1 :
名無しさん@ピンキー:
>>1乙です
前スレは永久保存だ(*´Д`*)ハアハア
>>1乙
前スレのURLはH取らなくても大丈夫と思われ。
1さん乙です。
保管庫、私もほしいお!でも作れない・・・どなたかプリーズ・・・
9 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 19:44:56 ID:Q4OPE+il
1乙。
10 :
指令:2006/12/12(火) 20:02:36 ID:1OOMaVC/
すみません、前スレ埋め立て投下はあれで終わりです。
ちょうどよくおさまったと思ったんですが、投下終わり宣言する分を考えるの忘れていました。
>>1 乙です。
>12 ◆/HloHuTzBQ さん
いつもいつも素敵です!
鈍い彩子さんと無口な流川君にワクワク (0゚・∀・) テカテカ
流彩が手をつないでるだけで(*´Д`*)
ついに
お泊りキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!
でも、この調子だと友達連れて帰ってくるor帰ってこないの二択になりそう(´・ω・`)ショボーン
いや、きっと我々の予想を裏切る素敵なエロがあるに違いない!
…しかし、手でいちゃいちゃは街中でやると確実に馬鹿ップルだよな…モエ
手でいちゃいちゃはかなり上級テクな気がする。
19 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 10:20:28 ID:auiWiu3o
マダー?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
仙道が一人暮らしって何巻に載ってるの??
探したけどわかんなかった…
載ってない筈。
ただ、東京からスカウト→通学不便だから、単身こっちに来てるんじゃないか?
遅刻癖→1人暮らしだからじゃないか?
ってな事で仙道1人暮らし説は定説っぽくなってるね。
23 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 11:11:22 ID:K2bDxtMX
age
一つ書いたので載せます。
マイナーCPですみません…。
長いので苦手な方は飛ばしてください。
25 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:08:33 ID:hYEY2Pfx
『落ちましたよ』
はっきりとした低めの声に気付き、釣り道具を持った男が振り返る。
思わず松井から、あ。と声が漏れた。
へ?と言う顔をする男。
「仙道だ………さんだ。」
芸能人の名を呼ぶ感覚で呼び捨てにしたことに気付き遅れて敬称をつける。
仙道はそんなことは気にも留めない様子で考えた挙句言い辛そうに口を開いた。
「えっと…誰だっけ?」
「知り合いじゃありません。私が知ってただけだから。これ。」
釣り道具から落ちたらしいルアーをずいと前に出す。
無表情で淡白な彼女の態度は初対面の人間に悪印象を与えがちだが、
男も気が付く方ではないので問題はなかった。
「あぁどうも。…君バスケ部?なんで俺の名前知ってるの?」
「だって有名人でしょ?」
「えっ?」
「え?違うの??」
男は明らかに困った顔でうっすら汗をにじませ、頭を掻きながら視線を泳がせた。
「あぁそうか。普通自分で有名人だよとは言わないですよね。」
「えっと…君はどこの学校なの?」
話題を変えたい仙道は無表情な彼女の制服を指しながら言った。
「湘北です。あー流川楓とかいる。」
「あぁ〜!あいつのファンかぁ!」
合点がいったと言う顔でうなずく男。
松井としては今日も晴子から流川の話をされたばかりだし、
“目だった選手=流川”という等式が出来ていたものだから言っただけなのだがどうやら誤解されたらしい。
「いや私は好きじゃないけど。」
「はは、いいよ気にしなくて。言ったりしないから。」
「いや好きなのは私の友達…まぁいいや。」
諦めが早い…と言うより面倒くさがりの松井は否定しなかった。
気付けば並んで歩いている。駅に行くとのことだから電車に乗っても途中まで一緒らしい。
「釣れました?」
「ははは全然。ダメだねやっぱり。途中で眠っちゃうんだよなぁ。」
「寝るんだ。っていうか寝れるんだ。」
あははと笑う仙道を見る。こんな有名人(松井の中で)と並んで歩くのはもしかしたらめったにない状況なのかもしれない。
ではとりあえず記憶に残るように見ていようと思った。
高い身長。男らしい腕。細い、だががっしりとした体つき。
26 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:10:24 ID:hYEY2Pfx
「?なに?」
品定めするような視線にさすがの男も気付き笑顔のまま聞いてみる。
「いい身体してますよね、仙道さんって。」
ぐっと仙道の喉がなったと思ったら何度か慌しく咳き込んだ。
「?風邪?」
そんな質問がむせる仙道に追い討ちをかけている。
「い、いやいや。いい身体ってすごい言い方だなと思って。」
「そうかな。」
「うん。俺初めて言われたもん。」
「そうなんだぁ。私思ったこと何でも言っちゃうから。」
「なるほど。…多分言われたらわかるよ。」
宙を見る彼女の心情は男には窺い知れなかった。
「なんでこんなとこにいたの?松井サン。湘北からって遠いよね。」
先ほど教えた名前をぎこちなく呼ぶ仙道。
「あー…ちょっと悩むトコもあって。」
「ふーん。」
そう。松井は悩んでいた。どこか気持ちの晴れる場所を思っていたらこの海にたどり着いていた。
先ほど晴子に何気なく「あの男に好きっていえば?」と言った。
晴子に加えて藤井まで『え!?』って顔をしていて、
そんなにすごいことを言った覚えのない松井は逆に2人の反応に驚いた。
恋愛をしていなかったことが悔やまれる。悩む友達の気持ちをわかってあげられない。
駅に着き電車に乗った。
揺れに身を任せながら少しの沈黙後松井は仙道に向き直り唐突に言った。
「好きってさ。そういう気持ちって直接言わないと何も伝わらないんじゃないんですか?
そこから始めるんもんじゃないの?」
彼女の気迫に少し押された仙道だが、流川のことで相当悩んでるんだろうなぁと優しい気持ちになる。
「うーん…。そうだな。でも言ってしまえば全部伝わるってわけでもないしね。
例えば俺が今ココで松井さんに告白したとして、どれだけ好きだったかなんて伝わらないよね。
性格とかも知られてないならなおさらOKされにくいんじゃない?」
「じゃあ…まず仲良くなるってこと?」
「うん。そうかな。」
そっかぁと言ってまた窓の景色を見た。これでほんの少しでも友人の相談に乗ってあげられる。
紅潮した頬は表情すら変わらないが彼女なりの喜んだ、満足した表情なのだろう。
仙道はその横顔を見ながら『初々しいなぁ』などと年寄りのように微笑んだ。
27 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:11:43 ID:hYEY2Pfx
「俺はー…いいと思うよ、松井さん。」
「は?」
仙道としては当然の流れだが、急に何を言い出すんだという不信を松井に抱かれたのは仕方がない。
そんな様子に気付かない仙道は組んだ腕を片方顎に置き、じっくり上から下まで少女を見た。
「うん、かわいいし。それにいい身体してるしね。」
目を丸くして穴が開くほど見つめる松井ににっこりと笑顔を返す。
途端一生固まったままかと思わせる彼女の表情が緩み、
ぷーっと噴出したかと思うと腹をかかえて大きく笑い出した。
「ね?なんかやらしいでしょ?」
「あははっや、やらしいっていうか親父だ!最低!」
涙を流して大笑いする松井の視界に覗き込むような男の顔が映った。
「あ、笑ったらもっといいね。」
かぁっと赤くなるのを感じる。驚いて出ない声を押し出そうと口をパクパクするしかできない。
『陵南高校前ー。陵南高校前ー』というアナウンスが慌てる松井の脳裏を掠めた。
「じゃあここで。がんばってね。」
そう言うと男はさっさと電車を降りてしまった。
バタバタの事で落ち着かない頭を抱えながら、手を振る男が小さくなるのを見る。
熱くなった頬に手を置きながら急に男の“がんばってね”の言葉を理解した。
「そっか。あの人まだ勘違いしてるんだ。」
ぽつりと言うとまた少し笑い、『変な人』と小さく呟いた。
28 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:13:47 ID:hYEY2Pfx
男は噛み締めるようにあくびをした。
繰り返される波の音。風が気持ちよくぽかぽかした陽気は程よく眠気を誘う。
「こんにちは。」
低めの声がして顔を上げると松井が少し腰を屈めてこちらを見ていた。
こんにちはと返すといつもの場所に松井が座る。
日曜日の午後2時。この時間にここに来るのは松井と仙道の習慣になっていた。
毎週釣りに行っているわけではなかった仙道も、海なんかほとんど行かない松井も、
約束もしていないのになぜかここに来ていた。
この二人の共通点は周囲の人間に変人扱いされることが多々あるということ。
だからこそお互いに自分の欠点を気にしない相手といるのは楽しかった。つまり馬が合ったのだ。
「あ、釣れてる。なんの魚ですか?」
「カワハギ。あ、そっちはコチ。」
「大きい。やりますね。」
「あはは。」
なんでこのコ毎週くるんだろ?などと当たり前の疑問を全く持たないのんびり屋の仙道は、
淡々と思ったことを口に出す松井を素直なおもしろいコだと思っていた。
そんな彼女も独特の性格のため嫌煙されることが多い自分を否定するでもなく、
あくまで包むように接してくれる仙道との時間が心地よかった。
「今日も湘北は練習?」
「あーやってましたね。体育館こもるから暑いみたいですよ。」
「うん暑い暑い。」
のんびりと話してたまに笑う。
こうやってぼんやり一日が終わるのもいいのかもしれない。
そんな思いで松井は隣の男をチラリと見た。
陵南高校が遠くに見えるいつもの駅で仙道と別れた。
穏やかな思いで、しかしどこか物寂しい気持ちを抱きながら窓の外を見る。
「あっ。」
ポケットに触れる異物感で松井が小さく声を出した。
慌てて取り出してみると先ほど話しの途中で見せてもらった仙道の生徒手帳だった。
「これ…検査とかあるんじゃないの?」
うっすらと手に汗をかく。自分が見たいと言ったせいでこの手に収まっている手帳。
このせいで彼が教師に怒られてしまうのは嫌だ。いやそんなことあってはならない。
停車した駅で慌てて降りると、今来た線路をまた戻る電車に乗り込む。
早く。明日になるまでに、この手帳をあの男に返さなくてはならない。
29 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:16:45 ID:hYEY2Pfx
陵南高校の正門に立つ女がいた。
生徒手帳に記載された男の住所がどこだか分からなかった彼女は
とりあえず小さく見える陵南高校に向かうことにしたのだ。
(落とし物ですって職員室に預けようか。いやそれでも絶対怒られるだろうな。)
ちらほらといる生徒が松井を物珍しそうに見るが彼女は全く気が付かないほど真剣に手帳を見つめていた。
きゅっと生徒手帳を握り、顔を真っ直ぐに上げると、わずかな願いをかけて体育館を目指した。
「入り口…あいてる。」
早足で来たせいで息切れのする身体をなお急かし、体育館へと近づく。
ドリブルを繰り返す聞きなれた音が聞こえてきた。
「すみません。」
臆することのない松井の低めの声が体育館に響いた。
一人で黙々とドリブル、シュートを繰り返していた男が振り返る。
「これ、仙道さんに渡して欲しいんです。」
見知らぬ女の口から仙道の名前が出て、越野は入り口に立つ彼女の元へ近づいてきた。
「仙道さんに見せてもらって返すの忘れてて。」
越野が急に得心した表情を作る。
「あぁ。あんた松井さん?湘北の。」
「?はい。」
少し頭を掻くと手帳と松井の顔を交互に見る黒髪の男。
「釣りしてんだってね、アイツと。…あんた仙道好きなの?」
越野も聞き方を知らない。聞きたいことがあるとすぐに聞いてしまう。
だが不快にはならない松井はその質問にしばし考えて突然言った。
「もっと話したいとか、帰るとき寂しいって思うのは好きってことですか?」
今度は越野が驚いた。恋愛なんて、そんな質問なんて、全くもって分からない。
「あぁ〜いやぁ〜さぁ??まぁ一般的にはそうなんじゃないの?」
「じゃあ、好きです。」
即答する松井に驚き、吹き出して笑う越野。彼女の嫌味のない直接的な言い方に好感を持った。
松井は笑う越野を視界に入れながら初めての感情に驚いていた。
だが気付いてしまえば寂しかった気持ちも、沈黙でも楽しかった時間も納得がいく。
「あんたさ、直接届けてやってよ。俺明日休むんだよね。」
越野は優しい男だった。そして嘘つきでもある。
「え?じゃあ明後日でも。」
「いやいやウチ毎日持ち物検査あるんだよ。アイツ怒られるだろうなぁ〜。」
繰り返すが越野は嘘つきだ。
しかし松井は素直にその言葉を聞いた。怒られるのはいけない。
わかりましたと告げると越野は紙とペンを持ち出しイソイソ地図を描いて説明を始めた。
見た感じではそんなに遠くないようだ。
松井はいつもの無表情でぺこりと会釈をすると体育館を後にした。
いいことしたな〜!と満足気に微笑む越野を残して。
30 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:21:19 ID:hYEY2Pfx
コンコン。と軽いノックの音が薄暗くなった部屋に響きこんばんはと声が続く。
「松井です。」
「えっ!?えぇ!?」
聞きなれた低めのハスキーな声に仙道はこけそうなほど驚いた。
「あのっ、ちょっ、ちょっとまって。」
きょろきょろと周りを見る。殺風景の部屋に雑誌が散らかっていて、慌ててそれをどこかに片付けようとする。
(そうだ別に家に上がるわけじゃないんだから。)
突然のことで大きくなった心臓の音を鎮めながらごくりと息を呑むとドアを開ける。
両手でバックを持ち、きれいに立つ松井がいた。
先ほど会っていた彼女の顔に沈みかけた夕日が射し別人のように見える。
「松井さん?どうしたの??」
改めて玄関先に立つ松井に驚く仙道。
「これ持って帰ってて。陵南高校のバスケ部に行ったらここの地図描いてくれたから。」
「あ、あぁそうなんだ。ごめんねわざわざ。」
そう言うと細い指に納まる手帳を受け取る。
「じゃあ。」
「送るよ。ちょっと待って。」
未だに驚いた余韻が残る男は慌てて家に入り用意をしようとした。
「いえ大丈夫ですよ。あっそうだ仙道さん。」
「ん?」
引っ込めかけた頭をひょいとドアから出す。
「私仙道さんが好きみたい。うん。好きです。」
いつもの会話の延長線のようなサラリとした告白。
「…あ…そうなんだ。」
どうにも働かない頭をフル回転させ、頬を指で掻きながらなんとかその言葉を押し出す。
こんな雰囲気もムードもない状態であっさり言われた気持ちをどう対処していいのかわからない。
「はい。さっき確信しました。」
「さっき!?」
「あっ!そうか。イキナリ告白はまずいって教えてもらってたんですよね。」
「い、いやそれはいいけどあの、松井さんは流川が好きなんでしょ?」
その言葉に松井は驚いたように仙道を見て思いきり吹き出した。
「あはは!やだぁおかしい!言ったじゃないですか好きなのは友達だって!!まだ勘違いしてたんだぁ!」
笑う松井を見ながらまるで仙道が告白したように赤くなっている。
大笑いされることにちょっとした悔しさがこみ上げて赤いまま顔を背け宙を睨んだ。
だがそれと違う想いが大きくなってくる。
彼女の告白を聞いて嬉しく思う気持ちが次第に膨れ、じんわりと心が温かくなった。
視線を戻すと息も絶え絶えにお腹が痛いと苦しんでいる松井が目に入る。
晴れやかな柔らかい笑顔。見ているとたまらない感情が押し寄せてきた。
「あっ。」
涙を拭う松井の頬から首に手を回し軽くキスをした。
31 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:25:50 ID:hYEY2Pfx
「!!??」
真っ赤になり口を押さえる彼女の至近距離で、仙道もまた少し赤いまま松井の目を見つめた。
「絶対ツボ変だよ。」
照れたように言うと彼女の手を口から外し、もう一度重なるだけのキスをした。
「て、手が早い。」
珍しく動揺する松井がそう言うと仙道は人事のようにあははと笑った。
「俺も好き。今確信した。」
「うわぁうそくさ。」
「あはは。」
真っ赤な松井がかわいくて仕方ない。
が、これ以上触れると押さえがききそうにないのですっと身体を離す。
「送るよ。また来週釣りしようね。」
初めて交わす約束に松井はまた顔を赤くして喜んだ。今は離れたくないと思っている。
「あの。」
「ん?」
「あの…今の、もう一回だけ…してもらえないでしょうか?」
あんなにはっきりとものを言う松井がもじもじと視線を逸らし小さな声を出している。
このタイミングでかわいいことを言われて男はめまいがしそうだった。
「分かってないね。我慢してんのに。」
「我慢?なんで?私もしたいのに??」
プツンと理性の糸が切れる音がした。大人びていても17歳。我慢の限界も近い。
向き直りするりと彼女の身体を引き寄せて家の中に入れる。
ドアを閉めると狭い玄関にどうしても身体が密着した。
顔を近づける仙道にピクリと緊張させる様子にも男の身体が熱くなる。
壁に押し付けるようにしてゆっくりと唇が触れた。
なぞるような動きが、その滑らかさが先ほどのキスとは違うこと示している。
この大人の動きにただ驚いて彼女は身体を硬直させる。
ふと唇が離れ目を開ける。間近に仙道の目があった。
「……口あけて。」
低い声に、かかる吐息にドキリとする。
え?と聞き返そうとした唇が再び塞がれ舌が入り込んできた。
「んっ。」
反射的に逃げる舌を絡めとり重ねるように舐めると硬直していた松井の身体から力が抜けた。
だらりと座り込みそうになる身体を抱きかかえ歯列をなぞりまた舌を絡める。
男の唾液を喉に下すと、なんだかとても淫猥な行為に思われた。
ぼんやりとする頭で松井は妙な感覚に気が付いた。
熱を持った身体の中で下半身がより熱く、じわりと不快な感触で濡れてくるのだ。
意識の遠いところで『なにこれ?』と不思議に思うが、それはすぐに消されていく。
しばらくして唇が離れると、朦朧としたようにお互いを見るともなく見た。
32 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:27:53 ID:hYEY2Pfx
動かない松井に向けてにっこり仙道が笑うと、意識を取り戻した彼女の顔が一層赤くなる。
「…うわぁっやらしい…!」
「はは。やらしいね。」
未だ背に回る男の手を心地よく感じ、たくましい腕にそっと細い手を重ねてみた。
「?あれ?」
なにか太ももに感じる異物感に松井は視線を落とす。
仙道がやばいと気付いた時にはもう遅く、
彼女の目はズボンを押し上げるほど大きくなっている男のものに注がれている。
「これ…知ってる。あの、なんで?」
非常に答えにくい質問を悪気もなく聞く松井。
「なんでって…そりゃあ…。」
「え?キスで??」
「…ぅるせーな。」
あれだけで?と聞こえる言い方に赤くなり少しすねたように言う。
「へぇ…そうなんだ。あはは。うれしいかも。」
屈託のない笑顔と台詞にどきりとした男は、咳払いをすると顔を背けて目を閉じた。
今ここで最後までやる気はないのだ。精神統一をかねて自身を落ち着かせようと試みる。
「え?あれ。私変なこと言ったかな。」
天然もここまでくるとタチが悪い。
そっとしておいて欲しい仙道に手を休めることなく攻撃してくる。
「ごめんなさい。本当、思ったこと全部言っちゃうから。」
もうだめだ。
松井のこれでもかというほどの素直さに白旗を上げながらもう一度キスをする。
密着する体の間に手を入れて胸に触れた。
ビクリと身体が震え力が入る。腕に置いた手にも力がこもったのがわかった。
胸に触れた手に多少の力を入れるとそれにあわせて形が変わる。
もう片手は服の下から入れてブラジャーのホックを外す。
やっと仙道の唇から逃れた松井が焦った声を出す。
「ちょ、ちょっとっま、まっ!」
「待たないよ。」
「あ…ぅっ…んんっ!」
ただぶら下がるだけのブラジャーの中に両手を入れ、指に揺れた突起を転がし、擦り、軽くつまむ。
漏れてしまった自身でも知らない甘い声に驚き、身体も火がついたような熱を帯びる。
同時に今からどうなってしまうのだろうという不安もわいてきた。
「ふっぅぁ…あっ……い!!??」
「よっと。」
胸を弄っていた仙道は、突然思い立ったように彼女を肩に担いだ。
33 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:31:04 ID:hYEY2Pfx
「な、な、なに!?」
急に浮いた身体に驚き、力強く運ぶ男の背のシャツをつかむ。
スタスタと歩く足が止まり、身体に感じた軽い衝撃で目を閉じる。
気付くと一つしかない部屋のベッドの上に寝かされていた。
「あ…れ?一人暮らし?」
松井の質問には答えず、上にかぶさりながら笑う仙道はとても爽やかで、
先ほどまで強引に攻めてきていた男とは到底結びつかない。
が、その笑顔のままで当たり前のように行動を再開する。
薄着の松井の服をめくると、何も隠されることのなくなった胸があらわになった。
両手で胸を隠す彼女に目をやると今にも泣きそうになっている顔が映る。
「やっぱ無理っぽい?」
おそらく初めてだろう彼女が嫌だというのも無理はない。
笑顔を心がけて聞いてみる。が、表情に切なさが溢れている。
「もう本当無理、耐えられない。…こんな……は…恥ずかしくて…。」
(勘弁してくれー!!!)
大声で叫びたかった。
ちらちらと光る濡れた目と唇。口に手をやり眉毛を下げ、横に背けている顔は赤く艶かしい。
加えて恥ずかしいなどと言われては誘われているとしか思えないのだ。
いやわかる。相手は松井だ。誘ってるようで本気で嫌がっているのだ。
なんとか自分に言い聞かせ、身体を離すことを努力する。
「触ってもらえるのは…その…うれしいけど…。」
か細い声が仙道の鼓膜に到達した直後にわずかな理性も姿を消した。
「そんなんじゃやめらんねーだろ!」
顔を赤くして、もう止めることはかなわない自身を感じながらスカートの裾から手を入れる。
なぜまた始まったのか理解できないまま松井は身体を少し浮かし仙道の手を止めた。
「だめっ!ダメそこ!」
明らかに強い口調で言われ瞬間手が止まり彼女を見る。
「そこだけはダメ!わかんないけど…なんか、さっきから、その…。」
(マママジデー!!!???)
もじもじと足を摺り寄せる様に軽くトんだ仙道は松井の止める手を気にせずその中心部に触れた。
くちっ…
小さな音。だがはっきりと二人の耳に響いた。
「!!!ゃだ…。」
半泣きの状態で両耳を塞ぎ目を閉じる松井。
「すげぇ…かなり、濡れてるね。」
「やめて、やだ…本当無理…。」
背けた顔の下の白い喉が呼吸を繰り返すたびに誘うように動く。
34 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:34:27 ID:hYEY2Pfx
「こうしたらもっと…。」
触れる手を軽く上下に動かしてみる。
もはや下着の意味を持たないほど濡れたそこは動くたびに音がして男の指先を湿らせていた。
「んあぁっ…ひど、…ひどいぃっあぁっ!」
だんだんと大きくなる声が、動くたびに結んだ髪から香る甘い匂いが、仙道の思考をままならなくしていく。
下着を剥ぎ取るとそこは線を引くほどに濡れて、尻の方まで液が垂れているのが見えた。
静かに触れるとひだをなぞるように円を描く。
見ると松井は片手の甲を目に当て、耐えられない恥ずかしさを必死に抑えていた。
「この濡れ方半端じゃないよ。松井さんってやらしいんだね。」
からかうように言うとビクリと震えた松井から多く液が溢れ、仙道の指に伝わる。
「わ、どんどん溢れてくる。」
誰も触れたことのない桃色の部分は恥ずかしがる松井と対照的に物欲しそうに収縮を繰り返している。
たまらず口をつけ音を立てて吸った。
「ひぁっ!な…に…あっあっやだぁぁっ!!」
敏感な部分を舌の腹で包むようにして舐める。
逃げようとする彼女をつかみ同じ動きを繰り返すと自然松井の腰が浮く。
ゆっくり人差し指を入れると松井はがくがく反り返った。
すでに考えることができない松井は与えられる刺激を嬌声をあげながら受け入れるしかできない。
絶えず敏感な部分をゆっくり舐められ、中に入れられた指は次第にスピードを上げていく。
「あっあぁぁんっ!!やめっ……ぁっあっあっあぁ!!!」
一際高くなった声が途切れ途切れに叫びだし、仙道の腕をぎゅうっと握る。
呼応するように口に含む部分を強く吸い、指を増やして動きを早くした
「あ…あっ!!!や、ふぁ…あ…あぁぁぁあああああ!!」
ピンと伸びた肢体が、ビクンビクンと揺れる。
その姿を見て我慢していた仙道も耐えられず服を脱ぎ捨てる。
松井の意識がはっきりする前に彼女の服も脱がせ濡れてヒクつくそこに自分のものを押し当てた。
「え!?ぁっあ、んぅうっ…!」
充分に濡れて指で慣らしていたそこは達したすぐ後で力が抜けていたということもあって、
初めてにも関わらず彼女の中にズブズブと入っていく。
それでも辛そうにしわを寄せる眉間にキスをする。
35 :
仙道×松井:2006/12/30(土) 00:38:26 ID:hYEY2Pfx
「平気?」
「ん…。はぁっ…あ、きっつ…っ!」
「うん。今、全部入ってるよ。」
そう言うとゆっくりと動き始める。
先ほどの余韻が残る松井の身体がビクビクと痙攣を繰り返す。
「あっな、なんか変っあっやめ…あぁぁっ…!」
松井の中は何度も収縮して、肉が吸い付くように仙道のものに絡まり急激に射精感を高めていく。
「だめだ…松井さんの中気持ちよすぎ…。」
苦しそうにそう告げるとスピードを速め奥に奥に何度も突く。
初体験で時間をかけて挿入を続けるのは迷惑以外の何ものでもない。
それを仙道も心得ていたし、辛そうな松井を見ていると早く終わらせてあげたかった。
もうすぐイキそうだと感じたとき揺さぶられながら松井が男を見た。
「あ……せんどぉ…さぁ…ん。」
ヤバイ。
慌てて抜くと、同時に出てきた白い液体が松井の肌を汚す。
何度かに分けて出る液に背中を丸め身体を震わせながら仙道は少しショックを受けていた。
もう少しもつと思われた限界が松井から名前を呼ばれただけで、それだけでいきなりイッてしまった。
いや、あの紅潮した頬、一際甘い声、焦点の合わない目も限界を迎える要素になったのはもちろんなのだが
…いやだがしかし名前を呼ばれただけなのに…。
ぐるぐると考えながら動かない男をよそに、松井は腹に乗る液体に驚きながら上半身を起き上がらせた。
視線だけは液体を凝視している。
(本当にしちゃったんだ…。この人と。)
興奮して、気持ちよくなってくれた証なんだとそれを見ながらうれしくなってくる。
優しく頬に触れる唇の感触で仙道は我に返った。
こちらを見る松井が母親のような笑顔だったので、なんだか全て見透かされている感じがして恥ずかしい。
仙道は温かな感触が残る頬に触れながら、すねたような表情で顔を赤くした。
36 :
35:2006/12/30(土) 00:40:42 ID:hYEY2Pfx
おわりです。
エロ少なくて中途半端な終わりですみません!
でも、こんな長い文を読んでくれた人本当にありがとうございます。
それではみなさんよいお年を〜。
うわあ、考えたこともない組み合わせなのに、とってもそれらしかった!
職人様、GJです! そして、越野もGJ…!!
>マママジデー!!!??
ここにしょうもないぐらい笑ってしまった、神ごめんなさい
職人様GJでした!
ほんと意外な組み合わせにかなり萌えました。
職人様(´∀`)b グッジョブ!!
二人ともかなりそれらしいのに、この組み合わせに違和感感じることのない筆力に脱帽です。
想像もしたことない二人なのに
可愛すぎてどうしようかと思いました。
お前ホントいい事したぞ越野!
GJ!GJ!GJ!!
仙道萌え〜〜。
うわー新作きてたー(・∀・)
GJ!
あぁ天才 何て天才
職人様、ホント神。
そして越野、GJ!
44 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 00:22:47 ID:agvpOk1A
保守
職人様グッジョブ!
考えもしなかった意外な二人に激萌えでした。松井ちゃん可愛くて最高!
保守がてらに一つ書きました。
ばたばた書いたので妙なところも多いですが許してください。
47 :
三井×晴子:2007/01/10(水) 23:06:08 ID:gZintINb
目を開けた晴子に驚くべき状況が待っていた。
薄暗い部屋で間近にある三井の顔。
なぜか同じ布団で寝ている。
反射的に身体を離すと男のまぶたがうっすら開いた。
「…るせーな。みんな寝てんだぞ。」
迷惑そうなヒソヒソ声で言うと、また目を閉じる。
必死で状況を把握しようとする晴子の頭に昨日の記憶がよみがえってきた。
昨日はほとんどの部員がキャプテンの赤木の家に集まり騒いでいた。
ゲームなどをしていた部員もその内一人一人眠りだして…。
思い出した晴子の耳に部員のいびきや寝息が聞こえてくる。
「え?え?な、なんで三井さんと私が一緒に…。」
ぐるぐると回る疑問が思わず口に出た。
反応して、面倒臭そうな三井がまた目を開ける。
「布団ねーんだもんよ。あんなでかいやつらとは寝れねーし。」
少しだけ出した指でちょんと指した先に赤木や流川、桜木が見えた。
2人がいる位置は部屋の隅の方で部員たちとは少し離れている。
「いーから寝ろよ。赤木に気付かれたら俺殺されるぞ。」
(分かってるならなんで同じ布団で寝るのー!?)
あたふたする晴子を三井は片目を開けて見た。
「?お前緊張してんの?」
「そっそんなんじゃないです。」
男の小ばかにしたような言い方が引っかかってなぜか強く否定してしまった。
(緊張してます!そりゃあするでしょう!?近いんだもん!体温伝わってくるんだもん!!)
言えなかった思いをこれでもかというほど頭の中で叫ぶ。
「…なんだ。お前経験ねーのかよ。」
お茶を含んでいたらきっと晴子はお約束のように噴出しただろう。
「あ、あ、あ、当たり前でしょう!?」
かぁっと頬が色づく。眺めながら三井はまた馬鹿にしたように口の端で笑った。
「まぁずっと流川流川って言ってんだから当たり前かー。」
晴子は完全に目が覚めた。でも視界は目の前の男のせいでクラクラと定まらない。
「なぁ、それって欲求不満になんねーの?」
本当に疑問だと言わんばかりに不思議そうに覗き込む三井。
あんたそれしか頭にないのかと突っ込みを入れながら慌てて晴子が否定する。
48 :
三井×晴子:2007/01/10(水) 23:09:43 ID:gZintINb
「な、なりません!女なんだから!!なるわけないですよ!!」
「何言ってんだ女だって性欲あんだぞ。男より旺盛なすばらしい女もいるんだ世の中には。」
「うそばっかり。そんなわけないです。」
「あのな、やったら気持ちいいの男だけじゃねーんだぞ。むしろ女の方が気持ちいいらしいぞ。」
「えっ。そうなんですか?」
思わず喰らい付いてしまう。
三井はそんな反応を見逃さない。
周りに経験者がいないこともあって、彼女には性教育程度の知識しかなかった。
興味も人並みにある。
「お前だって欲求くらいあるだろ。流川にキスして欲しいとか触ってもらいたいとかって思わねぇ?」
「それは…。」
正直、思う。流川を想う度に触れられたいと願うが、
その都度なぜか悪い感情のように思いずっと押し込めていたことだった。
「だろ?」
晴子はなんだかぼんやりしはじめていた。
やんわりと言う三井の声に促されるように、小さくうなずく。
先ほどまで顔だけが熱かったのだが、今や身体全体が熱を帯びている。
自分でも否定していた思いを認めたことで少し興奮しているのだろうか、呼吸がかすかに荒くなった。
この暗闇と誘うような低い声が晴子の思考を奪い、彼女を素直で大胆にしている。
三井にとってそれは思い通りの展開だった。
経験のない女をその気にさせるのは簡単だ。
性欲に加わって興味もある。なまじ経験豊富の女よりガードが薄い。
「…お前興奮してんだろ。」
潜めた笑いまじりの声が妖しい響きを持つ。
「そっそんなことないです…。」
一瞬強めた口調が甘く消える。もはや何か期待しているとしか思えない。
女の唇が色濃くなる。同時にとろりと潤んだ瞳、耳に響く小さな吐息に三井の鼓動も早くなってきた。
部屋に寝息とは別の2人の抑えた呼吸が混じる。
シンとする部屋で、「う〜ん。」と言いながら寝返りをうった誰かに、
晴子は身体をビクリと震わせそちらを見た。
ひどくイケナイことをしている気がする。
ちらりと流川が視界に入り急に沸いてくる罪悪感。
それとは逆に余計興奮してしまう自身に小さく驚いた。
49 :
三井×晴子:2007/01/10(水) 23:15:25 ID:gZintINb
「どれ。」
「ぇっ?んっっ!」
のんきな三井の声が響いたと思ったら突然無骨な指がスカートの裾から入り、晴子の中心部を下着の上から触れた。
反射的に足に力を込めるが、男の指は止まることなくそこを押し付ける。
「おぉ。しっかり興奮してんじゃねぇか。」
くくっと笑う声と同時にぬるぬると下着越しに指が動く。
「やっ。…ぁ…三井さ…、やっ止めてください…!!」
「静かにしとけよ。気付かれたらヤベーから。」
ドキリとして身体を硬直させた。ふいに頭に流川が浮かぶ。こんな所絶対に気付かれたくない。
「分かるか濡れてんの。興奮すると女はこーなるんだ。」
授業のような口調でからかうように言いながら、逃げようとする彼女を抱き寄せて身体を密着させる。
快感に耐える晴子を見つめる様は、まるでおもちゃでも眺めるように楽しそうだ。
どうにか声が漏れないように布団の中に頭を入れると、自然三井の胸にうずくまる体制になる。
「お前こんなんでよがってたらもたねーぞ。」
そう言うと下着の上から手を差し入れる。薄い毛を掻き分けて辿り着いた先を、粘液でまみれた指で軽く擦った。
「んぅぅっ!!はぁっ…!!」
「気持ちいいだろ。ここが一番感じるとこ。」
三井の手首を握っていた晴子の手が、すがるように男の腕を握り締める。
動くたびにビクビクと揺れる細い身体。
布団にもぐる晴子の耳に、かすかな水音が聞こえてきた。
「んっ…んっ…!」
「がんばれよ。声出すとばれるからな。」
人事のように笑いながら指の動きを早くする。
「んー!!〜〜〜〜〜!!!」
波のように押し寄せてくるものから逃げるように小さな肢体を伸ばす。
が、変化に気付いた三井が下着からあっさりと手を抜いた。
「お前早いよ。そう簡単にイかせるか。」
「…ぇ…?」
ぼんやりと見上げると意地悪く笑う男の顔があった。
「!?きゃっ…!」
突然上の服をブラジャーごと胸の上までたくし上げられて晴子は小さく悲鳴を上げた。
「あ。思ったよりでけぇ。」
慌てて隠そうとする手を押さえながらじっくりと眺める。
50 :
三井×晴子:2007/01/10(水) 23:25:12 ID:gZintINb
男の目の前の白い胸が、ホックを外されてないブラジャーのせいで窮屈そうに形を歪ませていた。
気付くといつのまにか男が覆いかぶさる体勢になっている。
もし今部員が目を覚ましたら、必ずばれるだろうというほど不自然に布団が盛り上がっている。
が、もはやそこまで考えられないほど2人の思考は鈍っていた。
三井が桃色の頂点を口に含むと、甘い吐息が女から漏れる。
温かな舌がくるりと乳首の周りをなぞると全身が痺れるような感覚がした。
弄られているのは胸なのに、呼応して溢れる下半身の液体が下着を通り越し柔らかなももを伝う。
先ほどまで触れられていた部分がたまらなくうずいてきた。
晴子の思いがわかるのか、依然乳首を舐めながら男の指が足の付け根へと移動した。
下着を脱がそうとすると、晴子は静かに腰を浮かしそれに協力する。
三井の指があらわになったそこに触れるが、女はまるで抵抗しなかった。
上体を起こした男は満足げに微笑み晴子の紅潮した顔を眺める。
「えらく素直だな。どうした、弄ってほしかったか?」
これ以上ないほど眉を下げた彼女は恥ずかしそうに唇を噛む。
だがもう一度ちらりと男を見て、視線を逸らしながら小さくうなずいた。
かわいらしいその様が、三井の中の感情を昂ぶらせる。
(あ…。キスされちゃう。)
静かに近づいてくる男に気付きぼんやりとそう感じる。
きりりと胸が痛んだ。こんな時になって流川の顔がよぎる。
まるで気持ちがない三井とこのような状態になっていて、
今更どんな顔をして流川が好きだと言えるだろう。
諦めにも近い思いで目を閉じる。
(?あれ?)
何も起こらない。
不思議に思い目を開けると、三井の困ったような笑顔が映る。
そのまま男は肩をすくめて彼女の丸い額に軽くキスをした。
「あっ!」
突然再開された下半身の刺激に、思ったより大きな声が出たが幸い誰も気付く様子はない。
敏感な部分には触れず、ひだをなぞり焦らす。すぐにまた大量に溢れてきた。
小さな両手で口を押さえ、必死に声を抑えている。
「お前本当感じやすいな。すげぇエロい。」
言いながらゆっくりと人差し指を中に侵入させる。
「!?ぅぁっ…はっ…んんっ!!」
指一本の挿入でも苦しそうに唇を噛む晴子。
51 :
三井×晴子:2007/01/10(水) 23:28:15 ID:gZintINb
小さくかき混ぜながら敏感な部分を同時に弄る。
「ふぅ…ぅ…んっはぁっ!!」
「一緒に弄られるとちょっとイイだろ?」
顔を背けた女の耳に大きくなった水音が響いてくる。
「はっ、ぁっぅぅん…あっっ!」
「おー。気持ちよさそうだなぁオイ。部員いるのにそんな感じていいのかよ。」
「ぅっ、あっ、あ…み、三井さんなんか…きら…いっ…!っっ!」
「なぁにが嫌いだ。こんだけよがっといてよく言うぜ。」
そう言いながら指の動きを早める。
「あっあっなんか変っ…だめっ…だめぇっ…」
「…ほら。ちょっとこれ咥えてろ。」
布団を晴子の口に持っていくと、漏れる声を押し込めるように強く噛んだ。
「一番やらしいとこ見せろよ?見ててやるから。」
変わらずからかうような声が聞こえた。
白いもやが全身を覆うように侵食し、意識がどこか遠くへ飛んでいく。
薄れる視界に、静かな男の顔が映る。
ゆっくりと閉じたまぶたに残る、意地悪だがどこか優しい笑顔も
消える思考と共に柔らかく消えた。
52 :
三井×晴子:2007/01/10(水) 23:32:06 ID:gZintINb
「や、やっちゃった…。」
頭の冴えた晴子はひどく落ち込んでいた。
流川を好きな気持ちは確かなのに三井を求めた自分が信じられない。
明らかに呆然とする晴子を見ながら驚いたように三井が言い返す。
「やってねーだろうがよ!お前俺がどんな思いで我慢したと思ってんだっ。」
不機嫌そうな三井を見ながらため息をする。
「うゎ。マジでかわいくねぇ。あっお前キス嫌がっただろ。俺アレも我慢してやったんだぞ。」
「え?」
晴子は少し驚いた。
キスに躊躇したことを口にも表情にも出さなかったが、三井はそれを見抜いていたらしい。
「くっそーイラつく。無理矢理してやろーかコラ。」
「ちょ、ちょっと三井さんっ!!」
ふざけて覆いかぶさってくる三井の顔を突っぱねる。
慌てる少女を見ながらイタズラする子供のように笑う三井と、また大きなため息をつく晴子。
「あぁ〜でもキスよりもっとすごいことしちゃったんだもんなぁ…。」
「?なんだよそれ?」
きょとんとする三井を恨めしそうに見る。
肘を曲げ手枕で横になった三井は空いた手で視線の先にある晴子の髪を撫でた。
「お前さっきのこと言ってんの?」
晴子の身体がビクリと震え、みるみる顔が赤くなる。
「ばっか。お前ばか。キスの方がどう考えてもすげぇだろ。」
「えっ?」
意外な返答に彼女は男に向き直った。
三井は髪を撫でる手を止めることなく淡々と話す。
「いいか、キスってのは愛情だぞ?性欲がありゃセックス出来るけど、
キスとか手つないだりとかは愛情がないと出来ないんだぞ。どっちかっていうとスキンシップだし…。」
「あ。」
そう言われてみれば…だったらキスを躊躇ったのに三井を求めてしまったのも納得がいく。
「さっきのなんてただの性欲処理だろ?お前俺使って一人エッチしたんだぞ。」
「な、なんてこと言うんですか…。」
慰めるために言ったのか、本気で言ったのかは定かではないが、
それでも晴子の落ち込んだ気持ちが少し晴れた。
ホッとしたと同時になんだか眠くなってくる。
「疲れたんだろ?今日のこと、忘れてやるから何も心配しないで寝とけ。」
心地よい手が優しく撫でるたびに眠くなってくる気がする。
53 :
三井×晴子:2007/01/10(水) 23:34:27 ID:gZintINb
(そっかぁ。じゃあ流川君好きな気持ちもウソじゃないんだぁ。キスは愛情…。)
まぶたの重さに耐え切れず目を閉じる。
(あれ…じゃあなんで三井さんキスしようとしたんだろ。)
ぼんやり彼女の脳裏を掠めた疑問も、やがて夢の中へと溶け込まれていった。
次の日慌てて起きた晴子だったが、心配していた三井の姿は隣になく静かにホッとした。
一人一人と起き出した部員の中に混じる三井が、目が合った途端不自然に顔を背ける。
その頬が赤くなっているのに気付いて晴子もつられて赤くなった。
(え?え?あれ??)
激しくなった自身の鼓動を不思議に思いながら、彼女は熱い頬を両手で押さえた。
54 :
53:2007/01/10(水) 23:39:02 ID:gZintINb
終わりです。無理矢理ですみません。
読んでくれた方、本当にありがとうございました。
あと、流川×彩子の続き楽しみに待ってます!
他の職人さんも本当たくさん来てください!!待ってます!
大好きな組み合わせだけど、今回は三井鬼畜か?と思ったら…
やっぱり三井いい奴!!
職人様、GJでした!
うわあ不意打ち神乙!!
よがる晴子が容易に想像できました、クオリティ高い。GJ!
職人様ъ(´ι _` ) グッジョブ!!
∩
( ⌒) ∩_ _グッジョブ !!
/,. ノ i .,,E)
./ /" / /"
_n グッジョブ!! ./ /_、_ / ノ'
( l _、 _ / / ,_ノ` )/ /_、 _ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` )( /( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ ヽ |  ̄ \ ( E)
/ / \ ヽフ / ヽ ヽ_//
私もグッジョブ隊に入れて!
グッジョブ!! ∩ ∩
_ _∩ (⌒ ) ( ⌒) ∩_ _ グッジョブ!!
(ヨ,,. i | | / .ノ i .,,E)
グッジョブ!! \ \ | | / / / /
_n \ \ _、 _ .| | / / _、_ / ノ
( l _、 _ \ \( <_,` )| | / / ,_ノ` )/ / _、_ グッジョブ!!
\ \ ( <_,` ) \ ノ( /____( ,_ノ` ) n
ヽ___ ̄ ̄ ノ | / ヽ | __ \ l .,E)
/ / / / \ ヽ / /\ ヽ_/ /
すっごく良かったです!!
続編で、三井の性欲処理をする晴子ちゃんも是非書いて下さい!!!
GJすぎる!
この後良思いになってエッチ→本番中キスしようとして躊躇う三井→晴子からキス
とか妄想爆発してしまった。
>60
なにその甘〜〜〜〜い展開(*´Д`)ハァハァ
みっちゃあ〜〜〜ん GJ!
保守
悪い男だなーみっちゃん。こんな展開、好きになっちゃうだろ?!GJGJGJ
女の絶頂の瞬間がわかる親父三井、きもいかも・・・。
66 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 00:46:16 ID:gXp00eUp
保守
67 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 11:57:33 ID:QCCYj8Ea
桜木、主人公なのに全然、このスレでは出番がないなあ。
桜木って使いにくいでしょ。キャラ的に。
桜木って絶対に一回は何かヘマをやらかしてしまいそう。
そうなると一気にギャグになってしまう。
かと言って女の扱いに手馴れた男が、桜木と言えるのだろうか?
こう………桜の木の下で春子との甘酸っぱいチューとか可愛いな。
遠目だと花吹雪で相手の顔がよく見えないんだよな
もうすぐ春ですね
>>71 "春"子にかけたんじゃないかな?
久しぶりに漫画読んだら、やっぱ仙道もゆる
彩子さんにペット扱い(バター犬?)されてる桜木とかは?
確かに桜木はリードするよりされる側だから
晴子とは話が進まなさそう。
保守
保守するくらいなら雑談しよう。
そういや、松井ちゃんや藤井ちゃんは晴子の中学時代からの友達なんだよね?
ってことは、その前の小学校や幼稚園から一緒って可能性も有るのか。
と、なると、友達のお兄さん(ゴリ)ともいい加減、顔見知りだったりするよね。
…ゴリと付き合うって可能性はないものかな。
むむ、ゴリは俺には想像出来んな……それだったら友達の妹って繋がりで、
メガネ君と晴子の方が個人的にはスムースに思い浮かぶかな。
しかし本当に女っ気の薄いこと、まるで修行僧のようだぜスラダンの男衆……。
保守ついでに叫ばせろ!
俺は、いついつまでも、流川×彩子を、お待ち申し上げて、おりますぞ!!!!!
はやく職人さん帰ってこねえかなorz
79 :
彩子×花道 1:2007/02/04(日) 06:12:13 ID:MgypTjl1
突然ですがちょっと上のレスにヒントもらって花道ものを書いてみました。
台詞より心情メインなので読みづらいかもしれません。
しかも長いです。ご容赦を!
―――夏の暑い日差しの中、彩子は体育館へと向かって走っていた。
今年はインターハイへ出れることもあって、バスケ部はいっそう活気付いている。
それに負けないくらい彩子も張り切っていた。
『今年は全国制覇できるかもしれない!』
そんな期待のできるメンバーがようやくそろったのだから無理もない。
頼れる赤木キャプテン、かなりやんちゃな三井先輩、チビで自信家だけど実力もあるリョータ
無口で無愛想だけど抜群のセンスでチームを引っ張る流川。
それに・・・問題児軍団でも一番の問題児、桜木花道。
この5人がそろえば怖いものなんてない・・・と思う。
「チュース!みんな張り切って練習練習!」
今日もハリセンを手にいつもどおりのスパッツ姿で体育館へ足を踏み入れると
早速、桜木花道がリョータと喧嘩している。どうせ原因は他愛もないことだろう。
ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人の顔面にハリセンチョップを喰らわせる。
「痛いよ・・・アヤちゃん・・・」
「フンガッ・・・彩子さん・・・」
「まぁ〜たくだらないことで喧嘩してんでしょ!今日の原因は何?」
「え・・・。それは・・・。」
床に伏せ、涙目で鼻の辺りを押さえながら文句を言う二人を見下ろしながら
ふぅ。とため息をつく。
なんだかはっきりしない2人に業を煮やして、周りでおろおろしているヤスに目線だけで
答えを促すが、ヤスもあわてて目をそらすばかりで答えが出てこない。
他のメンバーもそう。
「ったくぅ。・・・まぁ、いいわ。さぁ、張り切って練習するわよー!」
『ウーッス!』
とりあえずわらわらと体育館のあちこちに散らばってウォーミングアップをこなしていくメンバーたち
それなのに問題児の桜木花道だけがじーっとこちらを見ている。
80 :
彩子×花道 2:2007/02/04(日) 06:14:54 ID:MgypTjl1
「・・・なによ。桜木花道?」
「いやぁ。彩子さんは女ゴリだなと思って。」
「なんだそりゃ!」
失礼なことを言う桜木花道にバシッとハリセンチョップを再度くらわして
耳をつかみズルズルと体育館の隅っこへ引きずっていく。
「あんたねー。くだらないこと言ってないで基礎をしっかりやりなさい。」
「ぬ・・・。」
バシバシとハリセンを振るいながらボールを押し付けてドリブルの基礎から始める。
入部してからわずかの間にこいつもずいぶん上達したもんだ。と考えながらじっと
桜木花道を観察してみる。
まずは頭。なかなか眼光鋭くて整っている顔。赤くて丸いボーズ頭には閉口するけど、キャラにはあってる。
次に上半身。たいしたスポーツもやってないのにきれいに筋肉がついてる。喧嘩のせいかな。
腕も程よく長くて手も大きい。こんだけ大きな手ならどんなボールもつかめそうな気がする。
さらに下半身。引き締まった腰とすらりと伸びた足。ものすごい瞬発力で一瞬にして誰より高い場所まで飛ぶ。
あの赤木先輩ですらあんなに高くは飛べないのに。
今はいてるバスケシューズは新しいもの。この間晴子ちゃんと買いに行ったらしくて浮かれてたな。
「・・・サン・・・彩子さん!」
「え?あぁ!もう終わったの?」
「とっくに3分過ぎてる。」
「あぁぁ。ゴメンゴメン。じゃ次は左ね。」
じーっとみつめてて時間があっという間に過ぎてた。
なんでかな。この子は人をひきつける。
「・・・・俺に惚れたな?」
「なんでだ!」
「フガッ!ぬ・・・!」
ぼそっとつまらないことを言う声にびっくりして反射的にハリセンをお見舞いする。
恨めしそうにこっちをみる桜木花道がなんだか面白くてまた叩きたくなる。
・・・・・ひょっとしてあたしってS?・・・いや、そんなことない・・・はず。
でもクラスの友達には『彩子はS』って言われてる。なんでもリョータに対する態度がそう見えるらしい。
リョータのことは嫌いじゃない、でも恋愛対象ではないからつい素っ気無くしちゃうんだけど
それがよくないらしい。
81 :
彩子×花道 3:2007/02/04(日) 06:17:52 ID:MgypTjl1
悶々と妙なことを考えてたら桜木花道に突然肩を叩かれた。
「彩子さん。顔赤くなってる。」
「え?」
「やはり俺に惚れたな?ププッ」
からかわれて頭にきたあたしは本日4度目のハリセンチョップを繰り出す。
今まで手には持っていたけど、実際に使ったのは桜木花道が入ってきてからのような気がする。
まぁ、先輩相手に叩くわけにいかないし、他のみんなも真面目だからね。
桜木花道と流川が入ってしょっちゅう殴り合いの喧嘩が増えたからかな。
大概は赤木先輩の鉄拳が飛んで終わるけど、いない時の仲裁はあたしがしてる。
年下だからつい気安く手が出るのかもしれない。気をつけなきゃ。
あとはこの子がつまらないこと言わなければいい。・・・でも、それは無理か。
気合の入った練習が終わって後片付けしながら、また始まった三井先輩と桜木花道の喧嘩をぼんやり見つめる。
そこにリョータも加わって殴りあいが始まった。
あの3人も仲がいいんだか悪いんだか。喧嘩するほど仲が良いってことかな。
あぁ、また桜木花道の頭突きが・・・見てる分には面白いけどほどほどにして欲しい。
「さぁて、桜木花道!基礎やるわよ!」
「ぬ・・・?またか・・・。」
「なにぃ?アヤちゃん直々のトレーニングに文句あんのかコノヤロー!」
レギュラーとして試合に出られるようになった今も、基礎練習を義務付けられている桜木花道。
ぶつぶつ文句を言う桜木花道にリョータの必殺とび蹴りがヒットして再び喧嘩になる。
赤木先輩は今日は用事があるといってさっき出て行ったからこれをとめるのはあたしの役目。
他のメンバーは流川を除いてとばっちりを受けないように遠巻きにみてる。
「コラコラ!その無駄な体力を基礎練に向けなさい!」
バシバシッといい音で鼻っ柱にヒットしたハリセン跡を、手で押さえてうずくまる2人
周りのみんなに目配せしてリョータを体育館から引きずり出し、鍵をかけるとようやく桜木花道と2人きりになった。
82 :
彩子×花道 4:2007/02/04(日) 06:19:32 ID:MgypTjl1
「イタイッスよ彩子さ〜ん。」
まだ涙目で文句を言う桜木花道にボールを押し付けてボールハンドリングを促す。
渋々やり始めたのを確認してストップウォッチを押す。
今日もすごいスピードでボールを操ってる。これじゃ疲れるだろうに。
「フンフンフンフンッ!フンフンフンフンッ!」
「コラコラ!やりすぎだ!」
体力があまっているせいか、あまりにスピードを出しすぎて息切れしかかっている桜木花道を
ハリセンチョップでとめてストップウォッチをとめる。
「ぜぃ・・・ハァッ・・・。」
練習後に一度拭いた汗がまただらだらとたれている。
先ほどの練習で汗を吸い込んだタンクトップはとうに脱ぎ捨てていた。
うなじを流れる汗が色っぽい。
・・・はっ!なに考えてるんだあたし!?
いつもならそんなことは考えないのに、今日はなんだかおかしい。
また涙目でこっちを見ている桜木花道に胸がときめく。・・・あたしヤバイ?
「彩子さん、また赤くなってる。」
「そんなことないわよ!ほら少し休んだら練習練習!」
「ふぬ・・・。」
「とりあえず、これで汗拭きなさい!」
座りこんでる桜木花道の広い背中にタオルを放り投げて、後ろから汗を吸い取ってやる。
ひざ立ちして抱きかかえるように首の周りの汗もぬぐっていると
桜木花道は固まったように動かない。よくみると耳が赤くなっている。・・・あれ?
ふと気づけば桜木花道の背中にあたしの胸があたっていた。
なるほど。女の子に免疫がないから照れてるんだ?
ちょっとからかっちゃおうかな。さっきの仕返しだ。
83 :
彩子×花道 5:2007/02/04(日) 06:21:29 ID:MgypTjl1
「桜木花道?どうしたの?」
わざと耳に息を吹きかけながら、ぎゅっと首に腕を絡ませる。
もちろん胸もしっかり押し当てて。
そしたら痙攣したようにびくりと体を震わせてさらに体を硬くする。
「いや・・あの・・・。」
「ん〜?どうしたの〜?」
しどろもどろで搾り出すように返事をする桜木花道が面白くて、今度は耳を軽く噛んでみた。
そのままゆっくり耳たぶを舐めて、うなじにも舌を這わせてみる。汗のせいでしょっぱい。
それだけで桜木花道はカチンコチンに固まってしまった。
「桜木花道?」
立ち上がって前へ回ると半ば放心状態になっている。ちょっとからかいすぎたかな?
でも、もうちょっと・・・。
自分でもなんでこんなに面白いのかわからないけど、想像通りの桜木花道のリアクションがうれしい。
キスしたらどんな顔するのかな?
チュッと軽くほっぺにキスしてみる。まだ放心してる。
今度は唇に軽く音を立ててキス。まだ戻らない。
さらに唇に口付けて薄く開いた唇の間から舌を入れてみる。ゆっくりと歯列をなぞったり舌を絡めていると
不意に意識が戻ったのかビクッとして、顔を後ろへのけぞらす。
「なななな・・・なにしてるんすか!」
「え?キスよ?」
真っ赤な顔で口を押さえて後ろへ後ずさる桜木花道に平然と答えを返す。
きっとこの子の頭の中はハテナでいっぱいだろう。やっぱり予想通りだ。
「もしかしてファーストキスだった?」
「くぁwせdrftgyふじこlp;@〜〜〜!」
図星を指されて言葉も出ないのかブンブンと縦に首を振る桜木花道。
あたしはさぞかし意地の悪い顔しているんだろう。でも、もう歯止めが利かない。
84 :
彩子×花道 6:2007/02/04(日) 06:23:27 ID:MgypTjl1
「これ以上のこと興味ある?」
ゆっくりと桜木花道に近づいてそっと手を差し伸べる。
もう言葉も発することができないほど引きつって必死に横に振る桜木花道の顔を
しっかりと両手ではさんで自分から口付けた。
むりやり唇をこじ開けて舌を絡める。
わずかに抵抗してきた手があたしの胸に当たってびっくりしたように引っ込められる。
気づけばあたしは桜木花道の上に馬乗りになっていた。
桜木花道の腰に乗っかっているあたしのお尻。
その下で硬くなったモノがビクビクしてる。
じたばた動く足の振動で微妙に擦れて、なんだかあたしもむずがゆい感じがする。
ようやく唇を開放したときには桜木花道の顔はユデダコみたいに赤くなっていた。
「ふふっ。かぁわいい♪」
「ああああ彩子さん、俺・・・」
恥ずかしげに顔を背ける桜木花道がかわいくって、何度もほっぺや首筋にキスをする。
自分が動くたびに当たるモノに刺激されてあたし自身高まっていく。
布越しの感触がひどくもどかしい。
わき腹の筋肉の薄いところに軽く爪を立ててひっかくと、面白いほどビクつく。
端正な顔が快楽と苦痛でゆがんで、いつも騒がしい唇は声を出さないように必死で噛み締められている。
もっとこの顔がみたい。
この子はどんな声を出すんだろう。
あたしの中の嗜虐心に大きな灯がともる。
85 :
彩子×花道 7:2007/02/04(日) 06:25:51 ID:MgypTjl1
「桜木花道、触ってみる?」
桜木花道の大きな手をとり、無理やりTシャツの下のあたしの胸に触らせる。
バスケットボールすらも掴んでしまう手にはあたしの胸は小さすぎる。
これでも自信はあったんだけどな。
自分の手を重ねて上から揉むようにしてやると、ぎこちない手つきで揉み始めた。
多分初めて触るんだろう。
次第に真剣な表情になり、手のひらの感触を楽しむようにやわらかく揉んでいる。
まるで初めて与えられたおもちゃを、珍しげにいじっているみたいだ。
刺激を受けて立ち上がった乳首を、ブラ越しに軽く爪で引っかかれると気持ちがいい。
自分でブラのホックをはずして、Tシャツとともに脱ぎ去ると、桜木花道の顔は再び赤くなった。
でも手はそのままだ。
手の中で自在に形を変える胸を楽しんでいる。そんな気がした。
あたしは相変わらずお尻の下で自己主張しているモノに手を軽く沿え、ゆっくりと上下にさすってみる。
途端にびくりと体を震わせて、また顔をゆがめる桜木花道。
手も胸から離れてしまった。
「どう?気持ち良い?」
噛み締めた唇からどんな声が出るかと期待して声をかけるが、唇は硬く閉ざされたまま。
ちょっと悔しくなったあたしは体の位置をずらし、短パンに手をかける。
あわてて止めにきた手を払いのけてそっと中のモノを取り出すと、それは熱く脈打っていた。
「大きいわねぇ。」
「!?」
素直に感想を述べながら指先でなでる。
動揺しまくって声も出せないのか無言のまま手で隠そうとするのを
目で制し、大きく口を開けて喉の奥まで飲み込む。
さすがに大きすぎて全部は無理だった。
「あぁぁぁっ!」
背中をのけぞらせて大きく声をあげる桜木花道の腰を抱きかかえ、舌を絡ませながらゆっくり上下に動く。
口の中でビクビクと跳ね回るモノが愛しくて、丁寧に舐めあげる。
そのたびに上がる声がうれしい。
根元を指でしごきながら頭を上下にゆすってやると、桜木花道の声が一段と大きくなった。
「あ・・・彩子さんッ・・・・も・・・出るッ!」
そうして口の中で桜木花道は果てた。熱い精液が喉の奥に流れ込んでくる。
決しておいしいとは言えないけど、一滴残らず飲み干した。
86 :
彩子×花道 8:2007/02/04(日) 06:28:52 ID:MgypTjl1
ハァハァと肩で息をしながらぐったりしてる桜木花道を見て、あたしは満足していた。
いつも生意気な後輩を征服した。
それだけで心は十分満たされた。
でも、体のほうはそうじゃないらしい。
さっきまでの胸への刺激と口での奉仕のせいか、履いているスパッツが濡れている。
頭は冷静なのに体の奥がジンジンとしびれている。
これはすぐには収まらないかも。
あたしは仕方なく自分でスパッツと下着を脱ぎ捨てて、まだ放心している桜木花道にまたがった。
濡れたあそこを桜木花道のモノに擦りつけると、愛液がぬるぬるして気持ちがいい。
その刺激で、桜木花道のモノがまただんだんと硬くなってきた。
張り詰めたモノがクリトリスを刺激して、しびれるような快感を生んでいる。
「入れるわよ。」
新たな刺激に顔をしかめている桜木花道にそう告げて、少し腰を浮かし、あてがうとゆっくりと腰を下ろす。
肉壁をかきわけるようにして入ってくるモノに、あたしは思わず目を閉じて息を呑んだ。
やがて全部があたしの中に納まったころ、目を開けると桜木花道はちょっと涙目になっていた。
その目があたしの中に、再度火をつける。
最初はゆっくり焦らすように腰を動かしてやる。
それだけで達しそうになる自分をこらえて桜木花道の首を抱き寄せた。
均整のとれたたくましい胸が激しく上下に動いている。
次第に腰の動きを早めながら、目の前で半開きになっている唇を奪い、舌を絡ませる。
時折キスの場所を変えると、開放された唇から絶えず吐息と小さな声が漏れる。
眉根を寄せ苦しそうな桜木花道の表情を見て、あたしの中の何かがはじけ飛んだ。やばい。
激しく腰を揺り動かし一気に高みへと上り詰めていく。
「あぁっ・・・イクッ・・・!イッちゃう!」
「彩子さんッ!」
限界に達したのか桜木花道が自ら腰をつき上げてくる。
あたしは振り落とされないように首に抱きつく。
両手でしっかりとあたしの腰を掴んで、ありったけの欲望を中に吐き出す。
それと同時にあたしは絶頂を向かえ、頭の中が真っ白になった。
87 :
彩子×花道 9:2007/02/04(日) 06:31:06 ID:MgypTjl1
「・・・サン!彩子さん!」
「・・・・・・う〜ん・・・?桜木花道?」
あれからあたしは少し気を失っていたらしい。
目を開けると、心配そうに覗き込む桜木花道の顔があった。
手を借りて体を起こし、腰を浮かせると白濁液がずるりとたれてくる。
あわててタオルでそれを拭きとって、どうせ後で着替えるが一応服を着た。
桜木花道もパンツと短パンを元に戻して気まずそうにしている。
多分、それは後悔の表情。その顔を見てあたしの心がちくりと痛んだ。
「さぁ、着替えて帰るわよ桜木花道!」
「彩子さん・・・俺・・・。」
「ん〜?なに?」
何か言いかけてうつむく桜木花道のお尻をバシッと一発叩いて、あたしはつとめて明るく言い放つ。
「あんたが反省する必要はないのよ、桜木花道!あたしが最初に仕掛けたんだしね。」
「ぬ・・・。」
「なに?それともあたしが相手じゃ不服だった?」
「いいいいや!そんなことは!!」
全力で否定して、慌てて体育館の床を掃除し始める桜木花道の広い背中。
あたし、もしかしたら桜木花道が好きなのかもしれない・・・。
そう気づいたけど、本人には言わないでおこう。悔しいから。
―――やっぱりあたしってS・・・なのかもしれない。
〜fin〜
以上です。4であげちゃったことをお詫びしつつ。
読んでくれた方ありがとうございました。
改めて見直してみたら、やっぱり見辛いかも・・・_| ̄|○ <ゴメンナサイ
ではお目汚し失礼いたしました。ノシ
乙です。
これからまったり読みます♪
彩花(´∀`)b グッジョブ!!
なるほど、桜木に弄られる側はハマるな。
>79-87
(・∀・)テラエロス!!
彩子さんも花道も性格そのままで、違和感ないし
文章も上手くて、読みやすいです!
涙目な桜木に.萌えた
94 :
花道×晴子:2007/02/06(火) 08:14:50 ID:6n99WBRX
「最近寒いよね。まだ十一月なのに」
「ああ、もう冬が来たみてーだなぁ」
「私まだね、夏が終わったのがつい昨日みたいな気がするの。……悔しいからかなぁ、それって」
「うーん、悔しいっていうか、まだ燃えたりないってだけじゃないかな?」
「そうかな?」
「うん」
「なら、そうなのかな」
桜木の退院を一週間後に控えた日のこと。
晴子は部活終了後の帰路を洋平と共にしていた。
普段は途中までは彩子と、最寄り駅からは一人で帰るのだが(たまに心配してくれた兄が迎えに来てくれたりもする)、今日は洋平が校門で晴子を待っていたのだった。
(一緒に帰らない?)
少し驚いたが、断る理由なんてなかった。
晴子はうん、と頷いて洋平と帰ることにした。
晴子は気にも止めなかった。
何故このタイミングで、洋平が自分に声を掛けたのかということに。
「……ねぇ、晴子ちゃん」
他愛ない話の途中だった。
洋平が不意に足を止め、晴子を引き止めた。
「どうしたの? 洋平くん」
「アイツが……花道が、あの試合で言った言葉覚えてるか?」
「え……」
あの試合とは、山王戦のことだろうか。
何故いきなりそんな話を? もちろん、花道が何を言ったのかは覚えているが。
「『バスケットが大好きです』でしょ? うん、ちゃんと覚えてる。
……あの時の桜木くんには、ドキッとしちゃったな」
「……それだけじゃ半分、だな」
「え?」
(半分? 正解じゃ、ないの?)
晴子は目をパチパチと瞬いて、洋平を見つめる。
ふと、洋平の顔は今まで見たこともないような真剣な表情になっていた。
95 :
花道×晴子:2007/02/06(火) 08:17:32 ID:6n99WBRX
凄みすら感じるような。
「――晴子ちゃん」
晴子の顔から微笑みが消える。
「何……?」
「アイツは、『今度は嘘じゃない』って言った。覚えてるか?」
「あ……、うん」
今度は嘘じゃない。
そうだ。あの時、花道は確かにそう言った。
けれど、それがどうしたというのだろう。
晴子は洋平の視線を受け止めながら、どう答えればいいのか分からず、立ち尽くした。
「……本当は、部外者の俺が言うことじゃねーンだけど」
「……」
「アイツは『今度は』って言ったんだ。最初は嘘だった、分かる?」
「……うん。分かるわ、それは」
「じゃあ、その理由は?」
初めてあった日、花道がバスケを大好きだと言っていたこと。
自分を経験者だといったこと。
それが嘘だったことは、晴子にも分かっている。
花道のプレイは、最初からあの日まで、経験者のそれではなかった。
花道は嘘を吐いていた。
それは、何故?
彼の退院は一週間後、洋平は「部外者」ということ、最初からあの日まで続いた『嘘』。
全ての点は線を成して繋がっていく。
「……俺はさ、」
「……」
「二人が好きだよ。二人とも、見てて危なっかしいけど」
「……何それ、酷いわ」
「ハハ、わりぃ」
答えが何かなんて、もう聞かなくても分かっていた。
96 :
花道×晴子:2007/02/06(火) 08:19:30 ID:6n99WBRX
冒頭だけなんですけど、私的本命の花晴を投下させていただきました。
時間はかかるかと思いますが、なんとか完成させていこうと思います。
ここは神職人ばっかりでレベル高くて緊張しますが…
少しでも目を留めていただければ幸いです。では。
花道、再度主人公でktkr!!
続きワクワク (0゚・∀・) テカテカ
wktkでお待ちしてます!
うおおおおおっ、
一番難易度高いカップルキター!!
二人とも好きなんでマジ嬉しい。
続き楽しみにしてます!
花晴の方、がんばってください!楽しみにしてます。
投下までのお目汚しに、花道と藤井さんを書いてみたのでどーぞ。
エロなしチューのみ、しかも長いです。先に謝っておきます、ごめんなさい。
「ねぇ、今日もバスケ部観にいかない?」
帰ろうとしている私と松井さんに屈託のない笑顔で晴子が声をかけてきた。
ここのところ日課のように顔を出しているバスケ部には、流川君っていうすごい選手がいる。
晴子の目当ては彼のプレイをみること。
もともとお兄さんの影響で中学のときには、自分もバスケ部だったみたいだけど、
今はもっぱらみるほうに専念しているみたい。まぁ、運動音痴だからってのが一番らしい。
そういう私も最近はバスケットをみるのが楽しくなってきた。
そんなにスポーツには興味ないんだけど、この間晴子に連れられて観に行った陵南戦が感動的で
一気にのめりこんでしまった。
先日も学校の廊下で偶然会った桜木君に熱く語ってしまったくらいだ。
桜木君は私の名前をちっとも覚えてくれなくて、未だに「晴子さんの友達」と呼ぶ。
私、印象薄いのかな?
「晴子ってばバスケ部じゃなくって流川君をみたいんでしょー?」
「そんなことないわよぅ。」
松井さんにからかわれてぷうっと頬を膨らませる晴子はかわいらしいと思う。
お兄さんの赤木先輩とは全然似てなくって、本当に血が繋がっているのかと不思議なほどだ。
多分、桜木君は晴子のことが好きなんじゃないかな。
見ていればわかる。けど晴子は流川君に夢中で気づいていないみたい。
それがちょっぴりうらやましい。
私は桜木君が好きなのだから。
「私、行くわ。」
普通に言ったつもりが予想以上に大きな声が出て、晴子も松井さんもびっくりしてる。
でも、すぐにうんうんと頷いて3人で並んで体育館へ向かった。
「湘北〜!ファイ!オー!ファイ!オー!」
体育館を覗くと既にランニングが始まっていた。
ダッシュとノーマルを赤木先輩の号令で、交互にしている。
桜木君は最初、列の後ろのほうにいたけど、ダッシュになると一番前に出る。
それだけ瞬発力があるんだろう。
「よーし!次!スクエアパス!」
「??・・・よっしゃー!」
「あんたはこっち!ドリブルの基礎よ!」
「ぬぁぁぁ!俺も混ぜろぉぉぉ!!」
まだまだ基礎練習から抜け出せない桜木君は、マネージャーの彩子さんに引っ張られて
体育館の隅っこにやってくる。
私達のいる場所からそう遠くないところで、ドリブル練習をやり始めるがすぐに晴子に気づいてこちらへやってきた。
「晴子さん、見ててくれましたか!俺の走る姿!」
「うん、見てたわよ。桜木君がんばってるね。」
「そーッスか?なはははははは!」
晴子に褒められて、照れたようにふんぞり返って笑っている桜木君。
こんなとき彼の目には私なんて映っていないんだろう。それが少し寂しい。
「なにやってんの桜木花道!」
「コラァ桜木!早く練習せんかバカタレがぁ!!」
「フンガッ!!」
彩子先輩のハリセンと赤木先輩の拳骨がヒットして、桜木君は床にうずくまる。
見る見るうちにたんこぶが出来上がって、とても痛そうだ。
晴子も松井さんも口に手を当てて唖然としている。
私は恐る恐る声をかけてみる。
「だ、大丈夫・・・ですか?」
「ぬ・・・?晴子さんの友達・・・?」
「藤井です。」
「フジイさん。」
あぁ、やっぱり名前覚えてもらってない・・・。
桜木君はその後すぐに赤木先輩に、引きずられて行ってしまったので会話が終わってしまった。
残念そうにため息をついた私を松井さんが肘で小突く。
「なぁに、ため息ついてるのよ。」
「え?ううん。なんでもない。」
「もしかして、桜木のこと好きになっちゃったとか?」
「そんなっ!・・・ことない・・・。」
「やめときなさい、藤井ちゃんにあいつは似合わないわよ。」
図星を指されて慌てて否定した私を、松井さんはじっと見つめながらそう言った。
似合わないのはわかっている。快活な彼に私なんかは似合わない。
それでも、好きな気持ちは変えられないの。
晴子は流川君のプレイに夢中で、私達のやり取りは聞いていなかったみたい。
鈍感な彼女のことだから、私の気持ちを知ったらきっとこういうだろう。
『そうなんだ、桜木君はいい人よ。がんばって。』
その言葉にどれだけ私が傷つくのか知らずに、笑顔で励ましてくれるはず。
こんなこと考えるのが間違っているのに。ごめんね晴子。
やがて桜木君はみんなと合流して練習を始めた。
リョータ先輩や流川君と時折喧嘩しながら、心底楽しそうに練習している。
最初は晴子に誘われて、入部した後も練習がいやそうだったのに、いつの間にか好きになったんだろう。
バスケットをしている彼はかっこいい。
初心者ながらに一生懸命ボールを追いかけ、赤木先輩にどやされながらリバウンドの練習をして
先日の試合も流川君と一緒に仙道さんのマークをしていた。
時折やることはめちゃくちゃだけれど、集中したときの鋭い目が色っぽいとさえ思う。
そんなことを考えていたら、すぐ横で黄色い声援があがった。
流川君のスーパープレイに、晴子や流川君の親衛隊の女の子3人がが歓声を上げている。
当の流川君は相変わらずむすっとした顔で、黙々とコートの中を走っていた。
桜木君が面白くなさげにちょっかいをかけて、いつものように殴り合いの喧嘩になる。
湘北名物「意地の張り合い」だ。
なにかにつけて張り合うこの二人は、きっと近い将来いいライバルになる。そんな気がした。
「なにやっとるかァ!桜木!流川!」
赤木先輩に拳骨で殴られてすぐにおとなしくなり、再びプレイに集中する二人。
私の傍らで流川君の親衛隊の子が桜木君を罵っている。
「そんなこと言っちゃダメよ。桜木君だって真剣なんだから!」
晴子がいさめるけれど、全然効果はなかった。
むしろ晴子を標的に言いたい放題だ。悔しいので私も口を挟む。
「あの、桜木君だって一生懸命やってるんだからそれを悪く言うのは・・・。」
「なによー!あんたも桜木の味方するわけ?」
「許せない!キィーッ!!」
肩をドンとつかれて、よろめく私を晴子が受け止めてくれる。
「大丈夫?藤井ちゃん。」
「う、うん。大丈夫・・・怖かったけど。」
「酷いわよねぇ。」
晴子は頬をぷぅっと膨らませて、3人組をにらみつける。
が、それもすぐに流川君への黄色い声援に変わる。
「晴子らしいわね。」
ため息混じりに松井さんが言う。
「桜木のどこがいいのよ?」
「え?あの・・・」
突然の質問に私はしどろもどろになる。
まぁ、いいわと言う顔でこちらをみる松井さんに、私は全部を見透かされているような気がした。
いつもどおりの練習メニューを終え、部員達がばらばらと体育館を後にする。
家の用事があると言って晴子は赤木先輩と、松井さんは塾だと言って先に帰ってしまった。
流川君の親衛隊も流川君の後を追っていなくなる。
まだ、基礎練習が残っている桜木君とマネージャーの彩子さん、
彩子さんの帰りを待つリョータ先輩が体育館に残っていた。
一人で体育館の入り口から覗いている私に気づいて、彩子さんが声を掛ける。
桜木君も私に気づく。
「あら?あなた、晴子ちゃんの友達の・・・」
「おぉ。フジタさん。」
「藤井です。」
「フジイさん。」
「藤井ちゃん、そんなとこにいないで入ってらっしゃいよ。」
にこやかに微笑んで手招きしてくれたので、私は恐る恐る体育館に足を踏み入れた。
さっきまでの練習で、体育館の中はむっとした熱気がこもっている。
桜木君は早速リョータ先輩の指導で、基礎練習を始めている。
「珍しいわね。一人で残ってるなんて。どうしたの?」
「あの・・・なんだか帰るタイミング逃しちゃって。」
「ふぅん。そうなの。でもこんなに遅くなったら帰り道危ないわよ?」
「大丈夫です。一人で帰れますから。」
「でもねぇ・・・。」
彩子さんは心配そうに何か考えて、ぱっと表情を明るくしてこう言った。
「そうだ、桜木花道に送ってもらいなさいよ。あいつ喧嘩強いし。」
「えぇっ?」
「桜木花道ー。あんた帰りこの子を送ってってあげなさい。」
私に有無を言わさず、彩子さんは桜木君にそう言うと、待っててねと言い残して
桜木君の練習を見始める。
私はすぐにでも帰りたかったけど、どきどきしたまま、おとなしく待つことにした。
桜木君と一緒に帰れるのがとても嬉しい。
練習が終わって、4人で校門までくるとリョータ先輩と彩子さんは「別方向だから。」と
反対方向へ行ってしまった。
桜木君は鼻歌を歌いながら、のしのしと先を歩いている。
「お〜れ〜はてんさーい♪天才バスケットマーン♪」
自分で作ったのだろう、自分をたたえる歌を口ずさんで、どんどん先を行く桜木君。
私は遅れないように、一生懸命早足で歩くが、なかなか追いつけない。
桜木君はきっと私のことなんか忘れているんだろう。
いつしか桜木君の姿が見えなくなったので、私は歩く速度をいつものペースに戻すことにした。
日が沈んで暗くなった道は、いつも通っていてもちょっと怖い。
そういえば、この先にいつも吠える犬がいるんだっけ・・・。
そんなことを考えながら歩いていると、前方の曲がり角に背の高い人影があった。
目を凝らしてみると、桜木君がきょろきょろと辺りを見回している。
私に気づいて、桜木君はずんずんこちらへ向かって歩いてきた。
「大丈夫ですか?フジタさん・・・」
「藤井です。」
「フジイサン。いきなりいなくなるからビックリしたッスよ。」
名前は相変わらず覚えてくれてないけど、心配してくれたことが嬉しい。
ごめんなさい。と言うと桜木君は照れくさそうに歌いながら、また歩き始めた。
私もそれに続く。
桜木君はさっきよりも、ゆっくりしたペースで歩いてくれている。
それでも私のペースよりは早くって、ついて行くのが精一杯だ。
「ヴー・・・ヴォンヴォン!!」
突然暗がりから、大型犬が吠え掛かってきた。
いつも、ここを通ると吠えるあの犬だ。
鎖でつないであるから噛みつかれはしないけれど、それでもかなり怖い。
驚いて身をすくませた私を、背中でかばって桜木君は犬に掴みかかる。
「ガルルルル!」
「ぬ!コノヤロッ!」
大型犬相手に本気で殴りかかっている。
数発鼻先を拳で殴りつけると犬は尻尾を巻いて、自分の小屋へ逃げ込んで行った。
「フジイさん、怪我はないっすか?」
「あ、はい。大丈夫です。」
まだ激しくどきどきしている胸を押さえながら、答える。
桜木君の顔を見上げると、所々牙があたったのか小さな傷ができていた。
「いやー、驚いた。なはははは!」
傷のことを気にも止めず、桜木君は笑っている。
私はそっとハンカチを取り出して、差し出した。
桜木君は一瞬きょとんとした顔で、ハンカチと私の顔を見比べて
「いやぁ、だいじょーぶですよ。このくらい。舐めてれば治ります!わっはっはっは!」
顔の前で手を振ってまた高笑いし、すぐに「いや、顔だから舐められないか?」などとぶつぶつ言っている。
そんなあっけらかんとした様子が可笑しくて、私はくすくすと笑ってしまった。
「ぬ?なんか変なこと言ったかな?」
頭をポリポリかきながら不思議そうな顔をする桜木君に、なんでもないと手で示して
帰りましょう。と促すと、私の横に並んで歩いてくれる。
さっきよりももっとゆっくり、私の歩調に合わせてのんびり歩く。
とりとめて共通の話題のない私達。
でも、何か話したい衝動に駆られて私は口を開く。
「バスケットは楽しいですか?」
「ん〜。」
桜木君は返事に困ったような顔をして立ち止まり、こちらを向いた。
ポリポリとほっぺたをかいて、答えを探している。
「最近、桜木君張り切ってるみたいだから。」
慌ててフォローするように伝えると、ニッと笑って宣言する。
「バスケットマン・・・ですから。」
照れた様にそれだけ言って、また前を向き歩き始める。
暗い路地に2人の足音がやけに響いているような気がする。
うちに着くまでは、ほんのわずかの距離。
私は足を止めて、桜木君の背中を見つめる。
背の高い彼の広い背中が、はた、と立ち止まってくるりとこちらを向く。
不思議そうにこちらを見ている、桜木君。
私は思わず桜木君に駆け寄り、制服の袖を引っ張って、目線の高さまで降りてきた唇に口付ける。
桜木君は、なにが起こったのかわからないと言うように驚いた顔をして、こちらを見ている。
自分でも何をしたのか、頭の中がぐちゃぐちゃでうまく把握できない。
しばしの沈黙の後、桜木君は赤くなってうつむいている私の頭を恐る恐る撫でてくれる。
思わず涙がこみ上げてきて、私の目から零れ落ちる。
泣いたら余計に困らせるだけなのに。でも涙は止まらなかった。
どれくらい時間がたったのかわからないけれど、桜木君はずっとそばにいてくれた。
困ったように私の頭を抱き寄せて、泣き顔を見ないようにしてくれた。
「ごめんなさい、ありがとう。」
少し気持ちが落ち着いた私は、涙をぬぐって桜木君の腕の中から抜け出した。
桜木君は決まり悪そうな顔で、黙ってこっちをみている。
多分、桜木君は私の気持ちに気づいたはず。そう思うとまた泣きそうになる。
「私のうち、すぐそこだからここで大丈夫です。」
ぺこりとお辞儀して逃げるように、その場を後にする私に向かって、桜木君が声を掛ける。
「また、バスケ部見に来てください!待ってますから!」
その言葉が嬉しくてまた少し涙が出る。
私は立ち止まり、振り返って大きくうなずいた。
桜木君はほっとしたような表情を浮かべると、手を振りながら元来た方向へ歩いて行く。
大きな背中が見えなくなるころ、私は初めて想いを口にする。
「桜木君が大好きです。」
明日もバスケ部を見に行こう。
まだ、どんな顔して会えばいいかわからないけど。
想いが叶わなくてもいい、大好きな桜木君のプレイを見たいから。
〜fin〜
以上です。藤井さんも花道も積極的なキャラじゃないので
こんな感じに・・・_| ̄|○
しかも長いし読みづらい・・・_| ̄|○
読んでくれた方はありがとうございます。
改めて花晴楽しみにしてますんで、がんばってください。ノシ
GJ!!!!!!!!!
なんか心にきたよ。最高です。
花道×藤井さんいいですね!
二人のふいんき(ryが出てて。
最近、花道ネタの投下が続いてて、
2スレ目にしてようやく、主人公っぽい(´Д`;)ホロリ
花道って単純なだけに動かしづらいというか、口を開いてもアホなことばっかり言っているから
絡みを書くのって難しいんだよね。
でも、赤木のダンナとか木暮君みたいな真面目な人もどうしていいやらわからないんだよね。
選手で一番動かしにくいのは牧だと思うなぁ〜。
俺の中では神とか藤間とか仙道は口説くときはさらりとしてそうだし、
魚住とか信長とかは逆にしどろもどろで……って思い浮かぶんだが、牧は?
皆はどう思う?
牧さんは天然な所とジイな所の兼ね合いが問題だなあ。
どっちを主にするかで、全く違う展開になりそうだ。
うーん。牧さんは天然だけど意外と動かしやすいほうだと思うなぁ。
大人っぽいから何でもそつなくこなせそうだし。
脳内変換で(いろんな意味で)かなりすごい人ってイメージになってるからかな。
牧は本編初登場時の衝撃的な姿から、アッ―!系の人だとオモw
なんで裸でタオル被ってフシューフシュー言ってたんだろ
そりゃウォーミングアップを済ませてたから
体が火照ってたんだろう。
普通にウォーミングアップだと思うが、清田やら神やらに比べて汗かきずだ。多分牧はあの時
馬鹿か
何故ばれた?
120 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/14(水) 07:08:03 ID:onb0CNqE
やっぱり…
作家さん待ってます!
流川×彩子に萌える毎日。
ノーマルカップルにしか興味ないのでマジ期待!
同じくノシ
一人悶々とするペット流川とにぶちんの飼い主彩ちゃんの話だよね?
あれ読んでから原作でついつい二人の絡みシーンを探してしまう俺のためにも、
職人様、早めのご帰還おながいします…!
123 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/17(土) 18:58:00 ID:Pa6iLJOE
彩子さんは処女なのか非処女なのか?
大人っぽいし姉御肌だし経験済みの気もするけど、
バスケ命だったからそういうことに縁がなかった気もする。
とにかく待ってます。
連載してた時代背景だと、間違いなく処女だと思う。
うんちだた
ヤリマンに見えて、実は身持ちの固い処女に間違いない。
うおおおお
前スレからリアルタイムで見たかったあああ
前スレの補完サイトないもんね( ´・ω・)
だれか 前スレもってないっすか〜〜。・゚・(ノД`)・゚・。
よみてぇ〜〜
仮令専ブラでもログを落としてたら読めないよ。
俺、なんか中途半端なレス番で切れてるもの。
BBSPINKの設定が変わっちゃったおかげでレス何番でスレ落ちしたか分からないし。
>>131 あ、そうなんだ。
いまだに前スレお気に入り登録してるからログ完全に残ってる。
だれか保管サイト建設してくれたら協力するお。
133 :
132:2007/02/21(水) 18:01:06 ID:JeZlu36w
連投スマソ
前スレは971で終わったっぽい
134 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 18:11:33 ID:vLnDMZwk
>>132 さんくす。
普通そのあたりのレス番まで行くと埋めか雑談が殆どなのに投下で途切れてるものだから、てっきり落としたのかと思った。
流彩神がすごいイイ所で寸止めしたおかげで余計にわかりづらいんだよなw
136 :
129:2007/02/21(水) 19:59:41 ID:8qls4vUb
専ブラだけどログがないから見れませんでした…orz
138 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/21(水) 23:27:30 ID:hwvqCfjj
ちょw 神はツンデレなのか?保管庫ありがとう。
ごめん。興奮してあげちまった。
すげぇwwwマジ感謝!!
>>137乙〜!最高です!!
141 :
129:2007/02/22(木) 03:07:36 ID:GnrEVvlG
うっわ!うっわ!!
ツンデレ神よ感謝します!!
自分の今年一番のGJをあなたに!!
リアルタイムで〜とゴネた本人ですが神がきていたとは!
このツンデレめが!ありがとう!
投下しに来たら神キテタ!
自分も前スレ見てないから嬉しい。
ありがとう、GJです。
投下し終わったらゆっくり読ませていただきます。
初めてパロもの書きました。
名前欄にタイトル&ナンバリング入れます。
ワード約9ページ分あり。
喘ぎ声・擬態語ほぼ無しなので、物足りないかも。
突然の出来事に男は困惑した。
この春高校を卒業した男は、一つ年下の恋人を残し東京の大学へ通っている。
日課になった電話。いつもどおりの会話。
今は電話だけが二人を繋いでいた。
いつもより短めに切ろうとする女に疑念を抱くが、口には出せなかった。
惜しむように電話を切ると男はベッドへと転がり込む。
時計を見ると22時を過ぎていた。
「早いけど、寝るかな・・・」
誰も応えてくれる者はない。寂しい週末。
一人暮らしの部屋に必要以上の物はなく、殺風景だ。
東京へ来て1ヶ月、男はなんとなく新しい生活に馴染めずにいた。
インターホンがなった。
「誰だよ、こんな時間に・・・」
眠りに落ちかけたところを起こされた男はとたんに不機嫌になる。
軽く舌打ちをしながら玄関を開けると、見覚えのある女が立っていた。
男の顔を見るなり女は言った。
「どうしてなにもしてくれなかったのよ・・・」
あまりにも唐突だった。突然の訪問、突然の問い掛け。
どう答えていいかわからない男は無言で女を部屋へ入れた。
先程まで電話していた女が目の前にいる。
「あ、電話ね、さっき駅からかけたの」
「それならそうと言えよ、迎えに行ったのに。女一人であぶねえだろうが」
「驚かそうと思って・・・来ちゃダメだった?」
「いや、そんなことねーけど・・・とりあえず座れよ」
本当は久しぶりに会えて嬉しかったが、驚きのほうが大きかった。
女がここに来るのはこれで2度目。1度目は引越時、バスケ部の後輩達と一緒だった。
男は女のバッグを部屋の片隅に置くと、半ば呆れながらベッドに腰掛けた。
女にも座るよう促したが、女は座ろうとしない。
「抱いてよ」
女は迷いのない瞳でまっすぐ男を見つめた。
部屋の灯りを消すと束ねていた髪をほどき、一枚、また一枚と脱ぎはじめる。
男は女の行動を理解できずにいた。
何も身体にまとっていない女が、男の前に立った。
「おまえ・・・どうしたんだよ・・・・・・」
男は混乱していた。
何か羽織らせようと思ったが、動揺のあまり立ち上がれないでいた。
初めて見る、この女の裸の美しさに目を奪われる。
灯りの消された部屋は暗く、窓からわずかに街灯の光がもれてくるだけだ。
そのわずかな光に照らされている女を見ながら男が言う。
「彩子・・・オレはいつだっておまえを抱きたいと思ってた。だけどよ・・・」
「だけど?」
「なんつーか、大事にしたかった」
「触れないことで大事にしているつもりなら間違いよ。
私は触れて欲しいのよ、三井先輩・・・」
女はそう言うとベッドに座っている男を後ろから抱きしめた。
丸く柔らかい胸が男の背中に押し付けられる。
後ろから男のシャツのボタンをはずし、ゆっくりと脱がす。
上半身裸になった男の胸板を撫でながら、首筋を唇でなぞる。
耳を軽く噛まれた男は、まるで捕らえられた獲物のような感覚に陥った。
今までにない感覚。もう自分を抑えるのは無理、今すぐ女を手に入れたい。
だけど・・・
このままもう少し、女の獲物でいたいと思った。
男は後ろから伸びている女の両手を自分の胸元で合わせ、左手で強くにぎった。
両手の自由を奪われても女は少しも動揺しない。、
無言で男の首筋や耳を唇で愛し続ける。
女が動くたびにその柔らかい胸や髪の毛がふわふわと男の背中に触れる。
男は痺れるような快感を必死にこらえた。
女のあまりの大胆さに、もしかしたら過去にいたかもしれない男の影がちらつく。
こんないい女、男がほうっておくわけねえよなあ
男は不安に陥った。
・・・今までもこんなふうに男を誘惑してきたのかよ
ちくしょう・・・・
死んでも口にはしねーが、オレは独占欲の強い男なんだよ・・・!
「いつまでそうしているのよ。ずるいわ・・・」
甘い吐息混じりの声が耳を刺激する。
「挑発しやがって・・・・・・ふざけんじゃねえよ!」
ベルトをゆるめ全てを脱ぎ去ると、女を強く抱きしめた。
「・・・・・・苦し・・・・・」
「我慢しろよ」
強く抱いたまま肩から首へと舌を這わせる。
首筋への愛撫に耐え切れなくなった女は呼吸が荒くなり、整った顔が快感でゆがむ。
その高揚した女の艶やかな口元に誘われ、何度も唇を合わせる。
頬から胸へと手を滑らせながら、軽く開いた女の口に舌を入れ激しく絡ます。
女も男に答えようと必死に舌を絡める。
早く手に入れたい衝動を抑えながら、女の柔らかい胸を嘗めたり噛んだりして弄ぶ。
女はあまり声をあげず、時折苦しげに、切なげに息をもらす。
滑らかな曲線を描く身体はほのかに色づき、敏感に反応し、うごめく。
先程男を挑発した女はもういない。
ただただ、男にされるがままの女。
いつもの勝気な眼差しは消え、男に身体の全てをゆだねる女はどこか儚げだ。
男は愛おしさを覚えた。
きつく抱いていた腕をゆるめ、女の髪や頬を撫で、頬や髪にキスをする。
もう、離さねえ・・・
何人もの女と寝てきた男に、次々と衝撃が襲う。
女を抱いて安らぎを感じるのは初めてだった。
付き合ってからほぼ一年。
いつも勝ち気で太陽のような彩子のこんな姿を見たのは初めてだ。
最悪の出会い・・・その日の事が頭をよぎった。
・・・・・・・ バスケがしたいです ・・・・・・
あの日、二年間抑えてきた感情が溢れ出した。
誰もいなくなった体育館で、オレは動けないでいた。
傷よりも痛い何かがあった。
こんな騒ぎを起こしたのに、誰もオレを責めねー。
それどころか徳男や水戸は全部罪を被りやがった。
「情けねぇ・・・・・」
つぶやいた瞬間、人の気配がした。
ケースを持った女が一人体育館へ入ってくる。
「手当てするわ」
手際よくガーゼを切っている。
ああ、バスケ部のマネージャーか。
こーゆーときは一人にしておいてくれよ、気のきかねー女だ・・・
「ほっとけよ・・・オレはさっきおまえを襲おうとした男だぞ、わかってんのか」
「もうそんな元気ないから心配ないわ。それに・・・」
女はまっすぐオレを見つめる。
「今日からうちの大事な部員だもの。はやく治してもらわないと困るわ」
気の強そうな女だ。
だいたい先輩に対する言葉遣いじゃねえぞ。
だけど、こういう勝気な女は嫌いじゃねえ。
それにしても・・・どいつもこいつも人が良すぎる。
久しぶりに感じる人の温かさが嬉しくて、オレはまた泣いた。
顔の傷を消毒していた手が止まる。
「・・・しみる?三井先輩・・・」
オレはただ泣くだけだった。
「とりあえずこれで大丈夫よ。」
慣れているのか、あっという間に手当てが終わった。
これでやっと一人になれる・・・と思った瞬間、心地よい香りがオレを包んだ。
「みんな三井先輩の気持ち、わかってるわ・・・」
女はオレをきゅっと抱きしめた。
ああ、慰められてんだな、オレ。
女の体温が心地いい。
「おまえ、名前は・・・?」
「彩子よ」
「・・・・つーかよー、こういうことは好きな男とするもんじゃねーの?」
「・・・・・・・・・」
「宮城・・・あいつ、おまえにすげえ惚れてるっぽいし・・・」
「リョータはいいやつだけど・・・意地悪なこと言うのね」
彩子が急に大人しくなった。
沈黙に耐えられず話しかける。
「オレら、さっき会ったばかりだぜ・・・自分を大事にしろよ」
さんざん遊んできたオレに言われたくねーだろうな、何言ってんだオレ。
彩子がオレを見上げて言った。
「武石中の三井寿、知ってたわ。あの試合、あたしも見てた・・・」
「・・・・・・!」
「憧れてた、三井先輩に」
「え・・・・?」
「今日は結構ショックだったわ・・・。でも・・・またバスケに戻ってくれて良かった」
オレは頭が真っ白になった。
その時、ドスドスと足音がした。
視界に赤い頭が入る。
「ぬ・・・女男め!まだいやがったか!」
「うるせー・・・今帰るとこだったんだよ!」
いいところで邪魔が入りやがった。
「桜木花道!病院行けって言ったのに、あんたって子はもう!」
「いや〜、流川なんかは病院に直行しましたけど、この天才桜木は不死身ですから!」
「なあに言ってんだか・・・」
「さっきの喧嘩なんか、準備運動にもならないっすよ!今日も基礎からみっちりと・・・・」
「怪我してるんだし、今日はもう帰りなさい!」
うるせーったらねえぜ。
二人の言い合いを横目にオレは外に出た。
もう日が暮れそうだ。
軽く走って、体を動かしてみる。
「普通に動けるし走れる。大丈夫そうだな・・・」
校門近くの自販機でポカリを買い校庭の片隅に座ると、彩子が走ってきた。
「・・・なんだよ?」
「先輩、あんなにやられたんだからちゃんと病院行って」
「それ言うためにわざわざ来たのか?」
「そうよ」
おせっかいな女だ。
自分だって頬が腫れてるじゃねえか。
「おまえ、ぶたれてただろ。赤くなってんじゃねーか、冷やせよ。」
買ったばかりのポカリを渡すと、彩子は左の頬にあてた。
「髪、切らないとダメね」
「おう・・・わかってらー」
「歯医者も行ったほうがいいわよ。いい男が台無し!」
「うるせえなあ・・・」
小言も、なぜか心地いい。
整った顔立ち、大きな胸、すらりとのびた長い脚、うなじの後れ毛・・・
本当にいい女だ。
思わず口走る。
「さっき・・・・鉄男たちと好みだって言ったの、嘘じゃねーから」
こんな言い方しかできねえオレは、本当に馬鹿だ。
「なんかそれ、あんまり嬉しくないわねえ」
案の定、苦笑した彩子を引き寄せ抱きしめた。
彩子もオレの背中に腕をまわす。
さっきも感じた、この心地よさ。
他の女じゃこんな気持ちにはならなかった。
理屈じゃねえんだ。
この数時間で、俺は完全に彩子に惚れていた。
「こうしてると、すげえ気持ちいい・・・」
「・・・わたしもよ」
オレは目を閉じた彩子にキスした。
正直思い出したくない事件だ。
が、あの事件がなければバスケ部に戻れなかった。
それに・・・彩子とも知り合えなかった。
あの日から今まで、彩子を抱くチャンスはいくらでもあった。
彩子に出会う前のオレならとっくに抱いてた。
でも、手を出せなかった。
微妙な距離をわざと作っていたのはオレの方。
彩子・・・オレ、怖かったんだ。
大事にしたかった、なんて言い訳で、本当は拒まれるのが怖かった。
情けねえよ、ホント・・・
胸と腰へ交互に動いていた指をゆっくりと舌へ滑らせる。
その部分を中指でゆっくりなぞると充分なほど潤っている。
「・・・すげえ」
恥ずかしそうに目を背ける彩子の姿が、ますますオレを奮い立たせる。
固くなった小さな部分を難なく見つけ指で軽くこすると、腰をくねらし小さく喘ぐ。
胸元を這っていたもう片方の手も舌へ伸ばし指を中へ入れる。
びくん、と反応し、頬が紅潮する。
中もすでに潤っていて、指を動かすたびに卑猥な音を立てる。
相変わらず声を必死に殺している彩子。
その苦悶の表情を見ていると、たまらなくなる。
「いいよな?」
髪を撫でながら確かめると、彩子はだまって頷いた。
少しずつゆっくりと彩子の中へ入っていく。
「つっ・・・・!」
顔をゆがめた彩子に驚き、オレは動きを止めた。
・・・・・・もしかして・・・・
「はじめて、なのか?」
「・・・・そうよ。あたし、そんな軽い女じゃないわ」
一瞬、いつもの気が強い彩子に戻るが、すぐに悲しそうな顔になった。
「あたしのこと、そんなふうに見てたのね」
彩子は責めるようにオレを見る。
違う、そういう驚きじゃない。オレは・・・・
「めちゃくちゃ、嬉しー・・・・」
オレしか彩子を知らない。彩子もオレしか知らない。
それがすげー嬉しかった。
彩子の表情が柔らかくなっっていく。
それを見て安心したオレは、頬にキスをしながらゆっくりと動き出す。
辛そうな顔をしながら彩子が言う。
「・・・・最後までやめないで・・・・大丈夫だから・・・」
彩子がなるべく痛くないよう、少しずつ動く。
ゆっくりと、ゆっくりと。
しばらくそうしていると、辛そうだった顔がゆるみ、彩子の口から甘い声がもれた。
「先輩・・・・もう、好きに動いて・・・・」
彩子の声がオレを開放する。
激しく、とまではいかないが、思うままに彩子を貪った。
汗ばむふたつの身体。
しんとした部屋の中で二人の呼吸が重なる。
彩子を突きながら、全身をくまなく弄る。
指で、舌で、唇で、歯で・・・・・激しい愛撫。
付けようと意識しなくても彩子の体中に痕が残る。
痛みと快感が混在する波が休む間もなく彩子を襲う。
次々と押し寄せる悦楽をこらえる彩子は、18とは思えない色香を放っていた。
今にも泣き出しそうな表情で彩子がオレにしがみつく。
「先輩・・・おかしくなりそう・・・・!」
「なれよ・・・」
もう、彩子の全てが愛おしかった。
「 愛してる・・・ 」
生まれて初めてそれを口にした。
その言葉に微笑む彩子を両腕で強く抱き、オレは果てた・・・。
擬音がなくてもエロってかけるんっすね!!
新鮮で開眼しました!
GJっす!
ふわふわの髪の毛を指先で弄びながら、オレの腕枕で眠る彩子を見つめていた。
長い睫毛、スッと通った鼻筋、桃色の唇。
柔らかな胸の感触。絡み付く脚。
「こうしてると、すげえ気持ちいい・・・」
無意識に口をついて出た言葉に彩子がクスッと笑う。
「・・・なんだ、起きてたのかよ」
「あの時と同じセリフ・・・」
そう言いながら、オレのこめかみにキスする。
「また来てもいい?」
「しょうがねえな・・・鍵、作ってやるよ」
このまま帰らないでほしいが、もちろんオレからそんなことは言わねえ。
「あの日以来、キスすらしてくれなかったじゃない。今日だって一大決心で来たんだから」
「わりーな・・・」
まだふてくされている。
でもそれがたまらなく可愛い。
「これから死ぬほど抱いてやるからな。覚悟しとけよ!」
望むところよ・・・・
今にもそう言い出しそうな顔の彩子を強く抱きしめ、オレは眠りに落ちた。
END
…投下トン切りしてすみませんでした
リアル投下に出会えて舞い上がりました…
改めてGJでした!
投下してみると思ったより長いな。ごめん。
続編も考えてるけど、まだまとまってません。
三井&彩子はメインの部員の中でほとんど接点がない。
それがかえって怪しいと前から思っていた。
まあただの妄想だけど・・・
前のレスでどなたかも言ってましたが、花道×晴子の続きが気になるなあ。
お待ちしております。
ぐっじょぶ(*´ρ`*)
わぁぁぁ。すごく艶っぽいです。GJGJGJ!!
続編、気長に待ってますんで御願いします!
うああああ〜。9で誤字発見したorz
舌→下の間違いっす。すいません。
GJ!
誤字なぞ気になりませんでした!!
またお願いします!
@@o@
@o@@@o@
@@@@@@
ΛΛ@o@@o
(*゜σ゜i / べっ別に
>>137にあげるために
/ つつ 持ってきたんじゃ・・・・
〜(__ノ ・・・・ありがとう・・・・
うわー久々に来たらGJ!
>>137 ツンデレGJ!
ただ、全然苦情とかじゃないんだけど、あくまで意見の一つとして聞いて欲しいんだけど、
シリーズ物なんかは「第○話」ごとにページを切り替えるか区切るかした方がいいかも。
職人さん達の中には「掲示板に投稿する」ってことを頭に入れて書いている人もいるだろうし、
1話と2話の間に視点が変わっていたりする場合、現行のだと自分はちょっと読みづらい。
偉そうなこと言ってごめん。
167 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 17:50:50 ID:aVnRUeeD
168 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/24(土) 23:13:17 ID:u/Rd+Ypp
仙道×桜木のBLはあり?
カップリングに関係なく
801は板違い。
170 :
中の人:2007/02/25(日) 02:15:36 ID:rHhuUN8y
保管庫の中の人です。
ソース見れば分かるとおり、やっつけ仕事です。
掲示板見れば分かるとおり、ミスが後から後から湧いて出ます。
収録漏れなど発見しましたら、出来るだけ報告お願いします。
>>166 あまりに酷いようならば対応を考えますが、管理人としては投下された作品に手を入れるのは極力避けたいところです。
改行ひとつで文句が飛んでくることもありますし(個人的には、その気持ちは分からなくもないですけど)
職人さん方が「ここで区切って欲しい」と要望するのであれば、それには配慮します。
ただページの切り替えについては、ファイル数の都合でご希望に沿えないと思います。
また、投下の本文中にダッシなりアスタリスクなりで区切られていれば、そのまま収録時に反映させます。
中の人、乙です。
作ってくださっただけで感謝です。
GJ!GJ!
173 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 20:37:08 ID:qOcR67NZ
改めて1スレ目のエロパロSS、読み返したけど
どれも秀作で(*゚∀゚)=3ハァハァ
続き読みたいやつ、多すぎだよ。
ここの職人さん、凄腕揃いだよね。
保管庫の人、GJです!
ありがとう!!
しかし、ミッチー関係の多さにはびっくり。女の子と殆ど絡み無いのに。接点の無いもの同士でも自然に書ける職人さんが多くて素晴らしい。
ミッチーは男として魅力あるもんな〜。
私職人じゃないけど1番ミッチー書きやすそう。女を引っ張れそうなタイプだし。経験あっても違和感ないし(他の湘北男子はみな童貞感が…)
仙道さんもだね
洋平も童貞じゃない気がする。
メガネ君て優しそうだよね。
あの人当たりの良さで経験者かもしれないね
リョーちんは中学生のときに年上に食われてそうだ
183 :
144:2007/03/05(月) 01:48:04 ID:yTwLEjkz
>>144です。
145〜157の続きを投下しにきました。
前回のよりも長いです。
名前欄にタイトル&ナンバリング入れます。
連載開始時の時代背景(90年代前半)で書いたんで、携帯電話ナシです。
あの頃はポケベル主流?
当時の遠恋は大変だったんだろうなーと思う。
三井×彩子、ちょこっとだけ仙道も出ます。
朝からうだるような暑さだった。
駅から出ると、いつもと同じ道を歩く。
東京の途切れることのない人の流れ。
その中にいると、本当に自分がちっぽけな存在に思えてくる。
月に2回ほどしか来られないけれど、そこはもう自分の部屋のように馴染んでいる。
夏休みに入ってからは毎週泊まりに来ていた。
今日も貰った鍵で部屋に入る。
出掛けているのか、先輩はいなかった。
だけど、約束の時間より1時間ほど早く着いたあたしは、それほど気にも留めなかった。
真っ先にテーブルの周りに散乱しているビールの空き缶が目に入った。
こんなに飲む人だったっけ・・・と思いながら缶を片付けはじめる。
テーブルの上にはポカリと煙草の吸い殻が入った深めの皿。
先輩は煙草を吸わない。
誰かが来ていて皿を灰皿代わりにしたのだろう。
片付けようと伸ばした手が止まる。
吸い殻に薄いピンクの口紅。
鼓動が早くなる。嫌な予感。
それはすぐに現実のものとなり、目の前に突きつけられた。
「ひさしぃ・・・・・?」
追い撃ちをかけるかのように声が響く。
声のした方へゆっくりと歩み寄る。
玄関からは死角になっているリビングの隣の小さな部屋。
寝室代わりのその部屋に窮屈そうに置かれたベッド。
その上に女が裸で寝ていた。
「・・・・あなた、だあれ?」
なんなの、これ・・・・?
目の前で起きていることがすぐには理解できなかった。
声も出せない。
あたしは逃げるように玄関に向かう。
ミュールを履こうして、来た時に気付かなかったものが目に入った。
隅の方に揃えてある、自分のものではない白のミュール。
なんで、気付かなかったんだろう・・・・
自分に腹が立った。
部屋を出て、つい先ほど来たばかりの道を足早に戻る。
駅に着くと人の少ない場所を探し、泣いた。
こんなに泣くのは生まれて初めてだった。
あたし、もっと強かったはずなのに。
弱くなったのは先輩のせい。
先輩を好きになりすぎたせい・・・・
泣き疲れ、重い足を引きずりホームへ向かう。
もう、この街にはいたくない・・・
泣き腫らした顔を人に見られたくなくて、一番端の車両の一番端の席に座った。
このまま家に帰りたくなかった。
どこかでしばらく、ひとりになりたい。
窓に流れるいつもの景色。
大好きな海が見えてきた。
潮の香りを感じたくなったあたしは、一つ前の駅で降りた。
8月も終わろうとしているのに、浜辺はたくさんの人でにぎわっている。
人を避け海岸線に伸びる道をゆっくり歩く。
時々立ち止まり海をぼんやり見る。
どこまでも続く、夏の青い空。涼しげに伸びている飛行機雲。
子供の楽しそうな笑い声や、恋人たちの幸せそうな笑顔・・・。
なにもかもが疎ましかった。
去年の夏、先輩と何度も来たこの海。
浜辺を歩きながら、たくさん話した。
お互いのことを知るのが楽しくて嬉しくて。
シュートする先輩をずっと見ていた。
学校の体育館より、ここで見ているのが好きだった。
先輩を思いながら目を閉じる。
浜辺の錆びたリング。
そのリングに吸い寄せられるかのように、きれいな放物線を描くボール。
夏の太陽の下での、先輩のシュート。
幸せに満ちていたあの夏の匂い・・・・
思い出そうとしても、今はできなかった。
歩き疲れ、あたしはお気に入りの防波堤にミュールを脱いで座った。
打ち寄せる波が跳ねて、時々つま先に当たる。
冷たくて気持ちいい。
大好きな潮の香り、波の音、心地よい風・・・。
疲れていたあたしは、座ったままウトウトと眠ってしまった。
玄関にある白いミュールを見た男が不機嫌になる。
「・・・まだいるのかよ」
リビングでは女が煙草を吸いながら下着姿で寝転がっていた。
「どこ行ってたのよ、寿。二日酔いで・・・頭いた〜い」
「買い物行ってきたんだよ。おまえ、服くらい着ろよ」
「だって暑いんだもん」
「エアコンあるじゃねえか」
頭の悪い女だ・・・
オレは買ってきた飲み物を冷蔵庫にしまうと、エアコンをつけた。
「もう9時半じゃねえか。早く帰れよ」
「これ吸い終わったら帰るわよ」
イライラする。
オレに急かされ、女はようやく身支度を始めた。
「煙草、消したいんだけど」
女に言われ灰皿代わりにしていた皿を取ろうとして、テーブル周りが片付いているのに気付く。
ふとキッチンに目をやると、袋にまとめられたビールの缶が見えた。
「おまえ、片付けた?」
「ああ、あれ私じゃないわよ。さっき来た人が片付けてた」
「・・・・・はあ?!」
「だからあ〜、30分くらい前に女の子が来て片付けてた。私を見て出て行っちゃったけど」
マジかよ・・・・・・・・!
それ、彩子しかいねえじゃねーか
「・・・・・くそっっ・・・・・・・!」
オレは外に飛び出すと駅へと走った。
駅で彩子を見つけられず、そのまま電車に乗る。
なんでこうなるんだよ・・・・・
じわじわと湧いてくる嫌な予感と焦りを必死に振り払った。
懐かしい街並みが見えてくる。
卒業してから一度もこの街へ帰っていなかった。
駅で彩子の家に電話したが、いない。
どこにいるんだよ・・・
ますます不安になる。
自然と足は通っていた高校へと向かっていた。
卒業して初めての訪問。
受験のため、彩子は夏休み前に退部した。
でも、もしかしたら来てるかもしれない。
ボールの音がする体育館に入ると流川一人だった。
オレの姿を見て少し驚いている。
「・・・・・ちわす」
「おう・・・・。他の奴らは?」
「昼飯っす」
「あのよー、彩子・・・・来てねえ?」
「・・・・来てないす」
「あ、そう。邪魔したな」
あいかわらず必要以上のこと言わねえヤツだ。
そう思いながら振り返ると目の前に宮城が立っていた。
オレは、宮城の目を見ることができなかった。
「三井サン・・・・・・・なんかあったんすか」
「別に何もねえよ。帰るわ」
何もねえのに来ないよな、と思いながら宮城を横目に出口へ歩き出す。
「アヤちゃん、最近すごく幸せそうっすよ」
「そーか・・・・」
胸の奥がズキズキする。
「・・・・悲しませるようなこと、しないでくださいよ」
彩子のこととなるとコイツは敏感だ。
「するわけねーだろ。心配すんな」
そう言いながら体育館を出る。
あとは、二人で行った場所でも順番に当たるしかねえ。
どこにいるんだよ、彩子・・・・
彩子に早く会いたくて、オレは走り出した。
ガタガタガタ・・・・・・
何の音だろう?
すっかり眠ってしまったあたしは物音で目が覚めた。
日も落ちかけていて、人もまばらだ。
いつのまにか肩にはタオルがかけられている。
すぐ横を見ると白いクーラーボックス。
ああ、この音か。
そのクーラーボックスに魚を入れながら、男がこちらを見ている。
「仙道・・・・?」
「やっと起きた。湘北の美人マネージャーさん」
「・・・・彩子よ」
「彩子ちゃん、ね。覚えた」
「何してるの?」
「釣り。ここ、穴場なんだ」
「そう・・・」
なんだかフワフワしてて、つかみどころのない男。
「そんなカッコで寝てると襲われるよ・・・」
重ね着したキャミソールにミニスカート。
でも、夏の海では別に珍しくもない恰好。
「知ってる女がこんなところで一人で寝ていたら、ほっとけないだろ」
「・・・・・・・・・」
「しかもそんな泣きはらした顔で、さ」
ニコリと笑って言う。その優しい笑顔に涙があふれそうになる。
「優しくしないでよ・・・・・」
今朝の出来事が、少しずつ頭の中によみがえってくる。
「泣きたい時は泣いたほうがいい」
またニコリと笑う。
その笑顔と言葉に涙があふれた。
さっきあれほど泣いたのに・・・・涙ってこんなに出るものなんだ
男の腕がふわりと肩を抱いた。
あたしは、その腕の中で思い切り泣いた。
「くそ、ここにもいねえ・・・・・」
ひと通り探したがどこにもいなかった。
もう一度彩子の家に電話をしてみたが、まだ帰っていない。
あとは・・・・・海、か・・・・
「日が暮れちまうじゃねーか・・・」
彩子の好きな海へと急ぐ。
オレは走りながら昨夜の事を思い出していた。
女が酔っ払って転がり込んできた。
友人と付き合っている女だ。
さんざん知り合いの家を渡り歩いたが、誰もいなかったらしい。
酒を買いに行かされ、飲まされ、愚痴を聞かされた。
浮気されたとかなんとか、大学生にはよくある話だ。
煙草の煙。アルコールの臭い。きつい香水。
それらが混ざった、むせ返るような空気。
堕落の臭気・・・。
自分を見失っていた2年間に馴染んでいたものの記憶が蘇った。
東京での、連続する孤独な夜に突然現れた生身の女。
酒で朦朧とした意識の中、誘惑に負けて女と寝てしまった。
欲望に、勝てなかった。
事の後、すぐに帰そうとしたが、女はそのままベッドに潜り込む。
仕方なく、9時前には帰るという条件で泊めた。
目覚めて隣を見ると、彩子じゃない女が裸で寝ている。
吐き気がした。
「・・・なにやってんだ、オレ・・・」
目先の欲望を満たした先にあったもの。
それは、自分に対する嫌悪感と後悔だけだった。
もう暗くなっていた。
泣きやんだあとも男は黙ってそのまま肩を抱いてくれていた。
温かくて気持ちいい。
けれど、先輩とは違う男の温もりに違和感を覚える。
先輩に抱かれている時のような心地よさはなかった。
また、先輩のことを考えている自分。
悔しさが込み上げてくる。
こんなに好きになってたなんて・・・・
「ウエーブがゆるめになったね」
毛先に触れながら男が言う。
「前は元気なイメージだったけど、大人っぽくなった」
「・・・・・」
「誰かの好み?」
「あんたに関係ないじゃない」
何が言いたいんだろう。
遠まわしな言い方をする男に少し苛立つ。
「三井さんと、付き合ってるんだって?」
「・・・なんで知ってるのよ」
「うちは彦一がいるから」
「ああ・・・そんなことまでチェックしてんのね」
「ケンカ、したんだ」
男はすべてを見透かすような目で笑う。
「部屋に女がいたのよ。
・・・あたしだけじゃ、足りないのかもね」
先輩と初めて話した日のことを思い出していた。
あの日より前の先輩のことを、何も知らない。
きっと先輩も話したくないだろうし、あたしも聞かなかった。
本当は気になって仕方ない、先輩のあの2年間・・・。
「復讐したい?彩子ちゃん・・・」
慰めるような目で男が言う。
それがどういう意味かはすぐわかった。
「・・・そうね、それもいいかもしれない」
そう言うと同時に男の唇が頬に触れる。慣れた手付き・・・。
あたしのことを好きでもなんでもない男。
でも、今のあたしにとってはそれでいい。
その方が、都合が良かった。
唇を重ねながらゆっくり倒れる。
背中にあたる地面がひやりと冷たい。
初めて先輩以外の男に抱かれようとしている。
誰かに見られるかもしれない。
でもそんなことは気にならなかった。
首筋を男の唇が這い、キャミソールの裾から大きな手が入ってくる。
手が胸までくると、男は確かめるようにあたしを見た。
本当にいいのか?と、目で問う。
「早くしてよ・・・」
誘うように唇を開き、男の首に腕をまわした。
男は覆いかぶさるようにあたしを抱き、髪を撫でながら優しく頬にキスした。
そんなの、いらない。
甘い囁きや、優しい抱擁なんていらない。
あたしが優しくして欲しいのは、ひとりだけ。
先輩だけ・・・・・・
再び見つめ合った瞬間、男の視線がスッと横に反れ、他の1点に集中した。
「残念・・・・・。お迎えだ、彩子ちゃん」
淡々と言う男の視線の先に、先輩がいた。
嫌な予感が当たった。
どうしてこうなったかは容易に想像がつく。
きっと今の彩子は、昨夜オレが抱いた女と同じだ。
裏切った男への復讐。
だけど、なんで仙道なんだよ・・・・
オレの知らない男のほうが、まだマシだった
「仙道・・・てめー、何してんだよ・・・」
できる限り冷静に言う。
「慰めてた」
まったく目を反らさずに答える。
彩子の上に乗ったまま、身じろぎもせずに。
その態度が、オレの怒りを増幅させる。
慰めてた、だと!?
「・・・・早く離れろ」
「ああ・・・すんません」
仙道が離れると、彩子はゆっくりと起き上がった。
服の乱れを直し、崩れたまとめ髪を手でほぐす。
何を考えているのか、抜け殻のような表情だ。
一秒でもこんなところにいたくねえ
ヤツに殴り掛かりたい衝動を必死に抑えながら、転がっているミュールを彩子に履かせた。
早くその場から連れ去りたくて、強引に腕を引いて歩き出す。
後ろのほうで仙道の声がした。
「三井さん!オレが誘ったんだ・・・」
どっちが誘ったかなんてどうでもいい。
仙道に抱かれながらキスをしていた彩子。
目の当たりにした光景だけが、オレにとっての真実・・・・
黒い波間に月が漂う。
浜辺は人影もまばらだ。
遠くで花火をする連中をぼんやりと眺めていた。
彩子は一言も口をきかない。
オレの顔を見ようともしない。
オレが悪い。
それはわかっていた。
オレが女を部屋に入れなければ、今頃いつも通り過ごしていただろう。
だけど、彩子を責める気持ちが止まらない。
「おまえ、仙道が好きなのか?」
「そんなわけないじゃない」
「キスしただけ・・・か?」
「そうよ」
どんどん曇る彩子の表情を見ても、意地の悪い言葉を吐いてしまう。
「・・・・オレと、どっちが良かった?」
こわばった唇に無理やりキスをする。
彩子の涙で唇が濡れる。
しょっぱい、キス。
一日中泣いてばかりだったのか、目も鼻も赤くなっている。
「ごめんなさい・・・・」
「・・・・謝るなよ」
謝られると余計に腹が立つ。
謝らなきゃいけねえのはオレの方なのに、なんでオレを責めねーんだよ。
思いきり責められたほうが楽だった・・・。
今は、あの部屋には戻りたくない。
それは二人とも同じだった。
男は女の手を引き、海辺の小さなホテルに入った。
女はただ男についていく。
アイボリーを基調とした落ち着いた内装のこじんまりとした部屋。
柔らかな照明に照らされているクイーンサイズのベッドが部屋の大半を占めている。
明るく広いパウダールームには大きな鏡とラバトリーが2つ。
その奥に広いバスルームがあり、窓からは海が見える。
途切れることなく有線が流れている。
どこにでもある、ありふれたホテル。行為のためだけにある空間・・・。
「シャワー、浴びてこいよ」
男に言われるまま、女はバスルームへと消えた。
自分以外の男に抱かれようとしていた女・・・。
とめどない嫉妬と怒りが次々と湧いてくる。
男の頭の中で、同じ光景が何度も繰り返されていた。
シャワーの音が止まっても、女はなかなか出てこない。
男が怪訝な顔でバスルームへ歩み寄る。
見ると、女はパウダールームの壁に寄り掛かりボーっと立っていた。
白いバスローブをはおり、濡れた髪からは雫が滴っている。
何を見ているのか、焦点の定まらない瞳。
その瞳が、美しい女をより一層美しくしていた。
男に気付いた女が言う。
「先輩も浴びたら?汗、たくさんかいたでしょ・・・」
「・・・おう」
いつも通りの話し方だが、陶器の人形のように無表情だ。
女の前を通りバスルームへ向かう。
男が着ているものをすべて脱ぐと、後ろから女が抱きついてきた。
「自分も同罪になれば、先輩を許せるかもしれないと思った。
許せないとしても、責める気持ちは消えるかもしれないって・・・」
「彩子・・・・」
「・・・・でも、消えない。
先輩を好きすぎて・・・あたし、ダメになりそう・・・」
そう言うと女は男を抱く腕に力を込めた。
なんなんだよ、それ・・・・。
それで仙道と寝ようとしたのかよ。
オレと同じ事をしたからといって、傷が癒えるわけじゃない。
もっと深い傷を負うだけじゃねえか・・・。
「もう、そういうことすんなよ。・・・・・頼むから、しないでくれ」
心臓が締め付けられるかのように痛い。
振り向き、バスローブの紐を取る。
はだけた胸元に顔をうずめ、彩子の両手首を壁に押さえつけた。
彩子は全く抵抗しない。
「許して・・・」
許して欲しいのはオレの方。
寂しくて、人恋しくて、誘惑に負けた。
オレが弱いせいで彩子を傷つけた。
捨てられても文句は言えない。
でも・・・・・・失いたくねーんだ。
オレは、本当に我が儘だ・・・・・。
今すぐ、自分のものだと確かめたかった。
唇を合わせながら彩子の片脚を持ち上げる。
激しく舌を絡ませあう。
そのままオレは、まだ潤っていない彩子を貫いた。
びくんと震える彩子の身体。
それは拒絶ではなく、悦びの震え・・・
オレの動きに合わせて小刻みに小さな声をあげる。
彩子の髪も、瞳も、唇も、胸も、そしてこの声も、全部オレだけのものだ。
誰にも渡さねえ・・・
悶え、崩れ落ちそうになる彩子を無理やり立たせる。
限界まで達した女の、悲鳴にも似た喘ぎが響く。
乱暴に、彩子を突いた。
何度も、何度も・・・
すべて忘れてしまいたい・・・・・・
二人とも同じ気持ちだった。
それまで一方的に抱かれていた彩子が、オレの腕を掴んだ。
「あたしにも、抱かせてよ・・・」
氷のような目をした女がオレを見つめている。
静かな怒り・・・。
唇を軽く噛むと、舌を絡まし、屹立したオレをオモチャのように指で弄ぶ。
オレが反応する場所を、その指がすべて覚えている。
しなやかな指に翻弄され、その場に座り込んだ。
柔らかな唇で包まれると、快感が稲妻のように全身を駆け巡る。
オレの表情を見ながら、強く、弱く、すべて把握しているかのように舌が動く。
我慢できずに小さくうめき声をあげると、満足げに笑う。
その虐げるような瞳がオレの興奮を煽った。
何度も頂点手前で快楽から放される。
たまらず彩子に懇願した。
「彩子・・・頼む・・・」
そんなオレを、彩子は目で笑う。
少しずつ少しずつ時間をかけて根元までほおばる。
艶めかしい舌の感触。
時々当たる歯でさえオレを快感の渦へと巻き込む。
散々焦らされてきたオレは、彩子の口の中であっけなく散った。
出たものを丁寧に舐め取られると、それだけでオレはまた屹立する。
「・・・・ちゃんと、あたしだけ見てよ」
彩子はそう言うと上になり、オレを包んだ。
温かく柔らかい壁に締めつけられ、とろけそうになる。
いつもは至福の抱擁も今は悲哀に満ちていた。
皮肉にもそれが媚薬となる。
二人は止め処ない快楽に飲み込まれた。
女は、男が果てても求め続ける。
・・・・・・このひとは、あたしのもの・・・・・・・
度重なる絶頂に力尽きた女は、床に崩れ落ち動けなくなった。
気を失うように眠ってしまった彩子をベッドに運ぶ。
安らかな寝顔を見ていると、罪悪感でいっぱいになる。
思いきり傷つけちまった・・・。
ちらりと仙道のことが浮かび、キリキリと胸が痛んだ。
あんなに抱き合っても、何も消えない。
この痛みが消える時が来るんだろうか・・・。
「あたし、寝ちゃったのね・・・」
長い睫毛の大きな目が開いた。
「・・・なんか飲むか?」
「コーヒーがいい・・・」
冷蔵庫から缶コーヒーを出し、彩子に渡す。
息苦しく、重い空気。
「ごめんな。もう、2度としねーよ・・・」
まだ謝ってないことに気付き、謝罪の言葉を口にする。
「・・・・もう、いいわよ。あたしも似たようなこと、しようとしたし・・・」
彩子はコーヒーを一気に飲み干すとベッドに横になり、また眠ってしまった。
いろいろありすぎて相当疲れているのだろう。
オレも疲れていた。
けれど、漠然とした不安が襲い、眠れない。
彩子の髪を撫でながら、部屋に流れ続ける歌をぼんやり聴いていた。
タガイノ スベテヲ
シリツクスマデガ アイナラバ
イッソ トワニ ネムロウカ・・・
「戻れないのなら、それもいいかもな・・・彩子」
オレたちに、どんな明日が待っているんだろうか。
不安を消し去りたくて、柔らかい身体を抱きしめた。
ずっと、この温もりを感じていたい
永久に・・・・・
END
200 :
144:2007/03/05(月) 02:05:08 ID:yTwLEjkz
終わりです。
見直したつもりだけど、誤字脱字あるかもしれません。
エロ部分少なくてすみません。
アニメ見たことなくて、つい最近yahooで見ました。
WANDSのあの歌、スラダンのEDだったんですね。
なんとなく、そのイメージで書きました。
彩子は気まずそうにオレから離れ、海へ歩き出した。
しばらく波打ち際でぼんやり海を見ていた彩子が、ミュールを脱ぎ海に入っていく。
暗い海に今にも吸い込まれそうだ。
怖くなったオレは海へ走り、力いっぱい彩子の手を引いた。
「なにやってんだ!あぶねえだろーが!!」
「海に入れば、消えるかと思って」
「・・・何がだよ?」
「先輩以外の人の匂い・・・消したい・・・・・」
哀しそうな瞳がオレを見る。
「・・・ばかやろう・・・・」
たまらず抱きしめた。
夏の太陽のように明るい彩子。
その彩子に、こんな瞳をさせているのはオレなんだ。
手を離すとどこかに消えてしまいそうで、強く強く抱きしめた。
202 :
144:2007/03/05(月) 02:09:28 ID:yTwLEjkz
12が抜けてた・・・orz
追加しときました。
読みにくくなってすみません。
更新キテター
乙!
仙道は何を考えていたのか気になるなw
204 :
144:2007/03/05(月) 03:29:24 ID:yTwLEjkz
>>203 どうもです。
一応仙道は彩子を慰めたいだけって感じで書きました。
最初は仙道じゃなくて神で書いてました。
三井と同じ3Pシューターで性格も対照的だし、書きやすいと思ったんだけど、
神が彩子を誘うとなるとなんかしっくりこなくて。
仙道なら、唐突な行動でもあんまり違和感ないかなと思ったんです。
続いて流川と彩子も書きたいけど、難しいね。
神キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
「仙道さん!湘北の三井とマネージャー付き合ってるんですよ! 要チェックや!!」
という声が脳内に響き渡りましたw
GJ。乙です。寝取り仙道萌えw
207 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 00:55:32 ID:9DkO65Wt
GJ!!!
相変わらずの手腕ですね。
切なさがエロスのスパイスになってるところが流石です。
脇役の面々がいい味出しててよかったっす。
つーか勘違いものかと思ったらマジで浮気したのかよミッチーw
しょうがないよ。
18とか19なんて、一番サカリのついてる頃だし。
それなのに他の奴らの健全っぷりといったら…
211 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/09(金) 19:29:19 ID:kM+3L/N1
もうスポーツでリビドー全て昇華してるんだよ。
山王戦で受付にいたSTAFFの女の子きぼん
すげ燃え・・・!!!!
神の一言。
>>続いて流川と彩子も書きたいけど、難しいね。
すみませんがぜひ お願いします ・・・!!!!
>213
>神の一言。
を神(じん)って読んで「ん?」ってなった。
一番経験豊富そうな牧さんのがないな。
女が少なすぎんだよな、スラダンは。
アイシル並にマネージャー、出てくればいいのに…( ´・ω・)
ついでに、ファンブックも欲しい。
キャラ全員のフルネームと誕生日と身長体重教えてくれー。
つか、彩子さんの苗字も松井さん、藤井さんの名前が分からないってのも凄い。
なのに、彦一の姉はフルネーム出てるんだよな…。
牧さんって自分が書くとどうしてもおっさんになる
おっさんの牧でもいいからよろしくお願いします!
219 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 13:43:14 ID:089BumsS
ホストクラブのオーナー
いっそのこと、No.1ホスト牧で。
221 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 06:01:29 ID:LG4fOjpl
駄文ですが投下します。牧の名前がでてたので、牧×彩子かいてみましたー
222 :
牧彩1:2007/03/27(火) 06:02:34 ID:LG4fOjpl
「テーピング用のテープも買ったし、コールドスプレーも買ったし…これで全部ね」
彩子は部活を晴子にまか備品の買い出しに、数が豊富な少し遠めのスポーツ用品店にきていた。
「まだ明るいけど、こんな時間かぁ…」
時計は18時をまわっていた。
夕焼けがきれいな海沿いの道を歩いていると、たまにしか来ないせいか新鮮さを感じる。
赤城、小暮が引退し宮城率いるバスケ部は桜木も戻り活気にあふれている。
「晴子ちゃんも入ってくれたし、がんばらなきゃ!」海を見ながら清々しい気持ちで改めて思った。
「あれ?」
向こう側から知ってる顔が歩いてきた。
223 :
牧彩2:2007/03/27(火) 06:03:30 ID:LG4fOjpl
「ん?」
相手も気づき立ち止まる。
「牧…さん」
あぶなく呼び捨てにするところだった。
「湘北の…」
「…こんにちわ」
久しぶりに見る顔。とはいえ、特に親しくないため、立ち止まったところで次の言葉がうかばない。
「買い出し?」
「あ…そうなんですよ。備品の。」
「ずいぶん遠くまでくるんだな」
牧の醸し出す、オーラのような雰囲気にのまれそうになる。
試合で見た彼とは全く違う雰囲気だったが、ひとつしか年が違わないとは思えない雰囲気だ。
224 :
牧彩3:2007/03/27(火) 06:04:32 ID:LG4fOjpl
「今帰りなんですか?」
「そう。」
彩子は海南がこの付近だったとようやく気づいた。
「あ…じゃぁ…また…」
ぎこちなく会話を終わらせ、歩きだした。
「あのさ、」
声に振り返る。
「時間ある?」
「はい?」
いきなりの問いに戸惑う。
「学校に戻る?」
「あ…いえ。戻りません」
とっさにそう出てしまった。
「じゃぁ、ちょっとついてきて」
歩き出す牧。
なに、なんで?!
大して話したこともないんだけど!
彩子は混乱しつつもついていく。
225 :
牧彩4:2007/03/27(火) 06:05:25 ID:LG4fOjpl
5分くらい歩くと、そこは見晴らしのいい場所だった。
「あのー」
「ほんとについてきた」
「は?」
キョトンとする彩子に気にせず牧が続ける。
「ここにくると息抜きって感じなんだよな。普段はなかなかこれないけど。」彩子は意図が全く読めず、芝に座る牧を見る。
静かな海をみつめる牧の横に彩子も座る。
全く訳はわからないがなぜか自然に座っていた。
「すごくいいところですね」
「だろ?」
不意に見せた牧の笑顔にドキっとした。
なんで? いろいろ疑問は湧くが、なんだかすごく落ち着く。
特にたくさん会話をするわけではなかったが、彩子は心地よさを感じていた。
226 :
牧彩5:2007/03/27(火) 06:06:19 ID:LG4fOjpl
「いつもは一人で来るんだけど、あんたの顔みたら誘ってた」
「そうですか」
もう理由なんかどうでもいいや……
………
「遅くまでひきとめちゃったな」
「え?あっもう8時?」
ゆっくりとした雰囲気ですっかり時間を忘れていたが、もう暗くなっている。
「じゃあ、あたしはこれで…わっ!」
牧は立ち上がろうとした彩子の腕を引き寄せ、そのままキスをした。
227 :
牧彩6:2007/03/27(火) 06:07:17 ID:LG4fOjpl
またしても彩子は状況がのみこめず、ただ驚いた表情しかできない。
そしてもう一度。
理解はできないが、抵抗しようとも思わない。牧の雰囲気は心地よく、理由なんていらないと思わせるものだった。
そのままキスをして、牧の手は彩子の胸に…
ワイシャツのボタンを外しスルリと中に入ってくる。
「…はぁ」
もう彩子は完全に体をあずけていた。
228 :
牧彩7:2007/03/27(火) 06:08:29 ID:LG4fOjpl
触られる部分は全て敏感に感じてしまう。
意外にも優しい扱いがまた心地よかった。
自分でもわかるほど、濡れてしまっている部分にゆっくり指が入る。
「ぁ…んっ…」
だんだん早くなる指に意識は遠くなりそうだった。
そして指が抜かれ…
「ゃあっ…」
「痛い?」
中がすごく熱い…
やはり最初はひかえめだったが、だんだんと強弱がついてくる。
彩子は牧にしがみつき、その快感に耐えていた。
「我慢しなくていーから」
その一言で彩子は耐えきれず、絶頂を感じた。
だが、それでもまだ強弱は続く。
ほんと…やばい…
何度も突かれ感じすぎる。
熱い液がかかるころには、彩子はほとんど動けなかった。
229 :
牧彩8:2007/03/27(火) 06:09:19 ID:LG4fOjpl
「平気?」
ぐったりとしてる彩子に牧が問いかける。
さすが…タフ…
彩子は牧を見上げた。
「平気になったら駅まで送るから」
サバサバと冷たい感じだが、なぜか嫌な気がしない。
「変なの」
思わず口に出る。
牧がまたフッと笑う。
あぁ、この笑顔があるから許せるんだな…
230 :
牧彩ラスト:2007/03/27(火) 06:11:11 ID:LG4fOjpl
「じゃぁ気をつけて」
「あ、はい」
駅まで送ってもらい、牧とわかれる。
「また今度な」
そのセリフにドキっとしつつ彩子はホームに向かった。
神奈川No.1か…
あの人には勝てないわ…
電車から海をながめ、彩子はまたいつもの日常にもどった
END
牧いいなあw
GJ!
「さすが…タフ…」にエロスを感じた!
牧のなんて初めて見れたよ
GJ!!!
GJ!!!
彩子さんがもともと牧を好きというわけではないのに、
何故かすんなりエッチしてしまう描写が自然で素晴らすぃ!
しかし、牧の顔を忘れてて、単行本読み返してしまった・・・
乙です!
どこまでも帝王な牧に萌えますた。
神降臨祈願!
連載終了して10年もたつと、書いてくれる人もあまりいないんかな。
サミシス。
237 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 03:04:53 ID:bc2ezpYi
沢北age
238 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 04:09:41 ID:4Sd/UWU1
牧彩かいた者です。
みなさん駄文にレスありがとうございます。
私もこのスレ好きなんで、神が降臨するまで書かせていただきます。
エロまで長くなってしまいましたが、よかったら読んでください。
239 :
藤井*三井:2007/04/03(火) 04:11:00 ID:4Sd/UWU1
「おつかれしたっ!」
湘北バスケ部の練習は、その日も20時過ぎまで行われていた。
「結局最後まで見学しちゃったね」
「最近、全国大会近いし、すごい熱気あふれる練習だから見入っちゃうよねー」
春子と藤井と松井は、その日練習が終わるまで見学していた。
「春子さーん!!」
「あ、桜木くん!おつかれさま!」
春子と桜木が話している横で藤井は周りを眺める。
宮城と彩子、赤城、小暮、流川…
「あれ?」
探した姿は体育館内にいない。
藤井は春子たちの元を離れ、体育館からでた。
240 :
藤井*三井2:2007/04/03(火) 04:12:06 ID:4Sd/UWU1
ジャー…
水の音がしている方に近づく。
渡り廊下の水道に人の気配。
そっと覗くと、そこに探していた姿があった。
「…おつかれさまです…」
「おわっ?!なんだよ!びびったー!」
男は驚いた表情で振り返る。
「気配しなかったぞ!ってかこんな遅くまで見学かよ。好きだねー。」
「なんか見入っちゃって…あれ?三井先輩、足ケガしたんですか?!」
三井は右膝を水道の水で冷やしていた。
「いや、古傷。今日ちょっと調子悪かったからな。」
「大丈夫ですか?」
藤井はここ最近、春子につきあって練習を見学している時に、三井のことをいつも目で追ってしまっていた。
バスケ部に乱入したとき…バスケがしたいと泣きくずれた姿、翔陽戦の三井が忘れられなかった。
「まー大丈夫。あ、流川帰っちまうぞ!」
「え?」
どうやら藤井も流川目当てと思っているようだ。
「じゃーな」
そう言い残し三井は部室の方へ歩いていった。
241 :
藤井*三井:2007/04/03(火) 04:13:06 ID:4Sd/UWU1
「違うんだけどな…」
小さく呟く。
「藤井ちゃん!帰らない?」
春子が体育館の入り口から声をかけた。
「あ、うん!」
慌てて体育館にむかう。三井のことが気になっていることは春子や松井にも伝えていない。
3人で校門までいくと
「春子さーん!一緒に帰りましょう!」
桜木が走ってくる。
「…桜木くんは自分の気持ちに正直でいいな…」
藤井は思わず独り言を言う。
松井がそれに気づき、
「藤井ちゃんも素直になってみたら?」
と言った。
「えっ?」
「まだ、部室にいるんじゃない?」
松井はそう言ってニコっと笑った。
「え?素直にって?」
「春子は鈍感だからいーの。」
二人のやりとりを見て春子と桜木の鈍感コンビはキョトンとしている。
「わ、私、ちょっと忘れ物っ」
藤井は校舎にむかい走り出した。
242 :
藤井*三井4:2007/04/03(火) 04:14:10 ID:4Sd/UWU1
部室の前まで来たが、そこからどうしていいかわからず部室の前で待つことにした。
なんか勘違いされてるしなぁ…
やっぱり帰ろうかな…
「ぅわっ!!!なんだよ!またか!」
ドアが開き、三井がでてきた。
「2回も驚かしやがって…俺やなんだよ、夜の学校…」
思わず笑ってしまう。
「先輩、怖いの嫌いですか?」
「怖かねーよ!!ってかもう誰もいないぞ」
「…三井先輩のこと待ってたんです。」
「あん?」
言っちゃったー!ドキドキする!
緊張で少し震えながらうつむく。
243 :
藤井*三井5:2007/04/03(火) 04:15:23 ID:4Sd/UWU1
「なんで?」
そう言われ、何も言えず涙が出てくる。
やっぱり私には無理。待ってなきゃよかった!
「泣いてる?!いや、なんでって理由聞いただけ! 言い方きつかったよな!わりぃ!」
三井が慌てて言い直す。
「ちがっ、先輩はなんにも悪くないです!私が…」
うまく言葉にならない。元々、積極的な方ではない藤井にとって、こんな状況をどう乗り切ればよいかはかなり難しい。
「と、とりあえず、お前中入れ!」
三井が部室のドアを開け、藤井を中に入れる。
244 :
藤井*三井6:2007/04/03(火) 04:16:26 ID:4Sd/UWU1
初めて部室に入り、すすめられた椅子にすわる。
「だいじょぶか? ってか原因は俺か…」
三井は突然の藤井の涙に焦りを隠せずにいる。
「あ、部室くせーよな?」立ち上がり窓を開けた。
初夏の夜の風がふわっと部室に入ってくる。
「…ごめんなさい、急に…」
「いや、だいじょぶ。で、なんで俺を待ってたん?」
「先輩のスリーポイント…」
「ん?」
「先輩のスリーポイントシュートがすごくて…スパッてきれいにゴールに、吸い込まれていくみたいで。」
藤井はゆっくり話した。
「最初はすごいなって見てたけど、いつのまにか、試合でも練習でも三井先輩のこと目で追ってて…」
「だけど先輩は私も流川くんがいいと思ってるし、だから自分の気持ちに素直に、桜木くんみたいに、えっと…あれ?なんかグチャグチャになってきた…」
うつむく藤井を三井は思わず抱きしめた。
「じゅうぶん、伝わってるからだいじょぶ。」
「せ、先輩っ」
緊張で少し震えながらも一生懸命話す藤井を、三井は驚きながらもかわいく感じていた。
245 :
藤井*三井7:2007/04/03(火) 04:17:40 ID:4Sd/UWU1
「そんで、待っててくれたわけか。」
「そ、そうなんですけど、話すことなんて、なんにも考えてなくて」
三井に抱きしめられている自分に意味がわからず、藤井は余計に混乱していく。
「あらかじめ、考えてない言葉の方が本当っぽくていいよな」
「あ、わりぃ!つい。」
三井がパッと体を離す。
「そんなふうに俺のことを見てくれてる奴がいるってのは、うれしいよ。…俺はすげーバカなことしちまったのに…」
「だけどっ!先輩はあの時もバスケが大好きだったんですよね?!だからあんなふうになっちゃっただけで!」
「ありがとな。ほれ、帰るぞ」
三井がフッと笑い、荷物を持ち立ち上がる。
藤井も立ち上がり、部室を出ようとする三井に声をかけた。
「先輩…もう一度だけ、ギュッてしてもらえませんか?」
246 :
藤井*三井8:2007/04/03(火) 04:18:37 ID:4Sd/UWU1
「え?」
顔を赤くしてうつむく藤井を三井がみつめる。
「おまえなぁ…そんなこと男に言うと、どうなるか知ってんの?」
そう言いながら藤井を抱きしめる。
「わ、私もよくわかんないけど、なんかつい…」
「知らねーぞ」
そう言って三井は藤井にキスをした。
そのままキスを続け、長椅子の方へつれていく。
わ、どうしよ…
藤井の頭はもう何も考えられなくなっていた。
三井の手は止まらず、制服のボタンは外され、胸が露わになる。
「待って先輩!は、はずかしい…」
「ダメ。待たねー」
三井はそのまま胸に顔をおとす。
「ゃんっ!先輩…」
初めての感覚に戸惑う。
247 :
藤井*三井9:2007/04/03(火) 04:19:41 ID:4Sd/UWU1
三井の手はスカートの奥に入り、器用に下着の中に入る。
くちゅ…
「すげーエロい…」
「やだっ…」
一番、敏感な部分を触られ、どんどん濡れてしまう。
「わりぃ、我慢できねー」
三井が手を止め、中に入れてくる。
「いっ…痛っ!」
「だいじょぶ?すげーきつい」
入るときの痛みは想像以上だった。
だが、ゆっくり様子を見ながらしてくれるため、痛みは徐々にやわらいでいる気がしてくる。
ゆっくり動かされ、思わず声が出る。
「中すげーな。やっべ…」
少しスピードがあがる。
248 :
藤井*三井10:2007/04/03(火) 04:20:37 ID:4Sd/UWU1
「あっ…先輩っ…はぁ…」
痛みと快感でぐちゃぐちゃになりながら、三井にしがみつく。
「はぁ…気持ちー…痛いのはわかるけど…」
そう言って三井は一気にスピードをあげた。
「あっっ…まって…!!」
待つわけもなく、そのまま突き続け
藤井の胸に精液がとんだ。
249 :
藤井*三井11:2007/04/03(火) 04:21:30 ID:4Sd/UWU1
「…はやかったな。わりぃ。部活後だからなって言い訳みたいだな」
藤井はキョトンとする。はやいなどの基準はわからない。
「ほら…ごめんな」
三井が胸にかかった部分をふいてくれる。
「あ、自分でやります…」
藤井は急に恥ずかしくなった。
250 :
藤井*三井ラスト:2007/04/03(火) 04:22:47 ID:4Sd/UWU1
帰り支度をし、ふたりで学校をでる。
「だいじょぶか?」
「はい。けど、先輩手慣れてましたね」
「ばっ!手慣れてねーよ!」
藤井が笑う。
三井も藤井をみて微笑む。
初夏の夜の風はあたたかくも、涼しさを感じさせ心地よくふいていた。
END
>>238 連投、乙華麗!
藤井ちゃん、かわいいね。
GJです。
それにしても、誰とでもすんなり寝れてしまう三井って偉大だ。
これがゴリとか花道だったらと思うと、全然想像つかないw
みっちー、スゴス。
GJ!
本当にミッチースゴスw
女性キャラ(って、もともと少ないけど)ほぼ全制覇じゃない?
あ、彦一のお姉ちゃんが残ってるか。
スタメンの中で唯一絡みのある女がいないのに(しかもむさ苦しい応援団あり)こんなに書かれるのがすごいな。
>>250 GJ!!!藤井ちゃんかわいい!!
お疲れでした。
また楽しみにしてます!
一つ書いたので載せます。ばたばた書いたので変です。
あまり幸せでもエロくもないので、苦手な方は飛ばしてください。
「おっ…と。」
「ぁっすみませ……あ。」
むしゃくしゃして衝動買いをしている最中。
狭い店内でぶつかった相手は陵南の仙道だった。
仙道も私が分かったようで、
でも思い出せないのか私を指したまま口をぱくぱく動かし考えている。
「あー…あーっと、ほら。ねぇ?海南の…さ、さ、佐々木さん。」
「…湘北の彩子…。かすってもないんだけど。」
「あはは、いや覚えてるよ。元気してた?」
「そこそこ。じゃあ。」
言いながら大きな男に背を向け服選びを再開する。
穏やかに話せる気分じゃない。さっさとどこかへ行ってくれる事を願った。
「偶然だね。買い物?」
あっちへ行けというオーラを全身で出してんのに気付かないのんびり屋の仙道。
さっと去るのも悪いと思ってんのかしら。
「そうよ、でも今から帰るとこ。じゃあまた試合でね。」
付いて来るなという睨みを利かせて店を出る。
なぜかそれでも付いて来る男。
「彩子さん、せっかくだしなんか食ってかない?」
イラッとして振り返る。
「あのね、私今日一人でいたいの。悪いけど付いて来ないでくれる?」
やや厳しい言い方だった。
それでも仙道は気にしていないらしく、
大げさに身体を引いて困った子供をなだめる様な笑顔を作る。
「なんかあった?」
(こーゆー顔作るよね男って。なんでもお見通しみたいに大人ぶって結局包容力もないくせに。)
どこまでもひねくれて解釈してしまう。
「な・い。…いやあった。おおーきな事件があったけど、それってあんたに関係ないでしょ。」
きょとんとする仙道を一睨みしてまた背を向ける。
今度こそと、思いきり一歩踏み出した。
「待って。」
ふいに腕を掴まれたと思ったら身体がくるりと回った。
気付くと仙道が私を抱きしめている。
まず目に入ったのは道行く人の視線。
「ちょっ…と!何考えてんの!?離して!!!」
頭上からはははと能天気な笑い声が聞こえる。
「フラれたんだ、彩子さん。」
ギクリと身体が震えた。それが答えになったようで、見上げるとにっこりとした笑顔が返ってくる。
「だから…なに。」
「それ、付き合ってたヤツ?」
「…………ん。」
なに素直に答えてんだ私。
考えないようにしてたのにどんどん湧いてきた辛い気持ちが全身を占める。
ヤバイ泣きそう。
タイミングよく仙道が私の身体を引き寄せる。
「こんな美人なのに、バカだねそいつ。」
肩にうずまる男の声が耳の側で聞こえる。
適当な言葉と適当な優しさ。
だけど弱ってる心をむき出しにするには充分の温かさだった。
こらえていた涙がどんどん溢れてくる。
周りの視線なんかもうどうでもよくなってきた。
声を出さないように唇を噛み締め、
泣いているところを見られないように仙道の腕を引き寄せる体制になる。
しばらくそのままで大きな手が私の髪を撫でていたが、
ふぅというため息を終わりにして涙の止まった身体を離した。
幾分すっきりした気がする。
「…ごめんね。」
バツが悪くてうつむいたままボソリと呟くと、にっこり笑った男からいいよと返事が返って来た。
なんと言葉を続けていいのかわからず、向かい合ったまま沈黙になる。
「うち、来る?」
仙道の低い声が暗くなりかけた街に溶ける。
こんな展開を想像しなかったわけじゃない。
むしろこれが男の目的だろうと思ったから。
決定権を全てこちらに委ねるのは前の男を思わせた。
(こっちに決めさせといたら私が後で後悔しても
『彩子が決めたことに従ったんだよ』って言えるものね。)
仙道から出る言葉を全て悪く悪く考えるのはもう傷つかないために壁を作っておきたいからなのか。
しかし警戒しながらも、今はこの男の手の平で転がされていたいという自暴的な思いも頭をよぎる。
視線を外し、考えるように上を見た。
「うーん…どうしようかなぁー。」
ふと視界に入った仙道の顔は、私の返事を知っているように微笑んでいる。
小さなアパート。
一人暮らしって本当だったんだ。
大きな手がシャツのボタンを胸の下まで外し、待ちきれないように谷間へと口付ける。
温かな感触に、ふ。と小さく吐息がもれた。
「綺麗だよ彩子さん。真っ白で、柔らかい。」
舌先で形をなぞるように谷間から鎖骨まで舐め上げる。
背筋にゾクゾクとした感覚が走り首をうなだれたまま身体を反らした。
中途半端に胸の下で留まったシャツは、腕をも拘束させ身動きがとれない。
それをうっとりと眺める男。
「ボ…ボタン、外して。」
自分で外すことも出来ない恥ずかしさに耐えかねて懇願する。
仙道がむき出しになった私の肩を撫でて甘噛みし、舌を這わす。
「息が荒いね。やらしい格好させられて興奮してんの?」
「やっやめて…。」
「どんどん肌も赤くなっていくよ。俺が撫でただけでビクビクして…気持ちよさそう。」
言いながらブラジャーを下げ、じらすように中央を避けて舌を這わす。
うずく頂点が主張するように張ってくるのが分かる。
熱い仙道の吐息がその部分にわずかな刺激をもたらし、追い討ちをかけていた。
「…はっぁ…せ、仙道…お、お願い。」
「なに?」
「シャ…ツが腕に喰い込んで…い、痛いの。」
顔を上げた仙道が微笑んだので、願いがかなえられるとホッとする。
「あ…っ!せっ…!?」
突然胸を揉みしだかれ頂点をきゅうっと摘み上げられる。
暴れようとする腕にシャツが食い込み、痛いほど拳を握り締めた。
閉じた目を開けると、どこか冷静な仙道の目。
「ここがいいんだ。」
嘲るように笑われ、身体が一層熱を持つ。
突然仙道が身体の横側に重ねていた私の足を高くあげ、
バランスが崩れた私は後ろ手のままドサリと床に倒れる。
「きゃっ…ちょ、ちょっと待っ…ぁっ…!」
くちゅり。という水音と共に仙道の指が濡れた部分を押し付ける。
こんな状態で興奮している自分が恥ずかしくて顔を横に背けた。
「彩子さんって思ったよりMだよね。すげぇ濡れてる。」
「やだっ…。」
耳を塞ぎたいのに動けない。
横たえたまま、ただ自分の淫らな様を受け入れるしかできない。
「あ!……んぁ…あ…く…っ。」
ぬるぬるとした舌の感触に気付き見ると仙道がそこに口を付けている。
「あ…あ…。」
器用に動く舌は割れ目を沿い、少しだけ突起に触れまた戻ることを繰り返す。
何度かそれを繰り返すと舌をぐりりと中に押し込めてきた。
「あああっ!だ…めっ。」
「あぁ。舌だけじゃ彩子さんがいいところまで届かないな。」
喉元で笑いながら言うと、ゴツゴツした指が遠慮なしにずぶりと入ってくる。
一度奥まで入るとゆっくりと出し入れを始めた。
身体を浮かしながらその遅い動きがじれったく感じ腰を動かす。
途端びりりとした快感が背を走った。
「あぁっあっ!せ、仙道っ!イイッ…たまんない…っ!」
「指だけでそんな腰使うなんて…見てる俺の方がたまんないよ。」
荒く吐き出す声が聞こえると、中に入る指が引き抜かれた。
消えた快感にすがるよう仙道を見る。
「あっ!はぁ、あっ!あああああ!!!」
男の姿を視界に捉える前に、熱く大きなものがずぶずぶと中に入ってきた。
腰を掴み動く男の、張り出したカリの部分が内壁を擦り上げる。
「そ、そんな締め付けないで彩子さん。」
「あっんん!!だ、だって、すごく気持ちいい…も、もっと擦ってぇ!」
「あ、やべ。ちょ、ちょっと、本当締めないで。俺もたないよこんなんじゃ。」
最中で、しかも一番昂ぶっている時なのに、仙道ののんきな言い方に思わず笑ってしまった。
私を見て仙道も上気した顔で少し笑うと、お互いに動きを止めて呼吸を整える。
「ごめん。痛かったよね。」
そう言うとシャツのボタンをようやく外してくれた。
ほ。と安心しながら見ると、やっぱり締め付けられていた腕が痣になっている。
じとりと睨むと、仙道が申し訳なさそうな笑顔を作った。
「…変態。」
「えぇ?結構喜んで見えたけどなぁ。」
「ど、どこがっ!もー痛くって痛くっ…。」
私の言葉を遮るように仙道が唇を重ねてくる。
温かい。
そう言えばキスしてなかったんだ。
舌を絡め、更に味わおうと顔を傾けると、
突然下半身の熱を持ったままのモノが出し入れを再開した。
喘ぎ声は押し付けられた仙道の口に消えていく。
頭が白く飛ぶのを感じながら自由になった両手で、逞しい身体をきゅっと抱きしめた。
着替えを始めた私をベッドに横たわる仙道が無言で見つめている。
視線に気付いてそちらを見ると、にこりと笑顔が返って来た。
この柔らかな笑い顔は嫌いじゃない。
「俺驚いたんだけどさ、愛称に苗字の呼び捨てはないよね。」
「え?私?…『仙道』って言ってた?」
「言ってた言ってた。俺さん付けなのに『仙道』ってちょっと…びっくりだよね。
色気もなんもねーよ。」
不満気な声にごめんごめんと謝りながら笑う。
ふと手枕をした仙道と目が合った。
しばらくにこにこと私を見ていた男の口が開く。
「付き合う?俺と。」
また決定権はこっちか。
なんだか誰と付き合っても同じのような気がしてくる。
恋愛には苦しさが付き物なのにどうして私はそれに足を突っ込もうとするんだろう。
考えるように視線を上にやる。
「うーん。どうしようかなぁ。」
見ると私の答えを知っているような仙道の笑顔が映った。
甘く絡みつく苦しみまで………あと一歩。
終わりです。
こんな高校生嫌だ。色々すみませんでした。
読んでくれた方本当にありがとうございました。
職人さん増えてくれてうれしいです!
まだまだずっと待ってるのでどうぞ色々と読ませてください!!待ってます!
>>254 乙です!グッジョブ!
女に判断させる、ちょっとズルい仙道がイイ!
原作でもSっぽい性格してるもんなあ。
特に流川には。
それにしても三井と仙道。
この二人、もはや素人ではないねw
すっごーい
すごく素敵ですー
考えてみたら、弱いところにつけ込む、なのに、
やっぱり仙道ってかっこいいなぁ
久々に来たら良作が続々投下されてる(・∀・)アヒャ!!
すうばらしーいい!!
萌えた…
いいなあw
GJ!GJ!GJ!! 仙道ステキすぎます!
仙道って誰と絡ませてもエロいなw
自分的には藤真も読んでみたいですw
>「そ、そんな締め付けないで彩子さん。」
>「あっんん!!だ、だって、すごく気持ちいい…も、もっと擦ってぇ!」
>「あ、やべ。ちょ、ちょっと、本当締めないで。俺もたないよこんなんじゃ。」
仙道wwwww なんか本当にのほほんと こういうこと言いそうw
それにしても彩子さんエッロイw
乙でした!また書いてください!!
268 :
144:2007/04/07(土) 01:45:38 ID:niUvJ8BY
以前、三井×彩子を書いた144です。
流川×彩子を書いていたら、なんだか長くなってきました。
なので、区切りのいいところで前編と後編に分けることにします。
とりあえず前編を投下して行きます。
エロいパロというより、パロの中にエロがある、みたいな感じです。
そんなふうにしか書けないんです、自分orz
とっても長いですが、よければ読んでやってください。
その悦びを知ってしまった若い身体は、本能のままに求め合う。
だけど、二人の間にあるのは欲だけではなかった。
彼女はもう自分自身の気持ちに気付いていた。
それなのに素直になれない。
漠然とした不安を抱え、すっかり臆病になっている。
すでに気持ちを伝えていた彼は、ただひたすら彼女を待っていた。
そんな曖昧な関係は、すでに半年以上も続いている。
些細な出来事に傷つき、すれ違う。
悩み苦しむ二人は、もつれて絡まった糸のようだ。
もう少し大人ならば、その糸は簡単にほどけるだろう。
けれど、まだ十代半ばの彼らは、その術を知らなかった。
繋がる身体と同様、互いを想う気持ちも一つなのに―――。
抱き合う肌は、夜寒の季節に似合わない汗で濡れる。
散々弄ばれた彩子の身体は、もう力を失いかけていた。
手だけがシーツを強く掴み、自分の中心を貫くものに酔い乱れる。
なかなか離れようとしない男の身体。
大きな手や柔らかい舌の動きに、大きく声をあげてしまいそうになる。
この場所でしか見る事のできない彩子の艶めいた表情。
自分が満足するまで、流川はそれを堪能する。
「お願い・・・・・」
懇願する小さな声。
その声に、流川はようやく動きを強めた。
柔らかい胸に舌を這わせると、中からきゅうっと締め付けられる。
たまらず流川は舌の動きを止め、胸に顔をうずめた。
ふうっと大きく息を吐いて一呼吸おき、再び白い胸に舌を這わせる。
彩子は、そんな流川の頭を両腕で優しく抱いた。
「先輩、気持ちいい・・・・・・?」
耳元で、流川が囁く。
その言葉と優しい吐息に、耳が熱くなる。
「すごく・・・・・いい・・・」
彩子は、かすれた声で苦しげに呟いた。
激しく抱き合い、二人はどこまでも昇りつめていく。
彩子の柔らかい身体に包まれ、流川は終わりの時を迎えた。
鏡の前で絡まった髪をほぐす彩子を見つめながら、流川は思った。
ここでこんなふうに過ごすのは、もう何度目だろう。
知らないほうが良かったのかもしれない。
先輩の温もり。柔らかい体。甘い声。
何度も抱いたはずなのに、飽きることなく身体が熱くなる。
その肌に触れれば触れるほど、想いは強くなる。
永遠に、ひとりじめしたい―――。
「オレじゃ、ダメ?」
答えがわかっていても、何度も聞きたくなる。
「・・・・・あたしを抱くのはあんただけ。それで充分じゃない」
いつも通りの答えが返ってきた。
オレが高校に入学して割とすぐに始まった関係。
それは、秋が終わろうとしている今も続いている。
はっきりしない先輩にイライラすることもあった。
だけど、オレには二人で過ごす時間を捨てる勇気はない。
これは自分が望み、選んだ道。
もう、行けるところまで行くしかねえ――。
オレは、完全に溺れていた。
さっきまで、この手できつく抱きしめていた身体。
今はもうオレから離れ、服を着始めている。
脱ぎ散らかした制服を先輩に渡され、ようやくオレも着替えを済ませた。
「帰る」
「そう・・・・・」
これまでも、一度も引き止められたことはなかった。
先輩を抱きしめ軽くキスをし、部屋を後にする。
靴を履き終わると、そのまま無言で先輩の家を出た。
「また明日、学校でね」
いつも通り玄関で見送っている先輩。
「・・・・うす」
オレは軽く手をあげると、そのまま振り返らずに自転車で走り出した。
顔を見てしまうと、帰りたくなくなるから・・・・・。
別れの瞬間はいつも日曜の夕暮れ時にも似た寂しさに襲われる。
学校でも会えるが、肌に触れることできるのは先輩の部屋でだけ。
誰も、オレたちのこんな関係を知らなかった。
いつもの帰り道。しばらく走ると、通っていた中学が視界を横切る。
すべては、ここで始まった。
もし、先輩と出会ってなかったら、オレはどんなふうに生きていただろう。
今となっては先輩のいない毎日なんて、想像もつかない。
それだけ、大きな存在となっていた。
秋の冷たい風を受けながら、葉が散り始めた並木道をゆっくりと走る。
先輩と出会ってからの事を思い起こしながら――。
富ヶ丘中学は満開の桜で彩られていた。
校舎から次々と出て来るのは、真新しい制服に身を包んだ新入生たち。
流川楓。彼もその中にいた。
入学式を終え、足早に校舎を後にする。
流川は、着慣れない学生服を早く脱ぎたくて仕方なかった。
校門へ向かい歩いていた流川は、一瞬にして一人の女に目を奪われた。
これだけの人がいるというのに、ひときわ目立っている彼女。
サラサラと揺れる長い髪。
その髪をかきあげる仕草に、彼の胸の鼓動が早くなる。
ハッキリとした顔立ちの彼女は、中学生には見えないくらい大人びていた。
3年生か?
そう思いながらすれ違う彼の鼻先を、彼女の長い髪の香りがくすぐる。
甘い香りに思わず振り返り、その姿が校舎の中に消えるまで見送った。
淡い桃色の花びらが舞い散る中での、彼女との出会い。
その余韻は、しばらく彼から消えなかった。
数日後、流川はバスケ部に入部した。
目の前の光景に驚きを隠せない。入学式で見かけた女が、すぐそこにいる。
彼女はひとつ年上で、バスケ部のマネージャー。
名前は、彩子。
明るく美人でスタイルも抜群の彩子は、当然男の視線を集める。
そんな視線など全く気にしないサバけた性格に、流川は好感を持った。
彩子に何か言われるたびに一喜一憂している自分。
とにかく彩子のことが気になって仕方が無かった。
けれども流川は、それを決して表には出さない。
まだ12だった彼は、その感情が何なのかわからなかった。
女になんか、興味なかった。
なのに、気が付けばいつも先輩の姿を目で追っている。
そんな毎日が、あっという間に過ぎていく。
2年がたち、オレはバスケ部のキャプテンになっていた。
「流川!あんたキャプテンになったんだから、しっかりしないとダメよ」
「うす・・・・・」
「また寝坊して試合に遅刻したりないか心配だわ」
「しねーよ」
明日、先輩は中学を卒業する。
こんな何気ないやりとりも、もうすぐできなくなる。
そう思うと、どうしようもなく切なくなった。
抑えようとすると先輩への想いは一層強くなる。
出会った頃は、ただの憧れだったと思う。
その憧れは長い時間をかけ、別の感情へと変化していた。
先輩が、好きだ――。
同じ高校に行けば、きっとまた今までみたいに過ごせる。そう思った。
進路調査書の第一希望欄に「湘北高校」と記入し、提出する。
第二、第三希望は書かなかった。書く必要もない。
先輩のいる高校へ進むことに、オレは少しの迷いも無かった。
そんな固い決意から約1年が経ち、オレは湘北高校に通っている。
バスケ部に入部してから、もう数週間。
先輩と再会を果たしたオレは、望み通りの生活を手に入れたはずだった。
日曜でも練習はある。
陵南との練習試合の影響なのか、部は活気に満ちていた。
仙道に刺激を受けた流川も以前より練習に熱が入る。
早朝からの練習は昼に終わり、掃除を済ませた部員たちが帰りはじめる。
その後も、彩子は桜木の基礎練習に付き合っていた。
なぜか宮城も一緒に桜木を指導している。
「流川!また一人で練習?たまには早く帰って休んだら?」
離れた場所で、一人で練習をする流川に彩子が叫んだ。
「もう少しやってから帰る」
「本当にバスケばっかりやってんのね」
――自分だって、毎日桜木の基礎練に付き合ってて帰りがおせーくせに。
しかも、結構楽しそーだ。
あいかわらず宮城先輩はチョロチョロとひっついてやがるし。
あんなストレートに自分の気持ちを出せるなんて信じられねえ。
オレには絶対無理だ――。
なんだかすべてがおもしろくない。些細なことにも嫉妬してしまう。
流川は、ケンカしながらも楽しそうに練習する3人の様子をイライラしながら見ていた。
しばらくすると桜木の基礎練習も終わり、体育館には誰もいなくなった。
一人でシュートの練習を始める。
静かな体育館には、ボールの音だけが響く。
シュートがはずれ、リングにはじかれたボールが外へと転がった。
「ちっ・・・・・」
取りに行こうと出口へ向かう。
人影に気付き顔を上げると、着替えを済ませた彩子が立っていた。
「流川、送ってよ。あたしの家、あんたの家の途中だし」
まるでそうするのが当たり前かのように、先輩が言った。
オレの腕を掴み、ぐいぐいと引っ張っていく。
「・・・・・んだよ、勝手に決めんな」
「いいから着替えてきて。校門で待ってるから」
あっけらかんとした笑顔。
これに、オレは弱い。
一度は体育館に戻ろうとしたが、笑顔の先輩に勝てなかった。
着替えを済ませ、自転車を押して校舎を出る。
校門で先輩が待っているのが見えた。
二人きりで歩くのは初めてだ。そう思うと、なんとなく緊張した。
自転車を押すオレを見て、先輩はハッとしたような顔をしている。
「そういえば、あんた自転車通学なのよね。いいわよ、乗って帰っても」
送れとか言っておいて、そりゃねーだろ、先輩・・・・・。
今のオレは、誰が見ても不機嫌な顔になっているだろう。
「送れって言った、さっき」
「もういいのよ。あんたが帰りさえすれば」
オレがイラついているのもお構いなしに、先輩はハッキリと言った。
「それだけかよ?」
「そうよ。そうしなきゃ、あんた帰らないでしょ?日曜くらい少し休んだほうがいいわよ」
なんだ、そんな理由か。
少しでも何かを期待した自分が恥ずかしくなる。
それでも、すこしの間だけでも、先輩と二人でいたかった。
「・・・・・送ってやるよ」
自分の吐いた言葉に、頬が赤くなるのがわかる。
それを見られたくなくて先輩の少し前を足早に歩いた。
早足で歩くオレに、小走り気味になる先輩。
ようやくそれに気付き、オレは歩く速度を緩める。
カラカラと車輪の音だけがする中、先輩が切り出た。
「流川、どうして湘北に来たの?」
一番されたくない質問に動揺する。
そんなオレに構わず、先輩は続けた。
「陵南にもスカウトされたって聞いたけど、なんでウチに?」
「・・・・・近いから」
「あんたらしいわね」
あきれたように先輩が笑っている。
今までも、いろんなヤツに湘北にした理由を聞かれた。
でも、そのたびにごまかしてきた。
本当の理由なんて、口が裂けても言えるわけねえ。
好きな女がいるから、だなんて――。
次の角を曲がると先輩の家が見えてくる。
二人きりの時間も、あと少しで終わる。
そう思っていると先輩の口から思いもよらない言葉が出た。
「家、もうすぐだけど、寄って行きなさいよ」
「え・・・・・?」
「お腹すいたでしょ?」
こんなことは二度とないかもしれない。
メシ食うだけでもいいから、もう少し先輩と一緒にいたかった。
オレは黙って頷いた。
玄関を開けた彩子に手招きされ、流川は遠慮がちに家へと入った。
ここに来るのはもちろん初めてだ。
「彩子、おかえり。あら?彼氏?」
「違うわよ。バスケ部の後輩。送ってもらったから、お昼くらい食べさせようと思って」
彼氏?と母親に聞かれ、即座に否定した彩子に流川は少しムッとした。
確かに彼氏ではないが、あれほどあっさり否定されると悲しくなる。
「おじゃまします・・・・・」
母親に軽く会釈をして靴を脱ぐ。
彩子の後について2階へあがると、一番奥の部屋へ通された。
女の部屋なんて初めてだ。
流川は、落ち着かなかった。
そんな流川に構うことなく彩子は話し続けている。
いつもと変わらない。
一応、男のオレと二人きりなんだぜ。
あまりにも無防備すぎるんじゃねーのか?
普段から男友達を部屋に入れたりしてるのかもしれない。
そう思い、聞いてみる。
「頻繁に、誰か来る?」
「友達はしょっちゅう来てるわよ。そういえば、男を入れるのはあんたが初めてだわ」
オレが初めて・・・・・。
深い意味がないのはわかっているが、嬉しかった。
この流れなら、自然に聞けるかもしれない。
ずっと気になっていたことを聞いてみようと思った。
「宮城先輩のこと、どう思う?」
「どうって・・・・。リョータはいい友達よ」
「それだけ?」
「それ以上に何があんのよ」
どうやら特別な感情はないみたいだ。
安心したオレは、そのうち自分にも来るであろう質問の答えを探していた。
「流川がそういう話するの珍しいわね。どうしたの?」
「べつに・・・・・」
「変な子ねえ。あんたは、好きな子いないの?」
やっぱり、聞かれた。
人にした質問は、大抵似たような形で自分にも返ってくる。
『オレが好きなのはあんただよ、先輩・・・・・』
喉まで出かけたその言葉を飲み込み、小声で答える。
「・・・・・いねーよ、そんなの」
「モテるのにもったいないわね。バスケ漬けもいいけど、彼女でも作れば?」
先輩のその言葉に、怒りにも似た感情が湧き上がるのを感じた。
――彼女でも作れば?――
流川の頭の中で彩子の声がこだまする。
あんたは対象外――。
遠回しにそう言われた気がした。
きっと彩子にとっては、それほど意味を持たない言葉だろう。
何気なく言っただけ。
流川は、そんな言葉に傷ついている自分が腹立たしかった。
「どうしたの、流川?」
怪訝そうに顔をのぞきこむ彩子。
その大きな瞳に、流川の顔が映っている。
そこに見えるのは、女に翻弄されている情けない顔。
こんなのは、オレじゃねえ――。
流川は決めた。
もう、壊れるなら壊れてもいい。
目の前にいる彩子の肩に腕をまわし、そのまま自分へと引き寄せる。
驚いた彩子が流川の顔を見上げた。
少し怯えたような彩子の表情に、決心が揺らぎそうになる。
でも、もう逃げるのはやめる。
折れそうな心を懸命に奮い立たせ、流川は彩子を強く抱きしめた。
まさか、こんなことになるなんて思ってもみなかった。
あたしは別に、深い意味があって流川を部屋に入れた訳じゃない。
早朝からの練習でずっと何も食べていないし、お腹がすいてるだろうと思った。
自転車通学の流川に、結局は徒歩で家まで送らせてしまったし。
ただ、それだけだった。
それなのに、あたしはいつのまにか流川の腕の中にいる。
驚いて流川の顔を見上げると、今にも泣き出しそうな顔が目に入った。
あたしは突き離す気になれず、そのまま広い胸に顔をうずめる。
自分より大きな身体に包まれる心地良さを、もう少し感じていたかった。
「好きだ」
「え・・・・?」
「めーわく?」
「そんなことない、でも・・・・・・」
答えに詰まる。そんなあたしの唇を、流川の唇がふさいだ。
驚く間もなく予想外の出来事が次々と起こり、あたしは混乱していた。
柔らかな唇の感触もほんのつかの間。
母親がドアをノックする音に、唇が呆気なく離れる。
今まであたしをきつく抱いていた腕も離れた。
2度目のノックの音が響く。
今は母親に顔を見られたくない、そう思うと動けなかった。
あたしの様子に気付いた流川が立ち上がりドアを開ける。
何事もなかったかのように母親から食事を受け取る背中を、呆然と見ていた。
ただの後輩としか思っていなかった。
だけど、あの瞬間――、あたしを抱く腕の強さに流川も男なんだと感じた。
流川を好きかどうかはわからない。
けれど・・・・・・もう一度、あの腕に抱きしめられたい。
それが、その時のあたしの正直な気持ちだった。
ついに、伝えた―――。
心に溜め込んできた何かが次々と溢れ出てくる。
流川は、もうそれを止めることができなかった。
食事をテーブルに置き、彩子の隣に座る。
彩子の肩を抱き寄せると、再び口づけた。
とても優しく、長いキス。
ようやく唇を解放された彩子が流川を見つめる。
「食べないの?冷めちゃうわよ・・・・・」
テーブルには出来立てのパスタが二皿。
流川はそれを横目でちらっと見ると、彩子を軽々と抱き上げた。
「こっちのほうがいい」
照れもせずに言うと、彩子をベッドへ優しく横たわらせる。
すぐに自分も隣へと滑り込み、柔らかい身体を両腕で優しく包んだ。
今、確かに先輩は自分の腕の中にいる。
その存在を確かめるかのように、流川は何度も口づけた。
「先輩・・・・触ってもいーか?」
「馬鹿ね。イヤなら、とっくに突き飛ばしてるわよ」
彩子は優しく言うと、流川のサラサラした前髪に細い指で触れた。
その仕草に、流川から普段の冷めた表情が消えていく。
緊張がほぐれたかのような柔らかい眼差しが彩子を包んでいた。
「あんたも、そんな顔できるのね・・・・・」
華奢な手が流川の頬を包むのと同時に唇も重なる。
それまで一方的に奪われていた彩子は、初めて自分から口づけた。
しだいに激しく絡み合う舌。
それに急かされるかのように流川は彩子を裸にする。
肌が露わになるのを恥らいながら、彩子もまた流川をゆっくりと裸にした。
大きな手が彩子の身体に遠慮がちに触れる。
その手付きはぎこちなく、そんな流川を彩子は可愛く思った。
戸惑い行き場を探す男の両手をとり、自分の胸へと押し当てる。
その柔らかな感触に、流川の瞳から迷いが消えた。
長くしなやかな五指が、彩子の白い身体に触れはじめた。
反応する場所を確かめつつ、少しずつ指や舌を滑らせていく。
彩子がじれったさを感じるほどに、その指は丁寧に優しく触れる。
大きく白い胸を中心に、上半身をくまなく這う舌と右手の指。
その指が、ようやく彩子の中心へと触れた。
長い指をすっと滑らすと、すでに潤み始めていた部分はますます潤んだ。
耐え切れず腰が浮いた彩子に、ゆっくりと指が入る。
それだけで頬はたちまちピンク色に染まった。
部屋の外に聞こえないように、声を殺す彩子。
ふっくらとした唇からは、休む間もなく艶やかな吐息がもれる。
うごめくその指を待ち望んでいたかのように、蜜の滴る場所が内側から吸い付く。
あまりの彩子の妖艶さに、流川は息を呑んだ。
女の抱き方なんてわからない。
ただ、彼女に触れていたい。
その気持ちだけで彼は彼女の身体を愛撫していた。
初めて知る、女の身体。
彼女の表情。
彼女の声。
そのすべてが彼の理性を打ち砕く。
抑え切れないほど熱くなる自分の身体に、流川はどうにか耐えていた。
右手の指を彩子の中に残したまま、首筋へキスをする。
あっ、と漏れた小さな声に応えるかのように、唇は首筋をなぞった。
「・・・・声出すと、聞こえるぜ」
いじめるように囁くと、彩子は恥ずかしそうに顔を背けた。
「先輩、カワイイ・・・・・・」
恥らう姿に、素直にそう思った。
左手は白く大きな胸を包み、時折優しく尖端をつまむ。
鎖骨から耳の後ろへ舌が移動する間も、流川の右手は休むことなく動く。
そのあまりの快感に我慢できず、彩子はくるりと流川に背を向けた。
目の前に現れた彩子の白く美しいうなじにも舌を這わせる。
舌の動きに、女の身体がビクンと跳ねた。
「もう、だめ・・・・流川・・・」
指がキュッと締め付けられると、彩子の全身から力が抜けた。
愛おしくて、離したくない。
ぐったりとしている彩子の背中を、流川は強く抱きしめた。
これは夢だ――。
もうすぐ醒める夢。
たぶん、次はない。
これが最初で最後なのか・・・・・?
自分を見失いそうになるのを流川は感じていた。
乱暴に彩子の脚を開くと、乾き始めていた場所へ舌を這わせる。
彩子は突然の男の変化に少し戸惑ったが、そのまま身を預けた。
整い始めていた彩子の呼吸は、激しい愛撫に耐えられず再度荒くなる。
自分の身体を激しく貪り続ける流川の頭を撫でながら、彩子は問いかけた。
「どうしたいの?流川・・・・・・」
意地の悪い質問をされ、めちゃくちゃにしてやりたくなる。
「先輩が、欲しー・・・」
迷いのない視線が彩子に向けられる。
だけど、伏し目がちな彩子の瞳には明らかに迷いがあった。
体もわずかに震えている。
気付かないふりをして、そのまま自分のものにしてしまうこともできた。
だけど―――。
「・・・・・やめた」
「どうして・・・・・・?」
「そんな顔されたら、できねーよ」
「流川・・・・・ごめんね」
「無理すんな」
彩子の顔から不安の色が消えた。
やめてよかったと思う反面、消化しきれない何かが流川の心に重くのしかかる。
離れたくない。ずっと、こうしていたい――。
その一心で、目の前の柔らかい胸に顔をうずめる。
そんな流川を細い腕が優しく包んだ。
「流川・・・・・」
オレを呼ぶ声に顔をあげると、先輩がポンと軽く枕を叩いた。
「横になって」
言われるがままに仰向けになる。
「次は、あんたの番」
先輩はそう言うと、まだ大きなままのオレを口に含んだ。
「う・・・・・・!」
経験したことのない感覚に、思わず声が出た。
「うまくできるかわからないわよ。初めてだから・・・・」
甘ったるい声と温かい舌の感触に溶けそうになる。
根元から上へスーッと舌が這うと、快感が全身を駆け巡った。
ヤバイ。なんだよ、この感覚・・・・・・・・・・。
あまりの気持ちよさに、欲張りになる。
できるだけ長く、こうしていたい。
快感から気を反らそうと先輩の顔を見たが、それは間違いだった。
ゆっくりとした瞬きに合わせて揺れる長い睫毛。
ほおばる口元は濡れ、ときどき苦しげに眉をゆがめる。
その表情に、オレはますます奮起した。
口が上下するのに加えて、細い指が両脚の間に添えられた。
触れるか、触れないか・・・・・そんなじれったい指の動きに身体が震える。
献身的なまでの動作に愛おしさを抑えきれず、その長い髪を、肩を撫でた。
それに応えるかのように、激しさを増す先輩の動き。
限界が近づいているのがわかる。
絶え間ない快感はどこまでも続く。
昇りつめ、何も見えなくなる。
身体の奥から欲望が噴出するのを、オレは朦朧としながら感じていた。
裸のまま、半ば放心状態で横になっていた。
ぼんやりと開いた目には、着替え始める先輩の後姿が映る。
母親に疑われないようにか、また制服を着る先輩。
「流川も早く着なさいよ」
誰かが来るのを恐れているのか、それとも恥ずかしいのか。
やたらとオレを急かす声に気が滅入る。
先輩は胸のリボンをキュッと結ぶと、すっかり冷めたパスタを持って部屋を出た。
それを見送り、けだるい身体を無理やり起こす。
制服に着替えると一気に現実へと引き戻された。
明日から、また今までと同じ生活に戻るのか?
何事もなかったかのように。
それは、もう無理だ―――。
ドアが開き、先輩が部屋に入ってきた。
「温め直してきたわよ」
湯気のあがっているパスタをテーブルに置き、食べ始める。
おいしそうに食べる口元を見ていると、先程の光景が頭に浮かんだ。
必死に振り払おうとすればするほど目の奥に焼きつく。
そんな自分が怖くなった。
「食べないの?」
さっきあったことなど、忘れたかのような顔をしている先輩。
オレは、今日の二人を無かった事にしたくなかった。
「また、来てもいーか?」
「流川・・・・・・」
明らかに困った顔の先輩。
「時々でもいーから。頼む・・・・・」
先輩の目をまっすぐ見ながら、すがる様に言った。
自分でも驚くほど、震える小さな声。
そんなオレを見て、先輩は少し困ったように笑った。
「時々なら、いいわよ」
同情かもしれない。
でも、それでもかまわなかった。
「なんであたしなのよ。あんなにモテるくせに」
先輩は、責めるような口調でそう言うと、ふうっと深くため息をついた。
「先輩以外の女に好かれたって、何の意味もねー」
「そう」
「待っててもいーか?先輩のこと」
「・・・・・・・・・・あんた、本当に馬鹿ね」
待ってろとも、待つなとも言わない。
先輩、それってズルいんじゃねーの?
先が見えない道を、オレはひたすら前へと進むしかなかった。
いつか先輩がオレの気持ちに応えてくれる。
そう、信じて――。
前編 終
289 :
144:2007/04/07(土) 02:07:09 ID:niUvJ8BY
終わりです。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
いつになるかわかりませんが、後編ができたらまた投下しに来ます。
このままだと流川がかわいそうなのでハッピーエンド目指して書きます。
それでは、またノシ
マンガの雰囲気が壊れてなくてGJ
後編を正座してお待ちしてます。
うは〜、甘酸っぱい、甘酸っぱすぎる!
激萌え!!GJです!
流彩にハマリますた。
責任とって下さいw
キタ━( ´∀`)゚∀゚)*゚ー゚)・ω・) ゚Д゚)´ー`)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)`Д´)´Д`)丶`∀´>━!!
GJGJGJGJGJ!!!!!!!!!!!
流川かわいっすー
後半、楽しみにしてます。
ぼんやり流彩読みたいと思ってきてみたら良作キテタ━(´∀`)━!!!!
続き楽しみにしてます
自分も、流彩読みたいなーと思ってたところに、
ネ申キタ━━━━━━━━(☆∀☆) ━━━━━━━━!!
GJです。この先どうなるんでしょう!wktk。
どうしてくれるんですか。どうしてくれるんですか。
マイナーで愛すべき仙彩が大本命なのに・・・
今や流彩との間でぐらぐら揺れてる自分。
GJすぎて頭があがりませんw続き楽しみにしてます。
GJ!!
なんか無性に原作読みたくなってきたよ。
これから流川とアヤちゃんの絡みシーンだけ見てくる( ・∀・)ノシ
超GJ!流川可愛すぎます。後半も楽しみです!
つーかこのスレ来てから仙道さん好きになってしまった‥w
自分も後半楽しみです。
気長に待ってます。
仙道はなんつーか何しても許されるキャラだよなあwそこにシビれる、あこ(r
このスレに投下された作品に挿絵を描いてくれる神はおらんかのう…。
ネット検索してもBLばかりだし……
302 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 09:07:49 ID:5Ml6YDah
後編マダー?
ワクワク (0゚・∀・) テカテカ
304 :
144:2007/04/14(土) 01:51:37 ID:Y/88jIA4
どうも。144です。レスいただき、本当にありがとうございます。
いま後編の最後の方を書いています。
前編よりも長くなってしまいした。
必死にあちこち削ったりしたのですが、それでも長いです。
とりあえず今日は後編半分くらい投下していきます。
この週末にはすべて書いて投下終了させます。
何分割にもなってしまい申し訳ありません。
※注意※
・関西弁の部分がありますが、関西人ではないので自信ナシです。
湯気の中、あたしは浴室の鏡に映る自分の身体を見ていた。
夢じゃない。
今日確かに、この肌は流川の身体と触れあった。
数えきれないほどの甘いキス。
抱きしめる腕の強さ。
優しく触れる指の感触。
耳元で囁く声。
すべてを鮮明に覚えている。
思い出すと、じわりと身体の芯が熱くなる。
気持ち良かった、とても・・・・・。
「・・・・・何考えてんのよ、あたし」
掻き消すようにゴシゴシと髪を洗う。
体も洗い終え、湯舟に浸かった。
どうしても流川のことばかり考えてしまう。
いつにない弱気な顔と声で「また、来てもいーか?」なんて・・・。
ずるいわよ、流川。
あんな顔されたら断れないじゃない。
ほんの数時間の出来事。
あたしは、つい今朝まで後輩と思っていた流川を「男」として意識しはじめていた。
翌日の流川は、拍子抜けするほど普通だった。
部活でも、あたしのほうがソワソワしていたような気がする。
周りに気付かれるのを恐れていたあたし。
学校では以前よりも流川を避けるようになっていった。
あたしたちは会い続けていた。
誘うのはいつも流川。
「今日行ってもいい?」
練習中、誰にも気付かれないように小声であたしに聞く。
「いいわよ」
よほど用がない限り、あたしはそう答えた。
外で会えるはずもなく、会うのは決まってあたしの部屋だった。
部屋にいる時間はその日によって違う。
「帰る」
流川がそう言った瞬間が、あたしたちのタイムリミット。
寂しく思う時もあるけど引き止めることはできなかった。
話すだけの時もあれば裸で抱き合うこともある。
肌を合わせても、流川が最後の一線を越えることはなかった。
たぶん、あたしへの気遣い。
最後までとなると、あたしはまだ怖い。
それなのに求められないと寂しい。
本当に勝手だ。
だいたい、流川を本当に好きかどうかもわからない。
二人だけで会っているんだから、好きなのかもしれない。
でも・・・・・やっぱりわからない。
身体に触れあう事から始まった自分の気持ちに、あたしは確証を持てないでいた。
あっという間に夏になり、インターハイが始まった。
湘北は豊玉を破って1回戦を無事突破。
明日はとうとう山王工業と対戦する。
山王のビデオを見て次々と外へと出て行った部員たち。
彩子は、ロビーに一人で残る流川を気にかけながらも外へ出た。
宮城を追いかけ、桜木と二人で励ます。
そうしている間も、どうしても流川が気になってしまう。
彩子は、豊玉戦で南のヒジを目に受けた流川が心配でたまらなかった。
部屋に戻っても、なんとなく落ち着かない彩子。
一人ぼっちで部屋にいるのがなんとなく息苦しかった。
彩子は一人で外へ出た。
夜空には満点の星を見上げながら歩く。
『流川の目、大丈夫なのかしら。ちょっと聞いてみようかな・・・・』
旅館へ戻ろうとしたその時、後ろからの人の気配に気付いた。
振り向こうとする彩子。
それよりも少し早く、彩子の肩が誰かに抱かれた。
「おねーちゃん、オレと遊ばんか?」
「豊玉の、南・・・・・?なんでここに?」
驚いた彩子は、南の腕が自分の肩にあるのを忘れている。
「あんたんとこのナガレカワに用があってん。もう済んだけど」
「・・・・用が済んだなら、帰ればいいじゃない」
「今、いろいろと落ち込んでんねん。慰めてや」
「は?何言ってんのよ。なんであたしがあんたを慰めなきゃなんないのよ」
彩子はムッとした顔で言うと、ようやく南の腕を払いのけた。
「まあええやんか。ジュース買ったるわ。何飲むん?」
南が近くの自販機を指差す。
「・・・・・ポカリ」
彩子が答えると南は自販機へと向かった。
落ち込んでいる理由はなんとなく解かる。
南は、ただ試合に負けただけじゃなかった。
そう思うと、彩子はそれ以上きつくできなかった。
「ほれ」
「ありがとう」
彩子にポカリを渡す南は、試合のときよりも穏やかな表情だ。
そういえば、南も怪我したんだっけ。
少し気になり聞いてみる。
「頭、大丈夫?」
「は?どういう意味やねん。バカにしとるんか?」
「・・・・・違うわよ。頭打って、血出してたじゃない」
ようやく彩子の言っている意味がわかり、南は子供のように笑った。
「あんくらい、大丈夫や」
なんだ、笑うとカワイイじゃない。
彩子もつられて笑った。
流川を怪我させた男。だけど、なんとなく憎めなかった。
「男ばかりの中で目立っとったで。近くで見るとめっちゃキレイやなあ」
そう言いながら南は彩子を見た。
ナンパなんてしょっちゅうされている彩子は、それほど動揺しなかった。
「なにジロジロ見てんのよ?」
「気ぃ強そうやなあ・・・・。ま、そういう女も嫌いじゃないわ」
流川に用事って何だったんだろう?
彩子はそれを聞こうと南の顔を見る。
その目は遠くを見ていた。
「あ、ナガレカワ」
旅館にいたはずの流川が近づいてくる。
ちらりと南に視線をやるその顔を見ただけで、怒っているのは一目瞭然だった。
「何してんだ、先輩・・・・・」
「別に。散歩してただけよ」
「こいつと?」
流川はそう言うと、南を軽く睨んだ。
ただならぬ流川の表情に気付いた南が彩子に聞く。
「おねーちゃん、ナガレカワの彼女なん?そんなら先にそうゆうてや」
「・・・・・別に、彼女じゃないわよ」
「そうなんか?ナガレカワ」
流川と彩子の間の張り詰めた空気。
南はそれを察した。
「ちょっと話しただけやん。ナガレカワ、そんな怒らんでも・・・・」
「ナガレカワじゃねえ、ルカワ」
「ま、どっちでもええわ。明日の山王戦、頑張りや」
そう言い残すと南は帰って行った。
残された二人はしばらくその場で立ち尽くしていた。
気まずい沈黙を先に破ったのは彩子だった。
「・・・・もう、戻るわ」
流川を残し、彩子は一人で旅館へと戻っていく。
――何も無いことくらいわかってる。
いくらオレだって、そこまで馬鹿じゃねー。
きっと南の言うとおり、ただ話してただけなんだろう。
だけど・・・・。
部屋の窓から見えた、南に肩を抱かれる彩子の姿。
それは、なかなか流川の頭から離れなかった。
部屋へ戻ると、同室の宮城と角田が風呂へ行く準備をしている。
角田が先に浴場へと向かい、流川は宮城と二人になった。
「流川、おまえ目大丈夫か?風呂入れんの?」
「大丈夫っす・・・・」
「じゃあ、さっさと行こうぜ」
風呂で髪を洗いながら、流川は後悔していた。
彩子のこととなると余裕がなくなる。
そんな自分がイヤでしょうがなかった。
束縛する権利なんてオレにはないのに。先輩に謝りてえ・・・
流川は一人で先に風呂を出ると、彩子の部屋へと向かった。
まわりに人がいないのを確認しノックしたが返事はない。
そっと開けると部屋の中は真っ暗で誰もいなかった。
部屋に入り窓辺の椅子に座ると、窓の外にさっきの場所が見えた。
早く来ねーかな、先輩・・・・・・
ふと目の痛みに気付き、南からもらった軟膏を塗った。
再び眼帯をして目を閉じると、一気に睡魔が襲ってくる。
疲れもあってか、彩子を待っているうちに流川は眠ってしまった。
お風呂からあがり、まっすぐ部屋へと向かう。
みんなはもう寝静まっているようだ。
なんだか疲れた。
あたしも早く眠りたい・・・・・。
部屋へ入り、あたしは驚いた。
目の前には椅子に座り眠っている流川。
明かりの点いていない暗い部屋。
流川のいる場所だけが窓からの月明かりに照らされている。
あたしは音を立てないように、流川が座る椅子の横に腰をおろした。
流川の手に握られていたものが床に落ち転がる。
拾って見ると、丸い容器の底に薬局の名前が書いてあった。
南龍生堂・・・・?
ああ、もしかして南はこれを流川に渡しに来たのかしら。
軟膏を目の前のテーブルに置き、流川の顔を見上げた。
左目の眼帯が痛々しい。
はだけている浴衣からは均整のとれた胸板が覗く。
切れ長の目。すっと通った鼻筋。
本当に端正な顔立ちだ。
髪がまだ濡れているせいか、いつもと少し違って見えた。
スースーと小さな寝息が聞こえる。
子供みたいな寝顔が可愛くて、あたしはそっと流川の唇に触れてみた。
柔らかい唇。
その唇がほんの少し開き、触れている指を軽く噛んだ。
「・・・・起きちゃった?」
「先輩が触るから・・・」
目を閉じたまま、彩子の手に何度もキスをする流川。
指先に絡みつく甘い感触に、湯上りの彩子はますます火照った。
いつまで手だけに触れているのよ?
じれったい・・・・・・。
彩子がそう思っていると、まだ夢うつつの流川が小さく呟いた。
「好きだ・・・・」
数ヶ月ぶりに聞いたその言葉に、彩子は確信した。
あたしも、流川が好き―――。
だけど、まだ彩子は素直になれない。
「好き」のたった二文字を口に出せなかった。
「・・・先輩、さっきはごめん」
ようやく目が冴えてきた流川が彩子に謝る。
「もういいわよ・・・・・」
彩子は立ち上がると流川を抱きしめた。
流川も椅子に座ったまま彩子の身体に腕を回した。
いい香りが漂う。
中学から変わらない、彩子の髪の香り。
浴衣ごしに彩子の鼓動が聞こえる。
流川の顔に触れる温かい胸。
その柔らかさから、彩子が浴衣の下に何もつけていないことに流川は気付いた。
「・・・・こんなカッコでウロウロすんな」
あまりの彩子の無防備さに我慢できなかった。
「お風呂の後、すぐ寝ようと思ってたから」
「そういう問題じゃねえ。女一人しかいねーんだぞ。せん・・・・・・」
「なによ?」
・・・・・・先輩の、どあほう!
心でそう叫び、少しイラつきながら彩子の浴衣の襟元を両手で一気に開く。
あらわになる大きな白い胸。
見慣れたはずの彩子の胸にドキリとする。
はだけた浴衣から覗く胸は、普段よりも美しく見えた。
まだ少し濡れている彩子のまとめられた髪。
その後れ毛が、ますます彩子を艶やかにしていた。
大きな手が彩子の首筋から髪の結び目へと滑る。
流川はそのまま髪をほどいた。
「こっちの方が、好きだ」
そう言いながら、ふわりと落ちる彩子の髪を手ぐしで整えた。
次に手は彩子の腰へと移動し、浴衣の帯をほどく。
はらりと床に落ちる浴衣。
それを気にもせず、彩子は流川をまっすぐに見つめる。
「はやく抱いてよ・・・・・」
ついこの前まで彩子の瞳にあった迷いの影。
それが全て消え去ってることに流川は気付いた。
気づくと、手がそう動いていた。
流川は持っている帯で彩子を後ろ手に縛った。
深い考えはない。
彩子を縛り付けておきたい気持ちがそうさせたのかもしれなかった。
「・・・痛くねえ?」
「大丈夫よ」
こんなことをしておいて、今更痛いも何もないじゃない・・・。
なんだかおかしくなり、彩子は心の中で笑った。
それなのに――。
身体は妙な高揚感に襲われていた。
顔が熱い。呼吸が速くなる。
畳の上、手首を帯で縛られている自分。
こんなの普通じゃない。
・・・・でも、イヤじゃなかった。
そんな甘い拘束に彩子の身体はどんどん熱くなっていく。
流川は窓辺から離れると、畳の上に敷かれている布団へ移動した。
まだ窓の近くにいる彩子に視線を向け手招きをする。
その手に促され、彩子は流川の目の前に座った。
静かに彩子を見つめる流川。
目の前にある流川の顔に触れたいのにできない。
それに気付いた彩子は、どうしようもなく切なくなった。
見つめ合う瞳が徐々に近づき、唇が重なる。
優しく、または舌を絡め激しく、何度も何度もキスをする。
再び見つめ合う二人の顔は幸せに満ちていた。
流川の唇が彩子の首筋を通り、胸へと移動する。
きれいな乳房の尖端を舌で転がすと彩子の身体が震えた。
「ああ・・・・・っ・・・・・」
背筋が痺れるような感覚に思わずしがみつきたくなる。
でも、できない。
手首が・・・・・熱い・・・・・。
その場に崩れ落ちる彩子の身体に、容赦なく流川の手と舌が動く。
苦悶の表情を浮かべる彩子。
流川は自分の異常な行為に気付き、一度は帯をはずそうとした。
だが、彩子の苦しみの中に垣間見える悦びを見逃さなかった。
その証拠に、彩子の花弁は過剰なまでに濡れている。
「先輩・・・・・どんな感じ?」
つらそうに流川の愛撫に耐える彩子には意地悪な質問だった。
「・・・・認めたくない、けど・・・・・・気持ちいい・・・・」
素直に答えた彩子に驚きながらも、流川はその身体を弄び続ける。
彩子の全身を這い回る流川の指と舌。
幾度となく意識が遠のいて行くのを彩子は感じていた。
「流川、お願い。ちょうだい・・・・・」
彩子が流川の耳元で囁いた。
熱い吐息に流川の身体は昂ぶる。
それに追い討ちをかけるかのように、彩子が流川の耳たぶを噛んだ。
「早くして・・・・・」
消え入りそうな、切ない声。
こらえきれず、彩子の脚を開き舌をうずめる。
度重なる快感で、赤く膨れた部分に滴り絡まる甘い蜜――。
流川は、激しく貪った。
こうしているとき、いつも自分の髪を優しく撫でてくれる手。
それがない事に気付き、無性に寂しくなった。
顔をあげ彩子の顔を見る。
縛り付けなくてもいーんだ。
こうしている間だけは、先輩はオレのもの・・・・・。
優しく口づけながら流川が手首の帯をほどいていく。
両手が解放されると、すぐに彩子は流川を強く抱きしめた。
自分を抱いている彩子の細い腕。
その腕の強さに、流川は泣きたくなるくらいの愛しさを感じた。
すべてが欲しい。
ようやく重なりあった、二人の心――。
彩子の細い身体が男の身体に覆われた。
長い髪を撫でながら流川は優しく彩子を見つめる。
「本当に、いーのか?」
その瞳の奥底には、静かに燃える青い炎。
「何度も言わせないでよ・・・」
やっとすべてを自分のものにできる。
もう、逃がさねえ―――。
躊躇せずに彩子の脚を開く。
男を受け入れようと潤うその場所に、流川の脈打つ部分が軽く当たった。
たったそれだけの刺激に、彩子の身体は感じ、震える。
ゆっくりと流川の頬を撫でる彩子の手。
ふいに目に映る、軽く赤みを帯びた細い手首。
流川は思わずその手をとると、赤くなっている場所に優しく口づけた。
「ごめん・・・・・」
謝る流川に、黙って微笑む彩子。
再び自分の頬を撫ではじめた彩子の手を、流川は強く握った。
瞳を閉じ、流川の腰にそっと片手を添える。
そんな彩子に応えるように、男が中へと入っていった。
紅い花びらが、散る。
――痛い。
だけどそれを口にしたら、やっと繋がった身体が離れてしまうかもしれない。
このまま、最期まで貫いて欲しい―――。
眉をゆがめ、唇を強く噛み締め絶える。
彩子は流川の身体を引き寄せ、強くしがみついた。
流川は慰めるように優しくキスをする。
その温かい唇に、彩子は痛みが少し和らいだ気がした。
鋭い痛みとは別に、身体の奥から徐々に沸き上がってくる熱い感覚。
これまで何度も男の指で弄ばれてきたその場所。
そこは潤いを増しながら、少しずつ新しい感触に馴染み絡みつく。
しばらくすると、激しい痛みは軽い痛みへと変化した。
もう少しで届きそうなのになかなか届かない。
そんなもどかしさを彩子は感じ始めていた。
緩やかな動きでは物足りない。
彩子は誘うように流川の首筋や耳に舌を這わせる。
「もう、大丈夫よ・・・・」
その声に導かれ、流川は行為にのめり込んでいった。
悦びの海に溺れ、二人は深く沈んで行く―――。
彩子の身体に自分を刻みつけるかのように、流川は烈しく突いた。
背中に爪を立てられても、その動きは止まない。
女の中心を挿す、熱く荒ぶる衝動。
そこから得られる快感に、彩子の指先やつま先までもが痺れる。
初めて身体が覚えるその感覚は、かすかな痛みを伴いながらも彩子の欲求を満たし続けた。
二人を取り巻くものすべてが、互いを昂揚させていく。
淫らな声も、卑猥な音も、流れ伝う汗さえも――。
女の締め付けに、男の身体は寒気にも似た震えに襲われる。
震えと共に昇りつめた男の残骸が吐き出され、女の胸に散った。
尽き果て、少しずつ落ち着いていく呼吸。
その音だけが部屋に小さく響く。
障子の向こうに浮かぶ月を見ながら、二人はただ静かに抱きしめあった。
「もう部屋に戻らねーと・・・・・」
しばらく彩子に腕枕をしていた流川が面倒くさそうに起き上がった。
彩子も体を起こそうしたが、流川の手に止められる。
「いーからそのまま寝てろ」
彩子は再び横になった。
浴衣を羽織る流川を静かに見つめる彩子。
その視線に気付き、流川は軽くキスをした。
「・・・・先輩、おやすみ」
二人は名残惜しそうに見つめ合った。
もう一度キスをし、流川が立ち上がる。
「おやすみ、流川」
彩子は部屋を出ようとする愛しい背中に呟いた。
夜中の0時になろうとしていた。
流川は自分の部屋の前で一旦立ち止まり、少しだけ戸を開け中の様子を伺う。
宮城が眠っていることに安心した。
起こさないよう静かに畳の上を歩き、宮城の隣の自分の布団に静かに潜り込む。
何度もの抱擁で自分の身体についた彩子の香り。
その香りに包まれ、流川は眠りに落ちた。
一人で部屋に残された彩子は、裸のまま月を見ていた。
窓からの風に汗が冷えるのを感じ、浴衣を羽織る。
手首の赤い痕はもう薄らいでいた。
明日にはきっと消えるだろう。
乱れた髪をほぐしながら流川のことを想った。
きっと言える。
さっきは抱かれることに精一杯で伝え忘れた「好き」という言葉。
明日の山王戦が終わったら、ちゃんと伝えよう。
彩子はそう決心し、眠りについた。
きのうの夜―――。
二人は身体と共に心も一つになれたはずだった。
目の前では、息詰まるような戦いが繰り広げられている。
白熱する山王との試合の中、彩子は確かにそれを聞いた。
どれくらいの人がそれに気付いただろう。
怒涛の歓声に紛れ、かすかに彩子の耳に入った流川の言葉―――。
「オレもアメリカに行くよ」
流川は、はっきりと沢北にそう言った。
不思議と彩子は驚きはしなかった。
流川ならそう考えていてもおかしくない。
自然とそう思えたし、アメリカ行きを引き止める気にもなれなかった。
昨夜の幸せが、まるで夢のように感じる。
何気なく手首を見ると、流川の束縛の痕は消え去っていた。
そんな夏も終わり、秋の今になっても流川によって刻まれた記憶は消えない。
彩子は今以上に流川にのめり込むのが怖かった。
怖いけれど、会いたい。
抱かれたい。
そんな矛盾を抱えながら、前と同じように接し続けた。
『好き』という言葉を心の底へ沈めたまま――。
空が高い。冬に限りなく近い、秋の空。
もう11月も終わろうとしていた。
朝の冷たい空気にさらされ冷える手。
その手を、ときどき片方ずつこすりながら自転車で走る。
先輩の家の前を通り過ぎると、オレの頭に昨日言われた言葉が響いた。
『あたしを抱くのはあんただけ。それで充分じゃない』
こんなことを言われたのは、別に昨日が初めてじゃない。
あの日――。
初めて結ばれた夜、ようやく先輩がオレの気持ちを受け入れてくれたと思った。
だけど、そう思っていたのはオレだけだったんだ。
はじめは先輩と二人だけで会えるのが嬉しくて、それだけで満足だった。
でも、今は、心も欲しくてたまらない。
もう無理なのか・・・・・・・?
半年も続く報われない想いに、オレの心は砕けそうになっていた。
通学路にも黄色や茜色の葉がちらほらと舞い始めている。
しばらく走ると、見慣れた後ろ姿を見つけた。
自転車を降り声をかける。
「・・・はよす」
「おはよう、流川」
他の奴らにするのと何の変わりもない挨拶だ。
「今日、行っていーか?」
「昨日来たばかりじゃない」
いぶかしげな先輩の顔も無理はない。
二日続けて「行きたい」と言ったことは、今までなかった。
今の自分の想いを正直にぶつけてみる。
「毎日、一緒にいてー・・・・・・」
「毎日はダメよ。わかるでしょ?」
「わかんねーよ」
「まるで駄々っ子ね」
先輩は子供を諭すような顔で笑った。
ふと先輩を見ると、制服に何かついている。
長い髪と背中の間にからまる一枚の楓の葉。
・・・・まるで、オレじゃねーか。
いつまでも先輩にカッコ悪くしがみついてるオレ――。
「うしろに、なんかついてる」
――いい加減、オレの苦しみに気づけよ。
「ほんと?ゴミ?」
「ゴミじゃねーよ」
「取ってよ、流川」
「イヤだ・・・・・・」
脳裏に焼き付いて消えない先輩との記憶。
それを、すべて消せたらオレは楽になれるのだろうか。
「・・・なに怒ってんのよ?ああっ、ちょっと待ちなさいよ!」
オレは先輩の声を無視して自転車に乗り、楓が散る並木道を思いきり走り抜けた。
「なんなのよ、あいつ!」
最近はこんなことばかりだ。
走り去った流川の姿はとっくに小さくなっている。
あたしは深くため息をついた。
後ろに手を回すと、肩の辺りにカサリとする感触。
取ると、それはオレンジがかった黄色い葉。
「楓・・・・・・」
すねた顔で走り去った流川の顔が浮かんだ。
もしかして、この楓と自分とを重ねてた・・・・・?
「ほんと、バカじゃないの。こんな葉っぱくらいで・・・」
いつも冷めた目をしているけれど、あたしに向けられる目は違った。
そんな流川を失うことに、あたしはずっと怯えていた。
曖昧にしていたのは自分を守るため。
そんな関係なら、もうすぐ訪れる別れの時にも浅い傷で済むだろう。
自分のずるさにも、まっすぐな流川の気持ちにも、とっくに気付いてる。
ごめんね、流川――。
あたしは心の中で、もう見えなくなった背中に呟いた。
しばらく一人で歩いていると後ろから声がした。
「アヤちゃん、おはよう」
「あ、リョータ・・・・・・おはよう」
あたしは、いつもと変わりなく話せているか気になって仕方なかった。
突然、リョータが立ち止まる。
いつになく真剣な顔のリョータに、あたしは恐る恐る話しかけた。
「どうしたの?リョータ・・・」
「オレがずっと後ろ歩いてたの、気づかなかった?」
「え・・・・・?」
「・・・・ごめん、アヤちゃん。さっきの流川との会話聞こえてた。
それにオレは夏からなんとなく気付いてたよ、流川とのこと」
誰にも知られないようにしてきたつもりだった。
それなのに、気付かれていたなんて。
「・・・・・夏の、いつから?」
「山王戦の前の日、隣で寝てる流川からアヤちゃんの髪の香りがしたんだよね」
「・・・・・」
どう応えていいかわからないし、リョータの顔も見れない。
リョータは一人で話し続けた。
「流川が風呂で使ってたのは備え付けのシャンプーだし。
・・・・それにさ、オレがアヤちゃんの変化に気付かないわけないだろ?」
「リョータ・・・・・・・」
「今の二人の会話でもうわかったんだ。流川が好きなんだろ?」
答えを急かすようなリョータの声に、あたしは頷いた。
「・・・・・・好きよ、流川のこと」
この言葉を流川の前で言えたら――。
そんなことをぼんやりと考える。
「好きなのに、なんでちゃんと付き合わないの?」
「あいつ、あと4ヶ月もすればアメリカに行っちゃうじゃない・・・」
思わず口に出してしまった。はじめて人に漏らす本音。
来年の春、流川はアメリカへ行ってしまう。
あたしを日本に置いて、ずっとずっと遠くへ行ってしまう。
いなくなるとわかっている人に、自分の全てを預けられるわけないじゃない。
帰ってくるかどうかわからない人を待つ自信もない。
あたしは、そんなに強くない――。
「流川なら絶対大丈夫だって!オレが言うんだから間違いないよ!」
リョータがあまりにも自信たっぷりに言うから、あたしは笑ってしまった。
「何よ、その根拠のない自信は」
「やっと笑ったね、アヤちゃん」
「リョータ・・・・」
あたしはずっと、こんなふうに誰かに聞いてもらいたかったのかもしれない。
封じ込めていた気持ちが、涙と一緒に溢れ出した。
「泣かないで、アヤちゃん・・・・・ごめんね、急にこんな話して」
「あたしこそ、泣いたりしてごめんね・・・」
「流川にとられるのはイヤだけど、アヤちゃんの泣き顔見るのはもっとイヤだ」
あたしはリョータの言葉に、ますます涙が止まらなかった。
「嫉妬深いヤツが怖い顔して戻って来たよ、アヤちゃん」
涙でぼやけた視界に、険しい顔で自転車を降りる流川の姿が映る。
「なーにカン違いしてんだ、あいつ」
そう言うとリョータは流川に向かって歩き出した。
リョータに何かを耳打ちされた流川は、ガラにもなく頬を赤くする。
「アヤちゃん、がんばって!」
笑顔でそう言うと、リョータは一人で学校へと歩き出した。
自転車を押しながら早足で歩く流川に、あたしは必死で付いて行く。
「なんで戻ってきたの?」
「戻ってきちゃわりーのかよ」
はっきりと状況が飲み込めてない流川は、まだ少しだけ不機嫌だ。
「さっきリョータになんて言われたの?」
「・・・秘密」
表情には出てないけれど、きっと照れてる。
――アヤちゃん、泣くほどおまえに惚れてんだってよ――。
本当は、かすかに聞こえていたリョータの言葉を思い出していた。
前に踏み出すきっかけを、あたしは心のどこかで待っていたのかもしれない。
登校する人の中、流川は自転車を片手で押しながら黙々と歩く。
春からずっと、あたしを待っていてくれた大きな背中。
今度はあたしが待ってみようか・・・・・。
駆け足で流川に追いつくと、勇気を振り絞って手を握った。
驚く流川の目の前で、あたしはさっきの楓の葉にキスをする。
「・・・なにしてんだよ?」
ばつが悪そうに流川は顔をそらした。
こういう意地っ張りなところが、ホントにかわいい。
「大好きよ」
やっと告げた言葉に、大きな手がキュっと握り返す。
あまり笑わない流川が、かすかに微笑んだような気がした。
手をつなぐあたしたちを驚いた顔でみんなが見ている。
けど、もう気にならない。
つないだ手の温もりに後押しされ、あたしの決意は固いものになった。
「今日から付き合うことにしたから」
家に着くなり先輩が母親に言った。
今日一日で先輩の気持ちにどんな変化があったのかはわからない。
とにかく、先輩を待ち続ける時間はもう終わったんだ。
少し戸惑いながらも、オレは安堵していた。
先輩の部屋で、いつも通りの時間が過ぎていく。
「あんたがアメリカ行ったら、なかなか会えなくなるわね」
二人の時にアメリカ留学の話をするのは初めてだ。
「会えなくても、オレの気持ちは変わらねーよ」
「あたし、ずっと不安だった・・・・。言葉にしないと、わかんないことだってあんのよ」
寂しそうな顔に、オレは動揺した。
不安だったのはオレだけじゃなかった。
先輩の不安に少しも気付けなかったなんて、情けねえ――。
「これからは、ちゃんと言・・・う・・・」
言葉を遮るように先輩がキスをした。
オレの制服のボタンを一つ一つはずしていく。
そのままオレを裸にすると先輩も制服を脱ぎ捨てた。
ただ貪欲に舌を絡め合い、抱き合い、その場に転がる。
先輩の肌を、その体温を、できるだけ感じていたい。
「日本を発つ日まで、毎日あたしを抱いてよ・・・・・・」
吐息混じりに囁く声が切なかった。
悲しみが見え隠れする先輩の笑顔。
残された時間への焦燥感がオレの心を支配した。
抱いても抱いても抱き足りず、何度も貪り合い、汗にまみれる。
それでもまだ二人は求め続けた。
幾度も果て流川は動けなくなっていた。
荒い息の中、やっとのことで言葉にする。
「・・・・・死にそーだ」
そんな流川の身体を彩子の舌が襲う。
「汗で、しょっぱい・・・・・・」
いじめるような言い方とは逆に、慈しむように流川の全身を愛撫する。
まだ動けずに横たわっている流川の上に乗ると、彩子はその耳に囁いた。
「これからずっと、あたしを離さないで・・・・・」
流川は朦朧としながらも、願うような彩子の言葉に喜びを感じていた。
ふと思い出したかのように彩子が制服のリボンを手に取る。
それを意味ありげにフワフワと揺らした。
「・・・んだよ?」
彩子は流川の両手を自分の目の前で合わせると、手首を軽く縛った。
「何すんだ・・・・」
「いつかのおかえしよ」
悪戯っぽく笑い、彩子は流川の下半身へ手を伸ばした。
手が触れただけで大きくなるのを、満足そうに見つめる。
少しだけ刺激を加えると、ゆっくりと自分の身体の中へ呑み込んだ。
男の上でしゃがむように膝を立て動き出す。
身体の中心を突くその快感に髪は乱れ、大きな胸は猥らに揺れた。
これほどまでに乱れる彩子を流川は見たことがなかった。
視覚から全身に走る衝撃。
零れ落ちるほどの蜜で男を絡めとり熱く締めつける。
その痺れるような感触に、ますます落ちそうになる意識。
流川は今にも閉じてしまいそうな目を必死に開け、彩子の姿を焼き付けた。
終わりのない快感と共に、尽きることなく生まれてくる感情。
こんな愛しさを、流川は今まで知らなかった。
これからも多分これ以上の愛しさにはめぐり会えない。
抑えきれず、それは口からこぼれた。
「愛してる・・・・・」
「・・・・あたしも、愛してるわ」
流川が上半身をゆっくりと起こし、彩子に優しく口づける。
彩子は動きを止め、流川を縛るリボンをほどいた。
放たれた両手が彩子の腰を掴む。
流川は疲弊しきった身体を奮い立たせ、彩子を激しく突き上げた。
しだいに峻烈さを増していく流川の動作。
その動きで身体が離れてしまわないように、彩子は必死でしがみつく。
離れたくない―――。
その一心で互いの身体をきつく抱きしめ、貪り、舌を絡め続ける。
「・・・もう・・こわれそう・・・・・・」
抑えきれない喘ぎに苦しさを増す彩子の呼吸。
霧がかかったようにぼやけて行く視界の中、二人は見つめ合い、共に果てていく。
たくさんのすれ違い。悩み苦しんだ日々。
それらを乗り越え手に入れた、本当の一体感。
ひたすら求め続けた先にようやく見えた、一筋の希望の光―――。
「いつか必ず、アメリカに連れて行ってやる」
「・・・・待ってるわ」
不安は消え去り、幸せの余韻の中で抱きしめ合う。
二人は今、確かな永遠を感じていた。
秋の空にどこまでも白くのびていく飛行機雲。
あの秋から、いくつの秋が過ぎたのだろう。
十代の青く切ない恋は、真実の愛へ変わろうとしていた。
「18時発シカゴ行、○○便に御搭乗のお客様は・・・・・・」
搭乗案内のアナウンスが流れ、人が一斉に椅子から立ちあがる。
移動する人波にまぎれ、彩子は搭乗ゲートから飛行機へと向かった。
座席に着きサングラスを外す。
彩子はポケットから大事そうに封筒を出した。
その中には写真と手紙が1枚ずつ入っている。
写真には、肌の色が違う人間に混じりボールを追う流川が写っている。
手紙はとても短く、メモに近い。
そのへんにある紙切れにサッと書いたようなものだった。
あいつらしいわね。
それにしても、下手くそな字・・・・・・。
流川が書いている姿を思い浮かべ、彩子は小さく笑った。
『 日本に迎えに行けないからチケットを送る。何年も待たせてゴメン。 』
手紙といっても、たったそれだけだ。
だけど、そこにたくさんの想いが込められているのを彩子は知っていた。
12時間ほど揺られ、シカゴに到着した。
飛行機を降り手続きを済ませ、急いでロビーへと走る。
顔にかかった髪を左手ではらう彩子。
その薬指に何かが光った。
片道分のチケットと一緒に送られてきた、プラチナのリング――。
ロビーへ着くと、すぐそこに流川の姿を見つけた。
軽く手をあげた流川に駆け寄り、思いきり抱きつく。
そんな彩子の耳元で流川が囁いた。
―― Will you marry me?
「・・・・日本語だと照れくさい」
そう付け足した流川に、彩子はからかうように笑って言う。
If you kiss me here, I will marry you ...――
彩子の答えに流川は黙って頷いた。
雑踏の中、人目も気にせず二人は長いキスを交わす。
永遠の誓いを胸に―――。
fin
333 :
144:2007/04/14(土) 17:52:53 ID:X8laua1C
終わりです。
書いているうちに流川と彩子の組み合わせが気に入ってしまい、
すっかり長くなってしまいました。
アニメだけを見ていた方にはわからない部分が多いかもしれません。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
では。
長文GJです。
切ないのもエロ描写もウマーでした。
リョータ男前だし。
次回はも少し短めならなお素敵っす。
また何かできたら投下よろです。乙でした。
お疲れ様でしたー
よかったです。GJでしたよ!
手首を縛っちゃうとこ、萌えました!
超GJ!長編乙です。
エロパロというより一つの作品として読ませていただきました。
浴衣っていいよねえ。
なんかもう萌え死にそうだ、自分。
ちどり荘での部屋割りが気になってコミック読んでしまったw
テラモエス!(*゚∀゚)=3ハァハァ
GJGJGJGJGJ!!!!!
幸せになれよ、2人!w
…そしてリョータぁぁぁぁぁぁ素敵!
339 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/15(日) 10:52:40 ID:oJjPjRyJ
ネ申キタコレ!
南空気嫁wwバロス
そしてリョータ・・・・。゚(゚´Д`゚)゜。
でもアヤちゃんの幸せのためならホントに身を引きそうだ。
>339さんに一語一句ハゲハゲドウ!
リョータ、おまいも幸せになれよ。
GJでした!流彩に幸多かれ!!
うおーGJ!
いいエンディングで読んでるこっちも幸せになったよ。
婚約までいったのってこれが初めてだよな?
せっかくなので新婚生活を見てみたいと言ってみるw
あとみんなも書いてるが
リョータがすげえいい男で惚れた。
素敵な彼女見つけて幸せになれよー。
GJ!
なんか初めての恋が実った感じがイイ!
リョーちんも幸せになってほしいね。
まさかエロパロで自分の中でのリョータの株が上がるとは予想もしなかったw
べ、べつに萌えたりしてないんだから…!
きのう初めてアニメ見た。
アニメのアヤちゃんは声も太いしオバさん臭いしであんまりだ。
あんなのアヤちゃんじゃないやい!
ゴメン。
誤爆したorz
346 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/20(金) 01:16:02 ID:/gQv6LsT
週末に向けて職人さんカモーンage
久しぶりにスラダン読み返したら、
ヤマオー戦で彩子さんが「抜けぇ、リョータ!男だろ!!」と叫んでた。
もうエッロイ想像しか出来なくなってる自分w
うん。わかるよ。
自分なんて花道の「左手は添えるだけ」でも妄想したりするよ。
病気だな、これorz
流彩って・・なんでこんなに惹かれるんだろ・・。
原作のあの微妙な関係がなーいーよなー。
そんな原作の雰囲気に、旅館での素敵エピソードのニクイ
味付けが嬉しかった・・・!!
350 :
144:2007/04/22(日) 23:22:47 ID:rPB0R/0x
144です。
藤真×彩子を書いたんで投下していきます。
自分ばかり続けて申し訳ない。
全部で13レス使用。
連続投稿規制にかかるかもしれない。
万一規制がかかったら時間おいて残りを投下します。
※王子様な藤真が好きな方は読まないほうがいいです。
残暑厳しい9月の土曜日。
じめじめとした鬱陶しい蒸し暑さが肌に纏わり付く。
どこにでもあるような、こじんまりとしたカフェの窓際の席に2人はいた。
試合で見かけたくらいで直接話したことはない。
だけど、お互い顔と名前は知っていた。
胸元が開いた黒のノースリーブ。
短いスカートからすらりと伸びる長い脚。
露出の多い服も彼女が身にまとうと嫌味なく見えた。
退屈そうに幾度も組み返す脚に男の視線が集まる。
見たければ勝手にどうぞと言わんばかりの投げやりな態度。
彼には、今ここにいる彼女がどこか場違いに思えた。
「あと自己紹介してないのは、あんたたちだけよ」
隣に座る友人につつかれ、彼女は面倒くさそうに口を開く。
「湘北2年。彩子」
にこりともせずそれだけ言いアイスティーを飲む。
「翔陽3年の藤真です……」
言い終わると同時に彼女がちらっと彼を見た。
なんでここにあんたがいるのよ、とでも言いたげな顔。
だが、それは彼も同じだった。
合コンというものに藤真は初めて来ていた。
この集まりに藤真が参加することが相手側から提示された条件らしい。
親友に頼まれなければ、こんなくだらない集まりには来ることはなかっただろう。
彼女がこんな所にいるのは人数合わせかなんかに違いない。
藤真はそう思いながらぼんやり外を見ていた。
空は厚い雲に覆われ、今にも雨が落ちてきそうだ。
交わされる会話にもほとんど興味を持てず適当に相槌を打つ。
半ばうんざりしながらコーヒーを飲んでいると、向かい側に座る彩子が急に立ち上がった。
「……ちょっと、ごめんなさい」
バッグを持ち、席を離れ、少し奥まった場所にある化粧室へ急ぐ。
その横顔に、涙が光るのを藤真は見逃さなかった。
「……誰も気付いてないわよね」
鏡を見ながらハンカチで涙を拭く。
普段なら絶対に来ない場所にあたしはいた。
昨日、クラスの子が珍しくあたしを誘った。
「一人足りないのよ。彩子は、合コンとか嫌いだと思うけど……」
あたしは、迷いなく「行く」と答えていた。
彼氏が欲しいからじゃない。
この週末に一人でいたくなかっただけ。
でも、相手が翔陽で、しかも藤真が来るなんて思いもしなかった。
藤真も多分そう思ってる。
さっき、あたしを見る表情はそんな感じだった。
藤真の姿を見た瞬間に蘇った、決勝リーグ進出をかけた翔陽戦でのリョータの姿。
その残像が瞼の裏にこびりつき、あたしを苦しめる。
リョータの事を考えたくなくて来たのに、意味ないじゃないのよ―――。
涙が出そうになるのに気付き、あたしは思わず席を立っていた。
軽く化粧を直し、席に戻る。
いなくなったあたしを誰も気になどせず、話に夢中になっている。
その無関心さが今のあたしには救いだった。
藤真はほとんど喋らず、つまらなそうに外ばかり見ている。
ふいにこちらを見た藤真と視線が合い、慌てて目を逸らす。
そんなあたしに構わず藤真が言った。
「宮城は元気?あいつ、キャプテンになったんだろ」
「リョータの話はやめてよ……」
前触れもなく耳に入ったリョータの名前。
あたしは、また思い出してしまった。
どうしようもなく惨めだった自分を――。
おとといの朝、それは唐突に知らされた。
「おまえ知ってるか?宮城に女ができたって……」
三井先輩がリョータに聞こえないように小声で言う。
あたしは、その時初めてリョータに彼女ができたことを知った。
何も手につかなかった。
リョータはいつも通りの会話と態度で何も変わらない。
あたしはリョータ本人から一言もその話を聞いていなかった。
どうしてあたしに何も言ってくれないのよ……。
二つ前の席に座るリョータの背中が、急に遠くなった気がした。
部活を終えたリョータが、彼女と一緒にこっそりと帰って行く。
全然気が付かなかったけれど、付き合ってから毎日そうしていたらしい。
あたしは体育館の陰に隠れ、見つからないように二人を見送った。
クラスは違うけれど、同じ学年の可愛い子。
あたしとは正反対のタイプだ。
背も小さくて、その子と並んで歩くリョータはいつもより大きく見えた。
「……なによ、お似合いじゃない」
楽しそうに笑いながら歩いていくリョータを見ながら、あたしは小さく呟いた。
「なーにコソコソしてんだよ。やっぱり、気になんのか?」
後ろからの声に驚き振り向く。
落ち込んでいるあたしに、容赦ない言葉を浴びせたのは三井先輩だった。
「グズグズしてるから取られちまうんだよ」
見透かすように言う三井先輩に、あたしは強がり反発する。
「取られるも何も、あたしとリョータは何でもないですから!」
「……ほんっと素直じゃねえなあ。心配して損したぜ」
「ほっといてください……」
そう答えるのが精一杯だった。
「まだ付き合って2週間くらいだから、今なら間に合うかもしれねーぞ」
三井先輩はそう言い、あたしの頭をポンと軽く叩いた。
普段よりも優しい話し方。
一応、三井先輩なりに慰めてくれてるんだとわかった。
「おまえさ、もし本当に何とも思ってないなら応援してやれよな。じゃ、オレ帰るわ」
「……先輩って意外と世話好きなんですね」
生意気な女だな、とでも言いたそうに苦笑いし三井先輩は帰って行った。
あたしは本当に馬鹿だ。
こうなって初めて気付いた。
リョータが好きだってことに――。
席に戻ってきた彩子の目に、もう涙はない。
当たり障りのない会話を交わしていたが、ある瞬間から彩子の言葉は途切れた。
オレが宮城の名前を出してからだ。
何かあったのか……?
藤真は、全く知らないわけでもない彩子の思い詰めた表情が気になった。
アイスティーが入っていたグラスに残る氷をストローで玩ぶ。
カラカラと涼しげな音を立てながら溶けていく氷を、彩子は虚ろな目で見つめている。
心は別のところにある、そんな感じだ。
男と何かあったからといって、こんなところにいるのは彼女に似合わない。
そう思った藤真は席を立ち、彩子の手を取った。
「オレと抜けよう」
「えっ?ちょっと待ってよ……」
驚いている彩子の手を引いて椅子から立たせ、バッグを持たせる。
「藤真さんが帰ったらつまらないじゃない!彩子ずるい!」
彩子の隣の女がふくれた顔で文句を言う。
ほとんど無理矢理ここに連れて来られた藤真は、苛立ちを隠せなかった。
「オレはこの子が気に入ったし、ここにいる理由はもうないよ」
静かにそう言い放ち、財布から1万円札を出してテーブルに置く。
「じゃあ、連れて行くから」
彩子は藤真の手を振り払おうともしない。
だらりと力なく下がる女の手を引き、藤真はそのままカフェを出た。
「駅まで送るよ。本当は帰りたいんだろ?」
無言の彩子と手を繋いだまま、駅までの道を歩いて行く。
「合コンなんて来るようには見えないけどな」
「人のこと言えるの?」
「オレは頼まれただけだよ。あんなの退屈でしょうがない。そうだろ?」
「そうね……」
どうでもいいような彩子の返事に、藤真はしばらく何も話さなかった。
藤真の横顔を見る彩子の目は、どこか覚束ない。
まだ、帰りたくない。
今あたしの隣にいるのは、海南の牧と並ぶリョータのライバル。
だけど、そんな男と過ごすのもいいかもしれない――。
彩子の頭に浮かんだのは、あまりにも身勝手な宮城への当て付けだった。
駅が視界に入ると、ずっと黙っていた藤真が彩子に話しかけた。
「なんか悪かったな、うちの学校の方まで来させて」
「仕方ないわよ。藤真さんみたいな大スターとの合コンなんだから」
「参ったな……」
嫌味を言われ、藤真は肩をすくめた。
彩子は明らかに機嫌が悪い。
藤真はぎこちない空気に居心地の悪さを感じながらも、彩子を駅まで送り届けた。
「気をつけて帰れよ」
そう言われても、彩子は藤真の手を握ったまま動こうとしない。
怪訝に思いながら手を離そうとした藤真に彩子が言った。
「……まだ、帰りたくない。もう少しだけ一緒にいてよ」
まっすぐに藤真を見つめる媚びのない、凜とした瞳。
だけど、どこか哀しげな表情。
そんな眼差しと強く握られた手に、藤真の心は揺さぶられた。
空を覆っていた灰色の雲から雨が落ちはじめる。
徐々に強くなる雨を見上げながら、藤真が言った。
「……それなら、雨が止むまでオレの部屋にいればいい」
「いいの?」
「そんな顔されたら、ほっとけないよ……」
何故そう口にしたのか、藤真自身にもわからなかった。
「冷えて風邪ひいたら困るし、走るか」
黙って頷く彩子の手を引き、家へと向かった。
本降りになった雨に打たれながら走る。
急に彩子が走るのをやめ、前を走る藤真の手がグイッと引かれた。
立ち止まる彩子を振り返って見ると、唇を噛み締め俯いている。
繋いでいる手も、かすかに震えていた。
「泣いてるのか……?」
「……大丈夫よ。ごめんなさい」
雨で濡れる彩子の顔を見ても涙が出ているかどうかはわからない。
だけどその瞳は潤み、赤くなっていた。
「着替えたほうがいいな。乾くまでオレのを貸すよ」
藤真は、部屋に入るとすぐに彩子へ着替えとタオルを渡した。
「ありがとう、藤真さん……」
今日初めて彩子が笑った。
試合の時に見かけたのと同じ笑顔に、藤真は安心した。
「呼び捨てでいいよ」
「年上だし、いきなりは無理よ」
あまり親しくもない男の部屋で、彩子は居心地が悪そうに見えた。
濡れた髪を丁寧にタオルで拭きながら藤真に尋ねる。
「着替えたいから、少しだけ一人にしてもらってもいい?」
「いいよ。ちょっと待っててくれ」
藤真が自分の着替えとタオルを用意し、部屋を出ようとした時だった。
「雨、早く止むといいわね」
窓に打ち付ける雨を恨めしげに見る彩子に、藤真はなぜか軽い苛立ちを覚えた。
今は、この雨に止んで欲しくない。
『雨が止むまでオレの部屋にいればいい』
ほんの少し雨宿りさせるつもりで、そう言ったはずなのに――。
「そんなに止んでほしい?」
「え?」
「オレは降り続いてほしい……」
藤真の言葉の意味を理解した彩子は静かに言った。
「それって、口説いてる?」
「そうかもしれないな」
迷いなく彩子を抱きしめたものの、藤真は自分の言動に驚いていた。
土砂降りになった雨は、しばらく止みそうもない。
藤真の目の前で、彩子が濡れた服を脱ぎ始める。
薄くなりかけた水着の跡。
日に焼けていない部分の肌は雪のように白い。
脱いでいく彩子を静かに見守る藤真は、すでに裸でベッドの上にいた。
彩子の身体を覆っていた最後の一枚が床に落ちる。
「おいで……」
藤真の腕に抱かれ、彩子はベッドへゆっくりと倒れていく。
手慣れたような動作に彩子が思わず口走った。
「女の子なんて選び放題でしょ?」
「なんか勘違いしてないか?まあ、そう思われても仕方ないのかな……」
寂しそうな笑顔に、彩子の心がちくりと痛む。
「……ごめんなさい」
藤真は彩子から手を離すと、隣に寝転び大きく溜息をついた。
「オレは好きになった子にしか触れないよ……」
その言葉が、弱っている彩子の心を強く揺さぶる。
自分の放った嫌味な言葉に心苦しくなり、彩子は藤真の胸に頬を寄せた。
思っていたよりも、ずっと逞しい胸板。
その胸に少し早めの鼓動を感じた彩子は、宝物を見つけた子供のように藤真を見た。
彩子の挑発するような瞳に、藤真の鼓動はますます早くなる。
「ドキドキしてる?」
「そりゃあするよ。こんな子が裸で隣にいるんだから」
彩子の心の奥に秘められた企みに気付かないまま、藤真は華奢な身体を抱きしめた。
やわらかい真綿のような抱擁に、彩子の張り詰めた気持ちが少しずつ和らいでいく。
打ち解け始めた二人は、まるで恋人同士のように自然と見つめ合い唇を重ねる。
軽く触れるだけのキスの後、彩子を気遣うように藤真が尋ねた。
「後悔しないか?」
「そんなのしないわよ。ねえ……早く、さわって……」
――もしかしたら後悔するかもしれない。
頭をかすめた僅かな憂慮の念も、藤真の温もりで消え去っていく。
後悔しても構わないと思うくらいに彩子の身体は男を求めていた。
雨に濡れた身体は、気温の高さに反して冷えきっていた。
失った体温を取り戻すかのように互いの身体を抱きしめ合う。
舌の絡み合う音が、振り続く雨音と共に二人の耳の奥に響いた。
息苦しさに離れた女の唇を、藤真は再度襲う。
ゆっくりと絡まる男の舌に彩子の身体の芯がじわりとうずいた。
ようやく放された彩子の唇が吐息混じりに呟く。
「とけそう………」
藤真は応えるように軽く微笑むと、彩子の首筋に唇を這わせた。
「…あぁ……ん……」
首筋からその下の大きな膨らみへと優しく這い回る舌。
藤真の顔が動くたびに、その柔らかい前髪が彩子の胸元をサラサラとくすぐる。
彩子は我慢できず藤真の前髪をかき上げた。
「……髪の毛で、感じた?」
上目遣いで彩子を見つめながら胸へと唇を滑らす。
「白くて綺麗だ。水着の跡が消えた身体を見てみたい……」
藤真の言葉と視線が、彩子の頬を紅く染めていく。
彩子の身体を観察するかのような冷静な目。
欲にまかせた激しさや性急さなどまるでない藤真に、彩子は戸惑っていた。
肌へ纏わり付くような男の舌に、彩子の呼吸は荒くなる。
「あ…っ……はぁ……っ」
「誰もいないから、声、出してもいいよ……」
藤真の口から淡々と吐き出される羞恥を煽る言葉。
穏やかながらも虐めるような言い方が癪に障り、彩子は唇を噛み締めた。
「初めて?」
「……馬鹿にしないでよ。男と寝たことくらいあるわ」
睨む彩子の脚の谷間に、ほんの一瞬だけ藤真の指が滑る。
さらりとした蜜を指に絡め取った藤真は、彩子の目の前でそれを嘗めて見せた。
「もうこんなになってるし、初めてなわけないよね……」
男と思えないほどの妖艶な仕草に、ぞくりと背筋が冷たくなる。
恥ずかしさに彩子は顔を背けた。
「やめてよ……」
耐え難い屈辱の中、僅かに浮かび上がる快楽の陰影。
自分が落としたはずの男。
その男が張った甘い罠に、今度は自分が落ちていくような気がした。
いたぶるような言動に反し栗色の瞳は優しさに満ちていた。
穏やかな表情に、身体ばかりか心までもが侵食されそうになる。
彩子の身体は淫らな期待に濡れ、淡く艶づいていった。
中学で男を知り、同年齢の女と比べれば経験は多い方だ。
だけどこんなにも身体が熱くなる事は無かった。
藤真によってもたらされる甘すぎるほどの感触と、宮城の彼女への嫉妬。
それらは巧妙に混ざり合い、彩子の思考と理性を麻痺させていく。
藤真の手が、彩子の胸に触れ始める。
手は円を描くように大きな膨らみを撫で、唇は首筋をなぞった。
「は………あぁ……」
彩子の身体は迂曲し、その動きにシーツが乱れる。
藤真は彩子の様子を見ながら、大きく開いた手のひらで優しく胸を撫で続けた。
首筋を行き来していた唇は、もう片方の膨らみへと滑り、尖端を軽く挟む。
「……あ……、いや……っ……」
とろけて消えてしまいそうな感覚に怖くなる。
彩子は思わず自分の胸にある藤真の手を掴んだ。
「いや?……じゃあ、やめようか」
呆気なく身体から離れた藤真に、彩子は微かな怒りを覚えた。
この男はどうしてこんなに意地悪なんだろう。
困惑する自分を藤真が楽しんでいるように思えてならなかった。
「どうした?そんな怖い顔して……」
僅かに笑みを浮かべ彩子の頬に口づける。
――酷い男。
やめないで欲しいって、本当は解かってるくせに――。
「……意地悪ね」
「可愛いからちょっといじめてみたかった。もう、しないよ……」
再び藤真の唇は胸を這う。
柔らかさを取り戻していた尖端は藤真の舌でいとも簡単に硬くなった。
白い胸は早くなる呼吸に上下し、淡い桃色に染まっていく。
藤真の手が胸から腰を滑り、ゆっくりと彩子の下半身へと移動していく。
潤いに満ち、男の愛撫を待っている場所。
そこに触れられると思っていた彩子の期待は儚く裏切られた。
太腿の裏や内側を、男の指がうごめいている。
彩子は、無性に悔しかった。
藤真の滑らかな指の動きに翻弄され堕ちていく自分。
それを止める理性は彩子の心に微塵も残っていなかった。
もう少しで、そこに触れそうなのに。
本当に酷い男……。
彩子の自尊心は、藤真によって脆くも崩れ落ちていく。
胸を這う舌の刺激に慣れ、彩子の神経は太腿を弄ぶ男の指に集中していた。
触れて欲しい場所に指がなかなか届かず切なさに悶える。
突然胸の尖端を軽く噛まれ、油断していた上半身に矢のような快感が走る。
「…あぁ…っ…………!」
彩子は短く叫んだ。
まだ、手は太腿や腰を這い回る。
胸から唇を離した藤真が、彩子を見つめた。
やわらかい視線の男に焦らされる身体。
待たされ続けている部分は、軽い痛みまで感じるほどに熱く痺れる。
そこはまだ刺激を受けてもいないのに紅く腫れ、溢れる蜜で濡れていた。
「かわいいよ………」
藤真に口づけられた彩子は、自ら舌を入れ絡めた。
早く触れて。
早く、挿れてよ……。
彩子の瞳が藤真に懇願する。
その願いに気付いたかのように、藤真の指が動いた。
触れて欲しくて仕方の無かった場所。
ようやくそこに藤真の指が触れ、彩子の脚は無意識に開いていた。
絡まり合う舌が離れ移動していく。
首筋、鎖骨、胸……。ゆっくりと這う舌。
藤真は全く急がず、彩子の身体が快感で小刻みに震えるのを確かめながら愛撫する。
決して激しい愛撫ではない。
藤真のすべてが、緩く、優しく、穏やかに動く。
その動きの一つ一つが彩子に初めての感覚をもたらしていた。
溢れる蜜が藤真の指を濡らした。
触れられると今度は中に欲しくなる。
欲張りな身体を持て余し、彩子の腰は大きくうねった。
今はもう宮城のことを想う余裕などない。
雪崩れのように押し寄せる欲にまみれ、身体も心も藤真で埋め尽くされていった。
唇が彩子の胸から離れ、濡れた女芯へと辿りついた。
すでに硬くなっていた蕾が男の唇に吸われ、舌で転がされる。
藤真の指が彩子の中へと滑り込み、ゆっくりと肉壁を刺激した。
「…ん……あぁ……っ…」
敏感になっている場所を唇と指で責められた彩子は、腰を浮かせ喘いだ。
「そんなに気持ちいい……?」
意地悪な言葉も今は媚薬のように彩子を酔わせる。
さらさらとしていた蜜は彩子の昂揚と共に形状を変え、とろりと男の舌に絡みついた。
気強い女が自分の愛撫によって乱れている。
駆引きもプライドも、何もかも忘れ悶える様は奴隷のようだ。
自らの脚を持ち上げて男の舌を受け入れ、脚の付け根まで淫らな蜜で濡らす。
目に映る彩子の姿態に誘われ、藤真の身体も熱くなっていた。
愛撫を止め、藤真は彩子を見つめた。
「……いい?」
わざわざ聞くまでもない。
思いきり突いて――。潤んだ彩子の瞳がそう訴えていた。
男で充たされた途端、安心したかのように彩子の表情が柔らかくなっていく。
藤真の腰に長い脚を巻きつけ、腕は背中を抱いた。
唇を重ねたり、互いの耳や首筋を舐める。
冷えていたはずの二人の身体は汗ばみ、擦れ合う全ての場所から卑猥な水音を立てた。
密着する女の身体の柔らかさと、自分を包む温かい肉壁。
軽い眩暈のような快感が藤真を襲う。
これまで緩慢にさえ思えた藤真の動きは、自らの欲望に急かされ激しさを増していった。
彩子は目を固く閉じ、すぐそこに見える頂に神経を集中させる。
「…あ…っ……もう……いっちゃう………!」
尽き果てる寸前、彩子の瞼の裏にそれは映った。
――リョータも、こんな風にあの子を抱いているのかもしれない。
そんな耐え難い情景に、濡れた唇が音無く動く。
『 リョータ…………! 』
声にならない叫び――。
訪れた絶頂と共に、聞こえないはずの声が藤真には聞こえた気がした。
心に、靄がかかる。
わかりきっていたことだが、自分が全身で奉仕した女は別の男に惚れている。
抜け殻のようにぐったりとした彩子の姿に、藤真は虚しさを感じた。
「声に出しても良かったのに……」
自虐気味に呟きながら、無言の彩子をきつく抱きしめる。
きっと自分に気持ちが向くことはないだろう。
だけど、一度手にしたこの温もりをどうしても離す気になれない――。
藤真の答えは決まっていた。
誰かに抱かれてもあたしは何も変わらない。
そう思っていた。
今、あたしは藤真の腕の中にいる。
包容力に満ちたその腕はとても温かく、心の小さな棘を消し去るには充分だった。
髪を撫でられたあたしは、その胸に子供のように頬を寄せる。
こんなに素直に甘えられるのはどうしてだろう……。
あたしは、藤真に惹かれはじめていた。
髪を撫でられるのがあまりにも心地良くて、あたしも藤真の髪を撫でてみた。
サラサラと絹糸のように細く、やわらかい栗色の髪。
「キレイな髪……。羨ましい」
「ストレートにしてみたら?きっと似合うよ」
男に言われ髪型を変えるなんて、あたしらしくない。
だけど今は、そうしてもいいかなと思えた。
髪を撫でていた手が止まり、藤真があたしの顔を覗きこむ。
「付き合ってくれないか?」
突然の言葉にあたしは当惑した。
「……どうして?」
「そんなの簡単だろ。好きになったからだ」
口ごもるあたしの様子をしばらく伺っていた藤真が静かに口を開いた。
「……まあ、宮城が気になるなら無理にとは言わないよ」
藤真にそう言われ、あたしの心に黒い影が差す。
リョータを好きなことに気付かなかった自分。
リョータの気持ちを知っていて、気付かないふりをし続けた自分。
そして、藤真に抱かれながらリョータの名前を心で叫んだ自分……。
そんな記憶を、あたしは全部消してしまいたかった。
「無理に好きになってくれとは言わない。そうなってくれたら嬉しいけどね……」
決してあたしを縛り付けようとしない。
押し付けもせず、かといって引くわけでもない。
どうせ、あたしとリョータはもう元の関係には戻れないだろう。
それなら思いきり壊してしまった方が楽になれるかもしれない。
藤真に抱かれたのは、リョータへの幼稚な当て付け。
それだけだったはず。
なのに、あたしの中に新しい何かが芽生えていた。
それは本当に小さな芽で、育つかどうかもわからない。
「もう一度してよ。そしたら考えるわ」
「雨が止むまで何度でも抱いてやるよ……」
再び強くなり始めた雨音に、藤真の声が重なった。
先ほどまで冷静だった藤真が少し荒々しくあたしを組み敷く。
女みたいな綺麗な顔立ちに見え隠れする男の本性。
それを見つけたあたしは、ちょっぴり藤真を愛しく思った。
だけど、リョータの残像はまだ消えず、時折あたしの脳裏をかすめていく。
あたしはひたすら求め、抱かれた。
心に降り続く雨は無視して――。
いつか、雨は止むだろう。
その時あたしが誰の腕の中にいるのかはわからないけれど……。
Fin
364 :
144:2007/04/23(月) 00:34:53 ID:czmMathO
終わりです。
この流れでリョータ×彩子を書こうかなーと思ってる。
最近ネタ切れなので、とりあえず夏が来る前を目標に。
それではまたノシ
ウルトラGJ!!!!! 素晴らしい!!
藤真、どこでそんな技の数々を覚えたんだw
夏前とはいわず、またお願いします。
366 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 14:31:21 ID:V2pZAb9g
初の藤真キタコレ!
GJ!!GJ!!GJ!!
そうか、藤真はSだったのかw
漫画でも長谷川に「欲がなさすぎる」とか言ってるし。
続編のリョータ×彩子、いつまでも待ってます。
ぐっじょぶです。
プレイヤーとしての藤間は、流石に普段とは違うww
おお!GJ!
顔のわりに男なんだよな藤真ってヤツは。
さすが藤真。
数々の技も天性のものに違いないw
ヤツはベッドにいるときだけアイドルの重責から解放されるww
神様乙です!藤真も彩子もエロ杉!!ハァハァ
テラGJ!!貪欲な藤真すげえ。ストレートヘアの彩ちゃん想像したら萌えた
>144ネ申降臨きた━━━━━━┌(_Д_┌ )┐━━━━━━ !!!!!
藤真様最高ぅぅぅぅぅ
すっかりのめり込んでしまいました。
彩ちゃんの幸せを心から祈ります!
いやぁ〜ここ来てから仙が気になって気になって仕方なくなってしもうたですよ
仙様
374 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/26(木) 00:23:27 ID:2UNEeOdD
テラエロス――――(゚∀゚)――――ッ!!!!
乙です、GJです!
意地っ張りなアヤコさん萌え・・・(;´Д`)ハアハア
保管庫みてきたけど洋平ってないんだね。
自分は文才ないんで職人様よろしくです。
>>375 洋平あるよ?1スレ目の401氏が書いてある
>>376 見逃してたのか自分OTZ
あとでもっかい見てみる。
教えてくれてサンクス。
藤真×彩子いいなぁ。職人グッジョブ!
ぜひリョータ×彩子も!気長に待ってます
藤真に初めて萌えますた
「あれから10日後」でいきなりヒゲ生やしたりしている所をみると、
藤真は自分のカワイイ顔にコンプレックスがありそうだ。
顔目当てのミーハー女には全然興味ないっぽい。
あれから10日後ってなんだ?
switchじゃね?
>>382 レスサンクス。
ゆうべググって自己解決してました。
ようつべで見てきた。あんなのあったんだな。
藤真×彩子さんに萌えた!
藤真は一体誰からそんな技を教わったんだw
綺麗なのにちゃんと男の子な藤真カコヨス
385 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 00:28:39 ID:JUgWdWdw
断固ホシュー!
386 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 22:26:44 ID:U40vsnB8
さあ、ageよーか。
はじめまして。弥生×茂一を思いついたのですが、完成したら投稿しても良いですか?
是非是非宜しくお願いしますワクワク (0゚・∀・) テカテカ
389 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 00:04:16 ID:oJUHLlt8
自分は雑食なんで、なんでもおいしくいただきます!
ヨロシクお願いします。
茂一ktkr!
楽しみにしてます^^
新作wktk
しかしどっちの名前も覚えがない罠…
>>391 茂一は陵南の監督
弥生は彦一の姉で雑誌の記者
茂一×弥生マダー?wktk
おおう、ストーリーは思い出せないが顔を思い出した。
サンクス。また原作読み返そう。
394 :
397:2007/05/09(水) 00:17:33 ID:kIyk+2XM
皆さん期待してくれてるので出来しだい投下しますね。しばらく忙しくなるので二週間くらい待ってください。
茂一、なにげに人気者だなw
茂一かっけぇからな。
茂一は、三井、宮城、流川と勧誘失敗し続けるところが泣ける
茂一の不幸さ加減は藤真と甲乙つけがたい。
そんな2人が好きだ!
399 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/14(月) 01:52:12 ID:ElJaz0jo
保守age
>>400 まあ内容としては本スレに貼ってもらいたいとこだが、一言だけ。
どう見ても赤白のバランス悪すぎです。本当にありがとうございました。
>>400 これ久々に見た。コミックの表紙じゃないしなんだったっけ。
赤は短気、白は冷静ってイメージだ。
戦ったら白チーム圧勝しそうだよね。( ´・ω・)
白がスタメン組、赤が控えってとこだろうけど、白はもちろん
赤でも現実バスケ世界じゃ普通に優勝だろ。神奈川レベル高すぎ。
保守がてら出来ましたので落とします。
微エロです。
すみません上のタイトル、ミスです。
艶のある黒髪をそっと手ですくう。
心地よくその流れは指を通った。
「藤井サン。」
名を呼ぶと少女の身体がぴくりと反応する。
桜木はどうして今までこの愛らしい少女の名を覚えきらなかったのか不思議に思った。
奥二重の目がゆっくりと開き真っ直ぐに桜木を捉える。
それだけで男の心臓は早鐘のように動いた。
「桜木く…。」
呟く声は静かに消える。緊張しているのかその声は震えていた。
下着姿の藤井。
白く伸びる腕は胸の前でクロスして居心地悪そうにブラジャーを隠している。
冷たい体温の藤井とは対照的に桜木は燃え上がるように身体中が熱かった。
そっと肩に触れてみる。
またも身体が撥ねるが、抵抗はない。
そっと引き寄せ唇を重ねる。
んっ。と小さく漏れた声に桜木の体温が上昇した。
舌を深く差し入れ女の口内を味わう。
「ふっんん…!」
それは相手を気遣う余裕のない無我夢中の動きで、
息苦しくなった藤井は預けた身体に力を込め遠慮がちに押した。
少ししてそれに気付いた桜木は慌てて身体を離す。
「あぁっす、すみません!大丈夫すか?」
その場に手をついて思い切り息を吸う藤井を見つめながら桜木はおろおろとしている。
「だ、大丈夫…ちょっと…びっくりしただけです。」
男を気遣うように笑顔を浮かべる藤井。
ほっとした桜木は手を伸ばし女の身体を支えた。
「すみません。ちゃんと…ゆっくりします。」
「はい。お願いします。」
本気で心配する桜木をクスリと笑いながら見つめる。
しばらく彼女の深い瞳に捕らわれていたが、
桜木はもう一度軽くキスをすると藤井の胸をブラジャー越しに触れた。
壊れ物のようにゆっくりと力を込める。
小さくうめき、頭を下げる藤井を心配そうに見た。
「い、痛いですか?」
「いえ…もっと…強くして大丈夫です…。」
言われた通り若干力を込めると藤井は唇を噛んだ。
ぴくぴくと撥ねる反応が桜木を昂ぶらせる。
床にゆっくりと藤井の身体を倒すと、背に手を回し胸を覆う布を外す。
あらわになった柔らかな乳房は藤井が荒く呼吸をする度に上下して、男を誘っているようだった。
桃色の頂点に優しく触れる。
明らかに激しく藤井が反応した。
乳輪を指でなぞると大きく口を開けた藤井が息苦しそうに呼吸する。
その様子に釘付けになりながら、硬くなりはじめたそこを摘まんだ。
「あっ…!!」
「…痛かったら言ってください。」
頭を小さく横に振る藤井。ふわりと香る甘い髪が呼吸と共に揺れる。
「大丈夫ですか?」
「ん…あ…わかんないです…あ、の…ジンジン、します…っ。」
耐えるように唇を噛む様が余計男に熱をもたせた。
大きな手を藤井の下半身へと移動させる。
「ぇ…っきゃっ!?」
ぬるりと指が滑った。
「あ…すごい、濡れてます。すごく…。」
「ぃや…っ言わないで…。」
顔を両手で覆い泣きそうな声を出す。
自身の心臓の音が聴覚を占め、女の声を意識の外側に聞きながら布の端から指を侵入させた。
「きゃっ!や、まっ…んあっ、ああ…!」
「どんどん…溢れてきます。」
「やだぁっ動かさないでェっ!…あぁっ!」
温かな中心部にゆっくりと指を挿し入れる。
藤井の身体に力が入ったのがわかった。
「痛いすか?」
「わ、わかりません…んんっだけど変っ…です。」
柔らかく絡みつく肉の壁を傷つけないようにゆっくりと折り曲げざらつく部分を少し擦る。
「あぁっそれいやっぅんんっあっダメぇ!」
「でも、出てくる量…半端じゃないですよ。」
「あ…ぁあ!やめてっ!も…それされたらっ…っ!!」
真っ赤にそまった頬で頭を振る様に、我慢できなくなってきた。
藤井の中から指を抜くと自身をそこにあてがう。
「あ…さ…桜木くん…。」
不安げに見る目がたまらなく愛おしく感じた。
「大丈夫です。ずっと、大事にします。」
ぐっと腰を押し込める。
「あっさ、さくら…。」
甘く聞こえる声は瞼に差し込む光にかき消された。
「………ヌあ、……お??」
目を開けると更に眩しい光が入ってくる。
ぼりぼりと赤い髪を掻きながら何度か瞬きし、大きな身体を起き上がらせる。
「な…ゆ………夢っ!?」
生々しい肌の感触を思い出し火が出そうなほど頬を赤くする。
「ふぬーーーーー!!」
振り切るようにボロいアパートの柱を殴ってみても焼きついた藤井の裸体が離れてくれなかった。
その後、藤井の名前を完璧に覚え
しばらくの間、か細い少女を避け続けたのは言うまでもない。
409 :
405:2007/05/16(水) 23:44:54 ID:Qhy4Baxr
夢オチですみません。桜木って想像できない。
最後まで読んでくれた方、ありがとうございました。
では、職人さんいつまでも待ってます〜。
GJですー敬語同士のえっちゅ、可愛い!
萌えましたーーーー(*゚∀゚)=3ハァハァ
GJです!GJです!!
意識しちゃってる桜木×藤井で続きが読みたい…!
突然ですが保管庫の中の人です。
PCが要修理の事態となったため、しばらく失踪します。
復活は早くとも6月半ばの見通しです。
何卒ご了承お願いします。
了解しました。
いつも乙です。
415 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/18(金) 22:38:17 ID:hZ2n4mIR
晴子さん
信長以外のだれか他校の人と絡むのは無理ですかね
>>413 承知いたしました。
管理人様いつも乙です。
職人様、いつまでも待ってますよー。
とにかくスラダンの萌え話が読みたい。
420 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/26(土) 03:47:40 ID:NR4EPDof
あげてみる。
職人さんカモーン。
坂井泉水さん亡くなりましたね。
アニメEDのマイフレンド好きでした。
422 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 01:00:59 ID:xAgxcf3m
茂一×弥生書くつってた人どうなってんだろ
忙しいんかな?
新作来るまで断固ホシュ!
424 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 10:15:35 ID:1DKjGGMG
ほしゆ
425 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/06(水) 01:27:47 ID:x4vdtIHW
ほしゆ
ひたすら待つ
茂一ぃ
待つ
429 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/08(金) 16:45:18 ID:2188HKop
ほしゆ
ごぶさたです。144です。投下しに来ました。
前に書いた「雨」(
>>351-363)の続きです。
宮城、藤真、彩子の三角関係話で、かなり季節はずれな内容。
宮城sideと藤真sideがあり、話がリンクしてます。
今日は宮城side投下していきます。
全部で14レス。エロ部分は基本的に宮城×彩子。
※念のため、三角関係特有の嫉妬とか修羅場が苦手な方はスルーしてください。
『アヤちゃん。オレ、彼女ができたんだ』
何度、そう言おうとしたかわからない。
だけどアヤちゃんの笑顔を見ると、どうしても言えなかった。
今日、アヤちゃんが練習を休んだ。
晴子ちゃんに聞いても、ただ休むと連絡が来ただけで理由はわからないらしい。
集中できないまま練習は終わり、その後オレは三井サンとチエコスポーツに来ていた。
「彩子とおまえの仕事だろーが、これは」
「……別にそう決まってるわけじゃないすよ、三井サン」
「だってよ、備品の買出しはいつもおまえら二人だったじゃねーか」
「じゃあ、掃除とボール磨きのほうが良かったんすか?」
「ハイハイわかりましたよ、キャプテン様!」
……悪いけど、オレだって好きでアンタと来てんじゃねーぞ。
さっさと会計を済ませ、店を出る。
昨日の雨が嘘みたいにきれいな夕暮れの空の下、オレの足取りは重かった。
「ち……街中カップルだらけじゃねーか。宮城もこれから女に会うわけ?」
「まあ一応、日曜だし……」
約束はしているけれど、なんとなく気乗りがしなかった。
アヤちゃんを忘れるために付き合ってるようなもんだし、気乗りしないのも当たり前……。
そう思うと、ますます自己嫌悪に陥った。
「お、あれ藤真じゃねーの?なんでここにいんだ、あいつ」
「さあ……この辺に知り合いでもいるんじゃないすか」
三井サンの視線の先を見ると、向かい側の歩道を歩いている藤真の後ろ姿が見えた。
女を連れているが、興味も持てずに目をそらす。
「いい女連れてんなあ」
「モテるから、女なんて吐いて捨てるほどいるんだろ……」
俯きがちに歩くオレの肩を、三井サンがトントンと軽く叩いた。
「あれ、彩子じゃねーの?」
「は?何言ってんすか?」
この人は、オレをイラつかせる天才かもしれない。アヤちゃんが藤真といるわけがねえじゃねーか。
顔を上げ、藤真の隣りの女を見たオレは、自分の目を疑った。
「ほら、やっぱり彩子じゃねーか。髪型変えたんだな、あいつ……」
三井サンの声も、街の喧騒も、すべてが遠くに聞こえる。
藤真の隣にいるのは、間違いなくアヤちゃんだった。
ふわふわだった髪が、たった1日の間にさらさらのストレートになっている。
アヤちゃん。
どうして藤真なんかと一緒にいるんだよ……。
頭を駆け巡る不快な憶測に、オレは酷く混乱していた。
「あの様子だと、間違いなくデキてんな……」
三井サンの一言で、憶測が確信に変わる。
アヤちゃんは親しげに藤真の手を取ると、自分から腕を組んだ。
それ以上二人の姿を見れずに、顔を背ける。
「……おまえもバカだな。
そんな情けねえ顔するくらい彩子が好きなら、なんで別の女と付き合ったりしたんだよ」
溜息交じりの三井サンに、何も言い返せなかった。
なんで、こうなるんだよ――。
夏のインターハイで全国へ行ってから、うちのバスケ部は一気に有名になった。
流川の親衛隊は倍に増えて、下手すりゃ藤真や仙道よりモテるかもしれない。
リハビリ中の花道が知ったら逆上しそうなくらいだ。
女ってのは気まぐれなもんで、オレや三井サンも急にモテだした。
三井サンは、今はバスケのことで頭がいっぱいで、群がる女に興味がないらしい。
オレはというと、正直悪い気はしなかった。
高校に入ってから10人連続で振られ続けていたし、アヤちゃんは全然振り向いてくれないし……。
山王に勝って、ちょっとはオレのこと見てくれるかもしれないって期待した。
だけど、甘かった。そんなうまくいくわけがない。
女子の声援を浴びるオレに、アヤちゃんは笑いながら言ったんだ。
「モテモテじゃないリョータ!やっと彼女できるかもね!」
そりゃないよ、アヤちゃん……。
いつもアヤちゃんは笑顔でオレを傷つける。
どんなにもがいても、この手はアヤちゃんに届かない――。
8月も終わりに近づいたある日、オレは隣のクラスの子に呼び出された。
オレがアヤちゃんを好きなことは誰でもわかっている。
なのに、それでもいいと彼女は言った。
なんとなくアヤちゃんに言われたことを思い出し、意固地になっていたオレは「いいよ」と答えていた。
彼女とアヤちゃんは、まったく正反対のタイプだ。
この子と付き合ったからといって、アヤちゃんへの当て付けにもならない。
だって、アヤちゃんはオレのこと何とも思ってねーんだから……。
そんな軽い気持ちで付き合ってみたものの、日に日に気分は重くなっていった。
そして今――、目の前の光景が、重く沈んだオレの心を更に突き落とす。
今までのアヤちゃんとの関係が壊れていく気がした。
友達以上とまではいかないが、それなりに心地良かった関係。
オレは、それを失うのが怖くて臆病になっていた。
こんなことになるなら、ちゃんと告白しておけば良かったのに――。
翌日のアヤちゃんはいつも通りに見えた。
変わったのは髪型だけかもしれない。
藤真と一緒にいたのだって……なんか、理由があるのかもしれない。
そんな僅かな望みを抱き、話しかける。
「アヤちゃん、髪型変えたんだね」
いつもよりぎこちない話し方になっているのが自分でもわかった。
振り返るアヤちゃんの髪がサラリと揺れる。
「似合うでしょ?」
「うん、似合うよ」
本当は前の髪型の方が好きだ。
けど、笑顔のアヤちゃんには言えずに、嘘がこぼれた。
張り詰めた空気。緊張で喉が無性に渇く。
オレから顔をそらし、窓の外に向けられたアヤちゃんの目は、どこか遠くを見ている。
藤真と腕を組んでいたアヤちゃんの姿が目に浮かんだ。
本当に聞きたいのは、髪型のことなんかじゃない。
確かめるんだ、ちゃんと……。
「……どうして髪型変えたの?」
情けねぇ……。どうしても、遠回しにしか聞けない。
アヤちゃんは、窓の外にあった視線をゆっくりとオレに向けた。
「ストレートにしてみたらって言われたからよ」
見たことのない大人びた表情で、なんの躊躇も無く答える。
誰に?なんて聞かなくても、答えが見えた気がした。
「あたし、きのうから藤真と付き合ってんのよ。
リョータ、彼女できたんでしょ?なんであたしにだけ教えてくれなかったのよ……」
うつむくオレに、追い討ちを掛けるように響いたアヤちゃんの冷めた声。
聞こえてはいても、その言葉の意味を認めたくなかった。
チャイムが鳴り、みんな自分の席に着き始めている。
席に戻るアヤちゃんの真っすぐな髪が、オレの顔をかすめていった。
その髪の香りまでもがいつもとは違った。
まるで、別人みたいだ……。
オレは席には着かず、教室を飛び出した。
「おいコラ!宮城!どこ行く!?」
その声も耳には入らない。
廊下で叫んでいる担任を無視して、屋上へとひたすら走った。
いつから藤真のことが好きだったんだよ。言われたら簡単に髪型変えるくらい好きなのか?
つーか、なんで藤真なんだよ、アヤちゃん――。
聞きたいことはたくさんある。
だけど、もうオレにできるのはアヤちゃんを忘れることだけだ。
その時のオレは、そう信じて疑わなかった。
あれからアヤちゃんは土日の部活に来なくなった。
今は晴子ちゃんもいるから、それほど困ることはない。
けれど、アヤちゃんがいないと何となく練習に活気が無いような気がする。
部活が大好きだったアヤちゃんが週末来なくなった理由はあいつ……藤真だ。
練習を休まない藤真のために、必然的にアヤちゃんが休むことになる。
週末はほとんどあいつと過ごしているらしい。
別に知りたくも無い話だ。
だけどアヤちゃんの相手はあの藤真だ。
毎日毎日、イヤでもオレの耳に二人の噂話が入ってくる。
「どうしたの?」
「別に……。なんでもねーよ」
彼女の声で我に返った。
ごまかすようにペットボトルを手に取り、一気に流し込む。
「悩みごと?」
「うん、まあ、部活のことでちょっと……」
アヤちゃんは今、幸せなんだろうか。
藤真は、ちゃんと優しくしてくれてるんだろうか。
何かしていないと、すぐに頭の中はアヤちゃんでいっぱいになる。
マジでヤバイ。このままじゃ、オレはダメになっちまう……。
気付くとオレは彼女を押し倒していた。
彼女は何も言わず静かにオレを受け入れる。
すべてを見透かすような笑みを浮かべながら、彼女がオレの肩を抱いた。
何度も部屋に連れて来たのに、キスすらしていない。
オレは、いったい何に遠慮していたんだろう。
アヤちゃんはもう藤真のものになり、オレなんか見ちゃいないってのに……。
彼女を抱いていても、あまり集中できなかった。
アヤちゃんもこんなふうに藤真と過ごしているのかもしれない。
頭をよぎるのはそんな不快な想像ばかりだ。
妄想を掻き消すかのように彼女を強く突いた。
嫌になるくらい、我儘で横暴なSEX――。
結局、最後まで自分本位だった。
「ほんの少しだけど、宮城くんと近づけた気がする」
腕の中で目を潤ませ小さく呟いた彼女に、自分の姿が重なった。
オレはずっと、自分と同じ思いをこの子にさせていた。
震える小さな肩。
乱暴に扱ったことへの後悔で押しつぶされそうになる。
アヤちゃんのことは、もう忘れるんだ――。
そう自分に言い聞かせ、彼女を抱きしめた。
***
3ヶ月が過ぎ、12月も半ばに差し掛かろうとしている。
結局、選抜予選を勝ち抜いたのは海南だった。
予選直前にはほとんど部活に出ていた彩子も、また週末だけ顔を出さなくなった。
傍から見れば、以前と変わりない宮城と彩子の会話。
多少ぎこちないながらも、普通にしようと互いに努力していた。
練習が終わり、部員たちの談笑を尻目に、彩子は晴子と一緒に片付け始める。
彩子は、体育館の片隅で宮城を待つ彼女にチラリと視線を向けた。
彼女は宮城を目で追いながら、目立たないところで遠慮がちに佇んでいる。
いつもの光景だ。
毎日見ているとイヤでも慣れてくる。
彼女と一緒にいる宮城を見ても、彩子の心は痛まなくなっていた。
それでも小さなしこりが残り、心に積み重なっていく。
『多分、あの子はあたしに気を使っているんだろう』
余計な気遣いをされると、なんだか惨めになる。
彼女から視線を反らした瞬間、窓の外に人影が見えた。
外は暗くハッキリとは見えないが、それは確かに見慣れた後ろ姿。
風にやわらかく揺れる髪が、街灯のわずかな明かりで栗色に光っている。
そこにいるのは、藤真だった。
『なんでここに……?』
振り返った藤真と窓越しに目が合い、手招きをされた彩子は慌てて体育館を出た。
小走りで出て行く彩子を見て、他の部員たちも藤真に気付いた。
二人が付き合っているのは周知の事実。
だが、藤真がここに来るのは初めてだった。
「ホラ、みんな何ボケッとしてんだ。さっさと片付けよーぜ」
体育館を埋め尽くした重苦しい空気を振り払うように、宮城の声が響いた。
部員に声を掛け、何事もなかったかのように散らばっているボールを集める。
出口のそばにあるボールを拾いに行くと、宮城の視界に彩子と藤真の姿が入った。
どうしても二人の顔を見ることができない。
「……アヤちゃん。先に帰ってもいーよ」
宮城は顔を反らしながら、やっとのことで口を開いた。
「リョータ……でもまだ片付けが……」
「どうせもう終わるし、気にしないで。早く着替えてきなよ」
それだけ言うと、宮城は再びボールを片付け始めた。
精一杯の平常心。
頭では理解している。
けれど、彩子を忘れると決めたはずの宮城の心は、まだくすぶったままだった。
体育館の横で彩子を待っている藤真に、部員たちが挨拶しながら出て行く。
「藤真さん。寒いから、校舎の中で待ってたほうがいいですよ」
気を使った晴子がそう勧めても、藤真は首を横に振った。
「ここで待ってるよ……」
それだけ言うと、藤真は体育館の出口からもれる明かりを静かに見つめた。
明かりが消え、最後に体育館から出てきたのは宮城と彼女だった。
宮城を見据える藤真は無表情だ。
「……オレに、何か用?」
「別に……」
宮城は、苛立ちを抑えるのに必死だった。
『本当は、アヤちゃんの事で何か言いてーんだろ?嫌な奴だ……』
寒さなのか怒りなのか、靴紐を結ぶ指が震える。
結び終わり立ち上がっても、宮城は藤真の目を見ることができずにいた。
「オレ、アヤちゃんとは何もねえから安心しな……」
すれ違いざま、自分の心を落ち着かせるように宮城が言った。
「悪いな……宮城」
謝罪とは何か別の、心細い藤真の声。
だが、今の宮城には、藤真が抱える不安に気付く余裕は無い。
封じ込めていた彩子への想いが、宮城の胸に込み上げてくる。
それは以前よりも強く、宮城の心を縛り付けた。
『オレ、こんなにアヤちゃんが好きなんだな……』
上の空で黙々と歩く宮城の手を、彼女が強く引いた。
「ねえ、聞いてる?」
「ああ……ごめん。ぼーっとしてた」
もうすぐ付き合ってから4ヶ月になろうとしている。
それなりに楽しいこともあった。
だけど、彼女への罪悪感はいつまでも消えない。
それは彩子への報われない想いと混ざり合い、自分でも手に負えないくらいに心を蝕んでいる。
そんな気持ちのまま付き合っていくのは、もう無理に思えた。
「別れてくれ……」
静かにそれを口にした宮城に、彼女が驚くことはなかった。
まるで、いつかはそう言われるのを覚悟していたかのような表情。
「やっぱり、まだ好きなの?」
「ごめん」
「……最後に一つだけ、我儘聞いてくれる?」
寂しそうに笑いながら言う彼女に、宮城は黙って頷いた。
***
様々な装飾があちらこちらに施され、街はクリスマス一色に染まっていた。
そんな華やいだ風景すら、オレには曇って見える。
クリスマスに二人で映画を観る。それが、彼女にとっての最後の我儘。
こんなことは、我儘でもなんでもない。
突然別れを切り出したオレの方がよっぽど我儘だ。
この数カ月、結局オレは彼女を傷付けただけだった。
楽しそうに映画の話をする彼女は、この後に別れるとは思えないくらい晴れやかな笑顔だ。
たぶん、今日までの間に気持ちの整理をつけてきたんだろう。
彼女の強さが、うらやましかった。
映画館へ入ると、話題作だけあって欝陶しいくらいの人でごった返している。
オレたちは一番後ろの席に座った。
クリスマスということもあり、ほとんどの席がカップルで埋め尽くされている。
別れると決めた女と映画を観に来ているのは、きっとオレくらいだろう……。
そんなことを考えているうちにブザーが鳴り、場内が暗くなった。
ぼんやりと予告を観ていたオレの前を、見覚えのある二人の姿が横切って行く。
ドクン、と、心臓が鈍く唸った。
男はしばらく周りを見渡し空席を見つけると、かばうように女の肩を抱き、席に着いた。
オレの座っている場所よりも少し前だ。
その席で寄り添うように座っているのは、藤真とアヤちゃんだった。
藤真とアヤちゃんがオレに気付いている様子はなかった。
映画が始まっても、視界に入る二人が気になって仕方ない。
内容なんて全く頭に入らない。
字幕を読む気にもならない。
藤真が何かを囁きながら肩を抱くと、アヤちゃんは幸せそうに微笑んだ。
教室ではあまり見せなくなったその笑顔に、やるせなさと切なさが込み上げる。
前から観たかった映画。
それなのに、瞬く間に興味が削がれていく――。
場面が切り替わり、星空が画面に映し出された。
薄暗くなった場内。
藤真がアヤちゃんの肩を抱き寄せ、軽くキスをした。
映画のキスシーンに合わせたかのように、二人の顔が重なる。
それは誰も気が付かないくらい、ほんの一瞬の出来事。
だけど、オレにはとてつもなく長く感じた。
とにかく、早くこの場を離れたい。
次々と移り変わる画面を放心状態で眺めながら、映画が終わるのをひらすら待った。
冬休みだというのに、オレは一人になった。
別に寂しくはない。
逆に、つかえていた枷が無くなったかのように心が軽くなった。
クリスマスから3日しかたっていないのに、もうだいぶ昔のことのように感じる。
映画館で、藤真の隣りにいたアヤちゃんは幸せそうに見えた。
二人のキスに落ち込んだけど、あんなのは付き合っているんだから当たり前だろう。
見守ることしか今のオレにはできない。
アヤちゃんがいつも笑顔でいられれば、それでいいんだ。
何かあった時は相談にのってあげたい。
それと、どうしても今年中に伝えておきたいことがある。
今更こんなことを言っても意味はないし、アヤちゃんを困らせるだけかもしれない。
だけど、このままじゃ絶対後悔するだろう。
オレは勇気を振り絞り、アヤちゃんに電話した。
「……もしもし、アヤちゃん?オレだけど……」
『リョータ……?』
「今、一人?話しても大丈夫?」
『大丈夫よ』
電話越しにアヤちゃんの声を聞くのは4ヶ月ぶりだ。
声が少しかすれているような気がして、心配になった。
「アヤちゃん、風邪?」
『違うけど……。どうしたの?』
「話があるんだけど、今から学校に来てくれないかな。教室で待ってるから」
『……わかったわ』
家を飛び出し、冷たい雨の中、傘もささずに学校へと走った。
こっぴどくフラれても構わない。
自分の気持ちを整理するためにも、今度こそきちんと告白したかった。
***
冬休みの校舎には誰もいない。
雨の音だけが聞こえる教室で、宮城は彩子を待っていた。
少しずつ近づいて来る足音。
腹を据えて来たはずなのに、緊張で脚が震える。
『しっかりしろよ……!』
宮城は、懸命に心を奮い立たせた。
教室の戸が、カラカラ、と弱々しい音と共に開いた。
どことなく疲れた表情の彩子が、けだるそうにコートを脱ぎながら戸を閉める。
待ち人が来たことに気付いているはずなのに、宮城は窓際で外を見たまま動かない。
振り向きもせずに、ただ立ちすくんでいた。
いつもとは何か違う。
そう感じた彩子は、緊張で唇を固く結んだ。
しばらくためらっていたが、意を決して宮城の隣へ歩み寄り、声をかける。
「……どうしたのよ、急に」
自分に向けられた宮城の真剣な眼差しに、彩子は息を飲んだ。
「オレ、アヤちゃんが好きだ。多分、アヤちゃんが想像しているよりもずっと……」
あまりの突然さに言葉が出ない。
彩子は、ただ黙って宮城を見つめた。
「オレさ、女と別れたんだ。やっぱりアヤちゃんが好きだから……」
「え………」
「どうしてもきちんと言っておきたかったんだ。
アヤちゃんに藤真がいるのはわかってる。だから、オレのこと思いきり振ってよ」
彩子の心の琴線を、何かがはじいた。涙が溢れ、頬を濡す。
初めて見る彩子の涙に、宮城は動揺した。
「アヤちゃん、困らせてごめんね……」
声を殺して泣き続ける彩子の肩は、か細く震えている。
その肩を抱こうと伸ばした手が、思い留まるように宙を掴んだ。
『これは、オレの役目じゃない……』
どうにもできず途方に暮れていると、その手が彩子に強く握られた。
「……あたしも、リョータが好き」
それを口にした彩子に、ためらいは感じられない。
宮城は、驚きで喜ぶのも忘れていた。
彩子の言葉の意味を理解できない。
つい数日前、映画館で二人が仲良さそうにしているのを見たばかりだ。
それなのに、どうして……。
「もう後悔したくない。リョータが好き。あたしも、別れたの……」
暖房も入らない教室の隅で、宮城と彩子は肩を寄せ合い座った。
ほんの少し手が触れ合うだけで高鳴る鼓動。
熱を帯びる頬に寒さも忘れた二人には、床からの冷気も届かない。
宮城は、彩子の髪から流れてくる香りに懐かしさを感じた。
それは藤真と付き合う以前の彩子の香り。
その香りに吸い込まれるように、彩子を抱き寄せた。
藤真と別れることになった理由は分からない。だが、そんなことは今はどうでもよかった。
愛しい女の身体が、自分の腕の中にある。もう無欲ではいられない。
身体の奥から沸き上がる、熱い衝動――。
それを抑えるのは無理だった。
宮城は彩子を抱きしめたまま、なだれ込むように身体を床へと投げ出した。
唇を確かめながら、幾度もキスを交わす。
宮城の手が彩子の制服のリボンに伸びた。
シュルっと音を立てて解かれたリボンが、すぐ傍の椅子に置かれる。
次にその手は彩子のブレザーのボタンへと滑り、瞬く間に外していく。
ブラウスの襟元を宮城の指先がつたうと、彩子が身を引いた。
『ちょっと待ってよ……こんなところで………』
塞がれ続け、言葉を発することができない唇の変わりに、彩子の手が宮城の指の動きを封じる。
「ゴメンね。もう、止まんないよ……」
鋭く刺し込む宮城の視線に縛りつけられ、彩子は動けなかった。
これまで自分には向けられたことのない精悍な表情。
拒む理由なんて、ない。
誰よりも触れて欲しかった男の手が、今、自分に触れようとしているのだから――。
秘め続けていた思いが弾け飛ぶ。
長い間二人を隔てていた見えない境界線が、消散した。
力の抜けた彩子の手をすり抜け、宮城がブラウスのボタンを器用に外していく。
冷たい空気に晒された鎖骨にキスをされ、彩子の唇からかすれた吐息が漏れた。
宮城を求める身体と、薄紅色に染まる頬。
恥じらいの中に包み隠された欲望――。
そんな彩子に口火を切られた宮城が、その耳元で囁いた。
「覚悟して。……アヤちゃんだからって手加減しないよ」
こんな宮城を、彩子は知らなかった。
挑むような微笑を浮かべながら、白い胸元に唇を落とす。
男の唇の動きに、まるで微熱に犯されたかような火照りを感じ、彩子は瞼を静かに閉じた。
はだけた胸元に降る、無数のキス。
容赦の無い唇に、彩子の身体が小刻みに揺れ動く。
ふと、何かに気付いたかのように、彩子の身体から宮城の唇が離れる。
宮城は学ランとポロシャツを脱ぐと、彩子の背中と床の間へ滑り込ませた。
白い肌を慈しむように舌で愛撫しながら、着ているものを丁寧に脱がしていく。
「背中、冷たくない?」
「平気よ……」
彩子に囁く声はいつもに増して優しいが、身体を弄ぶ手や舌は本能のままだ。
椅子に無造作に掛けられた彩子のブレザーとブラウス。
そこに、胸を覆っていた濃紺の下着が重ねられた。
綺麗に浮き立つ鎖骨や、くびれた腰。
それらに見合わないほどの大きな二つの膨らみが、宮城の欲を掻き立てる。
「アヤちゃん、すごくキレイだよ……」
彩子にとって、それは飽きるくらい男に言われてきた言葉だ。
それなのに宮城にそう言われると、なぜか嬉しさと気恥ずかしさが入り混じったような気持ちになる。
――どうして、リョータがあたしの初めてじゃないんだろう。
そんな悔しさが、唐突に彩子の胸を刺した。
彩子の身体は切なさに悶えながらも、宮城の動作の一つ一つを記憶していく。
「……は……あぁ………」
首筋を伝う男の唇が鎖骨まで降りると、彩子は甘い吐息をもらした。
優しく胸を撫でる手と、その尖端を吸う唇。
胸の膨らみは、宮城の手のひらに合わせて形を変えながら、苦しくなる呼吸に柔らかく振動した。
汗ばむ手に白い双丘が刺激されて、その尖端は少しずつ固くなる。
時折、指先や唇できゅっと甘く摘まれ、彩子の足先が痺れるように硬直した。
下半身が熱くうずき、腰は細かくうねる。
胸元を濡らしながら貪る舌に、彩子の身体は深く堕ちていった。
肌で感じる彩子の温もりに、心がはやる。
それをおくびにも出さず、宮城は彩子の身体をゆっくりと愛した。
男の舌は、なめらかな輪郭をなぞる。
スカートからのぞく彩子の太ももが、舌の動きに合わせて、しどけなくうごめいた。
重なる唇の中で、求め合うように舌が絡む。
肌に浸み込むような愛撫で、彩子の下着はしっとりと濡れていた。
快感に身をよじるたび、濡れた下着が女の秘部をぬるりと刺激する。
直接触れられていない場所ですら、敏感に反応した。
喘ぎをこらえ、酸素を欲しがる彩子の唇に気付いた宮城が、名残惜しそうに離れる。
体を起こした宮城は、改めて彩子の全身を目の当たりにした。
美しく乱れた長い髪。
あらわになった上半身は、まだ足跡のない雪原のように白くなめらかだ。
床に投げ出された腕は、身体の下に敷かれた宮城の制服をぎゅっと掴む。
片方だけ膝を立てた脚が、もう一方の脚に力なくしなだれかかる。
短いスカートはめくれあがり、濃紺の下着がちらりと覗いていた。
「どうしたの……リョータ……?」
ねだるような口調で彩子が囁いた。
わずかに開いた口元は、薄く笑みを浮かべているようにも見える。
急かされるように、宮城の手はスカートの中へと滑り込んだ。
「ん……はぁっ……」
やわらかい太ももを撫でると、彩子の眉が悩ましくゆがんだ。
彩子の表情が、仕草が、欲情の淵へと宮城を追い込んでいく。
あまり大きくもない体に、ほど良くついた筋肉。
見慣れていたはずの宮城の身体が、今日はいつもより逞しく見えた。
宮城の胸板に、彩子の指が滑らかに触れる。
彩子の細い指先の感触が、宮城の身体の奥の奥まで痺れを及ぼす。
宮城は思わず、う、と小さくうめき、太ももを撫でる手を止めた。
「……どうして止めるのよ。手加減しないって言ったくせに」
長い睫毛の瞳が、責めるように宮城を見つめた。
彩子の声にせき立てられるように、宮城は再び愛撫を続ける。
はじめは、思うままに触れていた。
だが、彩子の身体を傷つけたくないせいか、宮城の愛撫は徐々に控えめになっていく。
なんとなくそれに気付いた彩子は、宮城が愛おしくて仕方なかった。
「好きなようにしていいのよ、リョータ……」
目の前の胸元に指と唇で触れるたびに、男は小さく吐息をもらした。
太ももを撫でる手も、耳を挟む唇も、すべてが愛おしい。
彩子は、宮城の身体を両手で優しく包んだ。
白い胸の輪郭を、赤い舌がなぞっていく。
彩子の太ももを弄っていた手が、その身体から濡れた下着を取り去った。
ふくらはぎから太ももを辿り、一度は下腹部まで達した指先が、その下の小さな茂みに触れる。
宮城の指はその場所をくすぐるように動き、唇は胸の尖端を何度も挟んだ。
彩子の全身に、ぞわぞわと波及していく快感。
それは、麻薬のように身体を浸潤した。
少しずつ宮城の顔が下半身へと移動していく。
朱に染まり潤みを増す花弁が、びくびくと淫らに微動し男を誘う。
花にとまる蜂のように、宮城の唇が降り、花弁に吸い付いた。
「…あっ………ふ……う……」
彩子の唇から、声が切なくもれる。
全身を包むような宮城の優しい愛撫に、ここが教室だということも忘れ、声をあげそうになる。
「……アヤちゃん、ここでは我慢して。噛んでもいいから」
そう言うと、宮城は彩子の口元に左手を差し出した。
噛むのをためらった彩子は彼の手を握り、その指に唇を押し付けた。
固いものが彩子の腹部に触れた。
彩子は反り立ったそれを手で柔らかく包む。
「我慢、しないで」
「いいの?アヤちゃん……」
宮城は、黙って頷く彩子を腕の中に抱き、少しずつ身を沈めていった。
押し広げられる肉壁は弾力に溢れ、男をさらに立大させる。
温かく、はりつくような粘膜の感触に身震いしながら、宮城は彩子に口づけた。
目を開け、見つめ合い、繋がっていることを確かめるように舌を絡ませる。
どちらからともなく唇が離れると、宮城はゆっくりと彩子を突き始めた。
動くたびに、固く赤みを帯びた女の芽も刺激される。
繰り返される動作で、彩子の胸の尖端は宮城の胸板に摩擦を受け、きゅっと縮んだ。
性感すべてを埋め尽くされた彩子の爪が、宮城の背中に食い込む。
声を上げられずに、もがき苦しみ、唇で触れていた男の指を軽く噛んだ。
他の女とは勝手が違う。
それに気付いた宮城は、急速に昇りつめようとする自分を懸命に押さえ込んだ。
充血し、濡れそぼつ肉襞が、うねるように絡み付く。
背中にしがみつく手。
指を噛む口元。
なにもかもが、甘美で卑猥な刺激に満ちている。
自らの欲昂を制御できないまま、宮城は終わりを迎えていた。
「アヤちゃん、ゴメン。もーいっかい、する!」
バツが悪そうに笑いながら、宮城は彩子を見つめた。
「しょうがないわねえ……」
なんとなく照れくさくなり、彩子も笑った。
中途半端に膨らんでいるものが、ゆっくりと彩子の身体の中に入る。
『……結構自信あったのに、アヤちゃんが相手だとやっぱりダメだな、オレ』
すぐに弾けるほどに膨大する自身の身体に、宮城は苦笑いした。
「リョータ……、ヒザ、痛くない?」
「大丈夫だよ」
そうは言っても、動くたびに教室の床に擦りつけられた宮城の膝は赤くなっている。
「……あたしが、上になるから。……だから、」
「アヤちゃん……?」
繋がったまま身体を回転させた彩子に引っ張られ、宮城は仰向けにされた。
首筋に落ちた彩子の髪がこそばゆい。
数回ばかり唇を合わせたあと、身体を起こした彩子が宮城の手を握った。
「だから、思いきり突いて………」
交差する指先にキスをしながら、瞳で懇願する。
甘い囁きに誘われ、男の腰が俊敏に動いた。
力強く握り合った両手が汗ばむ。
「いっちゃう………!」
彩子は絶頂に膝を震わせながら、宮城の胸に倒れ伏した。
男の動きは止まらず、峻烈さを増す。
荒ぶる脈動が宮城を襲い、白濁したものが勢いよく放たれた。
窓に打ち付けていた雨が、雪に変わっていく――。
溶け込むような抱擁に、今はただ浸り続けていたい。
彩子を抱きしめているのが自分ではないような、そんな錯覚に宮城は囚われていた。
錯覚ではないと確かめたくて、彩子の顔を見る。
迷いなく宮城だけを見つめる瞳が、そこにはあった。
「どうしたの?リョータ」
「アヤちゃん……。オレ、このまま死んでもいいかも……」
「何言ってんのよ。リョータに死なれたら、あたしが困るじゃない」
呆れたように微笑む彩子を、宮城はさらに強く抱きしめた。
「好きよ、リョータ………」
止め処なく溢れる想いを、もう抑える必要は無い。
昨日まで色褪せかけていた二人の未来が、鮮やかに彩られていく。
「アヤちゃん……。あんなことしておいてから言うのもなんだけど、オレと付き合ってくれる?」
「あたりまえじゃない。これからも、よろしくね!」
屈託のない彩子の笑顔は、まるで真冬に咲いた向日葵。
「やっと、アヤちゃんに手が届いた……」
彩子から伝わる温もりを噛みしめ、宮城が呟いた。
二人の身体に染みこんでいた、空虚な日々の記憶。
それらはすべて、窓に触れて淡く溶ける粉雪のように消え去っていった。
End
終わりです。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
宮城の彼女を原作から選ぼうとしたのですが、結局曖昧にしました。
(自己設定では、彦一に体育館の場所を聞かれていた子)
1週間以内に藤真sideを投下しに来ます。
GJ!
乙です。gj!
彩子さんだけには早漏な宮城w
ぐっじょぶです!
アヤちゃんが幸せになってよかった‥
藤真編、たのしみにしてますよー。
宮城×彩子キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
テラエロス(*゚∀゚)=3ハァハァ
リョ彩キテタ!GJです!藤真さんがどうなったか気になるー。
451 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/14(木) 19:05:55 ID:O0f7v82l
落ちたらイヤだからあげるお
リョータ×アヤコさんキタ――――(゚∀゚)――――ッ!!!!
GJデス!待ってますた〜。藤真のもwktk!
そして、茂一×弥生もwktkで待っているのですが‥‥。
453 :
144:2007/06/15(金) 23:33:15 ID:L7kUzYfR
投下します。
「雨」(
>>351-363)の続き。
前回投下(
>>431-444)のサイドストーリーみたいなものです。
明るくないし、甘くもないです。全部で14レス。エロ部分は藤真×彩子。
三角関係話が苦手な方はスルーでお願いします。
彼女は知らないだろう。
雨が降りはじめるのと同時に、オレが恋に落ちていたことを――。
何ものにも、簡単には揺るがない。
そんな空気を纏っていた彼女の瞳から、涙がこぼれ落ちた。それは恐らく、ある男のための涙。
哀しげな表情に誘われ、思わずその手を取っていた。
――雨のせいで、余計蒸し暑さが増す土曜の午後。
突如として訪れた偶然に翻弄されながらも、彼女を抱く。
暑さや雨に濡れた不快さも忘れ、オレは目の前の身体に夢中になっていた。
くびれた腰を抱いていた左手が突然彼女に掴まれる。
上目使いの、誘うような瞳。
戸惑っている隙に、彼女の手中にある左手が柔らかな胸に押し付けられる。
手の平からこぼれ落ちそうなくらい大きな胸の感触が、脳を刺激した。
「……もっと、強くしてよ」
何か、吹っ切れたような面持ち。目の前の女は、つい先程まで泣いていた彼女ではない。
首筋を伝う彼女の唇に身体が熱を覚え、わずかに残されていたオレの理性は完全に焼失した。
強く抱いて欲しいと望むなら、それに応えるだけだ。
絶え間なく強弱を繰り返す二つの呼吸音。
愛撫にこらえ切れずに、小さく開いた唇からもれる喘ぎ。
求め合う音が、激しい雨音と雷鳴に掻き消されていく。
彼女の身体に深く呑み込まれた欲望の化身は、留まることを知らず昂ぶり続けた。
うだるような暑さと、身体を覆う熱に朦朧としながらも、猥欲は止まらず全身を駆け巡る。
細い腕を掴んで胸元に抱き寄せ、果てるまで水着の跡が残る肌を貪った。
これ以上のめり込んではいけない。
だけど、もう遅い――。
心は、すでに彼女に奪われていた。
オレの髪の感触が気に入ったらしく、彼女の指が繰り返し髪間を滑る。
「……なんか、あんたの全部がキレイすぎてムカついてきたわ」
だいぶ気を許してくれたのだろうか。
ついさっきまで『藤真さん』だったのが、いつの間にか『あんた』になっている。
「おまえだって、キレイだろ」
目を細め微笑む彼女が可愛くて、頬や額、瞼に唇を落とす。
くすぐったいじゃない、と笑いながら彼女もオレの額に軽く唇を寄せた。
行為の合間も身体が離れることは無い。
じゃれあったり、それに飽きると求め合ったり。
時間など、気にならなかった。
まだ彼女はオレの腕の中にいる。
日が暮れ、深夜を過ぎても彼女は帰らなかった。
もう、何度抱き合ったかもわからない――。
疲れ果て、オレ達はいつの間にか眠っていた。
カーテンの隙間からもれる一筋の朝の光。
顔を照らす明るさに目を開け、枕元の時計を見た。
午前5時。一晩中降り続いた雨はすっかり上がったようだ。
耳元で規則正しく繰り返される小さな寝息。
オレの腕枕で気持ち良さそうに彼女が眠っている。
密着する肌の温かさに、昨日の出来事が夢ではなかったと感じた。
「ん……」
彼女が小さな吐息と共に寝返りをうち、背を向けた。温もりは消え去り、残るのは柔らかな肌の余韻だけだ。
このままそばにいると、後戻り出来なくなるような気がした。
『付き合ってくれないか?』
その答えは、結局返ってこなかった。
傷付いた彼女を慰めたに過ぎない――。そう自分に言い聞かせ、起こさないように腕を外しベッドを降りた。
程よく肉付く胴や腰周りとは対称的に、華奢な四肢。
なだらかな曲線を描いて横たわる身体に、また、触れてしまいそうになる。
目の前の彼女へ向かう欲を、オレは必死に押し殺した。
窓際に掛けたままの彼女の服に触ると、まだかすかに湿っていた。
雨の匂いが残る服を手に取り部屋を出る。
日曜ということもあり、家族はまだ寝ているようだ。
少し、安堵した。
もし彼女のことを聞かれても、どう説明したらよいのかわからない。
女を部屋に入れたことはあるが、泊めたのは初めてだった。
彼女の服を軽く手洗いして乾燥機に入れ、簡単に朝食をとる。
雨と汗でベトついた体をシャワーで流し、乾いた服をたたんで部屋へ戻った。
好きな男がいる女に惚れるなんて、どうかしてるな……。
思わず溜め息がこぼれた。
気持ち良さそうに眠る綺麗な寝顔を、ただぼんやりと眺める。
目が覚めたら、きっとすぐに帰ってしまうだろう。
最後に、もう一度だけ――。
オレは、まだ眠っている彼女の頬に口づけた。
***
かすかに開いた瞼に、ぼんやりと見えてくる慣れない部屋の壁。
隣にいたはずの男が消えている事に気付き、彩子は不安になった。
眠い目をこすり、その姿を探そうと体の向きを変える。
すぐに視界に入った藤真は濡れた髪を拭きながら、静かに彩子を見つめていた。
「やだ、起こしてくれればいいじゃない」
「もう少ししたら起こそうと思ってたんだ。なんか食べるか?」
「あまり食欲ないし、遠慮しとくわ」
「そうか。雨、止んだぞ」
藤真は立ち上がり、ゆっくりカーテンを開けた。体を起こす彩子の瞳に、晴れ渡る空が映る。
目覚めたばかりで明るさに目が慣れていないせいか、空の青さがやたら眩しく感じた。
「そんな恰好でいられると、また押し倒したくなる」
からかうように言い、下着姿の彩子の膝上に服を置く。
「ちゃんと洗ったから」
「……どうも。そんなに気使わなくてもいいのに」
「着替える前にシャワー浴びれば?」
「でも……」
「心配するな。まだ誰も起きていないから」
彩子を浴室へ案内すると、藤真は部屋に戻っていった。
ついさっき藤真が使ったためか、暖かさが浴室に残る。
ほんのりと漂うシャンプーの匂いは、藤真の匂い。
衝動的に抱かれたことに後悔はなかった。
浴室を出て体を拭き、きれいにたたまれた服を広げる。その瞬間、柔軟剤がふわりと香った。
「結構、マメじゃないのよ」
早朝に女の服を洗う藤真を想像し、彩子は小さく笑った。
静かな家の中、足音を消し階段を登る。部屋へ戻ると藤真はすでに着替えていた。
「おまえ、少し顔色が悪いな」
「ちょっと疲れちゃって……」
「だろうな。オレもだよ」
意味深な笑顔を浮かべる藤真に、後ろから彩子が抱きついた。
「日曜なのに早いわね。何時に起きたの?」
「起きたのは5時くらいかな。オレ、これから練習あるんだけど、どうする?」
「練習、終わるまで待っててもいい?自分でもよくわかんないけど、もう少し一緒にいたい……」
そんな言葉と、帰ろうとしない彩子に、藤真は困惑していた。
気の強そうな彩子の弱気な言動。背中から伝わる彩子の温もりを、腕の中で感じたくなる。
藤真は愛おしさを抑えきれず振り向くと、彩子を強く抱きしめた。
「このまま部屋にいてもいいけど、どうする?」
「あたし、ちょっと行きたいところあるから」
――温かく包んでくれるこの腕を、信じてみるのもいいかもしれない。
藤真の腕の中、揺らいでいた彩子の気持ちは固まりかけていた。
身支度を済ませ外へ出た二人を、朝のすがすがしい空気が包む。
昨夜の雨が嘘のような青空。
家を後にして少し歩くと、昨日のカフェが見えてきた。
昨日、そこにいた二人は、こんなことになるなど思いもしなかった。
今朝までの出来事が、彩子の頭を駆け巡る。
傷付いた心は確かにまだ疼くが、その痛みは少しだけ小さくなっていた。
「2時前には終わるけど、行きたいところあるか?」
「天気もいいし、海がいいわ!」
「じゃあ、駅で待ち合わせしようか。またな」
彩子は、学校へ向かう藤真の後姿が見えなくなるまで見送った。
水溜まりに映る自分の顔が、昨日とは少し違って見える。
――忘れるなんて、意外と簡単なのかもしれない。
今は、そう思えた。
藤真に手を引かれて歩いた道。
どこをどう歩き、何を話したのか、ぼんやりとしか覚えていない。
鮮明に思い出せるのは、藤真に抱かれた感触だけだった。
優美な外見からは思いもしなかった逞しさや男らしさ。
何も言わなくても気持ちを察し、我儘を言った自分を嫌な顔一つせず受け止めてくれた。
心が大きく傾き始めているのがわかる。それは、依存かもしれない。
だが、今の彩子にその心を止める理由は見つけられなかった。
ふと部活のことを思い出した彩子は気が滅入った。
『晴子ちゃんがいるから大丈夫よね……』
後ろめたさを感じながらも晴子に電話し、行けないことを告げる。
「彩子さん、どこか具合悪いの?」
妹のように可愛がっている晴子の心配そうな声に心が痛む。
「そうじゃないんだけど……。大丈夫よ、心配しないで!」
晴子には本当のことを言ってしまいたい。そんな衝動に駆られたが、結局言えなかった。
顔に掛かった髪を払い上げ、目的の場所を探しながら歩き出す。
「ストレートなんて中学以来……」
ようやく固まった決意を胸に、彩子はつぶやいた。
***
練習が終わった後、オレたちは海に来ていた。
波の音が静かに響く砂浜に座り、他愛も無い会話をかわす。
海からの風が少し冷たくなってきたような気がして、彼女の肩を抱いた。
日に照らされ、綺麗に輪を描く彼女の髪――。
「その髪……どうしたんだ?」
「なによ。昨日自分が言ったこと、もう忘れちゃったわけ?」
しかめっ面でオレの顔をのぞく彼女の髪がサラリと揺れた。
『ストレートにしてみたら?きっと似合うよ』
忘れてはいない。昨日、オレの髪をしきりに褒める彼女に何気なく言った台詞だ。
「期待……してもいいのかな」
「なにが?」
試すような瞳。駆け引きの主導権は、すでに向こうにある。
オレは彼女の肩にかかる髪をすくい上げ、目の前でパラパラと落として見せた。
「これが答えだって思っていいのか?」
「そう思うんなら、それでいいんじゃない」
「手ごわいな……」
生意気な言動すらも可愛く思えた。
このまま彼女を帰したら、きっと後悔するだろう。
気にかかることは多々あるが、そんなことは後から考えればいい――。
「曖昧なのは嫌いだ。もう一度聞く。オレと付き合ってくれないか?」
「……いいわよ」
オレの髪を指で玩ぶ彼女の笑顔は、余裕で満ちあふれている。
子供扱いされているような気がして少しムッとした。
「これからは、彩子って呼ぶからな」
「わざわざ宣言しなくたっていいわよ。呼び方なんて好きにしてよ」
オレを見つめる彩子の瞳に夕日が映え、朱く染まった。
唇を重ねるだけで、舌を絡ませることはしない。そのまま、互いの頬や額にキスをした。
何度も、何度も――。
その後、海を離れ、見慣れない街並みの中を彩子と歩いていた。
恐らく週末しか会うことができないだろう。
できる限り一緒にいたかったオレは、残りの時間を彩子の家で過ごすことにした。
「彩子の家って湘北から近いのか?」
「近いけど、どうして?」
「誰かに見られたらまずいんじゃないのか……」
「別に、誰に見られたってかまわない。余計なこと気にしないの!」
軽く笑い飛ばしオレに腕を絡ませる彩子は、昨日と打って変わって声も表情も明るい。
たった一日の間に、目まぐるしく変化していく関係。
一度はあきらめると決めた女が、オレのものになった。
――彩子と付き合い始めてから3ヶ月が過ぎ、あと半月で今年も終わろうとしている。
少しずつでも好きになってくれればいい。
……はじめは、そう思っていた。
一緒にいる時間が積み重なるほど欲が深くなり、自分の想いと同じくらい彩子の気持ちも欲しくなる。
こんなのは初めてだ。
女と付き合ったことは何度かあったが、自分の気持ちの方が強いことはなかった。
冷たくなった手を軽くこすりながら時計を見た。
ここに着いてからもう1時間半が過ぎようとしている。
見つからないよう、体育館の窓から見えない場所に座った。
妙に懐かしく感じるボールの音。選抜予選敗退後、後任の監督が来ると同時にオレは引退していた。
大学の推薦も決まり、それを彩子に報告しに来たのだが、突然ここに足が向いたのはそれだけではない。
言いようの無い不安に後押しされたせいもあった。
ボールの音が途切れ、談笑が聞こえてくる。
やっと練習が終わったようだ。
立ち上がり、体育館の窓越しに彩子の姿を目で追う。
ふと視線が合った彩子の顔は、喜びよりも戸惑いに満ちていた。
手招きしたオレに困ったような顔をしながら、彩子が体育館から出て来る。
そんな顔、するなよ――。
「驚いた?」
「驚くわよ!来るんなら、そう言ってくれればいいのに」
「そんなに怒るなよ。もう終わった?」
「終わったけど、これから片付けとかあるし30分くらいかかるかも……」
開け放たれている体育館の戸の向こうに、宮城の姿が見えた。
ボールを拾いにこちらへ来る宮城は、なんだか不機嫌そうに見える。
「……アヤちゃん。先に帰ってもいーよ」
「リョータ……でも、まだ片付けが……」
「どうせもう終わるし、気にしないで。早く着替えてきなよ」
それだけ言うと、宮城は部員の元へ戻って行った。
宮城がこんな優しい話し方をするなんて思わなかった。
たぶん、それは彩子にだけ……。
一度も視線を交わさなかった二人の不自然さに、オレは不安になった。
だけど彩子には絶対に悟られたくない。
全てを曝け出してしまうと、彩子がどこかに消えてしまうような気がした。
片付けを済ませた部員が次々と外へ出て来る。
彩子を待つオレに、気まずそうに会釈をしながら一人一人去って行った。
『宮城は、彩子をどう思っているんだろう……』
体育館の出口からもれる明かりを見つめる。
強くなってきた風に身震いし腕に掛けていたコートを羽織ると、体育館の明かりが消えるのが見えた。
宮城が女を連れて体育館から出てくる。
「……オレに、何か用?」
「別に……」
宮城の隣にいる女と目が合ったオレは、彩子のことを切り出せなかった。
「オレ、アヤちゃんとは何もねえから安心しな……」
すれ違いざまに耳に入った宮城の小さな声は、かすかに震えていた。
その声に彩子への想いが透けて見え、じわりと罪の意識が湧き上がる。
それは、彩子を渡したくないという気持ちと混ざり合い、オレを憂鬱にした。
「悪いな……宮城」
その声が、宮城に届いたかどうかはわからなかった。
宮城が去ってしばらくすると、歩いてくる彩子が目に入った。
少しも急ごうとせず、あからさまに不機嫌な顔をしている。
「いきなり来たりするなんて、どうしたのよ?」
「急に会いたくなったんだ。明日休みだし、どこか泊まらないか?」
「え?」
「たまにはいいだろ。ちょっと話したいこともあるし」
「いいけど、あたしたち制服じゃない」
互いのコートから覗くブレザーを、彩子が交互に指差した。
「気になるなら、こうすればわからないだろ」
彩子のコートのボタンを閉めようと襟元に手を伸ばす。
わずかに指が首筋に当たり、彩子の体がビクっと震えた。
「こんなに冷たくなって……。いつからここにいたのよ?」
「5時くらいからかな」
「もう2時間以上たつじゃない。本当にバカね!」
彩子は冷えたオレの両手を取ると、手の甲に唇を寄せた。
やわらかい唇が接する部分から、オレの全身に熱が巡っていく。
伏せられた目蓋から伸びる長い睫毛が寒さに震えるのを見て、無性に彩子を抱きしめたくなった。
「……好きだ、彩子」
「そんなに強く抱くと、痛いじゃないのよ」
「悪い……」
彩子を抱く腕に、無意識のうちに力が入っていた。
オレは、彩子に『好き』と言われたことがない。それを口にできない理由は、なんとなく想像できた。
時折、彩子が見せる虚ろな表情に宮城の影がちらつくのは確かだ。
彩子と付き合った当初には無かった、この息苦しい感情。
複雑に交差する感情を上手く消化できるほど、オレは大人ではない――。
歩き出したオレと彩子の手は、自然と繋がっていた。
泊まるといっても、当てはない。ホテルの場所もロクにわからずに、ぶらぶらと歩き続ける。
「歩いてるうちに、体あったまったみたいね!」
さっきまで冷たかったオレの手は、すっかり温まっていた。
握り合う手をぶんぶんと振りながら彩子が笑っている。
その笑顔の裏に隠されているであろう宮城への想いに、心がきしんだ。
最初に目についたホテルに入ると、週末ということもあって空室は一室のみだ。
選択の余地も無く、一つだけ灯りが点るパネルのボタンを押した。
「こういうところ、初めてだ」
「あたしだってそうよ」
初めて目にする類の内装に好奇心が湧き、まるで冒険しているかのような気分になる。
オレは彩子と顔を見合わせて笑った。
外は冬だというのに、この部屋はまるで南国のコテージのようだ。
家具はすべて籐で統一されている。
ベッドの隣のソファーに腰掛けると、壁一面に細長く広がる鏡にオレ達の姿が映った。
その鏡が意味するものは容易に想像できる。
「なるほど……」
なんとなく感心していると、バン!と背中を叩かれた。
「なに考えてんのよ、まったく!」
「いて……少しは手加減しろよ」
彩子が溜め息をつきながら、オレの脱いだコートとブレザーをクローゼットにかける。
リゾート地のような部屋で、制服姿のオレたちはなんだか滑稽に見えた。
「さっき、話があるって言ってなかった?」
「ああ……すっかり忘れてた」
言われるまで本当に忘れていた。
待ちきれないような顔で彩子がオレの隣りに座る。
「で、なんなのよ?」
「オレ、卒業したら東京行くから。大学の推薦、決まったんだ」
「そう…。離れちゃうわね……」
「仕方ないだろ……」
本当は仕方ないなんて思えない。彩子を残して行くなんて、不安でたまらなかった。
彩子は、となりで黙って俯いている。
その顔を覗き込むと、瞳に溜まる涙が見えた。
「ずいぶん余裕じゃない。いつもそうやって平気な顔ばかり……」
思いもしなかった彩子の反応に、どうしていいのかわからなくなった。
宮城のことで哀しそうな顔をしたかと思えば、オレのことでも涙を見せる。
怒ったり、笑ったり、泣いたり……本当に忙しい女だ。
彩子の気持ちがわからない。
もしかしたら、彩子自身も自分の気持ちがわからないのかもしれない。
だけど、今だけは、オレのために涙を流す彩子を信じたい――。
彩子を抱きしめ、そのままソファーに倒れ込む。
涙を唇で吸い取りキスをすると、彩子がオレの頬に手を添えた。
「ごめんなさい……」
唇が離れた瞬間、もれた声。
何に対しての謝罪なのだろう。泣いたことか、それとも――。
それ以上、考えたくはなかった。
***
彩子の泣き顔を、藤真はもう見たくなかった。
泣きやむのを待って再度彩子の顔をのぞき込む。
落ち着いているのを確かめると、藤真は安心したように大きく息をついた。
「早く、彩子の裸が見たい」
藤真はそう言いながら腰元のベルトを指差し、脱がせてと彩子に目配せをした。
「……せっかちね」
無邪気な笑顔につられて、彩子も笑みを浮かべる。
二人は、ふざけながら制服を脱がし合い、ソファに倒れこんだ。
たおやかに横たわる白い肌。初めて抱きあった日にあった水着の跡は、とうに消えていた。
奪い尽くしたはずだった。それでも、まだ満足できない。
何度肌を重ねても、藤真は彩子の身体に飽きる気がしなかった。
愛情が伴っていれば尚更だ。
両手で胸を中央に寄せ、その桃色の尖端を舌でなぶる。
乳房を這う舌に、彩子は恍惚とした表情を浮かべた。
右手の薬指をくわえ、行き場のない左手は藤真の髪をくしけずる。
「あぁ……ん……」
わずかに開いた唇からこぼれる、とぎれとぎれの細い声。
男の舌と指の動きは、女に休みを与えない。
これから得られるであろう快楽に思いを馳せ、彩子の身体が震え上がった。
「…は………あぁ………」
男がもたらす感触に上気し、揺れる身体。
女の腰がよじれるたびにギシリとソファが音を立てる。
藤真は彩子から身を離し、細い足首を掴み上げた。
淡い間接照明の灯りの下で晒された秘部は、充血し淫らな蜜で潤っている。
「濡れてるよ……」
言わなくてもわかることをわざと言葉にし、不敵な笑みを浮かべる。
からかうような表情が憎らしくなり、彩子は藤真を軽く睨んだ。
身体を起こし、自分の脚の間にある藤真の顔を静かに見据える。
「もっと、濡らしてよ」
彩子は欲しがる心を隠そうともせず、自分の目の前にひざまずいている藤真の肩に脚を投げ出す。
明け透けな女の態度に、藤真の欲心が牙を剥いた。
「欲張りだな……」
彩子の脚の間に顔をうずめ、人差し指と薬指で秘弁を開く。
赤く固くなった芽に吸い付くと、彩子の太腿がビクンと跳ねた。
女の反応に味を占めた男は、ぬるい蜜で顎が濡れるのも気にせずに舌を這わせる。
焦らすことなどしない。藤真の本能が、それを許さなかった。
誰にも気を使わずに済む、昼も夜もないこの部屋。
喘ぐ声が、いつもより艶づいて聞こえた。
「気持ちいいか?」
舌を止め、顔を上げた藤真を彩子が苦しげに見つめる。
我慢できないと言わんばかりに、無造作に投げ出していた脚を男の首に巻き付けた。
「いかせてよ……」
彩子は甘い声で催促すると、両手で藤真の頭を優しく挟み、悦頂を欲しがる場所へと導いた。
裸になった後は、まるで従僕のように女に尽くす。
そうしたところで彩子の心が完全に自分のものになるなど、藤真は少しも思っていなかった。
こんなことで繋ぎとめられるなら、どんなに楽だろう。
舌を動かすたび、彩子の身体は小動物のように小刻みに震える。
男の愛撫に素直に応える身体。
だが、心は、そうはいかないらしい。
藤真は無性に苛々した。
「……ちゃんと、オレを見ろよ」
眉をひそめながら呟き、彩子の身体から舌を離し指を抜く。
立ち上がり女の身体を持ち上げると、後ろ向きでソファに手をつかせた。
髪を二分している白いうなじにキスをした唇は、そのまま背筋をスッと滑り降りる。
「……は………あぁ………」
切ない吐息をもらす彩子の腰は藤真に掴まれ、身体に熱いものが押し込まれた。
身体の奥深くまで突き刺さる振動に、彩子の脚が震える。
「今、おまえを抱いてるのはオレだ。よく見ろよ……」
耳元で囁く男の声も、彩子には遠くに聞こえた。
とめどない快感が背後から襲い掛かる。
彩子は、落ちそうになる膝を支えるのが精一杯だった。
藤真の指に顎をクイっと持ち上げられた彩子の視界に、鏡が入る。
それは、繋がる二人をくっきりと映し出していた。
「……こんなの見なくても、わかってるわよ」
彩子は鏡ごしに藤真を見つめた。
氷のように冷たい瞳の藤真に見つめ返され、思わず顔を伏せる。
そんな彩子の仕草が、藤真の動きを一層烈しくした。
くびれた腰に置かれていた藤真の両手が、別々の方向へと滑る。
片方は濡れる赤い芽を擦り、もう片方は揺れ動く乳房を強く掴んだ。
肌を叩き付ける音は、徐々に加速する。
狂おしいくらいの快感が、激流のように彩子の全身を突き抜けた。
「あ…っ……、もぅ……いく……」
藤真に知り尽くされた身体は、いつも簡単に達してしまう。
昇りつめ、彩子は力無く床に崩れ落ちた。
「……大丈夫か?」
心配そうに肩を抱く藤真の手は、先程とは違って優しい。
――たぶん、ずっと無理をさせていた。
だけど藤真という支えを失ったら、あたしは壊れてしまうかもしれない。
今まで自分を甘えさせてくれていた男の弱さに気付いても尚、彩子は依存する心を棄てられなかった。
暖房が効き過ぎる室内は、息苦しいほどに暑い。
彩子を満足させただけで溜まったものを出しもせず、藤真はソファに身を投げていた。
床に座り込む彩子の息が整うと、抱き上げてベッドに運ぶ。
冷蔵庫から適当にドリンクを取り出し、朦朧としている彩子に渡した。
「……飲めよ」
脱力感に震える手が無言でそれを受け取る。
彩子が口に含むのを見守ると、藤真は背中を向けベッドに腰かけた。
彩子の存在が大きくなる程に余裕を失う。
言葉にできない思いを、どれだけ飲み込んできたのだろう……。
藤真は渇いた喉に水分を流しこみ、深く溜め息をついた。
「……まだでしょ?」
突然、彩子が後ろから藤真の下半身に触れた。
脚の付け根から流れるように指が滑る。
細い指先が裏筋を伝って丸みを帯びた尖端に触れると、不完全燃焼のまま萎えたものはたちまち固くなる。
藤真は彩子の手首を掴むと、そのままベッドへ倒れ込んだ。
心地良くなれる触れ方で触れ合い、感じる姿勢へ身体は自然と動く。
馴染んだ肌は、互いの高まる場所を覚えていた。
会話は、無い。
両手を握り合い、汗にまみれながら、ただ肌を合わせる。
身体を重ねることでしか一つになれないことを、二人は知っていた。
焦点の定まらない彩子の瞳。
藤真は、それが自分ではなく宮城に向けられているような気がした。
いつまで待てば、彩子の心から宮城が消えるのか――。
そんな思いに駆られた藤真は、彩子を上に乗せると蹴散らすように激しく突き上げた。
「オレにだって、感情はあるんだよ……!」
彩子の肌に触れることができるのは、今は確かに自分だけ。
それなのに、藤真の胸には形容しがたい虚しさが込み上げてくる。
「あ……あぁっ……」
乱れ狂う、しなやかな四肢。
女の脚で波打つシーツの衣擦れが、男の独占欲を増大させた。
終わりのない嵐のような衝動でベッドの籐がきしむ。
ギシ、と繰り返しうなる不快な音が止むと、彩子は藤真の胸に倒れ込んだ。
『……あのまま、眠っていたのか?』
藤真は、生温いものに身体の中心を覆われる感覚で目を覚ました。
流れ落ちたままの白い体液を丁寧に舐めとる彩子を、重たく開いた目で見つめる。
「おまえがわからない。そんなことまでするなよ……」
もう、冷静でいられそうもない。
藤真の心は、不安定に揺れ動いていた。
何度も交わり、肉体は満たされた。だが、心は少しも満たされない。
それは、初めて彩子を抱いた日から何も変わっていなかった。
時間が経てば、自分だけを見てくれるようになるかもしれない。
そう思っていた藤真は、なかなか心のすべてを開かない彩子に苛立っていた。
そして、三ヶ月前、あのまま彩子を帰さなかった自分にも――。
日を追うごとに、藤真を蝕んできた彩子に対する猜疑心。
常につきまとう影を互いに誤魔化しあう毎日に、藤真は疲れ始めていた。
***
オレは映画館で彩子を待っていた。
前から彩子が観たいと言っていたこの映画は、今日が公開日らしい。
クリスマスということもあり、かなり混雑している。
時計を見ると開演まであと20分。オレは人混みを避けて隅へと移動した。
場内へと次々と消えていく人影のほとんどが恋人同士だ。
幸せそうに笑っていても、他人にはわからない悩みがあるのかもしれない。
ゆっくりと場内へ進む列を眺めていると、その中に宮城と女を見つけた。
入ってすぐ、一番後ろの席に座り、パンフレットを見ながら何か話している。
……別に、気付かれても困ることはない。
けれど、彩子が二人を見てしまったら、きっとまたあの顔をするだろう。
心の奥に何かが引っかかっているような顔を――。
そんな彩子を、オレはもう見たくなかった。
「遅れちゃったー!」
彩子は肩で息をしながら顔の前で手を合わせ、ゴメンね、と頭を下げた。
「今、予告始まったところだ。ぎりぎり間に合いそうだな」
すでに購入していたチケットを彩子に渡し、場内へと急ぐ。
入り口から中を見渡すと、ほとんどの席が埋まり空席はないように思えた。
まだ予告のせいもあり、所々で話し声がしている。
「暗いから足元に気をつけろよ」
彩子の手を握って中へ入り、端の方に空席を見つけた。
……が、オレは、躊躇した。
その席は、宮城が座っている席から5列ほど前。かといって他に空席は見当たらない。
彩子の視界に宮城が入らないよう、肩を抱きながら席に着いた。
宮城は多分、オレ達に気付いているだろう。
「ちょうど始まるな……」
「あー、間に合って良かったあ!」
ひじ掛けに置かれた彩子の手を握ると、その手は応えるように握り返してきた。
嫌われてはいないし、彩子なりにオレを思ってくれているのはわかる。
『好き』という感情の種類が違うことに、オレは気付いていた。
たぶん、彩子のオレに対するそれは、兄弟に甘えるようなもの。
心に開いた穴を埋めようとしているだけ――。
1時間ほどが過ぎ、映画は息を呑む展開が続いていた。
夜空の場面で場内が暗くなる。
宮城の視線を背中に感じ、鬱屈した感情がオレを襲った。
好きになるほど苦しくなり、些細なことにも傷つく。
――何かの拍子に引き金が引かれてしまえば、きっと簡単に壊れるに違いない。
そんな思いを胸に、彩子の肩を抱き、キスをした。
彩子は少しだけ驚いたような表情を見せたが、再び映画に集中している。
このままオレが何も言わなければ、それはいつものキスと同じだろう。
迫り来る別れの予感の中、もう見ることができなくなるかもしれない横顔を見つめた。
映画館を後にし、イルミネーションの下を二人で歩く。
彩子は映画に満足したらしく、やけにご機嫌だ。
「さっきのキス、映画のキスシーンと同じタイミングだったけど、狙ってた?」
「まさか……。そんなわけないだろ」
「偶然って、あんのねぇ」
微笑む彩子の顔を見ていると、決意が鈍る。
けれど、このまま付き合っても、オレの望んでいる未来は訪れないような気がした。
これは、最後の賭け――。
「偶然っていえば、映画館に宮城がいたの知ってたか?オレ達のすぐ後ろに」
「……どうして、教えてくれなかったのよ」
もしかしたら、いつものように笑い飛ばしてくれるかもしれない。
胸の奥のわずかな期待は、脆くも崩れ去った。
見る見るうちに彩子の顔は色を失い、曇っていく。
とりつくろう言葉など、もはや必要なかった。
どうせ別れるなら、傷つけて、泣かせて、嫌われてしまったほうが、きっと楽になれる。
彩子も、そしてオレも――。
「あいつの前でキスして、おまえがどういう反応するか見てみたかったんだよ」
その言葉に嘘はなかった。
だが、こんなことを好んで言いたいわけがない。
彩子の顔は悲しみと怒りが入り混じり、今にも泣き出しそうだ。
目を合わすことができず、オレは彩子から視線を外した。
――長い、沈黙。
バチン、という音が響き、瞬時に周囲の視線がオレたちに集中した。
「最低……!」
それだけ言うと、彩子はオレに背を向け、ゆっくりと歩き出した。
追いかけたい気持ちを押し殺し、離れていく後ろ姿を目に焼き付ける。
「最低は、どっちだよ!いつまでも他の男を思ってる女なんて、いらねえよ……!」
我を忘れて叫んだオレの声に、愛しい背中が振り返った。
「ごめんね……」
彩子の悲痛な面持ちと、消え入りそうな声。
それは、オレの心を深くえぐった。
どのくらい、そこにいただろう……。
ガードレールに腰をかけ、鳴り続けるキャロルを一人で聴いていた。
12月の冷たい風が、ジンとする頬をすり抜けていく。
「いてえよ、彩子………」
街を彩るイルミネーションが、滲んで見えた。
きれいな別れなんてない。これで、良かったんだ――。
彩子とはあれきり会っていない。
連絡がないということは、きっとそれなりに幸せなんだろう。
オレは、自分が思っていたほど器用ではなかった。
癒える事のない孤独な日々が待っていることなど、あの時のオレには知る術もない。
もう半年以上が経ち、夏になろうとしているのに、オレは苦い別れを引きずったままだった。
彩子のことを考えてしまうのは、きっとこの海に来ているせいだ。
昨日降っていた雨は止み、爽やかな空が広がる。
水平線と空の境目に棚引く雲に、あの頃を思い出していた。
オレと彩子が始まった、この砂浜――。
大学のバスケ部の合宿でここに来てから、もう1週間が経っていた。
「藤真……。おまえのそのヒゲ、どーにかなんねーの?髪もボサボサだしよ」
「女が寄ってくるのを避けるためだ」
「なにい?!」
「冗談だよ。何怒ってんだ、三井」
偶然、三井も同じ大学だった。
オレの気持ちを察しているのか、三井が高校の話題を出すことはない。
おそらく三井に聞けば彩子の近況くらいわかるだろう。
気にはなるが知りたくないという気持ちもどこかにあり、わざわざ聞くことはしなかった。
休憩をしていると、見覚えのある制服がオレの視界に入った。
見間違うわけがない。
海岸線の道路を彩子が歩いてくる。
隣りで彩子と手をつないでいるのは、宮城だ。
二人を見つめるオレの肩を、三井が軽く叩いた。
「あいつら、最初から素直になってりゃいーものを寄り道ばかりしやがって」
言葉とは裏腹に、二人を見る三井の眼差しは穏やかで優しい。
「……寄り道、か」
彩子にとっては確かにそうかもしれない。
だけどオレは違う。自分を見失うくらい女に惚れたのは初めてだった。
100人近い集団の中にいるオレたちに、二人が気付くことはないだろう。
オレは少しずつ近づいてくる姿を目で追った。
宮城の隣りにいる彩子の笑顔は、オレが見たどんな笑顔よりも明るく綺麗だ。
楽しそうに歩く二人を見ても不思議と心は落ち着いている。
「……合コンでもするか、藤真」
「あまり気乗りしないけど、たまにはいいかもな」
雨上がりの青空の下、宮城に微笑む彩子は、まるで太陽に向かってまっすぐ伸びる向日葵。
波に消される砂浜の足跡のように、彩子を手放した後悔が流れていく。
あの時の自分の選択は、間違ってはいない――。
ようやく、心からそう思える気がした。
End
468 :
144:2007/06/16(土) 00:00:57 ID:L7kUzYfR
終わりです。
お付き合いいただきありがとうございました。
あと、この場をお借りして。
保管庫管理人様
いつもお疲れ様です。
自分の書いたものを保管庫からすべて削除して頂けますでしょうか。
お手数をかけ大変申し訳ありません。
管理人様に時間のある時で構いませんので、よろしくお願い致します。
469 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/16(土) 02:56:52 ID:WtoNVFa4
切なすぎる・。'(´д`)
鳥肌たっちゃった。GJです!!!!
職人様…削除?惜しいです(涙)
GJ!いつも乙です。
リョータと彩子が幸せになったのは嬉しい。
だけど、藤真が切なすぎて夜勤明けなのに興奮して眠れないんだが。
この男、どうしてこうも不幸が似合うんだろう。
保管庫削除、残念です。
おつかれさまでした
削除される前に保管しておけばよかったなぁ
ともあれGJです
(・∀・)メガエロース!神様GJ!リョータも藤真も激萌え!
>>471 まだ保管庫に残ってたよ。
このスレから完結ものは全部ログ保存してるけど保管庫削除はさみしい( ´・ω・)
そんでもって、茂一×弥生はもう来ないのかなあ。
うわー!GJ!!超GJ!!
情景がすごい目に浮かびました。
切ないの本当書けないのでうらやましいです。
保管庫削除、残念です。
でもまた新しいの心よりお待ちしています!!
一つ書いたので載せます。
マイナーCPなので苦手な方は飛ばしてください。
「じゃあ、賭けようか。」
堂々と自信溢れる声。
「…君はきっと、俺じゃない男を好きになる。」
確信を持った笑顔で言う男に彩子はおかしそうに笑った。
「牧さんも間違える事ってあるんですね。」
楽しそうに微笑む女の無邪気な横顔は、まだ可愛らしい幼さを残していた。
大学の体育館に心地よいバッシュの音が響いている。
休憩の号令がかかると、牧はペットボトルの水を喉に流し込んだ。
ぴちぴちの一年生である牧。だが先輩達の中でも浮いて、
スーツの方が似合うような威厳に溢れている。
「おい。あれ誰かの女?」
「超かわええ!!つーか美人!?」
ざわつく男共は皆一様に鼻息荒く、ちらちらと同じ方向を眺めている。
声に気付いた牧がその視線を追うと、なるほど人目を惹く美人が入り口で姿勢よく立っていた。
確認するだけで気が治まった牧は先輩達の若さをうらやみながら静かに屈伸を始める。
……と
「…!あ。」
ぼそりと呟いた牧は遠巻きに眺める男達の前に出て、入り口の女の元へずんずんと歩いていった。
彩子は心臓が止まりそうだった。勢い余ってストーカー並の行動力でここまで来てしまった。
近付いてくる牧はさすが高校生の頃から帝王と呼ばれている貫禄で、逃げ出したい衝動にかられる。
ぴたりと彩子の前で止まる牧。
「こ、こんにちは。」
「やぁ。その、間違いだったら悪いんだが…君確か、湘北高校のマネージャーじゃないかな?」
一瞬懐かしの教師にでも会ったような感覚に襲われたが、
それよりも覚えていてくれたことがとてもうれしく弾んだ声を出す。
「そ、そうです!あの…お久しぶりです。」
「あぁやっぱりそうか、懐かしいな。見学?この大学に入るのかい?」
「はい!(あなたがいるなら☆)そうします!」
「ははは。じゃあゆっくり見て行くといい。」
背を向けて体育館の中へ戻ろうとする牧。
ここで言わないとここまで来た意味がない。
そう決心すると震える足を押さえ、彩子は思い切って口を開いた。
「あ、あのっ!私牧さんに会いに来たんです!終わったら…どこかで会ってくれますか?」
必死な形相で返事を待つ彩子の姿にきょとんとした後、牧はにこりと笑った。
「いいよ。じゃあまた後で。」
彩子の計画通り丁度いい時間だったので夕食をとることになった。
そこは既に調査済みの居食屋。
ガヤガヤとうるさい店ではなく、大人の雰囲気が溢れる落ち着く場所だった。
「よく知ってたなこんな店。」
「はい。調べたん……えぇっと雑誌に載っててたまたま。」
苦しく言い訳をしながらも長年想い続けた牧との夕食を心底楽んでいる。
憧れのカップル席に牧と座り、肩が触れるすぐ側に牧がいるのだ。
(堂々と二人で会える立場になりたい。)
そうずっと考えている。
付き合わずとも一言『また会ってください。』と言えばいいものの、
高校生の彩子には付き合うかこれで終わりかとしか考えが及ばなかった。
ほとんど話した事もないこの状態で告白したとしてもフラれることは目に見えている。
追い込まれた彩子は極論の決心をしていた。
「お酒…飲みませんか?」
幾分かトーンの低い声を出して男を見ると、ふっと笑う声がする。
「いいけど、君は未成年だからダメだよ。」
「牧さんだってそうでしょう?」
そう笑う二人は欲目に見ても未成年とは思えなかった。
彩子は今日の為に精一杯大人びた格好をしているし、牧は言うまでもない。
恐ろしいほど似合う焼酎を口に運ぶ牧を見つめ、頼んだカクテルを一気に飲み干す。
「ずいぶんマネージャーは大人っぽいんだな。」
彩子の様子を見ながら笑う牧は背伸びをしていることをからかっているようで、
少しムッとして気恥ずかしくなった。
咳払いをすると高鳴る心臓を落ち着かせる。
決心をして、長い指を男の足にそっと這わす。
牧はそれに全く反応せず、持った焼酎を一口飲むとゆったりとした笑顔で彩子と視線を絡ませた。
「…今日、泊まらせてくれませんか?」
黙ったまま彩子を見る。彼女のすることなど子供の悪戯と大差ないとばかりの笑顔。
対抗するように彩子も艶やかな笑顔を返す。
照明が暗い店を選んでつくづく正解だったと思った。
余裕の表情を作りながら自身の火照る顔に気付いていたからだ。
傍目には、自信溢れる様子で言い寄る彩子が経験豊富の遊びなれた女に見えるだろう。
彩子自身そう見えるように仕向け、一世一代の演技だと努力していた。
「抱いて欲しいんです。」
足に置いた手を付け根の方へ動かし、するりとももを撫でる。
震えそうな身体をなんとか押し留めながら牧を見つめる。
しばらく女の手を見ていた牧が変わらない笑顔で彩子を見た。
「…部屋来るか?」
「っ………………は…はい。」
思ったより簡単に進んだ希望通りの展開。
だがいざとなったら不安が身体を占める。
一瞬の返事の間に気付いたのか、牧は楽しそうに残った焼酎を飲み干した。
「いい度胸だ。」
立ち上がりながら、子供を褒めるように彩子の頭にポンと触れると出口へ向かう。
押し寄せる様々な不安を抱えながら大きな背に続いた。
牧の部屋は一人暮らしには充分なほど広かった。
むしろ大学生が住むような部屋ではない。
ここに来たくて仕方がなかったはずの彩子はうつむいたまま部屋の入り口で
ぴくりとも動かずに立っている。
綺麗に整頓されている部屋で上着を脱ぎながら、女の様子を横目に見てにこりと笑う。
「なんだ。急に大人しくなったな。」
静かな部屋に響く声にびくりと身体を震わせて彩子は男を見た。
ベッドの脇で手招きをする牧にぎくしゃくと近付く。
「ぁっ!!」
突然手首を掴まれ器用にベッドに押し倒された。
横たわる彩子を見下ろしながら自分のシャツのボタンを2つ3つ外していく。
「ま、待って牧さ…!」
言葉を遮るように覆いかぶさり、首に唇を這わして舌で筋を舐め上げた。
見知らぬ行為は手も足も舌も淫らに動き、思った以上の生々しさに言いえぬ恐怖が沸き上がってくる。
(大丈夫…大丈夫!)
なんとか自分に言い聞かし彩子はぎゅうと目を閉じた。
男はそれを上目に確認して浅黒い大きな手の平で服の上から胸を掴む。
「!!はっ…ゃ…………ぃや!!」
(やっぱり出来ない!!)
耐え切れず思い切り男を突き飛ばすと大きな身体があっけなく離れた。
「ご、ごめんなさい…!」
ベッドから起き上がると震えてうまく動かない足を引きずり慌てて部屋のドアへと近付く。
ノブに手をかけ今にも開けようとした時、はたと気付いた彩子はそこで立ち止まった。
振り返ると、追いかけるでもなく外したボタンを元に戻している牧が目に入る。
逃げ帰ると思っていた彩子がじっとこちらを見ていることに気付き、あれ?という顔をした。
少し首をかしげて苦笑すると穏やかな声を出す。
「…続き、やるか?」
やりたくないんだろう?
牧の途切れた言葉はそう続く響きを持っている。
ベッドに座ったまま前かがみになって彩子を見上げた。
何もかも見透かされ、手の内で転がされた感覚に白い頬は一瞬で赤くなる。
「わざと怖がらせたんですね…。」
「ははは。だが抱くとしてもやる事はさっきと大差ないぞ。」
(た、確かに。)
ぐっと口ごもる。
「実際今のはまだ脅そうともしてない。…あれだけで逃げるようなら何もできないな。」
だから帰れと毅然とした目が言っている。
その目が彩子の感情を沸き立たせた。
違う。そんな簡単な決心で牧の大学まで行ったんじゃない。牧の部屋にまで来たんじゃない。
この決心が牧に伝わっていない上に、全くの子供扱いであること。
なにより揺ぎ無いと思っていた意思が少し触れられただけで
すぐに揺らいでしまった自分自身にも腹が立った。
「もう、逃げません。」
牧を真正面から見る。
「…へぇ。」
近付いてくる彩子をからかうように笑いながら目で追う。
手を伸ばせば触れるところまでくると、女はピタリと止まり宙を睨んだ。
(……よし!!)
決心してキッと牧を見ると、初めて牧が驚いたような顔をして少し身体を引く。
「ぉおお!?」
じいと呼ばれる男は驚く時ももれなくおっさんらしい声を出す。
突然後ろに押し倒された牧は軽い衝撃の後目を開けると、
鬼の形相で上に覆いかぶさっている彩子がいた。
「私本気ですから…っ!」
真っ赤になって睨みつけながらそう宣言するとぶつかるように唇を重ねてきた。
驚いた牧はとりあえず首に巻きつく腕が息苦しくゆっくり離す。
(どうしたものか。)
唇が重なっているにも関わらず困り果ててぼんやりと考えた。
ふと見るとこれでもかというほど目を瞑って硬直する少女がいる。
見かけは大人びているがどう見ても未経験の少女。
不安を押し殺してまで求めてくる姿に嫌な気を抱くはずもない。
震える唇を必死で押し付けてくる彩子がひどく健気に感じ、温かい感情が奥から沸いて来た。
(やれやれ。)
彩子を抱き込むとそのまま体制を変え、大きな体で覆いかぶさる。
触れていた唇を離すと眉を下げて真っ赤に頬を染めている。
「女に押し倒されたのは初めてだ。」
おかしそうに言うと彩子の唇を咥えるように口に含んだ。
上唇を咥え舌でなぞり、次は下唇…とその動きを繰り返す。
びくりと震えた肩を大きな手の平で包み、優しく撫でた。
空いた手で髪を撫で、ただ彩子から恐怖が消えるように触れる。
(…あったかい…。)
触れる唇から、指先から、牧の高めの体温が流れてくるようにじんわりと温かくなる。
凍った氷が溶けるように身体からだらりと力が抜けると、いつの間にか震えも止まっていた。
彩子の身体が温かくなってきたのを感じると、牧は少し舌を入れて歯列をなぞる。
ふっと息を吐く女の口が、無意識に舌を求め開いたのを見逃さなかった。
「んっ…んぅ…。」
角度を変え深く差し込まれた舌に、ため息のような声を出すとその動きに合わせる。
身体のラインに沿って動く手も、摺り寄るように動く足も何も彼女は感じなかった。
ただ、口内による刺激に全身が支配される。
(…わ…な…にこれ…。)
ただ這い回るようなキスではない。
確実に、動く度に彩子の意識を遠く霞がからせていく。
ようやく唇を離すと、頬を染めとろりと目を潤ませている彩子。口の端から唾液がつぅと伝った。
「かわいいな君は。」
指で唾液を拭い、笑いながら呟く。
浅く呼吸を繰り返す彩子の上の服を脱がしブラジャーを外すと、張りのある胸が現れた。
舌を硬くして突起の周りをなぞる。
数回繰り返し、待ちわびるように硬く主張する乳首を口に含んだ。
びくびくと反応する様を見つめながら彩子の足の間に自分の足を割り込ませ、
中心部を膝で擦り上げる。
「ふっぅうっ…ん!」
「は…すごい濡れようだ。」
膝に感じたぬるりとする感触に含み笑いで言う。
触れると下着の上からでも分かるくらいに次から次へと溢れてきた。
「初めてでこれほど感じるとは…。湘北のマネージャーは相当にいやらしいな。」
かぁっと赤くなり目を瞑る彩子。
下着の脇から指を入れると粘液を絡ませ上下にゆっくりと刺激する。
「あっあっや、だめぇ…!ま、牧さん…ぁっ!!」
「だめ?ここは喜んでいるようだが…。」
牧の腕を掴み止めようとする女に、お仕置きとばかりぐりっと花芽を親指で押した。
途端彩子の手に力が篭る。
「っ!!はっ。ぁ…あ…ああああああああああっ!!!」
突然身体を収縮させびくっびくっと何度か跳ねる身体に驚き、牧は女を見た。
あれだけの刺激で軽く達してしまったらしい。
足を閉じ、白い体が悩ましげに痙攣を繰り返す。
「まいったな…。」
(……素直すぎる…。)
息も絶え絶えに微かに意識を取り戻したような彩子がうつろな目を男に向け小さな声を出した。
「…あ……い、今の…?」
なに?と続く言葉。
あまりに純真な言葉に、牧は自分の身体が今までに経験がないほど熱を持ったのがわかった。
達するという事も知らない少女という事を忘れてしまっていた。
艶かしい体と声がつい男にそう勘違いさせてしまう。
記憶に残る彩子は健康的な美人という印象で、
思い出すのは元気に部員に檄を飛ばす溌剌とした姿だというのに。
色香漂う見事な身体を持ちながら、与えた快楽を抵抗なく受け入れ
信頼しきった様子で全てを委ねてくる幼い子供のような部分。
かつて出会った事のない相反する部分を持ったアンバランスな女が
牧をこれ以上ないほど混乱させていた。
女の興奮に今にも呑まれ、赴くまま力任せに抱いてしまいそうだった。
眉を寄せ一瞬苦い顔をしたあと苦笑すると彩子の顔に着く髪を後ろに流す。
わずかに残った女の服を脱がし、自分の服も荒っぽく脱ぎ捨てた。
筋肉質の男らしい身体を定まらない意識の中見る。
どれほどこの腕に抱かれる事を夢見たか知れない。
この時間が終わればもう二度と牧と会うことはないんだとぼんやりする頭で思った。
白い腕が浅黒い肌に巻きつき、自分の身体に引き寄せる。
何も言わず牧もそれに答え柔らかい身体を抱きしめた。
少し身体を離すとごつい手を足に這わして付け根へと移動する。
「ヒクついてんのわかるか?物欲しそうに指に吸い付いてきやがる。」
低く笑うと足を大きく開かせ情欲に染まる目で彩子の花芯を見つめた。
充分に濡れそぼったそこは収縮を繰り返し、本能的に男を求めている。
牧の視線に耐えられず、彩子は腰を動かしその目から逃れようとした。
「あ…は…。ゃだ…。」
「?…恥ずかしいのか?」
「あ、当たり前です。…こんな…こんなとこ…。」
顔を逸らし困った表情をしながらも、いつもの勝気な彩子が見えた気がして牧は少し笑った。
「こんなに俺で感じてくれるのは…俺はうれしい。」
呟くと誘うように色づくひだに舌を寄せて形に沿って上へ舐め上げる。
逃げようとする彩子の足をきっちりと掴んで口を大きく開き舌を奥へ差し入れた。
そのまま口に花芽を含み舌で刺激しながらわざと音を立てて思い切り吸う。
「あああああっあっ…ふぅ…んぁっ、すご…きもちい…い、あっ。」
喘ぐ声を聞きながら牧はこの女が他の男に抱かれることを考えていた。
今日彩子は牧に抱かれようとして訪ねてきた。それは分かる。
だが神奈川No.1と言われる男に興味本位で群がる女達とは違う。何より彩子は処女だ。
(好かれてるのか?…いや、だったらそう言うだろう。)
気持ちを伝える事を躊躇した事などない牧はそう考えている。
だから余計に今日ここに来た真の目的がわからない。
ただ、恐らく誰も見たことがないだろう彩子の可愛らしい声や乱れる様を
この先別の男が見ることになるのは、かなり不愉快だった。
ならばせめて忘れられない程の快楽を植え付け、記憶の端に留まる事を願う。
(まだいもしない男に嫉妬とは…。)
自嘲気味に笑うと唇を離し、脈打つ肉の棒を彩子の中心に押し当てた。
「挿れるぞ。」
彩子はようやく働いた頭でその言葉を理解すると唇を噛んでこくりと頷いた。
すべりをよくする為粘液を己に擦り付ける。
その度に花芽を刺激され、彩子は声を抑えてぴくぴくと反応していた。
「本当に敏感だな。」
くすっと笑う牧に、からかわないで下さいと赤い顔を背けたまま言う。
牧はまた微笑んで、かわいくて仕方がないと言うようにふてくされる彩子の髪を撫で、
ゆっくりと液に光るそれを奥へ挿れ始めた。
きゅうっとシーツを握り締める彩子。
突然の侵入を拒むように肉壁が牧を圧迫する。
顔をしかめながらも男は連なる壁を押し広げ、止まることなく腰を進めた。
せめて力が抜けるようにと、女の噛み締めた唇を舐めて開き舌を絡め取る。
少し力が抜けたのを感じ一気に奥まで突き上げた。
苦痛に顔を歪めて叫んだ彩子の声は牧の口に消えていく。
ぺろりと女の唇を舐めるのを終わりに牧の顔が離れた。
「……………平気か?」
「少しだけ…ま、待ってください。このまま…。」
「ああ。」
涙でにじむ瞼にキスをして、頬、首筋と唇を這わす。
髪を撫でると、彩子の潤んだ目を見た。
「よく我慢したな。」
微笑む牧は変わらず子供に接するような口調だったが、
その掠れた低い声に今はこれ以上ないほど安心する。
「もう…平気です。」
小さくそう告げると軽くキスをした男がゆっくりと動き始めた。
淫猥な響きをもつ水音が部屋に響く。
眉を寄せ痛みに耐える顔も、すばらしく艶やかで目を奪われる。
「んん!!あっはぁ…いっ…っ!!あぁ…っ!?牧さんっ!そこぃ…ぃやっ…!」
頭を振りびくりと跳ねる。
「?…ここか?」
「あぁ!!だめっだめえ…!!いやそこっ!やだぁっ…!」
一際甘い声できつく腕を握り締めてきた。
数回そこを強く突き上げ、浅く深くざらりとした感触の部分を擦り付ける。
「あ…なんか、…ほんとダメ…っぁぁっああああっ!!」
「……っ!く…そっ!」
苦い顔をすると我慢できないと言ったように腰の動きを早め子宮口に自身を打ち付ける。
その動きに合わせて彩子もどんどん上り詰めていく。
が、先ほど達した時とはまるで段違いの感覚に、言い知れぬ恐怖にかられた。
(…なんか…くるっ!!)
シーツを握っていた手に一層力を込めると、牧の力強い手がぎゅっと上から握り締めてきた。
「し、心配する…な。ちゃん と捕まえてて…やる、から…っ!」
途切れ途切れの低く艶のある声と、握る手の力強さに不思議なほどするりと不安が抜けた。
大きな手を握り返し全身を占める感覚に身体を明け渡す。
「は…ぁっ!ま、ま……き…さ…っっっ!!」
髪を振り乱し、反り返った白い喉の上で唇が微かに動く。
声にならずに消えた言葉。
小さく開いた口は 好 き と動いた気がした。
それはあまりにも望み通りの都合のよい言葉だったので
高まる感情と共に、意識の奥底へと押しやった。
規則的なリズムを刻む牧の心臓の音が心地いい。
温かな胸に頬を寄せていた彩子は遠慮がちにそっと広い胸板に手を添えてみた。
気付いた牧は少し笑うと彩子の髪を撫で身体を引き寄せる。
男の行動に彩子はうれしそうに微笑むと、
決心したように大量に息を吸って上半身をがばりと起こした。
「…私、牧さんが好きです。…い、一度でも抱いてもらえたら諦めがつくと思ったけど
…ダメみたいです…。」
先ほどの告白は間違いではなかったのだと牧は表情に出さずともうれしかった。
だが、若い感情は移ろいやすい事もよく知っている分素直に喜べない。
「彩子くん…。」
「彩子って呼んでください。(まじで)」
「…距離もあるのに付き合って拘束する気はない。何しろ君はまだ若いんだ。」
「そんなっ(1つしか違いません)!私牧さん以外の人はイヤなんです!!」
必死に訴える彩子。
ここで説き伏せようとしてもきっと頑固らしい彼女を説得できないだろう。
真剣な瞳を見ると諦めたように息を吐き、女を見て笑う。
「わかった。…じゃあ来年。一緒の大学に来ることが出来て、
その時も君の気持ちが今と変わりなかったなら付き合おう。」
「ほ…本当ですか…!?」
ぱぁっと赤くなる彩子。可愛らしい笑顔で口に手を当て喜びに涙を溜めている。
「だけど合格まで会いに来たらだめだぞ。」
「え…えぇ〜!?そんなぁ。」
「受験勉強でもしてろ。結構難しいんだぞウチの大学も。
それに会わないって言ってもあと半年足らずじゃないか。」
不機嫌そうに抗議を続ける彩子の声を聞き流して鼻歌を歌いながら服を着る牧。
「もぉ〜会わないなんて…そんなの絶対意味ないことなのに。」
それを聞くと牧はにこりと笑った。
意味のないことではない。その間にいい男が来たらそっちにいけるじゃないか。
今までの女同様、バスケしか見られない自分をそのうちに嫌になってくるはずだ。
「じゃあ、賭けようか…。」
穏やかな声はやはり心地よく、改めて彩子は自分の感情を確信する。
あと半年もこの声が聞けなくなるんだ。
そう思うと急に寂しさが募り、一言も逃さず記憶に刻もうとじっと牧を見つめた。
4月―――。
大学の校舎を颯爽と歩く女がいた。
長くウェーブのかかった髪はそのままで、薄く化粧をしているからか幾分大人っぽくみえる。
バッシュが床と擦れる音がする体育館を目の前にして、高鳴る胸を抑え側にある満開の桜を見上げた。
深く呼吸をすると体育館をきりっと見つめて一直線に歩き出す。
きっと彩子を見ると牧は驚いた顔をするだろう。
そして優しい笑顔を浮かべてゆったり近付いてくるのだ。
余裕に満ちる愛おしい男に、彩子がずっと言いたかった一言が今日言える。
(ほらね牧さん。やっぱり賭けは私の勝ち―――。)
485 :
474:2007/06/18(月) 20:55:49 ID:yEME0Kqp
終わりです。
読んでくれた方、ありがとうございました。
それから茂一×弥生もずっとお待ちしてます!!
うおおおおお、彩ちゃんかわえーーーーー!
牧もカッコイイちょっとときめいた!
つーか再会編も読みたいっす!
牧の反応が見たい!
いやーん、牧さん素敵!
GJです!
久々に来たら神奈川のPG3連発でスゴス!
藤真も牧もいいなあ〜。
読みごたえあって嬉しかった。GJ!
職人様方、お疲れ様でした。是非また書いて下さい。
牧さぁああああああん!!!!
好きだぁあああああああああ!!!!
職人さんGJGJですっ!
490 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/19(火) 15:15:03 ID:WXOzGlVS
ひゃっほーう!
良作3連投下age。
sa\\最高ーーー!!!
GJGJGJ
というかまとめサイトあるっけ?
藤真も牧も最高ー!!超GJでした!!!藤真切ない!!!そして良い奴!!今度は是非藤真が彩子さんとうまくいったのが読みたくなりました!
牧も大人の男でいい男でした!GJ!!
G---J!!
494 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/20(水) 00:39:13 ID:k+0m4q4J
げっ。あげちゃった。ごめんOTZ
流川×彩子を読み返してて激しく悶えた!この二人なんでこんな萌えるんだ!!
花道×晴子読みたい。゜.(ノд`).゜。
王道CPがいちばんエロとは程遠いというもどかしさ・・・(;´Д`)
流川×彩子さんのCPは、普段クールな流川が彩子さんの事になると普段は見せない一面を見せるのがイイ(・∀・)
連投申し訳ないです。
流れも切っちゃってすみません!
またマイナーです。苦手な方飛ばしてください。
ずっと付けてなかったんですけど本人確認のため今回からトリップつけます。
(変なヤツ。)
松井は冷たく信長を見ながらそう思っていた。
喫茶店でも行こうとあれ程元気よく誘っておいて今はもじもじと黙り込んでいる。
この男がこんなにもぎくしゃくしている理由を松井はわかっていた。
買い物をしていた晴子と松井が、海南大付属の神と信長にたまたま会ったのが数十分前。
「あれ?ねぇ晴子、あれ海南の人じゃない?」
声を抑えない松井の声に振り返った二人に、晴子が慌てて湘北の生徒だと説明したのがきっかけで。
「ねっ!いいじゃないスか神さん!こんな偶然もなんかのアレかもしんないし!」
意味不明に喫茶店に誘う信長の視線は晴子一直線で、
神も松井もイタイなーと言う気持ちでそれを見つめた。
「えぇっと、試合で俺たち見たって晴子ちゃんと松井さんはよく見に来るのかな?」
沈黙を破るべき話を切り出した神はさすが大人の気遣いである。
「ていうかこのコ、キャプテンの妹なんです。」
「へぇ〜そうな…………………えぇ!?」
松井の言葉にしばらくして驚く神。もっと遅れて信長がえええぇ!?と声を上げた。
「あ、あの…赤木晴子です。」
このような驚かれ方には慣れているがやはり恥ずかしそうに自己紹介する晴子。
「も…もしかして義理の…イテッ!!」
笑顔のままで神が信長を殴る。
「あはは。ごめんねこれでも悪気はないんだ。」
「あっいえいえ慣れてます。」
「だってねぇ。実際似てないんもんね〜。」
信長をよそに楽しそうに会話をし、しばらくして店を出る。
駅に続く狭い歩道を、自然二列で歩き始めた。
目の前を歩く神と晴子の爽やかな様子を見ながら、松井は隣の意気消沈する男を眺める。
「そんな気になるもんかしら。赤木先輩の妹ってことが…。」
「あ?」
「一目惚れってヤツでしょ?よくわかんないけど。」
そう言うとみるみるうちに赤くなる信長を見てなんて分かりやすいんだろうと感心した。
「ばっかてめー!好きとかじゃねぇよ!!何言ってんだてめー!!」
それは痛々しいほどに気持ちが分かる焦り方でちょっとかわいそうになる。
大きな声に振り返った二人に、松井はなんでもないと手を振った。
「…自分からばらしてどうすんのよ。
もうちょっと落ち着く事学ばないと試合でもヤバイんじゃない?」
「な、な、な。」
なんてかわいくないヤツだ。
そう思いながらも、これは気持ちもばれているこの女を利用したら
晴子と仲良くなれるかもしれないと頭を切り替えた。
「おい。お前ちょっと晴子ちゃんのこと色々教えろよ俺に。」
「はぁ?嫌になったんじゃないの?」
「お前バカ、あんなゴリラと血ぃ繋がってるって分かってみろよ!
誰だって一瞬は落ち込みたくなんだろが!」
疑わしく見ながら、それもいいかもと思い始めた。
晴子は流川が好きだ。でも到底先を望めそうな恋ではない。
だったら、このちょっと頼りない男にでも気が変われば、晴子が楽になれるかもしれないと思った。
「…うん。わかった。」
晴子に一歩でも近付いたわけではないのに松井の言葉に喜びまくる信長。
これで、松井は信長と接する機会が増えることとなる。
「で?で?そんで晴子ちゃんなんて言ったんだ?」
「…『そんなことないわよぅ!』って……言ってた…。」
「うぉー!かわいい〜!!」
真っ暗な夜道。何度繰り返されたか分からないこんな会話に松井はうんざりしていた。
海南の練習が休みだったり、早く終わったりすると、信長は足しげく湘北に通っていた。
メンバーには会いづらいらしく、門のところで隠れていつも待っている。
今日もそうして電柱の影から呼び止められた松井が渋々帰りを共にしていた。
既に晴子のことはもう教えつくした。だが一向に信長は晴子と話しすらしない。
今話していた内容も、晴子の情報と言うよりただ『今日の晴子』を教えていただけ。
(ストーカーかよ。)
そんな突っ込みを脳内でしつつ、頼りないにも程がある信長を睨む。
「ねぇ。晴子と話す気ないならもう来るのやめてくれる?
ていうか清田くん来てるのばれてるから。しかも私たち付き合ってるとか思われてんだけど。」
「はぁ!?マジかよ困るよ!」
「私だって困ってんの!!」
「やべーなぁ。晴子ちゃんもそう思ってんのかな。」
ブツブツと呟く男のうっとうしい髪を見つめながら松井はため息をついた。
「あ〜。こんなことなら流川くん好きのままで放っておくんだった。」
ボソリと呟いた声に信長が動きを止めたのを見て、しまったと口を押さえる。
言う気などなかった。
何度も会ううちに、信長が思った以上に繊細であることに気づいていたからだ。
嫌な沈黙が広がる。
松井は自分の軽口を恨み、見えない男の表情に心臓がどくどくとなっていた。
振り返る男の顔からは血の気が失せ、それを見て松井自身もなぜか傷ついた。
「……なんだよ今の。」
低く、悲痛に満ちた声。
「…あ…。ご…ごめ…。」
「晴子ちゃんが…流川を好きってこと…?」
「………。」
無言の松井に苛立った信長が、横にあるブロック塀を拳で殴る。
その大きな音に松井の身体がびくりと跳ねた。
「そりゃ一番に教えといて欲しい情報じゃねぇか…!!」
「あっ、清田くん!ごめんなさいっ!」
走り出した信長に叫ぶが、振り返らずすぐに見えなくなった。
追いかけようとした足が鉛のように動かず松井はその場に立ち尽くした。
ここ数日、信長は怖いほど練習に集中していた。
「信長。この頃湘北には行かないのかい?」
神の優しい声にぴくりと身体を揺らす。
「…もう、いいんス。」
言いながらシュートしたボールは、ガツンと音を立ててゴールから跳ね返された。
「くそっ!」
イライラが治まらない。
晴子の想い人が流川であることが悔しかった。
何よりも流川と名が出た時点で、一瞬負けたと感じた自分自身に腹が立つ。
ろくに話すことも出来なかった拙い恋だったが、忘れるにも、
余計にライバル視した流川に対しても、バスケに専念するのが一番だと感じた。
「じゃ、電気頼むな。」
「あ。お疲れーっす。」
気付けば帰ろうとする神と信長だけになっていた。
神は信長がおかしいことに気付いているだろうが何も言ってこない。
それが信長にはとてもありがたかった。
一人になった体育館で繰り返しシュートをし、
戻ってきたボールをドリブルして思い切りジャンプした。
「信長。」
ガンッという激しい音でダンクを決めた直後、神の涼やかな声がする。
「あれ?忘れ物ですか?」
「…門のとこ、松井さんが来てるぞ。」
そう告げる声に着地しながらどきりとする。
あれから一度も会ってなかった松井。
まるで関係がないのに自分の話に根気よく付き合ってくれていた。
心の底ではありがたがっていたのに、怒鳴って逃げたことで信長は余計に会いづらかった。
「早く行ってやれよ。」
そう言うと神はまた校門へと歩いていく。
(ここに泊まっちまおうかな。)
それくらい逃げたい気持ちでいっぱいだったが、しばらくして渋々と帰る準備を始めた。
校門へ近付くと、神と松井が二人で話をしていた。
信長が来たのに気付くと、神は松井に微笑んでその場を離れた。
松井がいつもの無表情で、でも少し動揺したように信長を見る。
『あの時は悪かったな。』
そう思っていたし謝りたかったのだが、心とは裏腹に不機嫌な表情を作ってしまっていた。
「こんな遅くまで待ってんじゃねーよ。」
「…清田くんに言われたくないわ。隠れてないだけマシでしょ。」
「お、おま…そんなこと言いに来たのかよ!何しに来たんだてめーは!!」
恥ずかしそうな信長の声に、言い返すと思っていた松井は少し眉を寄せてぺこりと頭を下げた。
「晴子のこと、ごめんね。」
予想外の言葉に声が詰まり女の言葉を黙って聞く。
「清田くんの気持ち考えてなかったから。無神経でごめん。」
弱々しく言われるとどうしていいか分からず、ただこの場から逃げ去りたい気持ちになる。
謝ろうと思っていたし、感謝もしていたのに、
悪くもない張本人から頭を下げられると無性に自分の小ささを浮き彫りにされた気がした。
「…んなこと言いにいちいちこんなとこまでくんな!じゃあな!」
逃げようと決心して踵を返し走ろうとする。
「まっ…きゃっ!!」
咄嗟に伸ばした手で男の制服を掴むが、思いっきり引っ張られ松井は見事にこけてしまった。
「…うわぁ…。」
足元にうつ伏せになった女を見て小さく呟く声に松井ががばりと起きて怒鳴る。
「いっったいわね!!どうしてすぐ走るの!?」
悪いと思っているのにどんどん悪印象だけ増やしている気がする。
「わ、悪かったよ。ほら、立てるか?」
「うん。あ…アタタタタ。」
「おばーちゃんかよ。」
「どうしよう…捻ったみたい。ちょっとしてれば歩けるようになると思うけど…。」
あからさまに困った顔の松井。信長も同様の顔をしてお互いを見る。
ふぅと吐いた信長の息が、心地よい秋の夜に溶けた。
すっかり暗い道を駅の方へ歩く二人の影。
正確にはその影は重なり一つになっていた。
「ちょっと変なとこ触んないでよ。」
「変なとこってどこだよ!てめーが重たいこと以外わかんねぇよ!…イテッ!」
ぐーで殴られた信長の頭はごちりといい音がした。
信長におんぶをされた状態で、2人とも恥ずかしいのか
いつもよりけんか腰でいつもより口数が多い。
「ったく…清田さまともあろう俺が…。」
ブツブツ言う男の長い髪の毛が目の先で揺れる。
いつもは見えない信長の頭を見られるのは新鮮な感覚だった。
(本当はいい人なのよね。頼りないけど。)
「ねぇ。晴子のこともう諦めるの?」
「あぁ?」
「もったいないじゃない。まだ清田くんのいい所全然見せてないんだし。」
「…いい所…。」
考えて歩みを止めた信長の背から松井に促され、
言われたように背中から降ろすとひょこひょこと男の前に歩いてきた。
「そうね。」
「な…なんだよ。」
顎に手を当て考える松井。妙に照れくさくなる。
「不器用だけど…マメだし。真面目だと思うし何より優しいわ。
笑った顔もかわいいし…うん。そういうとこ好きよ。」
軽く言われた言葉に信長の心臓がどきりとなる。
それが合図になったように高鳴る心音はどんどんそのスピードを速めていった。
ごくりと生唾を飲むと緊張に掠れる声を出す。
「…ま…マジで?」
「うん。」
「お、お前それ…ほほ本気か…!?」
「本気って…まぁ、うん。」
元気付けようとしている言葉とは露知らず、信長は余り賢くない頭をフル回転させていた。
目の前の女は自分を好きだという。
ずっと晴子を好きだと聞かせ続け、それをただ健気に耐えてくれていたというのか。
この無表情の中にどれほどの辛さを隠していたのだろう…。
考えれば考えるほど身体は熱くなるばかりだ。
これに答えねば男じゃない!
ついにそんな考えまで出てきてしまった。
「だからね、きっと晴子もそういうとこ好きになるんじゃ……!!」
もはや彼女の言葉など聞こえていない信長は、話の途中で突然松井にキスをした。
細い肩を掴まれ一瞬だけ触れた唇。
「…………………は!?」
驚いた松井は怪訝な顔をして赤い顔をする男を凝視する。
「な、なんなの今の。キス?」
分かりきったことを質問するほど事態についていけない。
指で唇に触れた後、ギロリと信長を睨んだ。
「…私、初めてなんだけど。」
「キスか?俺もだ。…………よかったな。」
「なにが!?」
松井の苛立ちを何一つ分かっていない信長は着々と話を進める。
「……俺お前と付き合ってやってもいいぜ。」
「言ってる意味がわかんない。」
「…結構……好きかもしんね…。」
不覚にも松井はどきりとしてしまった。
間近にある顔はいつになく真剣で、艶っぽく見える。
一瞬、晴子のことを楽しそうに話していた信長の顔を思い出した。
(あんなに真剣に、一直線に想われるのも悪くないのかもしれない。)
ボンヤリそう考えていた時だった。
「ちょっとこっち。」
ぐいと手首を引っ張られ、建物に囲まれた大人二人がやっと入れる程の細い路地に連れ込まれた。
二人が入ると当然のように距離が限りなく近くなる。
「ちょ、ちょっとっ!何!?」
この状況にさすがの松井も背がヒヤリと冷たくなった。
夜道に頼もしかった信長の大きな身体が今は怖く感じる。
「ぇ…まっ…んんっ!!」
身体を壁に押し付けられた状態で、逃げようもなく信長の唇が重なった。
「ん…んぅ…ふ…。」
漏れる声は意思に反して淫靡な響きを含み、信長を一層刺激する。
滑り込んできた舌は松井のそれと絡めると突然動きを遅くした。
信長の制服を握り締めていた松井の手からも力が抜ける。
初めての直接的な刺激は二人から思考を奪っていく。
キスをしている相手が分からなくなるほどただ夢中に舌を味わった。
唇が離れると浅く息をして互いを見る。
いつもでは考えられないほど眉を下げ、頬を赤くし、すがるような目をした松井。
その顔を見つめて高まる感情を抑えられずに、信長は白い首筋に顔をうずめる。
「あちょっと!もーいい加減にして!!…ぁっ!!」
驚き一瞬で頭が晴れた松井は大きな背を掴み必死で離そうとしたが、
ぺろりとそこを舐められるとへなへなと力が抜けてしまう。
ちらりと目が合った信長は、勝ち誇った顔で口の端で笑った。
「………なによ。」
「首、よえーんだな。」
かぁっと赤くなる松井の首にもう一度舌を這わすと耳朶を口に含む。
力の抜けた女の制服を大きな手でまさぐり、するりと中へ手を入れた。
「だ…だめだったら…。」
はぁ…と甘く息を漏らす様に耐えられず、自身の硬くなったそれを松井に擦り付ける。
「えっ!?」
突然松井が身体を離して下腹に当たる信長の状態を見た。
「な…なんだよ見んな。」
恥ずかしそうに言うと腰を引き上の制服を引っぱり隠す。
「なんか…動きが気持ち悪い。」
言ってしまって、あ。と口を押さえる。
すぐに口にしてしまうのは彼女の欠点だった。
予想通りショックを受けまくっている信長がいる。
「きも…きもち…わる……。」
「あ…ごめん…。」
見ると窮屈そうに膨らんでいた制服のズボンがどんどん小さくなっていくのがわかる。
なんだか途端におかしくなり松井はたまらず笑い出した。
その声に意識を取り戻す信長。
「あはははっごめっ…でも、ふふ…そんなんなるの!?」
「お…おまえっ!気持ち悪いとかゆーなよその気になってんのによー!!
再起不能になったらどーしてくれんだ!!」
「ふふふ。ごめんごめん。」
言いながら松井は怒る信長をなだめるようにきゅっと背に手を回し抱きついた。
ぎしりと音がするほどに身体を硬直させる信長。
気持ちを今すぐに確信する事は出来ないが、信長に触れられてイヤではなかった。
ここが人通りの少ないとはいえ公共の道路でなかったら流れに呑まれたかもしれない。
(やっぱり、嫌じゃない。………すごく安心する。)
制服越しの体温を感じ、目を閉じる。
「…?」
ホッとする松井の腹に、またもや硬くなったものの感触がした。
抱きついたまま信長を見上げて呆れた声を出す。
「……ちょっと〜。」
「し、しょーがねぇだろ!てめーが擦り寄ってくんだろが!」
「…くっふふ。もう一回同じこと言っても小さくなったりして。」
悪戯っぽく笑いながら信長を見る。
(ちょ…も…かわえええええ!!)
「〜〜〜!!たまるかコノヤロウ!」
「えっ?!うそでしょちょっと…!」
壁に松井を押し当てて力任せに制服の中に手を入れる。
「あ…はぁっ…ぅうっ!」
大きな手に胸を掴まれ、苦痛とも快感ともつかない表情で抑えた声を出した。
「松井ぃ、乳首勃ってんぞ。」
くっくとギラついた目で笑いながら言うと松井の身体が震える。
「な…に考えてんの…こんなっ…とこ、でっ!」
荒く呼吸をしながらの言葉はなんの効力もなかった。
むしろまだ逆らおうとする松井に、信長の征服欲が掻き立てられる。
口の端でにやりと笑うとブラジャーごと制服を持ち上げた。
「なっ!ゃっ!!」
ヒヤリとする外気が松井の身体に触れる。
隠す女の手を押さえつけて信長は初めて見る生身の女の乳房を見つめた。
「すげぇ…。」
身をよじる松井は男の目に入っていない。
吸い寄せられるように桃色の頂点を口に含んだ。
「ぅんんっ…!!ゃっやめて…あっ…こ、声…出ちゃうっ!」
「出せよ。誰も来ねーから。」
「ば、ばか言わないで…っぁあっ…!!」
スカートの中に滑らせた指が濡れた中心部に触れる。
「ぁあッ……っ!?ど…こ触ってるの…よ…っんん!!」
「……うわ…やわらけぇ…。」
くちゅくちゅと音を立て柔らかな感触を味わう指が、知らず松井の敏感な肉核を刺激する。
一際大きな声を出し反り返った松井の身体が、狭い壁に押され信長の眼前に胸を突き出す格好になる。
女の背に手を回すとふるふると揺れる乳房を更に引き寄せ舌を這わせながら、
ぐしょぐしょの下着の中に手を入れてじかに刺激を与え始めた。
「あっぃやっんんぅう…っあ!ぁああッ!」
「…お前、すげぇエロい。」
腕を握り締める松井の手にどんどん力が入ってくる。
ぎゅうっと握り締めると同時に女の身体が逞しい信長の腕に倒れ込んだ。
「…ぁ…も…立ってられない…。」
しばらく上下する身体を見ていた信長は、
脱力する松井の上体を優しく起こすと壁に寄りかからせる。
今にも座り込みそうな身体を震える足で支えながらぼんやりと信長を見た。
「はぁ…はぁ……あっ!!??」
すっと男が視界からいなくなったと思ったら突然電流のような刺激が背を走った。
見るとスカートの中に男の顔が埋まっている。
下着の上からぬるりとした舌が動き回る感触がした。
「あぁぁ…や…やめてそんなッ…きたな…ぃっ…ぁあ!!」
「オラもっと足開け。…メスの匂いさせやがってこいつ…たまんね…。」
下着をおろすと溢れた液が白いももに伝っていく。
それを舌ですくいながら陰唇を舐め上げた。
「ひ…ぁ、きよたくっ…ん!!あ、あっ!も…!!」
跳ねる松井の足を肩に担ぎ尖らした舌で淫核のまわりをなぞる。
ぬらぬらと光る液を指に絡ませ膣口にゆっくりと滑り込ませた。
「はっあ…あ…っ!!」
指を挿れたままで立ち上がると、すぐに松井がしがみ付いてくる。
「…大丈夫か?」
胸にうずくまる松井の頭を空いた手でそっと撫でる。
耐えられなくなったのか女の足からがくりと力が抜け身体が傾いた。
「っ!おい!」
慌てて抱え込むと、呼吸の整わない松井が信長に身体を預けたまま困ったような目で見た。
「どうしよう。足に力が入んない…。」
何事かと眉を顰めていたが、腰が抜けただけと知り信長は噴出して笑った。
「ちょっと…何がおかしいの。どうすんのよコレ。」
「そーかそぉーかぁ。そんな気持ちよかったかお前ってやつは〜!!」
力なく信長の腕に頼る松井の頭をこれでもかと言うほど撫でまくる。
すっかり調子に乗っている男をうざったく感じながらも動けないからどうしようもない。
「よい…しょっと。」
「ぇっ!?な、なに!?ちょっと!っやめて!!」
ごそごそと動き始めたと思ったら、松井の両足を担ぎ身体を壁に押し付けた。
壁と信長に挟まれた不安定な状態で今まで以上にきつく男の腕を掴む。
「ま、ま、まって!まさか………!!んん!ぁあああっ!!」
ファスナーを降ろしやっと開放された自身の先端を、ぽたぽたと滴るそこに潜らせた。
「いっ…たぁいぃっ!!あぁああっ!」
丁度女の力が入らないということもあり、
血管の浮き上がるグロテスクな肉の塊はずぶずぶと松井の中へ納まっていく。
「ぅ……くッッ!すげぇあつい…!!」
未経験の信長は絡みつくひだの感触にすでにいつ達してもおかしくない状態だった。
身体を占める快楽に必死になってすぐさま動こうとした信長に
苦しげに瞼を閉じる松井が目に入ってきた。
途端頭が冴えて申し訳ない気持ちになる。
「い…痛いか?」
「んっ!!…あっ…さ、最っっ低っ!!」
振り絞るような声は明らかな怒りが交じっていて、無理矢理に抱いてしまったことの後悔が溢れてくる。
「わ、わりぃ。なんか夢中で…。」
謝ってみても荒く息をするだけの松井に、遠慮がちにキスをする。
舌をそろりと入れてみると答えるように絡んできたので少しホッとした。
「あの…動いてもいい…?」
間近の顔に逃げ腰でそう聞くと、潤んだ目をあけて少し睨む松井。
「そのままじゃ…つらいんでしょ…。」
「……ご…ごめんっ!」
その通りの信長は了解を聞くとゆっくりと腰を動かし始めた。
ずちゃ…ずちゃ…と粘着質の音が響く。
急激に射精感を高める内壁に夢中になっていると、松井の手が頬に触れ顔を上げさせられた。
「……こっち…見て。」
どきりとする。
松井の事を好きだと感じ、だからこそ抱いたと言うのに。
気付けばただ上り詰めることしか考えられず、相手が誰かさえ忘れそうになる己がいた。
それが彼女にはわかっていたのかもしれない。
「………ごめん…っごめん!!」
心の底から謝り、そのまま唇を重ねる。
獣のような気持ちが薄れ、松井への想いに溢れた。
視界がうっすらとかすんでいく。
ただ感じるのは自身をふわりと包むやわらかな体温だけだった。
朝練前のモップかけをする音が、体育館に近付く神の耳に届いた。
「おお早いな、おはよう。」
「あっ!おはよーございます神さん!!」
元気よく振り返った信長の頬につく、くっきりとした赤い手形。
「…信長…それ、どうしたんだ?」
「あこれでしょ?まいったなぁ目立ちます!?思いっきりやられちゃったんですよねー松井に!」
言いながらでれでれと笑う信長に理由を聞くのが怖くなってくる。
底抜けの笑顔で立つ後輩を神は遠巻きに避けて部室へと逃げ込んだ。
昨日はカンカンに怒って痛々しい足を引きずりながら帰っていった松井。
だがきっと必死で謝る姿を見れば人のよい彼女は許してくれるに違いない。
厚かましくもそう見抜いている信長は、落ち込むことなくただ想いが通じた幸せを噛み締めていた。
「よっしゃー!!!」
気合を入れるように一人叫ぶとモップを持ったまま勢いよく走る。
放課後会える、無愛想だがかわいい笑顔を楽しみにして。
終わりです。
長い文章お付き合いありがとうございました。
花道×晴子読んでみたいです!どなたかどうかよろしくお願いします!
茂一の書き手さんはいなくなったのかなぁ…。
お疲れさまです! 信長の荒っぽさと
松井さんの大人っぽさがすごく良かったです!
信長と松井さん、いいカップルだな〜
おつ!
野外だなんて、さすが野猿w
gj!ほんと野猿だ。
完全版の髪おろしてる松井ちゃんはカワイイよね。
518 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/24(日) 01:50:05 ID:fvyPe4qZ
圧縮の条件がわからんのでとりあえずホシュage
圧縮の条件は、総スレ数800だよ。まだ余裕はある。dat落ちは知らないけど。
ずっと投下ないと思ってたらなんか一気にいっぱいきてる!職人さんGJ!!
キヨタ×マツイ、エロス!違和感なくてよかった。
確かにキヨタってハルコが好みっぽい。
それと悲恋ものに萌えるタチなんでフジマ×アヤコの連作がたまらなかった。
エロいしテラ萌え!
522 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 21:27:47 ID:cJn5/nnW
職人さんカモーン
523 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 00:30:00 ID:hwK+lbD3
南とか花形読んでみたい。
あと沢北も。
501さんgj!!
信長がこんなにもエロくなるんて!!
好きキャラは別にいるのにうっかりトキメいてしまった
525 :
144:2007/06/28(木) 22:52:50 ID:MsalB5Sb
花道×晴子、投下していきます。
全11レス。微エロです。
山王戦から半年が過ぎた1月。
人間離れした肉体の持ち主は驚異的な回復を見せ、この体育館に戻っていた。
――ところが。
復帰してまだ間もないというのに、風邪をこじらせたのか発熱するという有様。
「だめよう!病院行って、ちゃんと寝てなくちゃ」
「ハルコさん……大丈夫っすよ、このくらい」
「大丈夫じゃないよ、桜木君。39度近くも熱あるのに……」
体育館の片隅で、同じやり取りを何度も繰り返す二人。
そんな様子に痺れを切らしたのか、彩子が二人の元へ駆け寄った。
「コラ!さっさと病院行きなさい、桜木花道!」
ハリセンこそ飛ばないが、しょうがないわね、という顔をしながら彩子が花道を諭す。
「それにしても、あんたでも風邪ひくのねえ」
「ぬ……、どういう意味すか?アヤコさん」
「とにかく今日は帰りなさい。晴子ちゃん、悪いんだけど一緒に病院行ってあげてくれる?」
「わかりました!早く行こう、桜木君」
「ハルコさんがそこまで言うなら……」
ニコッと微笑む晴子の可愛さに負けたのか、ようやく花道が折れた。
病院で診てもらった結果、花道はインフルエンザだった。
ちょうど流行の兆しが見え始めたこの時期、運悪く感染したのだろう。
晴子は、待合室でだるそうに椅子へ横たわる花道が心配になった。
会計を済ませ薬局を出る頃には、まるで酔っ払いのようにフラフラだった。
それでも花道は、「大丈夫っす!」と、しきりに言い張る。
晴子は花道をなだめすかしながら、一緒にアパートへ入った。
「桜木君、おかゆ食べる?」
「ハルコさんの作ったものならなんでもいいっす!」
一人暮しの部屋で、晴子と二人きり。
花道の心臓は、体から飛び出そうなくらいバクバクと脈を打った。
髪の色に負けないほどに真っ赤に染まる頬。
それは、熱のせいばかりではない。
「桜木君、真っ赤よ。熱、また上がったのかしら?」
花道の気持ちを知ってか知らずか、晴子は相変わらずに思えた。
「うーん、さっきよりも熱いかも……」
自分と花道の額に手を当て比べ、晴子が小首をかしげる。
額に触れる、晴子の小さな手。
花道は、インフルエンザとはまた別の熱に侵されていくような気がした。
ほくほくとやわらかい匂いが漂ってくる。
キッチン、というよりも台所と呼ぶ方が相応しい場所で、晴子は手際よく粥を炊いていた。
運動は苦手なようだが、料理は得意らしい。
花道は、布団の中で晴子の後姿をぼんやりと見ている。
赤木家での勉強合宿で、晴子が作ってくれた焼きうどんの味を思い出していた。
晴子は布団のわきへ座ると、花道が体を起こしやすいよう介助した。
「おなかすいたでしょう?今、冷ますね」
まるで母親がそうするかのようにレンゲで粥をすくい、ふーふーと冷ましはじめる。
花道はただ黙々と、晴子が口もとへ運ぶ粥を食べている。
重くなる身体を支えるのがやっとで、食べさせてもらうという行為に照れる余裕すら無かった。
「すみません、ハルコさん。横になってもいいすか?あとで残りちゃんと食べますから……」
半分ほど食べたところで、花道がしんどそうに言った。
「無理しないで、桜木君。食べられるぶんだけでいいのよ」
いくら頑丈な男でも、インフルエンザには敵わないようだ。
ゆっくりと花道が布団へ横になる。
「ちゃんと温かくしないとね」
晴子に布団をかけて貰った花道は、ありがとう、と言う代わりに僅かばかりの笑みを浮かべた。
「あっ!桜木君、薬飲まなくちゃ」
食器を片付けようとして、晴子はテーブルの上に置かれたままの薬に気付いた。
花道は相当きついらしく、こくりと頷くだけで薬を手に取ろうともしない。
眠ってはいないが、目を閉じ、苦しげに呼吸を繰り返す。
「………どうしよう」
薬は、カプセル一つ。
晴子はしばらく考えを巡らせると、湯冷ましを口に含んだ。
花道の首の下に腕を入れ、頭を少し起こす。
わずかに開く唇にカプセルを入れ、湯冷ましを少しずつ、ゆっくりと口移しした。
よほど苦しいのだろう。
こんなことを晴子にされているというのに、花道は目を開けもせず、うなされたままだ。
「桜木君、飲んで……」
晴子の言葉に応えるように、花道の喉がゴクリと鳴る。
薬を無事飲ませ、晴子はホッと胸をなで下ろした。
花道の渇いた咳が、何度も部屋に響く。
晴子は、その苦痛をできる限り取り除いてやりたかった。
『湿度をあげれば楽になるかも……』
沸かした湯を洗面器にはり、部屋の隅に置く。
氷を取り替えた氷嚢を花道の額にのせると、熱に苦しむ顔を心配そうに見つめた。
「もう少しの辛抱だよ。薬が効くまでがんばって、桜木君……」
少し髪が伸びたせいか、大人っぽく見える。
実際、リハビリを終えてきた花道は、以前よりも少し落ち着いていた。
校舎にも、体育館にも、花道の姿がない日々。
思った以上に自分が寂しがり屋だということを、晴子は毎日思い知らされた。
手紙のやりとりが楽しみだったけれど、それだけじゃ物足りない。
晴子は、広くて大きなその背中をずっと待っていた。
花道が戻ってきた時、いちばん喜んでいたのは晴子だ。
嬉しそうにボールを追う花道を見ているだけで、温かい幸感に包まれる。
今では、流川よりも花道を目で追う方が断然多くなっていた。
ただ憧れるだけなのとは違う。
流川に夢中になっていたときとは明らかに別の、花道へ向かう穏やかな感情。
それが何なのか、晴子はすでに気づいていた。
「あ!氷、作っておかなきゃ」
立ち上がろうとしたその時、花道の手が晴子の手首を掴んだ。
「ハルコさん……帰らないで。もう少し、そばにいて……」
花道が小さく呟く。
うなされているのだろう。
いつもの敬語ではないその言葉は、晴子の胸を甘く締め付けた。
「大丈夫、帰らないよ。ずっとそばにいるよ、桜木君……」
家に帰っても、いつも一人きり。
たとえば彼はこんなとき、どうやって寂しさや不安をまぎらわせてきたのだろう。
今まで考えもしなかった。
底抜けに明るい花道に秘められているであろう孤独を思うと、胸が苦しくなった。
それは決して、同情ではない。
ずっと、そばにいるよ。
それは、晴子の曇りない想いだった。
なんでも掴めそうな大きな手。
こんな大切なものに、どうして今まで気付けなかったのだろう。
晴子は、すがるように自分の手を握る花道の手を、優しく握り返した。
しばらく浅い眠りに就いていた花道が、目を覚ました。
手が、晴子に握られている。
そのことに気づいても花道は慌てたりもせず、そのまま握り続けた。
晴子のやわらかい手の感触を感じていたい。
なぜか今は、その思いを隠す必要がないように思えた。
二人だけの時間と空間。
ためらったり、とまどったりというような、いつもの二人は影を潜めている。
晴子は、不思議と素直になれるような気がした。
「あのね、桜木君。相談があるの……」
「なんでも相談にのりますよ!この天才が解決できない事はないですから!」
「好きな人がいるんだけどね……」
晴子がそう言うと、花道の笑顔は凍ったように硬くこわばった。
少し間をおき、おそらく口にしたくはないであろう男の名前を出す。
「……ルカワのことすか?」
「違うの」
「……?」
「桜木君なの」
なにが起こっているのかわからない。
そんなふうに目を丸くした花道を、晴子は瞬きもせずに見つめた。
「桜木君を好きになっちゃったんだけど、どうしたらいい……?」
握り合う手に、どうしようもないくらい熱がこもる。
花道は、また体温が上昇していくのを感じた。
まるで自分が放熱しているかのように、体を取り囲む空気が暑く感じる。
再び、ぼうっと霞みだす花道の視界。
意識が薄れる前に、どうしても伝えなければ――。
「……そのまま、好きでいてください。オレもハルコさんが好きです」
もしも――これが夢なら、正夢であってほしい。
そう願いながら、花道は目を閉じた。
「寒いっす……」
花道が、頼りなさげに呟いた。
部屋は充分に暖かい。
さらに花道には、タオルケットや毛布など、部屋にあるだけの寝具がかけられていた。
「大丈夫?桜木君」
悪寒がひどいらしく、大きな手がふるふると震えている。
「寒い……」
もう一度、小さく呟く。
晴子が手をこすったり、体をさすっても花道の震えはおさまらない。
いてもたってもいられず、晴子はブレザーを脱ぎ、毛布の中に入った。
「私がそばにいるよ。だから、安心して眠って……」
晴子が花道に寄り添い、手をきゅっと握る。
一言も喋らないが、苦しみにゆがんでいた花道の表情が少し緩んだ。
こうするのが、あたりまえ――。
晴子は、自然とそう感じた。
躊躇も拒絶もない。
そればかりか、もっと近づきたいとさえ思った。
まるで、今まで何度もそうしてきたかのように。
「……温かいっす、ハルコさん」
「私も温かいよ……」
晴子にとっては暑いくらいだ。
温かい。
そう口にしたのは体温のことではない。
桜木に寄り添うことで心を満たす温かさのことだった。
「ハルコさん、うつるかもしれないすよ……」
「もう、手遅れかも」
「手遅れ……?」
薬を飲ませるために湯冷ましを口移ししたことを思い出し、晴子はくすくすと笑った。
「熱があるときは、こまめに水分とったほうがいいのよ」
晴子は枕もとの湯冷ましを口に含むと、先程と同様、花道に口移しで飲ませた。
花道の頬が真っ赤に染まる。
驚き、動揺する花道などおかまいなしに、晴子がいつもと同じ笑みを浮かべた。
「さっきね、こうして薬飲んだんだよ。……覚えてる?」
「えっ……マジすか?!」
「薬飲んで水分も補給したし……あとは、たくさん眠ればよくなるわ」
花道は、黙って頷いた。
だがそれと同時に、眠るのはもったいない、と思った。
晴子の甘い香りとぬくもりが、あまりにも愛おしくて――。
1時間ほど眠り、花道は目覚めた。
体が少し楽になっている。
あれだけ寒いと感じていたのに汗だくだ。
「楽になった?桜木君」
「……ハイ。ハルコさんのおかげっす」
「すごい汗ね。着替えなきゃ」
だるさが残るが、薬が効いたのか自力で起き上がることができた。
花道が汗をかくのを予想し、すでに枕もとには着替えやタオルが準備されている。
Tシャツを脱いだ花道の体を冷やさないようにと、晴子がすばやく拭いた。
「ハルコさんはいいお嫁さんになれますよ、絶対!」
晴子のけなげな姿に、特に深い意味も無く、花道の口からそんな言葉がもれた。
「ありがとう!」
無邪気に喜ぶ晴子。
思わず、その小さな身体を抱きしめた。
それは花道自身もびっくりするほど、さりげなく。
「もう7時だし、遅くならないうちに帰ったほうがいいすよ」
「……まだ、大丈夫」
帰りたくなかった。
直に手に触れる、花道の肌。
その広い胸でトクントクンと鳴る鼓動が、自分と同じ速さであることに晴子は安らいだ。
「桜木君、寒くないの?」
「全然寒くないっす!」
強がりではない。
小さく細い晴子の身体を抱く腕から、ほんわりとぬくもっていく。
可憐でかわいらしい、晴子の香り。
花道は、このままその香りにくるまれていたいと思った。
そして、それは、晴子も同じだった。
花道の整髪料や、皮膚の匂い。
大きい身体と力強さが漲る腕に覆われる安心感を、ずっと感じていたかった。
――こんなふうに、突然舞い込んだ幸福。
不意に、花道は怖くなった。
もしかしたら、さっき告白されたのは夢だったのかもしれない。
確かめたくなり、もう一度それを口にしようと思った。
「……オレ、ハルコさんが大好きです」
花道は晴子を抱きしめたまま、はっきりと告げた。
「私も大好きよ、桜木君……」
夢じゃなかった。
少し照れたように微笑みながら見つめ合う。
瞳を閉じた二人の唇が、静かに重なった。
恥じらい、うつむく晴子のブラウスのボタンに、花道が指をのばす。
はずしていく中で晴子の鎖骨に触れた花道の指は、小さく震えていた。
『桜木君も、震えてる……』
晴子は、自分と同じように震える花道を愛おしく思った。
「ハルコさん、オレ、こういうの初めてなんすよ……」
自分の震えが晴子に伝わったのを感じとった花道が、申し訳なさそうに目を伏せる。
「……桜木君は優しいね」
自分の不甲斐なさに腹が立った。
本来、男である自分がリードしなければならないというのに、晴子に気を使わせている。
花道はしょんぼりと肩を落とし、深い溜め息をついた。
「ホント、情けないっす。でも………」
いったん言葉を止め、深呼吸する。
「それでも、ハルコさんを抱きしめたいんすよ……」
花道は拗ねた子供のような顔をして、そう続けた。
「大丈夫よう!だって、桜木君は天才だもの……」
この状況で出た『天才』という言葉に、花道が少し困ったように笑った。
何かとんでもないことを口にした気がして、晴子も困ったように笑みを浮かべる。
そんな互いの笑顔に、二人は緊張が解けていくのを感じた。
花道の指が、晴子のブラウスをするりと腰もとまで落とす。
白いキャミソールの細い肩紐と、その下に重なる水色の下着のストラップ。
綺麗な鎖骨とクロスするその二本は、晴子の線の細さを強調しているように見えた。
花道が、おそるおそるキャミソールの肩紐を両手で撫でるように下げる。
それはブラウスと同じように、晴子の腰もとへするりと落ちた。
水色の下着に隠されている晴子の胸は決して大きくはないが、かといって小さくもない。
思いのほか、ふくよかに見える。
目のやり場に困った花道は視線を上に向け、晴子を抱き寄せた。
少し前に抱きしめた時よりもさらに、その胸の膨らみが柔らかく花道の身体に添う。
この水色の下着を取ってしまえば、直にそれを感じることができるのだろう。
そう考えるだけで花道は、体中の血液が頭に全て集まったのかと思うくらい顔に火照りを感じた。
覚悟を決めた花道が大事そうに晴子の頬に触れる。
おじけづいたりせず、晴子も花道の固い胸板に触れた。
二人の唇は引き寄せあうように動き、触れ合う。
重なる唇はそのままに、大きな手がたどたどしく晴子の背中で動き、水色の下着をはずした。
接する、花道の肌と晴子の胸。
触れあう場所にまるで心臓があるみたいに、トクトクと脈が流れ打つ。
花道は晴子の背中に腕をまわすと、細い身体をゆっくりと倒した。
目に飛びこんできたのは、真っ白な肌。
かわいらしい膨らみと、桜貝のようにきれいなピンク色の乳芯。
それだけで花道の下半身は奮起していた。
まだ、それを晴子に気づかれたくない。
そう思った花道は、真正面から覆っていた身体を晴子の隣りに投げ出し、横から抱きしめた。
「さ、寒くないすか?ハルコさん……」
暑いくらいの部屋で、その台詞はあまりにも不自然すぎた。
晴子の返事も聞かずに、花道は毛布をたぐりよせ肩まで引き上げる。
ほんのりと桃色に染まる、晴子の頬。
あらわになる肌を恥ずかしがる晴子を気遣い、そうしたのだろう。
不器用な優しさ。
それは、晴子が花道を好きな理由のひとつだった。
「人の肌が、こんなに気持ちいいなんて知らなかった。……桜木くんだから、なのかな?」
「ハルコさん……」
夢のように、だけどもリアルに、晴子の言葉が花道の耳に届く。
花道は、遠慮なく抱きしめた。
晴子の透きとおるような皮膚は、ガラス細工のように繊細に見える。
少しでも乱暴にすると壊れてしまいそうだった。
壊れないぎりぎりの強さで、晴子の身体を腕に抱いた。
花道の身体に、晴子も腕をまわした。
ありったけの力をこめる。
どんなに強く抱きしめても、びくともしない桜木の身体。
晴子は、この頼もしい身体に身をまかせることの悦びをかみしめた。
どうやってとか、どんなふうに、などという知識は余計なものに思える。
あまりに無垢な二人にも、当然備わっている人としての本能。
相手を強く想う気持ちさえあれば、自然と身体は動くもの――。
二人は今、それを肌で感じていた。
少女の面影を残す晴子だが、身体は成熟しつつある。
晴子に触れる花道の指は、初めてなりに懸命に動いた。
「……あ……ん……」
桃色に染まるふくらみが花道の手のひらにおさまると、晴子の唇から小さな声がもれた。
聞いたことのない晴子の声色は、花道を容易に男にする。
花道は、もう片方のふくらみの乳芯を唇で軽く挟んでみた。
少し控えめに幾度か挟んだあと、舌で転がすと、そこは花の蕾のように固くなる。
囁きにも似た、清らかな吐息。
少しずつ、その間隔は縮まっていく。
触れる場所が少し変わるだけで、晴子の身体が怯えるように震えた。
花道の愛撫に怯えているのではない。
その身体に生まれて初めてもたらされる快感に、身のすべてを預けてしまうのが怖かった。
自分が、自分で無くなってしまう。
そんな瞬間が、幾度も晴子の身体の芯から滲み出す。
「桜木君……なんか、ヘンな感じ……」
「……えっ?ヘンすか?」
もしかして触れ方が不快だったのか……。
そういう顔をした花道に、晴子は「違うの」と首をふった。
「……こんなことするのは初めてなのに、どうして気持ちいいってわかるのかな」
「ハルコさん……」
「ねえ、桜木君……ヘンよね?」
「……ヘンじゃないすよ、全然」
「やっぱりヘンよ。だって、もっと気持ちよくなりたいって思ってる、私……」
大きな瞳で花道を見つめながら、晴子のかわいらしい桜唇がそんな言葉をつむいだ。
どうして晴子は、こうまでも自分を夢中にさせるのだろう。
たまらなかった。
『もっと気持ちよくなりたい』
呼吸をするような自然さで、素直にそう告げた晴子。
可愛いとか愛しいとか、ひとつの言葉ではとても括れそうになかった。
どこまで、思うままにしたらいいのだろう――。
少し前まであった花道のそんな葛藤は、さっきの晴子の言葉で消え去っていた。
ほんわりと暖かい日なたのような晴子。
腕の中の晴子は、確かにそのままの晴子だ。
だが、時々ふいに女の顔になる。
清潔感を失うことなく大人びた顔をして、花道の愛撫に甘ったるい吐息で応える。
二人に掛けられていた毛布は、いつのまにか捲れあがっていた。
下がりきらない熱と、晴子のしなやかな肌の感触。
全身がふわりと浮いたようなやわらかい高揚を、花道は感じていた。
「汚れちゃうよ、桜木君……」
花道は、晴子の言った意味をすぐには理解できなかった。
晴子が瞳で訴えてみても、花道にはわかってもらえそうにない。
そう思った晴子は、諦めたようにはにかんだ。
「……下着が、汚れちゃう」
純潔そのものの晴子が口にした淫猥な言葉。
今までにない脈動が、花道を急襲した。
上下そろいの水色の下着が、枕もとの湯冷ましの隣りに行儀よく置かれている。
小さなアパートの小さな部屋で、二人は何も身に纏っていない。
晴子の、まだ誰にも知られていない場所は、花道のためだけにしっとりと潤っていた。
触れたいように、だけど大事に、花道の指がそこに触れる。
手付きは決して滑らかとはいえない。
それでも花道の無骨な愛撫は、晴子の身体を紅潮させ、さらに濡らしていく。
鼓動は、どんどん加速する。
それに反して二人の心は静穏そのものだった。
言葉なんてものは邪魔に思える。
花道が晴子を見つめると、ひとつになる覚悟を決めた瞳が見つめ返した。
身体を優しく覆った花道の首に、晴子が腕をまわす。
花道は晴子の頬へ口づけながら、ゆっくりと腰を落とした。
晴子の両手には震えながらも力がこもり、知らず知らず花道を引き寄せる。
「……あぁ…っ………」
一瞬、こわばりを感じたが、晴子の身体は待ち望んでいたかのように花道を受け入れた。
晴子の首筋に顔をうずめ、甘い香りの髪を撫でる。
花道の首もとで、晴子はギュッと両手を握り締めていた。
顔を見なくても痛みに耐えていることがわかる。
「……ハルコさん、大丈夫すか?」
「大丈夫……」
本当に、大丈夫なんだろうか。
心配になった花道は顔を上げ、晴子に目をやった。
「つらかったら、やめても――」
花道が言い終わる前に、晴子はその唇を一瞬だけふさいだ。
「やめるなんて、絶対ダメ。桜木君にも気持ちよくなってほしいから……」
そう言い終えた晴子の桜唇には、少しのためらいもない。
あとはもう、夢中だった。
「………あ…っ…、あぁ…………」
晴子が奏でる、痛みと悦びとが相俟った小さな音色。
それは時折我慢できないようにこぼれると、花道の鼓膜へ、か弱く響いた。
桜色に染まっていく透明感溢れる声。
無意識のままに締め付けてくる熱く湿った柔襞。
それは繰り返し押し入る花道を、搾り出すように甘く絡めとる。
これまで身体に感じたことがないほどの興奮に、花道はあっさりと呑み込まれた。
――熱が、あがってきたような気がする。
ぼんやりとそう思った時にはもう尽き果て、晴子の胸もとに顔をうずめていた。
「……今日から私は、桜木君のものね」
そう言って微笑む晴子が、さっきと同じように一瞬だけ女の顔をした。
まるで、花道と二人だけの秘密をもったことを楽しむかのように。
無理をしたせいか、再び混濁しはじめる花道の意識。
花道は、晴子の香りに包まれながら、また熱に侵された。
どうしてか今度は、かすかに心地良さを伴いながら――。
END
537 :
144:2007/06/28(木) 23:24:42 ID:MsalB5Sb
おわりです。
お付き合いいただきありがとうございました。
それではまたノシ
待望の花道×晴子最高!
可愛くて優しい雰囲気がよかった。二人の思いやる心情も伝わってきたし、前半ホロリときました。
職人様ありがとう!お疲れ様でした
GJ!GJ!GJ!
晴子さんかわいすぎる。萌えた‥‥!!!
540 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/29(金) 09:15:12 ID:P1PakHSS
ついに花道×晴子キタ…。゜.(ノд`).゜。待ってたかいがありますた。
エロパロ板なのに、キスだけでハラハラしてしまいました‥
花道も晴子さんもかわいすぎです
冒頭のインフルエンザって言葉で、桜木タミフルで覚醒→晴子を襲う
・・・って流れを想像したオレはマジで最低だOTZ
純粋だった十代の頃を思い出した。職人GJ!
GJ!!
544 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/01(日) 17:29:37 ID:piTd3d2P
ほしゅ。GJですた!!
原作の桜木と晴子が二人でいるときのホンワカした感じが浮かんだ。
晴子が口うつしで薬飲ますところにモエタ。
グッジョブ。
親心っていうか、やっとくっついたかぁ と感慨深い感じがしたお
548 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/04(水) 00:46:47 ID:LaCOF3PR
。゜.(ノд`).゜。GJ!!!
あれだ、アニメの歌思い出したわ。
君を好きだーと叫びーたいってやつ。ナツカシス。
今朝 流川×仙道 夢に見てしまった。
腐女子でスマソ。。。
>>550 自分も腐女子でもあるがここに書くのはマナー違反
552 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 11:37:13 ID:rC34NRY8
ホシュ
花道×晴子、超GJ!!!
このスレ神ばっかだな。
>>547 仲間w
ミッチーを剥げしくキボン
彩子さん家の流川君の続きが読みたいと言ってみる
>>555に便乗して言ってみる
実はこれで流彩にハマったので、職人さんが帰ってきてくれれば嬉しい。
保管庫管理人様、更新乙です。
いつもありがとう。
晴子さんのがもっと読みたいっす
559 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 16:20:25 ID:DbWZPfI/
ホシュー
私も晴子さんのをもっと読みたい!
ここの話を読んで流川が好きになりました!彩子さんと流川ってかなり良い!
晴子さんのSSは少ないからな
彩子さん程エロスを感じないし
だ が そ こ が い い
突然ですみませんが、晴子X流川のSS投下させていただきます。
内容は『全国があぶない!』のパロディとなっております。
よろしくお願い致します。
「だからね・・・こ、ここにこの公式を入れるんだけど・・・」
ギクシャクした面持ちで懸命に流川に説明をする晴子。
しかし、反応がないので不思議に思い、そっと流川の顔を覗き込んでみる。
「・・・・・・ZZZ」
流川は、既に睡魔に襲われていた。
「るっ流川君!だめよぅ、寝ちゃったら」
そういいながら、晴子は流川の肩をそっとゆすった。
「うらああああ流川ああああ!!てめえせっかくの晴子さんのやさしい心を!!
なんなら永遠にその目閉じるようにしてやろうか、ああーーーっ!?」
ちょうど晴子の対角線上の位置にいた桜木が、待ってましたとばかりに隣の椅子の流川にくってかかる。
「くぉんのバカたれが!!!人のことはどうでもいいから集中せんか!!!」
そう叫びながら、赤木が思い切り桜木の頭に拳を突き立てる。
期末テストの季節がやってきた。
赤木を除いた湘北バスケ部の主力メンバーは赤木の家に集まり、徹底的に勉強を教え込まれる。
本試験で赤点が続出してしまった彼らは、救済措置の追試に合格しなければ全国にいけないのだ。
そうなれば、湘北高校が全国で勝ち進む夢は水の泡だ。誰か一人欠けてもだ。
その意味で、この勉強合宿は湘北の命運を握る運命の合宿と言っても過言ではなかった。
「はっ・・・き、聞いてる。」
反射的に目を開け、流川は強がって答えた。
(クスッ・・・可愛い)
寝ぼけている流川をみつめながら、晴子の顔に笑みがこぼれる。
ふと時計を見ると、既に深夜の一時を過ぎていた。
「もうこんな時間か・・・赤木、そろそろ休ませてもらっていいか?」
全ての問題を何とか解き終え、疲労困憊の三井が寝ぼけ眼をこすりながら赤木に話しかける。
「おう、すまんがそこのソファーで横になってくれ。くれぐれも変な考え起こすんじゃねえぞ、おまえら。」
「へん、心配いらねえすよ、ダンナ。俺たちを誰だと思ってるんすか。」
こちらも彩子の指導で発奮し、全問解き終わった宮城が余裕の表情を見せる。
「あー、眠たくなってきちゃった。キャプテン、あたしも休ませて貰っていいかしら。」
そう彩子が呟くと、途端に宮城は目を煌かせながら彩子の側に擦り寄る。
「あっ彩ちゃん!!今晩は俺と時の経つのも忘れるような素敵な一時をぜひ・・・」
「はいはい、また今度ね。」
そう言いながら、彩子はリョータを扇子ではたき、軽くあしらう。
「はーっ・・・まったく、これだから心配が絶えんのだ・・・」
そう呟きながら、赤木はため息をついた。
「彩子、お前は晴子の部屋でいいな。鍵は後で晴子が閉めるから大丈夫だ。安心して寝てくれ。」
「はーい。じゃ、晴子ちゃん、お先に失礼ー。」
そう言いながら、彩子は大あくびを一つついて二階へあがっていく。
「桜木君も疲れたでしょ?ゆっくりしていって。」
晴子は笑顔で桜木に声をかける。
桜木は、いつものように、勝手にあらぬことを想定して顔が真っ赤になる。
「はっはっ晴子さん、いや、自分は、あの、その・・・」
その様子を見た赤木は、桜木の想像していることが予測できたのか、また怒り心頭となった。
「馬鹿者!!他の者もそうだが、特にお前は絶対晴子には近づけさせんからな!!」
「ぬぬ・・・ゴリ・・・」
桜木は、しぶしぶ問題集の続きにとりかかる。
「流川君も、後少しよ、頑張って。」
んーっと力のない返事が聞える。ダラダラとえんぴつを動かしながらも、流川は着実に
問題を解いていった。寝ることに関する執念は並大抵のものではない。
一方の桜木は、晴子に気がいってなかなか集中できず、ほとんど回答は進まなかった。
「・・・・・・・・できた。」
そういって、流川はほぼ閉じかけている目をこすりながら、晴子に答案用紙を手渡した。
「やった!流川君、おめでとう!」
思わず、晴子は自分のことのように喜んでしまう。
「ようし、流川、よくやった!勉強もやればできるじゃねえか。俺の部屋で休んでいいぞ。」
「うっす。お先っす。」
そう呟きながら、流川は二階へ上がっていった。
「じゃおにいちゃん、あたしも休んできていいかしら。」
「ああ、そうしろ。しっかり、鍵をかけて寝るんだぞ。」
「うん。じゃあね、桜木君、頑張って!また明朝ね。」
「ああ・・・・晴子さん、待ってくださあああい!!」
桜木は晴子を追おうとするが、赤木の丸太のような腕にむんずと襟元をつかまれた。
「おい、どこへいく。お前は問題が解き終わるまで、俺とマンツーマンだ。できるまで寝ささんからな。」
「おのれ、ゴリ!!こんなもん、ぱぱっと解いてとっとと寝てやる、絶対寝てやるからな!!」
こうして、一階では赤木と桜木の就寝をかけた張り合いが始まった。
どれほどの時が経っただろう。時計にして3時を回った辺りだろうか。
晴子はなかなか寝付けず、目が覚めた。
隣の自分の兄の部屋で、憧れの流川が寝ていることを思うと、いても立ってもいられなくなるのだ。
そっと鍵を開け、赤木の部屋に近づき、耳をたてる。かすかだが、流川の寝息が聞こえる。
胸に手を当てると自分で自分の心臓の鼓動がはっきり感じられた。
(いっ、いけないわ、私ったら・・・流川君の寝顔を覗き込もうなんて・・・
でもどうせ、鍵閉めてるし無理よね・・・)
そういいながら何げなくドアノブに手をかけると、予想に反してすんなりとドアは開いた。
(わわっ!か、鍵しめてなかったの。流川君、どうしよう、へ、部屋に入っちゃった。)
恐る恐る中に足を踏み入れ、月の光を頼りに目を凝らすと、流川はベッドにもぐりこみ、
布団に包まって死んだようにぐっすり眠っていた。
「ん・・・」
(!!!!)
流川が声を立てたことで、晴子は心臓が飛び出そうになりながらも、口を塞いだ。
しかし、流川は寝返りを打って声を出しただけであり、起きていないことが確認できると、
ホッと安堵のため息をつき、晴子は流川の隣りに腰を降ろした。
練習や試合で時節見せるあの鋭い目も、長い睫毛によって閉じられている。
(きれい・・・)
眠っていてもみとれてしまうほどのその奇麗な顔に、晴子はすっかり釘付けになり、食い入るように見つめた。
(もう少し・・・もう少しくらい近づいても大丈夫だよね・・・)
そう自分を納得させながら、晴子はさらに流川の顔に自分の顔を近づけ、吐息がかかるくらいまで接近した。。
次の瞬間、晴子はいきなり腕を引っ張られてベッドに引き込まれた。
「あっ・・・!る、流川君!?」
とっさの出来事に、晴子は頭が暴走しそうになっていた。
流川は既に目を開けており、焦点の合わない虚ろな表情で晴子をジーっと見つめている。
「ご・・・ごめんね、流川君。起こしちゃって・・・す、すぐ戻るから。」
晴子は、これ以上ないほど心臓を高鳴らせながらも、必死で思いついた言葉を搾り出す。
だが、冷静になろうとする晴子に、すぐにまたその思考が中断される刺激が走った。
「!んんん〜〜〜っ!?」
それは突然に唇を塞がれたからである、初めて唇に感じる、人肌の温もり。
流川に口付けをされて、ただでさえ興奮しやすい晴子はたちまち顔が真っ赤に火照ってしまう。
長い口づけ。一瞬の静寂が、とても長く感じられた。
ようやく離れ合う互いの唇。そして、見つめあう。
「る、流川君・・・」
晴子は、やっと静寂を切り裂くその一言を搾り出した。
朱に染まった頬。潤んだ瞳。濡れた唇。
「お前のことが好きだ・・・愛してる」
流川の思いがけない言葉に、晴子は思わず体を固めた。
「う・・・うそっ!?こんなことって・・・」
晴子の思考は、もはや正常な機能を失おうとしていた。
しかし、そんな晴子の動揺などお構いなしに流川は晴子の首すじに顔を埋める。
「嘘じゃねえ。初めて会った時から・・・いつかこうしてぇと思ってた。」
流川が再び顔を近づける。二回目のそれがどういう意味をもつか、鈍感な晴子にも直感できていた。
触れ合う唇。そして、今度は、流川の舌先が晴子の唇の間にゆっくり差し込まれていく。
どう受けとめたらいいかわからずにとまどう晴子に、ゆっくりと唇、歯茎と舌を滑らせ、慣れさせていく。
二、三度それを繰り返し、晴子がようやく僅かに開けたところに、舌がねじ込まれる。
一瞬、身体をふるわせた晴子だが、心地よい感覚に次第に力が抜けていく。
流川はそれを確かめると、さらに舌先を奥へと侵入させ、歯茎の裏をなぞる。
そして、二人の舌は互いに何度も行き来し、唇の間の空間で一つに解け合うようにして絡み合っていく。
「んあっ・・・」
晴子が大きく仰け反って、二人の舌はようやく離れた。
だが、次の瞬間には、力を失って、流川の身体によりかかってしまう。
「はあっ、はぁっ、はあっ……」
晴子は、まるで長い距離を走ったかのごとく息をはずませていた。
そして、その息が弾んでいるのは、もちろん体力的なことからだけではなかった。
ゾクゾクと背筋を上って来る余韻に震えながら、ひとまず抜け出そうと必死に体をくねらせる。
が、流川は更にキツク晴子の体を抱きしめお互いの体をピタリと密着させてきた。
そしておもむろに晴子のシャツの中に手を入れて胸の方へ滑らせた。
「あ・・・ダメよ、流川君・・・!」
晴子は顔を真っ赤にさせ、必死になって流川の手を掴み離そうとするが
力の差は歴然としており、流川は指で晴子の胸を刺激し始めた。
「あっ・・・いや・・・ん!」
目に涙を浮かべながら、自分でも驚くほどのいやらしい声が自然に出てきてしまう。
「かわいいぜ、お前。」
流川は耳元で囁きながら首筋に軽くキスをすると、首筋あたりに唇を移動させ何度も吸い付いた。
(どうしよう・・・こんな声出してちゃ・・・お兄ちゃんや桜木君に・・・気付かれちゃう!)
晴子は、消えかけようとしている理性を必死に振り絞って今ある状況をどう乗り切ろうかを考えようとした。
しかし、流川の行為は晴子の意思に反して、さらに激しさを増していく。
最初はソフトにやわらかく。胸全体を包み込むようにする。そして次第に、その指は頂点へと近づく。
じらすようにして、周囲を何度も丸く撫でるようにしたあと、人差し指で、乳首を転がすように愛撫すしていく。
「あっ……はっ……ああっ……」
息も絶え絶えの悩ましい声が漏れていく。耳元にその呼吸を感じた流川はは、晴子の耳を舐め上げる。
「ふぁ・・・ん!」
瞬間、晴子の体に電流が流れたような衝撃が走り、ぴくりと身体を揺らした。
「あ・・・」
ぴくっぴくっと小刻みに身体が揺れる。晴子は、流川の行為の虜となってしまっていた。
「今夜は・・・お前をめちゃくちゃにしてぇ・・・いいか?」
「流川君、うれしい・・・私も、こういう時を夢見てたの・・・私の身体・・・好きにしていいよ・・・」
流川の甘い言葉に、普通の自分では言えようはずもない台詞がスラスラと出てくるのは自分でも不思議だった。
脳に普段と違う思考回路がついているのではないかと思ってしまうほどだ。
だが、そんなことは今の晴子にとってはどうでもいいことだった。
流川はゆっくりベッドから起き上がると、晴子の服を脱がしてゆく。
やや小柄ながらも、ふくよかな乳房を持った愛らしい晴子の裸身があらわになる。
「ん・・・恥ずかしいよ・・・流川君・・・」
晴子は顔を赤らめ、目を背ける。
「何言ってんだ・・・奇麗だぜ、とっても。」
流川はそう言うと、改めて晴子を引き寄せて乳房への愛撫を行う。
ゆっくり唇を胸へ押し当て、左右の乳房に強烈な口付けを行う。
そして、ゆっくり先端に舌を絡ませ、なめまわしてゆく。
「はん・・・!ん・・・!」
流川の舌が動くたびに、反射的に晴子の身体が震える。
想像していた以上の刺激的な感覚が晴子の体をかけめぐっている。
流川はその反応を楽しむかのように、赤子のように晴子の乳房に吸い付く。
「あっ・・・あふっ・・・んっ・・・」
晴子は恥ずかしい声を響かせないように嬌声を押し殺そうとしている。
しかし、指の間から漏れる甘い声が部屋に響き渡る。
流川は晴子を仰向けに寝かせると、ゆっくり晴子の下半身に顔を近づけ、舌を秘部へと伸ばした。
秘部のまわりに茂る恥毛をかきわけるように舌を入れ、陰唇を刺激する。
「きゃふぅっ・・・!!」
言葉では表せない奇妙な感覚に、晴子が悲鳴にも似た声をあげて、体をよじらせる。
陰唇の先端にある芽を舌先で転がせる。
「はぅん・・・ふぅ・・・はんっ・・・]
試合中と変わらぬ流川の怒涛の責めに、晴子の目の焦点がぶれてきた。瞳は潤み、明後日の方をむいている。
秘部の亀裂に、既に充分すぎるほどの湿り気を感じると、流川は自らの衣服もそっと脱ぎ捨てた。
下腹部にそびえたつ自身を握りながら、そっと晴子に覆いかぶさる。
お互いの体温が肌を通して伝わってくる感触にうっとりしつつ、最後の行為に向けて互いに気持ちを整える。
「いくぜ・・・ちょっとだけ痛いかもしんねえけど・・・すぐ気持ちよくなっから・・・」
流川の言葉の真意が理解できず、晴子は身体を預けるしかなかった。
ただ、自分のために全てを捧げてくれる人がいるのだから、自分も意を決して
自分の全てを捧げねばならない。そう晴子は覚悟を決めて、目をつぶった。
流川は自らのモノに手を添えながら、慎重に晴子の秘部にあてがうと、一気に腰を進めた。
「あんっ・・・!」
晴子は背筋をのけぞらせ、家全体に響いたかもしれない甲高い嬌声を上げた。
今まで経験したことのない激痛が晴子の脳幹を襲い、びくびくと痙攣を引き起こしている。
「んあっ!はん!あん!・・・・だめ・・・流川君・・・!死ん・・・じゃうよ・・・!」
晴子は流川の背中に両腕を回し、必死に自らを襲う感覚に耐えようとする。
しかし、激痛に耐えている晴子の脊髄を、びくびくっと快感の渦が湧き上がって行く。
「う・・・っ!!!」
流川が最後の力を振り絞り、最後の一突きで晴子に思い切り腰を打ちつけた。
「ああああっ!」
どくっどくっという身体に流れる音と共に、熱い液体が奥に放出されてるのを感じる。
(流川君・・・ありがとう・・・これからも、ずっと一緒だよ・・・)
ぼろぼろと涙を流し、身体中で流川の精を受け止めきると、晴子は深い眠りに着いた。
翌朝。いつものように、静かな夜明けを切り裂く赤木の轟音が木魂した。
「起きろー!!いつまで寝てるんだ!!」
喧々囂々と赤木はいつものように怒鳴りたてるが、その目はやつれていた。
「ふあー・・・よく寝た。ありゃりゃ・・・ダンナ、だいじょうぶっすか。」
「おい赤木、おまえはキャプテンなんだから、そんなに無茶することもなかったろうによ。」
「くぅ・・・俺だって好きでやっとったわけではないわ、馬鹿者・・・」
赤木が寝ぼけ眼をこすりながら愚痴をつぶやく横で、桜木がこれまたクマのできた目をこすりながら文句をたらす。
「へん、こうなったのも一晩中ギシギシと誰かさんの家で、でけぇねずみが
暴れてやがったから集中できなかったせいじゃねえか。」
「ふん。この期に及んで言い訳とは、一から性根を叩き直さねばならんようだな、ばかもんが。」
そういい合いをしている横で、晴子が降りてきた。
「何だ晴子、その格好は。夕べは寝相でも悪かったか?」
「え・・・?」
晴子は寝ぼけ眼で自分の服を見た。
「うわっ・・・!こ、これはその・・・夕べ大きい虫が出ちゃって・・・」
乱れていた服や髪をさりげなく直しながら必死で答える。
「虫くらいで騒ぎすぎだばかもん・・・まったく、どいつもこいつも・・・」
「うぃーす・・・」
晴子が何とか取り繕ったとき、突然後ろから流川の声がして晴子は思わず飛び上がった。
「何こんな時間までのんきに寝てやがんだ!もう出発の時間だぞ!」
「いっとくけど、飯はみんなでもう食べちまったからな!」
「なーははは!!流川、てめえに食わせる飯はねえって晴子さんも言ってるぜ!」
「桜木くん・・・そんなこと・・・」
皆の大声が響くなか、晴子はボンッと顔を赤らめてモジモジとしていた。
「流川君・・・ゆうべは・・・その・・・」
皆が家を出た後、遅れて家を出ようとした流川に晴子は思い切って話しかけた。
「・・・・? 何だ、どうした。」
「えっ・・・その。」
流川のそっけない態度に、晴子は思わず戸惑った。
「しょうがないわね、流川。まだパン一枚だけ残ってたから焼いたげるわ。ちょいと待ってなさい。」
「うっす。お願いしやっす。」
そう流川と会話を交わした後、彩子が晴子に声をかけた。
「は・る・こ・ちゃん、昨夜はお楽しみだったみたいねぇ♪」
そう彩子に指摘され、晴子は心臓が止まるくらいびっくりした。
(わーーーー!!ちょっと、ダメよ、彩子さん。どうして、それを・・・)
「だってね、昨日トイレに行こうと思ったら鍵が開いててびっくりしたのよ。
晴子ちゃんの寝てたスペースまだ温かかったし、こりゃ何かあったなと思ってふと隣の部屋を見てみたら・・・
鍵が開いてたもんで覗き見しちゃった。すごい激しそうで羨ましかった。若いっていいわねぇ。」
晴子は、そういいながらニヤニヤと肘打ちする彩子にますます顔を赤らめキャーキャーと口を塞いだ。
「あいつね、自分で言ってておかしかったんだけど、試合中と夢の中じゃ人格変わるんですって。
だから、きっと昨夜のことも覚えてないわね。」
「そんな・・・」
「何でもいいわよ、晴子ちゃんは至福の時経験できたんだから。あーあ、あたしもリョータとしとけば
よかったかなぁ。」
「彩子さん・・・そんな・・・」
「あ、パンが焼けたみたいね。じゃあね晴子ちゃん、また学校でね。おーい流川、これ頬張っていきなさい。」
そういい残すと、彩子はパンを流川に渡して走り去っていった。
「る、流川君・・・昨夜はありがと・・・また・・・いつか昨夜の続きしようね。」
そう顔を赤らめながら笑顔で走っていく晴子を見てクエスチョンマークを浮かべながらも、
流川は機嫌よさそうに鼻歌を歌いながら自転車に飛び乗った。
------------------------------------------------------------------
以上です。素人なもので駄文失礼しました。
次の職人様へのつなぎと思っていただければ幸いです。
ありがとうございました。
ぐっじょぶ
>>563 GJ!流川‥なんて罪な男だw
個人的に藤井ちゃん好きだな。
ぐぐって来ますた。もっと早くこのスレ知りたかったorz
これから全部読む。
連続ハルコさんで萌えた
つヒント盗作
なんの盗作?
ただの荒らしじゃ?
夏休みにはまだ少し早いだろ
職人、気にすんな
晴子さん読めて嬉しい!!ありがとう!!
流彩が読みたい
流川×晴子GJ
乙ですた
「木暮センパーイ、卒業のお祝い何がいいですかぁ?」
3年生全員の進路が決まったと聞いて、あたしたちは壮行会を開いた。
まぁ、それを理由にした飲み会ではあったんだけど。
少しばかり酔っていたあたしは赤木先輩にすら言わないことを木暮先輩に言い、木暮先輩は
冗談ぽく「じゃあ彩子ちゃんのキスでー」なんてかわし方をした。
その時も、酔った頭でちらりと(こんなかわし方、木暮先輩っぽくないなぁ)と思ったのだけれど、
もちろんあたしも「じゃ卒業式で〜」なんて流したのだった。
赤木先輩がムチなら木暮先輩はアメで、厳しすぎるキャプテンのフォローを実にうまくやってのけていた。
たぶん赤木先輩は、木暮先輩がいるから安心して後輩達を厳しくしごけたんだ、と思う。
穏やかでポーカーフェイスでいつも落ち着いていた木暮先輩は、地方の大学に合格し、4月からはそっちで
一人暮らしを始めると聞いた。
卒業式も終わって、あたしはいつものクセで体育館へ向かった。
ダムダムダムとドリブルの音が聞こえて、今日は練習はないハズなのにと何気なく覗き込んだ。
木暮先輩だった。たったひとりで。
制服の上着を脱いで、ワイシャツの袖を捲り上げて。
男くさい連中ばかりのバスケ部で、木暮先輩はどっちかと言えば線が細くて中性的だと思っていたんだけど……。
はじめてひとりでプレイしている姿を見たら、そんなことなかったんだな、って思った。
「あれ? 今日練習あるの?」
「ううん、ないんですけど……、音がしたから。木暮先輩こそどうして? 赤木先輩とは一緒じゃないの?」
「赤木はもう大学の練習に混じってるから、今日もそっちに行ったよ。俺は、しばらくバスケ出来ないから……」
「大学ではやらないんですか?」
「んー。理系だから、たぶん時間とれないと思うんだよね」
「そっかぁー、残念です」
「もう帰る?」
「そー、ですねぇ。ま、そろそろ」
「じゃ途中まで一緒に帰ろうよ。もうちょっとだけ待ってて」
「ハイ」
3Pシュート。最後の一本。
パシュッとキレイに決まって、木暮先輩は「おっしゃ!」と両拳を脇に引き付けた。
「ナイッシュー、木暮センパイ」
木暮先輩が汗を拭くのにメガネを取って、あたしは見るともなしに見ていた。
メンバーのひとりとしてじゃなくて、はじめて木暮先輩個人の素顔を見たような気がする……。
「ありがと、最後の練習に付き合ってもらって」
木暮先輩がにっこりと笑って言う。いつもの穏やかな顔だ。
「センパイ。あたし、卒業のお祝いしなくちゃ」
「いや、いいよ」
先輩が苦笑する。そう、たぶん笑って断るだろうとは思っていた。
でも、好奇心が抑えきれなくった。木暮先輩は、どういうキスをするのか、っていう。
「でも、約束したから」
あたしは先輩の前に立って彼のメガネを外す、いや外そうとした。
「……メガネ、外されるのキライなんだ」
木暮先輩が顔をそむけてあたしの手を掴む。そのまま体育館の扉に手を押し付けられた。
予想外のことに驚いていると、先輩があたしの顔を覗き込んでくすっと笑う。
「やめよう」
「いえ、約束ですから」
思わず意地になって言うと、先輩は一瞬顎をあげてあたしを見下ろした。
大人のキスだ、と思った。
リョータの貪りつくようなキスとも違う、今まで付き合った男たちとの誰とも違う、余裕のあるキス。
「ん……」
ゆっくり、じっとりと口腔を責められて、吐息と一緒に声が漏れた。
彼が唇を離す。
あたしの濡れた下唇を親指でゆっくりなぞりながら、くすりと笑う。
たぶんあたしの表情を見て笑ったんだ。
だって、キスだけでもうこんなに身体が熱い……。
「卒業祝いありがと、美味しかった」
またいつもの顔に戻って先輩は穏やかに言う。まるでさっきのキスが嘘みたいに。
あたしは置いてきぼりにされて、少しボーっと先輩の胸あたりを見つめてしまう。
「ほら、帰ろう?」
「……あ、ハイ」
それとも、と先に行きかけた先輩が振り向きざまに、まだ立ち止まっているあたしを見て言った。
「それとも、家に来る?」
こんなの、あたしらしくない。でも、あたしらしいって何だろう?
木暮先輩の誘いに返事も出来ず、ただ黙って先輩の後をついて歩いた。
断ったって良かった、断るべきだと思った。けど。
あたしが今度この人に会えるのはいつ?
もしかしたらもう何年も、もしかしたらもう一生会えないかもしれない。
彼が地方に越した後、さっきのキスをあたしは何回思い出すのだろう?
あのキス……。思い出して顔が熱くなった。
マンションを上がるエレベーターの中で二人きりになっても、先輩はいつもの表情を崩さない。
「どうぞ」
玄関のドアを開けてあたしを部屋へ招き入れる。
かなりの広さがある、おそらくこのマンションで一番広い、高層階の角部屋だ。
「ここが木暮先輩の家?」
「ん、まぁ、母親の持ち物だけどね」
その辺に座ってて、と先輩が冷蔵庫からピッチャーを出して、アイスティでいいかな、とグラスに注ぐ。
無駄な物がないリビングルーム。綺麗で生活感のないキッチン。
「○○クリニックって知ってる?」
「あー、はい。美容外科とかエステの?」
「うん、母親、そこのオーナー。ここには寝に帰ってくるだけ」
木暮先輩の頬の辺りを眺めて、確かに肌はキレイだと感心する。
「俺は何もしてないよ?」
笑って言う。他意のない優しい笑顔につい見とれてしまった。
……アイスティの氷がカランと音をたてた。
木暮先輩はいつの間にかあたしの隣に座ってて、あたしたちは二度目のキスを交わした。
今度はあたしにも少し余裕があって、あたしたちは何度も息継ぎをしながらキスを繰り返す。
先輩の指があたしのうなじから髪の生え際をなぞり、結局あたしはまた小さな声を漏らした。
余韻を残しつつ唇を離したあたしたちは、何となく見詰め合った。
先輩はひょいとソファから立ち上がる。
ちょっと腰がくたんとしたあたしの右腕を掴んで立たせると、そのまま歩き出した。
リビングを出て、マンションなのに結構長い廊下を通り、ドアのひとつを開いてあたしを促した。
広い部屋に、パソコンが載った机と本棚、奥にダブルベッドが見えた。
ここまで来て今更なんだけど、ちょっとためらって立ち止まってしまう。
木暮先輩はそんなあたしを見てくすりと笑った。
「卒業祝いにここまでは入ってないからね、今日は帰る?」
何それ。
それはそれで悔しくて、あたしはつんと顎を上げて部屋に入った。
あたしの後から部屋に入って、先輩はドアの鍵を閉めた。
「キレイな部屋ですね」
今までにない緊張感がおそってきて、あたしはつまらないことを口にした。
先輩はちょっと驚いた顔をしてあたしを見た。
「えっと、もしかして後悔してるならやめない? 俺も、バスケ部の後輩とこうなるの、実のところどうなんだろって気もするし……」
「そんなことはないです!」
天邪鬼の性格がたたって、あたしは勢いで制服のジャケットを脱ぎ捨てた。
ブラウスのボタンに手をかけると、木暮先輩はくすくす笑いながらあたしの手を止めた。
「そっから先はいいよ」
それからあたしをそっと抱き締めて、また唇を奪った。
バスケ部の中じゃ身長が高いとは思えなかったんだけど、実際に抱き締められるとやっぱりちゃんとスポーツマンの身体つきなのだ。
先輩はブラウス越しにあたしの背中をやさしくまさぐって、ブラのホックを外してしまった。
布一枚越しなのに、指がやけに敏感に感じられて、あたしは合わせた唇の間からくぐもった声を漏らした。
背中に触れていた手が降りて、短いスカートを捲り上げる。
優しいタッチで大胆に内股を撫でて、あたしはとうとう立っていられなくなって膝を折った。
「ベッド、あっちだけど……。歩ける?」
片腕であたしの身体を支えて、顔を覗き込む。
いつもと同じ穏やかな表情が、やけに大人で、得体の知れないものに見えた。
「……歩きます」
あたしは先輩の腕にしがみつきながら立ち上がり、先輩のアノ時の顔ってどんな風に歪むんだろうって考えた。
汗で歪んだ顔なら部活や試合の時に何度も見てるけど、たぶんその顔とは違うものなんだろう……。
なんてことを考えていたら、先輩が急にあたしを抱き上げた。
「ちょ! 何すんですかセンパ……!」
「や、こういうことやってみたくて」
先輩は笑いながらあたしをお姫様抱っこして歩くと、キレイに整えられたベッドにあたしをそっと降ろした。
「もう……、びっくりするじゃないですか!」
「やだった?」
聞きながら先輩はあたしに顔を近づけ、キスはせずに耳に口を寄せた。
「や、じゃないですけど……あっ……」
耳を甘く噛まれて、あたしは思わず小さく声を上げた。
「……感じやすい?」
「ち、が……」
違う。いつものあたしと違う。
先輩の右手が器用にブラウスのボタンを外していって、素肌に触れた。
あたしの息はそれだけで上がって、胸は恥ずかしいほど上下した。
なんだろう、なんでこんなに感じるんだろう?
考える間もなく先輩の右手はゆるんだブラジャーの下から胸元に忍びより、触れるか触れないかのところで乳房をまさぐった。
唇は耳から顎を伝って喉元までおりて、やさしく口づけをする音が響いた。
優しすぎるほど優しい愛撫がじれったかった。
でも、いつも男と抱き合うように自分から身を起こしてリードしたいとも思わなかった。
まだ触れられていない乳首は痛いほど立っているのは分かっていたけど、あたしはじれて身をよじるほどだったけど、
身体は既に汗ばんで先輩の次の愛撫を待ちきれないほどだったけど、あたしは我慢した。
「待ちきれない?」
先輩はあたしの顔を見上げてちょっと笑う。
「え?」
「ここ……」
先輩はようやくあたしの乳首に唇をつけ、あたしは恥ずかしいくらい身震いして声を上げた。
そこから、スイッチが入ったみたいに夢中になった。
起き上がって先輩のワイシャツのボタンを外して、素肌で抱き合って、それから何度もキスをした。
あたしのキスはきっと噛み付くみたいな勢いだったと思う。
先輩のメガネが少しズレて、あたしの汗がついて曇る。
外そうと手を伸ばしかけて
「あ……、外されるの、ヤなんですよね」
「ん」
ちょっと横を向いてカチャリとメガネを外すと、ベッド脇のテーブルに置いた。
あたしは初めて見る人みたいに先輩を見て、髪の生え際から先輩の顔をなぞった。
額と頬、鼻筋、くちびる……、甘く噛まれて濡れた指のままで先輩の形のいい唇をなぞる。
先輩の両手がまたあたしの乳房を包み込んだ。
……先輩の指がようやく下に降りてきた時、あたしは先輩の首に両腕でしがみついて喘ぐことしか出来なかった。
俯いた先輩の首の後ろから日なたの匂いがする。
制服のスカートは捲れ上がって、時おり感じる冷たさに、自分がどのくらい濡れているか予想はついていたけれど、
下着の脇から先輩の指が文字通りすべるように入ってきて
「あ、すご……」
と言いながら軽く水音を立てたときに、あたしは先輩の肩に額をぶつけて首を横に振っていた。
「やっ、うそ……」
「だって、ほら」
指があたしの中に何度も浅く出入りして、そのたびにくちゅくちゅと湿った音が響いた。
あたしは先輩の首にまわした腕に力を込めて、先輩の肩に歯を立てた。
「いや、ぁ……」
先輩の親指が、あたしのいちばん感じるところを探し当てる。
「やっ! センパ……!」
「いや?」
震わせた指が確実にあたしを追い詰めて、あたしの内股がひくひくと無意識に動き始めた頃に、先輩は手を止めた。
「いやなら、やめるよ?」
「……いや……」
あたしは先輩の肩に顔を押し当てて首を振る。
「だから、やめよう?」
あたしは無言で先輩の肩に顔を押し付けて首を振り続けた。
先輩がまた軽く指を動かした。あたしはまた震えて声を上げる。
指はすぐに止まって、先輩があたしの顔を覗き込んだ。
「どっち? やめる?」
「……いや、やめないで……。もっとして……」
今まで何とも思っていなかった部活の先輩とこうなって、こんなに感じている自分が恥ずかしい。
それよりも、こんな言葉を口にする自分が恥ずかしい。
恥ずかしいのに……、その言葉を言った瞬間がいちばん興奮したなんてあたしは本当にどうかしてる……。
先輩はあたしが望んでいたところには触れないで、中へ指を差し込んだ。
一本、少し動かしてからもう一本。
先輩の指があたしの中を探ってる。
さっきみたいな直接的な刺激じゃなくて、中からじんわりと熱が伝わって、いつの間にかあたしは汗をかいていた。
……口が、渇いて、身体が熱かった。
こんなに欲しいと思ったのは初めてだった。
「せんぱい、せんぱ……」
「欲しい?」
あたしはまた無言で首を振る。今度は縦に。
先輩がちょっと身体を離す。
ベッド脇のテーブルからゴムを出すと、制服のベルトを外して手馴れた様子でそれをつけると衣服を脱いだ。
そしてまたあたしの腰を抱えると「このままいい?」と聞いた。
「あたしやったことな……」
「掴まってて」
先輩の首に腕を回してちょっと腰を浮かすと、先輩があたしの中にゆっくり入ってきた。
「ちょっとキツい……」
「ん、くっついてみてよ」
先輩があたしの背中に腕を回して抱き寄せる。
胸がぴたりと合って、先輩の鼓動が直接伝わってきた。
あたしは少し自分を取り戻して、顎を上げると先輩の口の脇に軽く歯を立てた。
先輩がすかさずキスをやり返す。何度か繰り返してあたしたちは思わず笑い声をたてた。
「変だな」
「変ですね」
あたしたちは少し真面目な顔になって、今度は真面目なキスを交わした。
下半身が繋がっているのに真面目なキスってのも変な話だけど、なんとなくその時はお互いに真面目だった。
お互いを求めて真面目だったのか、それとも自らの快楽を求めて真面目だったのか、それとも両方だったのかもしれないけど。
求め合って深くなるキス、あたしの胸をまさぐる熱い指、首に絡んだ腕が汗で何度か滑った。
何度も何度もあたしの中を行き来する熱い塊。
先輩がひょいと指を下に下ろした。優しく押し当てられたそれは、既に尖りきったあたしの蕾をとらえて離さない。
「あ! あぁ……っ!」
一気に身体中から汗が噴き出した。
ぎゅっとつぶった目から涙がにじみ出る。
「セ、ンパイっ! いや! はぁっ、ん!」
こわい、身体が自分の物じゃなくなりそうで、……こわい。
先輩が下から突き上げながらあたしの胸に唇を強く押し当てる。
先輩の息遣いが荒くなった。
あたしはもう少しでイケそうなところでずっと待ちぼうけをくらっている。
顔が汗と涙でぐしょぐしょになって、喉の奥でかすれた声が出る。
手が汗ですべってほどけた。あたしは後ろにのけぞって、先輩が身体の奥底を突く。
頭の中に何度も何度も白い火花が散った……。
あたしの中で熱いかたまりがどくんどくんと脈打って、あたしはベッドの海に投げ出されたままそれを感じている。
内腿ががくがく震えて、身体中がびくんと時おり大きく波打った。
先輩が重そうに身体を起こして、同時にあたしの中から熱いものが出て行った。
あたしはため息と少しの声を上げて、放置された身体が淋しくなったのを感じている。
再び戻ってきた先輩は、あたしのそばに横になって気だるそうにあたしを抱き寄せた。
されるがままに先輩の腕に頭を乗せて、あたしは背中を丸めて先輩の肌に顔を押し付けた。
そのままとろとろと眠りそうになったところをこらえて、口の中で呟いた。
「先輩、彼女いるんだ?」
目を閉じかけていた先輩はちょっと考えて
「いや、いないけど」
「だって、ゴム……」
ゆるゆると腕を上げて脇の小さなテーブルを差す。
「あぁー……。いや、彼女とかじゃないんだ」
あたしはちょっと興味もって顔を上げた。苦笑した先輩と目が合う。
いつもみたいな穏やかな表情で、先輩はちょっとためらってから話だした。
「俺さ、何故か昔から年上にモテて……」
「?」
「モテるっていうか、オモチャにされるっていうか……。家庭教師とか、病院の看護師とかに」
「あぁ……」
あたしは何て言ったらいいか分からなくて、先輩の顔を見つめていた。
先輩は今度は自嘲的に笑う。
「母親の会社の取材に来た、美容雑誌の記者」
「え?」
「今の相手」
「……全然そういうの、気付かなかった」
「そりゃ、俺も線引きしてたし、学校とは」
先輩はあたしの肩をぎゅっと抱いて顔を隠した。
「同年代の子とするの初めてだった」
語尾が少し震えたのを感じて、あたしは胸を突かれた。
「大学、地方にしたのも、こういうのに疲れたっていうか、こういう関係を終わらせたくて」
あたしは先輩の頭を抱いた。あやすようにぽんぽんと軽く撫でる。
「……ちゃんと、彼女とか作れるかなぁ」
「大丈夫ですよ、大丈夫。先輩はかっこいいです」
身支度を終えたあたしは、先輩に送られて夕暮れの街に出た。
駅のホームで、先輩が照れくさそうに笑った。
「ありがとう。本当にいい卒業祝い貰っちゃったな」
「彼女出来たら教えてくださいね」
「うん、ありがとう……」
ちょうどに来た電車に乗って、あたしは先輩に手を振る。
先輩に彼女が出来たら、あたしはちょっと胸を引っ掻かれるような気持ちになるんだろう……。
遠く離れていく先輩の姿が、にじんだ涙でぼやけていった。
木暮と彩子は以上です。
需要ないのにスミマセン。勢いと思いつきで書いてしまいました。。
読んでくださってありがとうございました。
リアルタイム━━━━(゚∀゚)━━━━!!!
うわ〜メガネ君だ!
GJGJGJ!
メガネ君キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!
床上手なメガネ君最高です
うわ〜、以前リク出てたけどまさか本当にメガネ君の話が
読める日がくるなんて…
ここはなんて素晴らしいスレなんだ!
余裕たっぷりに綾子さんを翻弄するメガネ君に萌えまくりです。
年上のお姉さま方にイロイロ習ったんだろーなーw
テクニシャンだ木暮w
GJです!
ノーマルCPのSSが読めるところって少ないんで自分にとってここは非常に貴重。
職人さんたちの投下に日々感謝!
職人さん達GJ!
晴子さんと彩子さんはそれぞれ違った魅力があっていいな
スラムダンクのエロパロスレ出来た当初は
まさかこんなに沢山神が現れるなんて予想してなかった!!
ノーマルCPもイけると改めて実感!!
小暮に激しく感動!
GJすぐる!!!
…君の腕でゴリ作品も頼むw
ゴリというと、ウホーなわけで・・・
「ウホッやらないか?」は外せないようなw
メガネ君、最高すぎる!! GJでした!
流川×晴子希望
好きな人に抱かれる晴子さん萌え
彩子さんちの流川君の続きをひそかに待ち続けている…
604 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/21(土) 16:38:10 ID:y4eis4pT
同じく。続き読みたい。職人さんカモン。
いやお願い致します。
あの後彩ちゃん帰ってきたのかな?゚+.(*・∀・)ハァハァ゚+.゚
彩子さんが帰ってきて、流川がちゃんと客間で寝てるか覗くんだよきっと。すると流川が寝呆けて起きてきて…な展開だとハァハァです(*´д`)
『彩子さん家の流川くん』で流彩にはまった俺も便乗して帰還祈願しる
個人的にあの雰囲気が好きだからエロくなくてもいいから帰ってきてほすぃ
ひらに、ひらにお待ち申し上げる
ちょw大人気w
609 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 15:19:59 ID:rH0gpYRU
ファン多いな…
おれもだけどwwwwwwwwwwwwwwww
ってかこんなに待ってるんだから書いてくれなきゃイヤダイ(AA略
リョ彩が好きな自分は所詮少数派
三彩が好きな自分は超少数派
>>610 そういうこと言っちゃだめ!
素直に萌えを語ればノッてくれる人いるよ。
私は木暮先輩好き〜
意外なところで藤井さんとか松井さんあたりと・・・
特定のカップルにこだわりはないが
彩ちゃんの話は大抵リョータが泣くことになって切ないw
前にあったミッチーと晴子ちゃんの話はよかったなぁ。
両想いになるとこ見たかった。
でもこのカップルが成立したら花道が泣くだろうな。
リョータいいよリョータ
リョ彩はリョータの完全片思いに見えて、彩子が随所で思わせぶりな所が萌える。
あとリョータは経験値は低そうだけど天然テクニシャンっぽいし。
原作の恋人未満な空気が凄く好き
三井×藤井萌な自分は絶滅危惧種
ゴリ×彩子に萌え。
実はゴリって「彩子」って呼ぶし、
彩子もゴリに尊敬の念があるし。
もしかするともしかしちゃったりして?!みたいな。
…所詮幻想さonz
ここ読んでから「イイ!」と思ったCPは何組かある。
基本的に組合せを気にせず楽しめる自分は節操ないけど得かもしれん。
とにかく職人さんカモン!
このペースだと1000前にスレが500KBいきそうだね
三井×晴子は他にもありますよ。前スレか保管庫参照。
晴子さん受けが読みたくて堪らない俺が来ましたよ
自分も三井×晴子のSSすごくよかった。
ROMるだけで滅多にカキしないエロパロ板にこーゆう風にカキするくらいだもんw
というか、♂×♂以外どの組み合わせも大丈夫だし、
ここの職人さんはみんなGJだと思う。
壁‖・ω・`)オハコンバンチワ
お久しぶりです。
私事により途中でほっぽる形になっちゃってすみません。
更に、「まあ皆さん忘れてくれているはず」と高をくくっていた所へ拙作の話題を出して頂いたりして、
ほんとにもう、お詫びのしようがありませんです。重ね重ねごめんなさい。
で、せめて「彩子さん家の流川くん」を完結させようと先ほどから頑張ってます。
少々お待ち頂ければ嬉しいです。
>>625 ちょっぴり諦めてたんですが帰ってきてくれて嬉しいです
首を長くして待っています
>>625 おお!乙です
流彩のんびり待ってます
いつも萌えな作品をうpしてくれる職人さんたちに感謝だ
628 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/30(月) 23:39:55 ID:hdEGyoRF
>>625 お帰りなさい!!!!!!!!!
話題にした1人です。言ってみるもんだな!
靴下だけはいて待ってる
保守保守
職人さん達気が向いたら投下してくださいね
職人様方はバカンスにでも出かけているのだろうか…。
このスレだけじゃないけれど夏は投下が減るなあ。
お盆明けに期待!
おかえりなさい!!!のんびり待ってます(´∀ヾ)
このスレ大好きです
今度も嘘じゃないっす
こんばんは。
先日現れてからまた結構な間が空いてしまいました。
オチの着け方にまだ迷っている最中ですが、
スレの保守代わりにということで、一先ず区切りの良い所まで投下させていただきます。
【03:20:02】
―――夜の空気に、自転車の走る音だけが響いている。
重い瞼を持ち上げて見る遠くの空はぼんやりと明るい。
慣性の法則に任せきりの走行は目的地に到着したことで軋む音を立てながら漸く
おさまり、彩子はのろのろとした動作でサドルを降りると空気漏れみたいな溜息を吐いた。
別に自転車を借りた相手が流川だったから、彼の習性が染って、というわけではなく。
彩子は今、猛烈に眠りたかった。
近所のファミレスにドリンクバーで粘ること数時間。
すなわち、どういうわけだかあたしを一方的に慕ってくれているクラスメイトが、
延々と別れたばかりの男を罵倒するのに費やした時間だ。
放って帰ろうかとも考えたが、付き合いだしてからの状況の逐一を
知っている身としては最後まで見届けるべきだろうかと妙な責任感で頑張ってしまった。
最終的にクラスメイトは彩子に泣きながら抱きつき、
「やっぱ彩子は最高だよぉ。さすが親友だね!」と勝手な認定に納得して帰ったのだし、
彼女の気持ちが満足したならそれで良いのかもしれない。
【03:28:18】
扉を開けば、勝手知ったる我が家である。
室内灯も点けずに階段を上り、自室からバスタオルとTシャツだけ取って浴室へ向かった。
シャワー栓を捻り、湯の温度を調整しながら再度思い返す。
湯気の充満するシャワ-ルーム。
いつまでも彩子を振り返るクラスメイトに手を振り返しながら、
“女同士の友情ってこういうものなのかな”とぼんやり考えていたこと。
眠気も相俟って、柔らかな髪を洗いながら、彩子は取り留めなく考え馳せる。
今まで男と一緒に過ごす時間が長かった所為か、
自分はどうも、ああいう雰囲気に馴染めない気がする。
女の子同士で、女の子特有の話題について話すのは嫌いじゃない。
一緒に遊ぶのだって別にかまわない。
でも、好きで付き合っていた男の悪口に相槌を打つの人を親友と呼ぶなら、
そんなの鹿威しになってもらえば良いのだ。
こんな風に考える自分はきっと、がさつな女なんだろうと彩子は思う。でも。
(うちの部の野郎共の方が、ずっと気持ちの良い人間ばっかだわ)
彼らと彩子の間にあるのは友情ではなくチームシップなのかもしれないけど。
彼らのファンの一部から、この外見も手伝って「遊んでる女」と噂されているの
も知っているけれど。
それでも。
「あたしの高校生活全部、友情より、あいつらの為に捧げたい」
心に決めたのはずっと以前のことだったのに、
呟いてみると、やっと今決心出来た気がする。
なんだかほっとしたら、くすぐったい気持ちになった。
ぶり返して来た眠気がピークを超えて、
彩子のテンションを高くしているのかもしれない。
夜明け前のシャワールーム。
流れる水音と控えめな笑い声が満ちていた。
【03:35:44】
遠くから、降り始めたばかりのまばらな雨音が聞こえる。
その音から逃れるように、寝返りをひとつ。
ひんやりとした空気が少し揺れた。
糊の効いたシーツと、木製ベッドの感触。自分の部屋では無いそれら。
(ああ、そうだ)
(これは、夢のなかだ)
今思えば中学の時から、彩子は流川の特別だった。
『あんた、バスケはチームプレイだって知ってる?』
同じバスケ部でもチーム同士の交流は殆ど無い女子部員に、
ある日突然そう指摘されたのを流川は覚えている。
チームメイトと打ち解けようとしない流川に、
当時、女子チームのスモールフォワードを任されていた彩子が声を掛けたのだ。
流川がじっと黙っていると、その間彩子も沈黙していた。
知ってる、と仕方なく無愛想に返せば、ならいいのよ、とこちらも素っ気無かった。
それだけだった。
何事も無かったように自分の練習場へ戻る彩子の背中を、流川は見送っていた。
それだけ、だった。
出会いの記憶は鮮明なのに、その後親しくなった経緯はぼんやりと霞がかっている。
いつの間にか、校内ですれ違う時に会釈をするようになり。
練習前の準備運動で言葉を交わすようになり。
流川の生活に、あまりに自然でささやかに馴染んだ彩子。
おかげで流川は高校で偶然彩子に再会するまで自分の気持ちに気付かなかった。
そうしてまた、一緒に帰るような先輩後輩の仲になり。
夢の中ではあるが、彩子の手料理を食べ彩子の家のベッドで眠っている。
(センパイと、手ェつないだ)
妙にリアリティがあったな、とまだ半覚醒もしていない頭で思う。
だんだんと雨足が強くなるのを、流川は夢うつつに聞いていた。
【03:47:03】
パジャマ代わりにしているXLサイズのTシャツを頭から被り、
髪をドライヤーで乾かす頃には、彩子の眠気は再び頂点に達していた。
ねむいねむいねむいねむい。頭の中はその単語しか思いつかない。
覚束ない足元があちこちに小指をぶつけても、いちいち叫ぶ気力も出ず。
何度かしゃがみ込む羽目になりながら、やっとのことで彩子は自室へと帰って行った。
【03:47:50】
(なんか、うるせえ)
ゴッ、とくぐもった音が時折聞こえる。
随分と時間をかけながら、その気配は流川の部屋の左へと消えていった。
夢の中の彩子の家を思い出す。確か、左奥は彩子の自室になっていたはずだ。
(……どろぼー)
もしかしたら、という可能性が流川の働いていない脳裏によぎる。
現実で無いとは言え、彩子の部屋に泥棒を入れるわけには行かない。
夢だからこそ出来る、嘘みたいな寝起きの良さで流川は立ち上がった。
【03:47:54】
ふらふら、ふらふらと、吸い寄せられるようにベッドへ近付く。
極楽の手前まで来て、彩子は何かを思い出し足を止めた。
(…………ぱんつ)
そういえば履いていなかった。
シャワーに行く前から忘れたのか、
それともシャワーの後忘れたのかさえ彩子にはわからない。
タンスから取り出して履くべきか、それともこのままベッドへ飛び込むべきか。
(ただでさえガサツな女なんだから、これくらいの慎みは持たないと)と理性が言い、
(どうせ気楽な一人暮らし。誰が見るわけでもないんだからかまわない)と睡眠欲が囁く。
しばらく硬直した後、彩子はふらふらと、洋箪笥へ向かった。
【03:47:58】
掃除の行き届いたフローリングはベタつくこともなく、
流川は音も立てずに裸足で廊下を渡った。
彩子の部屋の前に到着する。
例の達筆で、「彩子」と書かれた扉。
(…わかりやすい)
さすが夢だ、と妙な感心をしながらドアノブに手をかける。
開けた途端、箪笥を物色する人影と目が合った。
とりあえずここまでで投下終了します。
送信してから反省したんですが、視点移り変わりすぎて分かり難いです。
読み直すと迷走っぷりに泣けてきます。
この後オチの着け方としてはハッピーエンドとバッドエンド、
それぞれ「エロあり」「エロなし」で計4通り考えてはいるんですが、どうしましょうか?
お叱りの言葉を含め、ご意見お待ちします。
それでは、スレ汚し失礼致しました。
そりゃもう是が非でも「ハッピーエンド」「エロあり」でよろしくお願いします。
全然スレ汚しなんかじゃないです!神の降臨を我々は待っていました!!
もし、お手間じゃなければ、
・ハッピーエンド「エロあり」/「エロなし」
・バッドエンド「エロあり」/「エロなし」
の4パターンを是非投下していただきたいです。
よろしくお願いします。
続きキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!GJです!
(センパイと、手ェつないだ)の流川がかわええw
自分としては是非エロありハッピーエンドでお願いします
流川を幸せにしてやってください
まがりなりにもエロパロ板なんで、エロありハッピーエンドでヨロシク。
と言いたいとこだけど、人の意見に左右されるのではなく自分の書きたいように書いたほうがいいのでは?
そのほうが創作に対するモチベーションも持続し良作が生まれると思います。
楽しみにしてますね。
647 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 01:15:34 ID:SxHUq7MV
ktkr
続きwktk
続ききてたー!!やはりハッピーエンドがいいですね!wktk
うおおおお最高ー!!!
ハッピーエンドのエロあり希望です!
GJ!
ハッピーエンドとバッドエンドの エ ロ あ り の
2種投下をぜひ希望します。
651 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/07(火) 13:28:19 ID:FV3VFWEV
このスレこんなに人いたのかw
GJ!
エロありハッピーエンドが読みたいです。
その他
仙道×彩子を希望します!
晴子の性欲処理後の三井×晴子も希望!
本当にココって神スレ
エロありハッピーエンドでお願いします
バッドエンドはなかなか読めないと思うので読んでみたいな。
もちろんエロありでよろしくです。
ざっとスレ読みましたが流彩と花晴人気ですね。
意外なCPも楽しめました。
私もバッドエンドとハッピーエンド両方読みたいな。エロ有りで!
みなさま、ご意見ありがとう御座いました。
いただいたご意見を参考に、
バッドエンド(エロあり)→ハッピーエンド(エロあり)で書かせていただいて、
それぞれおまけとしてエロなし版のプロットを付け加えたいと思います。
(自分は結局のところキャラ萌えで、話の傾向自体には特にこだわりが無い幸せ者なのです)
投下は盂蘭盆会の後になるでしょうが、
遅くても今月中に完結まで漕ぎ着けたいと考えてはいます。
今しばらくお待ち下さい。
wktk
>>656 ありがとうございます!!!
楽しみにお待ちしております。
実は悶々と片思いしてる流川や、
人間関係で悩む彩ちゃんに思春期を見た
こいつら高校生なんだって思い出させてくれるとこが好きです。
更新まったり待ってます。
ここってメインカップルしか需要ないですか?
ゴリと彩ちゃんとか神と彩ちゃんとかはだめですかね。
>>660 有りだと思います。
以前にも結構あったし、問題なし!
>>656神
気長にお待ちしてまつ!ワクワク (0゚・∀・) テカテカ
>>660 801以外ならどんなカップリングでもおkじゃない?
663 :
660:2007/08/10(金) 23:36:34 ID:9SyV/Fv9
正座してリョ彩が来る日を待ってます
ミッチーを裸で待っております
メガネ君を(ry
ゴリ彩職人様が来るのをお待ちしてます!
藤真にはまったお
こんなスレでまで不幸な藤真に萌えた
全国区希望!!
671 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/18(土) 19:51:31 ID:DRlF+BSs
不幸じゃない藤真なんて‥‥
そんなの藤真さんじゃないやいっ!
神降臨お待ちしてます。
なんか投下減った?
職人さま降臨お待ちしております。
きっと嵐の前の静けさ!
容量の上限っていくつまでだっけ?
夏はどこでも更新とか落ちるしね
早く涼しくなってくんないかな〜
待ちくたびれましたよ‥‥
by神
678 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 15:45:41 ID:GiD91Dac
iイ彡 _=三三三f ヽ
!イ 彡彡´_ -_=={ 二三三ニニニニヽ
fイ 彡彡ィ 彡イ/ ィ_‐- 、  ̄ ̄ ヽ し ま
f彡イ彡彡ィ/ f _ ̄ ヾユ fヱ‐ォ て る
f/ミヽ======<|-'いシ lr=〈fラ/ !フ い で
イイレ、´彡f uuu ヽ 二 _rソ 弋_ { .リ な 妄
fノ /) 彡! ィ ノ ̄l .い 想
トヾ__ら 'イf uu /_ヽ,,テtt,仏 ! :
|l|ヽ ー '/ rfイf〃イ川トリ / .:
r!lト、{'ー‐ ヽu uu ´ ヾミ、 / :
/ \ゞ ヽ ヽ uu uu uu ヽ /
./ \ \ ヽ /
/〈 \ u u u ノ
-‐ ´ ヽ ヽ \\ \ 人
679 :
名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 15:46:22 ID:GiD91Dac
iイ彡 _=三三三f ヽ
!イ 彡彡´_ -_=={ 二三三ニニニニヽ
fイ 彡彡ィ 彡イ/ ィ_‐- 、  ̄ ̄ ヽ し ま
f彡イ彡彡ィ/ f _ ̄ ヾユ fヱ‐ォ て る
f/ミヽ======<|-'いシ lr=〈fラ/ !フ い で
イイレ、´彡f uuu ヽ 二 _rソ 弋_ { .リ な 妄
fノ /) 彡! ィ ノ ̄l .い 想
トヾ__ら 'イf uu /_ヽ,,テtt,仏 ! :
|l|ヽ ー '/ rfイf〃イ川トリ / .:
r!lト、{'ー‐ ヽu uu ´ ヾミ、 / :
/ \ゞ ヽ ヽ uu uu uu ヽ /
./ \ \ ヽ /
/〈 \ u u u ノ
-‐ ´ ヽ ヽ \\ \ 人
安西先生自重(r
ほしゅ
>>621 その作品大好きです
いや、このスレの作品はどれもキュンキュンしっぱなしです!
職人さん、ありがとう!
>>682 その作品漏れも大好きです。
続きがあったら読みたいなんて言ってみる。
ふーん
お盆休みに読み返してみた。
男子みんなそれぞれかっこよくて、誰を主役にしてもドラマが書けそうな存在感があるね。
湘北だけじゃなくて、牧や神、仙道、魚住、藤間……、宮益とかもw
エロそうなのは誰だろう。
上手そうだけどバテるのが早いミッチーw
エッチも丁寧で雰囲気作るの上手そうなメガネ君、
不器用だけど一生懸命な赤木、リョータが天然で一番上手そうかなぁ。
ルカワは終わったらすぐ寝そう。。。
でも最強はやっぱり牧さんだろう。経験もテクも度胸もヤツには勝てん。
いやいやしかし!
ウチの仙道がやる。ヤツは牧をも超える器だと信じてる。。
686 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/08(土) 00:49:56 ID:qac1K4bx
海南牧、要チェックやわ…。
子供の頃なぜか、彩子さんはゴリが好きって思ってた。
流彩、素で萌えるわ。
>685
ちょw
エロなのかバスケなのかどっちだw
バスケセンスいいヤツは、エロもうまそうってのはなんか分かる。
晴子ちゃんなんかは、下手だけどフェラとか一生懸命にやるタイプだな。
彩子は年下への指導がうまそう。指導された方はメキメキと上達!
689 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/09(日) 22:08:58 ID:K7PZdRue
>>686 自分もゴリ×彩子と思ってた。すごいセクロスしそうw
このスレ、男キャラより女キャラ中心で見てる奴いないんだな・・・
>>685 全部男キャラだ・・・
>>690 ご、ごめんね。
♀なのでつい。。orz
ここは男性女性どっちが多いんだろう?
個人的に彩子さんが好きだ。
いつも強気だけど、好きな人の前でだけは弱いところもみせたりしてると萌えるなあ。
もう1ヶ月も投下ないね。
職人さま方お待ちしてます。
693 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/11(火) 22:45:00 ID:LNx/2yeo
誰か洋平くんで書いてくれませんか??
一つ出来たので載せます。
マイナーCPで長いので苦手だったら飛ばしてください。
すみませんトリップ変わってますね…。
もう変えませんので次回からこれでお願いします。
行動に責任を持つのが大人の務めなのかもしれない。
だがやはりアルコールは飲みすぎるとただの毒水で…。
呑まれれば限りなく責任の取りたくない行動をしてしまうことが多い。
「あ…いったぁ…。」
「平気ですか?」
頭を抑えていた手を外し、水を差し出す男を見て愕然とする。
服を着たばかりなのかシャツは少しはだけていつも見るときよりラフな格好だ。
「なっ堂本監督!?な、なんで。」
「覚えていらっしゃらないようで。」
コーヒーを飲みながらちょんと指で示された自分の姿に目玉が出そうになる。
布団から出た上半身は布一枚も羽織ってない裸体。
慌てて下半身に集まるシーツをかき集め身体に捲くと堂本さんがおかしそうに笑う。
「つまり、あなたと…?」
問いにただ笑顔を返され気が遠くなった。
やばいやばいやばーい!取材対象の人とやっちゃうなんて!!
「わ、私っ…すみません…こんな…。」
「女性に謝られるとはおかしな話です。さぁ水を。気分がよくなります。」
促されるままに水を受け取り一口飲む。
堂本さんを見ながら必死で昨夜の事を思い出そうとするけど全く思い出せない。
いや落ち着いて。そうそうインターハイで広島に来たんだ。
それで昨日居酒屋でたまたま会った堂本さんと飲むことになって…。
「さて、そろそろ行きます。」
「え?ど、どこに?」
「全国大会真っ只中です。あいつらももう練習しているでしょう。」
「あ、あ、そうですね。」
カップを置くとにこりと笑って立ち上がり、ドアノブに手をかけてこちらを振り返った。
「ごゆっくり…と言いたいところですが、相田さんお仕事は?」
「え?あっやばっ!こんな時間!?」
「鍵はフロントに預けていてください。」
低く抑えた笑い声が閉じたドアの向こうに続く。
慌てて下着を探して身に着けながらぐるぐるとまとまらない考えが頭を渦巻いた。
(起きたらホテルとかありない。い、いえ。今は仕事の事考えなきゃ。
今日は陵南行って山王に行って……てえぇ!?監督とどんな顔して会えばいいの?
もう!全く覚えてないなんて最低!!)
どうしても昨夜に繋がる考えをもてあまし、とりあえず部屋を出る。
ちゃんとしたホテルでよかった…ラブホ出勤は痛いもの。
きっと広島にいる間ここに泊まってるんだろうな。
外に出るとため息をついた。爽やかな日差しが目に痛い。
まずは陵南か…。彦一に会いづらいな。すみませんこんな姉ちゃんで。
思ったほど罪悪感なく淡々と彦一と話せた。
まぁ当たり前か。何にも覚えてないんだしね。
堂本さんも据え膳食わぬはってヤツだったんだろうし。
うん。気にしないのが一番なんだろう。
「どうしたんですか相田さん。」
キャッと喉まで出かかった声を抑え見ると山王の河田くん(兄)が立っていた。
練習場の入り口でブツブツ独り言いってりゃこんな顔もするよねってくらい不審な顔で見てる。
タオルを持ってるとこを見ると、控え室で休憩でもしていたんだろう。
「あ、あーこんにちは。ちょっとインタビューいいかな。」
練習場へ歩く河田くんについて2、3質問し、
最後に一番聞きたかったことをそろりと聞いてみた。
「堂本さんって優れた名監督として注目度が高いんだけど、
君から見てどうかな?普段はどんな人なの?」
おいおい私…かなり意識してるよ。
河田くんは立ち止まりしばらく考えて声を出した。
「そうですね。僕らの為に色々考えて刺激のある練習をしてくれますけど…
普段は変な人です。」
「えぇっ?」
「なんだと河田。」
急に後ろから聞こえた声で河田くんと私は同時にびくりと震えた。
「ほら休憩終わりだ。早くコート行け。」
不機嫌そうな堂本さんの声に従い慌ててコートに走る河田くん。私もついて行きたい。
静まり返る廊下。
意識は背に立つ堂本さんにあるものの、コートを凝視する私に同じ声が響く。
「私の人柄か気になりますか?」
冷や汗がにじむ。
『まぁ堂本さんったら。ただの取材ですよ。』って言えない。
身体を硬直させてただ顔が赤くなる。
ふっと暗くなる視界に顔を上げると、屈んだ堂本さんの顔が横にあった。
「そんな顔をしていたら生徒にばれますよ。」
楽しむように微笑みぼそりと言うとコートに入っていく。
バクバクバクバクとうるさくなり口から出そうな心臓。
生まれて初めて腰が抜けてその場にへたへたと座り込む。
この時から耳元で聞いた声が頭から離れなくなった。
数日後の8月3日。午後10時。
仕事が終わり、一度だけ来たホテルを走る。
山王が負けた。ありえないことだった。
瞼の裏にコートから去る堂本さんの顔が焼きついている。
悲しみに揺らぐことなく真っ直ぐに前を見て…その立派な様子が一層辛かった。
「…ぁ……いた…。」
廊下の長いすに座って考え込むように指を組み、じっとマットを見つめる彼に近付く。
一度顔を上げて私を見ると、また視線を下に戻した。
心配になってここまで来たけど、なんと声をかけていいのか分からず静かに隣に座る。
ふぅ。と微かに聞こえる小さなため息。
「…彼等は素晴らしかった。精神力も体力も充分でした。…悔いはありません。」
しばらくしてそう呟いた。
そうは言うけどがっくりとうなだれる様はどこから見ても悔いが残ってるような…。
でも選手の前ではこんな姿見せられなかったんだろうな、なんて思うとかわいそうになった。
そっと肩に触れるとがっしりした身体がピクリと揺れる。
「あれほどの試合を見ることが出来て感動しています。本当に素晴らしい試合でした。
また全国で堂本監督率いる山王工業と会えるのを、楽しみにしています。」
少し顔を上げる堂本さんと目があった。
つまらない言葉しか言えない私は早々にこの場を去った方がいいのかもしれない。
精一杯にこやかに笑うと立ち上がった。
「では、いずれまた。」
足を踏み出した瞬間、手首を掴まれる。
早くなり始めた鼓動を抑え振り返ると、やはり落ち込んだ目をした彼が私を見上げている。
「…帰るの?」
いつも毅然として自信に溢れている堂本さんが掠れた声で呟いた。
や、やめてー!こういうの弱いんだってば!!
「でも…飛行機の時間が…。」
うそだ。飛行機なんて取ってない。
惹かれているのに逃げたくなる。
だって私は神奈川に、彼は秋田に帰るんだもの。
その場だけの恋愛なんて私には向いていないのよ。
立ち上がった堂本さんと目線の高さが逆転する。
逞しい腕で絡め取られると私の頭は簡単に真っ白になった。
「いてください。」
頭上の静かな声に怖れも不安もなくなり、先のこともどうでもよくなる。
異常にドキドキするのに心地よく感じるのはどうしてなんだろう。
ゆっくりと首を縦に振る。
ほっとするように、大きな手が私の頭を撫でた。
グラスに注がれたワインを口に含む。
赤ワインは苦手だけど、今日は幸い味どころではなかった。
部屋の小さなテーブルに向かい合って座っている。
普通のテーブルに比べてかなり近い距離。
なんでこの人の前だとこんな緊張するんだろう。
部屋の淡いライトでも私の頬が赤いのは目立つらしい。
「まだ赤いんですね。ずっとそのままのつもりですか?」
「えっ?だ、だって仕方ないです!私の意思じゃどうにも…!」
「貧血になりませんかそれ。」
笑う堂本さんは、その言葉が余計に熱を持たすと分かってて言ってるようだった。
悔しくてワインをぐいと飲み干す。
グラスを置く手に、堂本さんの手が添えられた。
椅子から立ち上がった彼は私の頬に手を添えて顔を寄せた。
重なる唇からふわりと同じワインの香りがする。
「今日はもう飲ませません。」
「……は…。」
浅く呼吸をすると柔らかな舌が入ってきた。
無意識に堂本さんの顔に両手を添えて温かな感触を味わう。
流れ込む唾液を喉に下しもっと欲しくて口を開いた。
そのままの動きで堂本さんが間にあるテーブルを動かし私の前に跪く。
離れた唇は肌に沿って首元に落ちた。
「この間のこと、思い出しました?」
「そ…それが……恥ずかしながら何も…。」
喉を上下する舌に声が上ずりそうになりながらなんとか言葉にする。
「んっ。」
耳朶を甘噛みされ思わず声が漏れた。くすりと笑った声が耳元で聞こえる。
「敏感なところは同じようですね。」
からかうように言い、胸に顔を寄せて鎖骨にキスをしながら
背に回された手が黒のベアトップをたくし上げていく。
気付くとブラジャーも器用に外され、
膝をつく彼の眼前にあらわになった上半身を突き出す格好になっていた。
すでにぼんやりとし始めていた意識がはっきりとして、
慌てて背もたれに預けていた上体を起こす。
「……ぁっ!」
片手で乳房を掴み、空いた方の頂点を口に含まれた。
温かい水気を帯びた体温と意思のある舌が蕾に絡みつき、
堂本さんの口の中で自分でも分かるほどその硬さを増していく。
「…はぁ…あ…。」
それを確かめると彼は口を開け太い指でなぞりながら舌先で刺激した。
目の端で堂本さんの手が足を伝いストッキングと下着を掴む。
腰を上げるとするりと脱げ、既に濡れたそこは下着と糸を引いた。
「触れてもないのにこんなに濡らして。いけませんね。」
「……ぇっ…きゃっ!」
突然監督が私を抱きかかえ、壁に取り付けられている棚に座らせた。
事態が分からずきょとんとしているとくるりと身体を回される。
「あ…や…いや…っ。」
目の前に現れた壁鏡に映る、タイトスカートだけを身に着けた卑猥な姿の女。
「ダメですよ目を逸らしちゃ。」
横に背ける私の顔を鏡に戻す。
少しでも後ろに下がれば棚から落ちそうな私の身体を、
堂本さんが背から抱きこむようにして支える。
きちんと服を着た彼の姿が余計に私とギャップを感じさせ羞恥心を煽る。
「…あっ!!」
堂本さんの両手が腕を伝い下に降りて、そのまま力任せに足を開かせた。
タイトスカートはももまで上がり、
開いた足の中心部は淡い光を浴びてテラテラと光っている。
「見えますか?」
「ど、堂本さん!お願い…いやですこんな…っ!」
直視できない自分のあさましい姿に、耐えられず声を荒げる。
「いやだったら…どうしてこんなに溢れてくるんでしょうね。」
彼の指に広げられたそこは、言葉通り絶えず奥から粘液を溢れさせている。
あまりの恥ずかしさに死んでしまいたいのに、
身体はこの姿を見られるのを喜んでいるようだった。
「…っふ…ぅう…。」
反応を見ながら彼はゆっくりとひだに指を這わせ上下に動かしはじめた。
緩慢な堂本さんの動き。ひだを辿るのみで決して敏感な部分に触れようとしない。
いつになっても望んだようにしてくれない動きに、
誘うようにゆらりと鏡の中の自分の足が動いた。
いつもこんな風に身体をくゆらしていたんだろうか。
本能的に男を誘う女の部分を、目の前にして初めて気付かされる。
―――――見ていられない。
そんな私を楽しむように堂本さんの動きが止まった。
「どうしましたこんなに涎を垂らして…ぬるぬるじゃないですか。」
現実味のないこの状況に脳が溶けていく。
…はっきりとした刺激がほしい。
「ぁ…も…。……さわ…って…。」
「…どこをです?」
縋るように鏡の中の堂本さんを見ても、ただ静かに見返してくるだけ。
動かした手は羞恥に震え、それでも欲情に従いそろそろと身体の中心部分に向かう。
「…こ…ここ……。」
「あぁ。はしたなく真っ赤に腫れ上がったここですか。」
「…っ!!ひぁ…あああっ!!」
きゅうっと指で摘ままれると意識が途切れそうになる。
指の腹でくにくにと潰し、粘液を絡ませて左右に転がし撫でるのを繰り返す。
意識がうすくなる頭に、背に伝わる堂本さんの早い心音が響いた。
彼もまた興奮しているんだと思ったら余計に身体が熱くなる。
頭を後ろに倒しキスをねだるとすぐに応じてくれる。
突然ごつごつした指が一気に奥まで入ってきた。
衝撃に顔を背けようとしても許されず、喘ぎ声は堂本さんの口内に消える。
私の中で太い指は折り曲げられたり入り口を擦ったり、まるで生き物のように動いていた。
「…中がすごく熱い。ご自分でわかりますか?」
心地よい声に答えることも言葉を理解する事も出来ず、ただ赤ん坊のように声を出す。
身体の一番奥がうずいていた。もっともっと奥に…。
「堂本さ…もう…。……っ!!!はぁっ!!…くぅうっ!」
中を擦る指が増える。激しく出入りする度に液がとろりと溢れお尻のほうに流れていく。
「2本でも足りませんか?ほら、相田さんのここ。
ヒクヒク動いてこんなに咥え込んでますよ。」
言うと見せ付けるように思いっきり奥へ突き立てる。
訳が分からなくなる意識の中で何度も達してしまいそうになるのをなんとか抑えていた。
「ふ…ぁあ……い、意地悪です…っ…どうして…。」
堂本さんが私の耳に舌を差し込みながら低く呟く。
「…忘れられるなんて…悔しいじゃないですか。」
「んああっ…ああ…。…………えっ!?」
快感に呑まれる頭でやっとその言葉を理解すると、急に頭が冴えて勢いよく振り返った。
その様子に堂本さんの方が驚いたようで少し顔を引く。
じっと見る私に、彼は余計な事を言ったという表情をして顔を背けた。
…忘られるって…もしかして。
「なんと言うか…こっちだけ喜んで覚えてるって言うのはなんとも…
まぁ…そんな訳です。やり過ぎましたか?」
しんとなる部屋。
なんだ。強引だったのはそれでだったのか。
確かにちょっと…いやかなりおもしろくないかな。自分だけ覚えてるのって。
見ると先程まで余裕に溢れていた堂本さんが居心地悪そうにしててつい笑ってしまった。
「ふふ…ご、ごめんなさい。あまりに意外でしたので。」
余計に顔をしかめると、ひょいとまた私を抱えてベッドへと移動した。
どさりとシーツに降ろされてもまだ笑いが止まらない。
「しつこい人ですね、もういいでしょう。…あぁつまらないこと言ったな。」
そんな事言うから笑いが止まらないんですよ。
いい加減うるさくなったのか無理矢理キスをして口を塞がれる。
私のシワシワになってしまったタイトスカートを堂本さんが脱がし、自分の服も脱いでいった。
生徒と一緒に鍛えてあるのか見惚れるほど均整のとれた身体をしてる。
「不思議。女性も男性の裸を見て欲情するものなんですね。」
「え?何言い出すんですか。」
あまりにも自然に出た素直な感想だったけど、堂本さんの驚いた声で正気に戻る。
「わ!すみません私ったら。こういう気持ち初めてだったから…。」
途端に真っ赤になる私に唖然としていた堂本さんが笑い出した。
さっきまで私が笑っていたのにもう笑われる番になってる。
あーもう本当私って…。
「いや、うれしいですよ。ありがとう。」
覆いかぶさってきた堂本さんは胸から下腹部まで撫で、未だ濡れる部分に口をつけた。
「えっ!?あっ…っ!」
音を立ててひだを吸い、舌を硬くして敏感な部分まで舐め上げる。
堂本さんの髭がそこに触れると痛みとも快感とも付かない鋭い衝撃が背を走った。
少し冷めていた身体も急激に先程までの熱を取り戻す。
「あ…堂本さん…堂本さん…っ。」
ずっとじらされていた身体が欲しがる刺激は、もはや一つだけになっていた。
うまく言葉が出ない代わりに彼の腕をぎゅうっと握り締める。
伝わったのか堂本さんが身体を起こしてこちらを見た。
「辛いですか?」
「も…もうほんとに…我慢できません…。」
抱いてもらえるなら今の状況よりこの恥ずかしい台詞を言う方がよっぽど楽に思えた。
直接すぎるお願いに堂本さんは少し笑うと、自分のものを入り口にあてがう。
私の腰に当てた手にぐっと力がこもると同時に、堂本さんのモノもゆっくりと入ってきた。
「んん…はいって…く…あっ…あ…!」
圧迫感に息が出来ない。
今まで経験のない、身体全てが堂本さんで満たされていく感覚。
「は…すんなり入りましたね。そんなに欲しかったんですか?」
言いながらゆっくりと腰を動かし始める。
グラインドさせては入り口辺りをくすぐり、またゆっくりと差し込む。
慣れさせているのか気遣っているのか、優しく優しく動いていく。
「い…いや……もっと…。」
「…わがままな人ですね。」
口の端で笑うと一度ぎりぎりまで抜いて突然奥まで腰を打ち付けられた。
「きゃ…あ、ああああああ…!」
繋がっている部分に手を移動させると芽をつまみ指で弄ぶ。
私を壊すような強さで子宮口を何度も突きたてていく。
「はぁっ!!あああ…あ…っ!」
聞こえる水音が大きくなり静かな部屋に響いていた。
「だ…め…あっだめっ!…いきそ…っ!!」
動きはそのままで身体をぴたりと堂本さんがあわせてくる。
頬にキスをして抱きしめられ、私も必死で縋りつく。
「きれいですよ相田さん。本当に。」
低い声が耳に届くと身体の芯がきゅうっと締め付けられた。
「ぁあ!い…くぅ、あ…あああああああ!!」
彼の腕に力がこもる。
息も出来ないほどの強さが、私にはひどくうれしかった。
さすが強豪山王の監督。
恐ろしいほどの体力を持つ彼の永遠続く行為に、一瞬終わりがないのかとさえ思った。
明け方近くに解放されたときには私はもうよれよれで。
少し寝てようと言われて二人で布団に潜ったのがついさっきの話し。
「しかし…残念です。」
ぽつりと呟いた堂本さんに力尽きそうな視線を送ると天井を眺めたまま続けた。
「今回ばかりはどうしても勝ちたかった。
…監督として私情をはさんではいけないんですけどね。」
「へぇ…私情ですか?堂本さんでもそんな事あるんですね。」
そう言うとなぜか頬をうっすらと赤くして困ったようにため息をついた。
「もうちょっと相田さんといたかったんです。」
ごろりと後ろをむく堂本さんの広い背中が視界に広がる。
言葉を理解すると火が出るほど顔が熱くなるのに気付いた。
「は…光栄です。」
もっと気の利いた言葉があるでしょーが!!!
記者だと言うのに自分のボキャブラリーの少なさには呆れてしまう。
ふと気になっていたことが頭に浮かび沈黙する背中に話しかけてみた。
「堂本さんって奥さんいらっしゃるんですか?」
ガバリと上体を起こし振り返った堂本さんはまじまじと私を眺める。
「あ、あなた私が妻帯者だと思ってたんですか?」
「い、いえ万が一そうだったら不倫はやだなと思って。…今更なんですけど。」
呆れたよう静止していた堂本さんが、突然噴出して笑い出した。
私はなんだか恥ずかしくなって宙を睨む。
「はは。行き遅れましてね。相田さん奥さんになってくれますか?」
………。
「ぇえ!!??」
驚いて身体を引く私をまた笑う。
「か、考えさせてください。まだ少ししかお会いしてませんし、
こういうことはすぐ決められな…。」
突然気付いて口をつぐんだ。
(何大真面目に返事してんだ!普通に考えて冗談に決まってるじゃない!)
そう思ったのもつかの間…。
「ゆっくりどうぞ。一生の問題ですもんね。私は自分の直感を信じます。」
……………?
え?まさか………本気?本気なの?
堂本さんが変わった人と言った河田くんの言葉を思い出す。
ちらりと見るとまどろむように目を閉じている堂本さんが映った。
職業病なのか『いつ私をいいと思ったんですか?』『どんな直感なんですか?』
等を聞きたい衝動で口がムズムズする。
でも嫌われたら困るので、代わりに布団の中の大きな手をきゅっと握った。
終わりです。
エロって本当難しい…。
最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございました。
705 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/14(金) 01:27:51 ID:0u0kvkms
>>704 ギザテラ萌え〜o(><)o
GJ!久しぶりに神降臨!!堂本さんの丁寧な口調とは真逆のエス加減 最高にムラムラです! ありがとう神様!
あだるてぃー
堂本って誰??としばらく( ゚д゚)ポカーン だった
うっわーやらしくてGJ!!!
意外な組み合わせに萌えました
大人な雰囲気なのにどこかかわいらしい二人に萌え
ああ、山王の監督かw
名前忘れてたよ
髭髭
興奮した
職人様GJです!!
堂本監督のが読めるなんて・・・。
大人な感じでとっても良かったです☆
意外性CPきたーーー!面白かった
堂本監督の顔が思い出せなくて、漫喫行って読んできた
誰それ?とか思い出せないとかわざわざ書かなくていいから
そういうわざわざ書かなくていいから、とかもわざわざ書かなくていいから
あれ?
もちつけ
三井寿〜空白の2年間〜
…もうここに、自分の居場所はない。
そう思って試合会場から去っていく自分は、今まで生きてきた人生の中でも一番思い出したくない場面だ。
あれから、1ヶ月経った頃だろうか。ボールを手放してしまった俺には、何も残ってはいなかった。
学校が終っては、ブラブラする毎日。そんなときに、たむろってたガラの悪い連中…そう、鉄男や竜たちと知り合った。何故か頭の鉄男は俺の事を気に入ったらしく、グループの全員からもすんなりと受け入れられたようだ。
それからの日々は、悪い事は何でもやった。いや、煙草やクスリの類だけはどうしても手が出なかったんだが。今思えば、グレたふりをしていても、心のどこかではバスケを諦めきれてなかったんだと思う。
ただ、酒、女、ケンカ。それらは自分にとっては未知の世界で、溺れてる間はバスケの事を忘れられる気がした。
女…。幾らでも寄って来た。
「ヒサシ…」
俺をそう呼んだ女…。
今はどうしてるだろうか?
出会いは、ありふれたものだった。
いつもの溜り場に、珍しく女が数人来ていた。
取り立てて話す事もない、ただ酒を一緒に飲んでいるだけだ。
「ねぇ」
一人の女が声をかけてきた。
「名前、何ていうの?」
少し酔ったようなそぶりで、俺の顔を覗き込む。
「…三井」
顔を思わず背けてしまった。
「違うよぉ、下の名前」
今度は俺のシャツの胸元を両手でつかんで、そこから顔を見上げてきた。
…ますます顔を見れない。やっぱり顔を背けたまま、そっけなく言った。
「寿」
「ヒサシ?どんな字?…まぁいいか、ヒサシね、ヒサシ。」
勝手に納得して、うんうんと頷いている。
「ねぇ」
「ん?」
少し甘えた声を出して、俺に寄りかかってくる。
「ヒサシにまた会いたい…。今日だけじゃなくて、また会いたい。どうすればいい?」
いきなりの告白に少し戸惑う。でも、嫌な気はしない。
「とりあえず…名前教えろよ?」
たまたま居合せた女。だけど、名前位、覚えてみようか…。そんな風に思ったのは、久々だった。
「アタシはね、ナツキ」
この薄暗い店内には似つかわしくない、屈託の無い笑顔で言った。
「どんな字…はどうでもいいんだっけな。じゃあ、また会えたらいいな」
仲間のいるカウンターへ向かおうとすると、腕をぐいっ、と引っ張られた。
「…っ」
目の前に、ナツキの長い睫毛がある。
…唇には、柔らかくて、暖かい唇が触れている。
…暫く何も考えられずに立ち尽くしてしまった。
「何すんだ、テメェ」
我にかえって、思わずさけんだ。
「もう、アタシのこと忘れられないよね?」
そう言って、ナツキは店の奥へ消えていった。
口ぶりとは裏腹に、喉の奥はチリチリと渇いている…。それ鎮めるために、グラスの中身を一気に飲み干した。
それから数日後、いつものように退屈な授業を終わらせ、制服のまま溜り場の裏通りに向かっていた。
「ヒサシ!」
後ろから声がする。
こないだの女だ。…ナツキっていったっけ。
「…んだよ」
女に唇を奪われたなんて、あんまりカッコのいいもんじゃない。
俺は、あからさまに嫌な顔をして振り向いた。
「やっぱそうだった!何それ、制服?うわぁ、学生だったんだ」
「…悪りぃかよ」
幼い、と言われたようで、ムッとしてしまった。
「ごめんなさい、ただあたしインコーに引っ掛かんないかなぁ、と思って」
「はぁ?今時キスなんて中坊だってやってんだろ?それよりなぁ、お前、あんなことして、何されても文句言えねぇぞ?俺だったら良かったものの…」
「俺じゃなかったら、どうなってたの?」
ナツキは挑むような口調で話しかける。
「なめてんな、テメェ…」またまたガキ扱いされたことに自尊心が傷つけられた俺は、きびすを返してその場を去ろうとした。
「待って、ゴメン怒らせるつもりじゃなかったの…」夏服のシャツの背中を引っ張って、ナツキは俺を引き留めた。
「ウチに来て?ここじゃ暑いし、話、したいし」
さっきまで、怒ってたんじゃないのか、俺は…。
ナツキの部屋は、あの裏通りから歩いてすぐの場所にあった。…どうやら大学生のようだ。部屋には、レポートやファイルなどが広げてあった。
「…あたし、あそこで会った時、高校生だなんて思わなくて…、あんな事しちゃって」
「…いいよ、もう」
そう言って、出されたポカリを飲み干した。
「ヒサシのこと、何にも知らないんだもんね…あたし。」
「当たり前だろ、会ってまだ二度目なんだから」
「でもね、あの時ホントにキスしたい、って思ったんだ。もう二度と会えないかもって思ったら、もう体が動いてたんだよ…信じる?」
ベットに腰かけていたナツキが立ち上がり、テーブルをはさんで向かい合っている俺に近付いてきた。
「…ユーワク、してんの?」
この間のように、喉の奥はチリチリと渇いていく。
「…そだよ?」
その言葉を待っていたかのように俺は立ち上がり、ナツキを抱き締めた。
何もいわず、唇を重ねる。
ますます、喉の奥は渇いていく。
ナツキの唇が、すこしずつ開かれてゆく。俺はその狭い隙間にゆっくりと舌をのばした。
二人の吐息が、狭い部屋を満たしていく…。
眩暈のするような感覚だったんだ…。
暗くなり始めた室内。
目を開けると、ナツキの恍惚とした表情が目の前にある。
立ったまましばらくお互いの唇を確かめ合うように長いキスをした。
どちらからというわけでもなく、唇を合わせたまま倒れるようにベットの上に転がり込む。一旦体を離すと、迷いの無い瞳でナツキは言った。
「もっと…して?ヒサシがどうやって感じるのか、どうやって感じさせるのか、知りたい…」
「やめてって言われたって、やるさ…止まんねぇよ…もう」
もう一度軽いキスをして、ナツキの服の中に手を滑らせる。下着越しに柔らかな胸をゆっくりと左右に揺らす。
「あっ…」
彼女から甘い吐息が漏れる。ますます喉の奥が…そして自身が熱くなっていくのを感じる。
抱きかかえるようにナツキの身体をひきよせ、下着のホックをはずす。服と下着を一緒にたくしあげると、白くて丸い乳房を直に両手に収めた。
柔らかいそれを傷付けないように、優しく弧を描く。「ああっ…」
尖端に触れると、ナツキの身体がビクン、と反応した。
そして、その小さな膨らみを口に含み、舌先でゆっくりと転がしてみる。
「んんっ…はぁぁ」
彼女の声からも、舌先の膨らみが固くなっていく事からも、ナツキが快感を得ている様子が窺えた。
俺はナツキの服と下着を身体から剥がし、右手をゆっくりと腹の方へと滑らしていく。左手と舌先は乳房から離さずに。
ナツキの身体を覆っているのは、腰の回りの小さな下着だけになってしまった。その小さな下着の上から、彼女の一番快感を得られるであろう場所を探っていく。
「…!!」
…下着の上からでも、濡れているのが判る。
「恥ずかしい、あたし…」目を閉じたまま顔を背けているナツキの頬は、心なしか赤らんでいるように見える。
その様子に更に身体が熱くなってしまった俺は、更に彼女の両足の間に指を這わせていく。
「っはぁ…やぁっっ」
中指に、小さな突起が触れた。
彼女の手が、自分を攻め続ける俺の指先を制止する。
「待って…ヒサシも、気持よくなって?アタシ、ヒサシにも感じて欲しい」
そう言って身を起こした彼女は、おもむろに俺の制服を脱がし始めた。夏服のシャツの下は、黒のランニング一枚だ。ボタンをひとつずつ、ゆっくりとはずしていく。そして、ナツキの指は、ベルトのバックルにかけられた。
ゆっくりと、熱くなった俺の自身に手を伸ばすナツキ。
「…っ」
俺は、声にならない吐息を漏らす。
今まで無かったくらいの大きさになっていたそれを、彼女はゆっくりと撫でていく。
「…凄い、おっきくなってるね」
率直な感想を述べる彼女の瞳は、熱くうるんで見えた。
先端に、柔らかい唇の感触が触れている。
「んんっ…」
初めての感覚に、俺は戸惑いながらも酔っていった。
やがて、ぬるっとした暖かいものが、下から上へとなぞっていく。
ナツキは、躊躇することなく口の中にそれを含んだ。「ああっ…」
思わず身体がのけぞる。
ナツキは舌と唇の動きを止めようとはしない。
背筋がざわつくような快感が、俺を襲う。
「待って、俺、もう…」
たまらずそう告げる。
一旦唇を離したナツキは、上目使いで俺にこう言った。
「イイよ…?このまま、逝って?」
そうしてまた、いや一層激しく唇と舌と指先を動かす。
「ああっ…!!」
俺はそのまま、ナツキの口の中で果ててしまった。
ナツキはゆっくりと喉を鳴らして、それを飲み干した。
ぐったりとしてベットに横になる俺…。
「ヒサシの感じてる顔、凄いゾクゾクした…。」
そう言って微笑む彼女の顔は、すこしだけ歳上だとは思えないくらいに妖艶に見えた。
「ナツキの感じてる顔も、見てぇよ…」
左手に彼女の身体を抱き寄せて、耳元で呟く。
「じゃあ…感じさせて?」挑むような口ぶりに、また身体の熱が掻き立てられる。
彼女に残っていた下着を剥がすと、潤んでいるそこに、舌を這わた。
「ああ…ん」
俺の頭を撫でるように抱えながら、ナツキは身体をくねらせた。俺は舌先で、小さな突起を転がす。
「んっ…!」
ナツキは唇をきゅっと噛み締めて、快感に身をまかせていた。
俺は唇でその突起を包んで、強く吸ってみる。
「あああっっ…」
苦しいような、切ないような声が耳に入る。俺からは彼女の表情は見えないが、感じてる事は実感できた。潤んだ其処に指を入れてみる。中は、熱くて、絡み付いてくる様な感触がある。指をゆっくりと動かしつつ、舌は突起を転がし続けた。
「ヒ、サシ…もう、アタシ…」
吐息まじりの苦しそうな声で、ナツキは哀願する。
制服のポケットからコンドームを取りだし、再び熱くなっている自身に密着させる。そして、ナツキのびちゃびゃに濡れているそこを、先端で押し広げた。
熱い。そして、柔らかく締め付けてくる感触に、俺はたまらず目を閉じた。
「ああっ…」
ナツキの、切なそうな吐息が聞こえる。
静かに、深いところまで感触を確かめるように侵入する。
ゆっくりと瞳を開けると、腕を折り曲げて、顔を横に向けたナツキの身体が目に入ってきた。苦しそうに、切なそうに顔を歪めているナツキは、火照った頬を隠すように、更に顔を背けた。
「…ナツキ」
自分でも信じられない程に優しい声だ。
「感じてる顔、見せろよ…」
そうすると、ゆっくりと顔をこちらに向けた。
半分しか開いていない瞳は、熱く潤んでいる。上気した頬は、暗闇のなかでひっそりと桜色に染まっている。
その表情は、まさにナツキの言っていたゾクゾクする、という感覚を俺に覚えさせた。
「…ヒサシ、ヒサシ…」
彼女の腕が伸びてきて、俺の首に絡み付いてくる。
その声を聞いて、糸が切れたように、激しく身動きする俺。
「はあんっ、ああっ…んんっ」
身体が揺さぶられるリズムに合わせ、彼女の吐息は激しくなっていく。
「ヒサシ、ヒサシぃ…」
俺の首になかばしがみつくようにして、彼女は快感をあらわにする。
俺の絶頂も近い。さらなる刺激を求めて、自分の動きに理性が及ばなくなっていく。
「俺、もう…逝きそう」
「ヒサシっ…ああっ、アタシもっ…」
その瞬間、彼女の中が痙攣するように収縮を繰り返すのが判った。
「ううっ…」
生まれて初めての眩暈がするほどの快感に、自分の全てを解放する。
すっかり暗闇に包まれていた室内に、二人の熱い息遣いだけが響いていた。
「ヒサシ…」
「ん?」
俺の左手にのせられている顔が、こちらを向く。
「名前の漢字、教えて?…どんな字、書くの?」
「コトブキの、寿」
「そっかぁ…」
満足そうな声で、言った。
「ナツキ、は?」
「え?」
…とぼけているのか、わざとなのか。
「だから、どんな字、書くんだって聞いてんだ」
少し強い口調で尋ねる。
「夏を、こいねがうで、夏希」
「…コイネガウ?」
「希望の、希」
…夏希。なつき。ナツキ。
夏はまだ始まったばかりの頃だった…。
以上で、取り合えず終了します。長くて本当にすいません。要望と暇があれば、続編等書いていきたいと思います。
GJ!
続編希望です。
オリキャラっておkなん?知らなかった。
乙です。
しかし二次でオリキャラをヒロインにする場合、注意書きが必要かも…。
乙ですが、続編は希望しません。
乙です。
でもオリキャラってミッチーが遠く感じて淋しい。。
続編はいいかな(・・;)
茂一×弥生さん見たいです!!
2度と来て欲しくない
そこまで言うな
あんまり辛辣なレスばっかりしてると誰も書いてくれなくなる。
そうやって潰れていったスレは数知れない。
大人なのだから、気に入らなければ華麗にスルー。
オリキャラ入り二次創作は注意書き必須だと思うなー。
乙。
次スレからテンプレに追加するのはどう?
そうだね。テンプレに入れるのがいいと思う。
流彩の続編を希望します
書く書く詐欺はやめてほしい。
いつまで待てばいいんだよ。
大人になれよ…お前…
あーだこーだ言うなよ。
文句あんなら自分で書けば良いのに。
ちょい遅レスだけど、堂本監督×弥生の方GJです!
大人の男女もいいですね。
そんな無理して待つことはないよ。
相手も趣味なんだから、投下されてたらいいな程度の心積もりが丁度良い。
書く書く詐欺ってすごい言い草だな…
職人さんにも事情があるんだと思って大きな心で待とうジャマイカ。
最終的に書いてもらえるなら、それで十分だ。
ホシュ
745 :
2/6:2007/09/27(木) 23:56:05 ID:3uGuoMwk
サーファー通り近くにある馴染みの回転寿司を出た後、
「忠ん家でビデオみよーぜ。」
と、いう大楠の発言をぶった切って、俺だけ1人抜けてきた。
行きたいところがあったから。
海岸沿いの134号線。いくつかある陸橋の中のひとつの、そこ。
晴れていると富士山が見えて、今くらいの夕方から夜にかけては、江ノ島の展望台に灯がともるのが見える。
12才の日、そこで一組のカップルをみた。
夕方のそのコントラストの中、見詰め合っていた二人は
じっと見ていなければわからない位の、触れるようなキスをした。
あの日から、この場所は俺の特別で…あの日の二人は憧れだった。
それは、何人か女を知っても、かわらなかった。
「あれ?水戸洋平?」
長いウェーブの髪、すらっとした足、そこにはバスケ部のマネージャー彩子先輩がいた。
「こんなところでな〜にしてんの?あんたんち、この辺?」
「先輩こそ、な〜にしてんの?学校帰りに寄り道して。」
「不良だな。」と、俺が言い終わるか終わらないかの瞬間、先輩は俺の隣に並んで目線を同じ方向に向けた。
その警戒心のなさに少しとまどったが、陸橋の下を走る車の音で落ち着いた。
「どうですか、花道。少しはマシになりましたか?」
「水戸洋平。」
橋の淵に手を添えながら、先輩の視線は俺を真っ直ぐ捕らえた。
「ごまかしてくれて、ありがとう。先生方に。」
くっと、息をのんで、強い瞳で言葉を続けた。
「今年は流川も入ってリョータも帰って来て、赤城キャプテテンもすごい気合。
桜木花道の伸びも期待してるし、みんな、県大会に掛ける思いが強いと思うの。もちろん、私も。」
「不祥事で出場停止なんて、絶対嫌だったわ。だけど…。」
「いーんすよ。」
日が暮れて、江ノ島の展望台がライトアップされた。
「俺もあいつらも、花道の事応援してるし。ま、気にしないで。」
少し困ったように笑う先輩の顔に、車のライトが当たる。
この人はなんて綺麗な顔をしてるんだろう。
746 :
1/6:2007/09/28(金) 00:06:04 ID:3EkiJcoF
洋平×彩子投下します
順番が逆になっちゃったてすみません。
苦手な方はスルーでお願いします。
「おーーーーっし!リーチきたきたっっっ!!!」
「うるせーぞ、高宮。」
「立つな。振動で玉がこぼれる。」
三井バスケ部乱入事件で請けた謹慎処分も、残すところあと1日となった。
大人しく家に篭ってるはずもなく、俺、忠、大楠、高宮は、今日も朝から並んだパチンコ屋に篭っている。
「うおおおお!高確率リーチではずれたああああ!」
「てめー、せっかくの休みだ、有意義に勝てよ。」
「今日もよーへー1人勝ちかな。オレも嫌な予感‥」
「はっはっは。」
俺が最初にバスケ部を庇う発言をしたせいで、謹慎を喰らってしまったが、そんな事を気にも留めていないでいてくれるこいつらはほんと頼もしい。
「かわいそうなきみたちに、今日はオスシを奢ってやろう。マワルヤツな。」
悪かったな、みんな。庇いたかったのは花道だけじゃないんだ。
747 :
3/6:2007/09/28(金) 00:09:59 ID:3EkiJcoF
「本当にありがとう。」
気が付くと日は半分以上暮れて、まるであの日のような空だった。
そして俺は、今この空気の中でこの人がいる事実に、心の中で焦っていた。
こんな機会は、きっともう、ない。
「ちょっ…、ちょっちょっちょ!!!ちょっと水戸洋平!!」
俺が両手を伸ばし、先輩の首の後ろで手を組んだ時に、先輩は両手で、俺を押して離れようとしていた。
「先輩、聞いて。俺、ずっと前からあんたの事知ってたんだ。」
押していた両手の力が少し抜けたので、顔を近づけて目を見つめた。
「先輩、ちゅーした事あるでしょ、ここで。」
ボっと、音がしたかと思うくらい、先輩の顔が着火されたように赤くなった。
「やっぱり。花道が入ったでしょ?バスケ部。そうじゃねーかと。そうだったらいいなぁと。
…ねぇ、俺のことも、ちょっと知ってよ。」
先輩の目が少し緩んだ。見逃さず、顔を近づけて、キスをした。
ちょっとでいいから、触れるようなキスを。
748 :
4/6:2007/09/28(金) 00:17:31 ID:3EkiJcoF
先輩は何も言わなかった。抵抗もしなかった。
なんだか謹慎の代償として、キスさせてもらったような気がしてきて、切なくなった。
「ごめんね。忘れて。」
頭をこつんと先輩の額にぶつけてから、緩めて離そうとした両手を
今度は先輩の方から強く握ってきた。
「…もう少し、あんたの事知りたいと思ったら、どうすればいいの?」
日は、完璧に暮れた。ここからは海も見えるはずだけど、もう暗くてよく見えない。
先輩の顔も、いまはどんな顔をしてるのか見えない。
…もう少し、知りたい。
「んと…、とりあえず最初の質問ね。俺ん家はこの辺。」
その意図がわかったらしく、握られた手に力が入った。
2回目のキスは、触れるだけとは出来なかった。
吸って、押して、貪る様なキス。
たまに先輩が苦しそうに息を吐くのはその行為が苦しいのか、
それとも、思ったより大きい胸を、押し付けるように触る事でかかる俺の重みのせいか。
先輩の身体をベッドに倒して、首すじにキスをしている時に、少し震えているのが解った。
「先輩、ほんとにいーの?」
その問いに一瞬目をぱちくりさせて、長い髪を身体の下からどける仕草をしながら先輩は少し笑った。
もう、止まらない。
749 :
5/6:2007/09/28(金) 00:41:16 ID:3EkiJcoF
制服のはだけたシャツから見える少し日に焼けた胸に顔をうずめて、ピンク色の突起を口に含んだ。
先輩の身体がしなやかにピクンと動いて、また、苦しそうに息を吐いた。
舌を動かして、その感触を強くするとますます先輩の呼吸も強くなって、
苦しそうにしてるのではなくて、
苦しそうにしてるのではなくて、感じてくれているのがわかった。
嬉しくて、左手でもう片方の突起を摘むと、強い息をはっと吐いた後、下唇を噛む仕草をした。
「出して、先輩。声、聞かせて。」
左手でそのまま太腿を上に撫でていき、スカートの中に手を入れた。
湿った感触を感じながら、探し当てたそこに、最初は軽く指先を押し付けた。
ぬめぬめと円を描く様に動かした後、くっと少し中指を曲げると、第一関節辺りまで襞に包まれたのが分かった。
そのまま中指を曲げたり伸ばしたりしながら入り口当たりをほぐしていると、いつの間にか中指全部がすっぽりと入り、
手のひらに零れてくる雫を感じる。
顔を見上げると先輩は、両手で口を塞ぎ目をぎゅっと瞑っていたので、
なんだか困って、 その両手の上から、ちゅっと音を立ててキスをした。
先輩は、俺を見てちょっと笑って、それから腰を浮かせてくれたので
脚の間に入り込み、正面からもう一度顔を見下ろし、またキスをした。
「いつも、口紅つけてんのかと思ってた。すげー赤いから。」
チャームポイントとも捕らえられるその赤い唇を見つめながら、ずっと思っていた事を話した。
「よく言われるけど、違うのよ。中学の時なんか怒られた事あるわよ。」
「初めてあんたを見たのは、きっとその頃だな。たまたま、あそこで。」
先輩の手が俺の背中に回った。
それが合図のように、スカートを捲し上げながら細い腰を持ちあげ、先輩の中に、挿れた。
750 :
6/6:2007/09/28(金) 00:49:25 ID:3EkiJcoF
俺が熱いと感じてくるのと平行するように先輩の呼吸はますます荒くなり、垣間に喉から搾り出されるような小さな声が聞こえた。
「先輩、声…」
「彩子よ…、名前。」
ぎゅっと腰を持つ手に、自然と力が入る。そのまま今度はもっと強く深く、身体を押し付けた。
「あっっっっ…!!」
「彩子、すげーかわいい」
「ようへい……」
「やらしい声。もっと聞かせてよ」
「はっ…ぁ……ようへい、あっ……」
くちゅくちゅ音を立てているのは、重なった体の間に挟まる汗の音か、それとも繋がって溢れてくる蜜の音か。
わからなくなるくらい集中して、彩子だけを感じていた。
「謹慎は、明日までよね?」
「そーっす。」
終電近くになり帰宅途中の人影もまばらになった駅で、先輩は話し掛けてきた。
「今日は、会えてよかった。他の桜木軍団にもよろしくね。」
「…先輩!」
じゃ、といって改札を潜って行く、長いウェーブ髪の腕をつかんで、最後にもう一回だけ。
改札越しに、触れるようなキスをした。
「また学校で。」
急いで去ろうとする俺に先輩は大きな声で「水戸洋平ーーーーー!!!!!」と声を掛けて来た。
「あの日も、最後の日だったんだよーーー!いい思い出に変えてくれてありがとねーーーーー!!!」
太陽の様ににっこりと笑うその笑顔に、つられてふっと笑みがこぼれ、踵を返して後ろ手を振り、今度こそちゃんとさよならをした。
明日はあいつらとなにしようかな。
…以上です。
最初順番狂ってすみません。
洋平とか新鮮!!
なんだか額にコツンとかドキドキしてしまったぁ〜!
GJ!GJ!GJ!
ありがとう(´ω`)
ああ幸せ〜!
乙でした!!
ウハー!乙です!
乙でした!
洋平好きな自分は、上の方にリクがあったのを見て
ROM専の波を越えてつい初妄想してしまいました…
読んで下さってありがとうございます!
5/6の「苦しそうに」は一つ抜かして下さいです。
投下キテター!乙です!
ほしゅ
ほ
し
ゃん。
彩子さんちの流川君…
密かに続き投下待ってるのは俺だけでしょうか
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
>>763 とっても残念です…。
今まで本当にありがとうございました。
今まで乙でした。
残念です…
新しい保管庫が出来るのをお待ちしてます。
保管庫管理人様、お疲れ様でした。
楽しく読ませて頂きました。
花道×彩子投下します。
苦手な方はスルーでお願いします。
静かな日曜日の学校。いつもとは違う静かな部室にふたりはいた。
「いやぁ〜、すみません。わざわざ休日に。」
「いいのよ、暇な時部室の整理もして置きたかったし。」
大会前でもない平日の今日。普段にぎやかなバスケットボール部の部室も、今は彩子と花道だけである。
坊主頭が中途半端に伸びてきてうっとおしがっていた花道に、
「散髪しようか?」と、彩子が提案したのだ。
顧問の安西と部長の赤城の許可を請け、部室の掃除を名目にして鍵を預かり、
ふたりで部室の床に、がさがさと新聞紙を轢いている。
「上半身だけでも脱いでおいた方がいいわよ。髪の毛散るからね。」
「ういっす」
着ていたTシャツを脱ぎ、敷いた新聞紙のど真ん中に花道はどすっとあぐらをかいた。
準備のいい彩子は、その間にコンビニの袋から大型のゴミ袋をとり出し、同じく買ったばかりのハサミを入れて、大きな長方形を作った。
それを、座ってる花道の後ろからふわっとかけると首の後ろをガムテープで止めた。
「おお、ケープがわり。頭良い、アヤコさん」
「フフフ。はじめるわよ〜」
ふたたび静かになった部室に、リズムの良いハサミの音が響いた。
5分たったであろうか、ふと顔を覗き込み話しかけようとしたら、
鼻ちょうちんを出しながら花道は眠っていた。
半端、呆れた彩子であったが、すぐにふっと笑みをこぼし、
午後の日差しの入る暖かな空気の中、もくもくと髪を切り続けていた。
柔らかい感触を感じ、心地よさの中うつらうつらしていると頭の上から声が聞こえた。
「おっ、起きたか。」
起き抜けで状況がつかめずにいた花道だったが、何回か頭を撫でる手を感じられるようになった頃、
ようやく自分の置かれている状態を把握した。
彩子にひざまくら。
声にならない声を出し、天井にぶつかるのではないかと思うほど高くジャンプをして飛び起きる。
その様子を見てけらけらと笑いながら、彩子は説明を始めた。
「あんた、座ったまま寝れんのね。あたしが掃除終わってもずっと寝てたわよ。大仏か。」
花道の髪を切った後、部室の整理を始め、更に散らかった髪の毛や敷いていた新聞紙も片付け始めた時、
新聞紙をずらした拍子に、花道の身体がしゃがんでいた彩子に倒れこんだのであった。
さすがに重く、何度も頭をポカポカ殴り抵抗はしたのだったが、ついには諦め、
切ったばかりで手触りの良い髪の感触を楽しんでいたところだった。
「すいません!アヤコさん!ついうとうとと!!」
真っ赤になって弁明を始める花道の目の前に立ち、彩子は片手をあげた。
咄嗟にぶたれる!と思い目をつぶった花道であったが、その手は意に反し、また頭を優しく撫で始める。
「いい感触よね、これ。短いのも似合うわね。」
戸惑いながらその顔を見ると、満足気になでなでする彩子の表情に、複雑に懐かしいものを感じた。
「アヤコさん、ハハオヤみたいっす…」
「あら。あんたのお母様、あたしに似てんの?」
ふと返した言葉であったが、花道の表情が強張り目線を下げたのを彩子は見逃さなかった。
「あら、リョータ。」
「ふぬっっっっ!!!!!違うんだリョーちん!!これはっっ!!!」
「嘘よ。」
首が折れそうなほどの鋭い瞬発力で思いっきり振り返った花道は途端に力が抜け、そのまままた座り込んでしまった。
ふたたびけらけらと笑い出しながら謝る彩子であったが、花道はふてくされて後ろを向いたままだった。
急に花道を鹹かったのは、話を切り替え空気を換えようとした彩子なりの配慮であったが、少し冗談がきつかったようだ。
その後ろ姿の大きな背を黙ってしばらくみつめていると、彩子にだんだんと不思議な感情が沸いて来た。
…なんか、かわいいヤツ。
ちょっかいを出したいという、いたずら心にも似たその衝動を彩子は抑える事が出来なかった。
「ぬ?」
花道が違和感を感じた時にはもう遅かった。彩子は後ろから花道を抱きしめ、右耳を噛み始めた。
「ちょ…!!!!アヤコさんっっっ??!!!」
焦る花道はおかまいなしで、彩子の甘噛みは続く。耳たぶを吸い、耳の穴に舌を入れてきた。
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!」
ますます焦る花道であったが、未知の刺激にどうしてよいのかわからずギュッと拳を握って小さく身体を丸めてしまった。
…やっぱり、かわいい。
唇を離し、自由になった耳にフッと軽く吐息をかけるとビクン!と反応した花道。その前に回りこみ、顔を覗いて表情を確かめる。
髪色に負けない位真っ赤になって俯く姿に、なんだかときめいてしまい、今度はその大きな左手を手に取ると、そっと自分の唇に当てはじめた。
「あっ…アヤコさんっ???」
わけがわからないという風に彩子を見る花道に目で笑いかけると、指の1本1本を丁寧に舐め始める。
舌頭で指の腹を刺激し、爪には軽く歯を立てた。指の間をはむはむと唇で噛み、次の指へと刺激は続く。
薄目で真剣な表情の彩子を見下ろしているうちに、花道の中にもふつふつと湧き上がってくる感情が出てきた。
…アヤコさん、エッチだ。
おずおずと彩子の髪を撫でてみたら、視線がぶつかった。
目で微笑まれながら、指にちゅ、とキスをされる。
たまらず花道は彩子に覆い被さり、豊満な胸に顔を埋めた。
しばらくそのまま動けずにいた花道の頭を、また優しく撫でてから、両手でくいっと首を上げさせた。
「見たこと、ある?おっぱい。」
「ないっす。」
ブルブル首を振って即答する花道に笑いかけると、彩子は寝転んだまま両手でブラのホックを外した。
それから、花道の片手を取り、服の裾から自分のわき腹辺りに手を置かせた。
直接触る彩子の肌に緊張しながらも、その手をゆっくり上にずらし、服を持ち上げる。
露わになる艶めかしい乳房。日が暮れて暗くなっているこの部屋では眩しいくらいの肌色。
恐る恐る触ってみると、柔らかく指先が弾力で埋まる。
「やわらかい…。」
両手で鷲掴みにし、もみもみと感触を確かめていた花道であったが、
痛がる彩子の声でいつか桜木軍団みんなでみたアダルトビデオからの乏しい知識を絞り出した。
ぱっと手を離し、変わりにもう固くなっている乳房の頂点に舌を這わせる。
ぎこちない動きに、はじめはくすぐったさを感じていたが、花道のあたえる快感が、どんどん強くなった。
たまらず声を出すと、感覚をつかんだのか、強弱をつけて舌の上で転がしてきた。
「…きもち、いい。」
自分の与える刺激で感じてくれる彩子に、花道は止まらなくなり、スカートの中に手を入れ始めた。
柔らかい、女の子の太腿。その感触も素通りしてたどり着いた、そこ。
1枚の薄い布切れすら歯がゆく感じ、指は隙間をすべっていき、薄い茂みを掻き分ける。
じめっとしたその場所は想像していたよりずっと柔らかく、ただ触れているだけでもなんだか厭らしい。
首に腕を絡ませ、こすって。と言う彩子の囁きにより、触れていた指を上下にこすってみた。
「あっ‥やん……、あぁっ気持ちいぃっ……」
花道は知らなかったが、指は見事にクリトリスを刺激し、彩子の秘所からはどんどん愛液が溢れてきた。
それがまた指のすべりを好くするのを手伝い、くちゅくちゅと厭らしい音を立て始める。
最初はからかい半分であった。だけど、ふたつの若い欲望はもう制御することが出来なくなっていた。
「アヤコさん、もう…。」
あ、挿れられちゃう。そう思った時にはもう、彩子の片足は花道の肩に乗せられ、力強い、、熱い衝撃が身体を突いた。
一瞬息が止まる程の圧迫感を感じ、今までにない拡げられ方をされた大きな楔に痛みを感じたが
眉間に皺を寄せ心配そうに覗き込む花道の顔を見たら力が抜けて、ゆっくり…。と小さな声で呟いた。
その言葉を聞き、従順にゆっくりと腰を動かし始める。
前戯でたっぷりと愛液がでていたおかげで、その動きを円滑に助けた。
暖かなヒダに包まれる初めての体験に花道は限界寸前であったが、いつもよりちょっと高い彩子のかわいい声を、もう少し聞いていたいと願った。
「もっと…、もっとして。ね、もっと深くきて…。」
紅潮する頬、口元に置かれた手、揺れる乳房、そして自分の与える快感に答える彩子の身体。
すべてのことに花道は感動し、そのおねだりを叶えてあげたいと深く、強く突いた。
「あっ!!そこダメぇ!いっちゃうぅっっっ…!!!!」
…上の方でなにかにこすった。花道がナカでそう感じたと同時に秘所はきゅっと締まり、ふたりは同時に果ててしまった…。
「すっかり日が暮れちゃったわね。」
そう話しかける言葉に返事はなかった。花道はまた、後ろを向いて小さくなっている。
静かに手を伸ばし、また花道の頭をしばらく撫でていたら、急に振り返り彩子を抱きしめた。
「けっ…、ケッコンしましょう!!!!アヤコさんっっっ!!」
その言葉に面食らい、大きな目を更に大きく開けた彩子だったが、耳まで真っ赤になってる花道を見上げ
一度ぎゅっと背中に手を回した後、ぽんぽんと叩いてきた。
「あら、晴子ちゃん。」
「ふぬっっっっ!!!!!違うんですハルコさん!!これはっっ!!!」
「嘘よ。」
またもや、首が折れそうなほどの鋭い瞬発力で思いっきり振り返った花道はそのまま座り込んでしまった。
彩子はけらけらと笑いながら手を差し伸べ、
「結婚は、いちばん好きな人としなさい。」
と、言ってにっこり笑うと、ばつの悪そうな顔をした花道を両手で起こした。
…ホントかわいいヤツね。
明日からまたがんばんのよ。と、言って校門を去る彩子の後姿を見送りながら、かなわん。と、花道は思った。
でも、今日のことはずっと忘れない。とも思った。
…おしまいです。
入り切らなくて結果5/5になってしまいました。
お粗末さまでした。ノシ
乙〜!
花道が好きになりました(笑)かわいいな。
情景が浮かんで読みやすかったです。乙!!
乙でーす。
スレの容量が残り少ないね。
あと1、2作投下あれば書き込めなくなりそう。
いいなあこの二人。ほのぼのした〜
>>766で、平日と一カ所間違えてしまいました…
休日、で脳内変換よろしくお願いします。
読んで下さった皆様、ありがとうございます!
このスレが好きなので繋ぎとして何か書けないかな‥と、絞り出したら
マイナーカポーしか浮かばず、失礼しました。
常連さんも新規の作者さんもスレ容量は少なくなってきたみたいですが、
wktkで投下お待ちしています! ノシ
素晴らしい! GJ! GJ! GJ!!!!
桜木はほんとにエチしたら結婚を真面目に考えそうw
ほしゅ
, __ 、 __
il ー )ヽ)、'´,'´__,ィ,
, -‐゙ ´ "ニ、
, '/ ヽ_`,
i、、_! ン´
ヽ、゙ , , 、 、 、 ヽ
,', - /, ' i ,' ヽ ヾヾ、、`i 'l
、_彡' ' ,'i,'_l、ヾ l、l_l」i, , ミー
_ン ゝ、ilrlモi=、 lr'iモiゥ,イ,イン、´ 職人さんマダー?
'´,ゝi ー‐' `ヽー‐'l',ィ'、`
, -‐ ´/i,iヽ __ ,イlヽ、` ‐- 、
,<´ /l ' 'l i` 、'/゙`/!l ' lヽ `ヽ,、
/ ヽ /l ヽ "`´ / l、ヽ / ヽ、
/ ヽ /l ヽ / l 、 / l
| , ' ヽ / l /|\ヾ '/ィ'`iヽ、 l 、, / 、 l
/ 、 ヽ l` '、´ | i i`V´i l | _ >' i / , i ヽ
|, l l l > | l l ゚// | \ ヽl l l ヽ
/ 、ヽ l,l/ , '´ | l´゙"7 | \ ヽl l ヽ
/ ー- ヽヽ、l/ \ | ├┤ | / ヽ l,__‐-- `、
/ `〈 \ | l l | / 〉´ ヽ
〈 \ ヽ | l l | / / l
i..、 \ `、 | l .l | / / /|
| \ \ l | l l | l / /::::::|
|:::::::\ `ゝ、| l l | l∠ /::::::::|
|:::::::::::::`ヽ、 /´ ,ゝ l l |<´ ヽ /::::::::::::::|
|:::::::::::::::::::::::\ / / ヾ l/ `ヽ、 \ /::::::::::::::::::::l
|:::::::::::::::::::::::::::\/、 /ヽ ヽ / r'、ヽ/、/:::::::::::::::::::::::/
l::::::::::::::::::::::::::::::::::`i::::::l Y l:::::`l:::::::::::::::::::::::::::::::::/
〉、::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::i i i イ:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::/
〈 ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l:::r゙ 、 、 〉 i .レ::::/::::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ
∧ 〉::::::::::::::::::::::::::::::l〈,ィil / /i !__!‐'::::/:::::::::::::::::::::::::::::∧ /l
/ V∧::::::::::::::::::::::::::::::l::::゙-'ー'i-'i:::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::| ´ l、
, -‐/ / |::::::::::::::::::::::::::::::,ゝ:::::::::i:_:i:::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::|l l ヽ、
/ / / |:::::::::::::::::::::/ l-‐´ ̄  ̄`‐-l- 、:::::::::::::::::::::::::| l ヽ \
/ / / ` ー-- イ l i ,' `i 、_::::::::::/ ヽ ` \
/´ / /' l _l l l ヽ  ̄´ ヽ ヽ
`ヽ、 _ /--――‐フ< `ヽ、 )、 ̄  ̄`l , -‐ヽ、___ _ヽ ヽ
 ̄ , '´ `ヽ ヽ, ィ'-'l l`ー-、/ , '´ ̄ヽ `ー――‐'  ̄
i゛='、____, ゝ‐'ニ-‐´ ヽ _、`´、 , ,',i
`ー ニニ-‐'´ ヽ 、`二ニ-'
なんで銀時w
スレの残りが7KBと微妙な残なわけだが、そろそろ次スレを立てたほうがいいのかな。
500こえると書き込めなくなるし職人さんも投下しづらいような気が。
ほしゅ
へたくそですが南×彩子かきました|ω・`)
ちょと長いかもなので次スレたったら投下します
, __ 、 __
il ー )ヽ)、'´,'´__,ィ,
, -‐゙ ´ "ニ、
, '/ ヽ_`,
i、、_! ン´
ヽ、゙ , , 、 、 、 ヽ
,', - /, ' i ,' ヽ ヾヾ、、`i 'l
、_彡' ' ,'i,'_l、ヾ l、l_l」i, , ミー
_ン ゝ、ilrlモi=、 lr'iモiゥ,イ,イン、´ 職人さんマダー?
'´,ゝi ー‐' `ヽー‐'l',ィ'、`
, -‐ ´/i,iヽ __ ,イlヽ、` ‐- 、
,<´ /l ' 'l i` 、'/゙`/!l ' lヽ `ヽ,、
/ ヽ /l ヽ "`´ / l、ヽ / ヽ、
/ ヽ /l ヽ / l 、 / l
| , ' ヽ / l /|\ヾ '/ィ'`iヽ、 l 、, / 、 l
/ 、 ヽ l` '、´ | i i`V´i l | _ >' i / , i ヽ
|, l l l > | l l ゚// | \ ヽl l l ヽ
/ 、ヽ l,l/ , '´ | l´゙"7 | \ ヽl l ヽ
/ ー- ヽヽ、l/ \ | ├┤ | / ヽ l,__‐-- `、
/ `〈 \ | l l | / 〉´ ヽ
〈 \ ヽ | l l | / / l
i..、 \ `、 | l .l | / / /|
| \ \ l | l l | l / /::::::|
|:::::::\ `ゝ、| l l | l∠ /::::::::|
|:::::::::::::`ヽ、 /´ ,ゝ l l |<´ ヽ /::::::::::::::|
|:::::::::::::::::::::::\ / / ヾ l/ `ヽ、 \ /::::::::::::::::::::l
|:::::::::::::::::::::::::::\/、 /ヽ ヽ / r'、ヽ/、/:::::::::::::::::::::::/
l::::::::::::::::::::::::::::::::::`i::::::l Y l:::::`l:::::::::::::::::::::::::::::::::/
〉、::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::i i i イ:::::/:::::::::::::::::::::::::::::::/
〈 ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::l:::r゙ 、 、 〉 i .レ::::/::::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ
∧ 〉::::::::::::::::::::::::::::::l〈,ィil / /i !__!‐'::::/:::::::::::::::::::::::::::::∧ /l
/ V∧::::::::::::::::::::::::::::::l::::゙-'ー'i-'i:::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::| ´ l、
, -‐/ / |::::::::::::::::::::::::::::::,ゝ:::::::::i:_:i:::::::::::::l::::::::::::::::::::::::::::::::|l l ヽ、
/ / / |:::::::::::::::::::::/ l-‐´ ̄  ̄`‐-l- 、:::::::::::::::::::::::::| l ヽ \
/ / / ` ー-- イ l i ,' `i 、_::::::::::/ ヽ ` \
/´ / /' l _l l l ヽ  ̄´ ヽ ヽ
`ヽ、 _ /--――‐フ< `ヽ、 )、 ̄  ̄`l , -‐ヽ、___ _ヽ ヽ
 ̄ , '´ `ヽ ヽ, ィ'-'l l`ー-、/ , '´ ̄ヽ `ー――‐'  ̄
i゛='、____, ゝ‐'ニ-‐´ ヽ _、`´、 , ,',i
`ー ニニ-‐'´ ヽ 、`二ニ-'
AA貼るなら貼るで、せめてスラムダンクのにしてよ。
あと無駄にでかいのもウザイ。
やっぱ新スレたてたほういいかな?
お願いします!!!
乙です
ここは埋めるの?放置するの?
書き込めなくなるまで埋めますか
スレ立て乙
l :| l: :i |
_,{_,...........ilニニニニニニニli..............,,l___,.-'、
./lllソ -''¬=::;; ,;;::=_¬'` -ヾll},;トヽ
.i. 《(l ィ"t'。rヾ ′'"f。r`ァ ゝ》)ノ/ヽ
ゝ)》| `' ' ` ´ ' ' ` 《(<"ノ 丶
《( l l)》> ,.ノ
)≫| 、,_,,. /《(‐ ' "
《( l ,___..,_,..,____,. イ.:::)》>、
)≫' ゝ `'-二..- ' ,.' l::≪(ゝ., ' - ., _
_,. ,.-'<《(::::::::.}i:.ヽ、 / /.::::)》> ヽ::::::::::::
‐¬¨ / )≫:::::..l::::....ヽ.,____,. - ' /.::≪(< )::::::::::
::::::::::::::.ゝ 《( }::::::..| ノ..::::::::)》> /:::::::::::
::::::::::::::::...ヽ 》 .|::::::..ト、 ,;;' /..:::::::::≪ /:::::::::::::::..
:::::::::::::::::::...ヽ < l::::::..l ゝ i..::::::::::::::. >/:::::::::::::::::::::
,. -‐ ''"  ̄ ̄ ``丶、
i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i |
カ ヽ:::_; ‐--、、 、---、 ;;_:| |
チ `!;{ |トNヽ }.:.:.:| |ヽ' 要
カ lf へ、| 、,. へ、ヽ;| | チ
チ ,.-!. <(')' '(')> '=、 | ェ
カ .{{〉,| '" , , ` ム }〉 、 | ッ
チ /ヾ‐l ,.---、 u i、..イ ``'| ク
カ ,.ィ_" |`''i、 〈ヨ ̄´,〉 / / | や
チ/,ノr:} ヽ ヽ `'三'"/ / ム !!
/ /,.⊥L_ \l! ` -‐' / / /|
/ / ─‐〈 `ヽ、一r''" ! |/ ̄ !ヽ
r''" .ノ 'ー─〈 __ -─‐=ニ二二) l / |
/ ( 、 二.フ |-ニ ̄ -──- | | i