「あれっ、ない・・・。」
さくら女学院高校に通う二年の上坂美奈子は途方にくれていた。
今、美奈子がいるのは所属する合気道部の練習をこなした後の更衣室だ。
胴衣を脱ぎ、Tシャツを脱ぎ、
ブラジャーをつけ、ブラウスのボタンは留めた。
白い靴下も穿いた。
いつもならあとはパンティを身につけ、スカートをはくだけだ。
しかし、そこで美奈子は動けずにいる。
「どうして・・・。脱いでここに入れて置いたはずよ・・・。」
美奈子が探しているものは、放課後に胴衣に着替えるまで穿いていたパンツ。
先ほど身につけたばかりのブラとセットの薄いピンク色のパンティ。
「せんぱーい、早く帰りましょう。」
後輩の安田恭子が呼んでいる。
「すぐに行くから少し待って。」
そう返事をしたもののパンティは見つからない。
どうやら部室には、すくなくとも美奈子の鞄やその周辺にはないようだ。
「せんぱーい、どうかしたんですか?」
「何でもないわ。すぐに行きます。」
恭子は美奈子が遅いので待ちきれないようだ。
この後、恭子とショッピングにいく約束をしていた。
美奈子はスカートをはいてみたが、
股間を覆う布がないという意識を強く感じてしまっている。
そんな恥ずかしい状態で外へでられない。
「(そうだ。校舎のロッカーに行けばブルマならあるわ。)」
「それを穿くしかないわね。」
美奈子がそう決めたところで部室に足音が近づいて、そのドアが開けられた。
「まだですか、先輩」
恭子が部室に入ってきた。
「さあ、行きましょう。」
「あっ」
美奈子は「まだパンティを穿いていない」と言えるわけもなく連れ出されてしまった。
もう下着はあきらめるしかない。
「ノーパンで外を歩くなんて生まれて初めてだわ。」
「えっ、なんですか先輩」
「なんでもないわ。(大丈夫、絶対にばれないわ。)」
美奈子は自体を甘く見すぎていたのだった。
「さようなら、美奈子先輩」
「さようなら」
ちょうどほかの部活動も終わる時間なのだろう。
帰り道に何人もと挨拶を交わす。
すこし強い風が舞い美奈子たちのスカートをはためかせる。
「きゃっ」
美奈子はあわててスカートを押さえた。
「あっ、もう」
美奈子は恭子がスカートを押さえきれずいる白い下着を見ていた。
校門を出たころには、美奈子は下着を着けていないことの心細さを感じていた。
「よっ、みーなこ」
近づいてきたのは沢田あゆみと西村淳子だった。