探偵神宮寺三郎のエロパロないですか?

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1名無しさん@ピンキー


神宮寺三郎シリーズのSS書いて下さる職人さん、お待ちしてます。

2名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 23:23:52 ID:jMtibNUs
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!

.         ,:::-、       __     >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
    ,,r   〈:::::::::)    ィ::::::ヽ    >3 >>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
  〃   ,::::;r‐'´       ヽ::ノ     >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
  ,'::;'   /::/  __            >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
.  l:::l   l::::l /:::::)   ,:::::、  ji     >6 いまさら>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
  |::::ヽ j::::l、ゝ‐′  ゙:;;:ノ ,j:l     >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
  }:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;!     >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
.  {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/      >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
  ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/      >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
.   `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ       >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
        `ー-"
3名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 23:35:24 ID:xhlNHyoE
何と言うか…見る人少なそうだ。書いてみたいとは思うんだが…
4名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 01:04:23 ID:kGFQ89/e
洋子くん………うっ、うぉぉ………
5名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 01:19:55 ID:BZHwBskc
洋子君!洋子君っ!!洋子君っ!!!ってな感じ
6名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 03:08:47 ID:+4Mq5u7f
小説版でどうやらエチーしたらしい描写はあったよな

つか、確実に男女の関係だよなこの二人
7名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 08:37:24 ID:RqKwI/tX
岩辺組に輪姦される洋子君…

大森に拉致られてあれやこれや薬を打たれて犯される洋子君…
8名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 05:10:50 ID:UZZtjYxt
別に洋子じゃなくてもいいじゃんね。かすみとかまなみとか…
9名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 13:50:53 ID:RG/wJ+3h
洋子、かすみ、まなみ
少ないか
10名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 19:06:53 ID:kyBy9faZ
>>9
三好・・・
11名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 00:02:57 ID:YqArL2Eb
透子はエロそうなんだがなぁ
12名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 03:26:31 ID:dEckQeM3
エバとかさ
13名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 08:50:47 ID:X6In8U/Y
>>12
日之出とヤッてるところみてもなぁ…
14名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 20:44:19 ID:qj9KKhl9
百合とかも良いのかな?
15名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 19:24:41 ID:GCvkJ1sS
「イクぞ、洋子君!」

「はい、先生!」
16名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 10:42:21 ID:PpAMErzr
→煙草吸う
 洋子の乳首吸う
17名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 17:26:39 ID:vJ18GqXj
>>16
\(^o^)/オhル
18名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 21:42:02 ID:N6x9VwUD
俺は性欲に火をつけた
19名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 00:28:04 ID:iuWWByIK
じんちゃんは童貞か?
20名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 07:23:05 ID:3kNEqO+1
果たしてどれだけの人がこのスレを見ているのだろうか。
21名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:43:12 ID:MKjt5PQc
過疎ってるところで携帯から投下〜。

IB直後辺りの話だと思って下さい。

神宮寺×かすみです。
22名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:44:45 ID:MKjt5PQc
肌寒い冬の夜―

まだ春の訪れは遠く、外を往く人々は白い息を吐きながら、ネオンに彩られた夜闇に自らの欲望を満たすものを求めてさまよう。
そんな夜の賑わいの中に、秘やかに点るように、客の訪れを待つ店が一つ。

「バーかすみ」。

その店のオーナー、天沼かすみは一人静かにグラスを磨いていた。客は誰もおらず、店内にはゆったりした曲が流れているだけだ。

……ややあって、カラカラと音を立てて扉が開き、今夜一人目の客を迎え入れる。
「いらっしゃいませ」
「あぁ…」
かすみの声に客は少し頷いて応え、いつものスツールに腰掛ける。
「…何になさいます?」
「……あぁ…いつものを」
彼が頼む酒は大抵決まっている。慣れた手つきでグラスに琥珀色の液体―カミュを注ぎ、つまみと共に差し出す。
「どうぞ」
「…ありがとう」
彼はグラスを取ると一気にそれを煽る。
その様が、まるで何かを振り払おうとしているように見えて、かすみは気遣わしげに見つめていた。


どれ位の時間が流れたのだろう。
既に途中でやって来た客達は帰ってしまい、店内には最初の客とかすみだけとなっていた。
彼は何杯目かのカミュに口を付け、ゆっくりと飲み干す。
23名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:46:19 ID:MKjt5PQc
「あの…神宮寺さん、それ位にしておいた方が…」
ようやくの思いでかすみは男―神宮寺三郎を制す。酒を何杯も飲み続ける彼の姿はひどく淋し気で、止めるのは忍びないような気がして、今に至るまで声を掛けられなかったのだ。
神宮寺は空のグラスから視線を持ち上げ、目の前のオーナーに焦点を合わせる。
「ん……すまない。閉店の時間か?」
そう呟くと、ゆっくりとスツールから腰を上げようとする。その足はやや心許ない。
「いえ…でも、お酒はそろそろ止めた方がよろしいかと…」
「……」
かすみの言葉に神宮寺はグラスから手を離す。そしてどこか所在なげにカウンターに視線を落とした。

しばしの沈黙―

神宮寺は何を考えるでもなくぼんやりと煙草を吸い、かすみは客の去ったテーブルの上を片付けている。
「…あの…」
「……?」
かすみはテーブルを拭く手を止め、掛ける言葉を探した。だがそれらしい言葉も見つからず、再び手を動かし始めた。
「…いえ、何でもありません…」
「…あまり居座っていては、邪魔、かな…」
「いえ、そんな…まだお店を閉めるまで時間はありますし」
「そうか…」

「……」
「……」
「………」
24名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:48:04 ID:MKjt5PQc
「…今日は、まなみがいないんだな」
今更気付いたように、神宮寺が呟く。
「ええ、友達の家に泊まって来るって言ってました」
「そうか…」
かすみが少し意地悪そうに微笑む。
「私が相手じゃご不満ですか?」
神宮寺は苦笑した。
「まさか…ただ、うるさいのがいないから気になっただけだよ…」
「フフ…」
かすみは柔らかく微笑んだ。
「やっと笑ってくれましたね」
「ん…?」
「なんだか、ずっと沈み込んでらっしゃるようでしたから…」
「俺が…?」
「ええ」
「……」
神宮寺は再び空のグラスに目を落とす。
「…すまないが、やはりもう一杯もらえないかな」
「……」
かすみはそっと息をつくと、店内を出て行き、やがて戻って来た。
「かすみ…?」
不思議そうに見つめている神宮寺の元に歩み寄り、かすみは彼のグラスに酒を注ぐ。
「今日はもうお店はお終いです」
そう言うと、もう一つグラスを取り出し、酒を注いだ。
「一緒に飲ませてもらって構いませんか?」
かすみは神宮寺の隣に座って微笑んだ。
25名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:49:33 ID:MKjt5PQc
「大丈夫か…?」
「……」
神宮寺はかすみに声を掛け、彼女の手からグラスを遠ざけた。一時間程酒を飲みながら他愛のない話をしていたのだが、酒に弱いかすみは、案の定酔いが回ってしまったらしい。ぼんやりした様子で、体が微かに揺れている。
このまま放って置くのも心配だったので、神宮寺はとりあえずソファーに彼女を座らせた。
「かすみ…大丈夫か?」
もう一度尋ねると、かすみは辺りを見回した。
「神宮寺さん…あら…グラスは…?」
(まだ飲む気なのか…)
「もう止めておいた方がいいだろう」
半ば呆れつつかすみを制すと、細い腕が神宮寺の袖を掴んだ。
「フフ…まだ大丈夫ですよ…」
そう呟く彼女の眼は艶を帯びていて、思わず神宮寺は目を逸らす。
「いや、今日はもう…」
「フフフ…」
甘く温かな吐息が、彼の耳に優しくかかる。
「酔った女の相手なんて出来ませんか…?」
そのどこか試すような楽しげな響きに、神宮寺は不意に目を据えた。
「分かってるか…?」
「はい…?」
「今…俺と君しかいないんだぞ」
欝屈と、いつも以上のペースで飲んだ為の酔いと、そして今のかすみの様子とに揺さぶられ、彼自身の理性は揺らぎつつあった。
26名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:51:20 ID:MKjt5PQc
そんな神宮寺の心中を知ってか知らずか、かすみは再び笑みを浮かべて耳元に囁く。
「…だからこうしているんじゃないですか」
酔っている為か、自ら誘うように腕を絡ませてくる。
「…なら…」
神宮寺はジャケットを脱ぎ捨てると、かすみの頬に手を触れる。
「君も、共犯だな」
そして柔らかな唇に自身のそれを重ね、彼女もろともソファーに倒れ込んだ。

触れるだけの口付けを交わしながら、頬に触れていた手を柔らかな髪へと伸ばす。結われていたそれをそっと解くと、ほのかな照明によく映える栗色の髪が零れ落ちた。
神宮寺はかすみの唇に舌を割り込ませ、口内を味わった。酒の匂いのする互いの唾液が音を立てて混ざり合う。
「んっ……んん…」
かすみは神宮寺の舌をただ受け入れていたが、やがて激しくなってきた動きに合わせて舌を絡め始める。その吸い付いてくるような感触に、神宮寺はますます己を昇ぶらせてゆく。
指通りの良い髪に手を埋もれさせながら、もう一方の手は細い首筋に這わせ、鎖骨を辿り、やがて豊かな膨らみに行き着いた。服越しに伝わってくる、柔らかくも弾力のある膨らみ。
27名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:53:12 ID:MKjt5PQc
滑らかな衣服の上から愛撫していると、かすみはもどかしそうに着衣を下腹部辺りまで下げ、下着を露わにした。
薄暗い照明の中、白く美しい肌が、神宮寺の意識の内の欲望を駆り立てていく。
窮屈そうな胸を解放すると、外から目に映っていたもの以上に豊満なそれが姿を表した。
唇を解放し、両手で胸を揉みしだく。かすみは飲み込みきれなかった唾液を口端から垂らしながら、沸き上がってくる官能を味わい始めた。
「あっ、はあぁ……んん……」
彼女の甘い喘ぎに、思わず胸を弄る手に力が篭る。手だけでは物足りなくなって、硬くなり始めた胸の突起を口に含んだ。
舌で転がし、唾液で濡らし、軽く歯を立てて、彼女の意識を責め苛んでいく。下から持ち上げるようにして唾液と汗でヌルついた乳房を揉みほぐしていると、かすみは少し喉をのけ反らせ、吐息を吐き出した。
「ん…はぁっ…や、あんっ…」
声を震わせ、彼の頭を抱き締めながら、かすみはその身体を目の前の男に捧げている。
綺麗な曲線を描くウエストに手を回すと、快い温もりが掌に伝わってきた。神宮寺は胸から腹部へと舌を落とし、熱い吐息を吹き掛ける。
28名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:55:25 ID:MKjt5PQc
かすみの細くも弾力のある腿の感触を楽しみながら、スカートをたくし上げると、太股の付け根にある彼女の秘部を下着越しに撫で上げた。
「…随分濡れてるな…」
「や…言わないで下さ―」
かすみの言葉が終わるのも待たずに、神宮寺は指の動きを早める。秘肉に下着が食い込み、指を押し付けた場所をじわりと湿らせる。
「ぁっ…やぁっ、ぬ、脱がせて下さい!お願…いっ…」
下着が汚れるのが嫌なのか、かぶりを振って懇願している。その様に一層掻き立てられ、神宮寺はやや乱暴に恥部を覆う布きれを剥ぎ取り、両の足を押し開かせ、女の秘められていた箇所を露わにした。
茂みの下に息づく柘榴のような色の花弁。閉ざされてはいるが、そこは既に、己を高みへと導いてくれる存在を欲してじっとりと湿り、女の匂いを漂わせている。
両手の指で秘孔の入り口を広げると、わずかに男を誘う蜜が零れ、その少し上にはつんとした突起が姿を見せている。神宮寺は愛液をその突起に擦りつけ、秘部にそっと指を挿し入れた。かすみはビクッと腰を震わせる。
「あっ…!」
29名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:57:29 ID:MKjt5PQc
きつく締め付けてくる膣内を探るようにして掻き回す。ひどく卑猥な音を立てて指の侵入を受け入れるそこは、まるで生き物のように蠢き、愛液を指にまとわり付かせてきた。
もう一方の手は陰核に添え、爪で引っ掻き、摘み上げる。
「ひっ…ああぁ…んっ、くぅっ…んんっ…」
無骨な指にしては繊細な愛撫に、かすみに残されていた僅かな理性さえもが溶かされていく。
膣を弄る指は二本に増え、神宮寺の手の甲にまで蜜が伝っていた。
彼女自身から響く淫らな音が、店内に流れる曲に混じり奇妙な不協和音を奏でている。それがまた、二人の意識を甘く激しい高みへ誘う。
「っ…じ…んぐうじ…さ、ん……はぁ…!」
自分に縋るような甘い声に、神宮寺の中の嗜虐心は益々高まり、秘所の中の指を思いきり拡げた。
「ぃっ…あっ、あああぁーーっ…!!」
痛みとそれに勝る快感とによって、かすみの意識は一気に弾け、背を反らし、透き通るような声を響かせた。
くたりとかすみの体から力が抜け、ソファーにその身が沈められると、神宮寺は耳朶にそっと口付けた。ふわりと香る髪が彼の欲望を掻き立てるが、それに反し、神宮寺はゆっくりとかすみの体を離す。
「…大丈夫か…?」
「…あ…は…」
30名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 23:59:06 ID:MKjt5PQc
神宮寺がまだ絶頂の余韻に浸っている彼女の衣服を整えてやろうとすると、かすみが戸惑った表情を浮かべた。
「あ…やめてしまわれるんですか…?」
「…このまま最後までする訳にはいかんだろう…」
彼女の潤んだ瞳を見ないようにして言う。当然の事ながら、神宮寺は避妊具など持ってはいなかった。
「あの…」
かすみは不意にスカートのポケットを探り、中から何かを差し出した。その手の中にあるのは、コンドーム。
「……」
神宮寺が少し驚いて彼女を見ると、かすみは顔を赤らめ恥ずかしげに告げた。
「そっ…そういうお客様もいらっしゃるものですから…」
「…そうか…」
「あ…でも、ちゃんとお断りはしているんですよ?なるべくそうならないようにはしているんですけど…」
言い訳じみた事を口にするとかすみは益々恥ずかしくなり、俯いてしまった。
「じゃあ…」
顔を上げて見ると、避妊具をつけた彼に唇を重ねられ、再びソファーに身を落とす。
「俺もそういう客の一人…って事かな」
フッと笑う神宮寺に安堵して、かすみも笑みを浮かべた。
「神宮寺さんは、特別です」
本気とも冗談ともつかないその言葉をありがたく感じながら、神宮寺は己の欲望の塊を、かすみの秘部に押し込んだ。
31名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 00:00:39 ID:MKjt5PQc
「うっ…くうぅ…!」
指で散々掻き回したとはいえ中は強く彼自身を締め付けてくる。拒絶というよりも、飲み込んで、味わおうとしているような膣壁。その中をえぐるようにして、神宮寺は腰を強く打ち付けた。
「あっ!!」
ゴム越しに伝わるかすみの体温、圧迫感、ぬめるような肉穴の感触… それらが彼の衝動に拍車をかけた。
指とは比べものにならない苦痛さえもが、かすみの身体から引き出されていく悦楽による疼きを抑える慰めとなる。淫猥な音を絶え間なく立てる結合部からは愛液が溢れ、彼女の後孔まで垂れ流されている。
「あん!やぁっ…はぅ!はぁん…!!」
身体を重ね、足を絡め、ソファーを揺らす。硬くピンと立った胸の蕾を指で弾かれ、引っ張られ、乳房が鷲掴みにされる。乱暴とも言える程強い愛撫にさえ、かすみの身体は喜びを覚えた。
「あっ…あっ!じ、神宮寺さ…ん!」
律動の快楽にいくらか慣れ、蕩けるような笑みを浮かべ、神宮寺の顔を見つめる。その眼にはかすみ同様欲望の火を浮かばせていたが、何故か哀しげにさえ見えた。
32名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 00:02:08 ID:CEKn6CG+
何かを振り払うように、痛みを忘れようとするように、神宮寺は目の前の女の肉体をひたすら貪り続ける。苛立ちや自己嫌悪さえも、己の肉棒をいきり立たせる衝動に変えて。
「うんっ…ふあっ…はぁ…」
敏感な箇所を突かれ、喘ぎながら、かすみは震える手を神宮寺の頬に伸ばした。ハッとして我を取り戻した彼と目が合う。
寂しげな眼―
何故か、今、この人は独りなのだという気がして、それがとても切なく思えて、かすみは触れていた頬を慈しむように撫でた。
「かすみ…」
開かれた神宮寺の唇から、自分に抱かれてくれている女の名前が零れる。
自分を包みこみ、受け入れてくれる存在…そこに『彼女』の姿を見つけようとしているようで、一層自分が惨めに思えてきた。
「すまない…」
神宮寺は彼女の胸を掴んでいた手を背に回し、甘い香りのする髪に顔を埋め、呟いた。かすみは彼の頬に口付けると、その抱擁に身を委ね、そっと囁く。
「…いいえ…」
再び男の腰の動きが速まり、律動のペースが増していく。かすみは神宮寺の胸にしがみつき、更なる快感によがる。
「ああっ!はぁ、うん!くっ!やあぁ!!」
33名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 00:04:04 ID:CEKn6CG+
艶やかな声が漏れる唇を塞ぎ、唾液を流し込むと、苦しそうにのけ反りながらもコクリと音を立てて飲み込む。
引っ掻くように胸を掴み、乳房をこね回し、息も出来なくなる程抱き締めると、かすみの秘所は強く男根を締め付け射精を促す。
「んっ…んふっ…んん!んっんんっ!!」
「…っく…ぐっ…ううぅっ!!」
神宮寺は堪らず呻くと、刹那己自身を膨張させ、その中に溜め込んでいたものを一気に吐き出す。膣壁を更に押し拡げられ、かすみもまた、二度目の高みに行き着いた。
「はあっ、ああぁ、あああぁぁーーーっ!!!」
高らかに声を上げ、全身をビクビクと震わせる。そして不意に力が抜け、かすみは身体と意識が沈み込んでいくのを感じた。


「…本当にすまなかった…」
行為の後処理を終え、酔いもだいぶ醒めてきた神宮寺は心底申し訳なさそうに言った。
かすみは髪を結い直しながらクスリと笑う。
「謝られるような事をなさったんですか…?」
謝る当人にそう言われると何とも言いようがなく、神宮寺は黙り込んでしまう。
「…それに、誘ったのは私じゃありませんか」
「ん…いや、まあ…そうだが…」
かすみは、まだどこか決まり悪そうにしている彼の顔を不安げに覗き込んだ。
34名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 00:05:53 ID:CEKn6CG+
「…お嫌でしたか…?」
「い、いや、そんな事はないが…」
慌てて否定する神宮寺がどこか滑稽で、かすみはクスクスと笑いを堪える。そんな彼女につられて、神宮寺の口元も少し緩んだ。

「…そろそろ、帰られた方がよろしいかもしれませんね」
かすみが遠慮がちにそう言った頃には、既に夜が明けていた。
「そうだな…流石にこれ以上居ては迷惑だろう」
「いえ、そんな事は…。でも、洋子さんに怒られてしまうかもしれませんよ?」
「…いや、それはないよ…」
かすみの楽しむような口調に、神宮寺は軽く笑って答える。だがその表情にはどこか陰りがあった。
「彼女は…いないからな…」
「お休み…ですか?」
「いや……」
逡巡する神宮寺の言葉を、かすみは静かに待っている。彼は流れ続ける曲に耳を傾けながら、ぽつりと言った。
「…辞めてもらったんだ…」
「……」

僅かな沈黙―

神宮寺はソファーから腰を上げると、改めて衣服を整え、上着を羽織った。
「…邪魔したな」
「あっ、いえ…」
彼を見送ろうと、かすみもまた立ち上がる。
「あの、神宮寺さん…」
35名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 00:12:18 ID:CEKn6CG+
扉に手をかけ、ゆっくりと振り返ると、かすみはいつもの柔らかい笑みを浮かべた。
「また…いつでもいらして下さいね…」
「…ああ、ありがとう」

神宮寺はフッと微笑み、早朝の新宿の街へと踏み出した―




終了です。
店にソファーあったっけ、とか
かすみさんあんなに積極的じゃないし、とか
ゴムなんて常備してる訳ねーじゃん、とか自分でも突っ込みまくってる今日この頃…orz
36名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 04:08:07 ID:bbCJsR5L
>>35
ごちそうさまでした
洋子さん話も読んでみたいと思う作品でした
37名無しさん@ピンキー:2006/11/25(土) 23:19:50 ID:SYI65hXh
あげ
38名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 00:24:32 ID:Ao7uxEV0
>>35
とても読み応えがありました。エロも濃いし。
洋子でも書いて欲しいです。
39名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 00:37:30 ID:wdrkeDxG
誰かエッチぃ洋子さんを書いてはくれませんやろか
40名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 18:02:50 ID:kf+gF7fN
洋子くんは経験あるだろうなぁ…
4135:2006/12/03(日) 00:33:53 ID:fJ5ZALoY
>>36>>38
感想dです。

調子に乗って神宮寺×洋子書いてます。
途中ですが、宜しければどうぞ。

KB後の話です。
42名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:36:14 ID:fJ5ZALoY

「私を必要としてくれていますか…?」

雨に打たれ、今にも壊れてしまいそうな程涙に濡れていた彼女が、そんな言葉を内に秘めていたのだと知った時、俺の中で凝り固まっていた物がた易く崩れていくのを感じた。
緩やかに溶け出して、代わりに湧き出てきたのは、どうしようもなく欲深い感情。抑え難い衝動。

欲しい

この女が

欲しくて 堪らない

だがその裏側で何かが疼いている。今までずっと、心のどこかにわだかまっていたもの。

「私を必要としてくれていますか…?」

本当は俺が聞きたい。

君にとって、俺は必要か……?


「お帰りなさい、先生」
ドアを開くと、香ばしいコーヒーの匂い。彼女の柔らかく迎えてくれる声。温かな笑顔。
五ヶ月前までは当たり前のように思えたその光景だったが、今はまだ自然に受け止められない。
「ああ、ただいま…」
洋子は口元に笑みを浮かべ、ミニキッチンへと歩み寄る。
「丁度今、コーヒーをいれようかと思っていたんです」
「俺が来るのがわかっていたのかい?」
洋子の目が軽く細められる。
「フフッ、窓から見えたんですよ…飲まれますよね?」
「ああ」
43名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:38:01 ID:fJ5ZALoY
答えながら、椅子に腰掛ける。途端に今日一日の疲れが実感として沸き上がり、思わず溜め息をついた。マルボロをくわえながら、見るとはなしに窓に目を向ける。日は落ちかけ、街には明かりが点りつつあった。

立ちのぼる紫煙の匂いを味わいながら、俺は今日の調査を思い返す。と言っても大した依頼じゃない。ある人物の素行調査だ。数週間前まで留守電に入っていたうんざりするような依頼に比べれば、だいぶマシなものだが…
そして不思議な事に、彼女が戻って来てからろくでもない電話が少し減ったような気がする。もっとも、俺が電話の応対をする数が格段に減ったので、実際にはどうなのかはわからないが。
…とその時、洋子がコーヒーを持って来てくれた。
「どうぞ」
「…ありがとう」
一口啜ると、程よい苦みが口内に広がる。俺や他の誰かがいれた物とは比べ物にならない。
コーヒーと煙草の匂いに満ちた室内を何気なく見渡すと、数日前のひどい散らかりようだった事務所の面影は既になく、以前と何ら変わりのない風景がそこにある。
ふと洋子に目をやると、いつの間にかデスクに着き、やりかけの書類仕事に手をつけていた。その背にそっと呟く。
「すまないな…」
「はい?」
44名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:39:51 ID:fJ5ZALoY
彼女は顔をこちらに向け、俺の言葉を待っている。
「…いや……」
謝らねばならない事など、挙げてみるときりがない。
「掃除…あまり手伝えなかったからな」
本当に謝りたい事は、そんな事じゃない。
それでも言葉にならない。どんな風に形にして良いかわからないまま、心の内へと仕舞い込む。
「気にするような事じゃないのに」
洋子はくすりと笑うと、再び書類に向き直る。そんな彼女の後ろ姿をぼんやりと見つめる。

二度と逢う事はないとさえ思っていたのに、彼女は戻って来てしまった。以前と変わらぬ笑顔を向けてくれる事に、安堵を覚えないと言えば嘘になる。
それでも―
だからこそ、確かめたかった。たとえそれが、平穏な“今”を変える事になったとしても。

「…洋子…君」
「はい、何でしょう?」
「その…何だ…」
その一言を口にするのに、少し時間を要した。
「今日は、泊まっていかないか…?」
俺に真っ直ぐに向けられる切れ長の瞳。虚を突かれたように見開かれている。じっと見つめられると、鼓動が速まるのを感じた。
「…嫌なら無理にとは言わないが…」
付け加えると、洋子ははっとして口を開いた。
「あっ、いえ…そんな事は…」
45名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:41:34 ID:fJ5ZALoY
そこまで言うと、俺の言葉の意図に気付いたらしい。頬を赤らめて俯いている。
「わかりました…」
少しして顔を上げた彼女は、はにかんだ笑みを浮かべて席を立った。
「じゃあ、着替えを取りに行ってきますね」
「…ああ…」
洋子が事務所を出ていくと自然と溜め息が漏れ、自分でも驚く程緊張していたのだと気付いた。嫌が応にも昂ぶる自身を抑えようと、二本目の煙草に火をつけた。


「先生…」
事務所に戻り、シャワーを浴びてきた洋子は、灰皿に溜まった吸い殻の塊を見て苦笑した。
「吸い過ぎは体に毒だって言っているのに…」
「ああ、すまん…」
「本当にどうにかなっても知りませんよ」
やや呆れた様子で俺を見つめる彼女。
「…俺もシャワーを浴びてくるよ」
その場から逃げるようにそう告げると、まだ何か物言いたげではあったが、彼女は頷いた。
「あ、はい…じゃあ…」
少し恥ずかしげに柔らかく微笑む。
「…上で待っていますね…」
そう言って、螺旋階段をゆっくりと登っていった。


幸せにしてやれる確証などない。彼女が惜しみなく与えてくれるものに比べれば、俺からしてやれる事などちっぽけだ。寧ろ苦しめたり、迷惑をかける事の方が多い。
46名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:43:24 ID:fJ5ZALoY

だから、わからなくなる。何も聞かずに、何も言わずに、ただ俺を受け入れようとしてくれる彼女を求める事が、このまま繋ぎとめようとする事が、正しいのかどうか。

守り抜けるかどうかも危ういのに

それでも、伸ばしたこの手を引き戻せない。また失くす位なら、いっそ強引にでも繋ぎとめたい。傷つけてでも―

そこまで想いが行き着いて、自身に苛立ちを覚えた。欲求から滲み出す歪みにも似た衝動に蓋をして、俺はシャワールームを後にした。


ブラインドの下ろされた室内は薄暗く、その隙間から僅かに外のネオンが零れている。
ベッドの辺りに目を向けると、そこに佇んでいた彼女がこちらを振り向くのを感じた。
サイドテーブルの小さな明かりに照らされた顔貌の美しさに思わず息を飲む。抜けるように白い掌が頬に触れるまで、彼女がすぐ傍まで近付いている事に気付かなかった。
「先生…」
少し掠れた声で囁き、俺の顔を覗き込んでいる。その微かに揺れる瞳を見つめながら、普段はルージュの内側に隠れている淡い色の唇を奪った。
唇を通して伝わる、彼女の温もり。
そっと閉じられた睫は長く、僅かに影を落としている。
47名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:45:07 ID:fJ5ZALoY
化粧の落ちた肌はほんのりと白く、だがいくらか朱を帯び始めていた。
俺は洋子の頬を両手で包み込むと、舌で唇を押し広げ、ぬるりとして生暖かい口内に侵入した。
歯を舌で撫で回し、その奥の彼女の舌を絡めとる。柔らかな舌を貪っていると次第に淫らな音が口内に響き、益々欲望が掻き立てられていくのを感じた。
「…んっ…んふ…はあ、んうっ…!」
唇を離し、息を吐き出そうとする洋子を逃さぬように、より強く口付ける。彼女が苦しげに眉を寄せるのがわかったが、止める気にはならなかった。
互いの唾液を混ぜ合わせ、舌が溶け合う位に絡ませる。片手で寝着のボタンを外し、白磁のような素肌に触れると、身体をビクリと震わせたのがわかったが、構わずベッドに押し倒し、細い腕を掴み、彼女の上に覆いかぶさった。
「はあっ…!あっ…や…先生っ…!!」
唇を解放された洋子のか細い叫びに、行為に没頭しかけていた意識が引き戻される。改めて彼女を見ると、その表情はどこか怯えを孕んでいて、眼には涙が滲んでいた。
「……っ…」
慌てて身体を起こし、彼女を自身の重みから解放した。強張っていたその肩から力が抜けていくのが見て取れる。
48名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:46:55 ID:fJ5ZALoY
「…すまない…」
洋子は何も言わず、ゆっくりと上体を起こした。口元に流れる唾液に指で触れながら、彼女は息を整えている。
「…すまなかった、本当に」
再び謝り、彼女から身を離した。これ以上続けるつもりにはならなかった。

―傷つけてでも―

先程熱情から抱いた想いが、確かな形となって洋子に伸ばされる。壊してしまいそうな程、激しく。

優しさから抱かれようとしてくれているだけなのかもしれないのに

自己嫌悪に歪んでいるであろう顔を見せまいと視線を逸らし、ベッドから降りようとした。
「…書斎にいるから、何かあったら―」

言葉は、続かなかった。
その場を離れようとした俺の背に洋子の腕が回され、華奢な身体がぴたりと胸に寄り添ってくる。
49名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 00:49:25 ID:fJ5ZALoY
とりあえず、ここまで。


なんつーかもう…イメージ合わなかったらスンマセンorz
50名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 03:05:25 ID:5BWwd1Xt
>>49
いや、すごく入り込んで読めましたよ
続きが激しく気になるので楽しみに待ってます
5149:2006/12/08(金) 23:44:06 ID:PgTjjfYB
しばらくぶりです。

神宮寺×洋子の続き書けたので投下します。
52名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:46:04 ID:PgTjjfYB
「…どうして謝られるんですか」
「え…」
洋子は一言呟くと、その震える指で俺のシャツのボタンを外し始めた。
「よ…」
呼び掛けようとした俺の口を彼女の唇が少しぎこちなく塞ぐ。再び目の前に近付いたその綺麗な瞳に魅せられ、押さえ込んだ筈の欲望が疼くのを感じた。
触れていた唇を離すと、洋子は肌蹴た俺の胸に頬を寄せ、口を開いた。

「…先生は、私が仕方なく戻ってきたと…そう思ってらっしゃるんですか…?」
「……!」
「仕方なく…こうしていると…」
見上げる瞳は微かに揺らぎ、だが確実に俺自身を射抜いている。

見透かされていた。何もかも。

「く…」
洋子の細い指が胸板を這い、舌が湿った音を立てて愛撫する。自ずと吐息が漏れ、身体全体が火照るような快感を覚えた。
「…は…」
「…ここにいます」
指と頬の動きを止めぬまま、彼女が呟いた。
「私、ここに…いたいんです」

俺の中で、何かが崩れる音がした。

気がつくと、俺の手は洋子の服と下着を剥ぎ取り、その柔らかく弾力のある胸に押し付けられていた。形の良い胸が俺の手の中でその姿を変えていく。膨らみを弄ぶ手を止めずに体重をかけると、細い身体は簡単にベッドに沈み込んだ。
53名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:47:44 ID:PgTjjfYB
「あっ…はぁ…」
声を上げる洋子の首筋に軽く歯を立てると、真っ白な肌に小さく鬱血の痕が刻まれる。同じ物をうなじや乳房に幾つも散らせ、そこに舌を這わせると、彼女の身体はびくびくと震え始めた。
「んっ…やぁ、く…あっ…」
硬く張り詰めた突起を舌の先端で転がし、舐め上げ、指で摘み上げる。乳房を両手で揉みほぐしながら、その肌全体に滲み込ませるように舌でなぞり、唾液で汚す。その度に甘やかな声を上げる彼女に、俺の中の欲望は一層増していく。

寝着のズボンを脱がせながら、指を腰に這わせ、下腹部に口付ける。胸ほどに柔らかい太股の感触を掌全体で味わい、軽く口付け、両の腿の間にある彼女自身を覆う下着の中に手を伸ばした。
「あっ…」
恥ずかしさからか思わず脚を閉じ、俺の腕を挟み込む洋子。無言でその顔を覗うと、耳まで真っ赤に染めながらも、恐る恐る股を開く。
54名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:49:06 ID:PgTjjfYB

茂みの表面を手で探ると、そこは既にしっとりと湿っていた。指でその下にある閉ざされた筋に触れ、ゆっくりとなぞる。閉じてはいるものの、割れ目の周りは汗とは異なる水分で潤っていて、指がぬるりと外陰部を滑る。
それが彼女の内の官能を引き出しているのか、腰をもどかしく動かしながら、必死で声を抑えている。
「…んっ…んぅ…」
だが僅かに開いた口からは甘い溜め息が零れている。細められた眼は快感に潤み、だが、どこか不満げに眉が潜められている。洋子の口が動き、声にならぬ程小さく言葉を紡ぐ。

―早く

俺は思わず口元を笑みの形に歪め、彼女の秘部を隠していたショーツを脱がせ、両手で脚を開かせた。

茂みの下にひっそりと、更なる快感を求めて息づく秘部は、風呂上がりの清潔な香りに混じって、女の匂いを漂わせていた。腔内への入り口に僅かに滲む蜜に欲望を掻き立てられ、指で花弁を撫で、舌を秘孔に突き出す。
55名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:51:27 ID:PgTjjfYB
「えっ…あっ…ぅんっ、やぁっ!」
舐められるのは予想していなかったのか、洋子は首を振り、ふるふると身体を震わせた。その仕草が、あまりにもいつもの冷静な彼女とは似つかわしくなく愛らしく思えて、益々己が昂ぶっていくのがわかる。
蕩けそうな程柔らかい秘肉に舌を這わせると愛液が絡み付いてくる。割れ目を指で押し拡げ、妖しく光る膣壁の感触を味わいながら、羞恥と快感とに艶やかな声を上げ、淫らに腰をくねらせる彼女の反応を楽しんだ。

ここで「可愛い」と一言でも言ってやれたら良いのかもしれないが、そんな余裕もないし、何より気恥ずかしい。俺は言葉に出来ない想いを指と舌との愛撫に代えて、洋子の秘所を貪った。
「あっ…くっ、うん…ふぁぁ…」
いくらか解れた秘裂に骨張った指を挿し込み、円を描くように掻き回すと、ひどく卑猥な音が響き、彼女のよがる声も高くなる。
粘膜を削ぐように動かしていると、他より少しざらついた箇所に行き当たった。そこを執拗に擦り続けると、洋子は身体を弓なりに反らし、とめどなく沸き上がる快楽の中で喘ぎ乱れる。
「うんっ…ああぁ…せっ…先生、もう…」
56名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:54:20 ID:PgTjjfYB
耳に甘く響く声で、ようやく言葉を搾り出す彼女。もっと鳴かせてみたかったが、哀願するように見つめてきたので、言う通りにする事にした。
秘唇を弄るのを止め抜いた指は、彼女の蜜に塗れててらてらと淫靡に輝いていた。舌でねぶると、先程まで堪能していた彼女の欲望の味がした。
改めてそこを覗くと、割れ目の上に小さな突起を見つけた。始めは皮と茂みとに隠れて目立たなかったが、今はその膨らみを露わにしている。

俺の中にじわじわと嗜虐心が沸き上がってきた。再びそこに顔を寄せると、舌先で軽くつついてみる。
「ひっ―」
やっと終わると安堵して気を抜いたところに不意打ちを食らった為か、洋子の身体が大きくしなった。陰核を唾液で濡らし、爪で弾くと、彼女は更に快感の波に溺れて愛液を溢れさせる。その淫猥な光景に、思わず突起を弄る指に力を込めてしまった。
「ぃ…あっ、やぁっ、ああぁぁーーーっ!!」
一瞬身体を痙攣させたかと思うと、がくりと腰が落ち、ベッドに沈んだ。秘孔は痺れたようにひくひくと震えている。

…達したのか?
身体を起こし、洋子の顔を見ると、恍惚としたような眼で俺を見上げていた。
57名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:55:47 ID:PgTjjfYB
呼吸を整えながら起き上がろうとしているが、どうやら身体に力が入らないらしい。
「…はー…はぁ…」
「大丈夫か…?」
髪を撫でながら声を掛けると、その手に自身の手を添え、軽く微笑んだ。
「平気、です…。けど何だか…私ばかり…」
「…じゃあ…」
言いながら着衣を脱ぎ捨て、素肌を彼女の柔肌と重ね合わせ、頬に口付ける。
「そろそろ…良いか?」
問い掛けると、恥じらいながらも小さく頷き、俺の耳元に唇を近付けて囁いた。
「あの…そのままして下さって構いませんから…」
「ん…?」
言葉の意味が掴めず聞き返すと、洋子は益々顔を赤らめる。
「あ、その…ピルを飲んでいるんです。向こうに…ニューヨークにいた時からずっと…」
…そういえば、アメリカでは普通に常用されていたんだったな。
「こんな風に役に立つ事になるとはあまり考えてなかったんですけどね」
照れたように笑う彼女。
先程この手で味わった秘肉を直に貫けるのだと思ったら、一層自身が熱くたぎるのが分かる。何とも現金なものだ。
半ば自分に呆れつつ、洋子の秘唇に自身の先端を宛う。唾液と愛液で濡れそぼった入り口に、亀頭を潜り込ませただけで吐息が零れた。
58名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:57:37 ID:PgTjjfYB
そのままゆっくりと腰を落とし、自身を暖かなぬかるみへと押し込んでいく。
「んっ…」
肉棒が全部収まりきらないまま、強く締め付けてくる秘孔。このままでも達してしまいそうになるのを堪えながら腰を動かし始めた。
「あっ…んぅ…!」
愛液が潤滑油となり、殆ど抵抗なく俺を受け入れてくれている。
「くっ…はあ…!」
だが膣壁は俺自身をきつく締め上げ、ぬるついた感触をまとわり付かせてくる。気を抜くと上擦った声が出てしまいそうになり、歯を食いしばって快感に耐える。
肉と肉の擦れ合う痛みに息が詰まるが、寧ろ自身は愛液に塗れ、溶けてしまうような悦楽を覚えている。
「くぅっ!ふぅ…あっ…!あぁ…!」
荒ぶる肉杭を奥に突き込むと、洋子の肢体が跳ね、苦痛に耐える呻きは次第に嬌声へと変わっていく。それが律動による卑猥な水音と相まって僅かに残る理性さえ溶かしだす。結合部から溢れる愛液が腰を打ち付ける度に飛び散るさまはひどく淫らで、それが更に劣情を高めていく。
腰を押さえていた手を胸に伸ばし、両手でゆっくりとこね回し、硬い蕾を指で執拗に刺激する。甘やかな声を上げ続ける唇を舌でなぞり、口内を舐め上げ、唾液を啜る。
59名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 23:59:09 ID:PgTjjfYB
求め味わう毎に充足感を覚えつつも、欲情した心は際限なく目の前の女を望み続ける。灼き尽くしてしまいそうな程に。
「はぁ!ん、ひぅっ…うっ!あぅっ…!」
洋子は全身をがくがく震わせながらも、俺の突き込みを受け止め続けている。絶えず漏れる声は甲高く、今にも意識が飛んでしまいそうだ。
それでも秘肉からの圧迫感は強く、まだ続けていたいという欲望とは裏腹に、俺自身は快感の極みに誘われる。
「…くっ!うぅ…洋子っ…!!」
どれ位ぶりだろうか。君をこんな風に呼ぶのは。
俺の声に反応し、ぎゅっと閉じられていた眼が開いた。涙と熱に艶めいた眼と視線が交わる。
「あっ、やぁ…ぅ!せ、んせぇ…先生っ…!!」
洋子は酩酊したように瞳を潤ませ、俺の背にしがみついて喘ぎ続ける。何度も俺を呼びながら。
自身がはち切れそうな程膨張し、奪い尽くそうとする欲望に限界を告げる。せめて最奥で達したくて、肉杭を思い切り押し込んだ。
60名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 00:00:45 ID:P0ZjB/oL
「っ…あ、はあぁっ、ああぁぁっーーー!!!」
「ぐっ!?くぅっ、うあぁっ…!!」
悲鳴と共に、秘所が強く俺を締め付けた。痛みと激しい快感とに押し上げられ、溜め込まれていたものが勢いよく噴き出していくのが分かった。
肉棒がびくびくと痙攣を繰り返しながら大量の精液を送り込むと、膣壁は咀嚼するように蠢いた。やがて全てを吐き出したそれを引き抜くと、彼女と俺の欲望の混じり合ったものが零れ出す。
「んん…はぁ…はぁ…」
快楽の余韻に浸りながら、まだ喘いでいる洋子を緩く抱き締めた。この腕でた易く抱きすくめてしまえる細い身体。それを自身で満たしきった事に、不思議な位に充実感を覚えていた。
「…先生…」
うっすらと笑みを浮かべる濡れた唇から俺を呼ぶ声が零れる。秘やかな、それでいて確かな呼び声。
いつものように、俺の全てを信じ、受け入れてくれる優しい眼差し。

―ああ

もう止めようもない

「すまない…」
抱いたまま、耳元で囁いた。

もう 君を手放せそうにない―
61名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 00:06:32 ID:P0ZjB/oL
終了です。

この後神さんが調子に乗ってもう数発抜かずにぶち撒けたとかぶち撒けないとか…それはまた別のお話w

ちょっとエロが小杉でしたかねw

ところで皆さんはどんなシチュが好きなんでしょう?もしリクあったら書いてみたいなぁ…とか思ったり。
62名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 01:00:12 ID:jY4qELS5
>>61
俺が代わりに言ってやる
可愛い、可愛いよ洋子さん(;´д`)ハァハァ

GJでした
シチュじゃないけど、冷静じゃない神宮寺が見てみたいかも
63名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 19:39:16 ID:4VRtcAz2
>>61
GJ!!
三郎攻めまくりッスねw
漏れは洋子くんの百合モノとか見たいですな。
64名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 22:29:43 ID:d/pOoaUb
>61
洋子さんが非常に良かったです!

現在幸せな洋子さんの昔の男(ゲームで存在が語られていたような、いな
いような、記憶があいまいなのですが)とのSEXを書いて欲しいです。
65名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 01:19:15 ID:/5laX/qa
>>64
昔の男というと、ニューヨークの方ですかね。
それとも、高校時代の?
66名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 19:05:13 ID:T62BZ8BU
>>65
64です。ニューヨークの方が良いですね。
洋子さんも大人?なので。
67名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 21:03:49 ID:/5laX/qa
鬼畜な上にあんまり救われないような話とかでもおkですかね?
68名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 21:32:40 ID:T62BZ8BU
>>67
すんごく読みたいです!ぜひお願いします。
6967:2006/12/17(日) 10:15:47 ID:zQwHegSj
洋子×元彼を書く筈だったんですが…なんか違う感じになってきちゃってます。
何処で間違ったんだorz
とりあえず投下します。
70名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:16:55 ID:zQwHegSj
いつからこんな形になってしまったのだろう

何処で私達は行き違えたのだろう

想い合えた時は、確かにあった筈なのに

どうして こんな風に


「もう帰るのか?」
服を着て帰り支度を始める洋子に、『彼』は名残惜しそうに声を掛けた。
「うん…課題も残ってるし」
膝にかけていたブランケットを脇に除け、『彼』は上半身裸のままで洋子の腰に腕を回す。背にぴたりと寄せられる心地よい温もりに、彼女の顔が綻んだ。
「あんまり根を詰め過ぎるなよ」
耳元に囁かれる声が吐息混じりでむず痒く、洋子は思わず身を捩じらせた。
「フフ、平気よ。それより…」
『彼』の少し血色の悪い頬に触れる。
「大丈夫?ちゃんと眠れてるの?」
ここしばらくの間で、随分ひどくなったような気がする。
「あぁ…」
「仕事…大変なの…?」
「心配ないよ…」
素っ気なく答えると、『彼』は不機嫌そうに顔を背けてしまった。

いつも、そうだった。
仕事の事を尋ねると、『彼』は気を悪くしてしまう。言いたくないのなら無理に教えてくれなくても良かったが、不安だった。
彼女には、『彼』がその仕事の事で辛い思いをしているように見えていたから。
71名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:18:47 ID:zQwHegSj
怪我をして帰って来る事も少なくなかった。けして『彼』を信頼していない訳ではなかったが、危ない事に首を突っ込んでいるのなら、どうにかして救い出したかった。

「なあ」
不意に身体を離し、『彼』は床に放られていた衣服に腕を通し始めた。
「何?」
ブラウスのボタンをかけ終え、『彼』の言葉を待った。声の響きに怒気が孕まれていないのに気付き、洋子は安堵した。
「今度、家に来ないか?その…実家の方にさ」
少し驚いて振り向くと、優しい笑みを浮かべた『彼』が見つめている。
「きっと、洋子なら気に入ってもらえると思うから」
「……」
洋子は何も言わずに頷いた。これ以上ない程幸福そうな笑みを浮かべたまま。


「ずっと一緒に」と言ってくれた時の『彼』の眼を、洋子は今でも鮮明に思い出せる。

少し照れたような、それでも彼女に真っ直ぐ向けられた眼差し。

自分は求めた人に必要とされている。ただそれだけで、嬉しかった。
慣れぬ異国の地で出逢えた、愛しい人。孤独を取り去ってくれる人。
寄り添っていたい。支えていたい。

―ただ、それだけだったのに
72名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:21:00 ID:zQwHegSj

「会わせたい人がいるんだ」
その日、『彼』はそう言って洋子を自宅に呼んだ。翌日が休日という事もあって泊まって行くように言われたのだが、どうにも不安で仕方なかった。
近頃の『彼』はどこかおかしかった。急に怒り出したかと思うと、驚く程落ち込んだり、いつも何かに追い立てられているかのように眼をさまよわせている。話をしていても噛み合わなかったり、記憶が不明瞭だったりして、常に不安定なのが見てとれた。
加えて、身体を重ねる回数も日に日に増していた。乱暴に、喰らい尽くすように求めてくる『彼』を受け入れつつも、洋子は次第に恐れるようになっていった。

だが不思議な事に、この日の夜の『彼』は何も手を出してはこなかった。
落ち着かない様子は相変わらずではあったが、平常通りを装っているようだった。
それでも洋子は心配で、会わせたい人とは誰なのかなど、さりげなく尋ねてはみたが、『彼』は曖昧な返事をするばかりでまともな答は得られなかった。


不安ばかりが募る夜を越えたその朝に迎える事になる絶望を、この時の彼女はまだ知らなかった。
73名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:25:13 ID:zQwHegSj

目覚めかけた時、最初に聞こえてきたのは含んだような笑い声だった。
一人ではない、複数の男性の、少し耳障りな声。
ぼんやりとした頭でそんな事を考えていると、不意に顎を持ち上げられ、洋子の意識は一気に目覚めた。
「へぇ…なかなか可愛い顔してるねぇ」
よく知る『彼』の声ではなかった。まだぼやける眼をしばたたいて目の前の男の顔を確かめる。
短く刈られた頭。こけた顔に相応しい痩せぎすな体躯。どう見ても初見の人物だった。
「お姫様はお目覚めかい?」
別の場所からからかうような声を掛けられた。こちらはがっしりとした体格でありながら、不健康そうな青黒い顔をした男。やはり初めて見る顔だ。
会わせたい人物とはこの人達だろうか。寝起きの姿を見られた事に恥じらいつつも、問い掛けようとして気付いた。

―起き上がれない

洋子は慌てて身体を動かそうとしたが、両の腕を頭の上に回され、紐のような物で固く縛られていた。焦る彼女を見た男達の笑い声が大きくなる。
74名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:27:38 ID:zQwHegSj
「あ、あの…これ、何なんですか?彼は…彼は何処に―」
「黙ってなよ」
有無を言わせぬ語気で彼女を制したのは、髪の長い、またもや見知らぬ男。冷淡そうな目が、逆らうなと無言の圧力をかけている。
「!!」
痩せた男が寝着の襟に手をかけ、力任せに脱がせ始めた。勢い余って幾つかボタンが引きちぎられる。
「あっ、や…何するんですか!」
胸に伸ばされる手から逃れようと身を捩じる彼女を押さえ込みながら、顔色の悪い男が嘲笑った。
「何だ、聞いてないのか。アンタ、アイツに売られたんだよ」
「…え…」
男は顎で部屋の隅を見るよう促した。

洋子が視線を移した先には、『彼』がいた。昏く虚ろな眼をした『彼』の顔は腫れ上がり、所々に血がこびりついているのが分かる。
「…どうしたの?…その怪我…」
『彼』はゆらりと立ち上がり、こちらへと向かってきた。
「…もしかして…それ…この人達に―」
「黙れよ」
言葉が遮られると同時に、頬を張られ、鋭い痛みが走った。洋子が信じられないものを見るように『彼』を見つめていると、そんな彼女を息も荒々しく見下ろしたまま、こう言い放った。
75名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:29:35 ID:zQwHegSj
「お前…今日一日この人達に抱かれろ」

「………!!」

―胸が 軋んだ

「そういう約束なんだ」

―何を言っているのか 分からない

男達は再び手を動かし始めた。下着がた易く剥ぎ取られ、形の良い胸が晒け出される。洋子は俯せになって隠そうとしたが、二人の男の腕からは逃れられなかった。
「逃げようなんて思うなよ。これ以上コイツを見られない顔にしたくなけりゃあな」
先程彼女を制した男が『彼』に近寄りながら言った。男の懐から何かが取り出され、『彼』に手渡される。『彼』は引ったくるようにしてそれを受け取ると、キッチンの方へ姿を消した。
「ま、待って…うっ…」
その間にも男達は洋子の身体を貧り出していた。柔らかな乳房を力任せに愛撫し、細い二の腕に舌を這わせ、首筋に軽く歯を立てては赤い痕を残す。
「んっ…つぅ…」
半身を起こされ、背筋を掌と舌が撫で回している。生き物が這いずっているような不快感に、彼女は身を震わせた。

―逃げ出したい

けど 逃げられない

「嫌…」
自ずと拒絶の言葉が零れた。決して受け入れられる事のない願いだと分かっていても。
76名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:31:32 ID:zQwHegSj
「ここの女よか小さいが…綺麗な色してるねえ〜」
言いながら、男の一人が乳首に吸い付いている。舌でびちゃびちゃと音を立てて転がす口元に、品の無い笑みを浮かばせて。
「心配すんなよ、壊したりしねぇから」
もう一人の方がウエストの感触を楽しみながら、ズボンをショーツもろとも強引に脱がせる。一気に露わになった自身を隠そうと、洋子は足を閉じ、抵抗した。
「何隠してんだよ」
胸を弄っていた男が乳房に強く歯を立てた。
「あっ!」
痛みに声を上げる彼女を嘲笑いながら、男が大きな身体を下肢に割り込ませてくる。
「ジャップのここは黒いんだな…」
ひどく卑猥な事を言われて涙が込み上げてくるのを堪えながら、洋子は思い切って問い掛けた。
「…売られた…って…どういう事なんですか…?」
自分でも信じ難い程、声が震えていた。
「ヤクが切れちまったんだよ」
行為に夢中になっている男達を黙って見ていた長髪の男が口を開いた。
「ヤク…?っ…んうぅっ…」
洋子は更に問おうとするが、言葉が続かない。秘所に太い指が差し込まれて中で暴れ回っている。
「買いたいっつうんだけど金が足りなかったからさ」
言いながら、男はベッドに歩み寄って行く。
77名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:33:27 ID:zQwHegSj
胸にむしゃぶりついている男の力が増した。硬くなってきた突起だけでなく、乳房をも唾液で濡らし始めている。
「あ…やあぁ…うっ…んんんっ!」
声が大きくなってきた洋子の口を、ベッドの端に立った男が噛み付くように塞いだ。
ねっとりとした感触の舌が柔らかな唇を舐め回し、口内に侵入しようとしている。歯を食い縛って耐えていると、男は力を抜いて顔を離し、笑いながら言葉を続けた。
「言っとくけど、あっちから言い出したんだぜ?女を一日好きにして良いから薬をくれって。だからさ…」
男の笑みが凍った。そして次の瞬間―

「んぐっ!!」
両頬を掴まれ、男の唇が押し付けられた。先程よりも激しく、濃密に。
不意を突かれた為、舌の動きを防げなかった。男の唾液が口内に流し込まれ、彼女の舌にまとわりついてくる。拒もうとすれば口端から互いの唾液が混ざり合ったものが垂れ出し、そのさまは一層淫らなものとなった。
「ぷはっ!…はー…はあぁ…」
漸く唇を解放され、息を整えようとする。だがその目の前で舌舐めずりしながら男が怒鳴った。
「お前今日は俺らのモンなんだよ!分かるか!?今度逆らうような真似したらアイツの面の皮剥がすぞコラァ!!」
洋子の眼が大きく見開かれた。
78名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:35:38 ID:zQwHegSj

怖かった。
この男達も、『彼』も。

それでも―

「……めて…」
「ああ?」
「…やめて…下さ…い…」
傷つけないで。

「…もう…逆らいません…から…だから…彼は…」

何でもするから―

「…よし」
男は笑みを浮かべ、ベッドの上の男達に続きを促した。彼等が再び行為に没頭し出したのを見て、洋子は溢れ出す涙を止められなかった。
79名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:39:28 ID:zQwHegSj
今日は、ここまでです。

続きを書いてもよろしければまたいつか投下しますが…ひどい事になりそうな気配なので御了承下さいorz
80名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 00:30:55 ID:/yW61raf
>79
64です。書いてくれてどうもありがとうございます!
彼に売られた洋子さんの様子、儚げでグッときますね。
興奮です。彼女こういうのが様になってしまうような。
続きとても楽しみにしています。
81名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 01:59:58 ID:QBZJBGYn
>>79
うわあ‥‥元彼テラヒドス

続きがすごく気になる感じですね。楽しみに待ってます

ところで元彼って名前どっかに出てないんでしょうか?
82名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 22:11:23 ID:drylF9XI
>>79
洋子さんの姿に興奮!
続き待ってます。
8379:2006/12/27(水) 23:33:10 ID:bJC4vXce
この前の続き出来ましたので宜しければどうぞ。
84名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:34:19 ID:bJC4vXce

「うっ、く…んん…や…」
「おお…結構濡れてきたな…感じてんじゃん」
秘部を掻き回していた男が指を引き抜き、洋子の顔の前に出して見せる。
執拗に責め立てる男の愛撫は、確実に彼女の身体に快感を刷り込んでいた。
洋子が自身から湧き出た淫液から目を逸らすと、男はその忌まわしい手を涙に濡れた頬に擦り付ける。
「や…あぁ…嫌ぁっ…!」
「おいおい…自分で出したモンだろう?」
「おいお前ら、そろそろ突っ込んでやったらどうだ。時間が限られてんだからな」
見ていた男が焦れたように急かした。
「そう言うんならお前もやりゃあ良いじゃねーか」
秘所から身を離した男は、洋子の口に愛液に塗れた指を突っ込みながら愚痴を零した。
「俺は騒がなくなった奴をヤるのが好きなんだよ」
「へいへい。先俺で良いか?」
乳房をこね回していた痩せた男がジッパーを下ろした。
「あっ!てめ、中濡らしてやったの俺だろうがよ」
「お前のはデカいんだから後の方が良いだろ。先、口使ってもらえよ…」
言いながら洋子の身体を押し倒し、濡れた秘唇にそそり立った肉棒を押し込んでいく。
狭い膣口が拡がり、洋子はとうとう望まぬ男性を受け入れてしまった。
「いっ…ああっ…嫌あぁっ!」
85名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:36:08 ID:bJC4vXce
頻繁な『彼』との行為でいくらか慣れてきているとは言え、自身を開かれる苦痛と屈辱に叫びを抑えられない。
ぎゅっと目を閉じて声を押し殺そうとしていると、顔を何か生暖かい物で軽く叩かれた。
「目を開けなよ」
野太い男の声におずおずと見開かれた彼女の目の前には、赤黒く見るからにグロテスクな物体が晒されていた。
内側が何かで満たされたように膨れ上がりびくびくと震えているそれが、今まさに自分を犯しているのと同じ物なのだと察し、洋子は必死で目を背けた。
「…っ……!!」
「見ろって」
男は彼女の顎を押さえ、口元に亀頭を押し付けた。異臭が鼻をつき、先走りの液が唇を汚す。
律動の痛みに苛まれながらも、声を出さないようにきゅっと唇に力を込める。口を開けたら、汚される。
「自分の状況分かってんのか?彼氏が見てんぜ、ほら」
その言葉にはっとして目を開けると、いつの間にか壁脇に『彼』が座り込んでいる。
泥のように濁っていながらも、ぎらぎらとした眼で洋子の痴態を見つめていた。
「あ…やぁっ…!見な、いで…―んむっ!」
羞恥のあまりに泣き叫びそうになった口にすかさずペニスが侵入する。
86名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:38:11 ID:bJC4vXce
「んっ!んふぅ、んーー!!」
「歯は立てんなよ、ちゃんと舌も使ってしごきな」
男は彼女の温かい口内を掻き回すように自身を動かし、唾液を肉棒全体にまとわり付かせた。
「んうっ、んぐ…ふぅ!んっ…」
口と秘部から響く淫猥な水音。息もつかせぬ圧迫感。
そして何より、愛しい人に惨めな姿を晒す事に対する耐え難い悲しみが、洋子の心に痛ましい亀裂を作る。
「はっ…凄い締め付けじゃん…うっ…なあ、姉ちゃん…このままイッちまうかい?」
「ふっ…んーぅ…んぐんんっ…!!」
痩せた男が耳穴をべちゃべちゃと唾液で汚しながら囁く。首を降って否定しようともがくが、がっしりと頭を掴まれて上手くいかない。
思う通りに舌を動かさない洋子に業を煮やしたのか、男根で口腔を味わっていた男は掴んでいた頭を前後に動かし始めた。
激しい摩擦により淫音は大きくなり、根元まで押し込む度に唾液が飛び散る。
あまりの苦しさに思い切り息を吸い込むと、生々しい臭気が鼻腔を刺激し、むせ返りそうになった。
87名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:41:08 ID:bJC4vXce
「へっ、へっ…おい、そろそろイクぜ…口いっぱいに出してやるからな……ぐおっ!!」
「んっ、ぐっ!!」
口の中で肉棒が一瞬びくりと震え、生臭く粘ついた液体が湧き出てきた。
そのおぞましい感触に、洋子は必死に押さえ付ける腕を振り解こうとするが、男の腕は一向に力を緩めないばかりか、もう一方の手で鼻を摘み、息を塞いだ。
「ん、んぶっ!?んぐぅっ…んー、ん…!!」
こうされては成す術もなく、男の淫液を嚥下していく。喉を通して伝わる何とも不快な感覚に、洋子は何度も嘔吐いた。
「おおぅ…こっちも出すぜ…くっ…そらよぉっ!」
「ぐっ!んーっ、んんっー…!」
口内に続き、膣内を犯していた男も限界まで昂ぶった自身の欲望を吐き出す。
断続的に噴き出し、体内を容赦なく侵食する熱い男汁を受け止めながら、洋子は汚れた自分をまざまざと思い知らされた。

漸く唇と秘部を解放されると、洋子は激しく咳き込んだ。
「ぐっ!ゴホッ、ゲホッ…けほ…」
「何だよ、まだ残ってるじゃねーか。ちゃんと全部飲みな」
飲み込みきれず顎を伝う白濁液を指で口腔に押し戻しながら、男は笑った。
88名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:43:15 ID:bJC4vXce
朦朧とした瞳に涙を浮かべながらも、未だ消えずにいる理性にしがみつくように呼吸を整えようとしている洋子を、男達は面白がってさえいるようだった。
「はあっ…はぁ、はぁ…」
「なかなか折れないねぇ…んじゃあ…」
痩せた男は思いついたように笑った。その笑みがひどく禍々しいものに見えて、洋子は背筋を震わせた。
「こっちはどうかな?」
男はそう言って洋子の身体を俯せにし、指を後孔に突き立てた。思いもしない恥辱に、たちまち洋子の心は悲鳴を上げる。
「やっ、やあっ!そんな所…ああぁっ!」
「お、こっちは初めてか。いい声出すじゃねえの」
悲嘆の声に、男達は愉悦の笑みを零した。
秘所から垂れた精液と愛液によって濡れそぼったアヌスに指を押し込むのはた易かったが、そこは侵入を拒むようにきつく閉ざされている。
だが男は抉るように掻き回し、着実に恥孔を開いていく。
始めは裂けてしまいそうな痛みにもがいていたが、出し入れされる指の動きに快感にも似た奇妙な感覚を覚え、洋子は益々羞恥の涙を流す。
「あっ…あうっ…い、やぁ…そこは…やめ…」
89名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:45:16 ID:bJC4vXce
「嫌な割には随分気持ち良さそうだ」
眺めてばかりで飽きたのか、長髪の男が声を掛けてきた。
「あぁ…ちが…違い…ま…はあぁぁっ…」
否定しようとするが、肛悦に言葉が押し流されてしまう。
「恋人が見てるってのに凄い乱れようだ…もしかしていつもこんな調子なのかい?」
男は『彼』を一瞥して言った。洋子は言葉も口に出来ずにただただ首を振っている。
「なあ、なんか言ってやったらどうだ?」
『彼』はそうけしかけられると、のろのろと立ち上がり、ベッドの前に近付いた。
洋子は汚されてしまった自分の姿を見られたくなくて、『彼』から目を逸らした。だが、
「おら、彼氏の顔見てやんな」
フェラチオをさせていた男に髪を引っ張られ、無理矢理『彼』を直視させられた。
苦痛と恥辱、そして快楽に潤んだ悲しげな彼女の眼に対して、それを見下ろす『彼』の眼は、何故か悦んでいるようにも見えた。
「…感じてんのか?」
『彼』が問い掛けてくる。洋子は即座に首を横に振った。しかし依然止む事のない肛辱に、よがる声を抑えられない。
「いっ、はぁ…ひんっ…あぁ…うあっ…」
90名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:48:12 ID:bJC4vXce
執拗な愛撫によってアヌスは腸液に塗れ、指の滑りが良くなってきている。
お陰で尻穴の奥の奥で蠢く二本の指に翻弄され、まともに言葉を紡げない。
彼女の中に僅かに残る理性の断片さえも打ち砕くように、『彼』は歪んだ言葉を吐き捨てた。

「…いいじゃねーか。この際何度でもイッちまえよ」

「…えっ…?」
耳を疑った。
「ピル飲んでりゃあ孕みもしないしな。っつーか、こんな機会滅多にないだろ…?複数の男にしてもらえるなんてさ」
そう言って『彼』は笑った。

―悪い冗談だと思った

夢であって欲しいと 心から願った

「っつう訳で、使えなくならない程度にお願いしますよ」
『彼』は男達にそう告げると、ソファーに腰を沈め、再び見物を決め込んだ。
「言われなくても分かってるよ。また使う事になるかもしれねえしな」
「しっかしひでえ男と付き合ったもんだよなあ、アンタ。可哀相に」
言葉とは裏腹に意地悪そうに笑うと、アナルを弄っていた男は漸く指を引き抜いた。
「だいぶ解れたな…そろそろ挿れるか」
そして混ざり合った淫液でぬらぬらと光る白い双丘の中心に陰茎を宛い、一気に貫いた。
「ぃ――っ!!かはっ…はっ、ああぁぁぁっ!!!」
91名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:50:25 ID:bJC4vXce
窒息しそうになる程に腸壁を圧迫され、洋子は喉を反らし鳴いた。
そんな彼女をいたぶるように男は抜き差しを繰り返し、時に腸の粘膜を削ぎ落とすように肉杭を擦りつけ、洋子の意識に強制的に排便感を刷り込んでいく。
「あっ…か…はあぁっ…あ…ぁ…」
「ぐっ、おおぅ…へへっ…凄ぇ締め付け。縛られてるみてぇ…」
「ホントいいとこ取りだなお前…まあいいや。今度こそマンコ頂くぜ…」
体格のいい男は悪態をつきながら半ば固まりかけた精液で汚れた秘唇に男根をねじ込んだ。
「くっ、うっ…ああっ、はあぁんっ!!」
前後から肉欲の赴くままに二穴を塞がれ、気が狂う程の悦楽によがる洋子。もう抗いもせずにその突き込みを受け止めている。
だが瞳は悲しみばかりを浮かべ、ぼんやりと宙に向けられている。
『彼』の言葉で、彼女の心は完璧に打ち砕かれてしまった。もはや何の為に抱かれているのかさえ、分からなくなってしまった。
その身に受けている凌辱さえ、今の彼女にとっては遠い事のように思えていた。
92名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:52:55 ID:bJC4vXce
「喚かなくなったな…じゃあそろそろお邪魔させてもらうか」
長髪の男は軽く笑い、呻くだけとなった彼女の口にペニスを押し込んだ。にゅるりとした温もりが、拒むべき男の欲望の塊を包み込む。
その表情に、怯えや嫌悪の色は既にない。身を焦がすような快感だけが、彼女の心を此処に繋ぎ止めている。

部屋中に響く、肉と肉のぶつかり合う音。男達の哄笑。
それらの不快な感覚にも無関心な様子で、洋子の意識は永遠とも思える悪夢の中で、絶望を抱えたまま漂い続けていた……
93名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:55:59 ID:bJC4vXce


「…すっかり汚れちまったなぁ…」
男達が帰って行った後、洋子は起き上がる事も出来ずに、『彼』の抑揚のない声を聞いていた。
既に日は沈みかけ、窓の外は夜の闇に覆われ始めている。
半日近く蹂躙され続けた身体は、疲弊しきって殆ど自由にならない。
だが、麻痺していた感覚は次第に元の状態に戻りつつあるらしい。
縛られたままの手首の痛み。下腹部の鈍痛。長時間の責め苦からようやく解放された身体の節々が悲鳴を上げている。
取り戻したのは痛みだけではなかった。喉に粘ついた物が絡む不快感。両方の秘孔から垂れ流される精液への嫌悪感。
更に全身にこびりついたそれは乾き始め、吐き出された時とはまた少し違う異臭を漂わせている。
それらの全てに、自分がどれだけ汚されたかを改めて思い知らされた。
「あんな奴等とでも感じちまうんだな。ヘッ…結構淫乱なんじゃねぇの?」
侮蔑を込めて言葉を投げ掛ける『彼』に、もはや彼女は何も言えなかった。涙も零れない。本当に全てを奪い尽くされたかのようだった。
『彼』は気だるそうにソファーから腰を上げ、まだ動けずにいる洋子の腕の紐を解き、汚れた秘唇に無造作に指を突っ込み、白濁液を掻き出し始めた。
94名無しさん@ピンキー:2006/12/27(水) 23:58:20 ID:bJC4vXce
行為の熱も失せ冷え切っていたそこが、再び温もりを取り戻していく。
「…ぅ…ぁ……」
「けどなぁ、洋子…」
空いている方の腕で彼女の頭を引き寄せ、耳に囁いた。

「俺はお前じゃなきゃ駄目なんだ…」
「…ぇ…?」
指の動きが速まり、収まった筈の快楽が鎌首をもたげる。
「はあぁっ…あっ、ぅあ…」
「お前がどんなに汚れても…他の男に盗られちまったとしてもさ…」
耳朶を舐めるような、甘く響く声。
「俺は洋子の事愛してやれるんだぜ…」
絶望の淵にまで染み渡る言葉。
「だから…」
耳元から吐息が離れ、乾ききった互いの唇が触れる。
「ずっと、一緒だ」
思わず眼を見開き、洋子は『彼』の眼を見た。

真っ直ぐな瞳―

どんよりと濁ってはいたが、彼女にはそう見えた。
「くっ…」
まだ淫液に濡れている膣口に、『彼』の男根が押し付けられた。行為の一部始終を処理も出来ぬまま見せられていたせいか、熱く怒張している。
一息に貫かれると、散々犯し抜かれて性の悦びを覚えた身体は惨めな程た易く高みに押し上げられた。
95名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 00:00:00 ID:bJC4vXce
「あっ!くぅ…ん、はぁ、ぅ!!」
「はっ、ぐうっ、洋子っ…」
律動を止めずに、『彼』は虚ろに呟き続けている。
「俺には、くっ…お前しか…いない、んっ、だよ…」
洋子を見つめたまま動かない、昏い瞳。蔑んでさえいた眼が、今はひどく哀しそうに見えた。

縋るように、ただ求めて続けている。


―私を必要としてくれている―

「大…丈夫…」
『彼』の頬を撫で、洋子は呟いた。

歪んだ形でしかなくても

「大丈夫…だから…」

自分がどれだけ惨めだったとしても

―どんなに汚されても 『彼』が私を望んでくれるのなら


きっともう 私にも 『彼』しかいない―
9695:2006/12/28(木) 00:03:11 ID:omfzLwps
終了です。

途中sage忘れあったみたいですみませんm(._.)m

凌辱モノ初めてなのでなんだか変な感じに終わってしまったやも…
97名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 02:30:05 ID:j+l+IdJM
>>95
洋子さんが可哀想だけど、犯されて乱れている姿がすんごくエロかったです。
実に良かった。気が向いたらまた書いてください!
98名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 11:43:41 ID:Vz2dXfkm
洋子くんカワイソス
あんな偏愛な彼氏じゃ大変やろなあ....
何はともあれ>>96GJ!
99名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 07:54:12 ID:BkwjJsAB
冷静じゃない神宮寺を書いて見ようと思ったのになんだかアホっぽい話になってしまいましたが宜しければどうぞ。
100名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 07:55:45 ID:BkwjJsAB
「先生、今日はどのように調査を進めましょうか?」
聡明そうな眼で、彼女は俺の言葉を待っている。
彼女の名は御苑洋子。俺の優秀な助手だ。
さて、今日はどこから手をつけようか…

・どうする?
見る→洋子
今日は身体のラインが際だって見える服を着ている。くびれが何とも美しい…

触る→胸
「きゃっ!い、いきなり何を―」
俺の行動に驚きの声を上げ、洋子君は身を引こうとした。だが―

奪う→唇
「んぅ!?んむ、んーー!!」
そうはさせまいと口を塞ぎ、言葉を遮った。そのまま肩を押さえ込み、身動き出来ぬように壁際に追い込む。

掴む→乳房
そして当初の目的だった胸へと手を伸ばした。温かく柔らかいその感触が、衣服越しにも伝わってくる。

動かす→舌
繋いだままの唇を舌で強引に押し開かせ、ぐちゃぐちゃと音を立てて口内を舐め回す。彼女の唾液を飲み下すと、俺の身体はまるで酒でも飲んだかのように熱い陶酔を覚えた。

見る→洋子
「んっ…んうぅんっ…ふ、ん」
荒くなった息を整える事も出来ず、壁にもたれかかっている。
101名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 07:58:35 ID:BkwjJsAB

どうやらその気になってきたらしいな。だが油断は出来ん。ここは慎重に事を進めていかないと…

・どうする?
耳さわる→洋子
耳朶に指先で触れながら甘噛みすると、彼女の吐息が首筋にかかった。胸を揉む手の動きを速め、より強く愛撫すると、益々喘ぎが激しくなるのが分かる。

「あんっ、せっ…先生…本当にもう…やめて…下さ…」

洋子君が弱々しく抵抗の声を上げる。
まだ逆らうか…
こうなっては仕方がない。あまり気は進まんが…

・どうする?
脅す→洋子
「本当にやめて欲しいのか?感じているように見えるが…」
と言いつつスカートをたくし上げ、下着の中を探る。
「っ!!か、感じてなんか…あっ…やあぁ…」

見せる→洋子→指
「こんなに濡らしているのに…?」
陰部をまさぐった指を彼女に見せつけた。ぬるりとした愛液が絡み付き嫌らしく光っているそれから、彼女は顔を必死で背けている。
102名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 08:00:09 ID:BkwjJsAB
「あぁ…嫌ぁ…!」

あともう一押しだな…一気に畳み掛けるか。

・どうする?
指入れる→秘所
「あっ…はあぁ…んっ…」
片手で膣内を引っ掻き回しながら、もう一方の手で素早く衣服をずり上げ、双丘を外気に晒す。そしてすかさず…

・どうする?
乳首吸う
「ひぁっ!」
洋子君の身体がびくりと跳ねた。
ここが狙い目か…
胸の突起を重点的に攻め続けると嬌声はより甘やかさを増し、彼女の全身からは力が抜け、へたりとその場に座り込んでしまった。

落ちた…

そう確信し、思わず懐に手を入れてしまってからはっとする。今は煙草を吸っている場合じゃない。
代わりに大きく息を吸って心を落ち着けた。
さあ、そろそろ本腰を入れて…

と、俺が昂ぶった自身を取り出し、彼女の秘部にあてがったその時だった。

ドアの開く音がした。現れたのは、見慣れた丸いシルエット―
103名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 08:01:50 ID:BkwjJsAB

「よお、神宮寺君。久しぶり…」


その瞬間、時は止まった…


「ふもっっ!!?」

再び時は動き出す―


「んなっ…何をやっとるんだね神宮寺君っ!!」
「あ…いや、熊さん…違うんだ…」
「何が違うと言うんだ!?」
「うぅっ…ぐすっ…」
「ほれ、洋子君が泣いとるじゃないか!まさか君がこんな事をする男だったとは…」
「いや、これは、その…」
「問答無用だ!強制猥褻の現行犯で逮捕する!!」
「………」


…なんてこった



game over
104名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 08:04:27 ID:BkwjJsAB
終了です。

新年早々何やってんだ自分…
105名無しさん@ピンキー:2007/01/10(水) 18:43:43 ID:FL7R6clL
>>104
ちょwwwwww
GJ。笑わせてもらいました
106名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 21:25:07 ID:5rzgPD3p
>>104
wwwwwww
GJ!
本腰は入れられずに終わったか…
107名無しさん@ピンキー:2007/01/17(水) 19:19:41 ID:rGw76fBb
>>104
それなんてTPSwwwww
こーいうの大好きだww
次回作あればまた書いてください(・∀・)
108名無しさん@ピンキー:2007/01/26(金) 15:16:28 ID:BYBDylW9
>>104
GJ!
お茶ふき出しちまったOTZ
109名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 16:01:23 ID:OzbktyF6
>>99
俺のリクエストに答えてくれてありがとう
ごちそうさまでした
また気が向いたら書いてくれると嬉しいです
110名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 20:57:27 ID:paqpS12n
「ふもっ!!?」ワロタw
111名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 16:45:31 ID:KkFi1KvN
サブ×三好をぜひ一度見てみたい
112名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 11:23:31 ID:rBuaIpig
頑張って書いてみます。
しばしお待ちを…
113名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 17:50:46 ID:kLPih92Z
とりあえず保守
114名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 21:43:23 ID:gSzYN5/B
いいね
115名無しさん@ピンキー:2007/02/10(土) 03:53:42 ID:qznCTzGg
>>111
なんかヘタレっぽい神宮寺になりそうですがよろしいですか?
116名無しさん@ピンキー:2007/02/13(火) 19:55:36 ID:NQ1cteo4
>115
111じゃないけどヘタレはなあ・・・・
押し倒される三郎は笑えるがなwww
117名無しさん@ピンキー:2007/02/23(金) 08:35:19 ID:+TJufKnN
保守
118名無しさん@ピンキー:2007/02/23(金) 13:47:46 ID:/w86E/pF
>そう確信し、思わず懐に手を入れてしまってからはっとする。今は煙草を吸っている場合じゃない。

ここのセーブデータからやり直しまつ。

→煙草吸う
→「洋子クン、私の部屋へ行こう」「玄関に鍵をかけたまえ」
119名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 23:01:52 ID:ojZd+VHv
歌舞伎町に住み着いてるだけあって、性欲を持て余す事はあまりないかもしれんね>神宮寺
120名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:24:27 ID:1Q6MgdRO
やはりヘタレっぽくなってしまった感じですが、とりあえず投下しときます。
三好×神宮寺って感じです。
121名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:25:26 ID:1Q6MgdRO
「…う…うぅ……」

身体に何やら奇妙な違和感を覚え、神宮寺は重い瞼をこじ開けた。
鼻をつく刺激臭…これは薬品の臭いだろうか。全身にのしかかるような倦怠感、靄のかかったような意識と相まり、実に最悪の目覚めだ。そもそも―
「ここは…何処だ…?」
体を起こそうと頭を持ち上げると、視界に映った光景に唖然とし、彼は言葉を失くした。
いつの間にかジャケットが脱がされ、ワイシャツが大きく肌蹴ている。
だが最も驚くべきは、剥きだしになった胸板に指を這わせる女がいた事だった。
「あ、お目覚めですか?神宮寺さん」
化粧っ気のない顔に、少しはねたセミロングの髪。眼鏡に白衣、その下は私服という地味なスタイル。見紛う筈のない、自身の知る中でも一、二を争う“奇妙な”友人。
「…み…三好…?」
淀橋署鑑識官、三好志保。それが神宮寺の知る彼女の肩書きであった。
彼女がいるという事は…
「ここは…鑑識課か?」
「頭の方に異常はないみたいですね」
彼女はそう言うと、神宮寺のシャツの残りのボタンに手をかけた。
122名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:26:44 ID:1Q6MgdRO
「じゃ、ちゃっちゃと始めちゃいましょうか」
「お、おい…ちょっと待て」
当たり前の事をするように服を脱がせようとする彼女を制止しようともがくが、体が思うように動かない。
「待ってくれ…い、意味がわからん」
「やだなあ神宮寺さん、寝る前に話したじゃないですか」
「…寝る…前…?」
「ツケ」
「ツケ…?」
まだぼんやりとした頭で記憶の糸を手繰り寄せる。次第につい数時間前の光景が浮かび上がってくるのに任せ、神宮寺はゆっくりと目を閉じた。


「ありがとう三好。助かるよ」
その時、神宮寺は調査に必要な鑑識を三好に頼んでいた。快く応じてくれた彼女だが、この日は何故かやたらと彼を引き止めたがった。
「お気になさらず。ところで、今は時間とかあります?」
「仕事中だ。まあもう遅いし、そろそろ帰ろうかと思っていたんだが…」
「じゃあ大丈夫ですよね。お茶でも飲んでいきませんか?」
神宮寺は少し驚いて三好を見た。いつの間にやら、彼女は既にティーカップを二つ用意している。
「珍しいな。そんなに気が利く人間だったか?君は」
「随分失礼な事言いますね。まあ、どうぞ」
促され、再び神宮寺は革張りのソファーに腰掛けた。目の前には芳しい湯気を立てた紅茶が置かれた。
123名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:28:02 ID:1Q6MgdRO

それからしばらく、奇妙な沈黙が続いた。
神宮寺は話すような話題もないのでただ黙々と紅茶を啜っていた。三好もやはり同じである。
「…で、何だ?」
「はい?」
しびれを切らし、神宮寺は沈黙を破った。
「用があるから引き止めたんじゃないのか」
「…神宮寺さん。この前言ってた事、覚えてます?」
「ん…?」
「以前鑑識してあげた時ですよ。一杯おごるって約束してもらった筈なんですけど」
「…あ」
そう言われてようやく思い至った。今回と同じく調査に関するものだったのだが、ごたごたしていて約束をすっかり忘れてしまっていたのだ。
「ちなみに、だいぶ前に鑑識した時の分もツケになってるんですよね」
「すまん…」
「という訳で、今日まとめて返してもらっちゃっても良いですか?」
神宮寺は少し躊躇った。時間がない訳ではないが、今は持ち合わせがあまりない。
(仕方ない…「かすみ」でツケで飲むか)
そう思い、三好に向き直った。
「わかった。仕事はいつ頃終わりそうだ?」
「あ、別におごりはもう良いんです」
「……ん?」
話が噛み合っていない。どういう事かと神宮寺は先を促した。
「実はですね、ちょっと面白い事を思いつきまして…」
124名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:29:40 ID:1Q6MgdRO
「……」
神宮寺は彼女の表情を窺った。いつもと同じ、飄々とした様子の三好。だがその口元には意味深な笑みを浮かべている。
何を考えているのか全く掴めない。嫌な予感がした。
「…今日はこれで帰らせてもらえないかな」
「いやいや、まだ何も話してないんですけど」
「いや…その話はまた今度…」

言いかけ、席を立ったその時だった。

「…っ…?」
視界が歪み、足が縺れた。すぐさま手を壁に当てて体を支えようとしたが、力が入らずよろよろとソファーに寄り掛かる。
「な…っ…?」
口を開いてはみたが、まともに言葉が紡げない。必死で目だけを三好に向けると、彼女がこちらに近付いて来るのが見えた。
「駄目ですよ、逃げちゃ」
「…っ……」
頭が、重い。
だんだん意識が沈んでいくようだった。その中で、エコーがかかったような彼女の声が響いた。
「大丈夫ですよ。ちょっと気持ち良くなってもらうだけですから…」
どういう事だ。
そう聞く間も与えられず、神宮寺は眩暈と共に望まぬ眠りに誘われていった。
125名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:31:10 ID:1Q6MgdRO

「………」
意識を失う前の事を思い返すと、神宮寺はうっすらと目を開いた。
「思い出しました?」
そう問い掛ける三好は、彼のシャツの前を全開にし、ズボンのベルトにまで手をかけていた。思わず顔を片手で覆い、神宮寺は呻いた。
「…意味が分からん…今の状況とどう関係があるんだ」
「あ、もしかして最後まで聞いてませんでした?」
顔に置かれた手を少しずらして三好を見やり、先を促した。
「体で払って下さいって事ですよ」
「……は?」
思わず上半身を跳ね起こした。無理に体を動かした為か、頭が少しぐらつくような感覚を覚えた。
「実はちょっと面白い薬を入手したんですけど、最近ウチの人、付き合い悪いんですよね。だから代わりにお願いしようかと思いまして」
「…おい待て…俺は実験台か?」
「結果的にはそうなっちゃいましたね。でも大丈夫ですよ、害のある薬じゃないみたいですから」
何とも呑気な物言いに、神宮寺は返す言葉を失くした。
ともかくここから逃れようと試みるが、やはりまだ体がまともに動かせない。おまけに先程からやたらと熱っぽい。
126名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:33:58 ID:1Q6MgdRO
「往生際が悪いなぁ。悪いようにはしませんよ。それに…」
三好はズボン越しに神宮寺の陰部を撫で回した。
それは既に張り詰めていて、ズボンに圧迫されて窮屈そうにしていた。軽く撫でられているだけだというのに全身の熱が増していくのに戸惑い、神宮寺は慌てて彼女の腕を掴み、動きを妨げた。
「こんなになってる」
くすりと笑う三好を半ば苛立ちを込めて睨んだ。
「…三好。さっき言っていた薬というのは…」
「精力を増強させるサプリメントです。一度や二度イッちゃってもすぐ持ち直す優れものらしいですよ。枯れて淋しくなってる中年男性に今人気の―」
「…飲ませたのか?俺に」
講釈を始める彼女を遮るように神宮寺は尋ねた。少しつまらなさそうに息をつきながらも、三好はさらりと答えた。
「ええ。寝てる間に」
「…………」
神宮寺は本日何度目かの重い溜め息をついた。
「冗談じゃない…なんでよりによってこんな…」
「良いじゃないですか、減るものじゃあるまいし」
薬のせいか力があまり込められていない腕をた易く解き、三好はズボンのジッパーを下ろした。そして無造作に下着の中に手を伸ばす。
127名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:35:50 ID:1Q6MgdRO
その内で存在を主張するそれは、彼女の力を殆ど借りるまでもなく、弾けるような勢いで外に顔を出した。
「うわ…神宮寺さんのっていつもこんなになるんですか?」
珍しく驚きの声を上げる三好。その顔はどこか楽しそうだ。
「馬鹿を言え…」
もはやどうにでもなれ、という様子の神宮寺だったが、正直今までにない自身の昂ぶりに戸惑っていた。どうやら本当にタチの悪い薬を盛られてしまったらしい。
「じゃ、ちょっと失礼して…」
「お、おい三好…くっ…」
言うが早いか、三好はそそり立った肉棒に舌を伸ばした。亀頭の縁をなぞるように舌先で撫で、指先で側面に触れる。
三好は舌の平でゆっくりと表皮を舐め上げ、そこに手を添え、上下に擦り始めた。
既に鈴口は先走りの液を出しており、塗り付けられる唾液と混じりあってペニスを弄る動きを滑らかなものにしていた。
「っ…くうっ…」
未だ自由にならない身体の内から込み上げる快感を抑え込もうと、神宮寺は歯を食い縛って堪えている。
その様子を目だけで窺うと、三好は口を大きく開き、男根の先端を包み込んだ。そして舌先を鈴口にぐりぐりと押し当てた。その大胆な愛撫に、神宮寺は堪らず喉を反らし、荒い息を吐き出す。
128名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:37:12 ID:1Q6MgdRO
「…っ…はぁ!!…ぐっ…」
亀頭だけを唇で挟み込み、そこより下は掌全体で扱かれる。下から上へ、尿道が圧迫され、痛みにも似た快楽が彼を襲う。
このまま続けられたらおかしくなってしまうのではないか。意識が淫欲に流されそうになる中、神宮寺は震える声で言葉を紡いだ。
「け…警察の人間が…くっ、こんな事をして、良いのか…?」
三好は手を止めぬまま、亀頭から唇を離した。伸ばされたままの舌からたらりと液が零れるさまに、心を奪われてしまいそうだった。
「んっ…大丈夫ですよ、非合法な薬じゃありませんから」
口内に残る唾液と混じった淫液を飲み込んで、三好は答えた。相変わらずその手は彼自身を快楽の虜にしようと上下に動いている。
「そ、そういう問題じゃなく…」
「あ、人払いもしてありますから御心配なく。でも声は漏れちゃいますから、大声上げないで下さいね」
それだけ言うと、彼女は再び肉棒に口をつけた。今度は喉の奥に押し込むようにペニス全体をその口に包み込んだ。同時に手を袋の方に伸ばし、ゆっくりと擦り始めた。
「…っ…ぐう…!!」
129名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:39:12 ID:1Q6MgdRO
再開された愛撫に意識を捕われ、神宮寺はソファーに爪を立てて呻いた。
咽せてしまいそうになる程奥まで受け入れては、ずるずると音を立てながら先端を外に出し、また飲み込む。
その度に男根に吸い付くように唾液を絡み付かせ、口内を犯させる。
舌と口内とで肉棒を扱きながら、袋を弄る手の動きも次第に激しくなっていった。摩るような優しいものから、五指で感触を味わうようにやわやわと揉みしだく淫靡な動きへ。
「…み、三好…これ以上は…っ、もう…」
神宮寺は僅かに残る理性を掻き集めて懇願した。限界まで膨張した彼自身を抑え込める程、盛られた薬の効果は甘いものではなかった。
三好は今まで見た事のない彼の心底弱り切った様子を見ると、上下に振っていた頭の動きを止め、ペニスを解放した。強制的な快感の波から漸く逃れ、神宮寺は思わず安堵した。だが―
「気持ち良くなってもらうって言ったでしょ?」
そう言うと、三好はまたペニスを口に含んだ。先程よりも勢いをつけて、より奥の方まで。
「…つっ…ぐ!!」
声もまともに上げられぬまま、神宮寺は彼女の口内で達した。押し殺した呻きと共に身体が一瞬硬直し、びくびくと震える。
130名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:40:31 ID:1Q6MgdRO
口腔で爆ぜた彼自身の先端から、まるで水鉄砲のような勢いでスペルマがぶち撒けられる。粘ついたそれは断続的に吹き出して三好の口内を汚していたが、暴れ回る肉棒が収まりきらず唇から抜け落ち、彼女の顔にまでかかった。
「んっ…けほっ、あは…凄い…」
眼鏡にかかり、視界を遮る精液を拭いながら三好は軽く笑った。口元から垂れている混合液を舌と指とで拭い取ると、まだ微かに震えている男根に顔を近付ける。
「…くっ…ああ…」
絶頂の余韻に浸っていた彼を、更なる快感が襲った。三好が少し萎えた男根に舌を伸ばしたのだ。
淫液に濡れた側面を拭き取るように舐め、ついばむように口付ける。更に鈴口を舌先で押し開き、尿道に残る精液を吸い出す。
達した快感もまだ止まぬというのに、彼自身は再び屹立した状態に戻されていた。三好はそれを見て満足気に笑うと、愛撫の手を止め、自身のブラウスに手をかけ始めた。
「凄い量…神宮寺さん、結構溜まってるんですね。薬の効力だけとは思えませんよ?」
「…はあっ…はぁ…」
からかうように声を掛けられたが、反論する余裕すらなかった。
ブラウスのボタンを一つ一つ外していく三好。その内側から飾り気のない肌着が垣間見える。
131名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:41:58 ID:1Q6MgdRO
「ま、まだするのか…?」
うんざりというように首を振る神宮寺。
「勿論。というか、最後までしないと収まらないでしょ?」
自身のズボンと下着を脱ぎ捨て、どこか妖艶さを感じさせる笑みを零し、三好はソファーに身を預けたままの神宮寺の下半身に下肢を乗せた。白く細い腿が彼の両膝の上で広がり、腰を挟み込むようにして膝立ちで固定される。
「………」
「どうしました?」
「…いや…」
神宮寺は何となく気恥ずかしくなって目の前にあるものから視線を外した。
座位の体勢になった彼の目線は、三好の胸の辺りに位置する。お陰で昂ぶる欲望は一向に鎮まる気配を見せない。
更に問題なのは彼女の格好である。下半分を覆うものは全て取り去っているが、上半身は白衣を纏ったままで、その下の衣服が肌蹴て中の柔肌が見え隠れするというスタイル。ある意味全裸よりも扇情的なものだった。
「たまにはこういう感じでするのも良いかなって…あ、全部脱いだ方が良いですか?」
見下ろすにようにして問う彼女の吐息が額にかかった。些細なきっかけで決壊しそうな理性の壁を支えるのに必死で、神宮寺は言葉を選ぶ暇さえ与えられない。
132名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:43:37 ID:1Q6MgdRO
「す、好きにしてくれ…」
「じゃあ挿れますね。このままの状態でいるの、結構キツいんで」
早く終わらせてしまいたいという思いから出た言葉を別の意味にとったのか、彼女は微笑みながらゆっくりと腰を落としていく。
重力に従ってずぶずぶと音を立てて肉杭を沈み込ませていく泥濘。
包まれるような締め付けられるような感覚に体を震わせながら、神宮寺は三好が自身を飲み込んでいく様子を見ていた。
「…んっ…」
三好の腰が完全に落とし込まれて互いの茂みが交わる程触れ合うと、またゆっくりと腰が持ち上げられ、彼女の体液に湿った肉棒が姿を現す。そして再びそれを柔らかな肉襞の中に閉じ込め、その感触を味わう。
「くっ…ううぅ…」
苦しげに呻く神宮寺を余所に、下降しては持ち上がる秘唇はいきり勃った男根を焦らすように緩やかに蠢いている。いっそ自分で腰を動かして奥まで貫いてしまいたいと思わせる程に。
本能に押し負けそうになっている彼の意識を見透かしたように、三好は腰を回転させるようにして膣壁をペニスに擦りつける。更に動きはそのままに、白衣の左右を外側に開いてブラの中の胸を開放し、彼の獣欲に火をつけようと試みた。
133名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:46:13 ID:1Q6MgdRO
「んっ、ふふっ…そろそろ、我慢出来なくなってきたんじゃ…ないですかぁ?」
「…ぐっ、ううっ…は…」
身体を動かす度に鼻の先で揺れる白い双丘、そして固まりかけた淫液に汚れたままの笑みに誘われ、彼は自身の中の箍が外れたのを感じた。
ソファーを掴んでいた両手で彼女の尻肉をがっしりと押さえ、下から勢いをつけて打ち込みを始める。
「あっ!?あっ、はぁっ、ああっ!」
噴き出した淫欲に任せて肉棒を突き込み続けていると、今まで辛抱していた事さえどうでも良くなり、ただ目の前の女を味わう事に夢中になってしまっていた。
「あっ、んんっ!ふ…ふふっ…」
漸く落ちた神宮寺を見て愉悦の笑みを浮かべながら、三好は舐めるように頬に口付け、彼の胸板に自身の硬くなりつつある乳頭を擦りつけた。
先程顔射してしまった汚液の張り付いた頬が触れるのも構わず、神宮寺は三好の口内を貪り、尻に添えていた手を離し、胸の感触を味わった。
「んっ…ぐっ、くうぅっ!!」
やがて昇り詰めた二度目の頂きで、神宮寺は膣内を灼くような射精を彼女に施した。つい先程達したばかりとは思えないような量の白濁液が、三好の秘孔を汚していく。
134名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:47:49 ID:1Q6MgdRO
「んぁ…はあっ、凄い…たくさん、出てる…」
白くフリーズした頭にぼんやりと三好の声が届く中、また自身が力を取り戻そうとしているのを感じていた…


「なかなか…楽しませてもらいましたよ、神宮寺さん」
行為の余韻も冷めた後、三好は実に満足そうに笑った。
あの後彼女上位である事は変わらずも、別の体位での行為に及び、神宮寺は何度も絶頂感を味わわされた。
薬の効果を試せた上に、彼女自身も充分官能を味わったようで、漸く解放してもらえる事となった。
「………」
実に嬉しそうな彼女とは裏腹に、神宮寺はげんなりとした顔でソファーに寝転んでいた。薬の効果は切れたようだが、まともに足腰が立つ状態ではなかった。
調査の事も何もかも忘れて休みたい。心底そう思ったのは、実に久々の事であった。
「何です?不満そうな顔して」
三好の方は殆ど疲れた様子でもなく、いつもの飄々とした顔で汚れた床やテーブルを拭いている。
行為の前に「ウチの人」がどうとか言っていたが、まさか自分の旦那ともこんな事をしているのだろうか。
135名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:50:08 ID:1Q6MgdRO
そう思うと、彼は会った事もない彼女の夫に対して同情の念を覚えた。
もっとも、行為に没頭していた自分がいたのも確かなので、罪悪感の方が先に立ってしまうのだが…

鬱々とした気分を紛らわせたくてジッポと煙草を取り出しかけた。
だがよく考えてみれば、今まで三好の前で煙草を吸って、苦言が一つも出なかった事があっただろうか。
先程とは別の意味で疲れるのは明らかと判断し、ポケットに煙草を戻そうとすると、その奥からきつい色みのライターが零れ落ちた。それを目にした三好の顔色が変わる。
「……!これ、ボクサツ君ライターじゃないですか!!」
「ん…?ボクサツ…?」
何とも物騒な名前のその犬は、毒々しいピンクのライターの表面で、両手にバットを持ち、可愛いのか何なのかよく分からない笑みを浮かべている。
調査中に立ち寄った店で何とは無しに購入した物だったのだが、使い道もなくてポケットに入れっぱなしになっていたのだった。
三好は目をキラキラと輝かせてこの珍妙なキャラクターを見つめている。
136名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 01:51:38 ID:1Q6MgdRO
「気に入ったなら…」
その熱視線に押し負けて…という訳でもないが元々必要のない物だったので、ライターを持った手を彼女の前に差し出した。
「えっ!?うそ、良いんですか?」
などと言いつつ、引ったくるような勢いで受け取る三好。その目は「ボクサツ君」に釘付けだ。
「うわぁ、どうしよう、これは何かお返しでもしないと…」
呟きながら、ライターに頬ずりしている三好。

まあ、喜んでいるなら良いか…
神宮寺はそう思い、何となく安堵したような気分になっていた。が…
「あ、じゃあ神宮寺さん。今度は私が体で払うっていう事で…」
「……遠慮しておこう」

…彼女にはあまり貸し借りを作らない方が良さそうだ。
神宮寺はそんな事を思いながら、まだまともに動かぬ腰を摩るのだった。
137名無しさん@ピンキー:2007/02/28(水) 02:00:38 ID:1Q6MgdRO
終了です。
時間がかかった割に大した事ない出来ですが…しかも改行まともに出来てないしorz
三好さんのイメージ汚してしまってたら偉いすみませんです。
138名無しさん@ピンキー:2007/03/04(日) 18:42:54 ID:qRY8vQuG
>>137
乙。
少しワラタ
139名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 16:46:31 ID:T08FaRE0
もっと違うパターンというかシチュエーションで洋子と神宮寺!!
お願いします〜!
140名無しさん@ピンキー:2007/03/08(木) 23:27:07 ID:J8f8UiVv
三好と熊さん…とか?うわっ、グロい。
エバとあの婚約者のは読みたくないっていうの笑った。
やっぱり実はボボーンとナイスボディな洋子さんと神宮寺で。
141名無しさん@ピンキー:2007/03/09(金) 00:06:32 ID:YtfLYiTD
熊さん使ったらギャグにしかならん気がするw
何せ彼は「ふもっ」
142名無しさん@ピンキー:2007/03/09(金) 00:41:48 ID:kbmVAXD1
ふもっていうの何か可愛いよね〜。
熊さんってケンタッキーフライドチキンのカーネルサンダーさん
みたい!実際、熊さんは日々神宮寺と洋子って怪しいって思ってるん
だろうなぁ。
143名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 00:25:59 ID:ba5NT/FE
神宮寺ん所の風呂ってさ、事務所と繋がってるんだよね?
風呂上がりに洋子君とバッタリ‥‥とかあったりして。
144名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 01:50:13 ID:0TZAI91+
あるかもね〜!
ってか洋子も使ってるんじゃないの?ますます、あやしい!
145名無しさん@ピンキー:2007/03/11(日) 00:14:19 ID:bieCZknA
誰かおもしろいの投下して〜!
146名無しさん@ピンキー:2007/03/11(日) 02:37:56 ID:4M5m2OPq
面白いかどうかわかりませんが書いてみます。
お待ち下さい。
147名無しさん@ピンキー:2007/03/11(日) 03:05:57 ID:eKV8h9j2
お〜有難う!待ってま〜す!
148名無しさん@ピンキー:2007/03/12(月) 00:58:29 ID:VuytsVxs
146:
洋子と神宮寺ですよね?
149146:2007/03/12(月) 01:52:45 ID:mOEPD0hl
そうです。
でもちょっと暗い話になりそうですが…
150名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 08:23:51 ID:TdkayaiE
早く投下して下さいませ!ずっと待ってます。
151名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:05:22 ID:wiXT6MkN
遅筆でお待たせしてしまって誠にスマソです……

後半少し怖めで長いので、嫌な方はスルーでお願いします。
152名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:06:10 ID:wiXT6MkN

身体を重ねるようになったのは、いつからだったろうか

互いに想いを言葉に変えて告げた事は、まだない

だが唇を重ね、視線を繋ぎ、互いの欲望の丈を交わらせる事で、この距離のない場所に辿り着く事が出来た

……出来たと、思っている


だが、本当にそうだろうか
そう思っているのは自分だけなんじゃないのか

本当の……

本当の君は………


「………生……先生……」

「………?」
呼び掛けられて視線を上げた先には、戸惑ったように俺を見つめる彼女の顔。
「……先生。どうかなさいました?」
「……いや……」
無造作に投げ出したままの腕に少し重みをかけて起き上がろうとすると、彼女が痛そうに顔をしかめた。
思考の底から意識が引き出され、漸く自分がどんな状況にあるか思い出した。
「……すまん。重かったな」
そう言って、彼女の肢体から自身の体を引き剥がす。どうやら彼女に覆い被さったままの体勢で惚けてしまっていたらしい。
「……疲れてます?」
彼女はくすりと笑みを浮かべながら、細い腕を俺の肩に回した。柔らかい掌が硬く張った二の腕を優しく摩る。
「今日は、もう休まれたらどうですか?」
153名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:07:34 ID:wiXT6MkN
遠慮がちに提案する彼女の唇を口付けで軽く塞いでから、さらりとした黒髪を指で梳かす。
「まだ始めたばかりだろう」
言いながら再び体を落とし、首筋に頬を寄せた。
ほんのりと香る彼女の髪に顔を埋め、その柔らかいようなくすぐったいような感触を味わっていると、間近にあった彼女の横顔がそっとこちらに向けられる。お互いの顔を向き合わせて額を擦りつけると、温かい吐息を間近で感じ、身体が疼くのがわかった。
寝着のボタンを片手で外しながら、もう一方の手をその内の素肌に伸ばした。少しかさついた俺の指に滑る柔らかな温もり。掌に吸い付くようなその感触が、次第に俺の欲望を昂ぶらせていく。
だが意識をその流れに任せようとしたすんでの所で、彼女の手が俺の手首をそっと掴んだ。
「……でも、お疲れでしたらあまり無理なさらない方が……」
……確かに、その通りだとは思った。
今日漸く終わりを迎えた事件の調査は、正直一筋縄ではいかないものだった。疲れていないと言えば嘘になる。
だが……
「依頼が来たら、またお預けだろう?」
154名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:09:05 ID:wiXT6MkN
ここ数日、立て続けに受けた依頼のせいでこうして閨を共にする機会がロクに得られなかった。
依頼を受けている内は、こちらから誘っても、生真面目な彼女にはやんわりとかわされてしまうのだ。
仕事が多忙なのは実にありがたい事なのだが、こちらの意味では限界だった。
少し顔を赤らめながら、渋々といった様子で俺の腕を離す彼女。その手の力が抜けたのを見計らって、今度は俺が彼女の細い手首を掴み、華奢な体を組み敷いた。
上から見下ろす彼女の姿はどこか儚げで、少しでも乱暴にしたらた易く壊れてしまうような印象を醸し出している。
「あ……あまりじっと見ないで下さい……」
朱を帯びた顔を横に背けて彼女が言う。

──何度抱いてもそんな初々しい表情を見せるから、余計に困らせてやりたくなるのに。

そう心中で呟きながら、こちらを向いている頬をそっと舌でなぞる。そしてそのまま首筋へと舌を下ろし、暫くそのすべらかな感触を味わった。
同時に指で鎖骨の線を辿り、衣服の前が開けて無防備な胸の形を歪めない程度に優しく撫で回す。
「……ん……」
俺が動きやすいようにする為か、喉を反らせたままでじっと耐えている。
155名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:10:56 ID:wiXT6MkN
本当はくすぐったくて堪らないのだろう。舌と指を動かす度に喉元を震わせ、噛み締めた唇からは微かな声が漏れている。
触れるだけの手の動きを速め、親指の腹でまだ柔らかな胸の蕾を軽く押し潰す。
マシュマロのように真っ白く、柔らかい乳房。
早くむしゃぶりついてしまいたいと急かす内なる獣欲を鎮め、彼女の理性を削る事を優先して、焦れるような動きを重ねた。
「……っ……んん」
喉元を湿らせていた舌を再び上方に向け、今度は耳朶をちろりと舐めた。曲がりくねった縁の奥まで舌先で撫で上げ、唾液をねっとりと塗り付ける。水気を帯びて薄闇に光るさまがなんとも美しく、思わず耳朶に歯を立てた。
びくりと震え、ぎゅっと目を閉じ反応する姿がなんとも愛らしい。
「……嫌だったか?」
「い……いえ、そんな事は……」

声を震わせながらも、何をしても決して嫌とは言わない。彼女はいつもそうだ。もっともあまり乱暴にはしないように気を遣っているし、汚い事も強要していないからというのもあるんだろうが……。
156名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:13:06 ID:wiXT6MkN
しかし、拒まないとわかっていて彼女にわざわざ尋ねて言わせている俺は、少し意地が悪いのかもしれないな。
嫌じゃないと答えた後の彼女はいつも不満そうにそっぽを向いてしまう。わかっているくせに、とでも言いたげに。
それに気付かぬ振りをして耳にふっと熱い息を吹き掛けると、彼女は首筋をまた一つ震わせ、シーツを掴んで声を押し殺した。
胸の突起は指の愛撫だけで次第に硬くなりつつあった。俺は彼女の耳から舌を離し、胸の膨らみへと顔を近付けた。
白磁のような肌はほんのりと赤く染まり、さっきよりも温度が増しているようだ。拡げた掌で覆うようにして撫でていると、その火照りがよく伝わってくる。
薄桃色の乳頭に軽く口付けると、先端がぴくりと震えた。
最初は啄むように触れるだけのキスを落としていたが、すぐにそれだけでは物足りなくなって舌を突き出した。
舌先だけで転がすものから、平の部分で舐め回し、濡れた音を立てる淫らな動きへと徐々に形を変えていく。
「ぅん……っ、ああ……」
小さく喘ぐ彼女。もっとその声を聞きたくて、双丘の頂きに唇を押し当て、音を立てて吸い立てた。
157名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:15:08 ID:wiXT6MkN
ぴんと立った乳頭の感触に心を奪われ、何度も舌で転がしては、彼女の意識を快感で満たしてやろうと試みる。
そして空いている方の突起を摘んで優しく擦り、硬さを増していくさまとその感触を楽しんだ。
「んぅ……せっ、せん…せ……っ……」
彼女の声にだんだん甘い響きが混じっていくにつれて、俺の中の理性が溶け出していくようだった。
焦らして困らせてやろうという思惑とは裏腹に、蕾を弄っていた指の動きは激しさを増し、やがて乳房全体の形を歪めるように揉みしだいていく。
「んっ、はあっ……」
苦しそうでありながらも艶やかさが入り混じっている吐息。掌で膨らみを囲むようにして強く揉んでいると、より速さを増していく。
舌でなぞった部分に軽く歯を立てては、鬱血の痕を赤らんだ肌に幾つも残す。それを見ると心の奥底から独占欲のようなものが湧き出し、理性の決壊に拍車をかけた。

片手で胸を捏ね回しながら、もう一方の腕を彼女の腰に当てる。自身の体を脇にずらし、横から下腹部に舌を伸ばした。
胸より若干弾力のある平らな腹部に頬を寄せながら、空いた左手で脇腹を摩る。
その柔らかさと暖かさが疲労した体には心地良く、このまま眠ってしまいたいとさえ思う程だった。
158名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:17:22 ID:wiXT6MkN
だが昂ぶった本能を抑制するだけの効果はなく、俺は胸から手を離して彼女のズボンと下着を脱がしていく。
露わになっていく茂みが目に映ると、早くこの欲望の丈を注ぎ込んで、己自身で満たしきってしまいたくなった。
再び彼女の脚の間に体を割り込ませ、我を忘れそうになる所を堪えながら、目の前の筋に指でそっと触れた。

……もう濡れている。

なぞる指にぬるついた液が絡んだ。何気なく彼女の顔を見ると、やはり恥ずかしそうに俯いている。

暫くしていなかったから、感じやすくなっているのかもしれない。

そう思いつつ、割れ目の中に人差し指を挿し込んだ。外にまで滲んでいるだけあって秘孔内はぬるりとして温かく、中を侵さんとする指をきゅっと締め付ける。
軽く折り曲げてゆっくりと掻き混ぜ始めると、彼女は息を少し荒ぶらせた。
「くうっ……ふぁっ、あ……」
動かす度に指と割れ目の間から漏れ出す蜜。シーツに染み込ませてしまうのが勿体ないような気がして、舌を伸ばして受け止めた。
彼女自身から愛液を搾り出し嚥下する度に、淫欲が俺の脳を支配し、余計な思考を壊していくかのようだった。
159名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:19:18 ID:wiXT6MkN
もっと味わいたくて、舌で陰唇の縁を執拗に舐めて甘美な蜜の分泌を促す。
加えて抜き差しする指を二本に増やし、異なる動きで彼女を翻弄する。
更にもう一方の手の親指を陰核に添え、爪で軽く弾いた。
「あっ……!や、はぁ……んんんっ……!」
高まる嬌声に比例して淫液の量が増していく。腰の震えもだんだん痙攣じみたものになりつつある。そろそろ限界らしい。
指で膣壁を引っ掻き回すようにして蜜を掻き出し、零れ出したそれを唾液と混じり合わせて陰核に擦りつけた。
赤く腫れあがったそれを舌で転がし、薄皮を爪先で弄り回す。陰唇がひくひくと震え、秘肉が指をきつく締め上げた。
「あっ、ぃ……ひ……っ!!」
甲高い声を短く漏らし、震えていた全身が刹那硬直した。宙に伸ばされていた足先がぴんと張り詰め、やがてがくりとベッドに沈んだ。
達したのであろう彼女の秘唇からゆっくりと指を引き抜いた。少し位置をずらしただけでとろとろと漏れ出す蜜が劣情をそそる。
ぐったりしたままの彼女の様子を横目で窺いながら履いていた物を脱ぎ捨て、白い柔肌の上に今一度覆い被さると、それに気付いたのか彼女の唇が小さく動いた。
160名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:22:04 ID:wiXT6MkN
「……ん……せ、先生……」
呼び掛けるというよりも、無意識に呟いたような声。まだ恍惚としたままの潤んだ瞳。
それらがどうしようもなく愛らしく思えて、まだ空気を求めて喘いでいる唇を奪った。
もはや焦らす気などさらさらなく、欲するままに舌を押し込み、口腔を味わう。
彼女の口内を愛液に塗れた口で貪るという淫猥な行為が、猛った本能を更なる快感に酔わせていく。じわじわと己を押し流す悦に任せて、音を立てて温かい唾液を啜った。
「んっ……んふ…ぅ……んん……」
頂きに行き着いた快楽の余韻が残っているのか、彼女はまだぼんやりとした表情で口吻を受け止めている。
無防備な舌に自身のそれを絡ませ互いの体液を混ぜ合わせていると、息苦しさに耐えかねたのか、彼女は手を俺の頬に当ててそっと押し戻した。向き合った唇を、分かたれる事を惜しむかのように透明な糸が繋ぎ、やがて胸元に零れ落ちた。
少し俯いて呼吸を整えると、彼女は一つ息を吐き出して顔を持ち上げた。顎を伝う唾液を拭いもせずに俺だけを見つめている。その眼は先程までの行為の熱に浮かされたままだ。
161名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:23:58 ID:wiXT6MkN

──愛しい

自然と頭に浮かび上がった言葉が、心身を熱く痺れさせる。
濡れた瞳の妖しさに心を奪われ、促されるように陰茎を秘部に宛い、側面に愛液を擦りつける。
裏筋に塗り付けられる粘液は温かく、湿った音を立てて触れ合う部分は少なからず快感を与えてくる。
このまま続けているだけでも達するには充分だとさえ思えた。
「んっ……」
竿を秘所の入口で上下に動かしていると、敏感な箇所に当たるのか、彼女が微かに吐息を漏らした。
伏せられた睫に指でそっと触れると、困ったような、それでいて非難するような眼で訴えかけてきた。
「……どうした……?」
その先を促している事はわかっている。それでも彼女自身の口から聞きたくて、つい意地悪く問い掛けてしまった。
彼女は戸惑ったような顔をしたまま、じっと俺の目を見つめている。恐らく俺の意図に気付いているのだろう、唇が震え、次に吐き出すべき言葉を選んでいるようだ。

ややあって、彼女はおずおずと白い手で俺の頭を引き寄せ、軽く頬に唇で触れた。
あまり時間をかける事なく済んだ口付けは実にぎこちないものだったが、それが彼女の精一杯の答だったのだろう。これでは駄目か、と再び眼で問い掛けている。
162名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:26:27 ID:wiXT6MkN
これ以上焦らすのは忍びないし、自分も持ちそうにない。
陰唇に擦りつけて充分濡れた肉棒の先端を花弁の中心に押し当て……一気に貫いた。

「……ぁっ……は……!!」
一度の突きでペニスの半分程を沈めた。勢いをつけて狭い膣壁を抉って進入を果たしたが、動きを止めた途端に強い締め付けが自身を襲う。
久々に味わう圧迫感に、自然と体が震えた。
「あぁ……」
上擦る声と共に息を吐き出しながら、繋がった瞬間の痛みと悦びに、刹那我を忘れかけた。
その感覚を肉棒全体に広げたくて、腰を一度引き戻し、もう一度膣奥へと押し入った。今度はゆっくりと、味わい尽くすように。
抜き差しを繰り返す内に膣肉がだんだん自身に馴染んでいく。温かい愛液を擦り付けては摩擦の痛みを追いやり、互いの秘部が溶け合っているかのような錯覚さえ摩り込んでくる。
「ああっ……!は、んうっ……ひぁっ!!」
薄紅色の唇から零れる喘ぎが次第に甲高いものになっていき、耳に心地よく響いた。
更に彼女自身から漏れ出る何物にも勝る媚薬を肉杭に染み込まされ、律動の速さを自制出来なくなる。
163名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:29:01 ID:wiXT6MkN
突き込むペースを速めながら、揺れる乳房に両手を押し付け強く揉みしだいた。力任せに掴まれて形を変える膨らみの感触を掌に刻み込みながら、もはや抑える事もなく声を上げ続ける口を塞ぎ、舌をねじ込んだ。
「んふ、んぅっ!う……ふっ……!!んんー……」
まともに息が出来ずに苦しそうに呻く彼女。だがその眼に宿る熱と浮かんでいる涙は辛さからくるものとは異なるものであるとわかり、より深く腰を沈み込ませた。
唇を離すと熱い吐息が混ざり合う。シーツを掴んでいた細い手を振りほどき、自分の手ときつく重ね合わせると、虚ろだった視線が俺の顔にぴたりと焦点を合わせた。
「んっ…あぁ……」
満たされたように笑みを浮かべる彼女。指を自分からそっと絡め、もう一方の腕を俺の背に回してきた。
164名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:30:45 ID:wiXT6MkN

──愛しい

嘘のない想いが色濃く込み上げる。
なのに俺はまだどこかで躊躇っている。
一体何を?こんなにも傍にいるのに。
身体を繋ぎ合わせながら、意識の隅にこびりつく不安に問い掛けた。
一つ問いを投げ掛けるとそれが幾つも幾つも根を張り、彼女への想いさえ覆い隠していきそうな気がして、それを振り払うように突き込みに没頭した。

やがて訪れた限界。より強い締め付け。吐き出されていく欲望の塊……
射精後も暫く身体を絡め合っていたが、何故か思っていた程の感慨は得られなかった。
体はこんなにも満たされているのに。

全てを委ねてくれている彼女に後ろめたさを感じつつ何も言えぬまま、心身に纏わり付く疲労を自身への言い訳にして眠りに落ちていった。
165名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:32:19 ID:wiXT6MkN


仄暗い、闇の底。

気付くとそこに立ち尽くしていた。
周りを見回してみても、辺りは一帯の闇。光は、何処にもない──

その中で視界の隅に蠢く何かの気配を見つけ、手探りで近付いていった。
やがて俺が歩み寄ると同時に、気配を取り巻く闇が徐々に薄れ、ぼんやりとした光がそこに蹲っているものを僅かに照らした。

泣いている、女──

その場に座り込み、俯かせた顔を両手で覆い、声もなく泣いている。
ストレートボブの黒髪の隙間から時折覗く嘆きに歪んだ顔貌、そして何度も傍で見、体全体で味わった透けるような肌の色から、すぐに“彼女”なのだと気付いた。
俺が近付いている事に気付いていないのか、肩を震わせ、鳴咽を漏らしている。だがその声さえこの闇の中には響かない。
声を掛けようか迷ったが、自分のそれさえここでは届かないような気がして、ただじっとその場に佇んでいた。
166名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:34:13 ID:wiXT6MkN
よくよく彼女を見ていると、俯く顔のその傍に何かが横たわっているのがわかった。
抜け殻のような、人形のような、生気の感じられない歪な塊。
微動だにせず彼女の前にあり続けるそれを中心にして広がる小さな海。
その色は、この暗がりにも映える鮮血の赤。
顔は俯せていて見えないが、それがかつてこの手で壊した命の抜け殻である事が、何故か容易にわかった。
同時にここが時折眠りの狭間で訪れる世界の一つである事も察する。

俺は思わず溜め息をついた。
幾度となく見てきた夢。それでも心の奥底にしまい続けていた痛みを思い出させるには充分だった。形こそ違えど、戒める為に見せている事に変わりはないのだろうから。

後悔はしていない。そして、彼女の痛みと涙の重さから目を背けるつもりもない。
ただ……

もし彼女が、今でも俺を恨んでいるのだとしたら……
今でもあの男を想っていて、その上で俺に抱かれてくれているのだとしたら……

他ならぬ俺自身が彼女を苦しめているんじゃないのか……?
167名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:37:08 ID:wiXT6MkN
漸く俺の存在に気付いたのか、彼女の顔がつとこちらを見上げた。
あの時と同じように、怒りと悲しみに満ちた視線を外さぬまま、ゆっくりと立ち上がる。
音も無く、彼女がこちらへと歩を進め始めた。その瞳に昏い憎しみの色を湛えて。
だらりと垂れ下がった両腕がのろのろと持ち上がり、俺の方に伸ばされる。
時間の流れが狂ってしまったかのような遅々とした動き。再び薄暗くなっていく周囲。音一つ立たぬ闇の中、彼女だけが陽炎のように揺らめき、ゆっくりと歩み寄ってくる。
それはまるで、永遠のような時間だった。

そろそろと、真っ白い両手が近付いてくる。
俺の視界の中で、だんだん大きくなって──

覆うように、俺の首元へ。

締め上げるような形で掌が首に張り付き、押さえ込む力が少しづつ増していく。
瞳に篭った悲嘆と憎悪の念は、喉を圧迫する手の力に比例して色を増し、何よりも強い鎖となって俺の心身を居竦める。
168名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:40:37 ID:wiXT6MkN

音の無い暗闇──

だが彼女の唇が紡ぐ声無き言葉は、確かに俺の意識の内に届いた。

 ……人殺し

       ……人殺し……

幾つも幾つも、追い立てるように

  ……人殺し……人殺し……人殺し……

頭の中で反響しながら、呪阻のようにじわじわと俺の心身を覆い尽くす。

  ……人殺し……人殺し……人殺し……人殺し……人殺し……人殺し……人殺し……

再び深い闇に包まれた視界に映るのは、彼女の陰鬱な双眸。しかしそれさえも、だんだん薄らぐ意識と相まってぼんやりと霞む。

喉元に彼女の親指の腹が重く食い込む。息が詰まり、鼓動が速まる。
頭の中で誰かが叫ぶ。俺だったろうか。それとも彼女だったろうか。
169名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:42:36 ID:wiXT6MkN

遠のく意識。途切れぬ声。
叫びは騒音でしかなく、もはや何を訴えているのかさえわからない。

耳障りな音が全身を蝕んでいく。遠く、近く、先程までの静寂が嘘のように響き渡る。

途切れ途切れの思考の中に、彼女の絶望を映した眼が浮かび上がる。だがそれもすぐに立ち消え、喉を圧迫する痛みさえ他人事のようにしか思えなくなった。

体が浮き上がり、やがて落ちていく。
足元にぽっかりと開いた穴に吸い寄せられるように、全身が落とし込まれる。
騒音は頭蓋の内で膨れ上がり、その狂った音色を外にまで撒き散らさんとしているかのようだった。

音の波が脳髄を貫く。
その頭を食い破られるような感覚に全身が震え、遠のいた筈の意識を強く刺激され、思わず目を開くと──
170名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:45:46 ID:wiXT6MkN


薄暗い、闇。

見慣れた寝室の天井。
下ろされたブラインドの隙間から僅かに差し込むネオンの光。
そして、傍らで小さな寝息を立てている彼女──
漸く夢の中の戒めから解放されたのだと理解するのに、少し時間がかかった。
思わず大きく息を吐き出し、額に手を当てた。汗ばんでべたついた掌が、同じく汗でじっとりとした顔を覆う。夢の名残か体全体がだるく、汗を拭う腕にもあまり力が入らない。
本当に首を絞められていた訳でもないのにやたらと息苦しい。呼吸を整えようと試みるが、なかなかすぐには収まってくれそうになかった。
それでも乱れたままの意識を鎮めたいと思ったせいか、俺の手は無意識の内にサイドテーブルの上のマルボロのパッケージに伸ばされていた。
中から一本取り出し、ジッポを取ろうと再びテーブルに手を伸ばそうとしたその時だった。
171名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:47:26 ID:wiXT6MkN

「……先生……?」

耳元に囁かれた彼女の声に、刹那体が悪寒を覚えた。
恐る恐る顔を彼女の方に向けると、その美しい相貌が薄闇に紛れて青白く浮かび上がって見えた。
水底のように穏やかな瞳が、俺を捕らえて離さない。
窓の外から微かに聞こえる喧騒の音が、次第に遠ざかっていく。

──俺はまだ、夢を見ているのか……?

音を無くした暗闇の中で俺を見つめる彼女の姿だけが、まだ曖昧な視界の中に映りこむ。

そろそろと、真っ白い両手が近付いてくる。

──それとも、これが現実……?

その両手が、俺の視界の中でだんだん大きくなって──
172名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:49:16 ID:wiXT6MkN


包み込むように、俺の頬へ。

「…………」
「……大丈夫ですか……?」
言いながら、俺の頬をそっと撫でた。浮かんでいた汗が彼女の手を濡らす。
ぼやけていた神経が急に鮮明になり、遠のいていた音達が戻ってきた。
不安げに俺の顔を覗き込んでいる彼女。今、俺はどんな顔をしているのだろう。
「先生……」
「………あぁ……」
気遣うような呼び掛けに応えようと漏らした声は小さく、随分しゃがれていた。
言葉にすらなっていない声を聞くと、彼女は脱いであった寝着を纏ってベッドから降り、寝室を後にした。
重い上半身を持ち上げ、まだ冴えない意識の望むままにマルボロに火をつけ、紫煙をゆっくりと吸い込んで吐き出す。それが渇いた喉にはきつかったのか、少し咳き込んだ。

何度も見てきた、あの時の夢。
だがあんな情景を見るのは初めてだった。しかもよりによって、彼女をあんな風に夢想するとは……。彼女の言うように、余程疲れているのか。
それとも、心のどこかで彼女を信じきれていないのか……
夢の中の事とはいえ、苛立ちを覚えずにはいられなかった。
自己嫌悪を抱いたまま味わう煙草が旨く感じられる筈もなく、俺はまだ長い煙草の火を揉み消した。
173名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:51:28 ID:wiXT6MkN

ふと顔を上げると、心配そうに俺を見下ろす彼女の姿。その手にはハンドタオルと水の入ったコップを持っている。
コップを手渡されると、俺は中の水を一気に飲み干した。喉を通り抜けるひんやりとした感覚が、頭の内側に燻っていた熱と不快感を取り去っていく。
息をつく俺の額の汗を、彼女が湿ったタオルで丁寧に拭いている。程よく冷えたそれを当てられていると、鬱々とした意識が少しづつ晴れていくような気がした。
「……ありがとう」
「いえ……」
そう言って引き戻そうとした彼女の腕を掴んだ。あまり力を入れずに掴んだので簡単に解かれてしまうと思ったが、彼女は腕を持ち上げたまま、じっと俺を見つめている。
夢で見たそれとは違う、穏やかで吸い寄せられるような眼差し。
このまま飲み込まれてしまいたいとも、飲み込んでしまいたいとも思わせる瞳──

もう一方の手で肩を抱き寄せ、柔らかな唇を塞いだ。同時に彼女が少し不満げに眉を潜める。

……キスする時は煙草はやめろと前に言われていたな。
174名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 18:53:04 ID:wiXT6MkN
それでも彼女は引き離すでもなく、黙って為すがままになっていた。押し込んだ舌にも嫌がる事なく自身の舌を絡ませてくる。
やがて離れた唇から息が漏れ、俺の唇に吹きかかった。その生暖かさに惹かれ、着直された寝着の前を再び広げる。驚いた様子で彼女は俺を見上げた。
「あ、あの……またなさるんですか……?」
「……嫌か?」
「そうじゃないですけど、もう休んだ方が……」
いつものように俺を気遣う彼女。夢で見た時のような表情は少しも見られない……当然の事か。
だが……
「じゃあ……」
言いながら彼女をベッドに横たえ、自身もまたその横に沈み込む。
「………?」
問い掛けるような視線を向ける彼女を緩く抱いて、耳元に囁いた。
「このままで寝てくれないか?」
暫く固まっていた彼女だったが、やがて肩をすくめて頷いた。その顔には困ったような、呆れているような笑みが浮かんでいる。

受け入れてくれる彼女。きっとその笑みに偽りはないのだろう。


だが……

それでも俺は……



君がこの腕の中からいなくなる事に怯えている──
175名無しさん@ピンキー:2007/03/20(火) 19:01:31 ID:wiXT6MkN
終了です。
自分以外に書いて下さる人がいないのが悲スィ……誰か来ないかな、職人さん。


ちなみに自分、神さんは後先考えずに生中出しDQNな真似はしない人だと信じてるんで、自分の書く洋子さんはピル飲んでるって事でどうか一つヨロ(-人-)
176名無しさん@ピンキー:2007/03/22(木) 22:32:41 ID:A18Y+XwR
ありがとう〜!GJGJGJの嵐デス!お疲れ様〜!
177名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 18:34:31 ID:i7zDuA+k
洋子視点で書いてみようかな?どうですか?
178名無しさん@ピンキー:2007/03/26(月) 21:04:09 ID:Iv+2ZLKP
>>175
遅ればせながらGJ!!
今後もこのスレを生き長らえさせてくれ
個人的にはあのエロTPSの続きキボンなんだが・・・

>>177
是非!!ガンガレ
179名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 10:01:26 ID:mw72s6MU
じゃあ、洋子さんメインでちょっと頑張ってみますので、お待ちあれ。
180名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 11:10:11 ID:hsf0TA9k
>>179
おっ、職人さんですか!?
期待して待ってます。
181名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 12:08:25 ID:mw72s6MU
こんな感じでいいのかなぁ?ちょっと書き始めてみたけど自信なし。
誰か「OK!]って言って下さったら書き進めます。

もう春ね…
先生の事務所で働くようになってから何度めの春を迎えたかしら?
コーヒーを入れながら毎年呟くこの台詞。生暖かい春の空気をいっぱい
吸い込みながら私は先生の体の温もりを思い出していた。
「先生ったら昨晩も激しかったな」
自然に身体が火照ってくる。

182名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 12:57:55 ID:VRNV2BB2
三郎洋子神ありがとう。
全米が泣いた。
次の職人さんにwktk
183名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 17:23:20 ID:hsf0TA9k
>>181
激しかったですかサブ!!
ぜ、是非続きを〜!
184名無しさん@ピンキー:2007/03/27(火) 19:24:45 ID:mw72s6MU
洋子編のつづき〜
何だか知らないけど、最近の先生はとても寂しそう。ひとつになる度にふと
見上げたり、見下げたりする先生の切ない表情に私は快感と一緒に
心の奥がきゅうんと切なくなる。私が本当に先生を必要として、それから
必要とされたがってることを先生はまだ信じてくれていないのかもしれない。
それを伝えるのにこれからどれだけ時間がかかるのかは分からないけど、
私達恋人同士としては信じられない位に肌が合う。身体の体温まで同じ感じなの。
185名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 16:48:24 ID:0zARRM1O
>>184
自分のペースで気楽に書いてじゃんじゃか投下しておくんな
こっちも気長に待ってる
186名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 17:55:38 ID:siH8vmDb
了解〜!一気に投下出来なくてごめんなさい〜!
187名無しさん@ピンキー:2007/03/28(水) 19:47:25 ID:Mm7DDTuq
期待してます!
188名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 19:24:11 ID:Kw4MW7It
書類をまとめていたら、先生の渋い「おはよう」という声が響いて、返事をする前に私は
後ろから先生に抱きしめられていた。
「あっ、先生・・・」
私は朝からそれだけで充分感じてしまう。
優しく白いブラウスのボタンが外されていき、私達の唇は何度も重なる。
チュッチュッってキスの音が私の耳に響いて、私はどんどん興奮してくる。
「あ、あん。せんせ・・・」
189名無しさん@ピンキー:2007/03/31(土) 22:02:29 ID:Zer75dAe
>>188
完成してからまとめて投下した方が良いのでわ…?
余計なお世話かもしれませんが、読み手の人も読みやすいだろうと思われ

あとsageした方がよろしいかと…
190名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 04:30:53 ID:8zrzbWqf
過疎スレだしsageなくてもよくね?



と言いつつsageてみる
191名無しさん@ピンキー:2007/04/02(月) 12:20:38 ID:INYdcooq
過疎スレだからっていうのに何か賛成、文句つけたら、せっかくの職人さんが
嫌気がさして書かなくなっちゃいそう。
192名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:15:30 ID:5yfEUqfV
「俺は…俺に出来得る限り、スレのマターリとした雰囲気を大切にしたい。
願わくば、このスレの住人が消えぬ間に……」


上手い事言ってみたかったんだが…
…語呂合わんよ神宮寺君orz
193名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 10:23:36 ID:3RMpJgDg
洋子さんの話、読みたいよ〜!
194名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 16:47:34 ID:x9R05Zz0
>>184さんを待つ合間に152の洋子さん視点を書いてみようかと思ったり。
二、三週間かかるやもですがお待ち頂ければ幸いです。
195名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 19:14:16 ID:3RMpJgDg
是非書いて下さい!それにしても184さんはもう帰って来ないの〜?
まとめて投下しろって言われて嫌になったのかなぁ?気にせずに書いて〜!
196名無しさん@ピンキー:2007/04/05(木) 21:27:58 ID:EILa7x/n
>>194
楽しみにしてます!
197名無しさん@ピンキー:2007/04/06(金) 00:26:11 ID:BTyVddxg
>195
184の人はまとめて書いてから投下する為に頑張ってる所だと自分は信じてる。

いつでも待ってますよ職人さん。バッチコーーイщ(゚Д゚щ)
198名無しさん@ピンキー:2007/04/16(月) 20:07:32 ID:UzW6Oedf
スレの灯火が消えぬ間に保守
199名無しさん@ピンキー:2007/04/18(水) 17:42:26 ID:aQyACHSl
10日もカキコなかったんかい。

職人さんまだかな。
途中でもなんでもいいから投下してほしい……
200194:2007/04/22(日) 20:19:38 ID:LABKqwRV
洋子さん視点の話書けたので投下します。なんか甘々な感じな所ありますが……
201名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:21:06 ID:LABKqwRV

 いつしか辿り着いていた、距離のない関係


 手を伸ばせば、た易く触れられる私達の立ち位置


 私達は、こんなにも近くにいる

 こんなにも繋がり合っている


 でも、貴方の心はどこか遠くて──



 *  *  *  *  *



 心地よい重み。

 ベッドに横たわった私の体に、先生が覆い被さったまま動かない。
 どれ位ぶりの温もりだろう。最後に一緒に寝たのは遠いと思う程前の事ではない筈なのに、どこか懐かしささえ覚える。
 押し潰されてしまいそうな圧迫感にも何とも言えない安堵を覚えて、そっと腕を先生の背に回した。シャツ越しに男の人の引き締まった背中の感触が伝わってくる。
「……先生」
「…………」

 呼び掛けに応える声はない。私の胸の辺りに顔を埋めたまま、少しも動かない。
「………先生?」
「…………?」
 何度目かの呼び掛けに気怠げに顔を上げた先生。なんだか眠たそうな目で私を見上げている。
「……先生。どうかなさいました?」
「……いや……」
 言いながら、のっそりとした動作で起き上がろうとした。投げ出されていた腕に力が篭り、その下の私の肩の辺りに重みがかかる。
202名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:23:07 ID:LABKqwRV
 鈍い痛みに思わず顔をしかめた。
 先生は慌てて腕を退け、私の体から身を持ち上げた。
「……すまん。重かったな」
 呟くように謝るその声はぼそぼそとしていて、あまりはっきりしていない。

 ……ここの所、殆ど休みなく依頼が入っていたから、疲れているのかもしれない。

「……疲れてます?」
 先生の肩に腕を回しながら問い掛けた。逞しい二の腕に掌を這わせると、その温もりが布越しにも伝わる。
「今日は、もう休まれたらどうですか?」
 そう尋ねると不意に先生の顔が近付いてきて、彼の唇が私のそれに軽く触れた。同時に大きな手が私の頭をそっと撫で、髪の隙間に指を入り込ませてくる。
「まだ始めたばかりだろう」
 そう言いながら、横たわる私の隣に体を落とし、首筋に顔を埋めた。時折触れる頬の感触がくすぐったく、しかし気持ち良い。もう少しこのままこうしていて欲しいと思える。
 でも正直な所、あまり無理をされても困る。ただでさえ仕事が不規則なのに……

 もう一度制しようと顔を向き合わせると、彼が額を擦り合わせてきた。間近で見る先生の瞳。私の全てを見通して、捕らえようとするかのようなその視線に、言葉を失ってしまう。
203名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:25:27 ID:LABKqwRV

 その間にも、彼の動きは止まらない。
 寝着のボタンを外し、露わになった素肌に手が伸びる。硬くて大きな掌に胸元をまさぐられ、身体がだんだん熱くなっていくような気がした。
 少し汗ばんだ手が、そろそろと膨らみの方へと下ろされていく。熱くて、気持ち良い。
 そのままこの感触を全身に滲み込ませて欲しい……そんな願望が思考を妨げようと疼いている。
 ……このまま、飲まれてしまったら……

「…………?」
 ふと気付くと、手の動きが止まっている。戸惑って目を開くと、先生が怪訝そうに私を見ていた。私、というよりも、私の腕を……
「……あ……」
 どうやら気付かない内に彼の腕を掴んでしまっていたらしい。決して嫌だった訳ではないのだけれど……
 気を悪くしてはいないだろうかと不安になって、慌てて次の言葉を探した。
「……でも、お疲れでしたらあまり無理なさらない方が……」
 そう言うと、先生は少し考え込むような顔をした。別段不満げという訳ではなさそうな表情に内心安堵しつつ、内なる欲求のままに行為が進まなかった事に物足りなさを感じている自分がいる事に気付いた。
204名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:26:55 ID:LABKqwRV
 でも……そう。これで良い。
 だって、こういう事はいつでも出来るもの。
 それに"した"夜の次の日は、お互いに疲れ切ってしまっていて、仕事にならない日もたまにある。
 手加減、してくださらないんだもの……
 ……とにかく、疲れているのなら無理せず休んで頂きたい。助手なんだし、こういう所はしっかりしないと。
 そう自分に言い聞かせて、何とか心を鎮める事が出来たのだが……

「依頼が来たら、またお預けだろう?」
 そんな先生の言葉に、反論の声を失くしてしまった。

 ……確かに、立て続けに入った依頼に追われていて、もう何日も"して"いない。
 ……というか、誘われる事は何度かあったのだが、仕事に支障をきたしては困ると思ったので断っていたのだ。
 目の前の男性はじっと私を見つめたまま動かない。何を言っても譲らない時の先生の眼を、私はよく知っている。

「…………」
 掴んでいた腕を、渋々離した。
 こういう時に頑とした姿勢で拒否出来ない自分が情けなくも思えるけれど、この人にこんな風に迫られたら敵わない。
 制止を諦めた途端、その離された手で私の手首を掴み、再び先生は私の体の上に覆い被さった。
205名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:28:37 ID:LABKqwRV
 先程と同じくじっと見つめてくるその眼には、色濃い熱を帯びた欲求が宿っている。

 ……そんな目で見つめられると──

「あ……あまりじっと見ないで下さい……」

 ──駄目になってしまいそうになる。

 言いながら顔を背けると、からかうように頬を舌でなぞられた。厚くてざらついた舌の生暖かさに、身体がびくりと震える。
 そのねっとりした感触は首筋へと下ろされ、胸元に触れる指の動きと交わっていく。
「……ん……」
 くすぐったくて、体を捩じってしまいそうになる。喉元が震えているのが自分でもよくわかる。
 じっと耐えていると、肌に優しく触れていた指が胸の突起を弄り出した。強く押し潰すようなものではなく、やはり触れるような小さな愛撫。

 足りない、と私自身が訴えているのがわかった。
 時折先生は、こうして焦らすような動きをする事がある。私からの動きや言葉を引き出そうとするような愛撫ばかり重ねては、私の中の理性と欲求とをじわじわと揺るがせていく。
 狡い人だ、と思わなくもない。

「……っ……んん」
 喉元を唾液で湿らせていた舌の動きが、今度は耳元に移った。舌先を尖らせるようにして縁を何度も舐め上げては、熱い吐息を掛けてくる。
206名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:30:15 ID:LABKqwRV
 舌の動きが止まったと思ったら耳朶を甘噛みされて、思わずぎゅっと目を閉じてしまった。
 指の動きがぴたりと止まり、彼の唇が耳元から離れた。

「……嫌だったか?」
 問い掛ける声に頤を上げると、思ったよりすぐ側に先生の顔があった。
「い……いえ、そんな事は……」
 そう答えかけて、ふと気付いた。
 気遣うかのように見えるその眼には、少なからず好奇の色が混じって見える。まるで試すような視線。
 きっと先生は気付いているのだ。どんな事をされても、私が「嫌」という事はないのだと。わかっていて尚、私の答を聞きたがっている。私の口から"それ"を言わせようとする。

 本当に、狡い人──

 そう思ったら、すぐ目の前にある顔が愛しくも憎らしくも思えてきて、つい彼の顔から視線を逸らしてしまった。
「っ……!」
 再び耳に息を吹き掛けられ、高まってきていた神経が疼く。ぞくぞくするのに不快じゃない。声を上げそうになる所を、シーツを掴んでぐっと堪えた。

 触れるだけの胸への指の動きは、やがて硬くなってきていた突起を摘むような動きに変わっていた。更に耳朶から離れた唇がもう一方の頂きに触れ、小さな刺激をもたらす。
207名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:32:13 ID:LABKqwRV
 軽く啄むだけの優しいキスから、膨らみ全体に舌を擦り付け、湿った音を立てるような大胆な愛撫へ。
「ぅん……っ、ああ……」
 声が、抑えきれなくなる。
 一方は唇にくわえられて強く吸いたてられる。そしてもう一方は親指と人差し指に挟まれ、ぎゅっと押し潰されたり、優しく擦られたりしている。
 もう焦らす気はないのだろうか、それらの動きは次第に速さを増してきているような気がする。
 息が……つけなくなりそう……っ

「んぅ……せっ、せん…せ……っ……」
 止めて欲しいのか、せがんでいるのか、自分でもよくわからない。
 ただ触れる温もりが心地よくて、嬉しくて、言葉にならない想いが呼び掛けに変わる。
 胸の突起を弄っていた手が大きく拡がり、膨らみを捏ねるような動きを見せた。指が肌に食い込んでくる圧迫感が、ぼやけかけてた意識を鮮明にさせる。
「んっ、はあっ……」
 痛いけど……暖かい。包み込まれているみたいで、何だか安心する……
 舌で濡らされた方の膨らみには、口付けと甘噛みを施された赤い刻印が散らされ、上塗りされた唾液がほんの少し滲みた。
208名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:33:35 ID:LABKqwRV
 でも、その痛みさえ先生が私を求めてくれている証なのだと思ったら、どうしようもなく嬉しくなって、身体が反応してしまう。

 私の上に重くのしかかっていた温もりが離れたのに気付いて見下ろすと、先生は体を横にずらして、空いている方の手で私の下腹部を優しく撫で始めていた。
 頬を擦りつけ、舌先でちろちろと舐めては、彼が触れていた痕をつけてそこをくすぐる。
 胸を揉んでいた手が離れ、私の寝着のズボンに伸ばされた。下着も一緒に取り去られ、大事な箇所が露わになる。両足を広げさせられて"そこ"を覗き込まれると、身体全体がかぁっと熱くなった。
 足と足の間に大きな体が割り込んでくる。そして先生の指が"そこ"をそっと撫でた。ぬるっとして滑るような感触。もう外側まで濡れてきているみたい。
 それに気付いてか、彼が私を見上げてきた。何故か咎められているような気分になって、思わず目を逸らしてしまった。いやらしいと思われたりしてはいないだろうかと、不安になってしまう。
 しかしそんな私の気持ちを余所に、先生は特に気にした様子もなく私自身の中に指を一本差し込んだ。
209名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 20:36:00 ID:LABKqwRV
 さほど苦しくはないけれど、久しぶりに異物を受け入れた"そこ"は侵入物を確かめるかのようにきつく締め上げてしまう。
 太くてごつごつとした先生の指。
 折り曲げたり掻き回したりして、膣を拡げようと暴れ回っている。
「くうっ……ふぁっ、あ……」
 敏感になってきている部分を擦られ、自分のそれじゃないような高く掠れた声が出てくる。堪らなく恥ずかしくなって、抑えなきゃと思うのに、止まらない。
 指を出し入れされる度に、隙間からぬるついたものが零れ出てきて彼の手やシーツを濡らしていく。
 そこにいきなり舌を押し付けられて、入口の縁にまでその熱くぬめった感触を擦り付けられた。彼の唾液と私の中から漏れ出たものとが混ざり合ってはしたない音を出している。
 そうして出来た、いとも淫らな蜜を、彼が音を立てて啜っている。決して綺麗とは言えない、私の欲求の寄せ集めのようなそれを……

 恥ずかしくて、いやらしくて……拒んでしまいたいと理性が訴えている。

 それでも、私の身体はこんなに悦んでいる。
 貴方に求められて、貪られて、こんなに高められている──

「あっ……!や、はぁ……んんんっ……!」
210名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:09:45 ID:LABKqwRV
 中を拡げる指が二本に増え、"そこ"より少し上から、また別の快感が私の思考を麻痺させようと蠢いた。
 先生の親指が、一番感じやすい小さな突起を弄んでいる……
 痛みを覚える訳でもないのに、涙が浮かんでくる。
 痛くなる程掴んでいるシーツの感触も、汗と唾液に濡れた肌の、外気に触れてひんやりとした感覚も……何もかもが曖昧になって、ただ"そこ"を攻め続ける快感の波ばかりが、確かな形となって私を苛んでいく。

 駄目……駄目……駄目……駄目っ……!!

「────っ!」
 舌が突起を舐め回し、爪が何度か"それ"を引っ掻いた。
 目の前が真っ白になって、身体ががくがく震えた。
「あっ、ぃ……ひ……っ!!」
 私が小さく声を上げた。消え入りそうな嬌声。
 でももう、他人事のようにしか思えない。自分の声じゃないみたい……


 わからない もう何も──

 体が 浮き上がっているような感じ

 熱くて 苦しくて……


 でもとても 気持ち良い──
211名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:11:18 ID:LABKqwRV


 ぼんやりとした視界に、重たい影が覆い被さってきた。
 痺れるような快感と重なる確かな温もり。安心出来る、この感じ。

 知っている。この愛しささえ覚える重みが誰のものなのか、私は知っている──

「……ん……せ、先生……」
 まだうっすらと霞んだ意識のまま、言葉を紡いだ。
 不意に影が目の前に近付いてきて、私の唇を塞いだ。ぬめる舌が中に入り込んで、探るように這い回っている。呼吸の整わぬままに口内を貪られて、意識がまた遠のきそうになった。
「んっ……んふ…ぅ……んん……」
 まともに動かせない私の舌に、先生のそれが激しく絡みついてくる。溢れ出しそうになる唾液を啜っては掻き混ぜ、口腔に彼の唾液を送り込んできた。
 お互いの体液が私の口の中で混ざり合い、やがて体内へ流されていく。そのひどく淫らな感触に、まるで一つになった時のようだと錯覚さえした。

 もう少しこのままでいたかったけれど、さすがに息が苦しくなってきて、彼の頬をそっと押し離した。
 唇と唇を繋ぐ透明な糸が、吐息に揺れてぽつりと零れた。胸の辺りに落ちたそれはまだ生暖かったけど、呼吸を整えている内に冷たくなっていった。
212名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:13:03 ID:LABKqwRV
 落ち着いてきた所で顔を上げると、私の上に馬乗りになったままの先生と目が合った。
 口付ける前に脱いだのだろうか、既に衣服を着ておらず、頑強そうな身体がまだ少しぼやけた目に留まる。
 私を見下ろす眼には、相変わらず情欲を孕んだ熱が宿っている。
 より強く、濃く、溺れてしまいそうな程に深い視線。そこで漸く、恍惚に浸るにはまだ早い事に気付いた。

 ……ああ、そうだった。

 まだ終わっていない。
 お互いに満たされるのは、これからだった。

 でも、今でさえこんなに乱れてしまっているのに、貴方自身を受け止めてしまったら、どうなってしまうのだろう──

 ……どれだけの悦びを得る事が出来るのだろう。

 期待に戦慄く身体が、自分のものではないかのようだった。

 淫らな蜜を零す"そこ"に熱く滾ったものを押し当てられ、朦朧としていた意識が引き戻された。

 どれ位ぶりかの快楽を、今やっと味わう事が出来る。
 抑えつける理性も、自分を戒める羞恥心も、今はいらない。
 どうか貫いて欲しい。貴方を、そして私を満たす為に。
213名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:14:47 ID:LABKqwRV

 ……ところが、先生は自身を"そこ"の外側に押し付けて上下に擦り付けるばかりで、なかなか挿れてくれない。
 溢れた液が彼自身の裏側に塗り付けられて、恥ずかしい音を立てている。
「んっ……」
 突起と入口を擦っては、先程同様の小さな快感を与えてくる。

 でも、これじゃ足りない……どうして"して"下さらないの?

 目で問い掛けると、先生はやっと口を開いてくれた。意地悪そうな笑みを浮かべて。

「……どうした……?」
 ただ一言だけ、聞いてきた。その言葉の響きに、彼の行為の意味を見出す事が出来た。

 ……焦らしているんだ。こんな、今更になって。
 求める言葉を私に言わせたくて、欲しがる私を知っていながら、こんな風に困らせている。


 言ってしまいたい

 貴方が欲しいと

 でも……


 でも私、まだ………


「…………」
 私は両手で彼の顔を引き寄せ、頬に口付けた。短い、触れるだけのキス。やがて顔を離すと、縋るような想いで先生を見つめた。

 ……言えなかった。

 願望よりも羞恥が先に立ってしまった。
 いつだって私は、自分を解放する事が出来ない。必ずどこかで欲求をせき止めてしまう。
214名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:16:46 ID:LABKqwRV
 こんな事だから、いつもこうやって焦らされてしまうのかもしれない。

 望む通りに出来ない私を、先生は求めてくれるのだろうか。

 ……愛想をつかされたりはしないだろうか。


 やがて先生は、ふっと息をついて彼自身の先端を私の中心に宛った。しびれをきらしてしまったのだろうかと思ったけど、特に不服そうな顔はしていなかったので、少し安心した。
 挿入に備えてゆっくり息を吐き出そうとしたが、そんな間もない程唐突に、衝撃に見舞われた。
「……ぁっ……は……!!」
 いきなり私自身が大きく押し拡げられ、息が詰まった。先生自身が、勢いをつけて"そこ"を貫いたのだ。
 たった一突きで内側を抉られ、圧迫される私自身。彼のものをきつく締め上げては、その形を確かめようと蠢いている。
「あぁ……」
 一つ息を吐き出して、うっすらと目を細める先生。心地良さそうにしているその顔が堪らなく愛おしく思えて、心が体ごと震えるような想いだった。
 入ってきた時とは打って変わって、随分ゆっくりとした動きで彼自身が引き抜かれる。そして再び中に潜り込んでくる動作もまた、遅々としたものだった。
215名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:18:30 ID:LABKqwRV
 まるで繋がる感触をよく味わおうとしているかのよう。
 痛みにも近い摩擦感は、次第にお互いを絡め合う事で、ゆるゆるとその形を変えていく。
 開かれる苦痛も温もりに失せて、今まで身体を重ねる度に味わってきたあの感覚が、私の意識と思考を途切れさせていく……

「ああっ……!は、んうっ……ひぁっ!!」
 声を抑える事さえ忘れて、私は先生の欲求の塊をくわえ込んでいた。開いたままの口から、自分でも信じられない程甘い嬌声が零れている。
 律動に揺れていた体が押さえ付けられ、胸が彼の手に覆われる。力任せに掴まれ、揉みしだかれる事に痛みを感じるのに、私の身体は悦びに打ち震えていた。

 身体が……熱いっ……!

 これ以上されたら……本当に私、壊れちゃいそう──

「んんっ!!」
 声を上げ続けていた口に、先生の唇が重ねられた。
「んふ、んぅっ!う……ふっ……!!んんー……」
 呼吸を遮られ、顔が火照ってくる。奪い尽くすように口内を掻き回す舌の動きに、頭の中が真っ白になってくる……全部、蕩けてしまいそうになる……
216名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:20:29 ID:LABKqwRV

 離れた唇から行き場を得た吐息が零れ、お互いの顔に吹き掛かる。
 でもその感覚さえ曖昧で、意識が浮き上がったまま、戻ってこないでいるようだった。
 シーツを掴んだままの手を引き剥がされ、先生の手が重ねられた。太くて硬い指をきつく絡められて、今こうして繋がり合っている事に幸せを感じた。
「んっ…あぁ……」
 嬉しさに小さく声を漏らした。絡んだ指に少し力を込め、もう一方の腕を彼の背に回す。そうして改めて先生の眼を見つめると、熱に浮かされてぼんやりしていた意識が、急に落ち着きを取り戻し出した。


 欲に満ちた瞳の中に、僅かな影が落ちている。
 自身を圧迫する痛みや、苦痛に対するものとは違う。

 それはどこか、哀しみにも似た色を宿していて──

「……んん!ふぁっ、ああぁっ!!」
 貫く彼自身の動きが激しくなった。再び快感の波が私の思考をさらっていこうと大きさを増していく。
 熱に侵された眼が私を射抜いた。獲物を捕らえた動物のような、決して抗う事を許さない視線。
 抱かれる度に心を竦められてしまう、畏怖さえ覚える瞳……
217名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:22:02 ID:LABKqwRV

 なんて眼をしているんだろう

 私が貴方を拒む訳がないのに


 どうしてそんな、哀しい眼をしているの……?


「く……ぐっ、ううぅ……っ!!」
「はあっ……!あっ、あぁ……」
 呻くような声と共に、私の中で先生の溜め込んでいたものが弾けた。
 どろどろとした熱の塊が、中でじわじわ拡がっているのがわかる。粘性の強いそれは、彼自身が抜かれた後もなかなか零れ出さずに、奥の方にこびりついている。

 先生が、私を欲しがってくれていた証拠……

 悦びと疲労感に満ちて眠気に襲われる中、もう一度先生を見た。
 満ち足りないという訳ではないようだけれど、あの切なそうな眼はそのままだ。

「…………」
 何かを言おうとして口を開いたけど、言葉が出てこない。睡魔に意識が押し負けて、夢の中へと誘われていく。

 せめてあと少しだけでも、想いを言葉に出来たなら、貴方にそんな眼をさせなくて済んだだろうか。


 沈んでいく頭で、そんな事を想った。
218名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:28:42 ID:LABKqwRV
 *  *  *  *  *



 二人一緒に眠る夢を見た

 重なる体温が心地よくて 暖かくて 優しくて

 そっと見上げると 嬉しそうに笑う男の人


 ああ でも この人は


 ──先生じゃない


 ………『彼』だ


 好きだった人

 大切だった人

 支えたかった人 でも


 もう二度と 逢えない人


 『彼』は笑っている
 懐かしいその顔で……


 やっと 気付いた

 どうしてあの人に 想いを告げる事を躊躇うのか

 きっと恥ずかしさだけじゃなかった


 後ろめたかったんだ………『彼』に
219名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 21:30:07 ID:LABKqwRV

 どんなにあの人を想っても 『彼』への想いも消えなくて 比べる事なんて出来なくて


 ……選ぶ事なんて出来ない



 でも──

 あの人は私を必要としてくれている

 全て受け止めて それでも私を傍に置いていてくれる


 だから………


 「行かなくちゃ」

 そう呟いた

 『彼』が 戸惑ったように私を見ている
 そんな『彼』に一つ言葉を投げ掛けた

 「ありがとう」

 私を 愛してくれて


 ……でも 私はまだ 一緒に行けない


 許してなんて 言わないけれど

 それでも もう一言呟いた

 「ごめんなさい」


 目の前が ぼんやり霞んでいく


 意識も 遠くなってきて


 鮮明になった視界に映ったのは──
220名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 22:00:29 ID:LABKqwRV
 *  *  *  *  *



 薄暗い、闇。

 眠る前と変わらない、先生の寝室。

 夢から醒めたぼやけた眼で傍らを見ると、サイドテーブルに手を伸ばす先生がいた。少し荒い呼吸が部屋に響いている。起き上がるのも怠そうな様子の彼の肌は、やや汗ばんでいるように見える。
「……先生……?」
 小さく呼び掛けると、大きな背中がびくりと震えた。
 ぎこちなくこちらへと顔を向ける先生。そこに浮かぶ表情も、何だか強張っているみたい。

 何かに怯えるようなその眼が、彼のものとは思えない程哀しそうに見えて、それがとても辛くて、私は彼に手を伸ばしていた。


 貴方は、何を見ているの?

 何が貴方を、そんな風に苦しめているの?

 私は……


 私は本当に、貴方の傍にいますか……?


 両手で彼の頬にそっと触れた。熱く火照り、汗に湿った肌の感触が掌に伝わる。
「…………」
 心底驚いた様子で、私の顔を見つめる先生。その眼にはもう、さっきまでの怯えの色はない。
「……大丈夫ですか……?」
 私の問いに応える声はなく、ただじっと見つめる瞳がそこにある。
221名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 22:01:51 ID:LABKqwRV
「先生……」
「………あぁ……」
 もう一度呼び掛けると、漸く先生は口を開いた。けれどそこから零れた声は、小さく涸れたようなものだった。
 ……水を持って来よう。
 そう思って寝着を纏い、私は寝室を離れた。


 *  *  *  *  *


 『彼』の夢を見たのは、どれ位ぶりだっただろうか。
 もう随分見ていなかったのに。

 忘れた事などないけれど、いつの間にか、夢でも逢えなくなってから寂しいと思う事も少なくなっていた。
 先生といるようになってからだろうか……

 私はあの人に、こんなにも満たされている。

 それなら私も、あの人の心を満たせる存在でありたい……答は、それだけで充分だ。
 もう躊躇う事などない。想う気持ちに、嘘など何一つないから……
222名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 22:03:16 ID:LABKqwRV
  *  *  *  *  *


 冷えた水で満ちたコップと濡らしたタオルを手に、私は寝室に戻った。部屋には煙草の臭いが漂っている……さっきまで吸ってらしたのだろうか。
 コップを手渡すと、先生は中の水を一気に飲み干してしまった。余程喉が渇いていたらしい。もう一杯注いで来ようかと思いつつ、濡れタオルで汗を拭き取っていった。

「……ありがとう」
 そう言った彼の様子は既に落ち着いているようだった。 穏やかな横顔に、少なからず安堵を覚える。
「いえ……」
 幾らか温くなってきていたタオルを引き戻そうとした所で、腕を軽く掴まれた。欲求の熱は失せているものの、飲み込まれてしまいそうな程に深い色を湛えたその瞳に、一時心を奪われていた。
 乾いた唇が私の唇をそっと塞ぐ。煙草の臭いの混じった舌が入り込んできて、思わず眉をしかめてしまったが、あまり意識せずに自分の舌を絡めていた。
 唇が離れると、先生の手が寝着の襟に伸ばされた。ボタンを外そうとする動きに驚いて、遠慮がちに尋ねてみる。
「あ、あの……またなさるんですか……?」
「……嫌か?」
 答える声に、試すような響きはない。どうやら本気でもう一度"しよう"と思っているらしい。
223名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 22:11:17 ID:LABKqwRV
「そうじゃないですけど、もう休んだ方が……」
 疲れていらっしゃる上にあれだけ"した"のだもの。これ以上は絶対に駄目だ。
「じゃあ……」
 そう言って彼は私の体を横たえた。やはりまだ"する"気なのだろうと思い、身を起こそうとしたけど、横ざまに抱き締められてしまった。
「………?」
 顔を向かい合わせてみるが、その眼に行為の時のような熱は見られない。眼で問い掛けると、先生は私の耳元に唇を近付け囁いた。
「このままで寝てくれないか?」

 一瞬、何を言われたのか、よくわからなかった。
 今までそんな事を言われた事はなかったし、何より、そんな甘えるような事を言う人じゃないと思っていたから……

 でも……


「…………」
 彼の問い掛けに、小さく頷いて応えた。きっと私は笑みを抑えきれないでいるのだろう。先生は憮然として私の髪に顔を埋めてしまった。

 こういうのも 悪くない



 『彼』を想っていた気持ちに嘘はないのに、あの人を求める自分を、薄情だと思った事もあった


 でも失ってしまう事や、心を繋ぎ合えない事の方が、ずっと哀しい事だと知っているから──


 きっとこれからも 私はこの人の傍を離れる事はないだろう
224名無しさん@ピンキー:2007/04/22(日) 22:16:33 ID:LABKqwRV
終了です。

さるさん規制で投下に時間かかってしまいますた……
225名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 09:08:35 ID:VnD5Nqg+
ありがとうございました!
あまあまで よかったー
次も期待してます。
226名無しさん@ピンキー:2007/04/24(火) 18:40:53 ID:WQzHQ/4U
>>223
洋子さんの心情がたっぷり書かれているのでエッチの
興奮もグッと増しました。とても良かった!
また書いて欲しいです。
227名無しさん@ピンキー:2007/04/26(木) 17:22:38 ID:s2WihLQN
DSで新作出るらしいですな。
期待あげ
228名無しさん@ピンキー:2007/04/27(金) 22:29:35 ID:srXNd2AV
ここのSSどれも素晴らしいです。洋子さん好きとしては
嬉しい限り。ゲームの描写が少ないのでお宝です。
ところでIBで洋子さんが結婚について調べたことを言ったら
神宮寺が動揺していたのが印象に残りました。
それで、洋子さんと神宮寺がH→寝物語で神宮寺がそのこと
を聞く→洋子さんがその頃のことを回想(相手は高杉?)
洋子さんと結婚を考えた男とのH→また現在。
もちろん今好きなのは神宮寺。みたいに妄想。
できたらどなたかSSにして欲しいです。
229名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 09:33:37 ID:EsDWK/WW
あれって確かアメリカの結婚の手続きが〜って話ですよね?
多分米のヤク中の彼の方だと思いますが…

誰か書いてくれる人いないかな…
230名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 09:35:27 ID:EsDWK/WW
IDにwが多い…www
231名無しさん@ピンキー:2007/04/29(日) 00:25:25 ID:wive1jlH
>228
それ自分も読みたい。彼女の過去に嫉妬する神宮寺さんが見たいです
232名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 02:04:13 ID:aR4sITQ1
ヤキモチやくサブってどんなんだろう‥‥想像できんけどw
見てみたいな
233名無しさん@ピンキー:2007/05/01(火) 23:52:21 ID:EC3E1v04
>228
神宮寺以外の男と洋子さんの和姦か、見かけたことないので
ぜひ読んでみたい。誰か書いてください〜
234名無しさん@ピンキー:2007/05/02(水) 00:10:26 ID:DoQZnjM+
リクされてるのも見てみたいけど、184さんはもういないのだろうか
続きが気になってしかたないyo!
ウワァァァンヽ(`Д´)ノ
235名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:19:50 ID:i5rsDeD8
以前投下したアホっぽいネタの続き書けたので置いときます。
宜しければどぞ
236名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:20:44 ID:i5rsDeD8
「ふう……」


 熊さんのこっぴどい説教を受けて、俺は漸く事務所ビル内のエレベーター前まで戻ってきた。
 隣では洋子君がまだ俯いたまま、ロクに口も聞いてくれない。

 さっきはひどい目に遭った。
 いや、俺が悪いと言ってしまえばそれまでなのだが……

 ………ん?
「さっき」とは何の事を言っているのかって?
 今更それはないじゃないか……
 よし、これまでの事を思い返そうか?


・どうする?
 思い返す
→思い返さない

 …………

 そうだな。説明するのも面倒だ。詳しい事が知りたければ>>100-103を見て欲しい。そうすれば、今何故こんな気まずい状況になっているのか理解出来る筈だ。

 ……と、俺は誰に向かって言っているのだろうな。

 とりあえずそういう事があった訳だが、洋子君が上手くフォローしてくれたお陰で熊さんの厳重注意という処分で済んだと、そういう訳だ。
 しかし……


・どうする?
 見る→洋子

「…………」
 黙ったままの彼女。相変わらずこちらを見ようともしない。
237名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:22:19 ID:i5rsDeD8


・どうする?
 考える

 ……やはり脅したのがまずかったのだろうか。
 だが「脅す」コマンドは昔散々やっていた事だから、特に気に障ったりする事もないと思っていたんだがな……
 四作目の頃には「いい加減飽きません?」と一蹴されてしまった訳だしな。

 ……何?言っている事かよくわからないだと?
 まいったな……そんな君には、PSソフト「探偵 神宮寺三郎 Early Collection」の購入をお勧めしよう。
 一作目から四作目までの俺が携わった事件の全容がわかるのは勿論、イラストギャラリーやトピックス、ミニゲーム等、様々な形で楽しめる一本──

 ……と、俺は誰に向かって言ってい(ry

 ………いかん。最近独り言が多くなってきたようだ。歳をとった証拠かな……

「……先生?」

「……ん……?」
 だんまりを決め込んでいた筈の洋子君の声に、はっと我にかえった。


・どうする?
 見る→洋子

 つと視線を持ち上げると、どうやら既にエレベーターが来ていたらしく、中で洋子君が怪訝そうに俺を待っていた。
238名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:23:53 ID:i5rsDeD8


・どうする?
 移動する→エレベーター内

「ああ、すまない……行こうか」
「……はい……」
 一言詫びて中に歩を進めると、洋子君は小さく頷いたが、またすぐに俯いてしまった。
 ……さすがにまだまともに相手はしてくれないか。


・どうする?
 考える

 脈が全くない訳ではないと思うんだがな……さっき熊さんに捕まった時も上手く取り計らってくれたし。
 まあとりあえず、洋子君の機嫌の事は時の過ぎゆくままに任せるとして、今後この失敗をどう活かすかを検討した方が良いだろう。
 熊さんが来るまでは順調だったからな……書斎なり私室なりにあらかじめ場所を移しておくべきだったか……


「きゃっ!!」
「!?」

 再び思考しようとしていた俺の意識を、エレベーター独特の振動とは明らかに異なる揺れと、洋子君の小さな悲鳴が引き戻した。
 落ちるような衝撃と大きな音と共に、振動が収まった。
 顔を上げるとほぼ同時に、室内が漆黒の闇に包まれる。

「…………?」


・どうする?
  見る→周囲

 エレベーターは停止したまま、動く気配を見せない。
 辺りを見回そうにも、こう暗くてはどうしようもない。エレベーターの故障だろうか……
239名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:25:22 ID:i5rsDeD8


・どうする?
 話す→洋子

「洋子君?」
 停電してから全く動きを見せない彼女の様子が気になり、声を掛けてみた。 しかし……
「…………」

 ……反応がない。


・どうする?
 話す→洋子

「……洋子君?」
「……………」

 返事がない……ただのしかばねのようだ──

 違った。俺の中にいるもう一人の俺がおかしな事を考えている。


・どうする?
 話す→洋子

「洋子君、大丈夫か?」
「……あ、はい……すみません。私……」

洋子君はどこか怯えた様子で口をつぐんでしまった。

 ……そういえば、彼女は昔、止まってしまったエレベーターに閉じ込められて怖い思いをしたんだったな。

 ……何、知らないだと?
 そんな君にはPS2ソフト「探偵 神宮寺三郎 Innocent Black」の購入をお勧めし(ry

 ……話を戻そうか。


・どうする?
 話す→洋子

「とりあえず、緊急連絡用のボタンを押しておこうか……」
「あ、はい。そうですね……」

 そう言うと、洋子君はフロアを示すパネルの辺りを探り始めたらしく、ボタンを一つずつ押していく音が小さく響いた。
 その音がやがて止まり、彼女は戸惑いを帯びた声を上げた。
240名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:26:46 ID:i5rsDeD8

「通じません……」

 ……何と言うか……激しくデジャヴを覚えるのは気のせいではない筈だ。

「まあ、すぐに動くさ」
 かく言う俺もまた、以前口にした台詞で彼女を落ち着かせた。



 *  *  *  *  *



「……………」

 ………沈黙が痛い。

 もう五分近く経ったような気がするのだが、エレベーターは微動だにしない。明かりも点かない。
 その上気まずい状態はそのままなので、この狭い空間の中では余計に息苦しい。


・どうする?
 見る→周囲

 暗闇に目が慣れてきたおかげで、少しは中の様子がわかる。
 どうやら洋子君はフロアのパネルの側に体を寄せているようだ。言葉にこそ出さないが、やはり怯えたように両腕で体を抱き締めている。


・どうする?
 考える

 ……あまり良い状況とは言えないな。せめて話が出来れば気を紛らす事も出来るんだが。


・どうする?
 見る→周囲

 まだ直らないのだろうか……
241名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:28:27 ID:i5rsDeD8


・どうする?
 見る→洋子

 そわそわと辺りを見回している。


・どうする?
 考える

 このままでは埒があかないな……いつ動くかもわからない訳だし、まずはこの空気を何とかしようか。


・どうする?
 見る→洋子

 不安そうにしている洋子君……ここはどうしてやるべきだろう……


・どうする?
 脅す
 慌てる
→話し掛ける
 洋子君を殴る

 ………選択の余地がなかったように思えるのは気のせいだろうか。


・どうする?
  話す→洋子

「……大丈夫かい?」

「……はい……」

 一拍置いて聞こえてきた彼女の声は小さく、そして震えていた。


 ……何か話題を持ち出さないといけないんだろうが……どうしようか。

・どうする?
 他愛のない話をする
 怒る
 何か取る
 抱き締める

 ………さっきから何なんだこの訳のわからない選択肢は。
「何か取る」って……何をだ?しかも「抱き締める」なんて……そんな事をしている場合では………


「……………」


・どうする?
 見る→周囲

 エレベーターは全く動く気配を見せない……
242名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:29:46 ID:i5rsDeD8


・どうする?
 見る→洋子

 不安そうに俯いている……


・どうする?
 考える

 暗く狭い空間に二人きり……これは願ってもない機会──

 ……もとい、何を話すでもなくただこの暗がりで待ち続けるのは、彼女にとっては辛いものがあるだろう。それに話をするにしても、今のままでは逆に気が滅入るばかりだ。
 この際やれるだけの事はやっておくべきだろう。


・どうする?
  移動する→洋子の隣

「……っ……?」
 不意に近付いてきた気配に驚いたのか、洋子君はびくりと顔をこちらに向け、俺をじっと見つめている。


・どうする?
 他愛のない話をする
 怒る
 何か取る
→抱き締める

「あっ………」

 横ざまに肩を抱き寄せると、彼女は小さく声を上げて足を縺れさせた。宙に伸ばされた腕を引くと、細い体が俺の胸に飛び込んできた。


・どうする?
 追い込む

 肩を押さえたまま、洋子君を端の方へと追い込んだ。冷たい鉄の壁に背中を押し付けられ、戸惑いを隠せぬ様子で俺を見上げてきた。

「せっ、先生……!?」
243名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:31:38 ID:i5rsDeD8


・どうする?
 見る→洋子

 暗い室内ではあるが、彼女の瞳が少し光って見える……もしかして泣いているのか?


・どうする?
 話す→洋子

「……あまり大丈夫じゃあなさそうだな」
 そう言って、洋子君の目の辺りを指で拭った。案の定、親指が僅かに濡れていた。
「やっぱり……怖いか?」

「……すみません……」
 問い掛けると、彼女は申し訳なさそうに頭を垂れた。震える指が、俺のスーツの袖をそっと掴んだ。
「どうしても、慣れなくて……」


・どうする?
 考える

 本当に苦手なんだな……まあ、こういう所が一つ位あった方が可愛らしいと思うし、謝る事ではないんだが。
 それにこちら側としては、そうやってしおらしくしてくれていた方がありがたい。

「それじゃあ……」
「…………?」


・どうする?
 触る→胸

「──っ──!!」
 空いている手でふくよかな胸を軽く掴んでみた。
 急な事でびっくりしたのだろう、喉から漏れたような短くも甲高い声と共に、体を後ろに反らそうとした。しかし壁に阻まれて思うように動けないようだ。
244名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:33:07 ID:i5rsDeD8
「なっ、何するんですかっ!」


・どうする?
 吹き掛ける→耳

 胸をゆっくり撫で回しながら、耳に顔を近付けてふっと息を吹き掛けた。びくりと震え抗議の声が途切れる。
 そのまま舌で耳の縁をなぞり、耳朶を唇でくわえるようにして唾液を擦りつけると、袖を掴む彼女の手の力が増した。堪えるようにぎゅっと目を閉じるその顔が、何とも可愛らしい。


・どうする?
 話す→洋子

「気持ち良いか……?」
 膨らみを押し潰すように揉みほぐしながら問うと、涙混じりの眼がキッと俺を睨みつけた。
「こ……こんな所で、こんな事……」
「まだ動きそうもないからな……」
 言いながら服を捲くり上げ、肌着の中に手を突っ込む。吸い付くような手触りの肌を掌で味わいつつ、膨らみの頂きを指先で何度も擦ると、怒気を孕んだ瞳は先程とは違う意味で熱く潤んでいく。
「あっ……んん、先……生……」
 暗闇に響く彼女の呼吸音も、次第に甘く熱くなっていく。

 なかなか良い具合じゃないか……さぁ、次は何処を攻めていこうか。
245名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:34:48 ID:i5rsDeD8


・どうする?
→スカートの中
 このまま胸を攻める
 言葉責め
 手を引く

 手を引くなんてもってのほかだな、この機を逃す手はない。言葉責めは……また今度の機会にしておこうか。
 ずっとこうしていられる訳ではないし、いつ動き出すかわからんしな。ここは手早く進めるか。


・どうする?
 まさぐる→スカートの中

「あっ……や、ちょっ──先生っ!!」
 膝丈程の長さのスカートをたくし上げ、下着の中に手を入れた。幾らか汗ばんだ茂みの中心はまださほど濡れてはいないようだ……少しほぐしておこうか。


・どうする?
 指入れる→秘所

 手探りで花弁を掻き分け、柔らかな割れ目に指を二本差し込む。粘液を纏わり付かせるようにして指を動かしてみると、奥から温かい愛液が零れ出し、下着と内股を濡らしていった。
「あぁ、くうっ……んんん……」

 首を振って抵抗の意思を示しているようだが……身体は正直だな。 この調子なら最後までしても──


「「───!?」」

 突然、室内がガクンと大きく揺れた。 辺りがいきなり明るくなり、闇に慣れていた目には痛い程の光が入り込んでくる。
246名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:36:18 ID:i5rsDeD8

 動き出したのか……

 しばしの眠りから覚めた鉄箱は、何事もなかったかのようにのろのろと上昇を始めている。
 ついさっきまでこの腕の中で息を荒げていた彼女もまた、ぱっと身を離し、隅の方で真っ赤になって俯いている。

 俺は小さく溜め息をついた。安堵というよりも……正直落胆の方が濃い。

・どうする?
 話す→洋子

「……あー……」
 このままでは余計に溝が深まってしまう。しかし気の利いた言葉が出てこない。
 と、その時、彼女の方から口を開いてきた。

「こ……こういう事は………」

 次の一言に、少なからず驚きを覚えたのは言うまでもない。

「……夜になってからにして下さい……」



 どうやら、俺はまだ……


"ツキ"に見放されてはいなかったようだ……




 to be continued……
247名無しさん@ピンキー:2007/05/07(月) 21:40:50 ID:i5rsDeD8
終了です。

リク無視の投下すんませんです。
248名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 01:58:11 ID:YtcMwj8a
ちょww
なにちゃっかり宣伝してんだwwwww
GJでした
249名無しさん@ピンキー:2007/05/09(水) 08:26:28 ID:vqVRYKjz
GJ!!
250名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 17:40:25 ID:J+cuBD1u
神宮寺ってやっぱいいなぁ!
これから新作も出るし楽しみだ(・∀・)

小説&TPS作者さんGJですた!
またいいの浮かんだら書いて下さいww
251名無しさん@ピンキー:2007/05/15(火) 03:32:01 ID:L0MFp6Ax
書いてる人が神宮寺をやりこんでるというのがよくわかる素敵SSだ
思わずしまってあったアーリーコレクションを探してしまったぜ
252名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 20:21:42 ID:BSElNWtO
>>228さんのリクのを書いてみようかと思ったのですが、アメリカの元彼ってどんなキャラかわかりません(´・ω・`)
勝手に考えて書くとオリキャラっぽくて嫌だし……ちと困っとります。
253名無しさん@ピンキー:2007/05/20(日) 23:28:01 ID:fVhh7LWe
228です。おお!書いて下さるとは嬉しい限りです。感謝!
元彼は最後は薬物中毒になる以外はほとんどわからない
キャラなのでオリキャラっぽくなるのも仕方ないのでは。
濃厚な和姦で洋子さんをイカせて、神宮寺を嫉妬させて
欲しいですw
254252:2007/05/20(日) 23:47:54 ID:BSElNWtO
レスdです。
時間かかるので二、三週間程お待ち下さい。
255名無しさん@ピンキー:2007/05/21(月) 21:36:21 ID:Z+xZY7bc
>254
超楽しみだ。洋子さんに「イク」と言わせて欲しいw
256名無しさん@ピンキー:2007/05/22(火) 22:16:18 ID:mmK5BrCg
>>254
楽しみにしてます。
頑張って!
257名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 20:57:55 ID:HmRzyvMu
DSの新作も楽しみだがこちらのSSも楽しみ
258名無しさん@ピンキー:2007/06/02(土) 23:43:40 ID:xlIDSZui
圧縮が近いな‥‥‥
259名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 20:09:48 ID:uGFXfHVw
まだー?
260名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 14:52:47 ID:qtcVX/Ax
そろそろかな。楽しみ
261254:2007/06/10(日) 22:48:15 ID:rmY4adJR
お待たせしました。書けたので投下します。

・回想で視点変わります。ご了承下さい。

・オリ臭強いやもしれません。ご注意下さい。
262名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:49:10 ID:rmY4adJR
 ブラインドが下ろされ、暗く静まった部屋。
 小さく聞こえる彼女の呼吸と、この腕の中に息づく温もり。
 何度もこうして互いを交わらせてきた。幾度も想いを重ねてきた。

 それでも──

 彼女がかつて零したたった一つの言葉に、俺の心は今更のように揺らいでいる。


 ──『手続きしようとした事がありましたから』

 ……あの時洋子は、確かにそう言った。
 アメリカの結婚の手続きについて、幾らかの知識があるような口ぶりの彼女に、何気なく問い掛けた時の答がこれだった。だから何だと言われてしまえばそれまでなのだが。
 恐らく、俺はその相手の男を知っている。彼女と初めて出逢った場所で銃を突き付け、この手でその命を奪った。忘れる訳がない。
 だが、例えばその手続きが洋子自身のものだったとしても、それは彼女の事であって、俺が詮索するような事ではない。
 ……何より俺が口を出す事で、彼女を苦しめてしまうかもしれない。
 そう言い聞かせて、これまで追求する事は避けていた。
 だが……
263名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:50:34 ID:rmY4adJR

「ん……」
 俺の胸に寄せられていた顔が持ち上がり、細い指先がかさついた唇を辿った。抱き締めているだけで何もしないからだろうか、不思議そうに俺を見上げている。
 さらりとした糸のような髪に手を伸ばし、頭を軽く撫でると、切れ長の目が心地良さそうに細められた。俺の唇をなぞる指にもう一方の手で触れ、指を絡めてしっかりと繋ぐと、俺の掌に柔らかいそれがぴたりと重なる。
 首筋に顔を寄せると、洗いたての髪のほのかな香りと頬に触れる肌の感触とが、乱れかけた意識を安らがせてくれた。
「……あ……」
 白いうなじに口付け、軽く歯を立てて吸い付くと、洋子はぴくりと喉を震わせて声を漏らした。赤く痕のついた箇所を優しく舐めながら、細い髪に指を絡ませてゆっくりと梳くと、肩にかかる息が熱いものを含み出していく。
 繋いだ方の手を離すと、自身の体を持ち上げて彼女の上に覆い被さり、纏う物のない素肌へとその手を伸ばし、豊かな膨らみにそっと押し当てた。
 さらりとした肌の温もりは、優しく俺の掌を受け止めてくれる。いつ、どんな風に抱いても。

 ……あの男に対しても、そうだったのだろうか。
264名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:51:57 ID:rmY4adJR

 彼女は以前、どんな風に抱かれ、愛されていたのだろう。

 俺以外の誰かを、彼女はどんな風に受け入れていたのだろうか。

 気付くと、そんな事ばかり考えている。


 きっと彼女にとって、俺は選べる道の一つでしかないのだろう。
 彼女は何処にでも行ける。俺といたのでは手に入らないものを、ここ以外の何処かでなら見つけられるのかもしれない。

 ……俺と逢わなければ得られたかもしれないものに、今でも焦がれているのかもしれない。


 それがあの男だったとしたら……

 そう考えた時、何故か心に淀みが生じたような気がした。刺さるような、滲みるような痛みと共に。

 あの時の事は、本当にどうしようもなかった。撃たなければ、彼女の"今"は途絶えていた。きっと別の形の生きる未来さえも。奪った罪の意識はあっても、後悔はしていない。

 ……ならこの気持ちは何だ?今となっては過去でしかないあの男に対して抱く、この泥のような淀みは──



「……先生……?」
 呼ぶ声に気付いて見下ろすと、洋子が躊躇いがちにこちらの様子を窺っていた。
「…………」
「あの……」
 問い掛けを遮るように唇を奪った。
265名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:53:49 ID:rmY4adJR

 気付かれたくなかった。
 こんな卑屈な想いを抱いている自分を、少なくとも彼女には。

 髪に絡めた手で頭を支えながら、柔らかい唇を舌で湿らせ、押し開かせて中に割り込んだ。滑る歯列をなぞり、その奥の小さな舌と重ね合わせる。
 戸惑いながらも俺の首に腕を回し、舌を少しずつ動かし始める洋子。
 色を帯びはじめた眼と響く水音に意識が昂ぶり、胸を覆う手に力が篭った。更に、空気を求めて顔を逸らそうとする彼女を押さえ込み、噛み付くような口付けを施す。
「んっ……!んふっ……」
 繋いだ唇の隙間から呻くような声が零れ、回された腕がびくりと強張る。舌裏のぬめる感触を貪りながら五指を膨らみに食い込ませると、細腕は少しずつ背中から離れていった。
 やがて苦しげに顔を歪める彼女の掌が頬に当てられた。しかめられた表情とは裏腹な撫でるような手の動きに少し驚き、思わず唇を離す。
 顎を伝う唾液を拭いもせず、洋子は微かに笑みを浮かべた。
「平気、です……」
 息を整えながら、そう言った。
「……続けて下さい」

 その表情は、俺がよく知るものだった。愛おしむような優しさを秘めた瞳。
266名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:55:23 ID:rmY4adJR
 苛立ちや鬱々とした感情に任せて抱く度に、彼女はこんな風に笑ってみせた。何を聞くでもなく、ただ受け入れて抱きとめてくれる。

 あの男にも、そんな顔をしてみせたのか──

 口を突いて出そうになった言葉は、自分でも信じられない程悋気に満ちていた。
「…………」
 何を苛立っているのだろう……どうかしている。
 胸を掴んだままだった手で肩を寄せ、優しく笑う洋子を緩く抱いた。
 躊躇う事なくその白い腕で俺を受け入れる彼女の匂いと温もりに触れていると、頭の中だけで勝手に動揺していた自分が馬鹿らしく思えてくる。
 ──そんなに気になるのなら、彼女に直接聞けば良いじゃないか。
 落ち着いてみるとそんな考えに至る。
 辛い事を思い出させるかもしれないと思うと躊躇いもあるが、こんな不快な感覚のまま彼女と接するよりはずっと良い。

「……洋子は……」
 思い切って口に出してみた。心の内の淀みを悟られぬように、出来るだけ平静を装って。
「俺が"初めて"って訳じゃないんだよな……?」
267名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:56:44 ID:rmY4adJR

「え……」

 困惑した様子で俺を見つめる彼女。言葉が少なかったか、その意図がわからず戸惑っているようだ。
「………その──」
「あ………はい……えっと………そう、です」
 更に言葉を選ぼうとしていると、俺の問わんとする事に気付いたのだろう、少しばつが悪そうにしながら答えた。

 ……だろうな。
 それは初めて体を重ねた時から気付いていた事だった。何度も共に寝たにもかかわらず、今更こんな事を問う俺を、洋子は不思議に思っているに違いない。
「彼か……?あの、アメリカの……」
 解釈次第では詰問しているようになってしまいそうな気がして、そうと思われないように彼女の頬をそっと撫でた。触れている箇所が赤みを帯び、長い睫が僅かに伏せられる。
 開かれた唇は、紡ぐべき答を探しているかのように震えていた。言葉はないが、その表情が語っていた。俺の思っている通りだと。
「…………」
 意識の内の濁りが増していくのがわかる。気取られないように顔を黒髪に埋めて更に問い掛けた。
「……どうだった?その………どんな風に──」
「先生」
 言葉を遠慮がちに遮る呼び声は、どこか哀しげだった。
「もう………いいです」
 小さく呟くような声が耳に届く。
268名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 22:58:10 ID:rmY4adJR
 ………やはり言わなければよかっただろうか。

 身勝手な感情から口にした言葉に後悔を抱いた。
 いつまで時が経とうと、彼女にとってあの時の事は癒えぬ傷でしかない。それを他人が……ましてや俺がとやかく口出しして良い筈がない。
 そう思い、今言った事は忘れてくれと告げようとしたその時、彼女が再び口を開いた。

「もし先生が……今でもあの時の事を気に病んでいるのなら………」

「…………?」
 ……どういう意味だ?
 言っている事の意味が掴めず、思わず顔を上げ、その表情を窺った。
 俺を見つめる洋子の眼は、寂しそうでありながらも、慈しむような光を帯びている。
「だからそんな風に……彼との事を気にしてらっしゃるのなら……」
「………──」
 続く言葉が耳に染み入り、漸く彼女の思うところが見えてきた。

 彼女は気付いているのだ。今も尚、俺があの時の事を枷として抱えている事に。恐らく彼女は、それ故に俺があの男の事を問うているのだと、そう思っているのだろう。
 本当に、何でも見透かしてしまうんだな……確かに、そう思うところも少なからずある。だが………

「そうじゃない」
「え………?」
269名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:00:10 ID:rmY4adJR
 ──それだけじゃない。

 洋子の頬に顔を近付け、優しく唇を寄せた。柔らかな頬に口付けると、耳元に小さく息がかかった。
「……違うんだ。ただ少し……聞いてみたいと思っただけで」
 聞いたところで、この濁った感情を打ち消せるとは限らない。寧ろ増していくんじゃないかとさえ思う。
 ……それでも知っておきたい。俺の知らない彼女がいるのだとしたら、少しでも多く、深く。
「先生……」
 洋子の顔がこちらに向けられ、戸惑いがちな視線とぶつかった。
「知りたいんですか?その、彼と……"した"時の事……」
 言葉が途切れ、彼女の顔が耳まで赤く染まった。伏せがちなその目から気まずさが伺える。
「君さえ良ければ……な」
 まるで彼女を気遣っているかのような台詞が自然と滑り出た。我ながら、何とも白々しいものに思える。
「……………」
 覆い被さったままだった体を退かし、彼女の横に寝転んだ。
 切り出す言葉を探している為か、随分逡巡している様子の彼女。じっと見つめているのもどうかと思い、サイドテーブルの上のジッポとマルボロを手に取った。
 一本口にくわえ、火を点けようと指に軽く力を込めたところで、漸く彼女は口を開き、俺の知らぬ過去を語り始めた。
270名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:03:32 ID:rmY4adJR
  *  *  *  *  *



 『彼』に惹かれ出したのがいつ頃だったかなんて、よくわからない。
 いつの間にか一緒にいる事が多くなって、親しくなっていって、愛しいと思うようになっていた。
 その頃にも悪い噂がなかった訳ではないけれど、『彼』は私に優しくしてくれた……想い合えていた。
 だから、初めてあの人の所に泊まらせてもらったあの日、私はそれまでに感じた事のない幸せを『彼』に与えてもらった。



  *    *     *


「ごめんな、散らかってるけど……」
 部屋に入ると、『彼』はそう言いながら気まずそうに笑った。

 確かに『彼』の言うように、お世辞にも片付いているとは言い難い部屋だ。テーブルは薄汚れていて、その上には無造作に物が放り出されている。
 さっきちらっとキッチンを見たけれど、使ったまま洗っていない食器が幾つかあった。明日にでも、『彼』さえ良ければ片付けさせてもらった方が良いかもしれない。
271名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:05:47 ID:rmY4adJR
 そして今、私が腰を落ち着けているベッド。
 少し湿っぽいシーツに、薄い毛布。そこから伝わる、男の人の匂い……
 隣には同じように腰を据え、『彼』が私をじっと見つめている。明かりを落とした部屋に二人きり。話すような事も見つからず、ただお互いの呼吸の微かな音だけを聴いている。
 いつものように口付けを交わす時とはどこか違う、熱に満ちた視線がこちらに向けられている。どんな風に受け止めたら良いかわからなくて、私は俯いて自分の指先を見ていた。

 最初に手を繋いでくれたのは、『彼』の方から。キスをしてくれたのも、『彼』からだった。
 ……『彼』は待っているのだろうか。私からこの人を望むのを。
 "して"欲しくない訳じゃないけど、やっぱり自分から……っていうのは抵抗がある。それに何より……

 ───怖い

 初めてだし、どうしたら良いのかわからない。どんな風にしたら、『彼』を喜ばせてあげられるのだろう……

「洋子」
 急に呼ばれて慌てて顔を上げると、『彼』はまだ私を見つめ続けている。私の言葉を促すように。
272名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:08:41 ID:rmY4adJR

「あ……の……」
 自分の声が、随分小さく掠れて聞こえる。
「ごめんなさい……私、上手く出来ないかもしれないけど……その……」
 言葉を紡ぐにつれて、鼓動がなんだか激しくなってきてるような気がする。掠れる声を励ますように、『彼』を見つめ返した。
「よろしく……ね……?」
「…………」
 黙ったままの『彼』。さっきより表情が険しく見えるのは、気のせい?
 奇妙な沈黙に不安になり始めた頃、シーツの上に置かれていた『彼』の手が持ち上がり、私の肩を強く抱いた。
「……あんまりそういう顔すんなよ」
「えっ……?」
 不機嫌そうに呟く『彼』。
 ……どうしたんだろう。私、怒らせるような事を言ってしまったのだろうか。
 訳がわからず戸惑っていると、『彼』は私の肩の辺りに乗せるように顔を寄せ、ぼそりと言った。
「………抑えられなくなっちまうだろ」
「え?あっ……んん……」
 言っている事の意味を聞く暇もなかった。いきなり首元に口付けられ、そこにぬめった感触を擦り付けられてぞくりとする……もしかして、舐められてる?
273名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:12:22 ID:rmY4adJR
 『彼』の舌と思われるそれは首筋をゆっくりと這い回り、耳朶の側まで上ってきた。
 なぞられた部分がじっとりと湿ってひんやりする。
「柔らかいな……」
 『彼』は言いながら肩を離し、その手を私の胸元に伸ばした。
 衣服の外から膨らみに触れられ、やんわりと撫でられる。あまり力の篭らない掌の温もりが心地良い。
 頬が熱くなってくる。恥ずかしいのに嫌じゃない。もっと触って欲しいような気持ちになってきてる。
 ああ、でもこういう時は少しは嫌がったりした方が良いんじゃないだろうか。初めてで、しかもまだ始めたばかりなのにこんな気持ちになるなんて……いやらしいとか思われたりしないだろうか。
「あ……」
 私の思考を余所に、『彼』の手はブラウスのボタンを外しにかかった。
 舌で耳の縁を濡らしたり、唇で耳たぶを挟んだりしながら手探りでするすると外していってしまう『彼』。なんだか手慣れているような気がする……
「や、んん……」
 ブラウスが肌蹴て中の肌着がたくし上げられる。大きくてがさがさした『彼』の掌が、胸を包み込むように持ち上げ、捏ね回し始めた。形を確かめるように指を折り曲げながら、胸に手の温もりを刻み込んでくる。
274名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:14:25 ID:rmY4adJR
 耳朶は『彼』の唾液ですっかり湿りきっていて、そこに熱い息が当たる度に体が震える。
 普通なら不快なんじゃないかと思うような感覚なのに、なんでこんなに胸が高鳴るんだろう。
 ……どうして嬉しいなんて思うんだろう。
「あ……んふ……」
 吐息が耳元から離れ、『彼』の顔が真正面に動いた。片手で私の頬を押さえると、少しずつ間を詰め、唇を重ねてきた。
 今までは触れるだけのキスしかした事がなかった。なのに今、私の口の中に『彼』の舌が入り込んできている。ざらざらしてそれでいてぬめっているそれが、歯を舐め回し、頬裏に押し付けられ、私の舌に絡んでくる。
「ふっ……んんん……んぅ……」
 舌を捕らえられると息苦しさが増してきて、口内に唾液が溢れてきた。『彼』はそれを啜りながら私の様子をじっと見ている。
 胸に押し当てられていた指は膨らみの先端を弄り出していた。だんだん硬くなってきているそこが、親指と人差し指で摘まれて擦られる。力を込められると小さな刺激が小刻みに私を震えさせた。
「………ふ、あっ」
 唇を離され、『彼』の両手が私の体を軽く押した。簡単にベッドに沈み込んでしまう体は、本当に自分の体なのかと思う程に力が抜けきっていた。
275名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:16:09 ID:rmY4adJR
 解放された口を開かせて息をついていると、視界に見下ろす『彼』の姿が映った。
 『彼』は着ていたシャツを放ると、ずり下がっていた下着を再びたくし上げる。
 さっきとは打って変わって、その動作は荒々しい。
「あっ……!」
 露わになった胸を掴む掌は汗ばんでいて熱い。ぐにぐにと押し潰すように動く手に篭る力の大きさに、少し戸惑いを覚えている自分がいた。

 痛くて、苦しい。

 でもそれだけじゃなくて。『彼』の体温に直に触れている事への安心感や、包まれている事への嬉しさがある事も確かで。

 "抱き締められる"って、こういう事……なんだろうか。

「はぁ……や、ん……」
 ぬるついた感触が肌に落とされた。首や耳元に感じていたのと同じ……
 目を向けると、『彼』が胸に舌を這わせていた。ぺちゃぺちゃと、恥ずかしい音を立てながら。
 時折歯を立てては、そこに『彼』が触れた痕をつける。痛みを与えられつつも、まるで『彼』の所有物になったような気がして胸が高鳴る。
「……どうした?」
 不意に『彼』が顔を上げ、私を見てにっと笑った。
「感じてる?」
276名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:18:00 ID:rmY4adJR

 頬が、かっと熱くなった。

 鼓動を聞かれてしまっていたんだろう、この状態じゃ仕方ないけど……
「よ、よくわからない……」
 気恥ずかしくて、目を逸らした。すると『彼』はちょっと不服そうに口を尖らせた。
「そうか……」
 そう言うと、また膨らみに顔を落とした。なんだか意地悪そうな顔をしながら。そして──

「んんっ!」
 胸の先端に刺激が走った。
 指で擦られて硬くなった突起を舌先で突かれたらしい。更に上下の歯に挟まれ、何度も甘噛みされる。
 胸に顔を埋められ、『彼』の髪が肌に触れてくすぐったい。自分の体を音を立てて貪られて……喜んでいるなんて、私……なんてはしたないんだろう。
 先端を口に含まれ吸い立てられている内に、声を抑えきれなくなってくる。
「んっ……やっ、あぁ……ん……」
「随分可愛い声出すんだな」
 口を離して笑う『彼』。それでも胸を捏ね回す手の力は緩まない。まともな言葉を返そうにも、変な声ばかり出てくる。
 そんな私を見て、『彼』はますます笑みを深めた。ああ、見ないで欲しい。
 恥ずかしさに思わず両手で顔を隠そうとすると、すかさず『彼』がそれを遮る。
277名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:19:33 ID:rmY4adJR
「……っ………」
「隠すなよ、勿体ない」
 何が勿体ないのか、よくわからない。
 でも、『彼』は私の反応に気を良くしたらしく、笑みを絶やさぬまま、私のズボンを手際良く脱がせていく。
 ……さっきも思ったけど、やっぱりなんだか手慣れているような気がする。
「…………」
「……?どうかしたか」
 怪訝そうに見つめる『彼』。下着にかけた手が束の間止まった。
「………ううん、なんでもない」
「そうか」
 手が再び動き出し、ショーツを抜き取った。足を拡げさせられ、何一つ纏わぬそこを覗き込まれる。
「やだ……」
 その色濃い熱を帯びている視線に先程以上の羞恥を覚え、つい足を閉じようとしてしまう……もちろんそれが許される訳もなく、『彼』の腕によって更に大きく開かれてしまったのだけれど。
「ん……」
 茂みの内側、未だ閉じられたままの"そこ"に、太い指がそっと触れた。指先で筋を何度もなぞられ、そして周囲のやや膨らんだ箇所を撫でられ、くすぐったいような感触に声が漏れそうになる。
 けれど指が入口を開いて中に入り込んだその時、"そこ"から鋭い痛みが感じられた。
「いっ……!んっ……」
 それに気付いた『彼』は慌てて指を抜き出す。
278名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:21:01 ID:rmY4adJR
「っ……大丈夫か?」
「……え、ええ………続けて」

 先を促してはみたけれど……正直、怖い。指だけでもこれじゃ、最後までなんてしたらどうなるのだろう。
 『彼』は動きを止めたまま、心配そうに私を見ている。
「もしかして洋子……した事、ないのか……?」
「えっ……あ……」
 きっと責めている訳ではないのだろう。でも慣れてないなら、『彼』にとっては煩わしかったりするのかもしれない。そう思うと、少し申し訳ないような気持ちになった。
「………ごめんなさい」
「なんで謝るんだよ」
 言いながら『彼』は顔を"そこ"に近付けてきた。何をするのかと不安になりながらも、間近で見られているのが堪らなく恥ずかしく、真下にある頭を退けてしまいたいと思った。
 やがて『彼』の口が開いて、中から赤くぬめったものが出てきて──

「え……えっ、や、やだ……!何──」
「落ち着けよ。濡らさないと、痛くて挿れられないだろ」
 舌で"そこ"を湿らせ始めた事に驚き、思わず『彼』の頭を退けようと手を伸ばしたが、軽く払われてしまった。
 その間にも『彼』の舌は外側の筋を濡らし、ほぐしていく。口を大きく広げて茂みを包み込み、唾液を擦りつけては卑猥な水音を立てている。
279名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:22:29 ID:rmY4adJR
「んっ……や、やあぁ……!」
 知らず知らずの内に、拒絶の言葉が零れ出す。

 けど自分でも、何が嫌なのかわからない。こんなにも近くで隠すべき場所を見られている事か。あるいは"そこ"に口全体で触れられている事か。

 それとも、触れられる事で痺れるような心地よさを感じている、自分自身に対してか……

「だいぶ濡れたか……」
 そう言うと『彼』は再度筋を拡げ、指を押し込んだ。
「……くっ……」
 さっきよりは痛みは少ない。でもやっぱりまだ辛い。きっとこのまま指を動かされたりしたら、またあの苦痛に苛まれるのだろう。そう思うと先を続ける事に抵抗がない訳ではない。
 『彼』はそのまま指を動かそうか迷っているようだったが、ふと何かを思いついた時の顔をした。そう、それはまるで、悪戯を考えた子供みたいな──

「ひっ……」

 いきなり、周りを舐められている時以上の刺激が生じた。中に挿れたままの指のせいじゃない。割れ目の上の辺りからくる、異常とも言える快感。
「あっ……や、んうぅ!」
 その部分を、爪で擦られたり舌先で転がすように舐め回されたりしている間にも、秘部に指は入り込んでくる。
280名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:24:16 ID:rmY4adJR
 なのに何故だろう、先程のような痛みは殆どない。
 体の感覚自体がどうにかなってしまったかのように、痺れるような気持ち良さだけが秘所を占めている。
「痛くなくなったろ……?」
 弄る手を止めずに問い掛けてくる『彼』。その生暖かい吐息が濡れた箇所に当たって、ますます頭の中がおかしくなってしまいそうになる。
「う……ん。でも、なんか、ぁっ……変……!」
 言葉もまともに出せなくなる程、私の意識は『彼』の行為によって溶かされかけていた。
 既に中にある指は二本に増え、それぞれが別の方向に動いては奥の方まで拡げようとしている。
「ほら、中からお前のが出てきたみたいだぜ……わかるか?」
 口端から垂れる液を拭い取る事もせず、意地悪く笑って『彼』は私の顔を見つめた。熱を含んだ目付きで覗き込まれ、頭の中まで熱くなる。
 『彼』の言うように、内側は何度も掻き混ぜられたせいかじんわりと熱く、『彼』の唾液とは違うものによってぬるついていた。自分の淫らさを笑われているようで、凄く恥ずかしい。
「……そろそろ、いいよな?」
 急に真剣味を帯びた『彼』の声。少し驚いて見上げると、ズボンや下着を全て脱ぎ去った『彼』がいて──
281名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:26:01 ID:rmY4adJR
「あ………」
 慌てて目を逸らそうとしたけど、『彼』は私の両頬を押さえて離さない。
「………洋子」
 思いつめたような瞳で私を捕らえる『彼』。

 ……怖くない訳じゃない。

 けど──

「平気よ………して?」

 『彼』が私を望んでくれるのなら。
 あげられるものは、何だって差し出してしまいたい。本気でそう思った。
 やがて『彼』はやや緊張した面持ちで熱く滾ったものを宛った。
 けれど貫かれる直前、私は『彼』を止めずにはいられなかった。
「ん………どうした?やっぱり、怖いか?」
「そうじゃなくて……そのまま、するの……?」

 そう、私自身の入口に当てられたのは、紛れもなく『彼』自身。それも何一つ纏わぬままの。
 このままされたら、子供ができちゃう……
 なのに『彼』は気にした様子もなく、焦れったそうにしている……何を考えているんだろう。こんなに考えなしな人だっただろうか?
「ちゃ、ちゃんと避妊……してくれないと」
「いいだろ、別に」
 『彼』はそう言うと、急に囁くような声で言葉を投げ掛けてきた。

「もし、子供ができたりしたらさ……その時は………結婚しようぜ」
282名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:28:59 ID:rmY4adJR

「……え……」

 耳を、疑った。

 『彼』がそこまで考えてくれているなんて、思っていなかったから……嬉しかった。

「………っ!!ぃっ、んんん!」
 不意を突いて生じた、言葉にならない、苦痛。
 指で拡げられた場所の更に奥まで入ってくる『彼』自身。閉じた所を無理矢理こじ開けられ、堪え難い痛みに涙が零れた。
「い……痛むか?悪い、もう少し……っ」
「くっ……!ううぅ………」
 『彼』はすまなそうにしながら一度腰を戻し、しかしもう一度打ち付ける。裂けてしまいそうな程の痛みはなかなか治まらない。
 かなり奥まで押し込んだ後、何故か『彼』は動きを止めたままじっとそこに留まっていた。まるで何かを押さえ込もうとするかのように。
「…………?」
 問い掛けの意思を込めて見上げると、辛そうにしながらも『彼』は微笑んだ。
「きついな……やっぱ。喰われちまいそう……」
「あっ……ご、ごめんなさい。痛い?」
 『彼』も辛いんだ……やめておいた方が良かったんだろうか。
 そう思い体を離そうと腰の位置をずらし始めたのだが、

「今更抑えられるかよ」

 そう言ってまた腰を引き、ゆっくりと抜き差しを始めた。
283名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:31:16 ID:rmY4adJR
「んっ……く、ふっ……うぅん」
 『彼』が動く度に、私自身は元の形を取り戻そうと収縮を繰り返す。
 その為中にある『彼』の感触が、そしてその体温が、より強く刻み込まれる。

 熱くて、大きい。

 柔らかくも硬い、何とも不思議な感触のそれは、時折ぴくぴく震えては私の奥に小さな刺激をもたらす。痛みを覚える程大きくもない脈動が、とても愛おしく思えた。

 『彼』の一部が私の中に息づいている……

 『彼』が、私の中にいる──

「んっ、く……はっ……はぁっ……」
 中を滑る『彼』自身の動きから、だんだんぎこちなさがなくなっていく……先に濡らしておいてくれたからかもしれない。まだ苦しい事には変わりないけど、さっきのような鋭い痛みはもう殆どない。
 代わりに"そこ"にあるのは、圧迫される鈍痛と……ぼんやりとした、不思議な感じ。
 摩擦による痛みがあったのは最初の方だけで、今は……どうしたんだろう。何故かとても……気持ちいい。
 擦れた所からじんわりと痺れるような熱さが滲み出し、それが思考を霞ませていく……

「あぁっ……」
 『彼』の手が再び胸を覆い、強く捏ね出した。硬く張った先端を引っ張り上げ、さっきみたいに指で擦ってくる。
284名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:32:57 ID:rmY4adJR

「まだ、痛いか……?」
 息を荒げさせながら『彼』が問い掛けてきた。
 気を遣わせたくなくて大丈夫だと言おうとしたけど、感じた事のない感覚に頭の中がおかしくなっていて、ただ頷く事しか出来ない。
 それを見た『彼』の口元が上がったのが見えた気がした。一度腰が引かれ、圧迫感が和らぐ。でも次の瞬間……

「あぁっ!!」
 いきなり体全体が押され、さっきよりも奥に『彼』のものがはまり込んだ。『彼』の広い胸に私の胸が押し潰され、互いが繋がりあった箇所を更に拡げられ、息が詰まる。
「幾らか……くっ、慣れて……きたか……?」
 ただ抜き差しするだけでなく、掻き混ぜるようにして中にごりごりと擦りつけながら、耳元に『彼』が囁く。
「……もう駄目だと思ったら、ちゃんとイクって……っ、言えよ?」
 そう言いながら、『彼』は腰を大きく打ち付けてきた。繋がった場所の疼きがますます強くなっていく……
「んん……あっ、あっ、はあぁ……」
 『彼』の言う事の意味はよくわからなかったが、"もう駄目"な状態になりつつある事だけは、なんとなくわかった。
285名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:34:38 ID:rmY4adJR
 目に映る『彼』の姿もおぼろげで、意識を整える事さえままならない……今まで出した事のないような声をあげて、厚い胸にしがみつくので精一杯。

 私……どうしちゃったんだろう。

「ひっ……く……!」

 突き上げる動作が緩んだ直後、不意を突いて生じた小さくも鋭い痺れに体がしなった。
 指を挿れられていた時に弄られていた場所、繋がった所の上の突起を『彼』が摘み出したのだ。
 さっきより硬くなったそれを爪で擦られる度に、体ががくがくと揺れる。息が出来なくなる。気が狂いそうになる。そして──

「───っ〜〜!!」


 意識が、弾けた。

 感覚のなくなった体が、びくびくと震えているのがわかる。

 それでも、実感がない。自分の体であるのかさえ、わからない。

「ぐ……っ……あんまり、締め付けるなよ………洋子?」
「ぁっ……あぁっ………」
 『彼』がまた何か言っている。
 でも、応えるだけの思考さえ働かない。私が私じゃなくなったような……変な、感じ。
「……なぁ……もうイッちまったのか?」
 戸惑ったような声が、私の耳を素通りしていく。
286名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:36:10 ID:rmY4adJR
「………しょうがないな」
 笑いを含んだ声が届いたその後、中にはまったままの『彼』自身の先端が私自身の入口まで引き抜かれ、そしてまた……

「ひぁっ!!」

 中を掻き分け、一番奥まで突き込まれた。途端に朦朧としていた意識を引き戻される。
「ひんっ……やっ、あっ、あぁ……んん……!」
「勝手にっ……一人でイクなよ、なっ……」
 少し怒ったように『彼』が言う。その間にも腰の動きは止まらない。
「イク時は言えって……言ったろ?」
 胸を鷲掴みにして責める『彼』の声が、遠く近く響く。言葉を返そうにも、まともな声さえ殆ど出てこない。
「んっ……くうぅ、ん………あっ……!」
 再びさっきの場所に手が伸ばされ、指で擦られた。けれど今度はゆっくりと、探るような動き。おかげで呼吸も快感も全く鎮まってはくれない。
「や………ぁ……」

 ───怖い。

 "私"が飲み込まれて、いなくなってしまいそうで……怖い。
 でも、別の"私"が訴えている。飲まれてしまえば良いと。このまま悦楽の波に流されてしまいたいと。

 これまでに得た事のない感覚に全身が犯されて、意識がついていけていなかった。
287名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:37:45 ID:rmY4adJR

「ね……ねぇ……もっ……もう、無理……ぃ……」
 やっとの思いで紡いだ言葉。掠れて小さかったけど……ちゃんと聞いてくれていただろうか。
 おずおずと見上げると、『彼』は心底嬉しそうな、それでいてこの上なく意地悪そうな顔をした。

「言う事が違うだろ?」

 言うが早いか、指の力が強まった。突起を更に擦り上げられ、またあの刺激に体を痺れさせられてしまう。
「あっ!!やだ、やぁっ、イクっ!イクからっ……それ、もう……っ!」
 "イク"という事の意味をよくは知らなかったが、口にするには恥ずかしい言葉だという事は、なんとなくわかった。
 まるで脅されて言わされたようなものだ……なんて意地が悪いんだろう。それでも『彼』は満足そうに微笑んでいる。
「くっ……じゃあ………一緒にイこうぜ、洋子っ……!」
 言い終えるやいなや、『彼』の律動の勢いが増し、それによる刺激が奥の奥で湧き出してきた。深い所で『彼』自身が膨れ上がるのがわかる。
「ぐっ、くうっ!出すぞ、洋子……洋子っ……!!」
「あっ、ひぁんっ!やっ、駄目っ、駄目ぇっ……!!」
288名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:39:15 ID:rmY4adJR

 首を振って抗っている内に、それは訪れた。

 『彼』の先端から熱くて粘った液が勢いよく吹き出し、私の中を濡らしていく……

「あぁっ………」

 溢れてしまいそう。

 やがて『彼』自身がそこから引き抜かれ、『彼』が中にいたその名残りが僅かに零れた。けれどそれはまだ熱を失う事なく、私の中で拡がっている。

 ひとつになるって……こういう感じなんだ……

 そのまま出されてしまった事に対する不安はあるけれど、それよりも嬉しい気持ちの方が濃い。
 ……なんだか、想像していたのと全然違う。
 初めはとても痛くて気持ち良いなんて到底思えないって聞いていたのに。

 ぼんやりとした頭でそんな事を考えていると、『彼』の顔がすぐ傍まで近付き、何か話し掛けてきている事に気付いた。

 ……何を言っているのかまでは……わからない。全ての感覚が、あまりにもぼやけすぎていて。


 ただ、囁かれて耳朶に触れる吐息が心地よく、その声の響きを愛おしく思いながら、『彼』の腕に抱かれて眠りの淵に落ちていった。
289名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:41:04 ID:rmY4adJR
 *  *  *  *  *



「………………」

 洋子は語り終えると、小さく息をついた。そして、やはりまだ気まずそうな様子で俺を見つめている。
 言葉に詰まったり、ぼかしたりしながらも、彼女が語ったあの男との記憶の断片。そこには確実に、求め合うが故に宿る温もりがあった。
 顔を赤らめ、恥じらいながら過去を紡ぐ彼女の瞳に映っていたのは、寂しさや愛しさを含んだ光。そしてそれは他ならぬ『彼』に向けられたもの……
 自分の立場をわきまえているのなら、後ろめたさに心を沈めるばかりだったろう。

 だが……

「先生………?」

 洋子の背に腕を回し、やや強引に抱き寄せた。ふわりと香る髪に顔を寄せ、柔肌に掌を押し付ける。
 痛みに彼女が顔を歪めるのが見えたが、もうこれ以上この淀んだ熱を押し留める事は出来そうになかった。


 せめて今だけは、黙ってこの腕に抱かれていて欲しい。



 君の男として苛立ちを覚える俺を、どうか許して欲しい───
290名無しさん@ピンキー:2007/06/10(日) 23:43:17 ID:rmY4adJR
終了です。
色々はしょったせいで中途半端な感じになってしまいましたが。
291名無しさん@ピンキー:2007/06/11(月) 21:56:30 ID:Xo+XhqF+
>290
リクした者です。神宮寺の悶々としている様子、あまり躊躇せずに
話す洋子さんw、どこか変な昔の彼、どれも非常に良かったです。
エッチも昔にこんなことが、という感じで興奮。
嫉妬した神宮寺が洋子さんと激しくエッチというのも見たかった
ですがとにかく大満足です。書いてくれてありがとうございます。
292名無しさん@ピンキー:2007/06/12(火) 22:06:12 ID:Cw4QN0Na
GJ!
三郎さん可愛いw
293名無しさん@ピンキー:2007/06/15(金) 22:52:03 ID:8tO33gt4
>>290
心情がしっかり書かれていて読み応えがありました。
また書いて欲しい。今度は素直に神宮寺と洋子さんで。
294名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 10:22:15 ID:lpBK2Mpm
保守代わりに小ネタ




「先生、おはようございます」
神宮寺が書斎を出ると、洋子が柔らかく微笑んで迎えた。
「おはよう、洋子君。今日の依頼人は十時頃に来る約束だったな?」
「ええ。まだ少し時間がありますね」
「そうか……」
神宮寺は時計を一瞥してから一つ頷き、再び洋子に向き直った。
「では、始めようか」



「はぁ、あんっ!く……ふうぅ、んんっ!」
数分後、室内には肉のぶつかり合う音と洋子のよがり声が響いていた。
整理の行き届いた机に上半身を突っ伏して声を震わせる洋子。皴一つなかったスカートはたくし上げられ、白い尻臀が露わになっている。
その後ろから覆い被さり、細い腰をがっしりと押さえ込んで彼女の秘唇に自身の怒張したものを突き入れる神宮寺。その顔には快感に浸る男の表情が浮かんでいた。
「ぐっ……くうっ……中に出すぞ、洋子君……っ!!」
「やっ……あっ、ま、待って下さいっ……今なんか、玄関をノックする音が…聞こえた……んっ、ような……っ」
「あぁ……っ、そうだろう。ちょうど子宮口の辺りをノックしている所だからなっ……!」
「ち、違…ぁっ……先生っ、駄目ぇ……止めて下さ……いぃっ……んん!!」

 ガチャッ

「「あ」」
295名無しさん@ピンキー:2007/06/26(火) 22:15:09 ID:jd1n9VaK
>294
気まずくてイイw
296名無しさん@ピンキー:2007/06/30(土) 22:31:16 ID:yva+7MX6
ノックってそれwww
297名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 19:32:54 ID:VJp1F9fD
新参者だが神宮寺シリーズはがっつり全作プレイ済みだ。
洋子視点な神宮寺とのエッチを書いてもいいだろうか?
洋子に年齢が近い同性としては彼女の目線から神宮寺を見てみたいんだ。
…といってもエロ描写をガンガン入れるのは得意じゃないからたいしたものは書けないが。愛はたっぷり込めるつもりww
298名無しさん@ピンキー:2007/07/02(月) 22:39:41 ID:PysJjHu4
是非お願いします!
299名無しさん@ピンキー:2007/07/03(火) 21:05:58 ID:08pk9lfM
>>297
楽しみにしてます!
300名無しさん@ピンキー:2007/07/06(金) 18:08:54 ID:HSG6sAXl
>>297だが、様子見を兼ねて書いたとこまで投下しようと思ったらアクセス規制に遭っちまったんで携帯から書き込みしてる。
そんなわけで規制緩和するまで小説の投下は延期させてもらうよ。その間に完成させられればいいんだが。
301名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 20:52:30 ID:fA+RQvRK
>300
気長に待ってます!
302名無しさん@ピンキー:2007/07/11(水) 22:14:56 ID:1dffX0qA
>300
読みたいぞー
303名無しさん@ピンキー:2007/07/13(金) 18:27:57 ID:duFex4sB
300だが残念ながらまだ規制に遭ってるんで投下できねー。
ちなみに小説も完成してねーw
304名無しさん@ピンキー:2007/07/18(水) 22:05:02 ID:FKbleq/O
いよいよ明日発売か新作。




なのにCMの一つもないのは何故なんだぜ(つд`)
305290:2007/07/23(月) 21:56:07 ID:5vd8E+EY
>>289の続き書いてみました。
303さんの投下までの暇つぶしにでもどうぞ。
306名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 21:57:47 ID:5vd8E+EY
「先……生……?」
 戸惑った様子で、もう一度呼び掛ける洋子。
 そんな彼女を強く抱き、その束縛と力を緩める事のないこの腕。

 今ならまだ、間に合う。

 今一度この濁った感情を抑え込み、腕の力を緩めてしまえば、全ては俺の心中だけのざわめきで済む。内なる激情を彼女にぶつけるような、みっともない姿を晒さずに済む。
 わかっている。わかっているが……


 ──どうして止める事など出来ようか。


「んん……ふっ、ぅん……」
 押さえた背を離さぬまま、淡い色の唇を塞いだ。柔らかくも弾力のあるそれの隙間に舌をねじ込み、洋子の口内を掻き回す。
 上体を起こしつつ、横ざまに捕らえたままの細い体を自身の体の下に追いやり、覆い被さるようにして口付ける。合間に呼吸を整えようと試みる彼女の頭を手で押さえ、動けぬように固定した。
「んん……!んっ、ぐ……ふっ、んんぅっ」
 顔を朱に染め、眉間に皴を寄せる洋子。苦しげに訴えるその目に僅かに浮かぶ涙。嗜虐をそそる表情を間近で目に焼き付けながら、口腔に唾液を流し込んだ。
307名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:00:04 ID:5vd8E+EY

 重ねた口の隙間から収まりきらなかった唾液が溢れ、口端に生温くぬるりとした感触を纏わせる。

 僅かに隙間から零れる熱い息と、間近で嗅ぎ取る事の出来る彼女の匂いに意識が荒みを増し、まともな思考が押し流されてしまいそうだ。
 彼女の潤んだ瞳の焦点がぼやけてきた頃、顔を離し唇を解放した。
 漸くまともに空気を取り込めるようになり、彼女は胸を激しく上下させて呼吸している。
「あぁっ……はあっ、はあぁ………」
 口を半開きにしたまま、彼女は喘いでいる。口の周りに付いた唾液を拭う余裕もないらしい。
 愛らしくも美しい顔が涙と唾液に乱されるさまに、衝動は熱を増すばかりだ。もっと汚してやりたい、掻き乱してしまいたいとさえ思う。
 落ち着く暇を与えてやるつもりなどなかった。いくらか火照った肌に舌を這わせ、呼吸に合わせて大きく上下する胸を掴んだ。彼女の息が再び詰まり、堪えるような声が小さく漏れる。
 五指を動かす度に、掌からはみ出た乳房が形を歪める。圧迫によって白い柔肌にほのかに赤みがさしていくのが、指の隙間から見えた。
308名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:01:42 ID:5vd8E+EY
 片手で乳房を捏ね回しながら、もう一方の膨らみの先端を口全体で包んだ。
 硬くなり始めている突起を舌で何度も転がし、そこにぬめった感触を擦り付け、広げる。
「あ……やぁっ、せっ……せん……せ……」
 途切れ途切れの小さな呼び掛け。
 顔を上げると、洋子が熱っぽい目で俺を見下ろしている。
 行為への恥じらいと、快感に意識を侵される事への悦びと戸惑いに潤んだ瞳。これまで身体を重ねる毎に、俺の欲求を満たし続けてきた視線。

 ……だが、まだ足りない。

「ぃっ……!」
 乳首を強く噛み、肌に食い込ませた手に更に力を込めて膨らみを押し潰した。甘く蕩けるような声が一転し、鋭い痛みに耐える苦しげなものへと変わる。
 きっといつもなら、彼女が痛がった所で行為をやめていただろう。そもそもこんな乱暴な愛撫はしなかった筈だ。

 ──この胸も、温もりも、かつてはあの男の手の中にあった。

 そう思うだけで、自分でも信じ難い程の黒い熱に思考を乱される。今更蒸し返しても、詮なき事だというのに。

「あぁ……ん、や……ぁっ」
 ぴんと張り詰めた胸の頂きを唇で挟み、音を立てて吸うと、洋子はまた小さな甘ったるい声を上げ始めた。
309名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:03:33 ID:5vd8E+EY

 舌先で突起を転がし、つつき、更に胸全体を貪るように舐めしゃぶり、赤らんだ柔肌を唾液で汚していく。

 攻めの手を緩める事なく肢体を湿らせ、掌の感触を刻み込んでいると、耐えきれなくなったのか、彼女の手が俺の腕に触れ、そっと押し戻そうとした。
「……どうした。嫌になったか?」
 そう問いながらも、胸を弄る手は決して止めない。止めてやるつもりなどない。
 きっと彼女が嫌だと言っても、この手を離す事はなかっただろう。
 洋子は小さく首を振り、艶めいた唇を開かせた。
「あ……あの、先生……んっ、もしかして………その、怒って……ます?」
 遠慮がちな言葉が僅かに震えているのは、未だ途切れぬ愛撫の為か。
「なんだかいつもより………んっ……ぁっ、荒々しく……て……ぇっ!」
 また一つ、汗と唾液に塗れた肌に鬱血の痕を刻んだ。今度は顔を上方に持ち上げ、うなじや耳裏の辺りに幾つも。
「………怖いか?」
 彼女の問いには答えない。どうせ嘘を吐いても、見透かされてしまうから。
 それがわかっているからこそ、そんな彼女が愛しくて、憎らしい。大事に抱いてやりたいのに、虐めてやりたくもなる。
310名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:05:35 ID:5vd8E+EY

 洋子はまたゆるりと首を振り、腕を掴んでいた手をそっと離した。
「……大丈夫……です」

 ……また、そんな風に笑うのか。
 そうやって、俺を気遣うような事ばかり──

 いかなる時にも俺の気持ちを安らがせてくれた優しい笑み。今はそれさえもが、この歪んだ欲望を猛らせた。

 ──気遣い微笑む余裕さえなくなる位、彼女を貪ってやりたい──

 彼女の上から身を離し、閉じられていた細い足を大きく開かせる。
 既にいくらか濡れている秘裂。ゆっくり解きほぐしてやる為ではなく、引っ掻き回して蜜を搾りとる為に指を突っ込んだ。
「くぅ、んっ……あっ、や……あぁ!」
 苦しそうな、それでいて甘く悶えるような声を上げる彼女に構わず、二本の指で膣肉を拡げ、内部の淫液を外に掻き出した。
 白い濁りを含んだ蜜が、震える花弁を更に艶めかせ、そこに漂う女の匂いを濃厚なものにしていく。
 陰唇を覆うように口付け、溢れた愛液をずるずると啜ると、恥ずかしいのか、洋子がふるふると首を振るのが見えた。
「んうぅ……ふっ、ぅん……ん……く……」
 声を押し殺して快感に耐える彼女。俺の頭を除けようと触れる手を払い、もう遮る事が出来ぬよう陰核を軽く爪で引っ掻いた。
311名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:07:23 ID:5vd8E+EY

「ひぁんっ!!」

 裏返った悲鳴が小さく響き、酩酊するような心地よさをもって欲情した意識を満たそうとする。だが、それでもまだ──

「……足りないな……」

 この程度で淀みを孕んだ欲を晴らす事など、出来る筈がない。俺の事以外何も考えられなくなる位、彼女を狂わせてやりたい。
 指に粘つく愛液をねぶると、腿に手を添え広げさせ、滾る自身をいくらか扱き、陰唇に亀頭を宛った。震える肉の花弁に先端を浸し、やや強く押し入れる。
「んっ……くうっ………!」
 淫液に塗れたそこに自らの怒張を押し込むと、洋子の腰が震え、中がきゅっと締まるのがわかる。半ばまで挿れたところを圧迫され、一つ吐息が漏れた。
「あぁ……ん、先生………」
 噛み締めるような呼び掛け。繋がる温もりに嬉々とした瞳。
 ……可愛すぎて、眩暈がしそうだ。
 彼女に飲み込まれて我を忘れてしまいそうになるところを、腰を突き動かす事で堪えた。
 絡む媚肉を掻き分け、熱く溶けそうな胎内に己を通し、より奥へ届くようにと抜き差しを繰り返す。
 茂みの下で出入りを続ける自身は、彼女の蜜に包まれてぬらぬらと妖しく光っている。
312名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:09:38 ID:5vd8E+EY

 熱を帯びた粘液を纏った強張りを突き立てる度に、膣は吸い付くように棹に張り付く。
 そして幾度となく蕩けるような刺激を俺に与えてきた。

「やんっ!あぅっ……あっ、はぁっ……んんぅっ!」

 互いの陰毛が交ざる程深く打ち付け、肉杭が抜け落ちそうになる程に腰を引き、その動作を徐々に速めていけば、すぐ傍から上がる嬌声は更に甘さと大きさを増していく。

 縋るような呼び声も、重ね合う悦びに震える瞳も、今は俺に向けられている………そう、"今"は。
 きっとこれと同じものが、あの男に向けられていた時があった。もしかしたら、今以上に歓喜に満ちたものであったかもしれない。
 過去を過去として割り切れないでいる自分はどうしようもなく惨めで、滑稽なものにさえ思える。
 それでも……体を繋げる度に、思わずにはいられない。

 こんな風に乱れ、快楽に身を焦がす彼女を見る事が出来るのは、俺だけでなければならない。
 そんな彼女の欲求を満たしてやれるのも、俺だけでなければならない。

 ………俺だけであるようにしなければ。
313名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:11:23 ID:5vd8E+EY

「んく……あっ!はっ、あ、ああっ、あうっ!!」

 押し付ける腰に勢いをつけ、淫液が飛び散る程激しくペニスを打ち込んだ。
 喉をがくりと反らせ、泣いているような声を洋子が漏らす。
 勢いあまって太股に添えた手の力が増し、指が白磁のような肌に食い込み、小刻みに揺れる身体の温もりがより深く伝わってきた。
「ひっ、く……ぅ……あっ……ああぁっ……」
「っ……くっ………」

 手足を突っ張らせ、びくびくとわななく手折れそうな身体。ぎちぎちと俺を締め上げる胎内。
 思わず欲望の丈をぶちまけてしまいそうになり、ぐっと息を詰めた。
 堪えながら顔を上げると、未だ震えの止まらぬ彼女の眼は大きく開かれ、虚ろに宙に向けられている。
 同じく開かれたままの口からは消え入りそうな声が零れ、小さな舌が覗いている。恐らく昇り詰めてしまったのだろう。
 快感の頂きに意識を浮かばせて喘ぐ唇に、正気を失くして淫悦交じりに流される涙。
 思考を乱すものばかりを振り撒かれ、自身の猛りも解放してやりたいと思うが、まだ駄目だと抑制をかける。
 まだ鳴かせ足りない。もっと狂わせてやらなければ。
314名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:13:13 ID:5vd8E+EY

 膣圧が幾らか和らいだ頃、少し勢いをつけて怒張を抜き出した。
 名残惜し気に絡む肉の感触に愛しささえ覚えるが、まずは耐えて下半身を離す。
「……先生……?」
 絶頂の余韻に小さく震えながら、洋子は戸惑いがちに俺を見上げてきた。
 当然だろう。
 いつもなら互いに達し、自身の餓えが満たされきるまで、彼女の中から抜け出したりする事はないのだから。
 だが勿論、このまま終わらせてやるつもりなどない。脱力しきった体を俯せにし、引き摺るように彼女の足を広げさせる。
 そして腰を引き寄せ、やや愛液に濡れた弾力のある双丘を持ち上げた。
「あっ………」
 まだひくついている茂みに陰茎を宛うと、洋子は小さく声を上げた。そしてなんとか体勢を変えようともがき始める。
 後ろから挿れるとかなり奥まで攻められるのだが、どうやら彼女はこの体位が好きではないらしい。恥ずかしげに首を振り、やめてほしいと訴えてくる。
 しかし力の抜けきった体では抗える筈もない。前に押し出ようとする腰を強く押さえ、一思いの内に貫いた。
「あぅっ!!」
 達したばかりでくたりと弛緩していた体が、再び大きくはねた。溢れんばかりの愛液に満ちてとろとろの膣壁が纏わり付いてくる。
315名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:16:19 ID:5vd8E+EY

 きつく締め付けるだけでなく、快感を引き出す為に吸い付いてくる肉の感触に思考を乱されつつも、彼女の全てを味わいたくて後ろから腕を伸ばした。
 そうして律動に合わせて揺れる胸を、両手で強く、ゆっくりと揉み解す。

「あ……んっ、あぁっ!せ、せんせ……っ……ひぁ、いやぁ……っ!」

 必死で首を振り、この腕から逃れようとする彼女。
 だが上半身を前に突っ伏して息を詰まらせる洋子の声はやはり甘く響き、本気で嫌がっているようには思えない。
「嫌……か」
 耳元に吹き掛けるように、そっと囁く。
「本当に?」
 問い掛けた刹那、抜き差しに合わせて動いていた身体が、それとは別の意味で震えたのを、俺は見逃さなかった。
 速度をいくらか緩め、裏筋でざらつきが密集した箇所のみを何度も攻める。
 奥深くまで貫いた時よりも気怠げな声を出す彼女の頭を押さえ、顔をこちらに向けさせると、理性の光を失いかけ、陶然とした様子の目が視界に入った。
「ぃぁ……あぁっ……んっ、ふっ、うぅ……」
 こんな表情で告げられる"嫌"に真実など微塵も含まれていない事位、すぐにわかる。
316名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:18:26 ID:5vd8E+EY

「そんな顔をして……」

 口の端が自然と歪むのがわかる。きっと今の俺は、ひどく意地の悪い顔をしている違いない。

「全然説得力がないな」

 乳房を掴んでいた手を離し、両の手を腰に回した。余裕を滲ませる言葉を吐いてはみたが、もう、限界だ。

 一旦自身をぎりぎりまで引き抜き、内壁を削ぐように引っ掻き回す。
 他の場所を愛してやるだけの猶予もないが、今はどうでもいい。
 解放を主張する熱の塊を奥の奥まで注ぎ込み、この女を俺で満たし尽くせれば、それでいい。
「──ひっ!?……ぅく、あく、ぁっ、あうっ、ああぁんっ!」
 速まる抽迭に根を上げ、言葉として意味を成さぬ声ばかりを吐き散らかす洋子。そこにはもう、形ばかりの拒絶さえ見られない。
 俺だけを受け入れ、余計な思考を失くし、絡め合う悦びに咽ぶ彼女の姿に、喰らい尽くすような陰鬱な欲望がじわじわと満たされていくようだった。
「ひぅ……っ!!あっ……!あぁぁっ………」
 甘やかな悲鳴が高く鋭くなった瞬間、洋子の白く細い背が反り返り、肉襞が収縮し、自身が圧迫された。
317名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:20:19 ID:5vd8E+EY

「うぐっ──!くっ……ぅ……」

 目の奥で、光が弾けた。

 体が強張り、腰の動きが止まる。
 そればかりか、指一本すらまともに動かせなくなる程の快感に我を奪われ、精が放出されている事に気付くのに少し時を要した。
 自身と彼女を共に満たしているという事実が、胸の内のくだらない苛立ちを溶かしていく。想いの全てを重ねているという実感が、心身の隅々まで染み渡っていく。
 それらが堪らなく愛おしくて、束の間瞑目して意識の内に刻み込んだ。



  *  *  *  *  *



「………洋子」
 長くも短い至福の後、繋げた箇所をゆっくり離した。
 萎えた自身と花弁との間から粘液が溢れ出るさまに昂ぶりを覚えない訳ではないが、今少しこの幸福感を味わっていたかった。
「………………」
 吐息混じりに呼び掛ける声に、彼女は答えない。足を広げて俯せたまま、顔をシーツに埋めてしまっている。

 ……やりすぎただろうか。
 こんな風に強引にした事はなかったから、気を悪くしたのかもしれない。
 そんな事を思いつつティッシュを取り出し、まだ体液を纏ったままの自身を拭う。
 その間にも洋子は動かない。聞こえるのは、規則正しい呼吸音のみ──
318名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:23:05 ID:5vd8E+EY

「…………?」

 処理を終え、彼女の方を見やる。乱れて顔を覆ってしまっている髪をそろそろと払い、表情を窺った。

「………………」

 眠っている。

 ……というより、気を失ってしまったのだろう。しばし前まで荒かった呼吸は既に落ち着いていて、その表情はどこか安らかだ。

「やはり、やりすぎたかな……」
 まだほのかに赤い柔らかな頬を撫でながら、自分の自制心のなさに苦笑した。
 もう少し気を遣ってやれたら良いものを。こんな事だから、彼女に心配ばかりさせてしまうのかもしれない。

 ……だが、気持ちはいくらか軽やかだった。
 どんな形であれ、俺の前で見せてくれる姿こそが、他ならぬ俺だけの彼女なのだと気付けたのだから。

 例えばこの先、彼女との道程の中で、またあの男の影がちらつく事もあるかもしれない。
 ……同じように、身勝手な苛立ちを覚える事もあるかもしれない。

 それでも俺は俺のまま、彼女を傷つけずに傍にいられる存在でありたいと思った。もっとも、出来るかどうかはわからないが。

 しかし今のところは……

「まだまだだな……」

 再び一人ごちながら、洋子の額にそっと口付けた。
319名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 22:24:51 ID:5vd8E+EY
終了です。
320名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 23:12:22 ID:gabTZe60
>>318
身悶えするような良い話でした!
とても興奮!
321名無しさん@ピンキー:2007/07/26(木) 17:35:19 ID:5A8sisJn
>319
ヒワイな表現が多くてイイですねw
GJでした
322名無しさん@ピンキー:2007/08/02(木) 09:16:05 ID:7ba9E6gM
303氏マダー?
323名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 00:05:30 ID:jmpGpOjN
303だが……腰痛が再発して本当に少しずつしか書き進められない状態。そのおかげで普通に実生活を過ごすことすら危うい。
投下はかなり遅くなるがそれでもいいだろうか?ダメなら……諦めるw
324名無しさん@ピンキー:2007/08/06(月) 06:01:41 ID:+PTEM0hj
待てます!
お大事に。
325名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 20:04:24 ID:N5EXilRq
あげ
326名無しさん@ピンキー:2007/08/08(水) 23:44:58 ID:X6gParqk
KIND OF BLUEラストの洋子さんのノースリーブと足はエロい。
見とれて神宮寺がしちゃうとか読みたい。
327名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 01:02:37 ID:2Tldt33q
KOBの洋子は一番最初に見た時、洋子だとわからなかった
328名無しさん@ピンキー:2007/08/09(木) 07:24:35 ID:UT9yVV+m
作品毎に顔変わるけどKBと未完は本当に分からないね
329名無しさん@ピンキー:2007/08/13(月) 21:41:29 ID:bu/Zee1h
KIND OF BLUEの真の見所は猫と戯れる洋子たんだったと思う
330名無しさん@ピンキー:2007/08/27(月) 22:12:02 ID:0HHMXmUy
果たしてどれだけの人がこのスレを見ているのだろうか。
331名無しさん@ピンキー:2007/08/28(火) 22:36:44 ID:T535Ot/7
ノシ
どっかで見たことあると思ったが、夢の洋子パートのセリフだったか
332名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:26:15 ID:0jhMSBDS
洋子→神宮寺なものが出来たので短いですが置いときます
神宮寺がちょっと危ない人っぽくなっとりますが
333名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:27:33 ID:0jhMSBDS

「……お帰りなさい。先生……」

 一日の調査を終えて事務所に戻った神宮寺を、洋子はいつもの言葉で出迎えた。
「ただいま、洋子君。留守中に来客はあったかい?」
「いえ……だ…誰も……」
 問いに答える洋子の声は、いくらか掠れている。デスクの上に置かれた彼女の手はぎゅっと握られ、何かに耐えるように震えていた。
 しかしそんな様子を気にかける事もなく、神宮寺はジャケットを脱ぎ捨てながら声を掛ける。
「……コーヒーを淹れてもらえるかな」
「あっ……」
 大抵は彼が帰って来る頃にはすぐ差し出せるようにしてあるのだが、今日はそれが出来なかった。
 咎められている訳ではないのだろうが、洋子の体はびくりと震える。
「は、はい……今すぐ……」
 慌てて席を立とうと腰を上げた彼女だったが、足が縺れ、その場にへたりと座り込んでしまった。
「……………」
「あ、すっ、すみません……今……」
 頬を赤らめながら必死で立ち上がろうとするが、なかなか立てないでいる洋子。その側に屈み込み、神宮寺はそっと問いかけた。

「……ずっと"挿れた"ままだったのか?」
334名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:29:07 ID:0jhMSBDS

「……っ………!!」

 洋子ははっと顔を上げた。
 潤んだ瞳に、寄せられた眉。震える唇から零れる吐息は熱く、そして荒い。
 その様から見て取れるのは、苦痛や嫌悪などではなく、艶を帯びた懇願──
「ちゃんと言われた通りにしていたんだな」
「せ、先生が……そうしろって……んっ……おっしゃった、から……」
 薄く笑う神宮寺に、彼女は言い訳じみた言葉を紡ぐ。
「抜いても良かったんだがな……」
 耳元に息を吹き掛けられ、彼女はまた一つ体を震わせる。
 言われた事を守らねば、更に堪え難い行為を強いられる。分かっているから逆らわない。逆らえない──
「じゃあ、そろそろ……」
 言いながら神宮寺は立ち上がり、彼女から少し離れた。
「どうなっているのか、見せてもらおうか」
 意地の悪そうな目付きで見下ろされ、洋子はぐっと息を詰めた。
 彼が自分に何を求めていて、それがどんなに恥ずかしい事か知っている。
 だが、従わなければならない。そうでなければ、彼は自分を解放してはくれない。

「……………」
 洋子は床に座り込んだままで、スカートを少したくし上げた。彼と目を合わせぬように努めながらその中に両手を入れ、下着を下げていく。
335名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:30:48 ID:0jhMSBDS

 秘部を覆っていた箇所がぬめる液体で塗れたショーツが両の足から抜き取られ、その白く細い足がおずおずといった様子で開かれた。

 見るからに柔らかそうな茂みは湿り、恥丘に張り付いてしまっている。
 その内側からは微かに音が聞こえる……それは、機械から発せられる振動音のようだった。
「よく電池がもったな……」
 呟きながら神宮寺はスカートを更に上げ、割れ目の中に指を突っ込んだ。
「あぁっ……!」
 無造作に指を押し込まれても、彼女の口から零れる声に拒絶の響きは感じられない。
 長時間の責めによって慣らされた内部は、骨張った指さえた易く受け入れ、寧ろ物足りないと訴えるかのように蠢いている。
「あっ……んん、ぅ………ふあぁっ」
 しばらく膣内を掻き回していた指が引き抜かれ、同時に最奥への孔を塞いでいたものをも取り除いた。
 指ほど細くもなく、男性器ほど太くもないそれは、彼女の中で分泌された粘液に包まれてぬるつきながらも、決してその振動を止めない。
「こんなオモチャでも、結構楽しめたろう……?」
 指とバイブに纏わり付いた愛液をねぶりながら問う神宮寺に、洋子は真っ赤になって俯いた。
336名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:32:31 ID:0jhMSBDS

 "楽しめた"どころではない。
 彼が調査に出てから今まで、まともに立てなくなるほど中を弄られ続けていたのだから。
「……これなら」
 そう言ってベルトに手をかける彼の目に宿るのは、快感で曇った視野にも明らかな情欲。
「そのまましても構わないな」
 有無を言わせぬその口調と視線に、洋子の心身は刹那震えた。

 これから為される事。もはや日常とさえ思えるほど重ねてきた営み。
 行為の全ては彼の言葉から始まるが、想いそのものを告げられた事は一度もない。
 時折彼が気まぐれに思いついた悪戯めいた責めに翻弄される度に、この男性にとって自分は何なのだろうと思い悩む事も、少なからずある。
 それでも離れられないのは、拒めないのは──

「……っ……!」

 突然鳴り響いた、携帯電話の着信音。
 神宮寺は僅かに体を強張らせたが、すぐにズボンのポケットから携帯を取り出し、通話ボタンを押した。
「……もしもし」
 その声はやや不機嫌そうな響きを伴っている。
「……ああ………分かった。……そうだな……」
 相手と言葉を交わしながら、ちらりと洋子を見る。一瞥されただけだというのに、彼女の鼓動は跳ね上がった。
337名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:34:12 ID:0jhMSBDS
「………すぐ行く」
 それだけ言って電話を切ると、彼は衣服を整え、再びジャケットを羽織った。
「先生……?」
「急用だ。行ってくる」
 控え目に呼び掛ける洋子に、神宮寺は横目で見つめ返す。
 ドアに手をかけながら少し考え込み、神宮寺は軽く振り向いた。
「遅くなると思う……あがってくれて構わないよ」
 返事も聞かず、彼はドアの向こうに消えた。
「……………」

 解放された安堵感からか、自然と溜め息が零れた。
 しかし本当に"安心した"だけなのだろうか、と洋子は自身に問い掛ける。先程以上の行為から逃れられたというのに、心はどこか空虚で、体の疼きはまだ冷めない。
 本当は気付いているのだ。拒めないのは、彼への気遣い故だけではない事に。
 洋子はよろよろと立ち上がり、デスクの上の書類に手をつけ始めた。


 今夜もまた、彼が戻るまで彼女は待ち続けるのだろう。彼が自分に望むものが何なのか分かっていても。

 必ずここに帰って来る彼を、いつものように、いつもの言葉で迎える為に。
338名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 02:37:37 ID:0jhMSBDS
終了です
ハンパなところや書いてて突っ込みたくなったところは夏のせいにして去ります
339名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 19:31:03 ID:Ek6sacOV
>>338
物足りなさげな洋子さんイイですね。
GJです!
340名無しさん@ピンキー:2007/08/30(木) 23:25:38 ID:h4uLzbFP
洋子→神宮寺もいいね 
GJです!
341名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 00:42:02 ID:C+R7WVxC
唐突で申し訳ないんだが、クロス探偵物語のSSはやっぱりスレ違いかな。
ふと友子ちゃんやら千絵里ちゃんやら沢田さんやらに萌えたわけなんだが。
342名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 18:19:01 ID:/IIQvCgA
一応他に合致するスレを探してみてはいかがかな?
ここに落としても知らない人もいるかもしれないし>クロス
343名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 19:14:44 ID:C+R7WVxC
一応探してみたんだけどね…。
もう少し探してみるよ。いいスレがあったら教えてくれ
344名無しさん@ピンキー:2007/09/02(日) 22:48:16 ID:ZVqyLdOy
>341
【うpろだ】専用スレのないSS【代わり】というのが
ありました。他はこれといったのがないような。
クロス探偵物語は大好きなのでぜひ書いて欲しいです。
個人的には高梨まゆなを希望
345名無しさん@ピンキー:2007/09/03(月) 21:15:21 ID:ZMFp+I7J
>>344
さんきゅー。
一週間以内には落としたいと考えてるが…
…あまり期待しないで。SSの質とともに。
どうも教えてくれてありがとう。

…それにしてもまゆちゃん結構人気あるのね。
346名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 00:30:04 ID:Qv8TcT0+
忘れられてそうな>>323だが書きかけSSを投下していく。
続きに関してはちょっと絶望的。腰痛のせいもあるが書く意欲もなくなっている。
続き切望の声が多かったら……ノロノロ書くかもしれん
347神宮寺×洋子「必要」1:2007/09/10(月) 00:30:47 ID:Qv8TcT0+
 事務所へと近づく足音が聞こえ始めた瞬間、洋子はパソコンでの文書作成作業を中断し、小さなキッチンへと向かった。来客の備えるためではない。彼女は、その足音が誰のものであるかを知っていた。
 カップに温かなコーヒーを注ぎ終えた直後、背後でドアが閉まった。
「先生、お疲れ様でした」
 椅子に座った一人の男――神宮寺三郎の前に湯気をたてているカップを置く。
「ああ……すまない」
 神宮寺の顔に、朝、事務所を出て行く時に見せた覇気がない。こういう表情をしている時の神宮寺は言葉を飲み込もうとする。いや、話すのも億劫なのだろう。
 洋子は何も言わずにパソコンデスクへと戻った。調査で成果が出たのなら神宮寺が洋子へ話しかけることでおのずと会話は生まれる。成果が出ていなければ沈黙が続くだけである。
 窓ガラスに、コーヒーに口をつけないまま立ち上がる神宮寺の姿が映る。キーを打つ洋子の手が少しだけ止まった。マウスを無作為に動かしながら、じっと神宮寺の動向を見守る。
 神宮寺は洋子から離れた窓に近づき、眼下へと視線を向けていた。やがて、かすかな煙草の匂いが洋子の鼻腔へ入り込んできた。
 神宮寺に何か成果があったのだ、と洋子は気づいた。それは自分が聞くべきものではない、ということをも同時に理解し、洋子はキリのいいところまで打ち込みパソコンの電源を切った。
「今日はこれで帰らせていただきます」
 いつもより少し早めの時間帯ではあったが、神宮寺からは、
「ああ、お疲れさん」
 という言葉だけが返ってきた。
348神宮寺×洋子「必要」2:2007/09/10(月) 00:31:27 ID:Qv8TcT0+
 事務所の書類を不用意に家に持ち帰るようなことはしない。洋子は、ファイルを棚へと片付け、デスクの横にかけていたバッグを肩にかけ、窓へ佇む神宮寺の傍を通り過ぎる。
 ふいに、手をつかまれた。驚いた洋子の足が止まる。
「先生?」
 そう聞き返すと、つかんだ当人である神宮寺も驚いた様子で、
「いや……何でもないんだ」
 慌てて洋子から手を離した。
 手は離れたものの、神宮寺の目が洋子を見つめている。引き止めるかのような視線に、洋子は歩を進めることができずにいた。
 どうしたものかと思案し、やがて、洋子は神宮寺と向き合った。
「私は、今、必要ですか?」
 咥えていた煙草を灰皿へと押し付け、神宮寺は短く首を振った。
「いや、君の仕事は終わった。帰ってもかまわない」
 神宮寺の言葉は洋子を助手として扱っている。だが、彼の目や手は本音を語っているように、洋子には感じられた。このまま聞き続けていても、神宮寺はかたくなに洋子を帰そうとするだろう。
 洋子は神宮寺の腕に手を添えた。『助手』ではない目で彼を見上げる。
「必要でないのなら、振り払ってください。すぐ、帰ります」
「洋子……君」
 名を呼んだきり、神宮寺は洋子の手を見つめて黙っている。
 受け入れられたわけではないが、拒否されたわけでもない。洋子は一歩進み、神宮寺の胸へと体を寄せた。わずかに震えた神宮寺だったが、やはり洋子を拒否する態度を見せない。
「洋子君……」頭上から低い声が降ってくる。「今の俺に、君のことを思いやれる余裕はない。優しくなどできないし、君の意思は無視してしまうだろう」
349神宮寺×洋子「必要」3:2007/09/10(月) 00:32:06 ID:Qv8TcT0+
 そこで神宮寺が言葉を切った。だが、洋子にはその後に続く言葉が想像できた。だから、強く頷いた。
「先生、私は大丈夫ですから……」
 見上げたとたん、洋子の唇は神宮寺によって強引に塞がれた。
 洋子の肩からバッグが落ちる。
 それを合図にするかのように、二人は互いをうかがいつつもゆっくり舌を絡ませる。
 神宮寺の手に背を支えられながらも、彼の勢いに押されるように洋子の体が窓へと押し付けられる。背中にあたる冷たい感触に洋子の遠くなっていた理性が少し戻ってきた。
 洋子はやんわりと神宮寺の体を押して唇を離す。
 突然の洋子の行動に驚いた様子の神宮寺だったが、やがて、また顔を近づけてくる。
「せ、先生、あの……外から見えてしまいます」
 暗い外から、明るい事務所は丸見えの状態である。
 洋子の肩ごしに外を見た神宮寺が、ふっ、と笑った。
「……そうだな」
 洋子を置いて、神宮寺は窓のブラインドを下ろす。
 いきなり現実に戻されたことに戸惑いながらも洋子は、
「じゃあ、私はドアの鍵をかけておきますね」
 事務所の全ての窓のブラインドは神宮寺によって下ろされ、ドアの鍵は洋子によってかけられた。これで何の邪魔もなく二人で抱き合う準備は整ったのだ。
 だが、窓の前にいる神宮寺と、ドアの前に立つ洋子は見つめ合ったまま動こうとしない。
 先に沈黙を破ったのは神宮寺だった。
「すまない、洋子君。今日はもう帰っていいよ」
 神宮寺もまた、洋子のように冷静さを取り戻したのだろう。いつも通りの彼の言葉と声音が、先ほどまでの二人をなかったことにしようとしている。『探偵』と『助手』へと戻そうとしている。
「それは、できません」
 神宮寺の目を見て、きっぱりと洋子は答えた。
350神宮寺×洋子「必要」4:2007/09/10(月) 00:33:12 ID:Qv8TcT0+
「どうして?」
「私は、大丈夫だ、と先生に言いました」
「だが、俺も、もう大丈夫だ」
 神宮寺も目をそらすことなく、皮肉にも洋子と同じ言葉を使って返してきた。その真意を読み取ろうと洋子は神宮寺を見つめるが、探偵は何の感情も表情には出さない。
 諦めるように洋子は頷いた。
「わかりました」
 バッグを取るために洋子は神宮寺へと近づく。かがんでバッグへと手を伸ばした洋子の頭上から、
「俺で……いいのか?」
 戸惑うような神宮寺の小さな問いが聞こえてきた。
「はい」
 顔を上げて頷いた洋子の腕が神宮寺に強く引き寄せられる。洋子の華奢な体は、神宮寺の大きな体にすっぽりと収まっていた。
 ブラインドも下りているし、事務所のドアの鍵もかけられている。二人の邪魔をするものは何もない。どちらからともなく唇を寄せた。わずかに開いた洋子の口から神宮寺の舌が入り込んでくる。
 神宮寺の大きな手が急くように洋子のシャツのボタンをはずし、開いた胸元からブラジャーのホックを外す。少しかさついた手が、平均的な大きさをした洋子の胸を包んだ。
「ふっ……ん……」
 久しく男に触れられていなかったせいか、神宮寺の指が肌を滑るたびに洋子の口から吐息と声が漏れる。神宮寺のネクタイにかけた洋子の指が震えた。
 洋子から唇を離した神宮寺が、自分のネクタイへと指をかけて片手で強引に緩め、首から抜き取った。一連の作業を終えた手は、また、洋子の胸の愛撫へと戻る。
 洋子は、神宮寺のシャツへと指をかける。ネクタイがなくなったおかげでボタンはずいぶんと外しやすくなっていた。そろりとシャツを開くと、神宮寺の鍛えられた胸に出会った。指でそっと触れると彼の体がぴくりと震える。

-----------------
続きについては>>346で。
351名無しさん@ピンキー:2007/09/10(月) 07:53:27 ID:PbDifTe5
>>346
お待ちしておりました……
もどかしい感じがなんともこの二人らしくて良いですね。
ゆっくりでも良いので続きを楽しみにしています。
352名無しさん@ピンキー:2007/09/13(木) 20:32:32 ID:YIp1CtOS
>346
言葉と気持ちが裏腹な神宮寺がイイですね
続き期待してます
353名無しさん@ピンキー:2007/09/15(土) 21:23:57 ID:nKX8ajsy
洋子さんの良い女な雰囲気があって素晴らしいです。
気が向いた時にでも続き書いて欲しいです。
354欽ちゃん:2007/09/19(水) 14:00:00 ID:ZTw85In/
『 K L A C K 』  〜 光 を 纏 う 救 世 主 〜

『愛を伝える紅蓮の聖者』 神谷聖也様(Guitar)
心に宿されるは爛々しく燃え盛る炎が如き情愛・・・
『夢を与える蒼天の賢者』   烈  様(Bass)
瞳に映されるは凛々しく透き通る氷が如き夢想・・・
『翼を持った白銀の王者』 柳橋昌亜様(Guitar)
背に翻されるは猛々しく翔ける天馬が如き飛翼・・・
『魂で奏でる黄金の覇者』   u  様(Vocal)
身に纏われるは神々しく輝きを放つ聖光氣(ゴスペルオーラ)・・・
『闇を極めし漆黒の魔王』 上村隼人様(Drums)
身に纏われるは禍々しく邪念を放つ魔光氣(イービルオーラ)・・・

貴様ら生存無価値の愚民共に良い事を教えてやろう・・・
『神谷聖也様』『烈様』『柳橋昌亜様』『u様』とは、万物の創世主にして光を司る全知全能の唯一神『雷光神サルマニア様』より『博愛』『夢想』『飛翼』『精魂』を承継されし使徒様達・・・
此の世界を恐怖と戦慄の渦に陥れんとする腐敗した国際政治機構による絶対的支配政権を殲滅し苦痛に悶える世の民に希望の光を齎さんが為に地上に降臨されし救世主様達であるのだよ・・・
更に雷光神サルマニア様は殲滅された国際政治機構を『闇』の力で傀儡が如く支配していた真の黒幕とも云える『暗黒神シシマグロ』をも死闘の末に滅され、その末裔にして若年ながら一族最強の力を誇るとされた『上村隼人様』をも改心なされたのだ・・・
隼人様が加わられた事によって最早アメリカ、イラク、北朝鮮、国内右左翼、暴力団、圧力団体並びに宗教団体など虞るるに足りん磐石の平和的護衛体制が出来上がったわ・・・
歓喜に打ち震えるが良いわ屑共よ・・・
355名無しさん@ピンキー:2007/09/23(日) 23:11:11 ID:U40rXy7j
hosyu
356名無しさん@ピンキー:2007/09/26(水) 18:49:01 ID:bm0YZ51L
保守代わりに小ネタ




 ……先生、またお入れになるんですか?
 あまり多くなさるのはどうかと……朝もたっぷり注いでらっしゃったじゃありませんか。
 あぁ、またそんなに濃いのを……眠れなくなってしまいます……。
 わ、私は先生がどうしてもとおっしゃるから仕方なく用意して──

 ああっ……またいっぱい入れて掻き混ぜてる……。
 お好きなのは分かりますけどもう少し抑えて……
 喜んで頂けるのは嬉しいですけど……さすがにこれでは体がおかしくなってしまいますっ……






「相変わらず旨いな、洋子君」
「先生、夜のコーヒーの飲み過ぎは体に毒ですよ。それにまたミルクとお砂糖そんなに入れて……」
「俺はコーヒーは甘いのが好きなんだよ」

  *  *  *  *  *

あんまりエロくなくてスマソです。
ところで凸時代はコーヒー甘党だったのにwjでは無糖派な神宮寺……何故なんだぜ?
357名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 00:41:40 ID:i4CL2bUp
小ネタ乙です。

先生、糖尿ならんようにねw
358名無しさん@ピンキー:2007/09/27(木) 23:24:20 ID:bvjLberY
確かにキトではブラックだったな‥‥‥
359名無しさん@ピンキー:2007/10/08(月) 00:11:47 ID:uKYlt2CG
あげ
360sage:2007/10/17(水) 23:49:21 ID:l+xV6XBu
保守
361名無しさん@ピンキー:2007/10/17(水) 23:50:04 ID:l+xV6XBu
失礼しました。
362名無しさん@ピンキー:2007/10/23(火) 22:33:31 ID:W5mGKlpn
謎じけ洋子だったら攻受逆転するんだろうな‥‥‥






 (((゚д゚;)))ガクガクブルブル
363名無しさん@ピンキー:2007/10/26(金) 20:27:21 ID:S1DPmKRy
謎じけ洋子でエロい妄想はしたくないだろ……w
364名無しさん@ピンキー:2007/11/02(金) 23:54:35 ID:a3L5nQLm
神無月だったから職人さんが来なかっただけ...だよな。な!?
365名無しさん@ピンキー:2007/11/10(土) 22:36:35 ID:H9dIGFij
>>362
どう考えても逆レイープにしかなりません
本当にありが(ry
366名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 02:48:08 ID:gp8dam2t
保守
367名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 21:52:08 ID:vpeOmFgF
ホシュ
368名無しさん@ピンキー:2007/11/28(水) 00:11:56 ID:fVwiPlJD
保守
369名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:33:11 ID:2wzYJUQE
とてつもなく亀ですが>>326>>329のネタを少し拝借させて頂きました。
KB後の話です。
370名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:34:19 ID:2wzYJUQE

 窓の外から、容赦のない陽射しが事務所内に照り付けている。

 調子の悪いエアコンといい、ロクな依頼のないこの状況といい、どうしても俺の気分を良くさせるつもりはないらしい。
 暑さに鈍る思考を少しでもごまかそうと咥えた煙草を吸っていると、ほっそりとした腕が視界に入った。微かな音と共に、テーブルの上にグラスが置かれる。
「先生、コーヒーをどうぞ」
「……ありがとう」
 最近の楽しみといえばこれ位のものだ。数日前まではその味を忘れかけてすらいた、洋子君のコーヒー。
 この暑さでホットは堪えると気を利かせてくれたのだろう、水滴のついたグラスのコーヒーの中には氷塊が浮き、持ち上げるとカランと軽やかな音をたてた。
 縁に口を付け、一気に半分近くを喉に通すと、刹那頭に滲みるような冷たさが体を通り抜け、後に心地よい涼しさが残った。
「もうすっかり夏ですね……」
 言いながら自分の分のアイスコーヒーを持ち、椅子に座る洋子君。涼しげな表情ではあるが、その首筋には幾らか汗が滲んでいるようだ。
371名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:36:08 ID:2wzYJUQE
 この強い陽射しの中で外に調査に出る事もあるというのに、薄手の服からすらりと伸びた腕も、細い足も、透けるような白さを保っている。
 その上この猛暑のせいか、近頃彼女は露出度の高い衣服をよく着ている。数週間前に再会した時に着ていたような、あれだ。
 お陰でこちらとしては目の保養に……もとい、目のやり場に困っている訳だが……

「どうかしましたか?」
「……いや……」

 短い答を返しながらも、俺の視線は彼女から離れない。じりつくようなこの熱は、今は内から込み上げるものの方が強い。
 煙草の火を揉み消してゆっくりと席を立ち、洋子君の前に歩み寄る。怪訝そうにこちらを見ているのに気付いてはいたが、足を止める事は出来そうになかった。

 強く掴めば手折れてしまいそうな程、細い腕。
 少し力を込めればた易く痕を残せる程、柔らかそうな肌。

 この手で、触れたい──

「……………」
 彼女の隣まで歩み、膝を落とす。そして二の腕にそっと指を這わせると、彼女の体がぴくりと動いた。視線を上げると、戸惑ったように俺を見つめ返してくる。
372名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:37:50 ID:2wzYJUQE
「あ……あの、先生……」
 見下ろす彼女の、すらりとした顔の輪郭を覆う髪が微かに揺れる。ふわりと香る栗色の髪の先端があまりにも間近く、思考が霞むような気がした。
 首を少し伸ばし、顔を彼女の方へと近付ける。毛先が頬に触れるまで……、切れ長の眼を縁取る長い睫がよく見えるまで………

 そしてこのまま、その僅かに濡れた唇を奪うまで──


「にゃ〜……」

 その時、聞き覚えのある声が聞こえた。近頃やたらと俺の気分を逆撫でする、あの甘ったれた声が。
「え………」
 はっと我に返ったように洋子君は顔を赤く染め、辺りを見回す。俺もまた、急に毒気を抜かれたような気分になり、彼女から身を離した。

 ……何をしているんだ、俺は。この暑さのせいか?

「あら………どうしたの?お腹空いた?」
 彼女が声を掛けるその方向には、『猫』がいる。もう居座ってからひと月は経つが……まだ出ていくつもりはないらしい。
 確か洋子君が名前をつけるとか言っていたが………どうでもいいか。『猫』は『猫』だ。

 ヤツは媚びるように鳴きながら、洋子君の足に擦り寄っている。優しくされるのをいい事に、彼女にすっかり懐いてしまったらしい。
373名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:40:39 ID:2wzYJUQE
 素足にあの毛玉のような体でじゃれつかれては暑苦しいだろうに、厭いもせずに洋子君はヤツの相手をしてやっている。

 ……飯ならもう済ませたはずなんだがな。

「……食事はさっき用意してやったから、大丈夫な筈だ」
「あ、そうなんですか……」
 デスクから席を立とうとした彼女に声を掛け、冷蔵庫から牛乳を取り出し、皿に注いだ。
 おそらく喉でも渇いたのだろうと思い、ヤツの側にそれを差し出す。この程度の事で、洋子君の手を煩わせるまでもない。
「…………」

 しかしヤツはちらりとこちらを見ただけで、中のミルクに手もつけない。

 ……喉は渇いていないのか、あるいは俺が用意したのが気に食わないのか。
 あまり良い気はしないが、こんな事で腹を立てるのも馬鹿馬鹿しい。そう思い、皿を下げようとしたその時だった。

「あっ……」

 ヤツは一瞬身を丸めたかと思うと、ばねのように跳ね、椅子に座ったままの洋子君の膝の上に飛び乗った。
 そして、あろう事か驚く彼女の服に爪を立ててしがみつき出した。流石にこれでは邪魔になってしまう。洋子君は慌てて引き離しにかかった。
「ほら、ダメよ。後で遊んであげるから……」
「にゃあっ、にゃっ」
374名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:42:36 ID:2wzYJUQE

 やんわりと諌める洋子君に構わず、ヤツは足をバタつかせている。
 ヤツがもがく度に彼女の腕やら服やらにその足が食い込み、柔らかそうな肌や膨らみの形を歪ませる。

 ……意識してやっている訳ではないのだろうが、何とも憎たらしい。わざと力を入れて引き剥がしてやろうか。

  *    *     *

 ヤツはしばらくの内は抗っていたが、やがて疲れたのか、大人しくなった。
 しかし膝の上から降りようとはせず、その場に伏せてしまった。まるでそこが自分の定位置であるかのように体をくつろがせ、居心地良さそうに目を細めている。
「……………」
「フフ……」
 どこか楽しげに笑う洋子君……しかし、いつまでもこのままにしておく訳にもいかないだろう。
 床に降ろそうと両手を伸ばすと、ヤツと目が合った。
 動物の表情などよくわからないが、かなり不満そうに見つめているように見える……何なんだ、その睨むような視線は。
「あの……先生、別に私は構いませんよ」
 俺とヤツとを見比べて困ったような笑みを浮かべながら、彼女が口を開く。
「書類も一通りまとめましたし、少し休憩頂いてよろしいですか?」
「………構わんが」
375名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:44:26 ID:2wzYJUQE
 俺が応えると、洋子君は優しくヤツの頭を撫で始めた。
 すると急に態度を変え、触れてくる掌に顔を寄せて喉を鳴らし出した。
「……………」

 何となく居心地が悪い。

「……洋子君、少し外に出てくる。留守を頼むよ」
「あ……はい。お気をつけて」

 ……どこかで適当に時間を潰して、頭でも冷やして来るか。



  *  *  *  *  *



「やれやれ……」
 せっかく喫茶店で涼んで来たのに、事務所に戻る頃には首元にじっとりと汗が滲んでいた。
 外に出たのは間違いだったかな……
「あ……お帰りなさい、先生」
 中に入ると、まだ少し気恥ずかしそうな洋子君の声が出迎えてくれる。彼女の方を見ると、出掛ける前同様の光景が目に留まった。
「……………」

 アイツ、まだあそこに居座っているのか……

「いつの間にか、眠ってしまったみたいなんですよ」
 視線を上げると、洋子君が苦笑混じりに小声で言った。
 彼女の膝上で頭を傾けてまどろむヤツの寝顔は実に幸福そうだ……羨ましい奴め。

「……………」
 ……羨ましい?何を考えているんだ、俺は。

「………先生?」
「ん………?」
376名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:46:43 ID:2wzYJUQE

 『猫』をまじまじと見ている事を訝しまれたか、戸惑ったように呼び掛けてくる彼女。
「あぁ、いや……すまん。なんでもない」

 ……さっきの事があるせいか、どうにも気まずい。いっそもう一度出掛けて来ようか。

 そんな事を考えながらコーヒーを注いでいると、洋子君が椅子をこちらへと向け、思い切ったように問い掛けてきた。

「………外出される前の事ですけど……どうかなさったんですか?なんだか、その……様子が、おかしかったような気が……」

「……………」
 よりによってそれを聞いてくるか。

 ……言える訳がないだろう、「触りたくなった」なんて。
 せめて酒でも入っていればそれを言い訳に出来ただろうが……なんて考えなしな事をしたんだ。

 まともな返答が思い付く筈もなくただ固まっている俺をじっと見つめてくる彼女の頬は、少し赤く染まっている。
 やはりさっきの事を思い出しているのだろう。
 ……そんな風に黙って待たれると、かえって言葉が見つからなくなるんだが……

「……………?」

 ………待てよ。
 いつもの洋子君ならこういう場合、わざわざ話を蒸し返すような事はしないんじゃないのか?
377名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:49:42 ID:2wzYJUQE

 余計に気まずくなる事位、聡明な彼女には分かりそうなものだが……。様子からして、俺が何をしようとしていたか分かっているようだしな。

 ──もしや、これは──

「……洋子君……」
 淹れたばかりのコーヒーをテーブルの上に置き、小さく彼女の名を呼んでみた。ただそれだけの事で、彼女の細い肩はぴくりと震える。

 ──誘っている……のか?

 先程と同じように彼女との距離を縮め、目線の高さが彼女のそれと同じになるように腰を屈め、そっと手を伸ばす。
 そしてその手で、未だ目を覚まさない『猫』の頭の上に軽く乗せられたままの手をとると、鮮やかなルージュの唇が、物言いたげに僅かに開かれた。
 だが、そこから拒絶や戸惑いの声が漏れる事はない。
 幾らか緊張した面持ちではあるものの、ただ小さく吐息を零すばかりだ。まるで、"その先"を待っているかのようにも見える。

 ──続けて……良いんだよな?

 触れている洋子君の手の甲は、俺のかさついた手にはあまりにも柔らかい。そのまま上ヘと指を這わせれば、先程辿った細腕に行き着く。
 冷めていた内側からの熱は、もうざわめき出している。あと少しきっかけがあれば、今度こそ唇を奪ってしまえるだろう。
378名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:51:10 ID:2wzYJUQE

「……いいのか……?」
 問いを一つ、投げ掛ける。
「………続けても」

 何を今更、と自分でも思ったが、流石にこれ以上は同意も無しで行為に及びたくはない。
 ……折角戻って来てくれたというのに、こんな事でまた壊してしまいたくないからな。

「……………」
 俯いて黙り込んでいる洋子君。嫌そうな様子は見られないが……やはり躊躇しているのだろうか。
 ……しかしここまで来て拒否されてしまっても困る。触れている肌の感触が、すぐ傍にある震える唇が、微かに香る彼女の花のような匂いが、堪らない。
 ……聞かずに続けてしまえば良かった、か?

「…………」
 辛抱強く待ち続けられそうもなく、掴んでいる腕をそっと撫でてみた。
 すべらかで、柔らかい。少し汗ばんではいるものの、さほど不快ではない。というか寧ろ……触り心地が良すぎて逆に困るんだが。
 そろそろ良いだろうか、という問いを込めて洋子君の顔に視線を戻すと、彼女も同じように俺を見つめ返してきた。
 少なからず熱を含んだ目が伏せられ、顔が下を向く。そのままこくりと顎を動かし……小さく、頷いた。
「このまま、続けて──」

 答を最後まで聞かぬまま、唇を塞いだ。
379名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:53:05 ID:2wzYJUQE

 ふっくらとしたそれに押し付けるように自分の唇を重ね合わせ、温もりと感触とを感じ取る。

「……んっ……」
 勢いに押されてか、椅子の背もたれに彼女の身が深くもたれかかり、上半身が反りそうになっていた。
 それを抑えるようにうなじに手を添えながら何度も口付けていると、間近で見える彼女の肌が、より熱く、赤く染まっていく。
 腕に触れている方の手を上へと持って行き、滑らかな丸みを帯びた肩に這わせると、彼女の吐息が、ふ、と俺の口にかかった。
 ……くすぐったいのか恥ずかしいのか、肌に軽く触れるだけで僅かながらも動揺を見せる彼女は何と言うか……とても可愛らしい。

 ………触れるだけではおさまりそうにないな、これは。

 ふつふつと沸き上がる熱に任せて、下から服の中に手を入れ、少し汗の滲んだ背中を撫で回した。しっとりとした感触が、また何とも言えない。
 そうしている内に、手の動きを妨げる物に指先が行き着く。これは……ブラジャーのホックか。
 上手く指を絡め、片手で外そうと試みていると、啄んでいた温もりが離れ、洋子君の掌が俺の胸を軽く押し退けた。
 途端に互いの距離が離れ、頭の中を覆っていた熱が僅かに失せる。
380名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:54:31 ID:2wzYJUQE

 再び身を寄せようとすると、どこか惑っているような目で俺の動作を阻んだ。

 ……まさか、今更寸止めという訳じゃないだろうな。

 意を汲み取ろうと彼女をじっと見つめると、遠慮がちに切り出してきた。
「あ、あの……ここで、このままなさるんですか?」
「……不満か?」

 ──こっちは大いに不満だ。
 この茹だるような暑さの中、求めているものがこんなにも傍にあるというのに、さっきからやたらと邪魔ばかり入る。

 苛立っているのを気取られたか、洋子君の表情はさらに困惑の色を濃くする。
「……だって……」
 俺に向けられていた視線がおずおずと下へ下りていく。その目の先には……

「……………」

 ──また、こいつか。

 彼女の膝上で眠ったままの『猫』。こいつがいるのをすっかり忘れていた。
 こいつを退かしてから……あるいは場所を変えてからにして欲しいと、そういう事なのだろう。
 だが──

「えっ……や、せっ………んんっ」

 待てる訳がないだろう。

 支えていた首を引き寄せ、抗う艶やかな唇をもう一度塞いだ。今度は開いた口に舌をねじ込み、続く言葉のその先をも奪う。
381名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:56:27 ID:2wzYJUQE

 そして背中に回したままの手でホックを外し、その手を彼女の膨らみに押し当て、遮るもののない肌をまさぐった。

 ……柔らかいな。それに掴みやすい。

 程良い大きさの胸を揉み解している間にも、彼女の抵抗が止む事はない。細い五指が俺の肩を掴み、押し離そうと力を込めてくる。
「んっ……ふぅ……うん、ん……」
 ……いや、これは抵抗というよりも……ただ単に耐えているだけなのか?
 口内に押し込んだ舌で内側を撫で回したり、手の内に包んだ膨らみを刺激したりする度に、唇の隙間から小さく息が漏れ、彼女の手が俺のシャツの袖をぎゅっと掴む。
 さらに、時折開かれる目は、内から滲み出す熱のせいかじわりと潤み、どこかぼんやりとしているようにも見える。
 試しに舌を動かして彼女自身の小さなそれと重ね合わせてみると、ゆっくりとではあるが、俺の方の動きに合わせて舌を絡めてきた。
 そして唐突に動かすのを止め、唇を離すと、問い掛けるように顔を覗き込んでくる。「してくれないのか」と、せがむような瞳で。

 ……なんだ。結局その気になっているんじゃないか。
382名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:58:14 ID:2wzYJUQE

 半端に前屈みになったままの体勢がきつくなってきて、彼女の体を上方から押さえるようにして、背を少し曲げてみた。

「んっ……」

 こっちの負担は幾らか軽くなったが、代わりに洋子君の方が苦しくなってきたようだ。
 反らせた胸がさらに大きく上を向き、背もたれがぎしりと音を立てた。
 その音に驚いてびくりと震える彼女の肩をぐっと押さえ、そのまま体重を乗せるように覆い被さろうとした。
 ……この体勢でそんな事をすれば、後ろのデスクにぶつかるような形になってしまう。それ位分かりそうなものだが、正直この時は周囲の事など考えている余裕がなかった。
 そして案の定──

「きゃっ──」

 バランスが、崩れた。
 ぐらりと椅子が後ろに揺らいだ所ではっと気付き、背もたれごと洋子君の体を支えた。
「っ!!」
 しかし宙に浮くような形になった彼女の足を押さえてやる事は出来ず、重みが一気に傾いた椅子に加わり、俺は床に彼女を押し倒す形で倒れ込んだ。ついでに膝上に居座っていた『猫』をも振り落としてしまう。
 唐突に、実に思わぬ形で眠りから目覚めたヤツは、上手く体勢を立て直し、俺達から離れた場所からこちらを見つめている。
383名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 00:59:55 ID:2wzYJUQE

 ……猫が驚くと毛が逆立つとは聞いていたが、本当だったんだな。

「………すまん。大丈夫か?」
 俺の体の下にいる洋子君に声を掛け、目を向けた。特に怪我などはなさそうだが、やはりかなり驚いているようだ。
「あ……はい……」
 彼女は小さく頷き、戸惑いがちに俺を見上げてきた。さっき俺を引き止めたものと、同じ眼差しで。同じ訴えを込めて。
 仕方なく体を離し、洋子君が起き上がり、落ち着くのを少し待った。
 だが、いちいち場所を変えてやるつもりなどなく、彼女の背を壁際まで追い詰め、もう一度衣服の下の柔肌に手を伸ばす。そのまま顔を首筋の辺りに埋め、うなじをそっと啄んだ。
「ん……っ、せん、せ……」
 呼び掛けるか細い声が、耳に甘く響いてくる。
「ん……?」
「だから、その……──あっ」
 おそらくまだ抗おうとしているのであろう声を遮るように、胸の先端を指で擦り上げてみた。
 ……感じやすいんだな。もうだいぶ硬くなっている。

「ここで、する……のは……んっ……」
 もう一方の手をスカートの中の太股に這わせ、何度も撫で回す。温かくて、柔らかくて、心地良い。
384名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:01:34 ID:2wzYJUQE

 そのまま膝へ、脛へと動かして、その滑らかな感触を掌に刻み込みながら、彼女の肌が赤く染まっていく様を愉しんだ。

「……どうした?声が小さくて、よく聞こえないんだが」

 息が吹きかかるようにわざと耳元で囁いてやると、彼女はそれを振り払おうと首を振り、乱れる意識を整えようと、きゅっと唇を噛む。
 耐えている顔が堪らなく愛らしくて、もう少しそうしていて欲しいとも思った。
 だが、焦らしている余裕もあまりなく、腿に添えた手を秘部へと伸ばす。僅かに湿った下着越しに花弁を探り当て、指で擦り上げた。
「あっ……!や、やぁっ……」
 布越しでも感じてはいるらしいな。声の甘やかさが増している気がする。
 言葉を思うように紡げず、それでもふるふると首を振って抵抗の意を示している様がどこか儚げで、少し揺さぶってやりたくなった。
「嫌……?なら、そんな声を出したら駄目だろう」
 そう言いながら、秘唇の中心に指を突き立てた。下着の外から膣を弄ると、指を押し付けた箇所がじわりと水気を増す。
「……誘っているように見える」
 意地悪く言ってやると、否定の言葉を弾き出そうとしてか、俯いていた顔がぐっと持ち上がる。
385名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:03:45 ID:2wzYJUQE

 しかし膨らみを掴んで捏ね回し、秘所を愛撫する動きを幾らか速めるだけで、刹那睨むように強められた彼女の眼は一転し、再び潤みを帯びはじめた。

「んっ……ううん、ふっ……ぅん……」

 微かに開いた口から漏れる声は、柔らかくて耳に心地良い。あと少し攻めてやれば、落ちるだろうか。
 割れ目に下着を食い込ませ、膣口に触れていた指をやや上に持って行き、付け根の辺りにそっと擦り付けた。
 まだ分かりにくくはあるが、そこに確かに息づいているのであろう突起を探って動かしていく。
「ぃ……んっ……!」
 ……ここか。
「どうして欲しい……?」
 見つけた突起を刺激しすぎない程度に撫でながら、洋子君の頬に顔を近付けた。
 優しすぎる愛撫では足りないのか、俺の問いに答を出せずに戸惑っているからなのか、ルージュの唇が開かれ、それでも言葉を発さずに小さく動く。
 目で何かを伝えんとしているのは分かるが、それが何なのかまでは悟れない……続けて欲しいのか、それとも、まだ止めようとするのか。
「……言わないと、分からない」
 胸を揉み解しながら、彼女に次を促させようと試みる。甘い声を出さないようにとそろそろと息を漏らす表情が、実に艶やかだ。
386名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:05:40 ID:2wzYJUQE

 見ているだけで体が熱くなる。
「こ………ここじゃ、嫌っ、です……んっ……」
 やっとの思いで口にしたものと思しき、確かな抵抗の意。
「……上まで行っている時間が勿体ない」
 そう言って、彼女の願いをすぐさま拒否する。
「それだけ感じてるんだ。我慢出来ないだろう?」
 ……というか、俺が待てない。
「じゃ、じゃあ……せめて、書斎に──」
 言いかける洋子君の声を、下着の隙間に差し入れた指で秘部を掻き混ぜて遮る。
「はあぁっ!!」
 上擦った声と、指先に絡む生暖かい粘液とが、彼女の昂ぶりを明らかにしている。このまま最後までしても構わないだろう。
 それでも彼女の口から求めて欲しくて、秘所を音を立てて掻き回してみた。
 そしてもう片方の手で下着を脱がせ、腿からその上の双丘にかけてを撫でて追い撃ちをかける。
「んんっ……あぁっ、せ、せんせ……」
 さっきよりもずっと小さな呼び掛けに顔を上げると、白かった頬をすっかり上気させ、息を荒げる洋子君が視界に入った。
 涙を浮かべてとろんとした眼。ぴくぴくと震える睫。緩んだ口元に滲む唾液。内と外との熱に侵された頭には、その全てが自身を猛らせる要因となって──
387名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:07:25 ID:2wzYJUQE

「ひうっ!!ぃっ……ああぁっ……!」

 すぐ傍で、彼女が掠れた嬌声を上げた。
 勢いに任せて引っ掻いた陰核はぷっくりと膨れ上がり、彼女が達しても尚この指を滑る。
 それを弾く度にわななく開ききった脚が、俺を煽っているようにしか見えない。

 ………限界だ。

 彼女の言葉を待ってからにしようと思ったが、無理だ。今すぐ挿れたい。
 僅かに残る理性を働かせ、書斎のデスクから避妊具を取り出す。ついでにまだぐったりとしている洋子君を書斎内に運び込み、ソファーにそっと下ろしてやった。
 ベルトを外してズボンに手をかけ、その内側に息づく自身に触れた。
 引き抜いたそれは、中に血を上らせて硬くそそり立ち、快感を求めて疼いている。
 充分に勃起したそれをゴムの中に収め、意識を浮かばせたままの彼女の体を引き寄せた。
「ぅん……あ……」
 先端を入口に当てると温かい蜜がゴム越しに塗り付けられて、ますます頭の中が茹だってくる。
 洋子君はもはや何を言える状態でもないらしく、ただ成すがままに俺自身を受け入れようとしている。
 焦点の合わない瞳が、近付く俺の顔へと向けられる様が、とても愛おしいものに思えた。
388名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:09:24 ID:2wzYJUQE

「……っく……」

 彼女の腰を持ち上げ、少しずつ俺自身へと下ろしていく。
 下りてくる割れ目に亀頭を浸し、その奥の温もりの中へ。
 生暖かい彼女の胎内。膣壁はまだ解れておらず、俺をきつく締め付けて収縮するが、逆らうように下半身を打ち付けた。
「んっ……くあっ、あぁ……!」
 下からの律動に身を反らせ、声を震わせる彼女。達したばかりで力が入らないのか、動かす度にぐらりと揺れる華奢な身体を、腕と背を押さえてしっかりと支えてやる。
 それでも勢いをつけて突くと、耐えきれないのか俺の肩にくたりともたれかかってきた。
 耳元で響く彼女の喘ぎが、より濃厚な昂ぶりへと俺を誘っているように思える。
 すぐ傍にある赤らんだ首筋に舌を這わせると、そこにうっすらと滲んだ汗の味がする。
 その感触や匂いを感じ取るだけでさえ、今の俺にとっては快感だった。
「んはぁっ、あんっ!……せん、せぇっ……!」
 呼び掛ける声に顔を振り向かせると、頬も耳も真っ赤に染めた彼女と目が合った。
 少し上から見下ろすような形で俺を見つめ返すと、自ら腕を俺の背中に回し、ぎゅっと抱きついてくる。服越しとはいえ、柔らかい胸の感触が……堪らないな。
389名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:11:13 ID:2wzYJUQE

「随分、きつくしがみついてくるな……そんなに欲しかったのか?」

 強く突いてやった時の顔があまりにも淫らだったから、少し虐めてやりたくなった。
「んぁっ……!やっ……そんな……っ!!」
 髪が乱れる程首を振って否定する洋子君の声はしかし、艶めいて聞こえる。それに──
「……腰が動いてるぞ、洋子君」
「え、っ……?嘘ですっ……そんなの……!!」

 ……自覚していないのか?
 今はそんなに激しくしていないのに、ぐらぐらと揺れているような気がするんだが……まあ、いいか。
「──っく、あぁ……」

 ……熱い、な。

 この灼かれるような感覚が、膣内からもたらされるものなのか、暑気のせいなのか、よく分からなくなってきた。

 官能と、圧迫による苦しさと、目が回るような奇妙な感覚に、思考がついていかなくなる。

「……っ……く………」

 自身が果てたのと、意識を手放したのと、どちらが先だったのだろう。

 頭の中が真っ白になって……洋子君の甘やかな呼び声だけが、耳に、残って──

 ………………


 ………………………
390名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:12:59 ID:2wzYJUQE


  *  *  *  *  *


「………………」

 目を開けると、見慣れた天井が視界に入ってきた。
 まだぼんやりしている意識を起こそうとして頭を動かすと、またあの脳が痺れるような感覚に不快感を覚えさせられる。
 同時に額に乗せられたタオルの湿った冷たさにも気付き、気分の悪さが僅かながらも薄れる事に安堵した。
 視線をゆっくりと横に向けると、書類や本の散らばった机と、適当に書籍を詰め込まれた本棚が目に映る……あぁ、書斎か。

「気がつかれました……?」

 ぽつりと降ってくる、控えめな声。
 目線を下にずらすと、心配そうに洋子君がこちらを見下ろしていた。既に衣服は整えられており、行為の名残は見られない。
 動くと騒ぎ出す頭を押さえながら身を起こし、自分の方を確かめてみると、ベルトは外されて緩められてはいるものの、自身はズボンの中に収まっている。
 どういう事かと目で問うと、洋子君は赤くなった顔を少し伏せた。
 実は夢だった……なんて話にはならないようだな。

「……びっくりしました。先生、急に動かなくなってしまって」
「…………?」
391名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:14:33 ID:2wzYJUQE

 ……どういう意味だろうか。
 疑問符を浮かべる俺を見つめる彼女の表情は、どこか怪訝そうに見える。

「あの……気付いてらっしゃらないんですか……?先生、随分熱があるみたいですよ」

 …………熱?

 そう言われて額に手を当ててみると……成程、確かに熱い。道理で最近やたらと熱苦しい訳だ。
 少し前まで雨の降る中で調査をしていたからか……風邪でもひいたのかもしれない。

「……そんな状態で………あんな事なさるなんて……」
 呟くように小言を漏らす彼女の頬は、やはりまだ赤みを帯びている。

 ……そういえば、まだ途中のまま、眠ってしまったんだったな……

「………先生。腕を離して頂けますか?」
「さっきの続きを──」
「ダメです」

 ぴしゃりと言い放つ洋子君……手厳しいな。

「ちゃんと休んで下さいね。出来れば、上で」
 そう言って、彼女は書斎を出て行った。しばらくするとその外側からもドアが閉まる音が聞こえて、そこでようやく、もう彼女が帰る時間になってしまっていたのだと気付いた。

「………ふう……」

 ……満たされていないという訳でもないが、何となく物足りなさを覚える。
392名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:16:23 ID:2wzYJUQE

 お陰で、まだ微かに掌に残る柔肌の感触や、あの滑らかな髪の残り香に浸る羽目になった。

 彼女の名残をこの身に感じ取りながら、ぼんやりと部屋の中を眺めていると、がりがりとドアを引っ掻くような音がした。
 見るといつの間に入って来たのか、『猫』が書斎を出ようと躍起になっている。

「……………」

 ……うるさくてかなわんな。

 頭に響かないようにゆっくりとした動作でドアを開けてやると、待ち詫びた様子で事務所の中に入って行き、例の如く洋子君の椅子に身を落ち着けた。

 ……もはや見慣れた光景となってしまったが、あまりの遠慮の無さにかえって呆れるな。

 今にも眠りそうなヤツに背を向けて書斎に戻ろうとしたが、そのまま放っておいてやるのがどうにも癪で、つい口を開いてしまう。

「今度は、邪魔をしてくれるなよ」

「……………」

 聞こえているのかいないのか、ヤツは小さな欠伸でそれに答えた。
393名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 01:18:43 ID:2wzYJUQE
尻切れっぽいですが終了です。
394名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 08:17:23 ID:Bul1DG+8
スレがのびてるのでもしやと思ったら・・・
GJです!
395名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 20:50:44 ID:277mNxfY
猫に嫉妬するも神宮寺いいですね〜それにしても洋子さん色っぽい(´Д`;)ハアハア
GJです!
396名無しさん@ピンキー:2007/11/29(木) 21:26:01 ID:B1Yg5X3I
GJ!洋子さん(*´Д`)ハァハァ 
猫がいい味出してるw
397名無しさん@ピンキー:2007/12/11(火) 10:33:19 ID:sguHAaZO
保守
398名無しさん@ピンキー:2007/12/17(月) 18:23:03 ID:o/6EokIB
ほす
399名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 22:25:34 ID:P0S2jYMV
三郎もクリスマスくらい洋子さんとイチャこいてたりするのだろうか
400名無しさん@ピンキー:2007/12/24(月) 23:12:20 ID:zc2MIQ3s
イチャこくどこじゃないだろ
洋子さんとあんなことやこんなこと(´Д`;)ハアハア
そこに熊さんが登場
401名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 01:22:27 ID:uG9ld35p
>>400
つまりそれは




「あぁ!……あっ……!せ、先生……っ。私っ……もう……」
「……くっ、よ……洋子君……このまま、中に……」
「んっ……!く、下さい……先生の……全部、中に……!!」


 ガチャ。


「ほほ〜い、熊野サンタじゃ───……」


 ……………………


「ふもっっ!!!」




こうですか?
402名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 13:44:43 ID:QbWjJUle
そして熊さんを見て射精してしまったサブロー不覚
403名無しさん@ピンキー:2007/12/25(火) 13:49:35 ID:YZ6huT+v
>>401>>402
ワロタw
404名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:12:00 ID:42zBppkr
保守
405名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 16:23:25 ID:qhhH1/Yk
支援
406名無しさん@ピンキー:2007/12/27(木) 22:31:47 ID:E8n2XU0k
保守ありがd
最初何が起きてるかわからんかったが、恐ろしいことになってたのね
407名無しさん@ピンキー:2008/01/05(土) 02:10:28 ID:DnCS9ddz
保守
408名無しさん@ピンキー:2008/01/08(火) 22:50:13 ID:7+lPt9XY
浮上
409名無しさん@ピンキー:2008/01/16(水) 00:40:36 ID:MfmvElTG
保守
410名無しさん@ピンキー:2008/01/23(水) 22:00:36 ID:HDsgA7WJ
ほす
411名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:20:11 ID:D6ivn0BF
短いの置いときます
アカイメノトラ後の神宮寺×洋子という感じでよろ
ちょっと暗めですが……
412名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:21:40 ID:D6ivn0BF
「……ぅん……ん、ふう……」

 薄闇の中に響く、甘やかな女の声。
 それに応えるように荒くなる男の指の動きと、低い呼気。
 シーツの上で絡み合う身体は互いに火照り、奥底から湧き出る情欲を明らかにしていた。

 男が柔らかな膨らみを揉み解しながら女の首筋に鬱血の痕を刻むと、彼女は小さく息を吐き、広い背中を優しく撫でた。まるで、慰めるように。

 それでも男の愛撫は決してその強さを留めず、押し潰すように彼女の胸を覆う。
 痛みに呻きながらも、女はただ黙って彼のなすがままになっていた。
 そうする事でしか、男の心を安らがせる事は出来ないと分かっていたから。

「んん……くっ、あぁっ……!」
 秘所にまで行き届く彼の指の温もりに、その愛撫の巧みさに、女はやはり艶を含んだ声を上げる。
 蜜を垂らして震えるそこを弄られて、頂きへと押し上げられてしまうと、理性が溶け出して淫らな言葉さえ口にしてしまいそうだった。
413名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:23:21 ID:D6ivn0BF
 だがそれでも、男に向けられた彼女の眼差しには、求められる事に対する悦びよりも、どこか寂しげで憐れむような色が濃く映っている。
 そして男の目に宿るのもまた、女に対する愛情やいたわりよりも深く、憂いにも似た鬱々とした感情を含むものだった。

 彼女は気付いていた。
 今、彼の想いが向けられているその相手が、自分ではない事に。
 そしてその女性はきっと、もう二度と彼の手の中には戻らない。
 だから彼は、欠けを補いたくて"別の誰か"を抱いている……自身の胸中の寂しさを紛らす為に。

「うっ……く……」
 血を上らせた男の棹を膣で深々と受け止め、彼女は堪えるような声を漏らした。
 速まる男の腰の動きに合わせるようにして、柔らかな肢体を厚い胸に押し付けて温もりを重ねていく。
 その感触が心地よくて、愛おしくて、思わず男に呼び掛けようとして、女は唇をきゅっと閉じた。

 ──呼んではいけない。今この人が想っているのは、自分ではないのだから。

 だからこそ行為の最中、この人は一度も自分の名を呼ばないのだから。
414名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:25:28 ID:D6ivn0BF
「はぁっ……!あう……ん、んんっ、くうぅ……っ」
 中を掻き回す動きが激しくなり、女の感じやすい箇所を強く刺激してくる。
 突き上げられる度に上がる彼女の声は、次第にか細いものに変わっていく。
 "自分"を求められている訳ではないと分かっていても、こうして体を繋いでいるだけでも十分だと思っている自身に対して、女は哀憐の笑みを浮かべた。

 彼女が彼に抱かれるのは、これが初めてではない。
 だが、男の方から求める言葉を口にする事はこれまでに一度もなく、現に今も、彼女に促されて肌を重ねている……表向きは。
 彼が温もりを欲しがっているであろう時に、彼女から手を差し出して、抱きとめる。
 それが、いつしか二人の間に築かれていた関係だった。

 大切にしているのだという事を態度では示すものの、望んでやまない時にさえ、男は彼女に自分から手を伸ばそうとはしない。
 過去の負い目から来るものだという事も薄々気付いてはいたが、それは尚更彼女を哀しませる。
415名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:27:32 ID:D6ivn0BF
 これは愛し合うが故の営みではなく、心の虚を体で満たそうとするだけの不毛な行為でしかない。
 分かっていても、彼女は自分の在り方を変えられなかった。
 こちらから手を伸ばさなければ、彼は独りで遠くへ行ってしまうような気がしたから。

「……………」

 腰を止めぬまま、男が何事か小さく呟いた。
 それからあまり間を置かない内にその体がびくりと震え、唐突に律動が収まる。
 頂きに行き着いて息を詰まらせる男の体を抱き締めながら、女は先の彼の言葉を反芻した。

 ──すまない。

 抱かれる度に告げられる謝罪の言葉。
 そんなものを望んで傍にいる訳ではないのに。

 女は男を抱く腕に言葉にならない想いを込め、そっと目を伏せた。


 もしこの先もずっと、こんな形でしか交わる事がないのなら……
 この人が傷ついて俯いた時にしか、求められないのなら──

 いっそこのまま、朝なんて来なければ良いのに。
416名無しさん@ピンキー:2008/01/26(土) 22:29:16 ID:D6ivn0BF
終了です。
417名無しさん@ピンキー:2008/01/27(日) 22:03:44 ID:woiBOGf6
おおGJ。切ない話だ・・・
418名無しさん@ピンキー:2008/01/29(火) 19:48:49 ID:1rzBE34m
>>416
せ、切なすぐる…
悲しみがひしひしと伝わってきますね
GJです!!
419名無しさん@ピンキー:2008/02/01(金) 03:52:14 ID:wcwzHNNn
神宮寺はいつものように朝から洋子を犯していた 「せ、せんせぇ!やめてください!」そんな洋子の言葉も神宮寺には聞こえない(ふぅ…今日も仕事なしか…)


翌日もう耐えられなくなった洋子くんは事務所から出て行った



〜BAD END〜
420名無しさん@ピンキー:2008/02/02(土) 20:12:12 ID:LXY/LgxP
そういえばこのスレって保管庫あったっけ
421名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:15:24 ID:fxOx1O+X
小ネタ置いときます




 一日の調査を終えて事務所の前まで辿り着いた頃には、既に日は落ちていた。

 明かりの点いた事務所の窓を見上げると、安堵の為か溜め息が零れた。
 こんな寒い夜は、洋子君の淹れてくれるコーヒーで暖まるに限る。
 早く中に入ろう。

 ・どうする?
  移動する→事務所

 事務所へのドアの前まで来ると、中から話し声がするのに気付いた。
 何やら談笑しているような声から、それなりに親しい関係の者同士の会話なのだと分かる。
 一人は洋子君だろうが、もう一人は……

 ・どうする?
  聞く

「随分…………たまってるんですね……熊野さん。すごく、硬いです」
「………ここ最近は休む間もなかったからのう……じゃあ、よろしく頼むよ」

 相手は熊さんか。
 ……しかし、一体何の話をしているんだ?ここからではよく聞こえないが……

 ・どうする?
  聞く

 俺はドアに顔を近付け、耳を澄ませた。

「……うむ……なかなか……上手いな、洋子君……」
「こことか、どうです……?」
「おお………これは……」
「この辺りは………?」
「おっ……その、もう少し横の方を……」
「こう……ですか?」
422名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:17:52 ID:fxOx1O+X
「あぁ……そんな感じだ……気持ち良いよ、洋子君」

 ……まさか二人は………そういう関係だったのか?
 しかし、わざわざ事務所でしなくても良いだろうに。

 ………入るに入れないじゃないか………

 ・どうする?
  聞く

 ……とりあえず、もう少し待ってみよう。
 収まったところで中に入れば何も問題ない……そうだ。平静を装っていけば、何も問題はない筈だ。

「……どうです?熊野さん」
「いやぁ……本当に上手だの。たまに娘にやってもらう事もあるんだが、大違いだわい」
「そんな……でも嬉しいです」

 ……今、何て言った?娘?
 まさか、娘さんにまでいかがわしい事をさせているのか……?

「よし、じゃあ今度はワシにもさせてもらおうか?」
「え?いえ、私は……」
「まだ神宮寺君も帰って来んし……のう?」
「でも私、本当に………あっ」
「………どんなもんかの」
「……あ……すごい……」
「じゃろ?」
「そこ……ん……すごく……気持ち良いです……」
423名無しさん@ピンキー:2008/02/06(水) 23:20:47 ID:fxOx1O+X
 ………………

 これは……時間がかかりそうだな。
 何よりこれ以上ここにいたら、二人とまともに顔を合わせる自信が無くなりそうだ。
 「かすみ」で少し飲んで来るか……



  *  *  *  *  *



「……ありがとうございました。お上手なんですね、肩揉み」
「なぁに、洋子君には及ばんよ。やはり書類仕事をしていると、結構凝るもんじゃろう?」
「そうですね。お陰で肩が軽くなりました」
「それにしても遅いのう、神宮寺君」
「ですよね……もうそろそろ戻って来られても良い時間なのに……」






三郎の誕生日にこんなものを書いてしまった自分をお許し下さい。
424名無しさん@ピンキー:2008/02/07(木) 22:15:28 ID:jFNCJGWx
>>421->>423ちょっw神宮寺妄想しすぎwww
GJです!
そうか昨日は神さん誕生日だったね…遅ればせながら神さんおめでとう
425名無しさん@ピンキー:2008/02/09(土) 21:16:00 ID:tbTT40rF
>>420
多分ないと思う
426名無しさん@ピンキー:2008/02/12(火) 22:04:50 ID:DGyopKVD
これは?携帯だけだけど
ttp://courseagain.com
427名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 18:34:09 ID:dLOLwVFQ
>>421-423
さすが探偵は妄想力があるw
428名無しさん@ピンキー:2008/02/16(土) 00:14:54 ID:Vi5v39sV
>>425
総合保管庫に頼む?
書き手諸氏が保管を望まないなら無理だけど
429名無しさん@ピンキー:2008/02/18(月) 19:07:58 ID:PhM2pTS8
ここでよく書かせて頂いてる者ですが、読み手の方々さえよろしければ総合の方に保管して頂いて構いません。
というか保管のしかたがわかりませんのでその方がありがたいです。
どれを投下したかも書いた方が良いんですかね?
430名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 15:19:44 ID:ga6+1Fad
いったん全部保管してもらって保管やめてほしいって人のだけ後から削除でいいんでないか?
もういない書き手さんもいるだろうし確認のしようがない。
431名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 15:22:47 ID:qD4rk6dw
>>347-350を投下した者です。
途中の作品で申し訳ないが保管するしないはお任せする。
432名無しさん@ピンキー:2008/02/22(金) 21:20:45 ID:N/YPQ0+z
連続書き込みだが上の者です。実は保管の話ついでにファイルを見たら続きを書きたくなったので書いた。
完成したので投下。エロさはあまりないが艶みたいなのを感じてもらえれば…。
1〜4は>>347-350を見てくれ
433神宮寺×洋子「必要」5:2008/02/22(金) 21:22:49 ID:N/YPQ0+z
 さらに指を下へと滑らせていき、割れた腹筋をなぞる。体力勝負の探偵業であるのは知っていたが、正直、神宮寺がここまで鍛えられた体をしているとは洋子も思っていなかった。
 突如襲いくる快感に洋子はおもわず神宮時のシャツを握り締めた。
 ブラジャーをずらした神宮寺が舌を胸の突端へと這わせているのだ。歯で噛み、ときに舌で舐め、さらには指でつまむなど、意外と多彩だ。
「先生、そこばかり……」
「洋子君、手を下ろしてくれないか」
「あっ、はい」
 言われた通りに洋子は手を下ろす。
 神宮寺の手が器用に洋子からブラウスとブラジャーを抜き取った。
 その場に放り投げでもするのだろう、と洋子は思っていたのだが、神宮寺は足元のバッグを拾い、わざわざ歩いて椅子の背にそれらをかけたのだ。
 だらしない神宮寺をよく知る洋子にとっては、彼の行動は意外すぎておもわず笑いがこみあげてきた。
 戻ってきた神宮寺にも洋子の笑いの意味がわかったらしい。
「服のしわにはうるさい助手がいる」
「わかっていらっしゃるなら……」
 こんな場で説教するのか、と言うかのような神宮寺の表情の変化に、洋子は言いかけていた言葉を収め、神宮寺へと近づく。
「先生のシャツもしわになってしまいますから」
「……そうだな」
 神宮寺のシャツを脱がせ、きちんとたたんで椅子へと置く。
 後ろから神宮寺が洋子を抱きしめてきた。何も邪魔するもののない胸の先端は、まだ先ほどの快感を忘れてはいない。
 洋子の突起を神宮寺の指がとらえる。もう片方の手が洋子の太ももを撫で上げ、指先が秘所に触れる。下着の上からではあったが、洋子にも、くちゅり、と水音が聞こえた。
 下着がわずかにずらされ、神宮寺の指が秘所を何度も撫でる。
 下半身を襲う快感に耐えられず、洋子は事務所の大きなテーブルに上半身を預けた。
 倒れる不安がなくなったとたん、秘所へ全ての意識が集中する。神宮寺の無骨な指の感触がはっきりとわかる。
 神宮寺の指が秘所の中へ入り込んだ。ぐるりとかき回し、すぐに抜き取られる。何かを確認したようだ。
434神宮寺×洋子「必要」6:2008/02/22(金) 21:23:25 ID:N/YPQ0+z
 背後で神宮寺がベルトを外す音が聞こえた。
 あわてて洋子は下半身を疼かせたまま体を起こす。
「先生……後ろからでは嫌です。顔を見せてください」
 立ち上がって神宮寺と向き合うと、秘所から一筋の液が伝い落ちるのがわかった。
 ベルトをはずす動作を中断した神宮寺が、すまない、と言って洋子を抱えあげる。
 しばらく神宮寺の腕の中にいた洋子は応接室のソファへと下ろされた。
「少し、待っていてくれないか。すぐ戻る」
「はい」
 その言葉通り、神宮寺はすぐに戻ってきた。手にはコンドームを持っている。
 この事務所のどこにそんなものを置いていたのだろう、と洋子は不思議に思ったが、直接訊ねるほど気の利かない女ではない。下着とスカートを脱ぎ、じっと神宮寺なりの『準備』が終わるのを待つ。
 やがて、神宮寺の手が洋子の足を開かせはしたが、彼はそれ以上体を進めてこない。
「君は……後悔しないか?」
 そう呟く声に、神宮寺のためらいを感じた洋子は問い返す。
「先生こそ、後悔なさいませんか?」
「いや」
「私もです、先生」
 秘所にあてがわれた神宮寺のものがゆっくりと中へ入ってくる。
 破瓜の痛みはもう昔に済ませたが、それとは別のちくりとした痛みが洋子の心へはしる。恋情のないままに行為に及んだことへの悲しみだろうか――。
 神宮寺が顔をしかめる。洋子はそっと彼の頬へ触れた。
「先生、大丈夫ですか?」
 挿入されているのは自分だというのに、洋子は気づけばそう聞いていた。神宮寺のほうが苦しんでいるのはないか、と思ったのだ。
 神宮寺の指が洋子の髪の中をすべる。
「大丈夫だ」
「私も大丈夫ですから、我慢なさらないでください」
「すまないが……」
 神宮寺の言葉は途切れた。
 ゆっくりと洋子の中で神宮寺が動き始める。
 神宮寺が動くたび、洋子の中にある快感と切なさがかき混ぜられていく。愛しい男のものを秘所で締め付けることで、洋子は密かな想いを示した。
 互いの吐息と、重なる箇所から漏れる水音だけが室内に響く。
 言葉には出さないが、二人は恋人のように体を、腕を絡ませていた。
435神宮寺×洋子「必要」7:2008/02/22(金) 21:23:55 ID:N/YPQ0+z


 果てた余韻もおさまった頃、洋子はゆっくりと体を起こした。太ももや秘所にまとわりついていた液はすでに拭き取られていた。
 ソファの近くに置いた下着とスカートを履いたはいいが、上半身を覆うものは事務所の椅子に置いている。洋子は胸を押さえて仕切りの向こうへと移動した。
 神宮寺はすでにシャツを羽織り、椅子に座って紫煙を吐き出している。
「洋子君?」洋子を見て驚いた神宮寺だったが、椅子にかけられたブラウスに気づいた。「俺は上へ行こう」
 戸惑いの表情のまま、灰皿で煙草をもみ消した神宮寺が、マルボロとジッポを手に立ち上がる。先ほど全てをさらけだして抱き合った後とは思えない。いつもの神宮寺がいた。
「あの、先生」その背に洋子は呼びかける。「私は……必要ですか?」
 神宮寺の背が緊張に固まった。
 洋子は恋愛の意味も含めて『必要か』と聞いたのだが、まだ、神宮寺の中にその答えはないのだろう。
「あの……助手として、私は必要ですか?」
 質問を変えた。
 ふっと神宮寺の小さな笑みが背中ごしに聞こえてきた。
「ああ、もちろんだ」
 不思議と洋子の中で安堵が生まれる。
 神宮寺だけでなく、自分もまだ関係の変化を望んではいないのかもしれない。
 階段を上がっていく神宮寺を見送った洋子は、愛しい男が残した胸の痣にそっと指を這わせた。


 ◇終◇
436名無しさん@ピンキー:2008/02/23(土) 20:32:45 ID:XccX/q0J
>>432
続きktkr!!
二人らしさが凄く出てて良かったです。
ごちそうさまでした。
437名無しさん@ピンキー:2008/02/25(月) 01:34:12 ID:i+0OdGaP
おお、続きが来た!GJ!
438429:2008/02/27(水) 21:57:53 ID:5oj0Fpel
以下のものを書かせて頂きました。

>>22-35
>>42-48>>52-60
>>70-78>>84-95
>>100-103>>236-246
>>121-136
>>152-174>>201-223
439429:2008/02/27(水) 22:00:10 ID:5oj0Fpel
>>262-289>>306-318
>>333-337
>>370-392
>>412-415
>>421-423

行が同じものは続きもの、視点を変えたものです。
保管の際はよろしくお願いします。


アンカー大杉で書き込めなかったので2レスに分けさせてもらいました。
440名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 00:14:23 ID:e+giAV5b
保守
441名無しさん@ピンキー:2008/03/12(水) 20:08:02 ID:LMMi8ruK
http://sslibrary.gozaru.jp/
保管庫に収録されました
442名無しさん@ピンキー:2008/03/18(火) 01:03:07 ID:9elJfblc
保守age
443名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 19:37:15 ID:+zbMqX4e
保守
444名無しさん@ピンキー:2008/04/01(火) 03:23:31 ID:17fAkmYw
445名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 14:12:08 ID:mTGLmtSx
  V      ヽ/::::::::::::::/|:::::::/ i:::::/ |:::::::l!:::::.:.:.:.:.:.:.:|::| ヽ:::::i ヽ::::::::::i:::::
 /       ヽ:::::::::::/ |:::::/   !:::i  |::::::|!:::::::.:.:.:.:.:イ::|  ヽ::| ヽ:::::::l:::::
 l         i::::::::::/ |:::/   |:::l  .',::::| ',:::::::.:.:.:.:} |:l   |:l|_-‐|::::::|::::
 l     /  / !::::::/ ̄l::/ー-、_ l::l  l::::| ',::::::.:.:./_l:l-‐‐´リ_   ',:::::!:::::
、    //  /:\:ヽ{ -_リニ=-、__レ―-',::|  i::::.:.:ソ-メ┬ァfミテ=-テ/:::::
.ヽ、  -´/ //}:::::\〈 ̄イノfゥ‐テ-ァゝ_ ‐ヾ、.}:::::./夂了_:::::::::リ  /イ::::::
  ヽ /-‐ニ ヽ::::::{` { `ヽ,:::::::リ` ヾミ   ///  〈´ノ:::ん   |:::::::::
  -{  ヾ´   ヽ::::ヽ  ヾ弋ニソ     /     ヾニソ    ,'::::/:
/ ヽ       ノ::::::ヽ `ー‐--‐          `ー― ´  /:::/::::
  / ヽ     /ヽ、::::.\                     /イ::::::
  /  ヽ   人ヽ::::::..\:.:ヽ                 //./:::::.:.
. /    ヽ /  ヾ、::::.:ヽ \ヽ、        〉     / ´  /::::::.:.:.
./     ヽj   ヽ:::::.:.ヽ、 `ー=-、     _     ´   _/:::::.:.:.:.:/
i            ゝ:::.:ヽ\        ヾニシ       , イ/::::.:.:.:/: < ふん、何さ!
l_
446名無しさん@ピンキー:2008/04/08(火) 14:12:37 ID:mTGLmtSx
すみません。間違えました…
447名無しさん@ピンキー:2008/04/10(木) 23:33:32 ID:N8j6E/Od
イノセントブラックで神宮寺の助けが遅れて洋子が
犯されてしまうの読みたい。吊るされた姿がエロかったので。
その後神宮寺の慰めエッチとか。
448名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:22:42 ID:4n5W/GSG
アプリの真偽の狭間の後日談的なものを書いてみたので投下します。
アプリやってない方にはよく分からない所があるかもしれませんが……

・ヤキモチ妬いてる洋子さんなんてっ……な方はスルーお願いします。
449名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:23:57 ID:4n5W/GSG
「お帰りなさい、先生」
 ドアを開けると、洋子の穏やかな声が神宮寺を出迎えた。
「ただいま……」
 神宮寺がそれに応えて室内に入ると、洋子は席を立ち、彼の椅子をそっと引いた。
「あまり気を遣わなくて良いよ」
 苦笑しながら椅子に腰を落とす神宮寺の動きはしかし、いつもより鈍い。

 暫く前の事件の際に負わせられた傷は、まだ癒えていない。
 それでも平気そうな様子で外出してしまう彼を見ていれば、心配するなと言う方が無理がある。
「もう少し休まれてからでも、よろしかったんじゃないですか?」
 コーヒーを淹れようとミニキッチンへ移動しながら、洋子は気遣うように問い掛けた。
 マルボロの箱を取り出しながら、神宮寺は彼女に答える。
「あまりのんびりしてもいられないからな……この前もタダ働き同然だったし」
 いや、寧ろマイナスか……などと一人ごちながらジッポを手に取る神宮寺を、洋子は咎めるように一瞥した。
 それなりの怪我をしている時に煙草を吸おうとすると、彼女はいつもこんな風に怒って見せる。
 だがそれで自重するような彼ではないので、彼女がコーヒーを淹れ終える頃には、事務所内には紫煙の帯が幾つも漂っていた。
450名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:25:40 ID:4n5W/GSG
「……………」

 溜め息をつきながら、洋子は彼の前にコーヒーを差し出した。
 彼女の眉尻が上がり、形の良い唇が僅かに突き出される。
 見慣れた"小言の兆し"を察知した神宮寺は、先手を打つべく口を開いた。
「今日は泊まっていかないか?洋子君」

 動きかけた唇が刹那固まり、その表情は不満から驚きへ取って変えられた。ひとまず受難からは逃れられたようだと、彼は心中で息をつく。
 しかしすぐ後、頬を赤くし、今度は少し困ったような顔をして洋子は言葉を返した。
「……そんな怪我してらっしゃるのに」
 神宮寺は離れていこうとする腕をそっと捕らえた。
「つれないな」
 苦笑いを浮かべながら、煙草の灰を灰皿に落とす。
「……最近は、ふられてばかりだ」
 笑みの形が、微かに歪んだように見えた。

 洋子はどう答えて良いか分からず、とりあえず掴まれていない方の手に持っていたトレイをテーブルに置いた。
 彼が思うような態度を、彼女はあからさまにとった訳ではない。
 しかし、触れてくる掌や抱き締めんとする腕を、時折かわしていたのは事実だった。
 彼女自身すら意識していない何かが、彼の事を避けているようにさえ、彼女には思えた。
451名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:27:03 ID:4n5W/GSG
「これ以上、具合が悪くなったらどうするんですか」
 不確かな気持ちに理由をこじつけるように、洋子は言った。出来るだけ柔らかく、拒んでいる訳ではないのだという事を伝えんとするように。
「……あまり溜め込んでおくのも体に悪いんだがな……」
 ぼそりと際どい言葉を零す神宮寺に、洋子は思わず耳まで真っ赤になった。
 その言葉の意味が分からぬ程初心ではないが、自分でしろなどと言える程無粋でもない。
 固まって何も言えずにいる洋子の肩を引き寄せ、彼は追い撃ちをかけるように耳元に囁く。
「………ダメか?」

「……………」

 肩に乗せられた手をそっと離すと、洋子は自分のデスクの上に広げられていた書類をまとめだした。
 神宮寺が答を求めて見つめる間にも、ただ黙々と机上を片付けていく。
 彼女の頬と耳の赤みが薄れる頃にはデスク上は綺麗に片付き、そこでようやく彼女は口を開いた。
「……着替え……取りに行ってきます」

 一言だけ残して、洋子は事務所を後にした。
 彼女の去ったドアから、手に持ったままの煙草に視線を移すと、灰が落ちかかっている事に気付いた。すっかり短くなってしまっている。
 煙草の穂先を灰皿に押し付ける神宮寺の口端が綻んだ。
452名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:28:25 ID:4n5W/GSG
 ──軽く揺さぶっただけで、随分可愛らしい反応をしてくれるな。

 神宮寺は少し冷めたコーヒーに口をつけ、その程良い甘さを味わった。
 お預けをくらっていた分を堪能したくて逸る自身を、押さえ込みながら。


  *  *  *  *  *


「あまり激しくしすぎるのは、ダメですからね」

 お互いそれなりの準備をして寝室に入ると、洋子はすぐにそう言って神宮寺に釘をさした。
 神宮寺はベッドに腰を落ち着けながら、少しの間彼女の顔を見つめていたが、次に吹き出すように苦笑した。
「久しぶりにするのに、それか」
 洋子は下層への階段の側に佇んだままで、神宮寺の所まで行こうとはしない。
 まだ、その気になった訳ではないようだ。
「先に言っておかないと、加減してくださらないじゃないですか」
「……………」
 神宮寺の沈黙と視線に、洋子は眉間に皴を寄せて答える。
 彼の応答が得られねば、この先には進むまい。そんな意思を込めた目をしていた。

 ふ、と息をつき、神宮寺は肩をすくめた。お手上げだとでも言うように。
 それを確認して、彼女はようやくベッドの方へと歩を進める。
453名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:29:38 ID:4n5W/GSG
 何度か行為を重ねた身とはいえ、こうしてこの場で向き合う事はまだ、彼女には照れがあった。
 故に今もまた、神宮寺の前まで来たところで立ち止まり、彼から動いてくれるのを待っていた。

「……洋子君」
 しばらくすると、神宮寺は少し怪訝そうに呼び掛けてきた。
「どうかしたか?」
「え……」
 それはこちらの台詞だ、と洋子は思った。
 いつもならとっくに押し倒されているのだろうに、手すら出してこない。
 その意図を見通しかねていると、彼はもう一つ問い掛けてきた。
「してくれるんじゃないのか……?」

 そこでやっと洋子は、神宮寺が彼女から動くのを待っていたのだと分かった。
 彼女の躊躇に気付いたのか、彼は口の端を僅かに緩ませた。
「俺がしたら、加減がきかないんだろう?」
 そう言ったのは君だと笑う神宮寺を、洋子は少し不満げに見つめたが、やがて彼のシャツへと手を伸ばした。
 風呂上がりである為、ネクタイとサスペンダーは身に付けていない。
 その為脱がせやすくはあるのだが、どうせ着替えるのなら寝着を着れば良いものを、と思いながら、洋子は襟元に手をかける。
454名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:30:58 ID:4n5W/GSG
 間近でただじっと向けられている神宮寺の視線に緊張と気恥ずかしさを覚えるせいか、彼女の指の動きはぎこちない。
 ひとつひとつ、ゆっくりとボタンをはずしていく洋子に焦れたのか、神宮寺は彼女の顔を自分の顔へと向けさせ、互いの唇を触れ合わせた。
 思わず手を止める洋子に気付いて、神宮寺は顔を僅かに離し、軽く目配せした。続けてくれ、と言うように。
 洋子は乱れかけた息を整えると、再びボタンをはずしにかかった。
 しかし重なる唇の少しかさついた感触に、吹きかかる吐息の温かさに、だんだん心を奪われ、指先が震える。
 全てはずし終えて神宮寺を見つめると、彼は唇を離して洋子を促した。
 察して彼女は前を開き、シャツの内側の温もりに顔を寄せる。
 引き締まった肌に浮かぶいくつかの黒い痣に目が行き、洋子は眉をひそめた。
 前に手当てした時より少しは薄くなっているものの、痛々しい事に変わりはない。
 躊躇いがちにそこを撫でながら、洋子は呟いた。
「……先生。薬、ちゃんと塗ってませんね」
 あまり良くなっていないみたい、と後に付け加える。
「……後でつけておく」
 洋子の表情から咎めの色を読み取ったのか、神宮寺はそう言って苦笑いした。
455名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:32:11 ID:4n5W/GSG
 多少の手当てで十分な状態になれば、彼女の手を借りる必要もない。
 だが、いざ自分でするとなると、面倒になってつい疎かにしてしまうのは、彼の悪い癖だった。
 洋子は呆れたような溜め息をつきながらも、神宮寺のシャツを脱がせ、まだいくらか腫れている箇所や傷にそっと指を這わせた。
「痛くないですか……?」
「いや」
 神宮寺を気遣いながら肩や胸に手を伸ばし、優しく摩っていく。
 頬を擦りつけながら彼の身体の端々に目を向け、そこに刻まれた生々しい暴力の痕を慰めるように口付けていった。

 首元に顔を近付けたところで赤みを帯びた箇所を見つけると、洋子の動きが止まった。
 先程までのいたわるような触れ方とはやや違う、恐る恐るといった様子でそこに触れ、確かめようとする。
 その動作に戸惑いを覚えたのか、神宮寺が様子を窺うように彼女を見下ろしてきた。
 問い掛ける視線を感じると、洋子は少しばつが悪そうにそこから顔を離した。

 首筋の辺りに残されていた、小さな痕。
 よく見る事は出来なかったが、それは情事の際にお互いに刻み合うものと似ているように思えた。
 だが、ここ数日夜を共にする事のなかった彼女に、それをつける事など出来ようもない。
456名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:33:26 ID:4n5W/GSG
 洋子の心の内に、最近よく胸をよぎる不可解な感情が込み上げてきた。
 同時に思い返されるのは、先の事件の時、連絡が途絶える前にかかってきた電話の内容──


  *  *  *  *  *


「……実は、アクシデントで、綾香と酒を飲む事になったんだ」
「お酒を?」
「あぁ……もちろん、俺は身分を隠していたがな…………その後、酔い潰れた綾香をホテルに運んだんだが……」
「ホテルにですか………?」
「あぁ……彼女が今、どこに住んでいるか分からなかったし、事務所に連れて帰る訳にもいかなかったからな」
「そうですか……」


  *  *  *  *  *


「……………」
 自分が危惧しているような事は、彼に限って有り得ないと思ってはいる。
 ただ、端からみると彼の行動は少々危ういものだったと思えなくもなかった。
 初対面の、しかも泥酔している女性をホテルに連れて行くというのは、流石に洋子も素直に認める事は出来ない。
 それに、やむを得ぬ状況であったとはいえども、懐に踏み込み過ぎてはいなかっただろうか。
457名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:34:46 ID:4n5W/GSG
 相手は何人もの男性を謀り続けてきた詐欺師だ。
 そんな女性の唐突な誘いに乗った上に、薬を盛られて逃げられるというのは、彼にしてはあまりに油断が過ぎる──

「……ん……」
 あれこれと思考する洋子の体が、ぴくりと震えた。
 慰撫の手を止めたまま動かない彼女の寝着を脱がせながら、その内の素肌を神宮寺の掌が撫で回している。
 その動きはささやかなもので、やはり彼女の方を窺うような愛撫だったのだが、洋子はそれに応えるでもなく、彼の胸に体を寄り掛からせたまま、ぼんやりとして動かない。

「……………」
 行為の最中に、余所見をされて気分の良い男などいない。
 神宮寺は寝着の下から腕を背に回し、もう一方の手で前を大きく広げ、やや強引に衣服を剥ぎ取った。
「あっ」
 急な動作に戸惑って、洋子は小さく驚きの声を漏らす。
 ぐらりと傾きそうになる細い体を横に倒し、ベッドに沈み込ませると、神宮寺は押さえ付けるようにその上に覆い被さった。
 思考の淵からいきなり引き戻されて目を瞬かせる洋子に、低い声で問い掛ける。
「……何を考えてた?」
458名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:35:50 ID:4n5W/GSG
「え──あっ……」
 神宮寺に正面から見つめられ、胸中の苦い感情を殊更に意識してしまい、言葉が出てこなかった。
 それでも脳内はいかにもまともな返答をすぐに弾き出し、彼女の口を開かせた。
「あの………やっぱり、やめませんか?ひどい怪我ですし……」
 疑念を抱いたままで抱かれる事に、どこか後ろめたさを感じた洋子はそう言った。
 自分を捕らえて離さない彼の視線から顔を背けながら身を捩じらせるが、重みと力は揺るがない。
「今更それはないだろう……」
 溜め息混じりの言葉と共に、彼女への愛撫が再開される。
 先程までとは違い、荒っぽさが含まれる手の動きに、洋子は官能を覚え震える心身を抑えようと試みた。
 しかし何度も事を重ねれば、相手の感じやすい場所にも自ずと気付く。
 大抵攻めに徹してきた彼の愛撫は、それ故彼女の意識をた易く快感の内に誘い込んだ。
「あ……ぅん、っ……」
 首筋に舌を這わせられ、背中を指でつと撫でられ、洋子はぞくっと身震いする。
 脱力した体は押さえ付ける必要がなくなり、神宮寺は空いた手を夜着のズボンの中に入れた。
 下着の内側の秘裂をなぞり、開かせる指に篭りそうになる力を抑えて、彼は膣を解しにかかった。
459名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:37:04 ID:4n5W/GSG
「んっ、あ……あぁっ……」
 肉壁に指先を擦りつけて抜き差しを繰り返す度に、彼女の声色に甘さが混じる。
 片手の愛撫を止めぬままになだらかに括れた腰を撫でると、洋子は背筋をぴんと反らせ、息を詰まらせた。
「……どれだけ我慢したと思ってるんだ」
 愚痴るように零す神宮寺の指が、秘所で湿った音をたてて動く。
 少し苦しげな彼の声から、本音を語っているのだという事が分かる。
 盛んに求めるような歳でもないだろうから、暫く前に洋子と寝て以来、誰にも手を出していないのかもしれない。
 そんな風に思ったら、洋子はほんの少しほっとした。
「怪我が気になるなら、君が動いてくれればいい」
 気の緩んだ所を突いたかのように、神宮寺は言った。
 とろりとした蜜を指に纏わせる程に秘部が解れたのを確認すると、彼は手をそこから離し、体を起こす。
 快感の余韻から、なかなか起き上がれずにいた洋子だったが、神宮寺からの動きがなくなった事を訝しんで、視線だけを向けてみた。
 避妊具をつけていた彼は、準備を終えると洋子のズボンとショーツを膝までずらしてからその体を抱き上げ、自分の下半身に跨がらせた。
460名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:38:20 ID:4n5W/GSG
 そして彼の胸に彼女の体を預けさせるようにして、互いの姿勢を安定させる。
「あ……」
 ヒップを抱え上げられ、恥ずかしそうに頬を染める洋子に、彼は囁いた。
「そのまま、ゆっくり腰を降ろしてくれ……」
 いよいよ欲求を御し難くなったのか、詰まるような声で神宮寺が請う。
 その声に、胸の辺りに吹きかかる吐息に、堪えられなくなった洋子は少しずつ腰を降ろしはじめた。
 震えながら下降する彼女の下半身を支えながら、神宮寺は自身と秘部が重なるように調節する。
 ともすれば、一気に挿し貫いてしまいたくなる衝動にブレーキをかけながら、まず先端で秘唇を軽く撫でて、洋子に合図を送る。
 彼の願いを察して小さく頷くと、彼女は下降の速さを少し上げ、亀頭を入口に埋め込ませた。
 ぬぷっ……という音と共に、濃密な温もりに男根が包まれていく。
 久方ぶりの圧迫感に、神宮寺が小さく呻いた。
 苦しさと心地よさが吐き出させる声音に強い昂ぶりを覚え、洋子は思わず膣洞をきゅっと締めてしまう。
「っく、う………」
 まだ半ばほどしか入っていない所で狭めてしまった為か、辛そうに目を細める神宮寺。
461名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:39:59 ID:4n5W/GSG
 慌てて力を抜こうと洋子は息を吐くのだが、自身はなかなか思うように動いてはくれない。

「あぁっ!!」
 膣を思いきり押し開かれるような感覚に、洋子は喉を反らして悶えた。
 神宮寺が支えていた彼女の双丘に腰を打ち付け、ペニスを嵌め込んだのだ。
「……ぁっ……はあぁ、あふっ……」
 殆ど根元まで埋没させたままで腰を使い、棹を膣壁に擦りつけてぐるぐると掻き混ぜる。
 感じやすい場所が擦れる度に洋子はどこか気怠そうな声を漏らし、神宮寺の体にもたれかかって彼の動きに身を委ねていた。
「……あ………」
 しかし急に中からの刺激が止み、彼の体の揺れがおさまった。
 続きをせがむように腰を揺らしても反応を返さない神宮寺と目を合わせると、やはり何かを促すように見つめ返してくる。
 ……後は任せる、という事らしい。
 洋子は恥じらいの表情を浮かべながらも、おずおずと腰を持ち上げた。
 拡げられていた場所から肉杭が抜けていく感触が、洋子に艶めいた溜め息を零させる。
 先端まで抜け出てしまうと、ぴったり嵌まっていた栓がなくなってしまったような喪失感を彼女は覚えた。
462名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:41:32 ID:4n5W/GSG
 早く、欲しい。

 腹部の奥の奥から湧き出す思いを満たしたくて、洋子は今一度腰を落とし出した。
「ん、くっ……」
 ゆっくり降ろしていくと、彼自身の温かさと大きさがよく伝わってくる。
 ゴムを纏って曖昧になりながらも、己を主張するように張り出したカリ首に中を再び押し開かれ、肢体が悦びにわなないた。
「あぁ……っ!んうぅ……」
 一番奥まで押し込むと、亀頭が彼女の行き止まりにぶつかった。
 その瞬間、言い知れぬ快感が洋子の体内を駆け抜けた。
 それは神宮寺も同じだったらしく、彼女の腰を掴んだままの五指に力が篭る。
 もう一度感じたくて腰を動かした。今度は少し速く、勢いをつけて。何度も、何度も。
「あぁんっ………!」
 より強い衝撃に全身が震え、嬌声が零れた。
 上体が後ろに倒れそうになる所を、神宮寺の両腕がしっかり支える。
「……大丈夫か?」
 笑いを含んだ声が洋子の耳に届く。
 余裕を感じさせる問い掛けではあったが、息はかなり荒い。
「大丈夫……です………」
 快楽に蕩けた表情のまま、洋子は掠れた声で応えた。
463名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:43:47 ID:4n5W/GSG
 彼女のあまりに扇情的な様子に、湧き上がる衝動を抑えようとする神宮寺だが、本能の塊は彼の欲求に忠実に従い、その太さを増していく。
「あ、ん……すごい……」
「動いてくれ……」
 うっとりとした声に辛抱出来なくなった神宮寺に促され、体を上下しながら彼の首に縋り付く洋子。
 霞んだその目に、先程ちらりと見えた赤い痕が映り込む。
 他の誰かがつけたものかもしれない、口付けの痕跡──
「……………」

 ………違う。

 側でよくよく見てみると、全く別のものである事が分かる。
 軽く擦りむけたような、小さな傷だ。
「どこかでひっかけたらしい」
 まじまじと擦り傷を見つめる洋子に気付いて、少し戸惑いながら神宮寺が言う。
 それが何か、と問うような彼の視線に応える余地すら、今の彼女にはなかった。
 何故自分はこんな勘違いをしてしまったのだろうと、赤らんだ顔を俯かせてしまう。
「あうっ………」
 腰を動かす事すら忘れてひたすら羞恥に胸の内を乱す洋子の膣内を、男根が深く突く。
 様子のおかしい彼女に困惑していた神宮寺だが、ふと気付いた。

 繋がる前も、どこか上の空だった時があった。やはり今のように、首筋の傷を気にしていて──
464名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:46:28 ID:4n5W/GSG
「さっきの質問に、まだ答えてなかったな」
 急かす下半身を少し落ち着かせながら、彼が呟く。
「……何を考えてたんだ?」
「え……っ……」
 快感による痺れと動揺の為か、彼の言葉の意味するところに気付いていないらしい。
「さっきから、これの事ばかり気にしているようだが」
 言いながら、擦り傷が彼女によく見えるように首を曲げる。
「そ、そんな事は………」
 否定の言葉を口にする洋子だが、その表情からは焦りのようなものが見受けられる。

 全く気付いていない訳ではなかった。
 "彼女"とホテルに泊まった事を報告した時、電話越しに聞こえた、どこか訝しむような声。
 全てを終えて事務所に戻ってからの、心配してくれながらも距離をおくという、ぎこちなさを感じる態度。
 だが、確証がない。今もなお。
 ならば、ボロを出させてしまえば良い──

「もしかして……」
 言葉を切って、神宮寺は洋子の胸元に顔を寄せ、柔らかな膨らみに口付けた。
 びくっと体を震わせる彼女に構わず、音を立てて吸い付くと、鬱血の痕が刻まれる。

「これに見えたのか?」

「……………」
465名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:47:48 ID:4n5W/GSG
 固まった表情のまま、顔を殊更赤くする洋子。
 首を振る事さえ出来ずにいるそのさまこそ、図星である事の証明だった。
 神宮寺の口元が苦笑に歪んだ。
「………成程。そうか……」
「ぁ……ち、ちが………」
 洋子の声を遮って、神宮寺が腰を激しく動かしはじめる。
 一旦動き出すと、もう自身を抑制する事が出来なくなり、これ以上何か言ってやる事すら叶わなくなる。
 今は、それでも良いと彼は思った。
 余計な事など、考えなくて良い。
 そんな余裕がないのは、彼女も同じなのだから──

「んはっ……あ、あぁっ、あうぅっ……!!」
 小休止に落ち着きかけていた洋子の体が、驚き跳ね上がった。
 折り曲げた膝をがくがく震わせながら、膣内を埋めるものをぎゅっと締め付ける。
 神宮寺は、その勢いに任せて自身の堰を解き放し、心地よい脱力感にしばし心身を浸らせた。


  *  *  *  *  *


 溜まっていたものを吐き出してしまうと、神宮寺は秘所とゴムから自身を抜き取り、手早く処理をし始めた。
 彼の体にもたれて、くたりとして動けない洋子をそのままに、新しく避妊具を取り出す。
466名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:49:33 ID:4n5W/GSG
「………ん」
 その動作に反応し、もぞもぞと動き始めた彼女に、そっと耳打ちした。
「初対面を相手にする程、俺は節操なくはないよ」
「……ッ……」

 弛緩していた体が強張り、細い肩が震えた。
 無性に自分の事が恥ずかしくもみっともなく思えて、洋子はぱっと彼の体から離れ、赤面しているのであろう顔を背ける。
「……随分信用されていなかったんだな、俺は」
 いつもと変わらぬ、感情を伴わない声音が背に届く。
 今なお向けられているのであろう彼の視線が、彼女にはこの上なく痛かった。

 ぎし、とベッドが軋む音に、洋子の肩がびくりと動いた。
 だがどうしても振り向く事は出来ず、熱を帯びた顔をますます俯かせる。
 彼女の胸中を知ってか知らずか、神宮寺の腕が彼女の前へ回され、細い体を抱き竦めた。
 同時に丸みを帯びた肩に彼の顎が乗せられ、首元に暖かい息が吹きかかる。
「どうしたら信じてくれる」
「え……」
 大きな掌が膨らみを包み、捏ねるように揉み出した。
「……あ……んむ……」
 小さく漏れる声を奪うように横から唇を塞ぎながら、もう一方の手で太股を撫で上げる。
467名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:51:14 ID:4n5W/GSG
 神宮寺が舌を滑り込ませて内側をなぞり、胸の先端を再び硬く張り詰めるまで指先で弄ると、彼女は戸惑った様子で彼の顔を見つめた。
 長い口付けの後、ほんの少しだけ顔を離して神宮寺は言った。
「もう少し、しよう」

 思わぬ言葉に目を瞬かせる洋子だったが、先の誤解があるだけに抗う事が出来ない。
 もっとも、誤解だという事が確実に証明された訳ではないのだが……
 そんな彼女のいまだに残っている疑念を察したように、神宮寺は言葉を続けた。
「ちゃんと信じてもらえるまで……」
「んっ………」
 腿から秘部へと手を伸ばす。
 達してさほど間を経ていないそこはまだ柔らかく、指を差し込むととろりとした蜜が零れてきた。
「せ、先生。もう──」
「足を広げてくれないか」
 洋子の言葉を妨げて、更に奥へと神宮寺は指を動かそうとしている。
 なかなか足を動かそうとしない彼女に業を煮やし、彼は指を一旦引き抜き、割れ目の上の小さな突起を弄りだした。
「は……ぅあっ………」
 愛液に濡れた指で薄皮と陰核を撫で回すと、洋子の体がふるふると震え出した。
 力の抜けたところで彼女の体を前に押し倒し、今度は後ろから秘所に指を当て、中へと沈めていく。
468名無しさん@ピンキー:2008/04/18(金) 22:52:44 ID:4n5W/GSG
 シーツに俯せに横たわったまま、だんだん頭の中を覆っていく快感に耐えかねて、洋子は抵抗の声を上げた。
「っ……もう、本当に充分ですから……」
 その言葉に顔を上げる神宮寺だったが、愛撫の手は休めない。
「俺の気が済まない……」
「せんせ……ぇ……けがっ、怪我が───ぁっ」
「それはもう通じない」
 男根を幾らか扱いてすぐに二回戦に挑まんとする彼をなんとか止めようと抗う洋子だが、秘部を弄られると言葉を続けられなくなってしまう。
「大分待たされたんだ。一度で済むものか」
「ぃっ……!」
 肉芽を擦り上げて軽くイカせてから、神宮寺は再び自身の態勢を整えた。
 充分に硬くしてゴムの中に押し込め、周りに彼女の愛液を塗り付け、滑りを良くする。
 細い腰が押さえ込まれ、ペニスが膣に分け入る間際、蕩けた洋子の頭の中に確かに一言、響いたような気がした。


「他の誰かを抱く余裕なんて、ある訳がないだろう」


 そんな、声が。
46922:2008/04/18(金) 22:59:57 ID:4n5W/GSG
終了です。

大変遅くなりましたが、保管の件ありがとうございました。
保管庫管理人さんと保管依頼人さんに感謝です。
470名無しさん@ピンキー:2008/04/19(土) 20:10:10 ID:hkACeDly
ととと投下来てた!!GJ!
有難う職人さん、楽しませていただきました。描写が良いなあ・・・(*´Д`)ハァハァ 
471名無しさん@ピンキー:2008/04/21(月) 13:19:43 ID:JCgPXIFy
>>449
職人様!素晴らしいです。有難うございます。
神宮寺らしい、大人の交わりって感じ。
エロっていうか、もはや美しいです!
472名無しさん@ピンキー:2008/05/01(木) 19:40:20 ID:PXcWiHWz
保守age
473名無しさん@ピンキー:2008/05/26(月) 22:07:45 ID:Nb4CalS5
474名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 01:44:09 ID:ChL6AvSP
475名無しさん@ピンキー:2008/06/07(土) 10:44:38 ID:c42EuKh/
476名無しさん@ピンキー:2008/06/15(日) 23:05:52 ID:GDQLsdEt
捕手
477名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 00:18:59 ID:H937XdRY
ho
47822:2008/07/06(日) 18:27:22 ID:DOHNwrV8
IBで洋子が人質に捕られた時辺りで書いてみましたので置いておきます。

・強姦モノです。(岩辺×洋子)
・エチーまでの前置きがちと長いです。

コテ付けておきますので、凌辱苦手な方はスルーお願いします。
47922:2008/07/06(日) 18:28:33 ID:DOHNwrV8
「……どういう事だ?」

 李が組事務所に戻ると、岩辺は顔を見るなりそう詰問した。
「資料を奪えなかった上に、探偵も殺り損なっただと? アンタにしちゃあヘマが過ぎるんじゃねえか?」
 阿部を失った事で計画に狂いが生じ、更に風林豪造の命も奪い損ねてしまっている。
 災厄続きのこの現状の中で穏やかでいられる程、岩辺圭一郎という男の器は大きくはなかった。
「代わりに人質を連れて来ている。龍京から聞いていなかったか?」
 ドスの効いた叱責にも眉一つ動かさず、静かに答える李。
 神宮寺探偵事務所での一件の後、李宗一は王龍京と連絡をとり、そこでの一部始終と、一旦組事務所に戻る旨を伝えた。
 その際、組長には自分の方から伝えておくと王に言われていた。
 落ち着き払った態度が気に食わないのか、わざとらしく大きな足音を立てながら、岩辺は李に近付く。
「そいつを助けに、奴が必ずやって来るなんて保証が何処にある? タレ込まれたら手遅れだ」
「来るさ……必ずな」
 言いながら、李は組長室の扉の方を振り返った。
 彼の背に隠れて見えなかったが、扉の側に誰かがいる。
 彼に促されて前に出て来た人物を見て、岩辺は目を見張った。
48022:2008/07/06(日) 18:30:00 ID:DOHNwrV8
「………ほう」
 低く唸り、口端を歪めて笑う。
 岩辺の頭をよぎった下賎な考えを示すように、その三白眼に怪しい光が点った。

 岩辺の前に静かに佇んだのは、この場にいるには似つかわしくない、整った身なりをした女性だった。
 特別着飾っている訳でもなければ、化粧や香水の匂いを濃く纏っている訳でもない。
 この街でよく目につく、男に媚びる要素の一切を、抜き取ったように落ち着いた装いと風貌。
 だがそれでも、毎夜代わる代わる相手をさせてきたどの女にも劣らないのではないかと思う程の美貌に、岩辺は舌を巻いた。
「奴の助手だ……どうする?」
「そうだな……」
 一つ息をつき、愉快そうに嗤った。
「使える内に、使っておくか」

 好色そうな彼の視線に晒され、女性は震えそうになる身に力を篭めた。


  *  *  *  *  *


 ──君が俺の側にいて、何になる。

 神宮寺の突き放すようなその言葉に、洋子は少なからず動揺した。
 これまでにも危険な状況に立たされる事はあったが、ここまで辛辣な言葉で傍にいる事を拒絶されたのは、初めてだった。
48122:2008/07/06(日) 18:31:32 ID:DOHNwrV8
 自分は本当に彼の助手足り得るのかと、悩む気持ちがまだ消えていなかっただけあり、不安は更に色を増していく。
 冷たい言動の裏の彼なりの気遣いに気付くだけの余裕さえ、今の彼女にはなかった。

 役に、立てないなら。

 肝心な時に必要とされないのなら、自分が助手である意味など、あるのだろうか。

 自宅への帰路の途中、洋子は足を止め、事務所のある方向の空を仰いだ。
 じきに雨でも降り出しそうな淀んだ雲に、黒い闇が混じり出している。もうすぐ、夜が訪れる──

 彼はもう、事務所から離れただろうか。

 再び歩き出す洋子を阻むように、いつになく緊迫した彼の横顔が頭にちらつく。
 どんな状況下においても余裕を感じさせるいつもの雰囲気は、あの時の彼の表情にはなかった。
 本当にこのままで良いのだろうかと、頭の中で何度も自問する。

 相手が暴力という方法をとる集団である以上、確かに彼の言うように、足手まといでしかないのかもしれない。
 だが、彼自身がその暴力に屈してしまったその時……

 一体誰が、彼の事を守れるというのだろう。

「……………」

 一際強い寒風が洋子の髪を乱し、通り過ぎた。
48222:2008/07/06(日) 18:33:13 ID:DOHNwrV8
 もう一度、自分が歩いて来た道を振り返る。その眼に宿っているものは、惑いより決意の方が濃い。

 彼に全てを委ねて己の身だけを守る事を選ぶなら、自分が助手である事に意味などない──

 家路に背を向け、少し前に停めて来た車の方へと歩き出す洋子。

 その足取りにはもう、迷いはなかった。


  *  *  *  *  *


 そして、今。
 洋子の側には二人の男が立っている。
 神宮寺が調査している保険金殺人に深く関与しているであろう暴力団──岩辺組の組長と、自分をここまで連れて来た中国人の男。
 事件に関する証拠と引き換えの人質、という名目で連れて来られたものの、このままではその取引は成り立たない。
 今の神宮寺の手の内には、彼等を告発出来るだけの切り札など、ないのだから。
 それを彼等が知れば、自分は時を待たずに殺されてしまうのだろう。

 ……それだけではない。
 もしも神宮寺が証拠となり得るものを入手しないまま、ここに来てしまったなら、彼にも危害が及ぶものとなるだろう。
 仮にそれを手に入れる事が出来たとしても、この男達が自分達を逃がすとは限らない。
 いずれにせよ、このままここにいれば、最悪の状況は免れないのだ。
48322:2008/07/06(日) 18:34:56 ID:DOHNwrV8
 であれば、自分はどうするべきなのか──

「……アンタ等がチョロチョロ嗅ぎ回ってるせいで、こっちは散々だ」

 その言葉の割に、岩辺の口元の笑みは消えない。
「いわれのない事で晒し上げられたんじゃあ、堪ったもんじゃないな」

 とぼけた物言いをする岩辺に、洋子は努めて冷静な言葉を発する。
「貴方達のした事は、もう分かっているんです。全て……」
 洋子はそこで声を収めた。
 今はまだ、深入りした発言はしない方が良い。
 追い詰めるだけの材料などない上に、相手を逆上させてしまっては、自分の状況は一層危ういものとなる。
「ワシらがやった事を裏付ける証拠……とやらを持っているらしいが」
 幅広いソファーにどっかりと腰を沈めながら、言葉を続ける。
「確実にそうだと言える物かどうか分からんだろう? だから、まず見せてもらいたい。それだけの事さ」
「もし私達が持っている資料が相応の物なら、どうするつもりですか?」
 愚問と知りつつも、洋子は岩辺にそう尋ねた。
 今は少しでも多く、時間を稼がなければならない。自分と、いずれここに来るであろう神宮寺の為に。
 洋子の問いに、岩辺は少し考え込む仕草をしてみせた。わざとらしい動作だった。
48422:2008/07/06(日) 18:36:48 ID:DOHNwrV8
「……まあ、それはその時考えれば良い」
 酷薄な笑みは消えない。
 答は既に決まって揺るがないのだろう。

「それで」

 何の前触れもなく背後から生じた声に、洋子は体を強張らせる。
 先程から影のように佇んでいた李の声だと気付くのに、僅かながら時を要した。
 今までそこにいた事すら忘れる程、彼の気配は希薄だった。
「あの男を、ここで迎え撃つんだろう?」
 指示を促すように李は確認する。
「下の奴等に待ち伏せるように言ってある……が、しかしだ」
 話を中断された事に若干不服そうにしつつ、岩辺は立ち上がりながら答える。
「怖じけづいて逃げ出さないとも言い切れん……その時の為の人質だ……なぁ?」
 最後の呼び掛けは、洋子に向けられたものだった。
 後半の意味がいまいち分からず、李を見やると、やや不快そうに目を細める。
「おい」
 洋子が何か言うより先に、岩辺は扉を開け、側にいた若い衆に何やら指示を出す。
 扉の向こうの気配が去ると、岩辺は振り返った。
「場所を変える。ついて来い」

 その目に浮かんだ怪しい光に、洋子は身震いしそうになった。
 とても嫌な事が、起こりそうな予感がしていた。
48522:2008/07/06(日) 18:38:11 ID:DOHNwrV8


  *  *  *  *  *


 彼等の目的地は、この真夜中の気配とあいまって、不吉な程静まり返った場所だった。
 黒い海を背景に聳え立つ、幾つかの倉庫。
 岩辺と組員の会話の中に「ハルミ」という言葉があった事を、洋子は思い出した。
 それが地名を指しているのだとすれば……ここは、晴海埠頭だろうか。

 組事務所からは随分離れてしまった。
 神宮寺は洋子がこの場所にいる事を知らない。故に、取引を行う事など不可能だ。
 彼女も薄々気付いてはいたが、恐らく彼等は、まともに取引をしようなどとは思っていないのだろう。
 資料だけでなく、真実を知る者全てをも始末しなければ、岩辺達にとっての不安要素は消えないのだから。
 ただ命を奪われる為だけにここにいるような気がしてきて、俯きがちになる顔を、ぐっと上げた。
 神宮寺とて、易々と殺されるような男ではない。
 彼が危険視していた李は、今はここにいる。
 この男さえいなければ、組事務所内に入っても、無事に脱出する事も出来るかもしれない。
 ならば、今自分に出来る事は……

「降りろ」
 やがて一つの倉庫の側に車は停められ、岩辺に一言促された。
48622:2008/07/06(日) 18:40:24 ID:DOHNwrV8
 二月の夜の埠頭はあまりにも寒く、車外へ出た途端に凍えるような空気に晒される。

 倉庫の扉前で寒そうに身を縮こまらせ、しゃがみ込んでいた男が、岩辺を見るとすぐさま立ち上がって一礼した。
 組員の一人なのだろう、岩辺と二、三言葉を交わしながら、後ろに立っている洋子をちらちらと見ている。
 その視線に嫌なものを感じたのは、決して彼女の気のせいなどではなかった。
 男は重々しい扉を開け、中に岩辺達を迎え入れた。
 倉庫内は風が吹き込まない為か、外より幾らか寒さが薄れているが、冷えた体は温まらない。
 それはきっと、冷気のせいだけではなかっただろう。

 薄暗い倉庫に足を踏み入れると、複数の男の話し声が奥から聞こえた。
 洋子達の足音に気付いたのか、近付いて行くと声は静まり、刺すような視線がこちらに向けられる。
 殺気にも似た威圧感の中、岩辺は口を開いた。

「全員集まってるか?」
「はい。で、その女が……?」
「ああ……伝えた通りだ」
 岩辺の答に、周囲の男達が色めきたつ。
 洋子に向けられていた好奇と卑しさに満ちた視線が、一層増した。
48722:2008/07/06(日) 18:42:07 ID:DOHNwrV8
 ここまで来て、自分がどんな目に遭わんとしているのか分からない筈もなく、洋子は震える体を腕で抱えた。

「外を見張っていてくれ」
 命じてくる岩辺に、李は僅かに眉の端を上げた。
「始末するだけなら、すぐに済むんじゃないのか?」
 相変わらずの抑揚のない声音に、抵抗の意が含まれている。
 岩辺達の思惑を、好ましくは思わないのだろう。
「奴がもし事務所に来なかったら、この女に資料の在りかを聞かなきゃならん。まずは、ゆっくり話し合おうと思ってな」
 舌なめずりしながらのその言葉に、何の説得力もありはしない。

 逆らえぬ訳ではないが、それにどれ程かの意味があるとも、李には思えなかった。
 いずれにせよ、この女の命はここで終わるのだから。

 黙って倉庫を出て行く李に背を向け、岩辺は組員に目配せした。
 すぐさま数人が洋子に近付き、一人が後ろから肩を抱き竦める。
 更にもう二人が、抗おうとする彼女の腕をきつく掴んだ。
「……っ……く……」
「さて……アンタに幾つか聞きたい事がある」
 撫でるように耳に囁くダミ声に、鳥肌が立ちそうになる。
48822:2008/07/06(日) 18:43:49 ID:DOHNwrV8
「李は来ると言ったが、その探偵が信用出来るかどうか分からん……逃げるとしたら、奴は何処へ行く? それから、資料は何処に隠した?」
 吹きかかる荒い呼気から逃れるように顔を逸らすと、顎を掴まれ、脂ぎった岩辺の顔に近付けられる。
「答えろ」
「……………」

 後ろと前から、男達の吐息が迫る。
 冷気の中のその生暖かさが、ひどく不快だった。
「逃げたりなんか……しません。証拠資料も……きっと、先生が………」

 答えながら、いっそ逃げてくれれば良いと、少し思った。
 彼はここの事は知らない。
 けれど、気付いてしまうかもしれない。
 助けに来て欲しくない訳ではないが、あれ程深手を負った神宮寺に、これ以上傷ついて欲しくはなかった。
「………まあ、いい」
 フン、と鼻を鳴らし、岩辺は顎から手を離す。
 その手で白い首元に巻かれていた赤いマフラーを乱暴に引き剥がした。
 喉を圧迫されて息を詰まらせる洋子の首筋に、岩辺のべたついた掌が這う。
「くく……」
 にたにたと笑いながら、彼女を拘束している男達を促す。
 待ちわびたかのように幾つかの腕が彼女のコートを掴み、引っ張り、薄汚れたコンクリートの床に投げ捨てた。
48922:2008/07/06(日) 18:45:50 ID:DOHNwrV8
 中に着ているブラウスのボタンまで外されそうになった所で、洋子は漸く男の腕から逃れ、乱れる呼吸を落ち着けようとする。

「無駄だよ、姉ちゃん」
 男達が、嘲笑う。

 無駄──それは、自分が一番よく分かっている。

 倉庫内には、十人前後の暴力団組員。
 外には、殺し屋の男。
 逃げるどころか、抗う事すら叶いそうにない。

 このまま、されるがままに身を散らすのだろうか。
 何も出来ないまま……彼の役にも、立てないまま……

「……っ……」
 再び男の腕にきつく捕らえられ、洋子は痛みに顔をしかめた。
 その辺に落ちていた縄で両手首を縛られ、床に投げ出される。
 横ざまに倒れ、体をしたたか打ちながらも体勢を整え、男達と向き合った。
 無数の野卑な視線に晒されて、怯みそうになる心を必死に保つ。
 しかし彼女に向けて伸びるのは、幾つもの腕、腕、腕。
 ブラウスの襟元を力任せに引かれ、前を開かれる。ボタンが幾つか音を立てて引きちぎられる。
 露わになった下着を隠そうと前に腕を持って行くが、背後の男に上に持ち上げられてしまった。
「ううっ……!」
 胸へと伸ばされる手を阻もうにも、腕を上手く動かせない。
49022:2008/07/06(日) 18:47:24 ID:DOHNwrV8
 それでも何とか男の腕を振りほどこうと、体を揺らし、足を動かして抵抗する。

「あんまりてこずらせるなや」
「コイツを使いますか」
 舌打ちする岩辺の横から、別の男が洋子の後ろの方に垂れているワイヤーを指差す。
 重機に繋がっているらしく、先端にはフックがついている。
「そうだな……やれ」
 指示に従い、男達が洋子の腕の縄にフックを固定する。
 ワイヤーを少し巻き上げると、洋子の体は、足が軽く地につく程度まで上へと引き上げられた。

 両手を固く戒められ、吊り下げられる細い身体──
 まるで生贄か何かのようなその無防備な姿に、男達は興奮を隠しもせずに嗤い、息を荒げ、その内側に息づく肉体を想像し、視姦した。
「押さえてろよ、お前ら」
 そう言って、岩辺は手をスカートの中へと伸ばす。
 足をばたつかせて阻もうとする洋子だが、複数の男の手によって体を押さえ付けられてしまう。
 捲くり上げられたブラウスの下の肌や腕、そして足の方にまでべたべたと這う掌の感触に、鳥肌が立った。
 岩辺は膝丈程のスカートを焦れったそうにたくし上げ、下着を勢いよくずり下ろした。
 膝を上げて隠そうとする洋子の動きをた易く封じながら、そこを覗き込む。
49122:2008/07/06(日) 18:49:18 ID:DOHNwrV8
「たっぷり味わってやるからよ……感謝しな」

 叫び出したい程の恐怖に駆られながらも、唇をきゅっと閉じたまま、洋子は捕らえられた手足を必死で動かす。
 そんな彼女の様子を笑いながら慌ただしくベルトを外し、いきり立ったものを抜き出した。

 洋子がもがく度にずり落ちるスカートの裾を若い衆に持たせ、広げさせた下肢の間に体を割り込ませる岩辺。
 近付く荒い吐息から顔を背ける洋子の腰を掴み、秘唇を強引に貫いた。

「ああぁっ!!」

 鈍く重い痛みに、耐えきれず洋子は悲鳴を上げた。
 濡れてもいなければ、解されてもいない。
 未通でなくとも痛みを伴う挿入に、洋子は辛そうに身を捩じらせる。
 彼女の様子になど構う事なく──寧ろ、それを愉しんでいるように腰を打ち付ける岩辺。
 中を抉るように熱の塊を奥へと押し込んでいく。
「ぐ……ぅっ、あうっ!ああっ……!」
 苦しさに堪らず声を上げる洋子を、取り囲んでいる男達が眼をぎらつかせて見守っている。
 苦痛を滲ませた声であっても、この状況においては興奮を誘うものに過ぎない。
 それに気付いた洋子は、唇を強く噛み締め、喉をついて出てこようとする声を押さえ込む。
49222:2008/07/06(日) 18:51:19 ID:DOHNwrV8
 ささやかな抵抗……それでも、怖じけそうになる心を支える為には、そうする事位しか出来なかった。
 身動き出来ぬ中、せめてペニスの侵入を妨げようと膣に力を篭める。
 しかし、ただ男根を刺激するばかりのものでしかなく、拒絶にすらならない。

「おおぅっ……こいつは………へっ、なかなか……締まるじゃねえか」
 感じているのか、と嘲られ、洋子はふるふると首を振る。
 肌蹴たブラウスの内側の胸を掴み、力任せに揉みしだく、汗ばんだ手。
 体の芯から凍りそうな程の寒ささえ、男達に押し付けられる生々しい熱の感触に遮られてしまっていた。
「ん、くっ……んんぅっ………」
「おら、おらっ……!黙ってないで、何とか言ったらどうだ……ああ?」
 乱暴な律動の最中、声を押し殺す彼女の様が気に入らないのか、罵声を浴びせながら下半身を叩きつける岩辺。
 ブラジャーの中にまで突っ込んだ手の力は強まり、押し潰すように胸の形を歪ませる。
「ぐっ……!」
 噛み付かんばかりの勢いで施される口付けに、洋子は食いしばった歯に更に痛くなる程の力を篭めた。
 口内のどこかを噛み切ってしまったのか、血の味が滲む。
49322:2008/07/06(日) 18:53:11 ID:DOHNwrV8
 吸い付いてくるがさついた感触に眩暈を覚えかけたところで、やっと唇が解放され、腰のペースが速くなる。

「ぐうぅっ……出る、出るぞっ!中で受け止めろやっ……!!」
「………っ!んんっ……ぐっ、ううぅっ……!!」

 髪が乱れる程首を振り、捕らえられたままの脚をばたつかせ、それでも唇はきつく結んだまま、洋子の膣内は望まぬ精を受け入れた。

 低く気の抜けた声で呻きながら、岩辺は腰を時折震わせ、欲望の丈を中に撒き散らす。
「……はあっ………」
 突かれる苦痛が失せて声を抑える必要が無くなり、洋子は漸く口を開き、息をついた。
 あまりの悲しみと惨めさに、張り詰めていたものが途切れかけて零れそうになる涙を、顔を仰がせて堪える。
 周りの男達のはやし立てるような笑い声が、心に幾つも刺さった。
 岩辺はその声に応えるように肉棒を何度か抜き差しし、ゆっくりと腰を引く。
 ずるり、と抜け落ちた男根の先端からは、黄身がかった精液が秘部との間に糸を引いていた。
49422:2008/07/06(日) 18:54:58 ID:DOHNwrV8
「おう、お前ら。後は適当に始末しとけ」
 ズボンを穿きながら、面倒そうに岩辺が指示する。
「へえ……で、組長………」
 組員の一人が、物言いたげに呼び掛けると、やはり気怠そうに答えた。
「好きに使え。もっとも、ロクに啼きもせんようだがな……」

 飽きた玩具を放るような物言いだったが、組員達は目を輝かせる。
 岩辺が倉庫を出て、足音が失せた事を確かめると、残された男達は洋子に視線を戻し、一様に卑しい笑みを浮かべた。

「……っつう訳だ。悪く思うなよ」


  *  *  *  *  *


 夜明けの気配は、まだ訪れない。
 洋子は再び口を閉ざし、泣き濡れた頬を垂れる髪に隠し、いつ迎えるとも知れぬ終わりをただ、待ち続けた。
495名無しさん@ピンキー:2008/07/06(日) 18:56:34 ID:DOHNwrV8
とりあえずここまでで。
もう少し続きそうです。
496名無しさん@ピンキー:2008/07/07(月) 20:04:33 ID:HFGyWaWY
投下キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
洋子さんがどうなるんだろうかと楽しみに待ってます
497名無しさん@ピンキー:2008/07/09(水) 11:49:29 ID:Sc2llMjy
お待ちしてました!!
犯される洋子さんもいいなぁ(*´Д`)ハァハァ
続き待ってます!
498名無しさん@ピンキー:2008/07/12(土) 23:45:20 ID:hNqJSRRC
保守!
499名無しさん@ピンキー:2008/07/13(日) 01:14:24 ID:rVXeaCia
>494
原作ゲームの雰囲気があってもの凄く良い!
続き楽しみにしてます。
500名無しさん@ピンキー:2008/07/15(火) 21:28:50 ID:CBz7PSim
>>494
IBのこういうネタは読みたかったのでとても嬉しいです
501名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 00:05:27 ID:hJ+mW7tf
502名無しさん@ピンキー:2008/07/21(月) 01:56:49 ID:KXXsrKU+
>>494
洋子さん気の毒だけど興奮する。続きまだだろうか?
50322:2008/07/23(水) 12:11:16 ID:oke+Gnux
お待たせしました。
続き出来ましたので投下します。

・組員×洋子(強姦)→神宮寺×洋子(エロ分少なめ)
・非エロ部分がやっぱり多い
50422:2008/07/23(水) 12:12:03 ID:oke+Gnux
「んっ……う………」

 息が、苦しい。

 重い瞼を上げると、やや肉付きの良い腹が洋子の視界を覆っている事に気付いた。
 待ちきれなくなった男が口に男根を押し込んだらしい。
 篭ったような臭気が鼻につく。口内に染み付く先走りもまた、吐き気を催させる。
 髪を無造作に掴まれて頭を前後に揺すられる洋子の目は、怠そうに男の下腹部を映していた。逆らう所作も見せない。

 犯しづらい為か、吊していたワイヤーは下方に下ろされ、彼女はじめじめとした床に膝を落としていた。
 しかし腕は掲げられたままである為、やはり身動きする事は出来ない。
 長時間持ち上げられている事と冷えとのせいで、腕はすっかり痺れてしまっていた。
 そんな彼女の後ろから、別の男が秘所を激しく突いている。
「ちっ……お前ら、出し過ぎだっつの。打つたんびに、溢れてきやがる……っ」
 罵る男の表情はしかし、美しい獲物を貪る愉悦に満ちており、徐々に近付く極みを惜しむように腰をパンパンと打ち付ける。
「おぉ……よがらねえ割には、口ン中涎でヌルヌルじゃねえか……凄えイイぜ……」
 口を犯す男の声に、拒絶の声は出てこない。
 首を振る事すら、今の洋子には叶わなかった。
50522:2008/07/23(水) 12:14:08 ID:oke+Gnux

 岩辺と李がこの場を後にすると、組員達は先を争うように洋子に群がり、思うままに汚しにかかった。
 半端に開かれていたブラウスの前を全開にし、脱げかけのショーツを捨て置き、より犯しやすいように体勢を変えさせ、辱めていく。
 最初こそ抵抗を続けていた洋子だったが、乱暴な行為と寒さに体力を削られ、次第に動く事さえ辛くなっていった。
 体の内と外を汚し、痛め付けんとする彼等の欲望に慣れる事は出来なかったが、無意味な抵抗に費やせるだけの力は、もう何処にも無かった。
 ただ、声が出ぬ程に疲れきっている事は、ある意味救いでもあったのかもしれない。
 男達を悦ばせ、猛らせるだけのものなら、いっそ失くしてしまえば、心を折られずに済むのだから。

「んっ……ふうっ……ぅ……」
 口腔の肉棒が刹那膨張し、弾ける。
 口一杯に広がる独特の生臭みに、洋子は小さく呻き、顔を歪めた。
 男はそれに構わず彼女の頭を強く押さえ、放ったものの全てを女の体内に収めようとする。
「んぷっ………」
 が、粘った汚液は飲み下すにはあまりに厳しく、緩んだ口端から漏れ出してしまう。
50622:2008/07/23(水) 12:15:49 ID:oke+Gnux
「しょうがねえな……」
 飲み干させる事を早々に諦めた男は、再び腰を動かし、内側に溜まった残滓を出し切る事に専念する。
 出し入れされる度に唇から零れる精液が、滑らかな顎を伝い、汚れた床に垂れ落ちる。
「……はっ……あぁ……」
 しばらくして口を塞いでいたものが硬さを失い、中に溜まったままの白濁と共に抜けた。
 髪を痛い程力を篭めて掴んでいた男の手も離れ、洋子はくたりと頭を垂れる。
 異臭を含んで不快さばかりを与えてくる空気を、それでも彼女は深く吸い込んだ。
 汚された口内を僅かでも清め、そして遠のきそうになる意識を保つ為に。

「ううっ……」
「……あ………」
 洋子の背に覆い被さっていた男の呻きと共に、膣奥に熱いスペルマが放たれた。
 解放の悦びに震える大きな体に合わせ、細い肢体が微かにひくつく。
 それは今にも事切れてしまいそうな程、弱々しい動きだった。
「おら、早く回せよ。後がつかえてんだからよ」
「もう少し待てや………ふう。ほら、空いたぜ」

 まるで、物のような扱いだった。

 疲れ果てた様子の洋子に構う事なく、別の男が肉杭を秘所に埋め込む。
50722:2008/07/23(水) 12:17:28 ID:oke+Gnux
 溢れる程の精液に塗れ、掻き混ぜられて開かれたそこは、た易く男を受け入れてしまう。
 摩擦の痛みも、もう殆ど感じられない。
 逆らう事もせず男達の律動に任せてしまっている為か、体は多少ながらも快感さえ覚えかけていた。

 疲労に意識を掠われぬようにと、ここ以外の何処かを、そしてここにいない誰かの事を、洋子はぼんやりと思い浮かべた。
 思考の中心に真っ先に描かれたのは、言うまでもなく──

(……先生……)

 紫煙と共に、窓際に佇む男の姿。
 毎日のように目にしてきた筈の彼の面影が、今は、とても遠い。

 神宮寺と離れてから、どれ位の時間が過ぎたのだろう。
 ここに連れて来られてから随分経っていると思われるが、知る術もない。
 何より彼女が気にかけているのは、やはり彼の安否だ。
 岩辺と李がここを出て組事務所に戻ったのだとしたら、鉢合わせしてしまったかもしれない。
 せめて、時間稼ぎにだけでもなれたら良いと思った。
 だが、足止めすら出来ていなかったとしたら……

(私……)
 かじかんだ指先が、微かに震える。
(何の為に、ここにいるんだろう……)
50822:2008/07/23(水) 12:19:10 ID:oke+Gnux

 こんな思いをしてまで。
 大切な人一人守れないまま、終わってしまうのか──

「うっ……」
 更なる白濁が、膣内を汚した。
 満ち足りた事を示すように、腰を何度か強く叩きつけられる。
 途切れ途切れの洋子の息は、浅く弱い。
 意識が途絶えるのも、時間の問題かもしれない。

 組員の一人の携帯電話が着信を告げたのは、その時だった。


  *  *  *  *  *


「……………」

 男達の体が、離れた。
 望まない温もりが失せてしまうと、凍てつくような冷気が洋子の肌を蝕んだ。
 五体の感覚が多少戻ってきて、震えが止まらなくなる。
 急に行為が収まった事に戸惑い、様子を伺おうとするが、頭をもたげる事も叶わない。
「で……何だって?」
「吉井と原が伸されたらしい。チャカ盗られて逃げられたとか」
「使えねえ……二階の奴らは何してたんだよ」
 組員らの声が、耳に入る。
「んで、俺らも戻れってか? 勿体ねえ!」
「しょうがねえだろ、オヤジの指示なんだから」
 未練がましく文句を垂れる数名を余所に、別の何人かが重機をいじり、洋子の体を上へと吊していく。
 今度は床に爪先も付かぬ程、高い位置へ。
「こうしときゃ、万一にも逃げられないだろ」
50922:2008/07/23(水) 12:21:00 ID:oke+Gnux
「殺らないで置いとくのか?」
「後で戻って来りゃいいさ。ヤリ足りない奴もいるだろ?」
 どうせ誰も来やしない、と付け加えると、不満げだった者達も渋々ながら承知し、倉庫を出る準備を始めた。
 もっとも、この寒さの中衰弱した状態で放っておかれて、どうにかならないかどうか怪しいものではあったのだが……

「んじゃあ、また……生きてたら、な」
 男の含み笑いと共に、扉は閉ざされる。


「……………」
 静寂だけが、そこに残った。

 一つ溜め息をつくと、体は男達から与えられたものを思い出し、限界を訴えかけてきた。
 少し身じろぎすれば全身が痛みを覚え、呼吸をすれば嫌な臭いが鼻をつく。
 心身が安らぎを求めて睡魔を呼び起こさんとするが、洋子は懸命に思考を巡らせた。

 ……何故彼等は、突然いなくなってしまったのか?
 オヤジ……組長の指示で、"戻る"と言っていた……組事務所へだろうか。
 それに"逃げられた"とは──

「…………!」

 神宮寺の事、だろうか。
 逃げ果せたのだろうか。李や岩辺達に、捕われる事なく。

「───……」
 洋子の顔に微かながら、笑みが灯る。
51022:2008/07/23(水) 12:22:37 ID:oke+Gnux

 生きていてくれた。
 岩辺達がここにいた事で、自分がここに来た事で、彼の為の時間を稼げた。
 それが堪らなく、嬉しかった。

(……先生)
 安堵が気を緩ませた為か、意識がだんだん遠のいていく。
 再び組員達が戻って来た時の事を考えれば、彼女の身の危険が去った訳ではない事位、分からなくはない。
(……私……)
 それでも洋子はもう、この睡魔に逆らいはしなかった。


  *  *  *  *  *


 体が落ちる衝撃に揺さぶられ、意識が眠りの中から引き上げられた。
 長時間同じ体勢でいた上に、腕や足が固い床にぶつかった為、体がひどく痛む。
 しかし疲れきった体は休息を求め、再び眠りにつこうとする。
 それを遮ったのは、見知った誰かの、聞き慣れない叫ぶような声だった。

「…………っ!!」

 すぐ傍で聞こえる声なのに、何を言っているのか、分からない。
 頭を少し動かすと、何故か息苦しくなって小さな咳が漏れた。
 戒められていた筈の両手が離れ、しかし体がきつく押さえ込まれている事から、縄を解かれ、誰かに抱き締められていたのだと洋子は気付く。
 誰か──

 一体、誰に……
51122:2008/07/23(水) 12:24:12 ID:oke+Gnux

「せん……せ………?」

 嗅ぎ慣れた、煙草の匂い。懐かしささえ覚える声。
 分からぬ訳がない──

「洋子っ………」
 はっとして顔を上げ、腕の力を緩める神宮寺。
 薄暗い倉庫であるが、目をうっすらと開けると、僅かながら彼の強張った表情が見えた。
 怪我はしているが、事務所で最後に会ってから、更に負ったものは見られない。
 それだけでも……こうして目の前にいてくれるだけでも、洋子の心は安らいだ。
 だが──

「……っ……」
 思い出したように顔を引きつらせ、洋子は神宮寺から顔を背けた。
「洋子……?」
「……ない…で……」
 零れた声は聞き取るにはあまりに小さく、ひどく掠れていた。
「見ない、で……下さい……」
 支えるように抱いている腕から逃れようと、僅かに残る力を振り絞るようにもがき出す。
 ブラウスは半ば破れたように乱れ、口元には欲望の残滓がこびりついている。
 服の隙間から見える白い肌に残る幾つかの痣も、神宮寺の目に留まらぬ筈はない。
 それでも体を放そうとしない彼の胸を押し退けるようにして離れると、端の方に落ちていたコートに身を収める。
51222:2008/07/23(水) 12:25:54 ID:oke+Gnux
 震えるその背に神宮寺は手を伸ばし、もう一度抱き竦めようとしたが、洋子は応えなかった。
 こんな姿を、見られたくなかった。
 一番見せたくない人に、見られてしまった。

 黙ったままの神宮寺。
 どんな顔をしているのか、確かめるのが怖い。振り向けない。

 しばらくして神宮寺は立ち上がり、背を向けたままの洋子の肩にそっと手を置いた。
「……とにかく、ここを出よう」
 それだけ言って扉の方へ歩き出す。
「……………」
 このままここにいれば、いずれ組員達が戻って来る。
 逃げるなら、今しかない。
 コートの前をしっかり閉じ、バッグの中のハンカチで顔だけでも拭い、可能な限り身辺を整え、彼の後に続いた。


 車中においても、二人は言葉を交わす事はなかった。
 冷え切っていた身を両腕で庇いながら、顔を窓側に向けて動かない洋子。
 進行方向だけをじっと見据えたまま、相変わらず顔に感情を示さない神宮寺。

 だから、気付かなかった。

 窓に向けられた彼女の目が、彼だけを見つめている事に。
 ハンドルを握る彼の手に、痛くなる程の力が篭っている事に。


  *  *  *  *  *


 それから二人は手近なホテルを見つけ、中に入った。
51322:2008/07/23(水) 12:27:29 ID:oke+Gnux
 大分衰弱している洋子を病院に連れて行く必要があるとは思ったが、まずは汚れを落とさせてやりたいという神宮寺の配慮によるものだ。
 なるべく洋子を背に隠れる位置に立たせ、神宮寺がフロントと応対する。
 運良く空いていた向かい合わせの二部屋を取り、指定された部屋へと歩を進める二人。
 部屋の前に辿り着くと、神宮寺はやっと洋子の方を振り返った。
「……何かあったら、呼んでくれ」
 宛われた部屋の扉を開けながら告げる彼の声は、静かだった。
 すみません、と一言詫びて部屋の中に入っていく洋子。
 コートをハンガーにかけ、備え付けのナイトウェアを抱え、すぐにバスルームに足を踏み入れた。
 衣服を早々に脱ぎ終え、シャワーのコックを捻る。
 打ち付ける湯を浴びて全身がだんだんと温まり出すと、洋子は深く息をついた。
 それをきっかけにしてか、体から力が抜け、その場にへたりこんでしまった。
 途端に収まった筈の感情の波が押し寄せ、その身がかたかたと震え出す。
51422:2008/07/23(水) 12:29:11 ID:oke+Gnux

 ──怖かった。

 肌に刻まれたものも、先程までの寒さで固まっていた汚液も、あの倉庫での出来事が変えようのない現実なのだという事を示している。
 体中を撫で回していた掌の嫌な感触が、忘れられない。
 欲望を剥き出しにした男達のぎらぎらとした眼が、脳裏に焼き付いて離れない。
 指を秘所に入れて溜まったものを掻き出していると、あまりの多さに泣きたくなった。
 無数の水滴を頭から受けながら、洋子はただひたすら汚辱の痕を消す事に専念する。
 なかった事にはならなくても。
 せめて少しだけでも、薄れはしたのだと思いたかった。

 ──思わせて欲しかった。


 ひとしきり湯に打たれ、体を洗い終えると、洋子はまだ辛そうでありながらも立ち上がった。
 もうあのべたつく感触も、不快な臭いも失せている。
 それでもやはり不安になって、タオルで水気を拭き取りながら、まだかなり痛む手を這わせて確かめる。
 手首になるべく負担をかけないようにして夜着を纏いながら、神宮寺の怪我の事を思い出した。
 明日はまず、病院に行かなければならないと思った。
 追われている以上余裕はないが、無理を重ねるのは良くない。
51522:2008/07/23(水) 12:30:58 ID:oke+Gnux

「……………」
 神宮寺の事を考えた時、ふと疑問が芽生えた。
 彼はどのようにして、埠頭の倉庫の事を知ったのだろう。
 岩辺組の関係者なら場所を知っていてもおかしくはないが……組員と接触したのだろうか?
 狙われているのが、自分だと分かっていながら──

 落ち着かせた心が、またざわめき出す。
 神宮寺を助ける為に人質になる事を買って出たというのに、彼を危険な目に遭わせてしまった。
 どうしようもなかった事とはいえ、慨嘆の念は消えない。

 ……それに。
 神宮寺が助けに来てくれたあの時、自分は何一つ、彼に応える言葉を伝える事が出来なかった。
 心配させてしまったかもしれないのに、それを詫びる言葉さえも。
 嫌な思いを、させてしまったかもしれない。

 ……まだ、彼は起きているだろうか。
 扉の方を、洋子は何とはなしに見つめた。


  *  *  *  *  *


「……どうした?」
 遠慮がちにノックすると、そう時を待たずにドアが開いた。まだ寝てはいなかったようだ。
 上着やネクタイは身につけておらず、シャツの襟元をくつろがせている。
 汗だけ流したといった様子だ。
51622:2008/07/23(水) 12:32:43 ID:oke+Gnux
「あの………」
 決まり悪さからか、俯きがちな洋子の次の言葉を待っていた神宮寺。
 だが、寝巻姿の彼女を見て、とりあえず中へと告げる。

 室内に入ってから、洋子は少し後悔した。
 謝るだけなら、夜が明けてからでも良かったのだ。
 こんな夜更けに、しかも疲れているところに邪魔をするなど、きっと迷惑に違いない。
 ……結局、一人でいるのが不安だっただけだ。
 また自分は、彼の重荷になってしまっている──

「ごめんなさい……」
 椅子を促されても座る気になれず、佇んだまま洋子は呟いた。
「……どうして謝る」
 低く問う神宮寺の声に苛立ちのようなものが感じられ、洋子は言葉を飲み込んでしまう。
 問いに答えられず目をさまよわせる彼女の髪に、神宮寺がそっと触れた。
「俺の方だろう」

「…………?」
 洋子が言葉の意味を計りかねていると、彼の手が髪を下まで辿り、首筋をなぞった。
 痕をつけられた箇所に触れられているのだと気付き、肩をぴくりと震わせる。
「……酷い目に合わせた」
 その声に伏せがちだった顔をぱっと上げ、洋子は首を振った。
 そんな風には思っていない。この人のせいである訳がない。
51722:2008/07/23(水) 12:34:32 ID:oke+Gnux

 否定する洋子の肩を掴み、細い首筋に顔を近付け、神宮寺は赤黒い痕に口付けた。少し躊躇いながら、優しく。
 望まぬ事だったとはいえ、他の男に刻まれたものだ。
 触れられる事に抵抗を感じ、離れようとする洋子だが、彼の腕の力は揺るがない。
「あ………」
 夜着のボタンを外しながら、他にもつけられた痕を認め、指で撫でる神宮寺。
 白い膨らみや腹部に残された痣に、摩るように掌を這わせる。
 その動きはとても穏やかで、強張っていた洋子の体は次第に落ち着きを取り戻していった。

 だが温もりを与えられていく内に安らぎを覚え、抑えていたものが滲み出す。
「ぅ……っ………」

 溢れて、止まらなくなる。

 彼女の様子の変化に気付き、神宮寺は愛撫の手を止めた。
 肌蹴た素肌に近付けていた顔を離し、柔らかい頬を滑る涙ごと、両手で彼女の顔を包み込む。
「先、生………」
 気遣うような彼の眼差しに、応える言葉が出てこない。
 口を突いて出てくるのは、悲しみに任せて啜り泣く声ばかりだ。

 困らせたくないのに。

 鳴咽を漏らし続ける洋子を慰めるように、神宮寺は彼女の背をゆっくりと撫で始めた。
51822:2008/07/23(水) 12:36:08 ID:oke+Gnux
 まともに立っている事すら辛いのか、細い体は彼の胸にもたれかかってくる。
 彼は今にも崩れ落ちてしまいそうな彼女を支え、ベッドの端に座らせた。
 申し訳なさそうに、しかし縋るように見上げる洋子の唇を塞ぎ、背中を押さえて抱き寄せる。

 彼女がひどく疲れきっているのは、分かっていた。
 それでも負わせられた傷を、そのままにしておきたくはなかった。

 せめて、忘れさせてやりたかった。

「んっ、ふ………」
 まだ苦しげに息を漏らす彼女を気遣い、時折離れて、息を継がせては重ねを繰り返す。
 舌は奥まで入れはせず、歯列の辺りで動きを留めていた。
「うんっ……ん……」
 さほど深くない口吻を続ける神宮寺を、どこか戸惑っているような目で見つめる洋子。
 力の入らない手を彼の腕に懸命に押し付けている。
 何度も濯ぎはしたが、男性自身とその欲望を押し込まれた場所だ。
 少なくとも今はまだ、彼を受け入れたくはなかった。

 ややあって、彼女が離れたがっているのだと気付き、神宮寺は顔を引き、喘ぐ濡れた唇を指でなぞった。
「……嫌だったか?」
 小さく問い掛ける彼の言葉に驚いて、すぐに洋子は首を振る。
51922:2008/07/23(水) 12:37:27 ID:oke+Gnux
 その動きは緩慢で、疲弊しきっているのがよく分かった。
 これ以上無理をさせるのは憚られて、神宮寺は洋子の体を腕に収めるだけに留める事にする。
 まだ少し呼吸は乱れてはいるものの、疲労が勝ってか震えは止まったらしい。
 泣き腫らした目は開けているのが辛そうに細められ、すぐにでも眠りに引き込まれてしまいそうだ。
 意識が霞んで行くのを感じ、洋子はぼんやりと神宮寺の顔を見上げた。
 せっかく求めてもらえたのに、応える事も叶わない。
 それが堪らなく哀しかった。
「……ごめんなさい……」
「だから……」
 どうして謝る、と続く彼の声も、曖昧にしか聞こえない。

 ……それでも。
「先生」
 頭を覆う睡魔に逆らってでも、尋ねずにはいられなかった。
「私………」

 ──お役に立てましたか、と。

 最後まで言葉に出来たか分からない想いを抱いたまま、洋子の意識は闇に飲まれた。


  *  *  *  *  *


 静かな寝息を立て始めた洋子をひとまずベッドに横たえ、神宮寺は深く息をついた。
 白い頬には未だ乾かぬ涙の跡が筋を作っている。
 譫言のように呟いた最後の言葉はよく聞こえなかったが、ひどく憔悴しきった声だった。
52022:2008/07/23(水) 12:41:28 ID:oke+Gnux

 どれほどの痛みを受けたのか。
 どれだけ辛い思いをしたのか。

 李に連れて行かれてからの彼女が被った苦しみを、神宮寺は改めて思った。
 起こしてしまわない程度に彼女の肩を袖越しに撫でる。
 徐々に動かしていき、細い腕へと伸ばし、手首の辺りまで触れた所で、ぴたりと止まった。
「……………」

 戒めの痕。

 ここに来る途中で買った包帯に巻かれてはいるが、微かに血が滲んでしまっている。
 いずれはこの傷も癒えるのかもしれない。
 だが、心に受けた痛みは、完全に消える事はないのだろう。
 傍にいた事で、彼女の心に取り返しのつかない傷を負わせてしまった。
 何としても、守ってやらねばならなかったのに。

「………終わらせるか」

 何もかも。
 近しい者で無くなれば、自分の為に傷つく事などないのだから。

 たとえそれが、彼女を奪われる恐怖からの逃避でしかないと分かっていても。
 今の彼には、そんな形しか見出だせなかった。

「すまないな……」

 低く呟く彼の声は、力なかった。
521名無しさん@ピンキー:2008/07/23(水) 12:44:15 ID:oke+Gnux
終了です。
三郎と本番まで持って行けなかった事をお詫び申し上げます(´・ω・`)
522名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 09:27:43 ID:NMFNAFuA
神乙!
洋子さん可哀想だけど萌える…
523名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 20:36:38 ID:8pX+TIt2
>520
とても良かったです!胸にズンときました。
今度また書いて欲しいです。
524名無しさん@ピンキー:2008/07/24(木) 23:50:49 ID:tTaPryyK
サブの優しさにぐっと来ました!
また機会がありましたら書いてくださいませ
GJです!
525名無しさん@ピンキー:2008/07/25(金) 19:42:38 ID:mXxwSK23
質問だけど、ここはエロなしのマジ作品はだめですか?
526名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 01:09:26 ID:BIgo1UVx
>>525
俺はスレ主じゃないが一向に構わんっっ!
527名無しさん@ピンキー:2008/07/27(日) 09:27:29 ID:Pm+DAbwd
>>520
陵辱シーンは迫力あって興奮しましたし、ゲームでは描かれなかった
倉庫で縛られている前後の話も詳しくてもの凄く良かったです!
新作も心から待ってます。

ところで洋子さんの水着の話が読みたい。
洋子さんもう何年ぐらい着てないのだろう?
神宮寺と海やプールに行く話しって難しそうだけど
どなたか書いて欲しいです。神宮寺がその姿に興奮してエッチとか。
528名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 11:17:51 ID:4re/lTBD
>>525
自分もそんなに気にならない。
萌えられる描写があれば更に歓迎。
529名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 13:38:42 ID:JJ6w0oYE
水着か。洋子さんなら露出度の高いのよりシンプルなやつのほうが似合いそう
530名無しさん@ピンキー:2008/08/02(土) 17:05:49 ID:0xZTJVaP
たしかに。あまり派手なのとかも着なさそう。
531名無しさん@ピンキー:2008/08/03(日) 21:25:42 ID:EJTcKPnP
>>525
自分も歓迎するが…
一般ゲ板は板違いだし。
532名無しさん@ピンキー:2008/08/07(木) 23:46:26 ID:UHCAjKUM
投下前の注意書きさえあれば大抵のものは投下OKじゃなかろうか。
他のゲームや漫画の二次ものはさすがにあれだが。
533名無しさん@ピンキー:2008/08/19(火) 22:58:31 ID:NknkFWTy
あげほしゅ
534名無しさん@ピンキー:2008/08/25(月) 21:36:14 ID:ZnaPE/Dj
神宮寺の雰囲気に「海で泳ぐ」がどうにも似合わないw
だが「先生、久しぶりに着てみたんです」と洋子が水着姿を見せるのはありだな
535名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 00:19:28 ID:UzRqrt7n
>>534
いやむしろ事務所で、買ったばかりの大胆水着を広げ、
「似合いますか?」
と着衣の上から当てて見せる洋子たんがイイ。

「そういう派手な色合いは、君には似合わないと思うが…」
と内心ドキドキしながら言い出す神宮寺に対し、洋子が
「そうですか?店員さんや一緒に見に行った友人は褒めてくれたんですけれど…」
と戸惑いだす。
「もうちょっと違う雰囲気の水着の方が、良いんじゃないかな」
「でも、友人はお世辞を言うタイプじゃないんですけど…そうだ!着てみると随分印象が
変わるんです、この水着」

洋子たんお着替え

三郎ハァハァ

出されたモノはスタッフが美味しくいただきました。

「他の男の前では、その水着を着ないで欲しい……」


もしくは、ビーチよりも自家用クルーザーのシチュが似合うかも…三郎ボンだし。
536名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 17:46:20 ID:xW8GbDQb
三郎はボンだが実家の金など頼らず貧乏やってるほうが三郎らしいと思わないかw
自家用クルーザーは今泉に借りればよい
537名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 17:55:17 ID:xW8GbDQb
>>347を書いた者だがなんとなく創作意欲を刺激されたので水着ネタ話ちょっと考えてみる
エロ度合いも完成も期待しないでくれよw
538名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 20:43:05 ID:dvHNWTUV
>>534
海やホテルのプールで張り込みが必要というのは。
神宮寺一人だと怪しいし目立つので洋子さんもいっしょにとか。

>>537
そのSSもとても良かったので楽しみにしてます!
539名無しさん@ピンキー:2008/08/26(火) 21:04:44 ID:01ZHEuJC
>>535
美味しくいただきましたワロタw

>>537
楽しみにしてます。
540537:2008/08/27(水) 17:43:34 ID:MkEujOPB
とりあえずキリがついたところまで投下。エロシーンはまだ。
541神宮寺×洋子「水着」1:2008/08/27(水) 17:44:56 ID:MkEujOPB
 夏の日差しが容赦なく神宮寺探偵事務所へと差し込んでくる。ブラインドをおろしてはみたが、暑さは緩和されず、冷房の隙間をかいくぐって真夏の暑さを体に知らしめてくる
 洋子が書類を作成するキーの音だけが響く室内。調査中の依頼もないため、テーブルに座って神宮寺はのんびりと煙を肺へと流し込んでいた。
 話しかけては邪魔になるだろう、と思ってはいたのだが、昨夜の熊野との話を思い出し、「熊さんが……」と洋子に切り出す。
「久しぶりに海に行ったんだが、昔の海パンは履けなくなって新しいのを買ったそうだ」
 キーを打つ音が止まる。くすりと洋子の笑う声が聞こえた。
「他人事でもないのであまり笑えませんね」
「ああ……俺も長いこと履いていないな」
「私もです。久しぶりに着る勇気もないかもしれません」
 そこでまた洋子は笑って作業へと戻る。
 神宮寺は洋子のスタイルを改めて眺める。今、洋子はパソコンに向かっているので、当然ながら神宮寺に背を向けている。不躾に見ても不快に思われることもない。
 洋子は若いながらも事務所ではあまり露出の激しい服を着ない。男と二人になる職場だから、彼女なりの防衛策かもしれないが、水着姿を想像しようとしても神宮寺の頭には浮かんでこないのだ。
「洋子君も水着を持っているのか?」
「……先生?」
「いや、すまない」
「若い頃に友達とノリのようなもので買ったものですけど……持っています」
「君はまだ若いだろう」
「先生もまだお若いです」
 実年齢の若い洋子にそう言われ、どう返していいかわからず、神宮寺は黙り込む。
 相変わらず神宮寺の脳裏に洋子の水着姿は浮かんでこなかったが、それだけにその姿に興味が湧いてきている。どうすれば水着姿が見られるのか。中高生の少年のように神宮寺の頭は口実をひねり出そうとしていた。
542神宮寺×洋子「水着」2:2008/08/27(水) 17:45:36 ID:MkEujOPB
「明日、どこか泳ぎに行くか」
「では、依頼の方が来られたらお話は私が聞いておきます」
 軽く呟いたつもりだったが、言葉が足りなかった。洋子は神宮寺が一人で泳ぎに行くと思ったようだ。
 不測の事態に神宮寺は慌てて続ける。
「君もどうだ?」
「私……ですか?」
 手を止めた洋子が振り向いた。性急すぎる神宮寺の提案を不審に思っているのは明らかだ。
 何を必死になっているんだ――。
 洋子の表情を見て、神宮寺は自身の失態を嘲笑う。
「すまない。その……見てみたかっただけなんだ」
 情けないついでだ、とばかりに神宮寺は心情を暴露する。
 そう、ただ洋子の水着姿に興味が湧いた。それだけのことに、無理やり口実をつけようとするから醜態をさらすはめになったのだ。
 神宮寺の言葉から察したのか、洋子は少し思案した後に言った。
「先生も、見せてくれますか?」
「なに?」
「泳ぎに行く時間はありませんけど、明日、水着を持ってきます」
 続けて洋子は小さな声で、着られるかわかりませんけど、と付け加えた。
「わかった。俺も見せよう」
 答えながら、神宮寺の頭はすでに自身の海水パンツの在り処を探っている。海もプールも、言った覚えが最近の記憶の中にない。自身の不精を思えば、徹夜で探索しなければいけない可能性まである。
「楽しみにしていますね」
 洋子は笑いながら作業へと戻る。
 そうなのだ。神宮寺も『楽しみ』にしている。
「やれやれ……とんだ約束をしたかもしれないな」
 独りごちた神宮寺は、浮ついた心でにやけそうになる頬を、マルボロを咥えて抑えこんだ。
543神宮寺×洋子「水着」3:2008/08/27(水) 17:46:47 ID:MkEujOPB
 形ばかりの閉業時間がくる。基本的に神宮寺探偵事務所はドアの鍵を閉めたりはしない。いつ飛び込みの依頼――厄介ごとがくるかわからないからだ。
 だが、今日は神宮寺が事務所のドアの鍵を閉めた。今夜ばかりは飛び込みの依頼があっては困る。
 朝から二人とも水着の話題を出してはいない。だから、洋子が水着を持ってきているのか神宮寺は知らない。
 洋子を見ると、パソコンのディスプレイには青空の壁紙だけが映されている。今日の仕事は終わったようだ。
 デスク脇にかけていたバッグを取った洋子が、
「応接スペースで着替えてきます」
 と立ち上がった。
 慌てて、神宮寺は彼女へ声をかける。
「すまない。俺のは……ないんだ。洋子君だけになるが、それでもいいのか?」
「見てみたい、と先生はおっしゃいましたよね?」
 洋子の強い語調に神宮寺は虚をつかれる。
「あ、ああ……」
「では、着替えてきます」
 神宮寺は、早足で応接スペースへ向かう洋子を見送るしかできなかった。
 椅子に座って待っていたが、応接スペースから聞こえてくる衣擦れの音が、事務所に不似合いでどうにも居心地が悪い。神宮寺は立ち上がって音の聞こえない場所を探したが、狭い室内ではどこにいても聞こえてしまうのだ。
「先生……」
 洋子の声に慌てて応接スペースを見るが、彼女の姿はない。
「終わったんですけど……ご期待にはそえないかもしれません」
「君さえよければ、見せてくれないか」
 神宮寺は大きく深呼吸をし、洋子をうながした。スペースから出てくるかどうかは彼女に任せるつもりだった。洋子はただの助手で水着姿を披露するのが仕事ではない。
544神宮寺×洋子「水着」3(修正):2008/08/27(水) 23:32:08 ID:ecfP5/Di


 形ばかりの閉業時間がくる。基本的に神宮寺探偵事務所はドアの鍵を閉めたりはしない。いつ飛び込みの依頼――厄介ごとがくるかわからないからだ。
 だが、今日は神宮寺が事務所のドアの鍵を閉めた。今夜ばかりは飛び込みの依頼があっては困る。
 朝から二人とも水着の話題を出してはいない。だから、洋子が水着を持ってきているのか神宮寺は知らない。
 洋子を見ると、パソコンのディスプレイには青空の壁紙だけが映されている。今日の仕事は終わったようだ。
 デスク脇にかけていたバッグを取った洋子が、
「応接スペースで着替えてきます」
 と立ち上がった。
 慌てて、神宮寺は彼女へ声をかける。
「すまない。俺のは……ないんだ。洋子君だけになるが、それでもいいのか?」
「見てみたい、と先生はおっしゃいましたよね?」
 洋子の強い語調に神宮寺は虚をつかれる。
「あ、ああ……」
「では、着替えてきます」
 神宮寺は、早足で応接スペースへ向かう洋子を見送るしかできなかった。
 椅子に座って待っていたが、応接スペースから聞こえてくる衣擦れの音が、事務所に不似合いでどうにも居心地が悪い。神宮寺は立ち上がって音の聞こえない場所を探したが、狭い室内ではどこにいても聞こえてしまうのだ。
「先生……」
 洋子の声に慌てて応接スペースを見るが、彼女の姿はない。
「終わったんですけど……ご期待にはそえないかもしれません」
「君さえよければ、見せてくれないか」
 神宮寺は大きく深呼吸をし、洋子をうながした。スペースから出てくるかどうかは彼女に任せるつもりだった。洋子はただの助手で水着姿を披露するのが仕事ではない。
545名無しさん@ピンキー:2008/08/27(水) 23:33:36 ID:ecfP5/Di
修正版は改行を入れたかっただけなんだ
いつになるかわからんが続きは完成してから投下する
546名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 00:06:31 ID:pnBDqxOT
wktkして洋子さんの水着姿を待つ三郎……イイ!
547名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 01:34:52 ID:VXwrbIHH
桜保守
548名無しさん@ピンキー:2008/08/28(木) 01:37:24 ID:FNTyIRiR
(*´ω` )ハァハァ
549神宮寺×洋子「水着」4:2008/08/29(金) 00:56:58 ID:ea7cgC/W
 ゆっくりと洋子が応接スペースから出てくる。その全身を見た瞬間、神宮寺はおもわず感嘆の息を漏らしていた。
 ビキニタイプの水着から露出された肌は、少しも無駄なところがなく、むしろ洋子のスタイルの良さを際立たせている。ただ、洋子が若い頃に買ったというその水着は、一部、サイズの合ってない箇所があった。
「洋子君……」
「あまり、見ないでください」
「俺が言うことでもないと思うが、胸が……きつくはないか?」
「こんな場所でも成長するものなのですね」
 恥ずかしそうに笑いながら洋子は腕で胸を隠す。
 洋子の胸はそれほど大きいとは言えないが、水着にしめつけられた胸は痛そうで、さらに隠そうとする彼女の仕草が神宮寺の中の何かを刺激した。引き寄せられるように近づき、洋子を腕の中に包む。
 洋子の背中の水着を少しめくると、赤い線がついていた。神宮寺は指でなぞる。
「痛いだろう」
「大丈夫ですから……」
「俺のためではないかもしれないが……ありがとう」
「先生、がっかりなさっていませんか?」
「いや、むしろ……」洋子の髪から甘い香りがした。「惹かれたよ」
 そう囁いて、神宮寺は洋子の背を――肌を撫でる。
 神宮寺の少し荒れた指でも、洋子の肌のきめ細かさはわかる。自身の中から、撫でるだけでは物足りない何かが這い上がってくるのを神宮寺は感じていた。
 突き動かされるようにブラ部分の結び目を解く。洋子の胸が締め付けから解放された。
「えっ、先生?」
「嫌なら逃げてほしい」
 両手いっぱいで洋子の胸をつかんで撫でる。
 洋子の体を拘束するものは何もない。彼女が逃げれば神宮寺はそこでやめるつもりだ。欲は収まらないだろう。だが、そこは独りででも何とかなる。洋子の意を無視したくはなかった。
550神宮寺×洋子「水着」5:2008/08/29(金) 00:58:56 ID:ea7cgC/W
 洋子は黙って神宮寺の愛撫を受けているが、神宮寺の緩めた胸元にかかる吐息は熱い。
 下を見れば自分の手に揉まれて形を変える洋子の胸がある。
 かがんで洋子の乳首を口に含む。舌で転がすうちにそれは徐々に固さを増した。
 ――と、洋子の手が神宮寺のシャツを握り締めた。引き離そうとしているのではない。何かに耐えるようにただつかんでいるのだ。
 もう、止めるつもりはなくなっていたが、同意もなく及んだ行為だ。洋子をいつでも逃がす気持ちは変わらない。
 水着の中へと手を入れて、秘所を確かめる。胸を少し愛撫しただけだったが、洋子のぬめりは神宮寺の指を濡らした。
「せん……せい」
 洋子は言葉で抵抗しているが、その指は神宮寺の肩をつかんで離さない。
 秘所を撫でて指を濡らし、神宮寺はゆっくりと洋子の中へ潜り込ませていく。
 ああ、と切ない声をあげて洋子が神宮寺へしがみついてきた。と同時にきつく閉じた彼女の腿が神宮寺の腕を挟み込む。予想以上の力なので神宮寺は手が動かせない。
「洋子くん……?」
「……だから、ですか?」
 かすかに呟かれた洋子の言葉を全て聞き取ることができない。
 動きを止めて、洋子が再び言葉を紡ぐのを神宮寺は待つ。
「先生の前にいた女性が私だから……」
「俺は……」洋子が何を言わんとしているのか神宮寺にも理解できた。即座に彼女の言葉を遮る。「それほど器用な男ではない」
「でも、先生の周りには素敵な女性がたくさんおられます」
 神宮寺は内心で驚いていた。『素敵な女性』に洋子自身も含まれるというのに――。
 今、神宮寺は洋子を心から愛しいと思って抱いている。そのことを他ならぬ洋子自身に責められているような気がしたのだ。
「洋子くん、俺が君を抱くのは……おかしいことなのかい?」
 思っている気持ちをそのまま言ってしまえば、洋子の同意も得やすいだろう。だが、神宮寺は器用ではない。自身でもわかっている。こういう言い方しかできないのだ。
 洋子の腿の力がわずかに緩む。
551神宮寺×洋子「水着」6:2008/08/29(金) 00:59:45 ID:ea7cgC/W
「すみません、でした」
 洋子の表情を見て、神宮寺はいたたまれない気持ちになった。このまま抱いてしまえば彼女の弱みにつけこむようなものだ。
 秘所から指を引き抜いた神宮寺は、水着のズレも直して洋子から離れる。
「見せてくれてありがとう、洋子くん」
「先生……」
「もう着替えてくれてかまわない」
「先生……!」
 神宮寺は洋子に背を向けた。
 しばらくじっとそうしていたが、洋子の足音すら聞こえない。神宮寺と同じく、彼女もまた、その場から動いていなかったのだ。
 息を吸い込んで神宮寺は振り返る。
 先ほど直したまま、水着姿の洋子がそこに立っていた。
「もう、いいんだ……」
 洋子へ湧き上がってくる欲を振り切るように言う。
「私も、いいんです、先生」
「どういうことだ?」
「先生にこの姿をお見せした時から……どこかで期待していたのかもしれません」
 洋子は恥ずかしそうに目を伏せる。その仕草が神宮寺の欲を煽ることなど彼女は知らない。
「俺はもう止めるつもりはない」
「……はい」
 神宮寺の欲を再び解放するのに、その返事だけで十分だった。強い力で洋子を引き寄せて抱きしめる。
 ブラ部分をはずし、洋子の体から抜き取った。秘所へと指を滑らせれば、そこはまだぬめりを失ってはいない。
 洋子の吐息と漏れる声に煽られるように、神宮寺は秘所の中に潜り込ませた指を動かす。先ほどとは比較にならないほど淫猥な音が室内に響く。
「先生、せん……んっ」
 喘ぎのような甘い声が出る洋子の唇を強引に塞ぐ。こみあげる愛しさのまま、神宮寺は激しくその舌を絡めとった。
552神宮寺×洋子「水着」7:2008/08/29(金) 01:00:20 ID:ea7cgC/W
 口からか秘所からか、どちらからかわからないほどの水音。その音に煽られたのは神宮寺か洋子か――二人は互いの熱い吐息を飲み込む。
「も、もう……」
 洋子の言葉が何を指しているのかは、熱に浮かされた神宮寺にもわかる。洋子からいったん離れ、とある場所に隠しておいた避妊具を取り出し、椅子に座ってベルトを緩めた。
 おぼつかない足取りで洋子が神宮寺の前に立つ。
「洋子くん」
 うながすように洋子を呼ぶ。
「いいんですか?」
「なにが、だ?」
「私……軽くはないです」
「重くもないだろう?」
「はい」
 洋子がゆっくりと向き合って神宮寺の腿にまたがる。
 神宮寺は避妊具をつけた己のものを持ち、洋子の水着を指でよけて昂ぶりを中へ沈みこませていく。
「あっ……先生……」
 洋子が神宮寺にしがみついてくる。神宮寺もまた腕をしっかり回して彼女を抱きしめた。
 久しぶりの女――愛しい女の中は予想以上の快感を神宮寺へ与えてくる。片手で洋子を支えながら、自然と腰が動いていた。
 動きに合わせて出される洋子の耐えようとする声は、神宮寺の耳朶を甘く刺激する。聞いたことのないほど甘い洋子の声に、欲情はさらに高まっていくのだ。
 神宮寺の頭には洋子の声と重なる水音だけが響いている。
 やがて、洋子の嬌声と共に神宮寺も果てた――。
553神宮寺×洋子「水着」8:2008/08/29(金) 01:00:54 ID:ea7cgC/W


 神宮寺は、余韻が抜けてないであろう洋子の中から自身のものを抜き取る。
「あっ……」
 神宮寺が手を離すと、洋子はそのまま床へへたりこんでしまった。
 下半身をさらしたまま助け出すのは少々間抜けだ。手の届く場所にあったティッシュを引き寄せ、役目を終えたものを包み、自身のものを拭きとって仕舞う。
「洋子くん、大丈夫かい?」
 ほとんど裸で座り込んでいるのに呆然としたままの洋子に、神宮寺は苦笑しながら彼女を抱き起こす。
「はい、ありがとうございます……」
 神宮寺が支えながらも、洋子は自力で立っているが、その目はどこかうつろだ。床に落ちている水着を拾い上げ、応接スペースへと向かっていく。
「明日は休むといい」
「大丈夫です。助手は私一人ですから休むわけにいきません」
 『助手』という言葉にどこか引っかかるものを感じた神宮寺は、洋子の背に声をかける。
「俺は、ただの助手を抱くほど器用な男ではない」
 洋子の足が止まる。振り向いた彼女の目は少し潤んでいた。
「……本当ですか?」
「本当だ。君が一番よく知っているだろう?」
「……はい」
 洋子の顔に笑みが広がる。
 助手ではない、一人の愛しい女性が神宮寺の前で微笑んでいた。


 ◇終◇
554名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 01:04:42 ID:ea7cgC/W
完成したので投下。
流れと衝動で書き進めていたので、エロ展開がなんで途中で中断されたのか俺にもよくわからんw
あいかわらずエロは薄いかもしれないが、洋子の気持ちとかを感じ取ってもらえれば・・・
はっきり言おう。神宮寺と洋子のこういう距離感は大好物だ。
555名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 14:33:47 ID:Fs213+N2
これはすんごく良いですね。
暗くなった事務所で洋子さんの水着姿。
描写が上手くてここだけでもドキドキ。
エッチシーンも興奮しました。
あと洋子さん視点も読みたいと思いました。
前日、どの水着にしようかとか、神宮寺に身体を
どう思われるだろうかとか。その後はとか。
ともかく書いて頂いて超感謝です!
556名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 15:39:36 ID:Q1Y10khK
洋子視点まで書いたら想像の面白みがなくなる気がするので、そこは想像で補っておいてほしい。
基本的にリクエストでは書けない人なんだ…すまんね。
557名無しさん@ピンキー:2008/08/29(金) 20:13:14 ID:go2pJA7x
>>554
ストレートに気持ちを言葉に出来ない所が実に神宮寺らしいw
二人の関係の微妙な感じがよく出てて良かったです。
558名無しさん@ピンキー:2008/08/31(日) 19:07:16 ID:tj3K6IKb
>>554
水着で恥らう彼女の様子が浮かんでくるよう
素晴らしかったです
559名無しさん@ピンキー:2008/09/14(日) 06:41:56 ID:MRNARqG4
保守
560名無しさん@ピンキー:2008/09/27(土) 23:18:46 ID:SEIyVY24
56122:2008/09/29(月) 17:14:10 ID:Hcxxaot9
季節遅れと知っていながら海水浴ネタで投下させて頂きます。
・神宮寺×洋子
・夢の終わりにから一年後の夏辺り
・勝手設定複数アリ
・エロまでの前置きやや長し
56222:2008/09/29(月) 17:15:42 ID:Hcxxaot9
 夏の陽光が、焦がさんばかりの強さで浜辺を熱している。

 茹だるような暑気にも負けずはしゃぐ子供達や、若い女性の黄色い声が、あちこちで飛び交う。
 日光を反射してキラキラと光る海面から顔を出す人達の表情も、この天候に相応しい笑顔だった。

 ───が。

「……ふう……」
 楽しそうな風景にそぐわぬ、疲れたような溜め息をつく男が、一人。
「なんだ神宮寺君、もうへばっとるのか」
「だらしねぇなあ、おい。運動不足でなまっちまってんじゃねえか?」
 笑いながら後ろから歩いて来た初老の男性と、呆れたような顔をしている厳つい男の声に、神宮寺は肩をすくめて苦笑した。
「そんな事はないが……ただ」
 海岸を埋め尽くす程の人の群れへと、視線を動かしながら彼は言う。
「賑やかすぎてちょっとな……」
「まあ、たまには良いじゃないか………しかし、こうも暑いと流石に……」
「フッ……熊さんこそへばってるんじゃないのか?」
「ふもっ! そ、そんな事は……」
「かもな。最近じゃあ、見かける度に暑い暑いって呻いてやがるもんなぁ、熊さん」
「こ、小林まで……」
56322:2008/09/29(月) 17:18:23 ID:Hcxxaot9

 軽口を交わしながらレンタルのパラソルを立てる彼らの額に、汗が滲む。
 普段より薄着ではあるが、やはりこの暑さには敵わない。
 捲くった袖で汗を拭いながら、神宮寺は照り付ける太陽を見上げた。
 眩暈を覚えそうになる程の熱気を払うように、彼は二週間前の事務所での光景を思い出す。
 ここに来るに至った、きっかけの会話を──


  *  *  *  *  *


 梅雨も明けてしばらく経った頃、会わなくなって久しかった少女が、神宮寺探偵事務所のドアを叩いた。
「洋子さん、神宮寺さん。こんにちは!」
「あら、美貴ちゃんじゃない」
 開いたドアの先に立つ少女のはきはきとした声に、洋子はにこりと微笑む。
 永田美貴──昨年の春頃に携わった事件の関係者であり、洋子の友人の妹である。
 当時は彼女の姉──永田由香が危険に晒された事で暗い表情を見せていたが、今は快活な性格相応の笑みを浮かべている。
 その様に、さしもの神宮寺も顔を綻ばせた。
「久しぶりだな。お姉さんは元気かい?」
「はい、今日も大学に行ってます……相変わらず口うるさいんですけど」
 うんざりといった様子でしかめっ面をしてみせる美貴。姉妹の仲は変わらず良好らしい。
56422:2008/09/29(月) 17:19:58 ID:Hcxxaot9
「美貴ちゃんの方は、どう? 学校の勉強は……」
「あ〜、うぅ………ちょっと、キツいかも」
 志望校にも受かり、今の彼女は大学生としての日々を過ごしている。
 苦い笑みを零しつつも、夏休みである今ここに来る余裕があるという事は、単位を落とさずには済んだのだろう。
「ところでっ、最近って忙しかったりしますか?」
 休みの間くらい勉強の話題はしたくない、という気持ちが見え見えの顔で、美貴は近況を尋ねた。
 ふう、と一つ息をつきながら飲みかけのコーヒーに口をつける神宮寺に苦笑しつつ、洋子は答える。
「一段落したところよ。今はまだ、新しい依頼も来ていないし」
「じゃあ、ゆっくり出来そう?」
「依頼人がしばらくの間来なければ……だけどね」
「そっかぁ……」
 美貴は俯き、黙り込んでしまった。
 何か言おうか言うまいか、逡巡しているようだ。
 洋子と神宮寺が不思議そうに顔を見合わせたその時、美貴はぱっと視線を上げた。
「あの、もしよければ……なんですけど、皆で何処かに遊びに行けたらいいなぁ……なんて」
「皆で?」
「うん、夏だし海とか良いんじゃないかって、お姉ちゃんが」
56522:2008/09/29(月) 17:21:19 ID:Hcxxaot9
 美貴の言う"皆"の中に自分も含まれているのだと察し、何となく複雑な気分になる神宮寺。
 洋子は興味を持ったのか、少し楽しそうな笑みを浮かべている。
「由香の方は大丈夫なの?」
「日にちが決まったら、予定空けられるって。体の調子ももうすっかりだし」
 洋子が乗り気になっているのに気付いてか、やや遠慮がちになっていた美貴の声が再び弾む。
「お姉ちゃん、色々あったし………大学の方も忙しくって、あんまり息抜き出来てないみたいだから……」
 事件が起きた時の事を思い出したのか、彼女の声音が影を含む。
 しかしそれも一時の事で、すぐに明るいものへと切り替わった。
「だから、たまにはパーッと気分転換とか出来たらいいなぁ、とか……どうですか?」
 期待に満ちた目で返答を求める美貴の言葉に、洋子の瞳に優しい色が灯る。
 以前と変わらず……もしかしたらそれ以上に姉を思う彼女の姿が、とても微笑ましく映った。
「先生……」
 どうでしょう、と判断を仰ぐ洋子の顔は、断りの返事をするのが憚られる程に晴れやかだ。
「………まあ、良いんじゃないか……」
 二人のにこやかな表情に押され、神宮寺は曖昧な言葉で返した。
56622:2008/09/29(月) 17:22:40 ID:Hcxxaot9
 この時期大いに賑わっているであろう海へ行くのには、若干気が引けるのだが……
 神宮寺の答に一つ頷いて振り返る洋子の笑みに、美貴は嬉しそうに目を輝かせた。
「よかったぁ! じゃあ、お姉ちゃんにも伝えておきますね。都合の良い日とかあります?」
「そうだな………」

(……すっかり乗り気だな……)
 美貴の言葉に答えながら、神宮寺は心中でやれやれと呟き、肩をすくめていた。


  *  *  *  *  *


 そうして、今に至った訳である。
 熊野もこの場にいるのは、後に洋子がせっかくだからと言って彼を誘った為だ(小林は熊野から話を聞いて「面白そうだ」などと言ってついて来たらしい)。
 洋子達から予定より遅れそうだと連絡が入った為、彼等は一足先にここに来て一息ついていた。
「しかし二人とも、よく来る気になったな。この暑い中」
 パラソルの下に腰を落としながら、神宮寺が言った。
 多少なりとも涼める事に安堵してか、大きく息を吐いて熊野も座り込む。
「まあ、ワシとて休息は欲しいからの。刑事課は相変わらず息が詰まるからな」
「たまにゃあ夏らしい楽しみも欲しくなるってもんよ……つーかお前らなんだ! 水着はどうした水着は!」
56722:2008/09/29(月) 17:24:06 ID:Hcxxaot9
 シャツにズボンという、ここに着いた時と変わらない格好の神宮寺と熊野。
 対して小林は、上に半袖のシャツを羽織り、下には海水パンツを履いている。
 いかにも泳ぐ気満々といった様相だ。
「いや、俺は付き添いみたいなものだから……」
「老体に水はきついだろうからのう……」
「お前ら何しに海に来たんだ……」

 女性陣の到着を待ちながら、三人は浜辺をぐるりと見回していた。
「……今時の若者は、随分派手な水着を着るんだのう……」
 布地の少ない、際どい水着を着た女性を熊野はちらりと見て、恥ずかしくはないのだろうか、とぼそりと呟く。
 神宮寺が確かに、と頷いた。
「本人が気にしてないなら良いんだろうが……目のやり場に困るかな……」
「そうかぁ? いいんじゃねぇか、目の保養になって」
 少し気後れしている二人に反して、小林はからからと笑いながら立ち上がった。
「どこか行くのか?」
「暑くてしょうがねえや……先泳いでるぜ」
 そう言って彼はシャツを放り、首をコキコキと鳴らす。
 手を軽く振って海へと歩いて行く小林の背を見送ると、思い思いに楽しむ若者達の声が神宮寺達の耳をかすめた。
56822:2008/09/29(月) 17:25:28 ID:Hcxxaot9

 二人がどこか場違いな所にいるような気分になってきた頃、後ろから聞き慣れた声が近付いて来た。
 振り返る二人を見て、美貴が声をかける。
「あれっ、神宮寺さん達は泳がないんですか?」
 彼女が着ているのは、セパレート型の山吹色の水着だ。
 ビキニスタイルとはなかなか大胆ではあるが、ボトム部分に付いたひらひらとしたスカートが少女っぽい可愛らしさを引き出している。
「せっかく海に来てるのに、勿体ないですよ」
 そう言う美貴の肩に、隣にいた女性がぽんと手を置く。
「美貴が無理に誘ったから、あんまり気乗りしてないんじゃないの?」
 茶化すように笑うその人の顔色が、以前会った時よりずっと良い事に、神宮寺はほっとした。

 もっとも、彼が最後に彼女と顔を合わせたのは半年以上も前……彼女が病院を退院する少し前の事だ。
 今になって全快していないという事はない筈なのだが、それでも彼女──永田由香の健やかそうな姿に安堵せずにはいられなかった。
「お久しぶりです、神宮寺さん」
56922:2008/09/29(月) 17:27:33 ID:Hcxxaot9
「元気そうで何よりです」
「刑事さんも……その節はどうも」
 事件当時の事がよぎったのか、微笑する由香の目に僅かな影が宿る。
「あの………先生は、今は……」
 躊躇いながらも問う由香に、熊野は髭に触れながら頷いた。
「うむ………罪が罪だけに、暫くは出て来れんだろうな……」
「そうですか……」
「……だが、いつか必ず前に進める筈だよ。その為に償っておるのだから」
 ……きっと、アイツも。
 熊野はそう一言胸中で付け加えた。
「……はい……」
 熊野の言葉を受け、再び笑顔を作る由香。
「なーんか暗いよ、そこ!」
 殊更明るい声で沈んだ空気を払いながら、姉の腕に絡む美貴。
 口を尖らせて怒ってみせる妹なりの気遣いが、由香にはありがたかった。
「今日は思いっきり遊ぶんだから! ね、洋子さん」
「フフッ、そうね」
 応じる洋子の笑う声を聞き、姉妹の後ろにいた彼女の姿を、神宮寺は捉らえた。

 ワンピースタイプの、大して飾りけのない水着を洋子は身につけている。
 布地のクリーム色も淡く落ち着いた色合いで、素材が良い分よく映えていた。
「遅くなってすみません」
 そう言う洋子のはにかんだ表情がどこか新鮮で、神宮寺は眩しげに彼女を見つめた。
57022:2008/09/29(月) 17:29:01 ID:Hcxxaot9
「あら? 小林さんは……」
 呟きながら辺りを見回す洋子。
 視線を海の方へと向けると、その唇がふっと笑みを作った。
「一番乗り、ですね」
 遠くの方に、彼らしき頭が見える。
「早く行こうよー」
 辛抱出来なくなったのか、美貴が由香の腕を引っ張って訴える。
 はいはい、と苦笑しながら由香は神宮寺達に目配せして、美貴と波打ち際へと歩いて行った。
 二人の背を穏やかな眼差しで見送ると、洋子は神宮寺の方を振り返った。
「じゃあ、私も……」
「ああ……楽しんでくるといい」
 洋子は頷いてから、持っていたバッグを降ろし、中に入れてある水筒を指す。
「冷やしてあるので、よろしければ」
「ありがとう」
 洋子は軽く微笑むと、美貴達の後を早足で追い掛けていく。
 その後ろ姿が、神宮寺の目に焼き付いた。

 露わになった太股。すらりと伸びた腕。
 真後ろから眺める身体の滑らかなラインは、美しいと形容する以外、言葉が浮かばない。

 ぼんやりと洋子を見ていると、隣からの意味深な視線に気付き、神宮寺は気配の方に顔を向けた。
 見ると、熊野がニヤニヤと笑っている。
「……何だ?」
「いやいや、君にもそういう所があるんだのうと……」
57122:2008/09/29(月) 17:30:20 ID:Hcxxaot9
「……………」

(……変な所を見られてしまった)

 気恥ずかしさを隠すように、神宮寺は水筒に手をかける。どうやら複数用意してくれたらしい。
「コーヒーと麦茶があるが……」
 水筒を示して問うと、熊野は麦茶入りの方を受け取った。
「さすが洋子君、気が利いとるの」
 冷茶を飲んでほうっと息をつく彼を横目に、とりあえずはごまかせたようだと安堵しながら、神宮寺もアイスコーヒーを口に含む。
「ああいう娘を嫁にすると良いぞ、神宮寺君」

 見事に不意を突いた熊野の一言に、吹き出しそうになった。

  *  *  *  *  *

「もうちょっと派手なのでも良かったんじゃない?」
 先に水中に身を浸らせていた由香が、追いついた洋子に声をかけた。
 水着の事を言われているのだと気付き、そうかしら、と呟きながら洋子は自身を見下ろす。
「ビキニとかさ。せっかく神宮寺さんも来てるんだし」
 笑いを含んだ目で浜の方を見る由香に、洋子は顔をほのかに朱に染めた。
「なんでそこで先生が出てくるのよ……」
「たまには積極的にアピールしなきゃ。多分神宮寺さんって、あまり自分から手を出さない方だと思うわよ」
57222:2008/09/29(月) 17:32:08 ID:Hcxxaot9
「……………」

 由香の言葉を受け、洋子は神宮寺の事を思い返してみた。
 確かに、関係を持つ以前はそのような素振りは見せなかったし、何を考えているのかいまいち掴めないところも少なからずあった。
 だが……

「……そんな事はないけど……」
 きっかけさえ生じてしまえば、あっという間だった。
 今でも言葉にして告げてくれる事こそ滅多にないが、行為の合間に想いを示してくれている。

 ぽつりと呟いた声を聞き、由香はにやりと笑った。
「……もういくトコまでいっちゃってる訳?」
「ちょっと、何言って……」
「えっ……洋子さん達ってそういう関係なんですか!?」
「美貴ちゃんまで……」
 事実だけに否定出来ないのがもどかしい。
 どうしたものかと頭を押さえる洋子を面白がり、由香はますます笑みを深める。
「じゃあさ、もしかしてワンピースにしたのって………」
 内緒話のように、洋子の耳元に由香が囁く。
「…………!」
 ばっと由香から退いた洋子の顔は、先程よりも赤い。
「え、まさか図星?」
「ね、何? 何て言ったの、お姉ちゃん」
「あのね……」
「由香っ!」
57322:2008/09/29(月) 17:33:25 ID:Hcxxaot9
 いつになくうろたえた様子の洋子を見るのが余程楽しいのか、姉妹の笑みには悪戯っぽいものが宿っている。
 どうやって反論しようかと頭を捻っていると、いつの間にか二人の顔からさっきの表情が消えていた。
 何だろう、と洋子の後ろの方を見ている。
 彼女が振り向く前に、背後から声が届いた。

  *  *  *  *  *

「…………?」
 退屈そうに細められていた神宮寺の目が開き、一点を怪訝そうに見つめた。
 視線の先にいるのは、洋子達の他に、見覚えのない男が数人。どの男もいかにも軟派そうな風体だ。
 遠目からでよくは分からないが、愛想よく話し掛けている男達に対し、彼女らは戸惑っているように見える。
「……悪い虫がついたかの」
 熊野も気付いたのか、彼等を見ながら言う。
 苦笑混じりのその声に応える気にならなくて、神宮寺は眉間に皴を寄せる。
 様子をうかがっていると、男の一人が洋子に顔を近付け、何やら耳打ちし始めた。
 由香が横から口を出すとすぐに身を引いたが、何となく不愉快な気分になる神宮寺。
 なかなか離れて行かない彼等にしびれをきらしたのか、溜め息を吐きながら立ち上がった。
57422:2008/09/29(月) 17:34:45 ID:Hcxxaot9

 だが、歩を進めるその先に小林の姿を認め、思わず立ち止まった。
 いつの間にか洋子達の側に来ていた彼は、男達に声をかけている。
 不機嫌そうに二言三言言うと、男達はすごすごと引き下がっていく。
 小林はそれを手で追い払う仕草で見送った。
「……いらぬ心配だったようじゃの」
 ニマニマと笑う熊野の視線に、神宮寺は苦い表情を浮かべ、あさっての方向へと歩き出す。
「……適当にその辺を歩いてるよ。何かあったら、携帯に」
 うむ、と一つ応え、軽く手を振る熊野。
 神宮寺の背がだいぶ遠くなると、髭をひと撫でして呟いた。
「……若いのう……」

  *  *  *  *  *

「助かりました、小林さん」
 礼を言う洋子の方を振り返りながら、小林が応える。
「いいって事よ。しかしあれだ」
 男達が去った方向をちらっと見た。
「ああいうのははっきり断った方が良いんだぜ。しつこい奴もいるからな」
「気をつけます」
 頷く洋子に、由香が物言いたげな視線を送る。
 察した洋子が由香に小さく笑いかけた。
「こちら、淀橋署の小林さん。着く前に話してた……」
 ああ、と口元を緩ませ、由香は会釈する。
「永田由香です。はじめまして」
57522:2008/09/29(月) 17:36:21 ID:Hcxxaot9
「おう、よろしく。んで……」
 由香の横に立つ美貴に顔を向ける小林。
「ちゃんと勉強してっか? 浪人生」
「浪人じゃないですっ!! もう立派に大学生ですもん!」
 例の事件の折、美貴が何度か警察に出向いた際、小林と知り合ったらしい。
 こうして話をしている所を見るに、それなりに仲が良い……のだろうか。
「悪かった悪かった。じゃあ、"元"浪人生。これで良いか?」
 顔を真っ赤にして怒り、バシャバシャと水をかけて反撃する美貴。
 小林はニヤニヤしながらそれを防いでいる。

 クスクス笑いながら見守っていた洋子の肩を、由香がつんつんとつついた。
「…………?」
「ね、神宮寺さん、どこか行くみたいだけど」
 由香が示す方を見てみると、パラソルの元を離れていく神宮寺と、それを見送る熊野の姿が目に留まった。
 ゆったりとした歩みからして、特に用事があるというようにも見えないが……
「行ったら?」
 由香に促され、少し様子を見て来ようと彼の元へと向かう洋子。
 彼女を見送る由香は、実に楽しそうな笑みを作っていた。
「どうしたの?」
 離れていく洋子の背中を見ながら、美貴が問う。
「何でもないよ。さ、泳ごうっ」
「?」
57622:2008/09/29(月) 17:37:28 ID:Hcxxaot9
 何だか嬉しそうな姉の様子に、美貴は首を傾げた。

  *  *  *  *  *

 しばらく歩いていると、神宮寺は人気のない岩場に行き着いた。
 すぐ側にある防波堤のお陰か、強い陽射しは当たらない。
 なるべく平らな岩に背をもたれかからせ、神宮寺はポケットからジッポと煙草を取り出す。
 煙を深く吸い込み口内で味わっていると、来た時以上に疲れたような溜め息が漏れた。

「……………」
 時折遠くから聞こえる歓声が、彼の耳を掠めていく。
 波音ばかりが目立つこの場所では、やけに響くような気がした。
 ──この中に、彼女らの声も混ざっているのだろうか。

 そんな事を思いつつ目を閉じ、耳を澄ませたその時……

「……先生?」

 近くから届いたその声に、正直かなり驚いた。
 目を開け辺りを見ると、歩み寄ってくる洋子の姿をた易く見つけ出せた。
 泳いでここまで来たのだろう、艶やかな黒髪が揺れる度に、雫がぽたぽたと零れ落ちていく。
 腕や腿を伝う水が、彼女の肢体をより一層艶めかしく見せる。
 これまで暗がりの中でしか見られなかった素肌が、こうして惜し気もなく日の下に晒されている事に、神宮寺は昂ぶるものを感じていた。
57722:2008/09/29(月) 17:38:47 ID:Hcxxaot9
「こちらの方に歩いているのが見えたので……」
 そう言ってから、洋子は控えめに尋ねた。
「……退屈でした?」
「いや……」
 申し訳なさそうな声に、神宮寺は言葉を濁してしまう。
 上目遣いに問い掛ける表情も髪をかき上げる仕草も、見慣れたものだというのに、彼の胸の内のどこかを疼かせた。
 いつもと違うこの光景がそうさせるのだろうか。
「煙草が吸いたくなったから、それで……」
 本音とこじつけが半々の返答に、洋子は薄く微笑む。どうやらお見通しのようだ。
「良いのか? 彼女らの方は」
 煙草を携帯灰皿の中に押し込みながら、神宮寺が問う。
「小林さんもいますし……」
 そこまで言いかけて、洋子は悪戯っぽく笑った。
「私はお邪魔でしたか?」
 思わず口端を綻ばせ、神宮寺は洋子の肩を抱き寄せた。
「そんな訳ないだろう」
 言いながらひんやりとした頬を撫で、口付ける。ほんのりと塩の味がした。
「先生、あの……」
 人目を気にして身を引こうとする洋子に構わず、神宮寺はしっとり湿った髪を梳く。
「さっき、何だって?」
 唐突で掴めない問いに不思議そうな顔をする彼女に、神宮寺は少し焦れる。
「からまれていたみたいだが……」
57822:2008/09/29(月) 17:39:54 ID:Hcxxaot9
 先の男達の事を尋ねているのだろう。
 言わんとしている事が見えてきて、洋子は面白そうに笑った。
「……気になりますか?」
 試すような言葉に簡単に乗ってやるのが嫌なのか、神宮寺は彼女の唇を塞ぎ、零れる小さな笑いを阻む。
 咄嗟の事に驚きつつも周囲に視線を走らせ、人がいないかどうかを確かめる洋子。
 視界に誰も映らないものの、不安は拭えないようだ。
「……誰も気付かないさ」
 神宮寺は唇を離してそう告げ、腰の辺りをつと撫でた。
「でも……」
 彼の手の動きに、キスより先にまで及ぼうとしているのだと察し、洋子は抵抗を試みる。
 誰かに見られるかもしれないし、そもそも外でするのは恥ずかしかった。
「最近あまりさせてくれなかったろう?」
 不満げな洋子に構わず、肩紐をずらして内側の柔肌を撫で回す。
「だって、それは……」
「ん?」
 じっと見つめる神宮寺に、真っ赤になって洋子は言葉を続ける。
「痕がついてしまうから……」
 ああ、と納得したように息をつく神宮寺。
「じゃあ、見えない所になら良いか?」
「え……」
 戸惑う彼女の隙をつき、神宮寺は水着の上半分をずるずると脱がせてしまう。
「え……えっ、やだ、先生っ」
57922:2008/09/29(月) 17:41:23 ID:Hcxxaot9
 いきなりさらけ出された胸を隠そうと上げた腕を、神宮寺がぐっと掴む。
 そのまま乳房に軽く歯をたて、赤みがついた所を舌でなぞった。
「……っ……」
「ここなら、誰にも見られない」
「そういう問題じゃ……」
 洋子は慌てて再び周りを確認する。
 彼女がまだ余所見してばかりいる事にやや憮然として、神宮寺は胸の先端をきゅっと摘んだ。
「あっ……」
 小さく声を上げる洋子。
 指で擦られ、膨らみを掴まれている内に、乳頭は次第に硬くなる。
 白い肌がほのかに赤く染まるまで胸を揉み解すと、彼女の息に甘いものが含まれつつある事に気付いた。
 顔を覗き込むと、羞恥と心地よさに潤んだ瞳が神宮寺を見つめ返す。
「帰ってからじゃ……ダメなんですか」
「今更、だな」
 遠慮がちに頼み込む洋子の言葉を、神宮寺は否定した。
 おそらく何を言っても聞きはしないだろうと分かっていたが、こうもあっさり即答されてしまうとやはり困ってしまう。
 洋子は快感と呆れのこもった溜め息をつきながら、誰にも見られませんようにと心中で祈った。
58022:2008/09/29(月) 17:42:34 ID:Hcxxaot9

  *  *  *  *  *

「あれ?」
 時を同じくして、少し休もうと波打ち際まで戻って来た美貴が、いつの間にか着替えて来ていた熊野を見て声を上げた。
「やっぱり、泳ぐんですか?」
「見ているだけにしようと思ったんだが、やはり暑いからの。話し相手もいなくなった事だし」
 それを聞いてようやく、美貴は神宮寺がいない事に気付いた。
「神宮寺さんも? 洋子さんも帰って来なくて……」
「もう結構経ってるわよね……」
 由香は呟き、ひとつ頷いた。
「ちょっと様子見てくる。適当に泳いでて」
「あっ、お姉ちゃん……」
 何か言う間もなく、由香は洋子が向かって行った方へと行ってしまった。
「……行っちゃった」
 やはりどこかウキウキした様子の姉を見つめて立ち尽くす美貴の後ろから、小林が寄ってくる。
「なんだ熊さん。水着持ってきてんじゃねえか」
 ごまかしようのない腹まわりをじろじろと見て問う。
「……泳げんのか?」
「失敬な……」
 むっとしつつも、熊野は心の中で同じ不安を抱いていた。
 泳がずにいようと思っていた本当の要因は、そもそもそこにあったのだ。
58122:2008/09/29(月) 17:43:57 ID:Hcxxaot9
 しかしこの熱気の中において水の誘惑に勝てる筈もなく、熊野は抜かりのない準備運動の後に、再び海に入った小林達を追うのだった。

  *  *  *  *  *

 一方その頃──
 岩場の影の男女は夏の暑気にも勝る熱に心身を浸していた。

 神宮寺はますます熱を帯びてきた体を涼ませようと自身のシャツのボタンを全て外し、洋子の体を更に引き寄せる。
 厚い胸板に膨らみが直接押し付けられて歪むさまに、互いの鼓動が少なからず速まる。
 神宮寺は背に腕を回しうなじに触れると、そのまま指をつつと下へ撫で下ろした。
「あぁっ………」
 ぞくりと身をわななかせる洋子の首筋に軽く口付け、神宮寺は改めて彼女の肌を見つめ、ほう、と息をついた。
「……やっぱり、白いな」
 肩から腕にかけてをそっと摩り、柔らかな感触を味わいながら呟く。
「いつもは、暗くてあまり見えないからな」
「……やっぱり、落ち着かないです。ここじゃ……」
 照る陽光の下、隠すものも無く直視される身を恥じらう洋子に、神宮寺はかえってそそられてしまう。
 腕の中でもがく彼女を壁際に追い込み、水着の下半分の中に手を伸ばし、臀部を撫で回す神宮寺。
58222:2008/09/29(月) 17:45:19 ID:Hcxxaot9
 双丘の更に下へと指を這わせていき、秘部に至ったところで、ぴたりと止めた。
「……洋子君……」
「……っ……」
 潜めたような呼び声に、洋子はびくりと固まった。
 何かを確かめるように動き出した指を妨げようとしてか、あるいは快感に耐えかねてか、もどかしそうに腿を擦り合わせる。
「……本当に、嫌なのか?」
 その言葉に、ますます彼女の頬の赤みが増す。
「やっ……ぁ……」
 割れ目の外に触れていただけの指が、僅かながら内部に入り込んできた。
 海水によるものとは明らかに異なるとろみを帯びた湿りが、硬い指先に絡み付いてくる。
 外側にまで染み出してきたそれは、彼女の欲求を示していると言って良いだろう。
「開いてくれないか?」
 足を閉じられたままでは、奥まで触れられない。
 神宮寺は洋子に小さく言いながら、細い腰と秘所とを優しく撫でた。
 耳元に低く響くその声と彼の指の感触が、洋子の思考を霞ませていく。
「あんっ………」
 駄目押しとばかりに耳に息を吹き掛けられ、体を震わせる洋子。
 脱力したその隙に足を開かせ、神宮寺は中に指を沈み込ませる。
58322:2008/09/29(月) 17:46:58 ID:Hcxxaot9
 少し屈んで胸の先端を口に含み、指の動きを速めると、堪らなくなった洋子が神宮寺の肩に縋り付いた。
 膣壁に押し付けた指を上下させ、掻き回す合間に聞こえる声は小さいが、呼吸の間隔は短くなってきている。
 視線だけ彼女の顔に向けると、息を乱しながらも小さく首を振り、懇願する。
「ダメ……せんせ……もう……」
 彼女の言う"ダメ"はやめてほしいという意味か。あるいは焦らさないでほしいという事か。
 せっかくなので、神宮寺は後者にとる事にした。
「んく……ぅ、あっ」
 乳頭を吸いながら軽く陰核を摩ると、びくっと腰を強張らせ、洋子は声を詰まらせた。
 漏れ出す愛液を指に塗り付けるように中を擦り、掻き混ぜられる内に、零れる声はよりか細いものになっていく。
 さすがに堪えきれなくなった神宮寺は、荒くなる呼吸を抑えながらベルトに手をかけた。
「……あ……」
 彼が愛撫の手を止め一旦身を離した事に、洋子は戸惑った。
 同時に疼きが収まらなくなっている自身に気付き、恥ずかしげに顔を伏せる。
「洋子君。そこに……」
 岩壁を指し、手をつくようにと神宮寺が促すと、洋子は高鳴る鼓動を抑えるように息を吐いた。
58422:2008/09/29(月) 17:48:30 ID:Hcxxaot9
 白昼に屋外で、後ろから貫かれようとしているというのに、嫌悪や羞恥よりも情欲が勝ったのか。
 ふらふらしながらも抗う事なく、洋子は神宮寺に背を向ける。
 壁に手をついて彼の動きを待っていると、少しして大きな手が洋子の腰を持ち上げた。
 そして水着の股部分をずらし、彼自身を押し当ててくる。昂ぶったものの、先端を──

「え………」

 肌に触れたものの感触に、洋子は戸惑った。
 急な事であるのだから、何の準備も無くても仕方がないと思っていた。
 だが押し付けられたものはそのままの肉の感触ではなく、弾力のあるゴムの膜を纏っている。
 振り向く洋子の問うような目に、神宮寺は口を開いた。ややばつが悪そうに目を逸らしながら。
「……実は、少し期待していた」
 意外な返答に驚きながらも、洋子は少ない言葉からその意を汲み取ろうとする。
「こうなる事を……?」
「………呆れたか?」
 洋子は再び顔を前に向けた。後ろから見ても分かる程、彼女の頬は赤い。
「嬉しいって言ったら、呆れますか?」
 触れている彼のものが、僅かに動いた。
「でも、これからは場所を──っ!」
58522:2008/09/29(月) 17:49:51 ID:Hcxxaot9
 照れを隠すように言いかけた小言を最後まで聞かずに、神宮寺は洋子の胎内に男根を埋め込んだ。
「ああっ……!」
 体が前へと押しやられ、壁に押し付けた腕が震える。
 ごつごつした岩壁は汗で滑る事もなく彼女を支えているが、やはり勢いに押されてしまいそうになるのが不安で、洋子は懸命に身に力を入れた。
 それと共にきつくなる膣の締め付けに、神宮寺は低い声を漏らす。
 受け入れる事に慣れたそこは、感じやすい箇所を多少擦ってやるだけですんなりと男根になじむ。
 勢いをつけて突いていると簡単に達してしまいそうな気がして、神宮寺は一旦腰の動きを抑えた。
「はぁっ……く、ふっ……んん……」
 緩い律動に合わせて零れる洋子の声は、とても柔らかい。
 このままでも十分感じている様子の彼女に満ち足りながらも、更なる攻めを与えんとして、神宮寺は片手を腰から離した。
 彼女が自身を飲み込む様を楽しむようにゆっくりと抜き差ししながら、神宮寺は打ち込みに合わせて動く乳房を持ち上げた。
 真下へ向けられている胸は程良い大きさではあるが、広げられた掌の上でたぷたぷと揺れている。
58622:2008/09/29(月) 17:50:55 ID:Hcxxaot9
 汗と海水とで湿った胸は、乾いている時のそれとはまた違った触り心地で神宮寺の手に吸い付く。
 柔らかいそれを捏ねて形を歪ませると、彼女の声に生温さが増していくようだった。

 しばらく膨らみの感触を堪能すると、今度は胸の辺りからくびれにかけてを撫で始めた。
 真っ白い肌──そこは染み一つ見受けられない。最後に刻んだ彼の痕跡さえも。
「あ、の……」
 背を指でなぞる神宮寺に、洋子が躊躇いがちに声をかけた。
「残って……ますか?」
「ん?」
「こ、この前の……」
 彼女も同じ事を考えていたようだ。
「ああ……見当たらないな」
「そう、ですか……」
 その声は安堵を含んでいるようだった。
 それが何となく気になり、神宮寺は洋子に尋ねる。
「……消えている方が良かったのか?」
「誰かに、気付かれてしまうかもしれませんし……」
「この水着なら、見られる事もないだろう」
 神宮寺の言う通りだった。
 何より洋子自身が、万一自分の見えない所に痕跡が残っていた時の為にと、このワンピース型の水着を選んだのだ。
 それを見通した由香の言葉を思い出し、洋子は赤い顔を俯かせてしまう。
 こんな所を彼女に見られたら、何を言われるか分かったものではない。
58722:2008/09/29(月) 17:51:57 ID:Hcxxaot9
 早々に終わらせてしまいたい、という理性の下に、洋子は彼自身をきつく圧迫し始めた。
「ぃ……あっ……」
 だがむしろそれは、彼女自身を追い詰める行為だったのかもしれない。
 洋子の攻めに屈してしまわぬようにと速さを調節しながら、神宮寺は彼女が悦ぶ箇所を何度も擦っている。
 彼自身を強く締め上げる程、その感触に快感を刻み込まれていくのだから。
「あぁ……んんっ……! ダメ、そんな……っ……」
 突かれる度に沸き立つ身を抑えられなくなっていく事に、洋子は惑いの声を上げる。
 上擦った声に、確かな熱を含んだ吐息。
 神宮寺が背を少し屈めて顔を近付けると、それらは耳に甘く響いてきた。
 それらが、彼の心身を覆う熱をより濃いものへ変えていく。
 再び上半身を持ち上げて彼女から顔を離すと、今度こそ昇り詰める為にと腰を打ち付け出す。
「あ……っ……!?」
 律動のペースが次第に速まってきている事に気付き、洋子は背を反らした。
 息は小刻みに吐き出され、その身は勢いに押されて前後する以外の動きが叶わなくなる。
 体を支える両の細腕はわなわなと震え、じきに倒れ込んでしまいそうだ。
58822:2008/09/29(月) 17:53:15 ID:Hcxxaot9
 神宮寺はもう少し耐えてくれ、と囁いて激しく秘所を突き、掻き回した。
「せん、せ……っ、あっ……ぃあっ、ぁ………」
 漏れ続けていた嬌声が不意に途切れ、膣肉が絞るように男根を締め上げた。
 両足をがくがくさせ、唇を僅かに開いたままで洋子は体を小さく震わせている。
 彼女が行き着いたのを確かめると、神宮寺は何度か腰を動かし、自身の内側で息づいていた熱を外に逃がした。
「はあぁ………」
 そこで遂に力が抜けきってしまったのだろう、洋子の膝ががくりと折れ、体がのろのろと崩れ落ちていく。
 それを支えてやるだけの余裕もなく、荒く息をついている神宮寺のものが、彼女の中からずるりと抜け出した。
 最後まで出し切って満たされた自身の処理を怠そうに済ませると、神宮寺は背を向けたままの洋子の肩を引き寄せる。
「きつかったか……?」
 気遣い問う神宮寺に向けられる洋子の表情は、彼以上に気怠そうであった。
「……平気です」
 微笑みながら乱れた髪を整える彼女の腕は、少し震えている。
 あの体勢で耐えるのは、辛かったのかもしれない。
「でも、外で……っていうのは……なるべく控えて頂けると……」
「時々なら良いのか?」
58922:2008/09/29(月) 17:55:02 ID:Hcxxaot9
 恥ずかしげに目を伏せる洋子に、少しはその気があるものと踏んで、神宮寺はそう聞いてみる。
「……………」
 そういう問題ではない、と言うべきだったのだろうが、余韻の尽きない今はそんな気力も湧かない洋子なのであった。


(……何か起こるかと期待はしてたけど)
 やや呆れた様子でありながらも、なかなか満更でもなさそうな表情で神宮寺に身を寄せている洋子は、気付かなかった。
 岩場の側から自分達を覗いている友人の視線があった事に。
(ちゃんとやる事やってるじゃないの。後でからかっちゃおうかな)
 相当うろたえるのであろう洋子の顔を思い浮かべながら、由香は込み上げてくる笑いを堪えていた。

  *  *  *  *  *

 同じ頃、美貴達は……

「随分遅えなあ、神宮寺の野郎。迷子にでもなってんじゃねえだろうな」
「お姉ちゃんまで帰って来ないし……探しに行った方が良いですかね、熊野さ──って小林さん、熊野さん溺れてますよっ!!」
「ふもーっ! ふもーーーっっ!! 腹が、腹が浮いて泳げーんっ!」
59022:2008/09/29(月) 17:56:07 ID:Hcxxaot9
終了です。
591名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 00:50:18 ID:9yYVRSO0
>>590
やっぱ洋子さんの水着はいいなあ(*´Д`)ハァハァ
この二人の絡みが個人的には好きなのでかなり萌えました
それにしても熊さんwww
次回作期待しております、GJです!!
592名無しさん@ピンキー:2008/10/01(水) 01:50:45 ID:kdPqhYUZ
もえた・・・
神すぎる・・・
ありがとうございまする
593名無しさん@ピンキー:2008/10/19(日) 22:09:40 ID:kjADHYhU
保守
594名無しさん@ピンキー:2008/11/03(月) 21:50:10 ID:Y/6mbEqx
良スレ保守
595名無しさん@ピンキー:2008/11/05(水) 22:43:10 ID:OFCxl6ay
スレ立ってもう二年も経ってるのな。よく落ちなかったな・・・
596名無しさん@ピンキー:2008/11/06(木) 22:48:53 ID:vtKtd7k1
ねー。よく落ちなかったよねー。
リクエスト・・・『雪山のロッジで編』が読みたいです。
寒さで弱りきってる洋子タン萌えーw
597名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 09:15:40 ID:VbogV3BF
今泉編とかを考えてるんだけど、
どうしても「や ら な い か」になりそうで思考停止してるorz
598名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 12:45:34 ID:W8jNCYeb
アッーですかw
ここはそっち系はアリなのだろうか……

雪山行くっていったらレジャーですかね?
神宮寺と…ってのは想像しづらいけど、寒さに震える洋子は見てみたい。
599名無しさん@ピンキー:2008/11/07(金) 22:32:46 ID:Cd10MqKo
冒頭に"注意書き"ありなら、今泉も全然ありじゃないでしょうか(笑

雪山・・・神宮寺と二人で車で調査
戻って来ない神宮寺を追いかけ、山中で迷子。チクビも凍る極寒の地で、洋子はひたすら神宮寺を…
とか普通ですがどうでしょう。
600おとな:2008/11/08(土) 03:04:12 ID:1RJN2qJy
雪山書いてみた。







『雪語り』

真っ白な冷たい絨毯のうえ、独り女がとすんと倒れていた。
その肌はまるで透明色のように真っ白で透きとおっている、そして唇だけが赤い血のような色を浮かべるはずだった。

しかし その女は常と違った。
真っ白な肌には青痣がいくつも浮かび、服は裂け、右足は曲がっていた。
ただその表情だけは汚れなく、安らかに美しかった。
女は、そんな美しく痛めつけられた空間の中心だった。

あぁ、この女を連れ帰り、思うさま犯したい。
たとえば男なら思っただろう。初めはただ息を飲んだだろうに。
だが、ここには雪以外、なにも誰も見当たらない。

そこにあの男が通りがかったのは、それから何時後だったろうか。
もし男が気づくなら、笑みがこぼれたその後に、あまりの痛みに顔を歪めた、女の悲鳴が鳴くのだろう。
601おとな:2008/11/08(土) 03:05:43 ID:1RJN2qJy
洋子は、意識を取り戻す。
雪がただ、降り積もる様が見える。
体が妙に、重い、動かない。

先生?ここは?いったいなぜ? 
いつもの言葉は頭を回り、まとまらずに霧散する。
雪の上に転ぶ体を起こそうとするが叶わない。込めた力は水のように抜けていくのだ。
あの上から落ちたのだろうかと 崖を見上げられずに、目だけで様子を伺い知ろうとした。

その時になってやっと、顔にかかる影から、背後に人の気配を知った。
うつ伏せになっている自分の背中に、ぐいと足を置く誰か。
洋子の血はめぐり一気に記憶が遡っていく。

だがこの誰かはお構いなしに、洋子の胴の下につま先を滑り込ませ、その体を乱暴に仰向けに返した。
弱い所に入った衝撃に、洋子はたまらずに咳き込んでは、その振動の誘発する全身の痛みに堪え、涙を溢れさせる。
今まで想像したことさえないような、信じられないほどの痛みが全身を支配している、
このときやっと、洋子は自分があの崖から落ちたのだということに確信を持った。

こんな…私…どうし……先生、先生は…?せん…っ
混乱する頭で、助けを求めて叫ぼうとして声にならない呼吸と想い、混ざって涙が零れる。
浅い呼吸を重ねて必死に酸素を求めるが、痛みによってそれさえもままならない。
い、き…  が、…っ

さらにその時片手で軽々と、洋子の上半身は抱き起こされた。
「ッ…ぁ……っ…!!」
その衝撃はすぐさま裂かれるような異常な感覚となり全身を駆け巡って、
叫ぶ事もできないほどの絶望的な痛みとなり、洋子は意識を失った。

男は、洋子の体を担ぎ上げ、ゆっくりと歩みを進めた。
602おとな:2008/11/08(土) 03:43:02 ID:1RJN2qJy
洋子君!しっかりするんだ…!
先生……! っ大丈夫ですか?どこかお怪我は…?!

夢の声に起こされて目を覚ますと、洋子は見知らぬ部屋にいた。
木製の壁…どこかのロッジだろうか、とぼんやり思う。
逃げなくてはとか状況を探らなくてはとか、いくら命令してみても、あの痛みが怖くて少しも動くことができなかった。
硬い床に熱を奪われ、体はすっかり凍え切っている。

このまま、もう先生には会えないのかもしれない。と、思った瞬間。
目頭が熱くなり、込み上げる感情で喉が振るえ、すぐに涙が溢れてきた。
……ぅ…
もうどうしようもなく心細く、不安で堪らない、先生に会いたかった。
普段の冷静な部分はすっかり影を潜めて、弱くて敏感な部分が剥き出された洋子の心には、
今自分のすべきことは消えてしまい、神宮寺へのいとおしさ、せつなさしか浮かんではこなかった。
…っせんせぃ― …ひっ く…… どうして…――― 私…

しゃくり上げたその時。部屋のドアが開く音がした。
洋子の肩が跳ねた。痛みはない、だが震えが止まらない。

ゆっくりと見知らぬ男が入ってくる、身をかがめて。
貼り付けたような笑みを浮かべて。
603おとな:2008/11/08(土) 04:20:00 ID:1RJN2qJy
男は、洋子の前に膝をつけ座って動かない。
「あ……あの、…私……」
洋子は体を起き上がらせようと力を込め、ゆっくりと上半身を起こそうとする。
だが、凍えた体は痛みに支配され、うまく力が入れられない。
腕に体重を乗せようと、震えながら振り絞る。

男は素早い動きで洋子の片手をつかんでぐいと引き、体を無理やりに起こさせた。
乱雑な扱いで、全身の筋肉が一気に緊張する、同時にあの激痛が走る抜ける。
洋子はあまりの痛みに一瞬意識を手放しかけたが、なんとか堪え、唇を噛み、荒く息をついて震えた。

辛そうな洋子の表情をみても、男の顔は相変わらず笑っている。
「ご めんなさ…い… っ離し、て…も、らえ ません…か…?」

洋子は痛みに耐え切れず、息も絶え絶えに男に懇願した。
すると男は、意外にもすぐに洋子を掴む手を離した。

僅かに安堵の色を浮かべた表情で男を見た洋子は、少し息を整えた後、ゆっくりと、礼を言った。
「…助けていただいて…あ、ありがとうございます。……本当に…助かり、ました。」
上半身を起こしている体勢は、怪我で弱っている洋子にとってかなりつらかったが、そのまま続けようとする。

「あの… っ連絡を…、したいんです…お願いです、電話 を……」
頭からどんどん血の気が引き、視界がゆがんでいく。
ぐるぐるまわる視界の中で意識を保とうと必死で懇願する。だが、男の返事はとても短かった。

「さむいでしょう」
604おとな:2008/11/08(土) 05:08:18 ID:1RJN2qJy
「…え…?」
男はそのままの表情で、身を起こしかけた洋子に覆いかぶさった。
洋子は叫んだ、あまりの痛みに我を忘れて、声にならない恐怖を叫んだ。

男は、抵抗する力もない洋子の体を組み敷いて、服を剥ぎ取ろうとしたが、
なかなか思い通りにいかないので、思い切り力を振るった。
服を引き剥がすため、腕を引き捩りあげる、肘を押し込んで押さえつける―――
その動作はあまりに乱暴で、傷ついて弱りきった身体への配慮などは微塵も感じられない。
まったく男の欲望の為の行為そのものだった。

男から溢れ出す荒息の隙間に、洋子の小さく消えそうに弱々しく 悲痛な悲鳴が混じっていく。
「ぁッや… め…―― っ!…っも………あ゛…ぁ…っ!! ひぅ、ぁ… …―っ!!!」

洋子は全身を襲うあまりの痛みの凄まじさに、子供のように咽び、泣き、震えて、かすれた叫び声をあげた。
男の乱暴な腕は止まらず、むしろエスカレートしていく。
咽て叫んでは胃液を吐いて、それでも痛みから解放されずに、とうとう失禁してしまった。
男は気づいて一瞬手を止めると、別に気にした風もなくすぐに作業を再開した。

洋子から服を剥ぎ取りすべてを脱がし終えると、男は立ち上がり満足そうにその姿を見下ろした。
だが洋子には息つく間も与えられず、すぐに、男に満身創痍の身体を力一杯に揉み扱かれるという激痛の嵐が始まった。
この地獄のような苦痛から解放されたのは、折れている右足を力一杯に擦られて、洋子がついに失神した時だった。
605おとな:2008/11/08(土) 05:38:57 ID:1RJN2qJy
もうこっからさきのは思いつかなくて…。
よかったら、続きを誰かかいてください・・・。
606名無しさん@ピンキー:2008/11/09(日) 08:14:00 ID:HKkjRUjL
>>605
男の乱暴さもありありとしていて、洋子の傷ついてる様子とかがよく表れてますね。GJです。

あえて言うなら、注意書きがあると良いかも。
雪ふぶくロッジでイチャこくサブと洋子を想像してたから……ほろりしてしまったよ。
607597:2008/11/11(火) 08:01:38 ID:2x0GWNnb
今泉編を考えていると書いたものです。
とりあえず「アッ――」にはならないですみそうですが、やや難航してます。
その前にエロなしですが、小ネタ投下OKでしょうか?
608神宮寺三郎の縁談:2008/11/11(火) 12:30:22 ID:2x0GWNnb
597です。
とりあえず投下。
――――――――――――――――――――――――――――――――――

「勝手なことをするな!!」
あまりの怒声に、目の前の兄貴の鼓膜はもしかしたら破れたかもしれない。
「お、落ち着けよ三郎。黙ってて悪いとは思ってたが、先に話したらお前は絶対断るだろ?」
「これが落ち着いていられるか! 勝手に人の事務所の休日を調べて見合いをセッティングした上に、
当日予告もなしに、こんな朝っぱらから迎えに来られたら誰だって怒る!」
「だって日にちを教えたらお前逃げるだろ?」
「当たり前だ!」
俺は神宮寺コンツェルンの三男ではなく、一介の探偵神宮寺三郎として生きていきたいのに。
家は継がない、頼らない、と何度となく言ってきた。それを無視するとは……。

「いや、いい話なんだよ本当に。取引先の親族で旧宮家筋のお嬢さんだ。
家柄・格式の高さ・財力と、神宮寺家としては申し分のない縁だと思ってる。」
「俺は家の犠牲になんかなりたくない!」
「……そういうと思ったよ。」
兄貴がパチンと指を鳴らすと、屈強な体格をした黒服のSPたちがバタバタと事務所に入って俺を取り囲んだ。
「兄貴……何のつもりだ?」
「お前の腕っぷしにはかなわないと思ってな、応援を呼んでおいた。じゃ、下の車で待ってるから。」
「ちょ、ちょっと待て、あに……」
文句も言い終えられないまま、俺は男たちにスーツに着替えさせられ、下で待機しているリンカーンに放り込まれた。
もちろん両サイドはSPに囲まれている。
「犯人の現行犯逮捕だな、まるで。」
俺は天を仰いでため息をつき、仕方なく観念した。
「わかった。見合いはする。だが結婚は断る。俺は今の生活を続けたいんだからな。」
「そういうとは思ってた。だが親父の胸の内も察してやってくれよ。
板挟みの俺だって辛いんだぞ。今日は俺の顔を立ててくれ、すまん。」

ほどなく車は高級ホテルの前に止まった。
美しい庭園が一望できるラウンジで、先方と紹介者がすでに待っていた。
相手の女性は美しい振袖姿だったが、うつむき加減で顔はよく見えない。
「お待ちしておりました。お掛けくださいませ。」
紹介者の老婦人が満面の笑みで迎える。このお節介ババアのせいで……
ため息をつきながら席に座り相手の顔を見た瞬間、俺は凍りついた。
609神宮寺三郎の縁談:2008/11/11(火) 12:32:25 ID:2x0GWNnb
「こちら神宮寺コンツェルンの三男でいらっしゃる三郎さん。
こちら、五井グループのご縁戚の御苑家のお嬢様で洋子さん。」

神宮寺コンツェルンの三男……神宮寺コンツェルンの三男……神宮寺コンツェルンの三男……
紹介者のおばさまの声にエコーがかかっているように感じられ、危うく気を失いそうになった。
(どうして先生がこんなところにいらっしゃるの? それに今の紹介。“あの”神宮寺コンツェルン?! 
珍しい苗字だとは思っていたけど、まさか本物だとは……)

嫁にも行かず好き放題している娘に業を煮やした父親に、私は今日の早朝突然たたき起こされ着付けに行かされた。
「お父様、一体何を考えてるのよ?」
「洋子! 今日はお前の見合いだ。」
「な、何ですってぇ――! 私になんの相談もなく!」
「留学から帰っておかしな探偵事務所に勤め始めたと思ったら、突然やめてまたアメリカへ行くわ……
そうかと思えば帰ってくるなりまた突然勤めだすわ……頼むからいい加減落ち着いてくれ。」
「私の人生は自分で決めさせてください!」
「馬鹿を言うな! 今日の縁談はだな、これ以上はないというくらい文句の付けようのない……
おっと時間に間に合わないではないか。急ぐぞ、洋子。」
早朝からの着付けとメイク、着慣れなくて窮屈な着物にすっかり疲れて、私は車の中で眠ってしまった。
ひどい睡魔に、ラウンジで待っている間のおばさまと父のはしゃぎようも、何にも耳に入ってこない。
(まあ、どうせ断ればいい話だわ。今日一日だけ我慢しよう)
しかし、目の前に現れた男性に私の眠気は完全に吹っ飛んだ。
610神宮寺三郎の縁談:2008/11/11(火) 12:36:11 ID:2x0GWNnb
(五井グループの縁戚で旧宮家との縁もあるお嬢様だぁ?
ニューヨークでヤク中の男と付き合って、挙句殺されそうになったのはどこの誰だ?)

(世界有数の巨大コンツェルンの三男坊ですって……?
ヤクザやらホームレスやら情報屋やら、怪しげな人たちと関わりをもってる人が?)

(安月給で申し訳ないと思っていたが、そのわりにはいつも高そうな服を着ていたな。
エルメスか何かのスカーフも見たことあるし、化粧品はイプサだとか言ってたな。
海外にも何度も行ってるし。何のことはない、実家が裕福だったということか。)

(普段は着替えもせずにソファで寝ちゃうし、シャツはいつもシワシワだし、
事務所が汚かろうが、灰皿にタバコがたまろうが、一切関知しないくらいだらしないくせに。
なるほど、自分では何もしないお坊ちゃまだったってわけね。)

(……しかし、あの品の良さは、確かに一朝一夕で得られるものじゃない。
それは確かに頷ける。聡明でマナーも立ち居振る舞いも完璧だ。
どこに行っても物怖じせず堂々と構えているのも、お嬢様たる所以か。)

(……でも、先生はいつ見ても自信に満ち溢れていて、態度も洗練されていた。
高級ホテルだろうが一流レストランだろうが、とても慣れた感じで振舞っていた。
それにオーストリアに調査に行ったときも、やけにドイツ語に堪能でびっくりしたっけ。)

もはや二人の耳には、仲介者の語る互いの経歴紹介など耳には入っていなかった。
どうせ嘘で塗り固めた経歴だ。本当のことはもう自分たちは知りすぎるほど知っている。
二人はじっと見つめ合い、まるでにらめっこをしているかのように吹き出すのを堪えていた。
しかしもう我慢の限界だった。
「あははははははは」
「ぷっ……ウフフフフ。」
「さ、三郎どうしたんだ?」
「洋子!先方に失礼じゃないか!」
二人は席を立ち、ほぼ同時にこう答えた。
「この縁談はお断りします。」
611神宮寺三郎の縁談:2008/11/11(火) 12:40:05 ID:2x0GWNnb
「俺には神宮寺コンツェルンの息子でなく、探偵としての俺の身を案じ補佐してくれる大事な助手がいますので。」
「私も今勤めている探偵事務所の所長のサポートが生きがいなんです。
神宮寺コンツェルンの御曹司なんてとてもじゃありませんが、私に釣り合いませんわ。」
唖然とする家族たちを尻目に、二人は手に手をとってその場から走り去っていった。

「とりあえず事務所にでも戻るか、洋子?」
「そうですね、私の着替えも置いてあることだし、この窮屈な着物を早く脱ぎたいんです。」
「じゃあ、脱ぐときに帯を引っ張って『あーれー』ってくるくる回すのをやってみたいんだが、どうかな?」
「もう、先生ったら。またそんな恥ずかしいことを……」
「ほーう、安月給でいつも申し訳ないと思っていたが、実家が裕福とわかったからには遠慮なくこき使えるな。
給料アップも考えていたんだけどなぁ、いや、実に残念だ。」
「もう、先生ったら……わかりました。どうぞご自由に! その代わりお給料上げてくださいね! 絶対ですよ。」
ひどい休日が、一転して楽しい一日になりそうだ。
俺は洋子を愛している。洋子も同じ気持ちでいてくれる。先のことはわからないが、今はそれで十分すぎるほどだ。
家なんぞに縛られてたまるか。俺たちは俺たちのやりたいようにするさ。
タクシーに飛び乗り、新宿にある事務所を俺たちは目指していた。


取り残された三郎の兄と洋子の父は、しばらくの間狐につままれたような面持ちでいた。
「この縁談は……どうなるんでしょうか?」
「二人とも断るって言ってましたけど……。」
「……どうも神宮寺家と御苑家の間では、お話はまとまっていないようなんですが……。」
「……しばらく本人たちに任せて様子を見ることにしましょうか。」
「……はぁ、もう一つ釈然としませんが、それしかありませんかねぇ。」
(あぁ、この顛末。親父になんて報告すればいいんだろうか……)
この騒動によるストレスで兄に10円大のハゲができたことを、神宮寺は知る由もなかった。

Fin
612597:2008/11/11(火) 12:49:24 ID:2x0GWNnb
とりあえず投下終了っす。
エロなしですいませんが楽しんでいただければ幸いです。
613597:2008/11/11(火) 12:53:12 ID:2x0GWNnb
うわ、省略されてるし…行数間違えましたね。
SS初投稿なもので、すいませんorz
次回は読みやすいよう投下します。
614名無しさん@ピンキー:2008/11/11(火) 23:18:44 ID:6d9mmoCt
神宮寺も洋子もなにげに辛辣なのがイイw
大変乙でした。今泉編も楽しみにしてます。
615597:2008/11/12(水) 19:34:37 ID:sV3jHfQg
自分で書いてて思ったんですが、着物モノは相当エロくできると思います。
1つのネタで4回分書けると思います。
1.着物を着たままできる →最近ははいてる人も多いですが、基本的に着物でショーツははきません。
2.長襦袢がなかなかエロい →浴衣っぽいかと思いきや、総シルクですべすべ。だいたい淡いピンク系が多いので意外にそそると思います。帯くるくるをやった後はこれですね。
3.腰巻スタイル →実はブラジャーも本当はしないんです。下着は短いシャツみたいな肌襦袢と腰巻のみ。腰巻だけってのもおつなものかと。
4.全裸

アイデアはあるんですが、なにせ自分はSS初心者で
エロシーンが苦手なもので(今泉編もそこで詰まって…)、もしよろしければどなたかお願いします。
>>22さん、>>42さんあたりに書いていただけたら悶絶モノじゃないかと。
他力本願ですいません。
616名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 00:46:23 ID:3EHQW70Y
投下SS「必要」と「水着」を書いた者だが
神宮寺の渋さをわかる洋子なら今泉の渋さに惚れてもおかしくないだろ。俺も今泉はかっこいいと思ってる。
ここはあえて今泉×洋子で書くべきか…だが今泉のキャラがいまいちわからんw
617597:2008/11/13(木) 06:13:46 ID:QqzBclJ/
本編だったら仁義に欠けるので今泉さんもそんなことしないでしょうが、
パロだからそれもありじゃないですかね。
自分は今泉さんの若かりし頃を神宮寺と飲みながら語るという設定にしてます。
確かに今泉も渋くてアタシ(笑)も大好きなんですが、
キャラ設定がいまいちよくわからない(出身やら過去の経歴やら)ので
ALL妄想で書かせてもらってます。
618名無しさん@ピンキー:2008/11/13(木) 06:33:08 ID:AvYE3y5t
なんか賑わってきてて嬉しいな…
今泉でくるとは、なかなか面白そう。
分かり辛いキャラだけど、お二人共是非頑張ってもらいたい。
619616:2008/11/13(木) 13:26:00 ID:3uwgqVd4
今泉を書いてもいいのかwなんとなくこのスレでは三郎じゃないとダメかと思っていた。
今泉の渋さにぐらりとくる洋子でも書いてみるか。年末付近でばたついてるからヘタすれば投下は来年になりそうだが…完成のメドがたったら投下する。
620名無しさん@ピンキー:2008/11/14(金) 22:58:23 ID:FfiTkFHm
「神宮寺シリーズ」のキャラならどの組み合わせでもありじゃないかね。
神宮寺でも洋子でも天沼姉妹でも今泉でも熊さん……は苦しいか。
621597:2008/11/15(土) 23:49:19 ID:wzIphkdP
今泉編投下させていただきます。
・書いていたら今泉が昔の恋を神宮寺に語るというストーリーになってしまったので、
カップリングとは趣旨が異なってしまったことを最初にお詫びしておきます。
・マジ85%、エロ15% 位の割合になってしまったのでこれもご容赦ください。
つーか自分、エロの才能ねぇorz
・ALL妄想なので、神宮寺ものから派生したオリジナルストーリーとして楽しんでいただけたら幸いです。
622関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:51:11 ID:wzIphkdP
【prologue】

「今回はずいぶん簡単な用件だったな……」
ある日の夕刻、俺は調査書類を手に関東明治組に向かっていた。
昨今の不況で一家心中などの事件が増えている。
今回の依頼はそんな事件の一つで、今泉に新聞のベタ記事の切抜きを渡され、
その事件の経緯、および家族の顔写真を入手して欲しいというものだった。
記事の内容は世田谷区にある不動産会社の社長室田一清(39)が
妻芙祐美(34)と息子の一久(9)を絞殺し、自分は首をつって自殺したというものだった。
明治組のシマとは明らかに場所が違うが、組との付き合いでもあったのか?
それとも不動産や借金がらみのトラブルでもあったのか……?
ともあれ調査自体は簡単なものだったので2、3日で結果がまとまり、
今日今泉と会う約束を取り付けていた。
623関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:52:17 ID:wzIphkdP
【明治組事務所 1】

組に着き部屋に通されると、若衆に何事か言いつけている今泉が目に入った。
「これは神宮寺さん、お待ちしてました。」
「この間の依頼の件だが、一応目を通してみてくれないか?」
今泉は封筒の中身の書類にざっと目を通し、そしてそっとデスクの上に置いた。
「概要は大体わかりました。後でじっくり拝見させていただきます。」
「じゃあ、俺はこれで……」
といいかけたその時、若衆が酒の瓶とグラス、氷を盆に載せ入ってきた。
「実は神宮寺さんとちょっと世間話がしたかったもんで。ごゆっくりしていかれませんか?」
「いいのか、こんな早くから?」
「今日はもう落ち着いてますんでね。どうぞ掛けてください。」
(もしかするとさっきの依頼は単なる口実で、こちらが本題だったのかもしれないな)
今泉に促され、ソファに腰を下ろす。俺の好きなカミュの香りがグラスから漂う。

「洋子さんがお戻りになったそうですね。」
「ああ……」
まったく明治組の情報網にはかなわん。調査にかこつけて今日は俺を酒の肴にするつもりか……。
「やっぱりあの方がいないとねぇ。薄汚い事務所にやる気のない探偵さんじゃ依頼も来ませんよ。」
「おいおい、あの頃のことは勘弁してくれ……。」
腑抜けてた俺を思い出しニヤニヤ笑う今泉に何の反論もできない自分が悔しく、俺はマルボロに火をつけた。
確かに洋子は、事務所にとっても俺にとっても欠くことのできない存在だ。
しかし女性として洋子のことを考えると、もっと幸せな道などいくらでもあるのではないかと思えてならない。
彼女を改めて雇ったものの、そんな迷いは常に抱いていた。
624関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:53:24 ID:wzIphkdP
「まあ、実際のところお二人がお互いどう思われているのかはアタシにはわかりかねますけど、
でもいつ拝見しても、探偵と助手として、その息の合い方には感心させられてますよ。
優秀な片腕、しかもそれが美しい女性ってのは実にうらやましいですね。」
「お前のほうこそどうなんだ、今泉? そういえば浮いた噂は聞いたことがないな。」
「アタシも木石じゃありませんし、この世界に入って兄貴分に色々連れてってもらいましたしねえ。
今は組のことを考えたら正直それどころじゃないですけど、まあ適当に遊んでますよ。」
「新宿はその手の店には不自由しないしな。」
「まったくです。」
今泉とこんな話をするのは初めてだ。
もっともお互いにいい年した独身男なのだから、今までなかったのが不思議なくらいかもしれない。

「それにしても、息が合うとか肌が合うとか言いますけど、そういう相手との巡り合わせっていうのは
もう絶対に変えられない宿命なんでしょうか。それとも自分の力でどうにかなるもんなんでしょうかねぇ?」
今泉がまるで占い師のところに来た相談者のようなことを言い出した。
さては女にでも振られたか? 
「あの風林豪造親分の懐刀と言われている男も、女に関しては門外漢か。」
「陰謀、駆け引き、足の引っ張り合い……人を疑うことには聡くなりましたけど、
信頼できる人間……特に女には久しく出会ったことがないな、と、ふと思いましてね。」
「女なんてまるで違う生き物だから理解するのすら難しいし、男にしたら女は生活の一部に過ぎないしな。
もっとも女にとってはそうじゃないらしいが。」
「そのようですね。以前なじみの店に行ったら、どうも男と揉めたらしいホステスに
『女が強くなったって言っても、結局ついてく男次第で女の人生変わっちゃうのよ。
男はそうじゃないんだろうけど、女にとってはその男がすべてなんだから。』
って八つ当たりされちゃいましてね。とんだとばっちりでしたよ。」
「我々にとっては耳の痛い言葉だな。」
自嘲気味に笑いながら、俺はグラスを傾けた。
625関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:54:37 ID:wzIphkdP
「ところで今泉。久しく、ということは、昔はそういう女がいたってことかな?」
「名探偵さんには敵いませんね。」
今泉はフッと息をつき、グラスの酒を飲み干した。
「神宮寺さん、ちょっと昔話をしてもよろしいですか?」
今泉が自分の過去のことを打ち明けるのは珍しい。酔いでも回ってきたか?
「お前が話したいのであれば聞かせてくれ。」
「あれはもう10年も前になりますかね。まだ私が下っ端の頃でした。
高校の同級生でミドリって呼ばれてる女がいたんですけど、そいつと偶然再会しましてね。」
「初恋の相手って奴か?」
目を伏せて今泉はつぶやいた。
「そう言われてみればあれがそうだったのかもしれません。
しかし、男ってのはだめですね。何もかも終わってから大事な女にやっと気づくんですから……。」
626関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:55:44 ID:wzIphkdP
【今泉 回想 1】

(兄貴に言いつけられた仕事も一段落したし、飯でも食いに行くかぁ……)
陽の落ち始めた歌舞伎町をぶらぶらしていた時、俺をじっと見つめる女がいることに気がついた。
(ヤクザ相手にメンチ切るなんざぁ、いい度胸してやがるな)
「おら、そこの……」
威嚇の言葉を発しようとしたまさにその時だった。
「今泉君! 今泉君だよね? 久しぶり。私だよ、私。」
「……お前……もしかしてミドリか?」
「こんなところで会えるなんて! 高校卒業以来だから5、6年ぶりだよね。」
なんて女だと思った。俺、どっからどう見てもその筋の人だぞ?!
この街で学生時代の見知った顔はたまに見かけるが、大抵目ぇそらすか他人のふりだぞ。 
そんな男に歌舞伎町の真ん中で堂々と声かけて、しかもはしゃいでるやがる。

高校時代からこいつの性格は、まったく変わっちゃいないんだな、と思った。
俺は出席日数稼ぐためだけに学校行ってただけで、その頃からやんちゃばかりしてた。
態度は最悪だわ目つきは悪いわで、遠巻きにしてる奴らがほとんどだった。
だから俺の隣の席になった女は、大抵は無視を決め込むかオドオドしてるかなのに、こいつときたら
「あれ、今泉君教科書忘れた〜? 一緒に見る?」
なんて声かけてくるくらい、呑気っつうか無防備っつうか……俺授業中はお昼寝タイムだっつーのに。
こんな感じだったから、こいつのことはちょっと気になっていた。
もっとも付き合うとかそこまでの関心はなかったが、面白いやつだとはずっと思っていた。
627関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:56:43 ID:wzIphkdP
周りの歩行者の微妙な視線に耐えられなくなってきたのは俺のほうだった。
「と、とりあえずここじゃ何だから、飲みにでも行くか?」
……うっかり誘っちまった。
でも、このまま帰すのはなんだかもったいない気がしちまったんだ。
「行こう、行こう! 私あまりこの辺知らないから、今泉君に任せるよ。」
行きつけの居酒屋で飲みながら、お互いの近況や高校時代の知り合いの噂話に花を咲かせた。
ミドリは親父さんの経営する小さい工務店を手伝っているという。
「就職活動しないで楽をしちゃった。私に外でのお勤めなんて向いてない気がしたし。」
「ははは、なんかそれわかるぜ。お前みたいな呑気な奴じゃ世の中渡っていけねぇよ。」
「なによー! 今泉君だって就職活動したわけじゃないんでしょ?」
「何言ってんだよ、この稼業は弱肉強食でキビシーんだぜ。」
何でこんなにテンション上がってんだ、と思うくらい話は盛り上がりまくり、夜はどんどん更けていった。

「うー頭痛ぇ……」
二日酔いの頭を抱えながら起き上がると、そこに発見したのは床に寝ている自分とベッドに寝ているミドリだった。
「あー、今泉君おはよー。」
「おはよーって……なんでお前ここにいんの?!」
「だって夕べ『終電なくなったーっ』て言ったら、『俺んちここから歩いて帰れる』って今泉君言ってて、
『じゃあ泊めてもらっていい?』って聞いたら『いい』って言ったじゃない。」
……何一つ覚えちゃいねえ。
とりあえず別々に寝てた、つーことは手は出してないってことだな……多分。
628関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:58:31 ID:wzIphkdP
「今泉君の部屋って居心地いいねー。」
大きく伸びをしながらミドリは言った。
そ、そうか? 風呂とトイレが申し訳程度についてる1Rのボロマンションだぞ、築30年の。
家具だってベッドとテレビくらいしかありゃしない殺風景なとこだぞ。
「そ、そりゃどうも。……けど、お前外泊して大丈夫なのか?」
「大丈夫。私って親からは信用されてるから。」
まあ、こんだけおっとりしてたら、さすがに親も怪しまねえだろうな。
「それにさあ、いま家の中ちょっと荒れてるのよね。
景気はどんどん悪くなってるし、父さんと兄さんが仕事のやり方めぐって険悪だし。
私も家の手伝いしてるから、毎日そんなの目にしてると息が詰まりそうで。
だから土日は買い物したり友達のとこ泊まりに行ったり好きにさせてもらってる。」
俺らのシノギも厳しいけど、そっか、堅気もいろいろ大変なわけだ。
家に帰っても楽しくねぇってのも、ちょっとかわいそうかもなぁ。
「ねぇ今泉君、また遊びに来てもいい……?」
629関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/15(土) 23:59:39 ID:wzIphkdP
【明治組事務所 2】

グラスに2杯目のカミュが注がれた。一応仕事中ってことになっているからほどほどにしとかんとな。
「それにほだされて『いいよ』って言ってしまったわけか。」
「今では気をつけるようにしてますけど、この頃のアタシは本当にこういうのに弱かったもので。」
「でも気に入ってた子だったんだろ?」
「ええ、正直……惚れました。女と飲んであんなに楽しかったの久しぶりでしたよ。
でも相手は堅気のお嬢ちゃん。ヤクザの女にしちまうには気が引けてました。
ご存じでしょうけど、ヤクザの……しかも下っ端の女なんて幸せにしてるやつを見つけるのが難しいくらいです。
女を風俗で働かせて自分はヒモやってたり、美人局の片棒担がせたり、
それに男が下手打ったら女の方だって巻き添え食いかねない。そういう世界です。
でも、仲のいい友達といいますか、妹分といいますか、微妙な距離を保った存在にしておけば、
ずっとそばにいてもらえるんじゃないかと、そういう淡い期待があったんです。
だから目が覚めた時に手を出していないとわかったときは、心底ほっとしまてね。」

まるで俺の胸中を代弁されているかのような気がした。
この女と一緒にいたい、でも自分では幸せにすることは難しい。
この矛盾した気持ちを、若い頃の今泉も抱えてたことがあったのか……。

「それから半年ばかり、ミドリが週末になると部屋にやってくるようになりました。
でもアタシもミカジメやノミの回収やら雑用がありましたし、
兄貴についてたり組事務所にもいなきゃなりませんし、
ですから、たいがいあいつが勝手に上がりこんで、
テレビ見たり昼寝したりして過ごしてたようなもんですがね。」
630関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:00:26 ID:wzIphkdP
「休みにデートなんかには連れて行ってやらなかったのか?」
「……神宮寺さん。アタシみたいな風体の男が、ディズニーランドなんかにいたらどうなります?」
思わず飲んでいたカミュを吹きそうになった。
「あ、明らかに営業妨害だな。ゴホゴホ……でも人が寄ってこないから、アトラクション乗り放題だぞ。」
「うちの組は、堅気に迷惑かけるのはご法度ですよ。」
「わかってるよ、冗談さ。でも彼女の方は不満じゃなかったのか?」
「あいつは職場と家が一緒だったじゃないですか。
なんかこう、気を抜ける場所が欲しかったみたいでしてね。
どこかに連れてって、なんて一言も言いませんでしたから、二人でまったりしてただけでしたよ。
アタシも実家がいろいろ複雑だったし、組に入ってからも這い上がっていくためにピリピリした毎日でした。
そんな時にふわっとあったかい風が吹き込んできたような時間が突然やってきて……。
アレがアタシの人生で一番幸せな瞬間だったかもわかりません。」
「どうして別れることになったんだ?」
「ミドリに結婚話が持ち上がったんですよ。」
631関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:03:14 ID:wzIphkdP
【今泉 回想 2】
ミドリがぷっつりと姿を見せなくなって3ヶ月が経った。電話も途絶えている。
それでもやることは山ほどあったから、なるべくあいつのことは考えないようにしていた。
でも、部屋に戻って一人でぽつんとしていると、
あいつの存在がいかに自分の中で大きくなっていたかを知った。
元々群れないで行動してきた俺だったが、一人がこんなに孤独なものなんだというのを初めて味わった。

ある金曜の夜、俺は腕に切り傷を負って部屋にたどり着いた。
ほかの組のチンピラとの些細ないざこざだったが、相手はナイフを持ち出してきやがった。
誰かが通報でもしたのか、サツがやってきてちょっとした騒ぎになり、その隙に逃げ出した。
部屋のドアを開けると、血だらけの俺を見て真っ青になるミドリがいた。
「よぉ、久しぶり……。」
「今泉君、その怪我……は、はやく手当てしなきゃ!」
「たいしたことねえよ、死にやしない……。」
傷は浅いのだが何箇所か切られて出血が多く、ひどい大怪我に見えたらしい。
一通り傷口を消毒し包帯を巻くミドリの顔は今にも泣きそうだった。
「こんなのしょっちゅうあることだ。気にするほどのことじゃない。
それよりどうしてたんだよ、しばらく顔出さねえで。心配したぞ。」
「……家から出してもらえなくなっちゃって……今日は女友達のとこ行くって嘘ついて出てきたの。」
「何があったんだ、一体?」
「ねえ今泉君……このままだと私結婚させられちゃう!」
632関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:05:23 ID:wzIphkdP
彼女の父親の会社と取引している不動産屋の社長の息子が、商談に訪れた際にミドリを見初めたという。
相手はかなり大口の取引先で、もちろん両親にとって縁戚関係を結ぶのは願ってもない話だ。
彼女を置いてきぼりにして話はどんどん進んでいったという。来週には結納を交わすというところまで。
「お願い、今泉君。このままずっと私をここに置いて!」
それができたらどんなにいいか。自分だってそう思っている。でも……。
「……無茶言うな。」
「今泉君……私がここに来るの迷惑だった? 私はずっとずっと今泉君のことを……」
「だからだ! 俺だってずっとお前のことを好きだった。ずっとここにいて欲しかった。
だけど俺は極道の世界でしか生きられないような男だ。
こんなチンピラがどの面下げて『お嬢さんをください』なんて言えると思う?
それにヤクザの女になったら、いつどうなるかなんて全然わかんねぇ。
今日だってもし一緒にいたら、お前だって巻き添え食ってたかもわかんないんだぞ。
そんな生活……俺はお前に味わせることはしたくねぇんだよ。
……本当に、本当にお前のこと愛してる。だからこそお前には幸せになって欲しいんだ。」

すすり泣く彼女の声に言葉を返せたのは、15分か20分もたった頃だろうか。
「もう、ここに来ちゃだめだ……。お前のためにも、俺のためにも。」
唇を噛み締めながら彼女は頷いた。
「わかった……わかったから、今夜だけここにいさせて。」
その言葉の意味することは、なんとなくわかってた。
「結婚前のお嬢さんが男の部屋に外泊なんてしていいのか?」
「私……初めてする人は今泉君だって決めてた。ううん、今泉君じゃないとダメだと思うの。」
633関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:06:36 ID:z/6Btu4N
一瞬眩暈が襲ってきた。空耳ではないかと思うくらい、その発言が衝撃だった。
「それじゃなおさら……」
戸惑い気味の俺の言葉をさえぎるように、突然ミドリの唇がかぶさってきた。
どのくらい唇を重ね、舌を絡めていたのか覚えていない。
ほんの2、3分の出来事だったのだろうが、それが永遠に続くような気さえしていた。
「キ、キスくらいはしたことあるんだからね、私だって。」
今まで処女だったことを恥じているかのように、彼女はつぶやいた。
「でも、それ以上はどうしてもダメ。体とか触られてるとすごく気持ち悪くなってきちゃって
そういう状況には何回もなったことがあるけど、いつもいつも逃げ出しちゃってた。」

「でも、何で俺なら大丈夫ってわかるんだ?」
「もう忘れちゃってるかもしれないけど、高校で席が隣になったときに今泉君、
私に寄りかかって寝ちゃったことがあったでしょう?」
「ああ、よく覚えてる。寝てる俺を起こさないでそのままにしてくれてて、後で一緒に怒られたっけ。
『あんまり良く寝てるから起こすのが悪いと思っちゃって』って先公に言い訳してたよな、お前。」
「うん。でも本当は違うの。なんだかすごく不思議な感じがしたからなの。
私も一緒に寝ちゃいそうなくらい、あったかいような懐かしいような……。
親子でも兄弟でもないのに何でこんな安心しちゃうんだろうって。
だから歌舞伎町で今泉君を見かけたときは本当にうれしかった。
男の人に触れてそんな風に思えるの、今でも今泉君しかいないのよ。だから……。」
634関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:07:33 ID:z/6Btu4N
【明治組事務所 3】
「……そういうこともあるんだな。」
仕事上いろいろな男女関係を見てきた俺も驚きを隠せない。
「ということは、彼女は高校時代からずっとお前のことを……」
「ええ。あいつの話では卒業式の時に告白しようと思っていたらしいんです。
でもアタシは出席日数が足りてたんで、3学期の途中からバックれて
明治組に入り浸って卒業式にも出ませんでしたから。」
「彼女の決心は空振りに終わったわけか。」
「アタシが真面目に卒業式に出てたら、どうにかなっていたんでしょうかね。」

“チャンスの神様は前髪しかないからそれをつかむ瞬間を逃がしてはならない”とは言われているが、
始末の悪いことにそのチャンスの神様ってやつは、我々に姿を見せてくれることなどない。
過去を振り返ったときにやっと「あの時こうしていれば」と気づかされる。
そして“あの時こうして失敗したから次はこうしよう”と思っても、それがうまくいくとも限らない。
人生はそんなことの繰り返しだ。

「で、彼女のお願いをきいてあげたのか?」
「さすがのアタシも躊躇しましたよ。結婚前の堅気のお嬢さんの処女を、
旦那になる人より先に奪って良いものなのか。
でも『この女に二度と会えなくなる』と思ったら、アタシは気持ちを抑え切れませんでした。
ずっとずっと堪え続けてきたことでしたから。」
635関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:09:23 ID:z/6Btu4N
【今泉回想 3】
先にミドリを風呂に入らせてる間も、俺は悩み続けていた。
しかし、バスタオル一つで出てきたあいつの姿を見て覚悟を決めた。
「おっしゃ、風呂交代な。ベッドで待ってろ。……先に寝ちまうなよ。」
「えへへ、早く来ないと寝ちゃうかもよ。」
最初で最後の夜。
でもそんなことはなるべく考えないように、お互いが明るく振舞おうとしているのがわかった。

風呂から出てくると、ミドリは裸のまま掛け布団にくるまっている。
(コタツの中の猫だな、まるで)
何とも言えない愛しさを感じながら電気を消し、俺もベッドにもぐりこんだ。
薄暗がりの中で俺は、隣で横になっっている彼女の手を握り締めた。
初体験の彼女もそうだろうが、俺のほうも相当緊張していた。
なにせ堅気の、しかも処女相手なんて初めてのことだ。
でも、どうすればいいかはわかっていた。惚れた女を優しく愛しむだけだ。

そのまま彼女のほうを向いて抱きしめ、キスをしようとセミロングの髪の毛をかきわけた。
「ねえ、もう少しこのままでいてもらってもいい?」
「なんだ? 急に怖くなっちゃったのか。」
「違うの。こうして抱き合ってるとね、どこまでが私の肌で、どこからが今泉君のなのかわからなくなっちゃうの。
このまま今泉君と一緒になれちゃいそうで気持ちいいなあと思って。」
「本当だな……。」
ついまどろみそうになるくらいに暖かい空気に甘いにおいのする肌。
何がそうさせるのかわからないが、まるで昔からずっとこうしていたような錯覚に陥る。
今夜初めて肌を重ねるというのに。
636関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:11:06 ID:z/6Btu4N
今まで目を閉じてその感覚に浸っていたミドリが、とろんとした声でささやいた。
「ほらね。やっぱり今泉君なら大丈夫だった。」
(ちぇっ、かわいい顔しやがって。まったくたまんねえよ……)
その笑顔にそっとキスをし、体勢を変えて彼女の上になった。
ケンカの傷が痛むが、なるべく彼女に体重をかけないように気遣いながら。
ゆっくりと唇を合わせ、舌を絡める。
ミドリの柔らかな舌の感触に、俺のほうがどうにかなってしまいそうだった。
名残惜しそうに唇を離し、俺は言った。
「できる限り優しくするけど、それでも痛かったり嫌だったりしたらすぐ言えよ。」

唇を顔から徐々に体の下のほうに這わせていく。首筋に舌を這わせると、ミドリの小さなため息が漏れた。
鎖骨の下にはやや小ぶりだが形のいい胸が並んでいる。
「小さいから恥ずかしいな……」
「十分かわいいよ。」
左手で乳房を優しく包むように揉み、反対側の乳房に舌を這わせた。
「ひゃん」
気持ちがいいのかくすぐったいのかわからないが、嫌がるようなそぶりは見せていない。
トクン、トクン、とすごい速さで脈打つ鼓動が聞こえる。ずいぶん緊張してるな。
「心臓の音が聞こえちゃいそう。」
「いや、聞こえてるよ。すげぇバクバク言ってる。」
ミドリは恥ずかしそうに、ごめんね、とでも言うようにうつむいた。
「いいんだよ。お前は何にも心配せず、黙って抱きついていなさい。俺うまいんだから。」
「……どうしてうまいってわかるの?」
思わず苦笑してしまった。ほんと天然だなこいつ。
「お前を大事にしてあげるぞって自信があるからだよ。」
その言葉に少し安心したのか、ミドリは笑顔を見せ、体からやっと力が抜けてきたようだ。
637関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:11:55 ID:z/6Btu4N
胸に這わせていた手を、徐々に下半身のほうへと移していく。
見た目以上に細いウエスト。抱きしめたら折れてしまいそうな気がした。
ウエストからヒップのラインをゆっくりとなでまわす。
滑らかな感触を味わいながら、だんだんと右手を太腿の辺りに近づけていった。
俺の手の行く先に気づいたのか、ミドリは太腿を閉じようとした。
そんなことには気がつかない振りをし、俺は強引に手を股の間にねじ込み繁みをまさぐった。
「痛っ」
ミドリが顔をしかめる。
「悪い。乱暴にしすぎたか?」
「ううん、爪が……痛いのかも。」
日頃の身づくろいなんかまるでかまっちゃいない自分を反省しつつも、俺は作戦を変更した。
「じゃあ、こっちにすっか。」
会話の最中で油断していたミドリの股間に顔を埋め、舌で舐め回した。
「!……い、いやあ、やめてぇ……。」
「これなら痛くないだろ。」
「いやぁ……恥ずかしい……恥ずかしいよぅ……。」
638関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:12:43 ID:z/6Btu4N
ゆっくり時間をかけて小さな襞を弄ぶ。時には口に含み、時には舌先で軽くなぞる。
と、さっきまでいやいやと騒いでいたはずのミドリが妙に大人しくなっていることに気づいた。
ふと見上げると、必死にシーツを噛んで何かをこらえてるミドリが見えた。
「どうした?」
「だ……だって……ヘンな声が出ちゃいそうで……。」
こいつ本当に初めてなんだなあ、と感慨を新たにした。
「声出せよ。俺、聞きたい。」
「だって恥ずかしいよぅ……。」
「こういうことするっているのは、そういう風になるもんなんだよ。」
ミドリが言い訳をしてる隙に、舌先を尖らせて襞と襞の間にある小さな穴に挿し込んだ。
「はあぅ!」
突然のことにミドリが声を漏らした。
俺の唾液とミドリの体液の混ざった液体が、ピチャピチャと流れ、シーツを濡らしていく。
「うぅん……あぁ……!」
ミドリの声は徐々に大きくなり、息遣いが荒くなってくる。
639関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:13:33 ID:z/6Btu4N
(そろそろ大丈夫かな……)
ミドリのことを配慮しようとは思っても、さすがに俺も我慢できなくなっている。
体を起こし、ミドリに顔を近づける。
初めて味わう刺激に、恥じらいと困惑の入り混じったような顔をしている。
震えている唇に優しくキスをして、彼女の手をとり、俺自身に触らせた。
「俺ももうこんなになっちまった。」
「すごいね……こんなのが入っちゃうの?」
「それが入るんだよ。人間ってよくできてるよなぁ。」
俺は手を添えて彼女の入り口に俺自身の先端をあてがった。
「ごめん、こんなことになるとは思ってなかったから何も用意してない。外出しでいいか?」
「ううん、そのまま中でして……全部今泉君が初めてののほうがいい。」
冷静に考えたら止めさせるべきなんだろうけど、そんなこと言われて我慢できる男なんかいない。
俺はしばらく先端で入り口を刺激し続けた。
「んん……はぁ……あぁん……」
俺から出る体液と彼女の体液が、徐々に奥を濡らしていく。
俺は少し進んでは一旦引き、さらに奥へ進んでは引いてを繰り返し、
できるだけゆっくり彼女の中に入っていった。
「ん……くぅ……」
途中まで悩ましげな声だったミドリが、徐々に何かをこらえるような声になってきた。
眉間には皺がより、苦痛をこらえているような面持ちだった。
640関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:15:06 ID:z/6Btu4N
「どうした、痛いか?」
「ううん、ちょっとだけだから大丈夫だよ。」
なんだかミドリが健気で胸が締め付けられそうになった。
ほどなく、俺のすべては彼女の中に納まった。
「入ったぞ。」
「どんな感じ?」
「そりゃ気持ちいいさ。あったかくて、柔らかくて……。お前は?」
「うーん、痛いとかじゃなくてね、私の中が今泉君でいっぱいになってるの。すっごく幸せな気分……。」
自分の惚れてる女が、こんな男に抱かれて“幸せ”って言ってくれている。
そんな言葉に、もう俺は自分が制御できなくなりそうだった。
「今から動くから痛いかもしれないけど、ちょっとの間我慢な。」

……そこから先は頭が真っ白になってよく覚えていない。
気がつくと、俺の腕の中でぐったりしていたミドリが顔をあげ、優しい顔で微笑んでいた。
「ねえ、今夜は寝ないで、ずっとこのままでいてもいい?」
「もちろん。」
俺はミドリに腕枕をし、軽く抱きしめキスをした。
今は一体何時頃なんだろう。できれば夜明けが来ないで欲しい、そんなことを考えながら。
641関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:18:22 ID:z/6Btu4N
【明治組事務所 4】

今泉の目はしばらくどこか遠くを見ているようだった。
彼女を抱いたときの思い出でもよぎっているのだろうか。
「これは失礼を。思わずぼんやりしちまいました。」
「気にするな。別れの瞬間はいつだって辛い。子供が母親から引き離されるときに泣くじゃないか。
あれが人間の本質なんだろう。」
「あいつが出て行った後、部屋にへたり込んじゃいましてね。涙が止まりませんでした。
少なくともアタシの記憶に残っている中で泣いたのはあれが最後です。
それからですね、アタシのなかに甘っちょろい気持ちがなくなったのは。腹くくれました。もう失うものは何もない。
命張って死ぬギリギリのとこまで何でもやってやろう、この世界でのし上がってやろうってね。」

それから10年、決して規模は小さくないこの関東明治組で、34歳の若さで若頭まで上り詰めたのか、この男は。
ヤクザな自分も、自分を認めない世間も、堂々と彼女と結婚できる男も恨んだことだろうに。
苦しみや悲しみは人を強くすると言われている。
もちろんそういう人間もいるが、俺は半分以上は奇麗事だと思ってきた。
なぜなら今まで遭遇した事件で、苦しみや悲しみから犯行に至った人間をあまりにも多く見てきたからだ。
しかしこの男は、その負の感情を見事に前向きな力に変えてここまでやってきたのだ。
なぜ豪造親分が今泉を買っているのか、俺にはわかる気がした。
642関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:19:54 ID:z/6Btu4N
「あの日ほど朝が来るのが嫌だと思ったことはありませんでしたね。
一緒に寝転んだまま、今までの思い出やら取り留めのない話をして一睡もできませんでしたっけ。
今でも最後に出て行くあいつの姿はよく覚えています。
玄関先で俺を見つめて
『今泉君、最後にあたしの名前を呼んでキスして。いつもあだ名でしか呼ばれなかったから、
名前を呼び捨てにしてもらいたいんだ……。』
って言われましたっけ。」
俺は不思議な違和感を感じた。
「……彼女はミドリっていう名前じゃないのか?」
「それは苗字からついたあだ名なんですよ。実は名前は違うんです。
あたしは言ってやりました。『幸せになれよ、芙祐美。』ってね。」
643関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:20:43 ID:z/6Btu4N
芙祐美……? その名前を俺は最近どこかで聞いた気がしていた。
…………!!
「今泉、すまない。さっきの捜査資料をもう一度見せてくれ。」
今泉から依頼された一家心中事件の調査。
家族の写真と家族構成の資料。その一家の名前の中には……「室田芙祐美」

「そうなんです。彼女の旧名は緑川芙祐美。アタシが唯一惚れた女です。」
俺は体中から力が抜けていきそうになるのを感じていた。
「……いつ、お前はこのことを?」
「一週間前に新聞を読んでいたら、あいつと同じ名前が目に入ってきましてね。
珍しい漢字じゃないですか。まさか、とは思いましたが、年もアタシと同じでしたから。
本人かどうか一刻も早く確かめたかったんですが、昔の情けない自分を舎弟たちに知られるのも何ですし、
神宮寺さんなら信頼できると思ってお任せいたしました。
先ほど写真を見ましてね、あまり変わってないな、と思いましたよ……。」

徐々に神妙な面持ちになる今泉に、俺は何も話しかけられなかった。
写真には人のよさそうな中年の男性、おっとりした優しそうな女性、利発そうな少年が写っていた。
(これがミドリちゃんか。…………えっ?!)
最初は母親似だと思っていたこの少年、しかしこの何でも見抜いてしまいそうな眼差しは
隣に立っている父親よりも、母親よりも、むしろ俺の目の前にいる男によく似ていた。
子供の名前は一久。父親が一清だからそこにあやかったのかと思っていたが、そうではないかもしれない。
644関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:22:18 ID:z/6Btu4N
俺の推論に過ぎないが、ミドリ、いや芙祐美さんは、この子の父親が今泉だと確信していたに違いない。
一久の久は今泉直久からとったのだろう。年齢的に考えてもありうる話だ。
とすると、今泉は自分でも知らない間に妻子を持っていたことになる。
(この子はお前の……)
そう言い出すのを俺はとっさにこらえた。今さらそれを知って何になる?
昔愛した女が殺されただけでも衝撃が大きすぎるのに、
一緒に殺された子供が自分の息子とわかったら……。
それに切れ者の今泉のことだ。
写真を見てすでにそのことに気がついていて、あえて口に出さないだけかもしれない。
これ以上やつの傷口をえぐるようなことはしてはいけない。
「なんてこった……。」
やっと口から出たのは、その一言だけだった。
645関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:23:51 ID:z/6Btu4N
「神宮寺さん、韮崎の件を覚えてますでしょう?」
韮崎祐一。懐かしい名だ。明治組未来の幹部候補とまで言われた男だった。
他の組との抗争に巻き込まれて、奴の恋人千夏は死んだ。
奴は報復を望んだが、豪造組長から止められ、それを逆恨みして明治組の壊滅を謀った。
優秀な男だったからこそ、そんな風に変わってしまった奴のことは忘れられない。
「あいつの気持ちは痛いほどわかりましたけど、あの時はああするしかなかったんです。
あの二人には絶対に幸せになって欲しかったんですがね……。」
今泉はそこでふっとため息をついた。
「でもね、こんな事言ったら不謹慎かもしれませんけど、今日ばかりは奴がうらやましいんです。」
「…………?」
「韮崎は千夏ちゃんの亡骸を抱きしめ、その死を悼むことができたんです。
アタシは……幸せになることを祈っていた女の死すら今まで知らず、
抱きしめることはおろか、線香の一本もあげることができない。……蚊帳の外なんです。」

そうなのだ。この家族写真の真ん中にいるのは、本当は今泉であるべきなのだ。
しかし、今泉と芙祐美さんの関係を知る者はなく、子供が今泉の息子であるということを証明する術もない。
殺した男も死んでいる以上、今泉の怒りはどこにもぶつけようがない。
今泉が見も知らぬ男に妻子を殺された、という“真実”は誰にも知られることなく、
戸籍上のことだけで一家心中として扱われ、処理され、忘れられていく。
本当の被害者を置き去りにしたままに……。
646関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:28:07 ID:z/6Btu4N
「もちろんアタシの傍にいたら、もっと早く命を落としたかもしれないし、
ひどい暮らしをさせていたかもしれません。
でも今のご時世、堅気だっていつ普通の暮らしから地獄に転げ落ちるかわからない。
ただ確率が低いってだけで、それはアタシらと変わらないんです。
どうせ自分じゃ幸せにできないから身を引いた、なんて言い逃れもいいとこです。
もし転げ落ちたとき、惚れた女に看取ってもらえたら……
逆に惚れた女の死の間際に一緒にいてやれたら……。
何にも知らずに取り残されるよりも、その方がはるかにマシじゃないかと、
アタシは今とても後悔しています。
自分に安らぎを与えてくれる女……そんなのめったに会えるもんじゃありません。
手放しちゃいけないんです。」

そこまで一気にまくし立てると、今泉は俺の目をじっと見つめた。
「どこに危険が転がってるかわからない生き方……貴方もご自分でそうお思いでしょう。
でも今のアタシみたいな気分を他の人には味わって欲しくない。神宮寺さん、貴方には特にね。」
647関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:30:21 ID:z/6Btu4N
「最後はちょっとお節介でしたかね。」
しばらくの沈黙の後、今泉がつぶやいた。
「ですから今回の調査はアタシの個人的な依頼なんです。報酬をお支払いしないと…」
俺は首を横に振った。
「お前から報酬なんてもらえない。さっきのカミュで十分さ。
それよりこんな重要な調査を俺に依頼してくれた上、話を聞かせてくれたことに感謝している。」
「……おそれいります。」
ソファから立ち上がり部屋を出る間際、俺は言った。
「それに報酬以上のものをもらった。お前の気遣いは受け取ったよ。ありがとう今泉。」

外に出た俺は今泉のいる部屋を見上げた。
あいつの胸の内を思うと、何とも言えないやりきれなさは残る。
しかしあいつは、今泉直久は、この悲しみに負けるような男ではないと俺は信じている。
近い将来、あいつはこの世界の頂点に上りつめるに違いない。
俺はそれを静かに見守っていくだけだ。
648関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:31:29 ID:z/6Btu4N
【epilogue】

事務所に帰る頃には、すっかり酔いは醒めていた。
きれいに整頓し終わったデスクで、洋子は書類をまとめていた。
「お帰りなさい、先生。今泉さんはお元気でした?」
二度と戻らないと思っていた光景が目の前にある。すっきりと片付いた部屋に漂うコーヒーの香り。
この事務所の雰囲気は、やはり彼女なしでは成り立たない。そのことを改めて思い知らされる。
もうこの場所から、俺の傍らから、彼女に去られてはならないのだ。
「コーヒー飲まれますよね?」
立ち上がった洋子の進路をふさぐように俺は彼女に向き合った。
「どうだい、ここに戻ってきた感想は?」
不意の質問に意表を突かれながらも、洋子はすぐに笑顔を作った。
「やっぱり私はここが一番落ち着きます。戻って来られて本当によかった。」
「そうか。じゃあ、よかったついでに今日は残業を頼まれてくれないか?」
「はい、何でしょう?」

――手放しちゃいけないんです――

今泉の言葉が、頭の中に何度も何度もよみがえり、そして俺の背中を押した。
俺はそっと洋子を抱きすくめ、今までどうしても言えなかった言葉を耳元でささやいた。
「今夜はずっと俺の傍にいてくれ。」
一瞬洋子の言葉が失われ、体から力が抜けていくのがわかった。
が、しばらくすると洋子は意を決したように俺の背に華奢な腕を回し、はにかんだような声で答えた。
「先生の……指示に従います。」
(今泉には大きな借りができちまったな)
自分も、そして洋子もおそらく感じているであろう穏やかな空気の中で、
俺たちは抱き合ったまま、いつまでも離れられずにいた。
649関東明治組若頭・今泉直久 異聞:2008/11/16(日) 00:32:35 ID:z/6Btu4N
一方、今泉は事務所の窓から、外の夜景をぼんやりと眺めていた。
神宮寺から受け取った写真をスーツの胸ポケットにしのばせ、そして目を閉じ静かに合掌する。
(……ミドリ、すまない。アタシが不甲斐無かったばっかりに)
歴史に「もしも」はないけれど、もしあの時自分が彼女の元を去らなければどうなっていただろうか。
愛する妻と、自分の息子かもしれない少年と、幸せに暮らすことは果たしてできたのだろうか?

答えなど出るはずもない。彼女たちはもうすでにこの世の人ではない。
今の自分にできるのは、ただその現実を静かに受け止めることだけなのだ。
明日からはまた明治組若頭として、組を背負うものとして、気の抜けない日々が始まる。
でも、せめて今夜だけはただの一人の男、今泉直久でいたい……いきがっていたあの下っ端時代の。
隣の部屋にいる若衆に気づかれぬよう、彼は嗚咽をこらえていた。

それぞれの想いを飲み込むように、新宿には夜の帳が降り始めていた。

Fin
650597:2008/11/16(日) 00:37:33 ID:z/6Btu4N
投下終了です。
時期的にはKind Of Blue の直後くらいのイメージなんですが、
実はまだやってなくて…巷でこれ以降神宮寺と今泉の間に距離ができる、
なんて話が耳に入ったもんで、大丈夫かな、と思いつつ書いてしまいました。
もしそうだとしたらすみません。
651名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 00:40:30 ID:sM28DzMh
投下乙です。リアルタイム投下に遭遇しちまったw
SSは時間のある時にゆっくり読ませてもらいます
652名無しさん@ピンキー:2008/11/16(日) 08:28:02 ID:CZfYMiY5
>>650
今泉……。・゚・(ノД`)・゚・。
いい、凄くいい。GJです!
653597:2008/11/16(日) 21:58:08 ID:z/6Btu4N
>>652さま
ありがとうございます。そういっていただけるとうれしいです。
またアイデアが浮かんだら投下させていただきます。

管理者様にお願いがございます。
>>634 >>635の見出しの行が開いていない部分
>>639の下から10行目に「の」のダブり
保管してくださる際、校正していただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。
654597:2008/11/16(日) 22:00:53 ID:z/6Btu4N
>>653
自己レス
×開いて → ○空いて 
655小ネタ/熊さん涙目:2008/11/18(火) 16:06:12 ID:cZuVWm9t
熊野「いやー、小林。今回も世話になってしまってすまんなあ。」
小林「いいってことよ。その代わり今度おごれ。」
熊野「……ワシの体で払ったらダメかのぉ?」
小林「…………」

熊野「冗談に決まっとるじゃろ。こんなこと本気にするな。ふぁふぁふぁ。」
小林「……そういや、この間の貸しは熊さんのお嬢さんに返してもらったんだけかな。すまねえな、報告が遅れて。」
熊野「ふ…ふ…ふもももももももも――――――!」
656小ネタ/熊さん涙目:2008/11/22(土) 21:22:27 ID:RDrYVVBB
熊さん倒れて病院に担ぎ込まれる。
家族に連絡が行き娘も駆けつける。たいしたことはないらしく一安心。
娘「小林さん、どうして父は倒れたんですか?」
小「こないだの仕事の貸しの話をしていて、
あんたから“丁寧なお礼状とお中元を”返してもらったって話をしてたら
いきなり『ふもー』とかいってぶっ倒れちまったんだけど、
俺なんか悪いこと言ったっけかなあ?」

朦朧とする意識の中で熊さんは思った。
(小林、言葉をはしょりすぎじゃ…)
自分の前振りのことは棚に上げ、熊さんは再び漆黒の眠りへと落ちていった。




657名無しさん@ピンキー:2008/11/22(土) 22:48:54 ID:ZVjgmfNk
血迷い過ぎだ熊さんw
658名無しさん@ピンキー:2008/11/23(日) 23:39:52 ID:r/AxnJMc
熊さんの娘さんは案外美人な気がする
659名無しさん@ピンキー:2008/11/24(月) 00:57:46 ID:B9p9wts/
帰りが遅い
熊さんが見合い話持ってくると嫌がる

って所を見るに、彼氏とかいそうな感じがなんとなくする。

……それはそれで熊さん口うるさくなりそうだけどもw
66022:2008/11/25(火) 20:41:55 ID:A4GgIAjT
寒い山で道に迷って……なネタで投下させて頂きます。雪山でもロッジでもありませんが……
エロくはないです。すみません。
66122:2008/11/25(火) 20:43:27 ID:A4GgIAjT
「まずいな……霧が濃くなってきた」
 呟きながら、神宮寺はミニを車道の端に停めた。
 一旦外へ出て少し先まで様子を見に行ってみたが、夜の闇と霧とに覆われて先がよく見えない。
 だがまだ辺りが明るかった時に、遠目に見えていた建物のものとおぼしき灯が何処にも見当たらない以上、間違った道に入ってしまった事は確かなようだ。
 神宮寺はやれやれと溜め息をつくと、車中に戻り助手席の洋子に声を掛けた。
「外れたらしい」
 座席に腰を据えて、彼はやや疲労混じりの声で言う。零れた息は、ほのかに白かった。
「やっぱり、あそこで曲がれば良かったのでしょうか……」
 申し訳なさそうに、洋子は俯く。
「すみません。余計な事を言ってしまったようで……」
「いや……」
 落ち込んでいる洋子に戸惑いながら、神宮寺は答えた。
「俺も、こっちで合っていると思っていたから……」
 気にするな、と彼が言うと、洋子は小さく頷いた。
「でも……これからどうしましょう。引き返しますか?」
「そうだな……しかし」
 ここへ辿り着くまでの道程でさえ、かなり入り組んでいた。
 視界の悪いこの状況で、下手に動くのは好ましくない。
66222:2008/11/25(火) 20:45:09 ID:A4GgIAjT
 朝になるまでこの辺りで様子を見た方が良いのかもしれない、が──

「……………」

 神宮寺はちらりと洋子の方を見た。

 自分一人なら、一晩ここに留まる事にさほど問題はないだろう。
 真冬の時期の張り込みにも慣れているし、多少の空腹には耐えられる。
 だが彼女まで付き合わせるのはどうだろう、と神宮寺は悩む。
 女性だし、これまでに夜を徹しての張り込みをさせた事も殆どない。
 ここは無理を通してでも、一刻も早く帰宅出来るよう、配慮してやった方が良いのではないかと。

「とりあえず、戻ってみるか」
「明るくなるまで、待ってみますか?」

 異なる提案をする二人の声が、重なった。
 互いに驚いた様子で、相手に問い掛ける。
「こんな状況で無闇に動くのは、危ないんじゃありませんか?」
「それはそうだが、良いのか? 一晩中こうしている事になるかもしれないぞ」
「私は、構いませんけど……」
 僅かに目を伏せながら、洋子が零す。「先生が嫌だとおっしゃるなら……」
「そんな事はない」
 神宮寺は間髪入れずに否定の言葉を発しながらも、何故か慌てている自分自身に戸惑う。
「……君の言う通りだ。霧が晴れるか夜が明けるまで、様子を見よう」
「はい」
66322:2008/11/25(火) 20:46:17 ID:A4GgIAjT
「しばらくはこの調子だろうし、休んでおいた方が良いだろうな」
「そうですね」
 頷きシートに深く身を沈め、洋子はそっと目を閉じた。
 自身もしばし仮眠をとろうと瞑目したところで、神宮寺は胸中の動揺の理由に気付いた。

 人気のない山中で、車内に二人きり──

 真夜中に近い時間である為か、他の車も滅多に通らない。そんな状況下で、彼女と一夜を過ごさねばならないのだ。
 決して嫌だとは思わない。思う筈がないのだが……
「……まずいだろう……」
「はい?」
「!?」

 思わず口に出してしまった独り言を、洋子はしっかり聞いていた。視線を彼の方に向けて様子を窺っている。
「いや、何でもない」
「はあ……」
 不思議そうな声を出しながらも、洋子は再度顔を前方に向ける。
 神宮寺は更に疲れたような溜め息をつきながら、とにかく眠る事だけに集中しようと決め込むのだった。


  *  *  *  *  *


「……………」

 眠れない。
 きっと寒さのせいだけではないだろう。
 かれこれ一時間は経っているのに、緊張が解けない。
 神宮寺の傍らでは洋子が微かな寝息を立てている。
66422:2008/11/25(火) 20:47:27 ID:A4GgIAjT
 余程疲労が溜まっていたのだろうが、無防備過ぎやしないかと彼の方が気にかけてしまう。
 それとも、そういう対象として見られないのか……

「んん……」
 何となく物悲しい気分に浸っていると、洋子の体が動いた。首をすくめ、小さく肩を震わせている。
 僅かに開いた唇から漏れる息はやはり白く、顔の血色もあまり良くない。冷えすぎたのだろうか。
 神宮寺はコートを脱ぎ、彼女にかけてやった。洋子の身よりも一回り大きなそれは、彼女の体をすっぽりと覆う。
 温もりのあるコートに包まれながら、洋子がまた身じろぎした。今度はどこか、心地よさそうに。

 安らいだ寝顔が、神宮寺の内側の何かを刺激する。じっと見ているからいけないのだと分かっているのに、目を離せない。
 夜の闇のせいか、青白く見える洋子の頬。綺麗な線を描く輪郭に見惚れ、気付いた時には指で触れていた。

 柔らかくて、それでいて張りのある肌。
 見た目と違わぬ優しい感触。
 だが──とても冷たい。

 神宮寺は彼女の横顔を少し隠している髪を払い、掌全体で頬を撫でた。
「……ん……」
 作りもののようだった顔に、表情が浮かんだ。
66522:2008/11/25(火) 20:49:28 ID:A4GgIAjT
 細い眉をぴくりと動かし、瞼を持ち上げ、何度か瞬きをする。
 俯いていた顔が上がり、しばしぼんやりとしていた目が、ゆっくりと彼に向けられた。
「……先生」
「あ……」
 起こしてしまったか、と神宮寺は手を引く。「すまない……」
 離れようとするその手に、洋子はそっと己の手を添えた。
「……………」
 驚いて何も言えずにいる神宮寺の手を両手で摩る彼女の目は、やはりまだどこか眠たそうだ。
「つめたい……」
 冷えた手で摩っていてもなかなか温まらない彼の掌を顔の前まで持って行き、洋子はそっと息を吹き掛けた。
 白い吐息が広がり、すぐに消えてしまう。温もりはそれこそ一息の内に薄れてしまった。
 それでも繰り返し息をかけ続けると、彼の指先に次第に熱が通い始めた。
 洋子はただ黙々と、彼に温もりを与え続ける。
 魅入られたようにその様を凝視する神宮寺の心中を、知りもせずに。

 しばらくそうしている内に目が覚めてきたのか、洋子はかけられている神宮寺のコートに気付いた。「これ……」
「寒そうだったから……」
 静かに答える神宮寺。だが胸中のざわめきは失せない。
66622:2008/11/25(火) 20:50:35 ID:A4GgIAjT
 洋子は片手を彼の手から離してコートを返そうとするが、神宮寺は構わないと言って受け取ろうとしない。
「でも、先生……」
「俺は、十分温まったから」
 そう言って、洋子の手が添えられている自分の手を動かす。元の体温を取り戻し、いくらか彼女の吐息の湿りけを帯びていた。
「そっ……そうですか……」
 自身の行いを思い返してか、照れたように目を逸らし、洋子は神宮寺の手をぱっと離す。

「……………」
 神宮寺は黙ったまま、しかし先程までと異なる目をして体をシートから持ち上げた。
 そして洋子の肩を引き寄せ、自分の方へ向けさせる。
「え……」
 戸惑う洋子に、神宮寺は顔を近付ける。

「何を、考えているんだ」

 そんな無防備なところを見せて。
 男と二人きりだというのに。
 歯止めが効かなくなったら、どうしてくれるのか。
 苛立ち混じりの何かが、抑えていたものを放とうとしているのを、神宮寺は感じた。

「せ、せんせ──」
 何かを訴えるような声を唇で遮り、身をぐっと寄せる。
 こんなに乾燥して冷え切った空気に晒されているのに、彼女の唇は柔らかい。
 このまま内側まで侵してしまいたい。そう思って舌を動かしかけた時、洋子と目が合った。
66722:2008/11/25(火) 20:51:43 ID:A4GgIAjT
「……………」

 驚きと、怯えを含んだ瞳。
 まだ残る理性に己を責められたような気がして、神宮寺は体を離した。

 何を、考えているのか──
 神宮寺は今度はその言葉を自身に投げ掛けた。
 彼女に好意は抱いている。だが、それだけだ。今までそれを、言葉にも行為にも示さないようにしてきた。
 彼女にも気付かれていないと思っていた。
 それ以前に、彼女からそういう対象として意識されているとは思えなかった。

 それで構わないと思っていた筈なのに、自分は何故、今苛立っているのだろう。
 それを彼女にぶつけても、困らせるだけだというのに……

「せん……」
「悪かった」
 語れる言葉が見つからない。ただ黙って、無かった事にして欲しい。「忘れてくれ」
「……嫌、でしたか?」
 それなら、こんな事はしない。
「……………」
 そう、そのまま黙っていて欲しい。これ以上、みっともない所を見せたくは──

 身勝手な願いと、そんなくだらないものを彼女に強いている自分自身への嫌悪感とにしかめられていた表情が、固まった。
 洋子の温もりの残る神宮寺の手の甲に、彼女のそれが乗せられた為だ。
66822:2008/11/25(火) 20:53:04 ID:A4GgIAjT
「先生は」
 重ねられた手に、力がこもる。「私の事、どう思ってらっしゃるんですか?」
 問いが真っ直ぐすぎて答えられないでいる神宮寺に、洋子は静かに、今度は言葉を選びながら告げる。
「そういう風には……見て頂けないと思ってました。それでも良いとも。でも……」

 全く同じだった。
 神宮寺が抱いていたものと違わぬ想いを、洋子は躊躇いながらも紡ぎだしている。
「そんな風に手を伸ばして下さるなら、私……」
 細い指先が、震えていた。

 堪らなくなって、神宮寺は洋子の手に自身の指を絡めた。
 伏せがちになっていた洋子の顔が上がり、おずおずと神宮寺を見る。その目は潤んでいた。
「何とも思っていないなら、何もしない」

 神宮寺は笑った。他ならぬ己自身を。
 彼女が泣きそうな顔をして想いを告げてくれているのに、自分はこんな言い方しか出来ないのだ。
「俺は……思い上がっても良いのか?」
 挙げ句、彼女に最後の答を求めている……どうしようもないな。
 自身を嘲る神宮寺を、それでも少しも狡いとも思わず、洋子は首を振った。
「思い上がりなんかじゃ、ありません」
66922:2008/11/25(火) 20:54:07 ID:A4GgIAjT
 それだけ聞くと、神宮寺はもう一度顔を近付かせ、洋子と唇を重ねた。先程のように強引にではなく、もっと自然に。
 両腕を彼の首に回しながら、啄む乾いた唇に応えようと、洋子の方も触れては離れを繰り返す。
 軽く、優しく、相手を窺いながらの口付け。
 心地よかったが、それだけでは温もりを分け合えない。神宮寺は彼女の顔に手を添え、唇を舌で軽く撫でた。
 察した洋子は赤く頬を染めながら、彼の舌を口内ヘ導く。
 触れている頬は朱を浮かべているが、ひやりとして冷たい。
 しかし唇の向こう側は温かく、居心地は思っていた以上に良かった。
 絡んでくる舌と交わり続けているだけで、心身に熱を通わせられる。お互い、そんな風に思えて、なかなか繋がった唇を離せずにいた。

「っ……んん……」
 しばしそうしていると、洋子の頬も耳も、その色と相応の熱を帯びてきた。時々漏れ出る声も、鼻にかかっていて甘い。
 口全体で与え、求め合う内に体は温まってきていた。
 しかしその分、彼の内側の抗い難い熱も浮かび上がってくる。
 半ばそれに任せながら、服越しに胸の辺りに掌を押し付けた。
 途端に慌てた様子で顔を離し、洋子は少し困ったような目で神宮寺を見つめる。
67022:2008/11/25(火) 20:55:17 ID:A4GgIAjT
「あの……先生」
 まだ息が整わぬままに、洋子は彼に呼び掛ける。真っ白な息が二人の間に溢れた。
「何だ?」
「こ、ここでは……これ以上はちょっと」
 誰かに見られたら……と洋子は不安がっている。さっきまで抱き付いて口付けたまま、離れようとしなかったにも関わらず、だ。
 大胆なのか何なのか……と、やや呆れ気味に神宮寺が反論する。
「こんな時間、こんな所に誰も来ないだろう」
「でも、車とか……」
「さっきから、車もバイクも全く通らないじゃないか」
「や……ちょ、ちょっと、先生っ、待って──」

 洋子の制止も聞かず、神宮寺は彼女を押し倒そうと動いた。
67122:2008/11/25(火) 20:56:02 ID:A4GgIAjT
 それと丁度同時だっただろうか。対向車線側から来た車のヘッドライトが、神宮寺達を照らし、走り去ったのは。

 眩い光が車内を包んだのは一時の事だったが、二人はそのままの体勢で固まっている。

「……………」
「……………」
「……通りましたね」
「ああ……」
 洋子は神宮寺から身を離し、真っ赤になった顔を両手で覆った。
「見られてしまったかもしれません……」
「す、すまない……」
「だから止めたのに……」
 羞恥に震える洋子と、表情には出さないものの、どうしたものかと手をこまねく神宮寺。
 そんな二人の事などおかまいなしに、山の夜は更けていく。



 霧が晴れ、無事に山を下り終えるまで、洋子はまともに神宮寺と口を利いてくれなかったとか。
67222:2008/11/25(火) 21:11:36 ID:A4GgIAjT
終了です。次は真面目にエロ書きます。
今月は書き手さん多くて嬉しいなぁ。

>>615
ご指名頂けるとはありがたい限り。こちらが悶絶しそうですw
着物はほぼ無知識なのですが、いつか余裕が出来たら……
673名無しさん@ピンキー:2008/11/25(火) 23:43:42 ID:k3E8CDu8
このシチュエーションもいいなあ(*´Д`)ハァハァ
次作もwktkして待っております!GJです!!
674597:2008/11/26(水) 20:40:22 ID:ed5qS5hJ
>>672
>>ご指名頂けるとはありがたい限り。
今月来たばかりの新参者ですが、初見で「うおぉ」と、うならされました。
次回作も期待して待ってます。

言い忘れましたが、>>655->>656 の熊さん小ネタはアタシが書きました。
今泉編のエロ場面が家人のダメ出しをくらい(本当に才能にないらしいorz)、
濃厚エロ以外(マジネタ、ちょいエロ、パロ)で今後は書かせていただきます…。
他に生息場所もなさそうなので、濃厚なのをお求めの方はスルーしてください。
よろしくです。
675347&537:2008/11/28(金) 01:17:42 ID:vGS0pzEe
今泉を書くとは言った。神宮寺の次に彼は好きだ。だが…難しいよ今泉w
エロに特化して書いてもいいんだが、やはり神宮寺SSは気持ち入れたほうが萌えるな…

>>674
自分のSSのエロさを分類したことはないが、たぶん俺も濃厚エロは書いてないから大丈夫だと思う。
神宮寺好きな気持ちをここで勝手にSSとして発散させてもらってるw
676597:2008/11/28(金) 17:50:58 ID:KN8OMkas
>>675
>神宮寺好きな気持ちをここで勝手にSSとして発散させてもらってるw

そうですよね。1作目からのファンなのでアタシも思い入れがありますよ。
ここで発散していきましょう。

確かに今泉は人物像が摑みにくくて難しい。
昔気質の明治組の若頭で切れ者のいい漢、くらいですからね。
サブみたいに、酒はカミュ、タバコはマルボロ、愛車はミニクーパー、部屋にはダーツって
わかりやすくハードボイルド設定してあればいいんですけど、
でも、だからこそ妄想も膨らむってもんで、
それぞれが抱いている今泉を書きましょうよ。
677名無しさん@ピンキー:2008/11/28(金) 22:48:22 ID:ZMmXfHkr
エロければもちろんいいけど、やっぱ心情がいろいろ感じられる内容だと神宮寺らしいと思う。

まあここのSSはそういう意味では全然無問題っぽいから、いつでも期待できるな。
楽しみにしてるよ>>675
678名無しさん@ピンキー:2008/12/01(月) 22:45:35 ID:myYFljX5
ところで皆さんは読む時or書く時、どのシリーズの洋子の顔をイメージしてますか?
データイースト時代の寺田絵だと、米倉涼子系のキツめのモデル風美人、
90年代後期は井川遙風の癒し系。
KOBに至っては「あんた誰?」状態なんですが…。
679名無しさん@ピンキー:2008/12/02(火) 16:43:19 ID:A65qjvEo
>>678
>「あんた誰?」
同意w

実在する人物イメージした事はないが、別スレでクリステルっぽいって書き込み見た時はなんか納得したな。
680名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 00:15:38 ID:IBs+6w2K
KOBの洋子については、顔も性格も今までの洋子と結びつけたくないんだがw
681名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 14:58:21 ID:PSzpWHlo
自分は「灯火」か「夢の終わりに」の二択かなあ。
アプリ版だとやたら幼そうで26歳には見えん。
682名無しさん@ピンキー:2008/12/03(水) 23:53:28 ID:phnndTut
PS時代の寺田絵洋子が良すぎてすぐ思い浮かぶ。最近はあまりプレイしてないのに。
じゅんにー洋子もかわいいけど…
683名無しさん@ピンキー:2008/12/05(金) 21:22:47 ID:ij/hwrCF
きえないこころの洋子は人妻チックでなんかエロいぞ
684597:2008/12/14(日) 21:04:00 ID:B3ERUbxw
年末年始中に構想を練っておきたいです。
今泉から書き始めた自分は、今後もスピンオフもの中心の書き手になろうかなと。
脇役の人たちも味のある人が多いんで想像のしがいがあります。
こないだ熊さんやったから、今度は三好あたりかな・・・。
685名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 22:59:00 ID:SzQyKWRn
自分は夢の終わりにの洋子が一番美人だと。次がイノセントブラック。
686名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 23:16:13 ID:gTZwyF1P
夢の終わりには確かにすごい美人。
切れ長目にぽってりめの唇がイイ。
687名無しさん@ピンキー:2008/12/16(火) 23:21:01 ID:Gpns7hm3
神宮寺も洋子もやっぱ寺田絵が一番しっくりくる…
688名無しさん@ピンキー:2008/12/17(水) 21:08:23 ID:4Dhsqzj5
神宮寺は寺田氏以外の方が書くようになったらますます老け込んだような…
689名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 02:12:24 ID:A/MWxmQ3
寺田絵は二人含めて登場人物が年齢相応な感じでしっくりくる
しっくりくるしか言えん俺w
690名無しさん@ピンキー:2008/12/18(木) 20:28:01 ID:sqyHABMP
寺田神宮寺も毎回顔はある程度違ってるんだよな。それでもいつも神宮寺らしい感じがするのは素晴らしい。
691名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 21:00:08 ID:TKG2AxZ4
洋子が攻めるようなネタもありなのかな?
692名無しさん@ピンキー:2008/12/26(金) 22:07:16 ID:5iTRCQaX
ありあり。書いて。
69322:2008/12/30(火) 17:43:10 ID:97HGo8w8
別スレで風俗で働く洋子さん的なネタを見かけたのでそのネタで投下します。
オリキャラ一人称なので、お気に召さなければスルーで…
69422:2008/12/30(火) 17:44:03 ID:97HGo8w8
 ……これは、運が良いと思うべきなのだろうか。

 会社の先輩とその場のノリで入ったファッションヘルス。良い値段だがサービスもなかなかだと言ってこの店を紹介してくれた先輩は、どうやら常連客らしい。
 慣れた様子でオレのオプションまで決めてくれたが……何を隠そう、オレはこういった店は未経験なのだ。
 酔いがさめてきたのか、余計に落ち着かなくなってくる。
「楽しんで来いよ」なんて言って、先輩は先に待合室を出て行ってしまったが……ああ、断れば良かったかもしれない。
 正直、モノにはあまり自信があるとは言えないし、誰かと付き合った事もほとんどないし……急にこんな所に連れて来られても……

 あ、呼ばれた。
 はぁ……行くか……

「リョウコです。よろしくお願いしますね」

「……………」
 待合室を出たオレを出迎えた女性を見て、思わず固まってしまった。
 美人すぎるのだ。
 風俗店で働くなんて、似合わない位に。
 薄手の衣裳から伸びる手足はすらりとしていて、スタイルはかなり良い。
 恰好だけ見ればそれらしいものの、立ち姿は品があって、それこそ場違いなんじゃないかとさえ思える。
69522:2008/12/30(火) 17:45:33 ID:97HGo8w8
「どうかなさいましたか?」
 凝視しすぎたのか、リョウコと名乗った女性は不思議そうにオレに尋ねてきた。
「い、いや、なんでもないです……」
 慌てて首を振ると、彼女は少し首を傾げて微笑んだ。
「では、お部屋までご案内します」
 そう言ってリョウコさんはオレの一歩前を歩いていく。
 一人で緊張している自分が、かなり情けなく思えてきた。

「ここには、初めていらっしゃったんですか?」
 すっかりガチガチになっているオレを気遣ってか、リョウコさんが話し掛けてくる。外見と違わない、柔らかい声だった。
「あ、ええ。まあ……」
 こんなキレイな女の人と二人きりで会話する事なんて普段ないせいか、上手く言葉を返せない。
 これから一時間もの間、ずっとこんな調子だったら、この人呆れるかな……そう思ったら、溜め息が出そうになった。
 しかし彼女は、むしろ申し訳なさそうにオレに言う。
「私、経験が浅いので、至らない所があるかもしれませんが……何でも遠慮せずにおっしゃって下さいね」
「は、はあ」
 ……何と言うか、スレた感じがしない人だ。
69622:2008/12/30(火) 17:47:00 ID:97HGo8w8
 笑った顔も態度も清楚だし……こんな人が本当にあんなコトやこんなコトをしてくれるのだろうか。

 ……落ち着け。まだ早いぞ息子よ。

  *  *  *  *  *

 案内された個室に入ると、まずシャワーを浴びる為に服を脱ぎ始めた。
「では、失礼しますね」
 手慣れているとは言えない動作でオレのシャツのボタンを外していく彼女の頬は、少し赤い。さっきも彼女自身が言っていたが、こういう所で働き出してそれほど経っていない為だろうか。
 不意に目が合うと、照れたような、困っているような顔で笑う。
 これが仕事用の顔なら、彼女は相当の役者だ。もちろん素の笑顔なら、その方が可愛くてイイなんて思う訳だが……

 服を全て脱ぎ終える頃には、最初の辺りの緊張はだいぶほぐれたようだった。
 しかし、女性の前で素裸になった事などない訳で、膨らみかけている下半身を晒していると思うと、結構恥ずかしい。
 リョウコさんの方もやや恥じらいながら服を脱ぎ、オレの服同様に手早くキレイに畳んで籠に入れ、シャワールームへと促した。

「仕事帰りにいらっしゃったんですか?」
 お湯の温度を確かめながら、リョウコさんが問い掛けてきた。
「は……ええっ、はい……」
69722:2008/12/30(火) 17:48:34 ID:97HGo8w8
 声が裏返ってしまった。

 全裸の彼女の体つきは、服を着ていた時に見ても分かったように、完璧だった。細くとも痩せぎすでは決してなく、柔らかそうな肌をしている。
 雑誌やAVに出ている女優並と言っても大袈裟でないくらいのプロポーション。形の良い胸に、お尻に……目の保養どころじゃないぞ、これ。
 見とれてばかりのオレの今の顔は、相当マヌケなんだろうな。
「どんなお仕事をしてらっしゃるんです?」
 足元から少しずつ湯をかけられていく。片方の手で腿やら腰やら撫でられて……気持ち良い。
「普通に、会社員を……」
 実につまらない返答になってしまった事を悔やんだが、彼女は気にした様子もなく聞いてくる。
「大変なお仕事だったりするんですか?」
「大変……って訳でも、ないですけど……疲れは、溜まるかな」
 お湯を上の方までかけられていくにつれ、リョウコさんの掌がいろんな所を撫でてくる。腹やら胸やら背中やら……
「そうですか……じゃあ」

「い……あっ」
 静かな口調のまま、リョウコさんはオレの股間に手を伸ばした。
 タマをふにふにと揉まれて手の内側で転がされる。
69822:2008/12/30(火) 17:49:47 ID:97HGo8w8
 いきなりでえらく驚いた訳だが、彼女は顔を赤らめながらもさっきと変わらない笑みを浮かべている。
「少しでも楽しんで頂けるように、頑張りますね」
 そろそろベッドヘ、と言ってタオルで体を拭いてくるリョウコさんに、やはり間の抜けた返事しか出来なかった。

 ……意外と、大胆な女性なんだな……

  *  *  *  *  *

「気になる事とかありましたら、言ってくださいね」
 ベッドに横たわると、リョウコさんはそう言ってからオレの首の辺りに軽く口付けてきた。
 肩や腕を手でゆっくりさすりながら、鎖骨や胸にそっと唇を這わせて、ぷるぷるした感触を押し付けてくる。
 密着してるからか、彼女が動く度にさらさらした髪がくすぐったくて……イイ。かなりイイ。
「あ、あの……」
「はい?」
「キ……キスとか、してもらっても……」
 あまりの気持ち良さに、つい調子に乗ってしまった。
「はい」
 しかしリョウコさんは嫌そうな素振りをせず、オレの唇に柔らかいそれを重ねてくれた。しかも、頼んでもいないのに舌まで中に入ってくる。
 触れるだけのキスすらロクにした事のないこっちとしては、嬉しいを通り越して戸惑いさえした。
69922:2008/12/30(火) 17:50:59 ID:97HGo8w8
 湿った音と共にオレの舌に触れては離れ、ねっとりと絡んでくる。
 キスの合間にも手を動かす事を忘れていない。人差し指で乳首をくるくると撫でたり、きゅっとつまんだり……ああ、股間が熱い。
 うまく息が出来ないオレを気づかって、時々顔を離して息つぎをさせてくれている。その様子を見ていると、さっきまでの不慣れそうな態度が演技だったんじゃないかとさえ思えた。
「ん……はっ……」
「はあっ……ね、ねえ……」
 唇が離れたところで、リョウコさんに呼びかけた。息を乱しながら、彼女がオレに目を向ける。
「な……なんか……うまくない? いろいろ」
「ありがとうございます」
 はにかみながら彼女は答える。
「経験浅いとか……もしかして、冗談?」
「そんな事は……」
 謙遜しながらも、リョウコさんは再び胸の方に口付けしてくる。
「お金を頂いているんですから……ちゃんと気持ち良くなって頂かないと」
 にこりと微笑んで、彼女は体へのキスを続ける。
 経験云々についてははぐらかされてしまったが、とりあえず真面目な人なのだという事は分かった。
70022:2008/12/30(火) 17:52:33 ID:97HGo8w8
 そうこうする内にみぞおち辺りに唇が触れ、遂にその手が我が愚息に伸ばされた。
 情けない事に、これまでのリップだけですっかり興奮してしまったようで、もう先っぽがヌルヌルになってしまっている。
「我慢させてしまったみたいですね」
 微笑まれてしまった。は、恥ずかしい……
「うあっ……!」
 細い指が熱くなったモノに包むように触れ、ゆっくり擦り出した。
 裏筋を下から上へと撫でたり、亀頭に滲んだ汁をまとわり付かせたり……やばい、出る、出そう。
 自分で慰めるのとは違う感触、温もりが、余計に頭の中を空っぽにしていく。
 大して時間が経たない内に息子は音を上げてしまい、溜まっていたものを出して震えた。
 いつになくだらしない声を出してイッたような気がするが、気持ち良すぎてどうでもよかった。

 体の感覚が戻ってきた頃には、もう汚れた一物は軽く拭かれていて、すっかりしぼんでしまっていた。
 ……自分でも早かったと思うが、気持ち良かったからいいか。
「……ありがとう。すごく、良かったよ」
 力が抜けてへらりとしか笑えないオレを、リョウコさんはちょっと驚いたように見る。
「あら、まだ終わりじゃありませんよ?」
70122:2008/12/30(火) 17:53:47 ID:97HGo8w8
 そう言うなり、リョウコさんの手が再び息子に伸びた。フニャチン化したそれを握り、顔を近付けて……
「おうっ……」
 まだ震えている先端に、唇が触れた。
 体にしてくれたような軽いキスを何度か繰り返しながら、両手で優しく棹をさする。イッたばかりのモノをいたわるような動きがもう、たまらない。
 さらに、シャワーの時にしたようにタマの方にまでその手を持っていき、そっと包みこむ。
 両手と唇から与えられる刺激と心地よさにひたっている内に、縮んでいたモノは苦もなくさっきまでの硬さを取り戻した。
「元気ですね」
 手の動きをゆるめずに、リョウコさんがクスクスと楽しそうに笑う。
 仕事だからしっかり取り組んでるっていうか……もしかして、エッチな事が好きなんだろうか?
「リョウコさん、ってさ……彼氏とか、いるの?」
「ん……ふ、ぇ?」
 口に含みかけた一物を離し、彼女は不思議そうにまばたきをした。
「いや……いるならやっぱ、こういう事してあげてるのかなって……」
 ちょっと思った事を口に出してみると、リョウコさんは苦笑気味に首を振った。
70222:2008/12/30(火) 17:55:11 ID:97HGo8w8
「いたら私、こういう仕事は出来ませんよ」
 ちらっと気まずそうな表情が浮かんだように見えた。本当は彼氏、いるのかもしれない。
 少しガッカリしたのは内緒だ。
「そうなんだ。こんなにかわいくて上手なのに、もったいないなぁ」
 表情の変化に気付かなかった振りをしてオレが言うと、彼女はにこりと笑った。
「フフ、ありがとうございます」
 そしてまた唇を広げて一物を咥えこむ。温かくぬめった口の中は、今までに感じた事のないやわらかさでオレのモノを包んでくれている。
「んむ……ふぅ、んんん……」
 小さく鼻声をもらし、時々オレの様子を見ながら口を動かしている。キレイな顔がゆがんでいるのが、かえって興奮するな……
 リョウコさんが頭を上下に動かすたびに、そのぬめりが触れては離れ、手とはまた違う刺激を与えてくれる。
 しかも口の中に入ると、ちゅうっと全体で吸いついてくるのだから、震えが止まらない。気を抜くと、またふぬけた声を出してしまいそうだ。
「もっ、もう……出そ……」
 やっとの思いで口にした言葉を聞いてか、リョウコさんの目がオレをちらりと見た。
70322:2008/12/30(火) 17:56:13 ID:97HGo8w8
 同時にモノをしごくペースも次第に速くなっていき、彼女の唇からこぼれる湿った音も大きくなってくる。
 いやらしい音とジンジンと熱い快感に意識をぐちゃぐちゃにされて、二度目の射精もあっけなくおとずれた。
 出してる間もリョウコさんは一物を咥えて離さず、少し苦しそうな顔をしながらも、しっかり飲み込んでくれたようだ。
 全部を出し切って満足しきったオレの体は、すっかり脱力しきってしまっている。こんなに良かったのは初めてなのだから、無理もない。
 頭の中が真っ白になったオレの耳は、彼女の声をわずかに聞き取るだけで精一杯だった。

「……ごちそうさま、でした」
70422:2008/12/30(火) 17:56:56 ID:97HGo8w8

  *  *  *  *  *

「終わったか。どうだった?」
 店を出ると、待ちわびたような声で先輩がオレを迎えた。
「もう、最高ですよ。誘ってもらえて良かったです」
「だろ?」
 入る前は気乗りしていなかったオレをからかうように小突き、先輩は上機嫌に言う。
「新しく入ったコを適当に選んだんだが、当たりだったみたいだな」
 経験が浅いってのは本当だったのか。
「適当にって、ひどいなぁ。でも、すごく良いコでしたよ」
「そうか。じゃあ、今度指名してみるかな」
 先輩はニヤニヤ笑っている。オレ、毒味役に連れて来られたんだろうな……
 それでも十分良い思いをさせてもらったし、とりあえず感謝しておこう。
 彼女の笑顔と感触を思い出しながら、にやけそうになるのをこらえた。

 ……オレ、またこの店に来ようかな。
70522:2008/12/30(火) 17:58:21 ID:97HGo8w8
終了です。

結論…ヘタレ一人称じゃあ大人なエロ感がでないや(´・ω・`)
706597:2008/12/30(火) 22:16:55 ID:WCH9QX2i
>>693
投下乙です。

>「いたら私、こういう仕事は出来ませんよ」
>ちらっと気まずそうな表情が浮かんだように見えた。

洋子さんの複雑な心中が切ないですね・・・

> 別スレで風俗で働く洋子さん的なネタを見かけたのでそのネタで投下します。

アタシも同じようなのをゲーム板でみましたが、一緒ですかね?
70722:2008/12/31(水) 21:29:31 ID:w/8m11De
>>706
多分同じですね。名前は適当に変えましたがw
708名無しさん@ピンキー:2009/01/11(日) 20:56:20 ID:JsdAwQly
スレの容量の限界ってどれくらいだろうか。
もうかなりきてる感じだが…
709名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 00:22:52 ID:ZzlagpwG
512KBまでじゃなかったっけ
今は461KB
710名無しさん@ピンキー:2009/01/12(月) 18:43:51 ID:keVl3rq9
>709
そうなのか、ありがとう。
まだ余裕あるのだね。
711名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 01:27:30 ID:UPhROq16
でもSS投下してたら割とすぐに到達すると思われる
712名無しさん@ピンキー:2009/01/13(火) 03:02:17 ID:5leaFIL+
このスレもようやく次スレに突入するのか。
713名無しさん@ピンキー:2009/01/16(金) 22:36:25 ID:bd8jrPcl
GBA神宮寺再プレイしてるんだが、調査中に洋子が「子供が欲しい」とか言い出して吹いたw
714名無しさん@ピンキー:2009/01/26(月) 00:10:21 ID:NWgEhBnd
>>713
『時の過ぎ行くままに…』でも、健一を連れて3人でいるとき
「周りから見たら私たちってどう見えるんでしょうね」みたいなこと言ってたよね。
神宮寺は「参ったな・・・」みたいな印象だったけど、洋子は子ども好きで、結婚願望も相当ありそう。
二人の結婚観(?)のギャップにやきもきした思い出が・・・
715名無しさん@ピンキー:2009/01/27(火) 22:34:01 ID:UTZAsXU+
神宮寺は子供苦手だからね。
しかし夫婦探偵になられてもなんとなくしっくりこない気がするな…あの二人は。探偵と助手って間柄がちょうどいい。
716名無しさん@ピンキー:2009/02/05(木) 19:45:47 ID:bt78P8ZV
>>619
順調ですかな?
717名無しさん@ピンキー:2009/02/08(日) 15:31:06 ID:an5TPpAB
DSの新作延期ですね。
これを元にSS書いてくれる人がいたかもしれないのに残念。
718名無しさん@ピンキー:2009/02/09(月) 17:24:55 ID:v6/4HfjR
一ヶ月とはこれまた…
どんなミスだったんだろう
719名無しさん@ピンキー:2009/02/10(火) 00:18:08 ID:75xU4a5W
説明書の印刷ミスらしい。
720おとな:2009/02/17(火) 00:40:23 ID:WibGaNuS
>600
雪山 の続きをかきました。
注意書き:イチャイチャまだしていません。
     痛いの苦手な人スルーしてください。
――――――――――――――――――――――――――――――

神宮寺は右腕を庇いながら、雪道を下っていた。
なぜ洋子が突き落とされた。

それをただ見ていたのは、
もしも、洋子が、
腕が真っ赤で動かないのは、
知らない誰かを殺した、
早く、もっと早く…

冷静でいられない、
止まらない、流れ落ちる血より多く、頭に血が滾る。
浮かぶ思考、その全てが抑えきらない怒りに変わる。
昂っている、
目頭がただ
脈打つ傷口よりもずくずくと、まるで泣いてでもいるように熱かった。

絶対に失いたくない
かつて、こんな不安があっただろうか。
冷静さは、底知れない恐怖との戦いで消え失せてしまった。

怒りに滲んだ視界に探すのは、
最後に見た洋子の、淡い服の色ばかりだった。

はやく、はやく、この手に、この腕に―――。


あと僅かで、神宮寺は洋子の倒れていた場所に着くだろう。
そうして残された、知らぬ男の足跡を辿るのだ。
その雪に、赤い雫を重ねながら。
721おとな:2009/02/17(火) 00:47:32 ID:WibGaNuS
――――――――――――――――――――――――――――――
「まだ、」

そう聞こえた途端、支えを失った身体が宙におちた。

激しい水音と衝撃に、洋子は意識を取り戻した。
そこは四角い木の箱の中、とぷんと溜まった湯の底だった。
ごふり 小さな泡の息を吐き出すが、次を吸う為に起き上がる力は、
洋子の身体に、もう残ってはいなかった。

あたたかい、と思った。
じんわりと湛えた湯の底で、涙は溶けてゆく。

願いはひとつだけでいい。
どうか、どうか無事でいて。
そうしてくれたら、もう私に後悔はありません。

あたたかな温度の中で、洋子はゆっくりと
まぶたを閉じた。

でも、先生
最後、最後に、ひとめだけ、会いたかった。

ほんとうは、さいごに、わたしに 触れてほしい。
ゆるされるのならば、あなたが わたしの すべてと―――

平たくなった肺から、最後の空気が漏れ出した時、
洋子はわずかに微笑んだ。

伝えたかった
私は、せんせいがだいすきでした


水底で、うごかなくなった女の髪を、
男が水面に掴みあげる。

またあの奇妙な笑みを浮かべて、力なくなめらかな 洋子の体を見つめる。
そして
つぷりと、洋子の口に深く指を入れ、のどをかき回した。
苦しそうに血の混じった水を吐いて、湯は、わずかに赤くなった。
気を失ったままの静かな表情、薄く開かれた唇に、男は自分の唇を押し付ける。

「まだ、しなないで。」
722おとな:2009/02/17(火) 00:51:49 ID:WibGaNuS
青痣だらけの洋子の体を抱えあげ、その男もまた全裸だった。
洋子を居間に寝かして、すぐにそこに覆い被さった。
秘所をまさぐって、鼻を押しつけて、それから丁寧に舐めあげた。

入り口に己の先端を押し当てて、なんの躊躇もなく力のままに挿入し、
内側にこすりつけながら、ゆっくりと出入りを繰り返し、
吸い付くような感触を、楽しむように最奥を目指す。 


瞳は僅かに開いていた。
だが洋子は死んだように、動かなかった。
いつから続いているのだろうか、この行為は。
男にも洋子にもわからなかった。

真っ白く生気を失った肌は、まるで雪のようだった。
時折、折れた右足が微かに痙攣する。
打たれて赤く染まった頬には、いく筋もの涙がひかれ濡れ光る。

激しい痛みにも、返す声はとうに無く、消えそうに浅い呼吸。
体重をかけられた胸が痛くて苦しくて、
それに抵抗する力はもう残ってはいない、どこにも。

気だるい表情に、いくつもの苦痛の色が塗り重ねられていく。
終わることの無い律動にゆるゆると 誘われるように、
生理的な涙が流れては、冷たい床にぱたぱたと落ちる。

何度も何度も、気を失っては殴られて、この苦痛に引き戻される。
いつからか視界が 暗くなった。
もう何も、なにもみえなかった。

洋子から、どろどろと、伝い落ちる、
男の欲望の印しが、凍える床をぬるぬると 汚していく。
723名無しさん@ピンキー:2009/02/18(水) 01:14:39 ID:LNoXA6PV
ええと、続くん・・・だよね?
724名無しさん@ピンキー:2009/02/20(金) 00:01:08 ID:2y8PQPB6
また今度つづきかきます
すいませんかきわすれてました
725名無しさん@ピンキー:2009/02/28(土) 22:57:08 ID:Qqd0mk4T
保守
72622:2009/03/03(火) 20:01:50 ID:2IpQs6Kd
>>694-704の続き的なものが出来ましたので投下させて頂きます。

・洋子×神宮寺
・本番無し
72722:2009/03/03(火) 20:02:52 ID:2IpQs6Kd
 仄暗い室内に、一組の男女が足を踏み入れた。
 黒のキャミソールを身に纏った女性は、中に入ると静かにドアを閉め、男の方を振り返る。
 薄明かりに照らされて生じた影が、彼女の顔に浮かぶ憂いを濃く見せていた。

「……どうして、ここに?」

 おずおずと、女が口を開く。
 彼女の視線の先に立つ男の表情は、普段と変わらない。感情の読めない顔で、彼女を見つめ返している。
 彼女にとってもうひとつの職場であるこの場所で、彼と顔を合わせるのは初めての事だった。
 気付かれていないと思っていた。気付かれぬようにと、注意を払っていた筈だった。
 しかし彼はこうして、ここに来てしまった。彼の様子からして、偶然とも思えない。
 金を出してここを訪れている以上、この店の従業員としての彼女にとって、男はただの客でしかない。
 それでも彼女──御苑洋子には、目の前の男を単なる客と見る事など出来なかった。

 ここではない職場で、自分が心から尊敬し慕っている上司──神宮寺三郎を。

「知り合いが働いていると聞いて」
 静かな声で神宮寺は答える。「少し様子を見に来た……なかなか、評判が良いそうじゃないか」
72822:2009/03/03(火) 20:04:11 ID:2IpQs6Kd
 誉められているのだとは思えなくて、洋子は黙ったままで目を伏せる。
 相手が彼だから、というだけではない。この仕事において、客にどんなに上手いと言われても、充足感を得られた事などないのだ。
「見にいらしただけ……なんですか?」
 洋子が探るように尋ねた。ただその為だけに金を払ってまでここに来たという事に、疑問を覚えぬ筈はない。
「仕事ぶりを見に来たんだ。君がどんな風に客の相手をするのか……」
 ジャケットのボタンを外し、ネクタイを緩めながら神宮寺は言う。「見せてくれないか?」
 その言葉を聞いて、彼がやはり客としてここを訪れたのだと洋子は確信した。
 戸惑いが少しずつ薄れ、代わりに言いようのない哀しさに置き換えられていく。
 やむを得ずとはいえ、自分で選んだ副業だ。相手を選べる立場ではない事は、よく分かっている。
 神宮寺が脱いだジャケットを受け取りながら、洋子はそう自身に言い聞かせた。

  *  *  *  *  *

 軽くシャワーを浴びる間にも、不自然な沈黙は流れた。
 彼の前で初めて裸身を晒す事、そして彼の身体に見て触れる事への羞恥と緊張。恐らく、それだけではない。
72922:2009/03/03(火) 20:05:39 ID:2IpQs6Kd
 この仕事にだいぶ慣れた今では、見知らぬ客であれば、会話を弾ませる事も出来ただろう。
 赤の他人相手だからこそ、自分を偽る事を受け入れられる。
 だが洋子はこの男に対して、どんな偽りを纏う事も許されないような気がしてならなかった。
 彼女の所作に全てを委ねるように身を動かさず、ただ黙々と見ているだけの神宮寺の目は無感動で、何も読み取らせてはくれない。
 その瞳に、いつ軽蔑の色が宿ってもおかしくない。それを洋子は恐れている。

「……こういう所には、よくいらっしゃるんですか?」
 無言の時に耐えかねて、洋子が問い掛けた。緊張に上擦りそうな声を抑えるように、小さく。
「そうでもないな」
 少し間を置いて、神宮寺から答が返ってきた。
 彼の声になんとなく安心しながら、ついでにもうひとつ問う。
「こちらにいらした事は……?」
「ない。今日は……」穏やかな声音のまま、神宮寺は続ける。
「君に会いに来ただけだから」

 その言葉に、洋子は思わず視線を上へ向けた。
 神宮寺の表情は変わらない。それ故、どんな思いを込めてそう言ったのか分からない。
 ここで働く内に、自分をよく指名する客も出来た。彼らも時々、同じような事を言ってくれる。
73022:2009/03/03(火) 20:07:00 ID:2IpQs6Kd
 だがこの男はきっと、それと同じ意味で口にした訳ではないのだろう。
 どう受け取って良いのか分からず、洋子は再び俯いた。

 湯を当てられて上気した男の身体を這う彼女の手は、いつもよりもぎこちなく動く。
 そこからは、十分な快感を与えるには遠い、消極的な愛撫しか生み出せない。
 仕事ぶりを見たいという彼の願いを、まともに果たす事が出来そうにない。これまで神宮寺の指示に応えられなかった事など、滅多に無かったというのに。
 こんな形で彼に応えて良いものか、判断が出来ない。
 いつか求められる事を淡くも望んでいた男の肌に触れているというのに、この場から逃げてしまいたいとさえ、洋子は願っていた。

「んっ……」
 唐突に、神宮寺の手が洋子の顎を捕らえた。
 俯きがちだった顔を自分へと向けさせ、唇を重ねてくる。急な事に驚いてシャワーヘッドを落としそうになる手に、洋子は慌てて力をこめた。
 彼女が落ち着く間もなく神宮寺は唇を開かせて舌を押し込み、中をなぞり出した。
 生温い口内に舌を這わせ、洋子のそれと絡める。そしてぬめった感触を触れ合わせ、裏側を撫で上げた。シャワーの音に消えてしまいそうな水音が、互いの内側で響く。
73122:2009/03/03(火) 20:08:30 ID:2IpQs6Kd
 動き自体は優しいものであったが、動転している彼女はただただ彼の為すままに流されるばかりで、困惑の視線を彼に向ける。
 しかし相も変わらぬ落ち着いた表情で、神宮寺はそれを受け止めた。

(……どうして)

 洋子の視界が揺らいだ。
 見損なったのなら、いっそあからさまに態度に表してくれれば、傷つきはしても、どうすれば良いのか察する事も出来るのに。
 何とも思っていないから、こんなに冷静でいられるのだろうか。
 ここで働いているから、この人も他の客と同じように自分を見ているのだろうか。
 心の内を示さぬ彼の眼差しと唇の内側の温もりが、洋子の胸中を掻き乱した。

 彼女の様子を窺っていた神宮寺は、しばらくして唇を離した。
「……話と随分違うな」
 震える息を吐き出す洋子を見下ろしながら、そう告げる。
「かなり手慣れていると聞いていたんだが」
「……っ……」
 かっと熱くなる顔を、洋子は神宮寺から逸らした。
 彼の声に、責めるような響きはない。それでも彼女を苛むには足る言葉だった。
「す、すみません……」
 その一言だけを絞り出すと、洋子は湯を止め、体に浴びた水滴を拭い始める。
「知り合い相手では、調子が狂うか」
73222:2009/03/03(火) 20:09:43 ID:2IpQs6Kd
 ふ、と笑うような息を吐き、神宮寺が呟いた。
「そんな事は……」
 はっと顔を上げ、否定しようとする洋子を止め、神宮寺は耳元で囁いた。
「嫌なら、ここで止めるか?」

 その声には、気遣うような響きがあった。
 更に、彼女の括れた腰を大きな掌でそっと撫でる。これより先の行為が務まるのかと、問い掛けるように。
 彼の思惑がますます分からなくなり、洋子は戸惑った。
「……続けさせて下さい」
 それでも途中で仕事を放棄する事など出来る筈もなく、彼女は口を開き、そう答えた。
 時間は限られている。自分の仕事を、成さなければ。
 自分を叱咤し集中せんと努める洋子の顔から、焦りは失せない。
 それに気付いていながらも、神宮寺はそれ以上何も言わなかった。

  *  *  *  *  *

「……失礼します」
 ベッドへと場所を移し、そこに腰を落ち着けた神宮寺と向き合う形で床にひざまづいた洋子は、一言断って彼へと手を伸ばした。
 体を洗う間にも直視出来なかった、彼の下半身。多少硬さを帯びているそれを目の当たりにすると、とくんと一つ、大きな鼓動が胸を打った。
 他人のそれを目にした時とは違う意識の昂ぶりに合わせて、吐き出す息に熱がこもる。
73322:2009/03/03(火) 20:11:07 ID:2IpQs6Kd
 洋子は指先でそっと側面をなぞった。肉の内側で息づく性の脈動。微かな男性の臭い。
 この仕事を始めたばかりの頃は、見つめる事にすら抵抗があった。
 が、今ではその躊躇いを容易に押し止められる。
 何度も見て触れ続けていたが故の免疫、そして、これが仕事なのだと言い聞かせ続けてきた彼女の生真面目さによって培われたものだ。

 そう、これは仕事に過ぎない。
 金を得る代わりに、快感と一時の憩いを与える、取引でしかない。
 たとえその相手が、この男性であっても──

 そう思いながら、洋子はペニスの先端に舌を伸ばした。敏感になっている所に触れられ、それがぴくりと震える。
 舌先を窄め、鈴口に押しつけるようになぞる。始めはゆっくりと、時折口付けながら。その感触を確かめるように。
 動きは次第に大きくなり、やがて亀頭全体に唾液を擦り付けていく。
 吹きかける息は熱く、彼自身を更に昂ぶらせるには充分なものだった。
 頭上から、荒い呼吸音の合間に、堪えるような低い声が零れてくる。
 毎日のように顔を合わせている上司の、色気を感じさせる声音。

 この人はこんな声を出せるのか。
73422:2009/03/03(火) 20:12:48 ID:2IpQs6Kd
 次第に上を向いていく亀頭に舌を這わせながら、洋子は口内に溜まる唾液をごくりと飲み込んだ。

 しばらくの間、洋子は先端だけを攻めていたが、舌を広げ、だんだん肉棒の側面へと下ろしていった。
 同時に手を添え男根を扱き上げる。
 やや力を込めて幹を舌で濡らし、その動きに合わせて指の腹で上下に擦っていると、抑えきれなくなったものが先端に滲み出してきた。
 苦みのあるそれを厭わずに舌に塗し、指先と掌で優しく包み込むように棹に纏わせる。
 細く整った眉は眉間に寄せられ、知性を感じさせる眼は熱い情欲に潤み、自身の手によってそそり立った男根を愛おしむように見つめていた。

 一物を扱く手は止めずに唇を離し、はぁ、と洋子は深く息をついた。
 唾液に塗れてねっとりとした男根の感触に、胸の高鳴りが収まらない。
 これまでは、客を達させて仕事を終える事しか考えられなくて、そこに喜びを覚える事など無かった筈なのに。

 下から裏筋に口付けると、神宮寺の顔が視界に入った。
 見下ろしてくるうっすらと細められた彼の目と、自身の目が合う。

 少なからぬ熱を含みながらも、まだ意識を欲に奪われきっていない、静かな視線。
73522:2009/03/03(火) 20:14:00 ID:2IpQs6Kd
 それがまっすぐ自分に向けられているのだと気付き、胸中に宿りつつあった興奮が霧散した。
 同時に冷静さを取り戻した思考が、自身のはしたなさを責め始める。

 そもそも本業以外に職を持ったのは、彼に気付かれぬように金銭的な負担を緩和する為だ。
 利益ばかりを望んだ仕事をしていないが故、経営状態の危うさは否めない。
 そんな状況だからこそ、せめて自身の身の回りの事位は、と考えた。
 にもかかわらず、この店の客として現れた彼から金を得ている現状。
 挙げ句、好き好んで携わっている訳でもない仕事の中で、我を忘れかけた。

 虚しくて、滑稽だった。

「……………」
 一定の速度で上下していた手の動きが緩み、洋子の唇が彼から離れた。
 彼女の様子の変化に気付いた神宮寺が、前に垂れた洋子の髪を一筋、そっとなぞる。
「……辛いのか?」
 達しきれぬ半端な快感に浸りながら、彼は問い掛ける。今、辛いのは彼の方だろうに。
 ここで止めてはならない、と洋子は再び愛撫に専念しだした。
「止めても構わない。俺には」
 神宮寺の言葉に答えず、洋子は男根に舌を伸ばす。考えるのは後でいいと、後悔や自責を頭の片隅に追いやって。
73622:2009/03/03(火) 20:15:37 ID:2IpQs6Kd

「君が、無理をしているように思える」

 僅かに、彼女の肩が震えた。
「こんな仕事を……好きでやっている訳ではないだろう」
 息の整わぬままに、神宮寺は続ける。髪を撫でる彼の指の動きは、優しかった。
 押さえ付けてきた気持ちが、溢れてしまいそうになる程に。
「それに……」
 まだ何かを口にしようとする神宮寺を遮るように、洋子は彼自身を強く擦り、先端に唇を押し付け、音を立てて吸った。
 堪えきれずに放たれた彼の精。生温かいそれを口内で受け止めながら、切れ切れの神宮寺の言葉を、彼女は聞いていた。
73722:2009/03/03(火) 20:16:40 ID:2IpQs6Kd


  *  *  *  *  *


 それから特別何を語るでもなく、時は過ぎた。
 神宮寺が店を出るまでに交わした会話は、ここの従業員としてのもののみで、彼もまた、それ以上の事を彼女に求めはしなかった。
 予想していたような態度は終始示されず、投げ掛けられたのは気遣う言葉だけだ。

『君には、似合わない』

 彼を昇り詰めさせたその時に告げられた言葉が、じわりと胸の奥で疼いた。

 揺れる洋子の意識を、スタッフの声が現実へと引き戻す。次の客が訪れたようだ。

 忘れなければ。今だけは、何もかも。

 いつも通りの笑顔を作れているかどうか確かめながら、彼女は個室のドアを開いた。
73822:2009/03/03(火) 20:19:47 ID:2IpQs6Kd
終了です。
739名無しさん@ピンキー:2009/03/05(木) 00:21:22 ID:cWi008WZ
おおGJ
描写が丁寧でいいなあ
740名無しさん@ピンキー:2009/03/05(木) 20:19:58 ID:94Ih9VzH
GJ!
741597:2009/03/14(土) 23:32:24 ID:4xUrbUC4
22さんに便乗して投下。エロなしです。いつもこんなですみません。

>>727-737 への前段階です。
神宮寺に「洋子が働いてる」と教えてくれた人を想像してみました。

いゃ、実は読んだ次の日に近所のスーパーでヤ○ザさんの団体をお見かけしてしまい
テンションあがってアイデアが浮かんでしまいました(笑)
しかし、あの方々のスーツってピカピカしているというか、どうして輝いて見えるのでしょうか?
一見普通のスーツなのに、一目で「あ・・・」と気づかされるインパクトは何が原因なのでしょう。
742597:2009/03/14(土) 23:34:20 ID:4xUrbUC4
その男はいつも不意に姿を現す。
「ご無沙汰してます、神宮寺さん」
事務所のドアをノックし入ってきたのは、関東明治組の若頭、今泉直久。
「珍しいな、お前が直々に出向いてくるとは。何か重大な依頼か?」
「重大、といえば重大だとは思いますが・・・・・」
いつもは整然とした今泉の口調が、今日はなぜか煮え切らない。

「・・・・・つかぬ事を伺いますが、今日は御苑洋子さんは出社していらっしゃいますか?」
今泉が洋子の所在を聞くなど、かつてないことだ。
「先日彼女に休日出勤をしてもらってな。その代わり今日休みを取っているが・・・・・?」
今泉は口元をゆがめ、小声で「やはり・・・・・」とつぶやく。
なんなのだろう、この今泉の態度は。切迫感が感じられないのに妙に重々しい。
「今泉、もしやうちの助手が明治組のシマで何か迷惑でもかけてしまったか?」
「いえ、まだ御苑さんと決まったわけではないので」
口に出してから、しまった、とでも言うような気まずい表情の今泉に、疑問を感じずにはいられない。
「不確定な情報でもいい。聞かせてくれるか? 部下に不手際があったら上司である俺の責任だ」
743597:2009/03/14(土) 23:35:13 ID:4xUrbUC4
しばらくの間、事務所の中には沈黙が漂った。
「・・・・・お気を悪くなさらなければよろしいんですが・・・・・」
今泉は眉間にしわを寄せ、ようやく話し始めた。

「アタシがこの件を知ったのは、うちの若い衆の話からです。
ご存じでしょうが、歌舞伎町の大概の風俗店はうちの組の息がかかってます。
ですから『あの店の○○は誰某の女らしい』とか『あの店の女は質が悪い』とか
『サービスが悪い』なんて情報があっという間に耳に入ってきます。
その中に“ぽにーてーる”というファッションヘルスがあるんですが、
そこのナンバーワンの『リョウコ』とかいう女性が、ここ最近うちの若い衆の噂の的でしてね。
彼女を指名しに、大勢こぞって通ってるらしいんですよ。
なんでも高級店でもなかなかお目にかかれないタイプらしくて。
女子アナ張りの容姿とスタイル。スレてなさそうなのに抜群のテクニックの持ち主だとか」

いやな予感が押し寄せてくる。
――もう聞くな
俺の中の何かが警告を発している。
「話をやめてくれ」という言葉が喉まで出かかっている。
しかし、なぜか俺の体は動かすことはおろか、声を発することもできずに固まっていた。

「リョウコに入れ込んだ奴らの一人が、仕事帰りの彼女を隠し撮りしたと見せびらかしてましてね。
まあ、ヤリたい盛りのガキですから、女にのめりこむのは分からないでもないですが、
ストーカーまがいのことまでするってのは、誉められたもんじゃないいですから。。
くだらんことに現を抜かすなという戒めで写真を取り上げたんですが、それがこちらです」
差し出された1枚の写真。
歌舞伎町のネオンに照らし出されたその顔に、俺は打ちのめされた。

予感は当たった。
「・・・・・間違いない、助手の洋子君だ・・・・・」
744597:2009/03/14(土) 23:35:59 ID:4xUrbUC4
「やはりそうでしたか」
今泉はふぅーと長い息を吐き出し、再び話を続けた。
「アタシも見たときは驚きましたが、いろいろ考えてみまして・・・・・・。
御苑さんがこんな仕事をする方とは思えませんから、単に他人の空似かもしれない。
それとも、本物の御苑さんが神宮寺さんに内緒でバイトでもしてらっしゃるのか。
もしくは、神宮寺さんがご承知でやらせてらっしゃるか。
例えばあの店に彼女に潜入捜査をさせているとか・・・・・・」
「いくら助手でも、彼女にはそこまで頼めない」
すぐには受け入れがたい現実に俺の頭は混乱し、そう答えるのが精一杯だった。

「そうですよね。神宮寺さんはそんなことのできるお人じゃない。
だからもしご本人だとしたら、自分の意思でなさっていることだと思います。
しかし、いくら自分の意思といっても、これは御苑さんのためにはなりません。
新宿も広いようで狭い街です。
いつ指名客がこの事務所に依頼人として来ないとも限りません。
第一、神宮寺さんとうちの組との付き合いに差し障ったら困りますしね。
もし神宮寺さんがこのことを知らずに彼女を組事務所に使いに出されたとしたら、
若い衆は好奇の目で見るに違いない。
彼女にしても、本来の仕事の最中に自分の客とはち合わせるのは不本意でしょう。
それに、あれだけの美貌の持ち主です。こんな仕事をしていたら、
誰かに目をつけられ、店からあげられて囲われる可能性だってあります。
本人は軽いバイトのつもりでも、いつ裏世界の深みにはまるかわかりません。
神宮寺さんだって、優秀な助手さんがいなくなったら仕事になりませんでしょう」
745597:2009/03/14(土) 23:39:45 ID:4xUrbUC4
今泉の言葉が遥か彼方から聞こえてくる。
そのくらい俺は動揺していた。

――洋子、何を考えている?
やはり給料に不満があってのことなのだろうか。
確かに彼女の働きぶりに対して、うちの報酬は安すぎる。
それでも愚痴ひとつ言わない彼女に、俺は甘えていたのかもしれない。
しかしバイトをするにしろ、彼女ほどの能力があればこんな職種を選ぶ必然性はない。
なぜ自分を安売りするような仕事にあえて飛び込んだのか?

探偵と助手。上司と部下。
その一線を越えぬよう、彼女の心に踏み込むことを意識的に避けてきた。
俺に関わりすぎることは、彼女にとって幸せを遠ざけることになると思っていた。
しかしそれは俺一人の勝手な考えで、実際は彼女の心を汲むようなことは何一つしてこなかった。
これは、そのことのへの答なのだろうか。

・・・・・・いずれにせよ、雇用者としても、そして男としても俺は失格だ。
彼女の生活も心も支えてこれなかったのだから。

「うちから店に手を回して辞めさせることもできますが、
神宮寺さんの部下の方にアタシがそこまで介入するのも変な話ですし、
まずは神宮寺さんに確認しておくのが筋かと思いまして。
・・・・・・神宮寺さん、ご自分で御苑さんを説得に行かれますか?
それともよろしければ、うちの方で手を打ちましょうか・・・・・・」


【選択肢】
A:自分が店に出向く → >>746
B:明治組に任せる  → >>747
746597:2009/03/14(土) 23:40:37 ID:4xUrbUC4
「今泉、知らせてくれて礼を言う。これは雇い主として完全に俺の不手際だ。
とにかく、洋子君の件は俺が責任を持ってなんとかする。
最終的には、組の若い奴らのお楽しみを奪うことになるだろうがな」
「分かりました。ウチの若造があんな素敵な方に遊んでもらうのは贅沢が過ぎるってもんです。
この件については他言はしませんし、下の連中にも口止めします」
「何から何まですまないな」
「そうそう、先ほど御苑さんの出勤のことを伺ったのは、
今日は『リョウコ』が店に出ている日だと聞いていたからです。店の場所はこちらです」
そう言って今泉は店のチラシを差し出した。

「神宮寺さん、ちょっと生意気を言わせていただいてもよろしいですかね」
「なんだ?」
「この件であんまりご自分を責めちゃいけませんよ。
それと・・・御苑さんを叱らないであげてください。
アタシから見たら、お二人は学がありすぎる方たちなんですよ。
でもね、突き詰めれば人間ってぇのも動物の雄と雌に過ぎません。
本能のまんまに動けば何でもないことなのに、頭がよすぎると色々考えすぎて、
身動き取れなくなったり、おかしなことしちまうもんです。
あの人も今、自分でも訳が分からなくなっているだけですよ、きっと」

時々この男の物事を見る鋭さには閉口してしまう。
真っ直ぐに人の心の核心を突いてくる。
だからこそ俺はこの男を信用し、頼りにもしているのだが。

「今泉・・・お前にはかなわん。心配かけてすまないな。」
「いえ。それじゃアタシはこれで・・・・・・」

今泉が事務所を去った後、俺も外出の支度を始めた。
だが、責任は取ると言ってみたものの、俺の心の整理はまったくついていなかった。
一体彼女とどう接するべきなのか。何を語るべきなのか。
それでも、俺自身が彼女と向き合わなければ事は進まない。
事務所の扉を閉め、洋子が働いているという店に向かって俺は歩を進め始めた。


これ以降のお話は
>>727-737 へつなげてみてください。
747597:2009/03/14(土) 23:45:40 ID:4xUrbUC4

「今泉、すまないが手を貸してもらえるか。
もし俺が出て行ったら、余計彼女を動揺させてしまうことになりかねない。
彼女が今後も何事もなくここで働けるよう、このことは俺の胸の中に収めておきたい」
「差し出がましいかとは思いましたが、では、この件預からせていただきます。
今の店を辞めさせることと、少なくとも組が関わっている店には今後彼女を採用しないようにさせます。
この件については他言はしませんし、下の連中にも口止めします。
もちろん御苑さんには、神宮寺さんに話が通っていることも伏せておきます。
それから、こんな自分が仕事をしてることを組に知られたことで、
弱みを握られたり脅されるのではないかと、御苑さんが取り乱すかもしれません。
その時は、アタシがあくまで善意で動いただけで、彼女の味方だと説得します。
場合によってはどこかに匿って2、3日落ち着いていただくかも分かりません。
それもこちらにお任せいただけますか?」
「何から何まですまないな」
俺もその方が助かるかもしれないと思った。
自分には考える時間が必要だ。これから彼女にどう接するべきなのかを。

「神宮寺さん、ただ、一つだけ保証できないことがあります」
虚脱しかけていた俺を、突然今泉の言葉が現実に引き戻した。
「・・・・・・何だ?」
「神宮寺さんと御苑さんが仕事を超えた感情をお持ちなことはなんとなく察してました。
でもお二人の間には、何かもう一歩踏み込めないような溝がある気もしています。
だから御苑さんはこんな行動に出たんじゃないでしょうか?
ああいう女性が訳あって、自分に不釣合いなところに身を落としている。
・・・・・・アタシも男です。
しかも、そんな姿をみたら、放っては置けない性質(たち)でしてね。
もし今回の件で万が一アタシが彼女に惹かれてしまったら・・・・・・その際はご容赦ください」

俺は今どんな顔をしているのだろうか。
考えもしなかった今泉の言葉。
突然横面を張られたような衝撃に呆然としていた。

「それじゃアタシはこれで・・・・・・」
748597:2009/03/14(土) 23:46:22 ID:4xUrbUC4
何時間くらい放心していたのだろうか。
気がついたときには言い知れぬ自己嫌悪に苛まれていた。

俺は何という間抜けだ。
この狭い事務所の中が世界のすべてと勘違いして、感覚が麻痺していたのか?!

彼女のそばにいる男は俺だけではない。
そんな当たり前ののことに今さら気づかされた
通勤中、仕事中、休暇中、そして風俗の仕事。
いたるところで彼女は無数の男と顔を合わせ、そして注目を受けているのだ。

給料が安かろうと、仕事がきつかろうと、俺のよき助手たらんとしてくれている洋子。
本来ならどんな大企業だってほしがりそうな人材が、あえてここにいてくれている。
俺は「上司と部下二人きり」という、身近な立場に甘えていただけなのだ。
しかも彼女は、いつ誰かに見初められてもおかしくない女性なのに、ずっと俺のそばにいてくれる。
俺は、それを守ってやれないだの、幸せにする自信がないだのと考えて答を先延ばしにし、
彼女の気持ちに胡坐をかいていただけなのだ。

いつの間にか陽は落ちている。
俺は自室に戻りカミュの瓶に手を伸ばし、グラスに注ぎ飲み干した。
考えろ、神宮寺三郎。どうするべきなのかを。なにが最善なのかを。
自分はまだ間に合うのか? まだ彼女を取り返せるのか?
まとまりそうもない思考に疲れ、ワイシャツのままベッドに転がり込む。

――また服を着たままお休みになったんですか――

目覚めたとき、そんな言葉をかけてくれる女性(ひと)の存在があるのを期待しながら。
「まったく・・・何もかも最低な男だな、俺は」
飲みなれたはずのカミュが、今夜はやけに不味い。
そんな苦々しい味のような不快な眠りの中に俺は落ちていった。
749597:2009/03/14(土) 23:48:49 ID:4xUrbUC4
投下終了です。

一応、Bコースで今泉×洋子で構想は練っているんですが
エロの才能のない自分に自己嫌悪・・・・・・
ベッドインまでのセッティングはしますので、その先を
どなたか引き継いでいただけたらありがたいのですが・・・。
ああ、他力本願ですみません。

もしくはこの展開で今泉×洋子のアイデアが浮かんだ方、
いらっしゃいましたら話をつなげてみてください。
75022:2009/03/16(月) 18:26:07 ID:AsMUIEos
>>741
よもや拙作に繋がるお話を書いていただけるとは…ありがとうございます。
まさかの今泉寝取りフラグに期待!

>スーパーでヤ○ザさんの団体
なんか面白い光景ですね。
751597
>>750
勝手に便乗してしまい、失礼かと思いましたが、
お礼まで頂戴してしまって却って恐縮です。

リレー小説というのはよくありますが、
私が今回やったのは、逆走小説というかジグソー小説とでも言うのでしょうか。
どんな手法でもいいので、たくさんの書き手の方が参加してくださったらもっとうれしいですね。

寝取りフラグは、神宮寺が洋子の顔を見る勇気もなくて
今回のことはなかったことにしたいと思うようなヘタレだったら・・・と考えながら書いてたら、
あれよあれよと今泉が宣戦布告してしまい・・・偶然の産物です。
でも自分で来れないヘタレより、救いに来て目を覚まさせてくれる男の方になびきますよね、JK。