今日はカリキュラムテストです。通称カリテ。今日もまたさんすうのテストの時は時間があまりました。
あのきかいな文章の鎌足をほーぅ!程式なしで一体どうしろというのでしょう。
暇でした。お口がさみしい……ので鉛筆をくわえてかじろうとしたその時、
瞬く間の出来事として、ボクは見たのだ。前に座っている牛気くんが消しゴムにシャーペンを突き立てるのを。そしてこともあろうにノックしたままシャーペンをヌいたのです!
ああああああああああああなんということでしょう!三分後には消しゴムに毛が茂りました。
ちょうどいい具あいに斜方状な芯。ボクは感嘆しました。まさしく消しゴムからシャー芯が萌え出たのです。
眼鏡をかけていた牛気くん。がんきょうの絃柄を逆さまにしたようなうねった髪を眺めながらボクは思い出しました、
小学校のとなりの花屋さんでうっていたしばかりくんを。
ボクはすっかりこーふんしてしまいました。たわしだとか私のぼろぞうきん、そんなヒワイなことが頭をよぎりました。
だからなんとボクも消しゴムをお菓子始めたのです。鉛筆を食べようとしていたあのボクが、鉛筆で消しゴムをいたぶりはじめたのです。
まず消しゴムを解答用紙の上に寝かせ、上から力をいれて押さえてろっ角形の鉛筆を転がしながら前後に動かします。
ごりゅごりゅむにむにと手から刺激がつたわります。解答用紙は少しズレました。
次に消しゴムの真ん中に鉛筆を突き立てました。少し刺したところで鉛筆をネジまげ芯をおりました。杭のように残った太い、鉛筆の芯。
黒鉛の黒みが回りに走り、芯にこびりついた木がまるで豆です。
ここでシャーペンを取り出しました。毛を生やすためです。牛気くんがよほど器用なのかはたまたボクが不器用なのかうまく放射状にはなりませんでした。ずいぶんと偏った毛並みです。
このなまことも毛虫ともとれる奇怪な生物をひっくり返してアシが何本もあるタコにしようと思いましたが、うまくタチません。どうしても斜めになってしまうのです。カタカタと揺れる。振動するタコ。まさしくタコアシ配線です。
グラファイトは横におっぱい結合した六角形の平面構造の繰り返しです。そして鉛筆は六角形です。ああなんと合理的な符合でしょう!
さて、うまく勃たないこの消しゴムちゃんの前傾姿勢は異様なほどこちらに迫ってくるのでボクは腹がたちました。
シャーペンで芯を回収します。ノックしたままシャーペンを芯にそって動かし粉を吹かせながらまずは一本抜きました。
脱毛は大変な作業でした。そもそも牛気くんのと違い、小さめの消しゴムを使ったのです。それでもシャー芯一箱使ったので毛は密生しています。テラジャングル。
ボクは直定規を取り出しました。ばきびきぶきべきぼき。ぶちぶち。定規を机に平行にし自分の方へ刈り上げます。
剃毛です。少し豆がじゃまでした。やっぱり消しゴムはヒワイな物体です。白、白濁、ゴム、シャー芯で穴を開けた。思わず使用ずみという余計な形容詞を付けたくなります。
毛はちょっと硬かった、共有結晶な剛毛だからしょうがない。ああ電子の共有輪姦! 電子の愛は踊るのです。
剃毛をされた毛虫は、見るも無惨に黒い切り株だらけでした。ボールペンのばねによるノック機構で机を走らせます。黒い軌跡が波打って痙攣していました。
もはや、たわしをこえてやすり。
ひどく長さが不揃いな毛をケースに戻しながら、ボクは思いました。
もうだめだ。こいつは消しゴムとしての生命を終えたに違いない! 消しゴムよ生まれ変わるんだ……。新たな生命よ、萌えい出るのだ!
それはどう見ても見まがうことのない女性器でした。女性器以外のものとはどうしたって思えない、正に女性器そのものだったのです。
そして女性器、そう彼女は鉛筆とまぐわることを望んだのです!
ボクは彼女の望みを満たすために鉛筆を取り出しました。お豆の下にまた鉛筆をつきたてます。机目指して貫通させます。姦通のよろこびなのか、摩擦による振動なのか彼女が痙攣します。
鉛筆が机に達したの確認してから上下に激しく動かします。激シクこすられて白い消しカスが飛びちります。
洗えば洗うほど垢が出るなんて皮肉な体質だなとボクは思いました。
それでもなにかが足りませんでした、消しゴムでも消せない色、破瓜だけでなく、月ごとに涎を排泄するあの色が足りない!もっと激しいプロメテウスの火がほしい!
ボクは当時流行り始めたゲルインクのボールペンを毛でかき回して逆流させ、彼女にぶっかけました。
解答用紙にも降り懸かりマーブル模様が出来上がりました。視線が定まらなくなるあの渦。迷ったような試験官の不審な目。
ああ、ボクは竿を突き立てながら“彼女”と共にオルガスムスに達したのだ、卵巣を失うような、去勢されて淫らなものを恐れるあの目が!
あ、タイトルは消しゴム幻想です。
一応、ばきべきびきぶきべきなバタイユの眼球譚パロディみたいなもんですが、あれをこえようと頑張ってみたんですが無理でした
ちくしょぉおおお 失笑ものですね……
眼球譚は是非読しょ感想文で読んでほしいです、200ページくらいだし、名作! きしょい奇書。