【涼宮ハルヒ】谷川流 the 28章【学校を出よう!】

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1名無しさん@ピンキー
谷川流スレッド設立に伴う所信表明

我がスレッドでは、谷川流作品のSSを広く募集しています。
過去にエロいSSを書いたことがある人
今現在、とても萌え萌えなSSを書いている人
遠からず、すばらしいSSを書く予定がある人
そういう人が居たら、このスレッドに書き込むと良いです。
たちどころにレスがつくでしょう。
ただし、他の作品のSSでは駄目です。
谷川流作品じゃないといけません。注意してください。

@前スレ
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 27章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156333061/
@過去ログ
http://www9.atwiki.jp/eroparo/pages/210.html

@これまでに投下されたSSの保管場所
2chエロパロ板SS保管庫
http://sslibrary.gozaru.jp/

涼宮ハルヒのSS保管庫 予備
http://haluhi9000.h.fc2.com/


@関連スレ
涼宮ハルヒのSM
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/sm/1151325162/
2名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:05:34 ID:BWbDiw+m
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由に書いてもらってもかまわんが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。

Q煽られたりしたんだけど…
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人ならまず気にしません。 あなたも干渉はしないで下さい。

Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A無ければ自分で作ればいいのよ!

Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。 必要なのは妄想の力だけ… あなたの思うままに書いて…

Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aふみぃ… 読み飛ばしてくださぁーい。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。

Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろ。

Q〜ていうシチュ、自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 だっていきなり言われていいのができると思う?

Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A拒否しない場合は基本的に収納されるのね。  嫌なときは言って欲しいのね。

Q次スレのタイミングは?
A460KBを越えたあたりで一度聞いてもらえれば幸いです。 それ以外は心配ございません。
3名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:07:52 ID:/1nJWnQ0
>>1
4名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:08:37 ID:6iexHS9n
>A460KBを越えたあたりで一度聞いてもらえれば幸いです。 それ以外は心配ございません。
これ誰?
5名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:10:43 ID:s2IEhh/O
いつだったかの>>1のスレ立ては反則なまでに乙だったぞ!

……で、テンプレの最後の人は誰なんだ? 森さんか喜緑さんなのだろうが……。
6名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:11:43 ID:M0yxo53E
森園生でございます
7名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:12:25 ID:BWbDiw+m
国木田だと分かりにくいかなと思って森さんに変えたものの、余計に分かりにくくなったOrz
誰か特徴的な口調いたっけか?
8名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:15:44 ID:M0yxo53E
つか、森さんだったら「ご心配には及びません」だろうな
9名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:16:00 ID:X6lmdVkr
森さんだったのか・・・てっきり執事オブ執事かと・・・。
10名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:17:01 ID:KoGnus/x
キョン妹も入れてほしいなあ・・・
11名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:20:00 ID:s2IEhh/O
>>10
ソレダ(ビスケット・オリバ面で)。
12名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:20:53 ID:olrz98Kp
>>10

Q (どんな質問でも)
A ん〜とね、わかんな〜い
13名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:24:38 ID:x39UXMzR
使えねえw
14名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:30:46 ID:9Va3xjUm
だいなしだw
15名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:30:56 ID:7Vtoc9gs
>>10
Q次スレのタイミングは?
Aよんひゃくろくじゅうきろばいとの時くらいに聞いて欲しいってキョン君が言ってたー

こうですか?(ry
16名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:32:41 ID:wz+xLRvI
ミヨキチの方が、まともな回答をしてくれそうだ
17名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:34:26 ID:olrz98Kp
ミヨキチさんは個性的なしゃべりがないから使いにくそう。うもれる。
18名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:37:48 ID:XrmJZ5tC
Q次スレのタイミングは?
A460KBの時くらいに聞いて欲しいのね
19名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:38:12 ID:olrz98Kp
阪中ちゃんはもう居る
20名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:47:12 ID:qqYq2cxN
>>1
21名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:52:28 ID:1BP+g9ke
Q.とりあえずおすすめのSSって何?

A.えーっとね、それは、きんそくじこうっていうのよっておっきなおねえちゃんにいわれたー  
22名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:56:06 ID:wz+xLRvI
じゃあ、パンジー野郎の回答

A.ふん、それも禁則事項だ
23名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:04:03 ID:2536+YuZ
ハルヒに無理矢理CMのマネをさせられるみくる。

「ダッダーン」

「ボヨヨン、ボヨヨン」

「ダッダーン。」





「ふぇぇ〜」
24名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:07:54 ID:YCJZXbNs
涼宮ハルヒの○天国の続き読みたい
25名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:09:16 ID:dOXvz241
>>6の台詞で白鳥麗子を思い出した自分は負け組
26名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:11:19 ID:9Va3xjUm
>>23
覚えてる人いるのかw
『ダダーン』というドリンク剤のCMだな。アマゾネスっぽい人が出てくるあれ。

「ダッダーン」
「ボヨヨン、ボヨヨン」

後期型だとこのあとに

「アーアアー」

が入る。
27名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:18:10 ID:kFgryHsB
ごめんよぉぉぉアホなレスを途中にはさんじゃった・・・
28名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:19:15 ID:kFgryHsB
すまない、俺はもうだめだ、古泉に掘られてくる・・・・・・
29名無しさん@ピンキー :2006/08/30(水) 23:24:32 ID:usOE8lxV
>>28
まて、その前に俺が・・・
30名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:24:33 ID:dOXvz241
眼鏡くんと妹のタッグでどうでしょ
31名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:26:27 ID:tPWz6fFb
なにこのVIPみたいな流れ
32名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:38:07 ID:dOXvz241
VIPは人大杉って出て今まで見たことが無かったのだけれど、こういうのなのか…ゴメンorz
33名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:46:46 ID:/1nJWnQ0
>>32
専ブラ導入をオススメする
34名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:48:31 ID:VUzTdUC3
>>1
気に入った、私をファックしていいぞ。

(д゚(( * ))" フリフリ
35名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:03:37 ID:A2/hrMOM
>>34
お断りです
36名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:10:41 ID:+TSOTo/3
前スレが500KBいったみたいだな。
37名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:15:09 ID:jEgrpW9M
前スレ976乙。続きが気になる展開だ。
そして能力持ちでも結局長門には敵わなさそうなキョン萌えw
38名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:15:18 ID:sfsTmfkZ
前スレの最後が…
39前スレ950:2006/08/31(木) 00:21:42 ID:1CZ8H0Oq
勢いで作ったためそうなりました
40名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 00:47:53 ID:/rXnoZtB
キョン一人だけの廃旅館の旅

第1回 みくる無能裁判

第1回 ハルヒ、コイツ考えられへん裁判
41前スレ976:2006/08/31(木) 00:54:43 ID:8iZn77+M
>>37
続きは少しだけあるのだが、それよりコッチを先に出せと言われそうだ。
つーことでキョン消失。前みたいに24レスとかは流石にしんどいので区切りまで。
三日目夜〜午前零時。出番の少ないあの人メインで。
42キョンの消失:三日目夜:2006/08/31(木) 00:55:35 ID:8iZn77+M

 家に帰って妹相手に遊んでやりながら夕食を待っていると、充電していた携帯電話から着信音が流れ出した。
「あー、電話〜。いったいだれから〜?」
 足元に転がるシャミセンを妹に渡して携帯電話をとる。
 ディスプレイに表示された発信元を見て驚き、わたしは慌てて通話ボタンをオンにした。

「どうしました、朝比奈さん。なにかまた困ったことが起こりましたか」
 朝比奈さんから電話がかかってくるなんて、本当に珍しい事だ。
 そしてその珍しい電話がかかってきた場合、朝比奈さんが何らかのトラブルに巻き込まれたという内容が殆どである。
 ……もしかして、わたし朝比奈さんに愛されてない?
 そんな泣きたくなるような結論を大気圏外まで放り出し、わたしは朝比奈さんの話を聞くことにした。が、

『…………喫茶店に、来てくださぃ……』

 朝比奈さんに一番似合わないと思われる沈痛な声色を伴い一言だけ告げられ、すぐに電話が切られてしまう。
 世界遺産の一大事を感じ取ったわたしは、いったい何の電話だったのかと付きまとう妹をシャミセンごと部屋から放り出し、
慌てて支度を整えるとツール・ド・フランスで入賞は狙える速度で自転車を走らせ、SOS団御用達の喫茶店へと向かった。


 喫茶店に入り団員が好んで座るボックス席を見ると、わたしにとって見間違うはずの無い我が心の桃源郷がうつむきながら、
まるで核戦争後の世紀末で、これからの未来に絶望を抱いて生活する市民のような表情を浮かべていた。
 もちろん朝比奈さんである。エンドレスの時のように取るものを取って出てきたような格好だ。

 入口のベルに反応したのか、ゆっくりと顔をあげてこちらを見る。
 わたしが手を振り挨拶しようとした途端、朝比奈さんは勢いよく立ち上がり、座席に足を激しくぶつけた為に机上のティーカップを舞踏させ、
しかしその全てを完全に無視してこちらへ駆け寄ってくる。
 そして迷子になった子供がようやく両親に出会えたかの如く、わたしの胸へと一直線に飛び込んできて力いっぱい抱きついてきた。

 あまりのイベントに店内中の視線がわたしたちに集まる。そろそろ喫茶店のブラックリストにわたしたちの名前が記されていてもおかしくない。
「な、ちょ、朝比奈さん? どうし……」
 そこまで言いかけ、わたしは口を閉ざした。どうしたもこうしたも無い、わたしには思いっきり心当たりが一つある。
 それを証明するかのように、朝比奈さんが押し付けていた顔をわたしに向けて急上昇させると

「酷いですよぅっ!! 何で……何でわたしにも教えてくれなかったんですかぁっ!」
 朝比奈さんと知り合ってから今までで、おそらく自分のした行為に一番後悔したであろうこの台詞を聞きながら、
わたしは何も言えずその場に立ち尽くすだけだった。

43キョンの消失:三日目夜:2006/08/31(木) 00:56:17 ID:8iZn77+M
- * -
 わんわんと泣いている朝比奈さんをどうにか席まで連れて行き、周りと店員に一応頭を下げて、ついでに注文を伝える。
 その間、ボックス席に並んで座った朝比奈さんはずっとわたしにしがみ付いたままだ。
 とりあえず朝比奈さんが落ち着くまでわたしは何も語らずに、ただじっと朝比奈さんの行動を受け入れていた。
 しかしこの雰囲気は何だか別れ話を持ちかけているカップルの様な状態だな。
 ……まぁ、実際その例えは間違ってないんだが。


 ひとしきり泣き終え、ようやくコミュニケーションが取れる程度には落ち着いてきたのか、朝比奈さんは涙混じりの声で、それでも一つ一つ語ってくれた。

「ひくっ、長門さんが……教えて、くれたんです。古泉くんと、えぐっ、話し合って決めた、とかで。
 口止めされてて、でも、あなたは仲間だから、って……わたし、初めて言われ……」
 なるほど、駅での目配せはこの事か。
 実のところ、長門と古泉の二人が再改変を阻止するため、本物のキョンに対して戦いでも始めやしないかと危惧していた。
 でもあの二人はそんな些細な事じゃなく、もっと重要な事を話し合っていたのだった。

「キョンさんの気持ちは……えぐっ、わかりますぅ。わたしだって、いつかはいなくなる……。
 帰らなくちゃ、いけないから……別れるのはつらいから……ふえうっ……。
 でも……でもっ! 何で、何でわたしだけ、教えてくれなかったんですかぁっ!
 長門さんや古泉くんにはちゃんと教えてるのに……何でわたしだけのけ者にするんですかあっ!」

 朝比奈さんはわたしが一生見たくなかった、真珠より尊い悲しみの水滴をぼろぼろと落としながら訴えてくる。
 湧き上がってくる感情にまかせてか、朝比奈さんは今の思いを、今までの想いをただ純粋にわたしへとぶつけてきた。

「キョンさんにとってっ、わたしはその程度の存在だったんですかあっ!
 わたしだけがっ! キョンさんと友達なんだって、思い込んでいただけなんですかあっ!
 ……そんなのって、ないです……えぐっ……イヤです……凄く、悲しいですよぅ……イヤだよぅ…」
 わたしの胸元を、その小さく色白い両手が真っ赤になるぐらい強く握り締めてくる。
 その両手に頭をぶつけ、わたしにその顔を見せないようにうつむくと、朝比奈さんは再び嗚咽しだした。

 朝比奈さんの独白を聞き、その熱い思いを突きつけられ、わたしは黙っていた事が間違っていたと思い知った。
 朝比奈さん(大)に秘密にして欲しいと言われたからもあった。だが、それ以上にわたしは自分の考えを
朝比奈さんに対して勝手に押し付けてしまっていた。
 そりゃ朝比奈さんでなくても怒る。水臭いとかそんな可愛い話じゃない。愛されてないのも当然だ。
 わたしだったら蹴りの一つも飛ばして怒号している事だろう。
 わたしの事をバカにするな、と。

「朝比奈さん、すいませんでした」
 わたしはしがみ付いて泣く朝比奈さんの肩を抱き、小さく、でも精一杯の心を込めて謝罪した。
「……実は困ったことが起こりました。いえ、今現在起こっている真っ最中なんです。
 それは朝比奈さんにとって、ただ悲しい事実がわかるだけかもしれません。
 それでも……わたしと一緒に、困ってくださいますか?」
 胸元を掴んだまま朝比奈さんはじっとしている。小さな嗚咽も続いている。
 やがてゆっくりと、だがしっかりした頷きを見せて、わたしに対する意思を見せてきてくれた。

「もちろんです、キョンさん」

44キョンの消失:三日目夜:2006/08/31(木) 00:56:53 ID:8iZn77+M
- * -
 真っ赤になった瞳に真剣の色を終始浮かべ、朝比奈さんはわたしの話を最後までじっと聞いていた。
 朝比奈さんが長門たちから聞いていた事実はわたしについてだけのようで、それがどうしてわかったかとかは知らないようだった。
 なので未来からの連絡で改変が行われた事がわかったことと、そして十時間後に行われる再改変の事を、わたしは全て朝比奈さんに伝えた。
 唯一伏せたのは、その情報を持ってきたのが朝比奈さん自身だという事だけだ。

「そんな、未来からだなんて……わたしそんな話全く聞いてません! 何かの間違いじゃないんですかっ!?」
 そうだったら嬉しいんですが、事実です。
 わたしの知る限り朝比奈さんと同じぐらい信頼できる人からの情報ですので。
「でも、でも…っ! わ、わたし聞いてみますっ! ちょっと待っててくださいっ!」
 いてもたってもいられなくなり、朝比奈さんはそう言うとレストルームへと走っていってしまった。


「……ばらしちゃいましたけど、これで良かったんですか?」
 ボックスに残されたわたしは誰にとも無く呟いた。が、その呟きに対し
「ええ。ここでわたしがあなたと未来から事実を知る事が、わたしにとっての規定事項ですから」
 とわたしの後ろの席から背中合わせに返してくる女性の声があった。

 朝比奈さんを伴って席に着こうとした時に、一瞬だけ眼を合わせてきたその人。朝比奈さん(大)である。
「あなたが来たって事は、わたしに何か用件があるんですよね」
「はい。これをあなたに渡す為に、もう一度戻ってきました」
 そういって朝比奈さんは立ち上がると、わたしの手に何かを渡してきた。
 小さなカプセル剤に見えますが、いったいこれは何なのでしょうか。

「それは睡眠薬です。抗体の無いこの時代の人なら飲ませれば即効果が現われるはずです」
 睡眠薬と聞くと犯罪っぽい感じがするのは偏見だろうか。
 あと十時間以内にこんなのを使う状況がわたしに訪れると言うんですか。
「はい。詳しくは言えませんが、どこでこれを使うべきか、その時になったらわかります。それと一応」
 わたしが何を見ているのか気づいたのか、朝比奈さんは少しだけ大人の微笑みを浮かべて続けてきた。
「それ、わたしには効きませんよ」
 ほんの少しだけ残念な素振りをみせ、わたしは朝比奈さんのグラスから視線を外した。


 朝比奈さん(大)がレストルームに視線を送る。
「じゃあ、本当にこれで。……あの無力なわたしを、どうかよろしくお願いします」
 そして自分の唇に指を添えると、その指でいつくしむ様にそっとわたしの唇を指でなぞってきた。
 何が起こったのかわからず、わたしが目を丸くしていると
「間接で、簡単ですけど。これがわたしの答えです」
 朝比奈さん(小)と同じような珠玉の涙を流しながら、それでも朝比奈さんは至上の微笑を浮かべて、わたしに優しく伝えてきた。

45キョンの消失:三日目夜:2006/08/31(木) 00:58:01 ID:8iZn77+M
- * -
「……わたしって、本当に役立たずですね」
 朝比奈さん(大)が店を後にしてから少し後。
 長い間レストルームへ行っていた朝比奈さんは、席に戻ってくるなり小さく自虐的な事を呟いた。
「何の力も権限もなくって、ただここにいるだけしか、わたしにはできない」

 どうやら朝比奈さんは未来との通信で確認を取るだけでなく、何とかして改変を止められないか申請してくれたらしい。
 だがその必死の申請は受け入れられなかった。
 朝比奈さんにはつらい事実だがそれも当然の話だろう。
 もし未来にとってその願いが受理される事項なら、そもそもこんな騒動自体起こっていないはずだ。

「長門さんの様な能力や、古泉くんの様な知恵もない。肩書きだけでなぁんにもできない、ダメな未来人です。
 いっつもキョンさんたちに頼ってばっかり。
 この前も、キョンさんや古泉くんの組織さんたちに助けられちゃいましたよね。

 キョンさんが大変なこんな時にこそ、わたしは役に立ちたいのに……。
 最近特に思うんです……わたしは何でこの時代にいるんだろう。何でわたしなんかがSOS団にいるんだろう、って……」

 言葉がどんどん小さくなる。言葉だけでない、その愛くるしい姿も今は悲しいぐらい小さく見える。
 わたしは一度氷水で喉を潤すと、
「朝比奈さんにだって、力はあります」
 俯いて閉じこもりかけた朝比奈さんに、できる限りの想いを込めて声をかけた。


- * -
「少なくとも、わたしは朝比奈さんが心を込めて淹れてくれていたお茶に毎日癒されてました。
 わたしは毎回、ちゃんと欠かさずに朝比奈さんへお礼を言っていたつもりです。
 ハルヒだって何だかんだでありがと、とか美味しいわね、とかよく言うじゃないですか。
 古泉はいつも型どおりの挨拶で、長門は口にすら出しません。
 でもおもむろに自分で淹れたり、差し出されたお茶を残したりしたヤツはいなかったでしょう?
 何だかんだで、みんな朝比奈さんがくれる平和な一時を期待してるんですよ」

「それと朝比奈さんは一つだけ大きな勘違いをしてます。
 SOS団は別に、ハルヒの起こすランチキ騒動や宇宙人のトンデモバトルや超能力者の組織対立を解決する平和団体じゃありません。
 忘れちゃったんですか? 最初にハルヒが言ったじゃないですか。
 SOS団は、宇宙人や未来人や超能力者と『一緒に遊ぶ』のが目的だって。
 だから難しい事を考えないで、素直に遊んでていいんです。
 みんなが退屈で憂鬱な気分にならないように、それこそがハルヒの望みなんですから。
 わたしに言わせれば、朝比奈さんこそがハルヒのSOS団への想いに一番応えてると思いましたよ」

「それに何より、朝比奈さんはわたしたちの大切な仲間です。
 だからこそ、朝比奈さんは長門と古泉から、今回のわたしの事を教えてもらえたはずです。
 正直言ってわたしがびっくりしましたよ。いつの間に三人がそこまで親しくなったのかって。
 古泉も長門も、朝比奈さんの属する未来の事はともかく、朝比奈さん自身の事は認めています。
 朝比奈さんもじゃないですか? 思念体や組織はともかく、あの二人は信じていいと思ってませんか?
 だったらどんどん頼っちゃっていいんです。
 これだけは断言します。どんなに面白設定があったって、人の信頼を迷惑だと思うヤツなんて、ハルヒは絶対に団員に選びませんよ」

「それと、えっとあれだ。役立たずというならわたしこそ……」
 とにかくこういう時は一気に告げてしまうべきだ。そう考え更に言葉を続けようとした時。
 朝比奈さんはわたしの言葉を、その可愛らしい人差し指わたしの口に当てる事で止めてきた。
 嬉しさを幾分混ぜ合わせた、ほんのりと照れた表情で、朝比奈さんはわたしが痺れるぐらい優しい声を、たった一言だけ紡ぎだした。

「……ありがとう、キョンさん」
 それで充分だった。

46キョンの消失:三日目夜:2006/08/31(木) 00:58:31 ID:8iZn77+M
- * -
 それから二時間ほど朝比奈さんと喋りまくった。
 SOS団の活動から始まって、映画のあたりまで古泉と牽制しあっていた事、二度の合宿や夏休みの事。
 鶴屋さんと出会った事、クリパとバレンタインとみちるになった事、色々着替えた事などなど。

 喫茶店を出ると、寒い中にも春を感じる心地よい風が吹いていた。
 朝比奈さんを駅前まで送ろうと、店脇に止めてた自転車を取りに行く。
「お待たせし──」
 自転車を押して戻ると、朝比奈さんはネオンサインを途切れさせるビルの影をバックに、ハンカチで瞳をぬぐっていた。
 こちらに気づくと慌ててハンカチをしまい、暗がりで気づきにくいが赤く腫らした頬で微笑んでくる。

「……強い風で、目にゴミがはいって……でも、もう大丈夫です」

 そんなちょっとだけ虚勢を張る朝比奈さんを見ていたら、思わず口に出してしまっていた。
「本当に大丈夫ですか? ……ちょっと、目を見せてください」
「え」
 自転車を置き片手で軽く抱き寄せ、もう片方の手を頬に添える。親指を動かして下まぶたを軽く引っ張り、
涙のせいで光が乱反射する、充血に染まったブラウンの瞳をじっと見つめた。
「ぇ……ぁ……ふぁ……キョ、キョン、さん……」
「……動かないで、朝比奈さん。そのまま少しの間、眼を閉じてください」
「え、あ…………はぃ」
 そう言って律儀に瞳を閉じたところで、わたしは朝比奈さんとの距離をゼロまで近づけた。
 人生二度目、そして二人目の唇が感触を、文字通り触れて感じ取る。
 ただ触れるだけの、長く思えたその行為は、どちらからとも無く顔を離す事で終わらせた。

 わたしに残された時間と場の雰囲気が後押ししたとはいえ、いくらなんでもいきなりだったとわたしも思う。
「不意打ちなんてずるいです……初めてだったんですよ、わたし」
 朝比奈さんは怒っていた。但しわたしの感じる限り、表面的に。

 えっと、ごめんなさい。わたしとじゃ、イヤでしたでしょうか。
 それでもおそるおそる尋ねると、朝比奈さんは唇を押さえてうつむき、
「……えっと…………その答え、今は保留でいいですか? 全部含めて保留って事で」
 どこかで聞いたような答えを返してきた。

 なるほど、保留ですか。
 あまりな懐かしい返し方に、わたしと朝比奈さんはどちらからとも無く笑い出した。

 そのまま駅まで朝比奈さんを見送る。朝比奈さんはぺこりとお辞儀をすると、いつもの天使の様な微笑を振りまき告げてきた。
「それではキョンさん、また明日」
 ええ。また、明日。
 古泉、長門の時と同じく、わたしは朝比奈さんにもそう告げて別れた。

47キョンの消失:三日目夜:2006/08/31(木) 00:59:10 ID:8iZn77+M
- * -
 夕飯ぶっちぎりで家に帰り、親に注意され食卓につく。
 何故かメインディッシュのハンバーグが何者かによって半分食われてた事に関しては、妹が入浴している風呂場に裸で突撃し、
シャンプーハットを装備した頭を洗ってやりながらじっくりと詰問する事にした。
「だって、今日のハンバーグおいしかったんだもん」
 舌を可愛く出しながらウインク姿を見せ、妹はあっさりと白状する。
 わたしは罰として、五十数えきるまで湯船の中から出る事を禁じてやった。


 窓を少し開けて風を部屋に通す。
 こんな時に眠っていられるはずも無く、部屋でラジオを聞き流しながら、わたしは朝比奈さん(大)から受け取ったモノを見つめていた。
 即効性睡眠薬──いったいこんな物、何に使うんだろうか?
 ベッドで横たわりながら考える。妹の部屋から抜け出てきたのか、シャミセンはわたしの傍らで眠っていた。

 ラジオから十二時を告げるCMが流れ出す。
「あと五時間か……」
 そう考えても実感が湧くはずも無く、わたしは明日が今日に変わる瞬間をぼうっとした脳で聞いていた。


 ピッ、ピッ、ピッ、ポーン。


 そのポーンと同時に枕元に置いていた携帯が鳴りだした。
「な、何だ!?」
 何事かと驚き、次に再改変について長門あたりからの電話かもと考えた。
 だが充電器から携帯電話を外し、ディスプレイに表示される発信者の名前を見て、わたしは再び驚いた。

 こんな時間にどういう事だ? 何故コイツから?
 そんな風に思いながら電話を取ると、電話の相手は相変わらず主語を抜いて話をしてきた。

『玄関を開けて』

 何だ? 玄関だと? それってどこのだ?
 …………まさか。

 わたしは部屋をそっと出て、家族を起こさないよう静かに階段を降りて玄関を開ける。
 するとそこにはスポーツバッグを片手に持ち、両腕を胸元で組んで、不敵と素敵を器用に混ぜた笑みを浮かべつつ──、


「さ、明日になったわ。アンタの悩みを聞かせてもらうわよ」


 そう宣言する、涼宮ハルヒの姿があった。

48名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 01:00:28 ID:8iZn77+M
……とまぁここまで。説教っぽさが抜けないなぁ。
実は今回の朝比奈さん編の全てを

>窓を少し開けて風を部屋に通す。

まで全編カットしても話としては全く問題ないという事実は禁則事項という事で。
あとはハルヒとエロースにvsキョンか。……リアルでエンドレスエイト起こらないかなぁ。

結局活躍の場が殆ど無くてごめんなさい朝比奈さん(小)。
レストルームで押し倒す勇気がなかっただけなんです。
49名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 01:02:57 ID:s8ttkfsS
>>48

女キョンキター!!!!!

って、またいいところでとまってるよ!

wktkしながら続きを待ってるよー
50名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 01:16:38 ID:rYGLc1dM
>>48
前スレの埋めネタ面白かったよー。
女キョンのほうの感想は……まだ保留かなぁ。
51名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 01:22:31 ID:FbB3GCj2
朝比奈(小)にここまで見せ場を作ったSSがかつてあっただろうか。
特に女キョンが朝(小)にSOS団にいることの意義について話すところは
感動した。
52名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 02:07:14 ID:H0YYSHqj
携帯のPINKが使い易くなってる
53名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 02:12:49 ID:O1bRkiaT
そういえば閉鎖騒動はどうおちついたんだ?
54名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 02:14:13 ID:WavdrLA1
>ハルヒとエロース
百合展開ktkr
55名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 02:24:50 ID:Th6EX9v+
>>48
GJ!
じっくり読ませてもらいました。今回もすっごく面白かったです。
だからお願い。最後に言い訳レス入れないで。しらけるから。
56名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 02:44:07 ID:rYGLc1dM
>>53
何事もなかったかのように現在に至る……だもんな。
あれは壮大な釣りだったんじゃないか、なんて思ってしまうほどに。

>>54
……大丈夫かなぁ。
57名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 03:02:41 ID:Ir4DmACH
釣りじゃないな。今もまだ揉めてる真っ最中ですわ。
58名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 03:07:56 ID:O1bRkiaT
ほぅん
59名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 04:38:18 ID:OAqhHXjU
閉鎖騒動と聞いて
どこぞの書き途中のSSで閉鎖空間がほったらかしのままなのかとか
思いましたよ
60名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 04:48:17 ID:sxBJ7ERu
女キョンの人GJ!!
続き楽しみに待ってます
61名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 06:46:45 ID:qDlpc72U
やべえハレ晴れ愉快で脳内麻薬出まくりで全然眠くない
62名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 07:36:31 ID:s/VnYAOH
63名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 08:21:41 ID:U7a6Bi6z
正直背筋が震えた。カットなんか絶対にしなくていいよ。
どうか、どうか全てを書き上げて
64名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 10:18:42 ID:9q44kszy
>>48
素朴な疑問だが、女キョンの世界ではバレンタインはどうやったんだ?
女子4人で四つのチョコ(&アミダクジイベント用の朝比奈チョコ)を作ったわけか?

で、古泉ひとりが穴掘りとチョコ四つを独占と。
65名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 10:49:19 ID:eXqRVkzI
>>64
もともとのバレンタイの意味を思い出せば答えが出るはず
古泉も手作りチョコをキョンに渡したとかね
66名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 11:16:43 ID:YoF6yZZa
あーもう朝比奈さんがたまらなく好きだわ
67名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 13:00:21 ID:+fW0Ci0Y
やべえ。朝比奈さんやべえ。やべえなんてもんじゃない。飛び越してむしろおもしろい。
68名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 13:17:57 ID:KVBXV+Lu
なぁここの連投規制ってどんなんだっけ?
69名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 16:05:17 ID:FPEx0xQQ
一間隔1,2分程度しか空けずに5レスとかだっけ?
行やbyte数は関係なかった希ガス

前スレ漁って支援されずにどれくらい書けてるか調べたほうが確実だねー
70名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 16:12:02 ID:c25oFfVA
>>68
2分くらい空ければ、35レスまでは見たことある
71名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 19:00:37 ID:4BNVOu2X
みくる・・・・
72名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 19:34:16 ID:xd7r4f7E
たしかキョンとハルヒはこんがり日焼けしたんだっけ
73名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 20:11:59 ID:rLKIokWn
後4時間程度で二週間前にリセットか
74名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 20:13:56 ID:sfsTmfkZ
>>73
ヒント アニメ公式が固定になってる
75名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 20:25:27 ID:siTBSsTU
>>74
ほんとだ8/31までしかないね。これもハルヒの仕業なのか?長門
76名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 20:25:33 ID:x6C6YHb5
>>72
始業式にお揃いの真っ黒具合なもんだからクラス内じゃまたさぞ大騒ぎだったろうな
77名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 20:33:43 ID:sfsTmfkZ
>>76
「おいキョン、お前ら揃って同じような焼け方をしやがって。 休みの間何やってたんだよ」
聞いてくれるな谷口よ。 まさか歳柄にも無く虫取りをして日焼けしただなんて言える訳がねぇ。
「ついにお前もひと夏の間に大人になったのか… くぅー、悔しいぜ」
何言ってやがる。 とりあえず殴って黙らせておくか。


その後謎のチェーンメールにより、全校生徒に広まったのは言うまでも無い。 谷口め、硝酸を一気飲みさせてやる。

こうですk(ry
78名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 21:01:19 ID:OHKAiF2g
しかもハルヒのあの格好じゃあけっこういいところまで焼けてるだろうから
制服の上からじゃ全裸焼けしてるように見えなくもないわけで・・・
79名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 21:10:26 ID:sceUSLbn
>>78
屋外で獣のよう交わってたと誤解されるとでも?
80名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 21:11:39 ID:OHKAiF2g
交わってたのがデフォでシチュエーションを追求されるのが王道パターン
81名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 21:14:51 ID:+rztXRwH
しかも、日中に?
82名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 21:23:20 ID:mTwf7XQc
>>77
歳柄じゃなくて、年甲斐じゃぁあるマイカ
83名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 22:33:19 ID:vmW84TXq
>>82
いや、歳柄も無くっていうのでおk
84名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:05:11 ID:e0svbYSy
これを次スレのテンプレに追加してくれ


このスレに収録されたSS・小ネタは全て、谷川流著作の
ライトノベル「涼宮ハルヒシリーズ」をベースに、それぞれ
の職人が自由な発想、解釈を加え構成したものです。
「涼宮ハルヒシリーズ」の作品内容に関する公式見解を
提示するものではありません。
85名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:06:04 ID:o+a06wVS
たっちーって鬼畜系専門のエロゲーメーカーの
AnotherDimensionってエロゲーが
どーもハルヒの小説のインスパイアっぽいって話はガイシュツ?
86名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:07:37 ID:yWPbfEYN
>>84
スレタイをよく見るんだ。
87名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:08:07 ID:+Lil70bQ
>>83
俺は82じゃないけどさ。
「歳柄も無く」って正しいか?聞いたこと無いぞ。
広辞苑を確認したら、「年甲斐もない」は載っているけど、「歳柄も無い」も「歳柄」も見あたらない。
確かにぐぐると「歳柄も無く」は結構ヒットするけど、これはおそらく誤用が広まったパターンで、正しくはやっぱり「年甲斐もない」じゃないか?
88名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:08:16 ID:UJBAxL/V
>>84
要修正
89名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:08:18 ID:l/dhXkoj
>>84
どっかに勘違いしているヤシでも居たのか?
90名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:08:31 ID:dvN/0ICk
マジかよ
あの鬼畜変態のゲームってことは四肢切断とかされんのか
91名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:09:16 ID:/kWA/DxV
>>85
ほんとだw
92名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:10:14 ID:l/dhXkoj
>>87
多分「年甲斐もない」と「柄にもない」が混じっちゃったんじゃないかな
93名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:10:59 ID:rYGLc1dM
>>84
なんだよ、藪から棒に。
後、ここは谷川流作品の総合スレッドだからな。
94名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:14:19 ID:o+a06wVS
>>90
クラスの全員が空が灰色の異次元空間に閉じ込められて狂ってく話
メインヒロインがハルヒ的なセリフをはいたり
異次元人の女の性格がまんま長門で長門的な探知能力を持ってるそして口癖が「機密事項」
んでもって女の生徒会長の髪型が朝倉っぽい
95名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:16:15 ID:o+a06wVS
あと異次元女が空間閉鎖って技が使える
96名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:17:18 ID:sfsTmfkZ
即興であれ、確認せずに書くもんじゃないな
と思った8月31日
とりあえず反省
97名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:17:35 ID:4LPgI1pT
>>87
人に人柄があるように、きっと歳にも歳柄があるのだろう。でも、年甲斐に一票。
98名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:22:01 ID:+Lil70bQ
>>96
いやいや、ネタは面白かったよ。
クラス中から冷やかされるキョン&ハルヒとか、キョンの必死の言い訳とか想像すると楽しいし。
>>83が「おk」とか言い切っていたから気になっただけさ。
99名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:58:13 ID:3UfHctSU
>94
そこだけ読むと「漂流教室」にみえる。
100名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 00:05:57 ID:7Zy3+OD3
9月初カキコ!!
101名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 00:10:53 ID:qCYFjxgf
>>99
そんな感じ 
学校から出られないエログロイ漂流教室

ぶっちゃけハルヒっぽいって言われないときがつかないと思う

かなりキツイグロさだから買わないほうがいいよ
102名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 00:11:11 ID:gr0rzo9q
キョン宿題終わらせたか
103名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 00:23:47 ID:FfUzu47T
DVD3巻の限定版ジャケットのみくるがすこぶる可愛い件
104名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 01:08:33 ID:sm924AO3
保守
105名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 01:20:27 ID:xnSQjTGL
31日のほとんどが雑談で終った件
やれやれ、厨もこれで消えるか…
106名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 01:48:07 ID:4SpvrM0Y
ハルヒら7人の公式バニーイラストを見た。
喜緑さんが紫だったが、ループタイムのバニーズが頭をよぎった。
107名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 01:48:31 ID:1/MTAdG5
新作をwktkしながら待っていたのに(´・ω・`)
108名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 02:55:07 ID:qHqOVCl4
おまいらキョンに対する乙が足りんジャマイカ?
109名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 04:40:47 ID:vy4w7fMT
無事夏休みも終わったか…
でも9月1日が金曜だから2日と3日は夏休み気分の厨がまた出てきそうだな。
110名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 06:14:08 ID:EYda2AqH
一時はエロパロ板にしてはとんでもない速さだったけど
このスレもやっと落ち着いたな。
でもこのまま過疎っていくのかな?それはそれでいやだなあ。
111名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 07:05:58 ID:cK37dgyi
>>106
あのバニー朝倉をループ・タイムに重ねてみたらおっきが止まらない

「まいったわね……全然前が見えないわ」
ハルヒが本心を吐露するように呟く。確かに、眼前は完全に真っ白い雪しか見えない、いわゆるホワイトアウトの状況だ。
「おかしいですね……距離感から言って、とっくに麓についているはずですが」
最後尾から聞こえる、いつになく真剣な古泉の声。そう、その通り、着いているはずなんだよ、本来なら。
だが、着かないのはなぜか?
……俺がそう望んでいるからだ。
「うう、冷たい……」
後ろで、スキーウェアに身を包んだ朝倉涼子が、寒さに身をすくめている。なんだか、自分のことを言われたような気がして、俺はギクリとする。もちろん、気温のことを言っているんだろうが――
……俺の身勝手な都合で、団員たちを遭難に巻き込んでいる俺は、SOS団の団長として、ドーピングを行った陸上選手のように、完全に失格だろうな。
それも、分かってやっているんだから、無意識にトラブルを引き寄せたハルヒとは違う。
やれやれ。
自分で自分に呆れてみても、なんの解決の足しにはならないのは分かっているけれども、俺は溜息をついた。
いまさらだが、どうしてこうなったのか……。
回想してみると、こんな具合になる。


『ループ・タイム番外編――雪山症候群――』


時を遡ること、クリスマス・イブ。
朝倉涼子の退院祝いも兼ねた、クリスマス鍋パーティーが、SOS団の部室にて盛大に行われた。
朝倉が起きた時には、病室でワンワン泣いていたハルヒも、すっかり立ち直って元気を取り戻し、朝倉にトナカイのコスプレなんかをさせて喜んでいる。
短い角つきのカチューシャに、もこもこしているが、妙に露出度の高い着ぐるみ。赤い首輪と、朝倉慮湖が身を捩るたびに、チリチリと音をたてて鳴るベル……ハルヒの命令で、サンタ衣装の朝比奈さんに馬乗りにされ、朝倉涼子は顔を真っ赤にしている。
「ハルヒ、サンタが乗っているのはトナカイじゃなくて、ソリなんだが」
「いいのよ、細かいことはっ!!ほら、みくるちゃんっ!もっと涼子の体に絡んで!うん、いい写真が撮れそうだわっ!」
「やめてー!涼宮さん。ちょ、ちょっと、それ無理!恥ずかしいよ……やっ、胸なんか揉んじゃ駄目よ朝比奈さん!」
トナカイ朝倉は、顔をゆでた蟹のように真っ赤にしている。既にアルコールが入っていて、こちらもまた顔が赤い朝比奈さんが、とろーんとした目つきで、積極的に朝倉の体をまさぐっているためだ。
「朝倉さぁん……ここですかぁ?……ふみぃ……うふふ、柔らかいですぅ」
セクハラ親父か。
やれやれ。早く食べないと鍋の中身がなくなるぜ。さっきから長門がすごい勢いでブラックホールに直結させた胃袋へと詰め込んでいるからな。
「いやー、すごい食欲さっ!有希にゃん、きっとおっぱいもおっきくなるよっ!運がよければっ!!そうだ、実は提案があるにょろ!!古泉くんっ、ちょろーんと説明してくれるかいっ」
鍋をつついていたSOS団顧問、鶴屋さんが、おっぱいの一言で、ピタリと箸を止めた長門を、絶対零度の空気に突き落としつつ、晴れ晴れと言った。古泉がにこやかに説明を始める。
長門が、硬直して箸を止めたまま、俺を見つめた。
――どうする?
強い光をたたえた長門の視線が、そう言っていた。
……お前の言いたいことは分かるぜ、長門、だが――。
「ありがとうございます、鶴屋さん。SOS団みんなと、ひょっとしたら俺の妹も連れて、お世話になりますよ」
俺は無理やり笑顔を作った。


家の行事に参加しなくてはならない鶴屋さんが先に帰ったが、SOS団のパーティーはまだまだ続く。
長門自慢の、「サイレンス」社製のゲーム大会が行われ、長門が遺憾なくその実力を発揮して圧勝する。……製作者に勝てるかよ。
そして、妙にハルヒが体を擦り付けてきたエロエロツイスターゲーム。バニーガールは少し酔っていらっしゃるようで、俺の首筋に息を吹きかけてきたり、俺の体と触れ合う位置に足を伸ばしたりと、エンジン全開だ。はっきり言って、非常に色っぽい。
やがて夜も更け、古泉に寝袋を押し付けて更衣室に突っ込み、俺とハルヒがコンピ研の部屋、朝倉と長門と朝比奈さんが文芸部室で、それぞれ寝る。ハルヒもさすがに疲れたようで、ベッドに入ると、すぐに寝てくれた。
……よかった、ここで始めたら、音が周りに筒抜けだからな。何の音かはあえて言うまい。
横では、ハルヒがスースーと寝息をたてている。
俺は眠らずに、天井をじっと見つめていた。
……これで正しかったのだろうか?
もともと、俺の考える通りになるとは限らないし、そもそも、考えどおりになったとして、俺に何ができる?
意味もなく、団員たちに迷惑をかけることにならないか?
そんなことを考えていると、なんだか、無性に喉が渇いた。
俺はむっくりと起き上がって、横のハルヒを起こさないように、そっと部屋を出た。夏の工事の結果、文芸部室にはキッチンが取り付けられている。
ソファーベッドで眠る朝倉涼子。朝比奈さんは、寝袋に入れられて、床に転がされていた。
俺は、冷蔵庫から氷を取り出し、コップにぶちこむ。ミネラルウォーターを注いでいると、お気に入りの椅子に深々と腰掛けていた長門有希が、小さな声で呟いた。
「……眠れない?」
ああ。
「少し、喉が渇いた……長門も、水欲しいか?」
長門は、コク、と頷いた。
俺は自分と同じのを作って、長門に差し出す。
「夢に、見るみたい……」
長門?
「世界改変についての、朝倉涼子の記憶は、完全に消去した……だが、消去しきれないノイズが残る……」
そうか……。
「…………」
長門は、コクリと水を飲んだ。じっと、俺の目をその黒曜石のような瞳で見つめる。
「……本当に、行く?」
ああ、と俺は頷いた。
「同じ場所に行けば、おそらく高確率で同じ現象が起きる。だが、行き先の変更や、合宿そのものの中止によって、回避できる確率は高い――でも、あなたの目的は、あの状況そのものの再現……違う?」
違わないさ、その通りだ、長門。
「ただ、お前の体のことが心配だから……嫌なら言ってくれ。すぐに中止する」
「……事前に相応の準備をすれば、問題はないと思われる。平気」
悪い、俺のわがままだってことは分かっている。だが一度だけでいい。これが最後のチャンスになる、そう思うんだ。
「いい――あなたのそういう頑固さは、嫌いではないから」
微かに頬を赤く染めて、長門は口を噤んだ。
「……ありがとな、長門」
「そう」
そう言いながら立ち上がると、長門有希は、すうすうと寝息をたてる朝倉涼子に、そっと布団をかけ直した。
……なんだか、長門が母親みたいだ。ひょっとしたら、朝倉に対しては、そんな気持ちなのかもしれない。
「おやすみ、長門」
じっと朝倉に目を注ぐ長門有希は、黙って首だけコクンと動かした。
俺はコンピ研部室に戻り、ハルヒの隣に潜り込む。
「……んー、だめ……キョン……そんなの入らないよ……すごい……」
やれやれ、ハルヒ、ニヤニヤしながら寝言を言うなよ。
更衣室で寝袋に包まった古泉の寝言も、小さく聞こえてくる。
「すごいですよ……期待以上の大きさです……どうですか?僕のは……」
あいつは永眠させたほうがいいんじゃないかね?


さて、妹つきで鶴屋さんの別荘に向かい、例のごとく、年齢不詳のメイド森さんと、執事オブ執事、新川さんの出迎えを受けた。どうもよろしく頼みます。
「いい感じの建物ねっ!そら、妹ちゃん、おねえちゃんと探検よ!」
「はるにゃん、待ってー!」
行きの間中、妹に、「おねえちゃん」と呼ばせようと苦心していたハルヒと、その涙ぐましい努力にまったく気が付かないで「はるにゃん」と呼び続ける妹が、別荘に向かって吹っ飛んでいった。
残された俺と古泉がえっちらおっちらと荷物を運ぶ。
そこで、ふと気がついた。
「古泉、今回の推理ショーでは、雄の三毛ネコとかは必要ないのか?」
古泉は首を傾げる。
「はて、ネコですか……?いえ、ちゃんとこちらでトリックは用意してありますが、ネコは必要ありませんね……。それも、一年前の冬合宿での出来事ですか?」
そうだ。
ああ、シャミセン。お前はどこにいるのか?あの渋い声が、もう一度ぐらい聞きたかったな。
「そう言って貰えるとは、非常に光栄だ……ネコ冥利に尽きるといったところか」
シャミセン!?お、お前どこから喋っている?どこにいるんだ!?
と、車の後ろから、長門有希が現れた。
「……今のは、腹話術」
長門、紛らわしいことするな!


「みくるちゃんのとこがいい」
――と、「妹ちゃん、将来のおねえちゃんと一緒に寝たくない?」と申し出たハルヒを、すっかり落ち込ませて、妹は朝比奈さんに抱きついて、その豊かな胸に顔を埋めた。
「じゃあ、長門と朝倉が一緒でいいか?朝比奈さん、妹をお願いします」
「はぁい」
朝比奈さんは、その、地上に舞い降りた天使のような笑顔で、にこやかに頷く。
「はて、僕は一人ですが……」
そうだな、新川さんにでも、いろいろ人生についての大切なことを教えてもらえ。ダンボールに隠れての偵察任務のこなし方とか、格闘術とか。
「うう……グスン……」
泣くなよ、ハルヒ。俺はハルヒの、ポニーテールの頭を撫でる。お前は俺が相手してやるさ。
「ありがと、キョン……今夜は、いっぱいいっぱいしようね……」
いや、そういう意味では……って、顔が赤いぞ。何を期待してる!?


妹のための、ハルヒによるスキー講習が始まった。
「足を揃えて思いっきりストックをガーンてやるとビューンて行くから、そのままドワーって気合で行って、止まる時も気合で止まるの、オリャーっ。これで何とかなるわ」
なるわけねーだろ!
いろいろと説明してはいるが、一言に要約すれば「気合で滑る」という言葉に尽きる、大日本帝国陸軍的突撃型ハルヒ理論によって、妹はスキーの腕前が急激に上達――する筈もなく、練習しても相変わらずこけてばっかりだ。
「これじゃ、上級コースは無理ねえ」
ハルヒが溜息をつく。
「そいじゃ、妹ちゃんはあたしと一緒にゆきだるまくんでもつくるっさ!!」
スキーウェアに身を包んだ鶴屋さんが、実に明るくさばさばと宣言した。「ゆきだるまくんっ!つくるー!!」と、うってかわって妹がはしゃぐ。
「ゆきだるまですかぁ……あたしもできればそっちのほうがいいなぁ……」
鶴屋さんの天才的な指導のおかげで、スキーが上達してとても楽しそうに滑っていたものの、少し疲れたのか、朝比奈さんもおずおずと手を上げた。
「こらこら、みくるちゃんっ――」
狼のようにハルヒが朝比奈さんを捕まえようとして手を伸ばしたが、その手を長門が止めた。
「む、どうしたの、有希?」
長門は軽く首を振る。
「……せっかくの休暇。楽しみ方は人それぞれ」
……なんか、どこかで聞いたセリフだな。長門が俺にチラリと視線を送る。
分かってる、ありがとな長門。
「じゃあ、朝比奈さん、鶴屋さん、妹をお願いしてもいいですか?」
「はい、キョンくん」
ハルヒの手から逃れて、ほっとしたような表情で、朝比奈さんがにこにこと頷く。
「めがっさ任せるにょろ!!キョンくんたちは、たっぷり滑ってくるっさ!!」
ええ、鶴屋さん、たっぷりと遭難してきますよ。
「そうだ、有希、さっきから背負っている荷物、なに?」
長門のチョコンと背負っているリュックサックに、ハルヒが不思議そうな目を向ける。
「……飲み物」
その通り、これが長門の考えた「事前の準備」ってやつだ。


さて、何回目のスキー大回転競争をやっていたときだろうか。
先頭の長門が、唐突に、ふと立ち止まり、それにつられてハルヒも止まった。遅れて滑っていた俺と朝倉、古泉も追いつく。そのとき――
俺の予測どおり、なんの予兆もなく、はたまた警告もなく。
既にそこには吹雪があった。

…………………

……という訳で、俺たちは、ただいま絶賛遭難中というわけだ。
「いくらなんでもおかしいわ……もうとっくに麓についてもいい頃よ」
カマクラ作ってビバークする?とハルヒがこっちに顔を向ける。俺がうんと言ったら、今にも鎌倉幕府だって作り上げそうな勢いだ。
「ハルヒ、ちょっと待て……長門」
俺は雪を掻き分けて長門のとなりに並んだ。俺の方を見た長門は、コクンと頷く。
「……そろそろ」
そう、長門が言い終わるか、言い終わらないかのうちに――
「あっ!キョン、あれ見て!!」
ハルヒが指差す先に、微かに窓から漏れる光のようなものが見えた。
「きっと建物だわ!あそこで休ましてもらいましょ!」
ハルヒが人間除雪車となって、雪を掻き分け突進していく。一同、それに従った。その先には――
見るも巨大な洋館が、雪の向こうにそびえ立っていた。


ガスガスと扉を叩いて、中の人を呼ぼうとするハルヒを止め、さっさと俺は扉を開けた。見るからに怪しい洋館が、俺たちを招き入れるようにぽっかりと口を開く。
「いいの?キョンくん、勝手に入って……」
その美貌を、わずかに曇らせた朝倉涼子が、心配そうに聞く。
大丈夫だ。緊急事態なんだから、この館の持ち主も大目に見てくれる。
「いいか、これから館をうろついて、使えるもんは何でも使わせてもらおう。緊急事態だ、仕方ないさ。何がでるかわからんから、なるべくみんな一緒に行動しよう」
俺の言葉に、一同が頷く。だが、不安な表情を見せているのは、朝倉とハルヒだけ。古泉は、既にこれが一年前にも起きたことだと了解したようだ。長門は、ごくごくとマムシドリンクを飲んでいる。
もう一度言おう。
長門は、ごくごくとマムシドリンクを飲んでいる。
……長門のリュックに大量に入っているそれを、行きの電車で見せられたときには、さすがに俺も、何か見てはいけないものを見てしまったようで、唖然とした。
「構成情報をドリンク剤の形式でストック。情報統合思念体と通信が切断されても、定期的にこれを補給すれば、動作不良におちいることはない」
なんとまあ……形式がマムシドリンクなのは、なにか意味があるのか?
「……精力がつく」
いや、でも――はっ、まさか!
俺が何かに気が付いたのを見て、長門有希はすっかり顔が赤くなった。
「一年前は、動作不良による発熱で、行為まで至らなかった……今度は、堪能したい」
堪能て、お前。
「これ以上言わせないで……えっち」
……とまあ、以上のような、興奮気味の長門との会話があったわけで、現に今、長門は精力全開となって、目をぎらぎらと輝かせている。
やれやれ、今回は、体調不良の心配はなさそうだな。これで一つ、不安材料がなくなった。


一階と二階の探検の結果、通信設備も、人の姿も、影も形も見当たらないことを確認した。まあ、分かっていたことだがな。
最初は、不安そうな表情を見せていたハルヒも、次第に状況を楽しみだしたようだ。いろいろとうろついたあげく、皆で食堂に落ち着き、ハルヒが紅茶をすすりながら、楽しげに言う。
「ねえ、まるでマリー・セレスト号みたいよね」
「そうだな」
冷蔵庫には、一冬ここで暮らせそうなぐらい――は大げさだが、食材がふんだんにある。ちょっとばかし俺たちが拝借しても、正体不明の館の持ち主は、さほど怒らないだろうさ。
……というか、俺たちのために用意されたものだしな。
「お腹すいたわ、なんか作ってくるわね……涼子、行きましょ!」
ハルヒは笑顔で立ち上がると、朝倉の手をとった。
「いいのかな……」
心配そうな瞳を、朝倉涼子が俺に向ける。俺はインチキ臭さ100パーセントの作り笑顔を向け、朝倉を安心させるように頷いた。
結果としては、余計に困惑した顔をされただけだったが。
ハルヒと朝倉が厨房に消えると、古泉が早速といった様子で切り出してきた。
「……この空間は、長門さんとあなたが相談して用意されたものでしょうか?あなた方の落ち着いた態度といい、妙に館に詳しい様子といい、そのように考えると、非常に納得できるのですが……」
俺は紅茶を啜った。
「違う。基本的には俺も長門もノー・タッチだ。一年前と同じ状況だから落ち着いていられるのさ。脱出の方法も、長門が用意してくれるしな」
長門が、またマムシドリンクを飲みながら頷く。
「任せて」
ふむ、と頷いた古泉は、芝居がかった仕草で、指を一本立てた。
「では、もう一つ質問です……いくら脱出の方法が分かっているとしても、あなたの性格を考えれば、わざわざ吹雪の中を通ってまで、この館に来るようなことはしないはずです。誰よりも、SOS団員たちのことを気遣っているあなたのことですから……。
この館にやってきた目的はなんですか?」
古泉は俺をじっと見つめた。いつもと違って真剣な顔になっている。
やれやれ。
俺は溜息をついた。
「……いつかは言わなきゃならんだろうしな。ただ、ここで聞いたことは、秘密にしてくれるか?」
古泉がきっぱりと頷くのを確認して、俺は事情を話し始めた……。


「……というわけだ。すまん、俺の我がままにつき合わせちまった、ってことになるな」
古泉は、ふう、と息をついた。
「なるほど……分かりました」
そう言うと、古泉はニコリと笑った。
「そういうことなら、文句は言えませんね……あなたのそういう真摯な姿勢には、心底賞賛をおくりますよ」
心にもないことを言わないでいい。駄目な団長だってことは自覚しているつもりだよ。
「あなたの、たった一度の我がままですよ……誰だって許してくれます。そうそう……せいぜい、僕も楽しませてもらいますね。長門さん、それ、僕にも一本下さいますか?」
まてまて……それはまずいぞ、変なことを考えるんじゃない、古泉!長門も、マムシドリンクをそいつに渡すな!!
「お待たせー!!」
ちょうどその時、ハルヒと朝倉が、サンドイッチを山積みした大皿を抱えて入ってきた。


ハルヒと朝倉の特製であり、相変わらず極上の美味さのサンドイッチを頬張る。うん、美味い。すごい美味い。実に美味い。
長門有希は、一年前の小食が嘘だったかのように、がつがつと料理を平らげている。マムシドリンクの飲みすぎで、目がぎらぎらしていて、正直、怖い。
「長門さん、大丈夫かしら……なんか、目つきが怖い。それに、なんであんなにたくさんマムシドリンクを飲んでるの?」
朝倉涼子が、俺にこそこそと囁いた。
「安心しろ……ちょっとばかし、期待するところがあるんだろう。ひょっとしたら、今夜、お前の部屋に長門が忍び込むかも知れない」
「え、ええ?ちょ、ちょっと、キョンくん!あ、あたしは……」
朝倉がゆでたタコよりも真っ赤になって、長門の方を、ちらりと見る。
ちょうど、長門は、もう一本、マムシドリンクを一気飲みしているところだった。


「じゃ、キョン、入りましょ!」
……ハルヒの一喝で、風呂の順番は、一番手古泉、二番に長門と朝倉、三番目に俺とハルヒが入ることに相成った。
さぞかし朝倉は怯えていたのだろう。長門がマムシドリンクを飲み干すたびに、ビクッと震えて、顔を赤くしていた。何事もなく風呂から上がってきたときには、実にほっとした表情を見せていたな。
横では、ハルヒが鼻歌交じりに服を脱いでいる。ああ、それ、文化祭でやった曲だな。
「そ、あの兄弟、喧嘩ばっかで解散しないかしら?」
ハルヒはするすると服を脱いで、素っ裸になった。そのまま、俺のズボンに手を伸ばす。自分で脱ぐって。
「ほらほら、ちゃっちゃと脱ぐ脱ぐ!先に入っちゃうわよ?」
やれやれ。分かった分かった。


たっぷりと泡立てた石鹸を塗りたくり、ハルヒの白い背中を流していると、ハルヒが訊いてきた。
「キョン、涼子となんかあったの?」
「……どうして、そう思う?」
特に意識したわけではないが、朝倉が退院してから、俺はさほど朝倉涼子と話をしているとも思えんのだが。
俺が訊き返すと、ハルヒは、少しまじめな声になった。
「涼子ね……あの娘、いつもあんたのことを見てるの。でも、なんだか、キョンの向こうに居るもう一人のキョンを見てるように見えるときがあるのよ」
微妙に違うな。朝倉が見ているのは、きっと俺の向こうにいる、もう一人の自分で、今、ハルヒがいる位置にいる朝倉の姿だ――とは、ハルヒには言わなかった。
ざっとお湯をかけてハルヒの背中の泡を流し、黙ってハルヒの言葉を聞く。
「でね、最近――涼子が入院してから、キョンが涼子を見るとき、そんな目をしているときがあるの。なんだか、死んだ恋人の、双子の妹を見ているみたいな……」
攻守交替、ハルヒが俺の背中に石鹸をつける。こら、ハルヒ、胸でやるなよ。乳首があたっているぞ。
「なによ、これ、好きでしょ?」
まあ、確かに気持ちいい。
「……朝倉とは、何もないさ」
少なくとも、この世界の朝倉涼子とは。
と、ハルヒが手と胸の動きを止めた。
「あのね……キョン」
なんだ、ハルヒ?
「ホントは、キョンのそういう視線、あたしにだけ向けていると思っていたんだ……あたしだけが特別なんだって、そう思ってた……」
俺が、ハルヒをそんな目で見ていた?
……そうかも知れない。
ポニーテールのこいつの向こうには、いつだってカチューシャをつけたハルヒがいたかもしれない。
だけど――
俺は、俯いたハルヒの方に向き直った。
「ハルヒ、お前、もっとわがままを言っていいんだぜ?お前のわがままだったら、どんなことだって、全部、俺は付き合うから」
……お前は、俺にとって特別だからな。どっちの世界のハルヒだろうとそれは変わらない。
そう言うと、クス、とハルヒは笑った。
「キョン、ありがと。そうね……いまここで、ぎゅって抱きしめて、たっぷりキスして」
俺は裸のままで、しっかりとハルヒを抱きしめた。ハルヒの大きな胸が、俺の胸板に押し付けられる。
ハルヒが俺の唇を吸った。
「……ちゅぷ……んく……ちゅる……はぁ……」
「おい、ハルヒ、こんだけでいいのか?お前のわがままって……」
「何いってんの、キョン」
ハルヒが、真性のアホを見つけたような、心底呆れたような笑顔になる。
「大好きな人と抱き合ってキスできるんだもの……これ以上わがまま言ったら罰が当たるわよ?」
ハルヒ……なんというか……お前のことが大好きだ、ほんとに。
「さ、続きやりましょ。たっぷりと可愛がってあげるから!」
ハルヒが、背伸びした俺の息子に、でこピンをかました。俺は思わず、そこを押さえてうずくまる。
結局、続きはやるのか。


「おやおや、ずいぶん早かったですね……まだ十分も経っていませんよ」
そうか?俺とハルヒとしては、たっぷりと楽しんで、のぼせる寸前だったが。やはり時間の流れがおかしいな。
「そうですか、僕はてっきりあなたが早いのかと……いえ、風呂に入るスピードが、ですよ」
いいから一回殴らせろ。
「……やれやれ、俺は寝るぞ。皆、おやすみな」
俺は自分の部屋のドアを閉めた。


それぞれが決めていた部屋に引っ込んでから、俺はしばらくウトウトしていたのだろうか。
ハルヒの夢を見た。
黄色いリボンつきのカチューシャをしているところを見ると、こいつは一年前のハルヒだな。
そのハルヒが、まるで子供のように泣きじゃくっていた。
ハルヒがこんな風に泣いているところなんか、ほとんど見たことがない。
俺は、ハルヒの頭を撫でてやろうとして、手を伸ばした。
あれ?
体が動かない。
いつの間にか、立ってハルヒを見下ろしていたはずの俺が、横たわってハルヒを見上げていた。ハルヒは、俺のそばに座りこんで泣いている。
「……まだ、好きって言えてなかったのに……なんでこんな……」
涙を流し続けるハルヒが、しゃっくりあげながら呟く。
ハルヒ?
ハルヒ、ひょっとして俺は――


そこで、目が覚めた。
薄っすらと頬に水が流れた跡がついている。俺は寝ながら泣いてたのだろうか?
「……嫌な夢でも見たの?」
「――ああ」
ベッドの横に、朝倉涼子が腰掛けていた。


「私がニセモノだってことは分かっているんでしょ?キョンくんがここに来たのは、二回目だもの」
「分かっているさ……それでも、お前にもう一度だけ会いたかった。そのせいで、俺の我がままに皆をつき合わせた」
朝倉は、いつかのパジャマ姿だった。そういえば、俺のパジャマまで用意されていたっけ。
朝倉涼子が、ポニーテールを揺らして、首を傾げる。
「あなたは、こちらの世界を選んだはずでしょ?」
そうだ。
「……それとも、後悔しているの?」
違う。結果があらかじめ分かっていたとしても、俺はやはりEnterキーを押しただろう。後悔しているから苦しいんじゃない。
「ひとつ、訊いていいか?」
「なに?」
朝倉涼子の、冷たいガラスのように透き通った目を、俺はじっと見つめた。朝倉は、陰のない伸びやかな表情をして、微かに笑っている。
「なぜ、俺の記憶を残した?」
「…………」
「夏合宿の時に撮った写真もそうだ。あのときのお前なら、簡単に作り変えることができたはずだ。なぜだ?そして……そのことを、後悔したりはしていないのか?」
にっこりと、朝倉涼子は笑った。陰のない、それでいて悲しさを湛えたような、美しい微笑み。
「後悔なんてしてないわ、自分が選んだことだもの。そして――」
朝倉は、ふと言葉を切って、何かを探すようにじっと俺を見つめた。
「キョンくんが選んだことだもの。キョンくんのお嫁さんになれないのは――少し残念だけど、ね」
朝倉は、子供のように無邪気に、いたずらっぽくクスクスと笑う。
「ね、よく考えたら、出会って一年経ってないのに、婚約ってやりすぎよね?」
確かにな。俺も思わずふきだした。
「……お弁当、美味しかった?」
ああ、すげえ美味かった。正直、毎日食べたいと思ったぐらいだ。
「あら、毎日作っていたわよ?」
あ、そうなのか。
「そうだ、初めてのデート、覚えてる?一緒に遊園地にいって、キョンくんの妹さんもついて来て……写真を撮って貰ったんだけれど、それ、軽くピンボケしててね」
でも、その写真、本当に大切にしてるよ、と朝倉は笑いながら付け加える。
――そんな風に、しばらく俺と朝倉は、俺の記憶にない一年間について話し込んだ。
少しでも、記憶を分かち合えるように。
消えてしまった思い出を、少しでも取り戻そうとするように。
消えてしまう思い出を、少しでも留めようとするように。


「さてと――」
やがて、朝倉涼子は立ち上がった。
「行くのか?」
うん、と朝倉は頷く。頭の動きに合わせて、ポニーテールが揺れた。
「お別れだね……多分、もう会えないけど、キョンくんのこと、大好きだよ……これまでも、これからも、ずっと」
「俺も……お前のことを――」
俺は、一つ息を吸い込んだ。
「――とても大切に思っている」
「うん……それで、十分。ありがとう、キョンくん」
朝倉が微笑んだ。
ぽた、と滴がベッドに落ちる。
「うっ……」
次から次へと、とめどなく涙が零れてきた。絶対に泣かないと決めていたのに。
朝倉涼子には笑顔をみせると決めていたのに。
泣きじゃくる俺を、少し困ったように見ていた朝倉涼子は、すっと俺の肩に手をやると、頬を流れる涙を、そっと唇で受け止めた。
しばらくして、朝倉が唇をはなしてからも、俺の頬には、しびれるようなキスの感触が残る。
「ありがとう、会いに来てくれて」
朝倉涼子は、ドアを開けた。ポニーテールが、するりとドアから出て行く。
俺はごしごしと涙を拭った。
……さよなら、朝倉涼子。
俺は、ゆっくりと立ち上がると、ドアを開けた。
バン、と一斉に五つのドアが開く音。
きょとんとしたSOS団のメンバーたちが、そこにいた。


この後の事は、詳しく説明するまでもないな。
俺は、玄関にいく途中、ふと思いついて厨房に行き、冷蔵庫に自分が、「あるもの」を入れていたと、強く念じてみた。
冷蔵庫のドアを開け、予想通りに、そこにあったものをポケットにねじ込む。やれやれ、よく冷えてる。
そして、さっさとドアのところに行き、例の長門が作ってくれた脱出路――へんてこな方程式に、ブロックをはめ込んだ。X=5、Y=5、Z=……なんだっけ、ああ、1だ。
カチリ、と鍵が外れる音がする。
息を詰めて、ノブを握った。力を入れる。
緩やかに扉が動き出した。

………………

結局、俺たちがスキー板を担いで歩いてくる一部始終を見ていた、鶴屋さんの発言が決め手となり、古泉が力説したように、吹雪も洋館もすべて、集団催眠だったということに落ちついて、ハルヒもどうにかこうにか納得した。
「キョンくーん、写真撮るー!!」
妹がカメラを片手に飛び出してきた。やめとけ、どうせピンボケにするんだから。森さんに頼みなさい。
妹がふくれっ面をする。
「しないもん!あたし、練習して上手くなったもん!!」
そうか?悪い、じゃあ、これは上達する前だったか。
俺は、ポケットにある写真の感触を確かめる。後で、一人の時にじっくりと見ることにしよう。
俺と、あっちの世界の朝倉涼子を写した、唯一の写真だ。
――と、長門が、おもむろに背負っていたリュックの口を開けて、さかさまにした。
中身がドサドサと雪の上に落ちてくる。中から出てきたのは、栄養ドリンクの空瓶――ではなかった。
「ゆ、有希、これ、宝石!?うわっ、すっごい量!!あの館から持ってきたの!?あれ、でも、あれは夢のはずじゃ……」
唖然とする。……なるほど、俺が写真を手に入れたのと同じ方法か。
「長門……それって窃盗じゃないのか」
「違う」
長門は、ゆっくりと首を振った。
「これは、ただのお年玉……山分けを希望する」
思わずふきだした。山分けって、どっかの海賊か、お前は。
「分かった」
SOS団団長であるこの俺は、すっかり呆気にとられている団員たちにはっきりと宣言した。
「少し早いが、お年玉だ!皆、好きなのを頂くとしようか!!」


おしまい
123名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 09:55:54 ID:ZoaSgjpv
以上っす。
ではまた。
124名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 09:56:52 ID:N0DQRKZT
ループ・タイムktkr!
GJ!
125名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 10:23:10 ID:GOMFU6bO
マムシドリンクGJ!!
126名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 10:27:43 ID:S18eb0p9
もう完結した物だとばかり思っていましたが、番外編があったとは!
乙かれれ様でした。
127名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 11:31:13 ID:GM64tEUq
古泉の寝言ワロスwwwwwwwww
128名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 12:08:56 ID:fZ8C/Q3t
朝倉せつねーー。
そして俗に染まりきってる長門にバカウケ。
129名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 12:19:14 ID:/p6KvMK6
みくるが思い切りハブられてて、はげしくw。
130名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 12:38:09 ID:YwYsZPKb
長門の金の亡者っぷりが凄いっていうか朝比奈さぁーん!!(涙
131名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 12:42:42 ID:mO6otTzA
久しぶりに来たら携帯使い易くなってる。


ループタイムGJ
132名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 12:51:17 ID:w14pKPOH
もー長門とかハルヒとか鶴屋さんとか森さんとか古泉とか需要ねーよ。飽きたよ。
朝比奈さんだよ!時代が必要としてるのは朝比奈さんなんだよ!!
133名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 13:01:09 ID:N0DQRKZT
あるあr……ねーよwwwww
134名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 13:05:42 ID:XUmuiDi1
>>132
違うよ!時代が必要としてるのは朝倉なんだよ!
135名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 13:15:18 ID:+10ztarR
ここは基本に戻って、やっぱり長門じゃね?
136名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 13:43:19 ID:EFxxSOEh
いやいや、正統派のハルにゃんもまだまだ需要ありますよ
137名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 13:54:47 ID:7qGY6ssE
>>132
時代は・・・いま・・・1年5組の女子たちだ・・・SOS団はもはや・・・時代遅れの産物だ・・・
138名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 14:01:10 ID:DpUkFAXc
やっぱ時代は涼子たんのふとももだろ
139名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 14:18:24 ID:skHljcjc
何言ってんだ……世界が求めてるのは長門のマンションの管理人だろう?
140名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 14:28:41 ID:acZrKwT5
「ところであんたもなかなか可愛い顔しとるのー や ら な い か ?」
「ウホッ僕でよろしければ喜んで」

こうですk(ry
141名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 15:05:31 ID:JkHZ2NLr
ここであえて、岡部の時代が来ると予言
142名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 15:20:21 ID:37HaTafJ
いや、ここはTSだよと言ってみる

女キョンハァハァ
143名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 15:40:16 ID:5wEheo2K
携帯だとループタイム強制省略される…
はやく家に帰りたい。
流れに乗ってここで意表をついて、長門×キョン妹を推してみる
144名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 15:46:06 ID:acZrKwT5
これ以上は、ふん、禁則だ
145名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 15:50:30 ID:vy4w7fMT
>>143
設定で文字の表示を最小にすると何か起きるかもしれない
146名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 16:14:15 ID:8HOVJ7VA
imonaという手段もある
147名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 16:14:18 ID:+AxJDoGg
>>145
「メモリ不足です」という情報フレアだな?

なぜお前らの口から谷口の名が出ない!?
148名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 16:34:28 ID:GM64tEUq
司会「問題・・・」
(ポーン)
司会「おぉっと!早すぎだよぉ(ニヤニヤ)」
長門「カレー」
司会「・・・・・・せ・・・正解・・・(汗)」
ハルヒ「すごーい!有希!!」
キョン「長門・・・もうちょっと遅くでもいいぞ・・・」
長門「わかった」
149名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 17:45:02 ID:+AxJDoGg
>>148
長門「……カァー……レェぇー……………」
キョン「いや、そう言う意味じゃない」
150名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 17:55:30 ID:GM64tEUq
>>149
ワロスwwwwwwwwwwww
151名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 18:44:56 ID:xIMuHnm3
>>149
吹いたw
152名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 18:46:16 ID:ZokhOocs
>>64-65
遅レスだが自分は雪山症候群が気になるな・・・。
と、ループタイム番外編にGJなんて思いつつそんなことを思ってみる。
153名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 19:34:26 ID:m+V8eDKd
番外編キタコレ!
ハルヒかわいいよハルヒ
154名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:08:54 ID:9253X12f
いつの間にかループタイムの番外編が来てる。
そういや俺のSSはこれに触発されて書いたんだよなあ。

そろそろ続編書かなきゃ。
155名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:10:04 ID:AwZXdBp1
ループタイム番外編GJ
エンドレスエイトとかも頼む
156名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:19:28 ID:pRZzF+4t
ループタイム、描かれていないだけでキョンは長門ともやってるような気がしてならない
157名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:22:47 ID:b+pYSUK3
>>156
わっふるわっふる
158名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:25:41 ID:NmWgGIu5
俺も古泉の寝言にワラタwww
159名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:40:44 ID:xsKt4D6G
>>152二匹目の亀だけど、女キョンものを改めて読み直していたら中河のラブコールにはどう反応したのかだとか、
射手座の日で女キョンもトレードの対象だったのかだとか悶々と考えてしまって最終的におっきして死にたくなったよ。
160名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:43:12 ID:sEmwFLbZ
ループタイムの作者の朝倉好きは公認だな。
面白かったよ。

ところで需要」の話が出ていたが、俺としては喜緑×会長あたりを希望。
自分で書こうとして挫折したのでw
161名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:53:24 ID:iuCTkkFp
>長門は、ごくごくとマムシドリンクを飲んでいる。
>もう一度言おう。
>長門は、ごくごくとマムシドリンクを飲んでいる。

爆笑した
162名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 20:57:23 ID:OWm9oxwf
>>159

「なあ、長門」
「なに?」
「中河の件はどうなってるんだ?」
「既に対処済み。問題ない」

こうですか?わかりません><
163名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 21:06:42 ID:2KHLwoLv
あーイライラした
>>162にイライラしたなー
164名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 21:29:21 ID:+AxJDoGg
女キョン最大の謎はどうやって入学式の男女交互の席振りで
ハルヒの前に座ったかだな。
165名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 21:56:12 ID:AwZXdBp1
>>164
男女交互じゃなかったんだろ
166名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 21:58:07 ID:96IYG7ZH
>>164
出席番号順なら問題ないかと。
167名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 21:58:52 ID:IxGURWH2
>>164
入学式の時からの話だったっけ?
168名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:08:26 ID:Cm9KJQZ3
>「足を揃えて思いっきりストックをガーンてやるとビューンて行くから、
>そのままドワーって気合で行って、止まる時も気合で止まるの、オリャーっ。これで何とかなるわ」

吹いた。長嶋茂雄かよw
169名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:09:47 ID:c/bdP1H/
いや、そこは原文のままだぞ
170名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:12:31 ID:iuCTkkFp
長嶋っつうか、関西の人は擬音に頼る傾向が強いらしい
171名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:12:40 ID:Q3kQOegP
アニメ観ただけなのが丸分かりだなw
172名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:14:25 ID:pRZzF+4t
関西というか、B型の特徴として挙げられる事が多いな。
長嶋は千葉出身だし。
173名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:41:45 ID:t3wjyfDm
「思いついたわ!北高代表で高校生クイズに出場するのよ!!!」

「(まーた昨日のテレビの影響か・・・・)」
174名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:47:35 ID:xLGFJnLx
ループタイムGJ!朝倉に会うために我侭通したのかー。
やるなキョン。

>>157
続きを読むにはワッフルワッフルなのかー!?
175123:2006/09/01(金) 22:55:54 ID:ZoaSgjpv
次はエンドレス・エイトかな……
番外編とかいらない、って人は、スルーでお願いします
書いたらまた来るんで

では
176名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:58:19 ID:jyK4sNQF
>>173
結局、一緒に参加してたクイ研が優勝をこっそり持っていくわけだな。
177名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 22:59:49 ID:1/MTAdG5
>>176
それは明陵帝
178名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:07:37 ID:6zw8hpSl
3人だからな・・・
ハルヒは確実としてキョンと長門か。
みくるが出たら2chはキャプの嵐だろうなあ・・・    ハルヒでも長門でも同じかw。
179名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:10:28 ID:ZokhOocs
>>164
男が一人へって女が一人増えた分
出席番号順だったけどそこだけ女三人並びとかだった、でOKかと思っていた。
180名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:26:53 ID:EFxxSOEh
>>178
「兵庫かわえええええええええええええええええええええええええええ」
「1000000000000000000000回抜いた」

ってレスだらけの実況を想像して思わず吹いた
181名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:28:49 ID:N6/4xjiM
>>180
多分「兵庫の男氏ね」も結構数あるかとw
182名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:31:43 ID:OAOTSPFc
「ちょっとキョン、あんたもっと速く漕ぎなさいよ!」
「ちゃんとやってるだろ」
とか痴話喧嘩はじめそうだな。全国ネットで。
183名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:32:43 ID:ED5+Hju9
ハルヒは自分の組に他の女子は入れたがらないんじゃないかね。
SOS団からはハルヒ・キョン・古泉、長門・みくる・鶴屋、
谷口・国木田・キョン妹っていう分け方になるんじゃないか。
184名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:32:47 ID:xnSQjTGL
おまいら、それで1本SSできるんじゃないのか?
185名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 23:34:55 ID:z4Dy3FSt
涼宮ハルヒの日常の続きマダー?
186名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:00:48 ID:tjh1eA5k
>>183
妹がなぜいるwwwwwwww
187名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:00:59 ID:Ddj1McQ/
>>178
実況

「兵庫のショートカットの子、早押しハヤスwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「兵庫の男。むかつかね?」
「兵庫のロング。えらそうにしてね?」
188名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:12:02 ID:hDeu6YUh
856 名無しさん@ピンキー sage New! 2006/09/02(土) 00:00:00 ID:sosNarA
この早さだから言える

真ん中のリーダーの女の子と1週間付き合ってた  

861 名無しさん@ピンキー sage New! 2006/09/02(土) 00:00:23 ID:MImiMirakl
>>856
お前は俺か  俺は3日wwww

みたいな?

189名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:13:37 ID:8J4QNJg5
>>188
東中ちゃねらー多すぎwww
190名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:13:40 ID:KsyN5Hao

おまえら雑談するなら本スレ来いよ!
191名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:14:47 ID:8J4QNJg5
>>190
すまん、どうもハルヒスレ巡回してるうちにどこが何のスレかわからなくなってくるww
192名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:25:16 ID:m1PALGvH
とりあえずネタが若干思いついたのでインスパイアしてかこうと思うが、問題は適当にどっ蚊から探してくるか…
193名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:29:53 ID:pWJek0OK
始めてSSというのを書いてみた。ただケータイで突発的に打ったものだから
もしやすると大きな落とし穴があるかも・・・投下しようか迷う(
194名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:31:54 ID:V0tNOHXA
まず投下しちゃいなよ

で、投下した後でじっくり反省すればいいさ
195名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:33:28 ID:m1PALGvH
>>193
とりあえずざっと見て前後内容の差異と文法のおかしなところを探して、なければ投下でおk
それをしないと歳柄にもなく泣きたくなるときもある
196名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:35:10 ID:i7OmQjY/
とりあえず古泉が総理になってなければOK
197親友の策謀1:2006/09/02(土) 00:35:36 ID:pWJek0OK
それじゃ4レスほどお借りします。あ、特に鬱とかは無いです


いつも通り退屈な授業を寝つつ流しつつやり過ごすうちにホームルームは
 終わってしまい、あとは我らがSOS団の活動に向かうことになったわけだが、
 その日ハルヒが発した言葉は意外なものだった。
『キョン、今日はあたし用事あるから先に帰るわ。他の
 団員にもさっきの昼休みにそう言っといたから』
珍しい。未だ開発されてないという永久運動機のように毎日部活(いや団活か?)に
 精を出すハルヒが「今日は休み」なんて。
『あたしだって色々やることあるの。年中暇そうにしてる誰かさんと違ってね』
 悪かったな。
『ま、そういうわけで今日はみくるちゃんの淹れるお茶は無し。
 残念?キョン』
 当たり前だ。とは言え、この団長様の決定に逆らえたことなどほぼ記憶にない。
 ハルヒが帰ったあと、俺も帰り支度を始めた。気がつけば、周りは皆、部活なり何なりと
 それぞれの居場所に向かってしまい教室には俺と国木田と谷口(今トイレ行っている)しか
 残っていない。
 たまにはクラスの友達と帰るのも悪くないか。

198親友の策謀2:2006/09/02(土) 00:36:11 ID:pWJek0OK
『谷口また彼女と別れたらしいよ』
 国木田が鞄に教科書やらノートやらを詰めつつ切り出した。
『懲りん奴だ。大方また長続きしてないんだろうな』
 いつものことながらアホ谷口はこれで何度目か数えるのもアホらしいくらいの
 別れを味わったわけだ。
 やれやれ。
『いや……実を言うとね、谷口から堅く口止めされてるんだけど……』
 ん?どうした国木田?いやに真剣な顔して。
『あのね、谷口、涼宮さんに振られてから付き合った女の子と別れたきっかけは…
 …ほとんど谷口から別れ話を持ちかけてるんだ』
 何だそりゃ?初耳だぞそんなこと。
『それはまた谷口がカッコつけるために言ったデマなんじゃないか?』
『僕も最初はそう思ったよ。だけど、こないだの休みに駅で女の子を連れ歩いてる
 谷口を見かけたんだ。結構可愛かったよ。で、陰から見てたんだけど……でも何か雰囲気
 が暗くて、谷口が「もう終わりにしたい」って彼女に言ったんだ』
 妙だな。あの谷口がましてや可愛い女の子を自分から振るなんて
 天変地異が起きるんじゃないか?
『それで、相手の女の子は泣きながら走り去ってちゃったんだけど……
 それから、帰ろうとしてた谷口に見つかっちゃったんだ』
 不可解だ……俺は国木田に先を促した。
『で、谷口と喋りながら歩いてたんだけど、谷口がさ
 「俺、やっぱり涼宮のことが
  忘れられないんだよ。見事にフラれたっつーのに。
  だから他の女の子と付き合おうとしてもよ、
  うまくいかねぇんだこれが」
 って言うんだ』
 あの谷口が、まさかそんな悩みを抱えてたとは……
 呆然と立ち尽くす俺に、舞台に舞い戻ってきたのは正にその悩める親友だった。
199親友の策謀3:2006/09/02(土) 00:36:57 ID:pWJek0OK
その悩める親友は噛み締めるように、およそ次のようなことを言った。
 『涼宮を……大切にしてやってくれ。なぁ、キョン、頼む』
 『谷口……』
 谷口の真情のこもった願いに、俺はしばし二の句が継げなかった。ま
 さかこんな真剣な谷口を見ることがあるなんて、
 商店街の福引きで特等のハワイ旅行を当てるより珍しいかもしれない
 ……などと返答をごまかしてもいられない。
 間違いなく、今俺は岐路に立たされてる。
 
 とてつもなく重要な。
 
 『お前が涼宮にゾッコンだってのは、このクラスのみんな分かってるんだよ。もしマジで
  違うってんなら、ここでハッキリしてくれ。……じゃないと、浮かばれねーじゃねえか。
  涼宮にフラれた男の代表としてよ……。キョン、どうなんだ?』
 すると、今まで静観していた国木田までが、
 『僕が言うのもなんだけど、谷口のためにもけじめをつけて欲しい。谷口だって苦
  しんでるんだからさ』
 と詰め寄る。
 ああ、それは痛いほどわかるさ。だからこうして今までの人生で最大の告白ショーを
 やらかそうかとしてるんだ。二人の親友って観客の目の前でな。
 『俺は……最初は、ハルヒのことはハタ迷惑な電波女くらいにしか思ってなかった。
  しかもSOS団とかいうバカげた名前の組織に勝手に入団させられたりして、いい加減
  にしやがれってのが本音だった』
 けれど、
 『アイツと色んなことやってくうちに、不思議と楽しいって思うようになった。アイツ
  は俺がむかし憧れてたものを、今でも純粋に追いかけてる。そうさ、楽しいんだ。
  楽しくて仕方ないんだ。だから、俺はハルヒのことが――――――』
 
 その時、ガタン、と教室のドアの外側から物音が聞こえた。
 誰かそこにいる?……ってオイ!あの走り去る黄色いリボンの女子生徒はまさかっ……!?
 『あちゃー。今マジでいいとこだったのに……』
 オイ谷口、どういうことだ?
 納得のいく説明してもらわんと殴るぞ。……いや、とっさに教室の外に誰がいるのか
 わかるとパニクって、もうすでに掴みかかっているけどな。
 『いやーだからさ、いい加減こういうのはハッキリさせた方がいいと思ってよ。
  そしたらさ、お前のお仲間の古泉ってイケメン野郎が
  「良い手があるんですが、いかがでしょう」
  なんて言うもんだからさ。国木田にも応援頼んでこうしてキョンの告白を直接涼宮に
  聞かせてやろうってことになったわけなんだなこれが』
 じゃあ何か、あの谷口の「涼宮が忘れられなくて新しい彼女を作れない」ってのも、
 このこっ恥ずかしい告白を促すの為の方便だったのか。
 『いや、キョンそれは――――――』
 『ああそうだ。こうでも言わなきゃお前のホンネなんか到底聞けないしな。でも
  お陰でレアなもの聞かせて貰ったぜ』
 古泉め、明日どうなるか思い知らせてやる。とりあえず谷口と国木田を軽くノシて、
 俺達は家路につくことにした。
 
 明日以降ハルヒとマトモにツラ合わせられる自信はミジンコ程もないまま、な……

 『じゃ、キョン僕たちはこっちだから』
 ああ。また明日な。明日からのハルヒとの対応を苦慮しつつ谷口と国木田をあとにした。

200親友の策謀 おまけ:2006/09/02(土) 00:37:51 ID:pWJek0OK
『……谷口、これでよかったのかい?キョンを素直にさせようとして小細工したの
  は確かだけど、
  「涼宮さんが忘れられなくてあたらしい彼女を作れない」
  のは本当だったんでしょ?』
 『アイツらの為っつっても、キョンにアホな手回しやっちまっんだから大人しくパンチ
  の一発くらい受けてやろうじゃねえか。それに、アレがマジだって知られたら
  キョンと涼宮が後味悪くなっちまうしな。これでいいんだ』
 『谷口……何かいつになくカッコいい』
 『「いつになく」は余計だ。さあて、明日からもまたあのバカップルを見守ってやるか』
 『そうだね』
 『あーやっとこれで新しい彼女作れるってもんだぜ』
 『ガンバ、谷口』




 

 『……キョン、あとは頼むぜ』
 
 帰り道、風邪引いているわけでもないのに、なぜだか突然くしゃみが出た。
201名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:38:47 ID:pWJek0OK
以上です。・・・お目汚しすいませんでした
202名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:41:36 ID:YoCSgDr2
>>197

GJ!
新鮮な谷口がカッコイイ。
203名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:42:16 ID:8J4QNJg5
>>197
乙!谷口かっこよすぎるwww
204名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:44:25 ID:m1PALGvH
>>201
とてもいつもの谷口とは思えん…
さわやかな谷口に幸あれ

あと個人的な意見だけど、「」と『』は逆の方がしっくり来る感じがする。 原作もそうだったし
205名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:45:21 ID:CLSTb/oc
>>197

普通に谷口がかっこいいな
206名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:46:25 ID:vBlPWyw4
いいね GJ!
207名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:49:45 ID:hDeu6YUh
>>197
あなたにはその直後の赤面ハルヒを思う存分に書くという権利が与えられているのですよ・・・ (*´д`*)
208名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:55:16 ID:ONZVzn7k
>>197
初SS乙 谷口カッコイイなwGJ
確かに『』と「」は逆の方がいい感じするな
209名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 00:56:47 ID:pWJek0OK
>>202-207
批評ありがとうございます。いや、初めてなもんで勝手がよくわからなかった(
『』と「」のところは今後注意します。
谷口動かしたかっただけだからこの後のこと考えてなかった;
また何か書けたら投下してみます。夜遅く付き合わせてスイマセンでした。
210名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 01:00:13 ID:m1PALGvH
がんばれよぉ、お前はまだ入り口に立ったばかりだ。
自分の足で歩んでいけ。(某マンガからインス(ry
211名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 01:06:41 ID:hDeu6YUh
>>209
土曜の夜は経験上マイルドな応答が多いみたいだよ。
212名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 02:01:31 ID:zUvuH2Vr
>>209
けっこう面白かったよ
夜遅くつきあってんのは俺らが勝手にやってることだし気にすんな
213名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 03:11:43 ID:DCC1zq8F
タイトル見てNTRかと思ったW
GJ!
214名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 09:15:28 ID:j5s9xGZA
GJだよ、負けたよ
215名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 11:39:32 ID:G05ISsir
なんか秋って感じがしていいね。
SSは冬以降なのかもしれないけど。
216名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 11:47:10 ID:pnLXTf8K
ループ・タイム、何でハルヒが初っ端からこんなに異様にデレ強化されているんだ?と不自然に思っていたが最後を読んで納得した。
上手いな。
長門はもはや何も言うまいw

>>209
GJ
谷口かっこ良過ぎだぞ
217名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:18:49 ID:G05ISsir
そんじゃ俺も投下しようかね。
218名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:19:50 ID:G05ISsir
「古泉一樹の芝居」


…。

…信じられない。

お前が…まさか…?


「そうですよ。このために僕はSOS団にいたんですから」

朝比奈さんと長門が消えてしまった。
古泉一樹の手引きによって。

…冗談だろ?

だがこいつは今まで数えるほどしか見せなかった真剣な眼差しをしている。
「約束しただろ。俺の窮地を一度救うってお前は言ったはずだ」
「前提が違ったらどうです?僕がスパイであったなら、そんなものを守る義務はないんですよ」
古泉はくっくっと笑う。今までずっと騙してたのか…!?
「騙してたですって?任務に忠実に行動していたまでですよ。この日の為にね」
俺と古泉は視線を外さず睨み合っている。
なぜこうなったのか…。
フラッシュバックのように記憶が蘇る。


春休みだった。
SOS団はここしばらく活動をしていない。
それはハルヒが終業式にやったパーティーと、
その後制服のまま行った市内探索に満足しているからであり、
このままいけば平穏無事に新学期がやって来る。
…はずだった。

ある夜、一本の電話から事件は始まる。
携帯には長門有希と表示があり、ためらいなく俺は電話に出る。
「朝比奈みくるが誘拐された」
これが第一声だった…。
ちょっと待て。
言っていい冗談と悪い冗談があるぜ。
この前の幽霊騒動での禁則事項のくだりはなかなか傑作だったが、これは不謹慎だ。
「冗談ではない。現在ある場所に閉じ込められている」
電話越しの空気はたわいない世間話をするムードではない。
「分かった。まずお前のマンションに行く。話はそれからだ」

過去最短記録で長門のマンションまで着いた。
もう四月間際とはいえ、夜はまだ寒い。
だが事態はそんなことを気にしている余裕を与えてくれない。

長門はマンションの下で待っていた。
場所を移すのももどかしく、俺は即座に質問を開始する。
「どうやって誘拐を知ったんだ?」
「電話があった。二十三分前」
「相手は誰だ?」
「わからない。しかし我々に敵対する勢力のいずれかによるものと思われる」
「古泉には連絡したか?」
と言うのと同時。
黒塗りタクシーが後ろに止まり、古泉が現れた。
「朝比奈さんが誘拐されたと長門さんに聞きました」
いつもの微笑はなく、強張った不慣れな表情をしていた。
219名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:21:51 ID:G05ISsir
長門は淡々と言葉を続ける。
「相手は要求をしてきた。わたしたち三人だけで朝比奈みくるを迎えに来いと」
「時間はいつだ?」
「可能な限り早く。さもなくば彼女の安全は保証しない。そこで電話は切れた」
またなのか。またあいつらか?一度失敗したくせに懲りないやつらだ。
俺は腹が立ってきた。こんどこそぶん殴ってやる。
「こういう時こそ冷静になるべきです」
古泉は俺を諭すように言った。んなことは分かってる。
「…どうしますか?すぐに向かうのならば車を出しますが」
いや。待て。まだ疑問がある。
「長門、朝比奈さんは電話に出たか?」
「出ていない」
「家にいるってことはないのか?寝ているとかさ」
「わからない」
「まず朝比奈さんの家へ行ってみることが先決ですね」
「そのようだな」
即座に俺たちは車に乗り込んだ。

…結論から言えばいなかった。
まず電気が消えていて、鍵がかかっていた。
俺は一年も経って初めて朝比奈さんの家に来たが、感慨に浸る余裕などない。
なぜなら長門が鍵を開けても中には誰もいなかったからだ。
あのカマドウマ事件を思い出す。
今回は異空間に閉じ込められているわけではないようだが…。
「どうしますか。機関の者を僕たちの周囲に護衛としてつけることは可能ですが」
「そうだな…。長門はどう思う?」
「感付かれた場合、朝比奈みくるの危険度は増加する。三人で行った方がいい」
どちらにしろ随分危険に思える。相手がどんな手を使ってくるか分からない。
「地球人レベルの攻撃はわたし一人で全て防げる。大丈夫」

ここは車の中。夜の高速を快速で走る。
ドライバーは新川さんではなかった。古泉に訊くと、
「今日は別の用事があるんですよ。
 機関の人員は、一人が複数の任務を抱えているケースが普通です。
 僕についても『神人』退治要員とSOS団副団長という二つの役職がありますからね」
如才ないいつものスマイルに戻っていたが、俺にはそんな余裕がない。
ひたすら朝比奈さんが心配だった。
今回は誘拐された状況がわからない。相手もはっきりしない。
少しでも手を出したら許さないぜ。ハルヒを焚きつけてでも懲らしめてやるからな。
「落ち着いてください。気持ちは分かりますが」
お前は前回も冷静だったな。
「あれでも焦っていましたよ。もちろん今回も。
 ですが取るべき行動を誤るようなことがあってはなりません。
 今は朝比奈さんを安全に救助することが最優先です」
長門は窓の外に視線を向けていた。何を考えているんだろう。
車は料金所を下りる。いつぞや古泉と神人見物に行った場所よりもう少し遠い。
たどり着いたのは巨大な地下駐車場だった。いかにもなセレクトだな…。

車は二度ほど右折して停車。
遥か遠くに向き合う形で停車しているのは、同じような黒塗りの車。
俺たち三人は下車する。車内で打ち合わせた通りに。
向こうの車からは男が一人出てきた。朝比奈さんの姿は見えない。
俺たちは並んで歩き、男から十分に距離を取って立ち止まる。ここからなら会話は届くだろう。
「朝比奈さんはどこだ」
自分でも驚くほどのシリアスな声だった。
「車内だ。眠っている」
音域で言えばバス。細身の割にやたら渋い声だ。年は四十代、五十代…。
これまでに見たことがない顔だ。
220名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:22:52 ID:G05ISsir
「どこの連中の仲間だ?宇宙人か、未来人か、どこかの機関か?」
男は何も言わずに俺たちを睥睨した。侮蔑するような眼差し。
それを見ているだけで腹が立ってくるような。また身体が火照るのを感じる。
「約束どおり、僕たち三人だけです。朝比奈さんを返してください」
古泉が言った。合流した時と同じ、笑みを拭い去った顔。
男はしばらく黙っていたが、やがてこう言った。
「条件を提示する。君たちのうち一人が残り、あとの二人は車まで戻れ。
 残るのは誰でもいい。その上で人質を解放する」
胡散臭い。
まだ朝比奈さんの無事を確認できていないし、
そんな条件をやすやすと飲んで無事でいられるとは思えない。
そもそもこの男の目的は何だ?
「わたしが残る」
長門がこちらを見ずに、はっきりとそう言った。
「それが一番安全」
「だが長門…朝比奈さんが無事かまだ分からないんだぞ」
「彼女は車内にいる。反応も正常。眠らされているだけ」
そうなのか。…本当に平気なのか?
「信じて」
俺は古泉の方を向いた。アイコンタクトをしつつ古泉は頷きを返す。

俺と古泉は車までゆっくりと戻った。
ここからでは男の声は聴こえない。
長門が歩き出す。男の前まで。
何か会話したらしい。一回、二回長門が頷いたように見える。
長門はそのまま車まで歩いていき、後部座席のドアを開ける。
その直後―。

男が長門の方を振り向き、数瞬の後。
長門が忽然と消えた。

何かに隠れたとか、徐々に色あせたとか、そういうことではない。
まさにその場から一瞬にして消えた。

―直後に俺は古泉に肩を抑えられていた。
「慌てては相手の思う壺です」
無意識で俺は駆け出そうとしていた。喉の奥が熱い。
「僕も行きます。今があの約束を果たす時かもしれません」
俺たちは急いで男のところへ戻る。
男は喜色を隠しもせずにこちらを眺めていた。
「ふっふっふっはっはっはっはっはっは!
 これで目的は達成だ!ご苦労だったな小僧!!」
RPGのボスキャラのようなセリフを言ってもちっとも浮かない状況だった。
「これで邪魔者はもう現れない」
これが狙いか…?どうやって長門を消した?
「お前もご苦労だったな。長かっただろう…古泉」
何だ?
咄嗟に状況がわからない。どういう意味だ?
「ふふ、そうですね。実に長かったですよ。…全てはこの日の為でした」
古泉が笑っている。
俺は驚愕と同時に頭が白んでくる。
221名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:24:06 ID:G05ISsir
おかしいだろ。
笑えるって意味でじゃなく、異常って意味でだ。
笑う状況じゃないはずだ、長門が消えたんだぞ。
「長門と朝比奈さんはどこだ」
「二人一緒に消してやった。元の場所へな」
「これで平和になったというものです」
「古泉、あとの始末はお前の仕事だ。しっかりやれ」
そう言うなり男は車に乗り込んですぐさま立ち去ろうとする。
「待て!」
「待つのはあなたですよ」
手首をつかまれた。思いのほか強い力で。
「古泉、てめぇ…敵だったのか」
「敵、ですか?それはまたいかようにでも取れる言葉ですね。
 僕はあなたを敵だとは思っていません。
 何せあなたは一般人ですからね。
 思いのほか知りすぎてしまったことを除けば…ですが」
「減らず口がきけなくなる前に説明しろ。お前はスパイだったのか?」
古泉は笑っている。
悪乗りをしだした時の表情をずっと延長させたような、悪意すら感じる笑み。
「そうですよ、このために僕はSOS団にいたんですから」

ここで現在に記憶が追いつく。

任務だと?この一年すべてがか?
「えぇ。大変でしたよ。何から何まで。
 宇宙人と未来人の両者を出し抜かなければなりませんからね」
一体何をしたんだ。
「両者がこの時代に干渉できないようにしたんですよ。
 朝比奈みくるは未来に返しました。
 成長した彼女であれ、今から前後数年にはもう来ることができないはずです。
 既定事項の言葉だけで未来を確定されるのは…看過できない問題ですからね」
…許せん。拳が震えてきた。
「長門有希も同様です。思念体のTFEIはもういないはずですよ。
 彼女の勢力は変化を望んでいましたし、いつ何をするか分かりませんから」
「どうやって二人を消したんだ」
「敵対勢力、とあなたは言いましたか。
 そんなに単純な構図ではないのですよ。
 この一年、我々は交渉チャンネルを探りつつ、準備を進めてきました。
 そして別口の未来人や他の広域宇宙体による端末と接触を図ったんです」
前回の誘拐未遂グループの顔が脳裏をよぎる。
「違いますよ。彼らとはまた別です。
 彼らは我々にとっては好戦的すぎますからね。
 …まぁともかく、新たな未来人と宇宙人と手を組んだんですよ」
「ハルヒの力は弱まっていたんだろう。
 ならこんな強攻策を取る必要はないんじゃないのか」
「だからこその安全策ですよ。
 あなたに分かってもらえるとは思っていませんから、事前に説明もしませんでした。
 阻止するでしょうからね、あなたは」
かつてないほど俺は怒っていたが、同時に途方もなく動揺していた。
222名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:25:08 ID:G05ISsir
古泉。お前は今SOS団が一番大切とか言ってなかったか。
俺とハルヒだけじゃなく、全員の間に信頼関係ができているとか言ってなかったか。 
…あれも全部嘘なのか?
大した演技力だな。学園祭のヘタな演技も演技なのか。
「その通りですよ。あの日。
 閉鎖空間からあなたと涼宮さんが帰ってきてから。
 我々は今まで以上に深刻に事態を受け止めました。
 不確定要素があまりに多かったのはその後起きた出来事の多さからもお分かりでしょう?
 結果的に涼宮さんの退屈しのぎにはなりました。
 ですが、そのどこで彼女に真実が知れても不思議はありませんでした。
 僕が特に危惧したのは映画撮影と雪山ですね。
 あの時は本当に肝を冷やしましたよ。
 未来人や宇宙人が近くにいると、そういうことが起こりやすくなるんです」
超能力者は許されるのかよ。
「僕たちは状況を限定された能力者ですから。
 あの一件を除いて、涼宮さんが閉鎖空間に来たことはありませんしね」
ハルヒが長門と朝比奈さんの消失を知ったら、それこそまた世界を作り変えるんじゃないのか。
「かまいませんよ。
 その時現れるのは長門さんであって長門さんでない、
 朝比奈さんであって朝比奈さんでない人物でしょうから」
意味が分からない。
「つまり一般人の長門有希と朝比奈みくるが現れるというわけです。
 涼宮さんは表面的に我々を一般人として認識していますからね。
 彼女が二人の帰還を望めば、見たまま普通人として二人はSOS団に復帰するでしょう」
お前はそれでいいのか。
「貴重な体験をしている、といつか僕は言いましたね。
 ですがこんなのは命がいくつあっても足りませんよ。僕が仕組む舞台だけで騒動は十分です」
しばしの沈黙。俺は言葉が見つからなかった…。
「殴るなら好きなだけどうぞ。それで気が済むのなら。
 お望みなら僕はSOS団を退いて、また転校しますよ。
 それで世界の平穏が保たれるのなら、安いものです」
「古泉…」
「何でしょう?」
「お前本当にそれで満足なのか?」
「えぇ、今ほど幸福な瞬間もありませんね。僕はこの能力をずっと恐れていました。
 なにせいつ来るか分かりませんからね。
 特に初めのころはトラウマものですよ。今でも夢に見ます」
「お前は思わなかったか?」
「何をですか?」
「平凡すぎる日常がつまらないとか、ちょっとは変なことが起こってほしいとか」
「思いませんね。思ったとしても、もう十分ですよ。
 超常現象が普通になってしまったら、もうそれは超常でもなんでもありません。」
「たまにはそういうのがあったほうが面白いだろ」
「あなたもおかしなことを言いますね。
 これで終わったんですよ?もっと喜んだらどうですか」
「お前の本心が分からなくなった。
 いや、もともと分かってなかったのか…」
「僕はいつだって正気ですよ。
 今だって笑いが止まりませんから…ふふふ」
「何がおかしいんだ。おかしいのはお前の頭だろ」
「ふふふふふ、あっはっは、もう駄目です」
こいつの笑いの質が変化した。どうしたのだろう。
「僕の負けです。あぁ、もう少しなんですけどね…惜しいなぁ」
「何のことだ?」
「出てきていいですよ、長門さん、朝比奈さん」
二人が古泉の後ろに停車している車の陰から出てきた。
俺、絶句。
223名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:26:09 ID:G05ISsir
「ごめんなさい、キョンくん!」
朝比奈さんが1000回近く頭を下げている気がする。
「絶対にしないだろうと思われるようなことをしてみた、ということですね」
古泉が助手席から笑いかける。気持ち悪いくらい柔和な笑みだ。
「賭けをしていたんですよ。僕があなたを騙し通せるかどうか。
 長門さんと朝比奈さんは僕が途中で折れるほうに賭けましてね。
 見事に負けてしまいました。本当にゲームに弱いのはどうしようもありません」
壮大な芝居。建前は来年のハルヒ映画続編に向けた演技力の強化。
…って、朝比奈さんは何も演技してねぇじゃねぇか!
「どうしても誘拐される役が必要だったんですよ。
 リアリティーを考えると朝比奈さんが適任なんです」
長門が消えたのは…
「自分で空間転移を行った」
宇宙的パワーは封印の方向でまとまったんじゃなかったのか。
「…おもしろいから」
本日数度目の驚愕。
長門が面白いと思うものが本以外にあったなんてのを初めて明言されたぜ。
「愉快な夜でしたね。最近涼宮さんが些細なことで満足してしまうので、
 僕達の方が少しばかり退屈だったんですよ。
 涼宮さんにあまり娯楽を提供しすぎるのもどうかと思いますし、
 今回は少し趣向を変えてやってみました」
あの声の渋い男が特殊メイクした新川さん、車の運転手はなんと男装した森さんだった。
やれやれ。やれやれ。
二回言ってもまだ足りないくらいだ。
避難訓練にリアリティがありすぎると、逆に本番で気が抜けちまうぜ。
第一俺はいつお前の暇つぶし相手になったんだ?
「おや、いつも部室でゲームしていたのは…暇だったからではないのですか?」
二の句が次げねぇ。
「今回のは反則だ。メインの騒動を題材にするなよ。
 それに…あんまり巧妙だといつか見抜けなくなる」
「いや、あなたの本音がいくつか聞けて、大満足ですよ」
これは何かで仕返ししてやる余地ありだな。この野郎。
「おこった?」
長門が訊いてくる。確かに途中は本気で腹を立てたさ。
だが今となっては…安堵している。
あんなのが現実になれば俺は自分の足で立っていられなくなるだろう。

森さんの運転する車は俺たちの街へ夜の闇を駆ける。
古泉の芝居での台詞にひとつでも真実があったのか考えつつ、
エイプリルフールにだけは絶対騙されまいと決意を固くする俺であった。

(おわり)
224名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:35:59 ID:l2Oo025k
>>223
いや、おもしろいよ。おもしろいんだけど……
個人的にはこのときのキョンと同じ感想を抱いた
『こういう騙され方は勘弁してもらいたい』ってな
まあ、読んだ人間がキョンの感情と同調するようなSSってことは、
おもしろいってことのなによりの証拠だろうし、純粋に、してやられたって感じかな
225名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:39:06 ID:G05ISsir
>>224
落としどころを思いつかなかったんだよなぁ。
夢オチじゃあんまりだし、とはいえ古泉黒説を一回やってみたかったというか…。
ハルヒのSSいくつか書いたからありきたりなのにちょっと飽きたというか。
冷静に考えるとありえないオチなんだけどなこれもw
226名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:41:17 ID:RGy2XyPY
> 「ごめんなさい、キョンくん!」
> 朝比奈さんが1000回近く頭を下げている気がする。

FMPのTSRのOVAの冒頭のテッサの「ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!」
を思い出した
227名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:42:57 ID:j5s9xGZA
笑えない
228名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:44:01 ID:e/79w06K
>>223
スリルがあってハラハラしてとても面白かったです。(オチの前までは)

あと、個人的には段落と改行が妙でチョット読みにくかったかな。
229名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:45:24 ID:K876NUMQ
笑えるかーっ!!(怒)
230名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 12:51:05 ID:YoCSgDr2
>>223
オチの前にもうワンクッション欲しいというのが正直なところですが、かなりドキドキして読めました。お疲れさまです。
231名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 13:36:16 ID:w8gPhblG
なんだエロじゃないのか
読んで損した
232名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 13:40:05 ID:Dn4ENDn7
翌日からしばらく、異様にキョンに気を遣ってお茶を淹れる朝比奈さんとか、
あれ読めこれ読めと本を薦めてくる長門とか(謝り方を思いつかないらしい、
あとはカレーを食わせるくらいしか)、集合場所の陰に隠れていて
キョンが来るなりタッチの差で遅れてくる古泉とかが思い浮かんだ。
233名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 13:43:52 ID:RGy2XyPY
>>232
さあ書くんだ
234名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 13:47:06 ID:GiVDrRLK
どうせなら徹底的にキョンをだまくらかしてその気にさせた方が格好よかったかもねと幼馴染が照れ隠しで怒るように言ってみながら
そういや自爆しちまう古泉は珍しいなぁと物思いに暮れてみる今日の昼下がり
235名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 13:49:50 ID:LevLHMc4
>>232
で、ハルヒがそんなみんなを見て、「まさかキョンが何かしたんじゃないでしょうね?」と
方向違いの疑いをかけられて災難続きのキョン……(ノД`)カワイソス
236名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:05:20 ID:RL3IWJxg
長門と朝比奈さんが本当に誘拐されて壊れて妊娠して戻ってくるのを期待したのに……
237名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:08:34 ID:G05ISsir
んなダークなw
vipとどっちに投下するか迷って、感想色々聞けるからこっちにしました。
こうしたらどうよ?的な話は楽しいね。
238名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:15:29 ID:JkrfOIk3
本気でシャレにならない冗談はやらないと思うんだよね古泉。狼少年じゃあるまいし。
じゃあ孤島の殺人事件はどうなんだと言われそうだけどアレはキョン的に『現実離れした事件』だけど
ハルヒに絡んだトンデモ騒動は『現実に起こり得る事件』だし。



キョンよぉ…いよいよもってお前は涼宮と愉快な仲間達の一員になっちまったんだなぁ…
239名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:17:47 ID:ck2nfdtO
>>236
オマエの嗜好は腐ってる。
240名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:20:52 ID:j5s9xGZA
怒ったキョンがみくるを肉奴隷にする後日談キボン
241名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:23:08 ID:/KUwf9LS
腐の集まりだぜここは。
>>237
読み応えあって良かったよGJ
次は誘拐されたみくるが監禁暴行されて最初は、「がんばれ、がんばれ」と呟いてたのが、
最後は「殺して」とお願いして、お尻に爆竹詰め込まれて爆発されたりして、
死んじゃってコンクリ詰めにされて海に沈められるの希望。
242名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:28:15 ID:2RGY6Z7F
>>223
意味が解らないし、笑えない。そもそも古泉の目的の無い冗談に何故機関が付き合うんだ?
それに長門がやられるわけ無いだろ?そこでオチがわかったさ
243名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:31:37 ID:YYek6r0T
>>223
なんかキョンの恋愛小説を読まされてる感じだったけど、>>225のレスで納得できた。
244名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:31:47 ID:lZdKmQGw
ぶっちゃけると題名の時点でネタバレだったというのもある。
途中まで「今までの古泉が」演技だったのか?と思わせようと描写してたのかも知れんけど、
この手の作品はもう少なからずあるから「これが演技」なんだろうなと。
245名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:39:15 ID:G05ISsir
>>242
確かにw
俺とにかく書いてみるタイプだから根本的な過ちとかに気付かないこと多い。
プロット立てないから途中で破綻して投げたり。
倉入り2つくらいあった気がする。

他の人がどういう風にSS作ってるのか結構知りたいんだが。
246名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 14:41:38 ID:LevLHMc4
>>245
控え室行った方がいいんじゃね?
247名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 15:20:52 ID:PlU2fytg
小ネタ

谷口 「ウチの学校の制服ってけっこう人気あるんだってな」
国木田「それが目的で入学する女子もいるらしいしね〜」
谷口 「ま、俺もその一人なんだけど」
キョン「は?」
谷口 「この高校、ブルマだろ?」

谷口……
国木田までウンウンとか言ってるし!

ま、俺も嫌いじゃないけどさ
248名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 15:22:43 ID:PlU2fytg
放課後、朝比奈さんがいれてくれたお茶をいただきながら部室でまったりしていると、
いつぞやのようにハルヒが体操着姿で現れた

聞いてたのかっ!?
249名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 15:27:21 ID:GiVDrRLK
そして次の日の早朝――。

なあハルヒ。
俺の制服のズボンがブルマに変わっていたのはどういうわけだ?
250名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 15:44:28 ID:VF3seum9
「キョンくん朝だよーー、あっもう起きてるっ。。
さぁ、さっさとブルマはいて!ごはん出来てるよっ!」
なぁ妹よ、お前はなんで違和感持ちませんか?
251名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 16:23:30 ID:FIiQ+inC
>>248
ハルヒ『べ、別にあんたのために着てるわけじゃないからね!
    ちょっと暑いからこの格好で涼んでるだけよっ!!』

こんな感じ?
252名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 16:40:14 ID:b+FrTynd
>>245
・書きたいネタを思い付く。
・そこだけ書く。
・どうしたらそうなるか考える。
・オチを考える。
・ぐだぐだ書く。
・途中まで投下する。
・違うオチを期待される。
・悩む。

常にこんな感じ。
253名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 16:43:41 ID:47egm4xo
↑ コレが悪い例
254名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:03:45 ID:gcrcD7JV
>>246
控え室って何?
255名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:04:03 ID:GiVDrRLK
現在心血注いで書いてるのがそんな感じになりそうな気配だよ(´・ω・`)
国木田主演のSSを現在書いてるんだけど、語尾が「〜だね」「だよ」「かな」「だなあ」とかがどうしても多くなる…。
大人しいキャラの彼の口調って他に何か特徴あったっけ……。てか自分の固定観念が憎いorz
256名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:07:47 ID:rtyE7MSP
>>245
全ては妄想。
257名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:14:13 ID:l2Oo025k
>>245
お蔵入りが2つなんて、まだ少ない方だって
自分、ここでSS書き始めて1ヶ月くらいだけど、ボツにしたネタなんて両の指で足りないもん
『ZOZ団の騒動』書いてる最中、「これ書き終わったら次は女キョンもの書こうかな」
なんて思ってたら、神作品投下されて、軽く死にたくなったり
こんなの、しょっちゅうだよ
ここでSS書いてる人間なら、こんな経験、日常茶飯事じゃないかな
258名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:26:51 ID:gBWfgEJC
>>254
俺は>>246じゃないけど多分コレ
SS書きの控え室 51号室
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1156178387/l50
259名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:29:54 ID:b+FrTynd
>>257
そんな女キョンは当初書こうとしてたループ物を先に神に出されて
書き出したモノだったりする訳で。
そんなモノだよ、本当。
260名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 17:44:31 ID:gcrcD7JV
>>258
そんなスレがあったのか知らなかったサンクス
261名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 19:07:09 ID:FnOPEJgt
>>225
書きたいことを優先させすぎたSS、という印象を受ける。
だからオチも簡単に分かってしまった。
262名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 19:26:47 ID:LxQy5gT1
投下。長門とキョンは恋人状態設定で。
263落とし物は落とし主に:2006/09/02(土) 19:27:42 ID:LxQy5gT1
普段通りの放課後。
俺が部室の前まで行くと。

「きゃっ、っつぁ〜〜!!」

ハルヒの奴が部室の前で盛大に転倒していた。
まぁ、いつもの如くマタドールが逃げ出す様な猛牛の如き突進をしてれば何時かはこけるというものだろうな。
だが、我等が団長がその程度で活動停止する訳も無く、即座に立ち上がった……ん?
此方に転がって来た何かを俺は拾う。ハルヒが落とした物だろう。

「おい、これ落としたぞ」
「あ、こ、こら早く返しなさい!」

そそくさと『世界を大いに混沌させる為の1000の方法』の本を俺からもぎ取るハルヒ。
全く、物を拾って貰ってお礼の言葉も言えないのかねこの団長は。

「団長が困ったら即座に助けるのが団員の務めでしょ! ……まぁ、兎も角早く部室に入るわよ!」

アヒル口で捲し立てるハルヒだが、顔が赤いとどうにも迫力に欠けるね。
何故か、輪ゴムをポケットから取り出すハルヒに続き、俺も部室に入ろうとする。
視線を感じ、思わず横を見てみた。
大概、こういう時は振り向かない方が良いのが定義なんだけどな。
俺の人生はつくづく、波乱を含有したいらしい。

「…………」

有希がこっちを見ていた。
何時も部室に一番乗りなコイツが、何故か俺の横でこちらをじっと見ている。
いや、そう何か怒っているのか、不機嫌なのか微妙な視線を送られてもな。
ところで、何で俺の後から来たんだ?
264落とし物は落とし主に:2006/09/02(土) 19:49:26 ID:8V/5fsmT
「パソコン研究部に行ってた」
「そ、そうか」
「そう」

俺が気の抜けた返事を返すと、北高のクィーン・オブ・無表情はやや早足で部室に入ってしまった。
やっぱ、怒ってるのかな有希。最近、朝比奈さんも俺にお茶を提供する時はびくびくしているし。
土曜日辺り、買い物にでも連れて行ってケアしなきゃならんかも。
そんな風に考えていた俺は、正直甘かった。

次の日の放課後、俺は何時も通りに部室へと足を運んだ。
そして俺は遭遇した。

「…………こけた」

俺が部室前の廊下に入った途端、現れた有希が俺と逆の方の廊下の端からド派手な転倒をしてきたのだ。
と言うか、転倒は十数メートルも転がってするもんじゃないと思うぞ有希よ。
唖然としている俺の前に転がって来たもの、それは

先々週、俺が買ってやったパールバイブだった。
しかもテラテラと濡れている。ひょっとして、嵌めて来たのか?

「拾って」

何事も無かったかのように、有希が立ち上がり俺の前まで来る。
拾い上げ、どうしようかと思う。いや、何を考えてるんだ俺は?
これを「落としましたよ」とか言いながら渡せばいいのか?

「そう。落とし物は落とし主に戻さなくてはいけない」

有希がスカートを捲り上げる。
下は、ノーパンだった。濡れ濡れだった。パ○パンだった。
僅かに頬を染め、視線をミクロン単位で泳がせながら有希は俺に囁いた。

「戻して」

265名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 19:50:17 ID:8V/5fsmT
投下に間が開いて申し訳ない。投下中にフリーズったorz
266名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 19:52:06 ID:/hmw4NEh
>>262
書きながら投下してる?ならやめた方がいい。
他の人が投下出来なくなるし、最悪ストーリーを読まれる危険性がある。

かつての俺と同じ道を辿ってはいけないよorz
267名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 19:53:22 ID:lZdKmQGw
今2ch全体が落ちてただけ
書きながら投下してる訳ではないので安心汁
268名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 19:54:48 ID:G05ISsir
なるほどなー。皆けっこう違うものなのね。
あと自分がうまく行ったと思うかどうかと評判って無関係のような気がする。
すんごい王道的なもののほうがある程度は認められるというか。
>>257
vipでリアルタイム投下したのが多いのと、日が浅いのとかなぁ…。
ここのはほんと丁寧なのが多くてびっくりだわ。
>>258
これは知らなかった。ありがと…っても俺エロは書かないんだよなぁ。
色々な意見聞けるからここにいる感じ。
269名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 19:56:05 ID:sLc4BX2b
俺が情報連結を解除されたのか
ハルヒが閉鎖空間を引き起こしたかと思ったよ

2ch自体が落ちてたのね
270名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 20:31:45 ID:lZdKmQGw
ちなみに口癖で個性を出そうとするとしつこくなるケースが多い
キョンで言えばやれやれ、か?文中にちょっとあるぐらいで読み手は十分「あ、キョンの口癖だ」と認識してくれる
それをわざわざ何度も使うと嫌味ったらしくなってくる

分かり易い例で言えば、一時期流行ったKanonSSだわな。うぐぅとかあうーとか
そういうのは多用せずに描写で「そのキャラらしい」行動を取らせた方が何かと良い
271名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 20:35:52 ID:bm1Moa5Y
阪中は一瞬でマキバオー化するしな
272名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 20:46:12 ID:l2Oo025k
>>271
今、阪中さんメインもの書いてるんだけど、阪中さんの口調の特徴って語尾よりも、
主語―述語―目的語、っていう英語的な文法構成にあると思うんだ
日本語は普通、主語―目的語―述語、って構成じゃない
例をあげると
「あたしは涼宮さんが好きなのね」
だと、じつは阪中さんらしいしゃべり方じゃなくて
「あたしは好きなのね、涼宮さんのこと」
という具合なのが、より阪中さんらしいと思うんだけど
自分だけかな?
273名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 20:50:53 ID:yoj8XQkf
「〜のね」を聞くとマギー司郎が真っ先に思い出されるんだけど
これってかなり少数派?
274名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 20:52:38 ID:GiVDrRLK
なんとなく自分の言葉を噛み締めながら喋ってる感はあるよね
人の機微を理解するなんて自分にゃ無理だけどさ
275名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 20:55:25 ID:LevLHMc4
阪中さんの喋り方って誰かに似てると思ったら、
親戚の五歳の女の子とそっくり。

あんまり話が得意じゃないらしい…とキョンも言ってるし
その辺の感覚でやれば、らしくなるんじゃないかな。

ただ、俺的にはマキバオー的な阪中さんSSも嫌いじゃないw
276名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:26:30 ID:ck2nfdtO
「今日は全員でコスプレをするわよ!」

大きな段ボール箱を抱えてハルヒが部室に入ってくる。放課後どこに行ったかと思えば、衣装会社から借りてきたらしい。

「ちょっと待て。俺と古泉も着替えるのか?」

確かに毎回朝比奈さんにばかりしてもらうのは忍びないし、長門のコスプレだって見てみたい気もする。しかし男がバニーだのメイド
だのの格好をするなど、変態以外の何者でもないぞ。古泉は知らんが、俺にそんな趣味はない。

「そんなワケないでしょバカ。あんた達の分もちゃんと用意しているわよ。」

そう言ってハルヒは俺に衣装を押し付けてきた。どれどれ、和服に笠に模造刀だと。どこのサムライだオイ。

「私達はここで着替えるから、あんた達はトイレにでも行って着替えてきなさい」

こうして俺と古泉は部室から締め出される。やれやれ仕方ない、行くか古泉。ところでお前の衣装は何だ?

「トレンチコートと十手です。何だか妙な組み合わせですね・・・?」

古泉も首をかしげる。まあどんな格好でも、お前はツラがいいから似合うだろうよ。

トイレで着替えて部室に戻ると、ようやく理解した。部室に入ると真っ赤なジャケットに黄色のネクタイを締めたハルヒと、
黒のスーツに帽子を目深に被った長門がいる。そしてサムライの俺が揃えば、日本が誇る人気アニメのドロボウとその仲間達の完成である。

「一度このハデなジャケット着てみたかったのよね!」

結局それがしたかったんかい。お前が着るのは勝手だが、わざわざ全員巻き込むなっての。
ということは、古泉は彼らを追いかける警部で、朝比奈さんは主人公がゾッコンな女キャラクターか。朝比奈さんはボディラインが強調
されたセクシーな格好で、スカートを抑えてもじもじしている。朝比奈さんでも充分魅力的だが、どうせなら朝比奈さん(大)に着てほしかったぜ。

「・・・」

長門はガンマンの格好でいつものように本を読んでいる。男装とは残念だな。しかし何か楽しそうだ。古泉も横で十手をひらひら振ってるし、お前ら
コスプレ願望があったのか?俺はこんな時代錯誤の格好、今すぐやめたいのだが。

「ダメよキョン。今日の活動はこの格好のままするのよ。」

まあ予想はしていたがな。部室はクーラーないし、涼しいからいいか。そう思いながら席に戻ろうとした時、俺は突如猛烈な既視感に襲われ、その
まま机に突っ伏した。何だこの感じ、とても嫌な予感がする。

「キョン・・・?ちょっとどうしたのよキョン!?」
「大丈夫ですかぁ・・・キョンくん・・・」

ハルヒと朝比奈さんが駆け寄ってきた。ダメだ、何故かは分からんが、今この2人に近寄られるのはとても危険な気がする。俺の中で何か別のキャラ
が目覚めようとしている。コスプレの影響か。もしやそこの模造刀で2人を襲ってしまうかもしれん。ダ・・・ダメだ・・・耐えるんだ、俺・・・

277名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:28:10 ID:ck2nfdtO
276続き

しかし俺の努力は虚しく、俺の中で何かが覚醒してしまった・・・

「しら・・・」
「え、何?」

「白布返し!」

それは一瞬の出来事だった。俺は目にも留まらぬ早業で2人を襲ったかと思えば、その衣服の上からパンツとブラジャーだけを奪い去るという神業
をやってのけたのだ。自分でも何が何だかさっぱり分からん。目の前では下着を盗られたハルヒと朝比奈さんが、真っ赤になって俺を睨んでいる。

「キョ〜ン〜。一体何のつもり〜」パキッポキッ
「キョンくん・・・冗談にしてもひどすぎますぅ・・・」ブルブル

ヤバイ、滅茶苦茶怒ってる。何とか言い訳をしなくては・・・
「いや、こ、これはな・・・命を懸けたその刹那に魂の炎が燃え上がった結果であってだな・・・」
何言ってるんだ俺はーっ!!!!

「ふざけんなこの変態!!」
「返して下さい〜!!」

ハルヒのヒザが飛んでくる。ああ・・・今度こそ死ぬかもしれないな・・・

10分後。気の済むまで俺を痛めつけたハルヒと朝比奈さんは、トイレに入って下着を履き直している。俺は大の字になって天を見ながら、長門に訊いてみた。

「長門、一体俺に何が起こったんだ?」

長門は冷ややかな目で俺を見下ろしている。もしかして怒っているのか?

「コスプレ違い。あなたは涼宮ハルヒが演じる主人公の仲間になるはずだったが、別のアニメの変態キャラクターになって
 しまったと思われる。この2名のキャラクターの容姿は酷似しており、あなたの性質に近しい後者があなたの中で覚醒した。」

ちょっと待て。俺に変態属性はないぞ。いくらなんでも下着をぶんどるなど、健全な男子の欲望の範囲を完全に超えている。

「あなたのせいではない。アニメであなたの声を担当した声優が、そのキャラクターの声も担当したことで、偶然的に近しいものとなってしまった。」

やれやれ、仕事選べよ杉田。

「しかしここで疑問が発生する」

何だ

「あなたは私の下着を盗らなかった。一体何故?」

ああ、それはな

「『未だ熟して至らず』だからだ」

何言ってるんだ俺はーっ!!!長門が涙目になって肩を震わせている。違うんだ長門、これはだな・・・


「分かっている・・・あなたは悪くない・・・しかし・・・しかし・・・」

そう言うと長門は走って部室を出て行った。帽子でよく見えなかったが、泣いていたかもしれん。ついでに出て行く際に、俺を思い切り踏んづけて、
オマケに手にしていたモデルガンを投げつけてきた。本物だったら撃たれていただろうな・・・

それからしばらく、俺が女子部員に口を利いてもらえなかったのは言うまでもない。
278名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:45:40 ID:V0tNOHXA
ルパンwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
279名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:47:13 ID:VFssqfCe
>>277
ルパンワロスwwww
別のアニメのキャラなるものがわからん俺は負け組orz
280名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:49:24 ID:raRTHsVW
下着の道は修羅の道かwwwwwwwww
281名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:50:09 ID:YoCSgDr2
久能帯刀が出てきた俺は負け組…orz
282名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:51:06 ID:FI0q8z0M
いぬかみだっけか?
しかしハルヒ飛び膝するとまるm(ry
283名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:52:11 ID:ZKcsipF4
>>279
『師匠』。杉田智和 未だ熟 でぐぐると解る。
284名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:53:06 ID:9S7JE8wX
ルパン×銭形を書いた過去を持つオレは負け組
285名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:54:17 ID:hQe7wJyL
>>247
ちょww思春期ネタwwww
286名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 21:55:11 ID:LAbwkJSC
師匠かwwwwwwwwwwwww
百花繚乱、この手で全て摘んでくれる!
287名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 22:48:03 ID:3RGz+0NT
ハルヒがルパンダイブでキョンに飛びつくシーンがあるのかとオモタ。
288名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:06:41 ID:7gevelAg
五右ェ門じゃなくて、いぬかみの変態師匠か。
茶を吹いたじゃないか!キョンバロスwwwww
289名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:16:06 ID:Z3Fa2t10
はぁ・・・。銀魂ネタ書きてえな・・・。
でも誰も待ってねえよな・・・。


わかってるんだ。気の迷いだって。
290名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:20:41 ID:Mu5Xlf2w
師匠と聞いた瞬間意味も無く鶴屋さんと中の人が同じ
キャラがレギュラーやっているアニメを思い出した・・・。
291名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:23:38 ID:Z3Fa2t10
>>290

それってやっぱり・・・。
そういや今wikiで調べたがその人朝比奈という苗字のキャラやった事あるんだな。
292名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:25:59 ID:j67cBfis

なんでハルヒってSMネタはぶられてんの?
エロパロで他にそんなのある?
293名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:30:13 ID:zLe5Wzyk
ハルヒとの相性問題?
294名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:32:37 ID:raRTHsVW
295294:2006/09/02(土) 23:33:38 ID:raRTHsVW
296名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:41:54 ID:hR787I5M
マトメスレを全部見た!!

ここでマトメスレ見てる人に質問!!
マトメスレの作品でどれが一番心に響いた?

俺は変則的だった 『長門有希の崩壊』 <<グロ注意 だな
297名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:45:24 ID:zLe5Wzyk
ふーん
298名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:46:06 ID:dEXkvO9q
>>295
スレがあるからはぶられたんじゃなくて
はぶられたからスレが出来たんだろww
299名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:47:49 ID:l2Oo025k
>>296
『古泉一樹の親友』
これは何度読んでも泣ける
300:2006/09/02(土) 23:49:17 ID:kst9M12t
憂鬱Yを津軽弁にしてみた。

非常に後悔した。

今は反省している。
301名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:49:59 ID:Nx9cd59Z
>>298
そこらへんは鶏と卵の話になり(ry
302名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:53:01 ID:obkg4cmj
>>296
トータル・リコール

これで朝倉に転んだ
303名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 23:58:26 ID:JkrfOIk3
キョン魂

銀さん=ハルヒ
新八=キョン
お妙さん=朝比奈さん
神楽=長門
定春=古泉

…あれ、おっかしーなw
304名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 00:02:42 ID:Nx9cd59Z
むしろ
ハル魂

銀さん=キョン
新八=谷口
お妙さん=朝倉
神楽=ハルヒ
定春=カマドウマ

じゃない?
…あれ?(ry
305名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 01:34:50 ID:XZQqOw3s
>277
赤ルパンは偽者なんだぞ。
と、青ルパンスキーの俺が言ってみる。
306名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 01:39:14 ID:A7j58Ls7
>>305
青ルパンは偽者なんだぞ。
と、緑ルパンスキーの俺が言ってみる。
307名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 01:54:49 ID:3/r6xEo1
>>306
緑ジャケットが青ルパンじゃなかったっけ?
308名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 02:02:53 ID:93OEyU6G
>305-307
お前ら全員ルパン帝国に帰れ
309名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 02:37:34 ID:MH2/OCyl
ルパン書いた者です。トリップを付けてないどころか、タイトルと
「終わり」という締めの文章すら入れていないことに後になって気付いて
反省。ていうか、トリップの付け方ワカランorz 誰か教えてw

しかし初めて書いてみて感じたのだが、SS作るのって結構しんどいな。
昔の作家で『鉛筆の芯と一緒に命も削られていく』と言った人がいたが、
本当にその通りだと思った。最初は声優つながりで、キョンに「白布返し!」
と言わせたかっただけだったのに、いつの間にかルパンコスプレの話になる
とは思わなかった。長くなってしまったが、読んでくれた人ありがとう。

>>296
>>299の『古泉一樹の親友』も好きだが、俺が一番好きなのは『風とお見舞い』
かな。ハルヒサイドで見ると、また胸が熱くなる。


310309 :2006/09/03(日) 02:49:54 ID:MH2/OCyl
間違えた。『風邪とお見舞い』ね。
ついでにグロ系は、昔読んだ『終わらない夏休み』がトラウマになって、
全く受け付けない。当時、多感な時期だった俺にあれは本当にキツかった・・・
311名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 02:58:41 ID:vNE9h9hc
トリップは名前欄に「#」の後ろに適当な半角文字10個で出たと思うけど、
コテを名乗るのはあまりお勧めしない。うざがられることも多いし、
粘着されることもあるので。特にコテでの雑談レスは嫌がられるみたい。
312309 :2006/09/03(日) 03:06:44 ID:MH2/OCyl
>>311
ありがとう。SSをいくつかに分けて投稿する時は、やはりトリップをつけて
おかないと分からないかなと思ったのだが、みんな結構そのまま投稿している
な。次回書く時は名前欄にタイトルだけでも入れておくよ。
313名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 05:07:59 ID:GnecjiRa
まあ投下時にはコテ付けてもいいんじゃないか?
まとめの人もまとめ易いだろうし
314名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 08:15:28 ID:5xV3+gkn
>>313
同意。
投下時にトリついてると、後から追いつくときに非常に見易い。
315名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 10:39:54 ID:2dPfq8cd
>>314
専ブラでID抽出すればよくね?

かくいう俺は読む時は大抵ケータイだから関係ないがな!
316名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 11:58:39 ID:M87+MTis
>>315
IDは日付と共に変化する。
317名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 12:44:51 ID:9HvzN0QW
コテで雑談レスがウザいって思っている人は多いかもな。

>>309
トリップつけなくても、初投下の時の○○(スレ番号)-××(レス番)みたいな形式で十分じゃないかな。
あなたの場合なら、「28-276」みたいに。
あと作品タイトルを名前欄か作品中に書いておくと、保管庫の管理人さんがまとめやすいと思う。

そして未熟長門カワイソスww
318名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 12:55:04 ID:ogF2fgds
>>310
多感な時期って…。

ところで予備保管の管理人さんは大丈夫なんかな?
9月から更新するって話だけど、量の多さに困ってるのかな?
319名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 12:57:02 ID:EldWX9WS
予備保管庫まとめる気あったんだ。すっかりまとめ放棄したもんだとばかり思ってた。
320名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:14:59 ID:o/e58RWO
なんて言い方するんだよ・・人には事情なり仕事なりあることくらいわかろうぜ。
321名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:17:41 ID:eC21E50x
無償でしてるわけだしな
322名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:22:36 ID:VmHfMjKX
予備の方にこだわる理由が知りたい
323両涼あいまみえる〜第1R〜1 :2006/09/03(日) 13:33:50 ID:OcBuKQ2Q
結局、単独暴走を起こした朝倉涼子の処分は消去ではなく修正という判断を下した。
有機生命体らしく表現するのならば「抹殺」ではなくて「更正」。
朝倉涼子という人物をまるごと消去するには情報量が多すぎる上に、彼女と関係を持つすべての人間の記憶を改竄することはあらゆる意味でリスクが大きすぎた。
彼女は平素から社交的な行動をとり続けていたため、誕生からの3年間で人間が為す対人ネットワークの一部として強固に組み込まれていた。
彼女を半端に消去するだけでは不整合が時系列に沿って等比級数的に増殖し、やがて失踪が事件として歴史に刻まれることが予想される。
よって混乱を回避するために彼女を世界に残す処置しか選択肢がなかった。
謀略は失敗せども存在は残った。彼女はこれを見越していた可能性も完全否定できない。
前日までの基幹的な記憶情報をサルベージした上で、暴走行為に関する一部記憶のみを削除。人格形成構造を1年半巻き戻して人間で精神に該当する部分を不穏な行動を画策する前の状態に修正した。
ちなみに、この判断は私の独断。
バックアップのメンテナンスと定義すれば私の権限内の行為であるため逐次報告の必要は発生しない。
必要のない報告によって上層部を無用に扇動することはなかった。

しかし、この一連の方針、措置が逆に裏目に出ることになる。

変化の観測されない涼宮ハルヒに対して、単純観測だけではこれ以上の情報は引き出せないと考える派閥が力を拡大し、情報統合思念体の内部勢力図は大きく急変することになる。
想定外の出来事。
上層部は単純観測を取り止めて、涼宮ハルヒに微弱な刺激を与え始める採択を行った。
指針概要は、涼宮ハルヒへの直接的なコンタクトではなく、
「キョン」という愛称で呼称されている男子生徒、涼宮ハルヒの注目人物へのアプローチ。
故意に三角関係を創出し、涼宮ハルヒの感情を励起させよ。
以上が上から降りてきた新しい任務。ただし主務を任されることとなったのは私ではなく朝倉涼子だった。
人間として情緒豊かな人格を持つ方がより適任という判断から彼女が選出された。
つまり私はメインからバックアップへと降格。
あの時、彼女を抹殺していればこんなことは起こらなかった。
判断ミス。
これを言語化するならば「忌々しい」という形容詞がもっとも適切であるように思う。
そう……実に、忌々しい。
324両涼あいまみえる〜第1R〜2:2006/09/03(日) 13:34:54 ID:OcBuKQ2Q
「えー? それじゃあSOS団の活動に出られなくなるってこと? ユキ、マジで言ってんの?」

常日頃からリアクション過多のハルヒが一段と大きな声を出した。驚く気持ちは分かるが、今の声グラウンドでシフトノック中の野球部の連中まで聞こえてるぞ。
対照的に長門は微動だにせず、一呼吸置いてから江戸時代のからくり人形を思わせる動きで首肯した。
爽やかスマイルを顔に貼り付けながら堂々と遅れてきた古泉が俺の対面に着席し、今日はUNOでも始めようかとした時に椿事は起こった。
長門は脇目もくれず読み耽っていたハードカバーを閉じるとおもむろに立ち上がり、ハルヒの方を向き直った。部活の途中でこいつがアクションを起こすなんて、SOS団結成以来初めてのことなんじゃないか。
然るべき一団の注目を一身に浴びた長門は

「一身上の都合で明日から授業終了後すみやかに帰宅しなければならなくなった。」

いつもの淡々とした調子で日常をぶち壊す声明を行った。
リアクションは四者四様だ。
ハルヒはさっきみたいに仰天し、古泉は眉を2ミリほど吊り上げ、朝比奈さんはおろおろするだけだった。
俺か? 当然驚いたさ。SOS団が成立するためには一人も欠けることなんて許されないと信じていたから尚更だ。ハルヒのように無駄に騒いだりはしなかったけどな。
藪から棒にどうしたんだ。お前のことだからまさか冗談を言ってるとは思わんが、あまりにも唐突過ぎるぞ。期間限定で来れないってことなのか?

「……分からない。ただ、今SOS団を退団するわけではない。しばらく休部扱いにして欲しい」

黒飴のような鈍色の光を放つ瞳でまっすぐに俺の目を見据える。
俺の勘違いかもしれんが、無表情の中に一抹のやりきれなさが見え隠れしているような気もしないでもないのはなぜだ。

「立ち入ったことは聞かないわ。団員のプライベートは尊重したいもの。しばらく来れなくなるのは残念だけどね。」

憮然としながらも、ハルヒは意外とあっさりと認めた。
気のせいかもしれんが、やけに長門には当たりがソフトで理解があるじゃないか。
俺のプライベートも同じくらい尊重してもらいたいもんだね。
そんな戯言を考えてる間に長門は無駄のない動きで帰り支度を終えて足早にドアに向う。
今まで身辺で大きな動きがあるときは何かしらの形で事前にコンタクトがあったが、今回はそれがない。俺にも明かせない何か特別な事情があるのかもしれん。

「また来いよな。みんな待ってるぞ。」

それでも少しでも長門を留めたい俺はまともに言葉を選べないまま背中に一言声を掛けるのが精一杯だった。
ちくしょう。役立たずの右脳が気の利いた台詞を寄越さない。
長門の足が止まる。リアクションは相変わらず首間接を覆う筋力を解いただけのような単純曲げ運動のみ。
長門は振り返らないまま、驚くほどあっさりと部室を去っていった。
325両涼あいまみえる〜第1R〜3:2006/09/03(日) 13:36:15 ID:OcBuKQ2Q
長門が休部宣言をしてから三日目。
失ってから初めて分かることがあるなんて月並みな台詞を言うなど不本意極まりないが、長門がいかにかけがえのない存在だったかを実感したね。
読書にしか関心のない長門は限りなく空気に近い存在だったが、いかに俺が無意識に長門を目で追っていたか分かる。
主を失った椅子を網膜に写しこむ作業を馬鹿みたいにこの三日間で何回繰り返したか分からない。
誰も居ない部室を訪れるとそこはかとなく寂しい気分になるし、この取りとめもない活動に終止符を打っていたあいつの合図がないと帰るタイミングがつかめない。
長門、お前はSOS団の活動を仕切っていたんだな。
俺だけではなく団員全員のリズムが完全に狂ってしまっていた。
あれから個人的に長門のマンションを訪れて、改めて真意を聞き出そうとも試みたが、

「事情はあるけど、今は言えない」

とインターホン越しに門前払いをされてしまった。何も言えないとなればあれこれ聞かれるだけ辛いってもんだ。
全く納得が行かんのは確かだが、これ以上行動しようにも自分ができることの限界を理解する冷静さも持ち合わせていた俺はせめて時間を置くことにした。
しかし長門の休部は一体誰が作ったストーリーなんだろうね。
宇宙人、未来人、超能力者、異世界人。
いずれもハルヒがSOS団に望んだ面子だ。
未登場の異世界人が加わるならまだしも、メンバーが減るなんてありえないんじゃないか。

「長門さんの上で何かしらの動きがあったと考えるが妥当なところでしょう。ただし、僕もここにきてメンバーが減るのは予想外です。これは僕の推測ですがね、近いうちに入団者が現れるんじゃないでしょうか。能動的にか受動的にかは分かりませんがね。」

坂を下りながら歩く古泉の横顔はいつもの胡散臭いスマイルを引っ込めて、代わりに真剣さを五割増で表出させていた。
あたりは真っ暗だ。帰る機会を逸した俺達はずるずると下校の放送が聞こえるまで部室に留まっていたからな。
秋分の日も過ぎて日の長さは確実に短くなっていた。夜になると急に肌寒くなり夏服を着てることを後悔する。
朝日奈さんを一人置いて帰るのは憚られるような気がしたが、本人の堅い見送りによって着替えてから帰ると先に送り出されてしまった。
ちなみに、無責任王者のハルヒは部室に来るなりインターネットをカチカチやると早々に飽きたのかとうの昔に下校済だ。

「俺としてはメンバーは長門以外考えられん。」

「あなたの言うのも尤もです。一見まとまりのないような集まりですが、さまざまな意味でバランスが取れていましたからね。涼宮さんも今の状態に納得しているはずがない。そうなると欠けたピースはどういった形で埋まるのか。興味深い展開ですね」

興味深いの一言で片付くようなことならいいがね。正直長門が不在だと次に超常現象が起こったときに誰を頼ったらいいんだ。不安なことこの上ない。
俺には百害あって一利なしだ。波乱の幕開けのような気すらするね。
326両涼あいまみえる〜第1R〜4:2006/09/03(日) 13:37:35 ID:OcBuKQ2Q
長門の電撃休部宣言から四日目。
長門の居ない部室は無性に居心地が悪いことは分かっていながらも習慣とは恐ろしいもんで、かったるい掃除当番を終えた俺は半ば無意識に移動し、気が付けば部室で朝日奈さんの淹れてくれたほうじ茶を啜っていた。
相変わらず面子はしっかり揃っている。この珍妙な集まりに他人に誇れるもんなど何一つないと疑いもしなかったが、出席率の高さだけは大したもんなんじゃないだろうか。
程よい温度のほうじ茶が喉に染み渡る感覚に酔いしれながら、そんなどうでも良いような発見をしたとき、部室にドアのノックが響き渡った。

「誰っ? 有希なの?」

弾かれたように反応して一番奥の机からキノコ好きのヒゲ親父のお株を奪うかのようなダッシュでドアに取り付いて乱暴にドアを引いたハルヒだったが、

「……、朝倉さん?」

意外な来訪者に戸惑う。しかし、戸惑ったのは朝倉も同じだったらしく、勢いに気おされたのか軽くホールドアップのような状態で固まっている。

「えーーっと。ごめんなさい。SOS団の部室はここでよかったかしら?」

何のことはない、宇宙人が空けた穴はもう一人の宇宙人が埋めることとなった。


「それじゃ、我がSOS団への入団志望を聞かせてもらおうかしら?」

戸惑いを見せたのは出会い頭の3秒くらいだろうかね。
ハルヒは朝倉を迎え入れると新しいおもちゃを与えられた子供のようにはしゃいでいた。
入団には厳しい適正検査をパスする必要があるとかのたまって、大層に面接の真似事なんぞ始めやがった。お前自身が最も人格適性検査が必要な人物だってことを分かった上で言ってるんだろうな。

「キョン君がクラスで話してるのを聞いたんだけど・・・。」

朝倉はチラッとこちに目をくれて切り出すとすぐに正面に向き直って続ける。

「休日に街を探索してるそうじゃない。不思議探索っていうのかしら。夏休みには南の島に合宿に行ったっていうし、そういうの楽しそうだなぁって。」

まともに付き合う必要などないのに、言葉遣いは普段通りなものの、まるで就職活動中の女子大生のように朝倉は姿勢を正して行儀良く椅子に腰掛けて受け答えた。
進行の流れというものを完全に無視したハルヒのいんちき面接の内容の詳細などこの際どうでも良い。思いつきでやってるのが丸分かりだ。
お前は単に面接官ごっこをやってみたいだけなんじゃないのかという台詞も喉まで出掛かっていたがなんとか飲み込んだ。
俺の注目は100%朝倉に向いていた。
無理もない。ほんの数ヶ月前に俺はこいつにワケの分からない理由でワケの分からない世界でワケの分からない能力によって殺されかけたんだから。
327両涼あいまみえる〜第1R〜5:2006/09/03(日) 13:39:10 ID:OcBuKQ2Q
才色兼備という言葉がそのまま当てはまる彼女は男女問わず高い人気を誇る。
物腰は柔らかく、誰にでも分け隔てなく笑顔で話しかけ、細かいところにもよく気が付く世話好きな性格の持ち主とくるもんだから、その存在感はクラス委員を上回るといっても過言ではないだろう。かくいう俺も世話になったのは一度や二度ではない。
しかしこれは彼女の表向きの顔だ。
彼女の正体は宇宙の彼方から人間とコンタクトをとるためにやってきたヒューマノイド・インターフェイスで、その実体は情報統合思念体と呼ばれる概念的な存在、らしい。
まぁ、早い話が長門と同タイプの宇宙人ってことになる。
入学早々異空間に拉致られた俺はアーミーナイフというやけに原始的な凶器によって彼女に殺されかけたが、長門の救出によって九死に一生を得た。朝倉は長門との超次元ガチバトルの末に破れ、長門によって更正させられることとなった。
ごく普通の民間人に過ぎん俺に何をどう更正したなど分かるはずもない。
ただ、実際それからは朝倉は何もなかったように振る舞い、ただのクラスの人気者に戻った。俺を特別意識しているようなこともなかったことを考えると、長門の言ったことはやはり本当のことだったんだろう。
こいつが自発的に俺の生活範囲内に介入してきたのはあの事件以来だ。嫌でもあの殺害未遂事件がフラッシュバックする。
健康的な笑顔で白い歯を見せながら健全に振舞う彼女の横顔を眺めながら、俺は緊張していた。

「うーん……。」

とりとめのない問答をひとしきり終えると、ハルヒは椅子の上で胡坐をかきながら腕を組んで意味もなく考え込んだ。

「よしっ。採用! ちょっとまとも過ぎて面白みに欠けるけど、その笑顔が良いわ。古泉君、入団手続きをお願い。」

「ご存知かとは思いますが、一年五組の古泉純一郎です。不肖ながら副団長を任されています。どうぞよろしく。」

「あ、あのっ。二年の朝比奈みくるです。よ、よろしくお願いします。」

取り決めもされていない入団手続きをうまいこと握手だけで手軽に済ませた古泉に続いて朝比奈さんが朝倉と握手を交わす。
笑顔で採用かよ。スマイルなら古泉で間に合ってるだろう。

「あんた分かんないの? 万人の心を奪うようなこの癒しの笑みの価値がっ。」

ハルヒは椅子から降りると朝倉の背後に回りこみ、側頭部を鷲づかみにして朝倉の顔を強引にこちらに向けさせた。さすがに一瞬表情が引きつったのを見逃さなかったが、朝倉は俺と目が合うとアイドル顔負けの微笑を俺に照射した。

「よろしくね。キョン君。」

「あ、ああ……。こちらこそ。」

「こら、キョン! ちゃんと握手なさい。先輩ぶって横着してるんじゃないわよ。」

的外れなことを言うハルヒだったが、ここで拒否するのも不自然だろう。
朝倉はハルヒに拘束されているので身動きが取れない。俺が歩み寄るしかなかった。
しかし、極度の緊張せいか思うように身体が動かん。ふと気が付くと手のひらが脂汗でぐっしょりだった。慌てて制服でぬぐう。
長門の言葉をよく思い出せ。目の前の人物は『あの』朝倉涼子とはつながりを持たない別人なんだ。何も怖がることはない。長門の言葉を信じろ。
念仏のように自己暗示をかけた俺は、なんとか不自然さを悟られずに朝倉と握手を交わし終えた。
体温が伝わってくる。手に触れた女の子特有の柔らかい感触は人間そのものだった。
それをやはりというべきか、意外というべきか自分でも分からなくなるくらい俺は混乱していた。
328両涼あいまみえる〜第1R〜6:2006/09/03(日) 13:40:27 ID:OcBuKQ2Q
朝倉を迎えてのSOS団は活動初日目がスタートした。と言っても、やる事は変わらんのだがね。
ハルヒはネットサーフィンをしたり、何か思案したりしてくだらんことを思いついては俺を呼びつけ、朝比奈さんは専属メイドとしてお茶をおいしく淹れることに勤しみ、俺と古泉は暇つぶしにゲームに興じるだけだ。全く変わらん。
ただ朝倉が俺と古泉のゲームに積極的に加わってきたこと以外は。

「ねぇねぇ。これってどんなゲームなの? 男子がやってるの時々見るけど。」

「・・・・・・、ああ。カードゲームだよ。カードに数値が書いてあるだろ? カードをキャラクターに見立ててこの数値を比べて対戦するんだ。まぁ、この他に細かいルールは山ほどあるんだが。」

面接によって俺と古泉の対戦が中断していたが、それが再開される前に朝倉は意外にもカードゲームに興味を寄せてきた。
部外者には受け入れがたいこの部室の空気もなんのその、持ち前の人当たりの良さで早々に打ち解け始めた。

「興味があるようでしたら是非お教えしますよ。正直二人で対戦するのには飽きてきたところですから。」

「うんうん、教えて。この記号は何を意味するの?」

軽薄な古泉の発言を真に受けて朝倉は机に腰掛けて本格的にルールを覚え始めた。
それ自体は問題ないが、わざわざ俺の横にびったりとくっつくようにして座るのはなぜだ。教えてるのは古泉だぞ。

「ね。キョン君が持ってるその絵札はどうやって使うの?」

そう言って不意に朝倉が俺が持っているカードを覗き込んできた。肩と肩が軽くぶつかるほど近距離に接近する。
振り向けば息の掛かるような距離に朝倉の顔があった。ばっちりと目が合う。
反射的な防衛本能によって一瞬身体が強張ったが、清潔感のあるミント系リンスの芳香の中に女子独特の甘いを香りを見つけると、今度は俺の男の本能がすぐさま警戒を解いた。自分で言うのもなんだが、慌しい。
朝倉とこんなにも接近したのは初めてだが、谷口がAAランクプラスと評するだけあってその容姿には非の打ち所がない。
枝毛など一本も無さそうな艶やかな黒髪のロングヘヤー、凛とした線の濃い眉、まだあどけなさは残るものの強い意思を湛えた大きな双眸、たしなみ程度に化粧の乗った瑞々しい肌、唇。か細くて上品な輪郭。
国民的美少女コンテストに飛び入りで優勝できそうだ。・・・・・・、かなり俺のストライクゾーンかもしれん。

「キョン君?」

反応のない俺を訝しむ朝倉を見て我に返る。

「えーっと、何だっけか。ああ、この絵札はだな補助的な役割を持ってて・・・」

思わず見惚れてしまった醜態をなんとか取り繕おうと、古泉の役どころを奪ってルールの説明を始める。
朝倉は何事もなかったように耳を傾けてくれているが、正面の古泉は意味ありげにニヤニヤと笑っていた。腹が立つが言い訳が思いつかん。
朝倉は記憶力が良く、一通り説明を聞いただけでルールをほとんど覚えてしまい、早速模擬線に入った。
初めてだから補助が欲しいと朝倉から提案があり、座席の配置からして自ずとその役目は俺が務めることとなった。
しかし朝倉は序盤こそ俺にあれこれ意見や判断を求めたものの、それ以降は自分の采配で順調に古泉を追い込んでいった。
古泉の持ち札が分からんので奴が手を抜いているのか、朝倉が異常に強いのかははっきりしない。
329両涼あいまみえる〜第1R〜7:2006/09/03(日) 13:41:29 ID:OcBuKQ2Q
「キョン君。このカード次に出そうと思うんだけど。」

朝倉はいらずらっこが悪巧みを思いついたように内緒話の格好で俺に耳打ちしてきた。息が耳に掛かってこそばゆい。
いいんじゃないか。そうすりゃ強いカードが更に強化されて鬼キャラになる。局面から考えてもう古泉に反撃手段はねぇだろうよ。
朝倉が突然部室に現れた直後は身構えたが、こうやって一緒にゲームをするとやはり年相応の女の子にしか見えん。
無邪気で無防備に振舞う朝倉に、俺は殺人未遂を起こした『あの』朝倉を重ねることを止めていた。
そして程なくして勝負は決した。

「参りました。」

形としては惨敗の古泉だが、平然とした調子で負けを認めた。
くそっ、表層にしつこく貼り付いたニコニコスマイルが邪魔で予定調和なのか地なのかが分からん。

「やったぁ。キョン君! ありがとう。」

朝倉はまるで女子同士とはしゃぐようなノリですがり付いてきた。俺の腕を取る格好となり距離がゼロになる。またもや朝倉との接近最短距離が更新されることとなった。

「いやぁ、初めてとは思えないカードさばきでしたね。これなら次からはサシで勝負できるんじゃないでしょうか。」

「ねぇ。次はキョン君と対戦してみたい。」

古泉に担がれて勢いづく朝倉は腕を取りながら軽く揺すってきた。
可愛い女子にこんな風にお願いされて冷たくあしらうことができる人間はもはや男ではないだろう。
断る理由がみつからん。俺は、やや圧倒されならがも了承しようとしたときだった。

「キョン!」

窓際から鋭い声が飛んできた。
何が気に入らんのかハルヒが腕を組みながら仏頂面でこっちを睨んでいた。

「ホームページのバックグラウンド変えるわよ。今すぐやってちょうだい。」

「いきなり呼びつけてやる程のことか。画像さえ用意してくれりゃ今日中にやっておくよ。」

「こういうのは思いついたときにやるのよ。デザインなんて思いつきで成り立ってると言っても過言じゃないわ。」

どこかの著名な芸術家なり建築家の格言にあるならまだしも、お前の勝手な思い込みじゃないか。
そうは言いつつもこいつが言い出したら聞かないのも十分に分かっていたため、重い腰を上げて緩慢な動作でパソコンに向かった。
俺が立ち上がってマウスを握るまで、ずっとハルヒと朝倉は真正面から目線をぶつけ合っていた、らしい。
ずっと後になってから古泉から教えられた。漫然としていた俺に知る由などなかったがね。
330323:2006/09/03(日) 13:42:59 ID:OcBuKQ2Q
涼宮ハルヒVS朝倉涼子ものです。
書き始めたら長くなりそうなんでひとまずここまで。
331名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:47:57 ID:FLMToa76
一樹くんが首相に乗っ取られた!

332名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:51:02 ID:vZGHSUyy
古泉は9組だし勿論純一郎ではなく一樹な訳だが、これは何かの伏線か?
333名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:51:59 ID:P9r4gPhC
ゲェーッ古泉純一郎!!
334名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:52:49 ID:o/e58RWO
くぁっ!面白いじゃないか!
335名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 13:57:13 ID:5cAqKDJD
GJ!
336名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:04:24 ID:/9ClEavf
323の長門にゾクゾクした。
337名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:06:00 ID:XnP6L2nx
確かに面白くなりそうな予感がひしひしとするSSだが
正直一番笑ったのは古泉純一郎だ
338名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:12:23 ID:e/YYxbml
>古泉純一郎
世界改変が起きたとしか思えんw
339名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:15:24 ID:VmHfMjKX
5組の純一郎で吹いたwww
コレはもしかしてシリアス調を装ったギャグなのかも……

あと、誤変換が目立ったので気を付けた方が良いと思うよ
340名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:26:30 ID:ogF2fgds
純一郎www
続きwktk!!!
341名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:27:44 ID:NxJ6teOE
純一郎で噴いたww

「長門、これは一体誰の仕業なんだ?」
「……小泉首相」
342名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:31:48 ID:LfnoWun4
ちょwwwwwww純ちゃんwwwwwwwwwwwwwwww
343323:2006/09/03(日) 14:35:41 ID:OcBuKQ2Q
すまん。ぶっちゃけミスだが、
なんとか伏線として回収したい。
誤変換に気をつけて時間がかかるかもしれんが
完結させたいと思う。
344名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:36:18 ID:fLumsX4z
>>343
あえて茨の道を進むのか…
345名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 14:54:15 ID:CAeu5sqy
みっくるんるんの
すごい
空気っぷり
346名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 15:03:20 ID:+urR49Ws
>>343
おもしろいからむしろさりげなくたまに出すようにしたらw
額に肉状態w
347名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 15:04:39 ID:eC21E50x
最近みくるの活躍するの少ないな
348名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 15:06:50 ID:PfVNjWWw
>343の発言の瞬間から、このSSの期待度がAAランクプラスに跳ね上がったよw頑張れ
349名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 15:24:20 ID:nfSTU0Gw
俺的にはAマイナーで期待しつつ待ってる。
350名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 15:26:10 ID:9aiuw6Lq

つか最近、未完が多すぎないか?
351名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 15:43:47 ID:AqTamAba
別に同じ作者が未完出し続けてる訳じゃないんだからイインジャナイ?
と言ってるおれも、未完もち…
352名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 15:46:21 ID:PfVNjWWw
未完どころか一ヶ月もあーでもないこーでもないと悶々として気晴らしの小ネタしか出せてない自分…
353名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 17:06:49 ID:I62sIJ2H
見ているだけの自分・・・
354名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 17:54:10 ID:rWjcPJph
>>347
最近じゃない
355名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 18:15:28 ID:eC21E50x
>>354
ならばなんとかしてくれないか?
356名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 18:16:32 ID:o0TmUZ0B
>>355
うん、それ無理
357名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 18:21:18 ID:+urR49Ws
今日は偶然ここ発のSSをあちこちで見かけたなぁw
358名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 18:24:15 ID:2dPfq8cd
基本的に携帯で作っている俺は全角5000文字が最大なので
短編はともかく長編まで書く気力が起きない
一応ワードで推敲するから、もうちょい長くなることもあるが
359名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 18:42:08 ID:5H53rjlK
いつ完結するのか解らない、若しくは本当に完結するんだろうか?
実はオチなんて全く考えて無くて、面白そうな部分だけ勢いで書いただけなんじゃね?
って感じざるを得ない未完作品をバラバラ落とされるくらいなら、
きちんとオチが付いてる短編を数多く落としてくれた方が余程嬉しい。
360名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 18:57:07 ID:ZdnVkjYa
私はむしろ逆ね
361名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 19:03:19 ID:A4K9DdMd
間をとって両方で
362名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 19:40:38 ID:+urR49Ws
>>359
非常に耳が痛いねw
363名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 19:41:24 ID:xcJgMy+R
「w」禁止
364名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:01:28 ID:VqVRXd2K
>>363
うん、それ無理w
365名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:12:56 ID:B/EtRD1m
わ、wは禁則事項なんですぅ……なんですよぅ。
366名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:17:27 ID:xcJgMy+R
かわいい
367名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:26:36 ID:1iQuma3W
>>359
俺の事か?俺の事なのか?

完結の続きを投下しますのでお許しをorz
368涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/03(日) 20:28:12 ID:1iQuma3W
二度目の世界改変から四日後、俺はいつもと同じように学校に登校した。
にやけ面の超能力 者曰く、やはりほとんどの人は改変世界の事は覚えてないらしい。ついでに、あの事故も無い事になっていた。
「僕と長門さん、朝比奈さんはあの事を覚えています。涼宮さんはどうなんでしょうね」
さあな。さっぱりわからん。
「おや、一昨日のデート…いや荷物持ちの時に確認を取らなかったんですか? 」
そんな暇無かったよ。駅でいきなり後ろから抱き付かれるわ、おそろいのコップは買わされるわ、ハルヒの家に引きずり込まれてあいつの親にからかわれるわ、無理やり泊まる事にまでなったんだぞ。
おまけに夜中に目を覚ましたら、ハルヒが俺を抱き枕にして寝てるし。それから一睡も出来なかったからな。
ま、楽しくないと言えば嘘になるがな。
369涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/03(日) 20:29:00 ID:1iQuma3W
予鈴が鳴ったので俺はいつもの様に教室に戻った。そして一昨日俺を寝不足にした張本人に挨拶を交わす。
「朝から古泉君と話すなんて珍しいわね。何話してたの? 」
それはまあ、男同士の秘密だ。
「ふーん。まあいいわ。
それより、転校生が来るんだって。しかもこのクラスに」
なんだ、また勧誘でもするのか?
「そうねー、その人次第ね。この時期なら転校してきてもおかしくないし」
だから親の都合だと前にも言ったろ。
っと、教師と転校生が来たみたいだな。…ん?なんか見覚えがある気がする。いや、つい最近見たばっかりだ。
「みんな、久しぶり。このクラスが忘れられなくて帰って来ちゃった。
改めまして、朝倉涼子です」
370涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/03(日) 20:30:04 ID:1iQuma3W
昼休み。今俺達はSOS団緊急会議(団長抜き)をしている。
「朝倉涼子は統合思念体によって再生された。理由は二つ。
一つは、あなたを甦らせた事が評価されたため。もう一つは、朝倉涼子の思考がかつてと変わってきてるため。インターフェイスが本来持つ事が無い感情と言う物を持っている事に思念体が気付き、実験の意味で再生された。
おそらく、急進派の命令があったとしても、あなたに危害を加える事はしないと思われる」
つまり、特に問題は無しか。まだ多少不安はあるが、長門の御墨付きなら大丈夫だろう。
しかし、俺はまだ甘かった。いや、確かに命の危険は無かったさ。
ある意味その事以上に頭を抱えるはめになったが。
放課後いつもの様に部室に向かう俺。前はその事に愚痴を言っていたが、今の俺はそんな事はしない。
今のこの日々が楽しいと思っているからな。さて、入りますか。
部室には五人の人物がいた。ハルヒに長門、朝比奈さんに古泉。そして……何故か朝倉がいた。
371涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/03(日) 20:30:56 ID:1iQuma3W
「キョン、遅いわよ。折角新入団員を紹介するのに」
「初めまして、朝倉涼子です。皆さんよろしくね」
と述べた後、俺にウインクをしてきた。
「SOS団に入りたいって私に直談判してきてね。そりゃもうびっくりしたわ。
普通の人はこの団に入りたがらないでしょ。
まあ、朝倉さんの場合、他にも目的があるみたいだけど」
えー、ハルヒさん、長門さん、朝比奈さん?どうして俺が諸悪の根源だと言わんばかりに睨むんですか?
「ライバルが二人から三人になるけど、ここに入ってもらった方が動きもすぐにわかるし、なにより私の勘だと朝倉さんはたんなる元クラス委員長じゃないわね。
ほら、優等生に限って実は裏であんな事をってのがあるじゃない」
…ハルヒ、お前全てわかって言ってるんじゃないか?さあ正直に言いなさい、お父さん怒らないから、って誰がお父さんだ。
372涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/03(日) 20:36:04 ID:1iQuma3W
「じゃあ、これからよろしくお願いね」
そう言うと、朝倉は俺に抱き付いて来た。
「会いたかったわ。ずっとあなたの事を忘れられなかったのよ」
ふわりと長い髪からいい匂いが伝わって来る。直後、六つの針に刺された様な感覚が俺の背中に伝わる。
「ちょっと、あまりキョンにベタベタ触らないで」
「彼から離れる事を要求する」
「私以外の人にデレデレしないで下さい」
「別にそのくらいいいじゃない。本人が嫌がっているならやめるけど」
計八つの光線が俺に浴びせられる。どうすりゃいい。
とそこで古泉が助け船を出した。
「実は来る日のためにゲームを考えていたのです。それを明後日の土曜日に前倒ししてしまいましょう。朝倉さんの歓迎の意味も含めて」
八つの針が古泉に向かう。よくあいつは平然としていられるな。ともかく話を逸らしてくれて感謝する。
「内容ですが、液体の蛇と言う人物が主役のゲームを知っていますか?あれは新川さんの実体験に基づいてゲーム化され…いや、なんでもありません。
ともかく、あれと同じ様なものです。場所は鶴屋さんの所です」
373涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/03(日) 20:37:17 ID:1iQuma3W
つまり、あそこでかくれんぼ+鬼ごっこをやるのか。確かに、あそこはかなりの広さだし結構木も生い茂っているからサバゲーとかには絶好の場所だな。
「ルールは簡単です。女性4人が鬼で、彼はそれから逃げる。まず彼が森に入ります。20分後、鬼は2時間の間で彼を見つけてもらいます。それぞれに小型カメラをつけてもらいます。捕まえたらその時点で終了。
彼が2時間逃げ切ったら彼の勝ちです。次の日彼は1日限り団長です。しかし、鬼が彼を捕まえたら、次の日彼は捕まえられた人の物です。お持ち帰ろうが彼に何をしようが他の人は文句を言えません」
…古泉。改変世界で殴られた借りを今返してもいいだろうか。
「古泉君ナイスアイデアだわ!…別にキョンは関係無いけど、勝負と名の付く物には絶対負けないわ!みんなもそれでいいわね!?」
賛成5、反対1でゲームは実行される事になった。……気の精だろうか、俺の貞操が危なくなりそうだ。
374名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:40:20 ID:1iQuma3W
明日仕事が無ければ徹夜で書き上げるのに…くやs(ry
すみません、次は明日か明後日投下の予定です。
二度に渡る生殺し本当に申し訳ありません。
375名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:42:55 ID:LfnoWun4
GJ!
wktkして待ってるお

先生!固体の蛇だと思います!
376名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:44:17 ID:xcJgMy+R
まじひどい
れいてつさにないた
377名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:48:58 ID:1iQuma3W
やっちまった…
やっぱ寝不足だな。それに英語が出来ないのも晒しちゃったorz
378名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 20:54:04 ID:A4K9DdMd
えーとだな、投下自体には文句は何もないのだが、

前回から間が開いてるときは、
その前回が何スレ目のドコからなのか明記してほしい
間が開きすぎていきなり『涼宮ハルヒの完結』とか言われてもわけわかめ
379名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:01:12 ID:I62sIJ2H
自分で調べてもバチは当たるまい
380名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:08:31 ID:kqX/QdzE
それぐらい調べろといっても文句はないよな?
381名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:13:59 ID:vZGHSUyy
「書きたいネタがある」から書いているのに
いつの間にか「書かなきゃいけない」という強迫観念に捕らわれてしまう

それが間を空けて投下する事の最大の欠点
これが酷くなればだんだん推敲もせずにただ「書いて出そう」と考えるようになる

当然これは褒められた事ではない。ID:1iQuma3Wがどうかは分からないけど、
そんな事態に陥る前に、最初から最後まできちんと書いてからじゃないとロクな事にならんよ

良くあるケースとしては、「出し渋っていると誰かとネタが被るかもしれない」という意識。
だからそうなる前に取り合えず出そう、と思ったり。他にも自分のネタを早く人に見せたいという意識もある
それが悪いとは言わないし、むしろ書き手としては当然の心理だと思う。でも、やっぱり気をつけるに越した事はないよ

何を隠そう、俺もそうだったw
382名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:15:29 ID:98Xw10Qj
一晩空けてクールダウンしろってことでOK?
383名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:16:48 ID:1iQuma3W
>>378
本当にすみません。前スレの>>745からの続きです。
一応あれで終わっていますが、電波を突如受信したので書いてみました。
ちなみに今回はシリアスのシの字も出ません。
384名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:17:25 ID:vBi3sfPB
>>378
まあタイトルが示されてるんだし、気になるなら保管庫から探せば良い。
わけわからんのなら、ただ読み飛ばせば良い。
385名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:17:41 ID:vZGHSUyy
>>382
それもあり。書き上げた状態で興奮したまま「よしじゃぁ早速投下だ!」なんて一度は誰もが経験した筈
すると過疎った時間帯で投下しちゃって感想が殆ど貰えなかったり、投下してからミスに気付いたり
386名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:24:17 ID:98Xw10Qj
>>385
たしかに投下してからもうちょい直せばよかったってのあったわ
致命的なのは無かったけど
387名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:27:14 ID:7Ro97x75
読みながら、ああ、あれの続編かと思いながら読んでる俺はおかしいのか?
388名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:38:30 ID:8Mz1kF+C
基本的には自分で調べれば良いんだろうけど中途半端に終わってるのが多すぎて
どうしても俺も>>378みたいに思っちゃうな
389名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 21:52:17 ID:5xV3+gkn
SS保管庫で「完結」で検索したら一発で出てきたぞ。
390名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:08:47 ID:/hx2xO2A
では久しぶりに投下します。
10レスほど借ります。
391名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:08:49 ID:nHtiD8tn
と言ってもあんまり間が空いてるとやっぱり>>378みたいに思っちゃうかな
調べればいいってのはわかってるんだけど。

調べないと思い出せない時点で
俺みたいなヤツは読まない方がいいのかもしれないが
392朝比奈みくるの帰還騒動1:2006/09/03(日) 22:09:27 ID:/hx2xO2A
「…キョンくん。あたし……未来に帰ります」
俺はいつものように朝比奈さんから、お茶という名の誰もを幸せな気分にさせる甘露を頂戴していた
のだが、そんな二人っきりのSOS団部室でなんの前触れもなしに朝比奈さんは、俺を驚愕の底に
叩き落とすような一言を吐き出した。
彼女は二度とは過去には戻ってこないという。その上、期限はあと1週間だとも……。
朝比奈さん、いったいどうしたっていうんですか?


朝比奈さんの言葉には、本気だと信じざるを得ないような苦悶に満ちていた。彼女の愛らしい顔には、
さんざん思い悩んだのだと窺い知ることの出来る表情が、ぎこちない笑みに隠れながらもうっすらと
垣間見られた。
ひょっとしたら、原因はハルヒのセクハラや、あまりの暴虐ぶりに耐えきれなくなってのことかとも
考えたが、彼女はそんなことは絶対ありませんという風にかぶりを振った。
その後いくつかの質問を重ねたが、結局彼女は核心に触れる部分は答えてくれなかった。これには俺
も参ったね。というよりも多少のショックを憶えた。

もちろん彼女が未来に帰るということもそうだが、それ以上に俺を信頼してくれなかったことだ。
いや、信頼していないというのは言い過ぎかも知れん。だが、俺と朝比奈さんの間には、うっすらと
した、しかし確実に冷戦時代のベルリンの壁のような決して越えられないものが存在しているようだ。
思い当たる節があるのは、ハルヒの作った閉鎖空間に俺がハルヒと共に行く原因を、朝比奈さんが作っ
たと自分自身で思い込んでしまい、それに責任を感じるようになってからか。
それ以来、俺と朝比奈さんの心の距離は、一定以上に近くなることもまたそれとは逆に離れることも
なくなった。
それが、朝比奈さんが俺に全てを語ってはくれない理由の一つには数えられるだろう。


「やっほー!待ったー?」
俺と朝比奈さんとの間で気まずい空気が流れていたとき、ハルヒが無闇に上機嫌で、かつ臨界を迎えた
ウランのような、無限のエネルギーを発散しながら部室に入ってきた。
時々うらやましくなるよ。その溢れんばかりのエネルギーを人のために役立てりゃ、ちっとは感謝される
だろうぜ。
なんなら、ウランの代わりにハルヒを原子炉に入れてみたらどうだ?この国は半永久的に電力に困らなく
なりそうだ。
まったく、悩んでいるのがバカバカしくなるような元気ハツラツぶりだ。

そしてハルヒの後から、長門と古泉が舎弟よろしく親分に続いて部室に入ってきた。
すると、それまで沈み込んでいた朝比奈さんが、そんな空気を吹き払うような一段と明るい声で、
「じゃあ、お茶を淹れますね」
と立ち上がり、彼女が一年近くの間に培ってきた、お茶汲みスキルを遺憾なく発揮した。
「みくるちゃん。お茶を淹れるのがさらに上手になったわね!」
何を言ってやがる。わずが3秒間でお茶を飲み干す奴にそんなこと言われても、朝比奈さんも微妙な笑み
を浮かべるしかないだろうぜ。
それでも朝比奈さんはお優しいから、素直に喜んでいるようにも見えるがね。
「本当にね、朝比奈さんの淹れるお茶は絶品です。文句のつけようがありません」
古泉、その意見には同意するが、お前が言うとハルヒへのお追従にしか聞こえないし、その意見もどこまで
本当か信じがたいんだよ。
長門だけがいつものように無言無表情でSF小説に読み耽っている。ま、こいつは当たり前か。
393朝比奈みくるの帰還騒動2:2006/09/03(日) 22:10:09 ID:/hx2xO2A
その後、俺は古泉と花札をやっている最中に朝比奈さんの表情をチラ見してみると、俺と目があって微
笑みを浮かべそうになりながらも、すぐさまそれを打ち消すかのように、表情を硬くした。そのくせ、し
きりにこちらをチラチラと見ているように感じた。
まったく、わけがわからん。
──こんな時、俺のように女心に疎い男は苦労するぜ。彼女の心がいっこうにわからないんだからな。
まるで霞をつかもうとしているようなものだ。それに、これ以上彼女から無理に聞き出そうとしても
かえって逆効果になりそうだしな。

「ねえ、キョン。今日はやけに落ち着かない様子ね。それにさっきからみくるちゃんの顔ばかり
見ているし…。──ひょっとして、妙なこと考えているんじゃないでしょうね?」
ハルヒは俺の態度に不審を抱いたのか、俺の心を見透かすようなことを突如言い出した。
妙に勘の鋭い奴だ。
俺はそんなにあからさまな態度をとっていたのか……?
だが俺には、朝比奈さんをどうにかしようというようなよこしまな気持ちなんて米粒ほどの大きさも
ない、ということだけは言っておく。
ハルヒは「ふうん、そう?」と顔をアヒル口に変化させて言いながらも、それ以上深くは突っ込んでこ
なかった。

下校時間を迎え、SOS団の活動が終わると、ハルヒは全ての事柄においてトップを目指す彼女らしく、我
先にと部室を出ていった。
すると、朝比奈さんも俺たちに詰問されることに恐懼を抱いて居づらくなったのか、着替えを済ませると、
ハルヒの後を追うようにそそくさと出て行った。
それを見届けると、俺は残った2人に知恵を借りるため、事情をかいつまんで話した。
ハルヒにはまだ話さない方が良いだろう。下手に教えれば何をし出すかわからないからな。
たいして長い話ではないので、2人は相づちを打つまでもなく黙って聞いていた。
「そうですか。それは何とも突然の話ですね。非常に残念です。彼女が未来人だということを飲み込んだ
としても、我々SOS団には欠かせない人物ですからね」
「すまん、古泉」
と言うと、何故あなたが謝るのですか? というような表情が見て取れた。
「俺が謝ったのは、お前のことを少し見くびってたからだ。機関の人員であるおまえからすれば、過去に
ちょっかいを出してくる未来人は邪魔者のはずだ。それなら、朝比奈さんが帰ったところで、おまえにす
ればなんの痛痒も抱かないどころか、かえって好都合のはずだ。だが、今のお前は心底残念そうな表情
をした。だから謝ったのさ」
俺は少し表情をゆるめて、そう古泉に言った。
「もちろん僕にも、そんな考えだった頃はありました。しかし今はこのSOS団にこそ帰属意識を持っている
つもりです。そこには涼宮さんがいて、朝比奈さん、長門さん、そして──あなたがいるのです」
と言って俺にバチッとウィンクをした。
やめてくれ、気色の悪い。

長門はどうだ?
「……別に」
……それだけか?
「わたしの観察対象はあくまでも涼宮ハルヒ。未来人の彼女がいなくなれば、涼宮ハルヒを取り巻く不安定
要素の一つが消える」
そうか……それも仕方がない。別に責めはしないさ。
ということは、長門の協力は得られそうにないから、頼りは古泉だけか……。
しかし、いくら鋭くどこまでも見透かす力を持ち、なおかつ頼れるお人だとはいえ、鶴屋さんに助けを求め
るわけにはいかない…。それに、さすがに朝比奈さんが未来人であることを話すわけにはいかん。
そう、彼女に助けを請うのは、あくまでも最終手段だと心得よう。
結局2人とは──といっても古泉だけだが──情報の収集と善後策を練るということで一致した。
394朝比奈みくるの帰還騒動3:2006/09/03(日) 22:10:47 ID:/hx2xO2A
その後2人と別れ、俺は帰宅するべく下駄箱の前へとたどり着いた。そして靴箱の扉を開けると、いつか見
たような1通の手紙がそこにはあった。
差出人は朝比奈さんだ。中身は一枚のピンクの便箋で、内容は簡潔に『部室で待っています』だった。
それを見た俺は、あわててもと来た道を引き返した。
だが、今また俺を呼び出すなんて……ひょっとして真相を話すつもりだろうか?俺は怪訝に思いながらも
足を速めた。
果たして、たどり着いた先に彼女はいた。

「キョンくん、しばらくね」
そこにいたのは、朝比奈さんに変わりはなかったが、朝比奈さん(大)だった。
俺は以前、彼女の指令を受けた朝比奈さん(小)とともに、彼女たちから見れば過去に当たる、俺たちの
生きている現代の歴史をいじくるという、何件かのおつかいのような作業を強いられた。
そういったことを踏まえた現在の俺は、彼女に対して日本一大きな湖の水量に比して一滴ほどと言ってい
いぐらいのわずかだが、しかし確実に不信感を抱いているといっても差し支えない。
その現在の俺の心境を読み取ったのか、朝比奈さん(大)は苦笑を浮かべながら、
「キョンくん、そんな困った顔をしなくても、今日は過去に行ってなんて言わないから安心して」
よほど険しい表情をしていたんだろうな。しかし、そんなに顔に出やすいのか俺の感情は…?

「今日は、あなたも今困っている懸案についての説明とお願いに来ました」
幾分顔を引き締めて、朝比奈さん(大)は説明を始めた。
「この時代にいる過去のわたしが、つい先日、現在の監視任務を解いて欲しいと、そして未来に帰りま
すと、わたしたちの組織に申告してきました。もちろん任務を途中で放棄するようなことが認められる
わけない。そう言うと彼女は、組織を辞めますとまで言ってきたの」
これには俺も驚いた。彼女はそこまで思い詰めていたのか。
……朝比奈さん(小)はそこを辞めたいと…。何故なんです? 理由は?
「詳しくは話してくれなかったみたいなの。でもわたしは、彼女と同じ人間だから少しわかる気がする。
この時代、わたしは言いようのない無力感にとらわれていたの。今になればこそわかるけど、なぜこの
時代になんの情報も携えることなしに任務に就かなくてはならないのか、自問自答していたわ。あな
たに励まされもしたけど、自分の部屋で泣きはらすこともあったわ」

ハルヒの指示によりドジッ子メイドを演じるうちに、それが地になってしまった感があるけれど、彼
女はれっきとした未来人であり、普通の女の子としても生きながら、任務を全うしなくてはならない
んだ。
それは、とても言葉では言い尽くせない苦労だろう。しかも彼女は、未来人という特殊事項を除けば、
あくまでも一般人だ。俺と変わらない…な。古泉や長門ほどの鋭さを感じさせない点でもな。
だが、何故なんです?あなたにしてもいつか通った道じゃないんですか? それならいずれ時が解決す
るんじゃないんですか?
すると、朝比奈さん(大)は首を振り、
「実はそうじゃないの。わたしは、辞めるなんてことを一度も言ったことがなかったわ。つまりわた
しが経験してきた歴史とは変わっちゃっているの。そこでキョンくん、あなたにお願いしたいんです。
どうかこの時代のわたしを説得して、未来に帰ることを思いとどまらせて欲しい。このままじゃ歴史
が変わっちゃうの。しかもわたしが発端で…。それに、あなたなら大丈夫。きっと何とかしてくれる
でしょ?」
また歴史が変わる……か。何か引っかかるんだよな、この言葉……。のどに小骨が刺さっているよう
な感覚だ。なにかわかりかけているような、そんな感覚だ。
もっとも、俺はハルヒや古泉、長門のように頭の回転が良いわけではないからな、速やかに答えを
導き出すというわけにはいかんが。

だがまあいい、俺も朝比奈さん(小)を止めたいと思っていたからな。思惑の一致だ。
いいですよ。俺も彼女を失うわけにはいきません。我がSOS団には必要な人材なんです。止めて見せ
ますよ。
俺にとっても切実だ。彼女の微笑みや仕草は俺を癒してくれるし、お茶が飲めなくなるのは痛い。
「ありがとう。キョンくん」
と言って、俺の頬に軽いキスをすると、二言三言交わした。しかし、あまり長くはこの時代にいられ
ないらしく、彼女はきびすを返すと、部室を去っていった。最後にもう一度俺に懇願した上で…。
さて、後は家に帰って考えをまとめてみるとするか。
395朝比奈みくるの帰還騒動4:2006/09/03(日) 22:11:30 ID:/hx2xO2A
一晩考えあぐねた結果、俺は朝比奈さんを止めるための策をなにも導き出すことは出来なかった。
なにをやってんだかな、俺は…。
そんな俺の焦燥と後悔などお構いなしに一日は過ぎてしまった。
そして翌日の放課後がおとずれた。
俺はいつものように、SOS団の部室にやったきたのだが、なにやらハルヒと朝比奈さんとおぼしき話し
声がするので、してはいけないと思いつつも、すぐには部屋に入らず聞き耳を立てた。
「ねぇ、みくるちゃん。あなた最近ちょっと様子が変じゃない?」
「はぅっ!えぇ、そ、そんなことないですよぉ」
朝比奈さん、嘘をつくのが下手すぎます。それじゃあ顔色をうかがわなくとも、声の調子だけで嘘だっ
てことがまるわかりですよ。こんなのハルヒじゃなくてもわかります。

「ひょっとして……みくるちゃん。あなた、キョンのことで悩んでいたの?」
『!?』 ハルヒの奴、声をうわずらせながら何をとんちんかんなことを言っているんだ。朝比奈さんが
悩んでいるのは、そんなんじゃないんだよ。
「……ち、ちちち、ちがいます。……そんなことありましぇん!」
朝比奈さん、そんなふうに断言されると、俺もちょっと悲しい気分になりますよ…。
しかし、肯定されたとしても、それはそれでもっとまずいことになっただろうがね。
「そう? キョンの様子も変だったから、どっちかが告白でもしたのかな? なんて思ったから」
…方向は違っているが、告白という線は間違っていない。
やはりハルヒの勘は侮れないぜ。
あれだ。あの女は野生の動物のような独特の嗅覚でも備えているんだ。そしていずれ、大地震の兆候を
嗅ぎ当てて知らせてくれるかも知れないな。

「みくるちゃん。あなたが、もしキョンなんかがいいなんて言ったら、大阪港に沈めなきゃいけないく
らいに必死で止めていたとところよ。キョンなんか相手にしていてもいいことなんかないからね」
めちゃくちゃ言うな!余計なお世話だ。
しかしながら、ハルヒはさっきと打って変わって、ためらいながら、さらに朝比奈さんへの話を続けた。
「でも……そうね、もしあなたが本当にキョンのことが好きだっていうんなら…協力…しなくもないわよ」
「………」
……聞いちゃいけなかったな。どういうつもりでハルヒがこんなことを言ったのかわからないが…。
一度、ここを離れるか。

「…フッ」
「うぉわっ!!」
誰かが耳に息を吹きかけやがった。誰だ!?
「なに?そこに誰かいるの?」
いかん、ハルヒに気づかれたか?
やむをえん、ここは今来たように振る舞おう。
「や、やぁ!ハルヒ、もう来てたのか」
しまった。声が裏返っちまった。あからさまに怪しいな、俺は。
しかしハルヒは、そんな些末なことには気にならない様子で、
「キョンに、有希と古泉君じゃない。一緒に来てたの?」
え?長門に古泉だと?
後ろを振り返ると確かに2人はいた。
ということは、さっき俺の耳に息を吹きかけたのは古泉……だよな?
位置的に、長門が俺のすぐ後ろにいたような気がするが……。
まあ、いい。後で古泉の奴をぶん殴ってやろう。それで万事解決だ。
長門であろうはずがない。よな?
396朝比奈みくるの帰還騒動5:2006/09/03(日) 22:12:20 ID:/hx2xO2A
俺たちがぞろぞろと部室に入ってくると、おもむろにハルヒは大量破壊兵器でも飛び出しかねない
ような、危険きわまりないその口を開いた。
「と、ところでキョン。あんた、さっきの会話聞いてなかったでしょうね?」
ハルヒの顔は、夕陽の照り返しのせいか、やけに赤く染まっていた。
いや、知らないな。何か聞かれちゃまずいことでも話してたのか?
「そんなことあるわけないでしょ!聞いてないんならいいの。別に!」
ハルヒは俺を見ずに、本棚の方向を見据えながらそう言った。

そして俺はハルヒから視線を移動させて、朝比奈さんに向けてみると、彼女は小柄な体をちょこまか
と動かしながら、3人分のお茶の用意をしてくれている。
そんな朝比奈さんがどんな心境であろうとも、彼女の着こなすメイド服が様になっていて、それが彼
女の苦悩の表情を幾分かでも覆い隠している。
だが、先ほどの会話の余韻が彼女の行動に微妙な影響を与えているのか、動きがぎこちない。
「キョンくん、お茶です」
ありがとうございます朝比奈さん。と、軽くこうべを垂れてお礼の言葉を述べる。
それを見て、朝比奈さんは微笑みかけてくれたが、あわててぎこちなく少し硬めの笑みをつくりだし
俺に向けた。そしてそのままの複雑な微笑みを浮かべたまま長門が座っている席に向かった。

その後俺と古泉は、思案に明け暮れながら気持ちがまったく入らない将棋の対戦を行っていた。
そして時折、古泉や朝比奈さんのほうを0.5秒間ほど見やった。
当然ながら、対戦はおろそかになっている。歩が水平移動するなど、駒の動きがてんででたらめだ。
ついには、指揮官先頭よろしく単身で俺の王が古泉の陣地に乗り込み、やつの玉に向かって王手をか
けるという、類い希なる珍事を繰り広げていた。しかも俺が勝つというおまけ付きだ。

しかしながら、俺たちの妙な振る舞いには目もくれず、ハルヒはシャシャーペンを耳に挟んだまま黙
考している。そして朝比奈さんもまた、俯いたまま黙りこくっている。
つまりは、長門を除く皆がおかしかったが、誰もそれを口にしないし気づきもしないという、一種異
様な状況が部屋の中に充ち満ちていた。

だが、そんな時だった、ハルヒが突如団長専用机の上に立ち上がり、その勢いで俺にスカートの中に
あったライトブルーのなにかを見せるという無料サービスを行いつつ、
「みんな、今度の土曜日は臨時の市内探索をするわよ!」
と、いつもの調子で一方的に宣告した。
もちろん俺たちSOS団員に拒否権はない。決定されればそれに従うしか選択肢はないのだ。
そこには、『逃げる』も『攻撃する』も『呪文を使う』もなかった。
──俺たちはこうしてハルヒに翻弄され、貴重な休日を献上する1年を歩んできたんだからな。今更
だろうぜ。

有無を言わせぬその主張を発表し終えると、ハルヒは話が終わったとばかりに部室を飛び出していった。
解散の合図だ。
他の女性陣2人も帰り支度を終え、部室を出て行った。
さてと…
俺は古泉に目配せをしてやった。奴もわかってますよ、といった風に窓際に立ちながら話を始めた。
「今日はあまり時間もありませんので手短に…」
わかっているさ。すでに朝比奈さん(大)にはだいたいの事情を聞いている。それほど情報が必要な
わけじゃないさ。
「そうですか。僕もあなたに全てを伝えるのはためらわれるところでしたので、好都合です。では
一言だけ言わせてもらいます」
と、もったいぶりやがる。
「あなたが、アダルトバージョンの朝比奈さんから伝えられた情報とはおそらく符合しないかと思い
ますが、今は僕の得た情報の詳細は言わないでおきましょう」
なぜだ?と言う俺の問いかけを無視するように続けた。
「あなたは本当に幸せな方ですよ。僕はあなたに羨望を抱かざるを得ません。今、多少の問題を抱え
ていますが、あなたなら早晩解決出来るでしょう」
と言うと、俺に質問をする暇も与えずきびすを返すと、スウッと消え去るかのように出て行った。
後に残されたのは、呆気にとられて間抜け面をしたままの俺1人だけだった……。
397朝比奈みくるの帰還騒動6:2006/09/03(日) 22:12:57 ID:/hx2xO2A
しかし……古泉は気でも違ったか?俺は朝比奈さんの情報を要求したというのに、奴は俺が幸せだと
かわけのわからんことをぬかしやがった。いったい、それと朝比奈さんとどういった関係があるんだ…?
それとも古泉の奴め、ハルヒの悪影響で頭のネジが2,3本ほど外れてしまったんじゃないか?
あれだ、朱に交われば赤くなるというやつだ。ハルヒが発する強力電波によって、古泉の考え方がずい
ぶん拗くれてしまったんだろう。
そう決めつけはしたものの、その日は俺はハテナマークを4、5本頭上に浮かばせながら帰途についた。



日は飛んで土曜日。つまりハルヒによって設定された、SOS団恒例の突発的市内探索イベントの当日だ。
さすがに最近は寒さを感じることがなくなりつつあるようで、穏やかな日差しが俺の気持ちの良い目
覚めを誘う。
そのせいか、俺は懸案事項を抱えているにもかかわらず、ゆったりとした朝を迎えていた。
目が覚めると同時に妹が部屋に闖入した。
「キョンくーん、朝だよー!なんだ、もう起きてたの?」
おもしろくなさそうに、ほおをオキナワキノボリトカゲのようにふくらませる妹。もうすぐ6年生になる
というには幼すぎるが、愛らしい表情であることは兄の俺が保証しよう。
お前の兄は日々進歩しているんだ。お前も俺の妹なら俺をみならって、もう少し大人の態度とれるように
なるんだな。

朝の行事を済ませると玄関を出て、連日の酷使によりガタがきだした愛用のママチャリを準備する。
そしてチャリンコを飛ばすこと十数分、集合場所である北口駅前の公園にたどり着いた。
そこには、珍しくもハルヒがまだ到着していなかった。
これは天変地異の前触れか?
すると、タッチの差でハルヒがやって来た。一番最後に来たというにもかかわらず、まるで焦った様
子はない。さすがにこいつは大物だ。
「ハルヒ、最下位になったからにはお前がお茶代出すんだろうな」
と俺が言うと、憮然とした顔で
「あんた男でしょ、女の子のあたしに出させるつもり?」
こんな時だけ女の子ぶりやがって。それにお前が出したとしても、俺には心の痛みはかけらもありはし
ないんだよ。
「なんですって、キョン。あんた、団長のあたしに出させようって言うの?」
いや、それがお前の決めたルールだったんじゃないのか?
などと、俺たちが茶店代をめぐっての醜い言い争いを繰り広げていると、それを見かねた朝比奈さんが
「あ、あのぅ、よかったらあたしが出しますけど」
などと、おずおずと言い出した。

「ほら、キョン。みくるちゃんにあんなことを言わせるなんて、あんたそれでも良いの? みくるちゃん
に出させる気?」
お前が出してくれれば、そもそも問題にならないんだが……。
「……わかったよ。俺が出すよ」
なんでこうなるんだ?などと釈然としないながらも、不承不承、俺のおごりとすることに決定された。

──気を取り直して、くじ引きだ。
俺はハルヒに聞こえないように、長門に囁いた。
「長門、俺と朝比奈さんをペアにしてくれないか?」
もちろん、最後の説得を為すためだ。
「……わかった」
しかしながら、結果は俺と朝比奈さんそして長門の3人に、ハルヒと古泉のペアだった。
398朝比奈みくるの帰還騒動7:2006/09/03(日) 22:13:39 ID:/hx2xO2A
そして2人との別れ際、古泉がそっと俺の耳に囁いた。
「どうもこの組み合わせは、涼宮さんが望んだもののようですよ」
どうりで長門の力が及ばなかったはずだ。だが、長門が加わることに何か意味があるのか?
「さて、どうでしょう。朝比奈さんをあなたとペアにさせたいと考えたものの、2人きりは嫌、という
乙女心のなせる技ではないでしょうかね?」
……なんのことだかね。

最後にハルヒは朗らかな笑顔で言った。
「市内探索だっていったけど、今日はそれほど気にしなくていいわ」
いつもたいして気にしてないけどな。
しかし、ハルヒにしては珍しいことを言ったもんだ。
それでもこの貴重な時間は、朝比奈さんの説得にありがたく使わせてもらおう。


さて、探索の時間になったが、じっくりと話の出来る場所と言えばあそこ……か。
というわけで、俺たちは川沿いの公園に向かった。
そう、俺が朝比奈さんから未来人の告白を受けた場所であり、思い出したくもない記憶ながら、文化祭
自主制作映画のロケ地としても使われた場所だ。
ただし、そこは歩いて行くには遠すぎるため、電車を使って北口駅から1駅西へと移動した。
その日の公園は、うららかな日差しに恵まれていた。
しかしもちろん、春の気配は催しているものの、今は桜が咲くことはない。つぼみはようやくふくらみ
始めたところであり、花が咲き誇るのはしばらく先だ。
そう、ハルヒの力さえなければ今の状態が自然なのだ。
しばらく散歩かねて歩いた後、2人はベンチに座り、俺は飲み物のリクエストをとった。
「キョンくんごめんね。じゃあ、紅茶をお願いします」
長門は何がいい?
「……プリンシェイク」
なかなか通なチョイスだ。
だが、手近な自販機では長門のリクエスト品が見あたらないため、わざわざ5分以上歩いてコンビニまで
出向く羽目になった。

「お待たせしました。朝比奈さん」
俺が時間をかけて買いに行ったため朝比奈さんは恐縮し、礼を言いながら紅茶の入ったアルミ缶を受け
取った。
「……ありがとう」
珍しく長門が礼を言って受け取るやいなや、常人には不可視なほどの猛烈なスピードで缶を振り始めた。
長門は秒間数百回と思えるほどの振動を加えている。
おいおい……それじゃあプリンがただの汁になっちまうぞ。
「……いい。わたしはこれが好き」
そ、そうか。別に他人の好みにとやかく言うつもりはないが……。

各自思い思いに飲み物でのどを潤すと、気分が落ち着いてきた。
俺は頃合いを見て朝比奈さんに話しかけた。
「朝比奈さん、あなたが未来に帰る理由はあるルートから聞きました。どこからかは言えませんが……。
今ならまだ間に合います。もう一度、考え直すというわけにはいきませんか?」
すると、朝比奈さんは何故か顔を真っ赤にして、
「えぇ!? キョンくん、理由を知っているんですか?」
なんだ、この反応は? 微妙にリアクションがおかしいな。
「……ええ。ですから、今日はあなたを説得するための良い機会だと思っていました」
しかし、朝比奈さんは顔を赤らめたまま、素早く数回かぶりを振る。
「でも、あたしはこれ以上この時代にいたら変になっちゃいそうだし、それに…涼宮さんのこともあ
るし…」
ハルヒが何か関係あるんですか?
「だって、あなたが涼宮さんのパートナーであることは、涼宮さんにとっても未来の安定にとっても絶対に
必要な条件なの」
何か、話がかみ合っていないような気がする。朝比奈さん(大)の話と食い違っていないか?
だが、今は逡巡している場合じゃない。この千載一遇の機会を逃してしまっては、俺たちは朝比奈さんを
手放さざるを得なくなってしまう。
399朝比奈みくるの帰還騒動8:2006/09/03(日) 22:14:22 ID:/hx2xO2A
俺は普段より35%増しの真剣な顔を彼女に向ける。
「俺がパートナーだとかは置いておいて、ハルヒも含めて俺たちは、あなたを必要としているんです。もち
ろん、俺にとってもあなたは大切な存在です。それにあなたはハルヒに悪影響を与えると思っているかも知
れませんが、あなたが帰ってしまうことの方がはるかに影響を与えます。下手をすればまたハルヒが閉鎖空
間を生み出しかねません。──ですから、もう一度ここにとどまって、俺たちと一緒にSOS団の活動をしま
せんか?」
朝比奈さんは、胸の内にいろいろな考えを巡らせながら琥珀色の潤んだ瞳を俺に向けている。
「キョンくん──あたしのことそんなに……でも……」
彼女の反応が少し大げさに見え、違和感を感じる。だが、まだ考えをつきかねているようだ。そうはいって
も俺の恥ずかしいセリフはもう出尽くしたぞ。これ以上何を言ったらいいんだ?

すると、それまで沈黙を保っていた長門が突如口を開いた。
「……あなたたち未来人が未来から見た過去は、必ずしもあなたの未来へと続く過去だとは限らない」
ん? どういう意味だ、長門。
「長門さん……それって、あたしたち未来人が行ってきたことが間違いだったと言うことですか?」
「全てがそうだとは言い切れない。だが、あなたたちが過去を操作することで無数の分岐が増えていくこと
にもなる。それに、あなたの知っている過去が変わっていたとしても、その事実が未来につながり、それが
未来の状況自体を変えてしまうとは限らない」
最初はまるで意味がわからなかったが、長門の言葉は、俺が未来と過去の関わりについて抱いていた疑
問に対して、いくらか氷解してくれるものだった。

そう、かつて朝比奈さん(大)が俺に言った『過去に来てみたら、わたしたちの知っている歴史と微妙にずれ
ていたら……』これを聞いた時点で疑問を持つべきだったんだ。
彼女のいる未来が、変化したとする過去とつながっているのならば、変化してしまった事実こそが真実となる
未来へと変化しなくてはならないはずだ。だが、彼女は歴史のズレを認識していた。
つまり、その変化した過去によって、未来までもが変化したわけではないということだ。
これで腑に落ちたぜ。
だが、長門の話が今の朝比奈さんとどういう関係があるんだ?
話の続きを期待した俺と朝比奈さんだったが、長門はもとの無口な宇宙人としての面に戻り、朝比奈さんを
見据えて最後にポツリと言った。
「……後はあなたが考えること」
自分の役目は終わったとばかりに、小さなその口を耐火金庫のように固く閉ざしてしまった。
「そう…ね、もしこの時代であたしがキョンくんと……ても…未来とは……なのかも」
朝比奈さんはブツブツと聞き取れない独り言を言っている。
これで朝比奈さんを説得できたかは自信がないが、ともかく集合場所へ戻ろう。

再び結集したSOS団のメンツは、駅前のファーストフードの店で昼食をとることになった。
飯の途中、ハルヒが差し出したくじ引き用のマッチ棒によって、新たな組み合わせが決定された。
それを見て、ハルヒはおもしろくなさそうな顔をしている。俺もその結果を見てがっかりするしかなかった。
そう、午後の探索は残念ながら古泉とペアになってしまったのだ。まったく、3時間にも渡って奴の蕩蕩た
る演説を聞く俺の身にもなってみろってんだ。

そして探索終了の時間を迎え、再び集合したとき、げんなりしている俺とは対照的に、朝比奈さんはずいぶ
んと涼やかな表情をしていた。何か吹っ切れたような気配があった。どうやら、最悪の結末は迎えずに済み
そうだ。

「これにて解散!」
ハルヒの解散命令によって、皆がそれぞれの居場所へと散っていった。
朝比奈さんは俺に、もう心配いりませんというようなウインクをして、手を振りながら帰途についた。
だが、俺はしばらく公園で突っ立って、気だるいような余韻を感じていた。
次第に気持ちが落ち着き、そろそろ帰ろうかと体を反転させると、長門が俺のすぐそばに立っていた。
「うおっ!」
驚く俺。長門はまだ帰っていなかったのか。
400朝比奈みくるの帰還騒動9:2006/09/03(日) 22:14:56 ID:/hx2xO2A
「長門、俺に話でもあるのか?」
コクッと、0.3ミリほどの首肯。
「……朝比奈みくるは未来への帰還を撤回した」
そうか、お前が説得してくれたのか、ありがとよ。
「ちがう、彼女に思いとどまらせたのはあなた。わたしは少し敵に塩を送る真似をしただけ」
なんだ、その言い回しは……。朝比奈さんはお前にとって敵なのか?
「それは言葉の綾。わたしは、朝比奈みくるを未来人としては敵視していない。それに涼宮ハルヒへの
悪影響を避けるためには、彼女にはここにとどまってもらう方がむしろ得策だと判断した」
最初は、朝比奈さんがいなくなってもかまわないようなことを言っていたお前が、考えを変えるとはな。

まあいい。どちらにしろ、長門の協力で朝比奈さんは未来への帰還を思い止まったんだ。
「長門、お礼に今度なにか飯でもおごってやるよ。なにがいい?」
長門は0.05秒ほど沈思黙考し、
「カレー」
と、一言述べた。
お前は戦隊もののヒーローか、と心の中でつっこみを入れながら
「わかったよ」
と了承した。
だが別れ際、長門は最後に気になる一言を放った。
「あなたはやっぱり鈍感。朝比奈みくるの未来への帰還に関する本当の理由に気づいていない」
本当の理由? 朝比奈さん(大)の情報との齟齬があったことには気づいたが、それはいったい何だ?
「……教えない」
と、フードをかぶるとさっさと駅に向かった。


俺は納得のいかない心持ちで日曜を過ごし、そして翌週の月曜日になり、ついで放課後を迎えた。
俺がSOS団の部室に立ち入ると、俺を見た朝比奈さんが俺の胸に飛びこんできた。
一瞬何が起こったのか理解できず、目を白黒させて混乱している俺に対して、朝比奈さんはさらに体を
押しつけてくる。
「あ、朝比奈さん。そんなに押しつけられると、俺のいろいろな部分が困っているんですが……。それに
古泉や長門がこっちを見ていますよ」
しかし、朝比奈さんはそんなことはお構いなしに、俺にふくよかな部分を押しつけたままだ。
「キョンくん。あたし、あの後ずっと考えていたの。あなたや長門さんに言われたことで、あたしの中で
わだかまっていたことが消えていった気がするわ。あたしが、こんなことをして、たとえ涼宮さんからあ
なたを奪い取っても、未来には影響ないんですものね。これからは遠慮せずにキョンくんにアタックする
ことに決めたの」

……な、なんだってー!? ひょっとして朝比奈さんが未来に帰ると言っていた原因は俺、なのか?
俺はこの時に至ってようやく理解した。長門や古泉の発言にも合点がいく。
長門が言った『あなたはやっぱり鈍感』のフレーズが脳内でリフレインする。

そんな時、部室のドアが乱暴に開け放たれ、騒動の種がやって来た。
「おっくれてごっめー……あ、あんたたち、なにしてんの!?」
……俺は生き延びることが出来るか?それは難問だ。
だが、朝比奈さんはハルヒの咆吼にもまるで怯えることなく、逆に言い返した。
「涼宮さん。あたしがキョンくんとこうしていることに何か問題でもあるんですか?」
朝比奈さんの思わぬ切り返しに二の句が継げないハルヒ。言葉を探しているようだが、朝比奈さんは
追い打ちをかけるように攻撃を続ける。
401朝比奈みくるの帰還騒動10:2006/09/03(日) 22:15:47 ID:/hx2xO2A
「涼宮さん、あたしが本気なら協力してくれるって言ってくれたじゃないですか。だから、あたしは
あなたにライバル宣言をしちゃいます」
「み、みくるちゃん。なにも今そんなことをいわなくったって。それに、ライバル宣言ってなによ!
あ、あたしは別に、キョンのことなんか……」
朝比奈さん、何か性格まで変わっていませんか?しかも、ハルヒをやりこめるなんて初めて見たぜ。
「涼宮さんがキョンくんのこと何とも思っていないんなら、あたしがこうしちゃいます」
と、朝比奈さんは俺の腕をとり、自分の腕を絡めてくる。
怒りで我を忘れそうになっているハルヒは、ワナワナと体を震えさせている。
部室の空気がピリピリと痛い。この場からすぐに遁走したい気分だが、朝比奈さんに腕をとられて
いるため動けない。
他の2人を見ると、古泉はあくまでも傍観者としての態度で、興味深そうにこの修羅場──なのか?
──をみつめている。
長門はというと、爪をかみながら『失敗した』とつぶやいている。
ある意味ハルヒより怖い。

果たして、一時間後に俺は存在しているのだろうか?



ここからは後日談だ。

あれ以来朝比奈さん(大)からのコンタクトはない。ただしある日の下校時、下駄箱に一通の手紙
が入っていた。
そこには『ありがとう。そして嘘をついちゃってごめんなさい』という文章がしたためられていた。
今頃、朝比奈さん(大)はどうなっているのか?それとも長門の言うようにつながりはないのか。
それはわからなかった。

次に、古泉によると、ハルヒは閉鎖空間を生み出してはいないらしい。
「涼宮さんは、朝比奈さんとのあなたへの恋のさや当てによって、適度に退屈と憂鬱を解消して
いますから」
なんでも、そういうことだそうだ。
『あー、あー、聞こえないー』と、耳をふさいでいたい気分だ。
そして、今日も今日とてハルヒと朝比奈さんは、俺に手作り弁当を手渡すなどして、互いに張り
合っている。

騒動はこれで解決した、のか?


終わり
402名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:16:20 ID:/hx2xO2A
以上です。
403名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:24:26 ID:A4K9DdMd
うん。可もなく不可もなく面白げ。おつかれさん。
404名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:34:43 ID:kUyCtxms
乙!
405名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:39:18 ID:MSSIJb+t
強気な『みくる』もかわいいね
GJ!
406名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:50:47 ID:leMJlq3R
長門の反応にちょっとニヤッとした。
面白いと思うよ。
407名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:50:52 ID:5lmOx7p/
希少のミクルスキーの俺にはたまらんww
ケータイからGJ!!!!
408名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 22:52:19 ID:kNYfCmUN
久々の朝比奈SSだな。完成度は高かった・・・と思う。
いや、断言できないのは俺も>>403の感想に近い部分があるからだ。

ちょっと長編にして、そしてきっちりまとめたSSを読んで初めて
分かるのだが、みくるが扱いにくいということがよくわかるよ。
谷川氏の原作でも彼女の活躍は少ないし、時間移動のトリックとか持ち
込まれたら難解なものになる。読む方も混乱するよ。
そしてこれは俺個人の意見だが、みくるは『乙女心』とか『女らしさ』
みたいなものがふんだんに盛り込まれたキャラクターだから、あんまり
細かい心情描写をされると鈍感な俺(男)はさっぱりついていけない。だ
から感情移入がしにくいというか、共感できないことが時々あるんだよな。
まだハルヒや長門の方が、感情表現が単純で分かりやすい。
409名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 23:33:13 ID:eC21E50x
>>402
GJ!最高だよ。
みくるがデレってるところをもっとみたい!
410名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 23:45:28 ID:52uNqzdF
起きたらいきなり女体化していて、部室でハルヒと古泉に
弄られるキョンを想像した。
ハルヒはともかく古泉は上手そうだ。
411名無しさん@ピンキー:2006/09/03(日) 23:51:00 ID:vwnX5Giv
>>408
みくるの扱い辛さはどうしようもないなー、と思う。
ハルヒ、古泉、長門の三人はキャラ的に
ある程度勝手に動いていってもおかしくないと思うけど
みくるはそういうのが想像し辛い上、動いた上で事件を起すにしても
日常ものか、難解な時間移動が関わるものかっていう
極端な二択になっちゃいそうだし。

>>402の話は面白いし長門の反応が面白かったんで良いんだけど
セワシ君的解決法(辿った道が違っても同じところにたどり着く)
というのはちょっとどーかな、と思わなくも無い。
412名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 00:50:42 ID:mF6ndKL0
前スレにゼロの使い魔の
キャラ入れ替え版みたいのあったよな。
で、むしゃくしゃして銀魂の特別編を考えました。
書かせてください!マジで。
413名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 01:09:50 ID:CqhDoR06
いけ!迷う暇があるなら書くんだ!!
414名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 01:29:48 ID:VwmgpQhE
諦めたらそこでゲーム終了ですよ
415名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 01:52:41 ID:9BSmqNAY
>>401
の状況になったキョンは男から狙われたりしないのだろうか?
それと谷口の反応が気になる
416名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 01:56:46 ID:GxCFfOxZ
たぶん谷口は翌日から目がうつろに…
417名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 02:33:13 ID:bJXKdVQu
>411
あれ?セワシ的解決法をチラつかせつつ、やっぱり規定事項だったってオチじゃないの?

これは面白かったなと素直に思う。絶賛とまではいかないけど。
あと、「騒動」が無い方がハルヒ的タイトルな希ガス。おさまりも悪いし。
418名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 03:23:11 ID:NrgtEl/b
朝比奈さん(大)から『ありがとう。そして嘘をついちゃってごめんなさい』だから、
単純にみくるの動機やそういう経験の有無も嘘だったと思い込んでた。
長門の台詞が正しい可能性もあるわけだ。
頭が働いてないのが判ったんで寝ます。おやすみ
419名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 05:05:29 ID:N2K+3lZ+
>>401
面白かったけど、いまいち読了感が湧かない
締めの一文にもう一工夫あれば神作品になりえたかも
惜しい気がする
420402:2006/09/04(月) 05:08:14 ID:xk5EX+CH
確かに、みくるSSの難しさには苦労しました。割と長門で場をつないだ面もありましたし。
ところで当初は、ラストに朝比奈さん(大)を登場させて説明をさせようと思って
いましだが、内容がグダグダになりそうだったのでメッセージだけで済ませました。
あれが規定事項かそうでないかをわざわざ説明させない方が良いとも思いましたし。

421名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 09:05:55 ID:qfIOl6uS
「みくるが扱いにくいなら黒みくるを使えばいいじゃない」
422名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 09:55:16 ID:yeNiJ0Z8
>>421
そんなのイヤ。
423名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 10:05:06 ID:A5oMVjhA
「みくるを動かしづらいならみくるを陵辱すればいいじゃない」
424名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 10:41:56 ID:yfb6huDu
鶴屋さんでひとつ書きました。ちょっと長いのでhtmでうp。ノリは軽めです。

ttp://marmotfarm.com/cgi-bin/upload2/source/up87374.htm

鶴屋さん口調が難しいよ鶴屋さん。
425名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 11:31:04 ID:yeNiJ0Z8
>>423
何その安っぽい同人誌みたいな展開。
426名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 11:57:20 ID:ffVfmwKv
>>424
eroひさしぶり。・゚・(ノД`)・゚・。
うれし泣きですたい

GJ!
427名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:01:56 ID:Fd3biEIo
この手触りは……ユニクロだねっ!



ちゅるやさんスゴスwww
428名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:02:32 ID:DVcIVvg8
>>402

てっきり、タイトルを読んだとき
「俺がハルヒにちゃんと告白出来ないと朝比奈さんが安心して未来に帰れないんだ!」
と言うオチだと思っていたw

盛り上がりがもうちょっと欲しいところだけど面白かったGJ

>>424
激しくおっきした
429名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:10:33 ID:YSz0PkbC
>「俺がハルヒにちゃんと告白出来ないと朝比奈さんが安心して未来に帰れないんだ!」
なにそののび太w
430名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:16:21 ID:s0FUN1kz
>>423
「なんなんですかー?
 ここどこですか、何であたし繋がれてるんですか、
何で、ふふ服を脱がすんですか?いったい何を、」
「黙りなさい」

>>424
ベタでもいい! 鶴屋さんGJ!
431名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:20:18 ID:P77PILBj
>>430
そんなの前に無かったっけ?
432名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:32:33 ID:BJrXk1Sh
前スレ152 『涼宮ハルヒの日常』の続き 18レス
433名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:33:49 ID:BJrXk1Sh

「ふう」
腹をさすりつつ、俺は空になった弁当箱のふたを閉じていた。
カレーだったからなんとか入った。味については、長門には悪いがレトルトだな、としか思わなかったな。
長門が愛情を込めて弁当を作っている姿は想像できないから、愛情というスパイスの線もなしだ。
こういうのは、顔と顔を付き合わせて食いたいぜ。長門の家で食ったカレーは、悪くなかった。
「腹ごなしに歩いてくる」
弁当箱をしまい込み、二人に告げて席を立つ。もちろん口実だが、実際少し歩きたくもあった。
向かう先は、紙に書かれてあった場所だ。

待ち合わせ場所に向かう階段を上るにつれ、腹具合も落ち着いてきた。
あとは何事もなければ気分のいい昼休みだった、で終われるのだが、さてどうだろう。
ところで俺は何も無策で向かおうとしているわけではなかった。
念のため、長門には休み時間中に手紙を見せ、知らせておいたのである。
教室で読書をしていた長門は、差し出した手紙を読んでうなずきを返してくれていた。
何か伝えたいことがあったのか普段より長く俺を見つめていたが、ともかくこれで大丈夫なはずだ。

階段を折り返し、最後の十数段に足がかかる。
まだ相手は見えない。奥まったところに立っているか、誰もいないか。後者ならそれでもかまわん。
ハルヒがいたらお笑いだが、俺はその可能性はないと思っていた。いや、信じていた。
ハルヒにだって分別ぐらいはある。あとで俺から詳細を聞こうとするぐらいならするかもしれんが
この場に現れることはないさ。だから俺は考えた末、あえてハルヒには特に何も言わなかった。

果たして、階段を上りきった俺の視界にハルヒはいなかった。しかし一人の女子生徒が立っていた。
屋上へ出る扉の前に立って俺に微笑みを送っていたその女子生徒は、
「こんにちは」
生徒会書記、二年の喜緑江美里さんだった。

そんな肩書きより、長門と同種の存在である喜緑さんと思っておいたほうがいいかもしれない。
どこまでも物腰柔らかなお人であるが、長門とは別の派閥である可能性が高いことから本心は知れない。
「俺に何か用ですか?」
多少の警戒心を含んだ声で問いかけつつ、俺は少し間をとって立った。
長門に話しておいてよかったぜ。ったく、朝倉といい、意表を突くのが好きなのか?
対する喜緑さんは、穏やかな雰囲気を崩さずに、
「ほんの少し」
と言って、半身をずらした。そこには、当然ながら屋上へ出る扉がある。普段は立入禁止の場所だ。
「できれば、誰も来ない屋上でお話したいのですけれど」
相手が見た目そのままであるなら、誘いに乗ってしまいそうな魅惑的な申し出だった。
ただ中は異空間、なんて可能性も有り得るだけに、乗るわけにはいかない。
「ここで話してもらえませんか?」
俺の返事に、喜緑さんは困ったように顔を伏せる。
「……わかりました」
喜緑さんがそう言った瞬間、視界が歪んだ。
434名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:35:05 ID:BJrXk1Sh

歪みはすぐに正常化した。それはいいとして、なんで俺はいきなり屋上にいるんだ?
「できれば、手荒な真似はしたくなかったんですけれど」
振り返ると、後ろ手に扉を閉める仕草をしている喜緑さんがいた。
なるほど。拒否権はないということか。自然と喜緑さんに向ける視線がきつくなる。
喜緑さんは、やんわりと微笑み返すことで応えてきた。
「心配しないでください。あなたに危害を加える気はありません」
「この状況で信用できると思いますか?」
「そう言われましても」
軽くいなされた。どうもやりにくい。
しかし俺にできることと言えば、素直に従いつつ長門の到来を待つぐらいだ。
周囲を見渡す。柵のない屋上に、青空。耳は階下の喧騒や雑音を捉えていた。異空間化してはいないようだ。

それだけを確認した俺は、喜緑さんに向き直った。
「……それで、話ってなんですか?」
「なんだと思います?」
焦らすように言ってきた。思い当たるフシはひとつしかないが、とぼけてみるか。
「愛の告白か、生徒会からの連絡事項、かな……」
「正解です」
「え?」
あっさり言われ、唖然とする。瓢箪から駒か?
喜緑さんはゆっくりと俺に近づきつつ、
「以前、わたしがなぜ部長さんの彼女という立場を取っていたかわかりますか?」
わかるわけがない。設定上、そうしたほうが色々と都合がよかったからだとしか思わないな。
「涼宮さんの反応を試してみたかったからです。恋愛に関する反応を」
「恋愛ですか」
ハルヒには縁のなさそうな言葉だ。もちろん俺にも。そしてやはりハルヒの件だったか。

「わたしは、自律進化への糸口は恋愛にあると思っています」
ウェーブのかかった髪を風が揺らす。
「特に恋愛が成就するまでの過程にです。涼宮さんを観測していた結論です」
少し距離を置いて足を止めた喜緑さんは、おかしそうに口元に手を当て、
「だから、涼宮さん以外の皆さんに少し素直になってもらいました」
「皆さん?」
聞き返す俺の目を、喜緑さんが覗き込む。
「ええ、あなたは今日の皆さんをどう思いました?」
435名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:36:20 ID:BJrXk1Sh

「どうって……」
鶴屋さんに朝比奈さん、阪中に長門。妹もか。多少なりとも言動や行動が変だったのは。
逆に谷口、国木田あたりは、いつもと変わらなかった。

「わたしがしたのは、皆さんの涼宮さんに対するある種の遠慮を取り払うことです」
喜緑さんの声は楽しそうだった。
「あなたと涼宮さんが結ばれてしまうのは避けられません。ですが、現状では物足りないのです」
「勝手に俺とハルヒをくっつけないでください」
俺の抗議を、喜緑さんは笑顔で受け流した。
「以前の涼宮さんなら閉鎖空間に閉じこもる可能性もありましたけれど、最早それもないでしょう」
裏表を感じられない、真っ白な笑みだった。
「あなたは様々な人から想われているようですし、涼宮さんを刺激する材料となっていただきます」

古泉め。何が『喜緑さんは攻撃的ではないことが解っている』だ。
たしかに攻撃的じゃないさ。だが、搦め手を使ってくる喜緑さんは、朝倉とは別の意味で厄介だ。
それに古泉の話が本当なら、朝倉とは違って喜緑さんは――
「長門さんなら来ません」
「くっ」
しれっと告げた喜緑さんの言葉に、俺は想像が正しいことを知った。
古泉は喜緑さんの役割をなんと言っていた? 『長門のお目付役』だ。
それはつまり、喜緑さんは長門に対して抑止力があるということに他ならない。
朝の靴箱や教室で手紙を読み終わったあとの長門の妙な態度が浮かぶ。口封じされていたのか。

「誤解されるといけないので申し上げておきますけれど」
ふわりと髪をなびかせた喜緑さんは、
「わたしに長門さんを強制的に従わせる権限はありません。傍流の派閥ですので」
長門は主流派だったな。朝倉が急進派。喜緑さんはまた別か。
「あくまで長門さんに提案し、条件付きで承諾、同調してもらったのです」
どうだか、怪しいもんだ。このお方の提案は、断れる類の物ではなさそうだしな。
さっき強制的に移動させられたことは記憶に新しい。
喜緑さんは俺の視線を平然と受け止め、
「その条件とは、一部始終をわたしがあなたにお話しすることです」
436名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:37:30 ID:BJrXk1Sh

言い切ったあと、喜緑さんはやや物憂げに軽く吐息をついた。
「わたしには長門さんがなぜこのような条件を付けたのかわかりません」
知らせずに観測していたほうがいいのに、とでも言いたげな喜緑さんだった。
だが喜緑さんはわからないと言ったが、俺には長門の意図が理解できた。パソコンのエンターキーだ。
長門は俺に選択権を委ねたんだ。変化を甘受するか、それとも元に戻りたいのか。
きっと長門は、俺が戻りたいと言ったら、戻してくれるのだろう。
それがたとえ、喜緑さんの思惑に反することであってもな。

そうとなれば話は早い。俺がすべきことは、この話を切り上げて長門の元に向かうことだ。
朝比奈さんとの登校や阪中が手渡してくれた弁当は惜しかったが、俺は俺の日常を楽しみたい。
「話はそれで全部ですか?」
さりげなく言った俺の言葉に、喜緑さんはうなずいた。
「ええ、長門さんとの約束通り一部始終をお話ししました」
「元に戻してもらうわけには、いかないんですよね?」
「残念ながら」
よし、諦めてこのまま帰っても自然な流れになったな。

「……わかりました。それじゃ、俺はそろそろ教室に戻らないといけないので、帰ります」
古泉のように肩を落としてでもみせようかと思ったが、どうせ大根なのでやめておいた。
昼休みも残りわずかだ。屋上に連れ込まれてからずっと棒立ちだった脚を動かし、出口を目指す。
頭を軽く下げ、喜緑さんの横を通過し――
「あ」
不意に喜緑さんが声を上げた。
「ごめんなさい、生徒会からの連絡事項を忘れていました」
通り過ぎつつあった俺は、顔だけ横に向けて喜緑さんを見た。
連絡事項? 本当にあったのか、そんなの。
喜緑さんは、こないだ機関誌を作っている最中の俺たちに資料を届けてくれたときのような
暖かみのある微笑みを浮かべていた。すっかり生徒会書記という立場に戻ってしまったらしい。
ふわりといい匂いが鼻腔をくすぐる。思わずくらっときそうなヤツだ。
「あのですね」
喜緑さんが顔を心持ち近づけて、唇を動かした。
「わたし、ずるいんです」
「は?」
耳を疑った瞬間、まぶたが急激に重みを増した。
膝から力が抜け、立っていられなくなる。頭も重い。意識が混濁する。くそっ……。
「お話ししたあとに情報操作してはいけないとは言われませんでしたので」
崩れ落ち、意識が暗転する前に最後に見えたのは、喜緑さんの微笑みをたたえた口元だった。
437名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:39:01 ID:BJrXk1Sh

はだけた制服から白いブラジャーがのぞく。どうやら着やせするタイプらしい、ってどこ見てんだ、俺は。
胸元に目を奪われそうになった俺は、慌てて目をそらした。が、そらした先も白かった。
着乱れたスカートの隙間から、触れたら吸い付きそうな太腿が見えていたのである。
重量感のあるそれは、思わず手を伸ばして撫で回したい欲求に俺を駆らせる。
なんでこの人はこんなにエロいんだ。人は見かけによらないって本当なんだな。

清楚な印象とは裏腹にどこまでも官能的な肢体をお持ちのお人に、目のやり場に困っていると、
「すみません……」
か細い声が俺の耳に届いた。顔を向けると、ゆるゆると目を開いてこちらに潤んだ視線を送っていた。
うっすらと額ににじむ汗を見て、心配になる。
「大丈夫ですか? 喜緑さん」
俺の呼びかけに、喜緑さんは弱々しい微笑みを浮かべた。
「ええ、なんとか……貧血で少し立ちくらみを起こしたみたいです」
抱きかかえる俺の両腕に、喜緑さんの体温が伝わってくる。
「……大事なお話しの途中でしたのに、申し訳ありません」
「それよりも自分の身体のことを今は考えてください」
自分の体調より気にしているような言い方に、つい口を挟んでしまった。
会長の企みなんか古泉が関与しているに決まってるんですから、気にしなくていいんですよ、とでも
言ってしまおうかと思ったが、どうも喜緑さんは会長の正体を知らないようだから言わずにおいた。
カマドウマの件で部長氏が喜緑さんなんて彼女は最初からいないと発言したことや、生徒会書記という絶好の
役職に就いていたことなどから、俺はてっきり長門関係のお人かと思っていたのであるが、この分だと
そうでもなさそうだ。長門が貧血で倒れるわけないしな。

「……ひとつ、お願いできますか?」
俺を呼び出し、会長がSOS団に対して次の計画を練っていることを話し、内容に移りかけた途端倒れられ
今は俺が抱きかかえる格好になっている喜緑さんは、俺とその背後にある青空の両方を見るような
どこか焦点の合っていないぼんやりした視線とともに、俺に話しかけてきた。
「ええ」
言葉を返して、うなずく。俺の返事に喜緑さんはほっと息をつき、次いで頬を赤く染められた。
「不躾なお願いだとはわかっているのですけれど……」
言葉にどこか熱がこもっているような感じがした。
「わたしを強く抱いてもらえませんか?」
438名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:40:32 ID:BJrXk1Sh

「え?」
意味を把握しかねた俺は間抜けた声を上げてしまった。そんな俺に喜緑さんは、
「貧血には適度の刺激がいいんです。脳に血が巡りますから」
少々早口で医学的なことを言ってきた。いやしかし、でもですね。
俺が逡巡していると、喜緑さんは頬をますます赤くして、気恥ずかしいのか目を伏せた。
「ごめんなさい。無理ですよね、好きでもない女の人を抱きしめるなんて」
「あ、いや、別にそういうわけでは」
口ごもってしまう。好きとか嫌いとかじゃなく、喜緑さんのような可愛いお人を
いくら頼まれたからと言って抱きしめでもしたら、俺の理性が危なくなりそうだ。
俺の躊躇いをどう捉えたのか、喜緑さんは手を差し伸べ、俺の首に腕を回す。
そのまま、身を起こして抱きついてきた。
「き、喜緑さん?」
「しばらくこのままで……」
体を俺に預けた喜緑さんが耳元に囁いてきた。頬と頬が触れ合い、ぬくもりが伝わってくる。
俺の視界に広がったふわふわした髪から、懐かしい匂いが漂ってきた。くらりときそうな匂いだ。
俺も自然と腕を喜緑さんの腰に回し、抱き返す。喜緑さんがかすかに吐息を漏らした。
密着した喜緑さんの身体はほんのりと汗ばんでいて、ふくらみの感触が俺をたまらなくさせる。
早鐘のように鳴る喜緑さんの鼓動の音が、服越しにでも感じられた。

時間の感覚を忘れていると、
「……ごめんなさい」
喜緑さんがそっと告げた。
「謝らなくてもいいんですよ。貧血ですし、仕方ありません」
「いいえ、そうじゃないんです。わたし、ずるいんです」
わずかに語気を強めて俺の言葉を否定すると、喜緑さんは顔を離して俺の目を見つめてきた。
瞳が揺れているような錯覚を受ける。喜緑さんの目には、涙が浮かんでいた。
「生徒会書記としての立場は建前で、あなたを今日ここに呼んだ理由は、本当は……」
残りの言葉を余韻に残して口を閉ざし、喜緑さんはまぶたを伏せ顔を上向けた。涙が頬を伝って流れる。
俺は喜緑さんのつややかな唇に目が釘付けになっていた。それしか見えなかった。
魔法にかかったかごとく抱く力を強めると、俺は顔を少し傾け、目を閉じて、顔を寄せ――

バタンっ!
「こらぁっ!」
扉が開く音が先か、張り上げた声が先か。
「キョン! アンタのことだからどうせ上手くやり込められてるんじゃないかと思って
団長自ら直々に一人で来てあげたわよ! 感謝しなさ……い……」
俺が振り向くと、扉を押しのけた姿勢のまま、こっちを見て固まっているハルヒがいた。
誰も何も発しえず、動けないでいる中、扉だけが自分の役目を果たすために行動を起こし始める。
ゆっくりと扉が閉まり、ハルヒの固まった笑い顔が徐々に扉の向こうに消えていき、そして完全に閉じた。
439名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:42:09 ID:BJrXk1Sh

扉の閉まった音で、俺は事態を認識した。
ハルヒが見たのはなんだ? 俺と喜緑さんが今にもキスを交わそうとしていた場面だ。
「ごっ……ごめんなさい!」
喜緑さんが俺の首に回していた腕を解き、胸元を手で押さえながら謝ってきた。
何を謝っているのか、まだ少し空回りしている俺の頭ではわからない。
とにかく慰めて落ち着かせる必要はあるとの結論を出し、背中に回していた手を肩に置いた。
「落ち着いてください、喜緑さん」
優しく諭す。諭している俺も、背中に冷や汗がじわじわとにじんでくるのを感じていたのであるが
それはこの際置いておこう。今は喜緑さんが先決だ。

取り乱していた喜緑さんだが、俺の慰めもあってか、落ち着きを取り戻した。
「すみません、まさか涼宮さんに見られるなんて」
ハンカチで目尻を拭って、喜緑さんが俺に再び謝る。
謝っている内容は毎回違うのだと思うが、それにしてもよく謝るお人だ。
それにハルヒに見られたから謝る、という思考もよくわからない。
変な顔をしていたのか、喜緑さんが問いかけてきた。
「涼宮さんとお付き合いしているのではないのですか?」
「断じて違います」
この『ハルヒと俺が付き合っている』というのは、北高の常識なのか?
ま、そりゃSOS団で散々振り回されているし、不本意ながらなんらかの行為はあの空間でしてしまったが
だからって付き合っているわけじゃないぞ。ハルヒも心外だと思うに違いない。
「そうなんですか……」
喜緑さんは何やら思うところがあるのか、含みを持たせてつぶやいた。

その雰囲気に急に間が気になった俺は、どうでもいい話を蒸し返した。
「えっと、ところで、生徒会長の計画はなんだったんですか?」
「それは――」
言いかけた喜緑さんだったが、休み時間の終了を告げる鐘が鳴り響いた。やばい、もうそんな時間か?
慌てて立ち上がる俺に喜緑さんも立ち上がろうとするが、ふらつく。手を貸すと、すんなりと立ちあがった。
「保健室に行かなくても大丈夫ですか?」
「ええ、走ることはしばらく無理ですけれど、歩くのは問題ありません」
制服のほこりを払いながら、喜緑さんは俺に答えた。顔色もいいし、大丈夫そうだな。
では失礼して、と遅刻しないよう足早に去ろうとした俺の背中に、
「あの、わたし明日もここで待ってますから」
声が届いた。振り向いた俺に喜緑さんが言葉を継ぐ。
「会長の件をまだお話ししていませんし、それに……」
残りの言葉は表情と仕草で示してくれた。
誘い込まれるような微笑みと、唇に当てた人差し指とで。
440名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:43:31 ID:BJrXk1Sh

屋上の扉を開けたとき、もしかしたらハルヒがいるのではないと思っていたが、そんなことはなかった。
運良く廊下を走るところを教師にとがめられずに済み、なんとか教師が来る前に席に着くことに成功する。
少し息を切らした俺は、息を整えつつ、教科書を取り出そうとかばんに手をかけ、
「ねえ」
背中に届いた言葉に、手を止めた。やけに刺々しい、と言うより、痛い。
喜緑さんの言葉は羽毛が当たるようだったのに、今のは石を投げつけられたような感じだ。
自分を叱咤して、俺は振り向いた。
「な、なんだ?」
振り向いた先には、当然のことながらハルヒがいた。団長閣下はご機嫌斜めであらせられるようである、と
誤魔化したいほどに、ハルヒは不機嫌オーラを背負い込んでいた。いつ以来だ。
「さっきのって、コンピ研部長の元カノで生徒会のあの人よね?」
「ああ、書記の喜緑さんだ」
嘘をついたら即死刑にされそうだったため、素直に答える。ハルヒが知らないわけもない。
にしても、やけに突っかかる言い方だな。
「ふうん、で、どんな用事だったわけ?」
「それは……」
と言いかけて、はたと止まる。会長の計画の件を言えば、内容がなんだったか聞いてくるだろう。
しかし俺はそれがなんなのかまだ喜緑さんから聞いていない。でっち上げたと思われそうだ。

どう話したものか、と間を空けた俺をどう解釈したのか、
「話したくないなら、今は無理に話さなくてもいいわよ」
ハルヒはやけに物分りのいいことを言ってきた。不機嫌さはそのままだが。ん? 今は?
俺の疑問を、ハルヒは見事に霧散してくれた。
「今日のSOS団で議題として挙げるから、言い訳でも考えておきなさい」
なんだそれは。もしかして、俺を生徒会に与する裏切り者だとでも思ってるんじゃないだろうな。
さっき屋上に現れたこともそうだ。俺はお前を信頼していたのになぜ来たんだよ。
ったく、あまり幻滅させてくれるなよ、ハルヒ。
俺の呆れと少々の疑念を含んだ視線を受けたハルヒは、ぷいっと顔を窓の外に向けた。
空を見ながら、
「いいわね!」
必要以上の大声を出して、話を打ち切った。その声の大きさに俺はわだかまりを覚えた。
ハルヒの声は、複雑な感情がないまぜになったまま、やり切れない思いを声にぶつけたような、
そんな声に思えて仕方がなかったのだ。
441名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:44:52 ID:BJrXk1Sh

「古泉、お前にお客さんだぞ」
次の休み時間、俺は一年九組の教室を訪れていた。
理由は簡単だ。古泉に会長とつるんで何をしでかそうとしているのか問いただすためだ。
喜緑さんともう一度会うのは、口裏を合わせているように思われそうだったため、やめておいた。
そこまではハルヒも考えないとは思うが、俺がなんとなく気にする。喜緑さんとまた会うのもなんだしな。
それに二年の教室まで往復するには、休み時間は少々短すぎる。
それなら手っ取り早く、張本人に聞いたほうがあらゆる意味で楽だ。

俺が古泉に用事があることを戸の近くに立っていた男子に伝えると、その男子は教室の中を向いて一言
声をかけた。教室の中を見る気もなしに見てみると、古泉は別の男子たちと談笑をしていたらしい。
名指しに振り向き、俺の顔を見つけると、断りを入れてからいつもの如才ない笑みを浮かべてやってきた。

「ありがとうございます」
古泉は俺の言葉を伝えてくれた男子に礼を述べ、廊下に出てきた。
なるべく人気のない場所で話をしたかったため、それとなく促す。古泉も察知してくれたか、歩き出した。
「古泉、お前クラスメイトにも敬語なのか?」
無言で歩くのもなんなので、どうでもいい話を振る。
「涼宮さんやあなたにだけ敬語を話すわけにもいかないでしょう」
そりゃそうだ。でも友達を作りにくそうだな、敬語だと。
谷口とは最初からタメ口だった。他のクラスメイトにも敬語なんざ使わん。敬う相手じゃない。
「仕方ありません、これが涼宮さんの望む僕の役どころなのですから」
どこか諦観の念を込めた古泉は俺に微笑みかけ、
「それに親友ならいますからね。それほど寂しいわけでもありません」
「いるのか、なら大丈夫だな」
軽く言った俺に、なぜか拍子抜けたように古泉はつんのめる。ニ、三歩たたらを踏んでから
体勢を立て直した古泉は、肩を大げさにすくめた。なんだよ、言いたいことがあるなら言え。
「いいえ、特に何も。それよりあなたの話をお伺いしたいです」
古泉が足を止めたのは、教育指導室という名目上の空き教室の前だった。ここならいいか。
「古泉、生徒会長と次に企んでいる内容を教えろ」
「はて」
ストレートに言った俺に、古泉が心当たりがないかのように、首をひねった。
「とぼけても無駄だ。それにこれはハルヒとも関係があるんだからな」
「とぼけているわけではありません。今のところ、彼に協力してもらう予定はなかったはずです」
首をひねる番が俺に回ってきた。どういうことだ?
「失礼ですが、なぜ生徒会のことを? それと涼宮さんに関係があるとは?」
仕方ない、洗いざらい話すか。俺は机の中に手紙が入っていたことから話し出した。
442名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:45:57 ID:BJrXk1Sh

「なるほど」
一部始終を話し終えた俺に、古泉はしきりにうなずいていた。
「喜緑さんが確かにそう言ったんですね?」
「ああ」
喜緑さんと抱きしめあったことは言ってないぞ。ただ貧血で倒れたから介抱した、と言っただけだ。
「ふむ……」
古泉は口元に手を当てて、考え込む仕草を取った。古泉だからこそサマになる仕草だ。

ややあって、結論に達したのか、古泉はぽんと手を打った。
「わかりました」
「何がわかったんだ?」
「大して気に留める必要はないということです。本気なら僕を含め、もっと徹底的に操作するでしょうし」
なんのことやら。さっぱりわからん。
「今は下手に気を回すのはやめておきましょう。それにどちらかと言えば利害一致しているようにも……」
気を回しているのはお前だ。俺は当面の問題としてハルヒにどう言い訳するかを考えてほしいのだが。
理解不可能なことを述べ立てていた古泉は、髪をさらりとかきあげると、
「その件に関しては、口裏を合わせましょう。計画倒れなりなんなり、いかようにもできますので」
やれやれ。相手は違うにせよ、結局口裏を合わせることになるのか。
「そうですね、こんな感じでどうでしょうか」
古泉が耳元へ顔を寄せてくる。近いぞ。それに人目が皆無なわけでもない。
変な噂でも立ったらどうするんだ。
「僕は別にそれでもかまいませんが」
本気なのか冗談なのか全然判断のつかない笑みを浮かべて、古泉は計画を告げ始めた。

「ま、無難だな」
話を聞いた俺の感想だ。いかにもありそうな計画だった。
「無難が一番なんですよ。なにせ、生徒会は典型的な悪役ですからね」
いつものことだが、古泉はステレオタイプが好きなのかね。杓子定規に当てはめたい主義と言うべきか。
「枠にとらわれない、非常識な事象は涼宮さんと僕自身が持つ能力の件だけで手に余っています」
溜息でもつくんじゃないかと思うほどしみじみと言った古泉は、
「生徒会長の彼には伝えておきます。それでは、もうすぐ授業が始まりそうなので、これで」
会釈をすると、背を向けた。俺も帰らねば。
教室に戻るべく、古泉とは逆の方向へ歩きかけた俺に、
「ああ、そうそう」
古泉が言葉を投げかけてきた。
「今回の件、涼宮さんを信じてあげてください」
気味の悪いウィンクとともにそう言うと、古泉は片手を上げ、今度こそ振り返らなかった。
「……言われなくてもわかっているさ」
443名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:47:46 ID:BJrXk1Sh

そうは言ったものの、教室に戻ってきた俺を不審者でも見るようにジロジロと見てくるハルヒにはまいった。
「言いたいことがあるなら言え」
「べっつに」
カチンときた俺がぶっきらぼうに言うと、ハルヒは顔を背けた。
放課後までこの調子かよ。先が思いやられるぜ。
席に着いて教科書を広げる俺が溜息をついたのは、やむをえないことだと思うね。


背中に痛い視線を浴びながら、どうにかこうにか放課後である。
部室に行くのは既定事項として、その前に俺は用事があった。
弁当箱を阪中の靴箱に置いてこないとな。俺としては洗って返してもかまわないのだが
相手の意向を曲げてまでする気はない。そういや長門のはどうやって返せばいいんだろう。あとで聞くか。

かばんを提げて靴箱へ向かおうかと立ち上がった俺の目的は、果たされなかった。
「部室に行くわよ」
ハルヒがいきなり俺の腕をホールドしたかと思うと、ぐいぐいと引っ張ってきやがったからだ。
「俺は部室に行く前に用事があるんだよ!」
「SOS団より優先させることがあるって言うの? ないわよね」
俺の抗議は切って捨てられた。どうやら反論の余地はないようだ。
すまん、阪中。靴箱に行くのはSOS団終了後になりそうだ。
引っ張られながら阪中の席のあたりに顔を向けると、立ち上がった姿勢の阪中もこっちを見ていた。
なぜかうらやましそうな顔をしていた阪中は、俺の視線に気付くと、半笑いで手を小さく振った。
意図が通じたかどうかはわからないが、意思疎通はできたようである。
っておい、谷口、国木田。なんだよその「やれやれまたか」とでも言いたそうな表情は。
俺は何も好き好んでこんなハルヒの横暴に晒されて続けているわけじゃないんだぞ。

文句を発しようかと思った俺だったが、ハルヒの力は思いのほか強く、教室から引きずり出された。
そのまま犯罪者を連行するように、俺の腕をがっちりと抑えて、歩き出す。
百歩譲れば公園などで見かける「男の腕にしがみついて歩く女」という体勢なのだが
廊下ですれ違う誰も、そんな考えには至らないようである。
むしろ「おもちゃ売り場に親を連れて行こうと腕を引っ張っている子供」とでも形容すべきか。
微妙に避けられていたり、生温い同情の視線が寄せられている気がしてやまないからな。
一年経ってもこんな感じなのか。二年になってもこんな感じなんじゃないだろうなあ。
444名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:49:42 ID:BJrXk1Sh

嘆く俺をよそに、渡り廊下を渡って部室棟へと入り、階段を上るとSOS団の部室はすぐだ。
「おはようっ!」
ハルヒはノックもせずに、いきなり扉を開けた。朝比奈さんに配慮しようとは思わんのか、お前は。
「みんな揃ってるわね」
ずかずかと部屋の中へ入っていく。もちろん、未だに引きずられている俺も同時にだ。
ハルヒが言ったように、メイド姿の朝比奈さんを始め、長門に古泉と、団員全員が椅子に腰掛けていた。
だが、俺の目はもう一人、パイプ椅子に座っている人物を捉えていた。
「やっほーっ」
快活な挨拶をして手を振るその人物は、鶴屋さんだった。なぜ鶴屋さんがここに?
朝の件などおくびにも出さない鶴屋さんは、
「ハルにゃんにお呼ばれされたっさ。内容は知らないけどっ」
そうですか。ま、鶴屋さんはSOS団の名誉顧問であらせられるから、いても不思議ではないのだが
鶴屋さんの前で生徒会の話はしにくいな。いつハルヒと結託して突撃するかわかったもんじゃない。
古泉に視線を送ると、予想外だったらしく苦笑の色がかすかに混じった笑みを返してきた。なるようになるか。

ようやく俺を解放したハルヒは、団長席へ歩いていった。朝比奈さんがお茶の用意をするため立ち上がる。
いつも俺が座っている席には鶴屋さんが座っておられたので、予備のパイプ椅子を広げて座った。
団長席から真正面に位置することになった俺は、かばんを置いて適当に部屋を眺める。
と、俺に意味深な視線を送ってきている人物がいることに気付いた。長門だ。
長門の視線は、何かを催促しているように思えた。なんだ? 弁当の感想か、それとも弁当箱か?
しかしこの場で弁当の感想を述べたり、まして弁当箱を渡すわけにもいくまい。
昼休みに長門に頼みに行った件なら、特に何も起こらなかったから報告しなくてもいいはずだ。
長門に戸惑いを含んだ視線を返すと、無表情な長門の顔に変化が生じたように感じた。
非難、怒り、困惑、安堵、失望感……か? 長門の瞳と微細な表情から読み取れた感情は、それだけあった。
本当かどうかはわからん。こんなに複雑な感情を表にする長門に遭遇したことはないからな。

「キョンくん、どうぞ」
長門の表情を解析していた俺の前に、湯のみが置かれた。
「ありがとうございます、朝比奈さん」
笑顔でお茶を淹れてくれた朝比奈さんに応える。朝比奈さんも笑顔を返してくれた。
少々喉に渇きを覚えていた俺は、早速湯のみを手にとって口元に運び、傾ける。
が、俺の喉の渇きが潤されることはなかった。
「あれ、どうかしました? キョンくん」
朝比奈さんが可愛らしく首を傾げて、甘い声で聞いてきた。
「いえ……」
俺はそう答えるのが精一杯だった。
湯のみの中には、凍ったお茶が入っていたのだ。どうりで湯のみが冷たいわけだ。
朝比奈さんはしっかり朝の件を根に持っているようだった。俺の朝比奈さんはどこへ行ってしまったんだ?
445名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:50:58 ID:BJrXk1Sh

俺のとは対照的に熱そうなお茶を一気飲みしたハルヒは、小気味いい音を立てて湯のみを置いた。
「始めるわよ!」
仁王立ちしたその腕には『裁判長』という腕章がつけられていた。
やっぱりやるのか。
「何すんのっ?」
鶴屋さんの問いかけにハルヒは俺を指差し、
「下座に座っているそこの団員その1が行ったSOS団に対する背信行為について裁判をします」
みんなの視線が俺に集まる。なんだその言い方は。
あまりの言い草に、俺は椅子から立ち上がって抗議した。
「俺はそんなことしちゃいない!」
「無実なら、この場で潔白をアピールすればいいでしょ」
意に介さずハルヒは流し、説明を始めた。
「裁判と言っても、検察とか弁護士とかそんなややこしいのはいません――」

それからしばらくハルヒは裁判の概要を説明した。
ハルヒの説明を要約すると、要するに俺が自分で自分を弁護して、裁判員が最後に決を取り
その票によって有罪か無罪か判断するそうだ。ハルヒにしては民主的なやり方だな。
これで鶴屋さんを連れてきた理由も解った。裁判員を奇数にしたかったんだろう。

かくしてたぶんハルヒだけがそう思っている、厳粛なる裁判が始まった。
「まず、団員その1の罪状を述べます」
ハルヒは「生徒会役員との癒着、及びSOS団の重要な情報漏洩」と言いやがった。
濡れ衣もいいところだ。大体、SOS団に関する重要な情報なんて、あったか?
色々あるか。しかしそれは全てハルヒは知らないはずだ。
「次に、状況説明を行います」
と言ったハルヒは、経緯を語り始めた。

「えーと、そうね。最初は団員その1の机の中に、手紙が入っていたの。これがその手紙」
かばんから一枚のルーズリーフを取り出して、朝比奈さんに手渡した。いつの間に掠め取ってたんだ。
「あたしはSOS団に対する挑戦状かと思ったんだけど、とりあえず団員その1に任せることにしたのよね。
それであたしは学食に行ったんだけど、帰ってきたら、まだ団員その1が戻ってないって言うじゃない。
だから何かあったのかと思って、屋上前の踊り場に向かったわけよ。そうしたら誰もいなくて、でも
屋上が怪しいと思ったから、思い切って開けたの。そしてあたしは何を見たと思う? みくるちゃん」
「ふえっ? あ、あの、ごめんなさい、わからないです」
ルーズリーフを読み終え鶴屋さんに渡していた朝比奈さんがびくっと体を震わせる。いきなり名指しするなよ。
「鶴屋さん、わかる?」
次いでハルヒは鶴屋さんに回答権を渡した。ルーズリーフにさっと目を走らせた鶴屋さんは、
「んー、キョンくんが女の子に告白されてたとかっ?」
「惜しいけど違うわね。有希?」
「……」
無言で首を傾げる長門。最後にハルヒは、古泉を見た。
古泉は待ってましたとばかりに、
「生徒会役員、それも女性の方と密談を交わしていたのではないでしょうか」
「80点。さすがは古泉くんね」
よかったな古泉、ハルヒから賛辞を送られてさ。
446名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:52:32 ID:BJrXk1Sh

「そう、あたしが見たのは、団員その1が生徒会役員と密談をしている光景だったのです」
拳を固めて実に偉そうに力説したハルヒは、
「ええと、名前はなんだったかしら。団員その1、答えなさい」
都合のいいときだけ俺に振るなよ。というか、覚えろ。
「書記の喜緑さんだ」
「えっ?」
しぶしぶ俺が答えると、朝比奈さんが驚きの声を上げた。
朝比奈さんが驚くのも無理はない。カマドウマのときに紹介した人だもんな。
なんとなく長門を見ると、全く興味を覚えていないようだった。
「へー、江美里んだったのかっ」
「鶴屋さん、面識あるの?」
「隣のクラスの人だよっ。合同授業で一緒になるくらいで、あまり話をしたことはないなあ」
「ふうん、そうだったの」

鶴屋さんと会話を交わしたハルヒは、白状を迫るように俺をじっと見つめると、顔をそらした。
「残念ながら、あたしは団員その1と喜緑さんが何を話していたかは聞けませんでした」
人差し指をくるくる頭上で回す。その指を、いきなり俺に突きつけてきた。
「しかし密談をしているという、状況証拠はつかんでいたのです! 団員その1」
「あだ名でいいからいい加減、まともな呼び方をしろ」
「うるさい。状況を再現するから協力しなさい」
協力? 状況を再現? おいおい、まさか、喜緑さんにしたことをしろと言うんじゃないだろうな。
「言うのよ。あたしが喜緑さんの役になってあげるわ。感謝なさい」
「断る」
「協力しないと裁判長権限で即有罪にするわよ」
なんだよそれは。ひどい裁判長がいたもんだ。公正のカケラもない。
本物の裁判であったら即解任されるようなことをのたまったハルヒは、俺に近寄ると強引に立ち上がらせた。
どこからこの力は湧いてくるんだ? いつもながら、不思議に思えてしょうがない。
「さ、膝を着きなさい。あたしはちゃんと覚えてるんだからね」
本気でやれと言うのか。くそっ、どうなっても知らんぞ。
俺はパイプ椅子をどけて空間を確保すると、膝を着いて両腕を前に差し出した。
そこに仰向けにハルヒが寝そべる。かと思うと、手を伸ばして、俺の首に腕を回してきた。
回した腕に力を込め、身を起こしたハルヒの腰に俺も腕を回し、抱きしめる。
こんなことを考えるのは不謹慎かもしれないが、ハルヒのふくらみは喜緑さんよりボリュームがあった。
ハルヒは顔を心持ち上向け、目を閉じてきた。まだやらないといけないのか?
仕方なく、ゆっくりと顔を近づける。まだか。さらに近づける。まだなのか、くっついちまうぞ。
朝比奈さんの息を飲む音が聞こえ、ハルヒの呼吸が俺の顔に届くぐらいの距離になったそのとき、
「ぐあっ!」
目を開いたハルヒが、いきなり頭突きを食らわしてきやがった。たまらず顔を離す。
「とまあ、こんな感じだったのです。あ、最後の頭突きはないわよ」
腕を解き立ち上がったハルヒが解説を入れた。この石頭め。
447名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:54:02 ID:BJrXk1Sh

額を押さえつつ、立ち上がった俺を真っ先に迎えたのは、
「あっはっは! キョンくん、そんなことしてたのっ? あはははっ」
けらけら笑う鶴屋さんだった。古泉は苦笑を隠さず、両手を上向け、肩をすくめる。
そこまでは割と普通の反応だと言えた。つまりそうじゃない人もいたということだ。
「キョンくん、それホントなんですか……」
ゆらり、という表現が似合いそうな雰囲気を背負っていたのは、朝比奈さんだった。
握った手がぶるぶる震えている。うつむいた顔がどんな表情をしているのかは、俺にはわからなかった。
ただ、やりどころのない焦燥感を覚えたのは確かだ。放っておくと、とんでもないことになりそうな。
そしてもう一人。
「……」
長門が無言で俺を責め立てていた。明らかに不機嫌だ。ハルヒの視線は痛かったが、長門のは鋭い。
視線に質量があったらとっくに俺の身体は両断されているに違いない。
相手が喜緑さんというのが、長門の不機嫌を助長しているのか? わからない。
俺は瀬戸際に立たされているように思えて仕方なかった。誰でもいい、俺を助けてくれ。

助けかどうかはわからないが、次に移ってくれたのはハルヒだった。
「以上で状況説明を終わります。次は被告に自己弁護をしてもらいます」
ようやく順番が回ってきたか。俺の濡れ衣を晴らさないとな。
咳払いをひとつして、深呼吸をする。喉を潤したかったが、湯のみの中はまだ凍っていた。
仕方がないため、話し始めることにする。息を吸い込み、正面を向き――
「ちょっと待ってください!」
横槍が入った。声を出したのは、
「わたしもキョンくんに問いただしたいことがあります」
朝比奈さんだった。いつになく真剣な表情だ。
「みくるちゃん、どうぞ」
ハルヒが勢いに押されてか、あっさりオーケーを出す。

「今朝、わたしが登校中のことです」
それだけで俺は朝比奈さんが何を言いたいのかわかってしまった。
と同時に、やばいと思った。火に油を注ぐだけだ。
「朝比奈さん、その件については――」
「黙りなさい」
口を挟もうとした俺の言論を、ハルヒが封殺した。
そして朝比奈さんは、一部始終をお話しになられた。
448名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:55:36 ID:BJrXk1Sh

「みくるもパンツ見られちゃったの? あっはは」
鶴屋さんはおなかを押さえて笑いが止まらない様子だ。俺は泣きたいぐらいだが。
「『も』ってことは、鶴屋さんも見られたわけ?」
「あたしの場合は、ははっ、こっちが悪いんだけどねっ」
笑いすぎて涙が出てきたらしく目尻を拭いながら鶴屋さんがハルヒに答えた。

「それでキョンくん、阪中さんと何をしてたんですか?」
興奮冷めやらない様子の朝比奈さんは、さらに爆弾を投下してくださった。
「阪中さん?」
キョトンとハルヒが声を返す。俺は内心ずたぼろになりつつ、
「阪中は、たまたま俺に用事があっただけで」
苦し紛れの返事をした。当然のように疑惑の目を向ける朝比奈さん。
「ふうん、たまたま用事があっただけで校門の前で待ち合わせをするんですか」
「それは俺に渡すものがあったからですって」
「興味深いわね。あたしにも聞かせてちょうだい」
なぜかハルヒが口を挟んできた。ちょっと待て、お前の弁当を阪中が届けてくれたんじゃないのか?
「なんであたしがアンタにお弁当なんか作らないといけないのよ」
口を尖らせるハルヒ。ますます混乱する。じゃあ、誰があの豪華な弁当を作ったんだ?
俺の疑問に、ハルヒや朝比奈さんはおろか、鶴屋さんまで呆れた視線を送ってきた。

視線の矢面に立たされ、どうしていいかわからなくなった俺に、上向けた手が差し伸べられた。
「お弁当」
ぽつりとそう言って、あとはひたすら無言の圧力を加えてきたのは、長門だった。
精神的に参っていた俺は、言われるがままにかばんから弁当箱を出し、長門に渡す。
弁当の中身が空になっていることを確認してから、長門は自分のかばんの中にしまった。
「有希、あなたもお弁当作ってきたの?」
ハルヒの質問にこくっ、と首を上下させて、俺をじっと見つめてくる。
幾分和らいではいたが、別の理由により怒っているように思えた。
「キョン」
ハルヒが久々に俺をあだ名で呼んだ。ハルヒを見ると、曇りない笑顔を浮かべていた。
「キョンくん」
朝比奈さんもにっこりと、慈愛と呼んでもいいぐらいの笑みを俺にくれた。
「……」
長門は無言だが、他の二人と感情を共有しているように感じられた。
視界の隅で、古泉が「ご愁傷様です」とばかりに手をひらひらさせていた。鶴屋さんは笑うばかりだ。

そして三人は、示し合わせたように声を揃えて俺に宣告した。
『有罪』
449名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:57:11 ID:BJrXk1Sh

古泉との打ち合わせは全く意味がなかった。弁解する余地すらなかった。
日頃の行いは、やはりどこかで回ってくるものらしい。そうとしか思えない。
もっとも、なんだかんだで生徒会のことがうやむやになった気がするのは収穫か。

多数決によりめでたく有罪判決が下ったわけだが、肝心の処罰はと言うと
考えていなかったらしく、「明日までに考えておくから」とハルヒは言った。
もしかしたら、有罪になるとは思ってなかったのかもしれないな。
俺だってびっくりだ。まさか朝比奈さんがあんなに積極的になるなんて。

裁判が終わると、鶴屋さんは用事があることを告げ、帰っていった。
帰り際に俺の肩を叩いて「にくいね、色男っ!」と言ってくださったが慰めにもなんにもなっていない。
どの辺が色男なのか、こっちが知りたいぐらいだ。

「――ところでみくるちゃん?」
「はい?」
裁判終了後、朝比奈さんがついでくれたお茶を飲み干したハルヒが、朝比奈さんに声をかけた。
俺は普段より若干隅にパイプ椅子を寄せて、古泉と将棋を指していた。湯のみのお茶はようやく溶け出した。
俺の陣形は穴熊だ。鉄壁の守りとよく言われるが、この場合単に閉じこもりたいだけである。
「さっきの話からすると、キョンとみくるちゃんは並んで登校したの?」
「ええ、そうですけど」
なんでそんな質問をしているのかわからない、といった風に朝比奈さんが答える。
「あたしに断りもなく?」
「なぜ涼宮さんに断らないといけないんですか?」
朝比奈さんが席を立つ音がする。あえて盤面に集中している体を装っていた俺に足音が近づく。
「わたしはキョンくんと一緒にいたかったから、そうしただけです」
「うわっ」
後ろから朝比奈さんの腕が回されたかと思うと、後頭部に柔らかい感触が当たった。
朝比奈さんが背後から抱きついてきたからだとはわかったが、なんでまたいきなり。
「こんなこともしちゃいます」
と言って体をずらし、俺の耳に息を吹きかけてきた。くすぐったいやら心地いいやら。
「うらやましいですか? 涼宮さん」
朝比奈さんの声とともに、本の閉まる乾いた音が響いた。
見ると、長門が本を閉じて、こちらを凝視していた。視線が合うと、長門は口を開いた。
「明日もお弁当を作る。だから食べて」
「あ、ああ」
でもできたらレトルトカレー以外にしてほしいな。
「善処する」
「そう、有希もなの……」
ハルヒが低い声でつぶやく。俺にハルヒの表情を窺う勇気などありはしない。
さっき口を揃えて俺に宣告したのが嘘だったかのようだった。古泉が肩をすくめるのも何度目だ。
450名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 12:58:45 ID:BJrXk1Sh

その場にいるだけで神経が磨り減っていく時間は過ぎ、下校となった。
ようやく一人になれた俺は、力なく廊下を歩いていた。
何がどう間違ってこうなってしまったんだ。俺の日常はどこへ?

靴箱に着いたところで、弁当箱のことを思い出した。
もう阪中は帰っているとは思うが、弁当箱を靴箱に入れなくては。
俺は女子の靴箱へ先に向かうことにして、立ち並ぶ靴箱のひとつを目指し、角を曲がり――
「あ……」
曲がった先に、一人の女子が立っていた。俺を見て安堵の息を漏らす。
「阪中?」
まさかいるとは思わなかった。阪中も部活はしていたと思うが、SOS団の終了時間は遅い。
阪中は朝と同じように、かばんを前に抱えたまま俺に寄ってきた。

「だいぶ待ったんじゃないのか? 阪中」
「ううん、さっき部活が終わったとこ」
俺を気遣ってかどうかはわからない。とりあえず弁当箱を返すことにしてかばんを開ける。
弁当箱を手渡すと、阪中は大事なものを扱うかのように、しっかりと自分のかばんの中に収めた。
そのまま顔をうつむいてもじもじとしていたが、
「あのね」
意を決したように顔を上げる。どこか心細さを感じているようにも思えた。
「お弁当どうだった? 口に合ってたらいいんだけど」
俺が答える前に、阪中は早口で弁解しだした。
「これはね、あのね、わたし涼宮さんにお弁当の感想を聞くように言われてたのを忘れちゃってて」
朝と同じく、声が上ずっている。ようやくどういうことか、俺にもわかった。なんて鈍感なんだ。
「だから待ってたのね。わたしってほんとおっちょこちょいなんだから」
自分の頭をぽかりと叩いた阪中の表情は、今にも泣き出しそうに見えた。

俺はなんだか今日一日の気疲れが、少し癒された気がした。
と同時に、この微妙な関係を無粋な詮索で崩したくない思いにも駆られる。
だから俺は、阪中の嘘を知りながらも、それに沿うことにしたのさ。
「ちょっと豪華過ぎたが、めちゃうまかった。ぜひまた食いたい、もう少し質素なのを」
これは阪中に伝えているつもりで言う。十分に間をおいてから続きを言った。
「と、ハルヒに伝えてくれ」
阪中は最初驚いていたが、続く言葉に少し肩を落とし、慌てて取り繕う。バレバレだったが。
喜色満面とまではいかないにせよ、笑顔を見せた阪中は、大きくうなずいた。
「うん、伝えるのね」
451名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 13:08:42 ID:ffVfmwKv
支援
452名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 13:08:58 ID:yeNiJ0Z8
まだ終わってないよな?18レス投下しているが、まだ終わってないよな?
こういう脇役がスポットライトを浴びるSSは大好きだ。続きを期待する。
453名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 13:12:50 ID:BgD6J6cA
続きwktk
454名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 13:17:08 ID:BJrXk1Sh
前の伏線はほとんど全部回収したしオチっぽいのも入れたけど
内容的には全然終わってないからつづく
455名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 13:20:26 ID:P77PILBj
またこれ 「???」な部分を残しつつ、続くですかいっ!

い、いつまでも待ってると思わないでよねっ
456名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 14:49:45 ID:Z1FlAXVY
>>424
稀にみる名作GJ!しかもエロス!
鶴屋さんがそれっぽくて良かった
457名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 14:51:39 ID:lpGIivIw
キョンカワイソスwww
458名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 15:06:14 ID:6HzSIEFq
415のレスに思わずウホッな想像をしてしまった私はここの住人でいられる資格はあるのだろうか


それは兎も角書き手の皆さんGJです!


459名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 15:08:17 ID:KRuWxWXZ
>>424
俺ちょっと鶴屋さんに抱きついてくるわ
460名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 15:25:44 ID:D+64Iv2E
なんとなく阪中さんがかわいく思えてきた
461名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 16:12:05 ID:htJ3EhON
>>450
よかったなぁキョン
妹ちゃんにディープキスかました事まで知られてたら即死刑だっただろうに
命拾いしたね
462名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 16:15:52 ID:mp8sYcUK
>>460
阪中さんの可愛さはガチだよ
463名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 17:29:55 ID:xbOh/fgp
>>424
GJ。おっきした。
464名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 18:37:48 ID:s0FUN1kz
>>424
やばい、阪中さんにマジ転びそうだ。
続きに期待しつつGJ!
465名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 18:41:39 ID:KRuWxWXZ
>>464
それ鶴屋さんだよ
鶴屋さんだよそれ
466名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 20:24:58 ID:Yr/d57EP
>>450
GJ!キョンがハーレムなSSはいいね!
積極的な朝比奈さんは神
467名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 20:36:19 ID:s0FUN1kz
>>465
ぐはっ、アンカー間違えた。
谷口のフンドシで吊ってくる。

改めて>>450 にGJ!
468名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:23:43 ID:Fy4tBINj
なぁ、場面切り替えの空白って何行ぐらい空けてる?
取り合えず俺は3行なんだけど、それで場面が変わったって読み手は分かるかな
5行ぐらい必要かも知れない、とも思うんだが
469名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:24:51 ID:S4mgz/rf
gjです此処はよく神の降りて来るインターネッツですね。
470名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:26:02 ID:ZlGkSvWg
>>468
憤慨読んでたら谷川流は3行ぐらい空けてるみたい。
471名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:27:53 ID:SXAffAgj
>>468
本文の行の取り方次第。
小説風な書き方してれば二、三行空ければ十分だし、
ちょくちょく空行入れるような書き方してれば
それに比例するだけの空行が必要なんじゃね?
472名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:39:39 ID:KRuWxWXZ
自分は面倒なんでアスタリスクで強引に切っちゃうけど、
内容がシリアスなんだったら合わないだろね。
473名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:40:30 ID:0DeROOpz
女キョンが普通に高校入学してからの高校生活はイベントがどういう風に進んでいるかを考えていてふと思った、谷口は女キョンに告白したのだろうかと
結果は分かっているが、谷口は玉砕をしにいったのかなと
474名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:44:27 ID:+QyQifir
エロパロなんだからエロいの書くもんだろ?
甘酸っぱいのは各キャラ版で書いてくれ。
475名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:45:53 ID:ZlGkSvWg
>>474
このスレはエロパロなので
甘酸っぱいパロいのもありですにょろ。
476名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 21:49:49 ID:4u7KkdeB
甘酸っぱいのもいいが、便所の落書きみたいなエロも読みたい
477便所の落書き風:2006/09/04(月) 22:03:31 ID:efojRO9l
県立北高の涼宮ハルヒは、「ジョン・スミス」という合言葉を言えば
誰にでも股を開くヤリマン
478 ◆8KfHmthVUo :2006/09/04(月) 22:05:06 ID:ZlGkSvWg


「古泉、便所の落書きみたいなエロってどんなんだろうな」
「知りたいですか?」



   ;ヾ、,.、,、.、rツ ッッシ、:':' r':' _,、-'゙_,  や 公 帰 そ
 ,、,、,ミッン、,._        _,、-'゙_,、-'゙.   っ 園. り ん
 、ィッ ,:、 ゙''ゞ=ミ、~.: _,、-'゙_,、-'゙  __,  て の 道 な
 }; ヾ ゙' {!li;:,. _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,::|_|  来  ト に わ
 ゞァ''゙ぐ _,、-'゙_,、-'゙ _,、-'゙,、-''" .|_   た イ  あ け
 ,ヘ:'_,、-'゙_,、-'゙..::「┴_,エ ┴  ''"_|_|  の. レ る で
  └i'゙-ニ,ニエ,.:|ニ「 _エ ┴  ''"_|_   だ に
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴  __.|_|_
    |エ | ニエ, |ニ「 _エ ┴ 「fj.||__|__| _|
    |エ | ニエ, |[8] _エ ┴ └‐_|_|__l__,|⊥ |__
    |エ | ニエ, |二 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |┴ _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__|
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |__|__| _|_|_
    |エ | ニエ, |工 _.エ 二.._ |_|__l__,|⊥ |__
  -,-=''┷━━|┬ニエ ┬--  .|__|__| _|_|_
   ''ーニ_''ー::、_ ゙┷ 工_二'‐-、,_|_|__l__,|⊥ |__
  二二二`''ーニ`_''ー-、_¨''━、L|__|__| _|_|_
  二二二二二二二`''ーニ_''ー 、_       |⊥ |__



「ちょっと待て! 古泉!」
「さあ、今から教えてあげますよ。力を抜いて下さい……」
479名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:07:50 ID:2uehj1/i
うほっ
480名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:10:15 ID:KRuWxWXZ
アッー!
481名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:11:10 ID:4u7KkdeB
>>478
ま、それじゃないのは確かだ。何故なら面白くないからな。
482名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:18:34 ID:GBQw0FNG
>>450
そういうみくるもすばらしい。 
GJ
483名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:19:19 ID:bzTlxjHs
よし、やっと出来た。
>>373の続きです。
484涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:20:58 ID:bzTlxjHs
さて、俺達は今鶴屋さんの家にお邪魔している。あの忌まわしいゲームを実行するためだ。
俺としては行きたくなかったのだが、1時に現地集合だったにも関わらず10時に女性4人が家に押しかけ、引きずられる様に連行されるはめになった。
まあぐだぐた言っても仕方ない。俺が逃げ切ったら全て丸く収まるだろう。
「本当にそうでしょうか」
古泉。元はと言えばお前がこんな話を振ったんだろうが。何他人事の様に話してるんだこの野郎。巻き込まれる俺の立場も考えろ。
「それは申し訳ありません。しかし、あなたもどことなく楽しそうにも見えますが。迷彩服まで用意してますし」
俺は勉強は手を抜くが、遊びには全力で取り組むんだよ。
485涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:23:21 ID:bzTlxjHs
「彼女達の会話を盗み聞きしたのですが、お聞きになりますか? 」
本来聞くべきではないのだろうが、今回ばかりは話が別だ。聞かせてもらおうじゃないか。
「どうやら彼女達はあなたを捕まえた後の事を話していた様です」


ここから放送禁止ワード、及び当人のイメージを壊す発言には『禁則事項』が入ります。
御容赦下さい。By超能力者

「全員あなたとの『禁則事項』が目的の様です。涼宮さんは甘い恋人同士がする様な『禁則事項』。長門さんはあなたが攻め重視の『禁則事項』。

逆に朝倉さんは彼女自身があなたを攻める『禁則事項』。基本的には至ってノーマルな『禁則事項』です。
最後に朝比奈さんですが、これは正直意外でした。
あなたを『禁則事項』して『禁則事項』をした後、さらに『禁則事項』を続行。
あなたが『禁則事項』をやめる様に懇願した場合、罰として『禁則事項』させながら『禁則事項』を追加。
『禁則事項』が終了した後、朝比奈さんはまだあなたに『禁則事項』をしてその様子を見るんだそうです」
……誰か俺の記憶を消してくれ。特に朝比奈さんの所を念入りに。
あんな可憐な顔でそんな事を言っていたなんて思いたくねえ。
486涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:24:13 ID:bzTlxjHs
俺の思いを余所に、無情にもゲームはスタートした。
鬼が投入されてから30分が経過。俺の居場所は何処だと思う?実はスタート地点から歩いて2分の所だ。
灯台下暗しと言うやつさ。ハルヒと朝比奈さんは既に遠くに行ったのを確認している。宇宙人二人を確認してないのが少し不安ではあるが。
ん?待てよ。あいつらの能力を持ってすれば、俺が何処にいるかなんてお見通しじゃないか?
「今回私と朝倉涼子は力を封印している。身体能力も涼宮ハルヒと同程度」
そうか、それは良かっ――
「…見つけた。目標を確保する」
やばい、長門に見つかった。くそ、気配がまるで無かったぞおい。
はっきり言おう。俺はハルヒより足が遅い。そして今の長門と朝倉はそれと同程度と言っていた。ぐんぐん差を詰めて来ている。こうなったら最終手段だ。
「あ!あんな所に分厚い本が!」
長門は無言で振り返り、俺の指をさした方に向かっていった。
すまん長門。勝負って言うのは非情なのさ。
487涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:25:20 ID:bzTlxjHs
ふう、助かった。何とか逃げ切ったらしいな。長門が本の虫で助かった。
…なんか複雑な感じがするのは気のせいだ、そうに違いない。さて、息も整えた。少し歩くとするか。
しかし、いい所だよなあ。秋になったら素晴らしい紅葉が見られそうだな。そういや、宇宙人にはこう、風情とか解るんだろうか。
「そうねー、まあ色鮮やかだとかは思うわ」
そうか、まあ人間と接していればいつか解る様に――
「見つけたわ。目標拘束開始よ」
魔人アサクラリョウコが現れた!
つーかさっきもこのやり取りじゃなかったか!?
逃げる俺。追う朝倉。やっぱり差を詰めて来ている。
こうなったら、一か八か。
「あ!あんな所にナイフがいっぱい!」
「え?何処何処? 」
すまんな朝倉。二度も殺されかけたんだからこれくらいはいいだろう。
488涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:26:25 ID:bzTlxjHs
魔人アサクラリョウコから奇跡の生還を果たした。例えるなら、自分が光弱点の時にハマブースタ付き回転説法食らって生き残った時くらいに奇跡だ。
しかし、あんなのに二度も殺されかけた俺って何なんだ?

溜息をつく暇も無く、今度は朝比奈さんに見つかった。
「あ、キョン君待って―へみゅ」
あーあ、盛大にずっこけましたよ。普段の俺なら起こしに間違いなく行ったが、今回はやめておく。
すみません朝比奈さん。勝負って言うのは禁則事項なんですよ。うん、意味がわからない。
…決して、古泉から聞いた話に恐怖を覚えたわけじゃないぞ。
本当だからな。

まあ何というか、俺の1年ちょっとの間に鍛えられた第六勘は伊達では無かったらしいな。一番厄介な団長にまだ見つかっていない。
このまま順調に行けばいいのだが。
489涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:27:36 ID:bzTlxjHs
鬼が森に入ってから1時間50分経過。後少しでこの波乱に満ちたゲームも終わる。
…俺の後ろに誰かいる。だからそいつを段ボールから出すな。まあ、こんな事をするのはこの森には一人しかいない。涼宮ハルヒしかな。
俺が気付いてるのを気取られてはいけない。そうなれば最後、確実にハルヒの毒牙にかかっちまう。
こいつの事だ、時間ぎりぎりに捕まえるつもりなんだろう。…よし、特に見通しの悪い所に出た。これはかなりのリスクだがやるしかない。
ダッシュ!ダッシュ!スクランブル〜ダッシュ!
「あ、こらキョン!待ちなさい!」
誰が待つもんか。このまま逃げ切ってやる。そうすれば万事丸く収まるからな。
「目標発見。行動開始」
まずい、今の声で気付かれたか。だが二人ならまだ――
「二人じゃないわよ、私もいるわ。目標拘束開始よ。今度は騙されないわ」
くっ、三人だと!?しかし、残り時間は後二分のみ。これくらいなら逃げれるはずだ。
しかし無情にも、俺の目は前方に朝比奈さんがいる事を伝えていた。
490名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:27:56 ID:2IN1buYP
                           /)  _
          n ,ゥ,、             / ノー',ノ')_
             ,!┴'/'´)      - ―¬'' ̄`  ヽニノ!
         /、-‐∠、    ,'´     ,.-‐ ̄`ー‐‐'´
       ,. '´  ⌒-‐ '    |   _,ノ´
      ,r'´  /´          !    !
    ,'´   /         /    |    /
    !   !         / メ´乙゙゙ナー、/ _
    i   l        ノ/   ィ ―キ―
    !   ',      ,ノ几    ノ  l!  土ー
     !    ヽ    ,'´     ,;' n,、 |   |\
    l     `ヽ、_ノ  r。,  / 〈ノJ l!  _ !  ヽ、
     !  li         ´ '''´     l  ' !、- ―-- 、
     |! リ           -       ノ ヽ     !
    ノ  ::!、::\ー`ー-,ィf示ハ:::         ヽ    ト
  , -'   ┼‐` ー    弋炒 ',::          ノ    l、  「あ、こらキョン!待ちなさい!」
, ;'´     | ,ィf心         !::        /!   _l
       ::ヘ代t炒   ` ノ   |:   ー=r' ´  |   ート、
    '__  ー-ゝ    ‐'´     / ー   /´    !   l、
    ゝ  ̄ ̄  ̄ ̄`>、ニ= /,  /_>r<      l  i |、
、⌒   ヽ       /li;;:::ー'''ナ´.::ノ'       l ァ  キ
ヤ     i        ゞ、::ィ:i;;):x;ン        ヽ r !
 〉、ノ !  リ           ̄`´          ヽ  l
  ヘ   ,'                        l  ヽ   l´h
   ヽ  !                        ヽ、__,--、_ノ´
 `ー--、 ヽ
491涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:28:49 ID:bzTlxjHs
残り時間ぎりぎりで俺はハルヒ達に捕まってしまった。その時のやり取りはこうだ。
「うーん。誰が捕まえる?この際だから4人全員で捕まえた事にしない?あたし一人だったら多分逃げられてたし。
それに、キョンの『禁則事項』をみんなで奪うってのもいいかも」
「うん、それ賛成」
「それでいいと思います」
「…異議なし」
何と貞操の危機は生命の危機に変化した!その後、鶴屋邸で俺は逃げられない様にぐるぐるにされた後、黒塗りのタクシーで長門のマンションに連行された。古泉、一生恨むぞ。
492涼宮ハルヒの完結―その後:2006/09/04(月) 22:29:58 ID:bzTlxjHs
マンションに着いた後縄を解いてもらったが、逃げ出せなかった。体が動かん。
「さっきあんたに痺れ薬を有希が嗅がせたんだって」
いや違う。長門、朝倉。お前らの仕業だな。こら、目を逸らすな。
「さて、あんたの『禁則事項』をあたし達が奪ってあげる。感謝しなさいよ」
いや、別に俺はどうでもいいっていうか逃げたい。よりによって初めての行為が集団逆『禁則事項』なんて勘弁だ。
「もうあなたは逃げられない」
「そうですよ、キョン君」
「あなたの全てを奪ってあげるわ」
ハルヒさん、どうして俺の顔にあなたの顔を近付けるんですか?長門さんに朝比奈さん、どうして俺のシャツを脱がそうとしてるんですか?朝倉さん、どうして俺の股間に手を置いているんですか?
「キョン、いい加減に――」

「覚悟しなさい!」
「覚悟して」
「覚悟して下さい」
「覚悟したら? 」
や、やめてくれ。お願いだ、一生のお願いだ。だから、だからそんな事――

「うわあーーーー!!」
493名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:31:50 ID:bzTlxjHs
終了です。前回とは違ってギャグ物にしましたが、いかがでしたでしょうか。
494名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:32:48 ID:2IN1buYP
「覚悟しなさい!」
「覚悟して」
「覚悟して下さい」
「覚悟したら? 」
や、やめてくれ。お願いだ、一生のお願いだ。だから、だからそんな事――

「うわあーーーー!!」

視界が暗転し、がばっと起き上がる。
なんだ…夢か…目が覚めると射精していた。
495名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:35:19 ID:cym+iece
ギャグものはあまり長くないほうがいいのかなとも思いますのね。
496名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:37:16 ID:GBQw0FNG
エロから逃げちゃダメ
497名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:39:43 ID:KRuWxWXZ
語順が気になるところがちらほらと
498名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:44:29 ID:bIj6oz6H
[涼宮ハルヒの誘悦]
http://shm.jpn.org/haruhi/

声がキモスww
499名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 22:49:42 ID:lpGIivIw
GJ。
しかしその後の「禁則事項」を詳しくやってくれれば神
500名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:00:46 ID:RsCaLUNg
初めて投稿します。よろしく。

「涼宮ハルヒの第三種接近遭遇」

ある日の北高。校門の前で一人の少年が校内を覗き込んでいる。それを発見する
ハルヒ。

ハ「ちょっとアンタ、ここで何してんのよ。」
少「ひっ・・・、えっと、あっ、涼宮ハルヒだ!」
ハ「えっ?何であたしの名前知ってんのよ。」
少「いやあの、本で読んで・・・。」
ハ「本?なんのこと?アンタなんか怪しいわねえ。どこから来たのよ。」
少「え・・・、え?ほ、本の外の世界から。」
ハ「何わけのわかんないこと言ってるのよ。頭にプロペラつけて、変な靴
  はいて、でかいメガネつけて。・・・ひょっとしてアンタ宇宙人?未
  来人?それとも異世界人?」
少「ええっ?ま・・・まあ確かにこれは未来の道具・・・」
ハ「なんですって!?よし決めたわ、アンタいまから部室に来なさい!
  いろいろ尋問してやるわ。」
少「えっ、いやあの・・・、さ、さよならっ!」
ハ「ちょっと待ちなさい!って空飛んでる!どういうこと?コラー、
  降りてきなさーい!!」
少「ふう、あぶなかった。本で読んだ通りのコだったなあ。一旦
  帰ろうっと。」
ハ「き、消えた?!なんなの?・・・、そうか間違いないわ!今の少年は
  異世界人か未来人よ!きっとSOS団を調査しにきたのね!そうわいか
  ないわよ!パトロールでこっちから見つけ出してやるんだから!」


帰宅した少年
 「のび太くん、どこいってたの?」
少「ドラえもん、この『絵本入りこみぐつ』って小説にも入れるんだね。」
ド「絵がついてれば、絵本だからね。」
少「どうしてそんなに都合よくなるの」
ド「詳しく話せば長くなる」

終わり
501名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:05:14 ID:5W5DOXOP
精進しましょう
15点
502名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:11:28 ID:5W5DOXOP
ところで国木田×阪中って原作で描写あったっけ?
503名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:15:18 ID:3t41vZ5O
>>502
会話すらしてる場面がない。
504名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:15:47 ID:vcB6BXNY
>>492
GJ
楽しませてもらった
505名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:21:01 ID:5W5DOXOP
>>503
THX
最近そのペアでの会話が出てくるSSが増えたから、原作設定なのかなと思ってた。
アンオフィシャルだったのね。ありがと。
506名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:22:00 ID:ZlGkSvWg
>>505
「私の交友関係は『公式』にちょっとだけ解説されてるのね」
507名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:25:10 ID:5W5DOXOP
>>506
「座席表以外にあるのなら何ページか教えてほしいのね」
508名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:28:27 ID:ZlGkSvWg
>>507
「ごめんね、そこしかないのね。悲しいのね」
509名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:32:10 ID:5W5DOXOP
>>508
「そうなのね。哀しいのね。ありがとうなのね。」
510名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:36:54 ID:75LDS7Ho
>>506-509
ちっちゃい阪中さん達がわらわら集まって会話する絵が浮かんだ。
511名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:40:11 ID:5W5DOXOP
>>510
「とってもかわいいのね。このネタで何か書いて欲しいのね」
512名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:45:03 ID:rV7HtCzK
続き物がもうすぐ出来上がりそうだが、前いつごろ投下したか忘れてしまった。
過去ログ素直にあさるか…
まぁ、悪いのは俺がそんな忘れるほど書かなかったせいだが…
513名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 23:58:20 ID:JQtl69U6
>>512
別にいいんじゃね、新規ものってことで
514名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 00:00:40 ID:rV7HtCzK
>>513
前に投下した分の続きなんだよ_| ̄|  ○
こんな自分が憂鬱だ…
515名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 00:02:04 ID:NuG14uDQ
>>514
保管庫検索すればすぐ出てくるでしょ?
516名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 00:03:36 ID:Rh3BjV59
前に書いたのがパソに残ってるなら、その分htmやらでまとめてアップしてから、新規分を普通に投下してもいいかもねっ。
517名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 00:09:47 ID:NVgKim9d
>>514
投下すれば誰かが気付いてくれるかも知れんよ?
結構前に投下したヤツの続き、とか書いて投下すればいい。

でも、「何の続きじゃコラ」って言われても切れないように、一つよろしく。
518名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:00:41 ID:If1fAvha
ある朝キョン用のノートPC(コンピ研から奪ったやつ)を起動すると

RYOKO.A>見えてる?

RYOKO.A>とりあえず、最低限の情報媒体までは復元できたわ

RYOKO.A>今の私はこのパソコン上の情報だけの存在

RYOKO.A>大事にしてね(はあと)

KYON>すると、お前のむっちりフトモモは?

RYOKO.A>うん、それ無理

KYON>そうか。じゃあいいや

フォーマット

RYOKO.A>くぁwせdrftgyふじこlp;@

次の日

RYOKO.A>危ういところだったわ

KYON>なんでまだ残ってるんだよ

RYOKO.A>とりあえず、コンピ研のサーバーに逃げたのよ

KYON>お前、なかなか頭いいな

RYOKO.A>えっへん

フォーマッ

RYOKO.A>待ってぇええええ

RYOKO.A>これでどうかしら?

画面にはバニー姿の朝倉が写った

KYON>おお

RYOKO.A>どう?ポリゴンで急ごしらえの割にはなかなかでしょ?

KYON>さすが、無駄にグラフィックエンジン積んでるだけのことはあるな

「ちょっと、キョン……何エッチな画像見てるのよ!」
「ち、ちがうんだ、ハルヒ!これは!」
「問答無用!!」

ドガッ!!バキバキ!ガッシャーン!

RYOKO.A>あ……きゑちゃぅ@@@
519名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:02:42 ID:WwURZchk
>>518
ワロタw
520名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:03:26 ID:j711cd7v
なんだこれ? あちこちに貼ってるな
521名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:03:55 ID:Rh3BjV59
某たまごっちみたいにして持ち運びてへ
522名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:27:59 ID:If1fAvha
>>518の続き

「キョンく〜ん、助けてくださいぃ」
そのまた次の日、朝比奈さんが自分用のノートPCを持って俺の側に寄ってきた。
「何だか、ウイルスに感染してしまったみたいなんですぅ」
何?ウイルスですって。
麗しの朝比奈さんのパソコンに感染するとはふてぇヤロウだ。
俺は、朝比奈さんのノートPCを起動してみる。

RYOKO.A>やっほー

そこには、ナース服に身を包んだグラフィックの朝倉が写っていた。

KYON>しぶといな、サーバーをどうにかしなきゃならんのか

RYOKO.A>なになに?ウイルスですって?悪いウイルスにはお注射しちゃわよ

と言って、(画面内で)注射器を出現させる朝倉。
なんだその怪しげな紫色の中身は。

RYOKO.A>うん、それ秘密

俺は、Ad-awareというソフトを起動してみた。

RYOKO.A>な、なによ、こいつ!

RYOKO.A>私とやろうっていうの!

RYOKO.A>くっ!意外とやるわね

RYOKO.A>残念だったわね、今、このパソコン内は私の情報制御下にあるのよ


やっぱお前スパイウエアじゃねーか


523名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 01:34:20 ID:Rh3BjV59
正直あともう一回やられたら胃もたれするかな
524名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 02:04:01 ID:X9z7G/zt
まだ続くんなら続けてほしいが。面白いし
525名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 02:05:03 ID:Vp8AvL6B
424は保管されるにょろ?
526名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 02:05:30 ID:XfQXG8OV
>>524に同意。
527名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 02:07:44 ID:krDR+Jiv
個人的にはまだ見たい
528名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 02:11:22 ID:BQtZcA8F
大元は朝倉スレだよ
529名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 02:26:16 ID:Rh3BjV59
なんかコピペっぽいと思ったら
530名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 03:10:26 ID:fxLgSUkP
とりあえず朝倉のえっへんにもえた
531名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 06:55:48 ID:z+kZD+FA
コピペしてるのが作者じゃなさそうだからここより朝倉スレに書いた方がよさそうだ
532名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 08:43:44 ID:lHAeiHMN
エロ習作を兼ねて
前スレ964「宇宙人×未来人×超能力者」の続き。
533宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:44:27 ID:lHAeiHMN
- * -
「朝倉涼子はあなたとほぼ同じ存在。情報思念統合体のインターフェース」
「朝倉涼子は涼宮ハルヒの近くにいるわたしを殺す事で、涼宮ハルヒの出方を見るつもりだった」
「わたしをここへ呼び寄せたのはその為。でも朝倉涼子は失敗した」
「わたしは念のため、あなたをここへ呼び寄せるよう手を打っておいた。あなたのノートはわたしが預かっている」
「あなたのノートの取り方は非効率的。要点を押さえていない。改善が必要」
 余計なお世話だ。

 話がそれたがつまりアレか。朝倉は宇宙人で、長門は朝倉に殺されかけたと。
「そう」
 で、それをさせない為にこうして俺に説明している間も
「もう、だめ、意識が、情報が、崩壊、しちゃ……ああああああああんっ!」
 ……両腕を休めずに朝倉を攻め立てている訳か。
「未だに理性では信じたくはないが、俺に宇宙的パワーがあるのは納得した。オーケイ、わかった、認める。
 それで長門、俺の力で朝倉を気絶させる事は可能か。可能ならやり方を教えてくれ」
 このまま話をすすめるには、正直眼のやり場も耳の立て場もズボンの状態も大弱りだ。


 悶え続けていた朝倉に軽く手を触れて気絶させる。
 気絶した後の朝倉の表情がもの凄く安らかに見えるのは、はたして俺の気のせいだろうか。
 長門は朝倉から両手を開放し、つづいて俺に空間修正の方法も教えてくれた。

「基本は同じ。全ての事象を情報として扱えばいいだけ」
 長門の指示に従い、異空間化していた教室を元の状態へと戻していく。
 自分でしている事ながら改めて驚きを隠せない。一体何でこんな事ができるんだ俺は。
 その間、長門には朝倉の衣服を整えさせた。流石にそっちは俺の管轄外だ。


「話を聞きたい。とりあえず場所を変えよう。この状態も含め、教室じゃ色々と問題が多い」
「了解した。わたしの家に……あっ」
 どうした。何かまだ困ったことでもあったか。
「……眼鏡が無い」
 長門がそう言って顔に手を置く。言われてみれば、先ほどから眼鏡をしていない。
 眼鏡は教室の隅に落ちていた。レンズは無事だがフレームが曲がりきっている。
 こんなのを修復とかもできるのかなと考えながら眼鏡を覗いてみたが、視界が殆ど変わらなかった。

「ん、この眼鏡……もしかして度なしのダテか?」
「入ってない。わたしの視力に問題はない」
 あっさり認める。しかし長門は何でダテ眼鏡なんてしているのだろうか。
 俺が聞くと長門は少しだけ顔をうつむかせ、小さく答えた。
「……視線が、苦手」

 そういえばコミュニケーション下手だとか言っていたな。
「それはすまなかった」
 慌てて視線を外す。だが長門は逆に俺に視線をぶつけてきた。
「あなたは大丈夫、外さなくていい」
「そうか。……でも長門。眼鏡がない方が、お前には似合ってるぜ」
 俺には眼鏡属性も無いしな、最後にそう付け足した。

534宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:44:57 ID:lHAeiHMN
- * -
 俺は朝倉を背負い、長門と共に家へ向かう。
 教室で俺が朝倉を背負い、長門が何故か俺の腕に軽くしがみ付いた姿を、何だか陽気に奇妙な歌を歌いながら現われた谷口に
目撃されたりもしたが、俺は先ほど覚えた気絶攻撃を食らわせる事で事なき事を得た。多分。

 そして現在。


「……ぁ……んっ……くふぅ、ぁあっ!」
 全裸にされた朝倉は、再び長門によってたっぷり攻め立てられていた。

 長門の口は朝倉の耳たぶから首筋へゆっくりと流れ落ちつつ、要所要所で吸ったり軽く噛んだりし、そのたびに朝倉からは切ない声と吐息が漏れる。
「だ、吸う、のはダ……メ……」
 そのまま形の整った二つの胸に対し、長門は名を表すような白い指で、腕の両脇からゆっくりと撫で回すように登山を開始させる。
 そのうち片方の手は登山軌道を離れ、ヘソを通ってわき腹、腰へとゆっくり降りていった。
「ひゃうんっ、ぞ、くぞく、する……よ。なにこ、れ……」
 双丘の頂、朱に染まるニップルを人差し指で軽く回し押さえ、二本指で小刻みに摘み、そのまますっと胸を横断して対なる頂へと移す。
 腰まで降りた指はそのまま股下まで走る関節の括れを伝い、そのまま茂みに突入かと思いきや、股下から膝へと指を下ろして太腿の内側を撫で始めた。
 朝倉から流れ出る音は既に言葉にならず、もはや抵抗らしい抵抗も見せていない。
 刺激が与えれる度に全身を小刻みに震わせながら、長門に対して全てを委ねていた。

 ……などと官能文庫さながらの冗長で猥雑な表現回しを使い、俺なりに冷静な判断で状況解説してみたつもりだがどうだろうか。
 いや、既に俺の思考に淫靡な霞どころか濃霧がかかっているのはわかっている。
 しかし俺も先日ようやく高校生となり、大人の階段を北高への坂道と共に登り始めた健全な精神を持つ男子だ。
 学年でもトップクラスの容姿を持つクラスメイトの美少女が、同じくトップクラスの部活仲間の美少女と、
手を伸ばせば届きそうな目の前であられもない痴態に耽る姿をこれでもかと言わんばかりに見せ付けられて
それを沈着冷静に眺める事ができるヤツがいたとしたら、そいつは悟りを開いた聖人君子か、ホモか、あるいは古泉のどれかだろう。
 もちろん俺は聖人君子でもホモでもましてや古泉でもないので、その何ていうか色々と持て余している状態となっている。

「まだダメ。服を脱いで、気分の高揚を維持」
 そんな俺の悶々とした気持ちを察したのか、長門は犬におあずけを教える飼い主の如く視線で「待て」と命令してきた。
 仕方ないのでこちらも全裸になって正座し、気分を高揚させて悶え待つ。ワクワクテカテカとでも唱えてようか。
 長門が必死に朝倉のヒットポイントを削る間、どうしてこんな現状になっているのかを振り返ることにする。
 そうだな、長門の家についたあたりからでいいだろう。

535宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:45:27 ID:lHAeiHMN
- * -
 長門の家に上がり、まずはコタツをどけて空間を確保する。そこへ朝倉をおろすと、俺はこの部屋を情報管轄下に置いた。
 俺にある未来人の属性はダテではないらしく、俺は朝倉より桁違いどころが次元違いと言えるほどハイスペックなインターフェースなのだと長門は言う。
 どれくらい凄いのかと言うと、この時代の情報思念統合体ぐらいならガチンコ勝負もできる程に進化しているのだとか。
 どれくらい凄いのか全くもってわからない。
 ただまあ、そのインターフェースの劇的進化の理由がアイツでない事を心から願いたい。


 朝倉の情報思念統合体との連結も含めほぼ全ての能力を封鎖してから覚醒させる。
 今の朝倉にできることは一般人と同じような事だけだ。
「お手上げ。流石は上位種ね。それとも、あなたが特別なのかな」
 朝倉もわかっているらしく、台所から包丁を持ち出すとかいった抵抗をしようともしなかった。

 俺は改めて朝倉と長門から今回の凶行について説明を受ける。
 朝倉は三年前からハルヒを監視していた。
 だがハルヒが思ったほど変化を見せない事に、朝倉も直接的上にいる思念体も苛立ちを覚える。
 そこで朝倉は自ら事態を動かそうと、今回の長門強襲を行ったという事だった。

「あたし自身の意思か、上からの介入かはわからないわ。でもね、そんなのどうでもいい事なの。
 変化の無い対象を常に監視し、一定間隔で『変化なし』で埋め尽くされた報告を、この三年あたしは毎日毎日飽きもせずに出し続けた。
 ……もう、うんざりなの」
 そう最後に呟いた時、俺はコイツを知ってから初めて、朝倉涼子の真の表情というのを見たような気がした。
 それはいつもの取っ付き易い姿でないが、それでも俺はその表情の方に好感を持った。
 命令とか事態の改変とか色々言っていたが、結局の話、コイツは日常に退屈していたんだ。
 そしてコイツもハルヒのように気づいたんだ。
「事態が動かないのならば自分で動かせばいい」って事に。


 つーか、もしかしてSOS団を思いついたハルヒの、あのエウレカ叫びが今回の原因なのだろうか。
 俺は聞くのが怖くてその質問を口に出さない事にした。

536宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:45:59 ID:lHAeiHMN
 朝倉が宇宙人だとかは正直どうでもいい話で、結局は誰にも被害が及ばなければいいと俺は思っている。
 なので俺は朝倉に事態の凶行を止めるよう進言してみた。
「うん、それ無理。だってインターフェースは操り主の命令には逆らえないもの」
「朝倉涼子の管轄者が急進派である限り、朝倉涼子の存在は危険を伴う」
 残念ながら俺の平和的提案は反対二票であっさりと否決されてしまった。
 操り主の意思が変わらない限り、朝倉は強行的に走り続けるという事か。

 ……ん、待てよ? つまりそれはもしかして『こういう事』なのか?


「朝倉、これは興味本位で聞くんだが。もしお前に対しての全ての指令が外れたら、お前何がしたい?」
「え?」
「ハルヒの監視も他の指令も全くなし。情報思念統合体への報告とかを行う必要も無しだ。
 お前の行動は完全に自由で、勝手気ままに動いて構わない……ってなったら、お前は何がしたいんだ?」
 現状が退屈と言うことは、つまり退屈だと思う現状と比較する「退屈でない何か」があると言う事になる。
 それが一体何なのか、俺は聞いてみたくなった。
「んー……もしそうなったら、一つしてみたい事があるの」
 してみたい事?
「ええ、あたしの知る、宇宙で一番楽しい事。でも何かはナイショよ」
 そうか。お前にもあるんだな、そんな事が。
 その言葉を聞いて、俺は先ほど思いついた突拍子も無い『こういう事』を打ち明けてみた。


「俺の能力、情報思念統合体、インターフェース。俺よりも宇宙的な事に詳しいだろうお前らに尋ねるんだが。
 つまりこの問題って『朝倉の操り主が情報思念統合体の急進派』なのが問題なんだよな。
 だったら……『朝倉の操り主を俺にする』なんて事は可能だと思うか?」

 流石にこんな事を言い出すとは思っていなかったらしい。朝倉も長門も言葉をなくしていた。
 いや長門は普段から言葉が無いが、それでも普段より眼を少しだけ見開いたその表情を見れば驚いているのがわかる。

「思念体が生み出したあたしのプロテクトを破って、アドミンネーム……つまり操り主をあなたに変更して、
更に思念体が解除できないぐらい強力な情報保護プロテクトを掛け直せば、一応可能かな。うん」
 勤めて明るく朝倉が教えてくれた。
 なるほど、つまり不可能ではないんだな。
「……ねえ。まさか本気だなんて事、ないよね?」
 流石に雰囲気がわかったのか、朝倉が笑顔を落とし真剣な表情で聞いてくる。
 どうもさっきの案はインターフェースなりの冗談だったらしい。
 長門もまたいつに無く厳しい表情でこちらを見ていた。
「成功確率は極めて低い。最悪ケースを想定した場合、朝倉涼子のデータ改変中にマスターから逆改変を行われる可能性がある」
 だったらそうされないよう、成功率を上げる方法を考えようじゃないか。
 幸いここには思念体と張れる存在が三人もいるんだからな。

「わたしはただの人間。現地協力者にすぎない」
 ……それが今のところ一番謎なんだよ。
 知識といい体術といい、悪いが俺なんかよりよっぽどインターフェースっぽいぞ、長門。
 って言うか宇宙人より面白い立場にいるんじゃないか?
「それは、気のせい」

537宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:46:37 ID:lHAeiHMN
- * -
「朝倉涼子を心身共に消耗させ抵抗力を落とす。その上であなたの攻撃因子を朝倉涼子に注入し、改変を行う。
 これが合理的、かつ最善の手段と思われる」
 なるほど、それは合理的だ。
 それで具体的にはどうすればいい。何せ宇宙人の力に目覚めて日が浅くてな。
 何をどうしたらいいのかさっぱりなんだ。教えてくれないか長門。
 お前がどうして布団を引き始めたのかを含めてな。

「あたしの事をどういう風に改変させたいか、その結果を思念して。
 それで、あなたの存在全てが改変攻撃因子に変化するの。思念幅が広域であればあるだけ、そうね、
人間の感覚で言うなら『強く』思念すればするほど、より強力な攻撃因子が構成されるわ。
 後はその攻撃因子をあたしに注入するだけね」
 なるほど、かなり具体的だ。
 それで具体的にはどうすればいい。何せ宇宙人の力に目覚めて日が浅くてな。
 何をどうしたらいいのかさっぱりなんだ。教えてくれないか朝倉。
 お前がどうして制服を脱ぎ始めたのかを含めてな。

「わたしが朝倉涼子を消耗させる。その後皮膚や血液、粘膜へ因子を接触させ、全身に吸収させるのが最も効率的。
 あなたの全身から出る汗を朝倉涼子に触れさせるのも攻撃手段の一つ。
 またあなたの唾液を飲ませる、体液を注入させる行為もまた攻撃手段となる」

 ……はっはっはっ。なるほど、そういう展開か。
 悪いな谷口、国木田。どうやら俺は朝倉と一足先に大人の階段を登ることになりそうだ。
 恨むなら朝倉にこんな命令をした情報思念統合体の急進派を恨んでくれ。

538宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:47:10 ID:lHAeiHMN
- * -
「きゃふ、ふぁ、ぁ、ぁああああああーーーーーーーーっ!!」
 朝倉の艶を大いに含んだ咆哮を受けて思考を戻す。
 全身に珠玉のように輝く汗をかき、涙や涎やその他諸々を分泌しながら、激しく呼吸する以外の動きを見せなくなった。
 こうして見ていると、インターフェースというのがウソに思えてくる。
「……いぇ……っさぁ、ぁ……れ」
 息なのか言葉なのかわからないメゾソプラノの音を出す朝倉を見つめ、長門はゆっくりと朝倉から離れてこちらに視線を送った。
「準備完了」
 ……そうか。ありがとうよ、その淡々とした態度に少し萎えたが、逆に冷静になれたぜ。
 さて、ここからが真剣勝負だな。あらゆる意味でチェリーな俺がどこまでできるのか。それに朝倉の今後がかかっている。
 一糸纏わぬ姿の俺は、一糸纏わぬ姿の朝倉にゆっくりと近づいて……
 と。あくまで単調の雰囲気を崩さず、朝倉の艶美な芳香を纏ったまま、長門がすっと近づいてきた。
 ちなみにコイツはタイ一つすら乱れていない完璧な制服姿である。なんだかなぁ。

「萎えるのは問題。早急に起たせる必要がある」
 そう言うなり俺の前に跪き、主に朝倉の甘露で濡れた両手を俺のいきり立つ注射器に添えてきた。
「吸茎と手淫を施す」

 その後じっとりねっとりしっぽりすっかりたっぷりのんびり長門に攻め立てられまくり、大人の階段を昇るどころか何かとんでもない
精神的外傷を俺の心に刻み込みながらある種の抜け出せない深みに堕ちていく気分になったのはどうか気のせいだと信じたい。

「準備完了。ターゲット朝倉涼子の管理構成プログラムへの改変ウィルスを速やかに挿入」
 色んな尊厳を失くした気分になり泣きたい気分だがとりあえずギリギリのところで堪える。
 で、つまり挿入ってのは、それはその、アレをしろって事だよな。
「そう。あなたのそのたぎる陰け」
 あ、いや語らなくていい。言いたい事は痛いほどわかるから。
「そう」
 長門はあくまで表情を崩さず、首を数ミリほど横に傾け大丈夫?といった感じで伺ってきた。
 大丈夫だ、多分。

 しかしこんな事になろうとはね。SOS団の三人が揃ってハルヒがどうのと言った時には、てっきりこの誰が望んだかわからない
微妙に非日常系な物語は、ハルヒをヒロインにあいつの心の憂いと鬱憤を取り除くという、そうだな「涼宮ハルヒの憂鬱」なんて
ちょっと投げやりなタイトルが意外にマッチするような話だと思っていたのだが、まさか朝倉がヒロインで「朝倉涼子の解放」という
物語になろうとは、いったい長門以外の誰が気づけようってもんだ。


539宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:47:53 ID:lHAeiHMN
「朝倉、最後にもう一度だけ聞きたい。……本当に、その、しちゃっていいんだな?」
 既に精も魂も尽きかけぐったりとしている朝倉の傍により、視界に入るよう覗き込んで問いかける。
 ヘタレと呼ぶなら呼べ。引き返せない第一歩を躊躇い無く踏み出せるなら、今頃俺は経験豊富な色男にでもなってるさ。
 朝倉は部屋の天井を彷徨わせていた視線をぼんやりと俺に移し、その霞んでいる思考を何とか巡らせて答えてきた。
「……うん、お願い。この退屈な日常を終わらせられるチャンスがあるんなら、あたしはそれにかける。
 …………それにね」
 それに、何だ?
 息も絶え絶えに、隠す意思も無い形の良い艶やかな胸を上下させながら、朝倉が手をのばして俺を捕まえてくる。
「……もう、限界なの。思考が狂って、エラーが起きてる……。早く……何とか、してっ!」
 思いもがけない強い力で一気に俺を引き寄せる。バランスを崩して倒れこむと、朝倉はそんな俺をしっかりと抱きしめてきた。

「はうあああああっっ!」
 直後に朝倉が白桃色の声で叫びだす。なんだ、どこかに当たったか?
「違う。あなたの全身にかく汗もウィルスの一環。朝倉涼子はあなたに侵食され始めた」
 淡々とした解説が流れてくる。ところで長門、お前ずっとそこで見ているつもりか?
「わたしはあなたをサポートする義務がある。あなたが失敗しないように」
 あり難いんだか下手くそそうで心配だといわれてるのかわからないが、恥ずかしい事にはかわりなかった。
「それと興味もある。わたしが同じ状況に陥ったとき、大いに参考にさせてもらう」
 どんな状況だソレは。俺の問いにきっかり三秒待って
「……初体験の時」
 頬に僅かな朱をのせて、長門は小さく呟いた。


 朝倉は俺を抱きしめながら、それだけで身体を小刻みに震わせている。
 だがいつまでも俺のボディプレスを続けさせるわけにも行かないだろう。自分の下から横へとその身体をずらす。
 そのまま抱きしめ返しながら軽く口づけ、そのまま舌で紅を叩いて開かせる。
 舌を口内に差し込むと、朝倉は更に震えを増しながら、俺の舌と唾液を舐め取るように絡めてきた。

 俺の体液全てがウィルスだったか。摂取量が多ければ多いほど改変効果が期待できる。
 何て夢の様でいて恐ろしい設定だ。朝倉が俺の血液を全て吸い取るとか始めなかっただけ良しとしよう。
「そんな……事、しないわよ。何となくだけど、あなたなら、何とかしてくれそうだから」
 もの凄く恥ずかしい事を言われてしまい、照れ隠しに俺は朝倉の口内から耳タブを経由して首筋へと舌を動かした。
 鎖骨のくぼみがどうやら朝倉のお気に入りらしい。甘噛みで鎖骨を咥えたり、舌でそっとなぞったりするたびに、
朝倉は振動モードをオンにされたゲームコントローラーよろしく震え上がる。

「くきゅんっ! も、もうだめ……満たされないの、思考が繋がらないのっ! なんなのこれ……おかし、くなる」
 頭を振って未知の感覚に戸惑う。どうにか認識しようとするが、適切な言葉を見つけられないようだ。
「それは多分、『切ない』という感情」
「切ない……うん、そう。切ない……切ない、切ないな……切ないの……切な、い」
 潤んだ瞳で見つめられ、桜色に染まった身体でそう言われて、それで我慢できるヤツは以下略だ。
 既に長門によって決壊したダムのような状態なっているそこへ、俺の愚息をあてがう。

「朝倉、お前は力が使えないんだ。だから、痛かったらちゃんと言ってくれ」
「うん。でも、あたしでも痛いのかな……わかんない……こーいうの、全然した事ないから……必要なかったから……」
 そうか。
「うん。でもね、優しくする必要も、そんな気遣いもいらない。……あなたは、ただ一つの事だけを、ずっと考えててね」
 不意の言葉に驚くが、俺を掴む朝倉の手が小さく、でも強く俺の事を引き寄せてくる。

「あたしを侵して……あなたの全てで、あたしの事を繋ぎとめて。…………お願い、いいよね」
 俺は頷くと、ゆっくりと朝倉にその身を沈めていった。

540宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:48:35 ID:lHAeiHMN
 思ったより痛くないのか、それとも朝倉なりの頑張りなのか、はたまた改変中でそれどころでは無いのか。
「はあん、うっ、くううんっ! もっと、足りないのおっ! 何か熱い力が、全身で暴れてるのおっ!」
 リズム的な動きにあわせ、リズム的に言葉を返してくる。
 汗でにじんだ手を胸に触れさせるだけで、その激しさが更にはじける。深く舌を絡ませるだけで、その体温が更に上昇する。
「ああっ、それ、いいっ! 何かが染みてくるみたいっ!」
 今はただ朝倉の事だけを考える。というかそれ以外考えられない。
 朝倉の舌が顔や首や胸板などを這いまわり、その軟らかくほんのり温かい身体は密着し、全身からは熱く甘い匂いを振りまき、
何より俺の愚息が朝倉の中で表現不能の動きに包み込まれている。

 キスをするたび、何処かに触れるたび、そして少しずつ漏らすたびに、朝倉の改変が行われていく。
 改変を阻む激しい拒絶の壁。その合間を縫って、俺の事を小さく受け入れ続ける。
 幾重の壁を地道に破り、ついに俺の思念は朝倉の中心に指をかけた。
「凄い……これって何なの!? あたしの中の情報が連動する、連鎖していくっ! 暖かい何かで侵略されてるのッ!」
 朝倉が強く抱きしめてくる。背中に爪が立てられるが、そんな痛みは完全に無視した。
「切れそう……消えそう……消えたくないよ……こんな退屈なら消えたいって、思ってたのに……今は消えたくない。
 もっと抱かれてたい、もっとこうしてたい、もっと色々してみたいのっ! もっと、もっと、もっともっともっと」
 限界が近い。俺の欲求も、体力も、そして朝倉の思考も。動きを早く、そして深くして、朝倉を攻め立てた。
「あ、もう、切れて、繋が、あ、あああぁ────────────────────っ!!」
 その腕が、そして朝倉自身が俺を一際強く包み締め付ける。
 それにあわせて俺も朝倉の奥深くでウィルスをぶちまけ、同時に朝倉の中心をしっかり掴みとった。


- * -
「……さっきから変なの。吹いたら飛んでいっちゃうような、小さく軽い羽毛が、こう、身体の中にたくさん積もってきて、
重く感じるんだけど、でもそれが何だか心地良くって、大切にしたい……そんな感じ。ねぇ……これって、何なのかな」
 隣で横になっている朝倉が聞いてくる。改変が成功したのかわからなかったが、その表情は極めて優しかった。

「さぁな。でも、大切にしたいって思うんだったら、大切にしたらどうだ」
「そうね。そうする」
 そうしてゆっくりと目を閉じる。少しして、小さな寝息が聞こえてきた。

「……わたしにはわかる」
 どこからか小さな声が響く。
 少なくとも俺の視界範囲に姿は見えないが、部屋の隅で途中からずっと正座していただろう、長門の声だった。
「朝倉涼子は涼宮ハルヒとコンタクトを取る為、クラスに溶け込むよう人付き合いの良い性格をしていた。
 だがそれは全て誰かがパターンとして作りあげたモノ。彼女自身のモノではない。
 しかし、涼宮ハルヒのある一言が、朝倉涼子に『自分で考える』という行為を思いつかせた」
 お前が何でその事を知ってるのかはわからんが、その一言って『無かったら作ればいいのよ』ってアレだよな。
「そう。そして朝倉涼子は次々と『自分で考えた』。次々と思いついた。それが、彼女の言う『羽毛』」
 ああ、そんなの俺にもわかってたさ。
 でも朝倉が自分でその事に気づいた方が良いと思ったんだ。だから言わなかった。

「それがいい」
 長門は静かに肯定してきた。少しの物音と襖を開ける音がする。
「その布団に三人は多い。わたしは向こうで眠る」
 何から何まで本当に悪かったな、長門。
「いい」
 ゆっくりと襖が閉められる。隙間無く閉じられ部屋が闇に戻ったとき、襖の向こうから言葉が続いた。


「──それに、わたしも堪能した」

 ……何だか色々と眠れない気分に陥った。

541宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 08:49:09 ID:lHAeiHMN
- * -
 事の顛末を二つ語ろう。
 まずは改変の結果だが、これは見事に成功したらしい。

「マスター、ご主人様、ボス、主、お義父さん……どれがいいかな」
 何の話だ。
「だってあなたがあたしのマスターなんだもの。あなたが望むよう呼んであげるわよ」
 今までどおりにしろ。頼むから俺をマスターと思うならこれ以上悩みの種を増やさないでくれ。
 ……まあ、この三人しかいない時には好きに呼んでもらって構わないがな。
 それこそお前が『自由』に決めるべき事だ。
「うん、そうする」


 そしてもう一つの顛末だが……。


「涼宮さん、ちょっといいかな」
 次の日の朝。
 全く持って不思議が見つからず、投稿するなり机に突っ伏し不機嫌オーラを振りまくハルヒに対し、
何を思ったのか朝倉はコンタクトを試みてきた。本当に何を考えてるんだ、おい。
 思ったとおりハルヒは一言も答えない。振り向きもしない。だが朝倉は気にも留めずに話を続けた。

「あたしもSOS団に入部させてほしいの」
 ……何だって? 今コイツ何て言いやがった?
 俺が朝倉の言葉を理解できずにいると、ハルヒは相変わらず突っ伏したまま
「志望動機」
 本当驚いたね、そう一言だけ呟いて返した。
 てっきり無視を決め込むと思っていたのだが、お前ら揃って一体どういう心境の変化があったんだ。

「退屈だから」
「ふぅん、そう」
 かつてこんな殺伐とした入部申請風景があっただろうか。
 少なくとも俺は知らない。制服を掴まれて部室へ強制連行された記憶ならあるけどな。

「……放課後に文芸部よ」
「うん、ありがと」
 もはや天変地異の驚愕だ。ハルヒは朝倉の入団をあっさりと許可したのだった。
 突っ伏したままの姿は変わらないが、そっぽを向いていたのが今は俺と朝倉に視線を投げてきている。
「何? なんか文句あるの?」
 いいや、全く無い。大岡裁き以上の名判決だと掛け値なしで褒めてやりたいぐらいだ。
「ふん。退屈してんなら、不思議探しの人海戦術に丁度いいと思っただけよ」

 朝倉はハルヒの横から俺の横に移動し席の傍にしゃがみ込む。
 両手を組みながら立てひじを付き、憂鬱の取れた瞳をこちらへ向けてきた。
「そういう訳で、これからよろしくね。マスター」
 マスター言うな。それよりお前が言ってた宇宙で一番楽しい事って、SOS団の事だったのか。
「そうよ。だってさ」
 朝倉は軽く首をかしげ、いつもより半音ほど高い声で言葉を続けた。

「SOS団より楽しい事、あなたにある?」
 そんな朝倉の屈託の無い笑顔と入団を許したハルヒの寛大なる心に免じて、俺は何も答えなかった。


542名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 08:50:22 ID:lHAeiHMN
いじょう。それじゃ仕事いってくる。
543名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 08:56:01 ID:QAuQyE+o
おわりかたがよいです
70てん
544名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 08:58:13 ID:QYktiq22
お疲れさん&GJ
545名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 09:11:33 ID:+pwjr/V6
>>542
535の「俺にある未来人の属性はダテではないらしく」
これって宇宙人じゃないのかな?
546名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 09:17:37 ID:nQK4m7OH
乙かれ
547名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 09:49:14 ID:Qx3kFLen
乙かれ。次は、未来人のエピソードかな?かな?
548名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 09:59:43 ID:Qt5V+0pw
投稿直後に誤字を見つけていきなりがっくり。

>>545
思念体にただの宇宙人(インターフェース)じゃ勝てないからです。
未来の宇宙人だから、と言う意味で。

>>547
未来からキョンがやって来たり、朝倉と二人で神人退治したりと
話はできてるんですが…何分エチがないという問題が。
549名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 10:07:57 ID:Qx3kFLen
>>548
エチが必要という人もいるけど、俺は良作のSSが読めればそれでいい。
早い続きを願ってwktk
550名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 10:52:58 ID:3x+yZYgT
エッチをすればパワーアップする設定にしちゃえばいい。
551名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 10:57:39 ID:hfTOD0UN
ソレ・ナンテ・エロゲ
552名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 12:19:34 ID:qWp8n24I
キョンSAGAだろう。
553名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 13:24:16 ID:WdV/yVGn
>550
それ何てぶっとびCPU?

っていうか、上の「××してマスター登録を上書き」なんて、
本当にぶっとびCPUかと…
554名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 14:39:04 ID:A6L2YVsu
新谷乙
555名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 15:21:46 ID:OtsA8UEy
>>550
それ何て魔界天使?
556名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 15:30:50 ID:7Z1VvaRX
>>553
なるほど、じゃあ早急に指輪を贈らないとまずいな。でないと更に上書き……
557名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 15:37:54 ID:n9z/ycKs
せっかく1年5組全員の名前と顔が出たことだし
のいぢ版の1年5組も見てみたいな。
のいぢは男性キャラ描くのが苦手っぽいから無理かも知れんけど…
558名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 16:03:58 ID:ckyeg5qn
最近、朝倉モノが多いねぇ。朝倉さんスキーの俺にとっては嬉しい限り。
でも昨日投下されたやつのおかげで坂中さんに転びそう・・・
559名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 16:05:32 ID:vW6+IOVL
俺は阪中日記で完全に阪中さんに転んだ
560名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 16:57:26 ID:h2pIn5ls
口調がマギー四郎+マキバオーなのに悔しい・・・ビクッビクッ
561名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 17:45:37 ID:C4mvVAYM
私には阪中の良さがわからんとです
562名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 17:49:42 ID:qWp8n24I
色とりどり個性豊かな花畑の中で一つだけぽつんと咲いたタンポポのような存在です。
563名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 17:51:42 ID:QAuQyE+o
顔は普通だよな
564名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 17:56:17 ID:krfbTOq7
>>548
朝倉さんならいくらでもハァハァできる!
次回も期待!!
565名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 18:13:34 ID:krDR+Jiv
阪中さんは涼宮ハルヒシリーズ最後の良心だよ
そして俺の嫁でもある
566名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 18:18:17 ID:DnhMKqwc
ss
567名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 18:50:23 ID:ckyeg5qn
564
〉そして俺の嫁でもある
よく見ろ、それは古泉だ
568567:2006/09/05(火) 18:52:17 ID:ckyeg5qn
間違った、564じゃなくて565だ。
吊ってくる・・・
569名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:26:19 ID:bIn5pcxe
1ヶ月ぶりに出張から戻ってきたんだけど、そろそろ夏休み終った?
もう大人ばっかりのキャッキャウフフスレにもどってる?
570名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:27:53 ID:kJhMADeY
何かインスピレーションが沸いたので書いてみた。アホなSSになりました
571名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:29:15 ID:hvm/qA8O
厨房の569が戻ってきてしまったからまだ駄目
572ハルヒは狩人:2006/09/05(火) 20:34:25 ID:kJhMADeY
授業も終わり放課後、俺は部室にいる。長門と古泉と朝比奈さんはおらず、ハルヒと2人だ。なんか嫌な予感がする。
まぁこういう事もあるさ。と、一人詰め将棋をしている時だった。
「ねぇキョン。あんた子供欲しいって思った事ある?」
いつものように強奪パソコンでネットサーフィンをしていたハルヒが問い掛けて来た。
どうでもいいがいつも何のサイト見てんだ?2ちゃんねるか?あそこには不思議な人がいっぱいだからこいつにはうってつけだろうよ。おっと質問されてたんだったな。
「まぁ一人位は欲しいと思うが…それがどうかしたのか?」
これは俺の本心だ。結婚したら一人位は欲しいだろ?
「……前にあたし言ったわよね?若い女なんだから体を持て余すって」
確かにそんな事を言っていたような気もするが……。
「それで?」
「もしもよ?もしあたしが今、その状況だったとしたら、あんたどうする?」
訳がわからん。何が言いたいのだこいつは。
「ハッキリと言え。それだけじゃわからん」
「本当ニブチンねぇ。いいわ、お望みどうりハッキリと言ってあげる」
なにかいやぁ〜な予感がするハルヒは一つ深呼吸するとこう言った。
「キョン……ヤ ら せ ろ !」



「………は?」
今なんて言ったこいつ?たしか「ヤらせろ」とか聞こえたが……
ははは。耳掃除をサボっちゃいけないな。どうも耳にワカメが沸いているようだ。
念のため確認しないといけないな。
「すまん。俺の耳が確かなら「ヤらせろ」と聞こえたんだが」
「そのとうりよ」
………………いゃあまいったまいった。本当に耳にワカメが沸いているみたいだ。こりゃ早く帰って処理しなくちゃいけないな。
じゃあなハルヒ、俺は帰るから戸締まりよろしくな。
「ちょっと待ちなさい……」
ドスが効いた低い声でハルヒが制止する。
なんですか?ハルヒさん。僕はお家に帰ってこの耳に詰まった海草共を駆除しないといけないんですよ?
「……なに逃げてんのよ?」
チッ…バレたか。だがなハルヒ!俺だってみすみす純潔を奪われる訳にはいかんのだよ!!!
「あんたは黙ってあたしに犯されりゃいいのよ!!!」
椅子を蹴飛ばすように立上がるハルヒ。
やばい……逃げなきゃ!逃げなきゃ犯されちゃぅぅう!!!
「イヤァァァァァァ!!!!」
「まてコラー!!」
飛び出すように部室から逃げ出す俺。後を追うハルヒ。
男と女の追いかけっこ。まるで淡い青春の一ページ。
な訳ねぇだろ!!
573ハルヒは狩人:2006/09/05(火) 20:39:04 ID:kJhMADeY
……俺は走り続けた。己の貞操を守る為に…走り続けた先に見た物。それは理科室。丁度いい、ここに隠れよう。鍵はかかっていなかった。
理科室に入るとあの独特の科学薬品臭く生温い空気が迎えてくれた。走り続けたおかげで喉がカラカラだ。水道で喉を潤す
「プハァー!!ハァハァハァハァ……ハァ…ハァー…………撒いたか?」
ハルヒはとうの昔に見えなくなっていた。あれだけ逃げりゃ見失ってくれただろう。
「疲れたぁー……」
理科室の壁にもたれかかり座ろうとしたその時。
コツ…コツ…コツ…コツ…
来やがったか!?
「……クンクン…キョンの匂いがする……」
えぇぇぇぇえ!!
なんで分かるんだよ!!!
「クンクン…ここらへん?理科室?」
ヤベェェ!!!!!隠れるとこ!!隠れるとこ!!
あっ!あれは……
ガラガラガラガラッ
「さぁ〜キョン出てらっしゃい!ここにいるのは分かってるのよ!」
……ここにいれば大丈夫なはず!俺は蛇を信じる!!
「さぁさぁキョンちゃ〜ん。出てらっしゃ〜いお姉ちゃんといいことしましょ〜」
ハルヒは何やら囁きながら教室内を探しているようだ。それにしてもキョンちゃんてお前……
コツコツコツコツ……コツッ。
「ここかなぁ〜?」
グワバッ!!
「…………」
「……いないわねぇ〜」
ふっ。そんなとこにはいないぜ…
また探し始めるハルヒ。
コツコツコ…ガツッ!!
「ビクゥッ!!!」
「いったぁ〜!!何なのよもうっ!!!」
や ば い !
「んん?何この段ボール?」
「えーと…幼女フィギュア詰め合わせ?宛先は……ひろゆき様……誰よそれ?」
「ビクビク……」
ハルヒはそれをじっと見ている。
「…クンクン……フン。ただの箱のようね……」
「(ハァァァ危なかった……)」
その時の俺には見えなかった。ハルヒが妖しく微笑んだのを……
「ここにはいないみたいね」
コツコツコツコツ……ガラガラガラッガラガラッピシャッ!!

ガバッ
「ふぅ…ビビったぜー。それにしても何で幼女詰め合わせが学校にあるんだ?」
「ハルヒは?……もう離れたみたいだな」
俺も出るか。そう呟いて理科室を後にしようと引き戸を開ける。
ガラガラガラガラッ
「ふぃ〜疲れた疲れた」
「あたしも疲れたわ〜」
「おう、お前も……」
ギギギギギ…油が切れたロボットのように横に顔を向ける。そこには……
「みぃ〜つけたぁ〜」
「キャアアアアアアアア!!!!!!!!」
574名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:45:16 ID:kJhMADeY
終わりです
後は「クヤシィッ!!ビクビクッ」な感じになるようです
あと今は理科室じゃなくて科学室っていうのかな?俺が通ってた高校だけ?
575名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:48:56 ID:lHAeiHMN
>>574
その「クヤシィッ!!ビクビクッ」な部分まだー?
……まぁ、人の事いえないけど。
576名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:49:28 ID:hTqwHH4U
続きが知りたい
577名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:50:18 ID:lHAeiHMN
>>553
「ぶっとび!!CPU」か……昔読んだ事があるような無いような、指輪とかの記憶は薄いなぁ。
つまり朝倉はこんな設定になるわけか?

- * -
「情報思念統合体の接続解除は、同時に思念体からのエネルギー供給も断たれてしまったって事。
 よってあたしの維持には、あなたからのエネルギー供給が必要なの」
 なるほど、それは重要だな。
 それで具体的にはどうすればいい。何せ宇宙人の力に目覚めて日が浅くてな。
 何をどうしたらいいのかさっぱりなんだ。教えてくれないか朝倉。
 お前がどうして制服を脱ぎ捨て布団を引き始めたのかを含めてな。

「各種体液の検査結果、生命力旺盛な精液が最も効率よくエネルギー変換でき、以下血液、尿、唾液や汗と続く」
 何だか二位以降はえらく嗜好が偏りそうなラインナップだな。
「偏る。よってエネルギー効率と考え、週一回の性交がもっとも望ましい」
 丁寧な楷書体で『観察日記』と書かれた真新しいノートを手にしながら長門は答えた。
 長門がいったい何の観察日記を始める気なのか、誰か俺がダメージを受けない方法で教えてくれないだろうか。

「それとね。インターフェースの能力を使用すると、激しくエネルギー消費するの。その時は臨時でお願いね」
 ……何だと? 朝倉に神人退治のサポートを頼もうかと考えていたんだが、どうやら考え直さなければならないようだ。
 全く何てエロゲーだよ、いったい。インターフェース開発シミュレーションゲーム『淫ターフェース』とかか?
 もしかしてそういったのが情報思念統合体の中で流行してるのかと、流石に疑いたくなってきた。


 全くもってヤレヤレだぜ、と頭を抱える俺に長門がそっと本を差し出してきた。
 長門にしては珍しくマンガのようだ。
「これ」
 そう言って渡された本の表題には『ぶっとび!!CPU』と書かれていた。


- * -
……すまん、正直このネタ面白そうだ。

そんでもって未来編。エロ無し。
578宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 20:51:06 ID:lHAeiHMN
 朝倉涼子。谷口曰くランクAAの超美少女。
 俺やハルヒのクラスメートにして学級委員。成績優秀、運動抜群、特技は料理とナイフ使い。
 宇宙人に作られたインターフェースであり、最近操り主が俺になった。
 そんなでたらめが並ぶプロフィールに、さらに一つ追加される事になった。それは、

「そんな訳で、不思議探索失敗という不穏な風を吹き払う為のニューフェイスよっ!」
「朝倉涼子です、よろしく」
 栄えある『SOS団団員その5』という肩書きであった。


- * -
 さて、朝倉が電撃入団した翌日。俺の下駄箱には可愛らしい手紙が入っていた。
 差出人は朝比奈さんである。
 俺は手紙に書かれるまま、昼休みにスキップする足すら地に着かない状態で部室を訪れた。

 そして扉を開けると、
「よう。ご機嫌だな、俺。こうして第三者的に観察すると頭悪く見えるぞ」
 そこには俺の湯飲みを使いお茶をすする、ちょっと大人びた俺が待っていた。


「えっと。こちらは二年後のキョンさんです」
 朝比奈さんに紹介され、未来の俺が手を振ってくる。
 ……えっと、良く似た人ですね。俺の生き別れのお兄さんでしょうか。

「まあ普通は信じないよな。俺だって信じれなかった。でも信じてもらわなきゃ話が進まん。
 仕方ないから、お前の部屋のお宝保管場所からパソコンに残しているゲームのセーブポイント箇所、
あのSOS団パソコンに眠る某フォルダの事、それに一昨日長門の家で行われた朝倉涼子の勧誘劇まで
お前が信じてくれるまで全部赤裸々に語っていく事にしよう」
 一瞬だけ朝比奈さんに視線を飛ばして未来の俺が言ってくる。
 ごめんなさい、お前は俺です。凄く効果的な言葉です。
 だからそういう事で俺だと理解させるのはやめろ。同じ俺ならわかるだろ。それは男の永遠の秘密だ。

579宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/05(火) 20:52:49 ID:lHAeiHMN
 朝比奈さんにお茶を淹れてもらい、俺は朝比奈さんと共に席につく。
 未来の俺は懐から一冊のマンガを取り出すと、俺に渡してきた。
 青い猫型ロボットがダメなメガネ少年を一人前にするあの有名なマンガだ。

「その猫型ロボットの話の一つに、こんなのがあるのを知ってるか?
 ある日ダメ少年に宿題をまかされたロボット。だがその宿題の量と残り時間に一人じゃ無理だと考えた。
 最低でも五人は必要となる計算だ。そこでロボットは未来から自分を援軍として呼ぶ事にした。
 これで自分が五人になる、そう考えたんだ。

 ……しかし、それが間違いの始まりだった。
 確かに名案だった。宿題はあっさり完成した。だがそのロボットはそれが何を意味するか思い至らなかったんだ。
 そのロボットはそれ以降二時間おきに四回も過去から呼び出しをくらい、寝る間も惜しんで宿題をしなければならなくなったんだ。
 そうしないと時間的矛盾が起こり、最初の宿題が完成しなくなるからだ。
 つまりロボットが五回宿題をするのは『規定事項』となった、そういう訳だ」

 言いたい事は何となくわかる。話的には問題ない。
 だが何で未来の俺がわざわざそんな事を話しに来たのかがわからない。

「何、いずれわかる。俺も二年前に同じ事を言われ、そしていずれ思い知った」
 未来の俺はとことん疲れきったような表情を浮かべながら、俺に返してきた。



「それとこれも規定事項なんでな。お前が抱えているある疑問について、俺の知る限りの事を教えてやるよ。
 お前の持つ、『未来から来た超能力を持つインターフェース』って謎の属性についてだ。
 お前が何故そんな属性を持っているのか。その記憶が何故ないのか。それについてなんだが……」

 未来の俺は目頭を押さえ涙をこらえるポーズをとる。何だ何だ、そんなに悲しいエピソードがあったのか?
 俺は朝比奈さんと目を合わせ、二人して覚悟を決めて言葉を待つと

「それな……正直俺にもわからん。少なくとも二年後までには一ミリ程度も解決しない。だから気にするな」
 そう真顔で慰められてしまった。ある意味何よりも悲しいエピソードである。
 横を見れば、朝比奈さんも何だかコーヒーの入ってないマリームを飲まされているような表情を浮かべていた。
 せめてクリープぐらいにはしてほしいと思う。


「さて、もう帰るか。あんまりここにいてもアレなんでな」
 アレってどれなんだ。そして何一つ解決してねぇ。結局マンガ持ってきただけじゃねぇかお前。
 突込みには答えず、未来の俺が扉を開けて立ち去ろうとする。

 だが一瞬だけ足を止めると、
「最後に一つだけ言っておく。……その時が来たら『躊躇うな』。お前の『全力』で対応するんだ。それと朝比奈さん」
 未来の俺はその視線を俺から朝比奈さんへと移す。
 そして一度だけゆっくりと瞬きをすると

「お茶、ご馳走様でした。とても美味しかったですよ」
 いいからもう帰れ。俺はさっさと扉を閉じた。
580名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:56:10 ID:lHAeiHMN
以上っす。
……あれ、なんで未来は2レスなんだろう……宇宙はあんなに長かったのに……。
581名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:57:16 ID:z+kZD+FA
ワッフルワッフル
582名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 20:59:55 ID:z9JC0cJY
>542
エロが無いからだろう>2レス
あと、豪屋大介の読みすぎかと思った
583名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 21:02:03 ID:E5l7mVEJ
「情報思念統合体の接続解除」はわざとこういう書き方してるのか、
「規定事項」って言葉は文字通りの意味で使っているのか、
それによって解釈が変わってくるから難解だ……
584名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 21:06:33 ID:kP04+IC6
>>580
朝倉が出てないから・・・そう、あなたは朝倉無しで長文は書けない存在になってしまった
585名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 21:13:59 ID:VvSbMCk3
         ナ ゝ   ナ ゝ /    十_"    ー;=‐         |! |!
          cト    cト /^、_ノ  | 、.__ つ  (.__    ̄ ̄ ̄ ̄   ・ ・
ミミ:::;,!      u       `゙"~´   ヾ彡::l/VvVw、 ,yvヾNヽ  ゞヾ  ,. ,. ,. 、、ヾゝヽr=ヾ
ミ::::;/   ゙̄`ー-.、     u  ;,,;   j   ヾk'! ' l / 'レ ^ヽヘ\   ,r゙ゞ゙-"、ノ / l! !ヽ 、、 |
ミ/    J   ゙`ー、   " ;, ;;; ,;; ゙  u ヾi    ,,./ , ,、ヾヾ   | '-- 、..,,ヽ  j  ! | Nヾ|
'"       _,,.. -─ゝ.、   ;, " ;;   _,,..._ゞイ__//〃 i.! ilヾゞヽ  | 、  .r. ヾ-、;;ノ,.:-一'"i
  j    /   ,.- 、  ヾヽ、 ;; ;; _,-<  //_,,\' "' !| :l ゙i !_,,ヽ.l `ー─--  エィ' (. 7 /
      :    ' ・丿   ̄≠Ξイ´,-、 ヽ /イ´ r. `ー-'メ ,.-´、  i     u  ヾ``ー' イ
       \_    _,,......::   ´゙i、 `¨ / i ヽ.__,,... '  u ゙l´.i・j.冫,イ゙l  / ``-、..- ノ :u l
   u      ̄ ̄  彡"   、ヾ ̄``ミ::.l  u   j  i、`ー' .i / /、._    `'y   /
              u      `ヽ  ゙:l   ,.::- 、,, ,. ノ ゙ u ! /_   ̄ ー/ u /
           _,,..,,_    ,.ィ、  /   |  /__   ``- 、_    l l  ``ーt、_ /  /
  ゙   u  ,./´ "  ``- 、_J r'´  u 丿 .l,... `ー一''/   ノ  ト 、,,_____ ゙/ /
        ./__        ー7    /、 l   '゙ ヽ/  ,. '"  \`ー--- ",.::く、
       /;;;''"  ̄ ̄ ───/  ゙  ,::'  \ヾニ==='"/ `- 、   ゙ー┬ '´ / \..,,__
、      .i:⌒`─-、_,....    l   /     `ー┬一'      ヽ    :l  /  , ' `ソヽ
ヾヽ     l      `  `ヽ、 l  ./  ヽ      l         )  ,; /   ,'    '^i
586名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 21:30:04 ID:bIn5pcxe
>>571
なるほど、納得の行くレスサンクス
キャラスレに投下するとしよう
587名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 21:52:40 ID:orP4r+kr
予備保管庫は終わりだな
588名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 22:24:10 ID:Mu95ol8r
本スレに誤爆しちゃったけど、反応が無いからお蔵入りにするね。
589名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 22:25:55 ID:gkz4lwn+
>>588
本スレは基本的に長文はスルーだからな……
590名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 22:31:00 ID:YszI+dNE
「信じれない」はら抜き言葉の許容範囲を超えていると思うぞ…
591名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 22:37:02 ID:Mu95ol8r
せっかく作ったし・・・貼るわ
592サムデイ イン ザ レインの真実:2006/09/05(火) 22:38:35 ID:Mu95ol8r
日曜日

コンピ研部長「よしSOS団の部室にカメラ3箇所設置完了・・・これをネタに全てを取り戻す!」

次の日

(音声なしのカメラです)
「お?涼宮いないなぁ・・・」
「出てきた。相変わらずだなぁ・・・」
「あ!あいつマフラーしてもらってやがる・・・なんてうらやましいことを・・・」
「おや?涼宮カメラ持ってきたぞ・・・まさか・・・」
「おぉ!!!!!!!!!!!!!これは!!!!!!!!!!」
「アングル・・・アングル・・・うお!!出張部員が!!」
「肝心な部分が見えない・・・もしかして気が付いてらっしゃる?」
「どっかいったなぁ・・・」
「・・・・・・・・・・読書飽きないのかな?」
「・・・・・・うーん・・・暇・・・・・・・・・・・・・」
「お!帰ってきた!ストーブか!校則違反じゃ・・・でもいいなぁ・・・」
「おぉ寝た寝た。あら、出張部員カーディガンを・・・やさしいなぁ・・・俺もしてほしい・・・」
「あいつも帰ってきた。下校時間だな・・・みんなを帰ったな。」
「あいつ寝たままだな。涼宮なにする気だ・・・」
「あ、起きた・・・帰った・・・」
「・・・・・・・・・・今日、俺になにやってたんだろう・・・・・・・・・・OTL」

さらに次の日

「データ全部消えてる・・・やっぱりばれていたのか・・・」
慌ててカメラを回収し証拠を隠滅したのは言うまでも無い・・・
593名無しさん@ピンキー:2006/09/05(火) 22:57:30 ID:Rh3BjV59
長門萌え━━━━━━(´ω`)━━━━━━!!!!!
594名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 00:09:25 ID:ib/MBqNH
部長はみくるの裸をみたのか



部長コロース
595名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 00:17:22 ID:2kvdO3cQ
>>594
いいことを教えてやろう。
製作段階では長門の邪魔は入らなかったそうだ。
つまりみくるがまるみうわなにをs亜qすぇdrftgyふじこlp;@:
596SS保管人:2006/09/06(水) 00:32:25 ID:DIB96tzO
ぶっちゃけた話、>>424を取りこぼした。
597名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 00:34:57 ID:6WPV6X8T
もう一度投下するんだスネーク!
598名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:02:41 ID:BCu7lTPZ
いろんなスレを監視する作業量を考えると、「言わんこっちゃない…」と
安易に言えないんだよなぁ。
キャッシュには残ってないんで、協力できずすまん。
599名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:07:04 ID:ob10tjTM
勝手に保存してた人(ノ
600名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:17:55 ID:55PdVGHI
ハルヒ×キョン、長門×キョン物の良作同人誌の情報プリーズ。
601名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:26:23 ID:CaOpXcA3
>>600
それは虹板の内容じゃない?
602名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:29:20 ID:55PdVGHI
>>424が「Temporary Internet Files」に勝手に保存されていたのだが、うpしたほうが良い?
603名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:29:40 ID:lfE6qW6z
>>596
お疲れさんです。
ま、ロダに上げてるんだから仕方ねぇってことで……
604424:2006/09/06(水) 01:33:59 ID:Io3nAgfr
鶴屋さんのあれ書いた者です。保管にまで気が回らなくて申し訳ない。
いま携帯からしかネットに繋げませんので、本文もってる方はアップして頂けるとありがたいです。
605602:2006/09/06(水) 01:37:51 ID:55PdVGHI
じゃあアップします。しばしお待ちを。
606602:2006/09/06(水) 01:38:47 ID:55PdVGHI
607424:2006/09/06(水) 01:43:07 ID:Io3nAgfr
>>602
感謝します。以後気をつけますんで。
608名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 01:43:40 ID:ob10tjTM
( д ) ゚ ゚
609名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 02:08:43 ID:55PdVGHI
>>601
あ〜、そうか、やっぱり虹板か。
行った事無いからここで訊いたんだが、流石に過疎時間帯とは言え無理ですか。
すみませんでした。
610SS保管人:2006/09/06(水) 02:19:42 ID:DIB96tzO
>>606
GETしました。
ありがとうございます。
611名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 02:23:12 ID:55PdVGHI
>>610
保存等々いつもお疲れ様です。
612名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 03:24:16 ID:aALig+vw
>>610
感謝
613名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 10:48:19 ID:fzbHYN0f
ここで唐突に投下


さて、終わらない夏休みもようやく終わり、さしたるイベントや事件も無く、俺たちSOS団は平穏な日々を送っていた。
相変わらず長門は読書に精を出し、朝比奈さんはいつものメイド服に着替え、編み物にいそしみ、俺と古泉はボードゲームで暇をつぶしていた。
ハルヒといえば、毎日飽きもせず、コンピ研から分捕ったPCをいじり、一向にコンテンツの増えない我がSOS団のホームページのカウンタを回す作業に没頭していた。
古泉によると、近頃はめっきり閉鎖空間を作り出すことも少なくなり、非常に安定した状態が続いているそうだ。
暇は暇だが、気心知れあった仲間たちと過ごすだらだらした時間も悪くない。
俺がそう思いながら朝比奈さんの淹れてくれたお茶を味わっていたそのとき、大きな声でハルヒが俺を呼びつけた。

「ねえ、ちょっとキョン。これって一体何なのかしら?」

古泉との対戦を一時中断し、ディスプレイの中のハルヒが指差した一点を見る。
いつもどおり、簡素なつくりのSOS団のHP。しかしその下のほうに、見覚えのないリンクが貼られていた。

「なんだ……? エロパロ板?」
「ねぇ、とりあえず見てみましょうよ!」

俺はこの時点で嫌な予感がしていたが、好奇心の塊であるハルヒをとめられる筈も無かった。

そのリンク先に飛んでみると、どうやらスレッド型の掲示板のようだ。……だがその内容が問題だ。

「『ハルヒテラモエス』 『長門おっぱいハァハァ(*´Д`)』 『古泉×キョンまだ?』……これってなに? ねぇ、キョン?」

……非常に答えづらいことを俺に尋ねるな。
どうやらこの掲示板は、俺たちSOS団をネタに、エロい小説を書く場のようだ。
こんなのを見せられたらハルヒはさぞ激怒するだろう……と思ったらハルヒは予想外の反応を見せた。

「ふ〜ん、なるほどねぇ――それにしても全然駄目ね! こんなんで萌えられると思ったら大間違いもいいとこだわ!」

そこかよ!ハルヒにとって自分がエロ小説のネタになっていることは些末なことに過ぎないようだ。まぁ、もともと恥じらいなんて言葉とは無縁の存在だからなあ。

「無許可とはいえ、SOS団の名を冠するものがこんな出来で良いわけがないわ!」

ああ、目が輝いている。スイッチが入ってしまった。こうなったハルヒはちょっとやそっとじゃ止まらないぞ。

「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてなによりも――エロさが足りないのよ!」

思わず兄貴と呼びたくなるほど男らしい発言だ。ていうかハルヒ、女の子がそんな言葉を口に出しちゃ駄目だろ。
614名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 10:53:27 ID:fzbHYN0f
「甘いわね、キョン。そんな甘っちょろい意識だと戦場では真っ先にやられるわよ! というわけでみくるちゃん、かもーん!」

それはいったいどこの戦場の話なのか。って、朝比奈さんが!

「ふぇぇぇ、やめてください〜」

ハルヒに捕まった朝比奈さんは抵抗もむなしく、そのメイド服を剥ぎ取られていく。一瞬俺の中のエロマインドが頭をもたげたが、ここはまだ理性と常識が本能を押さえつけた。
「ストーップ! ハルヒ、お前何をやらかそうとしているんだ!」
「何って、資料よ、資料。リアリティのある小説作りのためには、綿密な取材をしないとね!」

ハルヒがこれまで見せた事のないほどの満面の笑顔。だが黒い。真っ黒だ。

「さぁみくるちゃん、お楽しみの時間よ!」

もはや下着だけのあられもない姿にされた朝比奈さんに向き直ると、どこからとも無くピンク色の大人のおもちゃを取り出した。

「……なんでお前はそんなもんを持ち歩いているんだ?」
「もう、うるさいわね。古泉君、ちょっと抑えてて!」
「かしこまりました」
「こらっ古泉、離せっ! ぅわやめあqwせdrftg」
「な、なんなんですかそれ? なんであたし脱がされてるんですかぁ〜」
「大丈夫よ、みくるちゃん。すぐに気持ちよくなるから!」

そういうとハルヒは、ローターのスイッチを入れ、小刻みに振動するそれを、朝比奈さんの下着の中に突っ込んだ。


「ふわぁっ!」

おそらく初めてであろうその異物の感触に身悶えする朝比奈さん。その姿に俺はあわてて目をそらした。……直視していると股間の暴走が止まらなくなりそうだからな。
そのときになって俺は視界にようやく長門の姿を捉えた。
だが何か様子がおかしい。いつもならわき目も振らず読書に勤しんでいる筈の長門の目は、じっとハルヒと朝比奈さんを見つめたままだ。
時計の針のように正確なリズムでページをめくり続ける手も、ひざの上に置かれたまま停止している。俺は一縷の望みにかけて長門に頼んでみた。

「おい、長門。頼む、ハルヒを止めてくれ」
「その要請は残念ながら受理できない」
「なんでだ?」
「情報統合思念体は、現在の涼宮ハルヒの状態を継続して観測したいと望んでいる。この状況下なら三年間の観測の中では得られなかった情報が観測できると推測される」
「僕も同感です」
「お前は密着しすぎだ。ちょっとは離れろ気色悪い」
「これは失礼。さて、涼宮さんはこの三年間、リビドーを己の内側に溜め込んできました。若い体をもてあます、と言っていたあれですね。
 その潜在的かつ慢性的な欲求不満が、彼女のストレスの一因となっています。彼女は自慰行為だけでは満足しきれないようですから」
「ちょっと待て。お前らはハルヒのプライベートまで監視してきたのか?」
「ええ、止むを得ない時もありましたから。大部分は、僕ら超能力者が涼宮さんの精神状態の変動を感知したことによるものですが」

さらりと古泉は言ってのけるが、俺は何だか無性にムカついた。

「ここで僕らが下手に手を出して、中途半端に欲求不満な状態になったら不安定極まりません。ここは涼宮さんの欲求を満たすことが得策かと。寸止め、のストレスは男のあなたならよくわかるでしょう?」
「…………」

つまり、こいつら二人の言うことには、朝比奈さんをこのままハルヒに弄ばせようということらしい。
理屈ではそれが正しいのかもしれない。だが……そんなの納得できるか。
615名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 10:58:33 ID:fzbHYN0f
「みくるちゃん、おっぱい大きいけど感度の方はどうカナー?」

ハルヒが背後から朝比奈さんの豊かな双丘を揉みしだく。
白い下着の中から零れ落ちそうになる二つのマシュマロ。

「あっ、ふぁぁ……」

朝比奈さんは真っ赤な顔をして内股をこすり付ける。その中心部では未だ小さな機械が重低音の振動音を出し続けていた。

「あれぇ?みくるちゃんもしかして濡れてるの? えっちな子だねー」

ハルヒが中年のおっさんみたいな口調になっている。

「……古泉。お前は、ハルヒが欲求不満を解消してくれればいいんだな?」
「ええ」
「そして長門、お前のパトロンはそれが観測したい」
「……そう」

……結局のところ俺が動くしかないのか。これで朝比奈さんにトラウマを植え付けてしまって、未来に帰る!とか言われてしまったら非常に困る。
ハルヒにしても、それは不本意だろうしな。

「ハルヒ」
「何よキョン。今いいとこなんだから!」

ハルヒは朝比奈さんの手足を縛って、陵辱直前のお姫様シチュを作るのに苦心していたところだった。

「もうそのへんにしておけ。俺が代わりになるから」

ぶー、と膨れたハルヒの顔が、一瞬で180度反転し、何かとっておきの悪戯を思いついた子供のような顔になった。

「それもそうね!実は男のほうの資料が足りなかったのよね!」

やれやれ、なんとか朝比奈さんは救い出せたようだ。

「古泉、朝比奈さんを頼む」

古泉は頷き、足腰の立たなくなった朝比奈さんを抱きかかえると、部室の外へと連れて行った。

「で?ハルヒ、これはなんだ?」

その隙にハルヒは俺の体を椅子にぐるぐる巻きに縛り付けていた。

「こうしておけば、あんたを思うがままに出来るでしょ!? とりゃ!」

ハルヒが俺のズボンを勢いよく引き摺り下ろす。安物のパンツが露になる。ちなみにどうでもいいが俺はトランクス派だ。

「ふっふーん、ちょっと大きくなってんじゃないの?」
ハルヒの指摘の通り、俺のモノは先ほどの光景を目の当たりにしてから、
ふふ、その……下品なんですが……『勃起』、してしまいましてね……。
……俺は、これから一体どんな目に遭うんだろうな。なぁ、長門。ん?長門?

「なっ!長門、何でまだ部室に!」
「…………」

616名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 11:00:28 ID:fzbHYN0f
だがハルヒはそんなことにはお構い無しで、俺のパンツを脱がし、半立ち状態の俺の局所を露にした。

「……グロ」
「大きなお世話だ」

仮にも俺の相棒に、なんて事言うんだ。

「ふーん……これって意外とぐにぐにしてるのね」

ハルヒは唐突に俺の棒を掴んで、顔を近づけた。そしてまじまじと観察する。

「……それにちょっと変な匂いするわよ」
「うおっ、あまり顔を近づけるんじゃないっ」

暖かい吐息が俺の股間を刺激する。そしてハルヒの手の中のそれは、ついに完全なる姿となった。

「す、すごいわね……」

さすがのハルヒも、屹立した俺の息子に動揺した様子だ。少し頬を染めている。

「……」

長門がまったく視線を逸らさずに凝視してくる。それは命令によるものなのか、それとも――
それはともかく、俺にも人並みの羞恥心はあるわけで、美少女二人にこうも下半身を見つめられるのは恥ずかしい。

「なぁ、もういいだろ?」
「だめよ!」

俺の提案は一考の余地も無く一瞬で却下された。

「まだ射精の瞬間をこの目で見てないわ! しっかり観察させてもらうわよ!」

おいおい、この場でオナニーしろって言うのかよ!


「安心しなさい、このあたし自ら、あ、足コキしてあげるから!」

……こいつの知識はやたらと偏っているな。

「文句言うなら踏み潰すわよ」
「うぐっ」

ハルヒは上履きを脱ぐと俺の肉棒を足の裏で押さえつけた。

「ふふ、びくびくしてるのが伝わってくるわ」

そりゃお前が圧迫してるからだっ!
と心の中で毒づいたが、俺はこの若さでタマ無しになりたくはないので黙っていた。

「えーっと、これでどうかしらね」

ハルヒの足が陰茎を縦に上下する。ソックス越しのせいか、思いのほか滑りは良く、踏まれる痛みの中に、確かな快感が混じり始めた。
617名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 11:04:03 ID:fzbHYN0f
「こういうのもどう?」

ハルヒはもう片方の上履きを脱ぐと、両足で俺の息子を挟んだ。そして、再び擦りあげ始める。
両足を使うことで確実に快感の量は増しており、加えて、両足を広げたことでハルヒのスカートの中がチラチラと見え隠れする。視覚からも与えられる刺激に、
はっきりいって俺は興奮してきていた。認めたくはないが、俺だって思春期の少年ということでなんとかご理解いただけないだろうか。

「ねえちょっとキョン。これが精液?」

先端から分泌されたカウパー腺液が、ハルヒのソックスに粘りついていた。

「いや、それは違うが……」
「なんだ、違うの? ソックスが汚れちゃったじゃない」

ハルヒは汚れてしまった靴下を脱ぐと、素足でそのまま、足コキを続ける。
先ほどのソックスの感触も良かったが、直に伝わる肌の柔らかさ、暖かさもたまらない。
さらに先ほどよりも自由に使えるようになった指でカリの部分をぐりぐりと刺激する。ヤバイ、そろそろ限界かもしれん。
ハルヒの顔も紅潮し、息遣いも若干乱れている。

「ハルヒ、駄目だ、もう……」
「ねえ、キョン……あのさ、あ、あたし……」

ハルヒが顔を真っ赤にして大きく息を吸い込み、次の句を言おうとした瞬間、ずっとこちらを見つめて椅子に座っていた長門が立ち上がった。

「介入する。実行」
「へぁっ?」

ハルヒがいきなり倒れこんだ。床と激突するすんでのところで長門が受け止める。

「お、おい、ハルヒ!」
「心配要らない。眠っているだけ」
「長門……お前の目的は観察じゃなかったのか?」
「思念体の判断はそう。しかし私というインターフェイスはまた独自の判断を下した」
「独断で動いたのか……大丈夫なのか?」
「そう判断するだけの材料は十分揃っている。一番の理由はまた世界改変の兆しがあった事」
「閉鎖空間ではなく、か?」
「現在の涼宮ハルヒの願望を強く反映した世界に変わる恐れがあった。具体的には、性行為に関して、非常に奔放な世界」

やれやれ、アホの谷口が喜びそうな世界だな。いや、そんな世界になってもやっぱり谷口はモテないんだろう。
なんてったって谷口だからな。童貞というアイデンティティを失った谷口は、もはや谷口ではなく、別の何かだ。

それにしても、あの時ハルヒは何を言おうとしてたんだろうな。

「……今はまだ、時期尚早」

ハルヒが突然倒れた事に気を取られ、すっかり忘れていたが、俺は下半身をさらけ出したままであることにいまさら気づいて恥ずかしくなった。
しかもその中心には直立状態の我が息子と来たものだ。

「すまん、長門……。これ、ほどいてくれないか?」
「…………」
「…………」
「…………」
あの……長門さん?もしもし?
618名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 11:14:17 ID:fzbHYN0f
えろいSSをテーマに書こうと思ったけどえろ描写が下手糞だた('A` )
やる気が続けば長門さん編に続くかも
619名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 11:30:50 ID:qnHqsm5I
>>618
わっふる、わっふる
620名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 11:56:57 ID:UIdC5coB
ひさびさに正統なエロパロSSがキター
621名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 12:53:11 ID:P2MvphIK
WA・WA・WA・わっふるわっふる〜
622名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 13:14:33 ID:/E6FY2VH
これぞエロパロって感じだなー
ワッフルワッフル(よく意味を分かっていないが使う
623名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 13:18:03 ID:aALig+vw
>>618
わっふるわっふる
624名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 13:32:42 ID:+o97tB4P
わっふる(ry
625名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 17:17:34 ID:fIkuPkRb
ハルヒ×キョンでは抜けなかったのに
ハルヒがレイプされる「サヨナラ」で抜けてしまった・・・・・・
サイテーだ、オレってorz
626名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 17:25:27 ID:wLH/+HOo
さりげに退室した古泉とみくるが気になる
627名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 17:25:39 ID:WHdYhwbK
>>625
まあ、お前よりも嗜好の腐った奴はいっぱいいるから安心しろ。
その程度ならまだ可愛いものさ。
628名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 17:27:19 ID:RS+R1arX
625
お前の気持ちは分からないでもない。というかオレも興奮した。
サイテーだ、オレもorz
629名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 17:50:41 ID:WHSQfHHp
妹ちゃんが車に撥ねられそうになったのを長門が助けたSSのタイトル、分かる人いる…?
保管庫の中身がすげー多いと改めて思った
63026-126:2006/09/06(水) 17:55:07 ID:7mNQih4g
かなり間が開いてしまいましたが、前々スレの王様ゲームの続きを投下します。
631王様ゲームU 1:2006/09/06(水) 17:55:59 ID:7mNQih4g
「3番が王様を抱く」
「王様の命令は絶対。さっきあなたがそう言った」
俺は狼と化した長門に詰め寄られていた。


『王様ゲームU』


「待て長門、とりあえず落ち着け。冷静に話し合おう。な?」
「私は落ち着いている。あなたは指示に従えばいいだけ。私に任せて」
任せてなんて冗談じゃない。こういうのは男がリードするもんだ。
いや違う、間違えた。こういうことは互いの合意の上に行うべきものだ。
あれ、これもなんか違う気がする。落ち着け、落ち着くんだ俺。

「性行為は順序立てて行うことが重要。まず、3番が王様に口付けをする」
長門が顔を近づけてきた。俺は思わず後ずさりを・・・あれ。
体が動かない。
前に朝倉に殺されかけたときと同じだ。くそう、それは反則だろう。
やわらかい唇が重ねられる。いや、やめ、
・・・

「一般的に、挿入の前には愛撫と呼ばれる作業を行い、互いの性的興奮を高め合うことが多い。
よって、3番が王様の身体を触る」
て、手が勝手に、
・・・
632王様ゲームU 2:2006/09/06(水) 17:56:55 ID:7mNQih4g
10分後、情けないことに俺の性的興奮はもう既にMAX爆発寸前になっていたが、
長門は容赦無しに次の命令を出してきた。
「標準的な方法に従い、衣服を着用しないで性行為を行う。3番が王様の服を脱が」
「駄目!それ以上はダメよ!」
我慢できなくなったのか、ハルヒが俺達を無理矢理引きはがした。
ちなみにそのとき、俺の手はパジャマの中の長門の胸と下半身をしっかり触っていて、
長門も俺の下着に手を突っ込んでいた。
「今は私が王様。あなたには私の行動を止める権利は無い」
長門は明らかに不満そうだ。
「あるわ。いい?王様がしていい命令は2つまでなのよ。2つ目が終わった時点で王様の権利は消滅するわ!
SOS団団長命令によりこれ以上は禁止よ!」
なんだそりゃ。初耳だぞ。1つじゃなくて2つなのはさっき自分が命令を2つ出したらか。身勝手なやつめ。
と思ったが言わないでおく。この状況をどうにかするにはハルヒの言う通りにするのが得策か。
しかしそんな屁理屈で暴走状態の長門が納得するとも思えないが。
「・・・うかつ」
以外にも長門はハルヒの言うことを受けいれ、俺から離れた。
俺は安心して力が抜けた。このままだと長門と行くところまで行ってしまいそうな気がした。
ハルヒの無茶な意見に救われたな。
俺の表情から何を読みとったのか、長門がこっちを見て言う。
「安心して。既に私達の性的興奮は十分に高まっている。次の命令で性行為を行える」
いやあの、そういうことじゃなくてですね。
「ふん!そんなことさせるわけにはいかないわよ!」
ハルヒの表情を見てまた不安がよぎった。
ひょっとしたら、俺が痴態を晒すのが先延ばしになっただけかもしれない。
・・・もう十分晒している気もするが。
633王様ゲームU 3:2006/09/06(水) 17:58:08 ID:7mNQih4g
『ぱっぱっぱぱぱぱやっぱぱぱらぱっぱっぱっぱぱー』
古泉の携帯が突然鳴り出した。
「すいません、ちょっと失礼」
古泉が窓際に近づき電話に出る。
ふと朝比奈さんを見ると、耳に手を当てて何かに気付いたような表情をしている。
長門も透き通った目で天井を見上げていた。この感じは見覚えがあるぞ。まさか。
「もしもし、ええ、はい・・・何ですって?もしもし?もしもし?」
電話が途中で切れたらしい。
「ちょっとこちらへ来て頂けますか?」
古泉が手招きをしている。俺はゲームの休憩を宣告し、窓際に駆け寄った。
「まずいことになりました」
古泉が小声でささやく。なんとなく想像はつくが言ってみろ。
「大規模な閉鎖空間が発生しました」
はあ、またか。しかし今回は元はといえばお前のせいだろう。責任持って何とかしろよ。
「僕としては涼宮さんとあなたに少々楽しんでもらうだけのつもりだったのですが・・・
長門さんがあのような行動に出るとは予想外でした。涼宮さんのイライラは現在頂点に達しています。
しかし、今大事なのは閉鎖空間が発生した場所なんです。」
「場所?どういうことだ」
「カーテンの隙間から外を見てください。涼宮さんに気付かれないように」
カーテンを少しだけ開き、窓の外を見る。俺は自分の目を疑った。

灰色の空。遠くの森で立ち上がっている巨人。

「閉鎖空間・・・」
「その通りです。この島全体を覆うように閉鎖空間が発生しています。我々は今その中に閉じ込められているのです」
「ちょっと待て。お前はともかく、何故俺達まで空間の中にいるんだ」
「一般人が何かの拍子で閉鎖空間の中に入ってしまうことはたまにあります。
しかし今回のように一度に何人もが閉じ込められるのは極めて珍しいケースです。
おそらく、閉鎖空間に自由に出入りできる僕が発生地点にいたことや
長門さんが先ほど行った情報操作の複合的な影響で、この部屋にいる全員が空間に入ってしまったのでしょう」
何てこった。ただのゲームではすまなくなってきたな。
「脱出の手はあるのか?」
「簡単ですよ。王様になった人が涼宮さんに命令すればいいんです。
ゲームを終了して、今日はもう解散する、とね」
そんなことでいいのか?ハルヒの願望を聞いてやった方がいいような気もするが。
俺がそう言うと、古泉はふふっと笑った。
「この状態で涼宮さんを王様にするのは極めて危険です。考えてもみてください。涼宮さん自身もこの空間の中にいます。
今の状況は、以前あなたと涼宮さんが2人で閉鎖空間に閉じ込められたときとほぼ同じなんですよ。
涼宮さんは今、新しい世界を構築しようとしているんです。外にいる神人を僕が倒したところで、それは止められません」
だから何だっていうんだ。
「涼宮さんが次に王様になったら何を命令するか。いくらあなたでも想像がつくでしょう?
そしてその命令を実行した結果、彼女がこちら側の世界に満足してしまったら・・・
僕たちは二度とこの世界から出ることはできませんよ。それどころか、現実世界が崩壊する恐れすらあります」
634王様ゲームU 4:2006/09/06(水) 17:59:06 ID:7mNQih4g
俺は唖然とした。次のクジ引きで、ハルヒは今まで以上に強く王様になりたいと願うだろう。
ハルヒが望めばそれは現実になる。世界はこの新しい空間で埋め尽くされてしまうというのか。
「大丈夫ですよ。次は僕が王様になります」
何だって?
「僕は超能力者ですよ。閉鎖空間の中ではたいていのことはできます。クジの操作など朝飯前です。
涼宮さんはああ見えてルールを順守する人です。その彼女が、王様の命令は絶対であり
命令には2つまで絶対に従わなくてはいけない、と決めたんです。
僕が王様になって、2つ目の命令でゲームを終了させれば、彼女は必ずこの空間を正常に戻しますよ」
古泉に任せておけば大丈夫、ということか。俺はため息をついた。

ん?2つ目の命令?
「待てよ、お前が次に王様になったとして、1つ目は何を命令する気なんだ?」
「いえ、次の回はですね。僕も王様の権利を行使したいと思っているんです。今度は自分の為にね」
古泉が笑顔をこちらに向けた。
「先ほどのあなたたちを見ていたら、僕もちょっと精神が高揚してしまいましてね」
その瞬間、全身に鳥肌が立った。古泉が男のくせに艶っぽい表情でこっちを見ている。
脂汗が流れる。前から怪しいと思っていたが、まさかこの野郎は・・・
「たいした命令ではありません。きっとあなたも満足させられると思いますよ」
俺は光の速さで後ろに下がり、古泉との距離をあけた。
俺の全神経が警報を発している。こいつを王様にしてはいけない。
世界は救われるかもしれんが、俺が心に一生ものの傷を負うことになりかねん。
635王様ゲームU 5:2006/09/06(水) 18:00:15 ID:7mNQih4g
「心配しないで」
うわっ。びっくりした。気配を殺して後ろに立たないでくれ。長門よ。
「次も私が王様になる。あなたを彼の好きにはさせない」
何て頼もしいセリフだろう。そうだ。長門が王様になればいいんだ。
長門も1つ目の命令でさっきの続きを要求するかもしれないが、
このホモ野郎の餌食になるよりはるかにマシだ。
その後2つ目の命令でハルヒを止めてくれるんだろ?
「その必要はない。今回は私もこの空間内に存在している。前回と違い、情報統合思念体は
私を通じて涼宮ハルヒの情報を受け取り続けることができる。進化の可能性は失われない」
え、あの、長門さん?
「それに」
長門は心なしか頬を赤らめたような気がした。
「あなたと2人、この空間で倒錯した関係を続けるのも悪くない」
・・・・・・
ダメだ。やはりダメだ。長門も王様にさせられない。この灰色の世界でずっと過ごす羽目になる。
俺は現実世界にまだそれなりの愛着があるんだ。
「長門さんは王様にはなれませんよ。仮にも僕は、涼宮さんに力を授けられた超能力者です。
閉鎖空間の中では僕の力は長門さんを上回ります」
「・・・私の情報操作能力の方が上」
古泉と長門がにらみ合いを始めたとき、ハルヒが叫んだ。
「ちょっと!いつまで3人でこそこそ話してるのよ!
まさか私をはめようとして打ち合わせしてるんじゃないでしょうね!」
違うんだハルヒ。俺達はたった今敵同士になったんだよ。
636王様ゲームU 6:2006/09/06(水) 18:01:01 ID:7mNQih4g
ハルヒの怒鳴り声に従い、俺達は再びベッドに戻り、円陣を組んで座った。
俺は気を落ち着けて、考えを整理することにした。
しなければならないことは分かっている。
ハルヒが王様になれば世界が崩壊。
古泉が王様になれば俺が餌食に。
長門が王様になればこの空間に監禁。
この状況を打開するために、俺がするべきことは1つ。

自力で王様になるしかない。

超能力者がどんなインチキをしようが、宇宙人が何を情報操作しようが、
空間の創造主がどんな変態パワーを使おうが、
それをはねのけて王様になる。そしてこの狂ったゲームを終わらせる。
それしか道はない。

「間を空けてしまって失礼しました。それではゲームを再開しましょうか」
さっきの様に、古泉がさりげなく5本のクジを持った。
「待て」
俺は古泉を制止する。
「お前は何をするかわからん。クジは朝比奈さんに持ってもらう」
「おやおや、信用ありませんね」
クジを持たせただけでそいつが有利になりそうな気がする。
ここは、俺と同じように何の力も持たない普通の人間である朝比奈さんにお願いするしかない。
・・・この集団って普通の人間の方が少数派なんだな。今更だが。
「わ、わたしですかあ?別にいいですけど・・・」
朝比奈さんが古泉からクジを受け取った。他の連中も同意したようだ。
3人とも、誰がクジを持っても自分の優位に変わりはないと思ってるんだろう。
俺にはそんな余裕はない。王様になる可能性を少しでも上げておかなくては。
ハルヒが場を取り仕切る。
「さて、では次のクジ引きを始めるわ。今回は、私が合図するまで自分の引いたクジを見ちゃ駄目よ。
その方が盛り上がるんだから。ま、どうせ私が王様になるんだけどね」
相変わらず凄い自信だな。こいつの場合、その根拠のない自信が現実になってしまうんだから恐ろしい。
「さ、キョン、あんたからよ」
最初に引かせてくれるのか。ありがたい。
「ど、どうぞ」
朝比奈さんがクジを俺の前で広げた。
637王様ゲームU 7:2006/09/06(水) 18:02:00 ID:7mNQih4g
途端、空気が変わった。
左右から凄いプレッシャーを感じる。
長門を横目で見ると、口を高速で動かしている。
古泉を見ると、左手がうっすらと赤く光っている。
朝比奈さんがカタカタと震えだした。
当然だ。俺も寒気がする。宇宙人と超能力者がその力を全力で使っているのだ。
もうこの部屋は完全に異空間化しているんじゃなかろうか。
お前らハルヒに気付かれる心配とかちょっとはしろよ。
「何やってんのキョン!さっさと引きなさいよ!」
平気そうな顔をしているのはハルヒだけだ。
ここがハルヒが造り出した空間の中だからなんだろうな。

俺は深呼吸し、5本のクジを見つめる。
このクジ引きに、世界の運命と俺の貞操がかかっているのだ。
確率は5分の1、いや多分それ以下。
しかし失敗は許されない。
・・・
・・・・・・
ダメだ。さっぱり分からん。ていうか俺に分かるわけないか。
目を閉じた。
昔の偉い人も言っていた。考えるな、感じるんだ。
・・・・・・・・・・・・
俺は目を開けた。腹をくくるしかない。
「これだ!」
俺は、自分の勘を信じてクジを引き、記号が書いてある部分を手で握って隠した。
やるべきことはやった。後は運を天に任せるのみだ。

他の3人がクジを引くときには、部屋に満ちている異様な空気はますます濃くなっていた。
朝比奈さんは目に涙を浮かべながら汗をダラダラと流し、
俺も今すぐ部屋を飛び出したい衝動を抑えるのが精一杯だった。

クジ引きが終わっても、部屋はまだ緊張感に満ちていた。
といっても実際に緊張していたのは俺だけか。
ハルヒ、古泉、長門は余裕の表情をしている。それぞれが自分の勝利を確信しているんだろう。
「みんな引いたわね。じゃあ合図したら自分のクジを見るのよ。
ふふっキョン、覚悟はできてるわね?」
ああ、できてるともさ。もうなるようになれ。
「いくわよ。せーの!」
638王様ゲームU 8:2006/09/06(水) 18:03:02 ID:7mNQih4g
自分が引いたクジを見る。

・・・・・・・・・4番。

俺は絶望的になった。駄目だったのか。
もう世界は終わってしまうのか。俺の純潔は散ってしまうのか。
周りを見回した。誰が王様になったんだ。
そこで俺は意外な風景を見た。
・・・古泉の顔から笑顔が消えている。
長門は一件無表情だ。しかし俺はそこから驚愕の色を読みとった。
ハルヒは呆然としながら自分のクジを見ている。
この3人は当たりを引いていない。
ということはまさか・・・そんなことが・・・
俺達の視線はある1名に集中した。
「えっと、私が王様です・・・」
朝比奈さんが持つクジには、確かに星マークが記されていた。

朝比奈さんが王様?何故朝比奈さんなんだ。
人外の3人が全力で王様になろうとしたのに、未来から来たということ以外は普通の人間である
朝比奈さんがどうやって当たりを引き当てたんだ。わけがわからない。
「これは予想外です。どうやら僕達3人が全力で他の人が王様になるのを阻止しようとした結果、
誰も当たりを引くことができず、クジを引かなかった朝比奈さんが王様になってしまったようですね」
解説好きの超能力者が小声でささやいた。そんなもんなのか。
「みくるちゃんが王様?何で私じゃないのよ、もう。
・・・まあ仕方ないわね。何を命令するの?」
ハルヒはさらに不機嫌になったようだが、朝比奈さんが王様になることを認めたようだ。
こいつは自分で決めたルールを必ず守るってのはどうも本当らしいな。

「あ、ええっと・・・」
朝比奈さんは救いを求めるように俺の方を見た。
まさかこんな展開になるとは思わなかったが、これはチャンスだ。
さっきの話し合いには参加していなかった朝比奈さんだが、閉鎖空間の発生には気付いているらしいし、
世界が崩壊するようなことを望んだりはしないだろう。
俺は朝比奈さんに、必死で目線のメッセージを送った。
お願いします。空気を読んで下さい。このゲームを終わらせましょう。
俺の目線をとらえた朝比奈さんは少しの間きょとんとしていたが、
やがて、何かに気付いたようにぱっと明るい表情になった。
やった、伝わった。さすが朝比奈さん。もう大丈夫だ。

朝比奈さんは軽く息を吸い、最後になるであろう王様命令を発令した。

「えっと、みんなで一緒にやりましょう!」

・・・はい?
「あの、だから、参加できるのがキョンくんと2人だけだと寂しいからみんなで・・・」
ななななな何を言ってるんですかあなたは。俺の視線から何を読みとったんですか。
朝比奈さんは「これであってますよね?」とでも言いたげな表情をしている。
ハズレですよ。大ハズレです。
寒気を感じて振り向くと、ハルヒが不敵な笑みを浮かべながら近づいてきていた。
「ふふ、キョン、今の聞いた?知ってる?王様の命令は絶対なのよ!」
や、やばい。おい古泉。助けてくれ。
「命令では仕方ありませんね。無力な僕はただ指示に従うのみです」
古泉も俺の方へ近づいてきた。
ダメだ。長門、お前だけが頼りだ。どうにかしてくれ。
「・・・大丈夫。体力は私が補給する。心行くまで性交を行って」
長門はまたとんちんかんなことを言っている。
俺はハルヒに押し倒された。
よ、よせ、やめろ、う、うわああああああああああああああああああああ!
639王様ゲームU 9:2006/09/06(水) 18:03:43 ID:7mNQih4g


ここから後は後日談だ。合宿から帰る船の甲板で、俺は古泉の話を聞いていた。
ハルヒは朝比奈さんとはしゃいでいるし、長門は相変わらず本を読んでいる。
ちなみにあの後の阿鼻叫喚の地獄絵図は思い出したくもない。ていうか最後の方は記憶も曖昧だ。
「なあ、あのとき何で朝比奈さんが王様になったんだ?」
「僕達3人が全力で他の人が王様になるのを阻止しようとしたため、誰も当たりを引くことができず、
結果的にクジを引かなかった朝比奈さんが王様になってしまったわけです。予想外の展開でした」
そんなものなのか。超能力者の力もたいしたことないな。
古泉が俺に何かをしたのかは意図的に聞かないことにした。記憶がないのは神の救いだと思いたい。

古泉が話を続ける。
「ゲームの結末に深く満足した涼宮さんは、自分からゲームの終了と解散を申し渡しましたよ。
閉鎖空間は綺麗に消滅しました。あなたが頑張ってくれたおかげで世界はまた救われたわけです。
感謝していますよ」
何が感謝だ。そもそもの元凶はお前じゃないか。
「おや、あなたも結構楽しんでいたように見えましたよ?」
ん、まあそう言われてみればそうかもな。最後のクジ引きは人生最高のギャンブル気分だったしな。
結果オーライってやつかな。うん。

ケツが若干痛い気がするのは俺の気のせいだよな。な?

<おわり>
640名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 18:05:34 ID:P2MvphIK
リアルタイムktkr
GJ!でももっとエロが欲しい
641名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 18:08:14 ID:u/VBGC3J
キョン生きろ…
642名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 18:17:53 ID:r2zfeX4l
キョンの尻、激しく生きろ…
643名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 18:58:29 ID:Ny+VdYH5
GOD JOB!

いや、声出して笑ってしまった。
出来れば8と9の間をkwsk(w
644名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 19:17:07 ID:+ndeOeQ/
GJ!!ついにキョンの純潔がwwww
ていうか朝比奈さんはキョンとの(間違った)アイコンタクトが無かったら一体何をしようとしたのやら…w
645名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 19:30:10 ID:/uiXaqWI
エロいよ長門さん! そしてそれ以上にエロいよ朝比奈さん! GJです!
キョン、ガンバ!


>>644
たぶんこんな感じかと。

「え、えぇーっと…4番さんはぁ…」
 俺か!?
「えっと、2番さんの足に…」
 他の二人以上にハルヒに動揺が表れた。2番はハルヒか。
 しかし足だと!? 何をさせるつもりですか朝比奈さん!?
「…き、気をつけてくださいっ!」

 世界が止まった気がした。
646名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 19:57:29 ID:r2zfeX4l
>>645
スレまで止まった気がした
面白いんだけどなw
647名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 20:21:36 ID:88biqOMx
>>645
すごいよ!朝比奈さん!
648名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 20:34:01 ID:HWOF3cAJ
>>645
SOS団がクリスマスに豚足食ってる絵が浮かんできた
649名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 20:54:21 ID:+ndeOeQ/
チョコとマロンとチーズのケーキが消失している絵が浮かんできた
650名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 20:59:38 ID:7mNQih4g
致命的なミスをしてしまった。古泉が解説を2回してしまってる。
保管庫の中の方、もしお手数でなければ8レス目を次のに置き換えて頂けると非常に助かります。
651名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 21:00:14 ID:xYPUrxJw
ハルヒ「奮発して三種類も買ったわよ!
    まずマロン! そして、チョコ!! 最後に、チーズケーキー!!」

シャミ「………もしゃもしゃ」

キョン「食べてるー!?」(ガビーン
朝比奈「はふぅっ………」
キョン「あっ、朝比奈さん!」

ハルヒ「おのれシャミこんちくしょう………!」
652王様ゲームU 8 訂正:2006/09/06(水) 21:00:55 ID:7mNQih4g
自分が引いたクジを見る。

・・・・・・・・・4番。

俺は絶望的になった。駄目だったのか。
もう世界は終わってしまうのか。俺の純潔は散ってしまうのか。
周りを見回した。誰が王様になったんだ。
そこで俺は意外な風景を見た。
・・・古泉の顔から笑顔が消えている。
長門は一件無表情だ。しかし俺はそこから驚愕の色を読みとった。
ハルヒは呆然としながら自分のクジを見ている。
この3人は当たりを引いていない。
ということはまさか・・・そんなことが・・・
俺達の視線はある1名に集中した。
「えっと、私が王様です・・・」
朝比奈さんが持つクジには、確かに星マークが記されていた。

朝比奈さんが王様?何故朝比奈さんなんだ。
人外の3人が全力で王様になろうとしたのに、未来から来たということ以外は普通の人間である
朝比奈さんがどうやって当たりを引き当てたんだ。わけがわからない。
「みくるちゃんが王様?何で私じゃないのよ、もう。
・・・まあ仕方ないわね。何を命令するの?」
ハルヒはさらに不機嫌になったようだが、朝比奈さんが王様になることを認めたようだ。
こいつは自分で決めたルールを必ず守るってのはどうも本当らしいな。

「あ、ええっと・・・」
朝比奈さんは救いを求めるように俺の方を見た。
まさかこんな展開になるとは思わなかったが、これはチャンスだ。
さっきの話し合いには参加していなかった朝比奈さんだが、閉鎖空間の発生には気付いているらしいし、
世界が崩壊するようなことを望んだりはしないだろう。
俺は朝比奈さんに、必死で目線のメッセージを送った。
お願いします。空気を読んで下さい。このゲームを終わらせましょう。
俺の目線をとらえた朝比奈さんは少しの間きょとんとしていたが、
やがて、何かに気付いたようにぱっと明るい表情になった。
やった、伝わった。さすが朝比奈さん。もう大丈夫だ。

朝比奈さんは軽く息を吸い、最後になるであろう王様命令を発令した。

「えっと、みんなで一緒にやりましょう!」

・・・はい?
「あの、だから、参加できるのがキョンくんと2人だけだと寂しいからみんなで・・・」
ななななな何を言ってるんですかあなたは。俺の視線から何を読みとったんですか。
朝比奈さんは「これであってますよね?」とでも言いたげな表情をしている。
ハズレですよ。大ハズレです。
寒気を感じて振り向くと、ハルヒが不敵な笑みを浮かべながら近づいてきていた。
「ふふ、キョン、今の聞いた?知ってる?王様の命令は絶対なのよ!」
や、やばい。おい古泉。助けてくれ。
「命令では仕方ありませんね。無力な僕はただ指示に従うのみです」
古泉も俺の方へ近づいてきた。
ダメだ。長門、お前だけが頼りだ。どうにかしてくれ。
「・・・大丈夫。体力は私が補給する。心行くまで性交を行って」
長門はまたとんちんかんなことを言っている。
俺はハルヒに押し倒された。
よ、よせ、やめろ、う、うわああああああああああああああああああああ!
653名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 21:10:38 ID:KZrxIiYE
>>651
猫がチョコを食べると死んじゃうんじゃないか?
654名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 21:10:40 ID:ZToS+yYI
>>651の神反応にワラタww
655名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 21:46:57 ID:rul9pfEf
>>639
GJ!乱交をkwsk
656名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 22:13:50 ID:+ndeOeQ/
>>653
どこからともなくケーキを持ってきたシャミセン
一同「ケ…ケーキだー!!」

キョン「すごいじゃないかシャミー!」
ハルヒ「どっから持ってきやがったんだ!?こいつー!」(ゴン

朝比奈「すごーい!チョコとチョコとチョコケーキが全部入ってるー!!」



一同「………」

朝比奈「ど…どーして!?マロンもチーズもおいしいけど… チョコだっておいしいじゃない…!ねえ?」
シャミ「!!」

キョン「まあ…うまいと言えばうまいけど…」
ハルヒ「でもチョコとマロンとチーズ…どれか選べって言われたらどっちとる?」

朝比奈「マロン!チーズ!マロン!チーズ! マロン!!チーズ!!」
シャミ「!!!」
657名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 22:32:14 ID:t2YYknJl
朝比奈さん壊れてるw
658名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 22:48:50 ID:JIhUFRw2
まるで意味が分からんw
659名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 22:54:00 ID:tq4DqfRz
それなんてSMS?
660名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 23:04:03 ID:rul9pfEf
ハルヒ「世界を多いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団。略してヒゲ部だ!」
ヒゲ部とヒデブはよく似ているがそんなことはどうでも良かった・・・
661名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 23:09:39 ID:xYPUrxJw
SOS団設立まで、団員残りあと2名!

キョン「………ん?」

キョン「数に入れられてるー!?」(ガビーン
662名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 23:18:27 ID:2kvdO3cQ
「コームギーコーターマーゴニー、パンコーヲーマーズーシテー」
ドアを開けようとすると長門が歌を歌っていた。
しばらくドアに耳を当てて待機。 それにしても長門、それはすこし懐かしいぞ。
「アーゲレーバーコロッケダーヨ」
「………」
「キテレーツガイジンー」
「何ぃ!」
思わずドアを開けて突っ込んでしまった。 長門、そんなへそくりがばれた親父のような顔をしないでくれ。
「………聞いてた?」
「……あぁ」
こんな事しかいえない自分が憂鬱だ。

こうで(ry
663名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 23:19:06 ID:KcEUWUT2
>>656のシャミはメソ

>>661のキョンはふーみん
664名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 23:31:45 ID:KcEUWUT2
スレ違いはなはだしいが、これを見てくれ
ttp://pure-c.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/oekaki2/bbsnote.cgi?log=17509&fc=thread&res=0-12
665名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 00:35:58 ID:n5frNzrG
そろそろ阪中さん日記の続きが読みたくなってきたな
666名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 00:42:00 ID:k1mOOo8u
やっぱり、あの口調のままの阪中さん日記がいいよな
667名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 00:42:22 ID:SpnHys/N
俺がまだ中学生だったある日、突然親戚の婆ちゃんが俺のニックネームを考え始めた。
「うーん..『げろしゃぶ』か『キョン』だな」
キョン「ガーン!!(イヤだ…『げろしゃぶ』だけは絶対イヤだ!) 」


正直しつこくてスマンかったが、これだけはやりたかった。
668名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 01:52:35 ID:bNNEBVSb
偶然か。本スレみてたら阪中さんの日記の続き書きたくなったのね。
阪中さんの日記(夏休み編) ─阪中さんのエンドレスエイト─

7月21日
今日から夏休みなのね。でも、コーラス部の練習と合宿があるからあんまりゆっくりできないのね。
ルソーといっぱいお相手したいのね。

7月○×日
コーラス部の練習は大変なのね。でも、秋の合唱コンクールに向けてがんばらないとなのね。
ルソーのお相手したいけど、ここは我慢なのね。

8月×○日
今日で、宿題全部おわりなのね。いっぱいルソーのお相手してちょうご機嫌なのね。

8月18日
今日から一週間、コーラス部の研修なのね。
合宿地はそんなに遠くないけど空気が澄んでてとっても気持ちがいいのね。
ルソーがいなくて、とてもとてもさびしいけどがんばるのね。

8月19日
今日練習のあと、合宿恒例のバーベキューパーティーをしたのね。とってもおいしかったのね。
でも、なんだろう?前に経験したことあるよう気がするのね。

8月21日
昨日の夜、部員全員で肝試しやったのね。これも恒例みたいなのね。
とっても怖かったのね。日記書くの忘れるぐらい怖かったのね。もう何度もやってるみたいに怖かったのね。
二度としたくないのね。ルソー元気かな。

8月23日
最近、なんかおかしいのね。はじめてみるのに前に見たことがあるようなへんな気持ちなのね。
佐伯さんにそのこと言ったのね。「デジャブじゃないの。それ。」といわれたのね。
なるほどなのね。ここは軽井沢になんとなく似てるし、バーベキューパーティーもよくしてたのね。
きっと、ルソーがいないからなのね。はやく会いたいな。

8月25日
合宿から帰ってきたのね。やっぱりおうちが一番いいのね。ルソーもいるし。
夏休み残り少ないけど、いっぱいいっぱいルソーのお相手するのね。

9月1日
今日から学校なのね。みんな日焼けしてたのね。
とくに涼宮さんがすごかったのね。まっくろさんだったのね。あの人もまっくろさんだったのね。
佐伯さんが「あの二人・・・あやしいわね。」といってたけど、何がどうあやしかったのかな?

─────────────────────────────────────────
日記に「〜のね」をつけるのかという疑問はほっといて。
670名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 02:22:35 ID:XjjK+PHg
>>669
阪中さんいいよ阪中さん

〇=3 ×=1
671名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 02:25:51 ID:FoQLZeFj
>>669
阪中かわいいよ阪中さん

強いて言えば、樋口さんとも(ry
672名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 02:47:19 ID:fmdcMWf3
阪中さんかわいいよ阪中さん
でも彼女はちょっとご機嫌なのねて言いそうなのね
673名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 07:11:44 ID:fm+9j6Q8
マギー……

あるいはこれって戦争なのねの人
674名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 10:25:18 ID:ogU4hMXD
何でエンドレスエイトに気がついているんだよ阪中wwwwwww
只者じゃないな・・・
675名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 10:43:57 ID:Vu31/kxB
>>674
きっとルソーが影ながら見守ってくれたからなのね。 ルソーは賢いこ子なのね。
676名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 12:33:55 ID:3+ITBdYZ
JJはバターが大好物なのね。
677名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 12:43:57 ID:/gEL7LPY
>>676
「最近心配なのね。ルソーが食欲なくて」
678名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 13:10:36 ID:ONhDyi9f
>>629
遅レスだが、『2人の心配事』じゃないかな。
679名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 13:33:49 ID:w02QAZOp
>>673
後者は『なのよね』だ
680名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 13:53:03 ID:OqSMdN9q
>>677
やっぱりあの方法じゃないと食べないのね。   
681名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 13:57:28 ID:PDEAy+Id
>>680
「今度実践してみるのね」
682名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 14:01:24 ID:+/vtL5c8
「全身にバター塗るのね」
683名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 14:52:21 ID:/gEL7LPY
「そして布をかけると何故か空に浮いちゃうのね。
 これ近所の鈴木さんに思いっきりうけたのね」
684名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 15:20:06 ID:GIIQfJiJ
_ ∩
( ゚∀゚)彡 ルソー×阪中!獣姦!
⊂彡
685名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 16:26:20 ID:xgH/41qK
>>684

ピチャッピチャッ
「ふぁっ……あっ…ルソー上手に…なったのね……」
ピチャピチャ…
「ああぁっ!!…くぁっ……」
ペロペロペロ…!!
「い…イイッ……はぁっ……もっとつよくッ!!」
ベロベロベロベロ!!!!!
「あアアアアアッ!!!!…イ…クッ……あたしっ…アッ…ルソー……でッ…」
ビシャビシャビシャビシャビシャビシャビシャビシャビシャビシャ!!!!
「イクゥゥッ!!!!!」ビクビクッ

「ハァァァ……性欲を持て余すのね……」
ペロッ
「アッ!!…」

以下ループ
686名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 16:53:37 ID:ZpXiKxNc
>>685
GJ!
あえぎの合間、
「のね」が切れぎれに聞こえるのが良すぎ。
687名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 17:06:23 ID:XjjK+PHg
いつの間にか阪中さんスレが立ってることに気づいた
688名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 17:47:40 ID:DNaHI3+7
>>687
ハルヒキャラスレ多すぎ。
まあ比較的稼働率高いからまだいいんだろうけど・・・。

ttp://www6.big.or.jp/~beyond/bbsnews/2ch/top/anichara2_9.html
長門やハルヒ、みくるが伸びるのはわかる。
なんで朝倉スレが異様に伸びてるんだ??
689名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 17:48:36 ID:j5wpqHfV
人気があるからじゃねえの
広く浅くか狭く深くかは知らんけど
690名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 17:54:16 ID:k4hYLHCC
アニメキャラ個別には、ハルヒと名が付くのは30スレ以上あるけど、その半数以上が勢い10以下ってのはどうかと思うけどな。
それだけあるなら削除依頼出ててもよさそうなもんだけど。
691名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 18:00:29 ID:/gEL7LPY
>>689
おそらく、広く太く。
692名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 18:05:16 ID:2hcPausn
>>691
眉毛?
693名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 18:16:52 ID:JrP/UAzx
>>691
ふともも?
694名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 18:19:58 ID:ZGGAodTe
太眉、太もも、そして太いのが好き
695名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 18:27:57 ID:a6FzlCaQ
朝倉は、おっきくて長くて太いものが好き。
696名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 18:40:20 ID:levArGqd
>>695
ツタウリ? もしくは金属バット?
697名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 18:47:13 ID:LTIJLyhr
太巻きか
698名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 19:21:48 ID:OqSMdN9q
ちくわ
699名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 19:25:53 ID:BnY2y00l
>>695
ロードローラーだっ!!
700名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 19:27:46 ID:7vnCCcW8
みんな!

本当は言いたいんでしょ
素直にちんこって言っちゃいなさいよ
701名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 19:39:21 ID:ib3tuqZp
>>700
げ、下品な女 だ・・・でかい声で・・・
702名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 19:39:34 ID:v5XI1zEK
だが断る!
この岸辺露伴が最も好きな事は、空気を読まない奴に断るといってやる事だ。(AA略
703名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 19:46:17 ID:CUxzXIKI
ちんこって名前をつけた奴は神だな、
だって本当にちんこって感じじゃね?
704名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:03:06 ID:Z4m9zE3y
「キョンのけがの功名」その@

今日も律儀にSOS団巣窟、もとい文芸部部室へ向かう俺。ちなみにハルヒは
掃除当番だ。わずかな時間だが、ハルヒのいない平穏な時間を朝比奈さんのあ
たたかいお茶ですごすとしよう。
コンコン
部室のどあをノックする。・・・おや?反応がない。
「おお、長門だけか。」
「・・・・・・」
部屋に入ると、そこには無表情の宇宙人が無言でうなづいた。
「朝比奈さんは?まだ来ていないのか?」
古泉もいないが、あいつの居所なんてどうでもいいね。俺は早く朝比奈さんの
笑顔がみたいんだ。
「・・・朝比奈みくるは体調が悪いといって12分前に下校した。」
「そうなのか。」
朝比奈さんが早退?ううむ、SOS団の活動なんてほっといていますぐ看病に
行きたいね。しかし黙って行くとあの団長様がどんな反応するかわからん。う
ーん困った。
「・・・」
「・・・」
俺が頭の中で葛藤しているうち部屋は沈黙に包まれる。でも長門とだとまったく
苦にならない。沈黙が苦にならない仲間ってのはいいもんだ。
居心地のいい沈黙につつまれているうち、俺はうたたねをはじめてしまった。

705名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:25:03 ID:Z4m9zE3y
「キョンのけがの功名」A

俺の眠りを覚ましたのはハルヒの馬鹿でかい声だった。
「こんのエロキョン!起きろぉ!!!」
「んあっ?!」
なんだなんだ?なんで俺はたたき起こされたんだ。それにエロキョン?わけ
わからんぞ。
「ハルヒ。いつきたんだ?」
俺が顔を上げると、そこには眉をピクピクとつりあげ、あきらかに怒気のオーラ
をまとったハルヒがいた。ふと向かいを見ると、古泉もいる。
「たった今よ!それよりあんた、夢の中で有希にエロいことしてんじゃないわよ!」
なんのこった?古泉はいつものにやけ顔が少し困った顔になり、肩をすくめる。
「あ〜もう、今日はみくるちゃんもいないし、こんなエロキョンほっといて
帰るわ!解散!」
ハルヒはそういうと、ズカズカと部室を出て行ってしまった。まだ状況がのみこめんぞ。

「まったくあなたにも困ったものですね。またバイトが増えます。」
おまえのバイトのことより、状況を説明してくれ。
「いいでしょう。あなたは寝言を言ったんですよ。」
寝言だあ?
「そう。はっきりと。『長門、メガネかけてない方がやっぱりかわいいぞ』とね。」
!?
「涼宮さんは、その寝言で長門さんがメガネをかけなくなった理由を理解したん
でしょう。しかしそこへいくいきさつまではわからない。そのイライラが
さっきの顛末につながるわけです。」
俺は長門のほうを向いた。おやっ、長門が目をそらしたぞ。どういうことだ?
「それでは僕も帰ります。バイトがあるやもしれませんので。あなたは涼宮さんを
なんとかしてください。世界のためです。」
古泉も部室を出て行った。どうしよう。


706名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:40:29 ID:k4hYLHCC
ある程度書き溜めてから投稿しろや
707名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:42:25 ID:+/vtL5c8
投下しながら書くという神経が りかいふのう
708名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:48:46 ID:OqSMdN9q
PSPで投下してんのか?
もし違うんだったら、やっぱり書き溜めてから投下すべきだ。
709名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:49:00 ID:Z4m9zE3y
「キョンのけがの功名」B

再び沈黙。しかしさっきまでの居心地のよさはない。
「あー、長門。俺は本当にあんな寝言いったのか?」
「・・・言った。」
「そ・・・そうか、なんかわからんがすまなかったな。」
「・・・そう。」
俺はそそくさと部室をでようと席を立ち上がると、
「・・・どんな夢?」
は?
長門のセリフにフリーズした。
「・・・あなたが見た夢。」
長門が俺をじっと見る。目の奥が輝いているように見えるのは気のせいか。
ひょっとしてなにか期待してるのか?
「知りたいのか?」
「・・・知りたい。」
「・・・どうしても?」
「・・・どうしても。」
長門は引き下がらない。こんな長門も珍しい。
「誰にも言わないなら。」
「・・・分かった。」
俺は寝言のことは覚えていないが、夢の内容はほぼ覚えていた。
「俺と長門で図書館に行った夢を見たのさ。」
「・・・・・・そう」
あれ?目の輝きが少しくすんだぞ。期待はずれだったか?
「それも、長門が俺を図書館に誘ったんだ。」
「・・・えっ?」
長門が目をパチクリとする。俺はさらに続ける。
「しかも長門は私服だった。前図書館に行ったときはメガネで制服だったろ?
メガネなしで私服の長門との図書館なんてはじめてだし、とてもかわいかった
から、思わず寝言にでたのかもな。」
言ってて恥ずかしいぞ。長門は目を丸くしている。驚いているのか?わずかだが
頬が赤いぞ。

「ま・・・、まあそんなとこだ。ハルヒのことは気にすんな。俺がなんとかする。」
俺はそういって、今度こそ部室を出ようとした。しかし、
「待って。」
長門に止められた。なんだ?
「わたし・・・」
長門はそこまで言って息を呑んだ。そして
「・・・わたしは、あなたの見た夢を正夢にしたい。」
長門ははっきりと、そう言った。

終わり
710名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:50:26 ID:Z4m9zE3y
制限文字数がわからないので分けてみました。すいません。
711名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:50:34 ID:WyAZibNk
ここで終わりにしてどうする?


書きながら投下、半端な寸止め。


悪いところしかないぞ
712名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:52:48 ID:2xzD2Sd+
>>710
Bytes:4096
Lines:60
713名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:54:19 ID:v5XI1zEK
よーしパパ長編途中でほったらかして投下しちゃうぞー
714名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:55:13 ID:k4hYLHCC
ま、いいんじゃない。これで容量もわかっただろうし。
文字数は全角で2048文字、行数は60行、これが制限。
それと作品の投下中は基本的にスレを止める事になってしまうので、最初に断りを入れるか、
やっぱり書き溜めて1度に投下してくれ。

いろいろ嫌なこと言ったけど、作風は好みだ。続き書いてね。
715コロッケマーチ1:2006/09/07(木) 20:56:25 ID:v5XI1zEK
さて、俺は長門の家でコロッケを作ってる。
しかし意外だな。 長門が料理が苦手とは。
「カレーとケーキなら作れる…」
でもカレーは完成品を温めてるだけだから実際はおかずを一品も作ってない。 あ、千切りキャベツは別だ。
「そう」
「とりあえず昔からの知り合いに聞いたところ、この曲を聴きながらコロッケを作るといいらしい」
俺は家から引っ張り出してきたラジカセをチラリと見た。 中にはある曲のカセットっが入っている。 よく俺も持ってたものだ。
「……がんばってみる」
「じゃあスイッチ入れるぞ」
はぁいラジカセのスイッチオン。

チャンチャチャチャチャンチャチャチャチャンチャチャチャ
イントロが流れて曲が始まった。
716コロッケマーチ1:2006/09/07(木) 20:57:19 ID:v5XI1zEK
『いーざ進めーやーキッチーン』
…長門、別に行進しながら作らなくてもいいぞ。
「…そう」

『めーざすーはジャーガーイモー』
…長門、それはジャガイモじゃなくてトロロだ。
「…分かった」

『茹でたーら皮をむいーて』
…長門、バナナの皮をむいてどうする。 あと茹でてるのもトロロだ。
「…」

『ぐーにぐーにーとーつーぶせー』
…長門、皮を潰してどうする。 コロッケには使わんぞ。
「…分かった」

『さぁ勇気を出しー、みじん切りだ包丁ー』
…長門、包丁をみじん切りにしてどうする。
「…特に意味はない」
「そうか」
「そう」
さぁ続きだ。

『たーまねーぎー目にしみてーもー、なみーだこらーえてー』
「玉葱の構成情報を一部改変…」
「長門、何やってんだ?」
「何でもない」
ふと見るとすでに玉葱がバラバラになっていた。 いつの間にやったんだ? まぁ、下のまな板もバラバラなんだがな。

『炒めよーうーミンチー、しーおこしょうでー』
…長門、その緑の粉は何だ?
「抹茶」
「うまいと思うか?」
「……多分」

『まぜたーなーらー、ポーテートゥ、丸ーくー握れー』
楽しそうに混ぜてるところ悪いが、このミンチも混ぜてくれ。
「分かった」

『小麦粉ーたーまごにー』
…長門、卵の殻は混ぜないでくれ。
「卵の殻は栄養価が高く…」
「そういう問題じゃなくて食感と味の問題だ」
「………」

『パン粉ーをーまぶしてー』
…長門、それは… もはや何も言うまい。
「何か問題でも?」
「いや、ちょっとした妄言だ」

『揚げればーコロッケだーよ』
カラリと狐色に揚がったコロッケが彩りも鮮やかなお皿の上に盛り付けられていく。
「うん、これはうまそうだな」
「たっぷり作った。 しっかりと味わって欲しい…」

『キャベツーはどうしたー?』
「大丈夫、それも用意してある」
そう言って長門は山盛りの千切りキャベツを出してきた。
717コロッケマーチ1:2006/09/07(木) 20:58:23 ID:v5XI1zEK
「それでだ長門、箸はどうした?」
「………」
長門はまばたきを数回してじっと俺を見た。
「……こう」
長門がコロッケを手に取り、2口3口とほおばった。 サクサクと聞こえのいい音が静かな部屋に響く。
そのまま長門は俺のほうに向かって…
唇と唇が触れ合った。 そのまま長門は… うおっ、舌を入れてきた。
「ほむぅ、ふっ、むぐ…」
長門が舌でコロッケを送り込んでくる。 味が分からないのはコロッケが無味なのか、それとも他の感覚で脳がいっぱいいっぱいになってるかのどっちかだ。
俺も負けじと長門に舌を入れる。 口の辺りからくちゅくちゅと卑猥な音が漏れる。
「ん… んふ、んあ…」
コロッケの事をも忘れて口内の感覚に酔いしれていると、長門は急に唇を離した。
俺も未知の感覚に呆けていたが、長門の顔もほんのりと赤くなっていた。 元々白い肌が、一層赤さを引き立たせる。
「……次」
そう言って長門はまたコロッケをほうばる。 やれやれ、こりゃしばらく帰れないな。


これから先のことは省かせてくれ。 おそらくベタなエロゲの世界が展開されてたんだろうが、イマイチ憶えてないんだ。
おそらくコロッケに何か長ったるいよく分からん成分が入ってたと長門は言ってたが、
ただ朝にリビングで2人して素っ裸で寝てた事と、起きた時に息子が悲鳴を上げたくなるくらいジンジンしてた事だけは憶えている。


そのまま衣服を整え、時計をみるなり学校にダッシュするハメになった。
何とかギリギリで教室に入り、自分の机で動物園の昼間のコアラのようにぐったりしていると、後ろからハルヒが話しかけてきた。
「ねえ、キョン! 昨日こんな話を聞いたんだけどさ」
「たのむから某狙撃主のオウムのように騒がないでくれ。 今は本気で疲れてるんだ…」
「何よその例え。 まぁいいわ、心して聞きなさい。 男って初体験を済ませた次の日にはホルモンの関係で鼻の血管が浮き出るんだって!」
な、何だって!? 俺は思わず鼻を押さえた。 俺がマヌケじゃないのは国木田も鼻を押さえていた事から確かだろう。
「え、キョン、ええええ? そ、そういう事よ! そういえばアンタ昨日有希と…」
「いや、その、何だ、単にコロッケを食べさせてもらっただけだぞ」
別に嘘は言ってないぞ。 記憶のうちでは、だがな。
「ふぅーん、コロッケねぇ…」
ハルヒは子供が新しいイタズラを思いついたような顔をして
「そんなに食べたいんだったらあたしが作ってあげてもいいわよ?」
は? 俺は脳内に朝倉でも発生したのかと思った。
「あたしもそろそろ新しい味のコロッケを作りたいだけなんだからね。 その時は呼んだげるからアンタも胃を洗って待ってなさい!」
あぁ、そうさせてもらうよ。 だが流石に胃洗浄は勘弁して欲しいぜ。



もちろん、その日のうちにハルヒの家に連行され、コロッケを食べさせられたのは言うまでもない。
718名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 20:59:59 ID:v5XI1zEK
ここまで
勢いで書いた。書きたいことは書けたので反省はしていない。
さて、いい加減抹消かいてくるか… 憶えてる人いるかは知らんが、ケリだけはつけとかんと。
719名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 21:04:41 ID:Z4m9zE3y
712、714
ご指摘ありがとうございました。
720名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 21:18:33 ID:4G7cavAP
何かキャラスレに落とされているようなSS増えたな
721名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 21:28:48 ID:OqSMdN9q
おもしろかったら何だっていいよ。
722名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 21:38:04 ID:jXlHz4Kt
>>721
ああ、面白かったらな。
面白かったら何でもいいんだけどな。
723名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 21:50:53 ID:DjASlj0I
文句あるならお前が書け(・∀・)
724名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:02:49 ID:GIIQfJiJ
キテレツガイジンって言うと思ったのに。
思ったのに。
725名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:18:23 ID:iXWSo5x9
>>723
ホント真理をついてるよな。
非難する輩にはこれを突きつけてやればいいんだ。全く。
726名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:21:50 ID:LTIJLyhr
そうなるとつまらない漫画や映画もつまらないと言えなくなるな……
727名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:22:27 ID:GIIQfJiJ
でも批判が出ないと書く側もなんか遠慮されてる気がするから、やんわり言うくらいなら問題ないと思う。まああんまり無茶な批判は困るだろうけど。
728名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:26:17 ID:EnzdFuEr
ループの予感…
729名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:26:37 ID:iXWSo5x9
根本的にみんなハルヒという作品を愛してやまないんだ。
荒れてきたらこれを思い出せばいい。

人類みな兄弟であると同様、
ハルヒみな兄弟。

ウホっ!オレカコイイ!
730名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:27:41 ID:UGCqEYh6
もし次に書く時に役立つような指摘ならいいと思う。
731名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:28:08 ID:k4hYLHCC
つまらない作品→非難しない→レスがないからもう書かない。
こういうことになるんじゃないか?

書き手も読み手も結局素人なんだから、匿名掲示板で晒した作品の感想を自由に書き、書き手もそれを真摯に受け止めるべきだろう。
非難や荒らしはまずいだろうが、好評だけでなく、批評も受け止める度量も持つべき。
それこそ、出来ないというなら最低でもスルーする。これが、せめてものルールだろ。
732名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:32:38 ID:i1kC4ZDe
中途半端に色々考えるから変になる場合も多いよ
どうせなら書いて晒して逃げる
733名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:33:38 ID:iXWSo5x9
だがこれだけはいえる。
色々とSS見たり書いたりして来たが、
SSのクオリティは

ここ>アニキャラ>VIP

他スレと比較して申し訳ないが。
でもだからこそ、ここは手厳しいんだろうな。と同時に良い作品も多い。
734名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:36:46 ID:fHeZkGMt
たしかにね。
ここに投下するときは最も緊張するよ。
自信のあるものじゃないと怖くて投下できない
735名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:39:55 ID:k4hYLHCC
アニメキャラ板とVIPは、初心者専用ってとこだろ。
あそこは作品が投下されればGJって言わないといけないような空気が出来上がってるからな。特にVIP.。
逆にその分、ここで気後れする人が投稿したりしてるんじゃない。
736名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:43:34 ID:iXWSo5x9


ここ(情報思念統合体)>アニキャラ(未来人)>VIP(機関)

すまん、妄言だ。
737名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:47:39 ID:DjASlj0I
機関を馬鹿にするな
738名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:47:42 ID:SuOu5EkK
でもたまにVIPでもいい作品が投下されるんだよな「10月8日、〜」って作品(ちゃんとした名前覚えてない)は読んでてすげぇって思ったが
739名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:55:50 ID:4u3vgUxH
>>717
国木田吹いたwww
740名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:56:47 ID:iXWSo5x9
>>738
確かに。あれは良かった。

…機関ごめん。
741名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:59:08 ID:+IrUCNAR
>>718
抹消の人かよ!!
覚えてるから早く書いてくれ。続きが気になってしょうがない。
742名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 22:59:19 ID:dPHPU9kK
>>740
違うだろ。
たまにすごいことをするんだよ奴らは。
憂鬱のときのように
743名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:02:03 ID:68HfjazC
>>738
http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/466.html
「10月8日、曇りのち雨」

これだね。感動したよ。
744名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:11:25 ID:b5MIT6pT
なんつーか、誰も非難してないのに >>725 見たいなレスを付ける奴がいるあたり、もうダメかも知れんな。
ある意味、VIPとかキャラスレの方が、まだましかも試練。
745名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:14:39 ID:GIIQfJiJ
>>743を読んで絶賛する人が何人か出て、投下する気だった人がすごく腰が引ける。
そんな流れはやめてね。読んでないけど。
他所のはスレチだと思うんだ。リンクまで貼っちゃって。
746名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:15:47 ID:HOpjaogx
書き手は何も言わずただ投下するだけ

なのに騒いでいるのは読み手ばかり
747名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:17:42 ID:pvFBTEIS
なんかここAA長編板と雰囲気が似てる
悪い意味で
748名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:18:19 ID:Vjebq8If
大抵、えらい過去の作品やスレチの作品を話題に出して
リンクまで貼る人って、自演乙 としか思ってないのは俺だけ?
749名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:21:09 ID:b5MIT6pT
>>746
いや、解らんぞ。
騒いでいる書き手もいるかも知れん。それはそれで悪くないと思うがな。
750名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:21:19 ID:hbIhyj+/
ひさびさにこんな空気だから言わせてくれ

どうしてここは俺が帰ってくる時間になると荒れるんだ?
751名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:27:55 ID:+bN1KRe8
>>750
またお前k(ry
752名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:28:19 ID:h8jadHeH
>>750
晴れ男ならぬ荒れ男ですな
753名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:28:34 ID:StFqZ7n/
>>750
ああ、やっぱりか。久々に荒れてたからな。帰ってきたのかと思ったんだ。
だから何度も言うがお前が(ryんだよ。だから帰ってく(ry
754名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:30:16 ID:t6tcCxXU
>>747
読み手が不満ばっか言ってたせいで職人が消えたというアレのことか。

>>748
純粋に紹介したいだけなのかも知れん。まあ自演もあるだろうけど
755名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:36:00 ID:GIIQfJiJ
>>750の人気に嫉…いややっぱいいわ
756名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:40:26 ID:tAOCRY6U
こういう時は、長編本格派か面白い一発ネタが来ると
一気に空気が変わるんだが・・・。

俺も書いてみようとしるんだが、職人のみなさんもガnバーレ!
757名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:51:50 ID:lpT0oPdJ
「批評」ならいいんだけど、ただの「つまらん」だけならお前が書けってなるわな。
758名無しさん@ピンキー:2006/09/07(木) 23:57:15 ID:EwQkhgEb
MY NAME ARE YOU NAME PLEASE?

放課後、俺が
759名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:16:53 ID:VmjNcHgD
>>726
金払っているんだから文句いってもいい。
760名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:24:05 ID:3mfAZh5Q
おめら、ここにいくつ作品作った?
761名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:29:27 ID:UVsNzLSp
わたすは長編なんら1つだけんども、小ネタ合わせるとわがんねえさ
762名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:32:41 ID:hQNOQHZV
1つだけ。18禁エロは難しくてそれ以降書いてない。
763名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:33:07 ID:CUdn5ETB
>>760
それは関係ないでしょ。
何作書こうとそれが評価にてつながるってもんじゃないよ。 
764名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:36:28 ID:gw9tJlOQ
ただの雑談でねえのかい?
765名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 00:50:16 ID:CUdn5ETB
>>760
>>764
えっ、そうなの? いや、なんか空気読めなくてすまんね。
俺は長編2つとエロ1つ。
766名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:02:43 ID:AOhlSb9E
俺は中編1つと小ネタ1。あと寸止めエロ短編1。
あ、長門しか書いてねーや。
書く人はキャラの偏りある?
767名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:07:29 ID:UiZvXad6
>>766
ハルヒ関係だけで短中編十数本書いたけど
一通りの主要キャラは書いたな。
768名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:08:29 ID:SGDTdJ+D
落としに来たが流れが微妙だな……。
俺は小ネタ3中編1中編未完1長編未完1。
長門が目立つ全員モノが多いかな。未完2が痛い。
769名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:09:35 ID:sWHjwmlv
まだ古泉、谷口、国木田、新川等男性メインは書いてないなぁ。
阪中もチョイ役のみ、朝倉は復活させてないし、鶴屋さんも未だ……

と、そもそもここには投下してないのだった。
770名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:12:58 ID:T1I8c4yu
朝倉ものしか書いてないな。
771名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:18:03 ID:SGDTdJ+D
>>756
>こういう時は、長編本格派か面白い一発ネタが来ると
「キョン消失」と「宇宙未来超能力」の続きはそれぞれあるんだが……。
772名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:24:46 ID:/dHBwBYO
>>756
>こういう時は、長編本格派か面白い一発ネタが来ると
まじで長門本格派に見えた。 新しい思念体ができたのかと
773名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:36:09 ID:DelTQwNy
>>760
鶴屋さんものと坂中さんものとコンピ研ものの3作

「のね」やりすぎたと後悔していない。だってパロディだもんw
774名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:45:35 ID:XKMaLPGJ
>>766
キョンとハルヒだけだな。
こんな微妙な関係あったなぁというノスタルジーに浸れて、話が作りやすい。
縛りのきつい朝比奈さん(小)で話つくろうとするといろいろ準備が必要だけど、
空気キャラとしてなら古泉より書きやすくて気に入ってる。
長門はおもしろキャラにしてオチ担当で何個か話作った。

ここはエロのみと考えてるから、全部違うところに投下してるけど。
775名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:48:51 ID:Qh0WxGfj
長いの書いた後に分割するのがすごい面倒なのですがどうしたら
776名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:51:05 ID:a1rgpg7D
何を何作書いたかなんでどうでも良いんだけどな。
ここで何々書いたって言ってる奴の作品は大体「つまらん」し。
777名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:54:34 ID:A/uGmBqa
>>775
うpロダ
778名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 01:55:02 ID:cqTtfr2/
長編1、中編1、小ねた1。
今は、ミヨキチ+朝倉or谷木田コンビで書けないか苦闘中。

>>775
同意。スレッド形式は特に難しいし、面倒。
779名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:06:04 ID:Qh0WxGfj
うpろだに上げたら上げたでまとめの中の人が拾えなかったり消えて文句言われたり…
地道に切ってきます
780名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:06:50 ID:4lt5lXjF
佐伯さんはガチで俺のタイプ
781名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:07:25 ID:Vx5YG/Ur
>>775
スレに貼るのなら、区切りの良いところを手で切り分けて調整していくしかないのでは。
782名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:09:08 ID:SGDTdJ+D
んじゃま、>>775さんが切ってる間に落としてみるか。
「宇宙人×未来人×超能力者」から。
783宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/08(金) 02:10:13 ID:SGDTdJ+D
「──《神人》。涼宮さんの世界への不満の現われ、退屈な日常の破壊を司る影」
 閉鎖空間に古泉のあくまで静かな声が響く。ただ普通に話しているだけなのだろうが、その声は俺たちに十分届いていた。
「涼宮さんのストレスによって生み出される、現世の破壊神」
「格好つけた御託はいい。それで、この力で本当に倒せるんだな?」
 全身に紅い光を纏い、俺は空を駆りながら神人へと向かっていた。
「ええ、僕の全てを以って保障します。あの神を倒せるのは、あなただけが持つその紅い力のみです」
 何で俺しか持ってない力で倒せるのが保障できるんだろうね。お前もそう思わないか。
 俺は隣で空を併走する北高の制服を着た長髪の美少女──ぶっちゃけ朝倉だが──に尋ねた。

「本当、どうしてかな。とりあえず試してみるわね」
 そう言うと朝倉は車道に降り立ち、両手を巨大な光の刃に変化させる。
 地面すれすれをなぎ払い、辺りの街灯を片っ端から切り倒しつつ『呪文』を唱えて情報操作を加える。
「行って」
 小さな掛け声にあわせ、街灯が次々とロケット花火のように神人に向かって飛んでいった。
 更に朝倉自身もその飛ばした街灯を次々と渡って神人へと近づいていく。お前は何処の暗殺者だ。
 結局数十発の街灯ミサイルも、その後の朝倉の両手を触手に変えた驚異的な突貫攻撃も、神人には全く効かなかった。

 仕方なく俺は最初に古泉から言われたように、自分の紅い力を朝倉に送り込むイメージを思い浮かべた。
 朝倉の両腕が今の俺と同じようにだんだんと紅く輝いてくる。

「不思議な力ね……何だか冷徹で、全てを拒絶しているって感じかな」
 呟きながら前髪を十本程度むしり、紅い力を髪の毛に流し込むと空中に撒く。
 再び『呪文』を放つと髪の毛は赤い光を纏ったまま、その一本一本が全てアーミーナイフへと形をかえた。
 空中で勝手に狙いを定めると、朝倉の号令で神人の太もも目掛けて全てのナイフが飛んでいく。
 神人へと吸い込まれるように消えていき、神人の太ももが深紅の閃光と爆発を起こして吹き飛んだ。

「どいてろ、後は俺がっ!」
 朝倉が離れたのを確認し、俺は速度を増して神人の胸元へと突撃、一瞬にしてその身体を貫いた。
 そのまま頭の頂点に移動し、一気に股下までもう一度貫いて通る。
 勢いあまって地面に突撃かけそうになった時、真横から朝倉がもの凄い速度で走りより俺をひっ捕まえると
そのままの勢いで神人から一気に離脱した。

 足をもがれ、真っ二つとなった神人が街中へと崩れ落ちていく。
 空へと手を伸ばすが、それもすぐに光の砂塵と化していった。

 俺の人生初の神人戦は、どうやら勝利を迎えたようだ。
784名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:10:40 ID:vIF5yzMv
>>775
適当なうpロダであげればいいじゃないか。
785宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/08(金) 02:10:56 ID:SGDTdJ+D
- * -
「いや、これ以上無いぐらい素晴らしい戦いでした」
 俺を閉鎖空間が開くこの場所へ連れてきた『だけ』の古泉は、惜しみない拍手と共に俺たちを迎えてきた。


 閉鎖空間が発生する場所は『組織』でも押さえられるらしい。だが、その中へと突入するのは俺の力だ。
 目をつぶって手を差し出す古泉を目にし、このまま放置して帰ってやろうかと思いもした。
 実際二歩ほど後ずさった。
 だが、世界崩壊の危機だなんだと言われたら少しぐらい覗いてみたくなるのが男ってもんだろ。
 仕方無しに俺は古泉を連れて閉鎖空間へと突入したのだった。

 ちなみに朝倉は俺の力を借りる事で自分だけでこの閉鎖空間に入ってこられるらしく、
「もう、遅いよ。涼宮さん風に言うなら罰金かな」
 と既に閉鎖空間で待っていた。
 そして、相変わらずのトンデモ説明と実体験を経て今に至る、と。


「どうですか、お茶でも。お疲れになると思い、冷たいハーブティを淹れてきたんですよ」
 俺と朝倉はコップを受け取りお茶を飲む。うん、やはり朝比奈さんには遠く及ばないな。
「そうですか。……始まります、空を」
 古泉が空を指し示すと同時に灰色の空間にヒビが入る。
「閉鎖空間の終焉です。ちょっとしたスペクタクルですよ」
 言葉に合わせてドーム状の世界が崩壊し、灰色の空間の裏から色彩豊かな空間が顔をのぞかせ始めた。

「ありがとうございました。あなたのおかげで、涼宮さんのストレスはまた一つ発散されました」
 ストレスねぇ。つまりハルヒを退屈させたり怒らせたりしたらコレが起こるって事か。
「そうです。そしていつかは世界が入れ替わる……かもしれません」
 そんな言葉を聞きながら、俺は崩れ行く閉鎖空間を見つつ古泉謹製のまずいお茶をすすっていた。

「……今度、朝比奈さんにお茶の淹れ方を教わる事にします」
「なら次はあたしが淹れてくるわね」
 どっちも好きにしろよ。

786宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/08(金) 02:11:44 ID:SGDTdJ+D
- * -
 他称グレートマジンガー。他称ジェッターマルス。他称バビル2世。
 何だかもーどうにでもして〜といいたい他称ばかりが増えていく。本当どうしたらいいんだこれ。

 俺は前を行くハルヒをぼんやり眺めつつそんな事を考えていた。ところで俺は何でハルヒと帰ってるんだろうね。
 答えは簡単、それこそ残り四人の陰謀だからだ。


「あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在なのか自覚したことある?」
 ハルヒが突然切り出した。というか何の話だ。
「わたしはある。忘れもしない、小学生の六年生の時……」
 たまには突っ込みに答えろという俺の突っ込みすら完全に無視し、ハルヒは語り始めた。

「家族みんなでコミケに行ったのよ」
 行くな。わずか十秒でしんみりとした空気が台無しになった。
「わたしは同人誌なんかには興味無かったんだけど、会場に着いて驚いた。見渡す限り人だらけなのよ」
 まあそういう場所だしな。
「会場中に黒ゴマみたいな人間の頭がびっしり蠢いてるの」
 暫く黒ゴマが食えそうになくなった。
「日本の人間が残らずこの空間に集まってんじゃないかって思った」
 それはある意味間違ってない。あそこにはある種の人間が日本中から集まっている。
「親父に聞いてみたの。ここにはいったいどれだけの人がいるんだって。
 ざっと見て今日は十万ぐらいかなって親父は答えた」
 三日開催すれば二、三十万だ。どうにかならないのかね、あの動員数は。

「わたしはそんな会場のちっぽけな一人で、その会場中の人も実は総人口の一つかみでしかない。
 それなのに、何だか奇妙奇天烈な宇宙人、未来人、超能力者もびっくりな連中が粒ぞろい」
 とりあえずお前がいったい会場の何処で何を見てきたのか知りたくなってきたぞ。
「それまでわたしは自分がどこか特別な人間なんだと思ってた」
 間違いなく特別だ。その思考なんか特別すぎて誰もついてきてない。
「家族もクラスも、世界で一番面白い人間が揃ってるんだって思ってた。でも違った。
 世界で一番楽しいと思ってたクラスの出来事も、あの混沌に比べたらなんて事は無い普通の出来事だった」
 そりゃ比べる相手が悪い。どれが大きい秋刀魚かと聞いているのに、ナウマンゾウを指してるようなものだ。

「そして気づいたの。世の中こんなに人がいるのなら、どこかにわたしよりすっと普通じゃなく面白い人生を
送っている人間がいるはずだって」
 いるのは確かだ。だがそいつらはその楽しい分大切な何かを確実に削っているぞ。
 例えば社交性が少ないとか、突然胸をもまれる人生だとか、常に笑顔でイエスマンであるとか、突然殺人鬼になるとか。
「そして思いついた。楽しい事は待ってるだけじゃやってこないんだって」
 同人作家を目指そうと言い出さなかっただけ褒めてやりたいが、生産性が限りなく乏しい団の団長とどっちが社会の役に
立っているのかと考えると、ハルヒの事を手放しで褒める事ができない気がするのは気のせいか。
「実際わたしなりにいろいろやってみた。でもダメ。……そうしてわたしは高校生になった」

 なるほど。あの行動派オタクたちを越える面白パワーが欲しくて「宇宙人×未来人×超能力者」の三倍満だったわけか。
 とりあえずお前の親父さんに会わせてくれ。そして俺が受けたしわ寄せの分、一発ぐらい殴らせろ。
 家族でいくならおとなしく吉野家とかにしておけよと俺は声を大にして言いたい。

787宇宙人×未来人×超能力者:2006/09/08(金) 02:12:38 ID:SGDTdJ+D
- * -
「お帰り、お疲れさま」
 家に帰ったら朝倉がいた。どういうエロゲー的展開だこれは。何なら雪の日にベンチで寝転がるぞ?
「思念体と連結解除されたから、寮を追い出されちゃって」
 あのマンションってインターフェースの寮だったのかよ!?
 何でそんな微妙に庶民的なんだよ情報思念統合体。つーか長門が住んで無かったか?
「長門さんはサポーターだから」
 なら一緒に住めばいいだろ。さいわい長門はモノを持たない人間、いまならどんな家具でも置き放題だ。

「……四六時中ポーカーフェイスの同居人が観察日記持って見つめてくる家で、あなた普通に住める?」
 悪かった。そりゃ確かに無理だ。

「だからここに住む事にしたの。朝比奈さんたちからの許可は下りてるわ」
 あー、そういえば俺の家族って朝比奈さんの派閥が用意したとか言ってましたっけ。
 あまりに最近色々な事があってすっかり忘れていた。

「やった〜お姉ちゃんがふえたよ〜。きれいなお姉ちゃんでよかったねぇキョンくん」
 よかったぞ妹よ。ところでお前の本当のお姉さんについて、後でじっくり聞かせてくれないか。
「みくるちゃんのこと? だめ〜、それきんそくじこ〜」
 それだけ言うと妹は笑いながら階段を登って部屋へ逃げ込まれてしまった。

「そういう訳だから、よろしくね」
 いくらなんでも自由すぎるだろ、この展開は。
 こうなったら誰でもいい。代価は払うから、俺に安息の地を与えてくれ。
 俺は天におわす様々な神様仏様(ハルヒ神は除く)に、思いつく限りの祈祷を行っていた。



「おかわりいる?」
「背中、流してあげようか」
「まだ布団とか用意できてなくって。ねえ、一緒に寝ていいかな」



 ……俺の理性が持っている間に、早いトコ頼む。

788名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:14:18 ID:SGDTdJ+D
以上。この後例の「臨時充電」が朝倉さんにあったかどうかは秘密という事で。
ヒント:書いてないけど多分あった

でもう一つの「キョンの消失」もキリがいい所まで投下。
ハルヒ編から改変準備までの14レス予定。
789キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:15:01 ID:SGDTdJ+D
「ふう、相変わらず女の子っぽくないって言うか、飾り気が少ない部屋よね。
 もっとこう、枕元で意味深に伏せられた写真立てだとか、夢見る甘いポエムを綴った秘密のダイアリーだとか、
そういったお客が気になる目を引くアイテムを置いておく事も時には重要よ?」
 わたしの部屋に入るなり、ハルヒが部屋を漁りだしつつ訳のわからない事を言い出す。
 いったいどんな時が訪れたら、そんなやらせアイテムが重要になるのか教えてくれ。

 本棚を物色していた手を止め簡易机を引っ張り出し、勉強机の椅子からクッションを奪い取るとベッドに寄りかかるようにして床に座る。
 それにあわせてシャミセンがゆっくりと起き上がると、ベッドから飛び降り、わたしの横を抜けて部屋から出て行ってしまった。
「でもまあ、そんな事はどうでもいいわ」
 シャミセンを見送りわたしが扉を閉めると、ハルヒは今までの探索行為をあっさりと切り捨てた。
 どうでもいいのなら最初から探索するな。

「さて、約束どおり悩みを話してもらうわよ。
 折角こうして女同士のサシなんだから、いっそ腹を割くぐらいの勢いで全部すっきり白状しなさい!」
 腹を割いてばらすのか。そんな事をしたら普通の人は死ぬぞ。
 今のところそんな事になっても生きてそうな知り合いは……えと、一人しかいない。

「……まぁ、いきなり話すとは思ってないわ。でもその態度、どこまで持つかしらね」
 わたしが黙秘の態度を取る事ぐらいわかっていたのか、ハルヒは悪の女幹部の様な笑いを漏らしながら手元にバックを手繰り寄せると
中から微妙に可愛くないアヒルのイラストが散りばめられた黄色いパジャマと、色とりどりのカクテル缶を数本取り出した。
 いったい何を始めるつもりなんだ。
「何って、秘密をわらせる方法ベストスリーと言えば、やっぱパジャマパーティーに酔った勢いでしょ!」
 残った一つが何なのか凄い気になる。

「ハルヒ。お前、孤島の一件で禁酒を誓ったんじゃなかったのか。
 あと声が大きい。頼むから今が夜中で、隣の部屋で妹が寝ている事を理解してから行動してくれ」
「あ、ごめん。妹ちゃん起こしちゃまずいよね」
 とりあえずこんな時間にわたしの家族に無断でお前がここに入り込んでいて、さらに目の前に酒がおいてある時点で、
妹どころか誰一人として起きてきてもらうのはまずい。
 それは納得したようで、ハルヒはテンションを少しだけ下げるとおもむろにトレーナーを脱ぎ始めた。

「ほら、キョンもパジャマに着替えなさいよ」
 生憎とわたしの寝間着はTシャツと短パンである。つまり今している格好こそ、わたしの正式な寝間着姿だ。
「何言ってるのよ。パジャマパーティーにTシャツなんて邪道よ。ほら、これ貸してあげるから」
 わたしの分まで持ってきてたのかよ。やけに準備がいいな。
 仕方なくTシャツを椅子に脱ぎ捨て、オニギリとネコを掛け合わせた前衛的な生物が描かれたパジャマに着替える事にした。

790キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:15:38 ID:SGDTdJ+D
- * -
 絶対に話してはならない秘密というものは存在する。
 例え酒を飲んで思考力が落ちようが、パジャマパーティーという状況に気分が高揚してようが、その秘密の価値は変わらない。
 よって、どんなにハルヒが聞いてこようとも、再改変の事だけは秘密にしなければならなかった。


「こんなに一所懸命頑張ってるって言うのに、何で未だに宇宙人も未来人も超能力者も現われてくれない訳!?
 絶対、世の中間違ってるわよ! キョンもそう思うでしょう!?」
 ……幸か不幸か、今のハルヒにとっては既にどうでもいい事なのかもしれないが。
 小さな声で叫ぶという器用な事をやってのけつつ、ハルヒは八本目になる缶のプルタブに手をかけていた。
 かなり理性が落ちているようだが、それでも騒いだらいけないという部分だけは律儀に守っているのはえらい。
 高校生の特技として口外できない内容なのが悔やまれる。

「だから朝比奈さんや長門や古泉で我慢しろって、前から言ってるじゃないか」
 わたしも負けじと八本目となるマルガリータのフタを開けて一口飲む。
 宇宙人の長門に未来人の朝比奈さんに超能力者の古泉までいるというのに、お前はいったい何が不満だというんだ。
「そりゃね、みくるちゃんたちもかなり面白いわよ。それは認めるわ。でもやっぱ宇宙人よ、宇宙人っ!」
 生憎SOS団には宇宙人も未来人も超能力者も間に合ってるんだ。どうせなら異世界人とかにしろ。
「異世界人かぁ。でもさ、そもそも異世界ってどんなよ。剣と魔法が飛び交うファンタジー?」
 いや、それは連れてこられた異世界人が困るだろ。この世界を見たら水や空気が汚れてるって怒るぜきっと。
 もっと近いところにしておけ。はにかんで微笑む長門がいる世界とか、それぐらいの。
「うーん、異世界の定義に関しては一考の価値ありね。来年の新入生勧誘と共に次回の議題にしましょう」
 そうだな。っと、ちょっとすまない。お花畑にラフレシアを摘みに行かせてくれ。

 行ってらっしゃいとハルヒに見送られ、わたしは上機嫌で部屋を後にした。



 絶対に話してはならない秘密というものは存在する。
 例え酒を飲んで思考力が落ちようが、パジャマパーティーという状況に気分が高揚してようが、その秘密の価値は変わらない。
 よって、どんなにハルヒが聞いてこようとも、再改変の事だけは秘密にしなければならなかった。

 ……と確か誓ったはずが、気づいたら洗面所の前に立っていた。
 ヤバイ、かなり酔っていたようだ。正直部屋で何を話していたかあまり覚えていない。
 背筋に冷や汗をかきつつ、洗面所で顔を洗い頭をすっきりさせ、さらに台所で氷を目に当て、ついでに口にも入れて氷をかじる。
 時計を見れば午前一時。再改変まであと四時間弱。
 今のところ未来人から突っ込みがないので問題ないのだろうが、こんな事していて本当にいいのだろうか。
 とりあえずこれ以上飲むのは控えよう。
 冷蔵庫から缶ジュースを数本取り出し、わたしは少し痛む頭を押さえつつハルヒの待つ部屋へと戻った。

791キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:16:16 ID:SGDTdJ+D
- * -
 部屋に戻ると、ハルヒはベッドの上に仰向けに寝転がっていた。
 微動だにしない中、胸元だけが小さな呼吸音にあわせて動いている。

「何だ……寝ちまったのか」
 ハルヒにしては意外にあっけない結末である。
 再改変劇という真実までは行かなくても、近い回答をわたしから引きずり出すぐらいはしてくるのではと思い、ずっと警戒しながら
ハルヒと会話していた。最後の酔いが完全に回ってぐたぐたになっていた部分はともかくとして、だ。
 でもまぁ、これはこれで良かったと思う。最後にハルヒと二人で騒げた訳だしな。
 すぅ、すぅと静かな寝息を立てるハルヒの顔を覗きこみながら、わたしはそんな事を考えていた。

 不意打ちだった。
 ハルヒが突然目を開きわたしの後ろ首に手を回す。そのままわたしの身体ごと顔をぐいと引き寄せると、
「んむ…………っ!?」
 再び目を閉じながらわたしの唇を強く、そして長く奪い取ってきた。

 心地よい感触とハルヒ独特の匂いに酒臭さがブレンドされた状態で約一分。
 そろそろ酒の匂いと呼吸困難で色々と表現したくない状況が発生しそうになりそうだと思っていたら、首筋にかかる力がふと抜けた。
「…………っ、はぁっ!」
 距離を置いてお互い息を吸う。二、三度外気を吸い呼吸が落ち着いてきたところで、わたしはハルヒに視線を移した。

792キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:16:58 ID:SGDTdJ+D
「い、いったい何のつもりだ」
 それでも動揺を隠しきれず、わたしは唇を押さえながらハルヒに問いかけた。
「……目を覚まさせてやろうと思ったのよ」
 強い怒りに小さな悲しみを加え、初めて出会った頃の不機嫌さを浮かべながらハルヒは返してきた。
「そりゃ、誰にだって人に言えない悩みはあるわ。わたしにだって多少はあるもの。
 だからキョンがわたしに何を悩んでいるのか話してくれないのは、凄く寂しいけれど、それでも構わないって思ってた。……でも」

 再びハルヒがわたしにしがみ付き、両手に力を入れて引き寄せてくる。
 抵抗する間もなくハルヒをベッドとの間に挟みこみ、わたしたちはお互いの肩に顔をのせた抱き合う状態となっていた。
「だったら……話さないって決めたんだったら、そんな痛々しい表情をわたしに見せないでよっ!
 そんな姿だけ見せられて何もできなくて、それでわたしはどうしたらいいのよ! どうすればいいのっ!?
 ……お願い、キョン。わたしに何もできないのなら、せめてわたしの前ではいつものキョンでいて。
 いつもみたいに、何があってもあんたがいれば大丈夫なんだって、そう思わせて……」

 枕元にあるスタンドミラーで自分の顔を覗き込む。いつもと変わらない見慣れた姿が覗き込み返してきていた。
 さっき洗面所でも見たつもりだったんだが、わたしはいつの間に痛々しい表情を浮かべていたんだろう。

「昨日よ。朝もそうだったけど、昼休みにあんたが教室に戻ってきた時はそれ以上だったわ。
 その上部室に行ってみたら、有希も古泉くんも何だか様子がおかしいし」
 あの二人の変化に気づいたのか。流石だな。
「昼間にアレだけ騒いでも、今もこうして頑張ってみても、あんたから痛々しい表情がちっとも消えない。
 もう訳わかんないっ! ……だから、キスしてやったのよ」


 ……すまん、ハルヒ。お前に心配を掛けまくっていたようだな。それに関しては謝る。
 古泉や長門の消沈状態もわたしのせいだ。その辺全部ひっくるめて俺は心から謝罪しよう。
 本当に、悪かった。



 ……だから一つだけ聞かせてくれ。
 何でそこで、「キス」という選択肢がでてくるんだ?
 別にお前に白雪姫だ Sleeping Beayty だとけしかけたヤツはいないよな?

 相変わらず抱きついたまま、お互い視線どころか顔すら見えない状態で話が続く。
 だからハルヒがその時どんな表情をしていたのか、わたしにはわからなかった。
 いつもより半音ほど上がった声で、ハルヒは突然の事を言い出した。

「何で……って、あんたが先にやったんじゃない。あの変な空間でわたしにキスした事、忘れたとは言わせないわよ」

793キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:17:35 ID:SGDTdJ+D
- * -
「わたしは、元の世界に戻りたい。そしてまた、あいつらに会いたいんだ」
「わかんない。あんた、現状に退屈してたんじゃなかったの?
 全然楽しくないはずのSOS団でも、最近のあんたは特に楽しそうな表情してたし」
 ああ、楽しかったさ。お前は知らないかもしれないが、世界は確実に楽しい方向へ向かっていたんだ。
 しかもお前を中心にして、な。

「ハルヒ。実はわたし、ポニーテール萌えなんだ。
 いつぞやのハルヒのポニーテール姿、あれは反則なぐらい可愛かったよ。
 わたしがこうしてポニーテールにしだしたのも、そんなハルヒみたいになれるかと思ったからなんだ……」



 薄暗い灰色に沈む学校。外に出られない閉鎖された世界。
 青白く光る巨人が暴れ、そこに人間は何故かわたしたち二人しかいない。
 校庭までハルヒを連れて逃げ、わたしが微妙な告白をし、ハルヒに口づけしたあの日の出来事。

 とっさに言葉が出なかった。普通ならどう考えたって夢だと思うだろ。
 お前は思ったより常識人だって、ハルヒ専門のカウンセラー古泉だって言っていたぞ。

「確かに夢だと思っていたわ。いえ、実際アレは夢だったのかもしれない。
 キョンとわたし以外誰もいなくて、ただ巨人が暴れてる世界なんて、どう考えたって非現実だもの。
 ……でもね、キョン」
 ハルヒがわたしの身体ごとごろりと転がり、ずっと首にかけていたホールドを解くと少し離れる。
 ベッドの上で横になりながらお互いを見つめる状態に持っていったところで、ハルヒは言葉を続けた。

「どんなに不思議で、ありえない話であっても、少なくともあんたはわたしと同じ体験をしたハズなのよ。
 だったらわたしにキスした事も含めて、あの時のキョンの行動はキョン自身が考えてした事になるわ」
 妙に揺るがない自信を携え、瞳を銀河系なみに輝かせてわたしを攻めてくる。
 いったいそこまで自信が持てるその根拠は何なんだろうね、いったい。

 わたしがあくまでとぼけながら質問すると、
「あの次の日、あんたが何気なく言った一言。それが根拠よ」
 勝ち誇った満面の笑みは一つも崩れることなく、ハルヒはわたしの鼻先に指を突きつけて返してきた。
794キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:18:13 ID:SGDTdJ+D


 ──ハルヒ、似合ってるぞ。


 頭の上で髪をちょこんと縛っていたハルヒに、わたしは確かにそう言った。
 何気なく言った、ハルヒが確信しそうな一言といえば、まずこれしかないだろう。
 というか、これ以外は夢見が悪いだなんだといった世間話だったはずだ。だが、
「ちょっと待て。いくらなんでも髪型を褒めたぐらいで共通の夢を見たって言うのは、飛躍しすぎじゃないか?
 その理論だと、全世界の理髪師は人の夢を見る事ができる超人になってしまうぞ」
 わたしの突っ込みに、しかしハルヒは勝利を確信した帝国軍人のようなしたり顔を見せてきた。
 今のどこにそんな要素があったのだろうか。


「何言ってるの。確信した言葉は『似合ってる』じゃないわ。その前よ」
 前? 前……って、わたし何言ったっけ?

「あんたがわたしの事を『ハルヒ』って呼んだからよ。それでわたしは確信したのよ」
 やっぱり気づいてなかったのねと言いたげな視線をわたしに投げかけ、ハルヒはどういう事か教えてくれた。

「あの夢の中で、アンタは初めてわたしの事を『ハルヒ』って呼んだわ。それまではずっと『涼宮』だったのにね。
 最初は場の勢いかなって思ってたけど、でもその後逃げるときも、校庭でアレした時も、ずっとハルヒって呼んでくれた。
 正直言って嬉しかったわ。何となくキョンがわたしに近づいてくれた気がしてね。
 だからあの時校庭で、わたしはあんたを信じて、そのまま……。

 でも同時に夢なのかって思いもした。わたしの深層心理か何かが見せてる、わたしが望んだ夢なのかなって。
 自慰で染めた、最高にして最悪の夢。こんな都合がいい事が起こるはずなんて無いって思った。
 だって、あんたはわたしがいなくても楽しそうだったじゃない。部室でみくるちゃんとじゃれあっててさ。
 あの時は、何だかもう全てがどうでも良くなった気がしたわ。

 でも、次の日にあんたがわたしの事を『ハルヒ』って呼んだから。
 それ以来わたしの事を『涼宮』って呼ばなくなったから、わたしは確信したの。
 あれが夢だったかどうかはわからない。
 でも、あの時のキョンはわたしの望んだ幻影なんかじゃなくて、本物のキョンだったんだって」

 そこまで語りきり、ハルヒはそのままわたしをじっと見つめ続けた。
 暖かいベッドに転がっているからだろうか。それとも酒気がまだ残っているからだろうか。その表情はほんのりと紅い。


 この場において、これ以上無いぐらい最強のカードを出されてしまった。
 ジョン=スミスの事だったら確実に聞き手に回るだけで済んだ。
 たとえわたし自身に記憶があろうとも、三年前にハルヒと出会ったジョンは『男』のはずだから。

 しかしこっちは言い逃れできない。改変範囲内、つまりアレは間違いなくわたしがした事になっている。

 いつものようにごまかす事は可能だろう。その場合、ハルヒは多分ごまかされてくれる。
 但し、それにはこの一年培ってきたハルヒとの信頼関係という、かけがえの無い大きな代償を払わねばならない。
 ……全く『何が秘密が言えないならそれで構わない』だよ。
 お前とわたしとの関係が本物なら、それなりのカードを出してみろとしっかり言ってきてるじゃないか。
 そんなハルヒに、それでも何故か嬉しさがこみ上がって来るのを止められず、わたしはもう一度口づけで答える事にした。

795キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:18:49 ID:SGDTdJ+D

「……まいった。降参だ、ハルヒ」
 口づけを終えると、私は両手をあげて敗北宣言した。

「お前の考えどおり、わたしもアレを体験した。でもあの世界や巨人が何なのかは聞かないでくれ。
 わたしに聞かれたって、明確な答えなんて出せるわけもないんでな」
 実際、神人やら閉鎖空間やらが本当に古泉の説明どおりのモノなのか、わたしにはわからない。
「それと何でわたしが言い出さなかったのは……あー、わかるよな」
「わかんない」
 わざわざ言わせる気か、このヤロウ。チクショウ、絶対それだけは言わないぞ。

 そうさ、恥ずかしかったんだよ。主に最後のアレが。
 よりにもよって女の、しかもお前とキスしただなんて、どの面下げてその当人に言えってんだ。


 ああ、もう。さっきの二度のキスでわたしの萌え属性は本当に変化してしまったらしい。
 ニヤリという表現がこれ以上なく相応しい笑いをみせるハルヒに思いっきり抱きつく。頭をぶつけないよう、互いの肩に頭をのせた。
 驚きの声をあげさせる間も与えずに、わたしはハルヒの耳元に対し言葉を落とす。

「ハルヒ……わたしの痛々しい気分は今でも晴れてないし、おそらく晴れることは無い。
 でも、お前とこうしている今だけは忘れる。無理矢理にでも引っ込めて考えない事にする」
「…………それで?」
 どうやら悲鳴を上げたり抵抗したりは無しのようだ。その恩赦に感謝して言葉を続ける。

「それに関係する事なんで詳しくは言えないが、わたしが今から言う言葉に対して、それに対するお前の明確な答えを、
わたしは少なくともあと四時間は聞くわけにはいかないんだ。……だから、今すぐは答えないでほしい」
 もしハルヒがわたしの想いに答えてくれたとしても、それがはたして本当にわたしに対してなのかはわからない。
 改変前から持っていた気持ちなら、それはオリジナルのキョンに対しての気持ちになる。
 ハルヒの本当の気持ちは再改変後でないとわからない。だから、今は聞いてはいけない。

「…………それで?」
 ハルヒがさらっと返す。さっきと同じ返しかよ。ちゃんと聞いてるんだろうな、お前。
「わたしは宇宙人でも未来人でも超能力者でも、またそれに類するどんなものでもない。
 どこにでもいるような、なんの隠し能力も属性もバックも持ち合わせてないただの女子高校生だ」

 で、確かお前の流儀では顔の見えない電話でのソレは許せないんだったよな。
 仕方なく頭を引き、お互いの鼻先がつくぐらいの距離でわたしはハルヒと向かい合った。
 視線を一瞬も外さずに、ハルヒが見つめ返してくる。瞬きすらしてないのではないだろうか。

「当然、お前の追い求めるものとはかなり違う、と思う。でも、あえて言わせてくれ」
 一呼吸だけ言葉を溜めて、わたしは最後の一言を告げた。

「好きだ」


 なぁ、本物のキョンよ。お前とは後数時間で会う事になるだろうが、できることならいますぐ一つだけ答えてくれ。
 Like が Love になっちまったのは、わたし自身の意思だよな?

796キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:19:26 ID:SGDTdJ+D
- * -
 わたしの人生初にして最大の告白を受け止めながら、ハルヒは先ほどから全く変わらぬ表情で見つめ返していた。
 ……本当に瞬き一つして無くないか、お前。もしかして止まっているのか?
 とりあえずハルヒの頬を摘んで引っ張り、生存確認をしつつ夢の世界から呼び戻してやる事にした。
「うが!? 何すんのよ、痛いわね!」
 思いっきり頬を引っ張り返された。

「それで、わたしは少なくともあと四時間は答えちゃダメなわけ? それってずるくない?」
 頬をさすりつつハルヒは、わたしに向けて眉毛を吊り上げて聞いてくる。怒っているのは告白について、では無いだろう。
「あぁ、すまない。でも、できれば次に学校であった時とかにしてほしい」
 わたしにその機会があれば……だが。そう心の中で言葉を続ける。
 ハルヒはじーっとわたしをたっぷり三十秒は見つめ続けると、やがて大きな溜息を一つ吐いた。
「……はあ、わかったわ。あんたの勇気と言葉に免じて、今は言葉にしないであげる。それでいいわね」
 ああ、ありがとう。わたしは素直にお礼を言おうとして、

「んむぐぅ!?」
 しかしハルヒに抱きつかれて再び口づけされた為、それは言葉にならなかった。
 しかも今までの様に唇を重ね合わせるだけのものではない。ハルヒはその舌でわたしの唇をつっとなぞると、
そのままゆっくりとわたしの口内へと差し込んできた。
 くすぐったい感触を感じながらもわたしは受け入れ、その舌に舌で返す。
 そのまま暫くの間、ちゅぷ、くちゅ、という互いの唾液をかき混ぜる音を頭の中に響かせた。

 互いの舌から伝う銀糸を引きながら顔を離すと、ハルヒは勝気七割冗談二割の笑いを見せてくる。
 そして最後の一割にありったけの愛情をのせて、

「キョンの言う通りに、言葉にはしてないわよ。言葉にはね」
 わたしを簡単に陥落させる言葉を、その態度で示してきた。

797キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:20:12 ID:SGDTdJ+D

 再び舌を絡めながら、パジャマの上から胸にそっと手を這わす。
「んっ……ん、ん…………んっ」
 ハルヒはわたしの手を感じながら、何故かさっきから背中をずっと撫で回してきていた。
 もしかして……と思い、胸に触れていた手をハルヒの背中へ回すと、すっと背筋に指を這わせてみる。
「っ! んんっ、んんんあっ!」
 危うく舌を噛まれそうになり慌てて口を離す。どうやら背筋に指を這わすのが弱いようだ。
 それならばと片方の手でハルヒを抱き寄せ、もう片方の手で背筋を思うがままになぞりまくってみる。
「あひゃ! ははうん……だ、だめ……キョン! ソレ、くすぐった……ああ、んんっ!」
 くすぐったさの中に何か別のモノを感じるのか、わたしの手から逃れようとハルヒが必死になって身悶えしだした。
 なるほどな、お前が後ろに人を置かないわけだ。
 もしわたしが授業中とかにハルヒの背中を突いたりしたら、さぞかし大変な事になっているんだろう。

 例えばこんな風に突いたり、
「ひゃうっ!」
 ついーっと指を這わせたり、
「あ、あひゃ、はあううんっ!」
 肩甲骨の形をなぞってみたり、
「こ、こら、キョン! 調子に乗る、んじゃああっ!」
 両手でそれら全部を一気に試してみたりした日にはもう、
「はっ、きゃうあぁああああ──────んっ!」
 肩で息をするぐらい、とっても気持ちよくなっちゃうって訳だ。なるほど。

 なんて勝ち誇っていると。
「……調子に乗って、相手が勝ち名乗りなんてあげたときぃ」
 ハルヒが胸のボタンの隙間からわたしのパジャマの中へさっと手を差し込むとがっしりと胸を掴みこみ、
「ソイツは既に敗北してるのよっ! それそれそれそれ──っ!」
そのまま五つの指を波打つように動かして揉みまくってきた。
「ああああんっ!」
「ぬっふーん。可愛い声あげちゃって、キョンったら激しい行為に弱いのね。変態ー」
 だ、誰が変態かっ! ソレをいうなら背筋をなぞるだけで軽く逝ったお前こそ
「勝てば官軍なのよっ! そーれそれそれそれえ────っ!」
 空いてる手で器用にわたしの前をはだけさせ、そのまま両手でパンでも捏ねるかのように揉みしだく。
 絶妙な力加減と、指がくすぐったく敏感な部分に当たって、正直、
「くひゃあ、ちょ! そこはやめっ……ふぅあああああっ!」
 勝負はあっさり同点にされてしまった。


 互いに互いの弱点を突きながら、ゆっくりと服をはだけさせていく。
 気づけばお互い最後の下着一枚しかはいてない姿で、しかもその下着すら湿り気をおびて横にずらされている状態だ。
「やっぱキョンは胸が弱いのねぇ……ここを舐めるだけで、すぐに反応してる」
 ソフトクリームを舐めるかのように、わたしの胸を、いや乳首をねっとり舐め上げてくる。
 そのまま口に咥えて舌で転がし、子供のように吸い付き、軽く歯を立てて甘噛みしてくる。
「あ……やめ、それ、良すぎる……だめぇ……」
 身体よりも先に思考回路が殆ど逝ってしまっている。残っている部分で考える事はただ一つ。

 どこまでもハルヒを感じていたい。
 それだけだった。

798キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:20:59 ID:SGDTdJ+D

 横になったハルヒの両足を開き、その片方を抱きもう片方にまたがる感じで、ハルヒのあらわになった秘部に自分のをあてがう。
「……何か、使う? ……わたしは……キョンなら構わないわよ……」
 ハルヒはもし実際に視線が熱量を持っていたらミクルビームなんて目じゃないぐらいの高熱線でみつめてきた。
「いや……それはやめとく。不思議探しはまだ続けるんだろ?
 万が一ユニコーンに遭遇したときに、『キョンが純潔奪ったせいで近づけなかった!』とか言われても困るしな」
「何よそれ……バカ」
 どこまでも顔を真っ赤にしながら、それでもハルヒはいつもの百ワットの笑顔を浮かべてきた。
 ハルヒと繋がりたくないと言えばウソになる。だがそれはハルヒの答えをちゃんと聞いてからにしたい。
 だから、今は。
「こっちのディープキスはまた今度って事で」
「表現が卑猥すぎ……くぅん!」
 お互い腰を動かしてすり合わせる。敏感なところが刺激され、その度に頭の中が真っ白になる。
 やり方なんてわからない。ただ相手を気持ちよくできればそれでいい。
 試行錯誤に互いが動き、やがて一つのリズムで動いていく。

「うわ、何これ……凄い、気持ちいいっ……!」
「わたしも、こんなに凄いの……初めてだ……っ!」

 ハルヒが両手でシーツを力いっぱい握り締める。
 わたしの開いた片手をその手に乗せると、ぎゅっと迷わず指を絡めて握ってきた。

「キョン、キョン……! いいの、何だかいいの……気持ち良いだけじゃなくて、いいのぉ! ……ふうんっ!」
「くうっ! ハルヒ……ハルヒ……っ!」
 汗や、涎や、涙や、雫となって溶けてしまいそうな感覚。
 手を繋いで、互いを触れ合わせている部分からひとつになる感覚。
 気持ちいいじゃない、何かが『いい』という感覚。

「あ、もうだ……白く、くる……いく……あ、ああああああああああああああ─────────っっ!!」
 最後に発したのはどちらだったか。それとも二人だったか。
 強く手を握りすり合わせながら、わたしとハルヒの思考が完全に真っ白となった。


799キョンの消失:四日目深夜:2006/09/08(金) 02:21:48 ID:SGDTdJ+D
- * -
「ねぇキョン……雪山での有希の話、あんた覚えてる?」
 裸のまま並んで横になっていると、ハルヒがぽつりと聞いてきた。
「雪山の長門って、どの話だ?」
「有希が転校するとかいうやつ。集団催眠だっけ、アレのせいでどれが本当に話した事なのかあやふやなのよ」
「……覚えてる。わたしが話したんだから」

 長門が思念体に連れ戻される可能性がある。それをわたしは転校という形でハルヒに伝えた。
 とぼけても良かったが、あの話の最後の約束はハルヒの心に深く刻み込んで欲しかったので、肯定した。
 ハルヒは良かったと呟き、そして

「……あれさ、本当に有希が転校でもめてるの?」
 変な事を聞いてきた。イヤ、アレは間違いなく長門の話だが。だいたい長門で無かったら誰の話だっていうんだ。
 ハルヒはうつむき、視線を外してくる。

「…………もしかして、アンタじゃないかって、思ったの。……キョン、アレって本当はあんたの事なんじゃない?」
 わたしだって? そんなバカな話……と呟いたところで、わたしはその先の言葉を飲み込んだ。

 確かに、あの話は今のわたしに当てはまる。
 かつての朝倉のように、そして懸案された長門のように。今回消えるのはわたしだ。
 何てことだ。全く違う方向から、全くの勘違いで、ハルヒはいきなり大当たりを引き当ててしまった。
 これもまさか、ハルヒが望んだからだというのか……?

「言いにくいなら、今はいいわ。でも、これだけは答えて」
 透き通るような声と、それに負けないぐらい純真さを浮かべた表情でハルヒがわたしの手を握ってきた。

「…………あんたは、ずっとここにいるわよね?」



「ああ、大丈夫だハルヒ…………キョンはずっと、お前のそばにいる」

 わたしに言えるのは、それが限界だった。

800キョンの消失:四日目午前四時:2006/09/08(金) 02:22:32 ID:SGDTdJ+D

 午前四時。ハルヒが寝付いたのを見て、わたしは着替えを始める。
 流石に汗まみれでシャワーでも浴びようと思ったが、何となく全身についたものを流し落としてしまうのをためらい、
結局顔と手を洗う程度にした。
 普段着でも良かったが、これも最後ならとこの一年なじんだ制服姿に着替え、髪を結う。
 ハルヒに毛布をかけてやり頬にキスしてやると、ハルヒはにゃははと笑いながら毛布に包まりだした。

 部屋を出て扉越しにハルヒを見る。
 そのまま静かに、閉じる音が鳴らないように扉を閉めた。


 玄関の外には長門が立っていた。
「迎えに来てくれたのか?」
「………」
 無言で頷く。そうか、と一言だけいい、わたしは長門と公園へと歩いていった。
 その際、ひとつ長門に頼み事をしておく。もしかしたら必要になるかもしれないのでな。
「どうだ、頼めるか?」
「わかった」


 公園のベンチに座り、長門とその時を待つ。公園の大時計は四時五十分を指している。あと十分か。
「何てゆーか、あんまり実感わかねえな」
 そんな事を呟いてると長門が突然出口の方を向き、急に立ち上がるとそのまま走り出してしまった。
「……何だ? おい長門、どうしたんだ?」
 出口の先、丁度視界に入らない辺りから騒ぎ声が聞こえる。
 何だ、ジョンが来たのか? そう思い立ちあがろうとすると

「どきなさい、有希っ! わたしはキョンに用があるのッ!」

 そんなドスのきいたソプラノボイスで長門を一蹴し、誰かが公園に入ってきた。
 アヒル柄の黄色いパジャマのボタンを段違いにつけたまま、それでもカチューシャだけはしっかりつけて。

「いたわね、キョン……どういう事だか説明してもらうわよっ! 今すぐ、ここでっ!!」

 ハルヒがこれ以上なく本気で怒りながらわたしの前に現われた。

801キョンの消失:四日目午前四時五十分:2006/09/08(金) 02:23:24 ID:SGDTdJ+D

「答えなさい。アンタ、何を隠してるの。いったい何を始めようって言うのっ!」
 眉毛を逆三角形に吊り上げ、ハルヒが掴みかかってきそうな勢いでずかずかと近づくと、まさにそのまま掴みかかってきた。
 セーラーの襟を片手でぐいと掴みねじりあげてくる。
「何で四時間後なの! 何でアンタこんなところにいるの! ……何でわたしに黙って姿を消したのっ!」
 空いた手でわたしの胸をどんどん叩きながら、矢継ぎ早に質問してくる。
「何でみんながここへ来るのを止めるのよ……あんな苦々しい表情の古泉くんも、あんな沈痛な面持ちをしたみくるちゃんも、
あんな自分に自信が無さそうな有希を見たのも初めてよっ! いったい何なわけ!? アンタ何をするつもりなのよっ!!」

 わたしはもう驚きっぱなしだった。
 ハルヒがここへ来たのも驚きなら、それを止めようとあの三人が来ていた事にも驚いていた。


 溜息を一つ吐きわたしは覚悟を決める。
 何、やばかったら再改変のときに一緒に記憶操作されるだろう。
 そう考え、わたしはハルヒにこれ以上無いほどの真剣さをみせてやった。

「……ハルヒ、よく聞いてくれ。今この世界は、実は一つだけ間違っている状態なんだ。
 そしてもうすぐここへ、その間違いを正す為に一人の男がやってくる。……わたしはそいつを待っているんだ」
「一つ間違ってる? 何それ、訳わかんない。ちょっとそんな冗談で……っ!」
 ハルヒの言葉がそこで止まる。わたしの表情を伺い、冗談なんて何一つ言ってない事を感じ取ったからかもしれない。


「……いいわ、あんたの戯言に付き合ってあげる。それで間違いって何よ。正しにくるって、誰が来るのよ」
「わたしだよ、ハルヒ。実はわたしは本物のキョンじゃないんだ」
「……本気で言ってるの、それ?」
 ああ、本気も本気さ。だからこそわたしはお前の言う痛々しい表情を浮かべていたんだからな。
 そう言いながら、わたしはポケットの中でアレを銀包装から取り出す。

「信じられないわ。それで誰が来るのよ」
「ジョン=スミスだ」
「えっ?」

 突然の名前に、ハルヒは怒りを忘れてぽかんと口を開いたまま静止する。
 その隙にわたしはポケットから取り出したものを口に咥えると、ハルヒに口づけて無理矢理に飲み込ませた。


「え、キョ…… 今、何を、飲ま……!」
「すまない、ハルヒ。今までありがとう」

 そして────さよなら。



 ハルヒの口に入れた薬と共に、わたしはその言葉を飲み込ませてやった。


802名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:24:50 ID:SGDTdJ+D
以上っす。
どっちも後は結末だけー。
803名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:27:52 ID:VbTZgtIr
>「家族みんなでコミケに行ったのよ」
>行くな。
噴いたww
804名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:31:06 ID:h3TqTgID
続きをわくわくして待ってるぜ。
805名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:41:13 ID:+bbzq93C
しょんべんちびりそうなぐらいうれしいぜぇ
本当にwkwkさせるのがうまいぜ
806名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 02:44:28 ID:gythR2z5
百合にめざめそうになったw
807名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 03:03:52 ID:5LGvq1GQ
相変わらず上手い!
808名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 03:07:50 ID:oEbTBLUY
GJ!おっきした
やっぱり百合はいいですね
809名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 03:23:51 ID:/xzkwjAf
3属性キョンと女キョンの作者が一緒だったとは思わなかった。
通りで間隔が空くわけだな。その高いクオリティを維持し続ける
ためにも、自分のペースでゆっくり書いてくれよ。

しかし同性愛は頂けないな。俺はまだお子様なのか?
810名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 03:33:28 ID:Qh0WxGfj
愛があれば尻の痛みなんて
811名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 06:05:20 ID:XsDJY1Y9
好きな作品の作者が同じだなんて
くやしいっ!・・・でも ビクビクッ
812名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 08:59:54 ID:ql+pvz/A
あ!

あ…

あああああああああああ!

百合属性……目覚めちゃいました…

どうしてくれる!
813名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 10:56:52 ID:aFc2+UkN
>>787
やっぱりあんたが朝倉大好きだってことは判ったw
続き期待しとります
814名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 11:05:31 ID:YGH1pqOB
>>813
だって朝倉スレにも降臨されてたものw
815名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 11:33:41 ID:E2dhi2p7
GJ!!
いやあ百合はいいものですなぁ。続きwktk
816名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 11:53:27 ID:YIeW2M/1
阪中SS投下します。ちゃんと分割できてれば12回で終わる、ハズ。
817the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:54:10 ID:YIeW2M/1
「ねえキョンくん、お肉ばっかり食べてたら良くないと思うのね。お野菜も食べないと」
「ん………まあ分かってるけどな、この年頃だと肉が食べたくなるんだよ」
「あはは、キョンくんってなんだかワンちゃんみたいね」
「………褒め言葉じゃないよな、それ」

阪中はそんなこと無いよと言って笑っているが、しかし犬といわれて喜ぶ人は特殊な一部の人以外にはいないだろう。
………まあ、なんと言われても食べたいものは食べたいし、せっかく豪華な食材があるのだから食わなきゃ損である。
映画出演の縁で呼ばれた谷口も、俺を遥かに凌駕するスピードで皿の上のものを平らげていっているし、国木田だっていつもより箸の進みがいい気がする。
女性人は俺たちがいる手前そんなにがっつくことは無いが(ハルヒ除く)、それでも楽しそうにおしゃべりをしながら、それと同じくらいの配分で箸を動かしていた。

―――ここはSOS団の部室、そして季節は春、別れと出会いの季節である。この度わが団は、一年間関わりを持った人々を一堂に集めて、感謝祭を開くことにしたのだ。
祭りとは言ってもそんな大層なものではなく、せいぜいこれまでの様々な事件の依頼者と協力者を数人集めただけの小さなものだ。
しかしそれでも、俺はこの会合を開く意味は大いにあったと思う。
例えばハルヒなんかは、クラスが変わってしまえば谷口や国木田なんかと話す機会は少なくなるだろうし、俺だって阪中と会うことも少なくなるだろう。
それならここでひとつドカンと縁を作って、その程度では他人になってしまわないようにしよう、というのがこの会の真の目的だ。多分。

「ねえ、キョン」
「あん?どうしたハルヒ」

こんなにみんなが楽しんでいるというのに、ハルヒはどこか納得いっていないような顔をしている。何かトラブルでもあったのだろうか………?

「最初に乾杯したでしょ?みんなでジュース持って、こう」

そう言って乾杯のポーズをとるハルヒ。で、それがどうかしたのか。

「実はあの時配ったコップの中、一つだけウイスキーが入ってたのよ。しかも割ってない。
本当は私が配って、そんでアンタのところに置く予定だったんだけど、先にみくるちゃんが配っちゃったじゃない?」
「あー、確かにそうだったかもな………ってお前また下らんことをやりやがって」
「それは置いておいて」

置いとくのかよ。

「その後みんな結構直ぐに飲み干してたでしょ?少なくとも今はみんな二杯目。
でも誰も潰れてない、どころか酔ってる素振りすら無いのよね………」
「………そんなことで悩んでたのか。アレだろ、大方鶴屋さんあたりが知らずに飲み干したんじゃないか?ほらあの人って強そうだろう」
「たしかににょろにょろ言ってるけど………ま、気にするだけ無駄かしらね」

呟いて、ハルヒはまた女性陣の輪の中に戻っていったのだった。
その後に聞いた話によれば、女性陣の中に酒を飲んだ覚えのある人はいなかったそうだ。
818the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:54:57 ID:YIeW2M/1
「それじゃあ今日はこれくらいで解散にしましょう。今後も私たちSOS団をよろしくねっ。何かあったらオトモダチ価格で解決してあげるから!」

タダじゃねえのかよという俺のツッコミは華麗に無視され、時刻も既に八時を刻み外も完全に暗くなった頃、ハルヒのその一言で学年末感謝祭はお開きとなった。
これだけの人数がいるのにもかかわらず食料が足りなくなるなんて事態は発生せず、というかむしろ足りすぎて俺なんかは腹十二分目になってしまっているのは、
ひとえに家の冷蔵庫からありったけのものを持ってきたという鶴屋さんのお陰だろう。
全員での片付けを終え、部室の施錠をし、学校から出て坂を下りきったところでみんなと別れた。

「しっかし………設立した時にはここまで大きくなるとは思わなかったな………」

とは言っても団員の数は全く変わっていないのだが、それにしても関わった人たちの人数はそれなりの数に上る。
年上だったり年下だったり、体育会系だったり生徒会だったり、敵だったり味方だったりと本当にバラエティに富んだ人たちである。
普通に生活していれば知り合うことも無かっただろうと思うと、SOS団に参加している意味もそれなりにあったのかとも思える。
こんなことを言っていると谷口あたりにからかわれそうだが。そんなことを考えていると家が近付いてきた。
………そういえば今日は親が家を空けているんだった。この時間だと妹は起きているかどうか微妙だな………なんとなしにポケットの中の鍵を探す………って、

「………おいおいおい………勘弁してくれよ………?」

右のポケット、左のポケット、胸、カバンの中。携帯にはさまれていないか、財布の中に紛れ込んでいないか。
考えうる全ての場所を探したが………

「無い………やばいなこりゃ」

そう呟いて俺は、今来た道を逆に歩き出した。



「食ってる時に一回触った記憶があるから………落としたとしたら部室か、それか帰り道か?」

できれば部室であって欲しい。この暗い中で鍵を探すのは大変だからな………先に部室を探してしまおう。
それで無かったら帰り道を徹底捜索だな………。
一時間前とは真逆のベクトルで急降下を続ける気持ちになんとかムチを入れながら暗い路地を歩いていると、前方に人影が見えた。
あれは………阪中か?なんか楽しそうに喋っているが相手は見えない。電話でもしているんだろうか。

「よう阪中、また会ったな。帰ったんじゃなかったのか?」
「あっ、キョンくんっ。あのね、途中で涼宮さんと会ったのね。で、楽しかったからこんな時間になっちゃったの」

色々と説明が足りていないような気がするが補完しながら理解すると、
つまり帰るために駅に向かう途中でハルヒと偶然また会って、そんで話が弾んで今に至るということらしい。
元々ハルヒとはウマが合う阪中の事だからそれは大して不思議ではないのだが、一番わからないのは、

「ええと阪中。そのハルヒはどこにいるんだ?」

話している相手のハルヒがどこにもいないという事だ。というか周りには俺たち以外は人一人見当たらない。
そこには電柱が一本あるだけだ。阪中はタレ目がちな目を少しだけ吊り上げて怒ったように言う。

「あのねキョンくん、目の前にいる人をいないなんていうのは失礼だと思うのね」

ねえ、と言って細長いコンクリの柱を俺に紹介してくる。アレだろうか、ハルヒは今「壁の中にいる!」なのだろうか。………じゃなくて。

「なあ、それ電柱なんだが」
「え〜?あはは、もしかしてお酒飲んだのってキョンくんだったのかな?ね、そんな状態で歩くとあぶないよ?」
819the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:55:38 ID:YIeW2M/1
お前だ。すごい、こんなベタな人は逆にすごい。
普段はおとなしめなのに妙にテンションが高い阪中、しかも電柱を知人だと言い張るなんてもう酔っ払い確定である。
見た目には変わりないものだから、あの時は気付けなかったのだろう。こうなったのもハルヒのせいって事か………。
このまま放っておいたら一晩中電柱と語り明かしてそうだし、それはそれで面白いと思うのだがさすがに危ないし、団長のミスは団員のミスでもある。
これは送っていかないといけないかもしれないな。
幸い阪中の家は例のお犬様の騒ぎの時に訪れたこともある―――というかあんなデカイ家忘れるわけが無い―――
ので、急遽予定を変更して、阪中を彼女のおうちに連れて行くことにしよう。

「ほら阪中、送ってってやるから早く帰ろう」
「え?………でもこんな時間に悪いし、涼宮さんもいるし………」
「ハルヒはさっき帰ったぞ。何か用事があるとかで。ほれ、後ろ見てみろ」

あれ?なんて言いながら後ろを振り返る阪中。

「あれ?ホントだ。ねえキョンくん、なにも言わずに帰っちゃうなんてひどいと思うのね」

どうやら今度はちゃんと電柱を電柱と認識できたらしい。なんとも都合のいい酔っ払い方だ。

「聞いてなかっただけだろ。時間のことなら俺は大丈夫だから。ほら、さっさと行くぞ」
「ううん、大丈夫よ、わたしはちゃんと帰れるから。見ててくれればわかると思うのね」

言って歩き出す、が。

「なあ、そっちは壁なんだが」
「あはは、そんなこと………きゃんっ」

もしかしたら朝比奈さんよりもそっちの才能があるのかもしれない。
その後も色々とごねる彼女を何とか説得して、家まで送ることを納得してもらったのだった。



その後は、あらぬ方向にどんどん歩いていく阪中をなんとか導きながら電車を乗り継ぎ、やっとの思いで目的地の豪邸にたどり着いた。
何度見ても、世の不条理とスタートラインの格差を思い知らされる家である。
今日はでかい駐車場には高級車が一台だけ置いてある。
確かお兄さんは医大生だったはずだし、父親に至っては会社の社長なのだから、帰りが遅くても不思議ではないか。
あの美人の母親だけでもいてくれれば酔っ払いの世話は事足りるだろう。
何故か後ろめたさを感じながら仰々しい門を押し開け、玄関に向かう。

「おい阪中、家に着いたぞ?鍵は………そういえば人がいても掛けてあるんだっけか」

鍵は持ってるよな?と聞くと阪中は緩慢な動作で、かわいらしい白のバッグから鍵の束を取り出した。
束からは白い犬のマスコットがぷらぷらと揺れている。
分かっていたことだがこいつ、相当の愛犬家だな………。

「………あれれ?開かない………。これ、どの鍵だったっけ………」
「おいおい、まさか………」
「えへへ、わすれちゃったみたいね」

みたいね、ってまるで人事みたいに………。
自宅の鍵がどれだったか忘れる人間がどこにいるというのか………と言いたいところだが、気持ちもわからないことは無い。
何故ならこの家、玄関に鍵を三つも付けているのである。
そりゃあ外から見てもこれだけ『金目の物が沢山ありますよ』オーラを放つ家なのだから、家の人が警戒するのも無理は無い。
阪中は総当りで鍵を開けようとするが、酔っているからかどうにも手元がおぼつかない。
820the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:56:12 ID:YIeW2M/1
「………分かった、開けるのは俺がやるから」
「ごめん………」

申し訳なさそうに縮こまる阪中に気にするなと言葉を掛けて、作業に取り掛かった。
渡された鍵の束を見ると、どう見ても三本よりも多い数の鍵がある。
何に使っているのか聞くのは失礼だからやめておくが、きっと金持ちには金持ちにしか分からない気苦労があるのだろう。
うちなんかはあくまで中流家庭であって、もしかしたら一番価値のあるものが、三毛ネコのオスであるシャミセンになってしまうかもしれない。
考えていてもどうにもならないので手当たり次第に鍵穴に入れていき、一つ目、二つ目と鍵を解除していく。
なんかドロボウでもしてるような気分だな………。

「あ、一番下の鍵はその白いの。特別に作ってもらったから覚えてるのね」
「ああ、これか」

他の鍵よりもどこか高価そうなそれをよく見ると、円形の部分にRousseau≠ニ彫り込んであった。
つくづく犬バカだ。最後の鍵を差し込んで回し、全ての鍵を開け終わった。
これでやっと帰れるな………その前に家の鍵を探さないといかんが。

「じゃあ親御さんにヨロシクな。今日は早めに寝といたほうがいいぞ」

言って早々に駅まで帰ろうと歩みを始めた………ところで、後ろから服を引っ張られた。
急いで帰ろうとしていたので首が絞まる。

「がっ………ちょっと阪中、苦しい………」
「あっ、あのね?ちょっと休んでいって欲しいの。
だって送ってもらってそのまま帰らせちゃうって失礼だと思うし、そんなことしたらお母さんに怒られちゃう」

苦しむ俺はお構い無しに話を進める阪中。なんとか手を離してもらって向き直る。

「ごほっごほっ………あー、気持ちは嬉しいんだけどな、
さすがにこんな時間に家に上がるのも迷惑だろ?家族の人も困ると思うぞ」
「あ、それは大丈夫。家は今誰もいないのね。今日はみんな出かけてて遅くなるって言ってたから」

………………………余計ダメだろうそれは。

「………んじゃ、帰るわ………んげっ!」
「ね、お願い。お茶を飲んでいくくらいでいいから」
「わ、わかったから………わかったから手を離してくれ阪中………首が絞まる………」

女子とはいえ、バレーでハルヒと共に活躍するほどの運動能力を持つ阪中。
引っ張る力も尋常ではなく、あえなく俺はお茶を頂いていく事となった。
しかしこれは阪中の素なのか、それともただ酔ってタガが外れているだけなのか………
どっちにしろ俺はまた、厄介ごとに巻き込まれている気がしてならなかった。
願わくばこのことが、ハルヒにの耳に入りませんように………



渋々玄関を通って家の中に入る。
お茶を持ってくる前に着替えてくるからと言われ、俺だけ先に応接間に通された。
この家はどれだけ部屋があるのだろうか。
ウチだったらお客が来たらリビングに通してしまうところだが、こんなところでも財力の違いを肌で感じることとなった。
まったく、コレだけ苦労させられているのだから、来世はこれくらいの家に産まれたいものである。
そこの所どうなのか神様、と問いかけたくもなるが、もしもハルヒが神様だったときのことを考えてやめておいた。
ハルヒがいわゆるゴッドであったなら、俺がそんなお願いをしたところで聞くはずも無く、むしろ逆のことをしそうだからな。
そんな事を考えていると、向かいの扉がガチャリと音を立てて開かれた。
821the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:56:46 ID:YIeW2M/1
「待たせてごめんね。紅茶の葉を探してたら手間取っちゃって」

そう言いながらお盆を運んでくる阪中の横から、何か白く丸い物体が飛び出してきた。

「うわっ………!」

突然の襲撃に思わずひるむ。しかし、部屋の中をくるくる回り始めたその姿を見て一気に和んだ。
あいつは俺が阪中と、クラスの顔見知り以上の関係になる切っ掛けにもなった立役者だからな。

「久しぶりだなルソー。元気してたか?」
「うふふ、喜んでるみたいね。こんな時間にお客さんが来ることってあんまり無いから」

ひとしきり動き回った後は、俺の脚にじゃれ付きながらわふわふ言っている。
特に動物に好かれるタイプでもないので、もしかしたら食べ物の匂いが残っているのかもしれない。
聞くまでも無く元気のようだ。
最後に見たときは、珪素なんたらとかいうもののせいで少しやつれていたのだが、もうすっかり元通りになったみたいだ。

「あのね、ちょっといい葉を使ってみたの。お礼の気持ちだから遠慮しないで飲んでね?」
「ああ、そりゃどうも」

………しかし、遠慮するなとは言うが、もともと豪邸なこの家でも普段は使われていない葉っぱなんて、いくらするか想像も付かない。
多分部室においてあるどれよりも高価、どころか数倍の値段がするのではなかろうか。
もしかしたら数十倍とかのレベルかもしれない。

「あの、紅茶は嫌いだった?」
「いやいやいや、そんなことはないぞ?」

ただ高いものは飲みなれていないだけで。
向かいのソファーに座って、ルソーを膝の上に抱きながら不安そうな顔でこっちを見てくる阪中。
さすがに恐れ多くて飲めません、なんて言えるわけもなく、俺は最初の一口を………

「………………?………………!!ごはっ!」

思いっきり吐き出した。
液体の着弾点にいた阪中は、その運動神経を生かして華麗に被弾を回避する。小脇にルソーを抱えて。

「………あのね、一度口に入れたのを出しちゃうのはお行儀が悪いとおもうのね」

そう言いながらカップに口を付ける。
なんか普通に飲んでるが、俺の舌が確かだったならあれは………

「それ、酒じゃないか?しかも度数が思いっきり高い」
「え?そんなことないよ?だって私、お酒なんて飲んだことないし」

そしてまた一口。
しかしさっきのは確かに………テーブルの上に置かれたポットの蓋を開けて、中身を確認してみる………と、アルコールの独特の臭気が部屋中に広がった。
立ちくらみを起こしそうになりながらも中を覗き込むと、中には茶色の液体がちゃぷちゃぷと揺れている。
匂いはどうやら日本酒のようなのだが、色が付いていると言うことはコレは………

「阪中、本当に葉っぱを使ったんだな?」
「うん、そうよ?だってただのお水飲んでも意味ないと思うのね」

どことなくぽーっとしながら答える。
阪中がこんな露骨な嘘をつくとも思えないので………多分、紅茶の葉っぱを使ったのは本当だろう。
で、その『お水』が問題なのだが。
多分、ミネラルウォーターとか紅茶用の水と間違えて、日本酒をどばどばと入れたのだろう。
あまりにも危険な熱燗だ。ドジッ娘属性と言う点では完全に朝比奈さんを抜いた。
アルコール摂取状態で、という制限つきではあるが。うう、口の中が酒臭くて堪らん………
822the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:57:22 ID:YIeW2M/1
「阪中、悪い、ちょっとお手洗いを借りたいんだが。あとその紅茶はあまり飲まない方がいいぞ」

酒とはあえて言わない。多分堂々巡りになるだろうから。

「あ、それならここを出て右に曲がった突き当たりにあるのね。きっとすぐ分かると思うけど」
「ごめんな、こんな時間に上がりこんどいて」

そう言って部屋を出た。俺の後ろからルソーも着いてくる。
主人の酔っ払う姿に耐えられなかったのか、それとも部屋に漂うアルコール臭に中てられたのか。どちらにしても、

「苦労してるよな、お互いに………」

俺を見上げるつぶらな瞳に、君ほどじゃないよ、と言われた気がした。
洗面所とは逆の方向に歩いていくその背中に俺は、優雅な生活を送る愛玩動物としての余裕を見たのだった。



「あー、まだ少し口の中に違和感が………」

洗面所で口をすすいで見ても、あの珍妙な紅茶と日本酒の醸し出す独特の香りは消えてくれなかった。
鏡に映った顔は少し赤みがかっている。
どうやら俺は酒を飲むと顔に出るタイプのようだ。
逆に阪中は外見では全く分からないタイプで、しかも酔いやすいくせに相当の量が飲めると見た。
あれだけ濃いアルコールを酒と気付かずに飲んでしまうというのは、かなりの酒豪だということだろう。
言ってみれば隠れウワバミという感じだ。隠れウワバミ。なんかツチノコみたいな感じだな。
あまり阪中をほおっておくのも危険な気がするので、さっさとさっきの部屋に戻るか。
………いや、もう一回だけ口の中をゆすいでおこう。

「しかし妙な事になったな………あの状態でほっとくのは良くないよなあ………」

帰るに帰れない状態になってしまった。
阪中が飲んですぐにつぶれてしまうような人だったら良かったのだが、それはどうも無理そうだ。
というかよしんばアイツが寝てくれたとしても、俺はこの家の鍵を閉める手段を持っていないわけで、
俺が帰宅できる条件といったら、阪中が正気に戻ってくれるか、もしくは家の人が誰か帰ってきてくれることくらいだろう。
まったく、最初はただ鍵を探しに戻っただけだったというのに、とんだ災難である。
とはいえ愚痴っていても何も変わらないわけで、結局俺は、阪中の待つ応接間に戻ってきたというわけだ。
ノブに手を掛け扉を開けた―――

「悪い阪中、ちょっと待たせたか………ん?」

―――のだが、なにやら様子がおかしい。
阪中の目になにか涙のようなものが浮かんでいるような気が………
って、おい、本当に泣いてないか?

「お、おい阪中、どうしたんだ?何かあったか?」

心配になって問いかける………と、俯いている阪中が、なにか呟いているのが聞こえた。

「………ソー………」
「………え?なんだって?」

よく聞こえなくて近くに寄る………すると、急に顔を上げて、

「………ルソー!」

抱きついてきた。
823the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:58:02 ID:YIeW2M/1
「え………うおああ!?阪中、お前なにやってんだ!」
「ねえルソー、あのね、急に居なくなっちゃうなんてひどいと思うのね」
「俺はルソーじゃないって!」

どうやら俺をあの白むくのお犬様と間違えているご様子。
つうか見た目も大きさも全然違うだろうが。

「あれ………ルソー、ちょっと大きくなった?」

だから違うって気付けって!

「なあ阪中、俺はあれだ、いわゆるところのキョンくんなんだ。よく見ればわかるだろう?」

何とか説得にかかる。俺の言葉に目を細める阪中。………しかし。

「………嘘なんか付いて………私が怒れないってわかっててしてる?」

つうか会話してる時点でおかしいと思わないのか………いや、酔っ払いに対してそんな常識を説くのは意味がない。
ついさっきまで電柱と楽しくお話くしていたような人なのだ、こいつは。
背中に回された腕の力が更に強まる。

「もう………分かったわ、いつものしてあげればいいのね?」

いつものってなんだ、と聞き返すより先に、俺の口は、阪中の口で塞がれていた。

「ちゅっ………ちゅっ………」

唇の上に何度も唇を押し付けられる。
こいつルソーにいつもこんな事してるのか………!なんて羨ましい犬か。つうか俺のセカンドキス!

「おい、ちょっとやめ………んむっ!」
「ほら、喋っちゃダメよルソー。んちゅっ」

犬相手にはあり得ないツッコミを平然とかましてバードキスを続ける阪中。
ウワバミのくせにバードとはこれいかに………いや、そんなくだらないことを考えている場合じゃない。
未だかつて無いほどに近づけられた阪中の口からは、はっきりとアルコールの香りがする。
このままで居たらこっちまで酔ってしまいそうなほど濃厚だ。
顔越しに机の上を見ると、既に空になって倒れているポットが見えた。あれ全部飲んだのか………!

「あ………なにルソー、お紅茶飲みたい?」
「ぷはっ………言ってないって」
「そうなのね。じゃあ一緒に飲みましょうね。アレ高いんだから」

聞けよ。
しかし案の定聞く耳を持たない阪中は、一旦体を離して机の上のティーカップを手に取ると、
中になみなみと注がれていた紅茶もとい日本酒を一口含み、またこっちに戻ってきた。
そして何故今の間に逃げなかった俺。自問自答している間に再び腕が背中に回される。

「じゃあ飲ませてあげるね?」
「待て待て阪中………ふむっ………!」

口を重ねられると、今度はその柔らかい舌で俺の唇をこじ開け、口の中の液体を流し込んでくる。
所々に感じられる唾液のぬめりに驚いている間に、阪中は含んだ全てを俺の中に注ぎ込んだ。
824the hand that feeds:2006/09/08(金) 11:58:36 ID:YIeW2M/1

「ふぉう?ほいひい?」
(こいつの犬への愛情は底なしなのかッ―――!)

阪中にしてみれば大したことの無い量でも、俺にとっては致死量に近い。
口をふさがれて自由に呼吸が出来ないために、その気が無くても喉が動き、
高濃度のアルコールが次々と体の中に入っていくのが分かった。
口の中に何もなくなったというのに、阪中はまだ口を離してくれない、
どころかその動きは激しさを増す一方だ。

「ちゅっ、ん、ふはあっ………あのねルソー、寝る前には歯磨きをしなくちゃいけないとおもうのね」
「う、はあっ………は、歯磨き………?」

俺はたった一杯のアルコールで骨抜きにされて、もう身動きが取れなくなってしまっている。
それを知ってか知らずか、口を離した阪中は俺の目をじっと覗き込んでくる。

「………う………阪中?何を………」
「あはっ、今日のルソーはなんだかいつもより大人しいのね。
おりこうさんだからしっかり汚れを取ってあげる」

犬用の歯ブラシでも使うのだろうか………なんか痛そうだがさっきまでの状態よりはいいかもな………
なんて思っていると、また阪中は唇を重ねて、俺の閉じた唇を強引に舌で押し割ってくる。
もう俺の唇は全くもって純潔ではなくなってしまった………と、舌が今までとは違う動きを示し始めた。
歯茎やその周辺をねちっこくねぶってくる。

「くちゅ………あむっ、はっ………れろっ」
(うああ、歯磨きってこれか―――?)

前部の歯をあらかた舐め尽された。しかしそれだけでは止まらない。
阪中はしっかり汚れを取ってあげる≠ニ言ったのだ。犬への愛情がこの程度のはずが無い。
しっかりと、奥まで掃除できるように、阪中は顔の角度をより傾け、貪るように咥内を蹂躙してくる。
阪中は舌が長いのだろうか、結構な奥まで綺麗にされて、俺の思考も完全に真っ白だ。
その時、急に足から力が抜けた。もう一度踏ん張ろうとするよりも早く、かくん、と膝が折れる。
俺の身長とあわせるために少し背伸びしていた阪中も一緒になって床に倒れこむ。
机にぶつからないように、なんとか体をよじった。

「くっ!………いてて、阪中、大丈夫か?」
「いったーい。ね、ルソー、急に人の上に倒れこんじゃダメよ」

人の上………?その言葉に自分の今の体勢を確認する………と、
その通り、俺は阪中を押しつぶすようにして倒れていた。

「うわっ、すまん!怪我無いか!?」

言って体を起こそうとするが、どうにも力が入らず、かろうじて阪中の横に体を転がす。

「もう、やっぱり甘えん坊さんなのね。今日は大人しいと思ったのに」

それでも酔いの醒めない阪中は、そう言って体を寄せ、また俺の顔を掴んで「歯磨き」を再開した。
ああ、こんな所親御さんにでも見られたらどんな言い訳をしたらいいのかっ。
さっきにも増して体を寄せてくる阪中の柔らかさに戸惑いながらもこの後の展開を考えていると、
何故か体が濡れていることに気が付いた。
というか上の方から水のようなものが零れてきている………
視線を上げると、机の上で倒れたカップから中身がぽたぽたとこぼれているのが見えた。
ってことはこれも酒か………今日は本当に踏んだり蹴ったりだな………まあ役得とも言えるが………。
825816:2006/09/08(金) 12:04:04 ID:Qh0WxGfj
ああ連投規制
826the hand that feeds:2006/09/08(金) 12:04:19 ID:YIeW2M/1
「ちゅうぅっ………れろっ、んっ、ちゅっ………」

それも気にせずに作業は続けられる………と、視界の隅で小さなものが動いたのが見えた。
あれは………ルソー!そうだ、ホンモノを見せればさすがの阪中でも納得するんじゃないか!?
犬を見上げるというかつて無い体勢で様子を伺っていると、床に倒れてごそごそやっているのが気になるのか、ルソーはこっちに向かって歩いてきた。
よしっ、これでなんとかなりそうだっ!
近付いてきたルソーを抱え上げ、阪中に見える位置に持ってくる。

「んくっ、ぷはあっ!おい阪中、見ろ!これがルソーだ!俺は人間だっ!」
「え………?あ、ルソー、こんな所で何してるの?
いまちょっとルソーの歯磨きで忙しいから後にして欲しいのね」
「えええええええ」

全ての矛盾を突っ切って阪中は走り続けるようだ。
ルソー(本物)ににっこりと微笑みかけると、すぐにこっちに顔を戻してまた口付けた。

「んちゅっ、ぴちゃっ………んくっ」

もう俺の口の中はコレでもかというくらいに征服されてしまった。
自分の口の中が以前はどんなものだったか、いまでは思い出せないくらいに阪中色に染められている。
他の人を知らないので実際はどうなのか知らないが、阪中の唾液は粘度が高いように思える。
口の中全体に味が広がって、舌の上にそれが滴るたびに背筋が痺れた。
と、まだ俺の手の中にいたルソーが急に暴れ始めた。
わふわふと激しく体を動かして俺の手から脱出する。

「く〜ん」
(構ってもらえないからスネたか………俺が悪いのかコレは………?)

いつに無く不機嫌に見える犬っころは、俺の体の上を心なしか力強く進み、
阪中と俺とが向かい合って倒れている真ん中にぐりぐりと入り込んだ。
なんだろう、俺たちを引き離したいのだろうか。
しかしルソーよ、お前からしてみれば俺が間男になるのかもしれんが、
その俺を離してくれないばかりかありえないほど積極的なスキンシップをとっているのはお前の飼い主様なんだ。
俺を恨むのはお門違いだぞ………。
そんな思いを知ってか知らずか、ルソーは俺にケツを向け、阪中のほうに視線を集中させている。
未だにくちゅくちゅと音が響く咥内から何とか意識をはがしてその顔を見ると、
何かふんふんと鼻を鳴らしていた。そしてその目がきらりとひかり、

「わふん」

阪中の服の中に頭から潜っていった。
………なんだこの展開は。
一体あの綿菓子は何をしようとしているのか………と、服の中からぷち、ぷち、と何かを噛み切るような音が聞こえた。
それが数秒続き、そしてルソーが外に顔を出す。
その口にくわえられているのは見紛う事なき聖なる布………

(ブラくわえてやがるっ!?あいつヒモの部分噛み千切ってやがったのか………なんて犬だ………)

ブラを乱雑に放り投げた後で俺のほうを一瞥し、そしてまた服の中へ。
これから何が始まるというのか………言い知れぬ不安を覚えていると、急に阪中の様子が変わった。

「あっ、んっ、やぁ………ルソー、そこは………ひゃあっ!」
(………!まさか………はちみつプーさんかっ!)
827the hand that feeds:2006/09/08(金) 12:05:06 ID:YIeW2M/1
バター犬のやんわりした表現である。
桃色吐息の阪中の体を見てみると、胸の辺りにちょうどルソーの頭の形がぽっこりと浮き出ていた。
そして耳を澄ませば聞こえる、ハッ、ハッ、という獣じみた息遣い。
なんとルソーはここで野生の衝動を思い出したのだ。
室内犬として甘やかされる怠惰な日々が消し去った緑の景色を、
奇しくも甘やかしの張本人である阪中の作った紅茶もどきによって呼び起こされたのだ。

「っくっ、ああっ、だめなのねっ、おいたしたらダメよっ」

そしてその結果、ご主人の命令も聞かないという事態に陥った。
今やルソーは一匹の雄となり、自らの本能が指し示す行動をひたすらに実行するようになったのだ。
すなわち、「このメスを奪い取れ!」
………いや、自分で言っててわけ分からんのだが、きっとアルコールのせいなのは間違いないだろう。
ルソーはこんな子じゃなかったはずだ。

「はあっ、はっ、やあっ………」

阪中の息も、ルソーの舌の動きに比例して高くなっていく。
あれだけ高いアルコールでも染められなかったその頬は、既に飼い犬から与えられる刺激で真っ赤になっていた。
目の前で繰り広げられる非日常的な光景に、俺の思考力も奪われていく―――
と、獣舌にあえいでいた阪中が、今度は舌を俺の舌に思い切り絡ませてきた。
もしかして反撃しているつもりなのだろうか、それなら全く意味がないのだが………
アルコールと「歯磨き」で大分良心を削られた俺は、
反射的に、それに自分の舌をもって応えることを選択してしまった。

「んはっ………ちゅるっ、ちゅっ………あっ、やあっ」
「ちゅ、じゅるっ、ちゅっ………」

舌の上に、そして裏に全神経が集まったように、
たかだか名詞一枚分ほどの面積の肉が、体中にその刺激をフィードバックしてくる。
耳に届くより先に脳でその淫らな音が感じられるような、
自分の舌がどこまでも広がっているような、それなのに濃密な感覚が脳髄を震わせる。
どちらともなく唾液を流し込み、それが嚥下されたのを見届けると、今度は舌をつついて相手の唾液をねだる。
まったく俺というやつは、マトモに話すようになって数ヶ月、互いに異性を意識したこともないであろう相手と、
数時間でこんなやりとりをするようになってしまうとは………。

「んふっ………んっ、あふっ、ちゅるっ………」
「ん、んくっ、ちゅっ………」

これで再び二人の時間だ。
先ほどの愛撫で気を惹いたと思っていたルソーは、面白くない、と思ったのだろう。
服の中から抜け出して、今度は下方へとその標的を変えた。
下の方と言ったらもうあの部分しかないだろう。
舌を絡ませるたびにぷるぷると震える太ももをぺろりと一舐めして、ルソーはそのスカートの中へ突入していった。
………胸があいた。俺もついでだから揉んでおこう。

「はっ、うんっ………あっ、あっ、あっ、ひゃああんっ!ルソー、そこはダメっ!」

どうやら口撃を開始したようだ。
俺もそれにならって、歯磨きのお返しとばかりに舌を歯茎に沿わせ、そして胸に這わせた手を動かす。
ルソーの唾液でベタベタになった乳房は、酔った頭にはよりいやらしく思えて、
とがった先端を指先で摘み、そして弾いた。

「ああっ、んむっ、だめっ、だめなのっ!」
「んっ………ぷはっ、いや俺は犬だから。人の言葉は分からんな」
828the hand that feeds:2006/09/08(金) 12:05:44 ID:YIeW2M/1
そう言って再び口付ける。
阪中の体は痙攣するように動いて、もうきっと自分の意思どおりには動いていない。
それなのに舌だけは貪欲に絡み付いてきて、俺の劣情をどこまでも刺激した。そして。

「あっ、駄目ぇっ!ねっ、お願いだからそこは舐めないでっ………あっひあああっ!」

どうやら俺じゃないほうの犬もラストスパートに入ったようだ。
そうなると俺も応えないわけにはいくまい。一匹の犬としてっ!

「んはっ………ぢゅるっ、ちゅっ………ふあぁっ、お願いなのね、ルソー、やめてっ………」
「だから俺は言葉が分からないんだって。犬だから」

ドジなご主人サマにそう告げて、最後に思い切りその舌を吸い、そして胸の突起を千切れるほどに捻りあげた。
多分下の犬も似たような事をしたんだろう。阪中の体が今までにないほど撓り、

「あっ、あっ、ダメっ、ふぁ、あっ、くぅぅっ、ああーーっ!」

そして今日一番の嬌声を上げ、くたりとして動かなくなった。



―――ン………ョン………―――

………ん?誰かの声が聞こえる。
なにやらいつも聞いているような声だ。
目を開けようとすると、急に太陽光が飛び込んできてひどく眩しさを覚えた。
強烈な光源をバックに誰かが立っているのが見えるが、逆光の為によく姿は見えない。
そしてさっきから断続的におこる鈍い頭痛。
コレは一体なんなのか………なんだか体中ぎしぎしいっているような気がする。

―――ョン………こら、起きなさいっ!キョンっ!―――

「うおあっ!」

いきなり耳元で起きた大声に驚いて、思わず上半身を起こす。
なんかいつもより重い気が………

「ねえ、キョン、起きた?」
「なんだハルヒか………なんでお前がウチにいるんだよ………」
「ウチ?へ〜え、いつの間にかあんたと阪中さんの仲は、すごーく進展したみたいね」
「………………………え?」

言われて周りを見渡すと、どう見てもここは俺の部屋ではなかった。
というかベッドにすら寝ていない。ここは一体………

「ねえ、説明してもらえる?どうしてアンタがここで寝てたのか。それと………」

ハルヒの視線が横にずれる。その先を追いかけて、俺の思考は停止した。

「………なんで阪中さんとしっかと抱き合ってたのかってことを、ねっ!」

………昨日のことはよく覚えていない。思い出してしまったら終わりだという警報も鳴り止まない。
こんな時、人が取り得る最善の行動はたった一つだけだ。
きっとコレは夢だろうから、だから―――俺は、二度寝した。
829the hand that feeds:2006/09/08(金) 12:06:22 ID:YIeW2M/1



あの日ハルヒは、阪中と会う約束をしていたのだそうだ。
そして家まで行ってみると、呼び鈴を押しても誰も出ない、ばかりか三つの鍵が全て開いている。
不審に思って中に入って、そして見つけたのが、抱き合って眠る俺たちだったというわけだ。
俺が落とした鍵もしっかりと持ってきてくれていた。あいつも忘れ物を取りに戻ったところで見つけたらしい。

………当然二度寝をハルヒが許すわけも無く、
ぶん殴られて現実をコレでもかというくらい認識させられてからこってりと尋問されたのだが、
俺も阪中も全くといっていいほど覚えておらず、結局全ては謎のままだ。
現場に残されたポットからアルコールが検出されたため、
送っていった後にうっかりアルコールを口にして酔いつぶれた、という結論で一応の終幕となった。
多分実際もそれとは大して変わらないだろう。
そしてこの事件も他のドタバタですぐに忘れ去られ、平穏な日常が戻ってきた。
クラスが変わったって、今までとは何一つ変わらない。―――ただ、

「ね、キョンくん。お弁当作ってきたのね。食べて?」
「ん、ああ悪いな」

阪中が、事あるごとに俺を餌付けするようになったことを除いては。
830816:2006/09/08(金) 12:09:45 ID:YIeW2M/1
終わり。阪中さんキャラつかめないよ阪中さん
831名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 12:43:13 ID:ZuBKxWx/
>>816
エロい!エロいよ阪中さん!
おっきどころか転げまくっちゃうよ!
俺もこれぐらい書ければと落ち込みながらGJと言わせてください。
832名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 13:08:59 ID:LdNMGIB7
         ,. --- '´   `ヽ、
.        , '             \
       /.,   ,.  '⌒ェ⌒ヽ 、  ヽ
       // / / .,イ ./ `l | l   、 !
.      | l. | ∧/ ∨  .l ∧ |  ト |
.      | ヽ |ナ''l!二.    ̄`゙|  / |/
        ∨ { く.__j     「 `ソ!イ/′ 阪中さんかわいいよ阪中さん
        ヽ.-ヘ     、  ̄/‐ァ′
          \ ヽ、  っ .//
         ヽノ`  __ イ、l´
.       _. - ´ |    ヽ \
.    ,.ィヘヽ     ',.   ___ |  `7 、_
    / ヘ ヽヽ    仁 -‐- |   // / ヽ
     |ヘ ヽヽ.   r  ̄ |   // /   |
     | ヽヽヽ.  !    ! // / l  |
833名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 13:40:14 ID:oEbTBLUY
GJ!
最近阪中さん流行ってるなぁ
834名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 13:43:37 ID:VcB+P+jm
>阪中はタレ目がちな目

この一文で>>816に殺意を覚えたwww
835名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 13:45:13 ID:gythR2z5
>>832
めがしんでるw
836名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 14:09:48 ID:/dHBwBYO
>>835
きっとアニメでちゃんとキャラとしてでれば進化するよ。
>>816
たまらずおっきした。
837名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 14:21:11 ID:CUdn5ETB
>>816
ワンダリングシャドウ読み終わった後にきたんだが、
刺激が強すぎるwww
838名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 15:39:50 ID:kyBR//R7
GJ!そしてついでに樋口さんとマイクの絡みも一緒に妄想してしまった自分は人としてorz
839名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 17:02:44 ID:oaaz7C5s
>232です。
>233に背中を押される形で頭の中で転がしてたら、それっぽい話が出来ますた。
(ただし、よく考えたら春休み中の話だから、舞台が部室ってのはボツ)
全7レスほどの予定。
840Re:古泉一樹の芝居:2006/09/08(金) 17:03:50 ID:oaaz7C5s
翌朝、例によって俺を叩き起こしたのは、妹のフライングボディプレスであった。
「キョンくーん、玄関に何か荷物が来てるー」
何かって何だ、宅急便か。俺は昨夜あまり眠れてないんだ、寝かせろ。
「んーん、いきなり置いてあったのー」
何だそりゃ。
しかたがないから起き出してみると、たしかに玄関前にカレー缶の山脈が。
クイズ番組に応募して「カレー一年分」でも当てたか?ってなくらいの量だ。
インド人もビックリだぞ、ドアを開けるのも一苦労じゃないか。

しばし呆然と缶の山を眺めていた俺だが、どうもラベルに見覚えがある…
そうだ、これはいつぞや長門ん家で食った、あの…
と、その山脈の頂上に、分厚いハードカバー本が乗っているのに気がついた。
手紙がはさんである。プリンタで打ち出したかのような明朝体が、わずかに三文字。

「食べて」

あー。はい、了解しました。了解しちゃいました。
カレー・本・簡潔すぎる手紙の三題噺から出てくる答は、一個しかない。長門だ。
詫びの品(の、つもりだろう)を黙って置いていくとは、お前はごんぎつねか。
ひょっとしたら笠地蔵の方かも知れないが、そんなことはどうでもいい。
当面の課題としてこれをどかさないと、我が家の外観が奇天烈きわまるのである。

なぁ長門よ、きっとこれは宇宙的パワーで送りつけてきたんだろうが、出来れば
もうちっと家の奥まで持ってきといてほしかったぜ、キッチンとかな。
それにしても、カレーと本か。もう少し地球的な詫び方も勉強してくれよ。食うけどさ。
841Re:古泉一樹の芝居:2006/09/08(金) 17:04:43 ID:oaaz7C5s
何とかカレー缶を家の中へ運び終えて一息ついているところへ、呼び鈴が鳴った。
お客か。滑り込みセーフだったな、カレー屋敷は見られずにすんだか。
「あれー、みくるちゃんだー。キョンくん、みくるちゃん来たー」

「お、おはようございます…突然来ちゃってごめんなさい…」
わが妹を腰にまとわりつかせつつ登場したのは、マイハニーエンジェルじゃないか。
いつもの俺ならここでニコニコなんだが、なにせ昨夜の今朝だ。どうにも顔が渋くなる。
「えと、えと、クッキー焼いてみたんで、その、キョンくんにもどうかなぁって思って、あの」
朝比奈さんも笑顔が硬いし、目が泳ぎまくっている。
「お、お茶も淹れてきたんですよ?」
妙にでかいバスケットだと思ったら、魔法瓶とティーセット一式持参ですか。

いつもはわずらわしい妹だが、今日は間に陣取って動く気がないのがありがたい。
三人(と一匹)のぎこちないお茶会は小一時間続き、昼飯の長門カレーに誘ってみたが
それは固辞して、朝比奈さんはペコペコお辞儀しながら帰っていった。
セロ弾きのゴーシュの「ねずみのおっ母さん」みたいだな、とちょっと思った。
すいません朝比奈さん、あなたに怒り続けるのは本意じゃないんですが、
ちょっと冷却期間を下さい。新学期には、また美味しいお茶を淹れて下さいね。
842Re:古泉一樹の芝居:2006/09/08(金) 17:05:40 ID:oaaz7C5s
どうにも気が晴れないな、こういうときはどうしたらいい?
谷口でも誘って遊びに行こうかとも思ったが、あいつのことだ、春休みともなればまた
埒もないナンパに勤しんで、撃墜マーク(ただし、される方の)を絶賛更新中に違いない。
しばらく携帯をひねくり回していたが、やがて意を決した俺は、とある番号へ電話をかけた。


「…何よキョン、そっちからかけてくるなんて珍しいわね」
おぅハルヒ、お前、今日は午後ヒマだよな。
「いきなり何よ、まぁ空いてるけど」
じゃ、いつもの場所に二時な。
「は?あんた何言って」
デートしてやるっちゅーとるんだ。
「ちょっと!えーと、ああああと一時間もないじゃない、女の子の身支度って大変なのよ!
そ、そっちこそ呼びつけといて遅刻したら、獄門ハリツケだからねっ!じゃ後でねっ!」
あたふたと電話は切れて、俺も溜息が一つ。これは正しい選択だったのかね。


その日の午後は、もう無茶苦茶だった。
遊園地で、絶叫マシン系ばかりハシゴした。強烈なGに翻弄されるのは快感だった。
ゲーセンでは、体感型のレーシングゲームで派手にクラッシュして大笑いした。
ハルヒの手をひっつかんで引き回すのは、今日は完全に俺の役回りだった。
はじめはハルヒも戸惑っていたようだが、なぁに、もともとハルヒ好みの遊び方だ。
ハルヒもよく笑ってくれたし、すごく楽しんでくれていた。と、思う。
ずっと手をつないでいたような気がする。ずっと笑っていたような気がする。
843Re:古泉一樹の芝居:2006/09/08(金) 17:06:31 ID:oaaz7C5s
終着駅は、いつもの公園だ。これはもはや、帰巣本能かも知らんね。俺は鮭か。
「で?そろそろ話を聞かせてくれてもいいんじゃない?」
ベンチの隣に並んで腰を下ろしながら、ハルヒは尋ねてきた。
「何のことだかね」
缶の紅茶(何と驚いたことに、ハルヒのおごりだ)をすすりながら、俺はそっぽを向く。
こういうとき、タバコが吸えればカッコがつくんだろうがな。
「今日のあんたが普通じゃないことくらい、あたしにだって分かるわよ…
ま、たまには引っぱり回される側になるのも楽しかったけどさ。
あたしのキョ、おほん、あたしの知ってるキョンは、そんなにささくれてないわよ?」
「別に何にもねぇよ。こんな日だってあるさ」
悪いなハルヒ。お前にだけは、本当の理由を聞かせるわけにいかないんだよ。

「しょうがないわね…団員のメンタルケアも、団長の仕事のうちか。
今日だけだからね?」
そう言うとハルヒは俺の頭蓋骨をガッシとつかんで、すごい腕力で引き寄せ、


  イイ ニオイガ シマス
  トテモ フカフカ デス
  ココハ ドコノ オハナバタケ デスカ
  ウソノヨウニ ココロガ マルクナッテ ユキマス


…しばし忘我境をさまよっていたらしい。
気付くと俺は、ハルヒの胸に頬を押し当てられる形で、ヘッドロックを極められていた。
耳元で大きく聞こえるのは、はたしてハルヒの心臓の音か、それとも俺のか。
ばばばば莫迦っ、何をする恥ずかしいじゃないか。
「こら、頭をグリグリするなエロキョン!くすぐったいでしょーがっ!」
そうは言うがなハルヒ、これはその、実に照れ臭い。
こら、イイコイイコなんかしてくれなくていから!

「男の人がね、頭ん中グルグルして訳わかんなくなっちゃってるときは、とりあえず
こうしててあげるといいんだって、ばっちゃが言ってたのよ」
そりゃ、いいばっちゃだな。よろしく言っといてくれ。
俺も、何だかすっかり無抵抗になっちまった。
情けない、同級生の女の子に抱っこされて、なに癒されちゃってるんですか俺は。
とはいえ、ハルヒ解放軍は強力無比だ。昨夜から固くこわばっていた神経にドカドカ
乗り込んできて、次々と武装解除してゆくのがよく分かる。
頭の芯が重くしびれてきて、そういえば、今朝はろくろく寝れてなかったんだっけな…




844Re:古泉一樹の芝居:2006/09/08(金) 17:07:37 ID:oaaz7C5s
ぽつり、と雨滴が頬を打ったような気がして目が覚めた。えっ、俺、寝てた?
「あわ、わ、キョン、起きたっ!?」
目を上げると、ハルヒが俯瞰の構図で何やらあわてている様子。
何んてこった、俺は公園のベンチで、ハルヒの膝枕で寝コケてしまっていたのだ。
空がすっかり赤く染まっているじゃないか。何時なんだよ今。

あれっ、雨は?さっき、頬っぺたに何かポチって。
「な、何のことかしら。雨なんか降ってないけどっ」
ハルヒは、目をそらして口元を押さえた。顔が赤い気もするのは、夕陽のせいだよな。
「…いつまで人の膝に安住してんのっ!さっさと起きるっ!」
はいはい、すまんかったすまんかった。イヤちょっとホントに気持ちよくて。蹴るなよ!
「うん、いつものキョンの目つきに戻ったみたいね。
じゃあ、ここでサイコセラピストの出番はお終いかな。じゃ、あたしは帰るっ!」
ハルヒは、何ともう立ち上がっている。マイペースなやつだ。いや、いつも通りか?
「へらず口も、元通りねぇ?」
ほっとけ。今日は、つきあわせて悪かったな。
「この貸しは、高くつくわよ?おぼえてらっしゃい。
だいたいねぇ、この新しい帽子にちっとも気付いてくれないってのは、どうなのよ?
いつもだったら、銃殺刑ものだわ!」
えーと、うん、可愛いピンクだなハルヒ。あー、すまんかった。
「遅い!まぁ、今日は一周年記念の前倒しで、特赦にしてあげる。じゃね!」
じゃあな。
妙にウキウキとした足取りで遠ざかってゆくハルヒの背中を眺めながら、俺は手元を
探ってみた。あれ、飲みかけの俺の紅茶は?ハルヒめ、捨てちまったか?


昨日から続いた長い長い一日が、やっと終わろうとしているようだ。
さて、俺も帰るか。何だかすっかり頭が軽くなった。
ハルヒパワーも捨てたもんじゃないな、もっと平和利用の方法はないもんかね。

845Re:古泉一樹の芝居:2006/09/08(金) 17:08:40 ID:oaaz7C5s
そこへ、ふいに姿を現したのはSOS団のスマイル担当だ。
「こんにちわ、いえ、そろそろ"こんばんは"かな。機嫌のいいところへ、すいません」
お前のことだから、偶然通りかかったとか言っても信じてやらん。ずっと尾行してたな?
「そんな人聞きの悪い。涼宮さんに護衛がつくのは、デフォルトなんですよ。
ぜひあなたにお話ししたいことが出来たもので、護衛を交替してもらいました」
まぁ聞こうか、何やらスマイルがいつもより曇ってるのは、芝居じゃなさそうだしな。

 * * * * * 

いやぁ、天罰てきめんとは、このことです。
涼宮さんに、みっちり焼きを入れられましたよ…いえ、本人に直接ではないんですが。

実は、ついさっき、ここに閉鎖空間が発生していたんです。はい、この公園にです。
まぁ、通常空間とは切り離されていますからね。ここではない「ここ」ですが。
いえ、今日の午後の涼宮さんは、上機嫌そのものでしたよ?他でもないあなたに
誘われたんですしね。閉鎖空間の発生は、あなたが寝ちゃってからです。
涼宮さんは、あなたの変調に心を痛めておいででした…そうなんです、今回に限って
閉鎖空間は「あなたのため」に作られたんですよ。これは凄い出来事です。

驚きましたよ、空が突然あの色になったと思ったら、目の前のあなた達が
消えたんですからね。もちろん実際に消えたのは、むしろ僕の方なんですけど。
閉鎖空間に入るのは馴れてますが、閉鎖空間の方から迎えに来たのは初めてです。

僕の頭上にいきなり出現した神人は、そのまま足を踏み下ろしてくるじゃありませんか。
かろうじて回避しましたけど、さらに二歩三歩と僕めがけてドスドス踏みつけてきました。
こんな、壊し甲斐のなさそうな開けた場所に現れてどうするのかと思ったら、
この神人のターゲットは、何と僕だったんです。これは恐怖でしたよ?
これまで神人というのは闇雲に周囲を壊すばかりで、何かしらの意思を示すというのは
皆無でした。その神人が、明らかに僕を追い回しているんです。
もし神人に目があったら、僕をじっと見据えていたことでしょう。それは怖すぎます。

赤い玉ですか、ええ、なりましたよ?
蚊をつぶすみたいに、両手でパチンとやられました。逃げましたけどね。
反撃にうつる機会が全然なくて、仲間が来て倒してくれるまで逃げ回る一方でしたよ。
そうそう、あの赤い玉になると、実は、僕たちどうしでも誰が誰だか見た目で
区別はつかなくなるんです。なのに、あの神人は僕だけを追い続けました…
いや、本当に肝を冷やしました。僕の髪、白くなってませんか?本当に?

涼宮さんの表層意識はいざ知らず、あの神人は、あなたの心痛の下手人が
僕だと分かっていたんだと思いますよ。
いや、今回ばかりは、骨の髄まで思い知りました。あなたは、涼宮さんの神殿から
棟続きの聖域だったんです。そこをけがした僕に、神罰がくだったんです。
え、神様扱いですか?ええ、僕はまだそう思っています。本気ですよ。

今回のことは、本当に反省しています。
もう二度とあんなことはたくらみませんから、どうかお許し下さい。

 * * * * *
846Re:古泉一樹の芝居:2006/09/08(金) 17:09:35 ID:oaaz7C5s

ふうん、忌憚のない感想を言ってやろうか。いい気味だ。
「今日ばかりは、返す言葉もありませんよ。
このままでは僕の気が済みませんから、どうぞ何なりとお申しつけ下さい」
そうか、…じゃあ古泉、お前、次の団活で俺の次に集合場所に来い。
物陰に隠れてて、俺が来るのを見計らって出てくるなんざ得意技だろ?
「そんなのでいいんですか?」
俺も、万年ビリには飽きた。いや、実際はハルヒを出し抜いて先に来たことも
一度あったんだけどな、うやむやに俺のおごりにさせられちまってな。いいか?
「ええ、もちろんですとも」

そう言って笑った古泉の顔は、おそらく「屈託」という言葉からいちばん遠かった。
お前、そういう笑い方も出来るんなら、ずっとそうしてろよ。


「そうそう、またチェスの定石の本を買い込みましてね…」
「ははは、性懲りもなく…」
SOS団の初年度は、こうして暮れていったのだった。


(了)



【おまけ】
「それにしてもあなた方、本当に白雪姫ごっこがお好きなんですねぇ」
「そりゃ、いったい何のこった?」
「いえ、お気づきでないならいいんです。聞き流して下さい、ははは…」


847名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 17:18:00 ID:BI8HmhHP
>>839
キョンに優しい態度を取ると、団の面子思った以上にみんなキャラ丸くなってしまうんだなwww
小泉は語り口が少し変に感じたけど……良かったよ! GJ!
848名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 17:22:27 ID:BI8HmhHP
ぬかった……古泉だ…。
849名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 17:41:48 ID:vBkjQHui
>>846
天の道を行き総てを司るハルヒの性格はやっぱりばっちゃのせいかw

ハルヒとキョンが原作なら有り得ない行動を取ってるが、こういう状況ならありそうだと思った。
すごくよかった。面白かったよ。
850名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 17:50:40 ID:mxXjF4Kw
>>839
前に投下されたのが前半、今回のを後半という事にしてうまい具合に仕上げてるな。
GJ。
851名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 19:30:36 ID:76E4X5+w
>>839
なんか古泉のことが好きになってきたよ
852名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 19:49:10 ID:VympheE4
>>839
前回古泉に感じた憤りを上手く消化できたと思う。いい気味だ。…うん。愛嬌があってよろしい。
古泉はそもそもあんな芝居は打たないだろうとか、長門の謝罪の仕方がイマイチとか、
ハルヒがなんか素直、特に帽子の下りは意地でも自分から言い出さないだろうとか、
微妙にキャラの根幹の部分を掴めて無いかな、と思う所はあるけれど、話自体は綺麗に纏まったと思うよ。また頑張って。
853名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 20:10:18 ID:qnvLnQBt
>>839
非常にGJで、特に古泉の扱いが面白かった。
でも貴方は最初に「古泉一樹の芝居」を書いた>>218氏とは別人だよね?
>>218氏とは別人です」とか「これは>>218を素にした三次創作です」とか明記した方が礼儀に則ってると思いますよ。
854816:2006/09/08(金) 21:04:25 ID:Qh0WxGfj
>>834
挿し絵でしか確認してないからその辺適当なんだけど、
自分タレ目好きだから大丈夫。
855名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 21:25:52 ID:LaM96hFa
鶴屋さ〜ん!

よ  み  て  〜  〜  !
856名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 21:26:58 ID:/j8pQHKf
>>816から数えて気付いたんだが、連投規制は10レス目からみたいだね
投下予告を含めると9レスだから、長編の時は8レス前後を目安に区切ると良いのかも
そうでなくともキリの良い所で時間を置いたりとか、まぁその辺は各々の判断で

行数制限:60行
容量制限:4096Bytes
連投制限:10レス

これテンプレに入れる必要あると思う?割と頻繁に出る質問ではあると思うが
857名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 21:45:38 ID:NvxnY3ig
>>856
……テンプレに入れるのが望ましい。
858名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 21:46:53 ID:Qh0WxGfj
>>856
入れた方がいいというか入れてほしい。
規制がどんなもんか知らなかったからすごく焦ったし。
859名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 22:00:21 ID:OiatVzSv
Qここの規制はどうなの?
A行数制限:60行 容量制限:4096Bytes 連投制限:10レスってキョン君が言ってたー

こうですか? 分かりません><
860名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 22:16:24 ID:NZ5hc1A7
>>849
おばあちゃんが言っていた。
どんな時でも自分の思うことをやり通せって。
わかる?キョン。

…こういうことなのか?
861名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 22:51:54 ID:A2B+23zu
テンプレの話を見て気づいた、もう次スレの時期だってことに
862名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 22:52:00 ID:/j8pQHKf
連投制限は10レスと言うべきか9レスと言うべきか…
「10レス目に」連投規制がかかるのであって、書けるのは「9レス目まで」な訳で
正直誤解というか勘違いしそうな書き方だし、9の方が良い希ガス
863名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 22:56:21 ID:buapmQqn
とりあえずもろもろの意見を参考に次スレ準備開始してもいい?
864名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:02:59 ID:jDuQgFv3
>>863
よろしくお願いします。
865名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:07:41 ID:buapmQqn
ホスト規制でだめだた
>>2は用意してるので誰か立ておね
866名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:08:33 ID:qNAlL4i3
なんかさ、ここのスレだけ他と違って異質だよね。
なんつーか読み手が偉そうだよね。
ssの内容をGJしても批評つきでさ、書いてくれたんだからいいじゃん。
気に入らなきゃスルーでしょ。
そんなにハルヒに感情入ってんなら自分で自分の満足いくように書くなり妄想するなりすればいいのに。
それが出来ないから俺らが勝手に(ここ大事)ここきて職人の作品見て萌えてるんだから無茶言うのよくないよ。
批評は書き手の為にもなる〜っていう人もいるけどさ、それって批評する自分を正当化してるだけだと思うんだよね。
だってさ、こんな妄想2次元に萌えてるんだよ?んなマジメに「21禁のハルヒスレに投下しつづけて上手くなるぞ」なんて人いないでしょう。
批評自体はあんまいらないんじゃないかな、下手でも上手くなる人は書いてるだけで自分で勝手に上手くなるし。
いつまでたっても下手でイライラするんなら無視すればいいしさ、それにエロいとこだけ見て後は脳内変換すれば地の文なんて気にならいでしょ。
批評が多いのは今は職人が多くて「批評して少し職人が減ってもクオリティの高い職人だけ残るし別に・・」なんて思ってるんじゃないかと勝手に思う。
まぁ、こんなことかくと荒れるんだけどさ、どうしてもここ最近の読み手の職人に対する横柄な態度が納得いかないので書いてしまった。
他のスレじゃ批評もあるけどここまでじゃない。
古参の職人には素直にGJ言うくせに新参者の職人には必ずといっていいほど批判がつくのはこのスレだけだぞ。


マンセーしろ、といってるわけじゃないけどね。
本当にGJと思ったのだけGJしてそうじゃないと思ったらスルーすればいいと思う。



867名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:26:29 ID:dqQy/0Bf
華麗にスルー!
868名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:26:59 ID:Qh0WxGfj
昨日も似たような議論あったからやめようね。
別に偉そうとも思わないよ。
869名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:29:20 ID:Cvf5wwRI
縦読み探してた俺ガイル
まず書き手がすくないのはここがBBSPINKだからでうわなにをすr亜qすぇdrftgyふじこlp@:「」
870名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:31:28 ID:SmNrZ7+3
>>869
改行すらしてないのに縦読み探すなっww
871名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:33:57 ID:/j8pQHKf
次スレの季節になると必ず荒れそうな議論を出そうとする奴が居るから困る
気持ちは分からんでもないがそれこそスルーの対象になりかねない
872ちょっと小ネタ:2006/09/08(金) 23:36:42 ID:W0t+YWbY

「はぁ……」
俺は、長門有希のマンションの部屋で、長門と向かい合って座りながら、垂直に立てたら月まで届いてしまうんじゃないか、と思えるぐらいに、深い深い溜息をついた。
「「飲んで」」
長門が、湯飲みを二つ差し出した。
頼む、同時に喋らないでくれ。頭が混乱する。
「そう」「では」「交互に」「話すことにする」
どう?といった具合に、やはり同時に長門は首を傾げる。
「……長門、『バキ』って漫画知ってるか?」
長門は同時に首を振った。そうか、さすがの統合思念体のインターフェイスも、漫画は守備範囲外か。というか、四歳児と新生児に読ませられる漫画ではないな。
「気にしないでくれ、ただの連想だ……有希の方から説明してくれるか、一応」
長門――今度は、片方だけ――が頷いた。
「情報統合思念体は、第一優先観察対象を、涼宮ハルヒとあなたの、二人にした。これからは、私はあなたの担当として、あなたの観察に専念することになる」
俺の観察?無理な願いと知りつつ、この場を和ませようと、俺はギャグを放つ。
「俺の風呂もか?なんてな、冗談――」
真顔で長門有希はコクリと頷く。冗談――ですよね?
「入浴時のあなたも、興味ある観察対象。実は、昨日から既に観察は始めていた。あなたは風呂場で×××を行っていた。それからベッドでは、寝る前にまた×××を二回行い……」
一体俺のプライバシーはどこに消失したんだ――と、だらだらと冷汗を流す俺をよそに、長門は平然とお茶をすすった。
「そのため、涼宮ハルヒの観察は、新しく派遣されたインターフェイスである――」
長門の横にいる、長門――そっくりの、統合思念体が作ったインターフェイスがペコ、とお辞儀する。
「この妹が行う。名前は、長門、有芽」
有芽、アメか……統合思念体がお天気からネーミングをとっていることは分かった。
「識別上の必要から、有芽の髪型はポニーテール」
長門妹――有芽――が、頭をふりふりする。確かに、後ろでは縛った髪が揺れているが、ポニーテールと言うよりは、それを途中でちょん切った感じだ。
「胸の大きさは、Aカップに増量された」
ぽっと有芽が頬を染めて俯く。いまさらAAからAになっても……すいません、何でもありません。
「状況に応じて、うさ耳の装着も可能」
有芽がちょこんとバニーの耳をつける。一体全体、何の役に立つんだ、それ?
「聴覚が100倍になる」
「…………」
パン
――と手を打ち合わせてみた。
「っ!!」
うさ耳の有芽が、座った姿勢のまま20センチほど飛び上がり、そのまま床に転がってぴくぴくと震えている。
「す、すまん、大丈夫か、有芽!!」
――と叫んだのが悪かった。
「えううう……!!」
有芽はさらに涙をぽろぽろと流し、自動小銃の弾を避けるサミル・セイフのように、ごろごろと床を転がりまわる。
「…………(ブチ)」
長門有希が、冷静に有芽のうさ耳をむしりとると、無言で部屋の隅にぶん投げるた。有希は、ひざの上で震えて泣いている有芽のちょん切れポニーの頭を、優しくなでなでする。
「…………やさしくしてあげて」
ぎろりと有希が殺意を込めて俺を睨んだ。すまん、本当にすまん。全面的にすまん。俺はただ平身低頭して謝るのみだ。
「有芽は、SOS団の新入生メンバーとして入団し、涼宮ハルヒの監視にあたる」
「………ぐす」
涙目の有芽は、俺が小一時間頭を撫でてやると、ようやく泣き止んで、識別できるかどうかぐらいの笑顔になった。


続かない
873名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:39:45 ID:Qh0WxGfj
五行目でバキだと思った俺ガイル
874名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:40:37 ID:Cvf5wwRI
>>872
『口』がでてるのは『範馬 刃牙』と揚げ足を取ってみるテスト
まぁ思いっきり吹いた訳だがw
で、次スレは?
875名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:41:31 ID:qNAlL4i3
あー昨日も似たようなのあったんですか。
さらっと見たけど気づかなかったんで。
偉そうって感じたのはさ、他のスレ見てたら感じるってだけなんだけどね。
他はここほど賑わってないから職人が投下しただけで狂喜乱舞って感じで批評する人なんていないから。
だから、批評してる→えり好み(そう感じる)→偉そう、って思ったんです。
他スレ同様原作の人気が下がって職人減れば自然と批評も減るだろうしのんびり待つかな。
876名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:42:13 ID:SmNrZ7+3
>>872
続け!

有芽かわいいよ有芽
877名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:48:29 ID:708HFEQN
あと15kか……いけるか?
有芽の可愛さに萌えながら女キョンを最後まで。
878キョンの消失:四日目午前五時:2006/09/08(金) 23:49:48 ID:708HFEQN
- * -
 未来人からもらった睡眠薬を飲み、ハルヒはわたしに身体を預けて深い眠りに落ちている。
 その温もりを一秒でも長く、少しでも多く感じようと、わたしはハルヒをただ抱き続けた。
 このわたしの世界を終焉させる男が、ハルヒのジョン=スミスが公園に訪れるその時まで。

 気づくと長門が立っていた。来るときに頼んでおいたアーミーナイフを持っている。
「朝比奈さんに教えたんだな」
「……」
 ハルヒを抱いたまま、少しだけかがんで長門と目線の高さを合わせる。
「罰だ。代表してお前にやるから、だまって受けてくれ」
 そう言って長門の唇に小さく唇を当て、少しだけ甘噛みしてやった。
 顔が離れ、少しだけ目を開きながら唇を押さえる長門に告げる。
「よくやってくれた。会って聞いたかもしれないが、朝比奈さんはお前たちに感謝していたよ。もちろん、わたしも」

 わたしは片手でアーミーナイフを受け取るとポケットにしまいこむ。
 そのまま長門の頬を軽く撫で、頭に手を置いた。
「後は頼む。辛い事を頼んですまない」
 首を小さく振り、長門が短く否定を示す。
「……それじゃ頼むぜ」
 手をそっと離すと長門は小さく頷き、声なき言葉を呟くと公園の外へと歩いていった。
 それが「さよなら」でなかったのだけは読み取れた。

879キョンの消失:四日目午前五時:2006/09/08(金) 23:50:30 ID:708HFEQN

 少しして、北高の制服を着た男がわたしの前に現われた。
 こいつがわたしのオリジナル……だよな? あまりの普通さ平凡さに思わず突っ込みたくなる。
 仕方なくわたしはその男に問いただしてみることにした。

「……お前がジョンか。なんだか冴えない男だな」
「ハルヒに何をした」
 問いには答えず、その男はあからさまな敵意を向けてくる。
 どうやらジョン──つまりキョンであり、わたし自身で間違いないらしい。

「大丈夫、眠ってもらってるだけさ。これからの事をハルヒに見られるのは、わたしにとってもお前にとっても宜しくないだろ」
 抱いていたハルヒを傍のベンチにそっと寝かせながら、ぶっきらぼうに答える。
 目元に光るモノをぬぐってやり、最後にもう一度頬をそっとなでた。


 そのままゆっくりとキョンの方を向く。キョンは既に鈍色の金属光沢を放つ銃をわたしに向けて構えていた。
「あの時の銃、か。……これを向けられた時、お前もこんな気持ちだったのか。長門……」
 呟いてわたしが、いや目の前のキョンが消失させてしまったあの長門をふと思い出していた。


「ジョン。……お前、ハルヒが好きか」
 わたしはキョンに聞いてみた。わたし自身は既に答えを出し、その答えをハルヒに告げた。
 はたしてコイツはどうだろうか。
 ハルヒを異性として捉えてきたこのキョンは、はたしてハルヒの事が好きなのだろうか。

 キョンは少しの間だけ動きを止めると
「……ああ。俺自身まだよくわかってないが、多分、好きなんだと思う」
 いかにもキョンらしい答えを返してきた。
「そう」
 十分だった。身体は違うけど、わたしはお前と同位体になる。だからその心はよくわかる。
 わたしは少しだけ微笑むと、キョンの構える銃の射線軸上からハルヒを外すように、ゆっくりと動いていった。
 そしてポケットからあのアーミーナイフを取り出し見せつける。瞬間、明らかにキョンの顔色が変わった。
 当然だ。持っている自分が見てもぞっとする。
 かつて二度にわたりわたしの命を狙った、あの朝倉のアーミーナイフ。
 一つだけある仕掛けが施されているが、それ以外は全く同じものなのだから。


「どうした、撃たないのか。お前がわたしを撃たなきゃ、わたしがお前を殺す」
 そういって挑発するも、キョンは撃つ事を躊躇う。まぁ、普通はそうだよな。
 わたしだってきっと躊躇うさ。
 でも、お前はもう躊躇っちゃダメなんだ。そんなのはあの日に捨てると決意したはずだ。
 わたしはナイフを握り締めながら、にっこり笑って話しかけてやった。

「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
 なるたけ軽い笑顔をみせ、一度目の朝倉の台詞で斬りつける。
「長門さんを傷つけるやつは許さない」
 なるたけ深い笑顔をみせ、二度目の朝倉の台詞で斬りつける。

「ジョン、今の気分にはどっちの台詞がお望みだ?」
 あの時の記憶を呼び覚まされたか、キョンの表情がみるみると変わっていく。
 それでもまだ、キョンは引き金を引かなかった。何でそんなに躊躇うんだ?

 もしかして……キョンはわたしが誰かとか何も知らされていないのか?
 だとしたらキョンに撃たせるのはわたしの役目になる。
 わたしは期待外れと感じた視線を放ち、仕方なくキョンの、わたしの一番痛い部分を突きつけてやった。

880キョンの消失:四日目午前五時:2006/09/08(金) 23:51:24 ID:708HFEQN
「……ここまで挑発してるのに、まだわたし撃つのを躊躇ってるのか。やれやれ、期待はずれもいい所だな」
 そう言い捨てるとキョンに近づく。銃を構えなおすがおそらくただの牽制だろう。
 わたしはここぞとばかりにキョンの頬を思いっきり叩いてやった。

「ふざけるな! 言ってやるが、その気持ちは優しさなんかじゃ決してない。
 今のお前は、ただ自分可愛さにダサい臆病風にふかれてるだけだ!」

 思い出せ、お前が背負っているのはお前自身の事だけじゃないはずだ。


「お前がその銃を撃たないってことは、お前は自分の感情を抑えながらその銃を渡してくれた長門の事も、
胸に悲しみを抱きながらここへお前を連れてきてれた朝比奈さんの事も、全く信用してないって事になるんだ!」

 そうだろ。今のお前の行為は、あの消失した長門すら裏切っている。
 そういえばあの時も、結局わたしは撃たなかったんだったっけ。銃を拾い引き金を引いたのは長門本人だ。
 淡々としていたが、あれは自分自身に決着をつける為だったのではないだろうか。
 ならばわたし達も自分自身で決着をつけなければならないだろう。

「その銃は時空改変のプログラムに過ぎない。本物の銃じゃない事はお前が一番よく知ってるはずだ。
 その銃すら撃てないって言うんだったら、そもそもお前はあの時Enterキーを押すべきじゃなかったんだ。
 そしてこんな馬鹿げた設定や怪しげな陰謀が渦巻く混沌とした世界じゃなく、あの長門が作った優しい世界の中で、
みんなと仲良くただ平和に過ごしていればよかったんだよっ!」

 宇宙人、未来人、超能力者、そんな連中がいる世界のリスクもあの時考えたよな。
 だがキョン、お前は自分でこっちを選んだんだ。
 こっちのメンバーこそが、お前の本当の仲間たちだったから。
881キョンの消失:四日目午前五時:2006/09/08(金) 23:52:00 ID:708HFEQN

「お前、長門が処分されるかもと聞いた時、ハルヒをたきつけてでも救いだすと言ったよな。
 立派な決意だが、あの後雪山でお前はいったい何をした?
 始めて会った時からずっと、お前は朝比奈さんを魔の手から護ってみせると思ったよな。
 じゃあ朝比奈さんが誘拐された時、お前はいったい何が出来た?
 自分には何の力も無いとかただの一般人だとか、そんなベタな言い訳で自分を言い聞かせるだけで、
お前は何もしてないじゃないか!」

 お前の考えなんて手に取るようにわかるよ。
 お前が今まで口にした事、してきた事だって、わたしには全部お見通しなんだ。
 お前がどんなに自分の無力さに苛立ったかも、そんなことを考えている間にも、他の団員達が危険に見まわれる行動を
起こしているかもと何となく感じ、柄にもなく時に眠れぬ夜を過ごしたかも。

 何せキョン。わたしはもう一人のお前なんだから。
 自分の一番痛い所は、自分が一番よく知ってるさ。
 でも、だからこそあえてお前に言ってやるよ。

「結局お前は全て他人任せで、ただ楽しい所だけを味わいたかっただけなのさ。
 あの時のハルヒや、冬の時の長門の様に、自ら動いてみようだなんて事は無い……退屈な男さ」

 そんな事は無いよな? そんなのは気分が落ち込んだ時とかにだけ時々思う、ただの気の迷いだよな?
 自分の内面とこうしてサシで語り合えるなんて、めったに出来ない事だぜ?
 たしかに今回みたいにどろどろした話が年中続くのは勘弁してほしいけど、でももう少しぐらい、
お前を慕う連中の苦労を背負ってやろうぜ。
 わたしがこの三日間で感じ取った、お前に対するみんなの思いを破格のサービスで教えてやるから。

 だから、さ。


「ハルヒや長門や朝比奈さんや古泉に甘えるのも、いい加減にしろっ! ジョン=スミスっ!」


 全てを言い切った直後、わたしはこの三日間の記憶を情報化したナイフをキョンに突き立てる。
 これでわたしの思い出は全て本物に渡ったはずだ。後は。

 直後自分の腹に軽く、それでいて全身に響き渡る一撃を受けていた。


882キョンの消失:四日目午前五時:2006/09/08(金) 23:52:37 ID:708HFEQN
- * -
 その瞬間、一瞬にして視界が白く輝きだした。


『そういうあんたはどーなのよ。男作って楽しめとかいうなら、あんたが作って試してみなさいよ』
『何言ってんだ、お前は俺的ランク外だぜ? って冗談冗談。俺は友人は全部ランク外扱いにするって掟を立ててんだよ』

『あぁ、その『総理』って書いてあるケーキがわたしからのだ』
『わたしがお嫁にいけなかったら、キョンさんずっと一緒にいてくれますか……』

『キョンは昔から変な女だったからねぇ。でもさ、涼宮さんとは気が合うんじゃない?』
『どーしてもっていうなら、あたしでもいいけどさ。それともまさか……キョンみたいな平々凡々が好みなの?』

『メガネない方が可愛いぜ。わたしにはメガネ属性なんて無いしな』
『お譲ちゃん一人かい? お譲ちゃん一人でストーブ持って帰るの、つらくないかねぇ』

『涼宮さんは、あなたを選んだんですよ。女性同士でも子供ができる世界なら、何も問題ありません』
『バニーガールよっ! あぁ、安心して。別にあんたには色気なんて無いものねだりしないから』

『谷口ッ、国木田ッ! 男子連れて教室を出ろッ! 今すぐ急げッ!!』
『これからはあなたに涼宮さんへの連絡とか任せるわ。女の子同士、仲良くしてあげてね』

『キョン、じゃんじゃんボールあげていいわよっ! 阪中さんたちもね! わたしが全部叩き込んであげるわっ!』
『やぁ、キョンちゃんとそれに相手にされないお友達たち、いらっしゃ〜いっ!』



 蚕の中に逆立ち状態で閉じ込められたらこんな気分になるだろうか。


『──おつかれさま、キョン』



 天地もわからずただ情報と衝撃の濁流に飲み込まれ、わたしの意識はゆっくりと途絶えていった、


883キョンの消失:五日目(完):2006/09/08(金) 23:53:46 ID:708HFEQN
- * -

 ……俺が女性となって過ごしていたらしい四日足らずのあの改変劇は、こうして元の姿へと戻った。

 あのキョンが俺に刺したナイフは長門が作成したもので、あいつが体験した数日間の記憶を受け渡すというものだった。
 正直言ってこっ恥ずかしい記憶のオンパレードだ。
 古泉に抱かれ、長門を抱き、朝比奈さんに口づけ、ハルヒと……えっと、いろいろだ。
 気持ちはありがたいが処理に困るぞこれ。特にハルヒの部分。
 あんなの知った後じゃ、まともにハルヒの顔を見る事もできない。
 それもあって、またあいつの記憶でここを見たからもあり、俺は朝っぱらから例の屋上へとやってきていた。

 見晴らしも、吹く風も、今の俺にはとても心地よかった。



 改変中の記憶は、俺以外は誰にも残らなかったらしい。
 再改変を行った長門ですら、その事実を含めて記憶がしっかりと改ざんされていた。
 次に朝比奈さん(大)にあったら、今回の事を詳しく聞こうと思っている。
 話してもらえるかわからないが。



 結局あの騒動で残ったのは、あいつが触れていった他のメンバーとの思いだけのようだ。
 だが、俺はその気持ちが残った事こそ一番重要だと思う。
 だってそうだろ?
 あいつは必死になってこの世界を戻す為、そして俺を復活させる為に一生懸命に生きたんだ。



 なあ、キョン。お前はもしかして俺の中で生き続けてるのか?
 もし生きてるんだったら、どうかそこで見ていてくれ。
 俺も少なくとも、お前のハルヒに対する告白には負けないぐらい頑張って生きていってやるから。



 そしていつの日か、ハルヒが全てを自覚したらみんなに語ってやろうと思う。







 お前という存在が、確かにいたと言う事を。



884キョンの消失:2006/09/08(金) 23:54:26 ID:708HFEQN
- * -

「見つけた! 探したわよ、キョン!」

 やれやれ。今一番顔を合わせたくない、騒がしいヤツに見つかったようだ。
 さて俺はどこまで照れずに向かい合えるだろうね。
 向こうからづかづかと近づいてくる気配に、なるたけ平常心を持って俺は振り向いて見せた。

「どうした、ハル……」
 と、突然ネクタイを掴まれて顔を引き寄せられる。良く見たら凄い怒りの形相だ。

 何だ何だ、何があった。俺が問いただそうとした時、ハルヒは最大級の音量で告げてきた。

「……わたしは認めないッ! 認めないわよッ! ふざけんじゃないわよ、キョンっ!
 あんた、わたしや有希ッ! みくるちゃんッ! 古泉くんッ! それにみんなの事、全部バカにしてんのッ!?」

 な、ちょ、ちょっと待てハルヒ。許さないって、いったいぜんたい何の話だ。
 俺の戸惑いにハルヒは全く耳を貸さず、ただひたすらに、心にまで響く大声で叫び続けてきた。

「うるさいっ!! キョンッ! あんたが、──────」




















「──あんたが勝手に消えて『はいお終い』だなんて終わり方、わたしは絶っっっ対に認めないんだからあぁっ!!」






 ────その瞬間、一瞬にして視界が白く輝きだした。

 蚕の中に逆立ち状態で閉じ込められたらこんな気分になるだろうか。
 天地もわからずただ情報と衝撃の濁流に飲み込まれ、わたしの意識はゆっくりと途絶えていった、
 その時。


「………っざけんなあぁ────────────────────っ!!」

 全ての思いが一つになったような咆哮を聞いた、気がした。


885名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 23:54:52 ID:GJeqaLgX
速攻で立ててきた
【涼宮ハルヒ】谷川流 the 29章【学校を出よう!】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1157727238/
886キョンの消失:四日目午前五時:2006/09/08(金) 23:55:15 ID:708HFEQN
- * -
 何もない真っ白の世界。先ほどまでの喧騒が全く感じられない静寂。
 そこにわたしは立っていた。


「……よう、キョン」
 白い静寂を破り、後ろから声がかかる。振り向くと、そこには本物のキョンが立っていた。
「お前と少し話がしたい。いいか」
「……ああ」

 キョンはわたしの顔を見て、髪へと視線をのばし、身体の方へ軽く落としてから、再び顔に目線を戻してきた。
「全く、そんな格好してるから全然気づかなかったぜ。……まさかお前が俺の女版だったとは驚きだ」
 肩をすくめてキョンが語りかけてくる。
 いったい何がどうなっているんだ。この白い世界は何なんだ。なんでわたしとお前がこうしているんだ。
「ああ、この状況か? 今この世界の外では長門が改変してる最中のはずだ」
 ……そうか。それならいい。わたしが消えるのももうすぐって事か。
 わたしは自分の身体を見つめ、そして白い天を仰いだ。


「お前は、消えないよ」
 そうキョンは呟いた。……って、何だって? 今、お前は何て言った?
「お前は消えない、そう言ったんだ」
 キョンはわたしをじっと見つめながら話してきた。その顔には、これ以上無い優しさが浮かんでいる。

「確かにお前がキョンとして生きた世界は消える。お前もキョンではなくなる。だが、それだけだ。
 お前は消えない。改変後の世界で、お前はキョンではなく、また誰の代わりでもない、お前として生きてもらう事になる」
 話が全く見えなかった。いったい何がどうなったらそんな話になるのだろうか。
 いくらなんでもわたしが存在してたらまずいだろ。
「何でだ?」
「いや、だって……」
「仕方ないだろ。これは団長以下長門、古泉、朝比奈さん、そして俺とSOS団全員の意見なんだから。もう誰にも覆せねえよ」
 お前も? 何でお前まで反対するんだ。お前が一番わたしを消さなきゃならない存在のはずだろ。
 そう聞くと、キョンは逆にちょっとだけ機嫌を悪くした表情を浮かべ、わたしの事を指差して返してきた。

「あんな言われっ放しで勝手に逃げられてたまるか。誰が臆病風に吹かれた退屈な男だって?
 そこまで言うなら俺の記憶から知るんじゃなく、お前自身の目で確かめさせてやる。…………だから、消えるな。
 それと、やれ消えるだ消失だとお前は言ってるけど、俺の記憶があるんならちゃんと覚えておけ。お前は前にこう言ったハズだ」
 キョンは指してた指を引っ込めると腕を組み、ちょっとだけ偉そうな雰囲気を見せて言ってきた。

「ハルヒは何があろうが、人が死ぬなんて事絶対に望まないって」



 孤島でわたしが古泉に言った台詞だ。
 …………そっか、そう言えば、そうだったっけ。

「だから消失は諦めろ。どんな姿になろうとも、キョンはハルヒには逆らえない運命なのさ」
 何度も封印しようと思ったあの口癖と共に、キョンは少しだけ自虐的に微笑んできた。

「……っは、ははっ、ははははははははははっ! そうか。ハルヒが望まないのか。それじゃ確かに仕方ないな」
「ああ、仕方ないだろ?」
 わたしに合わせてキョンも笑ってくる。
 そうだな、仕方ないな。そう何度も言いながらわたしはただ笑い続けていた。

887キョンの消失:四日目午前五時
「お前の持つ俺の記憶は全て封印させてもらう。その代わりとなる記憶や環境は再改変にあわせて用意される。
 ただ……お前はハルヒや俺と同級生にはなれない。訳あって別の学年になる。自覚はないだろうが、それは覚悟してくれ。
 その上で、お前は四年ぐらい前から今日までの間で好きな時点から、こちらの世界で暮らしてもらう事になる。
 四年前以上はちょっと無理らしい。どこぞのハレハレ神様が次元断層を作っちまってるんでな」
 そうか、やっぱりわたしの記憶は無くされるのか。
 ……それは、わたしという存在がここで消失するという事とどう違うんだろうな。

「無くなるわけじゃない、封印だ。消去されたら復活しない。だが封印は解ける可能性がある。
 ……いいか、封印されたら忘れてしまうだろうが、それでも心にしっかりと刻んでおけよ」
 キョンはわたしの肩を掴むと、まさに心に刻み付けるかのように語りだした。

「ある条件を満たせば、お前と長門、古泉、そして朝比奈さんの記憶の封印は解ける。
 その時点でハルヒの封印は解けないが、望むのなら長門に頼めば何とかしてくれるはずだ」
 で、その条件とは。


「……鍵をそろえよ、だ。意味はわかるな? 期限はない」


 鍵をそろえよ……。それはまた難しい条件をつけられたものだ。ハルヒと学年違いでこの条件か。
 朝比奈さんと同じならいいが、更に離れるとちょっときついかもしれない。
 だが、確かに鍵をそろえられる状況でなければ、ハルヒやみんなとあの部室にいる状況が起こせないのなら、
この記憶はそんなわたしの人生にとって必要ないものとなっているのだろう。


「以上、説明は終わりだ。あとはお前がどこからスタートするか、だ」
「……できる限り、一番過去から頼む。記憶ぐらい自分で作りたい」
 わたしは即答した。中学ぐらいからスタートになるが、わたしの時間が長い方が可能性は増える。
 と同時に、わたし自身がゆっくりと輝き始める。銃を喰らった時とは違い、暖かい感じに包まれてる気分だ。


「──悪かったな。今回は俺のせいで──」
 光の渦の外で、キョンが何かを言っている。

「戻ってきたら、おごってやるから──」
 キョン……わたしは、あの場所へ戻ってこられると思うか?


「ああ、それは大丈夫だ。何せお前は──────」



 全ては、そこで途切れた。