【涼宮ハルヒ】谷川流 the 36章【学校を出よう!】
1 :
名無しさん@ピンキー :
2006/12/15(金) 19:33:23 ID:V0WMn/1g
2 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/15(金) 19:33:54 ID:V0WMn/1g
Q批評とか感想とか書きたいんだけど? A自由に書いてもらってもかまわんが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。 Q煽られたりしたんだけど… Aそこは閉鎖空間です。 普通の人ならまず気にしません。 あなたも干渉はしないで下さい。 Q見たいキャラのSSが無いんだけど… A無ければ自分で作ればいいのよ! Q俺、文才無いんだけど… A文才なんて関係ない。 必要なのは妄想の力だけ… あなたの思うままに書いて… Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど… Aふみぃ… 読み飛ばしてくださぁーい。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。 Q保管庫のどれがオススメ? Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろ。 Q〜ていうシチュ、自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。 Aうん、それ無理。 だっていきなり言われていいのができると思う? Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの? A拒否しない場合は基本的に収納されるのね。 嫌なときは言って欲しいのね。 Q次スレのタイミングは? A460KBを越えたあたりで一度聞いてくれ。 それは僕にとっても規定事項だ。
なかなかツンデレなスレ立てであった 乙
涼宮ハヒル まだー?
〃´⌒ヽ
., -―― メ/_´⌒ヽ
/ / ̄ ´ヽ ヽ
./ , /// ト. ! 、 丶ヽ
l / /(((リ从 リノ)) '
| i l . ヽノ .V l
l ,=! l /// ///l l お疲れ様
>>1 l ヾ! ', l ヽ_フ l l ご褒美にPS3あげるわね
| ヽヽヽ //
l ヾ≧ , __ , イ〃
li (´`)l {ニ0ニ}、 |_"_____
li /l, l└ タl」/|´ PanaSonic`l
リヽ/ l l__ ./ |____3DO____|
,/ L__[]っ / /
>>1 乙ー。
>>5 最近嫌な夢を見る。夢占いできる輩はぜひとも結果を教えて欲しい。
その夢だが、あの朝倉が森のクマさんを歌いながらナイフで襲って来るというものだ。
朝比奈さん(大)が幽霊のような状態になってたりする事もある。
他にもコンピ研が本当に輪姦行為に走ったり古泉がただキモい奴になってたりする時もある。
このフロイト先生も笑いながら走っていきそうな夢は一体何なんだろうか。
「それは涼宮ハルヒが望んだ行為。だが涼宮ハルヒ自身をそのまま投影するにはあまりに肉欲的な内容。
だから一部世界を改ざんした状態で再現された。それがあなたが見る夢の映像」
「……と言う事にしておいた」
ハヒルも実際の高校生使えばもっと売れただろうに
ハヒルの話はするな 鬱になる
てかハヒルという単語を見て以来ハルヒがハヒルに見えてしまうwww
ハヒルカワイクネ もうちょっとかわいい女優いるだろ!
ハヒルは古泉と間宮ゴローが目玉だよな
間宮ゴローw フェイトのあれはクオリティ高かった
みるくはそこそこかわいかった 乳なかったが
18 :
看病 :2006/12/16(土) 02:53:34 ID:95OTMHUj
「あれ、もう冷えピタ無いじゃない! ちょっと森さんに言ってもらってくるわ。キンキンに冷えた奴をね! キッチリ冷やしてあげるから覚悟なさい!」 そう言い残すと、ハルヒはドアを勢い良く開け放したまま廊下の向こうに消えて行った。 吹雪のなかに建つ不思議な館から無事生還した俺たちは、 今はこうして長門の部屋に集まって冬合宿最初の夜を過ごしている。 未だ正体の知れぬ宇宙的存在と情報戦を繰り広げたせいで一度はかなり衰弱していた長門も、 情報統合思念体との接続を確立できたおかげで、いつもと変わらない様子に戻っている。 それでも長門がまだベッドに縛られているのはようするにハルヒがそう騒ぎ立てているからで、 俺たちが長門の部屋でだらだら6ニムトをやったりしているのも、やはりハルヒが 「せっかくの合宿なのに独りで寝てたら有希がかわいそうでしょ!」 と高らかに宣言したからに相違ない。 体調の悪い長門を看病している――つもりなのはハルヒだけで、 このたびの事件のことをロクに知らない朝比奈さんでさえも長門が本調子に戻っていることには気付いている。 そもそも、ハルヒが本当に長門の体調を心配しているのなら、 長門の部屋で看病ごっこやったりゲームやったりして騒ぐのはむしろ避けるべきなんじゃないかと思うのだが、 ここらへんの矛盾に全く気がついていないのがいかにもハルヒらしい。
19 :
看病 :2006/12/16(土) 02:55:01 ID:95OTMHUj
「ふう」 ハルヒが開け放していったドアを眺めながらそんな事を考えると、ベッドのきしむ音がする。 手元のトランプから顔を上げると、寝ぐせ頭の長門がもそもそと動いているところだった。 横になっていた状態から身を起こし、 掛け布団をめくって着込んでいるうすい水色のパジャマ姿を晒している。 自分の手札をカーペットに置いてゲームを続けるよう他のメンバーに手で示すと、 俺ははだしの爪先を今にも床に着けようとしている長門を押し留める。 「おい長門、寝てろって。ハルヒが戻ってきたらまた面倒だぞ」 俺が言うと、長門はちいさく首をかしげてうんざりした雰囲気を漂わせる。 「鞄に入れてある文庫本を取るだけ」 「ああ、じゃあ俺が取ってやるから」 開けっ放しのドアを閉じてから、 長門の鞄が置いてある壁際に設けられたライティングデスクへと歩み寄る。 うわっ! マホガニーだよこの机。贅沢だなあ。 「どうせわたしは使えない。机の素材など関係ない」 あのー、長門さん。ひょっとして拗ねてます?
20 :
看病 :2006/12/16(土) 02:56:39 ID:95OTMHUj
持ち主の生活臭の薄さを感じさせるちいさな鞄を両手に持って、ベッドサイドへと戻る。 「涼宮ハルヒがわたしの身を案じているという事は理解できるが、 途中から目的と手段が入れ替わっていると考えられる」 まあ、あの不思議館の中でメシ食ってひと眠りしちまったからな。 エネルギーが有り余ってんだろうさ。 「それを全てわたしの看護に費やされても、過剰にすぎる」 珍しく愚痴のようなものをこぼす長門に軽い驚きを覚えながら、 俺はさっきまでハルヒが座っていた枕元の椅子に腰掛けた。 「ほら、カバン持ってきてやったぞ」 「……」 こく、と俺だけが分かるような微妙な角度で頷いて、長門は自分のカバンを開けた。 横から顔を出して覗いてみる。 文庫本が6冊と…学校でいつも着てるやつかな、薄手の黒いカーディガンと、 あと一番奥に丸っこく畳まれてるのはもしかして下g パタン! 本をつかみ出した長門は軽い音を立ててかばんの口を締め切ると、俺の膝の上へと押しやった。 その額にはさっきまで貼られていた冷えピタの跡が残っている。 10分に一度貼ったり剥がされたりを繰り返されては跡ぐらい残るだろう、 俺は苦笑しながら手近にあった濡れタオルで拭いてやった。
21 :
看病 :2006/12/16(土) 02:58:53 ID:95OTMHUj
「……」 タオルの布地の影から、俺を見上げる目が見え隠れしている。 黒いビロードのような瞳と目が合って、俺の胸中が揺れた。 ――合宿初日から、ご苦労様だな、長門。 つい先日起きたばかりの長門の暴走を思い出す。 2度とあんな事を起こさせないように、せめてこの合宿の間だけは 彼女にごく普通の思い出を作ってやりたかったのに、 それさえも果たせなかった自分に情けなさを通り越して怒りさえ湧いてくる。 そんな俺の気持ちとは裏腹に――長門は起き上がってベッドに座った状態でさっそく文庫本をめくり始めた。 「おいおい、横になってなきゃだめだって。ハルヒがまた騒ぐぞ」 「いい。わたしは一応ベッドに居る。これが妥協点」 まあ、わからなくはない。 同じ部屋で俺の妹や鶴屋さんがゲームしながら騒ぎまくっているのに、 自分は寝ながら天井ばっかり睨んでなくちゃならないというのはかなりの苦痛だろう。 しかもハルヒの度を知らぬ看病付き。これじゃストレスが溜まるばかりだ。 起き上がって本を読むくらいさせてやろう。
22 :
看病 :2006/12/16(土) 03:01:03 ID:95OTMHUj
ふかふかの羽毛まくらをクッション代わりに座らせると、 長門の姿はセミダブルのベッドの上ではいつも以上に小さく見えた。 投げ出された脚の上に毛布と布団を掛けなおしてやりながら、俺は彼女をそっと観察する。 森さんが用意してくれた水色のパジャマは長門のうすくて白い肌の色に良く似合っていて、 わざと大きめのサイズにしてあるのか、袖が余り気味で手の甲が半分くらい隠れているのも実に素晴らしい。 ちょっと開いた襟元からは長門の鎖骨とうなじが見えて… 「……」 邪な視線を感じたか、文庫本から顔を上げた長門が俺の顔を眺めている。 その眉がわずかに潜められているように見えるのは、きっと気のせいなんだろう、多分。 「ええと……病人にしては、ちょっと寒そうに見えるな。 さっきのカーディガンでも羽織るか」 内心のやましさをごまかす為にそんな事を言ってみる。 無表情だけどジト目、という器用な視線から目を逸らし、膝の上のかばんから 綺麗に折りたたまれたカーディガンを取り出して、長門の肩にかけてやる。 「……」 「……」 羽織らせた拍子に、長門の背中に手が触れる。 俺の手の下の細っこい肩の上にかけられたカーディガンがマッチして、 いまはもう消失してしまった世界の、眼鏡を掛けていたもう一人の長門を思い出す。 もし、あの長門が風邪かなんかでお見舞いに行ったとしたら、 きっと目の前の光景が再現されるに違いない。 そう、これが…これこそが、世界で通用するレベルの病み上がり文学少女だっ!
23 :
看病 :2006/12/16(土) 03:02:41 ID:95OTMHUj
この偶然がもたらした奇跡を俺が神に感謝していると、 長門が読んでいた本を布団の上において、俺の顔を覗き込んだ。 カーディガンの前をかきあわせ、俺のセーターの裾をつまんでから、 長門の薄い唇が、俺にだけわかる、平坦ながらもわずかに困ったような、 それでいてすこしだけ嬉しそうな囁きを伝えてくる。 「もう……あなたも、世話焼き?」 その後、俺が勢い余って長門にキスしそうになった所を 丁度帰ってきたハルヒに豪快な飛び蹴りを喰らったり、 トランプを続けていたと思ってた面々に 一部始終を目撃されてたせいで言い訳が全く出来なかったり、 ハルヒの命令で俺だけ屋外で雪の中で首まで埋まった状態で一晩過ごしたりと、 相変わらずなドタバタはあったのだが。 それはまあ、別の話。
新スレ記念に書いてみた。 深夜の御目汚し失礼しますた。
反省しろ 短すぎることを反省しろ
長門のラストのセリフいいなあ。 らしくないけど妙に可愛い。
短すぎるよもったいないヨ……
28 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/16(土) 08:47:18 ID:Ev0oZXjX
短い 私を生殺しにしておいて、ただで済むと思ってるんじゃないわよ! 有希に埋めてやるから覚悟しなさい!
今すぐ続きを書け。・゚・(ノД`)・゚・。
萌え死ぬかと思った
短い。短いよ本当に。 どれくらい短いかというと、前スレのうめで丁度終わるくらい短い
だ が、 そ れ が い い ! と言うとでも思っ わせてあげるわよ!GJ!!
丁寧で実にえがったw
こういうのいいね。いくらでも話が膨らんでしまって悶えてしまうわ。 GJ。でもちょっとだけこれの前後を期待したいかも。 前スレ終了ー。 寝ぼけて書いたら最後1レス予定してたスレ案内がはいらんかった……orz
アスタリスクの人埋めネタなのにやたらクオリティ高いよwwww楽しかったですwww
なんだかんだで前スレレス数500切ってるな〜 新スレでいきなりこういうのも読めるし、埋めネタもGJだし、もう思い残す事はない……
>>23 先が気になってしょうがないw
病み上がり文学少女イイ!
>>36 じゃあ氏ね。氏にたくなければ早うSSを書くのだ。
いいなぁ看病ネタ。 前スレ埋めネタも実に良かったw おまえらGJッ!
ハルヒが国木田に指輪をプレゼントされて、キョンに相談に行ったSSの題名と 場所をご存じの方いらっしゃいませんか
できたー! 投下しまーす。
--------------------------------------------------------------------------- ……夢を見ている。 短い間の幻。誰かの影。 わたしはあなたに話しかけられない。 あなたは背中を向けて行ってしまう。 --------------------------------------------------------------------------- 「では長門、この英文を日本語に訳してみなさい」 「わたしは彼が去る前に彼を捕まえようとした。しかしそれは叶わなかった」 「よろしい」 夢……。あれは一体何なのだろう。 ――もうひとつの冬―― わたしの名前は長門有希。県立高校に通う一年生。 今は二月。わたしは英語の授業を受けていた。 うたた寝をしてしまったわたしは、夢を見た。 夢の中で、わたしは誰かと会っていた。 ……誰なのか分からない。 目が覚めるといつもと変わらぬ教室の風景が広がっていて、 さっきまで見ていた光景が幻であったことを伝えていた。 何の夢だったか思い出せない。 どこか知っている場所が出てきた気がする。 そこにわたしがいたのを覚えている。 知らない誰かが近くにいたことも。 あとは分からない、思い出せない。 わたしは文芸部に入っている。 部員はわたし一人。 もともといた部員は全員が前の年で卒業。 わたしが入らなければ廃部が決定していたらしい。 誰もいない部室の鍵を開け、電気をつける。 この部屋はとても寒い。 教室にはストーブがある。けれど、ここにはない。 わたしは椅子に座る。 たたんで置いてあった毛布を取って、膝にかけた。 ……。 これでもまだ寒い。 パソコンの電源を入れる。 何年か前の先輩達が購入したもので、型はかなり古い。 立ち上げるまで何分もかかる。
わたしは今読んでいる文庫本を開いた。恋愛小説。 登場人物はみな感情豊かだ。わたしと違って。 笑ったり、怒ったり、泣いたり……。 ドラマチックな人間模様は、いつもわたしを惹きつける。 今まで何冊の本を読んだのか分からない。 最初の記憶はおじいちゃんの家の書斎だった。 読めない字ばかりだったのに、わたしは喜んでページをめくっていた。 おじいちゃんはそう言っていた。 いつだってわたしは読書が好きだった。 記憶をたどっているうちにパソコンは起動していた。 わたしは文庫を閉じて、テキストファイルを開く。 いつからか書いている小説。 全然うまくいかない。 読むのはこんなに好きなのに、書くのはどうして上達しないのだろう。 それからしばらく、わたしは次に広がる物語を考えていた。 やがて放課後になった。 あまり進んでいない。いつもと同じ。 この小説が出来上がる日は来るのだろうか。 部室に鍵をかけて家に帰る。 山の上にある学校から、麓にある駅まで歩く。そこまで来ればもう目の前。 二月の夜はコートとマフラーを着こんでいても寒い。 「……」 冷たい風が頬を打つ。 吐く息は真っ白だった。 わたしはひとり暮らしをしている。 両親とは長い間会っていない。どんな顔だったのかもあまり覚えていない。 二人とも仕事で海外にいて、毎月十分すぎるくらいの生活費をわたしの口座に振り込んでくれる。 けれど会いに来ることはない。 会いに来てほしいとも思わない。 わたしは書店で買ったハードカバーをこたつに置いた。 キッチンに向かい、夕食の支度に取りかかる。 できあいのものやレトルトで済ませてしまうことがほとんどで、今晩もそのつもりだった。 ピンポーン チャイムが鳴った。 わたしはインターホンまで歩いていった。相手を確認する。 訪問者が誰だか分かると、玄関に行ってドアを開けた。 「こんばんは。お邪魔します」
朝倉涼子。わたしの親友。 高校に上がる前から彼女とは親しかった。 口下手なわたしに、いつでも気配りしてくれる。 けれど、わたしは涼子に何もできていない……。 「今日はシチューにしてみました。有希、ホワイトシチューは食べられたよね?」 「うん……、大丈夫」 涼子の料理がおいしくなかったことなんて一度もない。 彼女は五組の学級委員をしていて、どの子からも頼られて人気がある。 だから時々、どうしてこんなにわたしに優しいのか分からなくなる。 「学年末試験はどう?」 食事の途中で涼子が言った。 「いつも通りかな……」 「今度こそ負けないからね。この前は英語でけっこうミスしちゃったからなぁ」 涼子は屈託なく笑う。わたしもつられてしまう。 「ふふ。お互い頑張りましょうね」 「……」 涼子は温かい人だ。わたしとは違って……。 わたしは友人をつくるのが苦手だ。つい相手と距離を置いてしまう。 本さえ読めればいい。そう思ってしまう。 「楽しかったわ。また来るわね」 「うん。……ありがとう」 涼子は二階下に住んでいて、わたしと同じ一人暮らしだ。 どうやって涼子と出会ったのか、はっきりとは覚えていない。 気付いたら、こうして一緒に夕飯を食べるようになっていた。 パタン。 ドアが閉まる。 わたしはリビングに戻って、買ってきた本を読むことにした。 長編のSF小説。物語を読むのが好きだった。 それからしばらく、読書に没頭した。 こたつがとてもあたたかい……。 ……。 --------------------------------------------------------------------------- 夢。 本がどこまでも並んでいる。 わたしはそこで立ち尽くしている。 どうしたらいいのか分からない。 突然、誰かに手首を掴まれる。 ---------------------------------------------------------------------------
「……」 目が覚めた。こたつで眠ってしまっていた。 時計を見ると、まだ真夜中だった。 何の夢だったろう……。 思い出せない。 横になって考えているうちに、二度目の眠りがわたしを包んだ。 翌日は晴れていて、昨日より暖かかった。 身支度と朝食をすませたわたしは、いつものように学校へ向かう。 通学路の長い坂道。 前に誰かと並んで下りたことがなかったっけ。 ……。 あるはずがない。 どうしてそんなことを考えたのだろう。 涼子とたまに一緒になることはある。 けれど、他の人とわたしが歩くことなんてない。 ……ない。 「ねぇ、長門さんはどうするの? 誰かに渡す?」 クラスメートの話。 「……なんのこと?」 わたしは答えた。彼女は元気よく言う。 「決まってるじゃない。十四日よ、十四日」 ……ピンと来ない。 何かあったっけ、二月十四日。 「んもう、バレンタインでしょ。意中の男性に想いを伝える絶好の機会じゃない!」 彼女はどこか恍惚気味に話を続ける。 「当然長門さんも渡すんでしょ?」 「え……。なにを?」 彼女はわたしの机を両手で叩いて、 「チョコレート! 知らないなんて言わせないわよ?」 「……」 ――バレンタインデー。 好きな人に想いを伝える日。渡すのはチョコレート。 これまでわたしはどうしていたっけ。 小学校。中学校。 ……誰かにあげたっけ?チョコレート。 覚えていない。 好きな人なんていなかったのかもしれない。
「あ、わかった。そういうイベントごとが好きじゃないんでしょ。 でも今年はどう? 誰かいない? 気になる人が!」 「……」 いない。 男の子は苦手。上手に話せないから。 「お互い頑張りましょうね!」 「……」 昼休みは図書室へ行った。 週に一度だけ来ることにしている。 それ以上来ると、つい読みすぎてしまう。 SFの棚はあと少しですべて読み終わる。 わたしは端にあった一冊を手にとって、空いている椅子に座った。 ……陽射しがあたたかい。 --------------------------------------------------------------------------- 夢。 ここは部室。 知らない人たちが傍にいる。 あの人もやっぱりここにいる。 わたしは呼び止めようとしている。 ……誰を? 言葉が出てこない。 はやくしないと彼は行ってしまう。 はやく。はやく。 はやく…… --------------------------------------------------------------------------- 「……長門さん。長門さん?」 誰かの声。 「……」 また眠ってしまった。 この頃やたらと眠いのはどうしてだろう。 わたしは眼鏡をかけ直す。 「はやくしないと授業に遅れちゃうよ?」 男子生徒。……見覚えのある顔。 でも、名前までは思い出せない。
「……ありがとう」 「お礼なんていいよ。それより急がないと」 彼はわたしをうながした。 「……」 わたしは頷く。 本を棚に戻して出口に向かう。 彼とわたしは並んで教室への道を急ぐ。 彼の階はひとつ上。 ここで別れる……。 「……あの」 わたしにしては大きな声。 「名前」 彼は踊り場で振り返って、笑いながら答えた。 「僕? 僕は国木田。朝倉さんと同じクラスだよ」 国木田……くん。 「じゃぁね、長門さん」 わたしは不器用に手を振って、階段を上る彼を見送った。 「……ばいばい」 「……なるほどね。国木田くんに起こしてもらって授業に間に合ったんだ」 「うん」 「ふふ、よかったじゃない」 「うん……」 帰り道。 二人一緒の登下校は珍しい。 いつもは部活があるから、時間が合わない。 「それで、どうなの?」 涼子はわたしの表情をうかがうようにして言った。 「……どうって?」 「国木田くんよ。ちょっといいなとか思わなかった?」 わからない。ちょっといいって何だろう……。 「もう、鈍感ねぇ。こう、胸がきゅんとする感じにならなかったの?」 涼子は両手で自分の胸を押さえて言った。吐息が白くなる。 きゅん? ……わからない。 「有希にも分かる日が来るわ。きっとね」 涼子はウィンクをした。 ……来るかなぁ、そんなの。
--------------------------------------------------------------------------- 夢。 わたしは肩をつかまれていて、身動きが取れない。 相手はとても真剣に何かを話している。 わたしにはその話が分からない。 それに……こわい。 彼は話し終えるとわたしを解放して、がっくりしたように椅子に座る。 わたしは彼を知っていた。 たぶん、彼もわたしを……。 彼にしてあげられることがないか、わたしは考えている。 何か言わないと……。 何か……。 --------------------------------------------------------------------------- 「……」 まただ。 いつ眠ってしまったんだろう。 わたしはベッドから這い出した。 部屋には朝の光が射している。まぶしい。 ……今朝の夢はいつもより覚えている。 それに、いつもより長かった。 あそこにいたのは、わたし? ……あんな状況になった記憶はない。 何の夢なのか相変わらず分からない。 ……。 夢の中も寒かった気がする。 冬なのかな……。 「また会ったね。こんにちは」 昼休み。 図書室に行くと、今日も国木田くんが来ていた。 わたしがここに来たのは……昨日の本を借りるため。 わたしは目的の本を手に取ると、国木田くんの斜向かいに座った。 「……こんにちは」 それだけ言って、すぐに本に目を落とす。
やっぱり男の子は苦手……。 「長門さんって、いつも昼休みは図書室にいるの?」 「……」 首を振る。 「火曜日だけ」 「あれ? 今日は水曜日だよね」 「……今日はたまたま」 わたしはうつむいた。やっぱりだめだ……。 「そっか。それじゃ火曜日の昼にここに来れば長門さんに会えるんだね」 「え……」 ……何だろう、今。 びっくりした。 どうして? それから昼休みが終わるまで、わたしは読書に集中できなかった。 国木田くんは選んだ本に夢中のようだった。 帰り際。 わたしは貸し出しカードに記入をして、図書室を出ようとする。 「長門さん、忘れ物だよ」 国木田くんに呼び止められた。 ……こちらに駆けてくる。 「はい」 差し出されたのは栞だった。花の模様。 ……こんなの持っていたっけ? 「あれ。長門さんの本から落ちたように思ったんだけど、違った?」 「……ありがとう」 わたしは栞を受け取って自分の本に挟んだ。……教室へ戻ろう。 「あ、それから長門さん」 再び足を止める。 「なに」 「僕は週の半分くらいはここにいるから」 「……そう」 わたしは振り向かずに走り出した。 今国木田くんの方を見たら、気付かれてしまう気がしたから。
……何に? 早足で歩きながら、わたしは自分の頬に触れてみた。 ……いつもより温かくなっている気がした。 帰り道。 わたしは駅前から道を逸れてスーパーに向かった。 週に数回、こうして買出しに行く。 文庫を読んでいたら、誰かにぶつかってしまった。 「いたっ……」 「あ、ごめんなさい」 「……」 相手も女子高生だった。 真っすぐ伸びた黒い髪。すぐ近くの進学校の制服。 意志の強そうな眉の下で、大きな瞳が不思議そうにわたしを見ていた。 「こっちこそごめんなさい……」 すぐに謝った。 「あら? あなた」 彼女が言った。 「……なんですか?」 「どこかで会ったことないかしら。わりと最近……って言ってもここ数日じゃなくて、何ヶ月か前に……。 古泉くん、どう? あなた彼女を知らない?」 隣には、同じ高校の男子服を着た生徒がいた。背が高い。 男子生徒は穏やかに笑って、 「いいえ、知りませんね。……あなた、北高の方ですよね?」 わたしは頷いた。 同時に、不思議な感覚にとらわれていた。 会ったのは初めてだと思う。 けれど、何か懐かしい感じがする。 なぜそう感じるのかは分からない。 「そう……。いいえ、知らないならいいの。北高生にはちょっと思い当たりがあってね」 女子生徒は記憶を掘り起こすように思案顔。 「そうなんですか……」 それきりわたしは何も言えなかった。 やがて、 「まぁ、また縁があればどこかで会うわよね。古泉くん、行きましょ」 男子生徒のほうは肩をすくめて、丁寧にお辞儀をした。 女子生徒が手を振って、二人は去っていった。 「……」 後ろ姿にもどこか惹かれるものがあった。 あの二人は付き合っているのだろうか。 わたしは買い物に行く途中だったことを思い出すと、道を急いだ。
夕食後。 読書に一息ついて、わたしはあの栞を眺めていた。 書店ではいつも本を買ったときに栞を挟んでくれる。 けれど、こんな柄のものは見たことがない。 もちろん、元々持っていたものでもない。 ――。 「いたっ……」 急に頭に痛みが走った。同時に映像が浮かんでくる。 --------------------------------------------------------------------------- この部屋でわたしが誰かと向かい合っている。 相手の顔がはっきりと見える……。 彼……。 --------------------------------------------------------------------------- ――イメージは一瞬で消えて、痛みも次の瞬間にはなくなっていた。 でも夢のようにおぼろではなく、ちゃんと覚えている。 ……彼は誰? わたしの近くにあんな人はいない。 ……。 就寝前。 わたしは今まで見たことについて考えていた。 今まで夢に出てきたのは、たぶんあの人だ。 わたしはあの人を知らない。 なのに、わたしもそこにいた。 ……どうして? その夜は夢を見なかった。 すぐに次の日がやって来て、わたしはいつものように学校へ向かった。 「ね、ね! 決まった?」 この前のクラスメートだ。 「えっと……何がだっけ」 「もう! バレンタインよ。長門さん、もしかして天然なの?」 「天然、って?」 彼女は半眼でわたしを見た。……何だか呆れられているような気がする。 「うん。分かった。それはもういいわ。 それで、気になる人とかいないの? やっぱり」
……。 ふと頭をよぎる顔。 「……わからない」 「お? ひょっとして、候補くらいはいるのね? 誰、誰!」 彼女は興味津々でわたしに迫ってきた。 「……」 「内緒」 と、いうことにしておいた。 自分でもわからないから。 ……。 ……気になる人はいる。 「こんにちは」 国木田くんは今日も図書室に来ていた。 「こんにちは」 わたしは昨日の栞を取り出した。 「あの……これ、本当にわたしの本から落ちたの?」 わたしが尋ねると、国木田くんは不思議そうな顔になった。 「そのはずだけど。どうして?」 「……」 わたしは栞が自分のものではないことを話して、それから少しだけ昨日の話をした。 ……国木田くんが信じてくれたかどうかは分からない。 わたしの話が終わると国木田くんは言った。 「それなら、なおさら長門さんが持っていたほうがいいんじゃないかな。 また何か分かることがあるかもしれないし」 「うん……」 それから国木田くんは、 「僕でよかったら、いつでも話してよ」 そう言って図書室を出て行った。 「……」 一分くらいして、男の子と普通に話していた自分に気がついた。
放課後も、いつものように部室に行った。 本を読むか、小説の続きを書くか迷い、わたしは栞を眺めていた。 その時――、 ピポ パソコンが聴きなれない音を発した。 ……起動音にしては大きい気がする。 わたしは机に近寄る。 本体は動いていない。 画面を見る。何もない……。 「……?」 よく見ると、左上に文字を入力する際の待機モードのような表示がある。 それはしばらく同じ場所で点滅すると、わたしが読む速度に合わせるように文字を打ち出し始めた。 > >みえてる? 「……」 わたしは息を飲んだ。 パソコンは起動していない。 それなのに、画面に文字が表示されている。 ……。 わたしはしばし迷ってから、キーボードに手を置いた。 そっとタイプしてみる……。 >みえています。 しばらく何も起こらなかった。 ただ入力待機の表示だけが、等間隔で点滅している。 ――五分くらい経っただろうか。 辛抱強く画面を見つめていたわたしに、メッセージが返ってくる。 >わたしは今、あなたとは違う時空間から交信をしている。 「……」 わたしは、しばらく考え込まなければならなかった。 ……わたしと違う時空間?
時空間というのは、時間と空間のことだろうか。 わたしは返信する。 >あなたはどこのどなたですか? また間が開いた。何か考えているような間。 そして言葉が返る。 >わたしはあなたと異なる時空間のあなた。 >言い換えれば、もうひとつの世界にいるあなた。 「……」 ……もうひとつの世界?? この人は何を言っているのだろう。 何かのいたずらだろうか。 もしかしたら、わたしをからかっているのかもしれない。 そう思っていると、続くメッセージが表示された。 >最近、あなたは寝ている間に夢を見ているかもしれない。 「……」 どうして知っているのだろう。 ……思わず、わたしはそのままを入力する。 >どうして知っているのですか? また間が開き、やがて言葉が返ってくる。 >わたしがその原因をつくったから。 ……。 わたしはまた考えた。 ……別の世界のわたしがわたしに夢を見せている? わたしはタイプを再開する。 >あの夢は何なのですか? また、考えるような間があった。 わたしは緊張して言葉を待つ。 やがて、文字が打ち出される。 >あなたがかつて見たものの記憶。 ……分からない。 覚えている限り、あの人に会ったことはない。 >彼は誰なんですか? また間がある。今度はかなり長い。 わたしと同じように、向こうも何か迷っているようだ。
しばらくして表示されたメッセージは、これまでで一番長いものだった。 >彼はもうそこにはいない。 >あなたには欠落した記憶がある。彼に関係する記憶。 >わたしはあなたの記憶を元に戻すことができる。 >ただ、そうすることがあなたにプラスとなるかはわからない。 >記憶を取り戻すことであなたが受ける衝撃のほうが大きいかもしれない。 >わたしは決断をあなたにゆだねる。 わたしは考えこんだ。……欠けた記憶? 確かに、覚えがあやふやなことはいくつかある。 けれど、記憶がなくなっていると思ったことはない。 「……」 この人は何を知っているのだろう。 わたしが衝撃を受けるって、どういうことだろう。 考えながら、わたしはこう訊いた。 >少しだけ待ってもらえませんか? 予測していたのか、今度はすぐに答えが返ってくる。 >明日の同じ時間にまた交信する。その時までに決めておいて。 そう表示されたのち、画面はゆっくりとブラックアウトした。 「……」 終業のチャイムが鳴るまで、わたしは真っ黒になった画面を見つめていた。 「今日はひさびさにおでんでーす」 涼子が鍋をこたつの真ん中に置いた。 窓の外は雨が降り出していて、ガラスが真っ白に曇っている。 「……いつもありがとう」 「いいの。有希とこうしてるの楽しいしね」 にっこり笑って、涼子は具を取り分け始めた。 わたしはさっきの文芸部室での出来事を涼子に話そうか迷って、やめにした。 どうしてだかわからないけれど、涼子には言わないほうがいいような気がした。 「はい」 「ありがとう」 おわんを受け取る。 「いただきます」 「……いただきます」 同時に手をあわせてお辞儀をした。
……。 ……おでん。 何か、大切なことを忘れている。 「それで、国木田くんとはどう?」 「……!」 むせてしまった。わたしは掌で胸を叩く。 「ちょっと、大丈夫? ごめんね、訊いちゃまずかった?」 涼子はわたしの背中をさすってくれた。わたしは首を横に振って、 「……びっくりしただけ。へいき」 「よかった。こっちも驚いちゃった」 涼子は微笑んでわたしを見ている。 「……」 涼子が笑うと、何だか幸せな気持ちになる。 「ふふ。ねぇ、有希。あなた学校でもそうやって笑っていればいいわ。 わたしが男の子だったら、クラッときちゃいそうよ」 わたしはうつむいた。……恥ずかしい。 「有希は素直でいい子だもん。もっと自信持っていいと思うわ」 「……」 何だかお母さんみたいだった。 「うん……」 そして、わたしは子どもみたいだった。 「……いつもありがとう」 湯気のせいか、目の前がよく見えなかった。 しばらくして、涼子は帰っていった。 「……」 わたしは息をついた。 ……放課後の出来事が蘇ってくる。 もうひとりのわたし。もうひとつの世界。 ……本当なのかな。 相手はわたしが夢を見ていることを知っていた。 原因が向こうにあるとも言っていた。 ……何なのだろう。 わたしが衝撃を受けるって、どうしてだろう。
――その夜見た夢は、これまでと全く違っていた。 --------------------------------------------------------------------------- ただ真っ暗だ。 それが長く続いた。 何とも思わない。 楽しくも、怖くもない。 わたしがここにいるのかすら分からない。 なにもないものが、ある。 終わらない時。 いつまでも続く。 続く。 ――。 やがて視界が開けた。 目が覚めたのかと思ったら、そうではなかった。 街が、真っ白な空に覆われていた。 わたしは、空からゆっくりと降りてくる白いものを手の平にのせた。 けれど、何も残っていなかった。 わたしは空を見上げた。 ……ゆき。 ……。 --------------------------------------------------------------------------- 「……!」 目が覚めると窓の外は真っ白だった。 「さむい……」 わたしはベッドから出ると、カーディガンを羽織って朝食の準備をする。 ……今年になって初めて雪が降った。 わたしは寝ぼけた顔で窓の向こうの白い空を眺めていた。 さっきも同じ景色を見てた……。 あれはわたし? ……わからない。
通学路。 コートにマフラー、手袋までしたけれど、外はまだ寒かった。 ……坂道がいつもより長く感じる。 「おはよう」 「……!」 隣を見ると、国木田くんが歩いていた。 水色のコートに白いマフラー、耳あてと手袋……。 「……おはよう」 息が白くなる。 「今日はすごく寒いね。凍えそう」 「……うん」 あちこちがかじかんで、上手に話せない。 「あ。これ、よかったら使って」 国木田くんは自分の耳あてを取ってわたしにかぶせた。 「……」 痛いくらいに冷たかった耳が、暖かくなった。 「……ありがとう」 「風邪ひいたら大変だしね。……そうだ、谷口って知ってるかな? 同じクラスの友達なんだけど、年末流行った風邪で40度近くまで熱出しちゃってね。 それでも無理して学校来て、結局保健室で寝込んで早退してた」 国木田くんが苦笑いをした。 「……ふふっ」 「あ。長門さんが笑ったの僕初めて見た」 「……え」 わたしはどこを向いていいのかわからなくなった。 国木田くんはふたたび笑いながら、 「いつも笑ってればいいのに。そのほうがいいよ」 と言った。 「……」 そこからどうやって教室まで行ったのか、覚えていない。
おかげで昼休みには図書室へ行けなかった。 すると、前の席の彼女が話しかけてきた。 「見ちゃった」 「……え」 「結構やるじゃない、長門さんも」 彼女はにまっと笑った。 今日は彼女が何を言っているのか、すぐに分かってしまった。 「……」 「あー、赤くなってる。もう、長門さんかわいすぎ!」 彼女はわたしに抱きついてから、けらっと笑った。 わたしはついうつむいてしまう。 「決戦は近いわよっ。がんばりましょうね!」 「……」 ほとんど何も言えないまま、昼休みが終わってしまった。 帰りのHRになって、ようやくわたしは昨日の出来事を思い出した。 ……どうしよう。すっかり忘れていた。 わたしは遅い足取りで部室へ向かった。 扉を開けて電気をつけ、毛布を取って座る。 それを待っていたように、あの音がする。 ピポ 最初のメッセージが打ち出される。 >みえてる? >はい。 わたしは返事をした。 >あなたの決定を聞く。 >はい。 返事。 彼女はためらいなく続ける。 >わたしがあなたの記憶を蘇らせるのは一度きり。 >あなたが知りたくないのなら、もうわたしは現れない。 >はい。 ……まだわたしは迷っていた。 断ったら、もう夢を見ることはないのだろうか。 あの人が誰だったのかは、もう分からないのだろうか。
>繰り返しておく。 >あなたは彼のことを知ると衝撃を受けるかもしれない。 >わたしに決定権はない。あくまで決めるのはあなた。 >はい。 文字による会話が続く。 次の彼女の文章で、わたしは手を止めることになる。 >あなたの記憶を蘇らせるのならエンターキーを。 >拒否するのならそれ以外のキーを選択せよ。 >あなたがどちらを選んでも、わたしが再びこの質問をすることはない。 「……」 わたしは画面を見つめていた。 なぜだか、涼子や国木田くん、クラスメートの元気な子の姿が頭をよぎる。 そして夢を思い出す。 夢の中で何度も見た、あの人の姿、顔……。 「……」 窓の外では雪が降り続いている。 やがて、わたしはキーをひとつ選んで、押した。 途端に視界が真っ白になった。
--------------------------------------------------------------------------- 西暦20××年 12月18日 彼がわたしの前に現れた。 春に図書館で出会った彼。 図書カードを作るのを手伝ってくれた彼。 文芸部室に彼はやって来た。 わたしは彼に肩をつかまれて、彼の言葉を聞いた。 けれど、わたしには彼が何を言っているのか分からなかった。 それ以上に、わたしは彼を前にして何も考えられなかった。 彼は困っているようだった。 椅子に座って、頭を抱えていた。 わたしは、自分に何か出来ることはないかと思った。 なかなか言葉が出てこない……。 時間が経った。 彼がわたしに背中を向ける。 そこでやっと、わたしは一枚の紙を渡すことができた。 ……よかったら。 彼は、入部届けを受け取った。 12月19日 わたしは落ち着かなかった。 昨日あったことばかり考えていて、授業にほとんど集中できなかった。 放課後。今日も彼は部室に来た。 昨日と同じくらい緊張して、やっぱりうまく話せない。 彼は本棚の本をしばらく見ていて、それからわたしに質問をした。 一枚の栞についてだったが、わたしには何も分からなかった。 彼は終業まで部室にいてくれた。 わたしは全然読書が進まず、緊張でどうにかなってしまいそうだった。 帰りに彼をわたしの家へ呼んだ。 自分でもどうしてそんなことができたのか分からない。 ずっと緊張していて、帰り道もまともに話せなかったことを覚えている。 彼とこたつを挟んで座っていると、涼子が訪ねてきた。 わたしはひどく慌ててしまった。 涼子が上がると、彼は帰ると言った。 …… 気付くと、わたしは彼をひき止めていた。 彼と涼子と三人でおでんを食べた。 とても幸せな日だった。
12月20日 この日も授業に集中できず、英訳で指されて慌ててしまった。 わたしは高揚していた。 もしかしたら、彼が文芸部に入ってくれるかもしれない……。 放課後。 部室で彼を待ったが、すぐには来なかった。 二時間ほど過ぎ、今日は来ないのかと思いかけた頃――。 三人の知らない学生と共に彼はやって来た。 一人は二年生のかわいらしい先輩。 一人は体操服を着た気の強そうな女子生徒。 もう一人は同じく体操服を着た長身の男子生徒。 凛とした体操服の女子が紹介をした。 彼女の名は涼宮ハルヒ。 先輩は朝比奈さん。男子生徒は古泉くん。 最後に涼宮さんはジョン・スミスと言って彼を指差した。 ……ジョン・スミス? 間もなくパソコンがひとりでに起動した。 彼が急いで駆け寄って、しばらく画面に見入っていた。 わたしも画面を見ていたけれど、何が起きているのかまるで分からない。 彼以外の三人も不思議そうな顔をしていた。 急に嫌な予感がした。 彼とわたしの距離がとても遠くに離れてしまう、予感……。 そしてその距離は縮まることがなく、彼はわたしの知らないどこかへ行ってしまう。 わたしは何か言わなくてはならないと思った。 けれど、やっぱり言葉が出てこない。 はやく、はやく……。 はやく……。 ……。 どうして何も言えないのだろう……。 やがて、彼はわたしの方を向いて、くしゃくしゃになった入部届けを返してきた。 「すまない、長門、これは返すよ」
……。 受け取りたくない。 わたしがこれをもらったら、きっともう彼は帰ってこない……。 ……。 わたしは手を伸ばした。つかみそこねる。 ……指先の感覚がない。 もう一度手を伸ばして……。 ……。 ……わたしは今、何を持っているんだろう。 彼は今、どんな顔をしてる? ……見えない。 眼鏡、外してないのに……。 -------------------------------------------------------------------------------------
……。 わたしはしゃがみこんでいた。 「……」 寒い……。 文芸部室には、もう誰もいない。 ……思い出したくなかった。 どうしてキーを押してしまったのだろう。 彼はもう遠くへ行ってしまった。 なのに、わたしはすべてを思い出してしまった。 「……っ、……うぅっ……」 わたしは止めることができなかった。 彼と。今のわたしを。
……。 どれくらい時間が経っただろう。 外は真っ暗で、終業の鐘はとっくに鳴っていた。 ……わたしは力なく立ち上がった。 パソコンを見ると、メッセージが表示されたままカーソルが点滅していた。 >ごめんなさい。 わたしはパソコンに近寄った。 彼女はわたしを待っているのだろうか。 >まだそこにいますか。 ゆっくりとタイプした。 ……指先が氷みたい。 >すべてわたしの責任。 彼女はそう言った。 ……。 違う世界にいるという、もうひとりのわたし。 わたしは感覚的に、彼女が偽りの存在でないことを知った。 >あなたは悪くありません。 >選んだのはわたしだから。 ……返信しつつ、わたしは唇をかんでいた。 もう会えないのなら、知る必要なんてなかった。 選んでしまったのはわたし。けれど、質問したのは彼女。 それなら彼女はどうしてそんな質問をしたのだろう……。 そう思っている間に、彼女はメッセージを発した。 >彼にあうことができる。 ……。 わたしは時間が止まったようにパソコンの画面を見た。 >……会えるって? 戸惑いながらタイプする。 彼女はまた長い間を空けると、長い文章をつむぎ始めた。
>あなたが今いるその世界は、わたしがある力を使って作り出してしまったもの。 >さっきあなたが見たように、彼は三日間だけあなたの世界に存在していた。 >彼は本来こちらの世界の人間。彼は最終的にこちらに回帰することを望んだ。 >彼があなたの前から消えてしまったのはそのため。 >その際に、あなたがいる世界はわたしのいる世界とひとつになるはずだった。 >しかし、そうならなかった。 >わたしはあなたが見た夢と同じ情報を受け取って、あなたの世界がまだ存在していたことに気がついた。 >同時に、あなたの世界を作り出した時にわたしが用いた力がまだ残っていることにも気がついた。 >今、あなたと交信できるのはその力を使っているから。 >分離した世界をひとつに統合できるほどの大きさは、もう残っていない。 >ただ、あなたが望むなら、わたしに残る力で一度だけ彼に会うことができる。 わたしはその文章を三回読んだ。 ……向こうの世界のわたしとは、何者なのだろう。 ひとりの人が世界をまるごと作るなんて、できるのだろうか。 さっき記憶を戻したことといい、このわたしは普通の人じゃない。 >あなたは、何者なんですか……? わたしは質問した。彼女はまた考えて、やがて返答する。 >答えられない。言葉だけで分かるように伝えることは困難。 「……」 わたしは息を吐いた。 ……無理して知りたいとは思わない。 その証拠に、どこか安心している。 >月曜日の同じ時間に再び交信する。その時までに決断してほしい。 わたしはしばらく無心に彼女の文を眺めていたが、やがて >わかりました。 と打った。 すると、文章はこう続いた。 >ごめんなさい。 ……? >何がですか?
わたしは返信する。 彼女の言葉は、ここだけ不規則な調子で打ち出される。 >あなたがどういう気持ちになるかの推測はできた。 >あなたに知らせないという選択もできた。 >しかし、わたしはあなたに交信してしまった。 ここで一度間を空けて、 >どうしてもあなたに話したかった。 ……。 ……このわたしは長い間悩んでいたのかもしれない。 そう思うと、あらためて彼女が他人とは思えなかった。 ……わたしはまた震えそうになるのをこらえる。 >わたしは平気。 >ありがとう。 そう打って、 >今日は帰ります。また明日。 と追記した。 彼女も返信する。 >また明日。 「……」 それを見て、わたしは何だか安心した。 家に着いたわたしは、読書をしなかった。 これまであったことと、思い出したこと。 もうひとりのわたしのこと。 ……そして、彼のこと。 それらをずっと考えていた。
「……」 窓辺に雪が降る。 わたしはそれを長い間見ていた。 雪は、すべてを静めるように降り続いた。 眠る前になって、わたしは月曜日の返事を決めた。 後悔はしない。 週明け。 雪は土曜日には止んでいた。 空は晴れ渡って、誰かが作った雪だるまに陽光がきらりと反射した。 わたしはなるべく早足で学校までの坂道を歩いた。 国木田くんには会わなかった。 なぜだか授業に集中できて、あっという間に時間が過ぎる。 昼休み。 わたしは部室へも図書室へも行かなかった。 「なっがとさ〜ん!」 前の席の子。今日も元気だなぁ……。 「……なに?」 「あと一週間よね! ラストスパートじゃない、ね?」 ……。 そう言われても。 誰かに告白するつもりなんてないのに……。 「だいじょうぶ。あたしがついてるから! 安心してね」 「え……。うん……」 頷いてしまった。
帰りのHRが終わると、わたしは部室への道を急いだ。 「あれ、長門さん?」 渡り廊下にさしかかるところで呼び止められた。 「……国木田くん」 階段をこちらに下りながら、国木田くんはいつものように笑った。 「今日は図書室に行った?」 「……」 わたしは首を横に振った。 「そっか。今日は僕も行けなかったから。谷口に彼女ができそうだとかで、 昼休み中ずっと話を聞かされてたんだ。今も下で待ってるんだけど」 困ったように笑う。 「……うん」 「それじゃまた明日」 国木田くんは手を振って階段を降りていった。 わたしは少しの間立ちつくしてしまった。 ……手、振れなかった。 ……。 ……急がなきゃ。 わたしはまた部室へ歩き出す。 ――あと一週間よね! 前の席の彼女の言葉を思い出した。 わたしは首を振った。 気になる人。 ……。 部室は今日も寒い。 電気をつけると、同時にあの音がした。 わたしはパソコンの前に駆け寄った。 >こんにちは。 >こんにちは。 挨拶したのは初めてだ。 彼女の言葉が続く。
>あなたの選択がいずれであっても、わたしが交信するのはこれで最後。 >あなたが彼に会うことを望むなら、わたしはこれからあなたをある時空間へ転送する。 >彼に会える時間は約四時間。 >ただし、 ……何だろう。 まだ何かあるのだろうか。 >ただし、彼の前にわたしと同じ姿のあなたが現れるわけにはいかない。 >あなたの服装や髪型に改変を施す必要がある。 >また、あなたは彼に会えるが、彼はあなたを知らない。 >これからあなたが向かう時空間の彼には、まだあなたに関する記憶がない。 つまり、彼はわたしが誰だかわからない……? 彼女は一連のメッセージを締めくくる。 >あなたが彼に会い、戻ってくるまで、わたしはあなたの無事を保証する。 >彼に会うならばエンターキーを、拒否するならそれ以外のキーを選択せよ。 >ready? ……。 わたしは迷ったりしない。 答えはもう決めてある。 わたしはキーをひとつ選んで、押した。 「……!」 自分の身体か宙に浮く感覚がした。 周囲の景色が横向きに渦を巻いて、上下と左右が分からなくなる。 わたしは目をつむった。乗り物は平気だけれど、これは眩暈がしそう……。 後ろに進みながら同時に前に飛んでいるような感じが続く。 風を切るような音がして、一瞬でそれが止む。 今度は回転する。 たくさんの色が目まぐるしくまぶたの向こうで踊っている。 わたしが危うく気を失いそうになっていると…… 着地する感触――。 ……ざわめきが聞こえる。 それに暖かい。太陽の光を感じる。 わたしは目を開けた。
……街の中だ。 わたしはどこかのお店のウィンドウに映った自分の姿を見ている。 「……!」 驚いた。 今までに着たことのない服を着て、髪を結ったわたしがいた。 淡い色のスカートと、カーディガン。手には大きなトートバッグ。 髪の色は……茶色い。 少しくせ毛だったのにまっすぐになっている。 自分でも別人のように見えた。試しに窓に手を振ってみる。 ……やっぱり自分自身だった。 「……ん、痛っ!」 一瞬の頭痛。 ……。 次の瞬間、わたしは今の自分について理解していた。 今ここにいる理由を、誰にでも説明できる。 けれど、本当のわたしの記憶がなくなっているわけではない。 (あなたは今日偶然この街に観光に来ている。最初に会う人に道を訊いて。 あとはあなたにも分かるはず) 頭の中に声がする。 ……誰? ……。 ……そっか。 初めて彼女の『声』を聴いた。 わたしと同じ、けれどどこか違う……声。 「ありがとう……」 彼女にお礼を言って、辺りを見回す。 「……」 知っている場所だった。 わたしの家から、電車で三駅。 改札を出たところに近い喫茶店の前に、わたしは立っていた。 「……あつい」
気温が高いことに、やっと気がついた。 冬じゃないことだけは間違いない。 わたしは、持っていたかばんの中を探った。 ……。 手帳が入っていた。 ページを開いてめくっていくと、ある日付にだけ赤丸がついていて、 「旅行 叔母の家」と書いてあった。 去年の六月――。 わたしは、八ヶ月前まで戻ってきた……? タイムスリップしたらしい。 わたしは不思議と驚かなかった。 わたしの格好がこんなに変わっていて、まったく別の場所に移動していたのだから、 何が起きても不思議じゃない。 ……そう思うことにしよう。 「この時期……」 わたしは思い出す。 彼に初めて会ってからしばらく、わたしは図書館通いを続けた。 また会えるかと思っていた。 けれど、図書館に彼は現れなかった。 わたしがあきらめかけた頃、彼を学校で見つけた。 同じ学校にいるなんて、思いもしなかった。 どうしてそれまで気付かなかったのだろう。 わたしは彼に話そうとした。……でも、できなかった。 彼はわたしと廊下ですれ違っても気付かないようだった。 もう一度わたしがあきらめかけた頃。あの冬の日。 彼が部室に飛び込んで来た……。 わたしは自分の記憶を探るのを止めて、どちらへ行こうかと地図を広げた。 『最初に会う人』ってどういうことだろう……。 目的地はわたしの知らない家だ。 ……ここに行けばいいのだろうか。
わたしは目的地のだいたいの位置を覚えた。 地図をしまい、歩き出そうとした瞬間――。 「うわっ!」 「わ!」 誰かとぶつかった。 ……鼻が痛い。 わたしは急いで謝った。 「……すいません」 「こっちこそすいません!」 ……! 目の前に彼がいた。 あまりの突然に、わたしは絶句する。 「……」 彼はわたしを見ていて、わたしも彼を見ていた。 長い間会っていなかった人に会えたような感覚……。 ずっと、夢に現れていた人。 そして、わたしの世界から消えてしまった人……。 ……。 わたしは胸が苦しくなった。 すると、 「それじゃ俺はこれで!」 彼は片手を上げて立ち去ろうとする。 「ま……待って!」 思わず彼の袖をつまんでしまった。 …… 不意に記憶が重なる。 ……あの日、わたしはこうして彼を呼び止めた。
「どうしたんですか?」 彼は振り向いた。わたしは用意した台詞を言う。 「あの……道案内をお願いできませんか?」 わたしはゆっくりと彼を見上げた。 彼は顎に手を当てて考え事をしている。 部室で浮かべたような表情で……。 彼がいなくなってしまうことを恐れて、慌てて言葉を続ける。 「あの……」 「は、はい……?」 彼はあらためて驚いたような顔で、 「えっと、どこに行きたいんですか?」 わたしはさっきの地図を取り出して彼に見せた。 彼はしばらく地図を見ていた。 「……家の近くだな。大した手間じゃないです。ここまで行けばいいんですか?」 わたしは頷いて、 「でも、あの……」 頭の中を探りながら、叔母の家には夕方まで入れないことを告げた。 「だから、あの……。 もしよろしかったら、この街を案内していただけませんか?」 わたしがそう言うと、彼は眉をひそめて顎を引いた。 独り言を言っているように見える。 ……。 わたしは少し不安になってきた。 ……断られたらどうしよう。 「あの……だめ、ですか?」 わたしは言った。 ……。 彼はわたしを知らない誰かだと思っている。 ……見知らぬ人に街の案内なんて、普通はしない。 そう思うと、わたしは申し訳ない気持ちになった。 「だめならいいんです……すいません」 謝って走り出そうとする。
「待ってくれ!」 肩に彼の手が置かれた。 ……。 わたしはまた泣き出しそうになってしまう。 「分かった。分かったよ」 彼は言った。 わたしは、すぐには振り向けなかった。 ……。 ありがとう……。 急いで目をこすった。 彼はわたしの背中に向かって言う。 「どこか行きたい場所があるなら言ってくれ。分かる範囲で案内するよ」 肩に伝わる体温が頼もしかった。 わたしはやっと振り返る。 「……おねがいします」 わたし達は近くのベンチに座って地図を広げた。 「さてどこに行きましょうか。……って言っても、観光地っぽい場所はこの辺にはそんなにないですが」 彼は言った。 「あの……そういう特別なところじゃなくても。えっと、普段よく行く場所とかあれば……」 「うーん。……さすがにいつも言ってるコンビニに行くわけにはいかないよな」 そう言って彼は頬を緩ませた。 彼の笑顔を見たわたしは、この場所に来て初めて笑った。 「……」 彼は口をぽかんと開けている。 「……どうしました?」 「いえ!なんでもないですよ。なんでも」 彼は首を振って、ふたたび地図に目を落とす。 「……見晴らしのいい場所とかありますか?」 わたしは少しずつ、ここに遊びに来た姪の気分になってきていた。 着ている服が違うせいかもしれない。 緊張も、ほんの少しだけ和らいできた。 「見晴らしのいい場所……ぱっと思いつくのは俺の学校かな」 「じゃぁそこに行きたい……です」 何だかまた笑ってしまいそうになった。 楽しい。
「え?あんなとこでいいんですか?もうそれはそれは忌々しい坂道を長々登らないといけないけど」 彼は片眉を吊り上げて意外そうに言った。 わたしはおかしくて口元を押さえる。 「はい。行きましょう、そこに」 あなたと一緒に。 「それに、その坂がどれくらい忌々しいのか、登ってみたいですから」 わたしはあらためて笑った。 彼もつられて笑った。 「……もう一回だけ訊くけど、ほんとにこんなんでいいんですか?」 湿気を含んだ風が首筋を撫でていく。 「はい。わたし今楽しいですよ」 景色が横向きに流れていく。細いタイヤが回る音がする。 ……自転車の後ろ。二人乗り。 「それならいいんだけどさ」 彼は、話す時だけわずかに首をこちらに向ける。 「あ、漕いでて疲れませんか?……途中で休憩したりとか」 こんなに男の子とたくさんしゃべったのなんて初めてだ。 ……いつもなら何も言えなくなってしまうのに、どうしてだろう。 「だいじょうぶ。もっと横暴な注文をする奴を知ってるし、このくらいなんでもないです」 彼はまた顔を横に向けてそう言った。 ……。 わたしは気がついた。 「あの、敬語じゃなくていいですよ」 「え?……あ、そうだな。何かかしこまっちゃって。何でだろうな」 それから彼は気がついたように 「そっちこそ、そんな丁寧な口の利き方しなくていいぞ」 「わたしはこのほうが落ち着きますから……」 そうしないと、彼に近付きすぎてしまう。 これは、別れることがあらかじめ決まっている再会。 だから、わたしはこうしていられるだけで十分。 彼の服をつまむ指が、離れないように……。 やがて、見慣れた通学路に着いた。 「ここを登るんだよ。長いから歩かなくちゃいけないな」 彼は上のほうを見上げて言った。 「はい。……すいません、変な頼みごとしてしまって」 「今さらそれは言いっこなしだぜ。やっぱり登らない、なんてのも勘弁してくれよ」 彼は冗談めかして言った。 「はい。わかってます」 わたしは笑って答えた。 「それじゃ行きますか。わが通学路に」 「はいっ」 わたしたちは歩き出した。 ふたりの通学路を。
「……この街にはどのくらい住んでるんですか?」 「生まれたときからずっと。この界隈から出ることはあんまりないかな」 「いい街ですよね」 「もう気に入ったのか。意外と惚れっぽいんだな」 「……そんなんじゃないです」 「ははは、冗談だよ。いや、こんなこと滅多にないからさ。何かこう……」 「……なんですか?」 「凡人バンザイ、みたいな」 「……ふふっ。おかし」 「何だ、何か変なこと言ったか?俺」 「いいえ、別に。……毎日この坂道を登っているんですか?」 「毎日だ。見ての通り長いからさ。自転車で通えるのは麓までなんだよ」 「大変ですね」 「まったくだ。雨の日も風の日も体育がある日も強制ハイキングだからな」 「……ほんと。そうですよね」 「ん?」 「いえ、なんでもないです」 「でもな、代わりに授業中の窓からの景色はちょっとした見ものだぜ」 「へー、そうなんだ。……見たいな」 「休日とはいえ、今どっちも私服だからなぁ。忍び込んだら一発でばれちまう」 「……あ。ここですか?」 「そう。山の上にあるだけで他に何の変哲もない公立高校へようこそ」 「……おじゃまします」 「こら。入ったら偉い人が黙ってません」 「……偉い人って誰ですか?」 「さすがに校長とまではいかないだろうが……。そういや校長の名前何だっけな」 「あれ。……一年生ですよね?」 「え? そうだけど」 「入学して二ヶ月しても名前覚えてもらってないんだ……校長先生」 「いやぁ、何の変哲もない名前だったからなぁ、多分」 「……田中太郎さんとか?」 「まぁそんなとこだ。……って言うと全国の田中太郎さんに申し訳ないな」 「それじゃちゃんと名前覚えてあげてください」 「はい……反省してます」 「……ふふふ」 「くくく。はっはっはっはっは」 二人してしばらく笑ってしまった。 空は晴れ渡って、この世界に迷いごとなんてないみたいだった。 学校にはやっぱり入れなかった。 わたしたちはそのまま坂道を下ることにした。 「うーん、次はどこに行けばいいかな」 彼は迷っていた。 わたしはひとつだけ思いついた場所があった。 ……けれど、ここからだと少し遠い。 「どこか、座って休める場所とかないですか?」 彼はしばし考えて、 「んー、そうだな。……よし。公園と川辺だったら、どっちがいいか選んでくれ」 わたしは考えて、答える。 「川にします」 陽射しがあったし、水のあるところに行きたかった。 「わかった。それじゃ乗ってくれ」 彼はクッションつきの荷台を指差した。
ふたたび自転車に二人乗りをする。 彼はブレーキを利かせて、ゆっくり坂道を下り始めた。 「この坂を自転車で下るのなんて初めてかもしれないな」 彼は言った。 「何だか新鮮な感じがするよ」 「……」 初夏の風が気持ちよかった。 そういえばこの年は空梅雨だったんだっけ。 「あ。あのさ」 「はい……?」 「そのつかみ方だと落っこちてないか不安になるから、 もうちょっとちゃんと……こう、あの」 「……」 「そうそう。……よし。じゃぁ行くか」 ……。 また風が吹いた。 ……夢の中にいるようだった。 忘れていた緊張が、彼の背中を通して戻ってくる。 「しかし、こんなまともな休日はひさしぶりだな」 彼はつぶやいた。 「……」 うまくしゃべれない。 心臓の鼓動が大きくなったみたいだ。 彼に聞かれていないか心配だった。 「あと十分もかからないから、ちゃんとつかまっててくれよ」 「……はい」 川に到着するまで、わたしが発した言葉はそれだけだった。 風が、どこまでも吹き抜けていく。
「はい、到着」 わたしは、閉じていた目を開けた。 「……」 並木道。小川。深緑の木々。 散歩する人たち。道端の花。水面に映る陽の光……。 「……すてき」 「ちょっと歩こうか」 彼が言った。 「……」 わたしは頷いた。 太陽はやっと少し傾いたところだった。 夏至が近いから日が長いのだろう。 さっきまで、冬の部室にいたことが信じられない。 わたしと彼は、しばらく川に沿って歩いた。 その間会話はなかった。時折目が合うと、互いにあわてて視線をそらした。 散歩を終えると、彼はそれまで押していた自転車を停めた。 近くにあるベンチまで歩いて、並んで座る。 「君の住んでるところは、どんなところなんだ?」 彼はこちらをちらっと見て言った。 「えっ……。えっと、その」 急な質問にわたしは戸惑った。 「……ここと同じくらい素敵な街です」 「そっか。そりゃ、一度行ってみたいね」 そう言って彼は口を笑みの形にした。わたしも緊張がゆるむ。 わたしはふと思いついて彼に訊いてみた。 「……学校は楽しいですか?」 彼は一瞬きょとんとして、それから眉間にわずかにしわを寄せた。 「んー。何て言えばいいんだろうな。……とりあえず退屈はしてない。うん」 わたしは続けて尋ねる。 「部活に入ってるんですか?」 彼はまた思案顔になった。 言っていいのかどうか、迷っているような表情だ。 「部……。部活動。うーむ。果たしてあれを部活と言うのかどうか。 本当なら、今日はゲートボールに行くはずだったんだよ」 「げ、ゲートボール……?」 ……彼は一体どんな団体に所属しているのだろう。
「そう。信じられないだろ。言っておくがゲートボール部じゃないぜ。 それどころか、何の部か明確に決まってないんだ。 あのカゴに入ってるジャージはそのためのものでさ」 彼は自転車のほうを指差した。 「高校生がゲートボールなんて聞いたことがないだろ。半世紀早いっての」 そう言うと、彼は腕組みをして地面を見つめた。 何かを思い出して、いらいらしているような感じがした。 わたしは急いで言葉を続ける。 「あの……訊いちゃまずかったですか?」 「いやいや、そんなことはない。 君は俺に普通の休日をもたらしてくれた、言わば救世主の生まれ変りだ。うん。 まったくもって、ありがとうございます」 会釈して彼は言った。 いったいどんな部活動なのだろう……。 ――なぜなら俺は、SOS団の団員その1だからだ! 「……」 彼の言葉が急激に蘇る。 寒気がして、わたしは自分を抱くように押さえた。 「どうしたんだ?」 「何でもないです……だいじょうぶ」 あの用紙を返す時の、あなた……。 ……。 よく分からないけれど、このことはもう訊かないほうがいい。 ……そう思った。 知ってしまうと、また今みたいなことになってしまう。 「具合が悪いなら遠慮なく言ってくれよ。病院でもどこでも連れて行くから」 彼は気遣うような眼差しでわたしを見ていた。 「大丈夫ですから、ほんとに。……そうだ。それじゃぁ次は、図書館に行きたいな」 「え……?」 「図書館です。わたし読書が好きなんです」 意外だったのか、彼はしばらくぽかんとしていた。 「そんなところでいいのか?……いや、まぁ確かにどこでもいいとは言ったけどさ」 「はい。……あ、でも、もう少しゆっくりしてからにします」 それから私たちはお互いに黙って、散歩する人たちや初夏の並木道、小川の流れを見ていた。 風が吹き続けていて、気持ちがよかった。
眠ってしまいそう……。 ……。 (残り時間は半分) ……! ……彼女の声。 わたしはうつむいて「わかりました」とつぶやいた。 「ん、何か言ったか?」 彼が言った。 「いいえ。……さ、それじゃあ図書館までお願いします……運転手さま」 「かしこまりました、お客様」 お互いに笑った。 笑いながら、次の場所で最後かな……と、わたしは思った。
―― とある時間、とある場所。 「あなたに話しておきたいことがある」 「おや、珍しいですね。彼ではなく、僕にですか?」 「そう。ここでは都合が悪い。中庭に来て」 中庭。丸テーブルに腰かける男女一名ずつの高校生。 「長門さんから僕にお話があったことなんてありましたっけね。 僕が覚えている限りなかったような……。どういったご用件ですか」 「六月」 「六月がどうかしました?」 「ゲートボールに言った日のこと」 「あぁ、そんなこともありましたね。 あの日は結局、僕たちはゲートボールに参加しませんでした。 迷子の女の子を助け、その後に閉鎖空間が発生したんでしたね。 涼宮さんの思惑通りにならなかったことといい、未だに謎として残っている出来事の一つです」 「その日にあったことを話す」 「ほう」 「その前に。わたしが昨年の十二月十八日に世界を改変したのはあなたも知っているはず」 「えぇ。彼から聞きましたからね。 もっとも僕には、階段から落ちた彼をSOS団の全員が交替で看病していた記憶しかありませんが」 「合宿の後、わたしは彼と朝比奈みくると共にもう一度世界改変日の午前四時十八分へ向かい、再改変を施した」 「その話もつい先日彼から聞きました。よもや、僕の知らない僕や涼宮さんが存在していたなんてね。驚きですよ。 彼に話を聞かない限り、知ることすらなかったでしょう」 ここで長門有希はしばし間を置いて、 「再改変時、統合されたはずの世界がまだ存在している」 「……」 古泉一樹は真剣な顔つきになった。 「本来、この世界からそれを観測することはできない。しかし、わたしは残っている改変世界と、 改変世界への交信方法に気が付いた」 「長門さんが作り出した世界が、まだ消えずに残っているということですか?」 「そう」 「……それが本当だとしたら驚くべき話ですね」 一樹は顎に手をあて、有希の方を向いた。有希は真っすぐ前を見ている。 「わたしも予測していなかった。本来世界は分岐しない。わたしは同時に、かつて用いた涼宮ハルヒの力が まだわたしの内部に残っていることに気がついた。きっかけは、向こうの世界のわたしが夢を見たこと」 「夢、ですか。もう一人の長門さんが?」 「そう。彼女は彼がいた三日間のことを忘れている。夢の内容は、彼に関するもの」 「なるほど。つまり、残存していた改変世界にいる長門さんは、改変世界に彼がいた三日間の記憶を失くしていて、 その記憶にまつわる夢を見ていると。そういうことですか?」 「そう」 「それが、六月の一件とどう関わっているんですか」 一樹と有希は一度視線を交わした。 有希は前に向き直ると、話を続ける。 「ゲートボールに行く予定だったあの日。駅まで戻り、涼宮ハルヒが解散を宣言した後、わたしはわたし自身を見た」 「……長門さんが自分とは別の自分を見たということですか?」 「そう。その時のわたしには、観測した情報が何を示しているのか理解できなかった」 「……」 「……」 「続けてください」 一樹が言った。有希は一度一樹のほうを見て、それから前に向き直った。
「初めは異時間同位体が駐留しているのかと思った。 しかし、十二月十八日までのわたしの行動記録にそんなデータはなかった。 加えて、その時見たもう一人のわたしは、容姿がわたしとは異なっていた。 わたしは統合思念体にその事実を報告するか迷った。 結果として、今まで誰にも話さずにいた。 当時のわたしが統合思念体に唯一報告しなかったことが、そのわたしの存在」 「……」 「……?」 「あ、すいません。考えこんでしまいました。どうぞ、続けてください」 「わたしが改変世界の残存に気づいたのは三日前。その時にわたしは推測を立てた。 わたしが六月に見た別のわたしは、改変世界にいるもうひとりのわたし」 ここで一樹が片手の平を垂直に立てて、 「……ちょっと待ってください。 今までの話からすると、改変世界の長門さんは昨年十二月十八日以降にしか存在しないはずです」 「そう。だから彼女は十二月十八日以降の時空から六月まで時間遡行したと推測できる」 「それでもまだ腑に落ちません。彼に聞いた話ですと、あの世界の長門さんはTFEI ……つまり、情報統合思念体のインターフェースではないはずです」 「そう。改変世界には情報統合思念体そのものが存在しない」 「ならば、六月にいたというもうひとりの長門さんはどうやってそこに現れたんですか?」 「わたしが彼女を当該時空に送るのだと思う」 「……長門さん、あなたが?」 「そう。理由も推測できる」 「……聞かせていただいてよろしいですか」 「……」 有希はわずかに顎を引くと、テーブルの一点を見つめて話し出した。 「わたしは改変世界のわたしに、かつて蓄積したエラーデータからなる人格を与えた。 彼女はわたしではないわたし。わたしにできないことが彼女にはできる。 そして、わたしは再改変時に彼女が失った三日間分の記憶を持っている。 彼女はその記憶に関する夢を毎日見ている。 わたしは、彼女を……無視することができない」 「……」 一樹は神妙な面持ちをしている。有希はそちらを見ずに続ける。 「現在の改変世界には彼がいない。彼は十二月二十日に改変世界からこちらの世界へ戻り、歴史は そのまま進行している。わたしが何もしなくても、やがて彼女は彼のことを思い出すだろう。 しかし、彼女には彼に会うすべがない」 ここで有希は一度言葉を切った。そして、 「おそらく、わたしは数日のうちに彼女と交信をする。そして、その結果――」 「彼女が去年の六月に現れるのですね。長門さん、この世界のあなたの力で」 「そう」 「そうですか」 「……」 ここでしばし二人は沈黙した。 しばらくして、一樹が会話を再開する。 「余計な質問かもしれませんが、彼には話さなくていいんですか」 「話せない。彼に与える心理的負担をわたしは憂慮する」 「そうですか……」 「そう」 一瞬の静寂。 「それでも、僕に打ち明けてくれたことに感謝します。僕に何かできることがあれば言って ください。力になります」 一樹は微笑をたたえて言った。有希は視線のみをそちらへ向ける。 「この話を他の者に話さないこと。それだけ頼みたい」 「わかりました。たとえ命を取られても、誰にも言いません」 有希は一度一樹のほうへ顔を向けると、また元に戻してこう言った。 「わたしが誰かにこの話をしないと、加速度的にエラー蓄積が起こると判断した。理由はわからない。 わたしが自律起動の重視を選択して以来、原因不明の現象が増えた」
「……それはそれは」 一樹は微笑んだ。 訪れる沈黙。 数秒後、 「もう他に話すことはありませんか? この際ですから言ってください。これでも僕はSOS団の副団長ですからね。 団員の悩みを見過ごすようなことがあれば、団長殿から罰が下ってしまいます」 一樹は如才なく笑った。有希は返答する。 「ない。わたしも、聞いてくれたことに感謝する」 「わかりました。それでは戻りましょうか。昨日豆を撒いたばかりですし、多少の遅刻は涼宮団長も 許容してくださるでしょう」 「……」 やがてテーブルには誰もいなくなった。 ――
「……か? 聞いてますか!」 「へ!?」 ……突然の声に驚いた。 「ぼーっとしてるからどうしたのかと思ったよ。到着」 ……あれ。眠っちゃったのかな。 わたしはまだ自転車の荷台に座っていた。 横を見ると、図書館らしき建物の壁があった。 「あ、ありがとう……」 「どういたしまして」 彼は穏やかに言った。 「あの、わたし……今」 わたしは辺りを見回した。 「何かぼーっとしていたけど。ほんとに大丈夫か?」 「あ、はい。大丈夫……」 丸いテーブルの映像がぼやっと残っている。 けれど、それ以上思い出せるものはなかった。 わたしたちは館内に入った。 直後、何か新しい気持ちがわたしの中に満ちるのを感じた。 「好きなジャンルとかあるの?」 彼が訊いてきた。 「あ、物語なら何でも。えっと……ファンタジーとか恋愛小説とかが特に」 わたしは答えた。彼は笑って、 「女の子らしいな。朝比奈さんみたいだ」 「え……」 「あぁ、いや、先輩だよ。……部活のな」 彼は頭を掻いた。 ……朝比奈さん? ……。 思い出した。 あの日、彼と一緒に入ってきた三人の中の一人だ。 「あの、S……」 「ん?」 「いえ、なんでもないです……」 SOS団。あの時彼はそう言っていた。 でも、今ここにいる彼はわたしを知らない。 それに、わたしは彼に正体を知られてはいけない。 それがルール。 ……わたしとあなたの世界は違うのだから。
これまでに読んだ本の中に、似たような言葉がいくつもあった。 まさか、わたしが使うことになるとは思いもしなかった。 文芸部の部室で、わたしが書いている小説……。 そこに出てくる彼らの運命には、この言葉が必要ないようにしよう。 わたしは人知れず、そう決めた。 「これだ。この前読みきれなかった本」 彼が一冊手にとって歩いて来た。 「すっかり眠っちゃってさ。今度は読みきれるといいんだけど」 ははっと笑う。 ……。 彼の笑顔……。 ……。 わたしは今、微笑っていますか。 ……訊けるわけがない。 「夕方だっけ。それまでここでいいのか?」 「……」 わたしは頷いた。 何だか、また口下手になっている。 彼は空いていた席に座りながら、 「それじゃ俺はここで待ってるから。適当に時間が来たら呼んでくれ」 「……はい」 一度彼の傍を離れる。 わたしは館内にある時計を見る。 ……。 もう、あまり時間がない……。
書棚から文庫を一冊取ると、わたしは彼のところへ戻った。 「あ……」 彼は眠っていた。 窓際で、西に傾き始めた陽射しを受けて、穏やかな顔で。 「……ふふ」 わたしはおかしくて口元を押さえた。 それから隣の席に座って、文庫を広げた。 ……。 横目で彼を見て、彼のほうを向いて。 ……。 ……好きだったんだ。 やっと分かった。
……。 ここで彼に手を引かれたあの日から、わたしはずっと、彼のことが好きだった。 …………。 ――気になる人とかいないの? 図書館で会えなくて、あきらめて。 学校で見かけて、あきらめて。 せっかく彼がわたしの前に現れたのに、わたしは何も言えなかった。 彼は入部届けをわたしに残して、消えてしまった。 あのくしゃくしゃになったわら半紙を、今も、まだ持っている。 ……机の引き出しの一番奥に、折りたたんでしまってある。 今になって、それを思い出した。 ……。 文庫を持ちっぱなしの彼の左手にふれてみる。 あったかい……。 手を握って。 …………。
近付きすぎないって、決めていたのに。 「 」 わたしは、そっと彼の名を呼んだ。 ……。 その名前があの入部届けに書かれることは、もうない。 今こんなに近くにいる彼とまた会うことも、もうない。 わたしは彼の肩にそっと額をよせると、誰にも気付かれないように、泣いた。 手にした恋愛小説は、一ページも進まなかった。 わたしたちと、同じように。
ペニスも握って。
「ん……。ふぁーーっ……」 「目が覚めましたか。最終便のドライバーをお願いします……」 彼は、何も知らない。 ……それでいい。 「うん。今日はひさびさにいい一日だった」 彼が言った。 「ご迷惑おかけしてすいません」 わたしが言った。 「いいや、おかげで命の洗濯になったよ」 「大げさですよ……」 自転車が初夏の空の下を走る。 風はもう止んでいた。 耳を澄ましても、まだ蝉の声は聞こえない。 「……」 わたしは彼の背中に頬をつけた。 「また具合が悪くなったのか?」 「……違います」 …………。 いい、一日だったなぁ。
やがて自転車はタイヤの回転を止める。 わたしが望まなくても、時間はやってきてしまう。 「この家でいいんだよな」 彼の声。 もうこれでさよなら。 ……わたしは彼の顔を見ることができない。 「……はい」 「それじゃ、叔母さんとやらによろしく」 わたしはうつむいたままだった。 「……」 「どうした、やっぱりどっか悪いんじゃないのか?」 「大丈夫……です」 大丈夫じゃない。 「そっか。身体には気をつけろよ」 彼は……わたしを知らないから。 まだ、わたしと会ってもいないから。 「今日は……本当にありがとうございました」 「大げさだって。俺も結構楽しかったよ」 「…………!」 だめだ。 抑えられなかった。慌てて顔を覆っても、もう遅い。 わたしは、また泣いてしまった。 泣くまいと思えば思うほど、反発するように、悲しくなった。
「おいおい。泣かれるほどの助けじゃないって。 ……それとも俺、何か君を傷つけるようなこと言ったか? 鈍感だからな。何か悪いこと言ってたら、謝る」 彼は謝る仕草をした。 ……何も悪くない。 誰も悪くない。 じゃぁ、どうしてこんなに涙が出てくるんだろう。 はじめから、わかっていたのに。 「そんなこと……ないです……ごめんなさい。それじゃ」 急がないと本当のことを言ってしまいそうだった。 そうしたって、彼は何も分からない。でも……。 わたしはドアに手をかける。 「そういえば君、名前は?」 ( ) もうひとりのわたしからの言葉が聞こえる。 ……分かっています。 これから言うのは、うその名前。
「夏季です。野合夏季」 Yagou Natuki Nagato Yuki 簡単ないたずら。 でも、彼が気づくことはない。 「ナツキか。またいつか会ったらよろしくな」 わたしは目を閉じた。 ……いつかなんて、もうない。 「またいつか」 別のわたしが言ったような言葉だった。 あるいは本当にそうだったのかもしれない。 ……。 わたしは彼にさよならをした。 ―― 「そういえば長門さん」 「なに」 「あの迷子の女の子は誰だったんですか? 彼女はあなたの情報操作能力によってあの場に呼び出されたのでしょうか」 「わたしが操作したのではない。 それ以上のことは現在のわたしには分からない」 「ほう。なかなかに興味深いですね。 涼宮さんの思惑を覆す出来事があの時点で起きていたなんて」 「……」 ――
夢。 起きている間に見る夢があるだろうか。 ここでの『夢』は未来への希望という意味ではない。 わたしは夏の空の下で夢を見ていた。 本当なら、なかったはずの……一日。 後悔はしていない。 わたしは目を覚ます。 白い部屋。 どうして白いのだろう。 ……それに、寒い。 どうして寒いのだろう。 ……。 窓の外は晴れていた。 わたしは、もとの世界に戻ってきた。 「ゆーき!」 「あ……」 「おはよう!」 「……今日は朝練ないの?」 「そう。だから久しぶりに有希と登校できるってわけ」 涼子に後ろから肩を叩かれた。 何だかずいぶん久しぶりに会う気がする。 「どうしたの?わたしの顔に何かついてるかしら」 「ううん。何でもない」 今朝もこの街の空気は冷たい。 春まで、もう少しかかりそうだ。 「そうだ!有希、聞いて聞いて。あのね……」 「……」 「……なんだって」 涼子は微笑んだ。 「……」 「がんばってね。有希」 ……春まで、もう少し。
「あ、長門さん、こんにちは」 「……こんにちは」 昼休みの図書室。相手は決まっている。 ……陽射しがやわらかい。 「ん。何か変わったことでもあったの?」 「……え」 「いや、ちょっと様子が違うように感じたから」 「そんなことない……」 「そっか。よかった」 「……え?」 「長門さんがいつも通りにしてると、何か僕まで楽しいんだ」 「……」 「あれ、どうしたの?」 「……わたしも」 「え?」 「……なんでもない」 春まで、もう少し。 「また見ちゃった!」 「……」 帰りのHR。前の席の彼女。 「あ、とぼけようとしてるな?甘いわよ〜。色々な意味で!」 「……ばれた?」 「ばればれよ!あたしもたまには図書室に行ってみるものね。いいもの見れちゃったし!」 「……」 「あ、長門さんが笑ったの初めて見た!ね、みんな!」 彼女はいつも元気だ。 わたしはすっかり元通りになっていた。 まるで、魔法が解けたみたいに。 相変わらず国木田くんとは上手に話せないし、文庫本も手放せない。
けれど、少しだけ変わったこともある。 放課後誰もいない部室に行って、パソコンを起動する。 わたしが生み出す物語の人物は、よく笑うようになった。 まだ完成には遠いけれど、ハッピーエンドになればいい。 わたしは窓辺に立って、二枚の紙を取り出した。 一枚はくしゃくしゃ。もう一枚は細長い花模様。 大切な、わたしの宝物。 夢のはじまりと、終わりを告げた、形の違う二枚のページ。 そっとしまって、わたしは窓を開けた。 風は止んでいて、陽光があたたかかった。 「……ありがとう」 あなたと、もうひとりのわたし。 ……。 乾いて晴れ渡った空を二羽の鳥が飛んでいった。 春まで、あと少し。 (了)
と、いうことで前スレ「空梅雨の気まぐれ」とセットでお読みください。 長門の間を表そうとしたので、どうしても改行過多になってしまいましたがご容赦の程を。
リアルタイムで読み入ってしまった。 良いヨ良いヨー。
乙
SS書けて、絵も描けるなんて凄いな
どうでもいいけど
>>90 は
>>88 のあとに入れようとしたんだろうか
素晴らしいw ついつい全部読んじゃったw
>>101 たぶん…偶然だと思う。ID違うし。
でもすごい偶然だなw
とりあえずGJ!
俺もこの調子で古泉×鶴屋ものを書き上げるぜ!
マジ乙 つい、前スレのも合わせて再読してしまうほどGJ
>>103 偶然つーか、誰かが茶々入れようとして101もそれを言ってるんだとオモ。
作品の投下中に支援じゃなく茶々をいれるのはマナー違反だと思うのだが
107 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/16(土) 21:29:29 ID:UDz2ZfVs
>>90 読むのには邪魔なのは確かなんだが、IDがまたSonyって…
すまん、ageちまった…
良かった 次回作は迷子の女の子の謎かな?
>>109 うああー、いちばん恐れていたツッコミがw
何となくそれを長門がやったことにするのを避けてしまっただけなんですがw
大分ここ復活してきたなw
如何しようか迷ったが、とりあえずつっこんどく。 Yagou Natuki Nagato Yuki uが一つ余計だ。 いや、ま、素晴らしかったさ。GJ!!
>>112 あw
あれです、Yagoの間違いですってば!うん!
うん、それ(ry って事は無いと思うな♪
前作とあわせて楽しませていただきました。GJ!!
ていうかね、原作より良かったw 心から、乙です。
>>100 そのアップローダー流れが速いのかな。
もう挿絵が見れない…
カッコの中の空白とかね、もうね、うますぎ。乙。 あと俺も挿絵が見たいです
>>119 無料のレンタルサーバー(ジオシティーズやisweb)や
ブログ使えば?(FC2とか)
>>98 12/18目前というこのタイミングでこれほどのものを…GJ!
natuki
>>123 だろうなと思ってたけどnatsukiってやってた俺orz
ありがとう
色鉛筆みたいなタッチが……ほのぼのとしたタッチが……泣けてくるのはなんでだぜ?
最近のエロパロスレは名作が多いな、ダントツに。
切なすぎて読み返せないわ… とりあえずGJ
>>◆Etq65eJh4c 乙。超最初「また消失ネタかー」とかぽけーっとして読んでたら突然 「あの……道案内をお願いできませんか?」 とかどっかで見たセリフが飛び込んで来て目が覚めたw 後はもう食い入るように読んでたよ。超GJ。
改変日に投下すればよかったのかー……。
>>125 そのリアクションを期待してましたw
空梅雨〜はこれのために作ったSSだったので。
トリップとか続き物だよってバレも最初伏せたりして。
正直キョンでいつも通りやるより難しかった気がします。
ほとんど全編推敲で直しましたし……。
皆様楽しめていただけたようで感謝いたします。
そういや明日は消失改変か。HPに変化はあるだろうか…
団員紹介が消失verになってねぇかな…
HPが消失してたりしてなw
>>126 やあ、俺の異時間同位体。そして
>>127 乙。リアルタイムで
この2作品が読めたことを喜びたいふらいだ。
ん?「ふらい」? ・・・誰か俺を180℃の油でカラッと香ばしく揚げてください・・・
>>130 そ れ だ
あの時みたいにHPごとなかった事になるか、
団員紹介がキョンだけどみんな消失時の状態になるか
改変まで残り5時間
某キャラスレが荒れすぎで困る。 SSが読みたいので久々にこっちに戻ってくることにした。
>>◆Etq65eJh4c 『空梅雨の気まぐれ』の続きだと分かった瞬間に鳥肌立った。 すばらしい作品を読ませてくれてありがとう。
>>◆Etq65eJh4c 今読み終えた、GJ。 仕掛け自体としたい事は「空梅雨」の後の書き込みで予想してたんだが、答えは俺の予想以上でした。 あんた凄すぎだよ……くっ、まじ感動した。俺もがんがる。 「い、いつかあんたの事絶対泣かせてみせるんだからねっ!」 団HPは動きなしだね。 ……まさか4:23に更新するのか? という考えがよぎったが……。
久々に投下。 九レスぐらいです。 エロくないです。消失とは関係ないです。 しかも、何かもやっとする話なので、ご注意ください。
やたらと体格のいいゴスペル歌手の歌声みたいに厚く覆われた熱気がアスファルトを燻り出す正午。 久々の制服に身を包んだ俺は、いつまで経っても歩き慣れない北高へ続く坂道をナメクジのようなスピードでぐずぐずと登っていた。 どうして折角の夏休みにわざわざこんな真似をしているのかと言えば、理由は簡単、忘れ物を取りに行くためだ。 今朝十時ごろ、大変珍しい事に目覚ましを頼ることなく起床した俺は、大変珍しい事に携帯からやかましい声が一切聞こえてこないことに安堵しながら朝食を食べ、満足して部屋に戻ると大変珍しい事に宿題でもやってみようかという気分になった。 が、しかし。いざ宿題をやろうする段になって、肝心の問題集が見当たらない事に気付いたのである。 はて。眠っている間に仕事をしてくれる小人の話は聞いたことがあっても、問題集を盗み出すような悪戯好きの妖精の話なんて知らないんだけど。もしあったとしても、ろくな教訓を得られなさそうな話だよな。 暢気な事を考えつつも割と焦りながら机の上を漁っていた俺は、唐突に思い出した。 先日の登校日。あの日持っていった鞄の中には、休みの始めから入れっぱなしだった問題集がびっしりと詰まっていた。そして俺は登校するなり、いつもの習慣でそいつを机の中にぶちこんでしまっていたのだ。もちろん帰りは、いつもの習慣でばっちり置き勉。 習うより慣れろというが、慣れすぎて習えない時もある。妖精の教訓は結構厳しい。 まぁそんなこんなで、俺は家を後にしたわけだ。いつもならハルヒ辺りに責任の出所を求めるところだが、今回は完全に俺のミステイクだしな。言い訳する暇があれば足を動かした方がマシってもんさ。 ……それにしても暑いな。 勝手にあがってしまう顎に従って見上げた空は、家で氷をがりがり貪っている妹の頭の中と同じぐらい晴れ渡っており、紫外線のレーザービームはこれでもかというぐらい筒抜けだ。お役所仕事もいいとこである。地球はもう少し自分の身を労わった方がいいんじゃないか。 眩しい陽射しに辟易しながらグラウンドに目をやると、各々のユニフォームに身を包んだ部活生たちが、炎天下に負けじと声を張り上げて運動に勤しんでいる。何とも健気なこった。俺はどうもああいうのは性に合わないね。 もしそんな俺の心の声が聞こえていたとすれば、彼らは口を揃えてこう言うだろう。 俺たちだって、でかいカマドウマと戦うのが性に合っているとは思わない。
天然我慢大会みたいな外よりはいくらかマシな校舎内に入り、お馴染みの教室で目的の問題集を奪取する。 だけど代償は大きかった。ずっしりと重い鞄を持って帰るのは、結構な重労働になるだろう。怠け者な自分のことだ。このまま帰ったとしても、風呂に入って昼寝して勉強するのはまた明日ってことになりかねない。 こういう時はあそこだよな、ほら、図書室。 あそこは冷房も効いているし、この時期なら夏期講習に出ている受験生のために解放されている。 なかなかの名案だぜ、などと自画自賛しながら歩く事数分足らず。 数える程しか行ったことのない図書室に足を踏み入れると、冷房の乾いた風が吹きつけ、服の間で中華の蒸し物みたいに籠もった熱を奪い去ってくれる。獲られてももったいなくないのは、余分な熱量かハルヒのトンデモパワーぐらいのもんだろう。 耳をすまさなくても聞こえてくる、押し殺したような笑い声や囁くような話し声に押されながら、俺はぽつぽつと埋まった席の間のちょうどいいスペースに腰を下ろした。 うちの図書室は市立図書館と違って、私語に関しては割と緩い。まぁもっとも、教師が常駐しているわけでもないこの部屋で口を開くなって言う方が無理のある話なのかもしれないが。 それでも皆声を潜めているのは、真剣に本を読んだり勉強したりする人もいるってことを知っているからだろう。今時の高校生にだって、それぐらいのモラルと想像力はある。 しかし、長門が本を読む時に図書室ではなく部室を好んで使うのは、そういう部分を気にしてるのかもしれないな。 と、考え事をしながら何となく目を向けた隣の席で思わぬ人物を見つけた俺は、思わず固まってしまった。 「あれ……」 たしか、喜緑江美里さん……だったっけな。部長氏の件の依頼主であり、黒幕かもしれない人だ。 座って静かに読書している姿は長門を彷彿とさせるが、ページを捲る所作があいつよりも少しばかり柔らかいような気がする。外見のせいか? 俺は声をかけようかどうか一瞬迷ったが、結局黙っていることにした。 口を聞こうにも、何喋ればいいかわからないしな。それにまさか、年頃の女子生徒に向かって昆虫の話なんてできないだろ。 ここは大人しく勉強するに限る。そう決心して、英語教師謹製問題集と向かい合った。 ……んだけど、やっぱり気になるよな。 シャーペンを動かしながらも、ちらちらと視線を横に動かしてしまう。客観的に見るとかなり不審だ。 するとその内、嫌な気配でも感じたのか、喜緑さんは小柄な顔をふっと上げるやいなや、思いがけない速さでこちらに顔を向けてきた。 慌てて視線を逸そうにも間に合わず、俺たちは目を見合わせる。何ともいえない一瞬。それが過ぎると、喜緑さんは華やいだ笑顔を作った。思わぬ場所で知人を見つけたリアクションとしては至って自然な仕草だ。 しかし、そんなそつのない笑顔も、俺の目にはどことなく不自然に映る。 今のって、ちょっとびっくりしてたよな。 長門と対することで鍛えた俺の眼力は、まさに明鏡止水。防水スプレー並に水分をはじきまくりだ。 まぁ、この眼力が長門以外に適用できるのかどうかはまったくの謎であり、つまるところ自分勝手な解釈に過ぎなかったりするのだが。 俺は偏見に満ちた考えをおくびにも出さないまま軽く会釈すると、改めて手元の問題集に向き直る。 一度目を合わせてしまったからには、もう横を向くわけにはいかん。じろじろ見てるのが気付かれたら、変に意識してるみたいでかっこ悪いじゃないか。向こうにだって妙な誤解をさせてしまうかもしれないし。いや、もう遅いか? 若者特有の自意識を誤魔化すために意地になって問題に取り掛かっていると、やがて本気で集中し始め、アルファベットで埋め尽くされた頭の中から喜緑さんの存在が薄れていくのに、さして時間はかからなかった。 我ながら単純なこった。
しかし、そうやって調子づいていられたのも少しの間。 問題が英訳の部分に差し掛かると、俺の頭はすっかり動きを止めてしまった。 まずい。さっぱりわかんねえ。 英文を訳すのは割かし得意なんだが、その逆は大の苦手なのだ。文章を繋げるセンスが致命的に欠けている。 かと言って英訳を全部飛ばすのはアレだしな。嫌いなものを最後まで残すようなガキっぽい真似はしたくないじゃないか。 なので、苦心してそれっぽい答えをでっちあげてみた。 お、何だか本当にそれっぽく思えてきたぞ。というかこれでばっちりだろ。 もう無理矢理正解だと割り切って、落鳳破に向かう鳳統のように空回る自信満々で次の問題に取り掛かろうとしていると、 「間違ってますよ、それ」 思わぬ所から声がかかった。 驚いて首を動かすと、二メートルほどあったはずの喜緑さんとの距離が五十センチに近づいている事に気付いて、俺はさらに驚いた。いつの間に椅子動かしたんだ、この人。 「そのままじゃ文法的に成り立ちません。この文章なら……」 僅かに身を乗り出した喜緑さんは、俺の筆箱から鉛筆を取り出すと、開きっぱなしの問題集の端でさらさらと走らせる。作り物みたいに細い指。 「……と。ほら、これならマルをもらえますよ」 「え? ……あ、ああ。どうも」 俺が綺麗な指に見とれている間に、問題集の端の空白に端正な筆記体が描き出されていた。 少し呆然としたあと、慌ててそれを解答欄の部分に書き写す。 実は筆記体を読むのは苦手だったりするんだが、喜緑さんの字は癖が無くて読みやすいな。 「苦手なんですか? 英語」 手を動かす俺に、喜緑さんは問いかけてくる。 「はい。英訳がちょっとキツイです」 英語に限らず、成績は全体的にキツイですけど。 「でしたら、私が教えて差し上げましょうか?」 「へ?」 俺はすっとんきょうな声をあげながら、ほんわかした笑顔の喜緑さんを凝視する。 勉強を教えてくれる? 喜緑さんが俺に? 思いもよらない提案だ。 先日の部長氏の件に関して、俺は喜緑さんに多少なりとも疑いを持っていた。長門の共犯か、或いはどこか別口の連中の一員なのか。 とにかく部長氏の証言からして、ただの美人な上級生ってわけじゃないのは確かだ。そんな彼女がこうして俺に接触してきたってだけでも正直言って意外に思ってたのに、この上個人授業まで申し出てくるとは。 さて、今度は一体何の前フリなんだ? コーカサスオオカブト退治とかか? 考えが顔に出てしまったのだろうか。喜緑さんは俺を安心させるようにそっと頷くと、 「あなた方には先日お世話になりましたし、それに今日は私、とっても暇なんです。本を読み終えてしまったら、もうやることが無くなっちゃって。だから、恩返しと暇つぶしを兼ねて、せめてお勉強を教えて差し上げられたらな、なんて思ったんですけど」 どこぞの赤球野郎とは違って胡散臭さの欠片も無い仕草で膝の上の両手を組み、 「いかがですか?」 にっこりと笑う喜緑さん。以前会った時は、沈んだ表情で誰とも目を合わせようとしなかったのに。 俺は速達で言った。 「お願いします」 この人がどこの誰かなんてさっぱりわからないが、まぁ、あれだ。危ない奴なら、もっと前に長門が注意してくれているはずだし。 第一考えても見ろよ。こんな風に頼まれて、俺が断れるわけ無いだろ。おまけに宿題を一緒にやってくれるときたもんだ。カモネギに土鍋セットって感じじゃないか。 一人より二人。二人より美人。思春期の法則は最優先なのさ。
少しでも手を止めれば横からすかさず的確な助言がもたらされる、リュケイオンもかくやという理想的な環境で勉学に励む事二時間近く。いつの間にやら英語の問題集は九割方埋まってしまっていた。 このまま行けば他の課題も今日中に終わらせる事ができるかもしれない。でも、さすがにそこまで喜緑さんを付き合わせるわけにはいかないだろう。 俺は最後の問題を解き終わると同時に、シャーペンを筆箱の中に戻した。それから改めて喜緑さんに向き直ると、 「今日はどうもありがとうございました。お陰で最終日に泣きを見ないですみそうです」 ぺこりと頭を下げる。本当に助かりました。 「少しでもお役に立てたのなら幸いですけど」 いえいえ。少しどころか、めちゃくちゃ大いに役に立ちましたよ。 「なら、良かったです」 柔らかい言葉に、俺はできるだけ誠意をこめた笑顔で返しながら、鞄を掴んで立ち上がる。 「じゃあ、俺もう行きます」 汗もすっかり引いたし、教えてもらったことを糧に、残りは家でじっくりやるとしよう。……寝なければの話だけどな。 喜緑さんはゆっくり頷くと、 「そうですか。それでは、また」 朗らかな、だけど少しだけ残念そうにも見える顔。 ……どうも今日は眼球に長門フィルターが張り付いているらしい。 そう言えば、まだ昼飯食べてないな。 俺は出口に向かおうとしていた足を止めて、喜緑さんに向かい合う。 「昼、もう食べました?」 誓って言うが、下心があったわけじゃないぜ。 ただ何となく、このまま別れるのはもったいないな、と思っちまっただけなんだ。
喜緑さんは意外やらそうでないやら、ぶしつけなランチのお誘いを快くOKして下さって、今は俺の隣、というか半歩後ろについて歩いている。 上級生相手にこの位置関係というのは気を使うのだが、何とかしようにも少し後ろに付き添う喜緑さんの姿がひどく様になっていたため、結局口出しできずにいた。水仙のように清楚な姿。一緒に歩いているのが俺なんかでいいのだろうかと不安になってしまう。 さて、そんなある意味デコボココンビな俺たちが向かっているのは、学校の近くにある軽食店だ。 学食は夏季休業中なので、手近な所となるとそこぐらいしか思いつかなかった。俺はあんまり利用したことないんだけど、以前一度だけ谷口たちと行った時には、結構美味しかった記憶がある。 「そのお店なら、私も何回か行ったことありますよ」 喜緑さんは、少し気後れしてしまっている俺に感付いているのか、さっきからちょこちょこと話題を振ってくれていた。歩く姿だけでなく、気配りも一級品だ。 「うちの生徒で通ってる奴、結構多いみたいですね」 なんせ近いから。 「でも私があそこに行ったのって、今年の夏休みが初めてだったんです」 どことなく楽しそうな声。 「何か部活でもしてるんですか?」 俺は尋ねる。そうでもなければ、夏休みにわざわざ学校の側まで来ることはないんじゃないだろうか。駅前にでも行けば、もうちょっとマシな所が沢山あるんだし。 しかし喜緑さんは、 「いえ。今は帰宅部です」 きっぱりと否定した。今はってことは、以前どこかに所属していたのだろうか。 少し言い回しに疑問を抱きながらも、 「じゃあ学校へは何しに? ひょっとして、図書室目当てなんですか?」 「そうですね。退屈な時はたまに。ですから、お昼に誘われるのは、いつも図書室です」 なるほど。喜緑さんはいかにも優等生っぽい感じだからな。休みの日に図書室くんだりまで来て勉強するぐらい真面目な友達が、沢山いるに違いない。 冗談交じりにそんな風なことを言うと、喜緑さんは笑うような息遣いで、 「でも、私を誘ってくれるのはいつも同じ人なんですよ」 へぇ。クラスメイトですか? 「いいえ。ちなみに言うと、その人は男性です」 わけもなくドキリとした。他人の、それも綺麗な女性からこういう話を聞くのは、何となく複雑だ。キャベツに砂鉄をふりかけた物を口に入れられたような気分になる。 内心の動揺を誤魔化すように、俺は言った。 「その人は、喜緑さんに気があるのかもしれませんね」 それともその人はひょっとして、コンピ研の部長だったりします? 「さあ、どうなんでしょう」 はぐらかす風でもなく、ただ面白がるように喜緑さんは笑う。俺はそれ以上突っ込まなかった。何となく。 綺麗と汚いのちょうど中間点に位置するようなその店は、喫茶店とレストランの中間に位置するような内装が特徴的だ。 何回か来た事があるという話は本当のようで、キョロキョロする俺をさしおいて慣れた風に店内を進む喜緑さんは、学校が良く見える窓際のテーブルに腰を落ち着けた。外見とは違って、意外と引っ張ってくれるタイプの人なのかしれない。 そして、頼んだ料理を待つ間。 喜緑さんは自分のことをあまり話さなかったが、その分俺に色んな質問を投げかけてきた。 最初はそれにぽつぽつと答えるだけだったんだが、料理が運ばれてくる頃には俺の口は開きっぱなしの蛇口みたいになってしまっており、終いには聞かれてもいない中学の時の思い出話やら普段心に閉まっている諸々の悩みやらがダダ漏れ状態。 いや、俺だって普段ならここまで喋ったりしないんだぜ。 しかし偶に挟まれる喜緑さんの相槌なんかがまた絶妙で、口のネジを無理矢理ギャリギャリと回されてるみたいな気分になっちまったんだ。凶悪的なまでの聞き上手。 気付けばテーブルの上はすっかり片付いており、窓の外ではソーダみたいに青かった空の色が混じり気のある紫に変わりはじめていた。
派手な色の空の下。 俺と喜緑さんは相変わらず半歩離れたままで並び、ゆっくりと坂道を下っていた。 昼間のハロゲンヒーターみたいな暑さも、ストイックに響く部活生たちの掛け声もない。鬱陶しかった分、少し寂しかった。 「すいません。俺、調子に乗って喋りすぎましたよね」 初対面に近い人の前で失敗するのは、結構へこむ。 「そんなことないです。私って話せることがあんまりないので、すごく助かりました」 喋りすぎている事は否定しない。複雑だった。 しかし、それもこれも喜緑さんの口車に乗せられたせいである。責任転嫁しなくては。 「でも喜緑さんって、凄く聞き上手ですね。委員長とか向いてるんじゃないですか?」 社交辞令抜きで、本当にそう思った。コツを教えて欲しいぐらいだ。俺だってたまには、宇宙人とか未来人とか超能力者とかの変人じゃなく、まともな人々から人気を集めてみたい。 「ありがとうございます。そんなこと言ってくれるのは、あなただけです」 何でもないように答える喜緑さん。 もしもその言葉が謙遜ではなかったとしたら、周りの奴らの目が節穴だな。いつもあの店に誘ってる男は、一体何をやってるんだ。 「何だか、もったいないですね」 俺は思わず声に出してしまった。 だって、本当にもったいない。その巧みな話術を持ってすれば、大抵の人と上手くやれるだろう。とくにうちの薀蓄番長こと古泉なんて、思う存分弁舌を振るえる相手を欲していそうだからな。相性ピッタリかもしれん。 「いえ」 しかし、喜緑さんはこれもやんわりと否定した。 「本当に私、そういうの得意じゃないですから」 定型文みたいな声。 得意じゃない、ね。 勉強を教えたり人の話を聞いたり、そういうことが苦手な人も確かにいるだろう。もちろん俺だって、全然得意じゃないさ。 でも、喜緑さんのそれは、どこまで本当なんだろう。 黙って本を読んでいる長門。悲しそうに口篭る朝比奈さん。偽悪的な発言をする古泉。皆そうだ。俺からすれば、窮屈そうに見えてしかたない時がある。 いつか皆、本当のことを言える日がくるんだろうか。 そして俺はその時、何を言えばいいんだろうか。 ……いかん。さっき悩みを口に出してしまったせいで、思考が普段行かないような場所に足を踏み入れたらしい。 俺のそんな考えを、或いは知っていたのか、喜緑さんは言葉を続けた。 「でも今年の夏はとっても長くて。ずっと一人でいると、経験したことのない、変な気分になってしまって。だから少しの間だけでも、こんな風に誰かと過ごせるのは楽しい……のかもしれません」 そうやって語尾を濁したあと、 「私だって、たまには息抜きをしないとやってられませんから」 「……結婚できないバリバリのキャリアウーマンみたいな台詞ですね」 俺は今日はじめて喜緑さんを振り返る。 整った顔に疲れの色は微塵も見えないが、内側はそうでもないのかもしれないな。 「今度俺たち、俺たちっていうのはSOS団のことですけど、とにかく今度みんなでプールに行くんです。良かったら、喜緑さんも一緒にどうですか?」 余計疲れるかもしれませんけど、息抜きにはなると思いますよ。少なくともあれこれ考える暇は無くなりますし。 唐突な言葉に対し、喜緑さんはにっこりと答える。 「ああ、あの人達と。それは、とっても楽しいのかもしれません」 しかしそれも一瞬のこと。すぐに顔を俯かせると、 「でも、ごめんなさい。一緒には行けません」 半ば予想していた答えだった。 この人にはこの人の事情があるんだろう。それも割と特殊な事情が。 だから俺は、何でもないように表情を崩す。 「そうですか。じゃあ、もし俺たちと一緒に何かしたくなったら。また文芸部室にでも来てください。いつだって歓迎しますよ」 学校一麗しいメイドさんの手作り緑茶も出してあげられますしね。 すると喜緑さんは顔を上げ、両手をそっと打ち合わせると、 「はい。もし夏が終わって、あなたがその言葉を覚えていたら、その時は」 今日一日見せていたそつのないデフォルト笑顔とは違う、悪戯っぽい笑い顔。 心の片隅の、懐かしいものに触れたような気がする。
俺は、頭を過ぎ去った何かに気を取られて一拍置いたあと、慌てて間を埋めるように口を開いた。 「いやいや、いくら俺でも自分の言った事を一月足らずで忘れるほど鳥頭じゃないですって」 小さく手を振りながら否定すると、喜緑さんは子供をあやすように目を細めた。 「その台詞、この前も言ってました」 ……この前。頭の中を、また何かが過ぎ去った。 この前って、一体いつだ? 記憶を探ってみても思い当たる節は無い。そもそも喜緑さんと会ったこと自体、今日で二回目のはず。 たしかに最近の俺は田舎に行ったり孤島に閉じ込められたり祭りに参加したりバイトをしたりと、一昔前のアイドルばりにぎゅぎゅうのスケジュールで過ごしていたわけで、どこかしら見落としがあったとしてもおかしくはないのだろう。 しかしそれでも、滅多に会わない人と話したことぐらい、いくらなんでも忘れないと思う。 それとも何か? 俺の海馬は使い過ぎた石鹸みたいに磨耗してるのか? 「じゃあ、私はこの辺で」 気付けば、坂道の下の分かれ道。 俺が記憶の森で迷子になっている間に、喜緑さんとの距離はもう半歩分開いていた。 昼とは逆に遠ざかる、寂しい一歩だ。 空の明かりが、惜しむように暗く落ちる。 「せっかく手伝ったんですから、課題の残り、ちゃんと仕上げてくださいね」 最後にそう言って、喜緑さんは手を振った。 暗闇を透かしても、白い制服の裾が笑うようにひらひらと揺れているのが見える。 俺は、何か言わなくてはいけないような気がしたけど、結局それを言葉にすることができずに、ただ黙って手を振り返すことしかできない。 それでも喜緑さんは満足そうに微笑むと、丁寧なお辞儀だけを残して、ゆっくりと去っていった。 俺は、小さい彼女の背中をずっと、道の向こうに消えるまで見送って、 いつの間にか夏は終わった。
「ちょっとキョン。キョンってば!」 「……悪い、何だったっけ?」 顔を上げると、俺の真横でシャーペンを握っているハルヒが、馬の尻尾みたいにでかい筆で不機嫌と書かれたような表情でこっちを睨みつけていた。 「あんたねえ、人に教えてもらっときながら何ぽけーっとしてんの! こういう時ぐらい、九官鳥でももうちょっと真摯な態度を取る筈よ!」 「あー、すまん。悪かったよ。夏バテ気味なんだ。勘弁してくれ」 尚も文句ありげな視線を避けるため、手元の問題集に意識を集中させる。 そんな俺の様子を見て、ハルヒは不愉快そうに一つ鼻を鳴らしたが、すぐに真剣な声色になって問題の解説を始めた。 こいつは変なところで気が利く奴だからな。解説に織り交ぜられた細やかな指摘は、教えられる立場として結構有り難い。教師とかにでもなれば、意外といい線いくタイプなんじゃないだろうか。 まぁ、生徒がこいつの罵声に耐えられるほどの精神力を持っていればの話だけど…… 「朝比奈さん。度々で申し訳ないのですが、少し質問させていただいてもよろしいでしょうか」 「あ、はぁい。えっと、そこのページは……」 前言撤回。 やっぱりもう一人の先生の方がモアベター良い。 今日は八月三十一日。夏休み最後の日だ。 そんな切なくも儚いラストデイに俺たちが何をしているのかと言えば、これが何と夏休みの課題だったりする。 狭い俺の部屋に集まったSOS団の五人は、合計四つのシャーペンをかりかりと鳴らしながら、それぞれの不良債権と格闘の真っ最中。 ちなみに何で四つなのかと言うと、長門だけは自分の課題をものの数分で終わらせて、何やら難しそうなタイトルの本をいつものように捲っているからだ。 ハルヒと朝比奈さんも自分達の分は既に終わらせてしまっていたのだが、もう一息というところの古泉と、もう無理だろこれというところの俺に、それぞれ教師役を買って出てくれていた。 それについては感謝感激雨あられなんだが、どうして古泉が朝比奈さんとペアで、俺がこいつとなんだ。その点が納得いかん。どう考えてもおかしいだろ。不公平だ。 そんな事を考えてみても、教えられてる立場だから偉そうなことは言えず、出来損ないの競走馬にイラつく調教師のような指導を甘んじて受けるしかないのだった。 しかし、これが終われば九月一日。待望の新学期がやってくる。 ハルヒの解析不能な能力により誰もが我知らず円を描きながら歩き続けていた夏も、もうすぐ終わろうとしているわけだ。 いや、本当に終わるかどうかなんて、明日にならなくちゃわからないんだけど。 もしこの勉強会でもダメだったとしたら、今日の午前零時ごろ、またしても俺たちは記憶のリセットボタンを容赦なくクリックされて八月半ばに吹っ飛ばされるという色々とバランスが崩れそうな強制イベントに巻き込まれてしまうらしい。 騒がしくも精一杯遊びまくった夏をもう一度。 それはそれで悪くない、かもな。
「……いい加減マジメにやんないとシャーペンの芯を眼球の芯に突き入れるから」 いかん。またボーっとしてた。これはマジで夏バテかもしれんな。 いや、今はそんなことより眼球の心配をしなくては。物を見るのにHBの黒鉛は必要ない。 「本当にすまん。悪気は一切無いんだ」 だから失明は勘弁してくれ。 「悪気が無いで許されるんなら、業務上過失致死なんてものはこの世から消えて無くなるっての」 こんな時にだけ正論を述べやがる。 ぐうの音も出ない俺に対し、勝ち誇るような顔をちらつかせていたハルヒは、散らばった課題の数々を引っつかんで眉をしかめて見せた。 「それにしてもあんた、課題してなさすぎ……うげ、英語なんて真っ白! このままじゃ日付変更線をまたぐのは間違いなしじゃない! もう、こうなったら合宿よ合宿! 一度始めたんだから、泊り込んででも終わらせてやるわ! あたしの意地にかけて!」 口調とは裏腹に、そこはかとなく楽しそうだ。 泊まるのは別に構わんが、ベッドは朝比奈さんと長門のものだからな。お前は床だ。古泉は、えっと……風呂場? 浴槽の中で縮こまっている古泉を想像して噴出しそうになっていると、 「あら?」 英語教師謹製の問題集をぺらぺらとめくっていたハルヒが、怪訝な声をあげる。 「この字、あんたのじゃないわよね」 ハルヒが指差したのは、真っ白な問題集の端っこに書かれた筆記体の一文だった。 「……そうだな」 俺、筆記体苦手だし。そもそもこんなに字が上手くない。 ハルヒは手を田舎チョキの形にして卵みたいな顎に添えつつ、 「誰かの悪戯書きかしら。いや、それにしては、何だか丁寧で控えめすぎるし……意味深だわ」 はいはい。お前にかかれば、鼻毛の飛び出具合だって意味深になるんだろうさ。 「うっさい。夢もロマンもない奴よりはましでしょ」 口をアヒルみたいに尖らせながら、ハルヒは俺の筆箱から消しゴムを取り出した。 「ま、このまま提出するわけにもいかないのは事実だしね」 消した方がいいってんでしょ、と言いながら問題集に向かう、ハルヒの手。 その手を、俺は思わず握り締めていた。 「……何すんの」 妙なアクセントの声をあげるハルヒ。 気付けば、向かいに座った古泉と朝比奈さんだけでなく、椅子に座って本を読んでいたはずの長門まで、俺たちの方を注目していた。 俺はゴホンと、内閣のお偉方みたいな咳払いをしたあと、 「消すのは、その、何て言うか……もったいない」 ハルヒはハトが鶏の腿肉を投げつけられたような顔で、長い睫毛をぱちりと瞬かせながら、 「あんたって普段つまんないことばっかり言ってるけど、たまにわけわかんないことも言うわよね」 八割方わけわからんお前よりマシだ。 俺は呆れ顔のハルヒから消しゴムを奪い取り、英語だらけの問題集に改めて向き直る。殺到するゴシック体のアルファベット。 まずは苦手な英訳から解こうと、俺は思う。 ガキじゃあるまいし、苦手なものを後回しにしたりしない主義なんでね。 視界の隅で、流れるような書体で描かれた筆記体が、窓から差し込む陽射しを浴びて白くぼやけているのを見た。 水たまりに映った白い太陽みたいだ。 それでも俺は、幾度かの夏に出会った指先の綺麗な彼女の事を思い出さなかった。
こんな時間にGJ 眠いから明日読む
>145 ちょっとほのぼのっていうかほっこりした。 GJだぜ喜緑さんカワイス
今、初めて心から喜緑さんをかわいいと思った。
GJ。読み返すと色々気付くことがあって面白い。 エンドレスエイトの時は長門以外のインターフェイスも記憶が残ってる だろうから、退屈だったりうんざりだったりしてそうだな。
HPが消失したw
>145 GJ!チクショウ、キョンめ!思い出せよ! >150 ドンマイ 晒さなくて良いからどんなHPだったのか教えてほしい
>>150 お約束だな
<!-- プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・三日後 -->
減っていくのか…
3日立ったら別の告知に切り替わるのか…
うわ、ソースが、ソースコードが!w
>>153 正直普通に騙されたorz
トップ以外は本物みたいだな
>>136 なんか語りがむっちゃ面白いんですけどww
SSで噴いたの久々だ。
堪能したぜ。GJ!!
丁寧だし違和感がないな。今回はキョンが鈍いわけでもないけど「キョンwwwおまwwwww」って言いたくなるわw
>>136 うまい!面白かったです。
喜緑さんとの場面はゆったりしてるのに宿題合宿のところは慌しく感じるのは
文章が丁寧だからなんだろうなぁ。
ループがずっとなのは2人いたんだよなと今さらながらに思ったりして。
さらに長門はこれ知ってたんだろうかと邪推したりして。
乙です。
「ジオン公国による一年戦争の大義をいつまで信じていたか?」なんてことは他愛もない世間話 にもならないくらいのどうでもいい話だが、それでも“ジオンの赤い彗星”であるこのオレがい つまでザビ家のプロパガンダを信じていたかというと、これは確信を持って言えるが最初から信 じてなどいなかった。 優性種=宇宙移民による地球人類の支配などできやしないと理解していたし、父ジオン・ズム・ ダイクンの死の現場を目撃したわけでもないのに、ザビ家による暗殺の可能性を疑っていた賢し い俺なのだが、はてさて、人類総てがニュータイプと化し、人口問題・環境問題などが解決され るステキ未来などあり得ないと気付いたのは相当後になってからだった。 いや、本当は気付いていたのだろう。ただ気付きたくなかっただけなのだ。俺は心の底から人類 のニュータイプ化を望んでいたのだ。 しかし、現実ってのは意外とキビシ〜。地球連邦政府によるコロニー支配が意外に良くできてい ることに感心しつつ、いつしか俺は歴史の表舞台に姿を見せなくなっていった。宇宙に進出した 人類の革新? 連邦政府からの独立? 地球環境の回復? そんなのある訳ねえ。でも、ちょっ とあって欲しい〜みたいな、オールドタイプ的なことを考えるくらいにまで俺も成長したのさ。
ネオ・ジオンの総帥になる頃には俺はもうそんな駄目な夢を見ることからも卒業して、ララァの 代わりにナナイと寝ることにも慣れていた。俺は大した感慨もなくアクシズ落としを敢行し、連 邦軍のニュータイプ“アムロ・レイ”と出会った。 「νガンダムは伊達じゃない! 石ころの一つくらい…」 …それ笑うとこ? すごいMSがそこにいた。 結論から言うと、アムロ・レイはマジだった。最後までマジだった。 こうしてネオ・ジオンのアクシズ落としは失敗に終わっちまった。 しみじみと思う。ララァが俺の母親だったらなぁ、と。
中々洒落た事するなw>公式
学校6巻まで読み終えたから、ようやく「北高を出よう! SOSvsEMP」読んだ。 いや、こりゃすげーわw 文章力もさることながら、プロットの練られ方が半端ない。 ほんと面白かった!
実際に鍵を揃えたらどうなるんだ?
揃えたら、じゃない。揃うんだよ。じきね
年末にキョンたちが雪山の館に閉じ込められたときも 公式では何かやんのかな?
最近レベルの高いSSが投下されすぎだぜ!!! おかげで講義を全く聞いていなかったorz
「谷口はどこに行った?」 今思い出しても腹が立つぜ。考えてみりゃ、俺ノーギャラなんだぜ。せっかくの休日朝っぱらから出向いたってのにだ。何なんだ、あの映画とやらのロケは。ろくに台詞もない脇役、池に落ちるし、 全身ずぶ濡れの俺をほっぽっといて、涼宮とキョン達は別の撮影場所へ行っちまう。ああ腹立つ、せっかく出かける予定を取りやめてまで行ったってのによお・・・。 「おおっ、そこを歩くのはキョンくんの友達の谷口くんかいっ?」 「つ、鶴屋さんっ?(キタッ!)」 「どうしたんだい?花火がしけってることに気付かないまま火を点けようとしている人みたいな顔しちゃって。」 「(鶴屋さんに名前覚えてもらえた・・・)実はかくかくしかじか・・・」 「ふーん、なるほどっ。確かにあの時は少しおイタが過ぎたかもだねっ。ごめんよっ。」 「いえいえっ、鶴屋さんは悪くないんです。悪いのは涼宮なんです。でもあいつ気が強いし、せめて鎧でもあれば勝てるんですけどね。」 しばし考え込む鶴屋さん 「よし!谷口くんの為に、一肌脱ぐっさ!ちょっと待ってね・・・」 「鶴屋さん?鞄から何を?」 「・・・じゃん!鶴屋家に代々伝わる『ウルトラ・スペシャル・マイティ・ストロング・スーパーよろい』だっ!」 「・・・・・・」 「どうしたんだいっ?」 「ウルトラ・・・って、どこに・・・。何にも・・・。」 「あっそだ!断っておくけど、これは馬鹿には見えないのさっ。それに馬鹿な人だと、これを着ても役に立たないんだっ。」 「へ??」 「・・・た、谷口くんっ?まさかキミぃ、これが見えないくらい馬鹿ってことないよね?」 「へ??見えます、見えますとも!!」 「さあ、着てみよー!」 「いやあ、立派な鎧ですねえ。」 「気に入ってくれて嬉しいっさ!」 「よしゃ!鶴屋さんの鎧を着たことだし、涼宮の奴をぎゃふんと言わせてやりますよ!」 「・・・ぷぷっ、ぷあーっはっはっはっ!谷口くん、最高のノリだよおっ!でもそろそろツッコミを入れてくれないとあたしもちょっと・・・ってあれ、谷口くんっ?どこ行ったのさっ?まさか ハルにゃんとこっ?おーい谷口くーんっ、『裸の王様』の話を知らないのかーいっ!」 鶴屋さん、谷口を追いかける
再び谷口 「うーん、本当に着てるんだろうかこれ。なんか実感湧かないぜ・・・おっ国木田だ。あいつに訊いてみよう。」 「やあ谷口。何してんの?」 「国木田。この鎧見えるか?」 「鎧?うん見えるよ。それがどうかしたの?」 「ひゃっほー!本当だった!」 「あっ谷口・・・。何だったんだ?」 「よう国木田。今の谷口だよな。どうかしたのか?」 「あっキョン。いや谷口がさ、鎧見えるかって。」 「よろい?」 「ほらあれだよ。」 「ああ、校長が自分のコレクションを展示してるやつか。豊臣秀吉が着ていた鎧だとか自慢してたが、絶対まがい物だろうさ。」 「キョンくーんっ!」 「あれ、鶴屋さん。」 「谷口くん見なかったかいっ?」 「谷口なら、たった今走り去りましたよ。」 「ああんっ、一足遅かったかっ!」 「谷口がどうかしたんですか?」 「実はかくかくしかじか・・・」 「やれやれ・・・。谷口らしいというか、なんと言うか・・・。」 「いやーっあたしもさっ、ツッコミを待っていたんだけど、本当に信じるとは思わなくてねっ。」 「そんな芸人泣かせの反応するのは谷口だけです。鶴屋さん、俺も一緒に捜しますよ。国木田もいいだろ?」 「うん、構わないよ。」 「わおっ、ありがとう二人ともっ!」 鶴屋さん・キョン・国木田、谷口を追いかける 再び谷口 「待てよ。ということは俺、馬鹿だということか。ま、元々利口だとは思ってないからそれはいいんだが、鎧が役に立たないほどの馬鹿だったら困るぞ、おい。」 「げ、谷口。」 「おお、そこを歩くのは高遠と由良。ちょうどいい、高遠、お前に頼みがあるんだ。」 「何よ。あんた、高校生になっても私をナンパする気?」 「えっ高ちゃん谷口君にナンパされたことあるの?」 「中学の頃の話よ。入学早々だったわ。あいつのナンパ癖は昔からよ。・・・どうしたの由良?」 「・・・あたしされてない。」 「あのねえ、谷口なんかにナンパされても自慢にも何にもならないわよ。」 「けど、高ちゃんがナンパされてあたしがされてないなんて何かムカつく。」 「・・・何でよ。」 「・・・おいお前ら。俺の話を聞いているのか?」 「ああもう!だから何?」 「お前の持っているそのバットで俺の頭を思いっきり殴ってくれ。」 「何言ってんの?」 「いいから殴れ!さあ!」 「よけいアホになっても知らないわよ!」 「こい!」 「えい!」
「・・・うはっ、何ともない!たんこぶどころか、傷さえ付いてない!」 「あっちょっと谷口?」 「・・・高ちゃん、バットへしゃげてるよ。」 「ビニール製だもの。当たり前よ。」 「高遠さん、由良さん。」 「あっ国木田くん。」 「谷口見なかったかな?」 「谷口ならたった今宝くじが当たったような顔して走ってったわよ。」 「ねえねえキョンくんっ。」 「何ですか?」 「キョンくんはハルにゃん以外の女の子とはあまり話さないのかいっ?」 「うぐ・・・痛いとこ突いてきますね。ハルヒの相手ばかりしていたら、俺までその一味と思われるようになってますからね。」 「あははっ、ハルにゃん独占欲が強いなあっ!」 「はてさて・・・何のことやら。」 「キョン、何してんの?谷口こっちに行ったみたいだよ。」 「そうか、よし!」 「・・・あれ、高遠さんたち、何でついてくるの?」 「何となく!」 鶴屋さん・キョン・国木田・高遠・由良、谷口を追いかける 再び谷口 「おーい荒川。」 「何だ?アホの谷口。」 「お前、空手部だろ。ちょっと俺を空手の技で突いてみてくれよ。」 「何で?」 「何でもいいから頼む!」 「アホのやることは解らん・・・。一回だけだぞ。」 「よしこい!」 「せやっ!」 「うほっ、全然痛くねえ、完璧だ!よっしゃ、待ってろよ涼宮ぁ!!」 「お、おい谷口?・・・何なんだあいつ?素人相手に本気で突く訳ないだろ。」 「あそこにいるのは荒川か?」 「おおキョン。今谷口がー、」 「谷口がどうしたって?」 「いや『待ってろよ涼宮ぁ』とか叫んで旧館のほうに走ってったぞ。おまえんとこじゃないのか?」 「いかん、部室だ!」 「急ぐにょろよっ!」 「お、おい!」 「・・・あれ荒川。何でついてくるんだい?」 「何となくだ。」 鶴屋さん・キョン・国木田・高遠・由良・荒川、谷口を追いかける
文芸部部室(再び谷口) コンコン 「キョンくんっノックしてる暇はないっさ!」 「す、すいません習慣で」 「谷口、無事かっ?!」 「・・・あらキョン遅かったわね。って鶴屋さんに・・・ずいぶん大勢ねえ?」 「んなことより谷口は?」 「谷口?そこよ。」 「谷口ぃぃぃ。」 「遅かったか・・・。」 「無残だわ。」 「ボロ雑巾ね。」 「合掌・・・。」 「いきなり来てこのあたしにこないだの映画のギャラよこせなんて言い出すから懲らしめてやったわ。」 「・・・」 「つ、鶴屋しゃああん・・・。」 「あー、そのー、谷口くんっ?」 「すみまひぇぇん。鶴屋家の鎧でも、涼宮に勝てましぇんでしたぁ。」 「よろい?」 「ま、まあいいっさ!気にしない気にしない!谷口くんよくがんばったにょろよっ。」 「うう・・・ありがとうございます・・・。」 「鶴屋さん、ネタばらししないんですか?」 「キョンくん・・・昔の人はこう言ったさ。『イカサマはバレなきゃイカサマじゃない』って。」 「つ、鶴屋さん・・・」 「??ねえキョン、それっていったい何の話なの?」 「谷口ががんばったって話だよ。」 「てめえキョン。そんな簡単な一言で片付けんじゃねえ。・・・いてて。」 終わり
谷口ww
それなんてドラえもん? 次は驚音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機でひとつ。
>>145 GJ
SS書き引退者だがまた書きたくなってきた
元ネタはドラえもんの「ウルトラよろい」です。オチもドラっぽくしようと思いましたが 谷口には愛すべきアホでいてもらいたくてこうしました。
谷口のび太 乙www
ダービーwww
<!-- プログラム起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後 -->
>>179 あれ?昨日見たときは三日後だったような……
もしかしてカウントダウンしてるのか?
亀レスだが
>>136 GJ!
俺からすれば喜緑さんSSを書いてくれた時点で神だ
朝倉に操られて長門を犯すキョン 「大丈夫、安心して」と言いキスをする長門 「あれはナノマシンを注入するための行為」と言い訳する長門 という電波を受信した
>>136 場面ごとにさりげなく入れられる一文が
素晴らしい。
最後の一行なんてもうもやっとして!もやっと!
なんだろうね、この、夏休み最後の一週間みたいな憂鬱な雰囲気。
ラノベ板谷川スレで長門のページの更新が話題に出とるな。
だから何?
そりゃネタがない時だってある。
ちょっと小ネタ投下。多分3レスくらい。
そいつはうら暖かい春の日の出来事だった。 桜も既に散って葉っぱが目立ち始めた心臓破りの坂を登る際、ある種の違和感が俺をずっと苛んでいた。 ──何だ? ふと、周りを見回してみる。 別段、どこにも違和感はない。 あたりにいるのは見覚えのないやつらだが、全員北高の制服を着ているし、坂の下で見かけた光陽園はもちろん女子高のままだった。 思い過ごしか? まあ、いいさ。普段からハルヒパワーによる非日常に慣らされた副作用だろうよ。 思い過ごしなら、そいつに越したことはないしな。 教室の扉を開けたら、そこは雪国……でもなければ、ぐにゃりと歪んだ空間でもなかった。ただの1年5組の教室だ。 いつものように窓辺の一番後ろの席にはハルヒが座っていて、どこか不機嫌顔で校庭の方を見ていた。 「よ」 「あんた、なに変な顔してんの?」 聞きなれた声。この一年さんざ聞きなれた普段のハルヒの声が帰ってくる。 「いや、なんでもないさ。気にすんな」 「ふーん」 それから、俺達はいつも話すような取り留めもない会話をした。 カチューシャで黒髪をまとめた、ポニーテールには足りない長さの髪を持つハルヒ。 あの冬の日、一度俺の前から姿を消したハルヒだ。 「ハルヒ」 軽く机に置かれたその手を握る。 「な、何よ」 ぐぐっと目が釣りあがり、俺をにらみ返してくる。 「お前がいて良かったよ」 帰ってきた朝倉。眼鏡の長門。消えたハルヒ。 俺の前からいなくなった時、確かに気づいたんだ。 ──俺の傍には、こいつがいないといけないんだって。
ガタッ 椅子の音に振り返る。 佐伯の席に座っていた見知らぬ女子が俺達を注視していた。 「ちょっ…今日のあんた。なんかへ、変よ。変なもんでも食べたの?」 ハルヒがなんだか慌てた様子で、喋っている。 気が付けば、教室中が俺達を注視していた。 いくつもの双眸がこちらを興味深げに見ている。知り合いの姿がなかったのが幸いだろうか。 ……?待てよ。 ここは、確かに1年5組の教室のはずだ。 何で知り合いの姿が一人も見えないんだ? 「ホームルーム、始めますよ」 出席簿を持った男が教室に入ってくる。 「だ、誰だ?」 「誰ってうちのクラスの担任でしょ」 背中からハルヒの声がする。 違う。教壇に立ったそいつは明らかにハンドボール馬鹿の岡部の形をしていなかった。 「おい、俺はホームルームをさぼる。ハルヒ。言い訳は任した」 言うが早いか、足早に出口へと向かう。 「あっ、こら!!団長に仕事をおしつけるなんて団員として最悪よ!」 背中から罵声が飛んでくるが、今は無視だ。 「それに、さっきのは何だったのよ?答えなさい」 すまん。ハルヒ……今は答えを出せそうにない。 「この馬鹿キョーーーーーン!!!」
「おい。授業中だが、いるか?」 ノックもそこそこに文芸部室の扉を開ける。 情けないが、こういう時は経験的に長門頼みだ。いたし方あるまい。 「あ、キョン君」 制服姿の朝比奈さん。 「やはりあなたもここに来ましたか」 見慣れた笑みを浮かべる古泉。 「…………」 本を読んで座っている長門。 お前ら? 団員3人が既に揃い踏みだった。 「どうなってるんだ?俺とハルヒを除いて、1年5組のメンバーが総入れ替えだ。あの冬の時の再開か?」 「キョン君のクラスもですか?あたしのクラスも鶴屋さん以外、みんな……」 朝比奈さんのクラスもなのか…… またハルヒの力か?いったい何がしたいんだ、あいつは。 「彼らはモブキャラに過ぎなかったということですよ」 モブキャラだと?何を言ってやがる、古泉。 長門が、持っていた文庫本から目を離すと、代わりに口を開いた。 「今回の事象は、世界改変とは無関係。強いてあげるのならば、前年の夏の状況が近しいと言える」 15498回という馬鹿げたくり返しを行った終わらない夏休みか? 「あなたは去年の夏休みのことや、冬のことを覚えていますね?」 何を当たり前のことを言ってるんだ。 俺が涼宮ハルヒの奇行をそう簡単に忘れるわけないだろ? 「そう。あなたは涼宮さんと1年を過ごしてきたわけです」 そうだ。俺はハルヒと1年以上の時を既に過ごしている。 「まあ、我々がこういう状況になってしまったのも、ある種光栄なことでしょうか。人気者はつらいですね」 何の話しだ。全く分からん。 隣の朝比奈さんも同様のようだ。クエスチョンマークをかかげてたたずんでいる。 「あなたは今朝方、1年5組の教室へ。朝比奈さんは2年生の教室へと向かいませんでしたか?」 そりゃそうだ。俺の教室は1年5組だ。 「ループですよ」 なんだと? 長門の方を振り向く。その小さな口がゆっくりと言葉を発した。 「フィクションではよくあること」 その手には、日曜日(具体的にいうと6時半くらい)に見かけそうな名前の本が握られていた。 〜the end〜
リアルタイムで目にした なるほどなあ
194 :
189 :2006/12/20(水) 01:20:41 ID:HqDtxhpg
一応、消失ネタかな? 消失dayということで、空気呼んだほうがよかったかも知れないけど。 まあ、実際原作はこういう展開になることはないだろうな……と思います。 でも、どこまでやるのかねー?個人的には最終巻は修学旅行(憤慨によれば、2年3学期らしい)かなーと思っとります。
>>192 サザエさんかいな
リアルで漫画連載6000回以上、アニメ放送5000回以上は伊達じゃないな(関係ないが
本誌の方でもやたらと進級って言ってるから、それは大丈夫でしょうねw いやなるほど!と思いましたよ。
佐伯って誰?
>>136 エンドレスエイトを終わらせる切っ掛けになった記憶なのかな?
なんにせよGJ
涼宮ハルヒ以外全部消失ってタイトルがなんか好き
200 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/20(水) 07:28:28 ID:6v5VN3gx
日本以外全部沈没に掛けたのかな サザエさんオチとは思わなかったぜgj
>>192 世にも奇妙な物語っぽくて面白かったwww
古泉と長門が冷静かつ自覚的なのがすごくいい。
>>197 1年5組のクラスメイト
公式に座席表が有ったはず
確かアニメでも写ってたような…
消失の名簿にも出てた
205 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/20(水) 13:30:24 ID:0FfACb4S
谷口と国木田……
206 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/20(水) 13:54:51 ID:S2eW5d+o
そいつらはまだしももう一人…
阪中・・・(´・ω・`)
ハルヒにとっては谷×国はモブキャラだったんだなw
阪中もか。
消失小ネタ ちょうどこの日という事で即興で書いた。 マリアナ海溝よりも深く反省している。 テイク1 言い訳が長々しい。 「国木田、岡部に訊かれたら俺はペストと赤痢と腸チフスと黄熱病とインフルエンザと 脳梗塞と虫垂炎と左大腿骨骨折とノロウィルスとコイヘルペスと右ヒラメ筋肉離れと 肺気腫と便秘とヒロポン中毒と四日市喘息と酸素欠乏症とホームシックと 花粉症と突き指とヘルニアとストックホルム症候群を併発して死にそうだったと伝えてくれ」 「………ごめんキョン、もう一回言ってくれるかな?」 「だからな、腸チフスとペストとコイヘルペスと黄熱病と……」 キーンコーンカーンコーン 「はーい、授業を始めます」 (´・ω・`) ------------------ 〈インスペクタ・1〉 これでは納得がいかない。 〈インターセプタ・1〉 認める。 〈アスタリスク・1〉 ──介入する。 実行。 終了。 ------------------ テイク2 そんな事言ったらそりゃあ 「国木田、岡部に訊かれたら俺は恋の病が発病したわけじゃないんだが、死にそうだったと伝えてくれ。 いいか別にこれは恋の病じゃないんだぞ」 気のせいか、さっきも言った気がするな。 「え、という事は彼女にでも会いにいくの?」 その国木田の(あからさまに声のでかい)発言にいっせいにクラスの女子が集まってきた。 国木田、わざとか……。 「彼女ってどんな人なの?」 「今からデート? あっついわねー」 「まったくまだ風邪が治ってないの? もうすぐ授業よ」 「彼女は犬は好きなの? 聞いといて欲しいのね」 ええい、鬱陶しい。 「とにかく今は話してるような時間は……」 キーンコーンカーンコーン 「はーい、授業を始めます」 (´・ω・`) ------------------ 〈インスペクタ・1〉 これでは女子生徒に捕まえられて抜け出せない。 〈インターセプタ・1〉 認める。 〈アスタリスク・1〉 ──介入する。 実行。 終了。 ------------------ テイク3 「国木田、岡部に訊かれたら俺はペストと赤痢と腸チフスを併発して死にそうだったと伝えてくれ。 それから谷口」 以下略
>>211 色んなハルヒ関連スレで消失の日を盛り上げようとする流れですげぇ楽しいよw乙
>>213 あー
じゃあ・・・・・・・・・
俺が書いたSS
「肉奴隷長門〜宇宙人に人権は無い〜」は
また今度書き込むわ・・・・・・・・
218 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/20(水) 20:07:38 ID:q5Ql/oxc
でも実際宇宙人に人権はないらしいぞ 3分で仕事する巨人にも人権はないらしいし
まあ作られた存在だしな……
この際聞きましょう。 みなさんはどんなジャンルを求めてるんですか? 純愛? 陵辱? パラレル? クロスストーリー? キャラ崩壊? この機会に集計をとりたいと思います。 ご協力、お願いします。
>>220 匿名掲示板で集計とっても
あまり意味はないと思うぞ。
つーかスレの無駄遣いの様な気がするが……
書きたいもん書けよ
>>220 本編世界でキョンが純愛ハーレムを築いている一方、
パラレル世界のキョンはキャラ崩壊した●に激しく陵辱されていた。
>>220 このスレでジャンルの重要度は低いんじゃね?
「涼宮ハルヒの憂鬱」の世界観やキャラをきちんと踏まえた作品がエロ/非エロに関係なく評価が高い。
陵辱モノとか、前も話題になったけど主要キャラではシチュ的に難しいし…そういうネタを説得力もって描き
切れば別だが、キャラ名がハルヒネタなだけでキャラ名を他作品に置換しても違和なしwってのが多かったしな。
単にジャンルが好きなのであればこのスレに居る必要ないしね。
>>192 のオチを誰か解説してくれ
サザエさんと言われてもまったくピンとこない
サザエさん時空でくくれ
>>225 他には浦安鉄筋家族・ドラえもん・クレヨンしんちゃんなどがある
これらに共通する時空に関する矛盾は?
作品の連載年数=キャラクターの年齢にはならない事。 だよな?古泉。
コナンもじゃね?
230 :
1レス小ネタ :2006/12/20(水) 22:33:34 ID:DJNWma3Q
わたしがこのわたしを元に戻せば、改変時空はなかったことになる。 ……。 迷いなどない。 彼がこちらの世界を選んだのだから。 ……。 では、無意識下でわたしが創ったこのわたしはどうなる? 答えは簡単だ。いなくなる。 わたしは彼女をわたしに戻す。 彼女は元々いなかったのだから。 ……。 いなかったのだから。 エラー。 ……再改変、実行。
そして無限ループへ
消失祭り終わったのに消失関連で何か書きたくなってきてしまった
こち亀なんかだと○○年正月。でサブタイトル出ても歳をとらない。 世界中の人間が求める不老不死は漫画にあるのさ。
ちょっとアレな小ネタ。一レス。勝手に >228 に捧ぐ。 そうですね。可能世界という言葉はご存知でしょうか? そう、あらゆる可能性の数だけ世界が分岐、生成されるという、あれです。 今あなたは湯飲みを持っていますが、あなたがその湯飲みを持とうと思って持った瞬間に、 湯飲みを持たなかったあなたがいる世界、持とうとして落としてしまったあなたがいる世界…… などが同時に生まれ分岐して、それぞれの時系列に従って時を刻んでいる……と考えたことは ありませんか。 つまり、この世界のあなたは何かを決断、または、選択したことになっているわけですが、 実際には、あらゆる可能性が実現した世界が可能性の数だけ分岐する、とまあ、 そんな感じの考え方です。そう世界は可能性の数だけ無限に生まれ存在する。 そこで、ある時系列上の特定の存在の時間に着目して、その間に並列に存在するそれぞれの 可能世界ごとの物語を順に見ていけばどうなるでしょう。 そう、たとえばあなたの物語を。 着目するのはあなたが高校に入学してからの一年としましょうか。 あなたは北高に入学し、涼宮さんと出会い、SOS団に参加して色々な騒動に巻き込まれながら 一年を過ごす。そして、その一年の終わりに次の可能世界のあなたに着目するわけです。 その物語を見ている存在――仮に上位者とでもいいましょうか――は、あなたが過ごした一年、 または、過ごしたかもしれない一年を、連続して見続けることができます。 もちろん可能世界ですから、それぞれの世界のあなたが存在している社会が、 同じ構造を持っているとは限りません。 ある世界では、あなたが高校に入学する時点で、まだ自動車が実用化されていないかも しれませんし、別のある世界では、すでに宇宙旅行が一般化しているかもしれません。 そのように上位者は、あなたという存在に着目して、それぞれの可能世界で実現した、 あなたが過ごしたかもしれないあらゆるイベントを観察することができるわけです。 上位者の視点では、あなたは可能性の数だけ同じ高校一年のときを過ごすことになります。 絶対に同じ一年では無い、あなたの高校一年を。 そう、たとえばあなたが過ごしたかもしれない、高校一年のときのあらゆるパターンの クリスマスをね。 え? そんなことをする理由ですか? 上位者がそうする理由ね、ふむ。 そうですね、上位者は、あなたの高校一年のときの物語が好きなんでしょう。 物語というものは、どんなものであれ、いずれ終焉を迎えます。 しかし、その物語を、特定の登場人物によるその物語を見続けたいと考えたならば、 可能世界に着目すればいいんです。 そう、きっと娯楽なんですよ。上位者のね。
消失98Pからの分岐 勢いで書いた、反省はしてない。 俺の味覚はウマいと絶叫していたが、心の奥底では何喰ってんだか解ってないような気分でひたすらおでんの具を口に詰め込んでいた。 長門はちまちました食べ方で昆布を齧り終えるのに三分くらいかけていて、その場で明るく話しているのは何も食べていない朝倉だけで、俺は生返事に終始している。 そんな地獄の門番でビバークしているような食事風景が十分ほど続いた。肩が凝りそうだ。 朝倉は時計を見て、 「んー、そろそろなんだけどなぁ」 何がだ?、と聞いた途端、眠気が襲って来た。そろそろ帰らないと寝てしまいそうだ。 「睡眠薬」 朝倉がニッコリとした顔で、 「効いてくるのが」 答えた。
>>235 1レスで終わらせるのが勿体無い希ガス。
そう言われた途端にまぶたが砂袋でもつるされたかのように重くなり、俺は着せ替え人形のようにそのまま後ろに倒れた。
遠のく意識の中で長門の、
「朝倉さん、どうして……」
という蚊の羽音のような声と、朝倉の不敵な笑みを記憶に残して俺の意識は消滅した。
…………。
「……さん、ちょっとそっち持って。 よいっしょっ」
俺のズボンがずらされるのを感じて俺の脳は一気に覚醒状態に移行した。
「何をやってる」
目を開けてみると朝倉が俺のズボンに手をかけてもう膝の辺りまでずらしていた。
俺は周りを見渡した。 どうやら俺はリビングから七夕の時に俺と朝比奈さんが寝ていた部屋に運ばれたらしい。 おまけに後ろで手を縛られて身動きが取れないときたもんだ。
「何ってズボンをずらしてる以外に見える?」
「そういう意味じゃない。 俺のズボンをずらして何をする気だと聞いてるんだ」
「女の子が男の子のズボンをずらしてすることなんて限られてると思うけど違う? ね、長門さん」
朝倉が微笑みかけた方向を体をよじって見てみると、長門が両手で口を押さえて座っていた。
長門は顔をリンゴのように赤くして、驚いているんだろうか目は見開いていたが、瞬きをする事もなくじっとこちらを見ていた。
「この子奥手だからこうやってお膳立てしてあげないと何も出来ないのよ」
「かといってお前がする事でもないだろ。 あと後ろの縄かなんかをほどいてくれ」
「うん、それ無理。 だって解いたらあなた逃げちゃうじゃない。 それに……」
「うおっ……」
そこで言葉を止め、最後の布の砦に手を置いてそのまま俺の息子をさすってきた。
朝倉の手の体温が布越しに伝わって、まぁこんな事を言うのも悔しいが冗談抜きで気持ちいい。
「ほら、こんなにやる気じゃない」
朝倉の猛攻により俺の最後の砦はあっさりとポールを立ててしまった。
そして朝倉が長門をチラチラ見ながら俺のトランクスに手をかけたところで行数が足りない。勝手にリレー(しかもエロ方向に)したことを深く反省はしている。
つうか、半分が引用とかふざけてるとしか思えないのだが潔癖だろうか?
引用じゃなくて改変ネタって考えればイインジャマイカ?
なんとなく保管庫見てたんだ。殆ど読み尽くしたから新しいSSを探していたらそれが目に入った。 キョンの消失 どーせキョンがいなくなってハルヒ達が悲しむだけの突発的催涙物だと思って読まなかったんだが、読んでみたんだ……神か!?目から鱗がおちたぜ。感動だ。 うん、言いたい事はそれだけなんだ。長文すまない。ただこれを読んで新しいものに挑戦する気概みたいなものを感じてくれたなら幸いだ。
- * - の人のTS物か。 「キョンの消失」というタイトルのは二つか三つあったはず
一連の流れを見てて 長門物が読みたいんだけど タイトルに長門って書いてないもので 長門物ってありますか?
「恋心」 しかし個人的には冒頭の朝倉がイチオシだ
>>236 原作を忠実に再現してるのはいいとして、得に何もおこらなかったな。
まぁ仕方無いか、鍵揃えているわけじゃあ無し。
>>244 キョンが目覚めた日にまた何かやるかもしれんぞ?
「朱に交われば赤くなる」 『彼女には願望を実現する能力がある』 これは以前古泉から大真面目に聞かされたハルヒ評だ。しかしSOS団の市内パトロールがある本日土曜、朝から雨が降っている。ハルヒのことなら、パトロールのある日は梅雨時でも快晴にしそうだが 本来気象を支配しているこの惑星がいつまでもハルヒの思い通りにはさせんぞとがんばったのだろうか。二日酔いしたサラリーマンのような声をしたハルヒからの電話で本日のパトロール中止を告げられ たあと、雨の中外に行くのもしんどいのでおとなしく家に引きこもることにした。昼ごろ母親が出かけてしまい、今家に居るのは俺を入れて3人だ。俺と、妹と、ミヨキチである。ミヨキチは妹と一緒に 宿題をするため母親と入れ替わるようにやってきた。妹と一緒に勉強するといっても、いつも妹がミヨキチのノートを写すだけだけどな。 ザー、ザー、 ミヨキチが着てから、雨足が強くなったようだ。帰りは送っていこうかななどと考えながら、俺は自分の部屋で本を読んでいた。長門から本を借りたり一緒に図書館に行ったりしてるうち、俺も読書好き になりかけていた。長門のような百科辞典級の本はまだ無理だが、人から部活は何だと聞かれたら文芸部って答えてもいい気もする。というよりSOS団団員だなんておいそれと言えるかよ。 コンコン 部屋のドアをノックする音がした。今俺の部屋ではテレビをつけていない。主電源からOFFだ。CDもかけていない。ラジオもつけていない。ということは間違いなくドアをノックする音だ。誰だ? 妹はいつもドアをノックせずに入ってくる思春期の男性泣かせのやつだし、母親は出かけて夕方まで帰ってこないはずだ。ということは・・・ 「おお、どうした?」 ドアを開けると、妹の部屋で宿題をしているはずのミヨキチが立っていた。白いセーターを着て、髪を後頭部のあたりでまとめ、いつぞやのスリムジーンズをはいていた。 「妹は?」 もう一人の姿がないので聞いてみた。 「コタツで寝ちゃってます。」 季節はすでにコタツを必要とする季節になっている。妹のやつ、ミヨキチをほったらかして自分だけ暖かくなって寝てしまったのか。 「それで、宿題で解らないところがあるのでキョンくんに教えてもらおうと思って・・・。」 ミヨキチの手には、教科書とノートが握られていた。 「ああ、そういうことか。まあ入んなよ。」 俺はミヨキチを快く部屋に招き入れた。ミヨキチは不動産物件を下見するようにキョロキョロと俺の部屋を見渡している。 「?どうした?」 「い、いえっ。キョンくんの部屋に入るの初めてですから・・・。」
言った途端ミヨキチの頬が赤くなった。言われた俺も意味もなく赤くなってしまい 「そそそうだっけか?ままあ座れって。」 しどろもどろになってしまった。何だこの雰囲気は?まるで彼女を初めて部屋に連れてきたみたいじゃないか。 俺はホットカーペットのスイッチを入れた。俺はコタツが嫌いだ。コタツ布団というシロモノ、無意味にバカでかくて場所をとり、埃ばかり出して部屋を汚す。なので俺の部屋の暖房設備はホットカーペットと ファンヒーターだ。そのホットカーペットにミヨキチは正座し、テーブルを挟んで真向かいに俺はあぐらをかいて座った。ミヨキチからの質問を受けながら、俺はミヨキチのピョコピョコ動く後ろ髪が気になった。 ポニーテールには丁度いい長さの髪。 「ミヨキチ、お前髪形変えたの?」 「えっ?・・・これですか?これは勉強のとき髪が邪魔になるので後ろにまとめてるだけですよ。」 「・・・そうか。」 「これ、ポニーテールっていうんですよね?変ですか?」 後ろ髪を触りながらミヨキチが聞いてきた。 「いや、そうじゃなくて。似合ってるなあと思って。」 「へっ??」 またミヨキチの頬が赤くなった。その顔を見た俺は 「さ、さあ宿題やるか!」 話を宿題に戻した。しかしミヨキチはその後、やたらと後ろ髪を意識するようになってしまった。 ミヨキチは算数は得意だが、社会が苦手のようだった。わが妹とまるで逆だな。なるほど一緒に勉強すればお互いの苦手科目を補完できて万々歳だな。俺も妹と同じで社会は得意のほうだ。今では地理も自信ある しな。なのでミヨキチの臨時家庭教師には適任だった。 俺が徳川吉宗が城を抜け出して城下町を見回っていたというのは将軍になる前の話で実話だということを詳しく話していると 「キョンくんって歴史も詳しいんですね。」 ミヨキチの一片の嫌味もない一言で我に返った。 「す・・・すまん。ちょっと熱く語っちゃったかな?」 コホン、と一回咳払いした。ミヨキチは鉛筆を握ったままにっこり笑って 「いえ、私もそういう雑学みたいなの好きなんです。けどそういうのって全然テストに出ないんですよね。」 まあ、そりゃそうだろうな。だから雑学って言うんだし。趣味と実益は必ずしも一致するわけではないのだ。その辺ツライね。 「そうですね。」 ふう、とミヨキチは溜息をついたが、なぜかその顔は少し嬉しそうに見えた。 「これで終わりです。ありがとうございました。」 とはいえミヨキチは飲み込みが早いので小一時間ばかりで宿題は片付いた。 「てか妹のやつまだ寝てんのか?」
起きていたらミヨキチを探して俺の部屋にノックもせずに入ってくるだろう。俺は起き上がって背伸びしながら 「頭引っ叩いて起こしちゃっていいから。」 ノート類をまとめているミヨキチに手振りを交えながら言った。ミヨキチが苦笑いを浮かべながら立ち上がろうとしたその時、 「あれ?あわわっ」 生まれたての赤ちゃん牛のような足取りになってふらふらと俺の方に寄って来た。少し面白い。 「どうした?」 理由は分かっていたが聞いた。 「あ、足が痺れて・・・あっ!」 ぽふっ そのままミヨキチは俺の胸の中に倒れこんできた。床とぶつからないよう俺も受け止める体勢をとったため、華奢な体がすっぽりと俺の胸の中に収まった。完全にミヨキチを抱きしめている格好だ。 ザー 俺の部屋に、外の雨の音が響く。俺の鼻に、ミヨキチからいい香りが届く。 「あ、足の痺れは取れたか?」 堪らず沈黙を破る。 「ま、まだ少し・・・」 俺の服をつかむ力が強くなった。ミヨキチは俺の胸に顔をうずめているので表情が分からない。この位置からだと、勉強の邪魔になるからという理由で後ろに結った髪が、そうポニーテールが視界に入る。 「ミヨキチっていい匂いするなあ。まさか香水とか?」 とりあえず何か話題を作ろうとしたのだが、さっきから放たれている芳香の話になってしまった。匂いフェチとか思われたらなんだな。 「香水はつけてないです。シャンプーかリンスかな・・・」 胸の辺りからこもったミヨキチの声がする。 「キョンくんも、いい匂いしますよ・・・」 俺はリンスとか気にしないぞ。 「そうじゃなくて、男の人の匂い・・・」 ミヨキチの思わぬ言葉に、俺は心臓の鼓動が速くなった。ミヨキチ、お前は何を言い出すんだ。男の人の匂いってどんな匂いなんだ。俺はいくつか候補となる匂いが思いついたがミヨキチにはいえない匂いばかり だった。まずい、話題を変えよう。 「ミヨキチってずいぶん背が高いと思っていたけど、こうしてみると小さいな。」 ミヨキチの体がピクッとした。 「そういうこと、初めて言われました・・・。やっぱりキョンくんは私のこと女の子として見てくれるんですね。」 あれ?あれ?俺どんどんドツボにはまってないか?何でミヨキチは俺の話題にこんな反応するんだ?俺、そんな意味ありげな話してないよな?まずい、また話題を変えよう。 がばっ ミヨキチが突然顔を上げ、俺を見つめた。
「さっき・・・この髪形似合ってるっていいましたよね・・・。」 俺は黙って頷いた。というか、声が出なかった。 「今度からポニーテールにします。・・・わたし、私だって女の子なんです。巨人じゃないんです。」 ミヨキチの瞳が水面の月のように揺らいだ。・・・そういうことか。俺はポニーテールの頭を撫でながら 「ミヨキチは充分魅力的な女の子だぞ。」 またもミヨキチの頬がみるみる赤くなっていく。また俺まずいこと言ったかな? 「キョンくん・・・」 キョンくんか。叔母が発案し、妹が広めた俺のあだ名も、今ではミヨキチにまで伝染している。参った。今の台詞、朝比奈さんより色っぽいじゃないか。俺、ミヨキチのスイッチを入れてしまったようだ。ミヨキチ の今の表情は、何かを待っている顔だ。理屈ではない。直感的なものだ。俺はここから先の行動は避けるべきだと思ったが、鎖で縛られたようにミヨキチの視線から離れられない。俺は今どんな顔をしているんだろ う。ミヨキチの澄んだ瞳に映る自分の顔でそれを確認しようとしたがその顔がどんどん大きくなっていることに気づいた。それは錯覚ではなく間違いなく俺とミヨキチの顔の距離が縮んでいることを意味していた。 ミヨキチがつま先を上げ背伸びしたのが分かった。もうお互いの吐息の音と感覚が伝わる距離まで近づいている。ミヨキチが目を閉じた。間近で見るミヨキチの唇は、上唇より下唇のほうが少し大きくぷっくりして いて見るからに柔らかそうな質感をしていた。俺は頭の中ではこの子は小学生だ、妹の親友だ、やめろ、という声がしていたが体は制御できなかった。俺とミヨキチの唇がまさに触れ合いそうになるその時ー、 ガチャッ 「ミヨちゃんここに居るんでしょー?」 かくれんぼの鬼の如くわが妹が俺の部屋に入ってきた。時間が止まる、というのを初めて実体験した気がする。俺は眼球だけを妹の方へ動かした。妹はドアノブを握ったまま固まっていた。俺は今時間が止まって いると感じていたが、妹のよだれの痕がついた口、目、ついでに鼻までもがゆっくりと開いていくのが確認できた。時間は止まっていない。妹が次に発する声は、いつものノー天気なものではないだろう。妹の顔が そう言っている。 「な・・・な・・・何やってんのーーーっ!?」 俺の部屋の空気が振動し、その声の圧力で俺とミヨキチはよろめいた。 「ミヨちゃんと・・・キョンくんが・・・チュ、チューしてるっ!!」 待て待て!確かにこの体勢、チューしようとしてなくもないが断じてチューなどしていない!早とちりするなっ! 「違う!これには訳があってだな、聞いてくれ!」 俺はミヨキチと顔を離し、ここに至るまでの経緯を伝えようとした。 「だったら何で二人とも顔が赤いのっ?」 ミヨキチの顔が赤いのは知っているが、俺まで赤いってのか?まさか? 「俺の顔、赤いか?」 一番近くにいるミヨキチは 「は・・・はい。さっきからずっと。」 まだ俺の服を離さない。
「ほれ、ミヨキチもあいつに説明してやってくれ。このままだとあいつ、頭から湯気が出てきそうだ。」 「え?は、はい、そうですね。」 ようやくミヨキチは俺から視線を外し、親友の方に顔を動かした。 「な、何でもないよ。チュ、チューなんかしてないってば。ただ私が足が痺れて転びそうになったのをキョンくんが支えてくれただけ。」 見事に的確に状況を伝えてくれた。自分が何故俺の部屋にいるのかまで説明してくれたらなおよかったが、今はそんな余裕はない。 「ホントに〜??」 腕を組み斜に構えながら妹が俺達を睨んできた。蛇に睨まれた蛙のように俺たちは動けず、募金活動の即戦力になりそうな精一杯の笑顔を妹に向けた。 「ミヨちゃん、足はまだ痺れてるの?」 小姑のような口調で妹がミヨキチの足を覗き込んだ。 「そうだ。足はもういいのか?」 すっかり忘れていたことを俺も聞いた。ミヨキチははっとして 「あっもう大丈夫です。」 俺の服をつかんだまま慌てて離れようとしたが、先刻俺に倒れこんできた際床に落とした鉛筆に足を取られた。 「あ、あっ」 「うわっ」 どさっ 俺の服をつかんだままだったので、俺まで一緒に倒れてしまった。倒れた所は・・・床ではない。柔らかくて反動のある、ベッドの上だ。 「あ・・・」 ミヨキチが声を上げた。俺が気づいた頃は時すでに遅し、俺の右手がミヨキチの胸に置かれていた。言っておくが、ミヨキチの意外とふくよかな胸の感触など味わっていないぞ。それを見た妹は体中から空気を吸い 込み 「二人ともそこに正座しなさーいっ!!」 部屋の窓ガラスが割れんばかりの大声を上げた。おまえ、ハルヒみたいな口調になってきたな。
数分後の俺達の立ち位置はこうだ。 俺とミヨキチは並んで正座。両手は太ももの上。その前を左右に行ったり来たりしている妹がいる。 「なるはど。事情は解りました。」 妹は腕を組んでうんうんと頷いている。どこかの刑事かお前は。 「では判決を下します。」 今度は裁判官か。 「キョンくん有罪、ミヨちゃん無罪。」 ミヨキチはほっとした顔を浮かべていたが、俺は複雑だ。この裁判は控訴できるのか? 「あの、裁判長。」 手を上げた。 「何だね?」 「ミヨキチが無罪なのは当然ですが、何故俺は有罪なんですか?」 妹は俺を指差しこう言った。 「キョンくんの罪状は、『ミヨちゃんの乙女心をもてあそんだ罪』です。」 はあ? 「よってキョンくんは『あたしとミヨちゃんにケーキとジュースをおごる刑』に処します。」 抗議の声を上げようとしたが再び妹に睨まれ 「皆に言いふらしちゃうよ?」 黙るしかなかった。『皆』ってのはあの『皆』だよな。完全に弱みを握られた格好だ。窓の外を見ると雨は止んでいた。 「分かりましたよ。今から買いに行ってくる。」 ひょいとミヨキチの顔を見ると、微妙に曇った顔になっていた。どうしたと声を掛けようとすると横から 「ダメだよー。あたし達もついてく。キョンくんだけだと、ちっちゃいケーキ買ってきそうだもん。」 いつもの間抜けた妹の声がすると、途端ミヨキチの顔から曇りが消えた。 防寒支度をして、戸締りをして3人で外に出た。俺の前では妹とミヨキチが手をつないで歩いている。二人は同い年の親友だが、傍から見るとミヨキチが姉の姉妹のようにも見える。そのミヨキチはポニーテールの ままだ。俺はさっきのミヨキチの顔が頭に残っていた。そういえば俺の部屋に来たときからずっと、ミヨキチはどこか嬉しそうな楽しそうな顔をしていた。足が痺れて俺に倒れ掛かってきたときも、妹に見つかって 正座してるときもだ。ただ俺が一人でケーキを買いに行くと言ったときだけ顔を曇らせた。 「乙女心ねえ・・・」 言葉にはできるが、その意味を未だ理解できていない馬鹿な俺は、水溜りに足を踏み入れたことさえ気づくことはない。 終わり
GJ!! ちょっとミヨキチ属性に目覚めそうになったw
そういや、ミヨキチものは最近あまり見なかったな。 とりあえずGJ!!
GJ!久々のミヨキチものかー。 前に短編が何本かあったけど、長編っていえるようなのはなかったよな? 明らかになってる部分が少ないから、妄想はしやすい反面、 やっぱり書き手としては難しいのかも。
ミヨキチは「お兄さん」って呼ぶような気がするにゃ〜
今さらだけどここ今年になって29スレ進んだことに吹いたw
30スレ目行きそうじゃね?
前スレが前代未聞というスピードで埋まったからな。 今スレはマターリ新年を迎えそうな気がする。 忙しくて電波が降りてきてもまとめる前に霧散してしまうぜ
>>145 憂鬱にまどろむ喜緑さんにコロッといきました。
相変わらずのクオリティの高さにGJ。
>>247 やばい、ミヨキチやばいくらい可愛い。
こっちもコロッといっちゃいそうでした。
>>257 5スレ辺りからの加速が尋常じゃなかったからなあ
>>247 ミヨキチが素晴らしいのは確かだが、何故か妹の方に萌えちまった。
とりあえずミヨキチはイラストが存在してないからなぁ…
>>261 アニメが始まった4月ぐらいから加速しだして6,7月ぐらいがピークだったな。
2,3日で1スレ消費したりしていたからな。それもほとんどSSのみでw
とりあえずミヨキチはハルヒ14話で妹が挨拶した女の子の背の高い方ということにしている
267 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/22(金) 01:42:42 ID:+QzPznLN
ミヨキチもそうだけど国木田の言っている「変な女」も出てきてないよね
ごめんさげわすれ
ミヨキチを題材にしたSSって保管庫にあったっけ?
ミヨキチの正体が実は…ってのがあったよな。 タイトルは失念したが。
鼻先3センチも見えないような豪雪の中、私達は目的地であるロッジまで下山を試みていた。 解析不能。先ほど彼に発した言葉を頭の中で思案する。 情報思念体との更新を先ほどから試みているのだが、微妙なノイズによってうまくいかない。 彼の期待にそえていない。自分が歯がゆい。 彼の心情を確認しようと彼の顔に目線を向けたその時 「あっ!」 涼宮ハルヒが声をあげた。 指先の座標を確認する。建物の光を確認。情報思念体から建物の情報の取得を試みる。エラー。 私はどうしてしまったのだろう。過去にこのような例はなかった。体の中にもやもやとしたエラー が生じる。 涼宮ハルヒが有無を言わさず歩き進んでいく。 「・・・」 この状況は危険。私の中でそう答えがはじき出される。体の奥のエラーが増大していく。 彼に私の意見を伝えようとした時、彼の手がわたしの背中を優しく押す。 振り返ると『やれやれ』とした彼の微笑が網膜へと映し出される。 ウェア越しに伝わる彼の感触。 理解不能。体温が伝わるわけないのに。ましてやこの吹雪の中なのに。温かい…気がする。 「長門。」 建物へ向かう途中、彼が私に話し掛ける。 「不安なのは分かる。だがここでじっとしててもそれはただの自虐行為でしかないぞ。」 「・・・」 「何、心配するな。もし機関の陰謀だとか異世界人の介入があろうが何とかなるさ。」 わたしは吹雪の中かろうじて見え隠れする彼の瞳をみつめる。 「ああ、勘違いするなよ。俺は別にお前に問題を全て丸投げにして解決して貰おうだなんて無責任 な事は言わんぞ。」 彼は少し照れたように続ける。 「お前の周りには癒しと先物取引に長けてる未来人と、もはや何でもありなスーパーマンもいる。 あー、あと光る球に変身するスマイル変質者もな。俺は情けないが無力な一般人だが…なに、こいつらを 動かすきっかけくらいなら作ってやるさ。」 吹雪の音に所々かき消されながらわたしは彼の声を懸命に拾う。 「だから一人で抱え込むな。悩んでるならもっと周りを頼れ。」 「・・・」 わたしは首を数ミリ動かして自分の意思表示を彼に見せる。彼は安心したように口元を緩めた。 「こらーー有希!馬鹿キョン!!!何してんのよ!おいていくわよ!!それとも何?あんた達は私達と はぐれて翌朝新聞一面トップを飾りたいの!!??馬鹿キョンのアホ顔が全国に晒されるなんて日本 国民の目覚めが悪くなること間違いなしね!!!」 彼はわかったわかったと言いながら涼宮ハルヒの方へ向かって歩いていく。分かる。理解している。 彼と涼宮ハルヒは表面上ではお互いをさげずむような事を言いながら心の中では通じ合っている。 私と彼はどうだろうか?私は彼に迷惑をかけてばかり。彼の心の中では私にうんざりしているのかも しれない。私の奥でまたエラーが生まれる。不安、彼は不安と言った。そう、これは不安。 彼に触れられた時不安が和らぐのを感じた。 ――――もっと触れられていたい。 建物の前に私達は並ぶ。体が重い。心も…。
妹もので風呂に乱入してくるのってなんだっけ?
○天国
>>269 保管庫漁ってたら、とりあえず長編ひとつ見つけた。
『夢=未』ってやつ。
変な女と従姉は最後まで出てこないと思うな。 ミヨキチは2期があったら出るのではないかね。 あるいは大抜擢で10巻表紙とかw 何にしてもあれだ、キャラが固まる前ならやった者勝ち書いた者勝ちだと。 ……うーん、ネタ出たら何か書きたいなぁ。
エロが書けないなら釣りバカ日誌みたいに「 合 体 ! ! 」 とか書いとけばいいんじゃね?w
誤爆した・・OTL ハルヒとか歌が流行ったぐらいしか知らんのに
>278 キョン・ハルヒ「「 合 体 」」
どう妄想しても二人がフュージョンしてる絵しか思い浮かばなねぇw
>>282 あんまりこういう事は言いたくないんだが、これも人間が人間たる本能と言うか欲求と言うか、
楽しくない人生よりはやっぱり楽しい人生の方が文字通り楽しく生きていける訳であって、
どうせ楽しむなら他人が体験した事の無いような楽しさってやつを味わいたいと思うんだ。
そういう理由だから一般人が聞いたらちょっと一線引くような苦笑物の提案を今からしたいと考えている。
あー、この中にだ、もし万が一ひょっとしたらありえなくもないかもしれない程度で構わん。
例えば宇宙人だとか、未来人だとか、異世界人だとか超能力者だとか、まあそう言った
何だか人に聞かれたら頭の心配をされそうな、誰にも言えないような属性を持ってる奴がもし居たら、だ。
まずはこちらまでご一報願いたい。悪いようにはせん、秘密は絶対に守る。
……とまあ取りあえず自己紹介は以上って事で、一年間よろしくお願いします。
こんな人格なのかキルヒw
「ラインハルキョ様、宇宙を手にお入れください」 といって息絶えるキルヒ
何か殺し屋みたいな名前だw
実際ハルヒとキョンがフュージョンしたらハルヒの性格の方が強く表れそうな気がするなww てかキルヒよりハルンやらキョヒの方が先に思い付いたのは秘密だwww
とりあえずツンデレ度合いは二倍になるね
最近のここはSSのレベルが高いから困る
キョンとハルヒが結婚して息子と娘を出産。 息子は母親似で容姿端麗、性格はブっとび。 娘はキョン似で平凡な顔でジジ臭く「やれやれ」とかいう。隠れファン多し。 やがて2人は禁断の愛に陥って…… (合体)でここまで妄想できた俺は病んでます。本当に
合体!って見てえっちな合体と思った俺の立場は?w
流れを読まずにエロ分投下。 キョン×ハルヒで、陵辱じゃないけど、微妙にキョンが暴走気味です。 苦手な方はスルーヨロ。7レス予定です。 「涼宮ハルヒの唇」
296 :
1/7 :2006/12/22(金) 21:25:58 ID:tLuaWGTd
『涼宮ハルヒの唇』 「映画につれてってあげるから明日8時半に駅前集合。勘違いするんじゃないわよ、不思議探索特別編なんだからね!遅刻は死刑!いーわね!」 深夜に突然かかってきた電話は、慌ただしく用件だけ伝えると、いつもどおりに返答する間もなく切られた。 男にとって電話は情報伝達の手段だが、女にとっては電話そのものが目的である、などという男脳女脳論は団長様には当てはまらないらしい。 相変わらず人の話を聞かないやつだ。 しかたなく、財布の中身を確認する4月を目前にした春休み。連日の不思議探索のおかげで、どんどん目減りしてく俺の懐具合は、 本日我が家を舞台に「確率の不思議を探索する」という名目で行われた、どんじゃら大会のおかげで割と余裕がある。今日は気持ち悪いくらいにツキがよかったし、古泉はどんじゃらも激しく弱かったからな。 ただ、副賞でついてきた一日団長権は、どう使ったもんかね? 明くる翌日、朝食時に今日の俺の予定を知ったとたんに、何を勘違いしたのかニヤニヤ笑いを浮かべっぱなしの妹の見送りを背中に受けながら、 30分前到着を目標に家を出た。今日くらいはヤツに奢らせてやる。 しかし、そこにはすでに、当該人物が待ち受けていた。まったくいつから待ってんだろうね、こいつは。 だが、遠目にはいつになく緊張しているようにもみえる。いやはや、珍しいこともあったもんだ。 「おそい、罰金!」 俺に気づいた団長様は、片手を腰に当てながら、ビシッと鼻っ面に人差し指を突き立てた。近すぎだ。指紋まで判別できるぞ。って、いつもと違って淡い色のマニキュアが塗ってあるじゃないか。 「へえ、かわいいなそれ」 俺の視線に気づいたハルヒは、瞬間的に茹ダコ並みに真っ赤になった 「へ!?あ、こ、これは、た、たまたまよ、たまたま。母さんが新しい色を買ってきて、練習台のモルモットってやつ? みくるちゃんの買い物に付き合ったら、お気に入りの色を見つけるのに時間が掛かっちゃって、それでその・・・・・・とにかく、いいのよ!」 と、大慌てでよくわからない言い訳を並べたと思ったら、ぷいっとそっぽを向いてしまった。なんかまずいこといったか俺? 指先だけでなく、今日のハルヒは、普段の活動的な服からは想像もつかないほど、こじゃれた格好をしていた。 なんとノースリーブのブラウスに、落ち着いた色のジャケットをはおり、丈の短めなタイトスカートの足元はショートブーツで固められている。 中身はともかく、外面の良さは一級品だからな。ブランドなんぞはさっぱり分からんが、まったく違和感がないどころか、
297 :
2/7 :2006/12/22(金) 21:27:43 ID:tLuaWGTd
「な、なによ、笑いたければ笑えばいいでしょ!」 まじまじと見つめる俺の視線が気になるのか、ハルヒはアヒル口を作りつつ、少し悲しげにこちらをチラチラと伺ってくる。 「そ、そんなことないぞ。あまりにも綺麗で、思わず見惚れちまっただけだ」 思わず口をついてしまった正直な感想に、大きな目をさらに丸くした団長殿は、 何か言いげに口を2、3度パクパクした後、耳まで真っ赤になってうつむいてしまった。 「・・・ありがと」 こんなに素直な反応が来るとは驚天動地だ。やばい。いつもと雰囲気が違いすぎて、 こっちまでキョドっちまう。これじゃあまるで初々しいカップルじゃないか。いや待て俺。 こいつはハルヒだぞ。傍若無人で、唯我独尊で、焼肉定食で、えーととにかく落ち着け俺。 バクバクと16ビートを打つ心臓を落ち着かせるために、深呼吸しようと突き出した手を、何を勘違いしたのか、ハルヒが握り返してきた。 しかもこいつはいわゆるひとつの恋人繋ぎってヤツじゃないか。驚いてハルヒをまじまじと見つめると、「なんか今日暑くない?」などと、のたまいながら、 真っ赤な顔を手でパタパタと仰いでいる。どうにも扱いの困ることだが、振り解くのも忍びないので、俺たちはそのまま電車に乗って映画館へと向かった。 着いた先は、いつかミヨキチと来た単館系映画館だった。知っててここを選んだんだじゃないだろうな? しかもハルヒの見たい映画も、B級の匂いがぷんぷん漂うスプラッタ系ホラーだった。それもR-15指定のマニアックなやつ。お前こういう映画好きだったっけ? 「この映画は本物のお化けが映ってるっていうんで、本国では公開差し止め騒ぎが起きたものなのよ。まあ映画に映るほど間抜けなお化けもいないでしょうけど、一応チェックしておくのがSOS団団長としての勤めだわ!」 そんな分かりやすい煽りに引っかかるなよ。まあいいんだけどな。俺もこの一年でこういったジャンルには、いやでも強くなったし。 でも、映画館に入った途端、ジャケットの袖をひしっと掴んでいる手が、微妙に震えているのは何故なんだろうな?ハルヒの意外な一面に、思わずにやける自分を無理やり封印した俺は、割引券を厳かに下さった団長様のために、 チケットどころか、勢い余ってパンフとコーラとポップポーンをも購入していた。券売り場のおばちゃんの、初々しいカップルを見守るような生暖かい視線が突き刺さる。 まあ勘違いとはいえ、いちいち訂正するのも大人気ないからな。とりあえずそういうことにしておくさ。 そんなことはさておき、相変わらず広いとは言いがたい劇場は、日曜日だというのに閑散としていて、ほとんど貸切状態だった。 やはりマニアックすぎる映画なんだろう。せっかくなので、昨年と同じくベストポジションと思われる中央の席に陣取ろうとした俺を、ハルヒは確固たる意思を持って押しとどめた。 「真正面から睨みつけたらお化けだって恥ずかしがって出てこないかもしれないじゃない!まあ、こ、この辺の席がいいんじゃないの?」 と、ハルヒが指し示したのは、上段の右隅に程近い3人がけの小さなシートだった。ふむ。 真正面からは怖いならそう言えばいいのに。その微笑ましいチョイスを受け入れ、俺たちはそこに腰を下ろした。 もちろんこの時点で俺は、わざわざ人から離れた席を選んだハルヒの秘めたる狙いなど、まったく知る由もなかったが。
298 :
3/7 :2006/12/22(金) 21:29:13 ID:tLuaWGTd
映画が始まると、予想通りの紛うことなきB級ホラーだった。画面の端に本物の幽霊がしのんでいそうな雰囲気は微塵にも感じられない、 あからさまなハリウッドムービーだ。とはいえ、びっくり演出のたびに小さく叫び声を上げるところを見ると、意外にも団長様はお気に召したようだ。 そのたびに俺の腕にすがり付いてくるのは、まあ条件反射ってヤツだろうよ。だが、毎回毎回弾かれたように慌てて離れるこいつがちょっとかわいそうなってきた。 いくら相手がハルヒとはいえ、怖がる乙女に変な遠慮をさせるのは、漢としてあるまじき振る舞いだからな。 と、誰へ言い訳をしてるんだか分からないが、遠慮がちに俺の裾を掴んでいた手をそっと握り返すと、驚いた猫のようにこちらを見つめていたハルヒは、ゆっくりと、ぎこちなく俺のほうにもたれかかって来た。 シャンプーのほのかな香りが鼻をくすぐる。うーむ、やはり高校生のデートってのはこうでなくちゃ。って相手はハルヒで、今日は不思議探索番外編だったな。いかんいかん。 湧き上がる邪念を振り切るためにも、俺は映画に集中することにした。テンプレートをなぞるようなベタな展開であるが、 ネットサーフィンが唯一の団活であるハルヒが選び抜いただけあって、いい感じのサプライズとマニア心をくすぐる笑いに満ちている。 で、ストーリーはそろそろクライマックス・・・の前に、一息ついたあたりで、俺は体の一部の違和感に気づいた。 それは、正体不明の怪物に追い詰められた主人公とヒロインが、篭城した密室で愛を確かめ合うという、ありきたりでお約束な濡れ場ってやつを見ていたときのことだった。 R-15指定がかかっているだけあって、それなりになんというか、モザイクこそ掛かるような代物ではないものの、声援のひとつも送りたくなるシーンだ。 隣に座るハルヒは興味津々で食い入るように見つめて・・・いるかと思ったら、さっきから困ったよう顔を伏せている。 そういえば、こいつは意外とウブなんだっけか・・・ってちょっと待て、その顔は伏せすぎじゃないか、ハルヒ? 落ち着け。とりあえず現状を確認しよう。おーけー。さっきまでのハルヒは、俺の腕を抱え込むようにして映画を楽しんでいた。 ちょっと抱え方がきつ過ぎるのは、ホラー映画の鑑賞には、ありがちなことだ。俺の二の腕から肘あたりが、想像していた以上に大きく隆起した柔らかな感触を味わってしまったのも不可抗力というもんだろう。 途中でさりげなくシャツの袖を捲り上げたのは、暑くなってきたからであって、深い意味はない。そこ、へんな誤解をしないように。
299 :
4/7 :2006/12/22(金) 21:31:36 ID:tLuaWGTd
で、問題のシーンが始まった。マニア向けに作りこまれた映画だけあって、こういうシーンも、レベルが高い。 とある人物なら「・・・ユニーク」と評すであろうが、今はそんなことはどうでもいい。あんまりこういうシーンをまじまじと見つめていると、後でどんな仕打ちを受けるか分からんからな。 とりあえずハルヒの様子を横目でチラリと伺うと、団長様は見る気なんてないわ!と声高に主張するかのように、俺のつま先あたりに視線を固定していた。 今日はこいつの意外な一面ばかり見るな。とはいえ、ハルヒがこっちに気づいてないんなら、朝比奈さんや長門に通報される心配もあるまい。 なによりも映画に集中しないと、製作者に申し訳ないだろう、ってことで遠慮なく・・・ふむふむ。そうきますか。 ほほう、最近のR-15はここまでやるんか。おっ、貪るような熱いキスを繰り返していたヒロインの頭が、自然と主人公の下腹部へ・・・ って、おいおい、画面から切れてるとはいえ、何をしているかは一目瞭然じゃないか。しかも、臨場感あふれる生々しい音が足元から・・・けっこう音響にも凝ってるなあ。 おおう、まるで自分がされているような感触まで・・・ってハルヒさん? さて、もう一度落ち着いて、現状を確認しよう。敵を知り、己を知れば何とやらだ。 さっきまでハルヒは映画から目をそらし、俺のつま先の方あたりを凝視していた。 ということは、まあなんというか、俺の若さゆえの身体の一部の変化がばっちりと観察されてしまったわけだ。 とはいえ、こいつは映画に現れる幽霊なんぞよりも、よっぽど珍しいほんまもんの清純派女子高生だからな。 ジーンズのファスナーとトランクスのボタンを開けてくれたのは、あまりにも窮屈そうな体の一部を見かねただけであって、他意はあるまい。 いやはや、こいつにこういうさりげない優しさがあったなんて目からウロコだな。で、開放された愚息が怒髪天をついて勢い良く飛び出してしまったのは、自然の摂理ってもんだ。 いや、この時点で異常事態に気づいてはいたんだ。だが、ここで変な挙動を示せば、ハルヒにあらぬ誤解を与えて、傷つけてしまうかもしれない。 今日一日を気まずい雰囲気で過ごさないためにも気合を入れて映画に・・・って、このシーンは、気合を入れれば入れるほど、局所集中的に気合が入ってしまうじゃないか 。いかんいかん。心頭滅却すれば火もまた涼しだ。そうだ、素数を数えよう。1匹、2匹、3匹、4匹・・・うぉい!これじゃ羊じゃねーか。 というわけで、ひんやりとした何かが愚息にからみついたことに気づかなかったのは、心頭を滅却しすぎた集中力がなせる不可抗力ってやつだ。 そうそう、俺がそのすべすべとした感触のものに手を添えて、上下運動を促してしまったのも、無意識のなせる業であって、こんなことに何か意味を求めるのは野暮ってもんだ。 ・・・いや、そろそろ白状しよう。俺はこの時点で、ハルヒとばっちりと目が合った。 拒絶する気があるのなら、ここでやさしく手をどかすべきであっただろう。 ハルヒのことだ。このあと何事もなかったように、いつも通りに傍若無人に振る舞い、それなりに楽しい休日を過ごせたに違いない。 だが、時折明るくなる暗がりの中に浮かんだハルヒは、目を潤ませて、震えながら祈るようにこちらを見つめていた。 美少女のこんなに無垢で必死な上目遣いを断れるやつがいたらここに来い。俺は小さくうなずくと、ハルヒの小さな頭を軽くなでてやった。 そのときのハルヒに浮かんだ表情を、なんと表現すればいいのだろうか。 俺の肯定を認めた瞬間、羞恥と緊張で強張っていた表情が、春風に当てられた淡雪のように溶けていき、 そのあとには、自分が受け入れられた安堵と、すべてを受け入れる真摯な覚悟が残されていた。まさにそれは、少女が大人へと脱皮してく瞬間にのみ許される、深く澄み切った笑顔だった。
300 :
5/7 :2006/12/22(金) 21:33:21 ID:tLuaWGTd
意を決したように、ゆっくりと上体を伏せて愚息に顔を近づけたハルヒは、まるで聖遺物にかしずく聖職者の様に、それに丁寧なキスをした。 びくりとモノが反応する。驚いたハルヒは許しを請うように、慌てた視線を俺に送った。苦痛を与えてしまったと心配したのだろう。 俺はその勘違いを諭すように優しくその頬を撫で、もう一度、頭を股間へと導いた。再び繰り返される決意と慈愛に満ちたキス。 そして、俺の反応も快感ゆえのものと理解したハルヒは、欲しかったおもちゃを与えられた子供のようにニッコリと微笑んだ。 「くっ」 おずおずと突き出された短い舌が、ソフトクリームをなめるように這い廻る。背骨を駆け上がるジンジンと痺れるような快感。 稚拙でぎこちない舌使いが、逆にその質を倍化させ、必死さと好奇心にあふれた表情が快楽中枢を蕩かす。 「ぐっ」 唾液でてらてらと輝く愚息と、それに頬ずりするハルヒの無邪気な笑顔のコントラストは、凶暴なまでの快感を伴って俺の抵抗力を蝕んでいった。 こうなるとこっちも暴発を抑えるために必死だ。だが、眉間にしわを寄せ、迫り来る快楽に耐える俺の表情は、こいつにとって最上級の褒め言葉すぎない。 いたずらに成功した子供のように、いつもの100万ワットの笑みを浮かべながら、ハルヒはペロペロと舐め上げるピッチをだんだんと速めていった。 「ぐがっ」 まったく、こんな焦らし戦術をいったいどこで覚えてきやがったんだ。オーケー、もう降参だ。とっとと止めを刺してくれ。 俺は、鈴口からにじみ出る先走り液を興味深げに舐め取るハルヒの頭を両手で掴むと、その小さな口に乱暴に息子を突き刺した。 驚いたように目を見開き、狼狽した視線を泳がすハルヒ。 初めて口腔を陵辱される驚きと、咽奥にかかる苦しさでえずいたハルヒは、ぶはっと愚息を吐き出してしまった。 「キョ、キョン、あたし、その、ごめんね、ほんとに、えと・・・」 急に凶暴な行為をされて、何か粗相をしでかしたと思ったのだろう。 信じられないくらいにオロオロと狼狽して何度も謝るハルヒを見て、俺はこれがこいつにとって初めての経験であることを思い出した。 「すまん、ハルヒ。あんまり気持ちいいんで、つい無我夢中に動いちまった。ほんとにすまん。大丈夫だったか?」 まったく俺ってヤツは、なんてことを仕出かしたんだ。初経験じゃ焦らそうなどという意思があるわけがない。 小声でハルヒに必死に謝りながら、何度も髪を梳くように撫でると、くすぐったそうに、はにかんだハルヒは、ようやく安心してくれたようだ。 「別にいいの。でもあたし、まだどうしていいか分からないから・・・キョンが好きなように動いていいよ」 俺に余計な心配をかけるまいと、健気に微笑んだハルヒは、先程の技術をマスターすべく、口を精一杯に開いて、愚息にむしゃぶりついた。
301 :
6/7 :2006/12/22(金) 21:35:01 ID:tLuaWGTd
だが、咥えてはみたものの、どうしていいか分からないハルヒは、上目遣いで指示を乞うてきた。急激に罪悪感と愛しさが募る。 いったん口を離させて、前のシートとのスペースにハルヒをひざまずかせた俺は、ゆっくりと頭を撫でながら、小声で一つ一つ指示をはじめた。 「まずはちょっと咥えて、そのまま舌を動かしてくれ。うん。そうだ上手いぞ。いてっ、歯は当てないようにしてくれ。そうそう、うん。それでいい」 とりあえず亀頭を口に含ませながら、ねっとりと舌を回転させるように命じる。 戸惑いつつも、必死に奉仕する美少女の顔に自分のモノが突き刺さる光景は、最上級の倒錯した快感を脳天に刻み込む。 「じゃあ、少し奥まで咥えてみてくれ。そうだ。ゆっくりでいいぞ。うん。いけるとこまでいったら戻してくれ。よーし。くっ、上手いぞハルヒ。引くときには思いっきり吸いながら、唇と頬をすぼめるんだ」 何事にも一生懸命に取り組むハルヒは、しばらくは命令を忠実にこなしていたが、独特のカンで、すぐにコツを掴んだようだ。 初めは、チュパチュパと控えめに試行錯誤を繰り返していたものの、俺のあげるちょっとした反応を拾って、着実にポイントを覚えはじめた。 そして、一度学んだ技術は決して忘れず、だんだんとジュボジュボと大胆な音で、モノを蕩かさんばかりに舐めしゃぶりはじめた。 陰茎を咥えながら、上気した頬とトロンと潤んだ瞳で許しを請うように俺を見上げるハルヒは、この上なく淫らだった。 だが不思議なことに、頬を極端に窄めたそのフェラ顔は気品にあふれ、むしろ涎にまみれるほどに優雅さを増していった。あまりの妖しさに新雪の平原を踏み荒らしたくなるようなドス黒い衝動が湧き上がる。 だが同時に、このアンバランスな美しさは、どんな手段をもってしても、堕ちるどころか、昇華されていくだけだという確信があった。 もはや指示を与えるどころではない。間断なく湧き上がる快感に必死に抵抗すべく、意識を他に逸らそうにも、それを敏感に察知したハルヒが、さらに激しくキツツキのように攻め立てる。 無理やり咎める表情を作って団長を睨むと、視線をあわせた瞬間に、ハルヒはすべてを蕩かす媚惑的な微笑を浮かべた。 うん。これ無理。 打ち上げられたスペースシャトルのように急上昇するフェラテクの前に、俺はあっけなく降伏を決心した。 だが、このままなすがままにされしまっては、一生こいつに頭が上がらなくなる気がする。これはけっこう切実かつ重要な問題だ。 一瞬のうちに覚悟を決めると、俺はハルヒの小さな後頭部に両手を添えた。こいつにも俺がスパートに入った事が分かったのだろう。ちょっと見上げてニヤリと微笑むと、すべてを任せるかのようにゆっくりと目を閉じた。
302 :
7/7 :2006/12/22(金) 21:36:54 ID:tLuaWGTd
甘いぞハルヒ。男の恐さをその体に刻み込め!急激に膨れ上がるドス黒い衝動を抑えようともせずに、 俺はハルヒの頭を固定すると、まるでオナホールでも使うかのように、その狭い喉奥に向かってピストン運動を開始した。 初めて男を受け入れた口腔が激しい陵辱に耐えられるわけがない。それでもハルヒは、突きこまれる度に訪れる苦痛を必死に受け入れた 。ぎゅっと閉じられた目尻からは、ボロボロと涙がこぼれ、唇の端からはだらだらと涎が糸を引く。だが、それでもハルヒは俺を拒もうとしなかった。 「出すぞハルヒ!思いっきり吸え!」 驚くべきことに、自分でも無茶だと思う命令を、ハルヒは忠実に実行した。その健気さに、猛烈な愛しさと、相反するような加虐心を伴った快感が爆ぜる。 最後の一撃を最も深い部分に突き入れ、すべてを開放した瞬間、俺は目の前が真っ白になった。脳から直接噴き出すような愉悦の激流。 それは延髄を痺れさせながら背骨を蕩かして駆け下り、ハルヒの喉奥へと直接注ぎ込まれた。 ビュクビュクと蛇口を全開にしたような勢いで放出される白濁は、もはや飲み下すなどという生易しい状況ではない。 それでも頑張ってコクコクと喉を鳴らしていたハルヒも、そのあまりの量に、ぶはっとむせながら息子を吐き出してしまった。 だが、止まるところを知らない奔流は、そのままの勢いで、まだあどけなさを残す美少女の顔を白く染め上げていく。眉間に、頬に、鼻筋に。 俺の白濁を顔全体にねっとりと絡みかせたハルヒは、うっとりと陶酔の表情を浮かべていた。 永遠に続くかと思われた長い長い噴出が終了すると、口中にあふれた白濁をコクリと飲み下したハルヒは、 卵形に整った顎の下に手を添えて、糸を引いてこぼれ落ちてくるネバネバを一滴残らず集めはじめた。 そして、手のひらに溜まった生臭いものを、まるでミルクを与えられた子猫のような表情で、ぺちゃぺちゃとおいしそうに舐め下していった。 虚脱状態の俺と目が合うと、ハルヒは、はにかんだ微笑を浮かべながら、顔中に撒き散らされた白濁を指で集めては、丹念になめ上げていく。 そして、ようやく勢いを失い始めた愚息を丁寧に舐め清めると、いとおしむように尿道に残った最後の雫をちゅっと吸い上げた。 荒い息を吐きながら、その一部始終を呆然と見守っていた俺は、我に返った瞬間、猛烈な罪悪感と、取り返しの付かないことをしでかしてしまった自己嫌悪に襲われた。 「ハ、ハルヒ、お、おれは、なんてコトを・・・!」 だが、俺の唇に人差し指を当てて、その言葉をさえぎったハルヒは、愛しいわが子を励ますような穏やかな微笑を浮かべたまま、俺の頭をその胸にぎゅっと抱きかかえてくれた。 暖かい手がいい子いい子をするように、優しく背中をさする。真っ白な幸福感に包まれた俺は、一生この唇から逃れられない確かな予感を、充実した喜びとともに噛みしめた。
ミヨキチもその場所にこっそりいたわけだ
>>302 こんなことを言うのもアレなんですが………
おっきした
>>303 「す、すみません、見るつもりはなかったんです……。 ただ映画を見に行った時に見覚えのある後姿だと思って見に行ったら……」
電話口でミヨキチにそう告げられて、俺は3倍の勢力で包囲作戦を取ろうとしたにもかかわらず、分離した艦隊を各個撃破で潰されて敗北を喫した指揮官のように呆然としてしまった。
こう?
続け! ていうか続いて下さいお願いします。
古泉と長門のギャグ物が読みたい私はどこへゆけば良いのか。
みくると鶴屋がえっち。イイハナシダナー
>311 >今秋下旬の放送を予定している。 ってもう過ぎてますがな、何故嘘と見抜けない?
ながる断れよ……。
嘘だよコレ… 俺も騙されたクチだw
そのネタ古いよ。だいたい良識的に考えてそんな企画は通せないよなw
>>306 つ【花嫁修行危機一髪】
一応続くらしいけど
『改変・若紫』 定期テストというものは青春を謳歌するために生きている高校生にとっては 苦痛以外の何物でもなく、SOS団団員その1として年中どこかを駆けずり 回っている俺にとっては死活問題ですらあるのだ。 「う〜ん、分からん」 だからテスト期間になると古泉とのボードゲームもそっちのけで 慣れない教科書を開くのは、すっかり俺の学生生活の年中行事と化してしまった。 「何よ、こんなのメネラウスで一撃じゃない」 俺が所々に余計な線の引っぱってある妙な三角形と睨み合っていると、 隣にいるハルヒがまるでそれが常識であるかのように 聞いたこともないような定理を口にした。何だ、メネラウスて。 「数学のテキストに載ってるわ。証明してもあんたには 理解できそうにないから、とりあえず形だけ覚えちゃいなさい」 俺は言われるままに数学の教科書の索引を調べた。 どれどれ……うわ、なんだこの公式。さっぱり分かんねえ。 「そのまま覚えるからダメなのよ。いい?ここはこんな風に番号を振って……」 こんな調子でハルヒも俺の低空飛行な成績をこれ以上落とさないように 頑張ってくれている。 デフォルトで成績のい古泉、こつこつ型の朝比奈さん、 出るところを全てピンポイントで完全理解している長門の三人は既に 部室にはおらず、ここにいるのは必死で追い込みをかける俺と そんな俺に勉強を教えるハルヒの二人だけ。 何だかんだで面倒見のいいハルヒに感謝だ。 「あら……もうこんな時間じゃない。あと残りは?」 「まずいな……古文は手ぇ付けてないぞ」 「まだ手付かずの教科があったの?全くバカキョンなんだから」 ハルヒは呆れたようにため息をついた。 「しょうがないだろ、これは俺がSOS団によく貢献している証拠だ」 「屁理屈言うんじゃないの。他の団員は皆成績良いのよ? ……仕方ないわね。今日はもう時間無いから、 帰ったら寝るまで源氏物語とにらめっこしてなさい。」 「ああ、さすがにタイムアップだな……でもこれで赤点は免れたよ。 サンキューハルヒ」 俺が数学のテキストを鞄に突っ込みながら礼を言うと、 「あたしが教えたんだから、絶対7割以上取りなさいよ。 二年生初テストで辛気臭い点数取ったら死刑だからね!」 ハルヒは眉を釣り上げながら笑うという、非常に器用なことをしてみせた。
家路に着いてから風呂だ歯磨きだとやっていたらいつのまにが寝るしかない 時間が迫っていて、ベッドに寝転んだ俺は思い出したかのように 国語の教科書を開いてはみたものの、当然フィーリングの読解が 通用するはずもなく、退屈を表明した俺の意識は、 襲い掛かってくる睡魔にいとも簡単に撃墜された。 ………… ……… …… … 蹄の音と微妙な揺れに目が覚めた。違和感を感じて身体を起こしてみると、 そこにあったのは木目調の小さな部屋で、俺が着ているのは 日本史の教科書でしか見たことがないような豪華な着物だった。 小さな窓から外を覗くと、蹄の音の正体が分かった。 どうやら……俺は馬車に乗っている。 世界改変はいつも突然やってくる。これで三度目なわけだが、 ここまで無茶苦茶な変わりぶりは初めてだった。 馬車が止まった先は歴史的建造物あふれる場所だったのだが、 当然今の俺には観光にかまけている余裕など無く、さっさとSOS団員の 誰かを探そうと息巻いて馬車を出たのだが、俺を出迎えていた人の中に、 あっさりと俺と同じような服で着飾った団員その4を発見した。 「こんにちは。父からあなたをお迎えに行くように言われまして」 古泉はこんな内容の言葉を古文単語をちりばめて話している。 何故かすらすらと理解できるのは俺の頭がおかしくなったからだろうか。 古泉、またハルヒが何かやらかしたのか。今回の原因は何なんだ。 ……ってうわ、俺も古語で喋ってる。 「古泉?ハルヒ?はて誰でしょう」 とぼけんな。おじゃる丸みたいな格好しやがって。 「私は藤の中将です。あなたはもしかして熱病で親戚の名前を 忘れてしまったのですか?」 親戚だと?俺とお前が? 「どうやら熱病は深刻だったようですね。自分の妻のことも 忘れていらっしゃる。」 熱病?妻?訳分かんねえぞ。ちょっと詳しく話してくれ。 「本当に何も覚えていないようですね……分かりました。 ちょっと長くなりそうですが……」
古泉から聞いた話では、俺は藤の中将こと古泉の妹、葵の上と結婚していて、 現在浮気しまくりの、宮中で噂の貴公子、らしい。 つうことは…… 「俺、光源氏?」 「そうです。少しは思い出してくれましたか」 訳分かんねえぞ。どっちかっつうとお前が源氏であったほうがしっくりくる。 俺は惟光あたりでいい。 「あなたにそんなことを言われても、嫌味にしか聞こえませんよ」 いつものように肩をすくめる。 名前が変わってもニヤケスマイルは健在なようである。 「どうです、記憶が飛んだついでに妹のところへ行ってみては。 よりが戻せるかもしれませんよ」 「あぁ、いろいろありがとう古泉」 お礼として藤の中将に平安から江戸時代にかけてのこれからの日本の行く末を 教えてやろうとしたのだが、何故か未来のことを話そうとすると、「禁則事項です」という お馴染みの台詞を口走ってしまうので断念した。 どうやら精神操作がかかっているらしい。 そして記憶も多少改変されている。 なぜか俺の公用語は千年前ににタイムスリップしているし、 古泉の話を聞いて俺の「源氏」としての記憶が少しだけ紛れ込んできたからだ。 そして源氏の記憶が入ってくるということは、必然的に いらん記憶も入ってくることになる。 「…………藤壺の宮」 そう、ガキの頃いとこの姉ちゃんに感じたものとは比べものにならない程の、 いわゆる恋愛感情というやつだ。 うっすらとした記憶の中、この名前だけは思い出せるんだから間違いない。 ハルヒをとっ捕まえるまでに、一度だけでも会っておくか。 そんなことを延々と考えながら葵の部屋まで足を運ぶ。 確かこの姫とは仲が悪いはずだが、手がかりを探すためだ仕方ない。 俺はせいぜい浮気の理由を一つ二つ考えながら、葵のいる部屋へと入った。 「…………」 中にいたのは長門。髪をやりすぎと言うくらい伸ばした無口な文芸部員が、 平安時代だというのにやたらぶっといハードカバーの本を読み耽っていた。 長門、知恵を借りたい。ここは一体どこなんだ。 「ここは特殊閉鎖空間。涼宮ハルヒの作った世界」 こっちには目を向けず、ひたすらページを繰る。
「原因はあなた。古文に手を付けていないあなたを何とかして 間に合わせようという涼宮ハルヒの願いがこの世界を作った」 う〜ん、頑張ってくれるのは嬉しいのだがこれはちょっとやりすぎだろ。 「時間の流れは現代と同じだから、あと9時間以内に元の世界に帰らないと、 ここにいた全てが無駄になる。急いで。」 情感のこもっていないように見える瞳が俺を初めてとらえる。 「ハルヒがどこにいるのか分かるか」 ハードカバーに再び意識を移した長門は、 今の俺にとって衝撃の事実をさらっと口にした。 「藤壺」 言葉が出ない。いくら設定とはいえハルヒが俺の親父の愛人というのは許せない。 「……どうしたの?」 怪訝な表情を見せる長門。自分からは見えないが、俺は今 すごい表情をしているのだろう。 「いや何でもない。髪の長いお前もいいもんだなと思ってな。ありがとな」 とりあえず誤魔化して、早々と部屋を出る。 「……うわきもの」 長門の声が、聞こえた気がした。 「ハルヒ……」 改変された記憶のせいで、俺の脳みそがよからぬことを考えだしたようだ。 「くそっ、なんで藤壺の宮がハルヒなんだ」 よりによってハルヒに恋愛感情を抱くとは。 悪態をつきながら、ダンジョンみたいに入り組んだ宮中を歩く。 大丈夫だ。元の世界に戻ったらこのふざけた記憶も消えてくれるはずさ。 そう願いながら勢い良く藤壺の上の御局へ入る。 まるでハルヒが文芸部のドアを蹴っ飛ばすように。 「ハルヒ!」 威勢よく飛び込んだら、部屋にいる女房が、一人を除いて全員逃げ出した。 この時代の女性は、顔を見られることは裸を見られることと同義なのである。 唯一逃げ出さなかった女は、顔を隠しながら叫びだした。 「こらーっ!あんたここは男性立入禁止でしょうが!」 髪が異様に長くて黄色いカチューシャもつけていないが、この声は間違いない。 「ハルヒ、これで明日の古文と数学はばっちりだ、ありがとな」 「何言ってんの?ハルヒって誰よ!」 ハルヒは俺から逃げようとするが、 十二単なんかを着ているせいでうまく動けていない。 俺は顔を隠すハルヒの腕を取る。 「ちょ……、ちょっ、やめな、さい……よ……」 ちくしょう、かわいい。 真っ赤になって弱々しく抵抗するハルヒに、俺は例によって強引に口付けた。
キスの時に閉じた目を開けると、俺は勉強机に座っていて、 いつのまにか枕にしていた国語の教科書には、涎の水溜まりができていた。 ……今回の事件は簡単だったと思う。 なんせ開始一時間も経たずに終わったからな。 それにしても、また無理矢理キスしてしまった。 明日ハルヒに嫌われてたらどうしよ……って、 俺は一体何を考えているんだろうね? 次の日教室に入ってみると、ハルヒが太陽みたいな笑顔で俺を待っていた。 「お、おっす」 「おはよ。今日は頑張んなさいよ!」 昨日のことは覚えてないのだろうか。何故だろう。後ろの席が気になる。 結局今日の古文以外のテストは集中できずに芳しくない結果に終わった。 テストが終わり、部室に直行する。今日のSOS団の活動は無いが、 ハルヒに勉強を見てもらうために今日も居残りというわけだ。 「お待たせっ!明日は最終日だから、気合い入れていくわよ!」 俺が明日の教科――世界史と英語――をスタンバっていると、 ハルヒがいつものように飛び出してきた。たったそれだけで…… 一瞬だけ、胸に心地良い痛みが走った。 「んじゃ、あたしここに座ってるから、分からなくなったら呼びなさい」 ハルヒが隣に座ってきた。 「あ、ああ」 生返事をして、テキストを開く。緊張してこれ以上話せない。 どうした、どうなっちまったんだ俺。本気で頭がおかしくなっちまったのか。 テキストを開いてはいるが、少しも文字が頭に入ってこない。 「どうしたの?あんた耳まで赤くなってるわよ?」 「こ、これは風邪だ。昨日布団も掛けずに寝たらこのざまだ」 適当に誤魔化す。今俺が恋する乙女よろしくときめいているなんて、 知られたくないし、認めたくない。 「ふーん、アンタでも風邪引くのね」 「どういう意……」 ハルヒが掌を俺の額に当ててきた。 やめろ、やめてくれ……。こんなことされたら、我慢できなくなるだろ。 「ちょっと熱いわね……体温計どっかにあったはずよね」 席を立ったハルヒは部室のガラクタから体温計を探し始めた。 その後ろ姿に、俺はついに理性が切れてしまった。
「……ハルヒ」 その身体を、後ろから抱き締める。柔らかな感触が体全体に伝わってきた。 ほっとするような、いい匂いもする。 「ちょ、何してんのよ!」 腕の力を強め、耳元に囁きかける。 「好きだ」 ハルヒの肩に顎を置き、横顔を見つめる。 耳まで真っ赤にしたハルヒが、恥ずかしそうに唸っていた。 「あ、アンタ何言ってんの?おかしくなっちゃった?」 「ああ、おかしくなった」 力を出して振りほどこうとしているが、男の力には及ばない。 そんな無駄な抵抗をするハルヒが今は無性に可愛く感じる。 「やだ、ちょ、放してよ」 放さない。俺は本気だ。 「……何する気?」 抱かせてくれ。 「――っ!」 ハルヒの抵抗が本気度を増してきた。 そんなハルヒをお姫さま抱っこで持ち上げて、ソファに寝かせる。 「いや!ちょっと!それ以上やったらSOS団を除名するわよ!」 ごめんな、ハルヒ。 未だなおぎゃんぎゃんわめいているハルヒを、包み込むように抱き締める。 初めて、ハルヒが震えていることに気付いた。顔を見てみると、 ハルヒは恐怖に顔を歪めて、その瞳には涙をためていた。 すっかり黙り込んでしまったハルヒに三度目のキスをし ……ようとしたところで、突如俺の視界は暗転した。 ………… ……… …… … 目を覚ましたところは、長門宅の布団。長門が俺の枕元で正座していた。 あれ……どうしてここに 「あなたがそのまま涼宮ハルヒに迫っていたら、世界が消滅していた。 だから引き剥がした。」 髪を長く伸ばした長門の表情は、うっすらと怒っているようだった。 すまんかった。自分でも何故ああなったのか、よく分からない。 「あなたは悪くない。閉鎖空間での記憶の残滓が原因。 もう消去したから大丈夫。」 明日、ハルヒには謝っておかなきゃな。 「涼宮ハルヒには、あなたを許すように説得しておいた。 おそらく大量の罰ゲームで済むと思われる。」 長門は長くなった髪をいじりながら俺をじっと見ている。 ありがとう長門。お陰で本当のダメ人間にならずに済んだよ。 大量の罰ゲームか……、天地崩壊には代えられまい。 なんでも受けてやろうじゃないか。 「最後に」 何だ? 「……エッチ」 ごめん。
次の日、自己嫌悪でうんうん唸りながら教室へ入った。 ハルヒは意外に大人しく、俺が謝っても、 「エロキョン!……少しは理性を抑えなさいよね、次やったらぶっとばすわよ。 それより、アンタの除名は特別に取り消してあげたから、 今日も絶対部室に来なさいよ!」 そう言って俺をねめつけて、また頬杖をつきながら空を見上げるだけだった。 一時は俺のせいとはいえ、もうコイツとで馬鹿やって笑ったりすることは 二度と出来ないんじゃないか、正直心配していた。 でもハルヒはぎりぎりのところで俺を許してくれたらしい。 その瞬間心が晴れやかになったのは、友情崩壊の危機を避けられたからであって、 俺がハルヒを異性として好きだからでは断じてない。 ……断じてないからな。 部室では、朝比奈さんと古泉が、何時もの顔で出迎えてくれた。 長門は長い髪をそのまま残している。 元に戻すまでに一度ストレートポニーでも勧めてみようかと思う。 「今回の閉鎖空間は小規模で済みました。 長門さんの説得が功を奏したのか、あるいは……」 くっくっくっ、と喉の奥で笑いを堪える古泉。くそ、 むかつくけど今回は俺のせいだ。 「涼宮さんが本当に好きだったら、もっと優しく伝えなくちゃだめですよ? いきなり抱き締めて「抱かせてくれ」じゃ いくら涼宮さんだってびっくりしちゃいます。」 朝比奈さんは、可愛らしいお顔をまるで上級生のような顔つきにして、 俺の今年度失言ランキング第一位の言葉をさらりと復唱した。 誤解ですよ朝比奈さんあれは世界改変の影響で おかしくなった俺の頭があのそのね 「うふ、キョンくんかわいいです」 頬に手を当てた朝比奈さんは、 この世の全ての男を恋の地獄に引きずり落としそうな笑顔を俺に向けている。 ……ほんと、どうすっかなー。と俺がぼんやりと考えていると、 「遅れてごめーん!」 ハルヒがやけに上機嫌でやってきた。 「今日はみんなに重大発表があります!」 100ワットの笑みを浮かべるハルヒの手には、なにやら書類が握られている。 ハルヒに手渡されたそれを見てみると……ギターの譜面? 「そう、文化祭でやるバンドの練習曲よ!テストが終わったら 皆に渡す予定だったの!」 今から練習するのか。本格的だな。 「当たり前じゃない!ゆくゆくは 全米で一位になるようなバンドにしていくんだからね!」 なんか去年も似たようなこと言ってたよな。
「面白そうですね。ドラムは少しかじったことがあります。やってみましょう」 「あの……タンバリンって、何をすればいいんですか?」 「みくるちゃんは我がバンドのマスコットキャラをやってもらうわ! もちろん衣裳もこれから作っていくわよ〜」 「ふえぇ〜、えっちなのはやですぅ……」 ハルヒは実験が大成功したマッドサイエンティストみたいな笑みを浮かべている。 あんま過激なのはよせよ?いやちょっと楽しみだが。 長門はベースの譜面をじっと見つめていた。 多分もう全て覚えてしまって頭の中でシミュレーションしているのだろう。 その後は、練習場所、朝比奈さんの衣裳の過激度調整、 その他諸々についての会議をして、この日のSOS団の活動は終了した。 「それでは、また明日」 「キョン、話があるからあんたは残りなさい」 「うふ、キョンくん頑張って」 ………… ……… …… … ハルヒに居残りを命じられて、俺は部室のソファに座っている。 ……やっぱり昨日の罰ゲームがあるのか? 「考えておくわ……それより、昨日のアレなんだけどね」 隣に座ったハルヒはポケットをごそごそしながら続ける。 「あれからあたしも色々考えて、それで……その」 難しい顔をして、掌に納まるサイズの小さなものを俺に手渡した。 「あんたが本当にあたしのこと好きなら……してもいいわよ」 ハルヒは俺の肩に寄り掛かった。瞳が潤んでいるように見えるのは 俺の気のせいだろうか。 不思議に思ってハルヒに何かを握らされた手を開いてみると、 ……そこにあったのはコンドーム。 「初めてだから……優しくしてよね」 俺は脂汗を流しながら、頬を上気させて制服のボタンを外している ハルヒの申し出を、どうやって断ろうか考えていた。 (おしまい)
最後にそう来たか! GJ
必ずその後の描写があると信じて、今から徹夜で待ってます! 全裸で
>>325 >「うふ、キョンくん頑張って」
朝比奈さんは未来のことを知っていたんDEATHね!w
なんにせよGJでした。
この先が気になる… 焦らされるの嫌いだよw 続きみてみたいです
めがっさ星人 宇宙空間都市めがっさシティのエージェント 地球破壊指令を受け SOS団の部室に潜伏していた。 武器はめがっさガン いや、ごめん。 さっきセブンのDVD見てたから・・・
ツルヤ・メガッサ 鶴屋家当主の箱入り娘 古泉破壊指令を受け SOS団の部室にスニーキングしていた。 武器は新聞紙を巻いて作った棒とダンボール箱 鶴屋さんにスニーキングスーツが似合うと思ったのは俺だけだろうか。
つ スモークチーズ
こちらスモーク。広域宇(ryとしてある部室のロッカーに潜入することに成功した。 かたんっ 「よせよな…」 しまった!気づかれたぞ! ガチャッ 「…え?何してんすか?鶴屋さん」 …にょ、にょろーん(汗
CQCだスモーク!
335 :
318 :2006/12/24(日) 01:01:01 ID:bOz3jkYu
今ツタヤいってきた 「涼宮ハヒルの憂欝」 を発見した 借りなかったけどね
わかってるよ 買ったんだろ?
というかTUTAYAでそれを見るって事は、それがあるしかるべき場所にいたって事で、 当然エロパロ住民の俺たちとしては想像が膨らむわけだが、そんなことを思っても、 俺の手持ちの金では買うどころかレンタルすらあやういのを思い出してしまい、暗雲たる気分になってしまうものである。 だがここはそれを抑えてこう言おう。 「ハヒルどうだった?」と……。
3ヶ月近くぶりくらいに覗いてみたが、 進んだの4、5スレくらいか……。まあ、こんなもんか。 その間に増えたSS、三つか四つくらい読もうと思うけど何かいいの出た?
>337 無駄に長い。 つか、学芸会みたいな(まあある意味オリジナルも一話はそーなんだが)エロのないお芝居を 長々とやられても正直、その、なんだ。困る。
今日名古屋のメロブにあって吹いたw 最早存在がネタとしか思えんオーラが出ていたよw
>>338 つinドラクエ
いや俺は好きなんだYO!
>>333 スモーク!状況を報告しろ!
スモーク! スモーーク!!
ボクセカのSSは無いのか
>>343 ボクセカはどう作っていいのかわからねぇな。
ex読んだことないしw
学校モノ短編投下 俺はクリスマスに一人で何してんだろうね 今年もシングルベルだぜwwwwwwwwwwwwwwww
「古泉くんっ、だめよ。団長にこんなことするなんて……あぁっ、副団長の任を解くわよっ」 「おいハルヒ、何を夢見てるんだか知らんが、古泉が困ってる。変な寝言はよせ」 「……あら? いつの間にか寝てたのね。おしいところだったのにな、うふ」 (キョンくん嫉妬の炎大作戦、第一部成功ですぅ!)
サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことは、たわいもない世間話にもならないくらいのどうでもいいような話しだが、それでも僕がいつまでサンタ…… いや、神も仏も世の中にありもしないなんてことに気づいたのは6年前、僕の妹が死んでしまった時だろうか。 僕は元々神様なんて怪しいものを大して信じてはいなかったけれど、それでも目の前で自分の肉親が死んだ時、そんなものなんざ無いことを知らざるを得なかった。 ──おにいちゃん 炎 全てを包む炎。僕に課された選択。 死の感覚。 春奈──それ以来姿を見せなくなった僕の妹 「行くな」 手を伸ばす…… 「春奈ーーーー」 ジリリリリリリ 伸ばした手が空を切る。あるはずのものがそこにはなかった。 「おはよう。ユキちゃん」 声のした方向に顔を向けると、目覚し時計を手にもった真琴がそこにいた。 僕は目覚し時計を取り返すと、スイッチを押して五月蝿いアラームをとめた。 「何やってるんだ、お前は?」 真琴は子供に夢を与える……にしては少し刺激が強すぎるサンタクロースの格好をしていた。 露出が多すぎる、寒くないんだろうか。 「見りゃ分かるっしょ。それともまだおねむかしら?」 「何をしにきた?」 「何って、ここは男の部屋なんだから、ナニするに決まってんでしょ」 そういうと、真琴は妖艶に微笑んだ。
──はあ 大きく嘆息しようとして、僕は気づいた。 体が縛られたように動かない。……いや、違う。僕の意思とは無関係に僕の腕が伸びていた。 ──精神操作か…… 伸ばされた腕から真琴の軟らかい感触が伝わってくる。鼻腔をふわりと髪の匂いがくすぐる。 顔と顔。唇と唇が近づく。 ……そうだ。あの時もそうだった。 頭の中で幼い妹の声がリフレインする。 「あーん。ユキちゃん。あんま焦らさないで」 「……春奈のことを考えてた」 少しの沈黙の後、僕はやっとそれだけを呟いた。 「はあ、あんたってば……やっぱシスコンね。それも重度の」 そう言って真琴は、僕の知ってる普段の顔より少しだけ悲しげな表情をした。 「ねえ、ユキちゃん。サンタクロースっていると思う?」 突然、呟くように真琴が聞いてくる。僕の胸にまだ、身体を預けたままだ。 「さあな」 「ふふーん。まあ、あたしは想像上の赤服じじーなんか現実にいるなんて思わないんだけどさあ」 「お前達みたいなEMP能力者だの、想念体だのがいるんだ。空飛ぶトナカイだの、ボランティアする爺さんだのいたって別におかしくはないだろ?」 「クリスマスが幸せな日だってのは幻想よ」 そうかもしれない。 僕がたまたま幸せに過ごしてきただけで、真琴が幸せに過ごしてきた保証なんかどこにもない。 「だからサンタクロースも幻想」 そう言って真琴はまた悲しげな表情を見せた。 こいつはいったいどんなクリスマスを過ごしてきたのだろうか? 考えてみると僕はこいつのことをまだまだ知らないのかも知れない。
「真琴」 呼びかけると同時に、自分の思いを心に想起する。 真琴がAAA級のテレパスで、接触型じゃないことなんてとうの昔に知っているのに、僕は腕の力を強めた。 「ちょ、ちょっとユキちゃん」 「今幸せか?」 そのまま僕は目の前の唇に口付けした。 口が塞がったまま、僕の心に真琴の思念が流れてくる。 <……悪かないわね> 神も仏も世の中にはいないけれど、サンタクロースくらい、いてもいいんじゃないだろうか? 6年前から一人になった僕の妹達も、宮野や茉衣子も…… それから目の前の真琴もクリスマスくらいは幸せに過ごして欲しい。 僕は柄にもなくそんなことを思った。
あ、タイトル忘れた。 原案はラノベ板谷川スレの847だし、「真琴サンタ」でいいかな…? ハルヒものはだれか、どっかで書くだろうからあえて学校ものww 来年は誰かと過ごせるといいなーーーーwwwwwww
……俺たちがいるじゃないか(泣 谷川スレで誤爆!今投下したってことね。真琴がなんか可愛いなw
>>351 激しくGJ!!
谷川作品で真琴最萌なのでニヤニヤしつつ、しんみりしつつ読ませてもらった。
所で、ここのハルヒSSでクリスマスネタってあったっけ?
たしか無かったような希ガス
今日明日で何本あるかな>クリスマスネタ
準備してないといけないわけで準備してない俺には書けない。
今日はイブだからおk。 まだ慌てる時間じゃない。
361 :
15-705 :2006/12/24(日) 23:06:16 ID:A17NEhd8
皆様メリークリスマス。 長門スキーの同士諸兄に心ながらのクリスマスプレゼントを。投下します。
クリスマスパーティという名の乱痴気騒ぎからなんとか無事帰還して、 俺はヘロヘロのままベッドに突っ伏す。 冷たいシーツの感触が火照った顔に心地いい。 酔ってやたらハイテンションになるハルヒとそれを見て大笑いしていた鶴屋さん。 無理矢理飲まされて「あたしよっちゃったみたいですぅ〜〜〜」と平仮名で お話になっていた朝比奈さん。胸元まで真っ赤に染まったそのお肌にはぜひとも 一度触れてみたい。 そしていつもと同じように北校のセーラー服のままでトナカイキャップだけを被らされた 長門。表情ひとつ変えずにワインやらビールのグラスをカパカパ空にしていた飲みっぷりは 見事の一語につきた。 古泉はどうでもいい。 ――あー、しかしハルヒの無駄な暴走力はなんとかならんものか。 ――ミニスカサンタの格好で暴れる跳ぶ蹴る、じゃあなんというか、若い男には目に毒だ。 そんなことを考えながら、「クリスマスだから大サービスよ!」とわけのわからない理由で ハルヒのそれよりももっと超ミニスカ&ベアトップのセクシーサンタコスをさせられていた 朝比奈さんの姿を思い出してちょっと充血してしまう。 朝比奈さんには悪いけど、ただでさえ豊かなお胸が狭いベアトップの布地でこう、 ぎゅっとされてもにっと寄せ合わされて、なんというか実にあの谷間は眼福でゴザイマシタ… なんてことを考えつつ、向こう一ヶ月くらいは副食物に困らなそうなそんなステキ映像を 脳内スクリーンにプレイバックしていると、どこからともなく音が聞こえてくる。 音? シャンシャンシャンシャン、とまるでそれは鈴を鳴らすような…え? サンタのトナカイのソリの音? ベッドから立ち上がり、カーテンを開けサッシを開放し空を見る。 まあ、当たり前のことだが。 そこにはサンタなんていなかった。
そりゃそうだ。想像上の赤服じーさんなんかそこには居るわけもなく、 子供のころですら信じていなかったそんなファンタジィな存在を一瞬でも 信じてしまった自分のアレさ加減を自嘲しつつ寒い冬の風に震えながらサッシを 再び閉める。 しかしカーテンを引くシャッ、という音と重なって聞こえたその声は俺を心底 びっくりさせて文字通り十センチほど飛び上がらせてしまった。 「メリークリスマス」 無表情なそんな声が寒風の吹き込んだ俺の部屋に響き渡る。 決して大きな声ではないが、その周波数といい口調といい、 なんでコイツの声は俺によく響くのだろうか。そこには長門有希、 宇宙ナントカ知性体の作り出したナントカインターフェース、 通称宇宙人のアンドロイドであるところの長門有希が俺のベッドの上に 正座していた。 真っ赤なミニスカワンピース、肩はむき出しのベアトップ、っていうか これは先ほどまで朝比奈さんが着ていらしたのと同じミニスカコンシャスサンタの コスチュームではないか。これはいったいどういうことだ長門。 「サンタクロース」 一見感情のこもっていない無表情で一直線な声。 赤い帽子と一緒に頭を傾けつつ、ブラックホールのようなつぶらで真っ暗な瞳で 首をわずかにかしげてこの宇宙人はマイクログラム単位の不思議そうな表情をしてみせる。 ベッドの上に正座している長門。 ミニスカートのすその白いふわふわが、ただでさえ色白な長門の細いふとももの 色に溶けているみたいで、つい視線が引き寄せられる。 赤い体にフィットした生地はやっぱり細い胴体を包み、 慎ましやかだが確かに存在している微妙な胸の膨らみを覆いながら びっくりするくらい低い位置で終わっている。 胸元にあしらわれた白いボンボンも、朝比奈さんが着ていらしたときのようにあんまり 揺れたりせずに、とはいえこれはこれでなんか可愛い。朝比奈さんのときみたいなセクシーさは ないものの、薄い胸とベアトップの組み合わせはなんというか、その、ええと、来るものがある。 薄い静脈の色さえ透けて見える長門の白い胸。 ほんのりとその胸の中心に浮かび上がる薄い線のような胸の谷間のようなもの。 赤と白のサンタドレスの中からはみ出る白い肌に触れたい、と俺が思ったのも 無理からぬことであっただろうよ。 長門の肌は白い。白いというよりも、透明感があって表皮から真皮まで透けて 見えそうなくらい色が薄い。 そんな白くてしみひとつない肌をあらわに、サンタコスで俺のベッドに 女の子すわりしている長門。なんというか、じつにイイ。 朝比奈さんのような肉量はないものの、この薄い胸に無理に肩出しはじつにイイ。 すべすべでありながらむっちりと手に吸い付くような極上の肌もいい。 長門がうっすらとその瞳に奇妙な色を浮かばせているのに俺は気づいた。 ……俺は、無意識のうちに長門のきめ細かなそんな皮膚の上で手のひらを 遊ばせてしまっていた自分を発見していた。。 ぶっちゃけ気がつくと俺は長門の裸の腕や肩を掌で撫でていた。 俺は自分のしていたことの無礼さに気づいた。
俺は自分のしていたことの無礼さに気づいた。 「あ、す、スマン長門。つ、つい、その、なんだ、触りたくなっちまって、悪い」 「構わない」 とはいえ、女の子の肌とかフツーに触っていいもんかどうか迷う。 いくら長門が宇宙人だとしても、女の子の体に触っていいもんでもあるまい。 どうぞ、とでもいいたげな瞳の色を見ているだけでなんだか怪しくなってしまって 俺はつい長門に尋ねてしまった。 「あ、ああ、そ、そういえば、長門よ、な、なんか用でもあったのか?」 「あなたにプレゼントがある」 「プレゼント交換ならさっきもらったが」 俺はそう言うと、机の上においてある、プレゼント交換会でもらった 『ハヤカワハードカバーSF 五冊セレクション』の包みを指差してみせる。 こんなのを贈るのは長門に決まってる。 「あれはSOS団団員としてのプレゼント」 相変わらずの無表情でそう言う長門。 「そうなのか」 「そう。そして私がこれからあなたにあげるものは私個人としてあなたに贈るプレゼント。 どうか受け取って欲しい」 「あ、いや、その、俺は個人としてお前に贈るモノなんか用意してないけど、それでもいいのか?」「問題はない。私の贈り物をあなたがしっかりと受け取ってくれること自体が私にとっての 最高のプレゼントだと思ってくれて構わない」 と、そこまで言われるとなんだかジンときてしまう。 この無表情にも見える宇宙人も、なんだか微かに嬉しそうな色を含んだ表情を しているのではないかな、と思えなくもない顔をしている。 「ああ、分かった長門。ありがたく頂くとするよ。……で、プレゼントってのはなんだ?」 「少しだけ向こうを向いていて欲しい」 長門は窓のほうを指差す。 「ああ、分かった」 「……」 「………もういいか?」 「まだ。もうすこし待って欲しい」 「ああ。お安い御用だ。……どんなモノなんだ?」 「調査の結果では『男の子が夢中になるもの』という 「なんだそりゃ?」 頭をひねって考える。男の子……ゲームとか?あるいはなんかちょっとえっちなビデオとか。 いや長門に限ってそれだけはない。なんだろうな。 「もうこちらを向いて大丈夫」 「ああ。……なんだなが」 俺は絶句した。 なぜって、全裸の同級生が自分のベッドに正座していたら誰だって絶句するだろうさ。 しかも、その同級生が普段は無口で無表情な宇宙人のナントカインターフェースだったら なおさらだ。 白い細い腰。柔らかな肩。やっぱり細い首筋。すらりとした肩から腕。 そして薄い胸のふくらみ。その頂点には、微かに色づいた乳首がグラデーションで溶けるように 白い乳肌の中に咲いていた。薄い、肌の色をほんの少しだけ濃くしたようなうす薔薇色の乳首。 わりと平坦な胸のなかで、そこだけ小さく隆起した乳首。 桃色よりももっと薄い、そんな色が俺の目を捕らえて離さない。 いや全裸と言ったのは間違いだ。訂正する。 白くて細くて折れそうな首筋には真っ赤なリボンがちょうちょ結びで締められている。 ほっそりしたふとももまで覆っている赤と緑のオーバーニーソックスと、首のリボン 以外に一糸もまとっていない、そんな長門有希がベッドに正座していた。
「・・な」 「?」 「な、なが……ながと……そ、そのカッコ……」 言葉がうまく出てこない。 「健康な男子生徒がどのようなプレゼントを好むか、アンケート調査を行った。 多様な回答が得られたが、一番効果的だと思われるこの服装を選択してみた。 ……もしかしてあなたはこのような衣装が好みではない?」 「……!!!」 激しく首を振る。こんな長門にノックアウトされないヤツは男じゃない。 男の98%はSATSUGAIされちまうほどの破壊力だぞ。 そして残りの2%はきっとホモだ。 「『キョン君ならば、裸んぼで首にリボンだけ巻いて"わたしがプレゼント"って言えば めがっさ悩殺されるっさ』との意見が一番有力だった。それを試してみた。……どう?」 つ、鶴屋さん……あなたなんて入れ知恵を…… 「セリフも教わっている。……『わたしが、ぷれぜんと』……どう?」 再びそう言うと、長門は無造作ショートヘアの頭を数度傾けて俺を見る。 白い肌と。薄桃色の乳輪と。首に巻かれた赤いリボンと。真っ黒な黒水晶みたいな 瞳の色と。そのなかにほのかに浮かんでいる不安そうな色と。ほっそりした足を包む 赤と緑のストライプのオーバーニーソックスと。ピンクの色の唇と。 全てが、俺の理性を蒸発させていってしまう。 「な……長門ッ」 俺がルパンダイブよろしく長門に飛び掛ったとしてもそれは無理からぬことであっただろうよ。 この後のことを話すつもりはない。 長門の肌の匂いがすごくよかったとか、産毛くらいしか陰りのない長門の子供みたいな 下の口とか、その柔らかさとか、しっとり湿ったあとで長門が口にした 「大丈夫。平均よりも小さい膣だが、生殖機能は十分に有している」と言ったときの かすかに上ずっていた口調だとか、俺の腕や肩をぎゅっと握りこんできたときの 長門の爪の痛さだとか、真っ白な長門の顔が徐々に薄桃色に染まってくるその色っぽさだとか、 一突きするだけで脳がしびれそうなくらい気持ちよく締め付けてくる長門の内側だとか、 普段からは想像もできないような長門の色っぽいあえぎ声だとか、快楽をこらえているのか 俺の背中に爪の線をいく筋か立てたときの絶叫だとか、中にたっぷりだくだくと放出したときの 底知れない幸福感だとか、そのときの忘我の表情の長門だとか、そういった全てのことは 俺と長門だけの秘密だ。たとえ頼まれたって絶対話す気にはなれないね。
朝。 翌朝。 まだ暗いのか、なんでだかわからないが目が覚めたのは六時前くらいの明るさだ。 汗で塗れて乾いた髪がガサガサという。 あ。毛布の中が、なんだかあったかい。シャミか? 視線を落とすと、胸の中には長門が居た。 ああ。 コイツと、あんなことになっちまったんだったな。 不思議と感動はない。 いつかきっとこうなるんじゃないか。とそう思っていたことがそうなってしまったような。 奇妙な、だがほっとするような安心感に俺は包まれていた。 くー、ともすー、とでもいえるかのような微かな寝息を立てながらこの宇宙人は眠っている。 体を丸めながら、それでも俺の体とできるだけ多く触れ合うような体勢で、長門有希は 安らかな寝息を立てていた。 綺麗な顔だ。パーツが整っている、というだけではなくて、なんだか、見ているだけで 心のどこかがあったかくなってくるような、そんな美少女。 っていうか、美少女であるかどうかなんてどうでもいい。俺にとって長門は長門であり、 それ以上でもそれ以下でもそれ以外でもない。世間の連中がAマイナスだのどうだの 言っているのは俺にとってどういう意味も持たない。いまここに眠っている女の子が、 とても大事で、大切にしたいというそれだけだ。 そんなことを思いながら長門の寝顔を見つめているとひく、っとまぶたが動いた。 薄い皮膜の下から漆黒の瞳が俺を見つめてくる。 なあ、こんなときに言う言葉は一つだけだろう? え? キザだって? 構うもんか。俺がそう言いたいんだからな。誰にも文句は言わせないぞ。 柔らかな表情で目覚めたばかりの、自分の胸の中にいる子猫みたいな女の子に俺はそっと囁いた。 「メリークリスマス、長門」
以上です。長門スキーのみなさま、それ以外の皆様もどうか、よい夜を。 メリークリスマス!
368 :
15-705 :2006/12/24(日) 23:12:34 ID:A17NEhd8
のいぢじゃね?>368
>>368 乙。
文も絵も上手いですね。
ハルヒは「孤島症候群」以後禁酒してるから飲酒はしないのでは?
とちょっと引っかかりましたが、
それでも面白かったです。また書いて&描いて下さいね。
371 :
15-705 :2006/12/24(日) 23:17:10 ID:A17NEhd8
あーそーそう。のいぢ仕様。わははは。
372 :
15-705 :2006/12/24(日) 23:18:09 ID:A17NEhd8
>370 絵は漏れのじゃないニョロヨ。(誰かがサンタを長門に改造した絵らしい) でも楽しんでもらえたなら嬉しい。
>362氏の直後だけど、クリスマスイブということで投下します。 長門が被ってるのご勘弁
『鍋奉行vs鍋創造主』 「さあさあ、2ラウンド目は何がいいかしら? キムチ鍋は最後が良さそうだし、豆乳でも入れる? 肉団子は? まだまだ材料たっくさんあるんだし、第4回戦までは行けるわね。 ほら、キョン、あんた残り物片づけ係なんだから、どんどん食べる! あんたが片付けないと、次に進まないじゃない」 目を燦然と輝かせこちらに菜箸の先を突きつけてくるハルヒに、 俺はただ苦笑して肩をすくめて見せた。
ハルヒの頭には、クリスマスに必需品の円錐型をしたパーティ帽子の先っちょを切って メガホンと帽子の一石二鳥アイテムが乗っかっている。 普段の3割増しでテンションの高いこいつは そのメガホン帽子を使って鍋が始まるやいなやああだこうだと口を出し、 そのリーダーシップというか絶対君主ぶりを遺憾なく発揮している。 ちなみに仕切る以外に食う方でも大活躍で、 鍋の第1ラウンドが始まって5分足らずで半分ほど無くなってるのもこいつのせいだ。 「いいよ、俺ァ、さっき強制されたトナカイ芸のせいでハラ一杯だ。 次かその次のラウンドから本格的に参加するから、先にやっててくれ」 朝比奈さんとハルヒが買出してきた鍋の具材は オーストラリア産牛肉や得体の知れない冷凍白身魚が満載という、 由緒正しき「金に余裕の無いコーコーセーの鍋」だったのだが、 遅れてやってきた鶴屋さんが抱えていたトロ箱のおかげで状況は一変した。 「ウチからいま届いたよっ! 頂き物だけど、どうせウチじゃ食べきれないからさっ! 」 の台詞と共に開けられた箱には、すでに切り身となった鮟鱇やら鮭やらがぎっしりだったのである。 こうして”質より量”がコンセプトだった鍋は、質も量も兼ね備えたスーパー鍋へとクラスチェンジし、 肉と野菜と魚介類の山の存在感は、もうそれだけで明日の胃もたれを約束してくれそうだ。 材料は沢山あるんだからさ、しばらく見てても食いっぱぐれる事はないだろ? 俺がそう言うと、ハルヒはつまらなさそうにフンと顔を横に向け、 山盛りになっている菓子の中からうまい棒をつかみ出すとむしゃむしゃやり始めた。 鍋とうまい棒チーズ味の食い合わせはどうなんだろうという疑問は尽きないが、 とりあえずここでハルヒと愉快な討論を始めるつもりはないので黙っておく。
クリスマスイヴのSOS団の部室はいつもよりも一人多いせいか、 鍋なんか食わなくても、コーラをおとなしく啜っているだけで充分に暖かい。 それに、と心の中でひとりごちて、俺は部屋の中を見渡した。 鍋の向こうで鮟鱇のゼラチン質がお肌に…などと声高に話している鶴屋さんとそれを聞いている朝比奈さん。 うまい棒を食い終わったところで、やはり鍋に取り掛かるべきだと判断したらしく再びトリ肉にかぶりつくハルヒ。 テーブルの脇に立ちながら、ポン酢とゴマだれのどちらがいいか悩んでいる古泉。 一度は消失してしまった光景。 これを取り戻す為に自分がどれほどの決意をし、 そして後戻りできないところまで来てしまったかという事を思うとちょっぴりおセンチな気分になったりもするのさ。 自分の選択に後悔はない。だからこそかけがえのないこの風景を大切に……などと、 明るく賑やかなパーティに相応しくない、モヤモヤと胸中にくすぶり始めた想いをコーラで流し込んで、 俺は本日4杯目となるお代わりを注ぎ足した。 飲み物のペットボトルを元に戻して自分の定位置となった椅子にだらしなく座ると、 隣でちょこんと腰掛けているショートカットの小柄な姿がこちらを窺う気配がする。 紙コップに口をつけながらそちらを見返すと、 もぐもぐと動く頬と、こちらを見上げる無表情だけど無表情じゃない瞳と目が合った。 この場に居るべき俺たちの仲間の最後の一人、長門有希。
――おまえの親玉にくそったれと伝えろ。お前の居ない世界なんて認めやしないぞ。 深夜に見舞いに来た長門に対して威勢よく啖呵を切り、 以来(心の中で)ずっと情報統合思念体とやらに臨戦態勢だった俺だが、 こうして長門が何一つ変わらない様子でいるのを見て、ほっと心が緩むのが感じていた。 いつもどおり、殆ど言葉を発することはないが、手の届くところに長門がいる。 すぐ横を見ればその黒くてつめたい瞳がある。 そして……これまたいつもどおり、むしゃむしゃと旺盛にものを食っている。 それが、こんなにも嬉しいことだったなんて。 入院中に処分の可能性を告げられた時から、すでに数日が過ぎている。 いままで何も起こらなかったということは、この件で長門に対する咎めはなかったということか。 それとも、それはこれから起こるのか。 ちくしょう、やるなら早くやれってんだ。 まるで酔っ払いの愚痴のようなことを 目の前でぷつぷつ泡を立てている真っ黒なコーラの水面に呟きながら、 それでも俺は、何も起こらない事を強く祈らずはいられなかった。
そんな俺の胸中を知ってか知らずか、長門は無言でこちらを見上げている。 ウサギのようにその口が小さく動いているのは、さっき摘んでた春菊のせいだろう。 俺が小さく首を横に振り、心配要らないとの意を伝えると納得したのか、やがて前へと向き直った。 「……」 「……」 ふたりとも前を向いているので、そのままではお互いの姿は見えないが、 長門が鍋に箸を突き入れるために軽く腰を浮かせるたびにその白い横顔が視界に映る。 無言で鍋をつつき、これまた音も無く椅子へと戻る。 その箸の先に鮟鱇の切り身が挟まっていた。 なあ、長門。旨いか? 「……」 こっくり頷く気配。 いつもより角度が大きいように思われるのは、味に感動しているのかパーティで多少なりとも興奮しているのか。 そうだな、鶴屋さんちの鮟鱇だもんな。きっと料理人が吊るし切りにして解体したんだぜ、多分。 「吊るし切り?」 そうだ。鮟鱇をだな、こう、フックで吊り下げて、水を飲ませて腹を膨らませたところを捌くんだ。 『旨しんぼ』って料理漫画で読んだ事あるぞ俺は。 「……ユニーク」 ちなみに今の長門の返事にタイムラグがあったのは、単に食べかけの鮟鱇を飲み込むのに時間がかかったせいだ。 そんな会話をしながら、俺は開いていた片手の指を長門の椅子の背もたれにかけた。 「……」 やはり無言のまま、鍋にかがみこんでひときわ大きな鮭の切り身を鍋からつかみ出す長門。 手にした椀のポン酢にそれをつけると、椅子に戻る体の動きそのままに、 ちいさな音をきしませて背もたれへとその身を預けた。
ふわん、と指にかかる重み。 途端に俺の心臓は跳ね上がる。 長門はいつもキチンとした姿勢で座るから、椅子にもたれかかるなんて事は記憶にない。 だから俺も安心して行き場のない指先を持っていくことが出来たのだが。 「おい」 小声で呼びかけると、椅子に寄りかかったまま長門はチラリとこちらを見上げ、 そのまま鮭の切り身を口元へと寄せ、端っこへと噛み付いた。 「……」 「……」 人差し指と中指、そして薬指の先に長門の体温が触れている。 スレンダーな体型を思わせるしなやかな硬さと女の子特有の柔らかさを同時に併せ持つ、なんとも不思議な感覚。 「どうした? 行儀よく食わないと……汁がこぼれるぞ」 背筋を逸らしたような格好で食べ続ける長門。 ほとんど力もかかっていないのに、その背中と椅子に挟まれた俺の指はピクリとも動かせない。 「へいき」 俺の忠告にもならない忠告に従ってか、自分のあごのすぐ下に椀をあてがいながら、 長門はもぐもぐと鮭を噛んでいる。 生物の成績も大して良くない俺には如何なる解剖学的神秘に因るものかは分からないが、 長門のあごが動くと同時に背中の筋肉だか筋だかもピクピク揺れていて、 カーディガン、セーラー服、そしてアンダーウェア越しに、その存在を伝えていた。
わけもなく頬が熱くなる。 挟まれていないほうの手にあったコップに顔を埋める様にして目を逸らすと、 そこにあったコーラを一気に飲み込んだ。 やけにぬるくなった液体が喉を滑り降りていく。 くそ、こんなことなら氷も用意しておくべきだったぜ。 こくん。 長門が鮭を飲み下した音が、指への感覚となって伝わってくる。 そこで彼女は次の目標を探しに鍋のほうへと向か……わなかった。 「……」 「……」 長門はそのままじっと俺の顔を見つめている。 ちらちらと横目でそれを窺うだけの俺は、その目をまともに見ることも出来ず、 せいぜいが空っぽの紙コップのふちを歯でがしがし噛むくらいだった。
「――私の処分の検討は、」 すう、と小さく息を吸う音。その後に、長門が何の前置きも無く切り出した。 背もたれに体を預けながらも、彼女の背中がこころもちぴんと伸びる。 同時に緊張が俺の体に走った。 紙コップはぎしりと音を立ててひしゃげ、もう片方の手の指はパイプ椅子の貧弱なクッションへと食い込む。 「撤回された。処分される事は無い。少なくとも、この件では」 そう言って長門は大きな呼吸と共に肩を上下させる。 その肩甲骨がこつんと俺の指に当たって、それが何かの合図だったように俺の体から力が抜けた。 「……本当か?」 「ほんとう、だと思う」 だと思う、ってなんだか頼りないな。お前の親玉がハッキリ言ったのか? 「そう。だから私は居なくなったりはしない」 そう呟いて長門は部室を見渡す。 「ここからも、」 ハルヒ、古泉、朝比奈さん(と鶴屋さん)の顔を一人一人眺め、最後に俺を見上げると、 いつもよりもずっと力強い、摂氏ゼロ度ぐらいに熱くなった視線で、こう囁いた。 「あなたの前からも」 うぐ。 長門の視線に貫かれ、声にならないうめきが肺から漏れる。
いつ決まったんだ、なんで早く言ってくれない、とか、 親玉とやらはホントにホントの事を言ってるんだな、とか、 問い詰めたい事は沢山ある。 でも、長門が、 その強さと弱さのおかげで誰よりも信頼できると信じられる長門が言っているんだから、 ここはまあ、ぐっと言葉を飲み込んでおこう。 「そうか。良かったな」 ややあってそれだけを呟いた俺に、長門がこくんと頷いた。 「……ところで、そろそろ俺の指を解放してくれないか?」 別に万力で挟んでいるわけじゃないから、引っこ抜けばそれでいいんだけど。 長門が椅子に寄りかかってこちらをじっと見つめている状態で、 この指先のぬくもりを自分から放棄する為には強固な意思が必要で……その、なんだ。困る。 「どうして?」 どうしてもだ。それに、そのままだったらお前も鍋を食えないだろ。手が届かなくてさ。 「……そう」 こらこら長門さん。どうして箸と椀をテーブルに置いちゃうのかな。 大食いキャラ属性の君なら、そこは「うかつ」とか言って鍋に向かうところじゃないのかな? 「……」 「……」
「こぉらっ! なにやってんのよバカキョン!」 ばちんっ! 摂氏ゼロ度を通り過ぎ、280ケルビンぐらいの温度の長門の視線に射抜かれて身動きできない俺を助けたのは、 罵声と共に顔に投げつけられたうまい棒だった。 「なにをイイカンジで有希と見つめ合っちゃったりしてんのよ! 有希は純情な子なんだから、あんたのエロ視線だけでもう犯罪なの犯罪。 バツとしてあんたは野菜の刑だからね! 肉か魚を食べるたびに、その5倍の野菜を食べなさい!」 笑いながら怒るという器用な表情をみせながら、ハルヒがお手製メガホンで怒鳴っている。 その腕には、いつの間にこしらえたのか『鍋奉行』という腕章が輝いていた。 あまりのハルヒの剣幕に飛び上がった拍子に、長門の背中に廻されていた指がすぽんと抜ける。 一見無表情、でもどことなく不満そうな長門に構う隙も与えられず、 追い立てられた俺はひしゃげた紙コップを放り出し、自分の箸と椀を慌てて掴んだ。 「ほらほら、底に沈んでるキノコの切れっ端だとか半分溶けてる白菜だとか、 まだまだあんた用に残ってるわよ。とっとと鍋空けちゃってよ。次に進まないでしょ?」 「残り物、というかすでに野菜くずの世界だな」 「いいのよ。病み上がりのくせにエロキョンでバカキョンなあんたにはそれがお似合いよ」 ふーんだ、と顔を背けるハルヒにを前に、俺は箸で鍋をかき回す。 あらら、ダシ昆布以外には、もう本当に野菜の欠片しか残ってないな。 「心配ない」 と、横合いから俺の椀を摘み上げる手。 「私が取る」
俺がやったように、ぐるぐると箸で鍋をかき回す長門。 パーティの喧騒に紛れがちであるが、その素早く動く唇から テープの早回しをしてるような音が聞こえるのは気のせいか……。 ざばぁっ! 「!」 特大鮟鱇と特大鮭と特大牛肉と特大豚肉と特大鶏肉を一掴みで取り出すと、 長門は俺のお椀にぎゅうぎゅうに盛り付ける。 ついでに2すくい目でこれまた特大の葱と白菜とキノコを出現させると、肉と魚の上にどかんと載せた。 「はい」 はいって言われてもどこから出したんだこれ……ていうか山盛り過ぎて重っ! 「昆布の陰に隠れていた」 直前に俺が探した時は無かったけどな、絶対。 「え、あれ? あたしがさっき見た時はあんなの無かった……」 ほら、ハルヒだって目を白黒させてるだろうが。 あいつだって鍋にカスしか残ってないのを知っててイチャモンつけてきたんだろうし。 「あなたたちの探し方が悪い」 あーあーそうですかそうですか。 もう反論するのも面倒くさいんで何も言わず、正直なところ食欲も大分湧いてきたので とりあえずぷるぷるとゼラチン質を震わせている鮟鱇に齧り付く。 小首をかしげて俺を見つめている長門。 その目が「おいしい?」と聞いてきているので肩をすくめて答える。 「ふまひよ」 熱々の切り身を舌で転がしながらの返事は、どうにも間が抜けたものだった。 かけがえの無い仲間を、そして無口で無表情なお姫さんを守る騎士にしちゃあ情けないせりふだけど。 まあ、今日ぐらいはこれで勘弁。
これで終わりです。ありがとうございましたー。
>>368 、
>>385 GJですた。
久しぶりの長門分で、嬉しかった。
これで独りぼっちのクリスマスでも満足できそうだ。
>>385 アンタのおかげでクリスマスがさびしくなくなったよ
「ありがとう」
携帯からもSS保管庫見れるようにしてくれYO
fileseek使えよハゲ クリスマスだから特別に教えてやるけど もう一度同じこと聞きやがったらケツの穴に手を突っ込んで奥歯ガタガタ言わすぞ この携帯厨
>>368 >>385 長門かわいいよ長門。
つーか長門スキーさん、近頃めっきり見かけなかったけどお元気そうで安心しますた。
「キョン、あんたにいいものをあげるわ」 ハルヒはそう言うなり、おもむろにスカートを穿いたまま下着を脱ぎだした。 「おっお前突然何やってるんだ!」 「ふふ、遠慮しないで触っていいわ。これが本当のクリトリスプレゼントよ!」 「な、何だってーー!!」 終わり
「……読んで」 長門はおもむろに古そうな本、むしろ魔導書を俺に差し出してきた。 「どうしたんだ長門」 「……遠慮しないで読んで……これがほんとのヘルメストリスメギストスプレゼント」 「なんだってー」
クリスマス ヘルメストリスメギストス どう見ても原型を留めてません。本当に(ry
スキトキメキトキス 逆さから読んでもスキトキメキトキス
さすがの猿飛乙
なーがとー なーがとー たーっぷーりー なーがとー
なーがとー ながーとー たーっぷり なーがとーが やーってーくーるー
「教えてくれ。あのたらこみたいな長門は、お前の他にどれだけ地球にいるんだ?」 「けっこう」
夜中にふと気がつくと、俺の部屋の窓の外に長門がいた。 「……何やってんだ?」 「やってきた」 はあ? と長門の言葉を理解しようと意識を外した瞬間、目の前から長門が消えた。 どこ行ったんだ? と窓の外を見回し、そしてふと気付く。 俺が後ろを振り向くと家の中、俺の真後ろに長門は立っていた。 「肩の上と皿の上は省略する」 そう告げ、長門は俺の首に両手を回すとそっと唇を重ねてきた。 俺の思考が現状把握をする前に、長門が舌を差し出して俺の口の中に侵入する。 長門の舌が俺の口内を隅から隅まで渡り歩く。そしてようやく拘束から解放されたかと思うと、 「……後はあなたを夢の中へ誘うだけ」 その晩、俺は長門によって夢の様な快楽を堪能する事になった。 ながと・ながと・ながと (完)
下から2行目を大体10レス弱ぐらいにまとめてくれ
10スレでも可
それはさすがになげーよw
229 :('A`):2006/12/08(金) 22:08:36 0 欲望についてだけど、 まず、部室で俺がみくるといちゃいちゃしてる訳よ。 するとみくるに丁度お茶がこぼれちゃって、 俺が「そのままだと風邪ひくから脱いだ方がいいよ」と言って脱がせる。 そしていきさつがあって、俺がみくるの乳を揉みながらバックから突いてると、 いきなりハルヒが来て、「何してんのあんたは!」って言われてそのまま 掴みかかられる。だけどそのままハルヒが前にずりおちて俺にのしかかる 体勢になってさ、 231 :('A`):2006/12/08(金) 22:11:58 0 で、結局ハルヒにちんぽを舐められて、その間に俺は仕方なくみくるの おまんこにしゃぶりついてる訳だが、みくるが入れてほしそうに言う。 そうなるとハルヒの方も黙っちゃ居ないわけで、「いや、私が先よ!」ってなると、 長門が必死に止めようとしてくる。しかしハルヒが暴れた隙に長門が転んで 俺のちんぽのところでひっかかるんだ。 で、俺のが長門の尻に食い込んだので長門もムラムラして、 しばらくすると3人で取り合いになるんだけど、俺はそこで提案 233 :('A`):2006/12/08(金) 22:17:23 0 「俺のチンポを先にイかせた方が入れてもらえる権利を得る!」 というと、我先にと三人が群がってくるから、「じゃあジャンケンして、 一分ずつ交代で舐めてくれ」と言った。結果的に長門、ハルヒ、みくる、の 順になって、ハルヒは順番になると俺のチンポの上にいきなりまたがってきて、 そのまま挿入を試みようとしてきたので、後で待ちきれなくてオナニーしていた みくるが可愛そうだってってのもあり、「お前みたいなズルい奴には罰を与える!」 と言って尻を数発叩いて、それからバックから本気で突いてハルヒをいったんイかせる ことにした。長門とみくるが羨ましそうに見ていたので、俺は 236 :('A`):2006/12/08(金) 22:21:39 0 ぐったりとしたハルヒを見ながら、 「ちゃんと精子は三等分してやるから、大人しくしててくれ。ちゃんと 時間をかけて抱いてやるからな」と言いながら長門の頭をなでると、 長門が嬉しそうな顔をしながらいきなり尻を突き出してきたので、 我慢せずに犯すことにした。すでに彼女らの従順な姿を見て暴走を始めた 俺のスーパー20cm級は長門の秘所を貫き、最深部でギチギチと来る締め付けに 悲鳴を上げていた。しかし、俺は長門の腰を掴むと、パコパコ、パコパコと 睾丸を打ちつけながら確実に犯し、
238 :('A`):2006/12/08(金) 22:30:17 0 長門がイったのを確認してから最深部に精を打ち込んだ。長門が遺伝子がなんとか とつぶやいていたが、みくるが下半身をびしょ濡れにしながら待機していたので、 長門からブツを抜き取った。「こぽっ」と音を立てて精液が流れ落ちたが、 はたしてこれが三等分かどうかは自信がない。そしてみくるにも差し込んだ。 正面から抱きかかえるように犯してやった。みくるは本当に嬉しそうに 涎を垂らしながら喘ぎ声をあげた。ハルヒがもし待機しているのならさっさと 終わらせるべきだと思うんだが、まだぐったりしていたので、時間をかけて突きまくる ことにした。馬鹿でかい乳が押し付けられ、乳首がコリコリ、コリコリと俺に弾力を 伝えてきたので、もみ返して、さらにみくるの腰をもちあげ駅弁の体勢で 激しく突あげていった。俺の睾丸が豊満な尻におしつけられたが、派手にぶちかまして いるうちにみくるがイってしまったので、尻を掴んだまま空中で遺伝子を 注入してやった。みくるから抜いたときは 240 :('A`):2006/12/08(金) 22:40:07 0 かなりの量の愛液混じりの白濁した種があふれ出していたが、まだ膨れている 20cm級を見て安心した。みくるを横たえると、ようやく目を覚ましたハルヒが いきなり掴みかかってきた。既に満足して俺の精液を零している 長門やみくるの姿を見て、かなり悔しがっているらしい。そこで俺は、 「お前の分もちゃんと残してある。あとは全部お前にやるから」と言ったら ハルヒはかなり嬉しそうに抱きついてきたので、俺は力をこめて抱き返し、 深い口付けをしてあげた。そして既に完全に反り返った20cm級マグナムを 深く突き刺し、「で、一番すきなのは誰なのよぉ」と言うハルヒに 「お前が一番の抱き心地だ」と返して派手に腰を振ってあげる。 この時のハルヒは本当に嬉しそうな表情だったが、俺の表情もかなり嬉しそうに 見えたはずだ。実際、物凄い締め付けでおっぱいもあたり、気持ちが良かった。 軽く腰のペースを上げると一旦体勢を変え、こんどはバックで打ち付けた。 パンパンと俺の睾丸と液まみれのはるひの腰がお互いに打ち合っていい音を出し、 ハルヒが果て、そして俺はハルヒの中で一度果てた。お互いに一度イき、 今度はどちらからともなく求めあい、 242 :('A`):2006/12/08(金) 22:49:04 0 腰の動きが再び戻ると、俺はハルヒの中でゴリゴリと20cm級を摩擦させ、 大きさを取り戻していった。ハルヒはそれを感じて、「すっごーい! 精力どれだけあるの?男ってこういう時タフね」と顔を真っ赤にしながら 驚いていた。そのまま俺も力を振り絞り、ハルヒを持ち上げるようにして 立ち上がった。ハルヒはたぶん俺のあまりの底力に惚れてしまったのか、 今までとは別人を見るような表情で、俺の顔を見て、またうつむいて、 そしてキスを求めてきた。そんなハルヒに応じながら、よし強く抱きしめ、 そして最後に腰を勢い良く突き出し、子宮口を貫いてハルヒの一番奥に びゅるるっ、びゅるるっと大量の子種を打ち付けた。 完全に精がでなくなったのを確認すると、俺は半萎えの20cm級を「ごぽっ」 という音とともに引き抜き、ハルヒを他の二人のところに引き寄せると、 真ん中の位置に横になり、そのまま三人を寄り添わせて寝息を立てた 以上!抜きながら書きますた(;^@^)
空気が死んだ
どんな顔をすればいいのか分かりませんが、とりあえず泣いときますね(つ∀`)
410 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/26(火) 01:52:20 ID:GFNVrHwZ
とりあえずもらっときます
強く生きろ(´;ω;`)ブワッ
ハルヒが孤島の風呂でキョンに壺洗いとかをするSSってなんていったっけ。
『涼宮ハルヒの欲情』
そんな名前だったかー、ありがとう。ございま。した。
孤島での酒エピソードは語られることはないだろうね 何だか18禁くさいのだが
>>415 映画撮ってる時も鶴屋さんがみくるにテキーラサンライズ(シロップ抜き)を飲ませてなかったっけ。
まぁ高校生って設定だから飲酒シーンの映像化は自粛してんじゃないかな。
酒にまつわるスキャンダルはフィクションだとしても今電波には乗せられないな。 書籍でギリギリ、しかも作者もハルヒに断酒宣言させてもう書かないつもりらしいし。
ハルヒのSSずっと書いてると絶望系みたいなの書きたくなるな。
酒は解らんが作者自身はタバコ嫌いなんだろうね じゃなきゃ「喫煙は緩慢なる自殺」なんて書かない。
『孤島症候群・番外編』 俺たちはどんなバカ騒ぎをするときでも酒にだけは手を付けない。 これはあの孤島での合宿でできたSOS団の鉄の掟だ。 ハルヒは「飲んだ後に記憶が消えてしまうのは勿体ない」 みたいなことを言っていたが、 理由はもっと他にある。それは、「酒の勢いは恐い」ということだ。 あれはまだあの大事件の起こる前。 俺たちは豪邸で酒精による乱恥気騒ぎを起こし、 いつのまにか一日目が終了した二日目の朝だった。 「う〜ん……」 肌寒さで目を覚ます。寝呆け眼で隣にあるものに抱きついた。 「あったけー」 豪邸にある高価な抱き枕かなんかだろうと思って、遠慮なく抱かせてもらう。 柔らかくてすべすべした感触が、肌に直接に伝わってきた。 「俺、裸なのか」 道理で寒いはずだ。俺は抱き締める力を強めた。 この抱き枕、なんだかいい匂いもする。その、何て言うか…… 「ムラムラしてきた」 謎の抱き枕の匂いを嗅ながら、それに手を這わせた。 何とも言えない良い感触が、手に返ってくる。 「くそ、もう我慢できん」 初めて薄目をあけて隣を見る。古泉はまだ寝ていた。 それを見た俺は再び目を閉じて、俺の朝立ちを抱き枕に擦り付けてしまった。 「うわ……すっげぇ気持ちいい」 その感触に夢中になる。 このままではばれるんじゃないかって程ハァハァしていたら、 「ひっ」 という可愛らしいお声が。 声のする方向に目をやると、なんと俺のベッドで裸の朝比奈さんが 涙目でこっちを見ていらっしゃった。 「あ……邪魔しちゃってごめんなさい!」 と言って裸のままそそくさとベッドから降りてしまった。わけがわからない。 朝っぱらから朝比奈さんのセクシーショットを見ることができた 幸せを噛み締めつつ、俺もそろそろ起きるかなと思い立って ふと抱き枕だと思っていたものに目をやると、 ……あれ? ハルヒ?
「むぅぅぅ〜……」 俺の腕の中には、顔を真っ赤にして怒るに怒れないみたいな表情をしたハルヒが、 少女漫画みたいなうるうる目をして俺を見つめていた。 「うわぁっ!すまんハルヒ!」 慌てて飛び退く。そのまま下を隠すのも忘れてハルヒの体を眺めてしまった。 しなやかな体のライン、引き締まったウエスト、 意外に豊かな胸のてっぺんにある薄ピンクの…… あっ、隠された。 ハルヒは俺の顔と朝立ちと交互に見ている。やべ、隠すの忘れた。 「こ、こんなに大きくして……このっ、エロキョーーン!!」 その後、朝食の時間まで裸で正座したままハルヒに説教された。 ハルヒも昨日の記憶がないらしい。古泉と長門は何も話してくれないし、 朝比奈さんにはお得意の「禁則事項」で逃げられた。どーなってんのかね。これは。
>>419 ヘビースモーカーもよくそういう発言するよ
>>415 の自給自足っぷりに感動した。
>>419 喫煙習慣の有無に関わらず、「キャラがそういう考え」ならそう語らせるんじゃね?
>>419 タバコじゃなくて酒だが、中島らもは自覚的にそう書いてる。
そういや、陰謀のあとがきの「百万本のショウガ伝説」みたいなネタも
中島らもが書いてたなあ。
まあ作中の地の文=作者の考えと、安易に結びつけるのはよくないが、 あまり煙草吸いそうにも見えないな>谷川
メトロン星人の地球侵略を阻止するためなんじゃないか?
428 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/26(火) 23:52:23 ID:a/E+XSDF
童貞でしょでしょ? 答えはいつも私のオナニー なんでだろ アナルを選んだ私です もう止まらない センズリ朝から強いられたけど Anal 挿すだけじゃつまらないの Penis! 感じるまま感じることだけをするよ 童貞でしょでしょ!?オンナが(オナ)ネタに変わる世界で ネタがあるから強くなるのよ 誰の為じゃない 一緒に抜いてくださいっ どこまでも粗チンな私を見てよね 明日過去になった今日のいまもオナニー kanjiru...
久しぶりに来た俺にお勧めを教えてくれないか? 前に読んだ古泉とキョンと長門で飲んでるやつなんか気に入ってたんだが
さて、ここでスレログだけは取得してるものの殆どSS見てない俺がレス
>>429 に便乗して俺も最近のお勧めplz まとめに載ってないのでも可 ログだけはあるんでね。
「防空艦との邂逅」 イージス5のクロスもの 「inドラクエ」 ドラクエ 「西遊記」 埋めネタ 「北高を出よう!」 学校とのクロス。長編 個人的にこんなとこ。
前スレはかなり良SS多いよ このスレもだけど
雨でラブホに行く話が好き
>>432 ありがとう、頑張る。
>>429 おお、それ気になるね。
確か、3人で飲み明かし、翌朝ハルヒとみくるが乗り込んできて「何で呼ばないのか」と文句言う奴でね?
タイトル知っていたら誰か教えて〜。
おおサンクス。 この、何というか親しい連中とお泊まりして楽しく過ごすってのがいいよなぁ。
ガールミーツガールってまとめのどこに有るんですか?
>>429-430 >>2 >Q保管庫のどれがオススメ?
>Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろ。
……と言いつつも、実は「少年オンザグラウンドゼロ」を始めとして、
前スレの437-446でおすすめなSSタイトルが沢山紹介されていたりするw
改変した後、ハルヒが大人しくなってる話って題名なんだっけ?
ドラクエを2まで読み進めたが……これは面白いな
>ドラクエパロ キョン「一つ聞かせてほしい。俺がここまで来たのは…それも脱出プログラム?」 長門「それはあなたの意志。」 こうですか?わかりません><
うわー、ドラクエいいところで……orz
キョンとみくるでドラえもんをパロった話はどれだっけ。 あの二時間ずつ未来の自分を呼ぶやつ。 小ネタ系は流石に探しきれん……
キョンだらけもあったような
>>449 あれ、こんなのもあったのか。さんく。
探してたのは宿題をやるやつで、キョンが「それって結局徹夜してますよね」って突っ込みで終わってたんだが……
……あれはプリン保管庫だったか?
聞いてばかりですいませんが、エロパロで女キョンが出てくる話しってタイトル何でしたっけ?
『キョンの消失』だっけ? 聞いてばかりじゃつまらんだろう。452の好きな作品は何かな?
俺の好きなSSは 「涼宮ハルヒのパン工房」 「ティー・タイム」以下シリーズ 「官能小説大戦」 「涼宮ハルヒの塔」 「長門週間」 あとは既出のやつとか有名どころとかも好きです
ID変わりましたけど、
>>452 です。
自分は「Short Summer Vacation」ですね。タイトル合ってるかどうか不安ですが。
>>454 パン工房が好きとは、お主さては通だな?
俺も好きだよ、その人の作品今でも待ってる。
一つのスレで数回お勧めSS教えてって奴が出てくるな 絶対自分のSS勧めたりその前フリとしてオススメ教えてって書いてる奴いるだろw
>>458 ノ
という冗談は置いといて、さすがにそれでも鉄板で出てくるオススメSSは固まってきたな
基本的に長編は全部面白いから、part分けされてるものは全部読んどけってことで
無駄に引きのばして長いだけの長編ほどつまらないものはない
プリンに多いな<無駄に引きのばし
ここも多いだろ
>>454 長門週間は俺も好きだわ
俺は女キョンが終わった頃にこのスレから離れてたから、知らないのいっぱいあって楽しいわ
プリンのようにジャンル別、キャラ別、作者別(…は無理か) でまとめてくれる猛者はおらんかのぅ。
作者別にまとめられたら俺なんかは確実に吊るww 今改めて見ると、「もっと上手い言い回しがあったなあ」って思う所が出てくる出てくる。
インデックスは確かに欲しいが、流石に1000弱あるSSを纏めるのは一人じゃ無理だろw 本気でやるなら保管庫予備やVIP雑談みたいな場所を用意して情報を集めるかそれこそwikiだろうな。 そんだけ手分けしても数多くてすぐに投げたくなりそうだが。
そもそも名無しで個人特定出来ないようにしてるのに作者ごとで分けるのも変な話。 作風で特定されるってのはあるだろうけど、して欲しくない人もいるでしょ。
>>468 名乗りたい人は自分から名乗るだろうしね。
言葉足らずだったが
>>467 で言ったインデックスってのは作者以外(キャラ・ジャンル)の事という意味で。
>>468 まぁ、人によって黒歴史とかあるしな。
と、当時は書き手だった俺がレス。黒歴史万歳
>>470 これでもしお前がみずのまことだったりしたら迷わずお前のファンになるんだがなw
みずのを叩いてたころが懐かしいよ あの頃はこんなに人はいなかった むしろ過疎ってたなぁ
>>472 あれだな
○アニは偉大だって事だろ
実際のとこ結構いいところも多いんだけど
製作数>>>供給能力
の構図が何とかならないと全体としてはマイナス方向だよな…
indexで思い出したが、 保管庫予備ってどうなったの?
>>472 俺、スレの番号が2の頃からずっといるけどみずのまことを叩いてた頃なんかないぞ。
他のスレと間違えてないか?
実は最初はハルヒ単体のスレとして立てられたのを知る人は何人いるだろうか…… 涼宮ハルヒのシリーズのエロSS 1 名前:名無しさん@ピンキー 投稿日:04/04/17 01:04 ID: ラノベの涼宮ハルヒでハアハアしようよスレです。 職人さん光臨キボン ちなみに、私の好きなカップリングは キョン×朝比奈 キョン×ハルヒです。 まぁ今もハルヒ率が一番高いけどねw あ、俺は鶴屋さん派で
それは当然じゃないのか?
学校その他も投下できるってのは実に貴重だぜ。
みずのを叩いてたのは原作スレの方じゃないか? 最近は学校やイージスのSSがあったりで嬉しい限り。 ボクセカはやりにくいよな。委員長のエロ妄想を広げるとかしか思いつかん。
ここ黎明期からレベル高いなぁ……。 一ケタ台のスレ番の作品読んでて思った。
なんか最近、テンプレの鶴屋さんの部分を変更すべきなんじゃないだろうか、と思うようになってきた。 おすすめは 「 」 「 」 「 」 ・ ・ ・ 「 」さっ めがっさ面白いと思わないかなっ?どうにょろ? こんな具合に
>>481 逆に考えるんだ
選ばれなかったSSはどうなるんだ、と
古泉が良い感じな作品お勧めない? 親友はもちろん読んだ
>>484 漏れのオススメは、
23-87様: 『古泉くんの憂鬱』
32-586様: 『ワンダリング五人』
34-48様: 『古泉一樹の誓い』
かな。
>>482-483 浅はかな発言をしてしまい、申し訳ない
最近になって特に鶴屋さんのテンプレが無視されてきている気がしたもので、それならいっそ現状の住人の希望に沿うかたちにしたほうがいいんじゃないか、などと思ってしまいました
スレ汚し、すみませんでした
>>486 なんつーのかな、荒れずにマターリするよう務めればいい、というか。要は空気さえ読めば。
住人が好意で情報をやりとりするのはいいけど、その好意に甘えて横暴な態度は取るな、と。
だからテンプレはこのまま、でも実際は時と場合と暗黙の了解に基づいて行けばいいんじゃないかな。
>>484 夜中に偶然道端でキョンと古泉が出くわすなり古泉が勝手に語り出すんだけどその真意が凄く和む奴があった。
あの2人はハルヒの能力となんの関係無い等身大の高校生として話す分には凄く良い友達だから困る。
つーか前スレで皆のオススメ尋ねたの私です。本当にその節はありがとうございました。
>>485 ちょwwwワンダリング五人読んだけど、古泉が良い感じ通り過ぎて変態まっただ中じゃねえかww
それよりも聞いてくれよ、 俺がさっさと寝ようとベッドの掛け布団をめくると、ハルヒが入っていたんだ。 俺はビックリして、思わず掛け布団を元に戻してしまった。 きっと今のは何かの見間違いであろうと思い直し、 再び掛け布団をめくると、なんとそこにはハルヒがこちらを向いていた。 俺は思わず掛け布団を戻したが、きっと疲れていて見えもしないものを見てしまったのだと思い直し、 覚悟を決めて、改めて掛け布団をめくった。 するとそこには、何者かのハルヒがこちらを向いて、100ジゴワットの笑顔で笑んでいるんだ。 俺はビックリして、掛け布団を戻したが、きっと幻覚を見たに違いない、 最近あまり寝てないから、見えもしないものが見えてしまったのだと思い直し、 掛け布団をめくったんだ。するとそこには、パジャマを着たハルヒが入っていた。 驚いた俺は、気がつけば掛け布団を戻していましたが、気のせいだと思い直し、 再び掛け布団をめくると、やっぱりパジャマを着たハルヒが、すこやかに笑っているんだ。 思わず扉を閉めてしまいましたが、きっと幻覚に違いありません。やれやれ、最近寝てなかったからな。 と、思い直し掛け布団をめくると、やっぱり誰かのハルヒが入っている。 思わず掛け布団を戻した俺だが、これは何かの間違いに違いない。 疲れているから見えもしない物が見えたのだと思い直し、掛け布団をめくると、 そこにはなんとパジャマを着たハルヒが……、うわっと思い掛け布団を戻したが、 きっと疲れのせいで幻覚を見たに違いないと自分に言い聞かせ、 再び掛け布団をめくると、なんと誰かのハルヒがパジャマを着て笑っているんだ。 思わず掛け布団を元に戻したが、きっと気のせいで、 何かと見間違えをしたのだと自分に言い聞かせ、掛け布団をめくり直すと、 なんとそこには、何者かのハルヒがパジャマを着て笑っていたんだ。 慌てて掛け布団を戻し、やれやれ…… きっと疲れのせいで幻覚を見たに違い (ハルヒによってベッドの中に引きずり込まれる)
あけてーしめてーあけてーしめてーあけてーしめたらryって誰のネタだっけ?
吉田ヒロ
>>493 奇遇
たった今読み終わった。これは間違いなく良作。オリキャラ風ではあるが。いや、しかしおもしろい。
転載するのはともかくとしても、勝手にタイトルをいじるのは問題じゃないのか?
僕が書いたんじゃありませんという注意書きを ちゃんと入れてあるので良いんです!なんてな プロフにゆとりですって書いてあるし、放っておけばいいんじゃね
>>488 スレまでは憶えてないが、「K&K」だったと思う。
あと古泉といえば「雨の日には、あなたと」もいい。
アレのキョンもいいやつだしな。
『ある春休みの一日』もかなりよかった
「小泉一樹の述懐」に一票
古泉は何気に脇でこっそりよい味出してるのも多いと思う。 前スレの学校とのクロスもの、朝倉との会話になんか燃えた。
ここ古泉人気だよなw
長門の消失ネタも結構人気あるような気がするな
サムデイインザレインでの葛藤が好きだね
最近ここ向けのSSのアイディアがちっともわかない。
散歩をおススメする。 足を動かすことで血流が良くなり、アイディアも出やすくなるぞ。 ただ寒くなってきたから、防寒対策だけはしっかりとしてほしい。
508 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/29(金) 20:36:09 ID:SPNpd+mS
>>506 ナンプレなんてどうだ?
1つ解くごとに頭の血管が1つずつ活性化するぞ。
確かに街歩くとアイディアバンバンわいたなぁ……。
散歩はいいよ。散歩は。 というか、谷川さんからしてそうなんじゃない?
流れ無視してスマンがおまいら「コイツには転べそうで転べなかった」ってキャラいる? ちなみに俺はハルヒ。でも谷川がもし漏れが個人的に引っ掛かってる 「ハルヒとキョンの恋愛の義務」を解決してくれたらハルヒに転ぶと思うんだ(´・ω・`)
おまい(笑) 漏れ(笑) (´・ω・`)(笑)
俺は長門だな 鶴屋さんの魅力が半端じゃなかった
>>511 よく分からんが、俺は今の状態だからこそ、ニタニタとハルヒに萌えてるな。
いやこれはキョンとセットなんだけど。
>>514 俺も長門かな。
個人的にこういうキャラは好きな筈なんだが、ハルヒに転んでた。
516 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/30(土) 14:21:37 ID:G6XN98dB
いつかキョンはハルヒのことを本当に好きなのか、強制されて好きになったのか悩むんじゃないのかね。 そんなに深い葛藤になるとは思わないけど。 ところで阪中とキョンがうどん打つSSってなんて名前だったっけ。
近所のツタヤに涼宮ハヒルの憂鬱があったけど、借りようかどうか迷ってマフ
>>517 金に余裕がないならおすすめできない
キャラのげんなりっぷりを見て笑うくらいしかできない。
特に長門、朝倉の人造人間コンビはひどい。
扱いが谷口>小泉
ハヒルがキョンと同じ高校にいるってことは
あの世界でも『笹の葉ラプソディ』が起っていると思われる。
ちゃんと校庭落書き事件についても谷口から語られるしね。
>>517 あれなはギャグ以外の要素を求めてはいけない。それでもって言うならどうぞ
>>516 ツンデレは強制されて誰かを好きになったりはしなくね?
ハルヒの力ってことだろ
>>516 ミステリックサインでそれっぽい葛藤があったよね。
「俺は何者なんだ?」
って。直後に古泉に、あなたは普通の人間です、って言われてるけど。
>阪中とキョンがうどん打つSS
それ、知らないなぁ。ちょっと興味があるぞ。
523 :
511 :2006/12/30(土) 16:36:56 ID:h/uiUM/h
なんか紛らわしい言い方してたスマンorz つまりは今のところキョンはハルヒが好きなのは間違いないとは思うが、 ストーリー的にキョンにはハルヒとくっつく義務があるようでなんか引っ掛かる。 (憂鬱からそうなんだがハルヒの機嫌取らないと世界が滅びるby古泉みたいな) そこんとこ谷川先生に期待
それはもう消失でクリアー済みでしょ 全てを無かったことにするか、今まで通りか、選択肢を与えられて 「俺とハルヒ」が行くまで待ってろ、って長門に告げたんだから
そこに明確な答えを出したら話が陳腐になりゃせんかと 意図的に描写してないんだと思う
お互いの気持ちを意識し始めた最中、ふとしたきっかけで 「俺のハルヒに対する気持ちは、ハルヒがそう望んだから生まれたのではないか」 などとキョンが葛藤する ようなのを書いてたんだが予想外の鬱展開に話が勝手に広がってしまい それ以来書くのを止めている俺のSS
雨にも負けず 風にも負けず 涼宮さんの着せる衣装にも 谷口くんのねちっこい視線にも負けぬ 豊かな体を持ち 下心はなく 決して怒らず いつもほわりと笑っている 一日にダージリンとミルクティーと 少しの緑茶を淹れ 未来から大事な情報を知らされずに よく見聞きし分からず そして慌て 小高い坂の上の日なたの 小さな窓付きの部室に居て 東に病気のキョンくんがあれば 行って部屋で看病してやり 西に疲れたキョンくんがあれば 行っていっしょに振り回され 南に倒れそうなキョンくんがあれば 行って一緒に布団に入り 北に喧嘩をしているキョンくんがあれば 行って問答無用で味方につき ドジをした時は涙を流し コスプレをした時はおろおろ歩き 皆に天使と呼ばれ 構われ 愛でられ そういう未来人に私はなりたい
「うん、それ無理」
530 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/30(土) 22:06:52 ID:kQpOZG05
なんだこの目つきの悪い長門は
投下マダー?
ここへの投下って、あれじゃない、密度とか、完成度が必要じゃない? 大抵のネタはVIPで使っちゃうのね。うん……そうなの。
536 :
1レスもの :2006/12/30(土) 23:52:59 ID:avpLMxrd
冬のある日。放課後。 古泉と俺とハルヒは、三人で下校した。あたりはもうすっかり暗い。 「どうも、この場に僕が居るのはよろしくないようですね……お先に失礼 しましょうか?」 「お前、失礼しましょうか? って聴かれたらハイそうしてくださいなんて 答えにくいだろうがアホ。それに別にお前が居ても別にかまわん。ハル ヒと二人になると何かあるとかそういう話ではないしな」 ハルヒはなぜか、ピクリと反応した。が、何も云わない。 「……この際ですから、単刀直入に聞いてしまいますが、あなたは、涼 宮さんのこと、どう思っていますか? いえ、あなたがいつもぼやいてい るような意味ではなく、一人の女性として、という意味ですが」 「どうもこうもねえよ。どうもこうもあったとしても、横に本人が居る状態で 言えるわけないだろうが」 「……あなたは、本当に不器用ですね……」 ふと横を見ると、ハルヒは、どこかさびしげな様子だった。うつむいたま ま、ゆっくりと歩いている。 「涼宮さんは、あなたを──」 「うわぁ、流れ星だ!」 ハルヒは高い声で叫び、片手を挙げる。 「見た見た? 二人とも、今の見た?」 俺は、ハルヒの指差した空を見る。 星などひとつも見えなかった。
537 :
名無しさん@ピンキー :2006/12/30(土) 23:58:01 ID:jq1Q/z4V
>>536 いいなぁこのむずがゆさ、たまらん。
GJ。
あれ、ネーム間違えた、スマソ
なんとなく思い付いたネタをちょっと投下してみます。 初投下なので、大目に見て下さい。 はてさて、突然ではあるがここで問題。 Q1今俺はどこにいるでしょう? A1本来ならおなじみの場所。 Q2俺のまわりには何が置かれているでしょうか? A2やかん、コンロ、パソコン、本棚とかいろいろ。 ここまで書けばわかるだろう。 今俺は我がSOS団の部室にいる。いや、いるはずなんだが… Q3俺は今どんな状況でしょうか? A3ある人の前でなぜか手錠をかけられた状態で イスに座らされ、動けない状態。
では続けて問題。 Q4その笑顔のある人とは誰でしょうか? この問題の答えは… 喜緑さんだ。 話は朝まで遡る。 俺は某動物園の冬眠ルーム並みの気温の中、強制ハイキングを利用して 体を中途半端に暖めた後、下駄箱を開けると、 真っ白な便箋が入ってる事に気付いた。俺はとりあえずそれを 残像を残しながら鞄の中にしまい、トイレへと向かった。 まず真っ先に浮かんだのは朝比奈さん(大)のウインクしてる姿だ。 ところが差出人名も内容も、孫社長も予想GUYなものだった。 「本日放課後、文芸部室にてお待ちしております。喜緑」
書きながらの投下はできるだけ止めて欲しい
俺さ、買うまでは見た目とか前情報で絶対長門萌えだと思ってたんだ ああもう畜生ハルヒ可愛いなぁ!
さて、今んとこうちの団は特には何もまだやってないはずだよな? 阪中の依頼の時以来(いや、ギャグのつもりはないんだぞ)特に何もせずに平和に 収まってるはずなんだが… なんにせよ会う場所はいつもの部室だ。 ちょっといつもより早めに行けばいいかな。 しかし正直心のどこかで喜緑さんという事で何かおもしろそうな事が起きそうな気がしていた。 先に言っておこう。 それは俺にしてみればあんまり笑い事じゃなかった。多分。 で、見事なまでに授業の数々をスルーし、放課後になった。 はてさて。一体何が起こるのやら… ちょっと混んでるんで間あけて投下します。
ヤマグチノボルも好きだが、やっぱり谷川流のほうが文章が上手いな。 はやく新刊でないかなぁ
あのレトリックに凝って知的に見せかけつつ、実は中身のないグダグダ文章が大好きだ
まあ谷川は上手いが、ノボルはむしろ下手すぎ(ry 好きだけどね、どっちも。
今、脳内に 『涼宮ハルヒの焦燥』 『朝比奈ミクルの火遊び』 の2本の案があるが、どちらを先に文章化したらよいもんか
両方同時にやるんだ
>>548 俺はみくるのほうを読みたいが後でもいい
>>548 逆に考えるんだ、同時進行すればいいや、と
ヤマグチノボルの下手さは異常
>>548 火遊びに惹かれる俺ガイル
ヤマグチノボルの真骨頂はあとがき。俺はアレで買うの止めた。 火遊びって聞いたとたん、石焼き芋を「上手に焼けましたー!」なみくるを想像した。
ちょっと前に書きかけだったやつを投下させていただきます。
みくる輪姦の続きくるー
胡椒と引き替えに船を手にした俺たちは、まずは朝比奈さんが長となる 町の予定地まで船を進めることにした。その途中で海特有の魔物に 何度も出くわしたのだが、もはやマジックマスターナガトさんの加わった 我がチームに死角はなく、 俺たちは迫り来る海棲生物どもを片っ端からどぼんどぼん沈めていた。 「う〜ん、相手が魚類だと楽だねこれはっ、体がなまっちゃうにょろ!」 鶴屋さんは掌に電気を溜めて魔物にタッチするという変な戦い方をしている。 なんでも雷を自在に操る練習で、ゆくゆくはもっと凄いことをする気らしい。 「えぇっと、掌打からサマーソルト……」 ハルヒはというと、相変わらずの暴れっぷり。最近は コンボの研究に余念がないらしく、流れるような連激で敵を蹴散らすたびに 一つ一つの動きを確認している。 「…………」 三点リーダーを連発する長門は、本を片手に詠唱をしながらそのへんを 適当に指差している。指差した方向に氷柱がとんでいったり火の玉が出たり、 癒しの光が出たりしていてなんかシュールだ。デタラメにやっている わけではないらしく、証拠に見方側に攻撃魔法が飛んできたことは一度もない。 長門に近づいてきた奴は古泉が追い払っている。そして―― 「うぉらぁっ!」 俺はというと、朝比奈さんの微笑ましい資金調達を眺めながら、 そこに群がる化け物共をまるで八つ当たりみたいに鋼の剣でぶっ飛ばしていた。 そう。今日は朝比奈さんとの最初で最後の船旅。もうこの愛らしい お姿を暫く見れないと思うと悲しくて仕方がない。俺はぷるぷる震えながら お金を拾っている無翼の天使を眺めながら、感慨深くため息をついた。 くそ、泣きたい。 * あのおっさんに連れられて来た場所は、見渡すかぎりの草原の広がった なにもない所だった。そこに申し訳程度のログハウスが一つ。激しく心配だ。 「うわぁ……本当に何もないところですね。」 朝比奈さんは辺りを見回して大きく伸びをした。 これからこの草原をどうやって町に変えていくか考えて わくわくしているようだった。 「あたしたちもこの町予定地をどんどん宣伝していくから大丈夫っさ!」 いいのか?こんなところにおっさんと朝比奈さん二人で住まわせて。 「何言ってんの。このおっさんはキョンみたいに見境無く襲ったりしないわよ」 ハルヒは捏造問題に厳しい批判意見を提示する朝日新聞を見る目で俺を見ている。 くそ、何も言い返せない。
「今日は遅いですね。この家で一泊するとしましょう」 「そうね。みくるちゃんとのお別れは明日に延期よ!」 空はすでに夕焼けになっていた。初めての船の上での戦闘でパーティーも いい感じに疲弊してるので、今日はこのログハウスで休むことになった。 まずは寝る前に今後の指針会議。 「まずはイエローオーブは確保したも同然ね」 「しかし残りのオーブの場所など皆目検討もつきませんね」 古泉は人畜無害な笑みを浮かべながらオーバーに両手を広げて 「わからない」ポーズを取った。だれかお宝に詳しい奴はいないか。 「そういえば……それで思い出しました。僕の知り合いに 海賊の下っぱがいましてね、何か話が聞けるかも知れません」 確かお前は盗賊だったな。もしやその海賊団も覆面パンツ…… 「それはありません。お頭も女性なんですよ」 「へーっ、女海賊なんてすごいねー!」 鶴屋さんは自分が女勇者であることを棚上げして腕組みしながら感心している。 「うんうん、でかしたわ古泉くん。 これでオーブ探しの旅もすぐに終わりそうね!」 こんな感じで会議は終了し、就寝することに。 * 布団の配置は一列目に俺、古泉、おっさん。 二列目に朝比奈さん、鶴屋さん、ハルヒ、長門である。 「お別れパーティー出来なかったわね。実に残念だわ」 ハルヒは口をむーっと固く引き結んでいる。 珍しくハルヒと同感だ。これも貧乏旅行の辛いところだな。 「あ、ありがとうございます……再開パーティーは、賑やかにやりましょうね」 朝比奈さんは涙声になっていた。あぁ、抱き締めて眠りたい。 「何考えてるのよ。みくるちゃんに夜這いかけたらダメだからね!」 いつのまに読心術に目覚めやがったこいつは? 俺はそんなことを考えながら目蓋を閉じて睡魔の到来を待つことにした。 …… どのくらい経っただろうか、俺はなかなか眠れずにいた。
…………ん? 下から誰かがくる! 「うふ、来ちゃいました」 後ろから可愛らしい上級生の声が届いてきた。朝比奈さん? 「二人でお別れパーティーです」 朝比奈さんは後ろから俺のモノを探り出した。ちょ、ちょっとマズイですよ。 「みんな寝てるから大丈夫ですよぉ」 悪戯っぽいクスクス笑いが俺の耳を刺激する。あぁ、もうダメになってきた…… あっさり抵抗を諦めた俺は、下を脱いで朝比奈さんに肉棒を握らせた。 柔らかい手の感触が、俺の脳みそを根底からダメにしていく。 「こんなに大きくして……もう、キョン君のエッチ」 俺の一物は無翼の小悪魔こと朝比奈さんにいいように上下されている。 朝比奈さん、エッチなのはあなたですよ。 「そんなぁ、今日だけですよぉ」 扱くスピードが早まる。あぁ……もうだめ。 射精感が込み上げてきた俺は、いつものように腰をむずむず…… 「はい、おしまい」 そう言って朝比奈さんは、手を止めてしまった。しかし一番いいところで 寸止めされた俺はそれだけでは収まらない。朝比奈さんに向き直って抱き締めた。 朝比奈さん……意地悪しないでくださいよ。 「うふふ、じゃぁ、優しくキスから始めてください……」 どこか妖艶になった童顔の上級生は、既に裸になって俺を待ち受けていた。 ひょっこりと立ったピンク色の乳首に目を奪われるが、まずはキスからだ。 俺はぷるんとした唇を、かぷかぷといった感じで食んだ。 「はむ、はむ、はぅ……キョン君、あーんして」 脳みそが完全にピンク色になった俺は曖昧に口を開けると、 そこに朝比奈さんの舌とともに何か飴玉大のものが入ってきた。何ですこれは? 「噛んでください」 言うとおりにしてみた。なんだこれは、甘い…… 「眠り薬です。この実を主食とするモンスターは甘い息を吐いてくるんですよ」 ちょ、そんな豆知識いいですかr…… 「再開パーティーでは、もっとイイコトしましょうね……」 そんな耳打ちを聞きながら、俺の視界は暗転した。
* 「みなさん、がんばってくださいねー!」 朝比奈さんがウインクをした。視線は明らかに俺に向いている。 「待ってなさいみくるちゃん、すぐに帰ってくるからね!」 「みくるも、がんばるにょろー!」 「それでは朝比奈さん、頑張ってくださいね」 「…………」 結局あの夜は不完全燃焼に終わって、朝比奈さんはしばらく おあずけになってしまった。再び朝比奈さんに会う日が待ち遠しい。 ……ひょっとしたら朝比奈さんはこれを狙っていたのか? 「こらキョン!ボケッとしてないで手伝いなさい!」 ハルヒの怒声に振り返ると、巨大イカが甲板に上ってきていた。 やれやれ。俺は剣を抜くと、巨大イカ目がけて飛び込んでいった。 * それからも俺たちは魔物とドンパチしながらふらふらと世界を廻り、 暗くなってきたので近くの島に降り立って村を見つけて、 そこで宿をとることにした。 ムオルの村と呼ばれるその村は先代勇者にゆかりのある村らしく、 やたらとそのへんに「勇者が泊まった宿」「勇者がやくそうを買った道具屋」 「勇者が入ったイメクラ」「〜デリヘル」「〜おっぱぶ」 「〜大人のおもちゃ屋さん」などと傍迷惑な貼り紙が店毎に張ってあった。 「私たちもこんな風に有名になっていくのね!」とハルヒ。 俺は御免だ。風俗に入った記録まで伝説にされちゃかなわん。 「しかし親父も人気だったんだねー!これじゃ身動きとれないよーっ」 鶴屋さんはアリアハンへ行ったことのある村人に正体がばれてしまい、 現在野次馬の中心でもみくちゃにされている。 「こらーっ!少年達っ、おっぱい触っちゃダメだよー!」 仕方ない、助けに行くか。いくぞ小泉! 長門は宿屋の屋根の上で読書に耽っていて、下でおじいさんおばあさん達に 「ありがたや、ありがたや」と拝まれているのを完璧に無視していた。 あいつは助けなくていいだろう。
* 宿屋も最高級な部屋をただで取れてしまった。様々なスケベオプションが 満載だったのは気のせいだろうか。何か嫌な予感がするのだが。 「ふーっ、疲れた!人気者はつらいねっ!」 鶴屋さんは満面の笑みでベッドをふかふかしている。 今日のもみくちゃ事件を全てプラスに置き換えてしまったらしい。さすがは大物。 「何だかエッチなオプションが一杯ね。デリヘルまで無料みたい」 「……何か妙ですね」 顎に手を当てて考え込む小泉。何だ、言ってみろ。 「不名誉な看板が多すぎると思いませんか?もしここに普通の旅人が来たら、 勇者のイメージが崩壊すると思うのです」 そうだな。何だってそんなことを。 「勇者のふりをして村に来た奴がいるのね?まったく許せないわ!」 「あるいは勇者に対して恨みを持つ者がやったことでしょう。 僕達は人気者です。風評被害が出る前に、 あのピンク系の看板は撤去してもらいましょう。」 あぁ、以外に重要だな。 明日交渉するとしよう。じゃ、そろそろ寝るか……って長門? 「…………」 長門はいつのまに俺の隣にいて、左腕を引っ張っている。 ……腕枕してほしいのか? 「……」 長門は二ミリ程頷いた。肯定と受け取って俺は腕を差し出す。 俺の腕に頭を乗せる長門は俺にしかわからない表情で嬉しがっていた。 俺にしかわからないっていうのがポイントだ。可愛いやつめ。 「あーっ、キョン!やっぱり有希とできてたのね!」ハルヒは俺の布団に潜り込むと、右腕を許可なくぶんどって枕にした。 「あんたが有希を襲わないように見張っておくからね」 ハルヒは俺をジトッと睨んだあと、ぷりぷりといった表情で瞳を閉じた。 小泉はちゃっかり鶴屋さんの隣で既に寝息を立てている。くそ、平和なやつめ。 左から視線を感じるので見てみると 長門がカブトムシを見る小学生みたいな目で俺を見ていた。どうした? 「あなたが寝るまで起きている」 気になって眠れないから止してくれ。 「時間ぎりぎりになったら強力なラリホーをかける。問題ない。」 つまり俺は時間ぎりぎりまでこの修羅場の中にいるのか……ってハルヒ 「何よ」 俺の息子をいじめるのをやめなさい 「いいでしょ?気持ちいいんだし」 そういう問題じゃ……って玉を揉むな。 「あたしじゃないわよ」 長門、お前もか。 「気持ちいい?」 いや、さっきも言ったがそういう問題じゃなくて…… 「こうなったら有希!どっちが気持ちいいか勝負よ!」
声が大きい!あっちの二人は寝てるんだぞ……って起きた。 「あっちもよろしくやってるみたいだし、ねっ、小泉くん?」 「いやぁ、ははは……向こうで楽しんでくd」 あっ、口塞がれた。哀れ小泉 「アンタも同じ末路を辿るのよ!」 ハルヒは俺の一物を出してくわえだした。 「おいっ、ハル――」 「んむっ、ちゅっ、ちゅうちゅ」 長門は俺の唇担当。ハルヒが頑張りすぎて俺の舌が上手く動かない。 長門に完全にリードされている。 まずい、昨日朝比奈さんに焦らされたのもあってかなり溜まっている。 「うー!うー!」 アホみたいな声を出して腰をむずがらせた。 ハルヒはそのまま吸っているからどうやら口に出してもいいらしい。 「ふぅ、ふぅ、ふぅ、うっっー!」 結局俺がもうちょっとで発射するってところで全員にラリホーがかかった。 長門があらかじめタイマーでかけてたらしい。 「うかつ」 この日最後に聞いたのは長門の声だった。
次の日、この村のいかがわしいお店から『勇者』という文字を 取ってもらうように交渉しにいこうと会議をしている途中に 宿屋の親父が入ってきて、「勇者様が置いていったものだ。ぜひ使ってくれ」 と言われて見覚えのある覆面とパンツをもらった。 「あっはっはっはっ!カンダタが勇者のフリしてたとはねっ!」 その場で腹を抱えて転げている鶴屋さん。いやいや笑い事じゃないですよ。 「そうよ!我がロマリア国にも報告して カンダタの罪を重くする必要があるわね!」 ちなみにロマリア国は俺とハルヒのものであり、 カンダタは我が国に幽閉されて裁判の日々を送っている。 「では、僕と長門さんとで村全体にこのニュースを伝えに行ってきますね」 偽勇者のニュースは瞬く間に村全体に広がり、おかしなビラが剥がされる とともに俺たちの泊まった部屋には新たに「勇者様御一行が泊まった部屋」 という貼り紙が付け加えられた。 再び宿屋に戻って着替えてたら、また事件が起こった。何なんだこの村は。 「あれっ?あたしの下着がなくなっちやったにょろっ!」 鶴屋さんの下着が全部無くなったのである。 昨日寝る前に脱いでしまったものも含めてというのだからヒドイ。 「キョン!さっさと口から出しなさい!」 どんな変態だそれは。人聞きの悪いことを言うな。 「困りましたね……鶴屋さんには一度ルーラで自宅に戻ってもらいましょうか」 「あっはっは!人気者はやっぱりつらいねー!あっそうそう、 キョン君も一緒に来てくれる?」 あぁ、いいですよ。……この人はどんだけプラス思考なんだ? 「それでは涼宮さん、長門さん、 僕達は一足先に海賊のあじとに行くとしましょうか」 じゃあな小泉。ルイーダの酒場で待ってるぞ。 「キョン君早くっ!下着無しなんてお姉さん恥ずかしいよっ!」 鶴屋さんはルーラを詠唱しながら俺を引っ張っていき、 宿屋のドアを開けた瞬間に多くの村人に揉みくちゃにされながら 空高くぶっとんだ。 * うわ、宿屋の前凄い人だかり…… 「まさかおぱんつが全て村人さんたちの夜のおかずに消えちゃうとはねぇ……」 鶴屋さんはここまで来てさすがに苦笑していた。 やっぱり少し無理してたんですね? 「勇者様はみんなのアイドルでもあるからねっ。 皆に愛されなくちゃいけないのさっ」 鶴屋さんはにーっと笑ってウインクした。大変だな勇者も。 「おっ、そろそろ我が家に到着だよっ! たっだいまー!いま帰ったにょろーん!」
降り立った先は、見事な大豪邸。 もとの世界の鶴屋さんの家は日本庭園だったが、こっちは洋館だ。 どことなくフランスっぽさが滲み出ているのは俺がヨーロッパに疎いからなのか。 部屋に到着した。俺は鶴屋さんからベッドでごろごろしてるように言われて、 それを実行している。鶴屋さん、こっちの世界でもお金持ちだったんですね。 「勇者は国から報奨金たっぷり貰えっからねっ。 国からのプレッシャーが凄いのなんのって」 からから笑いながら話す鶴屋さんは、俺には何だか強がっているように見えて、 だから 「俺たちの前では、泣いたり、弱音吐いたり、していいですからね。 いや何ができるかは分からないですけど」 そう言ってやった。 「……うん、ありがとうキョンくん。着替えるから、あっち向いててね」 俺は鶴屋さんを背にするように寝返りを打つ。 何だかしんみりした空気になってしまった。俺のせいか? …… 「終わったよっ」 言われて振り替えると 鶴屋さん、裸になってる。 何ですかそれは。馬鹿には見えない服ですか? 「はっは!キョン君には見えない服なのさっ」 ああ、上に乗っからないでください。どうしたんですか。 「キョン君が変なこと言うから……嬉しくなっちゃったんだよっ。 これはキョン君のせいなんだかんねっ」 そういって赤くなる鶴屋さんは、正直すっげぇ可愛かった。 俺は計らずして彼女の触れてはいけないスイッチを押してしまったんだろうか。 「キョン君も脱いでくれるかな?」 鶴屋さんはにょろにょろ言いながら俺の服を脱がせにかかってくる。 「まずは溜まったもの出さないと危ないからねっ」 俺を裸に剥いた鶴屋さんはギンギンになったペニスの上に乗っかると、 そのまま腰を使って擦り上げてきた。いわゆる素股である。 「んっ、んっ、んっ、んっ……キョン君気持ちいいかいっ?」 むず痒いようなあの感覚がすぐにやってきた。 「あぁあっ!すいません、もう……!」 「あははははっ!出しちゃえっ、キョンくん!」 まるで絞り取られるように射精させられた。精液が尿道を通過するたびに、 何とも言えないいい気持ちが下半身から全身に伝わる。 朝比奈さん、ハルヒ、長門のイタズラに耐えてきた俺の愚息は、 鶴屋さんの素股の前にあっけなく降参した。 「あはは、出てる出てる〜」 自分の腹に精液を暴発させた息子は、 鶴屋さんの腰の動きにまだ反応して残り汁を出し続けている。
「はぁ、はぁ……まだまだいくよっ」 次は69の体勢で、お掃除フェラを受けた。 「ひょんひゅん、ひもひいいよ〜」 しばらく舐めあっていたが、 俺のモノが復活した辺りで鶴屋さんはころんと仰向けになって 「それじゃキョン君、そのおっきしたモノで突き突きしてくれるかなっ?」 というリクエストを出してきたので、お答えすることにした。 「あぁっ、キョンくん、キョンくーん!」 鶴屋さんは頬を上気させ、虚ろな目をして俺を求めてくる。たまんねえ。 俺は呼び掛けに答えるように一心不乱に腰を振った。 「キョンくぅんっ!いっちゃうぅぅ!」 膣が収縮してきた。まずい出る。負けるな俺! 「いいよっ、中で出してっ!」 誘惑したってダメですよ。そろそろトドメですね。 「あああっ……あっ!」 鶴屋さんがイったのを確認すると、俺はブツを引き抜いてお腹に出した。 こればっかりは旅の途中だ仕方ない。 鶴屋さんの上に倒れこむ。さすがにへばった。色んな意味で頭がクラクラする。 「キョンくんのいじわる」 鶴屋さんは子供っぽくぷーっとふくれた。仕様がないじゃないですか。 「てへっ」 悪戯っぽく舌を出す。俺はそんな彼女を抱き締めて、軽くキスしたあと、 そのまま眠りについた。 * 翌日、鶴屋さんとお風呂で一絡みしたあとルイーダの酒場へ。 朝比奈さんの言い付けを守って朝っぱらから愚直にビールを飲む 真の馬鹿野郎どもに朝比奈さんの近況を教え、ミラクルミクルタウン(仮) についての説明をしている最中に、 夏場の太陽みたいないい笑顔をしたハルヒがドアを蹴っ飛ばしてやってきた。 「おっくれてごめーん!」「おーっ!ハルにゃんお疲れ!」 続いて長門が入ってきた。『賢者』というのはレアな職業らしく、 長門の登場にルイーダの酒場が一時騒然となっていた。 ……あれ?古泉は? 「海賊と一緒にグリーンオーブを取りに行ってるわ」 ハルヒが言うには海賊もオーブを探していたのだが、ラーミアの話を聞くや否や すぐに興味を失ってレッドオーブとオーブの地図をくれたそうだ。 イエローオーブは載っていない。人の手に渡り続けているという噂は本当らしい。 グリーンオーブ探しは彼らのご好意だという。 もしかいて海賊は『機関』だったりして。 「ハルヒ、これからどうする」 「次は地球のへそにあるブルーオーブね」 地球のへそ?
「世界地図の真ん中から下、へその部分にある洞窟。ここには 一人で入ることになるので、能力値のバランスが良く回復呪文も使える 勇者が行くことが望ましい」 「おっ、あたしの出番だね?」 鶴屋さんはふんふん言いながら腕まくりをしている。「ええ、任したわ鶴屋さん。じゃあ鶴屋さんがブルーオーブを探している間、 あたしたちは一足先にジパングまで行きましょ!」 おっ、この明らかに日本みたいな島か。 「よし、目的が決まったら長居は無用よ!」 ハルヒは鶴屋さんと肩を組ながらすったかたと酒場を出ていった。 やれやれと思いながらビールを飲んでいたら誰かに袖を引っ張られていることに 気付き、これは長門だなと思って引っ張られた方を見てみると、 長門は瞳に僅かばかりの不安を浮かべて俺を見ていた。 「気を付けて」 ん?どうした。何に気を付けりゃいい? 「ジパングで全滅したシークエンスは18回。 時間切れになったシークエンスは5回。」 長門の突然のビックリ発言に、俺は強力なボスキャラのシルエットを想像しつつ、 次に降り立つ大地に思いを馳せた。
おしまいです。大晦日に関係なくてごめんね。
続きは明日。
>>562 訂正です
「あっちもよろしくやってるみたいだし、ねっ、古泉くん?」
「いやぁ、ははは……向こうで楽しんでくd」
あっ、口塞がれた。哀れ古泉
小泉→古泉の間違いでした。
保管庫の人よろしくお願いします。
GJ!鶴屋さんに萌えた〜
>>IqtS6VgEC2 待ってました! 相変わらずエロ面白いですなー。
あけおめ
572 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/01(月) 00:05:44 ID:z6cAnfek
>>569 エロスwいいものみせてもらいました
そしてあけおめ
今年もよろしく親愛なるスケベ野郎ども
あけおめこ
とよろ
575 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/01(月) 17:40:57 ID:PT1yHwuZ
「あぁあ、キョンのチンポがもっと長ければいいのに!そりゃあもう20Mのホース並にね!」 「…ハルヒ」 「何?」 「どうしてくれるんだ…」
投下させていただきます
あたしたちはブルーオーブを手に入れるために、地球のへそがある ランシールの町まで船を進めたのさっ。 アリアハンの近くにあったから、船旅はだいぶ楽だったかな。 よーし、地球のへそとやらっ、ちょろんと攻略しちゃうよっ! 「待って」 おっ、どうした有希ちゃん? 「装備を強化した方がいい。単独行動は何かと危険が伴う。」 はっはっは。心配してくれるのかい? 「そうよ鶴屋さん。資金に余裕のあるうちにぜひ買い替えるべきよ!」 いいのかい?じゃあお言葉に甘えるとしようかなっ。 「あ、余ったら俺にもなんか宜しく」 「……」 有希はキョンくんを三秒間くらい見つめてから、ルーラで飛んでいった。 みくるがいなくなってからうちの金庫番は有希なんだよねっ。 「朝比奈さんは値切り上手かったですよね」 ああ、あれは値切りと言うか色仕掛けだねっ。 「あのあのあの……」 とか言いながら上目遣いで涙ぐむみくるを想像してごらん? 「あー、いいですねー。俺だったら9割引にしちゃいますよ。」 「キョン、町中でアホみたいな顔してアホなこと言わないでちょうだい」 「うるさい。お前も朝比奈さんみたいにもっとしおらしくなったらどうなんだ」 キョンくんは苦い顔をしてハルにゃんと睨み合ってる。 はぁ、二人とも仲がいいねぇ。 「はっはっは、何言ってるんですか鶴屋さん」 「そ、そうよ!キョンなんか好きなわけないじゃない!」 二人はまるでテンプレートみたいな返事をしてあたふたしてる。ツンデレだねぇ。 ……羨ましいな、ハルにゃん。昨日のだってあたしがキョンくんを襲って その気にさせただけなんだよね。 何だかんだでキョンくんから誘いにいくのはハルにゃんだけなんだよ? 「買ってきた」 おっ、二人の犬も食わない争いを観戦してたら有希ちゃんが帰ってきた。 * 有希ちゃんが買ってきたのはあたしに身躱しの服(旅人の服ver)、魔法の盾。 ハルにゃんに身躱しの服(武道着ver)、パワーナックル右手。 キョンくんには魔法の鎧とドラゴンシールドってな感じかな。 ついでのキョンくんが一番豪華なあたり、有希もキョンくんを意識してるのかも。 感情を表に出さないから、わからないんだけどね。 「装備も揃ったし、私たちもジパングに出発よ!」 「それじゃ、またルイーダの酒場で」 あたしもハルにゃん達も、手分けして頑張るにょろ〜!
* ……ふぅ、あたしもそろそろ行きますかね。 あたしは地球のへその受け付けまで歩いた。 おっちゃん、大人一枚!えっ、観光?違うにょろ! ブルーオーブを取りに来たんだよっ。 こうしてあたしは切符を手に、地球のへそまで赴いた。 地球のへそというのはただ世界地図のおへその位置にあるだけで、 実際は何の変哲もない洞窟みたい。 中の魔物はあんまり強くないけど、数が多いのが厄介だね。 チームワークの素晴らしさを痛感。 でも有希ちゃんが買ってくれた身躱しの服のお陰で体が軽い軽い。 あたしはわらわらと沸いてくる敵さんの攻撃をひらひら躱しながら、 そいつらの身体に鋼の刄をばっこんばっこん叩き込んだ。 巡り巡って道が二手に別れた所に来た。うーん、考えても仕方ないし、 適当に行こうかな。いつもだったら二手に別れられるのにな。 てくてく てくてく あれ?壁にお面がいっぱい埋まってるよ? 「……引き返せ」 お面はあたしが横を通ると目を光らせてそう喋った。うへぇ、気味悪い。 でも引き返せって言われると行きたくなるのが人情だよねっ 「引き返せ」 てくてく 「引き返せ」 てくてく …… 一番奥に宝箱はっけーん!やった、案外ちょろいもんだねっ。 では、さっさと開けて持ちかえるとしますか ってうあぁっ!!!手が食われそうになった! 人食い箱かぁ……有希とか小泉くんが行けば引っかかんなかっただろうな。 壁に埋まってる仮面の「それ見たことか」みたいな表情が腹立つー。 あたしは剣を構えて人食い箱と対峙した。 人食い箱の攻撃! 山なりに飛んでくるだけだから軌道が読めれば何とでもなるねっ。 着地したところを逆袈裟の一撃! すごい手応えとともにぶっ飛んでったけど、まだぴんぴんしてる。 人食い箱の攻撃! 今度は着地点の横で待ち構えて首位打者剣をおみまいした。 ふっとぶ。まだ生きてる。攻撃、躱す。 うーん、きりがないねぇ。ちょっと雷を使うよっ。
説明しようっ!鶴屋さんは雷を剣の形に顕現させることによって、 剣の威力を飛躍的に高めることができるのだっ! 船旅の途中で編み出した技、使わせてもらうよっ。 人食い箱の攻撃! あはは、形が形だけに飛び付くことしか出来ないみたい。 今度は逆のバッターボックスに立って……横薙ぎ! ずがーんという炸裂音と共に吹っ飛んでいった人食い箱は、 ひしゃげてそのまま動かなくなった。 あたしの鋼の剣もひん曲がっちゃった。高熱でやわっこくなっちゃったんだね。 ごめんよみくるっ。 しっかし強いねこの…… 名前決めてなかったか。 エレクトリカルイレイサー! ……長いね。めんどいからビリビリ剣でいいや。 ……さって、気を取り直してブルーオーブを探そうかなっ! * 別れ道のもうかたっぽに、案の定オーブがあった。一人で掲げてみる。 寂しい。やっぱりあたしに一人旅は合わないねっ。皆と早く会いたいな。 あたしはすぐに脱出魔法を唱えて、その足でアリアハンまで飛んでった。 皆が帰ってくるまで、久しぶりに家でごろごろしてようかねぇ。 ベッドに寝っ転がる。う〜、昨日のキョンくんを思い出しちゃった。 ……激しかったなあ。 ……もう我慢できない。あたしは秘部に指を這わせる。 もうあそこはえっちな蜜がいっぱい。んっ……ダメだぁ。 何かキョンくんの代わりになるもの、太くて、熱くて、おっきいもの ……ないよぅ。やっぱりキョンくんのが欲しいよ…… はぅ、キョンくん、キョンくん、キョンくん…… ……こんなことばっかしてちゃダメだ。 明日ルイーダの酒場にいる冒険者たちも連れて みくるの手伝いに行こっかな。 ……でも今はひとまず昨日のえっちなキョンくんを思い出して一人プレイだね。 古泉くん、レイプしてごめんよ。今度謝っておかなきゃねっ。
* 涼宮さん達と別れて今日が初日。イエローオーブを手に入れるために、 まずは富を築かなきゃ。うん、頑張ろう。 とりあえず、お店を作って外貨を稼げるようにするのが先決ですよね。 「わたし 村から 人 呼んでくる」 あっ、おじさんありがとうございます。 おじさんは山を越えてスーの村まで行きました。その間わたしは何をしようかな。 わたしに力仕事は向いてないから……むこーうの森で薬になりそうな 木の実でも拾ってこようかな。調合ハーブは普通の道具屋には置いてないから、 売れば結構なお金になるんです。聖水の撒いてある外にでるのは危険だけど、 人材不足で門番が雇えないから、仕方ないよね。 …… 森に着きました。ここは自然が豊かだから、資源には困らないみたいですね。 わたしはモンスターに見つからないように薬草や木の実を拾いました。 うんしょ、うんしょ …… 何だかあちこちから物音が聞こえます。ふぇーん、恐いですー。 …… 道具袋がいっぱいになりました。魔物に襲われないうちに早く帰らなきゃ。 ……さっきから、誰かに見られてる気がするんだけど、気のせいかなぁ? * 家に帰ったら、おじさんの他にスーの村人さんが5人いて、 家づくりをしていました。彼らはここに住んでくれるみたい。 狩りで食料を調達してくれるみたいだから、気にしていた食料問題が あっさり解決しちゃいました。もう感激です。 明日も頑張ろう。待っててね、みんな、キョンくん。 * 次の日、起きたらいくつか家が完成してました。町までの看板まで付いて、 いよいよ「一軒家」から「集落」にランクアップしたみたい。 みんなの給料をどうしようか聞いたら、そんなもの要らないから 代わりに私たちを踏んでくださいって言われたけど、 恩人のみなさんにそんなこと出来ません。 この辺りでとれるお茶っ葉でお茶をごちそうしてあげようかな。 ということで今日も使えそうな植物を取りに森へ。 森には色んなものがあって、中には麻薬の原料とかもあるんだけど、 そんな商売はだめなのですー。 森から帰るとき、仮面をかぶって槍をもったモンスターが手を振ってきたので、 ばいばいして返したら、狂喜して走っていきました。何だったんだろう。 帰って皆にお茶を振る舞いました。皆喜んでくたみたい。 でも労うよりも「役立たず」って罵ってほしかったそうです。 そんなことないのにね。
* 三日目の朝、谷口くんと国木田くんが遊びに来ました。 「あーっ!朝比奈さーん!俺です、谷口です!覚えてますか?」 あっ、いらっしゃい。どうしたの?こんな所で。 「船で全国を旅してる途中だったんです。偶然ですね」 うふ、ゆっくりしていってね。谷口くん、国木田くん。 「今日は泊まっていきますよ。宿賃も払いますからね!」 お客さんが来てくれたので、ここに来て初めて商売をすることができました。 スーの人たちは、今日も黙々と仕事をしてくれています。 時々変なことを言うけど、基本的にはいい人たちです。 今日は森には行かないで、お客さん二人の武勇伝を聞きながら 調合ハーブを作りました。体力回復+ステータス異常解消とか、体力大回復とか、 他の町では売っていない特殊なアイテムばかりです。 これを谷口くん達に持たせて、町の宣伝をしてもらうんです。 国木田くんの考えなんだけど、上手く行くといいなぁ。 夕方ごろ、初めての移民の方が数名見えました。ムオルの村出身の方だそうで、 鶴屋さんに紹介されてここへ来てくださったそうです。ありがとう鶴屋さん。 急に人口が増えちゃって、寝るとこが無くなってしまったので、 谷口くんと同じ布団で寝ることになりました。ごめんね……お金取ってるのに。 「いえいえ、むしろ追加料金払ってもいいくらいですよ!」 谷口くん、わたしのおっぱいを見てるのに気付いちゃった。 ふみゅぅ……えっちはサービスに含まれてないですよぅ。 「間違いが起こらないように、谷口は縛っといてください」 って国木田くんに言われたので、仕方なく手足を縛って固定することにしました。 スーの人が羨ましそうにこっちを見てる。 * 四日目。 谷口くん達を見送ったあと、私たちは新たな家づくりに取り掛かりました。 新たな住人さんたちも、 給料はいらないそうです。 「もう鶴屋さんがくれた」んだって。何を貰ったんだろう。 ……って考えてたら、鶴屋さんが飛んできました!
「やっほー。みくるーっ!手伝いにきたよっ!」 ふぇーん、会いたかったよぅ……。 「ルイーダの酒場でたむろしてる奴らも一緒に連れてきたよっ。 十分にこき使ってやってくれっ」 あんっ、ありがとう鶴屋さぁん……おっぱい、もまないでぇ、 えっちな声が出ちゃう〜 「あ〜も〜可愛いなみくるはっ!」 鶴屋さんは私のおっぱいを揉みながら耳をはむはむし始めました。 ひゃあぁぁ……みんな見てるよぉ。 「ごめんごめん!みくるを見てるとつい襲いたくなるんだよねぇ」 うふふ。もう、鶴屋さんのエッチ! ……あれ?鶴屋さんの笑顔が引きつった。どうかしたの? 「え?あ、いや、な、何でもないさっ」 またからからと笑いだす。ムオル出身の人達は鶴屋さんを 何だかいやらしい目付きで見てる。もう、勇者様をそんな目で見ちゃダメです! * ルイーダの常連さん達も加わって、家づくりは着々と進んでいきました。 お給料については「みくるちゃんからお金は貰えないよ! むしろこっちがお小遣いをあげないとねハァハァ」 とのことです。みんな親切で助かりました。 夜は新しくなったわたしの家でお茶パーティー。ルイーダの人達は「新境地だ」 とか言いながらカフェインに酔っ払っていました。 そういえばお酒も用意しないといけないですね。 今日は鶴屋さんと一緒の布団で寝ることになりました。 「みくるっ、あたしを抱いておくれっ!」 と言っておっぱいに顔を埋める鶴屋さんを抱き締めながら眠りに就きました。 明日もまた頑張ろう。待っててね、みんな、キョンくん――
終わりです。あけおめ。
>>569 挿し絵ありがとうございます。時間が無くて保存できませんでした。すいません。
キョンがトランプか何かで負けて、古泉がトップ。 罰ゲームで好きな人を叫べ、って言われたの何だったっけ?
つ「6-830様:告白」
おお、ありがと。
キョンがハルヒの自己紹介に「天丼か?」って言うSS何ですか?
キョン「お前らハルヒみたく俺をぞんざいに扱わんでくれ」
内容聞いてタイトルで返って来るってのもいいスレだぁなー。
592 :
584 :2007/01/02(火) 00:34:40 ID:yNI0TL10
593 :
590 :2007/01/02(火) 01:03:28 ID:TWyv6287
>>589 「自己紹介」・「天丼」だとおそらくループネタじゃないかと思われるが…
俺じゃ見つけられなかったスマンな
594 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/02(火) 02:46:46 ID:zNb5FViS
>>589 すまん。ぐぐってもよくワカラン。
ググり方が悪いのか?
私からもお願い。
「教えて!エロいひと!」
>>589 エロパロにもVIPにもなかったんで、色々思い出してみると
キャラ(個別)板でループタイムチックなリレーがあったのを思い出して
調べてみたらみごとにビンゴ。
「えー、キョンって渾名で呼ばれてました。宜しくお願いします。
……それと、宇宙人とか未来人とか異世界人とか超能力者が居たら友達になってください」
ざわつくクラスメイト。
どうやら冗談ととってくれたみたいで、軽い笑いが起きた。
しかし、笑わなかった奴が約一名。
「東中出身涼宮ハルヒ! 私は普通の人間には興味がありません。
この中に宇宙人や未来人や異世界人や超能力者が居たら私の所まで来なさい! 以上!」
記憶よりも若干苛ついた声で叫ぶハルヒ。
すまんね。台詞とっちまって。
「いきなり天丼か。やるな、お前」
俺の呟きにどっと沸く笑い。
そして俺を怒心頭な顔で睨みつけるハルヒ。残念だがそれくらいでは怯まないね。
一部コピペしてきたのは眠いために思考が回らないためであって他意はない。反省はしている。ちなみに未完。
未完か・・・ 俺は作者以上にお前が許せねぇ! 続きが気になるじゃないか!!!
598 :
589 :2007/01/02(火) 10:45:47 ID:XSN1aQ7C
個別のリレーSSだったとは…… どうみても見つからないわけです 本当にありがとうございました
というか、お前等凄いな。2ch内ならハルヒ系は全て見つかりそうだ
まったく同感だwwwすげぇ
601 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/02(火) 14:14:40 ID:aiAK4bjF
602 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/02(火) 17:19:23 ID:KlqO8BN3
ゼヒトモ
確か俺含め3〜4人くらいでリレーしてた記憶がある。 いやぁ懐かしいなぁ。
604 :
593 :2007/01/02(火) 22:07:51 ID:TWyv6287
>>589 保管庫にあるSSは一通り読んだからね〜その中にないのは分からんかったわ。
一通り読んだのかすげぇw 名前挙がりにくいオススメとか訊きたい。
606 :
593 :2007/01/03(水) 00:21:31 ID:/CLpHMjv
>>429 あたりの流れにもあるけど、
34-60様inドラクエ
4-823様『キョンの消失』
22-156様『ティー・タイム』シリーズ
34-297様『朝比奈さんだらけ』いいよね。
個人的には、鶴屋派だから偏りあるかもしれんけど
119様『涼宮ハルヒの期待』(既出?)
3-526様『鶴屋家別荘の夜、もしくは羊の夢』
8-92様『涼宮ハルヒの誤算』(番外編のキョンに共感?)
11-226様『朝比奈みくるの最後の挨拶』
『古泉一樹の親友』
13-150様『涼宮ハルヒの○天国』
18-236様『風邪とお見舞い』シリーズ
25-41様『ループ・タイム』シリーズ
26-538様『涼宮ハルヒの欲情』
28-424様『鶴屋さんといっしょっ!』
30-43様キョン@透視能力
30-527様『涼宮ハルヒの無人島』
31-83様『枕元に置いておきたい童話100選』
31-893様『たとえばこんな世界改変』シリーズ
32-359様『密室』
32-897様『涼宮ハルヒの柔道』
34-101様『船に乗らずに孤島に行った話』
35-108様『ラスト・ラプソディ』
35-238様『空梅雨の気まぐれ』
『もうひとつの冬』
あたりが好きかな。まだ色々あるけど、長レスはSS職人さんの仕事だからな。
ROMの俺はこのへんで自粛しておこう。
長レススマソ
お前等のクオリティの高さに脱帽 読む時間あれへんがな最近……
>>606 >8-92様『涼宮ハルヒの誤算』(番外編のキョンに共感?)
番外編だったら、32-292様になると思うんだが、
少なくとも、「同時に共感(?)した」っていうのでも
追加しておくべきだと思うんだ、俺は。
609 :
593 :2007/01/03(水) 00:39:40 ID:/CLpHMjv
>>608 確かに。御指摘ありがとうございます。
なんというか、あれだけのことが全部仕組まれたことだと
誰だって怒るよな〜って思って。自分の表現力の無さにorz
>13-150様『涼宮ハルヒの○天国』 ごめんな、もうちょっとで続き書く時間できるから そしたら投下する
wktkしてます
>>606 あんがとw読んでないの結構あるから時間見つけて読んでみる。
キョン@透視能力なんてあったっけ? 今なぜか見れないからおおまかに教えて
>>613 題名もまんまそれでよかった希ガス
あらすじ説明すると、キョンに透視能力発言→女の子見れない→照れまくるキョン→仕方なく
古泉に相談→アッー!
615 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/03(水) 01:48:19 ID:lY1h1fJl
ハルヒ妊娠エンドがみたいっす。
>>609 『涼宮ハルヒの誤算』のあれが全部仕組まれたことだと思ってるんだったら、
もう一度読み直したほうがいいと思うぞ。オチが成立しない。
>>610 私はあなたを待っていました。期待させていただきます!
>>610 私もあなたを待っていました。楽しみにしています。
そして『キョン@透視能力』の続きも待っているのだが。
あの作者さんはどうしてしまったのだろうか。
>>596 くはっ、書きかけともろネタかぶってるし。
よし、2006年に置いてきた事にしよう。
>>610 真打ktkr! 期待してますよー。
>>615 つ 『涼宮ハルヒの策略』
初夢が見れない……コレをネタに書こうと思ってるのに!
また寝なおしてやる!
ここに投下された物は全部読んだはずなのに, オススメ作品として挙げられている大半を覚えてない自分に絶望したorz
新鮮に読み返せて、お得ジャマイカ。 キョンの衣服透視能力の話は、眼鏡なしだとお前のことまともに 見られないんだ!!と誤解を招く発言をしてしまって教室騒然、 あたりで止まってたんだっけか。
好きな作品の内容は覚えていても タイトルも作者もサッパリな人って多いんじゃない?
ある程度評判が確立してきたらトリップとか付けるといいかもわからんね
トリップないのがパロ板のよさと思っとる俺。
―*―の人はトリップつけてないけど凄い職人だよね 自分は長編書きだからトリップ付けざるをえない まぁ必要に応じてだと思う。
アスタの人は平均点高すぎるよなww
性転換ものって無いか?
いまタイにゆきます
「脱環/檻オンザデイ」って少年オンザの人だよな? あとループタイムの人は、他に作品書いてたりしないんだろうか。あれば読みたい。あるいは読んでても気付かなかったのかな。 俺も保管庫の作品はかなり読んだけどわかんね。 他にも、人気ある作品書いた人ので、実はこのSSはあの人が書いたんだぜ、みたいなのがあれば知りたい。 こういうのは訊いていいもんなのか怖いけど……
俺もループタイムは好きだった。 あの設定で残りのエピソードもやって欲しかったくらいだ。いやほとんどやっちゃったけど。
俺の異次元同位体こと-*-の人はまだこのスレ見てるんだろうか。居たら返事してくれー
新刊が出ればループタイムの続編が書かれると信じてる。
投下マダー?
あー、なんか自分も久々にSS書きたくなってきたなあ。しかも続編。 いや、でもなあ……あの続きを書く場合、下手すりゃキョンが4人に逆『禁則事項』されるのをやらなきゃならんからなあ。 どうしよう……
俺はループタイムって無駄に長いわりにはストーリーがたいしてないから好きじゃない
鶴屋さんとキョンの純愛が読みたいのは俺だけか? ただいま同士募集中。
>>637 俺はむしろ短くまとまってると感じたが。ま、人それぞれだわな。
キョンと鶴屋さんか、あんまり読んだことないジャンルな気がする。
なんか古鶴ってイメージが強いかんじだから。
キョンと喜緑さんのペアが好きな俺は……
>>640 俺はなんか話に起伏がないと思うんだよな……内容がない気がした。
あとキョン鶴はめずらしいな
>>628 つ15-146様『涼宮ハルヒの転換』
>>616 え〜っと、確か濡れ場は誤算だったんだっけ。
スイマセン、今、受験期なんで読むのは控えておきますが、
終わったら読み直します。
あと
6-238様『ど根性ハルヒ』シリーズ
16-674様 ポッギーゲーム
/24-436様 偽ポッギー
も個人的に好きです。
>>633 ノシ
見てるよ。異時間同位体ことポッキーの君w
>>643 2chなんてみてる暇があるなら
読解力を付ける努力をした方がいい
受験生でそんなんじゃやばいぞ
646 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/04(木) 00:32:32 ID:AFfPgLjY
>>636 いいですよ書いて下さい。見せてもらおうじゃありませんか。キョン逆禁則事項とやらを。それで完成したら投下してください
>>645 ここに来るのは勉強終わった後の息抜き的な感覚なんですよ。
受験生なりにちゃんとやってますよ。
10数時間も勉強しっぱなしは辛いです。
お気遣いありがとうございます。
冬休みにもかかわらず、ここはやけにコスプレA(ryも現れず平和だな。
文才が欲しい
書かないことには育たない。 あと、ハルヒに限らず本もよく読むこと。
横からですが…参考になりますw
ラノベなら結構読んでるけど、作文とか嫌いだったしなあ。 妄想力が無駄になってる気がする。
ストーリーや出来事を箇条書きしてみるのオヌヌメ そこから肉付けしていく感じで エロが書けません エロは扱くことしかできません
ここ最近は投下も特にないけど異様にマターリしてるなw
・ソフトに行くと… お互いじっと見つめ合い、言葉はない。 だが、互いの思いは一つ…やがて二人は重なり合い、俺たちは一つになった。 ・エロスでせめると 「ふ、んぅっ…! はぁ、んっ…気持ち…い、いぃっ…!」 俺は欲望の限り、ハルヒの熱くぬめる蜜壷を思い切り突きまくった。 ハルヒもそんな俺に応じるように身をくねらせ、膣内をキュッキュッと収縮させる。 膣口が根本から肉幹を締め上げ、肉襞が舐めるようにカリを刺激する。 堪らない快感が腰から駆け上がってくるが俺は負けるものかとさらに腰を突き上げ、 ハルヒの子宮口に向けて肉棒を打ち付けた。 …てな感じにエロ描写に慣れないうちは上みたいにさらりと書いて、 慣れてきたら描写を駆使して情事を詳細に書いてみるといいんじゃないかな、かな。
エロはメインディッシュじゃない。添え物なんだ。 そう自分に言い聞かせてきました。だってエロ描写なんてできないんだもん
>>655 の↓だけでかけつけ三杯はいける(あえて誤用する)のは俺だけでしょうか。
終えもそんな風にかけるようになりたいです。
とりあえず鶴屋さん銭湯物は置いといて長編書くか…
>>655 エローいッ! いいなぁ、その文才。
どーも密壷とか肉襞とかいう表現がパッと思い付かないんだよな……。
最近エロいの書いてないし、ここらで精進してみるかぁ。
>>644 うほっw
うれしいこと言ってくれるじゃないの
パロ板に数作品投下したけど全部非エロな俺がいる。 書けないし……。展開面白ければありだろと割り切って……。
あんまりエロスになるとハルヒ作品っぽくなくんるんだよな。俺の場合。 っていうか単純にエロスが書けないだけなんだが。
家に帰ると、大人版朝比奈さんが五人いた! 「キョンくんに手とリ足とリ×××してあげたくて、5回遡行してきちゃいました」 ……。俺、脱帽である。 みたいなことを昨日風呂で考えてた俺。
>>663 その妄想を文章にしてみればいいじゃないですか
むしろ誰かに書いてもらいたくて晒しました。
(小)でそれをやったのなら、前にあったな。
五人そろっての「禁則事項です」ウザス
「禁」 「則」 「事」 「項」 「です」 すみません、一斉に言ってください。
669 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/04(木) 18:51:14 ID:AFfPgLjY
範馬刃牙のマウスかwww
なんつーか最近、俺の脳内で古泉は鶴屋さんとセットになってきた。 原作では二人のツーショットは絶無なのにな。
断固としてキョン鶴を主張する。 ……ちょっとパソで書いてくる。もし出来たら投下。
>>667 いちいち書き込むお前が何よりもうざいな
学校を出よう! を読み始めた。 ……脳内でキャラの映像がハルヒの登場人物に置換されるわ…… 高崎はキョンだし、優弥は古泉だし、真琴は鶴屋さん? ユウキがハルヒで……みたいな。 ない?
おれはない
俺はハルヒを読む前にイージス5を読んでたから、鶴屋さんが琴梨とかぶってた
>>673 読み終わったら「北高を出よう」を読んでほしいねw驚愕する。
>>661 うおっ! これはマジで驚いた。
こんな情報ありがとう。
少年オンザ、高速暴走、雨の日にはあなたと、ケーキフェアが同一作者だったとは……。
何て人だ。これはすごい。
もしかして、これってみんな知ってることだったり?
とにかく、まあ俺も頑張れってことだw
雨の日も同じ人かwww言われて気付いたwww
1番かわいいのは朝倉だよな? 意義は認めない ということで、朝倉は俺の嫁
>>680 そう羨ましがるなよ
朝倉は俺の隣が良いんだってよ
肉奴隷マダー?
純愛キョン鶴マダー?
キョンと鶴屋さん自然にくっつけるのって膨大な描写が必要な気がするw
時代は古泉×鶴屋さん
時代は古泉×新川さん
>>689 第一話からいきなり鶴屋さんに素股させた俺が来ました。
>>692 エロは別だと思うw
純愛言うてたし。いやエロが純愛かどうかは置いておいて。
んなこと言ったらハル×キョン、有希×キョン、キョン×古泉以外はどれも大作になってしまうような。
待った!!
>>694 オチは投げてもいい気がするけど過程がwww
みくるは未来に帰るって設定がね。 ハルヒは王道、長門はキョンの恋愛感情が原作ではないがSSでは改竄できるし
「キョンくんキョンくん」 「はい?何でしょうか?」 「大事な話があるから屋上に来てほしいっさ!」 「えっ?いいですけど・・・・」 「それじゃあ行くよ!」 「わ、わかりましたから引っ張らないでください。」 ところ変わって屋上 「っで、題しな話ってなんですか?」 (モジモジ) 「鶴屋さん?」 「//あの、キョンくん?//」 「はい」 「//今付き合ってる人、いるにょろか?//」 「いえ、いませんが・・・・それがなにか?」 「・・・・・・・//」 「鶴屋さん?」 「それって、あたしにもチャンスがあるってことだよね。」 「はい?」 「キョンくん!」 「狽ヘっ、はい!」 「ずっと好きだした。あたしと付き合ってくれませんか。」 「・・・・・・は?」 「こんなこと二度も言わせないでよ。恥ずかしいんだから///」 「(カァー)//いや、でも。なんで」 「だめかな?」 「いや、そういう訳では・・・・」
701 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/05(金) 13:38:52 ID:yX7fGmdv
「いやいやいいよ!キョンくんにはみくるやハルちゃんや ユッキーがいるもんね!あたしみたいなうるさい奴なんか「鶴屋さん!!」 ビクッ 「まだ俺はなにも言っていませんよ」 「・・・・・・・」 「鶴屋さん・・・」 ビクッ 「俺もずっと好きでした。」 「へっ?」 「こんなこと二度も言わせないでください。恥ずかしいんですから//」 「キョンくん(ジワァ)」 「俺と付き合ってください、鶴屋さん」 「うん!」 ギュッ 「ちょっ、鶴屋さん。突然抱きつかないでください///」 「別にいいじゃないか!あたし達いまは恋人同士なんだから!」 「そうですけど///」 「ねぇ、キョンくん」 「はい?」 「キス・・・しても、いいにょろか?////」 「えっ/////」 「だめかな?(ウルウル)」 「・・・いいですよ」 「ほんとかい?」 「なんたって俺達、恋人同士ですもんね」 「そ、そうだったね!///」 見つめ合う二人 「鶴屋さん・・・」 「キョンくん・・・」 そして、二人の唇が重なり合った・・・・・・
要推敲
sage忘れスマン
>>701 「(ガバッ)はっ!」
「なんだぁ〜、夢にょろかぁ」
(でも、キョンくんの顔、かっこよかったなぁ//)
「あっ、あたしってばなに考えてんだろ!
あ、明日に備えて早く寝なくっちゃ!」
(う〜。キョンくんの顔が忘れられないよ〜////)
(それに、明日キョンくんにあって赤くならない自信がないよ〜〜////)
その夜、鶴屋さんはモンモンとしつ眠れなかったとか
当然というか次の日、鶴屋さんは終始フラフラしていたとか・・・・
以上です。タイトルは「鶴屋さん、告白する」です 初めてのくせに携帯からぶっつけで書いた作品です。 少々の誤字脱字は目をつぶってやってください(^−^;)
鶴屋さんには髪で尿道を責めて頂きたく
涼宮ハルヒの演奏 1/そんなお年頃 今日のハルヒは朝から不気味なまでに大人しかった。何か思いつめてるのかと思えば途端に唸りだして独り言を呟き出したり、昼休みも学食から帰ってくるとすぐに着席し、哲学家のように思想に耽っていた。 そんなローテンションなハルヒは放課後のSOS団団室でも何やら思い悩んでいるようであった。時折小さく独り言を呟いている辺り、相当なレベルまでキテいるのだと思われる。 「……ん題はみくるちゃんよね……か出来ないのかしら……」 さっきからうっすらとこんな事が聞こえるが、どういう意味なのかはさっぱり分からない。おまけ程度にハルヒが部室に来てからつけっぱなしにしてあるコンピューターのファンが鳴っている。 朝比奈さんはハルヒが大人しいからか椅子に座って居眠り、長門はいつも通りハードカバーの本を読んでいた。 古泉、もしかして閉鎖空間は発生してないだろうな。 「ええ。機関でも確認している閉鎖空間の数はゼロです。今から発生する可能性も極めて低いと思いますよ」 それは本当だろうな。 「今嘘をついたとしても僕に利益はありません」 古泉はね、と肩をすくめて俺の半数以下となった駒から最後の切り札となるクイーンを苦し紛れに斜めへと進ませた。 お前、わざとやってないか? そこに置くとポーンで取れてしまうんだが。 「そうだな。もしご機嫌斜めだったとしたらどうなるもんかと考えていたんでな」 ポーンを古泉が置いたクイーンのマスへと移動させる。古泉は変わらずニヤケ面のままだ。 「そのときは何としてでも涼宮さんを退屈させないことです」 遂にキングを移動させる古泉。 本当にそこでいいのか。ルークでチェックメイトなんだが。 「ハルヒを楽しませる為に無駄な労力を使うのは御免だ」 ルークを移動させ、チェックメイト。 「最近は楽しませるだけでは駄目みたいですがね」 古泉はムカつく事にニヤケ面を更にニヤケさせた。ずっと笑ってて疲れないのかね。 「それより盤見ろよ、盤」 「おっと、どうやら今回も僕の負けのようですね」 良い加減ボードゲームで俺に勝とうとするのはやめた方が良いぞ。 はぁ、と溜息をついて古泉が自分の表に黒丸を付けているのを見ていると、眠れる獅子の如くハルヒが立ち上がった。 「やっぱり時代はロックよね」 今まで押し黙っていたと思えば、今日一番の台詞がこれか。変に心配していた時間を返してくれ。 帰ってきた我らが団長は更にこんなことを言い出した。 「本格的にSOS団でバンドを始めようと思うの」 まさかの一言である。唖然として言い返せない。 「そこで私なりにパートを考えてみたわ。ボーカルは勿論あたしね。ギターも弾くやつ」 ハルヒがボーカルなのは反対しないが、それ以前の問題だ。バンドなんてそう簡単に出来るはずがない。 「待てハルヒ、バンドを組むにしても俺は楽器が出来ない」 「それも考慮した上での話よ」 いつもは無駄に唐突なハルヒにしては珍しい。明日は雨の他に飴も降ってくるんじゃないか。 そんなのどうとでもなるわよ! とか言ってくるのかと思ったが、今日のハルヒはやはり違うらしい。
「珍しいってどういう事よ。まあそんなことはどうでもいいわ。 とりあえず発表するわよ。キョンはギター、古泉君はベース、ドラムは有希……のつもりなんだけど、ギターあれだけ出来るなら出来るわよね?」 「出来る」 重厚な本をずっと置いたままにしている手の平は皮が厚くなったりはしてないのだろうか、本に目を向けたまま長門が言った。 ドラムって大丈夫なのか、長門。 「大丈夫。情報統合思念体から世間で上手いと思われるドラマー数十人のドラムパターンを今、記憶した」 よく分からないが大丈夫だということだけは分かった。頼りにしてるぞ、長門。 心なし長門が頷いてるような気がした。 「なら有希がドラムで決まりね。みくるちゃんは相当悩んだんだけどキーボードが良いと思うわ。最悪コードを鳴らすだけで何とかなるし」 いつの間にか起きていた朝比奈さんはふぇーと悲鳴にも似た声を発し、驚きを隠せない様子だった。そのエンジェルボイス、堪りません。 はっ、俺も言うべき事があった。 「俺ギターなんて弾いたことないぞ」 「その点抜かりはないわ。私がみっちり教えるわよ。ギターも前に私が使ってたのを貸すから」 何処か得意気にハルヒはジャラーンとエアギターをしてみせた。様になってるからか妙に説得力がある。 今回はいつも突拍子に持ってくる企画とは違うようだ。 しかし、俺のような初心者がギターをやるより長門のような上手い人がやる方が見栄えするんじゃないか? 「馬鹿ねー、バンドはリズム隊よ。り・ず・む・た・い。 ベースとドラムがしっかりしてないとギターも歌も目茶苦茶になっちゃうじゃない」 俺がCDを聴いてる限りではベースやドラムに重点を置いて聴いた事はないのでそこまで重要性が分からない。 歌とギターさえ目立っていればどうにかなるもんじゃないのか? 「はー、全く馬鹿キョンね。リズムがバラバラだと全員が合わせられないでしょうが」 なるほど。ようやく理解出来た。要するにメトロノームのようなモノなんだな。 「そう考えても良いとは思いますが、ドラムソロやベースソロを聴くとメトロノームなんて比べ物になりませんよ」 得意気に説明してくれるのはいいが、その僕まだまだ知ってますよ的な顔をしないでくれ。 お前に長々と説明されると居眠りどころか無性に腹が立つ。 「いや、今の俺ではこれ以上理解しようとすると今日覚えた授業の内容を全て忘れてしまいそうだ」 ほとんど聞いていないので忘れる事も出来ないがな。 「あんた今日の授業聞いてたっけ?」 朝比奈さんに何やら語っていたハルヒがいきなり振り返って俺の顔を見た。 鋭い。ずっと考え込んでるだけだと思っていたが、しっかり監視していたのか。 「それはそうと、僕がベースなのはどうしてでしょう?」 「古泉君ならやったことなくてもすぐに出来そうだし、何せ副団長だからね」 おい古泉。勝ち誇ったような顔で俺を見るな。全く羨ましくないぞ。 「あのぉ、私、どうすれば……?」 メイド服姿の朝比奈さんが上目遣いでハルヒを見つめている。 ハルヒ、羨ましいから替わってくれ。チワワのような瞳を独り占めさせてくれ。 「みくるちゃんは誰かに教えて貰いなさい。そうね、鶴屋さんならお嬢様だしピアノも上手いかもしれないわ。 もし鶴屋さんに教えて貰えなかったら私が教えるけど」 「は、はい……」 何とも言えない表情で俯く朝比奈さん。 急に他人任せだな。いきなりキーボードってのは無理なんじゃないか? 「でも、他に合いそうなパートがないのよ。タンバリン持って踊るだけってのはロックじゃないし」 「いやしかしだな」
「い、良いんです、キョン君。私もキーボードやってみたいですから」 もしかしてこれも規定事項ってやつなのだろうか。瞳をウルウルとさせて何かに耐えている朝比奈さんは非常に悲しげで、更に萌え度が高かった。 すいません。今のハルヒを止めるのはどうやら不可能らしいです。 「なら話は早いわよ。みくるちゃん、キーボード頑張ってね。 キョン、明日ギターとその他諸々持って行くから。あ、そうそう。古泉君はベース持ってる?」 「ええ、最近は弾いてませんが」 「そう。調達の手間が省けたわ。有希は大丈夫そうね。 じゃあ、明日!」 それだけ言うとハルヒはそそくさと部室を出て行った。本当に台風のようなやつだ。 理解するのに何分もかかる事を喋るだけ喋って出て行きやがった。 「お前ベースなんて持ってたのか?」 ハルヒに残されたが、早々帰る気にもなれなかったので聞いてみた。いつも終了の合図となっている長門も本を読み終えていない。 「いいえ。あの場面では持ってると嘘をついた方が面倒は少なくなると思いましたので」 キザだけが取り柄なのか、前髪をピンと指で弾いて言った。 「もし持ってないと言ってたら何処かからまた強奪するつもりだったんだろう」 やれやれ、と肩をすくめる。余りやらないつもりだったんだが、やらずにはいられなかった。 ハルヒのトンデモ企画には毎回寿命が縮まるよ、全く。 「恐らくそうでしょう。僕としてはそういう事で能力を使われる方が嫌だったりしますが。まあベースの方は機関で用意して貰う事にしましょう。 ――それより今回の件ではあなたの行動が過去以上に重要となってきます」 古泉の顔がいつものニヤケ面からキリッとした瞳を開けた真面目なものになった。その瞳に何人もの女子が虜になったのかは知らないが、やはり美少年と無理にでも気付かされる。 いつもそうやっていれば俺的ムカツキ度は半減するのだが。 「どういうことだ?」 「涼宮さんがあなたを同じギターというパートにしたのは非常に大きな意味があります。 教えるという結果、あなたに密着出来ると考えたのでしょう。まさに手取り足取りと言ったところですか」 人さし指を立てて名探偵になりきっている古泉は、中々説得力に欠けた。 真面目な顔だが、面白がってるように見えるぞ。 「俺に密着して何の意味があるんだ」 「……」 古泉は呆気にとられたような顔をするとやれやれ、と肩をすくめた。本日二回目である。 「もはや鈍感の域を超えてますね。全くあなた達も素直になればいいのに。 とりあえずあなたは涼宮さんと一緒にギターを練習していて下さい。それだけで涼宮さんの機嫌はすこぶる快調になるはずですから」 ね、と微笑み、古泉はいつものムカつく顔へと戻った。 「よくわからんがハルヒとギターの練習をしてれば良いんだな。古泉の言ってることは合ってるのか、長門」 ここで何でも知ってる長門に正しいかを聞いておく。古泉の話だけでは信用ならんからな。 「合ってる。涼宮ハルヒはあなたと一緒に居たいと感じている」 本から顔を上げて吸い込まれそうな瞳をこちらに向けて言った。 長門とずっと目を合わせているとマジックポイントが消費されていくような気がする。 「そうか。なら信用していいようだな。 ……朝比奈さん、キーボードって大丈夫なんですか? 未来にもあります?」 隅の方でメイド服のエプロンを掴んで縮こまっている朝比奈さんに聞く。 その姿、今すぐにでも抱きしめたくなります。本当に。 「似たようなものはあるんですが、今のよりは簡単に弾けます」 なら今のキーボードは未来人の朝比奈さんにとって難しいという事になる。大丈夫なのだろうか。 「いけそうですか?」 「な、何とか出来ると良いんですけど……」 そう言って目を反らす朝比奈さん。ああ、可能性は低い……! 「ハルヒは鶴屋さんに教えて貰えとか言ってましたけど、鶴屋さんってピアノ弾けるんですかね?」 「多分弾けたと思います。明日教えて貰うのと一緒に聞いてみます」 「そうですか。辛くなったら言って下さいね」 俺は生涯これ以上に格好良い顔は出来ないだろうという顔を作って朝比奈さんに微笑みかけた。 どうだ、キマってるだろ。誰に問う訳でもないが。
「は、はい。大丈夫です」 まさに天使のような笑顔です。可愛すぎます。その笑顔、プライスレス。 若干引きつってるようにも見えるが、そこは仏のように気にしない。 しかし、俺にギターなんて出来るのだろうか。長門が本を閉じる音が部室に響き、さて終わりかと立ち上がったとき思った。 「先に帰ってて下さい」 朝比奈さんが部室に残り、朝比奈さんの着替えを待つこともなく、古泉、長門と共に校門まで古泉のつまらん音楽話に付き合い、俺は家路についた。 何故か今日のハイキングコース下りはいつもより短く感じたが、特にセンチメンタルな感情はない。きっと気のせいだ。 さて家に着き、妹を難なくスルーし部屋に戻った俺は、音楽に大した興味もない人間がマジでギターを弾けるようになるのかと自問していた。 あんなに速く指が動く訳がない。それでも、もしハルヒが誠に勝手ながら俺に超絶技巧ギタリストになる事を期待しているなら、即刻出来ない、無理だと言いに行く必要がある。それはもう超特急で。 でも、流石にハルヒはそこまで俺に期待してないだろうと、とりあえず俺はその辺に放置されているCDを何ヶ月も使われていないコンポに放り込んだ。昔流行っていたポップスが流れ出す。 音楽というのはその時に聴いていたものを聴くとその時の記憶が溢れ出すらしく、俺も例によって懐かしさを感じていた。 いや、そうじゃない。今日はハルヒが言っていたリズム隊というのを重点に聞いてみる事にする。 ……よくわからん。ドゥンドゥンしてるのがベースか? そもそも俺はベースの音すら理解出来てなかったようである。 本当にこんなヤツがバンドなんて出来るのだろうか。 漠然と不安に思っていると、携帯の着信音が鳴った。この音は電話だな。 背面ディスプレイに映し出された名前は……古泉一樹だった。 「もしもし、古泉です」 「何だ。また閉鎖空間か」 「違いますよ。機関からベースを頂きました。ベースだけではなくシールドやアンプまであります」 何だ、そのシールドとアンプって。盾とランプの仲間か? 「はは、シールドはギターを繋ぐケーブルですよ。アンプはアンプリファイアの略で、エレキギターやエレキベースの音を変換してスピーカーで音を出すエレクトリック楽器には必須な機械です」 自慢気に話してる古泉にイライラしつつも、専門用語を何とか覚えようと試みる。 「えーと、シールドとアンプだな。ていうか、ベースを貰えるなんてどんな機関なんだよ」 「それは秘密です。それより聞いて下さいよ、このベース、フェンダーUSAのジャズベースなんです」 これは話が長びきそうだな。 「わかったわかった。もう切るぞ」 無駄に長電話になって電話代がかさむのも可哀想なので電話を強制終了した。 古泉の説明癖はどうにかならんものかね。うんちくじみた長話をされると興味のないこっちは堪ったもんではない。 俺は明日から始まるバンドSOS団に胃を痛めつつ、はぁと溜息を吐いた。 もう夜の十時を回っている。風呂に入って寝よう。明日も大変そうだからな。 「はぁ……」 俺はもう一度、今度は深く溜息を吐いた。 初めて長編を書いた。反省はしてない。 風呂場で考えついて1話のプロットを書いてから2日も経ってない。反省はしてない。 バンドという萌えと繋がりにくい題材にした。反省はしてない。
710 :
コリコリ ◆TOaN/1ZFoQ :2007/01/05(金) 14:33:19 ID:kfr94vAl
GJイイんでねーすか?
いや、普通に期待できるだろ、これは
>>704 、
>>706 GJです
ところで、女性陣のおっぱいランキングは
朝比奈さん(大)>朝比奈さん(小)>ハルヒ>朝倉>喜緑さん
>阪中>鶴屋さん>長門>妹
でおけ?
鶴屋さんそんなに小さかったか? あと多分朝比奈(小)とハルヒの間に森さんが入るな。
ミヨちゃんは鶴屋さんと長門の間かなぁ 森さんは喜緑さんとどっこいか少し上くらい?
森さんは朝比奈さん(小)よりでかいかもしれない
ENOZがいない 榎本さんは結構ありそうだ
まあいづれにせよトップはみくる(大)で不動だなw そういえばアニメでキョンはみくる(大)の胸を特盛りと表現してたが… あれはアニメオリジナルだっけ?
ミヨキチはみくる以上なんだぜ? 育ちすぎて周りから変な目で見られるから毎朝がんばって晒しを巻いてキツいのこらえてぺったんこにがんばってるんだぜ? ってばっちゃがいってた
「あれあれ?これは犬の首輪だねっ!誰が飼ってるんだい?」 鶴屋さんの発言に、部室の空気は凍りついた。 「わ、わたしじゃないですぅ…!」 あわてながら否定する朝比奈さん。 今日は古泉はバイトで欠席。 長門も一瞬来ただけですぐ帰ってしまった。椅子の上の本には「マルキ・ド・サド 悪徳の栄え」と書いてある。こいつの最近の読書傾向はどうなってるんだ。 ハルヒはネットサーフィンを続けているが、全力で聞き耳を立てているオーラが出ている。 仕方ない…。 「あー俺なんですけどね。まあ飼ってるというより、一度ちょっと面倒をみただけで」 「へえー、じゃあその犬はいま首輪してないのかなっ?ちょっと危なくないかい?」 「…まあ、危ないかといえば、大変危ないですね」 「ちょっとキョン!」 ハルヒ、机に足を乗せるんじゃありません。 「どうしたんだい、ハルにゃん?」 「犬の話をしているだけだぞ」 憤然と座りなおすハルヒ。 なりゆきで俺がハルヒに首輪を付けて犬の真似をさせてしまったのが三日前。 あの件について、SOS団の面々からたいした情報は得られなかった。 「涼宮ハルヒや情報統合思念体その他によるいかなる改変も認められない。あれはただの首輪」 「ごめんなさい、この件に関しては、わたしも何の指示も受けていないんです。役に立たなくてごめんなさい…」 「涼宮さんの精神状態はむしろやや安定しています。機関の方では、これを特に問題とは認識していません」 ということは、単に俺たちが変態ということか。 「そもそも正常・異常という定義は、人間の精神には…」 フォローになってねえ。 そういうわけで、団長机の首輪を俺は懸命に無視し続けてきたのだが。 一見空気を読んでそうで実は全然空気読まない大王・鶴屋さんはなおも首輪をいじり回している。
「狼を飼いならしたのが犬だからねっ。キョンくんもうちで飼いならしたげよっか?」 この人は一体どこまで話をわかってるんだ。 「喜んで遠慮させてもらいます」 「しかたがないねえ、じゃあ可愛いみくるを飼おうかなっ」 「ふえ〜〜!?」 鶴屋さんは朝比奈さんを引きずって出ていった。メイド服のままでいいのか? ドアが閉まり、部室には俺とハルヒが取り残される。 「…キョン、あんたはあーいう、お人形さんみたいに可愛らしくて、ちゃんと言うことをきいて、しかもドジっ子な犬が好みなわけ?」 「俺の犬の好みをきいてどうするんだ。…お前はそんなに犬になりたいのか?」 むっ、と口をつぐむハルヒ。 そして俺の手には例の首輪があるわけだが…これが誰の仕込みでもないとすれば、始めたのはハルヒか?俺か? ハルヒの抵抗は形だけで、首輪は簡単にその首に収まった。 「……」 あきらめたようなほっとしたような顔で、ハルヒはおとなしく床に四つんばいになった。 「犬の自覚が出てきたな、ハルヒ」 「…わん」 「よーしいい子だ」 さて、こいつをどうしたものかね。 引き綱をつけて散歩というのもありだが、正直ハルヒのこんな姿を他人には見せたくない。 ボールを拾ってこさせるのも同じ理由で却下だ。 この前ハルヒは犬の格好をさせた朝比奈さんの服を脱がそうとしてたな。あれはやりすぎだったが、今のハルヒは命令すれば本当に脱ぐかもしれない…。 などと俺が考えているうちに、ハルヒは手と膝で俺に近づいてきて、器用に口でチャックを…ってマジか!!! 「ちょ、お前…!!」 くわえられた。 これは、また、なんという…。 ハルヒの熱い体温と、濡れた感触…これは舌か? 「はハルヒ、お前なにやってんだ!?」 ハルヒは俺のをくわえて真剣な顔だ。 挑戦か?奉仕のつもりか? 「俺はやれって言ってないぞ…!」 無茶苦茶だ。朝倉涼子事件よりも現実離れしている。 ハルヒは吸い付いてきて、離そうとしない。
上目遣いのハルヒの瞳に、いつもの勝ち誇った色が見えた気がした。 俺は…ハルヒの頭をつかんで、腰を突き込んだ。 うぐ、とも、えげ、ともつかない声がハルヒの喉から漏れた。 腰を引き、また突く。 その度に隙間から無様な声が漏れる。 繰り返すうちに、ハルヒの喉がごぽごぽ鳴るようになり、唾液がねばねばしてきたが、止めない。 ハルヒは涙目で、口からはねばついた唾液があふれ床にしたたっていたが、それでも懸命に舌と唇を動かしている。 強烈な射精感。 ハルヒは上気した顔で、俺の出したものを、たぶん逆流してきただろう吐瀉物と一緒に全て飲み込んだ。 息をはずませながら、まだ舌で俺のを舐めようとする。 …さあ、俺はこいつを叱るべきか?誉めるべきか? とりあえず俺はポケットティッシュを出して、べたべたになったハルヒの顔を拭いてやり、自分も拭いてちゃんとチャックを閉めた。 まったく、学校でとんでもないことをやっちまったな。 「ハルヒ」 「…わん」 ハルヒは得意げだ。尻尾があったら振ってるんじゃないか? 「すまん、やりすぎた」 俺はハルヒの首輪を外してやった。 ハルヒはちょっとの間ぼうっとしていたが、すぐに立ち上がって、伸びをした。 「ん〜」 微妙に気まずい。 いや、何をしたかを考えれば猛烈に気まずくてもおかしくないが…。 俺はロッカーからバケツと雑巾を出して、床を掃除することにする。さすがにこのままにはできん。 「今日は終了よ。カギかけなきゃならないんだから、とっととすませなさい」 「へいへい」 ハルヒは、なにごともなかったかのように帰り支度をはじめた。だがまだ顔が赤い。 「なあハルヒ、その首輪なんだが…」 「なによ!?」 「俺が持っておいていいか?」 「そうね、いいわよ。でも…」 ハルヒは例の笑顔を見せた。 「ちゃあんと毎日持ってきなさい。いい?団長命令よ!」 …お前は毎日これをやるつもりか。 一方その頃鶴屋邸では、朝比奈みくるが想像を絶する調教を受けていたのだった。 「わたし火の輪くぐりなんて無理ですぅ〜!!」 「弱音を吐いちゃダメにょろ!!」 たぶんおわり
前スレの「ハルヒ、吼えないのか? 〜涼宮ハルヒの犬〜」の続きでした。 一応エロ&SM注意。
愛のあるSMは大歓迎さ!
みくる(きっと知らない人に種付けされちゃうんだ…)
ねーよwwwwww
今日、昼寝をしていたら、犬化したキョンとハルヒが チョメチョメしている夢を見た、気がした。
保管庫に長門の凄いグロい話で 長門の崩壊ってのがありますよね? その続きみたいなのを別の人が書いたって見たんですけど それは保管庫にありますか?
<チラ裏> なんかもやもやしてるとおもったら、学校を出よう!の班長と光明寺が、 フルメタルパニックの生徒会長と三木原蓮とかぶってたんだ脳内で。 すっきりした。 </チラ裏>
731 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/05(金) 23:13:34 ID:HRozFaQ9
あるよ、確か「長門スキー」てタイトル。
キョンが鶴屋さんに椅子に拘束されて ひたすら中田氏させられる夢見たい
>>732 続きが気になって気になって仕方がないっさ!
>>723 まさか続きがくるとは思わなかった、GJ!
けどイマラチオのシーンで、以前YouTubeで見た嘔吐しながらイマラチオされるビデオを
思い出して吐き気が…
>>734 イラマチオじゃね?
投下させていただきます。
所々に溶岩の海が広がる灼熱の洞窟はまるで季節を間違えたかのような 蒸し暑さで、鎧を着込む俺の体力を着実に奪っていくのだった。 「この姿になったからには、生かしておけないわよ」 現在俺の目の前では、谷口的美的ランクAA+の美少女が微笑みを浮かべている。 「それと宝剣“草薙”も持ってるみたいだから、 始めから本気でいかせてもらうわ」 谷口に見せてやりたい。この八本首の化け物。これのどこがAA+なんだ? あいつも曇ったな。 「ねぇ……また長門さんに守ってもらったら?どうせ何も出来ないんだし」 「ただの挑発。炎耐性無しに突っ込んだら炭化もしくは蒸発するから気を付けて」 わかってるさ。こんな安い挑発に乗って死ぬ気は無えよ。 何たって……これはハルヒの仇討ちだからな。 * なんてシリアスな展開になるなんて思いもよらなかった海の上、 俺たちは相も変わらず海の化け物としたくもない命のやり取りをしながら 船旅を続けていた。 目指すはジパング。人を乗せて空を飛ぶ鳥「ラーミア」を誕生させるための鍵 “オーブ”があると言われている場所だ。 「ジパングには独自の文化があるって話よ。今から楽しみね!」 あぁ、言われなくても大体わかる。 つーか俺に日本史を教えてくれたのはお前じゃないか。 「何言ってるのキョン?痺れくらげから変な電波を受信しちゃったの?」 いや何でもないこっちの話だ。忘れてくれ。 「まぁアンタの話なんてどうでもいいわ。そろそろ島が見えてきたわね」 あれが全滅回数18回を誇る恐怖の島“ジパング”か。 どうだ長門、俺たちのレベルは適切なのか? 「平均的なレベル。今までこのレベルで攻略できた回数は0」 うげ、もしかして俺たちはここへ来て初めての全滅を味わうのか? 「可能性は高い。そして今回の敵は勝たないと振り出しに戻されてしまう」 他の皆が生きててもか? 「そう。これは魔王にも無い能力」 ということは、今回の敵は 「この冒険の山場。あと20年もループし続ければ 初期能力で勝てるようになるけれど、推奨できない」 ああ、当たり前だ。記憶がなくなるからといってエンドレスエイトと 変わらないようなのはごめんだ。
「ちょっと、キョン、有希!魔物が出てきたら私語は禁止!」 ハルヒはうじゃうじゃ迫りくる海の魔物達を、 流れるような無駄の無い動きで仕留め続けていた。 俺の隣でぼーっとつっ立っている長門はハルヒを指差して 複数の補助魔法を掛け続けている。俺の出る幕ないじゃん。 * ジパングに到着。そこにあったのは古代から近世までの日本史を ごった煮にしたような日本村。 村人はみづらとかちょんまげとかじゃなく普通の髪型で、 俺はそこんところに結構驚いたりしている。 「まずは聞き込みね。誰かー!パープルオーブ知りませんかー!」 でかい声を出すな。俺ら思いっきり怪しい人達じゃないか。 「おいっ!」 ほら見ろ怒鳴られた。 ハルヒよく覚えとけ村社会はよそ者に対して冷た……ってあれ? 「キョン?キョンなの?」 「ハルヒ、何でお前がここに!?」 この国の伝統衣裳を来た俺そっくりな奴がやってきて、 すごい剣幕でハルヒに掴み掛かっている。歳は俺よりちょっと上くらいか ……なんじゃこりゃ。 「ど、どうしてって、お宝を探しに来たのよ」 「お宝?俺がお前のために作ったあの剣なら俺ん家に置いてあるぞ」 「いや、剣なんて知らないわよ。それよりもパープルオーブって知らない?」 なあ長門、どうして俺が二人もいるんだ? 「あなたの異世界同位体」 なるほど……デタラメだってことは良くわかった。 「ぱあぷるおーぶ?何じゃそりゃ。……お前は俺の知っているハルヒとは 別人みたいだな。とにかく家に来てくれよ。もう一人の俺と、長門もさ」 * 「すごーい、キョンくんがふたりいるー」 もう一人の俺の妹は俺のあぐらの上できゃいきゃい笑っている。 一応は他人なんだから少しは警戒しなさい。 「なんだか面白い世界ね。私が神だなんて!」 ハルヒは作戦会議中の悪の総帥みたいな邪悪な笑みを浮かべている。 「ああ、お前が不思議な力を使ってこの国を治めていたんだ。」 以下もう一人の俺(俺B)の話を要約すると、 ・俺Bはこの国で一番の刀鍛冶で、妹と二人で暮らしている。 ・この国ではハルヒが神で、超能力を使って国を治めていた。 ・朝比奈さん、長門、古泉は一般人らしい。 ・パープルオーブを探してもいいが、この村のはずれの洞窟には 「やまたのおろち」という化け物がいるから、そこにだけは近づいてはいけない。 やまたのおろちは5年毎に処女を生け贄に捧げないと暴れる。 といった感じか。
「ところで、お前達が探しているのはこれか?」 俺Bがその辺の箱から取り出してきたのは紫色に輝く水晶球だった。 俺にはよくわからん。誰か鑑定頼んだ。 「……これはパープルオーブ」 「こんなもんでよかったらやるよ。探してるみたいだしな」 俺たちの探していたものは意外なほどあっさり見つかった。 本当にここで18回も全滅したんだろうな? 「本当。私たちの旅はいつもここで滞る」 「キョン?アンタまだおかしなこと言ってるの? あたし達はまだ全滅してないし、これからも全滅するわけないじゃない!」 いや何でもないんだ。忘れてくれ。 そ、そうだそう言えばこの国のハルヒはどこにいるんだ? 「…………」 俺が話題を変えようとして無理矢理持ち出したテーマを聞くと、 俺Bは途端に暗い顔になった。それは俺が生きてきた中で 一度もしたことのないような鬱顔で、さっきまで賑やかだった場の空気は 凍り付いたように静かになってしまった。 「キョンくん、ハルにゃんのことは言っちゃダメ!」 妹に頬をぺちっと叩かれた。見ると妹は目を潤ませて俺を見ている。 ……悪い。聞いちゃいけないことだったか。 「ああ、気にすんな。あいつは五年前、十六の頃に死んじまった。 ……生け贄になってな」 そんな、何故そんなことを 「あいつが言いだしたんだよ。『生け贄のふりをしておろちを倒す』ってな。 だから俺も協力して剣を作った。……ほら、そこにあるやつだ」 もう一人の俺が指差す先には、見事な装飾が施された、 緑色に輝く剣が掛けられていた。 「名前は『宝剣“草薙”』。 あれが完成したらやまたのおろちを倒すっていう算段だったんだが……」 もう一人の俺はその鬱顔をさらに暗くして続けた。 「完成まであと一息ってところで、ハルヒは何者かにさらわれて、 ……生け贄に捧げられた。」 ………… 「俺は剣を完成させて復讐しようとしたんだが、 俺は剣を振るうことには向いてないらしい。俺が返り討ちにあって 下手におろちを暴走させたら村が壊滅するしな。本当、どーしたもんかね」 もう一人の俺は、最後は涙声になっていた。 妹は顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。 「許せないわねその化け物!是非あたし達がけちょんけちょんに ぶちのめしてやりたいわ!」 話聞いてなかったのかお前。もし俺たちが負けたら村ごと吹っ飛ぶんだぞ? 「それはそうだけど!何とかならないかしらねぇ……」
ハルヒは歯に何かが挟まったような顔をして腕を組んでいる。 ……ここで18回も全滅したってことは、結局はぶつかる相手ってことか。 「とりあえずだ、おろちを倒そうなんて変な気は起こすなよ」 俺はもう一人の俺に生返事をしながら、どうすればいいのか考えていた。 * 暗くなってきたので、俺たちは近くの宿に泊まることにした。 宿屋の女将はなんと朝比奈さんで、 「ゆっくりしていってくださいね」 という最高回復呪文とともに、何を勘違いしたのか布団が一つしかない 部屋を用意してくださった。 「あははー、えっちだー。えっちの準備だー」 女の子がそういうことを言っちゃいけません。 なぜ妹が一緒にいるのかというと、あのどんよりした雰囲気の家に 置いておくことがはばかられたのと、もう一人の俺を 一人にしてやりたかったのである。 「今日はやる気になれんからな」 俺は女子メンバーにそう釘を刺すと、さっさとロードワークに出掛けていった。 * 結局あれからキョンは塞ぎ込んだままだった。やっぱり許せないわね 「やまたのおろち」。オーブのお礼もまだなんだし、何とかして ぶっ飛ばせないかしら。敵がどんな奴なのかキョンに聞いてみましょ。 あたしは夜のトレーニングの前にキョンの家に向かうことにした。 * すっかり暗くなってるけど、キョンはまだ起きてるわよね。 「はぁ……はぁ、ハ、ハルヒ、ハルヒ……!」 えっ?キョンがあたしを呼んでる?息も苦しそうだし、何かあったのかしら? 「キョンっ!どうしたの!?」 「うわっ、わあぁっ!」 あたしが家の中に入ると、 キョンはびっくりして咄嗟に何かを隠すように布団をかぶった。 「な、何だよ!」 キョンは何故か耳まで真っ赤にして怒鳴ってるけど、 あたしは構わずキョンの布団に腰を下ろす。 何だよってアンタがあたしを呼んでたんじゃない! 「い、いや、そういうわけじゃないんだ。それより何の用だ?」 何だか話をはぐらかされたような気がするけど気のせいかしら。 まぁいいわ。キョン、やまたのおろちについて何か知らないの? 「どうしてだ?」 キョンは急に怪訝な顔つきになる。 敵の情報がわかれば潰せるかもしれないからに決まってるじゃない! 「ダメだ、教えられない。なにより村が危険だ。それに……」 キョンは真剣な目付きになってあたしを見据えた。 「お前を二度も死なすわけにはいかない」 その表情に不覚にもきゅんとしてしまった。キョンのくせに。
……わかったわよ。そんな風に言われたら断れないじゃない。 「ああ、そうしてくれ。 出来ればもうお前には一切危険な目に逢って欲しくないんだ。」 あたしのことえらく大事に扱うわね。 「ああ、お前が好きだからな」 ふぇっ!?いぃ、いきなりそんなこと言わないでよ! 「はは、やっぱり可愛いよお前は。 ……ものは頼みなんだが」 い、いい言ってみなさい?オーブのお礼くらいは聞いてあげるわ。 「少しの間でいいんだ。俺の知ってるハルヒだと思って、抱き締めてもいいか?」 あたしは恥ずかしさでいっぱいになって、 こくこくと頷くことしか出来なかった。それを見たキョンは、 「ありがとう」 そう言ってあたしを後ろから優しく抱き締めた。 ……あったかい。 キョンは後ろで嬉しそうに微笑んでいる。 もう一人のあたしが余程好きだったんだろう。 それを思うと、キョンが可愛相で、涙が出てきてしまった。 「……悪い、やりすぎた」 キョンが腕を離そうとする。違う、嫌じゃない。 言いたくても涙で言葉が何も出せなかったから、 キョンを布団に押し倒すことにした。 「ま、待て!悪かったって!」 真っ赤になって抗議するキョンに、あたしは早口でまくしたてた。 うるさい、あたしはこういう辛気臭い雰囲気が大嫌いなの! よりによってあたしを泣かせるなんて、本来なら死刑よ死刑。 でも情状酌量の余地があるから快楽地獄で許してやるわ。 「ちょ、待って、俺初めてだからアーッ!」 * ……まずいことになった。 「キョンくん、むきむきでかっこいー」 俺を襲うはずのない妹が、俺に欲情し始めたのだ。 「あたし、へんなきぶんになっちゃった」 妹の異世界同位体は、俺の妹よりも成長していたのである。 「この国の処女は、生け贄にされちゃうって、聞いたでしょ?」 だから背が伸び、出るとこが出始めているのだ。 すまん長門。膨らみは妹の勝ちだ…って何を言っているんだ俺は。 「だから、キョンくんがもらってくれれば、生け贄にならなくて済むの」 あのな、兄弟ではそういうことやっちゃいけないんだぞ。 「ここにいるキョンくんとは血は繋がってないよー」
にしし、と笑う妹は確かに可愛いが、こいつとまぐわったら本物の変態だ。 長門、ラリホー頼んだ! 「了解した」 長門の口が高速で動き、指先から緑色の光が放たれる。 「ラリホー」 発動する呪文。眠りだす俺。ちょっと、長門さん? 「あなたが呪文の発動対象を設定しなかったので、 あなたに発動させることにした」 そ、それは屁理く…… 「にゃはは〜」 妹の笑い声を最後に俺の意識は睡魔に屈し、 翌日俺の身体には、服を着たら見えなくなるところに びっしりとキスマークが打ち込まれていた。 * 「えへへ……ちゅ〜なんてしてないよぉ」 「あなたの命令に違反するようなことはしていない」 俺は朝っぱらからこの一晩で妙に大人っぽくなっちまった妹と まったく悪びれる様子のない長門に説教をしていた。 「キョンくんだいすきー」 と腕にまとわりつく妹に言うべき小言を二、三考えていると、 下の階から男の怒鳴り声が聞こえてきた。何かあったのだろうか。 「……朝比奈みくるがさらわれた、と聞こえる」 何だって!?我がSOS団のマイスゥイートエンジェ「みくるちゃーん!」 妹は俺の腕を離して下の階まで駆けていった。長門、俺たちも行くぞ。 * 下の階に行くと、村人達が集まって何やら話し合っていた。 その中にハルヒも交じっている。 「キョン!みくるちゃんが生け贄にされちゃう!」 どうやらそのようだな。村人からも「もう許せない」とか「みくるちゃんだけは」 とかの声がちらほら聞こえる。俺も生け贄に朝比奈さんをチョイスした 能無しに対する呪いの言葉を10数個くらい考えていたら、 「おい!朝倉様がいないぞ!」 新たに宿屋へ来た村人がそう叫んだ。その情報はどうやら 一大事を告げるものらしく、さらに村人たちは騒然となる。 しかし俺には他の疑問符が浮かんだ。朝倉? 「この国の長の名前らしいわ。 もしかしたら既にみくるちゃんを助けに行ってるのかも」 ハルヒは顎に手を当てて事件の推理を始めた。朝倉があの朝倉涼子だとしたら、 助けに行っているという線はまずない。これは俺が身を以て体験したことだ。 「とにかく行ってみましょ。万一ドンパチが起こっても、 みんな村ごと吹っ飛ぶ覚悟は固まったみたいよ」
ハルヒの指差すところを見ると、村の男達は各々武器を持って息巻いていた。 俺もその中に加わって朝比奈さんへの称賛の言葉を二つ三つ叫びたかったのだが、 女性の方々の「男ってやーねー」という視線が痛そうだったのでやめておいた。 しかし普通の村人がおろち討伐に参加していいのか?相手は化け物らしいが。 「戦闘訓練していない者は来ないほうがいい。眠らせる」 長門が呪文を唱えると、その場にいる村人全員が眠りに落ちた。 「よし、これでやまたのおろちをぶっ飛ばす口実が出来たわね!じゃ、行くわよ!」 俺たちは瞳に炎を浮かべて走るハルヒを先頭に、村外れの洞窟へ向かった。 * 「あっついわねー、ここは」 洞窟は所々に溶岩があるために明るかったが、あまりにも熱かった。 暑いじゃなくて熱い。あまり長居してはいけないような環境である。 「やまたのおろちは恐らく火を吹いてくるわね。 谷口から吹雪を吐くイエティでもガメてくればよかったかしら。」 あいつはスライム系しか使っていないし、イエティはこんなとこ入れないだろ。 「確かにね。吹雪を吐いてちょうど適温になるような暑さだわ」 ハルヒは武道着の胸元をぱたぱたさせている。 ……まずいな。レベル上げをする暇もなかった。 「私たち以外に洞窟へ入った者がいる」 長門がぽつりと呟いた。それは、生け贄にされそうな朝比奈さん以外にか? 「そう。おそらくやまたのおろちを倒そうとしている。 これで私たちから逃走の選択肢は消えた」 「面白いじゃない……二度と悪さできないようにしてやるわ。 覚悟しなさい!やまたのおろち!」 ハルヒはまだ見ぬ敵に高らかな宣戦布告をしたあと、 洞窟の最深部に向かってダッシュしていった。 * 奥へと進んでいくと、別れ道のあるところに到着した。 「ごちゃごちゃ考えてる暇はないわ! あたしは真っすぐ行くから、キョンと有希は曲がりなさい!」 ハルヒは走って行ってしまった。俺たちも同じように急ぐ。 向かった先のはドーム状の広い場所だった。遠巻きに二人の人間の姿が確認できる。 「飛び込む前に補助魔法をかける。待ってて」 俺たちは物陰に隠れてそれを確認していた。どうやら二人は 口論をしているようだ。一人はものすごい勢いで怒鳴り散らしている。 「私の能力はこの世界では大幅に制限されるため、わたしから 敵の詳しい情報を事前に伝えることは出来ないようになっている。 でも事前に準備をすることなら可能」
いきなり何だ? 「ドラゴンシールドは温度攻撃耐性を持っている。今回の鍵となるアイテム」 こないだ買ってくれたやつか。 「そう」 長門がまた詠唱を再開する。とうとう一方の奴は剣を抜き、片方に切り掛かった。 片方のやつはそれを軽々といなしている。 長門の魔法が影響か、遠くにいる二人の声が届いてきた。 『くそっ!止まれ!殺してやるっ!』 『あはは、そんな振り方じゃ素人にも避けられるわよ』 これは……俺と朝倉!? 『お前がハルヒを殺していたとはな……』 『そ。後ろからドスで一突き。腰の上を狙うのがポイントよ』 『くそっ!』 俺Bはがむしゃらに振り回しているだけで一向に当たらない。 朝倉は笑いながらひらひらと剣を躱し、ときどき魔法でちくちく反撃している。 くそ、完全に遊んでやがる 「現在朝倉涼子は彼をいつでも殺せる状態。だから無闇に飛び込むのは危険。 彼女は攻撃を仕掛けた後に隙が生じる。そこに飛び込んで」 俺Bは身代わりか……仇はとってやるからな。 「彼にはきちんと魔法反射をかける。あなたの素早さにも補正をかけた。 躊躇わずに飛び込んで」 お前は本当根回しがいいな。 さすがは対有機生命体コン「そろそろ。気を引き締めて」 長門に制された俺は剣を構えてその時を待つ。 朝倉は距離をとって掌に炎の固まりを作った。それを、投げ 「今」 長門の言葉に脊髄反射して、俺は朝倉に飛び込んだ。 投球フォームを終えたような格好の彼女に思いっきり剣を振り下ろ―― そうとしたところで、彼女が視界から消えた。 「後ろ」 ぶりっこした声が聞こえた頃にはもう遅かった。俺は後ろから 朝倉の一撃を受けて、そのまま前方にぶっとんだ。そこに待っていたのは 朝倉から跳ね返した特大の炎弾。 「くっ!」 盾を構える。炎は食らわなかったものの、衝撃でまた体が吹っ飛んだ。 急いでバランスをとって着地。辺りを見回す。 「うああああ!」 俺Bが、ふらふらになりながら朝倉に向かっている。 まずい、あのままじゃ殺られる。 俺が朝倉に切り掛かろうと構えたその時、 長門と魔法を打ち合っていた朝倉は俺Bに駆け寄って、その身体を抱き締め、 唇を奪った。刹那、俺Bの身体が燃え上がり、断末魔の叫びをあげて のたうち回った挙げ句、やがて動かなくなった。 「うふふ、あなたのファーストキス、貰っちゃった……」 朝倉は頬を染めて恥ずかしそうに微笑んでいる。ダメだ。おかしくなってる。
自分の死亡動画。見てはいけないものを見てしまった気がする。 俺は吐きそうになってその場にしゃがみこむと、長門が俺の傍までやって来た。 「彼女に物理攻撃は効果が薄い。ここは私がメインになって戦う」 無表情有機アンドロイドは、業務連絡が終えるとすぐに魔法の打ち合いに戻った。 長門は俺でなくても分かるんじゃないかという程の怒りを見せているようだ。 さっきまでの魔法の規模と詠唱速度が格段に違う。無駄打ちは止せよ。 さっきから朝倉の炎弾と長門の氷柱がそのへんを行ったり来たりしている。 ……こうなるとあの灰色教室の再現だな。 俺は長門の邪魔にならないように逃げ回ることしか出来ねえ。 黒焦げになった俺を回収して、隅っこに退避しよう。 俺は宇宙人二人が遠くで打ち合っているのを確認すると、 消し炭みたいに焦げてしまった俺を拾った。 「ぐあぁっ!」 ……!生きてたか!ちょっと運ぶぞ。我慢しろ。 岩影に隠れて腰を下ろす。 「ハルヒ、ごめんな、敵、討てなかった……」 俺Bはうわごとみたいに呟いた。これから長門が討つんだ。ちょっと休んでろ。 「なぁ、代わりにこれ、使って、くれないか……」 剣を手渡された。確かこの剣は、宝剣“草薙”。 「俺の、最高傑作だ。お前の、それよりは、軽くて、切れるはずだ。 他にも、ビックリ機能、満載だから……」 切れ切れに必死に解説してくれる俺B。わかった、もう喋らなくていい。 ここで頼みを断るほど俺は野暮じゃない。使わせてもらうさ。 「……ありがとう」 言い終えた俺Bはそのまま目を閉じた。まだ呼吸はしているが、 時間の問題だろう。あとは俺に任せて倒れてろ。あとで生き返らせてやるよ。 『きて』 頭の中に長門の声が響いた。すかさず長門のもとへ駆け寄る。 長門と朝倉は、魔法での化かし合いに疲れたのだろうか、 お互いに立ち止まって、まるで次の一撃でカタをつけるといったように 長い呪文を高速で詠唱している。 俺は隙ありと朝倉に切り掛かろうとするが、 『彼女の半径5メートル以内に近づくとカウンター魔法を食う。じっとしてて。』 また長門に止められた。一体俺はなぜ呼ばれたんだろう。 『ここからは私の攻撃が意味をなさなくなる。 今度はあなたが攻撃に参加してほしい』 詠唱が終わった。朝倉は赤い光に、長門は白い光に包まれている。 「「ドラゴラム!」」 赤と白のまばゆい光がほとばしり、俺は思わず目をつぶった。
* とこんな感じで……長すぎてフラッシュバックとも言えないような 回想シーンが終わり、朝倉は八本首のおどろおどろしい巨大な竜、 長門は馬くらいのサイズの、純白の美しい翼竜へと姿を変えていた。 「なぜあなたが二人いるのかは知らないけど、 私の復讐の邪魔をするなら死んでもらうわ」 「背中に乗って。ブレスが来る」 長門の背中には、人ひとり乗れそうなスペースがあった。そこに飛び乗る。 長門はすぐに飛び立った。さっきの俺の立ち位置に麻痺効果を持つやけつく息。 「ドラゴンに弱点以外の温度攻撃は通用しない。 固い鱗を持つため打撃に対しては最高の防御力を誇る」 長門はブレスを避けながら解説を始めた。 魔法も打撃も効かないんじゃ打つ手がないじゃないか。 「竜のうろこ……すなわち竜鱗は、本来鉄製の武器で破壊することは不可能。 しかし武器に竜殺しの呪いをかけることによって、竜鱗破壊機能を付加することが出来る。 そのような剣は総じてドラゴンスレイヤーと呼ばれる」 つまりは、そのドラゴンなんとかがあればいいんだな? 「そう。宝剣“草薙”は最高級のドラゴンスレイヤー。 それを使って、朝倉涼子を攻撃してほしい」 なるほど、ビックリ機能ね……。よし、大体わかったから、攻撃を始めようぜ。 「そう」 長門は、臆することなく八本首の中に突っ込んでいった。 一番左端の首――ここから首1と名付けようか――の根元までやってきたので、 そこで草薙の剣を突き立ててみる。果物を切るようにスパっと行けたので、 コイツ本当に固いのかと思って鋼の剣で思いっきり殴ってみたら、 まったく歯が立たなかった。眠りを誘う甘い息が来たので退避。 「一般的に武器は筋力でもって切るけれど、ドラゴンスレイヤーは呪いの力で切る。」 なるほど、よくわかった。
* 真っすぐ向かった先には儀式用の祭壇があって、そこに数人の男がいた。 みくるちゃんはそこで今にも剣を突き立てられる寸前だった。 「ひょえええ〜!」 なんて言ってる。かわいい。 とりあえず足下にある石を剣を持ってる奴に投げ付けた。 手にヒット。当たった奴は剣を取り落としてうずくまってる。 そいつにいつもより威力10倍の飛び蹴りをくれてやると、 他のやつらは全員逃げ出してしまった。まあいいわ、みくるちゃん救出が先よ。 「うぇぇぇ〜……涼宮さぁん……」 とあたしの体にすがりつくみくるちゃんを見てると、 ついいじりたくなっちゃうのよね。あたしはみくるちゃんの 大きくてぷりぷりしたおっぱいを丁寧に揉んであげた。 「あふ……はぅぅ、す、涼宮さんが望むなら、この身体、さしあげましゅ……」 あっ!やりすぎてみくるちゃんが勘違いを起こしちゃったわ。 恍惚の表情で太ももをすりすりさせてる。 誤解よみくるちゃん。助けに来たの! 「ふぇっ!?あっ、ありがとうございます!」 みくるちゃんはエロモードから解放されて素に戻った。怪我は無いみたいね。 自分で歩けるみたいだし、歩いて脱出するわよ! 「あの、わたし……さらわれたときに、やまたのおろちの真相を 朝倉さんから聞いてしまったんです」 みくるちゃんは帰りの道中にそう告げた。是非聞かせてほしいわ。 「朝倉さんは小さい頃、ずいぶんいじめられていたんです」 それとやまたのおろちにどんな関係があるわけ? 「後々分かります。朝倉さんが最初に持っていた力は、炎を自在に操る “パイロキネシス”というもので、みんなから危険人物扱いされていました。 でもそんな中、普通に接してくれたのがキョンくんと涼宮さんだったそうです。 涼宮さんはもともと神様だったし、キョンくんはそんな 涼宮さんの友達でしたから、不思議には慣れっこだったんですね」 ふむふむ、あいつもいいとこあるじゃない。 「朝倉さんもキョンくんのお陰でだんだんと変わっていって、 最後には皆の人気者になっていました。元々すごく可愛い子だったから、 男の子にも人気で……でも、彼女はずっとキョンくんが好きだったそうです」 でも、キョンはこの国のあたしと結婚…… 「そうです。それで思い詰めておかしくなってしまった彼女は やまたのおろちに化けて……ゆくゆくはキョンくんと親しい女の人を 全て殺すつもりだったそうです。」
……何だか救えない話ね。やまたのおろちをやっつけても、 それじゃすっきりしないわ。 「それもこれも、すべてキョンくんが鈍感なのがいけないんです!」 朝比奈さんはめずらしくぷりぷりと怒っていた。 怒った顔も抱き締めたくなるくらい可愛いって……損よね。 出口が見えてきた。みくるちゃんを送ったら、 あたしもキョンを手伝いにいかなくちゃ。 * 俺と長門は順調におろちと渡り合っていた。首ごとに吐いてくるブレスが 違うので、首をとばすごとに戦いが楽になる。 「攻撃のブレスを吐く首はあと一つだけ」 どうやら勝ちパターンらしい。 俺は灼熱の炎を盾で受け流しながら、首その5を切り飛ばした。あと3本。 しかもその3本は「甘い息」「毒の息」「やけつく息」だけだ。いける! 「「マホトラ!」」「「マホトラ!」」「「マホトラ!」」 三つの首が呪文を唱えてきた。山彦で効果は二倍になる。対象は……長門!? 「緊急事態」 長門がぽつりと呟く。何が起こった? 「MPを吸い取られた。ドラゴラムが解ける」 白い光を放って長門の姿が元に戻る。空中にいた俺たちは投げ出されて分離、 そのままおろちにくわえられた。 「ぐあああっ!」 身体からみりみりと音がする。あばらが折れてむちゃくちゃ痛い。 そのあと俺は地面に勢いを付けて投げ出され、 追加攻撃として長門をぶつけられた。 「ベホマラー」 呪文で身体の傷が消えた。長門を抱えておろちの首が届く範囲から逃げる。 長門……これは勝ちパターンから遠ざかったのか? 「負けパターン。ジリ貧でMP切れが今後の主な展開と予想される」 「「メラゾーマ!」」「「ベキラゴン!」」「「イオナズン!」」 「「マホカンタ」」 間一髪で魔法を跳ね返した。しかしこれで回復魔法も使えない。 「回復の手段も潰えた。あとはゆっくりと死を待つだけ」 長門はその場でへたりこんでしまった。俺も大の字に倒れたい気分だったが、 俺が諦めてしまったらダメだと思い立って剣を構え直し、再度突撃。 「メラミ!」 挨拶代わりの炎弾。難なく盾で躱す。 顔が近づいてくる。剣を振ることによって退かせた。 首6の根元まで到着。これも刎ねった。あと二つ! 甘い息が来たので急いでバックステップしたところにおろちの口があって、 また食われてしまった。 今度はすぐに地面に投げ出される。
落下点からすると今度は岩に突き刺さるか溶岩にダイブか…… 「ブロー……」 とか考えていたら、落下寸前にトスのように身体がふわっと浮いて、 また空中に投げ上げられた。 「インパクト!!」 次の瞬間背中を思いっきり殴られ、俺は空中で強制的に方向転換させられた。 その方向は……やまたのおろち! 「うわああああ!!」 俺は咄嗟の判断で剣を前に突き立てると、 首7にダーツみたいに刺さって、そのまま突き抜けてしまった。 あと一つ……いてて。 * 「キョン!これがやまたのおろちね!」 俺をバレーボールのスパイクよろしく打ち飛ばした女は、 サンタさんを見た子供のように目をきらきらさせていた。 「グオオオオォォ!」 ハルヒと目を合わせたおろちが突如激しく暴れだす。 「メラゾーマ!」 ハルヒに向かって特大の炎弾。俺はすかさずハルヒに飛び付いて、 俺にかかっているマホカンタで炎を弾き返した。 「キョン、あ、ありがと……」 押し倒した格好に困惑するハルヒ。えぇい、頬を染めるな。 こっちが恥ずかしくなるだろ。 「そ、それよりも、キョン、その剣を貸しなさい!」 何か考えがあるのか? 「まぁ見てなさいって。こんなふざけた戦い、すぐに終わらせてやるわ」 ハルヒは得意そうにそう言うと、俺から宝剣“草薙”を取り上げて、 おろちに向かって走った。 おろちがハルヒに噛み付きにかかる。 それをハルヒは跳躍して躱すと、おろちの頭にのっかった。さすがに武闘家。 素早い。 「どりゃー!」 そして脳天に峰の一撃。やまたのおろちは最後の首をくたっとさせると、 たちまち赤い光を発して、朝倉涼子の形を取りはじめた。 「ふぅ……やっぱり気絶させるのが正解だったみたいね」 勝利だな。止めは刺さないのか? 「刺さないわ。これから長い長い説得をするのよ。ジパングのキョンはどこ?」 あいつは隅っこの岩影で倒れてるはず。 バトルでの死亡だから生き返す必要があるけどな。 * その後、朝倉に厳重な魔法封印をかけてジパングに連れ帰った。 やまたのおろちの真相に村人は驚いていたが、二言目は 「まぁ誰にだって間違いはあるよな」 「キョンの優柔不断が悪い」 「朝倉さん可愛いー」 の3通りで、誰も朝倉を責める奴がいなかったのが印象的だ。 というか何で俺が怒られてるんだろう。 そもそもの間違いの始まりは俺Bが朝倉の気持ちに 全く気付いていなかったことらしい。
「あいつは俺のことが好きだって一言も言ってなかったじゃないか」 と言った俺Bは村人全員から鈍感鈍感言われていた。可愛相な俺B。 朝倉は村長の後継者を残して村を出るそうだ。 「行かないで」と皆に言われていたが、やはり居辛くなったのだろう。 その後、俺Bと朝倉が和解して一見落着。後継者は明日発表とのこと。 とにかくおろちに勝ててよかった。やっと休める…… * 夜は宿屋で「朝比奈さんおかえりなさいパーティー」が催されていたが、 疲労困憊でとても出る気になれず、朝比奈さんが明けておいてくれた 一番いい部屋でさっさと布団に潜り込んでいた。 ハルヒも長門も別の部屋だから、今日はゆっくり休める。 ……と思ったら 「入っていい?」 お客さんだ。 「改めてご挨拶をしなくちゃと思ってね」 朝倉はまず俺の布団に入り、俺の右腕を伸ばすとそこに頭を置いた。 「涼宮さんと相談して、わたしも移民の町に行くことにしたの」 洞窟で見たときのような殺気は感じられないが、やはりこいつは苦手だ。 甘える相手間違えてるぞ。 「いいえ、こっちであってるわ。 あっちのキョン君は涼宮さんが忘れられないみたいだし。」 他を当たれよ。お前この村で大人気じゃないか。 「例えどんなにいい男でも、昔わたしのことをいじめてた人間なんて願い下げよ」 一人くらいいなかったのか?お前をいじめなかった奴は。 「あなただけだった。わたしの力を見て 「恐い」とも「来るな」とも言わなかったのは」 朝倉は涙声になってきた。こんなしおらしいこいつを見るのは初めてだな。 「「デタラメだな」って、笑ってくれたの。あなただけが……」 本格的に泣きだした朝倉を、俺は抱き締めてやることにした。 腕の中でしゃくりあげて泣く朝倉の頭を撫でてやるなんて、 灰色教室で殺されかけたときの俺には考えられなかった行動だろう。 こんな時にもあのエロ感覚はこみあげてくるが、 今のコイツを劣情で抱くのは失礼な気がしたので、 きつーく抱き締めることで自分を抑えた。 「キョンくんってツンデレだよね」 しばらくして泣き止んだ朝倉は、俺の胸に顔を埋めてぽつりと呟く。 いきなり何だ? 「……うふ、ついにわたしにもツンツンしてくれる日が来たのね」 いやこれはツンデレではなくて本心だ。それと俺はいつでも素直だぞ。 「おっきくなってるよ」 朝倉は俺の充血した愚息に手を這わせて、上目遣いで俺を見た。 思わず腰を引っ込める。
「わたしでおっきしちゃったの? わたしキョンくんにだったら、めちゃくちゃに犯されてもいいよ」 朝倉はふふ、と笑って布団から出ると、服を一枚ずつ脱ぎはじめた。 朝倉の体は白い肌に黄金比みたいなスタイルで、 ヘアは薄く、乳首は赤に近いピンク色。いいね。 谷口には絶対に見せたくない。これがAA+の底力か。 スマン谷口、俺が間違っていた。 「じゃ、寝る前にスッキリしちゃおう?」 両腕を広げて俺を迎え入れるポーズをとる。 朝倉の挑発にあっさり乗ってしまった俺は、急いで服を脱ぐと 先に布団に入って待っていた朝倉にルパンダイブした。 まずはキス。こじ開けるようにして舌を入れ、口内から犯す。 「ん、んっ、んふぅ……」ぬろぬろとした感触が興奮を煽る。 朝倉はぴくりとも動かずに、俺の舌を受け入れていた。 もしかして……初めて? 「うん、だって結婚してないし」 朝倉の頬には朱が注している。婚前交渉はあまりしないのが常識なんだよな。 この世界に長く居すぎて俺の常識は崩壊しかけていたらしい。危ない危ない。 キスを終え、他の部分も愛撫してやることにした。 耳を舐めしゃぶり、 「ひゃん!」 首筋にキスを浴びせ、 「あ……ああ……」 乳首をねぶり回す。 「ああーっ!」 感度が非常にいいようだ。ちょっと優し目にしないといけないな。 「もっと、いろんなとこ……」 と言いながら 切ない表情で俺を見つめる朝倉を、一瞬可愛いと思ってしまったのは内緒だ。 もう我慢できねえ。とっとと足を開かせて、その間に侵入する。 「ああっ!」 朝倉は苦痛に顔を歪めたが、抜かないで欲しいと言われたので、 ゆっくり動かすことにした。 膣がぎゅっと締め付けてくる。何だか自主的に蠢いて、 俺の暴発を促している気がする。 「もっと、早く動いていいよ」 冗談じゃない。下手に早めたら二日分が出てしまう、というか、いきそうだ。 俺は危険を感じて肉棒を抜こうとした。 予感は的中。引き抜く途中で急に気持ち良くなってしまい、 少し中に出してしまった。 「超能力ってすごいでしょ?」 やはり俺の射精を操作していたのか。あやしいと思ってたんだ。 「入れた瞬間に出すことも出来たんだけど、それじゃ不自然かなと思ってね」 恐ろしげなことをニコニコ顔で解説する朝倉の顔をぼーっと眺めながら、 俺は暫く余韻に浸っていた。
* 翌日、いよいよ朝倉を連れてジパングを離れることとなり、 村人はやまたのおろちのことなどすっかり忘れて朝倉との別れを惜しんでいた。 長門が言うにはやまたのおろちを倒さずにジパングを出たのは 今回が初めてのことらしい。 「ここを出る前に、新しいこの国の長を紹介しないとね」 朝倉はドラゴラムを発動させた時のように、 手で印を結びながら呪文を唱えだした。 「私の能力は『炎を自在に操る』ことだから、こういう反則技も使えるのよね」 詠唱が終わった。しかし周りには静けさだけが漂い、何が起こる気配もない。 「キョン!上!」 ハルヒの指差す先には、炎を身に纏う大きな鳥が飛んでいた。 「あれは『転生の炎』!?朝倉、こんな召喚魔法まで使えたのか」 俺の隣にいる俺Bが、ぽつりと呟く。 長門は「信じられない」といった感じで空を優雅に舞う焼き鳥を見ている。 何だ、俺にはさっぱり分からないぞ。 「呪文で人間を復活させるには、条件として本人の遺体が必要。 だから遺体が消えてなくなったり、長い時間を経て著しく損傷したりしてしまうと、 その人を復活させることはできなくなる。」 それとあの火の鳥に何の関係があるんだ。 「あの火の鳥は生命の神。何もないところから命を創造することが可能」 火の鳥は、羽を一枚ひらひらと落とすと、そのまま何処へと飛び去ってしまった。 羽は地面に落ちると、きらきらと輝いて、やがてその光は人の形をとり…… 表れたのは、俺が死ぬまで忘れようのない女の、異世界同意体というやつだった。 「あれ、何であたし地面に立ってるの?」 涼宮ハルヒBは肉体を蘇らせただけのようで、何も身につけていない。 こいつの裸身ははっきり言って目に毒だ。村人達も言葉を失って その身体に見入っている。こらよせ。そんなに見たら減るだろうが。 「ハルヒっ!」 俺のすぐ隣にいた俺BがハルヒBに飛び付いた。壮大な歓声とブーイングの嵐。 しかし二人はそんな音がまるで聞こえないかのように見つめ合っていた。 うん。めでたしめでたし。 絵的には認めないけどな。 「キョンくん、涼宮さんとお幸せに……」 朝倉は目に涙を浮かべてその光景を眺めていた。 ハルヒを殺してまで俺Bを追い掛けていたこいつが こんな計らいをしたってことは、もうやまたのおろちも現れることはないだろう。 朝倉もこれで俺Bとも真に和解できたようで何よりだ。
俺Bは目を真っ赤にしてハルヒBを抱きしめている。「ハルヒ……よかった……」 「キョン……あんた二日前にあの子とエッチしたでしょ」 ハルヒBはハルヒを指差して場の空気が凍り付くようなことをのたまわった。 あの……ハルヒ? 「え、あ、いや、その……」 歯切れが悪い。 いつまでも帰ってこないと思ったら、そんなことやってたのか。 「ついカッとなって」 ムラっと来ての間違いだろ。 「これから数秒後にこの場所は確実に修羅場に変わる。 逃げられるうちに脱出するから捕まって」 長門はハルヒの腕を掴んでルーラを唱えた! 「ちょ、待ってよ有希!」 ハルヒが俺の服の背中の部分を掴んで、 「うわっ!いきなり何をする!」 「あっ、キョンくん!?」 俺は朝倉を後ろから抱き締める形で捕まえた。 上空から見ると俺BはハルヒBからマウントポジションを取られて どかんどかん殴られている。頑張れ俺B、負けるな俺B。 「キョン、あんた涼子にくっつき過ぎじゃないの?」 気のせいだ。これ以上離れたら落ちる。 「キョンくん……ダメよ、二人が見てるじゃない」 朝倉はしらじらしく頬を染めている。あの、朝倉? 「キョーン……」 ハルヒ、誤解だからその恐ボイスを出さないでくれ。 「……」 長門の無表情が恐い。 俺はみくるタウンに着くまでこの修羅場に耐え続けることとなった。
終わりです。長くてごめんね。 鬱展開が嫌な人は最後だけ読めばいいように作りました。
乙ですw いや〜何かギガデイン級に楽しませてもらいましたw 続編も楽しみにしてますよw
755 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/06(土) 00:48:48 ID:VuQgUK+4
GJ!GJ!GJ! 俺もこんなパーティーで・・・(;´д`)ハアハア
GJ ! 元ネタはやってませんが・・・面白かったです
GJ NTRで来るとは予想してなかった
このSSのおかげでドラクエV始めた俺が来ましたよ 朝倉かわいいな。GJ
759 :
名無しさん@ピンキー :2007/01/06(土) 01:09:02 ID:nKwqPmqU
>>753 GJ!
俺にとってはまさにパルプンテな話だぜ!
>>753 GJ!
よくD●Vの世界観、というかこの題材でここまで書けるなー
やっぱり最終的にはアレ●ガル●まで行くんでしょうか?
文句なしで尊敬ですよ
実際に草薙の剣をつくったのは天目一個なんだよね 何度キョンBに贄殿遮那を持たせようと思ったことか
おいおい、炎髪灼眼の討ち手が来ちゃうだろうがwww
>>753 GJ!最後キョンBにもハルヒが帰ってきて本当に良かった…
>>764 たまたま聴いてた曲とマッチしてちょっと泣きそうになった。
>765 誰のなんて曲?
ドラクエ3始めました。 性格診断は、しょうじきもの ……中学生の時、同じ結果が出た気がする。 成長してねーってことかね?www
ドラクエ3を買いに隣町まで行ったのに前の奴で売り切れになって、 仕方なく近くの悪徳ゲーム屋でなんかよく分からないソフトと抱き合わせで(しかも高い)買わされたのを俺は忘れない。
>>776 >>770 スガシカオ「Happy Birthday」
歌詞は無関係なんだけど雰囲気が……ね。
>>753 GJ!!!
待ってたよぉぉぉおおお!!!
ハルヒと出会ってもう1年の月日が流れた…… 俺達はなんとか(ギリギリだったのは俺だけ)2年に進級することができた。 朝比奈さんも無事3年に進級した。 SOS団も相変わらず健在だ。 いつもどおり授業が終われば部室に向かう………ところだが、実は俺とハルヒは付き合っている。 いつからというと、閉鎖空間でキスしたときから俺はハルヒの事が好きで好きでたまらなくなっていたのだ。 ハルヒもあの時から様子がおかしく、俺と目を合わせれなくなっていたのだ。 俺も我慢ができず、つい勢いに任せて告ってしまった。 「ハルヒ!」 「な、何よキョン!?」 「お、俺と付き合ってくれ!!」 「!!っ」 「俺じゃ、お前を満足させられないか?」 「ふ、ふんっ、そこまで言うのなら付き合ってあげるわよ!」 「本当か!」 「嘘は言わないわよ!」 と、こんな感じで付き合うことになったのだ。 今日は、部活は休みだ。 俺はハルヒと二人っきりで帰ることになっている。 「ねぇ、キョン!」 「なんだ、ハルヒ?」 「アンタってさ、いつから私の事が好きだったの?」 「い、いつからって、そうだなぁ、しいて言えば初めて見た時からかな」 「そうなの?じゃあ、なんでもっと早く告ってこなかったのよ?」 「そ、そりゃ、心の準備ってやつだよ!」 「ふ〜ん、まっ、そんなことはどうでもいいわ。」 と、まぁ、こんなふうに付き合っているわけだ。 「不覚…………。」 Fin
>>768 いくらネタでもまさかそのソフトがウィザードリィだなんていわねえよな。
もしかして最後のは長門有希なのか?
>>775 漏れはスターウォーズ(ナムコ版)と抱き合わせだったw
投下させていただきます
『ハートに巻いた包帯を』 君は人より少しだけ 不器用なだけの女の子 「嬉しい時どんな風に 笑えばいいか解んない」 * ちょっとしたイタズラが大惨事を招いた、そんな経験はないだろうか。 ピンポンダッシュに失敗した、団地の二階から飛び降りて怪我をした、 修学旅行の夜、騒ぎすぎて怒られた――何でもいいが、 どれもこれも“失敗したときのことを考えていない”という点で共通しており、 そんなことを平気でする奴はリスク計算の出来ないガキだけである。 ガキだけであるはずなのだが、 人間はついついイタズラをしてしまう生き物なのだ。 なぜならイタズラをしている最中は、リスク計算なんて 思わず投げ出してしまうほど“楽しい”からである。 * ある日の放課後、俺はベルを鳴らしたら涎が出るように訓練された犬のように SOS団が不法占拠した文芸部室の前まで来ていた。いつものように ドアをノックするのはあの愛らしい上級生への紳士的配慮であり、 「……」 三点リーダーしか返ってこないということはこの部室にいるのは 宇宙人製アンドロイドの無口少女と相場が決まっている。 「よう、長門」 俺の経験測通り部屋には文芸部室の風景に見事に溶け込む宇宙人が、 人でも殺せそうな分厚さの本と戯れていた。 まだ古泉も朝比奈さんもついでにハルヒも来ていないらしい。 俺はパイプ椅子でだらんとしながら、暫しの静かな一時を堪能することにした。 椅子の座る向きを変え、長門をぼんやり眺めてみる。 やはり無表情。感情が無いわけじゃないのは分かってはいるが、 俺にしかそれを読み取れないのは不便じゃないのか?などと 余計なお世話なことを思った俺は、ものは試しと思ってあることを頼んでみた。 「お前は笑ったりすることは出来んのか?」 「わたしの役目は涼宮ハルヒの観測。それに必要のない能力は搭載されていない」 長門は本から目を離さずに速答した。くそ、まだ俺は粘るぞ。 何たって暇だからな。 「お前は対有機生命体コンタクト用 ヒューマノイド・インターフェースじゃないか。 仮にもコンタクト用を名乗るんだったら、 笑顔の一つくらい出来るようにならんと」 コンタクトの部分を強調して、再度チャレンジ。
長門ははじめて黒檀の様な瞳を俺に数秒間向けると、 「やってみる」 と言ってまたゆっくりと本に意識を戻した。 * 次の日、長門は英語でオックスフォードとか何とか書いてある 医学書を見ながら、いつもは無表情な顔をぴくぴくと動かしていた。 その次の日は、「今日は用事がある」と言って部活に来なかった。 鶴屋さんと一緒に帰っていたが、それに関係があるのだろうか。 そして次の日の放課後、文芸部室のドアをノックすると…… 「入って」 三点リーダーではなく、直に長門の声が届いてきた。 何か非日常のサインかと思って多少緊張しながらドアを空けると、 長門が待ち遠しそうにドアの前に立っていた。何かあったのか? 「できた」 長門はそれだけ言うと俺の制服の袖を掴んで、ゆっくりと表情を綻ばせてみせた。 その笑顔は、不意打ちは反則だろ、と言いたくなるような可愛さで、 俺は長門を抱き締めてやりたくなったが、ここはぐっと堪えて 長門の肩に手を置いた。 「いいじゃないか。笑ったほうが絶対に可愛いぞ。コンタクトっていうのは 言葉一辺倒じゃ絶対に成り立たないもんだからな」 「わかった」 静かに微笑みながら二ミリほど頷くこいつを俺は今度こそ抱き締めようと思って 辺りを見回したが、古泉の野郎が 部室棟の廊下を歩いているのを確認したので断念した。 その二日後の昼休み、教室で弁当を食っていた時だ。 「キョン、喜べ」 谷口はアホ面をニヤケさせて言った。 何だ?お前の彼女の話なら聞かないぞ 「そうじゃねぇ。お前の一味の長門がAAランクに昇格した」 どうして。 「どうしてって、いつも一緒にいるお前がどうして気付かないんだ? あんな美女達と毎日顔を合わせてんのに。 もしかして涼宮しか見えないとかそういう惚気か?」 おかしなことを言うな。俺がいつハルヒに惚れたんだ。 「お前らのツンデレっぷりはもうお腹一杯なんだよ。いいかげん付き合っちまえ。 ほら、あいつだって性格以外は完璧じゃないか。見ただろ?あのおっぱい。 乳首はきっと薄ピンクだな。俺くらいになると形見ただけでわかる」
そのあと延々とハルヒのおっぱいの揉み心地を熱く語っていた谷口は、 顔に挟んだジェスチャーをしている最中に背後から近づいてきたハルヒに 首根っ子を捕まれて何処へと連れていかれたので、その間に 長門いるの教室に足を運んでみることにした。 「おい、長――」 長門は他クラスどころか上級生にまで囲まれて、その中心でおすまししていた。 やめろ、やめるんだ長門。そんな笑顔を向けられたら、男は勘違するんだよ。 見ると長門は恥じらうような笑顔も見せている。勉強熱心なのはいいが、 その笑顔を向けられた野郎はすっかりその気だぞ、いいのか? 俺はずっと目を付けていた売れないバンドがブレイクした途端にできた にわかファンを見る目でその男たちを眺めながら、 どうやって長門を元に戻そうか考えていた。
俺はマルサの女だった。なめてんのか!!
おしまいです。ドラクエばっか投下するのもどうかと思って書いてみましたが、 やっぱりピンポンジャクラックでした。ごめんね
ここで終わりか! ちくしょう! ちくしょぉぉぉお!! えがったです。すげぇえがった。
続編なし!?続き見たいよ〜orz
>>781 改変長門ではなく真・長門が自然な笑顔するシチュいいっすね
GJです!
BUMP房乙
>>781 顔が自然とニヤケてきますな。GJ!
>>786 「真」を一瞬”チェンジ!”と脳内変換してしまった漏れorz
駄目だ、つい反応してしまう。俺もスルー対象で。
>>787 房ってなんだよ。厨って言いたかったのか?漢字読めないゆとり乙
ハルヒがエロゲに劣化コピーされているね
>791 AVのハヒルとはまた別で?
ttp://www.game-style.jp/special/200612/21/04oma_cd.php 「なんだこのエロゲーは」
「あなたはこの前、コンピ研からいかがわしい内容のゲームをコピーしてもらっていましたね?」
古泉、なぜそれを知っている。……いや、それはあれだ。コンピ研の連中が長門をPCの壁紙にしたいというので
デジカメ画像を分けてやったらお礼にくれたから貰っただけだ。他意はない。
「涼宮さんはそれを知っていました」
「なんだと!?」
「だから涼宮さんは望んだのです。
自分と似たキャラクターの登場する18禁ゲームをあなたに遊んで欲しいと」
「だったら自分に似たキャラだけでいいじゃないか。別に朝比奈さん似や長門っぽいキャラまで登場させなくても」
「そこはそれ、SOS団の女子の中から自分を選んで欲しい、という乙女心の表れでしょう」
「なんだそれは」
「おそらく、コンピ研が次にあなたに渡すCD-Rの中身はこのゲームになっているでしょう。
・・・あなたがどのヒロインを選ぶかはあなたの選択にお任せしますが」
とくに落ちはない。
何故古泉に似たキャラがいないんだ!
アルフィ → アルヒ → ハルヒ ミチル → みちる → みくる ナゲット → ながっと → 長門 パティ → ?
>796 サモンナイトのアティ先生でしょ。 1ページ目のなのはとフェイトはわかったけど、ミイナって元ネタなんだろ?
いまさらだけど、ランティスラジオでも消失してたんだね。
>>798 今ネトラジ聞いたんだが、なんかHPがおかしくなってるのはそういうことなのか?
>>799 Webは一週間遅れだから、そうなんだととったけど。
>>787 あの歌詞に反応できるあなた
結構BUMP聞いてますね
>>802 俺はよく知らないが…
「アルエ」だったかな?
インディーズ時代に、綾波をイメージして作った歌だっけ そう言われてみれば長門にもぴったりだな
バンプ(笑)
ここ4年くらい聞いてねーや
鶴キョン純愛マダー?
キョンって長子じゃないの?
無いんだったら自分d
台風並み、といわれた低気圧が通り過ぎたその朝はすっかりと晴れ上がり、 空だけ見ていればまるで今が8月のような印象を受ける。 それでも、足元でサクサクと鳴る降ったばかりの雪と顔に突き刺さる冷気、そして、 「よう、長門。待ったか?」 公園に居る待ち合わせ相手のコート姿が、今が紛れも無く冬である事を教えてくれるのだった。 冬休みも残り少なくなってきたこの週末に強風とドカ雪が直撃してくれたお陰で、 昨日とおとといは実に有意義に過ごすことができた。 その心は、と問われれば、ずばり答えは冬休みの宿題である。 年末から年明けにかけては冬合宿やら過去へのタイムトラベルやら初詣やらの SOS団的イベントが満載でとてもそんな余裕が無かったが、 冬休みの残りが a few days という英語で表現できるようにる頃には、 いかな俺でもマジメに宿題をせざるを得なくなっていた。 台風並みに発達した冬将軍のおかげか、ここ数日はハルヒからの強制命令電話もかかってこず、 最後に残った数学の問題集もあと2,3時間ほどでおしまいといった冬休み最終日。 朝起きてカーテンを開けると、昨日までの陰鬱な雲と暴風が嘘だったかのように晴れ上がった空が見えた。 うーむ。何度見てもいい天気。 昨日おとといとずっと家で篭りきりだった身としては、宿題なんか後回しにして外に遊びに行きたいところだ。
部室の前まで来て、一度立ち止まる。朝比奈さんが着替えてやしないだろうな。 そう思って、ノックしようとして苦笑した。朝比奈さんがどんな格好していようが、俺には裸に見えるんだっけか。 馬鹿馬鹿しい。 そう、朝起きてみればいきなり人の服が透けて見えるだなんていう、とんでもない状況に陥っていた。 冷静に考えれば、これは非常に羨ましい状況のはずなのだが、俺は自分の置かれた環境を喜んで受け入れることはできなかった。 そりゃそうだ、普段顔を合わせるクラスメイト、さらにはハルヒの服まで透けて見えてしまう。 まぁ、あれだ。つまり俺が凝視するほどの度胸もなく、困り果てているだけなんだが。 部室の前で再び溜め息をついて、俺は扉に手を伸ばす。 ノックしようとした時、部室の中からハルヒの声が鋭く扉を叩いた。 「あ、あいつがそんなこと言ってたのっ!?」 なんだよ一体。 「ええ、そうなんですよ。今日の昼休みのことです。最近、涼宮さんがとても綺麗に、かわいく見えて仕方ないと僕にそうこぼしたんです」 「そ、そんなわけないでしょ! 古泉くんまで一緒になって、あたしをからかおうっていうのね」 「まさか! 僕はそんなことはしませんよ。これは本当のことです。彼は何度もあなたのことを褒めていましたよ。とても美しい、まともに見ることが出来ない。顔を見るだけで恥ずかしくなってくる、などとね」 「冗談はやめてよ。あいつが、そんなわけないじゃない」 ……このまま、どこだかわからねぇゴールに倒れこみたくなった。 なにを話してやがるんだ古泉のヤツは。 俺は気合を入れなおして、部室の扉を開けた。びくっと、ハルヒが椅子の上で固まったのが、なんとなくわかった。 どうせ古泉はニヤニヤしてやがるんだろう。どうやら朝比奈さんもいるらしい。 「なんだよ、俺の顔になんかついてんのか」 「そ、そうね! 眼鏡がついてるわ!」 そういやそうだったな。 俺はふらふらしそうな足を、なんとかいつも座っている席の前まで運ぶと、椅子に座り込んだ。 足元に鞄を放り出し、重い溜め息を吐く。 「おや、遅かったですね。どうしたんですか?」 「なんでもねぇよ」 くそっ、この野郎。
「……」 寝ぼけまなこにはまぶし過ぎる朝日を眺めながら、考えることしばし。 寝ぐせ頭を撫で付けながら、俺は携帯電話を手に取った。 今は朝の8時ちょっと前、電話をかけるには多少はばかられる時間帯だが、相手が相手だ。気にしない。 「おっす、俺だ。おはようさん。 突然でなんなんだが…なあ、今日、図書館行かないか?」 誘った相手といえば、もちろん長門有希である。 ハルヒや朝比奈さんでも良かったのだが、 先月の世界改変未遂以降、長門に負荷をかけさせ過ぎないようにしようと思っていたのに、 合宿中の雪山遭難の際に、アッサリとそれが守れなかった事の罪滅ぼしだ。 『……わかった』 座って勉強できるようにとの、多少早めの時間指定にも長門は電話の向こうでこっくりと頷いて(多分)、 こうして俺は冬休みの最後の一日を長門と過ごすことになった次第である。 古泉? そんな選択肢は元より存在しないね。
ごめん、被った
公園の隅にはゆうべ吹き荒れた風のせいで飛ばされた看板やゴミなんかが溜まっていて、 さらにその上には一晩で降った雪による薄化粧がされていて、なんだかよく分からないオブジェになっている。 そんな中を、ダッフルコートのボタンをぜんぶきちんと留め、 フードをすっぽりと被った長門がぽつんと立ち尽くしているのを見ると、 まるで、300年ほど昼寝していたら自分の住んでいた家をいつの間にか失ってしまっていた座敷童子のようにも見えた。 「すまんな、こっちから誘っておいたのに後から来て」 「いい」 待ち合わせの時間に遅れたわけじゃないんだけどな。 悪路を見越して早めに着くようにしたのだが、相手のほうがさらに早かったわけで。 横に振った長門の首の角度がいつもよりも大きく感じるし、 こいつも好きな場所に行くってんでテンションが上がってるんだろうか。 「じゃあ行くか」 フードに覆われた頭がわずかに傾くのを確認して歩き出すと、後ろから雪を踏む音がついて来る。
例年、雪などほとんど降らないここらでは、わずか10センチ程度の積雪でも大騒ぎで、 市の交通局だの商店街のおっちゃんだのが盛んに雪かきをしている姿が観察できる。 それでもまだとても手が足りないようで、駅前通りから一本抜けて図書館へと通ずる公園の中の並木道に入ると、 ほとんど手付かずの雪の平面が広がっていた。 「ここいらにしちゃだいぶ降ったよな。……こういう誰も踏んでない雪道ってのは、いいよな」 よしよし、このためにわざわざ下駄箱の奥からスノーシューズを引っ張り出してきたんだ。 我ながら子供っぽいなとは思うが、まっさらな雪を多少ワクワクするような心持ちで踏みしめる。 しばらくそのままざくざくと雪の感触を堪能し、 木々の間から図書館が見えたところで「もうすぐだ」と言うために振り返り、 そこで俺はやっと気がついた。 長門の格好はといえば、いつものダッフルコートにいつものセーラー服、その足先も学校指定のローファーだ。 10センチと積もっていないはずだったが、たっぷり水気を含んだ雪は長門の靴にべったりと付きまっていた。 「長門、足元寒くないか……つうか、濡れてないか、それ!?」 長門の足元にしゃがみこむ。 自分で雪を払うこともせずに棒立ちになっているので、とりあえず俺は手でそれを払ってやった。 「濡れてる、が、平気。有機組織の代謝機能を制御させてる」 「寒くないってことか?」 いつも長門が履いている紺色のソックスも、濡れて色が変わっちゃってていかにも寒そうなんだが。 「冷たいという感覚は認識している。しかし、機能保持はできているから大丈夫」 「そうか」 おまえがそう言うんならそうなんだろうけどさ。でも、見てるこっちが寒くなりそうだよ。
立ち上がってもういちど長門の格好をしげしげと眺める。 今まで気付かなかったが、よくよく見ればこいつは手袋もマフラーもしてない。 「あー、なんていうか……。長門、おまえの格好って誰が決めたんだ?」 「情報統合思念体が私を作成する際に設定した。 北高校の生徒服装規則を参考にしたものと考えられる」 おいおい、情報統合ナントカさんよ。そりゃリサーチ不足ってもんじゃないのか。 制服やカーディガン、靴、コートについては生徒手帳にも載ってるから設定できたけど、 マフラーや手袋、ブーツについては想定の範囲外だった、と。 「意外と間が抜けてるんだな、おまえの親玉も」 「そう?」 「そうだ」 きっぱり答えて再び歩き出す。 「いいか長門、おまえの体の構造がどうなってるのか知らんが、 人間てのはな、首、足首、手首と『首』の字がつくところから熱が逃げるようになってるらしいんだ。 だから、そこを覆うと体温が保持できるワケでな……」 道すがら、この国の冬季服装文化について講釈を垂れながら。 立ち話で体温を浪費するのもいやだし、動けば少しは体が温かくなるしな。 「俺の足跡を踏むようにしろよ。そうすれば少しは足に雪がつかないだろう?」 歩幅をさっきより小さめにして歩く。後に続く長門が、俺の足跡を辿るのを楽なように。
自動ドアをくぐると、暖かい空気に包まれてこわばった頬が緩むのが感じられた。 ほうと息をついてマフラーと手袋を外す俺を、長門が興味深そうな無表情で眺めている。 「マフラーは毛糸、手袋は革製が多いかな。これはニセモンの革だけどな」 俺が丸めて手渡したマフラー、長門が両の手のひらに載せて小首をかしげているのが印象的だった。 「巻いてみるか?」 「……別に、いい」 試しに声をかけてみると、すぐにマフラーを突っ返された。 開館直後の図書館には人がほとんどおらず、これなら問題集やら参考書やらを存分に広げて勉強できそうだ。 奥まった席の一角にノート類を置いて占領し、 とてとてと本棚の迷宮へと入って行こうとする長門を小声で呼び止める。 早く本が読みたいそぶりを見せる長門だったが、すぐに俺の元へとやってきた。 「今日な、俺は宿題をやるつもりでここに来たんだが」 こくん、とも、こく、とも表現しづらい、長門のわずかな頷き。 「2時間、いや、1時間半で終わらせる。そしたら他の場所に行くから、読みきれないようなあんまり厚い本は選ぶな」 「……わかった」 どこに行くのかという疑問もあるだろう、わずかに間を置いて長門は頷き、すぐに踵を返して歩いていく。 本棚の向こうへと長門の姿が消えるのを見送って俺は問題集を開く。 「さあて、一丁やったるかい」 駅前のデパートの新春初売りセールは今日までだったっけ? 冬物割引、やってるよな? 今日の午後いっぱい、長門に冬季服装文化の実践を教えてやるのもいいかもしれない。 お年玉という名の臨時収入でまだ俺の懐も暖かいわけで、防寒具の一揃いも買ってやることも不可能じゃないだろう。 両手の指をポキポキ鳴らした。シャーペンを指先でくるくる回す。 試験前よりもはるかに真剣になりながら、俺は数式との睨めっこを開始した。
これで終わりです。短くて勘弁。 >812 予告もせずにゴメンナサイでした…(;´Д`)
GJ
>>812 も別に予告してた訳じゃないしいんじゃね
>>819 いやいや、こっちこそ直前の更新を確かめずに投下してすまない。
いい長門でした。
何故か脳内でキョンの顔が祐一になるのは 雪のせいだろうか。
ハルヒに馬鹿な話を吹き込みやがって。俺が陥ってる状況をなんとかしようとしてくれてるのかもしれないが、面白がってるだけのような気もしてしまう。 一応、こんな眼鏡まで借りたことだし、悪くは思いたくないが……。 「どうぞ、お茶です」 「あ、ありがとうございます」 朝比奈さんの癒しボイスが降ってきて、俺の目の前に湯飲みが差し出される。 やっぱり朝比奈さんはいい。未来の生んだ癒しの極みだ。 「うふふ」 「あはは」 朝比奈さんは俺の隣に立ったまま、じっと俺のことを見ていた。なんだろう。 「どうしたんですかこの眼鏡。キョンくん、目が悪くなったんですか」 そう言うと、ひょいと俺の眼鏡を外した。 「ちょ、ちょっと朝比奈さん」 「どうしたんですかー。あはは、変なキョンくん」 「うをっ……ぱい」 故意じゃないぞ。そうさ、わざとなんかじゃない。 目の前に朝比奈さんの、その、あれだ。うん、おっぱいだ。なんてボリュームだよ。 嘘だろ? こんなにでかくていいのか? 犯罪じゃないのか? 白く盛り上がった、美しい胸だよ。 見てるだけで、その感触が脳みその中で想像されてしまう。 「か、返してくださいよ」 「えーっ、なんでですか」 朝比奈さんは、俺から奪い取った眼鏡を、自分でかけていらっしゃる。 突如現れた眼鏡っ娘メイドさん。これには眼鏡属性の無い俺も、あっさりと転んでしまいそうだった。 それよりも、なんか朝比奈さん怒ってないか? 気のせいだよな?
「と、とにかく返してください」 俺は半ば無理やり、朝比奈さんのお顔にかかっている眼鏡を外し、それをかけた。 ちょっとばかし惜しい気もしたが、おそらく笑いをこらえているであろう古泉が机の向こうにいるわけで、あまりまじまじと見る気にはなれない。 ちくしょう、こいつに話すんじゃなかった。 さっきまで、人の服が透けて見えることに対して嫌悪感を抱いていたのに、朝比奈さんの素敵なお胸を見てあっさりと気分が回復するのだから、俺も相当な単細胞だ。 仕方ないだろう。だって、背も小さくてロリーな朝比奈さんの体に、ソフトボールみたいなサイズの球体がふたつもだね。 「ちょっと、キョン」 「……なんだよ」 忘れていたが、ハルヒの機嫌を取らないことには今の状況を脱することはできないのだ。 神がいるとしたら、おそらくハルヒ並の傍若無人なヤツに違いない。どうして俺にこんな恥ずかしい試練を与える必要があるのか。 思い返すと、相当恥ずかしいことを言ったような気がする。 眼鏡をかけているので、ハルヒがどんな表情をしているのかはわからない。 だが、腕を組んで偉そうにしているのはなんとなくわかった。 「べ、別に用があるわけなじゃいけど、春だからって脳みそが馬鹿になったあんたを、団長として心配してるのよ。どうせ悪いものでも食べたんでしょうけど」 「食ってねぇよ」 「あっそ。どっちにしても、あんたが馬鹿みたいになって、人に迷惑かけたりしたら、SOS団の名誉も地に落ちるというものよ。自重してもらわないと困るんだから」 この団に名誉などというものがあったのか、などという些細な疑問はどうでもいい。 「大体ねぇ」 ハルヒが立ち上がり、つかつかと歩いてくる。 「こんなもんかけて、あんた何考えてるのよ」 顔面めがけて、ハルヒが手を伸ばしてくる。 なんでみんな、眼鏡を外したがるんだ。予想はしていたので、ひょいと避けてやる。 だが、避けたと思った矢先にひょいと外される。くそっ、無駄に手の早いヤツめ。 ハルヒが俺から奪った眼鏡を、パソコンを置いてる団長机の上に放り投げる。 「返せよ、それ」 「全然度が合ってないんでしょ。何よ、こんなのする必要ないじゃない」 必要なんだよ。そいつが無いと、人の服が透けて見えてしまうんだからな。 俺はハルヒの体に視線を落としそうな眼球を、無理やり窓の外へと向けた。 「だから、返せって」 「嫌よ。それから、人と話す時はちゃんと人の目を見なさい」 「珍しいこともあるもんだな。お前がまともなこと言ってるぞ」 「話を逸らすな!」 ぐいっとネクタイが引っ張られる。こらこら、人のネクタイを引っ張るんじゃありません。 眼前に突きつけられるハルヒの顔。別に深い意味は無いけれど、綺麗だとかかわいいだとかわけのわからないことを口走りまくってたせいか、妙にこいつがかわいく見えてくる。 「な、何顔赤くしてんのよ馬鹿ッ!!」 「してねぇっ」 自分じゃわかんねぇし。 「大体、お前も顔赤いだろうが」 「気のせいよ!」
せっかく朝比奈さんの素敵おっぱいのおかげで上向いてきた気分も、ハルヒの容赦ないアタックで地面に叩き落される。 こいつがすべての元凶じゃねぇかよ。なんで俺がこんなに苦労しなきゃならん。 いっつも俺を意味不明な事態に巻き込んで、本人は何も知らずに暢気なものだ。この一年の間、俺はどれだけハルヒの持ち込んだ厄介ごとに振り回されてきたんだ。 今回も、こいつが何を思ったのか、変なことを望んでこうなったんだろう。お前の願望なんて知るか! なんで俺がこんなに迷惑を被らなきゃならないんだ。 「そもそも、お前がそんなにスタイルが良いから悪いんだ」 「はぁっ?! 何言ってんのよあんた」 「そうだ、全部お前のせいじゃねぇかよ! なんで俺がお前の体見て変な気持ちになんなきゃならねぇんだよ。お前がそんなに綺麗じゃなかったら、俺がこんな苦労することなんてねぇんだよ。 わかってんのか、お前が美人でかわいくて、スタイルさえも良いから俺が困ってんだよ。全部お前のせいだ」 気がついたら、俺はハルヒの体に覆い被さるようにハルヒを見下ろしていた。 体を後ろに反らしているハルヒが、口元を微妙に痙攣させ、目を見開いている。何か言おうとしているらしいが、空気だけがハルヒの口から漏れて霧散した。 冷静に、今自分が口走ったことを振り返ると、意味不明なことを喚いていただけのような気がする。 それだけじゃなくて、相当恥ずかしいことを言っていたような気が……。 「な、何よ、そりゃあたしは自分で言うのもなんだけど、十分美人の範疇に入るし、スタイルだって良いと思うわ。冬の間ちょっと増えた体重も落としたし、そうね、ウェストも細くなったかも。 あっ、でもバストは増えたのよ、って何言わせんのよこの馬鹿ぁ!」 ハルヒの額が俺の顎にぶつかった。いくらなんでも頭突きはねぇだろ、などとのんびりしたことを考えながら、俺は関節が外れたんじゃないかと思うほどの衝撃を受けた顎関節を手でさすった。 いや、マジで痛いなこれ。 「明日までにはその馬鹿みたいにのぼせた頭を冷やしときなさい!! 冷えてなかったら、あたしが氷水に突っ込んであげるから!」 俺が痛む顎を抑えていると、ハルヒは横をするりとすり抜けて、扉のほうへ向かっていった。 その後姿が目に飛び込んでくる。確かに、ウェストも細い。しかし、ヒップはさほど盛り上がっておらず、スレンダーというか、やや中性的な感じにも見えた。 肉付きはよくないが、引き絞った弓のように力強さを感じる細い腿も、長くすらりと伸びた両足も、悔しいとかわけわかんねぇこと考えちまうくらい綺麗だった。 「おい、どこ行くんだよ」 「帰るのよっ!!」 振り返りざま、俺に怒声を放ったハルヒは、部室に硬い残響を残して去っていった。 「なんだってんだあいつ」 「キョンくん、そんなに涼宮さんのことを……」 振り返ると、俯いて肩を震わせている天使の姿が目に入った。誰だよ俺の天使にこんな顔をさせた悪党は。 「あたしも帰りますね」 そう言って、朝比奈さんが衣装かけに近づいていく。うーん、朝比奈さんの肉付きのいい体もやはり魅力的だ。 まだ幼い気もするが、これがいずれ朝比奈さん(大)のような肉付きのいい大人の女性になるのだから、人の成長というのは恐ろしい。 黙ってその後姿を見ていると、古泉が近寄ってきて俺の肩を叩いた。 「出ましょう」 「ああ?」 「女性の着替えをまじまじと見るものではありませんよ」 気持ち悪い笑みで俺にそう言った古泉が、さもおかしそうに肩を竦めた。
廊下の窓を開け放ち、体を乗り出しながら、暖かい風に溜め息を乗せてやった。 「おい古泉、あれだけ言えばハルヒも満足だろ」 「だと良いのですが、さてどうでしょう」 頭が痛くなってきた。多分、もう二度と口にするようなことが無いことを、あいつに向かって言ったと思う。 どうせ言うのなら、朝比奈さんに向かって言いたいものだが、俺にそんな度胸なんてものは無い。 「これだけ言っても、まだ何の変化も無いぞ」 「まぁ焦らないことです。今はこれで十分でしょう。明日にでもまたお願いします」 今度は胃が痛み出したぜ。明日には多分心臓が痛むね。 「それとも、そのまま人の服が透けて見える人生を送りますか? 悪いものではないでしょう。さきほども、あなたには女性陣の裸が見えていたというのですから、いやはや羨ましいですね」 春の陽気ほどの軽さで古泉がそんなことを言う。まったく実感のこもってない、完全に他人事だと思ってる言い草だ。 やっぱりこいつに話したのは間違いだっただろうか。 なまじ、服が透けて見えるということを知っているだけに、こいつの前じゃロクに人のことを見たりできないだろう。 「安心してください。僕はあなたが誰をどのように見ようとも、気にしたりしませんし、それについてどうとも思いませんから」 俺の考えを見抜いたかのように、古泉がそんなことを言った。 しかし、朝比奈さんが目の前で着替えをはじめようとしてても判らないというのも困り者だ。 そもそも俺たちがいるのに着替えをおっぱじめないでいただきたい。古泉に朝比奈さんの柔肌を見せるのには抵抗があった。 別に朝比奈さんは俺のものでもないのだから、そんなことを思うのはおかしいのだろうが。 やがて、部室から出てきた朝比奈さんが、俺たちに向かってぺこりと頭を下げて去っていった。 俯いて顔を翳らせたその姿があまりにも胸を締め付けたので、思わず何か話しかけようと思った時。 「やっぱりあの時、もっと強引にでも……」 などとぶつぶつ独り言を喋っていて、話しかける気力が散ってしまった。 俺は後姿を見送ることも出来ず、再び外の陽気の中に陰気な溜め息をこぼす。 「さて、僕も帰るとします」 古泉は足元に放り投げていた鞄をひょいと背負うと、何処の芸人かと思うくらい気障な仕草で手を振って去っていった。 あいつ、自分の服が透けて見えるかもしれないということを知っていながら、なんであんなに堂々としていられるかな。 お前の無駄な度胸を少しは分けてほしいものだ。 再び深く息を吐き出す。軽く頭を振って、深く窓枠に体重を預けた。 アルミサッシに食い込んだ手が少し痛い。
「勘弁してくれよ……」 誰に聞こえるわけでもない、独り言が穏やかな風に乗って流されていく。 明日も俺は同じようなことを繰り返さないといけないのだろうか。そもそも、治る見込みがあるのだろうか。 シャミセンが普通の猫に戻ったように、俺も元の目を取り戻せるのだろうか。 ぐるぐると頭の中を巡った疑問は春の陽気にも溶けず、わだかまって体に圧し掛かってきた。 帰ろう。もう今は何も考える余裕が無い。 部室の中に置きっぱなしにした鞄と眼鏡を取りにいくため、俺は部室のドアを開けた。 いつもと変わらない部室の中で、ひとつだけ違うものが目に入った。 「長門……」 ずっと忘れていたが、おそらく長門は部室の中で本を読んでいたんだろう。 長門は俺が普段座っている椅子の傍にぼうっと佇んでいた。 「ど、どうしたんだ長門?」 俺は慌てて目を背けながら、長門にそう尋ねた。女としての長門の体は、まだ発展途上と言わざるをえない。 ちらっと見た限りでも、体つきは高校生というよりは中学生のようだった。 今頃になって、俺は罪の意識のようなものに囚われていた。俺は、長門の裸だけは見たくなかったのだ。 別に魅力が無いからというわけではなく、今まで何度も世話になり助けてもらった長門に対して不誠実な行為を働くことが許せなかった。 さらに長門自体が純粋に思えたからかもしれない。新雪を踏みにじるような野暮な真似はしたくない。 「あなたは今、他人の服が透けて見えるという状況に陥っている」 長門の口から発せられたのは、驚くべき言葉だった。 「……なんで知ってるんだ」 まさか廊下で古泉と話しているのを聞かれたのだろうか。こいつの聴力がどれほどのものか知らないが、長門なら可能なように思えた。 「それにだな長門。それが解ってるのなら、俺の前に姿を現さないでくれ。お前の裸は見たくないんだ」 「………………」 そっぽを向いたまま、俺はそれだけ言った。 「あなたにその能力を施したのはわたし」 「はぁっ?!」 思わず首がごきっと鳴るほどの勢いで長門のほうへ視線を移した。相変わらずの無表情だ。 「ちょっとまて、どういうことだ?」 「あなたの眼球から人の肌のみに反射する電磁波を発し、反射した情報を通常の視覚情報に再現するプログラムを注入した」 「よくわからんが、それのせいで服が透けて見える、というのか」 「そう」 俺は天を仰いだ。つっても天井しか見えねぇ。 えーと、どういうことだ。長門が俺に服が透けて見えるような能力を授けたというわけか。 何故だ? ホワイ? そんなことをすることに何か意味があるのか? 俺は命乞いをする兵士のように声を震わせながら訊ねた。 「な、なぁ長門。そりゃ一体、なんのためだ」 「4センチ」 「はぁ?」 「わたしの胸囲が4センチ上がった。これは驚異的」 「だから何だよ、ギャグのつもりか?」 「…………4センチものサイズアップ。もはやCカップ」 「いや、だからそれがどうしたんだ。まぁ喜ばしいことだとは思うが」 「………………」 そこで黙るなよ。
「なぁ、まさかそれを俺に見てほしいがために、俺にこんなわけのわからん力を与えたとかいうんじゃないだろうな」 「そう」 即答しましたよ長門さん。 「一週間ほど前、以前から行っていた情報統合思念体へ対して行っていた申請の許可が下りた。それが胸の大きさを変えること」 「……そ、そうか」 「一秒に約480回近い申請を二日ほど続けて、ようやく」 「それは嫌がらせとか脅迫と言わないのか?」 一秒に480回て。長門の親玉も大変だな。 「交渉の結果、ようやく落ち着いたのがこのサイズ。しかし、あなたを含め誰も気づくことはなかった」 「そりゃ、人の胸をじろじろ見たりしないだろ普通」 「あなたはいつも朝比奈みくるの胸元を見ている」 すいません、見てます。でもじろじろじゃないからな、ちらっと見るだけだからな。 「で、業を煮やした長門は、俺にこんな能力を与え、自分の胸が大きくなっていることを知って欲しかった、と」 「そう」 女を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ、なんてのは嘘ぴょんで、俺は全身から力が抜けてしまっていた。 がくりと膝をついてくず折れる。両手を床につき、逆転のチャンスで併殺打を放った打者のようにうな垂れる。こいつは グレートにまいったぜ。 つまりなんだよ、俺がハルヒの仕業だと思ってたこの怪現象は長門によるもので、ハルヒは一切関係なかった。 勘違いした俺はハルヒの機嫌を取るために、綺麗だのなんだのと歯が水素原子よりも軽くなるようなことをほざきまくったと。 今更ながら、ハルヒに言ったセリフが思い出される。 そういえば古泉が言ってたな。最近ハルヒに不安定な要素は無いとかなんとか。 まさかあいつ、ハルヒの仕業じゃないと知ってたんじゃないだろうな。いやまさかそんなことは無いだろう。 「と、とりあえずだ長門。お前の胸が大きくなったのはいいことだ、おめでとう。だからさっさと治してくれ」 それだけが私の望みです。もう嫌だこんなの。 「わかった」 長門がぺたぺたと足音を立てながら、近づいてくる。白い素足が見えて、俺はいつぞや朝倉に襲われた時のことをなんとなく思い出していた。 立って、と短い声がして、俺はようやく立ち上がるだけの気力を振り絞る。 裸を見ないよう、俺は固く目を閉じながら、祈りを捧げるかのように軽く上を向く。 そっと、俺の手が長門にとられた。やっぱり噛むのか。っていうか、いつの間にこいつは俺の体にそのプログラムだかなんだかを施したというのだろう。 寝て起きたらだから、寝てる間か? ふと、俺は何かがおかしいのに気づいた。なんだっけ、何かが違ったような気がした。 たいしたことではないのだろう。俺はそう思い、長門が行う甘噛みを受け入れようとした。 ふにょん。 手のひらが何か柔らかいものに触れた。いや、想像はついてるけどさ。 俺は目を開け、長門の体を見下ろした。相変わらずの無表情で、長門は何度か俺の手を胸に押し付けて、その弾力をあますところなく伝えてきた。 「何をしてるんだ長門」 「4センチ」 嬉しそうに見えるのは気のせいじゃないだろう。無表情ではあるが、いつもより瞳が輝いているような気がする。 「いやだから、そうじゃなくてまず俺の体を元に戻してほしいんだが」
なんでこう、予想の斜め上を行くというかギリギリ崖の上を行くというか、意味不明な事態に巻き込まれなければいけないのか。 今まで、まさかという坂をまッ逆さまに転がり落ちては来たが、ここでこんな障害にブチ当たろうとは、誰が予想できるというのだろう。 長門の胸に手を置きながら、俺は深い溜め息を吐こうとした。 その時、今まさに浮かびかけた疑問が氷解した。俺は、長門の胸に、肌に直接触れている。 さっきも長門の足音は、裸足で歩いたような音だった。靴を履いていないから、浮いて見えもしなかった。 つまり長門は今、裸でいるってことか? そこまで考えが追いついた時だった。 勢いよく部室の扉が開く。こんな勢いよくこの扉を開けるヤツなんて、この世に一人しかいない。 「わわわ忘れ物〜って何やっとんじゃーっ!」 後頭に物凄い衝撃が走って、俺は前のめりに倒れこんだ。その拍子に長門の体を押し倒してしまう。このままじゃ長門の体が床と激突しそうだったので、咄嗟に抱き締めるように長門の背に手を回した。 「このエロキョン!! 何やってんのよ! 有希に何したの? なんで有希は裸なのよ!!」 ちょっと待てハルヒ。お前が蹴ったと思しき俺の頭が非常に痛いんだ。もうちょっと待て。 などという願いも虚しく、首元を掴まれたと思うと一瞬のうちに引っ張り上げられた。 「説明しなさいキョン。あんた有希を強姦しようとしてたんじゃないの」 「強姦っ?!」 小市民でチキンな俺に、そんな真似ができるかよ! 女の裸ってだけですでにドキドキしてまともに見れやしないへたれだぜ。 大体、度胸があったとしても俺はそんなこと絶対にしない! ハルヒは俺のネクタイを掴みあげ、額どうしがぶつかりかねない距離で俺を睨みつけた。 「ち、違うぞハルヒ。誤解だ! まったくの誤解だ」 「何がよ?! あんた、あたしに散々あんなこと言っといて、今度は有希を襲おうとしたの? 最悪、最低、クズだわ」 「違うっ! 俺が好きなのはお前だけだ! そんなことはしない」 「はぁっ?!」 「ハァッ?」 何言ってんだ俺。ちょっと待て、今のなし、タンマ。俺はなんて口走ったんだよ。
「ふ、ふーん、そうなんだ。へー、キョンがねぇ」 何故かにやにやしながら俺の顔を見下ろすハルヒ。 「違う、今のは口が滑ったんだ。今の無し」 「口が滑ったってことは、本音ってことでしょ。へー、そうだったんだ。まぁキョンもあたしの美貌に惹かれたってことね。でも残念だけど、あたしはそんなに安い女じゃないの。あんたがそれなりに服従の意思を示すなら考えてあげないこともないわ」 何勝手に勘違いしてやがるんだ。今のはあれだ、さっきまで綺麗だのなんだの言いまくってて俺の頭が馬鹿になったから出てきただけの言葉で、まったく意味は無い。 「なるほど、謎は解けたわ」 なんのだよ。つーかどこに謎があった。 「有希、ついに牙を剥いたのね!」 俺の首元を押しのけると、長門をビシッと指差した。 ハルヒもついに頭が馬鹿になったのか。いや前からそうだったかもしれないが、一体何がしたい。 「なんか変だと思ったのよね。キョンが無理やり服を脱がせたのなら、服が散乱しててもおかしくない。けど、有希の服はテーブルの上にきちんと畳んで置いてある。つまり、自分で脱いで、その体でキョンを誘惑しようとしたということ」 得意気に胸を張って、ハルヒはそんなことを言い放った。確かに、長門の制服一式は、丸テーブルの上に、まるで商品のように畳んで重ねてある。 っていうかハルヒ、お前それに気づいててなんで俺の頭を蹴り飛ばす。 「でも残念だったわね有希。キョンはあたしにぞっこんなんだって。もうあたし無しじゃ生きられない愚かな男なのよ。あたししか愛せないのよ」 「いや全然そんなことはないぞ」 そこまで言ってないし。 「落ち着けハルヒ。そうじゃない、ただ長門はだな、あれだ、その、胸が大きくなったんでそれを知ってほしかったらしいんだ」 「だったら服を脱ぐ必要なんかないじゃない」 ごもっともだ。 「どうせ、キョンがあたしを愛してることが判明して焦って色仕掛けに走ったのよ」 「いや、だからお前はもう黙ってろ」 そんなことはどうでもいい。俺はさっさとこの目を治してもらわないと困る。 「とりあえず長門、服を着よう、話は後で聞くから」 「ちょっとキョン!」 俺はハルヒの手を取ると、部室の外へ出た。ハルヒが俺の手を振り払うと同時に、扉が久しぶりといった様子で静かに閉じる。
「なんだってんだ一体……」 服が透けて見えるようになったのは長門の仕業で、勘違いした俺はハルヒを口説くかのようなセリフを発しまくり、挙句の果てに好きだとかいう俺の心の中には1ミリたりとも存在していないものを出してしまったと。 そもそも長門は何故こんな真似をした。胸が大きくなったとか言ってたな。そりゃよかったな、おめでとう。だが、それを俺に見せる必要はないだろう。 しかも人の服が透けて見えるようにしてまでだ。 「キョン、あんた有希に何したの」 「何もしてねぇよ!」 「嘘ね。あたしが部屋に入った時、有希のおっぱい揉んでたじゃない」 「も、揉んでねぇよ」 窓の外に視線を移したままそう言うと、ハルヒが俺の襟を掴んで自分のほうへ体を向きなおさせる。 まだ服が透けて見えるんだ。頼むからそういうことをしないでくれ。 「こらっ! ちゃんとあたしの目を見て話なさい。目が泳いでるってことは、やましいことしたってことでしょ!」 「違う。俺は別に……」 説明しようにも、何を言えばいいのか。たとえ本当のことを言ったところで、信用されないだろう。いや、服が透けて見えるということを信じてもらったところで、俺にとってそれが喜ばしいわけではない。 「だから……、あれだ。長門はこの頃、スタイルがよくなったらしい。俺がハルヒのことばかり褒めていたから、自分の体も見てもらおうと思ったんじゃないのか?」 「……なにそれ?」 知らんがな。 怪訝そうに眉をしかめたハルヒ。 「ふぅん。有希ってば貧乳キャラだと思ってたのに、大きくなってたんだ。そんなの許されることじゃないわ」 人を勝手に乳の小さいキャラ設定にするなよ。普通は成長するもんだろう。あいつの場合はどうか知らんが。 「で、その乳で誘惑されて揉んだっていうわけね」 「だから、揉んでねぇよ」 ちょっと触れただけだ。とはいえ、柔らかかったな。手の平に、ちゃんと乳首が当たってるのもよくわかったし。 そのまま指に力を入れて形を変えてみたかった。 などとぼんやり考えていると、ハルヒがじと目で俺を睨んでいた。緩んだ表情を引き締めなおす。 「へー、そう。有希のおっぱいのこと思い出してたんだ。へー」 しっかりバレてた。 「こんなのがそんなにいいわけ?」 ハルヒは自分の乳を下から持ち上げて、その形をあらわにした。長門よりも大きく、形の整った胸が強調される。 こいつ、かなりでかいじゃないか……。わずかに透けた血管が青白い。少し小さいだろうかと思える乳輪と、ブラに押されているのかへこんだ乳首。 ぬぅ、たまらん。 「間抜け面」 「わ、悪かったな間抜け面で」 ハルヒは服が透けて見えてるだなんてことを知らない。知られたら困るんだが……。それにしても、本当にいい体をしている。 美容に気を遣ってるようには見えないんだが、本人はかなり努力していたりするんだろうか。いやでも、夏には日差しを気にせずに遊んで日焼けしてたりしたよなぁ。 「ねぇキョン」 なんだよ。 「触ってみる?」 「……はぁ?」 「か、勘違いしないでよね!! ちょっとだけよ! あたしも、有希みたいな貧乳キャラに乳で負けたとあっては黙ってられないわ」 いやいや、負けっぱなしで結構。 「いいから触りなさいよ! あたしのこと、好きなんでしょ! 触らせてあげるって言ってるんだから大人しく言うこと聞いてればいいのよ」 それは誤解だ。俺はお前のことなど、どうとも思ってはいない。ああ、そうだとも。 ハルヒは顔を真っ赤にして、怒っているのか泣いているのかよくわからない形に眉を怒らせていた。 業を煮やしたのか、ハルヒが俺の手をぐいっと掴むと、そのまま自分の乳へと持っていった。 「うおっ!」 服ごしだったが、その大きさは十分手に伝わってきた。
ばたん、と気味の良い音がして、長門が部室から出てくる。裸だが、おそらく服を着ているんだろう。 肩に鞄を提げたいつもの下校スタイルだ。 気のせいかもしれんが、長門が俺を睨んでいる。いや、気のせいじゃないよな。その黒い瞳から冷たい風でも吹き出してるんじゃないかと思うほど、俺の肌を粟立たせている。 「あら、有希じゃない」 暢気にハルヒがそんなことを言う。乳に置いたままだった手を、俺は無理やり引き剥がして体の後ろへ持っていった。 「…………」 無言で俺を睨み続ける長門。俺が何をしたというんだ。 「ねぇ有希、あんた胸大きくなったんだって? ごめんね、元が小さいから全然わからなかったわ」 なんてことを言うんだこいつは。人の体のことをとやかく言うもんじゃないだろう。 何か注意しようと言葉を捜していると、 「残念だったわね有希、あんたも少し大きくなったのかもしれないけど、あたしもここ最近大きくなって、もうほんと参っちゃうわ」 全然参ってない口調でハルヒが胸を逸らす。うむ、確かにでかいよな。って、そんなことを考えてる場合じゃねぇよ。 ふと長門を見ると、冷たい視線どころか体からどす黒いオーラのようなものが出ているような気がした。 あれは憎しみで人が殺せたらなぁ、とか考えてる人のオーラだ。 「ハルヒ、お前なぁ、女は胸の大きさじゃないだろう。そんなもん、どうだっていいんだよ。長門は長門で、その、なんだ……、頼りになるやつじゃないか。ああ、大切な仲間だろう」 「へぇ、その仲間がなんであんたに裸で迫るのよ」 「そんなもんは知らん。長門に訊いてくれ」 「なんでなの有希?」 「…………」 質問を受けた有希は無言で、ただ黙って俺の目を見ていた。なぜ俺を見るんだ長門。こんな顔見たって面白くもなんともないぞ。 「とくかくだ、ハルヒ。お前はもう帰れ。俺は長門と話があるんだ」 「はぁっ? 何言ってんのよ! なに、女なら誰でもいいってことなのキョン?」 俺の胸座を掴むと、ハルヒは怒声を張り上げた。いちいち俺の服を掴まないでくれ。この勢いじゃ卒業前に制服がボロボロになる。 怒りで顔を強張らせていたハルヒだったが、ふぅと溜め息のようなものをついて、俺の服を放した。じと目で俺を睨み、まるで詐欺師が目の前に現れたかのような反応をしている。 「大丈夫だ、やましいことは何も無い」 「本当かしら? あんたみたいなケダモノ、何するかわかったものじゃないわ」 「大丈夫だって言ってるだろ? それにすぐに済む」 噛んでもらうだけだからな。 「わかったわ。まぁ勝手にすれば? ただ、あたしの中の好感度が10ポイントは下がるわね。あたしを手に入れるのに多少遠回りになるかもしれないわよ」 「あーもう、わかったわかった。そんなもんどうでもいいから。長門、こっち来てくれ」 「ちょ、このバカキョン!」 俺はさっきから置物状態になっていた長門の手を引くと、廊下を走り出した。多少引っ張ったところで、長門は転ぶまい。 部室棟の非常口を出て、階段を下る。旧館と校舎を繋ぐ渡り廊下ばかり利用していたので、こっち側に出るのはよく考えれば初めてだ。 階段を下りたところで、さっと辺りを見渡す。さっきまであった騒ぎが嘘のように静かで、ついでに言えばどこからも見られることのないスポットでもあった。 ずっと長門の手を掴んだままだったので、ゆっくりと手を放す。 「なぁ長門、とりあえず、胸が大きくなっておめでとう。よかったな。それはそれでいいとして、俺のこの状態をなんとかしてくれないか?」 「わかった」 等身大フィギアがいきなり喋りだしたかのように、長門がそれだけ言って、再び俺の手を取った。 また胸に手を持ってくなんてことしないでくれよ。俺はまた目を閉じて長門の行為に身を委ねる。
前腕の産毛に、長門の吐息が軽く触れてくすぐったい。暖かい息がぶつかるのを感じてからすぐに、軽く歯が俺の肌を押し込んだ。 俺の瞼が無意味に痙攣している。 「終わったか?」 うっすらと目を開けながら、俺は長門に問いかけた。どうやら成功だったらしい。 俺の目にはちゃんと長門の制服が見えたのだから。たった半日の間見なかっただけで、随分と新鮮に見えるな。 「ふぅ……。ようやく元通りだぜ」 噛まれた右腕をさすりながら、俺は安堵の息を漏らした。さっきまで溜め息ばかりだったからな。 やれやれだ。 朝起きていきなり人の服が透けて見えるだなんていう、洒落にならん状況に陥ったものの、なんとか元通り。 つっても、全部長門の仕業で、俺は振り回されただけだが。 「長門、もうこんなことしないでくれよな。胸が大きくなったんなら、直接言ってくれりゃいいし」 「…………」 無言で俺を見つめながら、長門はほんの数ccの息を吐いた。ちゃんとわかってるんだろうな長門。頼むぜ本当。 「それに、別に胸なんて小さくたっていいじゃないか。大きければいいってもんでもないぞ」 長門の肩を軽く叩いてそう言うと、俺は部室に置きっぱなしの鞄を取りに行くため、もう一度階段に足をかけた。 「長門はどうするんだ?」 「……帰る」 「そうか、じゃあな」 片手を挙げて、俺は階段を駆け足で昇った。心なしか体が軽いぜ。 この春の陽気がようやく俺を祝福してくれているようだ。つっても、単に元通りになっただけの話で、何か良いことがあったというわけじゃないんだが。
「随分機嫌よさそうにしてるじゃない。何があったの?」 スキップ混じりの軽い足取りと、自然と溢れた鼻歌を引っさげて部室に戻ってくると、ハルヒが俺を睨んでいた。 俺がいつも座っている椅子に腰掛けて足を組み、偉そうな態度でふんぞりかえっている。 「なに、って……。お前には関係ねぇよ」 「ふーん……。へーえ……。どうせ、有希に告白でもされて浮かれてるんでしょ」 「はぁ?! んなわけねぇだろ」 「しらばっくれても無駄なんだからね! それ以外考えられないじゃない」 俺は机の上に放り出されていた眼鏡をケースに収め、鞄の中に突っ込んだ。 「で、有希と付き合うとか言うんじゃないでしょうね?」 「お前が何を想像してるのか知らんが、そんな色っぽい話はまったく無い」 「本当かしら? あんたのことだから、どうせこれ幸いとばかりに有希とくっついたりしそうだけど」 「だから、俺は長門とくっついてもないし、くっつくつもりもないっつの」 「ほんとに?」 「当たり前だろ」 今日はもう疲れた。さっさと家に帰ってごろごろしよう。いつまでもハルヒに構ってなんかいられない。 これ以上追求されても、本当のことを言えるわけもないし、言ったところで信じてはもらえないし、信じられてもそれはそれで大問題だ。 「ね、ねぇキョン……」 「なんだよ」 ハルヒは唇をもごもごと動かしたかと思うと、ごくりと唾を飲んだ。細い首筋の動きが、妙に色っぽく見えてしまう。 「あ、あんたさ……。さっき……、あたしのこと」 なんなんだ一体。言いたいことがあるなら、いつものようにはっきり言いやがれ。 「そ、そうだわ! あんた、実は巨乳フェチなのね!」 突然立ち上がったかと思うと、ハルヒは俺を指さしてそんなことを言い放った。おいおい、誰が巨乳フェチだ。と、いうか大きなおっぱいは男なら誰だって大好物だろ。 「そりゃ、大きければいいかもしれんが、そんなもんどうだっていいだろ。人間、大切なのは中身だ」 お前は中身は壊滅的だがな。なんていう言葉を声帯の下へ無理やり押し込んで留めた。
翌日の朝、昨日に続き爽快に晴れ渡ったまるで宇宙の神秘が降り注いでいるかのような透き通る青空の下を俺はのんびりと歩いていた。何が言いたいんだかよくわからん。 この上り坂、いつもよりちょっと緩くなったんじゃないか。そんなことを考えてしまうほど足取りは軽かった。 朝の静かで冷たい空気を鼻腔からいっぱいに吸い込むと、実に爽快な気分になれる。朝起きて、今度は人の骨が見えたりしたらどうしようなどと考えていたが、そんな事態には陥らなかった。 いつもより早めに出たおかげで、ゆっくりとした気持ちで坂を登ることができる。そうやって歩いていると、見知った後姿に気づいた。 「おはよう長門。お前、来るの早いんだな」 全国爽やかグランプリがあったら古泉について入賞できそうなスマイルで、俺は長門の肩を叩いてその横顔を覗き込んだ。 「…………」 土砂降りの雨と雷。そんなイメージが何故か俺の脳裏をよぎった。長門はいつもと同じ無表情だ。だが、こいつとの付き合いも長い俺にとって、その無表情の中に嵐のような激しさをだな、 「ど、どうしたんだ長門。なんか機嫌悪そうに見えるけど」 「……そんなことはない」 いや嘘だろ。いつもより瞳が冷たく見えるぜ。もしかして、昨日のことで何か引きずってるのだろうか。 もしかすると、長門は俺に胸が大きくなったことを、俺自身で気づいて褒めてほしかったのだろうか。 「そ、そうだ長門。お前、その、あれだ。胸、大きくなってるよな。うん、前と比べてだいぶ大きくなってると思うぞ。俺にはわかる」 制服の生地を心なしわずかに押し上げている胸元を見て、俺はそう言った。こういうささやかな歩み寄りが、異文化コミュニケーションとかいうヤツなんだろう。 「……昨夜、情報統合思念体からの処分が下された。特別な理由もなく現地の住民に対してわたしが能力を使ったことに対して」 現地の住民て、俺のことか。嫌な響きだな。それより、処分ってなんだよ。 「わたしの胸のサイズを元に戻された。そして、これ以降外観に関する申請を無条件で却下するというもの」 「へ、へぇ……」 「つまり、わたしの胸は以前と同じサイズ。大きくなっていない」 ささやかに歩み寄った第一歩は地雷だったらしい。長門は足を早めて、すたすたと歩き去っていく。 その背中に、俺は鬼を見たような気がした。気のせいであってほしい。 「ちょ、ちょっと待てよ長門。いや、今のはだな」 「……」 「それに、昨日も言ったけど、人間大事なのは中身だって。長門は今まで何度も俺を助けてくれたし、凄い感謝してる。そう、人間中身だって」 あれ? これを言ったのはハルヒに対してだったかな。 「わたしは人間ではない」 「いや、それは物の例えであって……」 どうやら怒っていらっしゃるようだ。無表情だからわかりづらいけれど。
とにかく、長門の機嫌が悪いっていうのは具合が悪い。今まで、何度となく俺の命を救ってくれた恩人であり、部活の仲間だ。 俺の言葉で気分を悪くさせてしまったのなら、それは問題がある。 「な、なぁ長門」 校門をくぐった長門に、俺はやや小走りで追いついた。 「ずっと前から思ってたんだけどさ……」 聞いてくれているかどうかはわからんが。 「お前って、かわいいよな。髪も綺麗だし、顔だって凄くかわいいと思うぞ。お前のファンだって沢山いるらしいし、ほんと、俺もお前のファン一号になりたいくらいだぜ」 昨日もそうだったが、俺は人を褒めたりするのが苦手らしい。何を言ってるのかわからん上に、浮ついている。こんな言葉が出てくる時点でもはやどうかしてるとしか思えない。 多分、昨日ハルヒに意味不明なことを言いまくった影響だろう。 「とにかくだ。俺は、お前と会った時からかわいいなぁ、と思っていたわけでだな」 最初は無口で変なヤツだと思っていたような気もするが……。 適当に話し続けたが、長門はすたすたと変わらず歩いている。もう昇降口まで辿り着こうとしていた。 まだ足りないというのか。妹なら食い物で機嫌を直してくれるが、長門なら何で買収すればいい? 長門といえば本。本といえば長門だ。 「そ、そうだ。最近暇だし、これから春休みだろ? なんか本読みたいんだけど、お薦めがあれば教えてくれないか?」 長門がぴたりと止まった。危うく後ろから追突しそうになってしまう。ガス欠を起こした車でももっとゆっくり止まるぞ。 しかし、今のは脈があったんだろうか。 「図書館に、お薦めの本がある」 振り返った長門が、いつもの無表情でそう言った。よかった、多少は機嫌が直ったらしい。 「そうなのか。タイトル教えてくれよ。俺でも読めるようなヤツならいいんだが」 「……図書館の中でも、入り組んだ場所にある。探すのは困難」 入り組んだ図書館ってのはどんなのだ。ハリーポッターじゃないんだから。大体、検索機能があるからタイトルがわかれば探せるだろうに。 「ちょうど、次の日曜日がわたしが今借りている本の返却期限……」 「ん? それがどうかしたのか?」 そう言った時だった。ぽん、と誰かに肩を叩かれた。 誰だよ、と振り返った途端、頬に指が突き刺さる。ああ、見事なまでに引っ掛かったぜ。こんなの引っ掛かるのは実に久しぶりだ。
「なにすんだよハルヒ」 ハルヒにしては、随分と早い登校だ。 「あら、こんなのに引っ掛かるなんて馬鹿じゃないの。あんたが馬鹿なのは知ってるけどさ」 俺の肩に置いていた手をおろして、自分の首筋にかかった髪を払う。実はその仕草が結構好きだなんてことは口が裂けても言えない。 「余計なお世話だ」 朝っぱらから、人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべ、フフン、と鼻で笑ってやがる。 「で、あんたはこんな朝早くから、有希になんのちょっかいかけてんの」 「別に……、ちょっかいなんてかけてねぇよ。ただ、なんかお薦めの本があったら教えてくれって頼んでただけだ」 「ふーん。そうね、あんたみたいな馬鹿でも、本を沢山読めば少しは賢くなれるかもね」 失礼な。こう見えても昔は随分本を読んでたんだぞ。 「ああ、そういえばちらっと聞こえたんだけど。有希、次の日曜が本の返却日なんだって? ちょうど良かったわ。その日は団員のみんなで図書館探検に行くわよ」 図書館のどこを探検する気だ。 「やっぱり、どっかの本を押したら秘密の扉が開くっていうのは基本よね」 「市立図書館ごときにそんな大層な仕掛けは無い」 「まぁいいわ」 何がだよ。 「とにかく、次の日曜はみんなで図書館に行くわよ。あんたも、有希のお薦めだかなんだかを借りられるし、有希は本を返しにいけるし、みんなで楽しく探検できるし、良い事づくめね。はい、決まり」 ひとり納得して手を打つハルヒ。まぁ別に俺が困るようなことでもないし、それ自体は構わないけどな。 「じゃ、詳しい時間とかはそのうち言うから。さて、キョン、さっさと教室に行くわよ」 「あ、おいっ」 俺の手首を掴むと、俺とハルヒのクラスの下駄箱がある方向へと歩き出す。 とりあえず、長門の機嫌は直ったと思っていいんだろうか。そう思って、俺は振り返って長門の表情を見た。 見なきゃよかった。背後に黒い影が見えたぞ。
昼休み、メシを食い終えた後、部室棟と教室のある棟の間にある、意外と人の訪れない場所で古泉に眼鏡を返した 何を邪推したのかニヤニヤしてやがる古泉に、とりあえず意味不明な透視能力は無くなったと説明しておく。 長門が絡んでることは伏せておいたが……。 「そうですか。それはよかったですね」 などと、バラエティ番組に出る美人枠のギャルより中身の無い言葉を吐いた古泉は、満足そうに頷いていた。 金輪際こんなのは勘弁してほしいぜ。そう思ってふと空を仰ぐ。 ん? 「朝比奈さん?」 部室棟へ向かう渡り廊下を、朝比奈さんらしき生徒が駆けていた。その生徒はすぐに教室棟へ走り去ってしまったので、正確にはわからなかったけれど。 なにか部室に用事でもあったんだろうか。 放課後になって、鞄を肩にひっさげながら廊下を歩く。妙に天気がいいせいか、下校する生徒の声も心なしか明るく聞こえた。 渡り廊下を歩いて部室棟へ向かう途中、快晴の空が深く浮き上がっていて、そろそろ暖かくなりそうな気配が感じられる。 まぁどうせ、季節の神様の気紛れで寒くなったりを繰り返すうちに梅雨、って感じだろうけどな。ロマンスの神様はもう少し気が利いてることを祈るぜ。 陽気に誘われて、シャミセンがいつもするようにでかい欠伸をひとつして、何度か目を瞬いた。 部室のドアをノックして、朝比奈さんが着替えていないことを確認してから扉を開ける。 「……」 なんだよ一体。 妙な違和感を感じて、俺は扉を開けたまま立ち止まった。部室の中では、いつものようにハルヒが団長机に座ってマウスを操作し、長門が本を読み、古泉はボードゲームを引っ張り出してきている。 朝比奈さんはナース服で、筒先の細長いヤカンに温度計を突っ込んでいた。ん? ナース服? 俺が入ってきても、誰も挨拶なしかよ。なんて思いながら席につくと、古泉が持っていたサイコロを手のひらで転がしながら、にやにやと笑っていやがる。 「なんだよ……」 「いえ、別に何も」 軽井沢みたいな軽い笑顔で、古泉はボードの準備を始めだした。誰もやるだなんて言ってないんだがね。 椅子に深くもたれると、ギシ、という経年劣化を如実に示す音が鳴った。その音に気づいたのか、朝比奈さんがちらりとこちらを見る。 「あっ、キョンくん。来てたんですか」 「ええ、今来たところで……す」 振り向いた朝比奈さんの胸元が、はちきれそうに盛り上がっていた。サイズが合ってないんじゃないのか? そもそもあれはハルヒが勝手に注文したヤツだからな。それに朝比奈さんの身長ぐらいで、胸元がキツくない服ってのが無かったのかもしれない。 ほら、特殊な服だし。 「朝比奈さん、今日はメイド服じゃないんですね」 「はい、ちょっと汚れてきてたんでクリーニングに出すことにしたんですよ」 「へぇ……」 120円を自販機に入れてボタンを押したのに、ジュースが出てこない。そんな時の、あれ? という感覚に襲われた。 ただ、入れた小銭がそのまま小銭受けに落ちたっていうだけの、単純な話なんだが、その単純さが何なのかがわからない。
かちゃかちゃと、慣れた手つきでお茶の用意をする朝比奈さん。 どうでもいいが、朝比奈さんはお尻もいい形をしている。キツめのジーンズを履いて階段を登ってるところを後ろから見たいものだ。 なんって、何回考えてもどうでもいいことを考えながら一息つくと、朝比奈さんがお茶を差し出してくる。 「はい、熱いから気をつけてくださいね」 「ありがとうございま……す」 ずいっと俺の横から体を乗り出してきた朝比奈さんの胸が、俺の左肩に触れる。ぐにっと、明らかな弾力が肩に伝わってきた。 ついでに、胸元をひょいと覗くと、大きく盛り上がった胸が、その、胸が……。って、明らかにサイズが合ってねぇ。 「あ、どうもありがとうございます」 「味わって飲んでね」 そんなことを言い残して、メイドさん改め看護婦さんはお盆を胸に抱えて去っていく。 ハルヒの趣味だったのかやたらとスカート丈が短くて、ついその姿を見送ってしまう。 「いてっ!」 ぼんやりしていると、頭に衝撃を受けた。何か飛んできたのかと、飛んできた方を見ると、ハルヒが口をひん曲げて意地悪そうにこっちを睨んでいるじゃないか。 その手には消しゴム。どうやら、そいつを千切って投げたらしい。それにしては、妙に痛かったような。 「何すんだよハルヒ」 「あんたこそ何よ。みくるちゃんをエロい目で見てんじゃないわよ」 そう言って、性懲りもなく消しゴムのカスをを投げてくる。さすがのハルヒも、小さな消しゴムの切れ端を正確に投げることが出来ないのか、俺の頭上を越えて大きく外れた。 かと思った瞬間、そいつは落ちてきた。エアガンで撃たれたかのような鋭い痛みが走る。 「い、いてぇなおい! 止めろっつってんだろ」 俺は椅子から立ち上がって、頭を押さえた。 「何よ、消しゴムくらい当たったってどうってことはないわ」 そう言いながら、またひょいと投げてくる。今度こそ外れた。と、思ったのだが、横に逸れた消しゴムの切れ端は大きく軌道を変えて俺の額にブチ当たる。 正直、結構痛かったぞ今の。
「だから、ハルヒ止めろって言ってるだろ馬鹿」 「あんたこそ、いい加減みくるちゃんをエロい目で見るのを止めたら?」 そう言いながらまた投げてくる。今度は狙いもバッチリだったらしい、消しゴムの切れ端はあろうことか突然加速して、またしても額に直撃。 おかしい、消しゴムごときが当たってこんなに痛いわけがねぇ。っていうか加速したぞ今。 ちらりと長門のほうを見る。長門は本に視線を落としたまま、じっとしている。 だが、本を読んでいるようではなかった。視線は動かないし、何よりページをめくろうとしない。 不意に、またハルヒが消しゴムの切れ端を投げようとしていた。 「ま、待てハルヒ!」 俺の言葉もむなしく、消しゴムのカケラが宙を舞う。と、同時に長門の口元が何やら高速でもごもごと動いた。 ずびしっ、と小気味の良すぎる音を立てて俺の額の中央にまたも何かが激突。 いや、痛いって地味に痛いぞ。 「なに大袈裟に痛がってんのよ」 「いや、そうじゃなくて」 俺の行動に苛立ったのか、ハルヒはわざわざ立ち上がる。 「ちょ、ちょっと待て」 飛んでくる消しゴムのカケラを止めるべく、手をかざすが、するりとカケラが曲がって俺の額にぶつかった。 「長門! お前も黙ってないでだな」 「……」 くそっ、だんまりかよ! ってお前の力で消しゴムを加速させてるんだろ。 次の弾を用意しているハルヒに気づいて、俺は後ずさった。足元にあった鞄で防御すべく構えるが、長門の力の前では張りぼてにもならない。 弾は正確に俺の体を捉えて、服の上からでも痛みを感じるほど威力があった。 助け船を期待して古泉のほうを見たが、にやにやと笑っているだけ。朝比奈さんはというと、俺が痛がっているのが何故なのか理解できないのかきょとんとしている。 なんで俺がこんな目に遭うんだ。 結局、ハルヒの投げる消しゴムが尽きるまで痛みに耐えるしかなかった。
うい、以上です。 長らくお待たせしました、そして長くてごめんなさい。 と、いうか待ってる人がいるとは思わなかった。
ちょうどさっき前編読んでたから超フレッシュに楽しめましたwww 長門vsハルヒいい! ところどころ笑ったw軽妙なテンポもまたえがった
GJ!
GJ! 未完SSの続きを待ってる人は意外といるんだぜ
>841 予想以上に長門が可愛い ハルヒも可愛い 大満足でありました。d!!
>>819 GJです。キョンのお兄ちゃんぶりにあばばばばーってなりました。
こういうキョンと長門の雰囲気すごく好き。
文章力もあって、とてもいい作品でした。
ちくしょう焦らされる。
>>841 GJです。
ストーリー的にもっと汁の飛び交うエロを想像してましたが、
ちょっと違うみたいですね。キョンの優柔不断エンドみたいな。
とにかくおつかれした。
次スレの季節か
ネクロゴンド山をどうやってブチ壊すか考えながら埋めネタ待ち
エンドレス36
埋めネタかー。学校系で何か考えたいとこだな。
学校2巻まで読んだんだけど サナエってもう出てこないのねえねえねえねえねえねえねえ
出てこないこともないこともなくない。
>>855 「ない」と言えば言うほど確率下がっていく気がするのは俺だけだろうか?
>>841 待ってました!GJ!
>>848 ネクロゴンド山って…あぁUで言うロンダルキアみたいなアレか。
確か原作でそこまで行くには…長いんだよな。
エジンベアで「渇きの壺」get
浅瀬で「渇きの壺」を使い「最後の鍵」get
サマンオサ南東の洞窟で「ラーの鏡」get
夜にサマンオサ城の王様に「ラーの鏡」を使って「変化の杖」get
商人の町で「変化の杖」と「船乗りの骨」を交換
幽霊船で「あいのおもいで」get
オリーブ出現場所で「あいのおもいで」使用
祠で「ガイア剣」get
火口で「ガイア剣」使用
ネクロゴンド山踏破
祠でシルバーオーブget
だよな?うおっ、長ぇ…
どのイベントも捨てがたいが…
鍵くらいは長門がなんとかできそう。アバカムあるし。
幽霊船は船旅中に偶然発k(ry
でもそうすると壺とか鏡の存在意義が…変化の杖もネタで使えそうだし…
全部書いていただければ俺は満足です。長レスorz
朝比奈さんが船酔いでダウンしたと見せかけて、船室でキョンと2人きりになってギッコンバッタンネタってもうやったっけ、<ドラクエ3パロ
いや、なかった。
今気づいたんだが
>>852 のIDがWBC
アバウト ショート ストーリー 文芸部会誌の作成も大詰め、ハルヒ編集長様が印刷室にて大量の会誌を刷ってるだろう頃、俺はほんの数分前に例の 原稿を上げて、部室の長テーブルにくずおれていた。精根尽き果てるとはこのことである。結局ミヨキチの正体はバレ ちまうわ、団員全員にそれぞれ思い思いの視線を向けられるわで本当に損な役回りの今回だった。 ふと顔を横に向けると、古泉がノートPCを起動して何やらやっている。何だお前。まだ書き足りないのか? 古泉は 俺の視線に気がつくと、 「おや。どうもお疲れ様でした」 まったくだ。その通り。何せお前の差し金によってこんな台本つきの学園陰謀モドキの片棒をつままされたんだから な。 俺がそう言うと古泉は笑って髪をかき上げるというお得意の仕草で、 「いえ、僕は中々満足していますよ。涼宮さんは終始やる気でしたし、あなたの書く文章という珍しいものも目にする ことができましたからね」 その話はするな。これからあの駄文が北高生の目に触れると想像するだけでも怖気がする。 「これは失礼を。ですが、あなたと涼宮さんの今後を占う意味でも実に興味深い作品でしたよ、あれはね」 俺は聞こえなかったフリをして古泉にこう言った。 「ところでお前は一体何やってんだ?」 古泉は気がついたように一度PCの画面に目を落とすと、また元の微笑を取り戻して、 「あぁ、これですか。僕は今SSを読んでいたんですよ」 SSって何だ? またミステリ用語か? 「違いますね。SSとはいわゆる二次創作物、その中でも取り分け文章を主体としたもののことを指しています」 二次創作物ね。ふむ。ってことはあれか、何か小説なりマンガなり映画なりから、鑑賞した側が新しくその世界の 話を作るってやつか? 「その通りです。SSとはShort Story、Second Storyなどいくつかの意味が重なった言葉なのです」 お前にそんな趣味があったとは意外だな。 「僕はもっぱら読む方専門ですがね。しかし素人の作品といえどあなどるなかれ、時に目を見張るような秀作に遭遇す ることがあるのですよ」 なるほどな。俺には理解できそうもないが。まぁ、映画やゲームの世界の見えざる部分を勝手に空想することなら俺 にもよくある。 「そう。それを形として現したのがSSを始めとした二次創作物全般です。ではここでひとつ、こういう例えはいかがで しょうか」 ……まずい。こいつのモーターつきの舌の電源を入れちまったらしい。こうなると反対に俺のほうは相槌または生返 事終始マシーンと化さなくてはならない。 古泉はそんな俺の心中を察することもなく話を続ける。 「ある作品に登場する人物が、バッドエンドとも呼ぶべき末路を迎えてしまいました。そしてあなたはその人物を非常 に気に入っていました。さて、どうしますか?」 どうもしない。と、言いたかったが、それではこいつは引き下がらないのも明白だ。 「脳内で分岐点なり延長戦なりを設けて、無理矢理にでもめでたしめでたしなオチを用意する」 古泉はよくできた予備校生を褒める講師のような顔で、 「そうですね。物語が納得いかない末路をたどった時、我々受け手はそれを無かったことにしたり、勝手に作り変えて しまうことができるのです」 だがそれは読む奴の勝手な都合でしかないんじゃないのか。 俺がそういうと古泉は肩をすくめ、 「その通りです。オリジナルとは全くの無関係、言わばフィクションのフィクションです。しかし、ご都合主義という 点では、多かれ少なかれ全ての物語にそうした要素は含まれます。ですので、受け手がそのような改変をしてしまって も、オフィシャルでないと分かっている以上それはその人の自由でしょう」 まぁ、ご自由にどうぞって感じだな。俺には無縁の世界だ。
「さぁて、本当にそうでしょうか」 古泉はまだ話し足りないらしく、今だ不敵に笑っている。どうでもいいがお前、知らない人間にまでそんな表情をし たりしてないだろうな。変態みたいだからやめたほうがいいぜ。 「何が言いたいんだ」 やる方もなく俺は言った。古泉は古泉で訊いてくれて助かりますとばかり、 「例え物語の中の人物であろうと、作中で彼ないし彼女はちゃんと生きています。そしてそこには世界があります。と すれば、そこから新たに生み出される世界も受け手と作品の数だけ存在することになりますよね?」 どうにも当を得ないことを古泉は言う。意図がさっぱりつかめん。 「僕が言いたいのはつまりこういうことですよ。ある人物が行く道の先には、幸も不幸も両方が可能性として存在して いる」 そんなの当たり前じゃないのか。 俺がそうつぶやくと、古泉は流し目をよこして、 「それはこの現実においても同様なのです。我々の運命は未だ決まってなどいません。未来人である朝比奈さんですら、 本当の意味での未来を知ってはいないのです。さて、ここで質問です。あなたは、ハッピーエンドとバッドエンド、ど ちらを望みますか?」 俺はここでやっと上体を起こすと古泉を見た。 どちらをって、そりゃぁ…… ガチャ 「あんたたち! 印刷が終わったから製本と運搬手伝ってちょうだい!」 そう言って入って来たのは辣腕編集長こと涼宮ハルヒであった。 「みくるちゃんと有希は印刷を十分に手伝ってくれたわ。だから今度は男勢の出番よ!」 古泉の方に目を戻すと、いつもの柔和フェイスに戻って両手の平を上向けている。やれやれ、こいつも器用な奴だ。 「さぁ行くわよ! あっという間に捌けること請け合い! ベストセラー間違いなしだわ!」 宣言してくるりと背を向けるハルヒである。ベストセラーには最低でもあと九万九千八百部の印刷が必要だが、もち ろんそんなことは全くお構い無しなのが我らが編集長様である。 ノートPCの電源を落とした古泉と連れ立って部室を後にしつつ、俺はあらためてさっきの質問について考えていた――。 (了)
甘ったるい春 阪中の一件が終わった翌日に長門の家に呼ばれた俺であった。理由に思い当たらないまま、玄関をくぐる。 「どうしたんだ? まだ何かあるのか」 長門は黙ってキッチンに引っ込んだ。どうやらお茶の用意をしているらしい。 戻ってきた長門は、阪中家謹製シュークリームを山のように乗せて運んできた。出てきたのも緑茶ではなく紅茶だった。 「長門……?」 「食べて」 食べてってお前、これは阪中母がお前に持たせてくれたシュークリームじゃないのか。 事態解決に一番貢献したからこの量も納得だし、長門が一人で食べきれないとも思えない。 だが、誰あろう長門が食べてと言っているのだし、紅茶も出してもらったことだし、ここはご相伴に預かろう。 俺がもって帰った分は妹と家族にほとんど食べられてしまったしな。 「いただきます」 別に食事ではないのだが、なぜかそう言ってしまう俺であった。どことなく厳粛な気持ちになる魔力がこの部屋にはあるのだ。 「どうぞ」 そう言った長門もシュークリームを食べだした。 「ところで、本当に何も用がないのか?」 長門は首を縦に振った。それじゃわざわざお茶するために俺を呼び出したということだろうか。ハルヒたちを呼ばずに……。 ふいに、長門は俺のすぐ傍に近寄って、人差し指を俺の頬に伸ばしてきた。 「ついていた」 頬についていたらしいクリームを拭うと、長門はそれを自分の口に運んだ。 ……。何だろう、妙に心拍の上がってしまう俺である。 「ありがとな」 またティータイムの続きに戻る俺たちだったが、数分後、やはり長門は俺の傍に近付いて、今度は顔を寄せてくる。 「な、長門!?」 どぎまぎする俺の頬を、長門の舌が短く伝った。 「クリーム」 長門は言った。ははは。そっか……にしても、ずいぶんと大胆だな。 そう思った矢先、長門は俺の口を自分の口で塞いできた。 「……!」 俺は勢い込まれて仰向けに倒れてしまう。……!? 何だこれは? 長門が俺に……? 思考不能な程の脈拍急上昇を受けて、俺は身体中の感覚が柔らかくなってしまう感じがした。 この、シュークリームのように。 長門は俺の両頬と唇を子犬のようになめると、ふたたび唇を重ね、舌を口の中に入れてきた。 俺のほうは混乱する一方だった。まったくわけが分からないぞ。何だって急に長門はこんな…… 気がつけば、長門は俺の背中に両手をまわして、そっと抱きしめていた。ふいに口が解放される。 「わたしは、ずっと」 そこから言葉は続かなかった。俺が見た長門の瞳には、迷うような、恥じらうような、かなしむような色があった。 俺は答える前に長門の小さな頭を両腕で引き寄せた。硝子の彫刻品を扱うように、そっと。 「そうか……」 それしか俺は言えなかった。いつか言ってたな。うまく言語化できない、そうだろ? 長門……。 「まだ、ついてる」 長門は俺を真っすぐに見てそう言った。 何もついていない事くらい、俺だって、分かっていたさ。 だが、だから何だっていうんだろう。そんなこと、どっちだっていいのだ。 「お前もついてるぞ、クリーム」 そういうと、長門は両手で自分の頬を一度押さえてから、 「そう」 と言った。俺は笑って、それから長門をふたたび抱き寄せた。 (了)