【涼宮ハルヒ】谷川流 the 38章【学校を出よう!】
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由に書いてもらってもかまわんが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。
Q煽られたりしたんだけど…
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人ならまず気にしません。 あなたも干渉はしないで下さい。
Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A無ければ自分で作ればいいのよ!
Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。 必要なのは妄想の力だけ… あなたの思うままに書いて…
Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aふみぃ… 読み飛ばしてくださぁーい。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。
Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろ。
Q〜ていうシチュ、自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 だっていきなり言われていいのができると思う?
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A拒否しない場合は基本的に収納されるのね。 嫌なときは言って欲しいのね。
Q次スレのタイミングは?
A460KBを越えたあたりで一度聞いてくれ。 それは僕にとっても規定事項だ。
容量行ってたのね。
気づかなかったよ。
1乙
「本当はさ、幽霊の話聞いたときから……ううん、もっと前から不思議な話とか、変な噂とかを聞くたびに、いつも覚悟してたんだ。だって不思議なことがあれば、それはキョンくんが話してくれた元の世界とどっかで繋がってるような気がするじゃんっ」
覚悟なんてすることない。今だってそうだ。元の世界もくそもあるもんか。俺はずっとここにいるんだから。
しかし、鶴屋さんの言葉は止まらない。
「あたし、ずっと面白いことないかなーって考えててさっ、いや、前から面白いこと沢山あったんだよっ? でももっと、どっかーんって感じの奴が来ないかなーってぼんやりと考えてたんだ」
大げさなジェスチャーを交えながら、
「だから、キョンくんがうちの別荘に来た時、この人何かあるんだって思って、凄くワクワクしたよっ。ひょっとしったらすげー面白いことを持ってきてくれるかもって。そんで凄く迷ったけど、文芸部室に行ってみることにしたっさ」
片手で拝むようにして、悪戯っぽく片目を瞑ると、
「今だから言うけど、あの時本当はちょっと怖かったんだ。あんまり先生達の評判も良くないみたいだったし、ただの変な人だったらどうしようってさっ。ごめんねっ」
構いませんよ。実際ただの変人だ。
「でもさ、別の世界から来たって話を聞いたら、そんなんはどこかに吹っ飛んじゃったよ! わお、この人あたしのために来たようなもんじゃんっ、とか勝手に思ったりして!」
そう思ってもらったって、俺は全然構わない。
「あたしも文芸部に入って、一緒に元の世界の手がかりを探し回った。いつかキョンくんが帰るとき、あたしもその場に居合わせれば、迎えに来たUFOみたいなのが目撃できるかもって、楽しみにしてた」
それはご期待に添えないな。俺だってまだUFOは見たこと無いし。
「でも、その内そんなのはどうでも良くなって。帰る手がかりが見つからなくてキョンくんが少し残念そうな顔をする度、あたしはほっとするようになって。まだ一緒にいられるんだなぁって」
恥ずかしそうに、はにかむ。告白されてるみたいでドキドキするな。したことはあっても、されたのは初めてだ。
「それでも、いつかは帰っちゃうに決まってるんだからさ、あたしからは何かするつもりは無かったんだっ。嫌がられるに決まってるって思ってたからね」
鶴屋さんを嫌がるなんて、コオロギ大の脳みそになっても有り得ないだろう。
「それだからさ、キョンくんが好きって言ってくれた時、すげー恥ずかしかったし、同じくらい困ったし、本当はいけないって解ってたんだけどさ、結局そんなの考えられなくなって、OKしちゃった」
鶴屋さんは誤魔化すように笑いながら、自分の髪の先をいじくった。
「そっからは、周囲も羨まんばかりの形影相伴いっぷりだったねっ。あたしらは超仲良しだっ! よく考えたら、会ってまだ一年も経ってないのにさ。その、付き合ってからはたったの三ヶ月だし。何だか信じられないなっ」
わたわたと言う。
たったの三ヶ月。だけど、俺にとっては何十年にも匹敵するほど価値のあるものだ。ハルヒがたった一人で世界を塗り替えたように、そういうのは定規で測れるもんじゃない。
一息ついた鶴屋さんは、笑顔の色を落とさないまま、俺を真っ直ぐに見た。
「でも、キミには元の世界があるんだからねっ。あたしは少しの間、貸してもらってただけなんだ。ずっと決めてたことなんだよ。誰かがキミを迎えに来たら、ちゃんと返してあげようって」
「……俺は返却不可ですよ。というかお買い上げ品です」
ただ首を横に振る鶴屋さん。長い髪が夜の中でも僅かな光を反射させる。
「いいの、あたしに気を使わないで。キョンくんはただ、寂しかっただけなんだよ。元の世界の人たちの代わりに、あたしを選んだ。そしてあたしも刺激が欲しかっただけ。あたし達は、お互いたまたま傍にいて、本当はただ、」
何か言おうと半開きになった唇を、俺は自分の唇で塞いだ。
口を離すと、潤んだ大きな瞳を一度目に映してから、鶴屋さんを胸元に掻き抱いた。
柔らかくて暖かい。誰にもやらん。
「代わりだって? 勝手なこと言わないでください。何にでも代わりなんてありませんでしたよ。ハルヒにだって長門にだって朝比奈さんにだって古泉だって、元の世界もこっちの世界も、代わりなんかききやしないんだ!」
俺は街頭演説車のようにやかましく叫ぶ。
「それでも俺は鶴屋さんが好きだから今まで一緒にいたし、これからも一緒にいる! それだけだ! 代わりだの気遣いだの面倒臭いことなんてな、一々考えてられるかっつーの!」
そのまま、立ち尽くす朝比奈さんに顔を向ける。
「朝比奈さん、皆に伝えてくれ。俺はもう戻れない。約束したんだ。これから温泉に行かないといけないし、帰ってきたら機関誌を仕上げないと。春休みになったら、谷口と国木田と一緒に寺でお払いしてもらわなくちゃならない」
予定はエベレストよりも山積みなんだ。全てを放り投げて帰るわけにはいかない。
何も言えずに固まっている朝比奈さんを置いて、もう一人の未来人は馬鹿にしたように言う。
「愚かだな。元の時空にも同じだけのものがあるだろう。それを理解しているのか?」
「してるさ。そして決めた。三ヶ月前に」
度し難い、と言わんばかりに眼光を鋭くしたそいつは、しかし、どうしてか全て受け入れるように目を閉じた。
その意味を考える暇も無く、
「キョンくん」
頬に手を添えられて、俺は導かれるまま、もう一度キスをした。馴染む他人の体温。ずっとこのままでいられればいいのに。いつかと同じことを考える。
顔を離せば、どこぞのお嬢様みたいに柔く微笑む鶴屋さん。
「本当言うとね、きっと、キミはそんなふうに答えてくれるんだろうなって思ってたんだよ。ありがとう、キョンくん」
俺の胸をそっと押して、
「ごめんね」
何が、と口に出す前に、体中の神経が断絶し、俺は地面に突っ伏した。
またしても顔に、ザラメのような小石がめりこむ。わけがわからん。
何だこれは。何が起こった。
潜水艦に詰め込まれたように狭まった視界の中で、朝比奈さんが駆け寄ってくるのが見えた。
「キョンくん!? なんて事を!…………あなた、鶴屋さんに何を吹きこんだんですか!」
「何度言わせる気だ。僕はただありのままを話しただけ。今の行動はすべて彼女の意志さ。あんたこそ、何を突っ立ったままでいるんだ。さっさとそいつを連れて行け。もうあまり時間は残されていない」
「……だって、だからって、こんなの無い、こんなの、無いよぅ」
下手糞なレゴブロックのように歪に固められていた朝比奈さんの声が、悲愴なものに変わる。
誰だよ、泣かせた奴は。さっさと出てきやがれ。公園の水洗便所に流してやるから。
何とか慰めなければと思いつつ、どうしてか動かない体を持ち上げようとすると、
「キミ、朝比奈みくるでしょっ。あたしの親友なんだよね? じゃあ、親友からのお願いだっ! この人を、キョンくんを、元の場所に帰してあげて」
鶴屋さん。すぐ傍にいる。寝返りを打つように体をひっくり返すと、逆さまに制服のスカートが見えた。そして、手にぶら下げられたスタンガン。
あれかよ、畜生。
俺には使わないって言ったくせに、思いっきり使ってるじゃないか。
「どうして……どうしてだ……」
電流で狂わされた舌を必死に回す。これじゃまるで、死ぬ間際のうわ言だ。
逆さまになった鶴屋さんが、俺の傍に立った。
「キョンくん、あっちに残してきたものがあるんでしょう? いけないなぁ、何事も中途半端はよくないよっ。あたしの彼氏はかっちょいいからね、そんなことはしないんさっ!」
鶴屋さんは顔が見える位置までしゃがみ込むと、にひひっと笑い、髪を俺の頬に落として、前にそうしてくれたように額をそっと撫でる。
「だから、ね? バイバイ、キョンくん」
すぐに立ち上がって、どこかへ歩いていってしまう。
胸にわけのわからないものがこみ上げてきた。
まずい。この状況は、最悪じゃないか。
このままじゃ本当に俺は、
「バイバイ……じゃ、ない……」
頭も舌も回らない。
涙が出てきた。ただでさえ狭まっていた視界が、どんどん歪んでいく。
どうしてだよ。またいなくなっちまうのか。また一人ぼっちに、俺はなるのか。
自分のものとは思えないほどみっともない呻き声が、喉から漏れた。
「キョンくん」
誰かの手が、俺の握った拳を包んだ。懐かしい感触。でも今は違うんだ。鶴屋さんの手を握りたいんだ。
「あたしも決めました。あなたを連れて帰ります。鶴屋さんのお願いを……いえ、自分の責任を果たします」
待って、待ってくれ。頼む。もうちょっとだけ、
「……おい、ちょっと待て」
声が出た。いや、違う。俺の声じゃない。
誰かの手が、俺の体をまさぐった。懐かしくもなんともない。何しやがるんだよ、この野郎。
「ふん、僕が知るか」
不快感に身を任せていると、そいつは立ち上がり、鶴屋さんと同じ方向に歩き去った。
しばらくして、小さくなった声が聞こえる。
「あんたのものだ。中身は期待するなよ。どうせ安物だ」
あいつ、まさか。
「え? これ、なに……」
鶴屋さんの声も聞こえる。よかった。まだいるんだな。
「学校が終わってすぐ飛び出して行くものだから何事かと思えば、ただの買い物とはな。お陰でこっちは走り損だ。せめてあんたの手に渡さないと、僕の尾行が本当に無駄になってしまう」
うるせえな。もうすぐホワイトデーなんだから、準備するのが当然だろうが。
「これで手を貸すのは最後だ。僕は戻る」
そいつの声は、それっきり消えた。
「あたし達も、もう行きます。体が消えかかってる。時間がありません」
嫌だ。行きたくない。行くもんか。
何とか動く手首だけで、あがく。
しかし、がっちりと握られた手は、解ける気配を見せなかった。
「……待って」
鶴屋さん。
「行きます。キョンくん、目を瞑って」
「お願い! 待って! その人を、その人を連れていかないでよっ!!」
駆け寄ってくる気配がする。地面に半分埋まった視界の中に、逆さまの足が見えた。
「キョンくん、目を瞑って。でないと危険です」
「嫌だよっ! 行かないで! 行かないでキョンくん!!」
夜が深くなるように、見えるものはもう無くなった。それでも俺は、目を瞑らない。
投げ出された手を伸ばした。
ごめんなさい、と朝比奈さんが零す。
伸ばした指先が何かに触れて、
「 」
本名で呼んでくれたのは、初めてだった。
目を覚ませば、自分のベッドの上ならいい。
また妹に起こされ、悪い夢を見たとぶつくさ言いながら坂を上り、谷口や国木田と面白くも無い会話をして、鶴屋さんと部室で笑う。いつもの一日だ。
ろくな食べ物も無い国で、当たり前に食事する事を羨むように、俺はずっとそんな夢を見ていた気がする。
「キョンくん、起きて。起きて下さい」
現実が耳に迫り、とうとう俺は目を開けた。
自分の部屋の質素な天井ではなく、花粉症でも患ったかのように霞がかって茫洋とした春の空が視界一杯に広がっている。
頭の裏には、またしても小石が食い込んでいる。しかし草の濡れた感触はなく、そびえ立つ校舎を見れば、ここが北高の校庭であることが知れた。
「朝比奈さん?」
「はい」
声の主を探そうと起き上がると、そっと背中を支えられる。どうやら後ろにいたらしい。
振り返ると、そこには瞼を伏せた朝比奈さんだけじゃなく、
「……長門」
記憶の中でも錆びないまま硬質な存在感を放っていた宇宙人製ヒューマノイドインターフェイスが、そのままの姿でそこに立っていた。
本当に、戻ってきちまったんだな。
長門はささやかに頷くと、
「あなたが意識を失っている間に、攻性情報ウィルスを送信した。じきに情報生命体は消去される」
消去。
「俺が今までいたあっちの世界は、どうなるんだ」
「不明。観測が不可能になるとしか言いようが無い。ただ、あなたが消える心配は無くなった。先ほどから構成情報は維持されている。涼宮ハルヒにより存在の固定化が施されていると推測される」
「……そうか」
俺は消えないのか。
他のみんなは消えちまうかもしれないってのに、俺だけここで、のうのうと生きるのか。
かかる重力が増した気がして、俺は膝をついた。まだ少し、体に痺れが残っていたのかもしれない。
追い討ちをかけるように、朝比奈さんの雨のように温度の低い声が、背中に降り注ぐ。
「キョンくん。あなたが持つあちらでの記憶は、ここで生きる上では有害なものとなります。あたしは、あなたの記憶を改竄しなくてはなりません」
「かい、ざん……?」
俺は顔を上げて、枯れ木のように頑なに、そして頼りなく立つ朝比奈さんを見上げた。
「正確に言うと消去です。幸いにして、こちらではあなたが消えてからまだ数日しか経っていません。その間のあなたに関する情報操作は古泉くんが便宜をはかってくれています。あなたの記憶さえなくなれば、あとは全て元通りになる」
無くなる? 記憶がか?
あっちの世界だけじゃなく、俺の記憶まで消えたら、どうすんだよ。鶴屋さんは、どうなるんだ。あの部室に、一人っきりじゃないか。
パニックで目を回しそうな俺に、朝比奈さんは玩具のように小さな銃を向けた。
記憶にあいた小さな穴から、印象が零れる。あれは、確か長門の、
「長門さんに作ってもらいました。今回の件はあたしのミスです。だからあたしが、全てやり遂げなくてはなりません。あなたを連れ戻すのも、あなたの一年間を奪うのも」
朝比奈さんは、唇を噛み締めた。よほど強く噛んだのだろう。熟れた桃のような色が、鬱血してしまっていた。
「憎まれるのも、あたし一人。どうぞ、気の済むまで罵ってもらって構いません。あなたを起こしたのはそのためなの。あなたは全て忘れてしまうけど、あたしはそれをずっと覚えておくから」
そうか。そんなことのために、わざわざ。
「じゃあ、一発殴らせてください」
朝比奈さんは欠片も動揺せずに頷くと銃を下ろして、
「どうぞ。いくらでも」
俺は立ち上がり、朝比奈さんに手が届く距離まで詰め寄る。
そして、手を振り上げた。
朝比奈さんは目を瞑らず、背けもしない。柔らかく見えて、本当は硬い。
俺はそれを見て、だからこの人は過去に来る資格があったんだ、と誇らしさすら感じながら、振り上げたのと逆の手を素早く動かして、小さな銃を奪い取った。
朝比奈さんは俺の行動に気づいてもさして驚きもせず、
「そんな事をしても無駄です。あたしが撃たなくても、長門さんがあなたの記憶を奪うでしょう……でも、あたしに撃たせない事が罰だというのなら、それでも構いません」
どっかの未来人野郎じゃあるまいし、そんな嫌らしいことをする気は毛細血管ほども無い。
「長門。朝比奈さんが持ってる今回の件に関する記憶を、全部消してくれ」
朝比奈さんは一瞬意味が理解できなかったのか、目を元のアーモンドの形に戻したが、すぐに眉を引き上げ、
「な、何を言ってるんですか!? そんなことしたって、なんの意味もありませんっ!」
銃を奪い返そうと手を伸ばしてくるが、そこはやはり朝比奈さん。俺はあっさりと身をかわして、逆にそのまま肩を抑える。
「別に俺は、朝比奈さんを憎んだりしません。あなたは何も悪くない」
純度100パーセントの本音だった。あの無茶苦茶になった時間航行で、必死に俺を助けようとしてくれた声は、今も耳に焼き付いている。
「第一、朝比奈さんに罵詈雑言を投げかけようものなら、俺の体が拒否反応を示してガン細胞を生成してしまいかねませんから」
暗い顔の朝比奈さんなんて、できれば一生見たくないね。芸術に墨を被せるような愚挙を誰が犯すもんか。
俺は、もがく朝比奈さんの動きを封じたまま、
「頼む、長門。お願いだ」
お前だって、涙の入った塩辛いお茶なんて飲みたくないだろ?
朝比奈さんは、それこそ涙を流しながら髪を振り乱す。
「やめて、お願い! あたしが忘れちゃったら、二人の事を誰も、」
「長門! やってくれ!」
俺の声を聞きいれてくれたのか、一瞬で朝比奈さんの隣に移動した長門は、すっかり血色の悪くなってしまっている腕に、素早く噛み付いた。
「うぅっ」
朝比奈さんの手が、空を掻くように揺れて、
「ごめん、ごめんなさい。ごめんね、二人とも、ごめん……」
俺の頬を一瞬撫でて崩れ落ちながら、幼子のような泣き声を口ずさみ続ける。
「心配しないで下さい。あなたは誰も傷つけてないですから」
じき眠ってしまった朝比奈さんの頬には、乾いた涙の跡が幾つも残っていた。
ブレザーの上に朝比奈さんを寝かせ、俺は長門と対峙する。
当たり前と言えば当たり前なんだが、記憶と寸分違わないな。きっと何億年経って親を見間違うことはあっても、こいつを見間違えることはないだろう。
俺は一人で抱え込むには壮大すぎる感慨を抱きながら、
「なあ、俺がここで逃げ出したら、お前はどうする?」
「追いかけてあなたの記憶を奪う」
「やけになってお前に殴りかかっていったら?」
「あなたの気の済むようにさせたあと、記憶を奪う」
お前ら、揃いも揃って俺を暴漢に仕立て上げるつもりなのか。
俺は苦笑しようとして失敗し、ともすれば嗚咽をもらしてしまいそうになる喉を絞って、
「なあ、本当にどうしようもないのか。俺は何かできないのか。何も残らずに、終わっちまうのか」
長門は瞬き一つせず、
「あなたには何もできないし、させるつもりもない。何も残らないかどうか、私には判別をつけることもできない」
「……そうか。そうだな」
お前がそう言うんなら、きっとそうなんだろうな。
俺は黙って校舎を見上げる。さっきまでいたのと同じ校舎に見えるのに、中身はまるで違うんだ。文芸部室には二人じゃなく五人いて、機関誌作りなんて真面目なことはせず、ただ遊んでばっかりいる。
どっちがどうだの言うつもりは、これっぽちもない。
ただ、その二つは違うって、それだけの話。
俺は長門の乾いた目を見た。
「長門、俺に対して済まないと思っているんなら、一つだけ約束してくれないか」
長門は軽率に頷いたりせず、
「内容による」
安心してくれ。世界がどうのとかいう、そんな大したもんじゃないから。
「覚えておいて欲しいんだ。俺が鶴屋さんの事を本気で好きだったってこと。絶対忘れないでいて欲しい」
お前の記憶力は人一倍いいだろ? しかも、外付けHDDとかありそうだしな。イメージ的に。
「どうだ?」
俺が改めて尋ねると、長門は、驚くべき事に、顎が首につくほど深く頷き、
「わかった」
言葉を形にするように、はっきりと答える。
「最期まで、決して」
お前らの最期って、きっと太陽とかが無くなってからだいぶ経った後なんだろうな。
人類が終わっても宇宙に残る想い、なんて大げさ過ぎる。誇大広告の見本みたいな表現だ。中学生のポエムレベル。この歳で愛なんて語る気なんて、更々無いんだけどな。
それでも、ちっぽけなラブロマンスの結末としては、そう悪いもんじゃないだろうさ。
俺は、震える手で冷たい銃をこめかみに押し当て、
「頼んだぜ、長門」
微睡むように鶴屋さんと二人っきりの部室を思い浮かべながら、俺は笑って引き金を引いた。
目を開くと、白い天井が無機質に俺を見下ろしていた。ブラインドの影に沿って、明るい天然光が電灯の隙間を縫って自己主張している。
……どこだここ。家じゃねえな。俺の部屋はこんなに清潔じゃないし、消毒液っぽい匂いもしない。完全に知らん場所だ。
ん? 消毒液? 待てよ。何だか微妙に見覚えが、
「おや、目を覚ましましたね」
起き抜けに聞くのは逆に辛いぐらい爽やかな声を耳にするにあたって、俺の意識は瞼にマッチ棒を挟んだかの如く完全に覚醒し、この場所が何処だか光の速さで思い至った。
「おい、古泉。何がどうなってる。どうして気づいたら病院にいるんだ、俺は」
間違いなく、ここは古泉の仲間が経営してる胡散臭い病院だ。間違いない。このベッドにはしばらく前にも一度お世話になったことがある。
首を捻ると、目を線のようにして微笑む私服姿の古泉が、
「起き抜けで口寂しいでしょうし、リンゴでもいかがです……と言いたい所なんですが、まだ剥いていませんでした。今着いたばかりですので。もう少し眠っていていただければ、ウサギの形にでも切って差し上げたんですがね」
いいよ別に。男の、それもお前の手で剥かれたリンゴなんぞ、五年に一度食えれば十分だ。
脇に置かれた茶色の紙袋からリンゴを取り出そうとする古泉を止め、とりあえず現状の説明をさせる。
「あなたは数日前、朝比奈さんと時間航行を行なおうとして失敗し、どこか別の世界へ入り込んでしまっていた、らしいです。僕も伝聞でしか知りませんので、詳しい事は話せませんが」
「数日前だって?」
古泉が告げた今日の日付は、俺の記憶にある数字より一週間ほど進んだ休日のものだった。
「ちょっと待てよ。確か俺は、ホワイトデーの計画が組み終わったことに安堵して、部室にいたら朝比奈さんに声をかけられて、それから、それから……」
それから、数日間なにやってたんだ?
「長門さんの仰るとおりでしたね。別の世界にいた時の記憶は、欠落しているはずだ、と。無理な時間航行の副作用だそうです」
本当かよ。俺は数日間を意識の彼方に捨ててしまったのか。何となく、損した気がするんだが。
「まあ、無くなってしまったものはどうしようもありませんし、神隠しにでもあったんだと思っておいた方が、精神衛生上よろしいかと」
古泉の下手な慰めを横に聞き流しつつ、
「で、存在しなかった数日分の俺の扱いは、一体どうなってるんだ?」
まさか未来から俺が来て、俺の振りをしていた、なんてこと無いだろうな。もしそうなら、俺にはまたやらなくてはならん事が増えてしまう。
しかし古泉は、生憎と、と首を振り、
「未来からあなたが来てくださる様子も無かったので、一応僕の方で特殊な感染症に罹患して面会謝絶状態、という事にしておいたのですが、いや、参りましたよ。涼宮さんの反応が予想以上でしてね。連日閉鎖空間のオンパレードです」
……そうか。
まあたしかに俺もあいつが面会謝絶なんてことになったら、流石に焦ってしまいそうだが。
「それだけならまだしも、病院の理事を締め上げようとしたり、窓から忍び込もうと、ちなみにここは九階なんですがね、屋上からロープを垂らしたり、冗談ではなく本当に寝る暇がありませんでした」
確かに、古泉の完璧なはずの笑顔は、いつもの精彩を欠いている気がする。スマイル二十パーセントオフだ。どっちにしろ0円だし、頼むつもりも0なんだが。
「そう言えば、何で見舞いがお前しかいないんだよ。長門と朝比奈さんはどうした」
野郎二人の病室なんて寂しすぎるだろうが。サナトリウム文学の匂いがするじゃねえか。
俺の女性を求める本能を古泉は笑顔でいなし、
「昨日あなたが運ばれて来た時には、長門さんもついていましたよ。今日は少しやることがあるとかで、遅くなるそうです。夕方ぐらいには顔を見せて下さるんじゃないですかね」
夕方か。そう言えば、今はまだ昼みたいだな。前回ここで目覚めた時は、たしか夕日が見えていた筈だ。
「涼宮さんについては、入れ違いです。あなたが起きる少し前に朝比奈さんも目覚められたそうで、早速お見舞いに飛んでいってしまいましたよ」
残念でしたね、と何か含みを持たせる言い方をした古泉を無視して、
「待て。朝比奈さんも何かトラブルに巻き込まれたのか?」
そういえば、時間航行の失敗とか言ってたよな。だとすれば、朝比奈さんも俺と同じように?
飛び上がって目の色を変える俺に対し、古泉は落ち着き払って、
「彼女はあなたを探すためにしばらく学校を休んでいただけです。一応あなたと同じ感染症に罹ったことにして身動きを取りやすくしておいたのですが、ただ、昨日何かあったようでして。ここに運びこまれた時は、あなたと同じく昏睡していました」
「大丈夫だったんだろうな!?」
「ええ、ご心配なく。言ったでしょう? あなたより一足先に目覚めたと。長門さんによると、あなたと同じく数日分の記憶を失っているそうですが、それ以外の五体満足は保証する、だそうです」
「そうか……」
俺を助けるために、朝比奈さんは記憶を失ってしまったのだろうか。だとしたらますます頭が上がらないな。
なんせ朝比奈さんの一日は、俺の一年に匹敵するほどの輝きを秘めている。ヒエログラフを一頁燃やしてしまうのと同じぐらいの歴史的喪失だ。
後で感謝と謝罪の念を平身低頭で伝えに行かなくてはならない。
「それにしても、これで一安心ですよ。あなたが見つからなかったらどうしようかと、正直気が気ではありませんでしたからね。最悪の場合を想定して幾つか会議も持たれたぐらいですが、いやはや、無駄になって何よりです」
古泉は、俺の懊悩にクッションを挟むように話題を変える。
その会議ではどんな議論が飛び交っていたのか聞いてみたい気もするが、それ以上に聞きたくないな。
「後は仕上げに、涼宮さんをこちらに呼んで不安を取り去って差し上げるだけですね。彼女が無事なあなたを見てどんな表情をするのか見物ではありますが、そこは好奇心を殺して、お邪魔にならない所に引き下がるとしましょうか」
古泉は立ち上がり、病室の入り口へ向かう。俺はリアクションを返すのも面倒なので、そのまま放っておく事にした。
「ああ、そうでした。あなたに長門さんからの伝言があります」
扉の前で振り返り、教育番組のお兄さんのように人差し指を上に向けると、
「『仮想STCデータのアウトラインをリンクが維持できる最低限のレベルで保存することが許可されたので、念のため私の管轄サーバーに保存しておく』だそうです」
「……何の呪文なんだ、それは」
「あなたがそう言った時の伝言も預かっていますよ。『何も無くならない』とのことです」
いや、それでもさっぱりわからんのだが。
疑問符を浮かべる俺に対し、
「さて、一体なんの話なんでしょうね?」
古泉は訳知り顔で笑うと、さっさと部屋から出て行ってしまった。
しばらく寝転がったままで、長門が残した謎の伝言について思考を巡らせていると、
「こらぁ! アホキョン!」
ここが病室だという大事なことを忘れさせてくれそうながなり声と共に扉が開き、数日振りらしいハルヒが相も変わらず偉そうな姿を現した。
「あんたねぇ、何勝手に感染症とか偉そうなもんに罹っちゃってんの! ばっちいわね! お陰でここ何日かの予定がパーよパー! どう責任とってくれんの!」
枕元に立つや否や、文句の嵐である。これのどの辺が心配してるってんだ、古泉よ。
俺は少しばかりしおらしいハルヒを期待してしまった自分に対し心からの罵声を浴びせつつ、
「やかましい。ちょっとは声を落とすとかしろ。ここは一応病室だぞ。第一、俺だって好きで病気になったわけじゃないっての」
そもそもなってもいねえ。
俺が反論すると、ハルヒはより一層語気を荒げてくる、と、思ったのだが、何故か無言で古泉が座っていた丸椅子に座ると、
「…………」
いきなり俺の顔をぺたぺたと触り始めた。何なんだ一体。触診スキルでも獲得したのか。
そして、特に感想を言うでもなく手を離すと、紙袋からリンゴと果物ナイフを取り出し、
「このリンゴ、鶴屋さんがお見舞いにってわざわざ取り寄せてくれた来てくれた超高級リンゴなんだからね。本当はあんたなんかに食べさせるのはもったいないんだけど、今日は面会記念で特別だから、あたしが剥いたげる」
おいこら、俺の顔面はスルーかよ。
ひょっとして、なんか変なでき物とかできてるのか? 古泉の奴、鏡ぐらい用意しとけよな。
不安になって自分の顔をまさぐっていると、
「ほら、口開けなさい」
信じられないスピードで綺麗に剥き、さらに一口大に小分けしたリンゴを持って、俺の鼻先に突きつけてくる。
「ちょ、ちょっと待て。そんぐらい自分で」
「いいから! 口開けなさいって言ってんの!」
昔話に出てくる鬼の如き形相に押され、ついつい口を開けてしまう。
そこに押し込まれるリンゴ、と、ハルヒの指。
……押し込みすぎなのではないだろうか。思いっきり指が入ってしまってるんだが。
ハルヒは固まる俺を面白がるように、スッと指を引き抜くと、
「どう? 美味しいでしょ?」
正直ハルヒの指のせいで味なんてわかりゃしないんだが、とりあえず頷いておく。
しかしこのリンゴ、凄い汁気だな、おい。さすが高級品。鶴屋さんはいつもこんなの食ってんのか。
びしょびしょになった口元を拭うためにティッシュを探していると、
「ほら、こっち向いて」
いつの間にやらポケットティッシュを取り出したハルヒが、俺の顔を拭おうとスタンバっていた。
「お前、いくらなんでもそこま、むご」
「病人は黙ってなさい」
そして、敢え無くなすがままになってしまう俺。朝比奈さんならまだしも。ハルヒにこんなことされてしまうとは、屈辱的だ。
一気に要介護者になった気分なり、情けなくて泣きそうになっている俺をよそに、ハルヒは鼻歌でも歌いだしそうな顔でティッシュを動かしている。
まったく、やれやれとしか言えないな。
俺は意外と繊細そうな指を見下ろしながら、意趣返しとして「まさかお前、触りたかっただけなのか」なんてことを聞いてやろうと思ったが、そうすると倍返しの拳を貰ってしまいそうだったので、代理の言葉として、
「なあ、ハルヒ」
「ん? 何よ」
「ホワイトデー、楽しみにしてろよ」
何と言っても、古泉と練りに練ったアイディア満載のアミューズメントデイになる予定なんだからな。
ハルヒは見る見る内に不敵というより必殺といった雰囲気の笑みを顔一杯に浮かべると、俺の口にもう一つリンゴを突っ込んで、
「そんなの当然。あんたはあたしを楽しませないとダメなんだからね」
理不尽な言葉とは裏腹に、齧ったリンゴはとても甘かった。
/
いつかのどこか。
何も見えないが、誰かの声だけは聞こえていた。
「あの宇宙人め、僕を送迎車か何かと勘違いしているんじゃないだろうな。攻性情報ウィルスの借りがあるとはいえ、まったく、今回はあんたらにいいように使われて、どれほど業腹だったか。想像できるか?」
知るか。そもそもお前に同情なんかできるほど、感情移入しちゃいないよ。
「にしても、土壇場で二重化が解けるとは。しつこい男だな、あんたも。それともこれも涼宮ハルヒの…………いや、まさか、あの少女か? 彼女が涼宮ハルヒと同種の能力を持ち合わせていたとすれば、或いは……」
ハルヒと同じ力だって? そりゃ物騒な話だな。あんなデタラメな奴が何人もいるなんて、考えただけで寒気がしそうだ。
「なるほど、そう考えれば色々と説明がつくな。妙な機能を有した情報生命体が発生したことも、あんたがあの時空に無事なままで落ちたことも、そしてこの安っぽい結末も。全て彼女の能力によるものか」
安っぽい結末、ね。それは一体誰の結末なんだ?
「ふ、まるで子供のサイコロ遊びだな。放逸で無自覚で乱数的なくせに利己的。定義もできず他人の操作も受けつけない力など、厄介なだけだ。あんな力に頼って何が……」
そいつは途中で、詮無いことだ、と言いたげにため息をつくと、
「まあどちらにせよ、あんたにとって最もいい目が出たことに変わりはない。あんたの一年間は全て消えるが、結果だけはその手に残る。これがどれほど幸運なことか、あんたは永遠に知ることはないがな」
そうか。そりゃもったいない事をしたのかもしれないな。
「……それにしても、彼女らの好みはよくわからないな。あんたみたいな奴なんて、その辺を探せば似たようなのが幾らでもいるだろうに。時代の変遷による嗜好の差異なのか?」
すさまじく大きなお世話だ。
そいつはそれっきり黙っていたかと思うと、
「……おっと、あんたにお迎えだ。これで攻性情報ウィルスの分の借りは返したな。情報生命体もそろそろ崩壊する頃だし、僕はそろそろお暇させてもらおう」
声の位置が変わる。そいつはどうやら立ち上がったらしい。
「あんたとはまた会う予定だが、あんたとはもう二度と会うことも無い。せいせいするよ、とても」
こちらこそ、せいせいするさ。
「ああ、それと、あんたはもう少し男性としての役割を果たした方がいいな。あれではただの腰抜けだ。生理学的に不自然極まりない。もっとも、未来の操り人形を演じ続けるより、よほど自然で正しい道だとは思うがね」
最期まで余計な事を言ってそいつはいなくなり、代わりに俺の手が、暖かいものに包まれた。
「やあやあキョンくんっ、遅くなって悪かったね!」
人もまばらな下駄箱の前で用務員に植えられた観葉植物のように佇んでいた俺の目の前に、待ち人が片手を振り上げながら騒々しくやってきた。
「いやー、うちの担任新しくなったってのに、相変わらず話が長くて困っちゃうよ。自分の放談が恋人達の放課後を奪ってるって自覚がまるで無いんだもんなっ」
靴を履き替えながら、ちっとも不愉快では無さそうに文句を言う鶴屋さんを尻目に、俺はわたわたと周囲を見渡すと、
「あの、鶴屋さん。人前で恋人がどうとか言うのは……」
「あり、恥ずかしい? キョンくん、相変わらずシャイだねぇ」
いや、至って普通の反応だと思いますけど。
自身のノーマルさを必死でアピールしようとする俺の話も聞かず、つま先で地面をタップしていた鶴屋さんは、
「まぁまぁ、そういうところもお姉さんは好きだからさっ」
白い犬歯を丸く光らせ、空いた方の手で俺の手を握り締めるや否や、スキップでもするかのように歩き始めた。周囲の視線に媚びないアレグロなリズムがこっちにも伝わってくる。
しかし、足に合わせて揺れる髪の間から覗く耳は微妙に赤かった。あれだけ人に言っておきながら、自分でもちょっと恥ずかしいのだ、この人は。
「で、どうだいっ? 学校には慣れたかい?」
最近の日課となっているこの質問。俺は心配の必要は無いとばかりに軽く笑いながら、
「ええ、何とか。未だに知らない人に話しかけられるのは、ちょっと変な気分ですけどね」
これまで凡庸な人生を送っていた俺は、高校に入学した途端、とんでもない目に遭ってしまった、らしい。
らしいというのは、それが俺の関知しえぬ所で起こったということであり、まあ要するに、記憶喪失とかいうアレである。漫画でしか見たことの無いような現象が、自分の身に降りかかったのだ。
明日は我が身どころの騒ぎじゃない。昨日の二次元は今日の三次元だ。
俺にとって、まともな最期の記憶は入学式の前日。そこそこの不安と期待を抱きながら結局いつもの時間にすかすかと眠くなったため布団に入ったところで途切れている。
そして次に目覚めた時、俺がいたのは、およそ一年後の病院のベッドの上だったのた。
唯一の救いは、空白の一年の俺がまともに生活してくれていたことであり、少しばかり不真面目だったらしいが、成績もそこそこで部活もきっちりやっていたらしく、復学する上でさしたる問題は見当たらなかったことだ。
さらに、これなら勉強にもすぐ追いつけるだろうし、何よりいつ記憶が戻るともしれないということで、進級も認めてもらった。二年生からのインチキスタートである。
まあ、実際は周りが言うほど俺の成績は芳しくなく、一年分の勉強が肩に重く圧し掛かっているのだが、そこはひたすら努力しかない。ようやくクラスに慣れてきたってのに、今更留年は勘弁願いたい。
折角新しい友達、では無いらしいが、俺にとっては新しい友達もできたことだしな。いきなり国木田を伴って寺に連れて行かれたのは驚いたが、お陰で変な遠慮が無くなった。
しかし、いつの間にやら高校二年生になっていたことも十分驚きだったのだが、そんな事より何より驚きなのは、
『あたし達、恋人同士だかんねっ!』
それまで縁のエの字も無かったような美人が俺の彼女になっていたことだ。
一体俺は何をしたのか。俺みたいな男がこんな人と付き合えるなんて、かなりえげつない手段を使ったとしか思えない。
だから最初鶴屋さんが病院に現れたとき、これは新手の詐欺か何かに違いない、と初めて降りてきた人里に怯える狸のような心境だったのをよく覚えている。
話を聞いたり写真を見せられたりする度、その類の不安は解消されていったのだが、後に残ったのもやっぱり不安だった。
一年間の記憶が無い俺は、言ってみれば去年の俺とは別人なわけで、鶴屋さんと付き合うなんてのは、どこか他人の彼女を奪っているような気がして、嫌だったのだ。
毎日病室に通ってくれる鶴屋さんに向かって、俺と別れた方がいいんじゃないですか、と言った事がある
しかし、鶴屋さんは、さっぱりとした顔で明るく笑うと、
『じゃあ、お付き合いを前提とした親密な友達からってことでどうだいっ?』
何だかんだで譲ろうとはしなかった。
勿論そんな風に思ってくれるのは嬉しかったのだが、それでも俺は、いつ別れると言われてもいいように、低い壁を作って付き合う事に決めた。
仲良くなりすぎてはいけない。鶴屋さんの好意は、一年前の俺に向けられたものなのだから。
だけど最近、俺は自分の決心が傾いていく、木の枝が揺れるような音を、耳元で常に聞いている。
「あーあ、もう桜も散っちゃったよ。早いなー」
考え事をしている間に、校門までたどり着いていたようだ。
校門の傍に立つ、白いピンクが散って見所の無くなった桜の木を、鶴屋さんは見上げていた。
普段の騒がしさが抜け落ちて、それこそ春の花のように可憐な姿だけを残している。
密かに見惚れていた俺に、鶴屋さんは向き直る。
「ね、キョンくんは覚えてないかもしれないけど、もうぐあたしらが出会って一周年記念だよっ」
こんなに緊張した鶴屋さんの顔を見るのは、出会ってから初めてだった。カチカチ。
「だから、いいきっかけだよね。うん、あたし、決めたっ! 本格的に夏になる前に、キョンくんをあたしに惚れ直させてやるんだっ!」
春の傍若無人な風が髪を浮かせて流し、青い葉が撒かれているようにも見える。
「今のキョンくんは、あたしのことがあんまり好きじゃないかもしれないけど、それでもあたし諦めないからっ! ずっと一緒にいたいって、思ってるからさっ!」
顔を紅潮させながら言い切った鶴屋さんは俺の手を一度ぎゅっと、安っぽい指輪をつけた方の手で握り締めて、照れを隠すように坂道をハイテンポで下り始める。
引き摺られる俺は、前方で生き生きと揺れる長い髪を見つめながら、呆れてため息をついた。
そう長くない付き合いの中でも、よく解ったことがある。
鶴屋さんは普段フェンシングに使う突剣ぐらい鋭いくせに、肝心なところはカタツムリのように鈍いのだ。
このまま行くと、その内我慢できなくなった俺は、そうだな、夏になる前に、この人を公園に呼び出して告白するだろう。
何を告白するのかって?
そんなの決まってるだろ。
思い出す度に舌を噛み切りたくなるような、そんな言葉を、俺は伝えたいのさ。
途中で支援して下さった方、どうもありがとうございました。
上げ間違えたり、スレ立てが訂正だらけだったり、本当に申し訳無かったです。
保管庫の管理人様、前スレの716と718の順番入れ替え、お願い致します。
長編乙!面白かった!
キョンは幸せ者だなぁ
すげぇなぁおい……なんで難解さを孕んでる話をさわやかに書ききれるんだ?
寝ずにここまで読んだよ。少年グラウンド〜以来だ。
いいもん見せてもらいました。
なんか頭の中で反芻が始まって、眠りにつけなくなったよ。GJだ
長い割に色々詰まってるわけでもないのに、充実したものを読んだ気になるのは謎だ。
こんな時間に凄いものを読まされたわ。
個人的に、これまで読んだ鶴キョン物の中で5指に入る。
特にこのカップリングが好きってわけではなかったが、
読んでて思わずぐっときた。
長編投下GJでした。
ssでここまでの長編、しかも数点を除けばストーリー、背景描写等がここまでの物は読んだことがない
もしかして、貴方の職は作家かそれに準ずるものでは
すげえマジで面白かったGJ!!!
最初は原作設定無視の鶴×キョンものか,と思って読んでたら…。
完全に引き込まれてラスト近くでは泣きそうになったよ。
それにパンジーさんが微妙に良い味出してたw
GJです。上手いな。
今まで興味無かったキョン×鶴屋さんに一気に覚醒してしまったではないか。
最近は梅雨空のきまぐれ、二涼辺三角形と言い並行世界ものが流行なのかな。
それらの設定作品の大作が多いな。
プロットは単純なんだが、なにこの魅力あふれる文章。
GJすぎる。
投稿、初じゃないよな?
過去の作品教えて欲しい。
すげぇ、良かったよ。
やっぱしハルヒ×キョン以外のカップリングをやろうと思ったら、これだけの文章が必要なんだな。
いや、本当に長編GJです。面白かったしすっごくいい話でした。
前に記憶を失ったキョンが鶴屋さんに告白するの読んでから、
このカップリングもいいなって思いはじめてたんですが、
やっぱ王道(キョン×ハルヒ)ではないからこその切ない感じがタマらないです。
あれで平行世界消滅エンドだと少々もやもやも残るけど、
きっちり落ちをまとめて来るあたりただもんじゃねーわ・・・・。
なにわともあれ、大作お疲れです!!!引き込まれまくったわ〜。
今後作品を投下することがあるなら、その時を楽しみにしてます。
めちゃめちゃよかった
長いのは読まない主義なんだが読まされてしまった
超GJ
みくるが記憶改竄されるあたりでウルッときた。
なかなかの大作。
>>18 お疲れ様! 語彙も豊富で楽しかったです。
やっぱりハッピーエンドはいいねぇ……w
鶴屋さんのお話なのも私には新鮮でした。
最後まで引き込まれるように読み切ってしまったよ。
大作本当に乙でした。
読んでる時間の半分くらいは涙腺がゆるゆるな状態で困った。
これは鶴屋さんの脳内ランクを上げなければならんな。
エピローグのSOS団員+αとのやり取りもテンポ良くて楽しかった。
まさにGJ。
35 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 19:17:28 ID:EVbM/bs6
GJでした
最高。本当に最高。
エロパロ板で泣いたのは初めてだ。
っていうか、今まで読んだハルヒモノの小説の中で一番素晴らしいと思った。
本命はキョンハルだったんだが、キョン鶴が下克上しそうになるほど、魅力的な作品だったよ。
またあなたの小説が読める日が来るのを楽しみにしてます。
>少なくとも、靴紐よりは固く。
こういう言い回しが綺麗だな、と思った。GJ
いやよかったね
昼休みに会社で読んでて泣いちゃったよ
>>18 乙〜。後半から涙堪えながら読んでたよ。
周りからは俺の姿がさぞ奇異に映ったことだろう。
>「……じ、実は、鶴屋さんに伝えたいことがあるんでふぇ」
噛んだ。やはり一銭も投じたことがない連中に頼ってもダメだ。瀬戸際の教訓。大体何だよカメハメハって。親ふざけてんのか。
キョンよ・・・('A`)
鶴キョンマンセーに生まれてよかったと心から思った
なによりGod Job!!
°・(ノД`)・°ウワァーン
GJだぜ、あんた!くそっ!涙がとまんねぇじゃねぇか!
ひさしぶりに胸が熱くなったじゃねえか!ありがとな!!
三回泣きました。ホント、ありがとうございました。
これだからエロパロは最高だぜ
他の関連スレよりレベル高いよ
ここで唐突に納豆が登場
すげー面白かった!!GJ!!
まさかエロパロ板のSSで泣かされるとはな……
超GJ!
他に誰も居ないのかと思ったら
結構いたのな。
この板って支援って必要ないの?
マジ感動してしばらく何も手につきませんでした。
いいもの読ませていただきました。
>>28 >前に記憶を失ったキョンが鶴屋さんに告白するの読んでから、
出来れば情報詳しくたのんます。
>>50 >>28のかわりに答えとくね。
多分それは『涼宮ハルヒの抹消』だと思う。
わりと最近のやつで、保管庫の中で検索すれば一発で出るよ
まどろむ、って読むのねこのタイトル。
勉強になった。
>>18 GJだよ〜鶴屋派の俺にとっては大満足です。久々にSSで泣けました。
因みに俺は2スレ前にオススメSSを長々と吐露してた者なんですが、それらの中と比べても脳内ランクはもしかしたらトップかもしんないです。
平行世界の鶴屋さんと別れるあたりからもう…泣けたわ。そこからはずっと泣きっぱなしだった・゚・(ノД`)・゚・
最初と最後の書き出しが重なるタイプは俺的には好きです。
長文なのに誤字が少なかったのはスゴイと思います。気にならなかったし。
泣きたくなったらまた読ませていただきますね。重ねてGJ。
気持ちはわかるがそろそろマンセーはやめれ
他の書き手さんが萎縮して投下できないじゃないか
それだけの人が読んだってことでしょ。投下は来る時は来るしさ。
この流れなら言える…。
少女オンザグラウンドの完全版マダー
>>51 サンクス。
早速読んできた。
おもろかったよ。
前スレの埋め用にネタを書いてたら、残り容量以上書いてしまってたので
とりあえずこっちで。
チョイエロ小ネタ。しかも「ボクセカ」だったりw
物語を書いた作者と物語を読んだ読者の中にある物語の世界は絶対に同じ形にならない。作者と読者が別の存在で
ある以上それは当然である。物語を書いた作者ですら、時間を置いてから自分の物語を読み返した時に
「あれ、この時はこう考えていたんだっけ。俺も未熟だったなぁ」
等と呟きながら、今ならこう考えるねと違う世界を生み出してしまう事が往々にしてある程だ。
しかも物語が完結しているならともかく、提示された謎や伏線や世界観や存在や物語の収束する方向が何一つとして
解明されていない状態の作品をならば尚更である。
従って、物語が現在進行形で展開されている状態でその世界について語ろうとすれば、それは大概において物語が
今後示される展開とずれていってしまうのは仕方のない事なのだ。
何せ物語がそこまでしか提示されていないのだから。タイムトラベルを題材にした某映画の一作目を見ただけで
三作目では西部劇でドンパチが起こるだなんて誰も予想できないのと一緒だ。
先に言っておこう。もし自分の思い描く物語と違うと憤慨した場合、その文句は原作者と出版社、それとこの物語が
完成されていない時間に存在してしまった今の自分へと向けて欲しい。できれば自分の比重を多めにする事を望む。
そういう訳で、この物語に登場する人物にとってはた迷惑な結果にしかならないであろう、原作者の提示する意図に
とある読者のフィルターを通した、原作とは違ったものになるであろう世界をここに提示する事にする。
くどい様だが文句は原作者と出版社とこの物語が完成されていない時間に存在する今の自分へ向けて言ってほしい。
ちなみにどうしても自分以外に文句を言いたい場合は付属のアンケートはがきか、原作の巻末辺りに書かれている
問い合わせ先へ意見を言うことをお奨めする。
とっとと続編出せ、と。
さて、朝凪巽は日本中を見回せばどこにでもいるような高校生であり、一風変わった家族構成とその結果育まれた
生活サイクルと家事一般の特技を除けば特筆する事が全くない、いわゆる平凡な少年である。
ほんの数日前までは、という前提条件付きとなるが。
その数日前、彼には突然二人の存在を常に連れ立つという特性が本人の意思を無視して付与される事となった。
一人は《妖精[アプリリス]》の津門綾羽紬。通称、綾羽。
もう一人は《科学者[マーガ]》のアンドロイド、形式番号FRF-12TS-X005。通称、猫子。
朝凪巽は彼女たちが《無属[ニヴオース]》と証する、いわゆる普通にして平凡なこの世界にある日本に住む、
何ら一般人と変わりない全く以ってただの人間である。
唯一つ、他の一般人と決定的に違う部分をあげるとするならば。
朝凪巽。彼こそこの物語の主人公である、という事だ。
例え今回殆ど出番が無くても、である。
- * -
巽の幼馴染を利用した《不死人[アーザール]》たちとの戦いを終え、綾羽たちは彼らが住居としている
安アパートへと戻ってきた。
「──おかえり」
襖の向こうから聞こえた声に巽は静かに頷いて返すと、眠たげにしながら裾を握る猫子の頭を撫でる。
「それじゃ綾羽、おやすみ。今日はもう大丈夫だと思うから、綾羽も眠っておいた方がいいよ」
「その判断は私が決める」
相変わらずの無愛想な表情だが、その相変わらずを向けてきてくれる事が巽には嬉しかった。
「そうだね」
それじゃ、と猫子を連れて部屋に入ろうとした時、綾羽は言葉を続けてきた。
「──だがお前は別だ。どんな治療を受けても疲労、特に心労というものは残る。明日以降、またお前は狙われる
事になるだろう。いや今こうして話している間にも新たな襲撃が始まるやも知れん。
無論その時には私がお前の事を守る。だが、いざという時に動けるのと動けないのでは生き残れる確率が大幅に
変わるものだ。だから今日はしっかり休め。それが私からの忠告だ」
綾羽は少々怒ったような、無愛想な表情を浮かべている。だがそんな表情も物騒な言葉も、全て巽を守る為だけに
全力を注いでいる綾羽の強い思いの表れなのだ。
巽は一巳が転校してきて以降、ここ数日で一番の喜びを感じながら頷いた。
「うん。忠告ありがとう、綾羽。君の言うとおりゆっくり休ませてもらうよ」
「そうしろ」
巽が部屋に入るのを確認し、綾羽も自分の部屋へと戻る。二つの布団のうち一つは津波が寝ており、もう一つは
畳まれたままの状態で置かれていた。不眠番を心がける綾羽がこの布団を敷き眠った事は未だ一度も無い。
綾羽は座り込むと少しだけ畳まれた布団に寄りかかる。
「巽のクラス替えはどうする」
津波が布団に潜ったまま聞いてきた。そう言えばそんな約束を交わしていたのだった。
とりあえず鮎川一巳たちにはすみれ台が処置を施した。彼女たちに関してはもう問題無いだろう。
となるとたかがクラス替えとはいえ、巽を新しい場所、新しい集団の中へ移すというリスクの方が大きくなる。
「憂いは解決した。今のままでも構わない」
「じゃあ無しだ。面倒くさい」
話は終わったと言わんばかりに津波がごろりと寝返りを打つ。綾羽も語る事はもう無いので特に気にしない。
ふうと溜息を吐き少しだけ布団に寄りかかる。と、一気に睡魔と疲労が襲い掛かってきた。その不意打ちに綾羽の
意識はあっさりと屈し、まどろみの世界へと舟をこぎ始めだして行った。
- * -
空も大地も無い、青と紺と紫とその他青系統の絵の具を一箇所にだして水も付けずにかき混ぜたかのような、そんな
青いマーブル模様が支配する世界。綾羽はそこに一糸纏わぬ姿で立っていた。
だが綾羽は自分が何故裸でいるのかなど歯牙にもかけない。まるで自分の姿が当然であるかのように綾羽は捉えていた。
《……ぉぉ……よぉぉ……》
闇の中からかすかな声が聞こえる。不快と快感が入り混じった汚らわしき混沌、それが声への感想だった。
警戒を払いつつ声が響いてくる闇を見つめるが、その声が何なのか、何処から聞こえてくるのかはさっぱりわからない。
仕方無しに一歩踏み出そうとし、しかし自分は闇に突撃するより大事な使命があるではないかと考え足を止めた。
巽。
(そうだ……朝凪巽。わたしの使命は彼の事を全身全霊全力を以って守る事だ。闇と戦う事ではない)
綾羽は周囲を見回し巽を探す。そもそもここはいったい何処なのだ。
(……まさか《魔術師[ファムルティ]》の呪圏[スペルバウンド]……いや、違う。これは)
これはおそらく。
綾羽がそれに思い至ったと同時に、闇からの声がご丁寧にも答えあわせを行ってきた。
それは記憶の片鱗にも思い出したく無いあの怨霊にも似た、時折自分と同じ姿を垣間見せる黒い液体が放った声。
「……ぉぉそおぉぉぉのとおぉぉりぃぃこれはただのぉ夢なのよおおぉぉぉあなたがぁぁ勝手に見ているだけのおぉぉぉ」
ほんの数時間前に巽を罠に嵌め、綾羽を陵辱し尽くした《不死人》が闇の中で嗤っていた。
「解毒されたみたいだけどおぉぉまだ少しだけ影響が残っていたのねえぇぇぇだからわたしが現れたのよおぉぉぉ」
《不死人》がその黒い液体の身体を一気に伸ばし、綾羽の自由を奪い取る。
「そぉんなふぅぅにぃぃぃ裸体を惜しみなく晒すなんてええぇぇぁああなたもわたしをおぉぉ待っていたのよねぇぇぇええ」
普段ならすぐに否定するところなのに、何故か綾羽は答えない。いや否定するどころか、伸びてくる《不死人》の身体を
受け入れ、あの時のように自分の全身に絡まりつくまで何一つ抵抗らしい抵抗を見せなかった。
(誰も知らぬし誰にも言えぬ、わたし自身の穢れた部分、か)
粘液状の黒い水が、まるで生物の舌が綾羽の身体を余す所無く舐め尽くすかのように、全身を這いずり回る。
黒い水から生える無数の黒い触手が、まるで無数の手で撫で回すかのように、全身を捉え、掴み、揉みしだく。
耳を摘まれ、口を塞がれ、首筋を這われ、脇をくすぐり、指を咥えられ、胸を揉まれ、脇腹を撫でられ、脾肉を擦られ、
そしてその全ての行為が綾羽の最も淫猥で敏感な部分に対し与えられる。
あの時のように、いやあの時以上に身体が蹂躙されていく。
だが綾羽はあの時と違い、反芻された快楽の、その全てを享受する姿勢を見せていた。
- * -
《不死人》の麻薬による後遺症。
すみれ台によって体内の毒素は完全に解毒されたが、その記憶までが消えた訳ではない。
あの甘美で淫靡で背徳な悦楽は、今なお綾羽の思考に強烈に焼きこまれている。
そこで綾羽はあえて快楽を享受した上で、その味わった快楽の濃度を少しずつ薄めていき、身体から忘れさせていく事にした。
時が経てばその甘美な記憶も次第に曖昧となり、やがてただの記憶として処理できる。
強靭な意志で欲求を抑圧すれば精神は疲労し続ける。そうなると疲労した精神はいずれ崩壊をきたす事となるだろう。
欲求をただ抑圧するのでは無く、自分にある欲求を認めた上でその欲求を包むように制御する。
それこそが綾羽の教わった精神制御の方法であった。
そして現在、綾羽は自分の理性と薬の性欲との高度な心理戦を行っている精神状態となっているのだった。
例え傍目には破廉恥な夢を見ながら無意識的に股に自分の手を置いて挟み込み、軽く両足を擦るように動かしつつ、
綾羽らしからぬ吐息と共に小さく悶えつづけるという、何だか思春期特有の青く甘酸っぱい官能状態にしか見えなくても、だ。
- * -
口内は粘液が徘徊し、ゲル上の物体がじっくりと舌を絡めとる。唾液が奪われ、代わりに形容しがたいモノが流れ込む。
胸は脇から円状に揉みあげられ、また撫で下ろされる。時折縦横に挟まれたかと思うと軽く引っ張るよう圧縮してくる。
先端は周囲を撫で回されたり、摘んで転がされたり、根元を挟まれたりと絶えず刺激を与えていた。
指の付け根や尾てい骨、へそといったくぼみにはひも状のゲルが常に流れて擦り上げる。
下腹部に這われていた触手は綾羽の突起を軽くこすり、また吸盤のように吸い付き放すといった動きを繰り返していた。
そして数本の触手はらせん状に纏まると綾羽の前後、その両方に侵入していた。締め付けを無視しある程度挿入されたところで
触手束が先端の絡まりを解きだすと、それぞれの触手が意思を持って蠢きだし、二箇所の体内それぞれで過敏な部分を
時には優しく、また時には激しく、熱と冷気も伴って突いてきた。
(……ばか、な……これは、やりす、ぎ……だ……)
あまりの攻め立てに、綾羽が戸惑いをみせる。それを感じ取ってか《不死人》は更なる攻撃を開始した。
「うふふふふぅぅぅぅいいわねぇいいわよぅその表情おおおぅぅわたしも気分がでるわあああぁぁぁぁあ」
(……う、うあっ……そ、な……いくら精神、御と言っ、ても……これは、変、だ……ああああっ!)
第2ラウンドが開始されたのか、はたまた別の存在からの攻撃か。常人ならあっさり屈しているであろう、予想を遥かに
凌駕する《不死人》の執拗以上な攻め立てに、綾羽は思考が完全に飛びそうになっていた。
(だ、こ、これじゃ……逆効、果……だ、わた、いい、だめ……だ、だ……ああああっ!!)
「あらあらそんな辛い表情みせてええぇぇぇ気持ち良いくせにぃぃぃほらほら見てごらんなさぁいよおおぉぉ」
《不死人》が指し示す先に鏡が現れる。
そこにいた左右対称の自分は、その白い肌を黒い淫欲に支配されながらだらしなく口を開き恍惚の表情を浮かべていた。
(いや……違っ……こんな、はずは……)
「ほぅらほうら折角の晴れ舞台にぃぃ観客も訪れたわよぉおおおおぉぉぉあなたも嬉しいでしょおおおよかったわねぇぇええ」
いつの間にそこにいたのか。鏡の隣にひとつのシルエットがあった。
シルエットは手に携えた銃剣をすっと綾羽の桜色に染まった形の良い胸へと向けてくると、そのまま一歩、また一歩と近づいてきた。
「凄い嬉しそうだね。そんなに気持ち良いのかい、綾羽」
シルエットは綾羽がこの世界に来てから一番聞いて来たであろう、その特徴の無いのが特徴な声を認識した。
そして、その声が誰のものであるかも。
「……ぅぁ、あ、……た、巽……何故……み、見る……見ない……で、くれ……」
「見て欲しくないの? だったら見ないけど」
言われるままに巽は目をつぶる。つぶりながらも、その歩みは止めない。そして隆起する胸の先端に切っ先が触れるかどうかの
部分まで来たところで、巽はまるで見えているかのように足を止めた。
「綾羽。一つだけ聞いていいかな」
あくまで普段どおりの口調。まるで帰り道に夕飯のおかずを尋ねているかのようだ。
「そんな足腰立たないぐらい陵辱されて、身体も心も蹂躙されて。それでも」
目をつぶったままゆっくりと巽が銃剣を振り上げる。そのまま降ろせば銃剣が綾羽の胸をあっさり貫き、死ぬ事になるだろう。
「それでも綾羽は誓えるつもりなの?」
「誓う」
与えられる悦楽に身体は歓喜し、桃色に染まった思考は更なる欲求を追い求めようと思慮する中。
その言葉だけは恐ろしいぐらい冷静に、また一瞬の躊躇も無く口から出ていた。
「わたしは、誓う。……目を開け、巽。そして痴態に溺れ汚れきったこのわたしを見よ」
言われるままに巽は目を開く。巽の瞳には尊厳を無くし色欲に支配された、《不死人》が抽出したモノと自分の出したモノで
半ば透き通ったどろどろの液体にまみれる綾羽の姿が映りこんだ。
「見ての通り、今のわたしは酷いざまだ。誇り高き守護者には到底見えないだろう。
だが、わたしはどのような状態であろうとも、たとえこのような痴態に溺れていようとも」
だが綾羽の全身から発せられる光輝[エルフストリーク]が液体に反射し、朱に染まる綾羽の裸体を幻想的なまでに輝かせる。
濁りきっていた瞳に全身の輝きを灯し、強い意志を呼び起こしながら綾羽は静かに宣言した。
「わたしは、お前を守る」
直後、銃剣が勢い良く振り下ろされた。
綾羽がおぼろげに見た記憶通り、巽の足へと。
「もう大丈夫だよね、綾羽」
「ああ。お前がこれほどの強さを見せているのに、わたしがこの程度に屈していては有限実行ままならぬ」
綾羽が頷くとエルフストリークは更に輝きだし、綾羽に纏わりついていた《不死人》の姿をあっさりと消滅させた。
「わたしは、もう大丈夫だ」
「そう。だったら──」
「だったらそのバカみたいに眩しい光を止めろ」
冷静な言葉と共に顔に衝撃が走る。顔に衝撃を与えた物体に視界の半分を奪われた状態で、綾羽は覚醒した。
物体はゆっくりと綾羽の顔から地面へと転がり落ちる。どう見てもそれは
「……枕?」
「ふむ、止まったか。まるで電灯だな」
言葉に顔を向けると、布団の上で上体を起こした津波が右手を振り下ろしたポーズを取っていた。
「どんなポーズで寝ても構わん。お前が悶え自慰に走るのも結構だ。だが夜中に光るな。わたしの邪魔だ。わかったな」
津波は自分の枕を回収すると布団に置き、再び毛布を被って眠り込んだ。
いつの間に眠ってしまっていたのだろう。しかも《不死人》の精神攻撃の残りカスに翻弄されていたようだ。
全身から汗が流れ、下着は吸収力を大幅に超えた水分に、脾肉に挟み込んでいた両手までもが湿っている状態だった。
(……水浴びをしよう。頭を覚ますにも丁度いい)
今までは猫子が眠っている間に水浴びをするなんて事は絶対無かった。これからだって無い。
だが今は、今だけは全てを洗い流したい気分だった。
この汗を洗い流し気分を入れ替える。それこそ、巽を万全の体制で守る事だとすら思えたからだ。
綾羽は静かに部屋を出る。
襖を閉める直前、綾羽は津波に対し、本当に小さく、自分から頭を下げた。
- * -
「未熟だな」
襖から気配が遠のくのを感じとり、津波は再度身体を起こす。
そのままゆっくりと立ち上がり、壁に寄りかかると誰にとも無く呟いた。
「お前もとっとと処理して寝ろ」
『……』
壁は、何も答えなかった。
- 了 -
以上、小ネタでした。
一度「人大杉」が出たときは正直焦った……。
乙でした。
さて寝よう。
明日はいいことがありますように。
長門スレの連載モノのSSにはまってる俺。
完結したらあれも超大作になるだろうな。
だから何なの?長門スレで話せよ
>>66 GJです。
俺学校の紹介SS書きたいな。すんげえエロいやつ。
そうすればクロスネタも書きやすくなると思うんだわ。
週末にSSを書き上げて投下しようと思ったら何故かアク禁に巻き込まれ。
解除されたと思ったら、少年オンザの人とアスタの人が立て続けに
投下をされるという凄まじい状況。お二人ともGJです。
まあ書いてたのはしょうもない話なので気にせず投下します。
分類するなら長門×みくるです。キワモノ狙いです。
多分非エロで、12レスくらいの予定です。
『ながみく』
放課後の文芸部室。わたしが本を閉じる音とともにSOS団の活動は終了する。
「それじゃ今日は解散!」
涼宮ハルヒが言い、
「では、僕も失礼します」
「それじゃ、お先に」
古泉一樹と彼が続く。
部屋には朝比奈みくるとわたしだけが残った。
「あの……長門さん。鍵はあたしがかけますから、先に帰ってもらっていいですよ?」
少々おどおどと朝比奈みくるが言ってくる。しかし、今日はそれを聞き入れることはできない。今日のわたしには使命がある。
「あなたに頼みがある」
と、わたしが言うと案の定、彼女は目を白黒させた。
「ふぇぇ!? た、頼み、ですか? あたしに?」
「そう」
わたしは頷く。彼女を抜きにして、わたしのこの使命を果たすことはできない。朝比奈みくるはなおも混乱の体を示しながら、言った。
「えっとぉ、その、何でしょうか? あたし、あんまり難しいことはできないんですけどぉ……」
「とても簡単。あなたの胸を、揉ませてほしい」
――彼女は十数秒間、固まった。
「な、なな……何を言ってるんですか!? 長門さん!?」
硬直が解けた後の彼女の第一声がこれだった。わたしはもう一度繰り返す。
「あなたの胸を、揉ませてほしい」
――彼女の二度目の硬直はそれほど長くは続かなかった。数秒で立ち直った彼女は言った。
「――あの、長門さん? 何で、いきなりそんなことを……?」
「わたしにとってはいきなりのことではない。前から考えていたことを、今日実行に移すことにしただけ」
わたしがこう言っても、朝比奈みくるはなかなか理解できない様子。しかたがないので、少し補足する。
地球人類女性体の胸部には、夢が詰まっていると聞いた。
この場合、夢というのが何らかの『素晴らしいもの』の比喩であることは当然理解している。
また、有機生命体女性体の胸部の隆起が、本来的には異性に対する性的なアピールのためのものであることも承知している。
――しかし、それだけではない何かが、胸部のふくらみには隠れている気がする。
例えば(わたしの恋しい)彼も、あなたの胸に対して非常な高評価を与えている様子が見て取れる。
彼は、性的なことに関しては、どちらかといえばストイックであるように感じられる。その彼をして、あなたの胸に執着せしめる何かが、あなたの胸に隠されているのではないだろうか。
その『何か』こそが、わたしの知りたいもの。『夢』の内容。
わたしは、それを調査したい。だから、わたしの知る限り最も豊かな胸部のふくらみを持つあなたの胸を揉ませてほしい。
ここまで説明すると、朝比奈みくるはようやくこの調査の重要性を理解してくれた。
「ふえぇぇぇん……。あの、長門さん、あたし何か長門さんの気にさわるようなことしましたか〜?」
と、その可愛らしい双眸に涙をたたえながら、わたしの計画に全面的な賛意を表明した。一年間でここまでの信頼関係を醸成できたことを好ましく思う。
――――では、調査を開始する。
「あのぉ、長門さん。……ちょっとだけですよ?」
と言う朝比奈みくるの服装は、もはやお馴染みとなったメイド服。彼女のやる気の強さを感じさせる装いである。
「座って」
と、わたしが言って指差したのは、長机の上。
「机の上に座るんですか?」
「そう」
「えっとぉ、どうしてですか?」
またもや不思議そうな表情を見せる朝比奈みくる。今日の彼女の言葉にはいつもに増して疑問符が多い。
わたしは細かい説明など抜きにして、すぐにでも調査に取り掛かりたかったが、彼女は大切な被験者。情報の相互伝達に齟齬を発生させうる要因はできる限り事前に排除しておくべきだと判断した。わたしは説明する。
わたしたちがふたりとも立ったままだと、わたしはともかく、あなたは途中で疲れてしまうだろう。この調査にどれだけ時間がかかるのかは推測困難。ゆえにこの方法は却下。
わたしが立ち、あなたがイスに座った場合、わたしがあなたの胸を揉みにくい。この方法も却下。
わたしたちがお互いにイスに座った場合、わたしとあなたの距離が開きすぎる。却下。
そういうわけで、あなたが机に座り、わたしがその前に立つというのが、ベストな方法だと判断した。これならわたしが胸を揉むのに不都合がないし、長時間の調査でもあなたが疲れることはない。
「長時間って……あのですね、長門さん。さっきあたしがちょっとだけなら、って言ったのを聞いてましたか?」
「聞いた。言外にあなたのやる気をひしひしと感じた。感謝する」
「うううううぅぅぅ……。聞く耳なしですかぁ……」
ほろほろと涙をこぼす朝比奈みくる。わたしの心遣いに感極まったのだろう。わたしは言う。
「脱いで」
「ほぇえ!? 服着たままじゃだめなんですか!?」
――またまたご冗談を。着衣のままで済ませることができるなら、ふたりきりになった段階で勝手に揉みしだいている。
しかし、そんなことは口には出さない。必要以上に彼女に警戒させるべきではない。ここは、黙して彼女が自主的に脱ぐのを待つのが正解。わたしはただ、彼女の目を見つめるだけでいい。
二秒経過。彼女の肩がびくりと震える。
五秒経過。彼女が「うぅぅぅ」とうめきだす。
八秒経過。彼女の心が折れる。――容易い。実に容易い。
「ふぇぇ……脱ぎます、脱ぎますからぁ……。そんなに睨まないでくだしゃぁぁい……」
と言って、ようやく脱ぎ始める。わたしは特に睨んだつもりはないが、彼女がその気になってくれたのだから結果オーライと言うべきだろう。
彼女はエプロンを肩から抜き、胸元をはだけさせる。そうして次第にあらわになる彼女の胸。涼宮ハルヒあたりが見たら理性のタガが一瞬で外れることは間違いないであろう、それはそれは扇情的な姿と言えた。
しかも朝比奈みくるはブラジャーを着けたままなのだ。これはつまりわたしにこの薄布を剥ぎ取れという意思表示なのだろう。つまり――
――目元に涙を浮かべたメイドが、羞恥に打ち震えながら服を少しずつ脱いでいく。
そしてただ一枚残ったブラジャーも、主人によって荒々しく引き剥がされてゆき――
……ああ、乙女の絶対秘密領域が今まさに蹂躙されようとしているのだ……
こんな感じだろう。
――朝比奈みくる、よくわかってる。メイドの何たるかを、実によくわかっている。彼女の空気を読む能力は尋常でない。いつか空気と同化してしまわないかが心配になるくらいに。
それでは、いただきます。
「ふぇぇ!? 長門さん、どこ触ってるんですか!?
……ひえっ!? なななな、何でホックをいじってるんですか〜!?」
「やはり、無理矢理引きちぎるべき?」
わたしとしては物を粗末にするのはできるだけ避けたいところなのだが。しかし、彼女の言葉はわたしの予想の斜め上を行った。
「そ、そうじゃなくてぇ! ブラの上から触ればいいじゃないですかぁ!」
――それはひょっとして、ギャグで言ってるのか?
二ミリほど、首を横に傾げる。わたしの困惑が彼女にも伝わるように。彼女は続ける。
「で、ですからぁ、そのぉ、何といいますかぁ、感触を知りたいだけなら何も全部脱がなくてもぉ……ううう、睨まないでくださぁい……」
先ほどと同様、別にわたしは睨んでなどいない。しかし、だからと言って彼女の提案を受け入れることはできない。
「えっとぉ、やっぱり、全部脱がなきゃだめですか?」
と、彼女は言った。その表情には観念の色が見え隠れしている。わたしは即座に答える。
「できれば」
もちろん、何があろうと『できて』もらうつもりでいるのだが。
「それに、今さら照れることはない。あなたとわたしは、長期休暇中の合宿において、何度か入浴をともにしている。あなたの胸も見慣れている。別に減るものでもない」
「いや、いろいろ減りそうな気がするんですけどぉ……」
彼女にしては珍しく抵抗の気配を色濃く見せる。しかたがない。エマージェンシー。リーサルウェポン。
「……図書館。楽しみにしてた」
ぼそっと言う。見る見るうちに彼女の顔面が青ざめていく。
「あ、あの時は本当にごめんなさ――」
「彼がわたしを誘ってくれた時、わたしはこれ以上ないというくらいの喜びを覚えた」
「そ、それは――」
「しかし、わたしたちの約束の場所には、先客がいた」
「ううううう――」
「そこいたのは、誰だと思う?」
「……あのぉ、長門さぁぁぁん。こんなけちな胸でよろしければもう好きなようにしちゃってくださぁい……うううううう……」
落涙しながら降参の意を示す朝比奈みくる。効果は覿面。予想以上だったと言ってもよい。
――別にわたしは彼女に怒りを抱いているわけではない。もちろん、彼に対しても。いずれまた彼はわたしを誘ってくれるだろう。わたしはそう信じている。……しばらく待って誘ってくれなければ暴れよう。
しかしこれほどまでに彼女が負い目を感じているとは思わなかった。わたしの方がむしろ、少し申し訳なく思ってしまう。
彼も、朝比奈みくると同様に、あのことに少しは負い目を感じてくれているだろうか――
――こんなことを考えながら、わたしは朝比奈みくるのブラジャーをひん剥いた。
「……素晴らしい」
この一言に尽きる。大きさといい、形といい、重量感といい、彼女の胸にはこの世のあらゆる完全調和が内包されているとしか思えない。何度か浴場で見たことはあるが、メイド服に包まれた彼女の胸にはまた違った趣がある。
「あ、あんまりじっと見ないでくだしゃい……恥ずかしいですぅ……」
「恥ずるものなど何もない。誇りに思うべき」
「……いや、なんかそれ恥ずかしいポイントがずれてませんか?」
「わたしには有機生命体の恥の概念がよく理解できない」
こんな会話を交わしながら、わたしは彼女の胸を観察した。どの角度から見ても完璧。これは有機生命体の創りだした奇蹟の結晶なのだろうか。
――では続いて、直接触れることにする。これこそが今回の調査の主要目的。気を引き締めて取り掛かる。
手を伸ばし、彼女の胸に触れる――――。
――それは――
まったく未知の感覚だった……。
掌と胸との中間点で
反発係数を司る神々が永遠の戦いを繰り広げていた。
そして、何か他のものに例えようと思っても、何も思いつかないので
――そのうちわたしは、考えるのをやめた。
「――さんっ!? 長門さん!」
朝比奈みくるの声で意識が戻った。わたしは、一体……?
「大丈夫ですか、長門さん!? 胸に触った途端に、急にぼーっとしちゃって、呼んでも返事してくれないから……心配しちゃいましたよぉ……」
と言って、安堵の表情を見せる。にわかには信じがたいが、わたしは意識を失っていたようだ。
「わたしは、どれくらい停止していた?」
「停止って……動かなくなってたのは十秒くらいだと思いますけど……」
「そう」
外見だけは冷静に見えるように取り繕いつつ、内心わたしは驚愕していた。彼女の胸に触った瞬間、わたしの処理しきれる限界値を遥かに超えた情報圧がわたしを圧倒した。雪山の山荘で『敵』の攻撃を受けた時にも、ここまでにはならなかった。
そう、まさにこれは彼の元同級生――中河と言ったか――が情報統合思念体にアクセスしてしまった時と類似した状況。わたしは彼女の胸に、超越的な弾性力と蓄積された脂肪を感じ、その解析を試みるもあえなく失敗してしまったのだ。そしてわたしは――――
「夢を、見ていた」
「夢、ですか? あの短時間に?」
わたしは一ミリだけ顎を動かすことで首肯する。
「あなたの胸には、本当に夢が詰まっていた。とても、すてきな夢が。」
「ほ、本当ですか……? 一体、どんな夢でしたか?」
彼女の問いに答えるのは難しい。あれはどんな夢だったか。想起しつつ、わたしは言う。
「あなたは、朝倉涼子を知っている?」
「えっと、朝倉さんって……たしか、十二月の改変世界でキョンくんをナイフで刺し殺そうとしてた人ですよね?」
それだけ知っていれば十分。
「わたしの見た夢の中で、半身を機械化されて蘇った朝倉涼子が、『統合思念体急進派の戦闘力は宇宙一ィィィィィィ!!』と絶叫しながら、ナイフを振り回し大暴れしていた」
「…………はい?」
「その前に立ちふさがったのが、あなた」
「なんでですかっ!?」
「あなたは言った。『いきますよ朝倉さん――――武器の貯蔵は充分ですか。ちなみにあたしの戦闘力は53万ですが』と。そして――――
――――あなたの胸に触れた朝倉涼子は、泡になって消えた。世界は平和になった」
「……武器とか戦闘力とか意味ない気がするんですけど」
「まるで人魚姫。とてもロマンティック」
「え……どのあたりがですか?」
「ぜんぶ」
「そ、そうですかぁ……」
「そう」
「あたしはなんだかむなしいんですけど――」
「気のせい」
答えてわたしは、彼女の胸に手を置きっぱなしでいたことに気付く。とても、やわらかく、あたたかい。
「調査を再開したい。いい?」
とわたしが尋ねると、彼女は驚いたように言った。
「ええっ!? まだ続けるんですかぁ?」
「もちろん。まだ研究は始まったばかり」
「でもでも、長門さんっ。今日はお疲れみたいですから、また今度にした方がいいですよぉ! ね、そうしましょう?」
彼女はしきりに中止を勧めてくる。わたしのことを気遣ってくれているのだろう。しかし、なればこそわたしは誠意でもって彼女のやさしさに応えなければならない。
「だいじょうぶ。わたしは負けない」
「ふぇぇぇん……」
また彼女は落涙する。わたしの心意気に感銘を受けたのだろうか。
しかし、どうしたものか。先ほどと同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。通常の方法での解析は不可能。思考回路がショート寸前になる。
――――ならば、答えは一つ。
「考えるな、感じるのだ」
声に出して、自分に言い聞かせる。朝比奈みくるの肩が少し震えたようだが気にしない。
掌に少しだけ力を加えて、彼女の胸がその力を吸収するのを感じる。
むにゅっ。
――エラーが大量に発生。落ち着け、落ち着くのだわたし。インターフェースはうろたえない。
掌の力を弱めて、彼女の胸の反発を感じる。
ふにゅっ。
――今度のエラーは三倍速い。ええい、朝比奈みくるの胸は化け物か。
…………ここでわたしは思考を手放した。ただただ無心に、手を動かし続けた。
ふにふにふにふにふにふにふにふに――――――
「――ひゃうっ!?」
朝比奈みくるの悲鳴で我に返る。
「あの、長門さん……? あんまり勢いよく揉まないでほしいんですけど……」
「ごめんなさい。ゆっくり揉むことにする」
「いやあの、もう揉んだことですし、もういいんじゃないでしょうか……?」
うん、それ無理。
「ひいっ!? はぅん……。な、なんでやめてくれないんですかぁ……はぁっぁぁん」
だって、わたしは本当にあなたの胸の感触が癖になってしまったのだもの。
「あの、あのぉ……。長門さぁぁぁん。あの、その触り方はちょっと危険と言いますかひうぅっ!?」
ついに、ついにわたしは朝比奈みくるの胸部を克服した。インターフェースに備えられた、優れた解析能力・思考能力を敢えて手放すことで、わたしはこの難攻不落の城を攻略したのだ。わたしがまた一歩人間に近づいた証ともいえる。
「――この胸の感触は、試練を克服したわたしに対するご褒美に違いないと認識した」
ふにゅ、むにゅ、ふに、ぷに、ぷにゅ、むにゅ、もにゅ、ぽよん――――
「素晴らしい感触。宇宙開闢以来これほど触覚を愉しませるものは存在しなかった。わたしが断言する」
「いや、そんなことより、あっ、揉むのを、ひゃっ、やめて、はぅん、ほしいんです、ひぃ、けどぉ」
朝比奈みくるのあえぎ声をBGMにしながら、わたしはこんなことを考えていた。
地球上の知性を持つ有機生命体、すなわち人類の歴史は、闘争の歴史だったと言ってよい。
小さなものでは個人間での無数のいざこざ、大きなものでは世界大戦。
最も知性的に進化した生命体が、原始的な闘争を最も多く引き起こすという矛盾。
そこでは生存競争の原理を逸脱した闘争が散見される。何故か。
情報統合思念体は地球人類の未熟と結論した。本当にそうだろうか。
人間の多くは、彼らにしかわからない何かのために戦っているのかもしれない。
もしかしたら――そう、もしかしたら。
「人間は皆、女の胸を揉みたいがために戦っているのではないだろうか」
「どこをどうすればそういう方向に話を持っていけるんですか……ひゃんっ、あぁん、ご、ごめんなさぁいぃぃぃ」
――BGMに雑音が混入した。即座に修正。
どこまで思考を進めたか。
そう、人間は女性体の胸部のために戦っているのかもしれないという仮定。
もしこの仮定が正しければ、地球人類が肉体を有しながらも知性を獲得するに至った理由が説明できる。
人類は、女の胸を揉むための戦いに勝つために進化を望み、より高度な情報処理能力を望み、そしてそれを実現してきたのだ。そうさせるだけの価値が、この胸の感触にはある。
つまり、女性体が胸部のふくらみを獲得したことこそが、地球人類の進化の本質的要因だったのではないだろうか……?
正解かどうかはしらない。そんな推測も成り立つというだけの、ここで『読者への挑戦状』を挿入したら正気を疑われるだけの、そんな脆弱な基盤だが、いったん思いついた妄想は簡単には去ってくれない。
しかし、有意義な仮定ではあるように感じられる。統合思念体本体に報告すれば、涼宮ハルヒに次ぐ進化の可能性として考慮されるかもしれない。
もしその可能性が認められれば、わたしの胸のふくらみも大きく設定されるだろう。そうすればわたしは誰はばかることなくこの感触を心行くまで愉しむことができる。それはとても素晴らしい想像。
と、ここまで考えたところで気付く。朝比奈みくるの息が上がっている。顔が上気している。目が潤んでいる。体表面からフェロモンの分泌を確認。さらに言うならば胸部の先端が強く強く自己主張していたりする。
はっきり言う。非常に愛らしい。情熱を、持て余すほどに。
「――な、長門さん。あたし、もう……もう、だめです。んんっ…………あっ、そ、そんな……あぁっ!!」
わたしが先端を少し強くつまむと、彼女はこう言ってその体を小さく、しかし何度も震わせたのだった。
もう一度言う。彼女はとても愛らしい。ついつい、やりすぎてしまうほどに。
「ごめんなさい。……少し、やりすぎた」
彼女の服を整えながら、わたしは謝った。朝比奈みくるの顔には、僅かに非難の色が見える。そう、何というか『少しってレベルじゃねぇぞ!』という感じの気配が。しかしそれもほんの短い間だった。
「……いいですよ、別に。
――――いつもお荷物なあたしでも、今日は少しくらい長門さんの役に立てたんですよね……?」
ほんの少しだけ涙を浮かべながら、それでも同時に微笑みを浮かべて、彼女は言った。
もう一度だけ、言わせてほしい。彼女はとても愛らしい。
――思わず、抱きしめてしまうほどに。
「ふぇぇ!? 長門さん!?」
「とても、助かった。ありがとう。
……あさひな、せんぱい」
数瞬の後。
「な、ながとさぁぁんっ!」
嬉しそうに涙を流すという器用な芸当を見せる朝比奈みくるが、わたしに抱きついてくるのを受け止めながら、わたしはもう一つ別の仮説を構築していた。
もしかしたら、彼女の胸の、この心地よさは、彼女だけに備わったものなのかもしれない。少なくとも、わたしは自分の胸を触ってもこんなに穏やかな気分にはならない。
たしかにやわらかいとは感じるが、それだけだ。彼女以外の女性体の胸を触っても、彼女の時と同じ気分になれるという保証はない。
そう、もしかしたら、彼女もまた特別な存在なのかもしれない。人類の歴史には時折、大変革が起こる。たった一人の人間が、世界の姿を一変させることがあるのだ。
それは人間が進歩するための原動力になっている。あるいはその積み重ねが、種としての進化につながっているのではないだろうか。そうであるならば、朝比奈みくるが進化の可能性の一端を担っている可能性は高い。
何故なら、わたしに触れるこの胸は、わたしさえも――この人間でない、一介のインターフェースに過ぎないわたしでさえも――えも言われぬしあわせな気持ちにさせてくれるのだから。
根本的な存在基盤の違いさえも乗り越えて他者を幸福な気分にさせるという、彼女の胸の持つ不思議なちから。これを進化の可能性と言わずして何と言おうか。
もし、この仮説が正しいと認められ、朝比奈みくる自身が涼宮ハルヒと同じく、統合思念体にとっての進化の可能性になりうると判断されたら。
――朝比奈みくるは、涼宮ハルヒと彼女の『鍵』たる彼に並ぶ、最重要観測対象となるだろう。
わたしの、この報告が通った時のことを少しだけ考える――
朝比奈みくるの観測者には、もちろんわたしが抜擢されるだろう。他のインターフェースでは現状、彼女への接近はあまりにも不自然。三人同時の観測は困難だが、わたしはやり遂げてみせる。そう、きっとこんな風になる……
――放課後の文芸部室。
わたしを決して飽きさせない、横暴なようで仲間思いの団長・涼宮ハルヒ。
ブツブツ文句を言いつつ、結局いつも涼宮ハルヒのために東奔西走する彼。
いつもにこやかな笑顔を浮かべ、勝てないボードゲームに興じる古泉一樹。
未来から来たのに、何故かお茶の淹れ方だけに熟達してきた朝比奈みくる。
そんな彼女の淹れたお茶を、お礼もなしに飲みながら、読書に耽るわたし。
――――そして毎日、調査と称して朝比奈みくるの胸を揉みしだくわたし。
……悪くない。むしろ、いい。とてもいい。
毎日、統合思念体のお墨付きで彼女の胸の感触を愉しめるのだ。
これは、わたしの胸囲が大きくなることより好ましいように感じられる。
しかし、そうなるとわたしとしてはこの二つ目の仮説を推したいところ。
そのためにわたしがすべきこと。それは。
「……他の女性体の胸も揉む必要がある」
わたしは言った。
それを聞いて、朝比奈みくるの肩が揺れる。
「――あの、長門さん……?
やっぱり、あたしじゃ、役に立ちませんでしたか…………?」
「ちがう。そうではない」
言下に否定する。
あなたの胸は、それはそれは素晴らしいものだった。
わたしは、そこに夢を見た。とてもロマンティックな夢を。
そしてその夢は、統合思念体にとっての進化の可能性を示すものでさえあった。
進化の可能性云々を抜きにしても、わたしはこの胸の感触を四六時中感じていたい。
そのためには、あなたの胸がいかに優れたものであるかを証明しなければならない。
そこでわたしは、あなたの胸の特異性を証明するために、他の女性体の胸を揉む必要を感じているのである。
「わかってもらえただろうか」
「いや、よくわからないんですけど……えっと、あたしは結局、長門さんの役に立てたってことでいいんでしょうか……」
「大いに。というより――」
「……?」
弱々しく微笑む彼女の姿を見て、わたしは普段であれば絶対に思っていても口には出さないようなことを言った。
「あなたは、自分で思っている以上に、皆に大切に思われ、必要とされているということを認識すべき。あなたが考えている以上に、あなたは上手に任務をこなし、同時に周囲にいる者をしあわせにしている。
それは別に、今日に限ったことではない。いつでもわたしは、あなたの淹れてくれるお茶を楽しみにしているのだから。だから。
――――あなたは、役立たずなどでは、決してない。……決して」
彼女はポカンとした表情のまま、わたしを見続けている。
わたしは自分の口から自然と飛び出した言葉に呆然としながら、彼女を見つめていた。
――これが有機生命体の言うところの、恥の概念なのだろうと、不本意ながらわたしは明晰判明に理解した。これは、たしかに……少し、はずかしい。
……一分近くそうしていただろうか。
朝比奈みくるは突然窓の方を見て、言った。
「ああたいへん、もうこんなじかんですか。そとなんてまっくらじゃないですか。これはいけませんね。ながとさん、かぎはあたしがかけますからさきにかえってくれていいですよ」
見事なまでに棒読みになっている。彼女も少し気恥ずかしいのだろうか。
わたしは……わたしは、彼女以上に混乱していたのであろう、こんなことを言ってしまった。
「待ってる。もう外は暗い。家まで、送る」
勢いというものだろう。一年に二回くらいはわたしだってハイになる時がある。十二月に世界改変をしてしまったのもそのせい。たまたまそれにかち合ってしまったのだ。
それが今日は朝比奈みくるの悲しげな微笑みやら健気な心意気やらが何というか、こんがらがってわたしもふらふらになってしまったのだ。
この情動を放っておけば朝比奈みくるを押し倒すくらいのことをしてしまいそうだったので、ここで解消しておくことにしたわけである。
――何故わたしはこんな言いわけをしているのだろうか。
「え……? あ、あの、ありがとう、長門さん」
何という純粋さ。彼女は衷心からわたしに感謝している。
彼女は、もう少し人を疑うということを知った方がいい。
――きっとそれが彼女のいいところなのだろうとは思うが、時々、少し心配になる。
――――――――――――――――――――
長い長い下り坂を、ふたり、手をつないで歩いていく。
手をつないでいるのには大した意味はない。近くにいてくれた方が緊急の時、対処しやすいと判断したため。
わたしは、一歩前を進む。並んで歩くのは……何故だか、恥ずかしい気がする。
「ところで、長門さん。あたしの家、どこか知ってるんですか?」
「もちろん。無事に送り届ける。心配は無用」
「ふふ。長門さんと一緒なら暗くても安心ですよっ。
ああ、そういえば、話は変わりますけど。今度は誰の胸を調査するつもりなんですか?」
「適役がいる。涼宮ハルヒ」
「ふええっ? 涼宮さん、ですかぁ? でもそれは……難しそうですねぇ」
「うまくやれるよう、綿密な計画を立てる」
「まあ、長門さんがそう言うなら、きっと大丈夫なんでしょうけど……。
――――それよりも、長門さん?」
「なに?」
「いつか、キョンくんともこうやって手をつないで歩けるといいですねっ」
長い長い下り坂を、ふたり、手をつないで歩いていく。
手をつないでいるのには大した意味はない。ただ、冷たい夜気の中、つないだ手だけがあたたかかった。
わたしは、半歩前を進む。彼女に心の中を見透かされるのは……少しだけ、心地よかった。
以上です。正直カーズネタをやりたかっただけなので話の筋は無茶苦茶です。
勿論長門さんの独白も超適当です。
まあ、ストーリーなんてこのSSでは飾りです。偉い人には(ry
というか一行の長さに制限があるんですね。かなり焦りました。
急いで無理矢理改行入れたので読みづらいところがあるかもしれません。
>85
これは想定外な面白さだ
長みくは想像だにしなかったが、いい。実にいい。
長門の壊れっぷりもステキでした。
朝比奈さんの優しいいいとこがGood
よいものを読ませてくれてありがとう
いやはや何というか
普段過疎ってるのが嘘みたいな投下ラッシュだな!
当板におけるスレッド勢いで常時トップを争っているこのスレになんてことを。
凄いとしか言いようがない。
恐ろしくひきこまれました。
原作あってのものな筈なのに、原作を超えてしまってる気がする。
90 :
89:2007/01/23(火) 02:32:25 ID:160tQmtq
あ、「非単調ラブロマンスは微睡まない」の感想。
パソコン15時間つけっぱなし、リロードしてなくて。。
今日はいいものがたくさん読めて嬉しい。
長みく、とても面白かった。
女の子同士の可愛らしい友情が垣間見れて、すごく和んだよ。
朝比奈さんの人柄も好感が持てるし、長門はイイ感じにエキサイトしてるし、とにかくGJ!!
>>85 内容はアホなのにものすごい深みのようなものを感じた
GJ!
>>66 小ネタ乙
ボクセカはおもしろいと思うけど、多分ながるん作品で一番読者少ないんじゃないかな…
ハルヒ9巻より、学校7巻よりボクセカ3よみたい俺は多分異端児www
>>93 きっとながるんなら、
ハルヒ9巻=学校7巻=ボクセカ3=絶望系
という大サプライズをしてくれるさ。
そして投下している今までの、そしてこれから投下するであろう職人さんにGJ
いや、寝不足でテンションがおかしいんだ。 逝ってくる
今回のスレはGJすぎる
今やっと追いついた
長門のケツの穴の匂いを嗅いでみたい。
きっと、臭くないだろう。
長門は、排泄しないから、
長門のケツの穴は、射精させるための穴と言えるだろう。
長門のケツの穴の入口に、カリフォルニアロマンスを引っ掛けてみたい
97 :
89:2007/01/23(火) 08:36:16 ID:160tQmtq
>非単調ラブロマンスは微睡まない
今さらですまん、だが言わせてくれ
俺 を 本 気 で 泣 か せ る な
赤っ恥かいたじゃん・・・。
このスレもう1から読めない・゜・(ノД`)・゜・
>>65 アスタの人キターwww
文章丁寧で毎回安心して読めます。
ボクセカのSS自体レアなのでまた新鮮。
これ谷川作品でSS一番作りにくそう……お疲れした!
微睡まない、ってオンザの人だったのか。
今回は描写にえらく気合入ってるなぁ。
この人のオリジナル小説を読みたい気分になったよw 素晴らしかった。
>>84 爆笑したwwww長門オッサンというか海原雄山というか感受性豊かというか
「わたし……長門さんって今でも苦手で」
伏線だったのかっ!!!
サムデイ イン ザ レインの
コート着た国木田が女にしか見えなくなった。
このスレのせいだ。
これでみくるとハルヒの胸が大きくなると
>>18 ようやっと読み終えた。あなたの作品読むたびに思うけど、今回のは今まで以上に凄かった。
ストレートな話に涙がだだ漏れだよ。こういったSSが読めて本当よかったって思うわ。
なんにせよGJ、乙でした。
>>85 やべぇ、このノリめちゃくちゃヒットした。
色々と暴走気味な長門が最高だったよ。
やっぱ投下があると違うね。人の読んだら書きたい熱が上がってきたわ。
>>85 ものごっついGJ
是非ハルヒのバージョンも・・・・・・
>>18読んでエロシーン二つぐらい入れれそうだなーと
感じた俺は間違いなく厨房
>>85 これはえらいおもろいww
俺もハルヒバージョン希望する。むしろそっちの方が読みたいw
>>85 これは・・・原作の長門を別ベクトルで凌駕してるなwwww
ハルヒVer.を俺からも強く希望したいw
>>85いいよ〜いいよ〜
コレは続編が期待できそうですな。
長みくってカップリングもいいなぁ〜
なんにせよGJです
>>18 dクス
お前は俺に鶴×キョンを目覚めさせた
GJ、乙でした
>>85 面白かったぜ!乙
>>キョン×鶴屋さんの人
正直、たまりません。なんかもう色々とGJ。言葉がまとまらないや。
メイン2人は勿論の事、個人的にみくるがいい味してました。
素晴らしいスパイスだったと思います。長門は食後のさっぱりとしたデザート。
>>長門×みくるの人
正直、たまりません。宇宙人はアホの子になったその時新たなる力を発揮するのだ。
おっぱいってずっと揉んでると凄い幸せな気分になってくるよね。
初っ端からレベル高すぎwwwwww
キャラソンの喜緑さんの買ってきた。
これから先の原作でどういう扱いになるのか、
喜緑さんがどういう立場なのか少し覗けて楽しい歌詞♪
動かしやすいキャラになりそうで期待!
>>18 遅れたがGJ!
すっげぇ泣いた…
原作、二次創作含め素晴らしい
作品は沢山ありますが、俺は間違い無く、この作品が
一番良かったです
キョンが消える寸前に鶴屋さんの
本当の気持ちが溢れる所なんかもう・・・
本当に乙です!
今唐突に
ハンス・アクセル・フォン・キョンなる人物と
ハルヒ・アントワネット・ジョゼファ・ジャンヌ・ド・ロレーヌ・スズミヤ、
ユキ・フランソワ・ド・ナガト
がある宮殿での生活てな感じの電波を受けたが、どうしようか?
つイツキ・グランディエ
ついでに
ミクル・ラ・アサヒナや
エミリ・ガブリエル・ド・キミドリ
とか入れるか
120 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 01:25:17 ID:YLFLnNSZ
すまんsage忘れた
122 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 01:28:17 ID:ydmVAZ2O
じゃあageとくよ
123 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 02:01:24 ID:rmSWgsPo
>>18 すっごい今更感だがどーしても感想を書きたくなったので言わせてくれ
すごいっす!最高っす!これこそまさにGJっす!!
その昔谷川本人並に巧かった分に対して「谷川仕事しろ」ってのがあったけど、
原作超えてる(と個人的に賞賛してる)場合はなんて表現すればいいのかね?w
>>17 スマソ。
確かに途中でウルっときたりもしたんだが、
最後のオチがよく読み取れなかった・・orz
キョンはハルヒのいる世界と、鶴屋さんと付き合ってる世界と、
そのふたつに分断されて、どっちもハッピーエンド・・でいいの?
ハルヒ世界に戻ってしまったキョンを、
鶴屋さんが分離させて自分の世界にも戻した・・・でおk?
長門が頑張った、でおk
多分
>>124 作者ではないが、自分も一応そう判断した。
何気にパンジーがツンデレ気味だな。
誰がこんな奴等(SOS団)の手伝いなど・・・だが任務だし借りもあるから仕方無い、今回は手伝ってやらんこともない
みたいな
パンジーは原作で悪人っぽいのに悪人じゃない(らしい)とされてるからな。
これはもうツンデレに行くしかない。
あぁあぁ、投下しますね
『一日限定奥様・ハルヒ』
*
「夕飯出来たわよー」
一旦パソコンから目を離してその声に振り返る。
テーブルの上に、一人暮らしになってからは久しぶりの『手料理』の数々が綺麗に並べられていた。
「おおっ」
思わずベタに驚きの声をあげる。女の子に作ってもらったのは初めてだ。
この傍若無人団長は何でもできるのか?……いや、これは素直に嬉しい。
「あたしが作ったんだから味は保障するわ。じゃんじゃん食べなさい!」
エプロン姿でふんぞり返っているのは、北高で知らない奴はいないほどの有名人。
僕にとってはにっくき隣人、SOS団団長の涼宮ハルヒだ。
……今は、僕のかみさんということになっている。一日限定だけどね。
「それじゃ、いっただっきまーす!」
僕も彼女に倣って「いただきます」と両手を合わせた。
そうだ、何でこんなことになったのか説明する必要があるね。それは今から数時間前にさかのぼる……。
*
我々コンピ研の宣戦布告から始まったゲーム対決は、予想どおり我々の勝利で幕を閉じた。
と言ってもただ突っ込んでくるだけの旗艦艦隊に集中放火を浴びせるだけだったんだけどね。
わざわざ索敵モードをオフにすることも無かったかな。
「ふぅ……これでやっとパソコンが帰ってくるよ」
軽く伸びをする。部員の皆は……まだ難しい顔をしてパソコンにかじりついていた。
まぁズルして勝ったんだから無理もないか。でも、脅されてパソコン盗られたんだからおあいこだよな。
僕はパソコンを終了させ、SOS団への憐愍もとい嫌味の言葉を数種類考えていると、
「……今回は私の負けね」
SOS団の団長がしょんぼりした様子で力なくドアを開けてきた。
はっはっはと高笑いしてやるつもりだったのに、こうもしゅんとしていると毒気を抜かれちゃうな。
部員の皆は涼宮ハルヒに気付いていないけど、どうしたんだろう。
「パソコンは明日返すから、ちょっと付き合いなさい」
団長は小声で話し、手招きをする。僕は今だに「あれっ?索敵モードが……」とか言っている部員達を
不思議に思いながら部室を出た。
*
「負けたら女子団員の誰かをあげるって約束だったでしょ?」
「あ、ああ……。そうだな」
何故か今僕は涼宮ハルヒと一緒に下校している。
「でも、キョンが『お前が賞品になれ』って言うから、あたしが来たってわけ」
という理由で、涼宮ハルヒを貰ったからだった。う〜ん、確かに女子は女子なんだけどなぁ……
「というわけで、今日一日あんたの世話をしてあげるわ。通い妻よ。感謝しなさい!」
にっこりと微笑む。涼宮は性格以外は全てがいいんだよな
……顔を近付けられて、少しドキッとしてしまった。
「……って、今日一日限定かよ!」
「何?ずっとコンピ研にいて欲しいの?それなら話は早いわ!
コンピ研をSOS団の支部にすれば部費も大幅に増えて活動範囲が……」
「……いや、やっぱり一日だけでいいよ」
これ以上ウチを引っ掻き回されたらたまったもんじゃない。
「何よ、遠慮しなくていいのに」
涼宮はむっとなって僕の腕を捕まえた。ちょっ、どこに引っ張るつもりなんだ、僕の家はそっちの方向じゃないぞ。
「帰る前に夕飯の買い物!それとあたしお金あんまり持ってきてないからあんた出しなさいよ」
無茶な要求とともに僕の腕を引っ張った涼宮ハルヒは、
そのまま僕もろともスーパーへと突っ込んでいった。
*
……そしてそこで買ってきたものが今ここにある料理の数々に化けたというわけだ。
うまい。ご飯が炊きたてで、味噌汁がインスタントじゃないのは何だか新鮮だ。
ステーキとサラダも、和風にアレンジされていて……その他にも色々と手が込んでいる。
「キミ、料理得意なんだな」
「へ?こ、こんなもん出来て当たり前よ」
誉められることに慣れてないんだろうか、涼宮は照れ臭そうに眉を釣り上げてみせた。意外な一面。
結構可愛いところもあるんだな。
*
それからも色々世間話をしていくうちに分かったことだが、涼宮は頭がおかしいと見せ掛けて中々
常識的な部分も持っているようだ。
幽霊なんているわけない、でもいて欲しいみたいな所でせめぎあってるような印象だ。
何とパソコンには少し疎いみたいで、コンピ研には結構期待していたらしい。
僕らは知らない間に配下(予定)にされていたのか。いや頼られるのは嫌じゃないけど。
SOS団の話をしている時はずっと目をキラキラさせていた。
こんな顔されると……パソコンを盗られたことも、許してしまえるような気持ちに……
ダメだダメだダメだ。何を言ってるんだ、僕は。
それからも、二人の賑やかな食事は続く。
いつもはテレビを見ながら一人で食べてるんだよな、とか急に思い出して、すこし寂しくなった。
「……どうしたの?急に暗い顔して」
「いや、何でもないよ」
そうさ。一日限定なんだ。我儘を言うわけにも行かない。
「まぁいいわ。お風呂の準備出来てるわよ。入る?」
「そ、そうしようかな。ありがとう」
逃げるように浴室へ入っていった。
*
「…………」
シャワーを浴びながらぼーっと考える。さっきの数十分で、僕の涼宮ハルヒに対するイメージは
すっかり変わってしまった。唯我独尊のハチャメチャ女だと思っていたのに……
「完全に狂ってるわけじゃないし、家庭的だし……」
可愛いし、とは気恥ずかしくて言えなかった。性格さえ何とかなれば、
北高でトップクラスじゃないだろうか。つくづく勿体な「入るわよー」
突然の声にビクッとして振り返る。と、そこにはSOS団の団長が
……一糸纏わぬ姿で立っていた。
「……うわぁっ!ご、ごめん!」
一瞬の間を置いて、慌てて視線を前に戻す。だが既に彼女の柔らかそうな裸身は、
僕の網膜に、記憶に強烈に刷り込まれてしまっていた。
白磁のような肌、胸にある、意外と大きな二つの膨らみ、仄かに赤みを帯びた乳首。
くびれたウエスト、薄めのヘア、すらっとしていて、かつもっちりした太もも
……生で見たのは初めてだ。三次元って素晴らしい。
……って、何を考えているんだ僕は!
「な、何してるんだよ!」
それしか言い返せなかった。女性経験値ゼロの僕は、いま完全に狼狽えている。
「何って、背中流しに来たのよ。妻なんだから当然でしょ」
平然と答え、歩み寄る。
「洗ってあげるから、ほら、タオル貸して」
涼宮は浴用のタオルを僕の手からかっさらうと、ボディーソープをつけて
僕の背中をしゃこしゃこ洗いはじめた。
「……なんで裸なんだよ」
ううう狼狽えちゃだめだここは冷静に
「一緒に湯槽に入ったほうがいいでしょ?」
「ええええ!は、入るの!?」
何考えてるんだこの女は?
僕を……誘ってる?
「嫌なの?」
「いや、そうじゃなくて、そんな格好で、一緒に入ったら……ぼ、僕だって男なんだぞ」
「……ふーん」
まるで興味なさそうに言うと、
「わわわっ、何をする!」背中に置いてあった手を股間に滑らせてきた。
咄嗟のことでガードに失敗し、涼宮に僕のモノをダイレクトに握られてしまった。
「ねぇ……そういうことしたいの?」
耳元でクスクス笑いながら囁く。手元は動かないままだ。
「そ、そんなわけないだろ!」
精一杯の抵抗。ペニスを包んでいる手を取ろうとするが、
石けんで滑るのと涼宮の力が強いのとでうまく外せない。
「嘘。本当はしたいんでしょ?」
耳にふーっ、と息を吹きかけられ、背中に膨らみを押し当てられる。
それに反応して、僕のペニスが……
「ほら、やっぱり気持ちいいんじゃない」
「ち、ちが……「もう何言ったって無駄よ。こんなに大きくして」
ゆっくりと焦らすように扱かれる。もう僕のモノはすっかり固くなってしまった。
「くっ……」
「いいのよ。今日一日あなたの世話するって言ったじゃない?ねぇ、したい?したいでしょ?」
その悪魔の囁きに、
「……したい」
僕はあっさり負けてしまった。
「うふ、それじゃあ念入りに洗うわよ」
「うぅっ!」
涼宮は僕の肉棒を念入りに洗いはじめた。にゅるにゅるとした感触が――
「はぁ、はぁっ、はぁっ、はっ……」
「ちょっと、勝手に出すんじゃないわよ?」
気持ち良くなっていたら、手の動きを緩められた。今度はゆっくりした手つきでカリの
デリケートな部分まで指でなぞられる。うぅ……こんなとこ人に触らせるのは初めてだ。
「それじゃ、仕上げ」
さっきより強く扱かれる!はぁぁぁ……握力の加減が丁度いいぃ……
「ああっ!や、やばい、もう出るっ!」
「はい、おしまい」
今度は発射一歩手前で焦らされた。くそー、遊ばれてる……。
こういうとき経験のない男は玩具になるしかないんだな。
シャワーで体全体の泡を流され、僕は湯槽につかることに。
僕は、湯につかりながらずっと涼宮が身体を洗うところに見とれていた。
改めて彼女の身体をまじまじと眺める。まるで変態だ。
こんな娘とできるなんて、という思いが脳裏を支配して他のことが考えられなかった僕は、
もう色々な意味で駄目かもしれない。
「ほいじゃ、入るわよ」
僕に背を向けて、涼宮は湯槽につかった。後ろから抱き締めるための体勢だ。
僕は早速、彼女の腰のほうに両腕を持っていく。
身体を密着させ、勃起を背中に押しつけて、右肩に顎を乗せた。
「ああぁ……柔らかい……」
もう吹っ切れた。思ったことを口に出すことにする。
「ふふっ……おっぱいも触っていいよ」
では、お言葉に甘えてと、両手を乳房に持っていった。
……何だ、この嬉しい感触は。うああ、すっごい安らぐ。
「何かキャラ変わってない?」
「キミがぶっ壊したんじゃないか」
僕は涼宮の髪をかきわけて耳を出し、そこに舌を入れる。ちょっとピクッとなった。
下にも右手を伸ばし、秘部表面を撫でるようにさする。
「ここよ、ここ」
気持ちよくなるポイントまで誘導してもらい、そこで暫らく指を動した。
「ん、んっ、あっ……ベッドで、続きしましょ……」
*
風呂からあがった僕は、身体を拭くとすぐさまベッドへ直行した。
「そんなに急がなくても、逃げたりしないわよ」
涼宮は後からのろのろとやってきて、僕の隣に座る。
「まずは……キスからね」
両手を僕の頬に添えて、唇を重ねてきた。
「ん……」
唇を合わせながら、首に腕を絡めていく。僕も彼女の腰を抱きよせて密着する。
「んっ、ん……ん!!」
暫らく、はむ、はむ、と唇を唇で食んでいたら、いきなり舌を入れられた。
「ちゅ、くちゅ、ちゅぅ……」
どうすればいいのかわからず、ただ徹底的に舌で口内舐め、吸われる。
同時にペニスをしごかれて、もう夢見心地だ。どんなエロゲだこれは?
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
我慢できなくなった僕は、唇を離して彼女を押し倒し、馬乗りになって首筋に絡み付いた。
そこにキスマークを打ち込む。そして胸。
「乳首はあんまり激しくしちゃ駄目よ」
と言われたので、優しーくしゃぶることにする。
吸い上げるごとに
「んっ」
と叫ぶ涼宮に、不覚にも萌えてしまった。そして下へと降りていき……
「うわ、こんなんなってるんだ」
初めて生で女性器を見た。あまりいい光景ではない。ありていに言えばグロい。
「舐めていいよ」
僕は覚悟を決めて、このぐちゃぐちゃしたやつを相手することにした。
「んっ、もっと深く……」
指示を受けながら秘所をねぶりまわす。いやらしい蜜が出てきて、口の中に広がった。
評判よりもあまり変な匂いはしない。しないが、これ口に絡むな。
「あぁ……それより、その、そろそろ欲しい……」
頬を上気させて、僕のモノをおねだりする涼宮ハルヒ、なんて可愛いんだろう。
僕はすぐに彼女の脚を開いて、その間に固くなったものをゆっくり差し込んだ。
「そう、そこ……んぁぁっ!」
凄い、肉棒が締め付けられる。全体をしゃぶられてる感じだ!
「う、動くよ……」
腰を振る。涼宮はその動きに合わせて小刻みに喘ぎはじめた。
「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ……」
目は虚ろで、頬には朱が注している。今にも涎をたらしそうだ。
そして彼女をそんな風にしているのは僕の……
「――っ!うぁぁっ……!」
なんて余計なことを考えていたら、下半身がむずむずし始めて、
「あぁっ、あ、ああ……!」
やってしまった。どくん、どくん、と精液が流し込まれているのがわかる。
「すご……気持ちい……」
快感が下半身から全体に流れる。力尽きたように前のめりに倒れと、おっぱいに顔がめりこんだ。
「……いっぱい出た?」
涼宮が笑顔で話し掛けてきた。何だか申し訳ない。
「ごめん、気持ち良すぎて、中で……」
「ううん、今日は何となく平気な気がするの」
彼女なりの気遣いだろう。僕は彼女を抱き寄せて、後々考えると羞恥でのたうち回りたくなるような臭い台詞を耳元で二、三囁いて、
そのまま眠りに落ちていった。
*
「ほら、起きて」
「うん……?あ、おはよう」
目覚ましより前に涼宮の声で起こされる。う〜ん、いい朝だ。
「おはよ。ご飯できてるよ。お弁当も作っといたから」
テーブルの上には、いつもはトースト一枚で済ませる朝ご飯が並べられていた。
「それじゃ朝ごは――「ちょっと待って」
起き上がろうとしたところをまた押し倒された。
「あたし昨日イけなかったんだよね……」
「ご、ごめん……って、え、ちょ、まさか」
涼宮ハルヒは僕の朝立ちの先っぽを指先でぐりぐりいじっている。
「……」
「あっ、ちょ、待っ」
「……」 「あ……あああ……ああああ……ああああああああ!」
……起き抜けに快楽のずんどこに落とされたせいで、僕は一時間目を遅刻し、
涼宮は絶頂に達したあとに気絶するように眠ってしまったので、僕の部屋で休ませてやることにした。
今日の授業は、案の定全然集中できなかった。何かあるごとに涼宮の身体や
匂い、喘ぎ声を思い出してニヤニヤするのを必死に抑えるので精一杯だった。
授業終わり。コンピ研の部室に行くと、SOS団の長門有希がいた。
「あれ、長門さん……だっけ。どうしたの?」
「あなたに強く入部を勧められて、わたしもたまにコンピュータ研の活動に
参加することにした」
え?僕がいつ勧めたって?
「昨日。ゲーム勝負でコンピ研が敗北して13分後のことだった」
……?コンピ研が負けた?僕達は勝ったはずじゃ……
「部長、僕達は負けましたよ?戦闘中にゲームの中身を書き替えられて……」
*
長門さんが僕の不思議な話をもっと聞きたいというので、部活が終わった後、僕は文芸部室に向かった。
向かう途中、今日休んだはずの涼宮ハルヒが部室棟の廊下を歩いているのを見た。やはり何かがおかしい。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
呼び止めると涼宮は苛々した声で返事をした。
「何?あたし忙しいから用事なら早くして」
今日の甘えっぷりはどこにいったんだ?
「……今日は休むって言ってなかったか?」
「へ?あたしがいつそんなこと言ったのよ?それに休むとしてもあんたに連絡するはずないでしょ?」
んじゃ、と立ち去ろうとする涼宮に、最後の質問をした。
「最後に、く、首を見せてくれないか?」
「?……ほい」
顎を上げて首を見せてくれた。昨日散々付けまくったキスマークがどこにも見当たらない。
「――――っ!あんた今やらしいこと考えたでしょ?」
急に首を両手で隠した涼宮に睨み付けられた。図星をつかれて赤くなる。
「次あたしをそんな目で見たら死刑だからねっ!」
ぷりぷりと怒って走っていってしまった。
「……本当に、何なんだ?」
取り残された僕は、寂しさを感じながら文芸部室のドアを開けた。
中には、男子部員二人と長門さんが待っていた。
コンピ研、SOS団みんなの話によると、我々コンピ研はインチキを封じられた上に敗北し、
そして開き直った僕はゲームの中身を書き替えた凄腕ハッカーの長門さんをコンピ研に勧誘した……。
ということらしい。
「本当に覚えてないのか?」
「覚えてない、というより、そんなこと知らない、という感じですね」
「ということは、あー、なんだ。昨日部長さんのとこに来たハルヒは、幻だったってことか」
「昨日僕らの所にきた部長さんもね。……あなたは、もう僕達の世界に
片足を突っ込んでしまったのかも知れませんね」
このあとも、小泉という部員のパラレルワールド説や、抽象論を色々聞かされたが、
どれもSFの域を出ないものばかりだった。
まぁ自分が実際に体験したものだから……信じるよりないか。
*
帰って来た頃には空はすっかり暗くなっていた。
今日の夕飯はコンビニで買ってきた弁当だ。何時ものように、テレビを見ながら食べる。
……虚しい。バラエティ番組の笑いが、白々しく感じた。
小泉君の耳打ちによると……涼宮はキョンという部員のことが好きなんだそうだ。
「ははは……、一人のほうが、気楽でいいや……」
この日、寂しくて、昨日のぬくもりが欲しくて泣いたのは……恥ずかしいから内緒だ。
終わりです。次も頑張ります。
何だかスレ最初の作品が凄すぎて萎縮しちゃいますね。
>>124 キョンは元々あっちの世界にいたキョンとダブって存在してたわけだから、分断って言うか元に戻ったってことだと思うよ
で、昏睡したあと二人に別れたキョンの内、元々あっちにいたキョンを、長門がパンジーさんに頼んで帰したってことなんじゃないかな
昨日は投下無かったんだ
久々にがっつりエロが読みたいな……とか思ったら来てた
>>137超GJ
どこをどう突っ込めばいいのやらだが……。
こういうネタは漫画向けだな。
文字だと違和感アリアリ+無個性で、抜くに抜けない。
>>124 こんな感じじゃないかと個人的に思ったんだが。長門の話は難しくてよくわからんな。
元の世界……キョン(α)、ハルヒ、長門、みくる、古泉、鶴屋さん(名誉顧問)、パンジーetc.
平行世界……キョン(β)、鶴屋さん(GOD)のみ。SOS団の他の四人はいない。
↓
鶴屋さん(GOD)「世界よ面白くなれ。ザ・ワールド!!」
↓
ザ・ワールドのせいでよくわからん情報生命体が発生。
キョン(α)、平行世界に墜落。キョン(β)と二重化。
↓
元の世界からの観測可能性が消滅寸前=平行世界が消滅寸前。
パンジー「やれやれ」
鶴屋さん(GOD)「キョンくん、いなくならないで。ザ・ワールド!!」
キョン二重化が解ける。キョン(β)が平行世界に残るも一年間分の記憶なし。
↓
パンジー「やれやれ」
キョン(α)、元の世界に戻る。
↓
長門が奔走。平行世界の観測可能性を限界ギリギリで維持(『存在した』という事実を保持)=平行世界の消滅回避。
↓
キョン(α)「何の呪文なんだ」
キョン(β)「大体何だよカメハメハって(二回目)」
ちなみにザ・ワールド=情報フレア、みたいな感じで。しかし素晴らしい話だった。
部長が一樹の本名を意地でも言わないという設定なら認める。
が、人称もおかしいだろ。
ところでパンジーはやさぐれた古泉なんじゃないかと思ってるんだが……
部長×ハルヒ(逆か?)のカップリングが嫌で文句言われてるんかな?
理由付けもされてたし、俺は普通に面白いってかエロいと思ったよ。
たぶんキョン×ハルヒとかだとマンセーレスばっかになると思うが、
個人的にはこのままマイナー路線で突っ走って欲しいw
まあ、とにかくお疲れさん。
文章としては面白いと思うんだけど「涼宮ハルヒの憂鬱」でやる必要が感じられないと言うか・・・
同人漫画向けだと思った
あと無粋かも知れんが「古泉」ですな
ここではあんまりドラマCDの話題出てないね
>>129のは原作でしてない約束を超解釈して引っ付けて、なぜか速攻でハルヒのことを
理解し、とりあえずヤって、夢落ちに逃げるという作者が書きたいことだけ書いただけの
よくあるエロ同人漫画な展開だと思うが。
148 :
137:2007/01/24(水) 11:38:49 ID:wYbS6lk5
突っ込みどころ満載、違和感がある、無個性、漫画向け、人称がおかしい、名前間違い……
評価される以前の問題だったみたいですね。
無個性というのはこれから腕を上げて直していくしかないですね。
人称がおかしい……事前の調べと推敲が甘かったようです。小泉→古泉も含めて、
こういうつまらない間違いは大いに反省です。
突っ込みどころ満載、違和感、漫画向け
これらはよく分かりませんでした。
違和感というのは先程の人称間違いとか、日本語としておかしいとか、
こんなプレイはないとかでしょうか。
漫画向けというのがさっぱり分かりませんでした。ぐぐっても出てきません。
漫画向けとかSS向けとかが住人の暗黙のルールになっていて、
そこを逸脱してはいけない、という感じでしょうか。
ガチムチ六尺部長がオッス連呼で……みたいな展開にすべきだったのかなぁ。
>>147 それが「漫画向け」ですか。いわゆるオナニーですね。すいません。
>>148 文句言ってるのはハルキョン厨だけなので気にしない方がよろしいかと。
カプ厨が自分の好きなカプ以外をこじつけで叩くのはいつもの事なので。
なんかまるでハルキョン厨が悪い、みたいな言い方をされるのもな
文の裏にハルキョン貶めて他カップル持ち上げるような意図があると勘繰られるぞ
とまぁ、不毛
>>152 朝倉さんとちゅっちゅしたいよぉ
でFA
山根だろ
二人が「合体」した状態だな、多分。
山根の嗅覚と谷口の美少女把握能力を併せ持つ『山口』だ。
>>156 それでSS書けばいいんじゃないwwwww
ライトノベル自体が漫画的なのだから、漫画的であることは問題ではないね
設定の解釈許容範囲を必要以上に狭めてもいいことないし
ホルモンって、ビールにバッチグーだよな
SSも書き手と受けての数だけ存在するのだよ茉衣子くん!
感想も批判も良いけど
カップリングに関して文句言い始めるのはだけは
無意味を通り越して馬鹿みたいだからやめたほうがいいと思う。
>>161 ええ、ご高説痛み入りますわ班長。全く素晴らしい意見です。
ですから今度はその意見と、班長がわたくしの胸を揉みしだく関連性について教えて下さいませんか?
できればわたくしの蛍火で口が開けなくなる状態になる前にお願い致します。
漫画向けの二次創作というのは、
・キャラクターの類型的無個性(キャラクターの流用が効く。例えばハルヒの代わりにマーニャ(注:DQ4キャラ)であっても構わない)。
・プロットの類型的無個性(プロットの流用が効く。例えば長門であっても構わない)。
・版権依存性(固有名詞がなければその版権のそのキャラだと気付かない)。
・主役の無個性(主役がその世界で能力的に終始まったくの凡人、または作者自身の投影である)。
・二次創作依存性(その作品を全く知らない人が読んでも面白くない)。
・ご都合主義的キャラクター改変(リアリティな説明もなく、ストーリーに合わせてキャラクターの性格を都合良く変える)。
・ご都合主義的世界改変(リアリティな説明もなく、ストーリーに合わせて世界観や世界そのものを都合良く変える)。
・ヴィジュアル中心(文章だけで説明するのに限度があるネタ。例えばマンガ物理学など)。
これがだいたい5つ以上当てはまるなら、その話は文字しかないSSでなく、絵でゴマカシの効く漫画で描いたほうがいい。
SSで書かれても、よほど妄想力が逞しい読者でないかぎり馴染めず感情移入できず、ついていけない。
ただし、漫画で描かれる話が上の項目に当てはまってるわけではないので、念のため。
でもそれが「投下しない」理由にはならないと思うんだ
書きたければ書く、落としたければ投下する
それに必要以上のそういう装飾的な理屈を持ち出すから雰囲気が悪くなる
>>164 >これがだいたい5つ以上当てはまるなら、その話は文字しかないSSでなく、絵でゴマカシの効く漫画で描いたほうがいい。
そんなことはない
SSを書かない理由はない
>>164 SSで無く漫画にするべき時っていうのは、絵でしか表現できない事がある時だけだよ。
それ以外は作者の自由さ。
27-620の『涼宮ハルヒの完結ーその後』の続きを書いたが、需要はあるんだろうか……
つーかみんな多分忘れてるよな
>>164 そんなの原作でキョンが長門を恋愛対象としてみてる様子がないからSSでもだめとか言ってるようなもんだ
>>165 投下する自由があるんなら、酷評する自由もあるってことさっ。
何しろ投下する本人は「他人が読んで面白いもの」だと思って投下しているのだから。
お子様が集まる他の鯖ならともかく、ここは18歳以上なんでしょ。
面白くなかったら文句言われる心構えはバッチリなはずさっ!
>>166 その通り。読者が自分だけというSSなら何の制限もない、どんどんお書きください。
しかし、他人に読んでもらうのなら、他人が読んで面白いものをお書きください。
ここは「他人にとって面白いものを書」かなければならない場所なのですからね。
>>167 その「表現」は、いったい誰に向けた「表現」なのかなぁ?
自分だけに向けた表現ならば自由にどうぞ。でも発表の必要はありません。
他人にも向けた表現ならば、他人にわかる表現でなければ意味がありません。
そして、他人にわかる表現とは、リアルであるか、ネタであること。
>>168 期待!
>ここは「他人にとって面白いものを書」かなければならない場所なのですからね。
その理屈で言うならお前が一番つまらない件
酷評の我慢を「このスレのルールだ」と主張するなら、更に広義に捉えてここは2ch
そして2chには2chのルールがあり、それを引用するなら「他人が読んで面白い内容を書きましょう」とある
つまり、面白くならなければならないのはSSに限った話ではなく読み手のモラルにも適用される
その上で言うと、お前は割とどうしようもない。ちなみに18禁じゃなくて21禁ね、念のため
ここ18禁だが
>>169 それだと、第六項目(場合によって+第七項目)にしか引っかかっていませんけど……。
第一〜第五、第八は構成や表現の技術の問題なので、必ずしもくっつくカップルには関係ないですよ。
それに、リアリティな説明(俗に言う「前置き」「伏線」)があれば、第六項目も無問題です。
そしてハル長やハル朝(どっちだ)、ハル鶴の書き手さんは、その前置きや伏線に四苦八苦しながらストーリーを練ってるんです。
なんでこの二人がくっつくのか自分で納得いかない話を、他人が納得してくれるはずがないですからね。
>>171 面白くないですか、そうですか。
私は、そのあなたのレスを面白いと思いますけどね……。
>>170 「面白い」の定義は人によって違うから、できるだけ間口は広く開けとくほうが
いいと思うんだ。おまいさんのご高説も結構だけど、そう言うことによって
投下されるはずだった作品を萎縮させちゃうのはもったいないと思うんだ。
だから黙ってていただけませんかこのおフェラ豚。
>>170が面白くないSSは
>>164ということはよくわかった
主張の部分部分は俺も同意する
だが、ここはお子様のこない18歳以上の板だ
他の人の好みは自分と違うことも十分ありえて、それは単純に高低で測れるものではないことは知っているはず
それを自分の好みに合わないからといって排斥するのは読み手の批評する権利とは違うと思うぞ
では、久しぶりの投下。
>>170 >投下する自由があるんなら、酷評する自由もあるってことさっ。
この一文だけは同意してやるよ。
最近ちょっと甘えた書き手が増えたような気はする。
取り合えず騒いでいるアホはいつだって一人って事は分かった
前回までのあらすじ
彼の『禁則事項』を賭けて鶴屋山で開催された恐怖のゲーム。惜しくも逃げ切れずに四人に捕まり、色々大変な事に。
果たして彼の命運やいかに!?
なお、あからさまに卑猥な表現や当人のイメージを壊す危険性のある言葉には『禁則事項』と表示されます。ご了承下さい。
以上、今回出番のほとんど無い超能力者でした。
……何か古泉の声が聞こえた気がしたがどうでもいい。とりあえず現在の状況を確認するとしよう。
ここは長門のマンション。いるのはハルヒ、朝比奈さん、長門に朝倉、そして俺の計五人。
俺は身体の自由を奪われ(おそらく宇宙人コンビが原因)、ハルヒの顔が俺の顔に近付き、朝比奈さんと長門は俺のシャツを脱がしにかかり、朝倉に至っては息子を摩られている。
お分かりだろうか。今まさに俺の貞操のピンチなのでございます。
こら、そこ!羨ましい、ああ妬ましい忌ま忌ましいと即興で川柳を作るんじゃない!
確かに客観的に見ればとても羨ましい事であるのは否定はしない。文句無しの美少女四人からそんな行為をされるんだからな。もし俺が傍観者の立場だったらそいつにタイラント・オーバー・ブレイクを叩きこんだだろう。
しかし、何と言うか、その、非常に怖い。目が四人とも獣の様だ。今の状況はメスライオンに狩られたキョン(動物の)といって差し支えない。
更に言うと、いろいろ持て余す高校生だ。当然行為は一回では済まないだろう。しかも四人。……死ぬ。いろんな意味で。
「ぶつぶつうるさいわよキョン。いい加減諦め………」と言いかけたハルヒはそのまま床に突っ伏した。長門と朝倉も様子がおかしい。
「……迂闊だったわね。まさか私達の裏をかくなんて」「朝比奈みくるがこの様な行動に訴えるとは予想外だった……」
首を動かすと、そこには『 計 画 通 り』と言いたそうな表情の朝比奈さんがいた。
「みなさんを出し抜くのはとっても大変だったんですよぅ。普段は古泉君の組織や長門さん達が観察してるからそんな事出来ないし。
今なら機関の人も手は出さないだろうし、長門さんに朝倉さんも普通の人と同じくらいの力しかないみたいだからちょっと飲み物に睡眠薬を入れてみたんです」
な、なんですとー!?
いや、待て。長門に朝倉が一般人レベルしかないなら、当然俺の身体は動くはず。なのにさっぱり動かせん。why?何故?
「……朝比奈みくるはおそらくあなたの飲み物に強力な痺れ薬を混入したと思われる」
「で、私達は薬の痺れを自分達の能力による物だと勘違いしてたっていうわけね……まさか私達に一杯喰わせる人がいるとは思わなかったわ」
俺も、まさかこの宇宙人コンビを出し抜く奴がいるとは思わなかった。しかも出し抜いたのは朝比奈さんである。
そんな事はRPGをプレイして最初から毒持ちで画面が緑色になってるくらいありえんと思っていた。
長門と朝倉が床に突っ伏した。睡眠薬が効いてるんだろう。
「キョン君、その痺れ薬は大体6時間ぐらいの効果みたい。うふふ……たっぷりいい事してあ・げ・る」
普通ならここは喜ぶ場面なんだろう。しかし、古泉からあの話を聞かされたおかげで恐怖感が込み上げる。
「まずキョン君に『禁則事項』をして『禁則事項』。でさらに『禁則事項』をキョン君の『禁則事項』に『禁則事項』した後、『禁則事項』は『禁則事項』………」
聞かない方がいい。多分聞いたら朝比奈さんのイメージが180度変わるだろう。下手するとナイフで動脈を切られそうだ。
「ふう、喉渇いちゃった。確か飲み物はここに置いて――あ、あった」
そしてコップに注いで一気に飲み干した。まるで中の人…いやいやなんでもない。と、朝比奈さんの顔色がリトマス試験紙のごとく変わった。
「こ、これに睡眠薬入れてたの忘れちゃってた〜。あ、眠くなって――」
あ、寝ちゃった。
朝比奈さんが自爆してから一時間が経過した。まだ一向に身体が動きそうにない。
色々な事件が今まであったが、今回はやばかった。いや本当に。ある意味最大の危機だった。
「なんで過去形にしてるのかしら?」
前言撤回、みんなさっきの文を現在進行形に各自直しておくように。魔人アサクラ リョウコは目を醒ました。他はまだ寝てるらしい。
待て、いや待って下さい涼子さん。その、なんだ、何をするつもりでしょうか。
「あなたの初めてを奪うつもりだけど」
出来れば控えてもらいたいのですが。なんと言いますか、その、読み手はそんな事望んでないし、何よりこの作者はそんな描写出来n
「うん、それ無理♪」
語尾に八分音符を付けて俺の顔に朝倉が接近して来た。どうせなら全休符を付けてくれ。まだ動けない俺はそれを回避出来ない。くそ、念動力があれば!
程なく俺と朝倉の唇が触れ合う。……柔らかい。本当に宇宙人なのかこいつ。無口、無表情な長門と違い、表情豊かだからなあ。
と、場違いな考えを遮るように朝倉の舌が俺の口の中に侵入した。
やばい、とてつもなくやばい。舌の動きに緩急をつけ、巧みに俺の舌と絡ませてくる。そして唾液が喉の奥に注がれていく。理性が吹っ飛びそうだ。
このままでは俺の初の行為は宇宙人というとんでもない事になる。すげえ、多分地球人の中で俺が初だ……って違う!(違わないかもしれんが)
そんな事を考えていると、朝倉が顔を離して一言。
「どう、身体は動く?」
……言葉の意味を理解するのに数秒かかった。お、動く。後5時間かかるはずなのに。
「薬を身体から消去したわ。力が完全なら触っただけで解毒出来るけど、まだちゃんと戻ってないの。
だから、私の体液を直接あなたに注いだのよ。粘膜同士の接触が最も効率がいいわ」
そ、そうか。ありがとよ、朝倉。ついでに帰らせてもらいたいたいんだが。
「いいわよ。私も結果的にあなたの初めてを奪えて満足だし。
閉鎖空間でキスはしたみたいだけど舌を使ったのは初めてよね。まあ、他の人はあなたの『禁則事項』を奪いたかったみたいだけど」
……おい、もしかして身体の痺れをとる方法は他にもあったんじゃないか?こら、目を反らすな。
まあいい。被害がこれだけなら御の字だろう。さて、帰るとするか。
「……ごめんね」
ん、なんだ?さっきの事なら別にもういいぞ。むしろ気持ちよ…いやなんでもない。
「それじゃないわ。過去に二回もあなたを殺しかけた事」
………。
「いくら謝っても許されないよね。それは解ってるの。でも、どうしても言わなきゃいけない気がして」
そうだなあ、じゃあ一つだけ約束してくれ。
これからも色々な事が起きるだろう。SOS団自体に危機が迫るかもしれん。その時は……手を貸してくれないか?
「もちろんそのつもりよ」
よし、じゃあ過去の事は全て水に流す。それに一度生き返らせてくれたしな。
あ、そうだ、手を出して小指以外閉じてくれ。
「こう?」
そう。
「何をするの?」
日本に伝わる儀式みたいな物だ。約束をちゃんと守るっていう、な。
そう言うと、俺は自分の小指と朝倉の小指を絡ませる。
こうやって小指同士をぎゅってやるんだ。
「ああ、思い出した。クラスの人がやってるのを見たわ。確かこう唱えるのよね。
ゆーび切ーりげーんまーん嘘つーいたーらはーりせーんぼーん飲ーます。
ゆーび切ーった」
指切りをしたあと朝倉ははにかんだ笑みを浮かべていた。この表情を写真に撮って学校に貼ったらまず間違いなく朝倉人気が朝比奈さんや長門より上になるだろう。
さて、朝倉に後を頼み、長門のマンションから奇跡的に生還を果たした。見ると、黒塗りのタクシーがある。躊躇いもせず乗り込む。しかし、それがまずかった。
一時間後。
「では、これから『機関のウホッ!男だらけの乱交パーティー』を開催します。皆さん、用意は良いですか?
それでは、スタート!」
辞めろ――!!俺がショックで虎のロボの中で昏睡状態になっちまう!
うあああああああ!!
続く?
ウホッ
終了でございます。続くかどうかは未定(プロットは考えてあるけど時間がない……)
ちょっくら前回までの分読み直してくる!
俺的に受け付けないssはハルヒや長門が古泉と付き合ってるっていう設定のだな
こういうのは大体付き合うまでの過程を書いてないよな
まぁハルヒと長門がキョンが好きっていう設定を崩せないからだろうけど
さすがに原作離れしすぎだろと思う
>>2 >>177 GJ。やっぱり長編とかも良いけど、こういう辛味の効いたネタがないと駄目だよな
>>189 少々オーバー気味ですが地の文がうまくて、読んでて飽きません、キョンがキョンらしい。
朝比奈さん腹黒ス!朝倉カワイス!
続きを是非とも読みたいですが、ノンケな人にアッー!な描写はかなり辛いですから、ご無理はなさらず。
>>170 >>178 ただ文句たれるだけと、酷評は別。
酷評のつもりでも、端から見れば
その酷評を酷評してやりたくなるね。
良い酷評を書くのは良いSS書くのよりも
難しいと思うんだけどね。
>良い酷評を書くのは良いSS書くのよりも
>難しいと思うんだけどね。
なに馬鹿な事を言ってるんだお前は。
>>2 今まで散々繰り返して来た議論なんだから、もう煽りと同位と見なして良いだろ?
無視しとけ、百害あって一理なしなんだから
>NN2ERGc0
つーかマジ、あんたが一番ウザいんですけど。
あんたが
>>2書いた人だってのはもうウンザリするほど理解してるから消えてちょんまげ。
議論の議論ほど無為なものはない、しかるに私は寝るぞ! 茉衣子くん、一緒にどうかね!
お断りします。
当てずっぽうで自信たっぷりに消えてちょんまげwww
つ
>>2
>>189 毎回朝比奈さんの黒さに萌えます。GJ!!
>>198 全身全霊全力を以てお断りさせていただきますわ。
またこのパターンか。いい加減学習しろよお前ら
一人が騒いで、スルー出来ない子が過剰反応
rxIzSkSpとNN2ERGc0をNGに入れて終了
荒らしはハルヒスレに帰れ
206 :
アスタリスク:2007/01/24(水) 22:00:56 ID:95VVDzhs
開始する。
実行。
終了。
あれだね。
言いたいことも色々あるんだけど、
事を起こした張本人だと何ともできないね。
みんなごめん
ハルキョンとかメジャーなSSだと批評少ないのに
マイナーなカップリングSSが投下されと酷評ばっかりってあんまりだ。
俺は表現力無くてROMってるだけだからSS書ける人は正直すげぇって思う。
批評するのは当然賛成なんだけど、批評と貶しは別物。
書き手は荒らしじゃない限り、自分の作品を貶されてスレが荒れるのは気分良くないと思う。
>>137も
>>189もGJです。
>>137の部長×ハルヒ面白いと思いますよ。
ちょっとの誤字くらいいいじゃないですか。脳内変換すればそれで構わないんだし。
ところで幻ハルヒは処女じゃないでFA?
>>189待ってた!結局エロ描写がなくてムスコが(´・ω・`)ショボーンてなったけど、レイプものはあんまり好きじゃないんでおk
色んなSS待ってます
長レス&マジレスしてすまない
落とされた作品についてあーだこーだ言ってる時間もまた楽しいものだ。
相変わらずこのスレは速くていいなぁ。
「涼宮ハルヒの憂鬱」のアニメ化を期に急加速したもんな
211 :
ワンダ×2:2007/01/24(水) 23:29:04 ID:Yt8c2ISt
小ネタ投下します
非エロ、断じてホモでない、趣味丸出しなのでご容赦を
212 :
ワンダ×2:2007/01/24(水) 23:30:05 ID:Yt8c2ISt
轟々と波打つような団長のリズムギターに乗せて、元文芸部員によるそれこそソニックブームを
起こしそうなくらい鋭利なサウンドが体育館一杯に響き渡たり、朝日奈さんと共に必死で
スコアを目で追う俺が見る限り、本気で成り上がったような気にさせやがるほどの満席だ。
そう――だよな。
妙に見覚えのあるОBの四人組に見守られながら俺は古泉のリズム隊と息を合わせて
ベースを踏み、熱くなり過ぎてモニターに近づく一方の団長の立ち位置を見るやミキサー
に繋いでおいたフットペダルでハウリング嵐を防ぎつつ、完全独走中の宇宙人が掻き鳴らす鉄弦が
いつ飛んじまうのかと半ば意味のない心配事を抱えつつ、パンクさえも壊しかねない今現在ステージ上で
溢れ返っているパワーに入り浸っている今日この頃、ていうかこの瞬間。
思えば去年の今頃は客席のあの辺りで呆気に取られていた自分が未だ記憶に新しいわけで……まあ
あれだ。 あのときに比べればよっぽど充実してるというのか、そろそろ平衡感覚が失われたきた
かどうかを今さら持ち出すわけでもなく、二十一世紀初頭に現れた異常気象を前にしてコンビニの
ビニール傘程度の気前ではとてもじゃないが平常心を保っていられないってことはもう十分すぎるほど
身に染みて痛感している。 色々あった、で表現できるほどちゃちな騒動ならまだしも妙な哲学に精通
しているわけではない俺に難しいことは聞かんで欲しい。
俺か? とりあえず今は退屈してないさ。
「先日のことで、そう――。 いっそのこと混沌を維持している方が楽なのかもしれませんが
仮に僕の仮説を覆すのもやぶさかではないと考えているんですよ」
知り合いの超能力者が舞台袖でスティックを握り締めながらそんなへ理屈をもらしたのは本番前。
「確かに涼宮さんが保有するとされている力が彼女の望む存在、この場合は」
宇宙人や未来人や超能力者、か。 オールスターと呼ぶにはある意味半端ではあるが暇人が集う部活に
してはゴージャスも甚だしい。
「いえ、この場合逆の説を取るのもまた観測者の自由とでも言いましょうか。 つまり我々は集うべくして
ここに在ると考えても別に不自然ではない。 むしろ観測者としてあなたを置いたとしても僕が駅前の
共学校でぶらついているのは今となっては寒気がするでしょうから」
それなら俺は反論しようか。 家系図のどこか一箇所が飛んでいたらお前はいなかったという、あの
詐欺に近い統計学さ。 何となく集まったものに運命感じてるっていうのは………あれはハルヒか。
古泉は目を合わせず、ただひたすら遠くを見ていた。
213 :
ワンダ×2:2007/01/24(水) 23:30:40 ID:Yt8c2ISt
デッキがハイビームを入れた。
客席が目をくらましている間に持ち場へと急ぐ、というのは間違いなくハルヒの案。
団長は正面へは出ず、代わりにダウナー系の宇宙人が約一名シールドを引き摺ってステージぎりぎりに立った。
刹那、変に攻撃的で妙に静けさを伴うソロが体育館内に響き渡った。
確か元ネタはヴァイオリンとかいっていた、テクニックを見せびらかすための技巧曲。 聴衆はそのオーラに
怯んでいるのか水を打ったように静まり返り、タンバリンを抱えた朝日奈さんは完全に引いていた。
ハルヒは、摘んでいるピックがへし折れそうなくらい気合を入れているのが遠目で解る。 常人ならば
ロボットダンスにでもなりそうな踏み込みを徐々に下げてゆっくりと歩を進める。 俺と古泉はスタンバった状態で
息を潜め、リードがディミニッシュを駆け上がった頂点で全員が一気に叩き落す。
「因縁と言うと少しニュアンスが違うかもしれませんが、要は集めなければならない面子がこれだけ超越した
プロフィールを持ち合わせていたのではそれこそアレくらいの規模でなければ到底不可能です。 長門さんは
たまたま情報生命体の一部として、朝日奈さんはたまたま遠い未来の住人として。 あなたの場合は言うまでも
ないとして僕なんかはそれこそ異能者として生まれ変わる羽目になったわけですが、本来なら接触自体
まずあり得ないメンバーがこうしている。 僕はこの出会いにそれなりに愛着を持っているで、その
方が見栄えする、と。 勝手な美学ですよ」
メタルとオリエンタルが入り混じった三曲目を終え、ここで編成の一部変更。
相変わらず重たいベースを担いでいる傍で古泉はマイク一本を携えて正面へ出ていき、軽音部から
ハルヒが拉致ってきた何名かが配置され、ステージは一度暗転する。
しばし静かになった。
………。
出だしのドラムで校務員がピクリと反応した日には少し笑えた。
微妙にツボが効いた、はねたリズムに乗っかって誰でもない俺に出番が回ってくる。 ハイでスラップ打ちを
入れた時点で古泉がちらりとこちらに視線を向けたので眼を飛ばしてやった。
やれやれ、場を読んでいないのかわざとやっているのかはさて置き。
んじゃまあ、せいぜい目立つようにやれよ。
「…………………」
出だしは、オリジナルに比べるとやけにソウルだった。
「……… baby's into running around , hanging with a crowd ――――」
「ああ、そうそう。 大事なことを忘れていましたよ」
俺を気遣っているつもりなのか、どこか安堵と諦めが入り混じった表情で。
「なかなか、いいコーヒーを淹れていますね。 僕も勉強しておいた方がよさそうだ」
よく響くアナウンスが、他人事ではなさそうな予定を告げた。
雨はまだ、しばらく止みそうにない。
>>211 うあああこういう雰囲気好きだ
GJGJGJGJGJ
>>211 書きたくないが誰かが書くだろうから私が書く。sageてくれ。
正直軽音はサッパリわからんが、伝わってくる臨場感と汗くさそうなのにスキッと爽やかな空気が実にステキだ。
「それ」についてリアルに書けるだけの趣味を持ってるっていうのは幸せですよ、ホント。
>>208 ちっちっ。カプの好き嫌いなんて低レベルな話をしてるんじゃないんだよメイチ君。
マイナーカプが叩かれているというのなら、あの鶴キョンSSに対する賛辞レスの数々を見てみるといい。
メジャーなカプは原作との摺り合わせが簡単であり、マイナーカプは難しい(だからこそマイナーなんだが)。
言い直せば、後ろからケリを入れればいいだけのカプもあれば、地球上で2人ぼっちになったってくっつきそうにないカプもあり、
後者のカプをくっつかせるためのつじつま合わせが強引すぎ、原作とのズレが大きくなりすぎれば、そのために酷評される。
もはやくっつきそうにないキャラ同士のカプになると、夢オチや劇中劇という陳腐な展開に頼るしかなくなってくる。見ての通りだ。
しかし、無根拠だが、どんなマイナーカプでも衆人納得の元でくっつく「答え」は、必ずあると信じよう。
マイナーカプスキーな書き手さんたち、他のカプ好きを宗旨替えさせてしまうような見事なSSを待っているぞ。
それと、誤字を正しいと思い込んで書いたのなら、それを書いた人の知識、底の浅さがわかろうというものなのさ。
と書いている私が上で思いっきりな勘違いをしていたのはナイショだ。
しかし最近、雑談や議論でほんとよく進むなー。
まあこういうのもおもろいけど。
俺は鶴キョンをメジャー派に組み込んでいますがなにか?
>>178 増長した読み手が増えたんだよ。
おいら誉められた事はあれ貶されたことはないけど、
スレの空気が嫌で投下やめたからさ。
自サイト作って沢山感想もらってる。
なんのかんの言ってここは2chだからな
雑音が嫌ならやらないってのは正解だろう
ただ止めたってのを書きに来る必要は無いがな
>>220 きっと、増長する自分を抑えるため、荒らしてくださいって頼みに来てるんだよ。
そう言ってくれると思ってたヨ。
神さまから自分みたいのが出るよりは、
へりくだっていた方がいいじゃないって言いたかったんだけどね。
悲しいね。
芸風変えたのか
224 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/25(木) 00:48:47 ID:LV6xQ1ma
219 名無しさん@ピンキー [sage] 2007/01/25(木) 00:30:43 Rdks1Iec
>>178 増長した読み手が増えたんだよ。
おいら誉められた事はあれ貶されたことはないけど、
スレの空気が嫌で投下やめたからさ。
自サイト作って沢山感想もらってる。
私の好きなカップリングは、マイナーというか異端なんですよねぇ・・・。
でも、同志が増えることを願って今日もSSを投下します!
今回は
>>156の電波を受信して書いたので、ちょっとアレです。
では、いきます!
227 :
国木田の遭遇:2007/01/25(木) 01:08:11 ID:10jDoqsu
いつものように部室に行くと、そこには長門・朝比奈さん・古泉の他に、見慣れない男子生徒がいた。
・・・いや、見慣れないはずなんだが・・・しかし、どこかで見たような気もする。誰だ?
「彼の名は山口。あなたのクラスメイトの山根と谷口が融合して誕生した存在。」
俺の思考を読み取ったように長門が言った。なるほど、確かにあいつら二人を足して2で割ればこんな
感じになるかもな。想像してもこれっぽっちも楽しくないが。
しかし、何でこんなイカレた存在が誕生したんだ?どうせハルヒの仕業だろうが。
「あなたの考えた通りです。彼を誕生させたのは涼宮さんです。」
分かった。分かったから古泉、俺に急接近して話すのはやめろ。息が顔に当たるじゃないか。気持ち悪い。
「これは失礼。さて、涼宮さんが彼を誕生させるに至った原因は二つあります。
一つは涼宮さんが、最近とあるカードゲーム漫画にハマッた事。」
原作が終わった後も、アニメなんかで続編が作られているアレか。
「もう一つは、山根氏と谷口氏によって涼宮さんが不快な気分にさせられた事。」
なるほど、それでか。俺は昨日の出来事を思い出す。
「あー!!もう!!なんなのよアイツらは!!」
ドバン!と部室のドアを開けるなり、ハルヒはそう叫んだ。
ドスドスと音をたてて歩き、激しい勢いで自分のイスに座ると朝比奈さんに向かって怒鳴った。
「みくるちゃん!お茶!!気持ちが安らぐ成分たっぷりでね!!!」
は、はひぃと返事をして、わたわたとお茶を淹れる準備をする朝比奈さん。
しかし、気持ちが安らぐ成分たっぷりとはまた無茶な注文をしやがる。
俺なら朝比奈さんが淹れてくれたものなら、例え白湯だって幸福になれるぜ。
「何よバカキョン、またバカ面ひっさげちゃって。どうせまたみくるちゃんでよからぬ妄想してたんでしょ!
このバカ変態スケベ!!」
何つう言い草だ。しかし、いつにも増してひどい言い草だな。何か嫌な事でもあったのか?
「アリアリよ!さっき部室に来る途中で忘れ物に気がついて、教室に戻ったら・・・!」
・・・戻ったら?
「・・・山根が私のイスの匂いを嗅いでいたのよ!!」
・・・俺はなんだかいたたまれない気持ちになってうつむいた。
山根が匂いフェチというのは聞いていたが、そこまで末期症状になっていたとは知らなかった・・・。
「それでフガフガしてて!思い出すだけで鳥肌が立ちまくりよ!さらにあんたのバカ仲間谷口が、
その脇で涼宮も性格さえまともなら超絶美少女なのにもったいないよなぁなんて偉そうに講釈垂れて!
あーもうムカツクイラツクー!!」
ハルヒは朝比奈さんがおずおずと持ってきたお茶を三秒で飲み干すと、「おかわり!」と言って
湯飲みを朝比奈さんに押し付けた。もうちょっと味わって飲め。バチが当たるぞ。
「うるさい!とにかく、もうホント最悪な気分なのよ!何か罰を与えないと気が済まないわ!!」
おや、あいつらに何もせずに来たのか。まぁ普通の女子がそんな光景に遭遇したら、回れ右して逃げるかもなぁ。
と、思ったが。そういやこいつは「普通」じゃなかったよな・・・。
案の定ハルヒはニヤリ、と笑って言った。
「いや、一応制裁は加えてきたわよ。谷口はリバーブローを打ち込んで前かがみになったところへ眉間にヒザ
を叩き込んでやったわ。山根には後頭部へシャイニング・ウィザードを食らわせたあと、投げっぱなしジャーマン
をしてやったわ。もちろん後頭部が奴自身のイスにぶつかるようにね。今頃ふたりでオネンネしているわよ。
特に山根は自分自身のケツの匂いに包まれていい夢みているでしょうね。」
女の子がケツなんて言葉を使うんじゃありません。
まぁそれはともかく、奴らには悪いが自業自得というものだろう。
警察沙汰にならないだけマシというものだ。
しかしハルヒはまだ怒り狂っていた。
「言っとくけど、さっきの制裁は前菜、オードブルみたいなモンよ!これから目一杯制裁を加えてやるわ!!
だけどあんなゴミ二人をまとめて相手すんのも時間のムダだしなぁ。あいつら一人に融合しちゃったりしないかしら!
ちょうど今読んでるカードゲーム漫画でそんなのあるのよね!魔法カードで融合!とかって!」
・・・なるほど、このあたりのせいか。
しかし、こいつらこのままって訳にもいかないな。長門、何とかならないか?
「対象の情報を分析し一度情報連結解除した後再構成することは可能。」
つまり、こいつを一度分解して山根、谷口に戻すことが出来る、ということだな?
「そう。」
悪いが長門、頼めるか?お前も乗り気じゃないかもしれんが・・・。
とその時、ずっとおとなしかった山口が急に顔を上げて呟いた。
「・・・来る・・・!」
何?何が来るんだ?というかこいつは何に反応しているんだ?
「彼には特殊な能力があるようなんですよ。」
古泉が説明する。いつものニヤケ顔が若干苦笑気味になっているのは気のせいではないようだ。
「山根氏は匂いフェチ、谷口氏は女性のランクを見分ける・・・。その二人が融合した結果、
かすかな匂いからでも美少女の存在を知覚できる能力を得たようなんですよ。
妖怪アンテナならぬ、美少女アンテナ、とでも言いましょうか。
ちなみに元々の能力も持っているようです。」
そいつはまぁ・・・何というか、ハルヒとは違った意味で変態的な能力だな。いや、言葉通りの能力、と言おうか。
しかし、誰がくるというのだろう?この部室に来るメンツで美少女なのは、あとはハルヒか鶴屋さんくらいなもんだが・・・。
そんなことを言ってる間に、山口の反応はどんどん激しいものになってくる。
「凄い・・・!AAクラスの美少女だ・・・!是非匂いを・・・匂いを嗅ぎたい・・・!」
・・・なぁ古泉、お前の能力の赤球をコイツにぶつけてくれないか?大丈夫、多分死なないから。
「残念ながら、ここでは使えませんよ。気持ちは分かりますがね」
「いやぁ・・・と、とってもこわいでしゅ・・・。」
朝比奈さんも恐怖でプルプル震えている。まぁ普通の女の子ならそういう反応するよな。
「・・・・・。」
ちなみに普通じゃない女の子である長門は、化学反応を見つめる研究者の目で山口を見ている。
だが俺には分かる。目の温度がいつもよりだいぶ低い。やっぱり嫌悪感を抱いているようだ。無理もないが。
と、コンコン、とドアがノックされた。この時点でハルヒと鶴屋さんという線は消えた。では誰だろう?阪中か?
そしてドアを開けた人物が顔をのぞかせた瞬間・・・俺は自分が焦るのを感じた。
「ねぇキョンいる?何か涼宮さんが呼んでたよ?山根と谷口がどこにいるか知らないかってさ。」
その人物は・・・国木田だった。確かにこいつはAAクラスの美少女だ。
しかし、こいつが女だと知っているのは俺だけ。というか、それがバレると・・・まずい、気がする。
具体的にはよく分からんが、ハルヒがらみで必ず面倒なことになる。
「?どうしたのキョン?何だか顔色悪いよ。大丈夫?」
心配してくれるのは嬉しいがな国木田、早く行ってくれ。事態がややこしいことにならないうちにな。
俺が目線にそうメッセージをこめて送っていると、国木田は少しはにかんだ素振りをみせて言った。
「な、何だいキョン、そんなにみつめて・・・。あ、とにかく涼宮さんの伝言はつたえたからね。じゃ!」
国木田はそう言って、俺のしか分からない程度の流し目をくれて去っていった。
去っていってくれたのはいいが、あいつの態度が妙だったことが少し気になる。
あいつ、さっきの俺のメッセージを誤解してないだろうな・・・。
とにかく、当面の危機が去ったことに安堵しつつ、皆の様子を伺う。一人を除いては気づいていないようだ。
「やってきたのが国木田だなんて・・・。俺の力はこの程度だったのか・・・?」
山口はがっくりと落ち込んでいる。そんなにショックなことだろうか。
まぁ俺には分からないプライドとかがあるのだろう。分かりたくもないが。
「まぁ元が元ですしね、こんなものでしょう。命中率が低いからと言って、さして世の中に影響を
与えるようなものでもないですしね。」
まったくその通りだな古泉。今回ばかりはお前に同意だ。
「ふえぇ・・・。ちょっと驚いちゃいました。てっきり山口さんは、そ、そっち方向の性癖も
持っていらっしゃるのかと・・・」
勘弁して下さい朝比奈さん。そんな性癖を持っているのは古泉だけで十分です。
そして問題の人物。この場で唯一国木田が女だと知っている人物は・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
その人物・・・長門は、さっきから俺のことを凝視したまま視線を外そうとしない。
心なしか、瞳にいつもより力が篭っている気がする。
なんというか、「国木田が女だということは知っていたけどさっきの流し目はどういう意味なの説明してよね。」
・・・という意志が目から感じ取れる気がする。
いや、これは俺の自意識過剰だろう。そうだ、そうに違いない。そういうことにしておいてくれ。
俺はまだ視線を外さない長門に後でどう説明をしたものか、そして、これからの事を考えながら、小さく呟いた。
やれやれ。
以上です。
本当は本番を書いて終わらせようかと思っていたのですが、もうちょっと書いてみることにしました。
>>18氏のような正統派の方の物のあとだと、自分のようなイロモノはどうかと感じてしまうのですが、
しかし、同志を増やすためにも精進したいと思います。
「このSSを読んだせいで国木田が女にしか見えなくなった。責任をとってほしい。」
「いや、国木田も結構いけるんじゃね?」
「俺はもう国木田でしかハァハァできない。」
「よし!俺も国木田のSSを書いてやる!」
・・・という流れがでるようになったら嬉しいですね。ではー。
終わりだったのか
>>232 GJ!女性化国木田が可愛すぎる
もうシリーズ化しちゃいなYO
つーか山口邪魔。早く国木田(♀)SS投下してくれええええ!
その昔、透明人間になれたらどうする、という誰でも一度はしそうな会話をした事があった。馬鹿な男子は声を揃えて言う。好きな子の家に侵入。何と言うか、哀れだ。
でも、もし。本当に透明人間になれたら……いや、なってしまったら、俺はどうするのだろう。
彼女は、どうするのだろう。
「まだいたんだ」
俺は振り返らずに、ぶっきらぼうに答える。その様子に彼女は小さく溜息をついた。そっけないなぁ、何て言いながら。
教室の窓から見える夕日は、もう半分以上沈んでいる。聞こえてくるのは、クラブの連中の掛け声だけ。教室の中は静寂に包まれる。彼女は俺の側にある椅子に、音もなく腰掛けた。
「本当はね」
「ん?」
「あなたが……欲しかったのかもしれない」
俺は答える言葉が見つからず、視線を宙に迷わせる。そんな告白、誰も嬉しくないぜ。
彼女は可笑しそうに、でもどこか儚げに笑う。こういう所、ずるいと思う。その長く、綺麗な髪が風と戯れているのを横目に見ながら、俺は小さく溜息をついた。綺麗だ。
そんな俺の視線に気付かずに、彼女は鼻歌を歌いながら窓の外を見つめている。
「なあ」
「うん?」
「……いや、何でも無い」
「なにそれ」
「すまん、気にするな」
俺は頭を振る。馬鹿か。今更そんな事聞いたって、どうしようもない事なのに。ああちくしょうもう一度刺されたほうがいいかもしれんな。
それからは、ずっと無言のままだった。ずっと、曲名の分からない鼻歌を歌い続ける彼女と、それを聞きながらまどろむ俺。
もし、もしもの話。彼女がごくごく普通の、本当に平凡な少女だったら。俺は彼女とこんな風に話していただろうか。案外、俺は彼女に恋していたかもしれない。していないかもしれない。
それはもう想像の中での話だ。無駄、無意味。だけど、頭の中はそんな無意味に染まっていく。
俺は、後悔しているのだろうか。あの時、襲われた時はいっぱいいっぱいで、考える暇なんてなかったけれど。きっと長門に言えば笑われるのだろう。くだらない、なんて一言で終わりそうだ。
と、突然彼女が音もなく立ち上がった。
「今まで、ありがと。未練なんて、無いと思っていたんだけどなぁ」
そう言うと、彼女は小さく微笑んだ。俺は。
「こんなとこ長門さんには見せられないなぁ。笑われちゃうね」
ごめんね、ともう一度謝る彼女。俺は。
「……次に会う時は、どうなってるかな? クラスメイト? 幼馴染? 案外、恋人だったりして」
なんてね、と悪戯っ子みたいな表情を浮かべる彼女。俺は。
「……もう、泣かないでよ。あなたが気にする事無いんだから」
「……すまん」
「ふふふっ。でも、嬉しいな。ありがと。ほんと、今度会う時は恋人がいいなぁ。予約ね」
「勝手に言ってろ」
「ふふっ。そうする。あーあ。透明人間生活もお終いかぁ」
「こっちは大変だったがな」
「そう? 案外楽しんでなかった?」
「そんな訳……無いだろう」
「ふうん? ま、そういう事にしておいてあげる。あ、最後に」
「ん?」
ゆっくりと、スローモーションのように、彼女の顔が迫ってくる。触れるか触れないか、微妙な、キスとも呼べない行為。まだあと一歩踏み出せば、触れてしまいそうな距離。
「ちゃんと、伝えるんだぞ。約束、ね?」
「ああ……わかってる」
「よし。じゃあ、またいつか……ばいばい」
ゆっくりと離れていく彼女の気配。俺は俯いた顔を上げ、彼女の名前を呼ぶ。呼んで、どうしようとかは考えていなかった。ただ、最後に言いたくて。
「朝―――」
「あんた一人で何やってんの?」
俺が声を上げたのと、ハルヒが教室に入ってきたのは、まさに同じだった。
激しく半端スマソ。仕事の為に寝るのじゃ。
TSものは801板なりに行って欲しいなあ
いやなら読み飛ばせばいいと思う。
職人さんも前注意をかけばいいと思う。
以上。
>>216 ここのスレはとてもじゃとてもじゃないが書き手は豪腕SS職人以外は寄り付けないと思う。
それにそもそもスレ住民自体もそういった豪腕SS職人以外はお呼びでないかと。
実質今ここのスレは書き手5〜6人くらいで回している感じじゃね?
加えて最近は小ネタ系よりも20〜30レスくらい擁す大作爆弾投下型が増えているし。
そんな大作一朝一夕で描けるわけないし、自然と投下間隔も開くだろう。
良し悪しは置いておいて、雑談や議論で進むのは当然の流とも言えるな。
それでも定期的に作品投下はされているし、秋口の頃と比べるとかなりマシ。
まあ確かにTSネタは人によっちゃ好き嫌いがあるのだろうが、個人的これにはGJ送りたい。
単なるイロモノかと思いきや、キョンのモノローグがしっかりしていてきちんとキョンらしいし面白い。
ネタも個人的にはウケる。山口ワロスw何だその特殊能力w
TSネタは801板とかどんな俺ルールだよ
2ちゃんの暗黙の常識だと思っていたが?
何でもそうだけどやりすぎなきゃいいんだよ。
もうさっきみたいな殺伐とした空気はしばらく止めてほしい。
TS含め801ネタは板ルールでは禁止されていない。
投下の前置きで注意を促すのが一応は投下マナー。
ただ、前置きすると結果ネタバレになってしまうので、難しいとこだ。
>>226 本当にSSにできるところがスゴイw
ただ本人たち(?)はあまり悩んでいないようだが。
国木田が女だとすると……「キョンは昔から変な女が好き」って、サテどういう意味なんだ?
しかし、ハルヒが知らずに今度は山口と国木田を融合させてしまったら両性具有に……うえっぷ。
>>235 殺されそうになった相手とも「やれやれ」言いながら仲良くなってしまえるキョンこそ我らがキョン。
けれど前フリと内容とがあまり合ってないような気が。
単語の限られる短短編ですし、「透明人間」よりは本当に「幽霊」を使ったほうが、切なさ割り増しだったと思う。
>>242 あのくらいで殺伐だとみなされると困るんだがな。
そもそも、殺伐の最中にこれだけ投下されてるわけなんだけど。
>>204 「ふむ、では教えよう。この行為に意味など全く持ってない!場を盛り上げる為の単なる雰囲気作りだ」
「なるほど、それが班長の辞世の句なのですね」
久しぶりにきたら殺伐とした雰囲気だね
投下しづらい
投下してほしいな〜
ここにいて思ったことは書き手も読み手もまさに十人十色だってことだ。
細かい嗜好なんか当然ばらばらなんだから、それを狭めるような発言がなければいいんじゃない。
>>245 ってわけで遠慮なく行くんだ!
そういや保管庫ってまだ更新されてないんだな。
ここのところの投下ラッシュで、管理人さんも大変なのかな?
「おつ」と言ってもらいたい管理人の自演が始まりました
>>218 喜緑さんバージョンってバラードだったよね?
それって再生速度あげてカラオケ版に重ねたやつってことか?
>>247 なにゆえ歌と動画がズレとるのだろう……
京アニすげえな。相変わらず気持ち悪いくらいによく動くw
>>245 投下し辛い、と少しでも思ったら投下しないほうが吉。
よっぽどの超作でもない限り、必ず粗ばっか探したイチャモンレスが連発するから
そもそも投下し辛い、とレスや流意識しちゃう作者が投下できるような場所ではない。
プリン、キャラスレ等代替出来る所は幾らでもあるんそっち側も過疎って訳でなく活性しているんだから
投下しづらいと思ったら、取りあえずはそっちに投下してみる事をオヌヌメ
>>252 エンコードミスだと思う
ズレてない奴も有ったよ
粗捜しはタチ悪いよね。批判するだけして場の空気が悪くなってもお構いなし。
文芸板みたいに一文を取り上げて「この文がどのように駄目か」論理的に説明してる文章ならともかく、
素人の書いた文章粗探して酔ってる奴見ると虫酸が走る。
スレの空気を悪くするような批評ごっこはやめてほしい。
その辺の自己正当化が妙に上手いのも含めて批評家ごっこ
どうしようもないんだからスルーしとけって。相容れない事は上の流れで学べたはず
部長はせっかくの幻・ご都合ネタだったから、
さらに長門、朝比奈さんと絡ませてくれたらよかったかなぁと思ったり。
完結もよかたよ。アッーはさておきw
国木田は新境地ですね……自分は苦手気味ですが、なんか読んでしまった。いいかも試練
批評家ぶるってのとはまた別だと思うんだが。
まず最初に叩きたいって意識が沸き、そのために理由を後付けする。
最近のいい例だとハルヒ×部長の奴だな。
カップリングが気に食わないから叩きたい→叩くための理由を探そう!
ってな逆転現象が起こっている。
GJばっかのレスも気持ち悪いけどな
>>18の人やアスタの人がハルヒ×谷口、長門×部長、キョン空気な話を書いたら、
批評家ごっこの子はどんな反応するんだろう。やっぱ無理矢理叩く材料を探しだすのかな。
面白そうだからやってくれないかなw
偉そうな批評も、それに対する気持ち悪い過剰反応も、鬱陶しいという点では一緒だな。
なんか蒸し返したみたいですまなんだorz
ところで推敲ってどれくらいの時間かけてる?
自分の場合確実に執筆時間より掛かってる。
一応、必ず1日寝かしてから推敲するようにしてるんだけど、
3レス分くらいでも推敲するたんびに修正点が見つかってなかなかまとまらなかったりする。
ここに投下するのはやっぱ時間かかる。
だからというわけでもないがついVIPを使ってしまうなぁ。
実力足りてないのは自覚済みだし。
>>245 まだ2ちゃんねる慣れしてない人はアニキャラ板にでも行くがよろし。
殺伐とした空気を一変させるような作品プリーズ。お前が舵を取れ。
>>258 人の行動を見て、「お金がほしい(がための行動だ:引用注)」「売れたい」と解釈するということは、
自分が「お金がほしい」「売れたい」と常日頃から考えているということだ。
言い換えれば、もっと深遠な動機がないということになる。
しかも、それを周囲の人みんなの前で暴露していることになる。
(中略)
人間は単純な欲望だけで動いているのではないことをしっかりと知るべきだ。
それ以上に、高邁な思想に基づいていると解釈するほうが、ずっと知的だということも知る必要もある。
たとえ外れていたとしても、欲望で行動している背後にある、もっと深い哲学を解釈するほうが、知的に見えるものだ。
(樋口裕一『頭がいい人、悪い人の話し方』PHP研究所,2004。改行引用者)
>>263 偉い!見習いたい。
書き上げたら即投稿したがるせっかちな心を抑え、敢えて1日置けるとは。
私の場合、執筆時間が週単位とはるかに長い代わり、推敲は体裁整えたりしているときだけ。
そのため毎回、投下した後でミス発見して頭かきむしっている……。
ただ、推敲に時間をかけて修正をかけまくったSSが何故かスルーされ、
思いつきで書いて大して見直しせず書き込み押したSSがマンセーされることもままあるので、
推敲する際は、「最初にそれを思いついた感性」というものも、推敲の要素に入れておくべきでしょう。
>>259 じゃあ
>>18氏の作品に対する反応は気持ち悪いって事だな。
50レスくらいずっとGJばっかだったぞ。
GJ連発するかどうかは詰まるとこ作品次第だろう。
>>260 いや、むしろ「谷口オンザグラウンドゼロ」でw
ようするに作品以外の長文はスルーすれば良いだけの話
なんかこの人の本って、文章からものすごいキモオーラが伝わってくる。
バニーさんが萌えだとか、巨乳が萌えだとか、
あとインタビューの顔写真から察するにおそらくは学生時代恋愛をやりたくてもできなかった
であろう負け惜しみをハルヒという萌え美少女キャラを使って言わせてたりとか。
小説とかってのは自分の願望を吐き出すものだろ
振り付けが素早すぎて目で追えないのですが…
しかしハルヒいい表情してるな。
しかし何だ、長門も満更でもなかったみたいだな。
「ヌレヌレだった」
……は?
「涼宮ハルヒからの指示。もっと激しくヌレヌレに、と。だからわたしは激しくヌレヌレになった」
え、あ、ああ。なるほどノリノリって事か。
「違う。激しくヌレヌレ」
「ああ、言ったわよ。もうヌレヌレになるぐらい激しくって。それが?」
こいつが元凶か。すまん、長門。
誤爆なのやら板違いなのやら。
>>269 >インタビューの顔写真から察するに
村上春樹大先生を思い出したw
あんなすごい小説書きまくってるのにのっぺり平凡顔なんだよな、村上先生。
といって願望充足小説じゃないのなんて言ったら、世界中のハルキストに殺されそうだが。
板違い話スマソ。
創作は全て変態である
by タモリ
古泉とキョンのキャラソンジャケ来てるな。
マジでどんな歌になるんだろ…
雑談は本スレ行けば
ここで雑談して充電したいという気持ちも分かるが程度にもよる
香ばしいな
お前等コスプレ物のAVでも観て落ち着こうぜ
∩___∩ |
| ノ\ ヽ |
/ ●゛ ● | |
| ∪ ( _●_) ミ j
彡、 |∪| | J
/ ∩ノ ⊃ ヽ ハヒル
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
うん、それ無理
ハヒルでのキョン君の滑舌の悪さにげんなり
とりあえず、やっぱりここに投下するのが一番おもしろいよ。
一度だけ中編くらいのをVIPに投下したことあるけど、
なんか他の作品と全く同じような反応だったから虚しかった。
まあ、特定できないから言っちまうけど、俺の前後に投下されたのと比べて、
もう間違いなく確実に俺の方がうまかったはずなんだけどなw
ここは確かに他のSSスレよりレベルが高いかもしんないけど、作者が調子こいてるのが嫌な時がある。
良く言えばプライドが高いって言うの?
スルー
作者同士で馴れ合ってるよりはよっぽど良い。
面白いならば何でも良いよ。
〜〜と比べて、何て意味ないでしょ。
>>284 昭和の大名人と言われた古今亭志ん生の言葉を送ろう
自分と相手を比べて自分の方がうまいと感じたら自分はその人より下手
自分と同じくらいだと感じたら向こうの方が上手い
ちょっとだけ上手いと感じたら格段の開きがある
>>285 ×作者が調子こいてるのが
○住人のレベルが低いので
名言だよな。互いに顔が見えてる状況じゃないとあてはまらん気もするけどさ。
>>284の気持ちはわからないでもない。
ここに入る際には免許証で年齢認証でもするかね。自動販売機みたいに。
ただまぁ、認証機がついた自販機が一番たくさんあるのは虎ノ門の森ビル付近なんだが。
投下しにくいとかいうレベルじゃねーぞ!
俺ずっと
>>245の投下待ってたんだけどさ
これって恋かもしんない
無駄にだべってる他のスレから来た人って民度低いよね……。
このまま在日のように居着いちゃうつもりなのかしら。
誰が投下しにくい雰囲気作ってるのか、鏡を見て欲しいな。
愚痴るならチラ裏に書けばいいのに、なんでわざわざ公共の場に書き込むのかね。
はっ……もしかして噂に聞く、スレ間で抗争を勃発させようとするヲチ厨!?
なーんてね。
さて私もアニキャラに戻ろっと。
まぁ、原作超えてるとか簡単に言えちゃう人が居る時点でアレでしょ
ここで流れをきって,
涼宮ハルヒの○天国の続きマダー
確かに、原作とSSじゃけっこう書き方変えないと駄目だもんな。
本当に原作に近づけて書くと、短編のつもりが異様に長くなっちまうし。
それだとSSとして読みにくい。
ほぼ強制的に「短くまとめる」ってことが求められる。あくまで原作と比べてのことな。
ある程度最近の長編(勝手に40レス以上のものと考える)の、
「ラスト・ラプソディ」「北高を出よう」「非単調ラブロマンスは微睡まない」でも、
読むのに掛けた時間は、原作の短編の中の短いやつと比べても同じくらいかそれ以下。
その中に原作の長編と同じくらいの内容を詰め込むとなると、確実に原作と相違が出る。
すまん、長くなりすぎた。大いにスルーしてもらって構わん。
300 :
412:2007/01/26(金) 00:21:07 ID:r4ysZMcy
誰か鶴屋GODネタで書いてくんないかな
名前消し忘れたorz
>>299 超長編投下はVIPが最適だと思ってる俺。
ここは長編までかなぁ。
>>302 VIPの方がまとめも見やすいし、住人の反応も良いからねえ。
ここ用の超長編書くとなると、もう何ヶ月掛かるか想像を絶するな。
推敲の推敲に推敲と推敲を重ねああもうどうでもいいや。
>>296 ていうか、あんたもその一員だろうがw
大体、ここのスレは評価シビアだから投下するのは一部凄腕の人のみだし
それに何日か投下せずに置いておいて推敲も十分にしてからじゃなくちゃ投下できんだろう。
推敲足らず、技量不足の作品が出たらそれこそ投下した瞬間格好の標的。
だから投下頻度が少ないのは寧ろ必然。そこまで極端に雑談関係ないだろ。
雑談禁止では丸1〜2日くらいレス無しの日がでてもおかしくない。
けどその分、確かに全体的な質は高いかも。特に最近は。
つーか、投下頻度少なくても良作率多という展開はここの住民が望んでいた展開じゃないのか?
「数」を求めるなら多少の駄文・未熟作にもある程度柔和に対応して許容しなてはならないぞ。でないと「数」は集まらない。
でもそれは嫌なんでしょ?
それで投下頻度の事で愚痴っているなんて何かワガママだなあ。
そもそもSSを投下する場所が複数あるってのがすごいことw
>>303 ここの書き手は、その変わらない反応が嫌だからここに投下してるってのもでかいと思うよ。
って、何でこんな短時間でこんなに書き込んでんだ俺orz
もうおとなしくROMってます。
↓↓↓↓↓ここからSS投下を待ち侘びる時間↓↓↓↓↓
pinkなのに若さ溢れる流れが続いてるな
あー途中で送っちゃった。まあいいか
この前VIPのハルヒスレ見たらGJ!乙ばっかで爆笑したな
面白い話だったが、読者のチンカス達は感想も書けないのな
だからみんなエロパロにどんどん投下しようぜ
>>312 この発言で離れる書き手はいてもくる書き手はいないと思うのは俺だけ?
314 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 02:13:19 ID:FsMYLKd8
今まで小ネタしか投下せずその後の批判を見ない俺は勝ち組?
まぁ臆病なだけだけどなww
質問。超長編っていうと、具体的には何行、あるいは何KBくらいかな?
>>313 そんなことよりも俺は長門が大好きさ。
長門はキョンのことが好きだけどな……
大学の卒業関係が一段楽したから久々に来てみれば
ssは相変わらず面白いのが多いのに対して
くだらねぇ住人が増えたな
>>320 前の方が多かったでしょ。
お前が来たことでくだらねぇ住人が一人増えてしまったことだけは間違いなさそうだが。
仲がいいのは分かったからもう止めれ
>>316 個人的なくくりでしかないけど、短編20kb、中編70kb、長編130kb以内くらい?
もうそっから先は文庫にできるようなサイズだしw
>>320 うっとこの大学は今学期単位を取らなきゃいけないと、3月中旬までまったく予測もつかないぜ。
しかも全く不服申し立てができないっていう…オワタ\(^o^)/
誤爆しすぎwww
お前亜細亜大でボコるわ・・
スレが伸びてるから(ry
お前ら雑談したいならVIP行けよ
>>312 プリンは投下しやすさを売りにしてるからあえてそういう雰囲気作りをしてる。
別の板に「本音スレ」ってのがあり、批評はそこでやるようになってる。
GJ連発なのはこのスレとは両極端だから確かに違和感はあるだろうけどw
本音スレでも作者が「書き手を考えて発言して欲しい」とか乗り込んでて、は?と思わなくも無かったが。
VIPの方は住人全体がよくも悪くも2chズレしてない感じだ。
VIPは平和だ、他所は殺伐として嫌だね〜って意見を良く見るし。
書き手がマルチを相手にして「嵐と見抜けなかったから責任取って断筆する」とか、なんか変な感じ。
単に本スレが荒れてないだけで、総合するとどこも同じだよな。
>>263 出来上がってからの推敲はなぞるくらい。
なんかいちいち振り返っては直したりしてるせいか、なかなか話が進まなかったり。
おかげで没が多いw
プロットなしで勢いで書くのがいけないのかも。長編が上手く書けないんで小ネタと短編ばっかだ。
>>330 ようするに自スレマンセーしたいだけだろ
いい加減この話題うざいから投下あるまで黙ってろよ。それでもしたいなら避難所でも作ってやってろ
とりあえずみんなおおお落ち着け
>>330 そう言えばいたなwwww正論で批判されてなぜか騒ぎだした馬鹿な書き手wwww
なんのための本音スレだよって思ったwwww
投下します。
エロなし。朝比奈さんメインで。
25レスほど。
扉を開けると、そこには雪山が広がっていた。
………などという書き出しから始めると純文学作品のようで、なんとなく良い話になるような気がする人もいるだろう。
………だが現実ってのはいつだって厳しい。
どうせ今回もいつものように、朝比奈さんが涙目でオロオロし、長門が人知れず頑張り、古泉がにやけ顔を浮かべながら解説し、
そして俺が巻き込まれてクタクタになる話になるのだろう。
全ての原因であるあの馬鹿姫様は、その間ずっと教室でお休み中だ、ちくしょうめ。
ちなみに聡明な方は大体予想がついていると思われるが、俺が開けた扉には大きな文字でSOS団と書かれてあり、
この建物はわが高校の部室棟であり、この部屋はどう考えても我等が愛しの文芸部室なのである。………やれやれ。
偽性雪山症候群
話は今日の朝、HR前ぎりぎりの時間になって、低血圧の人が深夜に間違い電話で起こされた時のような
機嫌悪そうかつ寝不足そうな顔で、涼宮ハルヒが登校してきた時にさかのぼる。
「昨日の夜中ね、深夜映画を観たのよ」
うん、なんとなく文化祭前の会話を思い出すな。てか、また映画を撮ろうなんて言い出すんじゃないだろうな。
言っておくが、あんまり朝比奈さんに迷惑かけるんじゃないぞ。
「………うるさいわよ、馬鹿キョン。大体、ああいうのは適度なインターバルを置いて制作発表するから話題になるんじゃない」
制作発表前にだっていろいろ準備が必要なんじゃないか?とか思ったが口には出さないでおく。
確実に厄介なことになるのが分かっているからな。沈黙は金なり、うん、いい言葉だね。
「そのせいで、今日はもう朝から眠たくて眠たくて………、あーもうダメ、HRと一限目あたりまで寝るから、
休み時間になったら起こしてちょうだい。団長命令よ」
ハルヒは、そうやって一方的に自分の言いたい事だけまくし立てると、こちらが反論する前にグースカ寝息を立てだしやがった。
その眠りに入るスピードは、俺にネコ型ロボットに助けられるダメ小学生を連想させた。はたして後200年弱で感情制御機能つき二足歩行型ネコ型ロボットは人類によって完成するのだろうか、
などとどうでもいい事を考察しながら、まあこいつがこのまま寝ていてくれるのなら、今日は何事もなく平和に終わりそうだなあ、
と儚い夢を見る俺であった。
………本当に儚かった。
―――休み時間になった。俺は古代ギリシャの奴隷のように、命令通りにハルヒ国王様を起こそうとして、
「あんたは団長様の起きたいタイミングってやつも分からないの?使えないわねえ」
と、ギリシャ国王もびっくりの不条理発言を食らった。おまけにこの暴君は即効二度寝に入りやがった。
………こんちくしょう。
俺がマジックを探しながら、後ろでいびきをかいている暴君の額に書く文字を考えていると、国木田が近くに寄ってきた。
「キョン、お客さんだよ」、と言われたので教室の出口を見てみると、にやけ面したハンサム野郎が
こっちに向かって手を振っていた。
………この時点でもう何かに巻き込まれるんだろうなあ、と言う確信が抱けるようになったのは、
はたして進歩と言えるのだろうかねえ?あと、谷口が蹴りを入れてくるのはどうしてだ?
いろいろ空しくなりそうなので、それらについては答えを出すのを放棄して廊下に出ると、古泉が開口一番、
「まずいことになりました。とりあえず部室に来てください」
予想的中だ。頭の中で鳴り響く、諸行無常の鐘の音。結局、空しい気持ちを味わう事になるのは変わらないわけである。
そして古泉と二人で周りの注目、何故か男どもが多かった、………恐ろしい、を浴びながら部室に行き、
なぜか部室前で本を読みながら佇んでいる長門に朝の挨拶をし、部室の扉を開けたところで冒頭のシーンに戻るわけである。
「なるほど………、ではその深夜映画が今回の事態に何らかの形で関係している、と考えた方がいいのでしょうね」
俺が今朝のハルヒとの会話をかいつまんで説明すると、古泉が嬉しそうに解説を始めやがった。先ほどの男どもの視線を考えると、
あまりこいつとは一緒にいたくはないのだが………。まあ長門もいることだし、いきなり襲われる事は無いだろう、………多分。
「つまらない映画を観る、というストレスに睡眠不足というストレスが新たに加わり、イライラが溜まっていた所で、
映画制作という解決方法があなたから出た。………にらまないでください、あなたにその気がなかったのは分かっていますよ。
ただし、その方法も次の文化祭での制作のため使えない。ならどうすればいいのか? 簡単です。
現実で無理なら、夢の世界で、自分の理想とする映画を作り上げればいいのですよ」
「それは考えすぎだろう。まあ仮に正しいとしても、だ。寝不足が原因だってんなら今ハルヒは眠ってるんだし、
しばらくほっとけばこの部屋も元に戻るんじゃないか」
僕の世界は寝不足で滅びました、とかどう考えてもいけてないキャッチコピーだしな、いくらあいつでも、
現実世界をそんな三流映画みたいな結末にはしないだろう。
「その方法は推奨できない」
今まで置物のように黙っていた長門が急に喋りだした。そういえばこいつは何をしに部室まで来たのだろう。
もしかしてこいつも古泉に呼び出されたのだろうか。
そんな事を考えていると、いきなり予想外の言葉の爆弾が投下された。
「朝比奈みくるが既にこの空間に巻き込まれている」
………役に立たないから呼ばれていないだけだ、と思っていたのに、実は既に巻き込まれていたのですね、朝比奈さん。
あなたはいつも俺の予想の斜め上を行きます。
「あの馬鹿をたたき起こせばいいってわけにはいかないのか」
「その行動により、現在の部室内の異空間がどうなるかの予測がつかない。また、それは涼宮ハルヒが自然に目覚めた場合でも同じ」
………うん、最悪だ。
「じゃあ朝比奈さんを助けるためには、この中に突入するしかないって事なのか?」
「そう」
頷いた後、長門は決断を求めるようにずっとこっちを見つめている。
古泉に目をやると、僕はあなたについていきますよ、と言われた。………自分の意見を持たない現代人め。
口には出していないが、おそらく長門も俺についてくる気だろう。決断するのは俺、行くか、行かざるべきか、それが問題だ。
ただまあ、向こうに朝比奈さんと言う人質がいる限りこっち側に選択肢と言うものは存在しないわけで………、
「とりあえず、帰ってきてからハルヒの額に“肉”と書く事にする」
………そういう事になってしまった。こらそこ、古泉、嬉しそうに笑うな。
さて、部室の中は1m先も見えない猛吹雪である。しかも入って来た時に使った扉は閉めた瞬間に消滅した。
どうやら俺達は、ハルヒが目覚める前に、朝比奈さんを探し出すだけでなく、この世界の出口も探し出さねばならないらしい。
………来てしまった事をいきなり後悔する俺であった。
ちなみに俺達は制服姿のままである。寒さは長門が何とかしてくれているらしい。
突入前に、長門は俺と古泉を交互に見てから、何かをあきらめたような顔で、持っていた本を短針銃に変化させ、
説明も何も無しに打ち込みやがった。
「………」
いや怒っているわけじゃない、感謝はしているんだぞ。ただ、いきなりはびっくりするから、これから何をするかくらいは、
話してくれても良かったんじゃないかなあ、と思っているだけだ。
「………そう」
視線が痛い。空気も痛い。
「………ところで、結局昨日ハルヒが見た映画っていうのは何だったんだ?」
話題を無理やり変えるための質問だったのだが、よく考えると、これは突入前にしておくべきやつだったな、すまん。
でも俺だって動揺していたんだよ。
「知らないほうがいいと思われますが………、」
古泉よ、どうせもう解決するまで戻れないんだ。だったら知っておいた方が良いだろう。
「八甲田山」
………世の中には知らない方が良い事もあるんだぞ、長門よ。
幼稚園の頃読んだ童話の蝙蝠の様な変わり身の速さを見せつつ、頭を扇風機の弱風あたりの速さで回転させた俺は、
やがて悲劇五割ギャグ五割ぐらいの、ある結論にたどり着いた。
「要するに、俺達は今、遭難しているんだな」
「そういう事になるでしょうね。でも分かり易くて良いじゃないですか」
………何が分かったんだ、大ピンチだっていう事か、嬉しくねー。
「涼宮さんは完璧なハッピーエンドを好みます。だからあの映画で死んだ人がいる事が気に入らなかったのでしょう。
要するに僕達は、朝比奈さんを助けてから、誰一人欠ける事無くこの山を降りればいいのですよ」
そんな簡単にクリアできるものなのかね?まあ、どちらにせよ、朝比奈さんとは合流する必要があるだろうが。
「長門、朝比奈さんの位置はわかるか?」
俺の言葉に長門は頷き、そのまま歩き出そうとする。ついて来いという事なのだろうが、
こんな吹雪の中でそんな早足で歩かれると見失ってしまうだろうが。
見失わないように手を握り締める。あくまで見失わないためだ、他意は無いぞ、他意は。
長門が不思議そうにこちらを見上げてきたので、
「あーと、こんな場所ではぐれたら困るからな………、迷惑か?」と、尋ねると、
「別に、いい」
………気のせいか、嬉しそうな声でそう答えた。
長門とつないでいる方とは逆側の手を握り締めてくる古泉の存在を、全力で意識の外に追い出しつつ、
一歩先も見えないような吹雪の中を進もうと足を踏み出した時だった。
「んあ?」
そりゃあ間抜け声も出るだろう。いきなり吹雪が止んでいたんだから。山の天気は変わりやすいとは言うがあまりにひどいだろ。
空は快晴、太陽の自己主張が激しすぎるなあ。
「どうなってるんだ?」、と目線を空から長門に移そうとして、
「おが?」
―――目下に広がる見渡す限りの大雪原の中で、熊の集団がじっとこちらを見ている事に気がついた。
「おい、こんなシーンあるのか、あの映画!」
思わず叫んでしまったが、よく考えたらあの超監督が、元の映画を作り変えないわけが無いんだよなあ。
冬眠しているはずの熊をわざわざ起こしやがったのか。うん、額に肉だけでなく髭もセットにつけよう、
出血大サービスだ。………無事帰ることができたらの話だが。
古泉も俺も完全に固まってしまっている。二人とも頭の中は真っ白だ。おそらく冷静なのは長門くらいだろう。
「あれら一体一体が持つ力でこの時空間の連続性が絶たれている」
長門さん、わかりやすく頼みます。ただでさえ今の余裕の無い俺には、爬虫類レベルの理解力しかないんだから。
「あれら全てを倒さないと先に進めない」
………いや、少なめに数えても10匹以上いるんだが。まあ、見ているだけで、今すぐ襲い掛かってくるわけではないらしい所が、
救いといえば救いなのかもしれん。
「あの熊は、『機関』がいう所の神人と同系列の存在」
長門が古泉の方に視線を向ける。そういえば古泉、いつまで手を握っているんだ。
「古泉一樹、あなたはあの時の力が使えるはず」
古泉はその言葉にビクリと反応し、やっと握っていた俺の手を離した。
いやいやいや、お前等はいいかもしれんがな、俺は何の力も無い一般人だぞ。このままだと冬眠中の彼らの
貴重な栄養源になる事間違いなしだ。………どうせ死ぬのなら、せめて畳の上が良いんだがな。
「任せて」
長門の言葉が心強い。
「あなたの能力を一時的にわたし達と同レベルまで上げる、腕をだして」
いや、戦わないと言う選択肢があるのならそちらを選びたいのだが………、ほら、安全保障とか、
動物愛護とか、いろいろ、ねえ………、
「………」
長門は氷漬けにされたマンモスの赤ちゃんのような目でこっちを見つめてくる。何も言ってはこないが、
たぶん腕を出すまでこのままなんだろうなあ。
「………」
無言のプレッシャーに負けて腕を差し出す。古泉、何を笑っているんだ。
長門は俺の腕を両手でしっかりと掴み、おもむろに噛み付いてきた。
甘噛みなので痛いというよりこそばゆい感じが続く。なぜだろう? 長門がすごく嬉しそうだ。
というかさっき使った短針銃は使えないのか? と、聞こうとした所で、
―――今までこちらの方を見ているだけだった熊どもが一斉に襲い掛かってきた。
古泉の投げた赤い光球が最後の一匹に見事命中し、熊どもは光の粒となって消えていった。
おやすみなさい、また春に会おう。いやできる事なら会いたくは無いんだが………。
ちなみに情報因子の注入が途中で中断させられたせいで、俺はまだ一般人のままだ。能力自体は使えるようになるらしいのだが、
いつになるのかは不明らしい。
「中断時から数えて56分17秒から99年7日32分8秒の間のいつか」
………再注入は体に良くないそうだ。しばらくは俺の出番は無いらしい。良い事なのか悪い事なのかは分からんがね。
俺が戦力にならなかったので、実際に戦ったのは古泉と長門の二人だ。長門が接近戦で足止めしている間に古泉が遠隔攻撃を加える、
というシンプルな作戦だったが、まあおおむね成功だろう。古泉の攻撃が、何度か俺や長門に直撃しそうになったのだが、
それも次の探索一回おごりぐらいで許してやろう、あの団長様が許可すれば、だがな。
「しかし、朝比奈さんは大丈夫なんだろうか?」
一応ここはハルヒが作った世界だ。だから間違っても死ぬことは無いだろうが、心配だなあ。あの人は個人的には何の力も
持ってないんだし、なんか部屋の隅で、おびえた子犬のように縮こまっている姿が容易に想像できる、早く助けに行かないとな。
そう決意を新たにした俺だったが、気付くと長門が捨てられたプレーリードッグのような目でこちらをじっと見つめていた。
「長門、どうしたんだ?」
軽い気持ちから出た質問だったのだが、そこで俺はシーラカンス並に珍しいものを見た。分かり易さは赤点レベルだが、
言う事ははっきりと言い切るあの長門が、言葉に詰まっている姿だ。
「あなたは………、」
………そこから長い沈黙、なんとなくこっちも喋りだしづらくなる。いつもの長門と一緒であるならば、
別に沈黙は気にならないのだが、何故か今はすごく気まずい空気が充満している。お互いそのまま黙り込んで、
本当になんか物理的に窒息死してしまいそうだなあ、とか考え出した所で古泉が話しかけてきた。
「少し質問したい事があるのですが、いいですか?」
オーケーオーケー、この空気を壊してくれるのなら何でも答えちゃうぞ、もう。
「朝比奈さんは、僕が知る限りはですが、時間遡行能力しか持っていません。おそらく、この世界ではまったくの無力でしょう。
あなたが彼女を助けに行こうとするのも、仕方の無い事です。」
それは少し違うぞ。俺はあの人があの人だから助けにいくのだ。もし、朝比奈さんがハルヒと同じ力を意識して
使えるのだとしても、同じ状況になれば俺は助けに行くだろうね、絶対!
「………そうですか、その言葉は純粋に嬉しいですよ。では、質問です。もし、僕や長門さん、涼宮さんが
同じような状況に陥ったら、キョンくん、あなたはあたし達を助けてくれますか?」
―――そんな状況を想像してみる。古泉はどうでもいいとして、長門やハルヒは自分で何とかするだろうし、
俺が助けに行ったとしても、今現在のように足手まといにしかならないだろう。助けに行く必要は無い………、
………無い、が………、
「当たり前だ、馬鹿野郎」
―――だってしょうがないだろう。どうやってもお前等を助けに行かない自分が想像出来ないんだよ。
これはもう一種の呪いだね。カース・オブ・SOS団、笑えねえ。
「というかこんな質問、今する必要はないだろう?」
気を抜くと顔が赤くなりそうだ。古泉がいつもより自然な笑みを浮かべている。古泉の笑みの種類まで
判別できるようになった自分に、軽く絶望を覚えるね、本当。
解説好きのはずのこの男は、しかし俺の質問に答える事はなく、
「後で絶対に苦労すると分かっていても、やらないといけない事があるんですよ」
と、言った。わけわかんねえぞ、お前。後、ウインクはやめろ、気持ち悪い。
そんなことを言っている間に、窒息しそうなあの空気も、いつの間にか何処かへ行ってしまっていた。
長門もいつもの無表情に戻っていたのだが、気のせいか、
「長門、嬉しそうだな」
別に返事は期待していなかったが、長門は、いつもの抑揚の無い声で、しかし確実に嬉しそうに、こんな言葉を返してきた。
「別に………」
―――直後、白熊が現れた。
あの超監督様はとうとう海外からゲストを呼び出したらしい。だからせめて人間にしてくれ、頼むから。
しかし、今回の敵は1匹だけらしい。俺はそれを見てついつい、『これはハルヒが、いくら雪山といえども、
北極の生き物が日本にいる事に不自然さを覚えた結果だろうか?』などと、一瞬やつに常識を期待してしまった。
期待とは打ち砕かれるためにある。これはハルヒの作った世界だ。セカンドステージの1匹は
ファーストステージの10匹よりも強いに決まっている。
白熊が、二本足で立ちあがり、片手を自分の目の高さに挙げたその瞬間、
………ミクルビームが当たり一面をなぎ払った。
―――これから最後の試練まではいっきに省略する。起こった事を簡単に書くだけでハードカバー一冊分ぐらいにはなりそうだし、
そもそもこの世界は、クリア条件どころかゲーム自体がイベントの度に変わる世界であったため、
俺も全てを把握できているわけではないのだ。勘弁してほしい。
少しだけ例を挙げると、雪山なのに舌を分子カッターに変化させたアナコンダが襲ってきたり、いきなり長門が3人になって
本物当てクイズが始まったり、古泉とエンドレスツイスターゲームをやらされそうになったりした。
………うーん、カオスだなあ。ハルヒの顔への落書きは油性で行う事にしよう。
最後の試練は、俺達が朝比奈さんのいると思われる場所に、やっとの思いで到着したところから始まる。
そこには中世ヨーロッパを思わせる巨大な城がそびえ建っていた。これだけで、どれだけ世界観が
無茶苦茶になっているのかが分かるだろう。スポンサーはあの超監督をいいかげんクビにした方が良いと思うぞ、
というかクビにしてください、お願いですから。
「これで最後なのでしょうか?」
古泉の笑みにも余裕が無くなってきているな。無理も無い、既に学校は終わっている時間だろうし、俺達は昼飯も食べていない。
だがまあ心配するな、適当に出てきた魔王を適当に倒して、お姫様こと朝比奈さんを救い出して、それでハッピーエンドだ。
いい加減ハルヒも目覚めて帰りたくなっているだろうしな。ひょっとしたら今頃俺達を探し回っているのかもしれん。
「それは無い」
………何でそう言い切れるんだ、長門よ。
「元の世界とこちらの世界では時間軸上にずれが存在している」
うん、理解不能だ。
「こちらの世界で一定の条件を満たした時、私達は元の世界でのある特定の時間に戻る事になっている」
「要するに、こちらの世界をクリアしない限りは元の世界には戻れないという事ですよ」
そうなのか、長門。
「そう、それに、」
次の言葉に、俺はますます頭を抱える事になった。
「涼宮ハルヒの意識体の一部がこの世界での肉体を持ち、現在この城の中に存在している」
超監督はとうとう自らの出演を決めたらしい。何でいまさら出てくるかね、あいつは。
「あなたのせいですよ!」
どういう意味だ、古泉。
「ここは涼宮さんの夢の中です。と、いう事はですね、このお話の主人公はあなたである可能性が強いんです。
そうですよね? 長門さん」
おいおい。
「そう」
待て待て。
「野球をした時の事を覚えていますか? あの時と同じですよ。せっかくの主役であるあなたが何の活躍もしていない。
でもその場にいない自分には、喝を入れることも応援することもできない。そのことにしびれを切らせたんでしょうねえ、
自ら舞台に上がってきた、という訳ですよ」
無茶を言うな無茶を。こんなびっくり箱的不条理ワールドの中で、一般人の俺にどんな活躍を求めているんだ、あいつは。
「でも、これでやっと終わりが見えてきましたね。目の前であなたが主人公らしい事をすれば、
涼宮さんも満足して目覚める事ができるでしょう」
だからその主人公らしい事っていうのが、何なのかわからないんだよ、俺には。
「そうですね。涼宮さんの耳元で愛をささやいてみるというのはどうでしょう。いろんな事が一気に解決しますよ」
却下だ却下、俺はまだ人生を決めるつもりは無い。
「魔王ハルヒを倒し、お姫様であらせられる所の朝比奈さんを助け出す。ハッピーエンドだ、それでいいだろう」
まだ何か言いたそうにしている古泉を無視して、俺はこの荒唐無稽なおとぎ話を終わらせるため、城の扉を開け放った。
こんな時間に投下とはw
しえん
外観から分かるように城の中もかなり広い。俺の家1件分なら余裕で入りそうなだだっ広いエントランスの奥には、
以前テレビで見た三十人三十一足でも使えそうな位の幅の階段がある。
その階段の上、踊り場の真ん中に、こちらを見下ろすような形で、
「よ、よよよよよ、よくじょここまで来ましゅたね!」
お姫様であって欲しかった朝比奈さんが、登場時の決めセリフをかみまくりながら、ラスボスとして登場した。
「しゅ、涼宮さんは、悪い人には渡さないのです。おとなしく帰ってくだしゃーい!」
朝比奈さんは、昔やったRPGゲームの女戦士のような、肌を覆う面積をギリギリまで減らしたコスチュームに身を包んでいる。
必死になにかを訴えているようなのだが、正直こっちはそれどころではない。その………、なんだ………、………分かるだろ?
「キョ、キョンくん、エッチですよ!」
………黙れ古泉、というかお前も少し挙動不審だぞ。顔も真っ赤だしな。
「か、帰らないのでしたら、こっちにも考えがありまーしゅっ!」
しかし、朝比奈さんは何だかおかしい。俺達の事をまるで不審者のように扱っているような気がするのだが。
「朝比奈みくるの感覚情報が人為的に変換されている」
………どういう事だ?
「つまり、今の朝比奈さんには僕達の姿がモンスターのように見えている、という事ですね」
古泉の解説が入った。顔は赤いままだ。ああ、やっぱりこいつも普通の男なのだなあ、とかどうでもいい事を考えてしまう、
………俺は全速力現実逃避中だ。
「に、20秒以内に立ちしゃらないと、ミクルビームを撃ちまーしゅ!」
………朝比奈さんは絶好調大混乱中だ。
「問題ない」
長門の言葉が頼もしく響くね。まあ、長門がそう言うなら大丈夫、
「朝比奈みくると私とは、いずれ戦う運命にあった」
………じゃなかった。長門さん、それは最近覚えた小粋なジョークの一つなんだろう?………こら待て拳を握り締めるな、
古泉にアイコンタクトを送るな、変な呪文を唱えるな。
「にじゅー………、じゅーきゅー………、じゅーひゃーち………、」
そういえば一学年上の底抜けに明るい先輩が、どっちを選ぶにょろー、みたいな事を言っていたような気がするが、
あれはこの事とは関係ないよなあ。こんなほとんどギャグのような事態は、いくらあの人でも予想できないだろうしな。
そんなことを考えながら長門を押さえつける。こうしてドタバタしているうちに、事態はどんどん変化していく、
………もちろん悪い方向に、だ。
俺の腕の中で、朝比奈さんに飛び掛ろうともがいていた長門が、急に動きを止めたかと思うと、
「情報統合思念体との連結が遮断された」
………割と絶望的な事を口にした。
「僕の力も使えなくなっていますね、長門さん、これは誰の仕業ですか」
「遮断を実行しているのは涼宮ハルヒ、こちらからはどうしようもない」
何だってハルヒはそんな事をしているんだ。俺たちに死ねというのか。
「おそらく、あなた以外の存在が活躍するのを防ぐためだ、と思われる」
どう活躍しろというんだよ。説得でもするのか?
目を前にやるといーい感じにてんばっている朝比奈さん、話しかけただけでミクルビームが暴発しそうだぜ。
「きゅーう………、ひゃーち………、にゃーな………、」
やばいもう時間が無い。考えろ、考えるんだ俺、いくらハルヒでもここで全滅エンドを期待しているわけじゃあないだろう。
何か攻略法があるんだ、絶対。
「ろーくー………、ごーおー………、よーんー………、」
長門が俺の手を振り解いて前に出る。古泉もだ。盾になるつもりか、今のお前らは能力が使えないんだろう。
………待てよ、………能力?………能力!!!
「ひっ、みっ、みっ、みっ ………、」
俺をかばうように前に出た二人だったが、朝比奈さんは、その行動が自分を襲うためのものだと勘違いしたらしい。
「ミッ、ミクルビームッ!!!」
ミクルビームが今や何の力も持たない二人に向けて放たれた。無能力であったはずの俺は二人の前に回りこみ、
―――両手を前に突き出して、
―――ミクルビームの情報結合を解除した。
長門が前に俺に注入した情報因子、その効果が出るのは注入中断時から数えて56分17秒から99年7日32分8秒の間のいつか。
………それが今、ちょうどこのタイミングであったのだ。
ご都合主義だ、もし違っていたらどうするのか、とお怒りになられる方もおられるかもしれない。
しかしよく考えてくれ、あの超監督が文化祭で作った映画でも、最後に主人公であるところのイツキが、
悪い魔法使いユキによってピンチに陥った時、その秘められたポテンシャルパワーが都合よく覚醒するのだ。
ここはそんなハルヒが作った世界だ、ご都合主義でないほうがおかしい。情報因子はまさに今、
この時の為に注入されたのだろう、いや、これは言いすぎか。
その素晴らしきご都合主義のせいだろうか、俺の使える能力は非常に限られている。朝比奈さんの攻撃を無力化する力と、
朝比奈さんを元の世界に戻す力の二つだけだ。そういや映画でイツキがユキにやった事も結局はこの二つだけだったな。
たしかこんなポーズで、
「ぢゅわっ!!!」
力を使用する。ノリが良いね、俺も。
「ひょえーーーーーーーーー!!!」
結局、朝比奈さんはわけの分からないまま巻き込まれて、わけの分からないまま退場した。
………すみません、後で最高級の茶葉でもプレゼントいたします。
朝比奈さんがいなくなったら能力も戻ってきたらしい。長門がハルヒのいる部屋まで案内してくれるらしい。
「その前に、言っておく事がある」
なんだ。
「あなたは先ほど、安全が保障されているわけでもないのに、わたし達二人の前に飛び出した」
たしかに確証は無かったがな。ただあの状態では俺が一番可能性あっただろう?
などと反論しようとしたのだが、どうしてもできなかった。
長門はいつもの無表情だ。………だが、………しかし、
俺には、なんだか今にも長門が泣き出しそうに見えたのだ。
「………二度としないで」
頷くしかなかった。しかし心の中でつぶやく、それこそホショウ出来ないぞ、と。
ハルヒがいるという部屋の扉を開ける。ここはどうやら寝室のようだ。いかにも高級そうなベッドの上で、
―――涼宮ハルヒが熟睡していた、
………さて、油性マジックは持ってきていただろうかね?
「ダメですよ、そんな事をしちゃあ」
分かってる。俺も早く帰りたいからな、厄介なトラブルを自ら生み出すつもりは無い。
しかし、どうやったら起きるんだ、このお姫様は?
「白雪姫、あるいは眠れる森の美女、ですかね」
最後までべたべたのご都合主義で押し切るつもりらしい。ああ、叩き起こしたい。
とりあえずベッドのそばまで移動してみる。こいつもこうして眠っていると、素直にかわいいんだがなあ………。
ハルヒは本物の白雪姫のように眠り続けている。制服のままというのがミスマッチだが、髪の毛もサラサラだし、
目鼻立ちも整っている。唇も、………すごく、………柔らか、………そう、………で、………。
何故か顔が赤くなりそうだったので視線と手を外すと、古泉と長門がジトッとした目でこちらを見つめていた。
二人とも、そんな目で人を見るんじゃありません。
私怨
二人が見ている前でそういうことをするのはちょっと遠慮したいなあ、とか、でもだからといってハルヒと
二人きりになったらするか、というとそんなこともなく、いや、ハルヒとするのが嫌と言うわけでもなかったりも
なんかしちゃったり、とか、………とか、………みたいな。
俺の脳は、今回最大級のパニックタイフーンに襲われていた。こんな時に甘い言葉をかけられたら、誰だって飛びつくだろう。
溺れる者は毒草をも掴む。だから、
「その二つ以外の方法がある」
と、長門に言われた時、何も考えずにオーケーを出してしまった俺を、一体誰が攻められようか!
「あなたの許可が必要、許可を」
ああ、もう何をしても良いぞ。やっちまえ。
「そう」
………ところで、何をするんだ? と、今更聞く俺である。
「逆白雪姫」
長門はそう言うと高速で口を動かし始めた。何だ?………、何故か………、す、ごく………ね……………む…………………、
―――俺の意識はそこで途切れた。
目覚めるとそこは雪山だった、なんて事はなく、俺が目覚めた場所は、5月にSOS団が乗っ取った我等が文芸部室であった。
俺は見慣れた光景に安堵のため息をつきながら、何故か体中が痛いうえに手が動かない状態である事に気付き、
次にそれが朝比奈さんと長門が俺の腕をそれぞれ一本ずつしっかり掴んだ状態で熟睡しているからだと気付き、
慌てて二人を起こそうとしたところで、
「もうしばらくすると自然に起きますよ、二人とも、ね。」
と言う、にやけエスパー野郎の声を聞いた。
「今は昼休みの後半です。ちなみに涼宮さんは30分ほど前に起きていますよ」
別に聞いてねーよ。
「お二人がまだ目覚めていないのは、涼宮さんの負けたくないという気持ちの表れでしょうね」
だから聞いてねーよ。
「そのせいか、つい先程まで涼宮さんの精神状態は、閉鎖空間一歩手前だったのですよ」
いや、だからな、
「どうして俺にそんな事を話すんだよ? 俺と何か関係しているのか?」
鳩が豆鉄砲を食らった、というのはその時の古泉の顔の事だろう。
「えーと、さっきの雪山での最後の事を覚えていますか?」
お前もあの場にいただろうが。あいにくだが、俺は長門が『逆白雪姫』と言ったあたりまでしか覚えていない。
お前はあの後何があったのか、覚えているのか。
古泉は何かを言おうとして、飲み込んで、大げさにため息をついた後、言った。
「僕からは何もいえません。そんなに近くで見たわけでもありませんし、馬に蹴られるのも嫌ですからね」
その後古泉の言葉通りに目覚めた朝比奈さんと長門にそれぞれ『負けませんから』、とか、『負けない』、とか言われた。
………とても何があったのか聞ける空気ではなかった。
疑問を抱えたまま教室に戻ってきた俺を待っていたのは、椅子に座って腕組みをしながらこちらを睨み付けてくる
ハルヒと、その机の上で空になっている俺の弁当箱だった。もしかしてお腹がいっぱいになったから
閉鎖空間が消滅したんじゃあないだろうなあ? 今回世界を救ったのは俺のオフクロか?
そんなことを考えていると、ハルヒが一枚の紙切れを突きつけてきた。
「何だ、これは」
「キョンがこれからやる罰ゲームのリストよ。よくもまあ、この、偉大なる、団・長・様、を、こんな長い時間起こさずに
ほっぽってくれたわねえ。本来なら階級を団員その1から奴隷1号に降格させて、これからのSOS団の下っ端雑用全てを
やってもらうところだったんだけど、まあお弁当も美味しかったし、そのリストに書いてある事を全部やるんだったら、
今回だけは特別に許してあげるわ。」
好きでほっぽったわけじゃないし、そもそもの原因はこいつにあるし、大体仕事内容を聞く限り、階級がどれだけ下がろうが、
俺のやることは何も変わらないような気がする。ただまあ、あまり強く反論できないのはなんでだろうね?
まぶたの裏側にやきついている、お姫様のように眠っているハルヒのせいではないと信じたいのだがなあ。
ため息をつきながらリストに目を通す。思わず目を覆いたくなるようなイタい内容がぎっしりだ。
今からこれを全部やらにゃあならんのか。
ハルヒは満面の笑顔でこちらを見つめてくる。やれやれ、最初に言った通りになったなあ。
やっぱりこれは、俺が涼宮ハルヒに巻き込まれてクタクタになるお話らしい。
次の日である
扉を開けると、そこには密林が広がっていた。
ちなみに俺の後ろには何故か満身創痍の古泉しかいない。ハルヒは今日も教室で熟睡中だ。
「………今回は、朝比奈さんと長門さんの二人が巻き込まれたみたいですね」
ちなみに今回の映画は『プラトーン』らしい。助けに行かないと駄目なんだろうなあ、やっぱり。
「やはり、涼宮さんの意識体もこの中にいるみたいですよ」
どうしますか、と、答えの分かりきった事を聞いてくる、にやけ面エスパー少年純情派。
分かっている、とりあえず今回は、忘れずにマジックを持っていかないとな。
………まあ、水性で勘弁してやるけどな。
以上です。
朝比奈さんメインで書こうと思ったらこんな話になりました。
では、また。
>>361 ちょwww全然朝比奈さんメインじゃねえw
話の構成がほどよくまとまっていて面白かったよ
朝比奈さんでニヤニヤさせられた
でも何故だかわからんのだが、
妙にキョンの語りが淡々としていて違和感があるのような気がする。
何故だ?
面白かったよ、GJ
途中で古泉の口調が変わってたような
乙女チック古泉?
乙乙。面白かった。
1箇所、古泉があたしって言ってるな。
それを踏まえて、最後、下半身に古泉がしがみついて寝てたら最高だった。
ひぃっ、結局みくるが空気な娘に。
で、なかなか面白かったんだけど、いくつか古泉のセリフに違和感が。
345,l9
350,l16
wとかw使ってる奴ってなんなの?
>>偽性雪山症候群
古泉が「キョンくん」と言っているのが変……
原作でもアニメでも古泉はこんな呼び方しないしなぁ。
古泉はキョンたんとしか呼ばないしな
ひぃっ、結局みくるが空気な娘に。
で、なかなか面白かったんだけど、いくつか古泉のセリフに違和感が。
345,l9
350,l16
ひぃっ、結局みくるが空気な娘に。
で、なかなか面白かったんだけど、いくつか古泉のセリフに違和感が。
345,l9
350,l16
どこかで荒らし依頼でもされたのか、このスレは。
面白かった
映画は知らなかったけど楽しめた
ひぃっ、結局みくるが空気な娘に。
で、なかなか面白かったんだけど、いくつか古泉のセリフに違和感が。
345,l9
350,l16
375 :
sageなにが面白いのこれ???:2007/01/26(金) 17:40:09 ID:W96MOxnA
ひぃっ、結局みくるが空気な娘に。
で、なかなか面白かったんだけど、いくつか古泉のセリフに違和感が。
345,l9
350,l16
ひぃぃぃっ
ごめん!
ドンマイ
次は古泉も巻き込まれて、ダイハードな映画だなw
まぁいいんじゃない?面白かったし。
誤りは脳内修正で。
>>361GJ。
津軽と南部の対抗意識なめんなよ他所もん
あと、津軽藩と南部藩とか言う奴は懺悔しろ
津軽家弘前藩と南部家盛岡藩だっつの
津軽と南部の対抗意識なめんなよ他所もん
あと、津軽藩と南部藩とか言う奴は懺悔しろ
津軽家弘前藩と南部家盛岡藩だっつの
痛々しい誤爆を見た
ボケとツッコミが同時刻て…
>>361 ミクルビーム撃つ白熊ってなんだよオイw
>>384 いいかその白熊の名前も『みくる』っていうんだ
台詞がおかしいんじゃなくて、
みくるが古泉に化けてたってことだろ?
>>386 俺もそう思ったよ。
でも、違うのかな〜。
>>361 長門が露骨に萌え路線
キョンのモノローグがどこかのんびりしてて巽っぽい
みくるがラスボスで脱力
だがそれがいい
>>361 まあ、なんだ……キョン語りを練習して、あともっとキョンをキョンっぽくしたほうがいい
もともとみくるのセリフだったのを
書き換えた時に直し忘れたんだと思った
それはそうと面白かった
投下します。
エロなし。30スレほど
本スレ335−360の偽性雪山症候群のネタばれを最初に含んでいますのでまずそちらを読む事をお勧めします。
前と同じく朝比奈さんメインで
古泉くんが好きな方は見ない方が良いかもしれません。
では、投下します。
扉を開けると、そこには雪山が広がっていました。
………なんていう書き出しからはじめると純文学作品のようで、なんとなくいい話に
なるような気がする人もいるでしょう。
でもそんなことは絶対にありえないのです!
それは別にあたしが開けた扉にSOS団と書かれてある事や、この建物が私の高校の部室棟である事や、この部屋が私たちの現在使わせてもらっている文芸部室である事のせいではありません。
………いえ、それも少しありますけど、それよりももっと問題な事があるんです。
いつもより高くなった視線で自分の体を見つめます。すらっと伸びた足には学校指定のズボン、男子用の制服はネクタイもきちんと締めてあります。手指は綺麗ですが、やはり男の子なのか、少しごつごつした感じがしますね。
「ふえー」
あたしの口から出た声は爽やかなんですけど、どう聞いても女の子の声ではありませんでした。
「一体、どうして、あたしが、古泉君になっているんですかー!!!」
真説雪山症候群
話は今日の朝、HR前ぎりぎりの時間にまでさかのぼります。
「昨日の夜中ね、深夜映画を観たのさ」
鶴屋さんも夜更かしなんてするんですねー。あたしは頑張って起きようとしても、12時くらいになると自然に眠っちゃうので、夜更かしできる人が少しうらやましいですよ。
そんな風な平和な会話を繰り広げていると、不意に強い立ち眩みに襲われました。
「ちょっ、みくるっ、大丈夫かい?」
鶴屋さんが心配そうにしています。
「大丈夫ですよ、鶴屋さん」
………あれ?
………今の、………あたしの声?
そして自分の体を見回した私は、
自分が古泉君になっているのに気付き、
「………え? ちょっ、………あれ? ………いや、ひょえーーーーーーーーーーー!!!」
大パニックに陥りました。
よく覚えてないんですけど、その後、わけの分からない叫び声を上げ続けるあたしは、心配する鶴屋さんに引きずられるような形で、保健室に連れ込まれたようです。
よっぽどあたしの顔色が悪かったのか、保健の先生に少し休んでいくよう言われました。
考えたいことが山積みだったので、お言葉に甘えることにしたあたしは、まだ心配そうにしている鶴屋さんに教室に戻ってもらってから、ベッドに倒れこみます。本当に休んで治るものなら幸せなんですけどね。
今までの事を考えると、鶴屋さんや保健の先生にはあたしは『朝比奈みくる』として見えていたような気がします。あたしの姿が『古泉くん』に見えるのはあたしだけなのでしょうか?
そもそも、これは一体誰の仕業なのでしょうか?
もし一生このままだったらどうすればいいのでしょうか?
様々な疑問が浮かんできます。でも浮かんでくるだけで、それについての答えは全然出てきません。未来にもさっきから指示を仰いでいるのですが回答はなし。
「………キョンくん」
つぶやいた名前はこの一年の間ですっかり呼びなれてしまった名前。一学年下の後輩、何の能力も持たない一般人、あたしの事を信じてくれた人、あたしの事を助けてくれる人、そして、涼宮さんの………、
そこから先はどうしてか考える気にならず、でも少しだけ元気が出たあたしはとりあえず部室に行ってみる事にしました。
健康的には何の問題も無いわけだし、だったら保健室を使うのは悪いですよね。とりあえず部室で事態が動くのを待ちましょう。
そして、部室の扉を開けたあたしは、そこに広がっていた雪山に言葉を失ったわけです。
本日二度目の大パニックでしたが、今回は訳の分からない悲鳴は上げませんでした。あたしだって、日々進歩しているんです。
「朝比奈みくる」
「ひょぼわっ!」
………進歩、………しているんですよーう、くすん。
気配なくあたしの後ろに立っていたのは長門さんでした。ううー、びっくりさせないでください。
「あなたは現在、ある特定の人間に対してにのみ、古泉一樹と同様の感覚情報を与えている」
???????
「わたしのような存在や原因となった涼宮ハルヒにはその効力はない。また、あなたと古泉一樹、双方と深く関わりを持った者にしかこの力は作用しない」
ふえーん、わかりませーん。
「………」
ひいっ、ごめんなさい。
「………今回の異常に巻き込まれているのはあなたと古泉一樹、そして、彼」
………キョンくんもなんですか?
嬉しさもあるが、それ以上に申し訳なさが強い。つい最近も自分は彼を巻き込んだというのに………、 バレンタイン前後に起こった事件を思い出して落ち込むあたしでした。
「負い目を感じる必要は無い。彼の不用意な発言がそもそもの原因」
原因は涼宮さんの前で彼があたしを庇う発言をした事だ、と長門さんは言う。要するに………、認めたくないけれど………、
「涼宮さんは、あたしの事で怒っているんですか?」
「それもある」
うえー、あるんですかー、………も?
「一番の原因は疑問」
何ですか、疑問って?
「彼が大事にしているのは、あなたの内面か、外見か? というもの」
そんな疑問、持たないでくださーい!
あたしの心の叫びは、扉の向こうの雪山に吸い込まれて、消えていきました。
涼宮さんの疑問が解決するまではこのままの状態が続くらしく、この雪山はその疑問を解くための舞台といったところだそうです。ちなみに古泉君は既に巻き込まれて雪山の中、との事。ごめんなさい、古泉君。
「とりあえず、あたしがあたしだとばれないように、キョンくんをこの雪山に連れてこないといけないんですね」
ううー、あたしに出来るかなあ。何かぼろを出さないと良いんだけど………、
「任せて」
何ですか、長門さん?
「多少のズレは修正されるし、駄目なときは私がフォローできるようにする」
そ、その銃のようなものは、一体何なんですかぁ?
「痛いのは、最初だけ」
いやーーーー!?!?! 、………はうっ!
………何の遠慮もなく打ち込まれましたとさ。
―――休み時間になりました。あたしは今、心配させないように、鶴屋さんに早退すると告げた後、キョンくんと涼宮さんのいる教室に向かっていました。
(彼はちゃんと教室にいる。涼宮ハルヒに見つからないよう気をつけて)
頭の中に長門さんの声が響きます。さっきの銃はこの為のものだったようです。ちゃんとこちらの思念も向こうに伝わるんですよ。
(でも、長門さんはいいんですか?)
(何が?)
長門さんの上司? にあたる情報統合思念体は、観察以外の行動は原則許さないんじゃあないでしょうか?
(今回の件は、わたしに一任されている)
そうなんですか?
(おそらく、わたしが今回の事象に対し、どう動くかを観察しているのだと考えられる)
…………………。
あたしも詳しく聞いたわけじゃあないんだけれど、長門さんはインターフェイスの中でも特別な存在だ、という事らしいです。でも、長門さんに一任されているという事は………、
(えへへへ、長門さん、あたし達を助けようと思ってくれてるんですね)
(………帰る)
あーん、冗談です。ごめんなさーい!
キョンくんの教室の前で、たまたま外に出ていたらしい国木田くんと出会ったので、キョンくんを呼んでもらうことにしました。涼宮さんは眠っているらしいです、良かった。
うー、教室中の視線があたしとキョンくんに集まっている気がするよう。あ、キョンくんが、谷………、谷………、谷村くん? に蹴られているよう。あたしのせいかなあ、ごめんなさい。
(セリフ)
長門さんの思念に気がつくと、キョンくんが私の目の前に来ていました。ここからが本番です。よーし、
「まずいことににゃりました。とりあえず部室に来てくだしゃい」
………かみませんでした。………かみませんでしたよ、あたし!
キョンくんと二人で部室までの道を歩いていると、なぜか周りの注目を浴びている事に気付きました。別に二人で歩くこと自体はそんなに珍しい事ではないのにどうして今日に限ってこんなに注目されるのでしょうか?
ふと、キョンくんの方を見た時、その疑問は解けました。
距離が………、近いんだ。
いつもキョンくんはあたしや長門さんとはある程度の距離を開けて歩きます。それは、あたし達が女の子だからで、こんなに彼の近くで彼と一緒に歩いている女の子は………、
うん、とにかくあたしが言いたいのはこの距離が彼と古泉君の、男友達の距離なんだろうなあという事です。すごく近くに彼の顔があってなんだか凄くドキドキしてきます。
周りの人には、あたしとキョンくんが並んで歩いているように見えているはずであり、その距離が普段より近くなっているという事は、そういう風に思われてもそれは仕方ない事であり、周囲の注目を浴びているのはそれが原因だろうし、
じゃあ離れて歩けばいいのだと言われても足が勝手に離れないように動いているし、別にあたしも嫌と言うわけではないし、でもいずれあたしは未来に帰らないといけないし、………、………、………、
(………朝比奈みくる)
………長門さんの何の感情も含まない、だからこそ様々な情動を含んだように感じるその思念はあたしを現実世界に引き戻し、かつ恐怖の世界へ叩き込むのには十分な何かが込められていました。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい………………………。
「なるほど………、ではその深夜映画が今回の事態に何らかの形で関係している、と考えたほうがいいのでしょうね」
今度はかみませんでしたよー、あたし!
………あ、べ、別に前のもかんだわけじゃありましぇんきゃらめ………、うー。
「つまらない映画を観る、というストレスに睡眠不足というストレスが新たに加わり、イライラが溜まっていたところで、映画制作という解決方法があなたから出た。………にらまないでください、あなたにその気がなかったのはわかっていますよ。
ただし、その方法も次の文化祭での制作のため使えない。ならどうすればいいのか? 簡単です。現実で無理なら、夢の世界で、自分の理想とする映画を作り上げればいいのですよ」
長門さんが考えたでたらめ設定を古泉くんの口調で話すあたし。なんかこの状態だけで、あたしの頭はこんがらがってきそうです。
「それは考えすぎだろう。まあ仮に正しいとしても、だ。寝不足が原因だってんなら今ハルヒは眠ってるんだし、しばらくほっとけばこの部屋も元に戻るんじゃないか」
それじゃあダメなんですよー、キョンくーん!
「その方法は推奨できない」
今まで置物のように黙っていた長門さんが急に喋りだしました。
長門さんはあたしといるときもあまり話すほうではないんだけれど、キョンくんと一緒にいる時は特に口数が減りますねー。………照れているんでしょうか?
(………)
ひいっ、ごめんなさい。
怒りの気配だけが思念で送られてきました。
「朝比奈みくるが既にこの空間に巻き込まれている」
えっと、あたしじゃあなくて、これは古泉くんの事ですね。ややこしいなぁ、もう
「………役に立たないから呼ばれていないだけだ、と思っていたのに、既に巻き込まれていたのですね、朝比奈さん。あなたはいつも俺の予想の斜め上を行きます」
ひ、ひどいですぅ、キョンくーん! 今回巻き込まれたのは古泉くんですよーう。
「あの馬鹿をたたき起こせばいいってわけにはいかないのか」
「その行動により、現在の部室内の異空間がどうなるかの予測がつかない。また、それは涼宮ハルヒが自然に目覚めた場合でも同じ」
うーーー、うーーー、うーーー。むくれるあたし、気付かないキョンくん。
「じゃあ朝比奈さんを助けるためには、この中に突入するしかないって事なのか?」
「そう」
その後、キョンくんは何かを考えているようでした。こっちに目を向けてきたので、
「僕はあなたについていきますよ」、と言いました。
キョンくんが迷うのも分かる気がする。誰だって自ら進んで苦労を背負いたくはない。でもここでキョンくんが、行かない、ということは古泉くんではなく『朝比奈みくる』が見捨てられたという事であり、
もしそうなったら、あたしは、………『朝比奈みくる』は、どう思うのだろう。これで涼宮さんの機嫌がなおると喜ぶのだろうか………、それとも………。
キョンくんは迷った末にこう答えました。
「とりあえず、帰ってきてからハルヒの額に“肉”と書く事にする」
その時の自分の表情をあたしは覚えていません。でも、
「こらそこ、古泉、嬉しそうに笑うな」
と、キョンくんが言ったから、多分あたしは笑っていたのでしょう。
さて、部室の中は1m先も見えない猛吹雪です。しかも入って来た時に使った扉は閉めた瞬間に消滅しました。どうやらあたし達は、涼宮さんが納得するまでこの世界から出られないようです。
ちなみにあたし達は制服姿のままです。寒さは長門さんが何とかしてくれました。
突入前に思念で長門さんが伝えてきました。
(あなたは、このぐらいの寒さだったら耐えられる!)
何ですか!? その断定形は! 無理に決まってるじゃないですか!!
長門さんはあたしとキョンくんを交互に見てから、何かをあきらめたような顔で、持っていた本を短針銃に変化させ、説明も何もせずに打ち込んできました。二本目っ!!!
「………ところで、結局昨日ハルヒが見た映画っていうのは何だったんだ?」
キョンくんがそんな質問をしてきました。
「知らないほうがいいと思われますが………、」
朝に鶴屋さんが話していた作品だと思うんですけど、正直そうであってほしくないんですよねー。
「八甲田山」
長門さんがさらりと答えを言い切りました。嫌な予感ほどよくあたります。死ぬんですかっ! 誰かが死ぬんですかっ!!
(問題ない、涼宮ハルヒはそんな結末を望まない)
そ、そうですよね。涼宮さんの事ですから、大丈夫ですよね。
「要するに、俺たちは今、遭難しているんだな」
キョンくんが話しかけてくるのに対し、長門さんが思念で伝えてくる内容を返します。
「そういう事になるでしょうね。でも分かり易くて良いじゃないですか」
………あたしは、何も分かってないんですけどね。
「涼宮さんは完璧なハッピーエンドを好みます。だからあの映画で死んだ人がいる事が気に入らなかったのでしょう。要するに僕達は、朝比奈さんを助けてから、誰一人欠ける事無くこの山を降りればいいのですよ」
彼は少し悩んだ後、長門さんの方を振り向いて言いました。
「長門、朝比奈さんの位置はわかるか?」
彼の言葉に長門さんは頷き、そのまま歩き出そうとします。
(とりあえず古泉一樹と合流する。ついてきて)
そ、そんな早足で歩かないでくださーい。
キョンくんが見失わないように、と長門さんの手を握り締めます。何だろう、ちょっとイヤかも………。そんな事を考えたあたしは、二人からはぐれそうになります。
慌ててついて行こうとしたその時、
………前から伸びてきたキョンくんの手があたしの手をしっかりと握り締めました。
やっぱりキョンくんは優しいです。………ですけど、こんな不意打ちはズルイですよ。
キョンくんが長門さんと何か話しています。でも内容は入ってきません。あたしの頭は真っ白で、ただキョンくんの手を握り締め返す事しか出来ませんでした。
ふと気付くと空は晴れ渡っていて、
―――見渡す限りの大雪原の中、熊さんの集団がじっとこちらを見つめていました。
頭の中が真っ白から違う種類の真っ白へと瞬時に移行、本日何度目か分からなくなる大パニックがあたしを襲いました。
「おい、こんなシーンあるのか、あの映画!」
そんな問題じゃあないですよー!
キョンくんもパニック状態のようです。おそらく冷静なのは長門さんくらいでしょう。
「あれら一体一体が持つ力でこの時空間の連続性が絶たれている」
えーと、どういうことですか?
「あれら全てを倒さないと先に進めない」
………あのー、少なめに数えても10匹以上いるんですけどー?
「あの熊は、『機関』がいう所の神人と同系列の存在」
長門さんがあたしの方に視線を向ける。
「古泉一樹、あなたはあの時の力が使えるはず」
(朝比奈みくる、あなたは映画撮影の時の力が使えるはず、………後、彼の手を離して)
光速で手を離しました。ちょっと残念でしたけど、あたしはまだ死にたくありません!
(でもミクルビームなんて使ってキョンくんにあたしの事ばれたりしませんか?)
(問題ない。彼には古泉一樹が古泉一樹の力で戦っているように見える)
そうなんですかー、便利な世界ですねー、言葉使いとかも修正してくれるのならもっとありがたいんですけど。
(細かい部分では修正されている、それに、自分達で出来る事は自分達でするべき)
そうですね。よーし、頑張りますよー!
「いやいやいや、お前らはいいかもしれんがな、俺は何の力も無い一般人だぞ」
キョンくんが慌てています。大丈夫ですよー、お姉さんが守ってあげますからねー。
「任せて」
長門さんがキョンくんにそう話しかけました。一体何をするつもりなんでしょうか?
「あなたの能力を一時的にわたし達と同レベルまで上げる、腕をだして」
そう言って、ずっとキョンくんを見つめ続ける長門さん。それを見てあたしはある事を思いました。
(長門さん、キョンくんに噛みつきたいの?)
(………)
沈黙の長門さん。でも否定しないんだ。ひょっとして、さっき銃を使ったのは、キョンくんの前で古泉君、中身はあたしなんだけど、に噛みつくのが嫌だったから? やーん、長門っち乙女チックー!!!
何故かちょっと意地悪になってしまうあたしです。
ほらほら、あたしは見てない振りをするから! がぶっとやっちゃって、がぶっと!!
(………朝比奈みくる)
心の中で土下座しました。あんなに寒気を伴う感覚は、短い人生の中ですが、初めての経験です。
………というか実際に寒いです。
………もしかして長門さん、あたしに使った能力を解除しているんじゃ………
(………)
沈黙の長門さん、リターンズ。ひ、否定しないんですかぁ。
ごめんなさい誤りますすみませんみくる調子のってましたぁ………、
………こ、………こ、………お、………………る、
………………かゆ………………………うま……………
キョンくんは長門さんの視線でいっぱいいっぱいなのか、あたしの事には気付いてくれません。あたしの命は風前の灯火、走馬灯が廻り始めます。
………ふいに暖かさが戻ってきました。見ると長門さんの目の前にキョンくんが腕を差し出しています。二人の仕草はとても微笑ましくて、笑ってはいけないんでしょうけれど、やっぱり笑ってしまいます。
長門さんはキョンくんの腕を両手でしっかりと掴み、とても嬉しそうに噛みつきました。
次の瞬間、
―――今までこちらの方を見ているだけだった熊さん達が一斉に襲い掛かってきました。
どうやら、あたしや長門さんがキョンくんと良い感じになると、事態は悪い方向に向かうようです。涼宮さーん、そんな回りくどい事してもキョンくんは気付きませんよう!
(朝比奈みくる、撃って)
情報因子の注入を途中中断した長門さんは、そう言って熊さん達にむかっていきました。
ちなみにキョンくんはまだ一般人のままです。効果が出るまでの時間は56分17秒から99年7日32分8秒の間のいつからしいですよ、ふえー。
………どちらにせよ今回はあたしがやるしかないようですね!
決意は固まりました!
目を閉じて、深呼吸を一つ。左手を目の高さにあげ、人差し指をまぶたの上、中指をまぶたの下にセット、叫びと同時に左目を見開き、
………秘められた力を今、解放します!!
「ミクル、ビーーーーーーーーム!!!」
放たれたビームはあたしの決意の表れであるかのようにまっすぐ熊さん達へと向かって走り、
………ちょうど射線軸上に重なった長門さんに直撃しました。………ひょえーー!!!
(問題ない)
にゃ、にゃがとしゃーん、大丈夫だったんれふねー。
(そう、大丈夫。わたしは、あなたには、最初から、何の、期待も、して、い・な・い!!!)
絶対怒ってます、絶対怒ってますよー。
(………撃ち続けて)
………でも、………でも、
(問題ない、こちらで調節する)
ひゃ、ひゃーい。
長門さんを信じてミクルビームを撃ち続けます。長門さんは熊さん達の動きを上手く射線軸上に誘導します。何発かはキョンくんや長門さんに当たりそうになったのですが、何とか無事に最後の一体まで倒す事が出来ました。
………役立たずなあたしです。
でもどうして長門さんはあたしをこの戦闘に参加させたんでしょうか? あたしに見せ場を用意してくれたんでしょうかねー、実際は古泉くんに持っていかれるわけですけど。
(この戦闘は涼宮ハルヒが見ている可能性が高い。その前で情報統合思念体の能力を使う事はなるべく避ける必要がある)
まあ、そんなところでしょうねー、………別に拗ねてないですよ。
(それに………、)
長門さんは言葉を続けます。
(あなたのやる気を、無駄にしたくはなかった)
………ありがとうございます、長門さん。
「しかし、朝比奈さんは大丈夫なんだろうか?」
キョンくんがそう呟きました。自分のことが心配されているのを見るのはなんだか気恥ずかしいですね、嬉しいですけど。
気付くと長門さんが真剣な目でキョンくんをじっと見つめていました。
「長門、どうしたんだ?」
キョンくんが尋ねます。長門さんは、なんだかさっきの勇ましさが嘘のように、とても弱弱しく見えます。
「あなたは………、」
………そこから長い沈黙、なんとなくキョンくんも喋りだしにくそうです。キョンくんはこういう時は本当にダメですね! ここはお姉さんが一肌脱がないと!!
ていうか、そろそろ活躍の一つでもしておかないと、お姉さん、周りから空気扱いされるようになってしまいそうです。
「少し質問したい事があるのですが、いいですか?」
そうキョンくんに話しかけます。ここからの言葉は長門さんの台本の中の言葉じゃあありません。
………『朝比奈みくる』の言葉です。
「朝比奈さんは、まあ何かを隠してない以上は、時間遡行能力しか持っていません。おそらく、この世界ではまったくの無力でしょう。あなたが彼女を助けに行こうとするのも、仕方の無いことです。」
多分キョンくんは、あたしに力がないから、あたしの事を助けてくれるんです。
涼宮さんや長門さんの場合、あなたは、彼女達が力を持っている事を知っているけれど、迷わず助けに行くのでしょう。
それは仕方ありません、あたしに力がないのはあたしの責任だし。
だからせめて今は、それを利用してあなたから、不器用で照れ屋な女の子が欲しがっている言葉を引き出そう。
………そう、思っていたのに………、
「それは少し違うぞ。俺はあの人があの人だから助けにいくのだ。もし、朝比奈さんがハルヒと同じ力を意識して使えるのだとしても、同じ状況になれば俺は助けに行くだろうね、絶対!」
………ズルい、ズルいですよ、キョンくん! そんな言葉、嬉しすぎますよー!
完全に作戦は失敗。でも、いいや。やっぱりあたしには、まわりくどいのはむいてないです。
「………そうですか、その言葉は純粋に嬉しいですよ。では、質問です。もし、僕や長門さん、涼宮さんが同じような状況に陥ったら、
………キョンくん、あなたはあたし達を助けてくれますか?」
直接、聞きました。キョンくんは考え込んでいます。大丈夫、彼はこういった大事な場面では、絶対に間違えません。
やがてキョンくんは顔を上げ、こちらをはっきり見つめて、
「当たり前だ、馬鹿野郎」
と、あたしが、そして多分長門さんが、一番欲しかった言葉を口にしました。
「というかこんな質問、今する必要はないだろう?」
キョンくん、顔が真っ赤ですよ。思わずあたしも顔がにやけてしまいます。
あー、でもまた涼宮さんが暴れそうですねえ。
「後で絶対に苦労すると分かっていても、やらないといけない事があるんですよ」
と、言って、ウインク。気持ち悪がられましたけど、気にしません。
そんなことを言っている間に、長門さんもいつもの無表情に戻っていました。
「長門、嬉しそうだな」
キョンくんの言葉に長門さんは、二種類の方法で、あたしたち二人それぞれに、こんな答えを返してきました。
「別に………」
(………朝比奈みくる、ありがとう)
いえいえ、どういたしまして。
―――直後、白熊さんが現れました。涼宮さん、絶好調です!
でも、今回は一体だけなんですねえ。キョンくんも気楽そうにしています。
………甘かったです。
(気をつけて)
と、長門さんが伝えてきた直後でした。
白熊さんが、二本足で立ちあがり、片手を自分の肩の高さに挙げたその瞬間、
赤い光球が当たり一面をなぎ払いました、ひょわわわー!!!
―――これから最後の試練まではいっきに省略したいと思います。
起こった事を簡単に書くだけでハードカバー一冊分ぐらいにはなりそうですし、長門さんならともかく、あたしにはこの世界の全てを把握する事は不可能だと感じたからです。
雪山なのに舌を、えーと、分子カッター? に変化させた大きな蛇さんが襲ってきたり、いきなり長門さんが3人になって本物当てクイズが始まったり、
キョンくんとエンドレスツイスターゲームをやらされそうになったりで、本当に多種多様で覚えきれる量ではないのです。
ヨハネ書の結語か。
最後の試練は、あたしたちが古泉くんのいると思われる場所に、やっとの思いで到着したところから始まります。
そこには中世ヨーロッパを思わせる巨大な城がそびえ立っていました。もうなんていうか、世界観とか無茶苦茶ですよねー。ちょっと疲れちゃいました。
「これで最後なのでしょうか?」
キョンくんにそう聞きます。ちょっと疲れが声に出ちゃったかも。………お腹すいたなー。
「心配するな、適当に出てきた魔王を適当に倒して、お姫様こと朝比奈さんを救い出して、それでハッピーエンドだ。いい加減ハルヒも目覚めて帰りたくなっているだろうしな。ひょっとしたら今頃俺達を探し回っているのかもしれん。」
お姫様、古泉くんなんですけどねー。
「それは無い」
長門さんがいきなりそう言い切りました。
「元の世界とこちらの世界では時間軸上にずれが存在している」
お、時間的な事だったらあたしにも分かりますよ。
「こちらの世界で一定の条件を満たした時、私達は元の世界でのある特定の時間に戻ることになっている」
えーと、条件があれで、時間があーなるから………、うん!
「要するに、こちらの世界をクリアしない限りは元の世界には戻れないという事ですよ」
あってますよね、長門さん?
「そう、それに、」
次の言葉に、あたしはとうとう来ましたかー、と心の中で呟きました。
「涼宮ハルヒの意識体の一部がこの世界での肉体を持ち、現在この城の中に存在している」
涼宮さんはとうとう自らの出演を決めたらしい。どうしてかというと、
「あなたのせいですよ!」
キョンくんをびしっと指差します。
「ここは涼宮さんの夢の中です。と、いう事はですね、このお話の主人公はあなたである可能性が強いんです。そうですよね? 長門さん」
「そう」
キョンくんが唖然としている間にたたみかけます。
「野球をした時の事を覚えていますか? あの時と同じですよ。せっかくの主役であるあなたが何の活躍もしていない。でもその場にいない自分には、喝を入れることも応援することもできない。そのことにしびれを切らせたんでしょうねえ、
自ら舞台に上がってきた、という訳ですよ」
涼宮さんも女の子ですからお姫様にも憧れますし、王子様には活躍して欲しいと思うものなんですよー。
………あれ?
自分で言った事に少し引っかかりを覚えましたが、今はとりあえずこっちです。
「でも、これでやっと終わりが見えてきましたね。目の前であなたが主人公らしい事をすれば、涼宮さんも満足して目覚める事ができるでしょう」
………多分ですけど。
「だからその主人公らしいことっていうのが、何なのかわからないんだよ、俺には」
キョンくんは、こういう事は本当にダメダメさんですねー。
「そうですね。涼宮さんの耳元で愛をささやいてみるというのはどうでしょう。いろんな事が一気に解決しますよ」
ためしに涼宮さんの耳元で、愛してるぜ! とか言っているキョンくんを想像してみます。………似合ってないですねー。………と、いうか、なんだか嫌な気分です。
「魔王ハルヒを倒し、お姫様であらせられる所の朝比奈さんを助け出す。ハッピーエンドだ、それでいいだろう」
キョンくんがそう言った時、何故か嫌な気分は吹き飛んじゃいました! おかしいですねえ?
でもキョンくん、お姫様は小泉くんですよー。
………?
またここで引っ掛かりを覚えましたが、キョンくんが城の扉を開け放ったのであたしもそれについていくしかありませんでした。
まさか、そこであんな悪夢が待っているなんて思いもせずに………。
そうですよねー。涼宮さんも、お姫様に憧れている女の子なんですよねー。しかも別に魔王になるとは誰も一言も言ってませんものねえ。
今回の涼宮さんはお姫様らしい。だとすれば魔王役は一人しかいないでしょう、古泉くんです!
その事も別に問題ではありません。問題があるのは古泉くん自身です!
扉から中に入ったその正面、すごく広い幅の階段の上、古泉くんが、すごく生地面積の少ない、鎧のような物を身にまとい、こちらを見下ろすような形で、
「よ、よよよよよ、よくじょここまで来ましゅたね!」
なぜか登場時の決めセリフをかみまくりながら、ラスボスとして登場しました! いやー!! 見えちゃうよー!! お稲荷さんが、お稲荷さんがー!!!
(伝え忘れていた事がある)
何ですか、長門さん。あたしはアレと目線を合わせないようにする事で手一杯です!
(古泉一樹もあなたと同様に周囲の人間に『朝比奈みくる』の感覚情報を与える状態になっていた)
………え? でも、古泉くんは古泉くんですけど?
(古泉一樹の事は涼宮ハルヒにとってあまり重要ではないらしく、修正は容易かった)
と、いう事は、今、古泉くんはあたしの振りをしているって事?
「しゅ、涼宮さんは、悪い人には渡さないのです。おとなしく帰ってくだしゃーい!」
古泉くんが叫ぶ。あ、あたしそんなにかみかみじゃあにゃいれふよー!
(ちなみに、)
ふえ?
(情報に齟齬が生じるのを防ぐため、彼の視覚は修正していない)
じゃ、じゃあ、キョンくんにはあんな服を着た、セリフかみまくりのあたしが見えているって事ですかぁ?
(大丈夫、あれはいつも通りのあなた)
何かひどい事を言われたような気がしますが、今はとにかくキョンくんです。キョンくんは―――
―――何故か前屈みになっていました。
「キョ、キョンくん、エッチですよ!」
顔も真っ赤です。………あたしもですけど。
「か、帰らないのでしたら、こっちにも考えがありまーしゅっ!」
でも、古泉くんも何だかおかしい。こんな事する人じゃあないと思っていたのに。何かに操られてでもいるのかしら?
(そんな事は無い。あれは古泉一樹の意思、あの服を選んだのも彼)
…………………………
(ノリノリ)
―――憎しみで人が殺せたらっ!!!
(とりあえず、今、彼に古泉一樹の事がばれるのはあまり良くない。協力を求める)
長門さんがキョンくんに話しかけます。
「朝比奈みくるの感覚情報が人為的に変換されている」
あたしはそれにあわせます。
「つまり、今の朝比奈さんには僕達の姿がモンスターのように見えている、という事ですね」
ううー、まだ顔が赤いよう。古泉くん、もうやめてぇ! こんな恥ずかしい姿を見られて、一体これからどうキョンくんに接すれば………、
「に、20秒以内に立ちしゃらないと、ミクルビームを撃ちまーしゅ!」
………………………………………………………………………………
…………………うふ、うふふ、うふふふふふふふふ………………。
何かが割れる音が、あたしの頭の中で鳴り響きました。
「問題ない」
(問題ない)
長門さんが、言葉と思念両方であたしに意思を伝えてきます。
「朝比奈みくるとわたしとは、いずれ(共に)戦う運命にあった」
(わたしという個体もアレに目の前から消えて欲しいと感じている)
………今までに無く心強い長門さんの言葉、そして思念。あたし達はアレの存在を、こっちどころか元の世界に至るまで、完璧に消してしまおうとアイコンタクトを交し合いました。
「にじゅー………、じゅーきゅー………、じゅーひゃーち………、」
キョンくんが長門さんを押さえつけていますが、振りほどかれるのも時間の問題でしょう。
その時がアレの最後です!
一瞬です!!
あたし達はアレに瞬きする暇すら許しません!!!
皆さん、とくとごらんあれ! あたし達は、一切の躊躇無く、一片も容赦無く、一点も遠慮無く、アレの肉体を、精神を、存在そのものを、全ての世界・全ての事象・全ての記憶から、完全無欠に消し去ってごらんに入れましょう。
完璧にトリップしていたあたしは、大事な事を忘れていました。
涼宮さんの事です。
今の長門さんとキョンくんを客観的に見てみると、じゃれあっているようにしか見えないわけで、
………そうなると涼宮さんの機嫌はデンジャーゾーン突入なわけで、
………そうなると事態はどんどん悪化していくわけで、
キョンくんの腕の中で、アレに飛び掛ろうともがいていた長門さんが、急に動きを止めたかと思うと、
「情報統合思念体との連結が遮断された」
………割と絶望的な事を口にしました。
「僕の力も使えなくなっていますね、長門さん、これは誰の仕業ですか」
あたしも混乱していたんでしょうねー、こんな状況でもまだアレの真似を続けていました。
「遮断を実行しているのは涼宮ハルヒ、こちらからはどうしようもない」
心底悔しそうな長門さん、珍しいですねえ。
………正常な思考が戻ってこないあたしです。
「おそらく、あなた以外の存在が活躍するのを防ぐためだ、と思われる」
キョンくんがですかー、説得でもするんですかねー?
目を前にやるといーい感じにノリノリな廃棄物A、赤い光球が12個、時計の文字盤のようにアレの周囲に浮かび上がります。
「きゅーう………、ひゃーち………、にゃーな………、」
おやおや、キョンくんが自分の考えに没頭しているのをいい事に腰を振り出しましたよ。………キモチワルイ。
「ろーくー………、ごーおー………、よーんー………、」
長門さんがキョンくんの手を振り解いて前に出ます。あたしもそれにならいます。キョンくんに被害が及ばないように。
彼は、大事な人だから。それは別に、世界や、涼宮さんにとってというわけじゃなく、
………おそらく、あたし個人にとって!
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ ………、」
リズムよく腰を振り続ける生ける公害。………なんだかいろいろ台無しです。うー、たぶん足の間から抜けてくるだろう、6番ボールには当たりたくないなあ。
次の瞬間でした
「ふんっ、
―――『それ』は、ひときわ大きく腰を曲げたかと思うと、
もっっっっ、
―――力を蓄えるかのように細かく振るえ、
ふーーーーーーーーーーーーー!!!」
―――叫ぶと同時に、腰を前に突き出しました
瞬間、12個の光球が一斉に発射されました。6番はやっぱり足の間から抜けてきました、いーーーやーーー!!!
その時でした。無能力であったはずのキョンくんがあたし達の前に回りこみ、
―――両手を前に突き出して、
―――全光球を何らかの力でかき消しました!
………え?
………え? 何でキョンくんが?
………力? でもキョンくんは普通の一般人のはずだし、
(前に彼に注入した情報因子、それの効果が出た)
何故か少し不満そうに、長門さんが伝えてきました。
(56分17秒から99年7日32分8秒の間のいつか、それがちょうど今だった)
そ、そんな都合良く行くものなんですか?
そんなあたしの疑問に長門さんは、圧倒的な説得力を持つ答えを返してきました。
(涼宮ハルヒが決めた事、………この雪山では、彼は、主人公だから)
ご都合主義的主人公パワーには、さしものゴキブリも敵わないようです。光球は全てかき消されました。キョンくんはファイティングポーズをとると、
「ぢゅわっ!!!」
ノリノリですねー、キョンくん。
キョンくんから放たれた何らかの力は、あの人体使用式精神侵略型生物兵器をこの世界から吹き飛ばしてくれました!
その事は嬉しいのですが、………なんというか、………ノリノリな人を見ると醒めるようになってしまったのは、あたしの新たなトラウマなんでしょうか?
「ひょえーーーーーーーーー!!!」
断末魔の叫びが耳に残ります。最後までっっっ! 最後まであの『禁則事項』(=未来で使われている用語のため使用不可、とても正視に耐えないものをさす)はっ!!!
その後、能力が戻ってきたらしい長門さんが涼宮さんのいる部屋まで案内してくれる事になりました。
なんだろう? 長門さんが不機嫌そうです。
(………彼が、)
長門さんの思念が、なんだか今にも泣きだしそうに響きます。
(彼が力を得たのはわたし達の前に飛び出してから)
………………………
(決して力を得たからわたし達の前に飛び出したわけではない)
小さな違い、時間にして1秒あるか無いか、でも長門さんにはその1秒が、自分の危険をかえりみなかった彼が、それを止められなかった自分が、許せないのでしょう。
長門さんはキョンくんの目をじっと見つめて、
「その前に、言っておく事がある」
これからの言葉は、長門さんだから言える言葉。実際にキョンくんを守る力を持っている人の言葉。
「あなたは先ほど、安全が保障されているわけでもないのに、わたし達二人の前に飛び出した」
何の力も無いあたしにはこの言葉をいう資格は無い。けど………、
「………二度としないで」
(わたしが………、あたしが、あなたを、守るから)
強くそう思っているせいだろう。長門さんの気持ちが、思念として伝わってくる。
………その言葉を伝えて見せる、あたしだって、いつか、必ず!
紫煙〜
涼宮さんがいるという部屋の扉をキョンくんが開けます。いかにも高級そうなベッドの上で―――涼宮さんが熟睡していました。
「さて、油性マジックは持ってきていただろうかね?」
………冗談ですよね?
「ダメですよ、そんな事をしちゃあ」
「分かってる。俺も早く帰りたいからな。しかし、どうやったら起きるんだ、このお姫様は?」
まだそんな事を言いますか、この人は?
「白雪姫、あるいは眠れる森の美女、ですかね」
べたですよー、べたべたですよー、ここまできたら。………でも、涼宮さん、………なんか、ズルいです。
とりあえずベッドのそばまで移動したキョンくん。キョドってますねー。視線なんか最初から唇に固定されてますよ。手を伸ばして髪をなでだしました。サラサラで気持ちいーって顔ですねえ。おおっと、ほっぺたに手を置きましたよ。
柔らかいですかー、柔らかいですかー。………あれ、なんでキョンくんこっち見るんですか?
「そんな目で人を見るんじゃありません」
………怒られちゃいました。
そんなに迷わないで欲しいんですけどねー、そんなに迷われたら、期待しちゃうじゃあないですか。可能性なんてほとんどゼロだろうし、たとえ叶ったとしてもいつかあたしは未来に帰るっていうのに。
その時、長門さんがキョンくんに話しかけました。
「その二つ以外の方法がある」
え? 長門さん? 何を?
(黙って)
ひゃいっ! ………なんだか悲しい条件反射です。
「あなたの許可が必要、許可を」
長門さんは話を続けます。
「ああ、もう何をしても良いぞ。やっちまえ!」
今のキョンくんはオレオレ詐欺とかに簡単に引っかかるような気がします。
「そう」
長門さんは嬉しそう、あたしは嫌な予感がぷんぷんです。
「………ところで、何をするんだ?」
キョンくんが質問した時はもう手遅れでした。
「逆白雪姫」
長門さんはそう言うと高速で口を動かし始めました。キョンくんは一瞬ふらついた後、その場に倒れこみ、寝息を立て始めました。
涼宮さんは眠っています。キョンくんも眠っています。あたしは呆然としています。動いているのは長門さんだけです。
長門さんはキョンくんを仰向けに寝かせた後、そのすぐ横にひざまずいて、
「いただきます」
ちょ、ま、待ってくだしゃーい。頭がようやく再起動、慌てて止めるあたしです。
「何?」
それはこっちのセリフですぅ。一体何をするつもりなんですかぁ?
「逆白雪姫、涼宮ハルヒがこの前話していた童話」
どんな内容なんですか、なんとなく聞かなくても分かるような気がするんですけど。
「王子様にキス、わたしは新世界のお姫様になる!」
何かいろいろ間違ってますよ、それ!
「要するに涼宮ハルヒが目覚めるよう刺激を与えるという事」
それは、まあ、必要な事ですけど………。
「では、いただきます」
確かに元の世界には戻りたいけれど、でもこんなやり方は、でも涼宮さんのやり方だって………。あー、長門さんがキスしちゃうよー。うー、うー、あたしだってー。
………あたしはこの時代で恋は出来ません。叶ったとしてもすぐに別れが待っているから。そんなの悲しいでしょう、相手の人も、あたし自身も。
だから、恋が出来ないあたしには、恋をしている長門さんを止める事は出来なくて、
………長門さんがキョンくんにキスするのを止めることが出来なくて、
………………二人の唇が重なろうとしたその時、
「くぉーらー、エロキョーン!! 有希に何してるのよー!!!」
―――飛び起きた涼宮さんがキョンくんの頭を蹴り飛ばしました。
「キョンー、あんた、あたしの夢の中までわざわざ出張してきて、何他の女に手を出しているのよー!!! しかも相手が有希なら怒るわけにもいかないじゃない、怒ったけど! ねえ、蹴っていいわよねえ、もう蹴ったけど!
殴っていい、どう答えようと殴るけど!」
こ。これが修羅場ってやつでしゅか? す、涼宮さん、怖いですー。
長門さんの呪文のせいか涼宮さんの力のせいか、キョンくんはされるがままです。おそらく、意識もまだ戻ってないでしょう。
(成功した)
確かに涼宮さんは起きましたねー。キョンくんが尊い犠牲に現在進行形ですけどねー。
(違う、あなたの事)
ふえ?
見るとあたしの体が、『朝比奈みくる』に戻っていました。
(涼宮ハルヒの頭の中は今、別のことでいっぱい)
部屋の中には何かを殴る音が響いています。キョンくんがピクッピク動いてますねえ。あれって痙攣っていうんじゃないでしょうか、………もしかして、キョンくん死亡エンド?
(………………………問題ない)
何か不自然な間があったような気がしましたが、長門さんがそう思うのなら大丈夫なのでしょう、多分。
(それより、聞きたい事がある。隣の部屋へ)
何ですか? 隣の部屋って、思念ではダメなんですか?
(あなたの存在情報が変化したため、後38秒で思念が使えなくなる)
そうなんですか? まあ、恥ずかしい事で無ければ答えますよ。
(………あなたはどうして恋が出来ないの?)
………恥ずかしさど真ん中ストレートでした。
部屋を出た所で、
「やあ、お二人とも、さっきはどうも。ところで涼宮さん達の様子わらぼぅ………」
何故かそこにいた一匹見れば三十匹な存在を、長門さんが廊下の窓から外に放り出しました。
………空中に浮いているという事は、ガード不可ですよねー。
笑顔とともにミクルビームを30発ほど叩き込みます。
チュドーン、といういかにもな爆発音とともに、ドクロ型の雲が発生しました。悪は滅びましたね。
「………滅びていない」
え? どういう事ですか? 長門さん。
「元の世界へ戻るとともに、全てのダメージが回復している」
………………………………、
「やはり、元から絶たないと」
………長門さん、なんだか前より怒ってませんか?
「アレのせいで彼に危害が加わりそうになった」
あー、そういえば、そうですね。
「元の世界に戻った後にアレの存在を抹消する」
そうですね! やっぱり雑草は根元から引っこ抜かないといけませんよねっ!!
あたし達はいい笑顔を浮かべながらその場を後にしました。
隣の部屋へやってきました。
そういえば打撃音が聞こえなくなっています。キョンくんは大丈夫でしょうか。
「防音は完璧」
微妙に答えになってない答えを返して、長門さんは話を始めました。
「今回、あなたと思念の一部をリンクしてみて気付いた事がある」
ああ、そういえばあたしの思念も長門さんに伝わってるんでしたね。
「先程、あなたは、自分は恋が出来ないと考えていた」
そう、だけど、待って………
「でも、あなたの思念をわたしの経験と照らし合わせてみると、」
それは、気付いてはいけない事なのに、
「あなたは、彼に、」
「待って!! 待ってください!!!」
思わず、声が出ました。それは、それだけはダメです。だって、わたしと同じ未来人はみんな言ってる。
「あたしは、恋なんて出来ないんですっ。あたしはいずれ未来に帰らないといけないし、そのときは永遠に離れ離れになるんですよっ。それからずっと、独りなんですよ。そんなの………、あたし、耐えられない。
好きな人と離れて独りなんて、耐えられない。」
未来人らしい理由、でも、
……………これは、
……………これは、違う!
自分の言葉が、声となって口から飛び出して、再び自分の耳に入って、聴覚情報として認識されて、そして、やっとあたしは自分の本心を知りました。
「それが、あなたの理由?」
声に出して分かりました、違います。これは未来の世界で他の人が言っていた理由です。あたしの理由じゃありません。
自分の理由を確認するために、あたしは喋り始めます。
「あたしは確かに、『独り』はいやです、耐えられないかもしれません。でも、それ以上に『独りになる事』が耐えられないんです。でもあたしは未来人だから、………最後には、独りになるんです」
本当は未来人であるかどうか、なんて関係ない。
………恋はきっと、『最後には独りになるあたし』を鮮明に映し出す。
………だから、怖い
………誰かを好きになるのが怖い
「あたしは、『独りになる事』がいやなんです」
『独り』でいれば『独り』なだけです。プラスマイナスゼロ、得るものは無いけれど何かをなくす事も無いです。
「だから、クラスでも鶴屋さん以外の人とはあまり喋らないようにしているし、目立たないように、注目されないように、コソコソと、オドオドと過ごしてきました」
長門さんは口を挟まず、あたしの話を聞いています。
「恋をすると『なくすもの』、ができちゃうから。『独りになるあたし』、になっちゃうから。だからあたしは、恋をしません」
もしかしたら、こんな考え方をするあたしは、未来に帰っても恋ができないのかもしれません。一生、恋ができないのかもしれません
………でも、折れ曲がっているけれど、これが、今のあたしの理由です。
………あたしは恋が怖いのです。
「分からない」
長門さんは本当に純粋で真っ直ぐな人なんでしょうね。多分、あたしなんかよりずっと女の子らしいですよ、本当に。
「そんなレベルの問題ではない」
次の長門さんの言葉は、あたしの胸に突き刺さりました。
………深く、………深く。
「だってあなたは、もう恋をしている」
即座に否定できていればよかったのかもしれません。
でもあたしの頭の中にはキョンくんが浮かんでいて、
キョンくんが呆れ顔を浮かべていて、
キョンくんが笑っていて、
キョンくんが…………、
キョンくんが………、
「ごめんなさい」
長門さん、どうして謝るんですか?
「あなたは、今、………泣いている」
うん、そうですね。これは、あたしが馬鹿で役立たずだからですよ。………だから………………いつも…………手遅れになってから…………気付くの……………
気付いてしまいました。
気付いていない振りをしている自分に気付いてしまいました。
………あたしはキョンくんの事が好きなのだ。
………あたしは恋をしているのだ。
恋をすると幸せになるってよくいいますけど、あたしはその時恐怖心でいっぱいでした。キョンくんに嫌がられたらどうしよう? キョンくんに嫌われたらどうしよう? キョンくんがいなくなったらどうしよう? 独りぼっちになったらどうしよう?
そして、そんなに長くない内に、自分は彼の元を離れないといけないと気付き、独りになるのだと気付き、絶望するのです。
「ごめんなさい」
長門さんが謝っています。あたしの涙は止まりません。
「わたしにはあなたの話が理解できなかった」
いいんですよ。長門さんのせいじゃありません。
「だから、せめて、あなたがしたように、わたしとわたしの考えについて話す」
不器用で真っ直ぐな彼女は、器用に折れ曲がっているあたしのために、不器用に言葉を紡ぎました。
「わたしもあなたと同じようにいつここからいなくなるか分からない存在。情報統合思念体に情報結合を解除される事もあるかもしれないし、涼宮ハルヒの観測任務を外され、他の土地に移転する事もあるかもしれない」
………そうでした。長門さんもあたしと同じで、いなくなる人だったんでした。
「わたしは『ここ』からいなくなるかもしれないから、だからこそ、『ここ』と向き合っていたい」
自分の気持ちと向き合っていたい、と長門さんは言います。
「あなたはわたしと同じく、いつこの時間から消えるか分からない存在」
………あたしが、あたしが向き合うべきものは、
「だから朝比奈みくる、あなたには『いま』と向き合って欲しかった」
『いま』、のあたしの気持ちは、
「わたしのわがまま、あなたには迷惑をかけてしまった」
そう言って長門さんは深々とあたしに頭を下げました。
「………長門………さん」
涙は止まりません。でも、涙を流したまま、あたしは、問いかけます。
「何?」
「あたしに、………出来ると思いますか?」
『いま』と向き合う事、恋をする事、そして確実に訪れるであろう、別れを乗り越える事。
「分からない。でも、」
長門さんは真っ直ぐあたしを見つめて、言いました。
「わたしは『ここ』にいる。あなたは『いま』にいる。それが全て」
見つめる視線から、時間切れでもう伝わるはずの無い、長門さんの思念が伝わってきます。とても暖かな、真っ直ぐで不器用な少女の思念、それはあたしにこうささやきかけてきました。
(………がんばって)
廊下の途中で生ゴミを瞬殺しながら部屋に戻ると、上半身裸のキョンくんの上に涼宮さんがまたがっていました。
………すみませんでした。………ごゆっくりーー!!
「ま、待って、待って! ち、違うのよみくるちゃん」
釈明を始める涼宮さん。顔が真っ赤な時点で説得力ゼロですねー。
「なんか、殴ってたらキョンが動かなくなったのよ。それで、何処かケガしたのかなあって思って服を脱がしたの。そしたら意外と筋肉質でさあ、匂いもなんていうか男の子だし、手触りもいいし、その、なんていうか、あの、この、どんな感じなのかなあって………」
訂正します。釈明にもなっていません。どちらかというと告白です、犯罪の。
その時、長門さんが二人の方へ近づいたかと思うと、キョンくんの左手を取ってこう言いました。
「あなたが彼を殴る事になったのはわたしの責任、わたしには彼を看護する義務がある」
………涼宮さんのセリフの後半部分は聞かなかった事にしたようです。
涼宮さんは慌ててキョンくんの右手を掴みます。
「離して」
と、長門さん。
「やだ」
と、涼宮さん。
………しゅ、修羅場、アゲイン!!
「やーーーーなーーーーのーーーー!!!」
す、涼宮さん、これが夢だと思っているからといって、幼児退行しすぎですよ。
「やなのーーー! 新世界のお姫様になるのー!!」
いや、だからその童話は間違えてますよ、………ていうか、やっぱりキスする気だったんですね。
あたしはどうすればいいんだろうか? 分からない。先程気付かされた気持ちに、今すぐ答えが出せるほど、あたしは強い人間じゃない。
さっき感じた恐怖とか、キョンくんに手を握られたときの安心感とか、長門さんの抑揚のない、だけど優しい思念とか、いろいろな感情が、思いが、あたしの頭の中を駆け巡ります。
ぐじゃぐじゃになって、真っ白になって、だからでしょうね。
自分でもびっくりするくらいの素直な『いま』の気持ちがあたしの口から飛び出してきました。
「キョ、キョンくんはあたしのものでーしゅ。しゅ、涼宮さん達の思い通りにはしゃしゃせましぇーん」
………かんだーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
………空気が死にました。長門さんがすごく痛々しいものを見るような目をしています。イタいですかっ! あたし、イタい子ですかっ!!
「みーーーーくーーーーるーーーーーちゃーーーーん!!!」
「ひょげっ!!!」
す、涼宮さんの後ろからオーラが、………ダークフォースがー!
「今の、どういう意味ですかしら?」
怒りのせいか言葉使いがおかしくなる涼宮さん。でも………、でも………、
「こ、言葉どおりの意味でーしゅ!!」
こっちにはもう失うものは無いんです。ど真ん中にストレートしか投げられません! 大人しく飼い犬に手を噛まれちゃってくださーい!! ………甘噛みですけど。
あたしの予想外の言葉にびっくりしたのか黙り込む涼宮さん、その隙をつくように長門さんが話しかけます。
「先程のシークエンスでは、彼は、あなたにキスする事しか道は残されていなかった」
「だから、何よ」
「これでは勝負とはいえない。あなたは、とても卑怯な手を使った」
「うーーーー」
反論できない涼宮さん、口を尖らせています。
「再戦を要求する」
………え? 長門さん、何を?
「もう一度最初から、彼が、わたしたち三人のうちの誰かを選ぶような状況を作り上げて欲しい」
多分、今日と同じような事がもう一回起こって、またキョンくんが巻き込まれる事になるのでしょう。でも、なぜでしょうか? あたしはそれに反対する気は起きませんでした。
涼宮さんはしばらく唸っていましたが、やがて顔を上げ、あたしと長門さんに視線をぶつけて、
「分かったわよ、でも、」
満面の笑顔で、
「あたしは、負けないからね!!!」
………次の瞬間、この雪山世界は、崩壊しました。
目覚めるとそこは雪山でした。なんてことはなくて、あたし達が目覚めた場所は、いつもの文芸部室でした。あたしは見慣れた光景に安堵のため息をつきながら、何故か自分と長門さんの手がキョンくんの腕をそれぞれ一本ずつしっかり掴んだ状態でいる事に気付き、
でも何故か離す気になれず、しばらくそのままでいました。
キョンくんが何かを聞きたそうにしています。おそらく彼が眠った後、雪山世界で起こった事が何なのか、尋ねたいのでしょう。どこから喋ろうか考えたあたしは、最後の涼宮さんのセリフを思い出し、まず、『いま』言うべき事、を言いました。
「………負けませんから」
「………負けない」
長門さんと、思い切りセリフがかぶりました。ひいっ、ごめんなさい。
………結局、何があったかは教えない事にしました。ごめんなさい、キョンくん。
キョンくんが首をひねりながら自分の教室へ戻っていきます。その後で部室の鍵をかけるあたし………、
―――さあ、お掃除タイムです。ターゲット、『変態28号』、ロック・オン!
「おや、長門さんどうしまぽわっ!!」
「これは、朝比奈みくるの分」
とはいっても、あたしにできることは鍵をかける事ぐらいで、後は長門さん任せなんですけどねえ。
「ちょっ、いきなり何をぶるわっ!!!」
「これは、彼の分」
………忘れたと言うんですかっ! あなたは、あなたが長門さんに与えた苦痛を、あたしに与えた屈辱を、忘れたと言うんですかっ!!
「な、何か分かりませんけどすみません。謝ります。誤りますからっ!」
「そして、これが、わたしの分」
いい感じの打撃系ハーモニーが鳴り響きました。
「ぎ、に、やーーーーーーー!!!!!!!!!」
そして、静寂。今度こそ悪は滅びました。………なんてね。
臭いがこもると嫌なので窓を開けます。冷たい風が寝起きの頭に心地良いです。
おそらく、そう近くないうちにあたしは未来に帰ります。そうなったらあたしの恋はおしまい。でも、それでも良いかなと少し思えるようになったかもしれません。
………まだ、………やっぱり、………すごく、怖いけれど。でも、
………あたしは『いま』を楽しもうと思います。
窓のふちに腕を預け、冬の風を感じます。風は、部室の中に残っていた色々なにおいを、運び去っていってくれました。
そういえば、と思う事があります。
―――燃えるゴミの日って、いつでしたかね。
次の日の事です。
目が覚めると、そこには密林が広がっていました。
ちなみにここはお城の中。前回とは違い江戸時代を思い起こさせるような純和風的なお城がジャングルの中に建っています。涼宮さん、色々すごすぎです。
あたしの後ろで涼宮さんと長門さんが話をしています。
「いい、キョンが誰を選んでも、恨みっこなしだからね!」
「なし」
………それ以前にキョンくんはここまでたどり着けるのでしょうか?
「大丈夫よ、みくるちゃん! ………あたしが考えた障害物、全部入れたけど」
そ、それは全然大丈夫なんかじゃないんじゃないでしょうかー!
「あたし達三人から一人を選ぶっていうチャンスを得るにはねえ、やっぱりそれなりの試練を乗り越える事が必要なのよ! えーと、何っていうのかな?」
「等価交換」
「そうっ! それよ、有希! 代償っていうのはねえ、どんな世界でも絶対必要になってくるものなのよー」
何が与えられるのかもまだ知らないキョンくんにとっては、いきなり理不尽空間に連れ込まれただけのように感じるんでしょうねー。
心の中でキョンくんに謝りながら外の風景を眺めます。この世界は夢のようなものですが、突き抜けるような青空には真っ赤な太陽がさんさんと照り輝いています。
それを見ながらあたしは、空だけは、『いま』も『未来』も変わらないんだなあと、そんな事を考えていました。
え、キョンくんが誰を選んだか? ですか?
―――それは、禁則事項です。
以上です。
古泉くんの存在感は素晴らしいですね。
では、また。
乙です
前編でいろいろ言われてたときにレスしなかったのはこういう訳だったのね
どんどん黒化していくみくるが正直たまりません
すげぇ面白かった!
正直、偽性だけ呼んだ時はそれほどじゃぁなかったんだけど、真説を読んで納得してしまった。
うまいなぁ。まんまと釣られちゃったよ。
GJでした!!
>>426 こんな時間に爆笑させられるとは。
確かにこれは紛う方なく、みくるメインだ。すばらしくかわいかった。
『偽性』で伏線張りまくってたり、芸が細かいなあ。
とにかくあれです。GJとしかいいようがないです。
リアルタイム乙。
みくるが女の子しててよかった。なんていうか年頃って感じ。
長門とみくるの絡みは見ていて飽きないです。最近は新ジャンルの季節でしょうかw
GJ! とだけ云わせてくれ。
いやぁ、面白かった
ちょろっとしたミスのようなものがすべてヒントだったとは
いいですねぇ
複数視点もの好きにはたまりません
>>426 なんと言えばいいんだろうか。
神だ。
即プリントアウトして冊子にしトイレ文庫にしてしまった、そういう意味でのカミではなく。
無駄な文が一行もない。二視点で一致させた文がすべてネタで、逃げがない。イベントの次はまたイベントで、隙がない。
この自制と集中力、素晴らしいの一言。
会心のネタが思いついたときは、耐えきれずに不必要なネタバレを書いてしまったり、そのネタだけでとにかく一本書こうとしテキトーな繋ぎの文を書いてしまうものなのに、一行一行がネタ。
ブクオフにある下手なラノベよりずっと面白かったです。どうかまた読ませてください!
バラバラ事件の多い昨今、真性読み終えてから偽性のほうをあわてて読み直し、古泉が生きてるのを確認。ほっ?
なんつうかやればやるほど安っぽい感想しか言えない気がするから
おれはこれだ
GJ!
何か、小泉イイ…
GJ
取り敢えず神とかGJとか言葉はいらないとか言っておけばいいらしいんで、
はいはいカミカミ。
あえて全角でGJ!
てかオマエ谷川じゃねぇだろwww仕事しろって
なんか最近ノリがVIPみたいだな。
古泉はフェミニストだよ。
最近はハイレベルなSSの投下が多いな…。
>>440 前にもスレのノリがこんな感じになったことはあったような。
>>440 実際VIPから来た奴多いんじゃない?
昨日、一昨日の議論でVIPマンセーっぽい書き込み多いし。
連投スマン。
あと、
>>426 おもしろかったよ。乙。
ただ、偽性でのキョン語りの技量に引っ掛かりを感じて、
素直にGJと言えない天邪鬼な俺。
キョン語りはコツがいるからねぇ。みくる語りも見ると
どちらかというと作者さんの一人称小説でのクセが強く出てるんじゃない?
作者毎の個性が出るのは別に問題ない、というか良い事だと思う。
それで人によって苦手意識が出るのも正常な事だけど。
まあとりあえず、『禁則事項』=レベルEネタ?で吹いたw
キョン語りでも同じ場面で思った点。
>>404で長門が口籠もる理由は、流れの中では正直よくわからない。
これはキョンが鈍感だからとかお姉さんが一肌脱いじゃる、そういう問題ではないと思う。キョンならずとも
気付くのは難しい。直前まで長門が恋愛感情主体で揺れ動いているため、この場面も個人的な感情かと読む側は思う。
だからあそこは長門に、少し冗長でもちゃんと前置きさせるほうがいいのではないかと。
読んでいておもしろかったので、読者として入り込み辛かった点を敢えて指摘しときま。
ここ最近の神々の投下ラッシュは素晴らしいな
職人さん達のレベルの高さを改めて思い知らされたよ
ここの感想はさ、VIPと違って乙GJだけじゃなく具体的なことに意味があると思うんだ
うむ。
どこがどんな風によかったのか、
どこをどんな風に直したらもっとよくなるのか、
という感想が更なる職人のレベルアップ繋がる。
腕を試したい、もっと良い物を書きたい職人はエロパロへ
とにかくマンセーして褒めてもらいたい職人はVIPへ
そんな棲み分けができればいいと思う。
まあそこは新しい感じの感想ってことで一つ
>>450 だな。もう俺なんかの出る幕ではなさそうだ……。
俺が書いた「新川ですが、機関内の空気が最悪です」はお蔵入りになりそうだorz
>>454 投下しましょう。彼女も言ってました。
「やらなくて後悔するよりやって後悔した方がいい」と。
今のところこのスレでは俺が投下したのが一番空気だ。気にするな。
>>454 タイトル見た瞬間に吹いたw
めっさwktkする。
>>454 さあ書いてみるんだ。大丈夫、最初はみんな素人さ。
>>426面白かった!GJ!
みくるメインの最近少ないから読み応えあった。
○○サイド型のSS書くのって大変そうだよな。
双方に矛盾がないようにしないとアカンし。
>>454投下すれば良くも悪くも皆読んでくれる。俺も読みたい。
ここに以前投下されてたSSでキョンだけが
洋服が透けて見えるようになるSSがあったと思うのですが
倉庫ではどういう題名になってるかご存知の方いませんか?
見つからないんですが・・・。
>>461 30-43様: キョン@透視能力
だと思う
ハルヒをめぐるさまざまな派閥の抗争に巻き込まれて脳を損傷してうまく動けなくなったキョンに
ボランティアセックスをするハルヒっていう欝:エロ=9:1な電波を受信した
でも今は別のSS書いてるから代わりに誰か書いて
>>454 ライアンの人?
もしライアンの人ならおもすれーから大丈夫
>>463 すまん、俺は鬱なのは書けないんだ……
シリアスは嫌いじゃないし書いた事もあるけどハッピーエンドにしたし
>>465 俺もエロギャグばっかで欝は書いたことない
どんな欝もすべてどんでん返しにしてしまう
SOS団部室。
普段ならそこは、歓談その他諸々の、混沌とはしていたものの全体的に楽しい空気に包まれた場所であるはずだった。
今のあたしの目の前には、時計みたいに規則的にページを捲る有希も、あたしの我が儘におたおたしてるみくるちゃんも、
何を考えているのかわからないけどとりあえず笑ってる古泉君もいない。
焦点の定まらない目を、多分あたしを探すために必死に泳がせているキョンしか。
「ハ…ヒ… だい、じょ…」
喋るのも辛そうだし、そんな様子のキョンをみるあたしも辛い。
何か言わなきゃ、焦れば焦る程、舌は思うように動いてくれない。
前にこんな事があったとき、有希は救急車を呼んでくれた。
あたしはそれを思い出すとポケットの携帯電話を取り出した。
でも、ダイヤルしようとしたあたしの手を、キョンが制す。
「病院、は… だめ、だ… き…かん…」
最後に行った「キカン」というのが何の事なのか、あたしにはわからない。
何で病院がダメなのかも、わからない。
やっと落ち着いてきた舌で事を問おうとした時、キョンは気を失ってしまった。
それまでのドッとあたしの体に押し寄せてきて、
本当にキョンは気を失っただけなのか、もっと危険な状態なんじゃないか、そんな事を危惧する前にあたしも眠りに落ちた。
――――
眠りから覚めると、窓からうっすらと差し込んでいた光もすっかり去って、
夜の空気の孤独さが、部室の静けさを強調していた。
「…キョン!」
寝ぼけている場合じゃない。あたしは状況を思い出すと、キョンの体を強く揺さぶった。
手がピク、と動く。死んでいる訳じゃない、と解ると少しだけ安心した。
「……」
今思えば、あの時のあたしは頭が狂っていたんじゃないだろうか。
ただ、もうキョンと話したり笑ったりする事が出来なくなるかも知れない、
そんな不安が呼んだ、キョンとの思い出のフラッシュバックの中にあった映像を、あたしは忠実に再現した。
「…あのときは、あんたがいきなりしてきたのよね、コレ。」
あたしは、動かないキョンの唇に自分の唇を重ねた
そして…
エロシーン書けねえ。
>>426 女戦士コスの古泉を想像して思わずコーヒ吹きそうになったw
ギャグ物長編は久々だから楽しんで読ませて貰ったよ。
ちょっと気になるところもあったけど、全体としてはテンポも良く読みやすかった。
次回作も期待してます。
これくらいの鬱で丁度いいかな。
ハルヒシリーズ自体どうしても似合わないって言うか、
どんな状況でもドンデン返しできるから余計にそう思う。
あとギャグものを書ける人って素直に関心する。字面でギャグって難しいよね。
3レスほどの小ネタいきます。
ご無沙汰しております。この度、私の所属する機関内での事に関して少々語らせて頂く次第となりました。
とは言いましても、私ももう初老をとうに越えた年齢ゆえ、至らぬ点も多々あるかと思いますが、そこはご容赦のほどを。
ある日の事でございます。
いつものように雑務をこなしていると、多丸圭一氏が我々のいる支部へと帰ってまいりました。
「うい〜」
どうやら、また酔っていらっしゃるようです。
「大丈夫ですか、圭一氏。あまり飲みすぎてはいけませんぞ」
私は毎日のようにこのような台詞を掛けているのですが、圭一氏は一向に耳を貸す気配を見せません。
私もそろそろしびれを切らしそうになっていたのですが、今や私以外に圭一氏を介抱しようとする人間はおらず、仕方なしに肩を貸します。
「よっこらせ」
重い彼を仮眠室へ運び終え、ようやく自分の仕事へ戻ろうとしたところ、
「なあ、もうあいつのお守りなんてしなくてもいいよ新川さん。ったく、あんなだらしない兄貴の世話なんかする必要ないよ」
裕氏が声を掛けてこられました。
確かにだらしないですが、それが実の兄のことを言う台詞とは思えない言い草です。
「ですが、放っておくことはできかねます……」
「いいんだよ。あんな奴は一度」
「では、私はこれで失礼します」
この後に続く裕氏の台詞が聞くに耐えかねないものだと判断した私は、早々にその場を後にしました。
この兄弟も、最初は決して仲が悪かったわけではございません。いつからかお互いを罵り合うようになり、疎遠になっていきました。
周りの空気が悪くなるのも当然です。
裕氏の舌打ちを背中に受けるのにも慣れてきた私は、ようやく自分の仕事に戻りました。
「おもしろくねえじじいだ」
小声で言ったつもりなのでしょうが、しっかりとここまで聞こえてきます。彼の口と頭の悪さにはもううんざりです。
どうやら彼は最近、私のいない日に支部に女を連れ込んでいるようで、森のものではない長い髪がしばしば仮眠室に落ちています。いっぱしのチャラ男と化したようです。
そうして裕氏にうんざりしている私の横から、ただならぬ化粧の匂いと共に、森が声を掛けてきました。
「裕さんの女、一度見たことあるんですけど、もうケバイのなんのって」
最近のあなたも、十分にその枠で括られそうですが。
しばしの間、年寄りには厳しい森の化粧の匂いに頭をクラクラさせていると、
「やあ、どうも新川さん、ご無沙汰しております。森さんも、お久し振りです」
整った顔立ち、満面の笑み、古泉が久々に支部へ顔を出しました。
「これはこれは、ご無沙汰しております」
「お久し振りですね。元気そうで何よりです」
森がブリッコモードに突入したようです。
森は最近、どうやら古泉がお気に入りのようで、色目を使っては誘惑しているように見えます。
しかし、最近の古泉に魅力があるのは、私とて解らないでもありません。
私どもの一部で神とされている彼女の下へ赴いてから、古泉は非常に明るくなりました。
もともと笑顔は絶やさなかったものの、最初のそれは無理に作っているのが明確でしたが、最近は含みのない笑顔を見せるようになってきたのです。
端整な顔立ちゆえ、その笑顔が非常によく彼の魅力を引き出しています。大抵の女はコロッといってしまうのでしょうな。森もその程度の女だったということです。
「おや、森さん、化粧の仕方を変えたのですか? いいですね。似合ってますよ」
あまり森を調子に乗らせるようなことを言わないで頂きたい。明らかに濃すぎる化粧だと思うのは私だけでございましょうか。
「ふふ。ありがとう」
森は、普段私どもには絶対に見せない顔で古泉を見つめる。もう勝手にさせておきましょう。
それはさておき、先程からコソコソとこちらの様子を窺っているのは裕氏でしょうか。
裕氏はどうも最近の古泉を良く思っていないようで、おそらくそれは、どんどん明るくなり魅力を増していく古泉に対する羨望からきているのかと思われます。
裕氏は私の視線に気付いたのか、自然を振る舞ってこちらに向かってきました。
「裕さん、古泉が来てますよ」
これは森の言葉です。
しかし裕氏は古泉を無視し、灰皿を手に取ると、すぐさま去っていこうとしました。
その古泉に対する態度に、森はじっと耐えているのが窺えます。
「はは。きっと裕さんも疲れているのでしょう。僕は全く気にしていませんので、大丈夫ですよ」
それが本心かどうかは解りかねますが、古泉は裕氏をフォローする発言をしました。
「おっと、今日は涼宮さんたちとの約束がありますので、短いですが僕はこれで。では、失礼します」
正直、私も羨ましい。あの美少女三人組と常に行動を共にしているわけですから。天皇陛下に捧げた私の青春時代とは雲泥の差です。
私と化粧魔森は古泉を見送り、その後どちらも言葉を発することなく、各々の仕事へと戻りました。
しばらくして、森のいる部屋からドンドンと壁を蹴るような音が聞こえますが、ここは無視するのが得策でしょう。
しかし、無視できなかった人間がいたようであり、
「うるせえ! 女らしく静かにしてやがれ!」
裕氏が反応してしまいました。
すると別の部屋の扉が開き、裕氏でも森でもなく、圭一氏が出てきました。今の裕氏の叫び声で目を覚ましたのでしょう。
「なんだなんだ?」
それに続き、森の部屋の扉も勢い良く開きます。
「何よ。あなたが古泉に変な態度取るからでしょう?」
そして最後に、裕氏のいる部屋の扉が開かれました。
「古泉なんぞのどこがいいんだ! 単なるガキじゃないか!」
「若さに嫉妬するのはみっともないんじゃありません? それとあなたもいい大人なんですから、チャラチャラするのはやめた方がいいと思いますけど」
危険です。森は敵に対して見せるあの氷点下の微笑みを作っています。どうでもいいですが。
「このアマ……!」
「やめろ!」
ここで圭一氏が止めに入ります。
「アル中デブは黙ってろ!」
「……な、このチャラ男が! それが兄に対する言葉か!」
所詮、私どもの支部はこの程度の人間の集まりです。近いうち、移動願いを提出したい所存でございます。
「ぐあっ! この野郎!」
気付けばデブとチャラ男の殴り合いに発展していました。森は相変わらず化粧の匂いを振り撒きながら、愉快そうにその光景を眺めています。
もう、私には止める気力は皆無でございます。どうとでもなってもらって構いません。
「……やれやれ」
私はあの彼の台詞を借りるような発言をし、溜息をつきました。言っておきますが、彼の若さに憧れたゆえの発言ではないことを否定しておきます。
そろそろ決着が付きそうです。やはりデブが勝ちそうですね。ヘビー級とフライ級の戦いなんぞ、見る前から結果は解っていましたが。
チャラの顔が血まみれになっています。いい気味です。
化粧女もチャラの顔を見て嬉しそうですね。これもどうでもいいですが。
「ふん。天罰だ」
とうとうチャラは崩れ落ち、デブは唾と共に捨て台詞を吐いてその場を去りました。
しばらく、化粧女の見下すような視線がチャラに突き刺さります。
化粧女がハイヒールの足を上げたところで私は目を背け後ろに振り向き、その場を後にしました。
そして、二度とこの支部に戻ることはないかと思われます。
さて、これからどうしますか。再就職するには非常に困難な年齢ではありますが、隠居するには早いかとも思われます。
のんびりと考えることにしましょう。
ちなみに、落ちているダンボールに目がいってしまうのは、私だけの秘密です。
以上です。
これはwwww
ちょwwwwww
はたしてダンボールに目が行くのは将来を案じてか、
それともそれをかぶって戦地に赴こうとしているからかwwww
スネークが本性を現すのを楽しみにしてたのに肩すかしw
こいつぁ悪くねーぞwww
実に新川さんっぽい。声が脳内再生される
新しい
GJです!
みんなのキャラが違いすぎて逆にスッキリできました!
やっぱり投下して正解でしたよ(^-^)
タイトルもやばいなww
レベルが高すぎるwww
すげーwwwwww
口調のトレースが完璧だ
SSに対する反応がだんだんVIP色になってきてると思うのは俺だけか
これは確かに新しい。まずタイトルからして秀逸だしな。
しかし一つ気になったのが、
>彼の若さに憧れたゆえの発言ではないことを否定しておきます。
憧れたのか?w どっちともとれるから困るww
というかタイトルに一番笑った。
>>485 作品のテンポに合わせた感想を述べてるだけだと思うぞ
>>485 指摘するとこはしてるんじゃないかな
素直におもしろいからこの反応なんだと思うよ
俺も草2つ以上は出てけと心の奥底で思ってた
>>18 ここまでボロボロ泣いたのは喪失以来だ。涙が止まらん。
ありがとう
一瞬VIPに来ちまったかと思ったよ
vipどうこう言ってるヤツの内の誰かが新手の荒らしになる予感・・・
一人ないし数人だと思うよ
他はそれに連られる確信犯
496 :
涼宮ハルヒの結婚:2007/01/28(日) 12:55:14 ID:qjHF/fS8
ハルヒ母「本当は式まで男の人を通しちゃいけないんだけどあなたなら問題ないわね」
ハルヒ母「言っときますけど花嫁に悪さしたらただじゃすみませんよ?」
キョン「綺麗だな……」
ハルヒ「キョン!よかった、来てくれたのね…」
キョン「当たり前だろ。オレ達の団長様の結婚式だぜ。」
ウェディングドレスを着たハルヒが儚げに笑う。
俺はそれを見て
俺はハルヒのことが好きだったんだな
と、今更ながらに気付いた……
朝比奈さんと長門が奥のほうから出てきた。新婦の身の回りの世話をしているのだろうか。
朝比奈さんは華やかな黄色のドレス、長門は落ち着いた紺のスーツを着ており、
その姿は純白のウエディングドレスを着た花嫁に花を添えているようだった。
みくる「あ、キョンくん!どう?涼宮さんのウエディングドレス姿は?」
長門「・・・少し赤くなっている」
長門の言葉にドキっとさせられたオレはなんとか平静を装った。
キョン「あ、ああ・・・二人とも久しぶり。朝比奈さんも長門も、よく似合ってますよ」
みくる「ふふ、ありがとね。もう新郎のところには顔出した?」
…そうだ。本日のもう一人の主役、このとびきりの花嫁の相手役は、
なんとあの古泉だったのだ。
オレは心中を駆け巡っている複雑な気持ちを、朝比奈さんに気取られないよう押し隠した。
朝比奈さんが含み笑いをしながらじっとオレを見つめてくる。
…ダメだ。このまま見つめあっていたら心の底まで見透かされそうな気がしたので、
オレはハルヒに視線をうつした。
ハルヒはどういうわけか、少し斜め上を見ながらボンヤリ考え事をしているようだった。
キョン「ハルヒ?一生に一度の晴れ舞台だってのに浮かない顔してるな。気分でも悪いのか?」
ハルヒはオレの言葉にハッとなってこちらを向いた。
ハルヒ「そ、そんなことないわよ。・・・そうそう、今日はなんたってSOS団団長であるこの私の
結婚式なんだもの!ただの結婚式には終わらせないわよ。存分に楽しんでいきなさい!」
キョン「ははは、ハルヒらしいな」
長門「・・・・・鈍感なところはまったく変わっていない」
みくる「まったくですね」
キョン「そろそろ古泉のほうを見てくるよ」
みくる「わかりました。また後で」
ハルヒたちのひとしきり談笑してから、オレは新郎側の準備室へと向かった。
ドアをノックすると、数秒してからゆっくりと開かれた。
497 :
涼宮ハルヒの結婚:2007/01/28(日) 12:58:07 ID:qjHF/fS8
キョン「・・・!?新川さんじゃないですか!それに多丸さんたちも!」
多丸兄「やあキョン君、久しぶりだね」
多丸弟「去年のSOS団夏合宿以来・・・だったかな?」
相変わらず全然似ていない兄弟である。
新川「お久しぶりでございます。本日は古泉と涼宮様のためご足労頂きまことにありがとうございます。
・・・おっと、堅苦しい挨拶は野暮でしたかな」
キョン「お久しぶりです。・・・もしかして今日の結婚式は機関も関係しているんですか?」
新川「いえいえ、本日は我々、古泉の友人として招かれただけでございます」
新川さんは、とてもプライベートで招かれたとは思えないくらいに丁寧な物腰である。
それがまたイヤというほど似合っているのだから文句のつけどころもないが。
もしかして、機関のエージェントは辞めて本職の執事に転向したのかな?
新川「前にも言ったように、執事は世を忍ぶ仮の姿でございます」
新川さんはそういうと穏やかな笑顔で微笑んだ。
…この人、若い頃は古泉と負けず劣らずのハンサムだっただろうな。いや、今でも十分男前だ。
古泉「キョン君、今日は僕たちのために・・・その、ありがとうございます」
キョン「お前まで堅苦しいあいさつか?」
古泉が『僕たち』と言ったとき、オレの胸はズキリと痛んだ。
古泉「ははっ、そうでしたね。しかし、今ではこの性格がすっかり定着してしまいましたよ」
高校を卒業して以来閉鎖空間はほとんど発生することはなく、古泉はその力を使うことが
ないようである。未だ機関には所属しているようだが。
しかし、まさかコイツがハルヒと結婚することになるとは・・・
どうやら古泉は、高1の途中からハルヒのことが好きだったらしい。
SOS団にいるときはまったくそんなそぶりを見せなかったが。
おかげで卒業後数年たってから古泉とハルヒが付き合いだしたと聞いて、
オレは自分の耳を疑ったもんだ。・・・それが今から2ヶ月前のことである。
オレには古泉がトチ狂ったではないかとさえ思えた。
キョン「しかし、まさかお前がハルヒと結婚するとはなあ・・・」
古泉「おや、うかない顔をしていますね。少し後悔しているのですか?」
キョン「バカいえ!今は、一生ハルヒのワガママに付き合わされるお前に同情したい心境なんだ」
古泉「ふふっ、まあそういうことにしておきましょうか」
なぜか胸が猛烈に痛む。・・・だめだ。なぜか祝福の言葉が出てこない。
まさかオレは、古泉に嫉妬しているんじゃないか?・・・いや、そんなバカなことはない。
これからハルヒの旦那になろうとしている不幸な男には、祝福なんかよりも
追悼の意を伝えたほうがふさわしいってことだ。
キョン「披露宴では面白い趣向を用意してるらしいじゃないか。
まさか招待客が殺されたりはしないだろうな?」
古泉「その案もあったのですが、さすがに却下されてしまいましたよ」
さも残念だという風に古泉が言った。冗談のつもりで言ったんだが、
まさか本気で考えていたのか・・・?
キョン「とにかく今日はおめでとう。そろそろチャペルのほうへ移動するよ」
オレはそういうと新郎の準備室から出た。本当のことをいうと、一刻もはやく
あの部屋から出たかった。
開始時刻まではまだ時間がある。オレは式場の外に出て、ぼんやりしながら
その辺をブラついていた。
あれからまだ2ヶ月しか経ってないのか・・・
498 :
涼宮ハルヒの結婚:2007/01/28(日) 13:00:13 ID:qjHF/fS8
2ヶ月前、オレはハルヒに呼び出されて近くの公園まで行った。
3月の暖かい日差しの中、公園の桜の花がそろそろ開こうとしていた頃だ。
キョン「どうしたハルヒ?今日はオレ一人だけか?」
オレたちは卒業後もしばしば集まって、高校の頃と同じようにSOS団的な活動を行っていた。
さすがにロコツな不思議探しをすることはなかったが、友達以上恋人未満の
微妙な男女の関係がしばらく続けられた。
しかし去年の夏合宿以来ばったりと集合回数が減り、今年に入ってからは
初詣以来のことである。
ハルヒ「キョン・・・今日はアンタに話があるのよ」
いつになく真剣な表情でハルヒは言った。
キョン「どうした?今年の夏の合宿の相談か?ちょっと気がはやいんじゃないか?」
ハルヒ「バカ、違うわよ」
ハルヒ「昨日のことだけどね。私、古泉君に告白されたの」
キョン「!?」
ハルヒ「高校のときから私のことが好きだったって・・・私、全然知らなかった・・・」
オレもハルヒと同感だ。古泉がハルヒに告白だって!?これはなんの冗談なんだ?
ハルヒ「私、彼のこと全然そんな目で見てなかったから・・・なんて答えたらいいのか・・・
ねえキョン、どうしたらいいと思う?」
いきなり話をふられてオレはとまどった。なんだって古泉はハルヒなんかに告白したのか?
そしてなぜハルヒはオレの意見を求めているのか?
…ハルヒはじっとオレの顔を見つめている。オレがなにか言わなきゃ
このにらめっこが終わりそうにないので、なんとか言葉をひねり出す。
キョン「ア、アイツがお前のこと好きだったなんて、意外だったな・・・」
ハルヒは話をはぐらかされたと思ったのか、少し眉の角度を変えてオレをにらんできた。
コイツは一体オレになにを言ってほしいんだ?オレだって、
いきなりそんな話を聞かされて戸惑ってるんだよ。そんなににらむな。
キョン「付き合ってみるのもいいんじゃないか?お前、ちゃんと男と付き合ったことないんだったよな。
いい経験になるんじゃないか?アイツは男前だし、相手に不足はないだろ?」
ハルヒの眼力に圧倒されたオレは、テキトーに無難なことを口走った。
ハルヒ「それ、本気で言ってんの・・・?」
ハルヒはかなり声のトーンを落としてそう言った。今思えば、ハルヒはこのとき
止めてほしかったのかもしれない。しかし内心動揺しまくっていたそのときのオレには、
ハルヒの気持ちになど気づきようもなかった。
キョン「ああ、いいと思うぜ。なにしろアイツは・・」
ハルヒ「キョンのバカッ!!死んじゃえ!!!!!」
500ホーンはあるかと思えるくらいの大声で叫んだハルヒは
全速力で走りだした。
回りの視線が痛い。オレはわけがわからずにハルヒを追いかけたが、
アイツの全速力に追いつくはずもなく、途中で追いつくことをあきらめたオレは、むなしくため息をついた。
…そういやあのときのアイツ、少し泣いてたな。
これの作者か?
だ、のが抜けてた。
転載宣言無いし、わざわざタイトルも変えてるし、愉快犯の無断転載じゃないの
仮に本人だったとしても、わざわざここに投下し直す意味がわからん
502 :
涼宮ハルヒの結婚:2007/01/28(日) 13:17:23 ID:qjHF/fS8
それが2ヶ月前の話である。実はというと、それ以来今日までハルヒと会ってさえいなかったのだが。
古泉は強引にハルヒを口説いて結婚までこぎつけたらしい。
聞くところによると、プロポーズはなんと2週間前だという。
…まさかアイツがそこまで情熱的だったとはな。
オレは噴水の前のベンチに腰かけ、意味もなくため息をついた。
谷口「よ!キョン。どうした?元気ないな」
国木田「久しぶりだね、キョン。僕らも涼宮さんに呼ばれたんだ。
いやあ、びっくりしたよ。まさか彼女がこんなに早く結婚するとは
思ってなかったからね」
キョン「お前らも呼ばれてたのか」
この2人と会うのも久しぶりだ。まさかハルヒが結婚式に招待していたとは思わなかったが。
谷口「いや、それにしても残念だったな。涼宮のダンナになれるのはキョンぐらいと
思ってたんだけどな」
国木田「谷口!よけいな事言うなよ!」
なぜか国木田が谷口をたしなめる。
国木田「キョン、気にするなよ。今日は2次会あたりで抜け出して飲みにいこうよ。
オレたち朝までだって付き合うよ」
ふぅ〜。なんだってコイツはいらぬ気遣いをするんだ。
オレのどこが落ち込んでるように見えるんだよ。さっきだって朝比奈さんの
お美しいドレス姿を拝んできたんだ。むしろ今日はいい日なんだよ、うん。
長門のスーツ姿もかわいかったしな。それに・・・
ウエディングドレスを着たハルヒは、それはもう綺麗だったんだぜ。
あんなに綺麗な花嫁は、一生で一度拝めるかどうかってところだ。
それはオレが保証しよう。お前らもせいぜいまぶたの裏に焼き付けておくんだな。
谷口「ま、泣くのはオレたちの前だけにしろよ。なんたって今日はめでたい日だからな」
キョン「バカじゃねーか。いいか、オレが泣くとしたら、それはハルヒの旦那となる新郎の
これからの苦難を思っての涙だろうよ」
谷口「ま、そういうことにしとくか。・・・そろそろ時間だな。行こうぜ!」
谷口はニヤニヤしながらオレにそう言った。コイツのバカは高1のときから
まったく変わっていないようだ。
国木田(キョンだって谷口に負けず劣らずのバカのくせに・・・・・)
3人でチャペルまでくると、すでに席は一杯だった。
オレたちが空いている席を探していると、少し離れた場所から声をかけられた。
「キョンくんたちー!こっちこっち!」
声の主を見ると・・・深緑色のドレスを着た鶴屋さんがいた。
鶴屋「アタシの隣空いてるよ〜!」
オレたちは彼女に促されるまま、その席に座った。
鶴屋「いやぁ、キョンくん。久しぶりだねぇ」
なぜか鶴屋さんまでニヤニヤしながらオレを見てくる。
…そんなに今日のオレの顔は面白いのか?
キョン「去年の夏合宿以来ですね」
鶴屋「そっかー、あれからもう1年近くになるわけかい?
あんときはキミタチとってもいい雰囲気だったのにねぇ・・・」
キョン「な、なんのことですか?」
鶴屋「・・・まあいいっさ。今日はめでたい日だから素直に祝福するにょろ〜」
鶴屋さん・・・その口調変わってませんね。
ひょっとして流行語大賞でも狙っているんですか?
ざわつくチャペルの中で、オレたちは鶴屋さんとひとしきり談笑していた。
国木田「ねえキョン、式の開始時間って何時だったっけ?」
キョン「ん?プログラム持ってないのか?たしか2時開始だったような・・・」
そういいながらなにげなく腕時計に目をやると、開始時間よりも15分過ぎていた。
キョン「あれ?おかしいな・・・もう15分も過ぎてるってのに、一向に式が始まる気配がないぞ」
谷口「準備に時間がかかってるのかもしれねえな」
そのとき、オレの携帯に着信が入った。
かけてきたのは・・・長門か。
キョン「もしもし、どうしたんだ?遅れてるようだが」
長門「緊急事態。花嫁がいなくなった。急いで準備室まできてほしい」
な、なんだってー!!
sageないし新手の荒らしだな
既出だしどうでもいいからもう投下すんな
505 :
涼宮ハルヒの結婚:2007/01/28(日) 13:26:09 ID:qjHF/fS8
オレはチャペルの外に移動すると、小声で長門に言った。
キョン「いなくなった・・・ってどういうことだ?トイレにでも行ったのか?」
長門「ドレスを着たままトイレに行くことはできない。
それに施設内すべてを調べてみたけれど見つからなかった」
キョン「・・・わかった。とりあえず準備室に向かう」
花嫁側の準備室に入ると、朝比奈さんや長門、それに古泉が深刻な面持ちで立っていた。
みくる「ごめんなさい・・・こんなことになってしまって」
キョン「一体どういうことなんだ?・・・ハルヒのご両親は?」
長門「今、この施設内を探し回っている」
キョン「ハルヒがいなくなったとき、誰も気づかなかったのか?」
朝比奈さんがうつむきながら首をふった。
みくる「私たちがほんの少し目を離したときにいなくなった・・・としかいいようがありません」
長門「ドレスを着たまま部屋を出ようとすれば誰かが気づくはず・・・
涼宮ハルヒはこの場から消えてしまった可能性が大」
キョン「そんなバカな・・・!?」
言いながらオレはハルヒの力を思い出した。
そうだった。最近はまったく発動していなかったから忘れていた。
アイツは望んだことを実現化させる力を持っていたんだったな。
キョン「まさか、またハルヒの力か?」
古泉「可能性としてはそれしか考えられません。だとすれば、これは彼女が望んだことなのでしょうか・・・」
めずらしく古泉まで落ち込んでいるようだ。それはそうか。結婚式直前になって
花嫁に逃げられたかもしれないって状況になれば誰だって落ち込むだろう。
キョン「まさか、また閉鎖空間じゃ・・」
古泉「今のところ閉鎖空間の発生は感じられません・・・僕の力が失われていなければ、の話ですが」
しばらくの間、沈黙が続いた。一体どうしてこんなことに・・・
長門「あなたは涼宮ハルヒと2ヶ月前に会っているはず。そのときのことを教えてほしい」
沈黙を破ったのは長門だった。
キョン「な、なんでそのことを知ってるんだ長門?」
長門の神通力の前には隠し事は不可能ってことか。そのするどさは
高校時代と変わらないようだ。
長門「それは違う。現在の私の能力は大きく制限されている。普段はあまり力を使用することができない」
え?じゃ、なんでわかったんだ?もしかして見てたとか・・・
戸惑うオレの顔を見て、みくるは大きくため息をついた。
506 :
涼宮ハルヒの結婚:2007/01/28(日) 13:29:21 ID:qjHF/fS8
戸惑うオレの顔を見て、みくるは大きくため息をついた。
みくる「2ヶ月前っていったら古泉くんが涼宮さんに告白した頃でしょう?告白を受けた涼宮さんは
間違いなくキョンくんに相談しに行ったはずよ。そんなこと、女の子だったら誰でもわかりますよ。」
古泉「・・・・・」
その確信はどこからきているのか不明であるが、朝比奈さんは少し怒ったような顔でオレに言った。
キョン「・・・たしかに、オレはハルヒから相談されましたよ」
古泉は黙って部屋から出ていった。まあ、あまり聞きたくない話だろう。
みくる「相談を受けたキョンくんは、なんて答えたんですか?」
キョン「それは・・・」
長門や朝比奈さんの前で真実を告げることはためらわれたが、2人の眼光からは逃れられなかった。
キョン「あのときオレはハルヒに・・・そう、付き合ってもいいんじゃないかって言ったんですよ」
みくるはさっきよりも一回り大きいため息をついて、呆れたようにオレに言った。
みくる「それを聞いた涼宮さん、泣いてたんじゃないですか」
キョン「いや、そんな・・・アイツは怒って帰っていきまし・・た・・」
そこまで言って、オレははっきりと思い出した。
あのときは動揺していてハルヒの様子に気づくことができなかったが、
彼女の表情はオレのまぶたにしっかりと焼き付いていた。
キョン「いや、ハルヒは・・・泣いてた、たしかに泣いてました」
そういうと朝比奈さんはオレに詰め寄ってきた。
みくる「じゃ、彼女が今どんな気持ちでいるか、わかるでしょ?
キョンくんが今がやるべきこともね」
キョン「え、い、いや、オレは・・えーと、ハルヒが消えて・・・どうしたらいいんですか?」
我ながら情けないことに、さっぱり答えが見えてこない。
とまどっているオレの様子を見て、朝比奈さんは本日最大級のため息をついた。
そして彼女はオレの両肩を掴み、一気にまくし立ててきた。
みくる「まだわかんないんですかッ!涼宮さんはキョンくんのことが好きなのよ!
2ヶ月前のそのときだって、きっと彼女はあなたに止めてもらいたかったのよ!
あなたなら、きっと告白を受けないように言ってくれると信じてた。なのにあなたは
いつまでも優柔不断で・・・」
そこまで言うと朝比奈さんは言葉を詰まらせた。その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
長門「あなたはもう自分の気持ちに気づいているはず。いや、
ずっと前から気づいていた。・・・ただ気づかないふりをしていただけ」
長門の言葉に、オレはなにも言い返すことができない。
507 :
涼宮ハルヒの結婚:2007/01/28(日) 13:31:12 ID:qjHF/fS8
オレはアイツに惹かれていた。それはたしかだ。たぶん出合った瞬間から。
アイツへの思いはそれから少しずつ大きくなっていった。
本来ならある程度の時期にオレから告白して、付き合うなりなんなりするのが自然だったんだろう。
しかし、オレはSOS団の輪を崩したくなかった。
もうしばらくだけこの居心地のいい空間で過ごしたいと考え続けてきて、
オレは答えをどんどん先延ばしにしていったんだ。
長門「高1のとき、あなたと涼宮ハルヒが閉鎖空間で2人きりになったこと、覚えてる?」
キョン「・・・ああ」
長門「あのとき涼宮ハルヒは、あなたと二人きりで新しい世界を創造したいと願った。
だからあなたは涼宮ハルヒのそばにいた。・・・今回はどう?」
キョン「・・・ハルヒは、一人で消えちまったな・・・」
長門「彼女は決して世界に絶望したわけじゃない。でも、この結婚に乗り気じゃないことは明らか。
だから一人で消えてしまった。なぜ今回はあなたが一緒に消えなかったかわかる?」
キョン「・・・ハルヒは、オレの心を疑っているんだ。オレがずっと答えを先延ばしにして、
土壇場になったってのにまだ気づこうとしなかったから・・・」
長門「そう」
オレは、今の今になってはじめてわかった。オレはハルヒを必要としている。
今オレが必要としているのは、SOS団ではなくて涼宮ハルヒそのものなんだ。
…まったく、ここまで追い詰められないと気づかなかったなんて、オレはどうやら
谷口以上の大バカだったらしい。
キョン「長門・・・どうしたらハルヒは戻ってくるのかな」
長門「・・・願って。あなたが涼宮ハルヒに抱いている思いをすべて込めて。
たぶん、それが彼女の願いでもあるはず」
キョン「・・・わかった」
古泉「話は終わりましたか?」
気がつくと、古泉が横に立っていた。いつの間に入ってきたんだ?
古泉「どうやら腹が決まったようですね」
キョン「古泉!」
古泉「あなたは今、涼宮さんに会いたいのでしょう?彼女の行き先は閉鎖空間です。
・・・前のときみたいにね。となれば僕の出番でしょう。あなたをそこまで連れて行きます」
キョン「いやしかし、お前・・」
古泉は少し目を伏せながらオレに言った。
古泉「涼宮さんの気持ちは、一度だって僕に向いたことはありません。・・・大切なのは彼女の気持ちです。
あなたが彼女の気持ちに答える決意ができたのなら、僕は黙って見守るだけです」
キョン「・・・古泉」
古泉「ただね」
古泉はひときわ大きなトーンで言い放つと、オレの頬を殴りつけた。
バランスを失ったオレは盛大に倒れた。朝比奈さんが驚いてオレに駆け寄ってくる。
みくる「こ、古泉くん・・・」
古泉「もしあなたが彼女を不幸にするようなことがあったら、
今のぐらいじゃ済みませんよ。僕はあなたを許しません。」
キョン「古泉・・・すまん」
古泉「さあ、ぐずぐずしてられません。行きますよ!」
朝比奈さんの手を借りて立ち上がると、古泉の手をとった。
ついにviperが荒らしにキタのか?ていうかなんだったんだ。
わりとどうでもいいことなんだが、「」の前に名前のあるSSは読みにくいと感じる。
短編だと気にならないんだけど。
>>508 それだとヴァイパーだぜ?
あと、ここのスレの住人は案外VIP出身やVIPへ行った人が多い
前にエロパロ板無くなる可能性が出た時は、VIPに避難しようとか言ってたし。
「」の前に名前があるSSは、書き手が非常に書きやすい。
文才が無くても大体の事が伝わるけど、比較的に頭悪い感じに纏まってしまうのが玉に傷
よくVIPのSSスレで見かける手法。
台本形式は控え室で散々議論されたネタだね。
地の文での行動描写を放棄することを目的としたやつはぷっぷっぷーだね。
この形式でいい文を書く人はあんまいない。地の文がきちんとしてたら
台詞の前にいちいち名前ふる必要ないしね。
台本形式は小学校の国語の教科書を彷彿させるから読む気が失せる
出会い頭の挨拶を書き分けてみるテスト
「あ、キョン」
「こんにちは、キョンくんっ」
「……」
「こんにちは」
「やぁやぁキョンくんっ!」
「キョーンくんっ」
「やぁキョン」
「よぉキョン」
「ねぇ、キョンくん」
自分でも分からなくなってきたorz
>>509 VIPPERでしたorz
しかしそうなのか。俺はイマイチ向こうは馴染めない。
いや向こうは〜〜だからダメ、こっちは〜〜だからイイとかそういうこと言ってるわけじゃなくね。
俺個人としてこっちに方が合ってるってだけだから。
その辺は誤解しないで欲しい。
>>509 viperを知らないとは、さてはお前、新参だな
>>512 ハルヒ
朝比奈さん
長門
古泉
鶴屋さん
妹
国木田
谷口
朝倉か阪中?
こんな感じ?最後が分からん
>>515 お、当たり。
最後は朝倉のつもり
てかこのクイズ(?)、答えが間違われたら出題者が泣けるな
>>516 最後は朝比奈さん(大)でも正解にすべき
いや別にどうでも良かったな
だが敢えて言おう。
ハルヒはキョンに挨拶なんかしないと。
「やぁ」と「よぉ」でキャラ分けができるとはな。
まさに文芸だな。
日本語って深いな
俺は一番初めにここに投下したSSが台本形式かつ書きながら投下という最悪の例だったorz
その時はスレの雰囲気が悪くなかったからまだ良かったが。
台本形式はVIP総合での常套手段。単発ギャグに最適。
そりゃここには不適だろーなー。
アナルスレは台本型にしないとキャラがわからないから
暇なんでなんとなく保管庫読み返してたんだけど,
長門有希の喪失,朝比奈みくるの最後の挨拶,古泉一樹の親友の三部作はいいなあ。
でもこれの作者さんは確かもう書かないって宣言しちゃってるんだよな。
また書いてくれないかな。
高校2年の秋、そろそろ文化祭の時期である。俺達SOS団は今年の文化祭で行われるライブに出るため、日々猛特訓をしていた。
だが、俺達の中で楽器演奏をした経験があるのはハルヒと長門のみ、それでも結局は素人。そして俺と古泉にもそんな経験はない。
え、朝比奈さん?彼女は適当にタンバリン叩いてりゃいいとハルヒが直々に言ったので特訓に参加しなくてもいいらしい。それでも
彼女はあのメイド服を着こなし、猛特訓を続ける俺達に丹精込めて淹れたお茶を毎日恵んでくれる。ああ、ありがたや。
で、誰が講師をしてくれているかと言うと・・・・・世の中物好きもいたもんだ。一人、自分から講師を名乗り出てくれた男がい
た。彼の名は千里達男。元1年7組、現2年4組所属で、俺達SOS団のメンバーとは全員初対面だが、初めて会ったときからハルヒに
勝るとも劣らぬ濃いキャラを見せ付けてくれた。
「あんたらがSOS団か、会えて光栄だぜ。俺は千里達男。よろしくなっ!」
そう言って彼は右手を額の横に持ってきて、クルッと回すと「シュッ!」と言って下に振り下ろした。どうやら彼の決めポーズ的
なものなんだろう。しかし、楽器演奏に関しては素人から見ても相当なものだ。教え方も上手い。彼のお陰で、俺達の腕はみるみる
うちに上達していった。
そんなある日、特訓を終えて帰宅しようとした時、ハルヒが千里に声をかけ、二人で屋上へ行ってしまった。ハルヒは
「着いて来たヤツは死刑よ!」
と言ったが、何故か俺は気になった。そして、二人の後をつけてみた。
屋上へ行って見ると、ハルヒは千里と何か話していた。俺は見つからないよう、入り口のドアの影に隠れた。
「ああ、OK。お安い御用だぜ、ハルヒさんよぉ」
千里は利き手の左手で力強くサムズアップをしながら、独特の喋り方でハルヒから頼まれた何かを承諾した。
「ホント?ありがとう、千里さん!」
ハルヒは100万ワットの笑顔で千里に握手を求めた。千里は高校生らしからぬ顎鬚を蓄えたダンディーな笑顔
でハルヒとガッチリ握手をした。そしてあのポーズでハルヒに挨拶をすると、こっちへ駆けてきた。
ヤバイ、逃げなくては!
そう思ったときは既に遅く、俺の肩は千里の大きな手に掴まれていた。終わった。何もかも・・・・・俺は
そう思った。しかし、彼はいつもの調子で言った。
「逃げなくても大丈夫だよ、俺はアンタのカミさんみたいに死刑なんて言わねぇからよぉ」
そして彼は俺の肩を離すと
「じゃな、カミさんが来る前にさっさと逃げろよ」
とあのポーズをしながら言って、階段の手摺からヒラリと飛び降りた。
「ちょ、オイ、千里!」
俺は彼が落ちたと思われる下の階を見た。しかし、そこに彼の姿はなかった。オイオイ、まさかアイツもか?
そう思った俺は、すぐさま部室に戻って楽器の片付けをしていた長門たちにその話をした。すると古泉が言った。
「考えすぎじゃないでしょうか?鍛え上げられた肉体を持った人なら、そんなことをするくらい朝飯前だと思い
ますが。それよりも気になるのは、あの涼宮さんに何を頼まれたか。ですね」
確かに、それは俺も気になる。あの嬉しそうなハルヒの顔・・・・・あんな顔を見たのは閉鎖空間で神人を見
たとき以来だと思う。一体、千里はハルヒに何を頼まれたんだろうか。
俺の心を、何か得体の知れない、不安に似た感情が車に被せられたブルーシートのように覆いかぶさった。
それから数日、俺は練習に身が入らなかった。理由は言うまでも無く、俺に被さった得体の知れない感情だ。
何度忘れようとしても、頭にこびりついて離れない。くそっ、一体何だって言うんだ、この気持ちは。そんな俺
に、長門は言った。
「あなたは千里達男に敵対感情に似た感情を持っている。あなたたちが言う『嫉妬』に近い感情を」
俺が千里に嫉妬?何故だ。何が理由で嫉妬なんてせにゃならんのだ。最初はそう思った。だが、その理由はすぐ
分かった。
俺はハルヒが好きだ。
とりあえず、今はここまで。ちょっとキョンの結論がいきなり飛躍しすぎな気がするが、まだ「憂鬱」しか読んだ事なくて・・・・・本の値段が
高く感じられてなかなか手を出す気にならんのよ。いや参った。
タイトルの意味は・・・・・最後らへんで分かる。
キョンデレすぎ……
憂鬱しか読んだこと無いのか。そりゃあしょーがない。
財布的にきついかもしれんけど最低限溜息・退屈・消失を、出来るなら全巻読んで
『キョンフィルター』のなんたるかを学んでみると良いかも。
文才自体は十二分にあるようなのでファイト。今後に期待してます。
読んだ後にお前は
「なぜもっと早く読まなかったんだ」
と言う
いやマジで、どのキャラが好きでも憂鬱だけで終わらせてるのはもったいないと思う
伯母さんごめんなさい。
資格試験の参考書でも買ってとお年玉代わりにいただいた図書カードで、暴走と憤慨を買ってしまいました。
18禁の板でそんな告白されても困るw
最後まで読まんとなんともいえんけど、3点ほど気になる点があるかな。
別に、いい歳してお年玉をもらってる大人だと思えば問題ない。
いくつか気になる点はあるけど、言ってしまうと空気を悪くしそうなので
GJ、続きwktkと言っておく
キョンがすなおーになったらこうなるのかな。
ぐっじょぶです。
確かに気になる点は多々ありだ
>>535,538,540
今後の参考にしたいので、言っていただいても構いません。むしろガンガン言ってもらいたいっす。
是非、ご意見お願いします。
意見と言っていいかどうかわからないけど
俺はオリキャラが苦手だ
知っているけれど教えないってのが一番悪いんじゃないか
時々出るような、これが2ちゃんなんだよみたいな勘違いしなければ
俺もSS書くけど、指摘はどんどんしてもらいたい。
「どこがおもしろいんだこれ」みたいなやつじゃなければ。
オリキャラが、出てくるSS、読んでみて
伊藤とやらに、馳せる思い出
548 :
535:2007/01/29(月) 00:15:12 ID:i1K7AJNg
>>541 気にはなるんだけど、この段階でいいかどうかどうかわからんから具体的には
書かなかったんだが。
一応、他の人からも出てるから1点だけ(他の2点は原作の世界観に関するものだけど
上の理由でちょっと勘弁)
二次創作では原作に出てこない作者オリジナルのキャラクターというのは基本的に
嫌がられる。モブならともかく原作キャラを差し置いて活躍させたりすると。
(何で嫌われるかはメアリ・スーなんかを調べてみればわかると思う)
だから、オリキャラを出したらいけないということはないけど、出すときは細心の注意が
必要になる(だから、これもいいかわるいかこの段階ではなんともいえないんだが)。
真琴×佳由季希望。
>>541 投下お疲れ様です!原作はどれも面白いので、全部目を通してから書いてみると、新たな展開が見つかるかもですよ!
ではこちらも投下します!
「国木田が女装した女の子だったら」第4弾です!
原作キャラの性別が変わるのが苦手という方はスルーして下さい!
では、行きます!
551 :
国木田の懺悔:2007/01/29(月) 00:27:57 ID:6Kl6m0Rr
今日もSOS団の活動を終えた俺たちは、仲良く皆で帰る所だった。
まぁ仲良くといっても、たまたま帰るタイミングが重なっただけなんだけどな。
「ガタガタうるさいわよキョン!でもまぁたまには皆で帰るのも良いわね!
団員同士の親睦を深めるのも団長の務めだし、はりきっていくわよ!!」
もう帰るだけだってのに、なんでコイツはこんなに元気なんだ。
「おや、分かりませんか?」
俺の後ろで古泉がくっくっと笑っている。
顔は見えないが、どうせまた人の悪いチェシャ猫のような笑みを浮かべているのだろう。
俺は無視したが、古泉は構わずに話し続けた。
「涼宮さんは、あなたと一緒に帰れるのが嬉しいのですよ。ですからあのように元気なのです。」
・・・分かった。それは分かったから古泉、後ろから耳元に囁きかけるように喋るな。気持ち悪いぞ。
「これは失礼。・・・ですが、涼宮さんの機嫌が良いことは僕にとっても不特定多数の人々にとっても、
無論あなたにとっても好ましいことであるはずです。
僕としては、できればあなたに涼宮さんのエスコートをお願いしたいですね。
もし適当な話題が無いのでしたら、女性が喜んで食いつく話題を3分でお教えしますが?」
お断りだ。大体なんだ、そのエロ本の後ろの方の広告に載ってるようなインチキ臭いセリフは。
お前の笑顔とあいまって、これっぽっちも信用できん。
それに、そんな話題がもしあるならハルヒになんぞ使わずに朝比奈さんを喜ばせるのに使うさ。
そういって俺はマイエンジェル・朝比奈さんを見つめた。
彼女はよたよたしながら靴を履き替えているところだった。
履き替えるたびに「よいしょ、よいしょ」とつぶやくのがまた可愛い。
と、無言の圧力を感じて振り返る。そこには、いつの間にか長門が立っていた。
そのまま俺のことを微動だにせずにじっと見つめてくる。何だ、どうした長門?何かあったか?
「・・・別に。」
そう言いながらも俺をじっと見つめてくる。どう考えても何かあるだろこれは。
俺が再び長門に話しかけようとした時、空気の読めない団長様の怒鳴り声が響いた。
「有希!みくるちゃん!早く行くわよ!!そんなバカにかまってるとバカが感染って大変よ!」
・・・悪かったなバカで。
むっとしている俺の脇を、苦笑した朝比奈さんと無表情の長門がすり抜ける。
古泉が俺の隣に並んでまたくっくっと笑う。なんだよ古泉。何がそんなに面白いんだ?
「いえ・・・。ただあなたの鈍さが世界レベルだという事を再確認したのと、少々の羨ましさ
を感じましてね。まったくあなたは果報者ですよ。」
?何を言いたいのかさっぱり分からん。俺が果報者?むしろ不幸者だと思うんだが。
「あの・・・キョン?」
わいわいとしながら校門を出た所で、俺は呼び止められた。
声の主は国木田だった。どうした国木田こんな時間まで。何かあったのか?
「う、うん。ちょっとキョンに相談したいことがあって・・・。図書館で時間をつぶしてたんだ。
だけど・・・。」
国木田はSOS団メンバーを一通り見回したあと、こう呟いた。「・・・お邪魔かな?」
そんなことはないぞ。確かにたまたま皆で帰る所だったが、別に約束してたわけでもないしな。
という訳でハルヒ、俺は国木田と帰る。悪いが先に帰っていてくれ。
ハルヒはお得意のアヒル顔をしていたが、やがて渋々うなずいた。
「まぁ、本当は何よりもSOS団の活動を優先させるべきなんだけど、アンタにも付き合いってモンが
あるんでしょうから、今日だけは特別に許可してあげるわ!まったく、もの分かりの良いアタシが団長
であることに海より深く感謝しなさい!あ、それと次の不思議探しの際の食費や雑費は全部アンタ持ち
だから!たとえ一番に来てても全オゴリだから、忘れんじゃないわよ!!」
そうしてハルヒはずかずかと歩き出す。その背中がちょっと寂しげなのは、きっと俺の気のせいだろう。
そのあとを朝比奈さんが続く。古泉はニヤケ顔を苦笑風味にして後を追う。
しかし長門はこちらを凝視したまま動かない。どうした長門、ハルヒ達が行っちまうぞ?
「・・・・・・・・・。」
しかしそれでも長門は俺を凝視している。
気のせいかもしれないが、
「国木田と二人っきりで帰るだなんて、ヘンな事しないでしょうね。もししたら許さないんだから。」
・・・という意志が感じられる。
いや、それは俺の気のせいだよな。そうだ、そうに違いない、そうであってくれ。
「有希ーっ!早く来なさーいっ!!置いてくわよー!!」
その時、ハルヒの呼び声が轟いた。今ばかりは感謝するぜハルヒ。長門もようやくハルヒの方へ歩き出す。
まったくやれやれだ。部活が終わった後でこれか。何かどっと疲れがきちまったな。
「ごめんねキョン・・・。大丈夫?」
ああ国木田心配するな。そんなの慣れっこさ。それより、俺たちも行くか。
「・・・うん。」
そうして俺は国木田と歩きだした。
しかし、国木田は相談を切り出そうとはしなかった。
てっきりすぐに来るものだと思って色々考えていたのだが、なんか拍子抜けだ。
こちらから催促するのも変だと思って黙っていたが、
切り出しにくいならこちらから水を向けてやった方が良いだろうか。
そんなことを俺がつらつら考えていると、国木田がぽつり、と呟いた。
「・・・ごめんね。」
うん?何で謝るんだ?
「うん・・・。実はさ・・・。キョンに相談があるって・・・。あれ嘘なんだ・・・。」
え?そうなのか?しかし何だってまたそんな嘘をついたんだ?
「うん・・・。ホントはね・・・。キョンと二人っきりで帰りたかっただけなんだ・・・。」
なんだ、そうだったのか。だったら最初からそう言えば良かったじゃないか。
そう言うと、国木田は何故か寂しそうに笑った。
「だってさ。キョン・・・とっても楽しそうだったから。SOS団の人達と一緒にいて、
とても幸せそうだったから。だから、何か自分の都合でそれを邪魔するのが申し訳なくて、
でもやっぱり一緒に帰りたくて・・・それでつい、あんな嘘をついちゃったんだ・・・。」
俺は思わず黙り込んだ。国木田は構わずに、そのまま話し続ける。
「だけど・・・。自分の事を優先して、キョンが楽しそうにしてたのにそれを邪魔しちゃって・・・。
そのことを考えていたら、段々キョンに申し訳ない気持ちになってきちゃって・・・。
キョンは・・・キョンはボクが女だってわかっても変わらず友達としていてくれるのに・・・。
ボクはどんどん嫌な子になっていっちゃって・・・。
こ、こんな嫌な子になってキョンに嫌な思いをさせるくらいなら・・・告白なんかせずに、女だって
ことをずっと黙っていた方が、よ、良かったかなって・・・。それで・・・。」
それ以降は言葉にならず、国木田は俯いて肩を震わせ始めた。
俺はふと夕焼けを見た。とても赤い、鮮やかな夕焼けだ。
・・・なぁ国木田、そんなことはないぞ。
俺は確かに・・・まぁ、SOS団を嫌いではない。不幸な目にも遭うが、それだけじゃないことは認める。
だけどな、それと同じくらいにお前と一緒に過ごす時間は楽しいぞ。
今日だってそうだ。お前と帰れて嬉しいし楽しい。だから、もう泣くな、国木田・・・。
・・・と、俺は言えなかった。
気持ちに偽りは無いが、上手く言葉に出来る自信が無かったし、また、言葉にすると違ったものに
なってしまいそうな気がしたからだ。
だが、想いを伝える方法は言葉だけじゃない。だから俺は、別の方法を使って国木田に想いを伝える事にした。
「キョン・・・。キョンももう・・・こんなボクに愛想をつかし・・・ってわ!キョ、キョン!?」
国木田が驚いた声をあげる。まぁそれも無理無いかもな。
何故なら俺は、国木田の頭を抱いて髪をわしゃわしゃと撫でてやったからだ。
さっきの想いを込めて国木田の髪をかき回す。国木田の髪はいわゆる猫っ毛で、撫でるととても気持ちが良い。
「ちょ、ちょっとキョン・・・。誰かに見られたら・・・どうすんのさ・・・。」
体を俺に預けて国木田が囁く。そんなの知ったことか。もし見られたら、他人の空似とシラを切るさ。
「ふふっ・・・。そうだね・・・。」
そうして国木田は、気持ちよさそうに目を閉じる。こいつ、やっと笑ってくれたな。
そのまま髪をなでていたが、やがて目を開けた国木田が言った。
「ありがとう、キョン・・・。キョンの想い・・・ちゃんと伝わったよ・・・。」
国木田は髪をなでていた俺の手を取ると、そっと頬擦りをした。
「なんかボク・・・。いつもキョンに助けられてばっかりだね。」
お互い様さ。それにそんなこというな。水臭いぞ。
「ありがとう、キョン。本当に・・・優しいや。だからみんな・・・キョンに惹かれるんだね・・・。」
うん?何だって?みんながどうした?
「ううん、何でもない!」
国木田は俺の手にちゅっとキスをすると、するり、と俺から離れた。
「キョン!ボク・・・頑張るね!ボクは涼宮さんや朝比奈さんや長門さんのようにはなれないけど、
でもボクはボクなりのやり方で輝いてみせるよ!そして、キョンをもっと助けてあげられるようになる!
キョンに愛されるボクになって・・・もっともっとキョンを愛する!見ててね!!」
俺は顔が熱くなるのを感じた。これは夕焼けだけのせいではないだろう。
しかし、こうもストレートに想いをぶつけられるなんて・・・。お前は強い、な。
「えへへ、相手がキョンだからね!それに、女の子は男の子なんかとは比べ物にならないくらい強いんだから!!」
そう言って国木田は満面の笑みを浮かべる。
夕陽に照らされた国木田の笑顔は、ハルヒの笑顔に勝るとも劣らない、魅力的なものだった。
「じゃあキョン!悪いけどボクは帰るよ!嘘をついてキョンを独占しちゃ、ライバル達に悪いからね!」
そういうが早いか、国木田は身を翻して駆けていった。
ぽつんと取り残された俺は、思わず苦笑した。
畜生、どうして俺の周りにはこうもパワー溢れる女子ばっかり集まりやがるんだ。
だが・・・負けてられないな。俺も・・・頑張るかな、色々と。
沈む夕陽を見つめながら、俺はしかしいつもの癖で呟いた。前向きな気持ちを込めて、な。
やれやれ。
以上です。
ちょっと急いだせいか、少し内容がこなれていないですね・・・。反省です。
次回以降はSOS団の面々とも絡ませられたら、と思います。ではー。
く、国木田ですぅ。ピチピチミニスカのウェイトレスですぅ
このオリキャラ(?)は許せる
どうしてもツッコみたい点がのっけからあるが、SSとは関係ないのでやめる。
しかし国木田、女の分際で理系が得意たあ……すまん、ちょっとした私怨。
「女装した女の子」って・・・。
「男装」だよねゴメン・・・。
>>550 ク、クサァァァァーーーーーッ!
だがそれがいい
ちょっとだけ言わせてくれ。
これの前のSSにも言えることだが、まず三点リーダ。
「・・・・・・」ではなく「……」
出し方が解らないならコピペで使えばいい。
まだあるが、結構こういった基本がなってないと悪い先入観を持たれる可能性が高いと思う。
実際、ぱっと見でこういうのがあると俺はスルーすることが多い。
たぶん内容も大したことないだろう、と思ってしまう。
あと、文章を谷川っぽくしたいなら、もっと一つの文章を長くするのがいいと思う。
ちょいダラダラめに。まあ、とりあえず全部長けりゃいいってわけじゃないけど。
そこは、研究アンド練習しかないな。
気に障るようなら、これを実践はおろか完全にスルーしてもらっても一向に構わん。
ただ俺も書く側の人間として、俺ならこういうことはバシバシ言って欲しい。
結構谷川風に書くの難しいな
キョンの語りをどのぐらい入れるか迷うところだ
下手に大量に入れると読むのに疲れるし、少ないとキョンの回りくどさが出ないし
>>561 基本的に同意。
縦書きと横書きという大きな違いがあるからそこまで厳密に書式を統一しなくてもいいんだろうけど、
個人的には、
・『…』は2マスつかう
・?や!のあとはスペースをいれる
・適宜改行を入れる
の3つができてるSSはとりあえず読む気になる。
つーかこのあたりができてる作品はほかのに比べて良作が多い気がする。なんとなくだけど。
>>563 でも原作内の表現の使いまわしSSはちょっと萎えるよな
>>564 三点リーダーは、横書きの場合、
例えば「無言」を表すための「……」ならまぁいいんだけど、
「そんなぁ……」とか「そうですか……」とかだと
字面がマヌケになっちゃう気がして(あくまでも個人的印象だが)
敢えて「…」1マスで代用してしまうなぁ。
今度からちゃんと2マス使ってみるか。
とりあえず小説のフォーマットは守ってくれた方が読みやすい。
別におもしろかったら何でもいいんだけど。
>>564 アホじゃねえの。何様だっつーの。
誰もお前なんかに読んで欲しいなんて思ってない。
作者乙
>>564 そ、そうよ!べ、べつに誰もあんたみたいな人に読んでもらいたくないわよ!
な、なによ。何でみんなこっちみて微笑んでるのよ!
>>564 >原作表現の使いまわしは萎える
デッドエンドの冒険ですか?でもアレは劇場版の中で一番出来がいいから困る。
自分ずっと疑問なんだけど「!」や「?」の間にスペース入れる理由が分からないんだよね。
というより自分がその記号使うと大抵括弧閉じちゃうからスペース入れる機会が少ないからかもしれんけど。
実際の所アンタ達どう思ってるのよ! ちょっとアタシに説明しなさい!
たいして変わらん気がする。
>>564 それに関しては俺も同意。慣れるとすごい読みやすいし。
個人的に分からないのは一行にどのくらい文字入れて改行すべきかだなぁ。
このスレって結構横に文字詰まってるイメージあるけども。
小説の文章作法を守ってる人に良作が多いような気がするのは
単に書き手が自分で勉強してたり、書きなれてるだけのような
そういやこのスレでは脚本形式のSSは出てないな。
俺はあれが苦手なんで、個人的には嬉しいが。
携帯から長文スマン。
ここのトップクラスの職人さんの作品も重要な研究材料にするといいと思うよ。
それこそ原作と同じくらいの重要度で。
SSなりの書き方ってかなり重要だと思うし。
少年オンザの人やアスタの人の作品は大いに研究すべきだと思う。
余裕があればラストラプソディなんかもいい。
ただしパクリは駄目だけど。
それぞれ文体は違うのに、原作と比べてほぼ違和感ないだろ?
まあ少年オンザの人の最大の特徴は、言葉の引き出しの豊富さだと思うから、こればっかりはもともとの知識と才能しかないかもしれんが。
アスタの人は基本的な部分が完璧だと思う。
ラストラプソディは文の組み方というか整え方というか、長い文でも読みやすい。
まあ俺がこんなこと言うのはおこがましいにも程があるかもしれんが、個人的な意見だ。
とにかく研究ってことだ。
少年オンザの人の「ニンニン」は面白かったな。
アスタの人って誰だ?
アスタリスクの人
*
そりゃ文章がうまいことに超したことはないが、別に文章がヘタでも内容が面白ければ、それでいい。
飲み会の余興でモノマネしてるただの素人に、
「その動きは違うだろ。本人だけじゃなく、他のモノマネ芸人の動きとかも見て研究しろよ」
なんて真顔で突っ込んでも、色んな意味で無粋なだけだ。
ジャガーさんみたいだな
確かに画一的にならずとも面白いものは面白いやね。
そういうの逆に利用できてる感じのもたまにあるし。
文章マナー云々の話題をみてるとスレ番一桁の頃を思い出す。
パートスレって定期的に話題がループするんだよなあ。
一固まりの文と文の間って、どのくらい空けるのが好まれるんだろうか。
大体1、2行程度?
>>578 ここは仲良し倶楽部の飲み会の余興ではない。赤の他人に対し自分の作品を発表する場。
赤の他人なのだから、ツマラナイ作品が投下されれば、それを読む人が10人いれば、
4人くらいいる穏健派は生暖かい目でスルーする。
2人くらいいる半ギレ人はツマラネエと叫ぶ。
2人くらいいるお節介焼きはアドバイスをくれる。
2人くらいいるお人好しはお義理で拍手してくれる。
すなわち、アドバイスしたがる輩が出てくるのは、こういう場で「発表」した以上、既定事項だろうよ。
それに、手取り足取り教えるのが大好きな人ばかりの飲み会なら?
アドバイスしたがる輩を無粋と決めつける、そのことが無粋ではないかな。
>>583 原作は場面展開時のみ二行開けが基本みたいだけど、あんまこだわらなくてもいいと思う。
縦書きと横書きってやっぱ勝手違うし。
批評するのもいいんだけど、個人的には少しでもいいから作品をほめてあげることも一緒にすると良いと思う。
GJ!だけどここをこうした方がもっと良い、みたいな感じで。
そうした方が書き手さんも聞く気になるだろうし、スレが荒れることも減るんじゃないかなぁ。
そういったちょっとした心遣いは別にSSのことだけじゃなく、人間関係全般で大切なことだけどね。
何回目のループだ?
もうこの話題飽きたよ
>>2読めでいいじゃない
チラシの裏ならどう書いてもいいんだが、人様に提示する「読み物」の場合は
「他人に読んで貰うこと」を意識して書くのは大事なことだな。
説明不足、描写不足や大きな文法間違いが多いとさすがに辛い。
書いた本人は描写したつもりでも読者には伝わらないってことは結構あるしね。
書き終わったらしばらく間をおいて改めて読んでみると粗も見つかったりするからお勧め。
>>571 > 自分ずっと疑問なんだけど「!」や「?」の間にスペース入れる理由が分からないんだよね。
> というより自分がその記号使うと大抵括弧閉じちゃうからスペース入れる機会が少ないからかもしれんけど。
> 実際の所アンタ達どう思ってるのよ! ちょっとアタシに説明しなさい!
元々、欧文の記号で日本語の記号じゃないからじゃないかと。英文の組版の場合
文末の“.”や“!”、“?”の後には一つスペースを入れる決まりがあったはずだし。
日本語の組版ルールでも「!」や「?」の後にアキを入れるというのはJISにもある。
句点。や読点、はそれだけで[記号+半角スペース]だから見えやすいが、
?や!ではそれがないため、文が切れたように見えにくいのでは?
英文では, や. のように手動で半角スペース入れて書くのが普通だからな。
キョンの独白で「」なしの部分は、それをキョンが口にしているときとしていないときがある。
そのバランスをとるのが難しい気がする。
>>589 何か勘違いしてやしないかい。
「!」や「?」の後に空白を入れるのはこれらが文末で用いられた場合。
さらに、直前に空白を入れるのは仏文で使われた時のみだったような。
むしろ全然キョンじゃないよなぁこれと思いつつ書いてたら意外とそんなことなかったことがある。
体裁整ってるの読みたかったら原作だけ読んで
スレ読まなきゃいいじゃん
>>592 お前が何に突っ込みたいのか分からんのだが。
ここで話してる「!」や「?」は約物についてのことだとおもってるのだが、
>>592は何のことだと思ったんだ。この場合、少なくてもJISのルールでは疑問符や
感嘆符の後は原則ではアキを入れることになってるし、このルールがもとは英文
の方からきたんじゃないかと言ってるだけなんだが。
あと、直前に空白を入れるなんて話はどこからでてきたんだ。
みんな控え室には行かないの?
心置きなく文章の作法について語り合えるのだが。
テンプレに追加するほどでもないか……。
リンク張らずともQ&Aにそういうスレがあるよー、くらいはあってもいい気がした。
控え室は参考になるな。
お互いに淡々と自分の体験話してたりして
ミョーにエロい流れになってることも多いがw
このスレにおうよ!
まあ記述法に関してはそんな杓子定規にならなくてもいいじゃないか。
内容が良ければ問題無い。
なんかこのスレの住人って昔とは大きく態度が違うな
昔→投下してくれる人は神。読ませてもらってありがとうございます
今→ん? 投下するの? つまんなかったら叩くよ
>>602 >昔→投下してくれる人は神。読ませてもらってありがとうございます
VIPスレと勘違いしてないか。君。
よかったら誉め、
悪かったら改善すべき箇所を指摘する
それで充分かと。
>>602 お前ぜってー昔からいないだろ
って言うと、「俺は初代スレからいたよ」ってレスが返ってくるのかな
ノ L____
⌒ \ / \
/ (○) (○)\
/ (__人__) \ < いいんだよ細けぇことは!
| |::::::| |
\ l;;;;;;l /l!| !
/ `ー' \ |i
/ ヽ !l ヽi
( 丶- 、 しE |そ ドンッ!!
`ー、_ノ 煤@l、E ノ <
レY^V^ヽl
結論
おもしろければいい
なぁ、エロって書いてもいいのか?なんか今日ずっと脳内にエロ神が降臨しているんだが。
存分に
エロじゃー!汁溢れるエロの降臨じゃー!
>>602 そう思うなら書き手も傲慢になればいい。
>>610 できれば班長×茉衣子みたいなふいんき(ryで頼む
平日の昼間から結構伸びてると思ったら・・・
結果、三点リーダや感嘆符、疑問符のつかいかた議論とエロかよw
gdgdな空気を切って職人様の投下を促すために小ネタ投下。
『外陣部隊の卒業』
青空に映える満開のソメイヨシノに薄く雪が積もった3月10日。俺らはようやく強制ハイキングから解放されることとなった。
お天気おねーさんを唖然とさせた早すぎる桜も、一転して降ったここらじゃ遅い雪も、
世間様では地球規模の異常気象のせいってことになっている。
ついでに言えば、今夜はほぼ満月。雪が残れば雪月花を愛でられるってわけだ。
涼宮信者のスマイル君なら、これもあのバカ女の望みだ、なんてご高説をぶつに違いない。
そんな与太話を信じてやる義理はサラサラないが、俺たちの門出を飾るには悪くない。ま、涼宮にしちゃ上出来すぎる光景だな。
式の開始を1時間も遅らせやがった雪も、いつの間にか跡形も無く蒸発し、
一応立ち入り禁止の屋上では、小汚いコンクリの隙間から気の早い雑草が芽を出し始めていた。
わざわざこんな所にまで足を運んだのは、特に意味があってのことじゃない。
ただ、今日みたいな日には、胡坐でもかいてボーっとするのも悪くないってことを、この3年間で学んだだけだ。
俺が青春の第2幕最終章を堪能していると、ちっとばかし肌寒い風が、土の匂いとともに慣れ親しんだ毒舌を運んできやがった。
「お、いたいた。なに一人でたそがれてんのさ。チャック開きっぱのくせに」
「ほっとけ。男には一人になりたい時ってもんがあるんだよ」
「それが卒業式とは、顔に似合わず随分とロマンチストじゃないか」
童顔の相棒がにこやかに毒舌を吐きながら隣に腰を下ろす。
「やっぱいい眺めだよね、ここ。 どうせならクラスみんなで来ればよかったかな」
「漢のロマンが分かるやつだけが、自然とここに集うんだよ」
「それは意訳すると、バカと煙はなんとやらってことかい?」
ったく、良くぞ俺様はこの毒舌に3年間も耐え忍んできたもんだ。どうして世の女の子は、この精神力を評価してくれないのかね?
「ケッ、今日も絶好調じゃねーか。式の時、何度も上を向いてたやつの言葉とは思えないね」
「うっさいな。僕は僕なりに高校生活の〆を謳歌しただけさ」
それがまた似合ってて、待ち構えた後輩の女子達から、ボタンを剥ぎ取られていた辺りがムカつく。袖口のヤツまで完売御礼にしやがって。
しかも、一個だけ残したボタンの行き先を誤魔化し、クラスの女子達からブーイングの嵐を受けていた辺りがさらにムカつく。
「そういえば、谷口のは全部残ってるね」
「うるせー。これは従兄弟の後輩の友達にやるために、泣く泣く断っただけなんだよ。
だいたいだな、俺らはブレザーなんだから、第2ボタンもヘチマもねーんだよ。
あれは心臓の近くにあって、その人の鼓動を一番刻み込んでいるからこそ意味があるんであってだな・・・」
「なにその昭和の少女マンガ」
一刀両断かよ。しかも昭和差別かよ。回顧厨扱いかよ。
「まったくもって最後まで口の減らないヤローだよな、お前も。
これのせいで、告ってきた女にフられやがったくせによ。しかも4回も連続で。たしか毎回密かに凹んでたよな」
「おっウワサをすれば、われらが青春のSOS団の面々じゃないか」
話し逸らすのが下手なんだよ、お前は。
と、伝家の宝刀を大人げなくぶちかまして得た久しぶりの勝利に酔いつつ、相棒の指差す方向に目をやった。
そこには、器用に後ろ向きで歩きながら、何かをまくし立てているであろう横暴女を先頭に、
下僕その1とその2、それに無口娘とスーツを着た女神が続いていた。
「われらが青春・・・か」
「うん。われが青春・・・だったね」
そういえば、キョンや涼宮とは3年間ずっと、長門有希とは2年間同じクラスだった。
古泉から電波話を聞きつつ、キョンと涼宮の仲を応援してやってくれと頼まれたのは、2年半くらい前だっけか。
1年のときから野球やったり、溜池で泳いだり。果ては変なエッセイを書かされたり。今となっちゃいい笑い話だ。
「そういえば、ずっと前から聞きたかったんだが、お前ってさ」
「ん?」
「なんで古泉のバカ騒ぎに付き合ってたんだ?」
「・・・谷口こそ、なんでだよ」
「俺はあいつが約束した輝かしい未来のためだぜ。お陰様で地元国立にも受かって、親戚一同の出世頭ってやつだ。
もちろん大事な大事な親友を助けるためってのが、一番の理由だけどな」
センターの自己採点では、案の定ばっちりE判定だった。
だが、いったいどんな魔法を使ったんだか知らんが、古泉はきっちり約束を守った。
もっともそのせいで、今日受け取ったばかりの卒業アルバムの裏表紙は、予備校進学組の呪詛でいっぱいになったけどな。
「1番目がキョン、2番目が進学なら、5分の借りを返す為ってのは3番目かい?」
相棒はニコニコ笑いながら、ズバッと核心を突いてきた。
やっぱり気付いてやがったか。長い付き合いだからな。別に隠し通すつもりも無かったし。
思えば5年も掛かったわけか。なげえ5分だったよな。ほんと。
「ふん。一寸の虫にも5分の魂って言うだろ。普通の人間でも、やり続けりゃなんかの形にはなるってことを証明して見せただけだ」
「咲いた花なら、散るのは覚悟ってか。不器用だよね、谷口も。 あと、余計なことだけど、『ごふん』の魂じゃなくて、『ごぶ』だよ。『ごぶ』」
「ほっとけ。だいたいさっきから質問返しばっかしてねーで、お前はどうなんだよ。俺と違って、進学のためなんて理由は認めねーからな」
「もちろん僕だって、1番目は大事な大事なヘタレのためさ。中学以来の腐れ縁だからね」
「ヘタレて。んで、1番目ってことは、2番目は?」
「5秒の借りを返す為さ」
「5秒?」
「うん。去年の今頃だったかな。一言『そう』ってね。でも、顔はこっちに向けてくれた」
そういえばこいつは、いつぞやの俺の大スクープを興味なさげにスルーしたっけ。
それでなんとなく、あれだけおいしい話を広める気が失せちまったんだったな。
「・・・そっか。何でもできるくせに、肝心なとこで不器用だよな、お前も」
「うっさいな。5年の5分に比べれば、去年の5秒のほうが、多少はマシさ」
「それって、どんぐりの50歩100歩を笑うってやつじゃないか?」
「どれだけ混ざってんだよ、それ。 因数分解して、全部に注釈つけてやろうか?」
「遠慮しとくわ」
遠くのグラウンドから、野球部のバットがボールをはじく音が風に乗って響き、どこからともなくブラバンの調子の外れたラッパの音が流れてくる。
「でさ」
「ん〜?」
「忘れものは、見つかったの?」
「・・・ああ。でもキョンにやった」
「そか」
「ん」
繰り返される緩やかで平凡な日常の音。だが、明日からはもう、俺たちの音はここにない。
「でもさ、楽しかったよね、僕ら」
「だな。お互いアホだったけどな」
風の匂いは少しだけ苦く、空は抜けるように青かった。
どちらが言うともなく立ち上がり、お互い顔を見合わせる。
「それじゃ、やりますか!」
さすがは相棒。どうやら、ここに来た目的は同じだったようだ。
「うし!」
「せーの!!」
国木田の一個だけ取っておいたボタンと、俺の一個だけ外したボタンが、キラキラ光りながら青空の彼方に消えていった。
うは。名前欄のタイトル間違ったorz
616の外陣部隊が正しい題名です。
保管庫の管理人様、お手数ですが、外陣でお願いします。
誰語り?
『そう』のくだりが俺にはよく分かんなかったが、何か切なくてよかった。お疲れ様です。
>5分
は谷口がハルヒに五分で振られて
>5秒
は国木田が長門に五秒で振られたということかな?
一年の初めから古泉が二人を仲間に引き入れてたとは
なるほど。あいや読解力不足な俺。
>>621さまおもしろかったです。
>>621 GJです。谷口視点は珍しいですね。青春な空気がとても好きです。
>>627 俺がVIPで書いた短編二つぱくられてた/(^o^)\
>>621GJ
まさに「青春いいじゃないかっ」って感じだな。鶴屋さんとは関係なく。
>>621良い。
谷口も国木田も違和感あったものの、なんとなくキャラは合ってる気してたし、
なにより爽やかだな。
俺ももう少しで卒業か。。
と言う訳でーあえてこの流れでエロ投下。
なんかーキョンがー朝倉さんにー変態臭い攻めを受けてー良い気持ちになっちゃうーお話だよー。
でもNOセクロス! NOセクロスNOライフ! あ、これ違うか。
ドMの人はーキョンに感情移入すればーお互い良い気持ちになってハッピーさ! ドSの人は朝倉さん気分で脳内彼女をイジリ倒せ!
「何も変化しない観察対象に、あたしはもう飽き飽きしてるのねだから……」
朝倉の太ももに気を取られて、俺はあやうく朝倉の言うことを聞き漏らすところだった。
「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
……あんだって?
気が付いたら俺は全裸で椅子に縛り付けられていた。ご丁寧な事に口はタオルで塞がれている。猿轡ってこういうのだっけ?
いや、正確に言えば全裸ではない。靴下と上履きだけは履いている。変態臭さ1200%増しの格好だ。人間辞めたくなるなぁちくしょう。
よし、まずどう言う経路でこうなったのか話そう。まず、俺は朝倉に呼び出されて、教室に行ったらいきなり変態発言されて、惚けている間に長門が来てなんかすごい事になった。
どう凄いかと言うと。
「ふん。まだこの場はあたしの方が圧倒的なのは変わらないわ」
「……」
「そこで長門有希! あなたがどのくらい動けようと関係のない処刑を思いついたわ」
「!!」
「ふふっ。そう、勘の良いあなたは気付いたようね……このナイフ、避けられるかしら?」
「くっ……!」
「ふふっ! 何をしても無駄よ。あなたはこの場ではあまりにも弱い情報体でしかないのよ。少しずつ、しかし必ずあなたの動きは止まる」
「……」
「所謂、『ザ・ワールド』! ふふっ。なんてね。流石のあなたもこの数のナイフ、さばけないでしょう? ほらっ、ほらっ、ほらぁ!」
「ぐっ……」
「んふ。目の前に何百何千と言うナイフが止まっているのはどう言う気分かしら? それじゃあ、終わりにしましょうか……時は動き出す!」
「ぐ、うっ……!?」
「あはは! 哀れね。ほら、ダメ押しにもう一本!」
みたいな。やけに暑苦しい戦いだったが、長門は俺の前方に、ナイフを全身に生やして、仰向けになって倒れている。
んで。俺の目の前に立っている朝倉の表情は、まるで新しいオモチャを手に入れた子供のように、さんさんと輝いている。うわっ超楽しそう。
「こういうの一度やってみたかったのよねぇ」
そう言うと、朝倉はおもむろに上履きを脱ぐと、黒いタイツを履いた右足を俺の股間にってちょ、おまっ!
俺が驚愕の表情を浮かべると、くすくすと心底楽しそうに朝倉は笑う。
「気持ち良い? ほらぁ、足の指でここ、カリのとこ。くにくにされるの、気持ち良いんでしょう?」
ええとっても。いや違うだろ。落ち着け俺。ここで敵の罠にかかってはダメだ!
「やだぁ。もう何か出てきてる。ふふっ。変態ね。女の子にこんな事されて、何だらしなく垂らしてるの?」
待てこれは孔明の罠だ。誰か、助けてくれ。いやマジでこれすごいよ。って違う違う快楽に身をゆだねるな! 気をしっかり持つんだ!
「あーあ。タイツ汚れちゃう。こんな粗末な物、素手では触れ無いわね」
ぐっ。粗末な物で悪かったな。
「ちゃんと準備してきてよかった」
朝倉はそう言うと、おもむろにポケットから薄いゴム手袋を取り出し、両手に装着した。どこからそんなもん持って来た。
「ふふっ。こんな大きくして。何期待しているの? あなたって本当、変態ね。ほら、こうされると気持ち良いんでしょ?」
突然与えられた刺激に、俺は思わず全身を仰け反らせる。もちろん身体を縛られているから、どうにもならないが。
朝倉の右手が、俺のソレを激しくシェイクしている。時に全体を激しく。時にカリ立っている部分を集中的に。そのテクニックに、俺は何度も呻き声を上げる。
その度に、朝倉は腹の底から愉快そうに笑う。この腹黒阿婆擦れめ。
「アハハハハハッ! いい気味ねぇ。どう? 自分を殺そうとしているクラスメイトにイカされそうになるのは? 病み付きになりそう?」
俺は首を振る。きっ、と力なく、だが出来る限りの力を目に宿して、朝倉を睨みつける。
だが、効果なんぞある訳も無く。朝倉のS心に火を灯しているだけのようだ。
「なあに、その目。こんな汁だらだら垂れ流してるくせに。情けないだけよ? 諦めなさいよ」
俺は顔を赤く染めて必死に射精感を抑える。ここで出してしまえば、多分色々と終わる気がする。
まあ、思考とは反対に、身体は正直な訳で。すでに下半身は甘い痺れに襲われっぱなしだ。腰が浮きそうになるが、それすらままならない。快楽が俺の思考をどんどん蝕んでいく。
人間、堕ちるのは簡単だ。だから、俺はもう一度歯を食いしばる。
「ダメよ。無駄無駄ァ。ふふっ。ほら、亀頭が大きくなってるわよ? これって射精寸前って奴よね?」
朝倉の挑発的な視線を受け入れるほど、今の俺に余裕はない。
「ふふっ。顔真っ赤にして。イキたくないの? でもダーメ。今はそのついてる玉の中身全部搾り出して、それから気持ち良くバラしてあげる。だから、ね」
俺は鼻息を荒くする。もうダメだ。全身が熱い。さっき言っていた情報操作とかなんとか、を使われているのか、それともただ単に朝倉の手が気持ち良いのか。まあ多分後者だろう。
トドメ、とばかりに激しい上下運動。と同時に頭の中が白い靄がかかったみたいで、何も考えられない。
「あんまり面倒だから、ちょっと頭の中弄らせてもらったわよ。どうせ死ぬんだし、いいでしょ?」
朝倉の声もよく聞き取れない。ただとても心地良い。もう、どうでもいい気分だ。
「ほら、さっさとイキなさい。あ、でも出すのは……この中に、ね」
見ると、いつの間にか俺のナニに、コンドームが被されていた。あーもう出していいなら何でもいい。
「じゃ、勢い良くイってみよー!」
その声と同時に、俺は快楽に飲まれた。
636 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 00:45:48 ID:tFlV/fGo
人間ルーレット支援
とりあえず今日はここまで。ヌけるとかな? とか期待するなよ!
638 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 00:48:54 ID:tFlV/fGo
支援意味那須orz
その心は受け取った。
sage忘れてるしな……スマン or?
最後の朝倉の台詞の後俺の脳内で巫女みこナースが流れ始めやがった…
小ネタとして収録するのかSS扱いするのか、保管管理人氏が困るだろうSSだな。
sage忘れスマソorz
こんな短いSSは埋めネタとして取っておくべきなんだろうけど、
ネタの賞味期限が短そうなんで投下しちゃいます
毎度毎度なんの用事もないというのに、放課後になれば規則正しく部室に向かう俺。
今日も今日とて律儀に部室を訪れると、珍しいことにハルヒが一番乗りで室内にいた。
そのうえなにやら様子がおかしい。団長席にも座らず、ホワイトボードを気難しそうな顔をしながら睨みつけてるじゃないか。
どうしたっていうんだ?
「おい、なにやってんだ?」
「あ、キョン。ちょっとこれ見てよ」
言われるままにハルヒの眼前のホワイトボードに視線をくべる。
そこにはいかにもテキトーに書きましたといった風情の雑な筆致で『サンダーバード』と書かれていた。
「なんだこりゃ?」
「この前、古泉くんが『知り合いがサンダーバードをツンデレバードと読み間違えた』っていってたじゃない。
それを検証してたのよ」
ああ、そういやそんなことを言ってたな。
どんな状況で言っていたのかは思い出したくもないので説明は省く。
「で、どう、キョン。これってツンデレバードって読める?」
そのハルヒの言葉に促され、あらためてその文字を凝視する。
うーん。
「100歩譲って『サ』は『ツ』と読み間違えなくもないが、『ダー』を『デレ』と勘違いするのは相当無理がないか?」
「そうなのよねぇ。なんかビミョーなのよ」
さらにもうひとつ気付いたことも言わせてもらう。
「あとな、ハルヒ。古泉の知り合いが見間違えたサンダーバードって文字、多分英語だったんじゃないか?」
「英語?あ、英語ね。キョンにしては冴えてるじゃない」
ハルヒは早速ホワイトボードにペンを走らせる。
ところでこいつのこの一言多い性格は先天的なものなんだろうか、後天的なものなんだろうか?
それがわかれば今後の児童教育の指針を定めるのに役立つ貴重なデータになるような気がするんだが、誰か調べてみる気はないか?
「出来た!」
さて、ホワイトボードには新たにふたつの単語が書き加えられた。
THUNDERBIRDS
TUNDEREBIRDS
「うーん、並べてみると似てなくもないわね」
似ているような似ていないような、はっきりと似ていると言うのははばかられるほどには似ていないような気がしないでもない。
「そういえばサンダーバードってアメリカのドラマだっけ?」
違う。イギリス産だ。
「でも、これだけパッと見せられたら普通サンダーって読まない?」
まったくもって同感だ。
「そうだよな。そもそもツンデレってのはなんだ?そんな言葉はこの世に存在せんだろ」
殊勝にもハルヒの発言に同調してやった俺だったが、ハルヒはいきなり俺の言葉に以上な反応を示した。
「なに言ってんのよ。あんたツンデレも知らないの?」
知らん。語感からいくと中国あたりの言葉か?
「れっきとした日本語よ。普段はツンツンしてるのに、好きな人の前ではデレーッとする娘を表す、萌えの一形態のことよ」
それのどこがれっきとした日本語なんだ?日本人として異議を挟ませてもらいたい。
「そんな奇妙な性格のヤツ、可愛いと思うか?俺には理解できん」
「バッカね、キョン。そんなのが現実にいるわけないじゃない。フィクションの中にしかいないから萌えなのよ」
そうだろうか?小説だろうが漫画だろうがアニメだろうが、そんな裏表のあるキャラが出てきても腹がたつだけだと思うんだが…
「という会話をおふたかたが部室でしているのをドア越しに聞いてしまったんですが…」
「あの…それ、さすがにネタですよね?」
「いえ、恐ろしいことに事実です。常々鈍い方達だとは思っていましたが、まさかこれほどのものだったとは…
あまりのことに僕は思わず戦慄を覚えてしまいましたよ」
「キョンくんも涼宮さんも『自分を省みる』ってことを知らないんですか?」
「いや、まったく本当に…」
「………
2人に協力を要請したい」
「おや、長門さん。こんにちは。今日は部室には行かないのですか?」
「今、退出してきた。
わたしの能力では手に余る事態が発生した。2人に協力を要請したい」
「ふぇー?長門さんがそんなことを言うなんて珍しいですねぇ。
いったいなんでしょう?」
「部室にて涼宮ハルヒに『代表的ツンデレキャラの登場する書物の提供』を求められた。
彼にツンデレ萌えを理解してもらうための教材にしたいらしい」
「………本気ですか?」
「少なくとも涼宮ハルヒ本人は本気」
「まるで『蒼い鳥』ですね」
「あのー、いっそ『涼宮さん本人がツンデレキャラの代表格ですよ』って言ってあげればいいんじゃないですか?」
「わたしはそのように進言した。しかし彼女には受け入れられなかった。涼宮ハルヒいわく
「はぁ…有希ってばなんでも出来るわりには、こういうことには鈍いのね。
あたしがツンデレなわけないじゃない。いいからあたしみたいじゃなくて、いかにもツンデレーって感じのキャラが出てくる本を持ってきてね」
ということらしい」
「……かぐや姫だってもう少しマシな貢物を要求すると思うんですが…」
「彼にいたっては
「おいおい長門。ハルヒは見た目こそ高レベルだが、萌えなんてもんとは無縁なやつだぞ。
面倒臭いのはわかるがもうちょっと説得力のあることを言わないとハルヒを丸め込むことはできんぞ」
と言っていた」
「あたし、頭が痛くなってきました…」
「したがってわたしは『涼宮ハルヒと類似性を持たない』『ツンデレキャラ』という相反する特徴のキャラクターの登場する書物を探さなければならなくなった。
しかしこの二律背反する条件を満たすキャラクターの登場する書物はわたしのデータベースに存在しない。
捜索の協力を切に願う」
「いや、そう言われましても…
僕は一休さんではないので、そんな足利義満みたいなムチャを言われましても、お力にはなれそうにありませんが…」
「あ、あたしも長門さんでさえわからないようなものを探すなんて、とてもとても…」
「しかし、団員はこういうときこそ協力しあうもの…」
「ええ、その通りです。長門さんの言いたいことはよくわかります。
しかしですね、物事には得手不得手というものがありまして、やはり書籍関係のことは長門さんに一任すべきなのではと、僕なんかは愚考するわけでして…」
「そ、そうですよ! 本のことならやっぱり長門さんが一番ですよぉ。
キョンくんも長門さんには司書が似合うって言ってたんですし、ここは長門さんが頑張らないとぉ」
「でも…」
「あー!申し訳ありません!そういえば今日はバイトの日でした!
遅刻してしまってはいけないのでお先に失礼します!」
「あ、あたしも禁則事項が禁則事項で禁則事項なのでお先に失礼します!」
「裏切り者…」
「長門のやつ、遅いな…」
長門が部室を出て、かれこれ30分は経とうとしている。どうかしたんだろうか?
「ホントね。有希ならパパパッと持ってきてくれると思ったのに」
「おい、本当にその『ツンデレ萌え』ってやつは一般的なものなのか?
俺、あんなに困った顔した長門を見るの初めてだぞ」
「え? 有希、そんな顔してた? 結構平気そうだったと思うけど」
さらにその30分後、俺達は憔悴しきった顔の長門を出迎えることになった。
なぜか土下座をしたまま動かなくなった長門を宥めるのには苦労した…
言葉遣いに違和感を感じるがネタとしては面白い
めちゃめちゃ情景が思い浮かびます
裏をかいて抜き球ど真ん中勝負なネタだw
それにネタとして思いついたとしても長門で落とす発想はなかったわ。
ただその長門の喋り方がイマイチだが……。
「あら長門さん。聞いてくれたらローゼンメイデンを紹介しましたですのにぃ」
緑つながりなのがいたく気に入ったらしい江美里さんなのでした。
中の人つながりで朝倉さんも
長門が『涼宮ハルヒの憂鬱』を執筆してくるのかとオモタ
>>652 俺もそれ思った
ハルヒと類似性の無い〜と言ってるからあえて避けたのかと
ネタ系は長門のしゃべりがちょっと変くらいがちょうどいいのさ。
ああ、ツンデレバードってドラマCDにあるネタなのか。
今聞いてるw
ネタだったらキャラ崩壊させてでも面白くしてほしい
むしろ自分の中ではキャラ崩壊こそネタ系の醍醐味
vipのアナルスレとか正にそれなんじゃないか?
保管庫しか見てないけど。
ここって勉強になるなぁ…
此処って18禁だっけ?w
最近はエロ抜き内容重視が主流だけど、エロもあるよ。
表現の幅が自由ってことでレベル高い職人さんがいてくれるのかな。
>>660 うん、それは理解しているw
確かにここはあからさまにエロって感じしないよね
俺が言ってるのはもっと根本的な問題なんだw
>>661 みんな、中身は大人さ。
人間、大切なのは中身だよ。
もともとエロパロ板ではあるのだが。
最近はレベル高い文章書いてくれる人が多いから
エロが少ない流れでも俺は全然構わん。
自身にエロ需要があれば保管庫に行くだけだ
>>663 つまり此処は、とても寛大な二次創作小説スレってな訳だw
表現の自由というのは素晴らしいねw
なんという釣り餌・・・
wの使い方でわかってしまった
これは明らかに誘導
/ ̄\
| ^o^ |
\_/
つーか純粋に未成年ばっかで童貞しかいないからエロ書ける奴がいないってだけの話。
それは思ってても口に出しちゃあだめって話。
どど童貞ちゃうわ!
悪かったわねw
>>665 誘導はしたつもりないよ…
エロネタOK と エロネタ限定
は違う、てことさ。
>>666 時々小ネタ書いてるけど
谷川と同年代(30歳代)だよ。
みんな若いんだなぁ(゜ω゜)
まぁ無理やりエロシーンってのもね。
エロありきで久しぶりに書いてみようかなぁ。
と言いつつもう長いこと書いてない…
>>670 なんか語弊を招いちゃった…
いつか此処に投下するのが理想なんだけど…
まだまだだねw
ギャグ物だとまずエロは書けない。
と、シリアス話でも書けない俺が言ってみる。
ティー・タイムとかミルク・タイムとかギャグでもエロはあるよ…。
すまん、『俺の場合』と入れ忘れたorz
ごめん、分かってて言ったw
というか「シリアス」でエロを挟むのって逆に微妙。エロならひたすらエロ1本で書き切っちゃうかな。
ID:q0T9O+62も未成年に見える俺
今のここのスレの流じゃ、よっぽどの豪腕じゃ無い限りエロ物は落とせないだろ常識的に考えて・・・
住民の査定が厳しいから、エロだけで勝負しようとしても無駄。原作雰囲気沿って無いと徹底的に袋叩きで糸冬
原作雰囲気崩さずにエロ描こうとすると相当な技量必要でかなり難しい。
だから最近は殆どの人が手を付けず、という感じかと。
まあ面白い作品が読めればよいから、面白ければエロ無しでも別におk派。
それにエロものなら過去倉庫に結構あるし。
最近はキョン語り描くのが上手い人多い気がする。
キョン語りってバランス崩すと、あっさり過ぎでちょっとらしくなかったりするし
逆にやり過ぎて完全にウザキャラ化しちゃうケースもあるし(個人的にこれはかなり嫌なタイプ、読むの疲れる)
結構難しいように思えるんだけどな。
今住原だ
682 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 22:56:39 ID:VC+7W+h1
>>680 エロ物落としてないお前に無理だの無駄だの言われてもな。
>>680 むしろエロなしのほうがクオリティ必須に思っててここにはなかなか投下できない俺もいるw
684 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/30(火) 23:22:37 ID:ZiAHBQAK
純文学では性描写を用いてバッドエンドを際立たせるのは慣例だけどさ
住民の査定が厳しいって毎度毎度言うから厳しくなるんじゃない?
期待に答えて厳しくやってやるぜー!って。
個人的にエロものは叩きにくいから、変なのが来ても普通にスルーだけど。
エロは難しいよね……
もし鶴谷さんがキョンのお姉ちゃんだったら・・・・・・
なぜか違和感を感じない。なんでだろう?
「査定」だってよw
俺らクレクレがそんなに偉かったなんて、知らなんだ
>>680 さらに、一人称主観でしかもそやつが童貞というエロ小説を書くのはかなり難しい。
キョン語りの場合、「今していることを書いている」のではなく「以前あったことを振り返って書く」スタイルだから、まだマシだが。
三人称のSSってもう出た?
俺はどっちかっていうと書く側だが、批評は厳しい方が好きなドM。
でも結局、その厳しい中で賞賛のレスを貰えるってのが一番嬉しいけどな。
人類皆ツンデレでいいじゃん
国木田「キョン……、ちょっといいかな?」
キョン「国木田? どうかしたのか?」
国木田「古泉くん、あとコンピ研の人たちのことなんだけど、最近僕のことを変な目で見ているような気がして…」
キョン「そういやぁ、国木田をみつめているコンピ研の連中なら俺も見かけるなぁ」
長門「クロース クロース (ぼそっ」
キョン「長門?」
長門「……なんでもない。…気をつけて……。」
国木田「???」
うっかり間違えて妄想したネタが気がついたら文章になってた。
ネタがわからない人はスルーしてください。
ってか長い文章書くの初めてなんでいろいろおかしいと思うがよろしくお願いします。
今日も今日とて文芸部室に向かう。
毎度毎度のコトながらこの習慣は完全に身についてしまったようだ。いつものようにノックをしたのだが反応が無い。
朝比奈さんがまだきていないのだろうと思ってドアを開けてみるとそこにはいつもとは違う光景が広がっていた。
机の上には漫画が山積みだった。
どっかの血筋を持った家系が奇妙な冒険に出るといった内容のものだ。いや、冒険と呼べるのかはわからないが。
俺も中学時代に友達から借りて全巻読んだものだ。どうやらハルヒが持ってきたものらしい。
今日は皆でその漫画を読もうとでもいったのだろう。
朝比奈さんまで俺が来たことにも気づかず漫画に没頭している。
いや、お茶を淹れてくれないからって悲しくなんか無いぞ。
懐かしみながら一冊手に取り、いつものハードカバーとは違う本を眺める長門に目を向けた。
「どうだ?面白いか?」
「……ユニーク」
確かに。面白いのは確かだが人によっちゃあ限りなくユニークだ。
静かに本を読むのに反対する理由も無く俺もそれに習った。
今日の活動はそのまま終了したのだった。
異変が起きたのはその翌日だった。
授業の大半を睡眠学習で過ごし、掃除当番のハルヒを残し文芸部室に向かう。
部室には既に三人が来ていた。
朝比奈さんのお茶を頂いて一口含んだとき、それは始まったのだ。
〜〜〜〜〜んまぁ〜〜〜〜い!!
なんていうかこの砂漠を三日間歩き続けた後にのむアルプスのハープを弾くお姫様が飲む水のような清らかさ!!
朝比奈さんを文字通り体現したような清らかさでどんどん泣けてくるよぉ〜〜
とまんね〜よぉ。
「ふぇっっ!!キョン君大丈夫ですか!?熱かったですかぁ!?」
朝比奈さんの声でふと我に返る。なぜか目は今までに無いほど疲れが取れてすっきりしていた。
止まらない涙。すっきりした目。俺はこれに心当たりがある。またハルヒの仕業か。
朝比奈さんは心配してくれたようだったが無事な俺を見て落ち着いてくれたようだ。
貴方のような人にこれ以上心配されたらそれこそ感動して体中の水分がなってしまいますよ。
とりあえず古泉を廊下に連れ出した。
「で、なんですか話って?」
目に映るのはスマイルを崩さない古泉。
「またハルヒが問題を引き起こしたってコトくらいわかるだろ。きのうのあれが原因か?」
「ええ。朝目覚めたときから僕も異変を感じていましたよ。
おそらく貴方の言うとおり昨日涼宮さんが持ってきた漫画が原因でしょう。
貴方の涙は朝比奈さんの能力によるものでしょう。
もっとも朝比奈さんはそこまで読んでいないようですからなにが起こったのかわからなかったようですね。僕の能力とは違う新しい能力が目覚めていました。」
はぁ。漫画みたいなことが起こればいいとハルヒが願っちまったわけか。
「んで何をすれば元の世界に戻れるんだ?」
「今回は僕にも良くわかりません。もっと言えば何も行動する気がないというか、
まぁそんなところです。」
古泉からはまったく想像し得なかった言葉がでてきた。どうしたんだ?一体。
「漫画のキャラクターの性格の影響が出ているようです。
本来の僕とは考え方が少し変わってしまっています。」
そうかと認めて引き下がれるわけが無い。恐ろしい奴もごろごろいそうな世界俺はいやだ。
まぁ、さっきの朝比奈さんみたいな天使を具現化したような存在なら大歓迎なのだが。
「こっちはお前が協力してくれないと困る。
このままもとの世界に戻れないなんてお前としても問題なんじゃないのか。」
古泉は首をすくめた。
「……ただこのまま穏やかに植物のように生きていたいと思いまして。」
絶句した。
あの漫画を知ってるものとしては絶対に聞きたくない部類の台詞だ。
「ところで前からずっと思ってたのですが貴方の手は美しいですね。いや、女性とは違った美しさで僕図らずもぼっ」
そこまでで十分だった。そこから先は聞こえてない。いやだ。怖い。泣きそうだ。ってか泣いた。
気がつくと俺は古泉が壁と同化するくらい殴っていた。絶対古泉は再起不能だ。そうあってほしい。
どうやら俺は覚醒したようだ。
幸い誰もいなかったが傍から見たら某ネコ型ロボットの愛称を叫びながら壁に古泉をめり込ませてく奇妙な俺が見えただろう。
古泉本人が言っていたことだがいつもなんだかんだで主人公の立場を与えられていることにこれほど感謝したことは無い。
古泉が「いいや限界だ!押すね!」とか言ってたみたいだか主人公の前には関係ない。
帰ったらハルヒのわがままの一つでも素直に聞いてやるか。いつも従わされているが。
こうなったら頼みの綱は長門しかいない。出来るだけ頼りたくは無かったがもう長門の力を借りるしかない。
「長門!!」
急いで文芸部室に戻った俺は驚く朝比奈さんを横目に長門の前に立った。
「わかっている。貴方は元の世界に戻りたいと願っている。違う?」
あぁ……そのとおりだ長門。
「ふぇぇ!?何か起こってるんですかぁ?」
おろおろする朝比奈さん。すいません、ちょっと座っててください。終わった後でいくらでも説明しますから。
「今回の現象は漫画のような能力があったらいいと思った涼宮ハルヒの願望に起因する
。元の世界に戻ろうとするなら涼宮ハルヒにその願望を拒絶してもらうだけ。私もそのように仕向けたいと思う。許可を」
「そんなの俺に聞くまでも無いだろ。やってくれ。」
「そう」
長門はつぶやくと朝比奈さんの後ろに回りこみ手刀を食らわせた。
「はぅぅ……」
崩れ落ちる朝比奈さん。
「おい!なにやってるんだ長門!!」
「問題ない。朝比奈みくるには気絶してもらっただけ。」
次の瞬間長門は腕を動かした。まるで絵を描くように。
気がつくと俺は倒れていた。顔が本になって捲れていく。
「……ヘブンズ・ドアー」
そうですか。一体何をする気なのですか長門さん。いや、俺の上に跨るとかそんなことはしなくても良いから。
なんだその、体験したことの無い感触に俺がよろこ…いやそのなんだ。困る。
「そう」
そうって。ほら、なんだ。こんなのハルヒに見られた日には俺の財政と人生とが危ない。
「みんなー!遅れてごめーん!!」
って来てるし!!
「有希!?キョン!?ちょっと何してるのよ!!!」
これでもかってほど顔を真っ赤にしたハルヒが迫ってくる。
「うるさい。」
長門が腕を動かすとハルヒも本になって崩れ落ちた。
「これってまさか……。ちょっと有希!一体どうするつもりなのよ!!」
本にされながらもハルヒが叫ぶ。目には戸惑いの色が浮かんでいた。
俺も長門が何をしようとしているのかいまだわからない。
「私は彼の本を読みたいと思っただけ。さらに言うなら彼の好きな人の項目を私の名で埋めたいと思う。
そして涼宮ハルヒ、朝比奈みくるには彼の存在を意識できなくさせる。これで彼は私のもの。」
淡々と、だが微妙に楽しそうに長門が言った。
「そんな……。目を覚まして有希!こんな能力に頼って本当貴方それでしあわせなの?」
ハルヒが必死に長門を説得しようと叫ぶ。長門がこんな行動に出るなんていまだに信じられないんだろう。
「今の私には力が与えられた。これが私の運命だと思う。私
は彼を手に入れたいと常々思っていた。だから実行に移しただけ。この能力が原因。」
「……こんな能力なければ…こうすることもなかった。」
長門、それが狙いか。
そう思ったとき俺の意識は無くなった。
「キョンくん朝だよー!」
腹部への衝撃で目が覚めた。俺に変な力も無い。どうやらあの世界は夢ってことになったらしい。
学校へ行ってみると珍しくハルヒの表情が暗かった。
「昨日、悪夢を見たのよ。」
そりゃあ長門が俺らにあんな行動にでりゃあ悪夢にもなるだろう。俺にとってはその前の古泉のほうが悪夢だったが。
授業後部室へと向かった。ノックしてはいるとそこには長門しかいなかった。
「長門、毎度毎度助かるよ。ところでちょっと楽しんでなかったか?正直ちょっと困ったんだが。あれは古泉の言ってたキャラクターの性格が反映されたとか言う奴なのか?」
こう聞いたところ長門は不思議そうな顔をして
「今回の現象において個人の性格においてなんら変化は無かった。楽しそうに見えたというなら貴方が原因。」
「なんだ?俺が長門に何かしたか?気に障ることをしたんだったら謝る。すまない。」
すると長門は少し不満そうな顔をした。
「長門?不満があるならはっきりいってくれ。お前に迷惑かけっぱなしなんて俺がいやだ。」
「何も。貴方に感じるところがあるのならいつかまた図書館に連れて行ってほしい。」
あぁ。あのときは悪かったし、そんなことならいくらでもよろこんでやるさ。
「そう」
ちなみにほんのジョークだとか言う言い訳に耳も傾けず、マジで古泉をぼこぼこにしたのは言うまでも無い。
ごめん。やってみて後悔した。
ってかSS書く人ってこういう書き出しからはじめるよねとかって、
書き込み欄で遊んでたらうっかり投稿してしまって逃げられなくなりました。
失礼しました。
吉良古泉にワロタwww
ぐっじょぶです。
4部ネタかw
読んだことのある人間としてはとても楽しませてもらいました。
特に古泉なんか割とハマってるし(変態なところとか)。
しかしwikiにまで載っているが、4部主人公の掛け声が
実はドラドラではないという事実。わざとだったらスマン。
1レス小ネタ投下ー
もしかしたら続くかもしれないし続かないかも知れない
キョンが起きるまで本を閉じる気が無いかの様に本を読み続ける長門有希。
キョンが起きるまで付き添っていそうな朝比奈みくる。
正直、今の涼宮ハルヒにとって、二人は少し邪魔だった。
「二人共、もう帰っていいわよ。このいつまでたっても起きないバカは私がどうにかするから」
「で、でも涼宮さん一人で大丈夫ですか?今日は用事も無いしだいじょ……」
「そう」
朝比奈みくるの声を遮った長門有希は本を閉じ鞄にしまいさっさと帰っていった。
「あっ、じゃあ私も帰ります。ごめんなさい」
一々謝りながら朝比奈みくるも帰っていった。
二人が帰った事を確認した後に、音をたてない様に静かに古泉一樹の椅子を出して座る。
「キョン、起きなさい」
まるで起こす気が無い様な小さな声を寝ているキョンに掛ける。当然反応は無い。
キョンの寝顔を見つめて、考える。
……映画やドラマだとここはほっぺたをつんつんしたり、……キスをしたりする場面なんだろうか。
そんなくだらない事を色々と考える内にいろんな事が頭を巡って顔が真っ赤になっていくのを感じ、自分の冷えた手で頬を冷やす。
「……はぁ」
キョンの寝息しか聞こえない部屋に涼宮ハルヒの溜め息が漏れた。
↓プリンに誤爆した人
所詮映画は映画、私にそんなことができるはずがない。
机に上体を投げ出し、キョンと顔を並べる。
一度冷やしたはずの頬が、また熱くなってくる。
「・・・・・・はぁ」
ため息を吐き、顔を上げた、その時・・・・・・
目の前にはキョンの顔。鼻。
唇に生暖かい感触がする。頬だけじゃなくて唇まで火照ったのだろうか?
あーもう、やだやだ!何がなんだかわかんない!
キョンが目を開ける。
ハルヒとキョンは、同時に飛び起きた。
697の辺りで長門のだが断るを期待していたのは俺だけかw
>>698 ジョジョの元ネタ知らんからよくワカラン部分もあるが
何かこういうのも面白いw
>>687 実際偉いかどうかは知らんが、「偉そうにしている」ことだけは確かかと。
偉そうにレビューしてる奴は「スレが多少険悪になっても構わない」と思ってる
し、それに反応する奴は「スレの空気が悪くなってほしくない」と思ってる。
こっからして分かりあえないんだね。
前者には「お前の意見なんて誰も聞いてない」
後者には「スルーできないなら出てけ」
をお送りしたい。
書き手としては、ぜひとも意見を聞きたいんだけど……。
テンプレ読もうぜ。
幼なじみが照れ隠しで言ってるように頼む。
これで解決。
偉
し
こ
前
後
を
?意味がわからん
えらいいきおいで、しっこをぜんごからあびた
「彼は――すばらしい常識人だった。森羅万象へのツッコミ役を自他共に認めうるほどに。
同時に、かけがえのない我が親友だった」
かつて、ニョローン大戦救国の英雄として“ア・マとにニキタシにその名を知らぬものなし”と謳われた、
老忘我(フォースの師、の意)ニグ=チタは、悲しそうな顔でそう言った。
「だが、いまや彼はフォースのトナカイサイドに落ちたのだ。カノジョナ・ド・イラヌ(フォースのホウマカイツ面の教えを
守護する騎士団のこと。略してジョナイ)カウンシルは、ついには彼によって滅びた……」
「そんな……」
「これから話すことは、この道を志す者たちにとって危険なものとなる……覚悟のある者以外は立ち去るがよい」
(『シノミニヤ・ウォーズ えぴそおど04』より)
30歳まで童貞だとフォースを使えるのか
さて、カチンカチンに冷え切ったあの寒い12月に起きた地球を巻き込んだあの事件。
俺は走ったり胸ぐら捕まれたりナイフで刺されたりしながらも、
よくわからん内に見事に元の世界に戻れた。
まぁ目覚めに最初に見たのが古泉だったのはちょっと気分が悪かったが、
その起床直前まで俺は夢のようなものを見ていた。
ただあれは、恐らく実際に起きたことなんだろうと思う。
なんでかっつーとだ、異常なまでに鮮明かつリアルだったんだよ。
いや、シチュエーション的には有り得ないんだが、キャラ的には有り得るっつーのか…
って何を言ってるんだ俺は?
何はともあれ、俺は自分で言ってる事がわかんなくなるぐらい不思議だったんだよ。
で、どんな夢だったかっつーと、非常に申し上げにくいのだが…
長門が朝倉に犯されてる夢だった。
いや、待て、落ち着け。「戻る」を押すなよ。
飽くまで夢だからな。実際あったかどうかは知らんが夢だ。
ただ、あれはあっちの長門ではなく、俺のよく知る
無口で読者好きのメガネをかけてない宇宙人の方の長門だったと思う。
視点はは何か部屋の天井の隅に付けられた固定カメラから見たような感じだった。
気が付くと、長門のこたつだけが置いてあるあの部屋の映像だった。
相変わらず殺風景だな。まぁそこは置いといて、
今この部屋には誰もいない。まだ帰ってないの…って帰ってきたよ。
さて、どうもメガネをかけて北高の制服着てるとこを見ると、この4年間のことなんだろう。。
どうやらもう一人いるらしい。
その客が招き入れられたところで俺は背筋に寒気が走った。
「こんな時間にまたお邪魔してごめんね。」
そいつは笑顔でこう言いながら部屋に入ってきた。
朝倉だった。
一体何が起きるんだこれから?心温まるハートフルコメディィだったら見たくもなんともないぞ。
いや、長門のならちょっと見たいかもな。
そう思ってる内に長門は冷蔵庫からおでんを取り出して火にかけた。
なんでもおでんとカレーは煮込んだぶんだけうまくなると
谷口が3日連続でカレーの弁当を食いながら言ってたな。
ほんとかどうかは知らんが。
朝倉はこたつに入って待っている。
「彼と何か話したの?」
「あまり」
「長門さんちゃんと食事とらないと駄目よ」
「わかってる」
と、まぁいかにもアイツ等らしい会話がしばらく続いて、
その後しばらくおでんを食ってたが俺はここでいくつかの事に気付いた。
まず、ひとつ目。この長門は「メガネをかけている」恐らくあの世界での出来事なんだろう。
そしてふたつ目。恐らくこれは俺があの日おでんをこいつらと食べたあとの事なんだろう。
それもさっき朝倉が「こんな時間」と「また」と言っていたことから、俺が帰った直後だろう。
そんなこんなしてるうちに、長門の小鉢が残すところちくわだけとなり、そこで長門は
なぜか箸をとめた。既に食べ終えていた朝倉が…ってあれ?
朝倉がいなくなった?と思ったら長門の後ろにいやがる。どうやったんだ?
で、いきなり長門の薄い胸を直に揉みだした。
長門が止まる。
朝倉がうなじを舐める。
「長門さん。ちゃんと食べなきゃ駄目ってあたし言ったよね?」
長門はまだ黙っている。
「どうだったかな?」
そう言って朝倉は乳首を軽くつまんだ。
長門は震えながら小さく肯いた。
「で、どうなの?食べるの?」
朝倉はやさしい声で言った。まだ胸を揉んでいる。
「…んあっ…お腹が…いっぱいで…」
「でも残すのはよくないわよね。」
そこで朝倉は何かを企んだような目で後ろから長門の胸を揉みながら言った。
何考えてんだコイツ?
心なしか長門がビクビクしてる気がする。
「でも…」
長門が何か言いかけるが朝倉がすかさず言い放った。
「じゃあ下のお口で食べようか。」
そう言い終わるか終わらないかのタイミングで、
長門の顔を自分の方に向けさせ、朝倉は自分の唇で長門の唇を塞ぎ、舌を入れた。
カタンッ
長門は箸を落とす。
ちゅっ…じゅっじゅっ…ちゅっ…
「はぁっ…はぁっ…」
2,30秒程でやっと解放された長門は顔を赤らめ息を荒くし、ぐったりと朝倉に寄りかかってしまった。
朝倉はチェシャ猫のように笑い、長門のスカートの中に手を入れた。
もはや長門は抵抗できない。なされるがままに、朝倉によってパンツの中に
手を入れられた。
うなじを舐め、左手で胸を揉み、右手で秘部を弄る。そんな器用な事をしながら朝倉はニヤニヤしていた。
長門の秘部を弄る水っぽい音が次第に大きくなってくる。
「んあっ…あっ…あっ!…はぁっはぁっ…」
ビクッと体を震わせ、長門はついにイッた。顔は真っ赤。メガネはズレかけ、制服は乱れてる。
正直たまらん。
しかし、ドSな朝倉の満足度はそれだけでは得られなかったらしく、
長門を四つん這いにさせ、パンツを下ろした。
そしてほとんどヘアのない長門の秘部におでんの残りのまだあったかいちくわを挿入した。
「んあぁあっ…はぁっ…」
カシャーン
長門のメガネが落ちる。
「どう?気持ちいい?いっつも彼の事を考えながらこうしてるんでしょ?」
繰り返し繰り返し抜き差しされるちくわ。
「あっ…あっ…そんな…こ…あっ…とない…あっ…」
ちくわに長門の愛液が付き、ちくわの真ん中から愛液が出てくる。
とてつもなく扇情的な絵だ。
何度も何度も抜き差しされる。
少し粘る長門にしびれを切らしたのか、朝倉は長門のアナルに人差し指を入れた。
長門の目が一瞬見開かれる。
「あっ…あっ…あっ!待って…そっちは…だっ…」
もう誰にも朝倉は止めれなかった。
激しく繰り返される両穴責め。
「あっあっあっもうっあっらっあっ!」
そしてついに長門は絶頂を迎えた。
「どう?気持ちよかった?」
「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」
「じゃあまた明日学校でね。」
そう言って朝倉は帰っていった。
長門は秘部にちくわを刺されたまんま部屋に横たわっている。
そこで俺の夢は終わった。
そして、目覚めた後、みんなのお見舞いが終わり、長門が来たときに俺は
長門に聞いた。
「なあ長門。ひとつ聞いていいか?」
「なに」
何かコイツの目が今日ははずかしそうに見える。
「あ〜ずばり聞きたいんだが、お前と朝倉って仲良かったか?」
「……」
おお キョンよ くだらぬ しつもんで しんで しまうとは なさけない
なんて事にはならなかった事を本気で喜べる今日この頃。
その質問の長門の答えはこうだった。
「彼女とは仲が良かった。でも…」
でも?
「今はあなたが御主人様。」
やれやれ。口が閉まらなかったね。
終
あれ、宇宙人長門とだったと思うと言いつつアナザー?
ともあれ乙ー。
>おお キョンよ
wwwww
ヤンデレハルヒものでおすすめあります?
VIPの彼岸花ってのがおすすめ
なんかちくわちくわ連呼されると妙に笑える。
ちくわにそんな強度ないけどエロ面白いからいいやw
おつです
穴にゴボウの入ったちくわだったんだよ
730 :
698:2007/01/31(水) 23:15:05 ID:RJ0AZouB
頂いた感想がうれしすぎたので申し訳ないとは思うが返事させてください。
元ネタ知らなくても笑ってくださった方ありがとうございます。
>>701 古泉が最初に思い浮かんではあと付け足しただけなので笑ってもらえてよかったです。
>>702 キ、キョンが勝手に間違えただけなんだから!!
>>710 ……絶対その台詞入れようと思って忘れてた!!
多少無理しても書いてみてよかったです。感想もらえた感動は最高です。
んではROMに戻ります。失礼しました。
今日に入ってから、生粋のここの住人の書き込みがやたら少ない気がするのは俺だけか?
投下も含めて。
すまん、もう日付変わってたの忘れてた。
昨日からだ。
ガス欠でしょ。前スレまたいでのエンジン全開だったし
たまにはそんな日があっても……ってことで。
妙に意識しないでいいんじゃないかな。
>>731 個人的には特に違和感は感じなかったが。
大体、住民全員がコテハン付けているわけじゃああるまいし生粋の住民っつう定義が良く分らん。
それに仮に生粋の住民とやら以外の書き込みが多くなったとしても
生粋住民以外の書き込み・投下禁止ってルールがあるわけでも無いし
それくらいでわざわざレス話題にしなきゃいかんほどの何か問題があるのか?
まあ、確かに前までの大作型に比べたらここ数日は雰囲気の軽い小ネタ系作品が主流になっているが
キャラの雰囲気が違いすぎたり破綻しまくっていたり、原作全く読んで無いだろ?な感じでもないし
だったらこういうのも悪くはないと思う。
そんな必死に長文書いて噛み付くほどのことでもなかろうに
ホント若い子が多いねここ
昨日からって言うか、年が明けた辺りから既に兆候はあったな。
まぁ、
>>735みたいに他板のノリそのままじゃなければどうでもいいよ。
____
/ \ /\ キリッ
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \ 既に兆候はあったな
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
___
/ \
/ノ \ u. \ !?
/ (●) (●) \
| (__人__) u. | クスクス>
\ u.` ⌒´ /
ノ \
/´ ヽ
____
<クスクス / \!??
/ u ノ \
/ u (●) \
| (__人__)|
\ u .` ⌒/
ノ \
/´
どーでーもいーいでーすよ
だいたひかる登場ですか
キョンマイがオリコン10位に入ったから
1月末はロリコン記念日
夏に嵐がやって来てから今日までスレを覗かずまとめだけ読んでた漏れは勝ち組
でも今日から負け組(´・ω・`)ノシ SS書いてくるお
帰れよ腐女子・・・
つーかvipperが消えろ
俺も消えるわ…サラサラ
いても、ノリをそのまま持ち込まなければ問題ない。
棲み分けは大事だ。
正直vipの方が面白いよ。「気の抜けたGJ」とか妙に向こうの気質に嫌悪感持ってる奴もいるみたいだけど
叩きが怖いだの馴れ合いだのそんなつまんない理屈抜きに、単純に「向こうの方が良い雰囲気」の一言に尽きる
これを期に移民検討してみたら?小ネタでもウケが良いから気軽に書けるし、長編も言うまでもなく。
郷に入らば郷に従えってことやね
巛彡彡ミミミミミ彡
__巛巛巛巛巛巛ミ彡
,r '´__ |:::::: _ノ' 'ヽ、 |
/ < |::::: -・= , -・=
/ /\ \ (6 ⌒ ) ・ ・) ^ヽ
| | \ \| ┃トェヨヨョイ┃ |
| | /\ \ ┃ヽニニノ┃ !
| | rnl`h \ \ ┗━┛ 人nl`h、
| | l l l l l r \ \ー---一' l l l l l
| | | ヽr'´つ \ \ r 、⊂' ヽ./ |
ヽ `ー一イ \ \/ /`' `ー' -'
\ \ ノリの持込禁止 /
ヽ、______,,/
そうか、どうも向こうからの客が増えたと思ったら、書き手さんのvipへの引き抜きを謀ってるのか。
両方で楽しんでる俺超勝ち組。
>>746,749
こっち小ネタ投稿何度かしてるけど
VIPで自分が面白い、と思ったSS作品読んだことないので
こっちで書いている。
別にVIPが駄作、というわけでなく
方向性違いすぎ(エロパロ板の方が原作重視。文体とか)なので
自分にとっては面白くないだけ。
どうせ書くなら方向性が似たもの同士が
集まっている場所で書いて見てもらいたいし。
あと、どんな作品もGJ!のレスばかりで
良い点と悪い点を具体的に批評するレスが少ないのも
VIPに行かない理由。
最近なんかピリピリしてるね
荒れやすくなってる
みんな落ち着け
この程度のことで荒れる荒れる言ってる香具師が最もうざい。
耐性がないというか、平和なところから来た人なんだろ
>>731ゆうべ書き込み少なかったのは単純に鯖が落ちてただけだと思うが。
確かにここは俺が行くスレでは一番切り込み方が鋭いかな。
良くも悪くもこのスレの特徴だと思う。
ちょっと論議?が発展したくらいで「エロパロは荒んでる」とか言われてもな。
まあ
>>745の言うとおりでしょ。
俺個人はvipの雰囲気が苦手。なぜか自分でも分からない。
ところで、エロに関してなんだが、やっぱエロシーンのみよりも
ちゃんとストーリーを絡めた方がいいかな?
>>756 そこら辺は人それぞれだから、自分の書きたいもので良いと思う。
ただ、偉そうな事言ってしまってすまないが、感情移入とか考えるとそこに至るまでの流れがあったほうが
いいかも……
「なあハルヒ」
「なによ」
「最近ちょっと荒れてるみたいだな」
「なに?あたしの肌は荒れてないわよ」
「肌の話をしてんじゃねーよ」
「じゃあ何の事言ってんのよ」
「わからないのか?」
「わかんないから聞いてんじゃない」
「なんだか俺たちのことで揉めてるみたいなんだ」
「誰があたしたちのことで揉めてんのよ」
「……異世界人かな?」
「はあ?あんた頭おかしくなったんじゃないの?」
「まあいきなりこんなこと言われたらそう思うだろうな。ちょっと変な電波を受信したとでも言っておこうか」
「…なんであんたが受信してあたしができないのよ。おかしいじゃない、独り占めするつもり?」
「独り占めする気が無いからハルヒに話てるだろ?」
「……まあそうね。じゃあ詳しく聞こうじゃないの」
「なんだか俺たちのことでエロや俺には理解できない妄想が繰り広げられたいるんだ」
「なによそれ。ってあんたさっきからパソコンで何見てんのよ」
「見ないほうがいいと思うぞ」
「……何よこれ。あたしのことがいっぱい書かれてるじゃない」
「だから見ないほうが良いと言ったのに」
ハルヒは顔を真っ赤にしながらパソコンを瞬き一つせずに見入っている
もう満足したのか大きく息を吸って俺にとんでもないことを言ってきた
「じ、実行してみるわよ。ここに書いてある事全部」
「アホなことを言うんじゃない。第一そこには朝倉なんかも出てるじゃないか。出来るわけないじゃないか」
「じゃあ出てこない場面をするわよ」
「俺が言いたいのはそこの住人たちにもう少し仲良くしてほしいだけでって何しやがる、ひっつくな、服を脱がすな」
「いいじゃない。他に誰もいないんだから」
「そういう問題じゃない。いつから俺とおまえはそういう仲になったんだ?それと長門がいるぞ」
「あら有希いたの?でも関係ないわ、あたしがやると言ったらやるのよ」
「ちょやめろってベルトをはずすな。それと長門黙って見てないでこのバカを止めてくれ」
「……ユニーク」
「もうちょっとボキャブラリーは無いのか?ってパンツを脱がすな。」
今ではそこの住人たちには感謝している
その後俺たちは付き合うことになったからな
だがもう少し仲良くしてくれよ
人の作品に意見や批評することは大事だが、ただ俺にはこれは合わないとか
そういうことでは、相手にも何も伝わらない。相手も気分が悪くなる
だからもう少し言い方を変えてほしいと思ったわけだ
相手の顔が見えないこういうところだからこそ、文に全てがこめられてしまうんだ
なんか説教じみたことを言ったが俺はここが好きだ
だからってvipの雰囲気にしようとか言ってるんじゃないんだ
実に難しいことを言ってることはわかっているんだが
もうすこし物腰穏やかに行こうじゃないか
すまんな長々書いてしまって
でも俺はここが好きだ
以上だ
ここ、笑うとこ?
痛いやつを見たって表情をするとこ
大人版朝日奈さんは躊躇うように何度か俺を見た後、おもむろに述懐した。
キョンくん、わたしと一緒に時間遡行したのは覚えてるでしょ? そうそう。もう一人
のわたしがTPDDを失くして大慌てしたときと、長門さんを助けに行ったとき。
それで、そのこと自体はあまり問題ではないんだけど実は長門さんが……。
ううん、大丈夫だよ。
長門さんは元気にしてたから。ただ……ええと、ほら。わたしたちの話と合わせるために
異時間同位体と同期したじゃない? そのときなんだけど……。
ねえ、キョンくんは長門さんの表情が解るって前に行ったじゃない?
そう、それ。
わたしたちと過ごした時間の中でゆっくり見出したものをキョンくんは感じることが出
来た。 同期によってその記憶を未来の自分から手に入れることで変わった彼女をキョン
くんは見逃さなかった。 多分キョンくんが思ってる通りなんだと思う。
わたしだって、少しだけど長門さんの気持ちが解るようになった気がするし、やっぱり
変われるもんなんだなあって思った。 すっごく励まされたよ。
ああ、えと……それでね? そう……伝わるかどうかは解らないけど出来るだけのこと
はわたしもしたいから………よく聞いて。
時間平面の理論の延長上にCTLという架空の概念が存在するんだけど、いってみれば
時間の始めから終わりを周期として同じ時空を繰り返すこと。 もちろん観測なんて出来っ
こないからわたしだってよく知らない。 唯一つ解っているのは、規定事項の分岐点上に
立つキョンくんがその場に立ち会うことで初めて原因と結果が秩序をなすというパターン
が無数に存在すること。
何がまずいのかって言うとね、キョンくん。 これにもし何らかの不確定要素が働きかけ
て時間平面上の因果が崩落したとしたら、同期によって感情と共感を得た長門さんがどう
なるのか。
あとは一瞬よ。
三年前の長門さんは同期して感情が僅かに芽生え、そのまま待機したのちにキョンくんや
涼宮さんと出会う。 長門さんが同期先に指定したのが少なくともその年の七夕だから、
その間に蓄積された共感が水増しになって三年前の自分がそれを受け取ることになる。
もう解るわね? こうやって閉じた時間の輪の中で同期を繰り返した長門さんは……長門さんは……。
「キョンくーん! キョンくーん! あっ、いた! キョンくーん! きゃぁー!!」
ハイテンションユッキーは俺の背中に飛びつき、肩越しに「にぃっ」と笑った。
朝比奈さんね
>>758 言いたいことは伝わったと思う。
>>762 そうきたか……。マイナスではなく、プラス方向。
底抜けに脳天気になってしまったということか
766 :
762:2007/02/01(木) 21:46:03 ID:uGY/1btt
いまさら「朝比奈」さんで滑るとは情けない…
管理人さんお願いします。
それよりも、管理人よ、仕事しろ
>>762 やばい。コレはツボ。みのりんの業績は偉大だな。
>>766 おお 762よ いまさら「朝比奈」さんで すべるとは なさけない
>>770 大丈夫だ。わざわざ解説しなくてもあの程度で気分を悪くするようなヤツはいない。
成人が前提の板だし。
>>769 inドラクエの続きマダー?と言いたくなるじゃあないか
>>762 ついにハイテンションユッキーの理論的根拠が
眠たい授業が終わり、その日も俺はSOS団の活動に参加するべく文芸部部室に足を向けた。
良い感じに古びた部室の扉をノックすると、中から、
「はぁい」
子供っぽい声がして、美の女神のような小柄な女性が、
「あっ、キョン君」
子猫のような愛くるしい瞳で出迎えてくれた。良いね。実に良い。しかも本日の衣装は白のナース服ですか。朝比奈さん、そのスカートの短さは反則ですよ。
「あれ、朝比奈さん。まだ皆は来ていないんですか?」
見ると、まだ部室には朝比奈さんしかいなかった。おかしいな。いつもであれば窓際の椅子には置き物化している宇宙人が決まって読書中のはずなんだがな。今日は何か用事でもあるんだろうか。
「長門さんは涼宮さんと一緒にどこかに出かけました。古泉さんはアルバイトがあるから今日はお休みするそうです」
古泉はアルバイトか。いかがわしい場所で謎の巨人と戦うような変態的なバイトじゃなけりゃいいんだけどな。それにしても珍しいな。ハルヒが長門と出かけたって?
「ええ。涼宮さん、すごく良い物を手に入れたんだって喜んでいました。大きな紙袋を抱えてきて。それで、長門さんを連れてどこかに行ってしまいました」
そういや、教室でも正体不明な包みを抱えてたな。あいつ、また何か企んでいるのか。
「うふふ……あ、お茶、淹れますね」
朝比奈さんは柔らかな髪をふわふわさせて微笑むと、ポットに駆け寄って俺の分のお茶を淹れ始めた。
ま、いいか。あいつが良からぬ事を企んでいるのはいつもの事だからな。
そう思って油断していた。
「ヘーイ! 見なさい、皆の衆」
高らかに宣言する声に連れ立って勢い良く部室の扉が開くと、そこに現れやがったのは妖しげな衣装に身を包んだ妖しげな二人組だった。その唐突さと、余りの衣装の際どさに、俺と和やかにオセロに取り組んでいた朝比奈さんは飲んでいたお茶を噴き出してしまった程だった。
「お、お前ら、それ……」
思わず呟いたね。
「じゃあああーん。どう、これ?」
うる星☆やつらだった。ハルヒと長門がそこに立ち、おそらくネットで購入したと思われる主人公(確かラムとか言ったな)の衣装を着込み、俺と朝比奈さんに向かってVサインを決めていた。ハルヒはすたすたと部室内に入り、
「サイズ的に、有希とあたしの分しか無かったのよねえ。みくるちゃんだと胸のサイズが合わないわけ。コスプレって一度してみたかったのよね。どうキョン、みくるちゃん、似合う?」
そう言って、その場で回転してみせた。あほか。
しかし、そうは言っても完璧なまでに虎柄ビキニである。はっきり言って目の毒だ。こいつはスタイルと外見だけは抜群に良いからな。俺は長門の方に目を向ける。と、長門の新春の清流程度に温まった瞳と視線がぶつかった。長門は、
「……」
相変わらずの無言。だが、微かにこちらの反応を探るような表情をしている、ように見えるのは俺の気のせいか。にしても嫌に似合うな。白皙の肌と虎柄が合っているのか。ショートカットから角が生えてるのも全く違和感がないな。
俺は思わず、
「長門、お前似合うな」
言ってしまった。長門は、
「そう」
と起伏の無い声で返答し、
「ありがとう」
2ナノミリメートルぐらい俯いた。
『古泉さん』はあうあう
「キ、キ、キ、キョン。今、何つったの?」
やおらハルヒが俺の肩を掴み、アヒルのような口をして俺の目を覗き込んだ。何だ? ひょっとしてお前も褒めて貰いたいのか? しかし、ハルヒを褒めるのはどうも俺の性格に合わないな。
そのまま俺が何も言わないでいると、
「もう良い。みくるちゃん、行きましょう。屋上で空でも眺めたい気分だわ」
あわあわなっている朝比奈さんの襟首を掴むと、不機嫌そうに部室から出て行ってしまった。
「……」
そうして俺は何故か、虎柄ビキニのコスプレをした無口な宇宙人と二人きりで部室に残されることになった。
「行っちまったな」
「……」
「ま、そのうち戻ってくるだろ」
「……」
おーい。誰か、この宇宙人に会話ってもんを教えてやってくれ。
それから俺は、ふと、長門がやけに俺の方をじっと見ている事に気が付いた。
「……」
しかし長門は何も言わない。いくら何でも気まずいんだけどな。
「お茶でも飲むか?」
苦し紛れに、そう俺が進めると、
「いい」
ゆるりと首を振り、それから真剣な瞳で俺を見つめた。
そしてそのまま俺の肩に手を置くと、手前に抱き寄せ、俺の目の前にその顔を近づけた。
唇と唇が触れ合った。長門からのキスだった。一瞬の事だったので、俺に訳が解るはずもなく、しばらく呆然と立ち尽くした。
「な、長門……?」
「何も言わないで」
長門はそのまま混乱している俺を椅子に座らせると、やはり無言で制服のベルトを外し始めた。
それから俺のズボンと下着を細い指先で器用に脱がせ、そこにある物をそっと口に咥え、頭を動かし始めた。
そうしてしばらく、長門は卑猥な音を立てながら口内や唇で俺の物に刺激を与えつつ、指先で輪を作って優しく根元を擦り続け、
「……んぐ、……」
時折、喉奥から小さな声を漏らしていた。
しかし、表情はほとんど平常時と変わっていないクールビューティーだった。短い髪がたまに俺の物に触れている。長門が上下に激しく頭部を動かしているためである。
俺は長門に声を掛けられずに、ただその白皙の顔を見下ろしていた。
やがて快感が込み上げてきて、白い液体が長門の顔を汚した。長門はやはり無反応。
「……すまん」
俺が謝ると、長門はいつもの無表情で、
「いい」
そう呟いて、僅かに俯いた。
あ〜『古泉くん』だったかー。orz
出直して来ます…。
>>779待って
まだ続くんだよね?期待してイインダヨね?
投下します。しょうもない話です。
小ネタのつもりで書いたのが割と長くなってしまった。
10レスほどの予定です。
『愛か罪か』
「なあ、お前一人暮らしなのか?」
学校帰りの坂道で、俺は隣の奴に問いかける。
もしこれで隣にいるのが美少女だったりしたら色々と含むところのある科白になるところなのだが、生憎と隣にあるのは古泉の見慣れたニヤケ面である。
もちろん俺はこいつと「アッー!」な展開になりたいわけではなく、先ほどの問も純粋な好奇心からきたものであることは言うまでもない。
「いえ、家族と暮らしていますよ」
「そうなのか?」
驚きといえば驚きだ。『機関』なんてよくわからん組織に属しているこいつのことである。長門のように一人暮らしをしていた方が都合がいいように思っていたんだが。
「しかし古泉。お前の親御さんは『機関』のことなんて知らないんだろ? それって随分と面倒じゃないか?」
そう、普通の親は息子が超能力者で得体の知れない組織に入ってるなんて知ったらそれこそ正気でいられないだろう。
俺はてっきりこいつが適当な理由を取り繕っては、親元を離れて生活しているのだろうと勝手に予想していたのだ。
最近は回数が減ったようだが、昔は頻繁にバイトといっては呼び出しを受けていたみたいだし、親元にいたら相当怪しまれそうなものだが。
俺が言うと、古泉はとんでもないことを口にした。
「いえ、両親とも『機関』の関係者ですから」
「マジか」
何なんだ『機関』ってのは。三年前、いやもう四年前か、お前が超能力に目覚めたから『機関』は迎えに来てくれたんだろ?
「その通りです」
「んじゃあ、なんでお前の両親が『機関』の関係者なんだよ。仕事とかどうしたんだ」
「転職というやつですね」
……何考えてんだお前の親は。
「よろしければ、うちにいらっしゃいますか? 今日は両親とも非番ですから、あなたにご挨拶くらいできるかと思いますが」
「そうだな……。夕飯までにはまだしばらく時間がありそうだしな。少しくらいなら寄らせてもらうぜ」
今思えば、こいつのこの申し出に応じてしまったことがそもそもの間違いだったという気がする。
超能力者の家族とか秘密結社の構成員とかそういうものには少なからず興味があったし、何だかんだで一応世話になってるこいつの家族に挨拶しとくのも悪くないかと思ったんだ。
この時の俺は。
「ここです」
古泉がそういって指し示したのは、長門の住んでいる高級分譲マンションと比べても全く見劣りしない、これまた大層ご立派なマンションだった。
長門といい、阪中といい、こいつといい、何故俺が訪問する家はことごとく金持ちの棲家ばかりなんだ。
「『機関』の取り計らいで、格安で購入できまして」
どうやら相場の五分の一程度だという。今初めてお前のことを羨ましいと思ったぞ。
エントランスを抜け、エレベーターに乗って古泉について行くと、奴は三階の一つのドアの前で立ち止まった。そこの表札には「古泉」と書いてある。ここがお前の家か。
「そうです。どうぞ」
扉を開けて古泉は言った。
「おじゃましまーす」
俺も続いて、挨拶をして上がり込む。
室内も外観に負けず劣らず立派なものだった。やたらと余裕のある間取りである。中だけ見せられて一戸建てだと言われれば信じてしまうかもしれない。
古泉が奥の方の部屋に向かって声を上げる。
「父さん、母さん。友人を連れてきたんですが」
「お前は親相手にもそんな澄ました喋り方をするのかよ……」
俺があきれていると、奥のほうから足音がする。
「おや。これはこれは……」
「もう、一樹。なぜ先に電話をしてくれないんですか」
そこに現れた「両親」を見て、俺は絶句する。だって仕方ないだろう?
そこにいたのは、新川さんと森さんだったんだから。
「おい、古泉」
『なんでしょう』
俺以外の三人の声がハモる。いや、俺が呼びかけたのはニヤケ面した隣のヤロウなんですが……。
「なんですか?」
古泉の奴は、はっきりとわかる程度に面白がってやがる。
「どういうことだ? なんでここに新川さんと森さんがいるんだ」
「さて。勘のいいあなたなら理由は既におわかりかと思いますが」
わかりたくないことだって世の中にはあるんだぜ。できれば俺のこの推測を否定してもらいたいんだがな。
「恐らく無理な相談でしょう。あなたのお考えになった通りだと思いますよ」
「ということはあれか。
――マジにこの二人がお前の両親なのか?」
「そういうことです」
生徒が自分の望み通りの答を出した時の教師のような顔をして、古泉は言った。
「こういった形でご挨拶するのは初めてですな。一樹の父です。いつも息子がお世話になっております」
「母です。いつもこの子と仲良くしていただいて、ありがとうございます」
新川さんと森さんが仰る。リビングに通されてソファーに腰掛けた俺は、そこでお茶とお茶請けを出され、改めて二人から挨拶を受けているのだった。
「ああ、いえ、こちらこそ、こいず……一樹くんにはいつも世話になってます」
まさか奴のことを名前で呼ぶ日がくるとは思わなかったぜ。できればもう一生こんな機会がないことを願う。
とりあえず浮かんだ疑問をぶつける。
「あの、新川とか森とかいうのは偽名なんですか?」
表札には「古泉」って書いてあったしな。通称新川氏が答える。
「いかにも仰る通りです。最初に息子が皆様に接触致しましたが、その時は後々面倒の出ないように本名を使わせたのです。
四六時中、皆様と一緒にいるわけですからな、流石に偽名では都合の悪い場面が出るかもしれないとの判断です」
なるほど。
「その後、孤島での寸劇を企画致しました時に急遽、我々夫婦も皆様に接触することと相成りまして、流石にこちらは偽名を使わせていただきました」
「どうやって名前を決めたんです」
「特に深い意味はございません。単純に私の方は、『古』の反対の『新』に、『泉』から水つながりで『川』を使って新川、と致しました」
森さんの方はどうやって考えたんですか?
「わたしの方は旧姓をそのまま使いました」
そうなのか。てっきり首相繋がりかと思ったぜ。字が違うけどな。
ここまで考えて、ふと思い出した。
「多丸兄弟はどうなんです。あの人たちも血縁関係なんですか?」
実は古泉の兄弟だったとか、そういうオチはやめてほしい。俺のそんな願いが通じたのか、新川さん(とりあえずわかりづらいのでこのままにしておく)はこう仰った。
「いいえ。彼らは古い知り合いでして、昔からよく世話になりましたが、血縁ではございません」
とりあえずよかったと言っておくべきだろう。
さて、次の疑問である。これこそ、俺が何より気にする重大問題であり、それに対する答如何によっては俺の世界観に大規模な修正が必要となりかねないところでもある。
できればこんな危ない橋は渡らずに安穏と暮らしていきたいところではあるのだが、これを聞かずに帰った場合、気になって夜も眠れないこと請け合いなので、ここになけなしの勇気を振り絞って聞くことにする。
「森さん……と呼ばせてもらいますけど、あー……女性に聞くのは大変に失礼だというのはわかってるつもりですが、あなたは一体おいくつくらいなんでしょうか?」
そう、俺はこの方の年齢が気になって仕方がないのである。そんな俺の問に、森さん(こちらもこう呼ばせていただく)は苦笑した。
「失礼だと思っていても聞かれるんですね?」
やっぱり失礼だったよなーとか思いつつ、しかしここで引くわけにはいかない。
「いえ、その、すいません、大体でいいんです、大体で」
「そうですね……何歳くらいに見えますか?」
逆に質問で返されてしまった。
そうだな、これはなかなか難しい問題だ。初めて見た時は同世代かと思ったが、運転免許証なんかを持っているであろうことを考えると、最低でも俺たちより二つ三つ上であることは疑いない。
さらには以前見た、OL風の恰好をした森さんのことを思い出す。あの恰好でも大した違和感がなかったのだ、この人は。高校は卒業しているような気がする。となると――
「…………二十歳くらい、ですか?」
まあ、無難なところじゃないか? もしこれより下ならば大人らしい落ち着きがあると言えばいいし、仮に上ならば若く見えると言えばいい。我ながら出来た回答である。
俺の答に森さんは微笑んだ。
「まあ……素直に嬉しいです。随分若く見ていただいて」
随分ってことはかなり年上なのか? 俺はせいぜいプラマイ二歳程度だと思ったんだが。
「母さんは昔から若く見られますからね。僕が物心ついた時から全く老けていないような気がするくらいですよ」
今度は古泉が苦笑する。物心ついた時って、お前いつから森さんと知り合いなんだよ。
しかし何だ、どちらにしても、だ。
「新川さんとは……こちらもそう呼ばせてもらいますけど、随分お歳が離れてるんですね」
新川さんも森さんと同様に年齢不詳だが、顔つきといい物腰といい、やはり五十は過ぎておられるだろう。下手すりゃこの二人、三十くらい歳の差があるんじゃないか?
俺の言葉に、今度は新川さんが頷く。
「ええ、私が妻――園生と出逢った時、彼女はまだ小学六年生でしてな。私より優に三十は歳が下でした」
随分早い馴れ初めである。というか本当に三十も離れてるのか。
俺は驚きとあきれが半々くらいといった感じで、この家族の姿を見ていた。
俺の予想よりは多少お歳を召されているようだが、森さんと古泉の年齢差はせいぜい六、七歳程度だろう。
先妻と別れたのか先立たれたのか、そんな詮索は流石にするつもりはないが、言うまでもなく古泉は新川さんの方の連れ子だろう。いくら何でも森さんの子というには無理がある。
その古泉にとっての森さんはほとんど姉と呼ぶべき年齢の方である。そんな人がいきなり母親になったとしたら、恐らく子供心にも相当に複雑なものがあったのではないだろうか。
今でこそ笑顔を絶やさないこいつであるが、小さい時には色々あったんじゃないか?
いや、今でももしかしたら少しはわだかまりみたいなものがあるのかもしれない。
俺はぼんやりと、そんなことを考えていた。
「お二人は、いつ頃結婚されたんですか」
野暮かもしれないと思いつつ、ついこんなことを聞いてしまう。
「わたしの十六歳の誕生日です」
森さんが仰る。これまた恐ろしく気の早い話である。
「周りに反対とか、されなかったんですか?」
十六といえば今の俺たちと同い年だ。俺だったら、知ってる同級生が五十近い、しかもコブつきのおっさんと結婚するなんて言い出したら、理由の如何を問わずに思い留まらせようとするね。
「ええ、確かにそういう向きも随分とありました。
しかし、わたしたちの愛の前ではそんなものは妨げになどなりえませんでした」
「あ、あい……ですか」
『愛です』
いや、二人してハモらなくても。
「古泉よ、お前は反対とかしなかったのか?」
その頃のこいつはいくつだ? 小学校の三、四年くらいか?
普通に考えて、そんなガキが女子高生の母親なんてのを簡単に受け入れられるとは思えないんだが……。
しかし古泉は平然と言い放った。
「いえ、反対なんてするわけないですよ。僕としても幼心に、実の両親が法律上夫婦と認められないなんていう事実が歯痒くて仕方ありませんでしたから」
そうか、お前は昔から随分よくできたお子さんだったんだな。
…………………………ん?
待て。今何か妙なところがなかったか?
「おい、お前今なんて言った?」
「え? いえ、ですから僕は反対しなかったと――」
「違う、その後だ」
「幼心にも生みの親が法律上の親になれないという状況を嘆いていたわけですよ」
――なあ、お前まさか、新川さんと森さんの間にできた子だとか言わないよな?
「いや、その通りなんですが。何だと思っていたんですか?」
こいつにしては珍しく心底不思議そうな顔をしやがる。
待て待て待て。それじゃどう考えても辻褄が合わんだろうが。お前一体、森さんがいくつの時に生まれたっていうんだよ。
「一樹はわたしが十二の時に生んだ子ですよ」
微笑みながら森さんがサラッと答える。って嘘だろ!?
十二って妹と一つしか違わねえぞ? 子供なんて生めねえだろ。
「意外とそのくらいで生む方もいらっしゃいますよ」
いやいや新川さん、そんなのは一万人に一人もいないと思いますよ。
てかあなたナニやってんですか。
「あの頃私は小学校の教師をしておりましてな」
小学校の先生にしては渋すぎやしないか。ていうか、まさか森さんは生徒だったとか言うおつもりですか。
「その通りです。園生が六年生の時に初めて彼女の担任になりましてな」
「はぁ」
「私は彼女を一目見て恋に落ちてしまったのですよ」
それは人間としてどうかと思う。
「確かに、あなたのように運命の相手が同じ教室の後ろの席にいるような方には、この気持ちは理解していただけないかもしれませんが、愛の前では年齢など全く問題にならないのですよ」
百歩譲って年齢差はまあ置いておくとしても、相手の年齢が低すぎるというのは割と問題なのではないだろうか。
ちなみに俺の運命の相手云々というのは全力でスルーだ。なんというか、こう無駄に何でも色恋沙汰に持ち込もうとするあたり古泉との血の繋がりを感じるね。
そんなもん感じても何も嬉しくないんだがな。
あまりの急展開についていけない俺を尻目に、今度は森さんがどこかうっとりした表情を浮かべながら話し出した。
「わたしも、先生を初めて見たあの瞬間を一生忘れないでしょう。あの瞬間、灰色だった世界が急に色鮮やかになりましたから」
先生というのは新川さんのことだろう。しかし、世界が灰色って……。
随分と若いうちに暗黒の思春期に突入されたようである。
「何もかもが無意味で無価値で不可解だったこの世界で、この人の愛だけが唯一信じるに足るものだったんです」
訂正しよう。思春期だったわけではなく虚無主義に陥っていたようである。一体どんな小学生だよ。妹よ、お兄ちゃんはお前が真っ直ぐに育ってくれるよう祈ってるぞ。
しかしさっきから一応息子らしい古泉の前でアイだのコイだの連呼してるのはどうなのかと思ってしまうのは、果たして俺がそういうワードに縁がないからというだけなのだろうかね。
どうも古泉も若干苦笑気味のような気がしないでもないのだが。
「こうして、お互い恋に落ちてしまった私たちは、自然とその情愛を育んでいったのです」
俺の心配などどこ吹く風といった感じで新川さんが言う。いや、自然と育んじゃだめでしょう。普通はどこかで思い留まるべきだと思うんですが。
「年が明けてしばらくした頃には一樹も生まれ、我々の愛は確かな形を獲得するに至りました」
ということは遅く見積もっても夏になる前に既にできてたってことか。どこまで一直線なんだよ。倫理観や罪悪感がないのか、この人には。少しくらいは躊躇したってよさそうなもんじゃないか?
大体森さんも森さんだ。いくら愛があるとか言っても小学生だぞ。少しは抵抗なり何なりすべきだったんじゃないのか? 流石に新川さんだって無理強いはしないだろ。
「一樹ができた時は本当に嬉しかったです。この人の子供が、欲しくて欲しくて仕方なかったものですから」
「はは。あの時は園生に一杯食わされまして」
どうやら俺の価値基準はこの空間では意味をなさないものらしいと、遅ればせながらようやく俺は悟ったのだった。小学六年生恐るべし、である。
「しかし、出産の前後は大変でしてな」
そりゃそうだろう。小学生のお腹が大きくなってきたら周りは大騒ぎだぞ、絶対。
「私なぞは、しばらく取調室に缶詰だったものですよ」
……正直それに関しては同情の余地がないと思う。
「私がいくら愛を語っても刑事さんは皆、理解してくださらないので、本当に苦労したものです」
俺はそれを聞いて日本の警察組織に頼もしさみたいなものを感じてしまうんですが。
「理解を示してくれたのは、当時まだ駆け出しだった裕くん一人でした。彼が奔走してくれたおかげで何とかなりましたが、もしあの時彼がいなかったらと思うとゾッとしますな」
そんな人が警察官だったという事実にゾッとするのは俺だけだろうか?
なんだか新川さんの科白の一つ一つに突っ込んでいたせいか非常に疲れてきたんだが、誰か代わってくれないかね、これ。
しかし俺の願いも虚しく、新川さんはなおも突っ込みどころ満載の話を続けておられる。
「無事家に帰れたまではよかったのですが、何故か教員免許を剥奪されましてな」
何故そこで「何故か」と言えるのかが俺は不思議でしょうがないんですが。
「まあ、良い機会かと思いまして、かねてからの夢であったF1のドライバーに転職したわけです」
「…………は?」
できる限り無言で貫こうと思っていたんだが、思わず聞き返してしまった。
「F1ドライバーって、そんな簡単になれるもんなんですか?」
新川さんの話通りなら、その時既にこの人は四十を過ぎていたはずである。
俺は別段F1に詳しいわけではないが、素人がそんな簡単にドライバーになれるほど甘い世界ではないだろうということくらい容易に想像できる。
「多少勝手は違いましたが、教師をやっている時から暇を見ては峠を攻めておりましたからな。それなりに心得はあったのですよ」
……いや、ほんとに何やってんだあんた。
「よく捕まりませんでしたね」
最近は教育者に対する世間からの風当たりが非常に厳しい。仮に生徒に手を出さなくとも、そんな危険運転を繰り返していたら今なら即刻クビだろう。
この危険人物が暴走行為で捕まらなかったのは、ひとえにのどかな時代のおかげだったと言うべきである。
俺がそんなノスタルジーに浸っていると、
「圭一氏がいつも取り計らってくださったおかげです。あの方はもともと交通機動隊のお偉いさんでしてな。多丸兄弟には足を向けて寝られませんよ」
などと言って新川さんが全てをブチ壊しにしてくださった。大丈夫なのか日本の官憲。
――とりあえず一つだけ言わせてくれ。新川さん、あなた自由に生きすぎだ。
しかし、腑に落ちない点がある。いや、この夫婦の倫理観とかじゃないぞ。それはもうとっくに諦めたからな。そうではなくて――
「なんで今ではお二人とも『機関』にいるんですか?」
ということである。そう、肝心なこの点については、はっきり言って一つもわかっちゃいないんだ。もともとそれを聞きたかっただけという気がするんだがな……。
憔悴しきったこの俺の問に、二人は同時に口を開いた。
『楽しいからです』
ああ、そうですか……。冗談抜きで疲れが五割増しくらいになった気がする。
今まで黙っていた古泉が言った。
「母さんは僕を育てながら大学まで出て、『機関』に入るまでは二年ほど専業主婦をしていたんですよ」
いやお前、簡単に言うがそれって無茶苦茶大変だと思うぞ?
大体専業主婦ってのも凄いな。レーサーに転職した新川氏の稼ぎはそんなに良かったのか。しかしそれなら尚更、『機関』に入る必要なんて特にないんじゃないか?
いくら楽しいといっても仕事だしな。つらいことだって結構あるだろう。
「確かに仕事である以上、それなりの苦労は付き物です。ですが、あそこにいれば合法的に実弾が撃てるんです。民間でこんな魅力的な職場、他に思いつきません」
すいません、森さん。それのどこが魅力的なのか、俺にはよく理解できないんですが。
というか、多分それ合法でもなければ、微妙に民間でもないと思うんですけど。
「あの、まさか人を撃ったりは……」
「ご想像にお任せしましょう」
にっこりと微笑みながら仰る。――否定してくれないんですね。
「私にとりましては、やはり一般の公道を二百キロ以上で合法的に走ることができるという点が決定的でしたな」
聞いてもいないのに新川さんが言ってくる。だからそれは合法的ではないと少しくらい疑うべきなんじゃないかと俺なんかは思うわけだが、まあこの人たちに言っても無駄だろう。
間違いなくこの二人が出張った後には、始末書の山を片付ける事務方の活躍があるはずだ。賭けてもいい。本人たちが気付いていないだけだろう、絶対。
その後も夫妻の話に幾度となく度肝を抜かれ、あきれさせられで、気がつくと既にこの家に来てから二時間以上が経っていた。
お二人から夕食を一緒にどうかとのお誘いを受けたが、家には何の連絡もしていなかったのでこれを丁重に辞退し、俺は帰ることにした。
森さんに言われてエントランスまで俺を見送りに来た古泉と、少しだけ会話を交わす。
「遅くまで引き止めてしまって、すいませんでした。どうもうちの親は自分たちの馴れ初めのこととなると長々と話し込んでしまう質でして」
「いや、まあそれは構わんさ。内容は驚き以外の何でもなかったがな。
――ああ、そういえば結局、お前の母親は何歳なんだ?」
「そうですね。二十代後半、とだけ言っておきましょう」
十歳以上若く見えるぞ。すげえな。
「あんな風でも実際いまだにラブラブでしてね。息子の僕が疎外感を感じることさえしばしばなんですよ。僕があなたを閉鎖空間にお連れした時のことを覚えていますか?」
あんな経験を忘れられる奴がいるとしたら、それは頭蓋骨の中に脳細胞以外のものがみっちり詰まっている奴ぐらいだろうよ。
「あの時の運転手は父でしたが、お気づきでしたか?」
しまった。今度それを確認してお礼を言おうと思っていたんだが忘れちまってた。
「それは僕から伝えておきましょう。あの時、母は父と一緒にいませんでしたね」
そりゃ車内に年齢不詳の美女がいたら覚えていないわけがないな。
「片時も父と離れようとしない母を、電話越しになだめてすかして、ようやく本部に待機させたんですよ。あの後、僕は母に三日ほどその時のことを愚痴り続けられました」
「そりゃあ災難だったな」
「まったくです。父が『機関』で単独行動を取れたのはあれが最初で最後なんですよ」
見た目にはいつもと変わらぬ表情で、古泉が苦笑する。
「――なあ、古泉」
「はい?」
「それでもさ。いい両親だな」
「……そう、思われましたか?」
お前の顔見てりゃわかる。
「……まったく、あなたという人は本当に得難い友人ですよ」
それはどうだか判断しかねるがな。
「とりあえず、今度来るときは手土産くらい持参するぜ」
「あなたが来てくだされば、それだけで二人とも喜びますよ。もちろん、僕もですが」
素直にありがたいね。
「じゃあな」
「お気をつけて」
「俺もたまには親孝行とかした方がいいもんかね」
そんなことを一人呟きながら、俺は家路に就いた。
以上です。
なぜかいつもいつも最後までちゃんと落とせない。
書いてるうちに別物になっていくのはなぜだろうorz
キョンの語りは難しいですね。
原作でのあの迂遠な感じがうまく出せないです。
なんだか異次元で面白かった。エロくないけど
わけのわからん面白さだなコレ。
おもしろいし、そこまでキョンに違和感感じなかったけど・・・
これはねーよwww
おいおい、「不思議の国の凡人ツッコミスト」のキョン語りをこれだけ書ければいいだろうよ。
最初のアッーはネタがあからさま過ぎていただけなかったが、後はそれほど違和感なし。キョンらしくて楽しかった。
古泉→新川は、ちょっと意表をつかれた。
この設定でまとまりがつくのか。いやー、よくある糞漫画設定にならなくて良かった。
しっかし、「愛」がドラえもんの道具のように扱われてるな。おもろかった。
なるほど。
これで○学生時代のあの人のエロシーンが書けるわけだな。
エロパロの本領発揮ktkr
あー、面白かった。
何かわけわかんないけどこういうのも有りだね、楽しかったよ。
ちょっと詰まったんで聞いてみる。
敵に追いつめられて絶体絶命な場面で自殺的な行為をする(例えばガケから飛び降りるとか)すると味方が助けに来てくれて
そこで「お前ならなんとかしてくれると信じてた」とか言うと信頼していて良い台詞なんだが。
これをキョンと長門でやって「お前なら〜」ってキョンに言わせると頼りっぱなしのへたれになってしまう。
何か良い打開法はないかね?
長門が来たことが予想外にはできないの。
WRCのドライバーじゃなかったのか
森さんはインターふぇ(ry
>>801 崖のちょっと↓に足場を発見。
↓
飛び降りる振りをして、その足場に乗る。
↓
敵は、自殺したと思って去る。
↓
予想外で足場が崩れる。
↓
長門登場、助ける。
これだと、キョンが死のうとしたことにもならないし、
長門の登場もキョンの予定外ってことにできるのでは。
>>801 消失長門(無力)
↓
キョンピンチ
↓
長門覚醒(力を取り戻す)
↓
キョン救出
↓
厭わしく思っていた自分の力の必要性に気づく長門
↓
世界が元通りとなり、ハッピーエンド
という週刊少年誌的な王道ストーリーが思い浮かんだ今日この頃
ストーリーをどうするか聞くのはおかしくないか?
>>801 長門を頼れない状況になっているが、でもどこかでは信じてた……とかはどうか。
まさに俺の視界に現れたのはショートヘアの、あの寡黙を貫くインターフェース。あの日、あの時消失した筈の少女だった。
「……お前、まさか、本当に……」
俺の呟きに数ミクロン単位で頷き応える。
なんてこった、これを奇跡と言わず何を奇跡と呼べようか。
「違う」
少女は敵を見据えたまま否定する。
「……あなたは戦った。わたしという力を失い、涼宮ハルヒを失い、それでもあなたは戦った。
対峙するにはあまりに絶望的な戦力差、あなたでは瞬殺されてもおかしくない状況。あなたが総てを諦めて投げ捨てたとしても、誰もあなたを責めることなんて出来なかった。
でもあなたは戦った。戦い抜いた。戦って戦って……今この瞬間まで耐え続けた。敵対する勢力を前に、一歩も退かずに。
……だから」
そこで少女がようやくこちらを向く。相変わらずの表情がこれほど嬉しく感じた事は無い。
「……だから、わたしが間に合った」
「長門ぉ──っ!!」
「だからこれは奇跡ではない。確実にあなたの力がもたらした、当然の結果としての……規定事項」
これはやり過ぎか。
喋りすぎ。
流れ読めてないが
>>792面白かった。
案外キレイにまとまるもんだなぁ…
つうか『1●才の母』より若いなオイww
俺も流れ無視
>>792 ネタのわりに真面目(?)でなんかハートフルチックで良かった。
組み合わせ的に絶対ギャグで終わると思ったから意表をつかれた。
なんか読後感が爽やかw
>>808 折角キョンが喋っているんだから、それを活用しよう。
俺の視界に現れたのはショートヘアの、あの寡黙を貫くインターフェース。あの日、あの時、消失した筈の少女だった。
「……長門……なの……か」
呟きに俺のことをじっと見据えていた少女は、数ミクロン首を上下した。
これまでも長門は危機的状況を土壇場で救ってくれた。奇跡なんて安っぽい言葉を安易に使うのは大嫌いだが、長門はそれを
当たり前のように起こしちまう。きっと確率論を唱えた数学者が一番苦手なタイプだ。
「お前なら、何とかしてくれると思ってた」
「……それは違う」
だが、長門は敵を見据えたまま否定する。
「ハルヒがいなくなり、もう駄目だと人生のさじを投げ出す寸前だったんだ。でも、俺は最後にはお前が……」
その時、俺は気がついた。長門の目がとても悲しそうにこちらを見据えてる。
「あなたが信じていてくれたから……」
俺はその一言で気がついた。俺は何時だって長門が一人で何でもやってくれていると思っていた。でも、それはきっと違う。
俺が長門を信じていた。そして、長門もそれを望んでいた。だから、長門はここに来れたんだ。
「長門、俺……」
「だから……規定事項」
この位、少なくすれば違和感ないんじゃない?
キョンは実質なにもできないキャラだから、実質はヘタレでいい。
つーか、キョンの役割は実況だから
あんまり自発的に無茶して頑張りすぎたりするとキョンっぽくなくなる。
ただピンチのときでも一人称で丁寧な心理描写ができれば良いと思う。
>>812 原作っぽくていい感じ。
頼りきるとヘタレっぽいなら何処かで捨て切れない、諦め切れない感を出すのがキョンっぽくていいかと。
……と感想を述べておいてなんだが、さて困った事になった。
あまりに綺麗に修正加筆されてしまい、今更「
>>808の例は元ネタがあるんだぞー」と
言い出せない雰囲気になりつつある。
ここで俺が取れる手段は三つ。
沈黙を守り続けるか、とっととネタだとばらすか、あるいはネタが霞むような代替を落とすかだ。
だが代替なんてそう簡単に出来る筈も無く、しかも携帯からでは打ち込む速度もたかがしれている。
だが沈黙を守った時に、元ネタに気付いたヤツが「○○のパクリじゃねーか!」と
さも鬼の首を取ったかのように語り出されても困る。
やはりここはネタだったと告げるべきなのだろう。自らネタバレなどこっ恥ずかしい事この上ないが。
ああ、まさにこういう事か。命捨てようとしつつも長門を信じるって状況は。
だったら俺も信じるべきか。あの黙して語らぬ守護者の事を。
長門、俺は信じてるぞ。お前は必ず……。
「俺を迎えに来てくれるってなあっ!!」
「うん、それ無理」
俺の思いはあ
下の方ばっさり消えてるしorz
これだから携帯ってヤツは……。
再トライするんだ!
ついでにそろそろ次スレの話も…したほうがいいのかな
480超えてからで十分
なんかさ、次刊の「涼宮ハルヒの未来(これから)」ってタイトル。
いやに最終回っぽいタイトルだよな。
>>819 釣りじゃないなら聞いて
それ…スニーカーの特集名なんだ
俺も今調べてみた・・・特集名だな
投下します。
エロなし。6レス予定。
何でもない一日の話です。
朝起きると、外は季節外れの大雪だった。
今日は、いつも通りであるならば、市内不思議探索と称したイベントが行われる日であり、また何故か俺の財布から悲劇の細菌学者が何名か行方不明になる日でもある。何よりもまずこの不思議を解明してもらいたいね、捜索願いはどこに出せばいいんだ?
ただ、今朝からハルヒは朝比奈さん等と共に鶴屋さんの持つ別荘の一つへと向かっているはずであり、こっちには俺、古泉、長門の三人しか残っていない。
まあ、市内探索、というか幽霊屋敷探索、をやっておくようにと団長様から言われているんだがな。定期連絡も命じられているし、サボったりすると罰ゲームが待っているのだろう、おそらく俺だけに。
ああ、これも解明してもらいたい不思議の一つである、被害届けも用意しておこう。
雪は止む気配を見せない。これは積もるかもしれないね。一体どこの神様が望まれたので御座いましょうか? と、不信心者っぽいため息をつきながら空を見上げる俺であった。
SOMEDAY in the WORLD
俺がやる気50%オフセール中の状態で今日の予定を思い出そうとしていた時、机の上で携帯が鳴り出した。古泉からだ。今すぐにでも電源をオフにしたい、こいつからの連絡がいい知らせだという事は五つ葉のクローバーレベルでありえ無いからな。
まあ、実行に移すわけにもいかないので素直に通話ボタンを押す。古泉は死にかけのセイウチのような声で、
「………すみません、僕も無意識的に、………ふん………、生徒会の一員とカウントされたようです。朝から胃腸の調子が、………もっ………、最悪でして。申し訳ありませんが今回の、………ふう………、幽霊屋敷探索は長門さんとお二人で行っていただけませんか?」
涼宮さんには僕から連絡しておきますから、と、不安になるような息遣いを所々に交えながら電話が切れた。
そういえば以前ハルヒが、生徒会長に嫌味を言われた、と、キレていた事を思い出す。
………古泉は自業自得というやつだろう。月曜日になっても学校に来てないようだったら、鉢植えでも持ってお見舞いに行ってやろう。俺が行かないと言っても、どうせハルヒに連れて行かれるんだろうしな。
さて、古泉が来れないというのならば、後は長門に口裏を合わすよう頼んで、適当に団長様へと定期連絡をいれておけば、別に犬じゃあるまいし、こんな雪の中わざわざ喜び駆け回る必要は無いのではないだろうか?
セールでも売れ残ったやる気が80%オフにまで下がった時、また俺の携帯が鳴った。今度は長門だ。普通に通話ボタンを押す。押さない理由はナノグラムも無いしな。
「どうした、長門」
「………」
うん、いつも通りの長門節だ、黙ってるだけだがな。
「そういえば、今日は古泉のやつ、来れないらしいぞ」
「聞いている」
なら話ははやい。売れ残りのやる気をとっとと返品しよう。
俺が、長門に今日の市内探索の中止を進言しようとした時だった。
「今日………」
長門が先に話を切り出してきた。
「ん、なんだ?」
「………」
沈黙、だが、これぐらいの沈黙でへこたれていては長門マスターにはなれない。
「………」
おそらく今、何を言うべきか考えているのだろう。いつもお世話になっているんだし、カップヌードルが出来上がるくらいの間なら、待たされたって何て事無いね。
「………………」
カップヌードルがのびきるくらいの間待たされた後、こんな言葉が出てきた。
「図書館………」
そういえば………、ある約束を思い出す。そうだな、どうせやる事も無いんだ。帰り道に雪が積もってたりすると少し嫌だが、たまには長門と一日中静かに過ごすのは悪くないね。
「一緒に行くか? 図書館?」
「………」
風を切るような音が聞こえる。どうやらすごい勢いで首を振っているらしい。
いや、電話ごしだと縦横どっちに振っているのか分からないぞ。
「………行く」
そういう事になった。
ついて来ようとした妹を追い返しながら待ち合わせ場所であるいつもの公園へと向かった。子供は子供らしく喜んで庭駆け回っていなさい、………怪我しない程度にな。
この嫌がらせのような雪の中では、とても自転車を使う気にはなれなかった。誰かさんが校庭に書いた落書きでも覆い隠すつもりなのかねえ? まあ、長門には歩いていくと伝えてあるからそんなに急ぐ必要も無いだろう。
あいつの場合、俺が公園についてから家を出ても、俺より早く待ち合わせ場所につきそうな気がするしな。
転ばないように注意しながら、いつもより倍以上の時間をかけて公園に到着する。
待ち合わせ場所、いつものベンチで、
―――長門に雪が積もっていた。
そりゃどれくらい遅れるかはっきりと伝えはしなかったけど、俺は確かに、歩きで行くからいつもより遅くなる、と伝えたはずであり、いくら長門でも頭に雪が積もるほど前に来る事は無いだろうと、勝手に思い込んでいた。
ていうか、普通そう思うだろ! 悪いのは俺か? 俺なのか?
長門と視線が合った。ああ、親とはぐれた子供の視線だよ。うわ、すげえ罪悪感。
「………」
とにかく何か喋らないといけないと思い、南京錠で固められたかのように凍りついている自分の口を無理やり開く。
「………雪、積もってるぞ」
何だ、このそのまんまなセリフは。錠を破ったところで中に宝物が入っているとは限らないんだなあと実感できる、したくなかったがな。
「………待っていたから」
はい、罪悪感、さらに倍! どつぼにはまる俺である。
「すまん、遅くなった」
結局、素直に謝るのが一番良い方法なんだなあ。悪いのが俺かどうかという問題はこの際おいておこう、その方が楽だ、いろいろと。また一つ、負け犬人生論の完成である。
長門の頭やコートに積もった雪を払い落とす。フードをかぶっていたから直に雪が接していた部分が無い、というのがせめてもの救いだろうね、長門の体にとっても俺の精神にとっても。
長門は目をつむって俺のなすがままだ。何となく機嫌が良い時のシャミセンを思い出す。………ひょっとして、気持ち良いのだろうか? のどとか撫でるとどう反応するのかね?
「じゃあ、行こうか」
余計な雑念を追い払って声をかける。長門はわずかに頷いて俺の後をついてきた。
………途中でホットコーヒーでも買ってやるとしよう。
図書館に着いた。
長門はいつも通り3cmほど宙に浮いているような足取りで、人ごみをすり抜けながら本の海へと消えていく。まあ、鮭が川に帰ってくるようにそのうち戻ってくるだろうと、近くの本棚から適当な本を選び出し、適当に空いている席に座ったところで、
急に、目の前が真っ暗になった。
どうやら今俺は眠っているらしい。
誰かに『ありがとう………』と言われた気がする。
何かが壊れるような音がした気がする。
『………』
誰かの想いが、届いたような気がする。
………何だろう? とても大事なものを失った気がする。
………………とても大事な人が、いなくなった気がする。
………………………………………………………………………………………
足音が近づいてくる。何だろう、叫び声が………、
「URYYYYEEEEEEE―――――――――」
とても発音できないような叫び声をあげながら、ハルヒが俺をたたき起こした。
飛び起きた、俺。目の前には、ハルヒ。ここは、図書館。
「いてぇ………」
マジで痛い。殴られたであろう頭とか、周囲の視線とか、いろいろ、………いろいろ。
「な、何よ、キョン。………泣くほど痛かったの?」
???
「………あんた、泣いてるわよ」
おや、本当だ。流涙小僧となっている俺、………何でだ?
「あたしが知るわけ無いでしょう。………それより、どういう事か、説明してくれるんでしょうねぇ?」
おお、これはハルヒ山噴火10秒前、といったところだな。………って、やべぇじゃねえか!!!
やっと頭が目覚めた俺、そしてその瞬間から始まる命のやり取り、ここは本当に現代日本か?
とりあえず何かを言わないといけない。このままだと確実に何らかの理不尽な被害が出る、主に俺の財布とか、俺の預金通帳とか、俺の命とかに、って全部俺にかよ!
「あーとだな、ハルヒさん。一体何を怒っているのでしょう?」
寝ぼけた頭じゃろくな事思いつかんなあ。自ら火口にダイブする俺である。
「What time is it?」
何故か英語で言われたりする、マジで噴火な5秒前。今の時間は………午後4時過ぎか、そういえば昼過ぎには定期連絡を入れる約束だったな。着信は………、ないな。という事は、連絡が来ないからってわざわざ戻ってきたのか、こいつは? 電話ぐらいかけろよ。
とりあえず原因は分かった。ならば後は対策を練るのみである。………よし、とりあえず、褒めてみよう。
「ハルヒ、お前、発音良いな」
顔を真っ赤にして黙り込み、うつむくハルヒ。お、成功か!
………あれ? なんか、震えだしたぞ。
「うがーーーーー!!!!!!!」
噴火しましたとさ。………グッバイマイライフ、フォーエバー。
俺の必死な土下座プラス交渉のおかげで、何とかハルヒの機嫌もなおった。変わりに某大学の創始者が何名か行方不明になる事になったが………、泣いてなんかないやい。
とりあえず図書館から自主退場する事にする。自業自得とはいえ、周りの視線がさっきから集中砲火なんだ、何故か俺だけに。
読んでいた本を取りに、座っていた机に戻る。俺が座っていた席の隣で、
―――長門有希が安らかな顔で熟睡していた。
何故か凄く泣きそうになった。本来なら長門があんな騒ぎの間眠り続けているなんて、三年寝太郎もびっくりな異常事態なんだろうが、俺はこいつの寝顔を見て安心している。何でだろうね?
眠ったままの長門を背負って図書館を出る。雪はまだ、降り続いていた。
「有希、調子悪いの?」
先に外に出ていたハルヒが、俺が背負っている長門を見ながら尋ねてくる。
「そうらしいな。昨日あんまり寝てないんじゃないか」
適当に答える。まあ、そんな事はあるわけがないし、多分図書館で俺が眠っている間に何かがあったんだろう。聞きたくはあるが、お姫様を起こしてまで聞く事じゃあないね。
「………」
ハルヒが俯きながら、何かを言ったような気がする。
「ハルヒ、何か言ったか?」
「何でもないわよ、ドンタコス!」
「誰だよ、ドンタコスって!」
………いや、悪口である事は伝わってくるんだが。
「で、あんた、これからどうすんの?」
ハルヒが俺にそう尋ねてきた。
「そうだな………」
俺の首に回された長門の手が、俺の服をギュッと掴んできた。
「………とりあえず長門を家まで送ってくるよ」
「そっか」
そう言ってうかべた笑顔は、何だろう………、こいつにしては珍しく優しいもので………、
「お前、どうして俺達が図書館にいるって分かったんだ?」
断じて照れくさくて話題を変えたわけではないぞ、信じろ。
「古泉くんに聞いたのよ。………あ!」
………待て。『あ!』って何だ、『あ!』って!
「いや、その、ね。古泉くん、お腹壊してたみたいだったから、縛り上げてトイレにいけないようにしてから優しく質問したのよ」
『優しい』の意味を広辞苑で調べて来い。ついでに『拷問』という言葉もな。
「それでね、図書館って聞き出して、急いで飛び出してきちゃったもんだから、縄をほどくの忘れちゃった」
………うわー、満面の笑顔ですよ、この人。
「てへっ!」
………古泉のご冥福をお祈りする事にした。
電話で確認したところ、ギリギリのところで知り合いに助けられて事無きを得たらしい。ハルヒが古泉にわりと本気で謝っていた。ついでに今まで俺にやってきた数々の行いも謝罪して欲しかったな、………一生かけても終わらないだろうが。
明日の朝一の電車で朝比奈さん達の所に行くというハルヒと別れ、長門のマンションについた頃には、もうすっかり日が沈んでいた。
布団を敷き、その上に長門を寝かせて、毛布をかけてやる。どうやらいつかの雪山のように、情報統合思念体との接続が切れているらしく、長門はまだ本調子ではない。そのため風呂にはいる時以外は、全部俺がついていてやらないといけなかった。
俺はもうマラソンを完走した直後のランナーのようにへとへとである。………、いや、風呂は無理だって、マジでもう走れません。アイムノットチキン、オーケー。
「意気地なし」
全力で聞こえなかった事にした。と、いうか、お前もしかして動こうと思えば普通に動けるんじゃあないか?
「無理」
………そっか。
「そう」
多分、これは長門なりの我侭なんだろう。少しだけ申し訳なさそうにしているその頭を撫でる。
そんなに自分を悪く思うなよ。人という字はお互いに支えあっているって言うだろ。まあ、長い方が明らかに楽をしているという考え方もあるらしいが、なら今回は俺が短い方になるとするよ。
長くなったり短くなったり、支えたり支えられたり、そうやって何とか崩れずにやっていくのが人なのさ。その考えでいくと、俺はお前に物凄く支えられてきたんだぞ、たまには支えないと崩れちまうだろ、俺が。だから、お前の我侭ならいつだって聞くさ。
「………おふろ」
………今度、な。
「…………やく………そく……」
長門の何処か嬉しそうな声を聞きながら、俺もまた夢の世界へ旅立っていった。
雪は深々と降り積もり、あたりの音を消している。
二人の鼓動だけがこの世界に響いている、そんな感じがした。
次の日、長門を心配して早朝にやってきたハルヒに見つかり、俺が永眠させられそうになったのは、また別の話だ。
以上です。
空気さん「キョンくんはドンカンさんですねー」
では、また。
いいなぁこういう雰囲気大好きだ!
だが……欲を言えば……な、長門のお風呂とHシーンを読みたかったぜ!
次作では是非チャレンジしてくれー!!
古泉がこういう扱いを受けているのを見ると、
他のキャラの時より辛くなるのは俺だけか…
GJ!と言おうと思ってたが
>>829のレスをみてやめた
>>831 ノ
だが、あまりにも蔓延してるのでもうどうしようもないかな、と思う…
475kB 次スレの季節〜
空気さんよりは……出番があるだけマシかと、いやそうとも言い切れないか。
じゃあ自分で書くか…と思い立ち、3レス分投下。
人肌によって暖められた教室は休み時間を迎え、授業中の静寂は破られた。
授業終了を告げるチャイムが鳴り、教師に礼をし終えた途端、
机の中から分厚い本を取り出し席に座って読んでいた長門有希は、
それを一行と読み進める事無く黒板の右隅に目をやった。
日直 長門 と日付の下に書かれているのを確認し、彼女は立ち上がった。
足音ひとつさせずに黒板の前に立ち、黒板消しを手に取る。
これは日直の仕事の一部だ。
黒板消しを滑らせ、黒板に書かれた白や赤の文字を拭き取る。
黒板は黒ではなく緑色の板、黒板消しは黒板そのものを消す物ではない。
青信号が緑色をしているのと同じ、と考えるとはなしに考え、
一通り消し終わった彼女は黒板を見上げ、
「……」
背丈の届かない部分に書かれた文字の処理について考えた。
情報操作によってこの黒板を初期状態に戻すのは容易いが、それを行うにはここには余りにも人が多い。
人知を超越した能力を使用せず、自然に上の部分に手を届かせるには、と考え、
椅子を取って来ようと彼女はUターンしようとした。
が、しかし、180度体の向きを変えるはずが、90度を少し過ぎた所で彼女の足は止まった。
古泉一樹が、先程彼女のクラスメイトが退室した際に、
開いたままにした扉の数歩前を歩いていた。
特にその視線に意味を持たせる事も無く、
彼女は黒板消しを持ったまま彼を瞳に映した。
この寒い時期に廊下からの冷気の侵入を許す希有なクラスの前を通り過ぎる際に彼は、
進行方向にやっていた目を教室の中に向けた。
自分をじっと見つめている彼女を発見した彼は一瞬、彼らしくない事にきょとんとし、
釣られて足は止まりそうになったが、すぐに何時もの笑顔を作り、足が動いた。
爪先を微かに傾けさせ、教室の扉へ向けて。
「こんにちは、長門さん」
彼女の前まで進み出て、彼はにこりと挨拶をした。
全く髪を揺らすことなく頷くのは彼女流の挨拶で、それを受けた彼も頷き返した。
彼は彼女と、彼女が手にしたままの黒板消しと、
休み時間が残り少なくなった今でもまだ残る黒板の上部の文字を交互に見、
また彼女に視線を戻した。
「よろしければ」
僕が消しますが――そう彼の言葉が続くものだと推測した彼女は、
差し出された彼の右手に、手に触れる部分を下にし、
彼の手が汚れない様に黒板消しを渡した。
彼は受け取ったそれで彼女が届かなかったステージで踊る文字を、
何の能力も道具も使わずに拭いてみせた。
全ての面から白や赤の文字を消し、彼は黒板消しを黒板にはめ込まれた溝に置き、
彼の作業を黙って見ていた彼女に向き直った。
「付いていますよ」
少量の声を上げて笑い、彼女の頭を撫でる様に払った。
付いている、とは消されたことで舞ったチョークの粉だった。
頭に感じた柔らかで暖かい手の平の持ち主を、彼女は瞬きひとつせずに見上げ、
「あなたも」
と呟くように言った。
「ええ、そうですね」
笑顔を崩さず彼は、今度は彼女の肩をはたき、
それが終わるとやっと自分の頭部やら肩やらを払った。
「それでは、また放課後」
そう言って教室を出て行った彼を、彼女は自分の視界から消えるまで見送ることも無く、
代わりに黒板を仰いだ。
古泉一樹は何らかの用件があって廊下を歩いていた。わたしはついで。
瞬き一回分黒板を見つめ、彼女は考える。
しかし、それはただ事実の確認であり、
その他の所謂感情と呼ばれるものとは無縁だった。
終わり。
ハルヒならキョンが、朝比奈さんなら鶴屋さんが手伝うだろうから、
そういった点では古泉は長門に限りお節介をすればいいな、と。
>>840 淡々とした描写がよかった。参考にします。
第三者視点で書こうと頑張ってるけど、下調べとか色々気力を消耗しちゃって難しいです。
キョン語り部分の筆が進んで挙げ句先に完成しちゃうし。
こういうの好き
キョンはハルヒを手伝わん気がする。
むしろ逆じゃないか?
ハルヒに対してキョンならば、逆に描写を少なくしてさりげなく助けると思うな。
朝比奈さんや長門を手伝うときは妙に言い訳のような語りが入る気がする。
あ、丁寧な三人称でした。見習いたいです。
容量が心配ですが、今から投入します。4、5レスの予定です。
846 :
三つの願い:2007/02/03(土) 11:45:39 ID:AP91MzNW
少女がランプを見つけたのは、学校の帰り道、夕暮れが街を赤く染めた頃の事だった。
少女は初め、無感動な瞳をして、路傍に転がる薄汚れたランプを眺めていた。
だが、やがて何かを心に決めたかのようにそれを拾い上げると、自宅に持ち帰ることにした。
誰もいない部屋の中、少女は拾ったランプの汚れを落とそうと、ハンドタオルで表面を磨き始めた。
汚れはあっけないほど簡単に落ちた。磨くたび、ランプは金色の輝きを取り戻していく。
少女は大切そうにランプを磨き続けた。一回、二回、三回――そして、その時――唐突に、ランプが澄んだ輝きを放ち始め、室内は、あっという間もなく眩い光に満たされた。
気が付くと、少女の目の前に見知らぬ男が浮かんでいた。
異国風の衣装に身を包んだ大柄な男性だった。
私はランプの精です。そう男は名乗った。次に少女にこう告げた。ランプから出してくれたお礼に、貴方の願いを三つだけ叶えてあげましょう。
少女は戸惑うような、逡巡するような表情を僅かに浮かべた。少女の想定には、このような事態は含まれていなかった。
まずは貴方のお名前をお教えください、お嬢さん。ランプの精は柔らかく笑った。
長門有希、と少女は答えた。
847 :
三つの願い:2007/02/03(土) 11:46:45 ID:AP91MzNW
*
もう三月になるっていうのに相変わらず太陽は超低空飛行を続けていて、吹きつける風は馬鹿みたいに冷たいままであり、珍しく早朝に目を覚ましたために比較的早い時刻に家を出た俺だというのに、
高校前の長い坂道をえっちらおっちら登坂している間に、早くも勉学に勤しむ気力を根こそぎ失くしてしまっている春先の肌寒い朝だった。
坂の上までロープウェイでも開通してくれないもんかね、などと都合の良い想像を巡らせてはみた物の、それで少しでも坂歩きが楽になるはずもなく、
こんなハードワーキングな高校を選択した過去の自分に対して胸中でこんこんと説教をかましてみたりなどしている俺なのだった。
全く、
「キョンくん、おはよう!」
「おわっ!」
などと、間の抜けた台詞を思わず漏らしてしまい、不意を疲れた俺は勢い良く振り返った。
「早いね。いつもこの時間に登校してるの?」
そこに居たのは長門だった。
長門が白皙の顔に晴れやかな笑顔を浮かべて挨拶してくれ、……ん? 長門?
「どうしたの? 私、顔に何かついてる?」
そう言って、長門はにっこりと笑って、
「キョンくん、何だか、すごくびっくりした顔してるよ」
え? あれ? 長門だよな。
俺は立ち尽くした。
長門がべらべらと喋くっていた。あの極端に無口だった宇宙人製のアンドロイドが。おかしいよな。またもや知らぬ間に、俺は訳の解らん事件に巻き込まれようとしているのか?
「違うよ」
長門は早春のそよ風のように、
「私、人間になったの。それが、一つ目の願い」
何だって?
「詳しい事は、秘密かな。それにしても、苦しいね、この坂道。ヒューマノイドインターフェイスだった時には、そんなの気付きもしなかったけど」
俺は事情がよく飲み込めないまま、息を切らしている長門と一緒に坂道を登っていった。
848 :
三つの願い:2007/02/03(土) 11:48:07 ID:AP91MzNW
*
「えっ!? ……嘘よね?」
ハルヒの驚いた顔面が鼻先にある。そりゃ、俺だって嘘だと思いたいさ。
「じゃあさ、有希が、突然べらべらと喋りだすようになって、あんたに本当にニコニコスマイルを投げかけてきたって、そう言うわけ?」
ああ、それも古泉ばりのな。
「信じらんない。冗談でないなら、キョン、あんた今日、熱でもあるんじゃないの?」
だったら俺の精神衛生面は非常に楽になるんだが、生憎、底抜けに健康驀進中だ。長門は今朝、確かに俺に、にこやかに話しかけて来やがったんだ。
しかも、ハルヒには内緒だが『人間になった』とかとも言っていたな。ありゃ何だ? 何やら大きな事件の前触れみたいな気がするぜ。
「とにかく放課後、文芸部の部室で確かめてみろ。SOS団の活動にぴったりだろ? 突如、急変した少女。まさしく不思議現象到来だ」
「何言ってるのよ。あたしはもうSOS団の人間じゃないわよ」
はい?
「この前、辞めるって言ったじゃないの。古泉君もみくるちゃんも辞めちゃって、部員は有希とキョンだけになっちゃったんじゃない」
昨日、お前も他の奴らも皆、揃って部室にいただろうが。
ハルヒはしげしげと俺の顔を眺めて、
「キョン。本当に頭、大丈夫なの? あたし、部室にはここ一ヶ月くらい足を踏み入れていないわよ? ずっと前に、SOS団を辞めるって宣言したんじゃないの」
ハルヒの顔に冗談の色が無い事を確かめ、俺は目の前が真っ白になっていくのを感じた。
849 :
三つの願い:2007/02/03(土) 11:49:32 ID:AP91MzNW
*
放課後、部室の扉を開くと、そいつは既にいた。自称人間の、元宇宙人作成のヒューマノイドインターフェイス、長門有希。
長門は俺に気が付くと読書していた面を上げて、穏やかな日差しのように、
「あ、来たね。キョンくん」
――違う。こんなのは長門じゃない。少なくとも、俺の知っている長門有希では……。
「長門。何かおかしな事が起こり始めている。お前が人間化したっていうのもそうだが、ハルヒや古泉や朝比奈さん、あの三人が、ずっと以前にSOS団を辞めちまったって言い張るんだ。
どれだけ問いただしても駄目だった。皆、昨日までこの部室にいたのによ。お前が激変したんだって言っても、ほとんど興味を示そうとしねえ。なあ、これは何だ? もしかして、お前の内部に、またバグでも発生したのか?」
長門は少し戸惑う素振りを見せてから、
「ううん。違うの。SOS団が、私とキョンくん二人だけの団に変わっただけ」
ふわりと笑い、
「それが、二つ目の願い」
また願いか。そいつは一体何なんだ。だが、俺は今と似たような状況には既に一度遭遇しているぜ。いつまでも狼狽し続けている訳にはいかない。
ひょっとすると、この前みたいに制限時間が設定されている可能性だってあるからな。
俺は壁際に備え付けられている本棚の前に立つと、分厚い本を手に取り、パラパラとページを捲った。前の事件の時に、危機から抜け出すためのヒントが記載されている栞が挟まっていたハードカバーである。
しかし、そこから出てきたのは、何の変哲もない普通の栞だった。
「くそっ」
思わず呟くと、
「ヒントはないの」
背中越しに長門の声。振り返ると、長門は相変わらず屈託のない微笑みを浮かべながら、
「エラーでも、敵からの攻撃でもない。私は人間になったの」
信じられん。
「それでもなったの。証拠は出せないけど」
説明してくれ。
「うまく言えないかもしれない。情報の伝達に、齟齬が生じるかも……、それでも良い?」
「ああ」
850 :
三つの願い:2007/02/03(土) 11:50:41 ID:AP91MzNW
長門は俺に説明を始めた。道端で拾ったランプの事。ランプの精の事。三つの願い事。そして……。
「つまり――」
全部聞き終わった後、俺は言った。
「願いは、後一つだけ、残されているって訳か」
「うん」
長門は俯いた。ひどく人間じみた表情をして。
何の事はない。長門は前回と同じように、再び俺に選ばせようとしているのだ。
最後の願いだけを残し、今まで叶った願いをリセットできる余地を残して置いて、人間になった自分を俺に見せ、俺がどちらを選ぶかを訊こうとした。
俺は正直、迷う。
だって長門は真剣に人間になりたがってるじゃないか。そして今、その願いが叶おうとしている。他でもない長門自身がそう選択したんだ。
しかしならば何故、その最後の選択権を残しておいて、俺の前にチラつかせたりする? 最後の願いを使い、俺もハルヒ達と同じように自由に操れば良かったじゃないか。なのに、どうしてこんな事をする?
俺は長門を見る。
長門は真っすぐな瞳で俺を見つめていた。
「長門。お前の本当の望みは何なんだ? 今までのお前じゃ駄目なのか? 俺にも解るように説明してくれないか?」
「私は――」
不意に、長門の黒髪が揺れ、白い手が俺の首の後ろに回された。長門の唇が、俺の唇におずおずと重ねられ、離れた。
長門は俺から距離を取ると、顔を赤らめ照れるようにして、
「こういう事。私はキョンくんが……」
俺は激しく動揺し――普通するよな? 頬を染めている人間化した元アンドロイドの方を呆然と見つめた。
ええと、つまりだ。要するに長門は俺の事が……いや、まさか。そんな馬鹿な事がある訳が……。
「キョンくんが好き」
言いやがった。
「キョンくんは、私の事、嫌い?」
ええとですね。そういう訳じゃないんですよ。
どこがどう間違ったとしても、俺がまさか長門の事を嫌いになるはずがない。けどな長門、そうじゃないんだ。
俺はお前が人間になるのに反対な訳じゃない。もし人間になれるんだとしたら、その方が良いに決まってるさ。だけど、そういう事じゃないんだ。
「俺は、あるがままの長門有希が好きなんだよ。SOS団も。あの無口で、無表情な宇宙人製アンドロイド。あの長門有希が好きなんだ。解るか、長門? だから……」
長門は心なしか、傷付いたような感情を浮かべた顔をして、
「……解った」
力なく頷いた。
「三つ目の願いが、決まったね」
851 :
三つの願い:2007/02/03(土) 11:51:28 ID:AP91MzNW
*
そして今、明くる日の放課後、部室の前。
俺は扉の前に立ち、緊張した面持ちでノックを二回。
中からは、
「…………」
闇のような沈黙。
俺はドアノブに手をかけて、扉を開けて中に入っていく。
そうして、いつものようにそいつに挨拶をするんだ。
「よ。長門」
と。
長門はゆっくりと目だけを俺の方に向けて、
「……」
いつものように無言で、また読書に戻る。
俺は窓際に立って、外の景色を眺める。
「あー。良い天気だな、今日は。なあ、長門」
同意を求める。
長門は、
「そう」
平坦な声で、いつものように起伏のない声で、どうでも良さそうに返事をするんだ。
END
852 :
三つの願い:2007/02/03(土) 11:52:47 ID:AP91MzNW
終わりです。
エロが無い上に、ありがちかな、とも思うのですが。
失礼しました。
「ボクのこと、忘れてください」がないな。
>>829>>840>>852GJ!
>>824「………すみません、僕も無意識的に、………ふん………、
生徒会の一員とカウントされたようです。朝から胃腸の調子が、………もっ………、
最悪でして。申し訳ありませんが今回の、………ふう………、
幽霊屋敷探索は長門さんとお二人で行っていただけませんか?」
繋げて「ふんもっふぅ」て…ワロタwwww
>>840ハルヒを3人称で書くとは…お疲れ。
なんてことのない日常SS好きです。
>>852最後の願いを残すってのがミソだな。長門らしい。
アニメでハイテンション長門が見たくなった。
>>853 「約束っさね、キョンくんっ!」
「……わたしは観察する者だから」
「キョンくん、わたしの事まだ覚えていますか?」
「絶対に許さないわ! 覚悟しなさい、キョン!」
「起きないから奇跡と言うのですよ」
待てハルヒ。悪い事は言わん、最後の配役だけは考え直せ。
>>852 短くまとまってていいなー。
最後せつなす。
857 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 14:00:10 ID:7E2Vv90l
最近このスレ活気づいてるな
くだらない雑談で無駄に加速するのは活気づくとは言わん。
もう490KBだしいいじゃん
>>857 「なんだ稜央か。留守番電話かと思ったよ」
お前らはどうして突っ込ませよう突っ込ませようとするんだ。
稜央でも陵央でもなく、凌央だ。
とりあえず次スレ立ててくる
めがっさ頑張るにょろ
次スレ乙
>>852 こういうしんみりとしたSS書けるのは羨ましい。
さて、いい加減俺も続きを書くか……またギャグ方向だけどw
ギャグ最高。原作書式でやるギャグ好き。
「なあ。お前が今まで俺に伝えてくれた事は全部本当の事なのか?」
「情報の真偽というものは、受け取る人の立場によって変わる。
私がこれまでに伝えた情報があなたにとって、
本当かどうか、信じるかどうかはあなた次第。」
そうか。ならお前の言う事を俺は信じる事にするよ。
なんでかって?そんな歯が浮きそうなセリフとてもじゃないけど
俺には言えないね。そういうのは古泉の担当、って俺の唇に触れてんのは何だろうね…
ってオイ!長門何でキスしてんだ?!
なんて考えてる内に俺は修羅場に突入した。
バタンッ!
「キョン!ミーティン…
空気が凍ったね。
とりあえず俺は目を閉じて思ったね。
やれやれ。
>>871 キョン、・・・え〜と、その、なんだ・・・・・・ガンバレ
あぁ、何か書いてるのエロ分岐させたほうがいい気がしてきた。
でもエロ書いたことない。
>>801 、--‐冖'⌒ ̄ ̄`ー-、
/⌒` 三ミヽー-ヘ,_
__,{ ;;,, ミミ i ´Z,
ゝ ''〃//,,, ,,..`ミミ、_ノリ}j; f彡 なに
>>801?
_) 〃///, ,;彡'rffッ、ィ彡'ノ从iノ彡
>';;,, ノ丿川j !川|; :.`7ラ公 '>了 キョンが長門に頼りっぱなしのへたれになってしまう?
_く彡川f゙ノ'ノノ ノ_ノノノイシノ| }.: '〈八ミ、、;.)
ヽ.:.:.:.:.:.;=、彡/‐-ニ''_ー<、{_,ノ -一ヾ`~;.;.;)
>>801 く .:.:.:.:.:!ハ.Yイ ぇ'无テ,`ヽ}}}ィt于 `|ィ"~
):.:.:.:.:|.Y }: :! `二´/' ; |丶ニ ノノ 設定を遵守する限り、それはどうしようもないことだよ
) :.: ト、リ: :!ヾ:、 丶 ; | ゙ イ:}
{ .:.: l {: : } ` ,.__(__,} /ノ 逆に考えるんだ
ヽ ! `'゙! ,.,,.`三'゙、,_ /´
,/´{ ミ l /゙,:-…-〜、 ) | 「長門を無力化してしまえば頼れないさ」と
,r{ \ ミ \ `' '≡≡' " ノ
__ノ ヽ \ ヽ\ 彡 ,イ_ 考えるんだ
\ \ ヽ 丶. ノ!|ヽ`ヽ、
\ \ヽ `¨¨¨¨´/ |l ト、 `'ー-、__
\ `'ー-、 // /:.:.} `'ー、_
`、\ /⌒ヽ /!:.:.|
`、 \ /ヽLf___ハ/ {
′ / ! ヽ
あれよね……
とりあえず、埋めてみる?
じゃあ没った原稿から埋めネタでも(>管理人さんへ、収録はけっこうです)
「ハルヒ。今日はいいが、次からは準備できるようにしておけよ」
……自分で濡らせるようにしておけ、ということか。
──それは、今後のあんた次第ね。
フフッ、フハッ。これはいい。今のは私らしい。これだ、これが私らしさだ。
可笑しい。フフッ。笑いが込み上げてくる。
せっかくの笑いなので、豚語に変換してキョンに聞かせてあげることにする。
「ブッ、ブーブーッ、ブウーッ」
笑いながら涙が出てきた。
「ひぐっ、ぐっ、ううぅぅ、うぇぇぇ」
嗚咽もぶり返してきた。
キョンが腰を振り出した。私の腰を両手でがっしりと固定して打ちつけている。
この体勢でこの動き。私の身体は私の穴を固定するための台座というところか。
「ぐううっ、ブーッ、ぅううぇぇ、ブウウッうぅぅぅぅぅ」
今度は私の尻を振り回し始めた。逆にキョンは動かない。
私の尻をグラインドさせ、左右に振る。感触を楽しんでいるらしい。
いつかwebで見た円柱状のアダルトグッズ。あれもきっとこういう感覚で楽しむものなのだろう。
「ううっブウッ、うぐっ、ぅぅぅぅ」
キョンが動きを止めた。終わったらしい。予告もなく。
尻を蹴飛ばされた。部室内に倒れ込む。
キョンは私を物のように扱うと楽しいらしい。さっきから笑いっぱなしだ。
無理な姿勢を続けたせいか背すじと腹筋が痙攣する。
内部が痛い。痛覚以外の感覚が麻痺して、中にまだ何か挿入されているように感じる。
キョンが倒れた私に伸しかかってきた。まだ、するつもりなのだろうか。
───本当に、キョンよね? 胃にズンと重たい衝撃がくる。
顔だけで振り向いて確認する。よかった、キョンだ。笑っている。
「ふうー、ふー」
キョンの重みで胸を圧迫されている。かなり息苦しい。
でもキョンとこうしているとお腹の痛みが和らぐような気がする。
なのにキョンは、キョンには私の安らぎなんて関係なかった、思わせぶりにニッと大きく笑い顔を作り──
そして、真顔になった。
無表情ではない。でもこれまでに無い表情だ。どうして。
部室に入る前、行為を始める前に、キョンは嫌な顔をしないと私に約束した。
───私は騙されたんだろうか。
致命的な予感に襲われる。他の男たちがここへ乱入してくる場面。
そいつらも、私を物のように扱い笑い声をあげるのだろうか。
自分の想像に脳天を一撃された。頭がグルグルする。
真剣な表情のまま、キョンが口を開いた。
「いない、いない───」
キョンは両手の甲を私に向け、私の顔が引き攣る、その手を揃えて自分の顔を隠した。
それを見た私は、発声に備え、引き攣った顔を、さらに緊張させる。
「まってっ」
息を吸い込む。
「ダメッ」
そうだ、私は豚だった。
「ブヒブヒ」
キョンの顔が見えない。喉を反らし叫ぶ。
置いていかれる。キョンがいなくなる。
「ブヒイッ、ブッブ、ブイイッィィィイイイイッッ」
揃えられた両手がゆっくりと開き出した。
「───ばあ」
ぶ……ぶう? キョンが、出てきた。
キョンがいる。キョンの、手と手の間に、いる。
……何が起きたのかよくわからない。
でも、もういい。わからなくていい。
伝えよう、キョンに。とにかく。今の気持ちを、はやく。
「ウウー! ブー、ブーッ! ブウーッ──
───ガチャッ、……もしもひ、こんにゃ時間にんの用だゃ……こんやろー。
「お休みのところ申し訳ありません。緊急事態が発生しています。かなりのものです。
些細なことでも結構です。何か心あたりはありませんか」
うー? おれは、にゃにも、してないじょ?
───フゴッ、ウウ、ウーン、ウー
ふがっ、むにゃむにゃ、………、なによこれっ!───まさか……、おねしょ?
うぐっ。500kBに届かなかった予感。
梅
もう50行分、上から投下すればよかったorz
埋めてみるね。
埋め荒らしは不要だ
アッー!
そう。
500kB!
これで終わりだっ!!