【友達≦】幼馴染み萌えスレ10章【<恋人】

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556Sunday:2007/02/01(木) 23:28:06 ID:moP8eDXi

『別に繋いで欲しいなんて言ってないだろ』
『別にまだ何も言ってねぇ』
『わざとらしく「おやおや」とか言ってただろ、何だよそれ』
 今度は口を尖らせたまま噛み付いてきた。どうやらもう彼女の頭の中では、今日のこれが
「はぢめてのデート」という特別な出来事だっていうことが、消え去りかけてしまっている
ようだ。
『いやぁ? 文句ばっかり言ってる割には、ついて来るんだなと思ってな』
『それは…だって、今日一日一緒にいてくれるって言ったし』
『お前は別にどっちでもいいんじゃねーの?』
『崇兄がそう言うから聞いてあげてるだけだよ!』
 図星をついたり、言い訳出来ないような矛盾をつきつければ大声張り上げてしまう性格は、
まるで出会うことのなかった四ヶ月の時を挟んでも、ちっとも治せなかったようだ。

 それが嬉しくて、また底意地の悪い笑みが深くなる。

『そうだな』
 だけどそれを必死に打ち消すと、映画館に入る前と同じようにぎゅっと手を繋ぐ。
『……っ』


『俺は、お前と一緒にいたい。手も繋ぎたい』


 今までふざけた雰囲気をスッと打ち消して、また彼女の方へ振り向いた。
『……』
『それじゃダメか?』
 手は、振りほどかれない。それどころか、少しだけ力を込められる。
『……そこまで言うなら…まあ……』
『そか!』
 途中までだったその言葉を遮ると、これまで以上に強く手を握り返した。

『たっ…崇兄が言うから仕方なくだよ! あたしがしたいわけじゃないんだからね!』
『分かってるって、紗枝もぎゅってしたかったんだよな』
『しーたーくーなーいーっ!』
 だけどそんな真摯な態度を見せるのはやっぱりほんの一瞬だけなわけで。なんでそんな
ことをするかというと、そうした方がよりよくからかえるわけで。

『じゃー昼飯でも食いに行くかー』
『その前に手を放せー!』
 
 付き合い始めてから一週間目での、初めてのデート。

『俺が繋ぎたい、それで良いっつったろ―――』
『やっぱり駄目ぇ――――』

 この時は、まだ信じていた。彼女をずっと大切にしていけると。決めていた。彼女をもう
泣かさないようにしようと。そう信じてた、決めていたはずなのに。

 だけど、感情はいつも揺れ動くもの。あの時の気持ちを、今の崇之は持ち合わせては
いなかった。だからこそ、焦りが募って平静を保てなかった。

 また、この頃のように戻りたかった――――


557Sunday:2007/02/01(木) 23:29:20 ID:moP8eDXi


「ありがとうございましたー」

「いらっしゃいませー」

 時刻は丁度正午を挟む昼飯時。入れ代わり立ち代わりやってくる客の数に目まぐるしく
なるような忙しさを覚えながらも、崇之はちらちらと時計を盗み見ながら業務に打ち込む。
(あと少しだな……)
 時計の針が数字の6に差し掛かれば今日の分の業務は終わりだ。最っ高に忙しい時間帯に
途中で抜け出させてもらうのはなんとも気が引けてしまうが、それでも今日の彼にはそれが
どうでもいいように思えてしまうくらい大事な予定がこの後に控えている。今日のシフトの
時間を同僚達に確認された時は随分と恨めしい顔で睨まれはしたが、そこはまあ恋人との
大事な時間を割くために、彼らには犠牲になってもらおう。

 天気は雨。それほど強いわけでもないが、傘を差さないといけないぐらいに雨脚が近い。
紗枝はもう待ってたりするんだろうか。傘持ってなかったらどうしてるだろう、駅構内に
入って雨宿りでもしているだろうか。なんにせよ、早く会いに行ってやりたい。

 時計はまもなく、数字の3あたりを指そうとしている。あと15分強だ。この中途半端な
時間が妙に長ったらしく思えてしまうのは多分気のせいじゃない。つーか終わって欲しい。
「注文はいりました、並一丁お願いしまーす」
ここ最近、ずっと意図的に紗枝を避けてきたのにおかしな話だ。それもこれも、約束を
取り付けた時の彼女の台詞が原因だった。

『あ…崇兄』
『ん?』

『……遅れてもいいから、ちゃんと来てよね』

『……ああ、分かってる』
『……うん』
『それじゃな』
『…うん』

 随分と寂しそうで、本当に会いたがっているんだなという気持ちが色濃く伝わってきた
あの日の会話。
 正直、勢いで電話をかけたものの、あの電話の時点で恨みつらみをぶちまけられても
仕方ないと思っていた。だけど、返ってきたのはただ会いたい会いたいとせがまれ続けた
寂しそうな言葉だった。

 それが、頭の隅に張り付いて離れない。

558Sunday:2007/02/01(木) 23:30:58 ID:moP8eDXi


「ありがとうございます、××屋××駅前店です」

 接客している背後から、電話の応答をする同僚の声が聞こえてくる。外線がかかってくる
のは別段珍しいことじゃないから、大して気にもせず業務に打ち込む。
「あ、店長お疲れ様です」
 電話の主は店長らしい。時間になれば責任業務を受け継いでもらうのだ。早く来て欲しい
のだが。そこはまあ、店長なのだから色々と忙しいだろうし仕方ないのだろう。
「ありがとうございましたー」
 正面にいた客に空っぽになった丼を無言で差し出され、それを受け取り流しに溜めた水に
漬ける。逸る気持ちを抑えて、黙々と働き続ける。


「えっ! 大丈夫ですか!?」


「…?」
 と、外線で店長と話をしていた同僚が途端に大きな声を張り上げる。働いていた従業員も
カウンターに座っていた客も、何事かと一瞬そちらに視線を向ける。
「あ…はい、分かりました。それじゃ、失礼します」
 それに気付いて口元を隠して小声になりながら応答している。どうやら、店長の身に
何かあったらしい。

「今村さん、あの、ちょっとお願いします」
 同僚は電話を切ると、硬い表情のまま崇之に話しかけてきた。その様子になんだか嫌な
予感を覚えながらも、彼は客の迷惑にならないよう、その従業員と共に奥に引っ込む。
「なんだ」
 こちとらもうすぐ大事な用事が控えているのだ。出来れば、面倒な事態は御免被りたい
ところなわけで、それだけに若干の苛立ちを覚える。
 しかし、その同僚が打ち明けた話というのは、いろんな意味で最悪のものだった。

「あの…店長が事故に遭ったらしくて」

「は!?」
「本人から電話かかってきたんで命には別状無いみたいですけどね。信号待ちしてるところを
後ろから追突されたそうです」
 そういえば二十分くらい前、サイレンを鳴らしたパトカーや救急車が店の前を通過して
いったのを思い出す。どこかで事故でも起こったのかとは思ってはいたが、まさか店長が
当事者だったとは思いもよらなかった。
「じゃあ…、店長は…」
「一応病院で検査してくるとか」
「そうか……まあ、軽傷ってのが不幸中の幸いだな」
 一つの懸念があっさりと立ち消え、安心したようにフッと短く息をつく。
 しかし、もう片方の懸念は消えることなく更に大きく膨らんでしまったことに、直後に
気付くのだった。

「それでですね。運転してたのが会社の車だったらしくて、病院を出てからも事故処理に
負われるんだそうです」

「……」

 どくんと一つ、鼓動が大きく脈を打つ。それがひどく、不快だった。

559Sunday:2007/02/01(木) 23:33:07 ID:moP8eDXi

「それで、その……悪いけど今村さんに引き続き…業務を続けて欲しいと」
 そこまで聞かされた時、頭がくらっとよろめいてしまった。そんなことだろうとは思っては
いたが、やっぱりいざ耳にするとダメージは桁違いだった。
「……」
「今村さん?」
「……ああ、聞いてる」
 頭を抱えて、ふらふらと壁によりかかる。よりによって、何でこんな時にこんなことが
起こるのか。浮気現場を見られたときといい、あまりにもタイミングが悪すぎる。
「何か予定でもあるんですか?」
「あー……、まぁな」
 まさか自分の恋人とデートするんだとは言えない。適当に相槌を打って言葉を濁す。

 職場には必ず責任者か、もしくはその代行業務を引き受けることが出来るサブチーフが
一人いなくてはならない。崇之はアルバイトだが、キャリアが長いので非公式ながらその
立場に立つことを許されていた。そして現在、彼以外にその役職に就ける人物は出勤して
いない。
 つまり、代わりのチーフが来るまで彼はこの場にいないといけないのだ。


 どうしよう、マジでどうしよう。こじれにこじれた紗枝との関係を、一気に取り戻そうと
今日という日を待ち望んでたのに。時間だって遅れるつもり無いというのに。強烈な眩暈が
身体に襲いかかってくる。

「……ちと、レストにさせてくれ。代わりに来てくれるサブチーフがいないか連絡したい」
「分かりました。でも、もしいなかったら…」
「そん時は残るよ。しょうがねえだろ」
 本当は今すぐ駆け出したいがそんなこと出来るわけもなく。断腸の思いで言葉を吐き出す。
紗枝も大事だが、自分の生活を支える仕事も大事だ。バイトだからとはいえ、立場もある。
疎かには出来なかった。

 ずるずると足を引きずってロッカールームにたどり着くと、自分のロッカーを開けて
私服のポケットから携帯電話を取り出す。
 そこで強く大きな溜息が漏らす。頭を抱えたって仕方ないのだが、こんな悲惨なことが
あっていいのだろうか。デートにさえ行ければ、彼女の機嫌を治す自信は大いにあった。
彼女の思考パターンは嗜好なんかはほとんど熟知している。それだけに、賭けていた。

 痺れかけた頭に活を入れようと、またカツカツと自分の額に携帯の角を打ちつける。
天井を見上げながら、鬱屈した気分のままロッカーにもたれしゃがみこむ。
 一応連絡はしてみるが、代わりに来てくれる奴が現れる可能性はかなり低い。話も事態も
突発的すぎるからだ。しかも帰りたい理由がデートなのだから、それを話せば、向こうから
すれば溜まったもんじゃないだろう。
 シフトを確認してみると、店長の後に責任者代行が現れるのは18時と書かれてある。
ということは最悪、その時間まで働かなくてはならないということだ。いつになったら
あがれるかどうかも分からないのだから、紗枝に待っていて欲しいと言うべきか、それとも
また次の機会を設けるべきかもすぐには決めかねてしまう。


「はー……」
 がりがりと頭を掻き毟る。胃の中を鉄の重りで占領されてしまったかのように身体全体が
重たい。そんな気分を溜め込んだまま、彼はカコカコとボタンを押し始めるのだった―――
560Sunday:2007/02/01(木) 23:34:39 ID:moP8eDXi




 昼下がり。風が植えられた木々を揺らしながら、サァーっと一瞬強く吹き抜けていく。
紗枝はそれを身体に受け、はためかさないようスカートを抑えた。
「……」
 駅前に設置された時計は、長い針が10のあたりを過ぎようとしている。

 崇兄が遅刻魔なのはとうの昔から知っている。それは、付き合い始めた今でも変わって
いない。何度かデートはしたけれど、約束してた時間通りに来てくれたことなんてほとんど
無かった。
「……」
 だから、まだ不安を感じる必要なんて無いのに。なんで今日はこんなに胸がざわつくん
だろう。久々に彼と会うのが、そんなに怖いのだろうか。自分の鼓動が分からない。

 昨夜悩みに悩んだ服装は、風にはためくベージュのフレアスカート、ミルク色を基調と
したカットソーに、その上には羽織った薄手のリボンカーディガンという組み合わせ。
普段の活発的でシンプルな服装とは一線を画すような季節を強く意識したもので、それに
あわせて普段は跳ねっ返りが多い髪の毛も、今日は若干大人しくなっている。

 親友と買い物に行った時に「似合うから」と半ば強引に買わされたものだったのだが、
自分では似合っているのかそうでないのかよく分からない。それだけに、その姿で立って
いるだけで照れが混じる。
 
 早く、早く来てよ崇兄。恥ずかしいよ。

 雨の中、傘を差して顔を隠せているのが不幸中の幸いだった。駅の構内で雨宿りをする
選択肢が無いわけでもなかったけど、待ち合わせの場所は「駅前」だったから、できれば
そこから動きたくなかった。一刻も早く、見つけて欲しかった。

 この格好を見たら、どんな反応をされるんだろう。とりあえず付き合う前の崇兄だったら
指をさしてきながら腹を抱えてげらげら笑うんだろうけど。今の崇兄なら、ここのところ
ずっと会ってもいなかったのだから、素直に似合ってると言ってくれそうな気がした。

 慣れなくて恥ずかしいけど、それと同じくらいにちゃんと「女の子」の格好をした自分の
姿を見て欲しかった。
561Sunday:2007/02/01(木) 23:36:48 ID:moP8eDXi


〜〜〜♪〜〜〜〜♪〜♪〜〜♪♪〜


 その時。手にしていたバッグの中から、振動と共にメロディが流れ始める。この着メロは
誰かさん専用のものだ。性格も考え方もひねくれた、だけどいちばん大好きな誰かさん
専用のものだ。
「……」
 普段ならかかってくるだけで嬉しくなるそのメロディも、ここ最近は聞く機会がまるで
無かった。しかもこのタイミングでかかってきたことに、家を出た時から胸に宿り続けて
いた不安が、大きく膨らんでしまう。

ピッ

「……もしもし」
 お願い、気のせいであって欲しい。そう強く願いながら彼女は電話に出る。
『あぁ…もしもし』
 向こうからひどく疲れたような、ひどく打ちひしがれたような声が返ってきた。だけど
町の喧騒や雨音が聞こえてこない。
ということは、彼はまだバイト先にいるのだ。


 その声色を聞いた時、紗枝は自分の予感が当たってしまったのだと直感する。


『今、どこだ?』
「一応、待ち合わせの場所にいるけど……」
 溜息が強く混じっていて、言葉が聞き取りにくい。何があったのかは分からないけど、
だけどこれから何を言われるかは、もう分かってしまっていた。

『……』

「だめ、なの?」

『…え』

「崇兄、来れないの?」

 雨が降っていてくれて良かった。雨が地面を叩けば、それだけ自分の声が歪もうとして
いるのも誤魔化してくれる。
『泣くなよ…』
「泣いてない」
 歪んでいたのは声だけじゃなくて、視界もだった。傘を深く被らせて、周りの人からは
自分の顔が見えないように遮る。
『……』

「泣いてないってば!」

 途端に黙ってしまった彼に、もう一度強く叫び返す。だけどその後、鼻を啜ってしまう。
これじゃ、泣いていると教えてしまっているようなものだ。そんな自分が物凄く情けなく
なってしまう。
562Sunday:2007/02/01(木) 23:37:58 ID:moP8eDXi

『その、な。俺と交代するはずの人が、急に来れなくなったんだ。だからその分、俺がまだ
職場にいないといけなくなってな』
「……」
『一応サブチーフ扱いしてもらってるんでな。責任者代行出来るの、俺しかいねーし……
だから、その……』
 もう一度強く鼻を啜る。しゃくりをかみ殺すだけで精一杯だった。雫は流れてないけど、
瞳には溜まり始めていた。

「分かった」

 これ以上話をしたくなくて、これ以上声を聞かれたくなくて。そんなすぐに納得なんて
出来るはずもないのに、分かった振りをする。
「もういい」
 言葉を選んでいられる余裕なんて無くて、かろうじてそれだけ言い放つ。

『待て紗枝、それで…』

ピッ

 まだ何か喋っていたけれど、それ以上聞く気になれなかった。仕事の都合なのだから、
崇兄はちっとも悪くないし、仕方ない。だけど、そんなすぐに割り切れない。彼の言葉の
続きが、終わるまで待ってて欲しいという台詞でも、日を改めてまた今度という台詞でも、
どっちにしても失望してしまうのだから聞きたくなかった。

 どうせ崇兄は知らないんだ。あたしが、今日どれだけ楽しみにしてたか知らないんだ。

 約束なんて、しなけりゃよかった。どうせ、守ってくれたことの方が少なかったのだ。
一人おめかしをして、家を早く出て待ちぼうけを食らって、結局崇兄は現れない。
 もういい。こんなこと望んでいたんじゃない。こんなこと経験するために、彼を好きに
になったわけじゃない。ずっと一緒にいて欲しかったのに、ずっと時間を共有したかった
だけなのに。そんなことも叶えてくれないくらい、あたしのことはどうでもいいんだ。
ひどい、ひどいよ。こんなのないよ。

 彼には何の非も無いことは、もちろん分かっている。だけどこれが引き金となって、
これまでも我慢していた不満が噴出してくる。何かじゃなく、誰か。誰かじゃなく、彼を。
そうでもしないと、自分の気持ちを保つことが出来なかった。


 電話を切った後も、彼女は携帯を握り締めたまま立ち呆ける。


 雨は降る。雨脚はまだまだ弱まることもなければ、これ以上強まることもない。駅前で、
彼女は一人寂しく佇み続ける。傍を横切り駅に入っていく、駅から出てくる通行人には、
気に留められることもない。
 
 涙を流すことなく、傘の柄をぎゅっと握り締め。紗枝はその中から微かな泣き声を零し
続けるのだった――――――

563Sunday:2007/02/01(木) 23:39:10 ID:moP8eDXi
|ω・`)……



|ω・´)オレッテモシカシテドSナノカモシレナイ



|ω・`;)ノシ ゴメンネ、マタコンナテンカイデゴメンネ


  サッ
|彡
564名無しさん@ピンキー:2007/02/01(木) 23:47:11 ID:PaioBbMP
このドSが!
GJ
565名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 00:12:19 ID:ZJcgyJsl
作者さん乙です
566名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 03:26:36 ID:02MfHzlG
>>563
じゃあyouの事を信じて待ってる間が堪らない自分はきっとM。
全く…焦らすのが得意なんだから…。
 
あ、GJ!
567名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 04:07:25 ID:+4PK2DVm
>デートにさえ行ければ、彼女の機嫌を治す自信は大いにあった。
>彼女の思考パターンは嗜好なんかはほとんど熟知している。

この辺見て何となくそう思った
568名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 11:49:42 ID:75kkGNHp
GJなんだが、ちょっと引っ張りすぎかなとか思った。
何となくみおつくしとか韓国ドラマ風?
>(物語上の)都合のいい時に事故
569名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 13:40:09 ID:MKP7/opd
>>567
俺はそこ読んでナルシストっぽく思えた
作者が
570名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 13:54:13 ID:jSWuNrNP
あくまで小説の中の話だから。
571名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 14:08:34 ID:bMBj2BrI
>>568
タイミングの悪い事故とか一昔前の漫画なんかにはありきたりな展開だろ
572名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 16:19:30 ID:MKP7/opd
>>571
あんまフォローになってねえなw
573名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 17:56:53 ID:bmk0Hxt9
ご都合主義だろうがなんだろうが別にどーでもいいよ、面白ければ。
というわけで作者さんGJ!
574ラック ◆duFEwmuQ16 :2007/02/03(土) 02:07:00 ID:E99/9lAA
(なんて様だよ……明……お前の成りたかったもんはあんなクソヤクザの使いパッシリかよ……)
ズキズキと痛む脇腹を押さえ、明は咳き込んだ。瞳が険しくなる。下唇を噛み、地面を睨み付けた。タバコに火をつける。
フィルターを挟んだ指先が震えた。きつく眼を閉じて、タバコの煙を深々と肺に送り込む。いくらか落ち着きを取り戻した。
どうすればいいのか──いくら考えても出る答えはすべて同じだ。フールの頭──四海(よつみ)を殺ること。無性に笑いたくなった。
フールのバックには、歌舞伎町に事務所を構える東条会が控えている。フールの頭以下幹部の何名かは東条会の構成員だ。
明神組が四十三団体の傘下に収め、枝の組員を含めれば構成員数九百人を超える大所帯である組織に対して、東条会は僅か二百人足らず。
それでも東条会は明神組と同等の金看板を掲げている。東条会は筋金入りの武闘派集団だ。その歴史は明神組以上に長い。
東条会は戦後の時代、関西の極道社会にその名を轟かせた殺しの軍団、柳瀬次郎が率いた柳瀬組の流れを汲む。
東条会の代紋は明神組の代紋以上に恐れられていた。東条会は末端の組員も含めて猛者が揃っている。少数精鋭だ。
明神組と東条会の両組織は現在のところ敵対関係にある。両方とも折り合いが全くつかないのだ。当たり前だ。
同じ獲物を食い漁るハイエナどもが仲良く出来る道理などどこにも見当たらない。特に餌場が少なくなった今、共存共栄など幻想に過ぎない。
明神組と東条会が衝突するようになった直接の原因──MDMAの密輸ルートを巡っての対立だ。もっとも、抗争の火種はその前から燻っていたが。
ヨーロッパマフィアのほうから、両組織にコンタクトしてきたのがそもそもの発端だ。

歌舞伎町を橋頭堡(きょうとうほ)に自分たちのルートを作り上げるのがマフィアの目的だった。
日本では人気を誇るMDMA──抜け目のないマフィアが見逃すはずがなかった。ただし、行動はすぐには起こさなかった。
麻薬ルートで一番難しいのは末端の密売ルートだ。大抵のルート壊滅はこれが原因とされている。
末端からイモヅル式に大型のルートまでもが摘発されるのだ。マフィアは慎重に検討した。取引は信用できる相手でなければならない。
そして吟味した結果、マフィアは両方の組織に話を持ちかけた。
交渉の結果、取り分はマフィア側五十%にそれぞれの組織が二十五%ずつだ。二十五%──年間にして五十億の純利益。
表向きではそれで話し合いはついたものの、腹の底では両者共に互いの潰し合いを画策していた。年間五十億受け取るよりは百億のほうがいい。
猿でもわかる計算だ。マフィアにしてもどちらの組織が潰れようが関係ない。残ったほうの組織と取引するだけだ。
むしろそちらのほうがマフィア側にとっても都合がいい。二つより一つの組織と取引したほうが摘発される確率が低くなる。
マフィアが、二つの組織にわざわざ渡りをつけたのも双方の組織力が伯仲していたからに他ならない。
どちらかを選べば、どちらかが取引の邪魔をするのは火を見るより明らかだ。警察以上の情報収集力を誇るヤクザをマフィアは甘く見てはいなかった。
暴対法の締め付けで激しい抗争は表面では押さえつけられてはいるが、それでもヤクザはヤクザだ。ヤクザの本質とはその常軌を逸した暴力性にある。
殺した相手は埋めればいいのだ。死体が無ければ事件は立証されない。かくして双方の組織で、血で血を洗う抗争が勃発した。
575ラック ◆duFEwmuQ16 :2007/02/03(土) 02:07:40 ID:E99/9lAA
ポツポツと静かに降り注ぐ愁いを帯びた雨が、暗い舗道を濡らした。頬を叩く雨雫──指先で追い払った。金本の言葉を反芻する。
──四海のタマ、どんな事してても殺ってこいや。必ずだぞ。わかったな。
(俺ひとりで四海を殺るなんて絶対に無理だ……俺達が束になったところで敵うかどうかもわかんねえってのによ……)
頭を抱えた。水分を吸ったドレッドヘアが重かった。右親指の爪を噛んだ。噛み続けた爪と肉がえぐれ、血が流れた。明はあせっていた。
(クソ……一体どうすりゃいいんだ……天馬なら確かに四海を殺れるかもしれねえ。だけどあいつが引き受けるとは到底考えられねえよ
……いっそのこと、このままフケちまうか……命あっての物種だ……だが……どこに逃げるってんだ……?)
あらゆる思考が錯綜した状態のまま、明は路地裏から表通りに出た。足取りはおぼつかない。明は己が情けなかった。たまらなく情けなかった。
どこまで歩いたのだろうか。いつのまにか明は人気の無い繁華街の裏通りに踏み込んでいた。最初に眼にとまったのは鉄の赤錆びた小さな看板だ。
眼を凝らし、看板を見る。看板には錆で滲んだ文字で『Cross Road Blues』と書かれていた。浮き出た文字はかろうじて読める程度だ。
相当古い店なのだろう。とりあえず明は店に入ってみることにした。いつもならこんな店は素通りしてしまうだろうが、今は気になって仕方が無い。
中で考えれば何か良いアイディアが浮かびそうな気がした。窮屈そうに軋む木製のドアを膝で押して店の中に入った。
店内はお世辞にも広いとはいえなかった。カウンターの奥で、マスターらしい初老の男が黙々とウイスキーグラスを磨いている。客は誰もいない。
出来すぎている。まるで不出来な映画のワンシーンだ。明はある種の違和感を感じた。少なくても自分みたいな者が入るような店ではない。
出ようかと迷った。そこで初老の男が微笑みながら、明に声をかけた。静かだが、限りなく優しい声だった。
「いらっしゃい、何か飲むかい」
明は端のカウンターに腰を下ろした。身を縮みこませるように前屈みになった。磨き上げられたヒッコリーのカウンターに視線を据えた。
何を注文すればいいのか咄嗟に思いつかず、とりあえずバーボンを頼んだ。強い酒が欲しかったせいもあるのだろう。
グラスに注がれる赤みがかった琥珀色のワイルドターキーに視線を移した。無言でグラスを受け取り、一気に胃袋へと呷った。
「いくら若いからってそんな飲み方してると身体に毒だよ」
「喉が渇いててね。二杯目からはゆっくり飲むさ」
アルコールが回り始め、雨で冷えた身体が温まってくる。募った苛立ちが不思議と薄らいだ。空になったグラスをマスターに差し出す。

再びグラスに注がれたバーボンを今度は少しずつ飲む。店内に流れる音楽に耳を澄ませた。ブールスかジャズのどちらかなのだろう。
どちらなのかは明にはわからなかった。何気なくマスターに尋ねてみる。本当に何気なくだ。
「マスター、店でかかってる曲って何?」
「ああこのブルースはね、ロバート・ジョンスンの『Cross Road Blues』っていう曲さ。この店の名前もロバート・ジョンスンのこの
曲名にちなんでつけたんだよ。どうだい、いい歌だろう」
「歌詞が気になるんだけど、俺って英語だめなんだよな……」
576ラック ◆duFEwmuQ16 :2007/02/03(土) 02:11:27 ID:E99/9lAA
明がマスターに笑い返した。一つ咳をして、マスターがしわがれた声で歌いだす。調子っぱずれで、やけに粋な歌声だった。

四辻へ行って、ひざまずき
四辻へ行って、ひざまずき
神のお慈悲をお願いした、この哀れなボブをどうか救ってくださいと
 
ああ、四辻につったって、乗せてもらおうと手を振った 
ああ、手を振ったのだけど
誰もおれを知らないらしく、みんな通り過ぎていくばかり

四辻に立つうちに、日は落ちていく
四辻に立つうちに、日は落ちていく
間違いなくこの哀れなボブも沈んでいく

走れよ、走れ、友達のウィリー・ブラウンに伝えてくれ
走れよ、走れ、友達のウィリー・ブラウンに伝えてくれ
今朝すぐに四辻に来たけれど、おれはだんだん沈んでく 

四辻に出かけていって、あっちこっち見回した
四辻に出かけていって、あっちこっち見回した
ああ、優しい女がおれにはいない、悩み苦しむこのおれに

マスターがそこで何度も深呼吸をした。一分ほど深呼吸が続いた。明はいつのまにか涙ぐんでいた。
明は涙ぐみながら、マスターのブルースに耳を傾けていた。涙を隠すように顔を斜めに向け、うつむいた。うつむいたまま、バーボンをすすった。
痛切だった。限りなく痛切だった。明は感動に泣いたのではなかった。哀しみに泣いたのだ。わけがわからなくなった。頭がどうにかなっちまいそうだ。
「……ブルースの本質はね、つらくてやりきれない気持ちなんだよ。前にもこの曲を聞いたお客さんが店で他の客と喧嘩になってね。
そのお客さん、ナイフで刺されて死んじゃったよ。もう随分昔の話だけど。わかる人にはわかるんだよね……この曲の悲しみが」
「ブルースってさ、俺生まれて初めてきいたんだよ……」
577名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 10:01:57 ID:pdLBBtc3
支援
578名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 12:44:14 ID:3OBI1e6Y
あ!「ラック」がきてるー。
このハードな雰囲気が好きです。いつも楽しみに待ってます〜。

『Cross Road Blues』はほんと名曲ですよね。

579名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 15:35:26 ID:3OBI1e6Y
ごめん、sage忘れてるのに今頃気づいた。

のでsage
580名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:43:48 ID:F8zAcGdF

ジリリリリリ
無機質な目覚ましの音。俺はこの音が嫌いだ。何故なら、俺を眠らせないから。さぁ寝よう。



やべっホントに寝ちゃった。
「母さ〜ん、弁当は〜?」
寝てるし・・・
俺の家は俺が母親を起こし飯を作ってもらうことになってるいるから、俺が寝過ごすと即座に昼飯抜きになってしまう。
まあ仕方ない学校へ行こう。昼飯は葵と高瀬から奪う事にしよう。
いつもの如く遅刻寸前で教室に駆け込むと、いつもの如く河合不動明王様が待っていた。
「こらっ安井、毎日毎日遅刻寸前で来て、今日こそ成敗してくれるわっ。」
今時成敗ってなんですか?とは言わない。
「遠慮しときますよ、河合せんせ」

「遼君、今日もまたやってるね〜」
「葵もそんなニヤニヤして見てないで助けてくれよ。」
こいつは岩松葵、小一からの付き合いだ。ほとんど幼なじみに入るな。しかもかなりの顔の造作で頭もよろしい。
「何で〜?。寝坊してくる遼君の自業自得じゃん。それに小一からず〜っと続けられたら助ける気にもなんないよ〜。」
性格はお茶目なのかな?女の子っぽいところもあるがな。
「へぇへぇ、俺が悪うござんした。」
「ま〜た朝っぱらから仲いいな。」
581名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:44:47 ID:F8zAcGdF
「遼君、今日もまたやってるね〜」
「葵もそんなニヤニヤして見てないで助けてくれよ。」
こいつは岩松葵、小一からの付き合いだ。ほとんど幼なじみに入るな。しかもかなりの顔の造作で頭もよろしい。
「何で〜?。寝坊してくる遼君の自業自得じゃん。それに小一からず〜っと続けられたら助ける気にもなんないよ〜。」
性格はお茶目なのかな?女の子っぽいところもあるがな。
「へぇへぇ、俺が悪うござんした。」
「ま〜た朝っぱらから仲いいな。」
でこれが高瀬博文。いい奴だが馬鹿だ。俺が言えた口じゃないけどね。がオタクの癖に彼女まで持っていやがる。
「高瀬〜、我々のどこが仲がいいんだよ?ご主人様と奴隷の関係だろ〜」
「だっ誰がご主人様よ!」
「こらっ安井と高瀬。ペチャクチャと喋ってんじゃない!」
「先生、葵は?」
「岩松は優秀だから何してもいいの。
お前等みたいな赤点常習者とは違うんだよ」
むう、差別はイカンな
「差別だ!それに古文と歴史、公民は学年Top10に入る我々を捕まえて赤点常習者とは何事ですか。」
「それだけだろうが。他は全部赤点じゃないか。」
「スミマセン」
これでも昔は頭よかったんだけどな〜


お昼時

さあ、たかり作戦開始だ
582名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:46:07 ID:F8zAcGdF
「腹減った〜、葵〜何かくれ〜」
「遼君また?。自分のお弁当は?」
「親が起きなかった。」
「つまり、遼君が寝坊したから、おばさんが起きれなくて、作れなかったのね?購買で買ってきたら?」
「御名答。さすが我が幼なじみ。だが俺に金がないことは失念してるらしいな。」
「はぁ。ほらこのおにぎりと唐揚げ上げるよ。」
「さんきゅー。」
よし次は高瀬だ。
「高瀬何かよこせ」
「次は俺かよ。ほい、我が野菜軍団を上納しよう。」
「うむ、貰ってしんぜよう。
しかしお前本当に野菜嫌いだな。なんとか飯の体裁は調ったな。いただきます。」
「野菜なんか食わなくても生きていける!」
元気に言うなよ。と心の中で突っ込みつつ、もらった飯にぱくりつく。

「うふっ」
「なんだよ葵〜。キモいぞ。」
「キモイとは何よ。
いやね、本当においしそうに食べるなぁって」
「そうか?自分じゃわからん。この唐揚げうまいな、おじさんに美味しかったって伝えといてくれ。」
「ありがとっ」
583名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:46:54 ID:F8zAcGdF
「何故お前が言う?」
「いや別に、なんでもないよ。」
「鈍感」「だな」
「おぉ高瀬に中川までなんだよ?」
中川は高瀬の彼女だ。
「「別に〜」」
わけわからん。変な所でハモるな。とりあえず、
「なんだよ、キモいな。」 と言っておこう。
「解ったから、食べなさいって。」
葵にオコラレマシタ

帰宅時

「葵〜たまには一緒に帰ろうぜ。」
「遼君には二日に一辺がたまになの?まぁいいや一緒に帰ろ。」
「細かい事は気にしないに限るぜ。さぁ、行こうぜ」
「はぃはぃ」
何故か葵は、絵の具やリコーダーまで持って帰っている。
「で、何でそんな大荷物なの?仕方ない一つ持ってやるよ。」
勝手な好意を押し付け葵の荷物を奪い、葵と並んで帰る。
一日で一番大事な時間かもしれない。
葵いい匂いするなぁ、こいつ人気あるんだろうなぁ。
「ねぇ」
「おお、急になんだ?」
「いや、別になん
「ごめんちょっと待って。座らせて。」
はぁ、はぁ、胸が締め付けられて苦しい。そのうえ一気に体が重くなる。胸が痛い、胸が痛い、胸が痛い………
584名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:49:32 ID:F8zAcGdF

「大丈夫?最近頻繁になってるじゃん。遼君、それ病院行った方がいいよ。」葵が心配してくれてる。答えなきゃ。
「べ、別に大丈夫だよ。」そこで一息ついて
「どうせ、大人しくしてればすぐ直るし、大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとな。」
「その自己診断が危ないっていってるの。本当に最近つらそうだよ。」
「大丈夫だって。ただの不整脈だよ。心配しなくても大丈夫。さぁ行こう。」そんなことはない。最近痛みが強くなっている。でもそれを隠し通したかった。
そう思い、俺は心配そうな葵の頭を撫でてやった。
まだつらいけど、これ以上葵に心配かけるわけにいかない。
「ホントに大丈夫?遼君はただでさえ体弱いんだから。」
「Ok、オッケー。で何言いかけたんだ?」
「い、いや。今日もおばさんは家にいないの?」
なんか引っ掛かるけど言いたくないなら聞かないのがマナーだ。
「うん、今日も遅いみたい。」
「オッケー、おかず持って7時位に行くね」
「あいよ」
葵と別れ、なんとか家に転がり込むと同時にへたりこんでしまった。はぁやっぱり変な意地張らなきゃよかった。
さっきの発作で予想以上に体力を削られたらしい。
585名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:50:14 ID:F8zAcGdF

俺の体力を執拗に削り続けるこれに始めてなったのは、小六の頃だった。がその頃は親が離婚してしまった直後であり生活を一人で支える母親に何も言えなかった。だからこの事を知っているのは、葵と高瀬くらいのものだろう。

また、親が離婚したのに伴い、一人でいる時間が大幅に増え、一人でしなきゃいけない家事もするようになった。だからこそ今ではそんじょそこらの女子にも家事で負けない自信がある。
葵には敵わないけどね。
葵の家も父一人、子一人の家庭で始めて会った時からそうだった。

そして何時からか一人で飯を食うのも寂しいと言う事で互いがどちらかの家に集まって夕飯を食うことになった。

でその為に飯を炊いている訳だ

ピーンポーン
玄関のチャイムがなった。もう来たのだろう。

「開いてるよ〜」
「こんにちは。おかず持って来たよ。」
「あいよ。飯もう少しで炊けるから、並べといて〜ほい、味噌汁」
「はいはい」
全く、我々は呆れるほど息が合うなぁと内心苦笑していたら、葵からは葵をぼーっと見てるように見えたらしい
「ねぇ、ぼ〜っとしてないで手伝ってよ。」
怒られてしまった
「は〜〜い。ご飯炊けたし食べようぜ」
586名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 00:52:19 ID:F8zAcGdF
まだ続きます。
一応ほのぼの系です(^^;;
初心者ですので、悪い所があればビシバシ批評お願いしますm(_ _)m
587名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 03:52:57 ID:XwaMjmpP
>>578
ちょ、「ラック」は氏のコテハンやぞ?
588名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 03:58:06 ID:hr0d8csY
まず、改行がなってない。顔文字はやめれ。句読点の付け方が変。
会話文の最後に句点は付けないし、読点が付いてない所もある。
「〜」の使いすぎ。日本語表現が変。ぱくりつくって何?
それに方言も控えたほうが良い。

説明や表現が蛇足の部分が気になった。

例えば
>>581
>でこれが高瀬博文。いい奴だが馬鹿だ。俺が言えた口じゃないけどね。
>がオタクの癖に彼女まで持っていやがる。

            ↓普通はこう書くと思う

で、これが高瀬博文。いい奴だが馬鹿だ。が、オタクの癖に彼女まで持っていやがる。

>「差別だ!それに古文と歴史、公民は学年Top10に入る我々を捕まえて
>赤点常習者とは何事ですか。」

得意な科目は2つまでで良い。重要じゃないんだし。
3つ挙げてるせいで会話のリズム感が崩れてる。Topはカタカナで書くべき。
続く所も、

「他は全部赤点じゃないか。」
「うっ…」

みたいに簡潔にしたほうが良い。



初めてにしては書けてると思うけど、読書量が少ない気がする。
でも良い雰囲気出してると思うから気が向いたら続きを投げて欲しいな。



589名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 07:18:23 ID:eqcKnc07
>>586
批評と言うほどじゃないけど、気になった点を。

>「しかしお前本当に野菜嫌いだな。なんとか飯の体裁は調ったな。いただきます。」
この、台詞が話口調じゃないところ。
一度口に出してみると分かるけど、「○○だな。××だな」のような話し方は普段の生活じゃ滅多にないし
この場合「なんとか飯の体裁は調ったな」は地の文で書いた方が良いと思う。

> 「オッケー、おかず持って7時位に行くね」
>「こんにちは。おかず持って来たよ。」
これも蛇足的。
強いて言うなら、先の文は二人にとっていつもの事だろうから「何時に行くか」だけを書いた方が、あとの文が生きる。

基本的に会話ってのは、人物の関係が成り立って生まれる物だから、二人ないし三人の間で不必要な事は喋らせない方が良い。
読者が分からない、説明が必要な部分は地の文に回すべき。
話の書き方にも寄るけども。

個人的感想は、全体的に地の文が足りない。
たぶん、自分でも説明不足だと思ってると思うので、一日寝かせてから、口に出してみるのをおすすめする。
何が足りないのか、どこが余計なのか、意外と分かるから。

長々とスマソ。
続きが気になるので、書けたらまた投下して欲しい。
頑張れ!
590名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 10:09:13 ID:6l6zxYDU
>葵と遼
けっこう書き方が散漫な気がするけど
熱意と幼馴染愛が伝わってきてほっこりした。

がんばって欲しいです。
591名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 21:52:59 ID:4tcnWGXS
確かにまだ整ってない感じがあるかもしれないけど、話自体は面白いぞ
続き頑張ってくれ
592ラック ◆duFEwmuQ16 :2007/02/07(水) 00:48:45 ID:yT8a8Sek
投稿します。バカップルが駄目な方はNGで。
593ラック ◆duFEwmuQ16 :2007/02/07(水) 00:49:16 ID:yT8a8Sek
グラスのバーボンを口に含んだ。細めた明の眼は、どこか遠くを見ているようだった。己の十八年間の人生を振り返る。
頭をかすめるのは辛い出来事ばかりだ。楽しい思い出など一つも無い。思えばロクでもない人生──自分のようなクズにはお似合いか。
己に嫌気が指してくる。親からは捨てられ世間からは疎んじられて、それでも這いつくばってなんとかここまで堪えてきた。
今まで、チンピラヤクザに顎で使われるのを我慢してきたのはいったい何の為だったのか。この世界でのし上がるためではなかったのか。
「なあ、マスターさん。そのロバート・ジョンスンってのはまだ生きてるのかい?」
「ジョンスンは一九三八年に恋人に刺されて死んだ。二十七歳の若さでね。彼が残していったのは二十九曲のブルースだけだった」
マスターが口の端を歪めて見せた。グラスを片手で揺らしながら明が静かに呟いた。
「二十七歳で死んじまったのか……それでも何か残して死んでいけたなら人としての悔いは無かったかもな……」
「ジョンソンは十字路で悪魔に魂を売り渡したんだ。あの天才的なギターのテクニックと引き換えに。その代償に悪魔は彼の魂を持っていって
しまったんだろうね」
「悪魔に魂を売り渡したのか……」
ブルースに脈々と流れる感情──それは奴隷として虐げられてきた者達の怨みであり、憤りであり、失意だった。明の喉仏が上下する。
グラスの酒を飲み干して立ち上がった。尻ポケットからビニール製の財布を抜き取り、飲み代をマスターに手渡す。つり銭を受け取って明は店を出た。
(俺も……この世界でのし上がれるってんなら喜んで悪魔に魂を差し出すぜ……このまま、惨めな負け犬になるくらいなら……
殺されちまったほうがマシだぁぁッッ!!)
腹の底で鬱屈していた怒りが爆発した。雨粒を振り落とす夜空を睨みつけ、明が叫んだ。それは魂の発露であり、慟哭だった。
「天馬ぁッ、俺は知ってるんだぜぇッッ、優しくてすげえ美形の恋人がお前にいるってのをよぉぉッッ、それなのによぉぉッッ!
おめえは他の女とやりまくってしかもゼニ貰って、そのゼニでクスリなんか買いやがってぇぇぇッ!
なんでおめえはそんだけ恵まれてるんだよぉぉぉッッ、なんでそれだけ女から愛されるんだよぉぉぉッッ!
俺なんか今まで、一度だって誰からも愛されたことなんかねえのによぉぉぉぉッッッッ!!
俺がポリ公に怯えながら、こそこそヤク売って金本からスズメの涙ほどのちんけなゼニしか貰えなかった時によぉぉッッ!
テメエはどっかのキャバクラのホステスとホテルにしけこんでおマンコやって小遣いをたっぷりと貰ってやがったんだろうがぁぁぁッッ!
ああぁッッ、不公平だぁぁッッ!神様は不公平だよぉぉぉッッッ!俺だって良い女とやりまくりてえよぉぉぉッッ、金が腐るほど欲しいよぉぉッッ!
美味いもんを腹いっぱい食ってみたてえよぉぉぉッッッッ、良い服着て女つれてベンツを乗り回してみてえよぉぉぉッッッッ!!!!
なんでだぁぁッッ、血に飢えた狂犬のお前がッッ!俺と同じ穴のムジナのお前が幸せでなんで俺が不幸なんだよぉッッ!幸せになりてえよぉぉッッ!
誰でも良いッッ、誰でもいいからよぉぉぉッッ!俺に愛をくれよぉぉぉぉッッッッ!!!!!!!!!!ああぁぁッッッ!
ひとりでもいいから親友が欲しいよぉッッ、優しい恋人が欲しいよぉッッ!!
それとも俺みてえな虫ケラは惨めに死んでいくしかねえのかよぉぉぉッッッッ!!!!!!!!!!
あああああああああああああああぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!!!!」
明は泣いた。泣き喚いた。降り注ぐ雨はあたかも明の涙を覆い隠すように、激しさを増していった。
594ラック ◆duFEwmuQ16 :2007/02/07(水) 00:50:04 ID:yT8a8Sek
              *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
         『聖なるかな!聖なるかな!聖なるかな! 世界は聖なるかな! 魂は聖なるかな! 皮膚は聖なるかな!
          鼻は聖なるかな! 舌、陰茎、尻の穴は聖なるかな! すべての物質は聖なるかな!
          すべての人間は聖なるかな! すべての場所は聖なるかな!すべての日は聖なるかな!
          誰もが天使である!』
                          ──アレン・ギンズバーグ「ギンズバーグ詩集」

鈴奈が天馬の腋下を匂いを嗅ぎながら、屹立するペニスを優しくしごいた。天馬の体臭は僅かにだが、ミルクの匂いがした。鈴奈はこの香りが好きだ。
妖しげな心地に誘われてしまいそうになる。鈴奈は腋下を舌で舐めた。肌に舌を這わせたまま、ゆっくりと天馬の胸まで回遊する。
「ああ……」
薄いグミの実のように色づいた乳首を唇でついばんだ。前歯でコリコリと甘咬みする。鋭い快感と痛みが、同時に天馬の脊髄を走り抜けた。
肋骨が浮き出た天馬の脇腹に鈴奈は掌を押し付ける。細身のしなやかな身体だ。一見すると華奢だが、触れれば柔軟な筋肉がついているのがわかる。
互いの肌を触れ合わせるのは気持ちがいい。どこかほっとする。温もりを感じると人は落ち着くものだ。
「僕の身体って痩せてて貧相だよね。鍛えても筋肉つかないし、なんか悲しいよ」
照れくさそうに天馬が髪の毛をかきあげた。斜め使いに眼を伏せる。ひどく女性的な仕草だ。鈴奈が天馬に身を寄せ、皮膚に密着した。
「そんな事ないよ。綺麗な身体だよ」
天馬がそっと鈴奈を抱きしめた。ストレートヘアの黒髪から、淡い石鹸の清潔な香りに混ざった鈴奈の体臭が、フワッと天馬の鼻腔粘膜に忍び込む。
何故か胸が張り裂けそうになった。このままずっとこうしていたい。このままずっと──鈴奈と抱き合っていたい。
「……ありがとう、鈴奈」
天馬が背筋から腕を下降させ、鈴奈の双臀を強く抱く。鈴奈の顔を窺いながら、尻房の中心部に指を沈ませていった。
アヌスを傷つけないようにゆっくりと、細心の注意を払って奥まで入れる。肛門粘膜に感じる天馬の指先──鈴奈は喉を振るわせた。
ペニスの芯が硬くなり、根元から匂うような情欲が這い昇った。形の良い鈴奈の乳房が、天馬の胸板で押し潰れる。
鈴奈も同じように、天馬のアヌスに自分の指先を嵌入させた。互いの肛門を指で弄びながら、口づけをする。鈴奈の引き締まったウエストが揺れた。
半開きの唇に天馬が舌を滑り込ませた。キスの感触を味わいながら、ふたりは肉欲の愛に没頭した。歯茎を舐めて唾液を交換する。
絡み合う舌は蛇のように口腔内でのたうった。鈴奈の首筋から漂う清純な色気が、天馬の心を痺れさせる。
愛を確かめ合うようかのに、ふたりは互いの唾液を求めた。切なさが胸を刺した。鈴奈の唇を天馬が舌で弾く。
「天ちゃん……」
鈴奈がうっとりとした声で囁いた。それ以上の言葉はいらなかった。欲情の露に濡れた鈴奈の瞳が、全てを物語っていた。
今のふたりにとって、言葉はあまりにも無粋だった。互いの瞳を見つめるだけでいいのだ。それだけで事足りた。淫靡な色合いが鈴奈の頬を染めた。
595ラック ◆duFEwmuQ16 :2007/02/07(水) 00:52:50 ID:yT8a8Sek

両太腿の間に腰を入れ、激しく前後に動く。強張ったペニスの切っ先が、子宮口をグリグリとえぐった。入り口がペニスを締め付けてくる。
顔を左右に激しく振って鈴奈は髪を乱した。溢れる蜜液がペニスの根元を濡らし、恥骨同士が当たった。当るたびに鈴奈が
「あううぅ……ッ」
と低く喘ぎながら、天馬の背中に爪がめり込むほど、強く抱きついてくる。裸体がうねった。張りのある鈴奈の真っ白い臀部がきゅっとすぼまる。
割れ目の内部にある薄襞が、法悦に天馬の亀頭に吸い付く。鈴奈の敏感な感覚器官を探るように、ペニスをグラインドさせた。
「ああ、天ちゃん……あたし、気持ちよすぎてどうにかなっちゃいそう……ッ」
膣壁の細やかな凹凸の感触に、天馬が身震いする。下腹部が熱くなった。鈴奈の狭隘な陰部に、このまま射精してしまいそうになる。
「このまま鈴奈の中に出したいよ……」
「いいよ……ッ、このままあたしの中に出してもいいよ……ッ、ううん……出して欲しいッ!」
表面の体温とは異なる膣内部の熱が、どんどん上昇していく。オーガズムの兆しだった。天馬は昂ぶった。亀頭が膨れ上がる。
一旦腰を引き、猛然とラストスパートをかけた。細かい汗が額に浮かび上がってくる。ふたりの息遣いに混じり、熱気と汗の匂いが立ち昇った。
肢体を弓なりに反らして鈴奈がすすり泣いた。獣のように低い呻き声をあげ、天馬が子宮にホワイトリキッドを放出した。
              *  *  *  *  *  *  *  *  *  *
天馬と鈴奈は、のんびりと井ノ頭通りを散歩していた。鈴奈が天馬の二の腕にしがみつく。センター街を抜けて道玄坂に向かった。
「ねえ、鈴奈。今日は何して遊ぼうか」
「天ちゃんは何がしたいの」
「別にってところかな。しいていえばクラブにいってビール飲むとか」
「クラブよりもカラオケいかない?」
「じゃあカラオケいこうか」
道玄坂のカラオケボックスにはいった。ハイネケンとペプシを注文する。鈴奈は酒が飲めない。ふたりで二時間近く歌った。喉がいがらっぽい。
息が続かなくなり、天馬がソファーにへたりんだ。肺が熱かった。ビールを飲んで渇きを潤す。
「歌うのってやっぱり楽しいね」
「僕はちょっと休憩、疲れちゃった。鈴奈はよくそこまで歌えるね。疲れないの?」
「うん、あたしは平気だよ。楽しいことならずっとしてても疲れないもん」
「全く元気だね」
「ふふ」
鈴奈がマイクを握ったままクルリと回転した。無邪気に微笑んで見せる。天馬もつられて微笑んだ。鈴奈がマイクを天馬に差し出す。
「じゃあもう一曲、一緒に歌おう」
「ええ、勘弁してよ……」
「だめ。ほら早く」
嫌々ながら天馬はマイクを受け取った。鈴奈が横に並ぶ。ふたりのデートはまだ始まったばかりだ。
「じゃあ、いくよ」
596名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 03:31:01 ID:+Q6+sOZ2
えーと、今回はこれで終わりですかね?
正直GJですし、こういうバカップル大好きなのですが、出来れば投下が終わった旨を告げて下さるとありがたいです。

というか、実は早く感想やGJを書き込みたかったんですが、まだ投下あるかもと思って1時間以上待ってたんですよwwwww
597名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 10:12:38 ID:wgnza53V
ラックさんGJです!では負けずにこちらも投下します!
598絆と想い 第4話:2007/02/07(水) 10:13:27 ID:wgnza53V
正刻は彼らに謝るように片手を上げて言った。
「すまん、今日は先約があってな。また今度一緒に食おうぜ。」
そう言うと、友人たちが一斉に溜息をついた。
「そうか、まーた宮原姉妹と一緒に昼飯を食うのか……。羨ましいなぁ……。」
「いいさいいさ、どうせ男の友情より女の方を取るような冷たい男だもんなぁお前は。」
「まったくお前はブルジョワだよ!どうせ俺たちゃしがない労働者だよ!蟹工船だよ!!」
正刻は一応言い訳をしようとしたが、宮原姉妹を待たせるなんて言語道断、何様だと教室から締め出された。
「ったく、あいつら……。」
正刻はぽりぽり頭をかく。大切な友人達ではあるが、こういう時の扱いはひどいと思う。
「ま、いいか。どうせあいつらも飯食ったら忘れるだろ。」
そう一人ごちて、正刻は目的地である屋上へと歩きだした。

「おーい正刻、ちょっと待ってよー。」
途中購買部で好物であるトマトジュースを買った正刻は、鈴音に呼び止められた。
「ん? どした鈴音。」
「唯衣や舞衣と一緒にお昼食べるんでしょ? 折角だから、ボクもご一緒させてもらおうかなって。
あの二人とご飯食べるの久しぶりだし。」
「そういやそうだな。んじゃ一緒に行くか。」
「うん! いこいこ!」
そう言って正刻は歩き出し、その後を鈴音が嬉しそうにぴょこぴょこ跳ねながらついて行った。
599名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 10:14:03 ID:wgnza53V
「おーい、正刻、鈴音、こっちだー!」
屋上に着いた正刻と鈴音を見つけた舞衣が手を振って二人を呼ぶ。
彼らの通う高校の屋上はかなり広く、またよく整備されていた。ベンチや木や花、芝生までも植えられており、
ちょっとした公園といった風情だ。
その芝生にシートを敷いて、唯衣と舞衣が座っていた。
手を振り返した正刻と鈴音がそちらに向かう。
「いやー、二人とお昼を食べるのも久しぶりだねぇ。」
よいしょ、と鈴音が腰をおろす。
用意していた水筒からお茶を正刻以外の面子に渡しながら唯衣が応えた。
「まぁね。最近正刻はちゃんとお弁当を自分で作ってたしね。私が作るのも久しぶりだったかも。」
すると、弁当の包みを解きながら舞衣が溜息をついた。
「まぁそれはそれで正刻がちゃんとしているという事で安心なのだが、しかし寂しいのが問題だな。
私は毎日でも一緒に昼食をとって、『あーん』としてやりたいのだが。」
「そんなモン断固拒否だな。」
正刻はトマトジュースの缶を振りながらむっつりと答える。
その様子を見て、鈴音があははと笑う。
「いやー、やっぱりこの面子で集まると楽しいねぇ。クラスがバラバラなのが残念だよ。
来年は全員が同じクラスだと良いんだけどねぇ。」
「まったくだ。せっかくの高校生活なのに、正刻と一度も同じクラスになれないなんて悲しすぎるぞ。」
タコさんウィンナーを食べながら舞衣が言う。そんな妹に苦笑しながら、唯衣も箸を進める。
「ま、正刻と一緒にいると大概迷惑をかけられるんだけど、フォロー出来るのも私たちぐらいだしね。
3年目くらいは一緒のクラスになって、ちゃんと周囲に迷惑かけないよう見張らなくっちゃいけないわよね。」
「何だよ、俺そんなにろくでもないことばっかりしてるかぁ?」
『してるよ。』
唯衣の物言いに反論した正刻であったが、三人同時にハモった断定をされてちょっとたじろいだ。
「な、何だよ。何もハモって言うこたないだろ……。」
そう言うと、ヤケになったように猛烈な勢いでトマトジュースを飲み始めた。
その様子を見て、三人娘は声をあげてまた笑った。
600名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 10:14:36 ID:wgnza53V
笑ったせいで出た涙を拭きながら、唯衣は正刻に尋ねる。
「で、どう? 正刻。今日のお弁当は? 結構自信作なんだけど?」
「うん? あぁ、美味いぞ。特にこの唐揚げ、前より美味くなったな。何かやり方変えたのか?」
「あ、やっぱり分かった? 実はお母さんとね……」
そう言って二人は料理についての話を始めた。
今更だが唯衣が正刻の弁当を作ってきた時にはこうして4人で集まって昼食をとるようになっている。
唯衣が正刻の感想をなるべく早く聞きたがったからだ。
唯衣の主張としては、食べてる最中の、生の感想を聞きたいということだったが……
「……どう考えてもこじつけだよねぇ……。」
「全くだな。一緒にお昼を食べたいなら、私のようにハッキリ言えばいいんだ。」
「舞衣はハッキリ言い過ぎやり過ぎだとボクは思うけどなぁ……。」
「何を言う。気持ちは伝わらなければ意味が無い。私は私の気持ちを正刻に伝えるべく、日々努力しているだけだ。」
「もう十分伝わっているというか、重荷になってる気がするけど……。」
そう言いながら食事を終えた鈴音はお茶を一口啜り、ふぅと息をついた。
「……でも、ま、そういう前向きなところは見習いたいと思うけどねぇ……。」
「そうだな。唯衣はもちろんだが、鈴音ももっと素直になるべきだと私は思うぞ。」
舞衣が正刻と唯衣に聞こえないよう鈴音に囁いた。鈴音はちらり、と舞衣を見て答える。
「ご忠告ありがと。……だけどいつも思うけど、キミはボクや唯衣が正刻と仲良くしててもあんまり嫉妬しないよねぇ。余裕かな?」
「そんなことは無いぞ。」
舞衣もお茶を飲みながら答える。
「もちろん私だって嫉妬はする。……だが、私は正刻を愛しているが、君達のことも大好きなんだ。
だから、こうして皆で集まることがとても楽しいし、幸せなんだ。」
「舞衣……。」
鈴音は舞衣の言葉を聞いて、胸に暖かいものが広がるのを感じた。
「まぁ、だからな。」
舞衣はお茶のおかわりを注ぎながら何気なく続けた。
「私が正刻と結婚をしたら二人を愛人として囲うつもりでいるし、二人のどちらかが結婚しても、
私を愛人として必ず囲ってもらうつもりでいるのだがな。」
ぶ─────────ッ!!
胸に浮かんだ暖かい気持ちを噛み締めながらお茶を飲んでいた鈴音は、盛大に吹き出してしまった。
「げほッ!ごほッ……!」
「お、おい、どうした鈴音!大丈夫か!?」
事情を知らない正刻と唯衣が心配そうに鈴音に声をかける。舞衣は背中をさすってやっている。
二人に大丈夫だから、と声をかけた後、ずれた眼鏡を直しつつ鈴音は舞衣を軽く睨んだ。
「……まったく、キミって奴は……。正刻よりよっぽどロクでもないよ……。」
「?」
きょとんとしている舞衣を見て溜息をついた後、鈴音は先ほどの正刻のようにお茶を飲み干した。
601名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 10:15:39 ID:wgnza53V
食事が終わった後も4人で楽しく話をしていたが、休み時間の終わりを告げる予鈴が鳴り響いた。
「さて、じゃあ行くとするか。」
軽く伸びをして正刻は立ち上がった。
「まったく、楽しい時間はあっという間だな。これで正刻とはしばらくお別れ、か。」
舞衣が寂しそうに呟く。そんな彼女の方をぽん、と叩いて鈴音が言う。
「まぁまぁ舞衣。まーたすぐに逢えるんだから。そんな遠距離恋愛中なことをいうのはやめなよ。」
「私にとってはクラスが違うのは十分遠距離なんだがな……。」
「はいはい。それじゃみんな、戻るわよ。正刻、食事の後だからって居眠りするんじゃないわよ?」
唯衣に釘を刺された正刻は、頭をかきながら答える。
「了解。さーて、午後も頑張るかね!」
そう言って正刻はもう一度、うーんと伸びをして歩き出した。

602名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 10:19:25 ID:wgnza53V
しまった!コピペミスです。冒頭にこちらが入ります。


そして昼休み。正刻は唯衣に作ってもらった弁当を持つと、席を立った。
「あれ? 正刻どうした、俺たちと昼飯食わねーのか?」
いつも昼食を一緒にとる友人たちが声をかけてくる。


それとタイトルを一応つけました。内容と絡むかは微妙ですが……。
しかし展開が遅い……。もうちょっと上手く書けるよう頑張ります。ではー。
603名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 21:27:01 ID:O9O2S35Q
gj
604名無しさん@ピンキー:2007/02/11(日) 00:14:12 ID:qLjOwc4w
おお、作品が投下されてる!GJですよ!
でもずいぶん過疎っちゃってますね……。みんなどこかに行っちゃったのかな……。
605名無しさん@ピンキー
ホワイトリキッドw