☆☆☆ 本当はHな桃太郎 ☆☆☆

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191102

「…葡萄の空だ。」

 目を開けて視界いっぱい広がった紫色の夕暮れに、桃子は思わずつぶやいた。
 すると大きな影が落ちて来て目前を暗くなり、唇になにか張りのある冷たい物があてられ、桃子の口に
押し入れようとした。驚いて桃子が口を一の字にむすぶと、太い指がそれをつぶし、甘い汁が口端から
首を伝って胸まで垂れた。あっ、と慌てて桃子は口を開けたが、つぶれた果実は頬を跳ねて草の上に落ちた。
まるで空から落ちた雫のような、同じ紫色の大きな葡萄の粒だった。 
「食いしん坊のくせにいらないのか?」
 影が横に移動し視界に空が戻ってくる。さっき果実をつぶしたばかりで、その空と同じ紫に染まった指は、
大きな実を二、三まとめて口に放り込む。イヌイだった。それを悔しそうに見ながら、いらないよ、と不機嫌そうに
半身を起こす桃子に、イヌイは房ごと差し出した。
 「マサルがお前のために取って来た。やはり餅は餅屋、木登りは猿に限るな。食ってやれ。」
 そう言われて断れるはずもなく、頂く事にする。よく熟したヤマブドウにしては大きなその実は、
桃子が今まで食べたどの果実より甘く瑞々しかった。全身がなんだかぐったりと疲れて重く、だるさを
隠しようも無かったが、一粒含むと体が求めていた物はこれ、とばかりのおいしさに夢中で貪り食う。
房の半分をなくしたところで、桃子ははっと気づいて果実をちぎる手を止めた。
 また食べちゃった!また、お返しに食べられちゃう…のは仕方がないけど…今からはもう、
嫌だな私…身体がだるい…。
 身構えて上目遣いにイヌイを見る。
「あれだけイケば、くたびれもするし、のども枯れているだろうし、うまいだろう。それに葡萄は
疲れを取ってくれる果物だ…、どうした?もう食わねえのか?」
「食べたらまたのどが枯れる事になるんじゃないの?」
 あれだけ、というニュアンスに行為を思い出して顔を赤らめつつ、桃子は抗議した。桃子の挙動に
気づいてイヌイは笑った。
「あれからうっかり山を五つも越えてしまった。」
 そういえば周りを見ると明らかに景色が違う。見た事のない稜線の山間盆地の土手に桃子達はいた。
「三日はかかると思っていたが。目当ての桃岩には明日の夜にはつきそうだ。」
「えっ、本当?!」
おもわず頓狂な声をあげた桃子に、手にしていた残りの葡萄の房を渡しながらイヌイは続ける。
「だから俺もくたびれた。今夜はもうなにもしないし、お互い早く寝て明日に備えようぜ、桃子。」
 ようやくイヌイの言わんとしている意図を察して桃子は安堵した。食べても今夜は
食われずにすむようだ。
「しかし前菜はほどほどにしておけ。今夜のメインはキジ鍋だ。」
 あごで促す先に、白い湯気が一筋上がっていた。
「お前に食わすとマサルがはりきっている。さっき俺も味見をしたが、キジと一緒にとってきた、
キノコと山ごぼうでいい味でてるぜ。楽しみにな。」
 そう言うが早いか葡萄を抱えて惚けている桃子を尻目に、イヌイは土手下の鍋のかまどに駆けて行った。
 キジ鍋かあ…。と、思わぬごちそうににんまりしかけて、いやいや違う、とかぶりを振る。
「明日の夜には…。」
 桃子のつぶやきに、さらに深く濃い葡萄の夜が降りていった。
192102:2007/09/17(月) 00:37:06 ID:a3k3+WGJ

 山間の風を避けて作られた土手下の釜戸に、どこから手にいれたのか大きな土鍋がかかっていた。
桃子が近寄るとマサルが嬉しそうに早く早くと手招きした。すごくおいしく出来たんだと、満面の笑みで
桃子を迎える。そんなことは言われなくても、鍋の周囲に立ちこめるこの匂いで桃子にもわかった。
だからこそ近づく歩みが鈍くなる桃子だ。イヌイの忠告をなぜきかなかったのだろう。今更後悔しても
そこに美味そうな鍋がくつくつと煮えている事に代わりはない。残して明日…ということが出来そうな
食事でもない。
 泣きそうな顔で食事の輪に入って来た桃子の手に、先ほど渡した葡萄の一房もない事に、
イヌイは笑いをこらえる事が出来ず、いやおうなくにぎやかに三人の食事は始まった。 

 ごぼうと茸で煮込んだキジ鍋は、美味いだけでなく、からだが芯から暖まるような、元気になるような、
いわゆる滋養に満ちた味がした。食べても今夜はこの後の補食はない事を事前に予告されていたので、
落ち着いてゆっくり食べる事にする。料理人であるマサルは食が進まない桃子が物足りなく、せっせと
料理の説明をする。
「隠し味はショウガと発酵麦かな。ごぼうはね、こうやってけずるように、ささがいて繊維を
斜めに切る事でおいしく出来上がるんだよう。桃子お姉ちゃんお料理は?したことないの?ああ、
貧しいとご飯だけだもんね。でもごはん炊くのも難しいよねえ、僕はお父ちゃんの監視下に三年修行して
やっと一人で炊くのを許してもらえたんだよう。あっ、当然鍋後のおじやのために炊いてあるよ。
卵割って三つ葉とかき入れて一味振って食べてみてね。あっこれも振ってみて。八角。また味わいが
変わるから。おかわりは?もっとたべてよう〜。」
 にぎやかといっても話しているのはほとんどマサルで、桃子は頬が落ちそうな美味い鍋を食べるのと
早口なおしゃべりを聞くのが精一杯、イヌイは慣れた様子でスルー、というものだが、こんなに楽しい食事は
桃子は初めてだった。

 一つの鍋を囲む三人は、昨日今日、会ったばかりの種も年齢も違う三種だが、こうして一つの温かい
食べ物を分け合っていると、家族のような親しみを覚えてしまう事が不思議だ。
「マサルくんのお父さんがいたころはイヌイと三人でやっぱりこんなふうに食事をしていたの?」
 ふと尋ねた桃子の質問にカラカラとマサルが笑う。
「うん、お姉ちゃんみたいな桃岩がいるときはね。桃岩ちゃんにたくさんご飯出してもらわないといけないから
三人とも競ってごちそう作ってたよね。たいていはもう岩になってるのを囲んでお酒飲んだりしてただけだけど。」
 一瞬にして桃子の団らんの笑顔が凍り付き、思わずイヌイに驚愕の目を向ける。それに気づかない振りをしたイヌイは
変わらず革袋の酒をすすり、マサルは気もつかず続ける。
「お父ちゃんもイヌイのおじちゃんも、もちろん僕も、優しいしかっこいいしおいしい食事を作れるし〜、
で桃岩ちゃんからはモテモテだったよ。それに自慢じゃないけど他の妖獣より三人とも上手だしね。
三人がかりだと桃岩ちゃんもすぐイッちゃうから、つまんなくて、五、六人くらいの桃岩ちゃんたちを
連れてたときもあったよねえ。だけどもだんだん面倒になって来て、はじめからもう岩になってるのからしか
食べなくなっていったんだっけ。それでもときどき若い桃岩ちゃんをつれてきてくれてたのは、僕が
まだ子供すぎておっぱいがなかったらぐずってたからだろう、イヌイのおじちゃん。」
 ふられてイヌイはさあな、と笑う。その笑みを受けて同じくふふ、と笑うとマサルは桃子に受け渡す。
慌てて硬直した笑みでそれを受けた桃子だが、マサルの話に急にちくちくと刺すような痛みを胸に覚えて、
ごちそうさまと皿を置いた。それを見て、待っていましたとばかりにマサルが桃子に抱きついた。
「桃子お姉ちゃん〜!!」
「えっ、なに、どうしたのマサルくん…っ?!」
「僕は補食はできないけど、たくさんおっぱいは触ってきたんだ。だけど…。」
「だけど…何?…や、ちょっと…マサルくん!」
 マサルは横から桃子の腰に脚を絡めるように抱きついたかっこうで、ためらいもなく前合わせに
手を突っ込み生肌に直に胸をもみだした。
「だけど、こんな気持ちいいおっぱい初めてだよう〜。真っ白できれいで、手触りもしっとりで、
手に張り付いてくる感じ!おっきいし、ボヨンボヨン。」
193102:2007/09/17(月) 00:44:10 ID:a3k3+WGJ

 顔も突っ込み頬ずりする。引き離そうと慌てて重心を崩し、押し倒されるように後ろにひっくり返った
桃子の目の端に、それを見て笑うイヌイが映った。慣れろ、と言ったイヌイの言葉がぐるぐると頭を回る。
桃子は抵抗しようとしていた腕の力をぐったり抜いて、小猿に胸を嬲られるままに目を閉じた。


「マサルは…寝たのか?」
 さすが子供だ。信じられねえな、とイヌイがつぶやきながら、カシュカシュと炭を繰る音を立てて
釜戸の火を始末しはじめた。さっきまで落ちかけた火の薄闇には、ハアハアと桃子の乱れた吐息だけが
響いていたので、その音に桃子はほっとする。
 「まったくとんでもねえ贅沢猿だ。補食もせずに、感触だけを楽しんで満足するなんて。」
 イヌイはべったりと桃子の胸に張り付いたまま、すうすうと健やかな寝息を立てる小猿の襟足を掴むと、
乱暴にひょうい、と草地の闇に放り投げた。
 覆っていた肉布団が無くなり、桃子のはだけた白い胸が闇に浮かぶ。くしゅん、とちいさな
くしゃみをして、桃子は半身を起こし胸元を直した。

「冷えて来たな。火も落としたし、そろそろ寝るか。お前はここに。」
 釜後の灰を敷いた上に布地をかけた寝床を指差しイヌイが促す。
「マサルくんあんなところで…。」
「俺たち妖獣はそんなヤワじゃない。」
 マサルのいるはずの暗闇に目を凝らすと、変わらずむにゃむにゃと安らかに眠っている。
寒くはなさそうだった。当たり前だとイヌイは言って、じんわりしたぬくもりの残る灰の寝床を
ぽんぽんとたたいて、お前はここだともう一度示す。胸元を押さえたままおずおずと桃子が近づき、
ぼんやりと温かい空気を放つ極上の寝床を前に脚を止めた。

「他の桃岩達にもこんなに優しかったの?」
 カシュカシュとイヌイがまだ赤さの残る炭を砕く。火は空気を含み一瞬ぱあ、と燃え立ち
桃子とイヌイを照らした。
「…優しいわけじゃないか。自分のご飯を…桃岩から体液を搾り取るためだもんね。」
「どうした?気に入らないか?」
 寝床を前にいまだ立ちつくす桃子を見上げてイヌイは言った。今にもこぼれそうな水滴を瞳に貯めて
こちらを睨んでいる。慌てて直した着物の乱れのせいで、腰の兵児帯はくずれ滑稽なほど大人びた
桃子の張り出した尻と細腰を強調していた。
 はは、もう子供用ってわけにはいかねえな。仲間の桃岩に合わせ同族伝達をすませ大人にしたら…。
 こんなときだが、イヌイは桃子に新しい着物と大人用の帯を手に入れてやろうと心に決める。
なったら、ではなく、したら、と思った珍しく能動的な自分がおかしくて口端に笑いが漏れた。

194102:2007/09/17(月) 00:49:51 ID:a3k3+WGJ

 そうとは知らない桃子がその笑みに苛ついたようにイヌイを蹴飛ばした。
「なんだよ。」
「バカ!」
 さらに続けて余裕の背中を四、五回蹴り飛ばす。
 拒絶の蹴りならとんで行くはずの自分の体が、軽く揺れるだけの行為を意にも介せずイヌイは
炭の処理を続ける。
「バカ、バカ!すけべ犬!!」
「助平とはなんだ。何もしてないだろう。」
「だよね。イヌイは見てただけで…!私が…私の胸をいじられて、嫌だって…助けてって言ってるのを、
笑って見てただけで…、…っ!」
 言葉を詰まらせ、胸に当てた手をぎゅうと握り込む。さっきまで嬲られていた両の乳房が、
乳首がまだ熱を保ちじんじんと桃子を煽っていた。
「本当に嫌ならおまえは簡単にマサルをぶっ飛ばすことができるだろう。初めて会ったとき
俺にしたみたいに。」
「していいの!?」
「もちろんだとも。俺たち妖獣は桃岩にはかなわない。」
 淡々というイヌイの口調に泣きたくなる。
 出来るわけ…ないじゃないか、あんな子供を…、イヌイが可愛がっているあの小猿を…。

「イヌイに…止めて欲しかった…っ。」

 大きな目に蓄えた水がついにこぼれて桃子は俯いた。涙をぬぐいながらふるふると背中を揺らす。
「感じてたのに?」
 冷たく響くイヌイの言葉にヒックと高い嗚咽がもれた。

「見てたけど、あいつの指は本当に器用に動くのな。乳房をぐにぐにもみ込みながら、薬指だけで
乳首をあんなに繊細に繰り上げるなんて、普通出来ないぜ?舌技はどうだった?さすがにしゃぶってる
口の中までは見えねえからなあ…、…っ。」
 残り火の始末をあらかた終えて、くべた余りの薪を抱えて立ち上がった後ろ姿の膝裏に、
再び蹴りを入れられイヌイはカクンと膝を折る。
「おまえいい加減に…っ。」
 膝をつきかけた照れから、乱暴に桃子の手首を掴み万歳の形でつり上げると、さらにガツンと
急所に衝撃を受け、さすがのイヌイも声を荒げた。
「股間はやめろ、ばかやろう!発情期だったらただじゃおかねえぞ!なんだ、さっきから!
俺が止めるわけないだろう、嫌なら自分でなんとかしろ!あん、あん、感じやがって、そうでないなら…!」

 軽々とつり下げた少女の二つの大きな胸が、飛び出しそうに着物を押しあげながらも、中心に深い
谷間の線を作ってイヌイの鼻先でブルンと揺れた。そこにぱたぱたと音をさせ大粒の涙の雨を降らせる桃子に、
イヌイはいったん躊躇して、それでも言った。

「慣れろ。泣く事じゃない。感度がいいのはいい桃岩の条件だぜ?」
「…嫌…っ。」
 宙吊られたまま桃子は声を殺して泣くしかなかった。

イヌイには、妖獣で雄のイヌイにはわからないのだろう。わかってるにしても所詮自分は餌なのだ。
どうしようもなく、宙に浮いているのは、桃子の体ではなく心だった。

195102:2007/09/17(月) 00:55:13 ID:a3k3+WGJ
 絶句したまま身を震わすに任せている桃子をげんなりした様子で一瞥し、イヌイは
桃子の持ち上げていた手を下ろした。つり上げられていた体が下ろされ足が地につくと、
桃子はそのまま体を預けるようにイヌイの腹に額をつけた。

「慣れないよ、嫌なんだもん、イヌイ一人で十分いっぱいなのに…っ。」
「おい、まさか俺以外の妖獣の補食は嫌だとか言うなよ。桃岩が。」

 ひくっ、と肩を揺らして押し黙る桃子に追い打ちをかけるようにイヌイは続けた。
「どんな妖獣、妖魔にも、基本的には体を開いて餌になるのがお前達一族の生き方だ。もちろん、
乱暴だったり悪意をもとにの行為なら拒絶出来る。だが、そうでなければ見ず知らずの通りすがりの
妖しにもお前は応えるように出来ている。上手な小猿の愛撫にも…。」
 そうしてぶるぶる震える桃子の胸の先端を、いきなり両の指でつまみ捻り上げた。
ひっ、と声にならない息を漏らして、桃子は一歩後ずさった。
「無骨な大犬の苛めにも、お前は同じように感じて愛液を出す。…濡れたか桃子、匂う。」

 着物の上から両乳首をつまむイヌイの太い指を、なんとか外そうとしていた俯いた桃子の顔が、
はっと上がってイヌイと目が合い、一瞬にしてかあっと耳まで赤くなった。それを見てイヌイは
乳首を捻る指を強めた。

「…ひっ、あ…っ。」
「…な?同じだろう?マサルに優しく触られても、俺がこれだけ強く捻って痛くても、
同じにじん、としびれるだろう。感じる自分を否定するな。」
「あっ…、や…んん、違…っ。」

 違うよ、イヌイ。確かにさっきも、マサルくんにもまれた時も胸がじんじんしたけれど。
 桃子はきゅう、とつり上げられるように乳首だけをひっぱられて、びくんと肩をすくめながら
イヌイの手首を握りしめた。腕を突っ張るがびくともしない。やはり嫌ではないのだ自分は。

「同じだろう?」
「違うっ!」
 今は確かにイヌイに乳首を捻られ感じている。だけどさっきはマサルに乳房を嬲られて…
それで、感じていたんだ、イヌイに見られて。見られていたから…!
「違うもん、イヌイのと、マサルくんは……あん!あっ、あんっ!」
「何が違う。同じ声だしやがって。」

 イヌイは三たび強くつまんでいた乳首に爪を立て引っ掻くと、合わせに手を掛けばっと桃子の着物を開いて
そのまま腰までずり下げた。白い固まりが夜気にさらされ震えた。中心の頂きに嬲られ続けて痛々しいほど
紅く染まった尖りが健気にその身を立てていた。大きな乳房を下から押し出すように持ち上げる。
桃子は目前にじんじんとしびれる自分の硬くなった乳首を突き出され、やあん、と羞恥の声を上げた。

「嫌っ、イヌイ、今日はもうしないって…!」
「もちろんしない。俺は遊んでいるだけだ。」
 ぐにぐにと下乳を揉み込まれ紅い先端がぶるぶる震える。そこにイヌイの太い指が絡み、肉厚なその腹で
そっとなで上げた。下から上へ擦るというより撫でさするような繊細な動きで桃子の感覚をさらに鋭敏にしていく。
反して握り込んだ手のひらで乱暴に乳房の肉をこね上げる。青い血管が浮かんでいた乳房がみるみる桃色に練られて、
慣れた手技に桃子は涙ぐんだ。
「い…や…。」
196102:2007/09/17(月) 01:01:20 ID:a3k3+WGJ

 形だけの抵抗を見せイヌイの手首を掴んでいた手に、さらに力をこめ、それで体重を支えていた。
がくがくと膝を震わし、桃子は急速に濡れ始めた触られていない自分の秘部を守るように腰を引く。
イヌイは攻めるその手を休ませず、桃子の顔を覗き込み、からかうように笑った。
「…いい、匂いだな。桃子、かゆいのなら、掻いてやろうか?」
 低い声でくく、と笑い、中指でぐりぐりと乳首を乳房に強引にめり込ませた。
「や…っ、だめ!…んふっ!」

 ふうう、と吐いた息が甘く香って、イヌイの鼻をさらにひくつかす。ごくりと犬ののどがなった。
同時にその目に苛立と嗜虐の混じった光が宿る。
 嫌だのダメだの言いながら…簡単に感じやがるくせに。このおぼこは…。
 己の足を擦らせる桃子の顔を見ると、涙をたたえた瞳にあきらかに快楽の色を浮かべて、
助けを求めるようにイヌイを見ていた。ひくつく桃色の唇は半開きに紅い舌をちらつかせ、
ときおりはああ、と大きく甘い息を吐いた。

 たまらねえな…全く。
 爪を立て、乳首のさらに先端を軽くかりかりと引っ掻くと、やだやだと首を振る。
さらにつまんだ乳首だけを親指と人差し指でやわやわともみしごくと顔を背けて震えだした。
 こいつ、乳首だけでイクんじゃないか?
 頭をかすめた考えは、イヌイを攻めをいっそう激しく性急なものにする。イヌイは瞬きも忘れて、
白い首を差し出すようにのけぞり始めた桃子を凝視した。

「や…見ないで、…あん、…ゃああ…っ。」
 見られている事を意識するといっそう自分の痴態が情けなくも恥ずかしく、桃子は息をあげて
真っ赤な顔を快楽の苦痛に歪めていく。強く閉じたまぶたの奥にちりりと白い光を感じ、
それがそのまま捻られ擦られるままの乳首の先につながっていた。脚間の泉はあふれ内股に
べたべたした摩擦を感じるが、そことは別に乳と頭の一部はつながっていて、それがはじけた光が
股間に飛び火して桃子をひくつかせた。小さな痙攣が首元からわき上がる。

 だめ…っ、だめ、だめ、…きちゃう!
「イヌイっ!ああ、イヌイ、イヌ……っゃあああん!!」
 小さく甲高い嬌声を上げて、びくっんと桃子の体が大きく後方に倒れる。のけぞる白いのどが
耳元からみるみる紅く染まって行くのを見て、イヌイは反射的にそののどに食らいついた。

「ああああっ……っあ!」

 自分ののどの薄い皮膚に大犬の犬歯が刺さるのを感じたと同時に、桃子の目頭が白くスパークした。
 掴んだイヌイの手首に爪を刺し立て、桃子はひくひくと痙攣しそのままがっくり膝を折る。
 尖った犬歯に避けたのどの肉から塩辛い出血がわずかにあり、それを啜るように大口でしゃぶり、
ようやくイヌイは口を離した。ずるずるとさがり膝をつく桃子に合わせて腰を折り曲げ、それでもなお
摘んだ乳首を繰り爪先で弾く。最後にもう一度ビクンと体をのけぞらせ、地に尻をつけて桃子は脱力した。
 乳首から指を外してそのまま少女の腰を支えてそっと横たえる。その拍子に、もみ込んだ白い胸につけた
己の紅い指跡に、だらりとイヌイの涎が落ちた。その事にイヌイ自身が驚き、慌てて自身の涎を舐めとったが、
舌先に硬くしこった乳首の感触を受け、それはイヌイにしびれるような余韻を残した。

 イヌイは呆然と、息を乱して横たわる桃子を見下ろした。
 また自身も肩をすくめて熱い息を吐いている事に気づかない振りをする。
「桃子…。」
 眉間を震わせ、放心したままの桃子の返事を待たずに身を翻す。
「おやすみ。」
 消えかかった炭火がパチンとはじけて、闇に消えて行く大きな背を一瞬照らして、最後の光を
夜に飲ませた。
 
・・・・・・・・・・・