お姫様でエロなスレ5

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442名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 11:48:55 ID:4/q2odQ1
GJ!!
443名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 13:17:57 ID:pN4xdUH8
GJ!
二人とも可愛くてよかった。オーギュストのボケボケっぷりがいい!
シリーズ化希望に一票追加!
444名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 14:03:57 ID:/Ra09H9q
なんという羞恥プレイ
GJなどという言葉は生ぬるい
最高です!
445名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 00:25:25 ID:LMpNMxdn
そろそろ圧縮が来そう保守
446名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 22:25:42 ID:gh0kAPBs
くるぞ圧縮
447名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 21:12:54 ID:HFRqiKbP
やんごとないお姫様をテーマにした総合スレです。
エロな小説(オリジナルでもパロでも)投下の他、姫に関する萌え話などでマターリ楽しみましょう。

■前スレ■
お姫様でエロなスレ5
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1166529179/

■過去スレ■
囚われのお姫様って
http://makimo.to/cgi-bin/dat2html/dat2html.cgi?pie/b/sm/1073571845/
お姫様でエロなスレ2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1133193721/
お姫様でエロなスレ3
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1148836416/
お姫様でエロなスレ4
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157393191/

■関連スレ■
【従者】主従でエロ小説【お嬢様】 第四章
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1174644437/
◆◆ファンタジー世界の女兵士総合スレpart4◆◆
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1173497991/
妄想的時代小説part2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1155751291/
地下牢+拘束具+エロ拷問のSSスレッド 2
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171895452/

■保管庫■
http://vs8.f-t-s.com/~pinkprincess/princess/index.html
448名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 21:13:33 ID:HFRqiKbP
気位の高い姫への強姦・陵辱SS、囚われの姫への調教SSなど以外にも、
エロ姫が権力のまま他者を蹂躙するSS、民衆の為に剣振るう英雄姫の敗北SS、
姫と身分違いの男とが愛を貫くような和姦・純愛SSも可。基本的に何でもあり。

ただし幅広く同居する為に、ハードグロほか荒れかねない極端な属性は
SS投下時にスルー用警告よろ。スカ程度なら大丈夫っぽい。逆に住人も、
警告があり姫さえ出れば、他スレで放逐されがちな属性も受け入れヨロ。

姫のタイプも、高貴で繊細な姫、武闘派姫から、親近感ある庶民派お姫様。
中世西洋風な姫、和風な姫から、砂漠や辺境や南海の国の姫。王女、皇女、
貴族令嬢、または王妃や女王まで、姫っぽいなら何でもあり。
ライトファンタジー、重厚ファンタジー、歴史モノと、背景も職人の自由で。
449名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 23:09:42 ID:q6CS8J6O
ディテールの難しいジャンルだけど、称号の基本的なことで質問。

・王子の姉や妹は王女だよね。
 では、その王子が王になったら、王女の称号ってどうなるのかな?
 「降嫁した先の称号」妃、とかになるのだろうけど、結婚する前は?
・王の兄弟姉妹の子も、王族であるなら王子王女と呼んでいいのかな?
450名無しさん@ピンキー:2007/05/03(木) 23:59:54 ID:TJZ0OS/D
>>449
1:王姉・王妹という便利な称号がある。
結婚してもナンタラ公とかの貴族称号が無い場合は王姉とか使う様だ
2:現代はそう言っても左程間違いでは無いが、より厳密には
・国王の兄弟の娘:基本的に王女扱い(但し兄弟=父親の爵位で呼ばれる事が圧倒的に多い)
・国王の姉妹の娘:基本的に王女扱いされない。時には(日本の様に)王族(皇族)扱いすらされない
という違いはある。

一応参考までに宮内省の外国賓客一覧表
ttp://www.kunaicho.go.jp/05/d05-04-02.html
451名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 13:31:41 ID:ujvrf9+u
>>449

・王の兄弟姉妹の子も、王族であるなら王子王女と呼んでいいのかな?

王の一族の男性を大公って呼ぶ事もあるから、その場合子供は公子、公女だね。

452名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 19:04:05 ID:DuC4VsFB
自分も便乗して質問ですが、
王女、女王、王妃の違いについて教えてください。

王の妃が王妃となって、王がいなくなった場合、
その娘が王位についた場合が女王になるんですか?

基礎的ですみませんが気になっていたので……。
453名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 19:15:14 ID:8MOxYH11
王女は王(王族)の娘、王妃は王の嫁、女王は王位についた女性ってことだから、
王がいなくなれば、王女が女王になることも王妃が女王になることもありうるんじゃないかな?
454名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 22:29:59 ID:fFemJ/Gs
王妃が王位継承権を持ってるんだったら女王になる事もあるだろうなあ。

そういや、女王の夫って何か呼称があるのだろうか?
455名無しさん@ピンキー:2007/05/04(金) 22:39:08 ID:ofnhQo6s
>>454
なんか結婚時に特別に爵位や敬称を賜らない限り、結婚前の肩書きで
呼ばれるみたいだよ。
456名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 02:20:49 ID:mwgiAJy3
>>450-451
ありがとうございます。参考になりました♪
王妃、王子、王女以外にそれらしい称号ってあるのかなと思っていたんだ。

>>454
王配、という言い方があるみたい。
457名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 08:31:27 ID:A4DdCqXM
イギリスのエリザベス女王は独身で王女から女王になったんだっけ?
それとも結婚してたっけ?
旦那は「侯」だよね。
458名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 09:34:50 ID:jvPZpxY5
>457
旦那はエディンバラ「公爵」
順番は王太女→結婚→即位

>454
3つパターンがある。
1:夫が他国の国王の場合
基本的に元の国の王位。今ではまず無いが昔は結構あった。
2:1以外で、夫が共同統治者と考えられている場合一つの国に国王と女王が両方居る場合がある。
3:1でも無く2でも無い場合、女王の夫=王配が優先。本人の持ってるナンタラ公とかはいわば付属品として扱われる
459『逃げる二人、:2007/05/05(土) 10:54:55 ID:L8go3iyQ
辺境領の森の中。
狩人たちが用いる小屋で、二人はようやく馬の鞍以外の場所に腰を下ろす事が出来た。
この一昼夜、彼らは小休止を取る暇も無かったのだ。

「姫、さぞお疲れでしょう……」
「私のことは気にしなくてもよいのです。貴方こそ、肩の傷が痛むのではありませんか?」
「これしきの傷は、戦場では掠り傷にも入りませんよ」
「いえ、見せてごらんなさい」

己を守護する青年に命じ、少女は彼の肩に付けられた切り傷を検めた。
血は既に止まっていたが、決して浅い傷ではなかった。
それまで青年は少女に痛がる素振りさえ見せなかった。
自分を不安にさせない様に彼が痛みに耐えていたのだろうと思うと、
少女は胸の奥が熱くなった。

「ごめんなさい、レド……」
「何を謝る事があるのです? 姫」
「私の為に、私がこんな事を言い出した為に、貴方は……」
「何も仰いますな。己が剣を捧げた方の為に戦うのは、騎士の誉れでございます」

少女の頬を、ふた筋の涙が濡らす。
男は黙って彼女を己が胸の中に抱き締めた。
自分の騎士の胸にすがり付いて、少女は堪えきれない涙を流した。

・・・・・・・・・

諸王国の時代、南北に国境を接して対立する二つの王国があった。
今まさに、両国は長き抗争の時期をようやく終えようとしていた。

南の国の王には、アイリスと言う名の美しい姫君が居た。
彼女を北の国の王子に嫁がせる条件で、新たな同盟が合意に至った。
両国の臣民は久しぶりの平和を歓呼の声で迎えた。

だが、王女の輿入れを目前にして事件は発生した。
南の王が誇る最強の騎士たち、「七剣士」の筆頭であるレドリック卿が、
あろうことか王女を攫って逐電したのだ。

騎士道の華と謳われ、その忠誠に一片の疑いも持たれなかった男が、
突如信じられない背信行為を働いたのだった……
460『逃げる二人、:2007/05/05(土) 10:56:22 ID:L8go3iyQ
逃避行を続けるなか、かっての部下や同輩を斬らなければならなかった。
しかし、王女を優しく抱き締めるレドリックには、後悔の気持ちは無かった。

「私がっ、貴方に国を捨てさせた…… 王国の騎士で最も名誉の有る地位を捨てさせた…… 」
「もうお泣き下さらないように。そのような物など、アイリス姫に比べれば何の価値がありますか?」
「レド……」
「私は幸せ者です。貴女が王国よりも王家よりも私を望んでくださった事を、神に感謝したい程です」

レドリックは泣きじゃくる主に微笑みかけた。
同胞を斬るのは、刃物の傷より痛みが伴った。
しかし、己が愛する少女の為ならば、その痛みにも耐えること出来た。
だから彼の微笑みは真実の物だった。

男の言葉にアイリス姫は救われる思いがしたが、それでも事実は変わらない。
自分がこの男に、「七剣士」の地位を捨てさせたのだ。
今や自分もレドリックも、王国に対する裏切り者の扱いを受けるのだろう。
尽きることなく沸き起こる後悔の念が、彼女を責め苛んだ。
婚儀の日取りが決まりつつあったあの夜、アイリスはレドリックを密かに呼んだ。
そして彼に言ったのだ、『自分を連れて、どこかに逃げて欲しい』と。

レドリックは何の逡巡も無く受け入れた訳ではない。
彼は王女を説得しようと試みた。
国家の命運、王族としての義務、逃亡生活の困難……
その行為がいかなる事態を引き起こすのか、情も理も交えて彼は王女を懇々と諭した。
それでもアイリスの気持ちは変わらなかった。
あの時、彼女は今のようにレドリックの胸の中で泣いたのだった。

『自分は好きでもない男を夫に持つことは出来ません。
 私が愛しているのは、この世で貴方ただ一人なのです』

涙ながらの告白を聞いたレドリックは、それ以上悩まなかった。
彼は即座に己の剣を捧げ、彼女を受け入れたのだ。
数日後、二人は王宮から逃亡した。
行く先は西方にある港湾都市国家である。
そこから船に乗り、どこか追っ手のかからない場所を目指そう……
レドリックは王女にそう説明した。
461『逃げる二人、:2007/05/05(土) 10:57:09 ID:L8go3iyQ
血が滲んでいた服を脱がせ、薬草をレドリックの肩に塗りこむと、
アイリスはたどたどしい手つきでそこに包帯を当てた。
鍛え上げられた彼の身体には、これまで戦場で受けた古傷が幾つも残っている。
それを踏まえても、アイリスは男の身体を美しく思った。
胸板や長い手足は惚れ惚れするほどに逞しく、かつ羚の如きしなやかさを秘めていた。
鮮やかな筋肉の隆起は、ひとたび力を込めれば甲冑ごと敵を両断する程の剛力を発揮する。
彼の全身を見渡しても、一欠けらの贅肉さえ見つける事が出来まい。
鋼のような筋肉に覆われつつも、全体の均整は些かも失われていなかった。
それは、まるで理想の肉体美を具現化した彫像の様だった。

「私のレドリック……」

己が騎士の逞しい体を、王女は愛しげに抱き締めた。
男もまた、彼女の背に優しく腕を廻した。
お互いの体温が伝わり、息吹が肌にかかる。

「アイリス姫……」
「んん……ん?」

王女は、ふと自分の腰に硬い感触が当たっている事に気が付いた。

「あの、レド?」
「こ、これは……その、我ながら何と無礼な真似を……」

レドリックは王女から体を離す。

「決してその……不埒な考えを抱いたためで無く……」
「?」
「ここ暫くの強行軍が祟った所為で、極度の疲労が股間に反映したというか……」
「……」

言いよどんだまま、脚衣を押し上げる隆起を手で隠そうとしかけたが、
あまりに無様な振る舞いなので止めた。
そんな男の困惑を目にしながら、王女は躊躇いながらもそこに手を伸ばした。
462『逃げる二人、:2007/05/05(土) 10:57:52 ID:L8go3iyQ

「えっ?」
「硬く、熱を持っていますね」
「お待ちを、この様な真似は……」
「いけませんか?
 殿方がここを膨らますのは、女性を欲している時だと聞かされていましたが」
「姫、ご無理はなさらずに…… まだ王国領内を出た訳ではありませんし」
「だからこそです!」
「えっ?」
「私は、貴方が先日までの同輩と戦っているというのに、何も出来ないではありませんかっ!
 貴方が心で血を流しながら追っ手を倒しているのにっ!」
「……」
「私には何も出来ない…… 辛い事は全て貴方に押し付けて、自分はただ見ているだけ……」

レドリックは見た。
炉に点された炎が照らすアイリスの頬に、羞恥の赤みが差していた。
王女がかなり無理をして、そのような行為に及んでいると彼は見て取った。
それでもアイリスは、男の股間から手を退けなかった。
伏目がちになりながらも、アイリスは語った。

「だからせめて、貴方の渇望を癒すこと位はさせて欲しいの。
 求めてくれるのなら、私なんかに気を使わないで。
 貴方の欲するままに、私の身体で心を癒して……」
「姫……」
「その、一度はしたのだし、二度目が一度目よりも痛いとは聞いていないし、
 私も耐えられると思うのです、貴方となら……むゅっ 」

レドリックは、皆まで言わさぬうちに相手の唇を塞いだ。
熱い思いがそうさせた。
可憐な少女が己をここまで愛してくれるという事に、彼の心臓は高鳴っていた。

「むっ、ちゅ……、れどぉ……、ちゅっ、ぬちゅぅ……」

艶かしい水音が、重なり合う二人の口から漏れる。
舌が絡み合い、滴る唾液が互いの口中に零れていく。
二人は熱情のままに互いの唇を貪りあった。

「むちゅ……ぬちゅぅ………」
「あの、姫……」
「?」
「そこを掴んでいる手は、そろそろ……離していただけますか?」
「あっ、駄目だったでしょうか」
「いえその、このまま触られていると、それだけで終わってしまいそうなので……」

照れくさそうにレドリックは言った。
そして改めて王女の肩に手を置き、彼女を床に押し倒した。
逞しい手が、少女の衣服を解いていく。
白磁の如き滑らかで艶のある肌が、レドリックの前に露になった。
463『逃げる二人、:2007/05/05(土) 10:58:30 ID:L8go3iyQ

「レド、私は幸せです」
「私もですよ、姫」

適わぬ恋だと思い、適わないのが当然だと思っていた。
二人の間には主従と云う谷間があり、それは決して越えられないと思っていた。
だから、愛情を胸の中に隠し、決して表には出さないでいた。
あの夜王女が彼に思いを打ち明けた時、初めて二人は互いの気持ちを知ったのだ。

「あぅん…」

乳房に伸びた指がその頂点にある突起に触れると、アイリスの唇から声が漏れた。
まだ交合に慣れぬ少女の体は、不意の愛撫に悦びを感じるほど成熟してはいなかった。
慌てて手を引こうとするレドリックを、王女は咎めるような目で見た。

「気を使わないでと言った筈です。
 交わりで私が感じる痛みなど、貴方の心の痛みの何万分の一でもないのですから」
「姫……」
「私を本気で気遣って呉れるのなら、むしろ激しく責め苛んで欲しいの。
 貴方の痛みを少しでも分かち合わせて欲しい……」

潤んだ瞳で哀願するように乞われ、レドリックは頷いた。
少女の固さの残る乳房を、彼はその手で掴んだ。
今度はアイリスも声を上げなかった。
否、声は唇を噛み締めて堪えていた。
その健気な仕草が、レドリックを一層奮い立たせたのだった。
愛する少女の柔肌に覆い被さるようにして、彼はアイリスの全身に口付けをしていった。

「あっ、ぁあぅん!」

男の唇で肌を弄られる度に、堪えきれない喘ぎ声が零れた。
その耳朶に、首筋に、鎖骨に、乳房と乳首に、容赦なく接吻の雨が降り注ぐ。
くすぐられるような感触の中に、アイリスは甘い悦びを感じつつある自分に気が付いた。
ただし、この日それを長く味わう時間は無かった。

「ぃ嫌! レド!? そこは……」

男の舌が少女の脚の間に触れた時、さすがにアイリスも脚を閉じて拒もうとした。
しかし既にレドリックの頭は股間に宛がわれており、今更彼女の細い足で締め出そうとしたところで
相手の行為になんの妨害も与えられなかった。

「駄目ぇっ、そんなところ舐めちゃ…… しばらく湯浴みもしてないのに…… きゃうんっ?」

裂け目の上部にある突起に舌が這うと、可愛らしい悲鳴が小屋の中に轟いた。
レドリックは主の拒絶に抗い、むしろさらに顔を強くそこに押し付けて、
王女の秘所を唾で濡らしていった。
464『逃げる二人、:2007/05/05(土) 10:59:00 ID:L8go3iyQ

「はっ、ひゃうん…… だめぇ…… 止めて、欲しいのにっ…… ああぁん!、ひゃめぇ!」

上下に秘裂をなぞられると、拒絶の言葉も一音高い声で響く。
陰部を舐め上げられる快感に、さっきまで男の行為を封じようとしていた脚も力なく弛緩する。
止むことなく続けられる愛撫によって、時折アイリスはさらに高い嬌声を放ち、背を弓のように反らす。
また男の舌は、少女がその反応を見せた場所を憶え、強弱を込めて執拗に弄るのだ。
王女の両脚を肩に乗せ、レドリックは愛らしい姫君の股間をしとどに濡れるまで、
そこから唾液以外の体液があふれ出すまで丹念に舐め抜くのだった。

「はあ、はあ、はあ、はぅ……」
「姫、宜しいですか?」
「……」

すでに息をするのが精一杯という観があったが、それでもアイリスは頷いた。
レドリックは少女の股間に存在する神聖な場所を指で開き、そこへ硬くいきり立った男根を挿し込んだ。

「ひゃっ、いぁん…」
「大丈夫ですか?」
「はい。にっ二回目だから、初めての時のように痛くはありませんでした……」

取り乱すことなく男の性器を受け入れられた事が嬉しいのか、アイリスは微笑んでいた。
レドリックは王女の頬に軽く口付けして彼女の真摯な態度に報いると、
膣壁を野太い陽根で押し広げつつ、ゆっくりと奥まで秘道を貫いていく。

「あぅん……」

子宮口に当たるまで穿たれ、甘い吐息が唇から漏れた。
少女の反応を確かめつつ、優しく注挿は繰り返される。
いつの間にか、二人はしっかりと掌を握り合っていた。

「レド……貴方のが、私の奥まで届いてるっ! くぁんっ!」
「姫、しばらくご辛抱下さい」
「ん、まだそんな事をっ、ああんっ! 私の事などっ、構わずっ、ぁぅっ、はぁぅん!」

尖端が秘道の柔襞を突き回し、雁で掻き出す速度が次第に速さを増してゆくと、
レドリックの両手を掴むアイリスの掌に力が篭もる。
また、両脚は相方の体を挟み込むように背の後ろでしっかりと組まれ、
まるでより深い結合を求めるかの如く、強く抱え込んでいた。
465『逃げる二人、:2007/05/05(土) 10:59:30 ID:L8go3iyQ

「ああん、レドっ、私のレドぉ! ……あっ、愛してる、愛してますっ、あぁっ、あっ、あう、あうう!」
「私も愛してます。我が主、我が麗しの姫君……」

突き上げられるたびに、王女は呻き声を上げた。
まだ二回目の性交であり、彼女も膣奥を叩かれることでの官能を憶えるまでには至っていないのだが、
その行為は愛した男に自分の身体を中まで捧げている事を実感できるのだ。

アイリスの声に急かされるように、レドリックはさらに強く少女の秘所を抉る。
男女の交合う声に肉同士がぶつかり合う音が混じり、二人だけの小屋にしばし響き続けた。

「姫、アイリス姫っ……」
「来て、レドっ、私の中に来てっ! んっ、ぃっ……ひゃぁうううぅぅんっ!!」

何時果てるとも無く続いた交わりだが、男がこれまでで一番強く、深く膣奥に立て続けに打ち込んだ後、
彼の精液は主君の子宮口目掛けて噴出された。
両脚でしがみ付き、しっかりと繋がっていた二人だが、あまりに大量に吐き出されたために、
王女の中からしとどに溢れ出すほどだった。

「はう……、レド……」
「…………ちゅっ」

労わるように、レドリックは王女の唇に優しいキスをした。
その拍子に、それまで緊張で強張っていたアイリスの身体から力が抜け、組まれた両脚も解かれた。
絆を深め合った二人は、何時の間にか眠りにつくまで、互いの温もりを感じあっていた。


・・・・・・・・・


明朝、二人は小屋を後にした。
一度は撃退したとはいえ、宮廷は何としてでも二人の国外脱出を阻止しようと図るだろう。
裏切り者を捕らえるために遣わされる追跡者たちを振り切り、安息の地へ至るまで
彼らの心が休まる暇は無い。
だが、二人は微笑みながら顔を見詰め合う。
昨晩の契りで、互いがいかに相手のことを想い、愛おしんでいるかを再確認したのだ。

「行きましょうか、姫」
「はい、レドリック。貴方とならば何処へでも」

馬に拍車を当てると、嘶きと共に二頭は西方へ駆け出す。
この国では手に入らない、愛し合える自由な世界を求めて、二人は今ひたすらに逃避行を続けるのだった。


(終わり)
466投下完了:2007/05/05(土) 11:00:16 ID:L8go3iyQ
以前「姫様成分が足りない」と言われた者ですが、投下させて頂きました。
自分にはこれが精一杯の姫成分発揮です。
467名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 11:06:18 ID:RiE0RcF1
うーん…
468名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 22:57:47 ID:FSVZiL0l
うまく逃げ延びて欲しいものだと願って止まない
469名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 23:01:05 ID:wk6LDJ4l
逃避行って萌えるよね
逃げ延びれたか逃げ延びれないかはわからないけど
どっちを想像しても萌えてしまう
470名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 23:59:28 ID:Xhq09CM9
設定はGJ!
ヒメ様の「ひゃぅぅぅん」とか「くぁん」があんま
姫っぽくないような
471名無しさん@ピンキー:2007/05/06(日) 00:37:57 ID:LOMsPqON
うん、それは言える。気高い姫にしちゃチョイはしたないかもねw
でも中々読み応えあるよ、楽しませてもらいました。
姫と騎士、愛の逃避行は王道でイイヨ!
472名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 01:36:34 ID:LJ1Istx0
話は悪くないのに、安っぽくてちぐはぐなんだよなぁ。
なるべく平易な単語で、書いたほうがいいかも。
473 ◆YxrCMAImAU :2007/05/09(水) 20:37:52 ID:7PIptkv3
勝手ながら、少し長めのGW休みを取らせていただきました。
今後、予告は出しませんがご了承下さい。
474プリンセス・ロウィーナ(後編) ◆YxrCMAImAU :2007/05/09(水) 20:39:16 ID:7PIptkv3
ヘンリーはいったん部屋に戻り、身支度を整えると、グレアムを連れて外出した。
アルフレッドは珍しく同行を求められず、主人のいない部屋には、彼と薔薇の花が残された。
アルに見せつけるかのように、椅子の上に無造作に放置された薔薇の小枝は、
半乾きの白い液体を、ピンク色の花弁にまとわりつかせたまま、けなげに咲いて、
アルに苦しい連想を強いた。
下ろしたての手袋をはめた両手で、うやうやしく薔薇の花を持ち上げると、浴室へ運び、
繊細な花びらにうっかり傷を入れないよう気をつけながら、慎重に水に浸す。
花びらの隙間にまで入り込んだ主人の精液を洗い清めようと、アルは柔らかな筆でそっと撫でた。
「やあっ……」
穂先が触れた瞬間、薔薇が身もだえして震え、甘い声を上げたように感じて、アルの手が止まった。
「ああん……、ああん……、ああん……、ああん……、ああん…………」
甘えた子猫のような声はアルの耳でいつまでも鳴り止まない。
475プリンセス・ロウィーナ(後編) ◆YxrCMAImAU :2007/05/09(水) 20:40:00 ID:7PIptkv3
それは、異様な光景だった。
「はぁ……、はぁ……、はぁ……」
ヘンリーの椅子の上で、ロウィーナは苦しい息遣いを続けていた。
ヘンリーが一番気に入っている淡い水色のドレスは、へその辺りまでたくし上げられ、
両足は水色のリボンで、肱置きにくくりつけられている。
主人に命令されるまま、床に這いつくばるようにして、アルは震える右手で筆を走らせる。
小さなこぶしで裾を硬く握り締め、ロウィーナ姫は熱く苦しい息を吐いた。
背もたれの背後から腕を回し、ヘンリーがロウィーナの頬にキスをする。
「……に……さま……、はぁ……はぁ……」
ヘンリーが、ロウィーナ姫の耳元で何事かささやく。
すると、ロウィーナ姫がはっとしてわれに返り、顔をそむける。
主人の声は、アルの耳にも届いた。
「見ろ、勃起しているぞ。アルはお前に欲情している」
ヘンリーは確かにそう言ったのだ。
もう一度ヘンリーが何か言うと、ロウィーナ姫は唇を噛み締めた。
しかし、それも長く続かず、再び甘い声が漏れ出す。
最初、侮蔑を隠そうともしなかったロウィーナ姫の瞳は、やがて潤んで視点が定まらなくなり、
今では、ぼんやりとアルを見下ろしている。
赤い唇は無防備に開き、無意識のうちに言葉できない懇願をアルに伝えようとした。
いかせて。おねがい、はやくいかせて……、と。
姫の息遣いが徐々に早く荒くなる。
「はぁ……はぁ……はぁ、あっ、あっ、あっ、あああっ……」
「止めろ!」
主人の合図で手を止める。
アルの全身の筋肉は極度の緊張でこわばり、無理な姿勢を続けて関節は悲鳴をあげているが、
その場から動くことは許されていない。
しばしの休息を与えられたロウィーナ姫も、苦しげにため息をつく。
絶頂に達することもできないまま、延々とじらされ続けても、もう抵抗する気力も残っていないのだ。
こんなことが一時間以上も続いている。
休憩はすぐに終わり、アルは黙々と命令に従った。
「苦しいか?」
それは誰に向かって発せられた言葉だったろう。
「もう一度言いなさい。あの女に何をされた」
「何も……。会って……、お話して……」
「言いなさい」
「……キス……したわ……」「どこに?」「お兄さま……」「どこだ!」
ロウィーナはためらいながら、唇が触れた場所の名をすべて答えた。
「それから?」
「……指が……、ヘイゼルの……指が……、おにい……さま……、わたし……」
黙っていれば誰も傷つかないのに、ロウィーナ様はなぜ正直に話すのだろう。
そして、姫が身を差し出した本当の理由を知っているのに、
なぜ殿下は追い詰めるようなことをするのだろう。
そもそも、自分はなぜこの場にいるのだろう――。
「アル、それはもういい。ロウィーナを楽にしてやろう」
主人の次の言葉を聴いたとき、疲れ切った頭で幻聴を聞いたのだと思った。
いや違う。これは主人の命令だ。逆らえない。アルはよろよろと顔を近づけた。
476プリンセス・ロウィーナ(後編) ◆YxrCMAImAU :2007/05/09(水) 20:40:32 ID:7PIptkv3
ロウィーナ姫はとうとう気絶してしまった。
蘇生が終わると、アルは十五分ほど席をはずすよう命じられた。
きっかり十五分たってアルが戻ってきたとき、
ヘンリーは戒めを解かれたロウィーナの足元にひざまずき、腿の上に深く顔をうずめていた。
そして、ロウィーナ姫はまるで許しを与えるように、小さな手で優しく兄の頭をなで続けていた。
興奮して朱に染まった頬にも、金色の髪にも、水色の服にも白い精液を滴らせながら。

薔薇の花は震えている。
アルフレッドは筆を置いた。
無理やり広げられた、抜けるように白い脚の中心は、美しい色と形を保ったままだ。
独特のむせかえるような匂いだけが子供から女へと劇的な変化をとげた。
鼻先をくすぐる甘酸っぱい匂いに酔った男を狂わせようと、濡れてうごめくピンク色の小さな花弁。
あと少しで舌の先に触れそうだった、本当にあと少しで――。
庭師が見落とし、取りこぼした棘に、自ら指を食い込ませたのは何故か。
持ち場を離れたあの十五分の間に、そして今日、姫の成長を見続けてきたこの浴室で、
主人に見透かされていることを知りながら、何をしたか。
アルの手で清められ花瓶に挿された薔薇は、男たちの欲望とは無縁に、気高く咲き誇り、
一日中アルを苛んだ。
477プリンセス・ロウィーナ(後編) ◆YxrCMAImAU :2007/05/09(水) 20:41:32 ID:7PIptkv3
ロウィーナは侍女の用意した夜会用の華やかなドレスを断り、
露出の少ない控えめな衣装に着替えて、その日最後の出番を待っていた。
その手には、グレアムの水晶が握られている。
すぐ横で、姫が室内に灯された照明に水晶をかざすのを見守っていた侍女のキャシーは、
つまらなそうに言った。
「姫様、やっぱりだめみたいですね」「そうね、キャシー」
日もとっぷりと暮れ、魔法の石は鈍い光を放つだけで、ロウィーナの手では虹を作り出せなかった。
「グレアムが帰ってくるまでお預けね」
「あの人いったい何者なんですか」
皇太子にも姫にもなれなれしい口をきく、垢抜けない青年はキャシーの興味を引いたらしかった。
「頭はぼさぼさだし、古ぼけたおかしな服を着ているし、おどおどしてて、貧乏くさくて変な人」
「まあ!」グレアムが乳母のバーンズ夫人の息子だと知らないのはキャシーだけだ。
周りにいた侍女たちがいっせいに目を丸くするのを見て、ロウィーナは思わずふきだしてしまった。
「何がおかしいんですか」
「キャシーったら、そんなこと言ってはだめよ」
「だって、変な人は変な人です。あの人も貴族なんですか」
「グレアムはね」
ロウィーナはいたずらっぽく片目をつぶって見せた。「魔法使いで詩人さんよ」
478プリンセス・ロウィーナ(後編) ◆YxrCMAImAU :2007/05/09(水) 20:42:26 ID:7PIptkv3
翌朝、またもや早起きをしたアジールの大公は、大急ぎで朝食を済ませると薔薇園への案内を請うた。
前の日には蕾ばかりだったピンクの薔薇は、六月の明るい陽光を浴びて、いっせいに開花していたが、
大公の興味は一度もそこには向かわなかった。
大公は、落ち着かない様子であたりをきょろきょろと見回し、
時間の許す限り、その場で待ったが、お目当ての花はとうとう姿を見せなかった。

三つの謎かけは、洗練された言葉遊びとして、一時期、王族や貴族の間で大流行したものだ。
通常は、相手の召使を買収して答を手に入れる。
彼らの財布は潤い、主人は日頃の忠節に報いてやる機会を得、謎をかけられた方は答を披露して面目を保つ。
三方がそれぞれ得をする仕組みになっていた。
しかしすぐにわかると思っていた謎の答は、どれだけ大金を摘んでも手に入れることができなかった。
城内の人間は誰も答を知らず、買収に応じたくとも応じられなかったからである。
姫に使いを出すと『お約束をお忘れにならないように。姫様は謎の答をお待ちです』
という侍女の短い返事が返ってきた。
謎かけは、求婚を受けるにあたっての、王女としての慎み深さを表す行為ではなかった。
大公は、自分が年端も行かない子供に、体よくあしらわれたのだとようやく気づいた。
ロウィーナ姫は、男嫌いの風評どおり、いとも簡単に大公を袖にし、
初日の晩餐会を最後にして、大公の滞在中は、二度と公の場に姿を現そうとしなかった。

479名無しさん@ピンキー:2007/05/11(金) 22:34:31 ID:bVhZW6zT
ロウィーナたんの中の人お帰り!待ってました
480ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:09:37 ID:ycdT4AMU
厩舎のなかは広々として薄暗かった。
王室お抱えの調教師に先導されて夫とともに歩き進むうちに、藁を荒々しく踏みしだく音と激しい鼻息、
そしてむっとするような生々しいにおいが徐々に近づいてくる。
マリーが思わず足を止めてそちらを見ると、引き締まった体つきの牝馬の上に牡馬の巨躯が後ろから覆いかぶさっているところだった。
両頭とも全身汗にまみれて毛が身体に張り付いている。
数人の馬丁が傍らや後ろに立って掛け声をかけているが、その場の雰囲気に圧倒されてしまったマリーの耳にはよく聞き取れない。
荒い鼻息と唸るような鳴き声だけが周囲を支配している。
「マリー、こちらです。行きましょう」
オーギュストに声をかけられてマリーはようやく我に帰り、ここに来た目的を思い出す。
一ヶ月前に結婚したばかりのふたりだが、
北の最果てにある妻の母国では馬というと脚が短く体がどっしりした物資運搬用のものばかりだと知り、
オーギュストは王室で飼育している駿馬たちを見せようとここへ連れてきたのだ。
さすが諸国の富が集まるガルィア王家だけあって、はるか東方の砂漠地帯を産地とする名馬の血統を取り揃えているのだという。
種付け風景を後にして彼らの厩舎までたどりついたとき、
その脚の長さ、たてがみの優雅さ、体躯の引き締まりぶりに彼女は目を見張った。
「なかなかのものでしょう。走らせるともっと驚かれますよ」
マリーが感心したように彼らの筋肉を眺めているのを見て、オーギュストは誇らしげに言った。
彼はそれほど乗馬に巧みなわけではないが、馬という生き物が可愛くてたまらないのだ。
とりわけ数年前父王から東方産の純血種を下賜されてからというもの、
二日に一回は厩舎に顔をのぞかせて馬の体調や機嫌について馬丁たちとことばを交わす。
「東方産の馬をごらんになるのは初めてですか」
「ええ。―――いえ、そういえば、サクスンの宮廷でも見たことがございます。
 ジェラール殿もやはり馬が好きで、たびたび購入しておられたのです。そのなかの最も高価な馬がたしか東方産でしたわ。
正確にはその血筋ということだったかもしれませんが、でもたしかに、この子たちのような美しい体格をしておりました」
マリーはふたたび彼らの長い顔を見上げる。
ルースは今でこそ農耕を国の基としているが、本来狩猟民族なので、マリーも公女とはいえ幼いころから乗馬や狩には慣れ親しんできた。
夫ジェラルド、ガルィア風にいうとジェラールに侮蔑を受けつづけた最初の結婚生活において、
寝室以外で唯一彼の歓心を買うことができたのが馬の早駆けだったのである。
日ごろあれほど惨めな思いをさせられていたにも関わらず、
気まぐれに誘われた駆け比べで彼を負かして「たいしたものだ」とあの端麗な顔で微笑まれたとき、それだけでマリーの胸は高鳴った。
これを機にわたくしを省みてくださるだろうかという無謀な期待さえ抱いた。
しかしむろんそんなことにはならず、一瞬のちには彼は妻から離れ、
近習を従えて遠駆けに出かけたり通りすがりの乗馬中の貴婦人に戯れかかったりするのだった。
それゆえに馬術とか名馬というものは、
マリーにとっては以前の結婚生活におけるほんの一瞬の幸せと後に続く寂しさを思い起こさせるものであり、
このガルィア王室の厩舎に立っていてもその思いをとどめることができなかった。
481ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:11:06 ID:ycdT4AMU

(―――あの方が馬に殺されたというのも皮肉なものだわ)
あの日、いつものように幼な妻を館にひとり残して狩猟地に赴いたジェラルドは、
何かの拍子で興奮した愛馬から振り落とされてしまい、手綱が腕に絡まったため長時間地面を引きずり回された。
その名馬の堂々たる巨躯と狂奔のために従者も助けに入ることができず、死亡時には彼の美しい面立ちはもはや跡形もなかったという。
葬儀のとき棺に横たえられたジェラルドの全身は布で覆われ、それが何者であるのか生みの親にさえ分からなかった。
マリーに対してはほぼ常に冷酷といっていい夫であったが、そのむごい死に様を思い出すと今でもやはり胸がつまった。
「ジェラール公子は落馬で亡くなられたのでしたね」
マリーの表情を読み取ったのか、オーギュストが静かに言った。
「今でも思い出されますか」
「時折は」
マリーは短く答えた。
夫を悼む気持ちはあるにしても、サクスンでの惨めな結婚生活を思い起こすのはマリーにとって苦痛でしかなかった。
そう感じる理由を尋ねられたらジェラルドがいかに妻に対して非情な男であったかを明かさずにはすむまい。
しかしたとえ事実の告白であっても故人に鞭打つようなことはするまいとマリーは固く決めていたので、早々に口をつぐんだのだ。
オーギュストは彼女の控えめな態度の意味をとりちがえたようだった。
先夫を偲ぶ気持ちが強い分、極力それを隠したがっている。そう感じたのである。
彼は一瞬妻を見つめたがすぐに顔をそらした。
「―――去年生まれた葦毛が今外におりますが、これも優れものです。
もしお気に召したら差し上げましょう」
マリーは礼を述べ、夫に従って光の差し込む出口へ歩いていった。
482ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:13:01 ID:ycdT4AMU

珊瑚の櫛が上から下へとおろされるたび、
マリーの白金色の髪は機織りにかけられた絹糸のようにぴんと張り詰め、柔らかい光沢を放った。
(本当に美しくなられた)
姫君の髪と鏡に映る顔を交互に眺めると、アンヌは満足を覚えつつ彼女の髪を梳きつづけた。
マリーはもとより白百合の様な清らかさをそなえている娘だが、
二年前の最初の結婚のときは常に寂寥と屈辱に苛まれていたためか表情は晴れず、その美貌も人目を引くことがなかった。
しかし一ヶ月前にガルィア王国の第五王子に嫁いでからというもの、
十七歳の主人は日に日に美しく生まれ変わっているかのようにアンヌには思われた。
アンヌはマリーの幼いころからの腹心の侍女である。
姫君より二歳年上なだけだが、その冷静沈着さと聡明さはマリーの母であるルース公妃からも高く評価され、
侍女というよりは姫の相談役のような立場を任されている。
二年前マリーがサクスンに嫁いだときと同様、今回の結婚に際してもアンヌは主人に付き随ってここガルィア宮廷に赴いた。
マリーとふたりきりのときはマルーシャ、アニュータというふうに祖国にいたときからの愛称で呼び合って心を許し合う仲であり、
もしアニュータが側にいてくれなかったらわたくしはジェラルドに先立たれる前にルースに逃げ帰っていたかもしれない、
とマリーが今でも感謝するほど影に日向に支えとなってくれた頼もしい存在である。
アンヌは灰色がかった金髪に深みのある灰色の瞳をもち、その目鼻立ちは端整と呼べる域だが、
笑顔と愛嬌に乏しいためか異性から魅力的と評されることは少ない。
しかし当人はほかの女官たちのように宮廷流の恋愛遊戯に身をやつす性向ではないので、
別にそれを気に病むこともなく、姫君の喜怒哀楽を見守りながら淡々と暮らしている。
マリーの髪を梳きながら、ふとそこに自分の顔が映し出せそうなほど艶があるということに気がつき、アンヌは内心ますます感嘆した。
(―――あの王子にも見るべきところはあるということだろうか。
結婚生活の安寧のおかげでマルーシャ様の美質にますます磨きがかけられたのだとしたら)
アンヌはオーギュストに対しては概して辛口である。
マリーが最初の結婚でひどく傷つけられたことに本人以上に心を痛めていた彼女は、
二度目の婚礼で初夜が明けた直後、今回は虐げられなかったどうか、優しい夫であるかどうかを主人に詳しく尋ねた。
彼女たちは互いを姉妹のように思っているので、マリーもつい起きたことをありのままに告白してしまったのである。
結果として、二番目の夫オーギュストがマリーを大切にする善良な少年であることが判明し一安心したが、同時にアンヌの脳裏には
「机上の学問に秀でているだけのぼんくら王子」
という印象がしっかり刻みつけられてしまった。
マリーはその評価を取り消そうと躍起になっているが、的をついているだけになかなか払拭できないでいる。
483ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:14:18 ID:ycdT4AMU

「ねえアニュータ」
アンヌがオーギュストのぼんくらぶりを心のなかで数え上げていたとき、
マリーが鏡の中で彼女の顔を見て話しかけた。櫛を動かす手が止まる。
「あの方にレパートリーを増やしていただくには、どうしたらいいかしら」
「何のレパートリーです」
「つまり、その・・・寝室での」
頬を染めながらマリーが答える。
いくら姉妹のような主従とはいえ、こんなことは姫君がおいそれと口にするものではない。
叱責されることを恐れてマリーは徐々に小声になる。
かといってアンヌは厳格な処女というわけではない。
持ち前の淡白な気質から純愛というものにこだわらないので、面白みのありそうな求愛者には肌を許すことが時々ある。
ふつう未婚の侍女の不身持ちが露見すればすぐに宮中から放逐されるものだが、
アンヌはマリーから一目も二目も置かれているのでこれぐらいの所業はむしろ主人から感心されるだけである。
とはいえ淫乱というにはほど遠く、男がいなければいないで困らないたちなので、姫君の素行を監督する権利は十分もっている。
「寝室での、ですか」
ありがたいことに監督者の声はそれほど驚いてはいない。
「ええ。だって・・・あの方と夜を過ごすのはとても素敵なのだけれど、
ほら、わたくしを娶るまで女体を知らずにいらっしゃったから・・・
その、どうしても、初夜にお教えしたことの繰り返しになってしまうの」
「体位がでございますか」
「―――そうよ」
顔色も変えず言い放つ侍女を鏡の中に見ながら、マリーはますます頬を赤らめる。
「この一ヶ月ずっと正常位だったということですか」
「ええ」
あのぼんくら王子、といいたげにアンヌが眉を顰めるのがマリーにも分かった。今回ばかりは多少同意してもいい気がした。
「しかし他に教唆する者がいないのなら、殿下がひとつ事ばかり繰り返されるのも仕方ありませんわね。
きっと世の中には男女の営み方はひとつしかないと信じておいでなのでしょう。
ならばマルーシャ様が新たに手ほどきしてさしあげればよろしいではありませんか」
「わたくしも、そう思ったのだけれど―――
でも、体位のような技巧的なことって夫婦の愛においてはいわば枝葉でしょう?
肌を重ねるだけでは満足できずにそんなつまらぬことに執着していると思われたら、
わたくしの愛情が疑われてしまうかもしれないわ」
「しかしながら、仮に殿下のほうから愛の歓びをより高めるためにいろんな方法を追求したいといわれたら、
マルーシャ様はあの方の愛情を疑い拒まれますか」
「―――いいえ」
鏡の中でアンヌの口元が少し緩んだのが見えた。マリーはまた真っ赤になる。
「もう、アニュータったら。わたくしだって恥を忍んで話しているのよ」
「失礼いたしました。でもご決心はついたでしょう。
今夜にでも何か新しいことをご提案なされませ」
484ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:15:38 ID:ycdT4AMU

オーギュストが寝台脇の燭台を吹き消そうとしたとき、マリーはとどまらせた。
「どうなさいました。何か読み物を?」
「いいえ、―――お話したいことがございますの」
妻の口調がやたら改まっているので、オーギュストも自然と寝台の上で居ずまいを正した。
「この寝台はたいそう広うございますわね。
あの、わたくしたち、もっといろんな可能性が試せると思いますの」
オーギュストは白い海原のようなシーツをざっと見渡した。
「そうですね。五、六人で七並べくらいできそうです」
「・・・それも素敵ですわね。でもここはほら、わたくしたち夫婦の寝室ですから、ふたりで楽しめることを」
「チェスはどうでしょう。でも盤を置いたら羽根布団が傷んでしまいますね」
「・・・ええ、ものを粗末にしてはいけませんわね。民の血税ですから」
腹心の侍女によるオーギュスト評がますます妥当性を帯びてくるのを感じながら、マリーはそれでも夫に訴えかけた。
何しろ妃たる者がなかなか自分から言えるようなことではないのだ。
「わたくしたち、今朝厩舎でひとつがいの馬を見かけましたでしょう」
「ええ」
「彼らは何をしておりましたか」
「牡が牝の後ろに立って種付けを」
「あれは、―――人間の場合でも有効なのだそうですわ。子作りに」
恥ずかしさのあまりわけのわからぬことを口走ってしまい、マリーは夫の顔が見られない。
「つまりマリー、あなたは―――僕たちもああいう姿で交わるべきだと?」
「べきだなんて、そんな。その、たまにはそういうのもいいかしらと思いましたの」
オーギュストは答えない。マリーがおそるおそる顔を上げると、思いがけないことに怒ったような表情をしていた。
「僕はいやだ」
485ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:17:20 ID:ycdT4AMU

一言そう言うと彼はさっと布団に入り反対側を向いてしまった。
全く予想していなかった事態にマリーはことばを失う。
(征服欲を煽られるから、殿方はああいう体位がお好きだとばかり聞いていたのに)
わたくしのあまりのはしたなさにお怒りになったのかしらと思うと、
マリーはもともと後ろめたさがある分、なんとか夫に詫びようとする。
「オーギュスト、こちらを向いてくださいませ。
 マリーが悪うございました。王子の妃ともあろう者が、こんな汚らわしい考えを起こしてはなりませんでした。
畜生の行いなど倣いたくないとおっしゃるのももっともですわ」
「―――そうではありません」
妻のいじらしい声を無視することはできずに、彼は結局また起き上がった。
「僕がいやなのは、つまり―――後ろからというのは、互いの顔が見られない。
 僕はあなたを抱いているということがわかるけれど、あなたは誰に抱かれているかは分からないではありませんか。
 あなたにはいくらでも想像の余地がある。―――前の夫君とか」
「まあ、なんということを」
マリーは目を丸くした。
「―――思いもよりませんでしたわ。なぜそんなふうにわたくしをお疑いになるのです」
「嫉妬は見苦しいと分かっています。でも、どうしようもないのです。
あなたを好きになればなるほど、そのことばかり考えてしまう。
今朝厩舎で駿馬を見たときのあなたの反応を見て、ますますその思いが抑えがたくなってしまいました」
「まあ―――」
マリーは夫のことばに困惑を隠せなかった。そんなつもりは全くなかったので、罪悪感さえすぐには沸いてこない。
しかしオーギュストが傷ついているのは事実なのだ。
マリーがいうべきことばを探しているうちに、彼はぽつりぽつりと語り始めた。
「僕もジェラール公子には何度かお会いしたことがあります。
我が宮中で毎春催される園遊会へ、サクスン公の代理としてたびたびお運びいただいたのです。
お年がひとまわり上なので、誼を結ばれるのはもっぱら上の兄たちとばかりでしたが、
でも、遠目にも分かる美丈夫でたいそう凛々しい方でした。
そのお姿と機知あふれる会話、優雅な物腰で貴婦人や女官たちの崇拝の的になっておられたのはむろんですが、
乗馬やチェスで腕を競っても全くたいした男だと兄たちも賞賛しておりました。
今年はじめ、マリーという名のルース公女との婚約を父上から告げられたとき、
僕はその姫君が遠い異国の出身であることよりも、故ジェラール公子の妃だったいうことのほうが気になりました。
僕を好きになってくださるかどうか心もとなかったのです。
花嫁行列が宮廷に到着したその日、馬車から降り立ったあなたは蝋人形のように綺麗だったけれどまるで生気が感じられず、
正直にいって、気持ちを通わせることができるだろうかと心配になりました。
でも婚礼当日、祭壇であの白いヴェールをはずしたとき、あなたの瞳は真っ赤で、
どこか怯えながらそれでも毅然とした表情をしていらっしゃった。
あのとき僕は分かりました。あなたも心細くてたまらないのだと。
けれどそれでも何とか己を奮い立たせているのだと。
涙で化粧が崩れてしまっていたけれど、あのお顔の美しさが僕には忘れられません。
そして夜になり、たぶんあなたも不安だったと思うのだけれど、一から優しくご教示くださり、僕を男にしてくださいました。
初夜の明け方ごろ、あなたの柔らかくてかぐわしい金髪に顔をうずめながら、僕はなんという幸福者だろうと思いました。
でも同時に不安だったのです。
あのような完璧な男性の妻だった方が、本当に僕みたいなのに心を傾けてくださることがあるだろうかと。
僕は分不相応な幸運を手にしてしまったのではないかと。
あなたを愛してしまったからこそ、婚約成立時のあの最初の疑念が、ますます頭から離れなくなってしまったのです。
ジェラール公子のもとにいらしたとき、マリー、あなたはとても誇らしく幸福だったと思います。
僕ももちろんあなたを幸福にしたいと思っています。心から思っています。
でも、そんなことが果たしてできるかどうか、あなたの心は彼から僕のほうへ少しでも向いておいでなのか、
それが心配でたまらない。ときどき平常心を失いさえしてしまう。先ほどのように」
486ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:18:30 ID:ycdT4AMU

マリーは黙っていた。
寝台脇で残り少なくなった蝋燭が小さな光を揺らしている。
あまり長い間沈黙がつづくのでオーギュストが何かいいかけたとき、マリーはとうとう口を開いた。
「わたくしの態度にそういうものが―――
あなたへの不実を匂わせる何かがございましたのなら、大変申し訳なく存じます。
ですがお聞きください。あの方はたしかに人より優れたところを数多く持ち合わせておいででした。
結婚当初はわたくしもたいそう光栄に思ったものです。でも―――
わたくしの思いを汲み心を通わせたいと思った下さったことにかけては、あの方は決してあなたの比ではありませんでした」
故人を悪く言うことを避けるためマリーは極力淡々と言い切ろうとした。
しかし彼女の意思とはうらはらにその声は徐々にうわずり、やがて嗚咽が抑えがたくなった。
マリーを襲ったのはオーギュストの想像とは似ても似つかぬサクスンでの惨めな記憶だけではなかった。
それよりも、わたくしは今はこの方の隣にいて、この方はわたくしの心を切実に求めていてくださっている、
という思いが彼女の心を満たしていた。
オーギュストが心配そうに彼女を抱き寄せると、マリーは素直に身体をあずけた。
「―――そして、そのことがわたくしにとっては最も大切なのです。
二度の結婚に際して父からは、くれぐれも夫となる方に心身を捧げて尽くし、
ルースとの紐帯をより強固なものにせよとの訓戒を賜りました。
ジェラール殿と結婚していたときも、あなたの妻である今も、常にそのことばを守ろうと努めております。
ですがオーギュスト、あなたに対しては、父から課された公女としての義務だからご奉仕申し上げるのではありません。
わたくしがあなたを知りたいと望んだように、あなたもわたくしのことを知りたいと―――
わたくしと身体だけでなく心も重ねたいと望んでくださったがために、
あなたにお尽くししたいのです。伴侶としてお力になりたいのです」
マリーは急に恥ずかしくなってオーギュストの胸に顔をうずめた。自分でもここまで吐露してしまうとは思っていなかったのだ。
夫の手が彼女の頭に置かれ、より懐深くまでそっと引き寄せられた。
マリー、と耳元で囁くようにして名を呼ばれるのが聞こえた。
「ジェラール公子との間に何があったのかは存じません。でも僕は決して、あなたのお気持ちをないがしろにはしません。僕はとてもふつうの人間で、ふつうのことしかできないけれど、でも、あなたを大事にします」
彼の胸の中でマリーはまた少し泣きそうになった。しかしゆっくり顔を上げて、目尻に涙をためたまま夫にそっと微笑んだ。
オーギュストがくちづけしたのを機に、ふたりは寝台のうえで愛撫を交わし始めた。
マリーは頬や首筋に接吻を受けながら、泣いた余韻で身体の芯が熱くなっていたせいもあるのだろうか、
今までにないほど激しく愛されたいとつい思ってしまった。
「わたくしの気持ちはお分かりいただけたでしょうか」
彼女の帯を解こうとしていたオーギュストは顔を上げ、もちろんです、とうなずいた。
「でしたら先ほどの提案も、もはやご疑念の対象にはなりませぬでしょう?」
妻に恥じらいがちな小さな声で説かれ、まだ少し潤みを残した瞳でのぞきこまれると、オーギュストも否とは言えなかった。
馬の姿勢にずいぶんこだわるものだとは思ったが、夫婦のかすがいのためにそうすることが必要なら甘んじて受け入れようと決めた。
しかし彼のほうにもひとつ条件があった。
487ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:20:40 ID:ycdT4AMU

「分かりました、マリー。そのように営みましょう。
でもひとつだけお願いがあるのです。
最初のときだけ、鏡の前でもよろしいですか」
マリーは耳を疑った。
「あの、今、何と」
「寝台の端に鏡を立てかけて、その前であなたを後ろから愛したいのです。おかしいでしょうか」
「お、おかしいというか、あの、それは」
どう考えても変質者の行為ですわ、とマリーは言いたかったが、夫の顔には卑しげな笑いや後ろめたさといったものが全くなく、
その代わり淡い栗色の瞳でまっすぐにこちらを見つめてくるので何も言えなかった。
「あなたがさっきおっしゃったことを、僕は信じます。
僕に抱かれながらほかの男のことを考えるかもしれないなどとはもう疑いません。
けれど最初のときだけ、たとえ顔を向かい合わせていなくてもあなたを抱いているのが僕だと分かるように、
鏡をのぞいてお互いを確認できたなら、とても安心できると思うのです。
 それに、僕もあなたのお顔を見て安心したい」
「・・・・・」
マリーはことばを失ったまま、この方はどうしてこうも健全な精神からこうも不健全な発想へと至ることができるのだろう、と半ば感心していた。
実のところマリーはジェラルドと結婚していたころ、
ややサディストの傾向がある夫に強いられてさまざまな形の情交を経験しており、
鏡の前で辱められるというのもそのひとつだった。
あのときは妻としてではなく単に玩具として扱われていることが分かっていただけにマリーの自尊心はぼろぼろだったが、
女にされたばかりの肉体のほうは危うい歓びに目覚め始めていた。
あのとき、鏡の中の己の痴態を見るよう命令されながら、
自分がどれほど興奮し濡れそぼっていたかを思い出すとマリーは顔から火が出そうだったが、
今オーギュストに同じことを提案されて、彼女の白い肌はまぎれもなく火照り始めていた。
自らの内にある熱に耐え切れなくなり、マリーはついに言ってしまった。
「よろしゅうございますわ」
「よかった」
その声と笑顔があまりに無邪気で幼いので、マリーはこれから自分たちがしようとしている行為との落差にまたことばを失う。
そしてますます背徳的な気分に襲われてしまう。
「では鏡を運び込ませねばなりませんね。鏡台は寝台の上には動かせませんから。
 ―――誰かいないか」
「え?ちょ・・・」
488ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:22:45 ID:ycdT4AMU
マリーが阻止する間もなく、王子夫妻の命があればいつでも動かんと待機していた宿直の侍女たちが控えの間から入ってきた。
「大きめの鏡をもってきて寝台の端に据えるよう、付近の従僕たちに伝えてくれ。若くて屈強なのがいい」
マリーが予測したとおり、侍女たちは一瞬目を丸くしたものの、すぐに含み笑いを押し隠すようにして寝室を出て行った。
さらに悪いことには、そのなかにひとりだけ立ち止まり憮然としてマリーの顔を見つめる娘がいた。アンヌだった。
(今夜はアニュータも宿直だったなんて)
観念したような顔でマリーは侍女の鋭い眼光を受け止めようとしたが、耐え切れずにすぐそらした。
アンヌは第三者がいる前ではふつうルースのことばは使わないのだが、このときばかりは主人に母国語で詰問した。
「マルーシャ様、これはどういうことです。
昼間はたしかにあのように申し上げましたが、こんな悪趣味をお勧めしたおぼえはありません」
「いえ、これはね、その、オーギュストが」
「殿下のご発案ですか。
ついこのあいだマルーシャ様のお骨折りのすえ女人を知りそめたばかりだというのに、
誰の入れ知恵か、早くもこのような退廃的な淫行にたどりつかれたのですか」
「い、いえ、そういうわけでは」
「あなた様もあなた様です。厭わしい行為は毅然としてお断りなさらねばなりません。
さもなくば先の夫君のようにつけあがるばかりです」
いつ見ても冷静なルース人の侍女が珍しく強い口調でマリーに話しかけているのを見て、オーギュストは
(こんな夜中に主人の気まぐれで使用人を動員するものではない、と諫められているのだろうか)
と思い、妻にも使用人たちにも申し訳なく感じた。
「アンヌ、聞いてくれ。これはマリーではなく僕が言い出したことなんだ。
夜中に突然みなを呼びだして悪かったと思っている。もうこんなことは言いつけない。
そうだ、明朝また従僕に骨を折らせて撤去させるのも忍びないから、いっそ鏡をここに固定してしまおう。
寝台が広いというのはたしかに素敵なことですね、マリー」
妻が愕然として顔をこわばらせているのを同意だと見なし、オーギュストは彼女にさわやかに微笑みかけた。
一方、アンヌは愕然とするどころか侮蔑の表情を浮かべんばかりだったが、落ち着いて王子の思いやりをたしなめた。
「恐れ多いことでございます、殿下。
ですが、宿直の臣下というものはこういうときこそ主君のご意向に沿うために侍っておるのでございますから、
何もご遠慮なさることはありません。明朝すぐにでも撤去するよう男衆に言い渡しておきます。
なんなら今夜じゅうにでも。一時間後にでも。いえ十分後にでも取り払いましょう」
(もうアニュータったら、この方はそこまで早漏ではありません)
(いいから、姫様)
という視線を交わしながら妻たち主従が対立していることにも気づかず、
オーギュストは穏やかに侍女の好意をしりぞけた。
「いや、今夜はいいんだ。必要だから。―――あ、来たようだ」
四人の若い従僕たちに担ぎ上げられて、銀製の額に入れられた長方形の大きな鏡が寝室に運び込まれ、寝台の足元のほうへ固定された。
「角度はどんな具合がよろしいでしょうか」
にやけた笑いを必死で押し殺しながら従僕のひとりが尋ねた。
彼らは若いだけに、今夜この鏡の前で美しいお妃がどんな恥ずかしい行為を強いられるのかと想像してひそかに股間を硬くしている。
マリーにしてみればこの部屋ではすでに何かのプレイが始まっているとしか思えない。
「垂直でかまわない。ふつうの鏡と同じようにしてくれ」
マリーはもはや壁側を向き誰とも目を合わせようとしないが、オーギュストひとりは落ち着いて指示を下し、
作業を終えた使用人たちをねぎらいのことばとともに送り出した。
アンヌは最後までその場に残ったものの、主人が振り向かないと分かると、マリーにだけ分かることばで
「明朝、事情をお聞かせいただきます」
とだけ言い残してようやく踵を返した。
489ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:24:30 ID:ycdT4AMU

「マリー、ご気分が悪いのですか」
壁側を向いて横たわったままの妻が心配になり、オーギュストは声をかけた。
気分が悪いという次元の話ではないのだが、何がどう恥ずかしいかを説くのも恥ずかしいことではあり、
何より彼には全く悪気がないのでマリーは説明を放棄した。
「いいえ、大丈夫ですわ」
彼女はもはや開き直って夫の腕に身を投げ出した。
アンヌたちの前では自分も耐えているのだというそぶりをしながらも、
その実彼女は差し迫る背徳行為にひそかに息を熱くしていたのだった。
「マリー」
思いがけない妻の大胆さに驚きながらも、オーギュストは彼女を抱きしめ深くくちづけした。
マリーの手ほどきをうけて、接吻の技法はここ数週間でずいぶん上達したものである。
「ん・・・あん・・・」
お互いの舌と唾液を絡めあい、ふたりのからだはますます熱くなっていく。
オーギュストの手でもどかしげに寝衣を剥ぎ取られながら、マリーは早く深奥まで触れられたくてたまらなかった。
しかしさすがに姫君なので、自ら牝馬のような姿勢をとるのはやはりはばかられる。
夫に乳房を揉みしだかれ、敏感な乳首を吸われて呼吸を荒くしながら、
(あの姿勢になるようお命じくださるか、力づくでそのようにしてくださればいいのに)
とマリーがはしたないことを思っていたとき、彼のほうも実は妻が自ら動いてくれることを待っていた。
しかしじきに待てなくなり、彼女の望みどおりその身体をやや強引にうつぶせにして
手と膝を寝台の上につかせ、鏡に向き合わせた。
このような角度で妻の肢体を眺めるのは実に新鮮だった。
最初オーギュストは彼女の見事にくびれた腰から豊かな臀部にかけての曲線の美しさに驚嘆していたが、
その奥に隠されたふたつの秘門が後ろからだとはっきり見えることを知り、ようやくこの体位の卑猥さに気がついた。
しかも割れ目のほうはすでに潤っていることまで見て取れる。
その濡れ具合をたしかめるために指をしのばせると、花びらに触れただけで妻の華奢な身体は弓なりに反った。
「や、あん・・・」
「もう濡れておいでですね」
「や・・・」
「指が、こんなにすんなりと奥まで」
「いやあ・・・だめえ・・・」
オーギュストの優しい指が二本自らの内に入ってきたことを感じ、マリーの息はますます熱くなる。
その指の動きのせいで蜜の音が響くことも恥ずかしいが、
何よりこのような姿勢で後ろから夫に秘部をのぞきこまれているのがいちばん恥ずかしい。
しかもオーギュストは自然科学を愛好する者の常なのか、目の前で起きている現象を客観的に観察して報告したがる癖がある。
ことばで妻を責めているという意識がないだけにかえって厄介である。
「マリー、ここはとても充血してきたようです。もうひとつの穴も感じているのかな。ひくひくしている」
「い、いや、見ないで・・・ひどうございますわ・・・」
「お許しください、あんまり可愛らしいから」
妻の美しい肉体を不躾に鑑賞する非礼をわびたものの、この眺めを見せつけられて彼の分身はもう待てなかった。
「マリー、よろしいですか」
「え、ええ・・・あああっ」
オーギュストは彼女の腰をしっかりつかみ、自身を濡れそぼった秘門にあてがおうとしたのだが、
あまりに蜜があふれているのでつい滑ってしまい彼女の花びらを自身の幹でこすりあげたのだ。
すでにふくらんでいた秘芽は突然の摩擦をうけて過敏なまでに反応し、マリーの身体をますます反り返らせた。
「申し訳ない、ずれてしまった」
「い、いいえ・・・気になさらないで・・・」
夫には言えないが、これもいいかもしれないとマリーは思ってしまった。
「今度はちゃんと挿入します・・・・・くっ」
宣言したとおり、オーギュストは今度はまちがいなくマリーのなかに入ってきた。
490ふたたびの伴侶:2007/05/12(土) 17:26:22 ID:ycdT4AMU

「ああっ・・・はあんっ・・・・・」
まだ侵入され始めたばかりにもかかわらず、ふだんの正常位とは明らかに違う感触にマリーは早くも歓喜をおぼえた。
しかしそれを露骨に示すのはためらわれるので、オーギュストに聞こえるか聞こえないかの声を濡れた紅唇から漏らすばかりだった。
しかし彼が激しく突き進んでくるたびに彼女の理性は弛緩してしまい、
結局肉体のほうはより素直に快感を受け入れようと腰を高く突き出すに至った。
顔はシーツにうずまらんばかりだ。
「ああ・・・マリー・・・鏡を、見てください」
初めての体位に妻以上に興奮をおぼえながらも、オーギュストは本来の意図を忘れずに妻に声をかけた。
「か、かがみ・・・?」
「ええ、お顔を・・・あげて・・・」
言われるがまま半ばぼうっとなった頭を上げると、そこにはねだるように腰を高くあげて後ろから責める夫に差し出している自分がいた。
牝猫のように浅ましい姿である。
彼に突き上げられるたび、下を向いた乳房が悩ましいほど激しく揺れる。
「いやああっ!」
かろうじて残っていた理性がマリーに顔を背けさせ、ふたたびシーツにうずめさせた。
「マリー、どうか見てください」
「いや・・・こんなのいや・・・」
「約束をしたではありませんか」
「できません・・・」
「僕を見るのがおいやなのですか?」
「いいえ、そんなこと」
オーギュストの声が急に悲しげになったことにマリーは罪悪感をおぼえ、一瞬ためらいながらもまた頭を起こした。
鏡に映る姿はやはり同じで、すぐに目をそらしたくなる。
(だめ・・・ちゃんと見なければ。オーギュストのお姿だけ見ていればいいのよ。それが目的だもの)
そう自分に言い聞かせるが、しかし鏡に向かい合う姿勢からいって、まず目に入るのは後ろからかぶさる夫ではなく自分の姿態である。
乱れた金髪は汗で額や肩にはりつき、乳房にも汗が伝って硬いままの乳首から滴り落ちようとしている。
次々迫り来る快感のために、大きな瞳はなかば夢見るようにとろんとしている。
491ふたたびの伴侶

(わたくしは何という姿をしているの・・・こんな、獣のような・・・恥ずかしい・・・)
理性がマリーをとめどなく叱責する。
そんなことはありえないにしても遠い祖国の父母にこの痴態を知られたらと思うと、とてもではないが顔を上げてはいられなかった。
「マリー、どうか・・・お顔を上げて・・・」
「お許しください・・・わ、わたくしには・・・できません・・・」
「マリー、お願いだから」
「おゆる・・・や、やあああっ」
オーギュストの指が突然マリーの愛らしい芽を撫で上げたのだ。
その敏感ぶりに感心したのか、彼の指は執拗にそこだけを責めつづける。
人差し指と中指のあいだに挟まれて優しく擦りあげられると芽はつぼみのようにふくらんでますます充血し、
やがてマリーの全感覚を支配するにいたった。
愛液はいまや太腿を伝って膝まで滴り落ち、白いシーツにゆっくりと染みを作っている。
後ろから秘奥を突き上げられながら同時に秘芽をさすられるという拷問に、マリーは息も絶え絶えになりながら抗おうとする。
「もう許し・・・て・・・お願い・・・です・・・」
「お顔を・・・上げてくださいますか・・・?」
(―――こんな取引の仕方を誰に教えられたのかしら)
マリーは夫に入れ知恵をした者を恨めしく思いながらも、同時に感謝したい気もしていた。
「わ、分かり・・・ました・・・」
マリーが恐る恐る顔を上げて再び鏡のなかの己にまみえると、当然ながら夫の指が止まり、そこを去ろうとした。
「い、いやっ!」
気も狂いそうな絶頂の予感をおぼえていたマリーの本能は急いで彼の手を引きとめ、そこに触れたままにさせる。
オーギュストは妻の非論理的な行為に驚いているが、マリーはそれ以上に自分のはしたなさにびっくりしている。
「マ、マリー・・・あの、僕はどうすれば・・・」
「・・・つづけて、ください・・・」
もはや破れかぶれになってマリーは懇願した。
(ここでやめられたらわたくしは本当に気が狂ってしまう)
己の肉体の貪欲さにいたたまれない思いをしながらも、開き直った彼女はオーギュストの愛撫を全身で受け入れ、
後ろから一突きされるたびに艶めかしい悲鳴を上げた。
雄の耳朶にまとわりつくようなその甘い声を聞けば、どんな聖職者でも下半身を熱くせずにはいられないだろう。
オーギュストは妻の素直な反応をはしたないと思うどころかますますいとおしく思い、情動に命じられるまま激しく突き上げた。
「ああ、マリー・・・このような姿も・・・とても綺麗だ・・・あなたの、表情も」
「やぁん・・・ご覧に・・・ならないで・・・」
「見ずには・・・いられないのです・・・もっとよく・・・知りたい・・・」
「は、恥ずかしゅうございますわ・・・あぁ・・・はぁっんっ・・・」
やがて抽送が素早く小刻みになり、マリーは彼の絶頂が近づいたことを知る。
(わたくしも・・・そろそろ・・・)
めったにないことながら、今夜はふたりが同時に上り詰めることができそうだという期待に花芯をうずかせて、
マリーは彼に突かれるがままいよいよ素直に身を反らせた。
認めたくないことだが自ら腰を前後に揺らせていたかもしれない。
オーギュストがほとんど自失の体で、妻の積極的な動作に気づいていないことだけが救いだった。
「マリー、すごい・・・ああ・・・僕は、もう・・・」
「ええ・・・一緒に・・・一緒に行きましょう・・・どうか・・・」
「・・・あああっ・・・」
「あああああっ!!」