218 :
超不良品:
俺が望んだのは天使だったはずなのに、現れたのはおっさんだった。
ボーっとしていた俺の目に留まったのは、TVから流れる映像だった。
CGで描かれた白い天使が空を舞い、黒い悪魔が地を疾る。 パステルカラーのビームを
鈍い銀色のナイフが斬り裂いて、直後に白と黒がぶつかり合う。
アニメの番宣かと思ったが、どうやらオモチャのCMだったらしい。 15センチ足らずの
中に最新のAIだのなんだのが押し込んであって、人間みたいな反応を示すんだとか。
まあそんなわけで中略、購入決定。
…そうして3ヵ月後の今。
俺の目の前には髪型だけは金髪、服のデザインだけは白いボディスーツだが、
ゴツくてヒゲヅラで顎が割れてて眉毛がつながっててほくろ毛のあるおっさんが座っていた。
タバコをふかしながら。
「…不良品?」
「なんやとコラ」
おっさんが俺の言葉に反応した。
「誰がおっさんや誰が。ちょっとそこすわれや」
「は、はあ…」
「ヲイ。ワシゃあ座れゆーたんやぞ。なのになんで見下ろしとんのや。頭が高いっちゅーねん」
「いやでも、あんた15CMサイズだし…」
「なんやと!?」
おっさんがタバコを地面にたたきつける。
「こっちかて好きでチビやないんや、お前はいま言う手はならんこと言うたで!?
何か、お前の親父は他人の体を笑いものにしていーんと教えたんか!? ええ!?」
219 :
超不良品:2006/10/02(月) 14:02:21 ID:VDK2ycWU
「いや、笑ったわけじゃないし。そもそもあんた人じゃ…」
「カーッ、ペッ!
最近のガキゃぁなんや、あーいえばこういう!何様やてめぇ、お子様か!?
大体な、ワシを買って何しようとしたんや、ああ!? エロいことか!? このエロスが!」
「違いますよ、バトルを…」
「ワシら闘犬か!? 剣奴か!? ロボットに人権はないんか!? ええ!?
お前らだって買われてその先で手足バラバラに組み替えられたりしたらどないな気分や!?
あまつさえいきなり殺し合いやで!? そんなん知れたら人権擁護団体がだまっとらんで!?
出るトコでますよこっちゃあ!? わかっとんのかいガキャア!!」
……。
むっちゃ殺したい。
叫んでるこのクソ不良品を粉々に金槌でたたき壊したい衝動を必死で抑えながら、俺はお客様コールセンターに電話した。
「もしもし、すげぇ不良品なので交換してください」
「なんやこら!? 喧嘩で負けて親父にチクる小学生か!? 最近の若者は根性ゆがんどると聞いたがここまでか!?」
30分後、わめきながら引き取られていくおっさんを眺めながら、俺は思っ
220 :
超不良品:2006/10/02(月) 14:02:51 ID:VDK2ycWU
30分後、わめきながら引き取られていくおっさんを眺めながら、俺は思った。
次こそはかわいい天使が着ますように。