【涼宮ハルヒ】谷川流 the 32章【学校を出よう!】
男が浮気したら、両手足の腱を切って監禁とか
相手の女を撲殺とか、そんな感じ。
432が縦読みな件について。
あと残りの容量がちょっと微妙だから
森さん×古泉と、鶴屋×古泉(orキョン)の話は次スレにするわ。
把握
とちくるった鬼ヨメと理解した。
ってこれでいいのか?
ヤンキーキャラいないよなと思ったが、周囲の世界に反抗しているという意味ではハルヒがその役割か。
埋める前に次スレ立てだろうて
今467kBだけど、480kB越えくらいで立てればいいか。
それまでは小ネタなり雑談なりしてりゃいい。
病んデレってぶっちゃけホラーのとかグロの領域じゃないか?
いつの間に流行った、ていうか浸透しだしたんだろう。
マターリ進行が基本じゃないのか?
ところで何か手頃でお勧めな
ポータブルDVDプレイヤーはあるかい?
スレ違いとマターリは別物だぜ子象
ヤンデレとホラーは別物だぜ小象
作者の突出した文才・シナリオ創造力。満ち溢れる愛。
読者の卓越した批評と殺伐感。足りない愛。
レス出来ない雰囲気とマターリは多分別物。
流れが気に食わないなら自分でネタをふる。基本でしょ。
VIPでツンデレに火がついてた頃、楓(アニメSHUFFL)のイタイ壊れっぷりがブレイクして、
どっかのブログがその解説に「ヤンデレ」という造語で解説してたのが起源と思われる。
ちょっと前までSSをバリバリ書いてたのに、今になってはネタはあるのに書けなくなってしまった…
文章能力の衰えか、それともハルヒへの愛情が濃くなりすぎたのか、薄くなったのか…
この上司がボケたのに上の人すぎて突っ込めない部下のような歯がゆさをなんて言おう…
>>825の題名がジョジョ第四部みたいだと思ったのは俺だけ?
880 :
催促小ネタ:2006/10/29(日) 04:00:29 ID:kxNcN0CA
東中出身涼宮ハルヒ!
この中にレイプ、凌辱、寝取られ、絶望系SSが大好きな私のために一肌脱いでくるっていう職人がいたら今すぐ投下しなさい!
い、今すぐって言ったけど別にいつでもいいからね!投下さえしてくれればそれでいいわ!待ってるからね!
…お願いだよ?
SOS団の女性陣が、誰がキョンを悩殺できるかで勝負することになった。
1人目に有希が団長机の上に立ち、そのままひと踊りすると、
キョンは喜んで5分間ほど拍手した。
次にみくるが団長机に立ち、服を脱いで下着姿で踊ると、
キョンは大喜びで10分間ほど拍手した。
更に3人目にハルヒが団長机に立ち、パンツ一丁のトップレスで踊ると、
キョンは熱狂的に拍手し、当分の間興奮しっぱなしだった。
最後に飛び入りで朝倉が団長机に立ち、素っ裸で踊ったが、
キョンはまったく静かで拍手はひとつもなかった。
朝倉「ちょっと!どうして拍手しないのよ?」
キョン「すまん。片手じゃできない」
>874
語源はシャッフルだったのかー。
あれ、中の人がキョン(杉田)とみくる(後藤)じゃなかったっけ。
みくるが目線の飛んだ顔で空の鍋をグルグルかき回しながら、
キョンの遅い帰りを待つ… うーん、話が続かない。
「レイプに凌辱に寝取られに絶望系ですって? あぁもういっぱいあって難しいわね」
ああ、そうだな。で、どうするんだ?
「考えるだけ考えてみましょ。そうね……例えばアホの谷口があたしを激しくレイプするの。
それでとりあえずレイプと凌辱はクリアね。で、その時の弱みで谷口と付き合い出すとかはどうかしら」
なるほど、それが寝取られと絶望か。
「さすが涼宮さんです。ですが、それでは絶望感が少し足りなくないでしょうか」
「そう?」
「えぇ。涼宮さんの案を少しだけ弄りましょう。配役を代えるんです。それだけで絶望感もバッチリですよ」
どうするんだ?
「谷口さんの役割を僕が引き受けます」
なっ、お前がハルヒを襲うのか!? だがそれは設定的に難しくなるぞ。なぜハルヒを襲う。
「いいえ、僕は涼宮さんを襲ったりはしません。襲われるのは────あなたです」
ハッハッハッ、なるほど、そいつは絶望しそうだ。
おーい、誰かコイツを埋めてきてくれ。
「絶望系」の意味を間違って捉えてるような気がしてならないんだが
れっきとした谷川作品のひとつだぞ?
「絶望系」は知ってる。
でもここでいう絶望系はジャンルの事じゃないの?
ジャンル三つ並べて最後だけ「絶望系」がいいってあんまり言わないんじゃ……
って事でジャンルとして考えたんだが。
ところで「ネズミのマーチ」の解はまだー?
>>884 アニメ版の場合杉田さんで間違いないっす。
ただし、PC版(Really?Really!)から他の声優さんに変更のようです。(凜の中の人現在不明っす。)
889 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/29(日) 14:07:32 ID:2ObI2JaR
890 :
小ネタ:2006/10/29(日) 14:33:36 ID:kxNcN0CA
「PM7:00に○○公園にて待つ」
栞に託されたメッセージをもとに、俺は今、何故か長門の部屋でお茶を飲んでいる。ちょうど一年前くらいに同じような事が起こったような気がするのはなんでだ?ちなみに今回も三杯目でギブアップだ。
「話しってなんだ?」
「私は、騎士。あなたを守る騎士」
てゆーと俺はナイトに守られるお姫様か? なんとも情けない事だ。男としてはお姫様を守る騎士役を希望したいね。
ところで何の話?
「涼宮ハルヒという悪い魔法使いからあなたを守る。それが私がここにいる理由。あなたがここにいる理由」
イメージ的には魔法使いは長門で、俺がナイト、ハルヒがお転婆姫って感じだけどな。
って、何を考えてるんだ俺は! これじゃまるでハルヒに好意を寄せているみたいじゃないか! いや、違うんだ長門。そんなに睨まないでくれ。
俺は「悪い魔法使いと恋に落ちる騎士」なんてすっとんきょうな物語も嫌いじゃないぜ?
「……悲恋好き?」
うん、まぁ、 悲恋になりそうな香りがプンプンしてるけどさ…
俺は悲恋にする気はないぜ?
…もしかして俺告白されてんのか?
>>882 ハルヒと付き合い始めて幸せそうなキョンを見て
徐々に壊れていくみくる。
うん、確かに無理があるな。
全身が青白く輝く、高層ビルより大きな破壊神が無気力に腕を振るう。
その一振りで近くにあった十数階建てのビル何棟かが一気に破壊され、地上数階分を残して瓦礫と化す。
その瓦礫の間を紅玉の光が器用にすり抜けて行き、青白い存在《神人》へと向かっていく。
「好きにはやらせませんよ」
足元から一気に駆け上り、紅玉の光が《神人》に消失の刃を打ち込もうとする。その刹那
「一樹っ!」
横から突っ込んできたもう一つの光にぶつかられ、二つの紅玉の光はそのまま《神人》の横へと飛びぬける。
直後、それまで飛んでいた位置に《神人》の手が振り下ろされた。あのまま飛んでいたら今の一撃を喰らっていただろう。
「すいません、助かりま……」
「何度言われればわかるのですか、一樹!」
古泉の感謝を遮り、助けた紅玉のが氷のような響きで怒声をあげる。
「何よりも自分の命を優先しなさい、これは厳命なのです! わたしが教えた事をもう一度思い出しなさい!
……わたしたちは命がけで《神人》と戦う戦士です。ですが、わたしたちに替えはいないのです。
これは失敗の許されぬ戦い。誰か一人が戦線離脱すれば、戦況は確実に悪化します。
……もしかしたら、戦線離脱した戦士の分だけ新たな補充があるかもしれません。
ですが、それは言い換えれば、新たな一般人にこの能力を持たせて死地へ送り込むと言う事です。
いいですか、一樹。絶対に死んではダメです。倒れる事も許しません。そして、その上で《神人》を倒すのです。
それができて、ようやくわたしたちは最低限の仕事をこなしているという事を、心技体その全てで理解しなさいっ!」
紅玉の中、メイド姿の女性が古泉にキツく言い渡す。だがその叱咤こそがこの女性の師としての教育であり、
また先輩としての激励であり、そして彼女なりの心配であると古泉は知っている。
「ほら、顔がこわばってますよ、一樹。
常に微笑んでいなさい。わたしは一番最初にあなたに教えたはずです。
いついかなる状況でも微笑むのです。そうすれば心に余裕が生まれ、状況を冷静に把握できる……と」
一度自分の顔を両手で叩き活を入れる。
「……見つけたんです。僕がこうして微笑んでいても心配してくれる、僕にとって大切な人たちを」
「そうですか……。おめでとう、一樹。本当に守りたいものができたのですね」
「はい」
微笑みながら力強く頷く。そして決意を灯した瞳を彼女に向けると、はっきりと告げた。
「行きましょう。誰にもできない、僕たちだけができる事をする為に」
「ええ。わたしたちができない事をしてくれる人たちの為に」
古泉に全てを教えた彼女──森はいつもより少しだけ優しく微笑むと、古泉と共に《神人》へのアタックを再開した。
SSの書き出しに使おうとしたネタ。
本来はこの後
『───《神人》攻撃SSの最中ですが、ここで涼宮ハルヒに新たな動きが発生した模様です。
《神人》攻撃SSはここで中断し、緊急特別SS『涼宮ハルヒは今!』をお送り致したいと思います───』
といきなりハルヒSSを投下する予定だったがやめて埋めネタ代わりに。
ある日長門と朝倉と喜緑さんが揃って俺を呼び出した。
「思念体はあなたの協力を失いたくないとの結論を出した」
「そしてあなたの意思を奪わないで懐柔するってことに決まったの。
意思を奪って涼宮さんが感づいたりしたら困るし、あなたの望みを叶えるくらいは
別に減るものじゃないしね。でもあまり協力的じゃなくなるとわからないわよ?
あなたの意思を奪うことも楽なんだから。」
「私達がある程度までならあなたの望む物を与えて、望む事をして差し上げます。」
「……望みを言って」
「急に言われてもな…」
朝倉が寄ってきて俺に抱きつき、胸を押し付ける。
「何でもいいのよ?な・ん・で・も♪」
俺は悩んだ。長門の言うことを聞くのに抵抗はない。
だが俺が一体何をした。
本当に褒美を受けるべきなのは……長門じゃないのか。
適当に思いついたこれ面白くなりそうかな
涼宮ハルヒの柔道
書き始めたのが何ヶ月も前なのでだいぶ時期はずれなネタです。
書きたい事が多くてかなり長くなってしまいました。
読んでいただければ幸いです。
いろいろあった去年から年を越えて、すでに二ヶ月が経過している。
光陰矢のごとしとはよく言ったもので、時間が加速しているような気がするのは年明けしょっぱなの一月からそれなりのことをやっていた自覚があるからだろう。
寒気のピークも過ぎ、そろそろ春の足音が聞こえてきてもいい季節のはずだが、今の日本には四季がないらしく、山間にあるこの高校はまだかなり冷えていた。
秋に桜を咲かせたハルヒが望めば明日にでも蝉が鳴き出してもおかしくないのだが、幸か不幸かいまだに雪が降っているところをみると一応あいつにも常識というものはあるらしい。
ちなみに俺は夏が好きだ。世の女性達は皆こぞって薄着になるし、プールに行けば薄布一枚のあられもない姿を拝めるしな。解るだろ?
そんな俺のささやかな願いが通じたのかそれはやってきた。
ハルヒを中心とした、季節はずれの大型の台風が上陸したのだ。
確かに夏の風物詩ではあるがそんなものを望んだ覚えは毛頭ない。
俺は自分勝手な神様を怨みつつ、これから起こるであろう災厄に怯えながら今日も部室へと足を運ぶのであった。これ以上神様のご機嫌を害わないように……。
文芸部に間借りというより寄生しているSOS団のアジトには、団長を除いた他の団員たちがすでに揃っていた。
「あ。こんにちは」
そう言って微笑む朝比奈さんが今日もかいがいしく、ハルヒに強要されたメイド姿で俺を出迎えてくれる。彼女の笑顔を今日も拝める幸せを噛締めつつ、俺は定位置となっている席のパイプ椅子を引いて腰を下ろした。
「やあ、お待ちしていましたよ」
長テーブルにトランプを並べてブックカバーのかかった本を読んでいた古泉が顔を上げて会釈をした。
「男に待っていてもらっても嬉しくねえよ」
「相変わらずつれないですね」
お前は相変わらず如才のない笑顔だな。
冷えきった俺の身体をさらに凍りつかせるようなことをさらっと言いやがった。
「それより、あなたに見ていただこうと思いまして」
そう言って目の前に五つに分けて並べてあるトランプに目配せをする。
「なんだ? 手品でも始めたのか?」
「……さすがですね。ええ、その通り手品です。涼宮さんの余興にと思いまして」
なぜ手品とすぐに解ったのかと器用に笑みを崩さないまま、不思議そうな表情をする。
ハルヒの憂さ晴らしに手品を覚えようとはまったく殊勝なことだ。さすが副団長といったところか。とてもじゃないが俺には真似はできんね。
「最近は安定してきているとはいえ、定期的に涼宮さんを楽しませたほうが安心ですからね。我々としましてもこのまま閉鎖空間が発生しなければそれに越したことはありませんから」
その我々ってのはお前の所属する機関とやらのことか?
確かに、俺としてもあの閉鎖空間には二度と関わりたくない。定期的にハルヒの憂さ晴らしをしてやることで世界が平和になるなら安いもんだ。
「そこで涼宮さんにお見せする前に一度あなたに見て頂けないかと思いまして」
「遠慮しとく。どうせなら俺も一緒に楽しみたいからな」
「それは残念。ではそのうち機を見て披露することにいたします」
古泉は肩をすくめて再びカバー付きの本に戻った。
カバーのせいで表紙は見えないが、でかでかと手品と書いてあるから解らないように隠しているんだろか。残念ながらばればれだぞ、古泉。
その古泉の奥では相変わらず無口な宇宙人がひたすら読書をしている。
何気なく何を読んでいるのかとタイトルに目をやって驚いた。そこには我愛称と書かれていた。俺の記憶が確かならばあれは愛していますとかそんな類の意味だったはずだ。
長門もついに恋愛に興味を持つようになったのかと感慨にふけっていると、
「ニーハオ」
俺の視線に気付いたのかそれだけ言うとまた読書へと戻った。長門よ、いったいお前に何があったんだ?
しかし長門と一緒ならどこへ旅行しても通訳に困らないだろうな……いや、口数が少なすぎて余計に意思の疎通に齟齬が発生するかもしれん。
などとどうでもいいことを考えていると朝比奈さんが目の前に湯飲みを置いてくれた。
「どうぞ。熱いから気を付けて下さいね」
俺は心から感謝しつつ、心のオアシスである朝比奈さんの淹れてくれた玄米茶で冷えきった身体を温めていた、その時、
「まったく、ふがいないったらないわ!」
荒々しく扉が開かれ、いつにも増して不機嫌オーラを纏った女が辺り一面に不機嫌を振りまきつつやって来た。
突然現れたかと思うと肩を怒らせながらズカズカと団長席に向かい、床が抜けるんじゃないかと心配になる勢いで椅子に座るとそのまま後ろへ踏ん反り返る。
長門はそんなハルヒを一瞥すると、すぐにまた読書に戻った。一瞬、心地良い読書タイムを邪魔されたことに長門が怒ったように思えたが、気のせいか?
「みくるちゃん、お茶!」
「ふぁ、ふぁい!」
これ以上ない不機嫌な声でいきなり名指しされた朝比奈さんは手にしていたお盆ごと数センチ宙に浮き、健気にもハルヒの湯飲みにお茶を注ぎにかかる。
「何が気に食わないのか知らんが朝比奈さんにあたるなよ。仮にも朝比奈さんは上級生だぞ?」
「うっさいわね! 私は団長だから団員に敬語なんか使わなくてもいいのよ!」
鶴屋さんにも敬語を使ってる姿を見たことがないんだが、いったいいつ、誰に対してなら敬語を使うんだこいつは。
「ど、どうぞ……」
朝比奈さんが腫れ物でも扱うかのように恐る恐るハルヒの前に湯飲みを置く。
「ありがと」
ハルヒはぶっきらぼうにそう言うと湯飲みをむんずと掴み一気に飲み干した。
せっかく朝比奈さんが淹れてくれたんだからもっと味わって飲め。谷口ならラップを巻いた上に冷凍庫で永久保存するぞ。それはそれで朝比奈さんに失礼な気もしないでもないが。
「ぷはあ! みくるちゃん、おかげで少し落ち着いてきたわ」
「ほんとですか? よかったあ」
そう言って朝比奈さんはさっきまでの怯えた表情とはうって変わってその可愛らしい顔に満面の花を咲かせる。
……朝比奈さん、あなたの笑顔ならきっと何十年と内戦の続く国にも平和をもたらすことが出来ますよ。少なくとも俺はあなたの笑顔を見るだけで全てを許せる広い心を持てるのですから。
即刻、総理大臣は朝比奈さんを外務大臣にでも任命す――、
「バカキョン! 何みくるちゃんに見惚れてんのよ! まるで変質者みたいよ!」
お前全然落ち着いてねえじゃねえか。
それに言うに事欠いて変質者とはなんだ、変質者とは。 名誉毀損で訴えるぞ。
古泉、お前も肩を震わせながら「くっくっく」とか笑ってんじゃねえ!
「これは失礼、あまりにも面白かったものでつい。いや、さすがですね。まるで夫婦漫才ほみへひふほふへ……いふぁいへふほ」
この口か! この口が言ってるのか! 俺は古泉のほっぺたを思いっきりひっぱってやった。
「ふひはへん……ひどいですねえ。僕は率直な感想を述べただけですよ」
古泉は一つ咳払いをするとほっぺたをさすりながらいつもの笑顔に戻した。
「ところで涼宮さん。なにやらご立腹のようですがどうかされたんですか?」
「よくぞ聞いてくれたわ古泉君。さすが私が副団長に任命しただけのことはあるわ!」
そう言うとハルヒは腕組をしたまま団長席から長テーブルまで歩み寄ると、そのまま仁王立ちの姿勢で俺に質問をする。
「キョン、あんたも観てたでしょ?」
「何だ? 朝比奈さんの着替えなら今日は見てないぞ」
「バカ、テレビよ!」
「またロクでもない深夜の映画でも観たのか?」
もう映画作りは勘弁してくれ。
「違うわよ。あんた観てないの? あれを観てないなんてあんた非国民よ!」
左手を腰にあてがって、右手で俺を指差した。
何の番組のことを言ってるのかさっぱりわからん。観ないだけで非国民扱いの番組ってなんだ。
「ああ、わかりました」
と古泉。
「柔道ワールドカップのことですね? 涼宮さん」
「そう、それよ!」
ハルヒの話を要約すると、ゆうべ柔道のワールドカップというのが放送されていたらしい。あいにく俺は柔道にはまったく興味がないので、その時間は妹と一緒にアニメを観ていた。
ワールドカップというだけあって各国の代表が勝ち抜きの団体戦で競ったらしいが、日本は男女共に成績がいま一つだったらしく、それにハルヒが憤慨した、というわけである。
「で、それがどうしたんだ? なんでお前が結果に憤慨する必要があるんだよ」
「柔道って言ったら日本のお家芸でしょ。それなのに優勝できないなんて恥じだわ、恥じ!」
俺にどうこう言えた義理じゃないが、何も負けたくて負けたわけじゃあるまい。ぷんすかしているハルヒの愛国精神論に適当に相槌を打ちつつ右から左へ聞き流す。
そこにノックの音。
「どーぞっ!」
熱く語っていたハルヒは突然の来客に対して苛立たしげに返答した。
「失礼する」
入ってきたのは生徒会長だった。相変わらず長門とは違った意味での無表情に冷徹そうな顔をしている。
意外な来訪者に虚を付かれた顔をしていたが、ハルヒの口角は見る見る鋭さを増し、格好の憂さ晴らしの相手を見つけて笑顔を取り戻していく。
「わざわざ敵地に乗り込んでくるとはいい度胸ね!」
釣り上がった眉に満面の笑みという器用な表情で敵を威嚇する。
会長はいきなりのハルヒの怒声にひとつ咳払いをすると、臆することなく淡々と喋り出した。
「前回の機関紙は上手く捌けたようだが、あれはあくまでも文芸部の話だ。正式な文芸部員はそこの長門だけだろう」
そう言って部室の隅で読書をしている長門に目配せをする。長門は読書を中断して会長のほうを見ていた。
「文芸部員でもない者がこの部室を利用する事など到底認められん。そこで我々生徒会としては即刻、文芸部員以外の者の退去を命ずる」
正論だが、前回ので決着したんじゃなかったのかよ会長さん。
ハルヒの表情が徐々に怒りへと変化していく。わなわなと肩を震わせ怒りの沸点へと達し今にも会長に掴みかからん勢いだ。
これも古泉の用意したハルヒへの余興かと思い対面へ視線を移す、よりも先に古泉は立ち上がっていた。
「涼宮さん落ち着いてください」
「落ち着けですって!? こいつは私達SOS団を潰そうとしてるのよ!」
古泉もハルヒの剣幕に臆することなく爽やかな笑顔のまま、怒りに震えるハルヒをよそに会長へと向く。
「あなたの仰る通り我々が文芸部の部室に居座るのは問題があるでしょう」
「なっ!?」
古泉の言葉にハルヒが驚きと怒りの混じった声を上げる。しかし古泉はそれをも無視して続ける。
「しかし前回も同じような理由で我々に課題を出しています。そして我々はそれを見事に達成した」
「ふん。だからそれは文芸部の存続が認められただけであって、決してSOS団とかいう同好会まがいの存在を認めたわけではない」
「ええ、それは理解しています。ですがこれではフェアとは言えません」
「何が言いたい?」
「前回はそちらからの提案でした。ならば次は我々が課題を決める。これならお互いに納得がいきます。ですよね? 涼宮さん」
まるで三流の芝居を見ている気分だ。淡々と交わされる古泉と会長の会話はまるで用意された台詞を読んでいるかのようだった。いや、実際そうなんだろう。俺にはこの会長と古泉の関係が嫌というほど解っているからな。
長門は相変わらずの無表情だから解らんが、朝比奈さんはこのやりとりを目に涙を浮かべて見守っている。
「えっ……、そ、そうね、その通りよ! 私達と勝負しなさい!」
いきなり話を振られたハルヒは一端頭を整理してから、腰に手を当てて会長に挑戦状を叩き付けた。
ハルヒの言葉が予想通りだったのか会長が笑みを浮かべる。眼鏡をくいっと上げてこの展開が予定調和だったかの如く会長がハルヒに質問した。
「ふむ、よかろう。で、何で勝負するんだ?」
ハルヒはしばらく会長を睨んだ後、朝比奈さん、長門、古泉、俺とそれぞれ一瞥する。そして頭の上に電球でも浮かんだのか実にハレ晴レとした笑顔で高らかに宣言した。
「柔道で勝負よ!」
その時のハルヒの目には間近に迫った春を思わせるように、いくつものダイアモンドが燦然と輝いていた。
鼻息荒く先頭を歩いているハルヒに連れられて現在SOS団は校内の柔道場へと向かっている。
「いやはや、困ったことになりましたね」
隣を歩いていた古泉がハルヒには聞こえないように話しかけてきた。
「古泉、一応確認しておくがこれもお前の仕組んだ余興の一つなんだろ?」
これから行われる事に頭痛を感じ片手でこめかみを押さえながら古泉に質問する。
「ええ、その通りです。ですが上手くいったのは会長を部室に呼んで涼宮さんに新たな課題を与えるというところまでです。柔道で勝負をするというのは予定外ですよ」
「じゃあお前の計画では何をすることになっていたんだ?」
「ふふっ、それはまた次の機会の為に秘密、ということにしておきましょう」
胸糞の悪くなるような笑顔だ。
「先程も言いましたが最近の涼宮さんは随分と安定しています。おかげで僕のバイトも減って楽になりました」
「何が言いたい?」
こいつの焦点をぼかした話し方は未だに好きになれん。
「つまり、これで閉鎖空間の発生確率が下がると思えば自然と足取りも軽くなりませんか?」
そう言って爽やかな笑顔を俺に向けた。
確かにその通りだ。夜中に寝てようが対処に追われる古泉にとっては死活問題なんだろう。俺が古泉の立場だったらと思うとぞっとする。
そのまま五分ほど歩いたところで目的地に到着した。
廊下の突き当たりに両開きの扉があり、その上に『道場』と墨で書かれた看板が掛けられている。解りやすい事この上ない。
扉の前には生徒会書記の喜緑さんがいた。俺達の姿を確認するとゆっくりと頭を下げてお辞儀をする。
「お待ちしておりました。私達生徒会のほうで道場の利用については話をしておきましたので今は柔道部員もおりません。皆さんの柔道着もこちらで用意いたしました」
なんとも手際のいいことだ。俺達が部室からここへ向かっている間にそれだけの用意を済ますとは、さすがは生徒会と言ったところか。いや、喜緑さんなら長門並の力を持ってるわけだし当然と言えば当然なのかもしれんな。
「ごくろう! でも感謝はしないわ。あんた達は敵なんだからね」
丁寧に対応をする喜緑さんとは裏腹に、我等が団長様は憮然とした態度で応対する。
「着替えをするために部室も借りておきました。男性のかたはこちらでお願いします」
ハルヒの失礼極まりない態度を無視して道場横にある柔道部と書かれた部室を指し示す。
「女性のかたには別の部室を用意しております。道場を挟んだ反対側にありますのでそちらでお願いします」
「有希、みくるちゃん、行くわよ!」
ハルヒ達SOS団の女性陣は奥へと消えていった。
俺もさっさと着替えるかと柔道部の部室へ進もうとした時、長門と喜緑さんが道場の前で見詰め合っているのに気付いた。二人は何も言わずに見詰め合っている。何事かとしばらく様子を見守っていると、喜緑さんは長門に軽く会釈してハルヒ達の消えた方へと歩いていった。
なんとなく長門に尋ねてみた。
「長門、テレパシーで会話でもしていたのか?」
「……」
長門はいつもの無言の後、顔を俺に向け「気をつけて」と一言だけ告げ奥へと消えていった。
柔道部の部室に入ると既に古泉が着替え終わっていた。
「お前、柔道の段なんて持ってたのか」
柔道着姿の古泉の腰には黒帯が巻かれていた。
「ええ、機関での訓練の一環として柔道も習いますので。ちなみに二段です」
「その機関ってのはスパイでも養成してるのか?」
超能力まで使えるんじゃ反則だぞ。
「だったら面白いんですけどね。まあ、備え在れば患い無し、ですよ」
何の備えだか。
ネクタイを外しカッターシャツも脱ぎ捨て、ズボンのベルトに手をかけたところで部室の扉が開かれ、会長が入ってきた。
「ふう。めんどくさい事やらせやがって」
事情を知っている者しかいないことを確かめると、生徒会長ではない本来の姿をあらわにした。
「ご苦労様です」
「古泉、解ってるとは思うが……」
「解っていますよ。内申書のほうはおまかせください」
前回の生徒会室でのやりとりと同じだ。
「で、あのバカ女はなんで柔道で勝負とか言い出したんだ? お前の計画してた――、」
「おっと、それはまだ秘密にしておいてください。彼にはまだ内緒ですので」
そう言って俺にウインクをしてくる。
俺は吐き気を堪えつつ古泉を無視して着替えに専念した。
「……おい」
俺はこの会長が好かん。俺はこいつらの計画には関わらないようにと、二人の会話を無視していたのだが、
「おい、お前だよ!」
俺のささやかな願いもむなしく、どうやら俺が呼ばれているらしい。
「何だ?」
「あの女とはどこまでやったんだ? もう最後までいったのか?」
とんでもないことを言いやがった。俺がハルヒと? 冗談じゃない。
「何を勘違いしてるのか知らんが、俺とハルヒは別に付き合っちゃいないぞ」
沈黙。俺が自分の台詞の問題点に薄々気付き始めたころ会長が切り出した。
「おい古泉、ハルヒってのは涼宮のことだよな? 俺は別に涼宮のことを言った覚えはないんだが」
はめられた!
「ええ、涼宮さんのことです。彼には自分と親密な関係の女性=涼宮さんという方程式が成り立っているのでしょう」
いつもの爽やかスマイルではなく、ニヤついた笑みを浮かべてやがる。
俺は脳をフル活動してこの危機的状況を打開する台詞を考えたが出てきた言葉は、
「何とでも言え」
というなんとも情けない負け犬の遠吠えでしかなかった。笑いたければ笑え。しょせん俺の脳みそではこれが限界だ。
着替えの終えた俺は二人を置いて逃げるようにして部室を後にした。
なぜあの女という言葉にハルヒの顔がすぐに浮かんだのか。それまでの二人の会話がハルヒの事だったから……、というのは言い訳にしか過ぎないだろうな。
俺はそんな考えを一蹴し、猛烈な寒さに身を震わせながら道場へと足を運んだ。
道場に上がった俺に見覚えのある柔道着姿の女性が駆け寄ってきた。
「おーい、キョンくんっ!」
SOS団名誉顧問、鶴屋さんである。
「あれ、鶴屋さん? どうしたんですか」
「あっははっ。なんか人数足りないとかで古泉くんに呼ばれたのさ!」
超のつく笑顔で俺の肩をばんばん叩く。
「ハルにゃん達には悪いんだけど生徒会側の助っ人なんだよね。ま、あたしはどっち側でも面白そうだからいいんだけどさ!」
そう言って豪快に笑い出した鶴屋さんの長い髪は後ろで括られ、見事なポニーテールを作っていた。腰には真ん中に白線の入った黒帯が締められている。
「鶴屋さん柔道やったことあるんですか?」
「昔っから空手とか柔術やらされててさっ、護身術ってやつ? だからあたしは黒帯なのだっ」
と言って帯に指を掛けてクイックイッと動かして見せる。
この人の家からして納得だ。あの広い敷地に道場があっても全く違和感がない。おもわず、ひげを生やした白髪の頑固なお爺さんに稽古を受ける鶴屋さんを想像してしまった。
「それよりキミ! 道着姿もなかなか様になってるねーっ。お姉さんますます惚れちゃいそうだよっ」
くったくのない天真爛漫の笑顔で今度は俺の両肩をばんばん叩いてくる。着馴れない柔道着が肌に痛い。
改めて鶴屋さんを見ると柔道着姿がよく似合っている。違和感がないと言うか何と言うか、普段から着馴れているんだろう。鶴屋さんのスレンダーな身体のラインが普段の制服姿以上にはっきりと見て取れる。着痩せするタイプなんですね、鶴屋さん。
「んーっ? 何見惚れてるんだい? もしかして惚れちゃったのかな?」
ふいに俺の顔を下から覗き込む形で聞いてきた。その表情には先程までとは違った怪しい笑みが浮かんでいる。
予想外の行動に俺は混乱していたのだろう。普段なら絶対に言わない歯の浮くような台詞が無意識に口から漏れてしまった。
「い、いやその、何て言うか素敵だなーって……、あ、いやっその変な意味じゃなくてですね? ポニーテールがすごく似合ってると言うか綺麗って言うかその――。」
気まずい空気が流れた。俺はいったい何を言ってるんだ? 怪しい笑顔を浮かべていた鶴屋さんが呆然とした顔をしている。
俺がポニー萌えなのは自分でも認めるが断じて他人に教える気はない、いや教えてなるものか!
自分の性癖、否、萌え要素を知られるのは母親にエロ本を発見される事に等しい。ましてや相手は同じ学校の生徒である。自分の萌え要素が全校に広がるようなことがあれば俺は即刻転校もしくは自殺を考えなければならないのである!
転校するならどこか遠くで一人暮らしか……、自殺するなら首吊りかな? などと考えていた俺は鶴屋さんの顔が俯いてしまっていることに気が付いた。
「……」
「……」
鶴屋さんと俺は何も言わず、ただ時間だけが経過していく。
どれくらい時間が経っただろう? 実際には一分も経っていなかったような気もするが、静寂を破ったのは鶴屋さんだった。
「あははっ。キョンくんに褒めて貰えるなんて思ってなかったからさっ、びっくりしちゃったよ!」
再び俺を見上げる鶴屋さんの顔にはいつもの笑顔が戻っていたが、その顔はどこか赤く染まっているように見えた。
「キョンくんは……ポニー萌えなのかい?」
ばれている! 早急に転校先か丈夫な縄を探さねばならない!
「キミさえよければその……、さ、触ってもいいにょろよ?」
遠くで一人暮らしとなるとバイトを探さねばならないな。縄はコンビニで売ってたかな――、
って何!? 今なんと仰いましたか鶴屋さん。
真っ赤な顔に潤んだ瞳が俺を見つめている。その顔は普段見せる鶴屋さんからは想像できないほど愛らしく、どこか弱々しくも感じられた。いつも朗らかな笑顔で場を盛り上げる上級生が見せたその表情に、俺の理性という名のダムはいとも簡単に決壊する。
思考が停止した俺は鶴屋さんの長く美しいその黒髪へと、ゆっくり手を――、
「うーっ、さっむいわねえ! 暖房くらいないのかしらここ!」
静まり返っていた道場に突如として響いたハルヒの怒声により、俺の手は鶴屋さんの髪に触れる寸でのところで停止した。
「あれ? 鶴屋さん? なんでここにいんの?」
どうやらハルヒには気付かれなかったようだ。危うく古泉にバイトが増えたと小言を言われるとこだったが、世界崩壊の危機は免れた。
「んーっ、残念!」
っと小声で言うと鶴屋さんはペロリと舌を出し、
「続きはまた今度にょろ」
と言ってウインクをした後、ハルヒのもとへと元気よく駆けて行ってしまった。
鶴屋さん……、正直、たまりません。
「鶴屋さんが生徒会側なのは残念だけど、うちは手加減しないわよ!」
「望むところだよハルにゃん!」
鶴屋さんから事情を聞いたハルヒは鶴屋さんと肩を組みながら二人で「がはははは!」と豪快に笑っている。よほど相性が良いんだろう、なんとも微笑ましい光景だ。
鶴屋さんとバカ笑いしているハルヒを見ると、腰には鶴屋さんと同じく黒帯が巻かれている。真ん中に白線の入った女子用の帯だ。
「ハルヒ、お前も柔道の段なんて持ってたのか」
「あー、これ? 持ってないわよ」
じゃあ何で巻いてんだ。
「格闘技は実力主義なんだから私が黒帯をしても許されるのよ。むしろ二、三本巻きたいくらいだわ」
もう何も言うまい。何本でも好きなだけ巻くがいいさ、聞いた俺がバカだった。公式大会なら怒られそうだが今は問題ないだろう。
とそこへエンジェルボイスが、
「遅れてすみまーん」
眩暈がした。はちきれんばかりの胸を申し訳程度に柔道着が覆っている朝比奈さんが現れたのだ。
妄想、もとい予想はしていたが朝比奈さんの胸は規格外らしく、彼女にあてがわれた柔道着ではぎりぎり胸の突起物を隠す事しか出来ていなかった。
ハルヒの持ってくる衣装もきわどい服が多いが、意図していないにも関わらずこれほど胸を強調した姿はお目にかかったことが無い。
しかも中にシャツを着ているものの、俺の目に狂いが無ければノーブラである事が明らかだ!
こんな状態で試合をしたら胸の突起物はどうなるのか? 俺はおとなしく試合を観戦できるのか? 俺のアレはおとなしくしていてくれるのか? 様々な疑問が俺の脳裏を駆け巡った。
「ふふーん似合うでしょ」
羞恥心で顔が赤い朝比奈さんから再びハルヒに視線を移す。
こちらも改めて見ると素晴らしい出来栄えで、朝比奈さんには及ばないものの平均的な女子高生としては大きいと言わざるを得ないハルヒの胸がその存在を強くアピールしている。サイズが少し小さいのかピチピチの柔道着がハルヒの抜群のスタイルの良さを際立たせていた。
「……」
鼻歌を歌いながら朝比奈さんの髪を結い始めたハルヒから目を逸らすといつの間にか長門も道場に入って来ていた。
柔道着を着ていてもする事は変わらないらしく、壁際で正座して本を読んでいる。悲しいかな座っているせいで胸元がだぶつき、朝比奈さんとは別の意味で胸を強調させている。
こちらもシャツの下はノーブラだ。
心なしかうっすらと乳首が見え――、
「……ケダモノ」
長門の会心の一撃により俺は心に深い傷を負った。