3
抱き締めたい衝動に駆られる。今、目の前にいる女を。
こんなことをしてはいけないと分かっている。
だけど。だけれども。
彼女を前にして、理性はあっという間に壊されていく。
腕の中に閉じ込めると、春子は甘えるように体をすり寄せた。
それだけで胸がいっぱいになり、呼吸困難に陥りかける。
そして彼女から細くて白い腕が伸びてきて、俺の頬を両手で挟んだ。
目は発熱したときのようにとろんとしていて、
でも、こちらを真っ直ぐに見つめている。
赤く染まった顔が近づくと薄いアルコールの香りがした。
目を閉じると熟れた果実みたいな潤った唇が自分の唇に優しく触れる。
そしてお互いを求める様にどんどん深くなっていく。
彼女の舌が熱くなっていき、時々息と混じった小さな声を耳に届かせる。
苦しくなって口を離すと、涙で潤んだ春子の目が少し微笑んだ様に見えた。
止まらなくなって、彼女の首筋を唇でなぞると、小さな体が少し震えた。
服に手を掛けるとその手を制止するように彼女の手が置かれる。
4
「仕事、まだ終わってないから…」
「…いいよ、そんなの…」
「駄目。」
何もかも見透かされてしまいそうな瞳に射抜かれて心臓が高鳴る。
無理矢理にでも押し倒すことが可能な距離で、
犬が「待て」と言われている時の気持ちが、
本気で理解できそうになる。
「分かったよ…。」
名残惜しそうに離れると、
彼女は何事も無かったかのように椅子に座り直し、
忙しそうにキーボードを打ち始めた。
「…何か手伝うことないか?」
「結構です。早く寝てください。」
冷たい言動の裏に優しさがあった。
「とっくり…」
「…何ですか」
「仕事が終わるまで我慢するから。」
キスも、お前のコトも。全部我慢するから。
「側にいて良いか?」
聞いてから少し沈黙があって、彼女の方を見ると、
顔が赤くなっていくのが見えた。
それがアルコールの所為だけではないと理解して、俺は小さく微笑む。
彼女は赤くなった顔を隠すために俯きながら、
「好きにすれば」と呟いた。
END
以上です。
例のごとく甘いですが…
自分もpart2が素直に嬉しいです。
2でも職人さん達の素敵な小説を楽しみにしています。
読んでくれた方、本当にありがとうございました。
うーんGJ!
ツンデレ春子最高w
>>939 うわー、とっても素敵な作品GJです!
犬な感じの東海林さん萌えすw
また是非続きも書いて欲しい><
こんばんは、894です。
941さんのレスに触発されて、初挑戦ですが;、
ラフなプライベート一ツ木さん×森ちゃんを書いてみたいと思います…!
漆黒の闇に包まれた静寂な部屋の中で、ベランダのカーテンの隙間から、ビカビカと短い光が差し込んでくる。
ふと目を覚ました瞬間、目の前に彼の無防備な寝顔があって、ちょっとビックリしてしまった。
「………―――あ、そっか………」
窓の隙間から差し込むのは雷が落ちている光らしく、何度も一瞬だけ部屋の中が明るくなる。
よく見回してみれば、そこは住み慣れた自分のアパートの部屋ではなくて。
昨日、はじめて訪れた、恋人の部屋。
どくん、と静かに心臓が跳ねた音がした。
「……かみなり……?」
そうだ、確か今日の天気予報は大雨だった。
もうすぐ春がやってくるというのに、まるで最後の降り収めみたいだと、テレビの中のアナウンサーが言っていた。
枕元に置いたままの彼の携帯で現在の時刻をチェックすると、「AM/3:40」とある。
……ヘンな時間に目覚めちゃったな……。
寝返りを打って、再び彼の整った顔が視界に入る。
いつもは八の字眉だけど、やっぱり寝てる時は違うんだなーとか、
閉じられた両瞼から伸びているのは、普段は気付かない、驚くほど長い睫毛とか、
スーっと真っ直ぐ伸びた鼻筋と、整った唇は異様に色っぽさが感じられる。
―――わ、なんかドキドキしてきた…。
そして、はたと、今の自分の格好を思い出す。
も、もしかして………
裸―――!?
途端に、顔面にかぁーっと血が集まるのを感じて、たまらなくて毛布を引っ張って顔を隠す。
やだ、どうしようどうしよう…!
ととととととりあえず……、
シャワー、入りたい…!
床に落ちている自分のカットソーを素早く引っ掴んで、胸元を隠してベットから出た。
すると、ベットの中ではまったく感じなかった肌寒さを感じて、軽く身震いしながら風呂場を目指す。
暗闇の中で、少々不安になりつつも、やっと洗面所の灯りのスイッチを見つけた。
あまり音を立てないように、そっと押して中に入り、引き戸を閉める。
必然的に視界に入ってきた洗面台の大きな鏡に、自分の身体が映っているのに気付き、たまらず浴室に駆け込んだ。
「は、恥ずかしい……」
暖かいシャワーの湯を浴びながら、まだ治まらない顔の赤らみが気になる。
とりあえず、身体を暖めるだけにして、さっさとベットに戻ることにした。開き直り、である。
……―――もう、どーにでもなれッ!
洗面台の横の背の高い棚の中から、淡い色のバスタオルを取り出して身体を拭くと、そのままグルグルとまとった。
そして、たったいま、引き戸を開けようと―――。
ガラッ、と大きな音を立てて、目の前の引き戸が開いた。
驚いて顔を上げると、ジーパンを穿いただけの姿で、なにやら不安そうな顔をした彼が、そこに居る。
声を掛ける間も無く、片腕を勢い良く引っ張られ、気付けば彼の腕の中にいた。
………―――なく、…ったかと、…おもった……っ
震えた小さな声が、耳の中で響いた。
「……いなくなった、かと、おもった………」
今度は、ハッキリ聞こえた。
思わず、彼の背中に両腕をまわして、ぎゅっと抱きしめる。
―――彼のことが、ひどく、愛しく感じた。
「……びっくり、した……」
ベッドの中で、はぁ、と大きなため息を吐いて、彼は私の髪を優しく撫でてくれる。
ふわふわとした柔らかなまどろみの中で、私達は二度寝体制に入る。
「―――ごめんね、」
………わたしは、どこにもいかないよ。
聞こえたかどうかは、わからない。
心の底から安心したように、彼は再びゆっくり目を閉じた。
もう二度と離さない、と言っているみたいに、私をしっかり抱きしめながら。
END
…………orz
ももも申し訳ない…!
いざ書いてみたら一ツ木さんラフでもなんでもないYO…!!
実はかなりな寂しがりや、という若干プライベート風味な感じは出てるかも…しれませんが;
うぅ、941サマ、すいませんでした…っっ!!;;
>>950 な、なんて初々しい森ちゃんっ…!
GJです!
>>950 もももももも萌えたッ!!!!!!
GJ!
おわッ…ありがとうございます!
不安になりつつも書いてよかったです…;
>>939 犬っぽい東海林が可愛い。
ちょっとモジモジした東海林の表情が想像できるw
>>950 このペアいい感じだよね。
森ちゃんは可愛い、一ツ木さんは優しいって感じで。
不安そうな顔の一ツ木さん、かなり萌えました。
「ジーパンを穿いただけの姿で」
に「おかわりもう一杯!」って感じですw
十分ラフなプライベート姿を妄想できました
GJです!
2に人が行って
こっちが過疎ってきたなww
957 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/21(水) 13:43:54 ID:MA+Ug7a1
ほんとだ過疎ってる…w
なのでage
東海林×春子萌えだが
ここみて、一ツ木さん×美雪も萌えてきたぜ
>>950 GJ!昼間に鼻血でそうになるくらい
萌え氏ぬかとw
958 :
嫉妬深い蜂:2007/03/21(水) 20:09:20 ID:yB+qzGzv
素敵な一ツ木×森に触発されて書いてしまいました。
エロなしで、中途半端な内容ですが、よかったら読んでください。
959 :
嫉妬深い蜂:2007/03/21(水) 20:09:51 ID:yB+qzGzv
「勇気」
1
ん?・・・なんかあの後姿見覚えがある。
んんっ・・・誰だっけ?
喉の奥まで出掛かってはいるんだけど・・・思い出せない。
その時、びゅおっと突風が吹いて、ふいにその人が振り返った。
そして眼と眼とが合った。
「「・・・あっ!」」
同時にお互いを指で刺し、素っ頓狂な声をあげた。
「あ〜っ一ツ木さんだったんですか」
「森さんじゃないですか〜」
懐かし・・・くはないか、一ヶ月ぶりの一ツ木さんとの再会。
なぜか胸の奥が熱くなって嬉しくって堪らずに彼のほうに駆け寄っていった。
このとき、私には胸の熱さの理由は分からなかった。
960 :
嫉妬深い蜂:2007/03/21(水) 20:11:00 ID:yB+qzGzv
2
「お久しぶりですね、会社の事では随分お世話になってしまって・・・」
一ツ木さんの前に立ち、まじまじと彼を見つめてしまった。
「・・・僕の顔になにかついてますか」
見つめられるのを不思議に思った一ツ木さんが問いかけてきた。
―――あっいけない・・・つい見入っちゃった。
私はちょっと反省して、でも改めて一ツ木さんを見てしまった。
いつもと違う・・・、スーツ姿ではない、私服の一ツ木さんだ。
ジーンズにグレーのカジュアルなジャケット姿
それが良く似合っててドキドキしてしまう。
「いえ・・・、すみません、一ツ木さん私服だったんで、つい・・・」
私は正直に話して、一ツ木さんに笑いかけた。
その瞬間、一ツ木さんの顔がカっと赤面した。
「もももも森さん、かっからかわないでくださいよ」
テンパってどもっちゃうのも変わらないな・・・と心が温かくなった。
「これからデートですか?」
正社員になりたいと言って、ハケン会社とは関係なくなった私を最後まで
お世話してくれた人・・・、優しいまなざしは今、誰に向けられているのかな。
なぜかチクリと痛む心を無視して聞いてしまった。
「デデデートだなんてっ!!今彼女いませんから」
その一ツ木さんの言葉になぜか安堵した。
「・・そうなんですか、ハケンの私にすらこんなに親身で優しいのに」
「はい〜っ、残念ながらいないんですよ・・・、これが」
恥ずかしそうに頭を掻く姿が、なぜかたまらなく可愛く感じてしまった。
961 :
嫉妬深い蜂:2007/03/21(水) 20:11:40 ID:yB+qzGzv
3
―――あっ・・・、私・・・一ツ木さんが好きなんだ。
分かってしまった。
なぜ胸が熱くなったのか
なぜドキドキしたのか
・・・なぜ・・・胸が痛かったのか
自覚した途端、ふらっと足のバランス崩してその場にへたり込んでしまった。
「森さんっ!!大丈夫ですか」
一ツ木さんが慌てて私を抱えて立たせてくれた。
触れられたところが熱い、全身、心臓になってしまったみたい・・・・・・。
いてもたってもいられなくて私はペコリとお辞儀して帰ろうとした。
だけど、支えられたままの腕が強く握られた。
「・・・一ツ木さん?」
動揺を隠して彼の顔を見つめた。
その彼の顔は今まで、見たこともないくらい真剣で私を見ている。
「・・・僕が本当の意味で優しくするのは、森さん・・・あなただけです」
「え・・・今なんて?」
それは・・・どういう意味?
私はあなたの特別なの?
962 :
嫉妬深い蜂:2007/03/21(水) 20:12:41 ID:yB+qzGzv
4
「・・・泣かないでください、迷惑でしたね・・・忘れてください」
―――泣いてる・・・?
頬に手をやると濡れた感触。
一ツ木さんの言葉で自分が泣いていることに気がついた。
「迷惑なんか・・・じゃありません」
きゅっと一ツ木さんの袖の端をつかんだ。
このまま誤解されて、会えなくなるなんて私には耐えられない。
勇気を出さなければ・・・先へは進めない。
それは大前さんに教わった夢を現実に変える力
「私もあなたが好きです・・・」
終わり
963 :
嫉妬深い蜂:2007/03/21(水) 20:14:02 ID:yB+qzGzv
以上です。失礼いたしました。
きんもー
投下するときはsageたほうがいいよ
>>963 嫉妬深い蜂さんGJです!
蜂さんの一ツ木×森読んでみたかったんだー嬉しい!!
まさかこっちに一ツ木×森が2つも投下されてるとは…。
2つ一気に読んじゃって萌え死ぬかと思った。
職人さん本当にGJです!
GJです!!
眼があってあーってなってる二人が可愛いw
>>964 いや、俺も一ツ木さんには萌えないと思うけど…
キモいなら読むなよww
マルチさんだから、レスすることないのに
蜂様こちらにも!!
グッジョブっす!
蜂様のこのペア新鮮ですね!
GJ!!!
最近自分の中で一ツ木さんブームです
ハケンの営業だから女の子の扱いには慣れてそうな感じ。
973 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 01:39:46 ID:zLg06IZt
nacksマンセー
許せんスペルミス
正:N(orth)A(ctors)C(lub)S(pecial)
マジレスしちったw
うめ
こっちもまだ残ってたんだね
ではこちらでも次スレでもいいので
誰か「森ちゃん×一ツ木さん」ネタを…!!!
まだ残ってる
うめ
まだ一個くらいはネタできそうだけど・・
おひさしぶりです〜。
2でたくさんの方々が投下してくれるように、
こちらをウメ投下。
東海林×春子(短くてエロなし)で最終回後です。
ご了承ください。
・・・その前に登場編どうぞ〜↓
981 :
登場編:2007/04/05(木) 23:25:49 ID:Dof49lFY
東「お〜!ひさしぶりだな、とっくり!!」
春「おひさしぶりです。スーパーハケンの大前春子です。」
東「・・・知ってるって。つーか何でお前だけ自己紹介風なの?」
春「いえ、なんとなく。みんな忘れてるかなーと思って」
東「おまえは俺じゃなく誰に話しかけてるんだっ!!」
春「くるくるパーマの中にこっそり紛れ込んでるであろう虫たちに」
東「いないからっ!!ウェービィな中にいないから!虫は!!」
春「あ、虫はアナタでしたね、くるくるパーマ主任」
東「所長だっ!!それに俺には東海林武っていう立派な名前があるっ!」
春「あ〜、そうでしたっけ?」
東「とぼけてるけどあきらかに知ってる顔だろ」
春「あ〜、そうだった、そうだった」
東「むかつくな〜その言い方…っていうかお前俺を追っかけて名古屋きたんだろ?」
春「は?誰が?誰を?」
東「とっくりが!オ・レ・サ・マを!!」
春「・・・ばっかじゃないの?」
東「ぇぇ・・・ちがうの〜〜??・・・」
春「さ、仕事の時間です!私はさっさと事務終わらせて午後は運転なんですっ!!」
東「・・・よろしくお願いします」
あの「大前春子」がいる。
不思議な事に俺のトナリの席でカタカタと
パソコンのキーボードを叩いている。
本社ではマーケティング課が別の部屋で、
俺が偶然?通りがかってケンカをふっかけない限りは
全くと言っていいほど存在が近くに感じられなかったのに。
たしか1年前位にS&F本社の契約更新を
蹴ったって聞いたんだけどまた戻ってきたのって
やっぱり、俺・・・のため・・・?
「所長」
あ、だめだ。
そう思って前にこいつに失敗したんだった。
好きだったけど男はあきらめが肝心だし、
ニ回も振られたんだし期待はしないぞ。
絶対に!しないぞっ!!
「東海林、所長」
名古屋ではオンナッケないからってこっぴどく振られた女に
すこぉ〜し未練があるってバレたら馬鹿にされるからな。
大体こいつは誰かに依頼されてココに来たに違いない。
コイツが仕事以外の理由で動くはずが無いからなっ!
あ、それかやっぱり眉毛のことが気になって夜眠れなくて
直接調べに来たとかっ!そうに違いない。
「ストレートパーマを一度失敗したくるくるパーマの東海林所長っ!」
「ストレートパーマの事は言うんじゃねぇっ!!・・・ってあれ?」
「何か深〜く物事を考えてる所悪いんですけどココ、
計算間違ってるので直してもいいでしょうか?」
「・・・よろしく」
うあぁ〜〜〜だめだ。
今はついついストパーの言葉で反応してしまったけど
とっくりに対して本社にいた時と同じような態度が
全くとれてないような気がする・・・普通にしろっ!オレ!!
振られたけど仕事上の関係は変わってないし、
ハケンの大前春子だしコイツも俺も全く変わってない。
単なる同僚、同僚、同僚・・・。
「所長!」
「ん?」
「12時なのでお昼ごはん行ってきます!」
「お、おぉ〜行ってきて!!」
相変わらず時間には正確な春子。
事務所中に通るイイ声を発してしまった東海林だが、
ドアに向かう足をピタリと止めた春子を不審に思い
女の背中に声をまた発する。
「どうした?とっくり」
「500円以内で食べられる定食屋に早く連れてってください」
「・・・俺がか?」
「他に誰がいるんですか。さっさと動くっ!!」
「今、ファイル閉じてるんだから少し待ってろよっ!!」
相変わらずケンカを続けながら事務所を後にする二人。
変わらないようで変わっている二人の関係。
それに東海林が気づくのはもう少しあと・・・。
終わりです。本当に短い・・・。
ごめん、あんまりうめられてない〜。
985 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 00:41:39 ID:1d6LcO7M
GJです!!
こっちにも素敵な作品が投下されてて嬉しいっス☆★
ありがとうございました(^O^)
言葉に東海林&春子らしさがすごい出ていて面白かった!
そしてちょっといい感じの二人にGJです。
そのまま映像でみたい・・・