719 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 15:13:06 ID:VOeCHmXG
リン綾イイヨイイヨー!GJダヨー!!
リンさんが予想以上に変態で引いたよー(褒め言葉)
sage忘れましたスイマセンほんとスイマセン
前回のあらすじ:
変態なのはリンさんじゃなくて、樹じゃね?
リンさん見てただけなのに…クスンクスン
ひとしきり舌でぬぐったリンは、自分の濡れた唇を舐めると、熱を帯びた目で綾子を見つめた。
綾子は力無く目を逸らした。この男には暮れの光景も見られ、今しがた排泄まで見られた、とうに他人ではなかった。
「忘れて…」
目の前から消えてしまいたい、綾子の切なる願いだった。
「綾…」
掌で顎を持ち上げられ、涙の跡をなぞるように舐め回された。下の方でカチャカチャとベルトのバックルを外す音が聞こえる。
「…ああ…」
リンの嗚咽が闇に溶けた。こんな声も出るのかと、快楽の余韻と羞恥の間で漂っている綾子は、甘露な声を思考の端に刻んだ。
「んっ!んんんんんっ!」
リンは火照った自身を綾子に埋めると、腰を打ちつけはじめた。
「あんっ…これ以上は…これ以上は…ああ…」
自分を犯しているリンを見つめた、双眸は月を取り込んでいた。
そうだ、今日は、満月だった―――――――――
綾子の何度目かの絶頂の後、リンは精を放出した。足腰の立たなくなった綾子をリンは抱きかかえ、ベースへの道を歩いていく。
昼間はここを滝川に抱えられ移動した事を思い出したが、すぐにかき消した。今だけはリンのこと以外考えたくなかった。
肩に廻されたリンの腕の力が強くなった。
長いお付き合いありがとうございました。
次に投下する7話目で最後です。
7話目はエロシーンが皆無です。後戯にしても長いです。
実質エロパロの最終話は6話であるにも関わらず、
7話でスレを消費することを許して頂ければありがたいです。
もう見ることのない。
―――――――――聖なる侵入7
寝たような寝てないような感覚で目が覚めた。時刻は六時二十分、シャワーを浴びなくてはと、重い体を起こした。
「部屋…」
仮眠室ではなく、自分の部屋だった。
「…そうよね」
忌々しげに白んだ空を見つめた後、浴室に入った。まだリンは寝ているだろうと、細心の注意を払ってドアを閉めた。
古い家屋だが、風呂場だけはそれなりに新しくしたらしい。それでも一昔前のバランス釜だ。レバーを廻すと、金属を叩く音がして種火がつく。
あれほど細心の注意を払ったのに、派手な音だ…。風呂釜の小窓から種火がついたのを確認すると、シャワーヘッドからお湯を流した。
両手首にぼんやりと手の跡が付いている以外は、身体に跡は残っていなかった。
「明日には消えそうね」
わざと安心した口振りで声に出した。嗚咽をのど元で堪え、全身を清め始めた。
髪を流していると、一段階暗くなった気がした。照明は付けてない、ちらりと片目でドアを見た。
磨りガラス越しにぼんやりと黒い影が見えた。動悸がした。
髪を流し終えると、もう一度ドアを見ると、入った時と同じ光景だった。
落胆とも安堵とも言いしれない、沸き上がった感情を紛らわすために下腹部を洗うと、ひりつく痛みが走った。
「…痛い…」
痛みを堪えて指を入れると、リンの残滓がどろりと溢れた。綾子の涙も溢れた。
「…くっ…うっ…うっ…」
頭をタイルの壁に押しつけ、肩を震わせて泣いた。
磨りガラスがまた黒くなった。
片付けは昨日の内に麻衣達が殆どしてしまったようだ。手荷物だけ纏めると、仮眠室に忘れてきた巫女装束を思いだし、ベースに向かった。
「…おはよう…」
ベースではリンがワンセグ携帯でニュースを見ていた。会釈しながらゆったりと振り向いた。
既に上下背広で身を固めていた。爛れた匂いはしない、夜の内にシャワーを浴びたのだろう。
ただ、ネクタイがなかった。調査中、リンのネクタイの柄や色が変わったところは見ていない、あの拘束に使ったネクタイしか持ってきていなかったのか、だとしたら合点がいく。既に使えない状態になっているのだろう。
顎あたりにはポツポツとヒゲが生えていた。毎朝リンはヒゲを剃っている、何故今日に限ってと思った。
「…ごめん、占拠してて」
疑問にはすぐ答えが出た、脱衣所と洗面所が同位置にあったからだ。剃刀も洗面所に置きっぱなしだった。
「…朝食を摂って下さい」
第一声がそんなものかと拍子抜けした。そして、覚悟していたとおり、事務的な声だった。
仮眠室にある座卓の上にコンビニエンスのビニール袋があった、お茶とおにぎりが何個か入っている。ひとりで食べるには多すぎる量だ。
「買ってきてくれたの?ありがとう」
調理器具関連は昨日の内に麻衣達が片したのだろう。そう思いながら席に着くと、リンも綾子と向かい合うように座卓を囲んだ。
「待っててくれたの?」
返答は無かった。目を合わせることも出来ず、互いにおにぎりのセロハンを剥いて、もそもそと食べ始めた。
沈黙が痛い…。さっきから何か当てつけのように感じる。ジャケットを着ていなければまださほど感じなかった違和感も、かっちり身につけていることで、ネクタイがないのも、ヒゲが生えているのも、これみよがしに非日常を主張する。
朝食だって、リンも昨日は夕飯を食べなかったはずだ、空腹を我慢してまで綾子を待つ理由はない。そもそも待つような男ではないと、2年近く見てきただけわかる。
ともかく、ネクタイがないのも、ヒゲを処理していないのも、待たれることも、今まで無かったのだ。夜を境に、自分は異次元に迷い込んでしまったのではないかと不安に陥った。
「松崎さん」
思い詰めていると、声をかけられた。慌てて顔を上げる。
「予定では10時出発の予定なのですが、このままなら8時半には出れそうです。それとも少し休んでいかれますか」
「いいわ、早く出た方がいいでしょう?」
立ち上がるとさっさと自分の部屋に引っ込んだ。
綾子は体育座りになり、がらんとした部屋を見回した。
「松崎さん…か」
男は愛情が無くてもそういうことが出来るとは知っていた。一晩限りの仲だろうと薄々は感づいていたが、実際目の当たりにすると心臓が絞られるような痛みを訴えた。
洗面所から、リンが歯磨きをする音が聞こえる、そのうちひげも剃るのだろう。
プラス思考に考えれば、滝川を慕う自分に、逃げ道を与えてくれたのではとも思い浮かぶ。だからといってそれを受け入れられるほど自分は脳天気でもない。
「夢だったら…よかったのに」
夢ではない。体内に残っていた残滓も、腕の跡も、当てつけのようだったリンの変化も…。『夢と思うなよ』とリンに釘を刺されているんじゃないかとさえ思い始めた。
「そろそろね」
答えのでない思考に溺れないよう、支度をし始めた。そして車にわずかな荷物を詰めに行った。
普段機材を詰め込むバンは、昨日とうに滝川達が運び出したようで、ポツンとセダンタイプの白い車が止まっていた。恐らくリンの私用車だろう、バンでは輸送量が足りないから出したようだ。
「フーガの450GTか…維持費だけで相当よね」
これ以上、昨日のことは考えたくない、綾子は無理矢理思考を車に移した。自分個人としては直列6気筒の方が思い入れがあるが、最近は中身よりテールランプ等のデザインセンスの方を重視したいので、V8エンジンでもまあいいかもなと、一人ごちた。
使えと言わんばかりにベースに放置されていた車のインテリジェンスキーでトランクを開けようとすると、後ろからリンの制止がかかった。
「いつのまに…」
ひげはそのままだった。
「東京駅の八重洲降車口であなたを降ろします。荷物を出し入れする時間がない、後部座席に」
後部座席を見ると、片方は既にリンの旅行カバンで埋まっていた。
助手席には座りたくなかったが、致し方ない。空いている席に荷物を置くと、促されるように助手席に座った。
忘れ物があった気がする、しかし、出発前に全室を確認したが、何も落ちてはいなかったのを思い出す。
運転席にリンが着いた。フロントガラスに映ったリンの姿は、ネクタイがなく、ひげが生えている。どこかでみたことがあるなと思えば、報道やワイドショーでみかける、逮捕された…まるで…
咎人のようだった――――――――
運良く高速は空いていて、山々の風景をあっという間に駆け抜け、見慣れたビルの街並みが飛び込んできた。
どんなに飛ばしても3時間はかかるだろうと、出発時は気が重かったが、いざ走り出すと、昨日の疲れが一挙に溢れ、殆ど寝て過ごせた。不思議と夢は見ずに済んだ。
「あと15分程で八重洲降車口に着きます」
眠たそうに欠伸をした綾子に向かってリンは機械のように呟いた。
降車口――八重洲乗客降り口とは、東京駅地下に直結する首都高速の降り口で、高速を下車することなく、同乗者を東京駅に降ろすことが出来る場所だ。降車専用とあって降車用の車寄せはせいぜい2〜3台程度しかなく、もたもたしていると後ろに車が溜まってしまう。
高速で15分などすぐだ、手荷物のようなボストンバッグを足元に移した。
苦痛だったふたりの時間も、残り少ないと思うと途端に胸が締め付けられる。リンの横顔を見た。
「…何か?」
不愉快とも何ともとれない無機質な声は、綾子をさらに追いつめた。
「…ぁ…」
うつむいた綾子に更に問うこともなく、車は地下トンネルに入った。
再開発だ何だと騒がれているのに、八重洲口につながるトンネルはぼこぼこしていて鍾乳洞のようだ、古い字体で書かれた緑色の案内板も、違う時代に来てしまった感じを植え付ける。降車口はそれだけひそやかな場所なのだ。
あったことが幻のように感じる、しかし幻ではない。八重洲降車口は自分とリンの関係に似ていると綾子は思った。
薄暗いトンネルの途中、地下鉄のホームを小さくしたような降車口が見えてきた。
ハザードランプが点灯し、車は左に寄った。
「ありがとう、リン…付き合ってくれて」
リンを見ず、降車口に向かって呟いた。
「…綾、段差がある、気を付けて…」
びくんと背が張った。振り向くと、右手にハンドル、左手は助手席の背もたれに手をやり、身を乗り出したリンがいた。
その表情は半分前髪に隠れていたが、あの夜の顔だと判断がついた。
何か言いたげに唇が動いたが、気づかない振りをして綾子はドアを閉めた。
薄暗いトンネルへ白のフーガが吸い込まれてゆく。赤く丸いテールランプが見えなくなるまで、綾子は人のいない降車口に立っていた。
右でも左側でも、歩いていけば扉にぶつかる。なんとなく習慣で左に向かった綾子は、利用客を迎えるとは到底考えつかない重い扉を開けると、急すぎる横幅の狭い階段を登った。降車専用だから、上から降りる客はいないのだ。
階段を昇ると、あまりにも面積の小さい危険な踊り場に立った。従業員通用口のような小さな扉を開けると、八重洲地下街に出た。今までの静寂が嘘のように、喧噪にかき消えていった。
改札に向かって歩みを進めていると、ふと、朝思い出せなかった《忘れ物》を思い出した。
「巫女装束…」
部屋中探してもなかった、ということは…
後ろを振り返った、既に八重洲降車口への扉は見えなかった。
綾子の胸に、闇に溶けてゆく赤いテールランプが篝火のように赤々と燻り始めた―――――――
〈完〉
おつかれさーっしたぁあああ!
細かすぎるモノマネ選手権ならシャワー直後に有田に落下ボタンを押される内容で
非常に申し訳ないです。
ここまで忍耐強くおつき合いしてくださった住民の皆さんに改めて、御礼申し上げます。
続きとか、リンさんが覗いてた年末の話とかもそれなりに練っているので、
今作が好評ならば、調子こいてリンチ覚悟で発表してみたいと思います。
では、また会える日を願っております。
GJGJGJ!!
なんか切ねぇぇぇ!!
リンの最後の台詞に禿げしく萌えた。
続きを所望する!!!!
本当に良い仕事ありがとうございました!
巫女装束の行き先にドキドキしました
続きも期待してます
禿しくGJ!!神よありがとう!!ごちそうさまでした!!
んもうリンさんったら超変態(褒め言葉)な上にあやちゃんらぶだね。
3人での調査のときのあやちゃんの色香にふぉーりんらぶだったんだね。
そして神、長編完結お疲れ様でした。
続きも全裸に足袋であやちゃんの真似しつつお待ちしてますので、
是非またご降臨下さいませ。
他の神々のご降臨もお待ち申し上げておりますよ〜!
*・゜゚・*:.。..。.:*・゜('ヮ'*)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*
GJGJGJ!!!
リン綾、切ねぇ。この二人の今後も見てみたい!
ご自分のペースでいいので、続きお待ちしています。
GGGGGGGGGJJJJJJJJJJJJJJJJJJJJ!!!!!
最終話、胸がきゅんきゅんしすぎて心筋梗塞おこしそうでした。
ときめきボルテージMAXです。たまんないです。
神様たくさんのエロと萌えと胸きゅんを本当にありがとう。
是非とも神の波動球で再び打ちのめされたいです。
またのご降臨を心よりお待ち申しております!
いいもん拝ませてもらった……
またこの二人の話が是非読みたい。
神降臨を待つ!
何かリンさんが可愛く思えてきたよw
とにかくGJGJGJGJGJGJ!!!!!
続き期待してます!
覗き見編もみたいが、リンさんが調子こいた続編も是非見たい!
なにはともあれGJ!充実した日々をありがとう!
ドSなリンさんもいいけどドMなリンさんも見たい。
でもギャグにしかならない…orz
GJの連続だ・・・
すばらしいよ、おまいさん!
てか今気付いたんだけどナル麻衣ないね
ナル麻衣はぶっちぎりメジャーだから
ここで書かなくとも、同人誌やファンサイトで読めまくれる
からじゃないか?
たまには真砂子とジョンの事も思い出してあげてください
某エ□企画をwktkして見に行き、「ナル麻衣以外は単体でおながいします。」
の注意書きを見て泣きながら帰った自分が通りますよ
単体ってソロコンサート?
>>738 ナル麻衣の横でリンさんがちんちんシュッシュッなんて…
本当はナル麻衣を辱めるアンチナル麻衣集会じゃないのか
単体って聞いた瞬間に
イメージDVD的なものを連想した私が通りますよ。
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )
そのエ□企画とやらがどこなのかさっぱりわからない自分が通りますよ
同人サイトでやってるのでしょ
>>740 大自然に囲まれてちょっと大胆なジョンをみてください、とか?
巨根美少年
746 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 23:36:19 ID:IYoHeHgM
agege
前回投下した「聖なる侵入」の続編です。
続きはまだ出来ていなく、1話目は本番シーンも無いので
投下するのを躊躇していたのですが、
あんまりにも過疎っているので、他の神が来るまでのつなぎということで
読んでいただければ幸いです。
1
初めてリンに触れたのは、いつの日のことだっただろうか。
何時だったのかは憶えてはいないが、たまたま手に触れた時、酷く冷たかったのを憶えている。
けれども、あの夜のリンの手は、腕は、触られた部分が溶解する程の熱を帯びていた。吐息も、眼差しも、全てが熱かった。
思い出すだけで、熱が伝染する。
「だめ、思い出したら…」
頬を伝う涙でも、熱は冷ましてはくれなかった。
二週間ぶりのSPRは、綾子を暖かく迎えてくれた。
「綾子久しぶり〜」
「この間は迷惑かけてゴメンね、これ、お詫び」
ケーキの入った箱を渡すと、麻衣は小躍りをしながら給湯室に運んだ。
「松崎さん、僕も心配してたんですよ〜」
唇をとがらせながらおちゃらける安原に笑うと、周囲をぐるりと見回した。
「今日はあんたたち二人だけ?」
「所長とリンさんは外出中、今日のお客様は松崎さんだけですよ」
ため息が出たのは落胆か、安堵か…、気にする間もなく、ケーキと紅茶が出てきた。
「トイレに行くかケーキ食べるかどっちかにしたら?」
落ち着かない様子を麻衣に指摘されると、綾子は無意識に動いていた足を押さえた。
「トイレはあっち」
「トイレじゃないわよ」
綾子はバツが悪そうな顔で、ケーキを食べ進めた。
ナルとリンが帰ってきたら、この間のことを詫びるだけだ。何も特別なことは…
「……あ」
ドアの向こうから聞こえる足音を確認すると、そそくさとトイレに移動した。
「やっぱトイレじゃん」
「こだわりますね、谷山さん」
トイレのドア越しに聞き耳を立てると、予想通りカウベルの音に追従してナルを迎える麻衣の声が聞こえた。
リンが近くにいる、そう思うと総身が切なく軋んだ。
「じゃあリンさんの分は部屋ね」
リンが資料室に入ったことを確認すると、水を流して部屋に戻った。
「結局ローレルやめちゃったの」
「ええ、ビートルにしました」
頭を照れくさそうに掻く安原を、綾子はあきれ顔でみつめた。
「ビートルって、あの丸っこい可愛い車だよね、ルパンが乗ってるのだっけ?」
車に詳しくない麻衣にも、ビートルの形は分かった。
「なーんで『男は直列六気筒〜』とか謳ってたあんたが、よりにもよってビートルなの」
「知り合いが安く譲ってくれるって…」
少年らしくない、まごついた口調だ。
「…そーいやさぁ、あの車って真砂子がかわいいっていってたのじゃない」
したり顔で麻衣が言うと、安原はまいったなという顔をした。
「少年〜、あんたも意外とケナゲよねぇ」
あれほどエンジンにこだわっていた男が、真砂子の好みだけで車種を決めたのか。呆れを通り越して、逆に愛情の深さへ感心してしまう。
「やだなぁ松崎さん…僕は」
「いいじゃないいいじゃない、そういう軟派な男の方が、女には丁度良いのよ」
好きな女の為に、車を選ぶというのは、如何ほどの愛情なのだろうか。一度でいいから、それだけ愛されれて見たいものだと、綾子の口から思わずため息がこぼれた。
「はいはい、僕の話はここまでっ! それより今もっともタイムリーなのは助手席の話ですよ」
「助手席? もうそんなのにこだわってるの安原さんだけだよ」
「助手席? 何よそれ」
安原に尋ねると、安原は口に手を当ててひそひそと話し始めた。
「気持ち悪いわね」
「本人がいるんですよ、松崎さんもほら、ボリューム下げて」
眉をひそめながら、安原の話に耳を傾けた。
「ほら、リンさんが年始に車を買ったじゃないですか」
リンという単語に心臓が飛び出しそうになる。安原に感づかれないように平静を装った。
「それが何よ」
「絶対助手席に人や荷物を乗せないんですよ」
「…はぁ?」
「所長ですら乗せないんです、あの所長に絶対遵守なリンさんがですよ」
「あっそう」
そんなことはよくある話だ、バンならともかく私用車なら、色々こだわるところもあるのだろう。買ったばかりなら愛着もひとしおだ。
「それで所長がへそ曲げて大変なことに」
「そんなことでへそ曲げてる暇があったら、ナルも免許取ればいいのに」
麻衣が膨れ面で拗ねた。その姿に笑っていると、急に違和感が鎌首をもたげた。
「ちょっと待って、リンが買った車って…」
「フーガですよ、白の。この間の調査で持ってきてたじゃないですか」
色々なことが綾子の頭の中を駆けめぐる。あのナルですら拒絶した助手席、そこに自分は何時間も座っていた。
それも自主的ではなく、リンに促されるように乗せられたのだ、あの席以外に座れないようにもなっていた。人はおろか荷物すらリンが乗せなかった席、なぜそこに自分が…。
「いよーっす! あ、綾子じゃん」
滝川の脳天気な声が事務所に響くと、麻衣がアイスコーヒーを淹れるために席を立った。
「なんだよ、連絡一つよこさないで、心配してたんだぜ」
綾子の頭をくしゃくしゃと撫でると、麻衣からアイスコーヒーを受け取り、そのまま綾子の隣に座った。
急にリンとの夜が再生され、頬が熱くなる。何度もリンは滝川を引き合いに出し、羞恥と苦悶に身を焦がしたあの夜。
「わ、悪かったわよ」
「そんな言い方ねーじゃん、俺さ、あの日心配だったから残ってやろうと思ったんだぜ」
「うそ」
意外な一言だった。目を丸くして滝川を見ると、滝川は頭を掻いて天井を見上げた。
「でも、リンがいいって言ってたし、俺がいたところで出来ることは限られてるしな、結局東京に戻ったんだけど」
なんと言うことだろう、もしあの夜滝川がいたら…。
「そういや、綾子を動かさないで一泊させるってのもリンの提案だったよな」
「うんうん、すごい気を遣ってたよね。久々にリンさんやっさしーウェーブがアタシの中で巻き起こったわ」
「綾子、リンにちゃんと礼いっといたか?」
リンはそんなことおくびにも出していなかった。ただ、自分が倒れたから、仕方なく看病を引き受けただけだと思っていた。どういうことだ、さっきの助手席といい、今の話といい…。
「あれ、リン?」
滝川の声に反応し、資料室に目をやると、ドアが少し開いていた。
「あれ〜、まただ」
「そろそろ修理しないといけませんね」
滝川と綾子の疑問の顔に、安原が応えた。
「最近、資料室のドアが馬鹿になっちゃって、すぐカパカパ開くんですよ」
声に反応したのか、資料室のドアがパタンと閉められた。
ふと、あのドアはいつから開いていたのだろうかと不安がよぎった。
ハンカチを事務所に忘れたと気づいたのは、八時も半を廻っていた時だった。
用事で渋谷にいた綾子は、まだ事務所は開いているかと麻衣にメールを送った。案の定麻衣達は帰っているという連絡が届く。
大したものではない、次来たときにでもと思っていると、麻衣からまたメールが入った。
『リンさんならまだいると思うよ』
息を呑んだ。
アルミのドアノブを引くと、部屋の暗さに驚かされた。
(鍵をかけ忘れたの? でもメールでは…)
暗闇に目が慣れてくると、一筋の光が見えた。
(資料室…リンか…)
会いたい気持ちはある、しかし、まだ二人きりで会う決心はつかない。
身体だけの関係、一夜限りの関係…。リンはそういう関係を望んで自分を抱いたのだろうか。
だとしたら、今会ってもリンは眉をひそめて不快を顕わにするだろう。そうしたら自分は二度と立ち直れない。
(でも、これは恋なの?)
綾子自身も、リンに抱いている感情が何であるのかは特定できなかった。リンが与える快楽をもっと貪りたいだけなのかも知れない。
(どうしたらいいの)
滝川への慕情が消えたわけではない、綾子の心は揺れ動いていた。
(リン…)
声をかける勇気はない。せめて姿だけでも…。救いを求めるような目で、綾子は資料室を覗いた。
椅子に腰掛け、右手に握った布をしげしげと眺めている男が見えた。右半分を覆う前髪で表情は分からない。
しばらく眺めていると《ある事》に気づき、金縛りにあった様に身体が動かなくなった。
(あのハンカチ…私の…!)
何故リンが持っているのか、何か特別な意味があるのか、表情が見えない分、想像は加速する。
右手に持っていたハンカチは、いつのまにか左手に持ち替えられていた。
(まさか、落ちているのを拾っただけよ、誰のだろうかって………………ぁ)
ハンカチを、赤い何かがなぞった。
(………………うそ)
舌。
赤く見えたのは、舌だ。
気づいた瞬間金縛りが解け、咄嗟に後じさった。
微かにヒールと床が当たって音がしたことは、綾子には分からなかった。それよりも心臓が早鐘を打つ音で頭は一杯になった。
見てはいけないモノを見てしまった。嫌悪感や、怒りは沸いてこない。ただ、禁忌を犯した様な恐怖に包まれた。
明るいところを見てしまって、夜目が利かなくなってしまったが、早急にここからでなければならない。
綾子が玄関側に身体を向けると、廻りは更に一段階暗くなった。
疑問に思うこともなく、玄関まですすっと、すり足で近づいた。
気温がさっきよりも暖かく感じるのは、早鐘を打っている自分のせいか。
手探りで、ドアノブを掴んだ。
(?)
やわらかい感覚だった。いや、具体的に言えば硬いのだ。
ただ、《アルミのドアノブ》の硬さには程遠い。
そして、金属とは到底思えない《温もり》を感じた。
だから、やわらかい以外の形容が出てこなかった。
形状も、普段使い慣れているドアノブと形状が異なっている。
握れない、握れるほどの薄さではない、平坦なはずのノブが、ごつごつしている。
広いはずの部屋なのに、狭く、息苦しく感じた。
なぜ、さっきから気温が上昇しているのか。
早鐘を打つ心臓、よくよく聞いてみれば、音が二重に聞こえる。
ちらりと横目で後ろを見ると…
―――――――資料室の一筋の光は消え て い た 。
「ヒッ」
「誰だ」
抑揚のない声を聞くと同時に、後ろからはかい締めにされた。
先程までぴったりと綾子の後ろに張り付いていた人間は、ドア横のスイッチを慣れた手つきで切り替え、ドア横の白熱灯だけをぼんやりと点かせた。
「…松崎さん」
声の主は、さぞかし驚き、安堵した様な演技をしながら、綾子に声をかけた。
「ああ、驚いた。泥棒かと思ったんですよ。」
綾子の総身はぶるぶると震え、呼吸もままならなくなった。
演技を演技だと教えている様な口振り、未だに解かれない拘束、腰あたりに伝わる膨大な熱。何もかもが怖かった、恐怖のあまり失禁しそうだ。
「どうしたんです、寒いのですか? …ああ、失礼」
背後の男も白々しすぎるのかと思ったのか、容易に拘束を解いた。綾子は初めて後ろを振り返った。
「…リン」
口元だけ嗤っている。
「忘れ物…しちゃって…それで」
「なら、一緒に探しましょう」
「いいの、たいしたものじゃないから」
「遠慮しないで下さい、松崎さんらしくない」
リンはゆったりとドア側に回り、施錠した。
トリガーを引く様な音に聞こえた。
「で」
リンの顔から嗤いが消えた。
「何を、見たんです?」
「何も…」
「見たんですね」
この世の終わりに逆上する様な表情を浮かべ、カツ…カツ…と靴音が綾子に歩み寄った。
後じさっても応接スペースがあるだけで、出口にはいけない。しかし、足は勝手に後ろに向かう。
「ねえ…」
泣きそうな声だった。しかし、リンは表情一つ変えずにじり寄ってくる。
「きゃっ」
ヒールが地を這う配線コードの束に躓くと、倒れる前にリンの腕ががっちりと綾子を掴んだ。
掴む腕からは優しさが滲んでいるのに、この恐怖は何だろうと、泣きそうになった。しかし、ここで泣いたり助けを求めたら、恐ろしい結末が待っていそうだ。
リンは腕を捕らえると、そのままソファーに押し倒した。
リンの足元ばかり見ていた綾子は、恐る恐る顔を見上げた。
「リン…」
やるせない男の顔だった。置いてけぼりを喰らって、全てに見放された子供のように、泣きそうな顔だった。
「私を、ハンカチと同じ目に遭わせて」
本当はそれを望んでいたのだ。二週間、ずっと―――
目を見開いた男の頬に両手を添えると、慎ましやかに唇を合わせた。
751から753はある意味本番シーンより勃起ものとか
思う少数派は自分一人でいい。
エロパロなのに汁気がなくて申し訳ないです。
次は夏頃に投下しようと思っています。
いやいや、確かにヤってないのに充分にエロいですよ。素晴らしいです。
って、次は夏!? なに、そのコミックス版並の焦らしプレイ!
がんがって保守して待ってます。
本番どころか絡みなしでも手に汗握ってしまいました。
相変わらずねっとりとエロチックですねえ。
思わずハンカチと同じ目に遭わせてほしくなりました。
綾子もいいけど、リンの粘っこさもたまりません。
夏が待ち遠しい限りです。
九州では既に夏並に暑いわけだが。
……訳のわからんことを言いつつ続きを熱望致しております。
いいよいいよ!リンさんえろい、もっとやれw
うーん夏までか待てない
ところでログが480kb超えているけれど
ここのdat落ちっていくつ?
すんげぇドキドキしました。
夏って何月からだっけと思わず考えてしまうほど続きが待ち遠しいです。
>>758 500kbで圧縮対象、515kbで書き込み不可、だったような気が。
そろそろテンプレ決めて次スレ立てた方がいいかも。
500kbで書き込み不可
神キタ━━━(゚∀゚)━━━!!
きゅんきゅんが止まりませんでした。んもうリンさんったらリンさんったら
相変わらず変態!!(褒め言葉)
助手席エピソードは乙女チックでよいですな。ハァハァしますな。
って、夏!?夏!?夏ですか神!?
……カレンダー上は6月から夏だよね?
ハンカチに顔埋めて泣きながら待ってます。
テンプレは後からって事で、とりあえず次スレ立てちゃってもいいかな?
それでいいと思います。お願いします。
767 :
764:2007/05/27(日) 14:50:04 ID:i4nTWldG
とりあえず立てただけなんで、テンプレどうしましょう?
>>764 乙!!
前スレを埋めがてら、軽くテンプレ下地案
★この3つだけは最低限貼る
・前スレ
・過去ログ(次回スレ立てから)
・保管庫
★必要であれば他スレに倣って以下を決める
・原作ネタバレの取扱をどうするか
・次スレ立てのタイミング(970〜980レスか容量480KBくらい?)
・住人ルール(個人的には
>>1記載の「気に入らないシチュ、カプに対しても大人の対応で」ぐらいで十分だとオモ)
・投稿ルール(事前に注意書きで明記してもらうよう投稿人さんにお願いすること)
例:ネタバレ、鬱描写、特殊プレイ、カップリング、NGワード
現状マターリやれてるので、それほど細かく決めなくても良い気はするが。
★もし即死を逃れるために容量を稼ぐなら、原作・漫画・アニメのデータをそれぞれ貼る
・原作:小野不由美(データはこのスレの
>>4-5、もしくはいなだスレのテンプレ
>>5を拝借する)
・漫画:いなだ詩穂(データはいなだスレのテンプレ
>>3(漫画と原作の対応)を拝借)
・アニメ:2006年10月〜2007年3月 テレビ東京系にて放映(終了してるから日程・声優は省略)
どれも詳しくは「wiki見てこい」で済む話なので簡素でOKな気がする。