周囲は、くだらない噂と偏見だけで翔子を判断したというのに。
榎本はこうして向き合って、ありのままの彼女を見てくれる。ありのままの彼女と接してくれる。
心と心で──向かい合ってくれる。
「私、がんばります。三枝さんなんかに……絶対負けないっ」
勝気な瞳を輝かせて叫ぶ。
榎本は嬉しそうにうなずいた。
「その意気だよ、浦上くん。獲物はそれくらい威勢がよくないと面白くない」
「えっ?」
獲物──?
言葉の意味が分からず、翔子の表情が止まる。
目の前の景色がゆっくりと傾いていく。
(なに、これ……体に力が入らない)
翔子は愕然とうめいた。
意識が薄れていく。
薄れていく。
薄れて。
薄れ。
薄。
……最後に視界に入ったのは、榎本の鷹揚な笑顔だった。
*
「ここは……」
目を覚ますと、薄暗い天井が視界に飛び込んできた。
「気がついたかい?」
榎本がしゃがみこんで、彼女の顔を覗き込む。
「どこなんですか、ここ!?」
動揺で声が震える。
「君が突然倒れるから、介抱しようと思ってね」
榎本は満面の笑みを浮かべて告げた。
倒れた──私が──?
不審な気持ちが胸中に広がる。先ほどまでの、榎本との時間が頭の中でフラッシュバックする。
榎本の口の端に浮かんだ、邪まな笑み。彼が薦めてきたコーヒー。以前、彼に関して聞いた、校内
での噂。
全ての情報が頭の中でひとつになり、やがてある考えにたどり着く。
「まさか、先生。私に何か飲ませたんじゃ……」
「ふふ」
榎本は悪びれずに笑ったままだ。
「先生!」
「教師の淫行が公になると非常に困る」
榎本が含み笑いを漏らした。
「だがリスクが大きいからこそ、興奮も大きくてね。特に君のような美しい女生徒を抱けるとなる
と、ハイリスクハイリターンを狙ってみたくなる」
「最低ですね。女生徒を性の対象として見るなんて!」
翔子が叫んだ。叫ばずにはいられなかった。味方ができたことが嬉しかったのに、その思いはあ
っさりと踏みにじられた。
生徒思いの教育者を演じ、生徒の油断を誘って、そこにつけこむ──きっとこれが榎本の手口な
のだろう。
と、
「力が……入らない……!?」
愕然とうめいた。
「クスリが効いてるんだ。しばらくは抵抗できないだろう」
榎本がにじり寄る。
「クスリ……?」
「コーヒーの中に混ぜておいた」
「騙したんですね! 最初からこうするつもりで……!」
「ふふ」
榎本はまるで悪びれる様子がない。
教師にまで裏切られるなんて。
翔子の心が絶望で真っ黒に染まっていく。
先日も、万引きしようとしたレナを阻止したことで逆恨みをかい、輪姦された。そして今度は、
味方を装った教師に騙され、ふたたび犯されようとしている。
(この世に──正義はないの?)
正義感の強い少女が、『正義』そのものに絶望する。
「ここは書庫の中だ。誰も助けに来やしない」
ひんやりとした闇を透かしてみると、周囲がぼんやりと見えてきた。
榎本が翔子の体にのしかかる。スカートをまくられ、ショーツを脱がされた。先日処女を奪われ
たばかりの、瑞々しい膣孔があらわになる。薄めの茂みをまさぐりながら、中年教師の指が秘唇の
合わせ目に分け入ってきた。
「んっ」
思わず背中が大きく仰け反った。榎本が彼女の顔を覗き込みながら、秘肉をなぞりあげる。
「だ、駄目……やめてください」
女生徒の哀訴にもまるで取り合わず、人差し指と中指が膣孔の内部へ差し込まれる。さらに手の
ひら全体で敏感な肉芽を撫でるように愛撫してくる。
「あっ……ああっ……!」
「濡れてきてるな。さっきのクスリは『ハレイション』といってね。ネットの通販で手に入れたん
だが、睡眠効果ともうひとつ面白い効能があるんだ」
「もうひとつの、効能……?」
「媚薬効果だよ」
榎本の笑みが深くなる。両手が伸びてきて、蛇のごとく全身をまさぐった。制服の上から乳房を
揉まれ、首筋を舐められ、股間を撫でさすられる。
(だ、だめ、こんなの)
心では拒絶していても、体がまるで言うことをきかない。そのうえ媚薬のせいか、股間の奥でじ
わり、と熱い感覚が沸き起こる。
クスリが、翔子の体を狂わせているのだ。
「濡れてきた濡れてきた……ふふ、高い金を出してまで、クスリを手に入れた甲斐があったよ」
榎本は当然のような顔で、剥き身のペニスを股間にあてがう。くちゅり、と粘膜同士が触れあう
湿った音が、屈辱感を伴ってはっきりと聞こえた。
(これから、ヤられちゃうんだ)
抵抗しなくては──最後の一線だけは守りたい。
翔子が思ったときには、すでに男の体が侵入を始めていた。ゆっくりと、だが確実に硬いものが
膣内を突き進んでいく。
「嫌……それ以上、入れないでください」
「何を言うか、これだけ濡らしておいて」
榎本はグイグイと腰を押し込んでくる。
「き、教師と生徒でこんなこと……駄目ですっ」
「教師と生徒だからこそ燃えるんじゃないかね。ふふ、君は男の浪漫というやつが分かっていない
ね」
顎をつかまれ、強引に唇を塞がれた。ぬるりとした舌が差し込まれ、相手の口内に吸い込まれる。
まるで恋人同士のように濃厚な口づけだった。
ねっとりと唾液を注ぎ込まれ、翔子は小鼻を膨らませて喘ぐ。
「んっ……んんっ……」
深いキスを続けながら中年教師はふたたび腰を推し進めた。
「駄目、駄目ぇ」
抗おうにも、がっしりと腰をつかまれていて動くこともできない。初々しい肉洞を凶悪な肉の塊
が少しずつ少しずつ押し込まれていく。やがて男根の先端が子宮にぶつかる感触が伝わってきた。
「ふう、奥まで入ったよ」
ペニスを根元まで挿入して、榎本は気持ちよさそうに息を吐き出した。
とうとう繋がってしまった。
クスリを飲まされ、抵抗を弱められた状態で。卑劣な教師の行為と、それにまんまと引っかかっ
てしまった自分の愚かしさが何よりも悔しかった。
(どうして……)
ドス黒い敗北感に打ちのめされる。
「それにしても意外とスムーズに入ったじゃないか。処女ではないようだね」
榎本は腰を小さく揺すり、女生徒の胎内の感触を確かめているようだ。
「ふふ、まあ今どきの女子高生だ。男性経験のひとつや二つ、あってもおかしくはないだろう。バ
ージンを奪えなかったのは残念だが、それほど経験豊富というわけでもなさそうだね」
処女は、力ずくで奪われたのだ。
十七年間、純潔を大切に守ってきたというのに──
暗い気持ちをよそに、榎本は一方的に動き始めた。翔子は無反応に近かった。心が高ぶることも
ない。膣をペニスで擦られる摩擦感だけが、かろうじて意識に届いていた。
(もう嫌……早く終わって)
翔子は唇をかみ締め、惨めな気持ちを押し殺す。
と、不意に彼女の体に変化が起こった。
「やだ……なに、これ。お腹の奥が……変よ」
戸惑いをあらわに叫ぶ。
膣を中心に蕩けるような快感が広がっていく。
騙されて、犯されているというのに。翔子のプライドを打ち砕くかのように、榎本がにやにやと
話しかけた。
「媚薬が本格的に効いてきたようだね。気持ちいいからって、あまり大きな声を出すなよ。人に気
づかれたら、元も子もない」
「んっ……んんっ!」
翔子は唇をかみ締め、湧き上がる快楽と必死で戦った。
股間の奥が熱を孕み、爆発しそうなほどだった。痺れるような疼きが体中に広がっていく。未成
熟な秘唇は濡れそぼち、後から後から潤んだ愛液を分泌する。
自慰の経験すらほとんどない少女にとって、それは生まれて初めて味わう感覚だった。
「アソコが熱い……熱いの……!」
「ふふ、イク、と言ってごらん」
「イ……ク?」
榎本が腰を揺するたびに、子宮を突かれるたびに、黒い制服に包まれた肢体が悦びに震える。
「叫ぶんだ、イク、と!」
「駄目……私、イク……! イッてしまう……!」
半開きにした唇から、断続的に喘ぎ声が漏れた。
屈辱的なオルガスムスだった。
清廉な少女としてのプライドはもはやズタズタだった。無理強いされた肉交で、生まれて初めて
の絶頂に達してしまったのだ。
可哀相な過去のある女の子か…
名門の武家の娘なんだけど、当主(父)が反逆の濡れ衣を着せられ家は取り潰し、家族や召使達は離散…
本人曰く「ここに来るまでの三年は屈辱の連続だった」…たとえばこんなのか?
だが一度イッても、快楽は加速するばかりで止まらない。
「もっと……ねえ、先生、もっとぉ!」
体の一番深いところで男を迎え入れ、催促するように自分から腰を振ってしまう。相手が自分を
騙した男でも、体の反応を止められなかった。
「うっ!」
榎本は短い呼気を吐き出し、翔子の胎内に思う存分射精した。膣を深々と貫いた肉茎が力強く脈
打っている。体の内部に熱い感触が広がっていく。
「い、やぁっ……」
思わず拒絶の言葉がもれた。
中に、直接発射されたのだ。
「おっと、ついナマで出してしまったな。面目ない。生徒を妊娠させるわけにはいかないんだがね」
榎本が苦笑いして、肉棒を抜き取った。すっかり拡張された膣穴から精液が逆流し、床に白い液
溜まりを作る。
「ひどい……中に出すなんて」
犯されて、妊娠したら、もはや自分の人生は取り返しのつかないものとなる。出産となれば学校
に入られないだろうし、仮に堕胎するにしても体に大きなダメージを負ってしまう。ましてや相手
は、憎むべき男──
泣き出しそうな惨めさの中で、翔子は涙交じりに打ちひしがれていた。
【終わり】
割り込みごめんよ_| ̄|〇
>>105 あ、お気になさらず〜
名門武家の娘が(エロ可愛そうな)屈辱の日々……っていうのも萌える設定ですね
>>108 GJ!!!!
これから、しょこタンの屈辱の日々が始まるのか……!?
>ふふ、君は男の浪漫というやつが分かっていないね
ってセリフに吹いたwww
だが、同感だwwwwwロマンは大切だwwwwwww
GJ
111 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 14:25:37 ID:wk2RUuB/
おお、こんなスレができていたとは!
信じていたのに裏切られる、何も悪いことなどしてないのに犯される、ってシチュは
もろにストライクですぜ!
期待上げしておこう
112 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/05(土) 15:24:59 ID:0vWHkIz7
あげあげ( ^ω^)
>>105が「名門武家の娘が〜」の設定で書いてくれるのを待っている俺ガイル
どこかで見た描写かと思ったら、キモデブスレや鬼畜陵辱スレでも書いてた人か。
かわいそうだけどこの人の書いた女なら、犯されても仕方ないなぁと思ってしまう。
>>114 「犯されても仕方ない」女の子って……カワイソス(´・ω・`)
だが、それがいい
>>113 実は
>>105に書いたのは某ゲームのキャラが自分の過去を語るシーンなのよね
原作じゃ具体的な言及はないが、エロ可哀相な妄想の余地はたくさんあるぞ( ゚∀゚)=3
なので要望があれば書くぜー
ぜひ! 投下! 投下!
>>117さんにwktkしつつ、SSを投下します。『正義感の代償は……』の登場人物のひとりがヒロインですが、
今回の話単独でも読めるようになってます。
以下、SS本文↓
更級(さらしな)中学、二年五組の教室内に談笑がこだまする。
「お母さんね、ホントに幸せそうなの。あたしが見てる前でも、平気でお義父さんとベタベタしち
ゃってさ。あたしを邪魔者あつかいするんだよ」
セミロングの髪を軽く揺らし、レナが笑った。きりっとした彫りの深い顔立ちに切れ長の瞳。ど
ことなく猫を連想させる美少女だ。丈が短めのスカートから、白い脚がすらりと伸びていた。
スポーツ万能な上に、成績も学年でトップクラス。そしてそれを鼻にかけない明るい性格でクラ
スの人気者だった。
「もう、子供の前でいちゃつくなっての。あたしのほうが見てて恥ずかしいよ」
文句を言いながらも本気で怒っているわけではない。
レナの母親は、彼女が幼いころに夫と死別した。以来、女手ひとつでレナを育ててくれたのだ。
そんな母が女としての幸せを手にしたことは、レナにとっても幸せなことだった。
ただ、子供の前でも平気でのろけてくるのだけは、勘弁して欲しいと思うが。
「よかったわね、三枝(さえぐさ)さん」
クラスメートの栗原美紅(くりはら・みく)が祝福する。
ショートカットにセルフレームの眼鏡をかけた、知性的な美少女だ。ルックスだけでなくスタイ
ルも抜群で、中学二年生にして85センチはあろうかという豊かな乳房。くびれた腰からまろやか
なヒップへと続くボディラインは、成熟した女性のようにグラマラスだった。
「川瀬(かわせ)だってば。今のあたしは川瀬レナ」
つい先日、母親が再婚し、レナの苗字は旧姓の三枝から新しい苗字の川瀬へと変わっていた。
「なかなか今までの癖が抜けなくて」
美紅が苦笑した。
「早く慣れてよね、栗原」
レナがまた笑う。
新しい姓は、幸せの証。
新しい父ができ、新しい家族を作っていくためのしるし。
レナは──幸せだった。
「あ、そういえば、また栗原の下駄箱にラブレターが入ってたよ」
「しつこいのよね、毎日毎日」
美紅がうんざりとした顔をする。
とにかく男子に人気のある少女だった。
アイドルと見まがうほどの美少女なのだから無理のないことだと思う。レナも学年で一、二を争
う美少女だが、美紅ほどの気品はないし人気もない。
もっともレナの場合は、屈託のない性格もあって、女としてよりも友人として見られることが多
い、というのも理由としてあげられるだろうが。
それでもやはり、レナも年頃のオンナノコである。毎日のように男子から告白される美紅の人気
がうらやましくもあり、同時に友人として誇らしくもあった。
もっとも当事者の美紅は、モテ過ぎるのも大変だけれどね、と澄ました顔だ。
「これで四十通目だったっけ。ラブレターの数」
「四十一通め」
美紅がさらりとした口調で訂正する。今までにもらったラブレターの総数を律儀に数えているら
しい。もっとも返事を出したことは一度もないそうだ。
「実際、差出人にはロクな男がいないもの」
ナンパにしか興味のない軽薄男から、常に美紅よりも下の成績しか取れない中途半端な秀才、果
てはクラスでも評判のデブオタまで……
「自分にふさわしい相手でなければ交際なんてしたくないの」
「プライド高いよね、栗原って」
レナが微笑む。
友人との他愛のない会話。そんな一つ一つが輝いて見える。
──だが、幸せは長くは続かなかった。
*
母親が再婚して一年が経った。
レナは中学三年生になり、すでに卒業も間近だ。名門女子高校・白天(はくてん)女学院に合格
し、有頂天だった。
「白天女学院に合格したのね。おめでとう」
美紅は真っ先に祝福してくれた。
「まあ、レナは成績もトップクラスだったから、合格しても不思議じゃないけど」
「トップクラスっていっても、美紅ほどじゃないよ」
悪戯っぽくレナが笑う。
美紅とは二年生に引き続き、三年生でも同じクラスだ。
彼女が、この学校どころか全国模試でも上位の成績を誇っていることを、レナはよく知っていた。
彼女とは桁が違う。栗原美紅は本物の天才なのだ。
「美紅とは違う高校だね。寂しくなるよ」
ふう、とため息が漏れた。
二人の付き合いは二年生のときに同じクラスになってから、これで二年近くになる。明るく直情
的なレナと、知的でクールな美紅。正反対といっていい二人だが、なぜか気が合った。
出会ったころはレナのことを苗字で呼んでいた美紅も、今では『レナ』と名前で呼んでくれる。
「また、いつでも連絡して」
美紅がクールに応えた。
「学校は離れ離れになっても──友達よ、私たち」
冷然とした美紅が滅多に見せない、優しい笑顔。
本当の友人にだけ見せる笑顔──それを自分に対して見せてくれた嬉しさに、レナは笑みをこぼ
した。
「ありがとう、美紅。そう言ってくれると、あたしも嬉しい」
──ぶるるるっ。
そのとき、マナーモードにしていた携帯電話が鳴った。ディスプレイに映った発信者は母の美津
子だ。
「もしもし」
母の声が受話器の向こうから聞こえる。最近、めっきりと老け込んだ声が。
「うん……うん、わかった。帰りが遅くなるんだね」
パート先で残業があるから、先に夕食を食べておいてほしい、という母からの連絡だった。
「家庭、大変なの?」
レナの『家庭の事情』を知っている美紅がたずねた。
「ああ、ちょっとね……」
レナの表情が沈む。
義父のことで家庭は揉めていた。結婚した当初こそ真面目に会社勤めをしていたが、その後、義
父はすぐに働かなくなった。今では母親のパートだけで生計を立てる毎日が続いている。
川瀬家はギクシャクとしていた。
一年前はあれほど幸せだったというのに……
どうしてだろう?
いつからこうなってしまったんだろう?
レナには分からなかった。
母の再婚が本当に嬉しくて、新しい父親と三人で幸せな家庭を築いていけると信じていたのに。
何かが、どこかで狂ってしまったのだ。
そして一度狂ってしまった歯車は、連鎖的に他の物事をも破壊していく。
レナに、悲劇の時が迫る。
──家に帰ると、義父の川瀬敏夫が居間に寝転がっていた。
「なんだぁ、帰ったんなら『ただいま』くらい言えよ」
(お酒くさい……)
周囲に漂うアルコール臭に思わず顔をしかめる。
「お父さん、お酒はひかえて、ってお母さんが言ってたよ」
「うるせーな」
ウイスキーを片手に、義父が上体を起こす。
「もうあんなヤツ、どうだっていいんだよ」
「えっ……?」
「あのババア、俺とは縁を切るってよ。ちっ、ベッドの上で散々よがらせてやったってのによ」
「お父さん!」
卑猥な言葉にレナが声を上げる。
「働かない奴とは一緒にいられないってか? ふざけやがって。パート先で新しい男でも見つけや
がったんだ、ちくしょう!」
義父は荒れていた。実際、最近の彼の行状はとても褒められたものではない。働きもせず、家で
ひとり酒を飲んでいるか、パチンコや競馬などのギャンブルをしているか……
とにかく自堕落な日々を送っている。ほとんど、母の美津子の『ヒモ』のような状態だった。
だが川瀬は、自分がすべての元凶だということを考えてもいないのだろう。母から三行半を突き
つけられたことに、ただ一方的に憤慨している。
「ん、それにしてもレナ、お前、けっこうエロい体に育ってきてるじゃねーか」
川瀬がゆっくりと立ち上がった。
蛇のようにねちっこい視線が若々しい肢体を捕らえる。
父が娘に向ける目ではなかった。レナを……一人の『女』として認識している、邪まな瞳。
(お父さん……なんだか怖い……!)
レナはごくり、と息を飲んで後ずさった。
義父は酔っている。何をしでかすか分からない──そんな雰囲気を全身から発散していた。
「へへへ、最後に贈り物をしていってやるよ」
乾いた声が静かな居間に響き渡る。
背筋を強烈な悪寒が貫いた。
自分の身に取り返しのつかない、何かが起こりそうな予感。
緊張と恐怖で首筋に汗が伝う。
「てめえの娘に男の味ってやつを教えてやる」
「お父さん、なに言ってるの……?」
「おとなしくしてろよ。騒ぎ立てると近所迷惑だからよおー」
川瀬が獣の咆哮を上げて飛び掛った。
たくましい体がレナを押さえ込む。
「いやっ、お父さん、やめて!」
必死で両手両足をばたつかせるが、義父は子供をあやすように彼女の四肢を封じてしまう。
動けない──
レナの表情が恐怖に歪んだ。
制服のスカートをまくりあげられ、ショーツを脱がされる。引き締まった未成熟な下肢が露出し
た。その中心部で桃色の秘唇が剥き出しになっている。年頃になってからは誰にも見せたことのな
い乙女の秘部だ。
「さすがに中学生ともなると、まだまだ綺麗なマ×コしてるじゃねーか。母親と違ってピンク色だ
ぜ、へへ」
自分の性器を品評される恥辱に、レナは頬を真っ赤に染めた。
「おとなしくしろよ、へへ。力入れてると余計に痛いぜ」
「んぐっ!」
川瀬が脱がせたショーツを口に押し込んでくる。猿轡をかまされた状態になり、くぐもった悲鳴
を漏らすことしかできない。
「んーっ、ぐむっ」
「へへへ」
細い足を無理やり大股開きにされる。抵抗しようにも中学生の少女の力では、とても大の男には
かなわない。完全に両脚を開くと、義父が腰を割り込ませてきた。ひやりとした感覚とともに、膣
の入り口に何かが押し当てられる。
(この感触って──まさか、男の人のアレが当たってるの……?)
視線を走らせると、川瀬はすでにズボンを脱ぎ捨ていきりたった肉棒をあらわにしていた。赤黒
い亀頭が処女口にぴたりと照準を定めている。義父が何をするつもりなのかを悟り、レナは絶叫し
た。
「いやー! やめて、やめてェ!」
だが絶叫に応えてくれる者はどこにもいない。無人の室内に荒い息遣いだけが響き渡る。
犯されてしまう!
凄まじい恐怖感で息が詰まる。
全身の震えが止まらない。
「おらっ、入るぜ!」
義父が下腹部をグイッ、グイッと押し込んだ。
「あっ、はぁぁぁぁっ……!」
信じられないほど太い異物が、秘肉を押し広げながら入ってきた。異物が体内に入り込んでくる
痛みと圧迫感に圧倒される。
やがて、
「あああああああっ!」
痛い……信じられないほどの激痛が足の付け根を襲った。
体の中心部を引き裂くような勢いで、処女の膣孔を押し広げ、野太い凶器が突き進んでくる。
ずぶり、ずぶり、と少しずつレナの純潔を散らしていく。
「痛い……痛いよぉ……」
「我慢しやがれ。もう少しで奥まで入るからよ」
義父がへらへらと笑いながら、さらに腰を押し進める。
「全部入ったぜ。ざまあ見やがれ」
先ほどまでひっそりと閉じられていた入り口は無残に押し広げられ、汚らしい肉茎が埋め込まれ
ていた。彼のモノを柄もとまで受け入れた胎内が、今にも裂けてしまいそうだ。
「うほっ、キツキツだ。すげェ締まる」
「い、嫌……お願い、抜いてェ……」
「あれ、血ィ出てんな。本当に処女だったか?」
結合部からはヌルヌルとした赤いものが流れ出ていた。レナは唇をかみしめ、ブルブルと震えて
いる。
処女を奪われたショックで、レナは顔を覆った。
こんな形で、うまれて初めて『男』を迎え入れてしまった。悪夢のようなロストバージンだった。
「ホントに処女らしいな。こりゃ、ラッキーだ」
処女を奪った男は悪びれる様子もなく言った。凶暴なものを埋め込んだまま、勢いよく抜き差し
を始める。
まるでスリコギを使うように、たくましい肉棒が膣内を暴れ回る。
レナは青ざめた顔のまま、身動きひとつしなかった。処女を穢されたショックで感情そのものが
麻痺していた。
「もう、嫌……早く抜いてェ」
「そんなこと言うな。せっかくの初体験なんだから最後まで楽しめよ」
嬉しそうになだめながら、力強く胎内を突き上げていく。義父の恥骨とレナの恥骨がぶつかりあ
い、湿った音を立てる。
処女を失ったばかりの娘には、あまりにも激しいセックスだった。
レナは眉間に皺を寄せて、暴虐なレイプに耐えた。セミロングの髪を振り乱し、唇を噛み締めて
義父をにらみつける。
「ふん、悔しいか。義理の父親に無理やりバージンを奪われてよ」
「うう……」
「ははははは、いい気味だ。どうせなら美津子も呼んで、三人で親子丼といきたかったけどなぁ!」
根元まで埋め込まれた肉棒が引き抜かれ、ふたたび膣肉を押し開いてレナの中心を貫く。さらに
ピストンを続けながら、小ぶりな膨らみを両手で揉みしだく。
激しい抽送を受けて、そのたびに中学生の肢体が身悶えした。
凌辱者は飽くことなく腰をぶつけ続け、やがてその動きを早めていった。
フィニッシュが近いのだ。
「うう、出るぞ! 中に出すぞ!」
義父は腰を突き出した姿勢のまま、体を激しく震わせた。
「あッ……!」
レナは呆けたように口を半開きにする。
胎内にびゅくっ、びゅくっ、と熱い精液がほとばしった。もちろん義父はコンドームなどつけて
いない。
だがそのときのレナは強姦されたことに動転し、妊娠のことにまで気を回す余裕がなかった。レ
イプされたショックで思考そのものが麻痺していたのだ。
ただ──汚らしい体液を自分の一番奥に吐き出された屈辱感だけがあった。
「嫌……嫌ぁ……!」
レナは堅く目を閉じ、肩をいからせて緊張している。可憐な容姿が惨めなほど歪んだ。
「ふう、最高だったぜ。まさか処女をいただけるとはな」
義父は射精後の感触を楽しむかのように、ペニスを抜かずに腰をぐりぐりと回している。
「気持ちよすぎて中出ししちまったぜ。ま、ガキができないことを祈るんだな」
ペニスを引き抜くと、ぽっかりと拡張された穴から白濁した精液が逆流してくる。
レナの、屈辱の初体験はこうして終わりを告げた。
「じゃあな。美津子にもよろしく言っておけよ。一年間世話になったお礼に、てめえの娘を女にし
てやったんだ。感謝しろよ、ってな」
カチャカチャとズボンを履きなおし、義父が去っていく。
レナは服を着なおすこともできず、死んだように横たわっていた。青ざめた頬に、涙の跡が残っ
ている。
「あはははは……ははは……は……」
レナは、虚ろな瞳で天井を見つめる。乾いた笑い声だけが、部屋の中にいつまでも響いていた。
【終わり】
127 :
105:2007/05/09(水) 23:25:29 ID:OxfzEciT
とりあえず期待いただいてるようなので書き始めてはいるんだけど、
ここのスレと当該ゲームの本スレとどっちに投下すればいいんだらうか。
>>119 GJ!
義父と娘…という時点でもう運命が決まったようなもんだな、
とか思ってしまう俺は汚れてるだろうかw
GJ!!
下衆親父\(^o^)/万歳
どこかで見た事のある固有名詞が出てきた気がするが……はて?
しかし、せっかくの投下にケチつけるようで悪いが、物足りないと
思ってしまったんだ。
レイプされたところで終わってるからだろうな、うん。
このスレ的には、レイプされた「その後」も大事な気がするんだ……!
栗原なんとかとか言うやつとの絡みはなんだったの?
おにゃのこ同士の心温まる友情
>>127 ぜひ、ここのスレに投下をおながいします (≧∀≦)/
132 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 10:33:34 ID:+Ldf9VUV
良スレ
>>82の糞女と同姓同名って事で、同一人物かは知らないけど
「かわいそう」というより「いい気味」としか思えない。
自分の作品のキャラ使い回すってそういうところ難しいよね。
136 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/25(金) 15:54:58 ID:o/0rdkkT
面白いですね・・もっと読みたい・・
レナ視点で書かれておられるのがまた
なんか受ける立場でよかった。
137 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/27(日) 09:11:00 ID:7WaZPlII
ほしゅあげー
このスレには
「可哀想だけど自業自得だから犯されても仕方ない」女より
「何も悪い事してないのに理不尽にも犯されて可哀想」な女の方が向いてるかな。
欲求不満の主婦が出会い系で知り合った男の子カラダの関係を持つんだけど
それをネタに男の子にたかられて(「ダンナさんにばらす」とか言われて)
家計を男の子の遊ぶ金に搾り取られ、誰に相談することもできないまま
夫と子供を残して訳も話さず離婚。そのまま男の子達の肉奴隷に・・・
って感じの話は前者に当たるかな・・・あ、可哀想なのはあの豚主婦の家族の方か
139 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/29(火) 16:41:23 ID:vWePzSnr
>>138 主婦だとスレタイから離れるしな。
その子供がとばっちりを受けて男の子達の毒牙にかかるとか・・・(´・ω・)カワイソス
女は16歳で結婚できるんだぜ?
レイプだけじゃなくて、物乞いをしているような女の子が救われるような話はダメなのかな・・・。
救われたらかわいそうじゃなくなるじゃん
143 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/01(金) 11:04:29 ID:ATFomK13
ほ
し
そ
147 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 21:48:24 ID:UmtdlgDY
う
じ
わたしは父が転勤族だったため、幼い頃から引越しを繰り返していました。
内気な性格でクラスに馴染めず、一人でいることの多い子供でした。
そんなわたしに初めて友達と呼べるものができたのは、中学二年の時です。
「松田さんて、他の子と違うよね。一匹狼って感じ?」
可愛らしく首を傾げて見つめてくるのは、同じクラスの三崎優子さんでした。
”他の子と違う”というのはイジメの対象になり得ます。わたしは身構えました。
けれど三崎さんの茶色い大きな目に、悪意は浮かんでいませんでした。
むしろ羨望らしきものが。わたしはびっくりしました。転校してまだ日が浅かったのですが、
彼女が校内でも一、二を争うほどの美少女で、一目置かれているのを知っていましたから。
勉強もスポーツもできる明るい女の子です。各地を転々としてきましたが、
彼女ほど完璧な人はいませんでした。そんな人が他人をうらやむ? しかもわたしに?
なにかの冗談かと思いました。訝しげなわたしをよそに、三崎さんはニコニコと話しかけてきます。
「見た時からクールでかっこいいな〜って思ってたの。一緒のクラスになれて嬉しかった。仲良くしてくれる?」
「……う、うん」
勢いに飲まれてオッケーしましたが、半信半疑です。クールとはものは言いようで暗いと言いたかったのかな、と。
それに彼女は委員長でしたので、なかなかクラスに馴染まない転校生に対する気遣いなんだろう、
くらいに思っていました。ところが予想に反し、その日を境にわたし達は急速に親しくなっていきました。
「松田さ〜ん、一緒に帰ろ?」
「うん……いいよ」
「え〜、和美ちゃんなんでそんなに細いのォ。脚とかすらっとして、うらやましいッ」
「わたしはただガリってだけだから。それより、優子ちゃんのメリハリのある体のほうがうらやましいんだけど」
「ねぇ、気づいてた? C組の田中君。最近、和美のことよく見てるんだよ。わたしのカンだと告白してくるよ、絶対!」
「わたし彼氏作る気なんかないし、興味ないよ。だいたい、優子のカンはアテにならないからなぁ……」
わたしは初めてできた友達に夢中でした。名前を呼び捨て合い、他愛のない話をするのが楽しかった。
ふふ、さっき会話に出た田中君。結局、告白されたのは優子でした。自分のカンがはずれて、
バツの悪い顔で断ってましたね。ええ、優子はとてもモテましたよ。彼氏? ……は、聞いたことがなかったから、
いないと思ってました。でも、いたんですよね、彼女。それを知った時、ショックでした。
わたし、信用されてなかったんだ。友達、いいえ、親友だと思っていたのはわたしの勝手な思い込みだったんだな、って。
でもその時、わたしはそのことで傷つく資格なんかなかったんです。わたしは彼女を憎んで、
親友だったらしないようなことをしたんですから。だけど……その前にわたしは、彼女に裏切られていたんです。
だからアイツ等に頼んで……。ああ、ごめんなさい。支離滅裂で。こんなんじゃわからないですよね。
あの時の気持ちをどう言ったらいいのか、わたしにもよくわからないんです。普通じゃありません。
狂ってたとしか言いようがないです。突然なんの前触れもなく、悪夢が襲ってきたんです。
わたし達は同じ高校に進学しました。歴史のある女子校で、グレーのセーラー服は上品でカワイイと
人気がありました。割と自由な校風で、まじめな生徒が多かったように思います。
わたしは親から『この土地にしばらく留まりそうだ』と聞き、落ち着いて充実した高校生活を送っていました。
新しい友達もできましたが、やはり一緒にいて一番楽しいのは優子でした。残念なことに一、二年と同じ
クラスにはなれませんでしたが、学校の行き帰りはいつも一緒です。あの時も……、一緒でした。
あれは二年の一学期。七月に入ってすぐ期末テストがあった週の、土曜日の午後のことです。
ちなみにわたしが通ってた時、まだ週休二日制にはなっていませんでした。あと、携帯電話やインターネットも
今ほど普及していない時代です。ええと……話を戻します。テストが終わった開放感から、
どちらからともなく部活をサボって海に行こうか、ってことになったんです。
わたしは美術部、優子はテニス部に所属していました。海は駅の反対側。学校から歩いて二十分くらいです。
わたし達はコンビニでおにぎりや飲み物を買い、秘密の場所に向かいました。
その場所は三ヶ月前、偶然発見しました。海岸沿いは雑木林が続いています。
その脇の歩道をわたし達が歩いていると、ガサガサと繁みを掻き分け釣り人が出てきたんです。
こんな所に海に通じる道が? わたし達は好奇心に顔を輝かせ、その細い道に分け入って行きました。
林の中を下って行くと徐々に視界が明るくなり、目の前には海が。そこはぐるりを岩壁で囲まれた空間で、
誰もいませんでした。それ以来、わたし達は時々秘密の場所で遊んでいました。
その日。わたしと優子は木の根元に隠してあったレジャーシートを砂浜に広げて、
仰向けに寝転んでいました。この時、どんな会話を交わしたのかまったく思い出せません。
蘇ってくる映像はモノクロで、所々記憶が飛んでしまっています。でも、始まりははっきりと覚えています。
不意に、パキっと枝の折れる音と人の話し声が聴こえてきたんです。
わたし達は反射的に振り返りました。雑木林の中から一人二人と男が出てきます。
全部で四人。シャツの裾を出しただらしのない制服姿。ずり下げて穿いているズボンの色で、
西高の生徒だとすぐわかりました。この辺の地域で一番柄が悪いと評判の高校です。
いかにも悪そうな風体に、見た瞬間わたしと優子は顔を強ばらせました。
「なにしてんの〜? ここ、いい場所だね〜。俺らも中に入れてよ」
「うんうん。中に入れて入れて。いっしょにあそぼ」
「俺も中に入って、出したい」
どっ、と男達が笑いました。心臓がどくどくと危険を知らせます。わたし達はカバンを引き寄せ、
立ち上がりました。素足のままローファーを履きます。波打ち際で遊んでいたので裸足でした。
くつ下を穿いているヒマなんてありません。わたしと優子は硬い顔を見合わせました。
「和美……そろそろ、帰ろっか」
「そう、だね。雨降ってきそうだし……」
無理にでも普段どおりにしていないと、なにかが壊れてしまいそうでした。
急に動いたら飛びかかってきそうで、小動物になったような気分でゆっくりと歩き出しました。
男達がイヤな目配せをしているのに気づきました。焦ったわたしは砂に足を取られ、よろけてしまいます。
にじり寄っていた男達の一人が、素早くわたしの腕を掴みました。
「だいじょうぶ〜?」
「……だ、大丈夫です。あの……」
離してくれません。男はおどけた調子ですが目が笑っていません。
ギョロッとした鋭い視線に、わたしは動けなくなりました。
「そんな急いで帰らなくてもいいじゃん」
「そうそう。遅くなったら車で送ってあげるよん」
わたしを掴んだ男以外の三人が、声をかけながら優子を取り囲もうとした、その時です。
「こないでッ」
優子が大声で制して、腕を振り上げました。
「うわっ、なんだ」
「い、いでで……目が」
いつの間に握っていたのか、優子は迫る男達に砂を投げつけていました。
男達がひるんだスキに、優子は雑木林に向かって走り出します。
「……ゆ、優子?」
わたしのかすれた声に優子が振り向きました。
一瞬、笑っているのかと思いました。顔の筋肉がおかしな具合に歪んで、そう見えました。
この時の優子の顔を、わたしはいまでも忘れることができません。
「てめえ……このやろう」
男達の中で一番大きな男が、まばたきをしながら優子に一歩踏み出しました。
優子の視線がわたしから男に移り、両目が大きく見開かれて……。
それから先はあっという間のことでした。さっとスカートの裾をひるがえして、
優子の背中がみるみる小さくなっていきます。
「ゆうこおおおッッ!?」
叫び声がむなしく響きます。再び優子が振り向くことはありませんでした。
「あーあ。オトモダチ、一人で逃げちゃったよ。見捨てられちゃったねぇ」
腕を掴んだ男がからかうように言いました。そんなはずない。
優子は人を呼びに行っただけ。助けてくれそうな大人を連れて、きっと戻ってくる。
わたしはそう信じて疑いませんでした。けれど、涙がにじんできます。
「かわいそ〜。あれれ、泣いてる〜? 俺らがなぐさめてあげよっか」
「ちょうどシートがあるしぃ」
意味がわかりませんでした。目の前の状況に思考が追いつきません。
そうですね……たとえると、衛星中継でものすごく反応が遅れる感じでしょうか。
男達にレジャーシートの上に押し倒されても、わたしはうんともすんとも言いませんでした。
優子は足が速いから、すぐここに戻ってくる。連れてきた人をせき立てながら現れる……きっと。わたしは祈っていました。
あちこちから手が伸びてきて触られました。セーラー服もスカートもめくり上がった状態です。
ブラジャーをずらされ、乱暴に揉まれました。男達が口々になにかしゃべっていたはずですが、
記憶に残っていません。そして……突然ぬっと現れた物体に、わたしはひっと息を飲みました。
ギョロ目の男が下半身をむき出しにして、わたしを見下ろしていました。
ヘビの頭のようでした。クネクネと気味の悪い動きをしています。わたしは初めて見る男性器から
目をそらすことができません。恐ろしい現実が迫っていることを実感させられました。
「……い、や……いやああっ」
やっと声が出ます。手足をバタつかせました。動けません。
男達に押さえつけられたわたしは身をよじっただけで終わります。ショーツをはぎ取られた時、
体から力が抜けていくのがわかりました。もうダメだとぎゅっと目をつぶる前に、男がにっと笑ったのが見えました。
わたしはあきらめるのが早いタイプです。度重なる転校が大きく関係していると思います。
好きだった習い事を途中であきらめ、別れがつらいので人と仲良くするのをあきらめ。
わたしは傷つかないために、あきらめることを身につけるようになっていました。
ギョロッとした目の男。塚原と言いました。男達は名前を呼び合っていましたが、
この時のわたしに覚える余裕はありません。苗字なのか下の名前なのかわかりませんが、
名前と顔が一致するのはあとのことです。話の便宜上、名前を出して進めます。
観念したとはいえ、塚原がのしかかってきた時わたしはパニックになりました。
けれど、どこか冷静な部分も残っています。優子、どこまで行ったの? 間に合わなかったよ……。
心の中で話しかけていました。生温かく硬いものがあてがわれて、押し入ってきます。
めりめりと股が裂けるかと思うほどの激痛が走りました。優子、すごく痛い、怖い、助けて!
圧迫感が込み上げてきて苦しくなり、ぐわんぐわんと景色がまわりました。
何度か気を失いそうになりましたが、ひどい痛みによって現実に引き戻されます。
ふんふんと息を吐き出していた塚原が呻き声を上げ、腰の動きが止まりました。
体が離れると、股の間をどろりとした感触が流れていきました。
入れ代わりにバンドをやってそうな前髪の長い男が覆いかぶさってきます。
コウと呼ばれていました。順番はジャンケンで決めたようでした。
コウがわたしの上で動いていた時間は短かったです。
パサッと音がして目を向けると、血で汚れた白いくつ下が二つ、シートに落ちていました。
塚原とコウが性器を拭いたあとでした。蘇ってくる映像はモノクロと言いましたが、
この時の鮮烈な赤い色は脳裏に焼きついています。
わたしはレイプで処女を失ったんだ……。わたしは外見から大人びた子と思われがちでしたが、
実際の中身はなにも知らないお子様でした。恋も知りませんでした。
彼氏や好きな人がいたら、もっと激しい喪失感に襲われていたかもしれません。
わたしの頭の中はからっぽで、ぼんやりと横たわっていました。
コウの次が高校生にはとても見えない体格のいいタケでした。野太い声が飛んできます。
「首に腕をまわせ」
正面で貫いたまま、タケがわたしの体をひょいと抱えて立ち上がりました。
不安定な体勢に、とっさに言われたとおり首にしがみつきます。タケがお尻を掴み、
砂浜をぐるぐると歩き始めました。ずんずんと支点に衝撃が伝わり、目の前がチカチカしました。
「あっ、あっ、あっ」
わたしの口から断続的な声がこぼれます。他の男達はゲラゲラと笑っていました。
スカートは脱がされていたので繋がっている部分が見えました。ぐちゃぐちゃです。
男に軽々と持ち上げられて揺さぶられるたびに、突き立てられた肉の棒が見え隠れします。
間から精液が溢れていました。上はセーラー服、下は丸出しというみっともない格好で串刺しでした。
こんな姿、優子に見られたくない。恥ずかしくて生きていけないと思いました。
もう戻ってこなくていいよ、優子……。戻って……、こないんじゃない……?
初めて疑う気持ちが起こりました。ぽとんと胸に落ちて、じわじわと広がっていきます。
『一人で逃げた――見捨てられた――』。塚原の放った言葉が今頃になって突き刺さります。
わたしに呼び止められて、振り向いた優子の姿が浮かびます。青ざめて引きつった顔。
その中に、裏切る後ろめたさを見たような気がしてきます。思ったが最後、疑惑はどんどん膨らんできました。
それと同時に、背筋をぞわぞわと這い上がってくるものがあります。体の震えが止まりませんでした。
寒くはありません、むしろ熱いです。尿意に近い切迫したものを感じて、わたしは焦りました。
ここでオモラシなんかしたら男が怒って、殴られるかも……と怯えました。
「あー、すげぇキモチイー」
とタケが激しく揺さぶります。深々と突き刺さったペニスがこすれて、
痛くて熱くてなんだかたまらなくて、わたしはのけぞって高い声を張り上げていました。
最後は狐を思わせるような顔も目も細い、陰険な感じのするヒロという男でした。
わたしは命じられるまま、あやつり人形のように従いました。四つん這いにさせられ、
後ろから挿入されました。グチュグチュ、パンパンという音にあんあんという声が混じります。
「こいつ、いい声出すな」
「あはは、犯されて感じてるよ」
他にも屈辱的ことを言われたような気がしますが、わたしは上の空でした。
腕で体を支えているのがつらくなってきて、上体を伏せお尻を突き出すような
格好になっていました。ヒロの抜き差しするスピードが上がります。四人目ともなると、
終わりの兆しがなんとなくわかりました。いつの間にか肉体に感じる痛みが消えていました。
そのかわり、たまらない気分はずっと続いていて、次第に時間の感覚も失っていきました。
放心状態のわたしに意識が戻ってくるのは、2巡目入ってしばらくした頃です。優子に裏切られた――。
もう助けにくる気がないのは明らかです。苦しくて胸が張り裂けそうでした。初めての友達。
深い信頼を寄せていた分、打ちのめされました。仰向けに転がっているわたしの目に、
どんよりとした梅雨空が映ります。突然、どすぐろい感情が渦巻きました。
それは自分でも戸惑うほどの”怒り”でした。優子のせいでこんな目に遭っている――。
その怒りは男達ではなく優子に向けられました。あの時、『こないでッ』なんて優子が
叫ばなければ、ただからかわれただけで済んだんじゃないか。優子が砂なんか投げつけるから、
男達の怒りを買いこんなハメに陥ることに。優子の過剰な反応が集団レイプの引き金になった。
考えれば考えるほど、そう思われてなりませんでした。なのに本人はさっさと逃げて知らん顔。
本当は……わかっていました。男達は最初からレイプする気満々でした。
怖くなって逃げ出すのは当たり前です。逆の立場だったら、わたしも同じように優子を
置き去りにしたかもしれません。オロオロするだけでなにもできないでしょう。事故みたいな
ものだと思うしかない。わかってはいても許せませんでした。なぜかこの時ばかりは仕方がないと、
あきらめることができませんでした。後にも先にもあんなに強い感情を持ったのは初めてです。
怒りや悲しみ、憎しみ……色々な思いがごちゃまぜになって、頭がおかしくなりそうでした。
いま思うと、そういう負の感情を優子にぶつけることで、わたしは正気を保っていたのかもしれません。
(つづく)
wktkwktkwktkwktkwktkwktkwktkwktk
うまいなぁ。GJ!
うますぎる…レイプ経験者?って位リアルやなぁ
>>159の続き
気がつくと雨が降っていました。男達の立ち去る気配に、やっと解放されると脱力しました。
わたしは抜けガラ状態で雨に打たれていました。誰かが無理矢理立たせます。
腕を引っ張ります。雑木林の中を歩かされて車に乗せられました。
わたしは山に連れて行かれて埋められる、と思いました。あとで起こったことを考えると、
いっそその方がよかったです。けれどそんなB級サスペンスドラマのようなことはなく、
わたしは家まで送られただけです。学生証から名前と住所を知られてしまいました。
「じゃあ、またね〜」
コウが運転する黒い車が走り去るのを、わたしは茫然と立ち尽くして見ていました。
そのまま地面にずぶずぶと沈み込んでいきそうでした。
どのくらいそうしていたのか、隣の車が帰宅してきた音でやっと我に返ります。
玄関を開けると、たまたま近くに母が立っていました。
「びしょ濡れじゃないのっ。そこで待ってなさい、タオル持ってくるから」
母の叱る声や漂ってくる夕飯の匂いに、どっと涙が溢れました。
タオルをかぶってお風呂場に直行したので、わたしの異変に母は気づかなかったと思います。
絶対、気づかれるわけにはいきません。もちろん相談するなんて論外です。
今日あったことは、どんなことがあってもひた隠す。わたしは何度も体を洗いながら、
そう決心しました。泣き声を押し殺して、精液を指で掻き出しました。こんなことになって、
わたしは初めて自分の性器に指を入れました。わたしは”なにも知らないお子様”
だったと言いましたが、誇張ではありません。本当になにも知りませんでした。
そんなところを触るのは汚いと思っていましたし、怖くてタンポンも使えませんでした。
当然、鏡で見たこともありません。だからというか、わたしは入り口の位置がよくわかっていませんでした。
信じられませんか? でも意外と自分の体のことなのに、なにも知らないという子は他にも
いそうな気がするんですが。まあ、滅多にいないでしょうけど。わたし、クリトリスというのは
女性器全体を指すのかと思っていました。ふふ、呆れて笑ってしまいますよね。
快感を得るためだけの器官だと知った時、どうしてそんなものが! と恨みました。
その夜、わたしはひどい熱を出しました。砂浜での出来事がフラッシュバックします。
体の中に残る異物感にもだえ苦しみました。熱くて熱くてたまりません。ヘンな気分でした。
うまく言えませんが、どうにも収まりがつかないといった感じ。じりじりと炙られているような気持ちでした。
体の奥がじんじんと脈打ち、なんだか落ち着きません。わたしは込み上げてくる感覚にうなされました。
熱に浮かされた頭はまともに働きません。そのうち、だんだんと深い眠りに落ちていきました。
わたしはまるまる一週間、寝込みました。このまま一生部屋から出たくありませんでしたが、
引き伸ばしはもう限界でした。風邪を引いただけだと思っている両親に、不審がられてしまいます。
なにか勘付かれたら大変なことになります。自殺も考えましたが、ムリです。自分にそんな
度胸がないのはわかっていました。あきらめて登校を決心したわたしを支えていたのは、
またしても優子への怒りでした。休んでいる間に、優子からなにか連絡があるんじゃないかと
思いましたがなにもありません。いまさらまだ期待していたのかと呆れ、傷つく自分に
腹が立ちました。その苛立ちはそっくりそのまま優子に向かいました。
高校へはバスで一緒に通っていました。毎朝待ち合わせをしていたバス停に、優子の姿は
ありません。乗客の中に西高の生徒がいるのを目撃して、わたしは激しく動揺しました。
こめかみから脂汗が流れます。あの男達ではないとわかっていても胸の動悸は治まりませんでした。
わたしはこんなに苦しんでいるのに、優子は……優子は……っ!
いま思い返しても、たった一週間休んだけでよく学校へ行けたな、と自分でも驚きです。
よく病気にならなかったな、と。この時のわたしは優子への憎しみがエネルギー源になっていました。
それなのに……学校に着き、いざ優子を目にしたとたん、わたしはあわてて柱の陰に
隠れてしまったんです。みじめでした。なにか一言、いいえ、なにか仕返しをしなければ
気がすまない。そう憎悪をたぎらせていたはずなのに、なにもできませんでした。
人と争うことの苦手なわたしは、どう怒りをぶつければいいのかわかりませんでした。
休み時間、トイレでばったり優子に会います。向こうはクラスの子と一緒でした。
先に顔をそらしたのはわたしでした。一瞬、表情を強ばらせた優子でしたが、明るい声をかけながら
友達と連れ立って出ていきます。全身がカアッとなりました。追いかけて揺さぶってやりたかった。
あんたのせいで……あんたのせいで、わたしがどんな思いをしたかっ!
そんな風に笑っていられるのも、わたしがあんたの代わりに男達の犠牲になったからでしょ!?
許せない、ぜったい。あんたもわたしと同じようなひどい目に遭わせてやるっ!!
凶暴な感情が生まれました。黒く長い髪をたらして、顔面蒼白でブツブツと
呟きながら歩く女子高生。はたから見たらさぞ不気味だったと思います。
そんなわたしでしたから、周りに注意を払っていません。
「よお、元気ぃ?」
学校からの帰り道。声をかけられても気がつきませんでした。
たしか、明るいうちに家に帰りたかったので時間は四時頃だったと思います。
プッ、プーとクラクションが耳をつんざき、わたしはやっと足を止めました。
横付けされた黒い車に、今度は足がすくんで動けません。コウと助手席にタケが乗っていました。
乗れよ、とタケが後部座席をアゴで示します。家は目と鼻の先でした。
「この間のこと、近所中にバラすぞ」
つづけざまに脅されたわたしは、あきらめて車のドアに手をかけました。
「和美ちゃんだっけ、ちょっと痩せた?」
コウは黙り込んでいるわたしをチラリと見たあと、車内に流れる曲を口ずさみながら運転をしていました。
また犯されるのは百パーセント確実です。わたしの気持ちはどんどん沈んでいきました。
十分ほど走って着いた場所は、広い庭のある二階建ての大きな家です。
立派な門柱には塚原と記された表札がかかっていました。
二階のテラスに続く外階段が設けてあり、そこに引っ張っていかれます。
「お待たせ〜」
コウが陽気な声を上げながら、わたしの背中を押します。
やっぱりというか、テラスから部屋に入れられると、そこには塚原とヒロが待ち受けていました。
そして当然のようにわたしは輪姦されました。同じことの繰り返しになるので話を端折ります。
前回と違うのは、全裸にされてビデオに撮られたことです。
なにも身にまとっていない状態というのは、とても恥ずかしくて頼りなくて、恐ろしかったです。
自分の弱さや無力を思い知らされます。撮影したビデオを見せられました。
ペニスを咥えているわたしの横顔。抜き差しされるごとに絡みつくピンク色の襞。
ズチャズチャと不快な音がばっちり入っています。精液が流れる局部のアップ。
むごたらしい映像に、わたしは顔を背けました。ショックが大き過ぎて涙も出てきません。
どうして、こんな……わたし、ばっかり……どうして、どうしてっ! わたし……なにか、悪いことした?
してない……したのは、あの女。あの女が悪い。あの女のせいで、こんな……もう、いや。
いやいやいやああああっ! あの女が憎い。憎い憎い憎い。
「明日もここに来いよ。ガッコ終わったらそっこーでな」
塚原の命令に、なにかがぶちんと切れました。唇が勝手に動きます。
「……なんでも、言うこと聞くから。あの女を……ズタズタにして。同じ目に、ううん、
死んだほうがマシって思えるくらい、もっとひどい目に遭わせてやって、お願い……」
積もりに積もったうっぷんが爆発しました。急にしゃべり出したわたしに驚きながらも、
男達は”あの女”が誰なのかすぐにわかりました。というか、わたしがいつそれを言い出すのか、
待っていたようなフシがありました。女ってこえー、とニヤニヤしながら全員話に乗ってきました。
わたしは学校や家にバレないようにして欲しいと頼みました。具体的にいうと、
体の見える部分に傷をつけたり、帰宅時間が遅くならないようにです。
「せっかくのオモチャを取り上げられたらつまんないしな」
ヒロがずるそうに笑いかけてきます。わたしの要求に他の男達も異存はないようでした。
”オモチャ”の中にわたしも含まれているのはわかっていましたが、もうどうでもよくなっていました。
わたしは復讐に燃えました。それまでのウツウツとした気分が吹き飛び、心はウキウキと
弾みました。すごいですね。人間、開き直ったらいくらでも残酷になれるんですね。
これで後戻りはできないと思った時、後悔は微塵もありませんでした。
復讐の方法は男達に任せました。わたしは呼び出し役です。サボって海に行って以来
わたしは部活を休んでいましたが、優子は何事もなかったかのように出ていたので、平日は難しそうでした。
部活を理由に断られそうです。部活後だと警戒されそうだったし、帰りが遅くなるのでダメです。
その結果、部活が休みになる日曜日の昼過ぎに実行することが決まりました。
当日は梅雨明け宣言がされたばかりで、いい天気でした。
「話がある……公園で待ってる」
わたしは強い口調で用件だけ伝えて電話を切りました。心臓がバクバクしました。来る、来ない――。
あのことがあってから、優子とは一言も口を利いていません。お互い避けていました。
わたしに負い目を感じているだろう優子は迷いながらも、来る、と思いました。
一番暑い時間帯で、公園に人影はほとんどありませんでした。ここはお互いの家の
中間地点にあり、散歩を楽しんだり待ち合わせの場所にとたびたび利用していました。
わたしは木陰のベンチに座って待ちます。ジージーとセミの鳴き声がやたらうるさく感じたのを覚えています。
ハアハアと荒い息遣いがして、顔を上げるとクロ丸がしっぽを振っていました。一人で来るのは不安だったのか、
優子は飼っている犬と一緒に現れました。ノースリーブの花柄ブラウスにデニムのスカート姿でした。
クロ丸は名前からわかるとおり、色が黒くてしっぽが丸まったオスの中型犬です。
二年前、クロ丸はこの公園に捨てられていました。わたしの家は引越しが多いのでペット禁止です。
優子はひと目で気に入り、抱いて帰りました。母親に反対されたそうですが、三つ上のお兄さんが
味方についてくれて、飼えるようになったと嬉しそうに次の日報告していました。
「和美……髪……」
小さい声でそう呼んだきり、優子はうつむいていました。アップにした髪のほつれ毛が、
ふわふわと揺れていました。わたしは前日に、背中の中ほどまであった髪をばっさりと切っていました。
ぶかぶかの半袖シャツにハーフパンツを穿いて、少年のような格好です。
男達の関心を失わせるためにしたことでしたが、浅知恵でした。たいした効果もなく、
わたしは夏の間性欲処理に利用されました。とにかくヤレればいいんですね、この年頃の男は。
男達の性欲は底なしで、サル並でした。ふふ、サルとしたことはないのでよくわかりませんが。
話が前後してしまいました。戻します。
うなじに太陽があたるのは久しぶりでした。チリチリと熱かったです。
クロ丸がわたしの膝に前アシを乗せて、ハアハアと嬉しそうに見上げてきます。
わたしは頭を撫でてやりました。ザザッと音が聞こえて、木の影に隠れていた男達が飛び出してきます。
優子がはっとあたりを見回した頃には完全に囲まれていました。二週間前の土曜日の再現を見ているようでした。
青ざめて引きつった顔。両目を大きく見開いて、わたしと男達に視線をさまよわせています。
わたしはその様子を冷ややかな気持ちで眺めていました。
優子の反応は、想像していたものとは少し違いました。男四人が相手で勝ち目はないとわかっていても、
最後の最後まであきらめないと思っていました。必死に抵抗して、大声で助けを呼ぶと思っていました。
ところが目の前の優子は、じりじりと詰め寄る男達に対して、やめて、と弱々しく言うだけです。
塚原とヒロに両脇から腕を掴まれた優子の顔は、恐怖と絶望に覆われていました。
それは、わたしの望んでいたとおりです。でも、かすかに安堵の色を浮かべたのは予想外でした。
わたしが見たかったのは、そんなんじゃない。泣き叫んで、暴れなさいよ。
わたしにハメられたと知って、くやしがる顔を見せなさいよ。そうしたら、せせら笑ってあげるから……。
優子の態度は、まるで逃げるのに疲れた犯罪者が警察に捕まってほっとしている。
そんな風に見えました。なに、なんでもわかったような顔してるの!? イラつきました。
優子は素直に車の中に入っていきます。拉致が成功しても、わたしの気分は晴れません。
クロ丸はきょとんとした顔をしていました。少しもめましたが、犬も一緒に連れて行くことになりました。
助手席に座ったわたしの足の間でクロ丸はおとなしくしていました。後ろに乗った優子も
塚原とヒロに挟まれて静かにしています。タケは原付で車のあとを追ってきていました。
行き先は、あの外から部屋に自由に出入りできる塚原の家です。
ええと、言い忘れてましたが、男達は高三で誕生日が早いコウだけが車の免許を持っていました。
車は塚原の家の持ち物で、何台かあるうちの一台でした。やや厳しい家で育ったわたしからすると、
やりたい放題の塚原の家は異常でした。不動産会社を営む父親は愛人宅に入り浸っていて、
ほとんど帰ってこない状態らしく、広い家には母親と一人息子の塚原だけが住んでいました。
その母親もおかしな宗教にハマっていたようで、奇声を発しながらポクポクと太鼓を叩く音が階下から
しょっちゅう聴こえていました。通いの家政婦さんがいたようですが、わたしは姿を見たことはありません。
そういうことは何度も呼び出されているうちに、おしゃべりなコウから知りました。
とんとん拍子にコトが進んで男達は上機嫌でした。ましてや、優子は可愛くてスタイル抜群です。
男達のテンションは否が応でも上がります。すごいスピードで塚原の家に到着しました。
お神輿を担ぐような勢いで優子を部屋に連れていきます。わたしはリードを外階段の
手すりにくくりつけ、しゃがみました。くりくりした目でクロ丸が無邪気にしっぽを振っています。
わたしはむしょうにやるせなくなってきて、クロ丸の背中を撫でながら独り言を呟いていました。
「オマエ、飼い主守る気ぜんぜんないね。ふふ……役立たず。あとで叱られるよ、たぶん。なんで吠えな
かったんだって、なんで噛みつかなかったんだって。オマエのせいだって……恨まれるかもね。ふふ、ふ……」
部屋の窓ガラスを開けると、優子の声が聞こえてきました。
「引っ張らないで。――自分で脱ぐから」
わたしは不思議でした。これから犯されるというのに、どうしてそんなに気丈でいられるのかと。
優子は部屋の中央に立ち、震えながらも男達を睨みつけていました。
わたしとは視線を合わせようとしません。男達は円になって座り、はやし立てました。
「ストリップ! ストリップ!」
「ヒューヒュー、いいぞぉ」
「おっぱい早く見せろー」
すとんと足元にスカートが落ちました。ブラウスのボタンを上からはずしていきます。
あまりにも淡々と脱いでいく優子に、わたしのほうがかえって緊張しました。
男達の前で下着姿を晒している優子――。白地に水色のレースをあしらったブラジャーと
ショーツでした。本当は相当恥ずかしかったと思います。なのに顔には出さずに、
というか怒ったような顔つきで優子は背中に手をまわしました。そして、ぐっとアゴに力を込めたのと
同時にブラジャーが緩みます。大きな乳房がこぼれました。手足は小麦色に焼けて健康的なのに、
胸元や内股がまぶしいほど白くてなまめかしくて、どきりとしました。中三の修学旅行でのお風呂や、
高校生になってからも一緒にプールで泳いだりと見る機会はありましたが、こんなにじっくり優子の
裸を見たのは初めてです。女のわたしでも触ってみたいと思うくらい柔らかそうできれいな体でした。
最後の布きれが足元に落ちます。視線が一点に集中しました。男達はよだれを垂らさんばかりです。
クーラーはかかっているのに、部屋の温度が一気に上がったような気がしましました。
「……ちゃんと、避妊をして……」
「ハア? なに寝ぼけたことぬかしてんだ。んなことするわけねーだろ。オラッ」
塚原は優子の頼みを退け、乱暴にベッドに押し倒しました。目の前にあるきれいな体がズタズタにされる――。
そう思ったとたん、ぞくっと鳥肌が立ちました。ぞっとしたんじゃなくて、ぞくです。ぞく。わたしは興奮していました。
優子がけがされることに。わたし、内心いざとなったら自分は後悔するんじゃないかと思っていました。
それが……いえ、たしかに後悔はしていました。足を大きく開かされている優子を見て、
ああカワイソウ……悪いコトした……と思いますが、どこか他人事です。
痛ましいニュースを聞いて、反射的にカワイソウと感じる気持ちに近いものでした。
塚原が腰を沈めて、優子の整った顔が歪みました。わたしの胸に暗い喜びが広がります。
白いものをまっ黒に、まっすぐなものをねじ曲げたい衝動に駆られます。
サイテーだ、わたし……そう思うこと自体にも興奮していました。
まさか自分に、こんなドロドロした感情が潜んでいるとは思いもしませんでした。
なんだか呆然としてしまって、わたしは力が抜けてずるずるとその場に座り込んでしまいました。
「ちぇっ、こいつ処女じゃねーじゃん」
腰を振りながら、不満そうに吐いた塚原の言葉にわたしは驚きました。
「マジで? 清純な顔してヤリまくりかよ」
「どうりでスケベな体してると思った」
がっかりした空気が流れたあと、男達はにやつき、たちまち危険な感じに変わっていきました。
そういうことなら遠慮はしない、思う存分ヤっちゃうよ、そんな雰囲気でした。
わたしはというと、最初にチラッと言いましたが、”裏切られた”と思っていました。
まるで恋人に浮気をされたかのようなショックです。ヘンですよね、そんな風に感じるのは。
それに、塚原の言葉を簡単に信じたのもヘンでした。いったいどうしてなのか……。
優子は出血しませんでした。でも、それが理由ではありません。いくら無知なわたしでも、
血が出なかったからといって非処女だとは思いません。優子の裸を見た時、アレって思ったんです。
女性のたしなみだと言われればそれまでですが、優子の……下の毛は、きれいに整えられていました。
わたしはそれを見た瞬間、自分のと比べて恥ずかしくなりました。それまで他人の股間をまじまじと
見たことはありませんでしたし、女同士でもその手の話をオープンにできないわたしは、
ヘアを短くカットする発想がなかったんです。ボーボーでした。優子の処理された股間に、
わたしは成熟したものを感じました。ヘアだけじゃないですね。優子の体から発散される色気に
圧倒されました。だから、塚原が処女じゃないと言った時、直感的に信じたような気がします。
いまでこそ思ったことを言葉にできていますが、この時は状況についていくのが精一杯で
考えるどころの騒ぎではありませんでした。塚原は上気した顔で体を動かしています。
優子の腰を掴んで、何度も何度も打ち込んでいました。反動で優子の張りのある胸が揺れます。
他の三人はいまかいまかと待っていました。ヤル順番に不服そうでしたが、リーダーであり
スポンサーでもある塚原には逆らえないといった様子でした。
当たり前のように中出しした塚原がトランクスを穿いて部屋を出て行きます。
ベッドではタケが優子の体を二つ折りにして挿入しているところでした。お尻の穴まで見える、
無残な光景でした。タケが目茶苦茶に突きまくります。チャッ、チャッ、チャッとまるで卵白を
泡立てるかのように掻き回していました。あぶくとなった精液が、優子のお尻を伝っていきました。
(つづく)
素晴らしい。
(*´д`*)ハァハァ
本当にGJ!!
続きが気になって気になって眠れない!
>>176の続き
服を脱ぐところから全部、わたしと同じように撮影されていました。
レンズをのぞくヒロの目が据わっていて、とても不気味でした。バタンとドアの音がして振り向くと、
手にT字かみそりとシェービングフォームを持った塚原が立っていました。
「あはははは、ツルツル〜」
「なんかすげーやらしくね?」
「マンコまる見え!」
男達は手をたたいて喜んでいます。優子の股間は見事に剃られ、
生々しい一本の筋があらわになっていました。わたしは自分が剃られたわけでもないのに、
股間がヒリヒリして落ち着きませんでした。ガタガタと机の引き出しを探っていた塚原が、
あったあったと嬉しそうに言いながら優子の足の間に座り、太いマジックインキでなにかを書き始めました。
「ハハ……こんなんじゃもう彼氏とセックスできねーな。代わりに俺らがヤってやるからよ」
塚原のギョロッとした目が満足そうに光りました。おヘソのすぐ下から割れ目に向かい、
”肉べんき”と汚い字で黒々と書かれていました。優子はその落書きを泣きそうな顔で見ていましたが、
涙はこぼしません。キッと唇を噛んで、声も洩らしませんでした。そういう強情な態度に男達はカチンときたようでした。
「コウ、おまえ仰向けでオマンコに入れろよ。俺はケツの穴をいただくから」
ひゃっひゃっひゃっ、とヒロは楽しそうです。この男は四人の中で一番残忍でした。
いたぶって喜ぶ性癖があったんだと思います。コウがイヤイヤと首を振る優子を捕まえて、対面座位で貫きました。
そして、がっちりと背中に腕をまわしたまま後ろに倒れます。優子のお尻の穴が晒け出されました。
スミレ色をした窄まりに、ヒロがダラーと唾液を垂らしました。それを指で塗りたくります。
ずぶっと指先が埋まり、優子の肩がびくんと跳ねました。悪魔のような顔とはこのことでしょうか、
ヒロは薄い口や目を三日月のように曲げて、指を出し入れしだしました。優子の背中がひくひくと波打ちます。
下にいるコウはやべえ、やべえと騒いでいました。わたしは喉がカラカラで、瞬きもせずに見入っていました。
ヒロがおもむろにペニスを握り、唾液でベトベトに光る窄まりに亀頭を押し当てました。
「こっちの穴は初めてか? おおっ、しまる〜」
信じられませんでした。あんな小さいところに……。ヒロのペニスがぐにぐにと入っていきます。
優子はとても苦しそうでした。口をぱくぱくとさせ、声にならない悲鳴を上げていました。
「ひゃー、チンコやべっ。ヒロ、うごくな……って、んあ、でるっ!」
コウが女の子のようなあえぎ声を洩らし、足をピンと伸ばしていました。ヒロはお構いなしに抜き差しを
続けています。ついこの間まで処女だったわたしにとって、二穴レイプは想像を絶しました。
ヒドイ……そう思うのに怖いもの見たさの心境でしょうか、アクロバティックな体位に目が釘付けでした。
「あ、おまえデカくなってきたじゃん。すげー、中でチンポがこすれてたまんねー」
「いやだから、あんまうごくなって……マジ、やべぇ」
男二人は怒っているのか笑っているのかわからない、必死な形相です。絡み合う肉体は
汗まみれでした。はあはあと乱れた呼吸が聞こえています。それはわたしのものでした。
「おまえ、ムラムラしてんだろ。見てたらしたくなったんだろ」
気がつくと塚原がすぐ横にいて、どうよと言いながらハーフパンツの中に手を突っ込んできます。
下着の上からまさぐられました。ぐっしょりだな、というバカにした口調に、わたしは恥ずかしさと
情けなさに震えました。盛り上がった男の股間が飛び込んできて、目の前が熱くぼやけました。
細い指が、そろそろと動き出します。わたしは信じられない思いで見ていました。
ぱんぱんに膨らんだペニスをトランクスの中から引っ張り出しています。わたしの手が、です。
こんなのウソだ、イヤだと嫌悪しますがどうにもなりません。思わず、すがるような眼差しを塚原に
向けてしまいました。自分でも媚びた仕種になっているのがわかりました。最悪です。
「欲しいのかよ」
ヤメナサイ、という頭の中の声を無視して、わたしはガクガクとうなずいていました。
なにが、と塚原が訊いてきます。ぐっと言葉につまりました。それを言ったらおしまいだと思いました。
それなのに――、塚原の指がショーツの脇から侵入してきて、軽く撫でられただけでわたしはあっけなく叫んでいました。
「ほ、ほしいの……おねがい……チンポ……ちょうだい……はやくッ、チンポォォーーッ!」
あははサイコー、と塚原はひとしきり笑い転げたあと、
無言でわたしを四つん這いにさせて、穿いている衣服を一気にずり下ろしました。
寒い――。ぶるっと震えて、わたしは目を覚ましました。
頭がズキズキと痛み、一瞬ここがどこなのか忘れそうになりましたが、
なにも身に着けていない体にクーラーの冷たい風がまともにあたり、イヤでも思い出しました。
わたしは自分から挿入をせがみ、狂ったように腰を振り、よだれを垂らしながら失神したんです。
それほど長い時間ではなかったと思いますが、火照った体はすっかり冷え切っていました。
またぶるっと身震いしたわたしは、シャツを羽織ろうと頭の痛みに我慢しながら上体を起こそうとして――、
はっとしました。股間がツルツルになっていました。妙にスースーするなと思ったら、
気を失っているうちにヘアをきれいさっぱり剃り落とされていました。当然、そればかりではありません。
幼女のように無防備になった下腹部には、”性どれい”と書き殴ってありました。
男達の爆笑が耳に入りましたが、なんの感情も湧いてきません。
わたしはただただ文字を眺めていました。ふと視線を感じて見上げると、優子と視線がぶつかりました。
暗い穴のような目です。見ているけれど見ていない。心ここにあらずというか、
砕けてしまったというか。わたしも同じような目をしているのかな……。
急に虚しさに襲われました。なにかツキモノが落ちたように、優子への復讐心が消えていました。
これからどうなるんだろう……。考えてもわからないことは考えないようにしました。
思考停止と自暴自棄のセットは夏休みに入るとさらに拍車がかかりました。
七月の終わり頃生理がやってきて、ほっとすると同時に暗澹たる思いに囚われます。
ですが、なんとなく自分は妊娠しないような気がする……などと、根拠のない自信にしがみつき、
無理矢理不安を押し込めました。無茶苦茶もいいところです。幸い妊娠はしなかったので
それだけが救いでした。余談ですが、去年婦人科系の病気にかかった際、妊娠しにくい
体質だと告げられ、まったく根拠がないわけでもなかったんだなと思ったものです。
ほぼ毎日セックスをしていました。場所は塚原の家がほとんどでしたが、
最初にレイプされた海岸に連れ出されたり、大型スーパーの駐車場の片隅に停めた
車の中でされたりもしました。わたしは男達に言われるがまま、体を提供していました。
悲しいことに、男達の要求に応えるのはさほど難しいことではありませんでした。
プライドなんてカケラも残っていません。完全に屈服、服従。まさに”性どれい”です。
自転車の乗り方を一度覚えると忘れないように、わたしの体はどうすれば快感を得られるのか
覚えていました。勃起したペニスを見るとうずきます。パブロフの犬状態で濡れてきます。
膣の中がいっぱいになると、意識しなくても体が自然と動きました。わたしはひたすら快楽を貪りました。
優子は一見従っているようで、芯の部分では屈しない強さを秘めていました。
ふとした時、暗い目の奥が怒りで燃え上がります。男達も敏感に敵意を嗅ぎ取るのでしょう。
優子への仕打ちは徐々にきつくなっていきました。反対にわたしに接する態度はゆるくなってきます。
ちょっと違うかもしれませんが、釣った魚にエサはやらない、といった感じでしょうか。
現に、呼び出される回数も減っていました。願ったり叶ったり。このまま飽きて放っておいて欲しい。
そう思う一方で、胸にぽっかり穴が空いたような気分でした。何事もなく二日、三日過ぎていくうちに
落ち着きがなくなってきました。イライラソワソワと明らかに情緒不安定です。もしかして……、セックス中毒?
愕然としました。すぐさまその考えを蹴散らします。現実逃避ならお手のものでした。
お盆休みに入った頃、唐突に終止符が打たれます。父の転勤が決まったんです。
よほど気の抜けた顔をしていたのか、母が心配そうな声をかけてきました。
「せっかく良い高校に入ったしねぇ。どうしても転校が嫌だったら単身赴任という手もあるけど……」
「え……あ、ううん。大丈夫。もちろん一緒について行くよ」
わたしの力強い返事に両親は安心した様子で、さっそく九月の新学期に合わせて
引越しの準備が急ピッチで進められました。その間にもちょこちょこ男達に抱かれていました。
わたしはこの悪夢から抜け出せるけど優子はこれからも生き地獄が続くんだなと思うと、
申し訳なさでいっぱいになりました。そうはいっても、もうじきいなくなることを誰にも話すつもりは
ありません。わたしはどこまでもずるい人間でした。本当に気がかりだったのはただ一つ、
ビデオテープに収められた猥褻な映像です。アレをなんとかしなくてはいけない。
初めこそ哀れな被害者として映っていますが、最近撮られたものはセックスに溺れる姿を
晒していました。淫乱娘の性的ビフォーアフターとタイトルがつけられそうなシロモノです。
その二本のテープを奪うチャンスはなかなか訪れず、焦りと不安で押しつぶされそうでした。
あんな……自分の淫乱ぶりを赤裸々に証明するようなモノを残してなんていけない。
アレがなくなれば……アレさえなければ……、わたしは新しく生まれ変われる――。
いつしかわたしはビデオを処分すればなにもかもなかったことにできる、と思い込むまでになっていました。
そしてチャンスはやってきます。引越しを明日にひかえた夕方のことです。
いまだテープを手に入れることができず、こうなったらもう強奪するしかないと破れかぶれになったわたしは、
自転車に乗って家を出ました。真っ赤な太陽は半分ほど沈み、あたりをオレンジ色に染めています。
その中をひたいに汗をにじませて塚原の家に向かいます。公園に差しかかった時、
前方に見覚えのある後姿が目にとまりました。クロ丸を連れた優子です。間違いありません。
その前後を挟むように塚原とヒロが歩いていました。優子は男達に呼び出されると、
犬の散歩と偽り家を出てくることがありました。三人はわたしに気づかず公園に入っていきます。
わたしも経験があるのでピンときました。たぶん公園のトイレに連れ込まれるんだな、と。
コウとタケの姿が見当たりませんが塚原の部屋にいるとも思えません。
テープを盗み出すチャンス……一時間は大丈夫だろう。わたしは冷静に計算していました。
猛スピードで自転車を漕ぎ塚原の家に着くと、何食わぬ顔で敷地内に侵入しました。
外階段をすばやく駆け上り、カギのかかっていない部屋の中へ体を滑り込ませます。
知らない間に息を止めていたようで、深呼吸をすると悪臭が胸に広がりました。
閉め切った室内は蒸し暑く、よどんだ空気が充満していました。男達の汗や精液の臭いが
まとわりつき、クラクラしました。目眩とともに体の奥がじんと痺れます。
わたしは頭を振り、問題のテープを探しました。ビデオを管理していたヒロは几帳面な男で、
カズと印刷されたラベルが貼ってあるテープは簡単に見つかりました。念のため中身を確認します。
一本は虚ろな表情で悲壮感が漂うモノ。もう一本は我を忘れて肉欲にふける少女が映っていました。
背中は汗でびっしょりです。Tシャツが張り付いていました。本当に……これを処分すれば
生まれ変われるのかと、一抹の不安がよぎりましたがグズグズしてはいられません。
わたしはビデオテープをしっかりと抱えて、一目散にその場から立ち去りました。
帰りのペダルは途方もなく重く、ちょっと休むだけ、と自分に言い聞かせて公園に立ち寄りました。
本心はあのあとの優子が気になっていたからです。明日からは無関係。見納めみたいな
気持ちがありました。寂しいような愉快なような……どう考えても悪趣味ですね。
導かれるように自然と足は公衆トイレに向かいます。陽は完全に落ちていましたが、
まだ暗くなりきっていません。ワオオォーン。紺色の空に吸い込まれていくような犬の遠吠えが
耳に届きました。クロ丸? あんなおとなしい犬が珍しい……。もの悲しい響きに胸騒ぎがしました。
ワォォン。また一吠え、トイレの裏の繁みから聞こえてきます。わたしは早足で近づき、
枝の隙間から向こう側をのぞき込みました。あっと声を出さなかったのが不思議なくらいです。
優子が下半身を脱いだ状態でうつ伏せに寝ていました。その上にクロ丸が乗っかっています。
じゃれているわけでないのは、緊迫した空気でわかりました。人と……、犬が、交わっていました。
もうなにが起きても驚かないと思っていましたが、フルスイングで殴られたような衝撃です。
ハァハァと人間の男と同じように荒い息を吐いて、クロ丸が腰を小刻みに揺らしています。
あ、ありえない……自分の目を疑いました。飼い犬に手を噛まれるどころか、ヤラれてしまうなんて!
し、信じられない……ヨロヨロと後ずさりします。もしかしたら悲鳴を上げていたかもしれません。
どこをどう走って家にたどり着いたのか、わたしは真っ暗な部屋でうずくまり、ぶるぶると震えていました。
一睡もせず朝を迎えました。引越し作業は慣れたもので、予定より早く新しい家に落ち着きました。
わたしは現実感がありません。昨日のことは、夢じゃないよね……。白い肌に重なる黒い獣毛。
獣姦――。驚愕の光景がこびりついて離れません。荷解きする手がたびたび止まりました。
そのうちひどい疲労感が全身を覆い、夕飯もそこそこに眠ってしましました。
夜中、電話のベルで起こされます。優子の母親からでした。
優子が昨日から、正確には一昨日ということになりますが、犬の散歩に出たきり帰ってこない。
「か、和美ちゃん、優子からなにか聞いてないかしら? あの子の行きそうな場所、わかるかしら?」
と、取り乱した様子で矢継ぎ早に尋ねられました。新しい家の電話番号は、事情を説明して学校から
教えて貰ったと言っていました。仲がいいはずのわたしが転校することを、なぜ優子から知らされていないのかと
不審に思う余裕はないようでした。わたしも気が動転していたんでしょうね。とっさに浮かんだ秘密の場所を
ぽろりと洩らしていました。放課後、二人きりで過ごした砂浜。楽しかった場所から急転直下、
忌まわしい思い出がつまる最も行きたくない場所の一つ。あんなところに行くわけないと思いつつ、
イヤな予感を覚えながら道順を説明して電話を切りました。
昼前にまた電話がありました。依然として優子の姿は消えたままだけれど、
砂浜でクロ丸が死んでいるのを見つけた、と沈痛な声でした。頭部がぐちゃぐちゃで、
そばには血と動物の毛で汚れた大きな石が転がっていたそうです。
やったのは優子だ、と思いましたがそんなこと言えるはずありません。押し黙っていました。
あの日、同じ年頃の男の子と公園を歩いていたという近所の人の目撃情報があったらしく、
「優子は誰かと付き合っていたのかしら? 思い当たることがあったらなんでもいいから教えてちょうだい」
「わたし……知りません。見たことも聞いたこともありません」
懇願する優子の母親に、わたしは言葉少なに答えるのみです。嘘はついていません。
本当に彼氏のことは知りませんでしたから。でも考えて考えて。実は、思い当たることがないでもありませんでした。
あれほどいつも一緒にいたんだからなにかヘンだと思うことがあったはず、と慎重に記憶の糸をたどってみたんです。
そして、優子がよく口にしていた異性の名前を思い出しました。
タカちゃん――。隆という名の実のお兄さんでした。灯台下暗しです。家に遊びに行った時、
一度だけ見たことがあります。背が高くて、やさしそうな感じの人でした。
正直言って、優子のお兄さんにしては普通だなと拍子抜けした覚えがあります。
『タカちゃんがね――』が口癖で、言い寄ってくる男の子には見向きもしない、優子は絵に描いたような
お兄ちゃん子でした。そんな優子がお兄さんのことを話さなくなったのに気づいたのは、中三の冬。
暮れも押し迫った頃です。でも、当時のわたしはそれを別段不思議には思っていませんでした。
優子に限らず、まわりの生徒も受験をひかえて口数が減っていましたから。
とりわけ優子の家は高校と大学のダブル受験だったので、大変なんだろうなと思っていました。
それにお兄さんは合格したら家を出て行ってしまうと聞いていたので複雑な心境なんだろうな、とも。
優子から話があるまではそっとしておくのが一番、とわたしは黙って見守っていました。
あの頃、二人の間になにかあったんでしょうか? もし仮に優子がお兄さんと関係を持っていたとしたら、
そう簡単に打ち明けられるものではないですよね。わたしが知らなかったのも腑に落ちます。
本当のところはどうだったのか、わたしにはわかりません。あくまで想像です。
安易に口にすべきことではなく、優子の母親から時々思い出したように電話がかかってきましたが、
話せませんでした。むろん、男達に陵辱されていたことも口が裂けても言うつもりはありません。
わたしは最後まで”知りません”を貫き通しました。母親からの電話は、わたしが高校を卒業する頃
ぱたりとなくなりました。家出する理由に心当たりはなく、警察に捜索願を出しているけれど梨のつぶて。
もし優子から連絡があったらすぐに知らせて欲しい、と疲れた声を聞いたのが最後です。
ええ、そうですね。優子の失踪やクロ丸が惨殺されたことは男達の耳にすぐ入ったと思います。
原因が自分達にあることもすぐにわかったでしょう。わたしは男達の口からバレるんじゃないかと
恐れていました。特に口の軽いコウは、武勇伝のごとく自慢げに吹聴しまわりそうでしたから。
しばらくびくびくした毎日を過ごしていましたが、一年経ってもなにも起こりません。
余計なことをしゃべり警察沙汰になったらヤバイと考え、塚原あたりが口止めしたのかもしれない。
そうこうしているうちに男達の記憶も薄れ、どうでもよくなったのかも……。
わたしはそう思うことで、やっと少しだけ安心することができました。
優子ですか? わたしはどこかで生きていると思っています。どうして、と訊かれても困るんですが……。
可愛がっていた飼い犬を殺すほどの激しい感情、強いエネルギーを持っているのなら、
”生”に対する執着心も強いような気がするんです。もっとも、クロ丸を殺したのは優子だと
決めつけているのは間違いで、優子の両親が考えているように、なんらかの事件に巻き込まれた
可能性もあるでしょう。それでもやっぱり、優子が死んだというイメージはどうしても浮かびません。
――これですべて、お話ししました。そろそろ帰らせてもらってもいいですか? わたし?
ああ……ビデオテープ。処分すれば生まれ変われるだなんて、わたしも随分虫がいいこと考えてましたね。
なにもなかったことにするなんて、できるわけありません。あの夏、突然降りかかった悪夢の反動は、
じくじくとわたしを蝕んでいきました。何度も言うようですが、わたしは処女だったんです。
超がつくほど奥手の少女に、男達の行為は晴天の霹靂の連続でした。
中でも強烈な印象を残したのは、人間と動物の性交です。心に深い影を落としました。
わたしはいつの間にか人を見ると、モグラみたいな顔とか声まで豚そっくり、と動物にたとえるクセが
つくようになっていました。これだけ聞くと、別にどうってことのないお遊びみたいなものだと思うかもしれませんが、
切実でした。牛、馬、ヤギ……動物が頭に住み着いてわたしを悩ませます。どんな感じ? 犬のペニスって、と。
一度意識するともうダメでした。してはいけないことをするのって、どうしてあんなに魅力的なんでしょうね。
レイプによって男性恐怖症なり同性に走る場合があるようですが、わたしは対人恐怖症から動物に走りました。
知ってますか? 犬のペニスには亀頭球というコブみたいなものが根元にあるんです。
射精が始まると、そのコブが膨らんできて終わるまで抜けません。犬の射精は三十分以上は続きます。
至福の時です。大きさや長さは人間のものと比べても引けを取りません。大型犬なら、むしろ立派。
うっとりするほどきれいなルビー色……。ふふ、こんなことまで話すつもりはなかったんですけどね。
昔に比べると、強くなったというか図太くなったというか……。
ある意味、わたしは生まれ変わったと言えるのかもしれません。
(おわり)
こんなに長いのを書いたのは初めてです。
ついでに言うとエロパロ板デビュー作。完結できてよかった。
最後までお付き合い、ありがとうございました。
リアルタイムキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
お疲れ様です
とても初めてとは思えないです(*´д`*)ハァハァゴチソウサマ
長編書手からの続き・・・
GJ!!長編お疲れさまでした
陰惨な最後だけど、エロさが失われてなくて読んでてゾクソクしました
しかし、優子…どうなっちゃったんでしょうか。気になります。
GJGJ!!優子カムバァァックー!!!
優子のその後を期待してる!
2週間ぶりカキコ・・・・・誰か書いて(´・ω・`)
レナがあの義父との一発だけであんなにやさぐれるとは思えないんだ(´・ω・)
堕ちて行く様が見たいです(´・ω・)
ポケモンからです。
ヒカリが妊娠した。
「‥ごめん、ヒカリには酷い事をしたけど、ここまでする気は無かった」
「……今さら」
「流石に赤ちゃんいるのに酷い事は出来ないな。どうする?堕すか?」
「しばらく考えさせて…」
長い沈黙の末、ヒカリの出した答えは「産む」だった。
自分が酷い仕打ちを受けたからとはいえ、胎児には罪は無い。
せめて汚された自分にできる唯一の未来ある行動として選び出したのだと思う。
その日から陵辱は止み、軟禁こそ続いたがある程度解放された。
荒みきった心身も腹の子の成長と共に、だんだんと立ち直りを見せ、少しづつ笑顔が戻ってきた。
そして数ヶ月が過ぎ、ついに分娩される時がきた。
経緯も経緯で、まさか他人を呼ぶわけもいかないので、この時の為に独学だったが出産方法を試み、予想以上に難儀したが無事に赤ちゃんを取り上げることに成功した。
その喜びは意識が朦朧としていたヒカリにすら伝わっているのだと感じた。
‥なんて愛おしいのだろうか。
産まれたばかりの赤ん坊の眩い姿、そして幼い体でありながらも必死の思いで「母」となったヒカリ…。
俺は、うっすらと目を開いてかすかな笑みを見せたヒカリに言ってあげた。
「おめでとう」