【涼宮ハルヒ】谷川流 the 27章【学校を出よう!】
Q批評とか感想とか書きたいんだけど?
A自由に書いてもらってもかまわんが、叩きは幼馴染が照れ隠しで怒るように頼む。
Q煽られたりしたんだけど…
Aそこは閉鎖空間です。 普通の人ならまず気にしません。 あなたも干渉はしないで下さい。
Q見たいキャラのSSが無いんだけど…
A無ければ自分で作ればいいのよ!
Q俺、文才無いんだけど…
A文才なんて関係ない。 必要なのは妄想の力だけ… あなたの思うままに書いて…
Q読んでたら苦手なジャンルだったんだけど…
Aふみぃ… 読み飛ばしてくださぁーい。 作者さんも怪しいジャンルの場合は前もって宣言お願いしまぁす。
Q保管庫のどれがオススメ?
Aそれは自分できめるっさ! 良いも悪いも読まないと分からないにょろ。
Q〜ていうシチュ、自分で作れないから手っ取り早く書いてくれ。
Aうん、それ無理。 だっていきなり言われていいのができると思う?
Q投下したSSは基本的に保管庫に転載されるの?
A拒否しない場合は基本的に収納されるのね。 嫌なときは言って欲しいのね。
Q次スレのタイミングは?
Aうーん… 僕に聞かれても分からないな。 460KBを越えたあたりで一旦聞いてみるといいよ。
何勝手にテンプレ変えてんだよボケが
8 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 21:06:36 ID:k2Ap77Ip
>>1 正解です!
やはり今回も瞬殺でしたね
もしかして地元の方ですか?
10レス目の乙!
>>1 乙っす!!手がはやいっす!さすがっす!やさしさを感じたっす!!あざ〜っす!!
新スレが立てられて約3時間、前スレはまだ980明らかに早漏です。
ほんとうにありがとうございました。
スレを立てるより文句たれる方が敷居が低いわな
とりあえず前スレ埋めよう
(振り向きながら)オツカレ
>>2の下から2番目って喜緑さん?
クロノス先生だろ。
前スレ
>>997 じゃあ、ひとめぼれってことにしておこう。
前
>>986 は有希をベースに有芽を作ったので感情?が紛れ混んだと思ったんだが。
有芽かわいいよ有芽
貴様はドロップでも食っていろ
よし、みんなこれから
>>25のことをゴミムシって呼ぼうぜ。
そんな自虐ネタを…
>>27「ほらほらここがいいんだろゴミムシが!!」
>>25「やっやめてください!!(なんでだろう……イヤな筈なのに…クヤシイッ!!ビクビクッ)」
>>27「おら!!ケツをさしだせゴミムシ!!」
>>25「アッー!!ぎ、ギモチイイー!!!!!」
29 :
ひみつかいぎ:2006/08/24(木) 02:32:52 ID:4VZ42q/j
亀ですが、ちょっとだけ
前
>>941 エヴァですか?書いてから、似たようなのあったの思い出した。
前
>>949 元ネタは、中の人つながりで、ひぐらしとMGSです。
わかってらっしゃると思うけど、オリジナル=古泉、長門、新川ってことで。
メタなネタは難しいな〜。
結局ribbon.toも復活したようでなにより。同期してるなぁ。
>>29 そのとおり、エヴァです。あれはひどかったww
前スレ927、928、965、面白いと言ってくれてありがとう
『喜緑江美里の気苦労』書いた者です
あれを書くときは「おそらく喜緑さんもあのマンションに住んでるだろうし、そのへんの描写どうしよう?」と悩んだり、
オチがなかなか決まらなかったり、結構な難産だったものだから、こうしておもしろいと紹介されるのは本当に嬉しい
長門、喜緑さん、共に原作とはかけ離れたキャラになってしまったうえに、オリジナルキャラまで出してしまったもんだから、
あれの続きを書くことはもう無いけど、スレ活性化の一助となるようなSSが書けるよう頑張っていきます
>>12 お前日頃どれだけ緩いスレでオナニーしてんだ?
950でスレ立てってめちゃくちゃ遅い方なのに。馬鹿じゃね。
>>12の書き方も悪いけど、
>>33も大人気ないな。
エロパロスレなら950でスレ立てられる事はまずないな。
ま、両成敗だろ。荒らしはスルー汁ってことで
その日、俺たちは何の変哲もないSOS団的活動をしてすごした。
そこには俺たちの平和を乱す宇宙的異世界人も異なる時間平面から来た未来人も新たなる
謎の組織も何も関係なかった。それはもうすでに終わった話だ。
やりたいことも取り立てて見当たらず何をしていいのかも知らず時の流れに身をまかす
ままのモラトリアムな高校生活に俺は戻っていた。当たり前の世界、平凡な日常。
それでも俺は充分楽しかった。無目的に部室に集まり、完璧メイドにはまだ程遠いが、
くるくると動く朝比奈さんを眺め、仏像のように動かないがこのところ若干表情らしきも
のが浮かぶようになってきた長門を眺め、人畜無害な微笑みに時々青筋を立てる古泉を眺
め、いつも大輪の花の笑顔を振りまくハルヒの顔を眺めているのは、ごく当たり前の日常
で、それは俺にとって妙に満足感を与えてくれる学校生活の一部だった。
あれだけの非日常を過ごしてきたんだ。
しばらくはこんな日常的な時間がずっと続けばいいと思っていた。そう思うだろ? 普通。
だが、思わなかった奴がいた。
決まっている。涼宮ハルヒだ。
そして、このとき事件はもうすでに起こっていたのだった。
ハルヒは、団長席に座りパソコンでいつものようにネットサフィンをしながら、機関の
慰安旅行から帰ってきた古泉のおみやげである温泉まんじゅうをぱくぱくと食べている。
温泉まんじゅうはすでに一箱分消費されてしまったようだ。まったくよく食うねこの女は。
というか、秘密結社的な機関が慰安旅行だと?それも温泉って一体誰のセンスだ?
「ええ、新川さんが幹事でしたよ。彼が全てセッティングしてくれました」
完璧執事はツアコンまでやるのか。浴衣で宴会する多丸兄弟や森さんそして司会進行する
新川さんを想像して妙な寒気を覚えた。
一応ハルヒには機関の慰安旅行とは言えないので別の言い訳をしていると補足しておく。
しかしなあ、ツッコミどころは多いがそれ以上におみやげにまんじゅうばかりって、
しかもこのSOS団のメンツで10箱は多すぎだろ……
っていや全言撤回。
読書をしながら3箱目に突入している食欲大魔王長門を見て俺は考えを改めた。
「ホントこの温泉まんじゅうすっごくおいしいわ!いくらでもはいっちゃうもん。」
かたや、空腹大王ハルヒはそう言いながらは2箱目を開封した。いつもこれだけ食べれば、
女性として成長して欲しくないところまで成長しそうなものだが、ハルヒは相も変わらず
スレンダーなボディーを維持していやがる。
きっとこいつの胃袋はブラックホールか何かで出来ているのに違いない。
ではその反対側にあるというホワイトホールはどこにあるのだろうかとそんなつまらない
ことをを考えながらハルヒの満足げな顔を眺めていた。
「みくるちゃんお茶!」
「は、はいっ。ただいまっ」
朝比奈さんは慌てた動作で「ハルヒ」とマジックで署名してある湯飲みに緑茶を注ぐと、
お盆に載せてしずしずと運んだ。ちなみに湯飲みには「使ったら死刑!特にキョン!!」
と但し書きが加えてある。それは俺に「使ってもいいわよ」と、暗に示しているのか?
だがその手には乗らん。乗ったら最後どういう事になるか簡単に想像が付く。
その禁断の湯飲みを受け取ったハルヒは、
「やっぱりおまんじゅうには日本茶よね!」
といいながら、温泉まんじゅうを一口かじり湯飲みを近づけてお茶の香りを吸い込むよう
な動作をした時だった。
唐突にハルヒの顔色がみるみる真っ青になっていく。
「ん―――――――!」
湯飲みを放りだし、口を両手で押さえ声にならない叫びをあげハルヒは脱兎のごとく部室
を飛び出していく。
なんだ?一体何事だ?
俺と、カードゲームで対戦していた古泉は俺と同じように驚きの表情を見せているだけだ。
てっきりワサビ入り温泉まんじゅうでも仕込んであったのかと思ったんだが違うのか?
しばらくすると、さらに真っ青な顔をしたハルヒが扉にもたれかかりながら入ってきた。
「どうしたんだ?ハルヒ?」
俺は椅子に座ったままそう言った。
朝比奈さんは「大丈夫ですか?」と言いながらハルヒに手をかす。
「なんかわからないけど急に気分が悪くなって……ん―――――――!」
また、口を手で押さえて掛けだしていくハルヒ。朝比奈さんが心配そうにそのあとを追い
かけていった。
ま、たぶん食いすぎだろう。
ついに胃袋の中のマイクロブラックホールがついにパンクしちまったのか。
いや、あいつのことだから何か拾い食いしてそれが当たったんだろうとそのときは、安易
に考えていた。
「もうだめ、今日はもう帰るわ……」
ハルヒはの顔は真っ青と言うかもはや土気色をしていて、朝比奈さんに肩をかして貰い
部室の入口でそう言った。
「私が送っていきますね。ちょっと心配ですから……」
朝比奈さんはそう言って、二人で部室を出て行った。
こんな弱っているハルヒを見たのは俺もはじめてだ。
ボツリヌス菌に当たったとしても自ら抗体を作り出し勝手に除去するような女だ。
一体何があったんだ?
さすがにこの俺も心配でカードをその場で放置し
「やっぱ俺も送っていく」
と言い部室を出ようとしたとき何者かの手が俺の右手をつかみ、俺を引き留めた。
その手の持ち主は長門だった。何か知らないが長門の目がきつい。
いや、何かしら侮蔑の表情があるような気もしないでもない。
「どうした長門?」
「……涼宮ハルヒの体内に別の遺伝子情報を持つ生命体の活動を観測した」
長門は淡々と語るが、心なしか怒っている気がしないでもない。
「まさか、新たな敵か何か仕掛けてきたって言うのか?」
「……違う。
その遺伝子情報を解析した結果、通常の有機生命体ヒトと同じ遺伝子情報を持つ。
つまり、涼宮ハルヒの胎内に人の生命が誕生した」
おい、それってまさか……
「そう……涼宮ハルヒは妊娠している」
な、なんだって―――――――!
「……あなたに責任がある」
そう言うと長門は俺をギロリとにらむ。
ま、まて、俺じゃない。俺はまだ何もしていない!
いや、キスぐらいはしたが俺の性知識が間違っているのか?
最近ではキスとか手をつないだり肩を抱き寄せるように歩いただけでも、ひょっとして
妊娠したりするのか?教えろ古泉!
「ほう、これはこれは」古泉はそう言いながら目を細めるように微笑した。
「いや、とりあえずおめでとうございますと言っておきましょうか?」
だから違う!俺は全然知らん!俺はあいつとそう言う行為に及んだことはない!
危うくそう言う雰囲気になりかけた事もあるが結局、俺が何も出来なかった。
俺は据え膳すら食えない甲斐性なしのへたれだ!悪かったな。
「つまりそれは、涼宮さんが他の男性とそう言う関係になり、
なんの予防もなく妊娠したと、そうあなたはおっしゃるのですね?」
な、なんだ何が言いたい?
「あなたも解っているはずでしょう?涼宮さんがそういう人ではないって事を。
もし万が一ですが彼女が望まず無理矢理とか、なりゆきでと言うこともあり得ますが、
そういう不埒な連中は涼宮さんが望まない限り彼女のまわりに現れることはありません。
彼女の力はそう言うところまで及んでいますから。
また、同時に貞操に関しても彼女が捧げたいと思う相手にしか捧げることはないでしょ
うね。意味合いが違いますがまさに鋼鉄の処女ってところですか」
そう言うと古泉は俺の方を見て、ニヤニヤと笑いはじめる。だから何が言いたい?
「おや、涼宮さんのお腹の子供はあなたとの子供じゃないとまだ言い張るのですか?
それ以外の可能性は有り得ないのですが?」
だから俺はまったく知らん。
大体まだ俺は童て……いや、女性とそういう関係になったことすらない。
「ではもう一つの可能性を考えてみましょうか。
涼宮さんはあなたとの子供が欲しくなった。そう望んだことで妊娠した。
そうまるで想像妊娠が本当になった可能性もあります。
どちらにしてもおそらくはあなたの子供でしょう」
もう勘弁してくれ。そんな馬鹿なことがあり得るわけがない。
「……遺伝子解析の結果半分は涼宮ハルヒの、もう半分はあなたの遺伝子情報で構成され
ている。遺伝子的にもあたなと涼宮ハルヒの子供以外に考えられない。
だが、あなた及び他の人間の遺伝子が涼宮ハルヒに注入された痕跡はない。」
おいおい、ハルヒ。お前は本当に処女懐妊してしまったって言うのか?
進化の可能性、時空のゆがみ、神というお前の呼び名に新しく聖母《マリア》と言うのが
加わりそうだぞ!それに俺は、いや俺たちは一体どうすりゃいいんだ?
「あなたが責任を取るしかないでしょう」
古泉がニヤニヤしながらそう言いきった。お前この状況を楽しんでやがるな。
この妊娠が縁でハルヒと万が一結婚することになったとしても結婚披露宴にはお前は絶対
に呼ばんからな!
しかしこのまま、ハルヒ的能力によって俺は無理矢理、父親にされてしまわなければ
ならないのか?何か方法は、と考えを巡らしているうちに俺は唐突にひらめいた。
「そ、そうだ長門。ナノマシンをハルヒに……」
そう言いかけて俺はやめた。長門と古泉の目が今までにない殺気を孕んでいたからだ。
ああ、言いかけて俺も気づいたさ。それって堕胎すって事と同じだ。
そして望まずに生まれた生命を親の都合だけで殺害する殺人者と同じ行為だ。
そんな無責任野郎に俺もなりたくはない。
だがなんなんだよ、このやり場のないもやもや感は!
そうさ聞いたことがあるぞ。男親は自分の子供以外に有り得ない状況でも生まれてくるま
でまったく父親になったと認識できないものらしい。しかもごく一部には生まれてきても
まだ信じられず、遺伝子解析をする親もいるとか。
俺みたいな状況になった父親はおそらく居ないだろうが、これは本能的なものに違いない。
俺が納得できなくて誰が責められようか?俺は悪くない。ああ悪くないね。
だが待て、ハルヒが自分のお腹にいる子供を俺の子だと解ったときどう思う?
俺が無責任に、俺は知らない記憶にないと言い切れるか?いや確かに記憶にないのだが
たぶんあいつは悲しむだろうな。口ではなんだかんだ言っても俺を頼っている、あいつの
悲しむ顔をもう二度と見たくない。
じゃあどうすればいいか答えは出ているだろうが!ええい!
「わかった。長門がああ言ってるんだ。そういう行為が無くても俺とハルヒの子供に
間違いがないのは俺も認める。そして、ハルヒも子供も含めて俺が全て責任を取る」
そう言うと古泉がフッと目を細めて笑い例の説明口調で語りはじめた。
「あなたならそう言うと思っていましたよ。
しかし、問題が3つほどあります。まず一つめは涼宮さんは妊娠していると言うことを
知らないし、もし知った場合どう考えどう思うのかまったく想像が付きません。
とりあえず、そのことを涼宮さんが何とか理解し、あなたの子供だと認識できたとしま
しょう。でも次の問題はあなたと涼宮さんのご両親になんて説明するかですね。
僕たちはまだ高校生です。それをご両親が許してくれるかどうか?とりあえずそれも許
しが出たとしましょう。でも最後の問題は学生の身分で子供を育てながら生きていく、
それがどういう事になるか……」
わかっている。全部わかっているさ。だがさっき一人で悩んだときに決心は付いた。
「大丈夫だ。俺に任せろ!俺とハルヒなら絶対何とかなる。そう思うだろ? お前達も」
俺がそう言うと古泉はいつものシリアスモードに微笑を蓄え
「そうですね。僕もそう思います。
あなたと涼宮さんなら本当に何とかしてしまうでしょう。
そして微力ながら僕も手をかしますよ。おそらく朝比奈さんも長門さんも」
といい長門のほうをふり返る。長門も無言でうなずく。
ああ、心強いな。世界の危機を救った俺たちだ。子供一人くらいの面倒なんてどうってこ
とないだろうさ。
つづく
えーと、その。この人達は誰?
特にキョン(らしき人)と長門(らしき人)。
2年生の後半までに敵対組織との戦いが終わっったと仮定し
ちょっとずつ成長した所を書いたつもりだが書ききれなかったようだ。
やっぱここはレベルが高いわ。
出直してきます。
まて、早まるな。十分面白いぞ。
うむ。面白いよ。
洗礼みたいなものだから気にしないでいい。
>>40 いや、面白いよ。創造妊娠でマジ受胎しちゃうハルヒって発想がいいし、文章も上手い。
ただキャラに個人的に違和感を覚えちゃったってだけで。
あと確かに成長したところが分かり辛かったかな(これも個人的にかも知れない)。
>>40 その前提設定は言われないとわからない感じだね。
でも前提設定なしでも作品としてしっかりまとまってはいるから、
続けて欲しい。
文章は一定レベル以上だし、内容も破綻して無いわ。もっと自信を持っていいわよ。
べ、別に励ましてるわけじゃないんだからね!
こうですか?わかり(ry
>>40 書き込んで最初のレスが
>>39ってのは確かに凹むなぁw
俺としては「つづく」ってのが気になった。できれば全部書いてから投下してほしい。
面白いからめげずに続きを書いてくれ
47 :
40:2006/08/24(木) 10:07:19 ID:5/+o02Ji
すまんです、励ましありがとうです。
もうちょっと頑張ってつづきうpします
色々粗があるからもう少し手直しして後日あげます。
いや最初の数行で>40の舞台設定は読み取れるだろ。
すいません、前スレからの続きを投下します。
盛り上がってるとこすんません。
霧雨が眠るように漂い、夕日の光をぼやかしている。赤く染まった校舎を背に、霧雨と汗で濡れながらも日々の鍛錬を怠らない陸上部員が輝いて見える。
弱々しく窓から流れる光の粒が逆行になり、団長席に座るハルヒや窓辺の長門の表情を見せないように映す。今日も平和な放課後だ。
因みに今日は書道部が休みのようでスペシャルゲストとして鶴屋さんが来ているが、やはりこの麗らかな日差しのなか、寝に来たようだ。
今日は趣向を変えて朝比奈さんとオセロをするが、ふむ、大して強くない。古泉よりは骨があるようだが。
暖かな空気が眠気を誘う中、退屈なゲームをすることが更に眠りを誘う。
――パタン
さて、今日も終了だ。今日は昨日の分も合わせて早寝するとするか。
途中までついてきた鶴屋さんは「暇だったら明日も寝にくるっさ〜」と言ってそこで別れた。
しかし、家に帰った俺に何故帰ってこなかったのか笑顔で執拗に問い詰める妹には閉口した。まあそれは別の話だがな。
――――――――
――――――――
あなたは誰……?
あなたは何故、私に優しくしてくれるの……?
見返りを求めている……?
他意があるの……?
違う……
彼はそんな人じゃない……
お願い……
顔を見せて……
私に触って……
顔が見えない……
あなたは誰……?
定時アラームAM7:00起動
システムエラーチェック作動
デバッグ作動 エディケーション作動
システムの復元中...
視界良好 音声識別良好
反応作用良好 感覚機能良好
声帯機能良好 嗅覚良好
末端神経良好 ......
デバッグ終了 エディケーション起動完了
システムエラーチェック結果問題無し
起動...
不明な映像ファイルを発見
しかしエラー、ウィルスではない
これは……私の……夢……?
―――――――――
―――――――――
今日は熟睡してしまったためか体内時計が起動せずに、みぞおちに妹爆弾を喰らってしまった。
野郎……その内に兄爆弾を喰らわせてやる……
朝の起きが不愉快だとその日一日が不愉快極まりないものになる可能性が高いという。
終わりよければ全て良し、という言葉もあるが、一年の計は元旦にありという言葉もある。つまり始まりと終わりは重要だと言いたいんだろう。
しかし確かに一年の計は元旦にあるようだ。朝から谷口と会ってしまった。これは不愉快だ。
「おはよ〜」
朝一番に見た親類以外の面が谷口だったためか、下駄箱で朝倉に会っても別になんということもなくまだ俺は不機嫌だった。
長門は完全に大丈夫と言ったがやはり俺はこいつに少しの不安がある。
自分を殺しかけたやつが笑顔で少年院から出てきた日には、誰だってぞっとするだろう。
俺がこいつに心を開ける日は、地球が縦一線に割れる日より後のような気がする。
「どうしたの? 不機嫌そうね?」
ふむ、お前も立場上、長門の妹みたいなもんだが、立ち振る舞い、特に起こし方を考えないと姉が不機嫌になるから気をつけろ。
「? なにそれ?」
なんでもないさ。
……しかし、そういえばお前はエラーが起きなかったのか? 長門は大変だったぞ。
「そうみたいね、でも私は大丈夫。情報統合思念体から嫌われてるから送られるエネルギー量が少ないのよ。」
さいですか。
「それにしても、ほんと偶然よね?」
なんだ、なにがだ?
「私もお祭り行ってたけど、八百年に一度の流星群の軌道上と情報統合思念体の電波エネルギーが重なるなんてそれこそ、無限分の一のような確率よ。」
……そういわれればそうだな……まあそうかとしか返事できんがな。因みにお前は誰とお祭り行ってたんだ?
「鶴屋さんと他諸々。」
ふむ、そうか。 ……長門にもSOS団以外にもっと交友を持つように伝えてやってくれ。
「長門さん、ああ見えて人並みに感情もあるし、実は淋しがり屋なのよ……? ……友達作らないのにもやっぱり、気に入った人以外嫌なんじゃないかしら?」
……そう……なのかな……?
間もなくしてチャイムが鳴った。
後ろのやつが寝息をたてているため自然と眠くなり授業に手がつかない。しかも寝てて注意されるのは俺だけときたもんだ。
……やっぱり一年の計は元旦にありだな……
がやがやと騒がしい休み時間に谷口がわいた。いや、よって来た。
「キョン……お前プレイボーイを通り越してもうプレイボールだな……」
おお、遂に俺もクラスチェンジしたか。しかしお前の発言の意味不明度も日に日にクラスチェンジしているようだな。
なんだプレイボールって? 日本語以前の問題だぞ。
「つまりお前は、やる男から、やる玉になったんだよ! このキョン玉が!」
なんだその名前=性器のような呼び名は。俺が何をしたって言うんだ? お前が損することを進んでやるほど人生を棒にふった覚えはないぞ。
「だってお前、今日は朝倉と……」
お前は俺が女子と話すのが気に入らないのか。
「当たり前だろ? ああ、俺も朝倉と……」
分かった分かった、古泉を貸して……いや、あげるから性欲処理にでも使え。金曜にはちゃんと燃えないゴミに捨てるんだぞ。
「分かった、金曜だな」
ああ。なお、手足を縛って口に何か詰めておくとベストだ。
……ふう、谷口とこんな会話をしなきゃならないのも、授業になにか物足りなさを感じるのも、朝の無気力感のせいなんだろう。
全く、我が妹よ。お前は将来立派になるか派手に殺されるかのどちらかだぞ。
―――――――――
「キョン君っ、たまには一緒にお弁当食べるっさ!」
ああ、夏の終わり、昼休みの教室に流れる空気がなんと清々しいことだろう。雲と青空のコントラストが窓辺の席から美しく注がれる。
適度に照りつける日射しが窓枠の縁に反射して教室の天井に独特な形の光を照らしている。
周りには弁当を開く者もいれば学食のパンを食うものもいる。学食で食う人も多々いるようで、何人かずつ友達のグループを引き連れて食堂に向かうようだ。
「キョン君、そのスモークチーズおくれにょろ。」
「へ? あ、ああいいですよ。」
ふむ、こうして見ると男女で教室で弁当を開いてるやつなんか普通いないんだな。ましてや学年違いの男女などもっての他だ。
なんとなく谷口が俺をプレイボールなどと呼ぶ理由も分かった気がする。
まあこの分だと明日には俺はプレイステーションにでもなっているんだろうな。
しかしとにかく、鶴屋さんの笑顔を見て食うメシはうまいし、鶴屋さんと一緒に弁当食うなんてのはなんか優越感がある。
ちょっとだけ気分がよくなった気がするな、今なら谷口に古泉を引き渡すのは拒めそうだ。
――――――――――
――――――――――
――ガチャ
長門……だけか。
「……涼宮ハルヒが今日の活動を休みにした……」
なに? 俺は聞いてないぞ。しかし珍しいな、ハルヒが休みにするなんて。
「恐らく私の身を案じてのこと……」
……だろうな。ああ見えて中々優しさのある奴なんだな。
しかしその優しさの1%でもいいから俺に配分してくれれば、俺はもっと自由に生きられるというのに。
「今日は私とあなただけ……二人だけ」
そうか、と言われた所すぐに済まないんだが、俺も帰る。今日は虫の居所が良くないんでな。
「……そう……」
ああ、じゃあな、長門。
夕暮れの迫る空が、燃えるような赤で日本を包む中、校舎はひっそりと沈んでいて昼間の面影すら残していない。その中を俺は歩いていた。
どんな完璧な人間でさえ一度も物忘れをしたことがないということはないだろう。なら、完璧には程遠い俺が忘れ物をするなんてごく自然だ。
そんな言い訳をかましながら何時も部室に向かった。その部室で俺が見たのは……
―――――――――
―――――――――
時間の感覚や場所の認識が曖昧だ。俺は今が何時でどこにいるのか完全に分かっているが、何故俺が今そこにいるのかが解らないっていう様な感じだ。
完全に白い壁紙、装飾性の欠片も感じられないテーブル、何の物音もしないDK、年相当に見合わない柄の布団、そこに横たわる小さな少女。
部室で倒れていた長門を此処まで担いで来たことは分かる。布団に寝かせたことも分かる。しかし俺が何故そうしたのか解らない。よく解らない。
仲間だから? 当然? いや、そんなことじゃない、気になるのは俺は長門を何故家に連れていったか、ではなく、長門は何故倒れていたかだ。
……言ってることが解りにくいとは思う。思うが、それだけリアリティを感じられずにいる状態にあって頭がよく働かないんだ。
そういうこと、たまにあるだろ、分かってくれ。
「長門……今度はなんなんだ……?」
例え説明されたとしても俺には理解出来ないであろう文章を倩と述べるということは十分分かってる。
しかし、聞かない訳にもいかない。長門が倒れること即ち日常、などといった状態を作り出したくはないからな。
「前回とほぼ同内容」
……来た。短文で有りながら全く解らない文章が。俺はこれ以上こんなことに関わりたくないといった風に話しかけた。
「そうか……しかし俺が鞄を取りに戻らなかったらどうしていたんだ?」
「……危険だった……」
俺はもう聞くまいとして立ち上がった。俺は元々こんな異常に関わる人間じゃないんだ。
朝比奈さんやハルヒががどうかしたなら助ける努力を必死になってするだろうし、谷口や国木田だって、もし死ぬとなれば悲しいだろう。
しかしそれは事故や怪我、病気といった俺達を取り巻く環境の中に存在し得る出来事での話だ。
宇宙や銀河といった日常と関わらないような話となったら別なんだ。
だから俺が出来る事は長門を此処まで連れてくる。それで終わりさ。後は俺がなにをしてもどうこう出来ることじゃない。
心配じゃないかどうかと言われたら、当然長門が心配だ。だが、手をつけられない問題に心配以外の何が出来るっていうんだ。
「じゃあ俺はこれで……また明日な……」
それだけ言って踵を返した瞬間に、ひんやりとした冷たい何かが俺の足首を掴んだ。
その掴んだ手を持つ長門は俺の足首を掴んだまま呟いた。
「不安……傍にいてほしい……」
長門と登校した朝二日目。俺は谷口曰くプレイステーションになっていた。谷口の思考を先読み出来るなんて、俺は脳が退化しているのかもしれん。
「長門さんと登校するのが日常になったら、長門さんも少しは人付き合いがうまくなるんじゃないかしら?」
皆が弁当を食ったり学食に行く中、朝倉は俺と机を対にして弁当を開いた。
「どうだろうな、しかし俺にそんな義理や義務はありゃしないぞ」
朝倉と一緒に飯を食うのは初めてだが、優越感どうこうよりも、俺が気付かない内に弁当に何か細工がされてるような気がして飯が不味い。
お前も鶴屋さんのように自然と幸せや笑顔を振り撒くようになればいいのにな。そうすりゃ俺はもっともっと自由になれる。
「どうして? 確かに義務はないけれど、あなたは命を救われじゃないの?」
お前が言うな、お前が。
「長門がいなきゃお前もいないさ。同じことだろ、それより」
「それより?」
「お前は昨日大丈夫だったのか? また流星群だか隕石だかがで長門がまた倒れたんだぞ?」
「……ほんと?」
ほんと……って、バックアップの割に何も知らないんだな。
「そうじゃなきゃ俺と長門が登校するなんてこと地球が割れても有り得ん」
「……昨日は私はなにも無かったわよ。流星群どころか流れ星一つ観測されていないわ」
「…………え?」
「おかしいと思わないの? 流星と情報統合思念体の電波が交わるなんて地球が出来てから60億年たって一回あるかないかなのよ?」
そう言われれば……昨日もそう言われた気がするな……
「じゃあ、もしかしてもしかしたらまさか……」
「その……まさかね」
――――――――――――
「はい、キョン君お茶ですょ〜」
いつもありがとうございます。今日もウエイトレス姿が素敵ですね。
「あ〜あ、つまんないわね〜……なんか面白いことないのかしら?」
お前が面白いと思う事が毎日起こったら、いつか地球は俺達を敵に回すぞ。
「そうですね……毎日こう暇ですと……」
おいおい古泉、油を注ぐな。油が飛んで被害を受ける割合は俺のほうが高いんだぞ。
「…………」
……今はまだ、行動を起こす時じゃない。こいつの無言がどこまで行くか、今日は注意しなければな。
「……暇ね〜……」
…………
「……すっごい暇……」
…………
「……もう、なんか面白いことないの?……」
……1時間もたっただろうか……
――ドサッ
窓辺から音がした……来たようだ。あの長門の……“芝居”が……
――――――――――
「……! 有希っ!?」
「な、長門さん……!?」
「ふぇ……!?」
皆が驚くように、倒れた長門に駆け寄った。それを俺は制止し、長門の肩を抱き上げた。
「長門大丈夫か? 家に帰ったほうがいい ほら肩貸すから」
感情のない言い方をした為か、少し周りの空気に淀みを感じたが、この際それは問題ではない。
いつもの万能で恐怖を知らない長門の姿は無く、白く健気なイメージを具現化したような長門の姿があった。
「ハルヒ、今日は長門は休みだ。いいな?」
「ちょ、ちょっと……キョン……?」
「いいな? 俺は長門を送る、すぐ帰るからここにいろよ」
「え……あ……わ、分かったわよ」
――ガチャ
――パタン
みんなが、ハルヒがどんな顔して何を言ってたかなんて覚えてない。だか、多分覚えておかなくてもいいものだろう。
突き詰めるべきは只一点。
――――――――
もう見慣れた白く清らかな壁紙が、クール色の蛍光灯の光を眩しく映す部屋のなかに俺と長門はいた。
長門はまるで本当の貧血のように、顔を青ざめて、俺が分かるくらいの不安の色を目に写していた。
――カチャ
玄関の鍵を締め、布団に横たわった長門の傍に座った。
長門は制服を少し乱して、呼吸を整えるような素振りをして、ずっと俺と目を合わせなかった。
「長門……どうしたんだ?」
「前回と……ほぼ同内容」
長門の眉根が痙攣するように動いた。
「そうか、また隕石か流星が来たのか」
「……そう」
「場所は?」
「……?」
今までに無かった俺の突き詰めるような言動に、長門は少しだけ怪訝そうで、少しだけ不安そうな目をした。
「隕石だか流星群だかの軌道だ。どこから何処に言ったんだ」
「……それをあなたに答えても意味がないと思われる」
ゆっくりと布団から上体を起こした長門は、その大きな瞳を俺ではないどこか遠くに向けて答えた。
「“答える意味がない”ってことは、そのことは知っているんだな? それを聞きたいんだ、話してくれ」
「……あなたには理解出来ない……」
そうか、ありがとう。全て分かった。流星群どころか隕石も観測されちゃいないってな」
「…………!!」
「そこんとこどうなのか、聞かせてくれないか?」
「……朝倉涼子は私のバックアップ、情報統合思念体から電波を受け取る頻度が低い……」
「しかし隕石も流星群も観測されちゃいない、電波どうこう以前の問題だな」
「…………もし……」
「……?」
「……もしあなたが私のエラーを芝居だと思うなら……私が誰もいない部室で倒れていたことはどう考えるの……?」
「……そこは考えた……簡単なことさ。まずお前は俺が部室に忘れていった鞄を見た、お前はそれを俺が取りに来ると思ったんだ。」
「…………」
「……どうなんだ……?」
「……あなたが鞄を忘れたことに気が付かず帰ることも考えられる……」
「それもあるだろうな、しかし、お前が座っている席からは窓が見える。数分たっても俺が出てこないようなら、取りに戻ったと考えることもできるんじゃないのか?」
「………!」
「だから長門、お前はそう考えて……」
「……私の負け……」
明るい蛍光灯が長門の頭の上から光を注ぐ。そのため影になる長門の顔はよく見えない。
kaijyosien
帰宅ラッシュも終わったのだろうか、外界の音は殆ど聞こえない。
「……一回目は本当に情報統合思念体の電波と流星群の軌道上の重なりで起きた……しかし、二回目以降は私の考えによる行動……」
――パンッ!!
手のひらに鈍い衝撃が加わる。長門の頬が目に見えて赤く染まる。
「どれだけハルヒや朝比奈さん、古泉……俺が心配したか分かってんのか!?」
「……ごめんなさい……」
「謝るくらいなら最初から……!! ……いや、抑、なんでこんなことをしたんだ……!?」
「…………」
「……黙って済まされはしないぞ……」
「不安、一緒にいてほしい」
「……それはお前がエラーを初めて起こした時の事だ、俺が今聞いてるのは何故芝居なんてしたかだ……」
「ふ、ふふ不安……あああ、ああなたに一緒にいてほほほほ、ほしいい」
「!!」
長門の引き付けを起こしたように漏れた声が耳に鋭く響いた。
考えることは山ほどあった。外はこんなに暗かったか? 壁紙は灰色だったか? そして……俺は足が動かない人間だったのか……?
朝倉のあの時と同じ感覚……今度はじわじわと長門が近づいてきて……もうなにがなんだか……
「ああああああああなたは、涼宮ハルルルヒやアアアサヒナミクルヤコイズミイツキト仲が良い……わわwatashiハ?」
「な、なにを言ってるんだ……? な、長門!?」
じりじりと長門が四肢をつき、よつんばいのまま近寄ってくるのが見える。
……危険な気がする……! だが俺は今、動けない……!
「ワwatashiハダレニモスカレナイ誰、誰にもaiサレナイ、デモ」
「アなたは優しくシてくれた……エラーヲヲコシタラ優しくしてクレタ」
「!!」
「キョウmokaeったら独りボッチ、ジャアエラーヲヲコソウ、カレガ優しくシテクレru」
「フアンダヨ、ヒトリハイヤダヨ、ジャアeraーを起こソウダイスキナカレガヤサシクシテクレルkara」
こいつ……いや、長門……お前の本当の理由は……
まさか……まさかというしかない……
……寂しかった……?
長門は俺のズボンとパンツを器用に下ろしてくる。俺は抵抗しない。何故だ?
長門が服を脱ぎ始めた。俺は何も言わない。何故だ?
そのまま長門は俺の股間に腰を下ろした。
「アッ、アッアナタハ優しくシテクレル……コンナフウニoオkikutE亜戦く」
そのまま
――ガタッ
俺は
「……一つ一つのプログラムが甘い……ってとこかしらね」
意識を失った
―――――――――
――一日後
本当のエラー因子……? お前も長門みたいに難しい言い方しないで、俺にもわかるように説明してくれないか?
「あのね、あなたは長門さんのエラーを芝居と思ったでしょ? でも実はそうじゃないの」
…………?
「あれは長門さんのエラーの芝居、つまり長門さんの中にあるエラー因子が起こした芝居だったの」
……つまり、長門がエラーを起こしたのは本当で、あれは長門のエラーが起こした芝居……訳がわからん……
「電波が流星群によって歪みを帯るなんて今までに考えもしなかったことだから、情報統合思念体も対処の仕方がわからなかったみたいなの
長門さんが安全に処理されたと思った歪んだ電波から来たら一部のファイルが、実は未処理のままになってたのよ
多分ファイルの内容は精神になんらかの変貌を起こすものだったと思うんだけど……詳しくはわからないわ
あなたが長門さんから何を聞いたのかは私にも解らないし推測もしないから、私が言えるのはこれくらいね」
…………よくわからないな、しかし……もしあの時にお前が来てくれなかったらどうなっていたんだ……?
「一生あなたはエラーを起こした長門さんと……でしょうね」
ゾッとしないな……
「まあ、長門さんを初めとしてみんなの記憶はある程度消したから、これからも普通通りに接してあげてね」
ああ。なんていうか、ありがとな。まさか今度はお前に救われるとはな。お前に対する好感度が少しアップしたぞ。
「フフッ、嬉しくないわよ。じゃあね」
――部室にて
「ほんっとつまんないわね〜……」
夕闇が校舎を照らす。世界が紅に染まったまま、退屈な時間は過ぎていく。
――パタン
「……もう時間ね、じゃ解散しましょ……」
夕闇が校舎を照らす。世界が紅に染まったまま、俺と長門だけが残された。
「長門、たまには一緒に帰らないか?」
「…………」
――コクリ
何が間違ってて何が正解だったのかなんてわかりゃしない。
長門は宇宙人だ。それ以前に一人の女の子だ。
それは宇宙人であろうがなんであろうが変わらない。
一人暮らしなんて俺はしたことがないから辛いのかなんてわからない。
でも、誰にも優しくされないでいたら辛いのは分かる。
俺に誰かに優しくすることなんて出来るのか?
解らないな。でも今はこれでいいと思ってる。
エラーやどうこうなら俺にはなにも出来んさ。
しかし、誰かが一人で辛い時には俺は一緒にいてやることができる。
「……家に来る……?」
「……そうだな、寄らせてもらうよ。お茶が飲みたいからな」
……なあ長門。
あの時の記憶はないだろうが、あれはお前の本心だったのか?
それともエラーが言ったことだったのか?
なんにせよ変わらない日々が過ぎるだけか。
〈完〉
ごちゃごちゃしてしまいました。すんませんが読んで貰えたら嬉しいです。
めっさえがったよ〜
GJ!!!
オツ!
途中長門のセリフの展開にちょっとビビった。
攻殻を思い出しちゃったョ。
68 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 11:05:46 ID:D1Kt6zs/
GJ!!
ヨカカカッたyo
完結ですね。
お疲れ様です。
いいんじゃないっすか?こういうの
ありがとうございます。読みにくいんじゃないかと思って
71 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 11:20:16 ID:V9zThl0E
メガロを思い出した。
ほぼ全域で違和感
電波受けたのか?
『涼宮ハルヒの赤色』
ひときわ小気味のいい音が、部室中に響き渡った。
音を立てた主は、何事も無かったかのように、閉じた本をかばんにしまう。
条件反射とは恐ろしいもので、音が耳に入ると共に俺は広げたゲームを古泉と片付け始め
朝比奈さんも編み物をする手を止めて、湯飲みを下げるためにいそいそと立ち上がった。
まあ、要するに、今日のSOS団の活動はこれにて終了の運びとなったってわけだ。
ハルヒもパソコンの電源が切れたことを確認すると、
「じゃ、今日はこれでおしまい。また明日ね」
かばんを手に提げ、片付けをする俺たちを尻目に、いの一番にノブに手を掛ける。
つくづく一番が好きなやつだ。しかもハルヒの場合、最初から最後までトップでなければ
我慢のできない性格なのである。ウサギもカメも気に食わない女、それが涼宮ハルヒだった。
そんなハルヒは、扉を開けながら顔だけ後ろを向けて、
「みくるちゃん戸締りよろしく!」
「はあい」
着替えでどうしても最後になってしまう朝比奈さんに声をかけ、返事に満足してさっさと出て行った。
まるで思い残すことなど何もない、と言いたげな見事な去りっぷりだ。
夏休みもそれぐらいの思い切りの良さを見せりゃ、何回も繰り返すことにはならなかったのによ。
いまさら愚痴っても仕方の無いことではあるが、思わずそう言いたくなりそうになったぞ。
俺が文句を自制しているうちに、長門の帰宅準備が完了していたらしい。
椅子からすっと立ち上がると、足音も立てずに開け放たれた扉へ歩み寄った。
「長門、またな」
なんとなく声をかけると、動きを止め、振り向いてきた。
表情に乏しい顔が俺を見つめてくる。そうだな、むしろ文句を言いたいのは長門のほうだった。
俺は一回きりの記憶しかないが、長門は一万五千何回かの二週間をすべて覚えてるんだもんな。
言っちまえよ、長門。たまには不平の一つでもこぼさないと、ストレス溜まるぞ。余計なお世話かもしれんが。
俺の考えを理解したのか、長門は首をわずかに上下させて向き直り、廊下へと歩を進めた。
下校中のハルヒに直接文句を言いに行くつもりだったらすごいんだが、そんな長門は想像もつかない上に
長門といえども、俺の心を読めるわけがない。さっきの首肯はただの挨拶で帰宅しただけである。
「さて、それでは僕も」
片付けを終えた古泉が、俺と朝比奈さんに会釈を送った。
俺は応える代わりにかばんを持った。靴箱まで付き合うのも悪くないだろう。
「朝比奈さん、いつも鍵当番すみません」
今日の授業内容を忘れても、朝比奈さんに挨拶をするのは忘れん。
「いいんです。キョンくん、また明日部室で」
朝比奈さんは、とびきりの笑顔で応えてくれた。
その笑顔に和まされつつも、俺の脳内は自分の言葉に不安を覚えていた。
自分の言葉、つまりそれは朝比奈さんの鍵当番に関してだった。
不安の原因は鍵の閉め忘れではもちろんなく、朝比奈さん自身のことだ。
SOS団の活動は大抵下校時刻までに終わるとはいえ、ハルヒや長門ならともかく
朝比奈さんのような愛らしいお方を、おひとりで最後に帰らせるのは忍びない、というか危ない。
このことを強く認識したのは、日が暮れるのがめっきり早くなってきてからだった。
朝比奈さんは未来人ではあるが、未来的な防衛システムを携帯しておられる様子もなく
そうなれば単なる女子生徒だ。現にこの付近は、坂下に女子高があるからか不審者の噂が絶えない。
寒くなってきたこの季節にまでご苦労なこった、と俺自身は思っていたのであるが
日常的に朝比奈さんが鍵当番をしていることに気付いて、顔が青くなった。
当然、俺は朝比奈さんにエスコート役を申し出てみた。しかし、
『気持ちはうれしいんですけど、大丈夫です』
と断られてしまっていた。どうやら朝比奈さんとしては、俺と二人きりで下校するとマズいらしい。
俺としても心当たりがないわけではなかったから、それ以上強く出られなかった。だが、
『なんなら僕が送って差し上げましょうか』
などとほざいた古泉には、即効で却下を出しておいた。古泉と朝比奈さんが並んで下校する姿が
気に食わないのは飲み込むとしても、それ以上に『機関』が俺の信頼に足りる存在ではない。
不審者と『機関』、どっちがマシかと問われれば、俺は間違いなくどっちもダメだと断言するに違いない。
答えとしては不適当かもしれんが、問い自体が間違っているのだから仕方ないだろ。
それで安心できるわけもなく、ならば、とハルヒに集団下校を提案したところ、あっさり切られた。
『キョン、あんた心配しすぎ』
心配しすぎることのどこが悪い。ハルヒ、お前の尺度を朝比奈さんに当てはめるな。
そう抗議したのだが、聞く耳持たずを貫かれた。なんでも朝比奈さんを待つのが嫌だからではなく、
『プライベートってもんがあるでしょ』
SOS団の外での自由はなるべく尊重するからだとさ。ハルヒから尊重なんて言葉を聞くなんてな。
『うっさい。あんただってSOS団が終わったあと、用事があったりするんじゃないの?』
そんなものない、下校するだけだ、と返事しかけて、そうでもなかったのを思い出した。
まあ、朝倉の件がそうそう何度もあってたまるか、と思わんでもないが。
最後に残ったのは長門であり、長門が朝比奈さんと帰ってくれるのであれば、俺の不安など
荷を下ろすどころか消すに等しいのだが、長門は良くても朝比奈さんが遠慮しそうである。
どうもあのお方は、長門に対して苦手意識を持っているようで、会話しているのを見たことがないほどだ。
ほかにも、独断専行でハルヒ抜きに三人や四人で帰ったらどうだと提案してみたが、
それは古泉も朝比奈さんも、長門でさえも気が進まないらしく、俺も言ってはみたものの
実行することに関しては消極的だった。
要するに、宙に浮いたまま今日を迎えているのである。
「どうしたんですか? 浮かない顔をして」
思考の海に潜り込んでいた俺をサルベージしたのは、古泉だった。
って顔を覗くな。近いぞ。俺は心持ち身を反らせつつ答えた。
「いや、朝比奈さんのことでちょっとな」
「ああ、その件ですか。あなたも気苦労の絶えない方ですね」
さわやかな顔で言うなよ。お前も関連性ゼロってわけじゃあるまい。
それともあれか、朝比奈さんが変質者に襲われてもお前は平気ってわけか。
「そんなわけありません。愛らしいあの方の顔が恐怖で歪むのは想像するに耐え難いものがあります」
なんか怪しい表現だが、望んではいないらしいな。
古泉は無駄な微笑みを浮かべ、
「第一、朝比奈さんの身に何かが起これば、涼宮さんが黙ってないでしょう」
当たり前だ。ハルヒのことだから、大爆発じゃ済まないぞ。俺もハルヒに加担しているだろうが。
「それは僕たちの望む事態ではないのです。これがどういう意味か、あなたならわかると思いますが」
「ってことは、つまり」
すでに朝比奈さんの周囲に、『機関』の手が回っているということか。
「そう受け取ってもらってもかまいません」
別の意味で不安だ、それは。なんのためにお前の提案を却下したと思ってんだ。
髪をさりげない仕草でかき上げた古泉は、
「大丈夫ですよ。彼女の部屋に盗聴器や隠しカメラなどを仕掛けているわけではありませんので」
いきなり盗聴器や隠しカメラときた。お前らの尺度が俺には気になるぞ。
「それより僕が気になるのは、涼宮さんです」
靴箱から靴を抜き取りながら、不意に古泉が話題を変えてきた。
「ハルヒがどうかしたか?」
少なくとも俺はどうしたとも思わん。
「いえ、そろそろ退屈なさってきているのではないかと思いましたもので」
まあ、夏休み以来、行事を追っているだけでSOS団的な何かをしているわけではないしな。
古泉の発言には、一理あった。でもだからってどうしろってんだ。
「さて、どうしましょうか」
ごまかすな。それと含み笑いはやめろ。
「失礼。ですがこれでも悩んでいるんですよ」
古泉は上履きを靴箱の中へ移し変えつつ冗談のような口調で言うと、
「僕は少々用事があるので、今日はこれで」
手をひらひらさせて校舎をあとにした。
意味深な古泉も気になるし、朝比奈さんはもっと気になる。
ハルヒはそもそも年中、目を離しておけない。
あまり気にならないのは長門ぐらいなもんだ。
ったく、俺の周りはどうしてこうなんだろうな。
世の中の不合理さについて脳内会議を開いて激論を交わしながら坂を下っていると、
『――のよ』
前方から声が聞こえてきた。カーブになっていて、姿は見えない。
『知らない』
ハルヒ?
その声は、俺の耳がおかしくなってない限り、ハルヒのだった。
まさか長門が本当に申し立てをしてるんじゃないだろうな。なわけねーか。
相手の声は聞き取れない。むしろハルヒの声がバカでかいから聞こえてくるだけだと言っておこう。
それにしてもなんとなく出て行きづらくなっちまった。会話が終わるまで待つか。
『うるさい』
取り付く島がないハルヒを耳にしたのは、久々だ。教室でも相変わらず無愛想だが
ここまでぶった切ることはしない。他のクラスメイトが敬遠して話しかけないだけとも言うが。
『邪魔』
いったい相手は誰なんだ。ハルヒに声をかける酔狂な人物はよ。
完全に聴衆モードだった俺を巻き込んだのは、ハルヒだった。
『っ――なにすんのよ、この変態!』
「変態だと!?」
それを聞いた俺は思わず叫んでいた。変態、不審者、変質者と俺の脳内を単語がぐるぐる回る。
この野郎。朝比奈さんじゃなく、ハルヒを狙ってきたのか?
「ハルヒ!」
下り坂であることも忘れ、俺は思いっきり駆け出した。
加速をつけてカーブを曲がり、視界に入ったのは――
「キョン?」
俺の声を耳にしたのかこっちを向いたハルヒと、
「なんだ?」
北高の制服を着て手をさすっている、見覚えのない男だった。
「ってどこが変態なんだ!」
俺は勢いのまま殴りかかろうと思っていたのだが、そうも行くまい。
慌てて急停止しようとしたが、ついた勢いは簡単に止まってくれなかった。
「だああっ」
無理をしたせいか、前のめりに転がり込んでしまった。いてぇ。
起き上がった俺は脱兎のごとくその場から逃げ出したい気持ちに駆られていたが
なんとか踏ん張り、ハルヒと会話していた男子生徒を観察した。
大人びた、やけにハンサムな男だな。俺に見覚えがないことからすると、上級生か。
スポーツマンという感じはせず、そうだな、計算もプライドも高い野心家という印象だ。
男子生徒は俺の出現で気をそがれたのか、
「とにかく、オレは諦めないからな」
そう言い捨てて、身を翻し坂を下っていった。
残ったのは俺とハルヒだ。
「あいつは誰なんだ?」
俺の問いかけにハルヒは、口を開けたが、言葉が見つからなかったのかすぐに閉じた。
俺に背を向けて、
「知らない」
突き放すように言ってくる。
「知らないわけないだろ。何を言われたんだ? 何をされかけ――」
「うるさい」
一言の下に切って捨てると、
「帰る」
続く言葉を口の中に飲み込んだ俺を置き去りにして、ハルヒは歩き去った。
一体なんなんだ。
「あれ、キョンくんどうしたんですか?」
呆然と突っ立っていたら、後続集団が俺を捕らえたらしい。
振り向くと、制服姿の朝比奈さんが首を傾げていた。
「いや、それが――」
俺は一部始終を話した。もっとも大したことは話せないのだが。
そして話を聞いていた朝比奈さんも、何がなんだかさっぱりお分かりになられない様子だった。
決着がつくとは思わなかった俺は、これからを考えることにして、
「朝比奈さん、偶然会ったんだし、今日は途中まで一緒に帰りませんか?」
そう言った。偶然の部分を強調して、だ。
勘違いだったにしても、このまま朝比奈さんを放って帰る気はさすがにない。
朝比奈さんも心細さを覚えていたのか、
「そ、そうですね。偶然会いましたし途中までなら……キョンくん、お願いできます?」
自身を納得させるように言い訳をすると、俺のそばに寄ってくる。
騎士の役目を仰せつかった俺は、ほんの少しの役得を意識しつつ、駅前まで朝比奈さんと並んで帰ったのだった。
翌日である。
教室に入った俺は、朝っぱらの眠気がいきなり吹っ飛んだ。
俺の椅子に勝手に座り、後ろの席にいるハルヒに話しかけている野郎がいたからだ。
昨日、下校中にハルヒに話しかけていた奴で間違いないだろう。
教室の雰囲気はどこかよそよそしく、ちらちら窓際後方を見ては小声で話をしている女子もいれば
俺が入ってきたのを見て、ちょいちょいと指で『なんとかしろ』的なジェスチャーを送ってくる谷口もいた。
肝心のハルヒは、肘を突いて窓の外を見ているらしく、表情は窺い知れなかった。
谷口に応えてやる謂れはなかったが、俺の席を占有している以上、声をかけざるを得ないな。
俺は教室の戸を閉めると、かばんを肩から引っ提げて、歩み寄る。
「あの、すみません。そこ俺の席なんでどいてもらえませんか」
先輩だと思われるため、一応敬語だ。口調がぞんざいなのには、目をつぶってもらいたい。
「ん? ああ、済まなかった」
その先輩らしき男子生徒は、意外と折り目正しく、非礼を詫びて立ち上がった。
立ったところで俺のことに気付いたらしい。
「君はたしか昨日の……そうか、涼宮さんのクラスメイトだったのか」
そう言って、不躾な視線を俺に送ってくる。少しムカが入った。
「そうだとしたら、なんなんです?」
詰問調になった俺に、その男は肩をすくめた。
「特に何も。君が涼宮さんのカレシでもない限りはね」
いきなりカレシときた。って、まさかこの男。
俺がある想像を思い浮かべ、眼前の男は俺の想像通りのことを言い出した。
「そうさ、オレは涼宮さんにカノジョになってもらおうと思っているんだ」
俺の感情は驚きより呆れが先んじた。こんな人種がまだ北高に残っていたとは。
ハルヒの奇行の数々をこのお方は知らないのだろうか。
とりあえず、俺の立場を明確にしておこう。
「俺は、涼宮が作った同好会の団員です」
俺の言葉に、男が眉を動かす。ハルヒもぴくっと動いた気がするが、気のせいだろう。
「同好会……名前はSOS団だったか。君はあれのメンバーなのか」
SOS団のことは知っているのか。それならハルヒのことも色々知っていてもおかしくなさそうなもんだが。
「勘違いしてもらっては困るな。オレはちゃんと涼宮さんのことは知っているつもりだ」
ハルヒがそばにいるのもおかまいなしに、その男は堂々と言いのけた。
「なぜなら、オレはそんな涼宮さんの変人性を含む全てに魅かれたんだから」
アホだ。
俺やたぶん他のクラスメイトもそう決め付けたに違いない。男は朗々と語り出した。
「きっかけは、涼宮さんと付き合った経験のある奴から話を聞いたことだった」
ハルヒは無反応だ。窓の外を見たまま、動きやしない。
「そいつは三日でフラれたそうだ。『普通の人間の相手してるヒマはないの』と言われてね」
それなら俺も谷口から入学早々聞いた。北高生にもハルヒと付き合っていた人がいたのか。
ま、北高には、東中からの生徒も相当数来ているから、別段おかしい話でもないのではあるが。
「そこまでなら、オレもどうとも思わなかった。だがクラスメイトにあと四人、フラれた奴がいた」
男は手の平を広げる。
「一クラスに五人だ。さすがにオレも変だと思い、独自に調査を行ってみた」
と、ポケットを漁って手帳を取り出した。ぺらぺらとめくりだす。
「三年は八人、二年は十五人、一年に至っては二十人だ。内訳は、男子四十名、女子三名」
数字もすごいが、それを調べ上げたアンタも相当なものだ。女子三名も気にならんと言ったら嘘になる。
手帳から顔を上げた男は、
「ちなみにこの一年五組で涼宮さんと付き合っていた人間は――」
クラス内を見渡しながら、そう言いだした。
釣られて振り向いた俺の視界に、わざとらしく口笛を吹いている谷口が入った。
薄々そうじゃないかと思っていたが、やっぱりそうか、谷口。今度パンでもおごって慰めてやる。
「プライバシーに関わるから、やめておこう」
男はそう言って、手帳を閉じた。ハルヒのプライバシーは侵害しまくっている気がするんだけどな。
男はそれからも、ハルヒの奇行や、誰とも付き合わなくなったことなどを挙げ、
「意を決して昨日、オレは涼宮さんに告白したんだ」
ああ、昨日のはそれか。
「すげなく断られた。理由も教えてくれなかった」
どうでもいいが、ハルヒはこんな話を堂々と自分の前でされて平気なのか?
「しかしオレは納得していない。まだ諦めるわけにもいくまい」
いきなり男は俺に向かって右手を出してきた。握手なんかする気は、俺にはないぞ。
「キョン君、君はオレのライバルだ。お互いがんばろうじゃないか」
唐突にライバル認定されても困る。それに俺のことは何も知らないんじゃなかったのか。
「ブラフだよ。涼宮さんが気になっている男がどんなものなのか、オレも気になったのでね」
なんのことやら。俺にはさっぱり心当たりがないね。
「それはおかしいな。オレの調査では、涼宮さんが誰とも付き合わなくなった理由は――」
「SOS団の活動が忙しくなったからに決まってるでしょ」
窓の外を見ながら、ハルヒがつぶやいた。
ハルヒはうんざりした口調で、
「だいたいね、恋愛感情なんてのはね、一時の気の迷いよ、精神病の一種なのよ」
これまた懐かしい持説を持ち出してきた。
「男なんかどうでもいいわ。今はSOS団があればそれでいいの」
「それは一種の矛盾だな」
ハルヒの言葉を男が切って捨てた。当然ハルヒは面白くない。
初めてこちらを向き直った。仏頂面で俺たち二人を睨みつけてくる。
「なによ。なんか文句あるわけ?」
男はハルヒの睨みを余裕で受け流し、ニヒルな含み笑いを漏らすと、
「SOS団には誰がいる? このキョン君だ」
俺の肩をぽん、と一叩きしてきた。
「キョン君のいるSOS団があればそれでいいと言い、他方では男なんかどうでもいいと言う」
これが矛盾でなくてなんなのか、とばかりに大げさにアピールする。
「オレの目には涼宮さんが自分に言い聞かせているか、自分を誤魔化しているようにしか見えないね」
辛辣な言葉でありながら、ハルヒを見つめる男の表情は優しく下級生を諭す先輩のようだった。
言われたい放題のハルヒだったが、俺はすぐに十倍返しぐらいしてくれるものと思っていた。
だから、ハルヒが下唇を噛んでうつむき出したのを見るに至って、俺は驚きを隠せなかった。
一体どうしちまったんだ、ハルヒ。俺が言ったら完膚なきまで叩きのめしてくるくせによ。
男は視線をハルヒから俺に戻した。
「キョン君、君も涼宮さんと似た者同士なのかもしれないな」
「俺とハルヒのどこが似てるって言うんですか」
俺の反論に、男はさりげない仕草で髪をかきあげると、
「分からないならいいさ。もう時間だ、またあとで会おう」
会釈をして、教室を去っていった。またあとで、ってまた来るつもりなのかよ。
男が去った教室はざわざわしていたが、すぐに担任の岡部が来てHRが始まった。
岡部が文化祭が近づいたことやクラスの出し物が決まっていないことなど、連絡事項を告げる中
俺はさっきの男の言葉が妙に耳に残っていた。
ハルヒと俺が似た者同士? まさかな。ありえん。
そのハルヒは黙りこくって、何かを考えている様子だった。
「災難だな、キョン」
食堂に特攻したハルヒを尻目に、俺はいつものように国木田や谷口と昼食を取っていた。
またあとで会おう、などと言っていた男は結局それから姿を見せずじまいだ。
「むしろお前のほうが災難なんじゃないのか?」
「なんのこった」
俺の切り返しに、谷口がそらっとぼける。国木田が口をもぐもぐさせながら、
「涼宮さんと付き合ってたんでしょ?」
「なんのこった」
「谷口、目が泳いでるぞ」
指摘に谷口はあっさり諦め、両手を上げた。
「仕方ないだろ、涼宮はかわいかったんだから」
それに関しては、俺も異存は無い。おふくろの作ったこの卵焼きの美味さと同じぐらいにな。
「で、どれだけ持ったの? 五分?」
ブロッコリーを口に放り込みつつ、国木田が痛いところを突いてきた。
谷口が心外だとばかりに、口を開く。
「ちげーよ。俺はちゃんとコクって、ちゃんとデートして、」
「ちゃんとフラれたと」
国木田が絶妙なタイミングで合いの手を入れた。
「……ま、そうだ。例の校庭落書き事件の前日にコクって週末にフラれたから、四日ぐらいか」
谷口がなにげなく言った内容に、俺は危うく口の中の物を噴き出しそうになった。
なんつう偶然だ。いや、必然か?
「落書きを手伝うように言われなかったの?」
「なかった。涼宮が勝手にやって終わりだ」
国木田に返答した谷口は、何かに思い当たったらしく、
「そういや落書き事件の翌日か、『あんた北高に知り合いいる?』だかなんだか聞いてきたな」
「へえ。その頃から北高に興味あったんだ、涼宮さん」
「かもな。俺にはあいつの考えてることなんかわからん」
そう言って、弁当に箸を伸ばす。唐揚げを口に運ぶと、谷口は俺を見てきた。にやりと笑う。
「キョン、涼宮を大切にしてやれよ」
「……なんのこった」
次にとぼけるのは俺の番のようだった。
「ハルヒ、あいつとあれから遭遇したか?」
放課後、部室に向かう途中、俺は横を歩いているハルヒに話をふった。
「あの二年の男? してないわね。学食でも会わなかったわよ」
『知らないわよバカ』とでも返ってくるんじゃないかと思ったが、案外素直に答えてくれた。
それにしても、やはり先輩だったか。三年かとも思っていたが、二年とはね。
ハルヒは正面を向いてすたすた歩きながら、
「陳腐な口説き文句なら飽き飽きしてるから無視するけど、ああいうのはやりにくいのよね」
弱音とも取れる言葉を吐いた。珍しいな。
つられて俺はつい、心にも無いことを言ってしまった。
「お前のお望み通りの変人じゃないか。あの先輩みたいな人材を探してたんじゃないのか?」
「あたしはストーカーを募集した覚えは無いの」
ストーカーとはひどい言われようだ。少しは先輩に同情したくなった。変人と言った俺も俺だが。
「キョン」
渡り廊下に出たところで、ハルヒが声をかけてきた。
「なんだ?」
「キョンにとってSOS団って、なんなの?」
唐突な質問だな。なんなのかと言われても、そいつはちょいと複雑な問いだぞ。
「いいから答えなさい」
ハルヒは真剣な顔をしていた。
「そうだな……」
廊下を渡りながら、考える。ハルヒが巻き込む形で入団させられたSOS団だ。
学校のある日は毎日参加しているが、今まで俺にとってなんなのか真面目に考えたことは無かったな。
かと言って、俺が経験した内容をベースにしてそのままハルヒに伝えるわけにもいかん。
「ひとことで言うと、高校生活を面白くしてくれる場所かな」
階段を上りきったところで、俺はそう答えた。当たり障りのない答えだが、仕方ない。
ハルヒの視点に立って考えたら、高校生五人が集まってわいわいがやがやしているだけだと思ったのでね。
騒いでいるのも実質ハルヒだけだがな。ただの仲良しグループみたいだ、俺たち。
「ふうん」
気の抜けた返事をするハルヒ。もう部室は目の前だ、話はこれで終わりだろう。
「じゃあさ」
そう早合点した俺だったが、ハルヒは足を止めて続きを言ってきた。
ニ、三歩ハルヒより先行した俺は、顔だけハルヒに向ける。ハルヒが口を開いた。
「あたしはキョンにとって、なんなの?」
お互いの動きが、はたと止まる。
ハルヒは俺の一挙一動をも逃さないとばかりに、じっと睨みつけていた。
その表情は間違っても『団長』や『クラスメイト』などという答えは求めていない様子だ。
どう答えればいいんだ、おい。
「あれ、涼宮さんにキョンくん。どうかしたんですか?」
救いは階段を上がってやってきた。
ハルヒの後ろから来たのは、制服姿の朝比奈さんだった。助かった。
「いえ、なんでもありません」
「あっ、こらキョン!」
ハルヒが責め立てるように声を上げるが、ここはうやむやにするに限る。
俺は朝比奈さんに笑いかけると、顔を正面に向ける。部室までものの数歩だった。
朝比奈さんもここにおられることだし、ノックする必要はないだろう。
そう判断した俺は、大股で部室の前まで歩くと、ノブに手を掛けて勢いよく扉を開け――
ガンっ!
中々景気のいい音がして、開きかけた扉が止まった。背筋が凍りつく。
扉が途中で止まったのは、扉の前に障害物があるからであって、この場合の障害物ってのはつまり、
「……」
内側から力が加えられ扉が開き切ると、そこには長門が立っていた。鼻の頭とおでこが少し赤い。
「な、長門、すまん!」
「へいき」
平謝りする俺に、長門は抑揚のない声でつぶやくと、片手で顔を覆い隠した。
俺が壁になっていて、ハルヒと朝比奈さんからは長門の仕草は見えなかったに違いない。
数秒後、長門が手をどけると、赤みは消え失せていた。相手が長門で不幸中の幸いだった。
「それより」
治療を終えた長門が半身をずらして、部室の中へ俺たちを誘う。
「お客さま」
「客?」
聞き慣れない単語に中を一瞥すると、古泉の向かい側、いつもは俺が座っている椅子に誰かが座っていた。
誰かとぼかす必要があるかどうかも疑わしいが、パイプ椅子に座っていたのは、
「失礼させてもらっているよ」
昨日ハルヒに告白し、今朝俺たちの教室に騒ぎを持ち込んだ二年の先輩だった。
「どういうつもりなのよ」
同じく中を覗いたハルヒが開口一番、不機嫌さを隠しもせず、先輩に詰め寄った。
「誰の許可を得てここにいるの?」
怒っているな。そりゃ自分の庭を荒らされでもすりゃ怒るか。八つ当たり気味なのは気のせいだろう。
先輩は組んだ脚を組み替えると、手の平を上向けて対面に座っている古泉に向けた。
「オレはちゃんと涼宮さんに用があると彼に告げてここにいる」
古泉がうなずく。
「涼宮さんのお知り合いのようでしたので通したのですが、いけませんでしたか?」
「……古泉くんがそう判断したのなら、仕方ないわね」
やけにあっさりと引き下がったハルヒは、先輩の横を素通りして、団長席にかばんを置いた。
長門はいつの間にか指定席で読書をしており、朝比奈さんはお茶の用意を始めている。
今日はメイド姿を拝めそうにないな、と思いつつ、俺は予備のパイプ椅子を手に取って
先輩の横、長門と向かい合う位置を陣取り、パイプ椅子を広げた。
「それで、なんの用なのかしら」
ぞんざいにハルヒが言った。さっさと追い出したい気持ちを隠そうともしない。
「オレがここに来る用事と言ったらひとつしかない」
先輩は席を立って、渋い声でハルヒに宣言した。
「涼宮さん、オレと付き合ってくれないか?」
俺は朝の件があったため、いきなりの告白にも平然と構えることができた。
昨日の今日で再び告白するこの先輩の頭の中身はどうなっているのか、少し案じてしまったほどだ。
しかし他の団員はそうはいかなかったらしい。
朝比奈さんは湯飲みを抱えたまま目をぱちぱちさせて、聞こえた内容の意味が把握できていない様子だった。
古泉も軽く驚きの色を混ぜた笑みで先輩を見上げている。
そして長門は、本から顔を上げて俺をじっと見ていた。俺を見ても何も出てこないぞ、長門。
ハルヒも度を過ぎる常識外れに、眉をひそめた。
「あんた、もしかして罰ゲームか何かで告白を強要させられてるんじゃないでしょうね」
「失礼な」
先輩がハルヒを咎めたてるように非難の声を上げる。
「オレの気持ちを罰ゲームだのなんだのと、茶化してもらいたいくない」
さっきのハルヒ以上の真剣さで、先輩が言葉を続けた。
「オレは涼宮さんのことが本当に好きなんだ」
ハルヒを好きなのはいいとして、この脈絡のなさはなんなんだ。
正攻法で行くと相手にされないゆえの変化球なのかもしれないが、ただの暴投にも思える。
すべてハルヒの関心を引くための策略だとすると、この先輩は紙一重の存在だ。
「あたしはあんたなんかこれっぽっちも好きじゃないの、分かる?」
ハルヒが親指と人差し指の間隔をミリ単位にして、にべもなく断る。
「涼宮さん、君が中学校時代に付き合っていた人は、全員好きな人だったのかい?」
「……違うに決まってるじゃない」
未だに硬直している朝比奈さんを互いの視界に入れながら、先輩とハルヒが応酬を交わす。
「正直に言おう。オレは昨日告白したとき、断られるとは思ってもいなかった。中学校時代からの類推でね」
先輩の言葉には理に基づいた重さが感じられた。
「断られるにしても、付き合ってからの話だと思ってたんだ。それなら自分が足りなかったと納得もいく」
ま、そう思っても不思議じゃないよな。何せ、断ることをしてこなかったんだから。
先輩は姿勢をずらし斜に構えると、ハルヒを見据えた。
「涼宮さん、なぜ君は変わってしまったんだ? 理由を聞かせてもらえるかな」
場が沈黙を占めた。ふくれっ面で黙り込むハルヒに微動だにしない先輩。
目を瞬かせる朝比奈さんに無害な笑みの古泉。俺を見つめたままの長門、そして俺。
ふと、俺はこの場にいないほうがいいのではないかと思った。特に意味はない。
ただなんとなくそう思っただけだ。そうだとも。
そうして続いた沈黙を破ったのは、ハルヒではなかった。いや、きっかけはハルヒだったのであるが。
ハルヒはふくれっ面のまま、視線を先輩からずらして別の空間に送った。かと思うとそっぽを向く。
ハルヒの行動にうるさい古泉が見逃すはずはなく、ハルヒがそっぽを向く前に見た場所に視線をやる。
遅れて朝比奈さんも、古泉に続いた。長門は最初から動かす必要がない。
最後に先輩が、ゆっくりと振り向いた。怜悧さも漂う端正な顔立ちがあらわになる。
ハルヒ以外の全員の視線が、俺に集中していた。
「なるほど」
何が分かったのか定かではないが、先輩はぽつりとつぶやいた。
「なるほど」
自問するようにもう一度つぶやく。
いたたまれなくなって、俺が何か話しかけようと口を開きかけたそのとき、
「理解した。いや、初めから分かってはいたことだが、確信を持てた」
先輩が俺に向かって声を発した。内容は俺の想像の範疇外である。そもそも俺に言っているのかも怪しい。
次いで先輩は振り返ってそっぽを向いたままのハルヒを見ると、朝比奈さん、古泉、長門と順繰りに視線を送る。
最後に俺を再び見て、さっき谷口が浮かべたような笑みを見せてきた。
「また会うこともあるだろう。先輩としての忠告だ。お互いもう少し素直になるんだな」
「ちょっと!」
ハルヒの制止にも振り返らず、先輩は颯爽と部室を出て行った。
「……なんだったんだ?」
先輩が去っていった扉を見ながら、俺は正直な気持ちを吐いた。
漢字一文字で挙げれば、風だ。鳥でもいい。あっという間の出来事だった。
「今のって告白ですよね、きゃっ」
振り返ると、今更気付いたらしく朝比奈さんが頬に湯飲みを当てて顔を左右に振っていた。
どうでもいいですけど、その頬に当ててる湯飲み俺のです。
「みくるちゃん、お茶!」
ハルヒがぶっきらぼうに告げると、どっかりと団長席に着いた。
「あっ、ごめんなさい、今すぐ」
朝比奈さんが慌てて、ポットに駆け寄った。急須にお湯を入れだす。
パソコンの電源に手を伸ばしたハルヒは、頬が少し赤かったような気がするが、気のせいに違いない。
長門は何事もなかったかのように読書に戻り、古泉はかばんから何か箱状のものを取り出すところだった。
ゲームだろうと目測をつけ、俺はさっきまで先輩が腰掛けていたパイプ椅子に移動する。
初っ端にインシデントがあったものの、SOS団の日常が始まった。
そして今日も長門の本を閉じる音で、一日が終わった。
三々五々に片付けを始める中、いつものようにハルヒがかばんを提げて席を立つ。
そのまま帰るものだとてっきり思っていたのであるが、
「キョン」
ハルヒが俺に声をかけてきた。
「いっしょに帰りなさい」
各人の片付けをする音がはたりと止まる。真意を探るような古泉と朝比奈さんの目がハルヒに集まった。
長門だけ俺を見ているのはどういう意味合いなのか、問い詰めたいところではある。
その俺はと言うと、ハルヒが何をする気か心当たりがあったため、必死で頭を働かせていた。
たぶんあれだ、部室に入る前に俺がうやむやにした質問、あれの答えを聞くつもりだ。
俺に答える気などない、少なくとも今のところは。
「わかった」
だから俺はこう付け加えたのさ。
「昨日は先輩だから良かったが、変質者だったら目も当てられないしな。ついでだからみんなで帰るか」
「えっ?」
ハルヒが虚を突かれた隙に、俺は動きを止めていた三人にアイコンタクトを送った。
「そ、そうですね。今日はメイド服も着てないですし、みんなで帰りたいなあ」
真っ先に朝比奈さんが同調してくれた。さっきといい、助かります。
長門は何も言わず、ハルヒに向けて首を小さく縦に振った。
最後に古泉が安っぽい苦笑を浮かべて、
「安全のためにも、団員の親睦を深めるためにも、全員で帰るべきでしょう」
とってつけたような意見を述べた。
どこか残念そうな響きにも聞こえたが、それは考えないことにする。
立ち直ったハルヒは俺を睨んでいたが、ふっ、と力を抜いた。
「わかったわ。みんなで帰りましょ。団員の親睦を深めるのも大事よね」
決断すれば早いもので、
「さっさと片付けなさい。すぐに出るわよ。遅れただけ日が沈んでいくんだから」
ハルヒは俺たちを急かしだした。ゲームは古泉に任せ、俺は朝比奈さんの手伝いに回る。
急須を洗いに行った朝比奈さんの代わりに湯飲みを並べていると、
「キョン」
ハルヒが耳打ちしてきた。
「これで誤魔化せたと思わないことね」
「なんのこった」
平静を装って湯飲みを並べて置く作業を続ける俺に、ハルヒが宣告した。
「いつか答えは聞かせてもらうわよ」
そう言って、ハルヒは身を翻した。
そのいつかがずっと先になってくれることを願いつつ、俺は湯飲みを片付けながら
どうやってこの集団下校を足がかりにして団員での集団下校を定例化しようか、考えていた。
余談ではあるが、後日、俺は古泉をとっちめてやった。なぜだって?
ったく、大した役者だぜ、あの伊達メガネの先輩はよ。
(おわり)
オリキャラかと思ったらそう来たか!
ナイス補完SSだったGJ!!
これは面白い。丁寧な作りで凄く良かった。
起承転結がしっかりしてると思った
GJ
GJ!
古泉が部室に招きいれてる辺りで、機関の手回しだとは思ったけどそうきたかw
でも面われてるのにどうやったの?機関による特殊メイク?
>>92 機関に新川さんが居るからフェイスペイントは得意そうだ。
個人的にはいまいち。先輩がしゃべり過ぎだと思う。
作者の演説でも聞かされてる気分だった。
↑
こいつ、ずーーーっと一人でSSにケチつけて回ってるね
前スレ荒らし宣言した奴か
別にケチつけるのは悪い事じゃないと思うが
言い方ってことだろ
俺個人の意見だが、そのレスに限れば別に言い方もそこまで酷くないと思う
例えば「先輩でしゃばりすぎ、糞」とかならまだしも
その程度なら指摘に留まっていると思うぞ
99 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 14:32:15 ID:gHK1tMBU
生徒会長だったのか・・・
あのキャラはいじりがいがあると思うのだが、誰も使いたがらないね。
SS倉庫にSOS団vs生徒会のサバゲーみたいなのがあったが、状況が
不可解なだけにイマイチな感じだった。
誰か生徒会長と喜緑さんのSSとか書いてくれないかな。
だめだ、生徒会長って考えると林水さんが脳内で喋る……
ハルヒの生徒会長より強烈だ……
ニコニコしながら会長の前に書類の束を積み上げていく喜緑さんしか思いつかなかった。
>>74 とても面白くて読み応えあった。
全てに得心GJ!
おもろかったぜ。
まぁ、こういうイベントの時は、まず第一に古泉を締め上げて
「おい、これはお前の仕込みだろ?」から始めるくらいには
キョンは学習してそうな気もするけどね。
ここでのキモは、クラスのみんなの見ている前でやったってことだな。
谷口あたりが「なーキョン、そろそろ腹くくれやー」とか、
阪中代表の女性軍一同がハルヒをけしかけるとか、
そういう効果が狙えるってこった。こすいなぁ古泉w
何かイベントが起こったら
@ハルヒが望んだ
A小泉が仕組んだ
この二つはキョンも疑うだろうな
\ ◇ /
(* ̄∀ ̄) あちゃもキョンシー
⊃ ⊃
│ │
│ │
∪ ̄∪
図図図
>>104 純ちゃんバロスwwwwww
問題は国家レベルにまでなったかw
「国民なんぞどうでもいい。米国と涼宮ハルヒの機嫌を取るんだ」
ええい!靖国はいい!
涼宮ハルヒを映せ!
小泉純ちゃんが純レギ… 準レギュラーになりつつある件w
他党の主張は…
公明党「政治と宗教と涼宮ハルヒの分離を提言」
民主党「アジアと涼宮ハルヒの共存を目指す」
社民党「憲法9条と涼宮ハルヒの機嫌を固持していく」
共産党「ハルヒ主義社会の実現」
ちょww
マジワロタ
誰か古泉と小泉とハルヒのSSを(ry
なんだかハルヒが永田町に突撃を敢行しそうだ…不思議探しに向かうとか言って
長門町と言いそうになったのは俺だけじゃないはず
「キョン!もしわたしが大統領になって核爆弾のスイッチを押そうとしたら…」
「一発でKOだぜ」
日本は涼宮ハルヒを中心とする神の国
国家社会涼宮ハルヒ主義の誕生であった。
ジークハルヒ
とまぁ、日本が何故か我らがSOS団団長涼宮ハルヒを中心に回る悪夢で俺のうたた寝は幕を閉じた。
そもそもの原因は現代社会の授業でハルヒがろくでもない空想を前の席の俺に淡々と語り続けた賜物であり、このままいけば俺は自宅のベッドで横になっていてもハルヒに振り回される人生を送ることになりそうだ。
と、俺が将来に若干の懸念を覚え、胃に穴が開いたり毛が抜け落ちたりしないかを今から考えているのを横目に次の授業の古典についてハルヒはひとしきり俺に文句を言い続けている。
どうやら次の夢は十二単を着たハルヒになりそうだ。
始まった古典の授業はハルヒの意見通り昨日言ったことと対して変わらない内容で、聞くもの全てを安眠に誘う癒しのミュージックの授業になっていた。
俺はせめてその夢に朝比奈さんや長門、おまけで古泉が一緒に出てきてくれることを祈りながら、ゆっくりと瞼を閉じた。
>>94 >演説
はげど。小ネタ程度の内容しかないのに長すぎる。
起承転結がしっかりって、何がどうしっかりしてんだろ。
作内で日にち跨いでんのに転してない。オチもなし。起の部分からすでにキョン。
だいぶ前のSSの話しになっちゃうんだけどどうしても気になるから聞くね。
『いくさがたな』の謎かけの解ってなに?
>>124 おまえどうやって「いくさがたな」って書いた?
それが答え。
あなたが好き
>>124 ”いくさがたな”と自分で録音して逆再生してみて下さい
多分聞こえるハズ
>>124 いくさがたな→ikusagatana→逆再生(日本語は逆再生したい時はローマ字変換
して読む
→anatagasuki→あなたがすき
長門はキョンが好き
愛されてるな、「いくさがたな」のSSは。
間違ってるのがまた寒いがな
があああ
電波でエネルギー云々はちょっと設定が。そこのくだりで引っかかって先は読んでない。
先輩の方は、なかなか時期がわからないのが困る。
頭でっかちというか、序盤の前フリが冗長。オチのために丁寧に描写したんだろうけど、その結果、
動揺で機関がみくるの監視と保護を行っていることを始めて知らされた件との不整合が生じている。
あまりキョンがしつこいので、ハルヒでなくても「心配すぎ」だと思った。話的にみくるはどうでもいいはずだし。
そこをもっと簡単に描いて、
1.キョンが軽い気持ちで集団下校提案
2.ハルヒが速攻で却下
3.やれやれなキョンに古泉が「それより僕が気になるのは、涼宮さんです」
4.「あいつが変質者くらいでどうにかなるタマか」(古泉の言葉を、ハルヒの心配はしないのかと解釈して)
5.「いえ、そろそろ退屈なさってきているのでは(以下略、とキョンのツンデレをいなして以下本線へ
とかだったら、みくるは正しく空気で、キョンはツンデレ、古泉はキョンとハルヒの関係に口を出しつつ、
結局介入までするという流れがスムーズになるのではないかなぁと。
オチについては、整合をどうするか(麺割れ)の問題は考えない事にした。既に本編と矛盾した世界だし、
「機関の手のもの」とだけ解釈。
どうしても批判のような意見になってしまう人は
良い部分、悪い部分の感想を書くといいよ。前者がなければスルーがオススメ。
書き込む前に見返してみよう。書く人がいなくなったら嫌だろ。
確かに批判食らうと鬱になるからなww
VIPはマジぬるいから何書いてもGJ言われるけどな
おかげでこっちには怖くて投下できなくなったよ(別にVIPで投下してないが)
つまりもっと幼馴染が(ry
色々くどかったかな。精進します。
平行して書いてたゆるーいのが一区切りついたからそっちも投下。
ツンが有ってこそのデレだろ?
溶けるような猛暑があるから秋が待ち遠しいんだろう?
『涼宮ハルヒの日常』
「――だよー!」
なんなんだよ。誰か知らんが大声を出すな。もう少しで朝比奈さんが来るんだよ。
「んもう、キョンくん、あっさ朝あさ、朝だよーっ!」
ええい、うるさい。俺と朝比奈さんの逢瀬の邪魔をするな。
「おーきーろー」
ぐあっ、実力行使に出てきやがった。なんだこの妹にストンピングを食らったような痛みは。
ま、それも全て朝比奈さんが来るまでの我慢だ。きっとキスで俺を癒してくれるだろう。
「キスってちゅうのことー?」
そうだよ、唇と唇を合わせることだよ。目も覚めるような甘くとろけるベーゼだろうよ、朝比奈さんのは。
「ちゅうで目が覚めるの?」
当たり前だろ。俺も経験あるし、白雪姫や眠れる森の美女を知らんのか、お前は。
「じゃあする。んーっ」
ちゅっ。
ん?
駅前の光景がぶれて、次にまばたきをしたら、視界がぼやけていた。何かが接近しているらしい。
鼻腔をくすぐる甘い匂いと、唇に覆いかぶさっているほのかな潤みから、これは朝比奈さんだと見当をつける。
朝比奈さん、来たなら来たと言って下さってもいいじゃないですか。いきなりキスだなんて、らしくないですよ。
俺は緊張のためか固まっていた腕を引き抜くと、朝比奈さんの背中に回して、力強く抱きしめた。
「んはっ、キョンくん、いきなりな――」
次いでお返しとばかりに、情熱的なキスを朝比奈さんにする。朝比奈さんの可愛らしく慎ましいサイズの唇に
俺の唇が覆いかぶさる。こういうときは目を閉じるのが作法なのは言うまでもない。
朝比奈さんが小鳥のように俺の腕の中から羽ばたき去ろうと、切なげに身をよじらせる。
そんなに恥ずかしがらなくても誰も見てやしませんし、たとえ見ていたとしても俺たちは永遠です。
自分でもよく分からんセリフを心の中でつぶやきながら、俺は舌をそっと差し伸べた。
「んぅ!?」
ぴくん、と身体を跳ねさせる朝比奈さん。歯を合わせていらっしゃったため、周辺を優しくねぶる。
「ふあ……」
しばらくして開いた隙間に舌を潜り込ませ、お隠れ遊ばせていらした朝比奈さんの舌を探し当てる。
舌と舌とを絡み合わせると、ぴちゃぴちゃと濡れる音がして俺の官能をいたく刺激した。
朝比奈さんの唾液を舐め取ると、昔懐かしい、子供用ハミガキ粉のイチゴ味のような味がする。
その甘い香りはなんとなく朝比奈さんらしくて、微笑ましく思えた。
最初は身を固くしていた朝比奈さんの力は徐々に抜けて、俺に身を任せるようにくたっとなられた。
嬉しいのだが、正面から抱きしめている割に、何かこう、弾力に欠けるような気がするのはなぜだろう。
いつもならもっとこう、柔らかい物体が俺の胸部に押し付けられるのだが……気のせいか。
俺はすっかり従順になった朝比奈さんとの口づけを十分に愉しみ、顔を離した。
「朝比奈さん、今日もおきれいです……ね……?」
「……もうらめ」
俺の目の前にいたのは目をとろんとさせた朝比奈さん、ではなく、よりにもよって妹だった。
こてん、とベッドの上で横になった普段着姿の妹は、夢うつつの表情で、ぼんやり中空に視線を這わせていた。
って、何してんだ俺!
「なんでも買ってやるから親には言うなよ!」
「えー」
洗面所で二人揃って歯磨きをしながら、俺は妹に謝りつつ怒鳴りつつ買収を試みつつなだめすかしていた。
朝比奈さんに夢の中で恥ずかしい真似をしていたって事実を妹に知られただけでも切腹モノだというのに
あまつさえ寝ぼけて妹を朝比奈さんと間違えて、ディープキスを敢行してしまった俺である。
この事実はなんとしてでも隠蔽しなければならん。
「がらがらがらっ、ぺっ」
イチゴ味のハミガキ粉で歯を磨き、口をゆすいだ妹は、頬を膨らませて俺を見上げてきた。
「キョンくん、わたしのふぁーすときすを台無しにしたんだよ!」
ファーストキスならとっくにお前が一歳ぐらいのときに当時幼稚園児だった俺がごほごほ。
ま、こんなのは通常カウントされないか。妹に物心がつく前の話だしな。
「だから悪かったって言ってるだろ。なんでも買ってやるから。お前が欲しがってたぬいぐるみでもいいぞ」
買収するのが経験則上、一番確実だったので、甘いエサをちらつかせる。
果たして妹は、チョコレートパフェを目の前にした子供のように目を輝かせた。いけるか?
かと思いきや、首をブンブン振って、
「キョンくんには、んーと、せいい? そうそう、誠意がたりなーい!」
どっかのドラマで覚えたような単語とともに、歯ブラシを俺に突きつけてきた。
「ちゃんと責任を取ってくれなきゃダメなの!」
「責任と言ってもだな、お前は俺に何をさせたいんだ」
全く、子供は子供らしくぬいぐるみで我慢しておけばいいものを。
少しは賢しくなった妹がとんでもないことを言いだすんじゃないかと待ち構えていると
妹は空いた手を口元で丸めて、耳元でひそひそ話をするような姿勢を取った。面倒くさいな。
「ほれ、なんだ。言ってみろ」
妹に合わせて中腰になってやる。妹が顔を寄せてきた。
「あのね……」
ちゅっ。
「なっ――」
続きを待っていた俺の頬に、妹が不意打ちでキスをかましてきやがった。何がどうなってこうなる?
「えへっ」
呆然と佇む俺に、ちろりと舌をのぞかせると、妹は歯ブラシを置いて洗面所を出て行った。
「いってきまーす」
つまさきをトントン鳴らしながら、ランドセルを背負った妹が振り返って家の中に向かって声を張り上げた。
俺もかばんを提げて、先に外へ出る。チャリを持ってこないとな。
朝飯の間、妹はにこにこしているだけで、キスのことなどおくびにも出さなかった。
そのまま古泉の笑みのように、あってもなくてもどうでもいいものとして風化してくれないものかね。
とりあえず妹のほうから話題にしてくるまで関知しないことにした俺は、チャリのカゴにかばんを押し込んだ。
俺の日常の仕切り直しだ。
「それでね、ミヨちゃんがね」
チャリを手押しする俺の横で、妹がたわいもない話を続けている。
途中まで妹を送ってやるのが、俺の日課だった。通学路も途中までいっしょだから、不都合があるわけでもない。
それに送ってやると言っても、
「あ、ミヨちゃん」
もののニ、三分だ。妹は毎日、友達と待ち合わせをして通学しているらしい。
見れば、ランドセルを背負った女の子が二人いた。家に何度も遊びに来ている二人だから、俺も顔見知りである。
妹は俺を見上げると、下手くそなウィンクをしてきた。どんな意味合いがあるのかはさっぱり分からん。
「キョンくん、いってきまーす」
元気よく声を出す妹に、俺はうなずいてやった。そのまま妹は振り向くことなく、駆けていく。
朝からよくあんなテンションを維持できるもんだ。俺も小学生の頃は、あんなんだったっけ?
首を傾げつつ、俺はサドルを跨いだ。ま、いいや。今の俺は高校生だ。
高校生は高校生らしく、だらだら登校することにしよう。
のんびりチャリを走らせ、ほどなくして俺は自転車置き場に到着する。
さて、こっから北高までは徒歩だ。くそ長い坂を上る日課をこなさねばならない。
途中で谷口にでも会わねえかな。黙々と坂を上るよりは、だべりながらのほうが気がまぎれる。
そんなことを考えながら、自転車置き場から出た途端、
「あっ!」
横手から声が上がったかと思うと、衝撃が走った。誰かがぶつかってきやがったせいだと認識したのは
あまりの勢いにたまらずたたらを踏んで、尻餅をついたあとだった。どさっという音がふたつする。
ひとつは俺のかばんの音だろう。もうひとつは、たぶん相手さんが立てた音だろうな。
ったく、今日はなんつう日なんだ。災難もいいところだぜ。
「いててて……」
頭を手で押さえて被害者であることをアピールしつつ、俺はぶつかってきた相手がいる方向に目をやった。
そこには俺と同じように尻餅をつき、肘を突いて身を起こしつつある高校生がいた。
なぜ高校生だと分かったのかと言うと、制服を着ているからだ。北高女子の制服だな。
ところで、その制服に少しばかり問題が生じていた。具体的に言うと、スカートがめくれ上がっていて
健康的なふとももや、その奥にある飾り気のない淡い薄緑色の物体がばっちりとお見えになっていたのである。
膝を立てた姿勢でいるため、俺にアップでむしろ見せ付けるような格好だ。
健康的な男子高校生には、はっきりいって目の毒でしかない。
「いたた……ごめんよう、キョンくん」
ようやく身を起こしになったその女子は、
「鶴屋さん?」
長い髪の持ち主である、二年の鶴屋さんだった。
鶴屋さんは、長い髪についたほこりを払いつつ、俺に片手を立てて詫びを入れてきた。
「もうちっとあたしが注意してりゃ良かったんだけどさっ、日直であっぷあっぷだったんだよね。ごめんっ!」
どこまでも明るく振舞っているが、声色は心底すまなそうだ。
「怪我してないかい? 物が壊れたりとかはっ?」
「それは大丈夫だと思いますが……」
目のやりどころに困りつつ、俺は鶴屋さんに返事した。かばんの中に容易に壊れるものを入れた覚えはない。
それよりスカートをなんとかしてほしいと思い、ちらちらと目線でそれとなく鶴屋さんに伝えてみた。
口に出して言うのは、なんとなく気恥ずかしかったのでね。
聡い鶴屋さんは、すぐに察知してくれたらしい。
「あっ……あ、あははっ」
ごまかし笑いを上げて、すっと立ち上がった。俺に手を差し伸べてくれる。
「つまらないものを見せちゃって、重ね重ねごめんよっ。あとでハルにゃんのでも見て癒しておくれっ」
別につまらなくありませんでしたし、ハルヒがなぜ出てくるのかも分かりません。
鶴屋さんの手を借りて立ち上がった俺の肩を鶴屋さんはポンと叩いて、快活な笑みをくださった。
「元気みたいだしよかったよかった。そいじゃあたしは日直! じゃねーっ」
かばんを拾い上げ、最後に言葉を俺に送ると、一目散に駆けていった。妹より元気なお人だ。
あの速度のまま坂を上って大丈夫なのか多少の不安を抱きつつ、俺は自分のかばんを拾った。
……今の出来事は、得したかな、たぶん。
坂は長かった。しかしどの北高生も歩む道だ。
九割以上の北高生が、一度は坂に文句をつけたのではないかと思う。
なぜこんな場所に公立高があるのか。せめて坂下の女子高と替わってくれないだろうか、ってな。
谷口の影も形もないことを肴にしつつ、坂を上っていると、
「キョンくーん!」
背後から決して忘れることのない、至上の声が届いた。もちろん、振り返らないわけがない。
なぜならそのお声は、朝比奈さんのだからな。
振り返った俺の視界に、坂を頼りない歩調で坂を上がってくる朝比奈さんの姿が入った。
朝比奈さんは俺に追いつこうとしてか、ちょこまかと足を動かしておられる。
あまり上下に激しく動くと、たゆんたゆんしますよ。どの部分がかは明言を避けますが。
その微笑ましい行動に妹を重ねてしまい、慌てて振り払う。妹と朝比奈さんは関係ない。断じて関係ないぞ。
俺が変なことを想起してしまったのかいけなかったのか、
「わひゃあっ!」
俺のそばまで来ていた朝比奈さんが、派手に転んだ。ファスナーが開いていたのかかばんの中身がばら撒かれる。
「ふえぇ」
涙目になって、教科書やら小さいポシェットやら拾い出す朝比奈さん。何をやっているんだか、と思いつつ、
「手伝います」
かばんを地面に置いて、膝をつく。丸っこい字で学科名と名前の書いてあるノートを拾って、手渡した。
受け取った朝比奈さんは、目尻に涙を浮かべた極上の笑みを俺にくださった。手伝った甲斐があるというものだ。
もっとも、最初に出会ったときは、もう少し二年生らしい、大人びた人だったような記憶もあるのだが。
ハルヒに洗脳されて、ドジッ娘になりつつあるのであれば、由々しき事態である。対策を練る必要があるな。
朝比奈さんより俺が洗脳されているんじゃないかと思わしき飛躍をしつつ、次の落とし物に手を伸ばすと
太陽がキラリと反射して、何かが俺の目に映った。白い色だった。
せっせと手を動かしている朝比奈さんの目を盗んで、太陽光を反射した地点に目をやる。
そこに落ちていたのは、開いてあるコンパクトだった。身だしなみに気を使う女子生徒なら持っていて当然だ。
そしてこれが本題なのであるが、鏡に映っていたのは、朝比奈さんのスカートの中身だった。
坂の上からの視線が上手い具合に反射しているらしい。白かった。あと肉感がすごい。
さっきの鶴屋さんはほっそりとしたふとももだったが、朝比奈さんのはショーツと股の付け根との境界線が
はちきれそうだ。お尻を浮かせた姿勢だからかもしれない。
条件反射的につばを飲み込む。この上なくエロい光景だった。
扇情的な光景に目を奪われていると、
「きゃあああ!」
急に鏡から白い物体が消え、別の物体が映った。制服の一部分だ。
俺が顔を上げると、真っ赤な顔で地面にへたり込んで手でスカートを抑えている朝比奈さんがいた。
やばっ。バレたのか? というより、バレたんだよな、絶対。
俺の脳裏に朝比奈さんがとった行動の一部始終が浮かぶ。
手を止めて一点を凝視している俺を、疑問に思う朝比奈さん。
俺の視線を追うと鏡に到達する。そこから反射角を割り出して、線対称を描き出す。
最終的に線が到達した部分が、自分のスカートの中身だと判明。悲鳴を上げるに及ぶ。こうだ。
「キョンくん……」
朝比奈さんが俺の名前を呼んだ。震える声でだ。図らずもミラーマンと化した俺はどうすればいい?
「な、なんでしょう?」
とりあえずとぼけてみた。土下座するのがもっともなんだが、少しばかり衆目が多すぎる。
荷物を拾っている最中にも、十人じゃきかない数の生徒が通り過ぎていた。
「……見たでしょ?」
朝比奈さんにしては低い声で、俺をすくい上げるように言葉をぶつけてきた。
どれだけ低く見積もっても怒っていることは明らかだった。どうする、俺? いっそ謝るか?
しかし、謝ってこの場を乗り切ったとしても、事実が広まった瞬間、終わりそうだ。やはりごまかすしかない。
俺はコンパクトを拾って証拠隠滅すると、残りの荷物も手早く拾った。
「朝比奈さん、みんなが見てますよ」
「え?」
俺の言葉に、朝比奈さんは左右を見渡した。集団ができるほどではないものの、
通りすがりの生徒がちらちらと視線を送っていた。谷口がいたら手伝いを申し込んでいたに違いない。
通学路で座り込んでいる自分の恥ずかしさに気がついたのか、朝比奈さんはうまくごまかされてくれた。
「わ、わわっ」
慌てて立ち上がった朝比奈さんは、俺が差し出した荷物をかばんに入れると、ファスナーを締める。
さりげなく誘導する俺に沿って、坂を上り始めたのだった。
周囲に溶け込んでから、俺は心の中で喝采を上げた。成功だ。うやむやにできた。
と、思っていたのであるが、朝比奈さんはそこまでドジッ娘ではなかった。
「キョンくん」
朝比奈さんがにっこり笑って、耳打ちしてきた。
「あとでたっぷり聞かせてもらいますから」
笑い顔が怖いなんてまさかハルヒ以外で思うことになろうとはね。
冷や汗をかいたものの、俺は朝比奈さんと並んで登校する僥倖に恵まれていた。
朝比奈さんは先ほどのことは一旦、胸にしまったらしく、普通の話題を振ってくる。
「いつもは鶴屋さんとなんですけど、今日は日直で先に行っちゃってて」
「ああ、鶴屋さんならさっき会いましたよ。だいぶ急いでいるようでした」
大層な物も見せていただきましたし。
普段はしがらみや立場のせいもあってか、ろくに高校生らしい会話などできないのであるが
今日は話が弾んだ。俺が夢にまで見た、朝比奈さんとふたりっきりの登校でもあるしな。
……まさか、これが夢の続きなんてことはないよな?
「どうしたんですか、キョンくん。ほっぺたつねったりして」
「なんでもないです。少しむず痒かったもので」
痛かった。どうやら現実のようだった。もっともそれで安心できるとは限らないのがこの世界なのだが。
朝比奈さんとの会話に花を咲かせている間に、あっさり校門にたどり着いてしまった。
このときばかりは、坂がもっと長くても構わないと思ってしまった俺の気持ちも汲んでもらえると思う。
校門に吸い込まれていく生徒が大半の中、脇に立って周囲を見渡している女子がいた。
どうやら人を待っているようだ。かばんを大事そうに両手で抱えている。
その女子の顔が俺に向いたとき、その女子が顔見知りであることが判明した。思わず声を上げる。
「阪中?」
俺の声に重ねるように、クラスメイトの阪中がほっと溜息をついた。
そのまま俺に駆け寄ってくる。探し人は俺だったのか?
「おはよ」
阪中がほんわかした笑みとともに挨拶をしてきた。
「ああ、おはよう」
俺は訝しい表情をしているに違いない。場所が教室なら日常茶飯事だが、校門の前で待たれてまで
挨拶をされるような間柄ではないはずだ。
「何か用事があるのか?」
「えっと、あのね」
俺の問いかけに阪中は何かを言いかけ、横できょとんとしていた朝比奈さんに気付いたらしく口をつぐんだ。
朝比奈さんがいるとできない話なのだろうか。
「あ、わたし鶴屋さんに聞かなきゃいけないことがあるんでした」
察しがいいのかなんなのか、急に朝比奈さんが声を上げる。
下手なウィンクとともに、俺の肩に手を乗せてきた。
「キョンくん、また放課後部室で」
「ええ、またあとで――いててっ」
手拍子で返事をしかけた俺の頬を、いきなり朝比奈さんがつねってきた。かなり力が入っている。
「何するんですか!」
頬をさすりながら憮然とする俺に、朝比奈さんは口元が笑ってない笑みをくださった。
「だってキョンくん、痒かったんでしょう?」
そう言うと、朝比奈さんは阪中に会釈をしてから校門をくぐっていった。正直に言おう、怖かった。
「……あー、で、なんなんだ? 阪中」
朝比奈さんの姿が見えなくなってから、気を取り直して阪中に声をかけた。
「ここじゃなんだから」
と、阪中は周囲の目を意識した感じで、俺の服の袖を引っ張る。
その仕草はなんだか初々しくてよかった。
阪中が俺を連れてきたのは、校舎の横、この時間帯は人気の少ない場所だった。
「少し待ってて」
そう言うと阪中は後ろを向いて大事に抱えていたかばんに視線を落とした。何かを取り出すつもりらしい。
阪中を待つ間、俺はグラウンドに目をやった。朝練を終えて切り上げる陸上部の姿が見える。
俺もSOS団に入ってなかったら、どっかの運動部にでも入っていたのだろうか。案外、帰宅部かもな。
中学の部活だって――
「おまたせ」
俺が回想に入っているうちに、阪中の準備が整ったようだ。
見ると、かばんを地面に置いて、後ろ手に何かを隠し持っている。
「あのね、これを受け取ってほしいの」
はにかみつつ、阪中が差し出したそれは、
「弁当?」
布に覆われている直方体の物体だった。俺が弁当と思ったのも当然だろう。
阪中がこくりとうなずき返す。俺の推測は正しかったようだ。とりあえず受け取った。それにしてもだな、
「俺に?」
俺の驚きもこれまた妥当だ。ルソーの件まで阪中は悪いがただのクラスメイトだった。それ以後も
そんなに親交が深まったわけでもない。むしろ俺は、古泉のほうに興味があるんじゃないかと思っていた。
顔を真っ赤にした阪中はうつむいて、
「ち、違うのね。それは、えっと、あのね」
しどろもどろになりつつ、言葉をつないだ。
「涼宮さんが、わたしに代わりに渡してって言ったのね」
「ハルヒが?」
なんでまた。
「うん、涼宮さんなのね。そのお弁当は涼宮さんが作ったの。でも恥ずかしいからって」
阪中は足元にあったかばんを拾い上げて、
「涼宮さんには内緒にしてね。わたしが言ったってことがバレたら、涼宮さんに怒られちゃう」
口早に言った。声がやや上ずっている。
「それじゃ、たしかに渡したのね。食べ終わったら、わたしの靴箱にでも入れておいて」
それだけを言うと、阪中は俺の横をすり抜けて、靴箱のある方向に去っていった。
残ったのは、片手にかばん、もう片方に阪中曰くハルヒお手製の弁当を提げた俺だった。
首を傾げつつ、俺はかばんの中に弁当をしまい込んで、靴箱に向かう。
もっと喜ぶべきなのかもしれないが、阪中の言葉をそのまま額面通り受け取る気はなかった。
ハルヒがいきなり弁当なんか作ってくるわけないだろ。もしあったら、そこは別世界だ。
しかしそう言うものの、弁当はしっかり俺のかばんの中に存在するわけであり、とすると
やっぱりここは別世界なのかもな。
達観しつつあった俺でも、俺の靴箱を勝手に開けている人物を目にしたときは、名前が口から転び出た。
「長門?」
そう、なぜか長門が俺の靴箱を開いて、中に手を入れていたのだ。
長門は俺の存在をみとめると、自然な動作で手を引き抜いて靴箱を閉じ、俺に背を向けて去ろうとした。
「長門!」
もう一度名前を呼ぶと、長門は足を止めて、振り返ってきた。
軽く首を振ったその動作は、挨拶のつもりなのだろうか。
それより俺は、謎の行動について理由を聞かせてもらいたいのだが。
歩み寄った俺は、靴箱にちらっと視線を送って、
「何かしたのか?」
「なにも」
ぽつりとつぶやき返す長門。いや、人の靴箱に手を突っ込んでおいて、何もしてないわけないだろ。
長門を問い詰める前に、俺は靴箱を開けてみた。
中に入っていたのは、俺の上履きと、ついさっき類似したものを手渡された記憶のある物体だった。
手を伸ばして、つまみ出す。長門のことだから装丁本の可能性も考えたが、やっぱりこれは、
「弁当……だよな」
「そう」
長門が首肯した。やっぱり何かしたんじゃないか。
「食べて」
俺をじっと見つめながら、無表情で声を発してきた。
食べるのには吝かではないが、朝比奈ミクルの冒険はもう撮影終了して上映も終了したはずだぞ。
「一体、なんの風の吹きまわしだ?」
問う俺に、
「うまく言語化出来ない。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない」
どこか懐かしみを感じさせる言い回しをした長門は、
「だから聞かないで」
そう言って、俺に背を向け校舎の中にあっという間に消えていった。
長門を見送る形になった俺は、手に新しい弁当を提げつつ、独白を吐いた。
「とりあえず、だ」
今日の体育は、いつも以上に体を動かす必要があることだけは、間違いなかった。
都合三つの弁当をかばんの中に抱える身となった俺は、教室の戸をくぐっていた。
と言っても、別に何かあったわけでもない。一年五組は、通常通り営業中だ。
谷口と国木田がだべり、ハルヒは肘を突いて窓の外を眺めている。
教室を見渡すと、阪中はクラスメイトとおしゃべりをしていて、意図してかせずか
俺が教室に入ったことには気付いていないようだった。
「おっす」
「おはよ」
適当に挨拶する俺に、適当な返事をハルヒはしてきた。
どこまでも自然な応答だ。このハルヒが弁当を作ってきたなんて考え辛いな。
まじまじと見つめていたせいか、ハルヒは俺に向き直ってきた。
「なに? 言いたいことがあるならはっきり言いなさい!」
「もうちょっと女教師が生徒に向かって優しく諭すような口調で言ってくれ」
投げやりに言った俺に、ハルヒは呆れた様子で、言葉をぶつけてきた。
「このバカキョン」
なんとなく安心した俺は、教科書や筆記用具をかばんから机に移す作業を開始した。
何も入っているはずはないのだが、つい空っぽの机の中に手を探りいれる。
と、手が何かが入っていることを伝えてきた。この感触は、紙切れか。
配布されたプリントを入れたままにしてたっけかな。記憶にはないんだが、記憶にないからあるんだろう。
タマゴが先かニワトリが先かのような問答をしつつ、紙切れをつかんで、引っ張り出す。
机の上に出たそれは、ルーズリーフだった。丁寧に折りたたまれてある。
俺の使っている種類じゃないな。さて、中になんと書いてあるのやら。
「『今日のお昼休みに屋上前の踊り場に来てください。ご飯を食べてからでいいです』って書いてあるわね」
広げた俺が中身を読み出す前に、肩口から顔をのぞかせたハルヒが読み上げやがった。
「……盗み見は、あまり趣味がよくないと思うんだけどな」
不平をこぼす俺に、ハルヒは、
「誰かしら? もしかしたらあたしのSOS団に対する宣戦布告かもしれないわね」
全然聞いちゃいねえ。大体、宣戦布告なら、お前の机に放り込んであるはずだろ。
「甘いわね、キョン。将を射んと欲すればまず馬を射よってことわざ知らないの?」
「誰が馬だ」
「うーん、万が一のことを考えて、古泉くんにも伝えておいたほうがいいかしら」
正当なツッコミも無視して、ハルヒはあれこれ考え出した。
ほっとこう。それより、文面が大事である。ハルヒは宣戦布告などと言ったが、ある意味そうかもな。
実際、のこのこと放課後の教室に出向いて殺されそうになった経験があるだけに、慎重に考える必要があった。
どうしたものか。とりあえずハルヒには来ないよう、言いきかせておくか。
万が一、告白だったりした場合、ハルヒが居合わせると気まずいのは間違いないからな。
体育で普段より張り切ったせいで谷口に変な目で見られはしたが、朝の一連の出来事と比べると
そんなことは些末なことでしかなく、つつがなく過ぎたと言っても過言ではない。
この平穏が嵐の前の静けさなのか、それとも単なる日常なのかは、俺には分からないが。
「あれ、キョン。今日はお弁当箱二つあるの?」
「ああ。親が張り切ったらしい」
心の中でおふくろに謝罪しつつ、俺は阪中から手渡された弁当箱と、長門が靴箱に置いた弁当箱を取り出した。
おふくろが作ってくれた弁当は、あとでどっかで食っちまおう。残したままだと怒られそうだ。
「女子の誰かが作ってくれた弁当じゃねえだろうな、キョン」
谷口が中々鋭いことを言ってきた。つうか、ただの僻みか。
「俺が弁当を作ってもらえるような人間だと思うか?」
我ながら物悲しくなるようなことを言ってしまったが、谷口はそれで黙った。
国木田が「そりゃそうだよね」と、自分の包みを開き出したのには、少し腹が立ったが。
ああ、ちなみにハルヒは食堂へ特攻していった。昼休みが終わるまで戻ってこないのが慣例だ。
さて、どっちの包みを先に開くべきか。別にあとに回したからといって失礼になるとは思わないにせよ
俺の腹は有限である。量によっては、食べきれない可能性もなくはない。同時に開いて食うわけにもいかん。
……先にくれたほうを食べるか。俺はファンシーな布のほうを手に取った。
犬の柄がプリントされた布を取ると、これまた犬の絵が描かれてある弁当箱が出てきた。
これって、ハルヒが作った弁当なんだよ、な?
思わず教室の別の場所で机を付き合わせて食事を取っている女子グループに目をやる。
そこには、もっぱら聞き手に回っている阪中がいた。俺の視線には気付いていないらしい。
「どうしたの、キョン」
「いや……」
目ざとい国木田に生返事をしつつ、視線を弁当箱に戻した。食っちまおう。箱を開いた。
「う」
そしてうめき声を漏らした。これは、どうなんだ。
固まる俺に谷口が弁当の中身をのぞいてきた。感想を述べてくれる。
「お前の親御さん、なんかいいことあったのか?」
谷口がそう思うのも無理はなく、ぱっと見でも豪勢な弁当だということが分かった。
卵焼き、唐揚げ、タコさんウィンナー、ハート型のかまぼこ、きんぴらごぼうに煮豆。ここまではいい。
だが、弁当箱を縦断しているエビフライ、剥いてあるカニの脚、イクラに鯛、ウニにマグロとなれば話は別だ。
海鮮丼とは、中々豪快な弁当だった。炊き込みご飯までしてある。
弁当にしては、ちょっと手を掛けすぎなんじゃないのか、これって。
躊躇しつつ、食べないわけにはいかないので、箸を卵焼きに伸ばした。
卵焼きの出来にこだわるおふくろを持ったせいで、俺自身も多少は卵焼きにうるさくなっていた。
なんでも卵焼きがきちんと作れる人は、基本ができているらしい。おふくろの言葉だ。
箸でつまんだ卵焼きは、焼き加減、重ね具合ともに文句なしだった。
あとは味だ。ひょいと口に放り込む。
『すご。うま。おいしい。お店開けるわよ、この味』
なぜかハルヒのセリフが頭に浮かんだ。そしてそれで説明は十分だった。
煮豆に、きんぴらごぼうに、次々と箸を伸ばして口に運ぶ。うまい、うまいぞこれは。
あまりに俺の食いっぷりがよかったせいだろうか、谷口がいちゃもんをつけてきた。
「おい、キョン。俺にもちょっと分けろよ」
「やらん」
弁当箱を持ってかき込みながら、俺は谷口ににべもなく告げた。
悪いが谷口にくれてやるわけにはいかない。パンでも食ってろ。
「ふう」
一仕事終えたような心持ちで、俺は空になった弁当箱を見つめていた。
充実感にあふれている。今なら空ぐらいなら飛べるかもしれない。
「ん?」
誰かの視線を感じて顔を向けると、阪中がいた。
俺が視線を向けると慌ててそらして、同席している女子のほうを向いたようにも見えたが、はて。
「もうひとつのほうも楽しみだね」
国木田の言葉に、注意が机の上に戻った。そうだ、もうひとつ弁当があったんだ。
すまん長門、忘れてた。腹のほうは八分目ぐらいだから、なんとか入りそうかな。
「きついなら、俺が食べてやってもいいぜ」
谷口の世迷言は無視して、長門の弁当を手元に寄せる。
幾何学的なデザインの布の中身は、シンプルなアルミ色の弁当箱とスプーンだった。スプーン?
何か場違いな物を見た気がした俺は、弁当箱のふたに手を掛けて開け放つ。
「う」
またうめいてしまった。しかしさっきとはニュアンスが違うぞ。
弁当箱の中になみなみと敷き詰められていたのは、
「カレー、だね……」
国木田が俺の感情を汲み取ってくれた。谷口もやや引き気味だ。
カレーとライスと千切りキャベツ。中に入っていたのは、それだけだったのである。
よくルーが漏れ出さなかったもんだ。そんな感想を抱きつつ、俺はスプーンを手に取った。
それにしても長門よ。作るなら作るでもう少し考えて作ってくれてもいいじゃないか、なあ?
ここまで
154 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 23:20:35 ID:BosbRNQK
GJ!
オチをwktkしつつ待ちます。
リシアンサスしか思いつかなかった
ハサン・サス
GJ!
まじめに面白かった。
はじけた文章でもないのに声出して笑えたw
一気にオチまであればなぁー...
>>157 逆に考えるんだ
「こりゃ、オチが投下されるまで死ねないな。頑張ろう!」
と考えるんだ
面白いな!続きを楽しみにしてます!
しかし、オチは是非めがっさエロい乱交で・・・と思った私は破廉恥な男かもしれん・・・。
良いね、一気に読めてしまった。
続きを若貴しつつ待ちます。
ちょっといいかな、昨日エラー投下したものなんだがゴミSS投下していいかな?
許可取る必要はない
163 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 00:12:24 ID:cdd/llFC
ゴミとか言う必要も無い
>>162 じゃあ投下するけど読んでも絶対怒らないでくれよ?
メルカゴに埋もれて淘汰されゆくクソSSをなんとか保管庫様に入れて頂きたく投下するんだからな?
後悔しないでくれよ?
じゃいきます。
バッチコーイ
焦らしプレイか?
169 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 00:30:20 ID:VirDX0rx
>>141 今まで100以上のSSを読んで、ある程度パターンが分かってきたのだが、
このSSの展開はさっぱり分からん。阪中を起用すると新鮮な感じがするな。
続きを期待。
自分でゴミだクソだって言ってるSSを衆目に晒すと言うのか。
それって、羞恥プレイ?
>>168 ちょっとすいませんです、大変なことをしてしまったので、他のSSを再投下しますです。
プリンスレ及びエロパロスレのみなさん、ほんとにほんとに申し訳ありません!!
再 投 下 ?
「まあどうぞ…安物のコーヒーですが……かけてください。
さて、涼宮さんが神のような力を持ち始めたのは、凡そ三年前と言われています。涼宮さんが中学一年生の時です。
しかし僕が勤める機関にも、長門さんの主である情報統合思念体にもその原因は分かっていません。
元々何か不思議な力を持って生まれた人間の能力が、些細なことで増大するということはよくあります。
科学的な根拠などありませんしそれを証明するのは情報統合思念体であっても不可能ですが、それが実際に起こる以上否定は出来ません。
……涼宮さんは元来思い込みの強い人でした。
何か自分の割に合わないことが起きるとすぐ考え込んだり世界を創造しようとするのは我々が身を持って体験しています。
そういった理由から、三年前のある時に何かとても危険或いは悲しい体験をし世界を一度作り直したのではないかと思われます。
これらを調査することは我々機関にとって有力な情報を得られる結果になると期待されています。しかし僕は……
いや、なんでもありません。気にしないでください。
上で“危険或いは悲しい体験”と言ったのは、涼宮さんが今この世界を造り出した本人だとしたならば危険或いは悲しい体験をした証拠になっているからです。
例えば涼宮さんが嬉しい時に世界を造り出したなら、それは“この嬉しい時間が何時までも続けばいい”と考えるはずです。
従って涼宮さんが危険或いは悲しい体験をして世界を造り出したならば“暇でもいいから平和な世界が欲しい”と願うと思われます。
今は確かに平和です。従って涼宮さんは危険或いは悲しい体験をして世界を造り出した可能性が極めて高いのです。
なんでしょうか……? ……いえいえ、あなたが平和かどうかは涼宮さんにとって関係ありません。今確かに涼宮さんは平和なのです。
それがあなたの身を犠牲にしていたとしてもね。まあ堪えてやってください。
……コーヒーがすっかり冷めてしまいましたね。もう一杯熱いのを如何ですか?」
WKTK
WKTKできない
こっちは連投規制ないんかな?
……これで終わりとか、そんな馬鹿な話はないよな?
――――1――――
ふん、なにこいつ? 女の子一人にラブレター渡すのに顔真っ赤にしちゃって、バカみたい。
こんな公衆の面前で話聞いてあげてるんだから、さっさと言いなさいよ。私まで恥ずかしいじゃないの……
「あ、あの……そのその……それで……ぼぼぼ僕とお付き合いして……」
「いいわ、一緒に帰るわよ」
話が終わりそうにないもの。全く男のくせに一文字喋るのに何回嚼んでるのよ。情けないわ。
「えっあああの……! もももしかして、そそ、それはお付き合いしていただけるって……ままままままままさかそんな!!」
「……もういいわ!! アンタ馬鹿じゃないの!? もうついて来ないで、声も聞きたくないわ!!」
ほんっと男なんて皆バカしかいないのかしら!! せっかく付き合うって言ってやったら今度はワケわかんないこと言って……
もう最悪ね。これからは男に話しかけられても無視しようかしら。
涼宮ハルヒは東中に通う女子中学生だった。
昔から奇想天外な事ばかりを追いかけ、その異質な行動や言動からハルヒには友達はおろか近寄る者はいなかった。
ただそのレベルの高い容姿から、蛍光灯に群がる虫のような男は後を絶たなかった。結果は上にあるが、だいたいそんなもんだ。
“本当にあった怖い話”や“UMA”なんてものは殆どが話題性を狙ったヤラセだということはとうに画面の前のアンタも分かっているだろう。
しかし人間の思い込みとは得てして、素晴らしいものだ。いもしないものを見たと思い込んで人に話すやつなんてたまにいるだろう?
それがエスカレートするにつれて、段々とそういったビジネス性のあるライアーに対する執着が強くなる。
その最上級が、涼宮ハルヒなんだ。
「……はぁ〜あ」
人がちらほらと池の水面に映って、暫くして枠外に消えていく。そこに石を蹴り込んでみると水面はゆらゆらとし、僅かな景色を歪めた。
ため息はつけばつくほど幸せが逃げていくって言うけど、そんなの私は信じないわ。現に今だって私は……
こっちにきちゃったのか…
前はどこに?
……公園で一人で不思議探索なんてしてる人間が、幸せな訳がないわね……こんなことしても何も起こらない……そんなこと分かりきってるのに……
「ちょっとちょっと……あれ、涼宮ハルヒよ」
「ほんとだ……いっつも一人でなにしてるのかしら?」
「あんまり関わらないほうがいいわよ……ちょっと頭ヤバいらしいよ……?」
他愛も無い話題を口からつくように、友達を両脇に抱えた女子が私の事を話してる。
うつ向いて池を眺めて、聞こえないフリをしてるうちにやがてそれも池の枠外に消えた。
「……なによ……友達がいないのの何が悪いのよ……」
友達なんて作ろうと思えばいくらでも……やめよ……泣きたくなってきた……
「……今日は何もナシね……帰りましょ……」
>>181 前の投下先には大変な失礼をしてしまったので、できれば探さないでほしい……
プリンスレに投下してたが追い出された
――――2――――
「砂糖はいりますか? いりませんか、クリームは入れたほうがいいですよ。ブラックは胃に悪いですから。
……何処まで話をしたか忘れてしまいましたね。 確か……ああそうだ、ここからはあなたに関する話です。
単刀直入に言うと、あなたは過去に涼宮さんに会ったことがあるんです。勿論三年前の時点でです。
……あ、それは違います。ジョン・スミスの話は関係ありません。いや、これを調べるのには正直苦労しましたよ。
係った費用だけで日本の借金が返せるかもしれませんよ……? ……アハハ、本気にしないで下さい。冗談ですよ、冗談。
それで、あなたは涼宮さんに会った記憶はありますか?
……ありませんか、まあ、あなたは顔を見てはいませんからね。解らないのも、無理はないですよ。
しかしそれも幸せかもしれませんね。この時に顔を見ていたらあなたは今ここにはいませんからね。
よおく思い出して下さい。三年前の中旬頃です。涼宮さんと違って、あなたがようやくクラスに馴染んできた頃じゃないですか?
あなたは、さして友達も多くはありませんが、上級生にイジメられることもなく平和に過ごしていたはずです。
思い出せませんか……? きっとあなたには、とても辛い記憶ですよ……?
おっと、おかわりですか? ミルクティーもありますが……そうですか、残念です。ではまた熱いやつを……」
「な……なに……? わ、私が何をしたっていうの……?」
泣きじゃくる顔なんて見たくないものね、例え他人の顔でも嫌だわ。情けない。
自分が今までしてきたことが自分の身に降りかかっただけじゃない。自分がされたら嫌なことばかりしてるのはどっちよ!?
「別に陰口なんて気にしないわ、でも机を水浸しにされるのなんて我慢できない」
「そ、そんな……私そんなこと……」
手が濡れてるじゃない。それに私が来た時にはアンタしかいなかった。ドコに“私はそんなこと”なんて言える余地があるのよ?
涼宮ハルヒは嫌われものとしても有名だった。授業中は寝てばかりいるくせにHRの決め事などは起きている。
自分の理想に遥か遠い提案をクラスの誰かが出すと、またいらん悪評をついてクラスをいつも盛り下げる。
29対1のような戦いでも怯む事なく、名指しでクラスメートを批判するという行動は、全校はおろか、教師陣からも不評だった。
それでも、中々的を射てるハルヒの批判には対抗できるやつがいなく、明らかなイジメなどは無かった。この日までは……
「アンタ以外に誰がいるって言うのよ!? こんな子供じみた真似して恥ずかしいと思わないで反論するなんて頭おかしいんじゃないの!?
机を水浸しにするなんて頭の悪そうな考え。私が気に入らないっていうなら正面から言えばいいじゃない!!」
そんな度胸もないなら黙って過ごしてりゃいいのよ、私から関わることなんてないんだから。
「ちが、違うの……! 手が濡れてるのは、なんとなく机に触っちゃったからで……拭こうと思って……」
「また言い訳するの!? もういいわ、机早くアンタの取り替えなさいよ!! ほら早く!!」
「ち、違……うっ……ううっ……」
気の小さそうな女に限ってこういう姑息なやり方をするものよ。自分のやったことは自分で始末しなさい!
――放課後
「……フゥ」
今日もくだらない授業と、もっとくだらないHRがやっと終わったわ……帰らないと……
……明日からもっと早く学校に来てみようかしら……現行犯を捕縛なんていいわよね……
……あの女子まだこっち見てるわね、そんなに私にしたことが自分の身に起きたのが不満なのかしら……? 初めからしなきゃそんな思いしなくてすむのに……
187 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 01:04:34 ID:zT9doJlC
続きが読みたくてプリンから来ました
――ガラッ
「……アンタ……涼宮ハルヒよね」
三人組の女子生徒が入ってきた……あれは確か……よくいう不良グループっていうやつね……
ひとりじゃなにもできないくせに威張りちらしちゃってみっともない。
「そうよ」
「……アンタ、今日あの娘に机濡らされたとか言ってたわよね?」
「それがなによ」
「実はアタシら、今日ちょっと早く来てさ……あの娘が心配して、アンタの濡れた机拭こうとしてたの見たのよね……」
なによ? なに言ってんのよ……コイツラ……まるで計画してたみたいじゃない……まさかそんなの……
「……!! じゃあアンタ達がやったんでしょ!? いい加減に……」
――パンっ!!
鈍い痛み……なに……?
叩かれたの……?
顔を上げると、アイツラのいう“あの娘”で私の言う“気の小さそうな女”がいた。
「だから……だから、私じゃないって言ったじゃない……!! こんなの……酷すぎるよ……絶対許さないから……!!」
私のじゃない机にその娘の涙が落ちた。クラッとめまいがした。夕焼けが目の前を赤に染めるのが見える。
私が悪かった……なんてもう言えないわ……これでもう、これで……
私の机を燃やそうが靴を隠そうが公認になってしまった……
「ほんとアンタ最低ね……聞きしに勝るクズだわ」
それでもアンタ達は許さない……!!
――ガッ
…………
「私が教師になって初めてだ!! 女子生徒の暴力事件など!! 涼宮、お前自分で何したか分かってるのか!?
椅子で同じ女子の頭を殴りつけるなんて、下手したら死んでしまっていたんだぞ!!」
なんなのよ……私が全部悪いっていうの……! だってアイツラは私の机を……それにあの娘を……
「だって私はアイツラに机を……!!」
「そんな証拠がどこにあるんだ、どこに!? もう病院に送ってしまったが、後であの女子達に話を聞けばわかることだ!!
涼宮、お前はもう帰れ!! 少なくても一ヶ月は学校に来なくていい!!」
ちょっと待って……わ、私が停学……? 私だけ……? な、なんで……なんでよ……!?
――帰り道
明日から停学、毎日休みよ、喜びなさいよ、私。
「…………ハァ」
どんな顔してお母さんに会ったらいいのよ……私が停学だなんて……もう電話で聞いてるわよね……
……もう、なんなの……? 私に友達がいなかったから私が悪かったの……?
机を水浸しにされるのは私が悪かったの……?
でも……少なくとも、あの娘は……私が……悪かった……のよね?
もう……死にたい……
街路樹がネオンの光で美しく光る中、私は路地裏の廃虚の縁で泣いた。
「う……ううっ……」
そんな女の子に近づく影があった。黒いジャケットと殆どゴミのように破れたジーンズを、はきつぶした革靴の上に纏った、赤髪を染めぬいた男が。
「う……うぐっ……ぐずっ……」
「お嬢ちゃん……なにしてんだこんなとこで」
「……う……?」
「辛いのかい?……ほら、おいで……風邪ひくだろ」
「わ……私のことなんてほっといて……」
「いいからいいから、ほら、ちょっと奥にいくだけだよ……ここだと風があたるから」
私は朦朧としたまま、男の人の手をとった。かさついた手は如何にも武骨って感じがした。 「ああ、俺だよ俺、可哀想な女の子がいたんだ。車だしてくれるか? ……悪いな」
――ピッ
いつの間にか、男の人は手に携帯電話を持っていた。話した内容は、なんとなく優しい感じがした。
「今から車持ってきて貰うから、家に帰ろうな?」
……家に……!! イヤッ!! 家にはもう帰れない……私はもう……どこにも帰れないの……!!
「……よっぽど辛かったみたいだな……よっ、ほら」
そういいながら男の人は、ポケットから注射器を出した。
私はとったに怯んでしまったけど……よく見ると、あまり怖くはない……これがよくいう“ドラッグ”なのね……
「もう辛い思いしたくないんだろう? ほら、やっちゃえよ」
そういってゴムチューブを私の腕に縛りつける。ちょっと痛かったけど目は優しかった。
「……麻薬……」
……私には帰る場所なんてないわ……私には頼る人なんていないわ……私には……
私には……これ以上失うものなんて……ないわ……
なにを怖がっているのよ……一思いにやってしまえば後は楽になれるってこの人も言ってるじゃない……
「いいのよね……私こんなことして……いいのよね……?」
「ああ……これ以上辛い思いがしたくないなら……さあ」
――ツウッ
痛っ……腕に刺さってる……これを押せば私は辛くなくなる……なら私は……
――チュゥ
あ……ああああ……
「いい子だ……そして、バカな女だな」
……!!
意識も朦朧としない、目もくらまない、頭もはっきりしてる……明らかに何か変……麻薬ってこういうものなの……!?
でもこれだけはわかるわ……麻薬で身体が動かなくなるなんて、ない……!!
これは……なんなの
――ガッ!!
痛っ……!!
側頭部に強い痛みを感じて見上げると、そこにはさっきの男の人の靴があった。
――キキッ!
鋭くタイヤが擦れるような音がして路地裏の出口を黒いバンが塞いだ。中からがやがやと黒い男の集団がこっちへ向かってくる。
「弛緩剤だよ、辛い思いなんてしない世界へようこそ、お嬢ちゃん……ククク」
もう目が笑ってなかったし、私が何をされるのかも分かった……もう……
男達は凄まじいほど強い力で、仰向けに路地の段差に倒れた涼宮ハルヒの服を荒く千切っていった。
「イヤッ……あ……やめてェ!!」
ボタンが全て外れたホワイトシャツがウエスタンジャケットのようにハルヒの胸を隠した。
それを一人の男が両手で鷲掴みにして払い除け、ハルヒのブラのフロントフックを千切った。
声にならない叫びをあげるもハルヒは全く動けずに、何人もいる内のもう一人の男に、青いしましまのパンツ越しに膝を擦りつけられた。
「ああああっ……い……いやぁぁ……そこ、だ、ダメぇ……!!」
こんなのって……こんなのって……いくらなんでも……いやぁ……!!
ハルヒの言う“ダメ”など聞き入れずに男がハルヒの豊かで曲線を描く乳房をなめまわした。
ジャリジャリとする男の汚らわしい舌は、頂点の乳首の周りを何週も掻き回すようにしゃぶっていった。
「あ、あひっ! ああ……あ……やめ……ひっ!!」
自然と溢れる涙が目の前を鬱蒼とし、自分の身に起きている凄惨な出来事を少しずつリアリティから遠ざけていく。
……誰か、助けて……!
……誰かっ……!!
……誰かって、誰……?
……わたし……友達……いないから……誰も助けてくれない……よ……?
膝で電気アンマをかけられたハルヒの秘所が少しずつ蜂蜜のように甘そうな液で濡れていく。
一人がズボンを完全に下ろしてハルヒの頬を強く掴むと、強引に自分のモノを口に押し込んだ。
「うむぅ!! はむぅ……んふぅ!!」
男が、拙く性行為とは呼べないようなフェラをハルヒに強制する間も、他の男がハルヒのパンツに手を入れて、アナルを犯し始めた。
「ひふうっ!! ふぐ……ぐ……」
この人……お尻の穴に……指、入れてる……!? なによなによこれ……!? わ、私……気持ち、よく、なんか……!!
「ひぐぅぅぅ!!!!」
同時にハルヒの口に押し込まれた肉の固まりも、目一杯の精液をハルヒの柔らかい口の中に流し込んだ。
“一回目”の絶頂に達したハルヒを休ませることなく、男達は女の子特有の甘い匂いに興奮し、汚い性器を取り出した。
エロ+バッドエンドだそうで?
正直おなかいっぱいだよ鬱話は
「お……お願いします……た、た、助けてください……お願い……!」
涙が溢れ落ちたハルヒの顔はもう恐怖と悲壮にくれた捨て猫のようだった。
「ああ、助けてあげるよ……辛い辛い日常からね……!」
赤い髪の男がそれだけ言うと、ハルヒの膣に肉棒を押し包んだ。ブチブチと歯切れの悪い音と男の笑い声とハルヒの叫声がコーラスした。
「ひぎぃ、い、いっ、あああああ!!!!」
――ジュプ、ジュプ
なんともいえない液体がすれ違うような音が響きわたる。ハルヒの秘所も、アナルも、口の中さえも男の匂いに染まった。
「いっ、ひっ、はっ! はっ! はぁ!! ……あふっ!!」
あ……っあたしの……ぜんぶおかされて……みんなみんなおかされて……
……なにうしなったの……? ……わたしなにもらったの……なにもってたの……?
……もうわかんないよ……ごめんね……ぜんぶわたしがわるいの……なにもわかんないよ……ごめんね……ごめっ
「あっああああああああああああああ!!!!」
何度続いただろうか、失神してもおかしくない行為の中、ハルヒの目は虚ろに、ネオンの光る路地を見つめていた。
今が何時なのか、ここがどこであるのか、今日がいつなのかもわからなくなったハルヒの頭に電気が走った。
……人が……見てる……
逆行で顔が見えない、学校の男子用の制服みたいな服を身につけて顔だけでこちらをみている。
かなりの距離があるためこちらが見えるかどうかは解らない。解らないけれども、ハルヒは腹に力を入れた。
「っ……お願いっ!! 助けてぇ!!」
ハルヒの大声に、腰を降って射精を促していた男達が一斉に路地を凝視した。
ビクッとしたように人影は肩をゆらし、そのまま……即座に……立ち去った……
「いや……いやよ……なんで……?」
ハルヒの虚ろな目が光を失いかけた。男達は安堵し、また行為を続けようとした。
瞬間
「いやああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアahhhhhhhhh!!!!!!!!!!!」
世界の砕ける音がした。
プリンから来ました
WKTK]
――――3――――
「コーヒーにはクリームを入れてください……胃に悪いですからね……
……人は辛い記憶と言うのをどうにかして忘れようとするものです……あなたに然り、涼宮さんに然り……
あなたが思い出したのは、いいことであるかどうかはわかりません。わかりませんが、真実だけは知って欲しかったのです。
涼宮さんが世界を造り出したのがお分かり頂けたでしょうか? 何故涼宮さんが今のような世界を造り出したのかを。
涼宮さんは……絶望の果てに、レイプされ……自我を崩壊したのです。勿論、今の涼宮さんではありませんよ。本当の世界の涼宮さんです。
話を聞いていて何となくは分かったでしょう? 今ここにある僕や長門さんや朝比奈さんがいる世界は、涼宮さんが造り出した世界です。
最後の最期にあなたに見捨てられた涼宮さんは、先程も言った用に、自我を崩壊してしまいました。
レイプしていた男達は涼宮さんの力をまともにくらって、内臓やらなにやらが粉微塵になって死にました。
涼宮さんは一日たって警察に救護されるまでずっと、全裸で蹲ったまま何かを呟いておりました……
これは推測ですが……涼宮さんは多分、現実を直視できずに、あなたに見事に助けられた世界を思い込んでいたのでしょう……
そしてあなたに介抱されるうちに恋に落ちるなどといった甘いストーリーを頭の中でずっと……
だからあなたはこの世界にいるのです。涼宮さんの恋愛対象として、あなたは少しずつ涼宮さんと……実際に親しくなっていっていましたしね。
……つまり要約すると、本当の涼宮さんはレイプされ、見捨てられたことで自我が崩壊し、あなたに助けられあなたと恋に落ちる平和な夢を病院で見続けたのです……
その思い込みが更に膨れて、友達も、超常現象も欲しいと思い、とうとういまある世界を創造したわけです……我々も……ご理解頂けたましたか……?
……信じられないのも無理はありません、しかし信じなければならないのです……!
あなたが今からこの世界を離れたら、あなたが現実の世界で涼宮さんに一生を捧げる義務があるのです……!!
まさか私も現実の世界の涼宮さんが目を覚ますとは思っていませんでした……目を覚ましてしまえばこの世界も崩壊です……
さあ……時が来るようです……あなた……いや、キョン君……手を繋いで下さい……長門さんも……朝比奈さんも……
どうか、僕の事を忘れないでください、みんなのことを、SOS団の事を……
あなたと過ごした日々を僕達は忘れません……何があっても……心が消えようとも僕は、長門さんは、朝比奈さんは……楽しかったと……
……長門さんが泣くなんて初めて見ましたよ、かくいう僕ももう目の前がにじんで前が見えませんよ……情けないですね……
さあ、キョン君……今こそサヨナラの時です……涼宮さんを頼みます……そして僕達のことを忘れないでください……
……来ましたよ……」
――ガタガタッ
「オッハヨ〜みんな!! 今日は何するの!?」
世界が
消えていく
SOS団が
消えていく
長門
古泉
朝比奈さん
サヨナラ
なるほど、こりゃ追い出されるわけだ
――ザアァァァァ
――ガチャ
「……涼宮さん……ご面会です……」
「あなたは……?」
「あなたが助けてくれたのね……?」
「私は涼宮ハルヒ……」
「うん……うん……」
「いやっ! お願い、やめて……なんでもするから……助けてっ……!!」
「ごめんね……私が勘違いしてたの……ごめんね……」
「あなたはだあれ……?」
涙が
止まらなかった
俺はもうすぐ
十八才になる……
〈完〉
・・・なんてこったい。
プリンスレで投下したのは激しく問題があるが、この内容を受け止められるスレは
ここぐらいじゃないだろうか。21禁だし。
なんか口の中が酸っぱいんですが…
あれ…俺鬱スレにきたんだっけ
というわけで終わりですが、プリンスレから来てくれた方、ほんとに申し訳ありませんでした。
なんていうかもう鬱を通り越してすがすがしくなったな。
とにかくGJ。
うん、なんていうか、ドラえもんのガセ最終回を思い出したよ。乙。
>>205 つかさ、別にこういう作品投下するのはいいんだけどね?
投下する前に鬱物だって明記しておいてくれよ、頼むから。
これはただ単純に辛い
鬱物、グロ、スカトロは最初に注意書き入れるのがマナーと聞いてましたが。
お前たちは教えてやれなかった
>>2を読む事を
>>2を読む事で見えてくる世界があるという事を
(以下面倒くさいので省略
中身がやや薄いし、文が拙い所が情景の想像を妨げるから、
それほど攻撃力の高いダークじゃないな。…なんて思う俺は、汚れた経験豊富すぎw
内容以外で一つ言うなら、打たれ弱かったりこの手が嫌いな人のために、
属性の前置きくらいしろと。無駄に叩かれたいなら話は別。
>>205 もう少し、心理描写や状況描写の練習してから投下してもいいんじゃないかな。
ちゃんと描写できれば、そこそこ泣ける話になってたかもしれない。
>>212 どんな経験をしてきたのかと小一時間
でも>それほど攻撃力の高いダークじゃないな
は同意。某人気ロボットアニメの二次創作はもっとエグかった。
これは俺の好きな流れです
かなりおもしろいと思うんだが?
バカみたいなこと繰り返してしまいました、ほんとにすみません!!
鬱注意はちょっと読んでませんでした、すいません……
どんなスレでもとりあえず
>>1-10くらいは読むべきだと思うんだがどうだろか
>>216 わかってくれればいい。
俺みたいに打たれ弱い奴のために次回投下があるなら
属性の明記はしてくれ。
ま、今度はラブラブな設定で書いてみてね。
叩いて励ますツンデレ住人であった
べ、別にツンデレってわけじゃないんだからね!
勘違いしないでよ、貴重なSS作家を失いたくないだけなんだからね!
なんだかこの流れは……勉強しなおしてまたきます。
ほんとにすみませんでした。
>>214 エヴァか。
歴戦のエヴァオタはある種、酸いも甘いも噛み分けた存在だよな。
224 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 01:43:24 ID:14SoKlWh
ダークさの程度とかどうでもいいけどなかなかいいオチだと思うよ。GJ!
225 :
偽者?本物?:2006/08/25(金) 01:46:11 ID:EnWBGCf4
パー○ンのコピーロボットというものをご存知だろうか?
簡単に言えばもう一人の自分。
もう一人自分がいれば何をするのも楽になったり、
嫌なことをもう一人に押し付ければ自分は苦労をしなくてすむ。
どこ○もドアに引けをとらない凡庸姓を持った良いアイテムである。
仮に現実に存在するとすれば是非とも手に入れたい代物だ。
だからと言って、イキナリ渡されても困るんだよ。
朝、目を覚ますと俺が居た。
いや、俺とそっくりなもう一人の人間が居た。
「「何が起きた?」」
山彦の様に声が反響する。目の前の俺は目を丸くしてこっちを見る。
俺も同じ顔してるんだろなー畜生。
とりあえず妹が飛び込んできて騒ぎになる前にどうにかした方が良い。
全く同じ思考パターンなんだろう。一瞬のうちにアイコンタクトが成立。
ドアに鍵をかけようと二人してドアの鍵に手をさし伸ばす。
ふと動きが止まる。しかも二人して。微妙にやりにくいな。
こちらが動こうとすればあちらも同じ動きをする。
こちらが止まれば向こうも止まる。
思考パターン、感性、全て丸ごと同じらしい。
やりにくいぞこのやろう。
そんなこんなで鍵を一つかけるのですら5分弱かかった。
最終的にどう決めたかと?二人で閉めたんだよ。
生暖かい男の手。自分のとわかっても気持ち悪い。
ちなみに二人とも左手だ。理由は深く聞くな。
ともあれ分担は難しいと考えた。同じ思考パターンだぜ?
おそらくじゃんけんですら決まらない。
原因を調べる必要があるな。
ふと頭に浮かぶのは長門だ。また頼るのか。
>>222 とりあえず感想を読んでから覚悟して読んでみた。
お疲れ様。
とりあえず語り部は古泉だよね?
で、まぁ以下の文を読んで不愉快になったので言わせてくれ。
>>198 >あなたが今からこの世界を離れたら、あなたが現実の世界で涼宮さんに一生を捧げる義務があるのです……!!
そんなふざけた義務が生じる理由を説明してくれ。
いやね、SSとか読んでるとこの手の文をたまに見るんだ。
で、甘々系とかほのぼの系とかならともかく、イタモノだと大抵不愉快になるんだが、読むのは大抵発表から1月以上経った時なんで流石に言えなくてね。
だから答えてくれると嬉しいな。
227 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 02:02:29 ID:14SoKlWh
ちょっとタバコ買いにいくので俺用栞。
229 :
偽者?本物?:2006/08/25(金) 02:13:10 ID:EnWBGCf4
驚くことに、制服は2セット壁にかかっている。
どうやら悩むことなく着る服は確定したようだ。
『同じ』にしなくてはならない世の中の双子の両親の苦労を垣間見た。
急いで着替えて急いで家を出る。自転車は一台しかないから徒歩。
一目散に長門の住むマンションに向かう。
全く話さなくとも何でも進んでいくのはとても楽だなと感じつつ・・・
動じなくなってしまった俺は何が原因か考える。
ハルヒに俺は何か言ったっけ?昨日の放課後を繰り返すが思いつかない。
そうこうしている内に長門のマンションに着く。
長門の部屋番号を押し、長門が出るのを待つ。
『・・・』
「「長門か?俺だ。ちょっと問題が起きた」」
『・・・入って』
ドアが開く。後は長門の部屋まで行くだけだ。
長門の部屋の前に着く。ここまでくればもう慣れたものだ。
インターフォンを押し、長門が出るのを待つ。
「「よう、イキナリで驚かせたと思うが・・・」」
「入って」
俺たちの言葉をさえぎり、長門は部屋の中に招き入れる。
そうだな、中で詳しく話したほうが良い。
長門が驚かないことを見るとこの事象の原因についても解りそうだ。
一安心して部屋に入る。これで解決だな。
ん??何処かで見たことのあるような顔が・・・
「そろそろ来ると思ってた」
そうか、流石長門。俺のやることは全てお見通しですか。
ところで長門さん?この人は・・・
「よう」
頭が痛くなる。3人目の俺が居た。
昔書いたSSを若干鬱ってゆうか悲しい感じにリメイクしたのを落とします。
てか229が落としてんのヵ
書きながら投下してるヤツに構うことはないんじゃないヵ?
233 :
人間の証明:2006/08/25(金) 02:20:26 ID:rZxax0C1
「遅いよ。」
窓から差し込む西日で照らされた如来のように美しい笑顔。
俺を手紙で呼び出した張本人、それは誰であろう朝倉涼子だった。
俺はあまりに意外な人物であったことに戸惑っていたが、誘うように手を振る朝倉に従い
彼女の立つ教卓へと近づいた。
「お前か・・・」
「・・意外みたいね」
「何の用だ?」ぶっきらぼうに言った。目が・・合わせづらい
「そんな冷たい言い方しないでよ、女の子から放課後の呼び出しっていえば分
かりそうなものだけどな?」
「・・・えっ」これは・・古くから言われるあのタナボタっというやつか!
「付き合って欲しいのよ、わたしと。」
「・・・」
「現状維持してるだけじゃジリ貧みたいだったから・・」
「何のことだよ」
「だってどんどん涼宮さんと仲良くなっちゃうんだもん・・・ごめんね、気持ちは分かってるのに、こんなこと言っちゃって
困らせるだけ・・だよね、わたしの入り込む余地なんかない・・わね」
「涼宮とは全然そんなんじゃないんだ」って言う声には動揺が現われてたのが
自分で分かった。おい俺、あの朝倉に告白されてんだぞオッケイしかねえだろ。
でも・・正体不明のアンチテーゼと格闘しながら躊躇していた。正直、ハルヒに惹かれていなくもなかった
「じゃあなぜわたしと付き合う気にはなれないのよ・・」
「それは・・・」
「やっぱ・・・ずうずうしいわね、あんまりしゃべったこともないのに」
「いやそんなことは、そんなことはないと思う」
「不本意だけど・・ふんぎりがつかないなら、既成事実を作っちゃえばいいと思うの」
そうゆうと朝倉はセーラー服のリボンをほどき胸をはだけさせた。朝倉の肌があらわになる。
逆光で夕日の光が後光のように朝倉のなだらかな肩から注ぐ。
「お、おいちょっと待てよ」そういいながら俺の心臓は高鳴っていた。
「ごめん、わたしへんたいっぽい・・かしら。」
「えっ・・いやそうじゃない、断じてそうじゃない!ただ俺のほうの心の準備が・・」
「きょん・・くん」朝倉と俺の間合いがぐっと縮まる。
その時。突然俺と朝倉の間に見慣れた顔が現われた。
「空間封鎖が甘い」長門は無機質にそういった。
一方の朝倉は平静さを欠いていた。ってそりゃそうだわいきなりだもん。というか・・・ちょっと空気嫁、長門よ
「邪魔する気?指示以外でどう動こうがわたしの勝手じゃない!」
「あなたの行動は涼宮ハルヒに情報フレアを誘発させる可能性がある。
それは現在の観察継続の指示にそぐわない。」
「観察してたからこそよ・・彼女を観察していて分かったのは、 思うが儘に生きることの大切さ。
事実、そうすることで彼女は情報統合思念体の進化の可能性をはらむ存在になった。」
「あなたと彼女とは違う。インターフェースが情動行動をとるのはただのエラー」
「あなただってそうやって自分を押し殺してばかりはいられなくなるわよ。
だいたい情報空間を封鎖なんかしてないのにあのタイミングであなたが入ってきたのはなぜかしらねえ」
「・・・行動中止を要請する」 長門はわずかに表情をこわばらせたが読経のように応答する。
「いやだと言ったら?あたしの情報を解除する気?」
こくりと長門がうなずいた。なんだ・・この電波な会話は・・いい雰囲気だったんだがちょっとしらけてきたぞ
「あきらめられるわけないじゃない!」 下着姿の朝倉が俺に抱きつく。だが胸の感触を堪能する間もなく長門は言う。
「理解したと思うけど、朝倉涼子も私も前に私が述べたインターフェイス。
そして彼女は涼宮ハルヒに情報フレアを起こさせようとしている敵。」たしかに前こいつが言った話を鵜呑みにするなら
朝倉と俺が付き合うことがハルヒに影響を与えてしまえば世界がやばいこと?になるんだろう。
ということはハルヒも俺のことが好きだということに!?そうか・・・なんだか面倒なことになっちまった
もし朝倉がそれを狙いでやっているなら、ただハルヒを傷つけるために俺と付き合おうとしているなら・・・
目的が何であれ俺は利用されているだけってことになるわけで気分が悪い。しかし朝倉が本当に俺のことを好きなら
ハルヒに気を使わなきゃならないから交際をあきらめろって長門が頑固親父みたいなことを言ってることになる。
・・・もし後者の場合、ハルヒのご気分で世界がどうなるのか俺にはよく分からないが、俺はそれが付き合わない
理由になるとは思わない。
234 :
人間の証明:2006/08/25(金) 02:21:04 ID:rZxax0C1
「そんなことを意図してやってるんじゃないわ!」朝倉はそう言い放つと突如5メートルほど飛んで教室の角に降り立った
人間技じゃ・・ない、インターフェイス・・・その言葉が俺の頭をよぎる。
「あなたが意図していなくともあなたのエラーに急進派の情報思念体がたくみに介入してきただけ。
エラーを認識して行動を中止して。さもなくばあなたの情報の連結を解除する。」
「しょうがないわ。かかってきなさい。わたしがエラーだというならわたしを倒せばいい、その代わりわたしも
全身全霊をかけてあなたの存在を否定してあげる!」朝倉の周囲の空間がぐにゃりと歪んだ・・渦のような歪みが
朝倉の周りにいくつも生じはじめ、そしてそれが槍のように凝縮し長門に向かって飛び掛る。
長門は飛来する槍を手のひらで受け、ちょうどドアノブを回すときのようにくるっと手首を回してそれを粉々に破砕
する。腕を組んで長門をにらみながら背後の空間から槍をうみだす朝倉とそれを高速で破砕しながら間合いを
つめてゆく長門。破砕しきれないものによる痛々しい裂傷も見える。ものものしいことになった。どっちが善玉なんだ?!
間合いがつまるに従い短距離では速度がつかないためか槍の攻撃はほとんどあたらなくなっていった。
ついに一足の間という時、朝倉は自分の腕を渦の中に献じて腕そのものを槍と化し長門に斬りかかった。
斬撃を右にスライドしてよけた長門は俊敏に朝倉の間合いに入って腕の付け根を捕まえた。
ガラスが砕けるような音がして槍が崩壊し、朝倉の細腕に戻る。
「あなたはインターフェイス。人間のような感情はプログラムされていない。ただのエラーだと認識して修正すべき。」
「嫌よ!」にらみあいがしばし続いた後、長門が提案するように言った。
「そう・・ならあなたのエラーと人間の感情とが似て非なるものだとここで立証する。」
「何ですって!」
「いまから彼にむけて攻性プログラムを作用させる動作をとる。わたしは発動はしないけれど、発動する前に
障壁が存在していない限り、発動した際彼は即死するから、もしあなたが人間的な感情で行動してると
すれば万が一を考慮して彼の盾になろうとするはず、しかし急進派の情報思念体に付けいれられているだけなら
情報思念体にとって都合のいい彼の死をあなたがとめる理由はないので万が一を期待してあなたを動かさない。」
「俺にななにを」
「わたし、守るから・・・絶対守るから!」
「いくわよ」そういうと長門は手を複雑に組み替えながらぼそぼそと何かをつぶやき手の平を俺の眼前にかざした。
「発動準備動作は終了した」
「なんでよ・・・なんで動けないのよ!」朝倉はひざががくっとなって、へたりこんでしまった。うつむく顔には涙が見える。
長門は俺に向けていた手を容赦なく朝倉の方にむけた。
「いまならまだエラー修正だけで済む。」
「嫌よ!わたしは・・わたしは彼がぁっっーーー」
長門の手からぎらぎらした光が発せられ朝倉を包んだ。光の中にさらさらと砂のような物が舞いちり朝倉は消失した。
「終わった。」
「・・・・・・あさくら」
「・・・・・・」
「・・・・・なあ長門・・・お前、お前本当にこいつに人間らしい感情がなかったって言えるのか?!
俺守れなくて泣いたんだぞ、こいつは!!」
「それも・・」
「それもまた思念体の戦略か・・・」
「そう」
「・・・・・」
「・・・・・」
「悪いけど・・・納得できそうにない・・・・長門よしばらく一人にしてくれ・・」
「分かった・・・。」
結果的にこれで良かった。
エラーの苦しみから彼女を解放でき、彼に嫌われることでわたし自身のエラーも軽減されたのだから。
そこでわたしは思った、もしわたしのこのエラーも急進派がわたしを利用するための契機にすぎなかったとしたら。
人型に作られたわたしたちはわずかなエラーは人間性の発露と考えてそれを慈しむ。
自分たちにとって唯一思念体の道具にされていない部分なのだから。
その感情すら利用されているとしたら。
わたしは人間であるかの夢を見せられ意図せぬ方向に操られるくらいなら、道具としての機能の遂行を選ぶ。
固まりかけた決意を崩すかのように、まばゆい夕日の光がわたしの頬を熱くした。
結構いたいかもね、ごめんなさい。
>>226 キョンは文章中にも分かるようにハルヒのレイプ現場を目撃し、それを見捨てています。
全てがキョン一人の責任ではありません、ありませんがキョンが世界創造の一旦になったことは確かです。
従ってこの様に、誰にも皺寄せが出来ない自体になった時に、その本当の世界に唯一戻れる人間が
自我の崩壊した関係する人間の責任をとるというのは有り得ることだと思います。
いくらキョン自身に悪意がなくても、古泉は消えていく存在です。
そのためにキョンにそれが義務であるというくらい強い言い方をして自分の意思を伝えようとしている描写……
これでは不満でしょうか……
>236
キョンがレイプ現場を目撃して見捨てていくような奴か、というとそれは否だろう。
もうこの時点でハルヒSSとては外道だと思われ。
>>235 鬱系だっつうから読んでないけど、レスが離れちゃった場合は
SSの1行目とか名前欄に属性表示入れた方が良いかと思うよ。
アドバありがとう
それにもっと人が多い時に落とさないと需要がねぇっすね。
240 :
226:2006/08/25(金) 02:35:58 ID:hzQrnJYc
>>236 「嘘も方便」という解釈でも、あながち間違っちゃいないよね?
キョンが自分がみたものがよくいうレイプであったのか、それがよく解らなかった。
古泉の言葉になんとなく気付いていったのか、その描写はありません。
先にもありますように車の流れでよく声が聞こえなかった、や暗くて人がなにをしてるのかわからなかった
しかし突然こちらを振り向いたので自分は無関係だとアピールするために立ち去ったのか
色々と見方はありますが、外道であることは了承します
すみませんでした
>235
泣いた赤鬼理論に朝倉さん妄想を上手く取り込んで捻って、
一度浮かぶ「TFEI=やっぱりどこまでも所詮端末」を突き詰めた
佳作だと思います。おやすみなさい。
243 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 02:38:46 ID:14SoKlWh
中1ならレイプ現場見て逃げても仕方ないだろうな
>>241 几帳面だね、君。
まぁ今後に期待しとくよ。
別にイタモノ投下は違反じゃない。
ちゃんと事前に知らせれば、すこしは苦情も減るからさ、まぁ外道もありじゃない?
一斉投下なら被害も少ないし。
お疲れ様。
>>243 >>244 すいませんありがとうございます。今後はこんなことが無いように気をつけます……
タバコ買ってきた。ラッキーウメェw
あ、議論の続きドゾー
やっぱウメェ
247 :
偽者?本物?:2006/08/25(金) 02:46:22 ID:EnWBGCf4
「特定の人間が複数の人間の望む相手をすることは不可能」
3人の俺は同時に茶を啜りながら長門の話に耳を傾ける。
「同時に複数存在することで全てを満たすことが可能。ならば存在するべき」
解りやすく言って欲しい。
「涼宮ハルヒは貴方の存在が多くの人間に影響を与えていることを把握している」
やっぱり原因はあいつか。で、それがこの俺の増加に関してどういう意味を持つ?
「涼宮ハルヒは貴方を必要としている人間の分だけ、貴方を複製した」
長門の無機質な顔が喜びに満ちているような感じを受ける。
で、現在3名。俺はそんなに必要とされているのか?びっくりだ。
と言うか長門よ。お前も俺を必要としているのか?
完璧超人を完全に上回るお前が。
「違う」
ん?何が違うんだ?
「人数の把握に誤差が生じている」
ああ、なるほど・・・まだ居るわけね。
「貴方たちを含めて、全部で6名」
多すぎだろ。一体誰が・・・
「必要とした人間の傍にそれぞれ配置されている。現在確認できているのは・・・」
えーっと、俺ら3人のほかにそれぞれ朝比奈さん、鶴屋さん、古泉のところに一人ずつ。
って事は俺らもそれぞれの配置があったわけだ。
こいつは長門。是非ともこき使ってやってくれ。まぁ、突き詰めれば俺なんだが。
って事は・・・後の俺らは?
「貴方はオリジナル。全てに制約されない。コピーはそれぞれの配置先の人間の好みに僅かながら変化している」
そういうと俺とは違うもう一人の方の俺に目を向けた。
どうやら俺はコピーだったらしい。それならそれで大人しくしてればいいだけか。
って、待て。俺は誰に配置された偽者だ?
「配置された人間、及びその周辺の人間の意識、記憶も僅かに変化している。貴方が居てもおかしく感じないように記憶の改ざんも」
俺に目を向ける。
「貴方が配置されたのは貴方の妹」
>64
今更ながら感動した!
長門かわいいよ切ないよ
最近このスレ、批評っていうより個人の解釈を作者に押し付けてる奴が多いキガス。
つかルール違反はともかくとしても、投下した作品について謝る必要とか全くないだろ。気に入らなければスルーってだけの話。
まあ投下する前にテンプレぐらい読めってのは同意だが
書いてる奴も多い通り結局大体は個人的な意見だからな
全部を真に受ける必要は無いよな
252 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 03:42:24 ID:14SoKlWh
文句言うヤツは個人の二次創作になに求めてるんだろな。
>>252 とりあえず君にはsageが求められるな。
原作(プロ)には厳しく、二次(アマ)には軽く
ID:I6KWUMuA 書き込み多いとウザがられるからほっとけよ
とはいえここは2chで書き込みの統制なぞしようもないのだから
これまでもこれからも投下作品の批判どころか中傷、あげく作者の人格攻撃さえ
する者の出現だってありうるわけだ
だから何かネガティブな書き込みを見ても
内心「プッ。自分で何も書かないのが何言ってんだか。プギャー」くらいの気持ちで
スルーできる人間でないとたぶん長くは続かない
正直プリンでも空気読めなかったんだから……21禁制限も理解しているのも怪しい気が。
誘導されるがままに書き込んでない?
たださえ「オリ第三者の登場」「レイプ」「鬱」など叩かれる属性てんこ盛りなんだから、
気をつけないと同じ間違いを犯すかもね。
化ける気もするので気をつけて欲しいよ。
257 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 05:13:26 ID:cQC4/scP
(´・ω・`)欝は苦手だな
苦労して書いたSS投下して人格攻撃までされちゃかなわんな。
キョンの言動は大抵の相手を怒らせるものだが
もうなれた
>>258 そうだね。別にそんな事されてないけどね。
ところでさっきから何をそんなに憤慨しているんだ?
>>259 おまえは何を(ry
憤慨してるようには見えんよ。どっちかというと(ry
>>222 お疲れ様。
原作者の、救われないメタ文章が好きな一側面を見れたようでとてもGJかと。
あと、書き手がいちいちへこへこ謝りまくる必要は卵の欠片ほど
ないと思うよ。仕事でもなんでもなく、趣味で書いてるんだから。
>236-237
たしかに、キョンのキャラじゃないよな
それは間違ってる
自分の書いた物をゴミだのクソだの……必要以上に卑屈な作者の書いたSSはどんなに内容が神でも萎えるなあ。
あと
>>226にもあるけど、この作者の世界では泳げない人間(助ける力を持たない中学生のキョン)が溺れた子供(ハルヒ)を
見捨てたら、一生モノの責任が生じるのか。
アリエネー
助ける義理は無くとも、何もせず放置は人道にもとると思う時も有る・・・。
その辺は個人の価値観だし、161の今後に期待ということで。
議論厨に釣られるなっての。荒したいだけなんだから。
DVD2巻を借りて来た
だからどーした?って聞かれると困るから聞かないでくれ
特典映像って見る価値ありますか?
275 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 12:59:56 ID:EO39BOf1
いいなぁ、議論できるほど賑わってるスレは。
しかしここは本当に神の集まるスレですね。上手い人ばっかりだ。唸る。
正直いわしてもらうと俺はここに涼宮ハルヒの憂鬱の二次創作を見に来ている
叩かれてる作品のほとんどは原作無視がおおいと思う
逆に神作品と言われているSSは原作にそのまま付け足してもあまり違和感がないきがする
まぁさっきの作品が叩かれてる理由はハルヒと言う名前のオリキャラが世界創造の力をもっているというオリSSだったからだと思う
>>278 もっと古泉が蘊蓄を垂れるような感じで頼む。
>>276 よくないよ。八月入ってからこのスレ異常だ。
>>280 異常なのはここだけじゃないな
PINK全体…というより2ch全体が異常
つうか、夏は毎年こうだけどな
春夏冬の恒例行事みたいなもんだ。慣れな。
夏だなあなんて言葉はもう言いあきたよ。
そういう季節はそういうもんだと割り切るしかないな
さて、神光臨を待とうか
スレが伸びてるから、投(ry
すまん、板間違えた
アニメ以前の住人だけど、アニメ放映からこっち流れ早すぎ
一週間で10レスぐらいの時代から考えると早すぎて眩暈がするね
>>287 自分はジャンル問わず2ちゃんのスレ100個ほどお気に入りに入れてるが(←w)
ここのスレ「だけ」は飛びぬけて速度が速い、ホントに
速いスレはたくさんあって、例えば谷川流の本スレはここより2倍近く速いけど、
このスレはエロパロ板ではダントツの最速だということを知っておいてほしい
持論はチラシの裏にでも書いてくれ
/wWwヽ ノノ
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ヽ,,,ノ ヽ、'"ゝ ゙ヾヽ | | |
レ、 |、'" ,,-、_,,ノ//ノノノ ,-、
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|::: | ゙''‐‐>/、-''"ヽ ,-, メ/ ,二二二二゙ヽ、゙ヽ、゙ヽ、゙ヽ、
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|゙ヽ‐、ノ ,ヘ:::::'" ,,,-,ノ、゙ ",、 ̄,,,,ノ、 )/ ///
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</|ノゝヽ ヽ,,,人::、 ,,-─‐-、 ヽ,,,ノ|:| ///
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ヽ、 :゙、ヽ | ,,-イ/" ll |、 ゙゙゙゙゙゙゙"""--'"ノ |l ゙''フミ// ///
゙ヽ、゙ヽ,|/ ,,,| |;;,,,ノ イ〉 ....::::// |l/ /| / //‐、
,,|,,, ヽ、|;;;ノノ / ゙" ヽ,,,,,--‐''" ノ、 /'"/ | l 〈レ ,,,-ヽ
,、/ 〉/ハヘ、ヽイ、,, ,-─-、 ,,,ノ‐、 ヽ/|、 .〉 / \
∧|//〈 メ彡ノ //゙''ヽ、,,,,,《 》,,,,-‐'''" l:::: \/ |: / ヽ /.フ ヘ
ノ゙、、| ヽ ゙ヽ'"〈/ /ノ ヽ,,,,//:| '''''""'|"'''''ヽ | | :〉 丶 ./ / /、 /
ハヽ、、| |,,,,,-‐ヽ:: | // 〉 〈 '" | .::::| | / ,-、 /、.レ" / /"フ
/ ゝヽ|/'ノ,,,===〉 ノ''''''" ゝメ ""'' ヽ ....:::::| |/|ヽ、| |/-,/、 //ヽ/
/ ,,‐''"ヽ、\ 〈 |"'''::/;;;:: ;;;;// .\ 》 "'';;|| | |;ヽ|",ノ 、 '",,-'",,,-ヘ
/'''" /ヽ\、\.| '| |ヽ‐-'''"'''''" ..:;;:..、 ゙'''ヽ─-''"、,,,-'":::| | |゙、〈 ,人 /、'''",,,,,-'"
//::,,,,,,,,,,ノヽ\ヽ| | |;;;::::....ヽ、 / /ヽ::::ノ ノ、 ノノヽ,,ノ| | |ヽ、| ''" ヽ ,ノ'"l、
く'"フ/;;;;::::: ヽノヽ\゙| | :|ヽ〉ゝ ゙/'" / ヽノ "''" ヽノ、ノノノ/||ヽ/l| ゙\::::,,, /"/゙ヽ\
ゝ、/;;;:::: ゙、 ヽ::| | :| |l//ヽ、/ ヽノ ヽ,,,,ノ /'"l|‐ノノ | ヽ| ゙ヽ、,//lヽ、 ::゙ヽ
\ヽ;;;;,,,, | /ノ| | | ∨ヽ/ヽ \ ノ-''"ヽノノ、/ノ | ヾ、 ゝニ‐'" \ \ 〉
\\ヽ ;;;;| /lノ| | :| .|/ ヽ,,,,.....ノ ノ メ、ノ ノヽハ/l/ ヽ ゙、 \゙、;;:,, ゙ヽ、|
\ヽ,;;ノ \ノ/ :|_| / |;;; ,,-、 :;; 、 ノ \ノノヽ'/ ゙、 ゙、 ゙'ヽ、 ;ノノ
゙//==‐'''"",, \ .レ" 、 /゙丶、 / ゙、/l/ ゙、 ゙、 ゙"'''''‐"
|/、;;:::/ ''ヽニ>‐ノ 〈;;;,‐ 、'" ノヽ ::|./ ゙、 ヽ
,ノヽ、'''" ゙ヽ、,,,..../ :::... ...:::|l,,_/ヽ ヽ `、
/へ/、;;,,,,-‐''''"/ノ、 \;;,,,::... .....::::::...,,,-'''" ,,, |l \ ヽ
//;;;;/ ゝ、-,,,/,‐''"ノ、\ ゙ヽ─---;;;;;;-メ'''" ,,,,,-'" フ /ノ \、.`、
//;;::/ //イ|゙''"'''''"" \ヽ,,,,,, -‐''''"/,,,,,-'"ヽ./ / ヽ\ ヽ
//::::::| //ヘ| ヽ| ||ヽ、\ ゙''''‐ヽ、;;,,,,,--‐丶,,,-─-、ヽ / |ミメ、|l
| ..::l| / /l| | || |\、 ,,/-,,,, ヽ /''''"ノ、 | |川|l
| :::;;| | |::::|| :| || /| |゙'''ヽ‐イ、  ̄、 ゙"''、‐、─、-'、 ̄ ノヽ | || |.リ
| |:ヽ | |:::::l| | || / ::| .| -''|、\ \ ヽ\\\、 ゙''ヽ-‐ノlヽ、 ノ l|ノ l|
゙、 | レ|l゙、:: | |ヽ | | |、゙、\l \ \ヾヽ、\、ヽ‐'"ノ 〉 /ノ//ノノ
゙、ヽ、\| | :| ヽ.゙、 ゙, | |、゙、\| \ \、 \\゙ヽ、'",,,,,ノヽ / / /|
\、 ゙| ヽ| ヽヽ ゙、 `、 |ヽゝ \、 \ \\、 \ヽ、ヽ''ノ |ヽノ/ / ノ
\ ヽ l| ヾ、 ヽ ヽ |ヽ、\\ \ \ \ \、゙ヽ-,,,ノl|、\l /
ヽ | .|| ヽ.゙、 ゙、 lヽ |ヽ\\\..:::\ ヽ、 \ ゙''ヽ--ノ/\.∨
| |、 | \ヽ ヽl \ | l \\ \.:::\ ヽ \ ,,ノ|、 |、 メ
ヽ | ヽノ,,,,,, \゙、ヽ、 \ |、゙、 ヽ \ \:::\ " \:::ヽ、,,〉 |ヽ \
)| ヽ|;;;;::\ \゙、 ヽ 冫|ヽ \ \、゙、:::ヽ二ヽ \ \ | ノ .ノヽ、,,,, ,,-‐''"二\、
/ / ハ/゙''' >、、 \ヽ | | | ヽ \-,,,_ニヽ、 :::.. \─'"ミミメ三二二,,,-''/ ヽ\
/ ゙ヽ、 .\ |: |::...|:::::ヽ:.... ヽ:::::/ ̄ ..\ ::::...\゙ヽ、ヽ、,,,、゙'''''" / ̄""'ヽ
////" |、ノ/ヽ ゙ヽ、 ヽ ::| |:::...|:: ヽ:::.... |/ '" ,イ /\ ヽ \゙ヽ、゙\,,,‐‐",,,,二ヽ ヽ
// // ヽ|\ ゙、 ,,,ノヽ |..:| ヽ:::::ヽ ヽ:::..../、ヽ:::::'"-'" ) ゙'メ、 ゙'' \、゙''ヽ\‐ヽ,,,, ノ
.| | |ヽ、 ヽ、\ ゝ‐'''" ,,;::| \ |:::::...ヽ:...|.::::/;;;:...\;;:::::;;;-'" ヽ、\゙ヽ、 \゙ヽ、ヽゝ‐、,/
| :|ヽ、 \ ) ) ) |;,::::::'' :\、 \ヽ:::::::〉 ヽ/|゙、ヽ::::...."..... ..;;ノノ 、::: ゙'''ヽ、 \\゙"''''、
ヽ\\ ゙'‐''"//─メ::ヽ ::::ノ ゙''ヽ、,,,\::| / /\ ゙ヽ、::::::::/ ヽ |::::.... |゙"'''ヽ) \ \
\\゙ヽ─,,,ヽ,,,-─ヽヽ;;;::::''" ::::.....| ゙ヽ、|、/ /ノ\ヽ ゙ヽ、:::.. ヽ |、:::::.... ゙、 / :\ ゙、
\゙ヽ,,,-'''",,,, ヽ、 ノ/:::... ....:::|丶 \/ヽ‐-、::::.. ヽ:::.. ノ、| \、::..ヽ'" ヽ ヽ
゙ヽ─'''" ゙ヽ、\/ ヽl::... :| ヽ .\ヽ'''\ | 、::::... ヽ \゙゙'ヽ、,,,, ,,,-‐ヽ ゙l
゙、 ヽ |、 ..:|、 〉 ヽ,,,ノ ゙ヽ、 .\ | :::::::... | ゙'''ヽ,,ノ゙゙""\/| |
ヽ,,,ノ .゙、 ..::| ゙ヽ、 ゙'ヽ\| ヽ:::::.. _._| ゙ヽ-,,,,/ ゙ヽノ,,,,,,」
〉=、,,,,,,,,ノl ゙''ヽ、 |ヽ ヽ,,,//ヽl|]
|,,,ノノ─‐''"、 ゙ヽ、 ┌イ=‐ヽ=ノヽ
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| :| !'-'\_)ハノ,ィ''} // /// ト、__)ハノ_,.ヘ} |_
_,|_|_ |‐<o} j,oス{ // {: (( I[o」}"ィ.o 」 }f,}
〕丕l〔 「rl〈 _,r^'ー'く__/| // ヾ`\ {i ̄'ー'^ ̄`,〉 J\
|"`ヾ| し| ヽ伝三ミ! / _/'// / ̄"'''‐ヾ,,,,\_ ,ト.'´ ̄`` 「 ,ノ\ヾ\
| 、\| ノヽ、 二二-''~'''川|'<. ! 、 _/入  ̄|l|ヽ----‐i"ヽ,,二⌒`丶、
[、\|-''"|_|__八 ノ |__∠_|,{川 丶_ \ /r'" '∠___''' ,.ト―`-、_r‐'''"ブ^ヽ `ヽ ヽ‐、
,.イl__\|'`"''‐三〉‐〈三-'''"`}川 ヽ /,//7 \{l〉 _,r┬‐’ ~""'''8く__>8''" ! /'ノ、
,ィト{ |、_,>| ............_`n'_.......... {川, n,/,〃/ン') ヽ `〉イ} `l - U - [r|ー /リ ヽ
/{ヽ.|.ィこヘ_______ノ‐ヽ._______ノl川ト| 'l. ',/っ `ヽ,ノ } 〉、____ノ ヽ___..... イヽ、 川 \
/ :トヽ{ |: :i1:: イ }、 ,.、 ;|川 { / ,r''´`ヽ. | 川 !、...,(.. -' 、` 、..._)- ,} |川 `!
( ヘヽ`l: :! |::'^'" 〉 < ノ .::;川 `ヽ-く' `ヽ、 〉 ヽリ{ `、ゝ‐' ノ `` - 、 ,} _ノノ/'`r'' l'|
| li i| | >-‐'" ヽ、 :::/| ト|、 ヽ.__/ !トl、 \ゝ''ワ `く三"ノ‐、/ :l |
ヽ. _|ji!...l/( ... .ノ ヽ ノ ヾト`、 ヾ三三ニ〉" ノ__) }{、 l |
> r-n〕、__ ー-‐ _|,.-┐ \\ ///| >、_ .>--<./ r‐-、__人.!___,l_|
/リ`>、三..ノヽ `ー---='''"__,.ィ } ト、:| /// L.__L__下二フ7 /l、_,!t |l l}ノ- -〈
,' // / 'ヽヽ、`ニ二二-=ニ._|‐',/ } `} ||! /_/.! |` ̄´/ / ,ノ / l |/ !
! ,'/ :l |/ /|`┬'''T"''T‐-'l ̄ハ. | | |:l: | ,ハ_/└-ヽ____/-r''l" ,/ | lV⌒ヽ /
| |! :| | ,' | | | | | |ヽ._`ニハ ノ リ | | |/._,/ / /// !| / ,| |'/ //´
', :| l |l:| | | | | | ヽ、___.ハ、/// // ハ_/ / / ,/ / / / | |/ //
. `、:!| | | | |. | | ヽヽ ヽ___ハ ヽ' /// /// / / / / |くYソス
,〉ハ.ト.、| ! l | | ヽヽ_ \\\ ,//ノ,/―-、 / // / / >‐く`\
ノノ ノ|/\,| | || }ー‐\ \/,ノ`‐- ..__. -‐、 ,////イ  ̄ 、 ヽ / 〃 ,..-<了ヽ ヾヽヽ、__ノ
/ /(__ノ}::ー‐'.:L. | || ノ´、___ノ\ \‐-、=‐-<`ヽ〉.__ /く´ ノ ` :::;ト、 / /_/ }\_\ ヽ、丶、
. 《〈____) ): `r―L.___く ト、__ ...ハ`-、`ヽ、‐っ_,,) / _,) //| ,/ /:: ;;ノ、__> ノ_,ハ ,ノ::;;_::-''"  ̄ヽ
ヽ三三彡} :| \:l、 ヽ 〈 ヽ ` ‐-、\ ∠ミ=`‐- ' ノ/ /;; / |_.. -‐''"´{ } j ,!"´
,. -―‐- 、
/ヽ v1
|Y ゝくY :!
| |Yゝク |
f三 へ三ニト
{ゝ二 二kミ!
| ー 一 Y
U、 ー ,U
>'1ミ二彡^ヽ、
/ 个 ー イ 彡ヽ
/ i ト/ミy@┬ ヘ
/| ̄|ヘ / ,h /| ̄ |
7|> ' /n `タ._k |
ゝ _ /彡イ `〜 、...,,_}
__ >彡 '_ゞ_ゝニゝ、_
< ミ三三彡彡へ r‐ァニ三彡ハ
〉ーニ二三彡彡1 l キニ三二−ヲ
f⌒Y⌒⌒Y⌒⌒Y⌒⌒Y⌒⌒Y⌒ハ
f⌒Y⌒⌒Y⌒⌒Y⌒⌒Y⌒⌒Y⌒⌒ 〉
ゝ⌒X⌒ヽ〜‐-<⌒⌒ メ⌒Y / ヘ
( \ \ 〉-‐rく ,.-く ノ
`丶 _ へ ハ ) / //
(ヽ
)レ レ、
r、/((ノ()ヽヘ
∧/ (人 ()(()()ヽハ
r、/ () ())("ミ=Jソr=、() し,
r、/())(从(r,=,r'゙三ミヽ=ミ、=()(.)r、
(()()ノr゙ソ非:Nr,===、|/l:非ミ、(()゙ヘ
(()ヽ())l非l"::|)|lミ尚:=l|(|:::゙l非lY()ノlr,
(ヽ)=彡l非l:::::;|)|l(バハ)||(|;::::::l非lぅ(ブノ
((),()ヾl非l::::::{ ,r''‐''‐''‐''‐、 }::::::l非l彡 (ノ)r,
Z=、ぅ)}l非l:::::::V-‐-、 ,r‐-V:::::::l非l"(フ(ノ }
ゝ、(),r=l非l::rn| ‐-- --‐ |::::::l非l(r'7 (ニ′
ヽ(ヽ(r='l非l|| |l r l:、 l::::l非lミ、(米)(ノ)
从()ヽ()l非l:::l=| ',\ = = /:l非l:::l非l.「l (ノ レ,r、
r,(()ヽ=ミl非l:::,r'"´ヽ lヽ`_― '´ ̄l77ッ、:ヾ「l 「「r、(.) )
(())()rl非l::::::/l |=| // ∧ハ:::l.` ""1(r,リハ
ヾY゙(r,l非l:::::::/ ', __.l │ // ( )ハ::| Aミ/ノ(.).)
(()ソ(rl非l::::::/ 〈r"! | ///|| 「|゙l、!==|lEl((9()/
(()r゙(l非l:::::/=、、 ハ l | /´//{゙)C|.|.|.| .l非l()(()ノ)
r)) }))l非l:::ノ ,r'"⌒ヽ | r'"゙ヽ7´///l || |l |非| ()7ノ(ノl
J()ニ=゙l非l/ f l_ノ┴っノ//// 〃.__ / l |l非l(人(ノ./
ゝ ()ハ.}F/ /| l|」_三⊇ノ/|| 〈ヽ..__ノ リl非l )>ノノl
ヾ,()彡/ /::|l ll|二 -‐ニ゙ /l || |:::::::ハ ll非lソ(ノ/ノ
ヾ、.=/=、、/ヨ::|lヽ ノl|ニ-‐ '/ || || |::::/::::l llヲ(ノr=''レァ
/ ノ `ll非l|lヽ  ̄ ノll|--‐ ´ lbリ__l/::::;ィl l(フ (7ノ
(/ rooo/)ミlヨ|l、  ̄ ノll|__ __((ヾ)ノ>-∈ヨ__ l r_シ7
|」87)8ぅノlミ|.ll` -‐ ll|  ̄ ))〃 _.... -''" ̄ヽ‐''′
8'"8ヾニシ| l ll ,r‐-、fr⌒Y⌒ヽ,r''"´ ニ 二  ̄ ノ }⊃
8o8 | l ll / ヾ'"⌒「´|ミ ‐- .... _ /
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ヽr‐ヽ、 ("⌒`"⌒`ヽ /⌒`"⌒) /"ン
\ (`"⌒ヽ /⌒`"⌒ヾ /⌒"`)/
``丶 ...___\ ( ) ∠ -‐''"´
l三三三三三三三三l
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しょーこー し ■■■■■■■■■ しょーこー しょーこー
し■■■■√ === │ しょーこー
しょーこー ■■■■√ 彡 ミ │
■■■√ ━ ━ \ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しょー ■■■ ∵ (● ●)∴│< 騙したな〜!
■■■ ■ 3 ■ │ | 言ったはずだ、私をあまり怒らせるなと
しょーこー ■■■■ ■■ ■■ ■ \____________
■■■■■■■■■■■■\ しょーこー
しょーこー , ノ■■■■■■■■■■■■ ) しょーこー
| ■■■■■■■■■■■ |
ノ ■■■■■■■■■■ \ しょーこー
/ | ■■■■■■■ | \、
ノ / ■■■■■■ \ ヽ
,! | ■■■■ | !、 しょーこー
│ / ヽ `!、_
/"γ\ _/ ξ⌒―‐' ̄\、 ,/ ̄\_ノ⌒⌒\
μuuULヽ__―――――― ̄ ̄ ̄`――´\、ノ"\ιノ Uuuヽ
/ \ ,_Ξβ \ ノ
! __,―'~― ̄ | /´
| / / |
\ ,__、,/ / ノ
` __., ―――'' ̄ ̄ ̄ ̄" ̄`―――.、____/ ´ ´
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( ( ( ( ( ( ( ( ( (
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_ノ' : .' _r′
_rE三二ニ=〔
/´ ||/  ̄"''ヽ
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. | ,'|| ヽ. |
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(┴‐''7[jヽ ヽニ,| l
〉 ̄/./|\\ =|、 ヽ
,ト、/_/、ト、 `‐三| \‐-、
| ./‐/へ! ヽ  ̄ ̄ヽ ヽ、 ヽ、_
l/ / 、 | \ \ __..-'''/"`ヽ
∠ -∩└:ト、___.. -'",>--=ニ..._ノ .ノ-〜┐
'〜┬’ `ー|`ー---―''"__∠ニ=ニニニ三''ご=ニ二.フ
` ̄ ̄`""´ ̄ ̄ ̄ `^'⌒`ー'⌒-へ
302 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 18:18:41 ID:EO39BOf1
何この流れ
誰か削除依頼ヨロ
つーか仏教関連って辺り例の糞コテ臭いんだが
こんな取るに足らない荒らしで削除依頼とか騒ぐお前も頭おかしい
えー(・3・)
ミヨキチ「こんな取るに足らない荒らしで削除依頼とか騒ぐお前も頭おかしい」
如来キター!
怒られるの覚悟でマ○ティー貼ったのに、完全に喰われたorz
まー非常にうざったいので、取りあえず依頼行ってくるがよろしいか?
230 :名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 02:14:24 ID:rZxax0C1
昔書いたSSを若干鬱ってゆうか悲しい感じにリメイクしたのを落とします。
231 :名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 02:16:05 ID:rZxax0C1
てか229が落としてんのヵ
232 :名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 02:18:05 ID:6zTq3KY2
書きながら投下してるヤツに構うことはないんじゃないヵ?
233 :人間の証明 :2006/08/25(金) 02:20:26 ID:rZxax0C1
「遅いよ。」
窓から差し込む西日で照らされた如来のように美しい笑顔。
↑↑
糞SSをスルーされてキレたと思われ
疑心暗鬼イクナイ
てか投下の流れじゃなさそうなのでついでに皆に質問
正直言って書きながら投下されるのは非常に迷惑だと思うんだわ
テンプレに「投下はある程度書き上げてから」と付け足したらどうなんだろう?
まぁ私情はあるだろうから途中まで書いてから投下、というなら仕方が無いと思うけど
この季節に急進しない方がいいんじゃないか。
まぁ、それもそか。じゃぁ夏休み明けまで保留…というか、思い出せなければ放置で良いや
)レ レ、
r、/((ノ()ヽヘ
∧/ (人 ()(()()ヽハ
r、/ () ())("ミ=Jソr=、() し,
r、/())(从(r,=,r'゙三ミヽ=ミ、=()(.)r、
(()()ノr゙ソ非:Nr,===、|/l:非ミ、(()゙ヘ
(()ヽ())l非l"::|)|lミ尚:=l|(|:::゙l非lY()ノlr,
(ヽ)=彡l非l:::::;|)|l(バハ)||(|;::::::l非lぅ(ブノ
((),()ヾl非l::::::{ ,r''‐''‐''‐''‐、 }::::::l非l彡 (ノ)r,
Z=、ぅ)}l非l:::::::V-‐-、 ,r‐-V:::::::l非l"(フ(ノ }
ゝ、(),r=l非l::rn| ‐-- --‐ |::::::l非l(r'7 (ニ′
ヽ(ヽ(r='l非l|| |l r l:、 l::::l非lミ、(米)(ノ)
从()ヽ()l非l:::l=| ',\ = = /:l非l:::l非l.「l (ノ レ,r、
r,(()ヽ=ミl非l:::,r'"´ヽ lヽ`_― '´ ̄l77ッ、:ヾ「l 「「r、(.) )
(())()rl非l::::::/l |=| // ∧ハ:::l.` ""1(r,リハ
ヾY゙(r,l非l:::::::/ ', __.l │ // ( )ハ::| Aミ/ノ(.).)
(()ソ(rl非l::::::/ 〈r"! | ///|| 「|゙l、!==|lEl((9()/
(()r゙(l非l:::::/=、、 ハ l | /´//{゙)C|.|.|.| .l非l()(()ノ)
r)) }))l非l:::ノ ,r'"⌒ヽ | r'"゙ヽ7´///l || |l |非| ()7ノ(ノl
J()ニ=゙l非l/ f l_ノ┴っノ//// 〃.__ / l |l非l(人(ノ./
ゝ ()ハ.}F/ /| l|」_三⊇ノ/|| 〈ヽ..__ノ リl非l )>ノノl
ヾ,()彡/ /::|l ll|二 -‐ニ゙ /l || |:::::::ハ ll非lソ(ノ/ノ
ヾ、.=/=、、/ヨ::|lヽ ノl|ニ-‐ '/ || || |::::/::::l llヲ(ノr=''レァ
/ ノ `ll非l|lヽ  ̄ ノll|--‐ ´ lbリ__l/::::;ィl l(フ (7ノ
(/ rooo/)ミlヨ|l、  ̄ ノll|__ __((ヾ)ノ>-∈ヨ__ l r_シ7
|」87)8ぅノlミ|.ll` -‐ ll|  ̄ ))〃 _.... -''" ̄ヽ‐''′
8'"8ヾニシ| l ll ,r‐-、fr⌒Y⌒ヽ,r''"´ ニ 二  ̄ ノ }⊃
8o8 | l ll / ヾ'"⌒「´|ミ ‐- .... _ /
,.....8o8--‐┴ー'r'ヽ).))))__..辷ゝ`二 ____ノ‐- 、
ヾ⌒(⌒"⌒`("⌒`"⌒`ソ"⌒`"⌒ヾ⌒`"⌒/⌒`⌒)⌒ソ
ヽr‐ヽ、 ("⌒`"⌒`ヽ /⌒`"⌒) /"ン
\ (`"⌒ヽ /⌒`"⌒ヾ /⌒"`)/
``丶 ...___\ ( ) ∠ -‐''"´
l三三三三三三三三l
317 :
311:2006/08/25(金) 19:01:18 ID:yRnDgsas
べ、別にあんたが何しようと、関係ないんだけどね、
スルーしたほうが、あたしはイイと思うよ。
その、ほんとに、あんたなんかどうなったって関係ないんだからね!
幼馴染が照れ隠しで…こんな感じか?
長門が女同士の会話でキョンをなんと呼んでいるかばらそうとしたみくるにボディブロー食らわせて「それは禁則事項」と口封じする話はどこのスレだったっけ?
前スレも検索したが見つからなかった……
320 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/25(金) 22:04:34 ID:cK/AfSwR
YUKI.N>arasiha,kinsisuru.
オリキャラが妙に前面に出てたりとか、二次創作としての範囲を逸脱気味のものを
書いてしまった場合に、冒頭に警告を入れるべき、というのはよくわかる。
でも、「鬱」かどうかというのは、その基準がわからないな。
キョンその他、ハルヒ本来の登場人物が死ぬような展開でなければ、無警告でも許されるの?
『鬱』かどうかじゃなくて、『バッドエンド』かどうかを最初に表記して欲しいところ。
323 :
如来・・:2006/08/25(金) 22:24:22 ID:/F1ERwi5
結末先にバラせとか利己的すぎー
324 :
浜谷太一 ◆yl1SBmcic. :2006/08/25(金) 22:26:00 ID:DhH2Rt5Z
オリキャラ活躍はやめておいたほうが・・・
本当に人恋しいなら勧めますが
>>323 同意
レイプ陵辱グロ猟奇は事前警告すべきだがバッドエンドは要らない
そこまで懇切丁寧にやる必要ないだろ。流し読みして自分で判断すればいいんじゃね?
327 :
如来・・:2006/08/25(金) 22:36:19 ID:/F1ERwi5
つうかグロとかスカトロで気持ちわるくなるのは分かるが
たかがくらーい話読むのが嫌だからって宣言しろとか大げさすぎ
どんだけグラスハートなんだよって感じ。
とりあえずコテならコテらしく統一しろよ
うざい
>>322 バッドエンド読みたくないから先に言えって厨房は来ない方がいいよ
この殺伐感は実にいいですね
このタイミングで非エロ投下してよいかな?
と言うチキンハートな確認
どうぞ
こいこい。
wktk
かもん
サンタクロースをいつまで信じていたかなんてことはたわいもない世間話にもな
らないくらいのどうでもいいような話だが、それでも俺があの年に一回しか仕事
をしない赤服の不法侵入者をいつまで信じていたかと言うとしゃくだが親の言う
事を鵜呑みにしていたガキの頃は信じていたと言わざるおえない。
幼稚園に乱入してきた赤服の園長先生を偽物と見抜くのは簡単だったがそれとは
別に本物がどこかにきっといると思っていた。…いると信じたかった自分がいた
。
何にせよ人は成長して行き『子供の夢』をほいほいと捨てながらあるいは知らず
知らずのうちに落としてあるいは泣く泣く捨てて大人として必要な『常識』とか
を『子供の夢』の入っていたスペースに押し込んでまた歩いて行くのだ。
変に大人びていた俺はもう『子供の夢』を全部捨てたんだ、と勘違いしていた。
親の都合で引っ越してきた新居への感動もなくいわゆる新しい仲間への期待もへ
ったくれもなく俺は中学生になり、
森園生に出会った。
−『森園生の憂鬱?』−
「全く最近の子は嫌ねぇ。」
だから謝ってんだろうがうっせーな。つーかてめぇにも否があんだろ?一方的に
被害者面してんじゃねっつの。
と思いながらも顔には出さず誠意溢れる顔で謝る。
「すいませんでした。こちらの不注意で…お怪我はありませんか?」
「もう良いわ。待ち合わせに遅れちゃう。」
そう言うと名前も知らないオバサンは去って行った。
おっ死ねばーか。
背中ごしに小声で言った。勿論の事だが気がついていないだろう。
あーぁ気分最悪だ。やる気しねぇ。帰りてぇ。
しかし人間つかみが大事なんだよ。よって中学校の初日にサボるわけにもいかん
。
親の都合で引っ越してきたばっかりで学校内において頼れる人もいない状況で印
象を悪くすると何があるかわからん。
簡単に言うと世の中はお綺麗なものばかりじゃないって事さ。そう言う意味では
実際大人も子供もそんなに変わらんのだろう。
ひとくくりでまとめたらみんな馬鹿でアホってなこった。
はぁ。溜息もでるってもんさ。なんて、転校転校また転校で友達と散々に引き離
されここまですれたガキになった俺を誰が責められようか。
さて中学校に向かいつまらん入学式をだらだら過ごして各々が各々の教室に向か
い何となく一年間面を突き合わせる奴らを眺める。大抵の奴がここらへんの二つ
の小学校からごちゃ混ぜに来たやつららしい。
適当に「またお前と同じクラスかよ。」などと笑いあっている奴らを眺めている
と担任であろう人物が入ってきた。
そして自己紹介を始めた。ぶっちゃけどうでも良い。そんな事より俺の事だ。自
己紹介でバッチリ決められるか決められないかで今後の俺のポジションが決まる
。
担任の自己紹介が終わり生徒の自己紹介に入る。仲間内でしか笑えないギャグを
やって勝手に騒いだりぼそぼそと聞き取れないあるいは全く面白みのない自己紹
介を軽くスルーしたりしていると次第に俺の番が近づいてくる…んで俺の番だ。
緊張するところだ。わかるだろ?
名前に出身校まで話してキョトンとしているクラスの面々に親の仕事の都合で引
っ越してきた事、ここらへんにまだ慣れてない事、早くとけ込みたい事などを話
して席につく。うっすら浮かべた笑みは最後まで絶やさない。まぁ自己紹介には
慣れている。…嫌な話だがな。
そして俺の自己紹介が終わり後ろの女の番が回ってくる。
まぁかなり普通の紹介だったよ。すっげー昔の幼なじみ(何故かすっげー美人)
との運命的な再会をする事もないし後ろの女が突然電波な事を口走って場の空気
を変えたりもしない。ついでに変な属性があるわけでもないだろうさ。
そんな展開は所詮空想の中でしか起こり得ないのである。
突然に宇宙人の戦いに巻き込まれる事もないし未来人と仲良くタイムトラベルし
たりなんかないし超能力者にトンデモ空間に連れていかれる事もない。
現実ってのはそんなもんだ。現実が理想を叩きのめし空飛ぶヒーローを様々な科
学的な法則で封殺する。1+1=2こそが正しく3や4なんかはお呼びじゃない
って事さ。
なんにせよつまらん日常にうんざりしながら過ごす時間は意外と早かった。
クラスにとけ込むのは簡単だ。ヘラヘラ笑いながら会話に適当に参加すればそれ
で良いんだからな。男女共にどちらとも仲良くしてもらってますよ。
朝起きて準備して学校に行って役にたたないであろう授業を受けて休み時間に談
笑なんかを含んだりする。それが終わったら部活に出てスポーツに青春を捧げて
帰って色々あって寝る。そんな日々の繰り返しである。
リプレイみたいな日々を過ごすだけの俺の人生に確変が起こった。
学校帰りの事だった。その日は頭がやけに痛かったので早退することにした。
太陽さんさんの真っ昼間に一人でぽつんと帰るのは結構キツいもんだ。頭痛もこ
たえる。
ふと頭が真っ白になる。頭痛はもうしない。それどころか妙にすっきりする。
しかしそれも長くは続かない。凄まじい痛みが頭を襲う。
ナンダコレハ
情報が脳に直接刻まれる感覚。意識が遠のく…
気がつくと真っ暗な闇の中で俺と同い年くらいの女の子がじっと立っている。
なぜか一目見た瞬間にわかった。彼女は暗闇のなかに絶望しながら『何か』を待
っている、と。
やがて彼女は走り出した。彼女は『何か』を探しているのだと俺はなぜかわかっ
た。
ひたすら暗闇をたったひとりで彼女は駆ける。
そして急に立ち止まった
「なぜ?なんでどこにもいないの。なんでよ。なんでどこにもいないのよ!」
その瞬間暗闇だった世界にモノが生まれた。
民間、ビル、学校、信号、道路…生き物と時間を失った世界が暗闇の中に生み出
された。
そして青くうっすらと光りを放つ生き物らしきモノが現れた。ジュルリと音はし
ないがそんな感じで形を変えてゆく。
ソレは人の形をとるとその世界を破壊してゆく。ただ純粋に怒りを形にしたソレ
に俺は恐怖を覚えた。
しばらく世界が壊されるところを眺めていた。俺の足はガクガクと震えている。
「もう良いわ。」
『何か』を諦めたような声がする。その刹那世界が完全に消滅した。
もうそこには暗闇さえない。ただひとりの少女が悲しそうな顔で立っている。
頭に直接『何か』を書き込まれる感覚。頭が割れそうだ。痛みに声すら出ない。
脳に刻まれる真実。世界はひとりの少女を中心に回っている。
この世界は彼女の自由に作りまた壊す事が出来るものである。
そして彼女は世界に絶望している。
知った。知ってしまった。世界の真実を…。
俺は気を失っていたのだろう。何が何だかわからない。全てが恐ろしく思える。
今この瞬間に世界は消えるのかもしれないのだ。もうこの瞬間に消えて生まれた
のかもしれない。
わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわ
からない。
うあああああぁぁぁぁぁぁ
「落ち着いて。大丈夫です。」
−−−っ!?
俺と同い年ぐらいの女の子が抱きついてきた。
なんか…暖かい…
悲しくもないのに頬を涙がつたう。
何だか落ち着く。
何が何だかわからなかったが何だかこうしていたかった。
そしてしばらくして女の子は急に顔を真っ赤にして俺から離れた。
「あっえっとごっごめんなさいっ!なんか混乱してたみたいだからえっと…
よく見るとかなりの美少女である。やべぇめっちやくちゃ可愛い。
ってかそんな事よりさ、なんって言うか
「ふふっふっあははははは。」
俺は笑い出した。久しぶりに本気で心から笑っていた。彼女もまた的外れみたい
な顔をした後で笑い出した。
今度はしばらく笑っていた。
そうしてしばらくして落ち着いてくると
「私は森園生。あなたを護衛する者です。」
はい?
俺は固まるしかなかった。だんだん頭が冷えてきた。
「あなたは超能力者になったんです。」
にこにこと森園生なる美少女は語り出す。
あまりにも唐突な『常識』の切り替え。これってジョークですか?
「大マジです。」
なんと笑顔の可憐なことだろう。ああもうどうにでもなっちまえ。
俺のつまらない日々は確実に面白い方向に進んでいた。…としか言いようがない
。
しみじみと思う偶然だと信じたい。
とりあえずこれで終わりです
339 :
如来・:2006/08/25(金) 23:26:20 ID:mMVTva0S
ごちそうさま。
俺はここでは批評を書く役回りではないので、その辺は他の人に任せる。
しかし、まあ、本をもっとたくさん読んだほうがいいかな。
同意
涼宮「夏休みの宿題はちゃんとやってきたんだけど家に忘れてきたの」
岡部「……」
涼宮「夏休みの宿題はちゃんとやってきたんだけど家に忘れてきたの」
岡部「……」
涼宮「夏休みの宿題はちゃんとやってきたんだけど家に忘れてきたの」
岡部「……」
涼宮「夏休みの宿題はちゃんとやってきたんだけど家に忘れてきたの」
岡部「……」
涼宮「夏休みの宿題なんかよりもっと価値のある私の論文を提出してあげるわ!」
岡部「いいから宿題を出せ」
345 :
338:2006/08/26(土) 00:11:17 ID:fv7Fc0hG
原作を読み返してみたみました
設定がおかしかったです
ホモキャラ扱いの古泉に花を持たせたのですが勉強不足でした
すいませんでした
まあなんていうか携帯でよく頑張った
今度はちょいエロでいいからピンクなのも頼むよ!
いや、そうじゃない。別に見てて苦痛になるほどでもなし。軽軽に謝るな。
肩透かしくらったような落ちてない〆方と、ちょーっと読みづらい&
語法が所々誤ってるつーのが、気になっただけだ。
ハルヒ「どこ行ってたのよ。すぐ帰ってくると思ってごはん食べないで待ってたのに」
kyon「could you say that again, expect like a childhood friend pretending to be angry to hide her embarrasment ?」
>>349 すまんが、幼馴染が照れ隠ししている感じでもう一度言ってくれ。
やっぱり夏が終わらないとダメか……
まだ完全に書いてないモノを出すよりは
完全に書いてから出したほうが
やはりいいですよね?
>>353 最低でも5投稿分は投下しないと忘れやすいから注意。
1回1回書きながらの投下になると作品自体も
時間が経って記憶に残らなくなっちゃったりするから、
数レス分作って「続く」って形にして
後日残り投下って感じにしたらいいと思うよ
あ、じゃあ投下させていただきます。
事前に言いますが前みたいにレイプなどはありません。鬱は個人でご判断ください。
まだ前半までなのでエロなし、解りにくいところもあるかもしれませんがよろしくお願いします。
「……や〜い……サスケや〜い……!! ふぅ……」
「どこいっちゃったのさっ……サスケ〜サスケや〜い………いないにょろ〜……」
キョンの体内時計が午前7:00をお知らせします...ピッ、ピッ、ピッ...ピー
――バッ、バッ
煩わしい掛布団には目もくれず両足でベッド下に蹴り飛ばす。凡そ八時間は光を見なかった目を気合いで見開くとそこには……
毎朝お馴染みの大の字フライング妹ボムがあった。俺は心眼で妹の背中の位置を測ると即座に妹の胸と背中を掴み中空にぶら下げた。
「キョンくんおっぱい触ってる〜! えっち〜!」
フン……真正におっぱいと呼べるほどのモノを持ってから言うんだな。俺はまな板を触っただけだ。
ポイと妹を投げ捨てて、日々難易度を高める朝の軽い運動を終えてキッチンへ向かった。
――ガツガツ
「ごはんは逃げないから落ち着いて食べなさい」
確かにごはんは逃げないが時間は逃げるものなんだ。
とりわけ胃の強い方ではないが学校のある日の朝は別だ。朝の五分は命より貴重とはよく言ったもんだ。
早メシ早グソ芸のうちってな。落ち着いて食べる時間がある時はそうするさ、しかし今はそうではないんだ。
「いってきます」
「いってきなさい」
むう、ついに命令形か。なるほど、俺の知らないところで妹が母に何か告げ口してるんだな。
例えば今日のまな板みたいな些細なこととか、な。
学校に向かう途中にススキの穂の波を見つけた。
いくら近代化を受けて情報社会が栄える関東地方と言えども、季節の風物を残すだけの場所はまだまだ残っている。
ちょっとした日常の変化が何となく新鮮で、また今日も新しい気持ちで登校するのさ。それが日常だ。
俺の所属するSOS団(一応部活だ)は、宇宙人の長門有希、未来人の朝比奈みくるさん、超能力者の古泉一樹、そして神のハルヒだ。
こんな部にいたら平和な日常という宝物が、風に揺られる灯火のように脆いものになるだなんてことわかりきっている。
だからちょっとくらい、通学の間だけでも日常のリアリティを感じて一般人の感覚を養うくらい、悪いことじゃない、普通だろ?
ハルヒの舞台って関西じゃないの?
「ねえ、キョン。もうススキの季節ね」
例によって例の如く、性懲りもなくハルヒが後ろからつついてくる。
「ああ、そうだな。やっと長かった夏も終わった、ってところだな」
「キョンの夏が運命の出会い無く終わっても、まだまだSOS団は終わらないわ」
ヤクのバイヤー(麻薬の商人)のようにニヤニヤしながら言うハルヒ。
まあ、俺の夏がこれで終わろうと、今年は春から色々な出会いがあったんだからそれはそれでいいさ。
それにしてもSOS団がまだまだ終わらないというのはどういった考え方だ?
ちょっとした衝撃で爆発するニトログリセリンのような危険物を団長に今まで存命出来ただけでも大したもんだが。
「そりゃ確かに今年の夏も色々あったわ、でも夏最大のイベントをまだやってないじゃない!」
返事のしない俺が、自分の思い通りの返事をしたと思い込み話を続けるハルヒ。
「祭か?」
「……違うわ、けどそれもいいわね」
げ、油を注ぐような事は言うもんじゃないな。それでなくても常にオイル満タンのようなやつだってのに。
「星空の下での初体験か?」
「全然違うわよ、けどそれもいいわね……星空の下なんてロマンがあるじゃない……!」
それもありなのか。言ってみるもんだ。まあ相手は間違い無く俺じゃなさそうだがな。
「……もうっ、バカキョン。肝試しよ! 心霊探索っ!!」
顔が近いぞ、いい匂いだぞ、ハルヒ。
それにしても……肝試しオンリーなんて聞いたことないぞ。大体肝試しは夏の夜とかの、例えば祭りの後にやるような思い付き行事だろ?
「細かいことはいいのよっ! やるといったらやるんだから、キョンは良さげな穴場探しときなさいよ!」
ビシッと音がしそうなくらいいい指のつき付け方をしてハルヒが言った。
へいへい、そうきましたか。また俺ですか。わかりましたよ。しかしハルヒ、因みにな、穴場探しなら古泉の方が全然得意だぞ。
「どうして? 古泉くんって心霊系なの?」
いいや、穴系だ。
「ハッ!! 誰かが僕を呼んでいる……!? アーッ!」
終わり?
ハルヒが何かに気を取られる時には必ず何かが起こる。こればかりは規定事項になっているから対処できん。
ハルヒが望めばそれだけそれに関係することが起きる。ハルヒはそういう力を持っているからだ。理解出来ないならしなくていいぞ。
しかしこれは……流石に関係なさそうな話だ……
「キョンくん……ねえキョンくんっ!! 聞いてるのかいっ!?」
「え……? ああ、すいませんちょっと考え事してて」
「も〜っ! 困ってる乙女の相談はちゃんと聞くにょろよっ!?」
ちょっと出てるオデコと独特な口調が可愛いこの人は鶴屋さんだ。SOS団の……まあ、パトロンみたいなもんだ。
ふむ、ちょっと怒った鶴屋さんもまたオツだな。
日本にもし一夫多妻制度があったなら朝比奈さんの次の結婚相手として迎える準備を今のうちからするというのに。
「それで、なんでしたっけか?」
「……また最初から話すにょろ〜? まあいいっさ、頼んでるのはあたしのほうだからねっ!」
元気リンリンの鶴屋さんも見過ごせないな。今が放課後の教室じゃなければあんなことやこんなこと……
「それでねっ、昨日っからウチの茶髪の弟が帰ってこないっさ……」
弟? 初耳ですね。 その弟もやっぱりオデコが……
――バシ、バシ
「これでも結構気にしてるんだから言っちゃダメっさ!!」
いててて、やめてください……!
「キョンさっさと部室いく……なにしてるの? あっ鶴屋さん!」
いいタイミングだハルヒ、半永久的ビンタに終わりの鐘を鳴らしてくれたな。
「あっ、ハルにゃん……! あのなんでも……」
「いや、鶴屋さんのオデコがおおk」
「にょろ〜〜〜!!」
――バシバシバシバシ
「な……なんなの……?」
書きながら投下してるんか?
>>364 どうでもいいんだが、もう少し読める文章にならないものだろうか。
というわけでここはSOS団の本拠地だ。
なにがというわけでなのかもわからんし、SOS団に支部などありゃしないが気にするな。
「え〜っと……というわけであたしの茶髪の弟がいなくなっちゃったっさ……」
結局話がまとまらずに部室に連れてこられた可哀想な鶴屋さんの第一声がそれだった。
「ふんふん、それをSOS団で探して欲しいってわけね……わっかりました! 任せて! いいわね、みんな!?」
こいつはまた……見つかるかどうかわかりゃしないのに人を励ますようなことを……
「ちょうどよく明日は休みですしね、僕は全然構いません」
「私も大丈夫ですけど……茶髪の……ってたし」
「大丈夫」
鶴屋さんの独演とハルヒの独裁がかかってみんなは洗脳されたように賛成し、俺は独立した。
朝比奈さんが何かをいいかけたような気もするが長門が対抗呪文のように言葉を遮ったな。
「しかし鶴屋さん、俺も探すのはいいんですが、なんか特徴がないと……」
自分で言って全くだ、と思うのに団員は何もいわんのか。全く人事だと思って……人事か。
「そうにょろね……名前はサスケっさ、歳は確か……10歳にもなるかなっ……?」
サスケッサ……ですか? 随分またひねくれた名前を……
「うう〜っ、キョンくん絶対わかってていってるっさね!? あたしのこと嫌いにょろ〜……?」
これは失言、過剰なイジリは嫌われる元だな。
「キョンうるさいっ! 続けてもらえますか? 名前はサスケくん……ね……有希メモ」
「私がメモするの? それともメモ帳を貸せばいいの?」
おお、生きる置物もいたんだな。しかし何言葉か喋らないと解らんから最初に言うがここにはSOS団は全員いるぞ。
「どっちでもいいわよ」
ぶっきらぼうに言ってハルヒはアゴで鶴屋さんに続きを促す。
「うん、それでね……茶髪で、すっごいやんちゃくんかなっ? あと木登りが得意だけどよく降りれなくなるっさ」
ふんふん……最近のガキは茶髪なのか……
「……メモメモ」
「あ、あと体が柔らかくて、まるっこいにょろ! サスケって呼ぶとこっちよってくるにょろっ!」
ふんふん……誘拐しやすそうだ……
「……メモメモ」
「あとは……たまにヘビとかとってくるにょろ。木の下とかでよく食べてるにょろ!」
ふんふん……ふん……?
へ……へビ捕まえてよく食う……?
「…………」
「…………」
「……メモメモ」
最後のはいいとして……なんだこの空気は……? 俺は文芸部室と間違えて真冬の昭和基地にでも来てたのか……?
おいハルヒ……ぼーっと口あけてないで防寒対策をしろ、死ぬぞ。
古泉……もしかして鶴屋さんの弟もヒューマノイドインターなんとかなのか……?
長門、お前はどうでもいい。一人だけハワイにいるようなツラすんな、怖がれ不思議がれ。
朝比奈さん……あなただけは俺が守って……ってなんであなたがハワイにいるような顔してんですか……?
朝比奈さんちはヘビが主食ですか?
鶴屋さん……弟さん一回悪魔祓いしてくれませんか? だめですか。そうですか。
人が十秒で凍死する沈黙の嵐は九秒コンマ九あたりのギリギリのところで少しだけ収まった。
古泉がハルヒに何かを話し始めたからだ。
「……涼宮さん……涼宮さん、ちょっと耳を貸してください……」
「あ……あ……なに……?」
さしものハルヒも永久凍土の地には勝てず沈黙していたのが、少しずつ春の蕾が目を覚ましたかのように口を動かし始めた。
「……もしかしたら鶴屋さんの家では厳しい戒律があってヘビをとって食べることがあるのでは……?
……それが躾、言伝、果ては虐待なのかはわかりませんが、ここは話を合わせた方が被害が少ないかと……」
まさか自分の家柄の事まで疑われてるとは知らずに鶴屋さんは“どうしたのさっ?”的なスマイルを携えている。
もしかしたらヘビを食べたから鶴屋さんは“にょろにょろ〜”なんて語尾を強制される呪いに……?
「そ……そうね……! 多分それが一番だわ……!」
それだけ言ったハルヒは今から水中に潜るといった風に空気を大きく吸い込んだ。
――バンッ!!
ハルヒが机を強く叩いた。固まってしまった氷が溶けたように部室に色が戻ってきた。
「みみ……みんななに固まってんのよ!? へ……ヘビなんてよく食べるじゃない……? ねえキョン!?」
唇が震えて脂汗タラタラなのはまだいいが俺に振るな!!
「い……いやその……あのだな……」
俺が返事に困っているとコイツはまた大変な事を言い出しやがった。
「な、なによバカキョン!! わわわ私なんて昨日……た……食べたわよ!!
お、おいしかったわ……あ〜そりゃもうおいしかったわ!! アハハハ!!」
や、やめろハルヒ!! お前の精神は崩壊寸前だ!! これ以上無理はするんじゃない!!
「ああ、あのぅ……」
「なによみくるちゃんアンタヘビ食べたことあんの!? おいしいっていってるじゃない食べなさい!!」
「ふえ!? ふえぇ……」
と、今まで石像の様に口をつぐんでいた当の本人が叫んだ。それは耳を疑うような言葉だった。
「ハ、ハルにゃんヘビ食べるんかいっ!? ごご、ごめっ……あ、あたし知らなかったっさ!! ハルにゃんそういう土地の生まれだなんて……!!」
…………。
「えええええええぇぇぇぇ!?」
「えええええええぇぇぇぇ!?」
……えええええええぇぇぇぇ!?
“矛盾”という名の寒波が吹き荒び、“理解不能”という名の雨が降り頻る中、長門が口を開いた。
「……メモが完成した
名前.鶴屋サスケ
年齢.約10歳 特技.木登り
特徴.まるっこい 柔らかい
茶髪 やんちゃ
名前を呼ぶと来る
主食.ヘビを木の下で食う
…………おk?」
……おk、って……お前……
何というか、もう少し読める文章にならないものだろうか。
例えばマンションの一室にいたとする。書斎の机の上には箸入れに入った箸があって、窓からは橋が見えたとする。
そこで急に電話が掛ってきて“いますぐにはしのまわりをみろ”と言われたならアンタは何を見る?
箸入れに入った箸の周りを見るか? 窓から見える橋の周りを見るか? それとも窓から見える橋の端を見るだろうか?
人は誰しも勘違いをするものだ。勘違いをしない人間なんて絶対にいない。
それは宇宙人でも多分同じだと思う。長門だってたまに言語の勘違いをする。
確かあれは……初めて長門が間近で犬を見た時だな。
「長門、これは“いぬ”だ」
「……いる」
「……は?」
「これは“居ぬ”……でもここに“居る”」
「……バカか」
「……作り話はやめて」
おっ、すまん長門。とっさに良さげな話を思いついたんでな。ネタにさせてもらった。
まあ、話を戻すと、人は勘違いをするってことだ。時に勘違いは命を落とすこともある。
まあ俺達は永久凍土の南極は昭和基地にワープさせられたんだがな。
「猫なら猫って言って下さいっ!! 私ヘビなんか食べないしおいしくもないっ!!」
区間内警笛鳴らせの標識を見て、警笛を鳴らし続けて走る車のように、絶え間なく我が団団長は力の限り怒鳴った。
哀れなその矛先は先程から肩をすくめて怒声に耐える長髪の女性、鶴屋さんだ。
「あ……あたしにとっては……茶髪の弟ってくらいかわいい存在……にょろよ……?」
「もういいですっ!! 次、みくるちゃん!! 知ってたんならなんでもっと早く言わないのよ!?」
「ええぇ……だ、だ、だって私言おうと」
「言い訳をしないっ!! いいわ、今度とってもおいしいヘビごはんをご馳走するから覚悟しなさいっ!!」
「ええぇ!? そ、そんな……!」
ハルクのような怒声を張り上げるハルヒの口から降り注ぐツバをうけて、悲しい顔をしているのは朝比奈さんだ。
いいんですよ、あなたはなにも間違ったことなんかしてやいませんよ。
ただちょっと気が小さかっただけですから。
「作ってしまった探し人のポスターを動物用に修正した」
小鳥のさえずるように長門が言う。
そもそもあんな短時間でどんなのをプリントしたんだ? ちょっと見せてくれ。
「これ」
長門がごそごそと鞄から取り出したのは簡素な印刷用紙にゴシックの字体が記してあるだけのモノだった。
どれどれ……
探し人 鶴屋サスケくん(10)
茶髪で丸く、体が柔らかい
名前を呼ぶとこっちに来ます
ヘビが主食でやんちゃな男の子!
見かけたら下記まで御一報下さい
電話…………
Eメール…………
勘違いという普段小さな脅威がまさかこれほどのものだとは誰が思うだろうか?
……ヘビが主食でやんちゃな男の子……これはこれは、俺にはもうなにも言えん……
「これが修正版」
そういってまた長門は似たような紙切れを取り出した。ぶっきらぼうにマジックで拙い訂正が施されていた。
猫
探し● 鶴屋サスケ●●(10)
色
茶●で丸く、体が柔らかい
名前を呼ぶとこっちに来ます
ヘビが主食でやんちゃな●●●●ねこ!
見かけたら下記まで御一報下さい
電話…………
Eメール…………
お前、万能宇宙人じゃなかったのか? “ねこ!”って……
「ちょっとキョン何勝手に話してんのよ!! 今から予定を言うから黙って聞きなさい!!」
俺には長門と話をする権利もないのかと自分の存在価値を確認する余裕も与えずにハルヒは言い放った。
「明日は九時からいつもの公園に一度集合! 詳しいことは現場を見ないと解らないから明日決めるわ! 以上、解散!」
ススキの野原は何度みても幼き日の郷愁を思い出させる。特に夕闇が迫る帰り道なんてのはな。
「ところで鶴屋さん、報酬は出るんですか?」
何の気も無く聞いた。何の気もなさそうな返事が帰ってきた。
「う〜ん……考えてなかったっさ!」
目は鷹から貰い、身体は幃駄天から貰い、耳は地獄から貰ったハルヒが隙をついてかます。
「なに厚かましいこと言ってんのよ、SOS団が人に報酬を求めちゃダメなのよキョン!」
なに厚かましいこと言ってんだ。好きで探索に行くのはお前一人だろうが。
なにか報酬が無くちゃ団員もレジスタンスを起こすぞ。 ……いつか、な。
「う〜ん……チュ〜してあげよっかなっ! ……あ、冗談っさ冗だ」
「何言って……そんな勝手に……! ダメよキョ……」
「何を言ってるんですか! 今時の高校生がキスくらいで働くと思ったら大間違いですよ!!」
鶴屋さんは突然の怒声にまた肩をすくめる。
「せめて星空の下での初体け」
――ドカッ!!
「ハァハァ……ちょっとキョン!? それって私とじゃなかったの!?」
どうしたハルヒ、顔が真っ赤だぞ?
「え……? 違うんじゃないのか……?」
「ちょ……バババ、バカキョンッ!!」
「…………」
「…………」
「…………」
「……バイトが入りましたよ……逝ってきます」
ご苦労、そのバイトの原因は恐らく俺だ。
立ち並ぶススキの波と、呆然と立ち尽くす団員&パトロンを見て俺は思った。
とにかく明日だな。
《続く》
>>375 もう少し読めるように書いて貰えると嬉しかったかも。
>>370 すみません、キョンと読み手側の同調を目標にしていましたので
読み手側がこれなら最低限状況が分かるのではないかと言った状況説明に関わる文を
元の骨組みからかなり抜いてほぼ思考のみにしていますのでやはり解りにくいかと……。
最初の短文やちょっとした内容からその場面状況を把握して頂きまして
後は全て自分のイメージの中で周りが動く風景を想像できれば
幸いです。
いやいや、実に面白い!!
読みにくいとかなんか読まして貰ってんだから全然気に入らんよ
頑張って下さいな
>>378 そこで気に入らんつーのは、何気に酷いんじゃなかろうか。
> 読みにくいとかなんか読まして貰ってんだから全然気に入らんよ
すごいこといってる
んじゃちっと小ネタを。
目が覚めた時、俺はまだ夢の続きを見ているのかと思った。そこは見慣れた俺の部屋ではなかった。
明らかに洋館の一室、しかも俺は床に敷かれた藁の上で寝ていた。すぐそばにはバカでかいベッドがある。
雪山同様またどこかの思念体がちょっかいを出してきたのかと思いながら、藁まみれの体を起こした。
情けない話だが、こうなると単なる一般人である俺には手出しのしようが無い。またか、困った時の長門頼み。
すまないな、しかしどこにいるんだあのヒューマノイドインターフェースは。
探しに行こうかと思いつつ、ふと俺の左手に眼が止まる。見た事も無い文字らしきものが、左手甲の部分に刻まれている。
部屋の状況、左手の文字。あるものを連想しかけたその時、部屋のドアが開いた。
そこには一生忘れる事のできない女が立っていた。
涼宮ハルヒだ。ただし。顔はハルヒなのだが、いつもとは様子が違う。
服装は見慣れた北高のセーラー服ではなく、濃いグレーのプリーツスカートに白いブラウス、さらに黒いマントを羽織っている。
最大の違いは髪の毛がブラウンっぽいショートに黄色いカチューシャではなく、ピンクがかったブロンドのロングだった。
「キョン!あんたあたしの使い魔のくせして、ご主人さまより遅く起きるってどういう了見してんのよ!!
そんな駄目な使い魔は朝ごはん抜きだから!!」
高らかに飯抜き宣言された瞬間に俺の腹がぐぅ、と情けない音を立てた。反応良すぎだろう、俺の体。
「お、おいハルヒ」
「ご主人さまでしょ!ご・主・人・さ・ま!!」
ナカグロで強調せんでも。
「まったくご主人さまの名前を呼び捨てにするなんて、礼儀知らずの使い魔は調教の必要があるわね」
つかつかと鏡台そばのチェストに歩み寄ったハルヒは、なにやら細長い物体を持って戻ってきた。っておい。
「乗馬用の鞭よ。これぐらいじゃないと馬鹿な使い魔の調教にならないわよね」
ニヤリと邪悪な笑みを浮かべてゆっくりと近づいてくる。朝倉以上に怖いぞ。
「逃げるな!こら!!」
相変わらず良いのか悪いのか分からない俺の運動神経はハルヒの振るう鞭の初撃を避けた。
まぁ避けた後は朝倉の時と同じように不恰好に仰向けで四つんばい。
「調教なんだからおとなしく殴られなさい!!」
「んな事出来るか」
俺は素早く体勢を立て直し、寝床のそばに立てかけてあった剣を掴むと脱兎のごとく逃げ出した。
このハルヒが「ロック」を使えないことを願いながらドアノブを捻る。開いた。よし。
「待ちなさいバカキョン!!」
さすがに鞭を振りまわすハルヒに言われて待てるわけも無い。剣の柄を握る。左手の魔術文字が輝き、体が軽くなる。
これまでの人生で出した事もないような超高速で一気にリードを広げた。
目指すはヴェストリの広場。逃亡途中の廊下の窓からあの幻獣が広場の片隅にいるのが見えたからだ。
そこにいるはずだ、タ…いや長門が。
「……」
いた。いつもどおりに分厚い本を膝に広げる少女の姿がそこにあった。
違うのはパイプ椅子ではなくウインドドラゴンの幼生を背に座っているぐらいか。
俺はその少女に近づきながらずっと手に持っていたままだった剣を背負った。声をかける。
「おいタバ…じゃない、長門」
「…何?」
眼鏡を外し、かすかに首を傾ける。間違いなく長門だ。
「これは何だ?雪山の時みたいな攻撃なのか、それとも改変世界か?」
「どちらでもない。ここは涼宮ハルヒの無意識域に構築された物語世界。
われわれは意識をコピーされ、物語内の登場人物に挿げ替えられている。
現実世界には何ら影響は及ぼさない」
「われわれってのは団員の事か?」
「SOS団を中心として交友関係のある人間はコピーされている」
タバ…いや、長門は傍らの風竜を指差した。
「きゅい?」風竜がこっちを見た。
「あなたの友達」
たしかに言われて見れば、この風竜の顔、どことなく谷口に…ってマジか。
「記憶がそのままなのは…」
「そう。あなたとわたしだけ」
その時、視界の片隅にパタパタと駆け寄ってくる人影が。ハルヒが追いかけてきたのかと一瞬びびったが、
朝比奈さん、あなたはここでもメイド服なんですか。
「あ、キョンくん、最近厨房の方に来ないから心配してたんですよ」
「あ、いえいえ、全然大丈夫ですよ朝比奈さん」
俺の言葉に不審げに目を眇める朝比奈さん。そんな表情は似合いませんって。
「どうしていつもみたいにみくる、って呼んでくれないんですかー」
おいおいどんな設定に、ってそうか、このメイド…
と、今度は一転うるうるした瞳で上目遣いに俺を見つめる朝比奈さん。それ反則です。破壊力あり過ぎます。
ふと後頭部に長門のマイナス5度くらいに冷え切った視線を感じる。
「あんたまたメイドにちょっかい出してんのね!!」
やべ、ハルヒまで来やがった。とにかく、背負った剣の柄を左手で握る。
さっきと違って背負った分だけちょっとだけ刀身が抜けた。はばきの部分がカタカタと動き出し。
「やあ、あなたですか」
インテリジェンスソードはお前か古泉。しゃべりは得意そうだが、まったくどうしようもないねこりゃ。俺は一目散に走り出した。
「こらキョン!!」
「キョンく〜ん」
「…」
そうして世界は続いて…行きませんっての。
ID:FLqTrIRc
似たような書き込みばっかww
なんか言い方ミスったっぽいorzまぁ良い方向で理解して下さい
失敗の恥ずかしさにプッチョ吹いた、そしてスマン
VIPに比べたら全然マシだぜ
>>384 誰もが考えそうで、ちゃんとしたのは初めてかな(W
不覚にも「やあ、あなたでしたか」で吹いた。
書いても書いても終わらない自分に発破をかける意味を込めて途中まで投稿。
キョン中心な消失系の話。
390 :
キョンの消失:2006/08/26(土) 09:08:35 ID:GtcVjKSj
朝比奈さん(大)に一日前の世界へ連れてこられた俺は、制服姿で一人夜の公園を訪れていた。
どうやら昨日、つまり俺が今いるこの時間、実はハルヒの力によって時間平面の改変が
行われていたらしく、俺はそれを再改変するという大役を任せられてしまった。
行われていたらしいと言いよどんでいるのは、俺もその改変に巻き込まれていたからであり、
それが実際どんな改変だったのか俺は全く教えられていない。
朝比奈さん(大)に聞いてもいつもの答えしか返ってこず、だがその時に少し悲しそうな
表情を浮かべていたのが俺の心に大きく残っていた。
先ほど公園前で、この時間の長門に一丁の銃を渡された。
俺はこれを改変者に撃ち込むだけで、時空の再改変自体は長門がやってくれる事になっている。
だったら全部やってほしい気もするのだが、どうにもこの一発を改変者に撃つ事だけは俺が
やらなくてはならないらしい。それが朝比奈さんの「規定事項」なのだそうだ。
全く持って物騒な話だ。ただの一高校生に銃撃戦を望まないでほしいよ、本当。
さて、悲しそうな朝比奈さんの表情に並んで、俺には気になる事がもう一つあった。
公園前でこの銃を渡してくれた長門は、かつて朝倉と対峙した時の様な雰囲気を俺に発してきていた。
簡単に言えば敵意である。
「どうしたんだ長門。何か俺、お前にまずい事でもしたか」
俺の問いに長門は首をわずかに振り否定する。
「あなたは間違っていない」
それだけ言うと、長門はその視線で俺に公園へ行けと強く訴えてきた。
ダメだ、どういう事だか今の長門には取りつく島が無い。長門とのコミュニケーションを諦めた俺は、
銃をポケットに隠すと公園へと入っていった。
391 :
キョンの消失:2006/08/26(土) 09:09:39 ID:GtcVjKSj
目の前には北高の制服を着た少女が立っていた。
ポニーテールにまとめあげられた髪型が恐ろしく似合っており、十人以上の容姿も伴っていて、
集合体の中で頭一つ出たぽつりと光る存在のように感じ取れた。
「……お前がジョンか。なんだか冴えない男だな」
少しだけ驚いた表情をみせる少女の、その腕の中には別の少女が抱かれている。
意識が無いのか、抱かれた少女は自分で身体を支えることもせずに、ポニーテールの少女に
身体をくったりと預けていた。
ポニーテール少女はこれ以上無い優しい表情で抱いている少女の頭に手を添える。
黄色いカチューシャをなぞり、肩口で切られた髪をすき、その頬をそっとなでた。
「ハルヒに何をした」
俺をジョンと呼んだ事も気になるが、そんなのは後回しにする。
まず俺がすべき事は、そこでポニーテール少女に抱かれているハルヒの安否を確認する事だ。
何故ハルヒがここにいる。一体どういう事なんだ。
「大丈夫、眠ってもらってるだけさ。これからの事をハルヒに見られるのは、わたしにとっても
お前にとっても宜しくないだろ」
少女は抱いていたハルヒを傍のベンチに優しく寝かせながら、ぶっきらぼうに答える。
その少女の姿に、俺は何か引っかかっていた。どこかで見覚えがあるような、そんな感じが付きまとう。
だがそれが誰なのか思い出せないし、それに今は思い出している余裕も無い。
俺は隠していた銃を取り出し、両手で少女に向けて構えた。
だが少女はその銃を見た途端、怯えるでもなく強がるでもなく、まるで記憶を手繰る老人の様な
遠く優しい眼になりぽつりと何かを呟いた。
だが、そんな感慨深さを浮かべたのも一呼吸する程度の時間で、少女は様々な感情を混ぜ合わせた
ドドメ色の様な複雑な眼差しをこちらに向けてくる。
そんな表情を浮かべながら、少女はあまりにも突然な質問を投げかけてきた。
「ジョン。……お前、ハルヒが好きか」
あまりの質問に、俺の動きが全て止まる。もしこれが俺の隙を突く作戦だったのならば見事に
成功していた事だろう。
だが少女は何もしてこなかった。ただじっと俺の答えを待つだけだ。
かつて自分に投げかけた質問を思い出す。俺にとって、ハルヒとは何か。
「……ああ。俺自身まだよくわかってないが、多分、好きなんだと思う」
何故だろう。俺はどうとでも言えた質問に対し、気づけば今の正直な気持ちを述べていた。
「そう」
微笑むような、悲しむような、色々と混ぜあったような感情を浮かべ。
少女はそれでも満足そうに頷くとハルヒからゆっくりと離れだした。
392 :
キョンの消失:2006/08/26(土) 09:10:41 ID:GtcVjKSj
俺の銃の射線軸上からハルヒを外したあたりまで動き、ポケットから鈍く光るモノを取り出す。
それはかつて二度俺の命を奪いかけた、俺がもう一生見たくないと思う物品ランキングにおいて
ダントツ一位を取る代物だった。
アーミーナイフを手にし、さっきまであれほど友好的に思えていた少女が厳しい視線を向けてくる。
「どうした、撃たないのか」
少女がナイフをすっとこちらに向け、ゆっくりと近づいてきた。
「お前がわたしを撃たなきゃ、わたしがお前を殺す」
その通りだ。だが、どうしても躊躇ってしまう。
人に向けて銃を撃つなんて行為、良心がある奴なら誰だって躊躇うはずだ。
カマドウマや、せめてあの時の朝倉ぐらい人間でないと感じられればいけるかもしれない。
だが、彼女から感じるものは違う。どこをどう見てもただの人間にしか思えないのだ。
いやむしろ自分に近いものすら感じる。
少女はナイフを握り締めながら、にっこり笑って話しかけてきた。
「あなたを殺して涼宮ハルヒの出方を見る」
そして今度は腰にゆっくりと構え、暗く濁った笑みを浮かべる。
「長門さんを傷つけるやつは許さない」
二度と聞きたくも無いアイツの台詞を聞かされ、一瞬にして全身に血が駆け巡る。
「ジョン、今の気分にはどっちの台詞がお望みだ?」
体制を戻し、少女がナイフに口づけを与える。
引き金を引きかけ、それでもどこかで心の安全装置が銃を撃つ行為に制止をかけてきていた。
だがそんな俺の姿に少女は冷たい目を放つ。
「……ここまで挑発してるのに、まだわたし撃つのを躊躇ってるのか。
やれやれ、期待はずれもいい所だな」
そう言い捨てると今度は無防備に俺に近づいてきた。俺は銃を更に向けるが、少女は気にも留めない。
そのまま傍まで近づいてくると、少女は空いた平手で俺の頬を思いっきり引っ叩いてきた。
393 :
キョンの消失:2006/08/26(土) 09:11:23 ID:GtcVjKSj
「ふざけるな! 言ってやるが、その気持ちは優しさなんかじゃ決してない。
今のお前は、ただ自分可愛さにダサい臆病風にふかれてるだけだ!」
驚く俺に、少女は俺のネクタイをハルヒのように掴むと、トドメとなる言葉を突きつけてくる。
「お前がその銃を撃たないってことは、お前は自分の感情を抑えながらその銃を渡してくれた長門の事も、
胸に悲しみを抱きながらここへお前を連れてきてれた朝比奈さんの事も、全く信用してないって事になるんだ!
その銃は時空改変のプログラムに過ぎない。本物の銃じゃない事はお前が一番よく知ってるはずだ。
その銃すら撃てないって言うんだったら、そもそもお前はあの時Enterキーを押すべきじゃなかったんだ。
そしてこんな馬鹿げた設定や怪しげな陰謀が渦巻く混沌とした世界じゃなく、あの長門が作った
優しい世界の中で、みんなと仲良くただ平和に過ごしていればよかったんだよっ!」
何だコイツは。
何故、お前はあの改変後の『二日間』の事を知っている。
再改変の時ならともかく、あの『二日間』を知るのは俺だけのはずだ。
「お前、長門が処分されるかもと聞いた時、ハルヒをたきつけてでも救いだすと言ったよな。
立派な決意だが、あの後雪山でお前はいったい何をした?
始めて会った時からずっと、お前は朝比奈さんを魔の手から護ってみせると思ったよな。
じゃあ朝比奈さんが誘拐された時、お前はいったい何が出来た?
自分には何の力も無いとかただの一般人だとか、そんなベタな言い訳で自分を言い聞かせるだけで、
お前は何もしてないじゃないか!」
何だコイツは。
何故、お前はそんな事まで知っている。
一体何なんだ、お前は。
「お前の考えなんて手に取るようにわかる。
お前が今まで口にした事、してきた事だってわたしには全部お見通しさ。
だからこそあえてお前に言ってやるよ。
結局お前は全て他人任せで、ただ楽しい所だけを味わいたかっただけなのさ。
あの時のハルヒや、冬の時の長門の様に、自ら動いてみようだなんて事は無い……退屈な男さ。
ハルヒや長門や朝比奈さんや古泉に甘えるのも、いい加減にしろっ! ジョン=スミスっ!」
そう言って少女がナイフを胸に突き出してきた。刃が俺の身体に触れるが、俺は避けられなかった。
決定的なまでに急所を衝かれたせいだ。ナイフにではなく、少女の発した言葉によって。
俺は少女のナイフを避ける事すら全く考えてなかった。
ナイフの柄が身体に当たった衝撃を受け、俺は何かを叫びながら少女に向けて引き金を引いていた。
そして身体に受ける衝撃の中、俺はここへ来るまでの事を思い出していた。
- * -
全ての事の始まりは、春休みを迎える直前の事。
春の到来がもうすぐといううら暖かい時期だった。
「あなたに話があります。そう、とても重要なお話が」
SOS団の活動終了後、いつも通りの爽やかな笑みを浮かべて古泉がこっそり告げてくる。
仕方なく古泉とゲームをちょっと整理してから帰るとハルヒに言い、三人が岐路につくのを見送りだした。
「それで古泉、話ってのは一体」
五分ほど部室で時間を潰しながら簡単に片づけをした後、古泉と二人並んで下校する。
朝比奈さんとの下校という貴重な時間を割いてまでお前に付き合うんだ。これでくだらない話だったら
簀巻きにしてそこの川へ投げ込んでやるから覚悟しておけ。
そう釘を刺すと、古泉は笑みの中にどうにも不思議な表情を浮かべてきた。
「実はですね……今日に限り何というか不自然な、どこかに違和感を感じるんです。あなたはどうですか?」
違和感? ハルヒがまた何かをしたというのか。
今日一日の記憶をざっと思い出し、こうして古泉と並んで歩く今まで省みてから首を振った。
「さて、残念ながら思い当たる節はない」
しいて言うならお前とこうして歩く事で、明日あたりお前の隠れファンからまた面倒くさい抗議を
色々と受けそうだと予想できるぐらいしかない。
「それは……申し訳ありません。それよりまたって、今までにもそんな事を裏でされていたのですか」
まぁな。色男に恋する乙女たちにはそれこそ色々あるんだろうよ。
ただ、その色々をこっちに当ててくるのは全くもってお門違いも甚だしい事だと言いたいね。
「……今からあなたに失礼な質問をいくつか行いますが、許していただけますでしょうか」
失礼だとわかってて聞こうというのか、失礼な。まぁそこまで言うなら仕方がない。
違和感を探す為に必要なんだったら、一応我慢できるところまで我慢しよう。
我慢できなくなったら迷わずにその首を絞めるけどな。
突如吹いた強い風に身体を押さえつつ、目線のみで古泉に話を進めさせた。
「ではお言葉に甘えて。……あなた、今好きな人はいますか?」
な、いきなり何てこと聞きやがるんだこのスカシ野郎は!
お前相手だと言うのに思わず顔が朱に染まりかけたじゃないか。
先ほどの契約通り、早速勢いに任せてハルヒ直伝のネクタイ首締めを古泉にかける事にした。
「いえいえ、これでも僕は真剣に話しています」
なお問題だ。何たって好きな奴がいるかどうかがお前の違和感解消のネタになる。
そんなに聞きたきゃ教えてやる。
どんなに世界が間違っていても、お前の名前があがる事だけは未来永劫ない。それは確実だ。
だから、その事実を心に刻み込みつつおとなしく涅槃へ旅立つがいい。
サブタイトルは「超能力者よ永遠に」でどうだ。お前の人生を今すぐここで最終回にしてやろう。
「降参、降参します。ですがこの質問は必要なんです。断言してもいいでしょう」
首を絞められ青くなりながらも、古泉がなおも真剣に話しかけてくる。
舌打ちをしながらも仕方無く、全力でネクタイを引っ張っていた手を離してやった。
渾身の力をこめて強く握り締めてやった結果、古泉のネクタイは痛々しくヨレヨレになっていた。
溜息をつきながら軽く引っ張り形を直してやる。最後に手のひらで胸ごと叩くと、ぶっきらぼうに一言返してやった。
「そんなのいるか」
全く何だってんだ。
古泉のあまりの質問に頭をかき、風で乱れた髪を軽く整える雰囲気でその場を濁した。
「なるほど。では、涼宮さんの事はどう思っていますか。あなたは涼宮さんが好きですか。
ちなみに友情とかの好きではなく、一人の恋愛対象としてどうかと言う意味で取ってください」
「……なあ古泉。お前それ本気で聞いてんのか?」
額から目頭にかけてを手で抑えて頭を振る。真剣に頭が痛くなってきた。
コイツはいつから恋愛事情に耳を挟むゴシップ記者になったんだろうね。
そんな突っ込みに、しかし古泉は何処吹く風と爽やかさをそのままに携えしれっと返す。
「もちろん。さっき以上に重要な質問だと僕は考えています」
あくまでいつもの爽やかな表情で、しかしその眼は確かに真剣なまなざしを向けてきていた。
何を考えている。一体どんな違和感を古泉は感じてるって言うんだろうか。
「ハルヒの事は……Likeという意味でなら好きだ。気の合う親友以上の気持ちは、無い」
一緒に笑って、バカやりあって、楽しんで。ハルヒ程心を許している奴は今のところいない。
照れ隠しに顔を背けて答えると、古泉は更に突っ込んで質問してきた。
「あなたは涼宮さんと閉鎖空間に閉じ込められた時、どうやってこの世界へ戻ってきました?」
言えるか、そんな事。思い出したくもない。
頼むからあの時の恥ずかしい記憶だけは呼び起こさせるな。マリアナ海溝あたりに永遠に沈めておいてくれ。
「いえ。失礼ですが呼び起こしてもらいます。いいですか、もう一度お尋ねします。
あなたは何で、涼宮さんと戻ってくる為にそんな恥ずかしいと思える手段を取ったのですか?」
それは……朝比奈さんと長門のヒントから考えてさ。
その点に関しては間違いないし、お前の事だからそれぐらいは既に知っているんだろ。
「はい。では更に続いて質問します。朝比奈さんや長門さんは、何故あなたに対してそのような行為、
いえハッキリ言いましょう、涼宮さんに口づけを行うように示唆したのでしょう」
ハッキリ言うなバカ野郎。お前をマリアナ海溝に沈めるぞ。
言いたくないが、そんなの決まって……と思いかけ、言われてみれば確かに変だと感じた。
そういえば朝比奈さんたちは、何であんな事をさせようとしたのだろうか。
確かに古泉の言うとおり、普通に考えると少しおかしい。
まぁおかしいと言うなら、今二人で話している会話が電波な話である時点でいろいろとおかしいと
突っ込むべきなのだろうが、古泉はそんな事はお構い無しに、その電波的な会話を続行してきた。
「質問をかえます。あなたは朝比奈さんや、長門さんに対して好きという感情はありますか。
もちろん、ここで言う好きは Likeでは無く Loveの意味でとってください」
それならノーと言おう。
朝比奈さんや長門に対しても、今のところハルヒへの気持ちと同じ感じで接している。
「それでは僕はどうです? あなたは、僕が好きですか?」
「……古泉。頼むから不意打ちで気持ち悪い事を言うな。それだけは絶対無い」
なんでSOS団には朝比奈さんという至高の大天使をはじめ、ハルヒや長門と言った谷口的に
Aランクの方々がいるというのに、よりにもよって男のお前なんかに走らないと
「そこです」
ぶつぶつ漏らしていた言葉をさえぎって、古泉がここで始めて笑みを隠して聞いてきた。
「今日一日のあなたの行動を見ていて、それを顕著に感じました。だからお伺いしたのです。
どうして男の僕より、朝比奈さんや涼宮さんたちの方が自然だと考えるのですか。
それこそ、どう考えたっておかしい話だと思いませんか」
一拍間をあけ、古泉は続けた。
「だって、あなたは女性なんですよ?」
至極当然十数年前から当たり前の事を指摘され、わたしは何て反応すべきかと、髪を束ねている
頭のリボンをいじりながら思考をめぐらせていた。
- * -
「……わたしが女で悪かったな。でもな古泉、そうは言ってもわたしは昔から女として生きてきてる
わけだし、見ての通り身体の凹凸だって……まぁ朝比奈さんには負けるがそれなりにはあるし、来る
もんだってちゃんと毎月来てる」
あまり男に言う会話じゃないが、古泉だったら問題ないだろう。
どうせ機関とやらは、わたしの身体の神秘のバイオリズムもご丁寧に監視しているんだろうし。
「いえ、いま問題なのはあなたの身体ではありません。精神の方です。
例えば、あなたは僕に抱かれる姿を想像できますか。この際谷口さんや国木田さん、年上趣味なら
岡田教諭とか荒川氏でも構いません。
誰かしらの男性に自分が抱かれる姿を、あなたは今すぐに想像できますか」
気色悪い事言うな。何でわたしが男なんかに抱かれなければならないのさ。
「では、涼宮さんや朝比奈さん、長門さんではどうですか」
……まぁ、お前に抱かれるぐらいなら、アブノーマルと言われようとわたしはそっちを選ぶね。
あのふわふわした天使に抱きついて一晩過ごせるなら悪魔に寿命の半分を渡してやったって構わない。
「その時にはあなたが攻められる側ですか」
いや何でわたしが攻められ…………いや待て、さっきも思ったが確かにおかしい。何だこの変な感情は。
わたしはいつから、こんな女性同士で色々したいなんていう百合属性に目覚めたんだ?
こと恋愛に関しては、わたしはいたってノーマルな思考を持ち合わせていたはずでは無かったか。
「古泉。まさかわたしがこの、何ていうか、百合属性に目覚めてるのが、お前の言う違和感なのか?」
考えたくない事だが、ハルヒがわたしとそういう怪しい関係になりたいと考えた末、わたしの
萌え属性がこうなってしまった……とでもいうのだろうか。だとしたら勘弁してもらいたい。
いくら人とは違う道を進むハルヒでも、恋愛ぐらいは健全でノーマルな男女交際をした方がいいぞ。
「かなり近い答えですが、僕の考えているモノとは少し違います。
僕はあなたが女性である事、それ自体が今回のダウトではないかと考えているんです。
あなたの正体は王女ではなく王子である。いえ、王子でないとおかしい。
そうでなければ、あの時の朝比奈さんたちのアドバイスに理由が見出せません」
それはまた随分と暴力的な考えだな。
つまり、わたしは実は男で、しかもハルヒと多少なりとも好意関係にあったと言うのか。
だからこそのあの時のあの────キス、行為が鍵になった、と。
「ええ。突飛も無い意見ですけど、これが一番しっくりくる答えだと僕は思います」
- * -
「長門の意見は? お前の事だから既に何かしらアプローチをしてみたんだろ?」
こいつが何も手を講じずにわたしに話を振る事なんてまず無い。
ある事象に対して、誰がどの立場で何をできるか。
それを計算し実行するのがコイツの性分だという事は、既に何度も思い知らされている。
その頭の回転を何でゲームに活かせないのかは未だに謎だが。
「ええ。ですが回答は得られませんでした。元々彼女は観察者の立場にいます。外敵要素からは
SOS団を全力で護ってくれるでしょうが、涼宮さんの行為に関してのみ、彼女は常に中立の立場を
取ります。僕達が異変に気づき、それを指摘した場合はちゃんと教えてくれますけどね」
確かにエンドレスなあの時はそうだった。でも今でもそうなのか?
わたしには今の長門がそこまで冷たい奴のままでいるとはとても思えない。
「そうですね。涼宮さんの超常行為の結果あなたに甚大なる被害が訪れる場合、彼女は迷わず
動いてくれるでしょう。ですが今回は別にこれと言って問題があるわけではありません」
いや、男子が女子にされるなんて十分すぎるぐらい問題だと思うぞ、普通。
「とにかく僕ではダメです。そこで、あなたから長門さんに状況を聞いてみては貰えませんか。
あなたなら長門さんの真意も読めるのではないかと思っていますので」
全く何てこったい。
まさか今の今まで生きてきた、命短し恋せよ乙女な人生を全否定される日が来る事になろうとは。
顔の良し悪しはともかく、こう見えてこのわたしの頭の後ろでなびくポニーテールとか、こっそりと
手入れしていたネイルケアとかには、わたし的に結構自信ある部分だったんだが。
この感覚が虚像だったとなると、流石のわたしでもちょっと落ち込むね。
「いえいえ、そんなに悲観しないでください。
いい機会なので正直に言います。僕から見て、あなたはかなり魅力的な女性だと常日頃から思っていました。
涼宮さんや朝比奈さんとたちとは違い、あなたにはあなただけが持つ輝きというものがあります。
もしあなたが男性ではというこの見解が間違っていたなら、別の機会にもう一度、あなたにちゃんと
告白する機会を与えていただきたいとすら、思っているぐらいです」
それだけは丁重にお断りする。
お前とラブラブに抱き合うぐらいなら、そこいらのカマドウマにでも乙女の純情を捧げるよ。
「……でもまぁ、お友達としてぐらいなら、お付き合いをしてやってもいいけどな」
「恐縮です、姫君」
そう言って古泉はいつもの紳士的笑みを浮かべてきた。
正直、その時の古泉の表情はちょっとだけ悪くないと思った。
- * -
「それで長門。何でわたしは女になっているんだ?」
次の日の昼休み。わたしは早速部室を訪れて長門に問いただしてみた。
昨日古泉と別れてからこうして部室に来るまでの間、わたしは本当に世界が改変されているのか考えていた。
しかし自覚も予兆もヒントも無いのにわかるわけがない。一般人を自負するわたしじゃお手上げ状態だ。
そこで仕方無くわたしは宇宙一頼れる名探偵の門戸を運命の如く叩いたのだった。
読書探偵長門。彼女は普段この部室で読書を行いながら、何か事件が起こったら即座に事件に
かかわる全情報を収集、そこから導き出されるたった一つの真実をあっさりと導き出すという
アガサ=クリスティもコナン=ドイルも真っ青な推理小説作家泣かせの超万能探偵である。
首をちょこっと横にかしげるこの長門に解けない謎など、全宇宙を探したところで──
「…………?」
──あー、たまにしかない。
長門は心底何の事だかわからないといった表情を数ミクロン単位で浮かべ、逆にわたしに対して
無言の質問を色々と浴びせかけてくる。
つまりこれは、古泉の大胆大穴予想は全くもって大外れだったという事なのかしら。
思わず普段めったに使わない女性口調がぽろりと出てしまう。
わたしに似合わないのは百も承知だから、普段の会話では絶対使わないけどな。
「えーっと例えばなんだけど、もしかしてこの世界は何者かによってこっそり改変されていて、その改変内容が、
実はわたしは本来生物学上男性だったはずなのに、何故かこうして性染色体が女性のものにされてしまっているという、
そんな可能性が万が一もしかしたらどっかにあるんじゃないかなぁって思って、だな」
とりあえず無言の圧力に押されながら昨日古泉と話した内容について告げてみる。
「無い」
そんなわたしのうろたえを一刀両断するように、長門は短く答えた。
なんだ、やっぱり無いのか。つまりわたしは生まれた時から女性で間違ってなかったんだな。
「わたしの感知できる範囲において、あなたの言うような改変は全く見受けられない」
そうか、ありがとう。変な事を言い出して悪かったな。
全く、これというのも古泉のせいだ。
もしかして昨日のアレは古泉流の告白か何かだったのだろうか。
とりあえず次に奴にあったら古泉カズキに名前を変えさせて、ごきげんようなサイコロでも振らせて
恋の話でもさせる事にしよう。略してコイバナ、ふむコイバナカズキでも面白いな。
だいたい世界改変がそうそう何度も起こってたら、地球の状態がもたないよな。一回改変されるたびに
一体どれだけの生態系が影響を受けているかわかっているのかと、そろそろ各方面団体から苦情が
殺到してもおかしくない頃だと思っている。
「………」
ふと、そこで長門が微妙な表情になっているのに気が付いた。
何かを伝えたいが、何を伝えるべきなのか、どうすれば伝えられるのかがわからない。
そんな風に見える。
「どうした、長門」
「……わたしに蓄積された全メモリにおいて、あなたは常にその姿を取っていた。
この星の記憶媒体に保存された内容を見ても、あなたの姿を今のままで捉えている。
全ての事象が、あなたの言うような世界改変など行われていないと立証している」
壁に貼られた写真を見つめながら、長門は本を椅子において立ち上がる。
そのままわたしに近づくと、長門はすっと手を小さく延ばし、わたしと視線を合わせながらも
何処か遠くを見つめている眼を向けながら、わたしのセーラーの袖口をちょこんと小さく摘んできた。
「だが────わたしの中の微小なノイズが、今のあなたを否定している」
- * -
古泉と長門の意見の相違。まさに雌雄を決するわたしの正体。
普通なら迷わず長門にに全額賭けるところだが、今回はどうにも様子が違う。
無いと言い切った長門ですら、何かを感じているようだった。
さて、そうなると問題になってくるのはわたしの動く理由だ。
閉鎖空間に閉じ込められた時、わたしはハルヒとこの世界に戻りたいと思った。
女同士でキスなんてやらかしたのは、今でも忘れたい記憶の一つにあげられている。
わたし以外の全てが時空改変されたあの冬の日、あの時もわたしはこの世界を選択した。
微小な表情を浮かべてわたしにアプローチをしてきた、あの長門を消失させてまで。
もし古泉の言う通りわたしが女性であるこの世界が改変された世界だとして。
果たしてわたしは、わたしたちは、どんな理由でわたしが男である世界に戻さなければならないのだろうか。
わたし自身の記憶では、わたしはずっと女性として生きてきている。
世界消失の危機も、誰かによる悪意も、世界改変に取り残された人物とかも今のところは別に感じられないし、
それを感じさせる気配すら今のところ見当たらない。
つまるところ、元の世界と思われる状態に戻す理由が、今のわたしには全く無い訳だ。
それなら本当に改変が行われたのか、その理由とか、そう言ったのがハッキリするまで、こうして
のんびりしていてもいいんじゃないだろうか。
中庭にある大樹の影、小さな芝生に寝転がりながらわたしはそんな風に考え平和を満喫していた。
実際には、のんびりしている時間なんて殆ど無かったわけだが。
- * -
わたしの真の姿を知る者は意外な所から現れた。
「わたしにとって、あなたとは久しぶりになります。キョンさん」
下駄箱のラブコールで公園に呼び出されたわたしは、朝比奈さん(大)に抱きしめられつつそう告げられた。
「また会えて、凄く嬉しい……わたしは、あなたと過ごしたこの時間をはっきり覚えていますよ」
そのいきなりの手厚く熱烈な歓迎に、流石のわたしも驚きを隠せないというより、もう少しで色々な
ものが限界突破してしまいそうな気分に落ちていた。
これは一体どういう事でしょう。未来での挨拶方法は実はこんなに情熱的だったのですか。
「そんな事ありません。ふふ、本当に、キョンさんなんですね。懐かしいです」
朝比奈さん(大)によるハッピータイムが終了した後、わたしは今回の件について聞かされた。
それによると、今この世界は古泉の予想通り改変されているらしい。
「改変された時間平面範囲は前回と同じ、改変された瞬間より過去三百六十五日です。
この時代のわたしは時空改変の影響を受けてて、キョンくんの姿に違和感をもってません。
ですが、わたしのいる未来は改変されなかった。だからこうしてわたしが真実を伝えに来られたんです」
という事は、朝比奈さんはわたしの本当の姿を知っているんですよね。
「はい。キョンさん、本当のあなたは男性です」
複雑な表情を浮かべて、朝比奈さんはわたしを見つめつつ答えてくれた。
そりゃまぁそうだろう。
男の知り合いが女の姿で居たらわたしだって驚くし、その相手に微妙な笑顔も浮かべてしまうだろう。
「それて、犯人は誰なんです?」
今回は長門まで記憶化改変されている。正直どういう風に対処するべきかわたしは迷っていたところだった。
わたしが尋ねると朝比奈さんは自分のひざの上で組んだ両手を見つめながら教えてくれた。
「今回の時間平面の改変を行ったのは涼宮さんです。それは間違いありません」
なんとまぁ、またアイツの仕業か。これは一度反省室でじっくり話し合う必要があるな。
わたしがそう考えていると、朝比奈さんは更に驚愕の事実を告げてきた。
「ですが、涼宮さんにこの改変を思いつかせたのは別の人です」
何ですって?
つまり、時空改変のきっかけを作った真の黒幕は別の人物だと、そうおっしゃるんですか。
「……はい」
なるほど。ではまずソイツから反省室に送り込みましょう。
それで誰なんです。そんなハルヒに要らん事を示唆したアホな奴は。
「示唆した犯人は……キョンくん、あなたです」
────何ですって? わたし?
「はい。キョンくんが、今回の発端なんです」
はっはっはっ。オーケー。なるほど、よくわかりましたよ朝比奈さん。
とりあえず反省室へはどう行けばいいんだったか、わたしは世界地図を心に思い出していた。
- * -
「今回の改変は『女だけの秘密』が原因なんです」
すいません、おっしゃっている意味が全くわからないのですが。
「キョンくんは下校時、いつも古泉くんと並んで帰っていました。
そして色々と話しては笑ったり、溜息を吐いたり、難しい顔をしたり。
正直、そういう姿をわたしにも見せて欲しかったなぁ、って今でも焼けるぐらいでしたよ」
わたしが、古泉と?
いつも古泉はわたしたちの後ろを付かず離れずで歩いてくるイメージしかないんですが。
「だから、男のキョンくんの話です。で、わたしが思うように涼宮さんも考えたんでしょうね。
ある時ぽつりと言ったんです」
という訳で、朝比奈さん(大)による一昨日(改変前)の下校シーンをお送りしよう。
- * -
「ねぇ、そんなにいつも二人でさ、よく会話が続くわよね」
ハルヒは首だけ後ろに向けながら俺達に話しかけてきた。
なんだ突然。それを言うならお前らだって、いつも三人で色々盛り上がって話してるじゃねぇか。
「そりゃそうよ。女の子には女の子だけの共通の秘密ってのがあるもんなのよ」
秘密ねぇ。まぁ俺たちも似たようなもんだから詮索はしないさ。
ただ俺と古泉の会話は決して男の友情とかではなく、ほぼ終始ハルヒ元気予報についてである。
やれ機嫌を取れだとか、次のイベントは何を始めようだとか、緊急事態ですとか、そんなのばかりだ。
まあ古泉が突然「いえね、このビデオの女優が朝比奈さんに似てかなり巨乳なんですよ」とか
「高校卒業までにチェリーボーイも卒業したいですね」とか、まるで万年発情期の谷口の様なことを言い出したら
それはそれで緊急事態に思えてくるが。
「あら、キョンは女の子の秘密が気にならないの? ここだけの話、みくるちゃんとかマジで凄いわよ」
すまん、いきなり気になった。何がどう凄いんだか教えてくれ。
何だったら今から例の喫茶店で全額おごってやってもいいぞ。
「本当? じゃあわたし達の先月の健康診断の結果と先週の日曜日の過ごし方、どっちがいい?」
やばい、そのカードはマジで魅力的だ。凄いぞ女の子の秘密。ビバ女の子の秘密。
ハルヒ団長、今日はメニューの端から端まで頼んじゃってもよろしいです。
「ふえっ、涼宮さん、だめですよぅ! それどっちも秘密だって言ったじゃないですかぁ!」
朝比奈さんは声を大にし両手をばたつかせ顔を赤らめながら必死になってハルヒを止めにかかった。
「だ、そうよ。という訳で、みくるちゃんの秘密はあんたが女の子になったら教えてあげるわ」
ハルヒはただ朝比奈さんをからかいたかっただけなのだろう。そんな慌てふためく様子に満足していた。
俺もその辺はわかっててボケた訳だが。
いや本当だぞ。
だからそんなドムホルンリンクルを監視する人の様な目つきで俺を見つめるな、長門。
「俺が女性にか。そうだな、そうなったら色々教えてもらうよ」
「そん時はもちろんアンタの秘密と交換よ」
俺の休日の過ごし方一つで朝比奈さんの神秘がわかるなら、そんなモノいくらでも教えてやるぞ。
「キョンの? ……ふぅん」
- * -
とまぁそんな事らしい。朝比奈さんの話を聞き終えたわたしは頭を抱えていた。
オリジナルのわたしは谷口以下のアホか。ハルヒを焚き付けてどうする。
どう聞いても「わたしの秘密が知りたきゃ女にしろ」と言ってる様なものじゃないか。
わたしが頭を抱えていると、朝比奈さんはわたしを包み込むように抱き寄せてくれた。
その柔らかな丘陵がわたしの顔を神秘の世界へと誘う。一体何をしたらこんな大山を保有できるのでしょうか。
ハルヒが真顔で揉みまくる気分がよくわかる。というか犯罪でしょ、これ。
ところでわたしは何故抱かれているのでしょうか。先ほどから様子がおかしくありませんか、朝比奈さん。
もしかして未来のわたしは朝比奈さんとここまで急接近していたのでしょうか。
パニックに陥ったまま未来のわたしに対してどうやって勲一等を送ろうかと考えていると、
朝比奈さんはわたしを意外に強く抱き寄せたまま、ソレを告げてきた。
声も、身体も震わせながら、それでも強く抱きしめたまま。
「いまから三十四時間後──明後日午前五時。世界の再改変が行われます。
そしてその結果──今のあなたは、そこで消失します」
- * -
わたしは風呂の脱衣所で、洗面台に写る自分の姿を見つめていた。
そのままおもむろに着ていたパーカーシャツを始め、着ている物を全て脱ぎ捨てる。
おい、キョン。聞いたかい。
実はわたしは時空改変されて生み出された存在で、本物のわたしは男なんだってさ。
全くビックリしたね。よりにもよって男だぜ?
この自分では少しだけ可愛いかなと自慰的に考えてた顔も、
これだけは誰にも負けて無いだろうと自負していたポニーテールが似合う髪も、
トップの大きさではハルヒに僅かに及ばないがアンダー差では勝利している胸も、
この冬についた分はちょっと夏に向けて頑張って絞ろうかと思ってた腰も、
そしていつの日にか、心に決めた相手にこれを見せなきゃならないのかと
時々見たり触ったりしては悶絶するほど恥ずかしむるココも。
全ては改変による虚像だったって事なんだよ。本当、驚天動地とはこの事だな。
冬とは全く逆の立場になった。あの時はわたしが世界を消した。
今度はわたし一人だけが消えることになる。
今まで改変する側に立っていたから気がつかなかった。
いや、あの夏休みの時に古泉はちゃんと言っていたはずだ。
記憶が消えて無ければ精神に支障をきたすと。
やれやれ────こいつは全くもって残酷な話だな。
古泉。確かに消えるべき人間は、消えるという事に気付くべきでは無いよ。
実際元のわたしも、世界を変える力の責務がこれ程のものだったとは考えてはいないだろう。
今回だけは、今回ばかりは古泉の意見に賛成する。
ハルヒには全てを隠したまま安定してもらい、こんな力は早いところ消失させるべきなんだ。
たった一人の気まぐれで人が出たり消えたりする。
そんな恐るべき事実、ただの人間が背負うにはあまりにも業が重すぎる。
わたしは震える自分を強く抱き締めながら、声を殺してその場にうずくまった。
- * -
翌朝、妹がそろそろ部屋に起こしに来るだろう時間。
私は妹の期待に反し、既に部室の前まで登校して来ていた。
部室の扉を開けると、昨日の内に今日朝一番に来て欲しいと頼んでおいた長門と古泉、二人の姿があった。
「こんな朝早くから僕たちに用件とは……もしやあの件の事でしょうか」
ああそうだ。お前達二人には話しておこう。
ちなみに朝比奈さんに告げないのは、朝比奈さん(大)にお願いされたからだ。
「悪いが古泉、お前の告白は聞けそうも無い」
わたしの言葉に、古泉はその爽やかな笑顔を崩さない。だが、崩さないだけで、かなりのショックを
受けたのは感じ取れた。
「それは……本当に残念です。あなたを籠絡させる為だけに連日連夜洗練していた数多くの言葉が
今この瞬間全て灰燼と帰してしまいましたよ」
そんな言葉は枯れ木にでも撒いておけ。
只でさえバイトが忙しいクセしやがって、連日連夜無駄に体力を減らすなバカ。
「ははは。そう言ってあなたに心配して貰えるだけで、僕の努力は十分に報われました。
……それで、現状はいったい」
わたしは朝比奈さんから聞いた内容を二人に伝えた。現状と、明朝午前五時に再改変が起こる事を。
「なるほど」
一通りの説明を終えると、古泉と長門はそれぞれ思考を巡らせているようだった。
「それで、僕たちはどうしたらいいんです。どうすればその再改変を阻止できますか」
いや何で阻止する。話を聞いてなかったのかお前は。
「聞いていましたよ。ですが……僕は再改変には反対です。
確かに『組織』がこの事実を知り、それが正しい世界の姿だと判断すれば再改変を望む事でしょう。
でもそんな事はどうでもいいんです。
今あなたに知ってもらいたいのは、組織としてではなく、僕自身があなたの消失に反対という事です」
古泉が組織を無視した発言なんて、雪山での約束以来ではなかろうか。
「わたしも反対する」
古泉に続けて長門も口を開く。
「あなたの言う話はあまりに不確定。何一つ論理的ではない。
今の話は、朝比奈みくるの証言が正しいと仮定した上で成り立つ仮説に過ぎない。
よって、あなたという存在の維持継続をわたしは主張する」
二人にしては珍しく感情を表に出し、反対の意思を伝えてきた。
どちらもレアすぎるイベントに、これだけで世界が滅亡するんじゃないかと不安になるぐらいだ。
「あまりにばかげています。何故あなたは自ら消失しようとしますか。あなたが消える理由など何処にも無い」
「認めない。そのような行為、わたしがさせない」
わたしの考えを読み取ったのか、二人がなおも食い下がってくる。だがわたしは静かに首を振った。
ありがとう、二人のその気持ちだけで十分だよ。
「確かに不確定だしばかげてると思う。だからこそ、朝比奈さんが言う通り世界が改変されているのか、
その調査を頼みたいんだ。そして本当に改変されていたとしたら──」
古泉を見つめ、長門を見つめる。
わたしはかつて二回、元の世界を選んだ。ならば今度も、元の世界に戻す為に動こう。
たとえわたしが消失するとしても。
「──わたしは、世界を元に戻す」
それがEnterキーを押し元の世界を選んだわたしの、あの世界の長門たちに対するけじめだから。
「それに、そんな悲観する事も無いさ。まだわたしが消えると決まったわけでもないんだし」
朝比奈さんのミスだったって事もある。大人になってもおっちょこちょいみたいだからな、あの人。
「だからさ。二人ともいつも通りに頼むよ、な」
古泉。できるだけお前は笑っていてくれないか。その方がわたしも落ち着く。
「……………………わかりました。ですが僕が反対なのは覚えておいてください」
わかっている。しっかりと心に刻み込んでおくよ。
長門。お前は、まぁいつも通り空き時間はここで本を読んで待機していてくれ。
それと調査の方はお前がメインになると思う。ハルヒの力で完璧に改変されているんじゃ、それを
感知できるのはお前ぐらいなもんだろうから。
「了解した」
「頼むな」
その言葉に長門は本当に小さく頷く。その姿にわたしは思わず長門の頭を軽くなでていた。
「おやおや、これは珍しい。できれば僕にも何かご褒美がいただけたら頑張れるんですけどね」
後ろから早速いつもの口調で言葉がかかる。うるさい、そんな小気味良い口調で何をねだる。
そんなに言うなら後ろからわたしを抱きしめろ。今この瞬間だけ許してやるからさ。
わたしは振り向きもせずそう言い捨てた。
少しして、私の脇下から両手が回され、お腹の辺りでそっと二つの手が重なり合った。
背中にゆったりとした、それでいて文字通り包み込むような温もりを感じる。
同時に頭をなでていた長門もわたしの胸へと軽く寄りかかってきた。
わたしは長門を片手で軽く抱き、もう一つの手で頭をなで続けた。
朝から一体どういう構図なんだろうね。
妙に安らかな気持ちを分け与えられながら、わたしはただこの状況に苦笑していた。
- * -
「珍しく早いじゃない。どうしたの」
教室で顔を合わせるなりハルヒは言い放った。
まるでわたしが早かったら、どこかで天変地異でも起こりそうな言い方である。実際起こってるんだが。
「何、たいした事無い。今日は早起きした方がいいって朝の星座占いでやっていたのさ」
「へえ。起きなきゃ見られない朝の星座占いを見て、それを実践する為早起きしたわけ?
随分と器用な事するじゃない」
そういう勘だけは鋭いなお前。探偵モノなら意義ありと矛盾を突っ込まれてる場面だ。
軽く溜息を吐きながら、わたしは今の気持ちを少しだけ正直に告げた。
「本当の事を言えば、ちょっと気分が滅入っててな。あまりぐっすりと眠れなかったのさ」
「アンタでも滅入る事なんてあるんだ」
失礼な。このわたしの繊細でナイーブなハートはお前の行為にいつも傷ついているんだぞ。
何だったら胸に手を当てて確かめてみるといい。でも揉むのはかんべんな。
「……ふぅん、本当みたいね。なんだったら話ぐらいなら聞いてあげるわよ。これでも団長なんだし」
それはありがたい。そうだな、明日になっても欝だったら聞いてもらう事にするよ。
そう。明日、な。
- * -
午前中の授業は正直言って何も頭に入らなかったし、そもそも聞いてもいなかった。
そして迎えた昼休み。カバンから愛用弁当を取り出したところで、意外な訪問者がわたしの元を訪れた。
「こんにちは。少しお時間よろしいですか」
朝比奈さんとは違ったふわりとした感覚を振りまく生徒会書記の二年生、喜緑さんである。
「どうしました。またハルヒが何かやらかしましたか」
「いいえ、今日はあなたの事で。立ち話もなんですし宜しかったら」
そう言って自分の手にある可愛らしい巾着を見せてくる。どうやらお弁当のようだ。
喜緑さんはタンポポの綿毛のように淡く微笑むと、お弁当を持ったわたしを生徒会室まで連れ出した。
生徒会室の中では意外な人物が待っていた。そこにいたのは生徒会長でも古泉でもなく、
「………」
三点リーダーで会話する器用な宇宙人、長門だった。
「長門さんは自らの意思で時間連続体との同期を断つよう申請し、受理されています。
なので長門さんは現在、自分の過去とも同期できません」
そうか、そういえばそうだったな。長門は未来を知る事を放棄した。それは自分が選択し生きていく為。
だがそれは同時にこの時代の自分へ同期申請してくる過去とも同期を取らないという事になる。
つまり、今の長門は自分の記憶でしか過去を持たないのだ。
「ごめんなさい」
「何故謝るんだ。わたしからすれば長門の選択は至極当然、正しいと思っている。
過去は同期し再体験するものではなく、自分の記憶の中で思い出にするものなんだから」
そうだろと尋ねると、長門は数ミクロン単位で小さく、しかし意志を現して頷いてきた。
「ですから、代わりにわたしが三百六十五日以前のわたしと同期し、あなたの本当の状態を確認しました。
結論を言いますと、この世界は確かにあなたの言う通りに改変されています」
これで確定か。そうなるといよいよこの世界を元に戻す為に動かなければならない。
「朝比奈さんの異時間同位体から状況を伺いました。元の状態に戻すには次元の再改変と、それ以外に
あなた自身への再改変も必要になります」
わたし自身にも?
「はい。あなたに対しては記憶操作以外の改変も行われています。ですからあなたに対しては別に
改変プログラムを注入する必要があります」
という事はまた注射だか銃弾だか甘噛みだかを受ける必要があるわけだ。
その三択ならぜひとも甘噛みでお願いしたいね。
「残念ですが、注入するのはわたし達ではありません」
では誰が行うんですか。あまり変な人に変な事をされたくは無いんですが。
わたしの質問に、喜緑さんは長門の方を向く。
長門は憂鬱げに一度だけ瞬きをすると、わたしが一番驚くと思われる再改変者の名を告げた。
「ジョン=スミス。つまり本物の、あなた」
再改変後の未来から、男のわたしがやってくるのだそうだ。
まぁ誰のせいでこんな時空改変が行われたのかを考えるなら、当然の選択だろう。
自分の不始末ぐらい自分でつける。それがわたしのけじめってものだ。
そのけじめのせいで、SOS団設立のときはとにかく振り回された気がするけどな。
「本物と会えるってわけか、面白い。ついでに今回の件について色々文句を言ってやるかな」
思いもがけない展開に、わたしは少しだけその時が楽しみになってきた。
だってそうだろ。本物の自分に会える機会なんて、そう滅多に無いもんだぜ。
折角だし、わたしが常日頃思っていることを全部ぶつけてやろうじゃないか。
- * -
放課後になり、わたしは部室へと足を運ぶ。わたしにとってこれが最後の部活となる。
部屋にいたのは長門と古泉だけだった。SOS団きっての天使と悪魔の姿が見えない。
「涼宮さんが何かを思いついたようです。先ほど朝比奈さんを連れて廊下を歩く姿を目撃しましたよ」
一体何を企んでるのやら。折角の最終日なんだから朝比奈さんの淹れてくれる甘露なお茶を心いくまで味わいたかったのだが。
そう思いカバンを投げてお決まりの定位置に座ると、横からカーディガンを纏った腕がそっとお茶を差し出してきた。
「あなたの期待に添えているかわからない」
何とまあ長門にお茶を淹れてもらうなんて、部室では初めてではないだろうか。
一口すすり、ゆっくりと味わう。朝比奈さんのとは違うが、これはこれで格別の味だった。
「ありがとう。美味しいよ」
「そう。よかった」
仄かに満足げな表情を浮かべ戻ろうとする。とその背にゲームを持って戻ってきた古泉が声をかけた。
「たまには長門さんもどうですか。このダイヤモンドというゲーム、三人で遊んでこそ面白いんですよ」
一時間ぐらい経過しただろうか。
長門の驚異的なゲーム展開の隙間を縫いながらわたしが駒を動かしていると、部室の扉が激しい音と共に開いた。
「全員わたしに付いてきなさいっ!」
扉を開けた正体の第一声である。声の主が誰かなど今更語ることも無いだろう。
後ろからひょこっと顔を覗かせる特級天使、朝比奈さんを従えてハルヒは満身の笑みを浮かべて告げてきた。
ハルヒが主語の無い会話をするのはいつもの事で、わたしがそれに突っ込むのもまたいつもの事だ。
「……何処へだ」
「来ればわかるわ! 古泉くんはそれお願い。キョンはコンロとヤカン、有希は冷蔵庫のビニールを持ってね」
言われて気づく。そういえば部室の隅に何やら丸められた長いものが置かれていた。
古泉がそれを持ち、長門が冷蔵庫からペットボトル等が詰まったコンビニ袋を取り出す。
仕方なくわたしもコンロとヤカンを持ってハルヒパーティに加わる事にした。
ハルヒを先頭にSOS団は校舎の中を歩いていく。
わたしは銀紙で覆われた何かを持って後ろに付いて歩く朝比奈さんにこっそり聞いてみた。
「これは一体何が始まるんですか」
「えへっ、それは秘密です。でもすぐにわかりますよ」
そう言いながら朝比奈さんが、男子の殆どと一部の女子(わたしを含む)を至上の快楽へと堕とすぐらい
小悪魔的な清純さと浄化された愛くるしさを兼ねた強烈なウインクを見せてくれた。
何だかもうそれだけで満足してしまいそうである。実際かなり満足しました。
連れてこられたのは本館屋上だった。校舎をはじめ、かなり広域な街並みを見下ろす事ができる。
ハルヒの指示で、古泉が持ってきていた大きなビニールシートのゴザを広げて四隅を重石で留める。
後はそれぞれが持ち歩いていたものを中心に置けばセッティング終了だ。
「って何なんだ、この屋外簡易宴会場は」
「折角の小春日和なんだから花見をするの! 桜はまだ咲いてないけど、何も桜だけが花見の対象じゃないわ」
校舎の屋上で一体何の花を見るつもりだ、お前は。
ハルヒは両手を広げ、その全身で風を感じながら街並みを見下ろした。
「何かを一輪ずつ見る必要なんて無いわ。こう見渡して春を感じ取れたら、それはもう花見なのよ!」
そうでしょ、と言いながら首だけ振り向いて笑いかけてくる。
さすが小春日和、色々な部分に春を運んでいるようだ。ハルヒの名を含む言葉はダテじゃない。
「涼宮さぁん、キョンさぁん。準備できましたよー」
朝比奈さんの爽やかな呼びかけにわたしたちが振り向くと、既に三人の手には飲み物が用意されていた。
中心には朝比奈さんが運んでいたモノの銀紙が剥がされ、サンドイッチや卵焼きなど、色とりどりな軽食が姿を見せていた。
「遅いと思ったら、アレを作ってたのか」
「そういう事。ほらキョン、あんたも飲み物を持ちなさい」
どうぞと古泉に紙コップを渡され、朝比奈さんにジュースを注いで貰う。
ハルヒも飲み物を持つと、コホンとワザとらしいせきをしてから
「それでは、SOS団の色々に向けて! カンパーイッ!」
声につられてメンバーも思い思いの乾杯を告げた。
って色々って何だオイ。いやそれより乾杯の音頭早すぎだろ。もっともったいぶれよ。
「いいのよ! 挨拶よりも楽しむ事が大事なんだから。……それともわたしの話をじっくり聞きたい?」
全身全霊をもって遠慮させてもらおう。お前の事だ、何を言い出すかわかったもんじゃない。
「何よそれ。折角わたしとみくるちゃんで作ったサンドイッチ、あんたにあげないわよ」
それは困る。どう考えても今日一番のメインディッシュとなるであろうそのサンドイッチは
周りに並べられたスナック菓子なんか眼じゃないぐらい、何より心惹かれる存在なのだから。
「いっぱいありますから、どんどん食べてくださいね」
朝比奈さんがにっこり笑ってサンドイッチを二つ差し出してくる。
「あ、そっちわたしが作ったヤツ。はぐはぐ……しっかしみくるちゃん、本当料理上手いわね」
朝比奈さんのその愛らしい手で作り出されたサンドイッチなら、どんな物だって美味しくて当然だ。
そして料理の腕は確かなハルヒが作ったサンドイッチも、これまた期待以上の味を見せ付けてくる。
一言で言うなら、うまかった。
そういう訳で長門、そんな貴重なサンドイッチを普段の生活の二倍再生の如く凄い勢いでパクパク食うな。
もっとありがたがって味わって食べるんだ。そうしないとわたしの分が無くなるじゃないか。
「別にいいじゃない。有希の食べっぷりってわたし好きよ。
それにこういうのは弱肉強食なのよ。キョン、サンドイッチが食べたかったら実力で奪い取るのみよっ!」
その意見には賛同する。わたしの家庭では大皿おかずは取ったもの勝ちが食卓ルールだ。
こうしてわたしとハルヒが本格的に参戦し、サンドイッチ争奪戦はここに熾烈な争いを見せるのだった。
- * -
とことん花見で騒ぎ倒し、夕暮れと共にみんなで下校する。
駅前で別れ際、ハルヒがすっと近づいて聞いてきた。
「どう、楽しかった?」
おかげさまでな、随分心がハレた。
心地よい場所で、美味しいものを食べながら、仲間達と騒ぎ会う。
今日のコレは、ハルヒなりにわたしの憂鬱を考えてくれた結果なんだと判り、わたしは素直に感謝した。
「ありがとう。照れくさいが、本当に嬉しかった」
「……どうやら悩みはまだあるみたいね。明日じっくり聞いてあげるから、覚悟しなさいよ」
そう言うとハルヒは駅の中へと入っていってしまった。
「それじゃみなさん、また明日」
朝比奈さんが幸せの花吹雪を振りまきながら深くお辞儀すると、「涼宮さん待ってくださぁい」と慌てて
駅の中へと追いかけていってしまった。
「朝比奈さんに話さなくて良かったのですか」
古泉が聞いてきた。
ああ。あの人は今回の事については知らない方がいい。
どうせ記憶も一緒に改変されてしまうのなら、朝比奈さんにぐらいは笑っていてもらいたい。
悲しんでくれるのはお前達だけで十分さ。そうだろ? 古泉、長門。
わたしの言葉に古泉は長門に視線を送り、長門は目線で飲み頷いた。何だその合図は。
「さあもう帰った帰った。わたしはこれから色々と準備で忙しいんだから」
そう言って二人を反転させてそれぞれの帰り道へと身体を向けさせた。
「……組織は既に今回の件を知っています。僕はここで別れたら、もうあなたに会う事はできないでしょう。
失礼ですが、もう一度だけ考えを」
「言うな」
トーンを落とした言葉と共にこちらを振り向こうとした古泉を、わたしは静かに止めた。
「もう決めた事だ。何も言うな。でないと朝抱きしめさせた分を返してもらうぞ」
「どのようにです」
このように、だ。
言葉と共にわたしは古泉の背中を思いっきり抱きしめてやった。今日は抱きついてばっかりだな、わたし。
これで明日があった時には、お前の隠れファンに呼び出されるのは確実だろう。
そのまま一分ほど抱きしめた後、わたしは身体を離すと古泉の背中に語りかけた。
「頼む、古泉。こっちを振り向かずに、このまま行ってくれ」
「……わかりました。それでは、また明日」
古泉はそのままゆっくりと歩き出し、姿を小さくしていった。暫くして、古泉の前に黒塗りの車が停止する。
扉を開けて乗り込むと、車はゆっくりとこちらに尻を向けて走り去っていった。
- * -
「長門。お前はこれからどうするんだ」
古泉と違い、長門には重要な役割がある。今回、再改変を行うのが長門の仕事だ。
最初は喜緑さんが行う手はずだったのだが、昼休みの話し合いで長門が自分からすると言い出したのだ。
「予定時刻まで待機」
そうか……それじゃ、よろしく頼む。
わたしの言葉に、しかし長門は何も返してこなかった。
「……先ほどから、数多のエラーが発生している」
長門が淡々と告げてくる。
「わたしの中に、今件における否定が次々とあがってくる」
更に淡々と長門が告げてくる。だがそれは表面上だけだ。
長門の内部では今、数多くの二律背反な計算が流れているに違いない。
わたしは長門を引っ張りよせると、朝のように強く抱きしめつつ頭を撫でてやった。
ありがとう。わたしの為にそこまで悩んでくれて。
その気持ちは凄く嬉しいし、また長門にそんな気持ちが生まれたという事は喜ばしい事だ。
わたしとの記憶を消した後も、その気持ちは忘れないでいてほしい。
「それが、わたしのお前への望み。そのエラーを、お前に生まれた感情を大切にしてくれ」
「大切にする。……できればもう一度、あなたと図書館に行きたかった」
小さく頷き、長門もまたわたしの事を抱きしめ返してきた。
そのままわたし達はただただだじっと抱き合っていた。
……わたしが、ここが駅前だと思い出すその時まで。
……っと、ここまで。
一応過疎化した時間を狙ったんだが、大量投稿スマヌ。
24スレも使って終わらないってやっぱ問題あるなぁ……。
言いたい…言いたいが…言いたいけれど!!!完成の日まで待つ事にします!!!
ただ、そのままで!!最後まで全力投球で!!!期待して!待ってます!!!
読みやすいし面白いんで、最後まで頑張って
久しぶりの大物キタコレ!!
すっげー続きが気になるわ
とりあえず女キョンは本物以上に男前だなw
418 :
○:2006/08/26(土) 09:54:49 ID:fRGflxMB
終わった後で、外伝で女キョンのオナニーSSとか期待する自分はもう死んだ方がいいと思った
これは読み応えありますね。
超大作!素晴らしい!
ただ、それ故に細かい誤変換が気になってしまったorz
とにかくひたすら完結に期待してます!!GJ!
こりゃ面白いわ
すでに再改変に反対したい俺がいる・・orz
>>414 ん〜、独特の雰囲気で引っ張り込まれました。
余り言葉を言うと作品に影響与えるのが嫌なので、一言だけ
「完結するまでお礼は言わないんだからっ!」
こっからBAD ENDは無いと信じてますよ…
>>418 女キョンがスゴク魅力的に描かれていたから気持ちは解らんでもないが…
「外伝」で要求している所が好感持てた。胸はって生きてくれ
おもしれー
そうか、女キョンはかわいいのか
TJキタコレ
!!!!!
いつまでも待ってるから、続き期待してます。
腐女にはたまらないね
>>442 どう考えても今のキョンにポニーテールが乗っかっただけの
顔しか想像できない俺は負け組…orz
こりゃあ新鮮な設定だなー。
途中まで、地の文に一人称が出てこないように
工夫されていたのも巧いね。続き、待ってるぜっ!
キョン子って可愛いよね。
>>414 涙腺ゆるみっぱなしだよ、
どうしてくれる?
テンポが良く読みやすい、続きに期待大である。
惜しむらくは、「小春日和」は「晩秋」の春の様な暖かい日を現す。
今日の夜にでも投下しようと思ったら…
ネタが多少被ってる上にこちらの方が上手いときた。
またネタを考える必要があるなあorz
SS作家は3度死ぬ
ネタが被っていた時と
自分より上手い人の作品を読んだ時と
発表してからミスに気付く時だ
ならみくるがキョンを調教する話でも書きなよ
>>414 面白いんだけど、何か釈然としないなぁ……。
続きも期待して待たせてもらいます。
>>422 >>426 アレだ、キョン妹を駆使して妄想を上書きするんだ。
女キョン×妹ですか
古泉×女キョンを考えない俺ガイル
>>426 何処かで女キョンの画像があった気がする。詳しくは覚えてないんだが
ここの住人の中に知ってる人が居てもおかしくないはず。
何だこいつ。いつもSSに文句言って回ってる例の奴?
366 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/26(土) 02:41:33 ID:FLqTrIRc
>>364 どうでもいいんだが、もう少し読める文章にならないものだろうか。
370 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/26(土) 02:50:05 ID:FLqTrIRc
何というか、もう少し読める文章にならないものだろうか。
376 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/26(土) 03:01:43 ID:FLqTrIRc
>>375 もう少し読めるように書いて貰えると嬉しかったかも。
379 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/26(土) 03:12:20 ID:FLqTrIRc
>>378 そこで気に入らんつーのは、何気に酷いんじゃなかろうか。
385 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/26(土) 03:30:14 ID:FLqTrIRc
>>383 だって対象がアレだから。
なんかさっぱりとした語り口が「キョン姐さん」って感じがするね。
きっといい女に違いないだろう。
こんな面白い話、続きが楽しみでしょうがない。
「国木田はいいなあ、キョンみたいな子と一緒にいられて」
443 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 15:07:11 ID:TbySyEjn
男の時以上に女キョンが格好よく見える。
長門と古泉と抱き合うシーンなんて泣きそうになったよ。
続きを期待。
女キョンは読み応えあって続きが気になるGJ
どういうカプでエチを見せてくれるか楽しみに待つ
たとえ女でもキョンはストーブをとりに行かされてるのだろうか…
アニメ映らなかったからよく分かっていないけど、このときって台車も何もなくてキョンが自分で抱えて持ってきたんだっけ?
446 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 15:33:01 ID:TbySyEjn
>>445 つ《ようつべ》
キョンにポニテ乗っけただけてのはあまりにも味気ないので、何となく魅音
みたいなキャラを想像してみる。
なにその究極の近親相姦
>>440 スルーしとけ。
ID:FLqTrIRcが言ってる事も少なからず共感する。
まぁ言い方ってのがあると思うけど。
>>445 サムデイのことを言っているのなら、多分古泉がついていったのではないかと思う。
女キョンにコナかける絶好の機会であるし。
不覚にも古泉×女キョンに萌えてしまった
禁忌とわかっていても古泉×女キョン萌えす
なんか引き込まれるような文体だし話自体もすごい好きだ
古泉×キョンでいいじゃまいか
絶対にノゥ!
究極のBL
>>414 天使な小生意気を思い出すのは私だけだろうか?
よく考えると、
ハルヒ
キョン(♀)
みくる
長門
古泉って構成はすごい羨ましいよな
>>414 モデルガン撃つのと変わらないと知っている(長門で経験済)のに撃つのを
躊躇していた理由もきちんと書いてほしいかな。
展開の為だけの不可解な理由じゃなくて。
長門にでも身体能力をブーストさせてれば問題はなかったんだけどね。
一度簡単にかわされて躊躇してる間に、って感じで。
>>460 確かにそういう細かいツッコミどころはいくつかあったけどね。
しかし、その解決法はその解決法で無茶ではなかろーか。
>>460 一応「それでもどこかで心の安全装置が銃を撃つ行為に制止をかけてきていた。」
とは書いてあるんだが、
「撃っても平気だと頭では解っていても躊躇してしまう」
ぐらい解りやすくしてもいいと思った。
463 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 17:48:56 ID:3zaDfUNb
>>460 間違い指摘する場合は最初に作品のいい所も書け
そうしないと感じが悪い氏ね
464 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 17:57:58 ID:2EfEXHjz
てすて
465 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 17:59:34 ID:+Kiui6sh
\ ◇ /
(* ̄∀ ̄) そんなこと言われてもウチ情報統合思念体やし
⊃ ⊃
│ │
│ │
∪ ̄∪
>>460 たとえそれがモデルガンを撃つのと変わらないと知っていても、実際にそれを撃つことによって
明らかに相手に何らかの影響を与えてしまうし、現時点ではどんな影響が出るのかよく解ってない状態(と思う)。
道徳心の強い人なら尚更、遊びでも何でもない真剣な状況で相手に銃(らしき物?)を向けて、
そう簡単に引き金を引けるものじゃないと思うから、俺的にはその部分には特に疑問を持たなかったな
おれはアレだよ、15禁レベルのやわなエアガンでさえ人には撃てない。
皆、忘れちゃいけない
ま だ 終 わ っ て い な ん だ 。
最後まで描かれる瞬間を待とうよ。
いなんだって言う誤爆に自分で吹いたww
逝ってくるorz
>>466 “初ではない”という点が非常に大きいです。
それ以外の点は長門への絶対ともいえる信頼があるのでスルーです。
そして“そこに何をしにいったのか?”という点も非常に重要です。
463さんに文句いわれるまで気付きませんでしたが、
>>414 そのアイデアに脱帽です。実にすばらしいですね。
SMスレ過疎ってんなぁ
長門、明日のメインレースの結果教えてくれ!
もしくは操作頼みたい
サイレントユキ
>>472 ハレハレユカイ。
今世紀最大の万馬券。笑いが止まらない。
ウハウハ
その馬名を見ると、大儲けできるほど投票したらオッズが(ryという
無粋なこと考えが浮かんでもにょる。
サイレントユキの元ネタってディープインパクト?
>>478 新潟メインの馬連が1763.7倍
札幌メインの馬連が469倍だそーだ
小倉も万馬券っぽい
483 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 19:33:43 ID:2BviU9FS
阪中と成崎逆じゃね
sage忘れスマソ・・・
>>484 ワンダリングシャドウの挿絵にちゃんと阪中さんの姿はあるよ。
ショートカットの子で間違いない。
487 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 20:58:57 ID:TbySyEjn
岡部が想像以上に格好良かったのに驚いた。
でもこんなの今更乗っけるということは、2期はほぼ確実か?
消失は映画向きのストーリーだと思うのは俺だけかな?
あの委員長が榊なら、キョンの苗字はさ〜たの間か。
>>481 あちゃぁ…、公式クラス名簿出ちゃったのね。しかも設定つき。
SS作り直しだ…。
492 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 21:31:06 ID:TbySyEjn
佐伯と大野木が個人的にツボでしたw
しかし高遠みたいなソフト部の女子って、どこにでもいるなあ・・・
>>481 何この美少女学級。
しかし、こ高校生は「隣の席」というだけでこれほどまでにカップルが生まれるのか・・・そうだったのか・・・・
あれ?10年前僕共学だったんだけどなあ
>>493 みんなハルヒとキョンに毎日あてられてるから
くっつきやすいのかも
とりあえず鳴崎さん最高
>491
どっちにしろ、下の名前が不明だから書きにくいことこの上ない
自分は大野木さんの方が
あれ、魚化ってショートだったっけ?
>>497でいうところの♀10が何かでよく覚えてるんだけど
なんかで目立ってなかったっけ
そりゃ眼鏡っ娘だからな。
501 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 22:36:46 ID:TbySyEjn
>>497 阪中は原作にちょっこっと載ってるからまだ分かるが、このサイトの管理人
どうやって佐伯と瀬能の顔と名前一致させたんだ?
ついでに由良と成崎、確かに似てるわwwww
エロパロしてくれ
うん。いいね映画。
「めいおうせい?」
金星は眉を寄せ、土星に問いかけた。
「めいおうせいって誰のことなの? そんな愛称の惑星がいたかしらね」
そして土星もまた、絶望的な回答をよこした。
「聞いたことないなぁ。めいおうせいさんねえ。どんな字を書くんだい?」
「冥王星は冥王星だ」
と俺は目眩を感じながら呟いた。
「お前たち、冥王星を忘れたのか? どうやったらあんなやつを忘れることができるんだ……」
「めいおうせい……うーんとね、地キョン」
土星はいたわるような声で、ゆっくりと俺に、
「そんな惑星はこの太陽系にはいないよ。それに惑星はこの前の採決の時から定義が変わったんだよ。どっか他の小惑星と勘違いしてるんじゃないの? でもなぁ、めいおうせいっていう名前には全然聞き覚えがないなあ。小惑星にはいないと思うけど……」
「わたしの記憶にもないわね」
金星も俺に病気療養を勧めたがっているようだ。優しい猫なで声で、
「土星くん、ちょっと机の中を見てくれる? 端っこのほうに惑星名簿があるわ」
土星が取り出した小冊子を俺は引ったくった。一番に開くのは太陽系惑星のページ。惑星の名前が並ぶ列に指を這わせる。
木星、土星、天王星、海王星……。
海王星の後に名前がない。冥王星の名前が名簿から消えている。誰を探してるんだ、そんな奴はハナっからいねーぜとページが語りかけているようで、俺は名簿を閉じて目も閉じた。
清水でしょ
谷川でファイナルアンサー
妹=みくる=未来説信者としてキョン=今日じゃないかと思うんだ
苗字は知らん
とりあえずさ〜たの間ならもう涼宮でよくね?
雑談したいなら本スレかVIPにいけ
女キョンの続きマダカナー
>>497 モブキャラの細かい設定をもっと色々調べてもらいたいので
俺にとっては必要だ。
キョン(♀)を巡るハル男と古泉の闘い
東中出身11人 ※下に行く程根拠薄
1ハルヒ:自己紹介で
2谷口 :自己紹介で
3荒川 :ハルヒの自己紹介で一切振り向かず
4鈴木 :ハルヒの自己紹介で怯えた表情
5高遠 :ハルヒの自己紹介で呆れて下向きうなだれてる
6垣ノ内:ハルヒの自己紹介で呆れてる+体育のとき教室から真っ先にでる。(ハルヒが脱ぐの知ってるから)
7山根 :ハルヒの自己紹介で岡部の反応をニヤニヤ見てる。初見でハルヒに目をつけないのは考えにくい
8瀬能 :垣ノ内が着替える前に冗談言ったときに突っ込んだ。入学一週間以内でこの対応はおそらく同じ中学
9剣持 :瀬能と仲が良い
10西島:瀬能と仲が良い
11柳本 :ハルヒのことが苦手
このへんをSSに生かせば・・・結構な作品が・・・
12阪中:ハルヒの自己紹介で百合に目覚める
キョンの消失面白かった!続き待ってます!
ただキョンファンの自分としては、キョン(女)にあそこまで言われているのをみると、ちょっとなぁと思う。
何もそこまで言わなくてもいいじゃないか、と。キョン頑張ってるじゃないか、と。
少し腹が立ったので、あの後ブチ切れたキョンがキョン(女)を押し倒してセクースで改変プログラムを注入という妄想をしちゃったよ。
おれは女キョンが代弁してくれてるみたいでスッキリしたがな
キョンは自分に対してもツンデレ
キョンの消失は面白かったし、続きも読みたい。
ただ、このキョンは女キョンと言うよりもオリキャラに近いんじゃないかと思った。
古泉と女キョンの関係にモエス
>>522 女キョン自体がオリキャラだからいいじゃないかと思った。
>>523 あれは萌える。やっぱキョンはツンデレだな
>>519 俺も、いわばオリキャラである女キョンがいきなりキョンに説教をかますシーンは
「なんだかなぁ……」というか、微妙な気持ちになってしまったかなぁ。
個人的にはその説教の内容についても違和感があるのだが、これは個々人の主観によるところが大きいと思うので除外。
>>521 天 才 現 る
>>522 同意。そういう違和感はいくつかあるんだけど(
>>460であげられた部分とか)面白いよね。
>>524 会話の論点が微妙にスイングしてない件について。
キョンってもしかして、人類で唯一ハルヒに逆らえる存在なんじゃないのだろうか、とか思ったけどネタに発展しねえorz
>>528 | |
| |'⌒ヽ
| |iMiii 》
|_|ヮ゚ノ|| 私も逆らうことはできるわよ
|涼|⊂/
| ̄|_j〉
| |/
マジすまんorz
530 :
414:2006/08/27(日) 06:43:13 ID:dLUCKK2F
スレが伸びてると来てみたら流れにビックリ。
てっきり女キョンネタや話の長さに批判&スルー決定かと思ってたんだが。
今日明日で投下! とかはきついけど、後半ちゃんと書きます。ハイ。
色々誤用や誤字があるけれど、自分が一番恥ずかしく思ってるのは
>>414だったり。
>24スレも使って終わらないってやっぱ問題あるなぁ……。
24「スレ」って……。12MB書く気か俺。
どうか焦らず、何日でもじっくりことこと煮込みまくって最高の幕引きを。
24スレ…それも含め期待してマスww
>>528 喜緑さんの二人目の男とか正面対決してましたが・・・
>>530 頑張ってくれ>12MB書く
女キョンが消失せずループ・タイムして憂鬱から憤慨まで全部女キョン版を書くくらいの勢いで
>>527 >>529 なんかさっきから謝ってばっかりなんだけどw
>>530 個人的にはいまいちノリきれない部分も大きいのですが、面白いと思いますので続きも楽しみにしています。
>>533 勢いあり過ぎw
基本的にどんなんでも美味しくいただける俺は勝ち組www
基本的にバッドエンド以外は美味しくいただける俺
もう少し打たれ強くなるよ、ママン
女キョン版本編とかループタイム編とかマジで見てみたいと思っている俺がいる…置き換え想像でがんばるか
414氏カンガレ超ガンガレ
>519
同意。ちょっと俺語りが強すぎて辟易した。
実は冒頭のシーンが鬱陶しくて一回途中で読むのを止めた。24レス大杉だしさ。
オレキャラで主人公説教を延々垂れ流すのか。典型的な駄目オリキャラSSだなぁ。
と思って読まずに飛ばしたら、反応がほぼ絶賛なので改めて読んでみたら面白かったよ。
百聞は一見にしかずだな
ついに仏教 VS 神道 ガチ対決!!
126 名前:名無しさん@京都板じゃないよ[] 投稿日:2006/08/27(日) 00:22:44
巫女とか非処女ばっかじゃん、大嘘こいてんじゃねーよ糞神道
127 名前:名無しさん@京都板じゃないよ[] 投稿日:2006/08/27(日) 02:42:36
>>126 当方現役巫女ですが処女ですよ。
見た目も見苦しくない程度の自信はあります。
うpでもなんでもやってやりますよ。
口だけで死人に名前付けて金取るような宗教に難癖つけられる筋合いないですよ。
http://travel2.2ch.net/test/read.cgi/kyoto/1156647625/
巫女さんvs尼さんなら確実に巫女を選ぶだろ普通
>>534 いや、ふざけてるように見えるだろうなぁと思ってな。
○月×日 晴れ
今日は長門が家具が欲しいと言ったので近くのドンキホーテに来た。
カーテンに、クッションに、カレンダーに、本棚と何に使うか分からんパーティグッズ。テレビとかオーディオ機器はどうする?
「いらない」
そうか、ところで金足りるか?半分だそうか?
「いい」
そか、じゃあレジに行こうな。俺は長門から財布を受け取るとレジに向かった。俺が買うのかよ…
レジは休日ということも相まって込んでいた。ところでみんなご存知と思うがドンキホーテやこのての店にはレジ近くに訳の分からん商品が置いてあったりする。
大概がその無駄な珍しさに幼い子供が興味を示して親が仕方なしに買ってしまうものだが長門よ…子供じゃないんだからそういう真似はやめなさい。
「これなに?」
そういって長門が手に持ったのはストラップ型のボールペンだ。
「ボールペン?」
そうだ。普段は携帯ストラップだがいざという時にはボールペンになる優れ物だ。何がいざという時なのかは知らんがな…
そんなことより前に詰めなないと他のお客さんに迷惑だろ。ほらっ、こっちに来なさい。
「何色?」
知らねぇよ…つか本当に後ろの人が迷惑そうにしてるからこっちに来なさい!
長門を諭しながら後ろのお姉さんに謝る。お姉さんは微笑ましいそうにしてたが端から見たらどう見えるんだろうね?俺達…
親子は無いにしても最悪兄妹、大穴でカップルか?
「何色?」
欲しいならカゴに入れなさいよ。
「いい」
じゃあこっちに来なさい。
「何色?」
…俺を困らせて楽しいか?
「わりと」
俺はボールペンをカゴに入れると強引に長門を引っ張った。
たくっ、お前みたいなお子ちゃまには罰として自由帳をプレゼントしてやるから楽しみにしてろよ。
「楽しみ」
やれやれ…
皮肉が通じねぇお子ちゃま長門カワユスw
そもそもの第一歩の図書館からして、キョンは「長門が気に入って
手放さないものから、強引に引っぺがす」のに失敗してばっかだもんな。
キョン「3歳の娘の子育ては大変です。」
ドンキホーテに行った事が無く、代わりに百均の風景で妄想した自分は負け組み(´・ω・`)
>>549 100均の店内の棚の配置が人2人分間隔くらいであると思えばおk
通路なんてすれ違う隙間さえ微妙。天井から何かぶら下がってたりもする。
市内にドンキない俺過疎組
しかしやたら喧しいのね。
クラシック音楽でも流して欲しいぜ。
俺は外装のケバケバしさに閉口して、一度も入ったことがない。
欲しいと思ったものがなかったりするが
変わりにどうでも良い物が欲しくなるという奇妙な店。
西宮周辺には隣町に行かなきゃなかったような…
ハルヒの舞台は「西宮をモデルにした架空の都市」であって西宮じゃないでしょ。
アニメで映ったお店の店長がブログで喜んだりしてたが
今さらだが初めて知った(゜Д゜;)ということは、
"隣町へお買い物に行く"というシチュエーションはイメージとしてちゃんと成立するのか…
ところで、SS書くときってどんな手順でやってる?
俺は
ケータイでカチコチ
→PCにメールで送る
→WORDで推敲
→メモ帳にコピペ
→書き込み
って感じなんだが
>>558 すまん、調べたら西宮にもあったわwJR西宮の近くに。
東隣の尼崎と勘違いしてた。
スレが伸びてるから(ry
もうちょっとの辛抱か(´・ω・`)
SSを書いた経験はまだ少ない奴の意見だけど、PCの使えない時間=SSを考える余裕の無い時間だからなぁ…。
屋外でちみちみと妄想して、家でメモ帳にカチコチ。
>560場所を教えてくれただけでも十分感謝!
お出かけシチュエーションに関しては"グーゼン何かイベントがあって"とでも妄想すりゃいいしw
>>559 携帯で思いついたのをカキカキしてる。
長編はここではまだ書いたことないからわかんないけどね。
>>559 俺の場合
メモ帳に思いついたネタをカキコ(この時点では話にもなってない)
→いい感じに順番入れ替え
→ストーリー作成 ←いまここ
→ざっと見て推敲
→2chにコピペ、クッキー消して確認画面で再確認
→投下
な流れで書いてますが、長編中途半端で投下するんじゃなかったと後悔
>>565 とカキコした時点でここがもう2chではない事を思い出す俺。
SS書きに専念してくる…
榊を中心とした四角関係でも書けるんじゃないか?
>>559 →WORDで推敲
→メモ帳にコピペ
なんでワードからメモ帳に?
どちらか片一方で書いてたほうがいいような気がするけど…。
何か不都合でも?
>>559 まずPCあるのに携帯使っている意味がわからない。
>>559 携帯で打つ
↓
コピペ
↓
時期を見て投下という流れ。
よし、起承転結がやっと固まったからそろそろ打つか。
>>569 うーん、たしかに勝手にキャラ想像して書いたら
下手すりゃハルヒ関係なしのオリジナルになっちゃうしな…。
谷川もハルヒ劇場とかで話数稼ぎするくらいだったら
こいつらのサイドストーリーでも書いてくれればいいのに。
あと、のいぢに1年5組全員のイラストを描いてホスィ
ハルヒがクラスメイトに馴染めた時期に書いて欲しいな。皆の中心で笑顔なハルヒ。
キョンは端で見つめているか、皆にからかわれながらハルヒの隣にいるとか。
>>570 俺は仕事中、突然浮かんだセリフとかを休憩時間を使って携帯に打ち込んでたりする。
さすがに会社にノートパソコン持ち込んで打ち込めるほど猛者ではない。
なんでSS書きのために谷川が、キャラを増やしてごちゃごちゃと書きにくくしなけりゃいけないのやら。
577 :
559:2006/08/27(日) 17:31:56 ID:YGbhmChL
色んな意見聞けて面白いな
トンクス(`・ω・´)ノシ
>>568 1レス辺りの長さを適当なモノにする為
>>570 仕事の休憩時間とかに作るから
雑談スマソ
578 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 19:40:28 ID:gJKjcHRT
\ ◇ /
(* ̄∀ ̄) そんなこと言われてもウチあちゃもキョンシーやし
⊃ ⊃
│ │
│ │
∪ ̄∪
ss投下いきます
あらかじめ言っておくけど、オリキャラは絶対認められない、って人はスルーしといてください
さて、突然だがここで質問だ。
お前さんは夏休みの課題ってもんをどうやって片付けるタイプだ?
休みの期間中、毎日少しずつ切り崩すタイプか?
ラスト数日にすべてを賭けて一気に片付けるタイプか?
おいおい、まさかハルヒみたいに7月中には全部終わらせちまうなんて化け物じみたことをしてんじゃないだろうな?
俺はといえば、知ってのとおり課題になんぞ8月中頃まで一切、手をつけない人間だ。
そこ、だらしないやつだ、なんて言うんじゃねぇ。
以前体験した終わらない夏休みが終わりを迎えることができたのは、俺がそれまで課題に手をつけていなかったからと言っても過言ではないんだ。
言ってみれば俺の計画性の無さが世界を救ったようなもんであり、もしあそこで俺が8月17日前に課題を片付けでもしていれば、どうなっていたことやら……
しかし、こんな特殊な事例を除けば、やはり課題ってもんは計画だてて着実にこなしていくことが推奨されているもんだろう。
ましてや課題をこなすことを忘れるなんてのはもってのほかであり、そんなマヌケな連中はいつか手痛いしっぺ返しをうけるもんである。
でだ、これから話す内容は、課題をこなすのをすっかり忘れちまってた馬鹿どもが、そのおかげでせんでもいい苦労をすることになる話だ。
その喜劇は、唐突にSOS団団長があげた叫び声を開演ベルとして、幕を開けたんだ。
「あぁぁぁぁっ!!」
突然ハルヒのやつが早朝の雄鶏すらまだ可愛げがあるだろう大声をあげ、長門を除く俺たち全員の顔をしかめさせた。
その大声ぶりたるや、アメリカ横断ウルトラクイズの絶叫早押しに出場すればぶっちぎりの一抜け確実と思わせるもので、
思わず『ペースメーカー使用の方は半径50m以内の立ち入りをご遠慮ください』という注意書きを部室のドアに貼っておきたくなるほどだった。
「いったいどうしたんだ。ハルヒ」
「ちょっと、キョン!これ見なさいよ!これ!とんでもないことになってんだから!」
ハルヒはやたらと興奮してPCの画面を指差しているが、正直今の俺たちの耳の健康以上にとんでもないことが2次元平面上に展開することが可能だとは思えん。
「ああ!もう!こんなことならあのとき、徹底的に原因を究明しておくべきだったわ!」
「落ち着け。ちょっと見せてみろ」
憤慨やるかたないハルヒを脇に追いやり、俺は団長席に腰をおろした。
目の前のパソコンのディスプレイにはおなじみのSOS団サイトのトップページが表示されている。
このメールの受付しかできないおそまつなホームページはいたっていつもどおりで、カウンターが異常にまわっているわけでもなけりゃ、けったいな宇宙文字的な文字化けをおこしているわけでもない。
実にもってつまらんもので、なにがハルヒに空を飛ぶ光の国の巨人すら撃墜できそうな雄たけびをあげさせたのか、さっぱりわからん。
「おい、ハルヒ。別にどうってことないぞ」
「ちょっと!あんたの目は節穴!?ここんとこ、見てみなさいよ!」
こら、液晶画面を直接触るんじゃねぇよ。
ハルヒの人差し指の攻撃を受けて波打つ箇所は、ちょうどSOS団のシンボルマークが表示されているところだった。
「これ!『ZOZ団』って書いてあるじゃない!」
ハルヒの指摘を耳にした俺は思わずハルヒのほうに振り返ろうとする体に急制動をかけたために硬直し、古泉はといえばマグニチュード8クラスの『ハルヒ大地震』の直撃をくらって口元が余震をおこしている。
朝比奈さんは「うぴ」とかいう可愛らしい悲鳴をあげて、手元のおぼんで素人くさいジャグリングを披露し、長門のほうを見るとページをめくるはずの手が紙を掴みそこねて空のまま空中遊泳している。
俺たち全員の慌てた様子を「わぁ、団長ってばそんなすごいことに気付いちゃったの。俺たち、言われるまで全然わかんなかったよ」という気持ちの表れとでも思ったのか、満足げな笑みを浮かべるハルヒだが、
言うまでもなくこのことに今の今まで気付いていなかったのはコイツひとりである。
まったく、ハルヒのやつもなんだってこんなことに今になって気付いちまうんだ。
ご存知の通り、ハルヒ製作のSOS団エンブレムはネットに潜む邪神様の目覚まし時計になっちまうんで、ひそかに長門が無害なものに置き換えており、それがZOZ団エンブレムというわけだ。
このときの俺の心境を説明しようか。
例えば期末テスト初日の1時間目、現代文のテストになかなかの手ごたえを感じたとしよう。
そして翌日、数学のテストをうけている真っ最中に、現代文の答案用紙に名前を書き忘れていたことに気付いたとしたらどうだろう。
まあ大体そんな感じの心理状態である。
我ながらわかりにくいたとえだな、すまん。
さて、この『SOS団エンブレムがいつの間にかZOZ団エンブレムになっていた事件』(むろんハルヒにとってだけなのだが)
俺としちゃ、SだろうがZだろうが、どうせサナダムシがのたくったような文字だ、サナダムシが右を向いてようが左を向いてようが一向に構わない。
それぐらい、サナダムシの好きにさせてやれ、といった程度のどうでもいいもんだ。
だが、ハルヒにとっちゃ大問題らしい。
こりゃ、うまいことごまかさんとな……
なんせ、ここで俺がうまく立ち回らんと、俺たちはまたしても便所コオロギ駆除のバイトに駆り出されにゃならんくなる。しかもバイト代は出ないときてる。
「元からこんなだったんじゃないか。俺には違いがわからんぞ」
作戦その1、元からZOZ団だったと思い込ませる。
そうさ、ハルヒ。これは単にお前の描き間違いなんだよ。
「なに言ってんのよ!SとZじゃ大違いじゃない!あんた、SOS団の団員として、こんな事態を見過ごしていて恥ずかしくないの!」
ZOZ団であることを容認していたのは確かだが、半年以上気付きもしなかったお前には言われたくない。
そもそも恥ずかしいというのなら、こんなしょぼくれたサイトを全世界に向けて配信しているという時点で充分恥ずかしいわい。
ええい、この手は駄目か。なら、作戦その2だ。
「別にこれぐらい、いいじゃねぇか。今更作り直すのも面倒だ」
作戦その2、これぐらい我慢しろと言ってやる。
我慢、か……正直、これほどハルヒと縁遠い言葉もあるまい。
視界の隅っこで古泉の野郎が「もっと上手い説得方法はないんですか?」とでも言いたげな感じに肩をすくめてやがる。
うるせぇ、なんならお前に任せてやってもいいんだぞ。
どうせお前のことだ。
「いやぁ、流石は涼宮さん。我々とは目のつけどころが違いますねぇ」とか、太鼓もち的なおべんちゃらしか言うつもりはねぇんだろうが。
前線を援護する気のない司令部はおとなしく黙ってろってんだ。
「あんたねぇ。これが、面倒、のひとことで片付けられるほど小さな問題だと思ってんの!?あんたには洞察力ってもんがないわけ?」
洞察っつうか、少なくともお前よりは真実が見えているはずだぞ。
だが、ハルヒは決起半年前の大石蔵之助のようにやる気のない俺を置いてきぼりにして、暴走を続けていた。
その結果が、次の発言だ。
「これはZOZ団を名乗る謎の敵対組織からの先制攻撃なのよ!」
……えーっとだな、ハルヒのやつは事務所にやってきた依頼人の細かい挙手動作からプロフィールを的中させるシャーロック・ホームズみたいな得意顔をしているんだが、さて、俺は当の依頼人のように驚きゃいいのか?
それとも名探偵の相棒ジョン・ワトソンのごとく「これが私の自慢の友人だよ」とでも言わんばかりに誇らしげな顔をしてりゃいいのか?
選択権はくれてやるが、いちいち実行に移すつもりはないからな。
っていうかなんだよZOZ団って?
いや、今までさんざっぱら頭の中でZOZ団、ZOZ団って単語を連呼していた俺が言うのもなんなんだが、一体そのZOZ団ってのはどんな組織なんだよ……
『謎の』敵対組織って言ってる時点で本人に詳細を考えるつもりがないのは明白だがな。
「おい、ハルヒ。そりゃ洞察じゃなくて妄「いやぁ、流石は涼宮さん。驚くべき慧眼ですね」
くそ、古泉が俺のつっこみに割り込んできやがった。しかも例によって想像どおりのおべんちゃらだ。
「さすがは古泉くん。キョンと違ってわかってるじゃない」
この件に関して古泉と俺の情報量と洞察レベルはまったく同じだぞ。
あえて一点だけ違いがあるとすれば『ハルヒに逆らっても無駄だ』ということがわかっているかどうかだけだ。
そしてそれはわかっているからといってけっして自慢できるもんじゃない。
そんな俺の冷めた思いを知ってか知らずか、古泉は墨俣城をおっ建てて信長に褒められた羽柴秀吉のごとく、うやうやしく頭を下げていた。
「恐れ入ります。そこで涼宮さん、提案があるのですが、そのような正体不明の存在が我々を狙っている以上、部室でZOZ団の話題を出すのは危険かと思います」
「それは……そうかもね」
「どうでしょう。今日のところは一旦自宅に戻り、そこで各人今後の対策を考えるというのは」
「古泉くん、冴えてるじゃない!キョン、あんたもちょっとは見習いなさい」
確かにこの口からでまかせでお前を丸め込むテクニックは俺も習得したいもんだと常々思っていたよ。
「んじゃ、本日はこれで解散!みんな、ZOZ団なんてふざけた名前を名乗るボンクラ共を引きずり出して、ケチョンケチョンにしてやる方法をちゃんと考えてくんのよ!」
すごいよ、ハルヒ。SOS団がふざけた名前じゃないと思ってるその神経の図太さがな……
「さて、どうしたもんかね」
俺は古泉とふたりして、部室の外の廊下で朝比奈さんの着替え終了を待ちつつ、またしてもハルヒの妄言によって直面させられた己の不幸な運命を愚痴っていた。
「まったく、困ったことになりましたね」
自分で煽っておいてよく言うぜ。このままじゃ俺たちはありもしないZOZ団探しをさせられるハメになっちまうんだぞ……
「その程度で済むのであれば御の字なんですが……下手をすると、涼宮さんは本当にZOZ団を『生み出して』しまうかもしれません」
馬鹿言うなよ。たかがホームページの画像が気に入らないなんて理由で不可思議パワーを使われてたまるか。
「『ただなんとなく』、そんな理由で涼宮さんが能力を発揮した前例はいくらでもありますよ。
秋に桜を満開にしたこともありますし、シャミセン氏に人語を解する能力を付与したこともありました。
自分に敵対する組織を無意識のうちに作り上げるぐらいのことは軽くやってのけるでしょうね」
勘弁してくれよ。たとえどんなZOZ団が出来ちまっても、被害を被るのはハルヒじゃなく、俺と朝比奈さんなんだろうからな。
「ZOZ団が生まれてしまった場合、我々に長門さんがいる以上、ZOZ団にも対抗上TFEIが所属される可能性が高いでしょうね。
そうなれば我々は一国家を敵にまわすよりも厄介な団体を相手にしなければなりません」
長門によれば、長門のお仲間は『けっこう』地球にいるらしいからな。
そのうちのひとりの頭の中をいじくってZOZ団付きのアンドロイドにするのは簡単なことだろう。
そうなったときに俺たちがどれほどの苦労をしょいこまされるのか、想像するだけでも背筋が凍る想いだぜ……
「と、なれば我々にとることのできる対処法はただひとつですね」
古泉は人差し指をピンと立てると、女が相手であればそこそこ魅力的なんじゃないだろうかと思える得意げなニヤケ面でこう言った。
「我々で用意するしかないでしょう。『ZOZ団』を」
翌日である。
俺は古泉が自分のバックボーン全開で作り上げるZOZ団がいかなるものに成り果てるのかが気になって、昨夜はなにひとつできなかったが、
どうもハルヒは喜々としてZOZ団対策とやらを考えていたらしく、授業の合間の休み時間ごとに、やれ合言葉を決めようだの、やれ部室に罠を張ろうだのと、俺の頭痛の種をせっせせっせと大量生産するかのごとく、くだらないアイデアを垂れ流していた。
それはこうして揃って部室に向かう今も継続中で、部室棟につながる渡り廊下でもひっきりなしに話しかけてくる。
「あたしたちのサイトを乗っ取った以上、次にヤツらが狙ってくるものはなんだと思う?」
さあな。案外次のターゲットはお隣のコンピ研じゃねぇか。SOS団なんて狙うよりよっぽど実入りが期待できそうだ。
「そんなわけないでしょう!部室よ部室!次にヤツらが乗っ取りを企てるとしたらあたしたちの部室に他ならないわ!」
コイツには自分自身が文芸部の部室を乗っ取ったという自覚はないんだろうか。
「部室を狙ってくるなら、必ず姿をあらわすはずよね。そのときこそ、ZOZ団をとっ捕まえる絶好のチャンスなのよ」
好きにしてくれ。ただ罠を用意するときに餌として朝比奈さんを使うのはよしてくれよ。
あのひとのノミの心臓は、そろそろ全力でいたわってやらないと異常痙攣の起こし過ぎでマジに潰れかねん。
そんな馬鹿話をしながら部室の前にやって来た俺たちは、ドアごしに朝比奈さんの「あの……その……」という困り果てた声を聞くことになった。
「みくるちゃん!?」
と、俺が習慣としているノックをすることもなく、ハルヒは慌てた様子でドアを開け放った。
「あ、涼宮さんにキョンくん」
開いたドアから俺たちの姿を認めたメイド姿の朝比奈さんは、わりあいと無事な様子でガスコンロの脇に立っていた。
部室には俺たち以外の団員が既に揃っている。
窓際に座る長門。
長机の前に腰掛ける古泉。
そして古泉の正面、いつもの俺の席には俺たちと同年代の見知らぬ女生徒が、ハルヒによく似た不敵な笑みを顔に貼り付けて座っていた。
そいつはどうも北高生ではないらしい。
この辺では見かけない制服を身にまとっている。
「あんた、誰よ」
ハルヒが敵愾心をまったく隠さないいらだった表情でそいつに詰問の声を投げかけた。
俺はといえば、大体予想がついているから落ち着いたもんだったがな。
そしてやはり、そいつの答えは俺の予想どおりのものだった。
「あたしの名前は、善生(ぜんしょう)こずえ。ZOZ団、団長よ」
「あなたが涼宮ハルヒね。はじめまして」
そいつ、ZOZ団団長善生こずえは余裕しゃくしゃくといった顔で挨拶をしてきたが、対するSOS団団長涼宮ハルヒは他人のそういう態度が心底嫌いな人種である。
「なによ、あんた。あたしは知り合いでもないヤツに呼び捨てにされるほど落ちぶれちゃいないのよ!」
「つまんないこと気にしちゃって。人間の器がしれるってもんよ」
「挑発のつもり?おあいにく様、あたしはむかつく相手にはむかついてるってちゃんと伝えることにしてんの。つまんないことをいちいち我慢するなんて馬鹿げてるからね」
「あなたがそれでよくても、周りがそれに付いてこられるのかしら?リーダー向きの性格じゃないわね」
「ふん!おべっかを使わなきゃ人を動かせない、カリスマのないヤツのセリフね」
この二人はよくもまあ初対面でここまでの舌戦が繰り広げられるもんだ。見ろ、朝比奈さんなんて脇で見てるだけだっていうのに、すっかり怯えちまってるぞ。
古泉の方を見れば、この野郎、一応真面目な顔こそしちゃいるが楽しげな雰囲気を隠しきれていないぞ。
それにしてもこいつは、生徒会長のときといい、よくも毎度毎度ここまでハルヒに対抗できるキャラクターを用意してくるもんだ。
「たまたまこっちに来る用事があったんでね。言いたいこともあったんで、挨拶がてら寄らせてもらったのよ」
「ひとりでノコノコやって来るなんていい度胸ね。それとも一緒に来てくれる団員がいなかったのかしら」
「ああ、来させなかったのよ。ゾロゾロと大勢で押しかけるのもマヌケな話でしょ」
こいつらはもうちょっと穏便に話せないもんなのかねぇ。そろそろ止めるか……
「あー、善生さんとやら。そろそろここに来た理由を聞かせてもらいたいんだが」
「話が早くて助かるわ。ズバリ、この部室、あたしたちに明け渡してもらいたいの」
ハルヒの中身をそのまま他人に移し換えたかのようなそいつは、やはりハルヒのような傍若無人なことを言いやがった。
まあ、なんつうかハルヒの予想どおりというか、ハルヒの希望どおりというか……
もちろんハルヒが黙っているわけがない。
「あんた馬鹿!ZOZ団なんてわけのわからない名前のいかがわしい団にこの部室を使わせるわけないでしょ!」
あんまりZOZ団をこきおろすな、ハルヒ。同レベルのSOS団すら同時に辱めている気になってくる。
「『前人未到の王道を往く善生こずえの団』よ。いかがわしいかどうかなんて問題じゃないわ。要はZOZ団とSOS団、どちらがより世界を面白くでき、どちらがより部室を持つのにふさわしいか、ってことよ」
部室を持つにふさわしいのが誰なのかといえば、それは唯一の文芸部員である長門だと思うんだが……
「じゃあ、勝負でもする?言っとくけどねぇ、あたしたちはスポーツだろうが、文芸活動だろうが、ゲームだろうが、なんでも完全無敗の完璧集団なんだからね!」
その活動のほとんどの勝因は長門ひとりのおかげだがな。
「あら?世界をおおいに盛り上げる、なんて言ってるわりには随分と普通な勝負方法ね」
「いちいち腹の立つ物言いね!じゃあ、あんたならどんな勝負方法にするっていうのよ!」
おい、ハルヒ。すっかり向こうのペースに乗せられてるぞ。
この部室は一応文芸部のもので、これまた一応責任者は長門なんだから、あまり軽はずみなことはすんなよ。
俺は暴走しかけたハルヒを心配していたが、さて、善生こずえの方はというと、部室をひととおり見回すと、こんなことをのたまった。
「そうね。間違い探しなんてどうかしら?」
間違い探し。
似たような2枚の絵を見比べて、違うポイントを探し出す子どもの遊びである。
なんだってそんなもんがここで出てくるんだ?
俺の心中の疑問を察したわけでもないだろうが、善生こずえは続けてルール説明をしだした。
「あなたとあたしで、それぞれ特定の人物ひとりづつに『間違い』をひとつだけ仕込むの。それを見破れたほうが勝ち、っていうのはどう?」
「面白そうじゃない。で、その特定の人物ってのはどうすんのよ?」
「そうねぇ。あなたは……古泉っていったかしら?そっちのハンサムな彼。
わたしはそこの冴えない顔の彼に間違いを仕込む、ってことでどうかしら?」
冴えない顔の彼、というのは俺のことなのか?
別に俺は自分の面が格好いいとは思っちゃいないが、初対面の人間にそんなふうに言われる筋合いは無いぞ。
「勝手にうちの団員を馬鹿にしないでよね!あんただってヒトの顔をどうこう言えるほど、冴えた顔でもないじゃない!」
「まあね。ただそんなことたいして気にもしてないから。だから他人にも平気でこんなこと言っちゃうのよ。ご免なさいね、キミ」
善生こずえはそれほど悪いとも思っていない軽い調子で俺に向かって片手をあげた。
そんな俺とZOZ団団長の様子を獲物を見据えるイリオモテヤマネコみたいな顔で睨みつけていたハルヒだったが、やがて自分のすべきことを思い出したのか
「まあ、いいわ!この勝負、受けてやろうじゃないの!二度とあたしの顔が見られないぐらいに完膚なきまでに叩き潰してあげるわ!古泉くん!早速準備よ!」
と、古泉の返事も聞かずに部室を飛び出していった。
「はい。承知しました。それでは皆さん、また明日」
さて、どうやら俺はこれからこの善生こずえとやらに、よくわからん『間違い』とやらを仕込まれにゃならんらしいが……
突然、目の前の善生こずえが試合後の高校球児のような勢いで俺に頭を下げた!
「話の流れとはいえ、失礼なことを言ってしまい誠に申し訳ありません!」
いきなり豹変した態度に、朝比奈さんが目をまるくしている。
そりゃそうだろう。この人の正体を知っている俺でさえ、かなりの驚きなんだからな。
とにかく、朝比奈さんにも真相をうちあけておかないとな。
長門はいいのかって?
長門ならきっと先刻承知だろう。というか長門なら地球人類全員の詳細なプロフィールを把握している気さえする。
「えーっと、朝比奈さん。実はこの人、古泉の仲間なんですよ」
「……あ。そういうことなんですね。あたし、部室に来たら、もうこの人がいて、びっくりしちゃって……涼宮さんとあんなことになっちゃうし」
事情を知らない朝比奈さんとしちゃ、生きた心地がしなかったことだろう。ハルヒの不機嫌のとばっちりを受けるのは大概自分なんだし。
「あらためてはじめまして。善生こずえです」
そう言って、不敵な顔の仮面を外した善生さんは、こう言ってしまっては失礼だがあまり印象に残らない平凡な顔つきだった。
俺は女性を容姿でランク付けするなどというデリカシーのないマネをする気はないが、果たして谷口あたりなら彼女にどういった評価をくだすんだろうな。
「皆さんのおうわさはかねがね聞いています。本名で自己紹介が出来ないのは本当に残念なんですが……」
善生とは、また随分と変わった苗字だと思っていたが、そうか、本名じゃなかったのか。
「今回の任務、イニシャルがZであることが条件でしたから、やむなく偽名を使わせてもらっています。申し訳ありません」
『前人未到の王道を往くZ―――――の団』でZOZ団なわけだからな。
それにしてもこの人、ZOZ団団長という演技をやめると、途端に礼儀正しい少女になっちまうんだな。
とはいえ、これすらも演技であるという可能性もなきにしもあらず、なんだが、そう何重にも疑いをかけていたんでは性善説の信奉者である俺の主義にそぐわないし、第一疲れる。
いい人そうだと思える人は、いい人なんだと素直に思っておくことが心の健康にもよろしいことだろう。
「今回のわたしの仕事はZOZ団団長として涼宮さんの前に現れて、そして勝負に負けることによって穏便にZOZ団を解散させることです。解散といっても実際にはわたしひとりしかいないんですが」
一緒に来る団員がいない、というハルヒの指摘は実は的中していたわけか。
ただ、肝心なのはハルヒにZOZ団の存在を信じさせることであって、実際にZOZ団が存在している必要はないわけだからな。
「ではすみませんが、わたしに協力をお願いします」
そう言って彼女は再び深い深いおじぎをしたのだった。
そうやって彼女が俺に施した『間違い』とは、ごく単純なものだった。
さて、さらに翌日である。
登校してきた俺を待ち受けていたのはハルヒの執拗な追求と
「キョン、とにかく服を全部脱ぎなさい!団長命令よ!」
この言葉だった。
ふざけんな。
「大人しくあたしにすべてをさらけ出しなさい!SOS団が負けちゃってもいいっていうの!」
「だーっ!こんなところに間違いはねぇよ!」
俺は休み時間にはクラスメイト達の生暖かい視線を受けながら教室中を逃げ回り、放課後になったらなったでハルヒの足払いをすんでのところでかわしながら慌てて部室に逃げ込んだ。
こんなに疲れるはめになるとは思わんかった……
「いやぁ、お互い大変ですねぇ」
「まったくだ」
俺と古泉は、俺が机に用意したチェス盤をはさんで愚痴をこぼし合った。
こいつの場合、善生さんの追及を受けることはないんだが、昨日はずっとハルヒに付き合わされていたわけだから、疲労の度合は五分五分ってとこだろう。
いつもならゲームで古泉を負かすことによって僅かながらにストレスの解消をするところなんだが、今日ばっかりはそういうわけにはいかんしな……
さて、その善生さんはといえば、俺が部室に来る前から既にそこにおり、数瞬遅れてハルヒが踏み込んで来たときにはすっかりZOZ団団長の顔になっていた。
それだけのことでガラリと印象が変わっちまうことに、思わず見事なもんだと頭の中で拍手喝采をあげたもんだ。
「もうアタリぐらいはつけたわけ?」
「うっさい。敵に手の内さらけだすようなマネするわけないでしょ!」
「あっそう」
余裕を見せている善生さんだが、別に古泉と内通しているわけではないらしい。
生徒会長を相手どって機関誌をつくったときもそうだったが、機関の連中は実際の行動の際にインチキをしないことがハルヒの退屈を解消させるのにベストだと考えているようだ。
だから俺も、古泉のどこに『間違い』があるのか教えられてはいないんだが……
まあ、このチェスを2局もやりゃ、ハルヒのやつもすぐに気付くだろう。
3局目が終わった。
俺の負けで。
「いやぁ、今日は調子が悪いんですか?また、勝たせていただいてしまってすみませんね」
また、と古泉は言った。
そう、俺は本日、古泉相手に3連敗中だ。
わかってもらえると思うが、当然これはわざとだ。
これこそが善生さんと俺が仕込んだ『間違い』、『古泉相手にチェスで勝てない俺』というわけだ。
外見とかじゃない、なかなかにとんちがきいていて凝った『間違い』だし、これならハルヒも大満足だろう、と思っていた。
こんなもん、いつものハルヒならすぐに間違いと気付くはずだ。
だが、第3局が終わってもハルヒは動かない。
チラッとハルヒの顔を覗くと、ディスプレイの脇からチラリチラリと俺たちの様子を窺っているハルヒはすっげぇ満足っぽい表情をしてやがった。
まるで、自分の思惑がばっちりきまったかのような顔だ。
まずいぞ、こいつは……
今俺たちが陥っている、いかんともしがたい状況に気付いているのは恐らく俺だけだろう。
チェスが得意ではない古泉が、俺の微妙な打ち筋の違いに気付くとも思えんしな。
だが、俺なら古泉のいつもとの違いがわかる。
実は、俺だけでなく古泉の打ち筋もいつもと違うのだ。
恐らくハルヒの仕込みなんだろう。
ハルヒのやつはいつも脇から眺めていた俺の打ち筋から、俺に勝つための定石を割り出し、それを古泉に伝授したに違いない。
俺がチェス盤を用意するのを黙って見ていたのも、それが自分にとって都合がよかったからだ。
俺が動かなかった場合は自分でチェス盤を引っ張りだしゃいいだけだしな、たいした違いでもない。
つまり、ハルヒが古泉に仕込んだ『間違い』は『俺相手にチェスで勝てる古泉』というわけだ。
なんてこった。双方の仕込んだ間違いが重複しちまってるんだ。
これじゃあいくら俺が古泉相手に負けようが、ハルヒは『自分の作戦がうまくいっている』と考えるだけ。
泥沼だ。どうにかならんもんか……
「ねぇ、涼宮ハルヒ」
突然、今までなんの動きもみせなかった善生さんがハルヒに声をかけ、俺たちは何事かと彼女に視線を集中させた。
「なによ」
「あたしだけやることなくて暇だし、ちょっと彼のチェスに口出しさせてもらってもいい?」
「「「え?」」」
偶然かどうか、俺、古泉、そしてハルヒの声が見事に重なった。
俺はあらかじめそんな指示は受けていないし、古泉とハルヒにしたって俺相手の研究はしていても善生さんが相手ならまったく攻略法が通用しない。
「ん?なにかまずいことでもあるの?」
「なにもないわよ!好きにすればいいでしょ!」
というわけで4局目、俺は善生さんの指示どおりに駒を指すこととなった。
一体この人はなにを考えてるんだ?ちっともわからん。
そう思いつつも、俺はひたすら善生さんの言うがままに駒を動かすのだった。
さて、局面が中盤に差し掛かったころだ。
古泉がポーンのひとつを2マス前進させた。
チェスに馴染みがない人にとってはルール違反のように感じられるこの一手。実はルール違反でもなんでもない。
実はポーンはスタート地点から動くときに限り、2マス前進することが許されているのである。
古泉が動かしたポーンは俺の白ポーンの右隣に位置することになった。
「ポーンをそのポーンの後ろに移動。キャプチャリングして」
俺はその指示に従い、ポーンを右斜め前に移動して、古泉が移動させたばかりの黒ポーンを奪った。
「え?ちょっと……」
古泉が戸惑い
「ちょっとなによ、今の!ルール違反じゃないの!」
ハルヒが立ち上がって抗議の声をあげた。
だが、待てハルヒ。お前の言いたいことはわかるが、これはルール違反じゃないんだ。
「なにって『アンパッサン』よ」
「アンパッサン……?」
善生さんの発した耳慣れない単語に、ハルヒが始めて火を見た原始人みたいな不思議そうな声を出す。
「アンパイア?」
朝比奈さん。それは審判です……
「愛と勇気だけが友達の、幼児向けキャラクター」
長門、それアンパンマンだから……
アンパッサンってのはポーンにだけ適用される特殊ルールだ。
相手がポーンを2マス動かした直後に限り、その隣のポーンは斜め前に移動すると同時にそのポーンを掠め取ることができるのだ。
ちなみに『アンパッサン』っていうのは『通りすがり』という意味があるらしい。
まあそうはいっても、実のところこんなルール、俺も昨日善生さんに教わるまで知らんかった。
チェスで手を抜くように指示された後、「念のため」といって、このルールを教えられたんだ。
「ちょっと待って……キョン、あんた今までこんなことしなかったわよね」
「それは関係ないでしょ。今彼はあたしの指示どおりに駒を動かしただけなんだから」
確かに、俺が今までアンパッサンをしなかったからといって今回のことに特に関係はないはずだ。
俺は駒を動かしているだけで、実際に打っているのは善生さんなんだからな。
「そんなことは問題じゃないわ。問題なのはさっきのキョンの一手に迷いがなかったってところ。つまりその『アンパッサン』ってルールをキョンは知ってたってことよね」
ん?これはもしや……
「今までのキョンのプレイから見て、昨日までキョンがそのルールを知っていたとは思えないわ。じゃあ、キョンがそれを知ったのはいつ?ってことになるわ」
こいつ、気付いたぞ!
「それはズバリ、あたしと古泉くんが部室を出た後!つまりこれがキョンに仕込まれた間違い!あんた、キョンにいつもと違う打ち方をするように指示を出したんでしょう!」
ハルヒが人差し指を突きつける先、善生さんはすっかり観念した表情で肩をすくめながら言った。
「お見事……その通りよ」
「ふふん!ほら、見なさい。あたしに勝てるわけがないのよ!」
得意満面って感じだがな、ハルヒ。それはちょっと違うぞ。
善生さんはお前が気付くもっと前からお前の仕込んだ間違いに気付いていたんだ。
そして、それがいかに厄介な問題を引き起こしちまったのかもな。
そして、全部をわかったうえで、お前が正解を導き出せるように誘導したんだ。
なんていうかな、ハルヒ。俺は生まれて初めて『試合に負けて勝負に勝つ』というもんをナマで見せてもらった気分だよ。
「さーて、負けたからにはあたしの言うことには絶対服従してもらうわよ。こっちは部室を賭けてたんだから、そっちは団員全員差し出すぐらいはしてもらわないとねぇ」
「あ、それ無理。他の団員に迷惑かけたくないから本日をもってZOZ団は解散させてもらうわ」
俺たちの思惑通り、只今をもってZOZ団はこの世から消滅した。
「なに勝手なこと言ってんのよ!リスクとリターンは表裏一体!あたしの許可なくそんなことしていいと思ってんの!?」
「じゃあ自力で探し出せたら好きにしていいわよ。どうぞご自由に」
他の団員なんていないわけだから探して見つかる可能性はゼロだが、もし実際にいたとしても一度も見たことのない人間を探すなんてのは、ハルヒですら不可能だってことは理解してもらえるだろう。
「じゃあ、あんた!あんただけでも」
「あ、それも無理。あたし、住所九州だし。ほら、この制服、ちっとも見覚えないでしょ」
善生さんはわざわざ九州から出てきたのか?いや、これは嘘っぱちの可能性もあるか。
「じゃあなんで今ここにいんのよ!?」
「ネットに公開されてるホームページの改ざんなんてどこででも出来るし、今ここにいるのは観光のついでかな」
多分コンピ研との勝負の顛末を古泉から聞いていて、ハルヒが言いそうなことには前もって対策をたてていたんだろう。
実にもって、見事なもんだ。
結局のところ、自分の思い通りにならなかったハルヒはアヒルみたいに口をとんがらして帰ってしまった。
それでも決して機嫌が悪そうでもなかったのは、しっかり勝負には勝てたからだろう。
なんだかんだ言ったって、利益がなくとも勝負事に勝てれば気分が良くなれるのはアイツの美点のひとつだ。
古泉によれば閉鎖空間も出てないらしく、これで万事解決ってわけだ。
「それではわたしはそろそろおいとまさせてもらいます」
すっかり平凡少女顔を取り戻した善生さんは、ゆっくりと席を立ちつつ頭をさげた。
「ハルヒの面倒ごとにつき合わせちまって、どうもすみませんでした」
俺は今回の騒動の発端となった暴走特急ハルヒに代わって彼女に謝辞を述べる。
毎回毎回ハルヒがなにか思いつくたびに、俺はほうぼうへのフォローにまわらにゃならんらしい。
それでも、今回に関しては目の前の善生さんが一番ハルヒに振り回されたカタチだ。
関係者として、心から感謝しておかんとな。
「気にしないでください。ここには長年の疑問の答えがありましたし。来ることができてよかったです」
疑問、ですか?初耳だな、なんです一体?
「機関に所属するようになってから、ずっと考えていた疑問です。
涼宮さんの能力の発現によって、一体誰が一番不幸になってしまったのか?というものです。
涼宮さんの生み出す閉鎖空間の処理に追われる我々『機関』の面々なのか?
それとも機関とSOS団に同時に所属する古泉くんなのか?
あるいは涼宮さんともっとも接する機会の多いあなたなのか?
ずっと考えていたことなんですが、今回ここに来て、ここでの活動の一翼を担うに至って確信をもつことができました」
どうせならそのノミネートに朝比奈さんも加えてください。
朝比奈さんならきっとジャンル別に5部門ぐらいに分割されても、3部門ぐらいで首位を独占できること間違いなしです。
「では朝比奈さんも含めて。
わたしが思うに、そのうちの誰でもありません。
他ならない、涼宮さん自身が一番不幸なんです」
あいつが不幸だって?いつから辞書の『不幸』の項目は唯我独尊と入れ替わっちまったんだ?
「不幸ですよ。
世界平和のため、なんてお題目のせいで信頼している仲間にずっと騙され続けなくちゃいけないんですから」
…………
ま、その点は俺もたまには思わんでもない。だが、だからといってあいつが不幸なのか、っていうとそれも違う気がするな。
このひとは『信頼している仲間』と言ったが、まさしくその通りハルヒは俺たちのことを信頼しているし、俺たちのほうでも団長についていきゃ、ちょっとした苦労と引き換えにとびっきり充実した学生生活が送れると信頼しているんだ。
お互いが信頼しあってりゃ、そこに多少の嘘や隠し事が含まれていようが、そんなもん塗りつぶされちまうもんだ。
それが『信頼している仲間』ってもんじゃないかね。
まあ、こんな恥ずかしいことを口にする気はないんでね、もうちょっと別のことを言わせてもらうさ。
「ハルヒはそんなヤワなやつじゃありませんよ。ちょっとぐらい大人しくなってほしいぐらい、いつもはしゃぎまわってるんですから」
善生さんは俺の言葉をキョトンとした顔をしながら聞き、そこに隠された真意を汲み取ろうとしているようだが、徒労に終わると思うね。
古泉じゃあるまいし、俺は別に自分の言葉に隠された意味だの本当の意図だのといったもんを挿入しているつもりはないんでね。
「いつも一緒にいるあなたがそう言うのであれば、そっちが正しいんでしょうね」
そう言いながら柔らかな笑顔をみせる彼女は、平凡顔などと評価してしまったことを後悔したくなるような魅力をその顔に宿していた。
やばい。俺、顔赤くなってんじゃねぇか?
そんな俺を、自分の尻尾にじゃれつくポメラニアンを見るような顔で眺めていた善生さんだったが、ふいに佇まいを正した。
「では本当においとまさせていただきます。
どうか我々『機関』の思惑なんて気にせず、涼宮さんと仲良くSOS団ライフを楽しんでください」
そう言って、自称ZOZ団団長は俺たちの部室を後にした。
そうだな、あなたのおかげで懸案事項がひとつ消えたわけだし、お言葉に甘えてしばらくは難しいことは考えずに楽しませてもらうよ、善生さん。
さて、冒頭で俺が言ったことは覚えているだろうか?
そう、課題ってのは計画だてて全部片付けなけりゃ、手痛いしっぺ返しをくらっちまう、ってやつだ。
そう、『全部』片付けなけりゃならない。
俺たちはなんとかZOZ団というひとつの課題を片付けた。
しかし、それで全部じゃあなかったんだ、これが……
いや、もう、こっちの課題に関しちゃ存在そのものをすっかり忘れちまってたんだ。
なんせあまりにもくだらないもんだったからな……
「キョン!よく考えたら、サイトのエンブレム、直ってないじゃない!」
そうだった。
まさに一番最初の問題を解決しておくことを忘れちまってたんだ……
「もう、うざったいったらないから、あたし、もういっぺん描いたのよ、エンブレム!
ほらキョン!さっさとサイトに貼り付けなさい!」
やれやれ、長門よ……どうする?
今度は505団とでも描いとくか?
今のうちから苗字の頭が『五』の人間を古泉にピックアップさせとくか……
…上手いな、オリキャラの使い方が
以上です
オリキャラ嫌いな人、スマンです
話の流れ上、ZOZ団団長は絶対に必要だったもんで
ところで、善生というけったいな苗字、実在します
おもしろかった。
>実在します
九州に、かいw?
おもすれー
リアル善生さんきっと身近だった人だろう
600 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/27(日) 21:52:56 ID:MV0B1hun
おもしろかたよ
GJ
ごめんなさい
みんなサゲてるのにアゲてしまった
面白かった
オリキャラでもこの程度なら全然OKだと思うよ
案外
>>597自身が善生だったりww
次は五味さんの出番か!
作品自体は面白かったが、オリキャラは苦手だな・・・
SS自体「似て非なるもの」なのだが、オリキャラが登場すると
それが一気に「全く違うもの」になってしまう気がしてならない。
そして何故か読む気が失せる。今回のは今までのオリキャラの中では
まだ馴染みやすかった方だが。
クラスメイトも発表されたわけだし、簡単な設定と外見からのイメージ
でSS書いた方が簡単じゃね?(山根除く)
>>602 いえ、たまたま知ってる苗字でイニシャルがZなのが善生だっただけです
俺もオリジナルキャラはうけつけないな。
なんか気落ち悪いwww
なんというかあれだ、心の底から感動した。
オリキャラもいいスパイスになってる。
オレはこのオリキャラは自然に感じられた
人それぞれだろうけど
オリキャラの違和感がなくてよかったな
読んでて、「機関」の人間にマジにいる気がして楽しめた
たぶんもっと一般人的な、古泉の指示だけで動いてるようなキャラだったらもっと良かったのかも
原作キャラに対等に張り合う時点でオリキャラはイメージ的に減点されちゃう感じがしないでもない
悪いがZOZ団団長、名前は付けなくても良かったかもな
キョンに「ZOZ団団長」、ハルヒに「あんた」とでも呼ばせとけば名無しでいけたと思う。コンピ研部長みたいに
イニシャルZが重要なら苗字だけとか。阪中みたいに
原作からしてキョンを筆頭に名無し&苗字だけキャラが動きまくる小説だし、
無理に凝ってキャラ造形するより曖昧にしといた方がオリキャラとしては万人受けするんじゃなかろうか
面白かった、このくらいなら俺は許容範囲。生徒会長初出の時みたいなもんだと思えば十分。
野暮な事を言わせて貰うとすれば、「間違い探し」は「間違っていない」常態を知っていなければ成立しないので、
善生さんがハルヒに、普段部室で行われている事は知っていると告げるか、勝負を提案したその日は前段階として
いつも通りの活動をして見せて、活動終了後に準備に取り掛かって欲しかった。
いつにもましてコメントが多いな。
今日はじめてのSSだからか?そんでもってオリキャラものだったから
複雑な意見が多いと。でもこればかりは好き嫌い分かれるから、気にしなくて
イイヨ
>>605 ちなみにオリキャラでも長門軍司、朝倉俊介、喜緑恒一は好きだw
いろいろご意見ありがとうございます
バランスって難しいなぁ
>>611 ZOZ団団長にフルネームを用意したのは、ZOZ団に『世界をおおいに盛り上げる涼宮ハルヒの団』に符合する意味を持たせたかったからです
>>612 確かに描写が不十分だったかも
キョンのことを馬鹿にした発言をさせたら、頭の中でハルヒが勝手に暴走しちゃったんです
>>611 機関の人間(非一般人)はフルネームにしなければいけない法則
>>611 苗字だけだと一般人になっちゃう。
まあ会長と同じような立場にすれば無問題だが。
>>614 団の正式名称には思わず吹いた。
グッジョブだ。
女キョンの続きマダァ?
投げ出さないで読んでみるものだな。拾い物だった。
さて、流れが止まったので投下してもいいだろうか。
どうぞどうぞ
>>620 そういうのは一々聞かなくてもいいさっ! と思うにょろ。
……どうぞ
7月5日。2年になっても相変わらずSOS団は健在である。
下校時間になって、俺とハルヒは一緒に歩いていた。
他愛もない話をした後、
「じゃーね、キョン」
「ああ、また明日な」
と、ハルヒと珍しく普通のやり取りをした後、俺は横断歩道に向かった。
次の瞬間、俺の体は宙に浮いていた。
別に浮遊能力を発揮したわけではない。車に撥ねられたのだ。
それを理解した時、体に激痛が走った。
朝倉にナイフで刺された以上の痛みが俺の全身を支配する。
ブラックアウトしていく視界の中で、ハルヒが走ってくるのが見えた―
気が付くと、俺は自宅のベッドの上に寝転がっていた。
夢?いや違う。あれは確かに現実だった。ならこの状況はなんだ?
可能性は二つ。1つはハルヒの閉鎖空間。しかしこれは考えにくい。
もし閉鎖空間が発生したら古泉から連絡があるはずだし、今日のハルヒはむしろ上機嫌だったからだ。
となると、やはり―
「そう、ここは改変された世界よ」
妹や母親の声ではない。詮索をしなかったのは、声を発した人物に心当たりがあったからだ。
忘れるはずがない。2度も殺されかけたんだからな。
「―朝倉だな」
さすがに冷静ではいられない。注意深く周りを見渡すが、朝倉の姿は見えなかった。
「そんなに焦らなくても大丈夫よ。今の私にあなたを殺せる力はないから」
悪いが、2度も殺されかけた相手をそう簡単に信じる程俺は純情な心を持っちゃいない。姿も見せようともしてないしな。
「姿は見せられないのよ。今、私はあなたの精神の中にいるんだもの」
どういう意味だ。
「去年の冬の世界改変は覚えてる?」
当たり前だ。あんなことを軽々しく忘れる奴がいたら、俺はそいつをぶん殴ってやる。
ここでもキョンは・・・
「あなたにナイフを刺した時、私の情報をあなたに流し込んだのよ。
それが今回の世界改変であなたと話を出来るくらいまで力を持ったの」
「つまり、あの改変からお前は俺の考えを見てたのか?」
「うん、その通り。だから、昨日あなたが何を食べたとか、あなたが涼宮さんを思って何回自慰行為」
やめてくれ、お願いだ。それ以上言われたら俺は違う意味で死んでしまう。
精神的に殺しにきたか。
「と、そんな事を話してる場合じゃないわ」
そんな事扱いですかそうですか。
「世界改変が何故実行されたかわかる?」
予想はついている。おそらく―
「そう、あなたはあの事故で車に撥ねられた。そして死んだのよ」
ここまでは予想通りだった。しかし―
「あなたが死んだ後、涼宮さんが世界改変をした。
正確に言うと、その改変に他の三人の力が加わって今の世界になったの」
ま、まさか―
「長門さん、古泉一樹、朝比奈みくるも改変を手伝ってたという事。
でも、それが原因でまずい事になったわ。
長門さんだけじゃなくて余計な力が加わってしまったせいで、この世界は後1年でなくなるの」
「長門さんと他の二人は、いままでの事を忘れるのを拒んだ。それで涼宮さんの改変に手を加えた。
長門さんは知ってたはず。前にも改変してるしね。
おそらく他の二人も聞いたと思う。長門さんはそういう事をちゃんと話すはずだから。
つまり、あなたのいない世界なんていらないと思ったんじゃないかしら」
・・・。
「今は一年前の始業式。もちろん涼宮さんはそれ以降の記憶はないわ。多分前に起きた事は起こらない。涼宮さんが後悔してるからね。こんな事になるのならSOS団なんか作るんじゃなかったってね」
朝倉、世界を元に戻す方法を教えてくれないか?
「方法自体は難しい事じゃないわね。あなたが涼宮さんを説得するだけ。
最も、どう説得すればいいのかまでは知らないけどね。
でも解ってる?世界を戻すという事は、あなたは―」
言うな。覚悟はしていたしな。それに俺一人のために世界を巻き込むなんて出来るわけがない。
「そう。涼宮さんは学校にいるわ。あの部室にね。…まずいわね。あなたが前の日の記憶があるのを長門さんに気付かれたわ。
おそらく妨害してくるはずよ。本来私があなたの精神にいなかったらあなたも忘れていたはずだから。
しかも、改変前の記憶はあなたの場合今日1日しか持たない。
このまま明日になったらあなたは改変前の記憶はなくなる。
そうなったら世界が滅びるしかなくなるわ」
朝倉との話を終えて俺が家から出ると、古泉がいた。
「どうしても行くのですか?世界を戻したら、あなたはいなくなってしまうんですよ?」
「ああ、わかってる。だが、それでも行かせてもらう。
俺一人のために世界を滅ぼすなんてお断りだ。
それに、この1年3ヶ月がハルヒにとってなかった事になるのも嫌だしな。通らせてもらう」
古泉はすんなりと道を空けた。
「わかりました。あなたがそこまで涼宮さんの事を思っているとは。見直しました」
「あいつにSOS団の思い出を忘れて欲しくないんだ。絶対にな」
「そうですか。せめて、あなたが消える瞬間くらいは見届けさせてもらえませんか?」
俺と古泉は学校に向かった。途中、何故かポケットにナイフがあるのに気付く。
トイレに行くついでに朝倉に聞いてみた。
「なんでお前のナイフがあるんだよ!」
「いや、護身用にと思ったんだけど、駄目?」
…いや、わかった。必要とは思えんが一応礼を言っておく。
部室に着くと、長門と朝比奈さんがいた。
「ハルヒは何処にいるか知ってるか?」
「…屋上」
「まあ、キョン君。少し落ち着くためにもこれを飲んで」
ありがとうございます。ありがたくいただきます。
(駄目!それを飲んだら―)
朝倉の警告に気付いた時には、すでに俺に異常が起きていた。
「ごめんなさい、キョン君」
「そのお茶には、私が造った媚薬をいれてある。…ごめんなさい」
体が熱い。頭がくらくらする。いままで押さえて来た性欲が爆発してしまいそうだ。
「私達は、あなたが好き。だから、多少強引な手を使った。
今日が終われば、あなたは改変前の事を全て忘れる。そうすれば、私達はあなたともう少しいる事が出来る」
もう限界だ。これ以上抑えるのは無理だ。
大体こんな美人二人が俺の事を好きだと言っているんだ。そして媚薬まで入れたんだ。
襲ったって構いやしない。ああ、もう何も考えられん。
…なんだ古泉、人の邪魔すんじゃねー。俺は今からこの二人と―
次の瞬間、俺は倒れていた。頬が痛む。
「あなたの…あなたの涼宮さんに対する気持ちはその程度だったんですか!!」
―!
古泉に言われた一瞬、俺の頭の中を走馬灯が駆け抜けた。
始業式の時の突拍子のない一言から始まり、SOS団を作ったり、閉鎖空間でキスをしたり、病院で三日も俺の付き添いをしてた事が頭に流れてきた。
「すまん古泉、お前のおかげで理性が少し戻って来た」
「何故?媚薬の効果はあるはず。なのにどうして理性を保っているの?」
くっ、また理性が―そうだ。
俺は朝倉からもらったナイフを取り出す。
そして、ためらいなく自分の太股に刺した。
痛みはあるが、理性は完全に戻って来た。
「二人ともごめん。俺は、ハルヒにいままでの事を忘れて欲しくないんだ」
「そうですか。キョン君、一つだけ聞かせて。あなたは涼宮さんの事が好きですか?」
「はい。俺はハルヒが好きです」
「それが聞きたかったんです。…早く涼宮さんの所にいって下さい」
私もここで待機してます。その方があなたもいいでしょう?」
すまんな、気を使ってもらって。じゃあ行って来る。
「さよならは言わない。…いってらっしゃい」
ここで一旦中断。
あとはハルヒとの会話とその他が少しの予定です。
残りは明日か明後日に投下します。
な、こんないい所で!!
なにー!?
ちょっと正座して待ってるわ
お疲れ〜
オオタカズミか森雪か。いや、答えは自明であったな
今までROMに徹してたけど、一言だけ。
……この切れ方は何?
何その隙間
純ちゃん、無茶を言わないでくれwww男にはどうしようもないときが人生に一万と五千九百四十八回はあるもんだ
ぶっちゃけアリエナス(´・ω・`)
SSだとキョンはよく車に撥ねられるな
ヤベww
あまりに安易にキャラを殺すから
一瞬プリンスレかと思ったw
あっちに投下した方がいいんじゃないか?
どうしてそういうこというの
ところでなんでみんな
>>481の山根にはつっこまないんだ?
・・・あのさ、古泉が身体を失ってデータ上の存在になってて、
100歳過ぎのハルヒとキョンが意識のデータ化を拒んで最後を迎える話って何だったっけ?
>>654 ちょっと前にでてるから
まとめとかで探せ
ああ、ログ丸ごとの方で全文検索かけたらやっと見つかった。
ローカルのお気に入りフォルダ見てたら保存忘れに気付いたんだ。スマソ。
・・・SS保管庫で一つ一つ確かめてたら1時間近く掛かったよorz
『ワン・センテニアル・ユキ』
>>659 読んできた。
よかった。いいものだった。ありがとう。
>>597 GJ。面白かったよ。
オリキャラの使い方も基本(添えるだけっての)を踏み外してない……
ていうか、むしろ上手かったと思う。
>>481が公開された。それがこれからのオリキャラSSブームの幕開けであったのだ。
>「いや、護身用にと思ったんだけど、駄目?」
なんか朝倉さんカワイス
先週末からSSを書いても書いてもまったく納得出来なくなった。
自分で読んでも面白くないし、文章に何か違和感ありあり。
アイデアは出てくるけど完結出来ないもう重傷です。
こいうときはどうしたらいい?
誰か助けて。
そういう時は一度寝かせてみるといいい。
>>666 >>667のいうとおりだな。あと、そういう場合は気分転換するといいと思うよ。
他のSSでも書いてみるとか。しばらくSSの事は考えずに遊びまわるとか。
669 :
666:2006/08/28(月) 09:21:16 ID:6aB12oiv
ありがとう。一度そうしてみる。
さっきから、気分転換に6年前に書いたオリジナルSSを読んでて、
文体とか話のひねりとかそう言うのがまったく同じだったのでさらにショックを受けた。
別にプロの物書きになるつもりはないんだけどなぁ。
チラ裏で関係ないけど、一人称方式で主役がまんまキョンで、ヒロインがハルヒみたいなのも出てきた。
なんかしらんが死にたくなった。
今日は気分転換してくるでよー
>>669 しっかり休め。おまいのSSを楽しみにしてるぜww
700ゲトー
うわ、間違えた。何考えてんだ俺orz
とりあえず
>>670 m9(^Д^)プギャー
今更だがループタイムGJ
みくるが空気だが
チョイと小ネタを投下
涼宮ハルヒの失格
恒例の不思議探索パトロールは、午前中 俺とハルヒがペアになった。
商店街の古本屋に目を留めたハルヒは、「何か面白そう」と言うやいなや
俺を引っ張って店に入った。
何となくカビ臭い空気が漂う店内には誰が買うのか理解不能な古い雑誌や
映画のパンフが積み上げられている。
それらの古本を興味があるのか無いのか自分でも判らない妙な心境で
眺めていると、俺を呼ぶハルヒの声がする。
声の方に向かうとレジの前には、200円!と俺に向かい手を出している
ハルヒが居た。
やれやれ、おまえは小学生か? 近頃の小学生でもそんなことしないぞ、
贖う気力を削がれた俺だが素直にハルヒに渡すのも癪なので直接店主に渡し、
紙袋に入れられた本を受取りハルヒに渡す。
駅前のファミレスで昼飯を食った後、ハルヒは俺に伝票を押しつける
替わりに、古本屋で買ったばかりの年代物のクイズ本を取り出しこういった。
「いい、この本に載っているクイズに答えられなかった人が、今日の
昼食代を奢るの!」と、爪楊枝の束を突き出した。
「青が出題者で、赤が解答者よ」
くじ引きの結果、最初の対戦は俺が出題者・ハルヒが解答者でする事になった。
どの問題にしてやろうかなっと、パラパラっとページをめくっていたら
その問題が目に入った。
この本からの出題でいいんだな。
「いいわよ、そのために買ったんだから」
内心買ったのは俺だろうと突っ込みを入れながらも、ハルヒに確認を取る。
太陽から近い順に惑星をあげよ
俺の問いにハルヒは自信たっぷりに
「水・金・地・火・木・土・天・海・冥よ」
「次の組み合わせは…」
俺は正解とも不正解とも言っていない内から進めようとするハルヒを
制し不正解の旨告げた。
「なんでよ、どこが間違っているというのよ」
ハルヒ、俺はこの本からの出題でいいんだなと念を押したな、この本が刊行
されたのは1979年だ。
クイズ本をハルヒに渡し、解説はオチを知っている様子の古泉に任せた。
「涼宮さん、冥王星の軌道はいびつで海王星の軌道より内側に入る部分が
あるんです。この本が刊行された1979年から1999年の20年の間、冥王星は
海王星より太陽に近い軌道上に有りました。このクイズ本は半分トンチで
水・金・地・火・木・土・天・冥・海」を正解にしているんです。」
「うー、冥王星なんか惑星じゃなくなってしまえばいいのに!」
ハルヒは、伝票を引っ掴むと解散を宣言しレジに向かった
その間、朝比奈さんは頭の上に巨大な?マークを3つも載せていた。
それは、国際天文学連合総会の前日の事であった。
ハルヒヒドスwww
ひでぇ話だw
朝比奈さんの反応といい、ちゃんと考えてるなw
これは良い小ネタだーw
一休さん降臨
そうか、朝比奈さんは冥王星を知らない世代の人なんだな……
ってことはこれも規定事項かよw
ハルヒ、零士が泣いてるぞ
>>673 スゴスwww
ラブクラフト御大が泣いてるぞ
>>687 どっちかっつーと服を他校の制服にして
>>581のオリキャラ『善生こずえ』って言われたほうがしっくりくるな。
>>687 おお、自分が想像していたイメージとそっくりでビビった
前髪あたりなんかそれっぽいし、女キョン=ポニーテールは既定事項っぽいので
もしキョンが性転換するとしたら大方こんな感じになるんじゃね
とりあえずGJ
>>414氏も頑張れ
レス借り失礼
ハルヒの妊娠ものを書いてみたくなった
25-14 『涼宮ハルヒの策略』の続き
前回、同じ大学に進学後、同棲して初体験を済ませた二人。
今回は涼宮ハルヒの妊娠話
『涼宮ハルヒの妊娠』
冒頭から突然だが、れっきとした事実だ。
それは誰の子かって?
さすがに俺だろうな。だって俺は涼宮ハルヒと同棲しているんだから――――
「はあっ、んっ…きょん、きもちいい? あたしっ、あっ…」
「ハルヒは最高だぞ。あったかくて、やわらかくて、とろけそうだ」
「ほんと? うれしい…あたしも……きもちいいよ…きょんが優しくしてくれるから」
ずるい位の笑顔でハルヒは俺を見つめてくる。かわいすぎるぞお前。
俺の上で馬乗りになっているハルヒ。この格好が好きらしく始めるときはいつもここからだ。
「キョン、あたしの事好きよね?」
ハルヒは顔を上気させたまま俺にもたれかかり、罪な笑顔で問いかける。
「当たり前じゃないか、俺は好きでもない女とこんな事はしないぞ」
「あんたが好きなのは、あたしだけよね?」
「もちろんだ」
「心に誓うわね?」
「俺が好きなのは涼宮ハルヒだけだ」
ハルヒは満足そうにニヤリと笑うと、
「じゃあ今日はつけなくていいわ、そのほうが気持ちいいしね」
そう言うと俺のものを抜き、つけていたものを手際よく取り去ると、またゆっくり腰を下ろしてきた。
「んんっ…あっ…はあっ…やっぱりこのほうが……」
俺も声が出そうになる、気持ちよさと緊張感が脳を刺激する。
「ここからは、きょんのしたいようにして。あたしは大丈夫だから」
優しくハルヒを抱え、俺が覆いかぶさる体制にするとゆっくりと腰を動かす。
「ふぁっ、くぅっ…きょん、きもちいいっ…ああっ…きょんの奥にあたってるっ!」
あまりの快感に俺はもう限界に達しそうだ。
「ハルヒごめん、俺そろそろ…」
「いいよ…あたしの中に出して…大丈夫だから…」
もう誰にも見せたく無いような罪な笑顔だ。自然と腰の動きも早くなってきた。
「きょん…あたしぃ…ああっ! いっしょにっ! っ!!!!!」
「ハルヒ!」
「むぐっ! んんんーーっ!!! んんっ!! んっ! んくっ、ぷはあっ!」
「はあはあはあ……」
俺は絶頂の瞬間唇をふさがれ、異様な興奮の中ハルヒの奥深くに欲望を吐き出す。こんなに出たのは久しぶりだな。
「あったかい……いっぱいでたわね……」
感慨深げな表情のハルヒ。俺は余韻を味わいつつハルヒに優しく話しかける。
「お前からキスしてくるなんてビックリしたぞ」
「だって声が出ちゃうのが恥ずかしいし……。それに……なんとなくしてみたかったのよ」
もたれかかっていたハルヒから離れようとした時、
「まって、もう少しこのままで……。今はキョンを感じていたいから」
俺は優しくハルヒを抱きしめる。ハルヒはあの時と同じく小さな声でポツリとつぶやいた。
「キョン、ありがとう」
………
……
…
早いもので俺がハルヒに告白してからもう三年以上たち、
まるで新婚さんのようなハルヒとの生活もすっかり日常となっていた。
いやまだ大学生なんだけどな。いいのだろうか?
その間も、SOS団の活動は月に一度のペースで行っており、仲良しグループは今も健在である。
ハルヒはといえば、毎日が楽しくてしょうがないようで、
「キョン、今日はあんたが好きなハンバーグを作ってあげたわ。さあ食べてみなさい、
そして正直な感想を言うこと。これは命令だからね!」
フフンと鼻で笑うように俺に言い放つくせに、表情は100ワットの笑顔という器用さだ。
もうほんとに素直じゃないな、俺はどうしたらいいんだ?
見た目からして美味そうなその料理は、食べてみれば正直コメントが困るぐらいの味なわけで。
まあ、とても美味しいってことだな。
「どうよキョン、美味しいでしょう? あたしの手料理を毎日食べられるなんて、あんた幸せだと思わない?」
俺は黙ってうなずく。当然そんなので満足しないハルヒは――
「こら! いつも言ってるでしょ! ちゃんとこっちを向いてはっきり言いなさいよ!!」
で、強引に視線を合わされて俺は「美味い」と言わされるわけだ。
「フフン♪ あんたも少しは素直になりなさい。もう恥ずかしがるような関係じゃないでしょ」
毎日こんな調子だ。ああもう、言ってるこっちが赤面しそうだ。だが実際に、高校時代じゃ考えられないぐらい、
なんというか変な意味で生き生きしてるというか、まあ俺も意外に感じるぐらい、ハルヒは女らしくなった気がする。
そんなもんだから、まあ俺も……、ハルヒに挑発されれば、その誘いを断るなんて出来やしない訳だな。
結局ハルヒ主導の下、冒頭のような展開になる。ハルヒは「今日は大丈夫だから」なんて言って、何もつけずに
そのまま上に乗っかられて、快楽のまま果ててしまう。そんなこともたまにあるわけだ。
正直言うと、抱いている時のハルヒが反則的にかわいくて……。俺もついその、うむ、まああれだ、がんばっちまうんだな。
そんな生活を続けていれば、当然といえばいいのか、まあ予想通りの事態になったりするよな。
大学の卒業を間近に控えた頃、それは突然やってくる。
いつものように、アパートの部屋で夕食をとった後、くつろいでいたときの事だ。
俺はハルヒに促され、向かい合うように正座させられた。
「キョン……。あたし来ないのよ……」
「来ないって何が?」
「あんたは、ほんと鈍感ね。女が来ないって言ったら一つしかないでしょうよ」
「……ハルヒ、それはマジか!! で……、その、一応聞くが俺の子だよな?」
「……あんた……ほんとに殺されたいの? あたしはあんた以外の男に体を許したりしないわよ!!!!!
ふざけんじゃないわよバカキョン!!!!! うわあーーーーん!!!!! ばかーーーーっ!!!!!」
ハルヒは泣きながら俺に襲いかかり、馬乗りになってポカポカ叩き出した。
「ごめんごめん、俺が悪かったよ。ほら、こういう時は一応聞くのがお約束みたいなものだろ?
お前を疑ってたわけじゃないんだよ。俺は初めからハルヒを信じてたから、だから泣かないでくれ」
「ぐすっ……ばか。今度あたしを泣かすようなこと言ったら、ほんとに死刑だからね! わかった?」
「わかった、俺が悪かった許してくれ」
俺は土下座してハルヒに謝った。俺が顔を上げると――
ハルヒは満足そうにニヤリと笑い、
「キョン! 仲直りしてあげるわ。愛情をこめてあたしにキスしなさい!」
「な、なんだ突然」
「はやくぅ、キスしなさいよ! あたしが嫌いなの?」
「ちゅっ……。むぐっ!! ちゅる、んっ、ちゅぷっ、んくっ、ぷはぁっ。ふふふ…ごちそうさまキョン。今回はゆるしてあげる」
……はあ、疲れたぞ。仕切りなおすように俺たちはまた向かい合って正座する。
「それでさっきの続きだけど、冗談でこんなこといわないわ。明日病院に行くから一緒について来て」
「ああもちろんだ。そんなとこにお前一人で行かせるほど俺は冷酷じゃないぞ」
ハルヒは得意の笑顔でニヤリとし、俺に強い視線を送り、
「当たり前じゃない。あんたが嫌だって言っても、引っ張ってでも連れてってやるんだからね。
あたしだけじゃなく、あんたにも責任があるんだから。まさかあんたも、その辺はちゃんと分かってるんでしょうね?」
「当然だ。俺もいつかは子供がほしいと思っていたからな。少し早くなっただけで覚悟は出来てるぞ」
なんかすごく大胆なことを言ってしまったが、俺は恥ずかしいとは思わなかった。
「ふぅん、キョンにしては大層な事言うじゃない。あたしはもう少し慌てると思ってたんだけど。
でも安心した。ほんとはね、あんたが何て言うか少し心配だったから」
ハルヒは心底ホッとしたいう感じで表情を緩め、俺に抱きついてきた。
「キョン覚えてる? あんたと初めて触れ合った日のこと」
「当たり前だ。お前の誕生日にあんな経験をして、忘れるほうがおかしいと思うぞ」
「まあそうよね、まさか忘れたなんていわせないわ。もしそんな事言ったらほんとに死刑だからね!」
今日一番の笑顔で俺に宣言すると、満足げに風呂場に向かうハルヒ。
「あんたも一緒に入るのよ」
……やれやれ。
翌日、ハルヒと一緒に産婦人科に。
――――
全ての検査結果が分かり、普段と違い控えめな感じのハルヒだったが、
病院の自動ドアを出たところで俺は突然抱きつかれた。
「キョン!!! 妊娠ですって!!! あたしたちの子供よ!!! もう嬉しくて泣きそうだわ!!!」
俺を抱えたままジャンプするんじゃないかという勢いで、喜色満面なハルヒはピョンピョン跳ねだす。
「おいおいちょっと落ち着け。あ、危ないからやめなさいって」
「なによぅ、あんたも喜びなさいよ。あたしが妊娠したのに……」
ハルヒは唇をウネくらせて拗ねたような顔をする。
「いや俺も嬉しいんだぞ。でもここで転んだりしたら危ないからな、とりあえず帰ってからお祝いしたほうがいいだろ」
相変わらずハルヒは拗ねたままだったが、俺の方から手をつかんで歩き出すと珍しく素直に従う。
さて診断の結果は、「おめでた」で母子共に健康に問題なく経過良好と。安いドラマみたいな展開だな。
でもさ、俺は素直に喜びたいぞ。しかしハルヒはよく気が付いたもんだ。医者も驚いてたじゃないか。
ハルヒを落ち着かせるように病院から帰ってきた。携帯で誰かと話しているようだが俺は横になって休む事にする。
そうだな、妊娠が確定したんじゃ俺も覚悟を決めないとな。しかし不安だぞ、就職が内定しているとはいえ
まだ働いているわけでもなく、ほんとに生活できるのかとか。とりあえず自宅に同居するとしても心配事は結構あるし、
問題点も出てくるだろうから俺がフォローしておかないと駄目だろう。ハルヒの機嫌が悪くなる事はたぶんなさそうだが、
あいつも一応女の子だからな。少しはいたわってあげないと……。
気がつけばハルヒは仁王立ちで俺を見下ろしている。電話は終わったみたいだな。
「妊娠したんだからちゃんとしておかないとね。あんたも覚悟は決まってるでしょ。だから事は早く済ませましょう」
ハルヒが怪しい顔になったぞ。こんな時は俺にとってよくない事が起こると以前学習済みだ。俺はベットから起き上がる。
「何が言いたいのか説明してくれるか」
「あんたの為にあたしの親がここに来るように準備してあげたわ。あたしの家じゃあんた緊張しそうだしね。
もうすぐ来ると思うからそのつもりでいなさいよ」
「ちょ、ちょっと待て! 俺だって心の準備っていうものが……」
『ピンポーン』
「来たわね」
結局俺は普段着のまま、初対面のご家族と話す事になり、順番が逆になってしまったことを謝罪し、
ハルヒを必ず幸せにすると約束をして何も問題なく話はついた。終始、場が和やかだったのがせめてもの救いだ。
「キョン、あんたにしては頑張ったじゃない。少しだけ見直したわ」
そんなニヤニヤ顔で嬉しそうに言わないでくれ。こっちは死ぬ思いをしたんだぞ。
「じゃあ今度はあんたの家ね。今から行きましょう。もう連絡はしてあるから」
「おい、ちょっと待……」
ハルヒに手をつかまれ強制連行される。なんか懐かしいな、ってまあいいか好きにしてくれ。
手短に話そう。もう予想通りだ。家に着くとニヤニヤした妹に出迎えられ、リビングに連行されると
早速尋問が始まる。女二人の誘導尋問によって、なんだかんだ言いながら俺も話してしまうんだな。
その後みんなで夕食をとって妊娠のお祝いをしたわけだ。妹とハルヒがとても楽しそうだったぞ。
アパートに戻ってきた俺はベットに寝転んだ。
もう今日は何だ? 厄日か?
一日でいろいろありすぎだろう。妊娠が分かったまでは俺も嬉しかったがその後の展開は――
そりゃハルヒらしいと言えばそれでいいがそれにしたって――
……まあいいか、全部無事に終わったからな。今日はもうやる事はないはずだ。
後は風呂に入るだけでいい。今日は早めに寝よう。
「キョン、今日はお疲れさま」
仁王立ちのハルヒが珍しく俺をいたわる言葉をかけてきた。
「そうだな、今日はなんだか疲れたぞ。早く寝ちまいたい気分だ」
ハルヒは不敵にニヤリと笑うと、寝転んだままの俺に意味深な事を言い出す。
「でもあと一つしなくちゃいけない事が残ってる。あんたあたしに言うべき言葉があるでしょう? 忘れたとは言わせないわ」
眩しいほどの極上の笑みを浮かべたと思いきや、俺に強い視線を送り高らかに宣言する。
「プロポーズよ」
――
「フフン♪ さあキョン、心は決まったかしら? あたしはいつでもいいわよ」
ベットの端で向かい合うように座り、俺の言葉を待っているハルヒは、直視できないぐらい眩しい笑顔を浮かべている。
「あんたにクサイ台詞なんて似合わないわ。だから、あんたがあたしをどう思ってるのか、
思いつく言葉を可能な限り並べればいいのよ。簡単でしょ」
ニヤニヤしながら楽しそうなハルヒ。こっちの気持ちを考えてほしいもんだ。
腹をくくった俺は、ハルヒの両手をとり、大きな黒い目を見つめてしゃべりだす。
「俺は…ハルヒが好きだ。かわいくて…綺麗で…魅力的で…俺好みのスタイルで…何でも器用にこなして…
全然素直じゃなくて…乱暴で…嫉妬深くて…危なっかしくて…それでいてどこか愛らしいお前が……。
まるで俺の為に存在してくれていると思えるお前が……。俺は『涼宮ハルヒ』お前だけが好きだ。だから――――」
「俺と結婚してくれ」
一瞬の静寂の後、俺は口をふさがれた。
――
俺はハルヒに抱きつかれ、ベットに押し倒されるような格好で唇を重ねていた。
しばらくして――
またベットの端で向かい合うように座る。
間を嫌うようにハルヒは早口でしゃべりだした。
「キョン、一回しか言わないからよく聞きなさい! あんたと結婚してあげるわ。あたしに感謝するのよ!
あんたの嫁が務まるのは、あたししかいないから。仕方ないからあんたでいいわ。だからって誤解するんじゃないわよ、
あんた一人じゃ生きていけそうにないから、だからあたしが傍にいてあげるんだからね。今から言う事をあんたは絶対
守りなさい。あんたはあたしを退屈させない事、笑わせる事、泣かせたりしない事、料理の感想を正直に言う事、
他の女に浮気しない事、ある日突然いなくなったりしない事、あたしより先に死なない事、これは命令だからね! わかった?」
トマトみたいな真っ赤な顔で、澄んだ黒い目に涙をたたえ、肩がわずかに震えながらも、
それを悟られるのを嫌うように、精一杯の気勢でハルヒは俺に言い放つ。こんな時に言葉は要らないだろう。
俺は黙ったままハルヒを精一杯抱きしめる。堰を切ったように嗚咽が漏れ出し――
「返事は?」
俺の胸に顔をうずめたままハルヒは小声で尋問する。
「俺はハルヒが納得できるように精一杯努力する」
「あたしに誓える?」
「ああ、誓う」
「……キョンの…ばか…。あんたなんか……大好きなんだからね…」
………
……
…
――――――――
すまんが手短にまとめるぞ。
卒業式を無事に終え、俺とハルヒは居を共にする。妊娠騒動が無ければ、それぞれの実家に戻って社会人生活を送るはずだったが、
結婚する事になり俺の家で一緒に暮らすわけだな。
その方がいろいろと都合がいい事もあるし、食事だの生活全般で利点の方が多いからな。
あと妹が「お義姉ちゃんが出来た」とハルヒに懐いてしまったのも要因だろう。
一日も早くというハルヒの強い希望で、四月に結婚式を挙げることになり、古泉にまた苦労をかけてしまった。
ここは素直に感謝すべきだろう。あいつがいなかったらこんな早くに会場の手配なんて不可能だからな。
衣装合わせの日だ。俺はまあよくありがちな格好でサイズを確認するぐらいなんだが、ハルヒは朝比奈さん、長門、鶴屋さん、
俺の妹となにやら楽しそうに騒いでいる。どんな衣装を着るのか? 俺が聞いてもハルヒは頑なに口をつぐむ。
なんでも当日までのお楽しみなんだそうな。相変わらずだな。
そして明日は結婚式だ。
「いよいよ明日ね。おやすみキョン、大好きだからね」
俺は軽く唇を奪われ、ハルヒはそのまま寝入ってしまう。
もうな、今だけ白状しよう。
俺はハルヒがいなくなっちまったら寂しくて死んじまいそうだ。
よし寝るぞ。
明日は大事な日だからな。
布団をかぶり俺は深い眠りについた。
………
……
…
「キョン君おきてー、朝だよー」
俺の上に乗っかってピョンピョン遊ぶな、誰なんだこんな起こし方をするのは――!!!!!
「おきた? どうしたのこわい顔して?」
「……………………」
「キョン君こわい夢でも見たの?」
「ああ…大丈夫だ、起きたからちょっと一人にさせてくれ。少ししたら飯食いに行くからな」
あの頃の朝みたい応対すると、そいつは元気に一階に戻っていく。
……これはどういうことだ!? 誰か説明してくれ。今俺は、懐かしい感覚を伴って――妹にたたき起こされた。
いやそれはまだ良いとしよう。だがその妹が明らかに幼かったのはどういうわけだ。
当然のようにハルヒの姿は無く、部屋を見渡せば昨日まで乱雑だった荷物も無い。
まだ夢の中なんじゃないだろうか、思わずそんな考えをしたくなるほど俺は混乱していた。
自然に携帯を手にとる。
はやる気持ちを抑え日付を確認すると……。今は高校の夏休みか、懐かしい携帯だ。
何が起こった? 朝比奈さんの言葉を借りれば、何でこの時間平面上に俺はいるんだ。
一人で考えるだけ時間の無駄だな。ここで頼れるのは――やっぱり長戸しかいないか、毎度毎度情けないぞ。
俺は祈るような気持ちで電話をかけた。
701 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 20:51:05 ID:0Y7Q+fN5
誰もいないのか
支援
「…………」
「長門か? すまん俺だ、っていっても今の時間平面上じゃなくもっと未来から来たのだが……」
我ながら意味不明だ、そりゃ焦っているんだからしょうがないだろう。
こんな説明でも動じる様子が無いのは、さすが長門といったところか。すぐに全てを理解したように話し出す。
「あなたがいた時間平面上の私と部分的に情報を共有した。あなたは涼宮ハルヒの希望でこの時間平面上に来ている」
「それはどういうことだ?」
「はっきりしているのは、今日起こる出来事に未来のあなたが必要だったということ」
「この時間平面上にいる俺では、駄目だったというのか」
「そう。姿かたちは今の時間平面上のあなたで、精神面は未来を知っている必要があった。
朝比奈みくるの言葉を借りれば、規定事項に該当する」
「この時間平面上にいたはずの俺は、今どうなっているんだ?」
「未来から来たあなた自身の力で、意識の奥深くで眠っている状態。明日になれば自然と元に戻る。
この時間平面上にいるあなたの記憶は、元に戻った時点で自動的に修正され辻褄が合う。問題は無い」
「それもハルヒの力でか?」
「そう。涼宮ハルヒ自身の無意識な力で行われる」
「それで俺はどうしたらいい?」
「今日起こる出来事で、未来を知っているあなたが普段通りの行動を取れば解決する。
私の口からはこれ以上の事は話せない」
「わかった。しかし一つ聞きたい、もし俺が間違った行動をとったらどうなるんだ?」
「それは想定されていない。未来から来たあなたは、精神面の揺らぎなど無いため必ず正しい行動をとる。
だからあなたが心配する必要はない」
俺は長戸に礼を言い電話を切った。
なんかワクワクしてきたぞ、普通に考えれば非常事態なのに楽しみになってきた。
今までもとんでもない事態にまき込まれて、その都度なんだかんだで解決してきたからな。
しかも今回はハルヒの希望と来た。あいつはこの時間平面上に何を忘れてきたんだ?
もう結婚しようかって時に、俺をこんなところに送り込むなんてよっぽどの事なんだろ?
ハルヒは何を望んでいるんだ?
しかし懐かしいもんだ。あの当時普通だったことが、こんなに新鮮に感じるんだな。
高校の夏休み。二度と経験できないだろうと思ってたことが今現実になってるんだからさ。
妹と戯れたり、テレビで懐かしい番組が放送してたりと楽しませてもらった。
ハルヒに感謝しないといけないかもな。
そして待ち焦がれた電話がかかってきた。
「あんた今日暇でしょ? 花火大会に行くから五時に駅前に集合ね。来ないと死刑だから!!」
一方的なマシンガントークで電話を切られる。
懐かしさも手伝って、もういかにもハルヒらしい行動に我慢しようとしても表情が緩む。
結局駅前に着くまで俺は少しニヤけていたようで、SOS団の面子を見てまた表情が緩むという悪循環に陥っていた。
「キョン、なに気持ち悪い顔してんのよ。あんたは、ただでさえ冴えないんだから、少しシャキッとしなさいよ」
ハルヒが少し心配そうに俺の顔をのぞきこんでくる。勘の鋭いハルヒの事だ、まさか俺の正体に気づいたりはしないだろうが
用心しないとな。ちなみに長門は――いつもと変わらない様子で俺を見つめていた。
男共は普段着、女性陣は浴衣といかにもな格好で、ハルヒの髪形もいつもと同じだ。
「ポニーテールじゃないんだな」
俺は思わず口に出してしまう。とたんにハルヒが悪戯っぽい表情で俺の顔をのぞきこんできた。
「なあにキョン、あたしのポニーテールが見たかったの?」
ハルヒはどこからか髪留めのゴムを取り出すと、髪を後ろで束ねてポニーテールを作ろうとしている。
「もう、難しいんだからね。まだ短いから、なかなかうまく出来ないのよ。
あんたもさっき電話したときに言えばいいのに。そうすればあたしだって……」
俺にぶつぶつ文句を言いながらも、ハルヒは器用にポニーテールを完成させる。鏡も無いのにたいしたもんだ。
「ほら、あんたの希望通りポニーテールにしてあげたわよ」
お世辞じゃなくほんとによく似合う。ポニーには長さが足りないとかそんなことは関係ない、俺はこの髪型が好きだ。
改めて見ると……うむ、この頃のハルヒもかなりかわいいぞ、今は素直にそう思う。
「キョン! 似合ってる?」
フフン♪ と得意な笑顔で俺に視線を送るハルヒ。
「そうだな、よく似合ってる。とてもかわいいと思うぞ」
「なっ… ば、ばかっ! あんたみんなの前でそんなこと……」
俺の予想外の答えにうろたえたのか、ハルヒは顔を真っ赤にして定番の台詞を言い放ち、あらぬほうを向いてしまう。
相変わらず素直じゃないな。まあこの当時の俺も人のことは言えないのだが。
さあ花火大会だ。毎年行われるそれは結構な人が来るのだ。今年も例外ではないようで、
会場に着くと大勢の人が集まっている。露天なんかもいっぱいあって――となればやる事は一つだな。
例によって今日も俺が罰金を払う事になっており、元気いっぱいで大食いなハルヒは、焼きそば、たこ焼き、りんご飴……。
食欲が満たされると、金魚すくい、射的など――俺の手をつかみ、嬉しそうに笑顔を浮かべながら活発に動き回っていた。
――――
楽しい花火大会も終わり、今は帰り道だ。
夜も遅い時間なので、自然と俺はハルヒを送る事になる。街灯の明かりが俺たちをぼんやりと照らす。
何が起こるんだ? ここまでそれらしい出来事なんて無かったと思うが。ポニーテールを褒めただけで満足したのか?
さすがに緊張してきたぞ、このままハルヒを家に帰らせてはいけないのは俺でもわかる。
かといって、あまり過激な行動をとればそれはそれで問題だろう。
「キョン! 今日は楽しかったわ。あんたもそう思うでしょ?」
ハルヒは突然俺に悪戯っぽい視線を送り、笑顔で問いかけてくる。
自然とハルヒの顔越しにポニーテールが揺れ動き、俺の視界に飛び込んできた。
とても嬉しそうだな。そんなに楽しみにしてたのかこいつは。
「そうだな、今日はとても楽しかったぞ。ハルヒのおかげでな」
俺は素直な気持ちを口に出してみた、ハルヒは恥ずかしかったようで、
「な、なによ、あんた今日変じゃない? 妙に素直というか……。まあいいんだけどね」
「あー、いや、ほら、俺は今の気持ちを素直に言っただけだ」
ハルヒはニヤニヤしながら俺の顔をじろじろ見つめてきた。まさかばれてないよな。
704 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 20:53:33 ID:0Y7Q+fN5
支援
そしてハルヒは意外な行動に出る。
俺に抱きついてきたのだ。浴衣姿+ポニーテールで抱きついてくるなんて、おまえ反則じゃないか。
「おい……」
「いいじゃない、あたしがこうしたい気分なんだから。少しだけこのままで……」
まさかこいつから抱きついてくるとはな、俺でも驚くぞ。この時間上の俺だったらどうしただろうか?
俺は迷うことなく、ハルヒを優しく抱きしめる。柔らかい感触と同時に、いい匂いが俺の鼻腔を刺激し始める。
「キョン、あたし……」
ハルヒは抱き合ったまま俺の目を見つめてきた。うむ、危険なほどかわいい顔だぞ、キスしてしまいそうだ。
いやいやさすがにそれはまずい、俺がハルヒとキスしたのはあの空間だけだ。それ以外では記憶に無い。
だが――ハルヒは、ものほしそうな顔で俺を誘惑する。
もしかするとこのタイミングかもしれない。
そう考えた俺は、今頭に浮かんだ事を、努めて冷静にハルヒに語りだす。
「あのなハルヒ、お前に言っておきたいことがある。とても大事な話だ。
今だけは……。そう今だけ、俺は素直な気持ちをお前に話すから、真面目に聞いてくれ」
俺の真剣な様子に、ハルヒは目を見つめたまま黙って聞いている。
「これからも、お前につらい思いをさせてしまうかもしれないが、俺は本心を打ち明ける時が必ず来る。
だからその時が来るまで待っていてくれないか、いや待っていてほしい」
俺はハルヒを優しく抱きしめたまま、澄んだ黒い目を見つめて訴える。
「な、なに言ってんの、突然何よ。あ、あんた熱でもあるんじゃないの?」
「俺は真剣だ」
「…………」
ハルヒの顔色が変わる、うっすらと目に涙が浮かんでくる。
見つめあったまましばし沈黙した後
「待っていてくれるか?」
俺は、努めて優しくハルヒに問いかける。
ハルヒは、俺の目を見つめたまま、黙ってうなずいた。
家に着くとさすがに疲れたが出てきたぞ。
ちなみに浴衣姿のハルヒは、ポニーテールを揺らしながら笑顔で帰っていった。
俺のとる行動に間違いはないとすれば、これでいいって事になる。しかしこれでよかったのか? 正直分からないんだが。
まあ花火の帰り際に長門が言ったことを信じれば、後は寝るだけで、
目覚めたときには元の時間平面上に戻っているという事だからな。ここは素直に長門を信じよう。
しかしびっくりしたな、だってここにいたハルヒも凄いかわいかったんだから。とてもいい匂いがしたし。
当時の俺はハルヒの魅力に気がついていなかったけどな。いや自分の気持ちを誤魔化してた言ったほうがいいだろう。
この時間平面上の俺はまだあれだからな、うむ、まあ察してくれ。
俺は倒れこむようにベットに飛び込むと深い眠りについた。
………
……
…
「……ョン、おきて…。キョン……。起きろって言ってんでしょうが!!!!!」
くくるしい、首を絞めるなお前は殺す気か――
とび起きた俺、すぐに状況を確認する。
706 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 20:54:50 ID:0Y7Q+fN5
支援
どうやら成功したらしい。俺の首を絞めた奴は見覚えのある顔だ。それも最近見慣れているハルヒの。
「おう、おはよう。元気か?」
あえて元気に声をかけた。ハルヒは少し驚いた様子で、
「なに? どうしたのよ? 久しぶりに会ったみたいな挨拶なんかして」
「いやなんでもない、お前の顔を見れて嬉しくなっただけだ」
「な、なに言ってんの? 毎日見てるじゃない、もう寝ぼけてないで早く出かけるわよ。
結婚式に遅刻なんて許されないんだからね」
――――
「こんな体験をしたわけだ。お前はどう思う?」
俺は新郎控え室にきた古泉に、会場の手配等で世話になった事を感謝した後、今朝方体験した事を問いかけてみた。
「僕にはなんとなく分かりますよ。それより、あなたは本当に理解してないんですか?」
「分からないから聞いてみたんだが」
「そうですか、では出来るだけ短くお話しましょう。当時のあなたはどう思っていたかは知りませんが、
高校時代あなたと涼宮さんは公認のカップルだったんですよ」
ある程度分かってはいたが、古泉の口から聞くとは思わなかったぞ。
「簡潔に言うと、あなたといる時の涼宮さんはとても魅力的なんです。逆に言うとそれは必ずあなたがいないと
成立しないわけです。周りにいると自然に分かるんですよ。彼女に相応しいパートナーは、あなたしかいないと」
俺は黙ったままだ、こんな時に何を反論しても無駄だろうからな。
「では本題の時間移動の話です。今の時代のあなたが、今の時点で過去の時間平面上に飛ばされたのには
理由があるはずです。恐らく過去にいる涼宮さん自身が今のあなたを望んだんです」
「お前は何が言いたいんだ」
「涼宮さんの中では、あなた以外の選択肢が無いわけです。あなたと涼宮さんだけで例の空間に行って
無事に戻ってきた時から。しかしあなたはそれらしい素振りを見せない。いくら涼宮さんでも少なからず不安だったのでしょう。
あなたがどう思っているのか知りたくなった。だから無意識のうちに、彼女が望む未来の中からあなたが呼ばれたんです」
また黙る事しか出来ない俺。とりあえず最後まで聞いてやろう。
「あなたがいつの夏休みに飛ばされたかは分かりませんが――この出来事がなければ、あの終わりのない夏休みのような
ことになっていたかもしれません。例えば、高校三年の一年間を延々と繰り返すとかしていた可能性もあります」
俺は黙って聞く事に徹する。
「高校を卒業すると少なからず疎遠になりますからね。そうなる前に涼宮さんはなんらかの確証を得たかった。
こう仮定するとループする事は十分に考えられます。彼女なりのアプローチを、当時のあなたは見事なまでにスルーしますから。
そこで、今の時代のあなたが過去にいる涼宮さんの不安を取り除き、その結果無事に卒業して、彼女はあなたと同棲するという
大胆な行動にでた。そう考えると、過去に行くあなたは今の時点である必要があったんです。
涼宮さんと結婚を決意して、精神面の迷いがない今のあなた」
うむ、そう言われるとそんな気もしないでもない。
「あと、これは僕の勝手な予想ですが、涼宮さんが妊娠したのは彼女が望んだからじゃないかと思うんです」
「まあとりあえず聞いてやる。お前の考えを言ってみろ」
「では遠慮なく。今のまま大学を卒業しても、あなたと涼宮さんの関係はしばらく進展はなかったと思います。
僕の考えでは、あなたは就職してからも数年間は、涼宮さんにプロポーズする気は無かったのではないですか?
少し生活が安定するまで、彼女も待っていてくれるだろうと信じて」
正直否定できないぞ。就職したばかりでプロポーズっていうのは俺には似合わない。
「あなたはそれでよくても、涼宮さんは今まで待ちくたびれてますからね。
それにあなたが就職先で誰か積極的な女性に迫られて――という事も考えられますから。
だからあなたの子供を妊娠したいと思った。そうなればいくらあなたでもプロポーズして結婚を決意するでしょうから」
「ハルヒの力だとでもいうのか?」
「それは違うと思います。彼女の力はあなたと同棲した頃に封印されていますから。たぶんあなたに嘘をついたのでは?」
古泉は爽やかスマイルで俺を見ている。ほんとに気持ち悪い奴だ。
もし古泉の言う通りだとして、ハルヒが俺に嘘をついたとすると――やっぱりアレしかないだろうな。
いかにもハルヒらしい行動だ。
古泉の長々とした演説が終わり静寂が訪れるかと思ったのだが。
「キョン君! ハルにゃんのとこに行こう!! とっても綺麗だから見てあげて!!」
最近ハルヒに感化されつつあるわが妹が、ノックもなしに大声で入り込んできた。
「こら、ノックぐらいしなさい。お前は女の子なんだぞ。もう少し、おしとやかにだな……」
「いいから早く行くの! ハルにゃん待ってるよ!」
背中を押されるように俺は新婦控え室に連行される。
「キョン君行ってらっしゃーい!」
妹の手によって、俺は新婦控え室に放り込まれた。
全くあいつはいつからこんな乱暴者になっちまったんだ? 後できつく言っておこう。
妙に静かだ。誰もいないのか? そんな錯覚を覚えるぐらい静まり返っている。
窓際にいるその花嫁は、春の柔らかい日差しを浴びて感慨深げに外を眺めていた。
「ハルヒ」
俺の言葉を聞いて、ゆっくりと振り向く――
「キョン……。あたし……似合ってる?」
「…………」
正直驚いた。お前ほんとにハルヒなのか? その声は紛れも無く聞きなれたものだが、今の姿かたちは……。
俺は絶句したままだ。正直言葉じゃ言い表せないほど綺麗でかわいくてとても似合っている。
派手すぎず、かと言って地味なわけではなく、なんと言うか俺の心をこう鷲掴みされた感じだ。
ハルヒが近寄ってくる。
「キョン?」
「…………」
「キョン!! 見とれてないで何か言いなさいよ!! どうなの今のあたしは?」
「…………」
「うぐぬぬ……。黙ってないで何か言いなさい!!!!! 一生に一度のことなんだからね!!!!!
今のあたしはどうなのよぉ!!!!! 早く言えーーーーーーーっ!! 言わないとほんっとに死刑だからっ!!!!!」
「…………似合ってる…」
呟くように言葉が出る。
「あっ……」
「とても似合ってるぞ」
ハルヒの目を見つめて偽りの無い言葉をかける。
「……ほんとに似合ってる?」
うつむき加減で顔を赤くした花嫁は、らしくない口調で俺に問いかけ、不安そうに表情をうかがう。
「ああ、世界で一番綺麗だぞ」
「キョン、ありがとう……」
花嫁は俺に抱きつくと感極まったようで、肩を震わせてわんわん泣き出す。こんな弱弱しい姿を見るのは初めてかもしれない。
俺は、ハルヒを優しく抱きしめて、落ち着くまでゆっくり待つ事にした。
――
気持ちの整理がついたようだ。元気いっぱいなハルヒは楽しそうに俺に話しかける。
「キョン! ポニーテールにしてあげようか? あんたあたしのポニーが好きなんだもんね。ちょっとまってて!」
ハルヒは髪留めのゴムを手に取ると、姿見の前で一生懸命ポニーテールを作ろうとしている。
「むう……。相変わらず難しいわ。もう少し長ければ……」
花嫁衣装でポニーテールを作ろうとするハルヒ。不覚にも萌えてしまう。
「できたわっ!!!!!」
得意満面でハルヒは俺に、
「どう?」
「とても似合ってるぞ」
俺は即答だ。ハルヒは嬉しそうに抱きついてきた。
「らしくないじゃない、あんたそんなにポニーが好きなの? もしかして……ポニーなら誰でもよかったりして」
瞬時に強い視線で睨まれる俺。ほんとにこいつは……。
「どうなの?」
「あのな、ハルヒがポニーテールにするからいいのであって、他の女が同じ事したって俺は何も思わないぞ」
「じとー」っとした目で見つめられ、どうしたものかと思っていると、すぐに機嫌を直したようだ。
悪戯っぽい笑顔になるやいなや、抱き合ったままでとんでもない事を言い出す。
「うふふ……。ねえキョン、この格好でしてみる? あんたの好きなポニーテールにウエディングドレスよ、
しかも今は二人だけ……」
小悪魔のような顔で俺を挑発するハルヒ。おいおい突然何を言い出すんだお前は。
「こんなチャンス二度と無いと思わない? 今から……する?」
そんな格好で俺に迫るな反則だ、それに式が始まる前からそんな……って終わった後でもさすがに遠慮したいぞ。
「おまえ、それはまずいだろ。いくらなんでも、こんな所でそんなことは……」
「ふふふっ……。キョンらしいわね。まあいいわ、式が終わったらこの衣装は格安で譲ってもらう事になってるから。
だから後で使いましょう。オプションでポニーをつけてもいいわ」
ニヤニヤしつつ俺の表情を伺うハルヒ。
お前はやっぱりコスプレマニアなのか? この分だとSOS団で使った衣装も保存してそうだな。
いよいよ結婚式だ。まさかハルヒと立派なチャペルで挙式するなんて思いもしなかったな。
ハルヒは相変わらず大暴走を起こし、誓いの言葉を元気よく宣誓した後――
俺が真っ赤になりそうな恥ずかしい台詞を、会場中に響き渡る程の大声でしゃべりやがった。
誓いのキスでは、100ワットの笑顔で俺に抱きつき、強烈なディープキスをしてくるなど――
もうな、あれだ、ここまでされると俺も楽しくなってくるぞ。緊張なんて忘れてた。
ちなみに、ハルヒが勢いよく放り投げたブーケを受け取ったのは鶴屋さんで、
「あたしがもらっちゃっていいのかい? めがっさ嬉しいよ! ハルにゃんありがとっ!!」
朝比奈さんと抱き合って喜んでおられた。ちょっと羨まし… いや、羨ましくないぞ!
続いては披露宴だな。いやもう説明は要らないんじゃないか?
「みんなで大騒ぎして、一生忘れられないような経験をさせてもらった」これで十分だと思うぞ。
駄目か? すまんが勘弁してくれ。
――――――――――――――――
710 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 20:57:30 ID:0Y7Q+fN5
私怨
懸念していた事をどうにか全て無事にこなし、平和な日常のありがたみを改めて実感しているところだ。
光陰矢のごとし。社会人になった今それを実感する。
あわただしい春が過ぎ、騒がしい夏を満喫し、日常に慣れた秋も終わって、今はもう冬を感じる。
俺の社会人一年生もここまで順調に経過し正直ほっとしている。
幸いにしてハルヒの体調も安定しており、仕事をしながら毎日を元気に過ごしていた。
夏になると海に行きたい、花火大会に連れてけ、盆踊りも忘れるな――
相変わらず元気いっぱいなハルヒと、今年は妹も一緒になってSOS団のみんなと恒例行事をこなし
毎日を楽しく過ごしている。
妊婦らしい姿になってきたハルヒが「お腹を触ってみて」と俺がこわごわながら撫でた事や
ハルヒが一人でいるときに、優しい表情でお腹をなでているのを目撃したこととか
臨月になっても仕事をしようとするハルヒを、俺がどうにか説得したこともあった。
今までの人生で一番濃い時間をハルヒと共有したわけだ。
そしてその日はやって来る。
ハルヒは入院を嫌い、その時まで家にいると言い張るので俺の母親と一緒に毎日を過ごしていた。
仕事中の俺に携帯が入る。珍しく母親からだ。
「すぐにでも生まれそうだから病院に来なさい。女は一人じゃ寂しいんだから早くしなさいよ」
俺は上司の許可を取るとタクシーに飛び乗る。行き先を告げた後は時計と睨めっこだ。
こんなに時計を見つめたのは生まれて初めてだな。でもこういう時は誰でも同じ行動をとるんじゃないか。
それほど遅くはないが、到着までにそれなりの時間がかかってしまい、俺はかなり心配しながら病院の自動ドアをくぐる。
受付で目的地を聞き、自然と走り出しそうな勢いでそこに向かう。今の俺はどんな顔をしているだろうな。見てみたいぞ。
エレベーターを待つのがもどかしい。階段を一段飛ばしで駆け上がる。
はやる気持ちを抑えられないまま、ようやくその場所にたどり着いた。数回深呼吸をした後――
俺は病室のドアを開けた――――
「遅刻! 罰金!!」
ベットを起こして待っていたハルヒは、俺の顔を見るなり懐かしいフレーズを言い放つ。
「キョン、遅いじゃないの。まったく、あんたは肝心な時にいないのね」
きつい言葉だがなぜか怒っている様子は無い。
「すまん、これでも急いできたんだ。ほんとに申し訳ない、許してくれ」
俺は土下座しそうな勢いでハルヒに謝罪する。
「まあいいわ、特別に許してあげる。あんたも見てみなさいよ、あたしに似てかわいい顔してるわ」
ハルヒは、もう嬉しさを隠し切れないという表情で悪戯っぽく笑いながら、俺に得意な視線を送り元気にしゃべりだす。
「は・や・くぅ・見てみなさいよ! ほんっとにかわいいんだから!!」
新生児用ベットで寝ているその子は、すやすやと眠っており、触れるのが躊躇われるほど穏やかな顔をしている。
よーく見ると確かにかわいい。ハルヒに似てるか? 全体の雰囲気なんかがそうかもしれない。まあ女の子だしな。
まさか性格までハルヒにそっくりとか……。一瞬寒気がしたぞ、変な考えはよそう。
少したって、電話を掛けに出ていた母親に出産の経緯を聞かされた。
あの電話の後、ハルヒは間もなく出産したのだそうだ。
予想以上の安産で、周りにいた医者を驚かせたというのだから、さすがはハルヒといったところか。
この病室に来たのは俺が来る十分ほど前だという。母子共に健康で何の問題もないというのは俺も素直にうれしいな。
ああ、ちなみにこの子名前はハルヒがもう決めている。
でもな、俺とハルヒの名前からとったもんだからここで発表は出来ないんだ。すまんが勘弁してくれ。
しばらくしてハルヒのご家族と俺の妹も駆けつけ、みんなで談笑しているとあっという間に日が暮れてきた。
さて今日はいったん帰る事にする。ハルヒにも帰れと言われたし明日も朝から一緒だからな。
712 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 20:59:03 ID:0Y7Q+fN5
私怨
あけて今日は十二月二十三日。休日だな。俺は朝からハルヒの付き添いで病室に来ている。
今は珍しくハルヒと二人だけだ。愛らしいわが子は夜間だけ新生児室で面倒を見てもらっており、もう少ししたら
ここに戻ってくるはずだ。今日はみんなもお祝いに来てくれる予定でまた賑やかになりそうだな。
毎年クリスマス目前のこの時期になると、俺は思い出す出来事がある。
「ハルヒ、もう俺の前からいなくなったりしないよな」
考えていた事が不意に口に出てしまう。
俺は瞬時に胸ぐらをつかまれて、至近距離から刺すような視線が飛んで来た。
「ふざけないでよ!!! あんたの前からあたしがいなくなるっていうのは、あたしの前からあんたがいなくなるのと
同じじゃない。あんた誓ったでしょ、突然いなくなったり、先に死んだりしないって。またあたしを悲しませるつもりなの?
もういい加減にして! あんたが三日間も意識がなかったとき、あたしがどんな思いでいたか……」
「すまなかった。変な事言っちまったな。
俺は、もしお前がいなくなっちまったら、宇宙の果てでも取り戻しに行くからさ。心配するな」
「あたしだってあんたを手放したりしないわ。あんたは、あたしだけの大切なものなんだから、誰にもあげないわよ」
見つめ合ったままニヤニヤする俺たち。
「キョン! 仲直りしてあげるわ。愛情をこめて……」
「キスすればいいのか?」
言葉をかぶせるように悪戯っぽく問いかけてみる。
ハルヒは100ワットの笑顔を浮かべると、
「キョン、あたしの目を見ながら愛情をこめて『愛してる』って言いなさい!」
ニヤニヤして楽しそうなハルヒ。
もう恥ずかしさなどない俺はお望みどおりの行動をとる。
「ハルヒ、愛してるぞ」
俺は口をふさがれた。
fin
おわりです
スレ借ども
GJ!!ちょっと今から策略も読み直してくる
長めの投下されたようなのでかなりお遊びで書いた学校の短いの投下w
717 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 21:01:58 ID:0Y7Q+fN5
「誰の思惑」
暗い部屋。
光が一瞬瞬く。
静寂。
物音。
得体の知れぬ気配。
何かに絡め取られて存在は消える。
男は笑った。
その笑い声を聴いたものはこの部屋にはいないだろう。
高崎佳由季は今日も目覚まし時計のアラームを聴くことなく目覚める。
この朝の迎え方にもすっかり慣れた。
空気の冷たさがあの季節からどれだけ離れたかを教えてくれている。
6年に渡って目覚まし時計は彼に朝と物理的衝撃をもたらすものだった。
それが一般的な用途に戻り、やがて目覚まし機能が必要なくなった。
佳由季にEMP能力はない。
だからこれは異能の力でもなんでもなくて、ただの習慣だ。
非日常が日常になってしまった場合、それは日常と呼べるのだろうか。
答えはYESだ。もうこれは非日常でもなんでもない。
ベッドから這い出して一連の日課を済ませ、学生服に袖を通す。
ネクタイをいつもと変わらぬバランスで締め、鏡の自分に仏頂面を向ける。
同室にいるはずの迷惑白衣男は今はいない。
そういえばここ3日いない。
別に気に留めたりはしない。
宮野秀作が何をしようと、そこに不自然は存在しないからだ。
敢えて言えば彼自身が不自然そのものであり、それがゆえに行為自体は全て自然なのだ。
学食まで出て行って、妹に配膳を受け、空いた席に腰を下ろす。
「おはようございます、高崎さま」
光明寺茉衣子。よほど寝ぼけていたのか、今まで気付かなかった。
「ん、おはよう」
「高崎さま、班長はここ数日部屋に戻ってまして?」
「いや、3日前くらいから見ないな。どこに行ったか知らないのか?」
「ええ。おかげで清々しい朝を過ごさせていただいております」
吸血鬼の一件以来、想念体はその数を減じ、さてなぜだろうと考えていると、
「ですがあの班長がわたくしに何も言わずいなくなるなんて、
不自然だと思いませんこと?おかげで起きている間何か落ち着かないのです」
「また真琴が何か言いつけたんじゃないのか。
お前に知られてるとまずいような調査だか何だかを」
「真琴さんは何も教えてくれないのです。
そもそも班長の行方を知っているのかどうかすら疑わしいですわ。
全てをお見通しなのが真琴さんですが、全てをぶち壊すのが班長ですから」
まぁ真琴が知っていてもおかしくないし、それを宮野が出し抜いていてもおかしくない。
ここのところ学内は比較的平穏で、宮野がいないことでこの平和が訪れているのなら
むしろずっと失踪していてほしいくらいだ。
「いたらいたで迷惑この上ありませんし、
いなければいないで静かすぎて落ち着かないのです。
二律背反、矛盾ですわ。高崎さま、わたくしはどうすれば―」
と言ったところで佳由季が席を立った。
茉衣子とエンドレストークできるのは全宇宙、全平行世界を探しても宮野だけだろうし、
エンドレスじゃないにしても朝の時間を無為に過ごすつもりはない。
「どうもしなくても、あいつなら必要な時に出てくるだろ。必要じゃない時にもな」
ツンデレデレデレデレデレしたハルヒ見てると
歯がゆいというか気持ち悪いというかよくわからん感覚に襲われるわ
茉衣子は一度部屋に戻った。
(班長がいなくなって落ち着かないのはわたくしだけなのでしょうか?
何やら不穏な気配がいたします。これが胸騒ぎなどと思いたくはありませんが)
「茉衣子ちゃん、どうしたの?ぼーっとして。
1限始まっちゃうよー?」
茉衣子は答えなかった。声の主、高崎若菜は悪戯っぽく笑って、
茉衣子の首筋を後ろから突っついた。
「ぎゃぁっ!あっ、若菜さん?いたのなら声をかけてください。
こんな幼稚な挨拶は驚いてしまうだけですわ」
「初めからいたもーん。授業始まっちゃうよー」
「あ、そうでしたわね。急がなければ」
二人は揃って部屋から出て行った。
だが部屋はまだ無人ではなかった。
衣装ダンスの裏側、薄っぺらい影のようなそれは、
不気味に揺らいであたりを薄暗くさせ、やがてふっと消えた。
蒼ノ木類は困惑していた。
いや、彼女は困惑が日常の大半を占めているから、それ自体は珍しいことではない。
何に困惑していたかと言えば、今のこの事態にだった。
猫がいる。1匹。学内でペットを飼う許可は下りていないはずだ。
ならば迷い猫だろうか?類はおずおずと手を伸ばす。
彼女は猫専用のテレパスで、猫がいない以上この学園では一般人とほとんど変わりない。
EMP能力者である、という属性のみであり、まさにそれだけしかない。
だが今においては、普段は事実上透明化している彼女の能力が活用できそうだった。
猫はあくびをして警戒心を解いていた。まるで類が思念を読み取るのを待っているかのように。
<<宮野秀作がとらわれている。我輩は猫であって猫でない。早急に伝えてくれ>>
…誰に?
<<誰にか、ふむ。誰にであろうな。そもそも私はなぜここにいるのだろうか。
我輩は猫であって猫でない。名前はもともとない>>
思念は妙に澄み切っていた。
最近ごぶさたではあったが、記憶にある一般的な猫の思念はもう少し穏やかで
のん気なものであったはずだ。
類はきょとんとしていた。そのうちに猫はふいっと窓から外へ行ってしまった。
外は月が輝いている。
―というような事を類から聴いたのは茉衣子である。
「とらわれている、とは一体どういう意味でしょうか?
身体の自由がきかず、身動きが取れないというのであれば、
これは相当に異常な事態ですわね。
班長とは長くも短くもない付き合いですが、今までそんなことは一度もありませんでしたわ」
「で、でもっ!あの猫さんが確かにそう伝えてきたんです!
もしも班長さんに何かあったら…」
茉衣子はさほど心配していなかった。むしろ安心していたくらいだ。
(班長がとらわれるようなことがあるなら、わたくしはとっくに
―介入する。実行。終了。
「おそらく班長は学内にいるのですわ。
そうですね…。放っておきましょう。大丈夫。すぐにまた現れますとも」
「そうですかぁ。それならいいんですが…」
「むにゃ?二人で何話してるの?」
若菜が寝ぼけ眼で顔を上げた。
茉衣子は数少ない友人専用の微笑みを浮かべて何でもないと言った。
夜が更けてゆく。
佳由季は気配を感じ取っていた。
彼はここにいることを除けば一般人と変わりないから、
感じ取れる気配も一般的な種類に限定される。
―誰かがこの部屋にいる。
誰か。そう、人の気配で間違いない。
「誰だ。半分以上分かってる気もするがさっさと出てこい」
佳由季の目の前に現れたのは黒い影だった。
立体だが見かけ上は平面な、そこだけインクで塗ったような丸い影。
「宮野か?」
影は答えない。だが佳由季はさして警戒もしていなかった。
「あんまり光明寺を困らせるなよ。それなりに気にしてはいるようだぜ」
それだけ言うとまた机に向かい寮生名簿を睨み始めた。
影は忍び寄る。音もなく。
影は大きさを増し、距離を詰める。
真後ろで影は―。
茉衣子は気配を感じ取っていた。
彼女は学園の大勢と同じくEMP能力者で、
感じ取れるものは常人のそれよりも範囲が広い。
―誰かがこの部屋にいる。
それは間違いない。なぜなら若菜がすぐそこで眠っている。
そうではなくて、他に誰か。
類なら自室に戻ったから、もうここにはいない。
「どなたですか?女子寮に忍び込むなど不届きにも程がありますわ。
今なら間に合います。さっさと出て行きなさい」
茉衣子の背後にはやはり黒い影が現れた。
茉衣子は気にする様子など全く見せず、
「何のお遊びですか?いつもは白いから黒くなってみたとでも言うつもりでしょうか。
全く面白くありません。黒ならばわたくし一人で十分です」
それだけ言うと振り向いて影を睨みつけた
影は忍び寄る。音もなく。
影は大きさを増し、距離を詰める。
正面で影は―。
暗い部屋。
光が一瞬瞬く。
静寂。
物音。
得体の知れぬ気配。
何かに絡め取られて存在が現れる。
男は笑った。
その笑い声を聴いたのは…茉衣子と佳由季。
「はっはっはっは!大成功だな!
いや、3日もかけて研究した成果があったというものだ。
これでまた『黒夢団』の入団希望者も増えようというものだ!」
宮野秀作は明かりも点けずに笑っていた。
というか単に忘れているだけだろう。
そう思って佳由季は壁際まで歩いて、手探りでスイッチを押した。
珍しく茉衣子と同じ感情を抱いている気がしていた。
すなわち呆然としているわけである。
「さっさと説明なさってください。何の実験でしょうか」
「影を切り離す実験をしていたのだ。
ついでに任意のものを取り込んで呼び寄せられるように機能を追加してな。
おかげで大分作業が増えた。影を動かすだけなら3日前にもう出来ていたんだがな」
「類さんにわざわざ猫を送ってよこしたのも班長ですの?回りくどいったらないですわ」
「猫?何のことかね。学内ペット厳禁なのは茉衣子君も重々承知だろう」
「ではあれは一体…」
「僕は部屋に帰るぞ。二人でいつまでも喋ってればいい。
わざわざ僕まで巻き込むことないだろう、宮野」
「道連れは多いほうが楽しいのは何も旅に限ったことではないぞ寮長殿!」
道連れのニュアンスが違うと思ったがわざわざ突っ込むのもばかばかしい。
佳由季は何も返さずにさっさと教室から出た。
その様子を眺めながら宮野が話を続ける。
「猫とは一体何だね?いや生物学的説明は無用。類君の部屋に現れたと?」
「えぇ。ですが班長がどうってことなかったのですから、
その猫にもなんら意味はないのでしょうね。追求するだけ無駄ですわ」
「意味のないことなどないのだよ茉衣子君。また干渉の気配がするな。
そしてすぐさま解決できそうでもある。さぁ行こうではないか愛弟子よ!」
「弟子と呼ばれる筋合いも『愛』とグレードを上げられる覚えもございませんわ」
数分後に二人は教室を後にした。
猫がどうなったのかは、さて、誰の知るところだろう。
<おわり>
学校はさらっと一通り読んだだけだから変なとこばっかかもしれないが、
まぁこっちののSS自体あんまないみたいだったんでそのへんで勘弁してくれ。
ハルヒより何でも出来すぎてどうすればいいのか分からなくなるなw
>>722 そうだよな。涼宮ハルヒシリーズオンリーなスレじゃないもんな
最近すっかり忘れてたよ
725 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/28(月) 21:35:41 ID:9sTiXVnP
1−5のクラス名簿を慌ててチェックしようとした自分w
学校を出よう!も読んでみたくなったよ
>>714 ”ハルヒの妊娠”ものと聞いて寝取られ物を期待したんだが、
”ハルヒ”の妊娠ものだったわけね……こりゃおじさん一本取られちゃったなぁアハハハ
>>714 「策略」からじっくり読み直してみた。
すごく甘〜くて幸せなSSなのにハルヒのツンの部分が失われていなくて原作のハルヒらしさがでていて以上にイイ!
全体通してグダグダになりそうな箇所をうまくキョン節で飛ばしているから読みやすい。
すばらしいものを読ませて貰いました。GJ!
>>714 まさに涼宮さんが望んだ結果ですな。
GJ。
>>722 元を未読なんで感想は言えんが
でよう!を読んでみたくなった。
>>714 GJ、とても読みやすかった。
どうでもいいが人の投下中にレスくらい控えれ、お前ら
>>723 一通り読んだだけで学校の空気を再現できるのはすごいなあ。
面白かったです。
>>636の続き投下します。
たった今書き終えた。
屋上に上る途中、足の痛みが無くなっているのに気付いた。出血も止まっている。
「あなたの自然治癒力を活性化させたのよ」
ナイフの件もそうだが、ありがとう朝倉。
「べ、別にお礼はいらないわ。それより、涼宮さんを説得出来るの?」
出来る出来ないじゃない。やらなきゃいけないんだ。
そんな会話をしているうちに、屋上の扉の前に着いた。
スー、ハー。深呼吸をして扉を開ける。
髪の長い少女が、柵に頬杖をつきながら退屈そうに遠くを見ていた。
「間違いなく涼宮さんよ。髪が長いのは、まだあなたと話をしてないからね」
>>723 うむ、押さえるべきところを的確に押さえてくれて萌えたぜ。
前作ももう一回読んでくる。
おい、と声をかけるとハルヒは鬱陶しそうにこちらを見た。
「なによ。こんな所に来るなんてあんたも変わり者ね。用がなかったら話し掛けないで」
思わず苦笑してしまった。予想通りの反応だったからだ。
「あれ?あんた確か、同じ組の、えっとキョンだっけ?ん―、なんだろこの感じ。
初めて会ったはずなのに前から知ってるような気がするの」
「そりゃそうだ。俺達はお前と一緒に色々やってきたからな。
毎週不思議探索パトロールしたり、島で古泉のどっきりに驚かされたり、文化祭では映画も造ったしな」
「そんな事してな―う、うう」
(その調子ね。もう少し刺激を与えれば涼宮さんは記憶を取り戻すわ。あと一息よ)
なら、駄目押しだ。
「ハルヒ。俺、実はポニーテール萌えなんだ」
「なに?」
「いつだったかのお前のポニーテールはそりゃもう反則なまでに似合ってたぞ」
「バカじゃないの?」
そして―あの時と同じく強引に唇を重ねた。
数秒後、俺はまた床と顔を合わせるはめになった。ああ痛え、今回は本当に払い腰を掛けてきやがった。
「キョーン、二度も団長のあたしにこんな不埒な真似をするなんて、覚悟は出来てるんでしょうね―って、キョン、なんであたし髪が長くなってるの?」
よし、まずは思い出してくれたか。さて、本番はここからだ。
「というかキョン、なんであんた生きてるの?あの事故でキョンは―」
「ああ、あれで間違いなく俺は死んだ。ここは、お前の―夢の中だ。その夢に、俺の魂が偶然引き寄せられたんだ」
「キョン、あたしあんたに言いたい事があるの」
言ってみろ。
「あたしね、キョンの事が好き。何時からかはわからないけど。はっきりそう思ったのはあんたが階段から落ちて入院した時。
あの時あんたの事すごく心配したんだから。もう目を覚まさないんじゃないかって」
…。
「でもね、あたし素直になれなくてね。結局自分の気持ちを伝える前にこんな事になって、すごく後悔してる。なんでもっと早くに言わなかったのかって」
「俺だってそうさ。なんでもっと早くにお前に好きだって言わなかったのかって後悔してる」
「キョンも同じだったのね。でも、遅すぎたの。キョンは死んだから。
…ねえ、このまま夢の中で過ごす事って出来ないのかしら。
もう現実なんてどうでもいい。キョンがいない世界なんていらないもの。もう全部忘れたい」
「…ハルヒ、本気で言ってるのか?」
「こんな事冗談で言うわけないじゃない。もう全部忘れたい―」
パン。屋上に乾いた音がなった。
「本当にいいのか。SOS団のみんなとの事も、俺の事も忘れた方がいいっていうのか!
いいか。これは俺からの願いだ、よく聞け。
俺は、ハルヒにいままでの出来事を忘れて欲しくない。絶対にな。お前に忘れられちまったら、俺の生きた意味が無くなる。
それに、お前にはSOS団を頼むと言ったはずだぜ」
「…わかったわ。団長が雑用のわがままを聞くなんて珍しい事なんだからね。感謝しなさいよ」
はいはい、わかりましたよ。
「その代わり、条件があるわ。…ぎゅって抱き締めて、キスして」
御安いご用です、団長閣下。
「ん……」
団長閣下の命令を実行した後、ハルヒが消えた。
「心配しないで。涼宮さんは元の世界に戻ったわ。今この改変世界にいるのはあなただけよ。ついでに言うと、もうそろそろこの世界は消滅するわ」
そうか。俺の役目は終わったな。
「本当に良かったの?放っておけば後一年生きられたのに。
あなたは死ぬのが怖くないの?」
最後だから言ってやる。怖いさ。怖くて怖くて仕方がない。
情けないよな。ハルヒ達にはあんな偉そうな事言っておきながら自分はこれだ。
だがな、後悔はしていない。俺の死を糧にしてハルヒはさらに成長するさ。
俺も側についていたかったがな。
「有機生命体なのに、自分よりも仲間の事を優先するなんて。理解出来ないわ。でも―
なんで涼宮さんや長門さんがあなたを好きになったのかはわかった気がする」
そう言うと、朝倉が俺の目の前に現れた。なんだ、お前実体化出来るじゃないか。
「大きな力を使うからこうしないと駄目なの」
お前、何をする気だ。
「私に残る全ての力を使って、あなたを元の世界に戻す。もちろん生きてる状態でよ。
私は長門さんより細かい制御が出来るから元の世界が壊れる心配はないわ」
「待て!そんな事したらお前が―」
「どうせ私は消えるもの。それだったらこっちの方が効率的なだけ。
全く、二度もあなたを殺そうとした私を心配するなんて―本当にバカね。
そこがいい所かもしれないけど。
涼宮さんや長門さんによろしくね」
「おい―!」
「最後に一つだけ!うまく言語化出来ないから情報の伝達に齟齬が発生するかもしれないけど―」
俺の耳にはこう聞こえた。
大好き。
7月7日。
あたしは丸一日寝てしまったみたい。団長たる私がこんな失態を犯してしまうなんて。
キョンが生きてたら何を言われたかわかったもんじゃないわ。
今日は七夕。おまけに流星群も見れるみたい。
そうだ。夜に東中で流れ星を見よう。あそこは竹があるから準備もいらないしね。
他の4、じゃなかった3人も来れるらしい。楽しみね。集合時間は8時よ。
午後12時。
あたし達はたっぷり流れ星を見た。 「じゃあこれで解散!」
あたしの解散宣言の後、みんなで帰ろうとした瞬間。
「すまん、遅れた。流れ星は―もう終わっちまったか」
聞き覚えのある声が聞こえた。ううん、きっと空耳よ。あいつはもう―
「おい!いくら遅れたからって無視はないだろ」
空耳じゃない。わかった、きっと古泉君のどっきりね。驚かせようとしたって―
あたしの考えは違った。古泉君も、みくるちゃんも、あの有希でさえも驚いている。
どっきりでもない。じゃあまさか―
「ただいま、ハルヒ」
ものすごい勢いでハルヒが抱き付いて来た。やめろ、苦しい。あと胸が当たっていて変な気分になるから少し離れろ。
「このエロキョン。何考えてるのよ」
お前が抱き付いて来たんだろうが。
「うるさいわねー。団長に口答えしたから罰金よ、罰金」
俺の財布をそんなに軽くしたいのかお前は。
罰金は勘弁してくれ。今度の週末荷物持ちなら引き受けるが。
「なーに、キョンあたしとデートしたいの?仕方ないわね、どうしてもって言うならいいわ」
やれやれ、改変世界での台詞は何処にいったのかね。
ま、いいか。今はまたハルヒ達と会えただけで満足だ。
朝倉―ありがとう。
ええええええええええ
ちょっと復活までの経緯が軽すぎないか
一応終了です。これの続編も実は考えてあります(あらすじはもう出来てる)。
評判が良ければ近日中にでも投下します。
GJ!
gj!!と言っておこう。
まさか朝倉をこう起用するとは。
GJ!
?の後は一文字空けた方が良くて、ダッシュは――みたく二つ重ねるのね。
「ー」と区別がつかなくなって変だし、あと「ー」の使い方が原作ぽくないように感じるのね。
展開が性急というか、ご都合主義とかそこらへんはスルー
途中途中の描写が短いのは残念だったけど、存分に堪能させてもらいました
何よりハッピーエンドに繋げてくれたその心意気にグッジョブ
>>745 おもしろかったよー
ただ、他の人も指摘されてるように、朝倉を起用して復活するなら
もっとドラマティックな復活をとげるともっと泣けたかも。
続き期待してるよー
お疲れ様。
午後12時・・・?
最近キョンはよく皆を残して死ぬな、なんかみんな恨みでもあるのかw
>>755 間違った表記ではない。
午前12時=午後0時
午後12時=午前0時
あれだけの美少女に囲まれていれば
他方面から怨嗟が送られてくるさ。
つまりキョンは英国対外諜報部の工作員
762 :
755:2006/08/29(火) 01:49:21 ID:dbAqfafH
>>757 スマン少し混乱した。
すっかりデジタル時計に慣れすぎてしまったな。
763 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 01:49:31 ID:aGpLMIHs
GJ
宿題が終わらない
エンドレス8よ!我に力を!
つまりキョンはいろんな美女とにゃんにゃんしまくる・・・って合ってる気がするな。
しかし、キョンの消失の続きをまっているけど、キョンがきっちり主人公してくれるといいなぁ。
「あんた、何で私を撃たないの!?」
「撃つさ。本当にそれしか手段が無いならな。だが・・・」
「・・・だが?」
「可能性が少しでもあるならば、俺はお前を助けたい。」
「なんで!?わたしはあんたを・・・!」
「本気でないことはお見通しだよ。それにな。」
「?」
「俺、実はポニーテール萌えなんだ。ポニーテールが反則的に似合っているお前を・・・消したくなんか、ないのさ。」
「!・・・バカだね、あんた。ホントに。でも・・・ありがとう・・・。」
そしてこのままエロ展開か、何故か女キョンがキョンたちの世界に来てしまい、キョン家に居候することになり、そこでキョン
と気持ちを通じ合わせてエロ展開とかだったらいいのだが。
いくら可愛くても自分とどうこうってのはなあ……
キョンがハルヒをレイプする話を俺が俺の脳内にうpしました
「ここは21歳未満立ち入り禁止だってのが読めないの!? キョン! なんとかしなさい!」
続けて長門と消失長門がレズる話をうpしました
最後にみくるが死ぬ話もうpしておきました
>>745 団員はキョンが死んだことを認識してるが死体を消さずにキョンを移動させたのか
それとも埋葬された後にキョンを蘇生させたのかわからん
記憶を持ったまま当日に巻き戻って事故を回避したほうが綺麗だったかも
>>772 時かけってそういう話なの? あした観にいくんだけど……
ネタバレ……? orz
俺もまだ見てないわけだが…
つか昔Ver.も見てない
昔Verは見たことあるから、見に行く気になれない。
亀だけど
>>714 ハルヒスキーの俺はキョンにshit!
777 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 04:50:44 ID:jibGS6ZI
ハルヒ妊娠GJ!
おお、妊娠ネタGJ!
子供の名前が一身上の都合で禁則事項なのに笑った。
779 :
414:2006/08/29(火) 05:19:55 ID:0Se9M3l7
>>687 うお、これは頑張らねば。サンクス! しかしエロって難しいなぁ。
気分転換でメモってる長門朝倉ネタとかもエロ部分だけ未完成で投下できないし。
以下ネタからエロサンプル。
突然組み伏せられてた朝倉の右手が光ったかと思うと、軟体生物の触手の様な形に変化させて長門を貫こうと勢いよく攻撃してきた。
だが長門は数センチの動きで器用にかわす。そのままセーラーから即座に抜き出した左手を流し絡めて脇の下でその光の触手をがっしり固定した。
「え、ウソッ!?」
「一つ一つの攻撃が甘い」
朝倉が叫びたい気持ちがわかる。俺だって自分の目を疑いたい。
特殊CGのSFX相手にどうしてそこまで優勢なんだよ長門。
「わたしの能力についても、自分の身体の感度に対する認識も甘い。だからわたしに弄られる」
そしてスカートに差し込んでた右手を激しく動かしだした。
「え、ま、くふぅああああああああっ!」
「だからわたしに侵入を許す」
どこに侵入を許したのかは優しさとして聞かない方がいいんだろうな。
……こんなレベルでも許されますかっつーか許して。
780 :
414:2006/08/29(火) 05:24:02 ID:0Se9M3l7
エロ指針サンプル2。雰囲気似せた風。
「……ぁ……んっ……くふぅ、ぁあっ!」
全裸にされた朝倉は、再び長門によってたっぷり攻め立てられていた。
長門の口は朝倉の耳たぶから首筋へゆっくりと流れ落ちつつ、要所要所で吸ったり軽く噛んだりし、そのたびに朝倉からは切ない声と吐息が漏れる。
「だ、吸う、のはダ……メ……」
そのまま形の整った二つの胸に対し、長門は名を表すような白い指で、腕の両脇からゆっくりと撫で回すように登山を開始させる。
そのうち片方の手は登山軌道を離れ、ヘソを通ってわき腹、腰へとゆっくり降りていった。
「ひゃうんっ、ぞ、くぞく、する……よ。なにこ、れ……」
双丘の頂、朱に染まるニップルを人差し指で軽く回し押さえ、二本指で小刻みに摘み、そのまますっと胸を横断して対なる頂へと移す。
腰まで降りた指はそのまま股下まで走る関節の括れを伝い、そのまま茂みに突入かと思いきや、股下から膝へと指を下ろして太腿の内側を撫で始めた。
朝倉から流れ出る音は既に言葉にならず、もはや抵抗らしい抵抗も見せていない。
刺激が与えれる度に全身を小刻みに震わせながら、長門に対して全てを委ねていた。
……などと官能文庫さながらの冗長で猥雑な表現回しを使い、俺なりに冷静な判断で状況解説してみたつもりだがどうだろうか。
いや、既に俺の思考に淫靡な霞どころか濃霧がかかっているのはわかっている。
しかし俺も先日ようやく高校生となり、大人の階段を北高への坂道と共に登り始めた健全な精神を持つ男子だ。
学年でもトップクラスの容姿を持つクラスメイトの美少女が、同じくトップクラスの部活仲間の美少女と、
手を伸ばせば届きそうな目の前であられもない痴態に耽る姿をこれでもかと言わんばかりに見せ付けられて
それを沈着冷静に眺める事ができるヤツがいたとしたら、そいつは悟りを開いた聖人君子か、ホモか、あるいは古泉のどれかだろう。
もちろん俺は聖人君子でもホモでもましてや古泉でもないので、その何ていうか色々と持て余している状態となっていた。
がんばってコレが限界。
エロのときモノローグ多いと使えなくなる場合多いからそれだけ注意すればいいんじゃない?
登山にはちと笑ってしまったw
>>414 エロ頑張ってくれ
なんか最近朝倉がブームみたいだな。
キョンと朝倉の純愛は好きなんだがな。なかなか少ない。
でもまぁ、職人様頑張ってください。
キョン「なにがみくるんだ!ここはもうビラビラじゃねえかっ!!」
みくる「いわないで…」
今日も長門の本を閉じてSOS団の活動が終了。 残るは俺とハルヒだけだ。
俺も特に用はないしな。 さっさと帰るか…
「き、キョン!」
ハルヒの少しためらったような声で振り返ると、ハルヒが一糸纏わぬ姿で立っていた。
「キョン、あたし…」
「ハルヒ、風邪ひくぞ」
「あ… うん…」
こんな感じですか? わかりません><
とある放課後、俺は長門が読んでいる題名が偶然目に入った。
『 少年H 』
一瞬血迷った俺を誰が責められよう。
>785
キョン淡白すぎw
>>785 このあとキョンが紳士的に上着をハルヒに着せてやると
同時に狙ったようなタイミングで谷口が登場するわけですね
「キョンよ・・・お幸せにぃぃぃぃぃ!!」
バタンッ
「なんだあいつ」
「・・・・・・・・・」
4月×日
今日から高校生なのね。
知らない人がほとんどだけど、成崎さんや佐伯さんや大野木さんがいるから安心なのね。
でも、クラスにこわい人がいるのね。
その人は涼宮さんというのね。いきなり自己紹介で「ただの人間には興味ありません。」とか言うのね。
どうしてそういうこと言うのかな?
こわいのね
4月××日
部活動をコーラス部に決めたのね、佐伯さんも入ってくれたのね。そういえば、涼宮さんはどこに入ったんだろう?
お友達がいないらしく、ずっと一人なのね。
中学の頃から、すごく変わった人でみんなは「ほっとけばいい」とか言うけど、今後声かけてみようと思うのね。
4月×○日
今日「おはよう」って声かけたのね。無視されたのね。泣きそうになったのね。
佐伯さん達が「ほっときなよ」と言ったけど、あきらめないのね。
きっと、一人で心細いだけなのね。
4月○○日
放課後、部室に言ったらびっくりしたのね。涼宮さんが仮入部したのね。
涼宮さんとっても上手だったのね、でも、最後「やめる」といってやめてしまったのね。
せっかく、話し掛けやすくなると思ったのにね。
─────────────────────────────────────────
公式の座席表みて書いた。日記に「〜のね」をつけるのかという疑問はほっといて。
>>790 >今日「おはよう」って声かけたのね。無視されたのね。泣きそうになったのね。
いかんw笑ってしまったww
阪中さんモエスwww
793 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 17:03:13 ID:poH/EFt3
マンガの中国人のおっちゃんみたい
このスレのせいでミヨキチと阪中の株がやばい
>>790 >こわいのね
が何故か「チュー兵衛親分こわいのね」
に聞こえてしまったww
カブは大好物なのね。
そういや阪中さんはなんでハルヒと仲良くなりたいって思ったんだろう?
それは当然、古泉のキョンへの気持ちと同じだろう
>>714 素晴らしかった
あまりのラブラブっぷりに悶絶死しそうw
阪中さんの喋り方って、確かにマキバオーを連想するんだよなぁ、どうしても
もう阪中の声は犬山イヌコで決定だな
俺の場合はヒャクメ
>>800 犬マユゲでいこうの赤い水性(コードネーム)も同じような喋り方だ
マイナーでスマンな。
赤い水性…ポスカか!
石塚はWIZ漫画しか知りませんね
赤い水性(コードネーム)は「けどね」じゃなかったか?
やっぱりたれ蔵を思い出してしまうんだよなあ。
赤い水性(コードネーム)の口癖は「〜かもね」なのね。
「〜なのね」は赤い水性(コードネーム)に似たちょっとノッポの女の子の口癖なのね。
丁度隣にウルヘンテがあったから言ってみたかっだけなのね。反省はしてるのね。それじゃあ逝ってくるのね。
>>807もういちど調べなおしたら「〜けどね」も「〜かもね」も両方とも使ってたのね
ゴメンなのね。ゴメンついでのドサクサまぎれに最後のひとこと言わせてなのね
MOON 最高
普通のSSは投下されるが、エロSSは何スレも前から来てないな
「触んなやー!」
か
「触るなコラァ!」
のどっちかだと思う。
ゴメン、盛大に誤爆
阪中「キョンくん……涼宮さんにつつかれて、羨ましいのね。私もつついてもらいたいのね。後ろから」
キョンは何もない一般人だというが、のいじ絵ということを差し引いても
ハルヒ、朝比奈さん、長門、朝倉、鶴屋さん、国木田、喜緑さん、阪中、キョン妹、ミヨキチ
などと関わりを持っている
これって絶対おかしいよな?
だって、ほら所詮ラノベだから
ていうかこっそり国木田入れるなw
「ただの人間には興味ありません」をスローガンに上げているハルヒが相手する時点で何かあると思うが
ハルヒの恋人というだけで立派な肩書きだと思うんだが
言うまでもなくキョン自身が異世界人です
>>811 エロシーンのあるSSならちょこちょこあったろ。
谷口の夜のお相手レベルで、というなら確かに微妙だが。
「でも谷口は変な趣味があるからねぇ」
全くだな。エロスは程々にしろよ。
「どういう意味だ!」
地の分に介入できる唯一の人物ではあるが
あるにはあったけど、稚拙なの多かったからな。
なんかこうパンツ脱いだまま続きを待ってしまうようなエロイの希望!
エロなんて飾りです!
エロい人にはそれが分からないんです!
正直エロがあろうがなかろうが萌えればそれで良いと思うよ。
エロがあっても愛がなければパロとして相応しくないっーか。
わかってねーなw
エロがあろうがなかろうが、面白ければどっちでもいいよ
それには同意
やばいな、ハルヒのヤツまじでエロが無くて落ち込んでやがる。
全く何て表情しやがるんだ。
「……ハルヒ、この保管庫を見てみろ。
何だかんだでこんなに溜まってるんだぜ。
そりゃまぁお前の言う極エロってのはまだ見つかってないけどさ。
そんな簡単に見つからないって言ったのはお前だろ。
普通のエロなんか普通の奴等に任せておけばいい。
俺も何だって協力してやるからさ」
「みんな聞いた! キョンが凄いエロいの書いてくれるって!」
……しまった、言わされた。俺はとてつもなく後悔した。
>830
別の意味で 神 っ !!
長門 「性欲をもてあます」
キョン「お前がその台詞言うと似合いすぎる。やめろ」
5月×日
軽井沢の別荘から帰ってきたのね。ルソーもわたしもリフレッシュしたのね。
でも、明日からまた学校。ちょっと憂鬱なのね。
5月○日
今日、「キョン」と呼ばれてる人と涼宮さんがお話していたのね。
何をお話してたか聞けなかったけど、安心した。これで一人ぼっちじゃないのね。
5月△日
今日、涼宮さんを見てびっくりしたのね。髪を切っていたのね。とってもきれいな髪だったのに。
昨日のお話が原因なのかな。あの人に聞いてみたいけど・・・こわいのね・・・
でも、相変わらずあの人とお話している。あの人のせいじゃないのね。
5月××日
今日、席替えがあったのね。私の席は一番後ろのほうなのね。
ななめすぐに佐伯さんがいるのね。それでとなりのとなりの席に涼宮さんがいるのね。
近くになったから、お話しする機会もふえるのね。
あの人とお話しできてるから、今度こそお話できるよね。
5月×○日
今日、また「おはよう」って声かけたのね。また無視されたのね。また泣きそうになったのね。
佐伯さんが「もう関わらないほうがいいよ」って言ってくれたけど、やっぱり涼宮さんほっとけないのね。
同じクラスなのに孤立してるなんてかわいそうなのね。
そういえば授業中、涼宮さんがいきなり「気が付いた」と叫んだのね。いったい何に気が付いたんだろうね。
5月○○日
今日、ウサギさんの格好した涼宮さんが校門にいたのね。ビラを配っていたのね。
びっくりしたのね。思わずビラを受け取ってしまったのね。
そのビラには「SOS団結団に伴う所信表明」と書かれていたのね。とりかえず、机にしまっておいたのね。
5月○×日
朝、涼宮さん元気が無かったのね。朝倉さんが「保険室いこうか」と心配してたのね。
私も「大丈夫?」と聞いたのね。「うるさい」って、返されたのね。傷ついたのね。
佐伯さんが涼宮さんに言い寄ってきて、雰囲気が悪くなったのね。
すぐに朝倉さんが止めてくれたから大事にならなかったのね。
さすが委員長なのね。私もあのぐらいしっかりできたらなぁ。
5月×△日
今日、朝倉さんが転校したのね。急なのね。せめて、お別れの言葉言いたかったのね。
あまりお話ししたことないけど、きっと朝倉さんもお別れがつらくて言えなかったんだろね。
涼宮さんは「これは事件よ」とあの人に言っていたけど、それは物騒なのね。
5月△×日
今日、涼宮さんポニーテールっぽい髪型してたのね。
最近不機嫌だったけど、今日はとってもご機嫌よかったように見えたのね。
何があったかわからないけど、よかったのね。
5月○△日
今日、涼宮さんに「おはよう」って挨拶されたのね。とってもうれしかったのね。ほんの少しお話もできた。
でも、あの人と話しているときが楽しそうに見てるのね。
もしかして彼氏なのかな。片思いなのかな。今度聞いてみようと思うのね。
─────────────────────────────────────────
日記に「〜のね」をつけるのかという疑問はほっといて。
/ヽ,,、、__,、,、 ,. ヘ
| |ヽ `''v'/| i
! _ ` ' .|
/ '´,,,ヽ し;;;''^'、 i
/ ∂ ___∂ |
,. -'''‐"´ ̄,-─-'=--、 |
>>833 GJなのね!
/:::::::::::ノ (::::::::::::::::`ヽ`ヽ!
. i ヽ;;;;:/ `‐、::::::::::ノ ヽ''‐、
. | ,,.. -───-- 、 ̄ i ヽ,,;;≡
. ヽ''" ``''‐、 ノ ヽ ̄
,,.. -‐\ / i
.;''"ヽ, \ ``'、- 、___,,,... -'" ノ,ヽ、
. \ `ヽ ヽ, \,. -‐=''、 / ヽ i
``'‐、,ヽ!-‐''/``''ー-、 \ / / !/
\ \ i ∠-,--,'--‐'''"
\__,...,_ヽ/ヽ∠/
とにかくだ
女キョンの続きはまだかね
>833
「〜なのね」は特徴的だが、そこまで多くはないぞ
>>829 コミック版読んでないとわかりにくいな(W
阪中さんかわいいよ阪中さんw
そして
>>833GJ
|\_____/|
``) ナノネエエエエ | ヽ_,(・)_/./
;;`)⌒`) −=≡\o( `Д)/
≡≡≡;;;⌒`) −=≡( ヽ┐U キコキコキコキコ
;;⌒`)⌒`) ◎−ミ┘◎
GJ!
なんか阪中とハルヒが仲良くなるのが嫌になった。
>>833 あのね、そんな語尾をつけてる人はね、ありえないのね。
でもかわいいのは事実なのね
のねずみさんがなのてくのろじーのけっしょうのなのはなのなかであそんでるなのね
気になったから漫画版注文しちゃったのね
長門以外の女性キャラがみんなキョンの妹になっちゃう話って保管庫のどこにある?
>>846 ああ、そういえばアレもまだ終わってないんだったっけな。
保管庫覗いてみると、未完の作品って結構あるんだよなあ。
女キョンは完結してほしいものだ。
ふたつくらい未完結のSS投下してる。
やべぇ、どうしよう。
>>849 僕個人としても機関としても、あなたには期待していますよ。
「朝比奈みくるの膜理論?」かなり気になるところで止まってんだよなぁ
阪中さんの性格がイメージできていいなw
>>833GJ
854 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 04:40:24 ID:1vgHXkr6
やはり懐妊ものはいいなw
エロSS書いているのだが、長門を喘がせるか苦悶中。
「…」オンリーのエロSSってありえなさ過ぎだし、かといってあんまりアンアン言うのも長門じゃない。
どうしたらいいんだorz
最初は喘がないのでキョンが頑張って喘がせるというのが正道であろうよ
最初は喘がないのでキョンが頑張って自分で喘ぐ
視線、息遣い、匂い、体温、感触、衣服、反応すべて駆使
最後まで喘がなくてもエロくできるはず
そういえば、保管庫には「手を合わせて気持ちを伝え合う」って方法をとったSSもあったな。
個人的には大好きなSSだ。
冷静に実況する長門
挿入部の断面図を表示して状況説明する長門
…絵じゃないと映えないな
坂中の「のね」は効果的に使うからこそ、かわいいと思うのよね。
まず坂中を阪中に直すのが先なのね。
ここはたれぞうばっかりのスッドレですね
こまんたれヴ
たれ蔵ではない
くさ男だ
ところで北高は体育の時間、いまだに女子がブルマなのは容認するとして
男子の短パンはやばいよな。中学の時に経験があるんだがトランクスの上
にあれくらいの長さの短パン履いて体育座りすると普通に中が見える。
女子は体育の時間に目のやり場に相当困ってるんじゃないだろうか?
>>868 それはつまり、体育の時間中キョンの短パン姿に目のやり場に困ったり、
思わず欲情してしまったりするハルヒのSSを書け、という事か?
もう男子も女子もスパッツにしてしまえばいいじゃない
全員全身タイツ
(○○くん、横から…きゃ)
(××くんのおふくろさんが。あはは)
っておんにゃの子同士こそこそ話してるのに、「キョン、何チ○コだしてるのよ」ってデカイ声でばらすハルヒ
その部分を指差して『……出てる』とつぶやく長門
>>849 >>852 「長門週間」の
>それからの俺と長門には、最初に予想していた以上の事件が待ち構えていたわけだが。
>それはまた別のお話。
>『長門週間』・了
予想していた以上の事件についての潮騒が読みたいです(´・ω・`)
>>874 こういう状況での対応の仕方がデータベースに無いので
つい瀬能さんあたりに訊いてしまう。
「ねえ、キョンくんのスボンの裾から○○(ピー)が見えるんだけど
こういうときって、なんて言って教えてあげたらいいのかしら?」
今の高校生はボクサーパンツが主流
友達の弟はトランクス派だったっぽいが
まだ主流というレベルじゃないよ
これは弟が高校生の男の意見
>>874 そんな無茶なw
……と思ったのだが、アレ? 何故だかネタが浮かんで来ちゃったヨ?
>>877-879 おまえらは最高にバカだぜ!(褒め言葉)
キョンの場合、本命がトランクスで対抗はボクサーかな。
>>872 それ、俺の中ではある意味死亡フラグだわ。
>>846 ガチエロ物書いてくれてたんだけどね
投下直後に荒れてパッタリ止まってしまった
夏休み終わったら続きがあるといいなあ
そうだな確かに高校ではトランクスがまだまだ主流だよな
俺はボクサーだけど
って高校生の弟が言ってた
そうか、出すぎたことを言いました。
俺は今年高校卒業したんだが、中3末期からボクサーパンツだった。
友人間で流行ったんで、もうパンツパンツ言ってごめんなさい!
ここでブリーフ派の古泉が華麗に登場
>>885 古泉はブーメランビキニだろ。それも超がつくような。
……ところで、なんでこんな男物の下着についての流れになってるんだ?
>俺は今年高校卒業したんだが
ここ突っ込む所か?
落ち着け、俺達だって大人だ
大人らしく21歳まで留年していたって事にしてあげようじゃないか
ここまで誰もノーパンの意見を言わないとはどういうことだ!
>>891 男の子のノーパンはちっともうれしくないからです。
じゃあ赤フンは
このまま、パンツの話題で次スレ行きかな?
>>893 薔薇族あたりで聞いてください。
ていうか、流石にこの流れは明らかにスレ違いの領域に達していると思うんですけど……。
みんなしてネタ作りに励んでいるのでは?
最近では二次元の中でさえブルマが廃止されている
嘆かわしい事だ。
残りレス数100ちょっと、残り容量も30kbと少し。
どっちにしても投下するにはちょっと中途半端すぎる感じ
「あんた達、普段どんなパンツ履いてるか教えなさいっ!」
おいおい今度は何を言い出すんだこいつは・・・
って言う電波を受信した
満員電車の中で
>>896 そっか、ハルヒ達のブルマはけっこう貴重だったんだな
4組と合同の体育の時間、俺は谷口と階段に座って談笑していた。
今は女子が走っている。
(中略)
女子と男子の交代の時間になった。女子は階段にぞろぞろと向かってくる。
長門はなぜか真っ直ぐに俺のところに来て、なにやら俺の股間を指差し、こういった。
「……みえてる」
おわっ
……谷口、お前その顔は何だ。
「……今日は小さい」
ながと! キサマ何を……!
……谷口! その顔は何だ!
ワロタwww
戦艦って授業出てるのか
一応出てるだろ。現文とかは弱そうだし。
「この時の作者の気持ちがどうだったか……長門、答えろ」
「……原稿料が欲しい」
「ま、まぁ、ある意味正解だな」
┌───┐
│鶴見川│
├───┤
┴───┴──────
____________
人人人 人人
___
/ ヽ 人人人
/ ヽ / ヽ
人人 / ● ● 、
/ v l 人人人
/ , 、_ _人_ノヾ
人人 ノ 人人
川川
人人人 人人
タマちゃんがこのスレに興味をもったようです
>>904 ozってなんだよorz
しかも俺のID、串刺しにされちゃってるよ
8/30記念ネタ
「俺は童貞をまだ捨てちゃいねぇ!」
だからって叫ぶ事は無かった。また一つ海馬から消去したい記憶ができてしまった。
「何、童貞?」
店を出かけたハルヒが戻って来る。
「俺は大人のABCを一つもやってねぇ。経験しなきゃ俺の夏は終わらないんだ!」
「……バカ?」
ハルヒは心底バカにした風に告げるが構うもんか。
「おい古泉、お前はどうだ」
「え、えぇ、忙しかったですから半分と言ったところですが」
どう言う意味で半分なのか気になるが今は置いておく。
「よし長門、古泉。できるところまで犯らせろ。朝比奈さんも一緒にどうです?」
「あ、え、でも何処で?」
「俺の家で犯りましょう。長門もそれでいいな?」
「いい」
「よぅし、明日は朝から一気に犯るぞっ!」
「ちょっと待ちなさいよ! 何勝手な事言ってんのよ! 団長を無視して決めていいと思ってんの!?」
ハルヒは一息つくと手を腰に当てて、
「わたしも行くからねっ!」
結果を言うと……どうやらハズレを引いたようだ。
やっぱ犯り残しが乱交ってのは無理があったか。
……あんなに誰よりも乱れていたクセに。
なんていうかアレだ。
がんばってネタを考えてるのに長編につながりません。 ほ(ry
とりあえず次スレ用意する?
まだいらなくね?
ていうか短編でいいからうp
471.34kB
乱交の詳細をkwsk
>>910GJ!
そして容量と空気を考えず小ネタ逝ってみる
「用件は他でもない……喜緑のことだ」
本名不明の生徒会長は少し躊躇いがちに、今は生徒会室にいない書記係の名を挙げた。
俺はてっきりハルヒ関連の話だとタカをくくっていたというのに、何とも強烈な変化球が飛んできたもんだな。
おかげで俺の脳内で待機していたバッターボックスの連中は大騒ぎだ。
とりあえず、俺が知っていることといえば彼女はヒューマノイドインターフェースだって事ぐらいなんだが。
果てさてこの打法のみで次の変化球に対応できるものなのだろうか、どうでもいい不安がよぎる。
「お前ら、この前アイツに男がいたと言っていたな」
……はて、そんなこと言ったっけか。回想モードスイッチON。
『あのカレシとは、どう、うまくいってんの?』
喜緑さんにそう訪ねたのは確かハルヒだったな。
『もうお別れしました。今思うと、本当は最初からお付き合いしていなかったようにも思える、それは遠い記憶です』
彼女は微笑とともに素っ気なく答えた。
……回想モード終わり。短っ!!
「あの後、喜緑自身に聞いてみたんだが、あれ以上口を割りやがらねえんだ」
まあ、あれはカマドウマ事件の都合上仕方なくついた嘘話だったわけで、
あまり気にする必要もないのだが。さて、どこまでこの人には話していいんだ古泉?
「別に生徒会長が気にするほど進展があったわけではないみたいですよ」
こんな感じでいいかな。
「……本当にそうなのか?俺にはそうは思えん」
駄目だったらしい。一体なにが納得できないんだ?
「お前、気付いていないとでも言うつもりか?」
何を言ってるのかな。俺にはサッパリだね。
「嘘だな」
……ああ、嘘だよ。入った瞬間分かったよ。
何だこの イ カ 臭 い 部屋は!!
ゴミ箱満杯のティッシュやトイレットペーパーは何だこの野郎!
「ハッハッハッ、ご想像の通りだ!
俺はこの生徒会長という地位と古泉どもの力を利用して毎日毎日乱交パーティーなのさ!!」
な、なんて羨まし、いや、外道な真似を!
「何とでも言うがいい。
俺は喜緑にそんな光景を見せつけ、奴から俺を求めてくるのを待っていたわけだ。
だがな!あの女は何も言わず、何も求めず、ただじっと俺と他の女の行為を眺めるだけなのだ!
決して無反応な訳では無い。あいつは時折、体の火照りを抑えきれない女の目をする。
なのに、なのにあの女は俺を求めたりしない!何故だ!?」
「わたしが解説する」
暴走している生徒会長に割って入ってきた長門。
どうでもいいが、ドアの鍵はちゃんと閉めておいた気がするのだが。
「些細な問題。それよりも、彼の問題に答えるのが先決」
お前がそう言うなら……そうなのか?
「そう」
「彼女は私と意識や感覚を共有できる能力を有している。
私の監視係という役割上、私が監視の目から逃れる為に彼女を破壊するという考えに至らないようにするため。
そして、私も完全なる共有は不可能だが、ある程度の思考を読み取ることはできる」
俺に耳打ちしてくる生徒会長。
「……コイツ、何言ってんだ?」
アンタにいちいち説明してやる義理は無い。寄るな色魔め。
「ええと、長門。ようするにお前と喜緑さんは、両方の考えてる事がわかるんだな?」
「そう」
ご都合主義な感じがプンプンするが、この際まあ気にしないでおこう。
さっさと結論をこの変態会長に語ってくれないか。
「わかった」
突き刺すような視線を色欲の権化に向けた長門は、いつかの彼女のように素っ気なく答えた。
「彼女は、あなたに絶望している。」
「何!?」
「(まあ、そらそうだろう…)」
「それは、
あなたが 早 痴 だから」
「煤i゜Д゜;)!!煤i゜Д゜;)」
「あなたは、常に5人以上の女性と行為に及ぶのに、5分ももたない」
「(゜Д゜) (゜Д゜)」
「この結果に対しては、私も遺憾を覚える」
「(゜Д゜) (゜Д゜)」
「ちなみに」
「(゜Д゜) (゜Д゜)」
「彼は、彼女も信じられないくらい おおきい」
「(゜Д゜;) (゜∀゜)」
チャララチャッチャッチャーン♪(DQ風)
――『酒池肉林END』のフラグが立った!!
(゜Д゜) (´∀`〃)←「彼は けだもの」
生徒会長早漏れかwww
早漏ww
彼ってキョンの事だよね?
>早痴=早漏
ハッ、ぶっちゃけ読み忘れたんで他所でそれっぽいのコピペしてみたらオモイックソ誤字だったorz
そして喜緑さんはキョンのけだものっぷりに悶えていたとw
約五分って早漏か?
それも五人以上を相手に。あ、喜緑さんは絶倫を御所望なのか
>>920 つまり6組の長門がわざわざ4・5組の体育に紛れ込んでいたのは、それを確認するためだったんだよ!
阪中さんの日記でつぶやきシローなんて芸人を思い出した。
ありがとう
>>790
今帰った。次スレはあるか?
ひ、一人1分すか……それはそれで別の意味で(ry
まだだけど用意はしてる。
今気づいたんだがスレ容量は現在478KBと表示されている。
>>927が迅速にスレ立てを行うことを私は強く希望する。
乙
>>929 よーし、気に入ったぞ、オマエ!
うちにきて谷口ファックしていいぞ!!
じゃあ生徒会長は頂いていきますね
>>936 二人で分ける、というのはいかがでしょうか?
>>923 よく考えたら4、5組合同って不自然なような…と思ったら
1、2、3 4、5 6、7 8、9 で分けてるのだろうか?
>>938 高校のとき9クラスだったけど
1,2 3,4 5,6 7,8 9で分かれてた気がする
俺、高校の頃は9組だったんだけど確か7,8,9が合同だった気がする
まともな進学校なら文理系分けるっしょ。そうすると男女比めちゃくちゃに
なるから、クラスの数が偏った分け方でもおk
>>944 そういやそうだった。理系で40人中2、3人しか女子がいない環境だった。
で、隣は男子いない文系で女子40人。
俺は理系だけど女子17男子23だったんだぜ
>>934 谷口「このゴミ934め、生男のオレの童貞を勝手に褒美に使うなよな」
929「お断りです」
谷口「断るのかよ!」
キョン「いや、そこは怒るところじゃないからな」
ってことか?
男子5女子35
どうみても商業高校です、本当にありがとうございました
マジレスすると
二組合同ってのは規定だから、アレはただ単に、
よく考えずに書いたって事でFAでしょ
950 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 22:51:59 ID:XDEercpA
諸君 私はキョンが好きだ
諸君 私はキョンが好きだ
諸君 私はキョンが大好きだ
アナルが好きだ
ペニスが好きだ
ウホッが好きだ
男×男が好きだ
兄×弟が好きだ
野球児が好きだ
筋肉男(マッチョマン)が好きだ
学校で 部室で
森林で 草原で
球場で 砂漠で
閉鎖空間で 風呂で
街道で 湿原で
この地上で行われる ありとあらゆるホモ行動が大好きだ
(中略)
諸君 私はホモを 地獄の様なホモを望んでいる
諸君 私に付き従う組織諸君
君達は一体 何を望んでいる?
更なるホモを望むか?
情け容赦のない 糞の様なホモを望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の鴉を殺す 嵐の様なホモを望むか?
「 ホモ!! ホモ!! ホモ!! 」
よろしい ならばホモだ
我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
だがこの暗い闇の底で半年間もの間 堪え続けてきた我々に ただのホモでは もはや足りない!!
大ホモを!! 一心不乱のアナルファックを!!
我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ組織にすぎない
だが諸君は 一騎当千 のホモだと私は信仰している
ならば我らは 諸君と私で総兵力100万と1人の軍集団となる
我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろ し 眼を 開けさせ思い出させよう
連中に精子の味を思い出させてやる
連中に我々の軍靴の音を思い出させてやる
天と地のはざまには 奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる
一千人のホモの戦闘団で
世界を燃やし尽くしてやる
「最後の大隊 大隊指揮官より構成員へ」
第1次 キョン×古泉 作戦 状況を開始せよ
征くぞ 諸君
何で『私は○○が好きだ』と『よろしいならば○○だ』の○○が違うですか
埋め
梅ネタ
「長門有希の新ジャンル」
ある晴れた日の午後、放課後になり俺はいつも通り部室に居た。
部室に来たはいいが、朝比奈さんも長門もハルヒも古泉も誰も来なくて暇だったので
いつもはハルヒが占領してろくすっぽ利用出来ないパソコンでネットでもしようかと
思い、電源ボタンを押した。
カリカリと起動音が鳴り少しの時間を置いて何の変哲もないデスクトップが表示される。
まずは更新される様子のない我がSOS団のHPでも開いてカウンターを回してやるか、
などと考えていたのだが、俺は見つけてしまった。
デスクトップに「長門.ver」なんつーファイルがあるのを、な。
気になったので開いてみると、そこには「新ジャンル」と名前がついたファイルがあり、
これまた開いてみるとよく分からないファイルがズラリと並んでいた。
予め言っておくが、俺に悪気があったわけではないことは誰がどう見ても明らかだ。
俺だってフツーの好奇心旺盛な高校生なんだからな。
だから何も考えずにダブルクリックしてしまった。
・プロセス
キョン「なぁ、俺たちそろそろ付き合わないか?」
長門「私たちが交際するまでにはあと3回程度のデートが必要」
キョン「そっか……じゃあ明日も明後日もデートだな」
長門「……そう」
・変態クール
キョン「今日はなんかジメジメするな」
長門「そう」
キョン「お前そのかっこじゃ暑いだろ?」
長門「わりと」
キョン「ならコートくらい脱いだらどうだ?」
長門「……いいの?」
キョン「ゴメン、今のナシ」
・ツンドロ
キョン「いけね。弁当忘れた」
長門「これあげるから食べて」
キョン「え、じゃあお前の弁当は?」
長門「私はあるから。黙って食べて」
朝比奈さん「あれれー? 私のおべんとうがないよぉ?」
・ツンバカ
通学途中
長門「ひばり……」
ピーヨロロロロ
長門「……」
ピーヨロロロ
長門「学校……」
キョン「長門、ものすごい遅刻だな。なにしてたんだ?」
長門「ひばり見てた……」
キョン「……もう三時間目だぞ」
ムラムラしてやった
長門ならなんでもよかった
反省はしていない
>956 みくるカワイソス
>957 えーと、虔十公園林?
>>953 ワロスwww
不覚にも変態クール長門に萌えた(;´Д`)ハアハア
GJをくれてやるwww
>>955 長門さんアンダーレス状態か。イカス!
うーん、486KBの状態で15KBモノの投下は無理か。
仕方ないので小ネタで行こう。
>>956,957
そもそもツン要素があるのか?という疑問がw
「東中学出身、涼宮ハルヒ」
この時は別に振り向く必要は無いと、俺は前を向いたままその涼やかな声を聞いていた。
「ただの人間には興味はありません。この中に宇宙人で未来人で超能力者がいたらわたしの所に来なさい。以上」
さすがに振り向いたね。こうして俺は涼宮ハルヒと出会っちまった。
しみじみと思う。偶然だと信じたい、と。
「しょっぱなの自己紹介のアレ、どのへんまで本気だったんだ?」
思えばこの時、運命のドミノ倒しの一枚目を押したんだと思う。よりにもよって自分で、だ。
「自己紹介のアレって何?」
「いや、だから宇宙人がどうとか」
「あんた、宇宙人で未来人で超能力者なの?」
「……違うけどさ」
「だったら話しかけないで」
そして魔が差したとはまさにこの事だろう。ゴールデンウィークが明けたその日の事。
「曜日で髪形変えるのは宇宙人対策か?」
その言葉にハルヒはいつもの笑わない顔で反応した。
「宇宙人で未来人で超能力者への対策よ。っていつ気づいたの」
「んー……ちょっと前」
「あっそう。……あたし、あんたとどこかで会ったことある? ずっと前に」
「いいや」
「付き合う男全部振ったって本当か?」
「本当よ。全くくだらない男しかこの世には存在しないわ」
「じゃあどんなヤツならいいんだ。やっぱり宇宙人か?」
「もちろんよ。それと宇宙人で未来人で超能力者よ」
「……前から気になってたんだが、いくらなんでも欲張りすぎじゃないか? その属性は。
宇宙人で未来人で超能力者。どれか一つでもレアな存在なのにオモシロ属性三倍だぞ?」
「だってそのほうが面白いじゃないの!」
そしてハルヒは謎の部活を立ち上げ、俺は一風変わった連中と出会う事になる。
「長門有希」
「いい」
「おそらく、これがこの時間平面状の必然なのでしょうね……」
「それからあたしのことでしたら、どうぞ、みくるちゃんとお呼び下さい」
「古泉一樹です。……よろしく」
「入るのは別にいいんですが、何をするクラブなんですか?」
「良くぞ聞いてくれたわ! このSOS団の活動内容。それは」
「宇宙人で未来人で超能力者なヤツと一緒に遊ぶ事よ!」
全世界の時が静止したかに思われた。なんてな。
とまぁ色々あり、いつの間にやらハルヒは俺を巻き込んでSOS団なる非認可組織を生み出していた。
そして今、俺は長門に連れられ、彼女の自室でお茶を飲んでいた……。
- * -
「涼宮ハルヒとわたしは普通の人間じゃない」
いや、それは何となくわかっている。
「この銀河を統括する情報思念統合体によって造られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース」
俺の突っ込みを軽やかにスルーし、何だか妙な事を言い出した。
「……それが、あなた」
「俺かよ!?」
思わず突っ込んでしまった。そのオチにはさすがにビックリしたぞ。
普通は、それがわたし。とかさらっと言い出す場面だろ。
さっき普通の人間じゃないとか言ってたのは何だったんだ。
「わたしは人間。ただ他者とのコミュニケーションが苦手。だから普通じゃないと言った。
……わたしの本当の仕事はヒューマノイド・インターフェース、つまりあなたのサポート」
おいおい、何だか妙な流れになってきてないか?
仕事? サポート? インターフェース?
長門の電波話を話半分以下で聞き流しながら、俺はこの状況をどうすべきなのか考えていた。
俺が宇宙人だって? んなアホな。
そして第一回不思議探索決行日。俺は朝比奈さんと二人デート気分で町を闊歩していた。
「キョンくん、お話したいことがあります」
あなたの語るお話でしたら税制改革案だって一大感動巨編になることでしょう。それで一体?
「あなたはこの時代の人間ではありません。もっと、未来から来ました」
「また俺!?」
真剣な顔で朝比奈さんに告げられる、その瞬間まで。
「わたしはこの時代の人間です。キョンくんのお手伝いをして欲しいと頼まれました。
キョンくんの妹さんは、本当はわたしの妹で、この時代の隠れ蓑に……」
三年前にハルヒがどうこうという話をやはり左から右へと流しながら、俺は頭を抱えていた。
ええい、全部保留だ保留。
「凄く聞きたくないのだが、古泉。
お前ももしかして万が一ひょっとしたらなぁーんか俺に話したい事があったり無かったりするのか?
いややっぱ無いよな? 無いなら無いでいいぞ?」
俺は勤めて優しく古泉に語りかける。せめてお前は一般人であってくれ。
「おや、お前もと言うからには既にお二方からアプローチを受けているようですね」
聞きたくなかった。というかもう帰っていいか、俺。
「……まずお前の正体から聞こうか。実は超能力者の応援部隊でして、などと言うんじゃないだろうな」
「先に言わないで欲しいな」
三度頭を抱える。で、その超能力者ってのはやっぱり。
「ちょっと違うような気もするんですが、そうですね、超能力者と呼ぶのが一番近いかな。
そうです、実はあなたは超能力者なんです」
何で俺の正体を俺以外の連中が語るんだ。しかも三連発で。
つまりアレか。俺はどこぞの誰かが望んだ「宇宙人で未来人で超能力者」だったというのか。
「そこまでわかっていれば話は早いです。実際その通りなのでね」
良かったなハルヒ。お前の求める三倍頑張る珍獣は意外にあっさり見つかったぞ。
さてロズウェルの電話番号は何番だったか。それより色のついた救急車を三台呼ぶか?
神がどうのと語る古泉を完璧に無視し、俺はただひたすら丸机に突っ伏して呟いていた。
以上。この後朝倉戦があるわけだが容量の都合でカットw
ここ二日本格的なSSが投下されてないな・・・
>>966 そんな殺生なw
とりあえず次スレに期待する。
日本格的ってなんだ?
主格所有格とかの知り合いか?
すまん、相当寝ぼけてたようだ。
ここ 二日 本格的な だな。
>>969 よっしゃ、そう言うならもう少しだけ。
他称、宇宙人に造られた人造人間。他称、時をかける少年。他称、少年エスパー部隊。
俺自身に自覚も記憶も全く無いというのに何なんだこの属性の山は。
誰かが俺の枕を睡眠学習装置にでもしていたのだろうか。
……などと俺は別に驚いたりはしない。そりゃそうだ。
誰がどう考えたって、こんなのあいつら全員がぐるになって俺をはめているとしか思えないだろ。
なるほど読めてきた。首謀者はハルヒあたりで、これはきっと壮大なドッキリなんだな。
しかし、こんなあまりに壮大かつ電波かつ現実離れしすぎたドッキリに、一体誰が引っかかるというのかね。
それこそハルヒじゃあるまいし。アイツなら楽しむ為にわざと引っかかりそうだが。
放課後、SOS団の活動を終えた俺はそんな事を考えながら教室へと向かっていた。
これが下駄箱にラブレターでも入っていて、放課後に呼び出されたとか言うのなら嬉しい状況なのだが、現実はそうそう甘くは無い。
SOS団の活動終了を終え、後片付けをしながらカバンを見てみると、明日提出の課題のノートが入っていない事に気がついただけだ。
教室にでも忘れたかと考え──実際忘れそうな場所はそこしかないのだが──俺はハルヒたちと別れて教室へと足を運び今に至ると。
さて、一般常識がある諸兄諸姉に質問したい。
俺の知る教室とは、扉を開けたら壁があって中に入れない部屋の事では断じて無いはずなんだが、その認識は間違っているのだろうか。
<……返…を…>
壁に手をついて何事かと考えていた俺の脳裏に言葉がよぎる。
何だ今のは。ついに俺まで電波な影響が出始めたのか。いやきっと疲れてるんだな。うん。
これはもう今日はノートの事は諦め、明日の休み時間にでも国木田先生に頼み込むとしよう。
<……たの返…を求……。…なた…返答を…む…>
ダメだ。どこかで聞いたような単調にして澄み渡る声が脳裏をかけ始めた。これは本格的にヤバイかもしれない。
<……あなたの、返答を求む…>
「……長門?」
声の主にようやく思い当たり、俺は呟き返していた。
<そう。ようやく接続できた>
妄想が返事を返してきた。なんだかわからないがとりあえず返答してみる。
人の脳内に何電波飛ばしてるんだ。
<わたしは今、あなたの教室にいる>
「人の話を聞けよ。……って教室? 俺の教室は今壁で覆われているぞ」
<わかっている。わたしはその中にいる>
どうやってだ。いやそもそも何でお前はそんなところにいるんだ。
<別のインターフェースと接触した……あっ>
と、長門から長門らしからぬ声が漏れた。
どうした長門。何だ今の声は。
<……緊急事態。救援を求む>
いつも通り起伏の無い淡々とした口調でさらっと告げてくる。
「な、ちょっと待てっ! 本当にお前は長門で、今この中にいるのか!?」
妄想だと思っていた声に叫び返す。普通はそう思うだろ。
<わたしはここにいる。壁に手を。思念して──>
長門に言われたとおり壁に手を置き、そして思念する。
壁が<壁>という情報で結合されたモノである事を。
そして結合できるモノは、当然結合解除もできるという事を。
何故かそんなムチャクチャな思念が理解できた瞬間、恐ろしいほど心が静寂になる。
遠く離れた場所で舞い落ちる葉の音すら感じ取れそうだ。
俺は指先を少しだけ強く壁につけ、モジュールの使用を申請した。
「──情報の結合を解除するっ!」
次の瞬間壁は勢いよく吹き飛ぶ。これもCG処理ってやつでいいのかね。
緊張を張り巡らせて内部を警戒しながら、俺は今ぶち開けた穴から教室へと入っていく。
とにかくこれが俺の普通の人生の終焉への、本格的な第一歩となったのは間違いなかった。
- * -
「………」
「あ……ああっ! くひゃうんっ!」
教室の中は異空間で、何故か突然の濡れ場だった。
あまりの事に俺が長門譲りの三点リーダで黙ってしまう。
こりゃまた一体何と言う欲望渦巻くエロゲーへの第一歩を踏み出したんだ、俺は。
「待っていた。緊急事態」
そういう長門はいつもと変わらぬ制服姿で、ただ眼鏡だけがなく、そして同じ制服姿を纏った誰かの上に
マウントポジション状態でまたがりながら、自分の左手を組み伏せてる相手のセーラーの中へ、右手をスカートの中へと
それぞれ差し込みつつ、何やらもぞもぞと動かせていた。
誰がどう見ても下のヤツの方が緊急事態だ。
「……長門、とりあえず説明してくれ。一体何がどうなってる」
「あなたに教えておく。でも待って」
そのまま長門は組み伏す女生徒に呟く。
「うまく実演できない。情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない」
数ミリ単位で瞳と眉を動かし、おそらく困惑していると思われる表情を現してくる。
その間も両手は動かすのを止めず、下の人はじたばたと大きくもがきながら声を荒げていた。
「も、もう……いいかっ、げ、うあ……っ!」
「でも、逝って」
「あ、あ、ああああああああああああああーーー……っ!!」
女生徒が少しだけ背筋をそらせて小刻みに震えた。そのまま数秒経過してようやく床に倒れる。
だが長門の手が止まる事は無かった。
「ちょ……今、は、だめ……く、くううっ、な、なめないでよねおおおおっ!」
突然組み伏せられてた女生徒の右手が光ったかと思うと、軟体生物の触手の様な形に変化させて長門を貫こうと勢いよく攻撃してきた。
だが長門は数センチの動きで器用にそれをかわすと、セーラーから即座に抜き出した左手を流し絡めて
脇の下でその光の触手をがっしり固定してしまう。
「え、ウソッ!?」
「一つ一つの攻撃が甘い」
叫びたい気持ちはわかる。俺だって自分の目を疑いたい。特殊CGのSFX相手にどうしてそこまで優勢なんだよ長門。
お前は本当にただの地球人なのかと、今度牛丼でも食いながら小一時間じっくり話し合おうじゃないか。
「わたしの能力についても、自分の身体の感度に対する認識も甘い。だからわたしに弄られる」
そしてスカートに差し込んでた右手を激しく動かしだした。
「え、ま、くふぅああああああああっ!」
「だからわたしに侵入を許す」
どこに侵入を許したのかは優しさとして聞かない方がいいんだろうな。
さてこの状況、俺は一体どこから突っ込むべきなんだろうか。
「ここ」
頭が痛くなりこめかみを押さえながら自問していた俺の呟きに長門が答える。
何の事かと視線を送ると、長門が女生徒のスカートを内側から器用に捲り上げ、露になった白い下着の中央
太ももの付け根あたり、つまり女の子の絶対秘密領域を指差していた。
「挿入するものが無い。緊急事態」
そうか、緊急事態か。確かに俺の短い人生で初めて見た緊急事態だ。
「……もう一度言う、長門。なぜ朝倉涼子を襲っているのか説明しろ。朝倉の変化した腕の事も含めてだ」
あ、500KBいった。じゃここまでか。
>>971 すまねえな。 わけあって突っ込むことはできなかったんだ。 だが気にするな。 俺も眠かったさ。 まあ、後のことhs俺たちが何とかする。 いや、どうにかなることはもう解ってるんだ。 お前にもすぐ解る。 寝てろ。