2月14日 AM8:00
プルルルルル…プルルルルル…
遥か彼方から携帯電話の鳴る音が聞こえる。
だけど毎朝のように2度寝しているあたしにとって、この音は邪魔者以外の何物でもなかった。
「ん〜〜」
一向に鳴り止む気配がない。
プルルルルル…プルル
切れたか。
これでまた深い眠りへと…
「おっはよー、ニャミちゃん!」
「ぎゃん!」
不意にどしん!と乗っかってきた馴染みのある温もり
一瞬、窒息しそうになる。
この感覚は紛れもなく、あたしのパートナーのミミちゃん。
「もー、やっぱり寝てたんだね?」
「ミミちゃ〜ん…ひどいよ」
「だって何回電話しても出ないんだもん」
電話してきたのはミミちゃんだったんだ。
こりゃ悪いことしたなぁ
「ふぁ〜…そろそろ起きるかぁ」
携帯電話の着歴を見てみる。
「んげ、ミミちゃんからの着信ばっかり…」
「あー、何その『んげ』って。許さない!」
そう言ってミミちゃんはあたしのフトンの中に潜ってきた。
「あーー!だめミミちゃん!」
「さぁ、観念しなさい!」
ミミちゃんお得意のくすぐりタイム。
みんなから神と呼ばれているMZDですらこれを耐えるのは至難の業であって、
あたしが耐えられるわけがない。
「ちょっと、だめ…きゃはははははは!」
「こちょこちょこちょ…」
「ははははは!も…もう無理だってぇきゃはははは!」
「許してほしかったらさっさと起きなさい!」
「は、はい!起きますって!起きるからやめ…あははははは!あは…」
「もう…いつも2度寝しちゃうんだから」
「はぁはぁ…ごめんよぉミミちゃん」
こう見えてもミミちゃんはとてもしっかりしている。
今朝も、おそらく6時には起きて色々と準備してきたんだろう。
ビシッと決まった私服がそれを物語っている。
その横で、パジャマ姿でのぼーっとしているあたしってどうよ?
「早く準備しないと間に合わないよ!」
「うん、わかってるよ」
いそいそと身支度をし始めた。
2月14日 AM9:00
ご存知ポッパーズの愛称で親しまれているあたしたちの仕事は、もちろんポップンパーティーの司会役。
パーティーは主にお祝いの日に開催されることになっていて、
今日はバレンタインデーということでパーティーが開かれるのだ。
朝から夜までぶっ通しで行われるから大変だけど、それでもやっぱり楽しい。
今朝はミミちゃんがはるばるあたしの家まで迎えに来てくれたのだった。
「また朝ごはん食べてないだろうと思って、サンドイッチ作ってきたから〜」
「わーい!いつもごめんね、ミミちゃん」
「牛乳あるー?」
「冷蔵庫の中にあるよー」
「はーい」
あ!いけない!
冷蔵庫の中には…
「ん?何だろこれ」
「ねーニャミちゃん、何これ?」
「それはね…」
「もしかして、チョコ?」
「…うん」
ミミちゃんと一緒にいる時はダーr…タイマーの話題は極力しないように心がけていたんだ。
やっぱり永遠のパートナーであるミミちゃんにこんな話するのはさすがに気が引ける。
何というか、裏切ることになってしまいそうだから…
「そっかー…」
「べ、別に隠してたわけじゃ…」
「ううん、いいよ。まぁ当然のことだもんね」
気まずい…
何とかして話題変えないと。
「ミ、ミミちゃんはチョコ作らなかったの?」
「まさか!作ってないよー」
言われてハッと気がついた。
…墓穴掘っちゃったみたい
ミミちゃん恋人いないんだった…
「さ、早くサンドイッチ食べよ!」
「うん」
ミミちゃんの手作りサンドイッチは微かに甘い香りがした。
…チョコ…?
2月14日 AM10:00
「ハァーイ!みんなおまたせ!」
「ポップンパーティの時間がやって参りましたー!」
「司会はご存知ポッパーズ!の、ボケ担当のミミと♪」
「ツッコミ担当のニャミでーす♪」
「今日はバレンタイン!女の子にとってはハラハラドキドキな一日だね!」
「いやいや!男の子だってワクワクテカテカな一日になるよー!」
「さぁさぁ、そんなキュートなガールも!」
「シャイなボーイも!」
「「レッツ・フィーバー!」」
ポップンパーティーの開幕。
朝10時にもかかわらず、たくさん集まってくれたお客さんのテンションは高い。
あたしたちはもう慣れっこだけどね。
「本日のトップバッターはこの人!」
「ダミやん!曲名は『I'm on Fire』行ってみよー!」
パーティーは今回も滞りなく進んでいく。
そしてついに、愛するあの人の出番がやってきた。
「続いてはこの人!」
「タイマー!曲名は『ROSE〜恋人よ、薔薇色に染まれ』頼んだぞー!」
やっぱりどこかぎこちない喋り方になっちゃうなぁ。
ああ、きっとあたしの顔すごく真っ赤になってるだろうな…
「なーに照れてるの。いつも出てるでしょ?」
「…うん」
ミミちゃんがボソッとあたしに話しかけてきた。
あたしはやっぱり照れていて、ただそう答えることしか出来なかった。
「Hey!みんな盛り上がってるかい?
今日も俺のパフォーマンスでみんなの時間を止めてみせるぜぃ!」
あのおっきな時計であたしの時間も止めてくれるかな?
パーティーは今日も滞りなく進んでいった。
「さてさて、今回のパーティーもここらでラスト一曲かなー!」
「えーっ!ここらでひといき、でしょー?ミミちゃん!」
「おっとぉ?言ってくれるねーニャミちゃん!
それではまた来週ー!」
「終わっちゃうのー!?」
「なーんてね!
さぁ最後はあたしたちポッパーズで『I REALLY WANT TO HURT YOU』アンコールバージョンで行ってみよー!」
「レッツ・スタート!」
いつものようにあたしたちでパーティーのラストを飾り、終幕。
さぁ今日はこれからが勝負だ。
2月14日 PM6:30
ポップンパーティーが終わり、楽屋へと戻ってきた。
「今日もみんなおつかれさまー!」
「また次回もよろしくねっ!」
そう言って、ミミちゃんとあたしがパーティーに出演してくれたアーティストのみんなに挨拶をする。
「おう、いつも世話になってるな。おつかれ!」
「またよろしく頼むぜ」
ダミやんとMZDがあたしたち二人に挨拶してきた。
「今日はバレンタインだなぁ」
「…俺には関係ないね」
「そんなこと言わずに期待しましょうよ」
「絶対俺が一番多くもらうんだ!」
ミラクル☆4のそんな会話が頭をよぎる。
そんな中、タイマーが近づいてきた。
すぐさま、あたしは手元に置いておいたカバンから昨日がんばって作ったチョコを取り出し、
タイマーに見えないように後ろに隠し持った。
「おつかれさん!またまた勝手にハッチャけちゃったけど、最高のパーティーにすることができたかな?」
「うん!タイマーくんもおつかれさまっ!」
「そっか、それはよかった☆」
そう言ってタイマーがミミちゃんに返答し、あたしたち二人に満面の笑みを投げかけてきた。
そして、その笑顔が少し元に戻るや否や、あたしに向かってウインクをしてきた。
キュン。
もうね、目がパッチリ開いたまま動かなかったね。
そしてまた真っ赤な顔になってたんだろうなぁ。
「それじゃ、またね!」
「あ!ちょっと待って!」
我に返り、後ろに隠し持ってたチョコを差し出して言った。
「はい、これ…昨日がんばって作ったんだよ」
「えぇー!チョコレート作ってきてくれたの?」
「そうだよ」
あー恥ずかしい…
「ありがとね。ホワイトデーにまたパーティーやろうよ!その時に必ずお返しをするよ!」
「…うん!待ってる!」
もう恥ずかしくてしょうがなかったけど、心の中は幸せな気持ちに満ち溢れていた。
でもその時あたしは気づいていなかったんだ。
横にいたはずのミミちゃんがすでにいなかったことに…
2月14日 PM9:00
プルルルルル…プルルルルル…
だめだ!
全然出る気配がない。
どこにいるんだろうか…
今朝あたしがされたように、この音はミミちゃんにとって邪魔者になっているのだろうか…
やっぱりミミちゃんの目の前でタイマーにチョコを渡したのがまずかった…
結果的にミミちゃんを裏切ることになってしまった。
さっきタイマーから電話があった。
『今日これから会えないか…』
あたしは『ちょっと待っててもらっちゃだめ?』と答え、また後で連絡するように伝えた。
もちろん今すぐ会いに行きたかったさ。
でも…ミミちゃんが気になって、行くことが出来なかった。
今朝のことが思い出される。
朝早くからあたしに飛びついてきたミミちゃん。
あたしは寝ぼけてはいたけど、素直に嬉しかった。
あたしのことが大好きなんだな、と思って。
そんなあたしには今、好きな人がいて…
歌ってるところ、あの笑顔、どれもすべて魅力的で、大好き。
やっぱり異性の人に魅力を感じるのは当然のことであって、
むしろ同性愛なんてのは誰もがやっていることではない。
でもその分を補えるくらいにミミちゃんとはずっと一緒にいたんだ。
ミミちゃんをとるか…タイマーをとるか…
今まさに運命の分かれ道の前に立っていた。
…と、ここまで来てタイマー×ニャミか、ミミ×ニャミか、どちらを書こうかで手が止まった。
どっちがいいかな
どう考えてもミミ×ニャミ
ミミ×ニャミ以外有り得ない
60分の4秒迷った挙句ミミ×ニャミ
ミミニャミ略してミミミ
YOU両方書いちゃいなよ
二月一杯はバレンタインの心意気でさ
この流れでタイニャに持っていけるのならそれはそれで見てみたい気はする
俺…どっちも見てみたいんだ…
3PでFA
>>91の続きです。
>>93-101サンクス
2月14日 PM10:00
『もしもし』
『…もしもし?あたし』
いけない。声のトーンが下がってる。
『…ニャミちゃん、待ってたよ』
『うん』
電話の奥にいるのはタイマー。
バレンタインもあと2時間しか残ってない。
『これから…うちに来てくれるね?』
『……うん。行くよ!』
『そうか…よかった!それじゃ、待ってるよ』
『ええ、それじゃまた後でね』
電話を切る。
タイマーの家へと向かった。
…これで…いいんだ。
ミミちゃん…
まだあたしを待ってるのなら、引き止めるのなら今しかないよ。
…いいのかい?
ピンポーン
「やぁ、待ってたよ」
気持ちの整理がつかないまま、タイマーの家に着いてしまった。
「こんな時間になっちゃってごめんね」
「ううん、平気だよ」
「…こうしてまともに家に来たの今日が初めてかも」
「ああ、そうだね…」
「いつもはお昼くらいに来てたのに、なんかドキドキしちゃうね」
「…」
「あ!ごめん一人で暴走しちゃって…おじゃましまーす♪」
「どーぞ」
ああ、やっぱりこういうのっていいな。
あたしも悪いコになっちゃったな。
「てきとーに座っててよ」
「うんっ」
目の前にるコタツにちょこんと座る。
バレンタインもあと2時間弱…
今夜はずっとここにいることにしようか…
2月14日 PM10:30
「はぁ〜やっぱコタツっていいね」
「外、寒かったしょ」
「うん、ちょっとね」
スイッチは入っていなかったものの、かなりコタツは温かかった。
実は長いこと外にいたため、体はかなり冷えきっていた。
「…ニャミちゃん」
「ん?」
急にタイマーの声色が変わった。
「もっと温まりたくないか?」
「え…」
「僕、今日はパーティーに参加して、まだ体が温かいよ」
「ほ、ほんと?」
「ほんと。触ってみる?」
そう言ってタイマーは自分の胸を触るように促した。
あたしは断る理由もなく、タイマーの心臓のあたりにそっと手を添える。
「…すごい、ぽかぽか」
「でしょ」
でもタイマーの心臓の鼓動はやけに緩やかだった。
あたしも…ドキドキはしてるんだけど、どこか力ない揺れ方だった。
「コタツよりも温かいと思うよ」
「タイマー…」
もうここまで来たら流れに身を任せるしかない…
そのままその胸に顔をうずめちゃおう…
「おっと」
とん、とタイマーがあたしの肩に手を置き、あたしの動きを止めた。
急に動きを止められ、あたしはタイマーの顔を見上げた。
「どしたの?」
「…こ、このままベッドへ…」
「えー!」
もう?
「続きはベッドの中で…だめかな」
まだ複雑な気持ちだったけど、どうにかしてこの気持ちを振り払いたかった。
「……いいよ」
「やったぁ!」
え?
急にタイマーが奥の部屋へ走り出した。
「ちょっと、タイマー?」
置いてけぼりにされたあたしはただ呆然としていた。
「ニャーミちゃん」
「ねぇ、どうしたの」
「早くこっちへおいでよ」
かみ合わない会話をよそに、タイマーがあたしを呼ぶ。
あ、もしかして奥にベッドがあるのかな。
あたしは無言で奥の部屋へと向かった。
2月14日 PM11:00
そこは真っ暗闇で、さっきまで明るい部屋にいたためほとんど何も見えない。
「ちょっと、何も見えないよ。明かり…つけてよ」
「大丈夫だよ。そのまままっすぐ進んでごらん」
奥からタイマーの声が確かに聞こえる。
あたしはその声を頼りにまっすぐ足を進めた。
ちょっと進むと暗闇にも多少慣れてきて、ベッドらしきものが微かに見えてきた。
そして、その上に微かに見えるタイマーの頭。
もうフトンの中に入っちゃってる…
よい子はもうとっくの間に寝る時間だ。
あたしは悪いコ。
こんな遅い時間に、親友を裏切って恋人の家に入った悪いコだ。
あたしは意を決してフトンの中に侵入した。
「タイマー…」
タイマーの頭は後ろを向いていた。
「眠いなんて言わないでよ?」
ゆっくりとタイマーがこちらに顔を向ける…
え?
タイマーの匂いじゃない…?
これ、帽子じゃないの…?
帽子の割には…フサフサしていて…馴染みのある感触…
「あっ」
急に明かりが点いた。
「ばぁ!!」
「わぁぁぁっ!!!」
「ミミちゃん!?」
フトンの中にいたのは…
「いぇーい! 大 成 功 !!」
間違いなくミミちゃんだった。
「え、え、え、ええぇぇぇ…」
「どうだ、参ったか!」
「な、何で…ミミちゃん…が…ここに」
「うまくいったみたいだね!」
そう言ってベッドの下からタイマー…だよね?
あれ、帽子脱いでる。
でもまたミミちゃんのほうに目を向けて、呆然としていた。
「ニャミちゃん、僕が何で家の中なのに帽子被ってたのか不思議に思わなかったの?」
そんなの…そこまで考えていられるわけないじゃない!
こんな状況でそんなとこに気づけないよ…
「だって!いつも会うときは帽子被ってたから…」
「でもうちに来てくれたときは、僕は必ず帽子脱いでいたよ」
「そんなの…気づかないよ」
「そんなことより!なんでミミちゃんがここにいるの!」
「それはね…」
ミミちゃんがゆっくりと口を開いた…
2月14日 PM11:15
ミミちゃんの話によると…
あたしがあのとき…タイマーにチョコを渡したとき、確かにミミちゃんはいたたまれない気持ちになり、思わずその場を離れたそうだ。
やっぱりあたしの予想は間違っていなかったみたい。
あたしがミミちゃんを探しに出かけだしたとき、すでにミミちゃんはタイマーに会いに行っていて、
そこで言い放ったのは『ニャミちゃんは渡さないよ』
タイマーはびっくりした様子だったらしいが、それでも引かず、『ミミちゃんには悪いけど、今日だけはニャミちゃんを僕にくれないか』
と言い返した。そしてそれから…
『ニャミちゃんと僕のことは、ミミちゃんも知っていたはずだ』『それは知ってたけど…』
『チョコをもらったのは僕だ。ミミちゃんはもらってないだろう?』『もらってないよ…』
『じゃあ決まりだ。今日だけはニャミちゃんは僕のことだけを思ってるんだ』『そんな…でも!』
『バレンタインはチョコをくれた人の気持ちが最重要なんだよ』『あげた人?』
『そう。チョコをもらった人は、くれた人をその日の間だけは愛してやらなければならないんだ』『そんな決まりが…』
『わかってくれたかい?だから今日だけはニャミちゃんは僕の…』
『ううん、違う』『え?』
『それが本当だとしたら、あたしは今日だけはずっとニャミちゃんに愛されなければならないってことになるね』『…どういうことだい?』
『ニャミちゃんがタイマーくんにチョコを渡すよりも先に、あたしがニャミちゃんにチョコをあげたってこと』
『なんだって!』『本当だよ』
『そうなのか…』『さらに言うと、ニャミちゃんはそのチョコをその時に食べてた。でもタイマーくんまだ食べてないじゃない』
『う…』『決まりだね!ニャミちゃんはあたしのものだ』
『……参ったよ。ミミちゃん』『でもね、ニャミちゃんったら…あたしチョコあげたのに…しかもあたしの目の前で食べたのに…
あたしに何も言わずにタイマーくんにチョコを渡して…
あたしのこと全然見ていなかったのが少しだけ許せなくて…ちょっとだけイタズラしてやろうと思ってるんだ』
『そんなこと僕に言ったって…』『だから、ちょっと力を借りたいなと思って』
それから、ミミちゃんはタイマーの家で隠れて、あたしをビックリさせたという次第だ。
そして、その話を聞いて思い当たったのが、今朝ミミちゃんが持ってきてくれたサンドイッチ。
微かにチョコの味がしたけど…まさかこれがバレンタインのチョコのプレゼントだったとは…
「あのとき何も言わなかったじゃん」
「う…まぁ、それはおいといて」
「一言言ってよ〜」
「あ〜、せっかくサンドイッチ作ってあげてきたのに、そんな言い方ってあるの〜?」
「わぁ〜ん!ごめんなさい!」
はぁ…やってくれるねミミちゃん。
でも…うれしい。
「さて…そしたらお二人さん、僕はお邪魔みたいだからあとは勝手にやってくれないかな?」
「あ…タイマー…いいの?」
「まぁね。ニャミちゃん、電話のときすっごく元気なかったんだもん。
僕はその時もうミミちゃんの気持ち聞いてたから」
「でも…」
「あ、もし今でも僕のほうに思いが傾いているなら…」
「ダメー!言ったでしょ!ニャミちゃんはあたしにくれるって!」
「ニャミちゃん。どうなんだい?」
「ニャミちゃん!」
二人が一斉にあたしのことを見つめてくる。
でも…あたしは迷わず答えた。
「ミミちゃん、行こっか!」
「ニャミちゃん…うれしい!」
「ははは…負けたよ(泣」
たぶん…あたしも泣いていた。色んな気持ちが込み上げてきて…
あたしたちはタイマーに別れを告げ、自宅へと向かった。
2月14日 PM11:30
我が家に戻ってきた。
時計の針はあと数十分で短針と長針が一つになるところだった。
まだ…バレンタインは終わっていない。
「タイマーくんのことは本当に良かったの?」
「ミミちゃん…今更なに言ってるの?」
「おっ、予想外の返答。安心した!」
「きゃっ!」
そう言ってミミちゃんがあたしに抱きついてきた。
そして、あたしもミミちゃんを抱きしめ返した。
「今までずっと言うまいと思ってたけど、ずっとこーしたかったんだよ…」
「ミミちゃん…ずるいよ、一人で抜け駆けなんて…」
「あれー?ニャミちゃんにはタイマーが…」
「こらっ」
「ふぁっ!」
そう言ってあたしは、ミミちゃんの体をより一層強く抱き締めた。
もうその名前を言うのはやめといてね。
「んむぅ〜」
ミミちゃんのほどよい胸があたしの小ぶりな胸を覆っている。
…ちょっと嫉妬。
「さっきはよくもあたしを驚かせてくれたね…」
「ひゃ〜ん、ゆるひて〜」
「たっぷりとお返ししてあげるからね」
ミミちゃんを抱き締める力を少しだけ弱めた。
それから、ミミちゃんに喋らせる余裕を与えまいと、すぐさま唇を重ねた。
「…ん、ぁ…」
「ちゅっ…」
軽く口付けを交わし、そのまま床へ倒れこんだ。
いつもミミちゃんがあたしに乗っかってて、あたしはいつも受け身だった。
でも今日は違うよ。ミミちゃんの上に乗っかっている。
ミミちゃんの頭に手を駆け、ちゅぷっ…とミミちゃんの小さな唇に舌を挿れる。
「ぁ…」
ミミちゃんの舌は奥のほうに隠れていて、それを吸い出すように、ぴちゃぴちゃと舌で舐め回した。
「んん…ふぁ…ニャ、ミ…ちゃぁん」
囁くように問いかけるミミちゃんが可愛くて、舌の動きはより一層早まる。
「ちゅぷっ…ちゅ…ぴちゃ…」
ミミちゃんの舌が少しだけ前に出てきて、でも成すがままにあたしの舌を受け入れている。
「ふあぁ…ニャミひゃんの…舌…すごい、気持ちイイよ…」
「…一応ネコだからね。あたしの舌、ちょっとざらつくんだけど…気持ちよさそうだね…」
「…んん…はぁん…」
あたしの背中を抱き締めていたミミちゃんの腕はいつしか床にだらんと置かれ、すっかり力が抜けていた。
さて、そろそろお返しをしようかな…
あたしはいったん唇を離し、そばに置いてあるテーブルの上から少し溶けてるチョコを手にとり、ミミちゃんの唇に練り込んであげた。
「…なに…これぇ…チョコぉ?」
「…お返しだよ」
そしてそのまま再び唇を重ねる。
「ちゅ…ぴちゃぴちゃ…」
「ぁぁ…すご…い……」
「ぺろ…ぴちゃ…おいひい?」
チョコの甘みをのせて、あたしの味をミミちゃんに確かめさせる。
こっちとしても、ミミちゃんの甘い唾液とチョコが混ざり、より一層甘みを引き出している。
「…うん、ニャミちゃん味のチョコ…すっごくおいしいよ…」
「違うよ…チョコ味のあたし…だよ」
「ふふ…結局ニャミちゃんもチョコ食べちゃってるんじゃん…」
「…うん、チョコ味のミミちゃん…おいしいよ…」
そうしてしばらくお互いの味を楽しんでいた…
2月14日 PM11:45
「ふふ…ミミちゃんったら、くすぐり上手な割にくすぐられるのにはめっぽう弱いんだね」
「いやぁ…ニャミちゃん…あんまり強くしちゃ…ひぁっ」
いつしかあたしの「お返し」はエスカレートしていた。
ミミちゃんは上半身裸で、あたしよりもほんのちょっとだけ大きい胸の真ん中にあるピンク色の突起にもチョコを練り込んだ。
そしてその突起をぺろぺろとチョコレートキャンディのように舐める。
「あぁ…ニャミちゃんの…舌…本当に、ゾクゾクしちゃう…」
ミミちゃんはもうぐったりとしていて、あたしだけのお人形さんになっていた。
あたしはミミちゃんの右胸の突起を舐めながら、まだチョコが少し着いている右手をミミちゃんの左胸からお腹へと這うように滑らせていった。
「きゃ、ひゃんっ!」
ビクビクッと体をびくつかせながら悶えるミミちゃんをよそに、チョコの跡をミミちゃんの体につけていく。
「体中にあたしのチョコをつけてあげるからね…」
「あ…うぅ…んっ…」
ミミちゃんの唇と上半身はチョコまみれになっていた。
下半身もチョコまみれにしてあげるからね。
テーブルに置いてあるチョコを絵の具のように手に取り、今度はミミちゃんのお腹から秘部へとチョコのついた右手を滑らせていった。
「ひあぁっ!!」
ミミちゃんの秘部はツルツルで、なおかつキスと上半身の愛撫のおかげでほんのり濡れていて、とめどなく愛液が溢れている。
「あはぁ…ぁぁぁ…だめぇ…」
これにチョコを加えたものなら、たまらないだろうね。
そう考えていると、あたしのあそこも徐々に濡れていっているのを感じる。
「…ミミちゃん」
「ほぇ?」
トローンとした表情であたしを見つめてくる。
もうミミちゃんそのものがチョコのようだ…
「ミミちゃんも、あたしのココが気になるでしょ?」
「うん…」
「じゃ…こうしよ」
そう言ってあたしとミミちゃんがお互いに下半身に顔をすくめる形をとった。いわゆる69だ。
あ、でもあたしが上ってのがミソね。
ミミちゃんのズボンと、ウサギのイラストがプリントしてあるパンツを太腿のあたりまで降ろし、秘部がくっきりみえるようにした。
「いやぁ…はずかしいよ…」
きらりと光るミミちゃんの秘部に、早速チョコを練り込む。
「はひあぁ!…ああんっ!」
「ほら…ミミちゃんもあたしのココにチョコを練り込んでよ…」
「ああぁぁ!…す…ご…い…ひぃ…よぉ!」
いい感じに出来上がったミミちゃんのあそこ。
もう今すぐにでも舐めちゃいたい。
「はいこれ…ミミちゃんもあたしのココにデコレーションしてね…」
ミミちゃんの手にチョコをつけてあげる。
これによってミミちゃんも手を動かし始め、あたしのズボンと、ネコのイラストがプリントしてあるパンツをずり下げた。
「そう…ミミちゃん…いいよ…ふあぁ!はぁ…」
もう恥ずかしい気持ちも失せて、お互いに快楽を求めるようになっていた。
「はぁ…ニャミちゃんのココも…すごいね…」
「もう…早くチョコつけて…」
「うん…」
ミミちゃんの手があたしの秘部をぐりぐりと這い回した。
「ああぁぁ…ひぁぁ…」
「はぁはぁ…ニャミちゃん…できたよ…」
「ふぁ…うん…そしたら、一緒に」
そして、お互いにチョコ味の秘部を舐めあった。
「ああんっ!ぴちゃぴちゃ…はぁはぁ…あ…ぁ…」
「ぺろ…ぴちゃっ…ふうぅぅんっ…ひいぃん…」
「あああぁぁぁ!」
「ふああぁぁん!」
バレンタインは終わりを迎えてようとしていた…
2月14日 PM11:59
いつしか二人ともチョコまみれになっていた。
バレンタインもあとわずか。
二人は寄り添うようにして横たわっている。
「ニャミちゃん」
「なーに、ミミちゃん」
「あたしたち、いつまでも一緒だよね」
「もちろんだよっ」
「あたし以外の人のことを好きになってもいいけど…」
「まーたミミちゃんはそういうこと言って…」
「あたしのことだけは見捨てないで…」
「…バカだなぁ、それはあたしが言いたいくらいだよ」
「へへへ、そっか」
「ミミちゃん…大好き」
「あたしもだよ…ニャミちゃん」
そうしてお互いの名を呼び合い…
バレンタインは終わりを迎えた。
テーブルの上のチョコレート。
ミミちゃんの持ってきたサンドイッチのバスケットにわずかについたチョコレート。
2つが月夜の光に照らされて、甘い輝きを放っていた。
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長文&駄文、本当にすんませんでした。
ニャミ×ミミにしました。ちょっとだけタイマー×ニャミっぽいのも。
3Pは…なしでw
まとめサイトにある主なミミ×ニャミ作品やその他の名作にはとてもじゃないが追いつけないなぁ…
もっとうまく書けるよう努力したいと思います。