神無月の巫女 エロ総合4

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564名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 15:17:39 ID:4lYAPkNF
まったり和姦がいい
565名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 19:04:04 ID:yUhszeif
>>559
嫉妬深い千歌音ちゃんってかなり萌え逝く
期待してますね

「んっ・・・(や、やだ・・)」
姫宮邸深夜、宮様から強引にキスされている姫子。
部屋を訪ねてきた宮様を迎えた姫子は有無を言わず突然唇を塞がれた。
両腕で体全体をガッチリ固定され身動きが取れなかった。

「千歌音ちゃん・・どうしちゃったの?なんだか怖いよ」
「姫子、今日は何処でなにをしていたの?随分と遅かったようだけれど」
「うん、マコちゃんと遊んでたから」
「そう、早乙女さんと・・」
言葉と同時に姫子をベッドに押し倒し両腕をシーツに押さえつけた。
「千歌音ちゃん!?」
姫子を見下ろす宮様のその目には嫉妬の炎が巻き上がっていた。
「姫子、この際だからはっきり言っておくわね、貴女は私のものよ、誰にも渡すつもりはないわ、私だけのものなの」
言葉と同時に強引にキスをする宮様。
嫌なる姫子を押さえつけ何度もキスをする。
「んっ・・」
少し唇を離した宮様
「そうよ、この蜜のように甘い口付けを頂くのは私だけよ」
「千歌音ちゃん、私だってそうだよ、私だって千歌音ちゃんとキスとかしたいよ、でも・・」
「ごめんなさいね姫子、私我慢できないわ」
と姫子のパジャマを剥ぎ取るとブラを外し胸にかぶりつく
「はあ・・姫子は私のもの・・・私の・・はあ」
「やぁっ・・・う、うん、いいよ・・千歌音ちゃんに抱かれるなら私幸せだよ、うん・・・抱いて」
「姫子・・・姫子!!」
姫子の甘い声に理性を失った宮様は自分のネグリジェも脱がし始めた・・・。

ドア越しにその行為を目の当たりにした乙羽さん興奮のあまり自分のショーツが染みていることを感じた





566名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:07:16 ID:US4ewkTW
下の無駄な空白に文体
どう考えてもry
567名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:22:38 ID:4lYAPkNF
オロチカネちゃんならまだしも、千歌音ちゃんは嫉妬に狂って襲うなんてあるのかぁ?
568名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 21:35:41 ID:Z08xSXtq
オロチのときに犯しちゃったことずーっと気に病んでそうだから、なさげだと俺は思った。
569千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:43:19 ID:dqJ9gNsd
うっ、それを言われると確かに……!
ま、ものは書きようと言うことで。とりあえず、投下します。
トリップ付けるんでスルーはそれでヨロシク
570千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:44:53 ID:dqJ9gNsd
 窓からの日射しが、あたたかい。
 姫子と再会した秋から、数ヶ月が経った。
 寒い冬は二人で暖め合って睦まじく過ごして、こうして春を迎えられたことを幸せだと思う。
 二人で迎える、初めての春。
 

 千歌音は大学の図書館の二階から、少しずつ芽吹いていく桜を眺めていた。
 もう二人の通う大学も春休みに入っているのだが、姫子はなにやら用事があるとのことで
二人して学校に来たのだった。
 姫子は一人で行くから良いよと言っていたのだけれど。
 とくに用事もなかったし、少しでも姫子と一緒にいたかったから。

「遅いわね……」
 うららかな春の陽気の中景色を眺めるのも、本を読むのも悪くないけれど、景色よりずっと
姫子の方が千歌音には気がかりだ。
 席を立って、本を棚に戻す。大学の事務課にも行きたいと言っていたから、用事が長引いて
いるのだろう。

 ――心配して迎えに行ったりなんかしたら、呆れるかしら。過保護だって言われてしまうかも。

 でもきっと、姫子は笑ってくれると思うから。
 千歌音は図書館を出て、姫子の元へ向かった。
571千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:45:47 ID:dqJ9gNsd


「……もう、マコちゃんったら」
 姫子を探しに出た中庭で、曲がり角の向こうから聞こえてきた声に千歌音は足を止めた。
 千歌音が聞き違うはずがない。姫子の声だ。
 ――早乙女さん?
 休日の大学に何の用だろう。
「つれないなぁ、姫子ー。最近さ、ちっとも私と遊んでくれないじゃん」
「だ、だって……マコちゃんだって、部活とお勉強で忙しいでしょ?」
 部活?それでたまたま姫子と会ったのだろうか。
 出て行っても、良いものだろうか。久しぶりに会ったのだったら、会話の邪魔かも知れないし――

「んっ……もう、キスは駄目だってばー」
 姫子のくすぐったそうな声。
「!?」
 ――キス?姫子が、早乙女さんと?まさか!
 壁に張り付いて、向こうからこちらが見えないようにして、様子を窺う。
「もうっ、マコちゃんっ」
「あははっ、相変わらずウブだなぁ姫子は。カワイイカワイイ」
 最悪の事態は起こっていなかった。姫子は手で早乙女真琴の顔から唇を守っている。
 ……もしかしたら、もう既にした後なのかも知れないが。

 けれど、姫子の様子は決して嫌そうではなくて。むしろ嬉しそうで。
 姫子の首に腕をかけ髪をなで回して笑っている早乙女真琴も、とても楽しそうだ。
 二人にとっては、これが日常のふれあいなのだろう。
 あんな風に、千歌音と姫子がじゃれ合ったことは、無い。
 キスこそしていなかったけれど、千歌音にとっては十分に衝撃的な光景だった。
 壁の向こうでのじゃれ合いはまだ続く。それを見ている余裕はなくて、そのうち聞いている余裕も
なくなって、千歌音は悄然と図書館に退避した。

 姫子が千歌音の元に戻ってきたのは、それから数十分後の事だった。
 
 
「待たせちゃってごめんね、千歌音ちゃん」
「姫子……もう、用事は」
「うん、全部済んだよ。ごめんね、思ったより時間掛かっちゃって」
 ――大半は、早乙女さんとの語らいだったんでしょう?
「そう……」
「千歌音ちゃん?どうしたの、顔色悪いよ?具合…どこか痛いの?気分悪い?」
 姫子が心配そうに千歌音を覗き込む。
「……っ」
 なぜだか顔をまともに見られなくて、つい視線を逸らしてしまった。
「千歌音ちゃん…?」
「少し、寒かっただけ。――さ、帰りましょうか」
 待たせてある車までの距離を、姫子はずっと千歌音に寄り添って風除けになって歩いてくれた。
 けれど、千歌音は自分の腕を抱いて歩いた。
 寒いと感じているのは、心だったから。


572千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:46:28 ID:dqJ9gNsd

「姫子、夕食とお風呂が終わったら、私の部屋に来てくれる?」

 大学から帰る途中も、帰ってからも、千歌音はほとんどずっと無言だった。
 やっぱりどこか具合が悪いのかな、なんて姫子は心配していたのだけれど、夕食の時間を
教えに来てくれた千歌音は別に調子が悪い様子でもなく、夕食もきちんと食べていたから、
ほっと一安心。
 夕食前に言われていたとおり、姫子は千歌音の部屋を訪れた。

「千歌音ちゃん、今大丈夫?」
「ええ、もちろん。貴女を呼んだのは、私だもの」
「……あの、千歌音ちゃんやっぱり、具合悪いんじゃない?」
 なんだか、様子が変だ。
 夕食中もずっと無口だったし、ちょっと顔が怖い。
 綺麗すぎるくらい綺麗な顔だから、無表情だったり真剣な顔をしているときは、少し迫力が
ありすぎると思う。
 
「どうして?」
「な…なんか、変だよ?」
「そうかしら。姫子、これから時間はある?」
「え?うん。明日もお休みだし。ちょっと本でも読もうかな、って思ってたくらいだけど……」
 千歌音にエスコートされて、部屋の奥へ。
 ベッドの横まで来ると、姫子の手を取ったまま千歌音が振り向いて。

「ごめんなさいね。それ、明日にしてちょうだい」
 流れるように、唇を塞がれた。
「……!」
 いきなりの事に驚いて目を見開く。至近距離で千歌音としっかり目が合って、困惑した。
 目の前で、そっと千歌音が目を閉じていく。長いまつげが小さく震えている。その様子は
なんだかちょっと幻想的で。見惚れた姫子の思考を奪う。
 そうこうしているうちに千歌音の手が姫子の腰に回ってきた。

「ん、ふっ」
 刺激に、身体が跳ねる。姫子の呻きは千歌音の唇に吸い込まれて、明確な音にならない。
鼻に掛かった吐息が漏れるだけだ。
 それを飲み込んで、千歌音が喉の奥で笑った。その気配がなんとなく伝わってきて、頬が
熱くなる。恥ずかしい。笑うなんて、意地悪だ。

 ――どうして?

 こんな風に、いきなり。千歌音が熱烈に求めてくることは何度もあったけれど、今回は様子が
違う。
 千歌音の肩に手をついて身体を離そうとする。でも、キスが情熱的すぎて。上手すぎて、
身体に力が入らなかった。だんだんと頭もぼうっとしてきて、膝が震える。
 ――や、だ…っ。立ってられない…!
 肩にかけた両手は、今や千歌音にすがりつくのに使われている。千歌音にすがって身体を
支えるのがやっとだ。

 しばらくすると、ようやく千歌音の唇が離れて、姫子は大きく息をついた。
 力の入らない姫子の身体を、千歌音はベッドに押し倒して、押さえ込む。
「はあっ…!ん、ふぅ……ぁく、ふ…っ」
「姫子……良いでしょう?」
 まだ息が上がっていて、返事は出来ないけれど。抗議と疑問を込めて姫子は千歌音を
見上げた。
「まだ、寝るには早いわよね?」
「なん…で、千歌音ちゃ…。どうしてこんな……んんっ!」
 言葉の途中で、唇を塞がれた。今度はすぐに舌が入ってきて、先程の愉悦が甦る。
同時に湧き上がる恐怖感に姫子は震えた。
573千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:47:29 ID:dqJ9gNsd

 ――また、バカになってしまう。駄目。まだ、駄目なのに。
 千歌音はキスがとても上手で、すぐに心も身体もふにゃふにゃになってしまう。
 それは、とても気持ちいいけれど……でも、やっぱり、無理矢理されるのは嫌。
 だって、幸せじゃない。千歌音だって全然嬉しそうな顔をしていない。
 それに、こんな風に誤魔化されるのは嫌だったから、姫子は一度離してもらおうと首を
ふって拒絶した。
 けれど。
「――!?」
 千歌音の手が、姫子の顎をとらえて上向かせる。ぐっと強く、姫子に抵抗を許さないくらいに。
 もう片方の手は、姫子の両手を一括りに束ねて、頭上で拘束する。

 怖い。
 千歌音がこんな手荒なことをしたことは無かった。いつだって、優しく優しく愛してくれたのに。
 こんな強引な事は――

「……っ!」
 びくっと身体が跳ねる。思い出した。
 昔一度だけ、こういう風に千歌音に抱かれたことが、姫子にはあったのだ。
 あの時の恐怖が甦ってくる。心臓が縮み上がるような感じがして、全身が震え出す。
 怖い。嫌だ。今は、思い出したくない。
 大好きだった千歌音に――姫子は、何もかも奪われたのだ。
 優しい千歌音の存在を、一番大切なひとを、オロチに奪われてしまった一夜。
 そしてその後、今度は千歌音を天叢雲に――世界に奪われた。すべて、あの夜から始まった。
 
 あれは姫子に嫌われるための演技で、姫子を救うためだったと知っているから、あの夜の
行為自体は、姫子にとって何の痛手でもない。
 思い出しても、普段ならなんと言うことはない。ただ、千歌音に非道いことをさせてしまったと、
つらい思いをさせてしまったと胸が痛くなるばかりだ。

 けれど、千歌音を失ってしまった事は、その恐怖だけは、今も姫子の心に刻み込まれていて――
 あの夜の再現みたいなこの行為が、恐ろしくて堪らない。
 ――いや。もう、絶対に千歌音ちゃんを失いたくない。
 それだけは、耐えられない。
 

 千歌音が、どうしてもそういう風にしたいのだったら、それは別に構わなかった。毎日だと
ちょっと大変だけれど、たまにだったら。
 それで、明日からも変わらずに側に居てくれるのなら。いなくなる前兆なんかじゃないんだったら。
 だから、せめて何か一言欲しい。
 何も分からないまま、またあの日のようになるのではないかと怯えたままでは、つらい。
574千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:48:07 ID:dqJ9gNsd

「ぷはっ!……ん、はぁっ、く、ぅん…っ、ちか、…ちゃ…っ」
「ん、ふぅ…。どうしたの姫子、そんなに震えて。寒い?」
 唇を解放されても、まだ上手く喋れない。柔らかく蕩かされた舌は姫子の思い通りには
動かなくて、口の端から漏れた唾液が頬を伝った。
 それを千歌音の舌が舐め取って、そのまま首筋に唇を這わせていく。
「あっ…!」
 快感。ぞくぞくと背中を這い上がってくる。
「大丈夫よ、姫子……すぐに、暖めてあげるから」
 胸元に熱い吐息がかかる。それを感じた次の瞬間には、ささやかな胸のふくらみに強く
口付けられていた。
「あ…や、ああっ!」
 ピリピリする。胸への少し痛い乱暴なキスに姫子が痺れているうちに、千歌音は着々と
姫子を無防備にしていく。パジャマのボタンは全部外されて、下着を着けていなかった胸は、
電灯の下にさらけ出されている。
 ズボンももう膝まで下ろされていて、半端な格好が余計に姫子の羞恥心を煽った。
 しかしそこまでで千歌音の手が止まる。

「……えっ?」
 姫子がぎゅっと瞑っていた目を開けて千歌音を見上げると、千歌音は小さく笑った。
「なぁに?姫子は、脱がせて欲しいの?物欲しそうな顔、しているわ」
「…いじ、わる……っ!ど…して、こんな」
「姫子は、敏感だものね。とても……こういう事が、大好きな女の子だもの」
 千歌音の指が姫子の秘部――ショーツの底布を撫でて、くちゅ、と嫌らしい水音がした。
「ふぁ…、ああっ!」
 恥ずかしくなるくらい高い嬌声と同時に、身体が跳ねる。
 そして気付いた。脚が、思うとおりに動かせないこと。パジャマのズボンが膝に引っかかって
いて、身動きが取りづらい。

「すごい……」
 何が、とは言わない。けれど、何を言っているのか大体分かる。
 姫子のショーツに触れた指をぺろりと舐めて、千歌音は淫蕩に笑った。
「姫子の味がする」
「……っ!」
 恥ずかしくて、もう目も開けていられない。
 否定したい。私はそんなじゃない、淫らでも好き者でもない、って。
 でも、もう否定できない。キスだけで体の芯がとろとろに蕩けているのを、知られてしまった。

「はっ……」
 千歌音の息が漏れる。一瞬笑われたのかと思った。
 けれど、薄目を開けてみると、千歌音の様子が変で。妙に息が上がっている。
「千歌音ちゃん……?」
「どうしたのかしらね、おかしいわよね」
 姫子の脚を開かせて、ズボンの上を千歌音の膝が抑える。これで足はベッドに縫いつけ
られたかのように動かせなくなった。
 髪紐を取り出して、千歌音は姫子の両手首をくくる。
「やぁっ!な、なんで…」
「どうしても……っ、収まりそうにないわ」
 千歌音の深い色の瞳が、欲望に濡れて光る。
「好きよ、姫子……我慢できないくらい」
 ぐっ、と口付けられて、また息を奪われる。
「んっ、ふ……」
 瞳を潤ませていたのは、果たして欲望だけだっただろうか。
 姫子には、何故かその一瞬、千歌音が泣いているように感じられた。
575千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:49:00 ID:dqJ9gNsd

「あ…はっ、もう、だめ…っ千歌音ちゃん、お願い、もうやめてぇ……っ」
 どれくらいの時間が経っただろう。
 括られた手首を千歌音の首に掛けて、頭を抱く。
 動きを止めようとするけれど、かり、と胸の先に歯を立てられて、ささやかな抵抗は封じられた。

「っ!い、たぁ…っ」
「暴れないで、姫子。傷が残ってしまったら、いけないでしょう?」
 嘘だ。今、わざと噛んだくせに。
 唇を噛んで涙を堪える。痛い。胸の先端、一番敏感なあたりが、ズキズキする。

「素敵よ、姫子。そそられるわ、とてもね――」
 吐息を熱く震わせながら、千歌音が囁く。
 ちろりと赤い舌が唇の間から覗いて――また、胸を吸われる。
「あっ、く、ぅうっ……んっ!」
 痛い。けれど、とても強い快感が胸から全身に広がっていく。
「良い声。姫子のこんな声、聴いたことがあるのはきっと私だけよね?姫子……」
 なに、当たり前のことを。けれど、姫子に答える余裕はない。
 もうずっと、胸だけを責め続けられていて、気が狂ってしまいそうだった。
 あまりに強い快感に。けれど、決して達することが出来ないそれに。

「ど…して、胸ばっかり…っ」
 下の方には、決して触れては来ない。まだショーツも穿いたままだ。
「どうして、ってそればかりね、姫子は」
 千歌音が笑う。その間にも、両手は姫子の胸をなぶることを忘れていない。摘み上げて、
捻って、指の間で揉み潰して。リズミカルに、しかし複雑に調子を変えて触れてくるから、
いつまで経ってもその刺激に慣れることが出来ない。
 ただただ、翻弄される。

「んっ…く、ぅん、んーっ……!」
 頭が真っ白になる。でも、本当に欲しい快感とは、刺激の種類が違うのだ。うまく表現
できないけれど。
 このままでは、生殺しだ。あとどれだけこの責め苦が続くのかと思うと、気が狂いそう。
 胸を指先で摘んで揉みほぐしながら、その先端に舌を当てて、くすぐられる。その合間に
千歌音は言葉を発する。

「私が、は…っ、姫子の胸が好き……んっ、…だからよ」
「んっ、や、やぁあ…っ!」
 本当におかしくなりそうで。括られた手を胸元に持ってきて、千歌音の唇を遮ろうとする。
 と、千歌音が低く笑った。――怖い。

「まだ、分からない?」
「……いっ――!」
 先程噛まれたのとは逆の胸に千歌音が歯を立てて、痛みと快感が姫子の背筋を貫いた。
強く噛まれる前に、慌てて手をどける。
 それで千歌音は歯を離してくれたけれど、手をつかまれて頭上に持ち上げられた。

「いけない子ね、姫子。暴れては駄目と言ったのに……私は、姫子の身体に傷なんて付けたく
ないんだから」
 言いながら千歌音は自分の襟元を探って、二枚貝のネックレスを外した。
「動かないでね」
 それを手首を縛る髪紐に引っかけて、ベッドの枕元に繋ぐ。
「細い鎖だもの。姫子が動けば、すぐに切れてしまうわ」
「えっ…」

 それは、拘束する力がないと言うこと。

「私、とても大切なの。姫子と私を繋いでくれた絆……のようなものでしょう?」
「――!ずる、い…っ」
576千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:49:47 ID:dqJ9gNsd

 全身を太い鎖で縛られるよりずっと、それは姫子を強力に拘束する。
 千歌音との絆を切るようなことは、姫子にはどうしてもできないから。

「……そう、ね。私はずるいの。とてもね。姫子が思っているより、ずっと醜悪だわ」
 千歌音の声を聴きながら、姫子は必死で手を伸ばして繋がれている細い柱を掴んだ。
ふとした拍子に激しく手を動かしてしまって、鎖を切ってしまわないとも限らない。
 頭の中は、あの嵐の夜のことでいっぱいで。不吉な連想が止まらない。

 千歌音との絆を自分から切ってしまえば、千歌音はまたいなくなってしまうのではないか。
 また、千歌音を失ってしまうのではないか。

 何の根拠もないのにそんな気がして、必死で手に力を込めた。
「良い子ね、姫子……嬉しいわ。私との絆、切りたくないって思ってくれているのね?」
 こくこくと頷く。千歌音は嬉しそうに――本当に嬉しそうに、笑う。その笑顔に少しだけ
心が落ち着いた。普段の面影がある笑顔だったから。

「でも、私ももう収まらないの……どうしても。このままじゃ、きっと、もっと酷いことを
姫子にしてしまうわ」
 両手を上げて寝そべると、ますますなだらかになってしまう胸を、千歌音の手が包み込む。
「あ……はぁっ、千歌音、ちゃ……んんっ!」
「だから、我慢してね、姫子。私、姫子を目茶苦茶にしたくて、堪らないのよ」
 弄る手つきがだんだん激しくなる。噛まれた跡を指先で揉まれると、激しい快感が姫子を
襲って、頭の中がぼうっとしていく。

「赤くなっているわ……可哀想に。傷が残らないと良いけれど……」
 依然として千歌音が触れてくるのは、胸と唇だけ。でも、身体がどんどんいやらしくなって
いくのは自分でも分かる。だんだん、この行為に馴らされていく。触れられてもいない身体の
奥が熱く疼いて、勝手にうごめく。もどかしいけれど、深い快感がそこから生まれてきている。
「いけない身体ね、姫子」
 千歌音が興奮に上擦った囁きで姫子を責めながら、硬く尖った胸の先を指で弾く。
「あっ!あぁっ」
 恥ずかしい。でも、そうさせているのは、千歌音なのに。

「姫子は、敏感すぎるわ。きっと、誰の指でも、誰の唇でも……満足してしまうんでしょう?」
 何を言っているんだろう。目を開いて問いかけるけれど、千歌音は答えない。
「ねえ、これまで何人に触れられたの?感じてしまった?私以上に相性のあう人も、居たのではない?」
「なっ…!」
 いくらなんでも、ひどい。姫子が首を持ち上げると、千歌音は胸をきつく摘み上げてそれを封じた。
「あぅっ、くぅ……」
「何年も姫子をひとりぼっちにしてしまったのだもの……それも、仕方ないかしらね」

 千歌音に、疑われている。千歌音が最初で最後の人だと、姫子は思っているのに。
 ――仕方ないなんて、言わないで。私を諦めないで。

「そんなの、ひどいよ…ぉ。私……っく、千歌音ちゃんをずっと待ってた、って…言った、のに」
「それにしては、敏感すぎない?私の前に、誰かが姫子の身体を慣らして、感じるように
作りかえたんじゃない?」
 もう、涙を我慢することは出来なかった。
 嗚咽が止まらない。けれど、千歌音はまだ言葉を続ける。
 いつもだったら、姫子が本当に泣くようなことはしないのに。つらくなったら、すぐ手を
止めて慰めてくれるのに。

「そうね、恋人はいないのだったわね。一人で慰めたことも無いんでしょう?」
「な、そんなこと……っ」
 千歌音だって無いはずだ。だって、そんな知識誰にも教わる機会はなかった。
 あっても、きっと嫌だっただろうと思うけど。
577千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:50:25 ID:dqJ9gNsd

「純情だものね、姫子は。じゃあ、姫子の身体をここまで育てたのは……誰かしらね?」
 千歌音に決まっている。
 ほとんどこういう行為について知識の無かった姫子に、愛する人と身体を重ねる喜びを
教えてくれたのは、千歌音なのに。

「友達?――早乙女さん、とか」
「マコ、ちゃん…?」
 名前を口に出した途端、千歌音の責めが一層激しく、熱くなった。
「や、あっ……、〜〜ッ!」
 声にならない。ずっと弄り続けられた胸はヒリヒリして、熱く疼いている。けれどその痛みすら
快感に変える回路が身体の中に出来つつあるようで。

「いやらしい格好。脚を開いて……そんなに、欲しいの?」
「はっ、くぅん……っ」
「犬みたいな声まで出して。可愛いのね、姫子は。魅力的すぎて……いやだわ」
 なんで?何が、嫌なの?と、声に出来ないから、視線で問う。

「みんな、姫子を好きになってしまう。こんな顔されたら、誰も我慢なんて出来ないでしょう?
三年間も同じ部屋で寝起きしていたら……尚更ね」
「マコちゃん…とは、友達で…っ、恋人は……愛してるのは、私、千歌音ちゃん、だけ…だよっ…!」
 正気を失ってしまう前に、これだけは伝えておかないといけない。
 もう、胸への愛撫だけで、姫子は限界を迎えようとしていた。
 胸だけでこんな風に昂ぶるなんて、はじめる前は思ってもみなかったのに。

「んっ、あぁ、あっ……!」
 上擦った、甘い声が漏れる。千歌音の指と唇と舌が与えてくれる刺激に意識を集中させる。
 その声に姫子の限界を知ったのか、千歌音は――

「本当に?」

 ぴたり、と愛撫をやめて、姫子から身体を離してしまった。

「――っ!な、あっ……ひどいよ、どうして……っ」
 全身が熱く疼いている。どの部分も貪欲に千歌音に与えられる刺激を欲して、疼きが解消される
瞬間を待ち望んでいるのに。
 寸前で、やめられてしまった。

578千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:51:20 ID:dqJ9gNsd

「本当のこと言ったら、許してあげる。うんと気持ち良くしてあげるわ」
「本当の、こと……?」
 嘘なんて、何一つついていない。
「早乙女さんとは、友達なのよね」
「う…ん、そうだよ……友達だもん。高校の時からずっと仲良しだけど、ともだち、だもん……っ」
 早く、欲しくて。焦ってうまく回らない舌がもどかしかった。
 答えると、ご褒美だろうか――千歌音が優しいキスを唇にくれた。

「あ…千歌音ちゃん」
 激しくて酷い行為の最中なのに、キスだけでふっと楽になって、姫子は少し安心した。
「そう。友達なの、良かったわ。――姫子は、友達とキスしたりしないわよね?」
「しないよ……!キスは、好きな人としか……千歌音ちゃんとしか、しない…っ」
「そうね、キスは駄目だと言っていたものね……」
「えっ?」
 千歌音の呟きを聞きとがめて首を傾げると、千歌音は渋面になった。

「なんでもないわ。――じゃあ、キス以外は?女の子同士だもの……スキンシップとか
よくあるんでしょう?」
 胸を、腰を、腿を――千歌音の手が、艶めかしく這う。肌の表面を撫でるだけのもどかしい
手つきに、身を捩らせる。
「マコちゃんは、確かによく身体に触ってくるけど……っ」

 でも、千歌音がするのとは全然違う。
 頭を撫でられたり、抱きつかれたり、もっと健全なスキンシップで。
 こういう性的な意味合いは全く感じられない。少なくとも、姫子はそれを感じたことは無い。

「――そう」
「た、ただ、じゃれ合ってるだけで…そんなつもりじゃ……っ」
「姫子はそうかも知れないけれど、早乙女さんはどうかしらね?」
「ん、……え?」
「姫子は純粋で、でも、とても鈍感だから……」

 膝から脚の付け根あたりを、千歌音の手はゆっくりと往復して姫子を焦らす。あと数センチの
ところまで近づいても、決して姫子が待ち望んでいる部分には、触れてこない。

「スキンシップとか言われて、女の子同士だからって、ここ――触れられたのではないの?」
「やだ、あっ、ああっ!」
 ショーツの上から、ぐいと敏感なところを押し潰される。
 焦らされ続けて昂ぶった身体には、それは十分すぎる刺激で。
 身体が跳ねる。意識が白む。

 ずっと待ち望んでいたはずなのに――悲しくて、涙が流れた。


579 ◆33uUMeu/9c :2007/03/23(金) 21:54:27 ID:dqJ9gNsd
ごめん、つづく。
あと半分。時間つぶしにでも読んでくれたら幸い。
580名無しさん@ピンキー:2007/03/23(金) 23:17:42 ID:4lYAPkNF
こういうありそうな心理描写されていると嫉妬攻めもあると思った俺ガイル
〆までの展開にwktk
581名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:04:57 ID:SRuV6L36
>569
GJ!
こういうのを待っていたんだよっ!
嫉妬ネタ最高です
582名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:16:19 ID:hQk68g3i
>>579
ъ(゚Д゚)グッジョブ!!

ネタ出した香具師もwktkしながら完結を待ってまつ。
つか、俺が漠然と練ってたプロットよかエロいよ宮様(;´Д`)
583名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:25:18 ID:BHQe9TQj
>>579
うわ!凄いな!
正しく職人技ですな!
細やかな心理描写に感心しました。
嫉妬と欲望が、ない交ぜになった
悲しげな千歌音ちゃんの心を姫子は救えるのか?
後編に期待します!
584名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:33:42 ID:AjX1yZlh
無理やりとか苦手だったけどこれはGJ
585名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 00:42:57 ID:S/pOEYjU
>>579
もはや完全に祭り上げる勢いのマンセーレス続きだなー…







俺も神輿を担ぐ一人だがな!!!!
上手い、実に上手い!!素敵だ!!!!!
586名無しさん@ピンキー:2007/03/30(金) 12:01:28 ID:ANjnbz3s
ツバサ「ソウマ、ずっと欲しかったのだ、俺がお前を奏でる永遠の夜がな、あのような小娘よりも俺がいいことを今夜教えてやる」
ソウマ「あっ・・・兄さん・・・」

ソウマ「来栖川、すまない、俺はもう・・・」
姫子「大神君、やつれてどうしたの?」

乙羽「お嬢様、私ずっと欲しくございました、私がお嬢様を奏でる永遠の夜が、まだ終わりにしたくないのです、ですから・・・静かになさってくださいね、ふふ、あのような小娘よりも私が格段にいいということを体に教えて差し上げますわ」
千歌音「やっ!!乙羽さん・・・」

千歌音「ごめんなさいね、姫子、私・・・もう処女じゃないのよ」
姫子「千歌音ちゃん、なにがあったの?」

イズミ「早乙女さん、私ずっと欲しかったの、私達の夜が、私が貴女を奏でる永遠の夜が、来栖川さんより私がいいということを体に教えてさしあげましてよ」
マコト「やッ!!!イズミさん・・・」

マコト「姫子、ごめん、私さ・・・汚されたんだ」
姫子「どうしたのマコちゃん?」

>>579
遅レス、すまん、いやDJ!!!
こんな千歌音ちゃんなら嫉妬ネタ大歓迎です
欲望と嫉妬が混ざり合って完璧です
587千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:53:18 ID:E2gRMZ+c
遅長くなってゴメン
>>570-578 の続き、投下させてください。連騰規制が怖いので、数時間後にまたきます
NGはトリップかIDでヨロシク
588千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:53:50 ID:E2gRMZ+c

「っく、うぅ…、んっく、う、うー……っ」
 身体の下で、姫子が泣いている。千歌音は、流れる涙を唇で拭った。

 ――苦い。
 達したのだろう。姫子は腹部を時折波打たせながら、膝をすり合わせるように身悶え
している。
 それでも手はしっかりベッドの金具を掴んでいて、白くなるくらいに力を込めている様子は
いじらしくてしょうがない。
 
 そんな健気さに、ますますそそられる。
 可哀想な姫子。
 ――私なんかに愛されたばかりに、ひどい目に遭う。
 でも、激情が収まらない。
 姫子に自分以外の誰かが触れたと思うと――もしかしたら触れる以上の事を、と思うと、
嫉妬で気が狂ってしまいそう。姫子の身体からそんな感触を消し去るくらいに、姫子を
自分の色に染めて、千歌音なしでは居られないようにしたい。
 危険な衝動だと、分かってはいるけれど。
 
「千歌音…ちゃんっ」
「なあに、姫子」
 首筋にキスを落として吐息を吹きかける。下着の底布を指で小さくつつきながら。
 すごく敏感になっている今の姫子には、直接的な刺激は耐え難い苦痛のようで、
噛みしめた唇の間から小さな悲鳴が漏れる。
「可愛い声ね、姫子」
「や、やぁ……っ」
「私は嬉しいわ。いつもよりずっと、姫子が素敵な姿を見せてくれるから」

 ――こんな姫子を知っているのは、きっと私だけ。

 甘く掠れる喘ぎ声、恥じらいを含んだ吐息、悦楽に恍惚とした表情。焦らされるのに弱い
ところも、少しの刺激で敏感に反応する胸も、ショーツを肌に張り付かせるほど濡れやすい
女の子の部分も――きっと、こんなに知っているのは、それを引き出せるのは、千歌音だけだ。

 その考えに、少しだけ満足する。
 それでもまだ千歌音には足りない。このままでは、終われない。
589千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:54:25 ID:E2gRMZ+c

 いやいやと首を振りながらも、千歌音の手に姫子は従順に脚を開く。
 それに、少しだけ苛立つ。胸の奥がじりじりと疼く。
 姫子は素直で従順すぎる。その上こんなに感じやすい身体を持っていては、無理矢理
誰かに何かされても抗えないのではないか。
 そもそもあまり自己主張をしない流されやすい姫子だから、余計に心配なのだ。
 ぐっしょりと濡れた下着の上から指を押し当てると、姫子の熱い雫が中からまた少し
溢れ出るのが分かった。それは姫子にも伝わっているのだろう。熱い吐息と一緒に
切なげな声を漏らした。

「千歌音……ちゃ、おねがい…一つだけ、教えて……っ」
 苦しい息の合間に、姫子が懇願する。
「……なに?」
「千歌音ちゃん……私のこと、好き?」
「……っ」

 どんな気持ちで、姫子はそれを訊いているのだろう。
 強引に抱かれながら――犯されていると言っても過言ではない暴力に晒されながら。

「あとは、きかないから…どうでも良いから、これだけ、教えて……っ」
 こんなひどい事をしながら、それを言うのはとても抵抗があったけれど。
 でも、どんな時でも、この気持ちにだけは、嘘をつけない。どうしても。
「……ええ」
「ホント?お願い、ちゃんと言って」
「愛しているわ、姫子」
 口に出して言うと、どうした事か、心が少し凪いでいくのを感じる。

「うん……。なら、良いよ……」
「え――?」

 姫子は微笑んで頷いて、静かに目を閉じた。

590千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:55:09 ID:E2gRMZ+c


 それから後は、もう姫子は千歌音のなすがままだった。
 嫌とも言わないし、抵抗もしない。何度も限界を迎えさせられて、疲労しているのだろうに、
それでも千歌音が求めれば、姫子は千歌音の手に応える。

「お願い…少しだけ、休ませてっ……!」
 本当に切羽詰まった響きに、千歌音は手を止めた。味わっていた胸から唇を離して顔を
上げる。
 まだ、足りない。どうしてもやめる気にならない。
 獣のように姫子の身体を貪って、受け入れてもらって――最初の衝動は大分薄らいでいる
のだけれど、その代わりに熱い欲情が湧き上がってきていて、果てが見えなかった。

 もう一度、次はもっと。そうして何度も姫子の身体を求めてしまう。姫子はその度に違う
顔を見せてくれる。声も反応も一段と素敵になるから、飽きることがない。
 飽きなど無縁なのは、いつもだってそう。でも、普段は二人とも多少なりとも自制している。
 けれど今日は、千歌音に自制心が全く働かないから。
 そしてそれを姫子も咎めないから――だんだんと行為はエスカレートしていく。

 指を触れさせた姫子の秘所は、きつく収縮を繰り返していて、身体は快楽の余韻に
波打っている。
「あ、んぅっ…!」
「あぁ…そうなの」
 姫子の身体に溺れて気付かなかったけれど、姫子は今、また達したばかりなのだ。
 何度も行為を繰り返すうちにハードルが低くなって、昇り詰めやすくなっていて、とても
辛い様子。

「ぁく…ぅ、も…ちょっと、待って……っ」
「今、中には触れていなかったのに……そんなに、此処をいじられるのは良かった?」
 姫子の身体の中で一番敏感なところを軽く指先でつつく。
「や…っ」
 千歌音の言葉に、ただでさえ紅潮した顔をより赤く染めて俯く。
 胸が苦しくなるほどに、愛らしい。

「――えっ、やだ、うそ…っ」
 とっくに一糸纏わぬ姿になった姫子の脚を、ぐいと広げる。姫子の女の子の部分に
顔を近づけると、姫子は泣きそうな声で懇願した。
「やぁ……やっ、千歌音ちゃん、お願い、そんな、見ないで……っ」
 今日は、電灯をつけたままだから。こんなに明るい中ですべてを晒すのはさすがに
恥ずかしいのだろう。
 瞳がいっそう潤んで、今にも涙がこぼれ落ちそう。
 それが、余計に千歌音を煽るのに。

「あら、もう続けても良いの?」
 敏感な秘核のすぐ側に、指を触れさせる。
「え、あ…そんなぁ…」
「じゃあ、見せてちょうだい。大丈夫……とても、綺麗よ」
「……っ!」

 脚の付け根に両手をおいて、左右に広げる。
 昔は硬かった姫子の身体もこうして行為に慣らされていくうち、だんだんと柔らかくなって、
今ではかなり大きく脚を開けるようになった。
 はしたない格好に、本人はいつも恥ずかしがるのだけれど。
 こんなに淫らな格好を千歌音のために、清純な姫子が我慢して晒しているのだと思うと、
とても嬉しくて、とても興奮する。
591千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:55:42 ID:E2gRMZ+c

「姫子のここ、可愛いわ。自分で見た事はある?」
 姫子はぎゅっと目を瞑って、ぶんぶんと左右に首を振る。
「そう、残念。とても綺麗なのにね」
「そんなこと、ない…。千歌音ちゃんの方が――あっ、ああっ!」
 ちゅ、と秘核に口付けて、すぐに唇を離す。
「ずる…いっ」
「ここがね、姫子。姫子の一番、敏感なところ」
「言わないで……明かり、消してよぅ…っ」
「もう、ちゃんと顔を出しているわね。そんなに感じているの?」

「……っ」
 頭上に上げたままの腕に、頬を押しつけるようにして顔を隠す。そんな姫子を見ながら、
千歌音はかまわず続けた。
「赤くなって、とても可愛いわ。――ああ、姫子の顔もだけど……」
「千歌音ちゃんっ!」
 千歌音の言葉を遮って、姫子が顔を上げる。

「恥ずかしくって…本当におかしくなっちゃう、から…」
「でも、それも感じるんでしょう?姫子は。意地悪されると、恥ずかしければ恥ずかしいだけ、
身体が燃えてしまうのよね?」
「そんなこと、ないもん……っ」
「じゃあ、これは何?――ほら、こんなにあふれさせて」
 指で唇を左右に押し開くと、姫子の蜜壺からはさらに熱い蜜がとろりとあふれ出てきた。
蜜にまみれてなまめかしい色艶の秘肉が、千歌音をますます昂ぶらせる。
 こんなに明るい中で、はっきり、近くで見た事はこれまでに無くて。

 キス、したい。姫子に、姫子の唇に――

 今日の千歌音は、自制が利かない。
「ん…、あぁっ!千歌音ちゃ…っ、まって、まだ……っ」
 甘い蜜を舌で貪欲に舐め取る。味わって飲み干しながら千歌音は首を傾げた。
「もう結構たつし……大丈夫でしょう?」
「だって、千歌音ちゃん全然休ませてくれない……」
「そう?控えているつもりだけれど――姫子がどうしてもというなら、少し我慢するわ」
 
 言って、顔を遠ざける。
 代わりに、脚をもっと開かせて、姫子の秘部を両手で左右に広げた。
 なかの脈動する様子まで、じわりと少しずつ流れる蜜の震えさえ、千歌音からははっきり見える。
「あっ…」
「大丈夫になったら、教えてちょうだいね、姫子。それまで……私も楽しませてもらうから」
「……っ」
 見られているだけで、姫子には十分な刺激のようで。
 依然として姫子の女の子の部分は、蜜を滲ませて震えている。
 甘いにおいにくらくらする。姫子のそこから生み出されたそれは、とても蠱惑的で、千歌音を
痺れさせる。肌を伝ってシーツに染みてしまうのが惜しくてならなかった。生殺しに近い。

「ねえ……ここを、誰かに見られた事、ある?」
「え……?」
「答えて」
「だって、それは、私…寮生だったし……。お風呂、共同だったから……少しはあるかも」
「そう……」
「あの、でも、部屋ごとだからほとんどマコちゃんだけだし、順番があるからそんなに長い時間
入ってられるわけでもなかったし――あっ」
 千歌音は言葉を遮るように、姫子の敏感なところに口付けた。
「っ、ああっ!」
592千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:56:20 ID:E2gRMZ+c

 ――また、早乙女さん?
 目に浮かぶ。二人きりの浴室で、仲睦まじくじゃれ合う様が。
 それを払拭するように、あるいは対抗するように。千歌音は姫子の秘部で舌を踊らせた。

「ぃ……あ、ん、んっ、――んんっ!」
 びくっ、と大きく腰が跳ねる。浅く舌を差し入れた蜜壺が健気に千歌音の舌を愛撫して
楽しませる。秘核も可哀想なくらい膨らんで、震えて。
「あぁ、――また?」
「んっ、あ……あふ、くぅ、う、ん……」
 秘所の様子だけで十分わかっていたけれど。千歌音が身体を離して笑うと、姫子は全身を
不自由に震わせて千歌音から目をそらした。

 今の姫子は、悶える事すら千歌音の許し無しには出来ないのだ。
 手は、依然としてベッドの金具を強く掴んでいる。背を丸めたくても腰は千歌音に押さえ
られていて、大きく開いたまま宙に浮いて震える脚は――本当は、閉じて震えが収まるのを
待ちたいのだろうに、間には千歌音がいるからそれもままならない。

 姫子の脚の間から身体をどけると、姫子は脚を閉じて引き寄せて、身体を丸めた。
横向きに寝て膝を胸につけるようにして、やっと息をつく。
「は、あぁ……」
「満足した?」
 頬や首筋に張り付く髪を払って頭をなでながら問う千歌音に、姫子は薄く目を開いて、口をつぐむ。

「……」
 しばらく迷って、泣きそうな顔で首を左右に振った。
 ――満足、していない。
 それも、道理だろう。こんな抱かれ方では、たとえ何回達しても、決して心からは満足できまい。

「姫子――少しは、嘘も覚えた方が良いと思うわ」
 満足していないと答えれば、どうなるかなんて……千歌音にこれまで以上の事をする口実を
与える事なんて、分かっているはずなのに。
 早乙女真琴の事だってそうだ。言わなければ千歌音には分からない事が、たくさんあった。
素直に答えるから、必要以上に喋ってしまうから、無為に千歌音に嫉妬される。

「どう、して……?ちかねちゃんに、嘘なんて――」
「でないと――私に、またこういう事されてしまうわよ」
 唐突に指を姫子の蜜壺に差し入れて、かき回した。くちゅくちゅと隠微な水音が響く。
 達したばかりで脈打っている其処は、千歌音の指を溢れる蜜で滑らかに受け入れて、動きを
助ける。そしてその分、姫子は苦しむ。
「や、ああぁっ!」
 柔らかい内壁は、千歌音の指をきつく締め付け解放する事を繰り返す。千歌音の指に応えて
うねりを変える様子が堪らなく気持ちよくて、病み付きになる。
「とても素敵ね、姫子のここは。――さぁ、続けましょうか」
 達したばかりの過敏な性感に怯える姫子は、千歌音の言葉に声にならない様子で震えている。
けれど、抵抗も制止もしない。千歌音ももう止めるつもりはなかった。

593千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:56:54 ID:E2gRMZ+c


 どれほどの時間が経ったのだろう。
 千歌音はいつからか、怖い、と感じてはじめていた。
 濃密な行為に夢中になりすぎて、時間の感覚がない。わざわざ時計を見に行くような余裕も
ない。なぜだか時間を知ってはいけないような気もしていた。
 ベッドの頭にすがって、うつぶせで腰を震わせる姫子は、まだ正気を保っているのだろうか。
何度達しても、もう体力の限界のように思えても、姫子は千歌音に応える。

「んっ、あ、あぁ…っ!」
 もう、どちらが求めているのか、分からない。
 千歌音が求めるから、姫子が身体を開くのか。
 姫子が身体を開いて求めるから、千歌音が応えているのか。
 どちらが主導権を握っているのかも。
 ただお互いに終わりを切り出さない。お互いに満たされてもいない。だから、終われない。
 気でも違ったかのような、非現実的な情交は果てなく続く。


 姫子が抵抗してくれれば、終われるのに。
 もう無理だと、今日はやめようと言えば、千歌音だってなんとか自分を抑えて、身体を鎮めて
――謝る事が出来る気がするのに。
 一度謝って心の整理がつけば、その後は優しくしてあげられると思うのに。

「……っ」
 姫子に責任転嫁する卑怯な考えに、自分が本当に嫌になる。すべて千歌音の弱さが悪いのだ。

 髪をかき分けて、白いうなじに唇を落とす。すぐ下で姫子の唇から熱い吐息が漏れた。
「ちかね…ちゃ」
 姫子は身体を捻って、背後の千歌音を潤んだ瞳で見る。

「ん……」
 その視線から逃げるように。うなじから、肩、背中、腰……どんどん唇を下げていく。
「キス、して……っ」
「こんなに、しているわ」
 なだらかに丸みを帯びた腰の下に、強く口付ける。紅い傷痕――千歌音の徴が、其処に
刻まれる。ショーツで隠れるかどうか、ギリギリのラインだ。

「いじわる……」
 諦めたような呟きと一緒にため息をつく。いつもならもっと食い下がるのだろう。けれど、
今日は最初からこんな調子で、姫子の望む事を何もしてあげてないから、諦めも早い。
 心の中で謝って、千歌音は口づけを続けた。
 もう、まっすぐに姫子の目を見る事は、とても出来そうになかったから。
594千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:57:31 ID:E2gRMZ+c

「足、痛いのではない?」
 心のない、気遣いの言葉。
 秘所のすぐ近くに口付けながら、後ろから中に入れた指で壁を揉むように擦ると、姫子の
首が反って高く上がった。
 声はない。
 ただ、荒い呼吸が……沢山空気を取り込もうと喘ぐ息づかいが聞こえるだけだ。
 身体を起こすと、ちょっと前傾の正座のような格好。ベッドの頭に取りすがっているから、
多少は体重を分散できていると思うけれど。

「は、あぅ…っ、もぅ……わかんな…」
「腰、上げて」
「んんっ」
 左右に首を振る姫子の下腹部とベッドの間に手を差し入れて持ち上げ、膝を立たせる。

「痺れてしまったら、大変だものね」
「やっ、やあっ……!」
 獣の交わりのような姿勢に、明るいところで千歌音の眼前に一番恥ずかしい部分を晒す
痴態に、流石に姫子も声を上げた。

「こういうの、新鮮だわ」
 すでにぐっしょりと蜜にまみれている其処に、指を増やして差し入れ直す。姫子の中を
いっぱいにする。
 中を愛撫する間に、空いた手で蜜をたっぷりと掬って敏感な突起に塗りつけた。転がして、
押しつぶして、そっと表面を撫でるように摩擦して――その度に、姫子の中は素直な反応で
千歌音の指を楽しませる。

「……!」
「ん……声、出しても良いのよ?それとも、もうそんな元気もない?」
 もちろん、舌だって休みはしない。溢れ出る蜜を追って、姫子の下の唇を愛撫して、内腿までを
舐め取っていく。
「そこ、いじっちゃ……あっ、だめっ、すご、…いぃ…っ」
「ここ、ね?」
 秘核を転がす手の動きはそのままに、姫子が一段と反応を示したところを強く揉み擦った。

「――ッ!」
 声も出さずに全身を強ばらせて、震わせて――きゅう、と姫子の中が千歌音の指を締め付ける。
「……っ」
 痛いくらいのきつい締め付けに、千歌音は唇を噛んで、眉を寄せた。
595千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:58:22 ID:E2gRMZ+c

「ん……ごめん…ね、千歌音ちゃん……」
 しばらくして少し呼吸を整えた姫子が、蚊の鳴くような声で言った。本当に、弱々しい。
普段こんな声を出されたら、間違いなくベッドに寝かしつけて医者を呼ぶような、そんな声だ。
「え……?」
 何を謝られたのか、分からなかった。謝るのは、全てにおいて千歌音の方だ。

「ゆび……痛かったん、でしょ……?」
「――!」
 瞬間、涙が出そうになった。

「どう、して……っ」
「どうして……?」
 どうして、姫子はこんな時にまで千歌音を気遣うのだろう。
「そんなの、どうでも……」
 どうして、優しい姫子に、こうして暴力を振るっているのだろう。
 どうして、姫子は抵抗しないのだろう。
 身体に力がないにしても、細い鎖なんて……簡単にちぎれる程度のものなのに。
 髪紐も緩んでいて、抜け出す事だって簡単にできるのに。
 
「どうでもよく、ない、よ……千歌音ちゃんの指だもん。大切、だよ……。お仕事したり、
お勉強したり、なにより、ピアノを弾く指、だもん……」

 姫子は途切れ途切れに言葉を紡ぐ。呼吸は荒くない。ただ、全てが弱々しい。なのに、
全身の力を振り絞って姿勢を変えて、千歌音に向きあう。
 うつぶせから横向きになるのに身体を倒したとき、痛そうな顔をしたのを千歌音は
見逃さなかった。もう本当に身体の筋肉に力が入っていないのだ。それを我慢して仰向けに
なった姫子は、力の入らない脚を震わせながら持ち上げて、千歌音の身体をまたぐように広げる。

「姫――」
「わたし、千歌音ちゃんのピアノ、大好き……」
 全ての動きが、言葉が、ひどく緩慢で危うい。
 姫子は本当に、もう限界だ。頭の中の僅かに冷静な部分が警鐘を鳴らす。
 これ以上はとても出来ない。
 休ませてあげないと、いけない。

「一番価値のある使い方は、間違いなく姫子を愛する事だわ……」
 言葉が震える。こんな事をしながら愛を口にするだなんて、なんておこがましい。

 嬉しい、と笑った。そんな姫子が、怖くてたまらなくなった。

「姫子、もう――」
「ね、千歌音ちゃん……わたし、やっぱり、こっちが良い」
「……え?」
 終わりにしよう、と。ようやく言えそうだった言葉を遮って、姫子は茫洋とした瞳で笑った。

「うしろから、だと千歌音ちゃんが見えなくて、やだ……。ね、千歌音ちゃん、お願い――来て」
 首を左右に振る。
 ちゃんと振れていただろうか、分からない。
 歯の奥で感じる震えが、姫子の裸体を前にする興奮からなのか、姫子に求められる歓喜から
なのか、それとも優しい姫子への恐怖からきているのかさえも。
 
「私、このままじゃ、切ないの……お願い、千歌音ちゃん」

596千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 22:59:24 ID:E2gRMZ+c


「んっ、あ、はぅ……ぅん、んんー…っ」
 手と口で胸を愛撫しながら、中に差し入れた指と、秘核に触れさせた指を懸命に動かす。
 もう、何度繰り返したかなんて分からないくらい、姫子は何度も限界を迎えている。
 けれど、満足しない。また次を求めてくる。そしてそれに千歌音は抗えない。
 千歌音では、満足させられない。どんなに技を尽くしても、焦らして執拗に愛撫しても、
姫子を満足させてあげる事が出来ない。

 千歌音にはもう嫉妬も、行為を楽しむ気持ちも残ってはいなかった。
 ただ、姫子の痴態に反応して身体だけは熱くくすぶる。
 焦燥感。抱くたびに、姫子の身体は確実に消耗しているのに。どうして、満足させて
あげられないのだろう。怖い。このままでは、姫子が壊れてしまう。

 もう、壊れているから――満足できないのかも知れない。
 その原因を作ったのは、間違いなく千歌音だ。
 始まり方が、普通ではなかった。だから、いつものようにはいかないのかも知れない。
そもそも最初から間違っていたから、姫子は満足できなくて、夜を終える事が出来ないの
かも知れない。
 でも、時間は巻き戻せない。なら、千歌音はどうしたら良いのだろう。
 どうしたら――

「……んっ。あっ、ああっ、――ッ!!」
 また、姫子が背を反らせて身体を震わせた。声にしそこねたような、嬌声とも呼べない
ような、甲高い悲鳴。
 今度こそ、終わりにしなければ。――何度もそう考えたけれど、今度こそ。

「姫……」
「――んっ、ん、っく、けふっ!……ッ!」
 尋常でない様子で、姫子が咳き込む。
 慌てて姫子から身体を離すと、姫子は背を丸めて苦しげに顔をゆがめた。

「姫子?――姫子!」
 ひゅ、と姫子の喉が鳴る。続いて激しく咳き込む。
「あ、あぁ……」
 恐ろしくて、歯の根が合わない。
 ――私が、姫子を壊した。
 途中で止めなかったから、欲望に任せて抱いたから、そもそも、嫉妬なんてしてしまったから。

「……ッ!く、ふぅ……っ!」
「姫子…しっかりして……!」
 しかし、今は後悔に呆けている場合ではない。こうしている間にも姫子は苦しげに息を
飲んで、背中を震わせている。

「待っていて、姫子。今、人を…医者を――」
「ま、まって…っ」
 立ち上がりかけた千歌音の身体を、姫子の膝が挟んで引き留める。
「姫、子……」
 正気を取り戻した。姫子はまだ涙目で咳き込んでいるけれど、呼吸はちゃんと出来ている
ようだし、少しずつ収まっても来ているようだった。
「お願い、お水……ちょうだい」
 ベッドサイドに常備されている水を姫子に渡そうとするけれど、姫子の手はまだ縛られたままで。
597千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 23:00:01 ID:E2gRMZ+c

「ちか、ちゃ……はや、く……」
 一度水を戻して拘束を解く程度のことさえ、この震える腕では時間が惜しい。
 千歌音は水差しから直接口に含んで、姫子に口移しで水を飲ませた。
「ん……」
「んっく、ん、ふ……っ」

「もっと…」
 また水を口に含む。口移しで与える。

「ん……っ」
「もっと…っ」
「姫子、待っ――」
 まだ、水を口に含んでいないのに。制止の声は、姫子の唇に遮られた。

 濃厚な口づけ。退こうとした千歌音の唇を追って、姫子の舌が千歌音のそれに絡む。
抗えず、吸い寄せられる。
 そんな場合ではないのに、千歌音の思考がうまく回らなくなるほど熱烈なキスに、千歌音は
ぎゅっと目を瞑った。いけない。舌も、頭も、心も――柔らかく蕩かされてしまいそう。


「あ、は……大きな声、出し過ぎちゃった……」
 しばらくして唇を離すと、姫子は弱々しく笑って、腕に額を擦りつけた。
 額やほおに張り付いた姫子の髪を、千歌音は手で払って汗をぬぐう。熱い。まるで病人の
ように、熱を持った身体。

「ありがと…。誰にも聞かれてないと、良いんだけど……」
「そんな事っ」
「どうでもよくないよ……やっぱり、恥ずかしいもん……」
「どこか、苦しい?痛いところは?」
「大丈夫だよ。ちょっと、息の仕方、間違えちゃったみたい。喉、すごく乾いちゃってたし…。
…背中、少しさすってくれると嬉しいんだけど……」
「え、ええ……お医者様はいらない?大丈夫?」

「うん……すぐにまた、大丈夫になるから。……千歌音ちゃんの、あわてんぼうさん。
――こんな格好のまま人を呼んだら、大変な事になっちゃうよ」
「あ……でも、それどころじゃ……」
「私の裸、他の人に見られても平気なの……?そんな事、無い……よね?」
 姫子の千歌音を見る目は、どこまでも優しい。

 こんな目に遭って、それでもまだ千歌音を受け入れてしまう姫子が――怖い。
 
「どうして、抵抗しないの……っ」
 姫子を責めるのは、筋違いだ。千歌音が止めれば済む事だった。分かっているけれど、
言わずには居られなかった。
 鎖も髪紐も、拘束の役目をほとんど果たしていない。鎖を切って、手首を抜けば外れてしまう。
 ――そもそも、それほどしっかり結んでいないのだ。
598千歌姫嫉妬 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 23:00:38 ID:E2gRMZ+c

「どうして、そんなことしなきゃ、いけないの……?」
「どうして、って……」
 絶句した。それに対する答えを、千歌音は持ち合わせていなかったから。
 
「私、嬉しかったんだよ?千歌音ちゃんが、私に……気持ち、ぶつけてくれた事」
「な……?」
「だって、千歌音ちゃんは私に、嫉妬してくれたんでしょう?だから、こういう事するんでしょう?」

「――!」
 息を飲む。確かに始まりは、嫉妬からだったけれど。
 けれど、それを受け入れる姫子に感じるこの気持ちの――底知れない恐ろしさの原因は。
 
「ごめ…なさい、ごめんなさい……っ」
「千歌音ちゃん?どうしたの?泣かないで……」
「私、そんな資格ない……姫子を愛する資格なんて、愛される資格なんて、もっと……!」
 涙が止まらない。
「そんな事、ないよ。そんな事言わないで……私まで、悲しくなっちゃう」
 
 感じさせたい。千歌音に感じる姫子の顔を見たい。
 熱烈に愛して、千歌音の色に染めて、他の誰も姫子に触れられないようにしたい。
 そして、そんな横暴な自分を、受け入れてもらいたい。
 それは、千歌音の素直な気持ちで、我が儘な欲望。
 けれど、それと同じくらい――本当は、抵抗して欲しかったのだ。
 
 千歌音は何より、姫子を傷つけてしまう自分が怖かったから。
 他の何からだって、姫子を守ってみせる。そのためになら何でもする。命だって惜しまない。
 けれど、自分を抑える自信はない。暴走する千歌音自身からだけは、千歌音は姫子を守れない。

「……千歌音ちゃん、これ、ほどいて」
 左右に首を振る。とても今、姫子を自由にする勇気はなかった。
「ごめん、なさい……っ」
「千歌音ちゃんっ!」
 拘束する鎖が鳴る音と一緒に、強い姫子の声。千歌音がびくっと身体を竦めると、
「あ――」
 姫子の腕に、抱き竦められた。ぐっと、強く。全身の力を振り絞るように抱き寄せられて、
胸に顔を埋めさせられる。
 やわらかくて、あたたかな胸。姫子の全てを象徴するような、優しい感触。
 とても、安心する。
 心が少しずつ鎮まっていくのを感じた。
 そんな資格、姫子に救われる資格なんてないのに。でも、どうしようもなく姫子の腕は、
胸は――千歌音を癒した。

 涙がこぼれる。
 受け入れてもらいたくて、でも拒絶して姫子自身を守って欲しくて。
 自制できない自分と、自分を犠牲にしてしまいそうな姫子の優しさが恐ろしいのに、
でも、優しくされるとこんなにも安堵する。

 相反する気持ちで、もうどうしたいのか、どうしたら良いのか、千歌音には分からなかった。


599 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 23:02:32 ID:E2gRMZ+c

長くて本当にスマン。あと同量ある。数時間後にまた来ます。
600名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:06:45 ID:6TlZrZTq
GJすぎる・・・・!
601名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:08:31 ID:tMqqF3n6
なんか胸が締め付けられる心理描写続き楽しみに待ってる
602 ◆33uUMeu/9c :2007/03/31(土) 23:09:30 ID:E2gRMZ+c
ご、ごめん!このスレの容量がもうちょっとしかないのに気づいた。
こういう時どうしたら良いんだろう?投下してはまずいよね?
無駄に長いばかりに、ご迷惑おかけします……
603名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 23:11:31 ID:FZ9Ro4Ig
待ってたかいがありました!
GJ!GJ!
続きが楽しみだー
604名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 00:26:28 ID:3evLBsI8
あああ・・・素晴らしい

此のスレにいてよかったッ!!!
605名無しさん@ピンキー:2007/04/01(日) 01:22:23 ID:T1LxvDMD
次スレを建てたんで活用ヨロ
ttp://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1175357813/
606 ◆33uUMeu/9c :2007/04/01(日) 02:36:07 ID:p2yEIzD3
>>605
おお、ホント助かりました。スレ立てできないしどうしようかと。
素直にスレ立てお願いすれば良かったんだな。ありがとう、>>605
それじゃ、次スレ使わせていただきます。
607名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 02:17:34 ID:y9lnjDhB
姫子かぁいいよー
ここ最高
608名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 00:29:31 ID:KKMKWJ5L
ここってまだ書き込めるんだっけ?
次スレたってるけど埋めた方が良いのかな

とりあえず、姫千歌最高ーー
609名無しさん@ピンキー:2007/04/04(水) 00:36:05 ID:nfG8mQf2
姫千歌姫最高梅。

学園生活マダー?
610名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:04:45 ID:Fu9/phU3
春ですね。姫子と千歌音ちゃんが出会った、春ですね。
611名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 00:30:38 ID:+qqy+eHc
千歌音ちゃんのハァハァ斬りは今見ても強烈
いい意味で
612名無しさん@ピンキー:2007/04/07(土) 11:47:53 ID:knQeOuj9
「貴方に姫子は渡さない。だから…大神くん、男の子をやめさせてあげるわ」

(省略されました、続きを読むには三回ハァハァ斬って下さい)
613名無しさん@ピンキー
某葱紫の人のようにスライスしちゃうシーンが思い浮かんだ