69 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:15:00 ID:8D4Tz0Rr
「お姉ちゃん…… 怒った?」
あれこれ考えていて相当深刻な顔になってたんだろう。
あの美羽が、脅えたようにおどおどとあたしの顔を覗き込んでいた。
普段の美羽の異常なくらいの元気は多分何割かはつくったものなんだろう。
美羽には偽物でも陽気さやうるささを纏っていなきゃならない理由があるように思う。
それを引き剥がしてしまっている罪悪感に胸をちくりと刺され
また心配な思いをさせては、と慌てて首を横に振った。
「あ、違うよ。怒ったんじゃなくてさ、ここ出ない?
ファミレスでも行って、なんか食べて落ち着いてさ」
そうだ。ここの空気があまりよくないのかもしれない。
賑やかいとこに場所を移せばこいつも普段の調子を取り戻せるんじゃないか。
財布の中には親からもらった夕飯の買出しの残り。
ふたりで食事してもけっこう余裕があるはずだ。
「な、そうしようよ」
実はかなり座り心地が悪かった平均台から腰を上げるのを見ると
美羽が慌ててしがみついてきた。
離さないよとばかりにTシャツの裾の両端を掴み、ぼすっとお腹に顔を埋めてくる。
低めの鼻やぷくっとしたほっぺの凹凸が直接お腹に感じられてくすぐったい。
「だめ、あたしのこと一番好きになるまで帰さないからね」
そのことにいつまでこだわり続けるつもりなんだろう、美羽は。
だから、誰が一番とか決めたくないし、決められないんだって。
別にみんな納得できるように嘘言ってるわけでもない。
そもそも、おまえらをランク付けしようなんて発想そのものがないんだから。
だいたい、あたしがここで美羽を一番好きだと言ってあげたところで美羽は満足できるのか?
……できるのかもしれない。不安に駆られた幼い心は
単純でありながらなにより確かな言葉にするという表現方法を欲してるのかもしれない。
それでもあたしは、それを口にすることはできなかった。
したくなかったんだ。そのひとことで問題が解消できるかもしれないというのに。
美羽と同じく、これもあたしのつまらない意地なんだ。
嘘が人を幸せにすることもある、その意見には賛成だ。
その思想にあやかるやつが多すぎたせいで、いまや世の中は嘘で固まってしまったけど
それだけ現実には希望なんてなかったってことなんだろう。
本音で語りあえる、ピュアな人間関係しか受け入れられないほど
自分はガキじゃない、そのつもりでいた。
それなのに、いま美羽があたしにかけてもらいたい言葉を知りながらそれができないのは
きっと美羽にたいして誠実でいたいからなんだと思う。
あたしの気持を美羽に受け入れてもらうためと
嘘に頼らず自分の力だけでこいつと仲直りしたいというエゴイズム。
それを誠実さと呼ぶのはおこがましいのかもしれないけど。
こいつや、他のがきんちょどもの関係を都合のいい誤魔化しのうえに成立させたくない。
そのためには、あたしの思いだって美羽に尊重してもらう必要があるんだ。
70 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:15:53 ID:8D4Tz0Rr
……こんだけ考えをまとめたってのに、もっともらしい結論に酔いしれていたってのに
せっかく向き合ってやった現実っていう性格最悪のバカヤローは
あたしのこうしたい、なんて都合を清々しいくらいおかまいなしに裏切ってくれた。
考えを巡らせるあたしに抱きついたまま
美羽は美羽で、自分の欲求に正直に直進していたらしい。
そんであたしを繫ぎとめる、とんでもない方法を考え出してしまったんだ。
「お姉ちゃんとえっちしたい……」
美羽がお腹を見つめるようにそう囁いた言葉は
とんでもない単語を含んでいるにもかかわらず
不思議と吸い込まれるように耳の中に侵入してきた。
あくまで侵入は、だ。穏やかに入り込んだ言葉に理解能力が追いついた時、それは大爆発をおこして
どん、と心臓を跳ね上げた。乱れた鼓動は抱きついてる美羽にも聞こえたことだろう。
「おま……っ! ばっか……! なに考えて……!」
パニックになっていつもの調子が出たらしく、思いっきり美羽の頭をはたいていた。
まずい、と思うけど美羽もその言葉を言い出すのにかなりの勇気を使ったんだろう。
すぱーんと小気味いい音の余韻が反響しているというのに痛みを感じていないらしく
ほんのちょっと頬を赤らめたりなんかしている。
「えっちしたらお姉ちゃん、あたしのこと大切にしてくれるでしょ?
みんなより一歩リードだよね」
なんだそりゃ? そんなおまえ、ファッション雑誌の恋愛相談みたいなことを……
「つーかまた勝手にあたしの部屋で今月号読んだろおま…… うふぅ……!?」
美羽、おまえ顔近えよと思ったら次の瞬間にはもう唇が押付けられていた。
それも上体をひねってから唇ですくいあげるみたいなやたら芝居がかったキス。
美羽なりの演出というか、こだわりってとこだろう。ファーストキスへの…… ってあたしとかよおまえ。
それがまたなかなか離れようとしてくれないし。
美羽は初めてとは思えないほどキスにたっぷり時間をかけた。
あたしはというと気が動転してしまって
タブーといわれるまぶた全開の棒立ちのままされるがままになっていた。
歌舞伎役者みたいにかっと目を見開いたあたしとは対照的に
美羽はきちんとまぶたを閉じていて
普段意識することのなかった美少女らしい睫毛の長さばかりが
やけに強い印象となって脳に刻まれていった。
あぁどうせ耳まで真っ赤になってんだろうなあ……
つーか経験ないから上手く息継ぎできないんだけど。
口での呼吸がそろそろままならなくなって
しかたなしの荒い鼻息が美羽の前髪にかかる。
欲情した変態にしか見えない自分が嫌だ。
71 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:16:54 ID:8D4Tz0Rr
ようやく唇から離れてくれた美羽は
がっちがちに固まってるあたしの様子にくすりと笑う。
普段の美羽がくすり、なんて笑うことがなかったもんだし
強くこすったように赤みが差した目もとや上気した頬に
妙に色っぽさを感じてしまったりして。
はっと気付いて慌てて美羽から視線をそらした。
あんな風に見惚れてたんじゃ脈ありだと思われる。
このまま美羽のペースに巻き込まれては非常に危険だ。特にあたしの操が。
そのくせ身体はふわふわ今にも飛んでいきそうなくらい浮ついてなんとも頼りがない。
「ね、お姉ちゃん。 もう一回しよ」
ゆっくり再び重なろうとする唇をあたしは拒む事ができなかった。
胸の中がこそばゆくいっぱいになって、こみあげる愛おしさが
美羽のやわらかい唇や頬に貪欲に触れたがってるようだった。
結局あたしは美羽の思惑にさからえなかった。
こうなった今でもやっぱり誰が一番なんて問題に答えを出すつもりは勿論ない。
それでも美羽はそこにこだわるのをやめようとしない。
その思いのベクトルが、かなりとんでもない方向に突っ走ってしまっていてもだ。
なあ、美羽。おまえの方こそあたしから離れていかないでくれるのか……?
零れそうになったその言葉は、慌てて飲み下した。
この思いを口にすることは、絶対にあっちゃいけないんだ。
72 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:17:41 ID:8D4Tz0Rr
「おまえさぁ…… したいしたいって言ってっけど
どんなことするのか分かって言ってんのか?」
「知ってるよ。本で見た」
やっぱそんなとこだろう。
どうせちぃ達も一緒に見たに決まってる。
くっそ、嫌になるよ。天使みたいに無垢な女の子が好きなあたしを
どいつもこいつも裏切っていきやがって。
「見たってどこで」
「え? なにしらばっくれてんの? 伸姉ちゃんのベットの下に」
「隠してねーよ、ばか」
無理に美羽がおちゃらけてみせるのは
その勢いを借りたいがためだったのか
息が詰まるようなこの雰囲気を誤魔化すためだったのか。
どっちだったにしろ、成功はしていない。
結局美羽は言葉が途切れたあと、たっぷり二十秒は気まずい雰囲気をつくって
おそるおそる指先をあたしの胸に伸ばしただけだったんだから。
しかも、触れるか触れないかのところ、Tシャツの生地に指先がつかえたくらいで
脅えたように腕を引っ込めてしまった。
いまさらなんだよ。しょっちゅう突いてきてたくせに。
平気な顔してたけど実はけっこう恥いんだからな、あれ。
引っ込めた腕の震えが止まらないのか
美羽は悔しそうにもう片方の手でぴしぴし叩いたりしている。
それからほっぺに掌を叩きつけたり
ぶんぶん頭をゆさぶったり……
「……うしっ」
あげた表情はたしかに引き締まってはいるようだった。
あんな典型的な苦悩コースでも踏襲してみれば突き動かされたのか
再度伸びてきた手はそう遅くない。
それだけでなく、今度はいっきにTシャツの裾から掌をもぐりこませてくる。
けど結局そこまでだった。
胸にほんのちょっとだけ美羽の指の圧力が埋もれてきたけど
その感触さえすぐに消えていった。
美羽なりに決意を固めたつもりだったんだろうけど
そんなもんで固まるような決意ならすぐに崩れ去ってもしかたない。
いくら個性的とはいえ、普段からあたりまえのように煙たがられることなく善意がまかり通る環境で過してる小学生が
こんな大きな罪悪感に耐えられるわけないし、耐えられちゃいけないんだ。
73 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:18:27 ID:8D4Tz0Rr
だから、美羽が辛そうで息苦しそうに
まるでまだ新鮮な傷口に手を這わせているように
痛々しく表情をしかめてブラの上で掌の行き場を失ってるのは
喜ばなきゃいけないことなんだよな……?
「おい…… やっぱやめようよ。やっぱこんなのおかしいって
わざわざこんなことしなくたってさ、あたしはちゃんと美羽のこと──」
「そ、それじゃだめなんだもん!」
引き離そうと優しく肩にかけた手を美羽は慌てて振りほどいてしまう。
かといってすぐに再開できるものでもないらしく
いつまでも定まらない自分の意志に苛立つように美羽は顔を伏せてしまった。
そんな思いまでして、あたしにすがることにいったいどれだけの意味があると思ってるんだろう。
美羽やちぃ達にすがりつきたいのはあたしのほうなのに、近頃どんどんその思いが増しているっていうのに。
いや、そのことはいいんだ。その思いは、不安は絶対に悟られちゃいけない。
その不安から逃れるためにこんなことでも受け入れたんだと美羽が知ったら
きっと最低のやつだと思われてしまうだろうし。
だからあたしの話はおわり。
美羽だ、美羽。なんかもう、いまのこいつ見てらんねえんだよ。
「ほら、後ろ向けよ。美羽」
もっかい肩に手を掛けてくるんと美羽の身体の向きを変える。
その背中に腕を回して、引き寄せた。
「え、お姉ちゃ──」
「しゃーない。こうゆうのは年上の義務っていうかな」
戸惑ってる美羽をリラックスさせたかったからとりあえず頭を撫でてあげる。
そのうちなんだかストレートの美羽が見てみたくなってきて、ヘアゴムを髪の毛から抜き取った。
ばさっとおりた髪の毛にはキューティクルがよく目立った。
美羽はちらっとあたしのほうを見たけどなにも聞いてくることはなかった。
なんだかんだ言ってもあたしもこの妙な雰囲気に飲まれてるんだろう。
ほとんど衝動的に美羽の髪の毛を一束すくいあげてかおりを吸い込んでいた。
ひょっとしたら心のどっかでずっとやってみたかったのかも。
普段ならこんなこと、みんなの目もあるし絶対しない。
そういや今日は…… そろそろ“昨日”になってるころか?
まあいいや。美羽とアナちゃんと一緒にお風呂入ったんだったな。
あの時こいつが使ってたのは家のシャンプーだったから
どのみち普段のかおりは味わえてないんだけど。
でも、うん。いいにおい。ちょっとはのってきたかな。
74 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:19:32 ID:8D4Tz0Rr
んじゃあまあ、そろそろ失礼しまーす。
こんなもんかな? なんて経験ないからわかんないんだけど
てか本来ならあたしがやってもらう側なんだろうから知っとく必要もないんだけど
とにかく痛みだけは感じさせちゃわないように気をつけて美羽のペチャパイをまさぐり始める。
「や、やっぱお姉ちゃんがやったほうが似合うね。こうゆう犯罪者っぽいこと」
「ばか」
誤解がないように言っておく。
これも美羽なりに気を遣ってるだけであって
普段の調子でなんとか場をなごませようとしてるに過ぎない。
でも、どうもいまのこいつが何か口にしたところで
そのキレのなさがかえって気まずいものを生み出してしまう。
そういうあたしもさっきから“ばか”以外のかえしのバリエーションもなくて
ツッコミらしいツッコミもできてないんだけど。
ほらな、美羽。私達がこんなふうに深い関係なんて築こうものならとたんにギクシャクするだけなんだ。
いまさら言ってもしょうがないから言わないけどさ。
でも、この姿勢ならお互いの顔を見ていないだけ心理的にいささか楽かも。
美羽も受けに回れたことでちょっとは緊張もほぐれたらしく体重をあたしに寄りかからせている。
とはいっても、美羽が俗に言う感じてるふうには見えなかった。
あたしが下手なのかもしれないし、AVじゃねえんだから
口に出してあんあん喘ぐもんでもないのかもしれないけど、そのへんいまいちはっきりわからないんだけど
少なくともあたしの心には、美羽の身体に触れている時間が過ぎるたびに複雑な思いが影をおとしていって
どうしても、セックスというフィルター越しに見る美羽をいつもの美羽と同一視できなくて
自分の腕の中にあるのが美羽の抜け殻であるような気がして
それと肌を合わせてることに意味を見出せなくなっていった。
こうしてるうちにいずれ湧いてくるだろうと
たかをくくっていた愛情は、微塵も抱く事ができなくて
美羽を擦る手に愛をこめる事が出来ずにいた。
75 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:20:24 ID:8D4Tz0Rr
それでもあたしは手を止めるわけにはいかなかった。
この状況で言葉もなく、行動もおこさずにいることは
耐え難い空気を生むことになる。いや、とっくにそんな空気がいっぱいに立ち込めてしまった
この体育倉庫で気付かぬふりでいられる唯一の苦し紛れだからだ。
指の動きは次第に下半身に下ろしていこうと思った。
パンツの上からにしといたほうがいいかとも思ったけど
この際、中途半端はなしにしようかと思い切って綿パンに手をつっこむ。
美羽のそこは、随分なつかしい感触がした。
いや、あのそうじゃなくて、まだ幼い頃のなにも知らない美羽の股間を
己の欲望を満たすために触った経験があったとかじゃないよ。
懐かしかったのは発毛の始まってない美羽の感触が
もう十年近く前にあたしから消えてしまった手触りだったから。
ようするにそんだけ幼い少女に手を出してんだあたしゃ。
せめて美羽のそこを傷つけないために入り口周辺を擦るだけに止めようと思う。
爪は…… ん。伸びてねーな。マネキュアも塗らないし。
中にこじ入れたりも絶対にしない。間違って“破き”でもしたら損害賠償もん…… か? 教えて北村弁護士。
とにかく、美羽が身体の関係に対して抱いてる甘い幻想を壊すことはあっちゃならない。
きっと美羽は、ラブロマンスよろしくシーツにからまってほとんど肉体の隠された男女が
なんかもごもごやってたら場面が変わって、ちょっぴり幸せそうなふたりが
ならんで愛を囁いて、ぐらいのことしか理解できてないだろう。
エロ本読んだところで、それを本当に理解して、それが愛なんだと理解するには
もうちょっと時間がかかるはずだ。それまでは子供にとってセックスなんて
気持ち悪いか、さかりのつき始めた男子生徒のお気に入りか、じゃなきゃ笑い話になるのがせいぜいだろう。
だからそうならないためにこの状況も
やたら抽象的で薔薇でも百合でも咲き乱れる演出で誤魔化せないもんかね、なんとか。
76 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:21:33 ID:8D4Tz0Rr
それなのに、あたしがいろいろ考えて
必死に汚い大人の世界の入り口で通せんぼしてあげてんのに
美羽はもう一度自分でやりたいと言いだしやがった。
言い出したのはあたしなんだからお姉ちゃんに任せっきりなのはよくないよ、と。
いつになくまともなことを言ってるけど
あたしにしてみりゃあこいつはなに言い出すかわかったもんじゃねえし
どうも今の調子だとこいつの要求はなんでも呑んでしまいそうで恐い。
まださっきみたいに決意がすぐ萎えるようなら問題はないんだけど……
「お姉ちゃん、服脱ご」
言うが早いか美羽はあたしの腕をすりぬけて立ち上がり、服を脱ぎ始めた。
いそいそ、という擬音が似合いそうなほど、その動きにさっきのようなためらいは見られなくて
どうやらあたしの愛撫は美羽の緊張をほぐすことになってしまったようだ。
あわよくば、あれだけでえっちしたって満足してくれないもんかと期待してたんだが。
この世の終わりみたいな顔でもしてたんだろう。
振り返った先で呆然と突っ立ってるあたしを見つけた美羽は
素っ裸だというのに前も隠さず、ずんずん近付いてきた。
「うわっ…… やーめろって! 無理に脱がすな! 破れるだろぉ!」
少しは元気を取り戻せたのかもしれない。
Tシャツが捲り上げられたかと思うといっきに裸にひん剥かれた。
ああもう、なっさけねえ。
あたしがあんなところに直接触れてみせたもんだから美羽にも
自分も大胆になっていいんだと思わせてしまったんだろう。
下着まで容赦なく奪っていきやがって。
まっぱだかで体育倉庫って陳腐な設定がどうにも馬鹿っぽく思えて白けてしまう。
けれど美羽はやる気満々であたしと向き合うかたちで抱きついてくる。
だから、目が合うの気まずいんっすけど。
しかも、その体勢のままぐいぐい身体を密着させてくると思ったら
股間同士をすり合わせてるときた。
こんなやりかたまで知ってるなんていったいどんなエロ本読んだんだ。
つーか本当はどこで見たんだよ。こいつらに売る店なんてない…… はずだし
落ちてたか、もしくは誰かの家のお父さんのもんだろう。
いったいどこのアブノーマルだよ。美羽んとこのおじさんか
娘のプリン食べちゃうお茶目な茉莉ちゃんのお父さんか、英国紳士のアナちゃんのパパか
うちの親父ではないことを祈りたい、あと考えられるとしたら笹塚かな。
え……? 誰だ笹塚って? あたしそんな苗字の知り合いいねーよ。
なんで頭に浮かんだんだ? こわっ!
77 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:22:44 ID:8D4Tz0Rr
そんなことに気をとられてると
クリトリスのあたりに温かい体温を感じた。
接合部では美羽が自分のワレメにあたしの突起をそわせている。
男性器の起源はもともとはクリトリスだったらしい。
だからあながち間違ってはいないのかな……?
いや、待て。つーかなにもかもが違う。
せめて、美羽が将来男とやるときの予行演習ぐらいの
心構えでいてくれたらいいんだけどな。
そのほうがあたしもいくぶん気は楽なんだけど。
……大学のみんなとか、やっぱ男とこんなことやってんのかな。
は? 羨ましいのかって? ふざけんな。相手が美羽だからましなものを
これを男とやるなんてまともな神経と思えねえ。
いや…… 大多数から見たらあたしのほうが異常と看做されるんだよな。
だったらみんなあたしにもわかるように教えてくれよ。
セックスのどこに素晴しさを見出せばいいのかを。
中途半端な時間に目が覚めて暇つぶしで見た深夜番組で頭の悪そうな女が
“彼のぬくもりを感じてると赤ちゃんの頃のお母さんの腕の中の安らぎを思い出すのぉ”
とかほざいてるのを聞いた。おまえは母親を冒涜してんのか。
おまえの母親はおまえで性欲処理するためにおまえを抱きしめてたわけじゃねえんだぞ。
なにが安らぎなんだよ。あたしはさっきから美羽相手に、キスの時変な顔してねえかなとか
いちおう風呂入ったけどまた汗臭くなってねえかなとかが終始気になって落ちつけずにいる。
結局性欲にあらがえなかったやつの、全ては言い訳にしか聞こえない。
あれを神聖視したがる奴らってなんなんだ? 新しい生命を宿すからかよ。
いや、わかってるんだ。
子供は産まなくちゃならないし、誕生はなくてはならないものだ。
ただ、そのために男と気持わりぃことして
さらにそいつのせいでほんの一時期にせよ身体のかたちを変えられるなんて生理的に耐えられそうにない。
そう。あたしは生産性のない女なんだ。
もしうちらの婆ちゃん世代に生まれてたら不良品呼ばわりされるような、そんな女だ。
別に生殖機能に問題があるとかじゃないんだけど、気分的にね。
むしろ、どっか異常をきたしてくれないかなあなんて望むようになり始めてるよ。
月のものだって止まってくれて一向にかまわない。あんなのダルいだけだし。
子供も産む気ないしさ。子供は好きだけど、あたしの子供はいらない。
なんかもう、かっさかさに干からびた女になりたい。
干からびて、色褪せてくすんだ女。ちょうど煙草の煙がそうであるみたいに。
そんなふうになれたら…… きっと近い将来必ずくる悲しい別れを前にしても、無感でいられるはずだから──
78 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:23:57 ID:8D4Tz0Rr
いつの間にか、美羽の動きが止まっていた。
心ここにあらずだったあたしを不機嫌そうに睨んでいる。
「ああ、ごめんごめん。ちゃんと美羽を見てなきゃダメだよな」
こいつは男でも大人でもない。
いまこうして身体を求めてきた理由だって
あたしの気を引きたいがためであって、可愛いもんだ。
だから、こいつらには何より優しくしたいと思う。
「もういい…… もうしたくない」
けれど、美羽の機嫌はそこねてしまったらしい。
それでも終わりを告げられ、あたしは内心ほっとしていた。
だいたい、射精もおとずれない
かといって、淡白女とまだ性感も開発されてない女子小学生の
絶頂に至るわけでもない交わいなんてなにをもって終わりとすればいいのか分からなかったし。
若い肌っていうのは驚くほどのうるおいを持っていて
吸い付いていた美羽の肌が離れる時は本当にシールをはがすような音がした。
「お姉ちゃん、なんかつまんなそうにしてる」
男にインポ、とか吐き捨てるみたいなもんなのか。
腹立たしげに服を身に付けはじめる美羽。
でも、美羽の言葉にはどこかあたしを気遣う気持が含まれていたように思えた。
あたしがそう思いたいだけなのかもしれないけど。
結局あたしは美羽を安心させることができてない。
身体の関係のさきに、あたしの愛情を独占できると思ったのは美羽だけど
そう思わせる素振りぐらいしてあげてもよかったのに。
衣擦れの音にまぎれながら聞こえてくる美羽のすすり泣きに
いまさらそんな気分になっても遅いんだけど。
79 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:25:05 ID:8D4Tz0Rr
独特のにおいの染み込んだマットの上に寝転がって
格子の嵌め込まれた窓に目をやる。
我にかえってみれば身体から汗がだくだくに噴き出していたもんだから、さっき開け放しにしたところだ。
方角的にちょうど風の通り道らしく吹き込む夜風のおかげで汗はすぐ引いていった。
同じ調子でこの気まずい空気も入れ替えられないもんかね。
しょげたように、またあたしとの距離を置くように
端っこにうずくまってる美羽に目をやると、心底そんな思いにかられる。
罪悪感があるのか、あたしも意識して美羽のほうを見ないようにしている。
事情も事情だし、なにか言ってあげたほうがいいのかどうかもよくわからない。
目のやり場を探して窓の外に視線を送ると星たちが満点に輝く夏の夜空がそこにある。
久々に訪れた母校で見上げる夜空、か。
色んな意味で忘れられない体験になりそうだな。
ここで送ってた毎日に比べて……
まあ、当時からやさぐれてたガキではあったかもしれないけど
それでももうちょっと子供らしくっていうか
なにがおもしろかいのか、ボールが人に命中したぐらいで
腹がよじれるほど笑いながらあたしは、自分に際限のない可能性を見出していたと思う。
男子だって泣かせちまえる自分は、きっと将来大物になるんだろうと内心得意顔でいたんだ。
今のあたしみたいに自分を冷視したりなんて絶対しなかった。自分が大好きでしょうがなかったよ。
美羽、おまえも今ちょうどそんな二度と戻らない人生の最高潮に包まれてるんだぞ。
まだ人生の初期段階すぎてどう転がっていってもおかしくない時期におまえは立ってるんだ。
クラスでいちばん頭がいいやつがホームレスになる可能性だってあるし
茉莉ちゃんが世界的なアスリートになる可能性だって全くないとは言い切れない。
漠然として先の見えない未来のほうがかえって信じられるんだ。
そのもやのかかったようなイメージこそが夢なんじゃないかと思う。
もやがかかってたときはその輪郭からきっとお宝だろうと目星をつけて歩き出して
中学、高校、大学って進んでった先に見えたものががらくただったとしても
一歩を踏み出した頃のわくわくは、みんな等しく胸に抱く事ができるものなんだ。
だから、今のおまえはなんだって信じられるはずだ。
だから信じてもらえないかな、あたしを。
80 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:26:02 ID:8D4Tz0Rr
ごめん。なに偉そうなことほざいてんだろうな。
美羽はあたしを信じてくれたんだよな。これ以上ないくらいに。
信じることができてないのはあたしなんだ。
しかも、信じられないのはおまえらがなんだよ。
ずっと押し込めてきたけど、きっとそう遠くない先の世界で
おまえ達はあたしから離れていっちゃうだろうって、思えてならなくて。
おまえとちぃは来年中学だろ?
学校は一緒かもしれないけど中学ってクラスがいっぱいあるんだよ。
だから同じクラスになる確立は極めて低いし
それぞれ別々の新しい友達をつくってくことだと思う。
そうなってもまだ家にあしげく通うか?
部活だって始まるし、疎遠になってくのが普通だよな。
それだけ中学校生活って魅力的だからな。おもしれえぞ?
その時はきっと、おまえも何の後腐れも感じることなく
あたしから離れていくことができるだろう。
そんで一年たてばアナちゃんと茉莉ちゃんも同じことだよ。
千佳だって姉妹で遊ぶなんて卒業する頃だしな。
でもそれが自然なことなんだし、そうならなきゃダメなんだってちゃんとわかってる。
だから、そうなったって絶対に美羽たちを責めたりしないよ。
つらい事実だけど受け止め…… きれなくて多分、気持ち悪いけど泣くだろう。
でも、耐えてみせるさ。
81 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:27:07 ID:8D4Tz0Rr
お姉ちゃん、と美羽があたしを呼ぶ。
ん? と聴き返した一文字の言葉は
自分でもびっくりするくらい優しい発音を持っていた。
「煙草、吸って」
そんな脈絡のないことを言うもんだから
くるんとアザラシみたいにマットの上を転がって
ついた両肘で上体を支える体勢になって、美羽のほうに視線を向ける。
「なんで?」
「別にいいじゃん。吸ってるとこ見たい」
変なことせがむ奴だな、と思いながら
「いや、火災報知機とか鳴るとやばいし」
「大丈夫だよ」
ん〜…… まあ、こんなところにまで設置したりしないもんかな、普通は。
もう一度寝転がって見上げる天井にそれらしい装置がないのを確認しながら
パッケージから一本引き抜き、着火する。
大きく吸い込んで、吐き出すときはちょっと躊躇いながらだけど
よかった、なにも起きないみたいだ。
「ほら、吸ってやったぞ。感想は?」
ちらっ、と横目で美羽の方を見た。
眠たいのかもしれないけど、目元がとろんとまどろんだような、なんだか幸せそうな顔をしてる。
「……やっぱり好きになっちゃうのも無理ないよなぁ」
かみしめるように美羽がそう呟く。
しばらくかかってあたしのこと言ってんだって気がついた。
そしたら妙に恥かしくなっちゃって。
とっさに天井に視線を戻すけど
なんだか頬の辺りに美羽の視線があたってる気がして落ち着かん……
82 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:28:52 ID:8D4Tz0Rr
「お姉ちゃん、あれであたしのこと一番好きになってくれた?」
ぎくりとした。その質問をされてしまったことと
それにどう答えるかひとつで美羽の心情をおおきく揺さぶってしまうのだということ
そして美羽がどんな答えを欲しがっているのかあたしは知っているけど
それを伝えたらあたしは本心を偽ることになるって事実がひとまとめに押しかけてきたからだ。
「なれてない……」
けど、たいして間を空けるわけでもなく口にした言葉は、結局あたしの正直な気持だった。
それも、意識することなくぽろっと。
やっぱり嘘じゃ誠意が伝わらないとかそんな良心の呵責があったわけでもないし
どちらかといえば、言葉のうえだけでもそう言ってやれたら、なんてあたしは思ってたはずなんだが。
だから、また美羽が傷ついたんじゃないかなんてすぐさま後悔したんだけど
美羽の表情は落ち着き払っていた。まるであたしがそう答えるとわかっていたように。
「そうじゃないかと思ったよ。じつはあたしもね
途中でこんなの意味ないかなーって気付いちゃってた
馬鹿みたい…… 結局お姉ちゃんと気まずくなっちゃっただけなんて……」
ちらりと顔をあげた美羽がへへっといたずらっぽくあたしに向けた微笑は
あふれだそうとする悲しみをせき止めておくためのものだったんだと思う。
あたしは美羽が求めた夢でもあり、それを阻む現実にもなってしまったわけだ。
なんで本当のことなんて答えたりしたのか、いまだに腹立たしい。
けど、本心がそちらにある以上求められるままにすれば
そっちが嘘になってしまう。もし嘘をついていたら美羽の心を救えてたのかな。
そう考えると、どっちにしろなにかできてた気はしないな。
もしあたしに誰か救えるような力があれば
せめて救いたいと心から思い行動を起こす事ができていれば
こんなあんにゅいな不感症恋愛ニート女になんてなっていないだろうからな。
83 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:29:53 ID:8D4Tz0Rr
あたしはどう変わりもしない。変われる気がしない。
できるのはいつものあたしでいることだけだ。
美羽にしたってそうだ。なんかしんみりしちゃったこの状態から
普段のお調子者に戻っていく以外は、他の何にもなれるわけじゃない。
いまのうちはまだ、な。
今日のことがあたしたちの間をぎすぎすにしただけだったとしても
あとになって振り返って、あれはお互いの思いを確かめ合うためだったんだ、とか
適当なこじつけをふたりで語り合えばいいじゃない。
そのときまでおまえがあたしにこだわってくれてればの話だけど。
あたしとおまえは実際いいコンビだよ。
またふたりで悪ノリしたいじゃん。
一番ってのとはちょっと違うけど
おまえの代わりはいないってことで納得してくれねえかな。
ほら、もっともっと特別なオンリーワンって歌あんじゃん。
あの歌嫌いだったっけおまえ。あたしも嫌いだ。
ほら、気が合うだろ?
まだ半分は残ってる煙草を
マットをめくって床に押付けもみ消す。
「美羽、こっちこいよ。眠そうな顔してんぞおまえ」
くいくい、と自分の腕を指差す。
言ってるあたしもじつは大分眠いんだ。
「腕枕してやる。最近よく喰ってるから
二の腕たぷたぷしてて気持いいぞ」
自虐的な冗談に、美羽はすこしだけ笑ってくれた。
けど、腕を差し出して美羽がくるのを待っても
いつまでたっても腕に頭の重みが感じられない。
おーい、なにしてんだ。はやく来いってば。
この甘えんぼ。明日になったらもうやってやんねえぞ。
おちかける意識の片隅が
がらっとスライドする扉の音をとらえた。
なんだ、トイレか?
おい…… どうゆうことだよ……
“忘れないでね”って……
84 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:31:03 ID:8D4Tz0Rr
まず、目覚ましを取ろうとした腕が空振りした。
はぐろうとしたタオルケットは、そもそもかけていなかった。
身の回りの物がないことで、ようやく私は自分が目覚めたのが
埃くさい倉庫のなかであることに気がつく。
まだ朦朧とした意識でも、自分をねっとり包み込んでいる憂鬱間なら感じることができた。
期限ギリギリのレポートを結局やらずに寝ちまって迎える朝、あれに似た気分。
そうか…… 昨夜……
「美羽──?」
軽く首を動かせばまんべんなく見渡せる狭い倉庫内に美羽の姿はない。
「ってえ……」
こめかみに軽い痛みがはしり、手をやる。
アルコールをとらずに寝た翌日はかえって頭痛やらが出るんだ……
昨夜のことが少しづつ浮かびあがってくる。
眠りにおちるまえ聞いた、あの寂しげな言葉も。
“忘れないでね”
そのとたん背筋が引っ張り上げられるような感覚に襲われた。
消えた美羽。残した言葉が“忘れないでね”──
そこから連想できるあいつの意志は、寝起きの頭でも容易に推測できた。
「美羽っ!?」
反射的に立ち上がって叫ぶけど、その声に押し返されたように
がくんと膝が崩れてすぐまたへたりこんでしまった。
自分の叫び声すらしっかり支えられない。
それくらいでかいショックにあたしは見舞われていた。
「嘘だろ……」
なんでだよ。愛おしいあなたと一夜だけ結ばれることができたから、私は身を引きます、ってか。
そんな演歌の世界みたいなこと、おまえなら馬鹿にしそうなもんなのに。
85 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:32:08 ID:8D4Tz0Rr
そんなことどうだっていい──
急いで携帯を取り出し、電源を入れる。
っていうのも昨夜美羽から連絡があった時点でもういいかと思って
ちぃのメール攻撃がおっかなくてオフにして、そのまんまにしてたから。
浮かび上がった待ち受けの時計が朝の五時過ぎを指しているのを確認したとたん着信音が鳴り響いた。
「美羽かっ!?」
かみつくような勢いで電話に出るけど
『は……? いや、あたしあたし…… え、じゃあなに? ってことはまだ見つかってないの?』
電話の向こうの面食らったような声はちぃのものだった。
着信も確認せずに出たもんだから。
まだ見つかってないみたい、と少し遠く聞こえた声は
茉莉ちゃんとアナちゃんに向けてのものだろう。
どよめきのようなものもかすかに聞こえた気がした。
ってことは家にも戻ってないんだ。あたり前だけど。
『ねえ、昨夜からずっとかけてんのになんで電源切ってんのよ!
お姉ちゃんみっちゃんにひどいこと言ったんでしょ!?
みっちゃんになんかあったら姉妹の縁切るからね!!』
あたしの早とちりな第一声に思わず拍子抜けしてしまいはしたものの
ずっとあたしを責めたい気持でいっぱいだったんだろう。
ちぃの口調はしだいに怒りを帯びていった。
怒りと、そうすることで泣き出しそうなのを気丈に堪えてる健気な心も、その声は教えている。
ええ。美羽とはなんかありましたよ。
なんかあたしにもよくわかんないうちにすごいことになっちゃいましたよ。
そのことであたしが縁切られるのは当然として
おまえと美羽の関係まで危うい事にしてしまったかも知れないんだよあたしは。
「いや、美羽とは会えたんだよ」
別に嘘は言ってない。
ちぃの不安を少しでも取り除いてあげたくて。
『ほんと!?』
でも、その言葉に喜びをあらわにする妹に
結局たんなるぬか喜びをさせてしまったに過ぎないんだな、と心が痛んだ。
86 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:33:23 ID:8D4Tz0Rr
「会えたんだけど…… ちょっとあって…… なんか、いねえ……」
我ながら酷い答えだと思う。説明能力ゼロか。
けど昨夜のことに触れるわけにもいかない。
要領を得ないあたしの返事に、ちぃの声には再び不安が滲む。
『どうゆうこと……? わけわかんない……!
みっちゃん、そこにいないってこと? なんで嘘つくのよっ!』
語尾が裏返ったのは、とうとう涙を堪えきれなくなったんだ。
ああ〜 やっちまった……
希望を与えといて高いところから突き落とす、って鬼畜かあたしは。
低いうめき声やら荒く乱れた呼吸が耳元でありありと伝わってくる。
胸を鷲掴みにされる思いでそれが止むのをひたすら待った。
「いやそれでさ、帰ってねえかと思って。部屋に電気とか点いてねえ?」
『ぐずっ…… 点いて…… ないよぉ……』
少し間があって返事がかえってくる。
自分の家にも戻ってない……
じゃあ街のどっかに向ったんだろうか。
『待ってて…… おばさんに、帰ってこなかったか聞いてくるね……』
いや、おいちょっと待てちぃ。
止める間もなく保留に切り替わっていた。
流れ出す、いらっとくるくらい場違いにアップテンポなひと昔前の曲。
いないのなんて分かりきってるじゃないか。
それでもちぃは動かずにいられないんだろうけど。
正直おばさんにはまだ知らせずにおきたかった。
心配かけたくないってのは都合のいい言い分けにしかならんだろうからはっきり言う。信用失うのが恐い。
……あ、曲止まった。
『もしもし…… やっぱり戻ってないって……
家に泊まるって…… ひっく……言ってたから…… ずっとそのつもりでいたって……
おばさんすっごく心配そうにしてたよ…… お姉ちゃん! みっちゃんとなにがあったの!?』
「あー、あの…… なんでもないから、大丈夫、大丈夫……
それよりおまえら学校あるんだから少しは寝とけよ」
『大丈夫、ってそんな軽く答えないでよぉ! お姉ちゃんみっちゃんが心配じゃないの!? だいっきらい!!』
「ごめんごめん。 あの、ほんとそんなんじゃねえから
な、ちゃんと学校行くんだぞ。じゃあ切るな、そんじゃな」
まだなにごとか怒鳴ってるちぃを振り切るように一方的に通話を切ってしまった。
あの様子じゃ捜索願でも出しかねない。
もし本当に見つからなければ、そうなるんだろうけど。
87 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:34:26 ID:8D4Tz0Rr
とはいえ小学生の足だ。そんな遠くまで行けるわけがない。
それくらいの判断はできる。できるのに、それならいますぐ飛び出して探しに行けばいいのに
どうゆうわけか動く気になれなかった。
美羽がいなくなったのって、あたしと気まずくなったからじゃないのか。
たぶんそうなんだろう。ほとんど衝動的にあんなことしてしまったから。
しかも残酷な事に、それはあたしらの関係の汚点にしかならなかったと言わざるをえない。
あたしらふたりをいたずらにかき回しただけだと。
きっとそのせいだ。美羽は自分を責めて、あたしから離れていった。
もしそうなら、美羽があたしといることに耐えられなくなったんなら、それでもいい。
思いがけないかたちでのお別れになってしまったけど、いずれ同じ事になってたはずだろう。
でももしかして、もっと突っ走った行動に出てしまったとしたら……
昨日の思いつめていて、それでいて妙に落ち着いていた美羽が思い出される。
あの様子はまるで自殺でもしかねない奴の……
「……まさかな」
口に出さなきゃいけなかったのは、少しでもそう信じさせてくれる材料が欲しかったからだ。
寒い── 夏だってのに怖ろしいくらいの寒さに襲われた。
無性に煙草が吸いたくなってパッケージから一本抜く。
けど、ひと口吸い込んだ煙は、どういうわけ格好つけたいがために
初めて手を出したときのように咽喉が受け付けてくれなかった。
激しくむせながら、じつは自分が精神的にかなり参ってるんだってことに気付かされた。
おかしくなってたんだ。
昨夜、美羽を受け入れたりして、それからずっと。
まともじゃなかったとしか思えない。あんなことするべきじゃなかった。
あんな要求、良識ある大人ならなにがなんでも断るもんだ。
受け入れたところで、幸せになんてなれないことぐらい、わかりきったことじゃないか。
あいつの不安を取り除くためだったら
引っ張ってでも連れて帰って家で二人だけで寝てあげるなり
そうじゃなきゃ五人でござ寝するなりで解決できた話じゃないのか。
なんで馬鹿正直に美羽の気持に応えたりしたんだろう。
いや、あたしはそのことに気付いてる。
結局そうなんだ。あたしは自分のために美羽を抱いたに過ぎない。
あいつがあたしを求めた理由と、あたしがあいつを受け入れた理由は一緒だ。
身体の関係を持つ事で、いつまでも一緒でいることができたら。
その気持だけがあったんだと思う。
88 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:35:26 ID:8D4Tz0Rr
やっぱり別れに耐える自信がなかったんだろう。
往生際悪くそんな行動に出てしまったってことは。
もしかしたら、セックスという繋がりなら
いずれくる別れを避けられるんじゃないかって考えがきっとあったからだ。
そんな打算を裏に隠し持ってるから、きちんと美羽を見れないんだ。
それどころかそのせいで美羽はどっか行っちまったじゃねえか。
私欲に走って、それで幼い女の子を傷つけて。
それでも…… それでもな……
あたしは美羽達といつまでもいたいんだよ。
あいつらがあたしのもとを去るんだって現実は
きちんと受け止めなきゃいけないのに、ずっと見ないふりし続けてきたんだ。
頭の中から追っ払っちまわないと、残り少ないおまえらとの時間に
そんなこと考えながらじゃ勿体なさすぎる。
そうやってシカト決め込んで、普通にいままでと変わりない、他愛ない毎日だと思い込んでれば
本当に誰もあたしの前からいなくなる一日前までずっと平気でいられる。
そんなわけないのはわかってるのに。
だからせめて、もうちょっとはあたしの側にいてほしかったのに。
こんな八歳も歳の離れた妹の友達にまで関わってくる
ウザい姉貴の相手なんかしてられるか、ってなるまでもう少し一緒にいたかったよ……
89 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:36:24 ID:8D4Tz0Rr
あたしはもう、今にも泣き崩れそうになっていた。
けど、泣き出す直前で、顔の筋肉を強張らせる。
そうだ。まだそうしてたいなら美羽を見つけなきゃ。
見つけて、せめてあたしに会いたくないなら会いたくないってことを、本人の口から聞きたい。
美羽への思いが、だいぶ病んでる思いが
少しずつあたしを奮い立たせようとしていた。
それでいざ立ち上がろうってとき、入り口の扉が勢いよく開いて──
「こるぁー! どこの不良生徒だぁー!」
ほったらかしにしといた煙草の灰が長く伸びて崩れた。
後から気付いたことだから崩れたらしい、としておいたほうがいいのか。
そん時あたしはもうそれどころじゃなくって
ただ固まって倉庫の入り口に向けた目を丸くしていた。
倉庫の入り口── そこにたたずんで、にかっと歯を見せて笑う美羽に。
90 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:37:24 ID:8D4Tz0Rr
「やーい、伸姉ビビってるー♪ 」
ピッチャービビってる、の替え歌はやかましいくらいだけど
これが本来の調子なんだから仕方ない。
私はというと…… 古典的な、口をぱくぱくさせて発声もままならない
リアクションをとっている。そんで幽霊でも見たように美羽を指差す。
はたから見たらただのアホだ。
「いやぁ 昨夜駅まで行って切符買おうとまではしたんだよ? そしたら見てよこれえ」
近付いてきた美羽が財布のマジックテープをはがし
私の顔の前でばっと開いてみせる。
中には千円札一枚入っていない。
「つーわけでさあ、金貸してくれぃ」
なんで金の入ってない財布を持ち歩いてんだ、ってツッコミは
残念な事に入れる気力がなかった。
自殺するだって……? こいつが……?
自分が恥かしくなって、あたしはすっかり脱力して、安心して……
「おまえに貸したら…… 却ってこないじゃん……」
どうにかツッコミらしき言葉を搾り出すんだけど
その声は婆さんみたいに震えていた。
やばい。非常にやばい。
91 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:38:24 ID:8D4Tz0Rr
「えー! じゃあどうすんのさーっ
せっかく、変態女に純潔を汚されて傷心のままに都会に流れておじさんたちの相手して生計たてて
斜に構えたドぎつい化粧の姉御になろうってあたしの計画はぁ」
長えよ! なんでそんなもんに憧れてんだおまえは。
でも、ここまで極端なはしゃぎかたは、
とにかく沈黙をつくらないように矢継ぎ早に軽口を並べる様子は
いつもと同じってわけでもないのかもしれない。
いや、わかってる。これはこいつなりの照れ隠しなんだろう。
美羽もあれこれ考えて、そんでやっぱりあたし達のベストな繋がり方なんて
こうでしかありえないって答えに行き着いてくれたんだ。
そうやって、美羽はまたどこか大人びていってしまう。
大人になって、あたしが思わずじんと胸を熱くするような
そんな言葉をかけてくれるんだ。
「しょーがない。じゃあ今日からまた松岡美羽ちゃんが
みんなのムードメーカーになってやりますか」
そんな偉そうな、温かな、やわらかい朝の陽射しみたいな言葉を吐きやがるもんだから
だめだ、と慌てた瞬間にはもう堪える事ができなくなっていた。
美羽が…… 美羽が帰って来てくれるんだ……
まだ美羽と一緒に居られるんだ……!
「ん? どうしたー伸恵? 泣いてんのかぁ?」
屈んだ美羽に顔を覗き込まれそうになって
とっさに誤魔化そうとするんだけど
こればっかりはもう、どうにもできそうにない。
もう、わかったよ…… 私の負けだよ……
美羽が驚いてあたしから飛び退いた。
それくらいでっかい声を出したんだ。
でっかい声で、天井を仰いで、小さな子供がそうするみたいに
あたしは力いっぱい、泣いた。
92 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:39:40 ID:8D4Tz0Rr
電池が切れたらどうやって交換すんだかわかんないような高さに取り付けられた時計は六時前まで進んでいた。
いいかげん外に出ないと誰か登校してくるかもしれない。
体育館の扉を開けると目が痛くなるような朝の陽射し。
きっと今日も暑くなるんだろう。今日はもういいや、大学行かねえ。
こんだけ大仕事したんだ。そんくらい許されるよな?
「おい、そっちじゃねえ。裏門に止めてる」
正門のほうに行こうとする美羽に声をかけてさっさと歩き始める。
まだ声が掠れてるし、どうせ目も赤いんだろうし、鼻はむずむずしたままだから恥ずいんだ。
でも美羽は必要以上にそのことをからかわずにいてくれた。
ちらっと後ろを向くと、自分の中で何かルールでも決めてるのか
足元に敷き詰められたレンガの、アクセントのためだろうか
等間隔で嵌め込まれた色違いの場所だけを踏むように飛び移ってて、とても危なっかしい。
自然と微笑みが浮かんで、あたしは鼻をすすった。
「なあ、美羽」
かなりバランスを危うくしながら次のレンガに飛び移った美羽は
そこでいったん足を止めてくれる。
といっても、実はあたしは次の言葉を考えていなかったんだ。
なにを思って美羽に声をかけたんだか、自分でも謎だった。
さっきも言ったけど声がいまやばいことになってるってのに。
ガキ使の山ちゃんの卒業式みたいになってんのに。
それにも関わらずあたしが言いたいことってなんだろう。
たぶん、昨日は悪かったな、とか、美羽ありがとう、とか。
もしかしたら、この期に及んで
これからもずっと一緒に居ような、とか
往生際の悪い言葉を繫げようとしたんだと思う。
相変わらず俗なことばっか繰り返そうとしてるな、あたしは。
けどそれは馬鹿らしいほど不必要なことなんだよな。
こういう時くらいしか言う機会がないのかもしれんけど
そういった言葉が交わされないでこその“あたしら”だと、そう思う。
93 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:40:44 ID:8D4Tz0Rr
だから、不自然に間を作ってしまった後だけど
あたしはとっさの思いつきで昨夜見た中庭の一角にある謎の建物を指差した。
いや、むしろマジで気になる。通り過ぎる前でよかった。
「あんなのっていつできたの?」
「え? 小ホール? ん〜、うちらが四年の時だったかなぁ……
学年だけで集まる時とか、あんまおっきいことしない時に
あそこ使うんだけど…… あれがどうかしたん?」
「おまえらが四年…… じゃあ違うわな。
いや、なんか昨夜見た時あたしの頃もあったような気がしたもんだからさ」
そんな他愛なく実りのない会話が
夏のお日さまの下で浮かんでは消えていくのが嬉しい。
やっぱあたしらはこうでいいんだ。
しょうもないこと言いあってれば、勝手に幸せがついて来る。
ずっと、とはいかないみたいだけどもうちょっと、な。
とろとろしてたもんだから
レンガ飛びを再開した美羽に追い越されてしまった。
昨夜あたしがほどいた髪はいつものようにくくられている。
ぴょこぴょこ跳ねるツインテールを眺めながら
夏の陽射しをかいくぐって歩いた。
94 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:41:43 ID:8D4Tz0Rr
かつて知ったる、なもので美羽はそそくさと原付に這い上がる。
このまま家に帰ればまた、もとの毎日に戻る── 戻ることができるか?
昨夜のこと、もう引きずってないか? 美羽。
視線を送ったちょうどその時
短い足で奮闘してる美羽のスカートがちらりと捲れたもんで
なぜか思いっきり目を逸らしてしまう。
おいおいおい、なに照れてんだ。
意識してんのはあたしの方じゃねえか。乙女かっつの。
あたしの視線を感じたか、美羽が振り返ったもんだから慌てて携帯を取り出した。
そうだな。誤魔化しついでだし、どうせ今から帰るけどちぃに連絡しとこう。
電話の方がいいんだろうけどメールにしとこう。声で泣いてたのがバレそうだから。
「お姉ちゃーん」
「んー?」
“さっきはゴメン。安心しな。美羽とはいま一緒に”
なんとか乗り込んだ美羽の甘えたような声には
画面から目を離さず答えた。
「このまま駆け落ちしちゃおうか」
“さっきはゴメン。安心しな。美羽とはいま一緒にくぁwせdfrtgひゅじk”
体の代わりにメールを打つ指がずっこけた。
こいつ、まだそんなことにこだわってんのか、と不安が過ぎるけど
そう言う美羽の笑顔は無邪気そのもので、昨夜のような思いつめた印象は全く受けなかった。
なんだ、冗談かよ……
「ねえー いいでしょぉー」
「いや、原付で2ケツなんかしてたらふつーにおまわりに止められるし」
ぶーっ、と不機嫌そうに美羽はほっぺを脹らます。
それを指で挟んで空気を抜いてやりながら明けたばかりの真っ青な夏の空を見上げた。
昨夜のある種劇的な出来事と、そんで向かえるこんなに眩しい朝。
たしかに、愛し合う二人が駆け落ちでもするにはもってこいな条件が揃ってはいる。
このまま二人、この晴天の下、古き良きイタリア映画みたいに走り去るのも悪くない。
95 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:42:46 ID:8D4Tz0Rr
けど…… やっぱだめだ。似合わな過ぎて笑える。
悲しいかな、あたしらは浪漫なんてものに縁がないんだ。
勢い込んで走り去ったとして…… その先は?
映画ならエンドロール流してあとはご想像にお任せします、で済むかもしれない。
けどあたしらの前にはもっと現実的で生々しい問題しか待ち構えてないんだ。
今日は休む気バリバリだけど
そんなんだから大学の単位だってそろそろ本格的にやばいし
留年する覚悟もちょっとできそうにない。
そもそも二人でやってけるほど先立つものがない。
先月のバイト代だって三分の二は酒代に消えたし、一文無しの美羽は話にならん。
それに、あたしはやっぱり美羽だけを優先してあげることはできないよ。
茉莉ちゃんやアナちゃんに会わずに何日禁断症状に耐えられたもんだかか全く自信ないし
……あと半年くらい会わないままだとちぃの分も出るかも。
そのはずなのに──
どうしてだろう。陽だまりの中でころころ笑うこいつを見てると
今のうちになにか特別な思い出を一緒に作っておきたい、なんて思うのは。
すぐにではなくても、近い将来絶対あたしと疎遠になる美羽との思い出を。
そんな考えを自分が持てたことが不思議でならなかった。
だって、思い出作りなんてもんにはしり始めるってことは
美羽達がいなくなることを認めるようなもんだってずっと思ってんだから。
美羽達が思い出の中だけのものになっていくんだと、認めることなんだと。
だから、普段どおりに過していようと思った。
今日を普段通りに過せたら、明日もそのまま、明後日もそのまま、そんでその先もずっと……
ってかなり無理な考えで自分を信じ込ませようと必死だったんだ。
でもそれも、どうやら限界まできてるらしい。
今日みたいにちょっと突っつかれただけで泣いてるようじゃあもう駄目だろう。
いつまでも逃げ回ってちゃいけない、ってことなのかな。
大人になってくこいつらを受け止めて、送り出さなきゃならない時期にさしかかてるのかもな。
今だったら…… できるかもしれない。
96 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:43:48 ID:8D4Tz0Rr
そうだよ。受け止めて、そんで楽になったら普通の日常だけじゃなく
大きな思い出だって残すことができるんだ。
勿論、美羽だけじゃなくって他の三人とも、それぞれの思い出をいまのうちに作っておくべきなんだろう。
それに、あたしだってこいつらと離れたあと
ただの魂の抜け殻になるってわけでもないのかもしれない。
ギリギリのところでも大学はきちんと卒業したい、なんて漠然としたこだわりをもってるあたり
自分の将来にだってなにかしら求めるものがあるのかもしれない。
それが、どうかこの子達が消えてもあたしを支えてくれるほど大きなものでありますように。
ともあれ、あたしは最低出席日数とバイト代の残りを頭の中で
すばやく、とはいかなかったけど、照らし合せて計算した。暗算はどうも苦手なんだ。
えーっと…… ああ、やっぱせいぜいこんなもんだろう。
とうてい駆け落ちとは言えないような、ひどく現実的な日数が打ち出される。
美羽の頭にメットをかぶせた。
ぼすっと押しつぶされた空気の音とともに
いきなり塞がった視界におたおたしている美羽に語りかける。
「一週間遊んだら帰ってくるんだからな」
──終わり──
97 :
美羽×伸恵:2006/12/18(月) 03:45:26 ID:8D4Tz0Rr
この後二人は傷心伊豆旅行に向いましたとさ。
お前は神か
超GJ!
全 米 が 泣 い た
いや、本気でGJ。不覚にも目頭が熱くなった。
クラス・メイト聞きながら読んだらマジ泣きするわ俺。
100 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/23(土) 20:42:03 ID:vZ7OSx9y
上昇
まじでGJ!
切なくてたまらねぇよ
102 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 06:27:18 ID:Lx5SB95Q
GJ!!
ただ逆接語を多用して文章全体がちょっとダラけているのが気になったが、その分を差し引いてもス バ ラ シ!!
特にアニメの1年が終わっても、進級や進学もせずまた同じ1年を繰り返す設定を逆手にとった構成が一番ス バ ラ シ!!
103 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 06:35:38 ID:Lx5SB95Q
逆接語っていうか思考の反芻だな。スマソ
すげえ・・・いいもん読ませてもらったよ!
ありがとう!
マジGJ。難点を上げるとすれば、伸恵の設定がアニメ設定になっている所か。
次は、「伸×ちぃ」も書いてくれ。
106 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/30(土) 02:10:46 ID:C8so9POn
ほすほす
なんだかこんな時間にドラマCDみたいな感じのネタを思いついたんだが
…読みたい奴居るか?
ノシ
はいはーい!
110 :
107:2007/01/04(木) 00:37:11 ID:OkEKiMao
ありがたや
それじゃ書いてみるけどSS経験皆無なのでその辺は御了承を
保守
保守
114 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 19:10:56 ID:SFtcQ6U/
保守
GVスゲェよかった!!
あとほす
118 :
名無しさん@ピンキー:
浮上