嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 十八禁

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614ロボ ◆JypZpjo0ig :2006/10/01(日) 12:34:19 ID:075qAHVE
今回はこれで終わりです

うん、少し後悔してるっぽいんだ
墓場まで持っていこうと思っていた裏設定の一つなのに出してしまって
全く、駄目な子! 駄目な子!!

それと早く本編を完結させろ俺
615名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 13:46:05 ID:CZ680LyZ





















                 〈 ̄ヽ
           ,、____|  |____,、
          〈  _________ ヽ,
           | |             | |
           ヽ'  〈^ー―――^ 〉   |/
              ,、二二二二二_、
             〈__  _  __〉
                |  |  |  |
               / /  |  |    |\
           ___/ /  |  |___| ヽ
           \__/   ヽ_____)


616名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 14:13:09 ID:P/XFOpZr
>>614
GJです
毎度安定して量を供給できる文章力には感服
617名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 18:20:37 ID:1XykBEQ/
>>614
|ω・`) さすがロボ先生、相変わらずレベルの高い作品を連発で凄い・・・
そしてユキさん、なかなかハードな生活を送っていらっしゃいますね
受け入れられるまでが大変だったろうなぁ、でもその行程も含め(*´д`*)
「ふふ、いい様ね――――」
 まるで抜け殻のような女を見下し私は微笑した
 口の端から唾が垂れ、床にはいたる所に彼女の憎悪の証のサインが残されている
 目は色を失い、生気はなく『生ける死人』の状態だ
 最初の方は私や冬香を見るなり憎悪の眼光を刺すように向けてきたけど――――
 今は死人、私を見ても何の反応も示さずにゆらゆらと揺らめく瞳は天を見つめ動かない
 口にしてあった声を出せないようにしていたモノは既に取ってある
 なぜか、それは・・・・声すら発することの出来ない程に見せ付けたやった
 私と涼ちゃんが愛し合う姿を・・・・
 冬香と涼ちゃんが愛し合う姿を・・・・
「どうしたの?言い返さないの?南・条・秋・乃――――さん?」
 遥か高みから言い放ってやる
 薄汚れた売女のくせに私の涼ちゃんに恋慕するだなんて許せなかった
 
心が自分のモノにならなかったからって監禁し、陵辱するだなんて――――
 私は思った――――
 この女には死よりも遥か大きな苦しみ・・・・そして醜い死を――――
 その身に刻み付けてやると――――
 死以上の苦しみ与え、廃人にした―――――
 あと、は――――

 私は隣に居る冬香と頷き合うと廃人と化した南条秋乃の拘束から解いた
 何の反応もない、くふふ――――ふはははは!
 やった!やったわ!まさかここまで出来るなんて思ってもなかった
 人間をここまでどん底に落とすことが出来るなんて思ってもなかった
 落ちなさい、もっとよ!もっと!もっと奈落に落ちるの!
 これは――――最後の工程よ
 生ける死人を崖まで連れて行って冬香と一緒に突き落とす
 まるで腕が天空へと伸ばされる、生きることにまだ執着しているの?
 許さないわ、死になさい・・・・このまま

 幸いなことに南条秋乃は失踪扱いになっている
 警察の人は事件性はなし、ただの家出と判断したからだ
 あの時といい、今回といい――――ほんとバカみたい
 それにこの辺りは自殺の名所
 入ってくるのは自殺志願者だけ、地元の人も年に一人か二人程度が入ってきて山菜を採るのみ
 まず見つかる可能性はない
「バイバイ、負け犬さん――――」

「あは、やったね、お姉ちゃん♪」
「ええ、やったわ!やっとよ!」
 人を殺した罪悪感などはまるでなかった
 あるのは南条秋乃を殺せた喜びと涼ちゃんをこの手にした至福のみ
 身を震わせ歓喜する、『ついにやってやった』と――――
 
「涼ちゃん!聞いて♪」
 帰るなり私と冬香は涼ちゃんに抱きついてこの喜びを伝えた
「南条秋乃がね!消えたんだよ!お兄ちゃん!」
「そうなの!だから、もうなにも怖がることはないのよ♪」
「ほ、ほんと?」
 信じられないとばかりに涼ちゃんが不安げに聞いてきた
 安心して、これからはずっと一緒よ・・・・
 涼ちゃん――――
「あ、ああ――――」
 恐怖、憎しみ、愛憎、悲しみ――――
 その全てを喰らって『彼女』は戻って来た
 愛する『彼』の元に・・・・
「な、南条・・・・秋乃・・・・」
 『彼』の恐怖が木霊した
「ダメじゃない、殺すんなら――――徹底的にやらないと!」
 冷たい手が夏美の頬を這って行く
 振り返る夏美の視界が微笑む青ざめた肌の『彼女』でいっぱいになった
 右手は優しく夏美の頬を愛撫し、左腕はあらぬ方向へ折れ曲がりその機能を失っている
 全身が水に濡れ、白い服に赤い点が浮かぶ
 後ろに広がる死の世界を前に夏美は死の恐怖を身近に感じた
 自分は死ぬのだ、そう思った瞬間――――
 夏美の喉が裂かれ『彼』に夏美の血が降り注いだ
「きゃはははぁ!!!!」
 死神が嗤った、この世のものとは思えぬ声で――――
「嫌!嫌ぁぁぁぁぁ!!!!!!」
 生にすがり逃げ出すとする冬香
「あら、逃げちゃだめよ――――」
 冷たい手が冬香の脚を掴んだ
「――――ッ!」
 冬香の身体が一瞬宙に浮かび倒れた
「なにが愛してるよ、結局逃げるんじゃない――――」
 『彼女』は微笑し倒れた背中の上に馬乗りになった
「やっぱり涼さんには私しか居ないの、これでわかったでしょ?」
 『彼女』が振り返り返り血を浴び呆然とする『彼』に笑って見せた
 あまりに美しいその笑みに『彼』は蛇に睨まれた蛙のように硬直する
「死ね、カスが――――!!!!!」
「嫌ぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!」

 死が互いを別つ時までずっと一緒ですよ、いえ――――
 死を迎えても二人はずっと一緒です――――
 そう、二人はず〜っと、ず〜っと――――
 一緒です――――
 涼さん、愛してます――――
 私はずっと、あなたの私でいます――――
 だから、これからもずっと――――
 私だけの涼さんで居てください――――
 私はようやく手に入れた、私の世界を――――
 涼さん、あなたと私が作る美しい世界で、いつまでも一緒にいましょう――――
 もう、誰にも邪魔させない、私と涼さんの愛を――――
 ずっと、ずっと一緒だよ、涼さん――――


 
 
 
 
 


FIN『キミ想う』
622アビス  ◆1nYO.dfrdM :2006/10/01(日) 19:13:48 ID:2f8k6w1y
ここまで読んでくださった方、お疲れ様です

秋乃が死んで幽霊になってやってきたのか?
それとも実体なのか?
は、皆さんのご想像にお任せします

もう、何時から投下してないのか思い出せないほど前から投下していませね
リアルがアホみたいに忙しくて、続きが書けませんでした、すいません
加えて救いようのないBADENDにしてすいません
他の二ルートは最初の宣言通りにハーレムENDにしますので
と、言っても次の投下はいつになるかわかりませんが、ほんと申し訳ありません
623名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 19:19:55 ID:3AoPLAiY
ついに姉妹日記がキ…(-_-)キ(_- )キ!(- )キッ!( )キタ(. ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!( ゚∀゚ )キタ━━━・・・( ゚д゚)

(( ;゚д゚))アワワワワ

(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

(((((((( ;*´Д`)))))))ハァハァガクガクガタガタブルガタハァハァガクガクガク
624名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 20:09:12 ID:N9wfvtg7
話は面白いんだけど、

・句点(。)が無い
・ダッシュ(――――)を使いすぎ
・いちいち文末ごとに改行しているのでテンポが悪い

この辺がどうしても気になる
625名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 20:15:55 ID:gWFvfouW
>>576
お答えありがとうございます
成る程、初期プロットを越えて大化けしたんですね
作者の思惑も越えるんですから面白いわけですな
GJ引き続き楽しみにしてます

>>622
夏冬姉妹がぁぁ……
まさかのどんでん返しにやられましたGJ
姉妹救済エンドも楽しみにしてます

さて気付けば465KBそろそろ次スレの時期
今のところ出てるスレタイ案は
>>8 私の中で19のよ
>>563あの女の所には行く(いく)な
   幾重(いく え)にも積もる想い
   恋は戦場(いく さば)

 19と『いく』を掛けてるわけやね

ほかに良い案ある?
626名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 20:53:27 ID:EipP+0Bw
さ19(細工)は流々
19(一球)入魂
627名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 21:05:19 ID:aBOh/Doz
貴方に抱かれて19ぅっ!

某ヴァルキリーのようにw
628名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 21:14:19 ID:fYyRwNr2
次のスレタイは


19回忌
629名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 21:15:04 ID:siEyUPvt
>>576
えぇ〜〜〜〜!無いのか・・・・(泣)でも後悔しない。貴方のおかげで部長さんに会えたから・・・・・
>>627
堕ちて19
630名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 21:22:16 ID:nxK7UuxX
貴方を想って19星霜、なんつって
631名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 21:36:50 ID:d7EQY7nC

19ら待っても貴方が来ない
632376 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 21:44:46 ID:q6sNllZs
流れ豚桐すいません。
 投下準備完了なんですが、次スレまで待った方がいいですかね?

 批評と感想ありがとうございました。改行ツユダクにしてみました。
633名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 21:49:04 ID:fw4S1E1k
行っていいと思うよ
376さんが投稿し終わったらスレ立てモードでOKかと。
634押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:04:27 ID:q6sNllZs
第3話 「キス+キス=修羅場」

ミセス・クラインの悲痛な叫びが教室に響いていた。レイプされていたのだ。
 それでも彼女は大丈夫だからと僕達に言い続けた。
犯人の周りに全裸で立たされた女生徒達は皆泣いていた。
 誰もが恐怖と悔しさで顔を伏せていた。
 僕はミセス・クラインが好きだった。くじけそうな僕を助けてくれた。
 優しくて綺麗で、たぶん僕の初恋だったのだろう。
 僕はミセス・クラインの授業だけを心の拠り所に登校していた。
 しかしいじめは続き、死にたいと思う心が弱まることは無かった。ただ臆病ゆえに死ねなかった。
 死ぬのは怖い。……でもミセス・クラインを助けて死ぬなら……。
 校長先生は勇気が必要だと言っていた。
 不正と戦う勇気、悪を止める勇気。
 そしてチャンス。あいつはミセス・クラインに夢中だ。今しかない。
 震えて力が入らない手足を出来るだけ静かに出来るだけ急いで動かして、犯人の後ろまで這った。
 靴を脱いで立ち上がる。鬼ごっこでこれをやると気付かれずに捕まえられるから。
 転がった椅子をそっと持ち上げる。手が震えて落としそうだった。
 おびえる女の子に笑顔を作る。
 ミセス・クラインが、声を殺して懸命に制止のジェスチャーをしたけど無視した。
 僕は渾身の力を込めて椅子を持ち上げると、目の前の揺れる頭に振り下ろした。
635押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:06:39 ID:q6sNllZs
 そこで目が覚めた。
 白い天井はおなじみの精神病院。そしておなじみの頭痛とめまい、両手の痛み。
「また発作か」
 高校生になってから初めてだから、実に久しぶりだった。
 治ったのかもと期待していたが治ってなかったらしい。
 体を起こして部屋を見回すと、クロエがいるのに気がついた。
 さらさらの金髪が、俺の掛布団の上に広がっている。
 付き添いながら寝てしまったようだ。
 それを見ていて、発作前の事を思い出す。
「情けないな」
 体に傷跡はなく、日常生活だって対人関係以外は問題無くおくれる。
 なのに、発作を起こす俺の壊れた頭と心。
 ……ただ救いは、彼女たちの争いが消失するだろうということだ。
 普通の人達は、心を病んだ俺を本気で愛したりはしない。
 だから高村さんも好意が消えて元通りになるだろう。
 もしかしたら敬遠されるかも知れないが、それは仕方がない。
 ……何が幸いするかわからないな、そう考えると自嘲の笑いがでた。
636押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:09:04 ID:q6sNllZs
 小さく短い笑いだったのにクロエがみじろぎをした。目が覚めたらしい。
 体が起きると、真っ赤に腫れたクロエの目が俺を捉えた。
 その瞳にみるみるうちに涙が盛り上がる。
「泣くなよ、クー。たまたま体調が悪くて起こしてしまったんだ。
 薬を飲めば抑えられる。心配ない」
 だがクロエは泣きじゃくっていた。
 最初に発作をおこした時もこうだった。
 泣き顔は昔と変わらない、そう感じながら昔のように頭をなでてやった。
 ……けれども泣きやまない。やはり昔とは違う。
「ワタシが、私が……ユウに……発作を……起こさせた」
 背中に腕を回して抱きしめてやる。
 それでも嗚咽はとぎれない。
 しゃくりあげる背中が、なぜかとてもか細く見えた。
 昔はクロエとともに彼女の姉や母親がついていた。
 彼女らが俺とともにクロエを慰めていたのを思い出す。
「孤独はお互い様か……」
 彼女もこの国では孤独だということを俺は忘れていた。
 「絆」と彼女は言う。あの事件の後、俺達のクラスは団結力が高まった。
 俺でさえ、いじめられることが無くなり、仲間扱いされた。
 そのときは俺は自分のことで精一杯だった。
 けれども考えてみればあの事件で苦しんでいるのは俺だけじゃない。
 男が怖いと彼女は言う。
 普段はそんなそぶりが無くても、愛してくれた人を受け入れられなかったという。
 そして彼女は一人で日本に渡ってきた。
 俺が彼女を忘れていても、彼女は俺を忘れずに、絆だけを信じて。
 ならば……。

 俺に出来ることを。壊れかかった俺に、今できることを。クロエにしてやれることを。
637押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:12:32 ID:q6sNllZs
「クー」
 泣きじゃくるクロエの顔を俺は両手でやさしく挟んだ。
「今の俺には、これしか出来ないけど……」
 そうっと唇を重ねる。右手で背中を静かにやわらかくさすった。
 壊さないように、傷めないように、だけど氷を溶かす温かさを伝えたくて左手で抱きしめた。
 遠くの喧噪しか聞こえない白い静かな部屋で、時間を忘れて、彼女を腕と唇で抱きしめてやる。
 
 やがてしゃくり上げる息づかいが、ゆっくりとゆっくりと落ち着いてくる。
 もう自分を責める言葉は聞こえない。
 その唇はもっと楽しいことを紡ぎ出すべきだから、今だけふさいでしまう。 
 涙を流していた瞳が、閉じられる。すでに悲しみの色は無い。 
 
 どれだけの時間がたったのかわからなくなった頃、ようやく唇を離した。
「落ち着いたか?」
 目を開けた彼女は無表情で無言。
 ひどくばつの悪い沈黙が続いた。
 ……キスはやりすぎだったかも。そんな後悔がよぎり始めたとき、クロエの唇が開いた。
「ユウ……」
 返事を返す間もなく、俺はベッドに押さえつけられる。
 そして胸の上にはクロエ。
「……足りない」
 そういうと彼女は俺に唇を重ねた。

 その後金髪の雌は、俺の口を思う存分むさぼり、入ってきた看護婦が回れ右して出て行ってもなお続けた。
「む、まさかこれで済んだと思ってないか?」
 口から体中の全てが吸われた気になって、惚けてため息をついてると、彼女が少し怒った顔で言った。
「これは昨日冷たかった分だ。まだ私を忘れていた分と十年分が残っている」
「……」
「楽しみだ。とっても楽しみだ。……ああ、日本に来て良かった」
 幸せにひたるクロエを見ながら、俺は何かとんでもないことをしてしまった気分だった。
638押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:14:54 ID:q6sNllZs
 入院して一日たった。俺はすでに入院生活に退屈していた。
 クロエもいつまでも付き添うというわけにはいかず、家に帰った。
 いや付き添う気は満々だったのだが、病院の規則で渋々帰って行った。
 何もやることが無かったので俺は勉強していた。……自慢というわけじゃない。
 俺は自分の病気を自分ではどうにもならないと考えていた。
 けれどもある時、俺の祖父に言われた。
「どうにもならないのは、おまえが阿呆だからよ。病の理も知らず、ただ忌み嫌うだけで治るかよ」
「じゃあ、どうすればいいんだよ?」
「病の理を知るのは医者だな。医者になってみれば治す方法が見つかるかもしれん。もっとも治らん病も山ほどあるがな」
「医者になる?」
「それも一つの方法よ。なにもせず治らんとあきらめるよりはましだな」
 以来、俺は勉強をしている。医師を目指しているというわけではない。
 ただ、少しでも自分の病気を理解する助けになればと考えているだけだ。
639押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:17:25 ID:q6sNllZs
 数学を片付けて、茶を飲んでいると扉からノックの音がした。
 どうぞと返事をして、顔をのぞかせた人物をみて、俺は少なからず驚いた。
「元気そうだね、よかった」
「高村さん!」
どこか恥ずかしそうに、彼女は入ってきて、椅子に座る。そして部屋を見回した。
「マクフライさんは?」
「……、あ、うん、今日はまだ来てない」
「そうなんだ……」
 それだけをいうと彼女は黙った。妙に気まずいものが漂う。
 しかしいつまで黙っているわけにもいかない。
 何回か脳内でシミュレートして、覚悟を決め、俺は本題に触れた
「……高村さんの言ったこと、忘れてはいないよ」
 俺の言葉に、彼女はうつむいていた顔をはじかれたようにあげた。
「その、好きだって思ってもらうことはありがたいと思う……」
 照れる。ありえないほど照れる。
 クロエとキスしたくせに現金に出来ていると思ったが、照れるものは照れる。
 しかし二股は良くない。というか、この二人を手玉にとって同時進行できる能力は、俺には無い。
 クロエだけでも充分に振り回されている。俗に言うオナカイッパイってやつだ。
 だからここでけじめはしっかりつけておこうと思った。そもそも、俺ごときがそうそう好かれる理由もない。
「でも、俺は高村さんに好意を持たれるような事はしていない。なにかたぶん誤解…」
「違う! 違うわ。柴崎君が忘れているだけ」
 そういうと彼女は眼鏡をはずし、鞄から取り出した黄色いリボンで髪をくくった。
「2年前の私……思い出さない?」
 それだけで彼女は大人びた印象が消え、むしろ闊達な雰囲気になった。
 俺はそのリボンで、二年前の夏の記憶を唐突に呼び覚ましていた。
640押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:20:02 ID:q6sNllZs
 蒸し暑いうっとおしい夏の夜だった。公園を横切ったのはうっとおしいから単に近道したかっただけだ。
 ただその頃は、夜になるとたちの悪い学生がたむろしているということで、誰も近づかなかった。
 俺はそれを知っていたが、通るだけならどうってことはないと思っていた。
 公園を少し入ったところで頭の悪そうな不良に道を遮られた。
 普段なら、素直に引き返していただろう。
 だが、その日のカウンセリングは最悪だった。
 徒労と怒りをため込んで、耐えきれなくてカウンセリングを途中で切り上げた。
 そのまま家に帰ればいいのに、鬱憤晴らしとか言ってゲームセンターに寄って、負け続けた。
 夜なのに外は不愉快に暑かった。
 だから俺を遮る不良の口調にも無性に腹が立った。
 それでも引き返そうとしたが、目つきが気に入らないと絡まれた。
「それで、なにがいいたい? 日本語をしゃべろうぜ」 
 惚けた顔の不良をみると少しすっとした。そして湯気を噴いて怒るそいつをさらに挑発した。
 簡単に激発して、殴りかかってきた不良のみぞおちに抜き手を深々とたたき込む。
 そいつは動きをとめて顔色を変えると、吐いた。吐瀉物が腕にかかる
 汚さが嫌でけり倒すと、無様に転がって動かなくなった。
 しかし不良を殴りとばしても気が晴れることは無く、後味の悪さだけが残っただけだった。
 つまらないことをしてしまったと思いながら、公園の奥に進んだ。
、外灯の光が差し込まない暗がりに絡まり合う人影があった。
 男達が誰かを組み敷いていた。男三人、犠牲者一人、りぼん付き。
 助けてくださいっと悲鳴があがって、すぐ口を塞がれるような物音がした。
 何みてんだよとか向こう行けとか言われたはずだが、はっきり覚えていない。
 ただ哀れな犠牲者が、あのときのミセス・クラインの姿にダブっていた。
 目の前が真っ赤になったと思う。
 奴らのうちの一人と目があった。後で聞くとシンナーをやっていたという。
 俺には、焦点の合わない麻薬中毒患者のような目だと思った。
 気に入らない目だった。俺達をむちゃくちゃにしたあいつを思い出させて不快だった。
 それは怒りというべきだろうか? 殺意と言われても仕方が無いと思う。
 少なくとも女を救うという意識では無かった。
 ただ奴らがどうしようもなく気に入らなかっただけだ。
 そうでなければ、3対1で戦ったりなどしない。
 俺は無言で奴らに殴りかかり、ぼろぼろになりながらも勝った。
 勝負が付いたところで俺達全員が補導された。ただすでに被害者は逃げてしまっていた。
641押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:22:35 ID:q6sNllZs
 結局、服や下着の切れ端から婦女暴行の疑いが彼らにかかり、余罪が明らかになって、彼らは少年院にいったという。
「まあ、女の子を救うのはいいんだけどな、入院になるほどはやりすぎだと思うよ」
 それが俺を取り調べた刑事の言葉だ。
 その後、当たり前だが暴力行為で停学となった。幸いながら事情を斟酌されて停学は短めだった。
 そしてその停学があけると、札付きの不良を病院送りにした男というレッテルが張られていた。
 間違ってはいないので俺は黙った。ヒーローよりは悪名の方が俺にとっては都合良い事が多かったからもある。
 事実、余計なことで話しかけてくる人間は減り、不良グループも目つきとかで因縁をつけることが無くなった。
 だけど最大の理由は、女を救うために戦ったのではないことを、俺自身が一番知っているからだった。

「そうだったのか。暗かったし、リボンしか覚えていなかったから」
「私ね、あいつらが少年院に行ったって聞くまで怖くてね。仕方がないから変装することにしたの。
 眼鏡かけて、りぼんはずして、髪の毛短くして。それを続けてたら結構気にいっちゃってね」
 高村さんは髪をいじりながら続けた。
「で、私は別の中学校でしょう? 助けてくれた人のことわからなくて、会いたいなって思ってたんだ。
 そしたら塾で友達になった子がね、柴崎君の事を教えてくれたんだ。
『暗くて協調性無くて、成績だけいいガリベン君だと思ってたら、女の子をマワしまくってたやつらを三人全員病院送りにしちゃったっていうでしょう?
 みんなびっくりしてさ。1年の生意気なやつでも、ソイツには道をあけるんだよ。もうおかしくて』ってね。
 それでね私、時々柴崎君の事、見に行ってたんだけど、気付いてた?」
 俺は首を振る。
「周囲なんかどうでもいいから」
 その言葉で高村さんは、けらけら笑い出した。
「全然変わらないよねー、ほんと。気付いてくれないかなーって、結構うろちょろしてたんだよ」
 そう言われても困る。中学の頃はもっと女が苦手だった。
 根暗と言って俺を敬遠する割には、どうでも良いことで絡んでくる訳のわからない存在だったからだ。
642押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:27:20 ID:q6sNllZs
「でも高校は一緒になってうれしかったよ。初めは話するの怖かったけど、しゃべってみたら結構フツーだったし」
「そりゃ、ツッパったり族やチーマーってわけじゃないから」
「それでも柴崎君は冷たいから苦労したんだよ。好きな子がいないってのは安心したけど、彼女作ろうって雰囲気もなかったし」 
「別に今でも無いよ」
 傲慢な言葉と言われるかも知れない。
 だけど三日前まで、俺は教室の隅にいる目立たない男子生徒で、それが恋愛に非積極的であろうと無問題のはずだった。
 高村さんが微苦笑のような表情を浮かべる。
「ほんと柴崎君って冷めてるね。……だから、クラス委員にしちゃったんだよ」
「えっ?」
 思わず俺は高村さんの顔をみた。
 彼女の目はいたずらっぽい雰囲気を漂わせている。
「友達にお願いしてね、柴崎君を推薦するようにしたんだよ。クラス委員になると、二人で話す機会、増えるでしょ?」
「嘘だろ?」
「えへへ……」
 しかし彼女はごまかし笑いをしながらも一切否定をしなかった。
「……でね、あとは告白するだけって思ってたんだけどね〜」
 クロエの顔がちらついた。何も言えなくなり、俺は下を向く。
 一つため息が聞こえて、そして高村さんの声がすこし翳りを帯びて低くなった。
「……ねぇ、レイプされそうになった女の子の気持ち、わかる?」
 その内容と声の暗さに俺はふと顔をあげた。
 高村さんの顔からいつもの明るさも強さもすっぽりと抜け落ちていた。
 いたのは、俺の知らないもろさを抱えた少女。
「……おぞましくて悔しくて悲しくて怖くて、今でも夢に見るんだよ。レイプされちゃった夢まで見るときあるよ。
 すごく落ち込むし、男なんて大嫌いになる」
 己をむしばむ毒をはき出しながら、彼女は薄笑いを張り付かせていた。
「だけどね、柴崎君がいるから」
 唐突なその一言で、もろそうな少女が消えて、あの高村さんが帰ってきた。
「柴崎君がいるから私、生きていける。私を守ってくれた時のことを思うとね、許せるんだ。
 世界は悪いことばかりじゃないってね」
 けれども瞳にだけは、いままで見たことのない、どこかすがりつくような色が揺れている、
「買いかぶり過ぎだよ。それは俺を見誤って……」
 俺の反論はあっさり遮られた。
「柴崎君は自分にも冷たすぎると思う。自分を否定しすぎ。それってマイナスの自意識過剰だから。
 それで私やマクフライさんを傷つけているんだから。わかってないでしょ?」
「……」
 その言葉は頭を殴られるような衝撃をもたらした。痛い真実だったからだ。
 黙り込んだ俺を見ながら彼女は椅子から俺のベッドに座り直した。
「それに、柴崎君は私を勘違いしている。私、そんなに立派じゃない。やらしいんだよ。知ってる?」
 彼女が俺の手をとり、両手で俺の手を握り込んで胸に抱く。
「私ね、柴崎君を想像して、自分をさわっちゃうの。……オナニーしてるんだよ」  
「!?」
 俺の手が制服の上から彼女の左胸に埋め込まれていった。
643押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:28:53 ID:q6sNllZs
「エロくて嫌いになった? でもこうして柴崎君に胸を触って欲しかった……指、動かしてもいいよ」
 手に感じる心地よい柔らかさゆえに、俺は緊張していた。指が硬直したように動かせない。
 いつのまにか、高村さんがにじり寄ってきていた。
「私、柴崎君がどんなに悪い人か知らない。……でも私もやらしいから、お似合いだよ?
 マクフライさんはまっすぐで純情だからもてあそんじゃ駄目だけどね」
 あっという間に至近距離に顔がやってきて、そして唇が重なる。
 高村さんが痛いほどに俺を抱きしめている。歯が当たってキスに慣れていないのがわかる。
 それでも舌が俺を食べ尽くすかのように俺の口腔で動きまくり、舌に絡まり歯をなぶって、唇が俺の唇を優しく挟む。
 そして彼女の胸に当たっている俺の手に、乳房全てをこすりつけ埋め込むかのように体をゆっくりと揺らした
 長いようで短い時間が過ぎて、唾液の糸を引いて唇が離れた。
 俺の手も胸から離れる。見ていると何かを飲み下すように高村さんの喉が動いていた。
「……柴崎君のつば、おいしい。……私の中で柴崎君が混ざってるんだね」
 上気した頬、うるむ瞳、なにか言葉に出来ない淫靡なものが彼女を彩っていた。
 それはなぜか俺に鳥肌をたたせていた。
644押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:32:13 ID:q6sNllZs
 不意に扉が開いた。
「ユウ! 着替えもって……、高村サン」  
「……あら、マクフライさん」
 クロエが部屋の中の高村さんを認めたとたんに、淫靡な雰囲気が消し飛び、微妙な緊張が部屋に張り詰めた。
「高村サンは、どうしてここに?」
「御見舞いだよ。私のせいで具合悪くなったんだしね」
 勢いよく入ってきたクロエの表情が氷の冷たさを帯びる。対照的に高村さんの表情に蛇の悪意が宿った。
「ありがとう。でもユウは私が世話するから、高村サンは安心して待ってて欲しい」
「待てないの。好きな人のことは早く知りたいから」
 クロエのブルーの瞳が細められ、高村さんの口がゆがんだ笑みを結んだ。
「……、ユウの病気のことは、私が良く知っている。今のユウには心の安静が必要なんだ。
 高村サンの気持ちはわかるけど、ユウの病気にはよくないから、高村サンは来ない方が良い」
「そうかな? 私はマクフライさんがいたほうがよくないと思うな」
 突然、氷にひびが入ったように、クロエは動揺した。それを高村さんは見逃さなかった。
「マクフライさんは、一途で健気で、いい人だと思うよ。でもね、柴崎君の心の細かいところをわかっていないな。
 普通の男の人ならマクフライさんは良い恋人だけど、柴崎君にとってはよくないよ」
 言い負かされたかのようにクロエが黙ってしまったが、帯電したような緊張は解けなかった。
 そして、ひびが入ったガラスだったクロエの目が、青く燃えだしていた。
 高村さんも一切弛緩していなかった。
「なんと言われようと私とユウは愛し合っている。ユウは私にキスしてくれた。もう貴女が割り込むところは無い」
「……そう、早速掠め取ってくれたんだ。……キスなら今さっき私もしたわよ。胸だって触らせてあげたし」
「ビッチ! ……ユウを汚したな。二度と私のユウに触れるな!」
「はん、突然やってきて、勝手にキスする泥棒猫が! 柴崎君のキスを返しなさいよ!」
 パンと肉をはたく音がして、クロエが頬を押さえた。
 瞬間呆然としていた表情が怒りに燃え、右手が走った。
 さらに大きな音がして、高村さんが頬を押さえて倒れた
645押しかけ三角、また来て修羅場 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:34:32 ID:q6sNllZs
「もうやめろ! 二人ともいい加減にしろ!」
 クロエを引っ張って高村さんから引き離した
「だって、ユウ! あいつはユウを……」
「柴崎君! その女のいうことなんて無視してよ!」
 引きはがされてもなお睨み合う二人に俺は耐えきれないものを感じた。
「ユウ! ユウは私を選ぶよね」
「ダメぇ! 柴崎君」
 突っかかって来る高村さんをもう一度引き離したとき、俺は限界に来ていた
「もういい。出て行ってくれ。二人とも出て行ってくれ」
「ユウ!」「柴崎君!」
「出て行け! いいから出て行け! 出て行かないなら、看護婦さん呼んで出て行ってもらうぞ!」
 俺の剣幕に二人は驚き、そして肩を落として病室を去った。
 病室に静寂が戻る。扉のむこうがわで二人の気配が残っていたが俺は無視した。
 クロエが持ってきた着替えを片付けているうちに、苦い自己嫌悪がにじみ出てくる。
 流されるままで、毅然とした態度をとらない男が、修羅場に出くわして切れて女を追い払う。
「俺、最低だ……」
 ……だけど、拒んで傷つけるには、クロエの背中は細すぎて、高村さんの顔は不安だらけだった。
 俺は、いつも大事な人達を傷つけてしまう。 
 病室の窓に水滴がつきはじめる。空を黒雲が覆っていた。
 降り出した雨は、まるで彼女たちの涙のようだ、俺はぼんやりとそんな事を考えた。   
 
 数日後、俺は退院した。

第3話終
646376 ◆8uWzk8Gyx6 :2006/10/01(日) 22:35:29 ID:q6sNllZs
ということで投下終了です。 スレ立ての方、ご苦労様です。
647名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 22:38:32 ID:fw4S1E1k
乙。
良い感じですな!

さて投下を進めただけあって残りが14KBになってしまったw
スレタテしてくるか。
正直テンプレ見栄え悪いから過去スレは前スレのみにします。
タイトルは>>631さんで。
スレ立て一号言葉様いってきます
648名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 22:48:08 ID:fw4S1E1k
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 恋は19さなの
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1159710321/

スレタイが思いのほか文字数制限くらって断念。
>>563を勝手に改良しました。
すみません。

649名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 22:48:44 ID:fZjYULXe
>>648乙であります!
650名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 23:31:12 ID:gWFvfouW
>646
GJ!
全員がトラウマ持ちだと言う所がまたこの作品の修羅場さを引き立てて良い感じです
個人的にはクー応援してます がんがれクー

ところで一つ提案なんだが補完庫への収録が確認出来るまで
スレを完全に埋め立ててしまうのは避けた方が良い気がするのだが
651名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 00:39:54 ID:+G3MAFOX
>>646
引き込まれますなー、純粋に小説として面白い。
そしてこの凍てつくような修羅場の序曲!
次回以降に大いに期待します。
652名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 02:22:35 ID:BDlQBDwP
ところで分裂少女の『結』は来ないのかな?
それとも残り12KBでは容量不足なのでしょうか?
653名無しさん@ピンキー:2006/10/04(水) 21:39:02 ID:7ElXKsOQ
|ω・`)おいらも埋めネタの分裂少女の『結』と小恋に期待してたり・・・
654名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 00:50:13 ID:OFBmlnC/
よし、だれもいないな。今の内にこっそり投下します。
それとちょっとグロいので注意して下さい
655分裂少女 ◆n6LQPM.CMA :2006/10/08(日) 00:52:36 ID:OFBmlnC/
  「結」

もう間もなく日付が変わろうかという時間、「女」はついに目的地のモアイ像までやって来た。
既に深夜という時間帯にも関わらず、駅周辺や目的地のモアイ像辺りは人で溢れ返っているそんな中、
「女」は改札口から出てきたが、格好が格好なだけにすれ違う人は皆好奇の目や
怪訝な表情をしていた。

これじゃ目立ちすぎるか……とりあえず場所を移そう

「女」はとりあえず、くる途中で車窓から見えた公園に走っていった
しかし、公園に着いても人はそれなりにいたが、諦めて近くのベンチに座り休んだ

何だか……初めて来たって感覚は無いわね。記憶を無くす以前に来たことがあるかもしれないわ。
まあこんな大きな街だったら来ててもおかしくはないし……
さて、どうしようかしら。とりあえず駅で聞き出した電話番号を掛けてみようかしら……
でもいきなり呼び出して会うってのも何か……。そもそも相手のことをよく思い出せないのよね
う〜〜〜ん、よし!この作戦で行こう!!!

何か良い案が浮かんだのか、「女」は近くの公衆電話まで行って駅で教えてもらった番号
に掛けた

プルルル……プルルル……、ガチャ

「あ……、もしもし、えー、詳しいことは話せませんが、駅での飛び込み自殺のことについて
話したいことがあります。……いえ、電話口ではちょっと……、今からすぐ「モアイ像」
までジャージ姿で来て下さい。……では、また」ガチャ

ふ〜〜〜ん、向こうは随分慌ててたわね。やっぱり気になるのかしら
まあいいわ。とにかく向こうから来るってんだから、どんな男なのか見させてもらいましょ

「女」は公園を出て、モアイ像の近くまで来たが、なぜか物陰に隠れて男を待った

とにかくいきなり会うのは危険だわ!まず男の人となりを見て、話はそれからだわ

暫くして、人も疎らになった頃、丁度「女」のいる場所の反対側から赤いジャージ姿の男性が現れた
年はまだ若そうで、20代といった所だろうか。顔は確かにあの手帳にあった写真と同じに見える。
男を見ていた「女」は見ている内に何か胸の奥が熱くなるのを感じていた。この胸を焦がす思いを
「女」は感じ、涙を流し

グス……そう、そうだったの……、事故の前の私はあなたを愛していたのね……
この胸一杯に広がる熱い想いがそれを物語ってるわ。
ああ……、またこの目で見れて良かったわ
で、でも事故で死んだと思っていた人がいきなり現れたらどう思うだろう。たぶん
信じてもらえないわよね……。
よし!せめて何処に住んでるのか、それだけでも知りたいわ。
656分裂少女 ◆n6LQPM.CMA :2006/10/08(日) 00:55:08 ID:OFBmlnC/
「女」はそのまま物陰に隠れ、待ちつづけた。
暫くして、男は諦めたのか来た道をまた戻っていき、こっそりと「女」もその男の後ろに着いて行った。
ホテル街を抜け、ちょっとした住宅街に入り、とある一軒のアパートに着き二階に上がって行った。
その様子を見ていた「女」は確かに見えた。幸せだった頃の記憶を……

(へ〜〜、ここに住んでるんだ。……ちょっとボロくない?)
(しょうがないよ、お金もないし。……ゴメン)
(べ、別に謝らなくてもいいわよ。建物がボロいのはちょっとアレだけど、もう少し経てば愛の巣
になるんだから……ちょっと!何笑ってんのよ!!もう知らない!!!)

あの時、アパートはボロかったけど此処で早く同棲したくてウズウズしていたわね……

もう少し近くで見ようとアパートに近づいた時、おもむろに男が住んでいる部屋のドアが開き、
男を迎え入れていた

「あ、お帰りなさい。どうだった?」
「いや、来なかった。悪戯だったかもな……」
「きっとそうよ。ささ、早く入って」

その光景を見ていた「女」は点と点が線で繋がっていくのを感じた

そういうことなの……。私を殺してその男と一緒になったということか。
あの時、電車に撥ね飛ばされている瞬間に見たあなたの醜悪な面は良く覚えているわ。
なかなかやってくれるわ。男を手に入れるためにそこまでやるなんて……
あなたは幸せを手に入れたようだけど、私はご覧の通り悲惨な物よ。
でもね……そこには本来私がいるはずなのよ
そう、そうだわ……「目には目を、歯には歯を」って言葉通り私も
あなたにやられたことを利子付きで返してやるわ!!!
あ、あは、あはは、あははははははははーーーーーー!!!!!!!

この瞬間、「女」の中にあった暖かい思い出は、ドス黒い嫉妬と憎悪の炎によって失ってしまった
657名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 01:00:46 ID:OFBmlnC/
本当は全部投下したかったのですが、容量が足りなくなりそうなのでここまでにします。
続きは19スレの埋めネタにします。
658名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 20:13:01 ID:LK9mVibl
|ω・`) 楽しみにしてます
659名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 23:24:51 ID:69FT9S9t
久しぶりに18スレを見たら分裂少女キテルワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゜゚・* !!!!!
ヒロインの覚醒にwktk
660名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 04:32:35 ID:kVReREho
おお、続きを見れてよかったよ!
661名無しさん@ピンキー:2006/10/09(月) 09:22:14 ID:hmHzbbFT
乙です。ついでに出来ればどれくらい容量があるのか教えてください。
次も容量が足りないとかなったら悶死しそうです。
662 ◆2LEFd5iAoc :2006/10/09(月) 23:13:50 ID:4cabFpq1
誰もいないと思っていたのに、こんなにレスして下さって有難うございます。
「分裂少女」の「結」は全部で12Kぐらいでしたが、今回の半分投下で
残りは6〜7Kぐらいでしょうか。ただ、今も推敲や付け足しなどしている
のでもう少し増えるかも……。ENDは変わりませんが。
ちなみに「分裂少女」の次の埋めネタのタイトルは「塵少女」でいきます。
663名無しさん@ピンキー
|ω・`) 少女シリーズ期待してます!