
おしゃぶりをキチンと教えないとなァ…♪
それであの白い肌にかけてやりたい…!
…アレ?このシチュエーション…。
秘蔵のAVと似てるなぁ…?
そして、イチゴアイスを口に運んだところでソレを見てしまい、
ポロリとスプーンを落とした三男、智。
あの子、あんな顔して舐めるのか。
ホンモンじゃなくてあの顔なら…すげぇ。
天然のテクニシャンだろ。ありゃ。
「智さん…気持ち良い?」
ってあの綺麗な声で問われたら…ヤベェな。
涙目、ほんのりピンクの肌、苦しそうな表情。
…よし、今夜はこれで…。
最後にチョコアイスの蓋をちょうど開けて、ばっちり見て
動作を止めてしまったのは四男、陽。
へぇ…あんな色っぽい顔できるんだ。
無理やりしゃぶらせてみるのも楽しいかもね。
あんな顔して上手かったらちょっと燃えるかも。
散々厳しくしたあと、優しくしてやったら手懐けるのもいいかも…。
やっぱり飴と鞭を使い分けないと…ね。
必死に邪念を振り払おうとする長男、
何かを狙ったように笑っている次男、
心に何かを決めた三男、
クスクスと腹黒い微笑を浮かべる四男。
その様々な表情を兄弟達にさせている張本人は、
甘くて美味しいアイスを堪能していた。
この鈍いお姫様は誰のものになるのか。
それは…神のみぞ、知る。
212 :
あとがき的な:2007/02/27(火) 21:41:02 ID:jY4dIZjG
ふっと思いついたので、書いてみました。
やはりエロスな妄想もするのかなぁ…と
213 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/27(火) 22:00:34 ID:xdg3m4Ia
始まったぞ〜!
禿萌えた!!!!
今回の破壊力は異常
今週やべぇ…
も、萌え死ぬかと。思った…
そして連日投下して下さる職人さん、
GJすぎです!!
これからも陰ながら応援してます
>>211 遅れたがGJ!
アイスだけでなく夏世の全ての動作を邪な目で見てる四兄弟を想像してしまたw
禿萌えた…。
自分も死ぬかと思いました。
三男×夏世もいい。
でも、あの長男の顔!!! そんなに夏世っぺのこと……!!
四男も可愛すぎて死ぬかと思った。
本編ラスト近くの航と夏世のやりとりにすんごいドキドキした。たまんねぇ〜。
あと、冒頭の香水の移り香ってエロイな。
夏世の間近にいた航はさぞやいい匂いを堪能したのだろう。
>>211 陽の妄想に噴いたw
健全な男性なら妄想するよ夏世っぺエロ可愛いもん
ドラマ萌えたし切なくて泣いたよ
智が追いかけていった時抱きしめてしまえばいいのにと思った
陽はどんどん表情豊かになっていって可愛いな
予告の「来ちゃった」はイイ
そのまま夏世っぺの家にお泊りしたらなおイイ
回を追うごとに陽が可愛くなっていく件について
>>212 GJ!!
長男が一番、初々しいねw妄想を振り払おうとするとか。
逆に陽が一番黒いw凄く良かった!
今回は萌えと切なさでキュン死にしそうだったよ…。
いつもは「今だ航兄、抱き締めろ!」とか思いながら見てたけど、
今回は「今だ智兄、抱き締めろ!」とか思っちゃったもんなー。最後の方。
リロードしてなくてスマソ。
>>212 かなりGJ!
四兄弟の性格がハッキリ出ていて、めちゃくちゃ萌える!!
自分も禿萌えた&最後切なくて泣けた…。
続きが気になって寝不足の日々が続きそうだよ。
それにしても陽は可愛かったなー。夏世っぺのエプロン着てるしw
あれを見て妄想↓
「智兄に作り方教えてもらったんだ。食べてよ」
作ったカップケーキと牛乳を夏世っぺに出す陽。
「いただきまーす」
と、口に夏世っぺが頬張ったところで「あ」と声を出す。
「変な薬とかは入ってないから安心して」
「――ッ!? ゲホッ!」
「あーもう、冗談なんだからそんなに驚かないでよ」
冗談なのか、本当に何か入っているのかは陽だけのヒミツ。
>>224 かよっぺのエプロン萌えるよね〜
来週は「来ちゃった」だし「帰らない!」だし
もう早くお母さんになっちゃいなよかよっぺ!
今回急にシリアスに突入したことによって
今までの職人さんたちの全作品があってもおかしくないことになってきたね
作家の皆様いつも作品ありがとうございます。
今日は陽がかわいすぎて萌え死にそうだった・・・
来週も楽しみだ〜
ラストのやりとりに萌えすぎて突発で書いてしまった智×夏世投下します
あの後さらに智が追いかけていたら〜という妄想でエロなし
228 :
智×夏世:2007/02/28(水) 00:20:59 ID:g4Wbu6SR
掴んだ腕はそっと離された。
涙に濡れた瞳で彼女は「何でもないんです」と微笑み背中を向ける。
――何でもない筈ないじゃないか。どうして俺に話してくれない?
遠ざかる後ろ姿が頼りなくて、もう一度彼女を追いかけた。
「待てよ!」
さっきよりも強く肩を掴んで彼女を引きとめる。
「…何があったか話してくれ」
声を和らげて尋ねると彼女は小さな声で答えた。
「航さんに…もうここには来ないでほしいって言われちゃいました」
「航兄がそんなことを…?」
あの温和な兄がそんなことを言うなんて信じられなかった。
彼女は声を震わせながら続ける。
「私が悪いんです。航さんの言うとおり、私のせいで秘密がばれてしまった上に
今回のことで皆さん兄弟に迷惑掛けてしまったから…」
「違う、あんたのせいじゃない。あんたは悪くない」
自分でも気がつかないうちに言葉が出ていた。
「俺達が浮かれてたのが悪いんだ。航兄には注意されてたのに」
「でも元は私がサイン会を失敗させてしまったから…。
今回の取材だって一度きりだって約束だったのに結局…」
新しい涙が彼女の睫毛を震わせ頬を伝う。
あかん…色々萌え死にそう。
陽君随分夏世っぺの事、認めるようになったんだね(ホロリ)。
航兄、夏世が何を言うのか察して止めたね。その先は、絶対あなたが夏世に言っ
てあげたまへ。
それにしても智、折角追いかけて行ったのに…カワイソ。いつもタイミング悪いなぁ。
陽君が言うように、肝心なところで反射が働かないのかナ。
ところで、たい焼きは2話で航兄が買って帰ろうか、と言った店のもの?
230 :
智×夏世:2007/02/28(水) 00:23:27 ID:g4Wbu6SR
女の涙なんて別れ話や喧嘩で何度も見てきた。
そういう時いつも俺は冷ややかな目で見ていた。
女は都合が悪くなったり同情を引こうとした時涙を流せる便利な生き物だと。
なのに今は、彼女の涙を見ると胸が痛くなる。
「あんたはいつも俺達のこと思って一生懸命やってくれた。自分を責めるなよ」
「だけど」
「泣くな」
彼女の肩を引き寄せ抱きしめる。
「さ、智さん…?」
彼女が驚きの声を上げる。
「泣いてほしくないんだよ」
「……」
「笑っててほしいんだ」
困惑したように見つめてくる彼女に真剣な眼差しで返すと俯かれてしまった。
今彼女の胸の中では様々な思いが行き交っているのだろう。
俺への戸惑いや警戒心、そして自分を突き放した航兄への――。
航兄が彼女に言った言葉は本心じゃないだろう。
俺達兄弟のことを思って彼女を拒絶した。
一番辛いのは航兄だ。
それは分かっている。
だけど――俺だったら彼女にそんなことは言わない。
あえて冷たくして突き放すなんてことはしない。
傷つけて泣かせたりなんかしない。
俺はさらに彼女を抱きしめる力を強めた。
腕の中で彼女が強張るのが分かる。
それでも俺は抱きしめる手を離すことができなかった。
231 :
智×夏世:2007/02/28(水) 00:26:12 ID:g4Wbu6SR
以上です
中途半端でごめんなさい
この後智がどうしたかは皆さんのご想像にお任せします
智頑張れ航兄も頑張れ
兄弟皆愛しくて全員幸せになってほしいよ…
途中でぶったぎってしまい、本当にスマソ(;_;)
智、本当にそのくらいやってもいいのに…遊び人程、本気な相手には、手が出な
いって事なのでしょうか。
補完萌えをありがとうございました。
智×夏世イイワァ(*´Д`)トキメキ
そのまま身を任せちゃえよ夏世。
アイスネタも花嫁ネタもGJです!
夏世でエロい想像しちゃう四兄弟萌え。
密かに夏世を花嫁にしたい三兄弟、譲り合う兄弟、あっさりプロポーズしちゃう四男、等々、
萌えどころが多すぎて書ききれません(*´Д`)ナイス妄想リレー!
智補完アリガトウ(ノД`)
航兄の辛い気持ちも分かるんだが智を応援してしまう…
来週の陽も可愛かった>「来ちゃった」
夏世っぺの家でドキドキお泊り想像してしまったよ
実際はその前に兄ちゃん達来るっぽいけど妄想は自由だよね
「顔 近いっ」
夏世っぺに押しのけられた瞬間、足が滑ってこけた。
狙ったわけじゃないのに、俺の口と夏世っぺの口がぴったんこ。
これも狙ったわけじゃないけど、びっくりして口が開いてちょっと舌がでてた。
夏世っぺも叫んで口が開いてたもんだから、思いっきりディープキッス状態。
俺もすぐ立とうとして手を突いて起き上がろうとしたんだけどさー、
手を突いたところが妙に柔らかくって、何かと思ったら
夏世っぺの胸だったわけよ!
いや〜、もうまいったね
なんて妄想してたらその後の内容あんまり覚えてないんだけど・・・
録画しとけばよかった
>>235 そのシーンの妄想ネタ誰か書いてくれないかなーと期待してたw
GJです! 次男×夏世っぺ派には美味しいよ。
>>235 D・V・D!D・V・D!
今日のは是非すみずみまで見て頂きたい
次男のそういうオモロネタ大好きです
三男×夏世 (長男×夏世がベース)
ちょっと切ない系でエロなしです。
239 :
三男×夏世:2007/02/28(水) 03:47:21 ID:WO9jxt/b
智が夏世を追って外に駆け出していった。
また泣いているのだろうか。
あの時は智が泣かせ、自分が追いかけた。今度は立場が逆だ。
何だかんだと夏世のことを気に入っていた智の態度が頭をよぎる。
そもそも、あの時素直に目を閉じたからには
夏世も智のことを憎からず思っていたのだろう。
もし、今の傷ついた彼女が智に助けを求めたら・・・。
自分が傷つけたのにも係わらず、堪えきれずに玄関を飛び出した。
追いかけて、どうするというのだろう。
あんなことを言って彼女を否定しながら、他の男に取られるのは嫌だなんて
酷くわがままな男だと嫌われるんじゃないだろうか。
不安が頭をよぎり、考えがまとまらないままエレベーターは1階についた。
2人の姿を見つけたが飛び出す勇気が持てず、エントランスから見渡す。
240 :
三男×夏世:2007/02/28(水) 03:47:51 ID:WO9jxt/b
航兄と話していた夏世が泣いてる。
花園ゆり子の正体がばれ、大変だがそれはそれで楽しかった。
保守的な航兄の性格からして反対しても仕方ないけど
何で夏世が泣くような展開になっているのかわからない。
「何でもないんです」なんて、距離を置くような態度をされて
柄にもなく咄嗟に反応できなかった自分に舌打ちをして後姿を追う。
「待てって。ちょっと飲みにでも行こう」
そんな気分じゃない、と断られる前に手を握って歩き出した。
一人で泣かせるなんて、させちゃいけない気がしたから。
行き先に悩んで、結局ホテルに着く。家出したときに使ったとこだ。
弱ってるとこにつけこむ気はないけど、外だと人目があるから・・・
と早口に言い訳したけど何も言わなかった。
「嫌なことも辛いことも飲んで忘れろ!人間開き直ってりゃ何とかなる」
ドン、とワインをテーブルに置き、無理矢理飲ませる。
「よし、飲めるな。んじゃ何か食え。腹減ってるとろくなこと考えないからな」
俺の言う通りに飲んで食う。
でもそれだけだ。虚ろな様子が人形みたいで切なくなる。
「・・・何か、俺にしてほしいことはある?帰して、とかそういうのは聞かないよ」
241 :
三男×夏世:2007/02/28(水) 03:48:51 ID:WO9jxt/b
暗闇の中でも夏世が泣いているのが見えた。
涙も綺麗だ、と場違いな感想を抱いてしまった自分に嫌気がさす。
智の手から逃げて一人歩き出す夏世。
追いかけない智を見て安堵した。
さて、自分はどうしようかと思案していると
夏世の後姿を見送っていた智が追いかけ、手を握って夜の闇に消えていった。
一度安堵した反動か、心臓が張り裂けそうに痛い。
智より先に夏世に駆け寄ればよかったのか。
それともやはり追いかけてきたりしなければよかったのか。
見なければ、知らなければ、こんな思いはしなかったのに。
痛む心臓を押さえて、それでも足は2人を追う。
入っていった場所はホテル。
ラブホテルじゃなかったが意味は変わらないだろう。
夏世が決めたことならばどのような結果でも諦めなければいけない、
でも果たして自分には認められるのだろうか。
コートも忘れたしもう帰らないと風邪を引く・・・冷静に考えられるのに動けない。
かといって乗り込んでいく勇気もない。
まるで少女漫画みたいだな、と自嘲する。
自分は一体どうしたいんだろう・・・。
242 :
三男×夏世:2007/02/28(水) 03:50:20 ID:WO9jxt/b
「何かしてほしいことある?」
そう聞かれて、何かを考える前に口から出た言葉は「抱いてください」
いつもだったら絶対に言えない。
今はどうでもいい。どうなってもいい。
航さんに拒絶されたのが哀しかった。
私の気持ちを聞きもしないで、一方的に切り捨てられたのが切なかった。
まだ淡い気持ちだったけど、お互いの思いは一緒だと思っていたのに。
心に穴が開いたようっていうのはこういうことなんだろう。
思っていた以上に航さんのことを好きだったんだと、改めて気付いた。
そんな私のことを包んでくれようとしている智さんのことも。
こんなことにならなければ気付かなかったかも。
私、智さんのことも航さんと同じくらい好きだ。
そっと抱きしめてくる智さんの体温と匂い。
キスして、愛撫されて。
こんな精神状態で感じるわけないと思っていたのに、気持ちよかった。
とりあえず以上です
最初に書き忘れましたが、三男×夏世と謳っているくせに長男視点もあります
ってか男視点やめてエロに走ればよかったw
>>243 GJ!!!!!!!!
いやいや、エロに走らなくても十分素晴らしいです
ところで安藤裕子の「TEXAS」は甘々長男夏世だと思うんだ
>>231 >>241 どちらもとってもGJでした〜!
昨夜の三男、メッチャ切なかったから、せめて、こちらでこんなふうに
描いてもらえててうれしいです。
三男の切なそうなとこ、可哀想で辛い〜。
カッコイイ三男、大好き。ガンバレ〜。
>>243 続きがありそうな展開か?!
自分から求める夏世に萌えた
247 :
陽×夏世:2007/02/28(水) 12:10:55 ID:uRjOZPlB
夏世っぺの家に押しかけた陽君と夏世の会話を妄想をえいやっと投下。
**
「ふーん、結構ごちゃごちゃしてるね。」
「すいません、片付いてなくて。」
「そうじゃなくて、女の人って雑貨とかぬいぐるみとか飾るの好きだよねってこと。」
「まぁ、確かに男の人よりはそうかも。」
「あれ、こないだ取材の時に撮った写真?」
「うん。何枚か、もらったの。」
「自分、写ってないのに?」
「・・・・いけない?」
「別にいいけど・・・・あれ?航兄だけ一人で写ってる写真が飾ってある。」
「・・・・・・」
「ふうん、そうなんだ。」
「いや、その陽君。そうなんだって・・・あの・・・。」
さもありなん。
ところで、「来ちゃった」って帽子かぶって一応目立たない格好に変装してまで
夏世のところにやって来た陽君、なんてかわいいんだ!!
萌え死ぬかとオモタ。
夏世もあれだけ慕われれば、最初の印象の悪さ(おそらくそうだっただろう)の
反動で、年下の弟みたいでかわいくて仕方がなかろう。
これって、例の花園町でのサイン会の時に、ステージの裏で、もう無理って夏世が陽にすがりついた時以降急速に、陽が夏世に心を開いた感じがする。
一週間って長いね
一週間は長いと思うけど、あと1ヶ月でドラマが終わると思うと
あっという間なんだろうね…。
先週に引き続き、フジの予告ムービーの
「彼女を見てると辛くなっちゃうんですよ」に激しく萌えた。
こっそりと8話直後の長男と三男を投下。
何か書かないと萌えと切なさで死にそうだったんだw
>>248-249 あと1ヶ月か…ここを読んでたら本当にあっという間に過ぎそう。
253 :
長男視点:2007/02/28(水) 21:56:25 ID:VUGxMOW9
誰もいないリビングは、心の中を一層寂しくさせる。
綺麗にアイロンのかかったハンカチを見つめながら、俺は彼女のことを考えていた。
いつの間にか俺の中で兄弟と同じ――いや、それ以上に大きな存在になっていた彼女をのことを。
このまま近くにいたら、変わってしまう。
今まで積み上げてきたものが全て……。
だから俺は彼女を遠ざける。
彼女を傷つけ、自分の気持ちに嘘をついて。
それでも守らなくてはいけないものがある。
だから、いいんだ。
必死で自分に言い聞かせるが、それでも頭の中には彼女の顔が何度も浮かんでくる。
本当は追いかけたかった。
本当は「これは本心じゃないんだ」と言って、抱き締めたかった。
「これでいいんだ……」
握り締めたハンカチからは、彼女の優しい香りがしていた。
254 :
三男視点:2007/02/28(水) 21:58:12 ID:VUGxMOW9
気が付いたら追いかけていた。
アイツの涙を見たら、あのまま見送る事はできなかったから。
『反射は肝心な時に鈍る』と陽に言われたが、本当にその通りだ。
「なんでもありません」
やんわりと拒絶されて、ようやく気がついた。
月山夏世が自分にとってどれだけ大切な存在なのか。
だけど、アイツの目はいつも航兄を追いかけていて、俺の方なんて見てくれない。
追いかけても涙すら拭いてやれない自分が、とても情けなかった。
俺だったらこんな顔させないのに。
俺だったら家族よりアンタを選ぶのに。
俺だったら……。
「奪っちまうか?」
遠ざかっていく後姿を見つめながら、ぽつりと呟く。
アイツに触れた手には、わずかに甘い香りが残っていた。
以上です。
>>251 夏世っぺの「うち布団一組しかないから」に
「二人で一緒に寝ればいいじゃない」という陽を妄想してしまった。
「僕お母さんとの思い出、ないから」
と添い寝して本でも読んでもらうほのぼのでも
「ねぇ、僕なら航兄みたいにあなたを泣かせたりしないよ?」
とそのまま襲ってしまうどろどろでも
もうどっちでもいいから早く火曜になって下さい(*´Д`)=з
257 :
保管庫:2007/03/01(木) 00:15:40 ID:ixztgwxx
職人の皆様方、いつもGJです。
まとめるのがスゲー楽しいです。
保管庫からの独り言。
延々と「長男×夏世」で作っていますが、
後から「あの話が読みたい」って思ったときに、探せないんじゃ、と危惧中。
どうですかね?
改行とか、自分の直感でやらせてもらってます。
メールいただければすぐ治しますんで、ごめんなさい。
1ヶ月も無いんじゃないか?3週間とか('A`)
>>255 夏世っぺの優しい香り…
クンカクンカしたい!!
予告から陽×夏世妄想(*´Д`*)
真実を知った陽が自暴自棄になって、夏世以外部屋から追い出し夏世の部屋に立てこもる。
その勢いで夏世を襲っちゃう陽。
夏世は嫌がりながらも、陽が可哀想に思えて受け入れちゃう。
終わるのやだよ寂しいよーorz
>>258 ほのぼのもいいけどそういう陽×夏世も萌えるなー(*´Д`)
予告の「来ちゃった」にやられてつい出来心を以下投下!
全てが微妙。
部分的にポエマーなので苦手な方はスルーをお願いします。
261 :
再来!1:2007/03/01(木) 02:38:14 ID:fUqEg6ip
「また来ちゃった」
意識的なのか無意識なのか、非常にカワイイ言い方で問題発言をする片岡家四男を目の前に、夏世は
あんぐりと開いた口が閉じなかった。
「二回目なんだから少しは慣れてよ」
そう言って陽は慣れた様子でとっとと部屋に上がりこもうとする。部屋の主である夏世の許可も待たずに。
「まっ、待って陽くん! まさか、また家出? だめっ、ダメダメダメっ!」
我に返った夏世が必死で押し留めようとするので、陽はその場に留まった。夏世がホッとしたのも
つかの間、
「ちゃんと皆の許可はもらった」
更なる爆弾発言を陽は平気で落とす。
「えっ! 許可を、皆さんがっ?!」
夏世が驚くのは無理もない。陽はただフラリと立ち寄ったにしては、大きな荷物を抱えて来ている。
もう、ご宿泊するつもりがありありと分かる身支度なのだ。その格好で、陽が自分の家に行くことを
許可するということは、つまり、夏世の家に泊まって良いと夏世の了承もなく許可したということ
―――なのだろうか?
「あああ、あの、陽くん、もしかして、キャンプとかに行く途中で私の家に寄った…とか?」
そうであって欲しいという夏世の願いは、陽によってすぐに打ち砕かれる。
「何で? 今日はここに泊めて貰うつもりだけど、都合が悪い?」
悪いと、夏世は答えてしまいたかった。それは寂しい嘘だけれど、このまま陽を自分の家に泊める
訳にはいかないから。
でも、と夏世は更に考える。もしも、悪いと答えたら、陽はどうするのだろう? このまま家に帰れば良し。もしもこの寒空の下、泊まる場所のあてもなくうろつくのだとしたら?
「都合は悪く、ないけど……でも、色々問題が」
「問題? 何が?」
改まって堂々と聞かれると、なんとなく答えにくい。
「ひ、陽くんが男で、私が女だから……その、世間の目がっ」
「僕、そういうの興味ないから」
興味がないのは男女間のことなのか、世間の目という辺りなのか、はっきりさせないまま陽はいつまでも玄関先で押し問答を続けていることに飽きたと強引に部屋の中に入ってしまう。
「あっ、あ、あ、陽くん、待って! 航さん、どうしてぇ……」
夏世が自分の家に泊まる許可をしたであろう航たちに向かって泣き言を言っているのを、陽は背中で
聞きながらこっそり舌を出した。
外泊の許可を取ったのは嘘ではない。ただ、兄達もまさか、陽が夏世の家に泊まる許可を出したとは
思っていないはずだ。保護者なら当然の詮索も上手にかわして、ハメを外し過ぎないようにという忠告
だけを貰って出てきていた。
そして、お人よしの夏世は許可は得たという陽の言葉だけを鵜呑みにして、航に確認の電話を入れない。
困りながらも追い出すことも出来ず、無理矢理上がりこんだ陽にご丁寧にお茶を出し、ご飯の心配をし、
そうしているうちにすっかり夜になってしまった。
262 :
再来!2:2007/03/01(木) 02:39:30 ID:fUqEg6ip
※
「それじゃあ、私は編集長の所に行くから」
「何で?」
陽だけを自分の部屋に残し、夏世が出て行こうとすると引き止められた。
「何でって、うち布団が一組しか……」
「別に構わないよ」
「へっ」
大問題をサラリと流されて、夏世はマヌケな声しか出せない。構わないって、何が?
「あなたと一緒でも、僕は平気」
そっかー、平気なんだーそれなら大丈夫、じゃなくって! と、夏世は現実逃避しそうになった自分を
必死に呼び戻した。
「へ、へへへ、平気って陽くん!」
「あなたは平気じゃないの?」
小首をかしげて可愛らしく聞かれても、夏世には答えられません。
「どうして?」
更に突っ込んで聞かれると、脂汗すら滲み出します。
どうしてって、どうして? 陽の事を男として意識してしまうから? 過ちが、起こると思うから?
それは、恐れ? 期待? っていうか、陽くん、そんなに真直ぐな目で見ないで。なんだか、なんだか、
自分だけが邪な目で陽くんを見ているような気分になるから!
「ねえ、」
「平気です!」
思わず叫んでしまった夏世は、心の中でもう一度叫んだ。『やっぱり全然平気じゃありません!』と
263 :
再来!3:2007/03/01(木) 02:41:05 ID:fUqEg6ip
※
「お邪魔します」
自分の寝床なのに、夏世はそう断ってそっと布団に潜り込んだ。先に半分だけその布団を使用していた
陽はとっくに眠ってしまっているのか、夏世に背を向けたまま返事もしない。
「ホントに、平気なんだ…」
そんな陽の顔を半身を起こしたまま覗き込んで、夏世は感心するやら呆れるやら。
「そういえば、どうしてうちに来たの?」
返事が無いことを承知で問いかけて、やっぱり寝息しか聞こえないのを確認してから、夏世は陽と
背中合わせの形に横になった。狭い布団の中でいくら気をつけてもその背中が、足が相手に触れる。
そのぬくもりに、夏世はうぅーっと唸った。
「気になって眠れない、かも」
それでも、相手は弟みたいな男の子だ。こんな風に触れ合うことなど想像もしていなかったから、
なんだかドキドキしてしまうけれど、いつしか分け合う体温の心地よさに夏世も自然に眠りに落ちていった。
しばらく後、陽は夏世の方へと向き直った。寝返りというには意図的に、その背中にぴたりと寄り添い、
腕を回して抱き込む。
「ホントに、どうしてそんなにバカなの?」
眠ってなんかいなかった陽は、すっかり眠ってしまった夏世の肩口に顔を押し付けながら呟いた。
吐息のくすぐったさに夏世は小さく身じろぎしただけで、起きる様子もない。警戒心の欠片もない様子に呆れるやら、感謝するやら。
「僕は平気なんだよ」
そう言いながら、陽は夏世の胸を掬い上げるように掴んで、ヤワヤワと揉んでみた。夏世が、んっと、
小さな吐息を漏らす。
あなたと年が離れていることも、こんな風にだまし討ちすることも、兄二人が、あなたに想いを寄せて
いることも――
もう少し、強い力で揉んでみる。薄く開いた口から漏れる、あ、とか、ん、とかいう不明瞭な声は
徐々に大きくなり、甘さを含んでくる。もっと反応が見たくて、ツンっと硬くしこった先端を服の上
から爪で引っかいた。
「ひゃっ…ぁあ!あ」
一際大きな声で鳴いて、夏世の手が胸を弄る陽の手をギュッと掴んだ。さすがに起きたかと思ったが、
ただの反射行動だったらしい。すぐにその手も力を失って床にパタリと落ちた。
起きても構わないと陽は思っていたが、思わずふぅっと深く息を吐いた。
本当は、兄弟達には幸せになって欲しい。だけど、この人は一人きりだから。
兄弟を守るために色々なことを犠牲にしてきた一番上の兄が、この人を選ぶことで変われるならと、
二人の仲を応援しようとしたこともあった。でも、航兄は自分の役割と兄弟、特に自分を理由にこの人を
泣かせたから、一歩後退。
女の扱いに慣れているようで本命とのここぞという時に弱い三番目の兄は、自分とグルになってこの
人を騙して傷つけた。そのせいで意識されているけれど警戒もされて一歩前進三歩後退。
そもそもが対象外の僕は、こんな卑怯なマネでこの人に嫌われて百歩後退。それでやっとスタート。
誰かのために遠慮しない。自分の気持ちを誤魔化さない。嫌っても泣いてもいいから、僕の好きを、
ちゃんと見て――
264 :
再来!4:2007/03/01(木) 02:42:17 ID:fUqEg6ip
服の上からでは物足りなくなり、胸元のボタンを外していく。その合間、悪戯なキスを肩口に一つ。
痕を残すようにきつく吸い上げた。
「んん〜っ」
刺激に反応して延ばされた夏世の手が、陽の頭を撫でるように探る。
「ん、ふふふ」
触れた途端、幸せそうなそして実に呑気な笑い声を漏らす夏世に、どんな夢を見ているのかと陽が
思ったその時、夏世が寝返りを打って陽を抱きしめかえした。
「え、あの」
はだけた胸元へと顔を埋めるという天国のような状況に突然陥り、陽もさすがに驚いた。
夏世が陽のつたないながらの愛撫に感じ、逆に誘ってくれたというような艶っぽいことなどでは、
もちろんなく。抱き枕よろしくギュウギュウと押し付けられ、圧死という言葉がただ陽の頭を過ぎる。
ギブアップを伝えるために腰の辺りを数回掌で打つと、やっと夏世の腕の力が緩んだ。
それでも抱きしめた状態から逃がすつもりはないらしい。陽が頭を動かそうとすると、またキュッと
力がこもる。
思わぬ夏世の反撃に、陽は小さく声を立てて笑った。
一人で深刻ぶってみても、相手がこの人じゃあ、僕もバカかな――
すっかりその気を削がれた陽は、その名残に夏世の胸元にキスを一つ落とす。
明日の朝、このままの格好で目覚めたら、夏世はどんな顔をするだろうと陽は考える。男として、
色々平気じゃない状態を紛らわせるためでもある。
そのことも、正直に夏世に伝えてみようと陽は思う。全然平気じゃなかったと言ってやろう。
自分のしようとしたことも、自分の気持ちも、全部全部正直に。
だから、この幸せな地獄の夜が、一刻も早く、そして少しだけゆっくり、明けますように――
二度目のお泊りなぞ想像してしまうくらい、
あの来ちゃったに、キちゃったんだ
正直スマンカッタ
お泊りがばれた二人は、航兄に正座で説教されると良い
でも、再々再来くらいまで決行した陽に食べられちゃえ、夏世っぺ
策士な陽と鈍い夏世っぺ(・∀・)イイ!!
「来ちゃった」は破壊力あるよなホント
夏
ごめん途中送信しちったorz
夏世っぺのおっぱいは確かに圧死レベルだ…
つーかこの二人が同じ布団に寝るの想像しただけで和む
花園スレあったのか、感動…!
保管庫の作品読み漁ってもう顔の筋肉がゆるゆるだwテラモエス(*´Д`)
職人さんの皆様、心からGJ!です!!
本命は航×夏世だがどんどん夏世に懐いていく陽も可愛くてたまらん
美女と野獣な修、本命には不器用な智とつまりどの組み合わせも好きだ
兄弟全員で夏世を愛せばいいよ!
>>265 も、萌えたぁあああ!!
俺も夏世の胸で圧死されたい
最近4男がやたら可愛い
>>257 保管庫様、お疲れ様です。
そしていつもありがとうございます。
確かに内容が判るタイトルか見出しなんかがあったら、
話を探しやすいとは思う。
でもそうしたら保管庫様のお仕事が増えてしまって、
かなりお手数をかけてしまう事になってしまうのでは・・・・。
後はココに投下する時に職人自身が、
ちょこっと本文前に見出しつけるとかですかね?
タイトルつけられてるのも判り易くてイイですけど。
他の皆様方はどうでしょう?
>>257 いつもお疲れ様です!
自分202なんですがあの200からのログも保管してくれてて嬉しかったです
そうですね〜自分毎日のように保管庫行ってるんですけど
確かに見出しあった方が便利ですね
管理人さんの負担にならないようにこれからはできるだけ
職人さんにタイトルつけてもらえるようにしたらいいんじゃないでしょうか
それにしても1話の時はこんなにこのドラマに夢中になるとは思わなかった
兄弟みんな夏世を愛し夏世は兄弟みんなを愛せばいい
面倒でなければ、投下レス番を付けて頂ければと思うんだけど、どうかな。
ついでに保管庫さん、過去スレがエラーになります
うあ〜
本編が急にズドーンとシリアス展開になったから、
ここのスレにあったシリアスな
>>7様とか
>>116様とかの続きがますます気になってきた・・・
いつまでも待ってま〜す!!
前スレ819なんですが、次男→夏世を投下させていただきます。
埋めネタのつもりだったんですが、その続きで。
>>257 お疲れ様です。
やっぱり各自が投下する時にタイトルか見出し書くのが良いのかも。
どうしよう、困った事になった。
『夏世っぺのオッパイが素晴らしかった事件』から一週間経過したわけなのだが、
あの感触が一向に離れていく気配がないのだ。
というか、むしろ日に日に思い出す回数が多くなってきている気がする。
「頭の中がモヤモヤする! いや、ムラムラ? ムラムラなのかー!?」
俺は叫びながらリビングのソファでのた打ち回った。
普段こんな事をしていたら誰かしらが様子を見に来るはずなのだが、今日は都合の良い事に皆出掛けている。
だからこんな事ができたはずだった。いきなり頭上から声が聞こえるまでは。
「な、何してるんですか?」
慌てて飛び起きてみると、顔をひきつらせた夏世っぺがソファの後ろに立ってこっちを見ていた。
「な、な、なんでいるの! え、強盗? 不法侵入?」
「何言ってるんですか。智さんから『修兄が一人だから昼食作ってくれ』っていう電話があったんです」
夏世っぺの手には、食材の入ったスーパーの袋が握られていた。
「そうなんだ」
「はい。で、何がムラムラなんですか?」
なんてことだ……聞かれてしまったぞ、しかも『ムラムラ』を。
「へ?」
「だから、何がムラム――」
「あー、お腹がなってる!」
俺は夏世っぺの言葉を無理矢理遮ると、わざとらしく「お腹が空いた」というジェスチャーをしてイスに腰掛ける。
「ちょっと、早くご飯作ってよ。あんたのことだから大して美味くないんだろうけど」
「料理下手で申し訳ありません」
口を尖らせた夏世っぺは、いつものエプロンを着ると早足でキッチンへと入っていった。
まさか俺のムラムラ――もといモヤモヤの原因である夏世っぺが来るとは思わなかった。
しかも他の誰もいない日に。神よ、俺にどうしろというのか!
頭を抱えていると、ごま油の香ばしい匂いが鼻をくすぐった。
全く期待していなくとも身体は正直だ。腹の虫はグゥという盛大な音を出して鳴いていた。
「お待たせしました」
俺とその向かいの席に皿が一つずつ置かれる。そこには白い湯気をたてた炒飯が乗っていた。
料理下手の人間が作ったにしては美味しそうに見える。
すると、支度を終えた夏世っぺが当然のように向かい側に座った。
「えーと、あんたも一緒に食べるの?」
「駄目ですか?」
「いや、あんたが作ってくれたんだし、別に良いんだけどさ」
良いんだけど、意識してしまうのだ。
特にこの状態だと上半身しか見えないので、どうしても胸に目がいく。
しかも、間が良いのか悪いのか、服の胸元がちょっと開いていて谷間がわずかに見えているのだ。
こんな時になんて服を……本当にこいつは鬼娘だ。
こういう場合「メインは炒飯だが……おかずはお前だ〜!」とか言って襲うべきなのだろうか。
そうすると夏世っぺは「修さん、誰もいないからってそんな……!」なーんて、顔を真っ赤にして言うんだろう。
そして二人はまだ明るいリビングで愛の営みを―――とかなんとか妄想していると、
向かいの夏世っぺが「いただきます」と手を合わせて、さっさと食べ始めてしまった。
「あ、いただきまーす」
慌てて俺も炒飯を口に入れる。
あれ? 割といけるじゃない。これはカレーより良いかもしれない。
夢中になって食べ続けていると、夏世っぺが不安げにこちらの様子を伺っているのに気が付いた。
しかし、ここで素直に美味いなんて言ったら片岡修ではないのだ。
「やっぱり不味くはないけど、特別美味いってわけでもないな」
「そうですか」
落としてから持ち上げる、これが修流女の口説き方!
って言っても、今まで誰も口説けてないんだけど。
「でもまあ、あんたにしては良いんじゃないの?」
「良かった」
一度はしゅんとした夏世っぺの表情が、笑顔に変わった。
そんなに嬉しそうな顔しないでよ。しかも頬にご飯粒が付けながらだし。
本当に無防備だなあ、この鬼娘は。
俺がテーブルに身を乗りだして顔を近づけると、急な事に驚いた夏世っぺが固まった。
「お、修さん?」
「どっかのドジっ娘じゃないんだからさあ」
人差し指で頬についたご飯粒を掬い取る。
「ひゃ、すいません!」
「まったく。いい年した大人が、ほっぺたにご飯粒つけるかねえ」
「すいません……」
わざと意地悪く言ってみたが、内心、夏世っぺのすべるような肌にドキドキしてしていた。
どうしよう、更に困った事になった。
モヤモヤもムラムラもドキドキも、しばらく俺の中から消えそうにない。
エロ無しと書くの忘れた・・・スマソ。
修兄はどうしても妄想させたくなるんだw
タイトルつけるのはこんな感じで良いのだろうか?
>>279 キタキタキタ━!!!!
夏世を気にしだした次男と天然夏世のやりとりがイイネー
タイトルはそれでバッチリだとオモb
>>279 GJ!!
夏世なら本当にご飯粒をほっぺに付けてそうw
修兄も夏世も可愛かった!!
>>279 GJ!!!
無防備な鬼娘…カワイイです。
修がリビングでのたうち回る様子がリアルだww
しゃぶひな投下した者です。
マニアックネタにたくさんのGJをありがとうございました。
そして保管庫さんもいつもありがとうございます。
ドラマで亮子に引っ張られ嫌がる陽にwktkし、押さえ切れなくなりました。
しゃぶひな続編を投下致します。
題名に反して長男×夏世風味のつもりです。
「おっほっほほほほ」
高らかな笑い声に陽はビクリと震え、ソロリと振り返る。
リビングでは兄達と亮子が酒を飲みながら盛り上がっている最中だ。
テーブルをバンバンと叩いて笑っている亮子に、思わず昼間の悪夢を思い出し身震いする。
「…陽くん? どうしたの?」
咄嗟に掴んだ袖の主・夏世が洗い物をしながら振り返る。
「…僕も手伝うよ」
「え!?」
「たまにはいいでしょ?」
「…うん。ありがとう」
夏世の言葉に陽は少しはにかんで食器を拭き始める。
そして横で洗い物をする夏世と、背後で爆笑している亮子を見比べてみた。
あの『喰われる』とさえ感じた悪夢の後、夏世から離れずにいるのは
亮子から逃げるための他にも理由がある。
夏世は失敗も多く、陽も呆れる事が何度かあったがいつも一生懸命だ。
兄達にも、陽にもまっすぐ向き合ってくれる。
だから安心するのだ。
もしも『姉』がいるなら、こんな感じなのかもしれない。
いや、本当に『姉』になってほしいとさえ思うようになった。
例えばそう、兄の航と結婚でもすれば…。
陽が何気なく辺りを見回すと、いつもの表情に妙な黒さを帯びた航と目が合った。
腕を組んでゆっくり近付いて来る航を見た陽は夏世を盾にして隠れる。
「? 航、さん?」
「……陽」
「…な、に?」
陽は夏世越しに航を見る。
そしてその表情に戦慄した。
陽が航のこの表情を見たのは18年の生涯で1度きりだ。
思わず夏世の両肩に手を置き、身を隠す。
「航さん?」
夏世は戸惑いながらも航の変化に危険までは感じていないようだ。
陽は慌てて兄2人に助けを求めた。
「修兄! 智兄!!」
「な〜んだよ陽くぅーん! オレ今亮子さんと…」
「どうした、ひなた…」
リビングにいた2人がキッチンの方を見て、言葉を切る。
どうやら2人にも航の変化がわかったようだ。
「陽」
もう1度航が静かに陽を呼ぶ。
「…ハイ」
「月山さんから離れなさい」
「!!」
「月山さんが困ってるだろう?」
本当に一瞬、航の目がスッと細くなる。
「ひっ、ひひひ陽くん!! 航お兄様の言う通りだ!」
「離れろ! 陽!!」
修と智の声にビクリとして陽は夏世から手を離した。
修と智と陽の脳裏にあの時の航の声が蘇る。
『俺のごませんべいを食べたのは誰だぁぁぁ!!?』
もうダメだ。
弟3人がそう思った瞬間。
「ふふっ、ヤダぁ。航さんたらヤ・キ・モ・チ?」
いつの間にか亮子が航の側に立ち、航の肩をバシッと叩いた。
弟達はムンクの『叫び』のように両手を顔にあてる。
しかし空気の読めていない亮子は更に夏世の手を引っ張った。
「ほーら月山っ! 送ってもらいなさい!」
「え!?」
「!!」
「航さん、月山の事よろしくねぇ〜」
「編集長!?」
「ゴメンね月山。
これから修さんとガンダムモノマネ大会やるって約束してるのよねー。
だから航さん。ね、お願い」
「あ…はぁ……」
航の声に陽が我に返る。
あの黒い光は航の周囲からすっかり消え去り、夏世を戸惑ったように見ている。
「航兄」
「…どうした、陽?」
「送って…あげたら?」
陽の声は、昼間の亮子の時より震えていた。
「ほーら。さっさと支度して!!」
「え? ちょっと、編集長!?」
「あ、あの川村さっ…」
グイグイと航と夏世を押して行く亮子。
それを見送り残された3人は。
「助かった…」
「勘弁してくれ…」
「もうダメかと思った…」
顔を見合わせ、同時にヘナヘナと座り込んだ。
やがて玄関の扉の閉まる音がして、亮子がスキップをしながらやって来た。
そして座り込んだままの3人に眉をひそめる。
「…何、どうしたの?」
「ぐっっっっじょおおぉぉぶ!!!!」
絶叫して立ち上がる修にビビる亮子。
「何? 声デカいわよ!?」
キッチンで座っていた陽もヨロヨロと立ち上がり亮子に声をかける。
「川村さん」
「…陽くん?」
「……ありがとう…ございました」
「…ま、まぁね? よくわかんないけど」
亮子はとりあえず気取って髪をかきあげて陽に微笑む。
陽もそれを見て…笑顔になった。
その後。
「亮子さん最高!!!!」
と智に抱き締められた亮子が腕の中で鼻血を出して失神し片岡家に泊まる事となった。
航は…翌日の昼間コッソリ戻ってきたところを修に見つかった。
それに伴い、修の夏世イジリがエスカレートしたのは言うまでもない。
そして陽は…ちょっとだけ、しゃぶしゃぶが食べられるようになれた。
287 :
しゃぶひな:2007/03/01(木) 21:05:39 ID:AeGLSgZl
以上です。
エロが書けなくてスイマセン。
陽もしゃぶしゃぶ少し好きになったし、
朝帰りの航と夏世の話を頑張って書いてみたいと思います。
また気持ちが押さえ切れなくなったら投下します。
ありがとうございました。
>>287 GJ!! しゃぶひな作者さんには気持ちを押さえてほしくないw
ところで「ごませんべい云々」というのは…!?
ドラマにそういう設定あったっけ??
>>279 GJ!! 夏世っぺの作ったごま油風味の炒飯、自分も喰いてえよ…
『夏世っぺのオッパイが素晴らしかった事件』ってわざわざ心の中で
名付けてる次男にワロタww
>>279 「メインは炒飯だが……おかずはお前だ〜!」ワロタ
次男かわいいよ次男…ほっぺにご飯粒はドジっ子に必須w
>>282 ブラック航…ごませんべいの恨みかよ!
ガンダム物まね大会も激しく見てみたいw 次も期待しております
神さま達、保管庫さん いつもありがd
ドラマが二倍楽しめる良スレですね〜
>>287さんGJ!笑いすぎで腹痛いw
航がキレる位美味い胡麻せんべいなのかよwとか亮子さんのマチルダさん見てみて〜wとか。
朝帰りの航見てみたいです。
またの投下をwktkしてお待ちしてます。
>>287 しゃぶひな様素敵!黒航兄素敵!!
ってかしゃぶしゃぶ最強伝説ってタイトルが素敵過ぎ!!
本編で川村編集長の暴走に磨きが掛かってて、読みながら想像出来て面白い。
あと朝帰り航夏世も楽しみにしてます。
292 :
しゃぶひな:2007/03/01(木) 21:43:27 ID:AeGLSgZl
皆さんありがとう…
こんな短い時間でGJがたくさん…嬉しいです。
補足ですが、せんべいネタは航の中の人の好物です。
某大河ドラマで好んで食べていたとの事。
中の人の好物に合わせたかったので、チョト調べてみました。
わかりにくくてスマソ。
GJ!!
ごませんべいにすごく笑った。中の人の好物なのか。
また楽しみにしてます
294 :
116:2007/03/01(木) 23:12:07 ID:dX7rW+gu
三角関係書いた者です。続き期待して頂きありがとうゴザイマス。
8話と予告観て三男が不憫になりネタを書き直してます。しばしお待ち下さい。
修兄キタ!!
本当に夏世ちゃん鬼娘(笑)ほっぺのご飯粒は口で取ってあげるのが、少女漫画の
王道よ、修兄。
次も期待してますw
しゃぶひな様キタ!
いやん航兄、ヤキモチ&朝帰り〜。常識派だった筈なのに、送り狼になっちゃったのねww
先生方、次男と夏世っぺのエロいのをお願いします!!!!
296 :
保管庫:2007/03/01(木) 23:18:09 ID:23KRIMr2
皆さんご意見ありがとうございます。
えーと、じゃあ、職人さま方、できたら出いいので、
見出しに使えそうな一言をつけていただけると幸いです。
なくてもまったく問題ないです。
思い浮かんだものだけで結構ですので。
あと、過去ログ、すいません。
512kb以上のファイルははねられちゃうので、500レスで分割しました。
キモい感じに分割しちゃってごめんなさい。
投下レス番了解しました。
ちょっとお時間ください。近々いたします。
この投下レス番は、過去ログあさる時に使うのかな。
そういう用途なら、間に別レスはさんじゃってる時もxxx-xxxにしちゃいたいけどいいですか?
女ながらに激萌です。
凄い!凄すぎる!!ココ読んでる時も、ドラマ観てる時もニヤニヤが止まりません…。
保管庫さんお疲れ様です。
私は今のままでも快適なのですが
そのやり方でおkだと思います!
ついでにIDがMr.次男で素敵ですw
299 :
『夏世姉。』:2007/03/02(金) 06:11:20 ID:iK66S5nK
妄想を投下させてくれ。一応お題は『夏世姉。』
「どうしたの、陽くん?何か用事?(夏世はキッチンでひとり洗い物中)」
「………『夏世っぺ』?(袖引っ張る)」
「は、はい!!?」
「…あなたのこと、なんて呼べばいいか考えてたんだ。これからもお世話になるだろうし、ずっと『あなた』って呼ぶのもおかしいでしょう?」
「そ、それで『夏世っぺ』?」
「うん…でもやっぱり僕じゃ違和感あるね。何がいいのかな…」
「そ、そんなに考えこむようなことなのかな…」
「うーん。『ガッサン』?違うな。『夏世さん』も馴れ馴れしい感じがするし…」
「私は『あなた』でいいよ?それか『月山さん』とか…?」
「オリジナリティがない。あなたそれでも編集者?」
「ご、ごめんなさい…」
「『なつよ』…『かよぴょん』…違う。うーん………あ!(手を打つ)」
「何か思い付かれましたか、花園先生?」
「すごくいいのがあった。…『夏世姉』!(にっこり)」
「かよねぇ?……っ!!ひな、待っ、それっ」
「うん、いいかんじ。だって近いうちに僕のお姉さんになるんでしょう?(にやにや)」
「ちょっと、ひなたくん、わ、私そんな…お姉さんなんてっ」
「あとで皆の前で呼んでみよう。楽しみだな。ちゃんと返事してよね。じゃあ僕仕事部屋に戻るから。あとでね、『夏世姉』!」
「待って、ひなたくん、あなた絶対確信犯…ねぇそれやめてぇーっ!!!(赤面)」
兄+田中ちゃん達の前で夏世姉って呼んだら全員がお茶吹きそう。
編集長は爆笑しそう。黒航兄が発動しそう。
とにかくここ最近の陽の可愛さは異常。長文スマン
煙草をふかす次男にときめいちまった
301 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/02(金) 08:31:02 ID:bEeGSse2
>>299 GJ!
本編でも是非“夏世姉”って読んでみてほしいw
絶対萌える…!
>>299 GJ!!すごい萌えました…最近陽くんが可愛すぎる。
保管庫さんいつもお疲れ様です。
素晴らしい職人さんばかりで恐縮なのですが、
ドラマのあまりの切なさに長男×夏世幸せ妄想。
勢い余って初の投下させていただきます。
少女漫画的、都合のいい展開かつ言い回しなので、苦手な方はスルーで。
ぬるいのに無駄に長いエロです。前ふり長くてスマソ
好きな人に触れたい、触れられたいというのは、至極人間らしい感情だろう。
だから、愛していれば当たり前だと割りきってしまえば、それまでなのだ。
思えば今日は、朝からついていなかった。
まず出掛けに携帯を忘れて取りに戻り、その後遅刻ぎりぎりで出社した編集部では不備が見つかりこっぴどく怒鳴られた。
片岡家に来たら来たで、一郎に雑用を押し付けられ、修に訳の分からない買い物に走らされ、
智との打ち合わせでは連載について小一時間もめた。
挙句の果てには陽に頼まれたお茶をひっくり返し、全身水浸しになる始末。
しかも航が不在とくれば、気持ちはどこまでも落ちていった。
「今日、本当についてない…」
広いバスルームで、夏世は大きくため息をつく。
先程ひっくり返したお茶はしっかりお砂糖というオプション付きで、全身べたべたと気持ち悪い。
そういえば今日は、朝の占いも最下位だった。
「はぁ……」
ガチャ...バタン
急にドアの外で物音がした。
明らかに人の入ってきた気配。
「やだっ鍵かけ忘れた!?」
急いでバスタオルを巻き付け、恐る恐るドアを開ける。
と、そこには。
「航さん!?」
「夏世…どうして、こんなところに?」
「あ、その、紅茶を溢しちゃって…」
「紅茶、」
「違うんですっ、たまたま今日運が悪くて!!」
何が違うのか自分でもよく分からない。
でも、
「君らしいね。」
航が苦笑しながらそう言うので、安堵しながらも頬が熱くなるのを隠せなかった。
番号付け忘れ…↑は1です。
「せっかくだから一緒に入ろうか?」
「えっ、…あっ私もう出ますから!!使うんだったらお一人でどうぞ!」
「君…さっきからどれだけ僕を誘惑しているか気づいてないの?」
「へ?」
言われて気づく。
そういえば自分はバスタオル一枚という霰もない姿だったのだ。
「そのっ…これはそういう意味ではなくてですね、」
必死で否定するも後の祭り。
言い終える頃には航は既に衣服を脱ぎ終えていた。
この際膨張したモノには気づかない振り、だ。
「だめ、ですよ…誰か来ます!」
「大丈夫だよ。」
「この間もそんな事言ってリビングで襲われるところでしたっ、
私が止めなかったら智さんに見つかってたじゃないですか!!」
そうだ。
航は最近こんな風に誰かに見つかる可能性のあるところでセックスを迫ってくる。
大抵の場合は理性と常識で止めるが、ごくたまに流されて、この上ないスリルを感じながら快感に溺れてしまうこともあった。
しかもそういう時の航は、しっかりと避妊具をどこかに潜ませているのだ。
その計画的なところも、まんまとそのスリルにはまってしまう自分にも腹が立つ。
「今日は本当に大丈夫。ちゃんと鍵かけたし、靴もここまで持って来たから誰も俺が帰ってきたこと知りませんよ。」
声だって、シャワー出してればある程度までは平気だし、と。
「そっか、それなら……え!?って事は最初から私が居るの知ってたってことですか!?」
「……まぁ、そういうことになりますね。」
「なんでですか!?」
「だって帰ってきたらシャワーの音が聞こえて、
締め切り近くのこんな時間にあいつらが使っているとは思えないから来てみたら、案の定。」
用意周到な確信犯もここまで来ると愛しく思えてしまうのは、やっぱり愛しているからだろうか。
夏世は一度目を伏せ息をつくと、航の手に触れ指を絡める。
「…お手柔らかに、お願いします。」
航は一瞬驚いたように目を見開き、嬉しそうにすっと微笑んだ。
「承知しました。」
後ろは壁、横は出しっ放しにされたシャワー。
そして一糸纏わぬ自分と、恋人。
「 夏世 」
甘い声音で名前が呼ばれる。
この瞬間が好きだ。
どんなに激しい行為の前でも、航はいつもこうして自分の名前を呼ぶ。
見上げた顔は胸が締め付けられるほど優しくて。
彼のこと以外なにも、見えなくなってしまうのだ。
くちびるを重ねてすぐに、強引に舌が入り込んだ。
縦横無尽に口内を侵される。
歯列をなぞり、くちびるの裏、上顎や舌の裏側まで。
キスも体も、全部が熱くて、溶けてしまいそうだ。
視界は涙でにじんで、がくがくと足が震える。
航の支え無しではきっと、もう立っていられない。
息つく暇もない刺激から開放されたのは束の間。
首筋を伝ったくちびるは耳を掠めた。
ねっとりと舌の感触がして、耳の中でいやらしい音が響く。
掌が腰から背中へ優しく撫で上げ、それだけで背筋がぞくぞくと震える。
夏世は思わずぎゅっと目を瞑った。
「目、あけてて」
いつのまにか胸に添えられていた手が、左右交互に揉みしだく。
細長い指が滑らかに動いて、柔らかく形を変えられる。
先端をこりこりと弄られれば、甘い疼きが体を襲った。
「ぁっ…んぁ」
無意識に腰が動いてしまう。
更にはきつく吸い付かれ、舐めまわされる。
快感は高まるばかり。
「あっ……っ、航さんっ!!」
「なに?」
「や、止めて、ください」
「どうして?」
咥えたまま言葉を発するので、くちびるが動くたびに感じてしまう。
「だ、って…」
恥ずかしいから、と言ったところで変わらないのは目に見えている。
今更そんなことを言うほどの関係ではないくらい、回数は重ねているだろう。
だからといって、そう簡単に慣れるものでもない。
特に今なんて、煌々と照明が光るバスルームなのだから。
「特に理由がないのなら、続けさせてもらうけど…」
「理由はあるんです!」
「じゃぁ、なぜなの?」
「だからそれは…………恥ずかしいんですっ」
「へ?」
「私、…すごい感じちゃってるから」
「いいこと、じゃないかな?」
「だって……だって腰とか動いちゃって、すごくエッチな人みたい…だし」
「いつものことじゃない」
「いつもと今日とは状況が違います!
今日は明るすぎてはっきり見えちゃうじゃないですか!!」
「感じてる君はとても綺麗だけど?」
「そうじゃなくて………っ」
話が微妙に噛みあわない。
こういう乙女心には疎いのに、『綺麗』だなんて無意識に口にする。
ずるい。
「そろそろ、続き、してもいいかな?」
夏世の返事を聞く前に行為は再開されていた。
ただ違ったのは、さっきまでの時間をかけた愛撫とは違い、
確実に敏感なところに触れる性急な動きだということ。
「ひゃっ!!…ん……あぁっ………やっ!!」
太ももから上に向かって掌がすべり、敏感な部分を撫でた。
濡れているのが自分でも分かる。
花芯を摘まれ、くりくりと刺激される。
「あぁんっ……航さ、ん!」
「他のことを考える余裕がなくなれば、恥ずかしくもないでしょう」
「ちょっ…と……めちゃくちゃ、です……っ」
親指が花芯を触ったまま、するりと指が中に呑みこまれた。
内壁を擦るように指がくんっと曲がる。
「…あぁっ!」
バスルームはいつもより声が響いて嫌だ。
それでも、漏れる声も動く腰も、止めることが出来なかった。
指がくちゅくちゅと音を立てながら中をかき回す。
シャワーの音なんて、もう役に立たないだろう。
「んっ……ぁ、ふっ…んんっ!」
「余裕、無くなってきたかな?」
「よ、けい、恥ずかしい、…っぁ、ですっ!」
絶え間ない刺激で上手く声も出せない。
すると突然、くるりと後ろを向かされた。
それを頭で認識する暇もなく、先端があてがわれ一気に貫かれる。
「ああっ!!」
一際大きな声が漏れて、バスルーム中の壁に響いた。
今誰かが外を通っていたら確実に聞こえてしまっていただろう。
すぐに律動が開始された。
後ろから腰をつかまれて容赦なく腰を突きつけられる。
震える体を支えるため、目の前の大きな鏡に手をついた。
それで気づいた。
これだけ湯気が充満する空間の中で、鏡だけが少しも曇ることなくその役目を果たしているのだ。
そしてそこには、快楽に溺れ喘ぐ自分の姿が映る。
「あっ……いやっ!!」
響く声も、鏡に映る淫らな姿も、航に知られたくないのに、体が止まらない。
快感は加速するばかりで、差恥も常識も関係なかった。
本能のままに腰をくねらせる。
慣れない体位で知らなかった感覚が呼び覚まされ、興奮する。
「…夏世」
名前を呼ばれて意識を向けると、鏡に映る航の姿が目に入った。
眉を寄せ、自分と同じように快楽に溺れる恋人の姿。
背中にかかる息が熱い。
「あ…んっ……航、さん!!」
同じように彼の名前を呼ぶと、動きは更にその激しさを増した。
口元に添えられた航の中指を舐め上げる。
シャワーは出しっぱなしのはず。
それなのに感じるのは、荒い息遣いと厭らしく響き渡る水音だけ。
「わたる、さん……も、だめ………あぁっ!!」
勢いのまま敏感なポイントを突かれて、夏世はあっけなくその場に崩れ落ちた。
*
「――― ん・・・?」
ぼやけた視界が戻ってきて、徐々に体の感覚が戻ってきた。
「あ、気がつきましたか」
「航さん?」
「そこに着替え置いておいたから」
「着替え?―――ひゃぁ!!」
裸で脱衣所に座りこむ自分の姿に驚いて、急いで置いてあるジャージを掴む。
やっぱりずるい。
なぜ自分だけ服を着て、すっかり元通りなのか。
まぁ、航に着せられるのもそれはそれで気まずいものがあるのでいいのだけれど。
「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「なにかな?」
「何でここのお風呂、鏡が曇らないんですか?」
「あぁ、あれ。特別なコーティング加工を施してあるから」
「何のために…」
「……智が、ね」
「――― 私があれのせいでどれだけ恥ずかしい思いを……」
「え?」
「何でもありません」
今、絶対に聞こえてた。
すこし困らせたくて、くちびるを尖らせてみる。
すると、目の前から腕が伸びてきてあっという間に包み込まれた。
「…航さんて、普段は手も繋がないのに、こういうときだけやたら触りますよね」
「そう?嫌なの?」
「別に、嫌じゃないですけど」
ただちょっと、悔しいだけ。
そろそろと抱きしめ返すと、軽くキスされた。
よかった、なんて言いながら、掌が優しく頭を撫でる。
くすぐったくて顔をあげれば、いつものように穏やかに微笑んだ航の顔。
流されていると分かってはいるけれど。
いつだって思い通りにされてしまうけれど。
こんなにも愛しいのだ。
だから結局は、愛しているから、ということで。
*
一方仕事部屋では
「ねぇ、航兄帰ってきてからもう一時間は経ってるよね」
「やっぱり風呂では夏世っぺとの情事が繰り広げられているのかなぁ…」
「そりゃ折角つけた鏡だもん、有効利用しなきゃだろ」
「そりゃそうだよね」
「あいつも流されやす過ぎだよなー」
「ねぇ、たぶん出てきた」
「マジ?」
「どうする?」
「見過ごすては無い、だろ?」
「ふっふっふ」
原稿はまったく進んでおらず、秘め事はとっくにばれていた。
夏世にとってのついてない一日とは、まだこれからなのだ。
以上です。
折角のお風呂設定が上手く生かせませんでした。泡とか使いたかった…
分割や改行めちゃくちゃで読みにくくてすみません。
今切ないふたりですが、いつかこんな感じで過ごしてたらいいという妄想でした。
ありがとうございました。
>>309さんGJです!
こんな甘い救われるネタの後に暗いネタで申し訳ないのですが長男夏世投下いたします。
8話で「騙されたみたいだ」と言われた日の夜の話。
夏世と長男がはっきり恋人とは言えないけど以前から身体の関係はあるっていう
本編歪曲捏造路線なので苦手な方は注意してください。
エロはありだけどぬるいです。
静かな部屋の中にベッドの軋む音が響く。
夢のような気分と現実の音が混ざり合って、なんだか不思議だと夏世はぼんやりと考えていた。
「はあっ・・・わ、航さんっ・・・」
夏世が名前を呼ぶといつも航は一度顔を向けてくれる。
その瞬間が夏世にはたまらなく嬉しい。
そして優しい笑みを浮かべるとまた夏世の乳房に愛撫を加えていく。
「ああっあん・・・はぁ・・・」
一方の乳頭を押さえつけるように撫で回し、もう一方をその優しい唇で吸う。
「わっわたるさんっ…ああっ。あん・・・」
それだけで夏世はもうたまらなくなってしまい、腰を激しく航に摺り寄せてしまう。
航もそれに気づいているだろうが、それでもまだ彼女の胸から離れようとはしない。
「んっ・・・ねえ、航さん…おねがいっ・・・」
夏世が耐えられなくなって懇願すると航は笑みを浮かべ、
ようやくその身体を下にずらしてくれた。
そして航の愛撫で既に濡れている彼女の茂みに触れていく。
クチュクチュ音を立てながら、彼女の茂みの膨らみに刺激を加える。
「ぁあっ・・・んっ・・・」
航の指が彼女の敏感なところをどんどん攻め立てる。
その指の動きに迷いはない。
夏世が感じるところを航は経験で理解していた。
迷いのない航の愛撫に夏世はただただ翻弄されていた。
航と身体を重ねてるときが夏世は一番幸せだった。
セックスしているときだけは何もヒミツがないから。
航が何かを隠してるのは分かっている。
そしてそれを自分に打ち明ける気が絶対にないことも痛感している。
以前言われたことがある。
『人には決して踏み込まれたくない場所があるんです。
それは家族でも恋人でも絶対に侵しちゃいけないものなんだ』
自分が航の恋人なのか、夏世ははっきりとは分からない。
自然の流れで航と身体を重ねるようになった。
ときどき航は夏世の自宅を訪ねてきて、夏世の身体を求めてくる。
今日も突然「紅茶、飲みに来ました」と訪問してきた。
昼間、取材の件で約束を違えてしまったことを怒られたから、
突然の訪問にはとても驚いたけれどでもどこかほっとした。
少しだけ胸につかえてたものが溶けた気がした。
けれど今の関係について何か特別なことを言われたことはない。
こちらから言えばいいのかもしれないけれど、航は一歩近づいたら三歩遠ざかるような人で。
その一言を言ってしまったら、
もう二度と近づけないかもしれないと思うと苦しくて悲しくて恐くて。
だから何も言わない。
何も話してくれない航の傍にいるのも辛いけれど。
拒絶されるよりはずっとマシだ。
「もう、いい?」
航の声は掠れていた。
自分に感じてくれてる、それが夏世には嬉しくて笑顔になってしまう。
そうすると航も笑ってくれて。
幸せな瞬間だ。
準備をし終えると、航は彼女の身体に改めて自分の身体を重ねた。
そして口付けをする。
航の舌が夏世の口の中を蹂躙する。しかしすぐに解放された。
「航さん…はやくっ・・・」
夏世の足を持ち上げると航は自分の分身を夏世に宛がい、ゆっくりを埋め込んでゆく。
「はああああんっ!!!」
航の大きさに圧倒されながら、夏世は最初の快感に素直に声を上げた。
心なしか航が夏世の身体の中で大きくなったような気がした。
そしてゆっくりと動きを加えていく。
鼻先で感じる航の吐息で夏世の快感はさらに増してゆく。
夏世の激しい締め付けに航は少し顔を歪めた。
二人の間にヒミツがあっても。
今、こうして身体を重ねてる間だけは何もヒミツはない。
ただただ、相手のことを求め、感じている以外、何もここにはない。
ヒミツも嘘も、二人の間の壁も全て。
「はああん!はっ・・・航さんっ、気持ち…いいっ・・・」
「くっ・・・!」
航の動きが早まり、航の眉間に皺がより始めた。
夏世も航の首に腕を回し、より結合を深めさせた。
いつまでもこうしていられればいいのに。
心の中で一言呟きながら、夏世は航の与えてくれる快楽に身を委ね、
航の熱いものを身体の中に受け止めた。
以上です
コーヒー飲みたいんでって一言が微妙に辛辣だと思って作った話です
紅茶飲んでくれてる描写はございませんがorz
エロ書く才能がなくてほんとすみませんでした失礼いたします…
>309も>314も
ぐっじょぉぉぉっぶ!!
昼から萌え萌えさせてもらった
ネ申よありがとう
小ネタ。長男×夏世風味の修と陽の会話です。三男が若干可哀相なことに。
「修兄」
「何かな陽くん」
差し込む夕日。
航兄は散歩へ、智兄は打ち合わせへ出かけて、僕と修兄二人きりの仕事部屋。
絵を描く手をとうに止めていた修兄は、僕の呼び声にすぐに反応した。
「賭け、しない?」
「賭けぇ?」
僕の口から賭け、という言葉が出たのを不思議に思ったのか、怪訝な顔で聞き返される。
「そう、賭け。あのひとが、航兄と智兄、どっちとくっつくか」
内容を聞いて、修兄は目を見開いて叫んだ。
「っはぁぁ!?なに、夏世っぺのこと言ってんの!?」
「うん。僕はあのひとに家に来てもらいたいんだけど…自分のお嫁さんにはしたくないんだよね」
あのひと家事とか出来ないし…と付け加える。
「陽くんしれっと酷いこと言うのね…でも俺も同感」
腕を組んでうんうん、と深く頷く修兄。
「でしょ。だから、あの二人のどっちかかな、って。修兄はどっちに賭ける?」
うーん、と低く唸ったあと黙りこくる。
たっぷり5分は悩んだあと、修兄は重々しく口を開いた。
「……………航お兄様。少女漫画っていうのはやっぱりそーゆーもんなのだ。で、陽くんは?」
「……残念。僕も航兄」
…別に、賞品なんかは考えてなかったし、賭けが成り立たないことはたいして残念じゃないんだけど。
ただなんとなく…智兄を応援しててあげてほしかっただけなんだけど。
「………。」
「………。」
気まずい沈黙。
修兄が何を考えているのか、僕には手に取るようにわかる。
皆さん、色っぽいですねー。
堪能させて頂きましたwww
以前投下した航→夏世←智の三角関係ものの続きを投下させて頂きます。
こういう話が苦手な方は、スルー願います。
………また意地を張って、あのひとを冷たい言葉で突き放す航兄。
あのひとは、傷ついた自分を優しく慰める智兄を振り払って航兄のところへ走る。
段々と遠ざかる華奢な背中を見送りながら、自嘲げな笑みを浮かべて佇む智兄。………
黙りこくる修兄が考えているのは、きっと、こんなところ。
僕も、そう想像していたから。
「……俺、さとぴょんだいすきだよ」
沈黙に耐えられなくなったのか、修兄は、あまりに不憫な未来の智兄に…フォローを入れた。
僕も…思いは同じで。
「…僕も、智兄大好き」
ガチャ
「よーお前ら。仕事してっか?」
ドアの音に振り向くと、いつもとなんら変わりない、さわやかな笑顔の智兄がいた。
打ち合わせから帰ってきたのだ。
「智兄…」
「さとぴょん…」
…さっきの想像がリンクする。
「な、なんだよ二人共」
智兄は何がなんだか分からないようだけど、僕と修兄はなんだか急に切なくなってしまって…。
「…さとびょん!!今日は飲もう!飲みに行こう!!俺がおごってやるから!!」
「はぁ!?」
「僕も行く。智兄、今日は、飲もう」
「陽ぁ?お前まで何を…」
「行くよさとぴょんっ!!今日は飲み明か〜す!!!」
「智兄、早く早く」
「はぁぁぁ〜??」
…さっきの想像が新連載のプロットに使えるかも、と思ったことは、僕だけのヒミツにしておこう…。
>>318さん
GJGJGJGJ!
リアルで遭遇しちゃいました。
ごめんなさい!リロード間に合わず邪魔をして。
智兄、かわいそう・・・でもなんだかその通りで、その後の修兄と
陽くんのフォローと事情を知らない智兄の「はぁぁぁ〜??」が
グレイトです。
乙!
322 :
318:2007/03/02(金) 23:04:17 ID:iK66S5nK
>>321様わわわわわ!!こちらこそごめんなさい!!
リアルタイム楽しみにしてますっ!!以下どうぞ!!
>>318さま
本当に失礼致しました。申し訳ありませんでした。
お言葉に甘えて投下させて頂きます。
しょーもない話&エロなしで、申し訳ないです。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
夜中、隣で寝息を立てている彼の顔を見る。
背の高い彼には、私のシングルベッドは小さくていかにも窮屈そうだ。
それなのに私をしっかり抱えて離そうとしない。
これじゃあ、寝返りもうてないだろうに。
あれからすぐ携帯を解約して、アパートも引っ越した。彼らの住む
街とは反対方向に。
通勤時間は長くなったけれど、あの街から離れたかった。
新しく創刊されたファッション誌は、やはり川村編集長がボスで、
私は以前にも増して仕事にのめり込んだ。
「月山、あんたちゃんと食べてる?顔色もよくないし、痩せた
というか・・・・やつれたみたいだけど。」
「ダイエットしてるんです。大丈夫ですよー。編集長、心配性
だから。」
本当は食事もあまりとれないし、夜もよく眠れない。
それでも前に進まなければ。
忘れなければ。
半年程経ったある日のこと、編集長に呼ばれた。
「月山、これ業界のお偉いさんが集るパーティなんだけど、悪い
けど代わりに行ってくれないかな?」
「私が、ですか?」
「うん、ちょっとその日は予定があって行けないのよ。でも行か
ないと失礼にあたるし・・・・アンタも顔売っておくにはちょうど
いい機会だと思うし、何より美味しいものが食べれるから気分転換
に行ってみない?」
華やかな場所に行く気分にはなれなかったけれど、編集長の代理
ということで仕事と割り切ってパーティには出席することにした。
パーティは華やかできらびやかで、そして今の私にはただ遠い世界の
ことにしか感じられなくて・・・失礼がないよう主要なお客様方に
挨拶をして早々に帰ろうと思った時のこと。
急に背後から呼び止められた。
「・・・・あれ、月山さん?」
「・・・・智、さん。」
「久しぶり、だね・・・元気だった?」
驚いたことにパーティ開場で、偶然智さんに会った。
ファッション雑誌のお偉いさん達に顔を売っておくのも、大切な
マネージャー業務だからね、と彼は笑って言った。
なんだか、その笑顔が、声が懐かしかった・・・・・誰かを思い
出させて。
だからパーティーが終った後もカフェでお茶をして話し込んだ。
そして別れ間際、
「良かったら、携帯の番号教えてくれないかな。電話番号、変え
ちゃったでしょ、あなた。」
と訊かれ、つい教えてしまった。
それから何度か連絡をもらったものの、断ってばかりで。
ある時、あまり断っているのも失礼だと思い一度だけ、と自分に
言い聞かせて食事に行った筈のに・・・・気がつけばそれから
何度も会うようになっていた。
「あの、智さん・・・。」
「ん?何?」
何度目かの食事の時、思い切って訊いてみた。
私と会ってることを、彼が知ってるのかどうか。
「別に、特に言ってないけど。俺が誰と付き合おうと、・・・・
航兄に関係ないしね。」
それでも気になるようなら、一度会って訊いてみる?と顔を覗き
込まれ、その瞳にどきりとした。
約束の日、ホテルのラウンジに彼が入ってきた時からその姿に
気がついていた。一方彼は私に気付いた様子もなく、弟の相手に
会うお兄さんの顔をしていた。
あの笑顔を浮かべて。
そてが、私に気付いた途端、みるみる顔色が曇るのが分かった。
その表情で、自分がまだ赦されてないことを理解した。
当然だ。
智さんと彼が話をしている間、ずっと目をふせて彼の目を見な
かった。 ずっと彼の視線を感じていたが、きっと彼は呆れていた
のだろう。
智が選んだのだから、自分は何も言うことない、と淡々と言われ
た時は身体中から血の気が引く音が聞こえるようだった。
その後、どうやって席を立ち、その場から立ち去ったのか記憶が
なかった。
気が付けば、智さんに促されるまま上の階のスイートルームらしき
立派な部屋にいた。
「大丈夫?・・・・何、考えてるの?」
耳元で智さんの声がして、現実に引き戻された。
「・・・・・・」
「航兄の、こと・・・・?」
智さんから彼について訊かれるのは、初めてだった。
「航兄と何があったかは知らないし、訊かない。でも、俺は
ずっと夏世のことが好きだった。」
抱き寄せられ、抱きしめられたまま頭を撫ぜられる。
頤に手を添えられ上向かせられると、上から唇が降りてきた。
触れるだけの優しいキス。
「ほら、また、そんな困った顔をする。」
「・・・・・・」
「分かってるよ、夏世の心の中にいるのが俺じゃないことくらい。」
「そんな、ことないです。」
「じゃあ訊くけど・・・・俺のこと、好き?」
「・・・・・・」
「うん、分かってるから。分かってるから。」
そう言って悲しそうな目をしたまま私を見つめている。
急に身体を引き離され、体温が下がった。
「ベッド使って。俺はリビングのソファで寝るから。」
「え・・・でも、それなら私がソファに寝ます。智さんの身体じゃ
休まらないでしょう。」
「俺はねこう見えても紳士だから、その気のない相手に無理強いする
ことはしないよ。
だけど、あなたのかわいい寝顔を見ても平常心で入られる自信はない
からさ・・・・ベッドルームには専用のバスもあるし、鍵もかかる
から。お願い。」
「・・・・・・ごめんなさい。」
「いいんだよ・・・じゃ、おやすみ。」
その晩、枕に顔を押し付けて声を押し殺して泣いた。
数日後、今度は自分から誘った。
抱いて欲しいと。
いつまでも立ち止まってはいられない。
それに自分がそこに立ち止まったままいることによって、これ以上
誰かを傷つけたくはなかった。
「無理しないで・・・・俺はあの花園ゆりこっていう猛獣の
マネージャーなんだぜ。忍耐力だけは人一倍あるんだから。」
そんなあなたが愛しいって言ったら、きっと同情するなと怒った
でしょうね。
智さんは行為の最中とっても優しくて、私はどうしていいのか
分からなかった。
そしてこんな私に智さんは
「結婚しよう。」
と言ってくれた。
あれから2週間。まだ返事はしていない。
でも、彼の腕の中にいると不思議と心が安らぐことに気がついた。
眠れない夜がなくなっていた。
あの人を思い出すことがめっきり少なくなっていた。
明日の朝、彼が目覚めたら返事をしよう。
そして、眠っている彼の頬にそっと唇を落とすと、再びを目を
閉じた。
(続く・・・・多分)
長いわ、オチないわ、スマソ。
ただ、三男がなんだか不憫で・・・・。
>>318さん、本当にすみませんでした〜。猛省。orz
>>328 GJ!
ちょうど平井堅の「哀歌」がテレビで流れてる中読んだら
より一層切なく哀しくなった…。
航×夏世派なんだけど、智兄が可哀想なんだよな…。そうなると…。
>>318 GJ!
智兄が可哀想とか言いながら、こういう作品も大好きなんだよねw
凄くツボにハマりました!
ktkr!!!
続きを切望致します!!!!
>>318>>323 GJ。
>>318 2人が智大好きといったところは、泣いてしまった。
本編でも、こんな風に言いそう。
>>323 夏世がだんだんと立ち直っていく感じが良かった。
文章もやさしい感じが出ていて好みです。
GJGJGJ!みんな素敵だ!
>>318 兄弟の特徴がよく出てる!智兄、今夜は飲んでくれたまへ!
>>328 く〜続きが気になる〜。
期待してます!!
>>318 GJ!
三男を思いやる次男と四男が愛おしい。
三男もかわいそうだけど愛おしい。
>>323 GJ!
一途な三男に禿萌えた。
>それなのに私をしっかり抱えて離そうとしない。
萌え死んだ。
このままうまくいってほしいよ。
三男の思いが報われて、幸せになれるといいな。
334 :
318:2007/03/03(土) 00:28:23 ID:JPD6ysjB
みなさんGJありがとうございます…嬉しくて激しくにやけてしまいました。
>>323様
いえ!こちらこそ本当に申し訳ないです…。
智兄に惚れた。涙。
自分は長男×夏世好きだけど皆に幸せになってほしいです…。
続き期待してます!
投下失礼しま〜す。ギャグ風味です、長男×夏世ですが修が|゚Д゚)))コソーリ!!!!
あぁ……いつ部屋に入れるんだろ……
俺は廊下で一人、ちょっと元気になりかけのムスコと虚しさを漂わせながら、膝を抱え座り込んでいた。
何故、俺がこんな状況かと言うと数十分前……
みなえさんのお店から帰ってきて、仕事部屋に入ろうとしたら中から話し声が聞こえた。
俺も普通に入ればいいのに、いつもの癖で(ぇ)ドアに耳を澄ませ中の様子を伺ってしまう。
「ダメですって、航さんっ!」
あの声は小娘?
…と航お兄様。
なんかクレームかな?面倒くせぇな・・・
と思い、ドアノブに手を掛けた、その時…
「やぁっ!あんっ!」
鼻に掛かったような夏世の艶のある声…。
…
……
………
…………えっ!?ぅえ!?
なぁにしてんのっっ!!!仕事部屋で!!!
「夏世…そんなに声出すと誰かに聞こえるよ?」
「だ…だってぇ!航さんが…あんっやぁっ!」
いやいやいや!!もう聞いちゃってますから!!!
つか、やめなさいっっ!!仕事部屋ですよ!!
と割り込んで行く俺。
なんて事はできる筈もなく、唯々再びドアに耳を澄ませる俺。
「やだっ航さんっ…いれるのっ?」
「だって夏世の××が入れて欲しそうにトロトロに濡れてるよ?」
くちゅ
「やっ…みんな、きちゃっ…」
「大丈夫。その時は俺が何とかするから」
その時が今まさになんですよ!!航さぁん!!
ぅおいおい!!どうすっかぁ!?どうすっかぁ!?
よしっ!!
聞いちゃお!(え)
「いい?夏世…入れるよ?」
「ふぁ…ば、バカッ!知りませんからぁ…なぁ!ぁっ!」
「大丈夫」
ん・・・避妊した!?
大丈夫!?(変に心配
ズッ…
「ンッく…ぅ」
ズプゥ…
「あァッ…!ぅあァ…ッ!」
ビクッ
「夏世……!」
「ふぁ…!あっァあッ!」
「はげッ…しぃ…んッ!ァあァンンッ…!」
「夏世…可愛い…好きだっ!」
グプッブプッ!
「わ…たるさんッ!!わたしも…ッしゅきぃ…!!」
「ッ!!夏世…出すよ!」
「ぁ…わ、たしも!ィ…いっ…!くぅゥ…ンッ!あッ…ァあァッ…!」
ビュクビュクッ!!
ビクッ
「夏世…愛してる」
「ふぁ…はぁはぁ…んっ私も…」
………はっ!!!
ついつい聞き入ってしまったぁぁああ!!!
・・・・・俺のムスコ元気になってんじゃん!!
あぁぁああ……
ガタッ
「修兄ィ、なぁにしてんの?」
ビクゥッ!!!
まさに元気になったムスコを治めにトイレに行こうと立ち上がった時、後ろから声を掛けられ勢いよく後ろを振り返った。
「さ…智…」
「なぁに突っ立ってんの(笑)中入んないのぉ?」
「いやっ!!入りたいのは山々なんだけどっ…これには色々と訳がありましてぇ…!!つか入らないで下さいっ!!」
訳も分からず廊下に頭を擦り付けて土下座している俺。
「なぁに!?なんなの!?入るぞっ!?俺は!」
「さとっ…!!」
部屋に入ろうとする智を止めようとした時、仕事部屋のドアがガチャッと開いた。
「何してんの?二人とも…?」
開いたドアからは、航兄ぃと小娘がこちらを覗いていた。
つか、やけにすっきりした顔の航兄ィと上気した頬に潤んだ瞳の小娘を見た俺は、つい先ほどの事を思い出し、トイレに駆け込んだ。
「なぁんなのアレ(笑)」
「さぁ?(笑)」
「……??」
あぁぁああバカバカ!俺!!
その日一日はずっとそのことでバカにされていた・・・・(涙)
以上です、浅くて本当にスミマセン(;´∀`)
連投スマソ
>>309 GJ!
濃厚エロでドキドキしました。
お風呂場、鏡ってエロいですね。
>>314 ほろ苦く、キュンと切ないエロでGJです。
お二方の作品、とても読みごたえがありました。
私は、どちらかというと長男×夏世かなと思ってたけど、
>>323さんの作品を読んで、三男に転びそうです。
>>340 GJ!修兄お疲れ様w
智が軽くてうけたww
>>335 ワロタ!
修は面白いな。題名も面白くてかわいい。
ギャグもあるけど、エロもあってGJ!
航と夏世の会話と擬音エロかったです。
>>341 うんうん、確かに夏世×智に転びそうかも。
私は以前のスレにあった夏世が風邪ひいて智が雑炊を作りに行く話にも、かなり
萌えました。
いかにも明るい脳天気な感じが、ある意味爽やかエロでした。若いっていいな〜
みたいな感じで(笑)
>>335の時点でワロタw
次男の悶々ギャグ話大好きですw
次男おいしいよ次男
遭遇したのが陽だったらどうだろうと妄想したが挫折しますた
>>323 GJでしたー。智、マジ愛しいデス。
三男、ずっと不憫な扱いだったので、こんなふうに報われてくれるお話しが読めて、
なんかちょっとホッとしました。
318さんのを読んで、三男の不憫さがマックスになってたので、三男のこと、
なんとかしてあげたくて胸いっぱいっだったのです。
ありがとうございました〜!!
>>345 自分も同じこと考えた
修とは違った初々しい反応だろうな
よし今から書いてみる
すぐには投下できないから他の職人さん達どんどんどうぞ
|゚Д゚)))コソーリ!!!! してたのが黒陽だったら
あの人の声と航兄の声
何気ない振りして最中を狙って入ろうか
レコーダーに録音してあの人に迫ってみるのも楽しいかもしれない
それとも・・・
航兄にいじめられてたんでしょ?
僕、怖くて入れなかったんだ。ごめんなさい
痛いことされなかった?
傷つけられてないか、僕見てあげるよ
ううん、気にしないで
あ、赤くあざになってる
痛くない?
ぺろっ
今、びくってなった やっぱり痛いんだ
ここ、すごく腫れちゃってるね
僕が舐めて治してあげる
ここまでカマトトぶるには無理があるけど
もしかしたら天然のあの人だし大丈夫かも
試してみようっと
って調子に乗りすぎて陽じゃなくなってるしw
>340パロってごめん
>347wktkしてお待ちしてます
泣いてる夏世を引き止められなかった三男の話を妄想したら、
ちょっとウツな話になった。苦手なひとはスルーしてください。
見え透いた嘘をついて、夏世は去った。
涙の理由が気になりながら、智は後を追わなかった。追えなかった。
おそらく、その理由を知っている――原因であるかもしれない兄に問いただすことも、散々迷った
挙句に見送った。
明日。明日になったら電話を入れてみよう。少しは彼女も落ち着いて、話をする気になっているかもしれない。
そんな風に考えて、智は実際その通りに行動した。
翌日、携帯にいくら連絡を入れても夏世が出ることはなく、その内に電源が入っていないと告げる
テープの音声だけが返ってくるようになった。
しつこいと思われるのを覚悟で職場に電話をすれば病欠だと言われ、残すべき伝言も思いつかずに
電話を切った。
昨日の今日だからと、自分に言い訳をして、智は胸をざわつかせる嫌な予感に目をつぶった。
どうせ、嫌でも家を訪ねざるを得ないのだ。女というものは時に感情的になり過ぎて仕事を放棄するが、
夏世は別だと智は信じた。兄との間に何があったとしても、花園ゆり子に関わる全てを突然投げ出す
ほど無責任な事はしないと。夏世の口から涙の訳を聞き出して、起こってしまった問題を解決
することがまだ可能だと。
昨夜夏世を引き止めなかったことへの後悔で、智がジリジリと身を焦がす想いをしている一方で、
航は何事もなかったような平静さでいつもの仕事をこなしていく。
その平静さが憎らしくもあり、逆に気に病むほどの事など何も起こっていないと言っているようでもあり、
智は航を問い詰める機会を失った。
次の日もその次の日も、携帯電話は繋がらず、会社にいつ電話してみても席を立っているとの返事
しか返って来ない。自分達の担当編集が自分達とまったく連絡も取れない状態で、一体何の仕事をして
いるのかという苛立ち交じりの叱責も、電話の相手に暖簾に腕押しでかわされる。
そこで初めて、智は夏世が夏世の意志以外で自分達から離れていく可能性に思い至り、それとほぼ同時に、
新しい担当編集者と名乗る人物が片岡家を訪れた。
突然の交代劇に反発し、他の兄弟がその人物ともめている間も一人、航だけはその騒ぎを静観し続けた。
夏世の交代に対して何も言わない航の態度を、修と陽が冷酷だと詰り、二人とも自分の部屋へと引き
こもってしまった。新しい編集者もあまりの反発にスゴスゴとその場を退散し、リビングに智と航の二
人だけが残される。
「あの日、あの人と何があった?」
今更そんなこと、聞いたってどうしようもないという段階で、智はやっとその質問を口にすることが
できた。航は質問を予想していたように、短い返事を返す。
「別に何も」
「泣いてここを出て行ったんだぞ、何もってことないだろ!」
声を荒げる智に対して、航はあくまで冷静だ。
「彼女は真面目な人だから、騒ぎの事を気に病んだのかもしれない。僕らがそれで喧嘩したことも
自分のせいだと思ってしまったのかもしれない」
もっともらしい涙の理由を挙げてみせ、推測でしかないけれどと締めくくる。自分も涙の訳は知らないのだと、
航は智に言ってのけた。もうずっと前から用意していた答えのように、淡々とよどみなく。
何もかも遅すぎた――
気分が悪くなるほどの自責の念に、智は奥歯を噛み締めた。
どれだけ智が騒ぎ立てようと、航はもはやあの日の事を何一つ話さない。智が逡巡している間に、
航は高く高くひたすら堅牢な壁を作り上げてしまったのだ。それは兄弟を守るための壁であり、同時に
航からの拒絶の壁でもある。全てを一人で抱え込み、決して兄弟達には踏み込ませない。
あの日、夏世の涙を見た直後、彼女を泣かせた直後の航なら、まだ智にも踏み込むことが出来たのに。
今はただ、その壁を見ていることしかできない。
そんな智に、航は聞きたくない現実ばかりを突きつける。
「今回の急な異動は、花園ゆり子にとって彼女はマイナスだと上が判断した結果だ。俺達がいくら
ゴリ押ししても彼女は戻らない。逆に迷惑がかかるだけだ」
航に言われるまでもなく智も気付いていた。新人には荷が重いという理由ではなく、今回の騒動の
責任を取らされただけでもなく、会社は夏世をトラブルの元として、花園ゆり子から遠ざけることに
決めたのだ。だから、職場への電話が取り次がれることもない。携帯電話に出ないことも、会社の差し金
なのかもしれない。
あらゆる方向から『あきらめろ』と、言われている気がして智は眉根を寄せた。
「俺は、あきらめない」
航に対して、智は宣言した。
あきらめない。夏世の笑顔を、ふくれっ面を、一度だけ繋いだ手の温もりを、そしてあの涙も。
何一つ自分のものに出来ぬまま、人の引いた幕で終わりにされてたまるかと。
「花園ゆり子じゃない、片岡 智として彼女が必要だ。俺は彼女が好きだ」
挑むような告白に、航は智をじっと見詰め、口を開いた。
「……そうか」と一言。
「そうやって、平気なフリして花園ゆり子を続けてろよ。俺は彼女をモノにする」
航の壁に爪をたてることすら叶わなかったと感じた智は、その静かな顔に向かって吐き捨て、家を飛び出した。
「智さん! どうして……」
自宅の玄関先で智に押し倒された形の夏世は、青ざめた顔で訊ねてくる。帰宅し、鍵を開けた所で
智は夏世に襲い掛かり、部屋に押し込み圧し掛かった。強姦魔の手口と変わりない方法を取られては、
さすがに鈍い夏世でも、相手が顔見知りの智でも、身の危険を感じずにはいられないのだろう。
実際、このまま襲ってしまいたいくらいだという物騒な考えとは裏腹に、智は夏世の質問に答えてやる。
「亮子さんの後をつけた」
お願いだからそっとしておいてやってと、頼みの綱の亮子に言われた時は、目の前が真っ暗になった。
我ながらストーカーじみていると思いながら、その亮子を尾行し、やっと夏世の自宅を突き止めたのだ。
それからの数日、智はこの時を待っていた。夏世が一人で帰宅してくる時を。
智の答えに目を見開く夏世に、智は口端を上げて続ける。
「そして、この乱暴はアンタへの嫌がらせ」
「い、嫌がらせ?」
怯えを見せた夏世の顔は、からかった智本人がビックリするほど痛々しかった。
「ご、ごめんなさい私、私、皆さんに迷惑ばかりかけて……」
だから嫌われても仕方ないと、うわ言のように呟く夏世を智は抱きしめた。
亮子の言葉は、どこまでも正しかった。夏世はそれほど深く傷ついてる。突然目の前から消えられた
智の側の苛立ちまでぶつけられては、壊れてしまってもおかしくない。
「大丈夫。俺は、俺達はアンタの事が好きだ。アンタがうちに来なくなって、皆さみしがってる」
「皆?」
涙で濡れた夏世の顔を見ながら、智は頷いた。誰のことを気にかけているのかを承知で一人一人の
名前をあげていく。
「俺も、陽も、修兄も」
少し迷って航の名前も口にした智を、夏世の小さな声が嘘つきと詰り、コートの袖口を掴んだ手に
キュッと力が込められた。
俯く夏世に、自分に縋って泣けばいいと思いながら、智はこの訪問の目的を果たそうと口を開いた。
「あの日、兄貴に何を言われた?」
単刀直入な質問に、夏世の体がギクリと強張る。それでも再度、夏世は見え透いた嘘を口にした。
「別に、何も」
「本当の事を話さないなら、今ここで襲う」
そういうが早いか、智は夏世の太ももに手を這わせた。ゆっくりとした動きで撫で上げるついでに、
邪魔モノであるスカートをたくし上げはじめる。
「いやっ!智さん、止めて!止めてくださいっ」
「話す気になったら言って。そのうるさい口は塞がないでおいてやるよ」
代わりにと智の舌が耳を舐ってくる感触に、夏世は鳥肌をたてた。新たに流れた涙を唇で拭われるのも、
気持ちが悪いとしか感じられない。
酷い、酷い、 嫌ってないなんて、嘘ばっかり――
「ゃ、っ……んぁ、あ、智、さん…なんでっ」
暴れる夏世を難なく押さえつけ、智は両手で夏世の体を好きに撫で回す。その刺激に声を漏らすのは
嫌でしょうがなかったが、夏世は自分がこんな目に合わされる理由をどうしても訊かずにいられなかった。
それなのに、対する智の答えは冷たい。
「質問は俺のが先。早くしゃべらないと、取り返しがつかなくなるよ?」
精一杯の力で閉じた足の間に指がねじ込まれ、敏感な部分にヒタリとあてられた。下着の上からそっと
指の腹を当てられただけで、夏世の頭は智の言う取り返しのつかない状態の映像を、ありとあらゆる
形で描いて見せた。
「い、う、言うからぁ、っや、めて! やめて」
夏世の叫びに、智の指は大人しく離れていった。残念などと呟く智の顔を滲んだ視界で捉えながら、
夏世はこの兄弟達が本当に分からなくなる。自分を、どうしたいというのだ。
優しい手つきで自分が乱した服を直す智にそれでと促され、夏世はあの日の航の言葉を口にした。
「あなたのせいで、めちゃくちゃだって。もう来ないでくれって……」
その先を口に出したくなくて、夏世は黙り込む。苦い苦い言葉が喉につかえて、死んでしまいそうだ。
智の手が動いて、罰が与えられるのだと夏世は思った。もう、どうでもいいと。
何もかもを奪っていくと思ったその手は、夏世の身体を抱き起こした。広い胸に寄りかからせ、頭を
撫でる。慰めるように、もういいよと言うように。
「ちゃんと息して」
智の言葉で、呼吸を思い出す。詰められていた息が喉を震わせて、声になった。
「智…さ、ん?」
「悪かった」
酷いことをされて、急に謝られて、夏世は混乱するばかりだ。言ってやりたいことは色々あるはずなのに、
ただ名前を呼ぶことしかできない。
「智さん」
「全部知りたいってのは、ただのエゴだ」
自嘲的に吐かれた言葉が、夏世の胸に刺さる。自分の航への態度を責められているようで。
「泣いてるアンタを慰めたかった。涙の訳を話してもらいたかった」
「智さん」
夏世は智が今どんな表情をしているのか確かめたかった。でも、夏世を抱きしめる智の腕がそれを許さない。
「それを拒否されたからって、逆上してアンタを傷つけた」
もう一度悪かったと繰り返す智の気持ちが、たやすく理解できて夏世は苦しくなる。
相手の事を思う気持ちが、迷惑にしかならないなんて、そんなの嫌。
お願い、お願い、拒絶しないで――
「さ、とし…さん、私、わたし………っ」
後は言葉にならなくて、夏世は初めて智の胸に縋って泣いた。
「迷惑だと、言われました」
ひとしきり泣いた後、智の腕の中で夏世はやっとその言葉を口にした。
「私が、航さんを知りたいと言ったら、迷惑だって」
震える唇で、涙で曇る瞳で、それでも夏世は智に向かって笑顔を作って見せる。
「力になりたかった、秘密を分けてもらいたかった。でも、完璧に拒否されちゃいました」
「兄貴のことが好きだった?」
智の問いかけに、夏世は頷いた。相手に告げさせてももらえなかった想いが悲しくて、また涙がこぼれる。
「失恋、しちゃいました」
「こんないい女をふるなんて、兄貴は馬鹿だ」
いつも貶しているくせにそう言って慰める智の言葉に、夏世は少し笑う。
「夏世は顔もかわいいし、スタイルも抜群。少しおっちょこちょいだけど、一途で一生懸命」
「さ、智さん、そんな慰め方はちょっと…」
急に褒めちぎられて居心地が悪くなった夏世は智を止めようとした。その手を握り、智は囁いた。
「俺なら、そんなもったいないことはしない」
傷ついた自分の気持ちを上手に隠して、冗談とも本気とも取れる言い方をする。案の定、鈍い夏世は
ただ困惑するだけだ。
「アンタを泣かせたりしない」
言いながら、夏世の睫に残る涙を唇ですくう。智のその行動に、夏世はサッと顔を赤らめた。
「智さん、こ、こんな慰め方もちょっと」
「何もかも、忘れさせてあげられると思うけど。どう?」
「智さん!」
からかわれてると思った夏世は智の手を振りほどき、自由になった両手でポカポカと智の頭といわず
肩といわず、胸といわず、お構いナシに叩きはじめた。
航を思って泣いてる顔より、怒っている方がずっと良い。そんなことを考えながら智は逃れようと
もがき始めた夏世を抱き込んだ。
「失恋に、つけこませてよ」
言われたことより、その声の切実さに夏世の身体は反応して震えた。
「俺、そういうの得意だから」
覚悟しておいてという智に何も答えず、夏世はその肩に額を押し付けた。
落ちない、そして報われてない……
ごめんなさい、さとぴょん
好きだよ、好きなんだよ本当だよ
自分も酒おごってあげたいです
神作品のおかげで待ち遠しい火曜日まで乗り切れそうです。
皆さんGJ!
>>353 GJ!
リアルタイムで読んじゃった!切なくて涙出たよ。三男応募したくなった。
>353 GJ!
さとぴょん良い男だ
夏世を幸せにしてやってくれ
>353の後に投下するのはかなり抵抗あるけど(ネタもネタだし)
小ネタ投下させてもらいます
356 :
妄想劇場:2007/03/03(土) 04:50:24 ID:LtTPM/5y
俺の部屋に人影が。誰だろ?んっ?ま、まさかっ!
「航お兄様っ!何を漁ってるんですか!」
「ん、最近修の様子がおかしいから何か隠してるんじゃないかと思って」
いいながらピラピラと摘んでいるのは俺の秘密の原稿用紙。
内容は良い子の陽くんには見せられないドロドロぐちょぐちょ自家発電用妄想劇場。
モデルはよりによって某担当編集 orz
「ふーん・・・なかなか良く描けてるじゃないか」
「ひぃっ!許してくださいおにーさまっ!ついついつい出来心でっ!」
「俺に謝ることじゃない。それに、どうせ妄想だろ?」
「えぇっ、それはもうもちろんでございますっ」
「何騒いでんの?」
「もうすぐ締め切りだぞ、仕事しろ、仕事」
弟2人まで集まってきたけど、怖くて頭が上げられない。
今航兄の眼を見たら俺は石になる。絶対になる。
「どれどれどんなの?・・・うわっえげつねっ」
「へぇー、航兄ってこんなのも描くんだ・・・花園ゆり子のイメージダウンだね」
せめて陽君には隠してください、航お兄様(涙)
「なぁなぁ修兄、これ俺の分も描いてくんない?」
「はっ?」
「だってすごく良い出来だし。もったいないよ。ねえ?航兄」
「そうだね。誰に迷惑かけるわけでもないし。俺の分もかけるよな?修」
「僕の分はストーリー書くからそれでお願いね」
はいぃぃ?航兄ちゃんはともかくとして、智とよりによって陽くんまでっ?
文句を言おうと開きかけた口は、航兄と目が合って硬直した。
誠心誠意をもって描かないと生命の危機かも、俺。
「あの、それは原稿と同時進行で・・・?」
「当然だろ、これ以上あの人に迷惑をかけるな」
「・・・・・・はい、わかりました」
357 :
妄想劇場:2007/03/03(土) 04:51:04 ID:LtTPM/5y
「わあ〜、会員制のプールなんて初めて!すごく綺麗!」
「良く似合ってますよ、水着。買っておいた甲斐がありました」
「ありがとうございます、水着・・・でも何でサイズ知ってたんですか」
「デッサンとかしてると、見てるだけで何となくわかるんですよ」
「そうなんですか、ちょっと恥ずかしいですね」
白々しいよ航兄・・・。なんてことは間違っても口にだせないけどっ。
「さーて、俺はスケッチスケッチ。小娘、あんたはモデルなんだから心して遊ぶように」
「モデルって」
「そんなの当然でしょ?そういうのなければつれてくるわけないっての」
ツンデレかよ俺っ。
「修、よくわかってるな。頑張るんだよ」
「ハイ、お兄様」
肩を叩かれて言われるが、俺だって夏世っぺとプールに入りたい!
アクシデントで胸にタッチしちゃったり、抱きついちゃったり、なんてベタな青春をしたいっ!
激しい妄想は、事実と微妙に違うことをスケッチさせる。
軽いじゃれあいのはずが胸を鷲掴み、ビキニはずらされ豊満な乳房が露出する。
右は陽、左は智。航兄は視姦しつつ逃げ場をふさぐ。
騒ぐと周囲の視線が集まるのが怖くて、ささやかな抵抗しかできない夏世。
そうこうしているうちにじゃれているふりの手は敏感な頂を責め始めるのだ。
泳ぎの練習をしているように見せるため、ビート板に乗せ、3人で囲む。
左右から、後方から、夏世の弱点のしこりを攻め立てる。
ささやかな抵抗なのか感じるあまりの反応なのか、何とかバタ足らしい動きで周囲をごまかす。
後方から悪戯していた指はとうとうぬるついた泉をまさぐり、
夏世の手は男たちのイチモツを握り・・・
「・・・修兄、さすがだね。あの人の水泳特訓してただけなのに。てか、もう軽く犯罪っぽいけど」
ビート板を使ってのバタ足の練習から、手を引かれて進む練習に移った夏世を
熱っぽくスケッチする修にはもう何も聞こえてなかった。
以上です。
途中抜けちゃったー けどまぁいいか
>>348 黒陽が本当に黒くて笑ったw
実際夏世っぺはカマトト陽にだまされてしまいそうだ
>>353 やばいよ智兄何ていい男なんだ
ドラマ見てると応援したくなるよね本当…
>>358 自分の分頼んじゃう兄弟と航兄が怖くて逆らえない修兄が素敵
水泳の特訓でここまで描ける修兄が素晴らしい
自分347ですが航兄と夏世っぺの情事を目撃する陽の話を投下します
あんまり陽初々しくないしエロも中途半端だけど…
360 :
想定外の午後:2007/03/03(土) 05:36:53 ID:vH7I3Jn0
その日の午後家には僕と航兄の2人きりだった。
〆切は前日だったから仕事から解放された修兄は朝からパチンコに行ったし、
智兄も僕達に昼食を作ってくれた後買い物に出掛けた。
航兄は昼食を食べた後そそくさと部屋に入ってしまった。
その理由を僕は知っている。
航兄は部屋で雑誌を読んでいるんだ。
何日か前入った本屋でスケッチに出掛けたはずの航兄を見つけて、声を掛けようと近づいて見てしまった。
航兄がデート雑誌を持ってレジに向かうのを。
それから僕達弟の目を盗んでその雑誌を読んでいること、実は本人以外皆気づいてる。
何故航兄がそんな雑誌を買ったのかも。
航兄にデートする相手ができたからだ。
その相手――月山夏世を喜ばせたいから柄にもなくそんな雑誌買ったんだ。
付き合ってもう3ヶ月になるのに仕事が忙しいせいで2人きりで出掛けたのは数えるほどしかない。
彼女が家に来ても僕達3人の誰かしらいることが多いから2人でゆっくり話すこともできないし。
だから1回のデートが航兄と彼女にはとても大事なわけだ。
航兄がそのデートに気合を入れる気持ちが分かるから、修兄も智兄ももちろん僕も気付かない振りをしている。
それにしても、照れくさくて隠したいんならもっとバレないようにしなよ、航兄…。
そんなことを考えながらキッチンで牛乳を飲んでいるとチャイムが鳴った。
「この前オープンしたばかりのお店なんですけど、すごく美味しいんで皆さんにと思って」
そう言ってケーキの箱をテーブルに置く彼女を、僕は「ふーん」と眺めた。
その視線に彼女がたじろぐ。
「な、何陽くん…」
「航兄に会いに来たって正直に言えばいいのに」
僕の言葉に彼女の頬がかぁーっと赤くなる。
「わ、私はただ美味しいケーキを…」
「残念だけど航兄はいないよ」
「えっ」
途端にがっかりして肩を落とす彼女がおかしい。
「嘘、部屋にいるよ。顔に出すぎだから」
「〜っ!!陽くん!!」
彼女の怒った声を背中に聞きながら航兄の部屋のドアをノックする。
ドアの向こうから慌てたようなゴソゴソッという音がした後航兄が顔を出した。
「どうした?」
「ケーキが来た」
僕の言葉に疑問符を浮かべた航兄は、リビングにいる彼女を見ると目を瞬かせた。
「どうしたんですか?今日は仕事は…」
航兄の言葉に彼女は恥ずかしそうに「ケーキを…」と言おうとしたが、
背後の僕に気付いてきっと顔を引き締めた。
「航さんに会いたくて来ちゃいました」
「えっ」
言った後で顔を赤くして俯く彼女。
航兄は彼女に近寄ろうとして、はっと僕を振り向いた。
2人きりになりたいとその表情が雄弁に語っている。
僕が出掛ければ彼女と水入らずだもんね。
午後は温かい部屋でのんびり…は諦めるか。
風強いから外出たくなかったのになぁ。
僕は肩を竦めてリビングを後にした。
部屋からコートを取ってきて
「今はお腹いっぱいだから外行ってお腹空かせてくるよ」
とリビングの2人に声を掛ける。
「そうか、気をつけて行って来いよ」
心なしか嬉しそうな航兄。
全く、2人とも分かりやすいなぁ。
さてどこで時間をつぶそうかと考えながらマンションの外に出た僕はコートのポケットに手を入れた。
いつもそこに財布を入れているからなのだけど、ポケットの中にその感触はなかった。
一瞬ドキリとして、そしてすぐに思い出した。
昨日中に溜まったレシートを捨てて、そのまま財布は机に置いたんだった。
2人きりのところを邪魔するのは気が引けるけど、無一文で出掛けるのは心許ない。
またすぐに外に出ればいいんだしと考えて僕は踵を返した。
玄関のドアを開けて部屋に向かおうとするとリビングから彼女の声が聞こえた。
それだけなら別にどうということはないのだけど、思わず僕が足を止めたのはその声が悲鳴だったからだ。
「わ、航さん…っ」
「2人きりになるのは久しぶりだね」
「そうですけど、だからって急に…」
急に…何なんだろう。
いけないとは思いつつそーっとリビングを覗くと。
「ごめん…。だけど君が側にいると自分を抑えられなくなる」
「航さん…」
あの人がソファーの上に仰向けになっていて、その上に航兄が覆いかぶさっていて。
つまり押し倒した状態…。
僕が出て行って戻ってくるまでに5分かそのくらいしか経ってないはず。
航兄行動早すぎ…と唖然としていると
「夏世…」
「ん…」
航兄の顔があの人の顔に近づいて…キス、した。
優しく啄ばむように何度も繰り返し、次第に濃厚になっていくキスに僕の頬は熱くなっていく。
紙の上のキスシーンは見慣れているけど、実際この目で見るキスはそんなものとは全然違ってドキドキする。
しかも兄とその恋人。
見てはいけないと思いつつも2人に目が釘付けになってしまう。
航兄の手が彼女の服に手を掛けると、焦ったように彼女が叫ぶ。
「ここは嫌です。いつ誰が帰ってくるかも分からないし、航さんの部屋で…」
もっともだ。
リビングはそんなことするための部屋じゃないよ航兄。
あ、でも2人が航兄の部屋に移動したら見つかるかも…。
慌てた僕とは裏腹に航兄の穏やかな声が聞こえた。
「こういうのも刺激的でよくないかな」
いや、よくないよ。
誰かに見られるリスクを犯してまでリビングでするより(実際僕に見られてるし)
鍵をかけられる自分の部屋ですべきでしょ。
彼女も抗議しようとしたのだろう、口を開いたけれどそれは航兄の唇に塞がれて言葉にならなかった。
航兄はキスをしながら彼女の服を脱がしていく。
……流石にこれ以上見るのはまずいんじゃないかと僕の頭の中で冷静な声がする。
『恋人同士の営みを覗き見なんて航兄にも彼女にも悪いよ。早くここを立ち去ろう』
頭の中で話しかけてくるそれは白い服を着て頭に輪っかをつけたいわゆる天使の格好をした僕だった。
自分の顔なのに妙に瞳がキラキラしてて気持ち悪い…。
でもおそらくこれは僕の良心を象徴しているんだ。
天使の僕に従って部屋へ向かおうとしたその時別の声が聞こえてきた。
『いいじゃんバレないって!航兄と夏世っぺがどんなエッチするのか興味あるじゃん?』
『どんな反応するのかなぁ彼女。可愛い顔して色っぽい声で喘ぐんだろうなぁ』
その声の正体は真っ黒な衣装に身を包み槍を持った悪魔の格好の修兄と智兄だった。
普通こういう場合悪魔の格好した僕が出るんじゃないのかなと場違いな疑問に首を傾げていたら
「あん…」
とあの人の艶めいた声がした。
見ると彼女はすでに全裸にされていて、豊かなその胸を航兄が手のひらで包んで優しく揉みしだいていた。
『『ぎゃっはっはっはっは』』
『うわーん』
天使の僕は智兄に輪っかを奪われ白い服は修兄の持った大きな筆で真っ黒に塗られて泣いてしまった。
悪魔兄弟の勝利だ。
仕方ないよ2対1だから。
誰にするでもない言い訳をして、僕はそのまま見続けることにした。
「んん、あんっ」
航兄が彼女の胸の先端に吸いつくと、彼女の唇から甘い声が漏れる。
今まで修兄が見ているようなビデオは見たことなかったから(今現在目の前でこんなことしてる航兄が厳しかったせいもある)
初めて見る他人の情事は僕にはかなり刺激が強い。
扇情的な光景に思わずゴクリと唾を飲む。
あの人――普段は僕と10歳も離れてるなんて思えないくらい子どもっぽいのに、あんな色っぽい表情するんだ…。
それに航兄もいつもと違う。
あんな熱を込めた瞳で彼女を見つめて、荒々しくキスをして。
男らしいというか獣っぽいというか…別人みたいで変な気分だ。
航兄の手が下へとずれていく。
「やぁっ」
彼女の体が跳ね上がる。
航兄の手は彼女の下肢の…よく見えないけれど女性にとって敏感な場所に触れているんだろう。
僕は体の一部に熱が溜まっていくのを感じた。
くちゅくちゅと濡れた音と彼女の喘ぎ声が余計に僕の聴覚を刺激する。
「わ、航さんダメ…」
「ダメって何が?」
しれっとした声で手は止めずに航兄が問う。
「そんなにしたら…あぁんっ!!」
彼女の声が一際高くなり体がビクンと震えた。
荒い息を吐いている彼女の額や頬に航兄は優しくキスを降らす。
「夏世、可愛い」
その声は本当に愛しさで溢れていて、彼女を心から大切にしていることが分かった。
「航さん、来て…」
そして彼女もまた愛しそうに航兄を見上げて。
航兄は彼女の腰を引き寄せ、猛った自身をあてがった。
「夏世…」
唇を重ねながら、航兄は彼女の中へと入っていく。
「んんっ…」
航兄の背中に腕を回して迎え入れる彼女。
そんな彼女をかたく抱きしめる航兄。
体を重ね合わせ互いを求め合う2人の行為は何だか神聖なもののように思えて、
今更覗き見していることが恥ずかしくなった僕は見つからないように足音を忍ばせて自分の部屋に入った。
「……」
あれから自分の熱を処理した後またこっそり外に出て(廊下を歩く際リビングから聞こえてくる甘い声はひたすら無視した)
時間を見計らって帰ってきた僕を出迎えたのは、ソファーで寄り添って眠る2人の姿だった。
流石に服はちゃんと着ているしリビングに情事の痕跡はなかった。
おそらく誰も帰ってこないうちに慌てて後処理して、情事の疲れもあって眠ってしまったんだろうけど
この姿を修兄や智兄が見たらどう思うだろう?
間違いなく当分からかわれるだろうから2人のためには起こしてあげた方がいい。
でもすやすやと眠る2人は本当に幸せそうで、まさに王子様とお姫様で。
しばらくはこのまま寝かせておいてあげるか…と僕は2人に掛けるための毛布を取りに行った。
今度は2人でデートできるといいね航兄。
終わりです
最初番号入れ忘れ&3のところ2のままだったゴメン…
本当ここはいろんな職人さんが作品投下してくれるから天国だ
>365
乙です!朝からいいもの見させていただきました!
天使と悪魔のやり取りにワロタw
367 :
しゃぶひな:2007/03/03(土) 09:30:03 ID:F6wv1z16
ものすごい投下ラッシュ…神様ありがとうございます。
萌えの蓄えを補給できてニヤニヤしてます。
特にシリアスや切ない系が書けない自分には神々の文は参考書です。
懲りずにしゃぶひなの更に続編、投下いたします。
朝帰り長男×夏世に恋のキューピッドが登場します。
エロは皆無です。
亮子に押されるように航と夏世は玄関の外に追いやられた。
「川村さっ…」
バタン。
無常にも扉は閉まり、航は息をつく。
その後ろで夏世が申し訳なさそうに口を開いた。
「すいません…編集長、完全に酔っ払ってますよね」
「………」
「あの、私1人で帰りますから…」
「月山さん」
「ハイ?」
「…送りますよ。行きましょう」
暖冬とはいえ、夜の風はやはり冷たい。
航は夏世と歩きながらカッとなった頭が徐々に冷静になっていくのを感じていた。
夕方、公園から帰って来た航が見たモノは夏世から離れない陽の姿だった。
前後関係の全くわからない航にはまさに突然の出来事。
陽には何度か遠回しに離れるように伝えたつもりも効果はなく、
結局カッとなってあのような事態になってしまった。
今すぐ戻って弟達と顔を合わせるのはとても気まずい。
それに…もう少し夏世と一緒にいたい。
そう思った途端、航は思わず立ち止まってばつの悪い顔をした。
「どうかしたんですか?」
「…いえ。ちょっと考え事を」
「考え事?」
首を傾げて見上げる夏世を見て、航も思わずつられて首を傾げて笑ってしまう。
「弟達に八つ当たりをした事を思い出したんです」
「八つ当たり? 航さんが?」
「…ごませんべいを修に食べられたんです」
「あ…航さん、お好きですよね。おせんべい」
「仕事が終わったらお茶と一緒にいただこうと思っていたんです。
それなのに…疲れと空腹でうっかり八つ当たりをしてしまいました。
それを急に思い出したんです。
よく考えたらさっきも陽に悪い事をしたのかもしれない」
航が苦笑しながら言うと夏世は航の前に立ってジッと航を見上げる。
「すごく航さんらしいけど…たまにはいいじゃないですか。ハメをはずしても」
「…!」
「そういう航さんをもっと知りたいです」
「…」
「…ウチで飲み直しませんか?」
航を伺うように見る夏世を見て冷えてきたハズの頭が熱くなるのを感じた。
「あ。迷惑ですか? だったら無理には…」
「月山さん」
「は…い」
航と夏世の間に緊張が走る。
航が口を開きかけたその時。
『ぉヴェぇぇ〜』
「「………」」
2人は無言でその方向を見る。
そこには電柱に手をついて嘔吐(えず)く、耳当てをした小柄な男・田中一郎がいた…。
泥酔した一郎を夏世のアパートまで連れてきた2人。
夏世が玄関を開けると、一郎と肩を貸していた航は崩れるように倒れ込んだ。
「あ〜…まわってんなぁ。ぐぅるぐるだコリャ」
「田中ちゃん…とりあえずどいてください…」
「いぃやどきませんよ。さっきの話聞いてました!?
オレはねぇ、頑張ってるんスよ!!」
「ハイハイ、聞きましたから…」
「航さんだってそうだ! んなに我慢してよぉ。アンタ最高にイイ男だぜ?
この田中一郎の次にイイ男だ!」
「月山さん」
「はい!?」
「とりあえず田中ちゃんをベッドに」
「わかりました!」
「田中ちゃん! もうちょっとだから!!」
「おぃこらガッサン! 航さんは俺の次にイイ男なんだぞ!
テメェわかってんのか?」
やたら絡む一郎をベッドに下ろす。
「おぅガッサン! テメェの枕ゴロゴロして痛ェな…っ…」
一郎の言葉が途切れる。
航が思いっきり耳当てを引っ張るように取ったのだ。
「わ、航さん…」
「……放っておきましょう。すぐ寝ますから」
冷たく言い放ったように聞こえる航の言葉通り、既に一郎は寝息を立てていた。
夏世のベッドで高らかにイビキをかきだした一郎。
壁にもたれながら航はぼんやりとソレを眺めていた。
そこへ夏世が缶ビールを持ってやって来る。
「どうぞ」
「あ、どうも」
「…田中さん、ベロベロですね…」
「すいません。急にご迷惑だったでしょう?」
「いつも田中さんにはお世話になってるし、たまには」
肩をすくめる夏世に微笑み、航は缶ビールを脇に置く。
「…田中ちゃんが起きるまで、僕もここにいてもいいですか?」
「それは…でも、朝になったら」
「構いません。明日は休みですし。
それに…月山さんに何かあったら、困りますから」
航の言葉を聞いた夏世は意を決して航に向き合うように座り直す。
「心配、してくれるんですか?」
「…それは勿論…」
「私が、花園ゆり子の担当だからですか?」
真剣な目をした夏世がそっと航の手に触れる。
『たまにはいいじゃないですか。ハメをはずしても』
彼女にならば少しハメをはずして…求めてもいいのだろうか。
そんな考えが航の脳裏を霞めた時、更に夏世が近付く。
その熱っぽい視線に、頭の中が真っ白になりそうだった。
何か言葉を続けようにも、うまく出てこない。
至近距離で見つめ合い何故だか泣きそうになる。
これでBGMが一郎のイビキでなかったら…。
そこで航は我に返って一郎に目をやり、ギョッとして夏世から離れた。
「? 航さん…?」
「たっ…田中ちゃん?」
青ざめた航の視線の先を見た夏世も、硬直した。
一郎が瞬きせずにこちらを凝視していた。
その瞳孔は開ききり、眉間に困ったような皺を寄せ…イビキをかいている。
男・田中一郎、目を開けたまま爆睡。
2人は呆然とこの光景を眺めると顔を見合わせ…笑い始める。
そして大きくなる夏世の笑い声を航がそっと手で押さえた。
「2人だけの、ヒミツにしませんか?」
「…はい」
笑いながら夏世が頷いてくれたから、それだけで今は満たされる。
結局そのまま航は朝まで夏世と飲み明かしたのだった。
翌日。
朝帰りを修に知られた航はニヤニヤする修に否定も肯定もせず、こう言った。
「2人だけのヒミツなんだ」
それは1人で抱え込むよりもずっと甘くて大切なヒミツ。
だが一郎のヒミツは亮子の携帯に保存されており、アッサリ暴露されるのだった。
373 :
しゃぶひな:2007/03/03(土) 09:35:48 ID:F6wv1z16
以上です。
相思相愛な2人になって(?)満足しています。
ベイビー丼クライを聴きながら書いてみました。
どうもありがとうございました。
>>353 わーん、良過ぎて朝から泣きました。ホントにGJでした。
三男のこと、ドラマ観てたら大好きになってしまってたので、妄想の世界だけでも
シアワセになってもらいたい〜って、思ってしまいました。
三男のこと、いいオトコに描いてくださっていて、嬉しかったデス。
>>356〜
>>357 妄想劇場、おもしろ過ぎでGJでした。
四兄弟仲良くHな感じが、たのしく、ホノボノ(?)とさえ感じられました。
第3弾、4弾もあったら、うれしいです。
智兄かっこいいよ智兄ウワァン
航兄は陽君に教育上よろしくなさ過ぎw
修兄すばらし過ぎw
しゃぶひな笑ったwほのぼのしてて幸せな気分になる。
火曜日は東北方面へ遠出なんだけど…放送日一緒か心配
チラ裏スマソ
yahooとかのネットテレビ番組表なら地方対応版も出てるからチェックしてみたらいかがでしょ
とりあえず沖縄以外は同じっぽいけど…
智兄関係はもう智兄が報われててそれだけで嬉しくなってしまうw
本当に幸せになってもらいたい
でも長男&夏世の話にも萌えてしまう…微妙な距離感がたまらない
ドラマ本編では長男&夏世が上手くいくだろうしそれがベストの終わり方だと思う
だからここでは存分に智兄萌えを楽しみたいし報われる智兄を見られて幸せな気持ちでいっぱいです
職人さん方ありがとー!
神がいっぱい降臨中ー!!
素晴らしい…!
>>375 東北地方でも火曜日にやってますよ
>375
秋田、山形、岩手、宮城なら大丈夫。
青森県の八戸以南なら場所によって見れる。
青森市とか弘前側ならフジ系局がないから見れないかも。
379 :
375:2007/03/03(土) 14:35:56 ID:JPD6ysjB
>>376様
>>377様
>>378様
みなさん本当にありがとうございます!!
行き先は山形なのでどうやら見られそうです。
でも宿にテレビあるか心配だから知人に録画頼みましたw
このスレはあたたかい人が多いですね。すばらし〜い!
修|゚Д゚)がもう次男に見えてきたw
四男だったら
陽|*゚ー゚)ゴクロウサマ
なのだろうか
381 :
340:2007/03/03(土) 20:08:38 ID:cckZHV50
|゚Д゚)))コソーリ!!!!
ありがとうございます。また次男の|д゚)カンサツパロ書きますのでよろしくです。
>>380四男ブラックストマックw
>>381楽しみにしてます!!修兄大好きだ
四男と夏世のほのぼのエロ無投下していいかな?
いいよね?え、空気嫁?なにそれ美味しいの?(゚∀゚)
>>382 もちろん投下ドゾー!
wktkしてっぞ
「来ちゃった」
深い意味はなかったんだ。
家出したのは、航兄達の愛情が重かったから。
このひとの家に来たのは、他に行くところがなかったから。
家に帰らなかったのは、航兄達から離れて気持ちを整理したかったから。
同じ布団に入ったのは、冷たい床で寝るのも寝かせるのも嫌だったから。
それだけだ。
ただ、今日は色んなことがあり過ぎて、少しだけ疲れてたんだ。
「陽くん?」
なんだかんだ言いくるめられて、同じ布団で寝ている私と陽くん。
最初は警戒したけど、陽くんはさっさと背を向けて黙りこくってしまったので、私も眠ってしまおう、と背中を合わせた矢先に。
陽くんがこっちに向き直って、パジャマの背中を掴んだのだ。
「ど、どうしたの?」
びっくりしたけれど、その手に凶暴さは感じなくて。
狭いベッドでは簡単には寝返りを打てず、私は頭だけ動かして陽くんを見ようとした。
「ひな……」
「見ないで」
こつん。
陽くんの小さな頭が、私の背中に押し付けられた。
「陽く…!?」
その頭が、
背を掴む手が、
震えている。
微かに、でも確かに。
やがて、暗い部屋に響く鳴咽。
陽くんが、泣いているのだ。
「っく…ぅ、ひっく…」
喉の奥で押し殺した声。
鼻水をすする音。
頼りなく震える体。
…こんなに間近で男の子に泣かれたのは初めてだ。
頭が真っ白なって固まっていると、陽くんが泣き声で言葉を発した。
「ティッ…シュ、っ…どこ」
「あ…待って」
体を起こしてベッドサイドのボックスティッシュを掴む。
差し出すと、つられて起き上がった陽くんはそれをひったくった。
「見な…で、って…っ言った、じゃない」
ずず、と鼻をかんで、さっきのように背を向けて寝込む。
私は、そんな陽くんを眺めながら、今日の一日を思い出していた。
航さんからの衝撃の告白。
自身の出世の真実。
あの時の陽くんは、まだ普段のクールさを保って…涙を流すだけだったけど。
あの航さんが泣いていたんだから、陽くんがそんな簡単に受け止められるわけがなかったのだ。
私の手は、自然に動いていた。
いつも冷静で、可愛いげなくて、生意気な陽くんが、私の隣で泣いている。
その姿を私だけに見せてくれたのがうれしくて、今日は存分に甘えさせてあげよう、と決意した。
…つもりだったんだけど。
あのひとの手が、動いた。
動いて、僕の頭に触れた。
遠慮がちに、往復する。
なで、なで、と。
「……」
子供扱いされて僕は頬をふくらませたけど、そう悪い気もしなかったのでそのままにさせておいた。
「…っく、ぅぅ…っ」
と、治まったはずの涙が溢れてきた。
恥ずかしい。
どうも、このひとといるとペースが乱れる。
こんな泣き顔なんて見せるつもりなかったのに。
「ひな…た、くん…っ」
…ん?
飽きずに僕の頭を撫でていた手の主の、声が、おかしい。
怪訝に思って振り向くと、彼女は座って仕切に目をこすっていた。
てっきり、薄く笑ってお姉さん顔をしていると思っていたのに。
「…え?」
予想外。
なんであなたまで泣いてるの。
「ふぇ、…ひっく」
「あのっ…だ、大丈夫?」
僕自身も泣いているのだから、大丈夫も何もないのだけど。
「ひな…、だいじょ…ふぇぇん」
…嘘つき。
でも、このひとも大変だったんだな、と改めて思った。
ファッション誌が休刊になって、嫌々漫画家の担当になって。
怒られながらやっと仕事に慣れてきたところで、一方的に担当を外されて。
仕事だけじゃない。
思えば僕もひどいことをしたし、兄弟全員がこのひとを傷つけた。
…一番は、航兄だろうけど。
「ふぇ…く、うえぇん…わたるさぁん…」
……やっぱりね。
膝を抱えて泣いているこのひとがなんだか可愛くて、僕は体を起こした。
「!?」
僕の頭が動いたのにびっくりしたのか、目を見開かれる。
僕は優しく笑いかけて、ゆっくりと手をのばした。
…なで、なで。
「ひなたく…ふぇぇん」
…涙のスイッチ入れちゃったみたいだ。
そんな彼女を見つめていた僕の視界も、段々と滲んでくる。
結局僕達は、額を合わせて思い切り泣きじゃくった。
彼女は泣き疲れてそのまま眠ってしまって、なんとなく淋しくなった僕はその白い手を握った。
温もりを感じ、僕の意識もすぐに薄らぐ。
眠りにつく瞬間、一応心の中で航兄と修兄に謝っておいた。
いつになく気持ちよく目覚めると、至近距離に陽くんの綺麗な顔があった。
慌てて起きようにも、手をしっかりと握られていて…。
「ちょっ…ひ、陽くん!手!手!!」
「うぅん……んん〜」
眠たそうに唸ると、陽くんはゆっくり手を放して伸びをした。
「おはよう」
「おはよう…ございます」
起き上がり、呑気な挨拶に一応返事をする。
と、激しく痛む喉に気付いた。
そういえば、まぶたもやけに重くて熱い。
「…なんか、顔が変?」
「ひ、陽くんだって!!」怪訝な顔で睨む陽くんだけど、泣き明かしたのは彼とて同じ。
まぶたは腫れているし、目は真っ赤。
…やけに色っぽいのがむかつくけれど。
冷やしタオルを目に当てて応急手当をした。
鏡で自分の顔を見て、陽くんは「おそろいだね」と笑った。
お互い昨夜のことは話に出さなかったけど、なんだか、楽になった気がする。
最近、涙を流すことは多かったけど、あんなに声を出して泣いたのは久々で。
陽くんもすっきりした様子で機嫌がいい。
…昨日のうちに二人でティッシュ一箱消費したんだから、すっきりして当然な気もするけれど。
簡単な朝食をとって談笑していると、航さんが陽くんを迎えに来る時間が近づいた。
帰り支度を終えた陽くんは、ベッドに座って名残惜しそうにしている。
「いつでも…来てあげるから」
突然ぽつりと呟いた台詞の意味を、私は理解出来なかった。
「え…?」
「…もし、また今度…思い切り泣きたくなったら、僕を…呼んで。いつでも、一緒に、泣いてあげる…から」
途切れ途切れに紡ぐ言葉。
「でも、昨日のことは、僕達だけの、ヒミツ。わかった?」
伏せた目は、恥ずかしさを隠すため?
優しいのに素直じゃない陽くんに、私はくすっ、と笑って、「わかりました」と答えた。
ぴんぽーん
「ぁ、航兄」
「は、はーい!」
ドアを開けると、穏やかな笑みを浮かべた航さんが立っていた。
「月山さん。この度は本当にありがとうございました」
ぺこ、と頭を下げられる。
「いえ!何もお構いしませんで…」
「いや。陽はご迷惑おかけしませんでしたか?」
「僕はいい子にしてたよ。ね?」
心外だ、とでも言いたげに私を見つめる。
私も笑顔で「陽くんの言う通りです」と返した。
「ならいいんですが…陽、帰るぞ」
「え…あ、あの、中でお茶でも…」
意を決しての誘いは、うーん、という曖昧な笑みで遮られた。
「仕事が、まだ残っていて…」
あ、と声を漏らしてしまった。
自分が、もはや彼らの仕事に関与していないことに、改めて気が付いた。
「あ!いや、その…すいません」
私の考えを察したのか、航さんは困った顔をして謝る。
「い、いえ…」
「…。帰ろう、航兄」
はぁ、と溜め息をついて、と陽くんが前に出た。
「あ、あぁ…それじゃ、月山さん、あの…ありがとうございました。…ほら、陽、お礼」
気まずそうに目を泳がせる航さんに促され、陽くんは「泊めてくれてありがとう」と言ってぺこりとお辞儀をした。
「じゃあ…失礼します」
「はい…陽くん、ばいばい」
「またね」
何か言いたげな目をした航さんが、ドアを、閉めた。
…ひどいなぁ、航さん。
久しぶりに、穏やかな笑顔を見て。
優しい声のまま話ができて。
勇気を振り絞って、お茶を誘ったのに。
断るのはともかく、理由が、『仕事が…』だなんて。
ひどい、ひど過ぎる。
自分が担当を外させた癖に、なんで仕事の話を出すんだろう。
「…許して、もらえないのかなぁ」
クッションに顔を埋めて呟く。
昨日の夜使い切ったはずの涙が、また溢れ出しそうになった。
瞬間。
ぴんぽーん
「は、はいっ!!?」
慌ててドアを開けると、そこにははぁはぁと肩で息をつく陽くんが、いた。
航兄はバカだ、と心底思った。
あのひとに、誰より未練がある癖に。
傷付けたくなんかない癖に。
平気なフリして歩いている今も、本当はあのひとのことが気になって仕方ない癖に。
「ぁ」
「陽?」
あのひとの家を出て、少し歩いた後。
「…忘れ物、した」
眉をひそめる航兄。
「忘れ物…って、陽そんなに荷物あったっけ?」
変なところだけ鋭い航兄は首を傾げる。
そんなの、どうだっていいじゃない。
「うん、まぁ、ちょっと。僕、取ってくる」
返事を待たずに走り出した。
陽、と呼び止める声はしたが、航兄はその場で待つつもりみたいだ。
まぁ、航兄からなら足で逃げ切る自信はあるけど。
ぴんぽーん
「は、はいっ!!?」
ベルを押す頃には流石に息が切れていた。
「陽くん!?」
「ちょっと、忘れ物」
息を整えて、見上げる。
忘れ物?と首を傾げる様子が少し航兄に似ていた。
「物、ていうか、お礼を忘れてたから」
玄関に一歩入って、彼女の顔をじっくり観察する。
…目が、潤んでる。
僕が来なかったら今頃、泣いていたのだろう。
「お礼?ならさっき、こう…」
ぺこり、とお辞儀の真似をされた。
「あれは『泊めてくれた』お礼。そうじゃなくて……ねぇ」
「はい?」
「ちょっと、チョキ出してくれない?」
「えぇ?チョキ??」
訳がわからない、といった様子。
わかられてても、困るんだけど。
「うん、チョキ。僕グー出すから」
「え?え?それ私負けじゃ…」
「いいから。行くよ、じゃん、けん」
ぽん。
「こっちむいて、ほい」
ちゅ
「…」
「……」
「………ぇえぇぇええぇー!!?」
…うるさいなぁ、横向いた隙にほっぺにキスしたくらいで、そんなに叫ばなくても。
「ひっ、ひなっ、今のっ」
「今のが、お礼。『一緒に泣いてくれた』お礼」
「な、なに、なんっ」
「あ、そうだ。航兄も智兄も…ぁ、修兄も、すごくいい男だから。どっち…じゃなくて、誰を選んでも失敗じゃないよ、きっと」
彼女は果たしてちゃんと聞いているのか、口をぱくぱくさせている。
「今日は呼ばれても来てあげられないから、もう泣かないように。またね」
昨日「来ちゃった」と言ったときと同じように微笑んで、ドアを閉めた。
そう、深い意味はない。
一緒に寝たことも、手を握ったことも、キスをしたことも。
ただ、慰めたくて、慰めてもらいたかっただけ。
「遅かったな、陽」
再び走って戻ると、航兄はあのひとの家のすぐそばまで歩いてきていた。
危なかった。
「ごめん、待たせて」
「いや。忘れ物は?」
「………これ。腕時計」
「…陽さっきもしてなかったか?それ」
「…してなかったよ。航兄、歳じゃない?」
「………。さぁ、行こうか」
「航兄」
「どうした?」
いつもの笑…ていうかこれが真顔なんだけど、とにかくいつも通りの表情の航兄。
「…ごめん」
んー?と首を傾げて、僕が何に謝っているか考えているんだろう。
でも、航兄が思ってるようなことじゃ、ないんだ。
ねぇ、航兄。
僕にも、『大事な思い出』ができたんだ。
僕とあのひとの『ヒミツ』だから、航兄には話せないけど。
「謝られる理由が、よく、わからないんだけどな」
困ったような、うれしそうな、笑顔。
「別に、ただ僕が謝りたかっただけだから」
そうか、と低く呟いてまた微笑む。
深い詮索をしない航兄に、ごめん、と心の中でもう一度謝った。
ごめん、僕、あのひとの手、握って一緒に寝た。
あのひとの、ほっぺに、キスした。
「…はやく帰ろう。智兄のごはん、食べたい」
「そう、だな。『お兄ちゃんの味』だもんな」
うん、と笑って答える。
そうだ、早く帰って智兄にも謝らなきゃ。
あと修兄にも…修兄はいいか。別に。
あのひとが、僕のものにならなくて、いいんだ。
僕が泣きたいとき、あのひとが近くにいてくれれば。
あのひとが大事なひとに泣かされたとき、僕が隣にいてあげられれば。
僕はそれで、いいんだ。
fin
な、長…。
夏世っぺに甘える陽が書きたかったんだ反省はしていない。
陽は恋愛抜きにひたすら夏世っぺに甘えてほしいんだ。
起承転結?なにそれ美味しいの?
なんですかーコレは?すっげまとまってる。ちゃんと短編小説になっててしかも切ない…
もーーぐっっっじょーぶ!!
ひなたくんかわいすぎ。゜(゚´Д`゚)゜。
リアルに投下に遭遇!!
GJです!!!
ネ申よありがとう!
GJGJ!陽くん可愛い!
最後のモノローグが切なくて綺麗でした。
それにしても布団が一組しかないって美味しい設定だね…
>冷たい床で寝るのも寝かせるのも嫌だったから。
(*´Д`)
ぎゃー陽くん可愛いよ!
萌え死にました!うますぎます!
映像が目に浮かびました!
さぁ痛恨の名前ミスですよ
>>385(2/6)の一番最後、修兄→智兄に脳内修正お願いします…。
なんで間違えたんだ。
保管庫様、もしよろしければ訂正お願いします…お仕事増やして申し訳ないです。
ってもうお返事が…ありがとうございます妄想のまま突っ走ってごめんなさいごめんなさいごめ(ry
>>395 GJ!
乙でした。
それと、
>>385の「出世の」は「出生の」じゃないかなーーーと思うのですが……。
>>350 GJ!智にハートを鷲掴みにされたよ。
航に宣戦布告?する 智カッコエエ!
>>356 GJ!ほんとに修は面白いな。
自家発電用の中身が非常に気になる。妄想が膨らみます。
他の3兄弟も、修の作品(夏世出演)で自家発電するんだろうか。ニヤニヤリ
>>360 GJ!禿モエタ!
陽の目を通して語られるいつもと違う航と夏世が生々しくてエロス
>>368 GJ!微笑ましい2人だなぁ(*´∀`)
一郎と3人ってのが笑える。
一郎の眠り方こわっ
>>384 GJ!一つの布団にくるまる2人かわいい。
夏世を慕う陽かわいすぎる(*´Д`)
ほっぺにチューだけでも威力ありすぎ。
>>396-397様
うわー!!うわー!!うわー!!
出生です!明らかに!!
保管庫様…重ね重ね申し訳ありません。
>>396-397様の通り、
>>384の後半
出世→出生
に修正お願いしてもよろしいでしょうか…。
>>393様
実はその床云々の一行を陽に言わせたいが為の妄想だったりします。
陽は帰宅後航兄に「で、お前はどこで寝たんだ」と問い詰められたらいい。
皆様感想本当にありがとうございます。
今度から校正もっとちゃんとします…。
一回見直したんですがまだあるような気がしますごめんなさい。
半年ROM…ったらドラマ終わってしまうので半日ROMで許してください。
>>384-389 陽カワユス!GJ!
やっぱり布団一組ってなんて萌える設定なんだーwww
航兄、智兄うかうかしてる間に弟にアドバンテージ取られてますぜ!
修×夏世でおバカネタを投下させていただきます。
エロまでイケてません。修兄、ごめん。
ある日の午後、三日も遅れている原稿の督促に鬼娘がやってきた。
生憎、航兄は公園にスケッチに出掛け、智ぴょんは打合せ、陽君は散歩と、誰も
盾になってくれる人間がいなかった。
「あー、もう分かった。やればいいんでしょ、やれば。」
「修さん、そんな投げやりなな……先生には素晴らしい作品を描いて頂かないと
全国の花園先生の作品を心待ちにしているファンの方々に申し訳が立ちません。」
なによ、イッチョマエに俺に説教する気?と思ったけれど、悔しいかな小娘の言
う通りなので黙って目を逸らした。
俺が座っている作業机の隣に立ち、こちらに身を乗り出すかのようにしてこんこ
んと原稿の催促を続ける小娘の身体と顔が近すぎるのがいけない。
露出は少ないものの、着ているニットのワンピースは身体のラインをくっきりと
表している。
そのため、小娘が身体を揺すって話す度に目の前で大きく揺れる2つの小高い山
に、健全な男子としては、つい目を奪われてしまうのだ。
それを必死になけなしの理性で止めているのが、分からんのかね、この鬼娘がっ!
「描け、描けって言われても、インスピレーションが沸かないんだから、いくら
俺が天才でも、無理!」
辛うじてそう言ってやると、それまでぎゃあぎゃあと喚いていた小娘がピタッと
黙った。
「何よ……怖い顔をして黙っちゃって。」
「インスピレーションが沸かない、つまり『やる気が起きない』と先生は仰るん
ですね?」
「まー平たく言えば、そういう事、かな?ははは。」
「分かりました、やる気を起こさせればいいんですね?」
「何よ、何するつもり?」
やれやれと言った顔つきで軽くため息をつくと、小娘はくるりと俺に背を向けた。
そして……
「ちょっと、アンタ!何するのさ!!」
「何って、先生にやる気を起こして頂こうと思いまして……お嫌ですか?」
そりゃ、嫌じゃないけど……。
っていうか………いつからこんな大胆な事する娘になったの、アンタ?
小娘はあろうことか、なんと、俺の膝の上に座りやがったのだ!
柔らかくて丸いお尻がちょこんと膝の上に乗っかり、小娘の項がすぐ目の前にあ
りなんともいい匂いが鼻先をくすぐる。
「何考えてるのよ!アンタ!」
「だってさっきから修さん、私の話を聞かずに………胸ばかり見てらっしゃるから。」
「!!」
鈍いと思ってたら、気が付いてたのかよ!
「だから、原稿を仕上げて下さったらご褒美を差し上げようと思って……。」
そう言いつつも夏世っぺがゆっくりと俺の右手を両手で包みこむように掴むと、
彼女の豊かなバストのすぐ真下辺りに導いた。
「!!」
「……触りたいんでしょ、修さん?」
少しかすれ気味の声で、耳元に吐息をかけられながらそう囁かれると、全身にゾ
クゾクと電流が走った。
ぬおぉぉぉ!
おっぱいだぁ!!
「な、何をバカな……俺、アンタになんか、きょ、キョーミな、ないから。」
「あら、じゃあこの私のお尻の下に当たるカタイものは、何ですか?」
「そ、それは………。」
実際、膝に座られた時点で反応してしまった俺のムスコが、夏世っぺの、下側と
はいえおっぱいに触れた事により、更に大きく反応していた。
「痩せガマンは身体によくないですよ……修さん、私の胸、触りたいんでしょう?」
はい、出来ればそれ以上のアンナ事やコンナ事もお願いしたいと考えてます。
そう口に出しては言わなかったが、代わりに喉をゴクリと鳴らした。
夏世っぺは俺の心を見透かしたかのように、普段見せたことのない妖しい微笑み
を浮かべるとこう言った。
「じゃあ、商談成立ですね。原稿を仕上げて下さったら、ご褒美に……触らせて
さし上げます。それも服の上からじゃなくて、直接。」
「生おっぱい!!」
「ええ、生です。」
そんなビールみたいに!
いいのか、夏世っぺ!?
「ただ、皆さんが帰って来られると修さんも困るでしょうから、お戻りになる前
に仕上げて頂かないと……。」
「わ、分かった、夏世ちゃん!俺、ガンガル!!」
「はい、お願いしますね。修さんは天才なんだから、お出来になりますよ。」
「う、うん。」
「じらさないで下さいね。火を点けたのは……修さんなんですから。」
「お、俺が!?夏世っぺに!」
「そうです、修さんの視線がいけないんです。ね、だから早く……お願い。」
そう言って髪を掻きあげながら、鬼娘は妖艶に微笑んだ。
***
「……修さん、修さんってば。起きて下さい!」
「ん……あ?」
「なんで寝てるんです!?原稿真っ白なままじゃないですか!もうヒドイです!!」
目を開けると、何故だかぶうぶうとむくれている、いつもの小娘がいた。
へ?
何?
「やる気が起きないから、たい焼き買ってこいって買いに行かせておいて、昼寝
なんてひどいです!」
「たい焼き……俺が?買ってこいって?」
「覚えてないんですか!もう!信じられない!」
確かに椅子にもたれて爆睡していたらしい。
原稿につっぷさなかったのは流石に俺の見上げたプロ根性と言うべきか。
それはさておき、膝や手に感じたあの柔らかい感触も、鼻先をくすぐられた匂い
も全て夢だったらしい。
誠に残念無念。
通りで随分話がウマすぎると思った。
目の前で頬を膨らませ、怒っている鬼娘に目をやりながら心の中で思った。
(ま、こういう時の顔も悪くはないんだけどね。)
とりあえずさっき見た夢は、後で忘れないうちに描いておこうとこっそり思った。
もちろん、見れなかった続きまで。
了
何人かの神様方もそうとお考えだと思いますが、修兄のキャラってどうしても
イジラれやすいイメージが(汗)。その結果、妄想夢想男になってしまいます。
これじゃあ単なるアブナイ人だよ。
次男ファンの方、すみませんでした(つД`)
>407
生ビールワラタw修かわいいよ修
そういえば次男の人は三男の人よりも背が低いのに
足が長いらしい(つまり意外とスタイルがいい)から、
OPみたいなきちんとした服装で足を組んで考え事をして
いる姿にちょっとドキッとしてしまう夏世っぺとか思い浮かんだ
GJ!ワロタw
中の人の演技込みで想像できるw
妖艶な夏世っぺ萌えます
夏世×修ってのもいいですね〜
>407
GJ!
朝から良いもの読ませていただきました〜
やっぱり修兄には妄想が似合うよなw
>>407 ガンガルと生にワラタw
攻める夏世も萌えるね!!
神様ありがとう〜!!
すごくイメージが沸きました♪
早く火曜が来ないかな…
皆様、GJです、ってか、GJの嵐ですね、ほんとーに。
陽くんの株急上昇で、いろんな想像ができますね。
未熟者ですが、ちょっとした小ネタを考えました。
SSにならないのですが、おひまつぶしになれば幸い。
夏世のオフの日に、三男と四男がインフルエンザで倒れてしまい、
献身的に看病する夏世と、甘える陽の様子を目にした兄二人の、
仕事場での会話 と思ってください。
「兄ちゃん。俺思うんだけど……」
「なんだ?」
「夏世っぺってさ、通い猫みたいだよな」
「……なんだそれ」
「だからさ、最初は野良猫がいきなりウチに餌もらいに迷い込んできて
ウチのなかめちゃくちゃにひっかき回して、
叩き出してやりたいと思ったこともあるけど」
航の頬がふっと緩む。
「向こうは、餌もらえるのはウチだけだと思って、必死だっただろ?
しかたなく餌やってるうちに、つい情がわいてきたっていうか、
いつのまにか、ちゃっかりウチに居ついちまってんの。
からかって遊ぶの楽しいし、あれでもそれなりにかわいいとこあるし」
「それなりにって、修……」
「まぁ、要するに夏世っぺは今、ウチの通い猫状態なわけだ。
だけど、ほかの作家も担当するっていったら、
これからは餌がもらえるのはウチに限らなくなるわけだろ?
いずれは、ウチに寄りつかなくなるかもしれないな〜」
航の表情がかすかに揺れたように修は思った。
「陽くんがあんなに懐く相手なんて、そうはいないだろ?
陽くん思いの俺としても、通い猫の夏世っぺを手放すのは、非常に惜しい。
で、
いっそのこと、ウチで飼っちゃったらどうかと思うわけだ、うん」
「飼うっておまえ……月山さんを」
「そ。
通いじゃなくてココに住まわせる。役所にも正式に届けを出すわけだ」
「……」
「ま、問題は、飼い主を誰にするかってことかな。
あ、俺はイヤだぜ、美那絵さんと夏世っぺじゃ、月にすっぽんだからな。
兄ちゃんにその気がないんなら、智に頼むか。
なんだかんだ言って、喜んで受けそうだけどな、智のヤツ」
「……」
「というわけで、考えといて、航お兄様」
「修、ちょっと……」
「あ、俺、陽くんの様子見てくるわ」
取り残された航兄……
さてどーする?
以上でございます。オチなしで申し訳ありません。
いつか、ちゃんとしたおはなしに仕上げられたらいいのですが
できるかどうか……。
あ、すみません、タイトルつけるの忘れていました!
「仕事部屋にて」くらいになるのかな……
中途半端な上に、重ね重ねごめんなさい。
>>417 GJ!!
凄く良かったです。猫っていう例えもピッタリだね。
航兄がどうするか続きが気になる。
ここのスレ見てるとどのキャラクターも愛されてるな〜って感じる。
ほんと、みんなに幸せになってほしいよね。
>>417 修兄、素晴らしい!いい仕事したね〜。GJ!
ダークホースとして陽君という選択肢もあり?
きっと布団から手を出して
「寝るまで手を握っててね。何処にも行っちゃヤダよ。」
「はいはい。何処にも行かないから、早く治そうね。」
「うん。」
等と可愛く迫って(意識無意識はともかく)るんでは?
智兄は智兄で
「汗かいたからパジャマ着替えるの手伝ってよね。何恥ずかしがってんの?」
等とこちらはこちらでセクハラと色仕掛けギリギリの手練手管を熱があっても駆
使しそうww
航兄、ガンガー。
>>418 本当にここ素晴らしい職人様&住人の方ばかりで、四兄弟もガッサンも田中ちゃん
も亮子さんも石仏ジーサンズもみんな愛されてますよねー。
そして『甘いもの』にGJ下さった方々ありがとうございました。
妄想の似合う男、修兄。また書きたいと思います。
8話の最後が辛すぎたので、このスレで幸せを補充していたら、
なんだかんだで航兄夏世っぺ仲直り→なんだかんだでケコーン→シュサーンと
脳内でめでたく女の子が誕生してしまいました。
今ではドタバタ育児コメディーが繰り広げられています。
本当にありがとうございました。
火曜日まであと2日・・・その間に小学校入学くらいまでいってしまいそうだ。
421 :
智夏に萌える陽:2007/03/04(日) 18:49:16 ID:LicWFido
神のみなさま、もう全てにGJの嵐ですぅ〜!!!
>>389 の陽の余韻が残ってるのに投下するのはどうか、と思ったのですが、
一本思いついたので投下させて下さい。
夏世と智が部屋でエロい事をしてて、それを智の部屋へ行こうとした
陽が聞いてしまい、という内容のお馬鹿なギャグです。
シリアスが好きな方、馬鹿話が嫌いな方は、スルーでお願いします。
422 :
智夏に萌える陽 1:2007/03/04(日) 18:52:08 ID:LicWFido
あの人が来ているのは、玄関にあるパンプスのせいで、知っていた。
でも、姿が見えない。きっと資料室か仕事部屋にでもいるんだろう、
くらいに思っていた。
次のネームの締め切りを確認するために、智兄の部屋に行こうとして、
僕はドア越しに聞いてしまった。
「・・あ・・・はぁぁっ・・・」
押し殺したあの人の喘ぎ声を。
いくら僕が、多少ひねたガキだったとしても、人として立ち聞きが悪い
という事くらい、知っている。ましてや、それが兄弟のだなんて。
でも、それ以前に僕は18歳の健全な男でもある訳で。
当然、僕の体はヤモリのように、ぴたっと智兄の部屋のドアに
張り付いた。
「あ・・・ん、あ・・」押し殺したあの人の声。
「どうした、痛いか。止めてもいいんだぜ。」優しく気遣う智兄の声。
へえ、ああいう事って、途中で止められるの?すごいな、智兄。
「いいえ、大丈夫です。智さんに任せるって決めたんです。
初めてって訳じゃないし・・・ だから、最後まで、して。」
あの人の可愛いらしい最後の「して」に、全身に甘い衝撃が走った。
これが、萌えって奴かな。
・・・・・
「あ、ふふふ、いやあ。くすぐったい、智さんってば。」
さっきまで緊張して強張ってるみたいだったあの人が、リラックス
したようにくすくす笑い出した。智兄が、あの人の緊張を和らげようと、
あらゆる手管を駆使しているようだ。
「ほら、動くなよ。動くとうまく入らないだろ。」
落ち着いて、冷静な智兄の声。
「でも智さんったら、上手なんだもの。びっくりした。」
リラックスしたあの人の声。
「気持ちいいか?」「ええ、とっても。」
「あ、ああっ。つっぅ、いたっ!あ、ううっ・・・ん」
「久しぶりで痛かったら、もっと声出して良いんだぜ。無理すんな。」
ま、まずい。僕も声出そう。僕はごくりと唾を飲みこんだ。
と、はああ〜〜〜とあの人のため息が、ドア一枚隔てたこちら側にも、
響いてきた。
「良かったか。」優しい智兄の声。
「ええ。」と素直に答えるあの人に
「だろうな。こんな大きいのが入ってたんだぜ。」
「いやあ、智さんの意地悪。」恥らうあの人の声。
「ほら、よくその目で見てみ。これが、ここに入ってたんだ。」
「いや、それ以上、言わないで。恥ずかしい・・・」
「駄目だ、よく見るんだ・・・言ってごらん、こんな大きいのが、
私の中に入ってましたって。」
「いやっ、もう。智さんのばか・・・」
ドアを隔てていても、あの人の恥じらいが手に取るように、伝わってくる。
「これを、羞恥プレイというのだよ、陽くん。」押し殺した修兄の声。
「うん・・・って、ええ???」
いつの間にか、修兄までピタっとドアに張り付いていた。
「し、ばか。二人に聞こえちゃまずいだろ。」
慌てて、修兄が僕の口をふさいだ。
「さあ、もう一つの穴も見せてよ。」
「ええ?!そ、そんな・・・いや。」
「駄目だよ。今日のうちに全部してしまう約束だろ。」
「じゃあ・・・ あの、智さん?」
「うん?なんだ。」
「あの、こっちも優しくして、ね?」
「分ってるよ。さあ、今度は体をこっちに向けて。」
「でも・・・なんだか怖くなってきました。」
「大丈夫、優しくするから。」
「約束、よ?」
ドアの向こうでは、まだ未経験であまり知識もない陽が
『もう一つの穴』の正体に悩み、修は『またかよ!?』と
智の絶倫ぶりに嫉妬を感じつつ、悶えていた。
・・・
「どうだ?」
「こっちも、気持ち良いわ。ふーっ。」
「自分でするのと、誰かにしてもらうのと、どっちが良い?」
ええ、智兄ってば、なんて下品な事を!でも、僕も聞きたいや。
「智も無粋な事を聞く奴だな。」
「ほんとですよねえ、航お兄様・・・って、うおっほーい!!」
修兄が口に拳骨を突っ込んで声を殺しながら、目を白黒させた。
「航兄、い、いつから?」いつの間にか、航兄まで加わっていた。
「2回戦突入くらいから、かな。」航兄は、にこやかな顔の中に
般若の相を浮かべ、腕組みしながらドアに寄りかかって、
中の様子を聞いていた。
「い、いいの?」僕はあまりの展開に、眩暈を感じながら航兄に聞いた。
「良いも悪いも、まずは事を済ませてもらわないと、な。いくら兄弟でも、
踏み込んで良い領域とそうじゃないものとがあるんだよ、陽。」
きっぱりと言う航兄。
って事は、情事に踏み込むのは兄弟でもタブーだけど、聞き耳を立てるのは、
オッケーって事なの。
よくわかんないや。
そんな兄弟3人の葛藤にお構いなしに、ドアの内側から、あの人の返事が
聞こえてきた。
「うーん。そうですね。自分でする方が慣れてますし、感覚とかも
つかんでるし、第一してくれる人も、ずっといなかったし。だから、
1人でする方が、わたしは好きです。」
大胆なあの人の答えに、ドアのこちら側で聞き耳を立てていた僕達全員が、
のけぞった。あの人が、1人であんな事やこんな事を!?僕は、ちょっと
エッチな想像をしてしまい、顔が赤くなってしまった。そんな僕を、
航兄がギロリと凄い目で睨んだ。
「あ、でも、智さんにしてもらうの、好きです。智さんって、本当に
上手なんですもの。もう、蕩けそうです、わたし。」
あの人が智兄のこと、上手で蕩けそうになると褒めたのが聞こえた瞬間、
航兄がぐっと拳を握り締めるのがわかった。こ、怖い。
修兄の方を見ると、修兄もぼくの方を助けを求めるように見ていた。
『ヤバイよ!!航兄、キレたよ!』
『うんうん、一刻も早くこの場から逃げ出したい!』
僕と修兄が、目と目で会話していると、中から智兄の間抜けた声が
聞こえてきた。
「あ、やべえ。ティッシュが切れた。おーい、陽。陽、いないかあ!」
なんで僕?!修兄の方を見ると、顔を不自然に逸らして僕と目を合わさない
ようにしている。仕方なく僕は、恐る恐る航兄の顔を見た。
航兄は般若のような笑顔で頷いた。返事、しろって事?
僕はそっと足音を忍ばせ、少しドアの前から遠ざかり、それから
わざとパタパタと足音を立てながら「智兄、呼んだー?」と
ドア越しに声をかけた。修兄が口だけグッジョーブ!と動かし、
僕に向かって親指を突き立てている。
「陽、悪いけどティッシュの箱、持ってきてくれないか。今、ちょっと
手が離せないんだ。」
僕は返事をする前に、航兄の顔を見た。同じく般若の顔で頷く航兄。
「わかった、ちょっと待ってて。」僕は返事すると、リビングの
テーブルにおいてあったティッシュの箱を掴んで戻ってきた。
そして「智兄、開けるよ。」と声をかけ、意を決してドアを開けた。
その目に飛び込んできたのは、あの人に膝枕をしてやりながら、
耳掃除をしている智兄の姿だった。
・・・そうか!もう一つの穴って、そういう事だったのか!
僕は自分の勘違いと謎が解けたうれしさに、修兄の方を振り返ったら、
いつの間にか修兄も航兄も、姿を消していた。は、早っ!
片岡家は、今日も平和です。多分。
神さまがたくさん降臨される中、エロパロ版おなじみの『耳掻き』ネタ、
花園バージョンで作ってみました。
お目汚しで、すんません。ちょっと逝ってきます orz
ちょw陽カワユスGJw
でも本編で智兄が夏世っぺにひざ枕耳かきしてたらそれだけで十分萌える希ガス…
智にそこまで気を許しちゃう夏世を本編で見れたら幸せだなぁ(*´∀`)
ヤキモチ焼く航兄もイイヨー
>>426 途中で感づいてしまったが十二分楽しませていただいた!!
三男、確信犯か…!?
GJ。
仲良さそうな2人が見れて良かった。
本編では、あまり感じないから。
431 :
417です:2007/03/04(日) 21:32:06 ID:uxCc4nfJ
>>418 猫のたとえ、お褒めいただき嬉しいです。
航兄のその後、いずれ書けたらいいんですが、
いつまでも自分を抑えてないで、決めるときゃバシッと決めて欲しいです、航お兄様!
>>419 陽くんや智兄の甘えっぷり、ホントありそうですね。
そのあたりも書きかけたけど、まだまとめきれません。
修兄の妄想って、いっつもほんとーにリアルに想像できるのが笑える。
次回作も楽しみにしてます!
>>426 そうきたか……。笑かしていただきました。
智兄、わざわざもって回った言い方しちゃって、ぜったい確信犯ですね。
航お兄さま、リベンジしてやってください(笑)
いろんなキャラのストーリーがたくさん読めて、ほんとに嬉しい。
火曜日がすっごく楽しみで、ちょっと怖い今日この頃……。
432 :
426です:2007/03/04(日) 22:40:30 ID:JMZUDWOx
感想下さったみなさん、ありがとうございます。
はい、智は確信犯で、ノリノリできわどい会話を楽しんでました。
夏世はそんな事知らずに、素直に耳掻きしてもらってました。
>>431 航お兄さまのリベンジですか(笑)航兄の部屋の前で陽が中の情事っぽい様子
に気付き、そこに通りかかった智が「おっ、また耳掻きしてんのか♪俺の真似
しやがって」とうれしそうに言いながら「おーい、航兄、そのネタ古いって。
もう誰も騙されないぜ。」と言いながら、ドアをガチャッ、「あっーー!!」
本当にしてた orz 見たいな?
やばい、妄想が止まらないw
>>431 病気看病ネタは愉しいですね〜。こちらも航兄の次の行動に禿しく期待してます。
>>432 えェェェェェェ―――(゚∀゚)―――!!
航兄様、そげなことを。
まぁ素敵w
妄想たのすぃっすねw
火曜日まで皆さんの作品で萌えを補完して待てます。
ありがとうございます。
>>401 GJ!
修の妄想モエス!
妄想の夏世も萌えるし、むくれている夏世もカワイス。
>>414 GJ!
修の例えがカワイイ。
夏世は誰の猫になるのかな。
>>422 GJ!途中までだまされた。
耳掻きの妄想、エチの妄想をそれぞれ両方ともして萌えたよ。
ノリノリで会話を楽しむ智モエス。
みんなみんなGJだ!
ドラマが辛い展開中な分だけ、幸せな話に癒されます。
耳掻きロマン〜!
夏世っぺにしてもらうってのもいいな。
耳掻き片手にソファーで「どうぞ」と夏世っペが手招き、どうする?
1.照れて固辞する
2.「怖くてアンタに任せられるか」と幸せをフイにする
3.ちゃっかり膝枕の幸せを享受する
4.3を選ぼうとするが、兄に睨まれて断念
3を選ぶことができたツワモノには、反対側の耳をやってもらう際
お腹側に顔を向けてもらうことを強く推奨します
>>435 4宅禿ワラタ
3を選び、かつお腹側に顔を向けたツワモノは、その後航兄にトイレに呼び出しをくら
いそうw
きっと微笑みながらDV?
ついでに妄想。
「膝枕してくれたお礼に、今度は僕(または俺)が腕枕をしてあげるねw」
やっぱコロサレる?
だって、航兄様絶対膝枕固辞するくせに、弟達がやるとキレる映像しか浮かんでこ
ないんだもん(つД`)
その四択そのまま兄弟生まれた順だと思われw
ガンガレ4!
438 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/05(月) 08:58:12 ID:5dZpQ+3n
>>426 GJでした〜。おもしろかったw
智と夏世って、年齢もちかいし、じつはいちばんフツウに気が合いそう。
恋愛関係より、本当に気のおけない友達って感じで。
智みたいな男友達って、楽しいし。
耳かきエピはまさにそんな感じがいたしました。微笑まし。
>>436 いや、自分は長男のDVはまったく想像出来ない。
長男は、あくまで穏やかでキレるってイメージ。言葉攻めって言うか、ネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチネチ言いそう。姑みたいに。
夏世受けのサイトが意外に多くて驚いた。
ただ、エロはここでしか読めなかった。
職人様毎回GJですb
441 :
426です:2007/03/05(月) 12:45:32 ID:rCRCMB2n
>>436 耳掻きと膝枕のお礼に、智と陽が夏世に腕枕するシチュ、使わせて下さい!
なんか、また一本アホな事、書けそう。でも実は今、私、病院に入院中(−−;
退院前に書きあがれば、投下します。何やってんだか>自分
>>441 入院かぁ…
明日は放送日だ、それ見て元気だせ。
もちろんssも楽しみにしてまつ。
7話での「ファイト」にやられて、航×夏世いち押しなのに、
陽×夏世(陽→夏世?)をずっと妄想し続けてまいりました。
エロは書けませんが、そんな妄想を書き出してみました。
うまくなくてすいません...
「...ファイト」
「(えっ!?)...ありがとう!がんばる!」
恥ずかしくて...ぼくはあの人の顔を見ながら言えなかった。
でもあの人のとても嬉しそうな返事に、ぼくは顔を上げずには
いられなかった。
そこには、とびっきりの笑顔であの人がいた。
ぼくの一言で、こんなにステキな笑顔をしてくれたんだ。
その時、ぼくは心の中で、何か暖かいものを感じていた。
いや、それは後から考えたらそうだったんだと思う。
気付いたらぼくは、あの人に顔を近づけていたんだ...
CHUッ☆
「...!? ひひひひ、陽くんっ!?」
「ほら、早く戻ろう!」
そう言うとぼくは、あの人の手を掴んで小走りに走り出した。
「ちょっと待ってよ〜、陽く〜ん!」
あの人が何かいろいろと叫んでるみたいだったけど、ぼくには
何も聞こえてなかった。
ああ、聞こえていたのは自分の胸の鼓動だったかな...
もう書くのも初めてなんで、こんなものですいませんです...
先週の「来ちゃった!」で妄想に歯止めがきかなくなりそうですw
いろいろと妄想はあるんですがね〜...
いかんせん文章力が足りないもので。
職人さん方にはいつも楽しませていただいております。
このスレに出会えて、ほんとうによかった!
そして
>>441さん
どうぞお大事に。無理はしないでくださいね。
自分も入院経験あるけど、10時台のドラマを見るのは大変じゃ
ないですか?
>>441 耳掻きネタGJです!
>>429氏と同じく途中で気付いてはしまったけど
だからこそより一層楽しめたww こういうの弱いです。
夏世っぺ天然過ぎだよ! そして般若の表情の航兄がすげえ好き。
新作楽しみにしつつ、どうぞお大事に〜
>>446 陽くんカワイイ、GJ! チュッてどこにしたんだろうw
最近の陽は、変な言い方だけど夏世に「懐いてる」って感じがして
ほのぼのするわ〜
放送日前日のどさくさに紛れて投下。三男×夏世のエロ無しです。
「いたっ」
片岡家のリビング。
智さんと打ち合わせをしていた私は、話の途中で唇を切ってしまった。
「ぁー…やっちゃったね」
智さんは「ここ」と自分の下唇の右側を指した。
「…乾燥するとダメなんです、またやっちゃった」
指を強く押し当て確かめると、薄くグロスの跡がついただけで、出血はしていないようだった。
「大丈夫?血は?」
痛い?と覗き込まれる。
眉間に皺を寄せた、真面目な顔で。
「だ…大丈夫」
不意に、胸が詰まった。
唇を、真っ直ぐに見つめられて。
「ったく…ちゃんとビタミンとってるの?」
智さんの気遣いも耳に入らない。
私は、あのときの、智さんとのキスを思い出していた。
「あんたも女の子なんだから…ねぇ聞いてる?」
「え、あ、はい」
…本当は聞いてませんでした。
智さんはふーん、と呆れるように言って、立ち上がった。
何を思い出していたか気取られたら…と鼓動が速まった。
「体調、悪いんじゃないの?顔赤いし」
棚の前まで移動した智さんは引き出しをごそごそと探っている。
「ほ、ほんとに大丈夫…です」
顔が赤いのは…体調のせいじゃないですから。
「そう?…お、あった。うちは陽がよく口切るからねぇ」
振り返った智さんは手に小さな薬のチューブを持っていた。
「薬?」
「そ、口の傷の。ってことで、失礼します」
ぽすん。
智さんは、私のすぐ隣に座った。
「さ、智さん?」
その不自然な距離と自然な態度に戸惑っていると、彼はチューブの中味を自分の親指に押し出し始めた。
そして。
「動かないで」
「えっ」
手が、すっ…と、動いた。
冷たい何かが、唇に、触れて。
傷が、外から濡れる感触。
やがて、温かい親指が、それを塗り広げた。
温かい、智さんの、親指が。
淡い、痛みと、甘い、痺れを、感じた。
「…っ!!」
「はい、終わり」
にこ、と微笑まれる。
「さ、さと…っ」
耳が、頬が、なにより唇が、熱い。
心臓がばくばくしている。
「…うーん」
透明な薬で光る智さんの親指。
その先端が、智さんの唇へと移動した。
「な、なにしてるんですかっ!?」
「まずい」
べ、と舌を出す。
「あ、当たり前です!!薬ついてるんですから…」
わたわたとしながら文句を連ねたのに、智さんは全く聞いてくれなくて。
「まぁ、いいからさぁ」
一体なにがいいのでしょうかと考えた直後。
智さんに、顎を掴まれた。
身動きをとれずにいると、彼の顔が近付いてくる。
どうしよう、
やっぱりキスされる。
咄嗟に目をつぶってしまった私の唇に触れたのは、智さんの唇…ではなかった。
目を開くと、傷の上をいたわるように撫でる、さっきと同じ親指が見えた。
近付いてきていた智さんの顔はというと、私の耳元に落ち着いていて。
「はやく、治しちゃってよ」
低い声で、囁かれる。
「薬の味、邪魔」
唇の輪郭を、なぞる指。
甘過ぎる、誘惑。
「あんたの唇の味、嫌いじゃなかったから」
ねぇ、智兄。
智兄とあのひとがどんなことをしていても、僕は構わないよ。
ただ、うちの間取りを、忘れないでほしいんだ。
そして、気付いてほしいんだ。
仕事部屋から、リビングにいる智兄とあのひとは丸見えだということ。
仕事部屋には、僕と修兄と航兄が、いつも通りにいること。
航兄が、あのひとの唇に触って顎を掴んで抱き込んでなにかを囁いている智兄の様子を一部始終観察していたこと。
航兄が、この世のものとは思えないオーラを発していること。
その影響で、修兄が、レイチェルにぎゅっと抱きしめられているような顔をしていること。
ねぇ、智兄。
僕、自分で使った食器は自分で下げるようにするから。
お願い。
そういうことは、自分の部屋でしてください。
…ぁ、修兄、倒れた。
余談。自分
>>375=
>>379なのですが、宿泊先テレビありました!!フジ映ります!
予告みてテンション上がっての妄想でした。
明日も気合い入れて観賞します。お目汚し失礼しました。
451 :
450:2007/03/05(月) 22:26:03 ID:nBExpsK+
452 :
436です:2007/03/05(月) 22:26:45 ID:eNGeRrEf
>>441さん
膝枕ネタ、どうぞ、どうぞ。
そして入院中とのことお大事になさって下さい。
>>448-449 GJ!
充分エロいっす。
そして緊張感に耐えられず倒れた修兄に幸いあれ。アーメン。
>>448 お疲れさまですorz
オモシロ!!!
アノスケスケニ見えちゃうのは絶対活用されるべきだよねw
>>航兄が、この世のものとは思えないオーラを発していること。
-想像できるwww
まさしくラブコメ!!!
仕事部屋の3人に強く萌えましたww
>>448 GJ
陽モノローグ終わりって斬新で萌えた
この展開は本当にあってほしいな
>>447 ありがとうございます。
CHUッ☆はもちろん唇に...
「懐いてる」って、すごくいいです!
陽くん、ほんとうにカワイイ。
自分の妄想だと、どんどん切ない方向へ行ってしまってるので...
もう少し明るい妄想をしてみますw
「来ちゃった!」が楽しみで、先週からドキドキです!
>>448 GJ!
エロなしなのにエロかったです!智兄だからこそのエロさだろうねw
最後の陽の語りが凄く良かった。
>>441 くれぐれもお大事に。
>>446 初めての投稿ってドキドキしますよね。
明日は陽くんのどんな表情が見られるのかな?
>>448 いや〜、こーゆーときの航お兄様には近づきたくないっすね。
レイチェルにぎゅっと抱きしめらているような修兄の顔……
想像つかなくて笑えました。修兄、ご愁傷さま。
このあと、航お兄様がどのよーな行動をとるのか、とっても気になります〜。
保管庫様仕事が早いですね
いつもありがとうございます
しかしこのスレの神々の投下ペースは凄まじいなww
自分も何度か投下した事があるが、最終回までにどんな事になるのか楽しみだ
>>448 GJ。
エロなしなのに、ドキドキしたよ。
智が意味深なんだもん。
陽の語りも良かった。航兄〜w
>>448 GJ!
キスよりも萌えるよこれは。
また、航が見てしまうのがイイ。
夏世、航、智の微妙な三角関係がたまらない。
>>453 >アノスケスケニ見えちゃうのは絶対活用されるべきだよねw
禿同
他にも活用方法として
・ 陽君が、夏世っぺの髪に絡まったネックレスの留めがねを、項の髪をかきあげ
ながら直してあげてるの図をペンが折れよとばかりに握りしめながら見てる長男。
・修兄が夏世っぺをからかって大はしゃぎしながらリビングを追いかけっこして、
最後手を取り合っている(何気に修兄と夏世のスキンシップシーン多いし)仲睦まじい様
子を、やはりなで肩イカラセテ憤怒の顔で見つめる長男。
とか?
嫉妬にかられて我を忘れる航兄様が観たい(*´∀`)
いよいよ今夜。楽しみだな〜
萌え陽くん早く見たい〜
インフルエンザにかかった智と陽を夏世が看病したときの
兄二人の小ネタを書いた者です。
その後の航兄を妄想してみました。
放送までのひまつぶしになれば幸い。
464 :
陽の病室で:2007/03/06(火) 10:52:23 ID:+UcmTmWc
なんとか間に合った……。
少し明るくなり始めた空を見ながら、航は安堵のため息をついた。
ほとんど抜け殻と化した修は「兄ちゃん、俺、寝る」と言い残して、自室に戻っていった。
いつもなら、スクリーントーン貼りやベタ塗りを手伝ってくれる智と陽は、
インフルエンザでダウンしている。
高熱にうなされる弟たちが気がかりでしかたなかったが、
幸い、夏世が久々の休みを返上して二人の看護をしてくれた。
この危機的状況に、修と二人だけでなんとか締め切りを守ることができたのも、
夏世のおかげだ。
「せっかくの休みを台無しにしてしまったな」
なにかお礼をしなくては、と思いながらも、具体的な方法が全く思いつかない。
徹夜続きの頭だ、マトモに動くはずもないな、と苦笑して
コーヒーでも飲もうと航はキッチンに向かった。
ふと見ると、玄関に夏世のパンプスが。
月山さん、まだ、ウチにいるのか?
ゆうべ、夕食に美那絵の特製弁当を届けてくれたとき、
「陽くんたちの様子をみて、適当に帰りますから」と笑顔を見せていたが……。
慌ててリビングをのぞいたが、人影は見当たらない。
だとすると、陽か智の部屋にいるのだろうか?
病臥しているとはいえ、智の部屋に、夏世と智が二人でいるところを見たくない。
そんな想いが頭をよぎる。
航はとまどいを振り払って、陽の部屋のドアをそっとノックした。
返事は、なかった。
※
「失礼」
声をかけてそっとドアを開けた航は、目の前の光景に胸が騒いだ。
熱にうなされていた昨日と同一人物とは思えないほど穏やかな陽の寝顔。
ベッドに寄りかかるようにして眠っている夏世の横顔。
陽の右手が掛け布団の端からのぞき、
夏世の小さな左手が、その手をしっかりと包んでいた。
仲の良い姉弟のようなこの姿を見て、穏やかでいられないのは何故だろう。
これは、嫉妬、だろうか……?
陽が病気になったとき、陽の手を握ってやるのはいつも航だった。
その役目を夏世に奪われたのが妬ましいのか、
それとも、ひと晩、夏世に付き添ってもらった陽が羨ましいのか。
ともかく、このままにしておくのはマズイ。
そう判断した航は、陽を起こさないように注意しながら、二人の手を離させた。
そして、かがみこんで夏世の耳元で囁いた。
夏世愛用の香水が、航の鼻腔をくすぐる。
「月山さん、あなたまで風邪を引いてしまう。
早く家に帰った方がいい。それとも、ゲストルームで休みますか」
けれども、夏世は熟睡モードに入っているらしく、
ピクリとも動かない。
ためらった挙句、夏世の肩を優しく叩きながら
「月山さん?」と何度か声をかけるうちに、
夏世はうっすらと目をあけた。
「ん……わたる、さん……?」
初めてだった、艶めいた声色で名を呼ばれたのは。
思わず硬直してしまう航。
けれど夏世は、すぐに目を閉じてスースーと寝息を立て始めた。
……寝ぼけていただけか……。
がっくりと力が抜けた。
航は夏世から手を離すと、そばにあったスツールに力なく腰を下ろして嘆息した。
なんで、こんなことでいちいち混乱しなくてはならないんだろう。
これまでは、兄弟のことだけ、花園ゆり子を守ることだけを考えていればよかったのに。
ふと、「通い猫の夏世をウチで飼っちゃったらどうか」
という修の戯れ言が思い浮かんだ。
修の言うとおり、このひとには猫みたいなところがある。
愛らしくてしなやかで気分屋で、甘えん坊なところもあって、
いつのまにか俺たちにすっかり懐いてしまった。
俺たちの方が馴らされてしまったのかもしれないけど。
このひとがここにずっと居てくれたら……
望んだことがないと言ったら、嘘になる。でも。
智は、このひとを大切に想ってる。
遊んでばかりいた弟が、このひとのことは本気で想っている。
それがわかっているのに、俺がこれ以上深く関わるわけにはいかない。
でも、だからって、切り捨てられるのか。
いつのまにか、俺の心の中にしっかり居ついてしまったこの人を。
智に、この笑顔を委ねることができるんだろうか。
笑顔で見守ることができるだろうか、智とこの人の幸せな姿を。
ほんとうに、このひとが来てから、なにもかもめちゃくちゃだ。
↑ 2じゃなくて3でした。すみません。
※
「航兄」
か細い声で呼ばれて、航ははっとした。
「起こしちゃったのか。大丈夫か、陽?」
「うん。熱が下がって楽になった」
「薬で下げてるだけだから、当分は無理しちゃだめだぞ」
「仕事は?間に合った?」
「心配するな。ちゃんと仕上げたよ」
「そっか……よかった」
「だから、安心して休んでろ」
いつもの優しい笑みを浮かべて、布団をかいこんでやる航。
「航兄、ごめん。僕、ひと晩この人独占しちゃった」
「迷惑をかけちゃったな。
治ってから、ちゃんとお礼を言うんだぞ」
航の声は少しも動揺を見せない。
でも、陽の言葉をかわしているのはまちがいなくて。
「いっそのこと、ずっとここにいてくれればいいのに」
「陽」
「知ってる?この人ってさ、結構ひとりごと言うんだ。
僕が眠ってると思い込んでたらしくてさ、
僕の顔見ながら、口元が航さんに似てる、なんて言って喜んでんの。
航さんも陽くんみたいに、言いたいことぶつけてくれたらいいのに、なんて
寂しそうに言ったりして。
ほんと子どもみたいでさ、寝たふりするの大変だった」
航はわずかに視線を落としたまま、何も言わない。
その表情からは、さすがの陽も何も読み取ることはできなかった。
陽は、その苛立ちを兄にぶつけた。
「ねぇ、わかってるんでしょ、このひとが航兄のこと……」
「陽。今は余計なこと考えてないで、ゆっくり心と身体を休めるんだ」
「ねぇ航兄!
田中ちゃんに言ったんだって?
家族を守るために
他の人たちを傷つけていいってことにはならないですよね、って。
今の航兄は、あいまいな態度で、このひとのことを傷つけてる。
このひとだけじゃない、智兄のことだって」
「陽。月山さんが目をさましてしまうぞ」
「お願いだから、自分の気持ちをおし殺すのはやめて。
航兄が自分の幸せを犠牲にして僕らを守ってくれたって、僕、全然嬉しくない。
航兄がそんなんじゃ、修兄も智兄も、自分だけ幸せになんてなれないよ。
だから」
たたみかけようとする陽に、航は言い聞かせるようにゆっくり言った。
「俺は、自分を犠牲にしてるだなんて、思ってないから」
「航兄!」
眉をひそめる陽の頭に、航はそっと手を置いた。
「……考えてみるから。
だから、少し時間をくれないか」
「……考える?」
「……あぁ。みんなにとって、どうするのが一番いいのか。
俺たち兄弟のこと、花園ゆり子のこと、画のこと、それから
……このひとのことも」
「……うん」
「じゃ、もうお休み。
何か食べたくなったら知らせろよ。
月山さんが、ホテル特製のおかゆや雑炊スープ、持ってきてくれたから」
「……このひと、ようやく自覚したんだ、自分の料理の腕」
それには応えず、航は陽に微笑みかけて頭を撫でた。
陽も航に笑みを見せてから、目を閉じた。
「お休み、航兄」
※
あとは、ベッドに寄りかかったまま眠っている夏世をなんとかしなくては。
「月山さん」
かがみこんで何度か呼びかけても、
夏世はあいかわらず夢の世界から戻ってこない。
夏世愛用の香水が、鼻腔をくすぐり続ける。
思わず「困ったな」と口にした航の耳に聞こえてきたのは
「眠り姫起こすには、王子様のキスしかないんじゃない?」
驚いて顔を上げると、
陽はこちらに背を向けて、布団をかぶっている。
布団の塊と、自分のすぐそばの柔らかい身体を何度か見比べる。
楽しい夢でも見ているような夏世の横顔を見ているうちに、
航の表情が優しく緩んだ。
布団に押し付けられた頬に手を添えると、
いとおしさを込めて、そっと口づけた。
かすかに触れるだけの、そよ風のような口付け。
もう一度、想いをこめて夏世の寝顔を見つめてから、
「月山さん、起きてください」
航は夏世の額を指で軽く弾いた。
470 :
463です:2007/03/06(火) 11:01:19 ID:+UcmTmWc
ここまでです。
思わせぶりで申し訳ありません。
ビシっと決める航兄、なかなか想像つかなくて、中途半端になってしまいました。
いずれ続きを書ければ……と思ってます。
>>470 GJ!!
凄く良かったです!
続き書いてほしいと書いてよかったです。
ありがとうございました。
ぐっじょーーぶ( ´Д⊂ヽ
もっ、萌える・・
正直、ココ読むようになってドラマをもっと好きになったし、航兄の中の人も好きになってしまった。これからも神様を待ってます!
>>448 GJでした〜。三男はエロなしでも、十分、色っぽいところがたまりません。
三男の誘惑は甘そうw
メラ〜っとオーラのでてる長男も、目に浮かびました。
次男、おもしろ過ぎだし、四男の語りも「らしさ」がでてました。
またおもしろいのを、楽しみにしています。
今日の放送前に駆け込みで。
二男×夏世で少女漫画風。
航に冷たくされた後の続き設定でエロなしです。
修さんに呼び出された。
しばらく放っといてほしかったけど仕方ない。
待ち合わせた「美那絵」に似た雰囲気の小料理屋さんに入ったとたん、修さんが飛んでくる。
「コムスメ!ウチのお兄様に何したわけ。それとも何かされた方?」
何かされてた方がまだ気が楽だった・・・とはいえない。
「別に何でもありませんから」
「それが何でもないって顔っ?!
痴話喧嘩は勝手だけどさぁ、巻き込まれるほうの身にもなってよ」
「そんなんじゃありませんっ!!」
「だったら何、コムスメの分際で浮気とか?」
「違いますっ!そもそも航さんとはそんな関係じゃ・・・っ」
そこまで言ったところで涙がこぼれて言葉が出なくなる。
ここで泣いたら余計変な誤解されちゃう・・・けど、ダメだとまらない。
「ちょ、ちょっと夏世っぺ。泣くんじゃないっ」
宥めるでもハンカチを差し出すわけでもなく、ただ慌てているだけの修さん。
そもそもこの人ハンカチなんて持ってなさそう。
もし持っていてもファンの子が送ってくる、乙女チックな花柄のとかかな?
持ってても恥ずかしくてだせないだろうな、
なんて変なこと考えていたら、少し笑えた。
「今っ俺のこと見て笑わなかった?失礼なっ」
何て言いながらも、ほっとした様子が伝わってくる。
前から思ってはいたけど、本当、不器用だけど優しい人。
いつもからかわれて、酷い人だと思ったこともあったけど
この人のおかげで早く馴染むことができたんだ。
「修さん、聞いてくれます?実はね・・・」
航さんに拒絶されたときのこと、少しだけ話せた。
「・・・航兄が悪い」
話を聞き終えた修さんの声が低い。
この人が航さんのこと責めるなんてびっくりした。
航さんのこと、フォローするんだと思っていたから。
「ごめんね、夏世っぺ。俺たちのこと考えてくれて、いろいろしてくれてたのに・・・」
航さんに怒られた後でも見せないくらい暗くなってる。
「いえ、私にも悪いところがあったんです、きっと。それに修さんが悪いわけじゃないし・・・」
あんまり暗くなられすぎちゃって、逆に私がフォローしてる。変なの(笑)
「なんだか、修さんに話聞いてもらってたらちょっとスッキリしました」
本当にスッキリした。
一方的に言われたからって落ち込んでるだけじゃ何にもならないんだ。
まだ暗い顔してる修さんにグラスを持たせ、無理矢理乾杯。
「飲みましょ!今日は航さんネタで愚痴大会っ」
「お、お兄様の? ・・・やろう、愚痴大会!今までたくさんたまってるから一晩じゃ無理かも!」
「お互い告げ口はなしってことで、ね」
「当然っ!てか告げ口されたら生命の危機だから・・・・・・想像しただけで嫌な汗でた」
「だからさあ〜、航兄は心が狭すぎるんだよねっ。こないだもちょっとDVD借りようと思ったら激怒されて・・・」
「うわぁ、それは心狭い!私もね、智さんに料理教わってただけなのにすごく怒られて」
「・・・ニブ・・・」
「?」
「あの人ほんっとわけわかんなくて!普通手を出すでしょ、こんないい女が近くにいたらっ」
「そうそう、夏世っぺは顔も可愛いし胸も大きいし天然だし、どこがイヤなんだか聞きたい・・・って、げほごほっ」
「えっ?」
「かなり酔いが廻ってきた!夏世っぺが良い女に見えてきちゃったっ」
「それは事実なので酔いのせいではありませ〜ん」
「何をっ調子に乗って!」
ヘッドロックを掛けられた・・・顔が近い。
「撮影のときさ、顔近いって怒られたけど今日は怒らない?」
「・・・へ?何言って・・・」
撮影??と一瞬気が逸れた隙にキスされた。
「お、修・・・さん」
「俺とじゃイヤだった?」
「・・・イヤじゃない」
不思議とイヤじゃない。
ずっと友達感覚で、恋愛感情なんて欠片もなかったはずなのに。
見詰め合っていると、もう一度顔が近づいてきて、キス。
今度はさっきより少し長い。
そっと離れる顔。こんなマジメな顔されると、ドキドキする。
「俺、夏世のことが好きだ」
っぺ、がない。いつものふざけた雰囲気がないと別人みたい・・・。
「航兄ちゃんと良い雰囲気だったし、俺の出る幕じゃないと思ってあんな態度してたけど」
えっ?あれ計算?
「好きなんだ。俺と、つ、付き合ってくだslkっ」
笑っちゃいけないけど、笑っちゃう。
「どうして肝心なところで噛むんですかっ」
「だって、俺、こんなの初めてで緊張して」
半泣きの修さん、可愛い。
ヨシヨシ、と頭を撫でて、ほっぺにちゅっ。
「修さんのこと、そういう風にみたことなかったから、少し時間ください」
がっくりと肩を落とす修さん。
「今度、ガンダムのこと、教えてください。修さんのこと、知りたいから」
遠まわしのデートの誘いに気付いてくれたのか、目を輝かせた。
ガンダムファンが増えた、とかそういう理由じゃありませんように・・・。
以上です
自分的には少女漫画風のつもりだけど
ずっと読んでないからどんなのが少女漫画なのかちょっと自信なくなってきた・・・
なんかもう火曜ってだけでそわそわドキドキして
妄想が止まらないよ
(*^ー゚)b グッジョブ!!
次男好きなので嬉しいです!次男可愛い!
ますます今夜が楽しみになりました(´∀`*)ウフフ
>>481 GJGJGJ!! マジ萌えしました!
あの修兄が夏世に優しくしてると普段とのギャップに…萌え。
>>481 GJ!
半泣きの修兄が可愛いよ(*´∀`)
連投スマソ。
自分も放送前の駆け込みで次男×夏世投下します。
エロ無しです。
「寒っ」
俺はタバコを買いに行くために、コンビニへと歩いていた。
既に深夜という部類に入るような時間で、人通りはあまりない。いるのは酔っ払いぐらいだ。
数十メートル先にも、やはり飲んだ帰りであろう女性二人がいる。
「あれ?」
嫌な予感がする……。
進もうか引き返そうか迷っている間に、片方の女性がフラフラと俺の方へ近づいてきた。
「修さ〜ん!」
「あら、どうも〜」
「こ、こんばんは」
予感的中。
あの酔っ払い二人組は、頬を真っ赤に染めた夏世っぺと、それを支える亮子さんだった。
「相変わらず面白い顔しへますれぇ」
上機嫌の夏世っぺは、俺の顔を指差してケラケラと笑う。
いくら酔ってるからって、会った途端に酷いことを言うやつだ。
「もの凄く失礼な上にろれつ回ってないんですけど?」
いつもの調子で額を軽く叩いてやるが、全く動じずに笑ったままである。
何がそんなに楽しいの? そんなに俺の顔面白い?
「失礼じゃないれすよーだ」
いやいや、十分失礼だから!
心の中でツッコミを入れて、ふぅと溜息を吐いた直後だった。
「う……うわぁぁぁぁん!」
「な、な、何!? いきなり何!?」
夏世っぺは大声を上げて泣きだした。
通りすがりの人が、何事かという表情で見ていく。
「私はダメな編集者なんれす……ふえぇ……」
「いや、ダメなのは最初から分かってるんだけど」
「やっぱりダメなんですね……ううっ……」
「ちょっと、これじゃ俺が泣かしてるみたいじゃないの!」
落ち込んで、ちょっと何か言うと更に落ち込む。典型的な酔っ払い。
きっと最終的にトイレに閉じこもったりするタイプだな、夏世っぺは。
「この子、焼酎飲むと泣き上戸になるの。勘弁してやって」
「はぁ……」
このままでは『女泣かせの片岡修』というキャッチコピーが付いてしまう。
いや待て。そのキャッチコピーはなかなか良いのではないだろうか?
泣かせる意味が違うけど。
兎にも角にも、これは早々に退散した方が良さそうだ。
「じゃあ、俺はコンビニに――」
そう言いかけたところで、亮子さんの携帯が鳴りだした。
いつものテンション高い感じと違って、とても低いトーンで応対している。
この様子だと、仕事の電話か?
「あ、はい。分かりました、すぐ行きます」
亮子さんが発する言葉に、また嫌な予感――というより悪寒がした。
早く逃げろ、と俺の本能が告げている。
「えー、それじゃあ俺は……ウヒャ!」
そろそろと歩きだした俺の腕は、ガッシリと掴まれて動けなくなっていた。
恐る恐る振り返ると、仏様のように穏やかな笑みを浮かべた亮子さんが、ゆっくりと首を横に振っていた。
これは「逃がさないわよ」という無言の圧力だ。
それを見て、兄ちゃんが何か怒っている時の顔がフラッシュバックする。
怖い、怖すぎる!
俺は背中が寒くなり、動けなくなっていた。
「ごめん、修さん。用事が出来ちゃったの。月山のこと頼みますね!」
亮子さんはこれ幸いと早口でまくし立て、仕事へと向かった。
訂正。
仕事を理由に逃げた。しかもダッシュで。
「頼んだわよ〜」
遥か彼方から声が聞こえる。道端には俺と小娘だけが取り残されていた。
参ったなあ、この酔っ払いを放置していくわけにもいかないし……。
暖冬とはいえ、やっぱり冬だ。このままだと風邪どころの話じゃない。
仕方ないので家まで送ってやろうと場所を聞いてみたのだが。
「家どこよ?」
「ううっ……」
予想通り返答は無い。それどころか、一向に泣き止む気配も見えない。
俺の頭の中に3つの選択肢が浮かんだ。
1 亮子さんに電話して家の場所を聞く
2 ホテルに連れ込む
3 我が家に連れて行く
1が一番良い方法だったが、肝心の亮子さんが電話に出てくれないので却下。
2は……ないない、有り得ない。だって、夏世っぺだよ? 鬼娘だよ?
そりゃあ、割と可愛い方だとは思うし、割とスタイル良いし、胸大きいし……って、俺は一体何考えているんだよ。
俺の理想は美那絵さんではないか!
とにかく、2は却下だ。そうなると、結局は3しかないわけだ。
まあ、朝までゲストルームに寝かせておけば大丈夫だろう。兄ちゃん達も事情を話せば了解してくれるはずだ。
「ほら、行くぞー」
うなだれている夏世っぺを背負い、俺は我が家へと引き返した。
胸が当たっているのは、介抱している俺へのご褒美としておこう。
以上ですが、ちょいエロ有の話に続くかもしれないです。
書き上げたらまた投下します。
>>481 同じく放送が楽しみでドキドキなんだけど、
仕事中に妄想しそうになるのが困りものw
>>481さん
>>488さん GJ!!修兄可愛い!
始まる前はこんなに修兄に惹かれるとは思ってなかったのに…。
488さん、修兄にも少しいい気分を味わってもらいたいので続き期待しておりますw
あと3時間…楽しみですね!
皆さんGJです!
修兄かわいい&かっこいい!
>>488 もしかして食わず嫌い見られましたか?
491 :
488:2007/03/06(火) 20:19:40 ID:ZT6Ddf3U
今見て消し忘れに気付いた orz
×ガッシリと掴まれて動けなくなっていた。
○ガッシリと掴まれていた。
です。ごめんなさい。
>>490 お察しの通りですw
>>491 改めてGJですw
食わず嫌い見てて、「このネタで誰か書いてくれないかな…」
と思ってたので、読めて嬉しかったですw
なんじゃこの萌えドラマァアアアア(゚∀゚)!!!!
今日は四男×夏世でお腹いっぱいだぜ!!
四男ウラヤマシス
オイラも釈たんに…
ふたり泣き書いた方、神ですね・・
「布団ひとつしかないから…」&「今日は秘密にしとくから…」
あんたナニモンなんだ(´;ω;`)
陽かわいいよ陽。
今日CM見て思ったんだが陽の中の人って
「美しい家には美しい人が住んでいた」
って家のCMに出てくる少年と同一人物?
…ってここで聞くのはスレチか。スマソ。
だよなw脚本者か…?笑
陽の泊まっていいか聞くときの
「だめ…?」
に激しく萌えたw
テレビみながらニヤニヤしてまんたw
まさか「きちゃった」の後の展開が
こうなるとは…!
次回予告の三男でこれから盛り上がりそうw
陽×夏世と言うべきか夏世×陽と言うべきかああもうどっちでもいいや
二人で泣くシーンテラカワユス
>>495 あまりのリンクぶりにふたり泣きの神はもしや関係者ではと勘ぐってしまうw
最後の夏世に抱きついて泣く陽のシーンに萌えてたら
予告で智×夏世キタ(゚∀゚)――
このドラマは本当激しく萌えさせてくれますね
今日のドラマ見て創作意欲掻き立てられた職人さん方お待ちしてます
脳がショートして萌え話どころか日常生活もままならないですよ
キュンキュンしすぎて不整脈出ちゃうよ
ねむきゅんしすぎて
心臓痛いw
とっくに終わった今でも
むねきゅんが と ま ら な い
最後泣けたなー
同じく心臓が痛いよ・・
今日は眠れそうもないw
智:俺じゃ駄目か…?
キタキタキターーー!
モエ
>>375の山形滞在中の者です。部屋のテレビ独占してかじりついて見ました!!
陽ぁぁぁー!!もうなんといっていいかわからない!!脳汁出た。
ガッサンかわいいよガッサン
で
>>384書かせていただいたんですがまさか100レス以上経ってから話題に出していただけるとはw感動w
夏世の素晴らし〜いお姉さんぶりに萌え。頭すりすりだよハァハァ
これからもちょこちょこ投下したいのでよろしければお付き合いください。
でも今日はむねきゅんすぎて妄想すらできないw長文スマソ
陽の「ガッサンさん」に不覚にもワロタw
あぁ、仲間がいた
胸キュソで眠れない
1週間こんな気持ちで待つなんてムリ
真顔の次男にやられた
カコイイ…
508 :
保管庫:2007/03/07(水) 01:56:24 ID:IiP4docs
今日も禿萌えでした。
興奮して寝られそうにないです!
わたくし事で恐縮なのですが、7日から11日まで旅に出ます。
更新停止および連絡が付きません。ごめんなさい。
>>458 ありがとうございます。
溜めちゃうとダメな性分なので。2日以上溜めないように頑張っております。
しばらく覗けないので、戻ってきた時の保管すべくSSの多さに期待&恐れていますw
陽×夏世投下します
エロなし
陽のキャラがちょっと崩壊気味なので苦手な人はスルーして下さい
「お前は俺達の本当の弟じゃない」
航さんの告白で陽くんはショックを受けながらも事実をちゃんと受け止めた。
私にしがみついて泣く陽くんを見ると本当に切なくて愛しくて一緒に泣いてしまった。
もっと甘えていいんだよ陽くん。
お兄さん達にも、私にも。
今まで甘えられなかった分いっぱい甘えてほしい。
そう願いながら私は陽くんを抱きしめていたのだけれど…。
「いらっしゃいガッサンさん」
ドアを開けると陽くんが出迎えてくれた。
私は花園先生の編集に戻ることができ、またこの家へ来れるようになったのだ。
「早く上がって」
と私を引っ張ってリビングに連れて行く。
そこでは皆さんが休憩していた。
「月山さん」
顔を上げて微笑んだ航さんの視線が私と陽くんの繋がれた手に止まった。
表情は変わらないけれど眉間にしわが寄ったような気がする…。
「ここ座って」
陽くんは航さんの視線に気付いているのかいないのか、私をソファーに座らせて自分も隣に座った。
最近陽くんはソファーに座る時必ず私の隣に座る。
私が一人用のソファーに座っている時はわざわざ二人用の方に移動させてまで。
「ずっとパソコンに向かってたから疲れちゃった」
コテン、と私の肩に頭をもたれかけるのもいつものこと。
「陽、月山さんが重いだろう」
航さんがたしなめると陽くんは
「僕重い?いや?」
と私を潤んだ瞳で見上げてくる。
そんな目で見られていやと言えるわけがなかった。
「大丈夫よ。仕事大変だものね」
そう言うと陽くんは「よかった」と笑って私の肩に頬をすり寄せる。
猫みたいで可愛いと思いながら顔を上げたら航さんの眉間のしわが深くなっていた。
修さんと智さんは心なしか顔色が悪いような…。
どうしたんだろう。
それにしても最近陽くんはすごく私に甘えてくれるようになったなぁ。
最初の頃は無愛想で冷たかったのが嘘みたい。
これって私に心を開いてくれたって思っていいんだよね。
まあ航さん達の前でこんなにくっついてるのはちょっと照れくさい気もするけど…。
「何だか眠くなってきた…」
ふわぁと陽くんがあくびをするとすかさず修さんが
「陽くん、少し仮眠取ったら?ねえさとぴょん!」
と言い出し智さんも頷きながら
「そうだな、部屋のベッドで寝てきたらいいぜ」
とやけに熱心に陽くんに勧めてくる。
確かに疲れてるなら少し寝た方がいいかもと思っていると
「そうだね、寝る…」
何と陽くんは私の膝を枕にしてソファーに寝転がった。
小柄な陽くんでも流石にソファーの上で寝転がるのは窮屈そうなのに。
修さんと智さんの表情が凍りつき、航さんは微笑んだまま
「陽、何をしてるんだ?」
と低い声で尋ねてくる。
「部屋まで行くの面倒だからここで寝る」
「月山さんに迷惑だろう?部屋まで行くのが面倒なら兄ちゃんが連れて行ってやるから」
「やだ。ここがいい」
「陽!」
航さんの口調が厳しくなる。
修さんと智さんも口をパクパクさせながら陽くんに言うことを聞くようにサインを送っている。
陽くんは体を起こしそんなお兄さん達を見回した。
「僕ガッサンさんのことお姉さんみたいに思ってるんだ。
だから甘えたいんだ。それはいけないことなの?」
ええ、陽くん私のことそんなに慕ってくれてたんだ。何か感動…。
「お姉さんていうか、それ以上に見え…」
言いかけた修さんの口を智さんが慌てて塞いだ。
何を言おうとしたのかな。
航さんは腕を組んでため息をついた。
「甘えたいなら俺達に甘えればいいだろう」
「航兄達に甘えるのとガッサンさん達に甘えるのは違うよ。
航兄達には膝枕してもらいたいなんて思わないもん。
ガッサンさんの方が柔らかいし、いい匂いするし。
前僕を抱きしめてくれた時も優しくて癒されたんだよね」
航さんの眉がピクリと動いた。
修さんと智さんはいつの間にかいなくなっていた。
確かにお兄さんに膝枕はしてもらいたいとは思わないよね。
男の人の膝って硬くて枕には向かないし。
「ねえガッサンさん、僕しばらく膝借りてもいい?重くなったらどくからそれまでの間だけ」
不意に陽くんが私の方に向いてまたあの潤んだ瞳で見つめてくる。
どうしよう、膝枕なんてちょっと恥ずかしいし航さんが何だか怖いんだけど…。
「お願い、お姉ちゃん」
――可愛い。
「いいですよ」
「ありがとう、お姉ちゃん」
にこっと笑って陽くんは私の膝に頭を乗せた。
航さんは「どうもすいません我が侭で」と言ってリビングを後にした。
足音がいつもより荒々しかったのは気のせいかな。
首を傾げながら膝の上の陽くんを見下ろす。
そっと陽くんの黒い髪を撫でると気持ち良さそうに目を閉じる。
「陽くんすっかり甘えん坊ね」
「年下の特権て奴だよ」
「年下だから気兼ねなく甘えられるってこと?」
そう尋ねると陽くんはふふっと笑った。
「それもあるけど航兄達にはできないアプローチができるってこと」
「それってどういうこと?」
「ヒ・ミ・ツ。これからも甘えさせてね」
もちろんこれからだって出来る限りは甘えさせてあげるつもりだけど
航さん達にはできないアプローチができるってどういう意味だろう?
私の疑問をよそに甘えん坊の王子様はすやすやと夢の世界に旅立っていった。
以上です
夏世に抱きついてる陽を見てもらい泣きしながらも「おっぱい…」とか思ってた自分orz
来週は智夏世も見られるし本当楽しみこのドラマ
>>513 GJ!
陽かわいい!!そしてちょっと黒いw
自分も「胸が…」と泣きながらも思ってしまったw
>>508 保管庫様、気を付けて旅にいってらっしゃいませ。
そしていつもありがとうです。
王子GJ!もう陽が可愛くてどうしょうもない
長男四男の涙や予告の三男に埋もれがちだけど、今週修さんがさりげなくいい男でかなりときめいた
>513
すばらしーい!陽可愛すぎだ
モエすぎて寝れなかったんだがもっと寝れなくなりそう
2人きりになったところでアプローチの続きを想像してしまうよw
>508
保管庫様いつもありがとうございます
作業大変だと思いますが、保管庫様の作品がまた読みたい・・・と言ってみる
今週のドラマはどのカプでもいけそうな展開だったね
夏世が来なくて寂しがる姿にモエ殺されるかとおもた
楽しみにしてた陽の「来ちゃった」は
「今週妻が〜」で西村雅彦が言ってた「来ちゃった」を思い出しちゃって
モエられなかったけど・・・orz
>>513 GJ!!ひたすらマイペースな夏世のモノローグに笑ったw
すごく良かったです。キャラの特徴とかすごくよくつかんでてすごい。
嫉妬する航お兄様と甘えん坊のたがが外れた陽に萌えた!
>>513 朝から素敵なものを見る事が出来ました!ありがとうございました!GJ!
年下だけに出来るアプローチ、羊の皮を被った狼に気が付いてないガッサンが喰わ
れるのも時間の問題!?
月山さんが迷惑じゃなくて航兄がでしょ、素直ぢゃないわねw
ところで仕事部屋からリビングは丸見えなわけで航兄様、Gペン握り折ったり
しちゃうんですか?ww
年下&タラシにしか出来ないアプローチもある筈で、いまそちらを書いてます。
出来たら投下致します。
『トライアングル』の続きも三男の不憫さを観て方向定まりました。
嗚呼妄想の止まらんっ自分がコワイ……でもタノスィ。
病気だ…orz
>>513 仕事早いなGJ!!
甘えん坊攻撃で夏世を翻弄させる陽イイヨーb
>>481 >>488 修兄ネタ、今回も笑かしていただきました。
なんだかんだ言って、毎回、いい思いしてますよねぇ修兄。
続き待ってます〜♪
本編でも、来週はいよいよ修兄の恋がクローズアップされますねぇ、楽しみ。
>>513 陽くん、かわいい! かわいいから許す!
航兄は別格として、修兄と智兄の反応がおもしろすぎ。
夏世がいないとき、兄弟間でどんな会話があるんだろう。
>>518 投下、楽しみに待ってます。
保管庫さま
いつもありがとうございます。
旅行、楽しんできてください。
<陽の病室で>を書いた者です。
その後、ビシっと決める航兄を想像していたんですが、なにしろ恋愛力の低い二人。
なんとかしてくっつけようと思ったら、ドタバタになっちゃいました。
続編か独立した一編か、お好きなように読んでいただければ幸い。
一連の騒動がようやくおさまったのを口実に、お馴染みの面々、
つまり片岡兄弟と夏世、田中一郎と川村亮子が
片岡家のリビングでパーティーを開いていたある夜のこと。
すっかりできあがった亮子と修は、
さっきからずっとガンオタ談義に花を咲かせている。
智と田中はせっせと、ふたりの話にチャチャを入れてからかっている。
ノンアルコールドリンクと雰囲気に酔った陽が部屋にひきとったのを合図に、
夏世も辞去することにした。
「でしたら、駅まで送ります」
航がすっと立ちあがったが、夏世は結構ですと手を振った。
「いえ、ひとりで大丈夫です」
「でも、もうこんな時間ですし」
軽い押し問答になりかけたところに、
ソファの向こう側から大きな声が飛んできた。
「月山ぁ。せっかくだから送ってもらいなさいよ、
アンタも一応女なんだから」
「いちおうって、編集長っ!?」
「あ〜も〜、ガタガタ言ってないでさっさと帰りな、オニムスメっ!」
「そうだそうだ、帰れ帰れ!」
「航兄、送り狼になるんじゃねーぞぉ!」
「智さん、航さんがそんなことするはずないじゃないですか」
「そうよ、さとぴょん!
第一、相手はあのオニムスメよオニムスメっ!」
「つきやま? ガーッといくのよガーッと!勢いが大事なんだから」
「おい亮子、なんの話してんだ?」
「あら、一郎くん、あたしのことが気になるの?」
完全にデキアガッテいるらしい面々に、夏世は唖然とするばかり。
「……なんなんですか、みんなして……」
ふと見ると、航はいつもの穏やかな笑みを浮かべている。
「酔ってるんですよ。
じゃ、行きましょうか」
「……はい」
というわけで、
微妙な距離をとりながら、夜道をたどる夏世と航の二人。
「なんか、皆さんの酔い方、いつもとちょっと違ってたみたい」
「そうですね。
開放感、と言ったらいいのかな?
なにも隠し立てすることがなくなったせい……」
航がふと足を止めて、夏世を見た。
夏世も自然に足を止める。
「なんだか、ヘンな気分なんです。
18のときから15年間、僕があいつらを守らなきゃって片意地張ってきたから、
それがなくなって、足元がフワフワしてるっていうのか……」
口数の少ない航にしては珍しい。
でも、そう言いたくなる気持ちもわからないではないな、と夏世は思う。
航がひとりでどれほどの重責を担ってきたかを考えれば。
「ほんとうに、お疲れ様でした」
「いえ……」
航は軽く頭を振ると、視線を前に戻した。
「僕は、ひとりで兄弟を守る防波堤になるつもりでした。
でも、いざとなったらそんなのとてもじゃないけど無理な話で、
僕らはたくさんの人に支えられていたんだってこと、思い知りました。
田中ちゃんや川村さん、そして……」
今度は身体ごと、夏世に向き直る。
月明かりに少し陰を帯びた航の表情が浮かんで、夏世の心臓がトクンと跳ねた。
「あなたがいたから。
何が起こっても、周りからどんなことを言われても、
あなたが僕らを信じて、そばにいてくれたから、僕は……」
航の喉仏が大きく動くのが、夜目にも見て取れた。
「僕らはあの日々を乗り越えられたんです。
……ありがとう」
サイン会が終わった後、バンソウコウを持ってきてくれたときのような、
いろいろな想いのこもった<アリガトウ>。
もう一度、あんなトキメキを感じたいと思っていたくせに、
いざとなると夏世はおたおた焦りまくってしまう。
「とんでもない!わたしは、あたりまえのことをしただけです。
担当編集が先生方を信じなくて、どうするんです!?」
「そうですね……でも、僕らはとても嬉しかったんです」
「……皆さんのお役に立てたなら、嬉しいです、わたしも」
それ以上何も言えずに――というか、言葉はいらない気がして、
どちらからともなくまた、駅に向かってゆっくりと歩き出す。
しばらくして、航がまた口を開いた。
「月山さん。
あなたに話しておかなくちゃいけないことがある」
いったい何だろう?航の声音がそれまでとは違って少し固く、夏世は思わず身構えた。
「僕は、花園ゆり子を解散しようと思っています。
各誌の連載もあるから、今すぐというわけにはいきませんが」
夏世は何も言わずに、こぼれおちそうな大きな目で航を見つめている。
夏世の視線を受け止めることができずに、
――売れっ子作家の担当編集者にとっては、最悪な話なのだ――
航は夏世の背後の植込みのあたりを見ながら言葉を紡ぐ。
「花園ゆり子のヒミツはもう何もない。
これまで僕は弟たちをヒミツの花園に閉じ込めていたけれど、
その扉はすでに開かれた。
修も智も陽も、自分の力で外の世界に出ていく時なんです……」
言い切ってから、小さくため息をつく航の耳に、
思いがけない明るい声が聞こえてきた。
「わたし……やっぱりダメ編集みたいです」
「え……?」
夏世の言葉の意味がわからずに、
冷静な航には珍しくトンチンカンなことを言い出した。
「あの、解散は別に月山さんのせいだとか、そういうことではなくて……」
「わかってます。そういうことじゃないんです。
雑誌の売り上げのこと考えたら、花園ゆり子の解散なんて、
編集者としては絶対受け入れられない話ですよね。
なのに、嬉しいんです、わたし。
花園ゆり子の新しい作品を読めなくなるのは正直いって寂しいけど、
航さん、修さん、智さん、陽くん……
皆さんがそれぞれ、好きな道を進んでいくことの方が、
わたしにはずっと、大事なことなんです」
「月山さん……」
噛みしめるように言った後、航に優しい目で見つめられて、夏世は大いに焦った。
「あ、でも好きな道って、どんな道なのかしら。
修さんは少年漫画に再挑戦するのかな?
あ、NYK、でしたっけ?よくわかんないけどその方面の評論に進むとか?
智さんはなんでもできそうだから心配いらないし……。
陽くんは……小説家、とか……?」
「陽には、大学に行って欲しいなって。
あいつ、同世代の友達がいないでしょう?
それって、不幸なことだと思うんです。
陽は、僕たち兄弟の作った温室の中で育ったようなものだけど、
将来、どんな道に進むにしても、やっぱり、人生経験って大切だと思うんです。
別に、大学じゃなくてもいいんですけど、
勉強とか恋とか、サークルとかバイトとか……。
いろんな経験を積んで、豊かな人生を送って欲しい」
それって、
陽くんたち兄弟の生活を支えるために、航さんが犠牲にしたものですよね、
と夏世は思ったけれど、口には出さなかった。出しても切なくなるだけだから。
代わりに、もっと聞きたいことを。
「航さんは、どう、なさるんですか?」
「僕は……油絵を一から学び直そうと思います。
この年になってからじゃ、もう遅いかもしれないけど」
「そんな、遅いなんてこと、全然ないと思いますっ!
わたし、大好きなんです、航さんの絵。
繊細で、でも、とってもあったかくて、何かを語りかけてくるような……。
だから、がんばってください。応援しますから!」
「ありがとう。ちょっと勇気が出てきました」
「よかった……」
「勇気が出たついでに、
もうひとつ。お話があります。
つき……」
言いかけて航は小さく首を振った。
視線を彷徨わせたり胸の辺りに手を当てて呼吸を落ち着かせたりと、
らしくないそぶりのあとで。
「……夏世さん」
「はい…………は、えっ?」
航から名前で呼ばれたのは初めてだ。なんて甘やかな声音だろう。
これには何か意味があるんだろうか。
見上げて気づいた航の真剣なまなざしに、夏世の胸が高鳴った。
この動悸、航さんに聞こえているんじゃないだろうか。
「夏世さん。
作家と担当編集者という関係がなくなっても、
僕らを……。
そうじゃない、
僕の、そばに いてもらえませんか?」
「……それは、どういう意味ですか?」
わたしの思っているとおりの意味だと、信じていいんでしょうか……?
「つまり、ですね、その……
あぁもう、
あなたのことをボキャブラリーが貧困だなんて言えた義理じゃないな」
「航さん……?」
「ですから、その、僕と……」
言葉につまった航は、右手でそっと夏世の頬に触れた。
夏世がぴくりと身体を強張らせた。
はっと手を引こうとする航の手を、夏世の左手が押しとどめる。
二人は言葉もなく、そのまま見つめ合った。
「あーーもぉーー、ホントじれったいわねーーっ!
そこでガシッと抱きしめるのよガシッと!」
「か、川村さん!?」
「へんしゅーちょー!?
ど、どーしてここに」
闖入者の出現に、二人は慌てて手を離し、さっと飛び退る。
「どーでもいいでしょ、
あんたたち見てたら、酔いも醒めちゃったわよ」
「いや、十分酔ってると思いますけど……」
仁王立ちの亮子はかわるがわる二人をにらみつけた。
「もー、あなたたち、小学生じゃないんだから。
てゆーか、いまどきの幼稚園児だって、もっと進んでるわよ。
月山も月山だけど、航さんも航さんよ。
相手は月山よ? 鈍さじゃ筋金入りの月山なのよ?
男だし、年上なんだから、あなたがリードしなくてどうすんの!」
例の婚約破棄の件もあってか、航はこの年上の女性にはどうも頭が上がらない。
「す、すいません……」
「もう、しょーがないわね。
このあたしがひと肌ぬいであげるわ!」
言うが早いか、航と夏世の間にすっと立ちふさがった。
「かたおか わたる さん」
「はい……」
「あなたは、この つきやま かよ が すき ですか?」
「え……あの……」
「す き で す か、き ら い なん で す か?」
ただでさえ苦手な相手、酔って高圧的に出られてしまうと、
これはもう、蛇に見込まれた蛙に近い。
「す、好きです、もちろん!」
「よろしい。それじゃ、けっこん したい ですか?」
「え……そ、れは……」
航としては、なにもそこまで一足飛びに……と反論したいのは山々なのだが、
とてもじゃないが、反論できるような状況ではない。
「つきやまと、け っ こ ん し た く な い ん で す か!?」
「いえ、そんなことは、決して。その、できれば、いずれは……」
「はい、よーくわかりました」
しどろもどろで頬の辺りがひきつっている航を満足そうに見やると、
亮子は勢いよく回れ右した。
酔いのせいか、ゆらりと身体が傾く。
思わず支えようとする夏世を制して、亮子は「つきやまーーっ」と叫んだ。
「わたるさんは、あんたのことが すきなんだって。
よかったわね〜。
あんたも わたるさんが すきなんでしょ?」
「え、あ、あの、わたしは……」
「なに、アータまさか、わたるさんにすきだっていわれて、めーわくなの?」
亮子の肩越しにちらりと航が見える。
ふだんとあまり変わらないけれど、少し照れながら、
それでいて、微妙に心配そうに自分を見つめている。
夏世は、ごくりとつばを飲み込んだ。
前は、告白すらさせてもらえなかった。
でも、今なら。
「迷惑だなんて、思ってません。
わたしも……航さんが好きです。
ずっと、そばにいたいと、思ってます!」
航の目が少しだけ細くなって、口元がほころんだ。
やっと……通じ合うことができた、と、夏世の胸に熱いものがこみ上げてくる。
「よぉーし!よく言った!
おめでとう!これで婚約成立ねっ!」
……は?今、なんと?
「こ、婚約?」
「ちょ、編集長、いきなり婚約って……」
「なーにがいきなりよ。
航さんはいずれ月山と結婚したいと思ってて、
月山はずっと航さんのそばにいたいんでしょ?
だったら同じことじゃないのよ?」
「いやそれは必ずしも同じとはいえないよーな……」
「いつまでもガタガタ言ってんじゃないの!
さぁみんな、もう出てきていいわよ〜♪」
「え、みんなって……ええぇぇーーーーっ!」
ブロックの陰からぞろぞろと現れたのは、
言わずと知れた3兄弟と田中一郎。
「一挙に婚約かよー。参ったなーーー」
「さとぴょん、かわいそー。決定的失恋なんて初めてじゃないの!?」
「ひとの失恋喜ぶな、バカ兄貴!」
「智さん、失恋てやつは男を磨くモンです。きっと新しい出会いが待ってますよ」
「田中ちゃんだけは俺の味方だ〜っ!」
「うれしいな。これでほんとにお姉さんになるんだ。
よろしくね、夏世姉」
「夏世姉って、ちょっと陽くんっ!わたしまだ……」
「いいんじゃ、ないですか?」
さりげない航の言葉に、夏世をはじめ全員が振り向いた。
航はいつもの笑みをたたえて、夏世を見つめる。
「僕の言いたいことは全部、川村さんが言ってくれました。
あなたさえよければ、結婚を前提ということでおつきあいしたいんですが、
どうでしょう?
なにか不都合があるでしょうか」
「い、いえ……不都合なんて、ぜんぜん、まったく……」
「ということだから。
みんな、これからよろしく」
宣言とともに、
航は夏世の手を掬いあげ、ナイトのごとくその甲に口付けた。
出歯亀どもに見せつけるように。
「カッコいい〜。さすが航さんよね、紳士だわ」
「姫君とナイトみたいだよね。
今の、次のネームに使えるかな?」
「皆さん、そろそろ戻りましょう。このままじゃ集団で風邪引きますよ」
「ま、おアツイ二人だけは風邪ひきそうにないけど」
「さ、戻って婚約記念パーティだっ!」
「なにが婚約記念だよ?
俺の失恋記念だっつーの。今日はとことん飲むぞ〜!
航兄、つきあえよ!」
「あぁ……」
「ほれ、オニムスメ、あんたも来るの。婚約記念パーティなんだから!
「ほら、月山も、戻った戻った!」
「え、でも、明日も仕事が……」
「そんなもん、どーにでもなるでしょ、
今夜はめでたいんだから、一緒に飲もうっ!」
「いやその、編集長は、めでたくない日も飲んでますけど……」
「あの人のことはいいじゃん。ほっとこうよ。
さ、行こ。夏世姉」
「俺の傷ついた心、癒してもらおうかな、ねえさん?」
「ちょ、智さんてば……」
満面の笑みを浮かべた陽に片腕をとられ、気取った智に手をひかれ、
苦笑を浮かべる航にうなずかれると、
夏世もそれ以上逆らえない。
「夏世っぺがオニムスメから義姉さんに昇格……。
義姉さんかぁ、こう、禁断の言葉って感じだよなぁ」
「なに想像してんだよ、このエロオヤジ」
「うるさいうるさいうるさいっ!
俺もいつか美那絵さんと」
「ないない、それはナイ。
修兄も俺と一緒に、華々しく失恋しよーぜ」
「なんだと智っ!お兄様に向かってなんてことをっ!」
大騒ぎをしながら、夜道をマンションに向かう片岡家ご一統。
最後尾を、航と並んで歩きながら、夏世は目の前のやり取りをみてため息をついた。
いつのまにやらなし崩しに婚約(!?)してしまったらしいけど、
これからずっとこの兄弟に振り回され続けるんだろうか。
もしかしてわたし、選択を誤ったとか……?
妙に落ち着かなくなってふと隣を見やると、そこにはあたたかいまなざしと優しい笑顔。
大丈夫。絶対、間違ってなんかない。
いろいろあるだろうけど、この人と一緒ならきっと、乗り越えていける。
私たちだけじゃなく、家族だけでもなく、編集長や田中さんも一緒に、
みんなで、支えあって、幸せになろう。
たとえ離れることになっても、そばにいられなくても、
心はいつまでもこのままで。
夏世がそっと手を差し出すと、航は前を見たまま、夏世の手をさりげなくすくい上げて、
自分のポケットにおさめてしまう。
はにかむ夏世と、その姿を見て目を細める航。
しばらくして、二つの影がそっと重なった。
どうか、この二人と愛すべき兄弟たちに、ついでに、亮子と一郎にも、
末永〜い幸せが訪れますように。
以上でございます。
本編がどんな展開になるかわかんないけど、とりあえずハッピーエンドっつーことでひとつ。
事後報告になってしまいますが、
前スレ
>>414さま 「義姉さん」
>>299 さま 「夏世姉」
のネタ、大いに触発されて、使わせていただきました。
それと、
智兄、十分フォローできなくてゴメンね!
>>522-530 GJGJGJGJGJGJGJGJ!!!!!
お疲れさまです orz
いい!!!
いい!!!!!
い い 〜 〜 〜 〜 ! ! ! ! ! ! !
元々ハッピーエンドを強く望んでるんですが、なんなんだこの
素敵すぎるエンディングは!!!
キャラの特徴もぴったんこで、絵が脳内に普通にまわります!!
亮子さんが2人の仲の進行を仕切っちゃうところとか、
影からみんながでてくるところとか、もう
エンディングソングまで流れ出しました!!
ああ いい!!!!
「いい」しかでてこない!!
GJ!!
>>522-530 もー最高。こみ上げてくるものがあったよ
あたたかいハッピーエンドを有難う。激しくGJ!
GJ!!こういう結末だったら良いな〜
三男が報われるパラレルエンディングも見てみたい…って三男振られると決め付けてる自分。
ごめんよ三男。
火曜日までここの職人さん達に頼りきって生きていきます(*´Д`)
保管庫様もいつもありがとう。良い旅を。
>>522-530 最高のGJを差し上げたいっ!
こみ上げてくるモヤモヤを見事に吹き飛ばしてくれてありがとう!
長男には早くパパンの呪縛から解き放たれて幸せになってほしい。
そんな自分は見合いネタを書いたモノ。
あの後二人は結婚してしまい、新婚さんになってしまった。
そしてまた古典的なネタで妄想中。
準備できたら投下させていただきます。
保管庫様、いつもお疲れ様です。
気をつけていってらっしゃいませノシ
みなさま、短時間にこんなにたくさんのGJ、ありがとうございました。
思いのたけをぶつけた甲斐があったというものです。
みなさんに楽しんでいただけて、ものすっごく嬉しい。
本編も、みんながハッピーになるようなエンディングになるといいですね。
妄想ばっかり書いてないで、そろそろ仕事しなくちゃなんないので、しばらくROMに戻ります。
みなさまの作品、楽しませていただきますね♪
もうこの話が最終回でFAなんではないかと…GJGJ・゜・(つД`)・゜・
「ふたり泣き」の例もあるしwktk
本当に作家様のようなハッピーエンドキボン(つД`)
しかし、フジの予告ムービー禿しく妄想かきたてられます。く〜。
9話のその後話を妄想したので投下させて下さい。
航兄はでてこないけど、航×夏世(エロなし)です。
540 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 13:33:55 ID:BLunIMx4
素晴らしいですね!みなさん!
昨日初めてここを発見したのですが、感激です!!
神様だ〜!!職人さんたち本当にありがとうございます!!!
どの話も、四兄弟や夏世が本当に動き回っているようで、
頭の中でドラマになっていきます(妄想・笑)
537さんの言われるとおり、本編もハッピーエンドになるといいですね。
素敵な作品、これからも期待しています☆
色々あったけれど、また花園先生の担当に戻ることができた。
花園先生のマンションにお邪魔して、最初は若干の戸惑いもあったけれど修さんは
何事もなかったように、
「おい、小娘。今すぐ、中○サンプラザでデザー○ザク買ってこい!」
と凡そ仕事とは思えない用事を言いつけてくるし、田中さんは田中さんで
「ガッサン、おめえには先生方に対する愛が足りねぇ!」
等とよく分からない説教を始めるし、なんだかんだと言って一瞬で元に戻ってしま
った。
それがいいのか悪いのか・・・?
でも、嬉しかった。
ただ以前と少し変わったのが、修さんと智さんと陽君がアパートに突然やって
くるようになったことだ。
「夏世っぺ〜、どーだすごいだろ〜水島先生の初版本だぞ!」
とある晩、修さんがやってくれば次の日は
「なんか最近の10代の女の子ファッションの資料あったら貸してよ。」
と智さんがやってきて、その次の日には
「たい焼き買ってきたけど、食べない?」
と陽君がやってくる。
「あのーこう毎晩来られると、落ち着かないんですけど。」
陽君のためにお茶とジュースを用意しながら、少し愚痴ってみた。
「んーでも、僕は週に1回位しか来てないから。」
「君はそうでも、お兄さん達が代わる代わる来るから私にとってはほぼ毎日なの。
昼間は花園先生のところに寄ってるんだから、その時に色々言ってくれればいい
のに。」
「それじゃあ、アナタを独り占めできないでしょ?」
「・・・・・独り占めって、陽君。」
「みんなアナタが戻ってきてくれて嬉しいんだよ。だからしばらく甘えさせてよ。
」
「甘えさせてって・・・・・私はあなた達のお母さんじゃありません。」
「じゃ。恋人?」
「こ、こ、恋人!?」
「だって、田中ちゃんが言ってたよ。『編集とは漫画家にとって恋人であり母親の
ようなものだ』って。だから母親じゃなければ、恋人ってことでしょ?」
「・・・・なんかそれ、屁理屈っぽい。」
「まぁ、まぁ、いいじゃない気にしなくて。」
「そっちが気にしなくても、こちらが気にします!女の一人暮らしに、毎晩違う男
の人が訪ねてこられたら・・・・近所の目もあるし、困るんです!」
「ふーん、一応自覚してるんだ、女ってこと。」
「当たり前でしょ!」
もう、本当に口が達者なんだから!
陽君はどこ吹く風で、買ってきてくれた筈のたい焼きをぱくついてる。
「・・・・でも、航さんは来た事が、ないよ。陽君を迎えにきた時以来一度も。」
「うん、そうだね。」
2つ目のたい焼きに手を伸ばしながら陽君がそう答える。
「・・・・・どう、してかなぁ?」
「航兄に、来て欲しいの?」
「いえ!別に!!本当に!・・・そういう訳じゃぁ・・・・ない、から。」
「ふうん。」
陽君が値踏みをするかのようにこちらを上目遣いで見ている。
や・・・嫌だなぁ、そんな目で見るなんて。
「航兄は、来ないよ。絶対に。」
「絶対って・・・・なんで!?」
「知りたいの?」
「いえ、別に・・・・。」
「あ、そ。じゃ、言わない。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・やっぱり、教えて、陽君。お願い。教えて下さい。陽さん。」
両手を合わせて陽君を拝むような格好をすると、たい焼きとの相性が微妙と想像さ
れるグレープフルーツジュースを一口飲んでから、陽君がこう言った。
「航兄、自信がないんだって。」
「『自信』?は??何の?」
「それは言えないなぁ、航兄の名誉のためにも・・・・自分で考えてよ。」
「は?は?はぁ?」
「あ、もうこんな時間。僕、帰らなくちゃ。航兄に怒られちゃう。
ジュースとお茶ご馳走様。たい焼き、冷めないうちに食べてね。」
「え?え?陽君帰っちゃうの?」
「じゃ、また明日。」
陽君は言うだけ言うと、さっさとコートを羽織って帽子を被り帰って行ってしまっ
た。
部屋に一人取り残されて、自問自答してみる。
「『自信』って、なんだろう・・・?」
アパートからの帰り道、そろそろ桜が咲くかなと神社脇の道を歩きながら陽が独り
言を呟く。
「そんなの決まってるじゃん。押し倒さないでいる『自信』がない、に。そんなこ
とも分からないなんて、どうしてそんなにバカなの?」
航を除く、兄弟達のガッサンさん家通いは当分続きそう。
二人の間に桜が咲くのはいつのことやら・・・・?
了
恋愛力の低い二人だとこうなりそうな気がして……航兄、ガンガー!
失礼致しました。
>>546 GJ! 切ないなあ…押し倒してしまえばいいのにw
本スレにもあったけど、航兄ィは言うと決めたら
ハッキリキッパリ「好きだ」と言ってしまえる人、という設定を希望する。
548 :
547:2007/03/08(木) 16:24:22 ID:5dgkr11z
あ、後半2行はドラマの展開への希望、です。
>>546 GJ!!夏世、無防備過ぎだぜ。智には注意しろ!!
ほんと、航は夏世の家訪ねて押し倒しちまえ。
>>547 実は自分も本スレのその書き込みに心の中でうんうんと同意してた。
>>547>>549 え?こっちが本スレじゃw
火曜日以来あっちとここを行ったり来たり…。んもー興奮しっぱなし、この調子だと次の火曜までもたないかもしれん・・
遅ればせながら、グッジョーーぶ!でした。
キタ━━━ヽ( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚≡゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )ノ━━━ !!!
3月19日 フジテレビ「がんばった大賞」19:00〜20:54放送
キタ━━━ヽ( ゚∀)人(∀゚ )人(゚∀゚≡゚∀゚)人( ゚∀)人(∀゚ )ノ━━━ !!!
Sな航×夏世 調教もの投下します
苦手な人はスルーしてください
神々が投下してくれている素晴らしい作品の航兄のイメージ壊れます
先に謝っとこう
ごめんなさい orz
一糸まとわぬ姿で手錠で拘束された夏世の腕は
天井からの紐で顔よりも高く吊るされベッドに座らされている。
傍らの航はいつもの表情で、何を考えているのかわからず、夏世の恐怖を煽った。
夏世の乳房を撫でるように触れ、優しく掴み、形が変わっていくのを楽しむ。
航の手は乳房だけに留まらず、耳、首、背中、上半身のいたる場所を弄っていく。
好き勝手に蹂躙するが、触って欲しいと主張する頂には決して触れない。
「航さん、お願い・・・もっと、ちゃんと触って・・・」
「あなたは、僕の心を揺さぶりすぎる。だから、おしおきです」
「なに、言って・・・っ、こんなの、ひどい・・・」
与えられ続ける緩やかな快感だけでは足りない
そう訴える夏世に煽られたのか、さらに丁寧な仕種で続ける。
指先でそっとなぞりつつく度に夏世の甘い声があがるのが楽しいようだ。
ふと、航の目が座らされているベッドに向く。
「あなたが座っていた場所」
「・・・っ?」
「びしょびしょだ。おもらしでもしちゃいましたか」
「・・・ちがっ・・・ああっ!」
今まで上半身にしか触れていなかった手が下肢を割り開いた。
あまりに突然のことで抵抗できなかった、というそぶりをしているが
夏世の表情にはそれを待っていた、とでもいうような喜びが見える。
「すごいですね・・・もう、どろどろだ。ここのお口もパクパクしてますよ」
「い、言わないでくださいっ」
「あなたのことなんだから教えてあげます」
顔を近づける。
「匂いも・・・すごいですよ。発情した牝の匂いだ。クリトリスも顔をだしてますね」
間近で喋られ、吐息がかかるたびに、じれったい快感と期待に震える。
「触ってもいないのにこんなに充血させて・・・いやらしい人だ」
腿を掴んだ親指で周囲の際どい場所を両側から押さえ、開いて観察を続ける。
「触ってもいないのに、また蜜がこぼれてきちゃましたね。ほら、見てくださいここ」
ここですよ、と指を突きつけるが、もう一歩というところで触れない。
「・・・っもう許してください・・・っ何でもしますから・・・っ」
あと少しでも刺激があれば簡単に達することができるのに
焦らされ、あまりの辛さに泣きながら訴える。
「そう・・・本当に何でも言う通りに?」
「はあんっ・・・・・・あぁ・・・何でも、航さんの言う通りにします・・・」
敏感な場所の間近で喋られ息を吹きかけられる感覚に耐えられず
喘ぎながら応える夏世から離れ、手錠の鍵を外し開放した。
「手、自由にしてあげたから、オナニーしていいですよ。」
「・・・・・・」
「ただし、オナニーするのは僕に奉仕してる間だけ。僕が許可だすまでいっちゃいけない・・・良いね」
何を言い出すのか、と呆然とする夏世。
「何でも言う通りにする、だったよね」
反抗を許さない口調と微笑みに軽い恐怖と後悔を覚えたものの、
体から溢れそうな欲求に押され、航の足元に跪く。
「ちょっと待って。・・・これ、跨いで腰浮かせながらね」
足の間置かれた鏡。
反射する光と、ともすれば自分にも見えてしまう存在に、身震いするが否とは言わない。
手を沿え、既に張り詰めた航の物に舌を這わせる。
「口だけでしてくださいね。手は・・・どうするのかわかってるね」
口で奉仕させられながらオナニーをさせられる、恥ずかしさと屈辱に涙がにじむ。
「また濡れてますね。いじめられた方が感じるんですか?」
鏡に滴り落ちる愛液。
もうどうとでもなれ、と手を自分の体に這わせた。
「って感じで俺の分描いてくれ」
「お兄さま・・・ハードコアな人だったんですね・・・」
「締め切りは3日後な」
「!!!」
頑張れエロマンガ職人片岡修。
終
中途半端でごめん
航兄をドSな人にしてごめん
ほのぼの空気壊してごめん
こんなオチつけて本当にごめん
orz
>>557 GJ!! そんなに謝らないでw
リアルタイム投下に遭遇して、どきどきしながらリロードしたら
「って感じで(ry」だったのでびっくりしたww
ここ最近の怖い航兄も好きだからこういうの大歓迎!またよろしくお願いします。
>>557 GJ!
航兄はドS似合いますよね!
満足させる調教物が描けるよう頑張れ、修!w
智と陽はどんなの頼んでくるんだろう?
>>554 GGGGGJ!
興奮しました。
普段、爽やかで癒やし系な航兄が、こんなエロいこと考えてると想像すると、
見た目とのギャップにもえます。
鬼畜航兄さま素敵w
出来上がった修の漫画読んで(・∀・)ニヤニヤしながら更にハードな妄想するといいwww
智は意外と純愛ラブロマンスエロかもしれんが陽は…想像つかないw
>>557 うわあああGJ!!
ドキドキした!
ホントにマンガで読みたいと思った自分... orz
描けたら自分でとっくに描いてるなw
>>561 三男は誰より少女漫画を愛してるしね。かなりの純愛ベタベタロマンスで頼んできそう。
自分の妄(ry想像では、
長男→手をつないでラブラブデート
次男→和服くるくるあ〜れ〜
三男→漫画より、シンデレラみたいなドレス着たがっさんのイラスト
四男→甘えた系
>564
そういえば一話で「萌え〜」とか言っていたような<三男
しかも真顔でww
566 :
564:2007/03/09(金) 00:55:33 ID:uSt1hZ5o
>>565 ヤツは真正お姫さま萌えだからなww>三男
でも実は3話から見出した俺、GWにはDVD出るといいなぁ。
>566
そういえばお姫さま萌えだったか
一話の「萌え〜」はフェミニンな服が好きなのかと思って
メイド萌えで考えてた
気付かせてくれてありがd
素晴らしい職人の方々、いつもたくさんの萌えをありがとうございます。
火曜日が待ちきれないので、自分も妄想膨らませてみました。
SS自体初めて書いたので不安なんですけど、勇気を出して投下してみます。
9話のつづきを書こうと思ったら偶然にも
>>541さんの作品をちょっと
繋げたようなストーリーになってました。
エロ無し(キスだけ)10話の予告は無視した話です。
前から思ってたこと。
長男のこれまでの苦労話を考えると、恋愛してる時間も余裕もなかったように思
う。
ってことはチェリーの可能性大?
恋愛力の低い月山との組合せを考えるとなんか色々大変そうな気がしてならない…。
>>557 笑ったGJw
指定が細かくてワロスw
四男は恥ずかしくて注文できないけど、
文才あるらしいから自家発電してそうw
トゥートゥートゥ・・・不意に鳴り出した枕元の携帯。
ビクッと身を起こして音の主を確かめる。「長男」の文字。航さん・・・?
「もしもし。」なぜか飛び起きて正座してしまう夏世。
「すみません。こんな時間に。まだ起きてました?」久しぶりに聞いた彼の優しい声。
「はい。」「あの、今から会えませんか?」「え!?今からですか?」
「すみません。どうしてもあなたと話がしたくて。」どうしよう。会いたい。
会いたいけど、スッピンにパジャマ姿。今からダッシュで準備しても0時を回ってしまう。
「あの・・・実はもうあなたの部屋の前に来てるんですけど、ドア開けてもらっても良いですか?」
えー!?ちょ、ちょっと待ってよ〜!!落ち着けー!落ち着け月山夏世!!
自分に言い聞かせながら慌ててベッドから下りて部屋チェック。良かった〜。掃除してて。
取り敢えず薄手のカーディガンを羽織ってドアの前へ。やばい。ドキドキしてきた。
深呼吸して鍵を外し、そっとドアを押し開けた。
「航さん。どうしたんですか?こんな時間に。」あ・・・こんな時間って言っちゃった。
「ほんと、こんな時間にすみません。」済まなそうな笑みを浮かべた航さんが何だか可愛くて、
思わず手を引いて部屋へと招き入れてしまった。
「どうぞ座ってください。」「すみません。」また済まなそうな顔してる。
「あ、飲み物入れますね。」お気に入りのティーポットを出してみたものの手が止まる。
あの時の事を思い出してしまったから。
「あの、航さん、紅茶でも良いですか?私、実はコーヒー苦手で。紅茶しか・・・」
「ええ。僕もコーヒーより紅茶の方が・・・」途中でハッとした航。
解ってる。あの時、私の入れた紅茶を拒否したあなたの気持ち。
淹れたての紅茶の優しい香りが悲しい思い出も包み込んでくれそうな気がする。
「あったかい。」「あったかいですね。」目を細めて笑う航さんを見るのも久しぶり。
苦手だったはずの沈黙もこの人とならこんなにも心地良いんだ。
トクン・・・胸の奥で何かが弾けた。
「月山さん?涙・・・」えっ?私泣いてなんか。泣いてなんかないのに。
航の手がそっと頬に触れ、親指が優しく涙の跡をなぞる。
繊細な物腰からは想像出来ないほど大きくて男らしい手。
「この手で陽君を守ってきたんですね。」
そっと重ねられた夏世の手。航の目が戸惑いから決意の色に変わる。
「月山さん。すみませんでした。あなたを遠ざけるために僕は酷いことを言った。
あなたを傷つけてしまった。」静かに、でもハッキリとした口調で航が続ける。
「あなたにヒミツを隠しているのが辛くなって、自分の気持ちに嘘をつき続ける自信もなかった。怖かったのかもしれない。月山さんの存在が僕を変えて行くことが。それに向き合うことが・・・。」
「航さん、謝らないで下さい。私の方こそ・・・ごめんなさい。」
笑顔を作ってるはずなのにまた涙が溢れてくる。それを隠すように瞼を伏せた。
フワッと小さな風が夏世の前髪を揺らす。
チュッ。航の柔らかい唇が夏世の涙にそっと触れた。
えっ。航さん!?どうしよう!?どうしたら良いの?
鼓動が激しくなって胸が痛い。頭もプチパニックに陥ってる。
もう何も考えられない。
その間も涙の跡を辿って何度もくちづけを繰り返す航。
「航さ・・・。」甘く囁かれた自分の名前を濡れた唇で遮る。
それは優しく徐々に深くなり、二人はいつの間にか、すれ違っていた気持ちを掻き消すように、互いの想いを確かめるように激しく絡み合う。
静かな部屋に響く音が更に二人の呼吸を荒くする。
そんな中、夏世の思考回路停止状態の頭の隅っこでは独り言が始まる。
キスしたの何年ぶりだっけ。5年ぶりぐらいか。
でもこんなキスは初めてかもしれない。航さんがすき。しあわせ。
気持ちいい。ほんと気持ちいい。恥ずかしいけどキスだけでもう・・・。
航さん、キスが上手い。慣れてるのかなぁ。ん?慣れてる?
女の人の陰なんか全く見えないのに。
そう言えば、航さんの過去の恋愛話って聞いたことないなぁ。
好きな人にこんなこと思うのも変だけど想像つかないかも。
でも、キス上手すぎる・・・。気になる。すっごく気になってきた。
航のもう一つのヒミツが気になって仕方ない夏世はまだ気付いていなかった。
パジャマのボタンが航の慣れた手つきで次々と外されていることに。
つづく?
575 :
571:2007/03/09(金) 01:40:51 ID:dI3vJ4Se
うわっ。改行変ですね。読み難くてすみません。お恥ずかしい・・・。
>>575 初めてリアルタイムを体験しました
「この手で〜」って素敵だなー
本編でも使ってほしいです
そして最後の最後にやっぱり天然なガッサン可愛いw
途中ぶった切ってしまい申し訳ありませんでした。
GJGJ!
意外に「手慣れ」てる航兄(ニヤニヤ)。夏世っぺが不審に思うのは当然。
私は押し倒す勇気を持った航兄を書けなかったので、続き禿しく期待してますっ。
でもやっぱりキスだけでは止められなかったのね。
押しとどめる自信はなかったのね、お兄様w
>>557 航兄素敵!自分の中でも航兄はドSな人。
絶対普段から夏世に色んな事させてると妄想してる。
>>575 純情な感じで始まってるのがイイ!脳内独り言が夏世らしい!!
航は慣れてると思う。実は夏世も結構天然エロだったらオイシイな。
突然ピンポン→押し倒しもいいけど、
航兄は声が素敵だからマンションではゆっくり話もできず、でも声が聞きたくて
がっさんに用事もないのに電話してしまう航兄のシチュも読んでみたいなぁ。
遠慮がちで不器用な航兄とぎこちないがっさんとの真夜中の会話も萌えそう。
智兄だったら「声が聞きたくて電話したんだ」とか言ってくれそうだけど
航兄は絶対に言えないよね
明らかに夜中に電話する必要ないだろwwwみたいな突込みどころ満載な口実を作って電話してきそうw
>>580 ちょw航兄www
航兄は鬼畜も純愛も中学生日記もどれでも似合うなw
声がいいっていうと航もそうだけど、四兄弟全員に当てはまるよね。あと夏世も。
ここはぜひ言葉責め満載の電話プレイをきぼん、とだけ書いておきますw
>>580 プップップー プップップー プップップップップップップー
月山「んん〜‥‥はい、もしもし‥‥?」
長男「夜中にすみません。もしかして寝ていましたか?」
月山「!!あ、いえ!すっごい起きてました!
残った仕事を片付けてるところです。」ドキドキ‥‥
長男「あ、そう‥‥。仕事中ですか。お忙しいみたいだし、じゃまた‥‥」
月山「!いえ!大丈夫です!(むしろ切らないで!)‥‥どうされました?」
長男「どうもされてないんですが‥‥ちょっと(声が聞きたくて電話してみただけなんだけど)。」
月山「ちょっと??」ドキドキ
長男「ちょっと‥‥」
う‥‥なんて言おう。そ、そうだ!
長男「さっき、お、修のモノマネしてみたら
すっごいうまくできたんで是非聞いて欲しくて!」
月山「ふぇ?」
長男「コホン。あー、あー。いきますよ!」
月山「は、はいっ!」
長男「‥‥『すばらしいぃ〜!』‥‥どうでしょうか?」
月山「う〜ん。もっと、『い』をハッキリ言ったほうが似てると思います。」
長男「『すばらしぃいぃ〜!』?うーん。」
月山「『すばらし〜ぃい〜!』です。」
とか?
>>583 ちょ、バカスwww
深夜にこんな会話繰り広げる色んな意味でバカップルなふたりに禿萌えww
GJです!本編でこんな長男夏世見てみたいよ
586 :
航×夏世1:2007/03/09(金) 20:14:40 ID:a7WphTds
微妙アブノーマルです。純粋に航兄好きな人ごめんなさい。ちょっとSMっぽいので苦手な方はスルーしてください。
智 「マジで〜!?はいはい、わかったよ」
リビングで長い足を組みなおして電話中
修 「智ぴょん!!いくら花園ゆり子でモテるからって朝から調子にのるんじゃないの!!!」
トマトジュースを一気飲みして、テーブルにたたき置き威嚇音を出す修。
智 「ちげぇ〜よ。あの人が風邪で病院に行くから、遅刻するって」
修 「は!?オニムスメが風邪!?ついに仮病つかうようになったか。そうやっていいわけしていつまにかいなくなるんだよな。ふっ。」
陽 「今までそのパターンで2人いなくなったもんね」
航兄の微笑みが曇り、目線を落とす。
航 「さっ、早く始めないと明日の締め切りにまにあわないぞ」
1人リビングを出ていってしまった。
陽 「きっと二日酔いで動けないだけだよ。航兄本気にしちゃったかな?」
修 「陽くんが、追い打ちをかけるような事いうからだぞっっ!」
悪意にみち溢れた笑顔で陽を見る。
意地悪もそこそこに3人とも明日の締め切りのために作業部屋へむかった。
航兄は心配な気持ちを打ち消す為、ハイペースで描きまくる。
3人は時折視線を合わせて航兄を見てはニヤニヤしていた。
そして、お昼にしようかという時、インターホンが鳴る。
智がロックを解除し、ドアを開けると大きなマスクに顔色の悪い夏世が立っていた。
修 「夏世っぺ〜、お腹すいたよ〜〜〜。お昼はなんで・・・」
陽 「本当に風邪なんだ」
夏世「えっ、あっ、風邪ですよ。本当に風邪。変な伝染病とかそんなんじゃないから大丈夫ですよ」
陽 「いや、そういう意味じゃなくて」
ソファーで腕を組んで眉間にしわを寄せている航兄
航 「どうして来たんですか?風邪もうつる病気ですよ。いくらマスクしているからって、ぼくらはいつも同じ部屋で仕事をしているんです。1人が風邪を引けば残りの三人も必ず風邪をひく。あなたはそんなことをも予測できないのですか?」
夏世「す、、、すいません。でも、、、そんなつもりじゃ・・・」
航 「原稿はできあがったら、こちらから送りますから今日は早く帰ってください」
夏世「気付かなくてすいませんでした・・・失礼します」
航兄のひどい天の邪鬼に、3人は呆れてため息をつく。
夏世はまた航さんを怒らせてしまった事と、自分の足りなさに涙がこみ上げてきたが、ぐっとこらえ足早に玄関へむかった。
パンプスをはこうとすると、玄関が崩れるように見え助けを呼ぼうとしたが、それはすでに自分が倒れた後だった。
587 :
航×夏世2:2007/03/09(金) 20:20:15 ID:a7WphTds
陽 「あの人このまままだと、自分は航兄に嫌われてるんだって本当にそう思っちゃうよ」
智 「まったく・・・」
アフターフォローにむかう智
智「ごめんねぇ。わるぎは・・・っておいっ!おいっ!航兄っっーーー!!」
航 「どうしたっ!?」
陽 「夏世っぺ!!」
修 「オッ、オニムスメが死んでるっーーーーー!」
智 「おい、大丈夫か!?」
智が上半身を起こす。
夏世「す、、、すい、、ません。。。だいじょうぶ、、ですからタ、タク・・・」
陽 「とりあえず、ここじゃだめだよ。寝かせよう。」
智は夏世を抱え上げゲストルームのベッドへ寝かせた。
熱で顔が赤くほてりつらそうな夏世。
航兄は困った顔をしながら、冷たいタオルと氷枕を持ってきた。
智 「今タクシーで家にかえすのは無理だろ」
陽 「彼氏いないし、1人で誰にも気付かれず死んじゃうかもよ。」
修 「航お兄様、こういう時どうしたらいいんでしょう?」
航 「体を冷やさないようにして、水分補給、薬を飲ませてひたすら寝かすしかないな」
修 「すばらしい。では私は何のやくにもたたないので失敬」
智 「おれも」
陽 「航兄は僕たちが風邪をひくたびにそうやっていつも看病してくれたから慣れてるよね。仕事は修兄がやっておいてくれるから心配しないで。じゃ」
588 :
航×夏世3:2007/03/09(金) 20:26:22 ID:a7WphTds
ゲストルームのドアは航兄と夏世を残して閉められた。
冷たいタオルで汗をかいた額を拭いてあげる航兄。
「すいません。。。本当に、、、いつも迷惑ばかり・・・」
「そう思うんでしたら早く治してください。」
航兄は倒れたのにも関わらず冷たく言い放つ。
「薬は飲んだんですか?」
「いえ、まだ・・・・いやっ、い、いいんです。。。そっ、その」
夏世は熱で朦朧とする頭で答えていたが、何かを思い出し慌てて会話をごまかそうとする。だがそんな力はなくただカバンは開けないでという気持ちでいっぱいだった。
「なぜすぐに薬を飲まないんですか?今朝病院にいってきたんでしょう?」
航兄は夏世のカバンを開き薬を探し始める。財布、手帳、携帯・・・あった。
袋を手にとると{坐薬(解熱剤)}と赤い字で誤飲しないように記載されていた。
航兄の動きが一瞬止まる。
夏世は気付かれてしまった恥ずかしさと、このあとの気まずい空気を考えていっそうのこと、意識がまったくななればいいのにと視線を壁側へむけた。
航兄は夏世が慌てていた理由を知り、子猫を見るような甘いほほ笑みで夏世を見る。
「夏世さん、申し訳ないと思うのならこれから僕のいうことがきけますね?きかなきゃダメですよ」
「えっ・・・」
航兄はベットの毛布をどかし夏世の寝ている座る。
「坐薬入れますから、ジーパンとショーツ脱いでください。」
「えっ、、え、そ、そんなこと無理です。。。ダメ、、、そんな事絶対に・・・」
「しかたないですね」
「ダメッ!、、、やめてください航さんっ!航さんっ!!」
夏世のジーパンのボタンを外して、腰の下に手を入れするりと脱がせてしまった。体が思うように動かず抵抗できない夏世は航兄の思うがままにレースのショーツを露出した。
「こんな事しないでくださいっ!」
「そんな騒いだらダメですよ。熱があるんですから。それに弟達に聞こえたらとんできて、その姿見られちゃいますよ」
590 :
航×夏世4:2007/03/09(金) 21:02:55 ID:a7WphTds
優しい悪魔のほほえみをうかべる航兄。
「さぁ、横向きになって僕のほうにお尻をつきだしてください」
「そんな事できません。。。。本当にもう大丈夫ですから・・・やめて」
「そうですか。できないならしかたないですね。弟達を呼んであなたを押さえもらわないと」
「えっっ!、ダメッ、ダメッ、それはやめてください!!」
弟達を呼びに部屋を出る航兄に哀願して必死にとめようとする夏世。
「じゃあ、ちゃんと1人でできますか?」
「・・・・・」
「できないなら」
再び弟達を呼びに行こうとする航兄。
「で、、できます。。。やりますから。。。。」
恥ずかしさを振り絞って返事をした夏世があまりにも可愛らしく航兄の悪魔のほほえみやむことがなかった。
緊張しながら、横を向き控えめにお尻を突き出す夏世。
「そうですよ。お尻をこっちに向けてください。」
航兄は恥ずかしがる夏世のひざをしっかり曲げる。
「ショーツ下ろしますね。そんなに緊張しなくていいですよ。」
591 :
航×夏世5:2007/03/09(金) 21:04:28 ID:a7WphTds
ショーツを下ろすと、真っ白でマシュマロのようなふわふわしてお尻が見えその割れ目からはほのかにピンクのツボミが顔を覗かせた。
「そんなに見ないでくださいっっ。恥ずかしいですっ」
「見なきゃできませんよ。」
航兄は片手でお尻を開き、緊張してヒクヒク痙攣しているツボミに坐薬を近づけた。
「口でゆっくり呼吸してください。痛くないですからね。力抜いて・・・入れますよ」
「んうっ、ぅっっっ・・・いゃぁっ、、、いっ、、、きっ、きもちわるいっ」
「吐きそうですか?」
「ちがっ、お尻が、、、とってください、ダメっ、とって」
「我慢してください。出したらもう一度入れますよ。」
出しそうになる夏世のツボミをティッシュで押さえる航兄。
「手離して下さいっっ」
「嫌ですか?でもあと5分はこうしていたほうがいいですよ。」
「恥ずかしいですから、もう、、、本当に・・・」
「そうですか、でも体はそんなに嫌がってないみたいですけど。」
「えっ?」
「僕の押さえている手がなぜ濡れているんでしょうね。」
「えっっ!、そ、そ、それは、なんか、その・・・」
「その?なんですか?お漏らししちゃったんですか?」
「違いますっ!」
「5分立ちましたよ」
航兄は濡れたティッシュをとり、新しいティッシュで濡れている陰部を拭き、ショーツと自分のパジャマのずぼんをはかせ毛布をかけてあげた。
夏世は、羞恥の頂点をとっくに通り越し航さんになんといっていいのかわからなかった。
「ゆっくり寝てくださいね」
部屋の電気を消して出て行く航兄
592 :
航×夏世6:2007/03/09(金) 21:05:20 ID:a7WphTds
作業部屋に戻ると皆いつもにもなくまじめに作業をしている。というより、航と目を合わさないようにしているというか・・・。
目があってしまった陽なたが挙動不審に
陽 「ず、ずいぶんおそかったね。熱結構あるの?」
航 「あ、ああ、でも薬でさがるから大丈夫だろ」
思わず吹き出しそうになる自分の口と鼻を押さえる修。
それを見て智が必死にごまかず
智 「そ、、そっか。それはよかったな。」
航兄が横を向くと怪しさ満天の修の姿。
立ち上がって修の原稿を見ると、午前中、夏世来る直前の状態で止まっていた。
航 「修、いったいいままでなにをしていたんだ!?」
修 「いや、それはですねぇ、航お兄様・・・その」
陽 「い、いや、ぼくはなにもしらないよ」
智 「ヤベッ!俺打ち合わせだったいってきま〜す」
逃げる智。
航 「陽、まさかお前まで」
陽 「い、いや、だからぼくはただ薬を飲むために水を用意して待ってたんだけど、いつまでたっても取りに来ないし、変だななぁ〜って、ねっ、修兄」
修 「そっ、そうそうそう、で、智が様子みにいこうって、ねっ、航お兄様がオニムスメに襲われたら大変だと思ってね、陽くん、ネッ・・・ハハ・・アハハハハ・コロサレル」
こうして、兄弟間でヒミツがない片岡家は毎日幸せな悲鳴が聞こえるのでした。
マンションのエレベーター内にて
智 「女を濡らしておいて、やらないなんて航兄は本当わかんね」
終
>>583 ありそうでワロタww
朝起きたら修兄が智に怒られてそうだw
「修兄、夜中に『素晴らしい、素晴らしい』ってうるさいよ」
「えっ、俺言ってないよ!?」
なんてなー
>>592 >智 「女を濡らしておいて、やらないなんて航兄は本当わかんね」
激しく同意ww 職人様乙乙乙!
595 :
589:2007/03/09(金) 21:44:55 ID:VsORT/5Q
>>586さま
乙です。ドキドキしました。やっぱり黒航兄が好きです。
で!すみませんーーへんなコメント挟まっちゃいました。゜(゚´Д`゚)゜。
携帯厨だから充電器のコードで吊ってくる・・
仕事場にて
月山「みなさんはどんな風にマスターベーションを高めているんですか?」
四人「はぁ?!」
月山「そのう、やる気っていうんですか?いつもパワフルなんで。」
しーん‥‥。重い空気。
航 (突然何を聞くんだこの人は‥‥!)
(し、しかしこの空気、なんとかしてやらなければ彼女があまりにもかわいそうだ。え〜い!)
「‥‥DVDを観るとかかなぁ。」(ニヤニヤ)
月山「なるほど〜。ああ、そういえばこないだ
編集長も『映画観てラブモードを高めるのがいい』っていってました。
でも花園ゆり子には映画観に行く時間がありませんもんね〜。」
修 (うはwちょwwマジwwww航兄ww!よーし、じゃ俺も続くぜ!)
「俺は脳内からイマジネーションが沸いてくるタイプ?」
月山「自家発電ですか!」
修 (うはww自家発電を自家発電てギガワロッシングwww!)
「やっぱ俺って『天才』だから?」
智 「俺には必要ないし。」
月山「必要なくはないでしょう〜。
でも確かにほかの方々よりは切実ではなさそうですよね。」
航修(なんですと?!)
月山「陽くんは?」
陽 「‥‥それってもしかして
『マスターベーション』じゃなく『モチベーション』の事?」
月山「‥‥」
航智「‥‥」
修 「そういうことはもうすこし早く言ってよ陽くん。」
598 :
長男 月山:2007/03/09(金) 22:30:54 ID:/GaPDn2M
並んで歩いている恋愛偏差値の低い二人
(手をつなぎたいな〜)
(でも「手をつないでください」なんて言い出しにくいし)
(でもつなぎたいな〜)
(一体どうすれば‥‥う〜ん、う〜ん)
ひらめいた!
航・月山 「指ずもうは得意ですか?すっごい得意なんで
一度勝負してみませんか!」
航 「‥‥奇遇ですね。」
月山 「ほんとですね。」
航 「ちなみに手相を見るのも得意なんですよ。」
月山 「私もそれと迷いました。」
ID:/GaPDn2Mさん
面白すぎw 小ネタのネ申!映像が浮かぶ!
ID:/GaPDn2Mたんはその手の才能があるwwww
ある日の仕事場。
夏世「この前、陽くんが考えてくれた付録が出来たんですよ。」
紙袋からチャーミーの付録を取り出す。
智 「心理テストか・・・・」
航 「へー、色で相手をどう思ってるか判るんですか?」
夏世「面白そうでしょ?」
陽 「じゃあさ、僕らのイメージカラーを言ってみてよ。」
夏世「いいですよ♪」
修 「よろしい、まず最初は陽くんから。」
夏世「黄色かな?名前もお日様だし。」
陽 「本当、安易だね」
夏世「うっ・・・・」
智 「次、俺ね」
夏世「智さんは、緑、ですね。爽やか〜って感じで」
智 「航兄に見切りをつけたら、いつでも俺のとこへ・・・・」
と言いかけたが、航の凄まじく恐ろしい眼光を感じて止める。
修 「俺は?俺は?!」
夏世「修さんは、青。」
修 「なんで?男らしいから?」
夏世「いつもそんな色のジャージを着てるから」
修、コケる。
陽 「最後、航兄は?」
夏世「航さんは・・・・黒かしら」
一同、静まりかえる。重い空気。
智 「・・・・理由は?」
夏世「うーん・・・・やっぱり、大人だから?」
航 「ありがとう」
見つめ合う二人。
そして弟達は「本性を見抜いてるなんて、さすがだ」と思わざるをえなかった。
>>596 >>602 面白い! こういう小ネタもいいね!
火曜日までの長い時間を職人様方に癒されてます。
>>592 座薬……GJ!
このスレ内1、2を争う黒い航兄を堪能いたしましたw
>>小ネタの神様
GJ!
まさにショートコントですねw
DVDを楽しむ航兄まで想像してしまいました。
この流れに乗って投下します。
三男視点の長男×夏世です。
「はぁ…」
蛍潮出版で打ち合わせを終えて家に向かう途中。
人の横でため息をつく彼女を思わず見下ろした。
「何だよ」
「あ。すみません…」
「…溜め息つきたいのはコッチの方だよ。
編集者って売り上げのためなら作家殺せるの?」
「だってこの前の付録、大好評だったんですよ!?」
「さすが陽だよな。表向きはアンタの手柄だけど」
「…それは…でも!! 付録のシリーズ化って初めてなんですって!」
「描くのは修兄じゃん」
「だからこうしてお土産買ってるじゃないですか!」
「…いくらバナナ好きでもその量は有り得ねぇし」
「そうですかね?」
首を傾げる彼女の両手にはビニール袋いっぱいのバナナ。
修兄をコレで買収するつもりらしい。かなり俺達を熟知してきたな。
とりあえず半分持ってやろうと思い手を出してみた。
「…うわ、重。結構怪力?」
「失礼な事言わないで下さい!」
そうそう。そういう顔がアンタらしいんだよ。
その表情に思わず顔が緩みかけた。
「…らしくないな。溜め息ついて」
「…ちょっと、考え事してたんです」
「あー。航兄の事だ」
「うっ」
「…図星かよ」
思わず顔をしかめた。
急に足早になった俺を慌てて追いかけてくるガッサン。
「ちょっと…! 変な誤解しないで下さい!!」
「アンタさぁ。仕事とプライベートはちゃんと割り切ってくんないかな」
「……!」
その一言で黙りこまれた。
ちょっと言い過ぎたか。思わず立ち止まって振り返る。
「…悪い。言い過ぎた」
「いえ…私が悪いんです。仕事中に考える事じゃないし」
「……何だよ」
「え?」
「だから…気になる事があるんだろ。航兄の事で」
「……」
「話せばスッキリするかもしんないだろ?」
俺の言葉に、彼女は少し目を伏せて歩き出す。
「…変わらないんです」
「……あ?」
「付き合うようになって、その…時々泊まりに来てくれても、変わらなくて」
「何が?」
「『月山さん』」
ポツリと呟く彼女はひどく寂しそうな顔をしている。
「あー…そういう事」
「だっておかしくないですか? いつまでも他人行儀っていうか」
「恥ずかしいんじゃない?」
「でも、夫婦になっても『月山さん』とかだったら嫌です!」
「……結婚すんの?」
「た、例えばの話です!!」
…どうやら彼女と兄の仲は結婚を意識する程順調なようだ。
何だかちょっと不愉快だ。
その後、しばらく惚気話を聞かされた。
今は兄の恋人とはいえ、1度は本気で恋をした相手。
まだ完全に断ち切ったワケではないだけに、冷静ではいられない。
大体この前航兄が初めて朝帰りした時だってちょっとヘコんだんだよ、俺は。
そういうトコどう思ってんだよ、コイツは。
それも知らずに延々と『夏世って呼ばれたい』と惚気ながら力説している。
大体俺には呼び方なんてどうだっていいし…ん? 待てよ?
つまりコイツは航兄からまだ『夏世』って呼ばれてないって事だよな?
その瞬間、名案を思いついた。
「で、そういう時航さんは…」
「あぁ、もうわかったって」
「え?」
「惚気話はもうたくさん。要は航兄に『夏世』って呼ばれたいんだろ?」
「そ、そうなの!」
「俺に任せとけよ。考えがある」
「本当に? どうやって?」
「あー…」
更に名案。
「ヒミツ」
「は?」
「まぁ試してみようぜ」
「い、意味がわかんないんですけど!? 試すって?」
慌てる彼女に意地悪をしてやりたくなって、ニヤリと笑ってやった。
航兄の前で航兄より先に彼女を『夏世』と呼んだら、どんな顔をするんだろう?
ついでに肩も抱いてみるか。
つか、航兄よりコイツの反応が面白そうだ。
まぁこの俺をフったんだ、このぐらいの意地悪はカワイイもんだろ?
それにこういうお節介があった方が燃え上がるモンなんだよ、恋愛とは。
ちょっと心が痛むのは…気のせいだ、きっと。
以上です。
>>602 携帯からだったので気付かず、空気読ます投下してしまいすいません。
4兄弟のイメージカラー…何だか更に妄想が広がりました。GJ!
>>608 いえいえ、大丈夫ですノシ
あの二人はこういう事はありそう。
そして三男はやっぱり「イイ人」だ。GJ!
名前つながりで小ネタ
月山 「わたし、航さんにニックネームを考えたんです。」
(そしてついでに私も名前で呼んでもらえる流れに持っていこう。がんばれ夏世!)
航 「それはどうも。で、なんて呼ばれる事になるんですか?」
月山 「『わたるん』です。」
航 「それは‥‥。どこかのゆるキャラみたいでイヤだなぁ。他にないんですか?」
月山 「だめですか。じゃあ『わっくん』はどうでしょう。」
航 「‥‥う〜ん。でも以前そう呼ばれてましたよ?かぶってもいいならどうぞ。」
月山 「(ムッ)元カノとかぶるのはしゃくですね。じゃありえない感じで‥‥『わくわく』?」
航 「それにしましょう。じゃ、ためしに一度呼んでみてください。」
月山 「それでは‥‥コホン」。
「わ、わくわく‥‥さ〜ん!」
航 「なんだいゴロリ!」
月山 「なんかちが〜〜う!!!」
イメージカラーの職人さん、センチメンタルの職人さん 乙乙乙!
黒い航兄、最高!ジャージの青最高!ww
そしてセンチメンタルな三男、切ない…・゚・(ノД`)・゚・
せめて一番乗りで夏世と呼ばせてあげたい。(夏世っぺ除く)
>>610 「わくわく」って「わ」しか残ってないしwゴロリの元ネタがわからない自分が憎い orz
今日は神さまの降臨が多いですね…。
保管庫様が旅行から戻られたらきっと嬉しい悲鳴でしょうw
う〜ん・・、最近○○(キャラ名)「(セリフ)」ってのが流行ってるの?
なんか違和感感じるなぁ・・・個性的なキャラばっかりだから、わざわざ名前付けなくても分かると思うんだけど・・・。
GJ!
職人方、すばらしい。すごく楽しい。このスレ。
>612
流行ってるとかではなく、そういう作風だと思う。
自分は全然気にならない。好みの問題?
>>610 わくわくさんにハゲワロタw
航兄にメガネかけさせたい…
615 :
612:2007/03/10(土) 00:35:04 ID:vibF/fNu
>>613 でも、今までなかった作風だよね。
慣れれば気にならなくなるだろうけど、自分は普通に本読んでる感覚でエロパロ読んでるから、どうしても違和感なんだよな。
名前を付けないと誰のセリフかわかんないような文でもないし・・・、って、読み手がこんな事言ってスミマセン
このスレはいつも潤ってるね
職人様方GJです
>>612 一応混乱を防ぐためと読みやすいように名前付けてるんじゃないかな
名前が入ってるのもシナリオみたいで自分は好きだな。慣れの問題かも。
>>610 GJ!
ゴロリが分からなかったけど
>>612 自分も全く気にならなかった
登場人物が多いときはあると助かるかな〜
なければそれなりに読むし
619 :
602:2007/03/10(土) 00:44:49 ID:XWpw1eIk
>>612 ご指摘ありがトン。
自分は普段の投下は小説文でしてるけど、
小ネタ系は会話になっちゃうな。
こういうのは台本形式のほうがテンポよく読めるかと思って。
でも違和感感じる人もいるのが判ったので、
今後はもう少し工夫してみる。
>>610 GJ!ゴロリもわくわくさんも分かる自分としては、とても笑わせてもらったww
このスレは良い雰囲気だね
こうやって向上し合って素敵な職人さんは出来ていくんだろな
>>610 GJ!!
わくわくさんもゴロリも懐かしかったw
面白かったです!
職人のみなさん、本当にいつもありがとうございます!
神々の小ネタブームと夜闇に紛れてバカネタ投下。
本編のシリアス展開を無視してます。なんかもう色々崩壊。
〜月山家にて〜
「お迎えご苦労様です、みなさん」
「こんばんは、陽がお邪魔してます。陽、帰るぞ……って陽はどこに?」
「航さん、陽さんなら亮子が…」
「私がうっかりお酒かけちゃって。陽くん今シャワー浴びてるわ。ごめんなさいね」
「シャワー!?陽あいつ…」
「やるな陽くん…」
「ひ、陽くん、服濡れちゃってすごく嫌そうだったから…シャワーなんか貸しちゃってやっぱりまずかったですか?」
「……や、陽が我が儘を言って申し訳ありません」
「いえそんな…。もうそろそろ出てくると思うので」
がちゃ
「ガッサンさん。あなたのこれやっぱり丈が短いよ」
「あらぁ〜陽くんそれ月山よりよく似合ってるわよ」
「陽さん流石です。やはりガッサンとは醸し出す空気が違う」
「っひ、ひひ陽」
「お前そそそれ何を着ききてんの?」
「ちょw陽くん鬼娘のパジャマktkrwwそして航お兄様もさとぴょんもキョドり過ぎww」
「あ、もう迎え来たんだ。でも僕服が乾くまで帰らないから」
「いい良いから陽今すぐこここっちにきききなさい」
「そそそうだぞ航兄の言うことは聞いた方がいいぞ」
「陽くん、うち乾燥機ないし服乾くのほんとに時間かかっちゃうよ?」
「じゃあ今日は僕ここに泊まる。航兄、いい?」
「いいいわけないだろう、なぁ航兄?」
「陽。帰り道は俺のコート貸してやるから寒くないしパジャマ隠れるし今すぐ帰れるぞ
お前の着てきた服ならまたの機会に取りにうかがいなさい
さぁ修も智も帰ろうそれじゃ月山さんありがとうございましたパジャマは今度洗って返しますでは」
がちゃ
ばたん
「そ、そんな一息に全部言わなくても…あ、行っちゃった。変な航さん…」
「おいガッサンさっさと肉持ってこい肉」
「月山ぁ野菜足りないわよ〜」
「は、はぁい…二人とも早く帰ってくださいね…」
〜四兄弟帰宅直後航の部屋にて〜
「陽、今すぐにそのパジャマを脱ぎなさい」
「なんで?あのひとのいいにおいがするのに…」
「陽、お前航兄に逆らうのか?」
「……ごめんなさい。脱ぎます。……はい」
「よし、部屋に戻っていいぞ」
「…はい」
がちゃ
ばたん
「……邪魔者は消えたな航兄。あとはこのパジャマをどうするかだ」
「智。ここは長兄である俺が責任を持って彼女に返してお」
「嘘つけ。」
〜数日後、片岡家リビングにて〜
「修さん、こないだ陽くんに貸したパジャマが
返ってこないんですけど…何か知りませんか?」
「…俺、知らない。結局長男三男が2人で仲良く縦に2分割しちゃって
とても返せる状態じゃなくなったなんて、俺知らない」
「え?修さん今なんて…」
「修?何か言ったか?」
「ひっ!!航お兄様いつの間にリビングに!!
な、なんでもないです僕は仕事に戻ります!!」
「お、修さん〜!?航さんも行っちゃった……
はぁ、あのパジャマ高かったのになぁ…」
以上です。陽くんの涙とかなくてほんとごめんなさいごめんなさいごめ(ry
予告にあった智の「俺じゃダメかな?」の後を妄想してみた。
航兄と見知らぬ女が抱き合ってるのが見える。
うつむいて、その場を去ろうとする彼女。
もう我慢できない。
後ろから駆け寄って、強引に抱きついた。
「俺じゃダメかな?」
「ちょ、ちょっと智さん、何するんですか」
「俺ならあんたを悲しませない」
「こ、困ります」
「もうこれ以上つらい思いさせたくないんだ」
「離して下さい・・・」
正面を向かせて、強く抱きしめる。
もう離さない。
このあいだ、泣きながらマンションを去る彼女を
そのまま行かせてしまったから。
「俺のこと嫌い?」
「・・・嫌いじゃないですけど」
「気になってたんだ。ずっと。俺、あんたのこと放っておけないんだよ」
「でも、あんたの目に映ってるのは航兄だった」
「智さん・・・」
ゆっくり顔を近づける。
とまどいながらも目を閉じる彼女。
優しく唇を重ねる。
彼女のことは俺が幸せにする。もう泣かせたりするもんか。
>>622-623 面白w何なんだこの兄弟はwww 登場人物中で次男と夏世っぺだけまともなのが
またイイ。この二人、普段はボケ担当なのにナー。
>>624 本編でもそうなるような気がしてきた。その様子を長男が見てたりしたら萌えるな…
>>622 なにこの素敵展開w
長男、月山のパジャマを前にして
一気に知能指数が下がったな!
>>605〜
>>607 センチメンタル三男、よかったです。セリフ回しが、リアル智っぽい!
智って、カッコいいのにいい奴で大好き。
ふられても、ウジウジしてなくて。
だから、ガッサンもフツウに惚気話を、智にできちゃうんでしょうね〜。
>>622-623 GJ!
登場人物がみんな面白すぎる。
取り乱しまくる長男三男ワロス
>「なんで?あのひとのいいにおいがするのに…」
四男カワイス
「の前に名前ってのは別に嫌いではないけど、
普段本を読んだり小説を書いたりしない人なのかな…?とは思った。
(あまりそういった形式を見ないので)
普段書かないのに凄いなぁと思ってたよ。
まぁついてない形式の方が見慣れてるけど、どっちでもいいや。
因みにこの作品でここの職人さんなら
名前無くてもセリフの区別つきますよ!
小ネタだから簡潔に、と考えて、
敢えてああいう形にしたんだとオモ。
個人的には小ネタの台本形式好きっすよ
テンポ感が確かに出てる
むしろそういう工夫は普段文章に触れてる人でなくては出来ない気がする
そしてセンチメンタル三男に萌え!
>>624みたいに報われる三男が見たい…でも夏世には一本筋通してもらいたい…難しいところだ
来週はラブ満載みたいだから楽しみだな
>>623 仲良くパジャマを分ける航兄とさとぴょんワロスwww
>>624 夏世には航兄を癒してほしいと思いつつ智に振り向いてほしくもあり…
ああ複雑だ
つか作品形式は職人さんの自由でしょ
よっぽど読みにくいなら別だけどシナリオタイプの作品なんて他でもよく見かけるし
つくってあそぼテラナツカシス
ここでわくわくさんが
でてくるとは…斬新だッ
航がつくってあそぼを見ていたとはw
作ってるの妄想してワロタw
>>632 ナカーマ。
自分は、小ネタの時は脚本形式の方が読みやすい、と思った。
例えば
>>622 GJ!! ですが、こういう風に会話で話が進めていく場合は
名前「セリフ」の方が、自分は読んでて疲れない。
でも、小説形式であれ、脚本形式であれ、職人さんが書きやすい形式で書くのが
一番、ですけど。自分も両方使うし。
>>635 航兄が子供の時は番組がなかったから
きっと陽と一緒に見てたんだなw
自分も神々に紛れてこっそりと小ネタ投下。
610さんに続けて、更に名前繋がり。
**
「ガッサン、先生方にお茶!」
「ガッサンさん、僕は牛乳がいいな」
「ガッサン、俺はダージリンね〜」
「僕はコーヒーで」
リビングに入ってきた途端に注文の嵐だ。
しかも、呼び方が『ガッサン』になっている。
航に至っては、それすら呼んでくれたことがない。いつまで経っても『あなた』のままだ。
(実は、私の名前覚えてないんじゃないの?)
ふぅ、と夏世が大きな溜息をついたところで、遅れて来た修がキッチンに顔を出した。
「夏世っぺ〜、俺は日本茶ね」
(あ、一人だけ名前で呼んでくれる人がいたんだっけ)
それが妙に嬉しくて、夏世は「修さーん!」と叫びながら抱きついた。
「な、何事!?」
「修さんは私のオアシスですー」
「意味がわからん!」
修は突然の事に顔を赤らめ、ジタバタとしていたのだが
「何してるんだ?」
という声が聞こえ、びくりと身を強張らせた。
恐る恐る振り返ると、微笑んだ航がいつの間にか背後に立っている。
「ヒッ……! お、お、お兄様!」
「修、離れなさい」
優しい言い方が逆に恐ろしい。
黒い気配が、徐々に修へと近づいていた。
「か、夏世っぺ! お願いだから離れて!」
「オアシス〜」
「修?」
「イヤー!」
この時の修の叫び声が、1階まで聞こえたとか聞こえないとか。
>>639 GJ & 乙
小ネタ大好きwww
聞こえたね、間違いなく聞こえたね
夏世は本当に天然で抱きついたりしちゃいそうwww
航は自分の中で、そーゆーの見せつけられても、ソファーの上で
ポカーーと口開けていそうだけどWWW(対処できないで固まっちゃいそう)
向かっていく長男イイネ!!!!
GJ!!!!
・・・小ネタなら・・と書けそうに思って書き出してみても続かない・・・
orz
コツってあるんだろうか・・
>>600 わかりますw
頭では展開されるのに文字には表せない
小ネタ祭りもシリアスも楽しいです
職人様ありがとうございます!
GJ!
黒いオーラを背後に漂わせつつ微笑む航が浮かびます
布団一組の小ネタです。
名前「」形式なので苦手な人はスルーしてください。
航「陽、帰るんだ。」
陽「いやだ。僕ここに泊まる。」
修「陽君、お兄様たちの言うこと聞きなさい!」
陽「ねぇ、泊まっていいでしょ?」
夏世「うーん、布団一組しかないし・・・」
陽「僕、それでいいよ」
夏世「えっ」
修「な、なんてハレンチな・・・陽君!」
陽「じゃあ、修兄たちもいっしょに泊まればいいでしょ?」
修「な、な、なんと!」
夏世「あのー狭いんですけど。やっぱり4人で一つの布団っていうのは・・・」
航「すいません。陽がわがままを言ってしまって。」
夏世「い、いえ!」
智「ま、こういうのもいいんじゃない?あんたいつも一人で寂しいんでしょ。」
夏世「失礼な。」
陽「いいと思うな。僕、今までこんな風にみんなで寝たりすることってなかったし。」
夏世「陽君・・・」
修「む、むふふ。すばらしい!」
>>644 すばらしいwwwww
笑ったwwGJ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
5人で1つてwwwwww
>>644GJ!でも4人じゃなくて5人じゃね?と突っ込んでみる。
なんだかんだ受け入れる月山カワユス
航お兄様とさとぴょんが無言で夏世っぺの隣を争ってる間に陽くんが抱きついてしまえばいいよ。
>>645 d
そうだ。夏世も入れると5人でしたorz
4人で一つの布団→5人に訂正です。
陽君‥‥ってなにほだされてんだよ夏世っぺ〜!
gj
GJ!
おもしれー。
それに、一郎と亮子も加わったりして。
連投スマソ
夏世の隣片方は陽で決まりで、もう一方の隣争奪戦が繰り広げられそうだ。
横ぢゃなくて、上、という選択も………吊ってきます orz
>651
マテ!吊るな!下という選択もあるぞ!
一緒に逝こう… orz
もう下が長男で上が四男で、両隣に次男三男の十字キー構成でいいじゃまいか。
夏世っぺ暑苦しいな…
色気も何もあったもんじゃないなww
だがそれもイイW
>>653 思いっきり5P体勢だとwktkした…
逝ってくる…
5人で同じ布団だったらかなり暑いよね。
修とかバーンと脱いじゃいそう。
それに続いて他の兄弟や夏世もーーー
航は絶対眠れないまま朝を迎えそう。
みんなの妄想爆発っぷりを見て改めて大きなGJを送りたい。
>>644、是非続きを書いてくれw
>>610 それにしましょうwwwwしかもノリノリwwww
知っててOKしたんだな
夏世のツッコミもお姉さん的で非常にカワユス
すみません、
>>644さんと
>>649さんに触発されたので
布団ネタ便乗させてください。
ギャグです。ほんのいっしゅん、航×夏世風味。
「僕がっさんさんの隣で寝る。だめ?」
「えっ、あっ、ちょっ(汗」
陽クンのまだちょっぴり幼いがゆえの大胆発言に、戸惑いを隠せない夏世。
ピシャーン・・・ゴロゴロゴロ・・・
突如部屋の空気が一転、禍々しいものに変わり、
陽に向かって絶対零度の視線が二本、鋭く、突き刺さる。
まさに一触即発。
(ひっ・・・陽・・・あいつ・・・・・・)
(陽・・・兄ちゃんはお前をそーゆー風に育てた覚えは無いぞ・・・)
(・・・陽くーん、まずいよー、この2人怖いよー)
既に泣いてる修。
そこへ・・・
「つ・き・や・ま・は!あたしと寝るのーっ」
すっかり出来上がった亮子が夏世にタックル。
「きゃっ!へ、編集長!!」
「亮子!!何やってんだオメー!!」
「きーてよ月山、いちろー君がね、もーちっとも素直じゃないんだからぁあぐっあぐっ(泣)」
「え、えーとあの・・・」
たじろぐ夏世と目が合う航。
助けを求められている気がした。
航が動く。
「川村さん、そのあたりにしておきませんか」
続いて智も。
「あ。俺も手伝うわ(って航兄ィ、どさくさ紛れてあいつに近づこうったってそうはさせねェー!!)」
「よし、頼む(なっ!何バカなこと言ってるんだ!お前じゃあるまいし!)」
「ああ(なんだとー!!)」
「あああもう先生方、よしてください!って、うわあぁぁぁ」
止めに入った一郎も引きずり込まれ。
壮絶な光景を目の前に、修は「地獄絵だ・・・」と呟くのだった。
その夜は結局以下のようにして寝ることとなった。
(布団) (雑魚寝)
陽夏亮 机 一修智航
航&智:(・・・・・・遠い・・・・・・)
以上です。
アホですんません。ちゃっかり陽がっさんの隣で寝てるし。
亮子さんはお泊り断りなさいって言ってなかったっけ?っていうのはスルーで。
エロくなくてごめんなさい。このスレの職人様方みんなレベル高すぎです!!
カップリング関係なくみんな大好きだー。
>>662 GJ〜! 夏世っぺの所までたどり着くのに大変そうだな…航&智。
修と一郎ちゃんの壁は難なく通過できてもボスキャラの亮子が待ってる。
しかも陽が横から亮子を援護射撃、がっさんさんの良い匂いを独り占めするために。
>>662 GJ!ワロス
がっちり夏世の隣を確保した陽と亮子にモエス
並んで寝る男4人ワロス
GJ!!
長男と三男の呟きが良い
あぐあぐ泣く編集長に萌へた…
神さま方、ここらでいちろー君×亮子さんお願いします
布団ネタの流れにワラタw
イイヨイイヨー
流れと全く違うモノを投下させて頂いてもヨロシイでしょうか(;^_^A
以前投下した『甘いもの』と登場人物が修と夏世、それにたい焼きが出てくる
ところが共通なだけで全く別の話です。
残念ながらエロなし&無駄に長いです。空気嫁ずスマソ。
期待
ありがとうございます。
お言葉に甘えて投下させて頂きます。
***
田中ちゃんをうまーく撒いて行ったパチンコ屋で千円で大当たりした。
うっほぉい!
更にその帰り、いつものたい焼き屋でめったにお目にかかることのできない、
幻の限定たい焼きが一匹分だけタネが残っていたのを顔馴染みの特権で店のオヤ
ジに教えてもらって焼いてもらうことができた。
うっほっほぉい!!
「なんだか今日はついているぞ!二度あることは三度あるって言うしー、あと
もう一回くらいあってもいい筈だ〜。」
とほくほく顔でマンションに戻る道すがら、ショートカットのために公園の中を
通った。
そこで、夕方の人気のない公園でブランコに腰掛けている小娘を見かけた。
こちらに背を向けて顔を俯け、漕ぐともなしにただ座っている。
あいつめ、こんなところでサボってるのか。
ケシカラン!
……と、何がケシカランのか分からないけど、そろそろと後ろから近づいて行き
大声で驚かせてやった。
「こら!小娘!!」
「きゃ!」
俺の声に驚いた小娘は、期待通りブランコから落ちかけたので、俺はほくそえんだ。
びびりじゃのー。
そして急いで小娘の前に回ると、
「アンタ、こんなとこで何………」
油売ってるのさ、と言おうとして途中でやめてしまった。
だって、振向いた小娘が………泣いてたんだもん。
「どうしたの、アンタ?」
「……なんでも、何でもないです。」
ないわけないでしょ、そんなにぼろぼろ泣いて。
俺は駅前でもらったテレクラのティッシュを小娘に黙って差し出すと、空いてい
た隣のブランコに腰掛けた。
涙の訳は、おそらく、航兄だと思う。
あの冷静沈着な航兄がなんだか夏世っぺに対しては、優しくしたかと思うと急に
突き放すように辛辣な言葉を投げつけたりして、随分情緒不安定じゃない?と思
うことが多々ある。
さすがの俺も、どうしたんだと気にはなっていた。
「言いたくないなら仕方ないけどさ、話してみたら?少しは気持ちが落ちつくん
じゃない?」
「…………」
俺は黙って隣でブランコを漕ぎ続けた。
キィキィキィ
キィキィキィ
暫くして、夏世っぺがポツリポツリと話し出した。
「航さんに、取材のこと、一回だけだって約束したのにこれじゃあ……騙された
みたいだって………他にも修さん達を煽るような真似は止めてくれ、とか………
航さんが怒るの、当然ですよね。」
そう言って寂しそうにまた俯いてしまった。
ああ、ナルホド。
航兄が、俺や智がほいほいと取材を受けるのを快く思っていないのは知っていた
けど、何もそんな風に夏世っぺに言わなくてもいいのにネ。
航兄らしくもない。
言いたいことがあれば、直接俺らに言えよなー。
「そんなの、別にアンタが悪いわけじゃないじゃない。アンタが無理矢理取材
のアポを入れてるわけでもないんだし。
少なくとも、俺と智は自分達が行きたい取材にしか行ってないし、それなりに楽
しんでるよ。」
「……本当ですか?」
「ああ、ホント、本当。特に俺は『花園ゆり子』ではなく、『片岡修』として認
められて結構いや、かなり嬉しい!」
びしっと親指を立てて言うと、やっと夏世っぺが泣き止んだ。
全くしょうがねーなー。
俺は買ったばかりのたい焼きの包みを開き、1匹だけ買えた幻の限定たい焼きを
手に取ると、小娘の手に持たせた。
「ほいっ、たい焼き。これ食べて元気だして。」
「……ありがとうございます。」
「あったかい内に食べたら。今日のは特別、美味しいよ〜。」
「はい………。」
俺がそう促すと、やっと夏世っぺはたい焼きを口に運んだ。
一口目。
まだ餡に達せず。
二口目。
夏世っぺがあれ?という顔をした。
三口目。
気が付いた。
「修さん、これ……。」
「そう、そう!それが幻の『白餡』たい焼き!常連でも滅多にお目にかかれない
珍し〜い、たい焼きなのよ。」
「すごく、美味しいです。」
「そりゃそうでしょう。なんでも最高級最中に使う白いんげん豆を使ってるらし
くて、素材が滅多に手に入らないから作れても10個位しか作れないんだってサ。
だから『幻たい焼き』と俺達兄弟の間では呼んでる。心して食べるよーに。」
「でも、修さんの分は?」
「1個しかなかったから、俺はこっちの普通のあんこのたい焼きでいいわ。」
「そんな、悪いです。じゃあ、半分っこしましょうよ。」
そう言って夏世っぺが幻のたい焼きの残りを差し出した。
当然、たい焼きには……夏世っぺの歯型がついている訳で。
「あ、汚いですね。ちぎります。」
俺の視線に気が付いた夏世っぺが、慌ててたい焼きを手でちぎろうとした。
だから俺は急いで、たい焼きにかぶりついた。
「あ!」
「頂き!んまいなー。」
「修さん、ひどい!半分なくなっちゃいました!」
「アンタがくれるって言うから、食べたんじゃない。もごもご。んまい!」
夏世っぺも負けじとたい焼きにかぶりつく。
もちろん俺の歯型のついたたい焼きに。
その後も二人で競い合うように交互に幻たい焼きにかぶりついた。
なんだかそれがおかしくて、二人でどちらともなく笑い出した。
「アンタ、先刻まで泣いてたのに………随分元気じゃない?」
「あ、そう言えばそうですね。」
頬についた涙をティッシュで拭きながら、夏世っぺが恥ずかしそうに笑った。
「さ、凹んでないで、戻ろうか。原稿、いるんでしょ?」
「はい。」
二人で夕日を背に受け、長い影を地面に落としながらマンションへと戻った。
俺は、今日パチンコで大勝したことや、最近買った新しいガンプラの話を、途中
トンチンカンな質問をしてくる夏世っぺをちゃかしながら、話し続けた。
間違いなく興味のない話だろうに、夏世っぺは一生懸命俺の話を聞いてくれた。
マンションのエントランスでエレベーターを待っていた時、突然気が付いた。
「あ!いかん!!」
「どうかしましたか?修さん。」
「さっき食べた幻たい焼きのこと、うちの兄弟にはナイショで。
二人だけで食べたって知れたら……間違いなくコロサレルからね!」
「こ、ころされちゃうんですか!?」
「そ、食べ物の恨みは恐ろしいって言うでしょ?」
「分かりました、言いません。絶対に。」
「うん、夏世っぺと俺のヒ ミ ツな!」
「はい。」
にゅっと小指を立てて差し出すと、夏世っぺが何の躊躇いもみせず小指を絡めてきた。
そして、エレベーターの中で二人でぶんぶんと指きりげんまんをした。
やっぱ小娘は、笑ってる顔が一番いい。
「二度あることは三度ある、か。確かに、あったかもね。」
「え?修さん、何か言いました?」
「んにゃ、なんでも。さー原稿頑張るぞー!」
「はい、お願いします………って修さん、原稿これからなんですか!?」
「そーなのよー。今晩は徹夜かなー?夜食、よろしく!」
「えぇぇぇぇーーーーー!!」
俺にだって、たまにはこういう日があっても、いいんじゃない?
了
時間軸としては、8話の紅茶を入れている夏世を切ない目で見つめる航兄のシーン
の数日後位。
心理的には夏世→航兄ですが、修兄にも何かほっこり温かい思いをしてもらいた
くて。
修兄、普段おちゃらけてるけど、実は繊細でナイーブで人の心の痛みに非常に敏
感そう。でも不器用さんだから自分が食べたくて買ったたい焼きをあげるくらい
しかそれを表す術を知らないんじゃないかな?って感じで妄想しました。
あと2話しかないのか。
皆が笑って迎えられる最後であって欲しい!!
>>668 すばらしぃぃ〜い!
日曜朝に早起きしたら「甘いもの」続編がっ!!
前の作品大好きだったので、また修×夏世が読めて
すっごく嬉しいです。朝も早からGJです。
>>668 すばらしいぃぃ!
朝から鯛焼き食べたくなっちゃったじゃないか。
また頼みます!
>>668 GJGJ!! 何だか優しい感じの雰囲気で、好きです。
この二人って何気にベストカップル(コンビw)だよね。
>>668gj!修兄&夏世っぺや夏世っぺ&陽くんは兄弟みたいでイイよね。ほんわか。
白あんうまいよねw
さて、今日は保管庫様がお帰りになる日だが…神様s、仕事増やし過ぎですよw
保管庫様、ご自分の生活を第一にゆっくり収録進めてくださいね!
>>678 ID通りGJ!!
ほのぼのとした2人、大好きだ―!
GJ、たくさんありがとうございました。
修兄と夏世っぺの微妙にズレてる会話が好きです。本当にある意味ベストカポー。
修兄や陽君と夏世の仲良し兄弟話を妄想するのは楽しいです。
そしてID。これ、おこがましいが固定で欲しいぞww
ID GJ タソ、GJ!じ〜んとしますた。
修兄のやさしいカンジ、好w
火曜日が待ちきれなぁい!ので
ついこのスレのぞいてしまうのですが、こんなオイシイSSが(涙)
さっき、1話からまた数話分見てしまいました…
GJさんGJ!
来週なみえさんとのエピソードみたいだけど
夏世とのこんなエピソードも見たかったなー
687 :
644:2007/03/11(日) 15:15:58 ID:slaT0qSF
続き書いてみました。
修「ん〜智ぴょん〜。」
智「やめろ。くっつくな。」
修「智ぴょん、冷たい〜。」
夏世「ちょ、ちょっと、押さないでくださいよ。」
陽「もうやめなよ。この人が眠れないでしょ。」
航「そうだ。じっとしてろ。」
智「ほら。頭乗せれば?」
夏世「えっ?」
修「う、腕枕!まったく、智君は手が早いんだから〜許しませんよ。」
智「うるさい。修兄が枕独り占めしてるからだろ。」
智「ほら。」
夏世「あ、ありがとうございます。」
航「・・・」
陽「いいの?航兄。」
航「いいんじゃ、ないか。」
陽「じゃあ、僕も。僕もしてほしいよ、腕枕。」
夏世「えっ?私?」
陽「ダメ?」
夏世「いや、ダメじゃないけど。」
陽「ふふ。」
夏世「もう、陽君・・・」
修「陽君、なんてことを〜。」
航「お前たち、この人を困らせるのはやめなさい!」
修「そんなこと言って〜航お兄様、自分がしてもらいたかったりして。」
航「・・・馬鹿なこと言うんじゃない。もう寝るぞ。」
>>687 GJ!モエー
智の腕枕(*´Д`)
腕枕おねだり陽モエ。
智ちゃっかり隣をゲットしてるね。
航は奥手な性格が災いしたか?
5人の位置ってこんな感じ?
修 智 夏世 陽 航
智、ベストポジションじゃん。
>>668 >>688 GJ!!
このスレは神がかってるね
目に浮かぶし最高にほのぼのだし
ほのぼの大好物
ドラマの空気が普通に流れるって、すんごい事じゃね!!
布団は縦ではなく横にして、みんな足をかかみこんで寝てるのかな・・
と妄想してみたりした
GJ!
てかリアルにものすごく狭いよねw
絶対修と航布団からはみ出してるだろうしw
陽さ…腕枕して、夏世側向いたら
胸 に 顔 当 た る
連投スマソ。妄想が暴走。
布団を横にすると、足を曲げなきゃいけないから、足元狭そうだよね。
智なんかは足長そうだから、はみ出てそう。
足元狭いから自然と足が絡みあったり、抱き枕状態になったり。
そんな状態に気づかず眠る夏世と、柄にもなくドキドキの智。
…って考えたとこで、夏世は陽の腕枕してるから、智の方に向けないことに気づいた。
そこで、陽と夏世が抱き枕に変更。
690さんの言う通り、胸が当たって、智よりもオイシイ状態に。
すやすや眠るかわいい夏世と陽。
朝起きて、そんな2人を見て、内心うらやましい航と智。
智とだったらエロくなるけど、陽とだったらほのぼのになるよね。
夏世んちってベッドだったよな。
つーことは、端の奴は必死でしがみついてるわけか。
そこまでして愛しの夏世っぺと寝たいのか四兄弟w
「こうゆう風にドラマの設定を借りてパロディーすること」の
「名称」が有ればいいのにな
エロパロってなってるけど、別にそこだけに制限されているわ
けじゃないし それによって立ち寄らない&投下しない人もい
ると思うし
(ナマイキデスマン・・・orz)
このスレってドラマに対して良い影響はあっても、絶対悪い影響
はないと思うし
オレはキャラクターに対してより愛着がわいたし・・
エロパロじゃなくてさ・・
何か良い名称ないかな・・
ぷう
パロディでいいと思うんだぜ
ドラマのパロディーだから
「パロえもん」ってどうだろう・・・
と思ってみたが、くだらなすぎる・・(死)orz
エロパロ は エロパロ だとオモ。
ごめん妙なこと言い出して
無視してください
orz orz吊ってきます
ここにくるとpinkだってこと忘れるww
…orz
泣くな俺
まあまあw
仲良く次の神の投下を
まちましょうやw
704 :
爆弾投下1:2007/03/11(日) 22:27:14 ID:qAujBFdN
三男→夏世で。エロなしです。
すんげークダラナイ…。
航はスクリーントーンの補充を兼ねて書店に足を運び、智は打ち合わせと食材の買い出しに出掛けて行った。
陽は家出で遅れたネームと、そのあおりを喰らった形の修が仕事部屋で留守番していた。
キーボードを叩く音と、ケント紙に墨を加えていく音がしばらく聞こえる。
「……修兄。僕、独り立ちしようかと思うんだけど、どうかな」
「どうかな…って、陽君! 一人暮らしでもするつもりっ?
兄ちゃんは許しませんっ、許しませんよぅ! 陽君がなんて言ったって、俺たちの兄弟なのっ、家族なのです!
これは、俺だけの気持ちじゃないんだからね! 俺たちみんなっ、陽君が大好きでっ」
「うん、判ってる。僕もお兄ちゃんたちのこと、大好きだから」
…あぁあ。家出をして帰って来たらば陽君てば、ますます可愛くなっちゃって〜。
うつむき加減に頬なんか染めちゃって、兄ちゃんはメロメロだぞぉ。
「でもね。僕が1人前になるのなんか待ってたら、航兄、自分の幸せも逃しちゃいそうで…」
そうね。他人を内側に入れたら俺たちのヒミツがバレそうだからっていうか? 航兄は頑なに変化を拒んで来た。
でも、あのオニムスメがいれば。
…そんな日も遠くないんじゃないかと思ってる。
705 :
爆弾投下2:2007/03/11(日) 22:28:32 ID:qAujBFdN
「しっかし、陽君。一人暮らしじゃない独り立ちって、どうするつもりなの」
「ん〜。結婚、とか?」
ぶふっ! ひ、陽君? いきなり結婚って、何ソレ?
「一人暮らしじゃあ絶対許してくれないでしょ? 誰かと一緒なら、良いかなって」
「それもどうかと思いますが。…同い年のコ?」
「同い年でどうするの。年上とかじゃないと、安心してくれないと思うし」
まあ、そうね。結婚はぶっ飛び過ぎだけど、ちゃんと陽君のことを任せられるような大人の女性なら、航お兄様も許してくれるかも?
…でも、可愛い娘に『お義兄さん』って呼ばれるのも、捨て難かったかな〜うふふ。
しかし。陽君の知ってる大人の女性というと。
「…ま、まさか陽君。君のお嫁さん候補ってもしかして。
………¨しゃぶしゃぶ¨?」
「! 修兄…、ないから。ソレは」
…良かった〜。ホンットに、焦った〜。宅の陽ちゃんが、そんなに年増趣味な筈は…ゴニョゴニョ。
いえね、確かにお顔はキレイよ? でも田中ちゃんには悪いけど、あの飛び跳ねた性格って一体全体どうなっておりますのでしょうか。
「まさかまさか。陽君! 美那絵さんではありますまいな?」「…もう一人、いるでしょ。大人の女のヒト」
706 :
爆弾投下3:2007/03/11(日) 22:30:03 ID:qAujBFdN
? ? ?
いたっけ?
陽君より年上の〜……。
「ひなたくんっ?! それはもしかして、………オニムスメ?」
「この間慰められちゃったし、あの人結構可愛いし、意外と大人だったりするし、良い匂いするから」
陽君! 君はなんって!
『おそろしい子っ!』
小指立てて瞳はキラキラの、大御所の大御所のワンシーンが浮かんでしまう。¨ガラスのマスク¨だったっけ。これってば、職業病かしら。
智が何年か前に、新刊出たとか喜んでたっけなぁ…。
いや、現実逃避をしてる場合じゃない。
そのオニムスメは、多分きっと絶対航お兄様が好意というかホニャララな感情を抱いていると目されるオニムスメでありましてっ!
「なんでまた、オニムスメ」
「身元の保証はされてるし、知らない仲じゃないでしょ?」
ね、航兄?
ってナニ? 陽君。微妙に斜め向こうな視線は。入口にどちら様が立っていると言っちゃうの?
「プロポーズはまだだけど。良いよね?」
「…陽の好きにしなさい。
あの人にあまり迷惑をかけるんじゃないぞ」
ピキーンって。
今、ピキーンて空気が凍った音が〜。
振り向くな、修っ! イノチが惜しかったら、振り向いてはいけないぞ!
…ヒイィィィー。さとぴょ〜ん、早く帰って来て〜…。
終。
航×夏世が好きなのに、なんで一度も書いたことがないんだ…。
保管庫さま、今日がお帰りなさいの日ですよね。無事のお戻り、祈っております。
駄作なんで、保管はご判断に任せます…。
>>704-705 GJGJGJ!!!サイコーです!これこそ保管庫管理さまにお願いして、永久保存し
て頂きましょう!
怯える修兄、天然か計算か?一番やってはいけない相手に、宣戦布告した陽君に
は何かすばらしいものを送らなくては!!
そして、布団ネタ、夏世と陽の『抱っこ』状態を羨ましそうに見てる、航兄と智
君に乾杯☆
皆様の妄想すばらしい!!楽しい!!
保管庫さま、今日お戻りですね。いつも本当にありがとうございます。
709 :
甘いもの:2007/03/11(日) 22:53:04 ID:GJl5kIU1
↑↑↑
すみません、肝心の
>>706が入ってませんでした。
710 :
保管庫:2007/03/12(月) 00:08:26 ID:n2+2p8lc
ただいま戻りましたーー!!
皆様、暖かいお見送りのお言葉&大量の萌え&身体の気遣いまでありがとうございます!
すんごい嬉しいです。
お蔭様で鋭気を養ってまいりましたが、このスレがライフワークになってるようで、
昨晩は夢に出てきました。病気ですね。
あとは「ココに夏世っぺ+四兄弟がいたら……」なんて幻覚を見たりしました。
数日の間にこんなにもレスが進んで、大量の萌えが投下されてて、まさに素晴らし〜〜い。
収録する時にまたじっくり読めるのが保管庫の役得でございます。
頑張ります!
基本的にハッキリと「収録NG」と書いていない限りは保管対象とさせていただきます。
宜しくご了承をお願いいたします。
>>516 嬉しいレスありがとうございます。
実は自ら妄想しなくても、投下される神作品で萌えが補完できちゃってるものですから
サボっておりましたw
今回の骨休めでまた書く気が戻ってきたので、出来るだけ頑張ります。
本当に嬉しいです。ありがとうございます!
保管庫様お帰りなさ〜い!!
自分も保管庫様の作品読みたいです。真剣に。
お時間あるときに投下して下さったらすごく喜びます。
>>710 お帰りなさい〜
夢にまで出てきたなんてwこのスレに対する強い愛を感じますw
お疲れだと思うので、どうぞゆっくり進めてください。
いつもご苦労様です。
>>保管庫様
おかえりなさい。
そしていつもありがとうございます。
保管庫様不在の間に自分も投下させてもらいました。
あまり急がずにゆっくりなさって下さいね。
>>保管庫さま
おかえりなさい
そしていつもいつも、ご苦労様です。
疲れをじっくり落としてください
いつもいつも感謝感激雨あられです
保管庫さん おかえりー!!
素敵な投下がたくさんあったので保管が大変でしょうが無理なさらずに・・・。
いつも感謝しておりますよー(´∀`)
>>704さん GJ!
かわいいよ四男…四男×夏世好きです。ガラスのマスクの新刊は自分も喜びましたよw
ところで冒頭の「三男→夏世」は「四男→夏世」ではないでしょうか?
>>704 GJ!
まだ若い四男が結婚って言葉を持ち出すなんて。
夏世と四男が結婚して夫婦になるとこを想像したら、
かわいらしくてニマニマしちゃったよ(´∀`*)
そして、保管庫さん、おかえりなさい(´∀`)
保管庫さまお帰りなさい!いつも楽しんで読んでます。
どうぞ無理をなさらずゆっくりと編集してくださいね。
爆弾投下様GJ!ひな×かよ激萌えです。
触発されて初SS書いたのですが投下してもいいですか?
携帯なのでちょっともたもたしますがご勘弁を…
エロ無しです。
先週の神社で泣いた当日の深夜の設定です。
深夜1時。僕は子機を手に取り、あの人の番号を押した。
トゥルルルル・・・
なかなか出ない。やっぱりもう寝てるよな。よし、もう1コールで出なければ切ろう、
トゥル「・・・・・・・はい・・・」・・・出た!
「あ、あの、遅くにごめん。陽だけど・・・」
「あー・・ひなたくん・・・どしたの・・・?」
寝起きらしい、いつもより鼻にかかったけだるげな声が聞こえる。
「・・・ごめんなさい、やっぱ寝てたよね。」
「んー・・・いいよー・・・またなんかあった・・・?」
眠いだろうに、彼女はいつもと変わらず優しく答えてくれる。
「本当ごめん。寝たままで、いいからさ・・・少し、話したくて・・・なんか、眠れなくて。」
「そうだよねー、いろいろあったもんねー・・・」
ごそごそ、と布の擦れる音が聞こえる。彼女が布団に入ったんだろう。
「航さんたちと、あの後なんか話したの・・・?」
「うん・・やっぱり、あなたのこと、担当に戻してほしいって、お願いした。」
「えー・・・?いいのに、そんなー」
「僕が、戻ってきてほしいんだから。あなたは何も気にしなくていいの。大丈夫、きっと上手く行くから。僕に任せておいて。」
「ほんとー・・・?へへ、うれしいなぁー・・・」
彼女の甘い声に、どんどん心拍数が上がっていく。
「ねえ、僕さ、あなたのこと・・・」
「・・・・・・」
「聞いてる?」
「んーー?」
「あなたのことね、なんか違うふうに、呼びたいんだけど。」
「んー・・・」
「なんて呼んだらいい?あなた、じゃよそよそしいし、月山さん、てのもなんか違う気がするし・・・ねえ聞いてる?」
「ふぇ・・・なんでもいいよぉ〜・・・」
「・・・もう。じゃあ『夏世』でもいいんだよね?」
「・・・・・・・・・」
返事はなく、受話器からはただあの人の寝息だけが聞こえていた。
優しい寝息。離れているのにとても近くに感じる。僕の腕の中にいるような気がする。甘い香りが甦る。
「・・・夏世。」
やっぱり返事はない。でもとても愛しくて。
今日はこのまま眠ろう。あの人の寝息を聞きながら。
こんなにも胸がドキドキしたのは僕だけのヒミツだ。
あの人を一晩中独り占めにしたのも、兄ちゃん達には内緒だ。
僕は布団に入り、彼女の寝息にそっと寄り添った。
以上です。
初投下につき至らぬ点がありましたらお詫びします。
ではまたROMに戻り神を待ちます。
GJ!
眠っちゃったのに、「夏世」って呼んでる陽に萌えたー。
>>718 GJ!
受話器を抱いて眠る陽かわいい。
なんて純情なんだろう。モエス
>>715 さま
爆弾です。大変失礼しました。4男→夏世ですね。
他の方々も申し訳ありません。あれを目安にしてるんですもんね。
>>保管庫さま
一晩経ってしまいましたが、お帰りなさい。ご無事で何より。
…ヘタレ発言は気になさらないで下さい。
>>718 これは素敵な小説だ!
二人とも凄く愛しい
朝から胸キュンしました
>>723 初投下お疲れ様でした&GJ!
陽が『夏世』って…ドキドキしますねw
また萌えが文章化したら、是非投下お願いします。
自分も投下します。
長男×夏世で夏世視点です。
あぁ、朝が来てしまった。
布団の隙間から顔を出せば、航さんは既に着替え終わっていた。
何だかムカっときて、思わず口をとがらせる。
昨夜、久し振りに航さんが泊まりに来てくれた。
毎日のように会っていても、やっぱり泊まりに来てくれる時は嬉しい。
航さんと2人きりでいられる大切な時間だから。
まだ慣れなくてドキドキするけど、それ以上に幸せすぎて気持ち良くて……。
思わず昨夜の出来事を思い出して布団の中でジタバタした。
「…どうしたの?」
「あ…何でも、ないです」
航さんが振り返って、私を見ている。
その視線と昨夜の航さんの視線を重ね合わせそうになって、やっぱりジタバタした。
そのはずみで、航さんの背中を蹴ってしまった。
「痛っ…」
「ヤダ、蹴っちゃった!? ごめんなさい!!」
思わず飛び起きて航さんの背中をさする。
「…怪力だな」
「ごめんなさい。あぁもぅ……」
我ながら情けない。
何で私はこんなにこう…アレなんだろう……。
落ち込んでいたら、不意に航さんに抱き寄せられた。
「抱きつかれるのは歓迎するけど、蹴るのは勘弁してほしいな」
「だ…きつく?」
再び昨夜の出来事が頭をよぎった。
頭の中であんな事こんな事がグルグル回った。
抱きつくってやっぱりあの時の事?
「そ…そんなに、怪力ですか?」
「まぁ、それなりに」
耳元で航さんの声がする。
恥ずかしさでこの場から逃げ出したくなってきた。
何でそんなに冷静なの?
もしかして気持ち良いのは私ばっかりで航さんはそんなでもないのかな…。
「どうしてソコで落ち込むんですか。
言ったでしょう? 抱きつかれるのは歓迎するって」
「嫌じゃ…ないですか?」
「怪力なのが?」
「…それもだけど…そうじゃなくて」
「?」
「ちゃんと…航さんも、気持ち良くなってますか?」
私の問い掛けに、返事はなかなか返ってこなかった。
やがて体が小刻みに揺れ始めた。
航さんが肩を震わせて笑っているからだ。
「…航さん?」
「……航さん『も』、ね」
「?」
「つまりあなた『は』、気持ち良くなってるって事だ」
航さんの言葉に硬直した。
な、ななな何て事を聞いてしまった、いや言ってしまったんだろう!?
パニックになって気がついたら、ベッドに横になっていた。
見上げると航さんがいて、『あの時の』視線に心臓が跳ね上がる。
「そういえば聞いた事なかったな」
「な、何をですか!?」
「その…声とか、表情とか…体の反応で勝手に判断していたな、と」
「だから何を!?」
「いい機会だから、ちゃんと教えてもらおうかな」
「まっ、待って!!」
慌ててその手を止める。
「航さんも、ちゃんと…教えて下さい、ね?」
ソレについての返事は、なかった。
結局、航さんが帰ったのは昼過ぎだった。
後ろ姿をベッドの中で見送って小さく息をつく。
やっぱりドキドキするし、今日は特別恥ずかしかった。
それに。
「あんな事言うなんて…反則だぁ……」
幸せ過ぎて、死にそう。
以上です。
航兄は最中に夏世っぺに『あんな事』言っちゃったんだ、
と妄想してくださると幸いです。
どうもありがとうございました。
>>732 GJ!
初々しい夏世が夏世らしくていいです!
航兄が何を言ったのか妄想してる自分も頭デッカデカになりそう…
>>724 >>725 >>727 >>728 たくさんのGJありがとうございます。
基本弟萌えなのですか、このスレの神々のおかげでどのカップリングにも萌えるという状態になってしまってます。
ドラマとこのスレに、どっぷり浸かってます…。
うわぁお〜〜 良いです!
キュン死しそう…素敵な作品有難うございました!
はうあ〜素敵ですね!
キュンキュンします!うれしはずかし夏世っぺ!
ああー明日の放送が終わったら
あと一回でドラマ終わりなんてかなし過ぎ(><)
釈ちゃんの日記読んで余計切なくなりマシタ
>>732 GJ素敵!萌えしろのある作品は、
自分の中でまた色々と妄想が膨らんでたまりませんなぁ。
あと30KBで次スレ立てですね。ピッチ早いなー
嬉しい悲鳴が出るよw
>>729-
>>731 タソ、GJ!!
『あんな事』…イヤンw
妄想してシアワセ〜
GJ!!!
ここは職人さんが多くていいねw
ちょっと目はなした隙に更新されてるとか嬉しいよw
航か陽×夏世に激しく萌える漏れw
>>732 GJ!あんな事って、あんな事なのか〜〜!!航兄スッゴいっ
>>736 萌えしろ、素敵な言葉だ
連投スマソ
以前投下した航→夏世←智の三角関係ものの続きを投下させて頂きたいと思います。
こういう話が苦手な方は、スルー願います。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
***
待ち合わせの30分も前にカフェに来て、入り口が見える席に陣取り彼女を待つ。
この俺が、女を待つなんて、誰が予想しただろうか?
俺だって信じられない。
航兄が一方的に彼女と片岡家の縁を切った後、俺達兄弟はかなり荒れた。
積極的に家の外にすら出ないあの陽が、彼女の家に押しかけて行き帰ってきて
から航兄に食ってかかったり、修兄は新しい担当のおっさんを陰険にイビリ倒し、
一方で表面上平静を装っている航兄も常にイライラとして、家中が始終ピリピリ
した空気に包まれ本当に居心地が悪かった。
多分それは作品にも現れていたのだろう。
「展開が急だったり仕掛けが派手なのは大変楽しいのですが、以前のように純粋
に楽しめる要素が減ったように思います。」
「先生方、お疲れですか?」
「なんか最近仲間士分裂してる!なんでー!」
という内容のファンレターが増えた。
俺は仕事をこなしながら、なんとか彼女と連絡を取ろうとした。
しかし、携帯は解約されご丁寧にアパートも引き払っていたため、俺が出来る事と
いえば出版社の前で待ち伏せをするくらいしかなかった。
だが、ファッション誌に移った彼女は出退勤時間が不規則らしく、とうとう会う
ことが出来なかった。
それとも誰かに言って俺が待ち伏せしている時は知らせてもらって、こっそり裏口
から帰っていたのかもしれない。
だから、卑怯だとは思ったが……亮子さんに連絡を取った。
『あら、智君、久しぶりね。元気だった?』
「ん、ああ亮子さん。久しぶり。俺は元気、だよ。亮子さんはどう?」
『私は元気よ。新しい雑誌の仕事が忙しいし、毎日充実してるわ。』
「そっかーそれは良かった。」
『で?今日は、何の用?』
「ん、まぁ……ちょっと。」
『何?智君らしくもない。はっきり言えば?』
「……あー、やっぱり、いいや。亮子さんに頼むことじゃないし。」
『……月山のこと?』
「………」
亮子さんが、携帯の向こうで盛大にため息をつくのが聞こえた。
『あの子、あなた達兄弟に関わってもの凄く傷ついたの。』
「分かってる。」
『分かってるなら、そっとしておいてあげてくれないかな……花園ゆり子のせい
で不幸になる女は、私一人で沢山。』
「あなたにも……彼女にもすまない、と思っている。」
『じゃあ、もう放っておいてあげて。これ以上月山を悲しませるような事は、
しないで。』
「………それでも、会いたいんだ。」
『そんなのあなたの気持ちの押し付けでしょ。男ってどうしてそうなの?』
「………」
再び、亮子さんがため息をつくのが聞こえた。
『智君、来月末業界のお偉いさんが集るパーティがあるの。』
「………?」
突然話が変わり意味が分からず黙ってしまった俺に構わず、亮子さんはそのパーティ
が開かれる場所と日時について、早口でまくし立てた。
『……で、実際は、仕事にかこつけた業界の大御所のじーさん、ばーさん達の体
の好い飲み会みたいな集まりですっごくつまんないのよ。』
「………」
『でも、仕事上のしがらみで絶対出席しないといけないのよね。ただ、すっごく
残念なことに、私その日用事があって行けないの。だから……誰か私の代わりに
出席してもらおうと思うの。』
「……誰か、代わりに?」
『その誰か、に訊いてみるけれど、彼女がパーティに行ってくれるかどうかは分
からないわ。』
「……うん。」
『例え行ってくれたとしても、会場は広いし何時に行くかも分からない。』
「……うん。」
『私から言えるのはそれだけよ。じゃ、忙しいから切るわね。』
「待って、亮子さん!」
『何?』
「その、何て言っていいのか……。」
『あ、そうそう、そのパーティ招待状が要るからね。多分、コミック部にも付き
合いで送られてるんじゃないかな?ま、彼らは来た事がないけど。』
「分かった。訊いてみるよ。……亮子さん、ありがとう。」
最後の言葉は既に携帯が切られた後で、きっと彼女には聞こえなかったと思う。
正直、彼女と会えるとは思っていなかった。
俺らのせいで傷つき、幾晩も涙を流したであろう彼女が、華やかなパーティに
仕事とはいえ、来るとは思えなかったから。
でも、俺はそれにかけた。
パーティが始る夕方から深夜、最後まで待とうと思った。
会場の隅の壁にもたれて立っていると、年齢を問わずやたらにけばけばしく着飾った
女にも男にも話し掛けられたが、いつもの営業スマイルも忘れてひたすら入り口
を見つめていた。
どのくらいそうしていただろう。
会場には200人を越える人がいたのに、周りのざわめきも聞こえず、ただ彼女が
そこにいるのが見えた。
左手にシャンパングラスを持ち、青いシンプルなドレスを身にまとった彼女は
白い肌が一層青ざめて見えた。
人をかき分け、彼女に近づく。
あと15m。
あと10m。
あと3m。
飲み物を配っていたボーイから赤ワインのグラスを受け取り1口飲むと、出来る
だけ平静を装って彼女に声を掛けた。
「……あれ、月山さん?久しぶり、だね…元気だった?」
震えるな、俺の声。
それからは、再び彼女と出会えたこのチャンスを逃すまいと俺は必死だった。
この俺が、初めて自分から女に電話をし、興味がありそうな話題を探しオブラート
に包まれた大人のもの言いで断られても、断られても、手を変え品を変え彼女を
誘い続けた。
だから、初めて彼女から承諾の返事をもらった時は、あまりの衝撃に声も出なかった。
彼女の心の中に、俺じゃない誰かがいるのは知っている。
それを消すことは一生出来ないのかもしれない。
でも、俺は決めたんだ。
その想いごと、彼女を愛していこうと。
現在待ち合わせ時間の10分過ぎ。
今日も彼女は遅刻。
毎回遅刻するって分かってるのに30分も前から待ってる俺って、言われなくても
大バカモノだ。
でも、もうすぐ彼女があの扉を開けて、息をきらせて入ってくる。
パンプスの踵を鳴らして、頬を赤く染めて、俺のために走ってやってくる。
ごめんなさい、会議が長引いてしまって、きっとそう言う彼女を俺は、いいよ今
来たばかりだからといつものように笑って許してしまうのだろうな。
そして外気に晒されて冷たくなった手を、いくら彼女が恥ずかしがっても、握り
しめて歩き出す。
「もう絶対に、この手は離さないから。」
了
>>747 GJ!続き密かに待ってましたよ〜d
智切ないね・゚・(ノД`)・゚・
本編では、お茶するどころか缶コーヒーすら飲んでもらえなかった智ぴょんが
報われる話を書きたくて書きました。
明日の放送までもう24時間きりました。
待ち遠しいようなきて欲しくないような複雑な気持ちです。
GJ!
智が幸せそうで嬉しい。
智みたいな役まわりに弱いんだよね、私。
報われてよかったね、智(嬉泣)
>>749タソ GJですた!
震えるな、俺の声 って、ああ、もう〜。
缶コーヒーすら>ですよねぇぇ。
まだ一度も夏世っぺに飲んでもらえてないよね?
航兄萌えですが、そんな切ない智ぴょんに萌!
>>749 GJ。
智の必死さが伝わって萌えました。
職人さんGJ!
>>736 「萌えしろ」ステキスw
保管庫さん、仕事が早い!!ありがとうございます!お疲れさま〜 つ旦
>>678 遅レスですがGJ!!!
自分の好きなマンガにあったネタを思い出しながら読みました。
エレベーターの前で、夏世っぺの口元にあんこが...
それを修兄ぃが「あ、あんこ...」と、ぺろっと!!
そんな妄想してました...
証拠隠滅(*´д`)ハァハァ
智×夏世で書いてみたので、投下します。
エロ有りですので、苦手な方はスルーしてください。
あと、初投下なのでモタついたらごめんなさい。
本編での智があまりにも切なかったので思わず書いてしまいました。
設定は、9話が終わって、10話の途中くらいの時期のつもりです。
「ねぇ、もっかいあのドレス着てよ。」
ここは夏世の部屋。
夏世はベッドの上で智に押し倒されていた。
(…な、なんでこんなコトに!?)
飲みすぎたお酒のせいで、頭が朦朧としている。
(今日は確か、智さんとの打ち合わせの後、飲みに行って送ってもらって…って、アレ?なんで飲みに行くコトになったんだっけ!?)
めでたく花園ゆり子の担当に復帰した夏世は、智にウマいこと言いくるめられて、つい飲みの誘いに応じてしまった。
担当に復帰した嬉しさも手伝って、つい飲みすぎてしまい、現在に至る。というワケである。
「ド、ドレスって何のことですか!?」
ベッドの上であお向けの状態になり、両手首を押さえつけられた夏世は、智に見つめられていることに耐えられず、顔を横に向け、目をそらしながらそう答えるのがやっとだった。
「またまたぁ、初めて会ったときに着てたじゃん。」
「……っ!」
あの、 ドレス。
夏世は初めて片岡4兄弟に会ったときのことを思い出し、顔が赤くなった。
「俺さぁ、最初アンタの趣味で着てるんだと思ってたんだよね。」(笑)
「あれはもう捨てました!そんなことより離してくださいっ!」
そう言いながら、組み敷かれた手を振りほどこうとするが、びくともしない。
>>704-706 遅ればせながらGJです!!次男好きな自分には修の台詞や心の声にウケましたw上手いなぁ。
他の兄弟とのフラグが多いからか、次男にはこういうポジションが似合う気がする。
ガラかめ「おそろしい子」w禿ワラタww
でも次男にも春が来てほしいなぁ。今日のデートうまくいくといいな。
前スレ、タイトル忘れました。ごめんなさい。
一応「智×夏世 コスプレ?@」で脳内補完お願いします。
「…やっぱり、航兄のこと好きなの?」
「……違っ…んっ!」
夏世が思わず顔を上に向けると、智の唇が夏世の口を軽く塞いだ。
そっと、触れるようなキス。
「ちゃんと目ェ閉じろよ。前みたいに。」
智は唇を離すと、イタズラっぽく笑いながら言った。
その表情に思わずドキリとしてしまう。
航のことは尊敬している。
しかし、最近ではその想いが、例えば中学生が先輩に憧れるような、一種の憧れの感情だったような気がしてならない。
「俺じゃ……ダメか?」
ふいに智は子犬のような目になり、そうつぶやいた。
(……イヤじゃ…ない、かも。)
夏世は、智の眼差しを見つめながらそう思い始めていた、その時、
「…んっぅ……――――――」
智が再び唇を重ねてきた。
さっきの口づけとはまるで違う、激しいキス。
智は夏世の唇を味わうかのように吸い付き、舌を入れて絡ませてくる。
甘い、とろけるようなキス。
(智さんて、キス上手い―。)
キスだけなのに、身体が痺れるような感覚に襲われる。
それは、夏世が今まで経験したことがないものだった。
そして、夏世の想像以上に智のキスは夏世の身体を熱くさせた。
「んふっ、んっっ…」
舌と舌を絡ませながら、唾液がいやらしい音を奏でている。
その隙間に、つい声が漏れてしまう。
(こんなキスされたら、もう…)
夏世は自分の身体が智を欲しがっているのを感じた。
「〜っ!やっぱやめた!」
「…えっ!?」
「アンタの気持ちも確かめずに、押し倒すなんてやっぱ良くないよな。ごめん。」
いかにも申し訳なさそうな眼差しで智はそう言うと、夏世の上から身体を起こし、ベッドの横へ降りた。
(あ〜あ、もったいなかったなぁ。…って、何考えてるのあたしってば!)
「それよりもさぁ…」
夏世が一人ツッコミをしていた隙に、智はいつのまにかクローゼット代わりに使っている押入れ(?)の前に立ち、ロールスクリーンを上げていた。
「きゃ〜!何してるんですか、智さん!?」
「着せ替えごっこしようぜ」
そう言いながら、ハンガーに掛けてある衣類を物色している。
「ホントはドレスあるんだろ!?」
「やめてくださいっ。ないですってばー!」
(あんなお姫様ドレスが普通に入ってたら、ちょっとイタイ子でしょー。)
またしても一人ツッコミをしつつ、智の手をつかもうとするが、上手くかわされてしまう。
「……あ。」
ふいに智が何かを見つけ、手を止めた。
智が見つけたのは、お姫さまドレスではなく、サイン会の時のドレスだった。
「これ、似合ってたよね。」
智は、夏世が花園ゆり子サイン会の時に着ていたレオナールのドレスを手に取ると、何かを言いたそうな目をしながら、夏世を見つめた。
「…な、何ですか?」
「これ、着てみてよ。」
「―――イヤです。」
「何でよ?」
そりゃ、恥ずかしいからに決まっている。
「せっかくさっきまでイイ感じだったのにさぁ、流れちゃったワケじゃん?その代わりにちょっと遊んでくれてもいいんじゃない?」
さっきの雰囲気を流したのは、智のほうなのに、勝手な言い分である。
「もうエロいことしないし。これ着てくれたら帰るから。」
「でも……。」
「まぁ、とにかく着てみてよ。俺、向こうに行くから。」
そう言うと智は強引に夏世にドレスを手渡し、隣のリビングスペースに移動した。
隣とは言うものの、夏世の部屋は古いため、寝室とリビングの間にあったふすまを取り外し、カーテンを取り付けているので実質的には同じ空間とあまり変わらないのだが。
「大丈夫。カーテンちゃんと閉めたし、俺後ろ向いてるし。」
(そういう問題じゃないんだけど…。)
そう思いながらも、断れない性格の夏世は大きなため息をつくと、智に背を向け着替え始めた。
そして夏世が着替え終わり、智のほうへ振り返ろうとしたその時、
「スゲェいいじゃん。」
「えっ…。」
夏世が振り返ると、智が部屋の境の敷居の上に立ち、自分の身長よりやや低い高さにある鴨居を手でつかみながら頭をもたげ、高みの見物をするかのようにニヤニヤしながら夏世を見つめていた。
「…ひどい!騙すなんて!」
「まぁまぁ、俺も27歳の健康な男子ですから。…でもホント、スゲー似合ってる。」
そう言うと、智は真剣な眼差しになり、夏世に近付いた。
「キレイだ…。」
夏世の肩をそっと抱きながら智が呟く。
夏世は恥ずかしくなり、思わず俯いた。
「このまま、襲っちゃってもいい?」
「…今夜だけ…なら…。」
恥ずかしさの中に、さっきの身体の疼きが戻ってきた夏世は、頷きながら自然とそう答えていた。
「…んっ…んふぅっ……」
優しく唇を重ねた智に対し、今度は夏世が激しく智を求めて応じていた。
甘い吐息を漏らしながら、舌を絡める。
智の手は、夏世の胸をドレスの上から優しく揉みしだいている。
「…ぁんっ……」
大きく開いた胸元から手を滑り込ませ、胸を直に触れ、揉み上げる。
そして、胸の頂に触るか触らないかのギリギリで撫でていく。
「―――ひゃうん!」
固くなった胸の頂をつままれ、ふいに嬌声を上げる。
夏世は、自分の下半身が湿り気を帯びてきているのを感じた。
智は唇を次第に耳や首筋、そして胸元へと這わせていく。
「―――あっ!」
ブラジャーが手馴れた素早さで抜き取られると、ドレスの胸元を広げられ、夏世は形のいい両胸を露にされた。
「やっぱり、おっぱいおっきいね。」
元々の大きさもあるだろうが、今はドレスの生地に支えられ、その胸はさらに大きく見えた。
「…ぁんっ……、ぁんっ…」
露になった胸を手と口で攻められ、夏世は喘声を止められない。
「俺も暑くなってきちゃった。脱がせてよ。」
そう言いながら、智は夏世の手を自分の服の裾に導く。
夏世は戸惑いながらも、智の上着を脱がせると、ベルトのバックルを外すために跪いた。
身体が火照っているせいか、なかなかうまく外せずにいたが、何とか外し、ズボンを下ろした。
「パンツも、だよ。」
夏世は一瞬ためらったが、
「じゃあ、今日はやめとく?」
と智に言われ、恥ずかしそうにしながらも、パンツを下ろしていった。
智は、夏世の手を固くなった自分自身に導き、夏世の口元へ向けた。
夏世は、その固くいきり立った智自身がとても愛おしく感じ、そっと口づけをした。
そしておもむろに舐め上げ、口に含んだ。
じゅぽっ…じゅぽっ…。
部屋の中に淫らな音が響く。
「…気持ちいいよ。」
智は、一生懸命奉仕する夏世をいじらしく感じながら見つめ、頭を撫でた。
夏世は、潤んだ目で智を見上げながら、なおも続ける。
「…んふっ…んんっ…」
夏世も時折声を漏らしながら、懸命に舌を使っている。
「…ぅわっ!ヤバイ!ちょっと待った!!」
急に智はそう言うと、夏世の口から自身を引き抜いた。
「………?」
「そんなにしちゃうと出ちゃうでしょ〜。」
困ったような顔をして智が言う。
夏世は意味がわからず困惑した顔をしている。
「女の子の口の中になんて出したらかわいそうでしょ。」
今まで口の中に出されるのが当たり前だと思っていた夏世は、
(智さんって、やっぱり紳士だなぁ。)
などと、変に感心してしまった。
しかし、冷静にここまでの展開を考えると、紳士のすることには思えないのだが、夏世はそれに気付かない。
「じゃあ、また俺の番ね。」
そう言うと智は、夏世をベッドに押し倒し、両足を開くと、ドレスのスカート部分をまくし上げ、その間に身体を捻じ込ませた。
両胸をしばらく弄んだ後、太ももの内側を舐め上げる。
「…ぁんっ……、ぁんっ…」
まだ大事な部分に触れられてもいないのに、夏世は蜜を溢れさせ、声を止めることができない。
「ここ、もうグショグショだよ。」
ようやく智は、夏世の秘部をショーツの上からなぞる。
「どんどん濡れてくるよ。エロいねぇ。」
「…っあんっ……。」
夏世は漏れる喘声を抑えられない。
「…あああっ!」
ついに、智の指がショーツの横から入れられ、夏世の花芽を撫で上げる。
「…っあんっ…、ふぅんっ…。」
「なんかココ、固くなってるよ?」
優しく微笑みながら、イジワルなことを言う。
そして、ショーツのクロッチ部分を横にずらしたまま、智は舌で夏世の秘部を存分に味わうかのようにじっくりと舐め回す。
「おいしい…。」
「やだ……。」
そして蜜を指ですくい取りながら、秘部を撫で回す。
「あんっ…、ああっ。」
智の長い指が、1本、そして2本と入れられ、中を掻き回される。
「あっ、あっ…。」
次第に夏世の声が短くなり、呼吸が荒くなる。
「あっ、あっ…、っ―――ああぁん!」
夏世は、いっそう高く甘い声で鳴き、身体を軽く痙攣させた。
「イっちゃった?」
そう聞かれた夏世は、恥ずかしさで顔が赤くなり、必死に両手で覆った。
「もう、入れてもいい?」
夏世は、顔を隠した手を半分だけずらし、潤んだ瞳で智を見つめ、コクリと頷いた。
智は、嬉しそうな顔をし、
「じゃあ、パンツは自分で脱ごうね。」
と夏世に促し、自分も素早くゴムを準備した。
「それじゃ、四つん這いになって。」
「えっ、やだぁ…。後ろから?恥ずかしい…。」
「でも、そうしないとドレスが汚れちゃうでしょ。」
もう既にドレスには夏世の愛液がしたたり落ちていたのだが、またしても夏世は智に言いくるめられてしまい、素直にお尻を突き出した。
「………っあああん!」
勢いよく智に突き刺され、夏世は軽く仰け反った。
「ぁんっ、ぁんっ、ぁんっ。」
リズミカルな挿入音に合わせるかのように夏世が鳴く。
智は時折、胸をまさぐり、背中にキスをしながら、夏世を味わう。
「スゲー気持ちいい。」
「…っ、あたしも、気持ちいいっ!っあんっ!」
ドレスを着たままエッチをしているという状況が、夏世を更に興奮させる。
智は、左手で夏世の腰を押さえ、右手で花芽をいじりながら、なおも激しく動く。
「…ゃあっ、もうダメぇ…!」
「俺も、イキそう。」
二人の呼吸は一層荒くなり、動きも激しくなった。
そして―――。
「……っああああああぁん!!」
―夏世の嬌声とともに二人は果てた。
「ドレス汚しちゃってごめんな。」
「そうですね。罰としてあのドレス、クリーニングに持っていってくださいね。」
夏世はイタズラっぽく笑うと、隣で寝ている智に寄り添った。
(でも、ああいうのもコスプレみたいでよかった…かも…。)
夏世はコスプレが嫌いじゃない自分に気がついた。
でも、本当はお姫さまドレスが押入れの奥深くに眠っていることは、まだ智にはナイショのまま――。
以上です。
お目汚しスマソorz
文中の智のセリフは、10話の予告からお借りしました。
脳内の妄想を文章にするのって結構難しいですね。
本当はもっと書きたかったんですが、時間がありませんでした。
(;_;)
それでも思ってたより、長くなるもんですね。
他の職人さん方、尊敬します。
いつもありがとうございます。
GJ!!!エロエロですね(*´Д`)
サイン会のときのドレスってのがまたいい!
智はエッチうまそうだ〜
GJ!
この2人いきなりとばしすぎ(*´Д`)
エロくて禿萌えました。
これは、心も体も結ばれたハッピーエンドでいいんですよね?一晩だけじゃなくて。
2人はもう、恋人ですよね?(*´Д`)モエッ
もう、床を転がりたくなるくらい萌えました。
神作品が続々と…(*´Д`*)ゾクゾク
おまいら、放送日ですよぅ
このスレいると一週間がアッと言う間だー
773 :
航夏世1:2007/03/13(火) 02:46:39 ID:Q/zJvXlU
保管庫様、仕事速いですね!!お疲れ様です。
職人さん方、いつも素晴らしいssをありがとうございます。
初投下で身の程知らずですが、思い付いたら書かずにはいられなかった赤ちゃんネタ投下します。
ss書くの初めてなんで色々変ですが、ご勘弁を(^_^;)
オリキャラ出演してるので、苦手な人はスルーしてください…
↓ ↓ ↓
片岡家に平穏が戻って数カ月。
夏世は再び花園ゆり子の担当を仰せつかり、四兄弟に振り回される毎日を送っている。
…まあ夏世自身、それに慣れてきた自分が嫌いではないので、良しとしよう。
で、今日もまた例の如く、修の
「バナナ切れたからすぐ買ってこい」
———とのお達しで、非番だと言うのに片岡家を訪ねることとなった。
それは別に良いのだ。むしろ、訪ねて行く理由があるのはありがたい。
(…航さん、いるかな)
ほとぼりが冷めた後も、恋愛偏差値の低い二人では大した進展があるはずも無く。
結局どっちつかずな関係のまま、時間ばかりが過ぎてしまっていた。
(会えるだけでも、嬉しいし)
そう自分を納得させ、準備を終えてさあ出掛けようという時に、携帯が震えた。
着信:編集長
「もしもし、編集長?」
『月山!?』
「はい、おはようござ」
『あー助かった!ね、あんた今日非番だったわよね?』
「え、あ、はぁまぁ…」
本当は今まさに出掛けるところなのだが。
「ちょっと頼みがあるんだけど…」
・・・・・・
「…は、ぃ?」
774 :
航夏世2:2007/03/13(火) 02:47:50 ID:Q/zJvXlU
数十分後。
コーヒーの香りが漂うリビングで、片岡四兄弟は、固まっていた。
「「「「 ・・・・・・・・ 」」」」
「…あの、おはようございます」
予定より遅れて片岡家に訪れた夏世は、自分に向けられている痛い程の視線を自覚していた。
理由は分かっている。無理もない。
だが、こちらももう限界だ。重い。腕が痛い。
説明するより先に、何でもいいから抱えているものを下ろしたかった。
とりあえず頼まれたバナナをローテーブルに置き、一言断って陽の座るソファへ腰を下ろす。
隣から呆然とした陽の声。
「…赤、ちゃん?」
夏世の腕の中には、すやすやと眠る赤ん坊の姿があった。
775 :
航夏世3:2007/03/13(火) 02:48:40 ID:Q/zJvXlU
「編集長に頼まれたんです。親戚の子を預かることになってたんだけど、急に仕事が入っちゃったから、って。」
苦笑しながら赤ん坊を横抱きにする。
「連絡来たのが丁度家出る寸前だったんで、ちょっと遅くなっちゃいました」
すみません、と謝る夏世。
漸く事態が飲み込めた四兄弟は、いつもの調子で口を開いた。
「そうでしたか」
「…んだよ。ビックリさせんなよな、ったく」
「そうそう。てっきりオニムスメに隠し子!?とか思っ」
「修?」
「…いえ、何でもアリマセン」
黒い笑みを浮かべる航を前にしては、何も言えない修であった。
兄弟達は一様に、夏世に抱かれた赤ん坊を覗き込んだ。
安心しきった寝顔は本当に天使のようで、見守る大人達の表情も自然と柔らかくなる。
白くて柔らかな頬。紅葉のような手のひら。呼吸にあわせて小さく上下する胸。
(本当、可愛いなぁ…)
夏世も蕩けるような笑みを浮かべる。
「よく寝てんなぁ」
「ええ、預かった時から本当ぐっすりなんですよ」
「ていうか小娘、このでっかい鞄は何よ?」
「ベビー用品が入ってるんです。編集長のお宅に寄ってからそのまま来たんで」
赤ん坊とマザーバッグと自分の荷物、それから頼まれたバナナを抱えてここまで来たという訳だ。
世の中のお母さんは大変だなあ、としみじみ思った夏世だった。
776 :
航夏世4:2007/03/13(火) 02:49:35 ID:Q/zJvXlU
「わざわざすいません。重かったでしょう」
「い、いえっ全然大丈夫です!」
「怪力…」
「何か言ったか修?」
「いいえ何も!(怖い…!航お兄様の視線が怖いッ!!)」
「…ねぇ」
それまで無言だった陽が「触っていい?」と小さく呟いた。
少し照れた風なのが微笑ましいなぁと思いつつ、
笑ってこっくり頷くと、おそるおそる手をのばす。
「可愛いね」
赤ん坊の頬をつつきながら、陽は口を開いた。
「名前なんて言うの?」
「えっと、確か奏太(かなた)くん…だったかな。なんか陽くんと似てるね」
ふふ、と笑う夏世は本当に優しい目をしていて。
至近距離で見てしまった陽は、不覚にも赤くなった顔を見られたくなくて、俯いた。
と、次の瞬間。
「ふぇっ…」
777 :
航夏世5:2007/03/13(火) 02:50:36 ID:Q/zJvXlU
「うぇぇぇーーーーーーん!!!」
耳を劈くような大音量。大人達は思わず仰け反る。
(な、なんで…っ!?今まで気持ち良さそうに眠ってたのにっ)
焦ったのは夏世だ。
子どもは好きだが、触れ合う機会なんぞ精々盆と正月の里帰りの時ぐらいなものなのだ。
冷静に考えれば、赤ん坊は泣いて自分の意志を伝えるのだから当然のこと。
だが、彼女の頭はいきなりの展開に付いていけない。
ふぅええぇん、うえぇ…っ
「かっ、かな、かなたくーん??よしよし、どうしちゃったの??」
「腹減ってんじゃねーの?」
「ぇ、あ、いえあの時間的にはまだのはずなんですけど…っ」
「じゃあオムツじゃないですか?」
「言われてみればなんか臭いが…」
「オムっ…」
ツって、どうやって替えればいいんでしょう。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 。
…続いた言葉に、一瞬沈黙が流れる(いや、泣き声は響いているが)。
夏世はやっちゃったと言うような表情を浮かべ、顔を赤くして俯く。
気まずい雰囲気の中、最初に口を開いたのは航だった。
「…え〜と、俺がやりますよ。替え、鞄の中に入ってますよね?」
「ぇあ、はい!」
「じゃあこっちの部屋で」
「す、すいません」
航はマザーバッグを持って出ていき、夏世もそれに続く。
泣き声が遠ざかり、リビングに取り残された3人は、顔を見合わせた。
「…大丈夫なの、アレ」
「いや、ちょっとどうかと…」
「…あいつ一人で面倒見さすの危ねーぞ、絶対」
「「「・・・・・・・・」」」
>>770 >>771
レスありがとうございます!
喜んでいただけて光栄です(*^-^*)
他の職人さん方がすばらしいので触発されてしまいました。
一応設定としては、夏世っぺは智に惹かれているけどニブちんなので、自分の気持ちを自覚しないまま雰囲気に流されちゃったってトコです。
なので、「今夜だけなら」とか言っちゃってるワケです。
恋人同士なのかは、ご想像にお任せします。
779 :
航夏世6:2007/03/13(火) 02:51:32 ID:Q/zJvXlU
換気のために開けた窓から吹き込む風が、カーテンを揺らした。
「はい、終わり。」
ぽん、と替えたばかりのオムツを軽く叩く。
当の本人はすっかり機嫌が良くなったのか、「あ〜」だの「う〜」だのと声を発しながら元気良く動いている。
服を着せてやりながら、背後に立つ夏世に声をかける。
「もう大丈夫ですよ」
「すいません…あ、ありがとうござい、ます」
「いえ、」
子どもがいても可笑しくない年の女が、オムツ一つ変えられないとは。夏世はもう恥ずかしいやら情けないやらで、顔を上げることも出来ない。
(なんで、こんなみっともないとこばっかり見られちゃうんだろう…)
もう、泣きそうだ。
そんな胸中を悟ったのか、航は苦笑しながら答えた。
「初めてなら仕方ないですよ。次からは自分で出来そうですか?」
「は、はいっ」
「…じゃ、戻りましょうか」
「…あ!ぁあのっ」
「はい?」
奏太を抱き上げ、いつもの笑顔で振り返る。
夏世は、思わず呼び止めてしまったものの、続く言葉が出てこない。
(もうすこし、)
(もうすこし、一緒に、いたい)
780 :
航夏世7:2007/03/13(火) 02:52:24 ID:Q/zJvXlU
何か言わなくては、と、とっさに口をついて出たのは
「…な、慣れてるんですね航さん…その、オムツ替えたり、とか」
という、実感の籠った言葉だった。
事実、傍でおろおろしながら見守っていた夏世は、てきぱきと作業をこなす航を見て尊敬にも似た念を抱いてしまった。
「あ、ああ…」
ふと、航の表情が柔らかくなる。
「陽で慣れてましたから。もう十何年もやってなかったけど、結構覚えてるもんですね」
「そ、そうなんですか」
「ええ、」
・・・・・・・・
再び流れた沈黙に夏世が気まずい思いをしていると、航は穏やかに口を開いた。
「…なんか」
「え?」
「本当、陽が赤ん坊だった頃を思い出すなぁ」
赤ん坊に気を取られていた航は、今の沈黙を気にしていなかったようだ。
ぽん、ぽん、とゆったりとしたリズムで背中を叩きながらあやす。
笑みを深くして、赤ん坊を見つめるその様は、まるで———
「…お父さんみたい」
781 :
航夏世8:2007/03/13(火) 02:53:16 ID:Q/zJvXlU
ぽつり。
言ってしまって、ハッと我に返った。
目の前の航は、ポカンとした表情でこちらを見ている。
夏世は無意識に動いた口を押さえ、慌てて言った。
「す、すいませんっ!あの、変なこと言っちゃって…っ」
「い、いえ…」
航も、合ってしまった目を不自然に逸らす。
(か、会話が持たない…)
自分達二人の仲が思うように進展しないのは、互いが口下手な所為もあるということは分かっている。
分かってはいる、のだが。
(分かってたって、改善されなきゃ意味ないよ…)
思わず思考が沈みかけたその時、航が口を開いた。
「…あの、」
「っ、はい?」
「子ども、お好きなんですか」
航は、再び夢の世界へと旅立った奏太をじっと見つめている。
人と話す時に彼が相手の方を向かないのは、気まずかったり、照れている証拠だ。
それでも、話し掛けてくれる。
彼なりに歩み寄ろうとしてくれているのだと、ふとした瞬間に気付く。
そう、例えば、今みたいに。
「…好きです」
(好きです)
(子ども も)
(あなたの、ことも)
———愛しさが、溢れ出す。
「大好き、です」
782 :
航夏世9:2007/03/13(火) 02:54:12 ID:Q/zJvXlU
「…今日、」
「…はい」
「締め切りも終わったし、久々にスケッチに行こうと思っていたんです」
「はい」
「…散歩がてら、一緒に行きませんか?この子も、一緒に」
「…はい!」
Fin
783 :
航夏世書いた人:2007/03/13(火) 02:55:15 ID:Q/zJvXlU
終わりです。
なんかもう…THE☆尻切れトンボな感じで申し訳ないですが…ここまでお付き合い下さった方ありがとう!
纏ってない上に赤ちゃん出て来た意味な…いやいや。
本当は散歩の帰りに夕飯の買い物してて夫婦に間違われて照れまくる二人とか書きたかったんです!!(←ぅゎメッチャ具体的)
続き書く余力がもうナイっぽいのでここまでですがorz
きっとガッサンは赤ちゃん抱っこしてる航兄を見て、将来に想いを馳せるんでしょう。んで赤くなったりするといい。
散歩から帰ってきた後は、智を筆頭に「危なっかしくてあんた一人に任せらんない」とか何とか言われて、夕飯まで御馳走になるのでした。
ちなみにお気付きの方多いかと思いますが、赤ちゃんの名前は、字は変えてますが陽の中の人から。
かなた と ひなた どっちもいい響きだなあと思ったので。
では。これからも神職人さんの降臨お待ちしておりますvv
>>773-
>>783 ぐっじょぉぉぶ(´;ω;`)
起きてていかった、優しい気持ちになれます。言葉足らず(スマソ)のふたりが浮かんできます。
個人的には航兄はお父さんというより、おじぃ・・
保管庫さまお仕事早すぎです、乙です!
わー、このエピソードそっくりそのまま本編に頂きたいなー(*´Д`)=з
男所帯ものにはありがちかもしれないけど
一週間赤ちゃんを預かり悪戦苦闘する5人とか
あ、長男が手際良いから悪戦苦闘しないか
眠れなくて覗いたのに萌え過ぎて目がらんらんですw
最後の方のやり取りがあったかくて良かった
保管庫さま、仕事早すぎます。
思わず読みふけってしまいました。会議に遅刻だ〜。
いつも本当にありがとうございます(涙)
そろそろ次スレ…初スレ立て挑戦してみます
789 :
788:2007/03/13(火) 08:59:42 ID:SoKx9h2Z
保管庫さま、おつかれさまでございました。
こんなに早くまとめていただき、ありがとうございます。
保管庫さまの作品も楽しみにお待ちしておりますね。
>>773-
>>783 GJ! 8 の夏世っぺの心の中のせりふがイイ!
ぜひとも続き書いてくださいませ。
航お兄様にはついでに、風景だけじゃなくて、
抱っこした赤ちゃんのぞきこんで微笑む夏世っぺのスケッチもしていただきたいところ。
んで、気づいた夏世がそのスケッチを欲しがるけど、航お兄様はすこーしはにかみながら
「これは僕が持っていたいので……」
なんちて。
この二人についてはほのぼのシーンばかりが思い浮かぶ今日この頃。
わたしの脳内では、いつになったらラブシーンにたどりつけるのであろうか……。
連続すみません。
>>789 スレ立て、ありがとーございました。
>>749 朝から大泣きしてしまった... 。・゚・(ノД`)・゚・。
明日、見たい、でも見たくないというこの気持ち!
>>769 コスプレGJです!
ぜひお姫様ドレスで続きを… (;´д`)ハァハァ
>>783 GJ!
奏太くん、イイ!
ぜひ続きが読みたいです。
赤ちゃんがいると、また違った二人のほんわかムードがいいですよね。
みなさんのおかげで、夏世&4兄弟それぞれのカップリングに萌えることに
なりました。(とくにギャグっぽいのしか想像できなかった次男×夏世に!)
自分も妄想が先週の放送以来、暴走しっぱなしです。陽×夏世の神社のシー
ンが、どんどん発展していっちゃって...
赤ちゃん…テラモエス
ゼヒ続編で放送していただきたい
>>保管庫様
いつもながら素早い仕事、ありがとうございます
また堪能させていただきました
保管庫の作品が100本近くなってきたね(シリーズもの入れたら超えてるw)
一体このスレには何人神々がいらっしゃるんだろう?
複数投下していているとしてもかなりの数だ
>>789さま スレ立て乙でーす。
>>792さま ぜぜ是非その妄想の暴走を投下プリーズ!!すばらしぃぃ〜いWW
>>789さま、乙です。
もう投下は次スレの方がいいのかな?
>>保管庫様
迅速なお仕事ありがとうございます。
感謝です。
>>783 GJ!この二人はほのぼのが似合うね。
いや、黒いのもピンクのもやっぱり似合う。
っていうか、どのカップリングでもOKだ。
>>789 乙です。
>>管理人様
ご苦労様です。
644投下したものですが、ちゃんとミス部分も訂正していただいてて
感動しました。さすがです。
>>749 GJでした〜!
トライアングルシリーズ、お待ちしていました。このシリーズ、大好きです!!
智の切ない恋が、ここでは叶えられていて、こころがあったかくなります。
>>769 こちらもGJでした。なんかバカっプルな智と夏世、面白かったです。
智って、ホントにH上手そうだしw
>>783 四兄弟、みんな赤ちゃん好きそう〜。
陽の中の人?の名前が奏多(かなた)だから
そっからとったのかと思ったw
なにはともあれ…
GJ!!!
>>783 GJ!
いかにも赤ちゃんの扱い慣れてそうデスよね、航兄。
亮子さんに子供を預けたお母さん、度胸ありますね〜。
あと、sage忘れてますよ〜☆
月山、何やら考え事中
航「月山さん、お茶飲みますか?」
夏世「あ、すみませんお父さ…」
航「!?」
夏世「あ、いえあの違うんですなんか航さんって陽くんのお父さんみたいだなーって思ってたらついえとだから…!」
陽「…じゃあ、あなたがお母さんになってくれない?」
夏・航「「!?」」
*
小学生が先生をうっかりお母さんとかお父さんと呼んでしまうのを思い出したら止まらなかった。前後は考えられなかった。
つまり、すみませんごめんなさいROMに戻ります。
甘える覚悟(エロなし・9話の少し後)
携帯から投下させていただきますので、手間取るかもしれません。
キンチョーーしてます、歩いたら、手足同時に出そうな感じ。
「花園先生、原稿取りに」みなまで言わせないで、しぃーと唇に指を立た。
「今航兄寝てるから」リビングのソファに目をやって静かな声でソコに座ってて、と続ける。あのひとはそっと航兄の向かいのソファに座る。
いやん!小ネタGJ!!
思わず、お父さんって呼んじゃう気持ち、なんだかわかります〜!
陽くん、「じゃああなたがお母さんに・・」も良い!!
甘える覚悟
「航さん寝てる・・」
「僕のせいでスケジュールが狂っちゃって、航兄と修兄、あまり寝れなかったんだ」
「そっか、・・」
あの、僕が泣いた日からはじめて顔を合わせるから、少し照れくさい。
「はいミルクティ」
「あ、ありがとう陽くん」あのひとが柔らかくわらった。僕は正面から見れなくて、うん、と口の中で言って隣に腰をおろした。
「花園先生、またよろしくお願いします」言ってからあのひとはお辞儀をした。
「僕たちのほうこそ、よろしくお願いします」ふたりで顔を見合わせて声を出さずに笑った。
「あの、原稿は出来てます?」
「修兄が最終チェックしてるからもう少し待ってて・・で、その荷物なに?」
あのひとが重そうに持ってきた袋を指す。
「バナナと鯛焼きと、プリン。食べる?陽くん」
「じゃープリン」
航兄を気にしながら僕はプリン、あのひとは鯛焼きを手にとった。
「ガッサン、この前は、ゴメンね、急に、押しかけたりして」
「ううん」
あのひとがかすかに僕のほうに頭を近づけたから、あの時と同じ、いい匂いがした。胸の真ん中がジワーってなって、掌がくすぐったい感じ。この人の前ではもう、なにも隠したりつっぱったりしなくていいんだ・・あらためてそう思った。
「あの後、みんなで銭湯いったんだよ。修兄が、こんなときは陽くん風呂だぁーって」僕は微妙に修兄を真似る。
「似てるー」
「みんなで、お風呂入るなんてホントに久しぶりだったから・・楽しかった」
「うん」
「でね、修兄は知らないうちにちょっと太ってて、智兄は」そこまで話してたら、向かい側の航兄が寝返りをうって背中を見せた。
ふたりで(起きた!?)と顔を見合わせて、航兄を見ると微かな寝息が聞こえてくる。
僕は、小さい頃いっつも航兄のあとばっかりついて歩いてた。優しくて、あったかくって、航兄みたいになりたいって・・思ってた。
いつのまにかその背中はあまり大きく感じなくなった。ずっと重いものを背負ってたから、小さくなっちゃったのかな・・
「あのね・・・ガッサンに、お願いがあるんだけど」「なに、陽くん?」
あいかわらず小さな声で話してるから、あのひとはさっきよりもっと近くにいる。
「・・ガッサンっ、て」 「はい?」
「航兄のこと、好き・・だよね?」
とたん、あのひとはすうっときれいに微笑んだ。
「・・・・」
「・・航兄も、ガッサンのこと・・・だから、僕はもう大丈夫だから、ふたりで・・航兄を、お願いします・・夏世姉・・」
その言葉の後、あのひとはたっぷり10秒はうろたえたり、口許を手でおおったりしてから(鯛焼きを取り落としたりしながら)、
「あの、いいい今なんて?ひなたくん?」と、やっと聞いた。
「だから『お願いします』?」
「そこじゃなくて!」
「『航兄』?」
「ちがう!!」
分かってるよ、僕だって照れくさいんだから何度も言わせないでよ、こういうのはサラっと流してほしい所なんだから。ホントに化石だよこの人!
僕自信も、この前のことで覚悟ができた。
ガッサンは僕らのところに全身でぶつかってきた。殻に閉じこもってた(今ならそれが分かる)僕たちはうろたえた、中でも一番に航兄が・・・
だから覚悟。僕の覚悟はこのひとにも、お兄ちゃんたちにも甘える・覚悟。
いつからか誰にも本当の気持ちが言えなくなってた。だから僕は、文章を書くようになったのかもしれない。今は少しだけ、自分の気持ちに素直になってもいいんだって、分かった。このひとが教えてくれた。
だから航兄、夏世姉を幸せにしてあげてね。
陽は知るよしもない、リビングのドアに、原稿チェックが終わった修と、打ち合わせから帰って来た智がいることを。そしてそのふたりが別々の理由で泣いていることを・・
了
甘える覚悟 書いたものです。
夏世姉使わせていただきました。こんなことするのガキのころ以来だから恥ずかし過ぎです。お目汚し、すみません。
神々のずーーーと遠くの末席に加えていただければ幸いです(大照)
いよいよ、あと、2時間・・
803です。
ごめんなさい(><)素敵な作品を途中でぶったぎってしまいました。
本当にスミマセン!!
お目汚しだなんて、そんな!すごい、いいですよ〜!!
帰ってきた兄二人が別々の理由で泣いてたのがまた笑。
こんなあたたかい展開になってくれるといいなあ。
>>801 陽ナイスだ!
>>804 智と修がそれぞれ何で泣いてるのか気になる。
両者ともGJです!
とてもいい締めくくりでした。
>>801 小ネタGJ!航をお父さんって呼んじゃう感じわかりますw
>>802 兄想いの陽に萌えました〜夏世姉(*´Д`)
智セツナス
>>801 陽おそるべし。若いお母さんって何かエロチックだw
>>802 ほのぼのしてイイ!! 航兄を好きかと聞かれて「すうっときれいに微笑んだ」
って所が好きです。静かな決意って感じ。
次スレでも素敵なSSがたくさん投下されますように…!
GJ!!
だけど欲を言えば適当に改行してほしい…
とかわがまま言ってみるw
すばらしいぃ
>>755さん
口元のあんこ、にて妄想。
エレベーターの中で、修さんと子供のように指切りをした後、修さんの口元に
あんこがついているのに気が付いた。
「修さん、あんこついてますよ、ここに。」
「え?どこ?」
修さんが自分の顔を触って探している仕草が可愛らしくて、口元に指を伸ばして
あんこを取ってあげた。
するとみるみるうちに修さんは真っ赤になってしまった。
(照れちゃったみたい。可愛い。)
思わず微笑むと、途端に仏頂面になった。
「そういう夏世っぺも付いてるぞ。」
「え!?ヤダ、何処ですか?」
「ここに。」
「!!」
次の瞬間、エレベーターの壁に両腕を押さえつけられ、修さんの唇が自分の唇の
上に重ねられていた。そして、唇の上をなぞる温かい………修さんの舌の感触。
予想だにしない出来事に驚き身動きが出来なかった。
時間にして10秒くらいだろうか、
チン
と、音がしてエレベーターがどこかの階についた。
その音ではっと我にかえり修さんを突き飛ばしてエレベーターを飛び出した。
「夏世っぺ!!」
背中に修さんが名前を呼ぶ声が聞こえた。
**
こんなドラマチックな展開はアリ?
>>821 放送直前に萌え死にそうになったw
修兄カワイイ!
滑り込みで 長男→夏世←4男 エロなし
4男の家出後、騒ぎが収まった頃で。
***
リビングに夏世がいる生活。
何かの広告のようだが、いつの間にか当たり前になっていたのだと、片岡兄弟は痛感した。
「アンタみたいなのでも、女っ気がないとね〜」
修の照れ隠しの一言に、誰も否定しなかったのが良い証拠だ。…相変わらず本人は気付かずに怒っていたけれど。
「私みたいのって、なんですかーっ。そりゃあ、いつもご迷惑掛けてばかりですけど…」
「自覚、あったんだ」
航と夏世はまだぎこちないけれど、それ以外は以前と変わらず…。
夏世はリビングのソファで、手をさするようにこすり合わせていた。
「…何を、しているんです?」
航が声を掛けると、ピクリと肩を震わせ、無理をした笑顔を見せる。
「ハンドクリーム、塗ってるんです。紙をずっと触ってると乾燥しちゃって…。たまに指を切ったりもしますし」
「ああ、」
その先が続かない。
大量の紙を扱っていれば、油を吸われて荒れるし、切断面に指を切ったりするのは、雑誌を見ているだけでもよくある事。
理解は出来たが、その先をどう続ければ良いのか、航には分からなかった。
突き放したくせに離れられるのは寂しくて、かといえ、寄り添われるのも困るのに。
***
仕事場からリビングは丸見えで。会話は聞こえないけれど、ある程度の雰囲気は伝わる。
どうしょうもなくて、航が無言でソファに腰を下ろしたのが、見て取れた。
「…あ〜、何やってんの。『効くんですか?』とか言いながら、手ぇ握るとかすりゃ良いのに」
「…智君。今まで何度、そんな事をして来たのかな?」
次男の妬ましいような視線に、智は軽く肩をすくめた。
弟達の茶々が聞こえたのかは分からないが、航はようやく「効くんですか、ハンドクリーム」と呟いた。もちろん、手は握らない。
あまりにか細くて聞き逃しそうな航の声に、立ち込めた静寂ゆえに気付いた夏世が微笑む。
「もぉ、スベスベです! 天然成分たっぷりで、赤ちゃんにも大丈夫だそうです」
ひらひらと翻る夏世の白い手に、捕まえてしまいたくなる。
屈託ない笑顔を見せてくれたのも、久しぶりじゃないだろうか。…自分のせいなのだけれど。
「赤ちゃん、ですか」
そんな嬉しさから、航の口元は自然に笑みを浮かべた。
「私が子供っぽいから丁度良いとか、言うんですか?」
「僕は何も言ってませんよ、まだ」
「まだ、って航さん!」
拗ねた風に唇を尖らせて、不意に軽やかに笑う。つられて、瞳を細める航に、また微笑みかける。
(いーい雰囲気なんではないですか。夏世っぺ、ナイス小道具)
(アレやったの、俺)
(…なんでよ、さとぴょん)
(さっき言ったじゃない。手を握る良い口実だって)
(……智君。夜道を歩く時には背後に気を付けなさい。特に俺っ!
きぃーっ。悔しい〜。君のお兄様が一体何年手をつないでないとっ)
(んーと、30…)
(フォークダンスがあるから、違いますぅ!)