森の中で拾った彼の熱はまだ引かない……
「ル……イ…ズ、……にげろ……ルイズ…」
ずっと……うなされている。
(かわいそう……)
指輪の魔力も尽きてしまった……
わたしにこの人を助ける力はもうない……
(ごめんなさい……)
熱を測るために、額に手を当てる。
まだ……熱が高い。
「……ルイズっ」
「きゃっ」
いきなり抱き寄せられる。
小さいときのお父さんやお母さんとは違う、私より逞しい腕。
恥ずかしくって動けなくなる。
彼の腕が、何かを探すように私の胸を探る。
(あっ、あうあうあうあうあうあう)
声にならない悲鳴を上げていると。
「……ち、……がう……ルイズ……じゃない……」
?
どういうことかしら?
また何かを探すように、腕が虚空を彷徨う。
……私にできること……ないの…かな?
ちょっと寂しくなって立ち去ろうとした。
「あっ」
また捕まる。
「……ル、イズ……良かった……」
今度は何か安心したように、息が静かになる。
(よかったぁ……)
あ、でも……私の服を掴んだままだ……
(もうすこし、このままでいてあげるね)
不思議なことに私の背中を掴んで安心した彼の側に、私は暫く居る事にした。