死神っ娘がやられちゃうSS希望
2 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 01:21:58 ID:6laaQUuW
2
ぴんぽーん
(ん?誰だ?今日遊ぶ約束したやつはいないはず、夏奈か?)
「はーい。ちょっと待ってくれ」
新聞屋対策としてチェーンをつけてから開ける。
ドアの隙間から黒装束を着た少女が立っているのが見えた。
その少女はどもりながら言った
「あ、あのあなたの魂もらっていいですか?」
俺はすぐにドアを閉め鍵を掛ける。
(俺はなにも見なかった。
さて扇風機にあたりながら昼寝でもするか)
「ちょっ、な、なんで扉閉めるんですか?開けてくださいよ。
お願いしますから。」
(いや、夕飯の支度そろそろするか。腹減ったし)
「あっ、もしかして無視ですか?無視ですね。わかりました。
あなたがそういう態度をとるなら私もそれ相応の態度をとりますよ」
(勝手にとりやがれ、こんちくしょう。
あー勿体ないな。あんな可愛いのにな、この暑さのせいか…
地球温暖化は人にまで影響を与えるのか)
そう思いながらドアに背を向けキッチンへとむかおうとする。
するといきなり何かに腕を掴まれた。
驚き振り返ってみると、
さっきの黒装束の少女が扉から半分体を出し俺の腕を掴んでいた。
「なっ?」
「あ、あなたが悪いんですよ?私だって将来がかかってるんですから」
疲れた。
エロまで持っていきたいが疲れた
さっそくSSが!
続き楽しみにしてますよ!
「あの…どちら様でしょうか…?」
「ああ、お構いなく。仕事を済ませたらすぐ帰る」
「いや、あの…不法侵入なんじゃ…」
「気にするな。今から君の命に不法侵入するんだから」
「はぁ。俺の命に…」
「む、案外落ち付いているな…。今から君は死ぬんだぞ?もう少し怖がったりしてくれないと、こちらも張り合いがない」
「ああ、あなた死神なんですか」
「気付いてなかったのか。なんか頭痛くなってきたな…。まあいい。さあ、眼を瞑れ」
「…あ。開けたままでいいですか?」
「…なぜ?」
「死ぬ瞬間くらい、あなたみたいなキレイな人を見ていたい」
「ば…ばか者!そんなことを言っても、私が君を殺すことは変わらないぞ」
「いいですよ、別に。あなたは美しい。それだけで殺される価値はある」
「っ〜〜…もういい!一思いにころ…うわっ!」
「おっと。大丈夫ですか?死神もドジするんですね」
「は、はな…は」
「はな?」
「離さないか、このスケベ!」
「あ…すいません。でもケガは…無いみたいですね」
「ふ、ふんっ…それがどうした」
「よかった…」
「…っ」
「どうしました?」
「…今日は、気勢が削がれた…。もう、殺す気分じゃない…」
「じゃあ、また来てくださいね?今度は紅茶とケーキくらい用意しておきます」
「…チーズケーキ」
「了解です」
「ふんっ。じゃあな」
「…行ったか。よかった、助かった…」
萌え
作戦勝ちですね
死ななくてよかったなの一言
小学校の同級生が、右手にYシャツ左手にクリームパイを持って襲いかかってくる。
(……はっっ!?)
夢だった。
目を覚ますとなぜだか右腕を腿ではさみ込むような体勢で、手首から先がしびれていた。
枕元の水のボトルを体が欲したので、電気もつけずにまさぐる。
「ひゃっ!!」
……ひゃっ? だって?
何かをつかんだようだが、眼鏡がないのでよく見えない。すべすべしている。
さわり心地がいいのでしばらくなでてみる。でもボトルと違うので離す。それより水だ。
「あふっ、あのぅ……」
暗いこの部屋にどうも自分以外の誰かがいるようだ。怪しからん。
飛び起きるや否やぼう、と白く浮いている誰かに詰め寄る。
近寄らないと、裸眼ではよく見えないからだ。
「わわああああのっ」
顔を近づけると、人の眼鏡を勝手にかけているその人物。やぶ睨みされビビっているようだ。
胸元に抱えている、これも枕元に置いておいたはずのペットボトルを取り返す。
いったいどういう積もりだ?
「は、はい……?」
いろいろ聞きたいことがあるが、まず眼鏡を返せ。
しぶしぶといった表情でその人物は、おずおずと外した眼鏡を差し出した。
話を聞いてみると、この人物、死神らしい。枕元に鎌を持って立ってるというアレだ。
人畜無害そうににへらぁ、と笑う白いワンピース姿のこの少女がそうである……とはにわかに信じ難いのだが。
「ごりかいいただけましたか?」
無理。
近いうちに死ぬ予定もないのに、そんな悟りが開けるか。
「こまりました……」
お互い様だろうが……下手に追い出して騒がれて、未成年者略取とかあらぬ疑いをかけられても面倒だ。
「いえ、わたしはほかのひとには、みえないしきこえないとおもいますよ」
そう言うと、死神はおもむろに壁を殴った。
ばっ……派手に響いたようだが、あいにく隣は空き部屋なんだよ。
あーあ、うずくまって涙目になるくらいなら、やめとけってのに。
「うううううぅ〜」
擦り傷になってないようなので、冷凍室からカップのかち割り氷を出して冷やしてやる。
少し笑った。
最初の夢ワロタw
保守
死神ってあれか、小野塚小町とかか
そんな感じ
15 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 17:23:14 ID:vMW9Lyg7
誰か書きなさいよ
ふと思ったんだが、ここって版権ものもOKなのか?
特に指定は無いから、序文やらメール欄に
出典元とか明記すれば版権ものでも良いんじゃね?
18 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/05(木) 21:50:38 ID:maF6VnL+
期待age
死神っていうと悪魔城ドラキュラのせいでいい思い出がないんだが。
最近の死神はハゲで善人ぶって内面吐き気をもよおすくらい邪悪だし
幽遊白書の霊界案内人=死神のぼたん、とか
ブリーチの元祖死神、ルキアとか
色々いるじゃない。YOU、書いちゃいなYO
もちろんオリジナルも大歓迎よ。
YOU、書いちゃいなYO
ヒュイン
突然、俺の目の前を何かが通った。
ゴトリと音を立てて崩れ落ちるワインの口。
赤と白の液体が混じったところにそいつはいた。
・・・そして、そいつは俺に微笑みかけた。
キレイだった、とてもそうとは思えない白い肌。その肌に映える黒い髪。年相応にみられないである童顔。
そして、そのなんとも言えない、引きずり込まれるような 笑顔
そいつに俺は見とれていた。間違いなくみとれていた
・ ・ ・
そいつは何かをいった。そしてその顔に満面の笑みを浮かべる。
何だろう?身を乗り出す俺。そこでまた、ゴトという落下音が・・・
何だろう?これは?
俺が『俺』を見上げている。 ・・・首のない『俺』を
ハハハ 落ちたのは俺でした。
最後にもう一度そいつを見よう。そしてそいつの服を見ると俺は意識を失った。
『ウォルター』と書いてあった
_ ∩
( ゚∀゚)彡 続き!続き!
⊂彡
死神ウォルターはどうなっちゃうんだろうねぇ
キャラクタも片っ端から死んでくし、ヒラコー話まとめられるんだろうか
よーしおじちゃんがんばっちゃうよー
カシュン カシュンと金属のこすれる音の響く戦場。
そこに そいつは いた
踊っているようだった。 その黒い体を翻しながら。
ヤバい。誰が言うわけでもないが、俺達は一斉に引き金を引いた。
ヒュバババババ!!!
弾丸が『奴』に目掛けて殺到する。戦場を交錯する。
奴は躍りながら次々に弾丸をかわしていく。
そして、奴が踊るたびに 仲間が次々に消えていく。
だめだ。もう、奴はヤバい。もう、あの軍隊はいない。
もう、残っているのは俺だけだ。
引き金を引いた。いつまでも引いた。
既に俺の銃は銃の役目を終えていた。
だめだ……
俺が腰の斧に手をかけると同時に 一筋の赤い光が『俺』を掻き消した。
連邦の 踊る黒い死神め………
_ ∩
( ゚∀゚)彡
⊂彡
28 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/13(金) 22:37:45 ID:NvNtoqGx
いつからこのスレは死神『に』やられるスレにw
29 :
(TAT){最高じゃん:2006/10/13(金) 22:41:50 ID:/G9g2qvB
いいねえ
13日の金曜日に13巻を出した某サスペンス物の死神が出てくると思った俺負け組
31 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 22:47:08 ID:17kdEIU6
全然死神っ娘がやられちゃってないじゃないか。
誰か頼むよ
デュオ=マクスウェル
ごめん言ってみただけ
33 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 17:04:09 ID:bfGBBgW9
僕は自動的なんだよ
34 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 00:20:16 ID:jfJpBa5P
青年が置かれているこの状況は客観的に見れば、『棚からぼたもち』というヤツだった。
打ち所次第では死ねるほどの神速でぶつかって来た可憐なるぼたもち。彼女と出会ったことで青年の只でさえ迷走気味だった人生航路は哀れ、さらなる混沌の海域に向かわされる事となる。
そして二人が契りを交わす今宵、表紙はゆっくりと開かれる。嫌でも綴られる物語。それは感想文のために読むことを強制される、夏休みの課題図書のようなものなのかもしれない。
「……あんた、誰?」
困惑気味の表情を顔面全体に浮かべながら、鯨波 映夜(いさなみ えいや)は眉をハの字に下げ、恐る恐る口を開いた。
眼前に佇むその少女は彼の問いも何処吹く風といった様子でベッドに腰掛けたまま、三角形に切り分けられたチョコレートケーキを手掴みでむしゃむしゃと頬張っている。
彼女の着ている服はモノトーンを基調とした、いわゆるパンクファッション。ゴシック・ロリヰタと混同されがちの、ガールズバンドがよく着るアレだ。
映夜はアパートのフローリングに正座。そして少女は前述の通り、ベッドの上。高低差が生んだ粋な悪戯により、泳夜の目線の位置は丁度、赤いチェックのプリーツミニの奥……柔らかそうな太股の間からちらちらと覗く、純白の三角地帯の正面にある。
腹が減ったらご飯を食べる。
眠たくなったら布団に潜る。
見えりゃあ当然パンツ見る。
学校でも学習済の、ヒトとしての三大欲求。古代から受け継がれた偉大なる本能に、たかだか生後十九年三ヵ月の若造が抗えるハズもない。初めてナマで見る近距離対面での『それ』に視線を集中させる映夜の耳に、呆れたような少女の声が届いた。
「なに見てんの? パンツ?」
穴でも開けようかという熱視線を注がれていることに気付きながら脚を閉じようともしない彼女はもしかすると、かなりの猛者なのかもしれない。
「あ、いや……。つ、つーかあんたも悪いって言うか……。 こんなの見せてるようなもんじゃん!」
露骨過ぎる覗き方故に否定も出来ず、しどろもどろに逆ギレする映夜を楽しげに眺めながら、少女は指に付いたクリームをペロペロと舐める。ムラムラモードの映夜にはその何気ない仕草すら、無駄にエロティックなものに見えた。
「……で、誰なんだよ、アンタ?」
油断すれば下がろうとする目を上へ、上へと向けながら、映夜は改めて問い掛ける。
親指から舌を離して少し思考を巡らせた後、少女はにっと笑って口を開いた。
「お茶。そうね……出来ればミルクティーがイイかな?」
「……はあ!?」
口角を猫のように上げた無邪気な笑み。正直かなり好みな顔でも、突然現れ、冷蔵庫を漁り、ベッドに陣取り、我が物顔で居座る少女の狼藉をこれ以上許容出来るほど、映夜の器は大きくない。
例え田嶋先生に怒られることになろうが、無理矢理叩き出してやる。そう決意し、立ち上がったその瞬間、彼の首筋を一陣の風が過ぎた。
「……!」
額に脂汗を浮かべながら、目をそちらへと向ける。すると彼の首筋に、硬質な棒状の物が突き付けられているのが見えた。
「何だよ……これ……」
引きつった顔で、よろよろと後退る映夜。
「……危ないわよ、後ろ」
少女の静かな忠告に恐る恐る振り向いた彼は理解した。彼女が携えた物の正体を。
部屋の壁に届きそうなほどに長い柄は三メートルはあり、その先端には歪に曲がった巨大な刃が備えられている。刃渡りは四メートルと言った所だろうか? それは長大で、鋭く、美しい鎌だった。少女はその規格外な武器を片手で笑顔のまま、易々と保持している。
「じゃ、お願いね。ミルクはいっぱい。砂糖は三個」
物騒なモノをこちらに向けたまま、機嫌良さげにオーダーを告げる少女の笑顔を背に、すごすごとキッチンへと向かう映夜。
内心、涙がちょちょ切れそうな心境だったが、彼は振り返り、せめて一つだけと尋ねた。
「……名前ぐらい、聞かせてくれてもいいんじゃないの?」
「あたし? 名前はアスラ。性はまだ無い。……これでイイ?」
それが彼らの間に成立した、初めての会話だった。映夜は少女の名前を咀嚼するように何度も、心の中で繰り返す。そして彼の脳裏に浮かんだもの。それは少女と同じ名前の、B級映画の一場面だった。
一部、主人公の名前を直し損ねた部分がありますが、そこはスルーでお願いします……orz
至らぬ文章ではありますが、暫くお付き合いください。
ではまた……。
GJ!
39 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 08:57:53 ID:KzFh5OPa
「ひゃあっ!? 違います〜、私、死神じゃありませぇ〜ん!」
ここは……どこだ? 何で俺はこんな所にいる。
見渡す限り一面の花畑。 遠くには向こう岸が見えないほどの河が見える。
そして河に向かって進む行列。 其の列の中に俺もいるわけだが――。
何なんだこの列は。 どいつもこいつも生気の無い抜け殻みたいな顔をしてる。
まるで死人の様――。
そこまで考えて俺はハッとした。 この光景って話に聞く死後の世界の入口……?
って事はこの行列は死者の行列?
そして続けて脳裏によみがえってきたのは蛇行運転しながらつ込んでくるトラック。
って事は俺は死んじまったのか? イヤだ! 未だ死にたくねぇ!
落ち着け……。 落ち着いてよく考えるんだ。
ココが死の世界じゃなく未だ入口なら助かる望みがあるんじゃないのか?
するとひとつの事に気づいた。
俺の体をぼんやりと光の膜のようなものを包んでるのを。
そして其の光が一部が細長く伸びてるのを。
コレって若しかして魂の緒……? って事はコレを手繰っていけば――助かる?!
助かるかもしれない。 そうと分かれば行動あるのみ!
俺は行列を抜け光の緒を手繰りながら走り出した。
そして暫らく走っていると突然声をかけられた。
「チョットそこの貴方! こんな所で何やってるの?」
声のした方を見れば一人の少女が立っていた。其の姿に俺は目を奪われた。
少女はまるで漆黒の闇のような真っ黒なローブを身にまとい、手には巨大な鎌という異様な風体。
だが目を奪われた何よりの理由は其の少女の持つ浮世離れした美しさ。
まるで彫刻のように整った顔立ち、黒真珠のようなつぶらな瞳、艶やかな黒髪、
白磁のような透けるような白い肌は美しい黒髪と漆黒の衣服とは対象的で、
それ故に際立つ肌の白さが美しく、そして艶かしい。
「もう、何やってるのよ。 ちゃんと列に並ばなきゃ駄目じゃない」
思わず見惚れてた俺は彼女の声に引き戻された。
そして彼女は俺の手を掴む。 其の手の温もり柔らかさに俺は思わずドキリとする。
「全く、手のかかる人ですね。 そんなんじゃ成仏できないわよ」
其の言葉に我に返る。 そして俺は彼女の手を振り解き叫んだ。
「じょ、成仏?! 冗談じゃない! 俺は未だ死にたくなんか無いんだ!」
「聞き分けの無い事言わないで下さい。 貴方は死んだんですよ?
わがまま言って余計な仕事増やさないで下さい」
「イヤだ! 死んでたまるか! だって未だココは死の世界の入口だろ?!
この魂の緒を辿れば元の世界に戻れるんだろ?!」
返事は無い。 って事はやっぱりそうな……ってうわ!
彼女は突然手に持った大鎌を振り下ろした。
「あ、危ねぇな! 何すんだよ!?」
「貴方が聞き分けない事仰るからです。 ココにきた以上は素直に観念してください」
「五月蝿ぇ! 大体あんた何なんだよ?!」
俺が叫ぶと彼女は静かに口を開く。
「そう言えば私が何者か申してませんでしたっけ。 では申し上げます。 私は死神です」
「な?! し、死神?!」
「そうです。 死んだ人を死の世界へ導く水先案内人。 それが私の仕事です」
確かにさっきからの彼女の口ぶりと漆黒のローブに大鎌という出で立ち
そしてココが死の世界であるとを考えれば頷けなくも無い。
「分かっていただけたようですね」
どうやら彼女は俺の沈黙を理解したと受け取ったようだ。
「分かったら、さぁ列に戻ってくださ……」
「断わる! 確かににあんたが死神だってのは理解できたが、でも死ぬのを納得したわけじゃない!」
俺が叫ぶと彼女は一つ溜息をつきそして口を開く。
「そうですか。 仕方有りません。 では実力行使といきます」
「じ、実力行使ってもうとっくにやってるだろ?! さっきも切りつけてきたし!」
「あれは警告です。 今度は本気でいきます」
そう言って死神を名乗った彼女は大鎌を振りぬいた。
「う、うわあぁぁぁ……!」
ってあれ? 切られてない……?
その時俺の疑問に応えるかのように彼女は口を開いた。
「光の緒を切りました。 コレでもう緒をたどって現世に帰ることは出来ません」
「な……?!」
言われて俺は自分の体の周りを見た。無い……、無くなってる?! 頼みの綱だった魂の緒が?!
「さぁ、もういい加減に観念して……ってキャァ?! な、何を……」
俺は感情のまま彼女を押し倒し、そして叫んだ。
「喧しい! 観念しろだぁ?! 出来るわけ無いだろ! 未だ俺16だぞ?!
未だ女の子と付き合った事もないんだぞ!? それなのに……」
そこまで叫んで改めて目の前を見た。
そして其の服に手を伸ばす。
「ちょ……! や、止めてくださ……!」
「黙れ! このまま女の体も知らないまま死んで溜まるか!」
俺は抵抗しようともがく彼女を押さえつけ睨んだ。
瞬間少女の顔に脅えの色が浮かぶ。
そして服を掴んだ手に力を込め引き剥がそうとして時少女の体から抵抗が消えた。
ふん、観念したというわけか。
そう思い其の顔を見れば――。
「オイ! 何だ其の表情は?! 何で抵抗しない?!」
「貴方が私を抱いて……それで満足して逝けるのなら……」
そう言った少女の顔は全てを受け入れたかのような静かなもの。だが其の体はかすかに震え――。
俺は彼女の服から手を離し立ち上がる。
「ゴメン」
そして頭を下げた。
「考えてみればあんただって仕事でやってるんだものな。
それなのに俺ばっか勝手なこと言ってすまなかった」
そして俺は手を差し伸べた。
「立てるかい?」
「あ、はい」
そして彼女は俺の手を掴み立ち上がった。
彼女が立ち上がったのを確認すると俺は口を開く。
「じゃぁ俺もう行くから。 色々手を煩わしちゃってゴメンね。 それじゃぁ……」
そう言って俺は向こうに見える死者の列に向かって歩き始めた。
「あ、あの……」
「何?」
「ほ、本当にいいんですか?」
「うん、確かに本音を言えば未練たらたらだけど……。でも見苦しい真似するのもみっともないしね」
今思い返してみてもさっきの俺は最低だった。
だからこそこれ以上醜態は晒したくなかった。
そして俺は笑って見せた。 はっきり言って只のやせ我慢、空元気だけど。
「じゃぁね」
俺はそう言って踵を返し手を振り列に向かおうとしたところ手を掴まれた。
「コッチ……」
「え……?」
そして彼女は俺の手を引き走り始めた。
彼女に手を引かれ辿り着いた場所――そこは洞窟だった。
「ココを抜ければ現世に帰れるわ」
「え……? あ、あの」
「帰りたくないの?」
「そ、そんな事無い。 帰りたいよ!」
「じゃ、入って」
「う、うん」
俺は言われるままに洞窟の中に入った。瞬間とてつもない心細さと寂しさに襲われ……。
「お、おい……」
「振り返らないで!」
言われて俺は後ろを振り返ろうとした首を慌てて正面へ向きなおす。
「一本道だから迷わず帰れるはずよ。 そして、絶対に振り返らないで。 何があっても」
黄泉路からの帰り道は絶対振り返るな――神話や伝説で聞いたままだ。
って事はこの先は本当に……。
断たたれたと思った望みが繋がったと思った瞬間嬉しさのあまり涙が滲んできた。
「ありがとう」
俺は背後の彼女に向かって声をかけた。
「あ、そう言えば君の名前……」
「急いで! もたもたしてると気付かれるわ! さァ早く!」
彼女の名前が気になるが、しかしこうやって急かされると言う事は急いだ方が良いのかもしれない。
「ありがとう」
そして俺はもう一度彼女にお礼を言い、そして真っ直ぐに駆け出した。
続くかもしれないし続かないかもしれません
では
続けぇ〜!
続き読みたし
是非とも続きを
最近、ブリーチを読んでみたらルキアが普通の人間っぽくてビビった。
ルキアって、読み切り(井上の父親の鎖が引き抜かれてた話)ではマグカップで入浴するような小人じゃなかったっけ?
51 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/22(日) 21:41:16 ID:OJj2KEeS
まだ1回も死神っ娘がやられてないよ!?
>やられる
和姦はありか?
あり!
しかしできれば無理やり…
だが、甘いのも捨てがたい
アンディーメンテかとおもたよ
56 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/25(水) 22:54:31 ID:OtMGIN/C
(´・ω・`)いいから早く誰か何か書きなさいよ
57 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 02:49:31 ID:qwzgF029
今このスレ見つけて、衝動的に書いたやつ。
「ナンダコリャ?」
思わずカタコトになっちまったが、とりあえず状況を説明しよう。
目の前には何か電柱と衝突してペシャンになって黒い煙が上がってるトラックがある。
その近くの横断歩道には人が群がって、パトカーやら救急車やら来てる。
そして何よりこれが一番ビックリしたんだけど、群がってる人の中央に俺が頭から血出して倒れてる。
「………えっと」
考える。とりあえず俺を見てる綺麗なお姉さんの胸を揉んでみる。感触はない。何よりお姉さんは全く俺に気づいていない。
他の奴らにも色んな事をやって見ても俺が見えていないようだ。
「どうなってんだ……」
全員俺をハメる為のドッキリか何かですか?
「君は死んだんだよ」
「あ?」
その時、俺の頭上から声がしたと思って上を向くと、黒いローブみたいのに身を包んだちっこい奴が振ってきた。大きな鎌を持って。
「やぁ、こんにちわきゃっ!!」
そしてコケた。多分本人はカッコよく着地しようとしたのだろうが、もう気持ちいいほど顔面からコケた。その際、鎌は地面に落ちた。
「いたた」
「何だお前は?」
「あ、い、今の見た?」
「うん」
「……今のは忘れるように、これは命令! とにかく、君は死んだの! さっき交通事故に遭って」
鎌を取り、起き上がったチビはいきなり妙なことを言い出しました。容姿は、黒く首元あたりまである髪の毛に、淡い緑色の瞳が綺麗な人形のような女の子。
そしてこのチビはいきなり俺が死んだなどと言っているが、信じられるわけない。
「証拠は?」
「君は目が見えないのかな? 目の前で死んでるでしょ?」
ガキの言う事はもっともだ。しかし、んじゃ今しゃべってる俺は何だ?
そう聞こうとしたら、チビが先に口を開けた。
「今の君は言わば幽霊。そして私は、君を地獄に連れて行くために来た死神」
「死神? 死神って、あれか? 刀を変形させてバンカイとか言ったり、斬って斬って斬りまくるとか言ってる、アレか?」
俺は死神と言われ、まず頭によぎった漫画を言ってみると、案の定チビは呆れたようなため息を吐いた。少しむかついた。
そしてチビはいきなり俺の手を引っ張る。
「っておい、何すんだ!?」
「何って、今から地獄に連れて行くんだよ。どうせ君みたいなフツーな人は、この世に未練なんてないでしょ?」
鼻で笑われ思いっきりバカにされた俺は、チビの手を引き離す。
「バカにするなよ! 未練ぐらいある!」
「じゃあ言ってみてよ」
怒鳴り口調でチビに言っても、チビは全く同様もせずに即答で聞いてきた。
しばらく考える、するとあった俺の未練。
58 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 02:51:10 ID:qwzgF029
「俺はまだ童貞だ!」
胸を張って言うが恥ずかしかった。しかし、また呆れられると思ったがチビはキョトンとしていた。
「どうていって、何?」
「は? お前、死神なのに童貞も知らんのか?」
「知らないものは知らないんだから仕方ないでしょ」
笑うように言うと、チビは少し頬を膨らませムッとした。
「いいか? 童貞って言うのはだな、簡単に言えばまだエッチしてないって事だ」
「何だそんな事か。なら私を使いなよ」
「はっ? ち、ちょっ――」
チビは差も平然と言いのけた。俺はまさかのリアクションに焦るが、その前にチビは持っていた大鎌で俺のズボンの股間部分だけを斬り、わが分身を露出させるとその場で少ししゃがみこむ。
「それじゃあさっそくやるから、ちゃんと満足するんだよ?」
そしていきなり分身を咥えこむ。手では味わったことのない快感に思わず声が漏れてしまう。
「んっ、ぴちゅっ、おおきい、はいりきれない……んぁっ、れろ」
チビは分身の半分ほど咥えると、一旦口から離し舌で亀頭、竿、袋部分と丁寧に舐め始めた。咥えれるのもいいが、これはこれで気持ちよく、俺は呆気なく果てた。
「んあっ! だ、出すなら出すと言う!」
俺の白い液がチビの顔を汚す。チビは少しビックリしたのか俺に怒鳴り散らし、俺は反論できない。
しかし、チビの手は分身を離そうとはせず前後にシゴき続け、それにより分身は復活した。
「どう? 私も幽霊みたいなものだからちゃんと気持ちいいでしょ?」
「あ、ああ」
「それじゃ、さっさと入れて」
チビは完全復活した分身から手を離し、ローブの下半身部分を捲り上げ、足をM字にする。
まだ毛も生えておらず幼い秘所が丸見えですっかり濡れている。それを見て、俺は唾を鳴らし、その場に正常位の形をとり分身を幼い秘所へとあてがい一気に腰を沈めていった。
「っく……!」
「あぅっ、おっきい……」
そしてチビの膣に分身が入ったものの、膣内が狭すぎて半分ほどしか入らなかった。
しかしそれだけでも俺には快感の波が押し寄せ身を振るわせる。
「どうしたの? 動かないの?」
「わ、分かってる」
と、少し瞳を潤わせているチビに強く言うものの、もしかして動いた瞬間出てしまうのではという不安があった。
だが、俺はそれでもいいと思って腰を引く。やはり凄い快感がくるが、我慢できそうなのでそのまま突く。
「はぁっ! あぁ!」
チビはガキのくえに色っぽい喘ぎを聞かせる。チビにとって、自分の膣を余すところなく攻められているのだから当然だろう。
「んんっ! な、なかなか、うまいじゃない、はじめてに、はぅっ、しては」
「くっ、ぅっ、も、もう……ヤバ」
俺の分身は既に限界を向かえ、幼い膣内を汚さんと膨らみだしていた。
そして、チビの膣内が再びキュウッと締まったとき、俺は彼女の中にそれを放った。
「っ! んっんんっ! だ、だから出す時は出すと……」
チビも俺の射精を感じたのか身を振るわせ、俺を少し睨むが、その間も放出は続いていた。
放出し終えると、ゆっくりとチビから分身を引き離しその場に倒れこんだ。
「ハァ、ハァ、ふぅ……これで満足でしょう? ではいきますよ?」
「え? もう? すこし休ませ、せめてズボン直して〜〜!!」
そして俺は、ナニ丸出しのまま地獄に連れて行かれた。
つか、俺何か悪い事したっけ……。
まぁなんだ……ごめん。
わたしのぼうけんを終わらせるような男死神が攻めるのはだめ?
って
>>1は娘と言ってるね。ごめん。
60 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/26(木) 16:44:24 ID:oG8N+Fud
AAスレが元ネタで擬人化とかはだめかな?
結構おもしろいとこあるんだが。
_ ∩
( ゚∀゚)彡 もっと!もっと!
⊂彡
>>61 AAでそんなのあるの?どんなのか知りたい。
>>63 http://vip.main.jp/ VIPでたまに投下されてる小説、エロはあまり無し。
キャラクター一例
(´・ω・`)→ショボン
('A`)→ドクオ
( ^ω^)→ブーン
川 ゚-゚)クー
ξ゚听)ξツン
etc.
65 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/27(金) 19:56:39 ID:xRwjbc3K
死神というのを見て、まずWの黒いガンダムが頭をよぎった。
うん、ただそれだけ
デスノートの映画…………。
友人から糞だとは聞いていたが……。
ここまでとは……orz
誰か原作のリューク並に萌える死神、プリーズ!!
…萌えるか?
68 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 21:46:53 ID:ZwelnCK5
保守
69 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 00:26:49 ID:3+dpgvpm
スレ違いでスマンが連投ってどうやるんだ? 作った小説を分割してコピーペーストの繰り返しで書き込むの?
そだよ。
71 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 04:12:03 ID:3+dpgvpm
レスありがとう
俺的に死神は結構ストライクなので出来たら何か書けるよう頑張る
72 :
名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 12:29:58 ID:upm4DSC9
宣言どおり書いたのだが、微妙にスレにあってないかも……
でも投下していい?
75 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 22:42:23 ID:fuEpXyWT
とりあえず投下しますね
レズノート
page.1 痴女
「このノートに名前を書かれたものは死ぬ」……。死神りゅーく(♀)が落とした『ですのーと』。それを手にし、理想の社会を築く為、犯罪者を粛正していく「きら」こと夜神らいと(♀)。それを追う者「える」(♀)。
えるはレイの不審な死から、北村家と夜神家に盗聴器と監視カメラを仕掛けた。しかし、らいとは部屋に誰かが侵入した形跡からそれに気付く。えるVSらいと!カメラを通しての戦いが今、始まる……。
wktk!come on!
(部屋には盗聴器と監視カメラ……まずは怪しまれないために……)
らいとは部屋の鍵を閉めると鞄を放り投げベッドにすわった。そしておもむろにその手が胸と下腹部にのびる。
「そ……そんな……あの真面目な娘があんなことを……」
モニター越しから見る娘の淫らな姿に顔をしかめる幸子。
「17歳なら普通です。私も毎日8回はやっていますよ」
その隣のえるはモニターを凝視しながら平然と答える。
「まさか竜崎……家の娘を……?」
「はい。だからこうやって盗聴器と監視カメラを仕掛けたんです」
やはり目をモニターから離さずにえるは言った。
(…………)
らいとの行為をまじまじと見つめる少女。短い黒髪に透き通るような白い肌をした体には、胸と下腹部を隠すだけの最小限の布とゴツイアクセサリーだけを纏っていた。
「…っといけね。監視カメラ探さなきゃ」
ようやく我に戻った死神りゅーくは早速部屋中をあちこち捜し回った。
「お!一個発見」
「く……うぅん」
「またまた見つけた」
「うぅ…」
「…こんな所にもか」
「くああっ」
「…………」
りゅーくが必死でカメラを探している間にもらいとの行為は激しさをましてゆく。
「……らいと、オレはきらの味方でもなけりゃ、えるの味方でもない」
(……?)
りゅーくはカメラを探すのを中断し、まるで独り言のように声を発する。
「だから、これからオレがやる行為は、オレ自身が気持ち良くなりたいから……やる」
「!!!」
りゅーくが突然ベッドに座るらいとの背後をとった。
えるに監視されている手前、下手に動くことが出来ないらいと。りゅーくは嬉々とした様子でらいとに抱きつく。その手は豊満な胸に。制服の上からカメラに見えない角度で揉みしだく。
(くっ……バカ……りゅ……く……ううっ)
えるに見られている。感じても、あまり大きな声を出せない。そのシチュエーションで死神にやりたい放題にされる。これだけでらいとはイッてしまいそうだった。
(……た、耐えろ!今イクのはあまりに早すぎて怪しまれ、っ、る)
はぁはぁと呼吸が荒くなる。そんな様子を知っているにも関わらず、りゅーくはというと、
「誰かに見られるのは興奮するな」
(お前は見られてないっつーの)
「下もこんなに……いいのか?新世界の神がこんなに淫乱で?」
(誰のせいだと思っている)
りゅーくはその両手をゆっくりと下げると、らいとの秘部をなぞる。それも執拗に、何度も何度も。
(くそっ、もうダメか……いや、あと30秒、30秒でイこう)
人生で最も長い30秒だった。
「も、もう…ダ……メ……」
らいとの意識がトンだ。凄まじい解放感と快楽の渦に飲み込まれ、らいとはある意味で昇天したのだった。
おわり
以上です。初めてのSS至らない点ばかり。
ごめんなさいorz
乙。
至らない点がどうのと言ってるんでいらないこと言ってみるが、
性転換ものならその旨を付記しておいた方がいい。
84 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 00:51:02 ID:DTWTCUmU
ほ
85 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 01:05:50 ID:DTWTCUmU
しゅ
よくわからんがGJ
どどんまい
88 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 21:39:44 ID:r9SctNKU
よし、書こう。
一週間ぐらい時間をくれ。
期待
期待!
89氏ではないですが、書きあがったので投下します。
「はぁっ……はぁっ……そ、そんな……」
私は適当に飛び込んだ路地の奥、行き止まりになっている場所で足を止めた。
どれくらい走り続けたんだろう。
3方が高い塀に囲まれた、文字通りの袋小路で絶望に暮れる。
ここがどこなのか、自分でもわからない。
無我夢中で逃げ続けるうちに、どうやら全く知らない場所にまで来てしまったみたいだ。
膝がガクガクと震え、一度足を止めてしまうと、もう一歩たりとも進めそうにない。
走り出すどころか、立っていられることすら奇跡のようだった。
それに、さらに逃げるためには一度引き返してこの路地を出ないといけない。
今の私に、どんな短距離であっても引き返すことなんてとてもできそうにはなかった。
「そ、それに……ここまでくれば……」
私の淡い期待を裏切るように、背後からトン、と軽い靴音が響いてくる。
「ひ、ぃっ……」
本能的にその音から逃げようとする。
けれど長時間に渡って酷使され続けた私の両足は、もう脳からの無理な命令には従ってくれなくて、上体だけが前に行こうとした結果地面に身を投げ出すように転んでしまう。
そうなってしまえば、立ち上がることなんてもうできるはずもなかった。
背後からは靴裏とアスファルトが擦れるかすかな音が徐々に大きくなりつつある。
振り返って見るまでもなく、背後にはあれがいる。
「やだ……やだよぉ……」
他人の物のように全く反応しなくなった両足に頼るのを止め、腕だけを使って這うように前に進む。
制服が汚れるのを気にしている余裕はない。
逃げなければ、そもそもこの制服を着て学校に行く明日なんてこないのだから。
だけど、ここは行き止まり。
すぐに正面の塀にたどり着いてそれ以上は進めなくなってしまう。
まるで私の人生を暗示しているかのような袋小路。
唯一開かれた背後からは、あの女の子が――。
「もう、諦めなさい」
静かな声。
その声に反射的に振り返る。
そこにいたのは学校からの帰り道で出会った1人の少女だった。
長い黒髪や黒いワンピースは夜の闇の中へ溶け込むようで、対照的にありえないほどに白い顔と手足だけが、そこに浮かんでいるかのような錯覚に陥ってしまう。
私と同じ距離を走ってきているはずなのに、その様子に出会った時とわずかな違いも見つけられない。
そのことに、どうしようもないほどの格の違いを思い知らされる。
私と彼女の距離は数メートルほど。
少女の年齢は、外見からするとせいぜい10歳程度だろう。
尻餅をついた体勢の私を見下ろすその視線は、その外見年齢には到底相応しくない無機質なそれ。
出会った瞬間に、目の前の相手が自分とは違う別の何かだと直感的に悟った私は、生物としての本能に従ってすぐさまその場を逃げ出したのだ。
だけど結局はそれも無駄なあがきに過ぎなかった。
逃げ切れるわけなんてなかったんだ。
出会ってしまった、その時点でもう終わり。
目の前の相手はそんな存在だった。
「お、おねがい……なんでもするから、だから……」
頭では無駄だとわかっているのに、口が勝手に動いて惨めったらしく命乞いをする。
「し、死にたくないの……」
その瞬間、それまで精巧にできた仮面のように全く変化がなかった少女の顔に、かすかな、本当にかすかなものであるけど変化が生まれる。
わずかに顔を覗かせたのは、哀れみの感情のように私には感じられた。
そこに一縷の希望を感じ取った私は、慌てて言葉を続けようとする。
けれど――、
「あなたはもう死んでいるの。
これは、もうどうしようもないこと」
またしても仮面のような無表情に戻って、少女が言う。
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
だって、私はまだこうして――。
目の前の少女によって今にも吹き消されようとしてはいるけれど、それでもまだ今この瞬間は――。
混乱する私の目の前で、それまで何も持っていなかった少女の手に長い何かが現れる。
その柄も、その刃も、まるで夜がそのまま凝り固まったような禍々しい凶器。
それは年端もいかない外見の少女が持つにはあまりにも不似合いで、それと同時に私に死をもたらすその存在にはあまりにも似合いすぎていた。
後ろに下がろうとした私の背中はすぐに固い壁に触れ、それ以上は下がれなくなる。
この期に及んでも、涙は不思議と流れなかった。
奇妙なほどはっきりとした視界の中、目の前まで歩み寄ってくる少女。
高々と振り上げられた大鎌。
その刃が、月の光をぬらりと反射した。
「まずは1人」
地面に転がる女性の生首。
恐怖に引きつった表情を貼り付けたそれから視線を逸らし、死神の少女――レアは小さくため息をついた。
自分がやらなければいけないことと理解はしているものの、何も覚えていない相手に引導を渡すのは何度経験しても慣れるものではない。
彼女は最期の瞬間までレアに殺されると思っていた。
実際には数週間前に本来の生を終えているにも関わらず、彼女はそれを知らずにそれまで通りの生活を続けていたのだ。
その死があまりにも突然だったりすると、時折このような現象が起こる場合がある。
そんな迷える魂に引導を渡すのが死神の本来の仕事ではあるのだが、今回は多少事情が違っていた。
一つの町で同時多発的に何人もの人間がそうなっている。
そこには明らかに何者かの意思が感じられた。
それ故、今回のレアの仕事には被害者たちの処理に加え、その何者かを捜し出し2度と同じ悲劇が繰り返されないようにするということも含まれているのだ。
「次の被害者は……」
精神を集中すると哀れな魂の居場所を大まかではあるが感じ取ることができる。
踵を返し、反応の中で一番近い場所にいる存在に向けてレアが歩き出した、その瞬間だった。
「――っ!?」
背後で生まれた軽い爆発音に振り返ったレアが見たものは、地面から網のように広がる闇色の触手だった。
驚きによって思考が一瞬空白になる。
その一瞬が、レアにとって命取りになった。
「くっ、ぅ……」
ぎりぎりと全身を締め上げられる苦しさに我に返る。
その時には、もう無遠慮な触手たちによって体の自由を奪われていた。
両腕は体に密着するように縛り上げられ、両足も左右まとめて拘束される。
たまらず大鎌を取り落とし、そのまま地面に倒れこんでしまった。
芋虫のように這いつくばったレアの目の前、先ほどまであったはずの女性の生首は忽然と姿を消している。
そこから導き出される答えは、その生首こそがこの触手たちの発生源であったということだ。
息苦しさに顔をしかめながら視線を上げると、壁に背をもたれさせるようにして座り込んでいる女性の首なし死体の首の辺りで、赤黒い液体がブクブクと泡を立てている。
血液に似たそれに、レアはようやくある事実に気付かされていた。
既に心臓が停止しているせいで、首を切断しても派手に血飛沫があがることはない。
だからといって全く出血がないはずはないのだ。
だというのに少女の首なし死体の胴体に全く血の跡がない。
少女に対する罪悪感もあり、その死体から無意識の内に注意を外していたのが失敗だった。
その液体は見る見るうちに盛り上がり、やがて人の頭部の形を取る。
表面に目が生まれ、鼻が生まれ、口が生まれ、耳が生まれ、頭髪が生える。
最後にその色が本来の人間の肌の色を取り戻すと、レアが切り落としたはずの女性の首は、まるでその事実が嘘だったかのように元通りになっていた。
唯一異なるのは、その表情。
恐怖に歪んでいたその顔には、今や明らかな悪意を含んだ笑みが刻まれていた。
「初めまして、死神さん」
つい先ほどまでの、怯えきって命乞いをしていたものと同じとは思えない、耳に粘りつくような声音。
それは強弱のバランスが完全に逆転したことによる余裕を感じさせるものだった。
実際、一度は首を切断されながらも何事もなかったかのように立っている彼女と、闇色の触手に縛められ地に伏しているレア。
他人から見れば、その立場の差は最早決定的なものに映るだろう。
だが、レア自身は最初こそ驚きに自失してしまってのは確かだったが、今ではもう内心落ち着きを取り戻していた。
「あなたが、今回の件の犯人」
それを悟られぬよう、偽りの悔しさを滲ませながら少女を見上げる。
「その通り。
もちろん、この体は借り物だけどね」
勝者の余裕からだろう、少女はあっさりとレアの言葉を認めた。
「いったい、何が目的なの? こんなことをすれば――」
「死神が黙っていない。
事実、こうして貴女がやってきたわね」
レアの言葉を引き継いだ少女が、十代半ばのその外見には似つかわしくない妖艶ともいえる微笑を浮かべる。
その余裕が、レアには不可思議だった。
確かに今優位に立っているのは彼女の方かもしれないが、その立場を考えればのんきにしていられるはずがないのだ。
「わたし1人をどうにかできたとして、これから先、全ての死神を相手にして生き残れると思っているの?」
レアが殺されれば次の死神、当然彼女よりも優秀な者が派遣される。
目の前の少女の体を通して会話している相手が、普通の人間を超越した力を持っているのは確かだろう。
だからと言って、死神全てを敵に回して立ち回れるほどだとは到底思えなかった。
「そうね、確かに私1人には荷が重いかもね」
その考えを、またしても目の前の相手はあっさりと肯定する。
挑発的な言葉を投げかけても柳のように受け流される。
独り相撲をとっているような錯覚に陥りかすかな戸惑いを覚えるレアの前で、少女は言葉を紡ぎ続けた。
「でも、1人では無理でも、貴女が手伝ってくれれば不可能ではなくなるかもしれないわ。
さっき聞かれたけど、今回の目的は死神の中に協力者を作ること。
もちろん、本物の死神となれば研究対象としても最上級だけれど」
その言葉に、今度こそレアは絶句した。
その驚きの大きさは、振り向きざま触手に襲われた時をも凌ぐものだったかもしれない。
目の前の相手が何を言っているのか言葉としては確かに聞こえているのに理解できない。
それほどまでに、それは馬鹿げた提案だった。
「でも、本当にラッキーだったわ。
貴女みたいなかわいい子なら、愛玩用としても十分価値があるもの」
言葉を失うレアが見上げる中、少女がくすくすと笑う。
「……本当にそんなことができると思っているの?」
動揺によるわずかな震えが隠し切れないその言葉。
形式的には問いかけの形を取ってはいるが、レアにはその答えがもう確信できていた。
「もちろんよ。
さあ、まずはお近づきの印に名前を教えてもらえるかしら。
名前がわからなくては、これから先一緒にやっていくのに困るものね」
予想通り自信たっぷりにうなずき、軽い調子で名前を尋ねてくる。
それに対し、レアは口をつぐんで厳しい視線を少女に向けた。
名前を媒介にして魂を縛る。
それは人間が異形の者を従えるときの常套手段だ。
「ふふ、さすがにそれくらいお見通しのようね」
レアの視線などそよ風程度にも感じないのか、他愛のないいたずらがばれた子どものような表情を浮かべる。
その細められた瞳の奥、そこに宿る嗜虐的な光にレアはまるで蛇に射すくめられた蛙にでもなったかのように背中に嫌な汗が浮かぶのを感じていた。
「……そろそろ潮時みたいね」
口の中だけで呟く。
居場所こそ掴めていないものの、ある程度の情報を引き出すことができた。
相手の口から出た言葉である以上、どこまでが真実なのかはまだ検討の余地があるが、レアは直感的に目の前の相手は嘘を言っていないと判断していた。
馬鹿げた野望と一笑に付すのは容易いが、なぜかひどく嫌な予感がする。
これ以上は危険だと警鐘を鳴らす本能に従い、レアは動きを封じる触手から逃れるために意識を集中し始めた。
「それなら、自分から言いたくなるようにしてあげましょう」
少女が視線の高さを合わせるように屈みこんでくる。
ますます高まる嫌な予感にかすかな焦りを覚えながらながら、レアはその魂を――。
「なっ――!?」
今夜だけで3度目の驚愕が死神の少女を襲う。
それは空の高みに飛翔するはずだった精神が、未だ地に縛り付けられている状況に対するものだった。
「あら、どうしたの?」
嬉しそうに、ひどく嬉しそうに問いかけてくる少女の声も、パニックに陥ったレアの頭には届かない。
だが――、
「どうして、憑依がとけないの?」
相手の口から零れ出た、レアの心の声を代弁するかのようなその台詞に、皮肉にも彼女は我に返らされてしまう。
目を見開いて見つめた先、少女は心底嬉しそうに微笑んでいた。
「死神がこの世界で活動する場合、波長のあった人間に憑依しなくてはならない。
知らないと思った?」
三日月形の唇から紡がれる言葉に、レアは戦慄を覚えて震え上がる。
先ほどまで持っていた余裕は、最早どこにも存在していなかった。
「種明かしをすると、以前それで逃げられそうになったのよね。
ああ、あれは本当に惜しいことをしたわ」
千千に乱れる頭の中を必死に整理し、少女の言葉を理解しようとする。
それはつまり、彼女は以前にも死神を捕らえようとして失敗したということだ。
「けど、そんな話聞いたこと……」
「それはそうよ。
だって、その場で殺しちゃったもの」
生け捕ることの方が何倍も難しいのよねと、少女は付け加える。
「まあそれでも死神が1人いなくなったことにはかわりないから、ほとぼりが冷めるまで大人しく"それ”の研究に専念してたのよ」
"それ”というのはレアを縛める触手のことだろう。
肉体を束縛するだけでなく、魂までも縛り付ける闇色の触手。
いつでも抜けられると思っていたからこそあまり気にならなくなっていた締め付けが、今ではまるで魂そのものに巻きつかれているように強く強く感じられた。
「ちなみに、それの効果はそれだけじゃないのよ」
とっておきの手品を披露する時の口ぶりで、少女はますます笑みを深くする。
それを合図にしたように、闇色の触手に劇的な変化が訪れた。
レアの手首ほどの太さだったそれが指程度まで細くほぐれていく。
そして次の瞬間、それらが一斉に皮膚の下へと潜り込み始めたのだ。
痛みはなかった。
だが、それだけに圧倒的なまでの異物感だけが強調されてレアを襲う。
全身の皮膚の下を無数の虫に這い回られているかのような不快感に悲鳴をあげそうになる。
アスファルトの上、ちょうど真夏に熱せられたそれの上でのたうつ蚯蚓のように全身を痙攣させてレアは懸命に堪え続けた。
「あ、く……ぅ……」
みっともなく叫びださなかったのは、わずかに残されていた死神としてのプライドのおかげだ。
それでも、その状態がずっと続いていれば、最終的には耐え切れなくなっていただろう。
けれど幸か不幸か、全身の異物感がある一瞬を境にして波のように引いていく。
時間にすれば数秒程度の出来事。
全ての変化が終わってしまうと、レアの体に巻きついている触手はチョーカーのように首を一周する1本だけになっていた。
全身に感じていた締め付けからも、異物感からも解放されて安堵のあまり長い息を吐く。
だが、次の瞬間には自らの体を襲った新たな異変にレアは気づいて息を呑むことになってしまった。
先ほどまでの嵐のような時間。
その反動のように、今では首から下、一切の感覚が失われていた。
ちょうどレアが少女にしたように、首からばっさりと切り落とされたようなそんな錯覚。
その不安から首だけを動かして自分の体を確認する。
見た目の上では変化はない。
体の構造上、首が繋がっているかを直接視認することはできないが、生きた人間の体を借りている以上切断されていればかなりの出血があるはずだった。
「なにを……したの……?」
視線を目の前の少女に戻し、途切れ途切れに言葉を紡ぐ。
その声には隠し切れない未知への恐怖が滲み出していた。
「まずは立ちなさい。
そのままじゃお話するのも大変でしょう」
「な……え!?」
ずっと地面のすぐそばにあった目の高さが、すうっと普段の位置まで持ち上がる。
体の感覚がないせいで、一瞬自分が立ち上がっていることにすら気付かなかった。
同じように立ち上がり、少女がその身を寄せてくる。
身長差のせいでわずかにかがんだような状態になって棒立ちのレアの矮躯を抱き締める少女。
「心配しなくても、馴染んでくれば感覚は戻るわ。
でないと意味がないしね」
その言葉通り、しばらくすると最初は感じなかった背中に回された腕や密着した相手の体の存在が感じられるようになる。
だがその変化に安堵を覚えるより早く、レアは少女の意味深な言葉に不安を駆り立てられていた。
感覚は戻っても、未だ自分の意思では指一本動かせない。
そのことがその不安に拍車をかけていた。
「や、やめて……」
相容れぬ敵に抱き締められて抵抗もできないことに焦りながら、せめて言葉だけでも抗ってみせる。
けれどそれすらも弱弱しく震える口調で、相手を調子付かせることしかできないのが悔しかった。
恐怖を見透かしたようにレアの耳元で笑う少女。
吐息にくすぐられた耳朶から全身へと鳥肌が伝染していく。
「どう、名前を教えてくれる気になった?」
腕はレアの背中に回したままで、少女はわずかに体を離す。
間近で見つめ合い、相手の瞳に映る自らの怯えた表情を自覚しながら、それでもレアは唇を固く引き結んだ。
「強情なのね」
「んっ!?」
少女はかすかに吐息を零すと、拒絶の意を示すレアの唇にあろうことか自らのそれを重ねてきた。
触れ合う柔らかな感触。
それが一つのきっかけになった。
次々と身を襲う出来事に翻弄されていたレアの中に、小さな炎が燃え上がる。
「あら、怖い」
腕を解き、数歩を下がった少女の口元からあごに向かって、一筋の赤い線が引かれていた。
口の中にわずかに残る鉄の味を感じながらレアは視線を鋭くする。
体さえ自由に動くのなら今すぐ飛びかかりたいところだった。
けれど今のレアには、それは到底叶わぬ願いだ。
出来るのは感心半分呆れ半分といった風で肩をすくめる少女に対し、最大限の敵意を込めて視線を送ることぐらいだった。
いかに死神であっても、視線だけで相手を殺せるわけではない。
それでもそうしないではいられなかった。
それは相手に呑まれ、崩れかけている心の裏返しだったのかもしれない。
それを自覚しながら、それでも死神の少女は懸命に自分の心を奮い立たせていた。
「本当は私自身が教えてあげようと思ったのだけど、今度近づいたら喉笛を噛み切られそうね。
それなら、自分でやってもらおうかしら」
その言葉が終わるやいなや、レアの両腕が勝手に動き、その手のひらが漆黒のワンピースの上から胸部に添えられる。
立ち上がるときは感覚が失われていたせいで何もわからなかったが、それが戻った状態で腕が勝手に動くというのはひどく奇妙な感覚だった。
加えて、ほとんど膨らみをもたない胸の上で10本の指が踊ると、くすぐったいような不思議な感覚が込み上げてくる。
「何を、させようっていうの?」
その意図が全くわからず、混乱からわずかに視線を弛めてしまう。
「ふぅん、さすがに何も知らないのね。
恥ずかしがってくれないのはちょっと興醒めだわ。
それとも、さすがにその体には早すぎてわからないだけなのかしら」
なおもレアにはわけがわからない言葉を続ける少女の姿に、それまでとは違う不安が込み上げてくるのを死神の少女は感じていた。
「そうだわ、あれを使ってみようかしら」
そんな彼女にお構いなしで何かを考え込んでいる風だった少女が不意に顔を上げる。
その表情は何かを思いついたかのように明るいもので、それが一層レアの心を追い詰めていく。
満面の笑みを浮かべ、つい先ほど自分が言った言葉も忘れたかのように無防備に歩み寄ってくる少女。
その警戒心のなさに、レアは改めて立場の違いを思い知らされ唇を噛み締めたのだった。
「はい、これ」
無造作に差し出されたガラス製の小瓶。
一旦胸から離れたレアの手は、本人の意思に反してそれを受け取ると蓋を開けて顔に近づけてくる。
中にある薄緑の液体に危険を感じたレアは必死に首をひねって逃れようとするが、所詮首だけでは動かせる範囲はたかが知れていた。
「な、に……この匂い」
まず感じたのはあまりにも強い甘い香りだ。
気道を通り肺の中にわだかまるそれに反射的にむせそうにすらなる。
けれど次の瞬間にはその不快感すら一瞬忘れそうになってしまった。
それほどまでにそこからの変化は劇的だったのだ。
「うあああああああああ!」
今度こそ悲鳴を抑えることができなかった。
それどころか自分が叫んでいるという自覚すらないままレアは声を振り絞る。
頭の中で情報が氾濫している。
言葉にすればそんな状態だった。
経験したことがないその現象に、レアは為す術もなく翻弄されてしまう。
「それは本来どうしても鈍くなってしまう死体の感覚を補う薬。
生きている人間の場合、何倍にも増幅された感覚に慣れるまでしばらくはかかるかもね」
情報の奔流の前で押し流されそうになる意識の中、そんな言葉が聞こえてきた気がした。
「は、ぁ……あ、くぅ……」
ようやく増幅された感覚に頭が慣れてくる。
それでもわずかに風がそよぐだけで全身を誰かの手で撫でさすられているかのような感覚に襲われ、わずかでも身じろぎすると服で擦られた肌はまるでヤスリがけでもされているかのように感じられていた。
「ひっ!?」
その中で、再び胸に添えられた自分の両手。
そこから生まれる感覚は前回とは全く異なるものだった。
指の動きは同じはずなのに、それだけで神経が焼きつきそうなほどの刺激がそこから生まれてくる。
「くぁ、ふ……ん、いやぁ!」
何倍にも増幅された触覚の奥底に、得体の知れない感覚が潜んでいる。
それを本能的に察したレアがそれから逃げようと必死になるが、相も変わらず体は全く自由にならず彼女の体は自分自身の両手による陵辱を受け続けてしまう。
加速度的に膨れ上がっていく未知の感覚。
頭の芯が痺れるような、くすぐったさにも似て非なる感覚に徐々に徐々にレアの心は追い詰められていった。
「あひぃっ!?」
一瞬胸のあたりで何かが爆発したような錯覚にとらわれる。
それはいつの間にか膨れ上がっていた小さな蕾が、2本の指に挟まれたことで発生した衝撃によるものだった。
目の奥で火花が飛び散ったようで、瞬間思考が白く染め上げられる。
そのあまりにも鮮烈過ぎる一瞬が過ぎると、今度はジンジンとした熱が胸の奥に渦巻いているのが感じられた。
「ようやく、わかってきたみたいね」
全身がガクガクと震え、視点が定まらない。
その揺れ動く視界の中で少女が満足そうに微笑んでいるのが見えた。
「いっ……な、なにが……あくっ、これなにぃ!?」
「体を持たない死神にとっては、肉体的な快感って初めての感覚でしょう? でも、一度知ったら病み付きになるわよ?」
「い、いやぁ、こんなの……こんなの知りたくないぃ!」
自分が自分でなくなっていくような恐怖に襲われ、身も世もなく泣き叫ぶレア。
頬を伝う涙の雫すら、今の彼女には火傷しそうなほど熱く感じられた。
胸を中心に吹き荒れる嵐のような快感の中、ついに両足が体重を支えきれなくなり尻餅をつく。
「きゃひぃ!?」
その衝撃でレアは自分の体に起こった異変が胸だけではないことに気付かされた。
下腹部に、胸のあたりに渦巻いているそれに似た、そしてそれよりも潜在的には何倍も強い快感がわだかまっている。
体の中を熱い液体が流れ落ちていく感覚に続いて、股間を覆う布地がじわりと湿ったことを敏感になった感覚がはっきりと感じ取っていた。
人間に憑依して仕事をすること自体は既に何度も経験したことだ。
だが、こんな肉体的反応は初めてのことだった。
借り物とはいえ自分の体に何が起こっているのかわからないまま、初めての性的快感に悶える死神の少女。
その意識が一瞬とはいえ胸から股間に移ったことに反応したのか、胸に添えられていた両手の内の片方がそこを目指して移動していく。
「や、やだ……だめ、そこいっちゃだめぇ!」
わけがわからないまま、それでも股間を触れられれば今以上の痴態を演じてしまう、そんな予感に打ち震えた。
けれど操られる右手は、恐れおののく彼女の気持ちを欠片も汲み取ることなく、ワンピースの裾から秘められた場所へと侵入してくる。
「――!?」
薄い布地の上からそこに触れられた瞬間、あまりの激感にビクンと背中を仰け反らせてしまう。
触れただけ。
だというのにあまりにも強すぎる快感に脳を直撃され、声を出すことすらできずに口をパクパクと開閉させる。
それほどまでに股間からの刺激は鮮烈で、何も知らない少女にとっては強烈過ぎるものだったのだ。
許容量をオーバーしているそれを、それでも何とか受け止めようとするレア。
けれど悪魔の手先と化した彼女の右手が、その感覚に慣れるまで待ってくれているわけがなかった。
下着の上からだけでは飽き足らなくなった右手は、今度は直接そこに触れるべく下着の中にまで潜り込んでくる。
ドロドロにぬかるむ少女の秘園を、細い指が一辺の容赦なく掻き回していく。
淫らな水音が離れた場所にいる憎むべき敵にまで聞こえているかもしれない。
そう思った瞬間、レアは全身が燃え上がったかのように錯覚に陥っていた。
涙に霞む視界の中、その相手はレアをあざ笑うかのように微笑んでいた。
その視線が、敏感になった全身の肌に突き刺さってくる。
その瞳は、直接は見えないはずの下腹部の状態すら、全て見透かしているかのようだ。
その視線を意識すればするほど、全身の火照りが比例するように何倍にも高まっていく。
そんな中、執拗に少女の秘所を掻き乱す指先が、ついに割れ目の奥で息づく小さな肉粒を探り出していた。
薄皮一枚に守られた、女にとって最大の急所と呼べるそれをためらうことなく摘みあげる無慈悲な指。
その瞬間、レアの頭の中で見えない糸が音を立てて弾け飛んでいた。
「だめ、みちゃだめぇぇぇぇぇぇ!」
今までで最大の絶叫をあげながら、死神の少女は初めての絶頂に全身を震わせる。
憑依をといた瞬間にも似た飛翔感。
大きく開けた唇の端から、とろりと涎が伝い落ちていった。
「どう、満足できたかしら?」
絶頂の波がゆっくりと引いていき、同時にようやく指の動きが止まっていたこともあって、レアはわずかに理性を取り戻していた。
それでも首から下は自分の意思では全く動かせず、意識もまるで錆び付いてしまったかのようにぼんやりと霞んでほとんど何も考えることができなかった。
「私と一緒にいれば、いつでもその快楽に浸っていられるのよ? いえ、自分の指だけでは到達できない、遥かな高みも教えてあげる」
思考の空白に滑り込んでくる悪魔の囁き。
全身を包む倦怠感。
「さあ、貴女はただ名前を口にするだけでいいの。
それだけで――」
「いや……それだけは……」
その中で拒絶できたのは奇跡だったかもしれない。
心の内に生まれた、悦楽の味を覚えそれをひたすら貪ろうとする別の自分を押さえつけながら、必死の思いで本来の自分を繋ぎ止める。
「そう、まだ足りないのね」
落胆した様子も見せず、むしろ嬉々として何かを差し出してくる少女。
その手には、レアにとっては見慣れたものが握られていた。
原則として単独で仕事に当たる死神にとっては、唯一の相棒にして死神という存在の象徴とも言える大きな鎌。
確認するまでもない。
それは間違いなくレア自身の大鎌だった。
自らが分泌した淫水で濡れそぼる右手で勝手に動き、差し出されたその柄を握り締める。
敵は目の前にいる。
手の中には長年使い込んだ武器もある。
だというのに、レアの右手は彼女の思いとは全く別の動きを見せる。
柄の先端を地面に突き、左手も合わせ、全身ですがり付くようにして体をわずかに持ち上げる。
絶頂直後の両足はみっともないほどガクガクと震えて今にも崩れそうだ。
だが、それでも何とか中腰の姿勢まではもっていくことができた。
その腰が、立てた大鎌の柄に向かってゆっくりと前に押し出されていく。
「ぃ……ぃ…………」
何をさせられようとしているのか悟ったレアが、懸命に唇をわななかせる。
けれど恐怖のあまり無様に痙攣するだけの喉からはまともな言葉は生み出せず、かすかに空気を震わせることしかできなかった。
下着越しに、レアの秘唇が大鎌の柄に口づけする。
粘着質な水音が小さく聞こえ、全身が震えているせいもあって当てているだけでもじわじわと快感が染み込んでくる。
大切な大鎌でこんなことをしてはいけない。
その思い、その背徳感が、皮肉にもレアの体を燃え上がらせていた。
憎むべき敵の見ている前で屈辱的な絶頂を見せたこと。
それが引き金となってレアの中に芽生えた被虐嗜好。
それはまたたくまに枝を伸ばし葉を広げ、大輪の華を咲かせようとしていた。
「だ、め……だめなのにぃ……」
全身の震えが恐怖のせいか期待のせいなのか、それすらもわからなくなる。
そして中途半端に曲げられていた足が伸ばされ、ずるりと股間を摩擦された瞬間、意識の全てが一瞬の内に肉悦で塗り替えられていた。
それは繊細な指の動きとは対照的な、乱暴といって差し支えない愛撫だった。
秘所全体を荒々しく摩擦され、敏感すぎる小粒を容赦なく磨り潰される。
意識が白熱し、獣のような吠声をあげた。
足が伸びきり一瞬動きが止まったことで戻りかけた理性、次の瞬間と今度は重力に任せて腰が落ちていくことによる摩擦で砕かれる。
落ちきってしまえば、またしても震える両足がなけなしの力を振り絞って小さな体を持ち上げる。
終わらない往復運動。
その中で最初は乾いていた大鎌の柄が媚粘液によってテラテラと輝きを放ち始めた。
そしてぬめりによって最初の内こそわずかにあった痛みも遠のき、ただただ純粋な快楽がレアの精神を揺さぶっていく。
その快楽の奔流は、つい先ほどまで何も知らなかった少女がどうにかできるレベルをとうの昔に飛び越えていた。
涙と涎の雫を飛び散らせ、長い黒髪を振り乱して喘ぎ続けるしかない死神の少女。
漆黒の刃に映る快楽に蕩けきった自分の顔。
仕事に際に努めて被っていた冷徹さの仮面は、もうどこを探しても見つけることができなかった。
「もう、もう――!」
2度目の絶頂までに、それほどの時間は必要なかった。
全身が大規模な痙攣に襲われた、それでも足の屈伸運動だけは止まらない。
「あひぃっ、と、とめてぇっ……とめてよぉっ!」
絶頂の中でさらなる絶頂に押しやられて、今にも気が狂いそうだった。
頭の中がグチャグチャになり、気持ちいい、ただそれだけしか感じられなくなる。
全身ですがりつき腰を押し付けているものは、大切な相棒ではなく、快楽を貪るための装置に過ぎない。
そう思えてしまう。
永遠にも続くかと思われる連続絶頂。
その果てに投げ掛けられるだろう幾度目かの問い。
それを拒絶することは、今のレアにはもうできそうになかった。
以上です。
お疲れ様。
やっぱりこういうの見ると、自分のレベルの低さを痛感するわ……orz
GOOD!
110 :
89:2006/11/17(金) 23:15:26 ID:h5HusWal
ぴったり一週間が過ぎてしまいました。
まだ書き掛けなのでどうしようかと思ったのだけど、
途中までを投下しようと思います。
びゅう、と寒風が吹いた。
風に乗って、救急車のサイレンが近づいてくる。
閑静な住宅街の中にあるこの小さな公園には、三本の街灯が立っている。
だが、管理が杜撰なのか、明かりが灯っているのはそのうちのひとつだけで、
それすらチカチカと瞬いており、風前の灯火といった様相を呈している。
季節はもう冬だった。冷たい夜風が、だいぶ葉の落ちた木々を揺らして吹き
抜ける。
その風に乗って舞うが如く、真っ黒なコートを翻し、彼女は振り返った。
唐突にサイレンが止んだ。どこかに停まったのだろうか──
街灯を反射してチカチカと瞬く瞳が、俺の眼を真っ直ぐに射抜く。
俺は僅かにたじろぎ、ゴクリと喉を鳴らしてしまった。
聞こえてないよな、と思う間も無く、彼女が口を開いた。
「この世には不思議な事など何も無いのだよ、辰巳君──」
俺は彼女の台詞に、大きな溜め息をついた。
びぇーっくしょいっ! と、特大のくしゃみまで出てしまう。
「ちょっと、なにそのリアクションはー?」
「いや、寒いなぁと思ってね」
気温が寒いというのと、小説の台詞を真似るのが寒いというのを掛けたつもり
だったが、
「その寒い中で話し相手になってあげてるのに、その反応は酷いと思うぞっ」
どうやら彼女は後者には気がつかなかったようだ。
コートのベルトを片手に持ってぶんぶんと振り回している。まるで子供だ。
「はいはい、悪ぅございましたね」
彼女は、ぷーっと頬を膨らませて俺を睨みつけた。
こいつ──秋穂はいわゆる幼馴染みという奴だ。高校は別々のところへ通って
いるが、家が近所なのもあって、ちょくちょくこうして会っている。
ガキの頃から、面倒見が良いというか世話焼きというか、なにかとお節介な
奴だった。
今日も、ついさっき、家を出たところでばったり出くわしたのだが、俺の顔
を見るなり、「何か悩み事でもあるの?」と一発で見抜かれ、こうして話を聞い
てもらっていたというわけだ。
「ていうかさ、そんな占いなんか気にしてたって意味ないじゃん」
「そうかもしれないけどな──」
発端は、一週間前に遡る。
最近クラスの女子の間で、タロット占いが流行っていた。
所詮女子高生のお遊びだろうと、俺も占ってもらったわけだが──
「うわぁ……辰巳君の今週の運勢、最悪!」
何枚か表にしたカードのうちの一枚が、それだった。
タロットなんてさっぱり判らない俺の眼にも、見るからに不吉な印象を覚える
絵が描かれていた。
おどろおどろしい骸骨頭に黒衣を纏った、人とも悪魔ともつかぬモノが、手に
した大鎌を頭上にかざし、今まさに振り下ろさんとしている。
十三番──死神だそうだ。
他にも、塔や天秤のようなものが描かれたカードが表になっていた。
なにやら小難しい解説をしてくれたが、ほとんど憶えていない。
ただ、最悪という二文字だけが頭にこびりついて離れなかった。
この一週間、確かに俺の運勢は最悪だった。
教科書やノートを忘れるといった些細な事から、人身事故で電車が止まって
遅刻したり、体育の時には後頭部にサッカーボールが直撃したり、道を歩けば
犬のウンコを踏んづけたり、俺の真横に小さな鉢植えが降ってきたり、車に轢
かれそうになったり──
タロット占いは的中した。俺は大小多くの不幸に見舞われる事になり、命を
落としかねない状況にまでなったのだ。
お遊びの占いだなんて馬鹿にしたものではない。
一通り話し終えた俺は、不思議な事もあるもんだよな、と言った。
その返事が、あれだったのだ。
「きっと呪にかかったんだよ」
読んだ本にすぐ影響されるのは、彼女の悪い癖だと思う
「占いの所為でそうなったわけでもないでしょ?」
「そりゃ、そうだろうけど」
「占ってもらわなくたって、起きてたかもしれない事でしょ?」
「いや、まぁ──」
それはそうなのだ。
だが、やはり気持ち悪い。
「でもね、ケイちゃんが事故に遭ったわけじゃないし──」
秋穂は俺をケイちゃんと呼ぶ。辰巳圭介というのがフルネームだ。
「ボールで怪我したわけでもないんでしょ? ウンコぐらい靴洗えばいいし、
鉢植えも直撃しなくて良かったし、車にだって轢かれなくて良かったじゃん」
ひとつひとつ指を折りながら彼女は言う。
「まぁ……うん」
「見方を変えれば、占いのおかげで危険に敏感になってて、もっとひどい事に
ならずに済んだ、っていう事かもしれないよ?」
最後に、人差し指を立ててこっちへ向けた。
風が吹き、彼女のセミロングの黒髪が揺れる。
「そんなもんかねぇ」
「そんなもんだよ」
彼女の笑顔を見ているると、そういうものかもしれないと思えてくる。
言葉には魔力がある。
クラスの女子に最悪だと言われ、俺は些細な事でも占いと結びつけてしまって
いたのだ。占いと凶事に因果関係があるかどうかも判らないのに──
それに、秋穂の言うように、占ってもらったからこそ、それらが俺に、もっと
重大な損害を及ぼさなかったのだとも考えられる。
ならば、気の持ちようという事か。
「ケイちゃんは気にしすぎなんだよ」
秋穂はちょこちょこと歩いてきて、俺が腰掛けていたベンチの前に立った。
「それにさ、その最悪の一週間も今日で終わりでしょ?」
「まぁな」
「その最悪の最後の夜に、こうしてあたしとお喋りしてるんだから、終わり良け
れば全て良し、って思えばいいんだよ」
そう言って、にっこり微笑んで俺の横に腰を下ろした。
たしかに、彼女とばったり会えたのは嬉しかった。
だが、それを口には出さない。
「……なんでそれが、終わり良ければ全て良しになるんだ?」
「あのねぇ、あたしみたいな可愛い子とね、夜の公園でお話できるなんて、ケイ
ちゃんは幸せ者なんだぞ?」
そりゃあ、秋穂は可愛い。
まるっこい眼やすっきりした鼻筋、小さな口、細い顎と、顔立ちは悪くない。
小柄でちまちましていて、明るくて人懐っこい性格もあって、男女どちらから
も好かれるタイプだ。
親同士が親しかったおかげで物心つく前からの付き合いで、ほとんど兄妹の
ような関係だ。
いや、実際には姉弟と言うべきか──
俺たちは同級生ではあるが、秋穂の方がひとつ年上だった。
秋穂が小学生になった時、ひとつ下の俺には、彼女が遠くへ行ってしまった
ように感じられた。
その彼女が、小学生になってすぐ、交通事故に巻き込まれた。
生死の境を彷徨い、意識を取り戻してからも、長い間入院生活を送っていた。
俺はちょくちょく見舞いに行き、病室でおしゃべりをしたり、ゲームをして
遊んだりした。彼女の事故と入院はショックだったが、入院中ではあっても、
一緒に遊んでいられるのは嬉しかった。
その頃からだろうか──幼いながらも俺は彼女に恋心を抱いていた。
次の春、俺も小学生になった。
そして秋穂は、半年以上も入院していた所為で、年齢よりも一学年下、つまり
俺と同じ一年生からやり直す事になったのだ。
それを聞いた時、大喜びしたのを憶えている。
小学生の間もずっと一緒に遊んでいたし、お互いに中学生になり、思春期へと
入った頃──俺ははっきりと彼女を異性として意識し始めた。
そして──恋人として付き合う事にもなったのだ。
秋穂は実年齢はひとつ上という事もあり、頼られる存在でもあった。誰にでも
分け隔てなく接するものだから、男連中からは勘違いされる事も多かった。
彼女を女として意識し始めた俺は、もやもやとした気持ちが日々募り──
中学二年の夏、秋穂から告白されて付き合う事になった。
今思えば、きっと彼女は俺の気持ちに気づいていて、俺から言い難いのなら
自分が言ってあげよう、とでも考えたのだろう。
付き合い始めたのは良いものの、感覚的にはどうしても姉弟という意識が抜け
きらなかった。
キスやペッティングぐらいはしたのだが、最後までは行けなかった。
もちろんそれが最大の要因ではないが、三ヶ月もしないうちに、どちらから
ともなく別れ話を切り出し、破局を迎えた。
直後はギクシャクもしたのだが、今では、またもとのように、仲の良い異性の
友人を続けている。
「なに、黙り込んで……どうしたの?」
秋穂が横から上目遣いにこっちを見ていた。
「ちょっと、昔の事をね」
「……そっかぁ」
彼女はあの時の事をどう思っているのだろう──
実を言うと、俺はまだ彼女に気がある。家を留守にする事が多い両親よりも、
俺は秋穂に親しみを感じているし、それ以上の感情だってまだ持ち続けている。
秋穂は見た目も可愛いし、性格だって良い。
いや、そういう一般的な基準で思い続けていたわけではない。
自分の半身──と言ったら大袈裟だろうか。
「あのさ、ケイちゃん──」
「ん?」
彼女は俯いている。
「やっぱ寒いね」
「もう冬だしな」
「うん、冬だね」
それきり、彼女は沈黙してしまう。
俺もガキの頃は、アキちゃんと呼んでいた。
小さい頃、一緒に遊んだ事や、付き合っていた時の事が思い出される。
お姉さん気取りで色々と世話を焼いてくる秋穂は、時には鬱陶しくもあったが、
俺にとってかけがえの無い人だった。
あたしたち付き合おうよ──
そう言われた時は、他の男たちを出し抜いたような気持ちになり、そんな自分
が惨めで情けなく、彼女に対して後ろめたかったのも憶えている。
ガキの頃から遊びで何度もしていたはずなのに、恋人になってからのキスは、
心が高鳴って心臓が破裂しそうなほどに興奮した。憶えたてのディープキスは
うまくゆかず、秋穂に笑われたのも思い出す。
初めてそういう事をしたのは、いつだったか──
ほんの僅かに膨らんだだけの胸に指を這わせると、彼女はぴくぴくと身体を
震わせて顔を赤く染めた。その反応が俺を昂ぶらせ、彼女の全てを手にしたい
と思った。
それなのに、いざ挿入という段階になると、秋穂の身体を隅々まで貪りたいと
いう欲望よりも、このまま最後まで行ってしまって良いのだろうかという疑念
の方が強くなって、そこから力が抜けてしまうのだった。
困惑した彼女は、萎んでしまった俺のアレを必死に勃たせようとした。手で
握るだけでなく、咽返りながら口に銜えたりもした。
こうすれば大きくなるかな──そう言いながら、濡れそぼった秘処を、俺に
押し付けてもきた。
それでも俺は怒張する事は無く、そんな彼女を見ているのが辛かった。
もういいよ、やめろよ──そんな風に冷たく言い放ってしまった。
それなのに彼女は、次は最後までしようね、と言って、いつもの明るい笑顔を
見せてくれたのだ。
しかし、二度、三度と試しても、結局最後まではできなかった。
肉体関係だけではなかった。恋人ともなればデートもするし、学校でも周り
からちやほやされる事もある。
けれど、ぴんと来なかった。
秋穂と俺は、幼馴染みで仲が良いし、恋人同士でもある──だが、何か違う。
一緒にいれば間違いなく楽しいのだが、どこか心に霧が掛かったような感じが
抜けない。
次第に楽しさよりも気まずさの方が強くなり、俺は秋穂とあまり会話をしなく
なっていった。
そして、秋から冬に移り変わる頃、その関係は終わりを告げた──
「ねぇ、ケイちゃんの部屋行っていい?」
唐突に彼女が言った。
「え──」
昔の事を考えていたからだろうか。秋穂も俺の部屋で昔の続きを──なんて
考えが浮かび、慌てて掻き消す。
それを知ってか知らずか、秋穂は肘で俺の脇を小突いてニヤニヤと笑う。
「どうせまた散らかってんでしょ? 片付けてあげるぞっ」
彼女は時々俺の部屋にやって来て、CDを聴いたりゲームをしたりして遊んで
いる。たまに散らかった部屋を片付けてくれたりもする。
小さかった頃と何も変わらない。一度は破局を迎えた事なんて、全て忘れて
しまったかのように。
「じゃあ、頼もうかな」
「はぁ〜、女の子に部屋の片付けさせるなんて、ケイちゃんはしょうがない子
だねぇ」
「自分で言い出しといてそれかよ」
「あははっ、お姉さんに任せなさいっ」
ぴょこんと立ち上がり、俺のコートの袖を握って引っ張る。
「ほら、行こっ。寒くて凍っちゃう」
子供のように口を尖らせる。
俺は、はいはい、と苦笑しながら立ち上がり、ポケットに手を突っ込んで財布
を探った。
「缶コーヒーでも奢るよ」
「やたっ!」
たかが缶コーヒーだというのに、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
再び、サイレンが鳴り響き、徐徐に遠ざかってゆく。
俺たちはその音を聞きながら、公園を後にした。
115 :
89:2006/11/17(金) 23:32:09 ID:h5HusWal
とりあえず以上です。
もうちょっと書いてあるのだけど、キリの良い所で……。
次はまた一週間後ぐらいでしょうか。
ほう…面白そうじゃないか。
続きを期待しようか
期待ということで保守しときます。
幼馴染が死神にどう関わってくるのか楽しみですな。
118 :
89:2006/11/24(金) 00:51:15 ID:HTbiXoeb
続きを投下します。
「お邪魔しまーす」
秋穂は、途中の自販機で買ってあげた缶のカフェオレを、両手でぽんぽんと
弄びながら、玄関のドアをくぐった。
「ちょっとこれ持って〜」
まだ開けていないその缶を手渡される。
買ったばかりの缶コーヒーは、素手で持つには熱すぎる。もう少しぬるめに
保温してくれた方が、猫舌でもある俺は嬉しい。
ブーツを脱いだ秋穂に続いて、両手が塞がったままの俺は、手を使わずに靴を
脱いで廊下に上がった。
「もう、みっともないなぁ」
ちょこんとしゃがんだ秋穂が、脱ぎっ放しの俺の靴をそろえてくれる。
「悪い悪い」
「ったくぅ、ホントいいかげんなんだから……」
ぷうっと頬を膨らませて睨んでくる。
お姉さん風を吹かせているのに、そんな仕草は子供っぽくて、あの頃から全然
変わっていない。
「ケイちゃんって、そういうとこ全然変わってないよねぇ」
思わず、吹き出してしまった。
「む、なにがおかしいのー?」
口を尖らせた秋穂は、本当に──
「お前のそういうとこも、全然変わってないなぁって思っただけ」
「むぅ……真似するなっ」
そういう反応がガキ臭いわけだが、言わないでおく。
「久しぶりだね、ケイちゃんち来るのも」
きょろきょろと辺りを見回した秋穂は、と現に話題を変えた。
「もう二ヶ月ぐらい来てなかったかなぁ」
言われてみればそうだったかもしれない。外で立ち話をする事は何度かあった
から意識しなかったが、ここしばらくは秋穂を招いた記憶が無い。
勝手知ったる、とばかりに廊下をすたすたと進む彼女は、階段の手前で立ち
止まった。そこには、箒やモップなどが壁のフックに吊るされている。
「すごい事になってそうだなぁ。覚悟しなくちゃ」
「そこまで酷くねぇよ」
「これ持ってかないとね」
俺の異議はスルーして、彼女自身の背丈ほどもある、長い箒を手に取る。
「うりゃっ」
妙な掛け声とともに、箒をくるんと回す。
「うっふふ〜ん」
なんだか楽しそうだ。箒をくるくると器用に操り、
「ケイちゃん、覚悟っ!」
「なっ──」
秋穂が気合いとともに箒を振りかぶり、頭上に掲げた。
コートの裾が翻り、黒い風が巻く。
箒の先が、ギラリと鈍い光を反射したような気がして──
あの、カードの図柄。
背筋が凍りつくようで──
「うわぁっ!」
思わず声を上げてしまった。
十三番、死神──
あの時、表にされたカードの絵が、フラッシュバックした。
「わっ、ごめん、当たった?」
箒が壁に当たって響いた、こつんという気の抜けた音で、俺は我に返った。
俺の前には、秋穂が口元に手を当てて立っている。
「どうしたの……?」
箒を下ろし、心配そうに上目遣いに見上げてくる。
「あ、いや……ふ、振り回すなって、狭いんだから」
「うん、ごめーん」
お前が死神に見えた、なんて言えない。
やはり、俺は呪にかかっているのだろうか。
死神なんているはずがないのに。
いたとしても、秋穂が死神のわけがない──
「あっ、エロ本発見!」
部屋にはいるやいなや、秋穂は机を指差して大声を上げた。
しまった──友人からもらったエロ雑誌を放置していたのを忘れていた。
なんと言って良いものかと言葉を捜していると、彼女はすたすたと机に向かい、
箒を立て掛けてページを捲り始めた。
「へぇ〜、ケイちゃんこういうの好きなんだぁ」
「うるさいなぁ」
彼女と俺との仲とはいえ、こういうのは気恥ずかしい。
意識してそちらを見ないようにしながら、エアコンのスイッチを入れた。
ややあって、温風が吹き出してくる。
「ふぅ〜ん、ほぉ〜、むぅ……どうやったらこんなに大きくなるんだ……」
巻頭グラビアは、最近お気に入りの巨乳アイドルだったはず。
「むむぅ、羨ましいなぁ……」
呟きながら真っ黒なロングコートを脱いだ秋穂は、その中も真っ黒だった。
薄手の黒いセーターとスリムジーンズは、彼女の線の細さを際立たせている。
「お前、ちっこいからな」
秋穂ははっきり言って貧乳だ。
中学の時は、僅かにしか膨らんでいなかったし、あれから多少は大きくなった
ようにも見えるが、同年代の他の女の子たちと比べれば、小さい方だろう。
「むぅ……ケイちゃんは巨乳好きかぁ」
チクリと痛む──
自分の胸が小さいから、恋人が務まらなかったのではないか──そんな言葉
が隠れているように思えてしまったのは、俺の身勝手な妄想だろうか。
「まぁ、見るだけならな」
言い訳めいた台詞を吐いてしまう。
秋穂がこちらに顔を向けた。
笑っているような、泣いているような顔だった。
「あたしも……おっきくなったんだよ?」
「え──」
「ケイちゃんの好みには程遠いかもしれないけど……」
そんな表情で、そんな台詞を言われると──
「な、なに言ってんだ……」
彼女の瞳に、不似合いな熱っぽさが見え隠れしている。
心臓が高鳴る。
期待していなかったわけではない。
だが、俺の勘違いだったら──
動揺を気取られぬように眼を逸らし、小さなテーブルの上に缶をふたつ並べて
置いた。
秋穂の視線を感じる。
意識してそちらを見ないようにして、コートを脱いでハンガーに掛ける。
「ねぇ、ケイちゃん……」
秋穂の声は、僅かに震えているようで──
「あれからもう、三年も経つんだね」
彼女と別れたのは、三年前の今ぐらいの時期だったのだ。
別れてすぐはギクシャクしていたのに、今はこうして子供の頃のように話を
していられる。
それは、喜ばしい事なのだろう。
ベッドに腰掛け、天井を仰ぎ見た。
蛍光灯が少しくすんでいる。そろそろ取り替え時かもしれない。
「もう三年か……なんか、不思議だよな」
「え?」
「だってさ、付き合って──別れたのにさ、こんな風にお前は俺の部屋に来て
遊んだり、掃除してくれたりして……」
秋穂は、ふふっと笑って、俺の横に腰を下ろした。
「そうだね。でも、辰巳君──」
「この世には不思議な事なんて何も無いんだろう?」
台詞を先読みした俺に、秋穂はにっこりと笑った。
「うん。不思議じゃないよ、全然」
そして、また、泣きそうな顔になる。
彼女はなんでそんな顔をするのだろう。
いや、俺には解かっていたはずだ。
彼女もまだ、俺の事を想っていてくれるのだと。
そうでなければ、こんな関係は続けていられないはずだから──
「ケイちゃん、あたし、ケイちゃんの事──」
俺が、ずっと言いたかった台詞──
あの頃は、きっとまだ子供だったのだ。
恋愛というものがなんなのか、男女の関係というものがどういうものなのか、
そんな事も知らず、回りに影響もされ、もてあます感情を理解も制御もできず、
ただ恋人という漠然としたモノを夢見ていただけの、子供だった。
今だって身体ばかりが大きいだけで、とても大人とはいえない。
だが、それでも中学生とは違う。
今なら、うまくやれるかもしれない。
もう一度、やり直せるかもしれない。
俺は、秋穂の事をずっと──
俺は、彼女の唇を塞いだ。
三年ぶりに触れた秋穂の唇は、素直に俺を受け入れてくれた。
彼女の細い肩を抱く。
「ん、ふぅ……」
秋穂の吐息がこそばゆい。
彼女の腕が腰に絡みついてくる。
そんなにくっついたら、心臓の高鳴りを聴かれてしまう──
俺は唇を離す。
「ケイちゃん……」
寂しそうな顔をした秋穂の頭を撫でる。
いつも見ていたはずなのに、真っ直ぐにその眼を見るのは気恥ずかしい。
俺のこの気持ちを、今なら伝えられる。
あれから三年間、表面的には昔のままを通してきたが、自分に嘘をつき続ける
のも嫌だし、彼女に対しても失礼だ。
「ごめん、秋穂」
「え……?」
そんな不安な顔をするなよ──俺の言葉にはまだ続きがあるんだから。
「三年前は、ごめんな」
「ケイちゃん──」
「秋穂、俺……もっかい、やり直したい」
彼女の眼が見開かれた。
「好きだよ、秋穂」
瞬く間に涙が溢れ出した。
「あたしもっ、ケイちゃん──」
二人の唇が重なり合った。
エアコンの低い唸りが部屋に響いている。
ベッドに横たえた秋穂に、覆い被さるようにキスをする。
マシュマロのような唇を割って舌を差し入れると、彼女は小さく喘いで恥ず
かしそうに震えた。
俺の舌が秋穂の舌を探る。
秋穂の舌が、俺に応えるように絡めてくる。
きゅっと眼を閉じた彼女の顔は恥じらう少女そのものなのに、舌は艶めかしく
蠢いていた。
くちゅくちゅという音が頭に響き、彼女の鼓動が感じられる。
さらさらの髪を撫でながら、もう片方の手を首筋に伸ばすと、ぴくんとなった
秋穂の腕が、俺の背に回された。
首筋から鎖骨へ──
ゆっくりと、小さな膨らみへと指を這わせる。
「んっ、うぅ……」
身じろぎをした秋穂に有無を言わせずに、そこへと触れた。
ぴくりと奮えた彼女が、俺の背中に回された手に力を篭める。
セーターの上からでも、その柔らかな感触が伝わってくる。
「秋穂の胸……柔らかい」
唇を離すと、二人の間につうと透明な糸が伸びた。
「ちっちゃくて……ごめんね」
「馬鹿、そんなの関係無いよ」
「でも……」
「俺はお前の胸、好きだよ」
彼女の頭を撫でながら、控えめな膨らみを掌で包み込む。
彼女が言ったように、中学の頃よりも大きく感じられた。
表面の刺繍か、縫い目なのか、凹凸の陰に、こりこりとした突起も感じられた。
「あっ、や……んっ」
そこをまさぐる指に、秋穂はぴくぴくと震える。
「ここ?」
「あぅ、やだぁ……」
指先でそれを撫でると、身を捩って逃れようとする。
俺の指は彼女を逃がさない。
「やっ、んぅ……んっ、はぁ……」
「感じるようになったんだな」
「馬鹿っ、馬鹿ぁ」
うるうるさせた瞳で、下から睨みつけてくる。
以前は、胸に触れると痛いと言うから、あまり責めなかった。
「それに、おっきくなった」
「あぅ、うん……少しだけど、ね」
少しといっても、俺の知っている彼女の胸のサイズは、ほとんどぺったんこと
言える大きさだったので、それに比べればかなりの成長だろう。
「サイズ、いくつなの?」
「馬鹿っ、そんなの聞かないでよぉ」
恥ずかしがる秋穂が可愛くて、俺はつい意地悪してしまう。
彼女の耳元に顔を寄せると、彼女の香りがふわりと鼻腔をくすぐった。
「聞きたいな、秋穂のバスト」
「うぅ〜、いじわるぅ」
耳にふうっと息を吹きかけてやる。
秋穂はびくんと身体を震わせて身悶えする。
「やっ、くすぐったい……」
「カップだけでも、知りたいなぁ」
「ひゃっ」
耳たぶを甘噛み──
「あぅ、ふゎっ、だめそれっ」
舌先でチロチロと舐めてやると、可愛らしい声で鳴きながら身を捩る。
「わかったよっ、言うからっ」
「何カップなの?」
耳を責めるのを止めると、秋穂が躊躇いがちな声で答える。
「う、うぅ……Bカップだよぉ」
Bカップしかないのか──
それでもそこそこ膨らんでいるように感じるのは、彼女が華奢な所為だろうか。
「もう……ケイちゃんの馬鹿ぁ」
そう言って、俺の身体にぎゅっとしがみついてくる。
俺も彼女を抱き締めた。
すると、彼女は、んっふふぅ〜と変な声で笑った。
「反撃してやるぅ」
秋穂の声が耳元でした直後、俺は、うひっと妙な声を上げてしまった。
「んっふふ〜」
俺の耳たぶを銜えたまま、満足そうに妙な笑い声を上げる秋穂。
俺がしたように、彼女も舌先でチロチロと耳たぶを責めてくる。
これは、かなり、くすぐったい。
「うはは、やめっ、やめてくれ〜」
しゃぶられている耳たぶだけでなく、頬を撫でる秋穂の髪もこそばゆい。
情けない声を上げてしまう。
逃げようとしても彼女の腕ががっちりと俺を抱いて離さないものだから、二人
してベッドの上をごろごろと転がる羽目になる。
それでも彼女は耳を舐めつづけるのだから、ちょっと感心してしまう。
「やめろ、うひゃ、やめろってばっ」
「わうぇわいをん〜」
やめないもん〜とでも言ったのだろうか──秋穂は俺の耳をぱっくり銜え
込んだらしく、ダイレクトにくちゅくちゅという音が響く。
「ふぇいふぁんうぃをわうぃわわうぇうぇわうぇうー」
何を言ってるのかさっぱりだが、妙に楽しそうなのはよく解かった。
それにしても、耳元で響く水音というのはなんと淫靡なのだろう。
耳を責められるというのは、感触と音との二段攻撃らしい。
「やらしいなぁ、それ」
そう言った途端に秋穂の動きが止まった。
「くちゅくちゅ響いて、すげぇやらしい」
「や、あぅ……」
恥ずかしくなって止めたのだろうか? 秋穂は俺の耳を開放した。
なんとなく、勝った気になった。
形勢逆転──
力の抜けた彼女をベッドに押さえつけ、にやりと笑ってやる。
「秋穂ってやらしいのな」
「そ、そんな事……」
「前だってさ、俺が勃たなくて──」
「ば、馬鹿ぁっ!」
自分がした事を思い出したのだろう。恥ずかしくて堪らないという顔だ。
あの時の秋穂は、萎んでしまった俺のそれを勃たせようとし、自らあれこれと、
中学生に似合わぬ淫らな行為をしたのだ。
しかし、それは俺にとって忌まわしい過去だ。彼女を愛する事ができなかった
駄目な自分の象徴とも言える。
それなのに、さらりと口にする事ができたのは、三年の時間が俺を成長させた
からなのか──
「また、してほしいな」
「えっ──」
唾液に濡れた唇を、指でなぞる。
この可愛らしい唇で、俺のモノをしゃぶって欲しい。
「フェラ、してくれる?」
「うん……ケイちゃんが、してほしいなら……」
俺はジーンズと下着を脱いでベッドに腰掛けた。
開いた両脚の間に、秋穂が膝を突いている。
「おっきいね……」
「俺も成長したのかな」
「馬鹿ぁ」
彼女の目の前には、剥き出しになった俺のモノがそそり立っている。
あまり自覚は無いが、中学の頃に比べれば大きくなっているのだろう。あの時
は皮も剥けきっていなかったし、もう少し可愛らしさがあったと思う。
根元に密集した縮毛の量も段違いだし、腿や脛の体毛も増えている。
中学の頃は、次第に大人の身体へ変わってゆくのが不安で、恐怖すら覚えて
いた。秋穂との関係の変化も、それに拍車をかけていたのかもしれない。
あの頃とあまり変わらなく見える秋穂だが、彼女も少しずつ大人になっている
のだろう。胸も三年前より膨らんでいるし、子供っぽいとはいえ、顔立ちも大人
びてきた。
こんな状況だから、そう感じるのか──
秋穂は恐る恐るといった感じに手を伸ばし、それを両手で握った。
細くて小さな指が、俺のモノを握り締める。
彼女の指が冷たく感じるのは、俺のそれが熱く滾っている所為だろうか。
「あったかぁい……ぴくぴくしてる」
「秋穂に握られて嬉しいからな」
「……ホント?」
上目遣いに俺を見る。
「ホントだよ」
頭を撫でてやると、照れたように眼を逸らす。
「いただきまぁす」
なんだそりゃ、とツッコミそうになるが、ぐっと堪える。
秋穂が舌を伸ばした。つつ、と先端が触れる。
「くっ……」
秋穂の温かくて柔らかい舌の感触に、自然と身体が反応する。
ピンク色の舌が、鈴口に沿って艶めかしく下から上へと滑ってゆく。
すでに先走りの溢れていた俺の先端を、秋穂は丹念に舐め上げる。
「美味しい?」
「うーん……しょっぱい」
口を尖らせた秋穂は子供っぽく、とても淫らな行為をしているとは思えない。
「美味しいって言ってよ」
「もう……エッチな本の見すぎだよぉ」
「そうかもな」
二人で苦笑する。
「ケイちゃんのエッチ」
「あ、秋穂だって」
「……うん、あたしもエッチだね」
秋穂がぺろぺろと舐めながら笑う。
舐めるだけでなく、握った手も上下に動かしている。
「あたし、ケイちゃんよりエッチかも……」
さっきは恥ずかしがっていたくせに、そんな事を言う。
仕草は子供っぽいのに、中身はひとつ年下の俺なんかより、はるかに大人なの
かもしれない。
秋穂は口を大きく開いて顔を寄せた。
彼女の舌が、唇が、俺に触れる。
「こっち見ながら、銜えて」
「ん……」
頬を真っ赤に染めて上目遣いに見つめながら、秋穂は雁首を口に含んだ。
傘全体が彼女の熱い粘膜に包まれ、言いようの無い快感が湧き立った。
「気持ちいい、秋穂……」
「ぅん……」
何をどうされているのかよく解からない。
判るのは、俺は彼女の口の中で快楽に包まれているという事だけ──
あの時にも、こんなふうに秋穂は俺を包んでくれた。
中学二年だった俺にも、避妊の大切さはなんとなく解かっていた。
秋穂とそういう事をしたいと逸る心に駆られ、羞恥心を抑えてコンドームも
買った。
だが──それを着ける段なると、俺のそれはしなしなと硬さを失ってしまった。
動揺して焦る俺を、秋穂は優しく抱き締めてくれた。
そして、こうすればおっきくなるかな、と言った彼女は、手に握り、さらには、
口を寄せて舌を伸ばしてきた。
萎んで頭部が包皮に隠れてしまったそれを、彼女はそのまま口に含み、舌を滑り
込ませて刺激してくれた。
彼女の行為に俺は興奮していたのに、何故かそこは硬さを取り戻さなかった。
俺は自分の不甲斐無さに耐えられず、彼女を制止し、冷たい言葉を浴びせて
しまったのだ。
それなのに彼女は、まるで自分が悪いかのように、ごめんね、と微笑んだ。
その次の時も、最後までする事はできなかった。
秋穂がしてくれたのは、口淫だけではない。
ある時は、小さな膨らみを俺の先へと押しつけてきた。胸は痛いんだろ、と
制しても、ケイちゃんが気持ちよくなってくれるなら平気、と笑ってくれた。
慎ましい膨らみと、ちょこんと突き出した蕾を押し付けて、痛むのだろうに、
それをまるで顔に出さず、献身的なほどに刺激してくれた。
俺にはそんな彼女が痛々しく、もうやめてくれ、と言うしかなかった。
別の日には、潤んだ秘処を擦りつけてきた。濡れそぼった裂け目を広げ、ケイ
ちゃんがしてくれたからこんなになったんだよ、と言って、萎んだままの俺を
押し込もうとした。
当然、秋穂の幼く狭いそこに、俺の萎びたものが入るわけもなく、俺は彼女を
突き飛ばしてしまった。泣きそうな彼女に、俺は掛ける言葉もなかった。
さらには、あたしがもっとエッチになれば、ケイちゃんもエッチになれるかな、
と、俺の前で自慰をした事まであった。
壁にもたれ、股を広げて、ほとんど無毛の白丘を晒し、くちゅくちゅと淫らに
水音を立てながら、艶めかしく喘いで俺をいきり立たせようとした。
それでも俺が怒張しないと解かると、秋穂は泣き出してしまった。まるで全て
自分に責任があるかのように、ごめんね、ごめんね、と言いながら──
俺は興奮しなかったわけではない。
秋穂のそんな行為に激しい劣情をもよおし、今すぐにでも彼女を貫きたいと
思っていた。己の精を相手の胎内に注ぎ込み、孕ませたいという本能的な欲求は
いつでもあったのだ。
それなのに、その想いを達する事ができないのが悔しかった。彼女を愛したい
のに愛せないというもどかしさに、俺は苛立ち、焦り、腹を立て──
その気持ちは、そういう行為の時だけではなかった。
二人が付き合い始めた事はまたたくまに知れ渡り、公認カップルとなった。
周りはうるさかった。煩わしいほどにちやほやされて、秋穂との交わりも揶揄
され噂されて、時には下品極まりない質問攻めに見舞われた。
そんな話ばかりを振ってくる周囲にも嫌気が差し、結局俺は、秋穂を拒絶して
しまったのだ。
秋穂がどれほど俺を想ってくれているのかも解からず、自分の事しか考えられ
なくなっていた。
「秋穂、すごい気持ちいい……」
彼女は満足そうに眼を細め、ちゅくちゅくと淫らな音を立てる。
秋穂は竿を握ったまま、さらに深く銜え込んでゆく。
「あっ、秋穂……」
上目遣いのままで、俺を頬張る秋穂。
上顎と舌で挟み込まれているのだろうか──強すぎる刺激に、腰が引けて
しまう。
雁の頭を刺激されると、快感よりも痛みが勝ってしまう。
「う、ちょっ、待った」
「んぅ?」
舌の動きを止めて、不安げに見上げてくる。
「いや、気持ちいいんだけど、さ……ちょっと、刺激強すぎ」
「ケイちゃん……?」
それから口を離した秋穂が、俺の顔と下の頭を見比べる。
「気持ちよすぎて、ちょっと痛かった」
俺は彼女に心配させないよう、ははは、と笑ってみせた。
「あぅ、ごめんね……大丈夫?」
俺は、しゅんとしてしまった秋穂の頭を撫でる。
「大丈夫だよ。秋穂のフェラが、気持ちよすぎただけ」
「うぅー」
ただでさえ赤い顔を、さらに赤くする秋穂。
可愛い奴だ──
こんな子を三年間も待たせてしまった。
三年分──いや、幼い頃からの全ての時間の分だけ、彼女を愛したい。
「秋穂も脱いでよ」
「あぅ」
「俺だけ見せてるの、不公平じゃない?」
「うぅ……そ、そだね」
彼女は俺のモノから手を離し、俯いてセーターの裾を握った。
セーターを捲りかけ、手を止めて顔を上げる。
「で、電気……消して欲しい」
「だーめ。秋穂の身体、隅々までちゃんと見たいもん」
「そんなぁ……」
「俺のは見たのに、自分は見られたくない?」
「あぅ、そういうわけじゃ……」
「俺に見られるの、嫌?」
意地悪な質問をしてやる。
「ち、違うけど……恥ずかしいよぉ」
その恥ずかしがる姿を見たいのだ。
明かりが消えていたら、顔がよく見えないではないか──
「さっ、脱げ脱げ〜」
「うぅー、いじわるぅ」
観念したのか、秋穂はセーターを一息に脱ぎ去った。
黒髪がさらりと零れて、白い肌とのコントラストが眩しい。
彼女は、セーターの下にこれまた黒いキャミソールを着ていた。外はあんなに
寒かったというのに、意外に薄着だった事に驚く。
黒いキャミの肩紐に並んで、ブラジャーのものであろう真っ白なストラップが
覗いている。
秋穂が伺うように俺を見る。
「それも脱がないとな」
「むぅ……け、ケイちゃんだって全部脱ぎなよぉ」
「ん、そうだな、俺も脱ぐか」
なんだか、気が楽だ──
三年前は、こんなにリラックスした気持ちでは無かった。
周りの男どもを出し抜いたような優越感、秋穂を手に入れたいという支配欲、
勢いだけは豊富な性欲──
もちろん今だってそういう気持ちが無いわけではないし、性欲などはあの頃
よりよっぽど高いのではないかと思う。
だが、それらの感情よりも、今はただ、秋穂とこうしていられるのが嬉しいと
感じられる。
余計な事など考えず、単純に、秋穂といる時間を素晴らしいものだと思える。
物心つく前から一緒だった秋穂と、一度は失敗した彼女と、本当の意味で恋人
になれるのが、素直に嬉しかった。
俺はベッドに腰掛けたまま全裸になった。
俺だって裸を見られるのは恥ずかしいが、秋穂になら身体の隅々まで曝しても
構わない。むしろ、見てもらいたいぐらいだ。
秋穂は、素っ裸になった俺を見て観念したのか、後ろを向いてジーンズを脱ぎ
始めた。
正面から見られたくないのだろうが、後ろ姿というのも欲望をそそるものだと
気づいているのだろうか──
彼女の事だから、そんな事は思いもしないのだろう。
「あぅ」
スリムなジーンズに引きずられ、真っ白なショーツがずれてしまう。
小振りで引き締まったお尻が半分ほど露になったのを、慌てて戻そうとする。
「秋穂、そのまま」
「えぇっ」
「そのままで、な?」
「うぅ……」
ずれた下着というのも官能的だ。
お尻を半分露にしたまま、ジーンズを脱いだ秋穂がこちらへ向き直る。
ショーツの両脇は、レースになっていて肌が透けている。正面にはピンク色の
小さなリボンがちょこんと乗っていて、小花柄の刺繍が施され、縫い目に沿って
細いレースがあしらわれていた。
俺は、可愛らしさと大人っぽさの同居する下着に眼を奪われてしまった。
それを意識してか、秋穂は前を手で隠してしまう。
「へ、変かな……?」
俺はかぶりを振って彼女の手を取る。
「全然変じゃないよ。ちょっと、意外だっただけ」
言いながら彼女の手をどけさせる。
「意外……?」
「うん。もっと、子供っぽいのを想像してた」
「こ、子供っぽい方が、良かった?」
吹き出しそうになるのを我慢する。
「こういうの、好きだよ」
「ホント?」
「ホントだって」
ぱぁっと彼女の顔がほころんだ。
「良かったぁ……ケイちゃんの好み、よく解かんなかったし……」
小さな、違和感──
「う、上も脱がないとダメ、だよね?」
「ん、そうだな」
それが疑問に変わる前に、彼女の指が黒いキャミソールの裾にかかる。
腕を交差させ、キャミソールをゆっくりと捲り上げる。
ほんのりと朱を帯びた、透き通るような肌が曝されてゆく。
きゅっとくびれた細い腰に、小さく窪んだ臍──徐々に身体のラインが露に
なり、真っ白なブラジャーが現れた。
ショーツとセットなのだろう、レースと刺繍が施された、清楚な色香の漂う
ブラ。なだらかに膨らんだ胸の合間に、ピンクの小さなリボンがアクセントと
なっている。
ずり落ちそうなショーツと、まだ履いたままの黒いハイソックスが、清純な
少女と大人の女性との境界にいる彼女を、いっそう扇情的に仕立てていた。
128 :
89:2006/11/24(金) 01:04:32 ID:HTbiXoeb
以上、今回はここまでです。
無駄に長くなってしまっている気もしますが……
お付き合いいただけると幸いです。
GJ!
この幼馴染が、実は変装した死神ってパターンもありですよね。
おお、新作来てましたか!
続き期待age
131 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 17:38:19 ID:WtciWbpQ
うわ、消し忘れで失敗。
132 :
89:2006/11/30(木) 13:24:55 ID:85Wj23Hu
見惚れてしまう──
「可愛いよ、秋穂」
「あ、ありがと……」
全て取り去るのを待っていられない。
今すぐ秋穂を抱き締めたい──
「おいで」
手を広げて彼女を導く。
「ん……」
床に膝を突いて身体を預けてきた秋穂を、抱き留める。
しっとりとした肌が触れ合い──
当然、彼女の身体には、怒張した俺のそれが突っ掛かるように当たる。
「お、おちんちん……当たってるよぉ?」
「ん、まぁ、くっついてるしな」
官能に昂ぶる気持ちと、日常のゆったりした空気が共存している。
あの頃はもっと感情的で、勢いだけに支配されていたように思う。
「ぬるぬるするぅ」
「秋穂がしてくれたからな」
「す、する前から、出てたもん……」
「そうだっけ?」
すっとぼけてみせると、秋穂はくすっと笑った。
「なんか、やらしいね……」
「そりゃ、やらしい事してるんだしなぁ」
それなのに、どこかのんびりとした二人は、あの頃とは全然違う。
三年という時間が、二人を変えたのだろうか。
少なくとも俺は、自分の気持ちを改めて見つめ直す事ができた。
彼女は、どうなのだろう──彼女も今この時間を、新たなスタートと感じて
いるのだろうか。
抱き合いながら、熱を帯びたお互いの身体を感じ合う。
彼女の身体は、あの頃より多少肉付きが良くなったようにも思うが、全体的な
細さは今もそのままだ。
秋穂の手が腰に巻きついている。胸に顔を押し付けた彼女の髪がくすぐったい。
彼女の背に回った俺の手は、まだ取り払われていない布地をまさぐる。
ブラのホックに指を掛けると、秋穂が身を縮ませた。
「や、やっぱり取るのぉ?」
「当たり前だろ」
「うぅー」
「秋穂の裸、見たいんだよ」
「で、でも……もう見た事あるのに……」
「もう三年も見てないからな。秋穂がどれぐらい成長したか、お兄さんが確かめ
てあげよう」
口にしてから、アホな事を言ってしまったと後悔する。
「むぅ、あたしの方がお姉さんなのにぃ」
馬鹿にされなくてほっとするが、ツッコミどころはそこじゃない。
こんなところも可愛い。愛しい。
頭を撫でると、また子ども扱いするぅ、と俺の肩口に顔を押し付けてきた。
「外すよ」
そのまま、首だけで頷く秋穂。
あの頃はまだ、こういう普通のブラを着けている事は少なかった。小学生が
するような、ハーフトップの時が多かった。
俺の指がぎこちなくホックを外すと、彼女の細い身体がぴくりと震えた。
束縛を解かれたブラが緩み、指先でずらすだけで、肩紐が腕に零れた。
「秋穂、見せて」
「うん……」
彼女の肩を掴み、そっと押すのに合わせて、秋穂が身体を起こした。
白いブラがずり落ち、乳房が露になった。
隠そうとする秋穂を制し、乳房を観察する。
小振りではあるが、ぷくりと膨らんで、なだらかな曲線を描いた秋穂の乳房。
あの頃よりも確かに大きくなっている。華奢な所為だろう、やはりBカップと
いう言葉よりも大きく感じられる。
頂きに乗った淡い鳶色の突起は、きゅっと尖っていて、こちらも中学の頃から
明らかに成長していた。
「そんなに、見ないで……」
「いいじゃん、見たいだんもん」
「うぅ……馬鹿ぁ」
初めて見られるわけでもないのに、こんなにも恥ずかしがる。
そんな初心な反応が欲望を掻き立てる。
「俺、秋穂のおっぱい好きだよ」
「あぅ」
「おっきくなったじゃん。高二なんだし、これからもっと大きくなるかもな」
そう言うと、秋穂は複雑な顔をした。
その顔に、俺は動揺してしまう。
「やっぱり、おっきい方が好き?」
「ばーか。さっきエロ本見て羨ましいって言ってたのは誰だよ?」
内心を悟られぬよう、からかうように言ってやる。
「うぅー」
「俺は今のままでも好きだし、おっきくなっても好きだよ」
その言葉に嘘はない。
「秋穂の胸なら、どんなでも好きだって」
「……うん、ありがと」
秋穂は泣きそうな顔になる。
どうしてそんな顔をするのか──
「秋穂?」
「ケイちゃん……」
秋穂は、泣きそうなまま、破顔する。
彼女のこんな顔は、前にも見た事があった。
中学の時、うまくいかなくて、別れ話になったあの時だ。
いや、もっと前にも──
「秋穂……?」
込み上げるのは、焦燥感──
「痛っ」
「あっ、ごめん!」
無意識に、彼女の肩を強く握ってしまっていた。
「もう……女の子は大切に扱わなくちゃダメなんだからね」
秋穂はブラを肘に引っかけたまま、俺のおでこを指でつんと小突いた。
「あたし……嬉しいんだよ」
満面の笑顔だった。
泣きそうに見えたのは──俺の眼がおかしくなっただけなのだろうか。
「ケイちゃんが、好きって言ってくれるのが嬉しいの」
彼女が手を下ろすと、腕からブラがするりと抜ける。
俺の腿に当たって、床にぽそりと落ちた。
「ね、ケイちゃん……あたしの事、好き?」
そんなの、決まってる──
「好きだよ」
「もう一回」
「好きだよ、秋穂」
「もう一回……」
「何度でも言ってやるよ。秋穂、俺はお前が好きだ」
「うん……あたしも好き。ケイちゃんが好きっ」
言葉には、魔力がある──
秋穂を好きだと言うたびに、秋穂に好きだと言われるたびに、想いが強くなる。
秋穂を抱き締め、肌と肌を密着させる。控えめな膨らみが感じられた。
お互いの温かさを確かめ合い、ベッドに引き倒した。
三日前の日曜に日干ししたばかりの布団は、まだ陽だまりの匂いを湛えていて、
ふかふかとした肌触りが心地好かった。
淡い水色のシーツに仰向けになった秋穂の、白くきめ細かい肌に指を滑らせる。
慎ましやかな乳房は張りがあり、仰向けになってもこんもりと膨らんだまま。
中央にぷくりと浮き出た鳶色の突起が、俺の欲望をそそり立てる。
しかしそこには触れず、彼女の身体の下で、背中から腰へと手を滑らせる。
くすぐったそうに身を捩る秋穂の、大切なところを隠す布切れに指を掛けた。
「あぅ……」
秋穂が身体を強張らせるが、解きほぐすようにキスをする。
横から覆い被さるようにして、ショーツを少しずつずらしてゆく。
秋穂はショーツに手を掛けて抗うが、形ばかりで何の妨げにもなっていない。
それどころか、片手を秋穂の腰の下に入れると、秋穂も身体を浮かせて脱がし
やすくしてくれる。
それでも彼女は、下腹部から手をどけようとはしない。
腿の中ほどまで下ろしてしまっても、秋穂は両手でそこを覆い隠し、両脚も
ぴたりとくっつけ、ショーツを挟んで閉じたままでいる。
「秋穂、ここも見たいよ」
「あぅ……」
俺は片肘をついて上体を起こし、彼女の手に自分の手を重ねる。
「これ、どけてよ」
「うぅ、でも」
そんなに見られたくないのか──
三年前にも、幼い頃にも、何度も見ているところなのに。
「恥ずかしいもん……」
そう言われると、余計に見たくなってしまうのが男というものだ。
秋穂のそこが、今どうなっているのか知りたい。
「見せて欲しいな」
「あ、あっ! そうだ、カフェオレ!」
「はぁ?」
秋穂の台詞に、素っ頓狂な声を上げてしまった。
「カフェオレ、冷めちゃう……」
なんだそりゃ。
「いや、もう冷めてんじゃね?」
「えぇっ? そんなぁ……」
買ってからどれぐらい経っただろう。
まだ冷たくはなっていないだろうが──
「カフェオレの方が大事?」
「あっ! あぅ、そ、そういうわけじゃ……ないけど」
「冷めたっていいじゃん」
「でも、せっかくケイちゃんが買ってくれたのに……」
テーブルに置かれたふたつの缶コーヒーは、きっともうぬるいだろう。
だが、冷めてしまったのなら、また温めればいい。中身が消えてなくなって
しまったわけではない。
俺たち二人の関係のように──
重ねた手で、彼女を促す。
「見せて、秋穂」
「あぅ、うぅ〜……笑わない?」
「なんで?」
「だって……」
「笑うわけないだろ?」
「う、うん……」
彼女がおずおずと手をどける。
手の下に隠されていたのは──予想外の姿だった。
秋穂のそこは、驚いた事に、薄茶色の細い毛が疎らに生えているだけで、あの
頃からほとんど変わっていなかった。
「やだっ、やっぱりおかしいんだっ!」
おかしいだなんて──
「薄いから、恥ずかしいの?」
「うぅぅ〜、馬鹿ぁ……ケイちゃんの馬鹿っ!」
そんな事を言いながらも、彼女はもうそこを隠さない。
けど、今度は両手で顔を覆っていやいやをする。
本当に子供のようだ。俺よりひとつ年上のはずなのに、秋穂の身体も仕草も、
未発達の少女のようで──
「俺、もしかしてロリコンなのかなぁ?」
「えぇっ!?」
「秋穂のここが、昔と変わらなくてほっとしたっていうか……」
「ええぇっ? なにそれぇ……」
顔を覆っている彼女の手を、ゆっくりとどけてやる。
真っ赤になって眼を潤ませた秋穂が、たまらなく愛しい。
「俺、こういうの好きみたいだ」
「あぅ、うぅ」
秋穂は、なんて言っていいのか判らないというような顔で俺を見た。
「もっと、ちゃんと見たいな」
「えっ!?」
「見せてくれる?」
「あうぅ……」
ぴたりと閉ざされた腿と腿の間に、手を差し入れた。
「あっ、ケイちゃん──」
「力抜いて、脚開いて」
「えっ、やだぁっ!」
口では嫌がりながらも、俺が強引に手を押し込むと、脚から力が抜けた。
彼女の股を開かせながら、俺は下の方へと移動する。
「あぅ、ケイちゃんっ、恥ずかしいよぉ」
「秋穂だって、さっき俺の、じっくり見ただろ?」
「そ、そうだけどぉ……」
ショーツに触れた手に、ぬるりとした感触があった。
見れば、彼女のそこに触れていた部分が湿ってぬめりを帯びていた。
「濡れてたんだ?」
「うぅ……」
彼女が俺のモノを銜えながらそこを潤ませていたのだと思うと、愛しいと感じ
もするが、男として、一人の女を手に入れたのだという征服感も覚える。
「エッチだなぁ」
「あぅぅ……」
つい意地悪を言ってしまう。
彼女が恥ずかしそうな声を上げるから、俺は意地悪になってしまうのだ、と、
自己弁護にもならない事を考える。
もっと秋穂の恥ずかしがる姿を見たい──
ショーツをするっと膝まで下ろしてしまい、左の膝の下に手を入れてゆっくり
持ち上げる。
「あっ、やっ」
秋穂の手が制止しようと下りてくるが、構わず膝を折らせる。
俺が彼女の膝を立たせるのに合わせて、右脚に引っかかったままのショーツが
そちらに引っぱられ、黒いソックスに包まれた足首まで落ちてしまう。
左足をさらに浮かせて、ショーツを抜き取る。
「このパンツ、可愛いな」
秋穂はおろおろと、嬉しそうな恥ずかしそうな顔で俺を見る。
「ケイちゃんのエッチぃ……」
「あの時の秋穂ほどじゃないと思うけどなぁ?」
「あっ! あれは、だってぇ……」
三年前の彼女は、必死だったのだろう。
中学生とは思えぬ淫らな行為をした秋穂は、恥ずかしさよりも、俺をその気に
させたいという気持ちが勝ったのだろう。
それに応えてやれなかった自分を嫌悪する。
「あの時は、ほんとにごめんな」
「ケイちゃん……」
でも、今なら大丈夫だ。
俺は最後まで行ける──そう確信していた。
「好きだよ、秋穂」
「うん、あたしも……」
秋穂の透き通るような肌に、右の脛に引っかかったままの白いショーツと、
黒いハイソックスが映えている。
立たせた左の膝を、少しずつ俺の方へと倒してゆく。
「あ、あっ!」
右脚が内を向いて抵抗する。
「見せて、秋穂」
うぅ〜、と唸りながらも、秋穂は頷いて力を抜く。
脚を広げてしまうと、やっとそこが露になった。
さっきとは逆──秋穂の両脚の間に、今度は俺が入り込む。
三年ぶりに見る彼女の秘処──
手前の丘があの頃と変わらない事から想像できたが、そこもまた、ほとんど
変わっていなかった。
周囲はほんのりと赤みを帯び、疎らに茂った恥毛は、幼い少女のように柔毛
ばかりで、ほんの少しだけ薄茶色の細長い芽が伸びている。
うっすらと開いた唇は、彼女の昂ぶりが零れ出ているかのように、透明な露で
満たされている。奥には、鮮やかなピンク色の小さな襞が透けて、艶めかしい
舌のようにも見えた。
その一番手前には、大豆ほどの蕾がちょこんと顔を出していて、大部分は薄い
皮膚に覆われているが、滑らかに潤った可憐な雌蕊が覗いていた。
「うぅ……そんなに見ないでよぉ」
「言われると余計見たくなるんだけど」
「あぅ、じゃあもっと見て……」
「よし、もっと見る」
「えぇっ!? もうっ、ケイちゃんの馬鹿、いじわるっ!」
手足をじたばたさせた秋穂に、子供じゃないんだから、と言ってやる。
「うるさい、ロリコン〜!」
頭をぽかぽか叩かれる。
こいつは本当に年上なのか、と思ったのはこれで今日何度目だろう──
だが、どちらでももいい。年上でも年下でも、俺たちにそんな事は関係ない。
彼女の脚を大きく左右に開いてしまった俺は、彼女の腿を押さえつけるように
して、顔を寄せた。
「やっぱり、恥ずかしいよぉ……」
「何度も見てるだろ?」
「そ、そうだけどぉ……」
見るだけなら幼い頃から何度だって見ていた。一緒に風呂に入った事もあるし、
お互いのものを見せ合った事だってある。
それどころか、触れ合った事だって幾度もあったのだ。
最初にそこを見たのは──あまりにも幼い頃で、記憶が判然としない。
どうしてそんな事をしたのかはよく解からないが、きっと純粋な知的好奇心と
いう奴だったのだろう。
彼女が入院している期間にも、こっそりと病室で見せ合った事があった。幼い
ながらもひどく興奮したのを思い出す。
彼女と俺の親が病室を出て、彼女と二人きりになった時──
言い出したのは、秋穂だった。他愛も無いお喋りの中で、突然そこを見たいと
言ったのだ。
俺はショートパンツをずらし、ドジョウの頭のような未熟な性器を抓み出して
秋穂に見せた。彼女は包帯の巻かれた頭を近づけ、可愛いね、と笑っていた。
子供とはいえそんなところで出しているのは恥ずかしかったが、秋穂が喜んで
くれたのは嬉しかった。
あたしも見せなくちゃね、と言った秋穂は、身体に掛けられたタオルケットの
下で、もぞもぞとパジャマを下ろした。俺がそれを捲ると、パジャマとショーツ
を足首まで下ろしてしまった秋穂のそこが見えた。
俺はどきどきしながら、触っていい? と訊いた。
秋穂はこくりと頷き、俺はぴたりと閉じた小さな筋を、指でなぞった。
そういえば、その時俺は、彼女に求められ、そこをかなり長い間、弄っていた
ようにも思う。秋穂はぴくぴくと身体を震わせていた。
俺はそれがどういう意味なのかは理解できなかったが、もしかしたら彼女はその
頃にはもう、未熟ながらも性的に開花していたのかもしれない。
お互いそういう遊びはイケナイコトだという認識はあった。回数は次第に減り、
小学校の中学年になる頃には、どちらからともなくしなくなっていった。
流石にその頃から比べれば、秋穂のそこはじゅうぶん成長したと言えるのだが、
十八という年齢を考慮すると、やはりちょっと幼すぎないかとも思う。
「へ、変じゃない?」
そんな俺の頭を覗いたように、秋穂が怯えたような声を出す。
「何が?」
「だって、あたし……そこ、まだ、子供っぽいでしょ……?」
か細い声で申し訳無さそうに言う。
またそんな事を──俺は苦笑してしまう。
子供のような秘裂は、よく見ればひくひくと艶めかしく微動していて、小さな
口が官能に喘いでいるようにも思える。
幼い子供のここは、こんなふうにはならないだろう──
「そうだなぁ。あの頃とあんま変わってないもんな」
「あぅ……」
「でもさ、さっきも言ったけど、秋穂がどんなでも、俺は好きだって」
「うぅ……恥ずかしい」
歯の浮くような台詞に、素直に照れる秋穂が可愛い。
俺はおもむろに舌を伸ばし、潤んだ裂け目に触れた。
「あっ! はぁぅ……」
ぴくんと震え、秋穂は吐息を漏らす。
僅かにつんとした匂いが鼻を衝く。立ち昇るほどの女の匂いが溢れてくる。
だが、まるで不快ではなく、むしろ俺の劣情をさらに掻き立てる媚香だった。
「んっ、はぁ……」
舌先を割れ目に添えて、下から上へ、淫靡な露を味わうように滑らせる。
秋穂は震えながら喘ぎ、彼女の両の腿を抑えている俺の手に、しなやかな指を
重ねてくる。
口の中に舌を戻すと、塩気を帯びた蜜の味が口に広がった。
舌を伸ばし、もう一度──今度は舌先を強張らせて、スプーンで掬うように
舐め上げる。
「はぁぅ、んぅっ……」
ぷっくりと膨らんだ秘唇の中には、もうひと揃えの小さな唇が、やわやわと
佇んでいる。
ぴたりと閉ざされたそこは、未だに何者をも受け入れてはいないのだと言って
いるようで、俺はほっとしてしまう。
そして、自嘲する──
この三年間、彼女がどんな男と付き合っていたとしても、俺にそれを責める
権利なんて無い。
彼女は、俺を待っていてくれたのだろう。
今日と同じように、冷たい風の吹く、寒い夜だった。
あれから三年間──
「やぅっ、ケイちゃ……舐めちゃ、やだぁ……」
「なんで?」
俺は舌を止めてそこから離す。
が、秋穂が本気で嫌がっているのではないと解かっている。
「だって、汚いし……」
怯えた子猫のような声が俺の嗜虐心を煽る。
「ふぅん、秋穂のここって、汚いんだ?」
「えぇっ? あぅぅ……」
意地の悪い俺の言葉に、彼女は口篭もる。
「秋穂はちゃんと洗ってないのかなぁ?」
「ち、ちがうもん、洗ってるもんっ」
「なら、綺麗じゃん?」
「う、うぅ──んひゃぅッ!」
秋穂の一番敏感な小粒に、俺は不意の一撃を加えた。
「ひっ、はぁっ、んっ!」
続けざまに舌先でちろちろと転がしてやると、秋穂はびくびくと震えながら、
可愛らしくも艶めかしい喘ぎを漏らす。
「あっ! はぁっ、はぅっ……」
待たせてしまった分を取り返すように──いや、それ以上に俺は彼女を悦ばせ
たくて、彼女のそれに口づけた。
「はっ、はぁっ……あぁっ、あっ」
秋穂の蕾を口に銜えて舌で舐め転がす。
彼女はびくびく震えて俺の愛撫に応えてくれる。
甲高い喘ぎが俺を駆り立てて、もっと気持ちよくしてあげたいと思う。
「ひゃっ、んっ、んっ、あぁっ」
彼女の手が俺の頭を掴んでいる。髪をくしゃくしゃにされてしまうが、それも
心地好く感じられる。
男のペニスのように充血して膨れ上がった粒を、舌で丹念に責め立てた。
「ケイちゃんっ、あっ、ダメっ、ひっ」
身を震わせ、腰を捩り、やわらかい腿に顔を挟まれてしまう。
「なにがダメなの?」
「だって、気持ち、よすぎて……」
唇を離して俺が訊くと、彼女は途切れ途切れに答えた。
「あたし、だけ……先に……いっ……」
語尾が消えてよく聞き取れなかったが、想像はできた。
「秋穂、イきそうだったの?」
「うぅ……うん」
頷いた彼女の指は、俺の髪を弄んでいた。
俺はあの頃、最後まで達した事が無かったが──
俺も、彼女を満足させた事が一度も無かった。
こういう事は何度もしたというのに、彼女をイかせる事ができなかったのだ。
「ケイちゃん……あたし……」
「ん?」
「ケイちゃんと、一緒に……」
身体を起こして覆い被さる。
秋穂が真っ赤な顔で恥ずかしそうに微笑んだ。
「一緒に、イきたいな……」
「秋穂──」
俺は衝動的に口づけた。
舌を絡ませ、唾液を吸い上げる。
身体を密着させると、俺のモノが彼女の腿に押し付けられた。
あの頃とは違う。今なら大丈夫。
だが、ふと現実に立ち戻ってしまう。こういう事をするなんて考えてもいな
かったのだから、当然コンドームなんて持ってない──
「平気だよ、今日は……」
俺の心を見透かしたかのように彼女が言った。
安全日なんて無い──保健の授業で教師が言っていた言葉を思い出す。
性教育の特別講義でも、派遣されてきたらしい講師は同じ事を言っていた。
おかげで、外に出せば良いというものでもない事も理解している。
だが、俺は──
「いいのか?」
「うん……」
俺の躊躇いを吹き飛ばすほどに、秋穂の笑顔は純粋で、扇情的だった。
俺も来年は十八。できちまったらその時だ──
腹を括る。
「ケイちゃん……好き」
「俺もだよ、秋穂」
「して、くれる?」
「当たり前だ。三年分、ぶち込んでやる」
「んふふっ、なにそれ〜」
くすくす笑われる。
秋穂の無邪気な笑みと、股を広げた淫らな姿が対照的で、くらくらする。
「照れ隠しだ、気にするな」
「ケイちゃんも、恥ずかしいんだ?」
「当たり前だろ」
「よかった……あたしだけかと思った」
口元に手を当てて、くすっと笑う。
「ケイちゃん……して」
「ああ」
欲望の塊を、彼女の潤んだ泉に浸す。
ぬるりとした感触が、モトサヤなんて言葉を連想させる。
元の鞘に収まる──彼女の鞘に、俺の太刀は一度も収まっていなかった。これ
から初めて収まるのだ。
物心着く前からの付き合いの俺たちは、三年前に一度はくっついたのに、俺の
不甲斐無さの所為で離れてしまった。
もう離さない。二度と離さない。
「いくよ、秋穂」
秋穂は潤んだ瞳で、こくんと頷いた。
期待と怯えの混じった彼女の眼を見つめながら、俺は腰を押し出す。
「んっ……あっ!」
切っ先は、狙い違わず彼女の中心へ沈んでゆく。
「ケイちゃん……あっ、んんっ!」
だが、すぐに突っ掛かってしまう。
「痛っ! あっ、あぅ……」
さらに奥へと押し込むが、彼女の声に力を抜いた。
「痛いのか?」
「うん、ちょっとだけ……」
申し訳無さそうに俺を見る。
「大丈夫だよ、ケイちゃん……して……ね?」
そんな秋穂が愛しくて──
彼女の腰を掴む。
「秋穂、力抜いて」
「うん」
「俺の手、握って」
「うん……」
彼女が俺の手首を握る。
それで痛みが和らぐのかどうか、俺は知らない。
力を抜いているつもりでも、痛みへの自然な反応だろうから、どうしようも
ないだろうと思う。所詮、気休めなのだろうが──
「もっかい、いくよ?」
「う、うん……」
秋穂が身を強張らせる。
全く力が抜けていない。
苦笑しつつ、俺は押し込んだ。
「ひっ、んっ!」
また止まってしまう。
俺は構わず一息に押し込んだ。
「ひあぁっ! いっ……んぅっ」
彼女の声とともに、ぬるりとした温かい感触に包まれ、強く締め付けられた。
「だいじょぶ、だよ……痛くない」
そんなはずがない。彼女の顔も、声も、手首をぎゅっと掴んだ指も、全てが痛み
を訴えている。
「はぁっ……ケイちゃんの、入ったの?」
「ああ、入ったよ。まだ途中だけどな」
「ん……よかった、よかったぁ……」
「秋穂──」
彼女は泣いていた。
俺も泣きそうだった。
ようやく、ひとつになれた──
三年前、あんなにも情けなかった俺は、ようやく、男として彼女とひとつに
なれたのだ。
「よかったぁ……やっと、ケイちゃんと、エッチできた……」
彼女の喜びが、触れ合った粘膜を通して伝わってくるようだった。
「秋穂と、やっと繋がった」
俺の喜びも、伝わっているだろうか。
「うん、ケイちゃんと、繋がってる……」
かなりの痛みだろうに、彼女はにっこりと笑う。
秋穂の熱い襞に包まれ、俺はえもいわれぬ恍惚を覚える。
彼女の中は、こんなにも気持ちいいものだったのかと、素直に思う。
「んふふっ、ちょっと痛いけど、嬉しいな」
「やっぱ、痛い?」
「ん……ちょっと、ちょっとだけ、ね」
えへへ、と彼女は笑う。
俺はこれほどに快感を覚えているのに、彼女は痛みに耐えているのだ。
それを感じさせまいと、苦痛を隠して笑おうとする。
そんな彼女に、少しでも俺がしてあげられる事は──
「秋穂」
「ケイちゃ……んっ、ふぁ……」
繋がったまま、身体を倒してキスをした。
唇を重ね、舌先を軽く触れ合わせる。
しばらくこうしていれば、彼女の緊張も解せるだろうか。少しは痛みも和らぐ
だろうか。
俺のモノは破裂しそうなぐらいに怒張したまま、どくどくと脈打っている。
とりわけ大きいわけではないと自分でも思うが、彼女の小さな身体には、これ
でも余るほどだろう。
時折、秋穂の身体がぴくんとなって俺を締め付け、柔襞が彼女の痛みを俺に
伝えてくるようだ。
「ケイちゃん、動いて、いいよ?」
「でも──」
「うぅん、あたし、もう平気……」
平気なわけないだろう。今だって痛そうな顔をしてるじゃないか──
それでも、彼女のそんな言葉を聞かされて、留まっていられるほど、俺も淡白
ではなかった。
繋がっているだけで、こんなに気持ちいいのだ。動いたら、きっともっといい
のだろうと思う。
秋穂を貪りたい。秋穂の身体を、奥まで感じたい。
俺は、ゆっくりと腰を動かした。
「ひっ! んんっ……」
唇をかみ締め、眼を閉じ、眉を顰めているのに、秋穂は笑っていた。
秋穂の狭い胎路を、抉じ開けるように進んでゆく。
熱くねっとりと締め付ける彼女の中が、たまらなく気持ちいい。
「んっ、ケイちゃん、ひっ……」
痛みに耐える秋穂がいじらしい。
今すぐにも激しく腰を振りたい衝動に駆られるが、なるべく彼女に負担を掛け
ないように、ゆっくりと押し込む。
先端が、こりこりしたものに触れた。やはり、根元までは入りきらない。
「秋穂、奥まで入ったよ」
「うん……奥まで……」
彼女の指が、俺の手首に食い込んでいる。
「ケイちゃん、動いてね……止めちゃ、やだから、ね?」
「ん、解かったよ、秋穂」
初めて男を受け入れて、激しい痛みに耐えているというのに、そんな扇情的な
言葉を漏らす。
きっとこいつは、天然でやっているのだろう。
いやらしい言葉を口にして、俺をその気にさせようとか、自分ももっと官能に
浸ろうとか、そんな事はまるで考えていない。
思った事を、ただ口にしているだけなのだろう。
まったく──俺はどうしようもない男だ。
こんないい子を、三年間も待たせてしまったのだから。
もしもこの世に神様なんてものがいて、俺に天罰を下すと言うなら、すすんで
受けるしかないだろう──
俺は抽送を繰り返した。
雁と襞が擦れるたびに、今まで味わったどんな刺激よりも突き抜けた快楽が
俺に襲い掛かってくる。
すぐにでも爆発してしまいそうだった。
「秋穂っ、お前の中、気持ちよすぎ……」
「嬉しい、ケイちゃ、んっ、いっぱい、気持ちよく、なってねっ」
はぁはぁと息を荒げて言うと、秋穂も喘ぎながら答える。
このまま快楽に飲み込まれてしまえば、秋穂を痛みから解放してあげられる
だろうか。
そう思うと同時に、一緒に達したいという、青臭い気持ちも湧いてくる。
込み上げる衝動を、頂点の手前でなんとか逸らしながら、俺は腰を振り続けた。
「ケイちゃん、はぁっ、んっ、あたし、気持ちいいっ」
「秋穂、きもち、いいのか?」
「うん、気持ちいいよっ、ケイちゃんの、気持ちいいっ」
痛くないのか? と聞きたかったが、きっと彼女は痛くないと言うだろう。
ならば、俺も耐えよう。
秋穂と一緒に達せられるように、自らの快楽に耐えて見せよう。
彼女に比べたら、笑っちゃうような宣言だろうが──
初めての彼女は、中だけの刺激では、達する事は無理だろう。中は慣れないと
強い刺激は味わえないという話をどこかで聞いた。
俺は身体を起こし、そこに指を伸ばした。
「ひゃぅっ! ケイちゃんっ、ひぁっ!」
二人の結合部のすぐ上で、ちょこんと佇む小さな突起。
抜き差しされているその部分には、わずかに紅い血が滲んでいた。
二人の露が混じり合った愛の証を掬って、蕾を転がす。
「ふぁっ! それ、ひゃっ、はっ、あっ、あっ!」
秋穂の喘ぎが、俺の官能を衝き刺す。
まだダメだ。秋穂はまだ届かない──
気を抜くと暴発してしまいそうな衝動を強引に抑え込む。
躊躇いがちに腰を振り、激しく指を震わせ、内と外から彼女を刺激する。
「ケイちゃんっ、はぁっ、あっ、はっ」
秋穂が俺を呼ぶ。俺も秋穂を呼ぶ。
「秋穂、好きだよ、秋穂!」
「好きっ、ケイちゃん……大好きっ、あっ、ひぁっ」
嬉しくて、気持ちよくて、俺はもうこれ以上耐えられそうに無い。
まだ耐えなければ。彼女と一緒に、三年分の高みに達しなければ。
「ひぁっ、んっ、はぁっ、あっ、あっ」
秋穂の声が震えている。彼女も近いのだろうか。
そう思うと、決壊しそうになってしまう。
「俺、そろそろ……イきそうだよ」
「あっ、あたしも、ケイちゃんっ」
秋穂の身体はびくびくと波打ち、時折大きく弾んでいる。
「ケイちゃんっ、一緒に、あっ、あぁっ!」
「秋穂……でも──」
「ひぁっ、今日、大丈夫っ! だからっ、はぁっ、お願いっ」
中に、出してしまっていいのか──
「欲しい、ケイちゃんっ! 全部、欲しいっ!」
「解かった、秋穂──」
全部、解き放ってしまおう。秋穂の中に、俺の精を注ぎ込んでやろう。
噴き上げるような衝動に全てを任せ、彼女を突き上げる。
「秋穂、イくよっ……出るぞっ!」
「ひぁっ、あぁっ、ああぁっ、イっちゃうっ! ケイちゃんっ──!」
「俺も……んっ、イくっ、出るっ!」
「ひぁっ、ひゃぅ、あぁぁっ──!」
秋穂は腰が浮くほどに背を反らせ、びくんびくんと弾けるように身を震わせた。
俺もそんな秋穂の中で、何度も何度も精を放出した。
三年間の想いを全て吐き出すように、いや、それよりもっと長い時間、彼女と
過ごした全ての時間の分だけの、精を注ぎ込んだような気がした。
視界の隅で、きっともう冷め切ったであろう缶コーヒーがふたつ並んでいて、
秋穂がさっきまで着ていた漆黒のロングコートが、エアコンの風に揺れていた。
143 :
89:2006/11/30(木) 13:42:04 ID:85Wj23Hu
今回はここまで。
えらい長くなってますが、まだちょっと続きます。
お付き合いくださると幸いです。
GJ!
145 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 07:36:11 ID:F8afItjF
これまた良い仕事を。続き期待しています。
保守
もしデスノートの死神が♀だったら…
結構萌えるかもしれない
でも、セクースはできないんだよな。
♂♀の違いはあっても。
151 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 13:59:32 ID:HxX9roHH
>>152 死神娘が無理やりやられるSS書いてくれよ
>>151 レイプって大嫌いなんだよね。
逆レイプは大好きだけど。
そこをなんとか
死神娘を犯そうとした男が、
逆に娘にされて死神男に……
それは別スレだしただややこしいだけか。
俺は今、悩んでいます。
誰にも相談できない悩みがあります。
「・・・・ぃ」
最近付きまとわれているんです。
「・・ぃ・・ぉぃ」
えっ?ストーカー?いや、そのほうがどれだけ救われるか。
「・・・ぉーぃ」
もしかしたら感づいてる方もいると思いますが
「おーい」
俺の悩みt「おーい、聞いてるのか?」
「だー!もぉうっさい!」
「なんだ、何回も読んでいるのに
返事をしないお主が悪いのではないか!!」
この俺に四六時中まとわりついている少女。
俺の悩みは彼女のことです。
出会いは二週間前、まだ少し肌寒い春先のことでした。
俺がいつものごとくバイトをクビになった帰り道
肩を落としながら帰っていると、
誰かが上着の袖引いているような気がした。
振り返ってみると、十歳かきわどい少女がだった。
俺にロリコンの趣味は無いが、
それでも惹かれそうなきれいな顔立ちだった。
そのとき俺は彼女が何か言いたそうだった気がした。
「お嬢ちゃん、どうしたのかな?迷子かな?」
(これでは危ないオヤジに間違われそうでわないか。)
などと心に苦笑いを浮かべていたら、
その子がおもむろに口を開いてこう言った。
「わらわのために死んでくれぬか?」
はっ?
「だから、わらわのノルマのために死んでくれぬか?」
そう、彼女は『死神』だったのです。
残念ながら続かせるだけの力がありません。
誰か!よろしくお願いします!!
156 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 10:53:55 ID:yX7fGmdv
続ける気が無いなら最初から書くなと
158 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 17:22:51 ID:XLR1Rr1S
保守。
159 :
名無しさん@ピンキー:2007/01/28(日) 00:19:54 ID:HrzX+JIG
保守
161 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 14:40:15 ID:gIgGB+SR
疑問だが、死神は本当に死神でないとまずい?
通称、死神って呼ばれてるみたいのはまずいか?
そうでなければ、アイディアはあるが…
通称でも良いんじゃね?
ところで、漫画の話になるけれど。
日本の『死神』は海外だと『Soul ripper』とか『Shini-gami』って表記されるらしいな。
ヤハウェの蔓延る文化圏では、デスノのリュークとかに「神」を表す表現は不適切だと判断されたとみた。
日本語の概念に当たる「死神」とはちょいと意味が違うのかもね。>Death
この流れで『通称』死神は投下しにくい今日この頃
投下おk?
おkおk
思ったより反応が早くて焦り中。
はっきり言ってエロなんて書いたことないし…。
とりあえず、まだそこにたどり着いてないのはご愛嬌。
駄文、乱文だが許していただきたい。
題名は…「狩る理由」でいいか。
「各員、戦闘体制のまま待機!」
荒野に5000の兵士が集まっている。
前列は長槍を構え、その少しあとに黒いローブを纏った魔術士が立っている。
次に弓兵が矢をつがえ、残りは剣と盾を握っていた。
「いいか、敵の数はたかだか1000!
我々にとって、ただの小石に等しい事を忘れるな。
敵を、敵の血で溺れさせろ!
我々の勝利は神に約束されている。
これは聖戦だ!!」
おぉ!と声があがった。
5000の兵士を束ねるグラムは満足気な顔で彼らの前に立っていた。
「我々の槍は鎧を貫く!
我々の魔術は敵を焼き付くし、矢は雨に等しく降り注ぐ!
剣を振るえば地が砕け、盾は全てを弾く!
もう一度言おう、我々の勝利は約束されている!!」
雰囲気はすでに勝利をおさめていた。
そこに、グラムのそばに男が近寄る。
「グラム様、大事なお話が。」
彼は物見役だった。
「敵にクリスが、死神のクリスが合流しました。
東の国境の防衛に向かったのは偽情報です!」
グラムの背筋が凍った。
運よく、他の兵士には聞こえなかったらしい。
鼓舞された兵士は猛々しい空気に包まれていた。
彼は言葉を締めて、その場を離れる。
そして、ゆっくりと聞き直した。
「それは本当か?
間違いや、それこそ混乱を狙う偽情報ではないのか?」
だが、残念そうに首は振られた。
断じて否、と。
「ちっ…くそ!だから俺は反対だったんだ!
普通に考えて5000に対して1000を向かわせるか?
ここはやはり引くべきだったんだ。」
それは吐き出されたような言葉だった。
「いいか、クリスが合流した事を誰にも話すな。
指揮に影響するからな。
なに、1000の兵と一騎当千が一人…たかだか2000の兵だ。
問題はないだろう。
…問題はない。」
その言葉に嘘がないと誰が言えようか?
だが、敵の軍勢はすぐそこまで来ている。
秒針が10回、円を描けば対峙するはずだ。
退こうとすれば背中を突かれてしまう。
逃げる、という選択肢はなくなっていた。
「…って話してるんだろうな〜。」
焦ってる顔が目に浮かぶ、目に浮かぶ。
私が国境に向かった情報はうまく流れたからね。
おかげで、あっちの敵さんは防御の構え。
こっちの敵さんは油断していると。
まったく、笑顔がこぼれちゃうよ。
「んじゃ、みんなー。
死なない程度に頑張ろうね。」
…よし、元気な返事。
さてと、このペースで進めば10分でぶつかるな。
そろそろ準備をしなくちゃ。
まずは武器のチェック。
歩きながら剣を抜く。
桜色の目と唇、ゆるやかな輪郭が写る。
うし、いい感じに研がれてる。
次は防具、肘当てと膝当て、胸当て、真っ赤な服に欠損はなし。
あ、そうだった、そろそろ髪を切ろうと思ってたのを忘れてた。
もう肩まで伸びてるし…、気になるなあ。
視界に赤いのがはいるし、邪魔になってるよ。
これが終わったら切ってもらおう!
なんて考えてると、地平線に敵が見えはじめた。
172 :
168:2007/02/06(火) 21:51:01 ID:NDX3wr53
今回の投下分はこれだけです。
エロまでは少々お待ちを…。
筆者が凌辱なとが嫌いなので甘々になる予定。
あ、ごめん、本当にヘッポコだねorz
通称死神、いいじゃないか。
期待しているぞ。
>>173 そう言われると嬉しいが緊張する…。
ともあれ、懲りずに続きを書いてみた。
エロは〜…次か、その次になります。
ちなみに、ちょっと痛い表現があるので注意してくだはい。
エロが一番書きたいのになぁ…先が長いよ。
距離にして100m、走れば10数秒。
魔術、弓矢、両方とも射程圏内。
まさに臨戦状態だね。
「よーし、魔術部隊は詠唱準備。
剣士部隊はいつでも突撃できるようにしといてね。
合図をしたらすぐに戦闘開始だよ。」
そう言い残して私は敵と対峙しに歩き始めた。
枯れた草がサク、サクと音をたてる。
距離にして10m、ザワ、ザワと、どよめきが聞こえる。
『おい、あれって』
『死神?死神のクリス?』
『まさか……』
本当に焦ってる、焦ってる。
ここまで上手くいくと笑いたくなるよ。
「やっほー、私の噂は知ってるかな?
通称死神、死神のクリスだよ。
まあ、あんた達に恨みはないさ。
だけどマスターのために、とりあえず死んでくれる?」
どよめきはさらに大きくなる。
すかさず私は詠唱を始めた。
『大気に満ちる、数多の水よ
集い来りて玉となれ
その身を氷に変え
敵を押し潰せ!』
戦闘用魔術・氷式・ガラスの星
半径10mにもなる大きな氷が、隕石となる。
これが私の合図。
ぐぁっしゃ!
綺麗、とても綺麗な音。
空から落ちた氷が100人、いや200人は押し潰し、殺した。
…背中がゾクゾクしちゃう。
「っ、各員戦闘開始!」
相手の指揮官ぽいのが叫んだ。
30代くらいかな?銀髪のオールバックと長い髭、がっちりした鎧が特徴的。
ま、どうでもいいけどね。
「どうせあんた達、みんな殺しちゃうんだから。」
前からも、後ろからも怒声が聞こえる。
二つの軍勢の突撃が始まった。
私も10mの距離を走り出す。
槍兵が武器を突き出し、壁を作っていた。
まずはこれを消さなきゃ。
剣を抜く、同時に詠唱を始める。
『降りそそげ、炎
敵を押し潰せ
息をさせるな、焼き殺せ!』
戦闘用魔術・炎式・赤の重さ
炎に質量を持たせて放つ技。
穂先をかいくぐり、一人目の喉に剣を刺すと同時に発動した。
左右と前から叫び声がする。
あれは潰れた声?あれは焼かれた声?
…ゾクゾクしちゃうよ。
魔術が飛び交い、剣が交じり合う。
数分もしないで混戦になった。
出鼻をくじいてやったから、こっちの有利に進んでい───
「…おっと、や!
後ろから殺ろうなんて甘いよ。
ほら、首が斬られちゃったじゃん。
これを教訓にして、来世では気をつけてね。」
えっと、今ので斬った数は〜…、何人目だっけ?
まあ、50は越えてるかな?
魔術のおかげで剣の切れ味が落ちないのは便利だね。
真っ赤に染まるのはどうしようもないけど。
次の敵、胴体から真っ二つにする。
次は心臓を貫いて下に引きおろす。
次は肩から袈裟に切り落とす。
私の通った後には血と肉と死が転がっていた。
「さてさて、そろそろ頃合いだね。
『死神』の由来を見せてあげよう♪」
誰に言うでもない言葉。
私は動きを止め、剣を地面に突き立てた。
自由になった両手を祈るように組み合わせる。
別に、神様なんて信じてないけど必要だからしょうがない。
そして、静かに、ゆっくり呟いた。
『血に濡れた肢体は私の人形
その肉に魂も意思もない
それはただの死の塊
あなた達には従う義務がある
従順にして盲目に
私の手駒になれ』
封印指定魔術・死者の螺旋
効果は単純、一定範囲の死体を支配する。
私が踊れと言えば踊る。
例え首がなかろうと、二つに裂けていようと。
もはや人の形をとどめてない肉塊でも踊りだす。
屍は、私の命令に逆らえない。
「殺せ、私の敵を一人残らず!」
私が死神と呼ばれる理由。
圧倒的な力と、死者を操る事ができるから。
死者が死者を作る。
そして新らしく出来た死者を操り、また死者を作り出す。
この螺旋のような魔術を使えるのは私だけなのだから。
「私が恐れられてるのよね〜。」
肉は剣をとり、または槍をとり、それでもなければ素手で立ち向かう。
既に生きていないから。
人間の制約にとらわれていない。
筋肉は本来は使わない方法で酷使される。それこそ、岩をも砕く力になっている。
強力で残忍な魔術。
既に勝敗は明らかだった。
179 :
174:2007/02/07(水) 23:48:04 ID:Syn+V1PE
色々と趣味が丸だしだな
少し反省してみる
続きは…頑張って明日には仕上げたい。
見苦しくてすまん。
つか、次は思い付きで書くのはやめようと決めた。
反応がないうちに続きを投下するのも気が引けるな…。
不快でないなら最後までお付き合い願いたい。
今回はエロにギリギリ足を入れてます。
次だ…次が書きたいシーンだ…。
「土に戻れ。」
指を鳴らすと5000と少々の肉は砂になり、崩れた。
私でも怖くなる程の強制力よね、これって。
「クリス様、お疲れ様です。」
ふと、私の横にいた兵士が言った。
「心遣いありがと。
被害確認と怪我人の保護を急いでね。
私は先に本部に戻るけど…気を抜いて背中を指されないように。」
はい!という返事が返ってきた。
本当、元気だけが取り柄よね〜。
別に嫌いじゃないけど、もっと柔らかい人がいてもいいと思うよ。
そんな事を考えながら、私は馬に乗った。
「よし、急いで帰ろう!」
綱を引き、馬を走らせた。
「…それにしても、本当に死神だな。」
クリスが去った後。
兵士達の会話。
「ああ、確かに一騎当千…いや、それ以上か。」
「単純計算で、一人で4000を倒したからな。」
「さすがスリング博士の最高傑作だな。」
「もっと作ってくれればいいのに。
そしたら戦争も終わるよ。」
「偶然できたらしいぜ、だから量産は無理なんだってよ。」
「偶然、か。
偶然で戦争がひっくり返るのかよ。」
そこには苦笑いが含まれていた。
私が城に帰ってすること。
まず、皇帝様に報告をする。
いつもの褒め言葉をもらって、次の作戦までの待機命令が下る。
そしたら、いの一番に自分の部屋に戻って服を着替える。
今日は〜…、この黒いのでいいか。
ちょっと地味だけど、まさに死神って感じだし。
順番がめちゃくちゃだけど、次に手を洗い、顔を洗う。
そして『お楽しみ』のところへ向かう。
−−−ホモンクルス研究所・スリング博士のアトリエ−−−
ここ!私が頑張って戦う理由!
ノックをすると、返事がかえってくる。
ガチャリ、キィー、バタン。
古びたドアは大袈裟な音をたてた。
「お帰り、僕のかわいい死神。」
ボサボサな青い髪、小さな眼鏡、私と変わらない身長。
くたびれた白衣、だけど20歳になりたての顔には不精髭はない。
変な所がきっちりして、変な所がだらし無いこの人が。
あったかいコーヒーに、ミルクと砂糖をたっぷりいれたようなこの人が、私のマスター。
「ただいま、マスター♪」
そう言って私は抱き着いた。
「よしよし、どうした?
今日はやけに甘えん坊じゃないか。」
ふんわり、柔らかい声。
私の頭をクシャクシャと撫でてくれる手。
その両方が気持ちいい!
「ふわぁ…、ふみゅ。
マスタ〜、『今日は』じゃなくて『今日も』だよ。」
それもそうだね、ってマスターは笑った。
私も一緒に笑う。
「今日ね、作戦が大成功したんだよ。
偽情報を流して、不意打ちする作戦。
こっちの被害は殆ど0だったし、国境も防衛できたみたい。
皇帝様がね、よくやったって褒めてくれたの。
偉いでしょ?」
私が決まってする自慢話。
頑張ったねって言って欲しくてする自慢話。
でも、なぜか。
私がこういう話しをすると複雑な表情をする。
悲しい、苦しい、でも笑って隠してる表情。
「マスター…?」
「ん、頑張ったね。」
でも、やっぱりクシャクシャしてくれた。
それでいっぺんに嬉しくなる。
「んふふ、頑張ったんだよ。
だからね、マスター。」
私は無意識に、とろってした目になっていた。
「ご褒美ちょうだい♪」
そうしてマスターは、嬉しいような、困ったような、複雑な表情でキスをしてくれた。
184 :
180:2007/02/10(土) 00:15:42 ID:gbLcrGut
次回から本格的にエロに入ります。
これが書きたかったんだ…、がんがれ自分。
どうか、最後までお付き合いください。
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
┏┓┏┓ ┏┓ ┏┳┳┓ ┏┓ / /" `ヽ ヽ \. ┏┓┏┓
┃┃┃┃┏┛┗━┫┣┻┛┏━┛┗┓ //, '/ ヽハ 、 ヽ ┃┃┃┃
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`ヽ< | | ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
誘い受け精神が激しく萎える
死神がエッチ未経験の処女で美少女(メガネ+巨乳)で
魂を狩ろうとした男性が死ぬ前にSEXをしたいって言って
誰としたいの?って聞いた瞬間に鎌を叩き落とされ男に押し倒され
私は神様なのよやめなさいって抵抗するが
どうせ死ぬだから何をしたって構うものかって言う理性の飛んだ男性の前には無力で
力の源である鎌を持たない死神は単なる少女にしか過ぎず
なす術なく服を剥かれ引き裂かれ下着を奪われ
手足を縛られ凌辱され処女喪失などの一部始終をビデオ撮影までされ
最終的に男性の魂を狩る事こそ出来たが一生、消える事が無いトラウマを抱えて汚れた身体をシャワーで何度も洗い流そうとする
ってシチュを希望
>>187 一つ言わせてくれ。
手足を縛られるのは分かるとしても、なんで死神がビデオに映るんだ?
>>188 死神が映ると思ってれば映ってなくても無問題じゃね?
骨と装束とカマだけ映ってるとか。
死神少女が魂を狩る対象を選別する為に女子高生に変装し都内の学校に潜り込む
そしてその任務の中で不良だけど根は優しい男の子に惹かれ好意を抱き始め思い切って告白してみたら男の子の方も死神少女の事が好きで晴れて二人は恋人同士になる
が死神と人間の恋愛はご法度と言う掟があり付き合っている事が上司にバレて上層部直々に付き合ってる男の子の魂を狩れと命令が下る
死神少女は悩んだ末に魂は狩らないと決めたがその行為が裏切りと見なされ
男の子の目の前で上層部が送り込んだ魔物に処女を奪われ中に出され腹ボコになるまで滅茶苦茶に責められる
その後、男の子は記憶を全て消され
死神少女は監獄に幽閉され掟や命令に逆らったら、こうなると言う現役死神や死神見習い達への見本(みせしめ)として
今でも魔物やスライムなどに定期的に犯され続けている
って感じの希望
そこまで細かく設定しといて他人まかせとは
乞食の集会場はここですか?
シチュ指定だけで抜ける
>>190 ちょっと肉付けすれば完成だから頑張れ。
196 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/25(日) 20:43:39 ID:tDVc7h/F
保守
>>195 くそくそくそう、俺が
>>190のシチュで書こうと思ったのに、先をとっくにこされていたか!
……いや、いいんだ。俺の作った小説なんていいんだ。どうせエチ小説初めてなんだしまだできてないんだし、いいんだよ。
>>195、頑張れ。俺の小説を踏み越えて行け。
クッ…
貴様、そんなに「いいからうp汁」と言われたいのか!
なぁ、昔ジャンプで掲載された「死神に乾杯!」は軽く該当してないか?
エロシーンはないけども。
富沢祐 死神に乾杯! ジャンプ ホップステップ賞 佳作
>197 いいからうp汁 なんて絶対いわないっ! いわないんだからねっ!
by 昨日、このスレみつけて、自分も何か書こうとか思うへたれ書き手より
201 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/06(火) 19:50:01 ID:9T0RNgtU
保守上げ
|д゚)誰もいない…投下するならイマノウチ?
ふと目が覚めて、目の前に女―女の子の顔がドアップで映れば誰だって驚くやろ?
「キミ、もうすぐ死ぬから」
しかも、そんな事を言ってくるわけや。淡泊な口調で。
あれやね、俺の頭はどうにかなってもたみたいや。
死神? ルキアとかモモとかそんなん?
OK,冷静に考えよ。死神は死者の魂を運ぶ、これが俺の知ってる事や。
死神が人を殺すか殺さないかは重要やない。
重要なんは、こいつがホンマに死神なら俺は死ぬって事やな。
マジかよ……
「大マジだから」
しかも、こいつは心まで読めると。
「心を読める奴は多いよ。触れられる奴は少ないけどね」
触れられる……
なんとなく、少女を眺めてみた。
「キミ、いま変なこと考えなかった?」
いや? 別に何も??
「そう? なら良いけど」
取りあえず、覗き込むようにして目の前にあった顔を掴んで引き倒してみる。
「ちょっっ きゃっ!」
あ、やっぱ触れるんや。
テキパキと少女の服を脱がしていく―何で手慣れてるんかっちゅうんは秘密や。
お節介な幼なじみとガッコの後輩達とのコミュニケーションの賜とだけ言っとこ。
「ちょっキミ何かんっ」
唇を塞いで黙らせる。女を黙らせるのはコイツが一番ってね。
ここで焦ったらアカン、じっくり、ゆっくり。
上あご、歯茎、舌を絡めて……じっくりねったりとや。
ちょっと抵抗が弱くなったら頭をなでてやる、大抵の奴はコレのポイント高いんや。
反応して、体の強張りが消えたらもう堕ちたも同然やしな。
抱きしめたまま、ゆっくり体の位置を入れ替えてやって……
頭から首、そして胸に
ここでそのまま一気に触んのもNGや、一瞬だけ溜めて……な
「んあっ」
そしたらこうなる、と。んで、あとは調理人が好きに料理するだけっちゅーワケや
胸の頂と蕾に指を這わせる。
「いひゃっ!?」
不意に、挿入。
「ちょっ、調子にっ……乗り、すぎっ」
聞く耳もたへん、体は十分に溶けとる。後は心を溶かしていくだけや。
俺は抽送を繰り返した。
ゆっくり、時に早く
蜘蛛が獲物を捕食する時みたいに感覚を麻痺させて心を溶かしていく。
心も、体も、想いすらも……少女を構成する全てを。
そして、ため込んでいたものを最奥に解き放つ。
全てを溶かす、最高の毒を。
「コイツが死ぬ理由ってコレだったのね……お前にしか出来ないとか言うから何かと思えば……私が帰るのを楽しみにしてなさいよアイツら」
そう、小さく呟いて少女は淡い光を大事そうに抱えてゆっくりと揺らめきながら周りの空気に溶け込んでいった。
ごめん、整形確認するつもりで書き込みボタンを押したら問答無用で書き込みに……
ほんと、スマンです。
えーと、死神から犯されちゃう話はOK?
死神→人間でも人間→死神でもどっちでもいいと思うけど
207 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/09(金) 23:18:43 ID:kjp9IAnb
過疎ってる?
ネタ書けば賑わうかな?
死神少女〜あなたを殺すね♪〜
あっ、気がついたんだね。
ここはね、あの世とこの世の間なの。
急に何を言ってるんだコイツ、と思うだろうけど本当なの。
あなたはね、もう生きてはいないけど、まだ死んでもいない。
憶えてるかな、あなたが事故に遭った最期の瞬間を。
思い出した? 良かった、そういうわけであなたの肉体は壊れたの。
でもね、それはこの世の因果の支配から外れた出来事だったのよ。
プログラム上のエラーともいえるんだけどね。
つまりね、あなたにはまだ寿命が残っているの。
それもあと50年も。生きてやり残したこと、いっぱいあるでしょ?
だからあなたに生き返らせるチャンスを与えにきたの。
え、あたし? あたしは、あなたの魂を回収しに来た死神。
ほら、黒い衣装に鎌をもっているのはそういう仕様。
だけどこれからの行為にはどっちも必要無いのよね。
つまり、あなたはあたしとエッチをして、
あたしを1回でも絶頂に導けば生き返らせてあげる。
だけどあなたが1回射精するごとに、1年分の寿命をもらうわ。
あり得ないだろうけど、50回射精したら、あなたは消滅するの。
どう? あたしみたいな美少女とエッチができて嬉しい?
返事しなくてもわかるわよ。
その欲望に満ちた目と固くなりかけたチ○ポを見れば。
じゃ、さっそく始めよっか!
何ボーっとしてんの、早く服を脱ぐ。
それともあたしだけ裸の方が興奮するの?
あたしの大きなおっぱいばかりチラチラ見ちゃってんの、あは。
ねえ、50年も寿命が残っているんだから、
1発や2発出しても変わりがないわよね?
遠慮しなくてもいいわよ。
あたしがサービスで抜いてあげるから。
さあヌギ脱ぎしましょうね。
ふふ、こんなにおっきしちゃっていけないんだ〜。
それにもう先っぽから汁も垂らしちゃって。
待ち遠しいのね。すぐに解放するから。
つーんつーん☆ ニギニギっ♪ ぎゅっギュッ! シコシコ…シコシコ…
な〜に、たったこれだけの刺激でもう出しちゃうの。
だらしない節操無しのチ○ポにはお仕置き! 両手で圧迫するわ。
あはっ、すごい勢いで飛び出た。
どうしたの、不思議な顔をして?
あ、そっか、ここでは一度でも勃起したら決して治まらないから。
あなたの寿命が尽きるまで、ね。くすくすくす……。
そんな不安な顔しないでよ。あと49回も射精できるのよ。
いまの射精、すっごく良かったでしょう?
だって1年分の快楽が凝縮しているもの。
さっきの快感を思い出したらまた射精したくなってきたの?
じゃあ今度は、あたしのおっぱいに挟んでペロペロしてあげるね。
あなたの手でおっぱいをつかんでよ。
あたし、結構胸が弱いんだから、感じちゃいそう。
もちろん、あたしを感じさせて早くイカせてもいいの。
でも、まだそんなことはしないよね?
もうちょっとあたしと遊んでいたいよね?
うん、そう。あつ〜いチ○ポが隠れるくらいに深く埋まって、
そこからチョンとはみ出た亀頭を舐めてあげる。
気持ちいいの? そんなに強くおっぱい揉んで、
激しく腰を動かしたりしちゃって。
あたしが激しくされるのが好きだとわかってやってるの?
それとも早く自分が射精したいからやってるの?
え? 聞こえなかったって?
ううん、もういいよ。
こんなにあたしの顔とおっぱいに精液をかけてるんだもの。
情けない早漏チ○ポ〜。
100年あってもあたしは満足できなさそうだから、
特別にマ○コに入れさせてあげる。
どうしたの? 急に感激した表情をして。
ええ〜? 童貞だったの?
そうだったのね、納得しちゃった。
だけど入れてすぐに出さないでね。
あたしも気持ちよくなりたいんだから。
さあ仰向けになって。あたしの方から童貞チ○ポを犯しちゃう。
入れちゃうよ〜。
ダメダメ、ストップ! まだ先っぽが入ったばかりじゃん。
どうしてもうこんなにピクピクしてるの?
あたしの膣が柔らかく締め付けてきてる?
腰を振っていない今でも中はチ○ポを包みながら動いてる?
え? え? 我慢の限界?
……あ〜あ、もう出しちゃって。
さすがにあたしも腹が立ってきちゃった。
一気に5年分以上、もらうからね。
ほらほら、どう?
奥の方がもっと気持ちいいでしょう?
チ○ポの先から根元まで包まれて圧迫されて、
精液と愛液が絡み合ってヌルヌルと泡立てちゃって、
子宮口がフェラしているみたいに吸い付いているのよ。
ああんっ、またあたしの中に出しちゃった。
もうこれで何回目なの?
5回どころか、もう10回以上射精しちゃって。
あたしも少しは気持ちよくなってきたけど、
それでもあなたはまださらに快感を得たいの?
本当にいいの? どんどん死に近付いているのに?
だったらペースアップしてもいいのね?
ほら、玉を揉みモミしてあげる。お尻の穴もされたいの?
……また出しちゃった。もう股の間に精液が垂れてるのよ。
そうだっ! あなたの射精を遅らせる方法があるの。
それを使ってもいいかしら?
だけどそれは変わりにね、1回射精すれば2年分の寿命を消費するの。
いいのね? さあ、術をかけるよ。
うん? どうしちゃったの?
え? もっと気持ちよくなった?
そうよ。言い忘れていたけど、この術は射精を2倍延期させる変わりに、
それまでの快楽の上限が2倍になるの。
だから〜、もっと激しく腰を振っても大丈夫ってこと。
そうすればあたしも気持ちよくなれるでしょう?
だけど気を抜かないでね。2年分の快楽を一瞬で消費したらもったいないよ。
あはっ、そうそう、もっと激しく突き上げて♪
あたしもだんだん高まってきちゃった。
え? 射精しそう? ダメダメ、あたしもあと少しなんだから。
それでいいの? 寿命はあと10年も残っていないのよ。
ねえ、だったら残りの寿命を全部、この射精に費やしてみる?
少ない寿命で生き返るよりも、ここで消滅した方が良いよね?
もう何も考えられないくらい気持ちいいの?
だったらあたしに賛成するなら首を縦に振ってみて?
うん、賛成するのね。だってあなたはさっきから首を振ってばかりだもの。
…………ぇ、ねえったらっ!
失神したらダメよ。気を失っている間に吸い尽くしちゃってもいいの?
あたし、もう少しでイキそう。
だからもっと激しく中をかき回して! 奥まで突き上げてっ!
どうして動きがにぶくなったの? ダメだよ、出しちゃ。
魂が死んじゃうよ。
あっ、あっ、あん。締まってきたよね。
あとほんのちょっとでイッちゃうよ。
あたしがね、やんっ、イッた後に射精すれば大丈夫なの。
ほら、あぁ、あたし、もうイクよ。
あなたの最期のおち○ちんに突かれながら、イッちゃうよ。
きゅう〜〜〜、っとした後に精液を出せば良いからね。
あ、や、いく、イク、イッちゃうーーーーー!
どうしちゃったの? 可愛いね、その絶望した目。
ふふっ、ごちそうさまでした。
そして、おやすみなさい。
dead end...
gj
保守
214 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 12:27:56 ID:zxq9Zo3L
誰か書いてくれ
>190
#こんなかんじか?
#土台だけもらって書いてみた。
「そう… 次はあそこなのね?」
眼下に広がるコンクリートジャングル…大都市にひしめき合うビルの中に、
ターゲットとされる建物を見おろすように飛ぶ一人の少女。
全身黒い。頭頂からつま先まで黒い装束で身を包み、
時折魅せる髪は白銀。またがるは大鎌。鎌をつかむための手は透けるように白く、
眼は藍色…だが時折真紅の色を覗かせる、可憐な少女である。
話を終えると手にした端末を懐にしまい、黒装束をひるがえすと、
誰にも映らないのか、ターゲット近くの路地へと降り立った。
かつて人がだれしも恐れ敬われた存在 …死神… そう、彼女は死神である。
「まったくっ、ヒト使いが荒いっ! 上の奴らはもう少し労わってほしいわっ!!」
「マァ そういわないいわない」
少女の影から黒猫が現れる。
「シュマはいいわよね! ただ付いてくるだけなんだからっ」
「監視というのはそういうものさ」
猫…シュマと呼ばれた猫はおどけて見せる。なぜシュマなのか…
少女が抱きしめたとき、マシュマロのような抱き心地だったからである。
「ふんっ。 で、次のターゲットはアレよ」
「ほー また人間がいっぱい居ますなぁw」
「アレから、また相応しい人間を探さなきゃならないなんて…」
「まぁ、神の世界にある間引きシステムが壊れちゃったんだから、
仕方ないんじゃないかな」
「間引きって、他に言い方ないのっ?」
「ないね 痛てっ!! なんだよ ぶー」
「さ、仕事よ仕事!」
「ちっ、へいへーい」
叩かれた頭をさすりつつ、シュマは影に消える。
と同時に、少女の装束が、周りの生徒たちと同じ服に切り替わる。
切り替わりと同時に周囲の視線が少女に注がれたが、
周りは何事も無かったかのように登校し始めた。
一部、その容姿に見惚れたもの以外は。
少女はアレと呼ばれた、この世界では高校と呼ばれる建物に、近づいていった。
「とまぁ、そういうわけで、転校生を紹介する!」
−ザワッ
なんともやる気のない先生の言葉を聞き、教室中の生徒がいろめきだつ。
登校前に噂になった少女が、自分のクラスにきたのだ。
「北白河 望です」
か細い手で黒板に書かれた文字と、凛とした声が室内に響く。
「じゃあ、お前の席はまだ無いから、ちょうどソコ、ソコにすわっとけ」
「はい」
すると、ざわめいた室内が、どよめきに変わった。
−そこの席は −シッ! −いやでも −どうせ午前は来ないんだから −そりゃそうだ
席に通された望は、座る。
>190の気に召さないなら これで終わりにします…
こういうのを誘い受けと言うわけかw
一瞬誘いうけ ってなんだっけ とググって見たら…
なるほど 確かに誘いうけだ。
原作が有るぶん、190の了解がないとかけないし、
ぶっちゃけ仕事の絡みで215以降をまだ書いてないって現状があります。
だめならまたしばらくROMって、充電します って意味ですー
書いちゃえよ、190なんて関係ねぇよ…クク…
お久しぶりです190です
まさか文才なくて妄想しか出来なかったのに書いて貰えるとは思いませんでした
私では文才なくて挫折するのは目に見えているので215さんの好きな様に書いて貰っても大丈夫ですよ
逆に死神娘がやっちゃう逆レイプはおk?
222 :
1:2007/03/29(木) 22:01:07 ID:l16T6vkk
死神娘がやられちゃうのが読みたいんじゃー!
…でもこの際逆でもイイかも?wwww
>>221 死神娘の逆レイプでもいいんじゃないか?
少なくともここに賛成者が一人いるが
なんでもイイから誰か書いちゃいなYO
ほしゅ
死神娘か・・・。
Lの季節ってギャルゲーのヒロインに気弱な死神がいたな。
水夏とかもいた気がする
228 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/21(土) 13:48:02 ID:7EgbDAAY
どんな楽観主義者でも……否、楽観主義者だからこそ。
人生観を根底から覆すような絶望に陥れられた時、その人格は容易く壊れる。
明るく朗らかだった笑い声は卑屈で冷たくなり、
夏の日差しのように眩しかった瞳は冬の木々のように枯れ、
軽やかだった足取りは、人間の臓器でも纏っているかのように重くなる。
歩く度に、足元でぐちゃ、にちゃ、と音がするようだ。
足に絡まる内臓の群れからは、血液こそ出ないものの、得たいの知れない汁が染み出る。
無論それは錯覚に過ぎないのだが、人が壊れるというのは、そういう事だ。
その目に映る風景や物質の見え方は、常人の理解が及ぶところではなくなる。
だからこそ、こんな有り得ようもない幻覚まで、見てしまったのかもしれない。
俺の前に現れた、学生服の少女。
ほんのり茶色がかった髪は、しかしその控えめな発色具合から見るに、恐らく地毛だろう。
縁無しの眼鏡は、理知とお洒落を兼ね備えて、大人びた雰囲気さえ漂わせる。
白いセーラー服の襟元で赤いスカーフがヒラヒラと風に舞い、
黄色味の混じった肌色のカーディガンが、ふんわりと羽織られている。
やや青味の強い紺のスカートは、上着とコントラストがきいて、全体的にマッチしている。
それだけ見ると、いたって普通の女子高生か、下手をすると中学生だ。
と俺が思うのは、その娘の身長が、高校生にしてはやや低く感じられたからだ。
しかし、その手に握られた物騒な物が、全体に漂う清涼感を裏切っていた。
少女は、俺の眉間に銃口を突きつけていたのだ。
「……何コレ。何の真似? つーか、君誰?」
「いっぺんに質問されても困ります。
一つ目の質問の答えですが、これは単純に、あなたの命を奪う道具です。あなたにはそう見えませんか?
二つ目の答え、私は今まさにこの道具であなたの命を奪おうとしているんです。見てわかりませんか?
三つ目の答え……これは、あなたに私の姿がどう見えているかわからないので、何とも言えませんが、
見てわからないという事は、今あなたの目には、存外常識的な外見でもって、私が見えてるのでしょうね?」
物静かそうな静謐な声とは裏腹に、少女は意外と早口だった。
俺の質問に、いちいちマシンガトークで糞丁寧に答えてくる。
周囲を蠢く人ごみの、誰一人としてこの少女の奇行に注視しないという事は、
単に俺が幻覚を見ているだけなのだろう。
俺もとうとうここまで壊れたか。畜生め。
もしこれが幻覚でなかったとすれば、単にこの少女が
エアガンでも使って、ワケのわからないゴッコ遊びをしているのだと思えただろう。
巻き込まれるのは甚だ迷惑だが、妄想癖のある子だと思えば納得出来る。
だが、周囲の人間がこの少女の右手に握られた拳銃に反応を示さないという事は、
むしろ妄想癖に陥っているのは、俺の方だと言う事だろう。
であれば、俺がこの少女に対して何か話しかけても、周囲からは独り言に見える筈だ。
さすがに、かつて『あの件』で人格の崩壊した俺とて、可能な限り常人のフリをしていたい。
周囲に奇異な目で見られるのはかなわないので、妄想の少女を相手にする事なく、
黙ってその手を振り払い、歩き始める事にした。
が、俺には何故か、その少女を振り切る事が出来なかった。
手は振り払ったのだが、俺がどれだけ前進しようと、少女は体ごと俺の方を向いたままで
器用に後ろ向きに歩きながら、常に俺の眼前にいるようポジショニングしてきたからだ。
しかし、後ろ歩きしているにしては、何か違和感がある。
そう思って少女の足元を見て、俺は若干驚いてしまった。、
彼女の足は、ピクリとも動いていなかったのだ。
まるで地面のスレスレをホバー移動しているかのようだ。さながらドム。
妄想でなければ、あぁ、幽霊かもしれないな、と思う。
だが、少女はすぐに俺のそんな推測を否定する言葉を述べた。
「ハジメマシテ。私は死神。名前は特に無いわ」
いくら前に歩いても、常にこの不気味な少女が前にいるのでは、歩く意味が無い。
元々、何か用事があって街にくり出したわけではなかった。
単に暇を潰すために外出しただけなので、変質者に絡まれようが、妄想に絡まれようが、どうでも良い。
俺は人気の無い裏路地まで入ると、そこでじっくりとそのオバケ少女と、話してみる事にした。
「……死神ぃ? 死神ってあの、人の命とってく奴?」
少女は、コクリと頷いた。
やれやれ、俺もいよいよ重症か。
勿論これは、壊れた俺の妄想の産物だろう。
だがもしも妄想でないとすれば、死神は実在する事になる。
何しろ、この少女の特異な行動に、俺以外の誰も反応しなかったのだから。
死神か幽霊でなければ、説明がつかない。
「なるほどね……俺もいよいよ、くたばる時が来たって事か?」
「いやに落ち着いてるのね。
もう少し疑ってかかるか、さもなくば錯乱するかだと思ってたんだけど」
少女は、拳銃を握ったその手をブラブラさせながら、冷静に俺を観察してきた。
「まさか死神が実在するとは、俺も思ってなかったがな。
しかも、こんな可愛らしい娘さんだとは。俺ぁ死神ってのは、
てっきり真っ黒なフードを被ったシャレコウベが、鎌を持ってるもんだと思ってたよ。
しかしそれにしても、死神は日本語も話せるんだな?」
俺は、漫画で見た事のある死神の予想図そのままのイメージを口にした。
だが、少女は首をふった。
「見る人によっては、そう見えるかもしれないわね。
けれど実際には、私はただの意識体。実体を持たないわ」
意味がわからず、俺は首を傾げてみせた。
少女は、面倒くさそうに説明を続ける。
「人間の脳には、防衛本能というものが備わっている。
脳の理解出来る範囲を超えた事象が起こった時、脳は防衛本能を機能させる。
今あなたに、私の『姿』が人間の娘として見えるのは、あなたの脳が、映像をそう処理しているから。
私が日本語で喋っているように思えるのは、私が発する『声』を、
あなたの脳が自動的に、あなたにワカる言語にに翻訳して受信しているから。
この『道具』だってそうよ。あなたには何に見えてるのか知らないけど、
人によっては鎌にも見えるでしょうし、あるいはドリルにだって見えるかもしれない。
『命を奪う道具』としてあなたが連想する物体が、私の『右手』にフィルタリングされているだけに過ぎないわ」
少女はそう言って、拳銃――少なくとも俺には拳銃に見える――を、俺の目の前にチラつかせた。
「なるほどね……その話が本当なら、
つまり君の存在は俺の妄想ではないけれど、君の姿形は、俺の妄想というわけだ。
予想はフィフティ・フィフティだったな」
恐らく、先程俺がこの少女の手を振り払ったのも、防衛本能の見せた映像の一部だろう。
意識体と名乗るこの少女が、実際にはどんな挙動をしているのか、想像だに出来ない。
『死神』と名乗った事にしても、本当は『死神』とは言ってないのに、
俺の脳が勝手にフィルターをかけて『死神』と発音したように聞こえていただけだろう。
中々愉快な話だ。
人間にとっては、死神に対する新解釈だ。
「で、その死神さんが、俺に何の用だ?
……って、まぁ、聞くまでも無いか。死神だもんな。
俺を殺しに来たのか?」
少女――俺には少女に見える――は、やはり、コクリと頷いた。
どこからか手帳を取り出し、ページをめくって読み上げる。
だがその動作すらも、どうせ俺の脳がそう見せているだけの映像だろう。
そう考えれば、鞄も何も持っていない筈のこの少女が、
どこからともなく手帳を取り出してきた事にも、合点がいく。
「死亡管理局報告書、No.8267584。
名称、深沢哲(フカザワサトシ)。享年19歳。間違いないわね?」
「……あぁ」
正直、享年というのは実年齢に一歳足した数字になる筈だと思ったが、
そう言えばこの少女の言葉は、俺の脳が勝手に翻訳した言葉なのだ。
少女は『死亡時の年齢』とでも言ったつもりが、俺が勝手に『享年』と聞いたつもりになっただけだろう。
だから、その点にツッコむのは止めておく事にした。話がややこしくなる。
少女は読み上げ続ける。
「あなたは現在、周囲の人間達から、ストーカーとして疎まれているわね。
覚えはあるかしら?」
聞くまでもない。
何しろ、面と向かって「ストーカー行為は止めろ」と、好きな子の彼氏に罵られた事があるのだから。
何も、勝手に相手の家に侵入したり、つきまとったりしたわけではない。
だが、俺のやった事は確かに、相手から見れば不気味な半ストーカー行為だったかもしれない。
俺は、否定しなかった。
「被害報告が上がっているわ。中には、あなたを殺したい程恨んでる人間もいる。
私達死神は、そんな人間達の声を聞き取り、客観的に見て死ぬべきと判断出来た対象を、
被害者の代わりに殺害してやる事が仕事なのよ」
「なるほどね……
正直、殺意を抱かれる程恨まれてるとまで、思ってなかったなぁ。
ま、しゃあないか。自分でやった事の報いだ。
俺はそう言って少女の手をとり、銃口を俺の額に押し当てた。
「殺して良いよ、死神さん。
特に未練なんて無いから」
だが、少女は引き金をひかなかった。
目は、相変わらず俺を観察するように鋭く、且つ暗く、光続けている。
もっとも、観察されているという事自体、俺の脳がそう見せているだけで……
あぁ、ややこしい。
いちいちフィルター云々考えるのは面倒くさい。
兎も角少女は、じっと俺を見据えたまま、俺を殺そうとはしなかった。
「殺さないのか?」
たっぷり一分程待ってから、俺は問いただしてみた。
少女は銃を下ろした。途端に、その右手から銃が消える。
どうやら、俺を殺す意思が消滅したようだった。
「わからないわ。
私達死神は、報告書と指令に従って人を殺すだけ。
いちいち指令の内容を、自分で吟味した事なんて無い。
考えるのは私達末端の仕事ではなかったし、それに今までは、
いざ殺害対象に対面してみると、指令にも納得がいったもの。
皆見るからに、殺されて当然のクズばかりだったわ。
悪質な取立てを続けた金融会社の社長や、快楽殺人者や、強姦魔。
或いは、大義のために仕方なく殺戮を犯した軍人なんかもいたけど……
基本的には、殺すのを躊躇ってしまう事なんて、無かった。
皆ちゃんと、殺されるに値する理由が、備わっていたのよ」
相変わらず、クールに早口だ。
口数の多い女は嫌われるぞ、と言いたくなったが、そう言えばこの少女が
女かどうかすらも、俺にはよくわからないのだ。何しろフィルターが……あぁ、もうどうでも良い。
「報告書には、俺がストーカーで、いろんな人間に恨まれてるって、書いてあるんだろ?
だったら遠慮する事は無い。殺せば良いじゃないか?」
俺は、わざとらしく肩をすくめてみせた。
だが、少女は尚も俺に手をかけようとしない。
しばらく押し黙った後、少女は口を開いた。
「差し支えなければ、あなたの過去に何があったのか、お聞かせ願えるかしら?」
俺は、やれやれと溜息をついた。
死神などという人智を超えた存在ならば、俺の過去ぐらい、とっくに洗っていると思っていた。
しかしこの死神は、先程報告書がどうとか言っていた。
被害者の側の事情は知っていても、俺の側の事情は知らないというわけだ。
まったく役に立たない報告書だ。
「教えてやろうか、死神。
俺はな、俺をフった女の子に、しつこくメールを送り続けたんだよ」
「……それだけ?」
「十分だろ?
ファックスを送り続けたり、留守電のメッセージをパンクさせたりって手法は、
ストーカーの常套手段として、古くからあった。
メールを送るのはストーカー行為に該当しないなんて、誰が判断するのさ?」
だが、少女は納得出来ない様子だった。
明らかに、今まで殺してきた人間達より、罪のレベルが低く感じられるのだろう。
「……とても私には、その程度の事が、殺意を抱かれねばならない程の悪行だとは思えない」
「殺意を抱いてるのは、多分別の女だと思うけどな」
「別の……? 詳しく聞かせて」
少女は、話が複雑になりそうだと予見したのだろう。
より俺の話に集中するように、半歩俺に近づいた。
「あー、つまりなんだ、アレだ……
俺は俺で、他の女の子をフった事があるんだよ。
俺を一番恨んでるのは、多分その子だよ」
この際だ。
俺は、俺の過去を、洗いざらいぶちまける事にした。
俺が、片思いの相手にフラれた事。
その後、どうしてもその失恋が忘れられず、俺に告白してくれた別の女の子を
あっさりとフってしまった事。
そして、俺がフった相手が……
俺への恨みから、ある事ない事を噂にして、周囲に吹聴しまくった事を。
俺は、あの時程、女を怖いと思った事は無かった。
気がついた時には、俺は、その子の唇を無理矢理奪い、
胸まで揉んでおきながら、悪びれもせずにケタケタと笑って逃げていった、変態にされていた。
勿論俺の友人達は、俺がそんな人間じゃない事を、わかってくれていた。
だが、俺の事を深く知らない知人達や……
俺の片思いの相手は、噂を鵜呑みにしてしまった。
好きな子にそんな風に思われているとは気付いてなかったある時。
俺は、偶然バス停で、その片思いの相手を見かけた。
珍しく髪型を変えていたので「綺麗だよ」「似合ってるよ」などと、気のきいた声をかけてやりたかった。
けれど俺は既に満員のバスに乗りこんでいて、相手は次のバスを待っている最中だった。
仕方なく、メールで「髪型変えたんだね、可愛いよ」と送信した。
気付くべきだったのだ。
見ようによっては、まさにストーカーじみた文面だったという事に。
俺は、間抜けな事をして、自分の首をしめてしまった。
ただでさえ、その子は俺に対して不信感を募らせていた。
俺の間抜けなメールは、その子の俺に対する嫌悪感を後押しするのに、十分だった。
いくら学校へ向かう途中のバス停で、偶然見かけたからメールしただけだと言っても、信じてもらえなかった。
相手からしてみれば「次は私がターゲットなの?」という恐怖心が、あったのだろう。
何しろその子はその子で俺をフった事があるのだから、
俺に逆恨みされて、粘着されていても、おかしくないと思ったに違いない。
誤解されている事に気付いた俺は、必死で釈明しようとした。
けれど、学校で声をかけようとしても、女子達が鉄壁のガードをして、俺を近づけさせない。
メールを送っても、返事は当然返してくれない。
いつの間にか俺は、しつこくメールを送り続けて相手を精神的に追い詰めようとする、
まさしくストーカーとして、周囲に蔑まれるようになっていた。
支え、励まそうとしてくれた一部の友人達の声を振り切って、俺は高校を中退した。
それからはフリーターになり、死に物狂いで働いた。
家に迷惑はかけられないので、昼夜を問わず働き続け、食費は自分で稼いだ。
一応税金だって払ったし、二十歳になれば、厚生年金だって、自分で納めるつもりだった。
辛い顔を見せると親や友人が心配するので、努めて笑顔でいるように心がけた。
作り笑顔の中に、猜疑と人間不信を隠し続けて、いつしか俺は壊れてしまった。
生きる事に、何の執着も感じなくなった。
足に、汚らしい内臓が纏わりついているような幻覚さえ、見るようになった。
世界の色が、それまでとは違ったように見えるようになった。
朝起きると、起きた瞬間に反動的に涙がこぼれてくるようになった。
声を殺しながら、それでも好きなだけ泣ける布団の中が、俺の唯一の居場所になった。
ベッドから這い出れば、再び作り笑顔をまとって、元気の良いフリをして、バイトに向かった。
全て話し終えた時。
少女は、言葉を失って立ち尽くしていた。
「……と、まぁ。こんなとこだな。
少し長くなったか?」
少女は、俺のフィルターに狂いが無ければ、下唇を噛み締めて、震えを堪えているように見えた。
「どうして……どうしてあなたのような人が、死ななければ……っ」
クールだった筈の表情は一転、年相応の儚さと脆さが、その瞳から滲んでいた。
もっともそれも、あくまで俺のフィルター越しの映像なんだが。
少女は、再び手帳を取り出した。
何度も何度も、同じページを繰り続ける。
だが、目的とする箇所が無い事を認めて、落胆した。
「何故……
何故報告書には、あなたの苦悩が記されていないの?
報告にあがっているのは、あなたに被害を受けたと主張する女の子二人の、
心の声と叫び……それに、周囲の知人達の、一方的な蔑みと偏見ばかり……
あなたの苦痛や叫びなんて、何一つ……」
自問自答している内に、少女は解答に行き着いたようだった。
「まさか……っ」
その解答がどんなものかは俺にはわからないが、
少女は一層悲痛な眼差しで、俺を見据えてきた。
「あなたが……あなた自身が、心の声を……隠し通してきたから……?」
それが、少女のたどり着いた答えのようだった。
「一番辛いのは、あなたの筈なのに……
女の子達の侮蔑の声を、一身に引き受けて、自分の主張は内面に仕舞い込んで……
だから、死亡管理局の情報部門にも……
相手側の『声』のみが、届いてしまっていたと言うの……?」
「気にすんなよ、死神。もう二年も前の事だ。
……まぁ、二年経ってもあの子達が俺を憎んでいるってのは、正直痛いけど」
「二年も……?
二年も、一人で全部背負い込んできたって言うの?
あなたは、何も悪くないのに……」
その時、俺はどんな表情をしていたのだろうか?
俺の瞳を覗き込んだ少女の顔が、一瞬で凍りついてしまった。
同情とも、哀れみともつかない複雑な顔で、俺の作り笑顔を凝視してくる。
そんな顔、しないで。
少女の目は、俺にそう言ってきているようだった。
いつの間に、立場が逆転したのだろう。
話を聞いてもらっていたのは俺の方だったのに、
いつしか俺の方が、相手を宥める側にまわっていた。
と言っても俺には、咽び泣く少女の頭を撫でて、泣き止むまで待っていてやるしか出来ない。
「ご、ごめっ、な、さっ……ひっく……
泣きたいのはっ……ぐすっ……きっとっ……あなたの方、なのにぃ……っ」
死神でも、涙を流す事などあるんだな。
もっともそれも、俺の脳にそう見えているだけでしかないのかもしれないが。
それでも、死神が俺のために悲しんでくれているのが、俺にはわかった。
何故だか知らないが、確信が持てた。
死神の少女は、ひとしきり泣き終えると、
涙に汚れた頬を手でゴシゴシと擦って、俺の方を見つめてきた。
意識体と言う割りには、その仕草はまるで本当に人間の少女のようだ。
「さ、もう気分は落ち着いたか?
親を残して死ぬのは嫌だけど、それ以外に特に未練らしい未練なんか無い。
……仕事なんだろ? 遠慮なく殺せよ」
俺は少女の頭から手を離すと、観念したように両手を左右に広げてみせた。
だが、少女の右手に銃は現れなかった。
暗がりの中で、少女の口が控えめに開く。
「私が……死神だと言うのなら……」
少女は手を伸ばし、俺の服の裾を軽く握ってきた。
いくら妄想の映像とは言え、妙に生々しく感じる。
「あなたはきっと、天使だよ……」
死神はそう言って、俺の胸板にもたれかかってきた。
その温もりは、とても妄想の産物だとは思えない。
優しくて、柔らかくて、俺を包み込もうとする。
けれど、温かいという事は、やっぱり妄想である事の証拠なのかもしれない。
女というものは、冷え性が殆どだ。
少なくとも俺は、女を抱きしめて温かいと思った事は、現実には一度も無い。
今感じているこの温もりは、俺が求め続けてきたものなのかもしれない。
誰かに抱きしめてもらって、支えてもらって、甘えさせてもらいたかった。
それが二年も叶えられないまま、ここまできてしまった。
そんな寂寥感が、俺に少女の抱擁を「温かい」と思わせたのだろう。
「諦めちゃ駄目よ、深沢さん。
上層部には、私の方から報告書の修正を陳情しておくから。
人生を捨てずに生きていれば、いつかきっと、あなたを理解してくれる人が……」
「ははっ、いらないよ、そんなの」
「い、いらないって……」
「俺はね、壊れちゃってるんだよ。
確かに昔は、俺を甘えさせてくれる女性を、強く切望して止まなかった。
けれど今は、もうそんな感覚すら殆ど残ってない」
笑顔でそう語る俺の表情は、いっそ不気味ですらあっただろう。
少女は、少し引きながら、自分のスカートの裾を握りこんだ。
「でも、人間って、挫折を繰り返して強くなるものでしょう?
あなたが一人で全て抱え込んできたのも、あなたが壁を乗り越えて、強くなったから……」
「他の人はどうか知らないけど、少なくとも俺は違うよ。
俺は、強くなったから、耐えてこれたんじゃない。石ころと一緒さ。
単に、叩かれ過ぎて、壊れ過ぎて、だからこそ
滅多な事ではこれ以上細かく砕けないってところまで、コナゴナになっただけの話さ」
瞬間的に、俺の周囲が真っ暗になった。
俺と死神の二人だけを残して、他の全て、ビルも人も、何もかもが消えうせた。
俺がキョロキョロと辺りを見渡していると、少女は慈愛の言葉を投げかけてきた。
「あなたは……確かに、石が砕けて砂になるかのように……
コナゴナになってしまったかもしれないけれど……
そうして散ったあなたの心は、土と混ざり合って、大地になって……
沢山の人を前に進ませる、土台になってくれる筈です。
だから、あなたは生き続けなければダメ。
誰もあなたを支えられないかもしれないけれど、あなたは誰かを支えられる筈だから……」
確かに、一理はある。
辛い思いを経験した者こそが、後進の者達を励ましてやる事が出来る。
幸福の最中にある者に、不幸な者を支えてやる事は出来ない。
不幸な者を励ましてやれるのは、もっと不幸な者だけだ。
「ははっ……やっぱりお前は死神だな。
誰も俺を支えてはくれないのに、俺には誰かを支えろと要求する。
結局それって、俺が一人で背負い続ける事に、代わりは無いじゃないか」
俺は、冗談半分でそう言った。
しかし、半分は本音だった。
今まで、この死神と同じような論調で俺を励ましてくれた友人は、大勢いた。
生き地獄を味わった事も無いくせに、わかった風な口調で、無自覚の内に、俺を追い詰める。
――その辛い経験を生かして、お前は人を支える側に回るべきだ――
今まで何度、そんな一方的に俺にばかり負担のかかる言葉を
金言を装って投げかけられてきたかわからない。
励ましてくれる友人達がいながらも、俺が人生を諦めてしまった最大の理由が、それだったのだ。
だが、無明の世界の中心で、死神は呟いた。
今まで、誰も俺にかけてくれなかった唯一の言葉を、その口に乗せた。
「私が……あなたを、支えてあげます」
「……はい?」
思わず、腑抜けた声で聞き返してしまう。
死神は……否、少女は顔を赤らめ、胸に手を当てて呼吸を整えながら、言葉を繋いだ。
「きっと、私が『少女』の外見で貴方の前に現れたのは……
そのためだったと思うんです。
これから先、多くの人々を支えるであろう貴方の荷物を……
少しでも、軽くしてあげるために……」
その時、俺はこの光一つ無い暗闇の正体が、おぼろげに見えてきた。
きっとここは、少女の精神世界か、或いは俺の精神世界か。
どちらにしろ、肉体のくびきを離れた、純粋な心と心だけの世界なのだ。
現実の俺の肉体が今どうなっているかはわからない。
だが、この精神世界の中で、少女の衣服が淡い光となって空間に溶けていくのが見える。
気がつくと、服が無くなっていたのは少女だけではなかった。
俺達は、互いに服も、肉体さえも纏う事無く、純然たる魂同士で会話していた。
少女のか細い体が、ふんわりと俺の体にもたれかかってくる。
抱き寄せたその体からは、有り得ない筈なのに、心臓の音が大きく聞こえてきた。
きっとこれも、彼女の感情の変動を、俺の脳が解釈した結果だろう。
だが、その音が妙に心地良い。
俺は一筋涙を流すと、少女をきつく抱きしめた。
「死神……ありがとうな」
さすがは精神世界と言ったところか。
或いは、やはり妄想のなせる業とでも言うべきか。
少女の体は、思った以上に敏感だった。
健康的な小麦色をした乳首は、控えめな乳房と相まって、とても可愛らしかった。
これが、俺の脳内が作り出した姿だと言うのなら、俺は案外ロリコンだったのかもしれない。
そんな思考が、彼女にも伝わったようだった。
「きっと、深沢さんは単純に、年下の女の子に特に優しい人なんですよ。
決してロリコンなんかじゃ……」
「いや、つーかお前、今俺の心読んだな?」
「え、あ……はい。
一応、心と心が直接触れ合える空間なんで……
意識しなくとも、自然と読み取れてしまうんですけど……
迷惑ですか?」
いいや、と小さく呟くと、俺は少女の乳首を指先で転がした。
少女が俺の思考を読めるのと同様、俺にも、少女の思考が読めたからだ。
少女は黙って声を我慢しているが、感じてくれている事は、自然に読み取れた。
お互いに精神だけの状態という事は、恐らく少女の体と同様、
俺の体の方も、本当はこの暗い世界には存在していない筈だ。
にも関わらず、俺には少女の肉体も、俺の肉体も、存在しているように見える。
それはやはり、例のフィルターのせいなのだろう。
とすれば今こうやって愛撫しているのも、単なるイメージに過ぎない。
だが、肉体という壁が取り払われているからこそ、夢のような快感が得られた。
「ひぅんっ……や、もう……やっぱり、あなたロリコンかも……」
出会った当初はクールに見えた死神の顔が、今ではとろけそうな程ホットになっていた。
ものの数分でこんなに痴態を曝け出すようになったのは、これがイメージの世界だからか。
それとも、俺がしつこく彼女の貧乳をペロペロと舐め続けているからか。
口が寂しそうに見えたので、今更ながら、俺は彼女の唇にキスしてみた。
舌をねっとりと絡めると、吐息がお互いに混ざり合うのがわかった。
口を離すと、少女はだらしなく涎の糸をひいて、呆けた表情になった。
乳首はコリコリと硬くしこっていて、指先で軽く弾くと、その感触が面白かった。
俺は、玩具で遊ぶ幼児のように、何度となく少女の乳首を弄り倒した。
少女が感じてくれているのが、直接精神を伝わって、俺の心に届く。
俺は少女の下半身に手を伸ばしてみた。
やはりイメージの世界。
現実には中々無いのだが、少女のアソコは、既に見事に濡れそぼっていた。
グチュグチュとみっともない音を立てて、愛液を小便のように垂れ流す。
うっすらと生えた産毛と、綺麗なピンク色の陰唇を見て、
あぁ、やっぱり俺は、変態扱いされて迫害されても、仕方の無い男だったかもな、と思い直す。
この幼さの残る肢体は、俺の妄想の産物なのだから。
「死神……ここ、舐めても良い?」
「は……はい……あなたが、望むのなら……
その代わり、そのぅ……支えると言った手前、一方的に気持ち良くしてもらうわけにも、いきませんから……
あの、その……わ、私にも……あなたのを……」
支援
俺と少女は、シックスナインの体勢になった。
上下も重力も無いこの世界では、その体位でも無理や重みは生じなかった。
やはり妄想の世界だけあって、少女のフェラは卓越したテクニックだった。
舌と唇と、口の内側の肉をうまく使い、丁寧に肉棒を唾液で汚していく。
膣の方も、きつく締まるくせに、指を差し入れてみるとそこには処女膜の抵抗が無かった。
少女は痛がる事もせず、むしろ指を入れただけで弓のように体をしならせた。
さすが妄想の世界は、都合が良い。
女の汁が、後から後から溢れ出してくる。
程なくして俺の指と少女の股間は、ローションをぶちまけたようにベトベトになった。
「うっ……やべっ、イっ……」
「んんん〜!!」
俺と少女は、同時にオルガズムを迎えた。
俺は少女の口の中に精液をなみなみと注ぎ込み、
少女は少女で、暗闇の向こう側へと激しく潮を吹いた。
ゴ……クン。
ゆっくりと、タメを作るようにして、少女はドロドロの白濁を飲み込んだ。
飲みきれなかった分が、口の端からトロリとはみ出して、垂れてくる。
少女はそれを指ですくうと、口の中に押し込んで、再び味わった。
「まだ……元気ですね」
「そりゃあ、まぁ……現実の肉体じゃないからな」
第二ラウンド。
少女は足を開いて、自ら秘肉に両手をあてがい、受け入れ態勢を作った。
俺は、未だ硬さを失わない都合の良いムスコを、ズブズブと膣の中へと押し込んでいった。
「あぅん! やん! あ、あぁん! き、ひうん! ら、らめっ! 壊れひゃうよぉ!」
最初のクールだった振る舞いと言動はどこへやら。
少女は、本能を剥き出しにして喘ぎまくった。
涙と涎をボロボロと撒き散らし、アヘ顔で背中を仰け反らせる様は、とても死神には見えない。
ひっくり返った蛙のような、無様な格好で、雌汁をふんだんに飛び散らせる。
ぱんぱんぱんぱん、肉のぶつかる音が空間に木霊する。
重力も引力も無いこの世界では、溢れ出した愛液は、上下左右に激しく舞った。
俺は少女に唇を重ね、深く激しく、舌を伸ばした。
「ううふ、ん、いふっ、れろ、ら、あふっ、んおぉおおっ、れろぉっ、おほぉお……っ」
呂律の回らないその鳴き声は、もはや死神はおろか、人間とさえ思えない。
ケダモノのように淫靡な声で喚いて、少女は俺の体をぎゅうっと抱きしめた。
「いひっ、あはっ、あ、はぁん、イく、イくよぅっ! イっちゃうよぉおぉぉぉぉん……!」
「あぁっ、受け取れよ死神! 全部中に出してやる!」
「あぁんっ、天使様のぉっ! 天使様のセーシぃぃぃぃ!」
死神の子宮に、天使の無駄撃ち遺伝子が注ぎ込まれた。
「やぁん、ふぁ、ふぇえん……」
少女は恍惚とした表情で、いつまでもイキ続けていた。
俺が意識を取り戻したのは、先程の裏路地の暗がりの中だった。
ハッと気がつき、周囲を見渡す。
死神の少女は、どこにもいなかった。
体感時間では数十分を精神世界で過ごしていた筈だったが、
時計を確認すると、そんなに時間が経ったようではなかった。
道行く人に「制服を着た、眼鏡の女の子を見かけませんでしたか?」と尋ねてみるが、誰もが首を横に振った。
「やっぱり、妄想か……?」
俺の精神も、いよいよ終末的なところまでキちまったかな……。
そう思いながら、俺はビルの隙間から空を見上げた。
重症だ。この処置無し野郎、と自分を罵る。
いくら寂しいからって、白昼夢で少女を犯すなんてな……。
だが、掌には、少女を抱いた感覚が、まだ残っているようにも思えた。
「……天使は、お前の方だよ」
俺は一言呟くと、雑踏の中に踏み出していった。
昨日までとは違い、人生に希望を抱えながら。
終了です
良いスレを見つけたので、衝動的にやっつけ仕事で書いてしまいました
エピローグが自分でも納得いかないぐらいショボいので、今後の課題です
このスレ、心の底から応援してます
GJ!!
キミはロリコンだ!!
>>246 ロリG★J!!
スレを立てた甲斐があるよ。
>246 GJ!
ロリはイイ。
>215 どうしようかなぁ… エンジン掛かればさくっといくのに いまだブルってる…
誘い受けにも程がある
251 :
215:2007/04/22(日) 17:42:14 ID:LR5Bgn0v
一・二・三時間目はつつがなく過ぎていった。
休憩時間は転校生特有の質問攻めなどがあるが、望は適当にあしらう。
−転校生は美少女− この噂は徐々に全校に広がりつつあり、休憩時間をはさむ度に廊下の見学者が増えていった。
だれもが望に注目していたので、その席がだれのなのか、誰も危機意識、望に注意を促さなかった。
そしてそのことに全員気が付くのが、四時間目のときである。
”ガラガラッ”
ービクッ!?
教室中に戦慄が走った。
(やべぇ! もう来た!?)(嘘でしょ?! まだ四時間目よ?!)(望ちゃんに言うの忘れてた!)
教師すらも息をのむこの場面に、入ってきた男は望の座る席に寄る。
男の格好は金髪を短い逆毛にしている以外、フツウの男子だ。
だが、その金髪が逆にすごい目立ってしまう。
252 :
215:2007/04/22(日) 17:43:01 ID:LR5Bgn0v
「・・・おい」
そう声を掛けられて、望は立つ男を見上げ
「なにかしら?」
答える。
「そこは俺の席だ。邪魔だ」
男は威嚇するように言う。
「あら でも私はここに座りなさいと先生に言われたのよ」
「だまれ。 ここは元々俺の席だ」
”ドン!” とまだ開いたままのノートの上にかばんを置く男
「…じゃあ、私の席はどこ?」
すこしムッとした表情で言い返す望。だが男はひるまない。
「しるか! ・・・お前 見ない顔だな?」
「お前呼ばわりはしないで頂戴。北白河 望よ。 今日転校してきたの」
「あー? どけ!って言ってんだよ!」
男が右手を突き出す。グーではなく張り手に近い。
望はすかさず男の手を取ってひねり上げ、そして席を立つ。
「いてててて!」
「貴方、女性に手を出すなんて、サイテイね」
「うるせぇ! いてててててて!」
「貴方の席がここだとして、なら先生が机を用意しなかったのが悪いのではなくて?
なぜ私に手を上げ、簡単に済まそうとするのよ」
言い放つとひねり上げた手を離す。
「くそっ!ここは俺の席なんだ!お前が先公に言ってくりゃいいだろうっ!」
「の・ぞ・む よ?」
「ああっ?!」
男は荒げる。
「またお前と言った。 私の名前はのぞむと言っているのよ。呼べないって、猿以下?」
「なんだとぉ?!!」
「やる気?」
”フフン” と鼻を鳴らすように構える望。男はちょっと気圧されるように後ずさる。
「くそっ、覚えてやがれ」
去ろうとする男に望は腕をつかむ。
「貴方の名前は?」
「なんだよっ!」
つかんだ腕に力を込める
「いてぇ!」
「貴方の名前は? と聞いてるの」
望の眼光がするどくなる。
「いっ! くっ! ひかるだ。掛川光!」
「ひかる…そう。いい名前ね」
「?!」
微笑む望…男は動揺する。ドキリとする微笑と、いままでそう言われたことが無いように。
「はっ、はなせっ!」
全力で腕をはらう光。
「ちっ 後でまたくる!」
そう言い放つと、教室の外へ出て行った。
253 :
215:2007/04/22(日) 17:44:10 ID:LR5Bgn0v
掛川光が去ったあとは、授業にならなかった。
担当教師は我関せずを貫き通し、生徒を放置した。
変わらず板書はしていき、今の部分をテストに出すと心に決めていく。
「望ちゃんすごーい!」
「すげぇ! アイツを負かした!!」
など、窓が割れんばかりの声が室内に溢れる。
(ちょっと、やりすぎちゃったかな…)
そう思う望であった。
授業が終わり、昼休みには噂が広がって、
−転校生は超喧嘩強い美少女−
として、定着していった。
午後の授業は、机が用意され、何の因果か光の隣に望が座ることになった。
終始無言の威圧合戦が展開され、来る教師はそっちを見ようとしない。
消しゴムが相手に転がると、
「あによ?」
「なんだよ!」
こんな感じである
放課後、噂を聞きつけた部活(運動部)が早速勧誘にきたが、
望は帰宅部を貫く姿勢を見せ、勧誘をあきらめさせた。
その後 望は校舎裏に来ていた。
朝別れたシュマに会うためである。
254 :
215:2007/04/22(日) 17:44:40 ID:LR5Bgn0v
「シュマ? シュマー?」
すると、遠くから”にゃお〜ん”と声が聞こえてきた。
(言葉で返事しないって、誰かいるのかしら)
望は声のするとこへ赴くと、
そこには、手に焼きそばパン(の残骸)をもった光がいた。
シュマは望の足元に駆け寄り、彼女は抱きかかえる。
シュマは光に気づかれないようにこっそりと言う
「猫の振りしてたら、飯くれたんだ♪」”にゃお〜〜ん♪”
クチの周りに青のりが付いている。
「・・・光くん。この子に餌くれてたんだ?」
望は光に問う。
「・・・・・」
黙る光。
「ありがとう」
満面の笑みを浮かべて言う望。
微笑みに弱いのか光はたじろいだ。
「う、あ、い いや、別に俺は・・・」
「この子とは 放課後にしか会えないからご飯が心配で…」
「…学校につれてきてんのかよ…?」
「別にいいじゃない、迷惑掛けない良い子なんだから」
「・・・まぁ いいか」
「そうだ、私お昼まだだったんだ。この子と一緒に食べる予定だったから、
一緒にたべる? この子が貴方の全部たべちゃったんでしょ?」
”にゃっ?!”(そんな! ボクのごはんっ!)
シュマの抗議をスルーする望。
しかし、光は御相伴にあずかることもなく、
ちいさく「いやいい…」と吐き捨てると、その場を後にした。
「・・・・・」
それを見送る望。
「望…わかってるよね?」
「うん…」
シュマが含みのある言い方をし、望が答える。
−死神として、必要以上に人間とかかわりを持つのは禁忌とされている。
まして、それが進み恋仲となると、厳しい処罰が待ち受けていることも。
(でも・・・)
望の胸中に、なにか暖かいものが生まれたことに、本人以外、だれも気が付いていなかった。
#誘い受けでもなんでも やりかけたら終わらせるっ
なんという少年漫画展開。
だがそれがいい!
保守
257 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/28(土) 10:40:08 ID:Q0xP5cWi
おい、受けてやるから、誘えよ
>257
うぷらないか?
|∀・) <誰もいない…投下するならイマノウチ…
夕方から降り始めた大粒の雨は、いまだ止みそうにない。
何が『午後は降水確率0%』だ、これだから気象庁の予報は信用できん…
すっかり静かになった駅前商店街をずぶ濡れになりながら早足で歩いていく俺。
名は椎名 優、一人暮らしを始めて2年になる。ついでに言っておくと童貞である。
アパートの入り口で水滴を払い、欠伸をしながら階段を上っていく。
階段を上ったところで、俺は凍りついた──俺の部屋の前に少女が立っている。
もちろん俺に彼女なんていうものはいないし、他に来そうな人もいない。
しかし、いつまでも放っておく訳にもいかないし、俺も早く部屋に入りたい。
仕方なく少女に声を掛けようとして、俺はまた凍りついた──傘かと思ったら鎌を持っている。
しかも農業で使うような草刈り鎌ではなく、2メートルもあろうかという大鎌である。
やれやれ…幻覚が見えるとは、俺も働きすぎか?しかもよりによって少女とか、どんだけ飢えてるんだよ。
大体、俺はロリコンじゃないはずだが…いや待て大鎌は何だ、最近の流行りか?
パニくっている俺にようやく気付いた少女が、やっと口を開いた。
「ねぇ、寒いんだけど。早く開けてくれない?」
ドアを開けてから気付いた。なんで俺は身元不明の少女を部屋に入れているんだ?
追い出そうと思ったが後の祭り。すでに少女は俺の布団でおやすみモード。
「おーい、そこは俺が寝る布団だからどいてくれ。」
「お前は床で寝れ。」
「おいおい、一応ここは俺の部屋だぞ?なんだその態度は、何様のつもりだよ…」
「死神様に決まってるじゃない。」
「あのなぁ、たかが死神の分際で俺の布団を占領…って死神!?」
自分で言うのもなんだが気付くのが遅いとつくづく思う。大鎌を持っている時点で気付くべきだった。
俺が何を言うべきか迷っている間に、死神少女は布団に潜ってしまった。
「お前が遅いから風邪ひいた、責任取れ。」
責任取れって何だよおい。
熱を測らせたところ38度5分。風邪をひいたというのは嘘ではないようだ。
俺もいつまでも突っ立っている訳にも行かないので寝る仕度を整えていると、大鎌が目に入った。
朝起きたら首がありませんでした、なんていうのは御免なので鎌は没収しておくことにしよう。
とりあえず、少女も寝てしまったようなので俺も寝る。もちろん床で…
暇だったのでつい調子に乗って書いた。多分続く…
こういうのを待ってたんだよ!
wktk
このロリコンめ!
続きを期待している。
「ねぇ、寒いんだけど。早く開けてくれない?」
↑
なんかしらんがツボったwww
分割投下いいの?
つか、死神女の逆レイプになるかもしれんが
_ ∩
( ゚∀゚)彡
⊂彡
269 :
267:2007/05/06(日) 18:00:26 ID:h/iPEjQG
勢いで書いたものを投下してみる
水晶の女に会うと死ぬ
このような噂が立ったのはつい最近のことである。
まぁその言葉どおり、水晶を持った女にあった奴は個人差はあるものの近いうちに死ぬというものだ。
中には死なず、九死に一生を得た人物もいないとか……
よくある都市伝説的なものであり、信じる人は信じて心底怖がるし、信じない奴は気にすることなく日常を送っている。
そして、この噂を信じない派の男、吉田 賢(よしだ けん)及び、その幼馴染の女の子の神田 美剣(かんだ みつるぎ)は何気ない学生生活を送っていた……
「賢、ネクタイが曲がっているぞ」
「ん? あぁ、そうだな」
「そうだなって、直さないか見っともない」
「別にいいじゃんよ。誰も見てないし」
「私が見ている。ほら貸せ」
朝っぱらから仲睦まじく歩いている賢と美剣。
季節はもうすぐ梅雨を向かえ、本日もどす黒い雲により太陽は閉ざされ、二人の手にはそれぞれ黒と紺の傘。
今にも雨が降りそうなので、賢は不本意ながらさっさと学校に行きたいのだが、あえなく路上で美剣にネクタイを直されている。
彼女自身はだらしない幼馴染を助けてやっているのだが、賢にとっては周りからくる若干のクスクス笑いと殺気に似た視線が痛かった。
「ほら、出来たぞ」
「……ふぅ、俺を見るのは勝手だけど、周りも見てな?」
「賢がだらしないのが悪いんだろう? はじめからちゃんとしていれば、私がやってやることもない」
「はいはい、そりゃえらいすんませんでしたね。どーせ俺なんてだらしないグータラ野郎ですよ。もうこの先夢も希望もないですよ。いいんだよ、どうせ俺なんて、一生お前に世話されて生きていく紐男だよ」
「そ、そこまで言うこともないだろう……」
賢のいじけっぷりに美剣はたじろぐ。
無論、賢は彼女をからかっているだけなのだが、美剣がマジで謝るものだから罪悪感のようなものを感じて謝りなおした。
意味不明の謝罪の仕合が行われ、二人は再び歩き出す。
そしてしばらく歩いていると、美剣が口を開いた。
「なぁ、賢?」
「どした?」
「知っているか? 例の噂」
「噂? ………あぁ、占い殺人鬼のことね」
話題は例の、水晶の女の噂。ちなみに占い殺人鬼というのは賢が勝手に言っていることだ。
基本的に幽霊とか都市伝説とか信じない賢は無論信じないが、美剣はこういったオカルトなことをやたら知りたがる傾向がある。
その事は賢も不思議に思っていたが、人それぞれだと結論付け本人に聞くこともなかった。
「その占い殺人鬼のことなんだが、また犠牲者が出たらしい。今度は交通事故だって」
「ただの偶然だろ?」
「しかし、私の友人が、死んでしまった子が怪しい女に話し掛けられているのを見たと言っている。そしてその直後、車にはねられたとか……」
真剣な美剣の口調。
その時、彼女は何かに気づきポケットから携帯を取り出した。
誰かの着信のようで、そのまま立ち止まり賢は数歩先で立ち止まった。
「……そうか、わかった。賢、悪いが用事が出来た。3時限目には出られると思うから、先生には賢から伝えておいてくれ」
「ん? あぁ、わーった」
「それではな。あと、授業は寝る時間じゃないんだぞ、ちゃんと受けろ」
「へいへい」
美剣は賢に指を刺して言い残し、そのまま来た道を走って戻っていった。
彼女は偶に何かの用事でいなくなることがあり、教師にはちゃんと許可も出ている。
その都度の伝言役は賢であり、これも美剣と幼馴染やっている自分の宿命だと賢は心で諦めていた。
そして、彼は一人学校へと向かう。結局今日は、放課後まで美剣は学校に来なかったわけだけど。
270 :
267:2007/05/06(日) 18:01:18 ID:h/iPEjQG
「ったく、美剣め」
夕方の水溜りが多く見られる街を、賢は一人ぶつぶつ言いながら歩いている。
時間が経過するとともに、午前中は音を立てて降っていたものの、空一面を覆っていた黒い雨雲は消えてすっかり晴れた。
しかし、彼の心の中は怒りの雨が降っている。
何故なら、学校で出たプリントや授業内容が書いてあるノートを美剣の家まで届けなければならないから。
幼馴染といっても、賢と美剣の家は結構離れているためメンドくさいのだ。
「ちょっと、そこの学生君?」
「ん?」
鞄と傘を片手に賢が美剣の家に向かっている時だった。
不意に背後から、綺麗な声で呼び止められ賢は立ち止まり後ろを振り向くと、そこには丸い透明の水晶を持った女が一人立っていた。
黒いフードを頭に被っている為顔はあまり見えないが、赤い口紅とフードから出る紫の長い髪で女と賢は判断した。
しかし妙な違和感を感じる。
うまく表現は出来ないが、何となくこの女は何かが違うと、賢は思った。
そんな思いを知ってか知らずか、女は笑みを浮かべながら賢の目の前まで歩み寄り、そしてある意味衝撃的なことを言った。
「君、近いうちに死ぬわよ?」
「は?」
最初、この女が何を言っているのか、賢にはわからなかった。
だが、朝の登校時の美剣との会話を思い出し、まさかとは思いつつ警戒の視線を女に送りつつ口を開いた。
「死ぬ? 何で俺が?」
「さあね。そう見えたから、私はそう言っただけ」
「見えたって……大体あんた、いったい何……」
「それじゃあね。気をつけるのよ、学生君?」
賢の言葉が終わる前に、女は艶な声で微笑み、そして人ごみの中へ消えていった。
いきなり死ぬと言われ、複雑な心境の賢だったが、誰かのいたずらだと思い再び歩き出した。
信号が青になるが面倒なので、歩道橋を使用する。
そして、賢が歩道橋の階段を下りようとしたとき、足が水溜りで滑ってしまい彼は勢いよく転げ落ちる。
鞄と傘は放り投げられ、彼が一気に地面まで落ち止ったときには、頭から血を流し賢は動くことはなかった……
目の前に広がる光景に、賢はどうにかなりそうだった。
再び降り出した雨の中、賢は自分を見ているのだ。
ただし、頭から血を流し、無数の人に囲まれて倒れ動かない自分だが……
大体の予想はついている、自分は死んだ。
先ほど水晶の女に言われたとおりだと、賢はどこか納得してしまった。
「気をつけろって言ったじゃない」
その時、彼の耳に再び女の声が聞こえる。
賢は知っている、今の自分は誰にも触れられず、誰とも喋られないことを……だって試したし。
無論その逆で、周りの人間からは自分は見えていないし触れることも話すことも出来ないことも理解している。
しかし、今の声は確かに賢に向けられたものであり、賢は声がした方向、自分の上を向くと少し驚いた。
「あんたは……」
「こんばんわ、また会ったわね、学生君」
そこには、やはり水晶の女がいた。電柱の上に立ち賢を見下ろしている。
ただし、今度はフードを被らず素顔を晒していた。
服は全身黒、両手と頭しか見えず、長い紫の髪、赤い口紅に真紅の虹彩が美しくも妖しさを感じる年上の女性。
そして賢が注目したのは、彼女が持っている大鎌だった。
賢は直感的に、この女はやばいと感じ、そして恐怖に似た感情が芽生えた。
「どうしたの?」
優しげな女の口調も、賢の恐怖心を増すものでしかない。
体は震え、逃げようとしても何か見えないものに縛られているように動けない。
やがて女はゆっくりと地面に降りる。それも一気にではなく、浮遊しているようにゆっくりと。
そして賢の目の前まで立ち、彼の顔を覗き込み微笑んだ。
「名前、教えてくれない?」
「……賢……」
「そう、賢君って言うのね。私は、ルインっていうの。よろしくね?」
名前など答えたくはない賢だが、ルインの瞳を見ていると答えてしまうことに困惑した。
そんな中、ルインの質問は続く。
「賢君は、私をどう思う?」
「さあ……わからない」
「でしょうね。なら、今の自分の状態は?」
「……あんたの言ったとおり、俺は死んだんだろ? 今は幽霊ってとこか」
「正解。意外と冷静ね」
「予め……あんたに……」
「あんたじゃなくて、ルインって呼んでくれる?」
「……ルインに、言われた、から……かもしれ、ない……」
賢は自分の体の異変に気づき始めた。
思うように声が出ず、答えたくないのにルインの質問に答えてしまう。
そしてルインから逃げるように、顔を横に向けるもすぐに彼女によって正面を向かされる。
やがて立っていることもままならず、賢はその場に座り込んでしまった。
「つらい?」
「なに、した?」
「何もしてないわよ。あぁ、ちょっとしたかも……でも、殆ど何もしてないわ」
ルインは妖艶な微笑のまま賢を抱きかかえ、近くの木に凭れ座らせた。
そしてルイン自身も鎌を置き、膝を突いて前かがみになり賢に寄っていく。
ルインの顔が徐々に近づくが、逃げることも出来ず賢はそのまま彼女に抱きつかれた。
「なにを……」
「これから、お姉さんといい事しましょ?」
「な、に?」
「そうそう、言い忘れていたけど……私、死神なの。だからあの世に逝っちゃう前に、気持ちいいことしましょうね?」
「な……んんッ!」
しばらくルインに密着され、戸惑う賢の耳元に彼女が囁いた。
そして賢を解放したルインが彼の正面を向いた瞬間、二人の唇が重なった。
瞳を見開き驚く賢の両頬を押さえつつ、ルインはそのまま彼の口内に舌を入れ絡ませる。
賢の唾液を吸い、また自分の唾液を送る。
賢の口の端からは唾液が一筋流れ、呼吸もままならず息苦しさを賢が感じ始めたころ口が解放された。
「はっ……はぁ、はぁ、な、なに、なにすんだよ……?」
「だから、いい事よ? それともファーストキスを奪われて怒っているのかな?」
「ちがう……」
「そう。まぁ、どうでもいいけどね。すぐに気持ちよくなるようにしてあげるから」
ルインは賢にそう言うと、彼の制服を脱がし始めた。
というより、立ち上がり置いた大鎌で制服を斬っていった。
ズボンはそのまま残っているが、上半身の制服は見るも無残な姿となり、賢は体を震わす。
そしてルインは再び賢に密着し、そのまま首や胸などを舌で刺激していく。
その度に彼の体は震え、やがて下腹部まで体を下げるとズボンのチャックを開けその中から彼の肉棒を出す。
すでに賢の肉棒は硬くそそり立ち、ルインは頬を赤くしそれを見つめていた。
「大きいわ、立派ね賢君? どお? こんな人がいる中でこんな姿を晒している気分は?」
「それは、お前も、同じだろう……それに、俺たちの姿は、見えない」
「それもそうね……」
彼女は笑う。
その妖艶な微笑みと、その直後肉棒を口で咥えられた刺激で賢はゾクッと体を震わせる。
ルインはゆっくりと頭を上下に動かし、肉棒を味わうように舌を動かす。
亀頭を吸い、竿を舐め上げ、細い指でしごいたり歯を軽く立てたりもした。
「んんッ……ふふ、きもちい?」
「ッ……ッ」
未経験の賢は、彼女のテクニックの前に声が出ない。
その反応に目を細めて笑い、そして急に動きは速くした。
まるで早く出してしまえと言わんばかりの動きに、賢は我慢しきれず彼女の口内に精液を注いだ。
「んんんッ!」
ルインも一瞬眉をひそませるが、やがて喉を鳴らし白濁した液を飲んでいく。
飲みきれなかった液が口の端から出ており、すべて飲み終えるとそれも指ですくい、ルインは舌で舐める。
その淫な姿に賢は本能的に興奮した。
「あら、出したばかりなのに……さすが若いわねぇ」
肉棒はすぐに硬くなる。
その姿に、ルインは手で軽くしごきつつ言った……その時だった。
「見つけたぞ!」
「ん?」
ルインとはまた違う、賢にとっては聞き覚えのある声が彼の耳に入り、その直後何かが賢の目の前に現れた。
それにルインは鎌を持って距離をとる。
賢は驚いた。
「お前……み、つるぎ?」
「……」
見覚えのある制服とその後姿。
特徴のある後ろ髪を縛っている白い長髪に、男のような口調。
そして賢が忘れるはずもない、自分を見ている横顔。
そう、彼の目の前に突如として現れたのは、今朝用事があるからと何処かへ行ったっきり学校にも来なかった彼の幼馴染、美剣の姿だった。
「大丈夫か、賢?」
「なん、で」
賢は混乱していた。
まず、俗に言う霊体である自分をなぜ美剣が見て、そして話し掛けられるのか。
そして、彼女が持っている日本刀。
刃はルインの鎌と同じ色で黒く光っており、美剣はどこかルインと同じ気配を賢は感じていた。
「ようやく見つけることが出来たぞ、ルイン」
「あら、美剣ちゃんじゃないの。お久しぶりね」
しかも二人は知り合いのようで、さらに賢は驚く。
ただ、ルインは昔からの友達にあったような口調だが、美剣は何処か怒りがこもった口調だ。
「また私を追ってきたの? いい加減しつこいわね、嫌いになっちゃうぞ?」
「黙れ。私たち死神の掟を破り、自らの欲の為に、死ぬ必要のない人間を殺したお前の罪は許されない」
「おまえも、しにがみ……」
刀の刃先をルインに向け、美剣は殺気を帯びた口調で言う。
さっきから賢は驚きっぱなしで、美剣がルインと同じ死神と言う事実に一番驚いた。
美剣が言うように、ルインは私利私欲の為に死神の力で人間を殺し、そしれ霊体となった人間を犯していた。
犠牲となった人間はどれも若いのはその為であり、死ななかった人間は美剣が助けに来たか、ルインの気まぐれで助かっていたのだ。
「すまない賢。お前も死なせてしまった」
「……」
「でもまだ間に合う。急いで体に戻るんだ。そうすれば生き返ることが出来る……多分」
多分という部分が恐ろしく不安だが、賢は彼女の言葉を信じて立ち上がろうとする。
幸いにも、まだ体は救急車で運ばれておらず目の前にある。
が、賢が何度も起き上がろうとしても動かなかった。
「無駄よ無駄。私の力で動けなくしてあるもの」
「ならば、私がっ……ッ!」
美剣は後ろを向き賢を抱えようとした。
だがその瞬間、彼女はその場に倒れこんでしまう。
何故なら、ルインの鎌の刃が美剣の肩に突き刺さったためだ。
美剣も霊体なので血は出ないが、痛みは感じるのだ。
「なッ……」
「おバカさん。貴女じゃ私には敵わないのよ、わかってるでしょ?」
「そ、それ、でも……」
「はいはい、あなたは寝ていなさいね」
美剣の言葉は、ルインがさらに一刺しした事で消え、彼女は気絶した。
目の目に広がる残酷な光景に、賢はただ体をがくがく震わせて、ルインが死神、というより悪魔に近いと認識させられた。
「さぁ、続きをしましょう?」
そして、再び鎌を地面に置き妖艶な微笑で近づくルインに対し、賢は抵抗しない、いやできない。
ルインが肉棒をつかみ軽くしごくと、すぐに肉棒は硬くなり亀頭からは透明な液があふれ出た。
ルインは服を脱ぎ全裸となった。
綺麗な素肌にバランスのよいスタイル、丸見えな彼女の秘所からはすでに愛液が垂れている。
死神でなければこれほど美しい女性はそうはいないだろうが、賢にはそんな感情とっくに無く、ただルインにされるまま。
「私ももうこんなになってしまっているのよ? いつでも出していいからね?」
ルインはそう告げると、賢の上に跨ぎ片手で肉棒を握るとゆっくりと腰を下げて秘所にあてがった。
そして、亀頭の先が触れて入り始めると、一気に腰を下ろした。
「うぐっ!」
「はああぁッ!」
挿入を果たし、二人は身を震わせる。
一気に入れたことで少し達したのか、ルインは体を震わせたままジッとしていたが、やがて賢の両肩を掴み彼の目をと見つめた。
「さあ、私を犯しなさい」
「……あ……う」
ルインの囁くような声の後、賢は彼女を押し倒した。
賢自身、体が思うように動かない。
まるで操り人形のごとく、賢は正常位で腰を動かしルインを突いていた。
「あぁッ、はあんッ、いい、もっと」
「……」
彼女の言われたとおり、賢の腰の動きが早まる。
ルインの口からは唾液が一筋流れ、街中に甘い喘ぎと肉棒が出し入れされる卑猥な音が流れていた。
「ッ!」
そして賢の体が痙攣し、肉棒を深く入れたまま動かない。
彼はルインの膣内を精液で汚していた。
びゅくびゅくと音が流れ、ルインも精液の感触に笑みを浮かべている。
やがて射精が終わると、賢は再び腰を動かし彼女を犯す。
誰も助けてはくれない、美剣も倒れ、誰も二人の行為すら気づいてはいない。
「ひああッ、私、イッちゃッ、イッ……あああああぁッ!」
ルインも絶頂を迎えて体を痙攣させ、膣内を締め付ける。
その刺激で賢も再び彼女の中に精液を注ぐ。
二人はお互いを求め合う。
体は死に、霊体すらもルインに支配されてしまい、賢は抵抗するのをやめて快感とともに時が過ぎるのを待った。
賢、そして美剣、二人が生き残るか、それともこのままあの世に逝くのかは……淫な死神だけが知っている……
はい以上!!
まぁ、本当に勢いだけで書いたからエロが少ないのと死神っぽくないのはごめんorz
このスレ見つけて、ただ書きたくなった、それだけなんだ
それじゃ、いつか幼馴染のほうも書こうと言いつつ消えます
話のいいところで切りすぎですぜ、旦那。
あっしのGJは、旦那が続きを書くまで心に留めとくわ。
うわ。語尾がおかしかった……。
とにかく続編待ってますので。
死神が複数出て来た作品は珍しいな
あと、脳内で美剣がアルカナハートのあの刀持ってる女(名前知らん)に変換されてた
なんしかGJ
美剣のキャラは素直クールでおkかな?
あと、何故かひんぬーのイメージ
>>261の続き
ある程度書けたので投下します…とりあえず今回は前編?
夕方から降り始めた大粒の雨は、いまだ止みそうにない。
何が『午後は降水確率0%』だ、これだから気象庁の予報は信用できん…
すっかり静かになった駅前商店街をずぶ濡れになりながら早足で歩いていく俺。
名は椎名 優、一人暮らしを始めて2年になる。ついでに言っておくと童貞である。
アパートの入り口で水滴を払い、欠伸をしながら階段を上っていく。
階段を上ったところで、俺は凍りついた──俺の部屋の前に少女が立っている。
もちろん俺に彼女なんていうものはいないし、他に来そうな人もいない。
しかし、いつまでも放っておく訳にもいかないし、俺も早く部屋に入りたい。
仕方なく少女に声を掛けようとして、俺はまた凍りついた──傘かと思ったら鎌を持っている。
しかも農業で使うような草刈り鎌ではなく、2メートルもあろうかという大鎌である。
やれやれ…幻覚が見えるとは、俺も働きすぎか?しかもよりによって少女とか、どんだけ飢えてるんだよ。
大体、俺はロリコンじゃないはずだが…いや待て大鎌は何だ、最近の流行りか?
パニくっている俺にようやく気付いた少女が、やっと口を開いた。
「ねぇ、寒いんだけど。早く開けてくれない?」
ドアを開けてから気付いた。なんで俺は身元不明の少女を部屋に入れているんだ?
追い出そうと思ったが後の祭り。すでに少女は俺の布団でおやすみモード。
「おーい、そこは俺が寝る布団だからどいてくれ。」
「お前は床で寝れ。」
「おいおい、一応ここは俺の部屋だぞ?なんだその態度は、何様のつもりだよ…」
「死神様に決まってるじゃない。」
「あのなぁ、たかが死神の分際で俺の布団を占領…って死神!?」
自分で言うのもなんだが気付くのが遅いとつくづく思う。大鎌を持っている時点で気付くべきだった。
俺が何を言うべきか迷っている間に、死神少女は布団に潜ってしまった。
「お前が遅いから風邪ひいた、責任取れ。」
責任取れって何だよおい。
熱を測らせたところ38度5分。風邪をひいたというのは嘘ではないようだ。
いつまでも突っ立っている訳にも行かないので寝る仕度を整えていると、大鎌が目に入った。
朝起きたら首がありませんでした、なんていうのは御免なので鎌は没収しておくことにしよう。
とりあえず、少女も寝てしまったようなので俺も寝る。もちろん床で…
普段と何ら変わらない休日の朝──のはずだった。
「おい、起きろ。」
誰だよまったく…今日は仕事もないんだからもう少し寝かせて──って誰だよおい!
慌てて目を開けると、少女と目が合う。なぜか俺は少女を抱いて寝ていた。
えーと、昨日はこの少女が押しかけてきて…死神だの何だの言って。
俺の布団を占領され、俺は床で寝ていて…それなのになんで俺も布団で寝ているんだ?
もしかして寝ている間に襲っちまったか?いやまて俺も少女もちゃんと服を着ているし…
というかそんな目で俺を見るな。ロリコンじゃないんだからそんな餌で釣られ…じゃなかった。
別に誘っている訳じゃないんだ。いやでも結構俺の好み…ってそういう問題じゃなくて
「とりあえず放せ。」
どうやら相当がっちりと少女を抱きしめていたらしい。腕を解いてやると、少女は逃げるように
布団の反対側の端に移動した。寒いのか俺に引いているのか…多分両方だと思うが、
まだ布団から出たくないらしい。しかもまだこっちを睨んでいる。
「えーと、その、すいませんでした」
気付いたら布団にいた、と弁明したいところだが、とりあえず謝っておく。
「エッチ、変態、スケベ、ロリコン。」
思いつく限りの悪態をつく少女。まぁ仕方ない──って俺は断じてロリコンじゃねぇ!
さて、朝食の準備に取り掛かる。準備といっても、ご飯は炊飯器君に任せきりにしてあるので
俺は味噌汁とおかずを適当に作るだけだが。
死神少女はというと、今はシャワーを浴びている。熱は下がったようなので一安心。
覗きたいという衝動に駆られたが、さっきのこともあるのでなんとか抑える。
布団を畳んでから玄関に放り出されたままになっていた彼女の上着をハンガーにかけ、
コートとローブを足して2でわってフードをつけたような真っ黒な服を眺めながら
ご飯が炊けるのを持っていると、少女が洗面所から出てきた。
「お腹すいた。」
「そうだろうと思ってちゃんと作ってありますよ。丁度ご飯も炊けたようだし。」
早々と席について俺が皿を並べるのを見ている少女。少しは手伝って欲しいところだ。
「それじゃ、いただきます。」
「いただきます。」
一応、最低限のマナーは心得ているようだ。
「意外とちゃんと作っているのね…」
「朝からマクドナルドなんて御免だからな。」
ちなみに本日のおかずは鯖の味噌煮である。言っておくが缶詰のものではない。
一人暮らしを始めたばかりの頃に、祖母に弟子入りして丸一日かけて教えてもらったという
いろいろな意味で自慢の一品だ。
「お口に合いますかな?」
「まぁ、不味くはない。」
一通り食べ終わり、少女のご機嫌も治ってきたようなので一安心。
「ところで、死神さんよ──」
俺の質問は見事に遮られた。死神少女が手に持っていたマグカップを取り落としたのだ。
少女の膝は緑茶でみるみる濡れていくが、少女はそれどころではないようだ。
「ねぇ、あたしの鎌、知らない?」
よし、今なら断言できる。コイツは正真正銘のアホだ。
大工で言えば道具箱、武士で言えば刀、学生で言えば筆箱がなくなっていればすぐに気付くはずだ。
なのに死神ともあろうものが今頃になって鎌がないと騒いでいる。そうとうマヌケな死神さんだ。
まぁ、昨日コイツが寝ている間に鎌を没収したのは俺だがな。
一通り思考を巡らせた後、話題を戻す。
「なぁ、ところで──」
「ねぇ、鎌、見なかった?あれがないと失格になっちゃう。」
またしても俺の質問は遮られた。しかし「失格」とはなんのこっちゃ?
「あーもう、いったいどこに行ったのよ!」
知っていますが教えません。
「うにゃー!ないないないないない!」
とりあえず、俺の部屋を散らかすのは止めてくれ。
一通り俺の部屋を散らかし尽くした少女。誰かコイツの精神錯乱を止めてくれ。
「うにゃー!これは代官の陰謀だ! 助さん角さん、懲らしめてやりなさいっ!」
一体誰を懲らしめるつもりだよ、自分自身をか?
「静まれー静まれー!」
さっきから騒いでるのはお前だけだ。
「こちらに仰せられる方を何方と心得る!」
死神なんだろ、もう聞いたよ。
「先の副将軍、水戸の光圀公にあらせられるぞ!」
「いい加減にしろ。」
「だって、だってぇ…」
おいおい、昨夜から今朝にかけてのクールさはどこに行ったんだよ。今にも泣き出しそうじゃないか。
「とりあえず、膝の濡れているのを拭け。」
「うぅ…せっかくの余所行きの服が汚れちゃったよぉ…」
その黒いローブだかコートだか分からん服は普段着じゃないのか。一つ無駄に賢くなった。
「さて、とりあえずコーヒーでも飲んで落ち着け。話はそれからゆっくり聞こうじゃないか。」
さて、それから少女が話したことを掻い摘んで説明しよう。
彼女の名前はミカエル、正式には死神ではなくて死神見習いだそうだ。
確か「ミカエル」は聖書に出てくる天使の名前だったような気がするが気にしない。
なんでも、見習いから一人前の死神になるための試験の一環として俺を狩りに来たらしい。
しかも、俺が狩られる羽目になったのはくじ引きで当たったからだと。
「なんでよりによってくじ引きなんだ。」
「ちゃんと危険な人は除いてあるわ。」
「それで、危険な人の定義は?」
「もし万が一、任務に失敗した時に、死神の存在が人間界に知られる可能性がない人。」
「つまりは『俺は死神に殺されそうになった!』って言っても誰にも信じてもらえないような人ってことか。」
「まぁ、他にも色々あるけど大体そんなとこ。」
頭が痛くなってきた。正直、全部夢だったと思いたい。
「もう駄目だ。俺はもう寝る。」
「え、ちょっと待ってよ。あたしの鎌探すの手伝ってよ!」
「わざわざ自分を殺すための鎌探しに協力するアホが何処にいる。」
「でも鎌がないと──」
「でもも糸瓜もないっ! 昼飯までには起きるからそれまで寝かせてくれ。」
布団に潜り込むが、暑いのでやっぱり出る。頭痛が酷くて眠れん。
あーあ、何で俺がこんな目に遭わなきゃいけないんだろ──
とりあえずここまで。お目汚しスマン。
エロシーン…僕には、無理だ…
よし、とりあえず何で主人公が添い寝してたのかだけは教えてもらおうか
それは当然、今後死神が何らかの事情で主人公に惚れて、顔を赤らめながら
「……特別に、今夜は一緒に寝ても良いよ」と言ってベッドシーンに移る時の
重要な伏線なんだろ?
>>286 とりあえず、
「うにゃー!」の破壊力は異常。
GJ!
GJ
保守
291 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/30(水) 18:53:51 ID:h3alFgX5
ここ過疎ってる?
ツボなだけに賑わいたいぜ!!
……夢を見た…昔の夢だ
俺は子供の頃、一羽のことりを拾った、丸めで黄色くて、可愛い奴だった
そいつはすぐに、俺に懐き、一緒にいる時は肩に乗る程だった
だが、ある日、家に帰ってきたのに、そいつの姿はなく、俺は日が暮れ、親に説得されるまで探した
次の日もその次の日も探しても、見つからず諦めかけていた時、
隣のおばさんが、防腐処理までしたことりの亡骸を丁寧に箱に入れて持ってきた
おばさんの話では飼い猫が襲っているのを見つけたが、既に遅く、息絶えていたらしい
打ち明ける勇気が出ず、今まで黙っていたらしい
俺はたくさん泣いた後、おばさんや親と一緒にお墓を作って、埋めた
「……まぁ…見たのは前半部分、良い思い出だけだったんだが、全部思い出しちまってな…」
「…あ〜、あたしも思い出したよ、少しだけど、可愛かったよねぇ…あの頃の優は…」
「ことりじゃなくて、俺を思い出してどうする…後、昔のことは忘れてくれ」
「あはは、冗談だって…え〜どうして〜」
と、顔はにやけているのに、つまらなそうにする、こいつは俺の幼なじみで、名前は唯という
名前だけ聞けば、おとなしそうだが、とんでもない。むしろ反対である
そして、俺はこんな奴とふたりっきりで喫茶店にいる、と言えば、
カップルかと思われそうだが、なんてことはない
ただ、こいつが欠席した講義のノートを見せるついでにいるだけである
「……あ〜、ごめん。もうすぐバイト行かなきゃ、いけないから借り手もいい」
だいだい予測できたと言うか、毎回のことである
「構わないよ…ただ、奢ってもらうぞ」
毎回のことだ、これくらいは罰はあたらないだろう
「うわ、せこ〜、昔はこんなのじゃなかったのに」
「いい加減にしないと、捻るかはたくぞ…」
唯と別れた俺は特にすることもなく、街を適当にぶらぶらしていた
「雨…降りそうだな…」
灰色にそまった空を見上げ、呟く
傘を持ってるわけもなく、すぐに帰る必要があるかもしれない
「…ん…アレは……」
見上げていた空を黄色いことりが通りすぎる
あのことりと同じ種類だろうか
「やれやれ…こんなに昔のこと思い出すなんて俺死ぬか?」
苦笑して、空を見上げるのを止め、歩いていくと程なくして、雨粒がぽつりぽつりと振り出す
「うわっ、ヤバイッ!」
あわてて駆け出すが、次第に雨が強くなり、体が濡れていく
その後のビショ濡れになりつつ、家路を急ぎ、最後の横断歩道にさしかかる
「あぁ…もう……よし!」
運悪く赤信号で十秒程、待ち、青になったのを確忍し、すぐに飛び出す
……もし、この時、よく確認したり、もう少し待ったりしたら、俺の運命は変わっていたかもしれない
「…なっ………」
ひどい雨のせいで見えなかったのかもしれない
俺は信号無視した車に跳ねられ、痛みを感じる間もなく、意識を失った
「……っ…ぅ…ん……ここ‥は…?」
俺が目を覚ました時、そこはひどく真っ白で無機質な部屋だった
棚の上に置かれたいくつか花だけが鮮やかで光ってさえ見える
腕やら足を動かすが、まったく痛みは無い
「…まさか…本当に死ぬとはな…ってここは天国か…」
自分としてはそこまで善人とは思っていないのだが、部屋の白さがそう思わせる
「残念、そんなおめでたいところじゃないよ…目が覚めたみたいだね…」
突然、声がした方にバッとむくと一人の少女が立っていた
背はおそらく、16、17あたりだが、顔は背のそれより幼く、よくて14であろう
服装はゲームで僧侶が着そうなローブに近く、ねずみ色と白が大部分をしめ、わずかに金が施されている
髪は黄色でこの部屋の花のように服との対称でやけに目立つ
だが、それをかき消して有り余るほどのインパクトが右手にもたれていた
ソレは少女の背丈以上の棒の先に…そう、三日月を真ん中から真っ二つにした様な刄が付けられ、鋭い光を放っていた
ぞくに言う、大鎌だ…
「……死神…ってことは…まだ、俺は死んでないのか、それとも二回殺されるのか?」
いきなりあらわれた少女に自分でも不思議なくらいに落ち着いて尋ねる
さすがにないだろうが、あの鎌で真っ二つはごめんだ
「安心して、もうあなたは死んでるよ、ボクはあなたの次の時期が来るまでの監視、世話役みたいなものさ」
色々とわからないことがあるが、少なくとも痛い思いをすることは無いらしい
しばらく、ぼっーと部屋の中を見ていると少女の方から声をかけてきた
「めずらしい人だね、あなたは…今までの人は暴れたりして大変だったのに、これじゃ、ボクのいる意味がないね」
「まぁ…確かに自分でも不思議なくらいなんだかな…今更騒いでも仕方ないし…何より…おまえに迷惑がかかるみたいだし」
「そうか…まぁ、有り難いけどね」
しばしの沈黙
「なぁ……お前の名前って何ていうんだ?…いつまでもお前じゃマズいだろ?」これからいくらか世話になるみたいだし、名前を知りたいと思うのは当然の筈だ
「ボクかい?…ボクは…コトって言うんだ、よろしく、優」
無表情、無機質あくまで、興味が無さそうに
「あぁ……ちょっと待て、何で俺の名前を知ってるんだ?」
よく考えれば、知っててもおかしくないが、そこまで気が回らなかった
「えっ…それは……世話する相手ぐらい上から聞くなり、事前に把握しておくのが当然だろう」
一瞬、あわてた様子を見せるが、すぐに無表情を装い言う
言われてみれば、納得であった
「あぁ…そういうことか、よろしくな、コト」
慌てた表情には突っ込まなかったが、おもしろいと感じると共に、感情があることに安心した
すいません、急用で今日はこれで失礼します
期待して待ってるよ
298 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/31(木) 02:28:13 ID:YU0ZQsJl
ほしゅ
ギャーッ!突発、ぶっ付けで書き出したから、一応ネタ被りとかないか探してたら、いきなり主人公、名前被った…orz
軽く樹海散歩してきます…
ボクっ娘死神イイ!GJ
こんばんは
死神です
慌てなくてもいいですよ
直ぐに殺すわけじゃありません
契約です
契約しましょう
私と貴方で
死神の契約を交わしましょう
一つの契約で
一つの望みを叶えましょう
二つの契約で
二つの望みを叶えましょう
対価は長期ローンで払ってもらいますよ
貴方の魂を払ってもらいますよ
何、心配せずとも死ぬまで絞りゃしません
解りましたね
「契約を、交わしましょう」
302 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/03(日) 07:22:30 ID:mPs9WvTT
だが断りません
個人的に好きなジャンルだから盛り上がってくれないかなあ
YOU盛り上げちゃいなよ
よし
SSなんか書いたことないが一肌脱いでみるか
死神同士ってのもあり?
307 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/07(木) 01:53:46 ID:zz+/f3wz
望む所だ!!
wktk
盛り上がってきた
309 :
306:2007/06/07(木) 11:23:25 ID:iqM5+FCt
おk わかった。速度は遅いが書いてみる。
ちなみに
>>274の続きっぽい話なんだけどね
310 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 08:55:01 ID:xjvX2fc/
ところで、
天使と悪魔スレもエロパロ保管庫に入れて貰ったみたいだし、
ちょっと早いけどこのスレも入れて貰わない?
まだ内容充実してなくね
312 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/09(土) 11:55:11 ID:xjvX2fc/
天使と悪魔スレの下辺りに置いて貰ったら、
それを見て同好の志が流れて来るんじゃないかと期待してるんだがw
『悪魔を憐れむ歌』がツンデレ死神の歌に聞こえてしまう俺は異常でしょうか?
>>310 気は早いけど、その方が良さそうだな。
保管庫が無い、有っても更新されないまま良作が投下されてるスレをいくつも知ってるし、早めに作った方が良かろうよ。
同意。
気が早いって言うけどさ、管理人さんの作業の手間を考えたら、
数が少ないうちにお願いした方が作業し易いんじゃないかな。
あげてみる
あげてみる
318 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 00:19:17 ID:1QMbGVZZ
佐藤秀俊(さとうひでとし)
24歳 ニート ニート歴4年。短大卒業後、働く意欲ながくニートになる。
日々の生活は仕送で賄っている。
毎日、ゲームや2chで時間を費やしている。
今日、6月22日
彼にとっては、いつもと変わらぬ日時…になるはずだった。
続
戦乙女もOKなら投下できるかも
「ようやく――逢えた――」
その男は微笑んでいた。後背は濁流が氾濫する大河、前面は10万を越す大軍。それでも男は微笑んでいた。
男はただしっかりと前を見て、笑っていた。その対象は土煙を上げ迫る騎兵では無い。抜けるような蒼空でも無い。
広がる荒野でもない。その曇り無き黒瞳はただ――堪え切れず眼前に顕現した――『私』の姿だけを写していた。
「アンタは相変わらず―奇麗なままだな」
あの時と変わらぬ、少年染みた無垢な笑みが『私』を迎える。二人きりで過ごした刻は逢瀬と呼ぶには短すぎ、
邂逅と呼ぶには長過ぎた。亡国の将軍の家系に連なるこの男は、成人後に幾多の戦場を駆け巡り、無敗を誇る
勲しを打ち立てた。この男の向かう所、敵う者など居なかった。なのに――今、こうして一人で死のうとしている。
「何故、河を渡らなかった? まだ…刻はある。生き延びたければ…」
「もう、ここでいい。俺がそう、決めたんだ」
幼き頃のこの男の言葉を思い出す。「字なんて自分の名前を書ければいい! 剣なんて一人しか相手が出来ない!
俺は大軍を相手にする方法を知りたい! 」私はその大言壮語に腹を立てて――今思えばそれが間違いの元――
顕現したのだ。顕現した私に驚かなかったこの男の器は大きかった。今と同じく、怪力乱神の類と看做すでも無く、
ただ真直ぐに私だけを見ていた。私の持つ剣を眼前に突き付けられても、だ。
「…河を渡れ。生き延びて、捲土重来を目指せ! ただ一度きりのこの敗北は恥では無い! 」
「15年前に、一緒に志を立てて出陣した故郷の子弟を八千人も失って、か? 御免被るね」
「何故だ? 何故そう頑なに美しくあろうとする?! 戦人(いくさびと)には潔さなど薬にもなら…ンぅッ! 」
男は音も立てず近寄り、剣を構えた私を抱き締め私の唇を…奪った。抵抗しようと思えば出来る筈、と言う声が頭の
どこかで小さく訴えていたが無視を決め込んだ。カチカチと互いの歯が打ち鳴らされる音が、互いのその手の行為の
経験の無さを物語っていた。それでも互いの舌を貪り、甘美な唾液を味わう。 剣を持っていた腕から力が抜け、落として
しまう。まだ抱え込まれたままの空いた手を、男の背に回す。そう…私は望んでいたのだろう。男の想いを受け取る事を。
どちらともなく唇を離してしまう。透明な唾液が糸を引いてしまうのが恥ずかしい。それでも、言葉として確かめねば。
「…皇帝の3000人の後宮に手を付けず…頑なに童貞を貫いたのは…こう言う事だったのだな…? 」
「勇者、と自然に称えられるようになれば逢えると信じてた。おかげで『覇王』なんて綽名を貰っちまったけど…」
そんなものは要らなかった、と、どこか拗ねた子供っぽい顔が堪らなかった。乱戦の中、冑が脱げたのであろう。
短く刈り込まれた黒髪の頭が露出していたので撫でてしまう。…もう、手を伸ばさねば届かなくなってしまったが。
「もう俺は、子供じゃない。31の大人だ。だから…」
ガシャ、と私の腰当の留金が外され、地に堕ちた。下穿きに太く武骨な指がそっと添えられる。指が震えていた。
無理をしおってからに…。いいだろう。女を知らぬ『覇王』よ。貴様の最初にして最後の女になるのも悪くは無い。
せめて…優しくしてくれ。
322 :
319:2007/06/22(金) 12:37:00 ID:S2a3DBq+
お許しが出たので投下してみました
この後よろしければ
1.男視点で本番
2.別の死神だして嫉妬展開
3.別陣営で『死神』と呼ばれる女軍師視点
4.ツマンネーから書くな
で行きたいと思います では一旦退却
おい虞美人はどうした、っていう野暮なツッコミは措いておいて。
GJ!!
色を好まない英雄ってのもいいね。
3で!
もう一人の死神が来る、って意味だよね?
3ならただの人間が来る気がするので2で
元ネタの虞美人を使うだろうと予想
>>325 別陣営で軍師って言ったら張良の女体化だろ…常考
とりあえず1きぼん
327 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/22(金) 17:53:23 ID:FaeKO7yL
賑わってきそうだなw
期待あげ
328 :
319:2007/06/22(金) 19:13:38 ID:2HNrhyII
元ネタ知ってる人いてかなり安心しました
お察しの通り中華帝国史上最強の豪傑であり武将である人です
アンケートを集計すると4以外全部ですね ありがとうございます
本番抜くと思いっきり罵倒されそうなのでまず1から片付けます
時間はかかりますが作製したいと思います (前作は20分で製作)
329 :
319:2007/06/22(金) 22:07:49 ID:GzAbi5DT
「で、だから何だと言う…の…ムぅん! 」」
女の甲冑を外すのは簡単だった。装飾を尽くした豪華かつ華美な物だが実用性に富んでいる。
留金、皮帯を外せば胸甲が外れ、背甲も同時に落ちる。先程外した腰当に当たり、澄んだ金属音が
荒野に響く。一枚の金属板で出来た鎧など、男は見た事など無かった。男の知っている鎧と言えば、
鋼の小片に穴を空け、紐を通して編んだものを組み合わせた簡素なものである。
「ン…んふぅ…ン…っ」
左手で女の柔らかな尻の感触を衣服越しに愉しみながら、今度は肩甲を外して行く。抵抗は無い。
羽飾りの付いた冑を外そうとして男は漸く気付いた。…外すには接吻を止めなければならない事に。
止めたくなどは無かった。少年の日より恋焦がれ、『いずれは戦場にて見(まみ)える事もあろう』と
言う言葉を信じ、ただひたすら駆け抜けて来た。言葉通り戦場で逢えた時、言葉を交わした事もある。
しかしこうして腕(かいな)に抱く事は一度とて無かった。男は潔く決心して名残惜しげに唇を離した。
とうとう女の顎の皮紐の留金を外し、冑に手を掛けようすると、女が拒み、自身で脱いだ。
「されるがままと言うのも存外に風情が無い。どうした? どこか面妖な所でも見つけたか? 」
艶やかな黒髪に新緑の碧眼、透き通るような白い肌が、男の目を焼いた。幼きあの日に心に刻んだ
その姿に比すれば、世俗の女などをどうして相手が出来ようか? 女の気高さに萎える心を無理矢理に
押さえ、男はもう一度女を抱き寄せる。愚かなる幼き日の男は女の正体を残酷にも尋ねていたのだ。
女は言った。「自分は『喪門神』、死神である」と。
戦場にて勇名を馳せ、果敢無(はかな)く散りし者を連れて行くのが己の役目だと女より直に聞いた。
その日より以前よりも熱烈に戦場に出る事を望み、己に出来る限りの手段を尽くし、不平を金輪際漏らさず、
一の敵も万の敵も殺し尽くせる術を学んだ。その上で男は戦場を同志たちと駆け、斬撃、打撃の限りを尽くし
敵と戦い、『殺される』事を望んだ。もう一度…己の蒙昧を戒めた『喪門神』に逢い、その手に抱く事を夢見た。
蒙昧を克服した自分を見て欲しいが余りに、大敵を打ち倒した後に故郷に帰ると言う愚行をやらかしたのも…
全てはこの時のためだ。
「この後は如何するのだ? ただ抱いている…だけか? 」
男は我に還った。己に残された刻は僅か。ならば…都にて入手し、顔を赤らめながら閲覧した房中術の限りを
尽くさなければならぬと一人合点する。男は女の下裳を捲(まく)り上げ右手指で股座のあたりにそっと、触れる。
…粘つく感触が男を驚かせる。秘所が…濡れていた。男の知識の外にある現象に動転し、そのまま匂いを嗅いで
しまう。脳髄が痺れ、獣欲が沸き上がる。急に抗いだした『喪門神』の勢いに押され、女を抱えていた左手を弛めると、
勢い良く頬を張られてしまった。
「匂いなど嗅ぐな! 想う漢に抱かれていれば、こうもなろうに…! どこまで辱めれば気が済む!? 」
涙を零しながら恥じ入る『喪門神』の目尻に男は唇を付け、溜まる涙を吸った。急に『喪門神』の抵抗が止む。
330 :
319:2007/06/22(金) 22:11:03 ID:GzAbi5DT
思いの他長くなりそうなので一旦投下しました
寸止めにはしないつもりです 仕事中なので作業に戻ります
わっふるわっふる
激しいのを求む
『憑神』って映画に少しだけ期待。
「…孺子(じゅし)よ己の非を認める気に為ったか? 」
己の今迄見て来た凛々しい姿など何処の借りてきた猫だ、と男は胸の奥が痛む程切なく思う。可憐だった。
何も辱めた訳では無い。男は実技の経験などさらさら無く、記録でしか『房事』の遣り方を弁えては居なかった。
初めて恋焦がれた女性(にょしょう)――人では無いのだが――を胸に抱き、心の赴くままに接吻を交わした。
その先の事など思慮の外だ。つい男の覇業の原動力とも言える『好奇心から生ずる探究心』が軽く頭(こうべ)を
擡(もた)げたとしても、誰がそれを責める事が出来ようか? いや、男自身にしか責められまい。
「女性の涙とは、存外に塩辛く無いものなのだな…」
高鳴る胸の動悸が、耳の奥から聞こえて来る。息が荒く為って来る。『喪門神』の抵抗が男の征服欲を程良く
刺激する。もっと、困惑する顔が見たい。相手は人では無い者。気高く『喪門神』と名乗る、女の形をした者だ。
「…抜かせ…孺子(じゅし)の癖に…ッ?!」
急に顔を赤らめた『喪門神』の見ている先を釣られて見ると、己の分身である猛り狂った陽物が鋼の小片を
編んで作られた鎧を軽々と盛り上げ、『喪門神』の下腹を突付いていた。男は素早く直垂の部分を捲り上げ、
襟に差し込む。男の下袴はすでに大天幕を形作っていた。天幕の高さは『喪門神』の肩をすっぽりと覆い尽す
肩当の長さに等しい。
「此処は子供では無いぞ? 『喪門神』よ」
「そ、その…ようだな? 」
「ぅおっ…! 」
下袴の上から軽く握られただけだが、男は疼痛を感じてしまう。いや、余り痛くは無いのだが、そのむず痒さに
身悶えする。まだ握られて居たいと思ったが、『喪門神』は動転して右手を離してしまおうとする。男はその手を
捉え、グリグリと己の陽物を下袴漉しに押し付ける。恥らいで叫び出したいのを堪えている『喪門神』の、唇を噛み
叫びを押し止めている様は、男の持前の悪戯心を刺激する。もっともっと、困らせて遣りたく為るのだ。
一旦切ります
死神は黒髪で緑目かよ
…乳のサイズで評価が決まるな
死神は黒髪黒瞳の大鎌黒ローブじゃないとアカンの?
いま投下中の奴は広義の死神だな
北欧神話ベースな戦乙女を中華な世界にぶち込む無茶やらかしてるw
昨日から上映開始の映画に出てくる死神は黒髪黒目で和服に手毬の幼女だったなぁ……。
ホント、現代は色々な価値観が混ざってておいしいぜ。
女視点と男視点で別れてるのが残念
俺は女視点が好きだ
男視点は萎える
俺は色んな視点ってのも好きだがなぁ
まぁ好みは色々あるから作者が筆が乗る形で書いてもらえばいいか
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
DIO様 状態 ごきげん DIOHP ミヅキHP
14日目 親指負傷 ☆☆☆☆ 5000 8億
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
|,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ
〈´//´| `'t-t_ゥ=、i |:: :::,.-‐'''ノヘ| ∧ ∧
. r´`ヽ / `"""`j/ | |くゞ'フ/i/ (,,・Д・)
. |〈:ヽ, Y ::::: ,. ┴:〉: |/ (___ノ〜
. \ヾ( l ヾ::::ノ |、
j .>,、l _,-ニ-ニ、, |))
! >ニ<:| 、;;;;;;;;;;;;;,. /| ___,. -、
| | !、 .| | ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
ヽ| | ヽ\ _,..:::::::. / .| `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
..|.| | :::::ヽ<::::::::::::::::>゛ |_ _,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
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問題ない。宣伝だ。
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http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183118048/
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DIO様 状態 ごきげん DIOHP ミヅキHP
14日目 親指負傷 ☆☆☆☆ 5000 8億
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|,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ
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ヽ| | ヽ\ _,..:::::::. / .| `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
..|.| | :::::ヽ<::::::::::::::::>゛ |_ _,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
さてと
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「翠星石のギャルゲーですぅ」のゲーム作る。 URL:
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183195101/ 翠星石のギャルゲーですぅを応援するブログ URL:
http://diotheworld.blog.shinobi.jp/ 翠星石の絵チャ URL:
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http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183206784/ 新ジャンル「死神少女と幽霊少女」 URL:
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183118048/ VIP仕様でギャルゲ作る URL:
http://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1183267908/
うおおっ書くぜっ!!
おらおらぁ!死神様のお通りだぁ!!
wwww
347 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/10(火) 00:41:16 ID:1rCoxAFZ
age
>344はまだか?! まだなのか?!?!
age
ほ
夏になり、着々と圧縮までの時間が短くなっている今日この頃。
最終レス時刻を少しでも伸ばすために保守。
☆
保守
白い服装の炉死神、という電波が来た
二巻以降駄作になったアレか……。
>>356 そのイメージをテキストにアップするんだ
359 :
356:2007/07/23(月) 02:19:39 ID:vbYJ3jps
>>358 ある程度SSを書いてみた。だが、普通のSSすら書いたことの無いような俺は
エロシーンなんて無理だorz
エロシーン無しのSSでも良いだろうか。
イインダヨー
グリーン(ry
362 :
356:2007/07/23(月) 18:27:04 ID:vbYJ3jps
エロ無、なんか微妙にズレていったが投下させてもらう。
1レスにおける行制限がよく分からんから30行ずつで詰めて11レス分。
ふと気がつくとド○え○んの四次元空間のような場所に浮かんでいた。しかも裸で。股間のものが何気に立っていた。
でも勘違いするな。俺は決して露出狂じゃないよ。
慌てて服を着ようとするが、辺り一面紫と赤と黒が混じったような景色ばかり。服ばかりか身を隠すものすらない。
とりあえず落ち着いて考えてみる。5分間くらい無駄に暴れた後。
(えっと・・・最後に覚えていることといえば・・・)
―――赤。それも血のような鮮やかな赤。
それが目の前にいる18程度の女の子に握られた銀色の物から雫のようなものが垂れ落ち、俺の赤くなった腹あたりに落ちていく。
その雫とは関係なしに俺の腹についている赤はどんどん広がっていた。
―――銀色の物を目を凝らして見た。
・・・ナイフだ。
―――あぁ、また血のような赤色が俺の腹の上に垂れ落ちてくる。
いや、「血のような赤色」なんかじゃない。「血」だ。
「―――!?」
記憶となった恐怖と痛みが、今一度戻ってきたように感じた。
ついつい腹を見てみると――傷や血の跡なんてなかった。
(・・・傷がない?)
おかしい。記憶では腹の赤はどんどん広がっていた。ということはアレだ、動脈が切れていたんだろう。
だが、動脈が切れるほど深くまで刺されたのならば、後遺症・・・とまでは言わないが、傷くらいは残るんじゃないか?
思考・・・とはいっても記憶からあの出来事の前後、数週間にあったことを思い出そうとするが、思い出せない。
それどころか、更に重大な事実が判明する。
「・・・俺、なんて名前だっけ?」
364 :
狭間の白き渡し主:2007/07/23(月) 18:40:06 ID:vbYJ3jps
そう、自分の名前が思い出せない。記憶にある友人の名前は思い出せる。山田くんとか佐藤さんとか。
自分の名前を呼ばれた記憶を思い出そうとするが、その俺の名前が聞こえない。
いや、「聞こえて」はいるんだが、そこだけ小声で「ゴニョゴニョ」言ったように聞こえる。
耳をすまして(?)聞こうとするが、どうしても聞こえない。というかなんか目の前がとっても白くなってきたよ、
ああもう疲れたよ○ト○ッ○ュ・・・お花畑が見えてきた・・・
・・・危ない危ない、トリップしていたようだ。
再び試行錯誤。手を動かす。もちろん動く。顔や足も試す。動いた。どうやら関節はすべて動くようだ。
次は体をひねってみる。体全体を右に向かせる。
・・・向かせようとした。だが下半身が後ろを向くだけで、上半身は前を向いたまま。俺の首は硬いので真後ろを見れない。
足をジタバタして触れるものがないか試してみる。透明な物なんぞ普通ないから成果なし。いや、この場所は普通じゃないけどさ。
「やることがない」
試行錯誤開始後約5分。
周りの景色も何も変わらず、ただここは重力が無く宇宙空間のような場所だと分かった程度。
空気はあるのかどうか分からない。でも生きているから酸素はあるんじゃないか?
さて、男性は一人&暇というコンボが成立すると妄想する奴がいるもんですよ、よく。こいつも同類です。
(ハッ、まさか刺されたあの後、悪の秘密結社に拾われてついでに兵士にするため改造中、性格や記憶を消されている途中なのか!?
それとも神か宇宙人かが俺の目の前に光臨して、力を授けてくれるのか!?
いや、もしかするとこのまま謎の空間に永遠に漂ったままなのか!?
ああっ、早く真実を教えてくれーッ!!)
コイツはその中でも厨っぽい妄想をするタイプです。誰でも夢を見るものです。
「遅れたわ。手続きが時間食ってね」
――!?
うん、声から予想したとおりガキ。女の子。多分10歳弱くらい。でも姿勢がなんか大人っぽいぞこいつめ。俺より小さいくせに。
目の色は赤だが、髪の毛は白。さすがにお肌の毛は黒の模様。あれ、体毛って髪の毛の色と同じじゃなかったっけ?
俗説的な死神のつける裾の切れたローブを付けているんだが、その色は髪の毛と同じく白い。普通黒じゃないのかよ、死神は。
あれ、似た奴をどっかのゲームで見かけた気がする。確か某同じn「ほら、もう行くわよ」版権ものの思考は見事にカットされた。
死神――見た目は少女、中身は死神♪――は俺の腕を引っ張ってまさに引きずりながら(摩擦無いけど)どこかへ連れて行く。
「こら、どこへ連れて行く」
「狭間」
・・・どっちかっていうと無口な部類に入る奴のようだ。ということは、こいつは会話する気ないのか?
「会った直後にまともな雑談やら会話やらせずにするということは、もしかして俺のコト嫌いなの?」
「うん嫌い」
うわ本気で会話する気ねえなコイツ。なんか逆に話をしたくなったぜ!!
「あのさあ、もしかして狭間を渡るって、いわゆる"転生"するってこと?」
少女はため息をつきながら振り返る。だが引っ張って連れて行くのはやめない。後ろ向きながら進む、つまり後ろ歩き。
「もちろん。輪廻転生させるって言ったでしょ?頭悪い奴ね」
心底から嫌そうに話す。マジで嫌いみたいだ、コイツ。
「・・・ってことは、もう俺はある意味終わりってコト?」
「魂の本質は変わらない。だから終わりではない。宗教でもやって悟ったら終わりに行くことは可能ではあるけどね」
・・・
「・・・あのさぁ・・・」
「黙りなさい」
「嫌だ。お前に命令する権利などないだろうが」
「そんなこと言っちゃって、あんたにも無いでしょ?」
「俺は命令などしてないが?」
「・・・」
よし、頭悪いとか言ってきやがったが、コイツもあまりいいとはいえないようだ。少女は黙って俺を引っ張る。
「頼みがある」「嫌だ」
うわ即答。というかフライングだよ、二回目にしたやつは失格だよ。
「まだ死にたくない。無念がある。大有りだ」
「とは言っても、あんたは死んでいる。肉体も生体エネルギー切れで完全に死んでたし、もう火葬されている」
「・・・」
会話中でも問答無用に引っ張ってゆく少女。死神とはいえ、もっとガキっぽくしろよ。
「・・・まだ死にたくない。未練がある」
「同じことを二度も言わせないで。だからあんたは死んで――――」
「それは聞いた。でも俺は生きることに未練があるんだ。
愛やら家族やらとは言わないが、なにかやり残したことが、な」
俺としては名言、会話の鍵になりそうな事を言ってみたにもかかわらず少女は振り向かずに答える。多分さっきの事根に持ってる。
「if―――もしあんたが生き返っても―――あんたを刺した彼女を見かけた瞬間、憎悪が湧き上がって、首を絞め殺したりするんじゃないの?」
―――――!?
「あー・・・失言だったわ。記憶班の仕事増やしちゃったじゃないの。こりゃどやされるかな・・・」
――ああ、思い出した。
俺はおとなしく、図書館の本を読んでいるような彼女を学校帰りに見かけ、一目惚れ、
積極的にアピールし、デートに誘うことはできたが、俺の欲望が早急すぎて
彼女を強引に人のいないところに連行。彼女が嫌がっているのにもかかわらず、
俺は彼女を犯した。
――それはもう性交は性交でも強姦だった。
しかも俺は終わったあとに後悔なんてせず、むしろ快感の余韻を楽しんでいた。
気絶した彼女が起きたあとも、一言もしゃべらずに――まあ話しづらくて当然だが――俺は謝らなかった。
余韻におぼれ、次は彼女をどうしようか、なんてことまで考えていた。
懲りずに、俺は彼女を二回目のデートに呼んだ。
驚いたことに――そのときは俺はほとんど罪悪感なんて感じてなかったから驚いていないが――彼女は来た。
昼はデートを単純に楽しんだ。彼女も楽しそうだった。楽しそうに見えた。
しかし―――日落ち夜訪れ、彼女をまた人のいない場所へ連れて行った。彼女は今回は抵抗せず引っ張られるままだった。
そこで気づくべきだった。
俺は彼女がやりたいと思って、抵抗しなかったのだと思った。
そんなわけがあるか。
そして犯そうと彼女に近づき――――グサリ。
俺は急に体を締め付けられたように感じた。それも、とても強く。
俺はなんてことを あんなことして刺されるのはあたりまえだ 俺は馬鹿だお前は畜生だ 死神が 何か言っている
うらんで いるああ確かに未練は うらみかも な生き返る 資格なんてな いそんなの当然
だって人が望ま ぬことをしたのだ からああなんて ことをした んだ でも生 き返り たい
生き返っ てどうす るんだ彼 女を殺 す痛 みを返 すああ畜 生
殺され た殺してた殺 される殺してる殺してやる殺す殺す殺す殺す殺ス殺ス殺ス殺ス「殺ス!!」
「ほら、ね」
俺は少女の一言で正気に戻る。少女は微笑を浮かべながらこちらを向いていた。引っ張るのはとめている。
「笑ってたわよ、最後。これから何して遊ぶか決めた時のような顔をしてね。"殺ス"なんて言いながら笑ってた」
確かに、頬が引きつっていた。きっと少女の言うとおり、俺は笑っているのだろう。
「ああ――確かに、俺は生きる必要なんてなさそうだ。いや、きっと生きちゃだめなんだ、もう。
俺は壊れている。映画でよくある人型機械のように壊れて、殺人マシーンとなっている」
俺は、何かを超えた気がした。多分、"生きる"欲望を超えた。
その欲望を超えた今、転生することで"俺"がいなくなることへの恐怖なんてなくなった。
「・・・もう話すことは無い」
「ええ」
また引っ張られ始める。
「ほら、狭間の穴――というか門が見えてきたわよ」
少女の言うとおり、門が見えてきた。
門というか、正方形のでっかい窓。というか扉とかない。
少女の引っ張るのがとまる。
「もう、未練なんてないんだったわよね?」
「ああ・・・どうせ生き返れないんだろう」
「ん、本当は生き返れる。」
なんか嘘ついたこと告白してますよ、コイツ。嘘ついてんじゃねえよ。
「いや、同じ体には戻れないけどさ。燃え尽きて灰になってるし。
似たような体を無理やり作って、記憶を消さないままその体に転生させることはできた」
「・・・もう、話はいい。覚悟も何もとっくに決めたよ」
門の前。約5m。
「んじゃ・・・覚悟はいい?」
「覚悟なんざとっくに決めたと言っただろうが」
更に門の近くへ引っ張られる。
――ふと、2mほど進んだところ(残り約3m)で少女――死神――が止まった。
「・・・ねぇ、本当は彼女とちゃんと愛しあいたかった?」
「何故そんなことをいまさら聞く」
「別に〜」
珍しく、少女から問いたずねてきた。
「んで、どっちなの?」
「どっちかっていうと・・・愛したかった。
人目惚れしたとき、性交したいなんて気持ちは全ッ然無かった」
「ただ、純粋に愛していた。
ちょうど少年マンガのようなとこかな、よくあるだろ、最後は彼女と付き合って終わり、っての。
あんな感じで付き合いたかった。ただ、純粋に愛しあって。」
少女は黙って聞いている。赤い目がこちらの目をのぞいてくる。
「エロいことなんてしなくていい。子供や家族なんざいらない。
ましてや性交なんざしないでいい。ただ純粋に、彼女を、愛したかった」
「・・・」
少女は沈黙を保ったまま。
「さて・・・この門に入ると、俺―――
―――というか"俺"という人格やら性格やら記憶やらは消えちまうのか」
「ええ」
「門に入れろ。もう未練は無いって言ったろ」
俺は笑う。微笑。その行為に意味するものはなかった。ただ、なんとなく微笑んだだけ。
「んじゃ・・・最後に一つ」
「しつこいな。まだあるのか」
会話をし始めた最初のころとは逆になった。少女が質問を投げかけてくる。
「また"彼女"と会ったら、どうする?」
「俺は消えるんだろう。ならどうもしないさ、きっと」
「へぇ・・・なら、もし消えなかったら?」
「もし、か・・・ああ、幸せにしてやるさ、きっと」
「フフ・・・幸せにできるといいね」
彼女もただ笑う。微笑みをうかべながら会話をする。会話が弾んでいる。
「あなたは転生しなければならない。
彼女と再びめぐり合える確率も低いし、
"あなた"が記憶消滅せずに生きている確率もほぼゼロ。
でも・・・奇跡が起こる確率はゼロじゃない。
そのことは覚えていてね♪」
少女は笑う。覚えていることが消えるのに覚えていろだなんて無理な話だ。
「それでは、良い生涯を♪」
門まで約1m。近い。ちなみに俺は動けないまま。
「んじゃ・・・またな」
「会えることは無いと思うけど・・・またね」
少女は何もしていないが、俺の体は少しづつ門へと近づいていく。というか吸い込まれている?
「そうだ・・・
彼女にまだ謝ってなかったな。
・・・ごめん」
「・・・バイバイ」
最後に少女は微笑んだ。
「あなたが反省してくれてよかった」
少女は独り言をつぶやく。
「手続き、大変だったんだからね。
悪魔召喚して罠にはめて無理やり代償無しで力を貰ったり、
その力で天使を片っ端から捕まえて神を怒らせたり、
異世界の人々の力で神を無力化してこれまた捕まえて創造主を呼び出したり、
創造主に頼んで死神にしてもらったり。
でも、その苦労も報われた。
あなたの気持ちが聞けたし、
何より謝罪もちゃんとしてくれた。
私にそれで十分」
少女、いや"彼女"は笑う。
「私も、あなたのこと好きだった。
ただいくらなんでも早すぎて、私の怨みが収まらなかった。
それであなたをあのナイフでやっちゃった。
ごめんね」
彼女は何処かへ歩き始める。
「さて、今度は転生システムをいじって、彼を記憶そのままで復活させなきゃ、ね」
最後に"彼女"は微笑んだ。
372 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/23(月) 19:04:45 ID:vbYJ3jps
滅茶苦茶になった。
エロシーン書いてみたが、力量不足でひどかったため消去。
というか、死神ほとんど関係ねえ('A`)
ちょっと命刈られてきます。
373 :
372:2007/07/23(月) 19:06:05 ID:vbYJ3jps
最後の最後にageてしまった。スマンorz
スレタイ見たときにリューク思い出した俺は負け組
>>372 乙!!これからも精進してくれ
待ってるぜ!!
>>374 死神と言えば
オサレな奴と新世界と
世界の敵の敵とか白死神ぐらいしか思いつかん
死神博士
>>372 いや、面白かったです。こういう短編も好きですわ。
圧縮回避保守
380 :
372:2007/07/28(土) 13:46:59 ID:Lug48fCS
最後の保守時間を延ばすことも保守であるといえる。
要は保守。
>>375>>377-378 ありがとう。
機会とネタがあったら1レス短編で保守しておくぜ!!1111
保守保守
保守保守
ほしゅ
捕手
ところで、昼寝中に夢で男を(アレな意味で)喰っている死神を見たんだが、
それを文章化しようと思ったが考えたら他の人が書いているのと同じだな、と。
>>384 ごめん、文章力(注:文章を書く能力。才能や努力、真似によって向上する)が足りないから、
今は書けない。今は。
保守
ほっしゅっしゅ
保守。
ところで眠気が不意打ち食らわしてくる前にSS書けたら投稿してみる。
奇態
えぇいSSはまだか
構成が狂ったよ!
スマン。多分夜には(エロ寸前までかもしれんが)投下できるかも。
楽しみにしてるぜ
wktk
エロ見えてない上先もまだ不安定な状態だけど・・・
飯食ってから投下する。
| \
|Д`) ダレモイナイ・・投下スルナラ イマノウチ
|⊂
|
#################################################
近くのビルの壁が壊れる。霊体に瓦礫なんてぶつけられるのか?とか思ったが、それはただの目くらましだったようだ。あたり一面に砂埃が立つ。
――くそっ、どこから近づいてくるか分からねえ。
俺はさっき逃げてきた方向からできるだけ――そう、できるだけ遠くに離れるように走った。しかしそれは間違いだった。
俺ができるだけ逃げた距離は5mほど。砂埃を抜けたそこにアイツは立っていた。
「あきらめろ。貴様如きのような下級の上程度の怨念の霊が逃げる術はない。」
全てを吸い込むかのような漆黒のローブに鏡のようにきれいな銀色の長髪。
一般的な東洋人と変わらない黄色の肌にまるでどこまでも透ける蒼い目。
その華麗なる姿をした女性の左手には純白な光、右手には命刈り取る死神の鎌。
そう、彼女は死神の鎌を持つ。すなわち、死神なのである。
「現世に在るままの霊は破壊衝動を持ち、放置しておけば現世の人にとって危険極まりない。よって我らは貴様らを黄泉へと送る。
黄泉で自らの犯した罪をつぐない、転生せよ。そして新たな運命を持つが良い。」
彼女は俺を黄泉へ送る、つまり地獄へ直行させようとしている。
「地獄なんかに行っていられるかぁっ!」
俺は彼女の頭を狙い、回し蹴りを放つ。彼女はそれを見切り、後ろへ体を反る。俺の脚は空を切る。
一発目の蹴りの勢いを利用したまま、二発目を放つ。しかし、
「狙いが甘すぎだ。そんな程度ではかすり傷もつけれんぞ。」
彼女は余裕もって蹴りをかわし、俺の手をとる。そのまま背中側に回り込まれ、うつぶせに蹴り倒される。
腕は背中に押し付けられ、上から体重をかけられる。しまった、この体制じゃあもう逃げられない。
「手間を取らせるな。ほら、終わるぞ。」
何か光るものが押し付けられる。
――――熱い。光るものに押し付けられた部分が焼けるように痛む。
「黄泉へ送られることを拒否するからだ。受け入れよ。すれば痛みはないだろう。」
「・・・だっっからぁ、死んでたまるかっての!」
俺が地獄行きを断るのはただ完全に死ぬのが怖いわけじゃない。
アイツ―――俺の友人との約束があるからだ。
■眼鏡をかけ、適当に生やしたせいで"ボサボサ"した黒髪の貧相な格好のアイツのことを思い出す。
■『やあ七瀬。あいかわらずお元気そうでなにより。』
■『お前こそあいかわらず頭が回るようだな、夜月。』
■七瀬は俺の名前、だ。夜月が俺の友達の名前。
■『僕、別にそんなに頭使ったりしないけど?』
■『聞いたぞ。あの黄也に一泡吹かせてたじゃないか。確か・・・
■ "お金はあげられないけどこのナイフの刃ならあげるよ?"だったかな』
■ちなみに黄也とは俺の学校の不良っぽい奴だ。
■『ありゃ、知ってたんだ。まあそんなことは別にいいじゃないか。』
■『それもそうだな。ところで今日はなんか予定あるか?』
■『いんや、今日は予定無し。また遊びにでも行く?』
■『んじゃいつもどおり裏路地に不良どもシバキに行こうか。』
■眼鏡をかけた貧相な男のイメージを覆すかのように夜月は強かった。空手をある程度触って強くなった俺と違って、アイツは天性の強さ、という感じだった。
■もちろん、眼鏡をかけている男の例にもれず(?)勉強やらボードゲームやらの頭を使うことにかけてもすばらしかった。
「熱ッ!? 痛いっての!」
熱さと痛さで回想から現実に戻る。あいかわらず光るものを押し付けられたままでめちゃくちゃ痛い。
「さっさと黄泉に行け。私も面倒なんだ。拒否するな。黄泉は楽だぞー」
なにが楽だ。そりゃ全てなくなったら楽も苦もないだろうけどな。
俺はいきなり暴れてみた。予想通り、彼女は急に俺が暴れだしたせいで体重をずらしてしまい、結果俺を逃がしてしまう。
「捕まってたまるかっての!」
俺は彼女を撒こうと再びとんずらする。彼女も慌てて俺を追おうとする。
■『ところで七瀬。魔法ってあると思う?』
■『いきなり何を言い出す。
■ ・・・人間のただの妄想の産物じゃないか?魔法なんざ使えたら、物を無から作り出すなんてことができたら危険な兵器だって作れただろうしな。
■ もし巨人なんざ大量に作ってたら大変なことになる。それに、現代で魔法だなんてゲームや小説程度でしか聞かないだろう?
■ 現実で魔法を使って大災害とか起こしたらさすがに世界の誰かの噂にはなるんじゃないか?』
■『ん〜・・・君が否定派ならそうなるだろうね。』
■『じゃあお前はどう思ってるんだ?』
■『僕はね・・・多分、存在すると思えば存在するんじゃないかって思う。』
ビル郡の間、裏路地を走りぬける。太陽は西の地面から30゚程度にある。人はそれを別名、"夕日"、"夕暮れ"という。
死神の姿はない。けれど、気配はある。追ってきている。それも少しづつ近づいている。来んな。
ビルとビルの間の狭い十字路を横切ろうとしたとき、突如気配が消えた。
いや、違う。気配はある。横や後ろに感じられないだけだ。つまり――――
俺は十字路をやっぱり曲がる。はい、見事十字路の行こうとした方向が陥没しました。やりすぎじゃないか?
「いい加減逃げるのをやめなさい。疲れてきました。」
「なら勝手にやめればいいだろうが!」
全速力で逃げる。とんずらとんぬら。
■『そんな曖昧な答えがあるか!』
■『エ〜、理屈は通ってるんじゃない?』
■『確かに考えれば・・・・・・なんて思うわけねえだろ、通ってねえよ。
■ 人の答え聞いておいて自分だけ逃げるんじゃねえって。』
■『ん〜、仕方ないなぁ・・・
■ でもね、存在すると思えば存在する、ってのは間違ってはいないと思うよ?
■ ただ、魔法とかを使うには条件があると思うんだ。呪文、とかも条件だと思うけど・・・』
背中の気配が殺気に代わる。ちょうどいい路地が左にあったから飛び込む。
――ちゅごごごごごごごごごごぉん。
たった今いた路地の横のビルの壁が砕け散ってゆく。ああ、不良のスプレーアートも砕け散る。アレは目に悪いからその点で感謝する。
ところで・・・幽霊は疲れないようだ。ひたすら逃げても筋肉の疲労を感じることや息切れをすることが全くない。さすが肉体がないだけある。
■『ちょっと待て。オカルト話に付き合う気はないぞ。』
■『君の要望に答えているだけだ。んで話進めるけど、代償か契約がいる悪魔召喚をして悪魔に魔法を使ってもらう方法と、
■ ルーンとかを使いながら呪文を唱えたりする決められた法則により魔法を使う方法の2つに分かれていると思うんだ。』
■『話が進みすぎてワケワカラン。これ以上話を進めると俺の脳内が炸裂するぞ?』
■『大丈夫。これで終わる。つまり、魔法を使うための呪文を知っていたか、魔法を使える誰か・何かを知っていたから、
■ 前者の場合はそのままやりたいことに使って、後者の場合は自分のためになんたらしてくれるように頼んだ、とか。』
■『フーン。まあ途中から聞いてねえからな。いくらなんでも入り込みすぎだ、アレの路線に。』
■『ま、別に聞いてなくても要望に答えていただけだし。今は知っておく必要はないと思うし。』
――――今は、ね。
しまった。さっき、うかつに曲がるべきではなかった。
見事に袋小路にぶつかってしまった。周りは完全にビルに囲まれている。塀だったら登って進むこともできたが。
幽霊だからといって壁を透けることもできなさそうだ。アイツが言っていた魔法を使うための呪文を知らないように、俺も幽霊のように透ける方法を知らない。
「やっと追い詰めましたよ。もうさっさと終わらして帰りたいです。」
俺は後ろに立っているだろう彼女、死神を迎え撃つことにした。
彼女が跳躍し、一気に距離を詰めてくる。普通の人間には到底できないような速度で打ち出される左手の突きを全力で見切って左に避け、鳩尾に左拳を打ち込む。
しかし空いていた右手でつかまれ、突きの勢いを利用しつつ密着して膝蹴りを放ってきた。
このままだと踏み倒されてしまう。さっきの二の舞にならないように右手で膝をつかみ、勢いを殺す。俺と彼女の距離はほぼ零距離。さあどうする。
――ガァァンッ!!
額に衝撃が走る。彼女が頭突きしてきた。視界が一瞬くらむ。その隙を逃すわけはなく、足払いを放たれ、なす術もなく転がされる。
「時間を無駄にかけすぎましたよ。もう強制執行を行うことに決めましたよ。覚悟なさい。」
彼女は光るものを押し付けようとしてくる。その光は前のものより強く白く光っていた。
死ぬ覚悟なんてするもんか。まだ死んじゃアイツとの約束を守れないだろうが。いや死んでるけどさ。
アイツを・・・みすみす死なせてたまるか。
彼女はガシッと死神の肩を掴む。
「ごめんごめん、ちょっと痕跡を誤魔化すのに手間取っちゃって。ま、もう大丈夫だよ。」
死神は驚いて振り向く。そこには、死神と同じような漆黒のローブを着た桃色のツインテールの少女がいた。
その手には大きな大きな大鎌。それは黒く、どす黒く、鈍い光を放っていた。
■今日はアイツは学校にも来ず、休みだった。珍しい。皆勤賞を狙っていると言っていたのに。
■アイツのいないまま今日一日の授業が全部終了する。
■放課後、帰ろうとして玄関で靴を履こうとするとアイツからメールが届いた。いきなりなんなんだろうか?
■――"今日の8時ごろにいつもの路地で"――
■何の用だろうか?俺は断る理由もなかったし、遅く帰るのもいつものことだったから、そこらの喫茶店で時間をつぶしてから路地へと行った。
死神は驚く。
「あなたは―――まさか・・・ルナ様?」
ルナと呼ばれた少女は何も言わずに、にっこりと笑みを浮かべながら鎌を振り上げる。
「な、何故あなたのような、いえ、あなた様のような方がこのような下級霊を庇うのですか!?
確かにここ数日の間、何処かへお出かけになっていたようですが、何があったのですか!?」
死神―――さっきからいた銀髪の死神が、桃色の髪の死神―――ルナに問いかける。
ルナは鎌を大上段に保ったまま答える。
「私は契約をした・・・これが答え。十分でしょう?」
「ル、ルナ様、もしや―――」
銀髪の死神がものを言おうとする、刹那。ルナは鎌を振り切る。
一瞬、空間が"ズレた"。まるで眼鏡のレンズが割れたかのように。
銀髪の死神はその空間のズレによって切り離される。そして銀髪の死神のいた空間に浮かぶ一つのモノ以外、消滅した。
「死神は幽霊と同じように肉体を持たないから、死んでも死体とかは残らないんだよ。
でも、死神の残滓――魂やら霊力っていうのかな?それに似たものだけ残っちゃう。」
ルナ――死神の少女は解説しながら微笑み、その残った死神の残滓を手にとる。
■『やあ七瀬。久しぶりだね。』
■『ああ。お前が一日学校に来ないだけで久しぶりと感じられるよ。』
■今日は六月二十日。夏に近いではあるが、八時にもなると夕暮れは早い。
■『ところで、こんなところに呼び出してなんのようだ?また不良どもをしばくのか?』
■俺は予想できることを聞いてみる。だがアイツは予想外の返答をする。
■『いや、ちょっと死神か悪魔たちと契約をしようと思って。』
■『・・・・・・・・・は?』
■意味分からんと思うのは普通のことだろう。
■『最近話しただろう?代償か契約と呪文かなんかがあれば悪魔を召喚できると思う、みたいなこと。』
■言ってたな、確かに。だが・・・
■『なんでいちいち俺を呼ぶ?馬鹿の真似事をしたいようだったら一人でやればよかっただろ。』
■『いや、ちょいとばかし君の助力も必要だったんだ。僕の話を半信半疑に聞いてくれそうな友人が。』
■『・・・説明してもらおうか、色々と。』
■俺はアイツへ近寄ろうとする。
■『説明するより―――見て体験してもらったほうが早いよ。』
■突如、アイツの足元から植物が生え出るように急速に五芒星が浮き出る。アイツは唱える。召喚するための呪文を。
_, ,_
(`Д´ ∩ 時間はあったけどあんま書く気になれなくて
⊂ ( 書きだめしてた奴だけ投下した。
ヽ∩ つ エロは今回初になるだろうががんばって後編?と一緒に書いてみる。
〃〃
つ[何気に400 あと、後編は結構遅くなるはずだ]
GJ!
後編期待してるよ
保守
404 :
死神IN学園:2007/08/24(金) 02:42:23 ID:UAFd2eaP
「すいませ〜ん」
「!」
俺の授業中、教室に一人の若い女が入ってきた
「伊藤先生、約束の一週間ですよ!」
「そ・・・それは・・・」
(誰だよ、あれ・・・)
(何か可愛いじゃん、先生の彼女?)
「もうこれ以上引き伸ばせませんからね!覚悟を決めてください!」
「う・・・」
俺は恐怖で言葉を失った
何故なら・・・
「先生、その人誰?」
「そ・・・それは・・・」
「死神の冥夜(めいや)です、よろしく!」
彼女は笑顔で答えた
「え・・・?」
言った通り彼女は死神だ。黒いワンピースも言われてみればそれっぽいかもしれない
405 :
死神IN学園:2007/08/24(金) 02:45:28 ID:UAFd2eaP
俺は一週間前、冥夜に死を宣告されその場で連れてかれそうになったがその時は適当な苦し紛れの嘘をつき一週間、つまり今日まで待ってもらった
「い、嫌だぁ・・・!」
俺は当然逃げようとするが
「首を切断するのともう一つの方法どっちがいいですか!?」
冥夜はいつのまにか取り出した鎌の柄で俺の首を押さえた
(あのデカい鎌・・・もしかして本当に・・・)
(っていうか、もう一つの方法って何だ?)
「も・・・もう一つの方法で・・・」
「じゃあ、始めますよ」
冥夜は俺のズボンのチャックを下ろした
死神が俺の魂を連れていくもう一つの方法それはSEXによって精力と一緒に魂を吸い取るという方法だった
「・・・ま、待った!生徒が見てるからせめてトイレか体育倉庫で・・・」
「ダメです!もう期限ギリギリなんですから!大体、何なんですか体育倉庫って!」
冥夜はそう言うと急ぐように俺のモノをくわえた
「ん・・・」
「あ・・・!」
(うわ・・・なんか知らないけどすげぇ・・・)
(いいのかよ〜・・・こんなところで)
406 :
死神IN学園:2007/08/24(金) 02:49:49 ID:UAFd2eaP
「う・・・!うわ・・・!」
俺は一度目の射精をした
しかしただの射精じゃなくまるで意識が少し遠退くような感覚がした
これが魂を吸われることのようだ
(先生、早くね?)
(しかもチンチン皮かむってるしさぁ〜)
「じゃ先生、本番行きますよ」
それが「死」の本番と分かりながらも俺のモノは再び立った
冥夜もどこか嬉しそう・・・というより少女のように楽しげな笑顔そのものだった
「それじゃ・・・」
冥夜が俺の身体にまたがり挿入しようと腰を下ろそうとしたその時だった
「えっ?」
「お姉さん、俺達とさ・・・」
生徒数人が冥夜の身体を押さえ挿入を阻んだ
「ち・・・ちょっと。今からこの先生の魂を・・・」「お姉さんがこんなとこでするからいけないんだろ・・・責任とってよ・・・」生徒達は膨張したモノを冥夜に近付けた
407 :
死神IN学園:2007/08/24(金) 23:21:07 ID:UAFd2eaP
「えぇ・・・!?」
冥夜は戸惑った
気が付くと二十数人の中学生達がパンツを脱ぎ捨て立っていた
「だ・・・駄目です!人間の男性が死神とすると魂を吸われて死んでしまうんです・・・この先生はこの世を去ることが決められたから私と・・・」
「・・・でも手とか口なら大丈夫みたいだし、ちょっと顔色が青いから魂吸われるってのは本当みたいだけどね」
「いいじゃん、死神のお姉さん。せっかく地獄から来たのに早漏の先生とだけやって帰るなんてさぁ〜」
生徒の内、サイズのデカイ者は振りながら冥夜の鼻先に近付けた
「ん・・・それじゃ口だけ・・・」
「やった!」「おー!」
男子生徒達から歓声が上がる
「それじゃ先生・・・ちょっと待っててくださいね」
困った様な嬉しそうな表情で冥夜は言った
「さ・・・さっきは時間が無いって・・・」
魂を一部吸われ声を出すのも一苦労だ
408 :
死神IN学園:2007/08/24(金) 23:47:32 ID:UAFd2eaP
「あ〜・・・凄いよ〜」
「ん・・・」
「はぁはぁ・・・」
冥夜に抜かれた生徒がふらつきながら離れた
「次はアナタ・・・初めてですか?」
「は、はい・・・!」
中三にしては童顔の生徒が答える
確かに経験は無さそうだ
「ん・・・」
「うあっ・・・!」
「気持ち・・・いいですか?」
「は、はい・・・あ・・・!もう出る!」
「ふふ・・・ふぁい・・・」
快楽に震える生徒のモノを冥夜は微笑みながらくわえている
「あぁ!!」
射精すると生徒は床に倒れた
「あ!しまった・・・」
「ど・・・どうした・・・」
「ちょっと精子を吸い取り過ぎたみたいです・・・」
出した精液の量に比例して魂の負担も増えるということだろうか
(どうしよ・・・好みのタイプの子だからって張り切っちゃった・・・吸い過ぎで死んじゃったら・・・)
冥夜は心配そうに生徒の胸に手を当てる
「はぁ・・・大丈夫です。良かったぁ・・・」
冥夜は胸を撫で下ろす
できればsageて、書き溜めてからコピペで投下してくれるとありがたい。
スレで書きながら投下だと、どのタイミングで感想レスを入れれば良いかわからない。
sageのやり方はメール欄に「sage」ね。
岩瀬のスレはここですか?
ごめん、じっくりと見直していたら矛盾点というかなんというか
ストーリーがすさまじいことになってもういろいろとだめだ汗drftgyふじこlp;@:[」
↓保守ネタでもいいからがんばって書いてね
岩瀬ってどんな死神だろうと思って調べたら吹いたww
背番号13のスゴイヤツが相手〜♪
死ぬぜぇ、俺を見た奴はみんな死ぬぜぇ!
416 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 01:27:17 ID:f38r9CDI
なんか書けよ
417 :
名無しさん@ピンキー:2007/09/22(土) 08:07:17 ID:mhdFw65d
巨乳メガネスーツ死神萌え
保守
もう一ヶ月も投下無い・・・誰かいるか・・・
呼んだか?
漏れもいる
残念ながら、まだここには死神の鎌は向いていないようだ。
(´・ω・`)
デスサイズの中の人を捜しにきました。
保守
(´・ω・`)
死神13!
(´・ω・`)
ほしゅ
死神・堕悪零
保守
いきおいだけで書いたwこれから後悔するw
保守ネタのつもりだったんだが……まぁw
三部構成予定だがw未完で投稿は初めてなので放置になったら……
いやwしないようがんがるwたぶんwww
注意・内容等。
すこし死神 エロなさげむしろ下品系
妹ロリ属性 やや417
芝多めwwwwwwwwww
なので文体とか苦手な人はNG等要自衛。
Kiss☆Death 〜日々登校のススメ〜 10/10
かわいくけなげな女の子がアナタに死をお届けします。
死月二日
「なぁにーちゃん死なねぇ?」
「死なねぇよwなんだよおまえw」
「なぁなぁしんでくれよぉ」
「物騒なこというなよ乳臭ェガキがw帰ってママンのおっぱいでも吸ってろw」
「いや、もうおなかいっぱいだしw」
「吸ってきたのかよw」
「てゆーかガキじゃないもんw」
「どっからどうみてもガキだろうがw」
「少なくともにーちゃんよか年上ってかんじ? えーっと一万二千十歳くらい♪」
「どこの合法ロリータだよテメェww八千年たってからまたきやがれw」
「そしたら死んでくれる?」
「ああw死ぬ死ぬwマジ死ぬw愛してるわw」
「おっけーんwじゃそんとき迎えにくるねw」
「気長にまってやんよwそれまでにおねしょ直しとけよw」
「!!!」
「してんのかよ!」
死月三日
「なぁにーちゃんしなねぇ?」
「しなねーよwってか来るのはええよw一日しかたってねーだろw」
「あたしのなかじゃ八千年たってんだよもんw」
「言葉遣いおかしーよwつか寄るなw触るなw」
「死んでくれたらやめるってばよww」
「だからしなねーってばよwww」
「お兄様、こんなにお頼み申し上げているのに死んでは頂けないのですか?」
「誰だよww俺にはまだやりたいこといっぱいあんのww
未来永劫前途有望な若者様なのwwガキに頼まれたくらいで死ねるかよw」
「えいっ!」
「いてっ! 痛っッツツ!いたたたたッ! いてえよwつかいたいしwおいィw
血ィでてんじゃねーかガキがwまじいたいってばwやーめーてっwwww」
「ふっふっふwこの死神の鎌からは逃れられないのだっwそぉ〜い!」
「どう見ても三角定規だろw小学生はもっと手のひらサイズの使えよwww
製図用とかありえねぇだろww痛ッ! さすなwwwwwww」
「どうりで使いにくいとおもったよぉw」
「いまさらかよwwwww」
死月四日
「なぁにーちゃんしなねぇ?」
「ぜってーしなねぇww」
「どうしたらしんでくれるのよさw」
「どうもこうもしなねぇよwこれだから最近のクソガキはwww」
「じゃあさwじゃあさwイッパツやったらしんでもいいとか? どうよ?」
「……ねぇよw」
「あw何? 何? 今の間ww」
「ガキの口からそんな事聞くとはおもってなかったんだにょw」
「かんでるwwwじゃあさwあたしがやらしたげるからしんでよwwww」
「しなねぇよwつかガキに興味ねぇよw帰れよww」
「そんなこといって……今日、あたしはいてないんだwほれw」
「ばっwwwちょwwえ? ってスク水かよwwwブルマですらねぇwww」
「期待したw? したw? たったw?」
「してねぇwぜってーたたねぇwつかパンツどうしたよww」
「ふっふーwパンツは鞄の中に……あwないwww」
「バカめwwwwwwwwww」
「うえーんwこれじゃ帰りはのーぱんだよぉww」
「おまwはやくとってこいよwww」
「萌えた?」
「萌えねえよwwwいいからいけよw遅刻すんぞwww」
「あうあうあwwww」
死月五日
「なぁにーちゃんしなねぇ?」
「しなねぇwぜってーしなねぇw意地でもしなねぇw」
「そんなにわたしとやりたかったw?」
「おまえじゃぜってー勃たねぇから安心しろwつかガキがそんなこというなw」
「ぶーぶーwんじゃ……あのねーちゃん犯っていいよwww」
「うほwいい女wってどうみてもただの通行人だろうがwwww」
「あのねーちゃん処女だぜww? しかもレイプ願望アリアリww犯れww」
「しるかよwwつかいいかげんにしろよwwww俺の平穏な日常返せよww」
「しかもあのねーちゃん今夜しぬのよwwww」
「死ぬとか軽々しくいうんじゃねーよwww
つかやったらレイプ>死亡コンボで俺よけいやばいんじゃねーかwwww」
「これだから童貞卒業できねーんだよw粗チンww」
「っうっせーよwいいからどっかいけよwwもうくんなよwww」
「死にゆく乙女の願いもかなえられねーんじゃwいい男になれねーんだぞww」
「ったくw最近のガキはwww」
死月六日
「なぁにーちゃんしなねぇ?」
「…………」
「おwしぬきになった?w」
「なぁ、ニュースみたか? あの女なんで死んだんだ?」
「そういう運命だったんでしょ?」
「……なんで死ぬとか解んだよ」
「んーwwこうねww声ががズビシとひびくのよさw
あたしの死神の目に狂いは無いってかんじw?」
「イミフwwwそんなんでわかったら苦労しねーよw」
「わかってても苦労するものなのよん」
「……なぁ?お前誰だ? なんで俺に死んでほしいんだ?」
「…………あーw」
「今日、日直だったかもんwwwばいびーww」
「お、おいww」
死月七日
「今日はあのガキこないみたいだなw」
「…………wwww」
「五月蝿いのが居ない朝のなんと快適な事かwww」
「…………wwwwwwww」
「wwwwwwwww」
死月八日
「今日も……快適だぜwwwwwww」
「国崎最高www!」
死月九日
「今日も……かゆ…うま………なんちてwww」
「……w」
死月十日
「なぁにーちゃんw」
「うおwww」
「何びびってんのよwちびったw? 寿命縮まった?wwwwむしろチンk」
「このくそがきがwww学校でナニおそわってんだよwwww」
「ガキじゃないもんwにーちゃんより大人だしwwキスすらした事無いんだろw
『春日菜みこと』ってちゃんと名前だってあるんだからね!
アンタのために教えてあげたんじゃないんだから! 勘違いしないでよね!」
「勘違いも何も俺の脳みその容量勝手に圧迫すんじゃねーよww電波ww」
「あwそれって覚えてくれたって事でいいのかな?ww」
「バカめw即デリにきまってるだろがwww」
「いや……いくら童貞がくやしいからって今からデリヘルとか……」
「どこをどう勘違いできるんだよwつかホントに小学生なのかよwww」
「バーローwwwこの赤ランドセルが目に入らぬかっwww」
「うはwwwwなにこの命探偵www」
「このコンパス型針でにーちゃんぬっころww」
「おまwwwなんの仕掛けもねーだろそれwwwつか痛っいたいって
いてぇよwwwwバカwww血でてるwwやーめーろwwwwいてぇwww」
「ふんwこの社会のクズがwゴミ虫がw童貞野郎ww非国民www」
「ぐはwwwてめぇwwうぅwwいてぇwwいてぇよぉww」
「にーちゃんないちゃったww?」
「全俺が…泣いてねぇwwこれは……これはただの漢汁だww」
「きめぇwwwwwww死ねよwwww」
「しなねぇwwwwwwつかこのままじゃしねねぇwwwwwwwwwww」
「マジうけるんですけどwww」
「あっちいけよぉwww俺にかまうなよぉwwwうぅwうぇ」
死月十一日
「なぁにーちゃんしなねぇ?」
「しなねぇwwむしろお前がしねww」
「え…………」
「あ………」
「……」
「…あーなんだ、そのスマンw」
「そう、だよね」
「いや、その、あれだw売り言葉に買い言葉っつかw
散々お前だって俺に死ねっつったろw」
「うん……ごめんね」
「あ、うん」
「ガキィ」
「んに?」
「なんで俺なんだ?」
「なんとなく、かな」
「なんとなくかよwwww」
「うん、にーちゃんやさしそうだったから
にーちゃんならあたしの為にしんでくれるかもって」
「お前のため?」
「でも、もういいんだ」
「なんかにーちゃんとはなしてたら元気でてきたもんwwwでたんだもんwww」
「……バカガキがwww泣きながら言う事じゃねーだろうがwww」
「その、なんだw俺とお前の仲だろ? 話してみろよw」
「あたしにーちゃんの名前まだ知らないのに?」
「あ? そういや……そうだったか?」
「そうだよ、このポンコツwwwwインテルほんとはいってんの?w
そのラベルよく見たらインポルとかなんじゃね?w」
「んなわけあるかよwwたつよwビンビンだよw」
「いきなりセクハラかよwその変態ロリコンに職務質問だわよwwww
おっきいおにいたんwお名前はなんていうんでちゅか〜?」
「っくwww『内須 誠』だよwクソガキwwww」
「まことたんえらいでちゅね〜wよくいえまちたぁ〜www」
「ウザッwwこのガキウザッwwww心配した俺激しくバカスwwww」
「あはっw心配してくれてありがとっww」
「っ! してねぇww」
「ん? w萌えたw? 惚れたw? たったwww?」
「あーくそwwwwwてめぇは俺を怒らせたwwwwちょっとこいww」
「あ、ちょwや〜んwおーかーさーれーるーwwww」
「バカwww叫ぶなwwww」
「なぁにーちゃん?」
「あw?」
「これって登校中の児童誘拐? さらに監禁? 婦女暴行の予感!」
「しねぇよwwwwwwお前があんまり話ごまかすからなw
俺ん家でじっくり事情聴取決定ww」
「言葉攻めもたまらんですたいww」
「ほら、そうやって話をそらす
いくぞw」
「…うん……あ」
「ん?」
「もしにーちゃんが捕まってもあたしは弁護してあげるからwwwwww」
「まじでかんべんしてくれwwwww」
「なぁにーちゃん、死神って信じてる?」
「あぁ? んなもんいねーよw」
「それがねーwいるんだなぁwここにw」
「なにィ!? どこだよwいてたまるかよwまだしなねぇっつてんだろww
ひっかかるわけねーだろwこのダラズww」
「目の前にいるのになぁw
こんなにかわいくてぷりちーなびゅーてほーデス様がw」
「ま、まさかw…そういえばあの女の死も……お前!」
「ふっふーwびびっとくるっていったでしょ?w」
「お前が死神かー!!」
「へw? あたしw? 違うよwほら目の前に…って見えてないのか」
「あぁw? この部屋には俺とお前だけだろうがw?」
「二人っきりとかーーちょ〜ぴ〜んちwwwwにんしんしちゃうーー!」
「しねぇよwwwwつかお前じゃなくて?」
「ちがうよぉwだってw私は命を狙われてる方だもんw」
「なに?」
「なんでよwwwこれ以上ないくらい条件いいんじゃん?」
みことが疑問に思うのも無理はない。
実際、俺としてもこんあ美人とヤれるなら死んでもいいかも、
なんて考えてしまったわけで。
「俺には……」
「俺には?」
「俺には腹違いで相性ぴったりの妹がどこかにいると信じてる!
まだ会う事のない兄を想って夜な夜な股間を濡らしている妹のためにも!
死ねない! 死ぬわけにはいかないんだぁああああ!」
「死ねよwwwwwwwwこのド変態wwwwwwwww」
『美しい兄妹愛ですねっ、私ならチョチョイって探す事もできますけど…』
「マジか!」
「ダメダメダメダメ!」
『あら? でもみこちゃんこうなるようにしたかったんじゃないの?』
「もういいの! あたしが死ねばすむことだから!」
さっぱり意味がわからない、会話においてけぼりだ。
「どういうことか説明してくれるか?」
「いや!」
『いいデスよ』
「んじゃよろしく」
「うわww無視かよwwww」
『ん〜っとデスねぇ、まず私が死神だって事はわかってますか?』
「ああ、美人のいう事ならなんでも信じる」
『あら、嬉しい。それでデスね、当然お仕事ってのがまぁ人間に限らずデスが
ブッ殺して魂ぶんどってお持ち帰りする事なんデス☆』
「さいですか……」
『デスデス、まぁ具体的に刺したり叩いたりするわけではないんデスが、
ターゲットに着床して、死季を呼ぶんデス』
「死季?」
『はい、ん〜ん〜、梅雨どきの湿気みたいなものとお考え下さい、
じめじめからカビはえてあぼーんって感じかな?』
「すぐに死ぬわけじゃないんだな」
『その人のもつ死季のめぐり次第というとこデスね、長く一緒に過ごすのも
なかなか暇なもので、私の能力でちょっとだけ余生が楽しくなるように
お手伝いとかもしてるんデス』
「その能力があれば見つけられるって事か」
『はい、ただしそれは私が着床してる相手にだけデスけどね』
「みことっ!」
「ヤダ!」
ごめんミスった上の8/10
次7/10 9/10でorz
『はぁ〜い☆』
頭にかかっていたもやが晴れるかのように、
目の前に巨乳もとい、真っ黒なスーツ姿の女性が湧き出した。
「うっはwwwでたw乳でたwwww」
『イキナリ乳扱いとかヒドイんじゃないかしらん?』
「男なんてこんなものねwはぁwww」
三者三様の台詞を言うと、その女性がぺこりとお辞儀をした。
『しいなデス☆ よろしくね!』
「こっこちらこそよりしくおにがいします!!!」
「なんであたしの時と対応ちがうのよwwww
せっかくしーなに色々教えてもらったのにっww!」
「教えてもらった?」
ぷんすかと怒るみことに視線を戻す。
「うぇwあwいやwなんでもないwww」
『みこりんがね、キミと話しやすいようにって頼むから
キミの部屋とか趣味とか嗜好とか長さとかイロイロ見させてもらったの』
「それで、この変態幼女がデキあがった…ってなにそれwww
俺変態www? つか長さってなに? うはwwww絶望したッ!」
「にーちゃん死にたくなったw?」
みことがニヤニヤしながら聞いてくる
「しにた……いやwまだだ、まだおわっ!!」
うつむいた俺の顔を、しいな覗き込む。
『死んだらイロイロサービスするのデスけども』
「マジスか!」
俺は視線は胸の谷間に釘付けのまま答えた。
「うわぁ〜リアルにひくわぁ……にーちゃん…」
「何いきなり話かけて来てるわけ?」
ガキに興味は無い、今は目の前の真実とやらを知りたい、
是非ともそのサービスの内容について詳しく。
「あ、あの具体的には……」
『ん〜、誠君がしたい事なんでもかなぁ〜。
このオッパイ揉んだり舐めたりしてもいいし、髪の毛くるくるしてもいいし
中でも前でも後ろでも、時間も制限ないシネ』
「あ、あのっ! オプションに眼鏡は付きますか!?」
『つきま〜す☆』
「イヤッッホォォウ!」
「じゃあにーちゃんしんでくれるねっ♪」
「だが断るwwwwwwww」
「ちょwwwおまwwwwww」
『あら残念』
「ヤダとかいうなよ、頼む! このとおりだ!」
生まれてこの方、本気で土下座なんてした事なかった俺だが、
練習を重ねていたせいかスムーズにジャンピング土下座を成功させる。
「うわwwキモwwwだめったらだめ!」
「頼む! つかアレだろ? このままじゃお前死ぬんだろ?」
「あ……そうだけど……はずかしいからヤダ!」
「はずかしいってなんだよ!? 意味わかんねーだろwww」
「あうーーーー! ってゆーかそしたらにーちゃんが死ぬことになるんだよ!?
死にたくないっていってたじゃん!」
「妹の為なら死ねる」
「あぅ……でも…あたしはもうにーちゃんに死んでほしくないの!」
「あーくそ、しいなさん? どうしたら、そのアンタを俺に着床させられるんだ?」
「ば、馬鹿っ!」
『ん〜とデスね、保有者から私を吸い出してくれればいいんデス。
よっぽどの事がないとそんな事したがる人はいませんけどね、
命を賭けてまでする事なんてそうそうありませんから』
「吸い出すって、どうするんだ?」
「WAWAWAWA〜わーわーわー!」
「うっさい!」
『キス☆デス』
「わかった!」
「わかるなっwwwwwwwwwwww」
「ガキが男の力に勝てると想うなよ!」
「ちょww冗談だよねw? なにマジになってんのwwwww」
「安心しろ、お前を死なせたりなんかしない」
「台詞だけみればかっこいいけどwww絶対なんかちがうwwww」
「悪く思うなよ!」
「あっ! ちょ! だめだってっむぐっ!!」
抵抗するみことを取り押さえ強引に唇を奪う。
んむ、乳臭い。牛乳だと信じたい。
じたばたもがく腕ごと抱きしめながらやわらかい口元を貪る。
「はぅ…ん…んみゅぅう…っ!!」
つぐんだ唇を舌でこじあけ奥へ奥へと舌をしのばせる。
『あらあら、うらやましいこと♪』
しばらく暴れていたみことも抵抗をやめ、されるがままにからだを預けてきた。
みことの小さな口の中をかき回し、舐めまわす。
暖かい唾液と共に背筋の凍る感覚が俺に流れ込んできた。
『あ、はじまったのね』
「っふぁ…ぁ…んふ……ちゅ」
例えるならば恐怖。
この口を離せば救われるのが本能的に解る。
だが、離さない、ひたすら無心に、離れないように、唇を合わせることだけ。
ただそれだけを考え、その恐怖に耐える。
「…………」
口の中をちろちろと動く感触が、俺を現実に引き戻す。
いつのまにか仰向けに転がっている俺の上にみことが乗っていた。
汗が冷えて背中が冷たかった。
ただそれ以上に、稚拙ながらも必死に唇を合わせているみことの体温が
俺を安心させ、暖めてくれていた。
「んむ…ちゅは…ふぁ?」
あ、目が合った。
「うにゃぁああ!!!!!!!!ヴァカァァァア!!!!!!!!」
「痛ッ! 痛いってw」
顔を真っ赤にさせるみことの横でしいなが笑っていた。
『よろしくね、まこちゃん♪』
「悪いな……みこと」
「……」
「んじゃ、まぁさっそくでわるいが、頼むよ、しいな」
「…っ!」
『いいわよぉ、ってゆうか、そんなの調べるまでもないんだけどね』
「なぬぅwwwwwwまさかwwwここまでして妹がいないとか!?」
『うふふふふ♪』
「あああああああああああwwwww知らなければ幸せでいられたのかぁww」
「……」
『妹さんなら目の前にいるわよ?』
「なんと! 貴女が俺のふぐぅッ!!!!!!!!」
「馬鹿っ! あたしよあたし! って何いわせんのよ!」
「おまえ…が?」
「あっ」
『けなげな妹さんよねぇ、キミの事探すために私を取り入れたのよ?』
「みことが……俺を?」
「……」
「そう……だったのか、ありがとな、みこと」
「うっ……でも…だって…ふぇ……うわぁぁあああああんん」
『あらら、泣かしちゃったっ』
「いやwこれはwちょwwな、みこと泣くなってwな?」
「うわぁあああん、ひぐっ、んぐっ」
『感動の再会ってやつよねぇ〜、会う前から死ぬ事はきまったたけど。
あ、でも死ぬ対象は代ったのかな』
「…しいなっ!」
『改めてよろしくね、まこちゃん♪死んでね』
死月某日
俺の元に死神がやってきた。
本物の死神。
それと、俺に『死』を運んできた妹。
確かに受け取った。
「どうしよwwwwwwwwwww」
>>432 GJ!
俺みたいなのがこんな事言うのは失礼かもしれないが言わせてくれ。
文体だけみたらかなりウザイ感じなんだけど、ストーリーがそれを相殺していい味
出してた。次があるなら期待してる。
その、悪い。全部スッ飛ばした…
中身良いのなら頑張って読んで見るべきかなー…
芝生やしすぎwwwww
でもテンポがよくやり取りが面白かった。
もうちょっと地の文を入れるとイメージしやすい
芝刈りして地の文を増やすと
クオリティが跳ね上がると見た
超ガンガレ!!
残念ながら草と文体が合わない
次回作に期待
レス&読んでいただきありがとうございます。
頂いた意見は参考に、語りたい事は自重させていただきます。
で、本題。
ぼちぼち続きができるのですが、このスレに落としてよいでしょうか?
というのもまだ若干芝パートが残っているわけで、前半は投下済の物と同様のリズムです。
不人気の芝を修正すればいいのでしょうが、これはこういう作品として〜という面もあるわけなので。
特に問題無さそうならここへ、そうでなければ他投下後、アドレス張らせてもらいますがどうでしょうか?
イイヨイイヨー
俺的には芝好きなんだがwwww
それではまたしばらくよろしくお願いします。
注意・内容等。
芝有 エロ無し あくまで想像上の事象です。
徐々に死神パートへ移行中
次あたりエロに入れると思うます。
Kiss☆Death 〜悪魔が叫ぶ季節〜 11/11
死亡フラグは微笑まないwwww
誤月一日
「なぁにーちゃん、あたしを死なせたりしないって言ったよね?」
「で、なんでまだコイツが死ぬんだ? しいなは俺のとこにきたんだろ?」
『私が巡らせた死季が残ってるからね、まぁそのうち晴れるから☆』
誤月二日
「腹減ったな、出前でもとるか」
「いぇーい! あたしおそば食べてみたい!」
『私は天麩羅がいいなぁ♪魂とかキョンシーとか』
「そんなもんねーよwwwwつうかおまえも食うのかよwwww」
『うー、だって仲間はずれみたいで寂しいのデスよぉ〜』
「ったくwwwとぅるるうるるるるるるるる
あ、出前お願いします。ええ、キツネそばとてんぷらうどん、
それと山菜そばで、はい、んじゃお願いします」
「wwwwwwwwwwww」
「うわwマジで届いたよww」
「そりゃ来るだろw普通w」
『あ♪ちゃんと天麩羅が希望どーりだ!』
「「嘘だッ!!!!」」
「あうっぅ…うぐっ…!」
「ぬぅwwwww! やべぇwwww!」
『おいち〜♪』
誤月三日
「……はぁ、あたしそばアレルギーだなんて知らなかったよぉ…死ぬかと思った」
「……毒草は山菜とはいわネェwwwあーくそwまだ腹イテェww」
『今日は出前とらないんデスか?』
「なんでゲテモノ食ったお前だけピンピンしてんだよwwwww」
誤月四日
「なぁにーちゃん、そろそろ世間では黄金経験週間じゃないかな?」
「そうだがw?」
「ネズミーランドとか後楽怨とかどっかいきた〜い!」
『逝きましょう☆』
「逝かねーよwwwんな金ねーよww貧乏なめんな!」
「え〜wwwこの甲斐性なしwwヒモww引きこもりwww!」
『場所の問題じゃないんデスよ? みこちゃんの気持ちがわからないようじゃ
お兄さん失格デスね、生きてる価値なし、死んだ方がいいわね、むしろ死ね☆』
「兄失格は困るwwwwwじゃぁ………電力館…とか」
「地元かよwwwwwwww連休にいくとこじゃねーwwwww」
「嫌ならくんなよwww俺一人でいくよwwww」
「あ、う、にーちゃん一人じゃ迷子になるでしょwww
保護者としてついてったげるわよっ!!」
『うふふふふふ♪』
誤月五日
「なぁにーちゃん、あたしもうわがままいわない……」
「ああ……」
『楽しくなかったデスか? 私はまたあのアトラクション逝ってみたいのデスが』
「勢いの乗った鉄球が追尾してくるとか冗談じゃないわよwwwww」
「発電機かと思ったら、普通の自転車だったとかありえねぇよwww
しかも窓ぶちやぶって落ちそうになるとかどう考えてもねえだろがwww」
『チッ』
「あ、しーな今舌打ちしたでしょ!」
「くそwww漏電した電気にあてられてまだ身体しびれてるしwww
ミニチュア発電所模型は火災した上に放射能漏らすしwww」
『一生忘れられない思い出になりましたね☆残り短いデスけど』
「忘れちまうぐらい長生きするぜwwwwwwwww」
『あら、若い体の方が私の好みなんデスが……』
「むぅwww」
「にーちゃんwwwwwwww」
誤月六日
「出前はもう懲りたw」
「でもオナカすいたぁ〜」
『どこぞの料理人は自らの足を食べて……』
「「却下!!」」
「コンビニいくかwww」
「都会のオアシスへれっつごー!」
「お前w御菓子ばっかえらんでるんじゃねぇよwww」
「スイーツ(笑)」
『そういう割にはハバレロとかカラムッチョとかばっかデスね』
「…とりあえずカゴもってこい、前みえてないだろ」
「うんっ」
「あうっ! ごめんなさい」
入り口の方に積んであるカゴを取りに行ったみことが、
丁度入店してきた客にぶつかっていた。
「おまwww気をつけろよwwすいません、うちのバカが…」
「なに、気にしなくていい。その代わり少しだけ……協力してもらう!」
「はい?」
「あぅ?」
「お前ら全員財布をこっちに投げて床に伏せろ!
そこのバイト! レジの金全部だしやがれ!」
客だった男は一瞬にして強盗に成り代わり、みことを腕の中に捕まえていた。
「にーちゃん!!」
「みことっ!」
「うるせぇ! お前もさっさと金だしやがれ!」
「……っく!」
店内に居た残りの二人の客は財布を投げて伏せていた。
バイトと呼ばれた店員はガクガクに震えながらビニール袋に金を詰めていた。
俺は……。
強盗の体格は俺と似たようなもの、武器はみことの首元に添えられた文化包丁。
サングラスとマスクのせいで表情は見えないが、おそらく初犯なのだろう。
忙しなく振り向いたり怒鳴ったりと落ち着きの欠片もない。
動くべきか否か……。
『あらあら、大変な事になっちゃいまシたねぇ〜』
(しいな、なんとかならないのか?)
『コッチの世界の物質はあんまり干渉できないのデスよ〜』
(役たたねぇーー!)
『まこちゃんなんて立っても相手がいないですものね☆』
(冗談言ってる場合じゃねえっての!)
「おい! てめぇブツブツ言ってねぇでさっさと金出しやがれ!
妹の命より金が大事なのか!?」
「わ、わかった! 今出す! すぐ出す!」
『あら、早漏さん♪』
(しいなっ!!)
「へへっ、それでいいんだ。お前らそのまま動くなよ!」
男はそう言うと店員から金の入ったビニール袋を奪い取り店を出て行った。
みことを連れて。
「みことぉッッツ!!」
-*-*-*-*-* 死月三十日 *-*-*-*-*-
「みこと、何か言う事あるんじゃないか?」
「……」
「黙ってちゃ解らない!」
「あぅ……あの、あのね。
お父さんが死ぬ前に教えてくれたの、私にはお兄ちゃんが居るって」
「親父……そうか、親父はもう…」
「最初聞いたとき、なんで一緒に居てくれないんだろうって思った」
「悪かったな…その」
「その時しーなが見えたの。お父さんの横で笑ってた。
そして言ってくれたの、お兄ちゃんに会わせてくれるって」
『モチロン命と引き換えになるって言いまシたよ?』
「そこまでして俺のことを……」
「どんな人だろうって楽しみだった、きっとステキな人なんだろうって。
一緒に暮らせたらきっと幸せになれるって思って、お父さんからしーな貰ったの」
「……すまん」
「そしたら、しーなに教えてもらったにーちゃんは理想の正反対で、
あたしはこんな奴の為に命賭けたんだって……」
「…」
「だから最初はにーちゃんにしーな憑かせて殺しちゃおうって思った。
馬鹿面さげてのほほんと暮らしてるのが憎く思えてた。だから、
あたしは助かろうって、そう思って…恥ずかしいコトも馬鹿な言って……」
『私、奪われてしまいましたわ☆作戦成功デスね』
「…」
「でも、今は…なんだろう。どうしてかわかんないけど、死んでほしくないなって、
一緒にいたくて、どうしようもない馬鹿でキモイ奴だけど、それでも大切な…」
『社会のゴミは私におまかせあれ〜♪』
「それでも大切な私のおにいちゃんだからっ……その、ごめんなさいっ!」
『みこちゃんもこう言ってるわよん? 許して上げたら?』
「ああ、話はわかった。だがそんな事関係ないだろ?」
「にーちゃん……どうしてっ!?
理想の妹じゃないっ! にーちゃんの為に毎晩こんなに……ぐっしょりと…」
「許さん、今まで耐えてきたがガマンの限界だ!
お前は都道府県制覇で満足できないのか!? 世界征服まで狙うのか!?」
「だって、にーちゃんみるくいっぱい飲ませるから……」
「ほぉうwつまりミルクを買ってこなきゃオネショはやむんだなww?」
「いやぁあ! にーちゃんみるくほしいのぉお! おあずけしないでぇ〜!」
「だーwww近所に聞こえたら危ない事いうんじゃねぇえwwwwww!
俺、一人暮らしのハズなのww毎日のようにオネショ布団干す俺の身にもなれw
昨日なんか隣の爺さんに大人用紙おむつ渡されたんだぞwwwwww」
『そういうプレイもオッケーデスよ☆』
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
俺だって知ってた、お前が俺と同じ空の下のどこかで暮らしてるって。
お前に会える日をどれだけ楽しみにしていただろうか。
それなのに……恥ずかしくて誤魔化していた俺の気持ちを、
大切な妹にまだ伝えてすらいない。
それなのに……。
俺はッ! 俺は何も出来ないのかッ!?
『……出て右に…1500m…の駐車場……』
「わかるのか!?」
『…白の…スバル。これくらいなら余裕デス☆
黙っててまこちゃんに嫌われたくないデスシ』
「助かる! みこと、今行くぞっ!」
『なんの準備もしないのデスか? それは勇敢じゃなくて無謀というんデスよ?』
「急がないとみことがっ!!」
『ホラホラ落ち着いてください、確かに急がなければイケマセンが、
このまま無策で行けば二人とも死んでしまいますよ?
みこちゃんの死季はあと少しとはいえ抜けきっていませんシ、まこちゃんも……
下手に動けば二人とも…あ! それもいいデスね☆』
「俺、はどうなろうとかまわん。だが、みことは渡さん!」
『ん〜、残念デス。まぁ二兎追うものはデスね、ではコレとソレと……』
しいなが指定した商品をコンビニの棚からかき集めて準備する。
鍋焼きうどん弁当、小麦粉、片栗粉、ビニール袋、ガムテープ、靴下、猫缶、
小さいペットボトルの暖かいお茶、カッターナイフ、紙パックのコーヒー。
「こんな物どうすんだ? こんな物より傘の一本でも…」
『犯人は人目に触れないように移動してるので、もう少し時間があります。
私の言うとおりにシたほうがいいデスよ? あ、おいし♪』
「食うなwwwなんだよwお前が食べたいだけかよ!」
しいなは鍋焼きうどんの玉子を頬張りながら、コーヒーで流し込んでいた。
「コッチの物には触れられないんじゃないのかw? 何でくってんだよww」
『好きこそ物のにゃんとやら? んぐっ、ホラ、手がとまってますよ♪』
「くそっ、みこと…無事でいてくれよ……」
まさか強盗に合うとは……ついてない。
犯人の逃げ去った自動ドアをポカンと眺めながら店員は思う。
目の前では、妹を人質に取られたショックのせいで男性客が狂っていた。
独り言を呟いたかと思えば、叫んだり店内の商品をかき回したりと、
気持ちは分らないでもないが、見ていて痛々しかった。
男性は「代金はあとで必ず払う!」と言い残し出て行き、店内に静寂が戻る。
代金の言葉に店員はふと思い出した。とりあえず警察に通報しよう。
面倒なことに巻き込まれたとは思ったが、焦りとかそういうものはなかった。
「あ、すいません警察ですか? 今強盗に襲われまして……」
店員の財布だけは無事だったから。
「くそっ、さっさと歩け!」
「ひぐっ…」
男の人はあたしをつれてはしりだした。
後ろでにーちゃんの声がきこえた。
「みことぉッッツ!!」
あたしもさけぼうとしたけど口をふさがれてしまった。
「騒いだらぶっ殺すからな」
あたしだってバカじゃない、人がいない道でさけんでもダメだ。
助けに来てくれる人がいるところじゃないと……。
そう思っておとなしくついていく。
それなのに男の人は曲がり角で立ち止まったり、
引き返したりしてだれにも見つからずにすすんでいく。
「ふぇ…っ…」
「泣いても殺す」
にぎられたうでがとてもいたい。
このままじゃあたし本当につれていかれちゃう。
「よし、ここまで来れば…っくそ、これだからしつけのなってないガキは…」
駐車場の白い車を見つけて男の人がぼやいてた。
車の屋根にはコンビニの袋が捨ててあって、
ボンネットの上は飲みかけのコーヒーがこぼれていた。
「おら、中でじっとしてろよ」
あたしは後ろの方の席におしこまれた。
どうしよう…車にのせられちゃったよぉ……。
「中には……よし、染み込んでないな」
男の人はボンネットをふいて、まだ中身のある紙パックを捨ててふみつけた。
「ぬおおっっつぅぐぁああああ!!」
ぽん、と車の屋根がふるえて男の人のさけび声がした。
窓の外はまっしろになってて何も見えなかったけど……
「この野郎っ!」
にーちゃんの声がきこえた。
走る、走る、走る。
犯人より先に車に着かなければ意味は無い。
『あんまり揺らさないで下さいね?』
「わかって、るって!」
しゃべると息継ぎが乱れる。
『ここまでお手伝いシてあげたのに台無しだと、救いようがないデスシネ☆』
「……」
俺の手には半分ほど残った紙パックのコーヒと、
コンビニの袋に詰め込まれた即席の仕掛けがある。
鍋焼きうどん弁当から抜き出した生石灰。これと片栗粉を混ぜたお茶のペット。
そのペットボトルには穴が開かない程度にカッターで切り込みを入れてある。
しいなの言うとおりならば、ベストタイミングで爆発するはずだ。
『あ、アソコっ! 白いのあるわよん♪』
「よし! 間に合った!」
車の上にコーヒーを投げ捨て、屋根の上に袋を置く。
袋の中で熱くなっているペットボトルを慎重に立ててから
小麦粉で埋めて袋の口をこちらに向け、触れば解けるほど軽く縛った。
『まこちゃ〜ん、そろそろよぉ〜』
「ああ」
すぐに強盗犯がやって来た。
俺は隣の車に身を隠してチャンスが来るのを待つ。
「おら、中でじっとしてろよ」
強盗犯に気付かれないようにゆっくりと移動する。
手には二重にして猫缶を詰め込んだ靴下。
小さな破裂音と共に辺りに小麦粉が飛び散った。
「ぬおおっっつぅぐぁああああ!!」
その瞬間を狙って車の陰から飛び出し、即席のブラックジャックで殴りつける。
「この野郎っ!」
鈍い音と、確かな手ごたえを感じ安堵する。
だが、気を抜いたのがまずかった。
まだ晴れない視界の奥から、無茶苦茶に振り回された包丁が俺の左腕に刺さった。
「うっがぁッ!」
慣れない感覚と、刺さったという事実に驚いて後ずさりする。
目の前の男も少しずつ現状を把握してきたのかこちらを睨みつけていた。
「うっっっっくぅうう、お前はさっきのっ!」
サングラスとマスクは外され、それらに覆われていなかった部分には
粘性をおびたお茶による火傷と、飛び散った小麦粉が張り付いていた。
「みことは返して貰うっ!」
無事だった右手に、ブラックジャックを持ち直し振り回す。
強盗も包丁を構えなおし、お互いの間合いを計り……仕掛けてきた!
だがかろうじてドアが開閉できる程度の隙間しかないここでは避けきれない。
突き出された包丁を再度左腕で受け止める。
「うぐっ!」
包丁が振り下ろされていたらなんて考えたくもないが、
腕を犠牲にしてまで得たチャンスを逃す手はない。
右手を振りかぶって接近している男の後頭部を狙った……ハズだった。
遠心力のついた自慢の武器はそのまますっぽ抜けてしまったのだ。
「しまっ……!」
男はそのまま勢いに乗って俺を押し倒して組み敷く。
利き腕の方はボロボロ、右腕は無事だが男を跳ね除けるだけの力は無かった。
包丁を持った手を押さえたものの、もう片方の手は俺の首にかかり……。
『みこちゃん、こっちデス』
「しーなっ」
反対側のドアから上半身をのぞかせたしーながいた。
『シー、気付かれないようにそっとデスよ?』
声のする方の窓はまっ白でこちらの様子は見えないみたい。
音を立てないようにしんちょうに車の外に出る。
すぐにでもにーちゃんの居る方に駆け寄っていきたかったけど、
しーながあたしの前に先回りして遠くをゆびさした。
『ホラ、アソコのブロック塀が崩れてるトコあるでしょ?
一番重そうのを大急ぎで持ってきてあげて』
あたしは頷いてそこを目指す。
駐車場の入り口の所、まえに車がぶつかってこわれたままところ。
ずっとほったらかしの壁のまわりに、目当てのブロック片を見つける。
「…っく、ちょっと重いかも」
『みこちゃんがんばって〜♪』
車の上でしーながのほほんと手をふっている。
「あとで…はぁ…ぜったいっ…はぁ…文句…いってやるんだからっ」
腰を使って持ち上げたブロックを抱えて、全力でかけだす。
『そうそうその調子☆』
車の横まで来ると、にーちゃんが男の人に押さえつけられていた。
「っ!」
『ガツンとイッパツ! ヤっちゃいなさいっ!』
いわれなくたってっ!
抱えていたブロックを頭の上に持ち上げて、思いっきり投げ下ろす!
「っがああ!!」
「っっげほっげっはっっはぁはぁっげっふ!」
ブロック片は頭に当たって少しだけかけた。
男の人は血が出てて動かなくなっていた。
「ううぇっぷ、っはぁはぁ…っみ、こと?」
「…にーちゃん……うぐっ」
咳き込みながらにーちゃんはあたしを抱きしめて……
ちょっと痛いけどイヤじゃなかった。
抱きしめられた腕に、ぬめっとする感覚に気付いて視線を落とすと赤くぬれていた。
「あぅ! にーちゃんっ血が出てる!」
「…こんなの大した事……あっべ、意識したら痛くなってきたっ!」
『それじゃ、最後のフラグ回収デスね♪』
そういってしーながガムテープを指差してた。
「っっつぅう、ああ? ソレ犯人縛り上げるんじゃないのか?」
『ソレを縛る? 違いますよ? まこちゃん、とりあえず上着脱いでください♪』
うまく腕が動かせないにーちゃんを手伝って上着を脱がす。
「イタイ、いたっっもっとやさしくなっ! んでこれが何になるんだ?」
『みこちゃん、その上着で血を拭いてください。そしたら、
腋のほうからキッツークガムテープ巻いてあげてください♪』
「わかったっ」
「うっぎゃあああぁぁいってぇええ!!」
『男の子デショ? それくらい我慢デスよっ』
強引な止血を済ませ改めて犯人を見る。ピクリともしない。
「おい、これって……」
『大丈夫デスよ、残念デスがソレは死んでません。
それに、もうすぐ警察も来る頃ですから☆』
「それならっいいんだっがっ、いってぇえ!
くそぅ…怪我するの分ってたんだろ? 他に方法なかったのかよ!?」
『他の方法デスか? 私的にはベストだと思ったのデスが……
楽しくなかったデスか?』
「おまっ!!」
「たすかったからいーじゃん、それより病院っ!」
それもそうだ、けっこう血が流れたせいか頭もフラフラするし。
『楽しそうですね』
「だから、楽しくなんか……誰だお前?」
頭に響く声は、しいなのソレとは違って幼い感じがした。
声のするほうを見るとモノクロのゴシックロリータ風の服を着た少女がいた。
コイツも死神なのだろう。というのも、それらしい鎌を持ち地面から浮いていた。
しいなは馬鹿っぽい言動とか空気、そして鎌すら持ってなかったせいか、
死神というイメージには程遠かったが、コイツはヤバイと直感が示していた。
『クリュー…』
「なんだ? しいなの知り合いか?」
『……』
しいなの様子が何かおかしい。
いつものヘラヘラとした気配が消え、常に張り付いていた笑顔も失われていた。
「しーな?」
みことも心配そうに声をかける。
『あらごめんなさいっ。みこちゃん、まこちゃんを病院に連れて行ってくださいね。
私はこの方と少しお話があるのデスよ☆』
いつも通りの【笑顔】で俺達にそう言うしいな。
『みこちゃん? まこちゃん? デスよ☆? っぷ、あっははははははは
新しい冗談? しばらく見ない内に腑抜けたもんだね』
クリューと呼ばれた少女がしいなを馬鹿にして笑っている。
たしかに俺だってアホの子かと思ってはいたが、他人に言われるとなんか腹が立つ。
「お前いい加減に…」
『ホラ、病院、早く行かないと。死んじゃいますよ?』
『っくっははは、ひぃ、もうヤメテってば、死神が病院薦めるとか…っぷ』
「いこう、にーちゃん」
「でもっ!」
「しーなの気持ち無駄にしないであげて…」
みことも何かを察したのだろう、俺の手を引いて訴えかける。
「…そうだな、いってくる。またあとでな、しいな」
『いってらっしゃい☆
……クリュー、場所を変える』
『ボクはここでもいいんだけどなぁ〜、まぁシーナがいうならそうするよ』
駐車場を出るときに振り返ると。
しいなとクリューがふわっと消えていったところだった。
「しいな……」
『ひさしぶりだね、シーナ』
風景は同じながらも時が止まった灰色の世界。そこに二人の死神が居た。
『何か用か?』
『人間には優しくしてたのに、ボクには冷たいんだね。』
つまらなそうに言葉を吐き捨てるしいなと、
笑顔からいじけた様にとコロコロと表情を変えるクリュー。
『せっかくここまで来たってのに。ちょっとガッカリだよ。
あの活躍以来さっぱり消えちゃうし、見つけるの苦労したんだよ』
『それは残念だったな。話はそれだけか?』
退屈だと直接言葉にはしないがそれを態度で示す。
『見てくれてたかな? 政界交易センタービル。あれ全部ボクが刈り取ったんだよ。
60年前のシーナにはまだ及ばないけど、150歳の実績としては最高の仕事でしょ?
これなら十分だよね? また一緒にヤろうよ!』
『それで?』
『それでって……何も思わないの!? ボクはあんなにがんばったのに、
凄いとか、悔しいとか、何も感じないっていうの?』
『凄いな、悔しいよ。これでいいか?』
『…ッ!!!』
一方は睨みつけ、もう一方は静観と、すれ違う睨み合いに空気が変り始める。
『ボクを、馬鹿にしてるのかッ……』
『そんな事はない、ただ、今の私にはどうでもいい事だ。
狩りにも興味は無い』
全てが死に絶えた世界の歪に、熱が、風が生まれる。
『ボクがどうでもいい……!?』
クリューの周りから生まれた熱風が、しいなの黒髪をなびかせ、あおってゆく。
『あぁそうだ。これならボクを認めてくれるかな?』
クリューが鎌を一振りすると、裂けた空間から血のついた服が落ちてくる。
『っ!』
『あはは、どう? 他人の獲物を狩る趣味はないんだけどね〜。
ボクが使えるヤツだって、また組みたいって本心から認めさせて上げるよ』
『彼らに手を出す事は許さない』
再び周囲の空気が変る。しいなから広がってゆく死の気配が熱を奪い、風を殺す。
『ふぅ〜ん、そんなにお気に入りなんだ?
ならさっさと殺っちゃえばいいのに。
そういえばあの優秀な鎌はどうしたの?』
『鎌は還した』
『もったいないなぁ、ああ、それであの男の子狙ってるのかな?
確かにいい鎌になりそう。ボクも欲しくなっちゃったなぁ〜』
クリューが服から滴る血液を指に乗せ、ソレを舐め上げながら言う。
『警告を二度はしない』
黒いスーツが影に沈み、灰色の空間がしいなの死に覆われはじめる。
『何この記憶…着床?…死季?……なにそれ?
傍に居るだけで……触れるだけで殺せるのに……。
鎌だって使えば……なんで?……なんで……殺 さ な い の ?』
広がった闇の中、スポットライトが当たった様に灰色の空間に浮き立つクリュー。
『貴様には関係の無い事だ。そこまでにしてもらおう』
しいなが距離を詰めて歩き出す。
クリューはそれに構わずに、舌の上で舐め取った血を転がす。
『…血の……もっと古い…記憶……!』
ニヤリ。
しいなが拳を振り下ろし、クリューがそれを受け止めて笑う。
『それでこそ死神シーナだよ』
『その名はすでに捨てたッ!』
他者の侵入を許さない二つの死の結界。
黒く荒ぶる力と、灰色の虚ろな力が交戦を始めた。
太陽が沈みかけ、紅い光が街を照らす。
都立病院の屋上は地平線こそ見えないが、ほどよく街が見渡せる。
そこの給水塔の上が、たまに来る彼女のお気に入りの場所だった。
長くストレートに伸ばされた髪が風を受けて揺れ、
足元からは、着ているスーツのように黒く長い影が、背を追い越していた。
『命を奪う事を辞めた私は、一体何なのだろうな……』
ただの神にでもなるのだろうか?
それはそれでおもしろいかもしれない。
視線をおろした先に、病院から出てくる兄妹が見えた。
女の子は青年の腰ほどまでしか背が無く、
青年の方は左腕を包帯に巻かれ、首から吊り下げていた。
『椎名、どうやら……アイツとお前の血は…しっかり受け継がれているみたいだ』
兄妹に、ここには居ない二人の面影を重ね、
一人呟いて、
そっと身体を浮かせた。
『みこちゃ〜ん、まこちゃ〜ん、おまたせデス☆』
「しーなっ!」
「おまえどこいってたんだよw」
『知りたいのデスか? それはもう激しくっグチョグチョのっドロドロで……』
「いいwwwやっぱ聞きたくねぇww」
「あ、あたしはチョット聞きたいかも……」
『みこちゃんは大人デスものねぇ〜♪ 女の子同士のお話シマショ』
「わ〜い」
「おまえらなぁ……とっとと帰るぞ、外に出るとロクな事がねぇ……」
『私はドコカに寄って御休憩でも…』
「あたしもー」
「怪我人をもっと大事にしろよwww」
私が神だとしたらなんと不自由なものだろうか。
手に触れて抱き寄せる事も出来ず、傍に居続ける事も叶わず。
できる事といえば死を振りまく事だけ。
あぁ……やはり私は、ただの死神でしかないわけか。
GJww クォリティが上がってるwww
電力館ワロタwwww
芝減ってるwwwww
___@wwwwwwwwwww
/ヴーン\
. ガリガリ
こういうことか?
466 :
名無しさん@ピンキー:2007/11/25(日) 08:31:18 ID:zRbR0hNd
そろそろあげておかないと、次回の圧縮直前にあげる事になりそうだからage
芝が邪魔だ
頼むから芝をむしれ
俺の髪はやめてくれよ?
鎌の美しさ、切れ味は、素材となる魂の経験と想いの強さが根源になる。
常人では並程度がせいぜいだ。
それゆえ犯罪者や精神病患者の魂が重宝される傾向にある。
かつて私が持っていた獲物も、120年ほど前のイギリスの犯罪者の魂だった。
「おい、そんなに急かすなよっ」
「ほらほらはやくっ!」
「ったく。しいな、お前もぼけっとしてると置いてかれるぞ」
『はぅん、イク時は一緒デスよぉ〜☆』
60年前、私は自分の持つそれ以上に良い素材を見つけた。
--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--*--
私は戦争が好きだ。
放っておいても勝手に人が死んでゆく楽な狩り場だ。
数回ほど経験した後、私は一部の人間を操るともっと楽だという事に気付いた。
それは王や政治家と呼ばれる者、占術師や記者と呼ばれる者。
戦争さえ始まれば、後は現場の指揮者に取り入って狩るだけだ。
先日、若い死神の指導が丁度終わったので、今回もそうする予定だった。
本格的に戦争が始まる前にと軍仕官学校で、適任者を探していた時だった。
『内須 英雄』と呼ばれる男が目に入った。
残忍性や精神疾患などは見受けられず、まだ生まれて間もない魂だったが、
とても美しい鎌になると確信があった。
しばらくその男を観察していると、女に声を掛けられた。
「死神さん……ですよね?」
『そうだが?』
隠れているわけではないが、この姿が人間の目に見える事は珍しい事でもない。
これまでもこういう事は度々あったのだ。
女が私の視線の先、男の姿を確認して告げた。
「お願いがありますっ、彼を、英雄君を殺さないでください!」
女の発した言葉は、聞き飽きた台詞だった。
『つまらんな、お前だって死にたくはないだろう?
邪魔をするな、さっさと離れる事がいい』
そうでなくともこの女の命は長くないだろう。
私が手を出さずとも死ぬのは時間の問題だ。身体のあちこちが弱りきっている。
五月蝿い女を置いて、別の場所から男を観察する事にしよう。
「私っ、なんでもしますからぁあっ! おねがいしますぅ……」
自分の命より他人が大事なものか。
いままで一度たりともそんなヤツは見たこと無い。
皆、最後には命乞いしかしなかったのだから。
しばらく男を観察していると、あの女と頻繁に会っているのを見かけた。
それだけなら問題無いのだが、特筆すべきは男の変化だった。
会うたびに強く、美しく魂が輝いていくのだ。
これは使えるのかもしれない。
一つ問題があるとすれば、男に気付かれないかどうかという点だけか。
『おい、女』
「っ!」
女が男と別れた後、人気の無いところで声をかけた。
ここで改めてこの女を目に留めた。
やや貧相だが目鼻立ちが悪いというわけでもない。
長い髪も瞳もこの国では見飽きた黒、なんと平凡なものか。
人ごみに紛れれば見失うようなこの女の一体どこに、
あの男は惹かれたと言うのだろうか。
『何でもするといったな』
「っは、はい!」
緊張しているのか声が少し上ずっていた。
『取り引きをしよう』
「取り引き、ですか?」
『ああ、私はあの男を殺さない、お前は私に全てをよこせ』
「私の命でよけれ…」
『命だけではない、身体も心も全てだ。
それに私は殺さないが、あの男が勝手に死ぬのは知らん』
「…そんな……」
『どうするかね? 条件が飲めないならこの話は無しだ』
そうは言ってみたものの、この女は重要な鍵だ。
断るようなら無理やりにでも……。
「……分りました、お願いします」
『うむ。それでは女、名前は?』
女は『天宮 椎名』と名乗った。
私の名前と音が似ているなと、おかしく思い。
椎名に口付けをした。
計画のまず一歩目は成功した。
あの男の魂を育てる為にはこの椎名の存在が不可欠なのだ。
死神が人を生かす為に同化など冗談にも聞いた事は無いが、
同化することにより弱りきった身体に力を与えてゆく。
「あ、あのっ死神さんっ!?」
(シーナだ。で、何かね?)
同化といっても、今の私は実体の無い胎児のような物だろうか、
体の支配権を奪うのはたやすいが、今はまだ得策ではない。
「これは? どうなっちゃったんでしょうか??」
(お前にはまだ働いてもらわねば困るのだよ。
こちらから指示がない限り、今まで通りにしていろ)
「…わかりました」
それからしばらくは退屈なものだった。
椎名を看護学校に通わせ、あの男と逢瀬を繰り返す毎日。
やがて、戦争が始まり共に戦地に赴くも、その先々では敵味方双方がほぼ全滅。
その中で毎度生きて帰る男は、皮肉にも死神などと呼ばれていた。
「ありがとう、シーナさん」
(何の事だ?)
「英雄さんを守ってくれてる事、私を生かしてくれている事」
(何もしてはいないし、感謝されるいわれなど無い)
「謙遜しなくていいんですよ。私そろそろだと思うんです」
(なにがだ?)
「私の命、もうすぐ消えちゃう気がするんです」
(馬鹿なことを、身体は私が維持しているだろう?)
「はい、その点は感謝してもしきれない程感謝しています。
でも、シーナさんと一緒になって、なんとなく分るようになったんです。
もうすぐなんだなって」
身体の寿命と魂の寿命は異なるものだ。
椎名の魂はまだ強く燃え盛っているというのに何が不安なのだろうか。
(人間の考える事はわからん)
「だから……だからその時には私の心も…」
(何かと思えばそんな事か、くだらん)
椎名の心を取り込む事は別に難しい事ではない。
ただ、あの男に気付かれてしまう危険が少しでもある内はまずいのだ。
心象が変れば恋人といえど別人でしかなくなる。
それではあの男の魂は育たないだろう。
つまり、それまでに椎名のパターンを覚えなくてはならない。
ただ一つ、気がかりなことは、椎名が私の存在を喋ってしまっていた事だ。
この姿では魂を狩る事も出来ないので、椎名の中で眠る事が多くなっていたが、
私の意識が無いうちに話していたらしい。
あの男が本気にしていない事を願うばかりだ。
警報がうるさく鳴り響き、基地内の緊張が高まる。
慌しく走り回る兵士の中から男を見つけ、椎名が呼び止めた。
「英雄さん、あの……今夜…その、時間ありますか?」
「え!? あっ、その……はい!」
(なんだ椎名? またなのか?)
また、と言うほどの頻度ではないが、
時折こいつ等は身体を重ねるまでの関係になっていた。
顔を真っ赤にして飛行機へと走って行く男を見送り、椎名が呟く。
「たぶん、今夜が最後なんです」
(そうか…)
最近になってようやくだが、なんとなく気付いてはいた。
以前にも増して燃え上がる椎名の魂は、全てを燃やし尽くす為のそれだったと。
「英雄さんのこと……よろしくお願いしますね」
(言われるまでも無い)
兵士達が帰還する。
戻らなかった者、負傷した者、戦果をあげた者。基地の外が慌しくなる。
この看護施設も例外ではない、次々と傷付いた兵士達が運び込まれてくる。
治療を終えた看護士達の次の仕事は、助からない者達を見取る事だった。
こんなにも多くの命が失われてゆくと言うのに、
手が出せないなどとは、なんとも歯がゆいものだ。
そんな中、休憩室のドアを叩く者が居た。
トントン、トン。
「シーナさん、今日は寝ないで下さいね」
(面倒だが仕方あるまい)
人間の生殖行為に興味は無い、むしろ無駄な行為が多いとすら感じる。
子を成すだけならもっとスマートに済ませられるだろうに。
「椎名、居ないのかい?」
ドアの外から不安そうに男が尋ねる。
「あ、今開けますね」
開いたドアの向こうで周囲を確認している男。
(誰も気付いては居ない、安心しろ)
「大丈夫ですよ、さ、入ってくださいな」
「ああ……その、なんていうか…」
「うん?」
「今日は積極的…だね」
そう思うのも当然か。
男が入ってくる前から椎名は下着姿に看護服を羽織るだけと、
普段恥ずかしがりな彼女からはかけ離れた行動を取っていた。
「ええ、今日はいっぱい愛して欲しいですからっ」
「椎名、世界で一番君を愛している」
男はそう言うと、少し硬い寝台に優しく椎名を押し倒した。
(やれやれ、約束した手前しばらく付き合うとするか)
唇を奪いながら、男は忙しなく衣服を脱ぐ捨ててゆく。
椎名も対抗せんとばかりに唇を求め、腕を男の首に絡める。
しかし退屈なものだ。
人の寿命より遥かに長く存在しているが、先程から口付けのまま進まない。
(椎名よ、もう十分態勢は整っているのだろう? さっさと済ませたらどうだ?)
「ぁむ…ふぁ…っちゅ(シーナにもきっと分るよっ、だから今は…ね)」
(……)
分りたくもないし、見ているだけの私の身にもなってみろ。
これは私への嫌がらせか?
お前が重要でなかったらすぐにでも狩ってやる所だ。
そんな私の気も知らずに息を乱し、椎名は喘ぎ声を上げる。
男の手が胸に触れ、やがて唇もその肌を濡らしてゆく。
そしてこれもまた長い。
よくもまぁ飽きないものだ。
おい。
ああ、椎名よ。
ソレは口にするモノではないだろう?
なんで今日に限ってそういう事をするんだ。
本当に私への嫌がらせなのか?
……ほらみろ、せっかくの生殖行為が無駄になったではないか。
待て、椎名よ。お前は一体何を学んできたのか?
子種を飲み込んだところで子は成せんのだぞ?
消化されたところで労力に見合うほどの価値は無いというのに。
不味い? 自らねだっておいて不味いとは、心底馬鹿な奴だな。
それにしても、男の方も大したものだ。
出し終えたばかりだと言うのに、もう準備ができているではないか。
生物の雄ならばそうでなくてはな。
だから雄らしくさっさと済ませてこの退屈な時を終わらせてくれ。
さすがに私の願いが通じた訳ではないだろうが、ようやく本番らしい。
まったく。二人ともなんと無防備な顔するのか。
「っはぁ、はぅっ、っはぁ、いい、いいのぉっ」
私は置いてけぼりか? 椎名。
「椎名、椎名っ、椎名ぁぁ!」
おいおい、あんまりデカイ声出すなよ。見つかったらマズイんだろう?
「んっはあぁあっ、きてっ、英雄さんっ、私にっ!」
「あぁ椎名っ、…俺もう、っぁあ!」
それぞれが絶頂に達したらしく、脱力し、男は椎名の上に倒れこんでいる。
「っはぁ……はぁ……(シーナ…)」
(ああ、分っている)
「英雄さん、愛してるわ」
「ああ、俺むんっ…っちゅ……」
男の言いかけた言葉を、椎名が唇で押しとどめる。
「っ…あの…ですね……その、一つだけど、お願いがあるんです」
「椎名がお願い? 珍しいね、それに今日は…そのいつもより……
あっああ、そうじゃなくて、椎名のお願いだったら何でも叶えてあげたい」
「ありがとう。…その、
これからも、ずっと、愛してくれますか?
私達を……」
今、何と言った?
「……ああ、勿論だとも。
少しだけ寂しくなるけど、それが、俺の愛した人だから。
これからも、ずっと、愛している
君達を……」
どういう事だ? 二人の間で通じる暗号のようなものなのか?
この国の言葉は完全に覚えたはずだが、それは複数人称ではないのか?
…っく、まさか!?
(椎名っ!)
「うん、おねがい。シーナ」
二人に、私と男の二人に聞こえるように口にすると、
椎名はもう一度、男の唇を求めた。
(おい! 椎名っ! コレはどういうことだ!? 返事を…!?)
私を無視して接吻を続ける椎名。
いや、無視せざるを得ないのか。
椎名から失われてゆく命の輝き。
(この馬鹿者めが……)
血管を巡り、流れゆくように身体の隅々までを犯し、
濡れた砂糖菓子を崩す様に侵食し我が物としよう。
深く、ゆっくりと沈んでゆく意識は、
遠ざかる海面の光を見通せなくなる所までいざなおう。
だから。
代りに私をくれてやろう。
触れたいのなら手を貸そう。
知りたいのなら見せてやろう。
これで、私と御前は一人なのだから。
一欠けらも失う事の無いように、椎名を取り込んでゆく。
肉体も、記憶も、感情も……。
全てを済ませ、意識を取り戻した時。
最初に見た物は、私を見つめながら涙を流す英雄の顔。
次に感じたのは、そこだけ冷たい私の頬の温度だった。
肉体に馴染むまでの数分、私達は互いを見詰め合っていた。
「どうして、泣いているの?」
問いの相手が目の前の人物へなのか、自分へなのか。
ふと言葉になって口から零れたものの、私にもよくわからなかった。
「たぶん、受け入れた分、溢れ出てしまったんだ」
ああ、そうなんだ。
問いも、答えもただの言葉のやり取りに過ぎないのだろうが、
なんだか相手と同じ想いを共有しているような感慨を感じて、
そういうものなんだと、妙に納得してしまった。
「はじめまして、なのかな? 改めてよろしくな」
「何を言ってるの、英雄さん?」
「……全部椎名から聞いてる」
「うふふ、ちょっとした冗談なのよ?
英雄さんは、私のいう事なんでも信じてくれるんだもん、だか…」
「俺の魂を狙ってる事も、椎名の体のことも全部だ」
私を抱きしめて叫ぶ言葉に、『記憶』を手繰って確認をする。
ああ、椎名のやつめ。私が眠っている間に余計な事を。
「…っふぅ。そこまで言うのなら、死ぬ覚悟位出来ているのだろうな、小僧?」
私を抱きしめる腕を解いて、英雄の眼を見つめる。
曇る事無く澄んで、私を映す瞳。
その奥でたぎる魂は十分に頃合いだろうか。
たいして人目を惹くでもない顔だが、この眼は評価してやってもいい。
その目の奥にあるのだ。
十分に熟れた至高の果実が。
ソレをもぎ取る為に茶番を演じてきたと言うのに……。
おそらくは椎名の感情のせいだろうが、この瞳から光が失われるのが惜しかった。
だから、この魂がさらに高みに上がり、輝きを増してゆく確信があるのも、
きっと椎名のせいだろう。
それにもう一つの……命…。
「とうに覚悟はできていたさ」
「はン、どうせ椎名が死んで生きる意味でも無くしたのだろう?」
「椎名は死んでいないよ」
英雄はそう私に微笑んで言う。
そんな顔を向けるんじゃない。まったく、気に障るヤツだ。
「私が何であるか聞いていたんだろう?
この身体はもうただの肉だ、そして私は死神のシーナだよ。理解したまえ小僧」
「小僧、小僧って……赤ん坊に言われたくはないね」
「私が乳臭いガきだとでも言うのか!?
貴様ら猿共が穴倉で震えていた頃から私は存在していたのだぞッ!」
「ああ。でも、今日生まれた」
「何だと?」
「椎名は消える事無くシーナの中で生きて、俺の中で生きて、君は生まれ変った。
そうだろう? しいな」
「ふん……中々言うではないか。
だが、説得力の欠片も感じられ無いな。
私の腹に当たっているモノはナニかね?」
「あ、いや、これは…その……」
「どうせこのままでは収まりがつかんのだろう?」
私は英雄を押し倒して馬乗りになり、
硬くなって自己を主張するペニスを握って腰を浮かせる。
「天国にいけるほど気持ちいいらしいじゃないか。
死ぬ前に連れて行って差し上げるよ、逝った後の事は知らんがね!」
ペニス握った手に伝わる熱と、力強く脈打つリズム。
それを、まだ精液の滴る膣口にあてがい、一気に腰を落とした。
「ぁあああ あぉうはぁあああ あぉんふみゅゅうんんっ!」
自信満々に始めたつもりが、
情けない声を上げ、一瞬で達してしまったのは私のほうだった。
「おっ、おい!? 大丈夫か!?」
「ぁぁっ……っは…」
全身を震わせながら、内側で少しペニスが撥ねるだけで快感に囚われ、
動く事も、返事をする事もままならない。
椎名はこんなものを耐えていたというのか!?
「っおい、とりあえず少し動かすぞ?」
なんという事を言い出すのだ!
「わっ…らみゅっっ、っはぅ!!」
止める間も無く腰が突き上げてくる。
「ふぁっ…っあ…んくはぁっ!…っはぅ…」
突き上げられるままに身体は揺れて、
波のように押し寄せてくる刺激に耐え切れず、意識が薄らいでゆく。
「あー、いや…その悪かった。
あんな事言うもんだからつい……すまない」
いつの間にか英雄の胸に倒れこんでいたのだろう、頭の上から声が聞こえた。
「はじめて……なんだよな? 出来るだけ優しくするよ」
まだ繋がったままの状態で抱き寄せられ、そのまま体勢の上下を入れ替えられた。
脱力しきった私には抗う事も出来ず、せいぜい睨みつけてやる位が関の山だった。
「んはぅ…」
濡れた唇が私の喉をかすめる。
唇は淡い触感を与えられながら吸い付き、時折イヤらしい音を立てながら離れる。
痒みにも似たむず痒さと、少しばかりの紅く染まった斑を肌に残し、
その行為は執拗なまでに繰り返される。
「ひっ…あっ…あぁ…」
荒い息が頬に掛かる頃には、少しながら我を取り戻し、
物足りないような丁度いいような、甘美な刺激に身を任せる事ができていた。
「っはんっ…んっ…んんっ…」
そして、やがて来るであろう感触を心待ちにしている自分に気付いた。
けれど、それはどうにも焦らされているであろう事にも。
「っくぅん…ねぇ…んっふ…しないの?…んっ…」
「っちゅ…何を…っ…かな?」
キスマークを付ける事に集中しているようで、
その瞳を私から逸らす事無く見つめ、楽しそうに笑っている。
まったく憎たらしい。
分っていてやっているだろう事も、その透き通すような眼で私を見つめる事も。
「くっ…唇にっ…はんっ…」
「キスして…っ…ほしいのかな?…」
「っくぅ…物足りないのだ…んっ…何なのだこの感情はっ…んんっ…」
零れそうで溢れないコップの水のように不安定で。
こんなにも近くに居て、触れられていると言うのに遠くに居る様で。
それなのにどうしても足りない感じがするのだ。
身体に触れる暖かさでも、快感でもない何かが……。
「しいな、どうして欲しい?」
顔を上げ真っ直ぐこちらを見据える英雄。
「…っ、わからない。たぶん、キス……して欲しいのだと思う。
でも、それだけでもない気もして……自分でも分らないのだっ。
何なのだ!? この気持ちを、感情を治める為には何が足りないと言うのか!?」
知る限りの知識を引きずり出し、めくり返しても辿り付けない。
過去に憑いた時にはこんな異常事態はなかったはずだ。
何かがおかしいのだ、一体何を求めているのだろうか。
正しい答えは、正しく問いたださねば得られないというが、
正しい問いなど、正しい答えを知らずに出来るものではない。
「英雄よ、私は…何を求めているのかすら分らないのだ……」
散々小僧と罵っておきながら、生きた年数が役に立たないとなれば、
笑われるのだろうと、そう思った。
「椎名が言っていたんだ」
子をあやす様な口調で英雄が語る。
「シーナはずっと一人で生きていて、一人だから寂しさも知らずに生きていて、
一番命に近いのに、それに触れられないから愛を知らないって」
「それはどういう事なのだ? ツガイを作る為の本能みたいなものだろう?」
「しいな、俺は君を失う事が怖い、そして一緒に居られる事が嬉しい。
シーナと一緒になれた椎名がちょっと羨ましいくらいに」
「言っている意味が分らないぞ?」
「そう…か、なら……」
英雄はそう言うとベッドから立ち上がり服を着だす。
「お、おい、何をしているのだ?」
「別に」
興奮も冷めていないだろうそれもズボンの奥に消え、
あろう事か、私に一瞥もくれないで部屋を去ろうとする。
「どうしたというのだ!? 私の理解できない事をするな! おい!」
軽い音を立てドアが閉まる。
去り際にこちらに向けられた瞳は、酷く冷たい視線で私を見つめ、
背筋が凍るような悪寒を感じさせた。
「何がまずかったのだ!? おいっ! 返事を……しろぉ…」
英雄の居なくなった部屋は酷く閑散とした雰囲気を際立たせ、
狭い部屋のはずなのに、一人取り残された私はその広さにすら負けてしまいそうで、
「ここは、ひどく冷たい……」
温度の問題ではなかった、適切な言葉を選び出そうとして口に出た言葉だった。
いや、これが寂しいというのだろうか。
「……一人は寂しい?」
口に出して感じ、はじめて理解する寂しいとういう感情
満たされない想いがよりいっそう強くなる。
体温とは別に体から温もりが失われていく感覚。
アイツが居ないせいだ。
他の誰でもない英雄という男。
そう思った時には駆け出していた。
ベッドを飛び出して、ドアを開いて、ぶつかった。
「ぐっふぅ!」
「ひゃぅ!」
ドアのすぐ外には英雄が立っていた。
「こ、この馬鹿者がっ!」
視界が滲む。つくづく人間とは不便なものだ。
「おまぇがどうして居なくなるのだっ!
私を殺すつもりにゃのかあっ!?
どぅして…なんれ……うっぅぅ」
こみ上げてくる嗚咽のせいで声が出せなくなる。
ただ、伝えたかったのは、純粋に目の前の男と一緒に居たかったという事。
「追いかけて来てくれて嬉しいよ、しいな」
「うぇぅぅ…この…んむっ!」
軽く合わせるだけのキスが私の口を塞ぐ。
じわりと触れた部分が濡れる。
「一緒に居たいという気持ち、相手の全てになりたいと思う気持ち。
言葉では上手く伝えきれないけど……そういうものが愛なんだとおもう」
そう言って私の頬を両手で包み込み、涙を拭い、唇を合わせる。
お互いを求め合うキス。
英雄の首に腕を回し、強く抱き寄せ、私は一つになろうとする。
あぁ、私が求めていたのはこれなんだろう。
身体はもとより、満たされる想いが心地よい。
今なら椎名が飽きる事無く唇を合わせていたのも納得できた。
このような感覚は、感情は、初めてで、寂しくて、愛しい。
だから言ってやった。
「もう二度と私から離れるんじゃないっ……この…馬鹿野郎」
「馬鹿はお前だ、しいな、こんなところ誰かに見られたら……」
周りを気にしながら裸の私に目配せをする英雄。
私は気にならないのだが、まぁ見つかったら事だ。
「ふん、なら、部屋に戻って続きだなっ。
貴様からはその愛とやらをめいいっぱいふんだくってやらんと気がすまん」
「ぁあああ あぉうはぁあああ あぉんふみゅゅうんんっ!」
再開した行為の中で、私はまたしても情け無く悲鳴をあげる事となった。
同じ失敗は繰り返さぬよう、すぐに挿入はしなかったのだが。
「しいなの感度はすごいな……」
背後から私の乳房を弄び、乳首に爪を立てて英雄は言う。
「やっ…だっ…てぇえええっ!」
背中に感じる広い胸板は温かく私を包んでくれていて、
胸を這う指先は私を優しく溶かしてゆく。
「んんんっ…ふぁぁう…」
執拗にこね回される胸に、指は深く沈み込んで弾力を持ってそれを弾き返す。
「らめぇぇぃいいっつ!…っはぁ…そんにゃにぃい…くはぁんっ……」
「しいな、俺もう……」
耳に掛かる熱く荒い息に、私は声を出せず頷く事で返事をする。
「じゃぁ…そう、そこに両手をついて」
言われたとおりに、ベッドに崩れ落ちるように前に倒れこみ、
両手をついて獣のように四つん這いになる。
「いくよ」
合図と共に、私の中へと英雄が入ってくる。
「みゃぅううっ!」
少しずつ焦らす様にゆっくりとだが、それだけの刺激にもかかわらず、
全身が硬直し、打ち震える。
「っく、そんなに締め上げると…ああっ、凄く気持ちいいよ、しいな」
完全にペニスを飲み込んだ私の膣の奥で、先端が身体の芯を突き上げる。
その振動だけで軽く達してしまった私は、自身の体重を維持できずに肘を崩し、
ベッドに縋り付く様な格好になってしまった。
呼吸が乱れた身体は、口をだらしなく開いたままシーツに唾液の染みを広げていき、
持ち上げられたままのお尻をさらに突き出す体勢になっていた。
「じゃあ動くからね」
「っ!」
こんな状態で動かれたりなんかしたらどうなってしまうのだろうか。
不安な気持ちがあるのと、それ以上に満たされるであろう事に期待をする私がいた。
「んっ…んっ…はっ…あうっ」
ゆっくりと膣壁を削りながら抜かれるペニスが、
狭く縮こまった穴を押し広げるように蹂躙し攻め立てる。
「おっくぅう…あたりゅんんっっはあ…はぁああっ!」
腰の動くペースが徐々に上がっていき、
連続的な奥への突き上げが加速し、その度に全身を巡る悦楽に取り込まれてゆく。
「あっあっんっはっあっんっはっ」
「…っく……しいなぁ」
打ち付ける腰は、卑猥な音をさせながら愛液で濡れ、
私の膣は精液を搾り取る為に収縮を繰り返し始めた。
「っくぅううぅんんんんんっつ!」
「っはぁ、はぁ……」
英雄のペニスが抜け落ち、あふれ出てくる精液が私の太ももを垂れ落ちる。
「っはぁ…っはぁ…」
呼吸音だけが会話する部屋の中で、私達は抱きしめあい、
お互いの体温を感じあう。
離れてしまう事がとても惜しく、このまま時が止まればいいのにとさえ思った。
「っはぁ……はぁ…英雄」
「ん?」
「お前を殺すのは、もう少しだけ待ってやる……」
「そいつはありがたい」
「…このまま……勝ち逃げなどさせるものかっ」
…このまま……貴方と一緒に居たい。
そんな事を言えるはずもなかった。
「なら、生きる為にもっとしいなを攻めないとかな?」
「ばっ、まだ余力があるとでも言うのか!?」
英雄は答える代わりにそっとキスをくれる。
「っく!……ふふ」
少しだけ悔しいと思ったが、なんと心地の良いものか。
ああ、今ならお前の気持ちが分るよ、椎名。
愛しいと思う気持ちの半分はお前のものだろうが、
もう半分はお前が私に気付かせてくれた私の気持ちなのだろう。
まったく、なんて事をしでかしてくれるのだ。
この愛しい馬鹿者達は。
「ああ、そうだ」
「どうした?」
「言い忘れていたが、子を成したぞ」
「はぃい!?」
「御前と椎名の子だ」
「そうか! そいつは嬉しいな、でもそれでは言葉が足りないだろ?
俺達三人の子じゃないか」
「だが…」
「しいな」
「……ああ、私達三人の子だ」
まだ膨らんでもいない腹に顔を摺り寄せて声をかける英雄。
そんな姿を微笑ましく思いながら、私は考える。
主の居なくなったこの肉体を、
新たに命の宿ったこの器を、
私はいつまで維持し続けることが出来るのだろうかと。
>>479 うあああああああああああああああ
GJGJGJGJGJGJG(ry
やべぇ、なんか切ねえよウワァァァァァァァアアアアアン
481 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/08(土) 08:59:16 ID:O193F4vY
あげ
482 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/16(日) 14:23:29 ID:YwY57MIm
☆
483 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/20(木) 23:04:04 ID:AX+GDHhN
(´・ω・`)
キ // /::::://O/,| /
ュ / |'''' |::::://O//| /
.ッ \ |‐┐ |::://O/ ノ ヾ、/
: |__」 |/ヾ. / /
ヽ /\ ヽ___ノ / . へ、,/
/ × / { く /
く /_ \ !、.ノ `ー''"
/\ ''" //
| \/、/ ゙′
|\ /|\ ̄
\|
↑デスノート
誰が死ぬんだ
ほしゅ
488 :
名無しさん@ピンキー:2007/12/26(水) 18:12:40 ID:hqJkxkuE
ほしゅ
ほっしゅ
ラノベの死神のバラッドのモモ萌えほしゅ
491 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/14(月) 19:20:56 ID:IDrXQ5Nb
ほしゅる。
hoshu
ほ―し ゅ
投下を待ちつつ保守
(´・ω・`)
wktk
497 :
名無しさん@ピンキー:2008/01/28(月) 15:09:50 ID:CYXM00tA
非エロおk?
萌えるなら
どんと来い
来るなら来い!
さあ来い!!
503 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/13(水) 11:00:04 ID:+VjiIaCu
ちっちゃな死神のおにゃのこを携帯してまで読んだ
505 :
名無しさん@ピンキー:2008/02/24(日) 11:28:15 ID:eVHn8Y7d
マダーーーーーーーーーーーーー?
まだみたいDEATH。
そうDEATHね。
DEATH。
DEATH。
GEATH。
お初で投下。
死神の定義とかそのへんはちんぷんかんぷん分からんけどその辺は適当でスマン。
『骸骨がローブきて鎌持ってる』
ってのが期待されてるのじゃないと思うんだが…
じゃあ、6スレほどお邪魔しまっ
512 :
1/6:2008/03/03(月) 14:28:35 ID:aS3uiw0u
俺は死ぬ。
極度の眠気に襲われ、そのまま目を閉じた。
いまどき自殺なんて珍しいものでもなんでもないだろう。
生活苦、そう生きていくための金がない。
それでも頑張って生きている人もいる。
でも、俺はそうはなれなかった…だから死を選んだ。
大量の睡眠薬、知人に言わせれば容器の三分の一程度が人間の致死量だと
以前酒の席での戯れで聞いたことがあった。
錠剤といえども瓶まるごと飲むのにはかなり辛いものがあった。
けど、中途半端に助かる可能性なんて俺には必要ない。
これだけの量を飲めば確実に死ねるんだ。
…
……
………
不意に俺は誰かに肩を叩かれ目を覚ました。
振り替えるとそこには見たこともない女が立っていた。
「だれだ、お前?」
おかしな格好をした女に問いかける。
金髪、碧眼、といっても顔立ちは外人というより日本人っぽい女。
俺の問いに答えようとせず女は首をかしげ微笑み返してきた。
なんと礼儀知らずな奴だろう。
それにそいつは冬だというのに黒いレオタード、そして網タイツ、靴はピンヒールを履いている。
「っていうかなんで土足なんだよ!」
次の瞬間俺は女につっかかり馬乗りに組み敷いていた。
「ちょ、ちょっと!」
突然の行動に慌てふためく女。
「ちゃんと鍵はしまってたはずだぞ!」
いきなり論点が変わってしまったものの、俺は扉を指差し怒鳴りつける。
ワンルームの俺の部屋、お世辞にも片付いているとは言えないが玄関だけはいつも綺麗にしていた。
しかし次の瞬間、俺は自分の目を疑った。なんせ鍵はちゃんと閉まっているのだ。
ご丁寧にチェーンロックまでしているのだからそこから侵入してきたとはとても思えない。
ならば反対の窓からかとそっちを見るが、しっかりと施錠しておりガラスが割れた様子もない。
「にしても、元気な幽体だわね…」
「へ?」
俺の口からでた間抜けな声。
「だ・か・ら。貴方はもうすぐ死ぬの、分かる?」
「おれが、しぬ?」
女が言った言葉を反芻していた。
「ほら、あそこに死に体があるでしょ」
女が指差した方向に顔を向けると、そこに俺がテーブルに突っ伏して寝入っている姿があった。
513 :
2/6:2008/03/03(月) 14:29:23 ID:aS3uiw0u
テーブルの上には半分まで減った美味しい水500mlのペットボトル、その隣りに空の薬瓶が転がっている。
そりゃ〜そうだ、俺はさっき自殺を図ってそれらを口にしていたんだから…
「いい加減どいてよ」
そういって不機嫌な表情を浮かべながら女は茫然とする俺の下から逃げ出していた。
女は立ち上がるとついた埃を払うように太腿の辺りをはたいていた。
「俺、死んだのか?」
「さっきから何を聞いてたの?もうすぐ死ぬって言ってるでしょ」
女は相当苛立っている様子だ。
「じゃあ、お前は誰?」
「お前って失礼な聞き方ね。せめて貴方様とか、お嬢様とか気の利いた尋ね方は出来ないのかしら?」
「じゃあ、あんたは何なんだよ?」
女の忠告に少しだけ柔らかに聞きなおす。
「私は死神よ、貴方を迎えに来た死神No.373705…『三波・奈緒子』って呼ばれてるわ」
「し、死神?!」
一瞬心臓が止まるかと思ったが幽体にはその心配はないようだ。
今になって分かったことだが、今の俺に足が無い。
俗に言うこれが正真正銘幽体離脱というものだろう。
「まだ生きているのか?」
俺は自分の死に体に近寄り女、もとい奈緒子に尋ねる。
「まだね、誰かに起こしてもらえばもしかしたら助かるかも知れないわ」
奈緒子は最後にクスクスと小さな笑いを付け加える。
ならばと俺は死に体の肩を揺り動かそうと触れる。
…が残念なことに幽体の俺の手は死に体をすり抜け触れることが叶わなかった。
「おい、どういうことだ?」
「だから言ったじゃない、誰かに起こしてもらえればってね。貴方は幽体だから物体に触れることはできないのよ」
ああ、なるほど。そういえば幽体離脱は壁や天井をすり抜けて空を飛んだりできるんだってテレビで聞いたことがある。
そうと知った俺は早速隣りの住人に助けを求めるべく、壁をすり抜けようと試みた。
それは何の造作も無いことだった。
透視こそできはしないが壁を抜けた瞬間、隣人の部屋を目にすることができた。
しかし残念ながらそこの住人は留守のようだ。
にしても俺の部屋以上に汚い部屋に男臭い臭気の漂う部屋。
俺も人のことは言えないがこいつの部屋に比べればよっぽどましだと実感した。
「残念、留守みたいね」
奈緒子が俺の隣りにやってくる。
彼女も俺と同様物質をすり抜ける技を持っているようだ。
「なら、さらに隣りに行くまでだ!」
俺は助けを求めてではなく、他人の生活を覗き見することに楽しさを覚え隣りの部屋へと更なる楽しみを探索しにいった。
「あっ、ああぁ……はぁん、あん!」
「はっ、はぁ……っく……はっ…」
突然広がる淫靡な光景、軋むベッド、交じり合う嬌声に絡まる男女の肉体。
514 :
3/6:2008/03/03(月) 14:30:02 ID:aS3uiw0u
茶髪ロンゲの男の上に跨って腰を振る女。
男の胸に手を置き、腰をグラインドしながら自ら快楽を貪る妖艶な姿。
惜しむべくは揺れ動くほど胸が大きくない、だが汗がしたたる姿は性欲をそそるものがあった。
「もしも〜し」
その様子を凝視している俺の耳元に奈緒子が息を吹きつけてくる。
他人の生エッチを見れる機会なんて早々あるものではない。
このチャンスを生かすべく俺は奈緒子の口を押さえ、黙らせた。
「あっあぁ……あ、あっ…あぁん、あっ…ふぁっ」
ぐちゅぐちゅと淫靡な音が二人の結合部から漏れる。
下になった男は女の腰を掴み、激しく突き上げ始めた。
「あっあああぁ、あぁ…っひゃぁ!ぁ、ん…はぁあん」
男の腰で激しく踊る女は喘ぎの色が変わっていた。
結合部から除き見える男のイチモツには避妊具は付いていないようだ。
「いて────!!」
突然の激痛に俺は悲鳴をあげ飛び上がった。
奈緒子が俺の手を思いっきり噛んだのだ。
痛みに手を押さえる俺の耳を掴み隣の部屋へと引っ張る奈緒子。
さっきお邪魔した俺の隣人の汚い部屋だ。
「なにすんだよ!」
千載一遇のチャンスを不意にされた俺は奈緒子を怒鳴りつけた。
しかし彼女も腕組をして不服をあらわに俺を睨みつけている。
「ったく、二度とないチャンスだってのに…」
再度覗きを敢行しようと隣りへ向かう俺の手を奈緒子が握る。
「分かってんの?貴方の命はもう10分ぐらいしか残ってないのよ?」
「んなことぐらい分かってるさ!今更生きながらえたいなんて思ってないし、どうせなら最後に一発スカっと抜いてこの世とおさらばしたいと思ったんだよ!」
我ながら情け無い最後だと思うものの、俺にはこの世に未練がある人も居なければ大した友人もいやしない。
叶うことなら最後の最後まで自分のやりたいことを通したいものだと思っていた。
「ほれ、見ろ!」
俺は背筋を張って、腰を突き出し奈緒子に見せ付ける。
自分でもびっくりしたが幽体でもしっかりと男の象徴が勃起しているのだ。
AVや漫画なんかでは到底辿り着けないリアリティーを目に前にし、いつも以上にギンギンに滾っている。
「ちょ、ちょっ!バカ!!」
男に耐性が無いのか、奈緒子は恥かしそうに目を覆い隠し頬を朱に染めていた。
奈緒子の意外な反応に俺はさらに興奮を増していた。そして思い立つ一つの名案。
幽体の俺は物体に触れることは出来ないが、なぜか死神奈緒子の体には触れることが出来た。
それはすなわち彼女とならエッチができるという答えに辿り着く。
足首から下はうっすらと消えているがそれ以外はいつもの俺とまったく変わりが無のだから。
「奈緒子、あれ…なんだ?」
彼女の後方を指差し尋ねる。
奈緒子は俺の指先を目で追いかけ後ろを振り返った。
ガバッ!
515 :
4/6:2008/03/03(月) 14:30:45 ID:aS3uiw0u
背中から襲いかかられた奈緒子はそのまま俺の下敷きになって床に倒れこんだ。
この部屋の持ち主がどういう趣向があるか知らないが幸いにして俺の近くにおもちゃの手錠が落ちていた。
すかさずそれを手に取り彼女の手を拘束しようと考えたものの、残念なことに幽体の俺には手錠を撮ることはできなかった。
といえ、俺もここまできて引き下がることはできるはずがない。
彼女の編みタイツに指を引っ掛け、力任せに引きちぎった。
ビリビリリリ…
思った以上に抵抗が無く引き裂けるタイツ。
俺の下でわめき散らしている奈緒子の言葉を耳に入れず、次なる目的に手を伸ばした。
彼女の大事なところを隠す薄い布、レオタードといえ伸縮性のあるものなら容易に破くことはできない。
むしろ破る必要もないわずかな布なら少し動かすだけで奈緒子の大事なところが露になった。
「だめ、だめってば──!こら───!やめなさい!!」
大声でわめいたところで助けに来る者など居ないだろう。
それにお隣さんも今「真っ最中」なのだから…
必死に抵抗する彼女だが、言葉とは裏腹に下のお口はすでに男を迎え入れる準備ができているようだった。
お隣さんの情事を見たからか、それともこういう状況に興奮を覚えているのか分からないが彼女の花弁は朝露を浴びたようにしっとりと潤っていた。
そこに指を伸ばし、花弁を撫ぜる。
くちゅ…
指は簡単に第二間接まで飲み込まれ、彼女の中の温かさを体感できた。
ぐちゅぐちゅと指で彼女の中をかきまぜる。
嫌がっているわりに次々と奈緒子の奥からは蜜が溢れ出てくる。
「ここをこんなにして、まだ抵抗するのかい?」
「い、いや…優しくして…」
急にしおらしくなった奈緒子。
彼女なりに覚悟を決めたのか、それとも押し寄せる情欲の波に負けたのか、観念したかのように抵抗が止んだ。
「なら、わかるよな?」
俺は自らフォックをはずし、ジッパーを下げる。
中から元気溢れるきかん棒が勢い良く飛び出してくる。
胡坐をかいて座り、彼女の手を引き催促する。
こく…
奈緒子は生唾を喉を鳴らし嚥下すると前に垂れる髪を耳に引っ掛け、俺のモノに顔を近づけた。
ふわり、そんな感じで口を開くとイチモツを口にしまいこんでしまう。
516 :
5/6:2008/03/03(月) 14:32:01 ID:aS3uiw0u
ねっとり絡みつく唾液に、温かい口腔内。
滑らかに舌が這い、頬をすぼめて頭を前後に動かした。
奈緒子には期待していなかったのだが、予想以上のテクニックに彼女の職業を疑ってしまう。
といっても死神が元来どんな仕事をしているか俺に分かるはずも無いのだが…
もし彼女が今の職業を解雇されたとしてもその類の仕事で十分やっていけるだろう、と考えていた。
俺のイチモツは根元まで彼女の口の中へと吸い込まれていく。
そうしながらも彼女の頬や顎の動きを見ていればそれに舌を絡めている様子が伺えた。
今までに味わったことの無い悦楽、俺は生涯最後にこのような快楽に浸れたことを幸運と思った。
彼女は根っからの淫乱なのだろう。
ふと見れば奈緒美は自ら手で自分を愛撫しているのが分かった。
「そろそろ入れてやろうか?」
主導権はいつの間にか俺が握っていた。
このまま口淫に耽っているのも良いが彼女が言っているのが本当なら俺に残された時間は後わずかしか残っていない。
最後まで達せれなければそれこそ死ぬに死ねない状況だ。
奈緒子はコクリと頷くと自ら仰向けに寝転がろうとする。
しかし俺は彼女の腰に腕を回し、それを阻止した。
そして俺は自ら床の上に仰向けに寝転がった。
最後ぐらいは自分が頑張るのではなく女に頑張って欲しいのだ。
奈緒子は俺の意図を察したらしく、恥じらいながらも腰を跨ぎイチモツを手にする。
それをすっかり濡れそぼった自分の秘所にあてがい、ゆっくりと腰を沈めていく。
ずぷぷぷ…
片手で自分の体重を支え、バランスをとりながら恐る恐る体の中へと包含していった。
不思議と彼女の重みを感じなかった…幽体同士だからといわれればそうかもしれない。
けれど彼女の中は温かく、心地よかった。この感覚は今の俺でもリアルに伝わってきた。
きっと奈緒子も同じなのだろう。
挿入後、しばらく休んでいたものの誰に指示される事なく彼女自ら腰を律動させる。
頬を高潮させ、唇を噛締める様子は喘ぎを我慢しているように見える。
その様子は俺の苛虐心を燻り、奮い起こした。
隣で見た見知らぬ二人の情事よろしく、奈緒子の腰を掴み舌から激しいピストン運動を繰り出す。
「あ、あぁ…ああん、はぅ!……ひゃぁん、あっ、あぁ…」
奈緒子の沈黙を破ることに成功し、彼女は辺りにはばからない喘ぎを漏らす。
惜しむべくは脱衣させていないレオタードだろうか。
豊満な膨らみの動きを抑制していしまっているのが悔しかった。
「あぁ…あっ、っく…はぁ、ああぁあ───!」
そう思ったものの手を伸ばしレオタードをずらせばすぐに彼女の胸を露見することができた。
中途半端に乱れた衣服はより淫猥さを増幅させる。
日頃の運動不足がたたってか、幽体だというのに俺は息があがって動きが止まる。
しかし今度は奈緒子のスイッチが入ったようで自ら腰を激しくゆれ動かした。
517 :
6/6:2008/03/03(月) 14:33:02 ID:aS3uiw0u
乱れるブロンドに揺れる乳、奏でる嬌声に滴る汗…
その姿はとうてい死神というより淫魔のように見える。
「もっと、もっとぉ…あはん…」
ぐちゃぐちゃと淫靡な音を鳴らし、腰が蠢く。
髪の毛と同じブロンドの陰毛は蜜を帯びて艶かしく輝く。
奈緒子の扇情的な姿や動作に湧き立つ射精感…
「っく、俺…ヤバイ!」
俺はこみ上げる感覚を必死に堪えながら、呻くように彼女に伝える。
「いい、いいの……逝って…いいわよ、…逝ってもぉ!」
彼女の腰がさらに激しくグラインドし、搾り取るよう柔肉が収縮しイチモツを刺激した。
限界だ!
俺は彼女の腰を掴み、指に力をこめると子宮めがけて腰をめいっぱい突き入れた。
ドクドクドック、ドクン!!
普段の絶頂感に加え、爽快感が体を満たす。
解き放った白濁液は彼女の中を満たすと同時に奈緒子自身の絶頂へ導いていた。
「ああああ────!」
彼女は背中を仰け反らせて歓喜の声を上げる。
少しの硬直、わななく太腿…
今彼女は絶頂感に浸っているのだろう。
俺もその姿をみながら余韻に耽る…はずだった。
「お疲れさま、そしてさよなら…」
彼女は微笑を作り、俺に零した。
最後にその記憶を残し俺の全てが霧散していった。
「さてと、次は…4時に三丁目の山田、誠ね。性癖は…また、コスプレ?」
奈緒子は先ほどの部屋で鏡を見ながら乱れたセットを整えていた。
淫魔あがりの死神『三波奈緒子』、指名があれば死ぬ直前に貴方の元へと伺います。
少しの性欲と希望を持ってお待ちください。
□おわり□
518 :
511:2008/03/03(月) 14:34:48 ID:aS3uiw0u
死神より淫魔じゃね〜かってツッコミはなしの方向で!
死神ってのは『○○が△△で××してて、□□がωωだぜぃ』
って定義?があれば教えて欲しい。
次の作品を書く参考にしたいんでお願いしまっ
キモイ
520 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/05(水) 16:02:56 ID:BCZoXWYu
>>518 大鎌ブンブン振り回す、とか?
俺じゃ駄目だ次の人パス
>>518 死の神だからもっと根幹的な部分で死に関わってればいいんじゃないかな。
死者を選定する義務とか憑かれた人は必ず死ぬとか殺さないと死んでしまうとか。
我ながら意味不明なのでパス。
上のほうにはヴァルキュリア(ヴァルキリー)風味のもあったからスタイルは別にいいんでね?
死神事態の存在が人間の編み出した空想なんだから、明確な定義なんて存在しない。
つまり、自分の中で彩られた死神と言う妄想をぶちまければいいんだ。
ただ、大衆のイメージを大きく外れてしまえば、死神と言う認識からは外れてしまうだろうがな。
>>518 1.世界の魂の量を調整する
着物姿、和風、卍か(ry
2.このノートに名前を書かれたら(ry
3.世界の敵を倒すために浮かび上がってくる
口笛を吹く不気味な泡
4.真っ白いロリっ娘
5.彼岸人と呼ばれる種族、右手から武器を精製
違法ゾンビ、契約ゾンビ問わずその命を狙う
核心を奪われるとしゅごキャラみたいになる
つまり世界観ごとに定義が違うから、設定が書かれてなかったら脳内補完しとけってこと
6、ドラキュラ伯爵の腹心
保守
初めて、ここで投下します。
長いんですが、よろしくお願いいたします。
531 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:08:16 ID:ldeDPTUP
草木が萌え出で、鳥たちが歌いはじめる季節。
人々は、新しい季節に喜び唄い「春」という季節を待ち望んでいたかのように、ざわめき始める。
目の前を、わたしと同い年ぐらいの女子高生達が、サルのようにきゃっきゃと
けたたましく騒ぎながら歩いていった。
一体何が楽しいんだ。わたしが一番嫌いなタイプの人間達。
地上で最もうるさい人類かもしれない。ムカつくなあ。
春という陽気のせいか、それが輪をかけてウザく感じる。
いっその事、わたしの力を使えば消せるのもなんだが、こんな無駄遣いはいやだ。
わたしは、こんな季節が大嫌い。
無くなって欲しいとも思っている。早く冬が来ればいい。
わたしは、ひと気のない桜並木を一人して歩く。
肩から膝下まで伸びた雨合羽のような黒いワンピース。
フードがついているのだが、邪魔なので被っていない。
襟元には、可愛らしい黒いリボンがワンポイント。肩から袈裟懸けのポーチも自慢。
黒猫の化身の名残のネコミミがわたしには生えている。もちろん、尻尾も。
こげ茶の編み上げブーツで歩くたびに、落ちた花びらがふわりと舞い上がる。
落ちてきた桜の花びらが、ぺたりとわたしのメガネにひっつく。そんな、桜の季節をわたしは、忌み嫌う。
できれば死神の証、大鎌でぶんと、桜の枝をなぎ払ってやりたいくらいだ。
尤も、最近では、市中は危ないと言うので鎌は天上界の自宅に置いてあり、
代わりに、先に大きな輪がついた杖を肩に掛けて持ち歩いている。
「なぜ、桜は咲くんだろう…」
当たり前のような疑問がふと、頭によぎる。
生暖かい春風が、栗色のくせっ毛ボブショートをふわりと揺らす。
532 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:08:55 ID:ldeDPTUP
わたしが、嫌う公園の桜のアーチを歩く中、一人の男が池を見てたたずんでいる。
彼は、時代を五十年程遅れてきたような着物姿で、なにか物憂げな雰囲気を漂わせる。
「うん。この人にしよう」
彼のたもとにすっと立つ。彼は、私のことに気付いているようだが、わたしに振り向く事はまだしない。
「桜がきれいですね」
わたしは、人間に話しかける時の常套句を使って、接触を試みる。
もちろん、個人的にはこんな言葉を使うのは、反吐が出るほど大嫌い。
しかし、わたしの本分のためなら、仕方あるまい。
「桜は、嫌いだよ」
彼は、予想外の言葉を返してくる。
「桜は、人の心を悲しくさせる。彼らも、咲きたくて咲いてるんじゃなかろうに」
「…わたしも、桜は嫌いです…」
533 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:09:24 ID:ldeDPTUP
わたしは、彼に非常に興味を持った。
「わたしですね。死神なんです」
思い切って、自分の正体を明かしてみる。意外にも、反応は薄かった。
「面白い事をいうね、死神に初めて会ったよ。いい思い出になった」
わたしのネコミミがくにーと垂れる。今までにあったことのないタイプの人間に少し戸惑う。
どのように、対処すればいいんだろう。そんな、マニュアルは一切ない。
「わたしのこと、疑わないんですか?どう見てもおかしな人ですよね?耳もヘンだし…」
「疑う理由が見つからない」
そんな彼に、ますます興味を持つわたし。
「死神って、ドクロの顔をしてたりして、怖いイメージだと思っていたけど、
君を見ていると『死』というのが怖くなるね。むしろファンタジア、幻想的だ」
「相手を引き込む作戦です。ただ、天上界と地上界では少々、感性が違うようで…」
「ぼくも、よく『人と違う』って言われるから、きみの寂しさは良く分かる」
彼は、そんな事を言いながら、ぶんと池に小石を投げ入れる。
わたしも真似をして、ぶんと池に小石を投げ入れるが、足元でポチャンと落ちてしまった。
「そういえば、わたしの名前を言ってませんでしたね。
『紫』といいます。むらさきとかいて『ユカリ』。あなたはなんていうんですか?」
「『長谷部』といっておこうか。これ以上は言えないな」
といい、下駄を鳴らしながら去っていった。
長谷部が投げた小石がまだ、水面を切って跳ねている。
うん、彼にしよう。わたしは、ぐっと手を握り締め、心に決める。
534 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:10:05 ID:ldeDPTUP
次の日。今朝は、ダンボールの家のおじさんから、小さなおにぎりをもらった。
人の温かさに触れた肌寒い朝。おじさんも、天上界にいけますように。
この日の午後も、長谷部と同じ場所で出会った。ウグイスが遠くで鳴いている。
「長谷部さんは、よくここにこられるんですか?」
「ふふふ。ここしか来るところがないのさ」
人のことを言えた義理でもないのだが、身なりからして、彼が気ままに生きている事が分かる。
「そういえば、紫さんは『死神』とか申してたね」
「はい。わたしは『死神』です」
「きみを見る限り、どうも人を恐怖に陥れる悪いやつに見えない。
むしろ、ぼくらの友達としてこの世界に来てるんじゃないのかな?」
わたしの血が一瞬引いた。
ネコミミもくるりと警戒し、尻尾がわたしのお尻に隠れようとする。
「…わたし達の仕事は、地上界の者を天上界に迎え入れる事です。
地上界では『死』といい、無に帰る意味になりますが、わたし達の世界では天上界に戻り、
永遠に生き続ける意味になるんです。つまり、分かりやすく言うとエリートです」
「なるほど」
「むしろ、死神に見放された人たちは、かわいそうな人たちです。
天上界にも行けず、グルグルと地上界に後戻り。なんでも輪廻転生って言われているらしいんですがね。
『あなたの前世は天草四郎だった』とか言って、人間同士で騙そうとする人間もいます。
決して前世があることは良い事じゃないんですよね。むしろ、不幸せな人たちです。
『お前は、天上界ににどとくんな』って。…ごめんなさい。少し難しいお話になっちゃいましたね」
「ははは、構わんよ。ぼくも、よく『何を考えているか分からないから、話にならない』とよく言われる」
彼は腕を組みながらケラケラと笑った。
ますます、彼に興味を持った。彼こそが、天上界にふさわしい人物かもしれない。
535 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:10:36 ID:ldeDPTUP
わたしは、天上界からの使者。上役への報告義務がある。
そろそろ、上役に報告をしなければいけない。とても面倒だ。ゆううつだ。
また、お説教されるんだろうな。春の陽気が輪をかけて、わたしを陰鬱にさせる。
どんな水面でもいい。その水面をちょんと杖の先でつつくと、水面が大きな画面になり、
相手が浮かび上がる。天上界にいる上役に直接会話が出来る仕組みだ。
もちろん、人間達には、その水面の画像を見る事は出来ない。
「亜細亜州日本国東京。0024番の紫です。定期報告をいたします」
水面にはわたしより若干年上のお姉さんが映る。彼女もまた死神。
同じく、黒猫の化身の証、ネコミミが生えている。
「紫さんですね。突然で申し訳ないんですが、あなたがこの間、天上界にご案内した
東京都の『小椋ひいな』さん。地上界日本国滋賀県琵琶湖のフナに戻る事になりました」
「…えっ」
厳しい口調でお姉さんが、紫を責立てる。
一ヶ月ほど前、紫が天上界に連れて行った、女子中学生の名前であった。
学校でいじめられて、地上界で生きるのが嫌になり、公園で出会った紫と話しているうちに意気投合。
そんな彼女を哀れに思い、天上界に連れて行ったのだ。死因は、睡眠薬の多量摂取となっている。
「彼女はあまりにも天上界での素行が不良で、大審院からこの世界にふさわしくないと判断され
彼女は、もう一度地上界に戻ってもらう事になりました。わたし達としても非常に遺憾です」
地上界で性格の悪い子は、天上界でも変わる事が出来なかったのか。
話した感じ、いい子だと思っていたのに。わたしは自分の力不足を恨んだ。
「…はい。ごめんなさい」
天上界でのわたしの査定は、このことにより大きく響く。
わたしの同期の死神たちはどんどん出世して、天上界でバリバリ働いているというのに
未だに地上を駆けずり回る、初心者レベルの仕事をしているのだ。
なので、同期の奴らは、みんなわたしの事をバカにしている。
不器用なわたしは、泣きたくなった。わたしは弱い死神なのだろうか。
536 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:11:04 ID:ldeDPTUP
首をうなだれ、暗くなったわたしを慰めるように、お姉さんが優しく語り掛ける。
「大丈夫。まだまだ、あなたは若いんです。ところで、最近の調子はどうですか?」
「…まずまずです。それより、調べて欲しいことがあるんですが…」
「はいはい。なんでも言ってみて下さい。力になりますよ」
「ある、人物の名前なんです」
わたしたちが、活動するには必要なもの。それは、天上界に召す人物のフルネーム。
これが分からないと、わたしたちは手も足も出せない。
そこで、天上界の本部に調べてもらい、わたしたちは円滑な活動をするのだ。
わたしは、長谷部のことを話した。いつ、どこで会ったか。どんな風貌かを詳しく説明する。
本部では、わたしの行方と行動で、接触した人物を調べるのだが、
何せ、地上の人間の数を考えると時間がかかるのは必至。気長に待つしかない。
「わかりました。ある人物の名前ですね。リサーチするには、時間がかかるので、
そちらでは活動を進めてください。次の定期報告の時にお教えできると思います」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
定期報告を終えると、水面は元に戻り静けさを取り戻した。
537 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:11:45 ID:ldeDPTUP
石を投げつけたくなるくらい、青空が美しいある朝。
わたしは、料亭のゴミ箱から拾ってきた、ある宴会料理の残りを公園のベンチで貪り食っていた。
エビや魚のフライ。朝っぱらから脂っこい料理だが、おなかを満たすためには、仕方がない。
こういうことをするヤツらが、天上界に来るとわたしはムカつく。
天上界の品格が落ちてしまうし、フライになる為に命を落とした、エビや魚たちが浮かばれない。
食い残したやつはみんなエビになれ。エビになってフライで揚げられて、食われてまたエビになれ。
そして、天上界には決して来るんじゃない。
そんな、死神の文句をたらたら流していると、わたしの脇に、雑誌が忘れ去られているのを見つけた。
本には、さらさら興味がないのだが、今日は不思議と気にかかる。死神に魔が差した。
時間も腐るほどあるし、パラパラとめくる。
表紙は下品、地上界のありとあらゆる下世話なこと書かれており
決して手にしようとは思わないものだった。しかし、わたしが一番興味を持ったのは
4ページ程の短編小説。一話完結の話のようだが、わたしは、このページにのみ惹かれた。
なぜ、こんな上品な文章がこのような雑誌に載っているのだろうかと思うほど、美しい文章。
小説というものは初めて読む。しかし、この文章はわたしに共感しやすいのか、すらすらと読むことが出来る。
538 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:12:13 ID:ldeDPTUP
数分後、わたしは、生まれて初めて小説を読破した。
なんだろう、この快感。すっとする気分。うーんと伸びをしてみる。
人間達が、やれベストセラー、ロングセラー、そして映画化決定と興奮する理由がわかってきた。
この小説の筆者らしき名前が始めに載ってある。
「津ノ山修」かあ。覚えておこう。
わたしは、津ノ山修の本を探しに本屋へ行く。こんな場所ははじめて行く。
必至に探すが、あまり人気のない作家なのか著作が見つからない。
とりあえず、見つけた一冊を購入する。地上界の金銭は念のためにと、天上界から支給されている。
わたしは、それ以降、津ノ山先生の作品にどっぷりはまった。出来れば毎日読んでいたいくらいだ。
もっと読みたいと思い東京中探しても、あと一冊ほどしか見つからなかった。
彼は、まだまだ無名らしい。これから大きな名前になってくるのだろう。
わたしは、いつでも読めるように、二冊をポーチに入れて持ち歩くことにする。
わたしは、期待している。きっと、将来すごい作品を読ませてくれることを。
539 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:12:49 ID:ldeDPTUP
今日は、定時報告の日。わたしは商店街を歩いている。
世間は日曜日なのか、人通りが結構ある。午後のうららかな日。
電器屋のテレビはクイズ番組を映し出していた。
「今日は、ある人物を当てていただきます」と司会者である紳士の声がする。
そうだ、思い出した。長谷部のフルネームを教えてもらう約束だった。
いそいで、水面がある場所へ急ぐ。
路地裏に、水の入ったバケツがあった。一目がないのを確認して、ちょんと水面を突付く。
「お疲れ様です。調子はどうですか」
「はい、順調です。その、この間の事なんですが…」
「はいはい。ちゃんと調べておきましたよ。彼の名前は『長谷部龍二郎』ですね」
「『はせべりゅうじろう』…。ありがとうございますっ!」
「彼は、私たちの調査では品格良好で、天上界でも期待されていますよ。頑張ってください」
「はいっ!がんばります!!」
「この仕事が認められると、あなたも次のランクに上がるチャンスですので
わたし達も期待しています。では、仕事を続けてくださいね」
わたしは、このとき死神になって初めて仕事のことで笑ったと思う。
陰鬱な春が少し、いつもより暖かく感じる。
540 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:13:19 ID:ldeDPTUP
曇りがちの月曜日。雨が今にも降りそうなのだ。
だが、そんな天気がわたしは大好き。大雨なんかになると、これ以上ない喜び。
世間も少しどんよりしている。わたしの気持ちも少し楽になる。
いつもの池のほとりで長谷部に会う。
彼はいつものように、飄々としてたたずんでいた。わたしは、いたずら心で少しおどかしてみる。
「わっ!こんにちは!」
「なんだ、紫さんか」
反応は薄かった。しかし、長谷部の顔は少し笑っているように見える。
そんな長谷部は、わたしにいきなり思ってもいなかったことを言い放つ。
「ぼくは、君の言う『天上界』に興味を持ったよ。今すぐ、連れて行ってくれないか?」
なんという、とんとん拍子。わたしのネコミミがぴんと立つ。
上手くいくと、初めて仕事で誉められるかもしれない。そう考えるとわくわくする。
同期のバカどもを見返してやるぞ。
「…本当ですか?覚悟はいいんですか?」
「ああ。こうして生きてゆくのも、ちょっと飽き飽きしてきた頃なんだ。
ぼくには、この地上界が狭すぎる。窮屈さ」
「では、早速準備します!ところで、あなたの名前は…えっと『長谷部龍二郎』さんですね!」
不思議と長谷部は驚く気配もなかった。
「ははは。そうだよ」
わたしは、すこし頬を赤らめて興奮している。ネコミミも絶好調。
541 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:13:53 ID:ldeDPTUP
「後悔は、ありませんね」
「うん、はじめてくれ」
「…では、契約を…始めます」
桜の花に囲まれながら、わたしの仕事が始まる。人間をいわゆる「あの世」へと送り出す尊い仕事。
「はせべ・りゅうじろう、下賎なる地上界に営み続ける魂を天上界に送らんと…」
わたしは、必至に長い長い呪文を唱える。天上界への道を開く為の呪文。
長谷部は笑って立って見つめている。
「神に近づかん事を願う!!」
ぶんとわたしの杖を体いっぱい使って振ると、杖は鋭い剣に変わる。
刀身は、およそわたしの背丈と同じ長さ。細く鋭く、まるで氷のように冷たく見える。
「…ほんとうに、後悔はないんですね」
「…わくわくしてるよ。楽しみだなあ」
わたしは、剣を両手でしっかり持って構える。体が震えて、刃先も一緒に震えている。
「いき…ますよ…」
長谷部はうなずく。
「…」
わたしの心臓がいつもより激しくうなっているのが、耳の後ろの動脈の音で分かる。
次の段階に、なかなか一歩が進み出せない。足元がすくむ。勇気が欲しい。
わたしは、上を見上げると桜の花が咲いているのが一面に見えた。
憎らしいぐらいに美しい桜。その、桜への憤りを思いっきりわたしの剣に託す。
「にゃああああああ!!」
わたしは剣で、長谷部の首筋をぶんと斬り付けた。
ぱっと、桜の花びらと一緒に赤い血が霧のように飛び散る。
わたしには、ゆっくりと舞う赤い玉が美しく見えた。後戻りは出来ない。
が、これは実際の長谷部の血ではない。事実、彼はニコニコしながら未だに立っている。
地上界の醜く淀んだものを、瀉血させているのだ。天上界に、余計なものを持ち込まぬように。
この技術次第で、天上界での品格が出来上がる。
前回は、この技術が余りにもお粗末だったため「小椋ひいな」のような失態が起きたのだ。
が、今度は手ごたえがある。長谷部のために全力で斬り付けた。もう、失敗は出来ない。
わたしが、見込んだ人間だから幸せにしてあげたい。
542 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:14:19 ID:ldeDPTUP
刃先に血のついた剣が落ちる音が響く。
「もう、これで…戻れませんよ…」
わたしは、俯いて今にも吐きそうな気分になった。立ちくらみがする。
かなりの体力を使うため、わたしは今にも倒れそうなのだ。
「これから、24時間以内にあなたは死にます。死因は、わたしにも分かりません」
「ありがとう」
「…このあと、わたしは契約を結んだ者と会うことが許されません。
次に会うとしたら、天上界ですね。尤も、わたしがそちらに行く事ができればですが…」
「ははは、そうかい。すっきりしたよ。じゃあ、また会う日まで」
「待って!」
わたしは、長谷部の胸元に飛び込んだ。初めて、男性の暖かさを知る。くんくんと匂いを嗅ぐ。
「…幸せになってくださいね…」
何故だろう、目頭が熱いぞ。こんな感覚初めてだ。
人と別れることは、仕事上慣れっこのはずなのに、何故か今日はそれがやけに切なく感じる。
寂しいのかな。長谷部にぎゅっと抱きつけば抱きつくほど、わたしの心臓の音が激しく聞こえる。
「天上界での幸せは、わたしが保証します」
そういえば、この気分の高まりは、初めて津ノ山先生の本を読んだ感覚に似ている…。
小さなわたしの胸が痛い。
543 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:14:50 ID:ldeDPTUP
仕事を終えた翌日。わたしは、公園のゴミ箱で雑誌を拾う。
以前拾ったものと同じ雑誌の最新刊。相変わらず下品な表紙で、下世話な記事で埋め尽くされている。
そんな中、唯一ほっとするのが津ノ山先生の作品だ。
これの為だけに、読み漁っているようなもの
なんだか、内容が身につまされるものだ。死神なんぞ出てきている。
自分のことが書かれているみたいで、不思議な感じがするが、彼の上品な文ですっと読むことが出来る。
やはり、もう彼の文章の虜になっている。はやく次回作も読んでみたい。
しかし、その気持ちはガラスのように打ち砕かれる。
「※津ノ山修先生は、先日亡くなられました。ご冥福をお祈りします」
ページのはみ出しに、小さく書かれていた文字は、わたしを凍りつかせた。
メガネを拭いてもう一度見てみるが、文章は変わらなかった。
津ノ山先生が死んだ。
死に携わる仕事をしているとはいえ、わたしのショックは大きい。もう、珠玉の文章を味わえないなんて。
その日の夕刻、とぼとぼと商店街を歩いていると、電器屋のテレビで津ノ山先生の訃報が報じられていた。
淡々とニュースキャスターは話す。
「昨夜、作家の津ノ山修さん(35歳)が池で亡くなっているところが発見されました」
もう、そのニュースは悲しくなるからもういいよ、と思っていたところ、キャスターの声を疑った。
「津ノ山修さん、本名・長谷部龍二郎さんは…」
画面に生前の写真が映る。どう見ても、長谷部の顔だ。
わたしの血が全て冷え固まった。
544 :
紫〈ゆかり〉:2008/03/20(木) 12:15:23 ID:ldeDPTUP
定期報告の義務があるため水辺に向かう。長谷部もとい津ノ山先生と出合った池にする。
本当はそんな元気もないのだが、義務は義務。
いつものように、ちょんと池の水面を杖で突付く。
「亜細亜州日本国東京。0024番の紫です…。定期報告を…いたします」
「紫さん。やりましたね。天上界でも大喝采ですよ」
「…はい」
お姉さんは満面の笑みで話しかけてきた。なのに、わたしの気分ったら暗く沈んだまま。
「今回、ご紹介頂いた長谷部龍二郎さんは将来、天上界でも期待できる人材です!」
なんだろう。仕事で誉められてるのに、ちっとも嬉しくもないぞ。悲しみと怒りしか浮かばない。
「もちろん、紫さんの評価もかなり上向きに…」
「うるさいっ!もう、黙ってよ!!」
わたしは、お姉さんに声を荒らげてしまった。
出世なんか、どうでもいい。天上界の奴らも、もう好きにしろ。
メガネを外し、わたしは涙をぬぐう。
お姉さんも困っている。
「…とりあえず、ほうこくをおわります…」
兎に角、何も話したくないわたしは、無理矢理報告を終わらせその場でしゃがみこんだ。
わたしは、この夜ここで一晩過ごした。
津ノ山先生の本を抱いたまま、泣いて過ごした。
朝は、問答無用にやってくる。相変わらず桜が咲いている。
光が、わたしの気持ちを逆なでするかのように浴びせられる。
やっぱり、春は嫌い。桜はもっと嫌いになった。
おしまい。
こんな長文は、はじめての体験でした。ふう
以上で投下終了です。
これは面白い、どきどきする・・・
ところで、伊坂幸太郎の死神の精度ってのは読みましたね?
いや、あれより紫のほうが今のところ好きだけど
できればエロが欲しかったなーってのは俺だけ?
設定が良かったので続きが読みたいです先生!
>>546 上司が犬だっけ?
548 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/24(月) 20:22:42 ID:Y9ucpZyR
百合とかは、ありなのかな?
死神が関係してるならいいんじゃね?
百合だから嫌いなひとはスルーでとか書けばいいし
前作の「紫〈ゆかり〉」の続きを書いてみました。
コレは、ちょっと百合は入るのかなあ。でも、エロも少しありますので。
投下開始します。
551 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:28:41 ID:vw9xtDrN
「お互い、死神同士で認め合えるような仲間が欲しい」
孤独なわたしの口癖のひとつ。
「ふっふー。紫せんぱーい、何してるんですか?」
桜も大分散り始め、肌寒さも緩んだ頃、後輩の「荵」が駆けて来る。
春のせいで眠いわたしには、彼女の一声はズキリとくる。
彼女の髪は紺がかった黒色、片方をピンで留めた前髪で開かれた額が健康的だ。
そして、外はねの後ろ髪が彼女の元気さを表している。
もちろん、彼女も死神なのでネコミミにしっぽを持っているのは言うまでもない。
彼女は、黒っぽいセーラー服を着ている。若い彼女にぴったり、という天上界の判断か。
そして、わたしと決定的に違うのは、ネコミミに付いた金色のリング型のピアス。
今までの死神としての功績の証である。そう、彼女は死神として優秀なのだ、私と違って。
初めて彼女と会ったときのことは、鮮明に覚えている。
「荵といいます。草冠に忍で『シノブ』ですっ!」
元気よく、ぴょこんとお辞儀をする。髪からは微かに、石鹸のいい匂いが漂う。
澄んだつり目の笑顔からは、八重歯が覗いている年齢より若く見えるかもしれないロリ顔。
彼女は、わたしとは違うタイプの死神だ。
わたしより三つ年下の若い子。こんな忌み嫌われそうな仕事をしているのに彼女は明るく、
いつも周りにはいつも同僚達が集まって、向日葵が咲くように華やいでいる。
彼女は、いわゆる『クラスの人気者』タイプ。わたしにとっては最も苦手な部類であり、
嫌いな部類にも当てはまる。なのに、彼女はわたしに付きまとう。
552 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:29:38 ID:vw9xtDrN
「この間の事で、まだ落ち込んでるんですか?」
わたしの顔をぐいと覗き込みながら、荵が話しかける。
「ほっといてよ」
「その分、仕事で取り返しましょうよ。ね?」
彼女は人懐っこく、わたしにまとわり付く。正直いい加減にして欲しい。
「そんなことより、新しいグロス。買っちゃたんですよー」
あごに人差し指を当てて、わたしに媚びる様に自慢する荵。
荵のピカピカに潤んだ唇に、幼げな色気を感じられる。年下なのに。
ちゅっ。
わたしが油断した瞬間、荵がわたしの唇を奪う。
「へへへ。わたしのキッス。試してどうでした?その気になった?」
「うるさいな!もう」
荵の頭のなかは、何を考えているのかさっぱりわからない。
「実はですね…。ちょっと今からお仕事なんですが、付き合ってくれます?」
断る理由も無いので、荵についてゆくことにする。ああ、眠いなあ。
553 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:30:56 ID:vw9xtDrN
東京千代田区・秋葉原。
昼まっから、人間がごった返し渦巻いている。
道には、アニメのコスプレやメイドの格好をした若い女性が歩いていたり
非日常的な空間が広がる、日本の中ではかなり特殊な地域である。
「ふっふー。場所柄、わたし達の格好はここでは浮く事ないんですよ。ほらっ!あそこにもネコミミ!」
「で、何かあるの?ここに」
「人に会うんです。さあ、お仕事ですよ!!」
前髪のピンを外す。前に垂らした、前髪のおかげで、ただでさえ幼いイメージがあるのにさらに幼く見える。
「お客さんです」
荵はいかにもアニメが好きそうな、とある大人しそうな男子高校生に手を振る。
「おひさー」
荵はそのお客さんの腕に子猫のように絡みつき、しっぽをくるくる回す。
「ねえ、ちゃんと考えた?」
「う、うん」
お客さんである少年は、気弱そうに答えた。
わたしは黙って付いてゆく。
「じゃあさ、約束した所に行こっかあ?わたし、楽しみだな」
荵は、左手で彼の乳首あたりをつんつんと突付き、
まるでその少年の恋人のように振舞う。わたしには、理解に苦しむ光景。
554 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:31:34 ID:vw9xtDrN
今、ネットカフェのブースにわたし達はいる。仕切りがしてあるので、外からは完璧に見えない。
荵と少年が一室。そしてわたしが別の一室にそれぞれ入る。荵からの希望だ。
すると早速、薄い荵側のブースの壁から、二人が絡み合う音が聞こえてくる。
ちゅ、むにゅ…
「ほら…。ちゃんと舌を入れて…あん…」
「う、うん」
薄い壁にわたしのネコミミを当てながら、隣を察する。
この上ない、異常な事態とは分かっているんだが、わたしは黙って聞くだけだ。
下手に動くと、周りが騒ぎになる。
「憧れの、ネコミミ少女とえっちするのは気持ちいいでしょ…」
「…う、うん」
「ほら、わたしもこんなに濡れてるってばあ。ほーら、すりすりすりっ!」
断片的に、こんな言葉が聞こえてくる。荵もまるでオトナのような甘えた声を出してる。
「死んじゃったら、こんな事もう出来ないよね」
「はあ、ううん。イキそう…」
「ちゃんと、生きる?生きるね?」
「うん」
「あんっ!あんっ!…ふぁああ…いっぱい出ちゃったよお…。ちゅっ。
はあ。もう、アンタのったら、ねばねばしてるんだからあ。だめだよ、こんなに溜めちゃ」
わたしは、ぞっと背筋が凍りだした。
死神の条件。それは『処女である事』
『生』に関わることは、死神にとってタブーだ。
成人男子はザーメンを持っている為、死神になり得ない。尤も生殖能力のない老人は、例外だが。
女子でも処女を失う事は、『生』に関わる為に、死神の資格を失う。
555 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:32:17 ID:vw9xtDrN
少年を先に返し、事を済ました荵がわたしのブースに入ってきた。
「ふう、案外ちょろいもんだね。あの子も」
荵は今までもたことのない笑顔で、わたしに近づく。
「ちょっと、荵。何考えてるの!?死神は処女じゃなきゃだめって知ってるでしょ!?」
「素股だよ。素股」
荵は白い内腿に未だベタ付くものを、手持ちのティッシュでしつこくふき取りながら言う。
「本当にやるわけないじゃん。そういう点はちゃんとわきまえてます。わたしは、ちゃんと処女ですからご安心を。
あの子は体験ナシだから、すっかりその気になってるんですよ。かわいいもんで、十三分で済んじゃいました。
ま、紫先輩はお子ちゃまだから、こんな現実は分からないと思いますけどね。ふっふー」
八重歯をにっとさせながら、上目使いでほくそえむ荵。
ほっとするやら、ヒヤヒヤさせられるやら、荵の発言がいちいちムカついてくる。
「こうやって、天上界に来るべきでない人間に自信を持たせて、地上界に思いとどまらせるんです。
これが出来る、出来ないでわたし達の能力の差が出ます」
得意気な荵。ニコニコと笑顔が向日葵のようだ。とても眩しく輝いている。
でもなんだか、わたしがバカにされているようなのだなあ。
556 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:33:06 ID:vw9xtDrN
「あの子は、初めて会った時『オレは、死ぬ死ぬ』って言ってたんですよ。
でも、彼には生きていて欲しいんです。わかりますよね?この理屈。
そんでもって、わたしは彼にいきなりキスしたんですけど、アレが効いたのかな?」
右手を頬に当てて、にやけた顔を赤らめる荵の自慢話は続く。
「これで、あの子も二度と『死んでしまいたい』なんてバカなことを言わないでしょうね。
ああ、いい事をした。人助けは気持ちいいなあ。ふっふー」
「ねえ、本気でやってるの?ソレ」
なんとなく、荵のことが心配になったわたしは、老婆心ながら聞いてみる。
「そんなわけないじゃん。あんなのと」
キッと急に真面目な顔に戻り、ポケットからピンピンの五千円札を取り出しわたしに見せびらかす。
「きょうも、これで豪華なディナーだ。ふっふー」
まったく、荵のやんちゃ振りには、はらはらさせられる。
荵なんか、いつか痛い目に遭えばいい。その時は、大笑いしてやるから、よろしくねっ。
557 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:33:43 ID:vw9xtDrN
わたしは、その日以来、秋葉原のネットカフェに入り浸ったている。
「神」の端くれなのにネット難民だなんて、この世の中とち狂ってる。
ネットのニュースを見ていると、まったく大勢の人たちが死んでゆくなあと思うと
わたし達の仲間がさぞかし働いてる事なんだろう。わたしって、なんて怠け者なんだろう。
ちぇっ。わたしは、競争社会の落ちこぼれかよ。
『先生!八の段を覚えました!』ってわたしが言っている間に、みんなはもう微分積分を解いてるような感じがする。
脳内で『せんぱーい。4×8を31って言ったんですって?』と、荵の人を小バカにした笑い声が聞こえてきた。
ちくょう。ムカつく世の中になったものだ。
それに、わたしとほぼ同い年の子達の死のニュースの多さったら。
わたしにとっては、ビジネスチャンスなのだろう。
でも、不思議と心が痛む。わたしはきっと未熟な神に違いない。
そうやって、自分で理解するしかない。ああ、マウスのホイールを回す人差し指がつりそうだ。
ずっと、ネットカフェに引きこもるわけにもいかないな。
定期報告もしないといけないし、第一仕事にならない。
とにかく、お腹がすいたわたしは、近所のコンビニでおにぎりを買い、
歩道の脇のベンチに座り、もくもく食べる。白米が薬くさい。
「チョット、写真トラセテクダサーイ」
観光客の外人が、デジカメでわたしを狙う。わたしのスイッチが入る。
「失せろ!!この、異人どもー!」
一瞬の怒りに負けて、食べかけのおにぎりを彼らに投げつけてしまった。あーあ、貴重なお昼ごはんが…。
「ちょっと、おはなし。いいですか…」
「うるさいよ!もう」
声を荒らげるわたし。声をかけてきたのは、意外にもわたしと似た格好のコスプレ少女だった。
558 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:34:26 ID:vw9xtDrN
年のころは、わたしと同じくらい。
ミディアムロングの髪が黒々とし、手足は色白で。いかにも幸薄そうな顔つき。
瞳は黒目がちな、いかにも守ってあげたいような、そんな感じの少女。
彼女は、ネコミミのカチューシャを付け、しっぽのついた黒いワンピースを着ていた。
その少女は、とんでもない事を言い出す。
「もしかして、死神さん?」
わたしの心臓が止まりそうになった。
「否定しない所を見ると、そうですね」
否定しないから、肯定だ。という、米国式の考え方には引っかかるが、わたしは死神なのでしかたがない。
「そうだよ」
「死神さんなら、聞いてもらえますか?わたしの話…」
いちおう、彼女の話だけ聞いてみよう。くだらなかったらすぐに逃げ出す事に。
「わたし。死神に狙われてるんです。ホントです」
「えっ?ナニそれ」
「この間から、あなたと似た女の子につけまわされて『天上界に必要なのよ。あなたは』って言うんです」
結構リアルな話。『天上界』なんて言葉はそうそう出てこない。
「その子は、どんな子?」
「えっと、同じようにネコミミで…、後ろ髪が跳ねてて…」
もしかして、荵か?とにかく、わたしは彼女に興味を持った。
わたしを信用してもらえるように、自己紹介をする。
「…わたしは、死神の『紫』です。ムラサキって書いて『ゆかり』と読みます」
「じゃあ、わたしも。『宇摩ゆきの』っていいます。あっ、このコスプレは…」
アニメには疎いので、もういいと遮った。
559 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:34:59 ID:vw9xtDrN
彼女が死神に初めて会ったというのは、一ケ月前くらいのこと。
放課後、今日のようなコスプレで秋葉原を歩いていたゆきの。
こうすれば、地味なわたしにでも声をかけてくれるから、少し楽しいらしい。
そして、死神に出合ったのは、夜中の秋葉原のカフェにてだという。
「ふっふー。座っていいかな?」
と、同じような耳をしている黒いセーラー服の子と相席になったのだ。
(こんな掛け声をするのは荵しかいない)
わたしは、直感する。ゆきのは、続ける。
「『きっと、この子もこういうのが好きなのかな』と思ったわたしは
『わたし『宇摩ゆきの』っていいます。あっ、このコスプレは…』って話しかけたんです。
わたしの中で、人生最大の挑戦だったかも。すっごく緊張しました」
流水の如く、アニメの話をすると、相手は興味を持ってニコニコと聞いていたという。
同性の友達が出来て、少し嬉しくなったゆきのは、お互いの事を話し
あっという間に意気投合していたという。
「で、友達が出来たって思ったわたしがバカだったんです」
ゆきのの顔が暗くなる。
こんな夜会が毎日のように続き、心を許してしまったゆきの。
ある晩の会話。ゆきのは、何気なく話を切り出す。
「わたしね、このまま生きててもいいのかなって思うの」
「ふーん、実はね。ゆきのっち、いい?わたし、死神なのね」
「うそばっかり」
「あなたの夢。叶えてあげようか?」
と、いきなり手を引っ張られ、路地裏に連れ込まれた。
持っていた杖をブンと振ると、冷たい剣に変わってゆきのに斬りかかろうとしたらしい。
「荵!」
もー。アイツったら…。
ゆきのは、必至に逃げ出しそれ以降、その店に近寄ってないとのこと。
もちろん、こんな悩み事は誰も取り合ってくれない。
ネットの書き込みで勧められて心療内科に行ってみたが
「緊張によるものでしょう。落ち着く事が大切です」と
血圧を下げる薬を処方してくれるだけ。彼女にとっては根本的に解決しなかった。
「引きこもってちゃだめだ。あの子と話し合わないと、と思って
ここまで出てこれたんですけど、あの日以降、あの子に出会わないんです」
ゆきのは頭を抱えて、髪をくしゃくしゃにした。泣いているようにも見える。
「夜が怖いんです。助けてください」
「大丈夫。わたしは死神だけど、力になれるかもしれない。ゆきのはいい子」
わたしは、ゆきのを誉める。
560 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:35:34 ID:vw9xtDrN
とにかく今日は、ゆきのと一緒に過ごそう。
ゆきのは、いわゆる三多摩地区のあるアパートで、一人暮らしをしている高校生。
訳あって、実家にもう帰りたくないとの事。同世代なのにしっかりしているなあ、と感心する。
家賃も最低ランクのもので、共同のトイレ・キッチンがあるだけ。風呂はない。
歩くと、ギシギシと床が鳴る。そんな、アパートに女子高生が一人。
窓からは、夕日で紅くなった光が差し込んでいる。
「狭いですけど、どうぞ」
本当に狭い。4畳半の土塗りの壁に囲まれた部屋に一人暮らし。
家具があるので、余計狭く感じる。
棚には、アニメのDVDや古今東西の本・漫画がぎっしりと詰まり、インクの匂いが漂っている。
くんくんとインクの匂いを嗅ぐのは、わたしは大好き。
「すきなの?こういうの?」
「うん」
「いい趣味だと思うよ。あっ、この置き時計かわいい」
「ネットオークションで買ったんだけど、これいいでしょ」
ゆきのは、素直な子だ。私と違って。そんなゆきのをどんどん誉める。
でもあまりにも、彼女が真面目のまー子に見えてくるので、わたしの中で
少しからかいたくもなってくる。とにかく、純粋すぎるのだ。
「実はね…。わたしたち死神に頼みごとをするには、お金がかかるんだよ。
えっと、今回の場合は1000万ぐらいかな。ちゃんと用意できるの?こんな暮らしで」
わたしのメガネを人差し指でつんと持ち上げ、芝居を打った。
「…そうですか。やっぱり、人に頼ろうとしていたわたしがバカでした。ごめんなさい」
ゆきのが泣きそうになったので、慌ててウソだと謝る。
びっくりするぐらいの純粋な子。天上界も欲しがるわけだ。
(ゆきのを、絶対守ってあげる)
そう、わたしは誓う。夕焼けがいつの間にか、夜空に変わっていた。
561 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:36:03 ID:vw9xtDrN
この晩はゆきのの家に泊まり、一緒に同じ布団に入る。こんな経験は初めてだ。
ゆきのと顔が近づく。彼女の息が暖かく、わたしの鼻をくすぐる。
わたしには、百合っ気はないんだが彼女の不思議な魅力に陥ってしまったのだろうか…。
「この耳って、本物ですか?」
わたしの耳を軽く抓るゆきの。
「本物だよ。息を吹きかけてみる?」
ゆきのは、俯いて赤くなった。
次の日、ゆきのは学校を休んだ。
どこにも出たくないとの事。わたしも付きっきりで付き合う。
次の日も、次の日も学校を休む。
なにもせずゲームしたり、マンガ読んだりと、だらだらした生活。
そして、たまーに、わたしはゆきのをからかう。
「明日使える雑学だよ。れんこんって、農家の人が一つ一つ穴を開けてるんだよ」
「へー。それって、何気にすごいね!!」
「ウソだってば!」
そんな会話ばっかりしている気がする。わたしは、死神である事をすっかり忘れてしまったかのように。
十日目の夜。布団の中で、突然ゆきのが話しかける。
「ねえ、紫さん」
「なにー?」
「わたし…しっぽが生えてきたみたい…」
「ウソ?」
「なんだか、腰の方が熱くって…」
ばっと布団を捲って、ゆきのを見るがしっぽなどない。
「ふふふ、紫さん。騙されましたね」
すっかり、ゆきのは悪い子になってしまった。わたしのせいだろうか。
そんな暮らしが二週間も続く。定期報告もすっかり忘れてしまった。
562 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:36:31 ID:vw9xtDrN
いつものように、布団に入る春先の夜。何もないのが逆に不安に感じるのか、
ゆきのは、日に日にわたしにくっついてくるのだ。
(わたし、死神の癖に何してるんだろう)
ミシっと、部屋が鳴る音が聞こえた。
深夜1時過ぎ。突然、扉を叩く音が聞こえる。
わたしとゆきのは目を覚ます。
「アイツだ!アイツがやってきたよ!」
布団に隠れ、息を荒くしながら怯えるゆきのに目の前にしたわたし、悲しいくらい今、非力だ。
「大丈夫だってば…」
無言で、わたしはゆきのの背中をさすっていた。
「ちょっと待ってて」と、ゆきのに言い残し、玄関に向かいドアスコープを覗くと
わたしの不安が的中していた。荵だ。
「開けてくださーい」
能天気な荵の声が余計に不愉快だ。
「空けるもんか、バーカ。一生、男と寝て暮らしてろ」
まるで、小学生の喧嘩のようなボキャブラリーで荵を罵倒する。
わたしは、悪い先輩だ。後輩の面倒もろくに見ず、ダメ死神と後ろ指差されて
人間の味方をしようとしている卑怯者だ。
目の前の獲物をやすやす見逃し、飼い主に襲いかかろうとする猟犬のようだ。
「紫先輩でしょ?わたし、何でもわかるんだから。とにかく、外で話しましょう」
わたしは、頭が沸騰していたのだろうか。
荵に諭され、外に出ようとしてドアノブを回し、扉を開ける。
わたしが、荵と付きっ切りならゆきのは大丈夫だろう。
「すぐ、戻ってくるから。うん」
ゆきのに優しく話しかける。ゆきのは黙ってうなずく。
しかし、そんなわたしが甘かった。
563 :
名無しさん@ピンキー:2008/03/26(水) 22:36:59 ID:vw9xtDrN
アパートの玄関先。深夜なので、全く人通りがない。
わたしは、ゆきののつっかけを履いている。ブーツを履いている暇などない。
夜の風は、わたしの足を容赦なく冷やす。
「お久しぶりですね。紫先輩」
「…」
「先輩もお元気そうで」
「ねー、紫先輩。お仕事はかどってる?」
ニコニコしながら、荵はわたしに聞いてくる。
「知らないよ。そんなこと」
「仕事を放っぽりだすなんて、先輩らしいですね」
カチンときそうになったが、いけない。荵の作戦かもしれない。
「とにかく、今は仕事をしたくないの」
「へへへ。とうとうニート死神の誕生ですね」
と、言い終わるか終わらない瞬間、荵はブンと持っている杖を振る。
そう、荵の杖は剣になる。不浄の血を瀉血するための剣。
月に照らされた、鋭い剣先をわたしの喉もとに突きつけ、アパートの壁に追い詰める荵。
荵の目は何時になく真剣で、この剣のように鋭く見えた。
いままでかいたことのないような汗が背中に噴出す。心臓の音が鼓膜にまで聞こえてきた。
「わたしが、先輩を殺してもいいんですよ。先輩も、もう死神として働かなくていいし、
天上界も不埒な死神を消したって喜ばれる。一挙両得だあ、ふっふー」
荵のバカ笑いが耳に突く。剣先はわたしのメガネに向けられ、レンズをツンツンと突付く。
怖い!怖いよ!
わたしは、ゆきのと同じ恐怖を感じているんだろうか。
死神に殺される!
564 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:37:35 ID:vw9xtDrN
この剣で斬られても、痛くはないはずなんだけど、きっと血はたくさん出るんだろう。
わたしなんか、醜い死神だからだくだくと瀉血しないと、天上界に戻れないね。
半分以上の血が流れちゃうかも。あはは、ダメじゃん。
荵は優秀だから、きっと上手に斬ってくれるはずだ。
そもそも、天上界に受け入れてもらえるのかな。きっと「お前なんか、くるな」ってね。
ならば、地上界に戻って、ゆきのと一緒に暮らしたいな。
誰にも邪魔されずに、小さな部屋を二人で借りて、のんびりお茶でも飲みながら暮らしたいな。
と、思っている隙に荵が突然、アパートに駆け込んだ。
しまった。ゆきのが一人っきりだ。
「バカ!!」
急いで、荵の後を追うが、つっかけでは走れず転んでしまった。
走りたいのだが膝をすりむき、足をくじいて歩けない。悔しい、無念だ。
最後までゆきのに付き添えなくて。
「やめて!」
深夜ということ忘れて大声で叫ぶわたし。泣いてしまいそうだ。
しばらくすると、荵がアパートから戻ってきた。
「びっくりしたなあ。全然、血が出ないんだもん。あんないい子いないって」
荵は杖を片手にわたしに近づいてきた。もう片方の手には、わたしのブーツやら私物が。
「ねえ、紫先輩。契約を結んだ人間は、死神に24時間以内は近づいちゃダメなんだよねー。
『天上界ヨリ派遣サレタル者ノ法・第34条ノ2』これ、常識ですよね」
わたしと荵は、ゆきののアパートから遠ざかった。
「さ。先輩のおごりで吉牛に行きましょう。深夜の吉牛はすんごくおいしいんですよ」
足が痛い。嫌だけど、荵の肩を借りて漆黒の住宅街をゆっくり歩く。
もう、ゆきのと会うことが出来ないんだろうな、きっと。足の痛さと、悲しみで涙が出る。
『大丈夫』って言ったのに、大ウソツキだ。わたし。
天上界で良くしてもらう様に、わたしは祈る事しか出来ない。
565 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:38:22 ID:vw9xtDrN
翌朝、足の痛みも和らいだわたしは、荵と別れ天上界に報告に行く。
全く報告していなかったので、アチラはお冠だろうな。
「アイツをクビにしてしまえ!」とか言ってるのかな。
おもしろい、クビに出来るものならやってくれ。そして、暴露本を書いてやる。
楽しい印税生活が待っているぞ。ざまあみろ。
しかし、いやだなあ。定期報告はいつも嫌だけど、今日は特に嫌だ。
公園の池にチョンと杖で突くと、不機嫌そうなお姉さんが現れた。
「亜細亜州日本国東京。0024番の紫です。定期報告をいたします」
「…心配しましたよ。全然連絡は来ないし、何かあったんですか?」
「いえ、別に…」
もう、会話をするのも面倒くさい。早く終わらせたい。いや、あの事を聞いておかないと。
「あの、ちょっと聞いていいですか?0068番の荵と契約した『宇摩ゆきの』についてなんですが」
「えっ?そんな契約の報告ありませんよ? しかも、人の契約についてなんて。
自分の契約はぜんっぜん伸びてないんですよ。しっかりしてください!」
そんなバカな。確か、昨夜は荵が、ゆきのと契約を交わしたはずだ。
「とにかく、あなたは報告義務を怠りましたねえ。大審院にバレたら一ヶ月の減俸ですよ」
お姉さんは、わたしを責める。責められて当然なんだが、そんな正論聞きたくない。
「ふぁーい。すいませーん」
やる気のない声で返事をしてしまった。
「まだまだ、あなたは伸びると思いますので活動を続けてください。でも、またこんな事起こさないでくださいね」
このクソババア。わたしが天上界に行ったら覚えてやがれ。
566 :
荵〈しのぶ〉:2008/03/26(水) 22:38:53 ID:vw9xtDrN
秋葉原のカフェで荵と出会う。
「昨夜のゆきのの事なんだけど…」
「…そうね。紫先輩には、申し訳なかったね。でも…」
荵は、暗い顔でジュースを飲む。一方、わたしは、アイスティーをストローでぶくぶくぶくっと息を吹き込む。
「わたし、契約交わしてなかったんですよ」
わたしは、目を丸くしてストローで息を吹き込むのをやめた。
「だって『全然、血が出ない』って言ってたじゃない」
「そりゃ、契約してないから当たり前じゃないですか。斬れなかったもんっ。
ゆきのっちたら、昨夜に紫先輩と契約を交わしてしまったって言うんですよ。
それに、契約者に近づいちゃって、もうわたしゃダメダメだよ」
わたしは、一切ゆきのと、契約なんぞしていない。
きっと、ゆきのは荵にウソをついたんだろう。一緒にわたしと暮らしていたから
すっかり、わたしの様にひねてしまったゆきの。
あの時の荵は、自分で自分を傷つけたくなかったのだろうか。
わたしは陰ながら、ゆきのを誉める。
「荵、どうするの?これから」
「とにかく、わたしは三日間活動が出来ないんですっ!あーあ。男の子と遊びたいなあ」
荵は痛い目に遭い、かなりへこんでいる様子。荵の耳には、優秀な死神の証のピアスがなくなっていた。
わたしは、荵の事を大笑いしてやりたい気分だが、わたしも同じく痛い目に遭っているのだ。人のことが言えない。
「荵のバーカ、あとでご飯食べに行こっ。おごるからさ」
「まじっすかあ!?うわーい」
まるで幼稚園児のように喜ぶ荵。早くお互い認め合える仲間になりたい。
きっと、わたしも荵も孤独が怖いんだろう。
そして、後でゆきのの家に行ってみよう。
おしまい。
前作のキャラにさらにあらたなキャラを加えてみたんですが
書いている自分でもキャラを掴むのが難しかったです。
>>547さんの言っていた「死神の精度」は
>>547さんから教えていただくまで
実は、存じませんでした。それで、今週一気読みした所です。
ちなみに、前作は漫画「ブラック・ジャック」の一遍からヒントを得たものです。
そういえば「ドクター・キリコ」も死神っぽいなあ。
投下中に急に上げてしまってスイマセン。
以上で投下終了です。
すごいクオリティーGJ!!
GJ!
ほす
死神さんて
@人を恐怖に陥れる悪役
Aか弱い善人
どっちなんだろう。
なんて愚問。それは当然
Aダトイイナ…
何か色々割りきりまくった気だるげな勤め人。
死を扱うが故に生者にとっての死の意味を理解できない人々
ほしゅ
死を司るが故に無い筈の自らの死に狂的な恐怖心を持つ人
>恐怖心を持つ人
……人?
575の中の死神は職業って分類なんじゃね?
物語中の人物みたいな意味じゃないか?
死神さん、いらっしゃい
580 :
名無しさん@ピンキー:2008/04/27(日) 12:33:09 ID:kGA/lE0w
続きに期待保守!
ほす
ほしゅ
583 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/03(土) 11:33:43 ID:Kzu3yey1
age
保守
あんたの魂いただくよ(棒
「脳天直撃死神チョップ」
「きゃん」
やる気なさすぎワロタ
w
>>586 その死神には潔癖症の息子がいるんですね
分かります
hossyu
591 :
名無しさん@ピンキー:2008/05/25(日) 09:09:02 ID:ovCaem5N
浮上
沈下・・・
豆知識
死神の手帳には標的の卒業文集が記載されている。
594 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 00:49:56 ID:zMplupX8
厨房で携帯からの自分ですが、投下します。終
仕事の帰路、こつこつと靴を鳴らし歩いていると、路上に何か赤いものが在る事に気付いた。
暗いので良く視えはしないが赤いものがあると確信できる。 なんだろうか?
ここは田舎とも都会ともいえない所である。
ましてや、自分の住居は離れにある。
そのまま、赤いものが在る方に歩いて行く。
少しずつ近づいていく。
「えっ?」
近付いて行き、ハッキリと分かる位置になったと思ったら間抜けな声を上げてしまった。
その赤いものは人だった。
マントの様な物を羽織っているらしい。
街灯も無く、顔が良く視えな
い。
「……………」
考える。
「大丈夫ですか?」
取り合えず声をかけてみた。
すぅ、すぅ。
返事は寝息で返ってきた。
どうやら生きてはいるらしい。「貴方のお名前は?」
「……鈴原敏行」
何故か、動揺せずに名前を言えた。
「すずはらとしゆきさん。ですね?」
顔は良く見えないが口調からして女性だとようやく気付く。「はい、そうですけどあ─」
「貴方は誰ですか?とおっしゃろうとしたんですよね?」
「は、はい…」
「わたしは死神です」
自分は書物を読む方なので妖怪や神等が登場するものも読んだ事が有
595 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/01(日) 00:57:47 ID:zMplupX8
途中で切れてました。
済みません。以下続きです。
しかし、実際には、いないも
の。存在し得ないものだと割り切って読んでいた。
その、割り切っている筈の、空想である筈の死神は言った。「残念ながら、貴方の余命は明日だそうです」
「それは、残念です」
自分はさも当たり前かの様に返した。
「驚かないんですか?」
明日死ぬというのに他人事のように言う自分に、奇異の視線を向け死神は言った。
「ほんと、なんででしょうね」 すると、死神は。
「早くて助かります。では早速………」
死神は何処から出てきたのか大きな鎌を出し、大鎌を横に振った。
「えいっ」
斬られる痛みこそ無いが体からごっそり力が取られるような感覚の後。
その感覚もやがて消え掛ける。
消え逝く意識の中に頭に残るのは。
あぁ、物語通り神々は適当なんだな………。と。
以上です。
続きは考えていますがまだ途中です。失礼しました。終
やったー!約3ヶ月ぶりの投下かな。
死神に出会ってもあっさりしている鈴原氏が今度どうなるか
天界から見守りましょう。
わしもなにかここで書いてみるかな。
イイヨイイヨー
598 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/05(木) 00:09:51 ID:Lc9wtzh4
浮上
599 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 06:58:05 ID:e4WM9aPR
保守
600 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/08(日) 19:16:58 ID:7DGtfrl+
600
601 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/09(月) 19:47:41 ID:PZ4dp8qk
ほしゅ
保守してもいいですか><
603 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/19(木) 12:11:03 ID:sK4t5vFJ
生きていてもいいですか
>>604 生`
って今日家の近くにある商店街の交差点で見かけた
黒装束着けたいい年の女の子がつぶやいていた
自分に生きろといって俺はどうするんだ\(^o^)/
とりあえず
>>603生きろ
誰もが答えを知っているから、誰も答えない。
知っている筈が、皆違う答えを浮かべる喜劇
zakzakCMのウザさに勝るCMなんてあるの?
>>605 どうもこうもありません。
二倍速で激しく生きなさい。
そうすることであなたの死は、
より一層芳醇なものとなるのですから。
610 :
名無しさん@ピンキー:2008/06/28(土) 00:58:01 ID:mhJqz6gL
保守
611 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 00:26:25 ID:u2TTiBnv
ほしゅ
「……はい、終了です。回収して下さいー」
……あー…やっとテスト終わったー……
中間は結構良かったのに、期末になるとやる気の無さが浮き彫りになってくるよねー。
「……なーなー、梨亜はどうだった?結構埋まったか?」
「………あつっくるしいからくんな」「酷っ!!」……ったく…
私の名前は『芹沢 梨亜<セリザワ・リア>』。
単なる高校に通ってる一部を除いて普通の高校生。
…見ての通り、数学嫌いだ。誰かアレの楽しさを教えてくれ。
「……おつー」「…むり、せんかを止めて……」「……あたしにゃむりだわ」
……このひとまわりちっけぇのは、『虚 夢李<ウツロ・ムリ>』。
普段はかなりはっちゃけてる奴だが、流石にこの暑さの下では名前通りになるらしい。
…んで、あのうざいのが『宵町 茜花<ヨイマチ・センカ>』。説明は省く。
「梨亜はさ、この後なんかあるわけ?なかったら一緒に飲もうぜ」「……わーい、残念ながら用事はあるけどサボるー、行くー」
「だーめ。ちゃんと用事は済ましてから来なさい。…つーか茜花、飲むのはジュースよね…?」
「……リアよ、何故悲しい。……それはね、……」『何独り言呟いてんの〜』
……何が悲しいって、そりゃさ。
テスト明けに死神やってりゃ疲れるっての。
『りあ〜、時間〜。体よこせっ!』「あまり無理しないで欲しいのだが」
死神とは何か。死神とは、死神である(言い訳的な意味で)。
漫画やアニメでは、バケモノだったり戦士だったりノートくれたりと、色々あるでしょ?
こいつは、精霊、とでも言うのか。幽霊みたいにとり憑いたりするけど。そういう種族なのだ。
「っと、チェンジ完了……りあはかなり疲れてるのな。身体が軋むぞ」『分かったら遊ばせろ。早く終わせ』「ん」
地上の死神の仕事は。
・浮遊霊を導く
・悪霊をかっさばく
・自殺を止める
……これが大体かな。今自殺とか多いからね。
悪霊なんて。いてもたいしたことないやつらばかり。かっさばいてもストレス解消にもなりゃしない。
そんなわけで、浮遊霊に死を自覚させに今日も仕事だ。あーめんどい。
新作キテタ!イイヨイイヨー
続きをヨロシク。
「……あ、あなた死神ですか?」「ですね」「あー…やっぱり死にましたか。それで、何すればいいんですかね?」
「……ハイハイこちら死神名[Lia=Recall]、あん?りあは今借りてるから無理!仕事中だってんの!」
『……リア、今の』「りあのクラスメートだよ。仕事終わせってよ」『携帯ならまだしも死神通信機にハッキングしたなあいつら…』
「……嫌だ!死にたくない!生き返らせてくれ!!」「…上に内緒でたまに生き返らせたりしてるんだが、あんたのは手遅れだなー…内臓破裂、複雑骨折。」
『ついでに脳挫傷もね。』「うわぁぁぁあん!!」
……一段落ついて。
「……なー、りあ」『なんだいりこーるさん』「最近『死』に無関心なのが増えたな」『……かもね』
…最近は、自分が死んだ事を聞き、落胆する人間が少なくなってきた。
――『……別に死んでもいいや。』…こういう奴らが増えてるのだ。
「…あーでも練炭とかは正直勘弁だよな。硫化水素とか。」『あれは自殺じゃなくて『集団友人殺害事件』でいいよもう』
……さて、死神化を解除して、後は夢李たちと夜のお茶しに――、
「……アイツなんだ?」…リアが指差す。
その先には、ビルの屋上。
『……ッ!!!![RIZE UP]!!』「了解ッ!!」
精神力を高め、霊力を解放し、瞬間移動。
「……ちょっと!アンタは何やってんの!!」……ビルから墜ちる予定だった少年は、いきなり現れた私に気付いたようだった。
「……ダレ?天使?悪魔?」「死神!!むしろ人間!!」「……人間?」
……死神化は解除したから、今の私は単なる人間だ。多少霊術は使えるが。
「……人間が死神になって、平気なの?」「毎晩仕事で寝不足よ、自殺志願者止めたりしてるから!!」
……睨む。流された。
「…とりあえず、私が死神仕事辞めない限りは自殺すんじゃねぇ。これ以上仕事増えんのは迷惑だ」「……ならさ、
俺も死神にしてくれよ。
……駄目?手伝うぜ?」
………なんだよこの唐突な奴は。そんなに生きたくないか。
「…了承貰うまで待つからな」「『………』」
……最近はこういうのも増えてきてる。
神降臨にwktkしてます!
わくわく
616 :
んじゃ。ほれ:2008/07/04(金) 14:34:30 ID:KX5GQLDM
……言い忘れた設定。
まず、私達の学校には、一部変なのがいる。
その内の一人は私だが、友人達も負けてはいない。
宵町茜花。彼女は超能力者だ。
透視から念動までなんでもだ。故に、多少の寝坊では遅刻しない。テレポートできるから。
…ちなみに、死神の情報網にハッキングしたのはコイツの仕業。
さて、虚夢李。彼女は魔法使いだそうだ。
……なんでも最強の魔法使いにスカウトされたとか。なんだそりゃ。
魔法については、ゲームなんかと同じく『属性』が絡むという。楽しそうだ。
………で、さっき屋上に行ったら。
「…よっ」「…………」
「アンタ、ここの生徒だったんだな」「おい自殺志願者。
なんでこの学校にいる?
どこぞのギャルゲか?ネオロマンスか?B級エロゲなのか?
てゆーか死にてぇなら虐められろ。引き込もれ。イジメ理由に自殺しろ。」
「……いきなりだな」「むしろ死ぬな。仕事が増える。死にたきゃ引っ越してから氏ね」「……」
……溜め息ばかりの毎日は始まったばかりだ。
打ち切りエンd「うぉーい、何終わしてんだ」
……ちっ。
617 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/04(金) 22:44:55 ID:yTIoDXMx
保守
いい感じですね
( ^ω^)
(・ω・)
('A`)
622 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/20(日) 20:05:30 ID:W7UCORsV
ほ
し
「ゆっくり死んでいきな・・・」
黒いローブを着た女性が、部屋の窓枠に腰掛け、ベッドの上にいる俺を見ている。
俺は、やがて息を引き取るだろう。それも、こいつがいるせいで。
「いいじゃないか、こんな美しい女性に看取られるんだぜ?
一人孤独に死ぬよかマシだろう。」
……ああ、なんだか頭にノイズが走る。
「さて、ここで一つ選択させてやろう。
A.病で死ぬ。
B.鎌で首を刈り取られて死ぬ。
C.近くの川か海に落とした後、溺死して死ぬ。
D. ……ええと、思いつかないな。
さ、どれがいい?」
彼女は、俺に向かって残酷な形相で微笑む。
俺は、思った。
―――ああ、やっぱこいつ、死神だな、と。
ゅ
D
ゅw
>>626 最初の文字もこっそり ゆ だったりする
あまりに過疎ってるのでちょっと明日にでもなんか書くかも 忘れるかも
期待
>>627 長編書いてて時間が掛かってるんですねわかります
「―――死なせてよ。」
とある廃ビルの屋上。そこに立つは、死を欲求する髪を茶色に染めた青春真盛りのお年頃の少女。
対するは、黒、いや漆黒と言うのが正しいだろう黒よりも黒い髪を持つ二十歳位の女性。
「あなたのような子が人生を捨てるだなんて、勿体無い。
まだまだ私みたいなおばさんより、はるかに道は残されてるでしょ?」
本来驚くべきことは少女が屋上のヘリ―――一歩踏み違えると落ちてしまう位置にいることだが、
この場合、むしろ……女性が宙に透明の椅子があるかのように座っていることに驚くだろう。
「……誰も私を気にせず、誰も私を愛しない。そんな私が生きてても、ただ苦痛を感じるだけなの。」
(誰も私に関わろうとしない。ただ、私のことを遠くで見守るだけ。)
「でも、今私があなたを相手にしているじゃない。」
「どうせあなたには私の気持ちは分かっていない。今更私のことを相手にしないで。」
(どうせあなたは、私が死ぬのを止めたいだけでしょう。)
「知ってる?寿命を残して死ぬと、その残った分に応じて、"罪"と"罰"を背負うのよ。」
「……そんな迷信がどうかしたの?」
(……脅してるのかしら。)
「ただの警告。あなたが死んだ場合、あなたはその"罪"で嘆くことになる。」
「どいて。脅しのつもり?私はもう死を恐れてなんかいない。」
(そう、私はもう死ぬんだ。これ以上生きていける自信が無い。)
「足が震えているわよ?」
「……うるさい。」
(うるさい。どけ。)
私は目の前に立つ女性を押しのけ、廃ビルから飛び降りる。
私は頭から落ちていく。廃ビルの5F、4Fが経過して、3Fが過ぎ、2Fが去って、1F――――
私は、死んだ。
そして、私は、生きていた。
なんで?私、死んだはずでしょ?
『それがあなたの罪と罰。あなたは、"死なない"。
よかったじゃない。みんなの憧れる不老不死を手に入れたのよ?』
病院の質素な天井をぼんやりと見ている私に、どこかからあの女性の声が聞こえてくる。
『あなたは、死なない。でも、あなたは魂を持っていない。魂を持っていないから、
あなたは生き続ける為に、魂を消耗する代わり、エネルギーをひたすら消耗し続ける。』
『例えエネルギーがなくなっても、死ねるわけじゃない。 ただ、苦痛を味わい続けることになる。』
『そう、これがあなたの忠告されて自殺した"罪"への、苦しみ続けなければならないという"罰"。
あなたは、苦しみながら生き続けなければならない。』
『ああ、心配しなくてもいいわ。おそらく、10000年くらい経てば、
あの世から文字通り"お迎え"が来てくれるはずだから。』
『それまで、あなたは苦痛を味わい続けることになる。』
私は、両親に迎えられ、無事?に病院を退院した。
『消耗するエネルギーだけど、実際エネルギーなら何でもいいのよ。
例えば、食べ物から手に入るタンパク質とかアミノ酸、ブドウ糖でも構わない。
でも、その程度じゃ足りないの。すぐ消耗しきってしまう。』
『なら、消耗し続けるだけで、そのうち苦痛を軽減なんてできなくなる、
そう思ってるでしょ?……もちろん、その通り。』
私は、親の運転する車の中で、その声を聞く。
『だけど、そんなあなたにうれしい情報。わたしは、あなたに一つの鎌をあげる。』
私の指には、一つの指輪が。
『それはあなたの想像に応じて、刃を創造する。……なんてね。』
『その刃で人を貫け。そしたら、あなたはその人のエネルギーを奪って生きられる。
あなたが憎む人を貫き、殺しなさい。あなたの復讐もかねて。』
彼女は、私の身の上を知っているかのように話す。
ならば、私は答えよう。私は、憎きあいつらを殺す。
私は、魂を刈り取る死神と化そう。
632 :
名無しさん@ピンキー:2008/07/30(水) 15:01:24 ID:OM2Vw1zK
>>629 ごめん、忘れてたんだ。
今さっき巡回したら思い出したから簡単に最初だけ書いた
続きは書く かも
>>632 GJ、続きを期待してるから忘れないでください(´・ω・`)
ほしゅ
素晴らしい展開!続きもヨロシク。
続き待ちの場に、短篇でもいかがでしょうか。
随分前に投下させていただいた
>>531と
>>551の続篇とか書いてみました。
では。
637 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:50:40 ID:aPKVrGvf
一人で夜の街を歩いているとき、わたしが死神でよかったなと思う。
このくたびれた若者も、あの後先見ないスイーツ女もみんな死んでいくんだと思うと
死神としてわたしはどうしても笑ってしまう。
人間なんて、死んでなんぼ。死んだときにどのくらいの人が泣いてくれたか
死んだ後にいつまで覚えてくれているかで、人間の価値が決まるのだ。
そんなわたしは人間の価値は決められないけど、死に時くらいは提供してあげられるからね。
心も何もかもがひんまがったヤツなんだ、わたし『紫(ゆかり)』は。
死神の仕事は天上界に地上界の人間を送ってやる事。
ただ、天上界が求める人間は真っ直ぐで優秀なヤツ。すなわち地上界で言う『エリート』、
真っ当に、清く正しく生きてきた人間を汚れなき天上界に誘う。
彼らが住むには、地上界は薄汚れすぎている。
天上界には、誠実で素直な人間が求められているのだが、人間は環境の生き物。天上界で豹変する奴も少なからず存在する。
そんなヤツらを上のものが放っておくハズがなく、天上界にそぐわないヤツだと判断されれば、そいつは地獄にまっさかさま。若しくは地上界に舞い戻り。
そして、そんなヤツを連れてきた死神は『死神として役立たず』の烙印を押されてしまう。
で、わたしはてんでからっきしな『ダメダメ死神』だと天上界では少しは名が通っているのだね。ちぇっ。
風は心地よく小鳥が楽しくさえずっているのに、今日はやる気が全く出ない。
天上界でバリバリ働く同期の死神から、少し悪い噂を聞かされて気分が悪いからだ。
「紫が連れてきた子のことなんだけど…」と。
わたしをバカにしているのか?それとも、同期のよしみで心配してくれているのか?
どっちに取るかは、わたしの気分次第。今なら確実に前者の方だ。
638 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:51:05 ID:aPKVrGvf
そんな時は、地上界の唯一の友人、宇摩ゆきのの家にでも立寄ってみよう。
彼女とは少し前に知り合った、いまどき珍しい孤独を愛する女子高生。
宇摩ゆきのは、都心から離れた小さなアパートに一人で住んでいるのだが、
花も恥らう女子高生が好んで住むようなものにはほど遠く、
むしろ生きることにくたびれた、名もなき世捨て人の為の様な木造の建物であった。
そんな古い建物の薄い扉をノックすると、色白の少女が中から出てくる。
「いらっしゃい」
「元気?」
「うん」
黒く長い髪を揺らし白い歯を見せ、暖かくわたしを迎える少女が宇摩ゆきの。
わたしはネコミミで尻尾の生えたという、どう見ても近寄りがたい格好なのに
そして、荒んでひねくれたわたしなのに、昔からの友達のように優しくしてくれるゆきの。
小さいながらこざっぱりしていて、部屋いっぱいの本やアニメのDVDもわたしの趣味にぴったり。
わたしはぎしぎしと鳴く畳を踏んで小さな部屋にお邪魔すると、ゆきのは冷たい麦茶をわたしにすすめてきた。
639 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:51:26 ID:aPKVrGvf
「紫さんが来てくれて、うれしいね」
コトンとグラスを置くと、にっこりと笑いこんなわたしでもおもてなししてくれる。
わたしの事情を根掘り葉掘り聞こうとしないので、自然とわたしも笑みがこぼれる。
「ゆっくりする?」
「うん」
ゆきのの家では本当にどうでもいいことばかりしているな。
わたしが死神である事を忘れさせてくれる、唯一の場所でもあり、唯一の人がゆきのである。
ぐだぐだと寝転びながら、取り留めのない会話をする。空は青く、雲も白い。
そんな会話に嫉妬したのか、風鈴が静かにチリンと。
「ねえ…知ってる?この都市伝説…」
「ふーん、なに?」
相変わらず、ゆきのはこの手の話題が好きなようで。
まあ、根がおたくだから当然かも。何しろ初めて会ったときゆきのは、
ネコミミのコスプレをしていたしね。そして、第一印象は純な子だった…はず。
「ある犯罪者に関する都市伝説なんだけど…興味ある?」
「なになに?教えて!」
「えっとねえ…ちょっと有名な話なんだけど」
「だけど!」
「こっからは100円ちょうだい!」
「けち!」
わたしとゆきのは笑っている。あははと笑う。
こんな時は、死神のわたしだって思いっきり笑うのだ。あはは。
わたしのせいで少しおかしな子になってしまったのは申し訳ない。
640 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/01(金) 22:51:48 ID:aPKVrGvf
ある日のこと。
わたしは故あって天上界に出かける。何ヶ月ぶりだろうか。ネコミミの後ろが熱い。
しかし、けっして喜んで向かっているわけではない。呼ばれたから仕方がない。
どうせお説教が待っているんだろうな、死神として芳しくない成績を叩き上げるわたしは
天上界のお荷物ですからね。ふん、誰にも媚びない黒猫のわたし。
ピンピンはねる尻尾も今日は絶好調なのであった。ふう、どうして上司って存在するのだろうか。
人目の付かない公園の片隅。誰も見られてないのを確認すると
わたしがいつも持っている死神の剣をぶんと振る。すると、切り裂かれた空気の隙間から真っ白な階段が現れる。
天上界へ行くには、人間どもには見えない階段を登ってゆくのだ。この階段がわたしには13階段に見える。
白く輝く天へと続く階段をのこのこと歩き始めるわたし。真っ黒のワンピースがくっきり浮かび上がる。
やがて階段は雲に包まれ、天上界と地上界の境目か、周りは混沌としている景色は久しぶりだな。
雲の中を歩いていると、見覚えのある少年が一人やって来た。確かこの子は、あの時の…。
「覚えてますか!」
「………」
「やだなあ、紫さん。ぼくですよ、悠太ですよ」
そうだ、由良川悠太だ。コイツは。
641 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:52:08 ID:aPKVrGvf
――――3ヶ月前。
由良川悠太との出会いは空が茜色に染まる頃、とある駅のホームの上だった。
家路に向かう人間を腹いっぱい詰め込んだ電車が滑り込む中、彼はフラフラと果敢にもその電車に向かって飛び込もうとし、
あろう事にも死神であるわたしが助けてしまったのだ。ほっておいてもよかったけど、
まあ、わたしの得点稼ぎに協力してもらおうか、とその時のわたしは思っていたのだろう。
ぎゅっと羽交い絞めをすると、仄かに生きている証の暖かさが少年から伝わってくる。
生きてる。少年は生きてる。
「どうせさ、死ぬんだったら、わたしと話をしようよ!」
「……うん」
少年をわたしの奢りで喫茶店に連れ出し、この子を落ち着かせる。
静かに時間だけが進むこの空間、どうしてくれる。
いつまでも俯いたままの少年の相手をしなければならないのかと思うと、わたしは少し後悔をする。
しかし、誘ったのはわたし。わたしのバカ、わたしのバカ。
何もする当ても無いので、わたしは自分のメガネでも拭きますか。
すこしぼやけて見える無口の少年は、きっと周りからもこのように見られているのだろうと思うと、
少し他人には見えなくなってしまった。沈黙をわたしが破ってみせる。
「ね、お姉さんになんでも言ってごらん。わたしとあんたは無関係なんだから、得も損もないでしょ?」
「………」
「あーあ。このジュース、タダじゃないんだよね」
「だって、みんなぼくのことを『死ねばいいのに』って言うんだ」
「それであの騒ぎを起こしたの?」
「…みんなが言うから」
話を聞いてみると、びっくりするくらいの素直な子。この純粋さは地上界では仇となる。
わたしが地上界の人間だったら間違いなく「死ねばいいのに」って言って、いじめていたであろう。
そんなことはさておき、彼にわたしが死神である事を伝えると、すんなりと受け入れてくれた。
もう、藁にもすがりたい気持ちなのか。だから、ヘンな宗教とか、スピリチュアとかが流行るのかね。
言っておくけど、わたしはそんな詐欺まがいな事をしているのではないぞ。念のため。
642 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:52:34 ID:aPKVrGvf
「ぼくは、生きていても…いいのかな。紫さん」
「困ったときって、選択肢があると気持ちが楽になるのよね」
「じゃあ…どうするの?」
「わたしと契約を結んで、天上界に行く。即ち、死んでしまうって事。
もう一つは…このまま生き続けること。さあ、どうする?」
「楽になる方がいい。紫さん、助けて」
やけになっていた悠太の気持ちを察し、その純真さと意気込みを気に入ったわたしは
彼と契約を結んで無事に天上界に送ってやった。前向きな悠太の笑顔が眩しい。
―――――そして、地上界をおさらばして天上界でのんびりとしている…はずなのに。
しかし、何でこんな所にいる?
「紫さんは、天上界に帰ってくるんですか?」
「い、いや…。まだなの」
「そっかあ」
にやりと笑う悠太の気持ちはこの時は分からなかった。
あいさつもそこそこに、悠太は口笛を吹きながらどこかへ行く。
さて、わたしは今からお説教を食らいに行くか。
きっと天上界のババアからたんまりと嫌味を言われるんだろう、分かってるんだから。
でも、ただお説教をされるわけじゃないぞ。ケンカをしに行ってやるからな。覚えていろよ。
643 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:52:55 ID:aPKVrGvf
夕方近い路地裏、ここは地上界。
昨日は昨日のことですっかり忘れる事にしたい。あんなにボロッカスに言われるとは
露も思っていなかったから、いまでもモヤモヤする。
天上界の上層部、ヤツらの文句は『このままだと、あなたはクビですよ』的な警告。
「あなたはあまりにも、のほほんとしすぎてませんか?」
(そのくらい、分かってます)
「後輩たちもぐんぐん育っているんですよ…」
(知るかよ)
一言も言い返せなかったわたしはヘタレだ。思いっきり目の前の空き缶を蹴飛ばす。
そんな時は、昨日は昨日でとっとと忘れて笑ってくらそう。
死神だって笑顔でいたい時もある。笑いは偉大だ。
「紫せんぱーい。お久しぶりっす」
後輩の『荵(しのぶ)』が尻尾を振ってやってきた。
わたしの後輩のくせに死神としての成績もよく、明るい人気者タイプの子。
ことあるごとにわたしをバカにするのだから、あんまり好きじゃない。この子は。
「わたしですねえ。ひっさびさに天上界に行ってきたんですよ」
「ふーん。それで」
「で、ヘンなヤツ見つけちゃったんすよっ。ヘンなヤツ!」
わたしと同じようにネコミミをピンピンさせて楽しげな荵。
まあ、優秀なヤツだから天上界でも可愛がられているんだろう。
「ソイツはね、天上界でもちょっとした大バカヤロウでしてね。
人の悪口ばっかり言ってまわるわ、仕事はしないわ…。困ったもんですねえ」
644 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:53:13 ID:aPKVrGvf
そういうヤツは天上界にも、一人は二人いるのだ。で、目に余る場合は
エリート社会で塗り固めるのがよしとする天上界の恥さらし者とされて、もう一度地上界に送り戻されるのである。
もう一度、地上界でやり直せと。人間になるか、フナになるか、それとも…それは天上界のヤツにしか分かりえない。
「で、どこがヘンなの?」
「ソイツ…紫先輩の事が好きなんだって!ふっふー」
「殺すよ」
もっとも、死神には色恋沙汰はもってのほか。わたしたちに『人を好きになる』と言う感情が
強くなればなるほど、死神の力は薄まってゆく。
なぜなら、『好きになる』と言うことは、『地上界で生きる喜び』、即ち『生きる』ことは死神の力に相反するからだ。
そして、キス…セックスまで及ぶと、無論…。死神ではありえなくなる。
それは恐ろしい事。
なのに、荵はケラケラと笑いながら、わたしの顔を下から覗き込む。
わたしは荵の足をぎゅうっと踏みつけてやった。ざまあみろ。荵の泣き顔はいつ見ても面白い。
それでもめげないのが、荵の良い所であり悪い所でもある。
「こんな先輩、大好きっす」
「ホント、殺すよ」
645 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:53:33 ID:aPKVrGvf
泊まるあてのないわたしは、宇摩ゆきのの家へ。何となく今日あった事、荵の事、色々と話す。
ゆきのの話は嫌な事を忘れさせてくれる。
「ねえ。この間の話の続き…聞きたい?」
「えっとお、何だっけ」
「ほら、犯罪者の都市伝説」
そういえば、そんな話もしてたっけ。ゆきのはニヤニヤと笑っている。
「聞かせてくれる?ソレ」
ゆきのはお茶をごくりと飲んで話し始める。わたしは黙って聞き入る。
「いまさら話すのも恥ずかしいほど有名な話なんだけどね…。
ある凶悪な殺人犯に行った心理テストでね、いい?よく聞いてて。
『父、母、息子の一家の話。事故で父が亡くなり、葬儀が行われました。
その葬儀に来た、とある若い青年。その青年は父の同僚です。しかし、母は
その青年に一目ぼれ。暫くして母は子供を殺してしまいます…』どうしてでしょうか…というお話」
ゾッとする話だ。この話の内容でではない。由良川悠太のことでなのだ。
もしかして、いや…確実に由良川悠太にこの質問をすれば、こう答えるのだろう。
「紫さん。答えはね…『また、青年に会えるかもしれないから』」
646 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:53:54 ID:aPKVrGvf
「お久しぶりですね、紫さん」
雑踏の中、いきなりわたしに話しかけられたその声は紛れもなく由良川悠太のものだった。なぜ地上界に?あんたはとっくに斃れていたはずなんだぞ。
この世とはおさらばして、天上界で下界のヤツラを笑っているはずなのだぞ。
「会いたかったんですよ…ぼく」
「…はあ」
「ホントのこと言っていいですか?」
勝手にしろ。
「ぼく、紫さんのことが…好きです」
「………」
「だって、あんなにぼくの話を聞いてくれたのは、紫さんが初めてだったから」
「……わたしは…嫌いだな。アンタの事」
「紫さんはウソが下手糞だ」
わたしは由良川悠太が怖くなってきた。何か見透かされているんじゃないかと。
「でも、こうやって会えることって…ぼくが『死んでしまいたい』って思わなきゃ
紫さんに会えないんですよねえ。つまり…」
「ホントに死にたいの?」
「はい!」
「ウソ」
人間は臆面もなくウソを付く、人間の素直さは時として、残忍な凶器になることはよく知っている。
由良川悠太は青白く光る見えないナイフをちらつかせる。
「わたしは分かってるよ、アンタの腹の内。悠太さ、バカでしょ?」
「やだなあ、紫さん。折角こうして話が出来るのに…」
「うるさい!アレでしょ?こうすりゃ、いつまでもわたしと会えるから天上界と地上界を
行ったり来たりしようって事でしょ?あんた、何考えてるのよ!」
「紫さんと…」
わたしは思いっきりヤツの頬を引っ叩く。手が痛い。
647 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:54:14 ID:aPKVrGvf
由良川悠太はそれでもにやりと笑いながら、わたしに向かって恐ろしい事を話し出す。
「…そりゃないよ。折角、紫さんに会いに来たのに。
ぼくは紫さんに会うためにどんなに頑張った事か。紫さんはわかんないの?」
「だって、あんたが死んでしまいたいって言ったから、わたしが天上界に送ってあげたのに」
「ぼくは初めて人を好きになったのは、紫さんです!だから!!」
「死神は人を好きになっちゃいけないの!!バカ」
思ったままの感情を由良川悠太にぶつける。そして、
「お願い!もう一度…死んでくれない?!」
「何度でも紫さんに会えるのなら…何度でも死にますよ。そして何度でも…」
「それはダメ!!」
夢中で腰の剣をパッと抜き取り、由良川悠太の首に突きつける。
天上界へと送る為の剣。この剣でアイツを斬れば、大人しく天上界に逝ってくれるはずなのに。
あくまでもこれは儀式。体の中の不浄なものを抜き取り、清らかな天上界に持ち込ませないためだ。
剣先が小刻みに震える。由良川悠太よ、怖くないのか。わたしはあんたを殺そうとしてるんだぞ。
「紫さん…無駄だよ。また戻ってくるから」
「うるさい!」
わたしが目をつぶって腕をぶんと振ると、剣は何も言わずに由良川悠太の首を引っ掻く。
剣は由良川悠太の血で染まる。もちろん本物の血ではない。
地上界でも汚れたものが具現化したものなのだが、びっくりしたことにコイツは殆ど流れない。
ホントに汚れきっていない純粋なヤツなのだろうか。何事もなく由良川悠太は立っている。
まあ、ホントに斬っている訳じゃないので当然なんだが。
「この後ね、地上では死神に会っちゃいけない決まりなの。だからね」
「うん、それじゃあまた…」
「二度と会うもんか」
わたしは彼に再び会えるだろうか。…何言ってるんだ、わたし。
648 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:54:40 ID:aPKVrGvf
あの日以降、約束どおりにわたしは由良川悠太に会っていない。
彼は無事に天上界で暮らしているのだろうか。いやいや、死神に情けは不要。
彼は彼、わたしはわたし。もう二度と会うことはない…と信じたい。
わたしは地上界での生活に慣れきってしまって、自分が死神だって事を忘れてるんだろうか。
もしかして、これがゆきのの話に出てきた『一目ぼれ』ってやつなのか。
そんなことどうでもいい。健やかな青空が更にわたしをムカつかせる。
しかし、疑問が一つ。
どうして由良川悠太が由良川悠太の姿で、地上界に戻れたかだ。
同じ過ちを繰り返させないという観点から、天上界から地上界に戻る場合、
けっして元の姿のまま、地上界に舞い降りる事はないはずなのになぜだ。
理由が何かあるのだろうか。と、恐ろしい考えがわたしの脳裏に浮かんだ。
もしかして何か大きな力で『わたしを消そうとしているのではないか』。
わたしと由良川悠太を接触させて、恋愛関係に持ち込ませる。即ち、死神『紫』の死だ。
この間の天上界から『このままだと、クビですよ』の警告。それを自然に遂行する為に
わざと由良川悠太を地上界に下ろしたに違いない。そして、由良川悠太がわたしの事を好きだと知っているヤツは…。
セミが鳴き始め、あさがおが咲く季節。日差しが眩しく照り続けている。
未だに由良川悠太は現れない。別に待っているわけではないが、由良川悠太は現れない。
この事を無二の親友、宇摩ゆきのに話すと思いもよらない答えが返ってきた。
「ふーん。実は…」
「え?」
「悠くんとは…」
「まさか、由良川悠太と?」
「そうです。えへへ…わたしの彼氏になりました」
そうなんだ。隠しているなんて、照れくさいぞ。ゆきの。
649 :
紫、ふたたび:2008/08/01(金) 22:55:04 ID:aPKVrGvf
「悠くんとは、この間商店街で出会ってからのお付き合いなんです。
とっても素直な子でしてね、かわいいんですよお」
わたしのネコミミがぴんと立つ。しかし、ゆきのは続ける。
「という夢を見ました」
わたしは初めてゆきのを軽くデコピンした。ゆきのは、てへへと笑う。
つられてわたしもえへへと笑うのであった。
夕方、いつもの様に出歩くと由良川悠太の代わりといっちゃなんだが、
荵がいつものように人懐っこくまとわり付く。コラコラ、尻尾を引っ張るな。
「それにしても、紫先輩は地上が好きなんですね。この間天上界で紫先輩をちらっと見たんすよお。
大審院に呼び出し食らってるって聞いたから、すっかりクビになって呼び戻されて…」
「あんたの言うことって、いちいちムカつくね!」
「ふっふー。でも、みんなに言いふらかしちゃったんだよねー。あのヘンなヤツにも…。
どうしよう。わたし、大ウソツキになってしまいましたっ!」
「………」
「そのヘンなヤツ…。わたしが『紫先輩がクビになりました』って言って以来、見ないんだよね」
「だから、クビになってないって…」
今頃、由良川悠太はわたしが居るはずも無い天上界を一人彷徨い、わたしを探しているんだろうか。
とにかく、そのことは誰にも分からない。
でも、なんだろう。わたしは決して泣いていないぞ。
瞳なんか潤んでいないぞ。目頭なんか熱くないぞ。鼻なんぞすすってないぞ。
由良川悠太のことなんか…好きじゃないぞ。うん、大嫌いだ。あんなヤツ。
ぜったいすぐに…忘れてやる。
「紫先輩、泣いてるんすか?」
「あんたのバカさ加減にね」
おしまい。
エロ無しって書くの忘れてました。すいません。
投下終了っす。
ゆかりんのメガネにぶっかけたい
652 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/13(水) 13:22:11 ID:sTZ3MTYB
ほしゅ
死神っ娘とガチで戦ってみよう!ということでエロ無し超短編。
初投稿なので少し緊張気味ですが、批評は大歓迎です。
▼花見酒
冬、12月24日。
世間様はクリスマスイブとやらで盛り上がっているようだが、残念ながら俺には寄り添う恋人なんていない。
俺のように孤独な貧乏学生なんて世の中には溢れてるんだろうが、それでも何かしら理不尽さを感じてしまう。つるんでる友人達はちゃっかり相手を見つけてやがったりするからなおさらだ。
今夜は一人でヤケ酒でもして寝るかと思い、煙草を燻らせてバイトからの帰り。雪がちらほら舞っているが、傘を差すほどでもない。
割と広い裏通りなのだが、やはり皆は表通りにいるようで、うっすらと積もった雪には誰の足跡も付いていない。
雪見酒というのも中々にオツなものだが、この時期に窓を開けて泥酔してたら凍死するんじゃないか、なんて思ったその時。視界の端で何かが煌めいた―――
「――――――っ!」
反射的に転がるようにして体を横に飛ばす。受け身を考慮する余裕など無かったので、無様に地面を雪まみれになって滑る。一瞬前に俺の首があった場所を銀の軌跡が通り抜けたのが見えた。
思考が凍り、汗がドッと噴き出す。跳ね起きるように体勢を立て直し、相手を確認すべく視線を上げ、息を呑んだ。
黒い外套と長い髪をはためかせ、流れるような所作で大鎌を振るう少女。小柄な体格に不釣り合いな長物を取り回すその後ろ姿は―――死神を彷彿とさせた。
「苦しいのがイヤなら抵抗しないで。面倒だし」
全体重を掛けたであろう斬撃を振り抜き、大鎌をくるりと回して慣性を殺した襲撃者は振り向かずに淡々と告げる。その足下には真っ二つになった煙草が煙を上げていた。
冷たい静寂に染み渡る澄んだ声。明確な殺意を滲ませたその一言で俺は冷静さを取り戻した。
急いで次の手を考えろ。
今すぐに逃げなくては。だが何処に?逃げ切れるのか?
ならば闘うか。武器もないのに?勝てるのか?
「貴方は此処で死になさい」
一瞬の迷い、その隙を突いて黒い影が舞う。
それを目にして、自然に覚悟が出来た。最初の一撃だってかわせたじゃないか。これでも人並み以上に武道の心得はある。
スッと体の芯が冷えて、雑念が取り払われる。長い修練を積んだ体が、殺し合いの感性を研ぎ澄ます。
ここからはお互いの命の削り合いだ。遠慮なんて必要ない。
横様に首を狙う一撃を、背を逸らして避ける。更に体を回して襲いかかる一刀から逃れる。
いける。この速さなら追いついていける。
狙うは鳩尾への一撃。
上段の払いを屈んで避け、飛び退って距離を稼ぐ。
「小回りは効くようね。本当に面倒」
鎌という形状上、攻め手は薙ぎ払いが基本となる。例えその鎌が舗装された地面を穿つ強度を持っていたとしても、地に刺さった鎌を抜くのは手間だろう。
故に縦振りは必殺の一撃のみ。その一撃さえ凌げれば―――!
左右から無尽蔵に繰り出される斬撃を間一髪で避け続け、その一撃を待つ。
「でも貴方は死ぬの。諦めて」
じりじりと後ろに下がり、あと数メートルで壁というところまで追いつめられる。
そして更に飛び退り、壁に背中が当たるほどに下がった瞬間。終に死神は天高く獲物を振りかざし、一気に距離を詰めてきた。
「そこだっ――――――!?」
着地の反動を右膝で殺し、左足を全力で踏み込んだ瞬間―――視界が反転した。
地面には降り積もる雪。当然と言えば当然である。斜めに一回転した視界に、雪空をバックにひらめく外套が。
こんな馬鹿な終わり方って無いだろう。此処まで誘い込んでこのザマか?我が人生ながら泣けてくる。
そこで、ふと気が付いた。
「きゃっ――――――!?」
そう、全力で踏み込めば転ぶのだ。
視界の端には、持ち主の制御を失い、ギロチンの如く迫り来る刃が。首を捻って避けたぎりぎりの所に切っ先が突き刺さる。
そして休む暇もなく、視界いっぱいに広がってくる外套と可愛らしい顔。いくら小柄な少女でも、この速度で落ちてくるとなると話は別だ。
時間がスローモーションのように流れていく。倒れ込んでくるからだを受け止めるべく腹筋に力を込める。
風圧でめくれ上がる外套の中に。
あ、白だ。
「ぐふっ――――――」
「きゅぅ――――――」
よこしまな思考に集中力が緩んだ瞬間、衝撃が訪れた。痛覚が、呼吸が、意識が―――
目が覚めると、体の上に何かが乗っていた。そして顔のすぐ横には謎の超危険物体が。
考えること数秒、意識がハッキリとした。生きてるってすばらしい。
とりあえず積もった雪を払い、気を失っている死神(?)少女を抱えて起き上がる。
体の節々が痛いが、このままだと二人とも凍死してしまいそうだ。家に戻って酒でも飲みたい。
少女については一瞬迷ったが、流石に放っておくことも出来ないし風邪でも引かれたら後味が悪い。
今し方殺されかけたばかりだったが、鎌さえ渡さなければ大丈夫だと信じよう。どうやら鎌は折りたたんで刃を仕舞えるようなので、折りたたんで担ぐ。
雪見酒も悪くないが、今夜は花見酒と洒落込もうか。腕の中の桜色の寝顔を見て、ふとそう思った。
655 :
653:2008/08/14(木) 02:00:23 ID:3LQ9yKXO
すいません、間隔が空いてしまいましたが以上で投下終了です。
見苦しい点もあったかもしれませんが、今後も精進を続けていきたいと思います。
死神っ娘とガチで戦うってのは面白いな。
続きが気になるよ
続きに期待してわっふるわっふる
658 :
名無しさん@ピンキー:2008/08/23(土) 15:45:00 ID:JNt0aStU
hoshu
わっふるわっふる♪
660 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/02(火) 21:16:51 ID:HOYgfaya
あげ
661 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/17(水) 20:01:27 ID:dkCDPkHf
あげ
662 :
名無しさん@ピンキー:2008/09/26(金) 06:57:35 ID:rTTbamhN
あげ
663 :
名無しさん@ピンキー:
スレが死に神につれてかれる前にあげ