息を切らし、汗を滲ませ、胸の鼓動を響かせながら、
ロウィーナは自分のしてしまった事を、早くも後悔していた。
わたし、なんてことを――。
目の前にかざした手の指は透明な液で濡れそぼり、
その下で、皮膚が破れて体液の染み出した水泡が、心臓の鼓動にあわせてずきずきと痛む。
自分を駆り立てた衝動が何なのかを、ロウィーナは理解できずにいた。
引き寄せた枕のひんやりした場所に顔をうずめても、頬の火照りはなかなか収まらない。
けだるい身体をもてあますように、熱い息を吐きながら、
ロウィーナは何度も何度も寝返りを打ち、ここにはいない兄の姿を請い求めた。
お兄さま、早く帰ってきて。
息が止まって苦しくなるまで、強く抱きしめて。
お前はいけない子だって言って。
おねがい、おねがい、わたしをきつく叱って――。
終
ロウィーナの背徳感がひしひしと伝わってきました。
今日も大変GJでした。ありがとう。
>410
初代スレのSSはどれも好きだ
あのスレの住人はもういなくなってしまったんだろうか…
一口に姫萌えと言っても、陵辱派からハーレクイン系までいろいろあると思う
ここはそういう間口の広いところが好きだ
418 :
408:2006/12/13(水) 09:27:25 ID:lg8txCzz
言葉が足りずにすみませんでした。もちろん甘いラブストーリーやコメディータッチの作品も大好きです。暁の風の未完が惜しい。ラダメス将軍最高だったから続編期待してたのに。
暁の風はホントにいいところで終わってるねえ。
未完が惜しいね。
トリップ付きでの雑談お許しください。
もしかして保守の意味を誤解されているのではないかと不安にかられてしまいました。
あれは、作品待ちの暇つぶしの意であって、書き込みがなければということではありません。
多少なりともネタフリになればと思ったのですが、
他の書き手の方と被らないよう、暗めの話を選択したのであまり盛り上がりませんでしたね。
(出だしがあれなので、さすがにギャグには走れなかった……)
雑談の妨げになるようなら、投稿の間隔をあけようかと考えています。
よければご意見をお聞かせください。
いや、自分はああいうシリアスな話大好きですよ!
いつも楽しみにしてるし、そんな謙遜とかしないでください。
一瞬、ネタフリがフタナリに見えて………いや、なんでもないです。ゴメンナサイ。
?
>>420はどのあたりのレスの話題についていっているの?
話が見えないので教えて。
>>420 間隔あいちゃうなんてヤダヤダ!
早く続きが読みたいよ!
いつもありがとう。
とりあえず投下させてもらっていいですか?
9話
塔の窓から魔法士が城を出ていくのが見えた。
白雪はそれを見送っている。
「帰されたのですか?」
兵士の方に振り返る白雪、眉をひそめる。
今日は会わないと言ったのに。白雪はため息をつく。
「あの人、なんだかお母様に似ている気がしたの…」
「本人…だったんでは?」
「ええ、でもどうかしらね?以前魔法士から手紙が届いたのよ。あれからは下心のあるような
感じは読みとれなかったわ…」
しかし、妖しいことには変わりない。
なぜだかやたらと白雪があの林檎を受け取ることに執念を燃やしていたように見えた。
「それにしても、…あれから数時間経っているのに今頃でてくるなんて…一体今まで
何をしていたのかしら…」
「ああっ!!」
いきなり、兵士が大きな声をあげるものだから白雪はひどく驚いた。
「どうかしたの?」
「鏡がありません…!ここに掛けたはずなのに…」
鏡とはあの『魔法の鏡』のことだ。あれは白雪が一度とりはずし
また再びこの壁に掛け戻したはずであるが。
「…どうして?…ではやっぱり…」
白雪は窓辺に駆け寄る。
「!」
窓の外では先ほどの場所とかわらないところで魔法士が立っていた。
こちらを見上げて笑っている!
「キコリ…!あの人を……っ」
追って…と言おうとしたところで白雪は床に手をつく。
貧血をおこしたように目眩がする…。
驚いた様子で兵士が白雪に手を貸す。
「大丈夫ですか!?」
「…な、なんでもないわ…。それよりも早く!」
ふらつく身体を兵士に支えられなんとか立ち上がる。
まだ身体のどこかが痺れているような気がする。
「では、姫はここで休んでいて下さい」
「いえ!冗談でしょう?私も行きます。後から行きますから早く」
「しかし…」
「いいからさっさと行きなさい!」
兵士は何度か心配そうに振り返りながらも、白雪の命令に渋々従った。
*
身体の変調はだいぶ良くなった。
「追わなくては…」
白雪は階段を駆け下りる。
回廊を抜けて、偶然厨房の前を通った時のことだった。
人だかりができている。
「何の騒ぎですか?」
「姫様!料理長が!」
白雪に気づいた人々は、彼女に道をあける。
厨房の奥の方には食材などを入れていると思われる樽があった。
なぜか床に転がされている。
「…はじめ料理長がいなくなっていることに気づいたのは、昼過ぎのことで
ございました。不信に思い、我々が探しておりましたところ…」
ゴロゴロゴロ…
誰かが樽を転がし、白雪にその中身を見せる。
「な……なんてことを…!!」
白雪は口に手をあてて驚愕する。
そこにびっちりと詰め込まれていたのはこの城の料理長であった。
大きな体を狭い樽に窮屈な体勢で押し込められていたのだ。
一体誰がこんな酷いことを…。誰かがそう呟いた。
しかし、すぐに白雪には検討がついた。
こんな尋常じゃないような真似を一人しか考えられない
「あっ!姫様どこへ!?」
白雪は答える余裕もない様子でその場を走り去っていった。
誰かがぽつんと言った。
「ところで、生きてるのかしら?この人」
「…ぅう…いいから出してくれ…」
生きてたようである。
*
白雪は城門の前まで来た。しかし魔法士もお妃の姿もなかった。
だが白雪はすぐにドレスの裾を翻し、別の場所へ急ぐ。
前に城から森へ一人で抜けた時のあの秘密の通路を使うのだ。
案の定、城からはすぐに抜けることができた。だが…問題はそこからだ。
「鏡を盗まれてさえいなければ…」
すぐにでも居場所を突き止めることができたかもしれないのに…。
「あら?盗むですって。人聞きの悪い娘ねぇ…」
聞き覚えのある女の声がして、白雪は肩を揺らした。
振り返らずともわかるその気配は…。
「あれはもともとわたくしのではなかったかしら?白雪…?」
「お母様…」
「呪いを解く方法を知りたいのでしょう?だったら素直にわたくしにお願いすればよろしいのに…」
「お願いして簡単に解いてくださるつもりだとでも?」
「ふふふふふっ」
お妃はいかにも可笑しいというように白雪をみた。
白雪はお妃の様子に、柳眉を上げた。
「何が可笑しいのですか?」
「ふふふ…。無理よ…本当にお馬鹿さんな白雪…ほほほほ」
お妃は口に手を宛て、笑い声を立てた。
「あれはね…、ふふ」
意味ありげにお妃は、白雪に視線を投げる。
「何がおかし……、いの…?…?」
(また、目眩が…それに身体が痺れて…)
頭がぼぅっとする。よろけた白雪は近くの木にすがりつく。
「ふふっ、林檎の効果が効いてきたみたいねぇ」
お妃が口にした言葉に白雪は目を剥く。
「うそです。私はあの林檎を食べなかったのもの…」
「いいえ。食べたわ」
お妃は勝ち誇ったように言った。
彼女は足元のおぼつかない白雪に近づいてくる。
なのに頭の中が霞みがかったようにぼやける。
力の入らない白雪の手首を掴み、地面に引き倒した。
「一刻前の事も忘れてしまったのかしら?」
「まさか…」
お妃の言った一刻前で思い出した。
その時、白雪はちょうど昼食を摂っていた。そして最後にデザートを…。
「わたくしの作った林檎のタルトは美味しかったかしら?」
お妃は白雪を地面に組み敷きながら、実に魅惑的な笑みを浮かべた。
「料理長を樽に詰めたのはあなただったんですね…」
「ほほほほ…だってなかなか厨房に入れてくれないんですもの。だからああして片づけて差し上げたの。
……わたくしの邪魔をするものなど皆いなくなってしまえばいいのよ!」
あの不憫な料理長はさぞ驚いたはずであろう。
なにせ行方不明になっていたはずのお妃が、突然厨房にあらわれたのだから。
白雪が城に帰ってきた時大騒ぎになったように、お妃が帰ったとなれば同じように大騒ぎになったはずである。
お妃はそんな騒ぎになるのを防ぐために(この場合、城の者に動揺させぬためではなく、自分の行動の邪魔を省く意味)
あのような行動を取ったと思われる。
「キコリをヘビの姿に変えたのもお母様ですね?」
「………誰だったかしら?その者は」
「城門の番をしていた兵士です。ドワーフの森では私の共をしてくれていました」
お妃が顔色を変えたのはすぐであった。
「はっ…あの男…!せっかく命までは捕らないであげたのに…!恩知らずな…っ」
「やっぱり…」
「まさか白雪、あなたあの男を助けたのね?!」
彼女は美しい顔を一変、邪悪に顔を歪めた。
「ほほほ。いいのよ、白雪。そんな心配そうな顔をしなくても、今度あったら豚か鶏にして焼いて食べてあげるわ」
「…なっ、お母様!!」
お妃は白雪のドレスの裾をはだけさせた。雪のように白い足が露わになる。
「…綺麗な足ね。真っ白で雪のよう。触れていると滑らかでそれでいて瑞々しい
…そしてこう舌で撫でると、さぞかし甘いのでしょうね…」
お妃は指を白雪の肌に滑らせた。白雪はその指がお妃の舌のように感じて、
肌をざわつかせた。
「お母様…やめて…、お願いです…」
「あの男には簡単に肌を許すのに…本当に貴女って娘は…」
お妃は嫉妬に狂ったように、白雪の服をはぎ取った。
林檎の影響なのか、身体に力の入らない白雪は簡単に裸に剥かれた。
白雪はお妃の恐慌におそれを感じ、悲鳴を上げた。
「…わたくしに従って大人しくしていれば、わたくしだって貴女に優しく扱って
さしあげたのに…、ここまでさせたのも皆、貴女のせいなのよ?白雪」
「お母様…、それは…。その手にしているのは何ですか?」
「ああ…これはね?」
お妃はその手に装飾のされた小箱を持っていた。楽しげな顔をしてお妃は箱の蓋をあけてみせた。
白雪はそれに目をやった次の瞬間、血の気が一気に引いた。
「わたくしも男達のように貴女を悦ばしてさしあげたいと思っているのにね、
わたくし男共とちがってアレを持ち合わせていないでしょう?だから今までとても悔しかったのよ」
箱に丁寧に保管されていたのは、男性器をかたどったもの。しかも双頭だ!
顔をひきつらせ白雪は戦慄した。
「これを使って、貴女がわたくしのものになるって誓うまで犯してさしあげるってものいいわねぇ」
「や…、待って…。止めてお母様…いやっ」
白雪はいやいやと首を振った。だがお妃が覆い被さってきてまるで地面に縫いつけられたように動けない。
悔しさのあまり手のひらに爪がくい込むほど拳を握り込む。
「…でも、残念。貴女は林檎に含まれた『毒』の影響できっとわたくしに愛を誓う前に
意識を失ってしまうわね」
お妃は祈るように両手をあわせた。うっすらと開けた目は陶酔して潤んでいる。
が、白雪はお妃の口にした言葉に耳を疑った。
「な…んですっ…て……、この私に…『毒』…を仕込んだのですか…?」
「ええ、そうよ。貴女が母であるわたくしのいうことを聞かない淫乱な悪い娘だから」
お妃は閉じられないように白雪の腿に自分の片足を挟んだ。
彼女は面白そうに指で下着の上から白雪をなぞる。
「…や…っ、あっ…、んん…」
執拗に弄られて白雪は身を捩った。
首にお妃の吐息がかかる。
「可愛い白雪。もうここが湿っていてよ?」
お妃は満足そうに白雪の下着を取り外した。
「あぁ…白雪。こんなことをする私を許して。でも、どうしても貴女が欲しいの!」
次にお妃は、持っていた張り型で白雪の胎内を突いた。
「…あぁあああーーっっっ!!!」
下腹部を襲う衝撃。
白雪は異物の入ってくる苦痛で絶叫を上げた。
「素敵…!素敵よ!白雪ったら王女でありながらこんなイヤらしいモノを
生やして!こんなにはしたない声をあげて!」
興奮したお妃の声が聞こえる。
あまりのことに、自分でこのようにしておきながら、と白雪は言えなかった。
白雪はこの時以上に彼女に恐怖を抱いたのは今までなかったと思う。
お妃は逃がさんとばかりに白雪の肩を掴んだ。
「…いやぁ…っ、お母様…抜いて…、これを抜いて…っっまって、いやっ
来ないで、こないで!!いやぁぁぁーーーっっっ!!」
「ほほほほほ…、ほーほほほほほ、おほほほほほーー…」
お妃の高笑いは永遠のように響く。
お妃の手はぐいぐいと白雪の最奥を責める。
内部をえぐられるような強い感覚。
「…きゃぁぁっ…ああっ、あああーーーっ!」
そのたびに白雪は快感とも苦痛とも知れぬ鳴き声をあげた。
しばらくしてぐったりとなった白雪。
白い裸身は、人形のように生気がない。
臥せられた目蓋は閉ざされていて、ぴくりとも動く気配すらなかった。
お妃は彼女から張り型をようやく抜き取った。
「白雪…」
お妃は愛おしそうに白雪の頭をその胸に抱いた。
そして、白雪の粘膜で濡れた張り型を自分の中に埋めた。
「…これで、ひとつになりましょう。白雪…」
終
このままお妃に突っ走らせる?
>>427 できればいっちゃって欲しいw
いやわりと本気でお妃×白雪プッシュなのだが
「男に体許すなんていやらしい!」
とかお妃と一緒に叫びたいのだが
でも白雪がなびかないからこそ面白いのかなぁ…。
とりあえず変態百合お妃最高。
>>420 お姫様が好きで純愛が好きで近親が好きで
中でも兄妹が大好物な自分はどうしたらいいのですか!
作者さんにはつなぎ以上の意図がないようだが
自分は金払ってでも読みたいくらいロウィーナを楽しみにしているよ。
ひとつひとつの話も好きだし結末も気になって仕方ない。
後生だからペースを落とすなんて言わないでくれ。
リアルが理由ならいくらでも待つが
スレを気遣いすぎるあまりってのは悲しい。
そもそも雑談こそが投下待ちの暇つぶし・ネタフリなのに
雑談のために投下を控えるなんて本末転倒にすぎる。
日本はどうなってしまうのか。
>>427 好きな方向に突っ走っちゃってください!どこまでもついていきます!
料理長がちゃんと生きてるからこの話好き。
>427
いっちゃえいっちゃえ
突っ走っちゃえ!
相変わらずサイコー。
合間の()での補足とか微妙に突っ込み入ってる地の文とかもう大好きだよ。
>428
エロパロから日本の将来にまで思いをはせるおまいに乾杯w
ワロタ
読んできた。はまりそうだw
>>427 突っ走るに一票!
>>420 確かに感想以外の話題を振りにくい雰囲気はあるかも。ノリも悪いし
いや、好きにしてくれていいとは思うんだけど
>>421 モロチンの人?
>>427 意地でもお妃の思い通りにはさせないのに一票。
でもキコリが助けてくれるとかドワーフが助けてくれるじゃなくて…だめだ思いつかない。
強い白雪たんが自力でなんとかするのがいいね。
ラストは妃と白雪とキコリの3Pとか
436 :
421:2006/12/17(日) 00:08:32 ID:AaBDQC59
ご意見ありがとうございました。
感想レスの後、ぱったり話題が途切れてしまうのが、ずっと気になっていました。
たまには単なる萌え話に花を咲かせるだけの時間があったほうがいいのかなと、
間隔をあけてその分一回の投下量を増やすのも悪くないかなと、そう考えた次第です。
ひょんなことから書く側に回ってしまったけれど、SSや姫萌え話が読みたいから、
ここにいることをご理解いただければと思います。
当分は今のペースで続けることにします。お騒がせして申し訳ありませんでした。
気にせずにどんどん投下しておくれ。
雑談になるときはなるし、ならないときはならないもんだよ。
ロウィーナの話は好きだからぜひ続けてほしい。
思ったんだがssとssの間にスレの動きが止まるの嫌なら全部一度に投下してしまえばいいのでは?
自分はラストまで書き上げてからしか投下したことないからよくわからんがもしかして書きながら投下してるのかな。
書きながら、です。。。
各職人さんによってやり方は様々だろうがある程度書け次第投下してくれたほうが自分(全裸で正座して待っている)はうれしいな
>>439>>441 >>256のような意図で細切れ連載してるようだから、
まとめて投下じゃ意味がなくなってしまうんじゃないかな?
>>437 自分はむしろペースをあげてほしいw
けど、もし萌え談義を切るのが気になるなら
話が盛り上がってる時は控えつつ
話題がなさそうな時は一日おきくらいのハイペースと
緩急つけてみるのもありかもしれない。
…色々言うとかえってややこしいかな。
まあ、あれだ。どこまでもついてくんで
負担にならない範囲で好きにしちゃってください。
今気づいたけどここもう500KB近いな…
翌日、ロウィーナは悩んだ末、稽古場に足を運ぶことにした。
ヘイゼルはいつものように、部屋の前で待機していた。
「ヘイゼル……」「行きましょう」
ヘイゼルは相変わらずそっけなくて、取り付く島がない。
キャシーは、さっさと厨房へ逃げ出してしまったものの、
ロウィーナはどうしても話を切り出せず、二人は押し黙ったまま稽古場に到着した。
前日のあれはなんだったのか、ロウィーナはヘイゼルの真意を確かめに来たつもりだった。
しかし、ヘイゼルはそのことにはまったく触れず、厳しい表情で練習の開始を告げた。
有無を言わさないヘイゼルの態度に、ロウィーナは仕方なく剣を抜いた。
どうして何も言ってくれないの。どうして説明してくれないの。
いったいなぜあんなことをしたの。
キスをされたことよりも、ヘイゼルがそのことを気にも留めていないことのほうが、
ロウィーナにはショックだった。
「ぼんやりするな。かかってこい」
ロウィーナの剣は空を切った。
「どうした、そんなへっぴり腰では、かすりもしないぞ」
よろよろと構えなおすロウィーナに、容赦なくヘイゼルの罵声が飛ぶ。
「へたくそ。やる気がないなら帰れ」
何度やっても同じだった。ヘイゼルは剣を下げた。「今日は、止めだ」
「待って」ロウィーナはヘイゼルの腕を掴んだ。
「これ以上やっても無駄だ。帰れ」ヘイゼルはその腕を冷たく払った。
「今度はちゃんとするから、もう一度お願い」
「だったら、もっと集中しろ。剣を持ったら、余計なことを考えるな」
今は、忘れなければ。お兄様のためにもっと強くなると誓ったのだもの。
雑念を払おうとロウィーナは頭を振った。「いいわ、始めましょう」
ヘイゼルは黙って剣を構え、ロウィーナはヘイゼルに斬りかかった。
しかし、最後の瞬間、ロウィーナの視線はヘイゼルの唇にたどり着いてしまった。
「この馬鹿!死にたいのか!」
戦意をすっかりなくしたロウィーナの手から剣が滑り落ちる。
もともと今日は練習などするつもりはなかったのだ。
「いわんこっちゃない。じっとしてろよ」
ロウィーナは、自らヘイゼルの剣に触れてしまったらしい。
前腕についた細い傷から血がたらりと流れ落ちるのを、ロウィーナはひとごとのように眺めた。
「どうして――」
「あなたが油断するからだ。あれほど言ったのに」
ヘイゼルは不機嫌そうに言った。傷口にヘイゼルの唇があてられる。
「どうして――」
「小さな傷が元で亡くなる人もいる。刀傷を侮ってはいけない」
応急処置を施し、ヘイゼルは薬を取りに立った。
治療を済ますと、ヘイゼルは言った。「痛みますか」
「いいえ」「血が止まるまで、動かないほうがいいでしょう。そっちの手も出して」
「え?」「皮がむけているだろう。隠してもわかる」
渋るロウィーナの右手を強引に取って、手当てを施し、
ヘイゼルはロウィーナの青ざめた顔を心配そうに覗き込んだ。
「許してください。私のせいです。それにひどいことを言ってしまった」
「稽古中に考え事していたわたくしが悪いのよ。自業自得だわ」
「何を考えておられたのです」
「……昨日のこと。お前が……、その……」ロウィーナは口ごもった。
「やはりその事だったのですね」
「どうしてあんなことをしたの」
「あなたが」ヘイゼルは目線をそらした。「誘っているのだと思った」
「まあ!」想像もしていなかった返事に、ロウィーナはうろたえた。
「わかっています。あなたにそんなつもりがないことぐらい。
でも、あなたはあまりにも無防備で――」
ヘイゼルはロウィーナを見た。「今もそうだ。自分でお気づきではないようですが」
「ヘイゼル、わたしそんなつもりでは――」
「ロウィーナ姫」ヘイゼルは吸い込まれるようにロウィーナに体を寄せた。
「そうやって、またわたしを迷わせるおつもりですか」
ロウィーナの唇にヘイゼルの熱い吐息がかかる。
「私はまた誤解してしまいそうになる」
ヘイゼルは目を閉じた。
そして、再び眼を開けると言った。
「練習は当分中止です。傷がふさがるまで、安静にしてください」
そして、姫に貞節を誓い、孤独な戦いに明け暮れる高邁な騎士もかくやとばかりに、
傷ついたロウィーナを、うやうやしく抱え上げた。
「部屋までお送りします。姫」
部屋に戻ったロウィーナは、さっそくバーンズ夫人に腕の包帯を見咎められた。
「ロウィーナ様、その手はどうなさったのです」
「エリス……」ロウィーナは夫人に抱きついた。
「姫様?」
ロウィーナの目になぜか涙があふれた。
いつまでも泣き止まないロウィーナを、エリスは何も聞かずに抱きしめてくれた。
エリスの胸は昔と変わらずやわらかくて温かい。背中をさする手の、規則的な動きが心地よい。
なのに、どうして泣けてしまうのだろう。
どうしてこんなに悲しいのか、どうして涙が止まらないのか、
その時のロウィーナには、自分を納得させられるだけの明確な理由など、思いつけるはずもなかった。
「人前で涙を見せてはならないと申し上げたはずですよ」
ロウィーナが落ち着くまで待って、バーンズ夫人は静かに言った。
「だって、エリスは特別でしょう、わたし……」
「いつまでも子供ではないのですから、泣き虫は卒業してください。よろしいですか、
召使の前でも決して気を緩めてはなりません。誇り高き王家の一員である事を常にお忘れなく。
それに『わたし』ではなく、『わたくし』です。いい加減に慣れてください」
「これからは気をつけるわ」
「当分、お散歩はお止めになったほうがいいでしょうね」
夫人は、泣き濡れたロウィーナの顔を拭いながら言った。
「剣のお稽古も」
予定していた原稿が入りきらないようなので、続きは次スレが立ってからにします。
すみません。立てられませんでしたorz
どなたかよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
埋め用に萌えネタ提供してみよう
このスレでは定番の囚われの姫だがお前らが萌えるのはどれよ
1.徹底陵辱→姫壊れる(ラノベ的展開、エロまっしぐら)
2.姫調教(初代スレ的発想)
3.陵辱→やがて二人に純愛がっ!(王道か?)
4.姫救出→助けた男とエロ(ロウィーナタソ?)
5.姫自力で逃げ出す(白雪タソ?)
6.意外な展開(例:王子には携帯チェックを欠かさない婚約者がいて姫には近寄ることも出来ず…合掌)
7.その他
実は誘拐した方が味方でそれに気付いた姫と純愛
調教かな。
高貴でツンツンな姫がだんだん快楽の虜になっていくていうパターンが好き。
相手は心の奥底に愛を秘めた美形でもいいけど
どっちかつーとゲスな野郎な方がモアベター。
…特殊趣味なのかなぁ、ゲス野郎×姫様。あんま見ない。
愛のある関係なら素直クールな姫様と
身分違いの方からの求愛に困る(けど嬉しい)兵士とかそんなんがモユル。
>>452 それいいな。SS化希望。
世継ぎ問題の事情で男装を強いられている王女と
幼馴染の従者の秘められたエロなんてどうだろう。
お姫様・男装少女・女兵士・主従要素すべててんこ盛りで。
>>451 とある国の
姫A陵辱→壊れははしないが名誉も地位も失い、国を去る
→魔女か敵国の女将軍として登場し、魔法や手下で姫Bを陵辱
Aはもともと王族なので、人間関係や王家のしきたりなど
内部事情に精通した者にしかできない責めが可能
なお、同じ国の姫なので、姫Bは姫Aの親戚(姪あたりが自然だが、
妹、親友、またはAが陵辱去れたときに産み落とし引き取られてた実の娘なども可)
なりゆきによっては陵辱者Aが祖国の騎士に逆陵辱されることも
>3.陵辱→やがて二人に純愛がっ!(王道か?)
出版物で姫系の物語とかあまり知らんし、少女漫画(?)なんかも
詳しくないんだが、
陵辱された奴と恋に落ちて純愛になるのがスタンダードなの?
「美女と野獣」みたいな感じか?
自分的には、自分を陵辱した男を好きになるってすごい
荒唐無稽な話なんだけど・・
(てか最近の少女漫画雑誌はそんな方向ばかりという話だが)
陵辱→純愛って、このスレでも結構あるような……
ローランとアグレイシアとか、テオドルとアーデルハイドとか、
イヴァンとナタリーとか、マチルドも!?
アグレイアだったorz
作者様スマン
他スレでもそれなりに見るよ。
自分では受け入れられないシチュも結構需要があったりするから
「人の好みなんてそんなもんだ」くらいに思っといたほうがいいんでないの。
461 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 22:14:18 ID:Z6yTvcMq
武田信玄と諏訪御寮人とか、テムジンとクランとか、豊臣秀吉と淀君とか・・・?
>>457 >自分を陵辱した男を好きになるってすごい荒唐無稽な話
昔は選択の自由が少なかったり、受け入れるしかないことが多かったりしたわけだし
あと精神的なダメージを癒すために無意識のうちにあとづけで「好き」ということに転化されるのかもしれんし
ストックホルム症候群みたいなこともあるし
…ていうかエロパロ板に投下された作品群に対して荒唐無稽とかいわれても…
全部妄想ファンタジーの産物なんだからそんな突っ込みは野暮というものよ。
この流れをみてたら誤爆のスレで
>「愛辱」とやらのシチュのスレを作って、そっちでやれば誰にも文句言われまいよ。
というレス見たのを思い出した。
「陵辱」に「愛」が混ざると気持ち悪いっていうのが特定の人達にはあるのかな。
個人的に、「愛憎」という言葉は大好物なんだがね。姫と愛憎!これが堪らない!