>>828 みんな間違えて途中送信したと思ってたんだろう
でもいつまでたっても戻ってこなかったので・・・
いやまて
ひょっとしたら小泉八雲の「茶碗の中」のような手法だったのではあるまいか
ギガグリーン本誌連載間近か?
バトル枠がひとつ空きそうだが・・・
ぎがぐりーんは
らぶこめわくじゃないかしら?
斗馬のエロパロキボンヌ!
>>834 ラブコメ枠は当分空きそうにないが・・・
>>832 それがどんな業なのかは知らんけど、
>>823は間違いなく初心者
今ごろ「切れてる……orz」してるのはガチ
けど文章見る限り2chは初心者でも小説は初心者じゃなさそうな
ほしゅ
ほ
しゅ
ほしゅるぞ
暖かな日差しも、穏やかな風も、
やわらかな香りも、優しげな気温も。
全てが輝いていて、全てが新鮮で。
今までとなんら変わりようのない生活である事を考えますと、少し不思議に思います。
いえ、仕事関係はキツくなりましたが、それでも不思議と考えてしまいます。
なんで、こんな風に感じるのかなっ、と。
答えなんてわかるはずもありません。
ただ、今わたしが感じていることは事実で、これが本当のことであることは確かです。
自分の中にあったどうしようもない不安や、どうすることも出来なかったモヤモヤ。
そんなものも全てまとめて、壊してくれました。
そう、わたし達の社長が。
真芝が壊滅して、わたしの手の届く範囲の問題は全て片付きました。
お父さんとしては問題山積みらしいですが、そこまでは頭が回りません。
自分の未熟さを痛感します。
それでも、残念な気持ちにはなりません。
狭い範囲ではありますが、わたしの周りには一点の陰りもありはしません。
不安定さはなく、しっかりと安定していてなんの悩みにもなりはしません。
どこまでも明るい、社長が照らしていてくれるから。
そういえば、あの時はまだ正式には社長ではありませんでしたね。
初々しさなんて感じるほど自分に余裕はなかったので、最初は少しイライラさせられましたっけ。
頑固で、意地っ張りで、すぐに誤解して、そのまま気付きもせずに猪突猛進。
眉間にどれだけ指が吸い寄せられたか、思い出せません。
無駄に消費してしまったため息と、一緒に遠のいた幸せは数知れず。
少し遠くを眺めて平常心を保とうと精一杯頑張ったものです。
ただ、そんな社長の短所や問題点は、わたしからしてみればやはり目からうろこ状態でした。
どこまでもまっすぐで、壁に直面しても即座に壊して、わたしの知らない道へと連れて行ってくれました。
きっと社長には八方塞なんて言葉はないんでしょうね。
今になって思えばどれだけ救われたことか、これまた思い出すことが出来ません。
きっとこれからも、ずっとずっと、わたしの手を引いてどこまでも連れて行ってくれそうですね。
軌道修正は任せてください、ナビゲートには自信があります。
ですから、目的地がどんなに遠くても安心してください。
社長の力とわたしの力、合わせればどんな所へでも行くことが出来ますから。
いつまでも、そう、永遠に……
恥ずかしいですが一緒に居たいです。
あの高い青空も、ゆったり流れる雲も、
優雅に泳ぐ鳥達も、その鳥達の楽しげな声も。
全てが幸せで、全てが微笑ましくて。
詰まるところ、わたしも幸せなのでしょう。
多分、そういうことなのでしょうね。
仕事に一区切りつけた社長がゆっくりと近づいてきます。
どうやら次の指示を出さねばいけないようですね。
さっそくわたしの出番です。精一杯頑張りたいと思います。
そう、さらに幸せな明日を手に入れるために
って話を読みたいな
もうSS書きはいらっしゃらないのかなぁ
>>843 書き手がいない?
あなたがいるじゃないか
むしろ、あなたが書くべきだと思う
少なくとも、俺はあなたが書いた話を読んでみたいと思った
斗馬のエロパロを書いてくれる人募集!
とある本業の最中、暴走。
敵を壊滅したはいいが、陽菜が気絶中により我門を止めれる者が居なくなってしまった。
我門の暴走は仲間内にまで及び、その場に居たかなえ・優は我門に気絶させられてしまう。
その時、施設の崩壊が始まってしまい、崩れた天井が我門の頭に直撃。
意識を失うことは無かったものの、それにより我門は凶悪化。
かなえ・陽菜・優を連れ去り、軟禁。
3人を後ろ手に縛り、犯してしまう。
かなえ→優→陽菜の順で手を出す我門だが、最後の陽菜を無理やりにXXしている最中、彼女の流した涙によって我を取り戻す我門。
そこから、我門を巡っての三つ巴の取り合いが始まったのだった。。。
こんな妄想してみたが…書けない><
>>847 暴走して→理性が無いのに→場所を変えて→軟禁して→手を縛って→事に及ぶ
何か色々と不自然だと思うのだが
>>848 暴走が作品中の普通の暴走でなく頭部への衝撃が理由での桃色な暴走というのが
多少強引だが不自然かどうかは書き手次第だと思うよ。
と、フォローしてみたが
>>847と同じく上手く書く技量はおれにもない。
>そこから、我門を巡っての三つ巴の取り合いが始まったのだった。。。
俺個人はここからのほのぼの修羅場を読みたいw
斗馬のエロパロも書いてくれ!
851 :
847:2008/08/14(木) 13:58:44 ID:PE2BBYVc
ちょいと出だしだけ書いてみた
暴走と書いたけど、
>>848 >>849 の指摘を考慮して、いわゆる暴走では無くなったのだが…
続く予定ではあるが、不明(エロは苦手なのですよ^^;
とりあえず2レス
目指すは我聞x複数です
工具楽我也と國生武文が旅立った翌日、工具楽家に荷物が届いた。
「ご苦労様でした」
去っていく配送員を見送って、果歩は受け取った荷物を確認しようかとして手
を留める。
「親展?」
その小さな小包には、赤い文字で大きく親展と書かれており、宛名欄には彼
女の兄の名前が記されていたのだ。
(お兄ちゃんに親展なんて…なんだろう?)
差出人の欄には果歩も知る九州の住所と静馬の名が記されている。仕事関
係なら直接届くわけが無いはずなのだが、だからと言って親展のものを勝手に
開封するわけにもいかない。
頭を捻りながらも、果歩は兄の下に手にした荷物を届けるのだった。
「お兄ちゃん、荷物届いたわよ」
「ん?おお」
我聞はそれを受け取ると、早速中身を確認しようとする。
果歩といえば、中身は気になるものの覗く訳にもいかず、また夕食の準備の
最中だった事もあり、後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。
(かなえさんからだ、なんだろう)
包装をびりびりと破いて箱を空けると、そこには五芒星を模った小さなペンダントが入っていた。
「お、綺麗な首飾りだな」
我聞はそれを手に取ると、何とは無しに自分の首に掛けてみる。
と、そこで異変が起こった。
五芒星の中央に位置する宝石が輝いたかと思うと、我聞の表情が見る見るうちに変化していったのだ。
「ぐふ、ぐふふ…」
我聞が普段の彼からは想像も付かないような下卑た声を漏らしたと同時、居間から果歩の声が聞こえてきた。
「お兄ちゃん、珠、斗馬、ご飯よー」
その声にニヤリと笑みを浮かべ、我聞は居間へと向かっていった。
854 :
847:2008/08/14(木) 14:02:37 ID:PE2BBYVc
続きを!続きを頼む・・!
続きを期待してる
ってか、これの続きでエロくなるならもしかして……
なんて既に妄想が止まらねぇっ!!
849です。
エロそのものは各個が妄想で補えばいいんだ!
だから続きまってます。
858 :
847:2008/08/16(土) 20:17:42 ID:wHG08H1B
取りあえず続きいきます
予想を裏切るかもしれませんが、我聞x果歩では本番は未だ有りません
総レス数 2〜3
夕食も終わり、珠と斗馬に宿題をする様に追い立てた果歩。自分も宿題が出されている為、のんびりと食後のお茶を啜っている我聞に声を掛けて部屋へ戻ろうとする。そこへ我聞が声を掛けた。
「果歩、ちょっといいか」
「…なによ」
「まあいいから、ここに座れ」
部屋を出て行こうとしていた彼女は、渋々ながらも我聞の指差す位置に座ろうと腰を下ろしかけた。
と、そこで我聞は彼女の腕を掴みグイッと引き寄せると、自らの胸に果歩を抱きしめたのだ。
「きゃっ!ちょ、ちょっとお兄ちゃん…」
「いつもすまないな、果歩」
突然の彼の台詞に、果歩はきょとんとしている。
「な、何よいきなり?」
「珠と斗馬の面倒見てもらって、その上毎日の食事まで」
「別に大した事じゃないわよ」
「そうか。世話を掛ける」
「だ、だから大した事じゃ」
改めて礼を言われ照れてしまったのか、頬を微かに染めると果歩は兄の抱擁を振り解こうと身を捩った。
「果歩」
「ちょっと、お兄ンンーー!」
我聞は一際腕に力を込めて彼女を抱きしめる。そんな兄に言葉を掛けようと果歩が彼と顔を合わせようととした瞬間、我聞は彼女に己の唇を押し当てていた。
「ちょ、何す…」
いきなりの事に抗議の声を上げようとしたところに、またもや唇を合わせられ言葉を封じられる。しかも先程の押し付けるだけのものとは違い、我聞の舌が果歩の口腔内へと進入してくるではないか。
事の成り行きに追いつかず思考回路が思うように働いてくれない。そんな果歩を薄目を明けてチラリと見やると、我聞はそのまま彼女へと差し入れた舌を蠢かし口腔内を蹂躪し始めた。
果歩はすぐに我を取り戻したが、自身の舌と絡まる兄のものの感触やそれが歯茎の表裏を舐る感触、はたまた頬の内側を舐め回される感覚に次第に焦点を失い、やがておずおずと彼女からも舌を絡ませていく。
一頻り妹の口腔内を味わい尽くすと、我聞は名残惜し気に彼を求める舌に別れを告げて口を離した。蛍光灯の灯りに照らされ、2人の間に掛かった銀色の橋が煌いていた。
「あ…」
普段の彼女には似つかわしくない媚を含んだ声が漏れ、すがる様な視線を我聞に投げ掛ける。
「……っ!」
漸く現状に気が付いたか果歩は慌てて我聞から身を離すと、頬が熱くなるのを感じながらも、無言のまま部屋を飛び出して行った。
勉強部屋へと戻った果歩は、既に宿題を終えたのか机に突っ伏して寝息を立ててる妹に風呂を勧めた。珠は素直にそれに従い、部屋を出て行く。
「はぁ…」
彼女は高校を奨学金で行こうとする優等生。気持ちを切り替えようと頭を振ると、机に向き直りペンを走らせ始めた。
ところが、やはり果歩とて中学生、年頃の女の子である。
しかしながら家事の一切をその手に引き受けている身である為、これまで人を好きになった経験は多少なりとも有ったとしても付き合った経験など有ろうはずも無い。
お陰で先程の兄との行為が合間合間に頭を過ぎり、何とか宿題自体は終わらせたもののそれ以上となるとなかなか進まないでいた。
「…んっ」
気が付くと手が机の下へと入り込み、誰にも見せた事の無い大事な箇所を下着越しに触っていた。
「はぁ…お兄…ちゃん…」
はしたない事をしているのは、自分でも理解していた。だが、一度動き出した指は“いけない事をしている”と思えば思うほど動きを増し、その身体に快感を送り込んでくるのだ。
「…ん…気持ち…いいよぉ…」
もはや指の動きを止めようという考えは浮かんで来ず、更なる刺激を求めてシャープペンシルを手放すと、その手をシャツの裾から忍び込ませる。
「…んん!」
兄を慕う元真芝の少女には控えめ控えめと言われている、同年代の女の子と比べても明らかに成長速度が遅いであろう胸、その頂にそびえ立つ自己主張を始めたサクランボをかすめ、思わず大きな声が漏れそうになる。
それを何とか押さえ込むと、胸全体を包み込むように手のひらで揉み始めた。
(お兄ちゃんも、やっぱり大きいほうがいいのかな)
やわやわと揉みしだきながら、ついついそんな事を考えてしまう。
(でも…成長期だもん、大きくなるはずよ…って、何でお兄ちゃんが…)
高校生、またはそれ以上に成長した自分を思い浮かべてみるが、それが兄に吸われている場面だったのだ。しかし違和感は感じられず、それどころか胸の奥がキュンと締め付けられる様になり、ますます下着を濡らす蜜の分泌が増していく。
(ぁぁ…いいよぉ…もっと舐め…て…)
両の手の動きがますます激しくなっていく。
「…きゃぅ」
下着越しにスリットを上下していた指が終に肉芽を掘り当てる。包皮を被ったままであったとは言え今までに感じたことの無い強い刺激に、果歩は脳髄に直接電流を流されたかの様に身体を一瞬ピクリと震わせると、大きな波に飲み込まれていった。
「…はぁ…はぁ」
(お…にい…ちゃん…)
上半身を机に預け達した気だるさと余韻に漂いながら、荒い吐息は次第に安らかな寝息へと変わっていくのだった。
862 :
847:2008/08/16(土) 20:25:48 ID:wHG08H1B
今回は以上です
たまには上げ
GJ!
続き期待してます!
と、何気にもう要領が480K越えてるのね。
次立てたほうがいいのかな?
続きが気になるぜ……
とりあえず、GJ!!
次スレはまだ大丈夫じゃね? ゆったり進行だし埋まりはしないであろう
こんなスレがあったのか。
保管庫に行ってくるお。
867 :
847:2008/08/18(月) 02:26:00 ID:nCQJcUsP
続き いきます
レス数 またもや2〜3
今回もエロ無し
――翌朝
「っくしゅん」
(あれ?あたし…)
くしゃみと同時に目を覚ました果歩。一瞬きょろきょろと辺りを見渡すと、自分が机に突っ伏したまま眠っていた事に思い至ったらしい。教科書とノートが開いたままになっていた事から、勉強中に眠気に耐えられずに眠ってしまったのだと思ったようだ。
(あ…)
肩に掛けられていた我聞のジャンパーに漸く気が付くと、慌てて時計を確認する。
「ありがと、お兄ちゃん」
小さく呟きまだ早い時間であるのを確認すると、残された時間で少しでも途中であっただろう勉強の続きをしようと身を起こした。と、その時――
「きゃっ!」
(な…なんであたし、こんな格好してるの?)
シャツの中でスポーツブラは捲れ返り、本来ならありえない圧迫感を伝えている。
スカートの裾も本来の位置からかなり上方にたくし上げられており、木綿のパンツが丸見えとまではいかないまでも股間の部分が晒されていたのだ。たぶん、ジャンパーを掛けに来た兄に見られただろう。
おまけにその部分に違和感を感じる。何だか薄っすらと湿っている様にも感じられ、一部分が変色しているのだ。
(そ、そういえば…)
背中に感じる温もり、背後から漂う兄の体臭、それが果歩に昨夜の記憶を呼び覚ます。
(お兄ちゃんとキス…したんだ…)
右手中指で唇をなぞりながら想いを馳せ、その後に行った自身の艶戯(えんぎ)をも思い出した果歩。
性に関する知識は保健体育で習うくらいにしか持ち合わせていない少女。もちろん自慰という言葉さえ知らないでいる。
中学2年生の女の子とは言え、やはりまだそういった言葉を口にする事に躊躇いを感じるのであろう。友達との会話内にも上がっては来ないのだ。ただし、行為そのものを体験した事の有る娘は彼女のクラスメイトにも居たようである。
そんな果歩であるからして、普段あれだけ真面目であったとしても(いや、真面目であるからこそ)昨晩感じた快感に囚われてしまっていたのだ。
「んっ…」
意識することなく下半身へと伸びた手。先程唇をなぞった指で下着越しに押し当てる。
(…お兄ちゃん)
何時も自分を優しく見詰める瞳。
秘書でもある國生陽菜に気がある様で、その実なかなか態度に表さない朴念仁。
家族思いで社員思いだが、思い込みが激しくて直ぐに空回りしてしまう兄。
そんな兄を思い浮かべ、空想の中で昨夜同様口付けを交わそうとした時、カタンと物音が果歩の耳に飛び込んできた。
「ひゃっ!!」
小さく悲鳴を上げ、行為を中断する。
普段であれば絶対に聞こえない、静まり返った今だからこそ聞こえる小さな物音。
風の音なのか、それとも何かが落ちたのかは定かではないが、それは彼女を正気へと戻らせるに十分であった。
(あ、あたしったらまた…)
頬に熱が貯まるのを感じながら、果歩は慌てて立ち上がる。
昨日風呂に入っておらず、また昨夜から続く秘め事の熱を冷ますためにもシャワーを浴びようと思ったのだ。幸い我聞たちが起きて来るまでには未だ時間がある。
(…よし!)
間もなく冬休み。
昨日出来なかった分は、休み中に2倍にも3倍にもして取り返す。
そう決意して、果歩はバスルームへと向かっていった。
一先ずコレにて、果歩編の@完結です
次回から陽菜編に突入の予定
あ、それと…
『847』ってハンドル、ついつい忘れてしまうので改名します^^
次回からは『ツンデレ王子』の名で落とさせて頂きます
では、夜も遅いので本日はこの辺にて
おやすみなさい
871 :
ツンデレ王子:2008/08/19(火) 04:30:18 ID:FU8X/mcR
えっと…
大変申し訳無い
↑にて
>次回から陽菜編に突入の予定
と言ったのですが別の話を急遽思いついたので、予定を変更して投下します
消費レス数 9
今回はシリアス目指して書いたので、エロは無し
もしかしたら連続規制かかって全部は投下出来ないかも知れませんが、その時はご容赦を^^;
872 :
誕生日-1:2008/08/19(火) 04:31:35 ID:FU8X/mcR
――8月某日
「社長!社長!」
プレハブ小屋の一室、工具楽屋のオフィスである。
この日は現場の仕事が入っていなかった為、工具楽我聞は書類仕事に精をだしていた―はずであった。
ところが、彼の秘所である國生陽菜が判を貰おうとしたところ、我聞は社長椅子に腰掛けたままうとうととしているではないか。
陽菜は彼の肩に手を掛けると、ゆさゆさと揺さぶり起こそうとする。
「…ん……あ、國生さん」
「『あ、國生さん』じゃありません!社長、こちらに判をお願いします!」
「ああ、すまない」
バン!と卓上に書類を叩きつける陽菜。
その剣幕におののきながらも軽く目を通し判を押すと、自分の席へと戻る陽菜の後姿を眼を擦りながら眺める。
(む…いかんいかん、仕事中に居眠りなど)
気合いを入れなおす為に己の頬を叩くと、デスクに残っている書類に目を通し始めた。
「はるるん、そんなにカリカリしなくても…」
「カリカリなんてしてません!」
技術部長である森永優が取り成すも、けんもほろろと言った感じで取り付く島もない。
「我聞くん、陽菜ちゃんと何かあった?喧嘩でもしたの?」
我聞の許へと赴き耳打ちをする優。
だが、そう言われても我聞にも彼女の不機嫌の理由など知る由も無い。強いて挙げるなら、やはり先程うたた寝をしていた事だろうか。
「いや、オレもさっぱり…」
「今日の陽菜くんは、何時にも増してピリピリしとるのう」
「我聞くんがなかなか告白しないからじゃないの?」
専務の中之井千住を交え我聞・優の3人はこそこそと、ここ数日の彼女の態度について話し合う。それが耳に入ったのか、陽菜は例の凍える視線で彼らを見やった。
873 :
誕生日-2:2008/08/19(火) 04:32:11 ID:FU8X/mcR
「仕事仕事」
中之井と優はそれぞれに呟きながら己の業務へと戻っていく。
そこに、17時を告げる時計の音が鳴り響いた。
「じゃぁすみませんが、後はよろしくお願いします。緊急でしたら携帯に連絡下さい」
高校を卒業して直ぐに買い求めた最新機種の携帯電話を掲げて告げると、我聞はそそくさと帰宅したのだった。
「最近の社長、何かおかしくないですか?」
陽菜の父、武文の爆弾発言から2年半。
この2年と半年の間、我聞はひたすら社長業を勤め上げてきた。真芝壊滅による本業の激減により当初こそ赤字に悩まされはしたものの、彼の働きと営業部長である辻原蛍司の働きによって最近は黒字が続いていたのだ。
それなのに、7月の末辺りから我聞の様子が変わり始めた。工具楽屋の仕事自体には手を抜くとかいった様子は無い。むしろ以前よりもスピーディにこなし、必ずと言って良いほど17時には退社するのである。
「まぁねぇ」
「じゃが、きちんと仕事はこなしておるようじゃし、問題は無いじゃろう」
(でも、今までは仕事中に居眠りなんて無かったのに…)
陽菜が訝しげな表情で考え込んでいると、外からカツンカツンと階段を上ってくる音が聞こえてきた。
「ども、お疲れさまです…って、どうしたんですか?」
戻ってきた辻原は、事務所内で3人が神妙な顔をしているのに気付き不思議そうに尋ねる。ただし、声の調子はいつのも飄々としたままだ。
「辻原さんはご存知無いですか?」
「は?何をです?」
「最近の我聞くん、何か様子が変じゃないって話してたのよ」
「んー、そうですねー」
874 :
誕生日-3:2008/08/19(火) 04:33:05 ID:FU8X/mcR
顎に手をやり考える素振りを見せる辻原の口から出たのは、とんでもないものだった。
「もしかしたら、デートじゃないですか?」
「……」
「……」
「……」
「「「ぇええええ!!」」」
これにはGHKデルタ1としても暗躍する優を始めとして、他の2人も驚きを隠せないで居る。
「そ、それ本当?辻原くん、相手の娘とか知ってんの?」
「いえ、あくまでも私の想像に過ぎませんが」
我聞は携帯電話を持って約1年。しかも最新機種。
迷惑メールなどから出会い系サイトに登録してしまったものの、相手の執拗な誘いに断り切れずに会う事になったのではないか。そして、一度だけのはずが相手の娘が好みのタイプだったので、そのまま関係が続いているのではないか――と、これが彼の言い分である。
冷静に考えれば、我聞の性格上起こりえるはずは無いと気付いたであろうが、彼の最初の言葉で動揺していた3人はそこまで頭が回っていない。
「嘆かわしいですぞ、社長!そのような物に頼ろうとは!」
「こ、こうしちゃ居られないわ!はるるん、後を追って真相を突き止めるのよ!」
ぼやく中之井。慌てて飛び出そうとする優。
だが、そんな中1人だけ周囲の反応と違う陽菜。
「はるるん、どうしたの?早くしないと我聞くん見失っちゃうよ」
陽菜の腕を掴み、連れ出そうとする優。
しかし、予想に反して彼女は抵抗を示すと、今にも消え入りそうな声で『やめましょう』呟いた。
「…へ?」
「やめましょう」
「な、なんで?」
「もしそれが本当だったら、社長の邪魔になりますから」
875 :
誕生日-4:2008/08/19(火) 04:37:06 ID:FU8X/mcR
――もしかしたら、デートじゃないですか?
その言葉を聞いた瞬間、私は巨大なハンマーで頭を殴られたような気がしました。
(社長が…デート…)
お父さんのあの言葉以来、それまでの社長と秘書って関係よりも少しは進んだ気がしていたんです。あの時の社長の反応も満更では無いと言った感じでしたし、それが私にはとても嬉しかったのですから。
私自身、お父さんの言葉に度肝を抜かれましたが、あれ以来そうなればいいなと常に思っていました。
私が彼の事を意識するようになったのは、やはり桃子さんからの『嫁候補』って言葉が原因だと思います。いえ、もしかするともっと前から私は社長に惹かれていたのかも知れません。
優さんが後を追おうって言った時、私も一緒に行きたいと思いました。
でも、身体が動いてくれなかったんです。腕を取られた時もそうでした。
辻原さんが仰っている事は嘘だと分かっていました。
いえ、頭ではそう理解したつもりでした。彼の性格上、出会い系サイトなど利用するはずが無い――と。
ですが、心が、身体が言う事を聞いてくれませんでした。
もしそれが本当だったらどうしよう。もし彼が他の女性と手を繋いだり腕を組んだりしている所を目撃してしまったら…。
そんな考えが私の知らないところで湧いてくるのです。
「はるるん、どうしたの?」
優さんが心配してくれていますが、私は声が出ませんでした。彼女に心配を掛けたくは無かったのですが…。
せめてジェスチャーででも大丈夫だと伝えようと思い頭を振ったのですが、その拍子に手に何やら水滴が落ちて来たのです。そこで漸く、私は泣いているのだと思い至りました。
「陽菜ちゃん…」
「だ、大丈夫です。すみませんが、今日はお先に失礼します」
皆さんの制止の声を振り切って工具楽屋を飛び出した私は、何時もより早い時間に寮へと帰宅したのです。
876 :
誕生日-5:2008/08/19(火) 04:37:52 ID:FU8X/mcR
翌朝我聞が出勤してみると、オフィス内には異様な空気が漂っていた。
「?どうしたんですか、皆」
彼の問いに答える者はおらず、代わりに中之井と優からどこか蔑みの色を含んだ視線が返される。
(何なんだ、一体?)
「そういえば國生さんは?」
「彼女は今日お休みと連絡が有りましたよ」
重苦しい雰囲気の中、応接用のソファーに腰掛け雑誌を読んでいた辻原が答えた。
「そうですか…」
彼女に何があったのか気になるところではあったが、今日は現場での作業が予定として組まれている為、今すぐ彼女の部屋へ様子を見に行くわけにもいかない。
「では、行ってきます」
作業着に着替え終わった我聞は、後ろ髪を引かれる思いながらも現場へと駆け出した。
習慣とは恐ろしいもので、あれだけ泣きはらした翌日だというにも関わらずいつも通りに目が覚めてしまった。昨夜の内に優に休みの連絡を入れておいたのだが。
(しゃちょう…)
ヘッドボードの上に飾っていた集合写真を手に、想いを馳せる。
「私はどうしたらいいんですか?」
答えが返ってくるわけでは無いのを承知の上で写真立ての中の我聞に問いかける。
(それでも…社長と一緒に…居たいです)
877 :
誕生日-6:2008/08/19(火) 04:38:32 ID:FU8X/mcR
我聞の父であり工具楽屋の先代社長でもあった工具楽我也から高校進学の祝いとして貰い、我聞自身からも“家族の一員だから”と手渡された彼の母親の形見でもある手鏡を覗く。
泣きはらした所為で、目の周りが真っ赤に腫れあがっている。
(こんな顔じゃ、愛想尽かされちゃう)
顔を洗って心を落ち着かせると、陽菜は決意を新たに明日は出社しようと心に誓うのだった。
それから1ヵ月。
我聞の傍で日常を過ごしたいとの想いから、陽菜は彼の秘書を続けていた。
あの時の彼女の決意、それは少しでも我聞と一緒に居る事。そして、例え今他所の女性に気持ちが向いていたとしても、絶対に自分の方を向かせようと自身を磨くのを怠らないことであった。
その努力の所為か、この1ヶ月で彼女は傍目からでも直ぐに判る程に変貌を遂げていた。
「最近、陽菜くんは前にも増して明るくなったのう」
「ええ、しかも前より美しさに磨きがかかった様にも見えますね」
「そりゃそうよ!恋する女は強いのよ!」
社内でそのような評価を受けているとは、本人は気付いていない。
「工具楽我聞、ただいま戻りました」
そんな中、現場へと出ていた我聞が戻ってきた。
「お疲れさまです、社長」
陽菜は手を留めて立ち上がると、まだ残暑厳しい中で汗を流した彼の為に冷たい麦茶を入れる。
そんな彼女の様子と打って変わって、我聞の様子は何故だかそわそわと落ち着きが無い。
「あ、あの國生さん」
「はい、何でしょう社長」
「そろそろ仕事上がりの時間だけど、この後何か用事あるかな?」
「いえ、特には…」
878 :
誕生日-7:2008/08/19(火) 04:39:13 ID:FU8X/mcR
「じゃ、この後残ってくれないか?大事な話が有るんだ」
一瞬びくりと身を震わす陽菜。少し間をおいて、はっきりとした声で頷いた。
付き合っている訳では無いから、別れ話では無いだろう。
あの時の言葉を無かった事にして欲しい、とでも言われるのだろうか。
正式に付き合って欲しいと告白されるのだとすれば、これほど嬉しい事は無いのだが。
いやそれとも、私はクビだろうか。自惚れる訳では無いが、私はこの社にとって必要な人材だと思う。だが、社長は彼だ。一社員である自分に彼の決定を覆す権利は無い。
皆が帰宅した後の工具楽屋の応接室。
陽菜はそんな不安と期待が入り混じった気持ちで、我聞を待っている。
押し潰されそうになりながらも気丈に待ち続け、やっと我聞が姿を現した。
「すまん、遅くなった」
「いえ、大丈夫です。それより」
「ああ。だがその前に、國生さん、今日は何の日か覚えてる?」
(何の日…私の入社日は今日じゃ無いし…)
「えっと…9月の17日、ですよね?」
恐る恐る確認する陽菜に対し、我聞は大きく頷いてみせる。
「そう、9月17日。君の誕生日だよ」
「あ…」
自分でも忘れていたのだろう。
言われて初めて思い出した、そんな表情で上目使いに我聞を見る。
「それで、その…渡したい物が有るんだ」
「社長…」
まだ言葉だけ、それでも陽菜は感極まって今にも泣き出しそうになっている。
「これを誕生日プレゼントにするのは如何かとも思ったんだが、これしか思い付かなかったんだ。嫌でなければ…受け取って欲しい」
そう言って我聞はズボンのポケットから小さなブルーの箱を取り出した。
879 :
誕生日-8:2008/08/19(火) 04:39:57 ID:FU8X/mcR
「こ、これ…」
「國生さん、いや、陽菜さん。オレと結婚して欲しい」
我聞はそう言うと、陽菜の目の前で手にした箱を開いた。
そこには、10カラット――とはいかないながらも、美しく輝くダイヤがはめ込まれた指輪が収まっていた。
「…社長」
終に堪えきれず、ぽろぽろと涙を零す陽菜。
「受け取ってくれるね?」
「はい…はい…」
しゃくり上げながら頷く陽菜の左手を持ち上げると、我聞は手ずからその指輪を彼女の薬指へと通していった。
「好きだよ」
「私も…愛してます、我聞さん」
「そう言えば、我聞さん」
「ん?どうしたの?」
婚約してから半年。
どうやら会社の皆や果歩たちに覗かれていたらしく、翌日には全員に知れ渡っていた。なんでも、面白半分に覗こうと優さんが盗撮していたらしい。それを我が家で皆揃って見ていたらしいのだ。
(まったく、悪趣味だよな)
しかし、お陰で隠す必要は無くなった訳だし、まあ良しとするか。
「あの時、しばらく帰社が早かったですよね?何をしてらしたのですか?」
「ああ、あれね」
実は、会社が黒字続きだからと言って家計までそうかと言えば、全然違っていたのだ。何しろ食べ盛りの人間が揃っている為、火の車とまではいかなかったがそこから彼女へのプレゼント代を捻出するのは到底無理な話だった。
そこで、短期でのアルバイトをしていたのだ。
「そうだったんですか。私はてっきり、他所に恋人でも作ってるのかと思っていました」
それを聞いた途端、オレは愕然とした。
確かに彼女への指輪の為とは恥ずかしくて言えなかったオレが悪い。けど、そんな誤解を与えていたとは夢にも思っていなかったのだ。
「すまん、陽菜さん。オレの説明不足の所為で」
「いえ、今では杞憂だったと判ってますからいいんです」
それから彼女は話してくれた。何故にそう言った誤解が生じたのかを。
「辻原さんも酷いなぁ、あのバイト紹介してくれたの辻原さんなのに」
「えっ、そうなんですか?」
「うん、オレが悩んでいたら良い方法が有りますよってね」
確かに皆には内緒にしててくれって言ったけど、そんな誤解を生むような言い方しなくてもいいじゃないか。
これは後から聞いたんだが、辻原さん曰く
『その方が、後からの感動も一入(ひとしお)だと思いまして』