( ∴)攻殻機動隊でエロ 3rd GIG(∴ )

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885名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 07:03:14 ID:3Wu6TsxS
スト〇ッチマンバトーとかただの変態じゃまいか(笑
886名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:48:14 ID:pjWGRLUl
○○○○ △○○△ □○△
887名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 04:27:45 ID:m9KYfAOH
少佐「標的は武装メイドロボだ。ハッカーが新たな御主人様らしい。各自タチコマと行動し発見次第派手に遊んでやれ。」

少佐はヘリからビルに飛び降りる体勢をとった。

ぷくっと盛り上がった恥丘を見つめるバトー達

バトー「さすがに勃起はコントロールできねぇ・・・立派なマテバだなトグサ・・・」


トグサ「・・・。」


少佐「テントを張ってないでアンテナを張れ!先に行くぞ!」

ヒュッ!




ダンッ!!

着地の衝撃で少佐の股関に振動が走った。少佐はすぐに異変に気付いたが快感をこらえ、メイドカフェ通りへと消えた。

メイドカフェ通りに着くやいなや少佐を銃弾が襲った。しかし少佐はダメージを受けなかった・・・・そしてコンマ数秒後、快感が少佐を襲った。


少佐「うぅっ・・・(なんだこれは・・・ダメージがすべて愛撫に変わるような感覚・・・スーツの特性か?)・・・あぐっ・・・た、タチコマ!早くこのスーツを脱がしてくれ!」

タチコマ「はーい!・・・ん?ここかな?・・・ウィーン・・・グリグリ」

タチコマアームが少佐の股間を容赦なく責めた。
少佐「くっ・・・違う!着脱フックは背中だ!しかしなぜ濡れるんだ・・・防水のはずだが・・・あふっ・・・ぁんっ!」

タチコマ「えーとですねー、発汗による蒸れを外に逃がす為に中からの水分は染み出る仕組みになってるみたいですねぇー。ウィーン、グリグリ・・・ウィーン、グリグリ」


少佐「も、もうだめだ!タチコマで・・・逝・・・く・・・っ・・・」



少佐は体をヒクつかせながら大量の潮を思い切りぶちまけた。


タチコマ「ワーイワーイ!天然オイルだー!ウィーン、グリグリ」




その一幕を2キロ先のビルの屋上で、じっと見つめる者がいた。



サイトー「・・・・・少佐ぁ・・・ハァハァ」



続く
888名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 04:29:05 ID:m9KYfAOH
↑「豊満窮化・2」ね
889名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 08:53:08 ID:uBWvBp8w
これが馬鹿の天才か
890名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 12:52:36 ID:SWVgSTQa
こいつはすげーよ。
おいらにはとてもできねー。
891名無しさん@ピンキー:2008/07/26(土) 17:06:52 ID:33zbCUf6
コンマとマンコ
892名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 02:17:07 ID:P1E2CBZB
どっこらしょ。
893名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 07:21:54 ID:pXse6DL9
スカイクロラが攻殻ファンサービスにしか見えない件
894名無しさん@ピンキー:2008/08/04(月) 12:09:24 ID:zUefcxeZ
マジで?じゃあ見に行くことにしよう
895名無しさん@ピンキー:2008/08/12(火) 00:39:06 ID:B9D6VCPH
保守
896名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 02:25:05 ID:HNj6yc4Z
age
897名無しさん@ピンキー:2008/08/16(土) 09:02:58 ID:dh0/7DkS
海坊主って聞くと
皮なしの巨大なナニを連想するのは俺だけなんだろうか
898名無しさん@ピンキー:2008/08/17(日) 14:30:47 ID:qpqIKUpl
皮なしなんだww
899名無しさん@ピンキー:2008/08/21(木) 18:41:00 ID:n4xvSKMd
保守
900名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 21:18:12 ID:Ad021qlV
900げっと
個人的には「クサナ」ギの937が取りたい
901名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 07:04:06 ID:qWu5Xhk3
保守
902名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 17:45:44 ID:Laqtwh3B
以下注意書き
・設定は2ndの後
・元作品と整合性に欠ける所あり
・最初から最後まで明るい話ではない。
・エロは多少あるが、メインではない。

特に鬱設定が苦手な人には、スルーを推奨します。
903水面下の休息1:2008/09/06(土) 17:48:38 ID:Laqtwh3B
 快晴で波一つ立たないこの海に、私は、もう幾日も停泊したまま過ごしている。
 やるべき事もなければ行くべき場所もない。もちろん、時間を気にする必要もない。
 組織を離れる事への怖れなど微塵も無かったが、さすがに退屈をもてあます。
 タラップを上りデッキを見回しても、いつもなら必ずそこに居たはずの相棒はいない。
 私が海面から顔を出すと、苛立ちを隠そうともせず、いつも咎めるような視線で私を
見つめていた。
 相棒が差し出す右手につかまりデッキへ上がると、彼は決まってこう言った。

「フローターが止まったらって考えた事は一度もないのか……」
「ないわね。止まったら止まった時の話よ。それとも助けてくれるの?」

 返事はなかった――
 何か答えが欲しかった訳じゃない。
 それほど好きでもない海に、誘えば必ず来てくれる。
 それが返事だと聞かなくてもわかっていた。
 私に何かあれば、それが私でなかったとしても、目の前にある危機を見逃す様な男ではないと信じていた。
 その信頼に、いつも甘えていただけなのかもしれない。
 その相棒を裏切る形で姿を消した今、彼が私の事をどう思っているのやら……
 余り考えたくはなかった。

 その日も、朝からダイブを繰返していた。
 何度も何度も潜っては浮上し、浮上しては潜った。
 何が楽しいと言う訳でもなかったが、泳ぎ疲れ寝そべるデッキの上で顔面を照らす真夏の陽射しを浴びていると、言いようのない奇妙な快感を覚えた。
 こんな単純な行動の繰返しが生きるということなのかと、そんなつまらぬ事を考えたりもした。
 気がつけば陽は西に傾き、あと一度だけ潜ったら、今日はこれで止めにしようと思った。

 フローターにつかまり、一気に海底を目指す――
 小魚の群れを掻き分け爽快に飛ばした。
 途中海面を見上げると、小さなクラゲ達の群れが透き通る体を揺らしながらゆっくりと頭上を横切っている。
 汚染が進む海にはあれが大量発生すると聞いていたが、きれいに見えるこの辺りも、
案外汚染が進んでいるのかもしれない。
 数年後は潜る事も叶わぬ海になってしまうのだろうか。
 そんな事を思っているうちに一番深い場所まで辿り着いた。
 船からそう離れた距離でもなかったし、あとはいつもの様に浮上すればいいだけだ。
 それで今日一日は終わる――
 そう思いフローターを作動させたその瞬間、それは何の前触れもなく止まってしまった
904水面下の休息2:2008/09/06(土) 17:50:48 ID:Laqtwh3B
 何度も始動を試みたが、それは思う様に動いてくれない。
 義体のメンテナンスばかりを気にかけ、フローターの事などすっかり忘れていた。
 自らの落ち度に舌打ちしたい気分になる。
 舌打ちなどしている暇はなかった。
 空気タンクのゲージを確認する。残された時間は余りない。
 賞味2、30分といったところか……。
 水圧に逆らい海底を這って船の下まで辿り着いたとしても、タラップまで浮上しなければならない。
 義体の重みに逆らってそんな事ができるだろうか?
 生身の人間なら、浮上する可能性は残されているが……。

 ここは素直にレスキューを要請するのが賢いだろう。
 すぐに通信ウインドウを開き救難信号を発信した。
 だが、レスキューからの応答はない。
 通信障害? 直接呼びかけてみても、やはり応答はない。位置が悪すぎるのか?
 水深20メートルはそれ程深いとは思われないのだが、原因が全くわからない。
 レスキューへの連絡がだめなら何か別の手を考えなければならない。

 一瞬、バトーの姿が浮かんだ――
 バトーなら……
 その考えはすぐに打ち消した。
 自ら望み組織を離れた今、必ず来ると分っているものを今さらどんな顔して助けなど
求める事ができようか。

 レスキューもだめ、連絡する先もないとなれば、残るはダイブフロートにでも頼るしかない。
 この頼りない黄色い目印……これを見つけてくれる船があるだろうか?
 しかも私は船舶の航行が少ないポイントを選んで停泊している。
 万に一つの望みでも繋げるものだろうか……
 それでも何もしないよりはましだと思い、私はケミカルライトの灯りをつけフロートを膨らませた。

 ――止まったら、止まった時の話
 まさにそれが現実になったのだから、助かる道は自分で探すしかないという事だ
905水面下の休息3:2008/09/06(土) 17:52:55 ID:Laqtwh3B
 残り時間10分足らずといったところか?
 陽は沈んでしまったのか、辺りは少しずつ薄闇に包まれてくる。
 相変わらずレスキューからの応答はない。
 ここまできても、私はまだ生きる可能性を探っていた。
 大戦を経て公安9課へ――
 何度も死を覚悟する局面と対峙したが、死を覚悟する事はあっても、それに対する恐怖を感じた事は余りない。
 私が義体化する原因となったあの事故に遭遇した時から、どこか私の感覚は麻痺した
ままなのかもしれない。
 だからといって、何の手も尽くさずに死ぬ事はできない。

 考えた挙句、私は電脳活性を制御する方法を思いついた。
 電脳を制御する事によって体機能の酸素消費を抑制し、生き残る時間を少しでも先延ばしにできるかもしれない。
 普通の人間に勧めるような方法ではないが、今の私ならできない事もない。
 だがこれを実行したからといって僅か数分かそこらの生きる時間が長くなるだけで、
危険な賭けにでるだけの価値はどれ程のものだろう。
 脳殻の中に僅かに残された脳細胞――私が生きている証だともいえるその部分こそが、最も酸素を必要とする場所なのだ。
 酸素を抑制すれば仮死状態に近くなるうえ、運良く助かったとしても、なんらかの回復不能なダメージを受けるかもしれない。
 時間がない――
 やはりこの方法を選ぶ事にする。

 電脳活性を制御する前に辺りを見回した。
 陽は落ち静寂に包まれたこの海底は、生きているうちに目にする最後の眺めかもしれない。
 似ている……私の記憶に眠るあの場所に……
 あれから僅かな時を経ただけなのに、私にはそれが遥か昔の出来事のように思える。
 あの男は本当に死んでしまったのか?
 それともネットの海と融合し、さらに高みを目指して消えてしまったのか?
 私にはそれを知る術もない。

 電脳活性を制御し記憶のバックアップシステムを立ち上げる。。
 死後発見される事になれば、9課の鑑識が記憶と義体を回収する筈だ。
 人に見られたくない記憶もあるにはあるが、あとは課長を信じるしかない。
 急激に眠気が襲ってくる――
 私は海底に横たわり静かに目を閉じた
906水面下の休息4:2008/09/06(土) 17:55:54 ID:Laqtwh3B
 瞼の裏に弱い光を感じる――
 ゆっくりと目を開け、辺りを見回した。
 ウェットスーツを脱がされ男物のシャツを着せられた私は、自分の船ではない、どこか他所の船室にいるらしい。
 どうやらあの世でない事だけは確かなようだ。
 頭を動かすと軽い眩暈を覚えた。手足の先が軽く痺れている。
 電脳を制御した結果、軽い障害を起こしていると考えられた。
 ゆっくりと顔を横に向けてみると、ぼやけた視界の向こうに誰かがいた。
 視界の先にいる誰かは、デッキチェアの上に座り本を読んでいた。
 私が目覚めた事には、まだ気づいていない様子だ。

 視覚サイトが少しずつ元通りになると、相手は見知らぬ男である事がわかった。
 年齢は二十代後半くらいだろうか。
 義体化しているようだが、潮風に赤くなった髪と着ている服、手にしたものはヨットの専門誌らしい。
 高価なチーク材を使った凝った作りの船室にしても、平日の昼間から、
フィッシングかクルージングでも楽しむ連中特有の臭いがする。
 私の視線に気づいたのか、男は本を置き私を見た。

「気がついたのか?」
「ここは……」
「俺の船の中だ。おまえの船の隣に繋いである」
「あなたが助けてくれたの?」
「ネット上で通信不能になっている救難信号を偶然拾った。
 急いでそのポイントまで行ってみたが、ダイブフロートを探すのに少し手間取ってしまった。
あと数分遅ければ、救急へ搬送する必要があった」
「そう……感謝するわ」
「まったく無茶な真似をする。義体化したサイボーグが単独でダイビングに興じた挙句、水難事故か。
しかも電脳活性を制御して仮死状態。呆れるな」
「そうね……無茶な真似だったかもしれない。なんと非難されようと言い訳できない」
「弱気だな。おまえらしくもない」
「何の話? 前に会った事はないはずだわ」
「確かに、この姿で会うのは初めてだ」

 私の視界の中で、見知らぬ男は左手をしきり動かしていた。
 そして、デッキチェアから立ち上がると、私の側まで近寄った。
 男は私の目の前にゆっくりと左手を差し出し掌を開いて見せた。
 掌の上に乗っているもの――それは白い小さな折鶴だった。
「鶴……」
「前に聞いたな。左手だけで鶴を折れるかと」
「クゼ?」
「そう呼ばれるのは久し振りだ。最もおまえと再会するのも久し振りだ。
見つけた時は、似ているだけの他人だと思っていたが……
電脳制御など、女でありながら公安に所属するおまえ以外に思いつかないからな」
907水面下の休息5:2008/09/06(土) 17:57:28 ID:Laqtwh3B
「まさか……おまえは死んだ筈では……」
「肉体的には一度死んだ」
「個を特定したまま、ネットと融合したと?」
「完全な融合とは言い難いが、今の俺は確かにネット上に存在している」
「どうやってこちら側に戻って来た?」
「俺には実体がない。付近を航行していたこの男の体を一時的に借りた。
なんの疑問も持たず男の意識は眠っている。おそらく朝まで目覚める事はない」

 この男の話を完全に信じる事はできなかった。
 私は、クゼが消されてから、秘密裏に何度も捜索を試みた。
 だがクゼの行方は全くわからず、その存在の痕跡さえも悉く消されていた。
 痕跡を消したのがクゼ自身であるとも考えたが、数ヶ月及ぶ捜索の果てに見つけられなかった男が、
何故こうも簡単に私の前に現れる?

「話が本当なら、まるで憑依霊ね。
本当じゃないなら、私が気を失ってる間に記憶を見たの?」
「……疑ってるのか」
「タイミングが良すぎるわ。疑うなと言う方が無理だわ。
 しかも電脳を制御した私を簡単に蘇生させている。修羅場を潜ったかなりの手練だとみた方が自然だわ」
「なるほど……仕事柄、敵も多いと言う訳か」
「その通りよ。思わぬ敵は多い。いつ消される側になってもおかしくない。だから……」
 私は寝かされていたベッドから起き上がり立ち上がろうと試みた。
 まだふらつく……手足が重い……

「どこへ行く?」
「自分の船に戻る」
「疑うのは勝手だが何もしない。休んでろ」
「助けてもらって感謝してる。でも……」
「わからない奴だなおまえも……でもなんだ?」
「正体のわからぬ者と同じ部屋にいられる自信はない」
「やはり弱気になってるようだな。
俺を信じろとは言わないが、少しの間だけ大人しくしてろ」

 男はそう言って私の側を離れ、デッキチェアに戻った。
 そして、読みかけの本を取り上げ、再びそれに目を落とした。
 そのまま立ち去ればよかったが、最初の一歩が踏み出せない。
 部屋の中で水圧に押された様に歩く事ができないのだ。
 ここは大人しく回復を待ってから出て行くべきだろう。
 あの様子では危害を加える気はなさそうだし、少し疑いすぎたのかもしれない。
 だが男が本物かどうかは別の話だ。
908名無しさん@ピンキー:2008/09/06(土) 17:59:03 ID:Laqtwh3B
後半は明日以降
改行がおかしくなってしまったようなので、次回は気をつけます。
909名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 18:31:15 ID:09uC2GRV
よろしくおねがいしました
910名無しさん@ピンキー:2008/09/07(日) 20:25:55 ID:JHhA6bEt
GJ!
続き待ってます
911水面下の休息6:2008/09/08(月) 22:25:58 ID:YJbU0YBz
>>907続き

 私は回復を待った。
 横を向き、視線は絶えず男を見張っていた。
 男は相変わらず本を読んでいた。
 時々、ページをめくる乾いた音が部屋の中に響いた。
 その乾いた音と同じ様な視線を私に向け様子をうかがった。
 物言わぬ瞳が私を見つめる。
 だが言葉を交わす事はなく、直ぐに視線を逸らした。
 永い時間だった――
 気が遠くなりそうなほど永い時間だった。

 壁に掛かった時計を見ると、目が覚めてから既に2時間以上経過している。
 毛布の中で手を動かしてみると、痺れは取れ指先は元通りに動いた。
 足にも視界にも支障はない事を確認し、そろそろここを去るタイミングだと思った。
 ベッドから起き上がり、ゆっくりと足を床の上につけ立ち上がる。
 私の気配に気づいた男は、本をテーブルの上に置いて言った。

「起きてなんともないのか?」
「ないわ……なんとも」
「そうか、良かったな。ひとりで船まで帰れるか?」
「帰れるわ……さっきは言い過ぎた……」
「気にするな。早く行け」

 男はそう言うと再び視線を逸らし、それっきり二度と私の方を見ようとはしない。
 もう話す事はない――
 正体を確かめたところで、人違いであれば虚しいだけだ。
 私は出口に向って歩き出した。

「待ってくれ。ひとつだけ聞きたい」
「なにを……」
 私は背中を向けたまま返事をした。何故か振り向く気持ちになれなかった。

「あの時何故一緒に来なかった」
「あの時……出島での事を言ってるのか……」
「そうだ」
「……あれは」
 何も言えなかった――
「話したくなければ無理をしなくてもいい。引き止めて悪かった」

 男はそれ以上なにも言わない。
 私は船に戻る事も忘れ、その場に立ち尽くした。
 下を向き裸足のつま先を見つめていると、言いようのない苛立ちがこみ上げた。
 それ以上何も言わない男に苛立つのか?
 それともここを立ち去れない自分に苛立つのか?

「行かなかったんじゃない……おまえが先に……行ってしまった」
912水面下の休息7:2008/09/08(月) 22:29:33 ID:YJbU0YBz
「私は何度もおまえを探した。ネットにダイブし、おまえを見つけようとした。
 だが手がかりは何もなかった。そればかりか存在したという痕跡さえ消されていた。
 ここへ来る前には、出島にも行ってみた。
 不思議な事にあれほど大規模な暴動であったにもかかわらず、騒ぎはとっくに沈静化し、
電脳化した難民の大半が『クゼ』という指導者の存在さえ忘れかけていた。
 電脳化していない難民の中には、僅かながらお前を記憶している者もいたが……
 どちらにしても、出島暴動はもっと小規模な小競り合い程度のものに記憶が置き換えられている。
 誰かが難民の記憶に干渉していると考えたが、結局何もわからずここへ来てしまった」

「ネット上の痕跡を消したのは俺だ。奴らは、まだ執拗に俺を追っている。
 実体を消しただけでは不安だったのだろう。
 追跡をかわす為にも足跡を残すわけにはいかなかった。
 難民の記憶に違法に干渉しているのは奴らの仕業だ。
 俺の存在がいつまでも難民の記憶に残るのはまずいと考えて情報を統制しているらしいが、
俺がいなくても、次は直ぐに現れるものを……」
「奴ら? 米帝か? それとも現政権の誰か……」
「片方だとも両方だともいえる。黒幕をひとり消したところで何か変わったか?
 何も変わりはしないだろう。
 お互いの利害が一致すれば、主義主張を超えてなんでもやるのが奴らだ。
 だがそう簡単に俺を捕まえる事はできない。
 最も奴ら……ここしばらくは鳴りを潜めているが……だが油断はできない。
 ここへも余り長居はできない。奴らに見つかれば、おまえも巻き添えになる」
「たとえ今見つかったとしても、そう簡単にやられたりしないわ」
「奴らを甘くみるな。個人の力など強大な国家権力の前に簡単にねじ伏せられてしまう。
体制側にいるおまえになら理解できる筈だ」
「私は、おまえの嫌いな体制側にいる人間なのか……確かにその通りだ」
「解らないのか? おまえを巻き添えにしたくないと言ってるんだ」

 唇をかみ締め、もうそれ以上の言葉は続かなかった。
 振り向く気持ちにもなれず、私は相変わらず裸足のつま先を見つめていた。
 出島の上空で砕け散る私の支援AI達……こと切れたクゼの遺体……
 あの日の事が何度も脳裏に蘇るのに、私は、あの時も今もただの傍観者に過ぎない。
 あの日の私は何をした? 自らの力の限界を自覚しただけではなかったのか?
 そのまま気持ちの行き場を失い、戻る場所は公安9課しかなかった。

 背後で男が立ち上がる音がする。
 床を踏みしめ、ゆっくりと私に近づく気配がする。
 そして、いきなり私を後ろから抱きしめた。
「すまない。おまえは俺の事をとっくに忘れてしまったと……そう思っていた」
 私を抱きしめる両腕が痛いほど体に食い込む。
 その場を逃れようと思えばそうできるはずなのに 、私は呆けた様に立ち尽くした。
 会いたかったと耳元で囁く声がする。
 そう聞こえただけで、何も聞かなかったのかもしれない。
 ――あれほど再会を待ち望んだ男が後ろにいる。
 私は、それを現実として受け止めることを躊躇っていた。
913水面下の休息8:2008/09/08(月) 22:32:25 ID:YJbU0YBz
 私は、偶然の邂逅を現実として受け止めることができなかった。
 現実と認識できるものは、重ねた体と押し付けられた唇の熱さだけだ。
 熱を帯びたものが私の首筋を探り、そして、音も無くつま先の上に落ちるシャツを眺めていただけだった。
 私は、ささやかな抵抗をする事もなく、体を横たえられた。
 目の前には、別人の姿を借りたという見知らぬ男がいるだけだ。
 あれほど疑いを持ってここから逃れようとしたのに、男の意識に繋がれてしまう。
 再会だけを望んでいたはずなのに、生きて会えたらそれでいいのに、何故こうも簡単に一線を越えてしまうのだろう。
 男の背中を抱きしめてみても、私のゴーストは何も囁きを告げてはくれない。
 それなのに感じるこの懐かしい感触は何だろう?

 体を弄る手が這うように下りて行き、太腿を割り内側に滑り込ませた指先が、私を中から確かめようとする。
 男は冷静に私を見据え、その視線に身動き取れなくなった私の反応を観察するように、じっと見つめている。
 硬い指先が、私の一番柔らかい肉の部分に触れてくる。
 その指先が生き物のようにゆっくりと蠢き刺激してくると、私はたまらず声をあげた。

「あ、うっ……あ……」

 指先は何度も刺激を繰返し、私の体の内側から熱い液体が溢れ出す。
 制御不能――自分では止められない。
 どれほど心を隠そうとしても、言い訳の効かない無言の要求に等しいものだ。
 体を仰け反らせ喘ぎを吐くと、男は唇を押し付け、私の声を塞いでしまった。

「うっ……ぐっ……うぅ」

 唇を塞がれると同時に、指先よりも硬いものが柔らかい肉に突き立てられる。

「うっ! うっぐ……」

 唇を塞がれ、息ができぬほど抱きしめられ、熱い肉塊が体の中心を激しく攻め立ててくる。
 息苦しさに頭を振って唇を離してみれば、耳元で聞こえるのは男の放つ息遣いだけだ。
 聞こえる息遣いが激しさを増してくると、私の感覚は弾けるような絶頂を味わった。
 放たれた白い液体がゆっくりと私の体の奥深くを満たしていく。
 目を開け視線を交わしたその一瞬、男の瞳の奥底に潜むクゼの姿を見たような、そんな錯覚に捉われた。
914水面下の休息9:2008/09/08(月) 22:34:22 ID:YJbU0YBz
 体を離し、ぐったりと目を閉じたままうつ伏せになった。
 漸く落ち着きを取り戻し横を向くと、触れ合うほど近くにクゼの顔があった。
 言葉を交わさず見詰め合っていると、突然妙な可笑しさがこみ上げてくる。
「何もしないって言ったわよね? あれは嘘?」
「余り疑うから、命の保証をするという意味で言ったんだ……初めてでもあるまい。
 子供みたいな事を言うな」
「それはわかってる」
「わかってるなら何故訊く? 俺には理解できない……」
 クゼは戸惑い、少し困ったように笑いながら、まだ海水で湿ったままの私の髪を掻き揚げ頬に触れた。
 頬に触れた掌からぬくもりが伝わってくる。
 そのぬくもりが頑なになったままの私の心を溶かしていく時、ほんとうなら最初に伝えるべきだった言葉を告げた。

「会いたかった……ずっと……」

 クゼは何も言わずに黙って私を抱きしめた。
 もう何も怖れを抱かず、私はクゼの胸に顔をうずめた。
 顔をうずめたまま、もう生きてはいないと、そう思った時の永さに思いを馳せた。
 クゼが私の髪を撫でると、一度は死にかけた私の感覚が爪の先から髪の毛の先端に至るまでゆっくりと蘇るのを感じた。
 そのまま重なり合い、再び飽きるまで同じ事を繰返した。
 たとえ今ここにクゼを追う者が現れたとしても、誰も私達を止める事は出来はしないだろう。
915水面下の休息10:2008/09/08(月) 22:37:28 ID:YJbU0YBz
 真夜中――
 船室を照らす薄暗い明かりの中、私とクゼは海底に眠る魚達の様に横たわっていた。
 いつもなら波の音を聞き、ひとりで眠りにつく時間帯だ。
 今は波の音ひとつ聞こえない。
 空調の風は冷気を放ち、吹き出す風は心地よく、私の剥き出しの腕に触れていく。
 涼気を感じている筈なのに、何故か私は眠れずにいた。
 クゼは静かに眠っている。
 私はクゼの頭を抱き、安らかな寝息をたてるその横顔を見つめた。
 クゼの顔を見つめながら、私は折鶴の少年の事を考えていた。
 少年がクゼである証拠は何もない。
 でも、もしもクゼがあの少年だったとしたら、心の安らぎを得る事無く、未だ追われる者としてネットの海を彷徨っている。
 クゼをそんな状況に追い込んだのは、私ではないのだろうか?

 私の気配に気づいたのか、クゼは目を覚まし私の顔を見た。
「眠って……なかったのか」
「眠れない……」
「何故眠れない?」
「考えていたから……」
「何を考えていた?」
「おまえをテロリストにしてしまったのは、私ではないかと思ったからだ」
「テロリストか……おまえも俺をそう呼ぶのか……
 そうだ、おまえは公安の人間だ。そう呼ばれても不思議ではない。
 結局、俺達はこういう形でしか出会えなかったということなのか……
 だが、何故おまえが俺をテロリストにしてしまったなどと言う?」
「私は、まだ幼い頃に義体化した。そうしなければ生きられなかった。
 そして、その時、同じような境遇にあった少年に義体化を勧めてしまった。
 義体化した事で、もう人ではなくなったかもしれない自分……他の子とは明らかに異質な存在になってしまった自分……
そんな寂しさから同じ様な誰かにいてほしくて……
 そんな身勝手な子供らしい思いつきから、義体化を勧めてしまったのかもしれない。
 私のために鶴を折ってくれたあの少年……
 あの少年が、おまえと同じ様に心と体の不一致に悩む者になっていたら……
 あの少年がおまえだったとしたら……そんな心の悩みに惑わせたのは私だ」
916水面下の休息11:2008/09/08(月) 22:38:52 ID:YJbU0YBz
「俺は……自分が最初に義体化した時の事も覚えていない。鶴を折る事の意味も……
 おまえの言う少年が俺なのかどうかもわからない。
 おそらく、義体化しなければ生きられないそれなりの訳があったはずだ。
 もしもその少年が俺であったとしても、そうでなかったとしても、義体化する事で
生き永らえた。その事実は何も変わらない。そして、おまえ自身も……」
「クゼ……」
「何故そんな顔をする? 追われていると言ったからか? そう簡単には捕まらない。
そう言った筈だ。何も心配はいらない。それに……」
 クゼは、私を抱きしめた。
「義体化して生きなければ、ふたりこうして会う事もなかった。違うか?」
 クゼの両手が、私の頬を包み込む。
「すぐに立ち去るつもりだった……だが……」
 
 私は、どれほど酷い情けない顔でクゼを見つめていたのか。
 朝になれば別れがくるとわかっていた。
 クゼがそう簡単に捕まるような男でない事も知っていた。
 それなのに、頭で理解しても、心では何もわかっていない。
 結局、私が再会待ち望んだのは、折鶴の少年だったのかクゼだったのか……
 想い出の中に生き続けるあの少年を忘れたわけではなかったが、今は朝まで、
ただ抱き合ったままでいたかった。
 幼い子どもの様に額を寄せ合い、漸く私は眠りについた。
917水面下の休息12:2008/09/08(月) 22:42:01 ID:YJbU0YBz
 夜明けと共に私達はデッキの上に立ち、東の空から上る陽を見つめていた。
「長居をしてしまったな……」
 クゼはそう呟くと、私に言った。
「俺は元の世界に戻る。まだやるべき事は多い。おまえも戻るべき場所があるはずだ。
そこへ戻れ……連れては行かない」
 そう私に告げ、その言葉に従い別れの言葉も交わさず私は自分の船に戻った。

 私達はデッキの上に立ち、お互いの姿を見つめた。
 クゼはまだ何か言いたげな視線を投げかけたが、私が黙って頷くと、安心したように船室の中へと消えていった。
 ゆっくりと離れる船影を見送り、それは徐々に速度を速め、やがて私の視界の届かぬ所へ消えてしまい、
私達はまた別々の世界に生きる住人に戻った。
 名も告げず、別れの言葉も再会の約束もなかったが、いつかまた偶然という形で逢う事もあるだろう。
 再会の約束に甘い夢を見るほど子供でもなかったが、それはそう遠い未来の出来事もないと、そんな予感がしていた。

 そうは思ってみても、胸の奥底からこみ上げる熱い塊をどうする事もできない。
 人ならば、それを涙という形で消し去ってしまうのかもしれないが、義体である私にはそれができない。
 涙を流せないという現実は、感情の捌け口をひとつ封じられるに等しい事だ。
 それが子供の時なら、尚更堪える。
 最後に泣いたのはいつだったのか……その記憶も今は忘れてしまった。
 意識を取り戻した時には、父も母もなく、自分の肉体さえ失っていた。
 人の限界を超えた能力を得た代わりに、失った物もまた多い。
 そして、その事実にもっと後から気づいてくる――泣くなどいう些細な日常の合間に。
 心と体の不一致の始まりだ。
 だがそれさえも私だけが悩むのではない。クゼもバトーも、そして望む望まずに関わらず義体化した者達、
誰もが一度はこれに悩むのではないだろうか。
 ある者は戸惑い、ある者はそれに目を瞑り、ある者はそれを他の感情に置き換えようとする。
 そして、いつの間にかその現実を受け入れ生きていく。
918水面下の休息13:2008/09/08(月) 22:44:15 ID:YJbU0YBz
 クゼは戻るべき場所に戻れと言ったが、私の戻るべき場所はどこにあるのだろう。
 私は、その答えをひとりで見つけなければならない。
 答えを見つけるには、海での暮らしを捨て、人の住む『都市』という世界に戻る必要があるだろう。
 とりあえず陸地に戻る事にする。そしてそれからは、明日答えを出そうと思う。

 コックピットに座り、港の方角に進路を向け出航した。
 船の速度をゆるめ、周囲の海面を見回した。
 迷うからゆっくり進むのではなく、次はいつ訪れるともわからぬ場所を覚えておく為だ。
 再びここへ戻って来るのは、もっとずっと先になるのか……それとも見納めになってしまうのか……
 先の事は何もわからない。
 人も変わる様に、この場所も変わってしまうかもしれない。

 幾日も過ごした場所が視界から遠ざかる時、私は行く先だけを見つめていた。
 ――私は、束の間の休息に別れを告げた。


 ―END―
919名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 12:41:36 ID:f11XCfLU
ダイビンぐ〜〜〜!ッドジョブ。
920名無しさん@ピンキー:2008/09/09(火) 14:52:48 ID:+klhIKsS
>>919
お前www台無しwwww
921名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 00:47:45 ID:KBBn2miL
>>918
久々に来たらめちゃくちゃGJなものが上がっているではないか!
922名無しさん@ピンキー:2008/09/13(土) 20:33:31 ID:3rHXQpj/
GJ!
欝展開どころか、再開できて良かったね〜っと(泣)

923サイトー×素子:2008/09/13(土) 22:53:49 ID:3rHXQpj/
あれは、ちょっとしたヤマが終わり、打ち上げと称して9課の皆で飲んでいた夜だった。
まずトグサが家に帰り、イシカワとボーマは報告書を書きに戻り、
パズと課長は欠席で、残りは俺とバトーと少佐になっていた。
「もとこおおお・・」
「その筋トレで発達した重い左腕をどけてくれる?肩がこるわ」
「いいだろ?おめえも男の義体に入れよ」
「あいにく、これが気に入ってるの。身軽だし」
「いざって時はパワーが一番!逃げらんねえ様に腰を抑えて、ズブリとな」
「それは犯罪だぞ?バトー」
「喜んでたじゃねえか、お前も」
おいおい、俺が横にいるんだぞ。その話なら二人きりの時にしてくれ
「・・・・・」
俺はあきれてスコッチを口に含んだ。
強い酒はいい。一瞬で口を熱し、その熱で苛立ちをすべて忘れさせてくれる。
二人は延々と際どい嫌味を言い合っている。
お前らが付き合っているのは皆が知っているから、いい加減にしてくれよ。
ま、これはお節介か・・・
「俺も、つぶれねえ内に帰るわ・・・」
「おう、じゃあな」
「おやすみ・・・」
ポーカーフェイス
我ながらいい特技だ。
多分、二人には俺が苛立っていることは悟られてはいないはずだ。
タバコに火をつけて、俺は店を後にした。
924サイトー×素子:2008/09/13(土) 23:23:37 ID:3rHXQpj/
飲みすぎたな。内蔵も義体化しときゃよかった。こういうときはいつも思う。
左目と右腕は少佐が傷つけたから、俺は義体化を余儀なくされた。
それ以外は全て生身。全て俺のものだ・・・。
脳殻以外が全て政府の所有物である誰かさんとは違う。
脳殻と内臓の一部以外が全て政府の所有物の誰かさんとは、俺は似てもにつかねえんだ。
ばかやろう!と叫びたくなるのを押さえ込み、俺はタバコを深く吸い込んだ。
全身義体の気持ちなんて、俺には理解できない。
似たもの同士はお互いに慰めあってれば良いさ。心も体も・・・
珍しく気分が塞ぎこんでいる俺の電脳に聞き覚えのある女の声がアクセスした。
((サイトー?聞こえるか?))
((・・・・・・))
今夜はオフだ。自閉モードにでもしちまうか。
((サイトー?応答しろ。サイトー?今どこだ?これから飲みなおすぞ))
((冗談やめてくださいよ。もう飲めませんって。それにバトーがいるでしょう?))
((あいつは撒いた。今どこだ?言わないなら衛星で追跡する))
((は?!・・・話なら後日聞きますから、今夜は休ませてください。もう飲みません。生身の体にこれ以上はきつい・・・))
((とにかくこれから会わせろ。もう飲まなくても良いから))
さて、どうするか?
バトーはいない。少佐は会いたい。もう飲まなくて良さそうだ。ときたら、かなりの好条件か
だが、そのまんまってわけには行けねえな。
((了解しました、少佐。3丁目の***ってホテルの前で待ってます。大通り沿いの))
((わかった。すぐ行く))
俺はすぐそこのホテルの前で少佐の到着を待った。
925サイトー×素子:2008/09/13(土) 23:52:54 ID:3rHXQpj/
タバコは3本目にきていた
遅い!一緒に飲んでいた場所からそんなに離れていないのに、どういうことだ?
イライラしてタバコの吸殻を足で踏みつける
(逃げらんねえ様に腰を抑えてズブリとな)
くそっ!酒が抜けてきちまった。
バトーの奴、うわさには聞いていたがやっぱり、そういう仲だったのかよ・・・
「待たせたな・・・」
あの女の声が聞こえ、俺はタバコを踏みつける足を止めた。
声の主の方を向く。
息を弾ませ、うれしそうに微笑んでいる少佐。
反則だろうが、その笑顔。
そこで俺の特技ポーカーフェイスが力を発揮する。
「話って何だ?少佐」
「道端ではなんだ、どこか落ち着いて話せる場所を・・・」
「だったら、ここはどうだ?」
俺は冗談のつもりで待ち合わせのホテルを指差した。
「構わん。入るぞ」
「・・・・・・」
言い出したのは俺だ。引っ込みがつかないままに、俺たちはホテルに入った。
926サイトー×素子:2008/09/14(日) 00:08:50 ID:+L3NgZ8T
ビジネスホテルと間違うほど狭い部屋にダブルベッドとナイトテーブルの殺風景。
まあ、話だけなら店よりマシか。寝転んでも良いし。
俺は靴と靴下、上着を脱ぎ、ベッドに横になる。
疲れた・・。眠い。
少佐の話なんてどうせろくな話じゃない。課長の愚痴かなんかだろ?
そう思ってウトウト軽い眠気が来たところで少佐は切り出した。
「さっきのバトーとの会話で、気分を害したと思ってな・・・」
「フッ・・・。そんな話のためにワザワザ?大丈夫だ、他の奴には話さねえよ」
「そうじゃない。私が言いたいのは・・・」
「分かってる。気分は害してはいない。それでいいかい?少佐。眠いんだ。悪いけどこのまま・・・」
「悪かったな、つき合わせて・・・。でも、私は・・・バトー・・・・お前が・・・・」
ごめん、少佐。聞き取れねえよ・・・眠いんだ・・・すまねえ・・・・
俺は限界が来てしまい、眠りに落ちた。酒の力もあったのだろう。
アルコールも義体化してりゃすぐに分解できるのになぁ。
生身の苦労も知らずにこの全身義体の上司は全く、鬼のようだぜ。

927サイトー×素子:2008/09/14(日) 01:03:21 ID:+L3NgZ8T
朝日が俺の顔を焼く。夏は朝から暑い。
二日酔いとまではいかねえが、なかなかだるい。
生身はつらいぜ・・・。と、俺は目を開く。
ん?
横には黒のタンクトップの少佐が寝ていた
いつもはもっと過激な服装をしているからこんなのは序の口だ。
しかし・・・少佐の寝顔なんて、始めてみたな。
人工物で出来た丹精な顔立ちは人形の様だ。きれいなのは当たり前か・・・。
俺はしばらく少佐の寝顔を眺めた。
無防備な少佐に、いたずら心が芽生えてしまう。
キスでも・・・しちまうか?いや!そんなことしたら潰される!勝ち目はねえ。
頬を触るくらいはいいだろ? 少佐に触れるチャンスなんてなかったから、これくらい許してくれよ?
俺は少佐の頬に出来るだけ優しく触れた。
蝋のような吸い付きに、ゴムのような弾力。生身とはもちろん違う。体温も一応あるんだな・・・。
俺が感心していると、少佐のガラスだまのような瞳がパッチリと開いた。

<今日はここまで>


928名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 17:39:20 ID:fgpy13XG
少佐の弾んだ声と笑顔を想像したらつい顔が…
929サイトー×素子:2008/09/14(日) 21:19:46 ID:+L3NgZ8T
「あ!いや・・・あの、その・・・」
しまった!
俺は頬をつついていた左手を即座に引っ込めた。
言い訳を考え付こうにも考え付かない。
一瞬気まずい空気が流れたが、
「おはよう。よく眠れたか?」
やさしく微笑む彼女。
だから、反則だろ?!その笑顔。
自分の顔がカッと紅潮するのが自覚できた。心臓の鼓動が高鳴る。
クソッ!首をひねり潰されてもかまわねえ・・・
理性のぶっ飛んだ俺は少佐の薄紅色の唇にアタックをした。
チュ
ほんの一瞬音が立つ軽いキス。
これくらいなら、事故だと言い訳できるし、少佐も許してくれる・・・ハズだ。
顔を離してすぐさま少佐の反応を見る。
少佐は無表情で両腕を俺の首筋に回してきた。
ゴースト錠と来たか・・・これくらいのお仕置きなら、まあ、いいか・・・。
俺は覚悟を決めて目を閉じ、少佐の腕を受け入れた。
930サイトー×素子:2008/09/14(日) 22:15:24 ID:+L3NgZ8T
ぎゅっと首に腕を回されて抱きしめられ、引き寄せられる。
ゴースト錠の準備に手間取っているのか?そんなんじゃ、逃げられるぞ。俺よりも遅い・・・
少佐の大きなバストに俺の顔がうずまった。
「・・・・・・・」
どういうつもりだ、少佐?
俺はたまらず顔をあげた。少佐は無表情で俺を見つめる。
全く、少佐の考えが読めねえ・・・。また、ポーカーフェイスの勝負は俺の負けかよ?!
悔しさと、期待が俺の脳を支配していた。
少佐が瞳を閉じる。ゆっくりと唇が重なる。
なるほど、そういうことか・・・。
バトーに飽きて俺をつまみ食いするつもりってわけか。
俺だって、ベッドの上で素直に言うことを聞くほど馬鹿じゃない。
少し、構ってもらうか・・・。
俺は少佐のキスを受け入れた。
931サイトー×素子:2008/09/14(日) 23:31:04 ID:+L3NgZ8T
少佐の手が俺のシャツのボタンを一つずつ外していく。
俺は少佐が動きやすいように俺が下になる体制になった。
全身義体は金属部分がある分見た目よりは重い。
だが、その重圧に耐えられないほどじゃない。
逆に、腹部から腰部にかかるその重みが少佐の体を実感させてくれた。
黒のタンクトップを背部から手を入れて捲り上げると、少佐の大振りなバストが露になった。
義体はブラをしなくてもいいのか。便利だな。
上半身が裸になった俺たちはどちらともなく抱き合った。
吸い付く肌。体温。しかし、生身とは違う感覚。
上質なダッチワイフもこんな感触なんだろうか?
だったら、今度買ってくるか。この日を忘れないために。
次回の望みは皆無だしな・・・。
少佐の表情を確かめる。無言のままで言葉は期待できないからだ。
少佐は相変わらず無表情だったが、その瞳は俺の目を確実に捕らえている。
その瞳は何を語る?
「もっと刺激が欲しい」か?「バトーよりもうまいわ」とでも?「あいしているわ」・・・?
3番目だな。そう思わなきゃ、気分が乗らねえ。

932サイトー×素子:2008/09/14(日) 23:58:18 ID:+L3NgZ8T
俺は少佐のやわらかく、白い胸を両手で包み込んだ。
すると、少佐は体を俺の頭側にずらし、顔をうずめられる様にしてくれた。
そうそう、チームワークって大切だよな。少佐殿。
俺は遠慮なく少佐の胸を堪能しに入る。
生身とは遜色ない感触。相当上質なシリコンだろうか?
乳首も唇と同じで綺麗な薄紅色をしている。
「はあ・・・んっ・・・」
俺が乳首に吸い付くと、少佐は初めて快感の声を上げた。
若干、俺を抱きしめる腕に力が入る。
かわいい。こんな素直な少佐は初めてだな・・・。
いたずら心がくすぐられる。もっといろんな少佐を見たい。
俺は愛撫の手を進めていった。
そのたびに少佐は良い声を上げ、体をうねらせた。
933サイトー×素子:2008/09/15(月) 00:16:32 ID:zk3FB4oA
少佐もただ、受け身ではなかった。俺の上半身をいろいろと刺激する。
少佐の細い指先が俺の胸や腹をなで、唾液で暖かな道筋を開拓していた。
「うんっ・・・ああ・・・」
「良い声で鳴くわね。サイトー・・・」
それは俺の台詞だろ?さっきから喘ぎっぱなしのくせに。
気分は十分に高まり、少佐が俺の下半身を脱がせようとズボンに手をかけた。
やっと来たか、この時が・・・。焦らした甲斐があったぜ。
俺は少佐の腰を掴んで俺の上から下ろし、ベッドから降りた。
理解に苦しむ表情の少佐に俺はこう言った。
「俺だって、ベッドの上で素直に言うことを聞くほど馬鹿じゃない。
 十分楽しませてもらったよ、後はバトーとよろしくやりな・・・」
俺の下半身は今までの愛撫で、勿論、はちきれんばかり。
それなのに、この台詞。我ながら滑稽だと思う。
だが、少佐のお守りはバトーが合ってる。
あれだけ従順で、情熱的な男は他にいない。
俺みたいな奴はだめさ。
いざってときもどこか冷めてるし、感情よりも作戦や分析が優先しちまう。
スナイパーの職業病みたいなもんだ。
どんなに彼女が愛しいと思っても、冷静な分析からは逃れられないんだ・・・。

934サイトー×素子
ベッドの上で上半身裸のまま呆然とする少佐をそのままに、
俺はベッドに座り、タバコに火をつけた。
気分が落ち着くと、下半身の反応も平時に戻る。
いいんだ、これでいい・・・。
自分に言い聞かせながら、タバコを深く深く吸い込み、吐き出す。
このまま、ホテルを後にするか?それとも、少佐とともに出るか?
少佐のことを考えたら後者だ。
途中で男に去られ、一人残されることほどプライドが傷つくことはない。
愛する少佐殿をそんなつらい目にあわせられるほど、俺も鬼じゃない・・・。
俺は少佐のタンクトップを持ち、少佐に差し出した。
すこしぶっきらぼうだな。肩でも・・・抱いとくか。
左腕を少佐の左肩に回す。
少佐は俺の回された左手を取り、俺を見つめた。
また無表情か・・・。その瞳は何を語る?
「途中で終わるなんて酷いわ!」か?「そのとおりだサイトー。私はバトーを愛している」とでも?
「サイトー、愛しているわ」
・・・・・・・そんなわけがないだろ?だって少佐にはバトーが・・・
「バトーとは何もない。あれは奴の悪い冗談だ」
「そ、そんなわけねえだろ?少佐とバトーの仲は、皆が知っている」
「まるで、そんな仲のように振舞っていただろ?バトーは。だが、事実は違う。あれはあいつの悪ふざけだ」
「・・・・・・・うそだろ?」
思わず口元が緩む。
「まったく、こんな冗談に9課の皆が騙されるとはな。最初は適当にあわせていたが、
 先日、課長から真顔で尋ねられたときに非常事態だとようやく悟った」
「・・・・・・それじゃ、肉体関係も?」
「あるわけがないだろ?あってもあんな大っぴらに言うはずがない」