【蝶が】武装錬金のSS第11章【舞う】

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952名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 13:04:35 ID:sCrBeG07

良かった……

本当に 良かった……
953名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 15:43:31 ID:rhW/a6o9
>>951
      ∧_∧
     ( ´Д` )  
     /     ヽ
     し、__X__,ノJ

      /´⌒⌒ヽ
    l⌒    ⌒l  
   ⊂ (   ) ⊃
      V ̄V
954名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 22:09:27 ID:HJ1c23zC
このペースなら>>980あたりでも十分間に合ったと思うんだが。
あと46レス62KB?
埋め立てにかなりの時間と労力が必要なレベルだな。
955KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/20(日) 22:56:53 ID:schMZM7a
投下準備はできてたりもしますぜ

埋めに使うか、次スレか誘導よろです
956名無しさん@ピンキー:2008/04/20(日) 23:44:09 ID:HJ1c23zC
>>955
埋めで
957KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/21(月) 00:21:39 ID:TOojNFV/
基準値として聞きたいんだが、エロなしSSだけども火毒とかのシリアスとかはここじゃないところに
落としたほうがいい感じか?
958名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 02:18:21 ID:6lz5PNTh
萌えスレからの出張です。スペースお借りします。
萌えスレ第11章>>348-354のカズトキバレンタインピリオドです。
カズキ視点でエロ有りなので、こちらで。
斗貴子さん視点では余裕しゃくしゃくだったカズキだけど、実は一杯一杯だったというお話です。
初々しいバカップルです。苦手な方はスルーでお願いします。
959カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:20:10 ID:6lz5PNTh
「あと…3時間か」
風呂上りの塗れた髪をタオルでごしごしとこすりながら、オレはベッドにそのまま倒れこんで、枕元の赤い携帯をパチンと開いた。
オレの隣に写る斗貴子さんのはにかんだ笑顔の待ち受け画面に思わず表情が緩んでしまう。
うん、やっぱり斗貴子さんは綺麗で可愛い。
二人で撮った写メ中で特に良く撮れたものをお揃いで待ち受けにしたのは、やっぱり大正解だったよなぁ。だって携帯を開くだけで、
いつでも斗貴子さんの笑顔を見ることができるんだから。
恥ずかしがって嫌がる斗貴子さんを説得した甲斐があったってもんだ。

「でも、まだ返事なし」
画面に新着メールのアイコンがないのを確認して、ついでに淡い期待を込めてセンターに問い合わせもしてみる。
でも、やっぱり新着メールはない。
待ち受けに表示される今日の日付と時間を確認して、がっくりとうなだれてしまう。

…だって、仕方ないじゃないか。

「もう9時だよ、斗貴子さん」
ゴロリと寝返りを打つと、机の上に無造作に置いた小さな包み達を見つめて、オレは小さくため息を付いた。
今日は2月14日聖バレンタインデー、女の子が好きな男にチョコレートを渡す日だ。
まひろ達は「女の子大事な日なの!」と騒いでたけど、男にとっても結構大事な日だと思う。
岡倉なんかは、毎年この日に命かけてると公言してるもんな。岡倉曰く、チョコレートの数が女子の人気のバロメーターになるらしい。
まあ確かにそれは一理あるとは思うけど、その法則はオレには当てはまらなかったみたいだ。
なぜか不思議なことに彼女のできた今年のバレンタインが、今までの人生で一番沢山チョコレートを貰うことができた。
今までずっと数比べで一番だった六舛に初めて並んだんだから、中々たいしたものだと思うのだ。まあ、もちろん全部義理チョコだけどさ。
皆からの好意は素直に嬉しかったし、チョコレートの個数比べで初のトップというのも嬉しかった。
だけど、どれだけチョコレートを貰っても、気持ちは沈むばかりだった。
だって、そんな大事な日があとたった3時間で終わろうとしているというのに、オレはまだ斗貴子さんからチョコレートを貰えずにいるんだから……。

「この時間までくれないってことは、もしかしてオレのこと忘れちゃってるとか…いや、そんなことないよな!」
オレはぶるぶると顔を振って、嫌な考えをかき消した。
大丈夫、大丈夫だ。だって、学校でもずっと斗貴子さんはオレにチョコをくれようとしてたじゃないか!
一日中斗貴子さんが手にしていた、サンライトイエローの包装紙に白いリボンを巻いた小さな包みを思い出す。
あれは、オレのだと思う。というか、思いたい。
「でもな、今日は一日ずっと一緒にいたのにくれなかったよな…」
今日の朝、斗貴子さんの部屋に一緒に学校に行こうと迎えにきたときから、寮に戻ってくるまで、ずっとずっと一緒にいた。
でも、斗貴子さんは岡倉達や剛太、ブラボーにはちゃんとあげてたし、更にはクラスの女子達とまでチョコを交換してた。
まひろ達と作ったという斗貴子さんの手作りチョコ…正直、喉から手が出るほどほしい。
でも、どうしてか今日の斗貴子さんは。オレの顔を見ようとせず、視線が合うと赤くなって黙り込んでしまうのだ。
隣にいてもなんだか会話が噛み合わなくて、とてもじゃないがチョコレートの催促なんてできるわけなかった。
960カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:21:41 ID:6lz5PNTh
「それに、もしかするとやっぱり怒ってるのかも」
昨日、よりにもよってアレを買っているところを斗貴子さんに見られてしまった。
そんなエロスなことを考えていたから、斗貴子さんに呆れられちゃったのかもしれない。
い、一応、斗貴子さんは「チョコ以外にも、期待していい」と言ってくれたけど、それは斗貴子さんの優しさだったのかな…。
そっと昨日キスしてくれた唇に触れてみる。斗貴子さんからキスしてくれるなんてめったにないことだから、物凄くドキドキした。
斗貴子さんの唇は小さくて柔らかくて、いや、唇だけじゃなくて斗貴子さんはどこもかしこも柔らかくていい匂いがするんだよな。
腕の中にすっぽり収まっちゃうくらい小さくて華奢で、折れちゃいそうなのにふわふわと柔らかくて、抱き心地は抜群だ。
「最初はそれだけで十分だったんだけどな…」
月から戻ってくることができて、斗貴子さんとちゃんと恋人同士になれて、もう結構経った。
また一緒にいられるなんて思わなかったから、斗貴子さんのことが本当に大好きで大事で仕方なかった。
隣にいるだけでも凄く幸せで、でもだんだんそれだけじゃ足りなくなって、抱きしめたりキスしたり
…それから、一度きりだけど正月休みには斗貴子さんとエッチなこともした。
オレも斗貴子さんも初めてだったからから、斗貴子さんにはかなり無理させてしまった気がする。
だけど、全てを分かち合って身も心も一心同体になれたのは、とても幸せだった。
少し辛そうだったけど、斗貴子さんが「嬉しい」と笑ってくれて、ちょっと情けないけどあの時は思わず泣いてしまった位だ。
そんなオレを斗貴子さんは抱きしめて何度も頭を撫でてくれたんだっけ…。
斗貴子さんは優しくて強くて、オレよりずっとしっかりした年上のお姉さんで、そんな斗貴子さんだから、オレはつい甘えてしまうのかもしれない。


「あーもー、それじゃあ駄目なんだって!」
思わず、あの時の斗貴子さんの柔らかい笑顔や、ちょっとだけかすれたいつもより甘い声を思い出して、オレは力任せにバシバシと枕を叩いた。
こんなことを考えちゃうから駄目なんだってば!
斗貴子さんはああ見えて凄く恥ずかしがりやだし、いつも「エロスはほどほどに」って言うくらいだから、あまりそういうことに乗り気じゃない…と思うし。
やっぱり怒らせちゃったのかもしれないと考えて、オレは改めてベッドに撃沈した。
「斗貴子さん…来てくれるかな」
未練がましく手元の携帯の携帯電話を手に取って、メール画面を開く。一番上のメールはさっき食堂で斗貴子さんに送ったメールだ。
六舛曰く「男から催促するのはマナー違反」らしいし、オレだって自分からチョコを催促するのはカッコ悪いかな…って思ってた。
だけど、どうしても我慢できなくて、たった一言だけメールで送ってしまったんだ。
『待ってる』……それが、オレが斗貴子さんに伝られる精一杯の勇気だった。

でも、その返事がいまだに来ない。これって望み薄ってことか?
ううう、折角のバレンタインにこれは結構キツイなぁ…クリスマスに千歳さんと喧嘩してたらしいブラボーの気持ちちょっと分かった。
とはいえ、いつまでも悩んでいても仕方がない。明日、改めて斗貴子さんにちゃんと話そう。だから、今日はもう寝る! 寝るったら寝るぞ!
そう自分に言い聞かせて、オレは布団をめくって中に潜り込む。
今日取り替えたばかりの真新しいシーツは肌触りが良くて、それがまたちょっと悲しかったりして…。

チャララーララチャララーララ♪

電気を消そうと身を起こした瞬間、枕元の携帯が鳴り響く。
期待をこめて、携帯を開くとそこには新着メールのお知らせがきていた。
はやる気持ちを抑えてメールを開くと、差出人はオレの大好きな人だった。
たった一言だけど、それは何よりもオレが待ちわびてたもの…
「今から行く」、それが斗貴子さんの答えだった。
961カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:24:22 ID:6lz5PNTh
それから直ぐにコンコンと部屋の窓が叩かれる。こんな場所から来るのは斗貴子さんしかいないから、
オレは直ぐに窓を開くと、斗貴子さんをぎゅうっと抱きしめた。
「こ、こらっ、カズキ!」
腕の中でジタバタと斗貴子さんが暴れるけど、離してあげられそうにない。
だって、嬉しくて嬉しすぎてこのまま斗貴子さんを抱きしめて踊りだしたいくらいなんだから。
斗貴子さんの手元にサンライトイエローの包みがちらりと見えたのも、オレの機嫌をますます上向きにしてくれる。
我ながら現金だけど、ウキウキした気持ちは止められなかった。

「斗貴子さん、来てくれて嬉しい」
素直な気持ちを口にすると、斗貴子さんは少しだけ困った顔をしてから、オレの額を綺麗な指でつんとつついた。
「ほら、いつまでも窓を開けっ放しじゃ寒いだろう? 少し、落ち着きなさい」
優しく諭すように言われて、窓のことを思いだす。流石に2月の夜の風はちょっと冷たいから、
これで斗貴子さんが風邪をひいたりしたら一大事だもんな。
斗貴子さんを一旦ベッドに座らせてから、窓を閉めて、その隣に座る。
その時、ギシリとベッドが鳴って、オレも斗貴子さんもお互いにビクリとしてしまった。
ベッドに二人並んで座って意識するなってのは無理な話だし…しょうがないよな、うん。
そんなことを色々と考えつつ、オレは斗貴子さんをじっと見つめる。
今日の斗貴子さんはいつもの黒いセーターに冬だというのに短いホットパンツ。
今までミニスカートが当たり前だったから平気らしいんだけど、やっぱり寒くないのかなって心配になる。
そりゃあ、ホットパンツだと斗貴子さんの綺麗な太ももが見れて嬉しいけど…ってそうじゃなくて。
ちらりと視線を動かすと、その太ももの上に小さな包みがちょこんと乗せられている。
本当は頂戴って言いたいけど、やっぱりそれはカッコ悪い気がするから、
オレはじりじりとした気持ちで斗貴子さんを見つめて、彼女の言葉を待つことにした。


「こ、これがキミへのバレンタインのチョコレートだ。受け取ってくれ」
しばらく沈黙してもじもじとしていた斗貴子さんだったけど、意を決したようにそう言うと、
少しぶっきらぼうな仕草でチョコレートをオレに差し出してくれた。
その瞬間の気持ちをなんて表現したらいいんだろう、とにかく物凄く嬉しくて顔が緩みまくってしまう。
待ちきれずがさがさと包みを開けて、斗貴子さんがオレの為に作ってくれたチョコレーをを確認する。
ハート型の大きなチョコにピンクの文字で「本命」と斗貴子さんの綺麗な字で書かれているという、
非常に分かりやすい「本命」チョコだった。
あれだけ照れていたくせに、妙に男らしいチョコレートで、堪えきれずに笑ってしまった。
そんな所もなんだか斗貴子さんらしくて、オレは大好きだけど。

斗貴子さんに断って、丁寧に作られたチョコレートを口に入れる。
滑らかで甘いチョコの味が口の中に広がっていって、凄く幸せな気持ちで一杯になった。
だから、その幸せをお裾分けしようと斗貴子さんにチョコレートを差し出す。
「斗貴子さんも食べる? 美味しいから斗貴子さんもどうかな?」
そう尋ねると、斗貴子さんは白くて綺麗な頬をほんのり薄紅色に染めて小さく答えをくれた。
「あっ…いや、それは、キミの為に作ったものだから…その、出来れば全部キミに食べて欲しい…」

……もう、斗貴子さん可愛すぎ。
嬉しくて、頭がクラクラして…チョコより斗貴子さんが欲しくなった。
そのままぐいと彼女の手をひいて、小さな身体をぎゅうっと抱きしめる。
「…っ!」
驚いて離れようとする斗貴子さんを制して、その柔らかい唇をたっぷりと堪能した。
柔らかくて熱い舌を絡めて、綺麗な歯列を何度もなぞると、くぐもった吐息が斗貴子さんの唇から漏れる。
「んんっ…カズキっ…はっ…」
その声があんまり色っぽいから、ちょっとずるいかなって思ったけど、ゆっくりと目を開けて、キスに没頭する斗貴子さんの顔を眺めてみる。
普段の強い光を放つ瞳が閉じてうっとりとキスに応じてくれる斗貴子さんのその表情は、言葉にできないほど綺麗だった。
962カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:25:29 ID:6lz5PNTh
「斗貴子さん、お裾分け、どうだった?」
「…………バカ」
なんだか恥ずかしくて茶化すようにそう言うと、コツンと優しく小突かれてしまった。
そんなたわいない仕草が嬉しくて笑うと、斗貴子さんも一緒に笑ってくれた。
そんな彼女が、本当に……愛しいと思った。

「あ…」
「ね、斗貴子さん。その…」
その思いに突き動かされて、斗貴子さんを改めてギュッと抱きしめる。
一瞬斗貴子さんの身体が固くなったから拒まれたらどうしようかと不安になった。
斗貴子さんといると、ドキドキして幸せで、でも大事すぎて少し怖くなる。
もちろんこの手を離すつもりはないんだけど、緊張のあまり男としては情けないんだけど、ブルブルと身体が震えてしまった。
好きだよ、斗貴子さん。だから、拒まないで…。
「大丈夫だ。わかっている」
そんなオレの心を見透かしたように、斗貴子さんはオレの頬に手を添えて、何度も撫でてくれた。
斗貴子さんのこういった大人っぽい仕草に、凄くドキドキしてでも嬉しくて、甘えるように、その手に頬を摺り寄せてみた。
「ん…。あのね、斗貴子さん、オレ…」
「ああ、約束しただろう? キミの期待通り、キミの望むものは全部あげよう」
勇気を出して言葉にしようとしたら、唇を今度は斗貴子さんに塞がれた。
触れるだけのキスをして、お互いに赤い顔を見合わせて笑う。

「好きだ、好きだよ。斗貴子さん。オレ、好きだから、斗貴子さんとしたい」
「そうか…私も…キミが好きだよ、カズキ」
ゆっくりと斗貴子さんをベッドに押し倒しながら、自分の気持ちを正直に言葉にすると、斗貴子さんも柔らかく笑って応えてくれた。
幸せで…どうにかなりそうだと思った。


「えっと、その、脱がすね」
「いや、私が自分でするから…」
はやる気持ちのままにセーターに手をかけようとしたら、斗貴子さんに制された。
「え…でも…」
「いいから、キミも自分で脱ぎなさい。脱ぎ終わったら呼ぶから、向こうを向いていてくれ」
そう言われてしまっては、ごねるのもカッコ悪い気がしたので、オレはしぶしぶ斗貴子さんから離れると自分の服に手をかけた。
やっぱり斗貴子さんも恥ずかしいだろうし、あのままでは欲望のままに洋服をむしりとってしまいそうだったもんな。
斗貴子さんとする時は、なるべく優しく丁寧にしたいし。
だから、平常心平常心とブツブツと唱えながら、オレはシャツを脱ぎ捨てて、ズボンに手をかける。
「…っ!」
ふと動きを止めると、斗貴子さんが服を脱ぐ衣擦れの音が聞こえて、物凄くドキドキした。
平常心なんてあっという間にはるか彼方に飛び去ってしまう。
いや、落ち着け。落ち着くんだ、武藤カズキ。
ここで理性を失っては、前回の二の舞だと自分に言い聞かせて、オレは自分の服を脱ぐことに集中した。
パンツまで全部脱いで、ベッドの上で正座するオレは傍から見たら結構間抜けな姿だろうな、などと思いつつ、斗貴子さんが脱ぎ終わるのをじっと待っていた。
「…カズキ、いいぞ」
それからしばらくして、斗貴子さんから許可がでた。あんなに心待ちにしていたというのに、いざとなると物凄く緊張してしまう。
「じゃ、じゃあ…」
思わず声が上ずってしまうのがちょっと情けない。
だけど、そんな思いは胸を両手で隠しながら、小さな身体をより小さく丸めた斗貴子さんの姿に吹き飛ばされてしまった。
「あ、あまり見ないでくれ」
真赤な顔でそう乞われたけど、目が離せるわけが無い。白くて柔らかな肌が、余すことなくオレの目の前に晒されている。
「どうして、とても綺麗なのに」
素直にそう言ったのに、斗貴子さんは「恥ずかしいことばかり言うんじゃない」とそっぽを向いてしまった。
その仕草が何だか可愛くて、斗貴子さんににじり寄ってその身体を抱きしめる。
お互いむき出しの肌と肌が触れ合って、斗貴子さんの身体がピクンと跳ねた。
「大丈夫、優しくするから」
「うん…よろしく、頼む」
律儀なお願いをする斗貴子さんを怖がらせないように優しく髪を撫でながら、改めてベッドに押し倒す。
白いベッドの上にサラサラと斗貴子さんの艶やかな髪が流れて、凄く綺麗だった。
963カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:31:18 ID:6lz5PNTh
「えっと、手、外していい?」
胸を覆う彼女に腕にそっと手をかけると、斗貴子さんはしばらく目を泳がせてからコクンと頷いてくれた。
よし、ちゃんと許可は取ったぞということで、その細い腕を一本ずつ外すと、
斗貴子さんのささやかだけどとても綺麗な胸がオレの目の前に現れた。

「うわぁ…柔らかい」
思わず感嘆の声が出てしまうくらい、それは綺麗だった。
子供用のお茶碗くらいの小さな膨らみの先にピンク色の突起がちょこんと付いている。
お世辞にも大きいとは言えないけれど、斗貴子さんの小さくてスレンダーな身体にぴったりの綺麗で可愛いおっぱいだと思った。

「さ、触るね」
恐る恐る触れると、ふにゃりと指が沈んで、その柔らかさにビックリしてしまう。
以前一度触ったことがあるはずなのに、それだけで頭に完全に血が上ってしまった。
「あっ、待てカズキ! あんっ」
欲望のままに片方の乳房…と言えるほど大きくはないけど…に、ちゅうっと吸い付く。
舌先で乳首を突くと、柔らかかった先端がどんどん固くなってきたのでキャンディのように舐め転がした。
「あぁっ、やぁっ…吸うなぁ…ひゃっ」
更にそれだけじゃ足りなくて、空いているほうの胸を今度は手でぐにぐにと揉む。
手の平にすっぽりと収まる可愛い胸を最初はふにふにと優しく、徐々に思うがままに激しく揉んでいく。
その度に斗貴子さんの可愛い声が耳に打って、どんどん頭がしびれていった。
「んん…斗貴子さん、可愛い…」
「こらっ、そんなところ…やっ、噛むなぁ!」
調子に乗ってピンクの先端を柔らかく甘噛みすると、流石に限界にきたのか斗貴子さんにゴツンとぶたれてしまった。
「うー、痛いよ、斗貴子さん」
思わず顔を上げて不満を口にすると、赤い顔の斗貴子さんに「自業自得だ」と更にデコピンされてしまった。
「もしかして、嫌だった?」
「いや…そういうわけじゃなくて…」
怒らせちゃったかな、と不安になってそう聞いてみると、斗貴子さんは顔を逸らすと、
綺麗な脚をもじもじとさせて、オレの顔を熱っぽい目で見つめ返した。

…ああ、なるほど。そういうことか。

とたんに合点がいったので、オレは胸に置いていた手をそっと斗貴子さんの脚の間に滑らせる。
「あっ…よ、よせっ、ああっ」
斗貴子さんの制止の声は聞こえたけど、オレは手を止めなかった。
だって、入り口に触れただけで指をトロトロにしてしまうくらい、そこはたっぷりと濡れていたんだから。


964カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:32:49 ID:6lz5PNTh
「凄いよ、斗貴子さん。もう、ぐちゃぐちゃで、いっぱい吸い付いてくる」
「…っ、言わないでくれ」
「うん。わかった。それじゃあ…」
斗貴子さんをいじめるつもりはないから、オレは言葉より言動でいかにそこがオレを待ち侘びているか、彼女に伝えることにした。
身体の位置をずらして、斗貴子さんの細い脚を持ち上げて普段誰も目にすることの無い、
斗貴子さんの秘密の場所を露にして、オレは息を飲んだ。
「カッ、カズキ! み、見るなっ…やああぁっ」
岡倉経由で回ってくるエロスな本で何度か目にしたことはあるけど、やっぱり本物は圧倒的に凄い。
それに、斗貴子さんのものは小作りで、でも綺麗なサーモンピンクで…雑誌で見たそれの何倍も綺麗だと思った。
中から溢れた愛液でテロテロと光るそこに唇を寄せると、入り口を舌でぐるりと舐めてみた。
ちょっとしょっぱい…でも、これが斗貴子さんの味なんだと思ったら、夢中で舌を動かしていた。
「あぅっ…カズキぃ、やっ…舐めちゃ…あああっ」
舌を熱い中に滑らせつつ、先端の小さな粒を指で転がしていく。
その度に斗貴子さんから切なげな喘ぎ声と、沢山の愛液が溢れてきた。
しばらく、夢中で斗貴子さんのそこを弄っていると、
特に秘部の先のピンク色の突起に触れると、斗貴子さんの身体が震える事に気付いた。
「もしかして、ここが気持ちがいいの、斗貴子さん?」
「え、カズキ、それはいやっ…やあぁっ」
オレが包皮を剥いて中から現れた小さな粒をかなり強めに指でこすると、斗貴子さんはじたばたと脚を動かして抵抗した。
だけど、ますます愛液があふれてくるから、嫌なわけじゃないみたいだ。
そう結論付けて、暴れる脚を抑えつつ、オレはその突起をちゅううっと吸い上げた。


「あ」

その瞬間、斗貴子さんは背中をしならせて、ビックリするくらい静かに果てた。


「大丈夫、斗貴子さん?」
「だ、誰のせいと思っているんだ…」
はぁはぁと荒い息をつぐ斗貴子さんの肩を優しく撫でながら問いかけると、斗貴子さんからジロリと睨まれた。
「う…すみません。オレのせいです」
その迫力に思わず謝ると、斗貴子さんは「仕方ない」と笑ってくれたのでほっとした。
斗貴子さんはそのままオレの腕につかまると、ベッドから身体を起こしてオレと向き直ると、しばらく視線をさ迷わせてから口を開いた。
965カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:34:53 ID:6lz5PNTh
「その…カズキ。やっぱり、私もした方がいいか?」
「へ?」
斗貴子さんの問いかけの意味が分からず、思わず間の抜けた声が出てしまった。
「えーと、何をするの?」
聞き返すと、斗貴子さんの頬がますます赤く染まって、綺麗な苺色になった。
「だから…その、『それ』を私もいじったり、触ったりした方がいいのか…と聞いている」
そう言った斗貴子さんの視線の先にあるのは、斗貴子さんの痴態でビンビンに反応しているオレの股間。
これを、斗貴子さんが色々してくれるの…?
言葉の意図を理解して、カーッと一気にオレも赤面してしまった。
オレのあれを綺麗な斗貴子さんの手に触らせるのはいけないことのような気がする。
いや、正直に言えばして欲しいことも無いことも無いんだけど…でも…。

「もういい、触るぞ、カズキ」
余りの発言にオレがぐるぐると混乱している間に、斗貴子さんは意を決してしまったようだった。
決断力がありすぎて男らしいです、斗貴子さん。

「うあっ」
「うん…間近で見ると、圧倒されるな。大きくて、熱い…」
オレの屹立が斗貴子さんの柔らかな手でふわりと包まれる。
それだけで、物凄い快感が背筋を走ってしまった。斗貴子さんは興味深げに肉棒をすりすりと撫でたり、
先端の窪みに指を押し付けたり、たどたどしいながらもオレの欲望を高めてくれた。
「どうだ、カズキ。気持ちいいか?」
「うん…斗貴子さんの手って凄いやらかいね…あっ」
「そうか、良かった」
オレが快感に震えると、斗貴子さんはますます嬉しそうにオレが反応した場所に触れてくる。
気持ちがいい…けど、でも決定的な刺激には足りなくて、ちょっと生殺しな気分だ。

「あの…斗貴子さん、そろそろ…いい?」
我慢できなくて、屈んでいた斗貴子さんの両肩を掴んで身体を起こさせた。
オレの顔に察してくれたのだろう、斗貴子さんは目を伏せつつ「わかった」と頷いてくれた。
それじゃあ…と、彼女を押し倒そうとして、オレはあることを思い出した。

「あの、斗貴子さん、ちょっとだけ待ってね」
「え?」
不思議そうな顔の斗貴子さんから一旦離れて、オレはベッドから降りると、机の引き出しをごそごそと漁る。
目的の小箱を手にして、ベッドに戻ると斗貴子さんはくすくすと笑った。
「そうだな、折角この為に買ったんだから使わないとな」
小箱の中身は、昨日買ったコンドームだ。
斗貴子さんとの赤ちゃんはいずれは欲しいと思うけど、今はまだお互い高校生だから、忘れずにつけなくちゃと思う。
「うん。斗貴子さんが大事だからちゃんとつけるよ」
「そうか…」
オレの答えに、斗貴子さんの表情がますます甘く溶けていく。
その可愛くて綺麗な微笑みを、オレはずっと守ろうって改めて心に誓った。
「えーと、まずはこれをこうして…っと」
「へえ、こんなに薄っぺらものなんだな。その…そんなに大きなものにつけられるのか?」
パッケージを破って、中身を取り出すと斗貴子さんは興味深げにそれをまじまじと見つめる。
なんだか、見られながらつけるのはちょっと恥ずかしいかも。
「う、うん。かなり伸びるから大丈夫だよ。こうして、空気が入らないようにするするっと…」
取り出したゴムを自分のものに慎重にかぶせていくと、斗貴子さんは大きく目を見開いてから、かなり低い声でポツリと呟いた。
966カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:37:18 ID:6lz5PNTh
「…カズキ、なんだか凄く手馴れていないな? 私としかしたことないはずなのに…」
何だかとんでもない誤解をされているみたいだ。
その威圧感に押されつつも、オレはぶんぶんと両手を振って、斗貴子さんの疑惑を否定する。
「いやっ、違うって! 前に岡倉達と試したんだよ。誰が一番早くつけられるかって! 
彼女が出来た時、モタモタしてたらカッコ悪いからって、皆で競争したんだ!」
そう弁明すると、斗貴子さんはきょとんとした顔をしてから、声を上げて笑った。

「う…そこまで笑わなくても」
「す、すまない。なんというか、キミ達らしいと思ってな。全く、本当に突飛なことばかりするな、キミの仲間は」
「ちぇ、酷いよ。斗貴子さんてば」
拗ねたふりをしながら、オレは笑いすぎて目に涙まで溜めていた斗貴子さんをちょっとだけ強引に組み敷く。
「いいじゃないか、こうして今役に立ったんだから…ン」
未だに笑い続ける斗貴子さんの口を塞ぐため、ほんのり薄紅色な傷跡にキスをする。
斗貴子さんはどこもかしこも敏感だけど、中でもここは特に敏感らしいのだ。
「やめ…カズキッ…ン…ンンッ」
窪みを舌でなぞると、斗貴子さんは切なげに息を漏らす。
うん、これはかなりヨロコんでる。

すっかりぐったりとした斗貴子さんの脚を開いて、濡れてひくついた秘部に自分のそれをあてがう。
「斗貴子さん、入れるね」
「ああっ…んっ…や、あ、ああああ…」
熱く濡れた入り口をこじ開けて、ゆっくりと中にじりじりと進んでいく。
内壁がその度にきゅうきゅうと締め付けてきて、ちょっときついくらいだ。
「力抜いて、ゆっくりでいいから…」
オレの背にぐっと爪を立てられて、ちょっと痛いけれど、それ以上の痛みを斗貴子さんは我慢してくれているんだ。
だから、痛みは顔に出さないようにして、斗貴子さんに優しく何度も呼びかけた。
「カズキ…ん、いやぁ…あ…」
フルフルと首を振りながらも、斗貴子さんは少しだけ体のこわばりを解いてくれた。
よかった…力むと誰よりも辛いのは斗貴子さんだから。
なるべく斗貴子さんに負担をかけないように、オレはじりじりと中を進んでいった。
「…入ったよ、斗貴子さん。辛くないかな? 大丈夫?」
「……ああ、感じる。カズキで一杯になってるのが…わかるよ」
ちらりと視線を動かすと。斗貴子さんの中に全て埋められたオレのものが、斗貴子さんのそこをぱっくりと限界まで開いていた。
それが痛々しくて、オレはぐっと動きを止める。
オレが動いてしまうと斗貴子さんに負担がかかってしまうからだ。
斗貴子さんの身体が慣れるまで、ゆっくりと待たなくちゃいけない。
967カズトキバレンタインB+:2008/04/21(月) 02:39:10 ID:6lz5PNTh
「…大丈夫だ、動いていいぞ、カズキ」
「でも…」
「キミの方が辛そうだ。私は大丈夫だから……キミを感じたいんだ」
優しい手に髪を何度も撫でられて、オレはたまらず斗貴子さんを抱きしめた。
こんな状態でも斗貴子さんはオレのことを考えてくれるんだって思ったら、嬉しくてたまらなくなった。
斗貴子さんへの想いがどんどん溢れて、オレはゆっくりと斗貴子さんを傷つけないように慎重に動き始めることにする。
「あぅ…カズキぃ…んあぁぁっ」
「斗貴子さん、気持ちいいよっ」
ぎりぎりまで引き抜いて一気に挿入を繰り返すと、内部の襞がいっせいに絡みついてくる。
しばらくそうして抜き差ししていると、ある場所を突くたびに斗貴子さんの身体が跳ねることに気づいた。
「ここ、気持ちいいの? 斗貴子さん」
「んんっ…やぁ、あんまり激しく突いちゃ…ひゃあっ」
そこを重点的に攻めると、斗貴子さんは今までよりもより高いトーンで喘ぎ声を上げる。
その声にオレもどんどん高ぶって、どんどん動きが早くなってしまう。
ぐちゅぐちゅと結合部が泡だつほど激しく抜き差しすると、濡れた音が小さく上がった。

「斗貴子さん…すき、好きだよ…」
「カズキ…カズキッ…」

お互いの名前を呼びながら、指を絡ませてぐっと握り締めて、また口付けを交わす。
心も身体も熱くて、ドロドロに溶けてしまいそうで…斗貴子さんと一つに溶け合っているような気分になる。
それは、恥ずかしくて切なくて、愛しくて、でもとても愛おしい感覚で
…正に斗貴子さんと身も心も一心同体になれたのがとても幸せだった。
そうして、オレ達は何度となくお互いを確かめ合ったのだった。




「…うん、そう。悪い…馬鹿、違うって、そう…よろしくな、六舛」
行為の後、斗貴子さんはそのまま眠り込んでしまったので、今日はオレの部屋にお泊りしてもらうことにした。
流石にこの時間に気を失った斗貴子さんを背負って女子舎へ行くのは色々とまずいし、何より斗貴子さんと離れがたかったから。
だから、少しだけ悩んで六舛に電話しておいた。あいつなら、何とかしてくれるだろう。
その代わり、明日の昼食はオレの奢りを約束させられちゃったけど。
まあ、この斗貴子さんの寝顔を一晩中見れるんだから、その代償としては安いもんだ。

「んん…」
携帯を切って、そのまま斗貴子さんの隣に滑り込むと、斗貴子さんは小さく身じろぎした。
それから、小さく唇がもごもごと動いて何か言っているようだった。
なんだろうと耳を近づけて、オレは赤面した。
「…カズキ…すき…」

起きてるのかなと耳を済ませてみたけど、やっぱりそれは寝言みたいで、
夢の中でもオレのことを考えてくれてるのかと思ったら、顔が一気に熱くなった。
明日起きたら、どんな夢だったか聞いてみようと思いつつ、斗貴子さんのサラサラした前髪を上げて、その額におやすみなさいのキスをする。
「おやすみ、斗貴子さん。最高のバレンタインをありがとう」
どうせなら、オレも斗貴子さんの夢がみれたらいいなぁ…なんて考えながら、オレはゆっくりと目を閉じたのだった。

おわり
968名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 07:52:15 ID:1Mk0vq9c
具輪ああああああああああああああああああああああああああ!!
月曜の朝っぱらからなんて神仕事をしやがるんだっ
感動しすぎて涙とか色んなの出ちゃったじゃないかあ
969名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 19:25:47 ID:du0KN/f0
ついに来たと聞いて萌えスレから。
感想正直に書くとなんか引かれそうな気がするけど敢えて書くぜ!

小説そのものよりも、たぶんあんまりエロ小説とか読んだことないけど頑張って書いたと思われるその心意気に萌えました…。
なんかこんな感想でサーセン…orz
970マララー( ・∀・) ◆y7aJbeuKf. :2008/04/22(火) 00:48:36 ID:jaS/Wrqd
ふむ、やはりこの作者さんの直球SSを読むと、いつもながら心が洗われるというものだな
……いや、今回は心が洗われるというには、少々……エロいな( ・∀・)!と言わざるを得ないがw
斗貴子さんはつくづく女神のような女性だな。カズキは果報者だと言うべきであろう

>>957
このスレに投下してもらってまったく問題ないのではなかろうか。
埋め支援にもなるであろうし一石二鳥というものだ
971名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 02:06:31 ID:OAgQpFDd
>965
これは・・・これはなんと甘い四月のバレンタイン・・・ッ!!!
感激した!あと斗貴子さん可愛すぎるッ!!!
972名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 03:09:25 ID:WHtBxp6K
なんか3回くらい読むと分かるけど(読みすぎだ)、バランスとか気をつかってるなぁ。
攻めとか受けとか、年上とか年下とか、お互い手馴れてない初々しさとか、
カズキだって男の子なんだとか斗貴子さんだって女の子なんだとか。

Hよりもむしろ、そこに至るまでの描写が萌えすぎてムズムズしたw
斗貴子さんサイドと平行して読むと更にムズムズするので、みんな注意だっ!
973名無しさん@ピンキー:2008/04/22(火) 08:26:17 ID:HRZNpjL2
萌え過ぎて体中がむず痒い…w
974KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:05:33 ID:squ1z9u1
埋めがてらこっそりと投下。
まだまだ修行中につきなんぞありましたら、ご指導を。

火渡x毒島。あとパピヨンがあれだったり。
975KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:06:43 ID:squ1z9u1
◆HELP ME DARLING!!◆





「戦士長、毒島参りました」
「ああ、いらっしゃい。どうですか?火渡との生活は」
「……はい、楽しいです」
週末だけ、彼女は彼の元へ。
戦士長坂口照星が二人に提示した条件は学業を疎かにしないということ。
しかし、学生生活を楽しむ彼女に対して核鉄を持たない彼はどこか気が抜けてしまいがちになった。
「腑抜けですか?」
「いえ!!毎回激しいですっ!!」
「いえ、ソッチではなくて核鉄がないからぼんやりしてるんじゃないんですか?と」
真っ赤になった少女を戦士長はにこり、と。
「回収をお願いします、毒島君。相手に不足はないでしょう。あのハピヨンです」
「しかし、私にはもう核鉄は……」
掌に載せられる懐かしい光。
胸に押し当てて呼吸を整える。
エアリアル=オペレーターは再び彼女の元へと戻った。
再殺部隊に何故この少女が在籍をしたのか。
戦士長坂口照星は火渡よりも理解している。
数ある錬金の中でも最悪の部類に入るのがエアリアル=オペレーターなのだから。
「学校には私から連絡を入れておきます。頼みましたよ」
「はい。大戦士長」
976KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:08:42 ID:squ1z9u1



放課後の鐘の音を聞きながら、寄宿舎で男は煙草に火を点けた。
「一々ライター使うのが面倒なんだよ」
「普通はそうするもんだ。火渡」
表向きは寄宿舎の管理人とエイゴ教師。
実際は錬金戦団に席を置く戦士たち。
「毒島は休みなんだな」
コーヒーに口を付けて防人は笑う。
七年前より戦友は笑うようになった。
「照星さんから電話あったんだよ。一仕事させんだとよ。んなのは俺かお前でいーじゃねぇか」
女生徒に追い掛けられるのもようやくなれてきた。
「華花のヤロウ、携帯にも出やがらねえ」
「しかし、お前が毒島を選ぶなんてな。照星さんよりも立派な変態じゃないか」
約一回りの年齢差。それでも彼女はどうにかと手を伸ばす。
「再殺部隊(ウチ)は他に女居ねぇぞ。オカマはいるけど」
「認めろよ。惚れたんだろ?火渡」
「言ってろ。クソッタレが」
極悪な教論が贔屓にするのは物静かな少女。
「カズキの妹のクラスだ。賑やかでいいだろう。毒島は人見知りするからな」
「余計なことをしゃべんねえから、バレることはねぇけど……あのウルセエ連中がな……」
二本目に火を点けて煙を吸い込む。
肺に消えていく紫煙に慣れてしまったのはいつからだろう?
「ブラボー、毒島さんこっちにきてない?まひろたちが捜してて」
「華花なら欠席だぜ」
「いたのか、あんた」
「んだと?やんのかテメェ」
それでも、以前よりは大分言葉尻が優しい。
977KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:09:59 ID:squ1z9u1
「風邪かなあ?」
「たまには実家に帰りたいんだろうよ」
「そうだね。まひろに言っとく」
実際、彼女に帰るべき場所はない。
再殺部隊にいるものは戦団こそがただ一つの家だったのだから。
「……悪ぃな。気を使わせた」
「お前から礼がでるとは思わなかったな」
毒島華花の両親もまた、ホムンクルスによって殺害された。
幼い少女はその場に落ちた核鉄を拾い叫んだのだ。
違形の物への復讐を。
そしてそれこそが最年少にして最悪の武装錬金の使い手の誕生だった。
本能の最奥に封じ込めたどろどろとした闘志。
相殺できるのは戦士長火渡ただ一人。
「いいんだよ。あいつは俺が居るんだからよ。んなもの……」
過去は常に彼女を苛む。
「変わったな、火渡」
「あン?」
「昔みたいだ」
「…………」
小さな光は何かを生み出す。
制服の胸に閉じ込めた思いのように。
「毒島に聞いてみないとな。お前の事」
978KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:12:44 ID:squ1z9u1


廃墟に入り込むことに躊躇が無いものはそれ相応の覚悟と経験がある。
「これはこれは、か弱い少女が一人とは」
「お久しぶりですね。パピヨン」
ぱたん。本を閉じて向かい合う。
「どうせなら素顔で来てもらいたいものだ」
「火渡様の核鉄、返していただきたく参りました」
パピヨンが持つNo.20は焔を閉じ込めたもの。
本来の所持者は戦士長火渡赤馬その人だ。
「交換です。これを」
もうひとつの核鉄を差し出す。
「ふん……面白みがないな。このエレガンスな炎の羽根!!美しい以外に言葉がない!!」
「ええ。火渡様の核鉄ですから美しいのは当然です」
譲らない意志は仮面越しの光にすら感じられる。
「嫌だと言ったら?」
「力ずくで行きます」
静かに動き出す空気の流れ。身体の動きが抑制されていく。
「この程度で俺が止められると思うか?」
「……………………」
「ニアデス・ハピネス!!」
黒死の蝶は容赦なく少女に襲い掛かる。
近距離攻撃すべてを封じる配置に隙は存在しない。
「きゃん!!」
「エアリアル=オペレーターは攻撃補助が大きい。君があの火渡という男の側に置かれたのも炎を増幅させることが可能だからだ。違うか?」
「………………」
「優しさは他に求めるんだな」
降り懸かる蝶を必死に払う。
それでも夥しいそれは餌に群がるように彼女の肉を喰らいつくそうとする。
979KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:14:38 ID:squ1z9u1
「とどめをさしてやろうか?」
「私が、あなたにですか?」
吹き上がるガスに男の眉間に皺が寄る。
「出せないでしょう?自慢の蝶が」
ゆらり。立ち上がる身体。
「苦しいでしょう?」
「……キサマっ!!何をしたっ!?」
辺り一体に擬似空間を張り巡らせる。
それこそがエアリアル=オペレーターの本来の特性だった。
空間内の気体を自在に変化させる。
使い方一つであらゆる生命を死滅させる能力。
術者の意志が全ての決定権。
「ホムンクルスも酸素が無ければ死にますからね」
躊躇うことなくパピヨンの腹部に蹴りが入る。
「あなたには持久力がない。私はその期限を待てばいいだけだった」
「……良い性格だな、キサマ」
「再殺部隊ですから。火渡様の核鉄、返していただきますよ」
「…………」
「代わりにこれを差し上げます」
真っ直ぐに胸部を狙うナイフ。
ぐちゃぐちゃと筋組織が悲鳴をあげる
生温かい血流と脈動する臓器。
「うおアアアアアアアっっっ!!」
「あった」
刔った心臓から核鉄を引き出し苦悶に歪む青年に代替のそれを捩込む。
「これは……火渡様のものです……他の誰かが使うべきものでは……」
「なんの執着だ……キサマ……」
「あなたには関係のないこと」
ぎゅっと抱きしめて安堵の溜息。
980KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:15:52 ID:squ1z9u1
「ふん……恋する乙女か」
「どうとでも」
「人間とはくだらんな」
「ええ」
血まみれの指先が仮面を外す。
月を背にした壮絶な笑み。
ある一種、残酷なまでに凄惨なそれは十六才には似つかわしくないものだった。
「ごきげんよう、蝶人パピヨン」
「いずれ、キサマとも決着をつけたいな」
「火渡様の許可がおりれば」
殺戮に躊躇いのない自動人形。
ひゅるひゅると穴の開いた身体を押さえ、青年は唇の血を拭った。
「キサマ、名前は何だ?」
「戦士長火渡率いる再殺部隊二号、毒島華花と申します」
「覚えておこう。いずれまた」
「ごきげんよう」
明確な殺意を至近距離まで隠し通す。
火渡と全く対極の位置に存在する少女。
偶然ではなく必然で二人は巡り逢わされた。
ホムンクルス抹殺対象はのは錬金戦団の総意志であることは明白。
殲滅の数は津村斗貴子よりも毒島華花の方が上なのだ。
「キサマが再殺部隊にいるのがよくわかったぞ」
「化け物に何を言われても」
核鉄に触れた唇が恋人にでもするかのように微笑む。
「いずれお会いしましょう」
981KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:20:01 ID:squ1z9u1
ぼろぼろの身体とくたくたの精神を引きずって戦団へと帰還する。
「大戦士長、毒島戻りました……」
言い終わると同時に崩れ落ちる身体。
満身創痍の戦士は無事に任務を完遂した。
「私よりも先に行くべき場所があったでしょうに……火渡に私が叱られてしまいますね」
抱き上げて静かに武装錬金を作動させる。
先に回収したヘルメスドライブを使い目指す場所はただ一つ。
「良い部下を……いや、恋人を持ちましたね。火渡は」
頬の煤を払う指先。
「先にいただいちゃえばよかったでしょうかね。ふふ」
意味深な笑みは誰も知らない。
あの月に舞う蝶さえも。
汚れた手でもあの人は触れてくれた。
せめて、せめて。
あの人の一番大事なものを少しだけ守れるように強くなりたいと願う。
「それこそ、火渡に殺されますね」





恐ろしい勢いで連打されるドアに飛び起きる。
「照星さんっ!?」
ぼろぼろの少女を抱えた男に思わず立ち上がる。
ぐったりと疲れ果てて眠る姿。
982KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:21:51 ID:squ1z9u1
「寝てやがる……ごら、起きろ華花。犯されっぞ」
「火渡、本当に犯しますよ。そういう事を言うと」
奪うように受け取って背後に隠す。
「良い部下を持ちましたね」
「なんでコイツに任務なんざ……」
「彼女以外にはきっとできません。あなたもそれを望まないでしょうし」
手にしっかりと握られた核鉄に目を見張る。
「……俺の……核鉄……」
「彼女に戻してもらいなさい、火渡」
小さな身体をぎゅっと抱きしめる。
「部下はみんな大のお気に入りですよ。もちろん、毒島君も」
閉じる扉と優しさ。
酸欠寸前の恋は柄にもなく甘い気持ちにしてくれた。
「……火渡さま……」
「バカヤロ」
「これ……」
震える指先。
「これ……赤馬様のじゃなきゃ嫌です……」
「おう……」
額に張り付いた前髪を払う男の指。
少女の手が彼の胸に核鉄を埋め込む。
「ずっと……戦士長で居てくださいね……」
胸にこつん、と触れる額。
病める時も健やかなる時も、炎に燃やし尽くされて灰になるまで。
溶け合って一握の砂になり混ざり合うまで。
「おい」
「………………」
「寝やがって……」
寝息に感じる柔らかさ。
「ありがとうな……華花……」
お伽話の王子様は、甘い甘いキスをくれる。
眼光鋭く焔を従え、激情的な抱擁で。
皮肉たっぷりに笑う唇。
いつだってどこだって幸せになれる。
(負けましたよ……はいはい……オメェにも照星さんにも……)
真夜中過ぎのシンデレラはガスマスクを装備してやってきた。
スカートの裾翻して、少し周囲を気にしながら。




おやすみなさいを言うことと、おはようと言い合うこと。
玄関のドアは二人で開けたってかまわないでしょう。
983KINO ◆v3KINOoNOY :2008/04/22(火) 12:23:40 ID:squ1z9u1
おしまい、と。

次スレまではさわやかにエロかなんかもってこれるように修行積みたいものです。
保守代わりの甘いもんはありますがエロものは現在製作中。


そのうち再殺x毒島とか、ブラボーx毒島とか照星さんとかやったら面白いですね。
どれかは平気でやりそうです。
984名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 01:45:07 ID:NGzOuLfs
いちいち指摘したらキリが無いからやめるが、誤字脱字誤用誤変換が多すぎて途中で読む気が失せる。
985名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 02:14:38 ID:eY1ndWXF
>983
GJ!
甘い毒島がたまらんです
986KINO:2008/04/23(水) 06:46:33 ID:mrqLv8Ke
984
すいませんでした
ROMに戻ります
987名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 11:56:31 ID:kZ3pPtqG
また頑張れ。書こうという姿勢は評価するぞ。
あまり冷たくしても可哀想だし、少しは職人を育ててもいいんじゃね?
988名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 18:53:18 ID:mrqLv8Ke
俺は好きな職人だな
また投下してくれよ
989名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 19:27:36 ID:ZtuqVgUr
>>988
志村ーID、ID!!
990名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 19:38:54 ID:kQI63BIA
>>988
IDワラタ( ゚∀゚)
991名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 19:52:39 ID:+fY3cVes
>>983
えと、あえて苦言を。
ホムンクルスは酸素がなくても、空気がなくても、宇宙線を燦燦と浴びても死にません。
最終回で月に移住してますから。
992名無しさん@ピンキー:2008/04/23(水) 22:39:32 ID:lsACxeZB
>>983
パピは心臓に核鉄を埋めてNeeeeeeee!
誤字誤用もそうだが、それ以前に肝心な所でこうだと萎えるわ。
自演する暇があったら、原作をきちんと理解してくれ。話はそれからだ。
993名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 02:22:54 ID:IJvujg/R
この職人さんには荒らしがついてるからトリップ無しの>>986は本人じゃないと思う
994名無しさん@ピンキー:2008/04/24(木) 23:58:21 ID:qihr+Q9n
そろそろ1000か、案外早かったな
次スレもエロエロな斗貴子さんと桜花たんが見れますように
995名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 00:49:11 ID:YP4OYBqZ
おいこら、エロエロといえばまっぴーを忘れちゃ困るぜ(`д゚メ)ゴルァ
996名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 01:02:07 ID:LIxj+R7I
埋めついでに夢を語るぞ
斗貴子さんファンだが夢はまひろや桜花のでかいおっぱいに挟まれることだw
両サイドぱふぱふ・・・最高だ
あ、挟むほど大きくないTQNのおっぱいはカズキがたっぷり揉んでやればいいw
不思議とカズトキはセットの方が萌えるんだよな
997名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 08:26:20 ID:2l23aXY4
ない物は揉めない
998名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 09:46:47 ID:FMdqBYvs
毒島&ヴィクのド貧乳コンビに挟まれたいという猛者はおらんのか?
999名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 10:51:02 ID:e0yFzG2Y
1000なら萌乳
1000名無しさん@ピンキー:2008/04/25(金) 10:53:39 ID:H2fJaDZh
1000なら次スレが神ssの宝庫になる
10011001
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。