1 :
名無しさん@ピンキー:
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が
>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!
. ,:::-、 __ >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
,,r 〈:::::::::) ィ::::::ヽ >3
>>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
〃 ,::::;r‐'´ ヽ::ノ >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
,'::;' /::/ __ >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
. l:::l l::::l /:::::) ,:::::、 ji >6 いまさら
>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
|::::ヽ j::::l、ゝ‐′ ゙:;;:ノ ,j:l >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
}:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;! >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
. {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/ >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/ >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
. `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
`ー-"
1乙!!
帝愛グループが、
金融庁から無期限業務停止処分を受けて、
国税局から査察を受けて重加算税を付されて、
最高裁判決をタテに、弁護士会主導で集団訴訟を起こされて、
地下帝国の件で刑事訴追を受ければいいと思う。
アイフルと金融庁の件で、行政庁の権力の絶大さを思い知ったよ。
>>1 乙!…ありがとう…!
これでいいのさっ…!これでっ…!
8 :
何:2006/08/10(木) 08:52:54 ID:yPVss3fR
気持ち悪いスレ
マロンの方収まったかな‥?
>9
収まったことは収まった
…ただ、昼間のうちだけだと思う
夜にきっとまた突撃される…
マロンの女体化妄想スレ、同人萌えスレはみんな突撃くらってるよ
マロン版の中で、このラブ米スレは、特に目を付けられてる
本スレやガ板や週漫板などで晒されてたしね
ここはIDあるから変なのきてもNGワードにすれば大丈夫だろう
正直女体化だからどうとかじゃなく、どんどん変なのが目立って来てるよこのスレ
住人にその辺の自覚が無い人が多そうだし、しつこく叩かれるのもわかる気がする
2には2のルールや空気があるんだから少しはわきまえた態度をしてほしい
>>10みたいな一方的な被害者意識丸出しの発言とか、いかにも厨臭いんだが
勝手に吐き出して去る自分も厨だガナー
>>1乙っ…!
お銀と森田SS萌えたっ…(;´Д`)ハァハァ
続きが読みたいっ…!
自分は、このスレに数ヶ月間熱中してきた
周りも見えないほどに
腐女子と言われても構わない
けど自分は、福本作品を汚すつもりは全くない
ただ萌えたかった…!好きなキャラに近づきたかった…!
ただそれだけです
他の仲間もそうじゃないかと思います
正しい萌え方が解らない…こんな方法しか
自分は、根が愚かなんでしょう
厨の独り言、スマソ
>>14 萌えまで否定するつもりは全然ないんだよ
自分もここのスレのSSなんかに楽しませてもらってたのは否めないから。
でもやっぱり公共の掲示板だから、カプ妄想や見る人を選ぶ話がしたいならば、
注意はしてほしいと思う。ただでさえ2ちゃんで同人的話題は嫌われてるから。
今回はマロン住人に追い出されてしまった形だけど、
ではこちら側にはまったく非がなかったかというと、違うんじゃないかなと。
しょっぱなから長文でスレ汚ししちゃって申し訳ない。
しかしちょっとでも2ちゃんでのスレ利用について考えてもらえたら幸い
>>14 腐女子というのはもともと原作を妄想で汚している自覚を持った人達が
自嘲を込めて自分たちをそう呼んだものだと記憶しています
じゃ2を出てみるか?
ラブコメ保管庫に作って貰うってのもありだし、また別にも作れるだろうし…
>>17 まあ、荒らされずに続けたいならそれが一番なんだろうね
まあ、女体化は風当たり強いからね。
>>17 出たら出たで今度は職人さんの身元バレもあるんジャマイカ。ここだから書けるって部分もあるだろうしさ。
エロパロではマターリやってこうぜ。
女体化・男体化はどこでも(もちろん同人界でも)風当たり強いっすよ。
それをやれるのが、唯一ここなんではないかなあと妄想する。
21 :
14:2006/08/11(金) 08:40:10 ID:ngmTb5Ob
>>15 ありがとうっ…!やさしいおじさん…!
そして熱いナカーマ達っ…!
今回、貴重な体験だと思い、周りと調和しながらやっていくよ
マターリと、冷静に
でも内には熱い萌えを忘れずに…!
>>13 禿同…!
熟女銀さんの大人の色気に翻弄される森田…!
たまらんっ…!
南郷さんスレでも話題になってるけど
女体化南郷さん萌え
なってるねw
自分が妄想した南郷タソは…
南郷さんが女だったら、家庭的な女性になるような気がするな。
料理が得意で、料理の本見ただけで、たいていの料理は作れそう。
(キンピラゴボウ、肉じゃが、出汁巻き卵、
茶碗蒸しとか、お袋の味系。田舎料理系超得意)
部屋もまめに掃除するような、几帳面で細やかな女性。
ただ、大柄で、スタイルは決して悪くないんだけど、ガチムチ体型。
気にしてダイエットに励むんだけど、脂肪が燃焼しにくい体質だからってんで、
毎日水を二リットル飲んでいそう。
性格は超良い!
美人タイプではないけど、その性格が顔に出てて、人に好かれそう。
人が良すぎて、しょっちゅう男に騙され、借金の保証人になってそう。
…巨乳なのは外せないね!
パイ擦り等はここでしてもオケ?
それともここはほのぼの専門、禿エロは裏ドラのほうがいいの?
禿エロは裏ドラのほうがいいと思うお!
みんな投下待ってるおwぜひキボンヌw!
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
⊂彡
連投スマソ!
保管庫管理人様、更新乙!
市川戦前、ヤクザから拳銃もらって店をでたアカギ
女南郷「大丈夫だった・・・?なんか危ない目に・・・」
アカギ「別に・・・傷一つないだろ・・・」
女南郷「いや〜よかった!よかった!」(アカギを抱きしめる)
アカギ「うっ・・・!むっ・・・!ううっ・・・!」
南郷のおっぱいに顔をうずめる形になり窒息しそうになるアカギ
女南郷「ど・・・どうしたの・・・?やっぱりどっかケガ・・・」(アカギを離す)
アカギ「ぷはっ・・・!いや・・・なんともない・・・(おっぱいでかすぎ・・・)」
勝手に続き…!
南郷のアパートに来たアカギ。
女南郷「とにかくよかった…さて、おやつでも食べましょう」
アカギ「いいよ…気なんか遣わなくて」
女南郷「いいのよ!これ作ってみたの…食べてみてっ…!」
アカギ「………」
それは、皿に盛られた寒天、二つ…。
アカギに電流走る…!
女南郷「…ご飯茶碗に注いで固めたから…
…なんか、『おっぱい』みたいな形よね、ははは」
アカギ「………(笑えないよ…ちっとも)…」
アカギ、顔を赤くし、
スプーンの腹で、寒天の頂をペタンコ…ペタンコ…そっと叩いてみる。
アカギ「………(いやだな…妙に震えやがる)…」
先程のことを思わず思い出してしまう、思春期アカギ。
女南郷「ど……どうしたの?…もしかして、寒天嫌い?」
アカギ「い…いや…別に…
(な、南郷さんのデカパイと…どっちが柔らかい…?どっちが…)」
隣で足を崩し、片腕をちゃぶ台にもたれかかりて座る、
無防備な南郷の巨乳を、間近に横目で見やり、
ふと、邪悪な好奇心がよぎる、思春期アカギ…!
アカギ「…南郷さん…蚊だ…蚊がいる…!」
アカギ、南郷にいきなりのジャンプアタック…!
ピシリと、虚空で両手掌を合わせ、蚊を叩く振りをし、南郷の胸の谷間に特攻…!
四畳半に響く、ふたりが縺れ合い、倒れ込む轟音。
女南郷「な、なぁに?…蚊なの?…びっくりした…」
アカギ「………」
がっ…ダメ…!
南郷は横向きに倒れており、どさくさに紛れて巨乳に触れることならず…!
アカギ「……(ククク…くだらないことを考えるなんて…
…我ながら、なんて凡夫っぷり)…」
自嘲して身体を起こすアカギの頭上に、突然南郷の声が!
女南郷「あっ!いたっ…!」
南郷、アカギにいきなりのボディアタック…!
面食らうアカギの顔面に、押しつけられる、南郷の巨乳…!
アカギ「………(ふぐぐ)…」
アカギ、夢中でスプーンの腹を、
南郷の乳房にペタンコ…ペタンコ…押しつける、押しつける、押しつける…。
女南郷「あー…よかった…捕まえたわよ、蚊…!
…血をずいぶん吸ってるみたい…アカギくん、刺されちゃった?」
アカギ「…首筋…(南郷さんのデカパイと、寒天…同じ感触…)…」
アカギ、座り直し、目を鋭くして、皿にのる寒天にスプーンの腹を強く押しつける。
…ひびが入り、割れていく寒天。アカギの瞳が光る。
首筋を掻きながら、アカギは寒天を黙々と口に運びながら、思考。
アカギ「…(南郷さんのデカパイのほうが柔軟性がある…
…まるで、ビニール袋に入れた水を触るようなもの…!
…ククク…不思議なものだな…おっぱい…)」
…アカギ、無法のおっぱい星人
(続かない)
>>28に萌え、便乗した上、あまりに暑いのでやってしまった
…今は反省している
空飛ぶアカギに素麺吹いたw
ほのぼのな萌えに和みを感じたっ‥!
南郷さんは多感な思春期の少年をおっぱい星人にしてしまったことについて責任を持つべきだと思う
南郷タソは天然なので
アカギを誘惑しているという自覚がなさそうだおw
>29,30
ナレーション、古谷声で脳内再生されて吹いたw
ちょ…wテラワロwww
いろいろあったけど、漏れはこうして勝手に続けてみたり出来るこの住人達の雰囲気が好きだ。
アカギ「『いっぱい』の『い』を『お』に変えると・・・?」
衣和緒「おっ・・・い、言えるわけないだろうがっ・・・!この変態がっ・・・!」
アカギ「ククク・・・なに動揺してんだか・・・意外とムッツリスケベだな、鷲巣衣和緒」
衣和緒「な・・・なにをぉっ・・・・!?」
吉岡「鷲巣様・・・!答えは『おっぱお』です・・・!」
衣和緒「あ・・・!き、貴様ぁっ・・・!わしをハメたなっ・・・!」
アカギ「そっちが勝手に勘違いしたんだろ・・・ククククククククク・・・・」
衣和緒「こいつぅぅっ・・・・!!」
アカギ「ククククククククククク・・・・」
仰木「よせっ・・・!もう笑うなアカギ・・・!」
衣和緒「殺すっ・・・・!!」
萌えたwお嬢可愛いよお嬢(*´Д`)
>36
ちょw
相当苛ついてそうだよぉw衣和緒タン!
衣和緒「……(つけあがるなよ、小僧〜…
…あと一枚…あと一枚…イーピン…わたしが引けば……
…殺せる…!この男を〜!)…」
…そのとき、衣和緒の心中によみがえる…。
…卓に着いてから受けた…
アカギから受けた、数々のセクハラ行為っ…!
衣和緒「殺すっ…!」
トイメンで薄笑うアカギを、鋭い目で睨み付ける衣和緒…。
衣和緒「……(この、変態めが…!)…」
口角を上げて、それを見返し、笑うアカギ。
衣和緒「…(変態)」
(当たり前のように、衣和緒の足に、しつこく自らの足を絡めてくるアカギ)
衣和緒「…(変態)」
(『西牌騒ぎ』のとき、
アカギから直撃取れたと思い、調子に乗ってアカギの片頬に手を触れようとしたら
その手を掴まれて、引っぱられ、危うくファーストキスを奪われそうになった事件)
衣和緒「……(…変態めが〜〜!!
…キwwwwwwwwwwwッ…!!!!)…」
アカギは、好きな娘に意地悪するような
そんな軽い気持ちでセクハラしているといいと思うよw
衣和緒お嬢は、そんな変人のアカギに
なぜかギュンギュwwンと惹かれていくといいと思うよw
変態アカギ最高w
うら若き女性の足に自分の足を絡めるとは…セクハラ大王だなアカギw
ていうかファーストキスなのか衣和緒お嬢様w
衣和緒お嬢様は箱入り純粋培養の華族のお姫様。
英才教育を受け若くして帝王学を修められましたが、
その分異性(白服除く)との交流経験ナッシングなのです。
そんなお嬢様が
いきなりアカギにでくわしたんだから、そりゃ驚く罠
(こ、こいつ…!
……私が今まで出会った男の中では、まったくの別タイプ…!)
44 :
アカギ×衣和緒:2006/08/17(木) 19:46:52 ID:b7dON0Pk
鷲巣麻雀のしょっぱな、
不敵な微笑を浮かべ、アカギの様子を伺う衣和緒。
…ワクテカしながら、ひたすら…思考。
(…楽しみだ…実に楽しみだ…どんな麻雀を打つ…)
―――――中略―――――
(天賦の才を持ち、かつ、…狂っていなければならない
…理性が消し飛んでいなければならない…人間的に壊れていなければなら…)
「鷲巣様…!鷲巣様…!」
「何だ、吉岡本…騒々しいぞ、何事だ!」
アカギから、怪しい手鏡を取り上げ、冷や汗を流す吉岡本。
……そして、瞼を伏せ、薄笑うアカギ…!
「…ククク…レースの白」
周囲に高圧電流走る!!
「貴様…!なぜ私のパンツの色をっっ…!」
…暑いのでカッとなってやったorz
反省していない
教授なアカギワロタ
確かに理性は消し飛んでるし人間的に壊れてるww
衣和緒はどんな服装で麻雀しているのかな?
上着はあのままだとして、下はやっぱスカートかな?
48 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 10:11:43 ID:yyZWQayp
お嬢様らしくフリルのついた上品なスカートを妄想
短めのタイトスカートが浮かんだ。ちょっとぴちっとしたエロイ方面の。
お嬢様よりは女王様っぽいけどw
人間学園の制服女性用もそんなスカートであるといい。
あの上の服がワンピースになった恰好を想像した。
>人間学園の制服女性用
ハ、ハテコ!ハテコがミニスカで‥(*´Д`)
ハテコは、ぴっちりミニスカもいいが
一般私立高校のようなチェックの膝上スカートも似合ってそうだ
15歳設定の衣和緒お嬢は、超お嬢様学校に在学中と妄想。
クラシカルなセーラー服で校則によりみつあみおさげ姿。
んで、しげるに「へえ…似合うじゃない…」とか言われたらいい。
マリみてみたいな制服も似合いそうだ
いわお嬢
…そして、吉岡本が必ずお供をしていると妄想
側に近寄りすぎ&僭越行為で、衣和緒お嬢にいつも怒られてそう
「吉岡本!貴様…!いつも言っておろうが…!
………女同士の話しに口出しするな…!」
杖で叩かれ、血を流す吉岡本。
「も、申し訳ございません!お嬢様…!」
ご学友にもパシリに使われる吉岡本まで妄想…!
もちろん男女交際なんか校則で禁止されてるんだろうな、お嬢の学校
それなのに、堂々と正門前に迎えに来ちゃうしげる、とか
しげみとスールな衣和緒想像して萌えた
スールって?
しげみが超お嬢学校行っててもよいね。
衣和緒とスールならしげみが妹?
「はい、お姉さま」と素直でいい口きいといて、
わざと困らせるようなことをして(クク…)とか反応を楽しんで荘。
色的に白薔薇さまかな。
>59
それなんて池田理代子?
「ソロリティー倶楽部」とかナチュラルに在りそうだw
「あ」かぎと「わ」しずだったらはしっこ同士だな
「あ」かぎと「く」どうなら少しは近いか?
「あ」かぎと「い」がわなら一番近いけど、年齢が遠い
ぐぐる先生に聞いて来た。
「あ」かぎと「く」どうに激しく萌えた訳だが
「しげみ…タイが曲がっておるぞ」
「ククク…衣和緒お姉さま…」
というふうに世話を焼くように仕向ける、しげみ異端の戦略…!
「衣和緒お姉さま、虫がついているわ・・・」
「なにぃっ・・・!?ど、どこだっ・・・!とって・・・!」
「フフ・・・動かないで下さいね・・・」
スカートをめくりあげるしげみ
「ひあ・・・!?」
「ククク・・・とれました・・・(今日のパンツはフリルの白か・・・)」
「よくやったわ、しげみ・・・!(やはりしげみは最高の妹・・・!)」
純粋なお嬢にワロスw
ちょwww
それにしても女体化でもセクハラ大王かよwwしげみwww!
しげるとしげみ、兄妹げんかも激烈化しそう
衣和緒の学内隠し撮り写真を所持するが、しげるには見せないしげみ
それをひそかに奪おうと狙うしげる
衣和緒の学内エピソードを小出しに話し、しげるの様子を伺って楽しむしげみ
別に知りたくねーよという顔で何とか誘導尋問にひっかけようとするしげる
衣和緒のプライベートを賭けた二人の渾身のブラフと異端の戦略が炸裂…!
そんな二人に仏壇の前で泣いてる父・茂
「夕飯まだ…?ハテコも来るんだけど…」なシゲル
バロスw
父ちゃん情けなくて涙が出てくらい!!
そして拳銃を発射するシゲル
引越し、お疲れ様でした。
今後もマターリと、皆さんと萌えを語り合いたいですね。
では、景気づけに短編を投下。
その日、銀二が立ち寄ったのは、綺麗に整備されたビル群の中に、ぽつんと取り残されてしまった一軒の古い平屋だった。
何かの店ではあるのだろう、大きな一枚板の看板が掲げられているが、すっかり煤けてしまって文字が読み取れない。
年季の入った擦りガラス張りの引き戸は、意外なことに耳障りな音を立てず、流れるように左右に開いていく。
建物の中は、外見同様くすんだセピア色の世界だった。
柱という柱に並べられた、大小さまざまな時計。
すっかり赤茶色に焼けた、それでいて光沢のある箪笥や座卓などの家具。
色の褪せた髪や衣装の中、瞳だけがきらきらと光っている人形達。
繊細な絵付けを施された、食器や花瓶などの陶磁器類。
その他、何に使うのか判らない物まで、所狭しと、しかし整然と並べられている。
真夏だというのに肌寒いのは、これらの品々の状態を維持するため、店内が低温に保たれているためだろう。
店の中は、意外と広い。狭い間口に比べて、奥行きがあるのだ。
奥の方に、茶室をそのまま移築したような、障子張りの小さな部屋がある。
「・・・ここ、アンティーク・ショップだったんですか?」
「アンティーク・ショップなんて洒落たもんじゃねえよ、ただの古道具屋だ。若旦那、居るかい?」
驚いたように呟く森田に苦笑を返すと、銀二は店の奥に呼びかけた。10秒ほど間が空いて、茶室の障子が開く。
「・・・ああ、銀さんかい」
低い声と共に、店主らしい男が顔を出した。まだ若い。30歳前後といったところだろう。
色白で、尖り気味の鼻と顎、分厚いレンズの丸縁眼鏡をかけ、細い目と眉間に刻まれた深い皺が、
何となく神経質そうな雰囲気だった。
若旦那、と呼ばれた男は、のそりと部屋から出てくると、部屋の外に置かれていた下駄をつっかけた。
男の全身を見て、森田は目を丸くする。
顔立ちから、背が高そうだとは思っていたが、想像以上の長身だった。
高さのない平屋の天井に、つっかえるのではないかと思うほどである。
しかも痩身で、まるで、竹人形が地味な藍無地の作務衣を着ているようだった。
「・・・『時計』の件は、話がついた。今、配送の手配をしている・・・『茶碗』の方は、やっぱり無理だな。
あいつの目の黒いうちは、手放さんだろうよ」
「そうか、『茶碗』は駄目か・・・無理を言ってすまなかったな。『時計』は、持ち主の住所が分かれば、
直接取りに行きたいと言っていたぞ」
「・・・それは、やめた方がいい。『曰く付き』の物だからな。移動は専門家に任せた方がいい」
「『曰く付き』?」
「・・・俺、言ったよな?あれは『付喪神』だって」
「・・・言ったな・・・しかし、そんなもん誰も信じねえぞ?」
「・・・まあ、こればかりは、経験しないとな・・・あんた、その様子だと、買い手に『付喪神』だって話してないだろ?」
「ああ」
「・・・大丈夫かよ。下手するとあの『時計』、一週間もしないうちに返品されるぞ?
その事であんたの仕事が上手くいかなくても、俺のせいじゃないぜ?」
「・・・一週間?何だ、そりゃ?」
「・・・世の中には、あんたが知らない世界があるってことさ」
「そうかい」
森田には、二人の会話がさっぱり分からない。
勿論、この店が骨董屋である以上、銀二の仕事がらみで何か古美術品の取引があったのだろうが、
「曰く付き」だの「つくもがみ」だの、どうにも穏やかでない会話を、二人は交わしている。
しかし、仕事関係で、今迄色々な人物に出会ってきたが、銀二よりも年下で、銀二と対等の口を利いている
人物に会ったのは、初めてだった。
この若い店主、一見して風采の上がらない男のように見えるのだが、実際は、かなりのやり手なのだろう。
自分自身に実力と、それに伴う自信がなくては、銀二の、あのなんとも形容しがたい威圧感に対抗することは出来ない。
初対面でこそ銀二と対等に話せるが、いつの間にかその威圧感に屈服し、気付かぬうちに敬語を使うようになるのだ。
二人の会話から、綿密な取引をしていることは判る。と言う事は、当然二人は浅い付き合いではない。
にもかかわらず、この店主はまるで同級生とでも話すように平然と、銀二と話をしている。
銀二も、この店主の技量を認めているのだろう。対等に話しをしていることを、不快に思っている様子はない。
羨ましいな、と、森田は思う。
今の森田には、まだ銀二と対等に話せるだけの技量はない。
はたして、森田があの店主と同じ年頃になったら、銀二と対等に話せるようになっているだろうか。
今のままでは、とても無理だ。まだまだ修行が足りない。
もっともっと、沢山の事を銀二から学び、いつかは銀二を凌ぐ傑物になりたい。
その時こそ、銀二と対等に話せるようになるだろう。
「・・・じゃあ、早急にそっちの手配を頼む。森田、帰るぞ」
そう言って銀二は、店主との会話を打ち切ると、森田の方を振り返った。
「あ、はい」
「・・・何だ、あんた、女だったのか?」
森田の声を聞いて、驚いた顔をする店主に呼びかけられて、森田は間の抜けた声を上げた。
「・・・は?」
「・・・でかいから、てっきり男だとばかり思ってたんだが・・・」
そう言って店主は、森田に向かって歩いて来た。
いくらなんでも、それはないだろう。確かに森田は、女性にしてはかなり背が高い。
だが、男顔だというわけではないし、自覚はないが、周りからは美女だと讃えられる。
しかも、今日はスラックスではなくスカートのスーツである。男に間違えられるとは、思えない。
大体、100m.先からならともかく、1m.ほどしか離れていない距離で、どうやって間違えるというのか。
だが、鼻先がつくほどの距離で顔を覗き込まれて、その疑問が氷解した。
「・・・本当に、女だな。しかも美人じゃねえか。悪いこと言っちまったな」
「・・・目、お悪いんですか?」
「・・・ああ、家系なんだ。先天性弱視って奴でね。眼鏡をかけちゃいるが、殆ど効果はない」
「・・・それで、お仕事が出来るんですか?・・・」
「・・・別に、差し支えはないな」
「・・・はあ・・・」
「・・・ちょっと、待ってな」
そう言うと店主は、茶室の中へ戻っていく。
何事かと銀二と森田が顔を見合わせていると、ほどなく店主が戻ってきた。
「男に間違えたことと、茶も出さずにほっといた詫びだ」
そう言って店主は、森田の手にきらびやかな錦の小袋を握らせる。
「・・・え?・・・でも・・・」
助けを求めるように銀二の方を見ると、銀二は黙って頷いた。貰っておけ、という事だろう。
「・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・ありがとうございます・・・」
森田は小袋をハンドバッグの中に仕舞い込むと、店主に一礼する。
「・・・それじゃ、若旦那、後は頼む」
そう言って店を出る銀二について、森田も店を後にした。
その後、何件かの仕事を済ませ、日付が変わる少し前に、森田は銀二と共に銀二のマンションへと戻って来た。
いつもどおり風呂と軽食を済ませて酒を嗜んでいると、ふいに思い出したように、銀二が問いかける。
「・・・そう言えば、あいつに貰った物は、何だったんだ?」
「あいつ?」
「古道具屋の、若旦那だよ。何か、貰っただろう?」
「・・・あ、忘れてました」
森田は慌てて自室に戻り、ハンドバッグの中から小袋を取り出して、リビングに戻って来る。
金糸銀糸を織り込んだ豪奢な小袋は、巾着のように紐で口を閉めるようになっており、
中の物を守るように中綿の詰められた二重構造になっていた。
内側は金色に染められた絹張りで、紐は五色の絹糸を編みこんだ細い組紐である。
素人目だが、これだけでも随分と値が張りそうだ。
口を開けて中を探ると、何か硬い物に触れる。引っ張り出して掌に乗せると、森田は笑みを漏らした。
それは、3pほどの、小さな魚。軽くて黒い光沢のある、変わった素材で出来ている。
柔らかな線の魚体には、鱗や鰭といった繊細な彫刻が施されており、
大きなまん丸の目が森田を見上げ、きょとんとした表情で、おちょぼ口を開けている。
「黒出目金だー、可愛いー」
森田は上機嫌で掌の上の金魚をつつきまわしている。
元々、余り美術品には興味のない性分なので、貰うことを遠慮していたのだが、
こんなユーモラスな物なら、観賞用美術品として、飽きることはない。
「・・・どれ、見せてみろ」
森田から金魚を取り上げて、暫く眺め回していた銀二だったが、突然不快そうに舌打ちをした。
「・・・あの野郎、森田に惚れやがったな・・・」
そう呟いて、森田の方に金魚を放り出す。
慌てて金魚を受け止めて、森田は銀二に尋ねた。
「あの若旦那がですか?どうして?初対面ですよ?」
「・・・そいつはな、「黒玉」と言って、欧米で昔から女が魔除け用に身に着けていた宝石だ。
しかも「金魚」は、中国では金運向上のシンボルなんだそうだ。プレゼントには、もってこいだろう?」
「・・・確かに、貰って嫌な物ではないですね」
「その上、そいつは『本物』だ。まあ、十数万は下らんだろう」
「ええ!?こんなに小さいのに!?」
未だに美術品の価値と言う物が解らない森田は、掌の上の金魚をしげしげと見詰め直す。
「・・・でも、高価な物だからって、それで好意があるとは限りませんよ?」
森田に問いかけられて、銀二は手に持っていたグラスの中の水割りを一気に飲み干すと、低い声で呟いた。
「金魚の口から顎にかけて、穴が開いてるだろ?そこから紐を通して、財布だのバッグだのに付けて、
常にお前の傍に置いてくれと言っているのさ」
「・・・はあ・・・そういうものですか・・・」
確かに、心理としては解る。だが、穿ち過ぎではないだろうか。
何しろ、あの店主とは今日が初対面なのだ。しかも店主は、銀二達が帰る直前まで、森田の事を男だと思っていた。
実際に、森田の顔をまともの見たのは、ほんの数分だろう。それだけで、恋愛感情に陥るとは思えない。
勿論、一目惚れと言うものはある。だが、あの時の店主の表情から、好意と言う感情は読み取れなかった。
だが、銀二が一目置き、その立場を羨ましく思うような相手から好意を寄せられると言うのは、悪い気分ではない。
「ま、いいか。良い物を貰ったんだし、可愛がって大事にしよう。財布にでも付けておこうかな?」
「止めとけ、止めとけ、『付喪神』かも知れんぞ?」
そう言って銀二は、横槍を入れる。
「何ですか、『つくもがみ』って?」
「平たく言えば、化け物だな。寝ている間に化け魚になって、頭から丸呑みにされても知らんぞ?」
「自分でも信じていないことを、相手に信じ込ませようとしても、駄目ですよ」
そう言って森田は、くすくすと笑う。銀二が、こんな子供じみたことを言うのは、珍しい。
感情に乏しい、と言うより努めて感情を表に出さないようにしている筈の銀二が、
どうも先刻からグラスの氷を噛み砕いたり、殻つきの胡桃を握りつぶしたりと落ち着かないのだ。
その目線の先には、金魚がいる。
「・・・嫌なんですか?私がこれを持ってるのが」
「お前が貰った物をお前がどうこうしようが、お前の勝手だ。俺が口を出すことじゃねえ」
やはり、銀二はどこか不機嫌だ。
そもそも、店主にこれを手渡された時に、貰っておけと言ったのは銀二である。
なのに何故、こんなに機嫌が悪いのだろう。
この金魚が、店主の好意を表す物だったから?そこで森田は、ふとあることを考え付いた。
「・・・銀さん、もしかして、妬いてます?」
森田の問いかけに、銀二は訝しそうに眉を寄せる。
「・・・何で、そう言うことになるんだ?」
「だって、私が銀さん以外の人からプレゼントを貰ったのが、嫌なんじゃないんですか?」
「・・・そんな事、あるわけねえだろう。やっとお前も男から貢がれるような女になったかと、喜んでるさ」
「じゃあ、どうしてそんなにむくれてるんです?」
「・・・むくれてなんかねえ」
「銀さん、私、銀さんとの付き合いは短いけど浅くはないつもりですよ?」
森田は、銀二の目を覗き込む。心にやましさを持つ者は、大抵相手の目を直視出来ないものだ。
だが、銀二に限っては、それは無意味である。一点の迷いも曇りもなく、森田の目を見詰め返して来るのだ。
「・・・解りました。銀さんは妬いてないです。じゃあ、これ、財布に付けておきますね」
そう言って森田は立ち上がり、自室へ戻ろうとした。
「・・・ああ、好きにしろ」
と言う銀二の低い声が、背中に投げかけられる。
部屋のドアを閉めてから、森田は唇を尖らせて呟いた。
「・・・やっぱり妬いてるんじゃないですか・・・素直じゃないんだから・・・」
翌日から、森田は金魚を繋いだ財布を持ち歩くようになったが、バッグから財布を取り出すたびに
銀二の周りに静電気のような青白い火花が見えるような気がして、結局三日ほどで財布から金魚を外し、
チェストの引き出しの奥にしまいこんでしまった。
以上、お粗末さまでした。
以下、チラシの裏。
ジェラシーはラブコメの基本なのに、銀さんが大人なのでコメディーにならねえよ(´・ω・`)
いやっ!
銀さんは間違いなく妬いていると思いますw
(;´Д`)ハァハァ
GJGJ! いつも楽しませてもらってます。
むくれる銀さんカワユスw
帝愛主催の「ドキッ!女だらけの水泳大会 ポロリもあるよ」に出場する杏慈と女佐原。
賞金を得るためには、他人の水着を剥ぎ取らなければならない。
ギャラリーたちの前で、女の戦いが繰り広げられる。……とか考えた、暑いから。
この勝負・・・運否天賦じゃない・・・
勝つのは智略走り、他人脱がせる者――!
水に溶ける素材製の水着着せられた参加者たちが水上鉄骨渡り。
渡りきったと油断した佐原子が転落して、水着が溶けて全裸に・・・
まで妄想した。
そういうエロマンガあったよ。
ヒロインが紙石鹸の水着着てて、風呂場で体を男の子に擦りつけて泡踊りするという話。
>>84 (;´Д`)スバラスィ ...ハァハァ
こんなシチュ大好物だw
『ラブコメ保管庫』の裏ドラで、カプにやらせてみたい
紙石鹸の水着や服って、作るのも着るのも難しそうだが…
紙石鹸の服、鉄緒だったら手汗で着てる最中に溶けそう。
紙石鹸イイ!!
飴で作ったブラとパンティをおにゃのこに着せて、それを舐め(ry)な漫画は見た事あるが
紙石鹸も飴も作るのは難しそうだ。
でも、銀さんならきっとできる!出来るよ!
銀さんなら不可能はない!無いよ!!
石鹸でも飴でも萌えるな‥鉄緒タソ
そうです、銀さんにできないことなどありません!
パティシエに特注で作らせた飴ブラ&パンティを舐め(ry
これ以上は裏ドラ行きだ。
よし、裏ドラの該当スレで待ってる。
一連の流れにワロスwwwww
藻前ら、銀さんを何だと思ってるんだwwwww
>>92 銀さん至上主義ですよwwwww
俺もテラワロスwwwww
※前スレの『しげるとしげみ』の新作です。
※捏造、妄想三昧です。
※アカギの女体化人物、赤木しげみが主人公。
※アカギと、赤木しげみのラブコメです。…苦手な人はスルー奨励汁。
それは、八月。…お盆時期の昼過ぎのことであった。
今日は、しげみが居候している魚屋の、お盆休み第一日目。
戸外のアブラゼミが、しゃわしゃわと喧しく鳴いている。
「うー!今日も暑いなぁ、……おい!しげみ!」
叔父に怒鳴られ、しげみは自室のドアを開け、顔だけ覗かせた。
階下に佇む仏頂面の叔父が、しげみを睥睨している。
「…ふぁい…なんれすかぁ〜?」
しげみは、気の抜けた声を上げた。
彼女は、昼過ぎだというのに、まだ寝こけていた。
彼女自慢のつやつや銀髪は、あちこちに寝癖が付き、
いつもの猫のような、くりっとした目は、見事に開かない状態。
「…店の食品棚の消毒と掃除…!
…このお盆休み中にやっといてくれよっ…!」
叔父にそう告げられたとたん、しげみはあくび混じりに、彼に言い返した。
「それは…………
…昨日の夜中に、だいたい済ませましたから…………だから、寝てなくって……」
それを聞いた叔父は、仏頂面のまま、ぶつぶつとつぶやきながら階下から去った。
しげみは再びあくびをしながら、自室のドアを無造作に閉めた。
そして、パジャマ姿で盛大に息を吐くと、ベッドに仰向けで倒れ込んだ。
(…せっかくの夏休みだもの…好きなだけ寝かせてよ…)
しげみは再び、深い眠りに落ちていった…。
「しげみ」
頬がぴしゃぴしゃと叩かれ、しげみは唸った。
再度頬に同じ振動を感じ、顔をしかめたしげみは、頬を叩く何者かの手首を思わず払った。
そして、顔をしかめ、薄いタオルケットを、地団駄を踏むように足下に蹴りやり、呻いた。
「う゛――――、もう少し寝かせて―――っ…」
「寝かせてって…」
笑い混じりの、若い男の声が耳元に響いた。「五時半だぜ?…もう夕方…」
しげみは跳ね起きた。慌ててそこらをまさぐり、見つけた目覚まし時計を鷲掴みにし、
文字盤に向かい目を凝らす。「あ……本当だぁ……」
目覚まし時計を放り、両手で前髪を掻き上げ、うなだれたしげみは呻いた。
「……もう、一日目が終わっちゃうじゃないか〜」
ぴくり、と、しげみの肩が動いた。……恐る恐る、顔を上げ、ベッド脇を見る。
そこには…。
「何だ?…幽霊見たような顔して」
脇に立ち、ニヒルな笑顔を浮かべ、しげみを見下ろすお馴染みの男。
鼻筋が通る端正、かつ精悍な顔立ち。切れ長の目。鈍い光を放つ銀髪。
「…………あ、赤木…さん」
しげみは、思わずベッドの上に座り込み、呆然とつぶやいた。
……と、同時に彼の上半身をしげしげと眺め、目を丸くし、絶句。
そこには、黒い半袖カジュアルシャツいっぱいに踊る、黒龍の絵が…。
アカギはそんなしげみを見てニヤリと笑い、得意げに黒龍シャツの衿を引っぱった。
「いいだろう…?…これ…」
しげみの頬が痙攣した。
(…赤木さんの格好って…、ものすごく地味か、派手か…、どちらか極端のような…)
しげみは、アカギの顔を見上げ、眉を寄せた。
「と、ところで、何で…ここにいるわけ?」
アカギはタバコをくわえ、ライターで火を付けた。
「ふふふ…どうでもいいじゃない、そんなことは…」
パチン、と、ライターの音が弾け、タバコの煙を吐き出したアカギは涼やかに答えた。
「……下にいるおっさんに、しげみの友人だって言ったら、家に上げて貰えただけ…」
午後六時。夕方とはいえ、まだ明るい。
服に着替えたしげみと、ジーパンのポケットに手を突っ込んだアカギは、外を歩いていた。
「ククク……何怒ってるんだよ、しげみ…」
「…………」
しげみはしゃべらない、答えない。
目を三角にしたまま、口を一文字に結び、アカギの前を足早に歩き続けた。
先程アカギに、「こんなの…いつまでも着てないで、早く着替えなよ…」と、
くわえタバコで言われたとたん、いきなり、自分のパジャマの胸元に、
ひとさし指を突っ込まれ、クイッと引っぱられた事を思い出し、しげみは胸糞悪くなった。
( 最 悪 …… !!
……あのとき、コイツ絶対、あたしのパジャマの中身を覗こうとしていたよ…!
………この、可憐なあたしの肌…そして…、そして…あたしのナマ胸をぉぉ……!)
不意に、しげみは腕を掴まれた。反動で片足が空を切る。
「どこに行くつもり?…こっちだ」
くすくすと、背後からアカギの笑い声が耳朶をかすめた。
しげみは頬を赤らめ、半ば、アカギに引きずられるように、細い路地を曲がった。
そこには小さな児童公園がある。
その場に路駐されていた、アカギがドアに手を掛けた乗用車を見て、しげみは驚愕した。
「これ!何?これ…!?……これが…、赤木さんの…車ぁ…!!」
しげみの両目が、たちまち少女漫画のような煌めきを放った。
それは…漆黒のBMW…!!しかも、セダンの最新型…!!!
彼女にとり、それはショールームをチラ見するだけが精一杯の、憧れ…!夢の車…!!
しげみはしばらく、デレ〜ンと夢想に耽っていたが、
そのBMWを眺めるうち、次第にその表情が曇り、笑顔は徐々に消えていった。
車のボディは、至る所がボコボコにへこんでいる。無数の細かい引っ掻き傷も見受けられ、
ハザードランプ付近など、へこみだけでなく塗装が剥げ落ちている有様。
…つまり、オンボロ…!最新型にしてこれ…!廃車にしてもいいくらいのポンコツ…!
「どうした?…乗れよ、しげみ」
にこやかなアカギが、車にもたれ掛かり、その場で固まるしげみを見つめている。
しげみは頬を引きつらせ、無理矢理、笑顔を作った。
「あ、あのさ…ちょっと…聞いてもいいかな?」
「何?」
「どういう乗り方をしたら…こんな風になるわけ?」
「…えっ?」
アカギは切れ長の目を見張った。
彼の驚いた様子を見たしげみは、思わずズッコケた。
しげみは戸惑いながらも、慌てふためき、もの凄い勢いで捲し立てた。
「すっ…すごい……ボ…
……ボ!……ボロボロじゃないかぁ!…この車…!
……まるで何者かに、寄ってたかって体当たりされた、もしくは、したかのようにぃぃ…!」
「ああ…その事か………ふふっ…」
アカギは気怠くしげみを見、口角を上げ、つぶやいた。
「………面白い遊びには…付き物の代償…」
「は?」
「…さ、乗った乗った」
しげみの立つ後方に、いつの間にかアカギが回り込み、
助手席のドアを開け、しげみを押し込もうとしている。
「…まっ!ちょ…待て!まだ乗るなんて一言も言ってねぇぇぇぇ…!」
しげみは、…じた…じた…と、暴れた。
暴れながら、しげみは涙ぐんだ。
「……まっまさか、あたしを『雪隠詰め』にして、…えっ…えっ…
……え、………Hなことをしようと…企んでるんじゃないだろうなぁっ…!」
「ククク…」
しげみの耳元で、くぐもった声で笑い、アカギは優しい声で囁いた。
「……俺にそんな気があるんだったら………とっくの昔にやっているさ…」
しげみに『何だか訳が分からないけれど…ヘコんじゃった♪』高圧電流走るっ…!!
頭の中が真っ白になったしげみは、その車…オンボロBMWに、無理矢理押し込まれた。
ドアが閉まった音で正気に返り、慌てて外に飛び出ようとした途端、車は急発進した。
「出してくれぇぇぇぇ!」…しげみの叫び声は、車のエンジン音に虚しくかき消された。
(続く)
遅ればせながら、スレ引っ越し、もつかれさまですた!
予定では、あと二回のお目見えで終了です。
GJ!続き楽しみにしてます…!
>>94-97の続き投下します
人気の無い地方道路を疾駆するオンボロBMW。…車の時計表示は、午後七時半。
「あははははは……」
あれから幾度、こんなふうに嘆いたことだろう。
しげみは瞳を潤ませ、乾いた笑い声を上げ、助手席に埋もれながら周囲を見回す。
(…なんで、なんで、よりによってなんでこんな時に、減速なんかするのさっ…!)
非常事態にも係わらず、なぜかアカギはブレーキを踏み、車の速度を徐々に落としていく。
ガチィィン!
オンボロBMWに、再び衝撃が加えられた。
「ひいいいい!」しげみは頭を、耳を押さえ、その衝撃音に耐えた。
目を見張った彼女の額から、首から、冷や汗がしたたり落ちる。
今度は、後方から両側面から、BMWのボディを一斉に打撃される雷音が車内に反響する。
さらに、車の前方におもむろに飛び出した一台のオートバイ。
二人乗りし、前方にてジグザグ走法を執拗に繰り返す。
喜色満面でせせら笑い、振り返る二人の若者達の背には、明朝体で大きく刺繍された漢詩。
それが金糸によって浮かび上がり、長めで紺色の特攻服が、風に煽られ、はためいている。
そして、バイクの後部に座る若者の手には、鉄パイプが握られていた。
しげみは屈み、両耳を塞ぎながら、瞳をせわしく動かした。
車外から、BMWにつきまとう数名の暴走族が単車に乗り、口々に罵声を浴びせ掛ける。
『女連れて生きがってんじゃねぇぞコラァ…!』
『…チンタラ走ってんじゃねぇぞ!』
『てめぇらみたいなヤツがBMWなんか乗ってんじゃねぇぞ…!カス…!』
メーターを一瞥し、しげみは目を剥いた。(…時速四十キロぉ〜)
思わず運転席のアカギを睨み付ける。
アカギは無表情のまま、片手で胸ポケットからハイライトの箱を取り出し、
一振りし、一本くわえた。一連の作業にて、ライターで火を付けると、
彼は眉を寄せ、くわえタバコのまま、大量の煙を一気に吐いた。
「…つかまってなよ」
「えっ!!」しげみは騒音の中、声を荒げた。
「うるさい蝿…」
しげみは目を見開き、凍り付いた。アカギの冷酷な微笑。「…すぐに視界から消すから」
前でせせら笑う暴走族の一台が、前方から消えた瞬間。
アカギはニヤリと笑い、突然ハンドルを大きく切った。
ギャギャギャ…!
鋭くスピンしたBMWのボディは、漫然と後方側面を伴走していたすべての単車に当たり、
それらを次々と蹴散らし、なぎ倒していった。
「ふんぎゃあ…!」しげみは遠心力により、車内のあちこちに身体をぶつけ、目を回した。
アカギは薄笑いながらハンドルを切り、BMWの体勢を立て直すと、
周囲に転がる数台の半壊したオートバイや、
横たわり、または上半身のみ起こし、呆けた様子の若者達を後目に、急発進した。
しげみはあたふたと身体を起こし、額に手をやり前方に向き直ると、思わず目を見開いた。
「あんぎゃあああ!!」 ……驚き叫ぶ、しげみの眼前に繰り広げられる鬼畜劇場。
それは、前方を見据え楽しそうに、微妙にアクセルの踏み具合を調整しながら、
すぐ前を疾走するオートバイを小突くように煽る、前のめり気味のアカギと、
悲哀の形相凄まじく必死に、モンスターと化したBMWから逃れようとする暴走族の二人。
突然アカギはふっと失笑すると、追うのをやめ、ブレーキをゆっくりと踏み込んだ。
そして、道路標識通りのスピードに戻すと、何事も無かったかのようにBMWを駆った。
「なっ?……こうすれば…、元通り通れるんだよ…ここは…」
アカギはつぶやき、新たなタバコを吸い始めた。
暴走族の二人は、悲鳴を上げながらそのまま猛スピードで逃げ去り、
しげみは唖然と、その様子をどきどきしながら見送った。
「…しげみ。ケツから後ろ…。奴ら、追ってきてないよね」
アカギの涼やかな声で、しげみは振り返った。…闇が広がるばかりで、単車の気配はない。
「まったく…最近の族はヤワで、本当に勝負のしがいがないな…」
アカギはタバコの煙を大量に吐き出して、残念そうにつぶやいた。
しげみは、アカギの澄ました横顔を眺め、目を剥き、思わず悪態を吐いた。
「…く…腐れ外道!…何が勝負だ!!…ど、同乗者がいること、忘れてるだろ…!」
しげみは血走らせた目を見開いたまま下を向き、膝の上で、震える両拳を握りしめた。
「腐れ外道か…クク…それは結構」
アカギはニヤリと笑った。しげみの吐いた悪態について、まったく気に掛ける様子はない。
それから間もなくのこと…。アカギがオンボロBMWを小さな駐車場に乗り付けるなり、
しげみは、助手席から慌ただしく飛び降り、ドアを叩きつけるように閉めると、
必死の形相で、隣接するカフェに駈け込んだ。
「すみません…!タクシー呼んで下さい…!」
カフェの店員達が、いきなりのことで目を丸くし、しげみを見つめている。
しげみは見開いた目を血走らせ、拳を握り叫んだ。
「…マジで、マジやばいんで…タクシー呼んで、あたしを乗せて下さい…!」
続いて背後からアカギがカフェに進入し、しげみを羽交い締めにした。
「何だ、いきなり騒ぎ出して…しげみ」
その声には、微かに笑い声が混じっていた。
しげみは顔をしかめ、そんなアカギから逃れようと、じた…じた…と暴れた。
「もうイヤ…!もう限界…!今度こそ絶対逃げてやるんだから…!!」
店内にいる客がざわ…ざわ…し始め、店員達も顔を見合わせる。
店長らしき男性が、店の奥から慌ててやってきた。
しげみはほくそ笑んだ。(きた!……予想通りの展開!!ざまぁみやがれ!)
しげみは鋭い目でアカギを睨み付け、彼の腕をしたたかに払い除けた。
アカギは特に変わった様子を見せず、きょとんとした顔でしげみを見下ろしている。
この流れで行けば、しげみは第三者の仲介により、アカギから解放され、
無事、叔父の家に戻ることができるはずだ。
…異常な犯罪が多発する昨今である。
これで警察が呼ばれたりすることがあれば、アカギはお灸をすえられることになる。
最近自分に対して、図に乗り過ぎの嫌いがある彼には、いい薬になるはず…。
…と、しげみは思った。……そのはずであった。…がっ…駄目…!
「…アカギさん?…アカギさんじゃないですか…!
……すいません、この人、俺の知り合いなんです…!」
しげみは、声のした方向を見た。こちらに歩み寄る、顔にそばかすのある若者…。
想定外のできごとに、しげみ唖然。「当てがはずれた…か。…残念だったな…ふふっ」
しげみの頭のてっぺんに、大きな温かいものがふわりと置かれた。
(あたし…ひどいことしようとしたのに…、ぜんぜん怒ってないみたい…赤木さん)
それが、アカギの掌だと気づいたしげみは、複雑な思いに囚われ、瞳を揺らし瞼を伏せた。
カフェは、もうすぐ閉店時間らしい。
簡単に夕食を済ませた三人は店を出、駐車場に立った。
夜空には月と、満天の星。…夜風は清々しく、鈴虫やコオロギの鳴き声がとても心地よい。
「え…!?『走り屋潰し』に遭ったんですか…!」
アカギの友人…治、と、名乗った若者は、
月明かりの中、彼と、オンボロBMWを交互に見、目を見張った。
「………車はともかく………で…、でも、よく無事でしたね〜!」
アカギは、傷、へこみだらけの自分のBMWに手を置き、くすりと笑った。
「あの〜…、『走り屋潰し』って、何のこと?」
しげみは、星を見るだけの手持ち無沙汰。退屈しのぎに、治に話し掛けた。
治は、しげみに話し掛けられ、ポッと頬を赤く染めたが、
咳払いし、腕組みすると、汗をかきかき、答えた。
「えーと…それは、…峠に繰り出す『走り屋』を狩る、一部の暴走族のことで…。
…峠や、その付近で待ち伏せして、恐喝や暴行、車を破壊する、質の悪い連中です。
…なんたってこの地域には、『走り屋』にとってはメジャーな、赤城山があるもんで……」
それを聞いている途中から、しげみは固まり、彼女の視界はグニャった。
(えっ…?赤城山??…つまり、ここは……群馬県の奥地…!?)
しげみは眼光凄まじく、アカギを睨み付けた。……アカギはすかさず彼女から目を逸らす。
「……そうだ…さっき、サ店で言ってた、治の愛車…見せなよ」
そのまま治に話題を振り、何事もなかったかのように、しげみから遠ざかってゆく。
「…それがまた、改造三昧で…。地元チームの皆に、笑われまくりですよ…
………『それよりも、お前は腕を磨け』って言われちゃってます。…ハハハ…」
治は照れ、頭を掻きながらも、駐車場の一角をアカギに指し示した。
「あっ…いいね」 アカギが明るい声を発し、足早に治の愛車に向かうと、
「えっ!本当ですか!?」 治は嬉しそうにその後を追って行った。
一方、しげみは狼狽。彼女が見つめる十本の手指は、わなわなと震えていた。
(おいおいおいおい…!冗談じゃないよ!……これ、どう考えたって……、
赤木さんが、部屋で夕方言ってた、『ちょこっと面白いとこ行こう』って話しと、違うぞ…!)
しげみの額に、背中に、イヤにべとつく汗が滲む。
(…まさか!…赤木さん、あたしと… 一 泊 ! を、目論んでいるのでは…!)
考え過ぎかもしれないが、それにしても騙されて連れてこられたことに変わりはない。
しげみは目を三角にし、のんきに笑い合うアカギと治のほうに、鼻息も荒く近づいた。
ふたりは背を向け、話しに夢中で、しげみの接近に気づかない様子。
「…ところでアカギさん!一緒に来たあの人、彼女ですか?
………すっごく可愛い人ですよね…!いいなぁ〜アカギさん!」
治の羨望混じりの声が、しげみの耳朶をくすぐった。思わずデレ〜ンと頬を緩めたしげみ。
…その場にしゃがみ込み、思わずアカギの返答に聞き耳を立てた。
アカギ、のどの奥で笑いながら即答…!
「…変なヤツで面白いから…連れてきただけ…」
ズルリと音をさせ、しげみはアスファルトに転がった。
アカギは振り返ると、転がり固まったままのしげみの傍らにしゃがみ込んだ。
「ほら…面白いだろ?…リアクションがさ…」
そして、しげみの柔らかい頬を、穏やかな顔をして、ちょんとつついた。
(…ない!…あたしの取り越し苦労だ…!
……あたしが考えてた、あんなことや、こんなことは………ない。……たぶん絶対…)
しげみは、アカギに頬をつつかれているのにも係わらず、ただただ固まり続けた。
治は、穏やかな様子のアカギを、目を丸くして眺めていたが、
それにつられて思い出したのか、おもむろに口を開いた。
「あ、そうだ…。驚いたといえば…」
治は駐車場外の、ある一角を指した。
「あの車…たしか、自衛隊で使われてるやつですよね…」
しげみとアカギは、興味をそそられ、思わず立ち上がった。
治は眉をひそめた。
「……俺、あの車をこんなところで見るのは初めてですよ…
…なんか、気持ち悪いんですよね…」
(続く)
105 :
頭文字S:2006/09/07(木) 01:43:50 ID:POvGo0Nv
治タソのことを勝手に妄想。
出身地は群馬県。意外と走り屋になりそうだ。と、妄想…。
…反省していない。
GJ!!オモロイです
鬼畜劇場最高w
自分も治はそのタイプだと思いますよ
過去ログよんで学園天のひろとしげみに
激しく萌えたので続き希望
自分はひろ×隠し子しげみと学園フクモトの続きが気になる
職人さんカムバックっ……!!
便乗。
カイジ×美好の続きプリーズ…!
悪徳刑事と貧乳ゆきみ
ぜひ続きっ…!待ってるっ…!
考えて見りゃ、ここの板は『萌え話』オケー、それに『文章創作』オケー!だっ!
…て、ことはSSをここに思い切り披露してもイイってこった!
職人の皆さん!熱い萌えを激しく待ってるおw
百合物も待ってる
引越し前スレでネタがふられてた、「ドジっ娘鉄緒とお銀さん」も気になる。
お銀さんに手料理を食べてもらおうとはりきる鉄緒。
でも、鍋こがしたり皿わったりで、お銀さん宅の台所が滅茶苦茶に。
あせってなんとかしようとして、やけどしそうになったり、指先を傷つけたり。
傷口を見つめながら、ドジな自分が情けなくなって涙ぐんでしまったり。
それをお銀さんがどういうふうにフォローするんだろうか…とか考えるのは楽しい。
>>100-104の続き投下します
風を切り、赤城山を駆け上る二台の乗用車。
先頭を走るは、青色のスカイラインGT−R、続いて漆黒のBMW。
しげみは大はしゃぎだ。
「面白い…!超面白い…!あはははははははは―――――っ!!」
次のカーブに差し掛かると、車体が斜めに傾く。再びしげみは歓声を上げた。
「うひゃ―――――――――――――っ!!」
喜色満面のしげみ。
運転席で、オンボロBMWを操るアカギは、前方を見ながら満足そうにフフッと微笑む。
「来てよかったろ…?しげみ」
しげみは今、この一時のスリルを貪り、アカギの声が耳に入らない。
まるで、ジェットコースターに乗っているかのような快感。
しげみの身体中をアドレナリンが駆け巡り、
アカギの隣で、助手席に座る彼女を興奮の渦に巻き込む。
自分の身に、ほんの数十分前に起きた怪奇な出来事も、
爽快な絶頂感のお陰で、記憶の底に沈み、そして消えかけようとしていた。
それは、しげみ、アカギ、治の三人が、夕食を済ませ、駐車場に佇んでいたときのこと。
「…なんか、気持ち悪いんですよね…」
治はそこで言葉を切り、眉を寄せ、顎に指先を当てて不安な心境を露わにした。
三人はその場まで進み寄り、足を止め、遠巻きにくすんだ迷彩色の車両を見上げた。
(…デカい)
しげみは思わず息を飲んだ。
全長、幅、タイヤ。ともに、付近に駐まる一般車の一回りも、二回りも大きく、
仰ぎ見る三人に、異様な威圧感を放つ。
車高など、並び立つ三人の中では、飛び抜けて背の高いアカギを余裕で越す。
しげみは、この自衛隊車両の名前を、記憶の底から懸命に引き出し、目を輝かせた。
「…思い出した、これ…『軽装甲機動車』ってヤツだ!」
しげみは感極まり、機動車に駆け寄ると、そのボディを両手で撫でた。
「本物なんて初めて…」
アカギと治は顔を見合わせた。
「やっぱ、かっこいいわ!これ一台あれば地震、テロに遭っても怖いもん無し…!
………決めた!…お金を貯めて、きっといつかこれ…手に入れるんだぁ…♪」
うっとりとした表情で、しげみは機動車に頬を寄せる…。
突然しげみの夢想が途切れた。
横に来た治が、おもむろにしげみの片腕を引っぱり、車から引き剥がしたからだ。
「…自衛隊車両そのものは、残念ながら、民間用には売られていないです!」
治の、歯に衣着せぬ態度に、しげみは思わず眉を寄せた。
「あ、あんまり側に寄らないほうがいいと思いますよ。この車の上、見てください…」
しげみは機動車の上部を見上げ、ハッと息をついた。
その屋根部分には小火器が据え付けてあり、月の光に反射し、鈍い光を放っている。
「…見ましたか?………銃、銃ですよ!……でも、いいのかなぁ…
…………こんな銃、付けたまま民間人のとこ来ちゃって…」
治が、ふと、疑問を口にする。
「…『MINIMI(ミニミ)機関銃』」
しげみはつぶやくと歓声を上げ、治を振りきり、機動車のボディに体当たりした。
「すごい…!本物だよ…!本物…!」
頬を紅潮させ、治を振り返ると、彼は口をぱくぱくし喘いでいる。
「…危ないですよ!それに、この車の中に自衛官がいるかも知れないじゃないですか…。
…もし、怒られちゃったらどうするんですか…!」
「かまわねぇよ…少しぐらい」
上から声が降ってきた。
治の驚愕顔を見たしげみは機動車の屋根を見上げ、これまたあんぐりと口を開けた。
「ああ!赤木さん…!」
「見晴らし最高だな…ここ」
そこには、機動車の上に飄々と立ち、涼やかに一服するアカギがっ…!
彼は、前歯を微かに覗かせニヤリと笑うと、タバコ片手にしげみを見下ろした。
「へへっ…!いいだろう…」
しげみは目を剥き、両拳を握りしめて地団駄を踏んだ。
「ずるい!!自分だけいい思いしてぇぇ…!あたしも乗りたぁい…!」
治の、地に沈むような呻きを後目に、しげみは、アカギの右手に掴まり、
機動車の側面をガンガン蹴りながら、その屋根に上り詰めた。
「もう…どうなっても知りませんよ〜〜!勘弁してくださいよ〜、アカギさぁん…」
少し離れた場所で、治は頭を抱えている。
「おまえも来るか?…治」
アカギは、治に向かい涼やかな顔を向け、
治のほうは、首と両手を激しく振り、拒絶している。
しげみは密かに、治まで、この上に登ってこられるのはごめんだと思っていた。
屋根の上は、ふたりで立つには意外なほど狭かった。
縁には、高さのない柵が設置されているものの、
屋根の上に突っ立つ人間の落下防止のためではないようだ。
しげみは、アカギの立ち位置付近にある機関銃を食い入るように見つめた。
(…あれ、じっくりと見たいなぁ…少しぐらいならかまわない、よね…?)
しげみはゆっくりと足を踏み出した。
そのとき、自分に背を向けて立つアカギが、おもむろに進行方向にしゃがみ込んだ。
しげみは腰を屈め、彼の背中を小突き、声を荒げた。 「もしもしぃ…!?」
そして、目をしばたたいた。…彼女を見る、アカギの切れ長の目が鋭い光を放っている。
「しっ…!」 アカギは鋭い目をしてしげみを牽制する。
しげみも『それ』を察知し、思わず後ずさった。
(…誰か、誰か中から出てくる…?)
機関銃のすぐ手前にある円形のハッチが、ガタガタと音を立てて揺れ始めた…。
「…しげみ」
「あ…」
「しげみ、電話。…たぶん、治から」
スピード感に酔いしれていたしげみは、
アカギに呼ばれ、自分の携帯電話が膝の上で震えていることに気づいた。
携帯の通話ボタンを押し、
運転中のアカギが、治と会話ができるよう、ハンズフリー設定に切り替える。
「…はい!」
『あっ!しげみさん、…気分はどうですか?』
オンボロBMWの前を走る、スカイラインGT−Rの治からだった。
「最高…!すんごく、面白い…!」
しげみは笑顔で叫ぶように答えた。
『それはよかった〜!』
「治…そろそろ本気出すか?」
アカギがハンドルを切りながら笑い言うと、治は素っ頓狂な声を上げた。
『ええっ〜!もうですかぁ〜?…気が早いなぁ、アカギさん…
……しげみさんがいるのに、だいじょうぶかなぁ?』
その声を聞き、アカギはくすくすと笑った。
「…しげみも、退屈だって言ってるぜ」
しげみはムッとした。そんなこと、一言も言ってない。
『退屈…んー、確かに言えてますね〜!……分かりました〜!
……とりあえず、山頂の大沼でおちあいますか?』
「そうするか」
『…んじゃ、行きまーす…お先に…』
言うのが早いか、治が駆るスカGのエンジンが爆音を発し、
タイヤ音と共に、あっという間に、山道の闇に消えた。
「速っ…!」
しげみはぽかんと口を開け、治を見送った。
「治は、ああ見えて結構な飛ばし屋…」
アカギは口角を上げた。前方を鋭く見据える。
「赤城山は、ヤツの遊び場だから…」
アカギはアクセルを踏み込んだ。
エンジンが唸り、たちまちスピードが上がり始めるオンボロBMW。
今までの比ではない…。視界が飛ぶように過ぎ、時折、右に左に大きく斜めに傾く車体。
そっと、メーターを覗き見てしげみは凍り付いた。…引きつった顔で自嘲。
(…ギュンギューンって……スピードガンガン上がりまくり…)
シートにぴたりと背を付け、しげみは固まった。額に、背に、冷や汗が流れる。
「しげみ…面白いだろ」
これだけのスピードを出しながら、アカギが笑い混じりに話し掛けてくる。
しげみは唾を飲み込んだ。
「………お…面白い?…これが…?」
「…さっきまでのは…軽く流してただけ…」
アカギはニヤリと薄笑った。「これからが本番…」
しげみに高圧電流走る…!!
「まっ…、じきに慣れるさ」
くすくす笑うアカギは、バックミラーを一瞥した。とたんに彼の目付きが変わった。
「…来たぜ……仕掛けてくる」
しげみは、シートに背を付けながら目玉だけを動かし、左側のミラーを必死でチラ見した。
後方からもの凄い爆音と共に、ハイビームをかましながら白い車が迫り来る。
執拗にオンボロBMWを煽り立て、前に躍り出ようとしている。
突然、凄まじい衝撃がBMWを襲った。タイヤが地を擦る摩擦音が、車内で反響する。
「ふぎっ…!」 しげみは目を見開き、意味不明な呻きを漏らした。
BMWの後方隅、ハザードランプ付近に車体を押しつけたまま、白い車が離れない。
……しげみに寒気が走った。
唸るエンジン。…そのままスピードを上げ、強引に抜き去ろうとする白い車。
「やれやれ…血の気の多いことで…」
アカギは薄笑うと、鋭くハンドルを切り、アクセルを踏み込んだ。
「きゃあああああっ…!」
遠心力に翻弄されたしげみは悲鳴を上げた。歯を食いしばり恐怖に耐え、
両手で顔を覆った。…そして、しげみはそっと目を開けた。
白い車を突き放し、さらに急カーブを抜けたオンボロBMW。
後方に付けてきた白い車の姿は、もうどこにもない。
「あ、あいつ…何?」
しげみは青ざめ、涼しい顔で運転し続けるアカギの横顔を見つめた。
「ここ、一般道でしょ…!なんでこんなとこでレース紛いのことを…!
…ダメじゃん…!危ないじゃん…!こんなことぉぉぉ…!」
「ククク…」
アカギはのどの奥で笑い、口角を上げた。
「それが面白いのさ…」
しげみは、口を開けたまま呆れて固まった。
「…非合法だろうが、何だろうが…これが俺達の遊び…ふふっ…」
しげみは、突然後ろが気になった。助手席からBMWの後方を覗き込む。
そして…ゆっくりと、目を見開いた。
遥か後方のカーブから、例の白い車が転び出た。…ひしゃげた、ボロボロの姿で。
ばきばきばきっ…!
鋼鉄の潰れる音が、しげみには、はっきりと聞こえた。
「あ…あ…、あああ…」
その音と共に姿を現した『もの』。
しげみはうわずり、引きつった声を上げた。
とたんに、しげみの記憶の底からごぼごぼと沸き上がる。…あの奇怪な出来事が…!
(…誰か、誰か中から出てくる…?)
機関銃のすぐ手前にある、円形のハッチが、ガタガタと音を立てて揺れ始めた。
しげみとアカギは、その様子を鋭い目で見守った。
ギギッ!
円形のハッチが半分のみ微かに持ち上がり、
中から、茶色いまだらのヘルメットを被り、目だけ覗かせた自衛官が…。
「うげっ!?」 その瞬間、しげみは呻いた。
機動車の中から、ツンとする…目に突き刺さるような凄まじい異臭が鼻を突いた。
しげみは異臭に押し出されるように機動車から飛び降り、草むらにうずくまった…。
キキキキ――――ッ!
急ブレーキの音で、手で顔を覆ったしげみは我に返った。
「どうした?しげみ…!」
アカギが、しげみの両肩を掴んでゆさぶっている。…いつになく、真剣な表情。
しげみは、アカギの目を食い入るように見つめ、ぽつりとつぶやいた。
「走って…」
「…え?」
アカギは、切れ長の目を見張った。
しげみは、見開いた目から涙を流しながら金切り声で叫んだ。
「…いいから…!思い切り走れぇぇぇぇ…!!」
その瞬間、車内が揺れた。
パンパンパンパンパンパン!!
何かが弾ける音と共に、
凄まじい衝撃が、立て続けにアカギのオンボロBMWを見舞った。
(続く)
121 :
頭文字S:2006/09/13(水) 02:12:31 ID:5Kyfv7g3
ちっともラブコメってねぇeeeeeeeeeeeeeee!!
しかも終了できませんでした
次回のお目見えで終われる…と…思います
30%ほど反省していない…
いえいえ、ちょっとホラーっぽくてGJ!ですよ。
続き期待してます。
>>107 ちょww「カンしちゃう…!」www
『 衣和緒ハード 』
「衣和緒の財産は 私に崩される為に築いてきたんですものね」
「いつもの力が出せれば…こんなアカギなんかに…!」
「よかったじゃないですか 麻雀のせいにできて」
「んんんんんんんっ!」
「へへへ おい、雀卓を用意しろ。みんなで気持ちよくしてやる」
…クリムゾンコミックスジェネレーターは愉快だww
(´∧`)。○(しげみってアカギの女体化だよね?なんかキャラ違うような…)
>>121 246 名無し草 sage 2006/09/13(水) 02:18:02
『あっ!しげみさん、…気分はどうですか?』
オンボロBMWの前を走る、スカイラインGT−Rの治からだった。
「最高…!すんごく、面白い…!」 以下略
248 名無し草 sage 2006/09/13(水) 02:19:48
>246
貼るなってかそいつどうにかして
251 名無し草 sage 2006/09/13(水) 02:33:31
あの人は自分のSSがいろんなスレで
嵐に使われてるのを知ってるたいか?
気付いてたらSS投下を自粛して欲しいたい…
252 名無し草 sage 2006/09/13(水) 02:42:17
あのしとラヌコメヌレでも浮いてるたい
258 名無し草 sage 2006/09/13(水) 06:43:10
所で、不正利用って何したらバナーに表示されるんだろう
不正なら消されてしかるべきだと思うんだけど・・・
しげみの人も自分のまとめサイト作ってくれないかなあ
エロパロも2ch投稿が初出だし
エロパロ=ラブコメだったら面白いのに
2ch過去ログ読んだらエロパロサイトの人もしげみの人みたいだった
260 名無し草 sage 2006/09/13(水) 09:21:38
ラブコメスレ関連ウザすぎ
文句あるならこんな所荒らしてないで
女体スレで直接言えたい
どーでもいいしキモイたい
263 名無し草 sage 2006/09/13(水) 09:43:33
>260
だって文句言うと全レスしてくるんだもんたい
309 名無し草 sage 2006/09/13(水) 15:47:16
エロパロワロタwwwww腹イテェwww
314 名無し草 sage 2006/09/13(水) 16:58:06
>>309 笑えるっつーかキショイ
>>125 (´∧`)。○(そのエロパロってのは過去ログのでは?)
(´∧`)。○(あ、すまん、流れで分かるな)
職人の個人攻撃はやめようや
他のスレでいい職人が去ったのは、みんなそんなパターンだったぞ
392 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:38:50
↓以下漏れによるぬっちゃけレス
393 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:43:58
>>382 ネ申が去るのはヘボンの台頭が原因だと思うお
394 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:45:05
ってかもうしげみの人しか職人いないイマゲ
395 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:47:50
暗躍するヘボ
賞賛する厨
次々と脱出していく民
残された者の運命はいかに
396 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:48:53
>394
職人というか不法投棄というか
398 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:50:18
ニョタってよりドリームの主人公みたいなイマゲ
治も改変しすぎなイマゲ
399 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:50:54
>395
南郷さん声で再生してワロタ
400 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:52:40
ちょっといい雰囲気になると不法投棄が来て
スレ止まるたい
401 :名無し草 :2006/09/13(水) 23:56:05
オリキャラカヨ
406 :名無し草 :2006/09/14(木) 00:01:13
ゴミを増やすと地球環境によくないのでこっちに持ってこまいで
408 :名無し草 :2006/09/14(木) 00:02:04
STOP THE 環境汚染
GJGJGJ!!!!!!!!!!!
続きをお待ちしております☆
>>128 しかしこの職人の書く「しげみ」は、明らかにオリキャラの様相を呈している。
まあしげみの人を庇うわけじゃないけど
このスレ、女体化に関する細かいガイドラインが設定されていないからね。
妄想歓迎と謳われてるし、あの「しげみ」は
しげみの人の妄想の産物だと言われてしまえばそれまで。
とっくにスレ見捨てておいてお前ら叩きだけは熱心にやるのな
自分もこのスレはもう大分見てなかったが、
>>125を真に受けたのか知らんが板跨いでまで乗り込んで来て
しかもいきなり向こうのノリ持ち込んで勝手なことばっか抜かして、やりたい放題だな。
わがままもいい加減にしとけよ厨房
氏ね
>>134 突撃厨乙
ニラニラしてれば上に立てると思ってたらおめでてー頭だな
しげみの人来ちゃった?(゚д゚)
>>138 酷い腐敗臭でしたが私は我慢してオチしました
…どうやらこのスレの方々、同人をなされてる様で…
嫉妬は見苦しいものですね
どうしてもっとスカッと生きねぇのかな
自演乙
どうしてもっとスカッと生きねぇのかな
どうしてもっとスカッと生きねぇのかな
どうしてもっとスカッと生きねぇのかな
他板のスレはどうでもいいよ
ますます住人と職人の足が遠のくような真似しないでくれ頼むからっ……
職人カムバック
正直な事言わせてもらうとね
このスレは移転事件以前に末期の状態だったよ
引き際を見誤ったとしか思えない
職人降臨少ないからね
自分はこのスレ好きだ
できればずっと見守りたい
だからこそ考えてるんだけど
職人も住人も、ここから遠のいた原因は何だろうね
…最近ずっと考えてる
・ネタ切れ
・荒らしでヒートダウン
・単なるヒートダウン
・職人降臨せず→過疎
とりあえず沈静化待ちの住人もいるだろうから…
>>150 つか、荒れてる時は沈黙してやりすごす方がよかろ。
まあ抜本的解決には全然ならないけどな。
難民住人は突撃好きなのはわかった
アホのすくつだからな
>155
ワロスw
>155
宣伝うざ
ここで空気を読まずに前スレ夏祭りSSの番外編を投下してみる。
*
夏祭りの雑踏を、一組の男女が並んで歩いている。
「ひろゆきさん、待ち合わせ遅れてごめんね……浴衣着るのに時間がかかって…」
しげみは嘘を言っていない。正確には『着せる』のに時間がかかったのだが。
「いや、別に気にしなくていいよ……その、よく似合ってる…し」
自分で言った言葉に自分で照れてひろゆきは赤面し、ぽりぽりと頬を掻いた。
照れを誤魔化すために立ち並ぶ夜店に眼を泳がせていると、ある屋台に眼が止まる。
「へえ……型抜きか、懐かしいな…ちょっと行ってみようか、しげみちゃん」
「うん」
顔を見合わせて笑い合い、ひろゆきとしげみは型抜き屋をひょいと覗いた。
頭にタオルを巻いた強面の店主は、何故かどんよりと曇った顔で力無く俯いており
「悪魔が……白い悪魔が来る……」などと呟きながら時折ぶるぶると震えていたが
やがて来客に気がついたのか顔を上げ────…しげみの銀髪を見て、凍りついた。
「ひいっ…!で、出たっ……!!も、も、もう勘弁してくれ…!
俺には帰りを待ってるかかあとガキがいるんだっ……!」
物凄い勢いで後ずさりする店主を、ひろゆきとしげみはぽかんと見つめる。
「……………」
「……………」
しばしの沈黙の後。
「………えーと…どっちの方、だと思う?」
何もかも合点がいったような顔でひろゆきが尋ねると、
「………次男の方でしょうね…」
呆れ顔で溜息をつきながらしげみがそう答えた。
「まったく困ったものね…駄目じゃない、ここまでやっちゃ…」
後ろを向き頭を抱えて震える店主を見やってしげみが呟く。
そんなしげみを見ながら、ひろゆきは少し意外に思いながらも微笑んだ。
(……何だかんだ言って、やっぱり、優しい娘なんだよな……)
そんなひろゆきの暖かな視線には気づかず、しげみは言葉を続ける。
「やっぱりシゲルもまだまだ未熟……!引く所は引いて希望は残しておかなきゃ……
焼かれながらも人は…そこに希望があればついてくるんだから………!」
「……」
半眼になり口角を上げたしげみの冷たい微笑を見て、
ひろゆきの心象風景は一気に地中海性気候からツンドラ気候へと変貌を遂げる。
そしてひろゆきは遠い眼をして…ひっそりと先程の自分の考えを撤回するのだった。
(おわり)
GJGJGJw!
待ってました 萌 え た!
「悪魔が……白い悪魔が来る……」にワラタ!!
しげみカコイイw!
何だかんだいっても、血は争えないなあ、しげみたんも容赦ナサスwwwww
二人のデートの続きが読みたいっす。GJでした。
流れを変えてもらったので、このまま「お銀と鉄緒」の短編投下しますね。
「じゃあ森田、行って来るわね」
そう言ってお銀は、パジャマ姿のままソファーの上に寝転がってクッションを抱えている森田に、外出を告げた。
「・・・はぁい・・・すみません・・・」
クッションから顔を上げて、森田は力なくお銀に答える。
本来なら、森田もお銀の供をするはずだったのだが、タイミングの悪いことに「お月様」に襲来されてしまい、
供をすることが出来なくなってしまったのだ。
勿論、お銀一人で戦地に赴くわけではない。安田や巽と言った、心強い男性陣も一緒なのだが、やはり森田としては、
そのメンバーの中に自分も加わりたい。
しかし、身体の方は持ち主の意に反して、休息と安静を訴えている。
それでも供をしたいとお銀に訴えると、
「無理しなくてもいいのよ。女同士、『それ』の辛さはよく解るから」
と、あっさり養生を言い渡されてしまう。
「・・・でも・・・お銀さんだって、今まで押し通してきたことでしょう?なのに私だけ・・・」
「そうでもないわよ。私も若い頃は、師匠からお休みを頂いていたわ」
意味ありげな笑顔で答えるお銀に、森田は訝しげな視線を投げかける。
「・・・お銀さんの師匠って・・・男の人?女の人?」
「さあ、どっちかしらね。昔の事だから、忘れたわ」
「・・・忘れるようなことじゃ、ないでしょう?」
「なあに、むきになって。妬いてるの?」
「そ、そんなんじゃないですよ!誤魔化されるのが嫌なんです!」
森田は声を荒げて否定するが、耳まで紅く染めたその表情では全く説得力がない。
「薬が効いてきたのかしらね、大きな声が出るようになったじゃない」
「ええ、もう大丈夫ですよ。だから、私も連れて行って下さい」
「そうねえ・・・」
そう言ってお銀は、ソファーに座る森田の正面に膝をつくと、森田の膝に手を置いた。
そのまま掌を上へと滑らせ、膝から腰へ、脇腹へ、胸へ、首筋へと撫で上げる。
意外なお銀の行動に、戸惑いながらも頬を染めてお銀を見詰める森田だったが、突然額に激痛を感じてソファーに蹲った。
お銀が森田の頬を撫でる振りをして、その額を指先で弾いたのだ。
「いっ・・・たあぁぁぁい!」
「注意力散漫ね。いつもの貴女なら、避けるか私の手を掴むか、何らかの行動を起こすもの」
「ええ?だって、いきなり身体撫でられたら、誰だってそっちに気を取られますよ?」
「だからね、私がそういうことをするのには、何か裏があると気付かないところが散漫だというの」
森田には、返す言葉がない。
お銀とは、同性でありながら肌を合わせる関係になったが、しかし、お銀が必要以上のスキンシップを好まない
性分だということは、よく解っている。そのはずだった。
にもかかわらず、突然愛撫をしてくるお銀に、何の疑問も持たずに身体を預けてしまったのだ。
デコピン一発で済んだと思えば、安い授業料である。
「・・・わかりました・・・留守番してます・・・」
こんな隙だらけの状態で、お銀の供が務まるはずがない。あっという間に、裏社会の狼達の餌食になってしまう。
我が侭を通してお銀の足を引っ張ったのでは、今迄お銀の下で学んできた意味がない。
諦めたことで気が緩んだのか、また鈍痛に襲われて、森田はクッションを抱えてソファーに転がった。
「じゃあ森田、行って来るわね」
「・・・はぁい・・・すみません・・・」
クッションから顔を上げて、力なく答える森田を安心させるように、お銀は優しく微笑んだ。
「たいした用事じゃないから、すぐに帰るわ。何か欲しい物があったら、買ってくるわよ?」
「・・・お銀さんの作ったプリンが食べたいです」
「・・・夜中にそんな物食べたら、太るわよ。寒天ゼリーにしておきなさい」
玄関で靴を履きながら、お銀は苦笑する。
「・・・卵と牛乳はあったから、バニラと生クリームを買ってこないとね・・・まったく、甘えっ子に育っちゃったわねえ」
呆れながらも悦びを含んだ呟きは、ドアを閉める音に掻き消された。
以上、お粗末さまでした。
以下ちらしの裏。
思った以上に、エロい関係になってしまったwwwww
キタキタキターーー!
GJ!激しく萌えたああ!
SSラッシュキタ――(゚∀゚)――!
どっちもテラモエス!!
我慢できなくて書き込みにきた!
お銀鉄緒コンビGJ!!
白い悪魔の姉も、甘えたさんな弟子も、
どっちもイイワァ*・゜(n‘∀‘)η゜・*
しげみたんとお銀さんktkr!!!!!!!!!!!
激しく萌えさせていただきました!!!GJ!!!!!
次男バロスwwwwwwwwwwwwwww
「お銀と鉄緒」最高っす!甘えたさんな弟子めちゃカワユス。
しげみ姉さんもクールビューティで素敵!ひろとお似合いだなあ。
職人さん達たくさん戻って来てくれて嬉しい。
この流れでいけば、もとに戻る日も近いのでは?
職人さんの投下待ちばかりも何だし各々萌えでも叫ぼうじゃないかっ…
とりあえず自分はシゲル×ハテコの思春期カップル萌え。
「ハテコ」って呼ぶと怒るので試しに「工藤」って呼んでみるシゲルと
それは望んだことのはずなのになんとなく調子が狂っちゃうハテコとかが見たい。
自分は、しげる(19)×衣和緒(15)に萌え。
なれそめが気になる二人だ。
>173
か、か、か…
家庭教師っ…!
自分は「家庭教師」をなれそめ候補として挙げたい!
しげるが、バイトで家庭教師をやることに決めて
実入りが良さそうな鷲巣邸に雇われることに成功!
そこでお嬢に初対面…みたいなのはどうかっ…!
苦しい…ああ…妄想がっ!
自分がキモい
赤木×天(♀)に萌え続けている今日この頃。
ぶっちゃけ、しげみの母親さんが天(♀)でも自分はおk。
年代考察ズレルケドナー orz
お銀×鉄緒
しげみ×衣和緒
しげみ×ひろ(♀)
の百合カポー萌え
ひろ×しげみはいついつまでも初々しいカップルだといいな
隠し子設定でも赤木家設定でも萌え
赤木家設定でヤングひろ×幼女しげみが好きだと言ってみるテスト
「俺はロリコンじゃないっ……!」と否定しつつ
大人になっていくしげみにドギマギするといいよ
>>174 おお…家庭教師っ…! ナイス妄想!
なに教える気だ、しげるっ…!
一条(♀)に色々してみたいのう
ただ誰と絡ませるかが問題だなあ
おっちゃんあたりきぼんぬ
>180
自分も便乗したいのう
保管庫でワクテカ
一条が女だったら黒崎の愛人なのは確定だな
安岡×ゆきみとか言っていい?
間に(面白半分で)しげみが入ってきて翻弄されるゆきみ。
そしてゆきみは貧乳きぼん。しげみは巨乳きぼん。
安岡が貧乳派か巨乳派かで激しく火花を飛ばす二人。
でも実態はゆきみがおちょくられてるだけ。
基本的に薄幸。ゆきみなのに薄幸。
聞かせてくれ…そんな話を…もっと…!
安岡は若い娘二人のお遊びと認識して
軽くあしらうんじゃないの?
ゆきみは本気なのにっ・・・!
だから薄幸なんだよ…カワイソス
ゆきみが安岡に本気になるきっかけのエピソードとか読みたい
にょた一条×にょたカイジ(逆も可)でエロ百合描きたいけど
駄目な人がいそうな予感orz
>>186 そのカプ萌える
ライバル同士の女の子萌え
188 :
186:2006/09/18(月) 22:01:17 ID:mtfl5+Xf
意見サンクス
もちょい賛同が得られれば、どこかにうpして裏ドラに載せるよ!
得られればだけど・・・
>188
激しく見たいw
>>188 自分もたのしみにしてる!がんばって。
百合カポは銀金といい萌えるw
191 :
186:2006/09/19(火) 00:00:47 ID:IB57hGBu
フォオオ・・・賛同が得られた・・・ッ
ちょっと時間がかかるかもしれないけど頑張る!
ガンガレw
ニョタ原田を考えてたら、なぜか未亡人設定に。
脳内で確定してしまって変更できないっ…!
194 :
sage:2006/09/19(火) 18:24:08 ID:rhvEcqld
>193
先代の一人娘→組の若頭と政略結婚、夫が次期組長に→僅か半年で夫が鉄砲玉に命取られる→
先代も子もいないので、自ら組長として起つ・・・まで妄想したw>原田未亡人説
久し振りにIEから書き込みしたら、阿呆なところに「sage」入れとる・・・orz
>194
自分も未亡人原田萌える。
それがおまいさんの萌えだから、そのまま突き進んでよし!
自分が萌えられればそれでいい
極妻、岩下志摩のようにかっくいい姐さんになるんだろうな…
自分もムラムラしてきたよ。
「覚悟しいや!」
西最強でかっこいいはずの原田の姐さんが、
赤木にはいびられて、天にはセクハラされて、ひろには迫られて、等
東の連中相手だと調子を狂わせられる・・・てな感じの展開を妄想中。
>>197 克美姐さんにドス持ってそんなこと(脳内CV.岩下志摩)言われたら鼻血吹くよ。
そしてそんな姐さんだが実は心の底には夫を早く亡くした寂しさがとかのベタな設定があればいいよ。
そんでその寂しさにつけ込まれて東の連中にリンカーンされちゃえばいい。
沢田さんも入っちゃえばなおいいよ。その上ビデオ化。
監督:赤木しげる
主演:天貴史ほか
「極道の未亡人〜暴かれた秘蜜〜」
そんな感じのなにかを希望。
200 :
194:2006/09/21(木) 05:17:15 ID:uvcrWCJ6
やばいよ、女体原田未亡人妄想が止まらないよ。
僧我はフリーの代打ちで、原田家にも出入りしていたため、克美が幼い頃から面識があり、
麻雀の指南もしていた師匠的存在。
組の若い衆と違って、おべっかも使わず厳しく指導し、それでいて紳士的な僧我に
憧れとも恋ともつかぬ、ほのかな想いを抱く思春期の克美。
僧我への想いを募らせながらも、組の存続のため愛してもいない男と結婚せねばならず、
泣く泣く想いを断ち切るものの、僅か半年で夫は鬼籍の人となり、自ら組を引き継がねばならない身に。
ようやく組が軌道に乗ったところで麻雀東西戦の話が持ち上がり、一線を退いたため
二度と会わぬだろうと思っていた僧我を頼らねばならぬことに。
再び出会ってしまった想い人が病に蝕まれていると知り、うちひしがれながらも
そんなことはおくびにも出さず、気丈に東軍と戦う克美・・・まで、妄想した。
僧我さんと克美たんは、プラトニックがいいよ。
>>199 ちょwおまwwwww
姐さんが東組連中にリン○ーンされているところを
物陰でこっそり撮影する赤木が脳内再生されてしまったジャマイカww
赤木なら堂々と撮影する気がするww
おまいら赤木さんを何だと思ってるんだw
>>200 萌えたっ…!
東西戦終了後に僧我としんみり話し込んだりして欲しい
個人的には、旦那とは組を大きくする目的で結ばれた戦友的な仲だった、とかだと萌える。
愛してたけどそれを自覚したのは旦那が死んだ後だと、更に倍プッシュで萌え。
>未亡人原田
遅すぎる自覚に萌える…っ!
天を見てちょっと面影があるなんて思っちゃったりとかすると萌える。
全然似てないのに…っとか、慌てて打ち消しちゃったり、
何でこんな奴とか、ツンデレみたいなことを言っちゃったり、
危うく気を許しちゃって、セクハラされてものすごく怒り狂ったり、
正統派ラブコメチックなことが出来そうだ。
ツンデレ未亡人ktkr!いいなあ!
大人のラブコメだ。でも天はすべてお見通しなわけですね。
からかい半分本気半分で克美姐さんにちょっかいかけて楽しむといいよ。
そして赤木さんが時々堂々とカメラ回してるといいよ。
>ツンデレみたいなことを
「誰がどうやったらお前みたいな野郎を好きになるんだい!?…でもあたしは、いや何でもない!」
そんな台詞ですか。
セクハラ係は天で決まりでしょうね。
克美姐さんには、セクハラされた時に「ぎゃわー!」みたいな悲鳴をあげてほしい。
そんで天に「色気なーい・・・」と残念そうに言われて、
「セクハラ男に色気云々いわれたないわ!」と激怒してもらいたい。
おさわりを楽しむというより、そのリアクションを愛でるという方向性でひとつ。
赤木さんに続いて
天さんが引き継いで行くのね…
セクハラ王の座を
<<209
何だ…なんかしんみりしゃったじゃないかよw
9月26日は赤木さんの命日だったね
隠し子しげみとひろゆきは一緒にお墓参りに行ったんだろうな…
いつだかの墓参りの時に持ち帰った墓石の欠片を煙草フカしながらぼんやり見てる
そんな姿がどうしてだか思い浮かんだ
>>213 渋いひろモエス!
素直クールなしげみも、そんな姿見せたらいつもと違う仕草を見せるのでは?
と、言ってみるテスト
('A`)
ほしゅ
保守がてら萌吐き出し。
銀さんと鉄緒たんに禿げる程萌えた
>>217 同禿。
漏れは鉄緒たんが好きだ。
セリフと仕草がかわいらしいし、大和撫子って感じでイイ!
銀さんと鉄緒たんのコンビ最高だね!
赤木家族が好きだ。
しげる&衣和緒もしげみ&ひろゆきもシゲル&ハテコも、みんな好きだ。
ちょっと気の毒なとうさんも好きだー。
>>219 ドッペルゲンガー発見。気の毒父さんに萌えますね。
鉄緒タンは仕草や言動が可愛いだけじゃなくそれでいてスタイル抜群なところも重要だ。
背も高くておっぱいも大きいのに性格もいい…銀さんが羨ましい(;´Д`)ハァハァ
出会った当初、「うさんくさい親父」と銀さんを
バリバリに警戒してる鉄緒も見てみたい。
ちょww
アパートに甘夏運んだ後のシーンが自動再生されたじゃないか
「後でおまえも浴びるか?」
これなんてa(ry
お銀さんと森田Ver.だと、森田は妙な期待をしつつ大人しく待ってそう
>>222 そのときの鉄緒の格好はスタジャンでつか?
もっとかわいい格好をキボン。
でも競馬場だからなー
競馬場でカッカとしてる、やさぐれ気味な鉄緒もイイ!(・ω・)ノ
で、それが変化していく過程が見たいなあ
お銀さんが競馬場に現れたらなんかすごい浮いてそうだw
妄想がむくむくと湧いてきた俺が通りますよ
お銀さんは美乳が堂々と強調される格好で競馬場に現れたに違いない
_ ∩
( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
⊂彡
ここまで妄想したぞw
>225
やはり、スタジャンにポロシャツにジーンズにスニーカーという、
色気もそっけもない格好で。
そこから銀さんに色々仕込んでもらって、ゴジャースな美女に変身するといいよ。
鉄緒たん素材は良さそうだもんなー
銀さんはダイヤの原石を磨いてるわけか
まさにマイフェアレディ…
>227
何処の馬主様ですかと言わんばかりの、セレブでゴージャスな格好で
ただ歩いているだけなのに、そのオーラで、さぁーっとモーゼの十戒のように
人の波が割れていくのが想像できるなw
お銀さんは男を翻弄する女だけど
そんな女だからこそ屈服させたくならないか?
クールビューティーで余裕なお銀さんもいいが
自分の前だけで赤面するお銀さん見てみてぇな…
233 :
頭文字S:2006/10/08(日) 21:56:15 ID:cawlcS45
お疲れ様でした!!すごく面白かったです!
>>236 お銀さんは森田と離別するときに
初めて取り乱して泣くんだよ。
しかも人知れず。
森田の存在が自分の中でいかに大きかったか気づく。
昨日のドラマでハテコが機関銃を持つ姿を妄想。
>>238 じゃ、シゲルはピストル持って、二人でコンビ組んだらいい
ケンカしてばかりでまとまらないコンビ…
このスレのせいで二人(正確には片方)がぎゃいぎゃいしてるのが簡単に思い浮かべられるようになったぜ全く
保守っ…
寄り添って昼寝をする次男シゲルとハテコが、チラついて眠れないっ‥!
保守ついでに見たい物を吐き出したっ‥!
期末テスト等の場合。
ハテコはコツコツ勉強して成績を維持していそうだけど、
シゲルは完全にヤマをはるだけでいい点を取ってそう。
日常生活を想像するだけで萌えるというか楽しい。
ちょっと過ぎたけど秋の運動会とかも面白そうだ。
二人三脚でもやればいい。
「あ、手が滑った」って胸とか尻とか触りまくったり肩じゃなくて腰に手回したり。
結局セクハラかよ!w
ハテコはいちいち反応しそうだからそんな事してたら絶対ビリだろうな…
ところで父ちゃん達は見に来るのか?
父さんは、ひろをビデオ係にしてつれてきそう。
もちろん天さんたちもぞろぞろ来るに違いない。
そして始まる、父兄席での大宴会…!
何だその運動会自体よりも盛り上がってそうな団体は
誰が絶対雀卓持参してるだろ
徒競走とか騎馬戦とか絶対賭けやってるよな…
ところでひろゆきとハテコは赤木家に振り回されている同士
意外に仲良くなりそうな気がするんだがどうか。同病相哀れむみたいな感じでw
ひろゆきがハテコの後見人になればいいと思うんだ
>>248
ひろはちゃんとハテコのこと「工藤さん」って呼んであげそうな気がする。
逆に言うと、ひろ以外は全員ナチュラルにハテコ呼ばわりしそうだw
騎馬戦で同じクラスなのに一騎討ちするシゲルとハテコ、
というシチュは燃えると思うのだがどうか
騎馬戦で一騎討ちって…公衆の面前で合法的にお触りし放題じゃないか!
また赤木家ご一行はどっちが勝つか賭けてるんだろうな
騎馬戦は公開セクハラショーなのかw
シゲルの通う中学はしげるやしげみの母校でもあるだろうから、
学校側は過去の事例から「観戦中の賭博禁止」の通達を出していそう。
バロスwwww
父さん達前科ありかよw
運動会ということはハテコもしげみも勿論ブルマだよな(*´Д`)ハァハァ
わろた
そういえば、中学校の部活帰り女子生徒を見たんだが
どいつもこいつもブルマーじゃなかった!
紺の短パンに変わっていたぞ!
ブルマーは嫌われ者なのか?
ブルマー好きの漏れはテラカナシスw
中学生女子の細っこい足には短パンorスパッツがベストマッチングだと常々思っている。
つーことで、ハテコにも短パンを着用して欲しい。
女子高生しげみはブルマでオケvvv
残念だがブルマはもう絶滅危惧種になっている
そして俺はハテコブルマ派
また次男に「ハテコ、パンツはみ出てる」とか言われて顔真っ赤にしながらブルマの裾を引っ張るハテコが見たいから
しげみ在学中あたりにブルマからハーフパンツに代替わりしたんだけど、
ハテコは先輩か誰かのおさがりを貰ったとかでクラスで一人だけブルマってのもいい
>シゲルの通う中学はしげるやしげみの母校でもあるだろうから
絶対伝説のひとつやふたつ出来てるんだろうなと思った
で、末っ子はラブコメ伝説の主人公になるわけだな
ラブコメ伝説アカギだなw
唐突だが、しげみも子供の頃はしげるのことを
「おにいちゃん」て呼んでいたのだろうか?
まさかシゲルみたいに「にいちゃん」呼ばわりではないだろうし・・・
呼び捨てにしていた説を唱える俺が通りますよ
おお、脳内採用決定!>呼び捨て説
保守小ネタ。
しげみの高校入学祝い。
自宅でふぐちりを食べる赤木家一同。
茂 「…あ――――――っ!父ちゃんもぅ、感慨無量!
……おい、しげる!おまえも一杯どうだ……ぷっ…ククク…」
しげる(16) 「…」
しげみ(15) 「…」
シゲル(10) 「…」
しげる 「……………………いらない。」
しげみ 「……」
シゲル 「…クク……いい加減にしなよ父さん…兄ちゃん、まだ未成年じゃない」
しげみ 「…そうね……………『おにいさま』は…」
茂 「……!!!!」
しげる 「…………ブッ!……」
シゲル 「…」
しげる 「…ゲッ、げほ、げっ…」
しげみ 「…あああー、むせちゃって…クク…相変わらず駄目な『おにいさま』♪」
シゲル 「………」
茂 「…しげみー!…ど、どうしちまったんだ、いきなりよー!
……おつむに、ふぐの毒が回っちまったんじゃねーだろうな?…」
しげみ 「…どうもしないわ…
ただ、ご学友から家族のこと聞かれて…兄貴のことを『しげる』って呼び捨てにしたら…
……ククククククク…ぷっ!…あーははははははははは…!
…………『まぁ!ワンちゃんをお飼いになっていらっしゃるの?』………ですって!」
シゲル 「……兄ちゃん……」
しげみ 「わたし…別に否定しなかったから、ご学友の間では、しげるは犬……
…ぷっ……ククク……面白いでしょう?『おにいさま』」
しげる 「……………………タバコ買ってくる…」
――――ガラガラガラ……ピシャ!
しげみ 「…クク…ごきげんよう…『おにいさま』」
バロスwwww
しげる、父と同じ轍踏んで無いか?w
ちょっと古いけどみはるより恐ろしいって感じだな
267 :
名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 17:12:09 ID:UCuwnksp
ほしゅ
>>265 続き
(仏壇に向かい、何やらぶつぶつとつぶやき続ける父、茂…)
シゲル 「姉ちゃん…俺も犬呼ばわりされてるの?」
しげみ 「あんたのことは『弟のシゲル』って言っといたから、人間だと思われてるわよ」
シゲル 「あっそ…なら、いいや」
>>265のしげみはお嬢様学校に進学したんだな。中等部に衣和緒が在学してそう。
で、文化祭の時にシゲルが見学に行ったりしたら、
お姉さま方に「きゃーvかわいいv」ともてもてだろーなー。
ちょっwww福本作品でラブコメってwwwww
カイジと由美子(誰?)とかで妄想した
由美子「私……あなたのことが好きなのっ……!」
ざわ… ざわ…
カイジ 「そんな…俺なんか…金もないし…プーだし…その、なんというか…由美子さんにはもっといい人がいるっすよ…」
由美子「いいえ…あなたは他の人とは違う…!いくら他の人があなたのことをダメ男と言ったって私にはわかるわ。そう…まだ抜けてないわ……牙は」
ざわ… ざわ…
カイジ 「由美子さん……!」
由美子「カイジ君……!」
ざわ… ざわ…(キスシーン)
カイジ 「由美子さん…俺、なんて言ったらいいのか…その…ありがとうございます!」
由美子「いいのよ。だってこれから一緒になる人の借金を背負うのも女の務め……そうでしょ?ほら、この書類に判子を押して」
カイジ 「はい……(捺印)」
由美子「ククク……甘い甘い、とんだ甘ちゃんだわカイジ君……!あなた今なんの書類に捺印したか分っているのかしら?」
カイジ 「えっ……?」
ざわ… ざわ…
由美子「そう、これであなたは一生地下から出られない。生涯住人よっ……!(ドンっ…!)」
カイジ 「(ヘナっ………)」
著wwwwwww
由美子wwwwwwwwおま
誰だか知らんが悪女www
萌え!
とある漫画のネタなんだけど、赤木家設定で
茂美が茂の唯一無二の親友である南郷さんに惚れてたらどうしよう…
南郷さんは二人の仲人なんだけど、交流していくうちにだんだん茂美が南郷さんの事を好きになって、
結婚して子供が出来てからもずっと想い続けてるといい。
南郷さんが家に来るととたんに機嫌がよくなる母親を見て、子供らも幼ながらに悟ってたりして。
あくまでギャグなんだけど、さすがにお父さんが可哀相すぎるか(´・ω・`)
>272
茂美って、茂父さんの妻。
…つまり、しげる・しげみ・シゲルの死んだ母だってことでつか?
>272
茂父さんの亡妻は、南郷さん(女体)だと思っていたので、その設定は新鮮だ。
茂父さんをいくら可哀相にすれば気が済むんだw
だが、それがいい。
茂父さんの人生
↓
結婚するも妻の心は南郷さんに…。
妻、死亡。
男手一つで子供を育てあげるも、現在、子供達から空気扱い。
波乱万丈、茂。
最近寒くなってきたからハテコの身が心配だ
あんな家じゃとても冬なんて越せなさそうだから、赤木家にお世話になればいいと思う
赤木家のご近所の天さん一家が放っといてくれなさそう>ハテコ
寒そうな格好してると「女の子は冷やしちゃあかん!」と天嫁'sに重ね着させられてモコモコになったハテコを思い浮かべた
「女の子は冷やしちゃあかん!」ハテコの布団に入ってくる天嫁二人
天嫁ズにはさまれて真っ赤になってるハテコかわいいよハテコ
この寒さで風邪ひいてブッ倒れたハテコが、赤木家で看病して貰う夢を見たw
しげみに体拭いてもらったり、シゲルが寝ずに看ててやったりとか。
朝になって起きたハテコの横に
ベッドに寄りかかって寝てるシゲルがいるのはお約束ですよね
保守がてら投下。しげみ×ハテコの小ネタ(?)
放課後の教室にて。
****
「何で目、閉じるの?」
頑なに閉じられた涯子の薄いまぶたを、しげみは指で無理やり押し上げて開かせようとした。
長いまつげが指にちくりと触れる。まぶたは閉じられたまま開かない。
これからしげみがしようとする、情愛を深める(ある種儀式的な)行為の相手である涯子は、まぎれもなくしげみと同性だ。
もちろんしげみはそんな事は百も承知だ。無論涯子も同じことである。この行為を心から受け入れているかどうかはともかく。
「…するんでしょ、早くしてよ」
吐き捨てるように涯子が言うと、しげみはそっと涯子にキスをした。
重ねたのはほんの一、二秒程度だったが、互いの唇が離れると涯子はしげみの肩に顔をうずめた。
俯いた顔は面白いほどに紅潮している。もう何度この行為をしたかわからないのに、涯子のこのうぶな反応は相変わらずだった。
「頭おかしいんじゃないの…女相手にこんな事するなんて」
「しょうがないじゃない、ハテコの事好きになっちゃったんだから。嫌ならあんたも抵抗しなさいよ」
しげみの言葉に涯子は思わず眉をしかめた。何が「抵抗しなさいよ」だ。
悔しいが、抵抗したところで涯子はしげみに敵わない。
むしろ暴れたり手荒なマネをしようものなら、無理やり押さえつけられてキスどころでは済まなくなってしまう。
なんて自分勝手で乱暴な恋愛感情を持ってるんだこいつは、と何度ため息をついたかわからない。
しかもしげみはその感情を惜しみなく涯子に注いでいる。ある意味恐ろしいほど純粋なのかもしれない…逆に考えれば。
それよりもっと恐ろしいのは、涯子がしげみからキスをされることにあまり抵抗を感じなくなった事だ。
最初はそれこそ暴れてでも抵抗していたが、抵抗したところで無理やりねじ伏せられる事を嫌というほど学習した涯子は
(不本意だが)そのまましげみにキスをされる事を選んだ。
たった一、二秒で済むのだから、我慢すればいい。
そう思って今まで耐えてきたはずなのに、今となってはこの行為に対する嫌悪感すら薄れてきた。
きっと慣れたのだ。決して少しでもしげみが好きになったから、そんな筈は絶対にない。神に誓っても絶対ない。
一人であれこれ考えていると、涯子はふと自分の腰まわりに異変を感じた。
気が付くと、いつの間にか、しげみの腕が涯子の腰を抱いている。
涯子がぎょっとして顔を上げると、今度はしげみが涯子の肩に顔をうずめた。
「え、ちょ、ちょっと…」
今まではキスしかしなかったために、まさかこのまま抱きしめられるとは思いもしなかった涯子はうろたえる。
…でも、この腕を振りほどく気がおこらないのは何故だろう。
少しだけ心臓の鼓動が早いのは何故だろう。
このまましげみに身体を預けてしまえば、きっともう戻れなくなる。
このままもっと、(一度はまれば抜け出せなくなるような)深い所にまで連れて行かれてしまう。
涯子はそんな予感がした。
****
勢いで書いた。反省はしてない。
GJGJGJ
このしげみとハテコは同級生っぽいな…とすると益々秘密の花園チックな匂いがする
そして
>>キスどころでは済まなくなってしまう
の件がもうそれ以上の事実践済みっぽくて(*´Д`)ハァハァ
GJ!!同級生百合っ…!萌えたっ…!(*´Д`)
これはもしや百合ブームの到来…!?
百合きたああああ!!!!
>「頭おかしいんじゃないの…女相手にこんな事するなんて」
GJ!!
涯子ツンデレええ!
>>284です。続き投下します。
****
「も、もういいでしょ」
突然抱き締められてはじめは呆然としていたが、はっとして涯子はしげみの腕の中で身じろぎをした。
胸が苦しい。背徳感で今にも胸が押し潰されそうだった。
以外にも、しげみはすんなりと涯子を解放した。
「だ、だいたいおかしいと思わないの?!お、女同士でこういう事するとかっ…」
…また言った。しげみは少しだけ眉をしかめた。もう何度涯子に言われたか分からない。
キスをされるたびに、涯子はいつも決まって「女同士だから」と言ってしげみを咎める。
ここまで来て、涯子が自分の言動が矛盾していることに気付いていない事にしげみは少し腹立たしさを覚えた。
それとも、気付いていても認めなくないだけなのかもしれない。
「今まで素直にキスされてたくせに、今更何言い出すの?」
「だ、だって、それはどうしたらいいのかわかんなくて…っ」
「嫌なら腹殴るなり足蹴るなりして逃げればいいじゃない、でもあんたは全然逃げなかったでしょ」
案の定、ぐ、と涯子が押し黙る。
その隙をついて、しげみは涯子の口を塞いだ。
「ん、ん」
角度を変えながら何度も口付けを繰り返す。
息が苦しい。
涯子はしげみの身体を押し退けようとして、何度もしげみの胸を叩いた。
しかし、しげみにすれば、最初の頃の涯子の暴れようを考えれば些細な抵抗だった。
互いの唇が離れると、口の端からどちらのものかわからない唾液が垂れた。
涯子は頬を上気させ、肩で息をして呼吸を整える。
苦しいだとか、馬鹿だとか、思いつく限りの悪態をしげみに吐いてやりたかったが、頭が惚けてうまく喋れない。
そのかわりに、涯子はしげみを思い切り睨みつけた。
「…何でそんな顔するのよ。何か私が悪いことしてるみたいじゃない」
怯むわけでもなく、いぶかしげな顔をしたしげみに涯子は激昂した。
「してるみたいって、あんた自分が何やってるかわかってんの?!」
「わかるわよ。あんたが好きだからこういう事をするの。したいの」
「で、でも私は」
「私のこと嫌いってはっきり言える?フフ、嫌いなら今頃私にこんなことされてないわよね」
好きだとか、嫌いだとか、それ以前に涯子としげみはお互いに”友達”と呼べる間柄なのかすら怪しい。
お互いが異性ならともかく、冷静になって考えれば同性の”普通の友達”が、
人目につかないように物陰にかくれてキスをしたり、抱き合ったりはしない。
それなのに、今まで何度もしげみとキスをして、涯子もそれを許していた。
もしかすると、自分はいつの間にか、超えてはいけない境界線を越えてしまっているのかもしれない。
そう考えると涯子は背筋がぞっとした。
…違う。絶対に違う。
私はしげみが好きなんじゃない。しげみが私の事を好いているのだ。それも一方的に。
自分に言い聞かせるように、暗示をかけるように、頭の中で涯子は何度もそう繰り返す。
「涯子」
しげみの鋭い目線が涯子を捕らえる。
心の奥深くにある迷いや葛藤を容赦なく引きずりだして丸裸にするような、この瞳が涯子は苦手だった。
思わず目を逸らしたが、顎をつかまれて無理やり前を向かされた。
「涯子は私の事が好きなんでしょ」
「…っち、違…!」
核心を突かれてうろたえる涯子を見て、しげみは不敵な笑みを浮かべた。
「嘘つき。さっき私とあんな事したじゃない。今までだって何回あんたとキスしたか」
「や、やだ、離してよ!あんたなんか嫌いに決まってるじゃない!何考えてんの!?」
「素直じゃないのね。でも私、あんたのそういう所結構好きよ」
もう訳が判らない。一体自分はしげみの何なんだ。
混乱するあまり、涯子は頭を掻きむしった。
じわりと目頭が熱くなる。つ、と一筋の涙が涯子の頬を伝った。
「…ねぇ、涯子。もういいでしょ。これでも私、ずっと我慢してきたんだから」
しげみは頭を掻きむしる腕を掴んで、俯いた涯子の顔を上に向かせた。
黒い瞳が涙で潤んでいた。
「…あんたが欲しいの。何もかも全部、私に頂戴」
少女らしからぬ低い声で、しげみは涯子の耳元に囁く。
その瞬間、涯子はくらりと目眩がした。
ぷつりと糸が切れたように体中の力が抜けて、そのまま床にへたりこむ。
まるで底無し沼に突き落とされたような感覚だった。
粘り気のある泥水は、涯子の身体を見えない底までゆっくりと引きずり込もうとする。
どんなにもがいても、沼から這い上がることはもうかなわない。
――落ちた。
しげみは笑い、教室の壁に力なくもたれた涯子の身体を引き寄せて抱き締める。
どんなにきつく抱き締めても、涯子は抵抗しようとはしなかった。
****
どう見てもしげみがドSです。
本当に(ry
サイレンディサーイッ!!
萌 え た!!
しげみは本当にド(ry
ド(ryっぷりがたまらんっ…!
GJ!萌えたー!
うわああああああ
ユリ萌えた!!!!11!GJ!
保守っ…!
保守だっ…!
めっきり過疎ってるな
倍プッシュで保守っ…!
297 :
名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 11:01:04 ID:u3OOOmSU
もは
一日いちほしゅ
保守させてもらうっ…!
十二月二十四日、今日はクリスマス・イブ。
東京ディズニーランド最寄り、舞浜駅は早朝にも係わらず、
家族連れやカップルでごった返している。
「…おい貴様!何をぐずぐすしておるのだ…!
……寒空の下、五分もこのわたしを待たせおって!…何?今、雀荘だとぉ〜?」
携帯電話片手の鷲巣衣和緒の声が、少し離れた自動販売機前にいる吉岡本の耳を直撃した。
例の白服の上から、これまた白い皮のトレンチコートを纏った吉岡本は長身を屈め、
二本の熱い缶コーヒーを拾い、ずれたサングラスを指で押し上げた。
「メンツに加われだぁ〜…?
まさか貴様…!今日のわたしとの約束を綺麗さっぱり忘れているのではあるまいな…!?
…おい!待て!切るな…」
「どうなさったのですかっ?…お嬢様!!」
吉岡本は衣和緒に走り寄った。
四つん這いになり、アスファルトを掻きむしり呻き声を上げる衣和緒を、
吉岡本は慌てて抱き起こした。
女子高生らしく可愛らしい格好をし、薄化粧を施した衣和緒は目を見開き、
その顔は真っ青だ。
「ぐお!ぐお!くそっ…!赤木しげるの奴…!
自分のほうから現地集合と言っておきながら…
この国の王たるわたしをおちょくりおって!…ゆるさん、ゆるさんぞ…!」
「お…お嬢様、まさか…、ここまで、お嬢様自ら舞浜駅前まで電車で繰り出しておきながら、
…………デートをすっぽかされたと…」
衣和緒の持つ杖が、吉岡本の額を打った。
「口のきき方に気をつけんか…!吉岡本…!」
衣和緒の杖は、何度も何度も吉岡本の頭部を打ちのめした。
「貴様まで…!貴様までわたしを愚弄するか!吉岡本…!
この国の王たるこの鷲巣衣和緒を…!」
「お…お許し下さい鷲巣様…はうっ!」
吉岡本の額が割れ、血が滴り、アスファルトに飛び散った。
異様なモノを見るように、多数の通行人が彼らの傍らを次々と通り過ぎていく。
杖を下ろし息を弾ませ仁王立ちの衣和緒の横で、吉岡本はハンカチと包帯を取り出し、
黙々とコートに付いた血しぶきを拭き取り、包帯を頭部にぐるぐると巻き付けた。
吉岡本にとり、もはやそれは、手慣れた一連の動作。
「つまらん!もう帰るぞ!吉岡本」
衣和緒は踵を返した。
「お、お待ち下さい鷲巣様…!」
吉岡本はとっさに衣和緒の腕をつかんだ。
衣和緒は振り返った。
長い銀髪が風になびき、そのうちの数本が目を丸くする彼女の頬にまとわりついた。
「……も、申し訳ありません」
吉岡本はつかんだ衣和緒の腕を離した。
「数件の仕事をキャンセルしてまで、せっかくここまで来たのですから…」
「楽しめ…と…?」
衣和緒はうつむき、にやり。と、自嘲した。
「こんな状況で、………この体たらくで何を楽しめというのだ?吉岡本」
「わたしは、わたしは楽しい…です!鷲巣緒お嬢様…」
怪訝な顔をする衣和緒に構わず、吉岡本は唾を飲み込み声を絞り出した。
「…お嬢様とご一緒に居られるだけで幸せなのです…衣和緒お嬢様…!」
吉岡本は、自らの頬の火照りを感じながら、さらに言い切った。
「きっと、…きっとこのわたしの気持ちがお嬢様に伝わり、
……お嬢様も…心安らかになれるものと…」
衣和緒は目を瞬いた。その表情が一瞬柔らかくなったかに見えたが、
彼女はふっと、吉岡本から目を逸らした。
「ふん…馬鹿が…」
衣和緒は歩き出した。
その方向は舞浜駅ではなく、東京ディズニーランド。
衣和緒は黙々と歩き続ける。
吉岡本は小躍りしたくなる気持ちをこらえ、その後を追った。
(…赤木しげるが来たら、おとなしく帰るつもりだったが…
……不肖、吉岡本。本日はお嬢様の為、全力でお供をさせていただきます…!
………愛する衣和緒様の為に…)
思いがけず、衣和緒とのふたりきりでのデート。吉岡本の心は弾んでいた。
「おい…吉岡本」
入園し、しばらくのこと。
突然衣和緒の足が止まり、吉岡本は慌てて聞き返した。
「は!お嬢様、何でしょうか」
「…あの売店にあるストラップを取ってこい」
衣和緒の指さす方向にはワゴンの売店があり、様々なキャラクターグッズが並んでいる。
「は!?……お、お待ち下さいお嬢様!
……幾らお嬢様のご命令とはいえ、この吉岡本、万引きだけはとても…」
「馬鹿者!誰が盗んでこいと言った!」
衣和緒の杖が吉岡本の肩口を小突いた。
「あの中からわたしが気に入りそうな物を…貴様が選び………買え!」
「ええ!?…あんなもの、お嬢様の財力を持ってすれば幾らでも…」
さらに強く杖で突かれた吉岡本はよろめき、二・三歩後ずさった。
「無粋な……さっさとせんか!このうすのろが!」
すぐ先に例の売店がある。吉岡本はおずおずとそこに歩み寄った。
(無粋な…。無粋な…、か…)
恐る恐る振り返ると、
寒そうに腕組みし、イライラと、こちらを睨み据える衣和緒の姿が見えた。
吉岡本と目が合うと彼女は頬を染め、ぷいと横を向いた。
(そうか!…きっとお嬢様はプレゼントが欲しいのだ)
吉岡本は店先に積まれた携帯ストラップを手に取った。
(…どんなささやかな物でも、自分の為に、考えに考え抜いたという…、
…その暖かい気持ちを欲っしていらっしゃるのだ。そうに違いない…)
ビニールに入った携帯ストラップの形は様々。吉岡本はストラップの山をまさぐった。
(……おかわいそうに!お嬢様…!
なにしろ今日のデート、お嬢様が以前から楽しみにしていたもの…!
…それなのに…赤木しげるの奴!お嬢様の純情を踏みにじりやがって…!)
吉岡本は奥歯を噛みしめた。
(不肖、吉岡本。
……きっと、お嬢様に気に入っていただけるようなストラップをお選びいたします…!)
売店に群がる人々は、全身白ずくめ、角刈りに長身、黒サングラスの男、吉岡本の…、
過剰なまでに真剣な面もちでストラップを選び続ける様子をちらりちらりと窺っている。
吉岡本は、ミッキーマウスそのものがストラップとなっている商品を手に取ったが、
直ぐさまその手を離し、震える拳を握りしめた。
(…こ、これは!あまりにも子供じみている…!
……もっと……例えば成人女性が下げていても違和感のない、
派手過ぎず…、かつディズニーである。と、いう存在感を強くアピールしているような…!
その様な物を探し出さなければ…!どれがいい…?どれが…!)
「…あのぉ」
声のした方を見ると、側でグッズを選んでいた若い女が眉を寄せている。
「そのストラップ…わたしのなんですけど」
吉岡本は、思わずつかんでしまった女のストラップを食い入るように見つめた。
単色透明、トランプ記号を模した大粒のビーズが紐で通されたシンプルな中に、
ミッキーマウス頭部のシルエット型のビーズが、ところどころに混ざる一品。
「…これだ!これがいい!このストラップ、どこで手に入れたのですか…?」
吉岡本の勢いに呑まれ、しばしぽかんと彼を見つめていた女はさっと目を逸らし、
ストラップの山をひっくり返し始めた。
「これ…よく見かけます。ここにもあるんじゃないかしら………あっ、あった!」
「ああ…あ…」
女が目の前に並べた何色かを、吉岡本は手に取り捧げ持った。
「何色がいいのだろう…」
無邪気に声を弾ませる吉岡本は、女性が自分に微笑みかけているのに気づいた。
「誰かのおみやげですか?」
「えっええ…まあ」
吉岡本は思わず照れ笑った。
「紫だな…」
「は?」
吉岡本は振り返った。
「…む・ら・さ・き〜…」
いつの間にか衣和緒が、吉岡本のすぐ後ろに立ち薄笑い、
冷たい光を放つ半眼で吉岡本を見つめている。
……吉岡本の背筋に冷たいものが走った。
「ふん…まあまあだな」
歩きながら衣和緒は、嬉しそうに吉岡本が買ったストラップを摘み上げ、
まじまじと眺めている。
「…しかし色が気にくわん…いまいち…な、……ふふ……」
衣和緒は口角を吊り上げた。
後頭部を片手で押さえながら、衣和緒の後からうつむき歩く吉岡本は声を絞り出した。
「お、お嬢様は紫が良いと…」
「貴様の頭の中の色を言い当てただけだ」
衣和緒の低い、冷気漂う一言。
「……ご!誤解です…!衣和緒様、わたしは決してナンパなどという行為はけして…」
興奮気味に捲し立てたせいか、先程杖で叩かれた後頭部が、再びじくじくと痛み出した。
(うがご…!)
衣和緒は振り向きもしない。
吉岡本は、己のあまりの不甲斐なさに視界が歪んだ。
(何て事をしてしまったのだ吉岡本…!
……お嬢様にあらぬ誤解と不信感を抱かせてしまうとは…!)
吉岡本は唇を噛んだ。
(今度こそ、お嬢様が傷ついた心を癒していただけるよう、粉骨砕身、努めなければ…!)
(続)
×「わたしは、わたしは楽しい…です!鷲巣緒お嬢様…」
○「わたしは、わたしは楽しい…です!衣和緒お嬢様…」
orz
GJ!!
>>299-304 アスファルトを掻きむしる衣和緒お嬢様カワイスv お嬢のために頑張れ吉岡本ww
せっかくアカギとディズニーランドでデートだったのに、お嬢様カワイソスw
吉岡本いい男だよ吉岡本wwww
ついでなので、自分もクリスマスネタ投下しますね。
「少し早いが、クリスマスプレゼントだ」
そう言って銀二から手渡されたのは、都内の有名百貨店の包装紙に包まれた。掌大の箱。
当然。クリスマス仕様のラッピングである。
「ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「ああ、勿論だ」
送り主からの了承を得て包装を解くと、中から出てきたのは真っ赤な箱だった。表面にはクラッシックな書体のロゴと
レースのような模様が、黒い立体的なインクで描かれている。
箱を開けると、横に長い楕円形のガラス瓶と、それを包み込むような、やはりレースのような透かし模様の施された、
黒いプラスチックの飾り。中には、濃い琥珀色の液体が、揺らめいている。
香水だ。
「珍しいですね、銀さんが香水をプレゼントしてくれるなんて」
服や装飾品などは、殆ど銀二の見立てで作られた物を身に付けているが、香水だけは、好きな物を選ばせて貰っていた。
自分の好きな香りの方が、ここ一番と言う時に落ち着けるだろうと言う、アロマテラピー効果を狙ったものらしい。
だから、銀二から香水を貰うのは、初めてだ。
「まあ、たまにはいいだろう。外箱がクリスマスらしいイメージなんで買った・・・ほんの遊び心さ」
そう苦笑しながら、銀二は煙草をふかす。らしくないことをしたと、照れているのかもしれない。
「それだけじゃ物足りないからな、レストランを予約しておいた。今から出掛けられるか?」
「え?構いませんけど・・・」
「じゃあ、支度をして来い。ああ、前に買ってやった、赤いワンピースがあっただろう。あれを着てくれ」
「はあ・・・」
これも珍しい。
いつもデートをする時は、その日の森田の好みで選んだ服を着て行くのだが、仕事以外で銀二が服の指定をする事は、
殆ど無い。おそらく、香水のパッケージを見て、それに合わせようとしたのだろう。
自室に戻り、銀二に言われたとおり、クローゼットからノースリーブの赤いシルクサテンのワンピースを取り出して身に纏い、
メイクとヘアデザイン、アクセサリーを考える。
服が派手なので、下品にならないよう化粧は全体的に落ち着いた色合いで。髪も結い上げた方が良いだろう。
香水の箱と合わせるのならやはり装身具は黒だろうと、薔薇の彫刻の施されたジェットのイヤリングとネックレスを選んだ。
食事に行くというのなら、香水はあまり多めにつけない方が良い。
香りは下から上へと立ち上るので、ほんのり香る程度ならば膝から下に付ける。と、習った。
黒いシルクのストッキング越しに香水を吹きつけながら、森田は「あら・・・」と呟いた。
アンティークのような気取ったボトルデザインとは裏腹に、甘く優しい香り。
冬の寒さの中でも、暖かく、穏やかな気分になれる。いや、冬だからこそ、この包み込むような柔らかな香りが愛しい。
銀二がこの香水を選んだのも、解る気がする。
見た目で買ったと言ってはいたが、銀二が香りを確かめない筈はない。パッケージと香りが好みだったからこそ、
買い求めたのだろうから。
最後に、毛皮をあしらったシルクの黒手袋を嵌め、やはり黒革のハンドバッグを持って、森田は部屋を出た。
「お待たせしました」
「・・・早かったな」
銀二の方も、身支度を整えていた。
普段余り着ないダークスーツ。リネンのシャツの襟元にスカーフをあしらい、上品な身形になっている。
思っていたよりも、高級なレストランのようだ。
「だいぶ身支度が早くなったな。こっちの方が待たせちまいそうだ」
「あっちこっち連れて行かれてますから、慣れて来ました」
「そいつは頼もしい」
そう言って銀二は苦笑する。
「じゃ、行きましょうか?」
そう言って森田が腕を組もうとすると、
「ああ、ちょっと待て。その格好じゃ、肩が冷えるだろう・・・」
銀二の言葉と共にひらりと何かが空を舞い、ふわりと森田の肩を包む。
手に取って見ると、それは複雑な模様の、黒いレース。縁飾りだけではない、全てが精緻に編みこまれたレースのショール。
「・・・凄い・・・こんなに大きな総レースのショールなんて、初めて見た!」
レースは模様が細かく複雑なほど、高価な物である。勿論、大きさも値段に比例する。
女性としては長身な、森田の肩や背をすっぽりと包んでしまえるほど大判のショールともなれば、かなりの逸品だ。
「・・・実はな、本当のクリスマスプレゼントは、それなんだ」
「え?」
「さっきの香水の名前は、『ギュペ・シルク』・・・『シルクのレース』と言う意味だ」
「・・・あ・・・それで珍しく香水なんて・・・」
本来のプレゼントを別の物でカモフラージュし、キーワードを匂わせておいて、最後にタネを明かす。
わざわざ赤い服を指定したのも、このタネ明かしのためだったのだ。
このショールが本当にシルク製か、などとは、聞くのも野暮である。
銀二なら、そこまで考えてコーディネートしたのに、違いないのだから。
普通の男がこんな事をすれば、気障な奴と呆れられ、笑い飛ばされるだろう。
しかし「平井銀二」と言う男は、それをまったく嫌味に思わせず、自然に実行してしまうのだ。
何をしても絵になる男と言うのは、居るのである。
「さて、それじゃ、行くか?」
「はい、ありがとうございます、銀さん!」
森田は満面の笑みを浮かべて、銀二の腕に抱きついた。
以上、お粗末さまでした。
どっかに、銀さんみたいないい男や、鉄緒みたいないい女、落ちてないかなあ・・・。
待ってた!GJ!
銀さん、鉄緒たん
銀さんは何をしてもスマートだな。
漏れ、抱かれてもいい…
じゃあ鉄緒タンはもらっていきますね(*'Д`)
GJ!!!
職人さんの細かな描写にはいつも感心する。
個人的に俺は、骨董品屋の若旦那と鉄緒のその後も気になっている。
>>313 俺も気になるけど鉄緒は銀さん一直線だし、
その上ライバルがあの銀さんになるって事だから分が悪いにも程があるよなぁ…
と言いながらももし書いてくれるんならこれ以上の僥倖は無い…!
鉄緒タソw可愛すぎる!夢に出てきてくれっ!たのむっ!
…と、願いつつ、
>>299-304の続きを投下。
吉岡本が、いわゆる「コーヒーカップ」なる遊具に乗るのは幼少の頃以来である。
ここ、ディズニーランドでは、それは『アリスのティーパーティー』と呼ばれていた。
(はぁー、はぁぁあぁぁあぁ…)
視界が回る。それも凄まじい回転数。
目をつむっても、掌で顔面を覆っても、ひどいめまいが吉岡本を襲う。
「…吉岡本よ、どうした、写真を撮らんか、ほれ」
吉岡本は震える手で、売店で買った、レンズ付きフィルムを衣和緒に向けた。
水色のティーカップの中、
真向かいに座る衣和緒は足を組み、酔ってしまった吉岡本に婉然と微笑みかけている。
かちりとシャッターを切った吉岡本は、目をきつくつむりながらフィルムを巻いた。
「見ろ、吉岡本よ…、周りに群がる愚民共を…」
(み、見…ぐぶぅ…うぇえっ!)
胃の内容物がしばし迫り上がり、視界が歪み、涙で滲んだ。
「……ふふ…皆、見ておる、ざわざわと…ざわめいておる、
震え上がっておる!…おののいているのだ…この国の王たるわたし、鷲巣衣和緒の乗る…、
……このティーカップの回転数にな…!」
(おののいているというか……どちらかというと、笑われているというか…
…ご、ご歓喜!?ご満悦なさっているのですか鷲巣様!……こんなくだらない事で…)
口走りそうになった吉岡本だが、痙攣する頬を引き上げ、必死に代わりの言葉を探した。
(いいい、いけない!ダメだ、お嬢様相手に、キツい突っ込みが過ぎるぞ、吉岡本!
…さっき誓ったばかりではないか!……お嬢様の心の傷を癒すための粉骨砕身っ!)
「お、お嬢様、どうぞ…笑顔を…もう一枚撮ります…から…」
突然、衣和緒は何かに取り憑かれたかのように目を大きく見開き、
目前の、テーブルのような円盤をがっちりとつかんだ。
吉岡本の声が聞こえているのか、いないのか、
円盤に力を込め、全力でそれを回し始める衣和緒。
それにつれ、さらに回転数を上げゆく、ふたりを乗せたティーカップ。
「足りぬ!これではもの足りぬ!
………回して、回して、回して、回して、回して、回して、回して………」
衣和緒の表情が徐々に凄みを増し、壮絶な笑みがこぼれる。
その妖魔のような姿に、吉岡本はぞくりと躰の芯を射抜かれた。
(……………………美しいっ!…)
吉岡本は思わず生唾を飲み込み、身を乗り出した。
(衣和緒様は、………狂気に身を染めた衣和緒様は、一段とお美しぃいっ…!)
吉岡本は、鼻息を激しく漏らし、レンズ付きフィルムを握りしめた。
その瞬間、衣和緒に見とれ、下半身の力が抜けた吉岡本は遠心力に翻弄された。
「ひぎいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
吉岡本はまるでバンザイをしているかのように仰け反り、
手にしていたレンズ付きフィルムは、もの凄い勢いで後方にすっ飛んでいった。
衣和緒は振り返りもせず、吉岡本の前をカツカツと音を立て、歩き続けている。
吉岡本はハンカチで口を押さえながら、
己のあまりの不甲斐なさにうなだれ、きゅっと目をつむった。
(馬鹿っ…!馬鹿っ…!吉岡本…!
公衆の面前で嘔吐するばかりか、レンズ付きフィルムまでうっかり破壊するとは…!)
吉岡本の頬が震えた。
(これでは…、これでは、お嬢様の傷ついたお心を癒すどころか、
……恥をかかせ、その傷口を広げてしまうばかりではないか…!)
「たく…だらしのない…」
しばらく前を向いたままだった衣和緒が突然声を吐き捨て、吉岡本をちらりと見た。
(は…)
呆気にとられ、口元のハンカチを下ろした吉岡本は立ち止まった。
「…貴様は酔いやすい体質なのか?
あれぐらいで音を上げておったら、わたしの学友に笑われるぞ…ふがいないと、な…」
ふふんと鼻で笑い、微笑する衣和緒を見て、吉岡本は思わぬ安堵感に包まれた。
「あ…」
衣和緒が後ろ手を組み、吉岡本にゆっくりと歩み寄る。
「わたしのクラスにここが好きな奴がおってな、わたしもたびたび駆り出されるのだが…
……回転数は、今回の比ではない」
「え!あれより回すのですか!?」
吉岡本は目を見張った。不意に頬が緩む。
(…最近の女子高生は、いったい…)
「特に…、赤木しげる相手ではな」
目蓋を伏せた衣和緒の口からその名が出たとたん、吉岡本の頬はこわばり、眉は痙攣した。
その傍らを、彼女はすっと横切る。
「やめない…やめられんのだよ…
………回して、回して、回して、回して、回して………お互いに死ぬほど、な…」
衣和緒の醒めた目が冷たい光を放つ。
「…どちらか一方がヘドを吐くまで…!」
(何だ……なんと奇妙なふたりだ…
…ど…どういう付き合い方をしているのだ…それは…!)
動揺した吉岡本は、思わず口走った。
「そ、それで…、いつも、どちらが勝つのですか?
………………もちろん、いつも……、お嬢様が…勝つのでしょう?」
とたん、衣和緒は振り返った。
伸縮自在の杖を無表情で手に取り、それが彼女の手元でびしりと音を立てて伸びた。
和やかだった衣和緒の顔が、みるみる色をなす。
「分かりきった事を……、
……わざわざ聞くでないわ!吉岡本!!」
「は!はわわ!」
吉岡本の悲鳴とともに、杖の風を切る音が、園内の喧噪に紛れ、微かに響き渡る。
一発、二発…。杖で叩かれながら、吉岡本の心の奥底は急速に醒めていった。
『分かりきった事を……』
怒りを爆発させる寸前、そうつぶやいた衣和緒が唇を噛みしめる一瞬を彼は見てしまい、
そして…全てを悟った。
(…お嬢様に、勝ちを譲らないのかアカギは!
……あいつは、衣和緒様を大切に思っていないのか!?)
打ち据えられる杖の痛みに耐えながら、吉岡本は胸中を焦がした。
(アカギ…赤木しげるは…
……衣和緒様のことを…いったい何だと思っているのだ!)
吉岡本の哀感の念、つゆ知らず。
けろりと機嫌を直した衣和緒は、塩味のポップコーン容器片手に彼に語りかける。
「…貴様にもやろう」
突き出されたそれに、吉岡本は表情固く、そろりと手を入れた。
「今回だけ、今回だけ特別だぞ…吉岡本よ」
ふんぞり返り、いたずらっ子のように笑う衣和緒の顔を、彼は複雑な思いで見つめた。
(………胸が張り裂けそうだ)
衣和緒が唐突に走り出した。
「ほれ、何をしておる!ぐずぐずするな!あの列に並ぶぞ!」
(考えたくない!この愛くるしい衣和緒様が…
あの…赤木しげるに、ぞんざいに扱われているかも知れないなどとは…!)
いち早く、列後方にとりついた衣和緒の快活な声が飛ぶ。
「ほれ見ろ、たった三十分で乗れそうだぞ」
(衣和緒様を…衣和緒様を、今日まで我々白服は…わたしは…大切にお守りしてきた…。
…その衣和緒様がアカギとの交際のせいで、
日常的に傷つき、つらい目に遭われているとしたら…
…わたしは…わたしは…とても耐えられない)
彼は、今朝衣和緒が、アカギにデートをすっぽかされ、
悶え苦しむ様子を思い出していた。
「おい、吉岡本」
(事と次第によっては、アカギとの交際を止めていただくよう、お嬢様を説得するしかない。
…とにかく今、衣和緒様は…わたしがしっかりとお守りしなければ…!)
「のどが渇いた…何か買ってこい。吉岡本」
吉岡本は衣和緒の声で我に返り、思わず周りを見回し、彼女の顔を覗き込んだ。
「は…?」
吉岡本はいつの間にか『ビックサンダー・マウンテン』の列中にいた。
衣和緒が怖い目つきで吉岡本を見ている。
もうすぐ、山小屋を模した吹き抜けの建物の中に入る直前であり、
その中にはジグザクとロープが張り巡らされ、その間に沢山の人々が静かに並び、
乗り物に乗れる瞬間を今か今かと待っている。
不意なことで、吉岡本は混乱した。
自分たちの後列も、ものすごい人数が帯をなしている。
この殺伐とした中を掻き分け、売店に行かなくてはならないのか。
「し、しかし今列を離れれば戻れなくなる可能性が…
このアトラクションを済ませてから、
きちんとした場所で召し上がるのがよろしいのではありませんか?」
「貴様…わたしは今、飲みたいのだ!…特にだ!暖かい飲み物がな!」
衣和緒の大きな目が、険しく吉岡本を見据えている。
吉岡本は気づいた。…彼女の両腕が組まれ、肩が小刻みに震えているのを。
(お嬢様…申し訳ございません…
…………愚鈍なわたしをお許し下さい)
吉岡本は、おもむろに白いトレンチコートを脱ぎ、
衣和緒の肩に両手をまわすと、彼女の身体をコートでふわりと包み込んだ。
衣和緒は掛けられたコートをつかみ、怪訝な顔をする。
「な、なんのまねだ、吉岡本!」
「…むさくるしいでしょうが…しばしそれで、寒さをおしのぎ下さい。
……すぐに戻って参ります」
白スーツ姿となった吉岡本は、にこりと笑うと、下に向かい走り出した。
幾重にも重なり並ぶ人々を押しのけ、すり抜け、
下り坂のような順路を通り、付近の売店を目指し走った。
「お嬢様…お待たせいたしました!」
前方にやっと、衣和緒の姿が見えた。
吉岡本は、紙コップ二つを両手に持ち、他の客を掻き分け、衣和緒のもとへと急いだ。
到着したとたん、衣和緒が、鋭い視線を吉岡本に投げかけた。
「遅かったではないか…」
その言葉が途切れ、衣和緒は大きく目を見開き、口を閉じた。
唇の端を切り、頬にあざをこさえ、
白服の袖口に大きく茶色い染みを付けた吉岡本は、意識的に微笑んだ。
――――売店から急いで戻る途中、チンピラにぶつかり、絡まれ、殴られた。
……そんな事があったなど、悟られてはならない。
「運ぶ途中で…転んでしまいました」
大きめのコートを羽織ったまま、瞳をこらす衣和緒に紙コップを渡しながら、
吉岡本は目蓋を伏せ、再び笑みをこぼした。
紙コップの中のコーヒーは、すっかり冷え切っている。
「冷めているな」
コーヒーに口をつける、衣和緒の長い睫毛が、表情に陰を落とす。
「…も、申し訳ありません」
叱責が飛ぶ。と、吉岡本は肩をすくめた。
ところが、衣和緒は平静なまま、くいっと中身を飲み干すと、
ちょうど順路途中にあったゴミ箱に、その紙コップを放り込んだ。
「こいつはもういらん…さっさと、その茶色い染みを隠せ………みっともない」
仏頂面の衣和緒はコートを脱ぎ、そっぽを向くと、それを吉岡本に押しつけた。
そんな衣和緒の頬は、うっすらと赤く染まっていた。
(続)
吉岡本に幸あれ!
一ヶ月ぶりにきてみたら衣和緒と吉岡本がうpされてて
嬉しかった!後編も期待しています。
白のトレンチコートって良いですね!
冬はきっと白服には揃いの白のコートが支給されるんだろうなあ
衣和緒お嬢の趣味なのかな・・・
お嬢はアカギと吉岡本どっちが好きなんだろう
皆さん、あけおめ!ことよろ!
>320氏のレスで、
アカギ>フェルゼン
吉岡本>アンドレ
が、頭をよぎった自分が、新年のご挨拶に参りました。
上記の通りだと、吉岡本と結ばれることになるんだけどなあ・・・w
遅ればせながら、明けましておめでとう!
アニメのベルバラのエンディングテーマが頭の中に流れたよ
フェルゼン(アカギ)にとってのアントワネットはアカギ自身の
人生になるのかなあ?
あけおめにて初保守っ…!
ほっすほっしゅ
ほっす…
作年中に投下できず、誠に申し訳ありませんでした
今年も、皆様にとって良い一年でありますように…
>>315-318の続き投下します
出口から真っ先に躍り出た衣和緒の声が、前方から聞こえてくる。
「ま、いいだろう。これはこれで…吉岡本よ」
写真台紙を抱えた衣和緒が振り返り、こちらを見ている。
「…恐れ入ります…衣和緒お嬢様」
チップ&デールの耳付きカチューシャを付けた吉岡本は、顔を赤らめ、その後に続いた。
スプラッシュ・マウンテンを乗り終えた人々や通行人が、
まるで、見てはいけないものを見たかのように視線を逸らし、足早に通り過ぎてゆく。
うつむいて笑顔を作る、吉岡本の頬が痙攣した。
(な、なぁに、二度と出会うことのない人達ではないか…
…お、お嬢様から似合うとお褒め頂いた以上…これしきの事…耐えろ!吉岡本っ…!)
真っ逆様に滝壺に落ちる際、いっそのこと、こんな耳、吹っ飛んでしまうがいい!
…と、密かに願っていた吉岡本であったが、それは未だ、己の頭にぴたとはまったままだ。
何ともいえない倦怠感に襲われ、吉岡本はがくりと首を垂れた。
憧れの衣和緒嬢と、ディズニーランドでふたりきり。
入園当初は楽しく、幸せを感じた吉岡本であったが…。
人気アトラクションのファストパスを求め、広大な園内をあちこちと奔走させられ、
長蛇の列に並ぶ事を強いられ、なによりも、衣和緒に対する気苦労…。
吉岡本は、くたくたに疲れきっていた。
その歪み掛かった彼の視界に、レジャーシートを広げる人々の姿が飛び込んでくる。
思わず吉岡本はため息を漏らした。
(ああ…もうすぐパレードの時間か…………少し休めそうだ…)
ディズニーキャラクター達の織りなす、きらびやかな昼間のパレード。
(……衣和緒お嬢様も、きっと喜んで御覧になるに違いない)
そう吉岡本は思い、見物するのにいい場所はないかと、虚ろな目で辺りを物色し始めた。
ところが…。
「そら、行くぞ!」
パレードには目もくれず、スプラッシュ・マウンテンの入場口方向へ走り出す衣和緒。
慌てた吉岡本は走った。全速力で走る衣和緒の後を追いかけ、懸命に走った。
(お嬢様…なんてお元気な…しかも速っ!)「お待ち下さい…お嬢…!おじょ…」
彼は息を乱し、思わず己の胸部を押さえた。
「ぱっ…パレードがあるようですが!!御覧にならないのですかっ!!!?」
「馬鹿者!!何を言っておる!!」
走りながら振り返った衣和緒。
鋭い眼で睨み付けられ、吉岡本の心臓がびくりと痙攣した。
「愚民どもがパレードにうつつを抜かしておる、今がチャンスではないか…!
………再びの挑戦がっ…!」
やっとの思いで衣和緒に追いつき、伴走する吉岡本。ホッとするのも束の間。
「…もう一度仕切り直しだ…!」
青白い頬を紅潮させ、目を見開き、満面の笑みを浮かべながら走る衣和緒は、
興奮からか、肘をぴっちりと脇に付け、しきりに拳を握ったり開いたりを繰り返す。
その言葉を聞いた途端、吉岡本は膝から崩れ落ちそうになった。
脳天がぐらつき、声が情けないほど震えた。
「な、なんと!も、…もも、もう一度アレに乗るおつもりなのですか?衣和緒様!」
吉岡本はスプラッシュ・マウンテンの、滝壺に落ちる際の、臓物の浮揚感を想い出した。
あれが何ともいえず不快で、一向に慣れない。
「……も、もうかれこれ、三度もアレに乗っているではありませんか…!」
吉岡本は、衣和緒が小脇に抱える写真台紙を凝視し、叫ぶように言った。
「お、お嬢様は…あれで、あの写り方で良いと先程…」
立ち止まった衣和緒。その杖が不意に喉元に突きつけられ、吉岡本は思わず反り返った。
ふたりはスプラッシュ・マウンテンの入場口に到着していた。
吉岡本は瞳だけを動かし、周囲の様子を窺った。
衣和緒の読み通り、列はガラガラ。待ち時間はわずか十五分。
杖を下ろした衣和緒は、長い銀髪を片手で掻き上げると、取り澄まし、
何事もなかったかのように、ツカツカと列の最後尾に向かい歩き出した。
(…何という先見の明!この吉岡本…感服いたしました…さすが先生…)
続々と走り込む人々が、自分たちの後ろに長蛇の列を作り始め、
待ち時間がたちまちのうちに跳ね上ってゆく。
(お見事です…衣和緒お嬢様…)
頬を紅潮させ、吉岡本は本気で感心していた。
パレードの開催時間中は、他のアトラクションが空く場合があること。
何度か来園して、慣れてくれば分かることで、先見の明もクソもないのだが、
そのことを吉岡本は知らない。
吉岡本は、衣和緒とともに列に付き、流されるように歩く。
まるで、刑場に引き出される罪人のような面もちで、無気力に、列に沿い歩き続けた。
「あれは三度目にしてようやく……
……貴様の顔が滝壺付近にあるカメラに、縮こまらず、平静を保てたまま写れたという…、
………たかだか……たかだか、それだけのことではないか…吉岡本…」
衣和緒はフッと視線を逸らし、歩きながらぽつりとつぶやいた。
「…誰人も、あ奴の代わりにはならぬ…
………赤木しげる………あ奴の代わりに値する者など…誰も…おらぬ」
(お嬢様…まだ、アカギのことを…!)
吉岡本の心中にまたもや黒い心が沸き上がり、同時に熱い血潮が彼の身体を駆けめぐった。
吉岡本と衣和緒。
ふたりを乗せたスプラッシュ・マウンテンのカートが、急な坂をじりじりと登ってゆく。
カートの先頭に座した衣和緒は上機嫌。隣に座る吉岡本にひっきりなしに話し掛けてくる。
「今度こそ、あいーんのポーズを決めるのだぞ…
………それが一番安易なのだからな…分かったな…吉岡本」
「クラスの奴らに写真を見せるのだからな!」
「そら、もうすぐ…もうすぐで…!」
そんな、無邪気に弾む衣和緒の声は、今の吉岡本の耳に届かない。
(負けてたまるか!赤木しげるになど…)
見開いた眼を血走らせ、必要以上に緊張した吉岡本ののどが、ぐぐっと音を立てた。
(先程誓ったばかりではないか!……お嬢様の心の傷を癒すための粉骨砕身っ…!)
「ぐいやあぁっ!」
気合い一発、彼は叫んだ。
同乗者達から笑い声が上がるが、全神経を集中する今の吉岡本には、体裁など無意味。
(………解き放たれろ吉岡本っ…!己のちっぽけな保身の心など、捨ててしまえ…!)
さらに急な傾斜を登り始めるカート。ごうごうごうと、水音が轟きわたる。
落下する瞬間が、刻、一刻と迫る。
(我が煩悩よ…)
視界が突然開けた。世界が一瞬止まる。後ろから、誰かの小さな悲鳴が聞こえた。
目前には、澄み渡る青空。
(我が煩悩よ……空に解けゆけ)
カートがゆっくりと前に傾いてゆく。
(…煩悩よ……死ねぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…!!!!)
それから数時間もの間。
喜色満面、益々張り切る衣和緒と共に、広大な園内を駆けずり回り、大量のお土産を抱え、
数々のアトラクションに長時間並び、ぶっ続けのやっつけ仕事で過ごしてきた吉岡本。
そんな彼の体力は、限界に達しようとしていた。
なおもパンフと首っ引きの衣和緒に、吉岡本は大量のお土産を両手に下げたまま、
猫背気味に弱々しく語り掛けた。
「少し…休みませんか?…ここしばらく、動き回ってばかりで…(死にそう…です)」
「ん?そうだったかな?では、ここらで座って、何か食べるとするか」
のんきな衣和緒の返答を聞いた吉岡本は、ホッと胸を撫で下ろした。
ふたりは、カリブの海賊の近隣にあるクレープ屋で休憩することにした。
席に着くなり衣和緒は、スプラッシュ・マウンテンの写真をお土産の山から取り出し、
テーブルに頬杖を付きつつ、それを眺め始めた。
台紙に挟まれた写真には、カートの先頭で見事、あいーんのポーズを華麗に極めるふたり、
衣和緒と吉岡本が写っていた。
「…小心者のおまえにしては上出来だ、吉岡本」
不意に、穏やかな表情の衣和緒から飛び出したこの言葉。
今回、ここに来て、衣和緒の口からこんな暖かい言葉を聞いたのは初めてである。
「あり、あり、ありがとうございます…お嬢様」
吉岡本はぎこちない笑みを浮かべ、サングラスを外すと、慌てて目頭を押さえた。
涙がこぼれそうになる。
「何だ?随分と大げさだな…吉岡本」
ハンカチを取り出し、ふと顔を上げると、衣和緒がきょとんとこちらを見ている。
(何ということだ、お嬢様…。その美しい瞳…吸い込まれてしまいそうだ…)
吉岡本は目を潤ませたまま、衣和緒の瞳をそっと見返した。
サングラスを外したままの目で、ひたすら、衣和緒の顔を見つめ続けた。
ふたりの間に沈黙が流れ…。
唐突に、衣和緒は視線を外し、つぶやいた。
「馬鹿が…」
そう吐き捨てるなり目蓋を伏せ、視線を写真に戻すと、もごもごと小さな声でこう言った。
「も…、もう四時だ。日が暮れる…そろそろ戻るか」
「は、はい。お嬢様」(しまった!つい、お嬢様の顔をジロジロと…)
ぶっきらぼうな衣和緒の態度に戸惑い、
再び彼女に一瞥された吉岡本は、また杖で叩かれるっ…!と、思わず身構えた。
「ああ、それからな、吉岡本…貴様にくれてやったその耳…」
身構え、頭を抱えた際、
自らの頭にはまる、チップ&デールの耳付きカチューシャの上に両手を置いた吉岡本に、
衣和緒は冷たく光る目を細め、じっとりと話し掛けてきた。
「くれぐれも大切に…な」
吉岡本は額に汗し、頭上のカチューシャ耳をまさぐり、そのまま固まった。
「…………へ……?」(これ?これを大切にって、どういう…)
ディズニーランドとも、そろそろお別れ。
吉岡本と衣和緒のふたりは、ワールドバザールのあるアーケード内を歩いていた。
「昼間よりも、人が減ったような気がしますが…」
「そうでもあるまい。これから…、ここに来る奴もおるだろうからな」
抑揚のない、衣和緒の声が耳朶に触れた。
「え?これからですか?…………そうか……今日は特別な日ですものね…
………とある人達にとっては……………あ、お嬢様、どちらへ…」
(どうしたのだろう?お嬢様…まるで上の空だ)
吉岡本の話しを聞いているのか、いないのか、
衣和緒は吉岡本から離れ、しきりに歩き回り、キョロキョロと周辺を眺めている。
(よし、今のうちに…)
自らの頭にはまる、チップ&デールの耳付きカチューシャに手を伸ばし、
それを取り去ろうとする吉岡本。
「…そんなに気にくわんか?」
いつの間に戻ってきたのか、
側で冷ややかに自分を睨む衣和緒に気づき、吉岡本は縮み上がった。
「と、取りません、取りません…ははっ」
吉岡本は、手の甲で額に吹き出た脂汗をしきりにぬぐい、密かに腹の中でぼやいた。
(み…、見ていないようで、実は見ていらっしゃる!さすがお嬢様だ!
…しっ、しかし許していただけないものか?…この狂気じみた耳を取ることを…)
大きなクリスマスツリーを見上げ、衣和緒の足が止まった。
「凄いですね…お嬢様」
一緒にそれを見上げ、感心することしきりの吉岡本を尻目に、
衣和緒は携帯を取り出し、ひとりでさっさとツリーを写し始めた。
忙しくアングルのパターンを変え、何度も、何度も、シャッター音を鳴らし続ける。
(ああ、お嬢様…本当はアカギと、このツリーの前で楽しい思い出を刻むべきところを…!)
またもやアカギに対する黒い心が湧いた吉岡本は拳を握り、奥歯を噛みしめた。
(しかしどうかご安心を!……本日はこの吉岡本がついております。衣和緒お嬢様…!
……この頭に生えた耳も、夢と魔法の王国の住人であるという証…!
………解き放たれろ吉岡本っ…!楽しむんだ…!この時を…!そして…)
大きく息を吐くと、吉岡本は冷めた目を伏した。
(……………………………もうすぐ、ここを去ることだし…………それまでの辛抱…)
「なあ…、吉岡本よ」
ふと見ると、いつの間にか衣和緒は、
ある店舗のショーウインドウ前に立ち、その中を、熱心に覗き込んでいた。
『…この国の王たるわたし自身が選び取った道とはいえ、
毎日毎日、わたしに媚びへつらい、ノーリスク、ハイリターンを求める蛆虫、
…屑の様な、腐った魚の様な目をした者ども相手に、商売をせねばならぬ毎日だ。
………あれが自室にあり、出迎えてくれたら、さぞ心が安まり、和むだろうな…吉岡本よ』
(その結果が、これだ…) 吉岡本は、引きつった愛想笑い付きで、衣和緒に話し掛けた。
「……お嬢様…早速、お部屋に置けますね」
「うむ、楽しみだな。…愉快、愉快」
かさばる他のお土産を宅配センターに預け、
大手を振って歩く衣和緒の、天真爛漫な笑顔を見た吉岡本は、
わずかだが、報われたような気がした。
わずかにだが…。
吉岡本は、己の身長の半分くらいある巨大なくまのプーさんのぬいぐるみを抱きかかえ、
出口に向かい、よたよたと歩き続けていた。
なんと、このプーさん。先程まで店舗のショーウインドウに飾られていた代物。
衣和緒が、どうしてもこれが欲しいと言って聞かず、泣く泣く買い取った物である。
目玉が飛び出るほど高額だったが、代金は吉岡本が出した。
会計のとき、財布から万札を引き出す際、手が震えた。
……しかし今。
側にはプーさんを手に入れたことにより、飛び跳ねんばかりに歓喜した衣和緒がいる。
吉岡本はそんな衣和緒を見、ぎくしゃくと笑顔を作った。
(…お嬢様がこんなにお喜びになられているのだ…
……………かっ、金など惜しいものか!…そんなもの糞食らえだ!)
側にいる衣和緒は、顔をほころばせ…。
なんと、吉岡本の横に沿い、彼の片腕のコートをつまみ、歩調を合わせ始めたではないか。
突然、顔面がカッと火照り、生唾を飲み込んだ吉岡本は立ち止まった。
「い、い、いいい…衣和緒様…!」
「ん?何だ、吉岡本」
吉岡本の顔を見上げる、無邪気な衣和緒の笑顔がまぶしい。
彼の頭の中を脳内物質が駆け巡った。抱いていたプーさんが、すとんと足下に落ちる。
「よしおかもと…?」
目を瞬き、驚く衣和緒だが、彼女は吉岡本のコートをつかんだまま離れようとしない。
吉岡本は、彼女の瞳に目線を合わせ、口をぱくぱくと…喘いだ。
言葉が出てこない。衣和緒に今、一番伝えたい言葉が。
(どうした吉岡本!言え!言うんだ!……夢と破れてもいいではないか!
…………『衣和緒様、あなたを愛している』と…!)
「お…おじょ…わたしは…わたしは………………あ…」
その時、彼らの側を何者かがスッと近づき、
衣和緒の手は、あっという間に吉岡本から離れていった。
吉岡本は思いがけない展開に茫然とし、衣和緒が引きずられていく様子を眺めていた。
…が、急激に怒りが込み上げ、頭の中が真っ白になった。
(あいつめ!今頃になって…!)
「…待たせたな、鷲巣衣和緒」
その白髪の青年は、火の付いた煙草片手にくすくすと笑いながら衣和緒の片腕をつかみ、
出口とは反対方向…、ワールドバザールの方に彼女を引きずっていく。
「何を!何をする貴様!…離せ!!」
衣和緒は、必死にもがいている。時折、声に嗚咽が混じるのを聞き、吉岡本はハッとした。
「今更!今更遅いわ!わたしは、わたしは帰るのだ!…この馬鹿!………馬鹿っ!!」
それに気を留めるでもなく、青年は衣和緒の手を引っぱり、引きずるのを止めない。
「おい!このっ!お嬢様を離せ!」
衣和緒を引っぱっているのは、紛れもなくあの、赤木しげる。
今朝、衣和緒とのデートをすっぽかした、あの、赤木しげるである。
プーさんの巨大ぬいぐるみを放置したまま、吉岡本は、アカギと衣和緒に駈け寄った。
衣和緒の腕をつかむアカギの手を引き剥がそうと手を掛けた瞬間、彼は呻き声を上げた。
アカギの片手…煙草を持っていた方の手が、吉岡本ののどに掛かり、彼は仰け反った。
眼の隅に、落下しゆく煙草が見え、それが薄汚れた運動靴にキュッと踏み潰される。
呆気にとられる吉岡本を見、楽しそうに薄笑うアカギ…。
……吉岡本ののどに食い込む、彼の指、掌は、氷のように冷たい。
片手だけで、のどをぐいぐいと締め上げられ、吉岡本の背筋に悪寒が走った。
(こ、こいつ本気だ!…や、や、や、やら…れる)
「吉岡本を放せ!」
アカギは、吉岡本から手を放した。
青ざめた衣和緒が、アカギののどに杖の先端を突き立てている。
吉岡本は、鈍い音とともに地に転がった。
息が詰まり、やっと地べたに座り込むと、のどに手を当てゼイゼイと深呼吸を繰り返した。
頭上から、衣和緒の声が降る。
「貴様!今頃おめおめと…」
杖を突きつけたまま、目を見開いた衣和緒の顔色が、みるみる紙のように白くなる。
「……捻り潰すぞ!赤木しげる!!」
血走る目で憎々しげに睨み付け、アカギの顎に杖の先端をゴリゴリ押しつける衣和緒。
なすがまま。平静を保ち、醒めた目でそんな衣和緒を見つめるアカギ。
(お嬢様…本気でご立腹!………こ、これは、奴を叩き殺さんばかりの勢いだ…
……………ふっ、…振られるぞ、アカギは。恐らく…いや、間違いなく…)
腹の底から笑いが込み上げた吉岡本は、うつむいたまま肩を震わせた。
(わ、わたしの大切なお嬢様をないがしろにした罰だ……
……………ざ、ざまぁ、み、……ろ)
顔を上げた。そして、そのまま。顔を上げたまま、吉岡本は固まった。
何故か、目の前で抱擁を交わすふたり。
呆けたようにそれを見つめる吉岡本の目の前で、アカギは衣和緒の耳元で何やら囁いた。
衣和緒は頬を赤く染め、小さい声でつぶやいた。
「………馬鹿が」
そう言い、笑顔のまま、いきなり杖でアカギの頭を一発叩いた。
鋭い音が響く。……目を見開き、動向を見守る吉岡本。
「いてて…」
殴られたのにも関わらず、何故か楽しげに笑うアカギ。
吉岡本は、そんなふたりの様子を空虚な心境で眺めていた。
(何だ、このふたり…)
ふたりは並んで歩き出した。その方向は、真っ向ディズニーランド。
「…今度!!今度すっぽかしたら許さんぞ…!分かっているだろうな…!」
傍らのアカギを睨むなり、いきなりキンキン声を発した衣和緒は杖を振るった。
再び、周囲に響く鋭い音。
「クク…分かった、分かった」
杖で殴られながらも涼しい顔をし、頭を幾度かさするのみで、楽しそうに笑うアカギ。
(あるわけないだろっ…!そんなことっ…!)
吉岡本は涙目になり立ち上がった。目を見開いたまま、口をパクつかせた。視界が歪む。
「お、お待ち下さい!おじょう…」
「吉岡本よ…」
衣和緒は、ゆっくりと振り返った。
「…おまえはもう………帰れ」
小さくなってゆくふたりを見送る、吉岡本は棒立ち。
(酷いっ…!)
立ちんぼのままの吉岡本の頬に、涙は滂沱とあふれた。
(ダメっ…!)
吉岡本はうつむき奥歯を噛みしめ、転がるプーさんに走り寄った。
奴は…アカギは、突然姿を現した。
そして、あっという間に…もぎ取ってしまった。………衣和緒を!そして…
…………自分に芽生えた…告白する気概を!勇気を!
(…ぐんにゅるぅぅぅぅぅ〜!)
心の中で言葉にならない呻きを上げ、
吉岡本は、にこやかなプーさんを抱き上げ、それと顔を突き合わせながら歩き続けた。
このぬいぐるみ。横幅があり、そして先程よりもなぜか異様に重たく感じる。
このいまいましい物体が視界を塞ぐため、
それを抱きかかえた吉岡本は、カニのように横ばいで歩かねばならなかった。
プーさんの、のほほんとした顔を、歯を食いしばり、時折潤んだ目で見つめる吉岡本。
彼と入れ違いに、楽しそうに浮かれた様子の男女が、何組も、何組も、側を通り過ぎた。
その度に浴びる好奇の視線。
いたたまれなくなり、吉岡本は自然と小走りになっていった。
長身、角刈りに白いコート、白いスラックスに黒いサングラス姿の、堅気に見えない男が、
チップか、はたまたデールかの耳を頭部に生やし、巨大なくまのプーさんを抱き、
舞浜駅方面に向かい、欽ちゃん走りする光景…。
………まさに、ディズニーランド・マジック。
メインエントランス入退場口は茜色に染まり、同時に夕闇が周囲を覆い始めていた。
(終)
後編うp!!!!111!111!!!!
待ってた甲斐がありました ありがとね
うp主は相当なランドオタクだなあ
ああ・・・しかし吉岡本が哀れナリ
吉岡本は年下の少女に先生とか言っちゃうのだね
改めて惚れ直したりなんかして馬鹿な男よ・・・
衣和緒はアカギとデートしつつも紫色の携帯ストラップを
無意識に指でもてあそぶんだろうなあ、と脳内保管しました
後編来てたvvvv
>>326-334GJ!
衣和緒とアカギの馬鹿ップル加減がたまらん
ホントに吉岡本哀れw
うわあぁぁ!!GJ!!GJ!!吉岡本哀れ..
ランドマニアの自分にはリアルに想像できてニヤニヤしてました!
テ、テラワロスwww
古谷声で脳内再生されて噴いた
節分だ
ハテコのアパートの扉を開けるなり
ピンポンダッシュのように豆撒いて逃げるシゲルが
頭に浮かんでしまった訳で…
恵方巻きネタもおいしいな
ハアハア…
ハテコとシゲルの壮絶な豆撒き合戦が脳裏に浮かんだ。
>>340 ハテコとシゲルだったら戦争になりそうだな
終わった後はしげみ特性太巻きを頬張るハテコが見たい
恵方に向かって太巻きを食べるハテコの横で何とか噴き出させようとシゲルは色々茶々を入れるんだろうな
「ハテコ、おっぱい見えてる」
>342
俺を噴き出させてどうする
「や ら な い か」
すみません
ハテコの百烈拳を浴びてきます…
保守
萌えに激しく期待保守っ…!
ラブコメスレなのにバレンタインネタが無かった件について
誰か変えてくれっ…!
この重苦しい空気を…!
ラブコメじゃないけど、連投行きます。
元ネタはギャグマンガ日和です。
あったけぇ……最後の最後……あったけぇ……
「というわけで、これでいいでしょう?黒沢さん」
黒沢の目の前にいる黒い影ー黒衣をまとった骸骨ーが促した。
「あ、ああ…」
黒沢は目の前にいる黒い影が死神であることをなぜか自然に受け止めていた。
同時に公園の上空から魂の抜けた黒沢の体に取りすがって泣く仲間たちを見下ろしていることも
当然のように受け止めていた。
下から仲間たちのすすり泣く声が聞こえる。だがこれは運命なのだ。受け止めねばならない。
しかし言うべき言葉がある。仲間たちに伝えねばならない最後の言葉があるのだ。
「いや、待ってくれ…俺には仲間たちに言いたいことがある。言わせてくれ」
死神が首をかしげた。
「いや、あなた死んだでしょう?あれだけ満足できる死に方ってそうざらにないっすよ」
「考えてみれば後の面倒を押し付けて勝手に死んだものだ…だから一言礼がいいたい」
黒沢は目を伏せうつむいた。その下からすすり泣きがなおも聞こえる。
うつむいたままの黒沢の肩に死神が骨だけの手を置いた。
「いいですよ、まあ今日のあなたの活躍に免じて一言言ってきてらっしゃいな」
「マジか!?」
黒沢はばっと頭をあげた。
「ただし、一言だけですよ」
「うむ、わかっている」
「それでは、ピーチクパーチクヤァー!」
仲根は握り締めたままの黒沢の手が再びピクリと動いたことを感じた。
「兄さん…生きているんだね…」
涙を流したまま黒沢の口元に耳を寄せた。黒沢の口がゆっくりと開く。
「おわーん」
生あくびがその口から漏れるとまた黒沢はがっくりとうなだれた。
「兄さん!」
「親分!」
「黒沢さん!!」
どっと号泣が激しくなっていった。
「『おわーん』…これが俺の最後の言葉…」
黒沢はうなだれたままだった。愚痴がさらにもれる。
「俺が言いたがったのはそれじゃなくて…」
「じゃ、なんです?何を言いたかったのですか?」
死神の問いに黒沢はためらいも無く言った。
「俺は…無念を愛していた…」
「長っ」
死神はあっさりと言い放った。切り捨てられて黒沢の表情が引きつる。
「だいたいそれアカギの死の間際の言葉でしょう?人間の世界のことならわりとよく知っていますけど、
なんでそれを言うためにあなたは私に頼んだんですか!?」
黒沢はまっすぐに死神の眼窩だけの目を見つめた。
「いや…これ昔『天』の主人公アカギが死ぬ所よんですげえかっこいいと思っていたから…俺そういうの
やってみたいかなーと思ってさ…そういう台詞言って死ねるのは最高だなと思って…アカギみたいに死ねたら…
悔いは無い」
死神ががくっと肩を落とした。
「あんたねー漫画の台詞いうために私に頼んだんですか?あんたアカギの台詞だとわかったらそれこそ大恥ですよ。
そう、夏休みの読書感想文の宿題で解説丸写しにしちゃうようなものですよ。実際そうだったでしょ?」
「ぐっ…」
事実を言い当てられては立つ瀬が無い。しかし黒沢は引き下がらなかった。
「俺は…アカギと違って才気も何も無い…しかし仲間たちはいた…だから…死ぬ時はアカギになりたい…」
だが、死神は向き直ると黒沢の目の前に指を突き立てた。
「あんたねーなりきりなんて痛いだけっすよ。無理!絶対無理無理無理かたつむり!」
「おい!もう一度言わせろ!頼む!無理が通れば道理が引っ込む!」
しばしの沈黙の後、死神は言い切った。
「『ありがとう』それだけでいいじゃないっすか!汎用性あるし。それだったら五秒でも言えちゃう!」
黒沢は声を荒げた。
「『ありがとう』だと…それじゃあ国語の試験で長文の要約を『いろいろあった』ですますようなもんじゃないか!」
だが死神は断言した。
「FUCKYOU…ぶち殺すぞ…アカギの台詞が言いたいならばな…何のために私がこれをやっていると思う?お前への
情けのためだ!これ以上甘えを捨てろ…『ありがとう』一言言えばそれですむんだ…何もかも…」
「ぐっ…ぐっ…理不尽だ…あの台詞が言えないのなら…でも…しかし…妥協しよう」
黒沢はしぶしぶうなずいた。
「よーし、それでは行きますよーピーチクパーチクヤァー!」
黒沢はつかまれた手の暖かさを感じた。
ー言わねば…言わなければ…
しかし口が思うように動かない。
「あ…あ…」
朦朧とする意識を振り払うように掴まれたままの右手を伸ばす。
「おおっ…」
仲間たちの歓声が沸いた。そのまま黒沢はゆっくりと言葉をつむぐ。
「あ…あいーん」
またぱったりと黒沢の右手が落ちていく。
歓声は再びすすり泣きに変わった。
「『あいーん』…なんで志村けんのギャグが俺の末期の言葉なんだ!!!」
「しょうがないでしょう、時間切れなんだから。」
顔が引きつったままの黒沢の肩を軽く叩いて死神がなだめようとする。しかし無駄だった。
「大体意識が朦朧としているんだ!まともに言えっか!泥酔しているようなもんだ!時間が五秒しか
ないというのは理不尽だ!なんとかしてくれ!大体あの台詞も言えんし!!」
怒気を含んだ黒沢の声にたじろぎながら、死神はなおもなだめる。
「あんたねー、昔私が担当した女の人で交通事故にあった人なんですけど『国語のゴリ松』というのが
末期の言葉だったんですよ!その人に頼まれて三度も生き返らせたのに!!それから思えば『ありがとう』
なんてシンプルで言いやすいじゃないですか!大体言いたいこともいえない無念の死が多いんですから、
ぜいたくいわないでくださいよ」
しかし黒沢にとっては逆にとられるだけだった。
「なんで『何じゃこりゃ』ぐらい言わせないんだ!交通事故だったんだろ!それくらい言わせてやれ!
お前にはそれくらいの情けがないのか?まあいい、しかし五秒は短すぎる!もっと時間をくれ!そのままだと
仲間にも礼が言えない!」
食い下がる黒沢に死神は眉をひそめた。もっともひそめる眉など無いのだが。
「んもう、仕方ない!それでは行きますよ!ピーチクパーチクヤァー!」
黒沢の目がうっすら開いた。
周りに再び歓声が沸く。しかしその声は黒沢にとってぼんやりと響くだけだった。
「あ…あ…」
朦朧とした意識の中何を言うべきだったのか黒沢は忘れてしまっていた。
あ…あ…ああそうだ…アカギ…アカギ…になろうとして…いや違う…
アカ…アカ…赤松…
意識の糸が赤松の姿を絡めとった瞬間、不意に脳裏にあるイメージが浮かび上がった。
ー黒沢さん…この間のアジフライの件ありがとうございましたー
そのイメージが言葉となってこぼれ落ちた。
「アジフライ…」
そのまま黒沢の意識は消えてしまった。
「まだ…意識はあるぞ!」
「御木に人口呼吸やらせろ!」
「よーし!小野は兄さんの頬を叩いてくれ!」
「『アジフライ』…間違えた…」
三度目の正直ならずがっくりと肩を落とした黒沢に出来るだけ優しく死神は告げた。
「まあ、人生なんだからいろいろ上手くいかないことありますよ、気を落とさないで…」
その優しい物言いが黒沢にとってつらすぎた。
「あんた意識を朦朧としたまま蘇らせたな…それだったら頭が働かないじゃないか…
なぜそのことを先に言わなかった?従って今のはノーカウント!ノーカウントだっ…」
「え?なに?ノーカウントって?」
まだまだ食い下がる黒沢に死神はたじろいだ。
「十秒でいい、意識をはっきりとさせて蘇らせろ…それが俺の最後の頼みだ…というわけで…」
たじろいで後ずさりする死神に黒沢はぐいと前に踏み出し、
「もう一回!もう一回!もう一回!」
と何度も手を打ち合わせすがりつく。
死神が後ずさりすればするほど、黒沢はなおも死神ににじりより何度も手を打ち合わせる。
「もう一回!もう一回!もう一回!」
ーこの生きたがりが!!ー
と死神は内心で一喝したかったがすでにその気力は失せ、うなだれたままだった。
そんな死神に黒沢はなおも繰り返す。
「もう一回!もう一回!もう一回!」
GJ!!!!!1!11!
全俺が泣いた
この後、仲根達の心肺蘇生法がうまくいって
黒沢さん生き返ればいいなぁ…と思ったりしました
GJ!!
ラブコメじゃなくても作品に愛が見えればいいと思う。これは友愛だね。
またの投下待ってる!
保守っ!
age
357 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 16:48:06 ID:4Jqs1U+2
age
三月三日に間に合いませんでしたので、保守代わりに orz
(……普段の衣和緒お嬢様のご手腕には、この吉岡本、ただただ感服の連続。
さすがは若い身空で会社を経営する稀代の才女。
常に、そのお振る舞いは毅然とされ、素晴らしいの一言。…なのに)
本日、三月三日は桃の節句。
鷲巣邸内にある、清々しい木の香りが満ちる広い和室。
豪華七段飾りのひな人形の傍らに、可憐に咲く桃花の枝を生けた大きな花瓶。
そんな和室の畳に正座をする白服の吉岡本はがっくりと肩を落とし、深いため息をついた。
(…………なぜアカギ相手だと、あんなふうに…)
「あ゛…、あ゛〜〜〜?」
髪を結い上げ、桃色を基調とした、豪華な和服姿の衣和緒は、おもむろに正座を解くと、
並び座る数人の白服達がはらはらする中、片膝を立て、どすんと尻餅をついた。
その拍子に和服の裾がはだけ、白い太腿と緋色の長襦袢が丸見えとなった。
吉岡本は思わずそれに目を奪われ、身を乗り出した。
(なんんっ…たる、僥倖ッ…!)
衣和緒はばたんと横に倒れて這いずり、甘酒入りの一升瓶を掴み取ると身を起こし、
広げた両足を投げ出したまま、片手で無造作に瓶を揺すり始めた。
憑かれたように一升瓶を揺する衣和緒の目は虚ろで、顔は茹でダコのように真っ赤。
一升瓶を抱き、頬を寄せた彼女の口から、調子はずれな言葉が飛び出した。
「なんだぁ……、あ゛…、もう中身が無いようだぞ……赤木しげるよ」
「…まだあるでしょ?」
一升瓶の中で揺れる白色を見てくすりと笑い、杯に口を付けるアカギ。
「お、お、お嬢様!」
吉岡本は慌てて躙り寄り、衣和緒の手から一升瓶を取り上げた。
「甘酒とはいえ、幾らなんでも飲み過ぎでは!」
「案ずるな、吉岡本よ…。おっと」
衣和緒はようやく、はだけた着物の裾に気づき、足を閉じ、乱れた裾を合わせた。
そして、血走る目を剥き、吉岡本を睨み付けた。
「……見ただろう?貴様…」
「み、みみ…見てません!見ておりません!」
吉岡本は、震える声を絞り出し、大きく頭を振った。
「相変わらず下手な嘘をつくね…吉岡本さん」
のどの奥で笑うアカギはつぶやき、杯の中の酒を飲み干した。
さらに、口角を上げ、楽しそうに囁くアカギ。
「………衣和緒の足をガン見してただろ…さっき」
そのとたん、側にいる衣和緒の周辺の空気がぴりりと張り詰めた。
アカギに目を向けた吉岡本の視界がぐにゃりと歪む。
「し!してない!見るものか!
…………衣和緒様の白い太腿!………し、白い内股…など………けして、見…」
静まりかえる和室。膳に上るごちそうに白服達は、黙々と箸を付け続ける。
内輪だけの、楽しい桃の節句祝いの席は、殺伐とした雰囲気に支配されている。
「何かおかしいとは思ったが…やっぱりだ!」
頭部に血の滲む包帯を巻き、黒レンズが割れ落ちたサングラスを掛けた吉岡本は屈まると、
静かに座り、ごちそうを食べ続けるアカギに向かい声を荒げた。
「この一升瓶に入っているのは甘酒じゃなくて、にごり酒じゃないか!」
アカギの目の前に、一升瓶を突き出す吉岡本。
「あらら…本当だ」
それに続いた、アカギののんきな一言。
「間違えた」
吉岡本の頭の中を凄まじい血流が駆け巡った。「この…」
彼はうつむくと、殴りかかりたい衝動をこらえ、拳を握り、奥歯を噛みしめた。
(……ちくしょう、こんな事になるのなら、お嬢様が飲む前に毒味をしておくべきだった!
…大体、こんな、…こんな礼儀知らずの…)
吉岡本は無遠慮に、アカギを真上から見下ろした。
アカギは、黒いTシャツの上に青のカジュアルシャツ、下はジーパン。
と、いうまったくの普段着のまま取り澄まし、何食わぬ顔で料理をつまんでいる。
(…こんな…こんな胡散臭い奴の持ち寄ったものを疑わず、
………そのままお嬢様に飲ませてしまったこと自体、間違っていた!)
そう脳内で激昂する吉岡本の頭部に、突然鋭い痛みが走った。
「何だ、痛!あっ!アイタタタ…」
「よ、し、お、か、も、と、よ〜…」
後ろを振り返ると、顔を真っ赤にし、不気味な笑顔を浮かべた衣和緒が、
杖で、彼の頭をリズミカルに叩いている。
吉岡本は悶絶した。
酒に酔い、一切手加減しない衣和緒。その一発一発が、やけに重たい。
「その一升瓶をよこせ…ほれ、早く渡せ… は、や、く、せんか、ほれ!」
吉岡本は必死に身をよじり、頭に降る杖を避けた。
「いっ、いけません!未成年はっ…!これは甘酒でなく、お酒ですから…!」
「…なあ、赤木しげるよ」
唐突に、アカギに矛先を向けた衣和緒。拍子抜けた吉岡本は膝から崩れ落ちた。
「邪魔だ!さっさと退け!」
衣和緒は吉岡本を足で小突くと、アカギの座る席に、よろりと歩み寄って行った。
吉岡本はへたり込んだまま、呆然と、そんな衣和緒の後ろ姿を、ただ、見送っていた。
アカギは顔色ひとつ変えず、畳の上であぐらをかき、マイペースに杯を重ねている。
「…齢、十五にもなって、こんな桃の節句の祝い事をするなど…馬鹿げたことだろうな…
……そう思わんか?…なあ、赤木しげるよ」
衣和緒にそう問われた、アカギの返事は素っ気ない。
「いいんじゃないの、別に…。何歳になろうが、やりたければ、やればいい…」
「貴様…」
衣和緒は、アカギの側に座り込むなり、彼の横顔を睨んだ。
「わたしがいい年して、こんな馬鹿げた祝い事をしたくなったのはな…」
衣和緒はさらに近づき、彼の頬に、血走る目、尖らせた口を寄せた。
「…すべては貴様のせいだぞ………詳細は言わないでおくがな…
………分かっているだろうな………あ゛〜?」
「…はいはい」
衣和緒の言葉を鼻先であしらったアカギは、とっくりを手にした。
「……で、詳細って、何?」
煙草に火を付け薄笑うアカギを前に、衣和緒は目を見開いた。
その表情は、ごく普通の、恋する乙女のそれ…。
「そ、そんな陳腐なことが言えるか!とっとと注げ!」
アカギは衣和緒のキンキン声を聞いたとたん、くすくすと笑い始めた。
「…はいはい」
衣和緒にこづかれ、抜け殻のようになってしまった吉岡本は、
白服側の席に座り、斜向かいに座る衣和緒とアカギの様子をぼんやりと眺めていた。
(そ、そうだ!こんな酒………こんな酒………すべて飲んでしまえ!)
吉岡本は空しさのあまり、
ちょうど手元にある、アカギの持ち寄った一升瓶のにごり酒を杯にあけ、
ちびり、ちびりと舐め始めた。
「おい、吉岡本。気を落とすなよ……まあ、飲め」
他の白服の注ごうとする酒など全て無視し、アカギの一升瓶のみを口にする吉岡本。
(……あれ?この酒…意外と旨いな…) 彼の酒量は、次第に増えていった。
聞き耳を立てなくとも、衣和緒の声が異様に大きいため、
ふたりが交わす会話の内容が、手に取るように分かる。
(衣和緒様が…わたしの…わたしの衣和緒様が、ますます前後不覚になってゆく…)
衣和緒はアカギの肩にもたれ、こっくり、こっくりと、居眠りを始めている。
………相当酔いがまわっているようだ。
再び裾がはだけ、桃色地の着物から、衣和緒の白い膝小僧が微かにのぞいている。
吉岡本は、酔いのせいで充血し始めた目を見張った。
(くっ、くそっ!みんなこの酒のせいだ!
………奴が持ち寄ったこの酒のせいで……衣和緒様は、あんなことに…)
吉岡本は、こわばる手からアカギの持ち寄った一升瓶を引き剥がすと、傍らに置いた。
次の瞬間、吉岡本は目を剥いた。
アカギが何事か囁きながら、衣和緒の乱れた裾に、手を伸ばし始めたではないか。
「きさっ…!きさっ…!きさまぁああぁあああぁあ!!わざとだろぉおおおぉおう…!」
吉岡本は激しい衝動に突き動かされて叫び、唐突に立ち上がった。
固まる、周囲の白服達。
目を擦りながら、アカギの肩から離れる衣和緒。「う……なにごとらぁ?…いったい」
吉岡本は、血走った目を見開き、アカギに人差し指を突きつけた。
「…こっ、ここ、この悪魔めっ…!
………お、お…、お嬢様をわざと酔わせて…」
ぽかんと、その様子を眺めるアカギ。
吉岡本は言葉を詰まらせた。のどがグググッと軋む。
「……触ろうというのだろう!……お嬢様の白い…し…」
生唾を飲み込む。
「しっ、白い太腿………白く柔らかい内股を……」
不自然に静まりかえる和室。異様な雰囲気の中、吉岡本の息づかいだけが室内に反響する。
「……お嬢様の……輝く瑞々しい内股や、太腿を…!
……………こっ!……こうやって…こうやって…
…………………こんな風に……ウググッ…!こう……こう………こっ…!」
彼は、もつれる足に構わず、下手くそなパントマイムを次から次へと繰り出し続けた。
それを見守る誰もが目を大きく見開き、半笑いのような、複雑な表情を浮かべている。
「お、おい…やめろよ……吉岡本」
たまりかね、仲間の白服達が、一斉に吉岡本を取り囲んだ。
彼を羽交い締めにする。
動きを封じられた吉岡本は、ベソをかきながらも一層強く、悲痛な叫びをあげ続けた。
「チクショ―――ッ!!……俺だって…俺だって…、
衣和緒様の太腿に触りたいよ…!撫で回したいよ…!頬ずりしたいよ…!!
………股に、頭を…【ピ―――ッ】…したいよ…!!!」
懸命に、吉岡本を押さえ込む白服達の視線の先に…。 「お、おい…」
ゆらりと立ち上がった衣和緒が。
その顔からは血の気が引き、見開かれた目は血走り、青白い頬がピクピクと痙攣している。
「…すっかり酔いが醒めたようだな……鷲巣衣和緒」
側であぐらをかくアカギは含み笑いをし、そうつぶやくと杯を煽った。
「ふふふ…クク……それにしても…」
杯を見つめ、微笑むアカギの目が、冷たい光を放っている。
「…ちょっと、癇にさわるよね……」
「衣和緒――――――ッ!!
衣和緒様―――――ッ!!
…………………チックショ――――――――ッ!!!!」
気がついた吉岡本は、上半身をそっと起こした。
(臭い…)
見上げれば青空。スズメの鳴き声。頬を撫でる風は、ひんやりと冷たい。
そんな馬鹿なことがあるものか。と、思いたいのだが…。
自分の周りにある大量のゴミを見つめていると、そんな都合のいい夢想は粉々に吹き飛ぶ。
「…ははははは」
薄汚れた、自らの白服を見つめ、彼はもう笑うしかなかった。
近所のおばさんが、ゴミ袋を下げて現れた。
「あら、何だってアンタ、そんなとこにいんのよ」
「あの……あ…、今日は…」
とっさのことで、間の抜けた言葉が口をついて出た吉岡本に、おばさんはさらっと答えた。
「今日?…今日は三月四日だけど?」
(終)
吉岡本www 不憫www
今日はホワイトデーだな
ひろや銀さんは律儀にバレンタイン返ししてくれそうだが
他のキャラは期待できそうにな(ry
まあホワイトな液体が飛び交うわけですけど
誰がうまいこと言えと(ry
御無沙汰しております。
一日遅れですが、ホワイトデーネタを投下。
「ほら、森田。バレンタインデーのお返しだ」
そう言って銀二が小さな箱を差し出したのは、仕事で出かける直前だった。
仕事に必要な書類を纏めていた森田は、慌てて顔を上げ、銀二からのホワイトデーのプレゼントを受け取る。
「あ、ありがとうございます。開けてもいいですか?」
「ああ」
銀二からの了承を得て包み紙を開くと、中から出て来たのは直径五センチほどの、小さな丸い金属缶だった。
「わあ、可愛い!」
アンティークのピルケースを模した物だろう、プリントではあるが、精緻な絵柄が全面に描かれている。
裏も表も、書かれている文字は全てアルファベットで、どうやら外国製の物らしい。
動かすと、中からカラカラと、硬い音が響く。
封緘のシールを剥がして蓋を開けると、中に入っていたのは親指の爪ほどの大きさの、三角形のキャンディだった。
綺麗な明るい黄緑色のキャンディは、見た目通り青林檎の香りがする。
「いい香り。美味しそうですね」
甘い香りに誘われて、つい一粒摘んで口の中に放り込む。
「…美味しい!」
さわやかな青林檎の香りとほのかな酸味、控えめな甘さのバランスが絶妙だ。
「ホントに美味しい。すぐ食べきっちゃいそう、勿体無いなあ」
「気に入ったのなら、また買って来てやるさ」
「ホントですか?嬉しい!でも、それじゃホワイトデーのプレゼントの意味なくないですか?」
「なくはないさ、そいつは特別製だからな」
「…変わったところはなさそうですけど…缶の印刷がホワイトデー仕様とか?」
「そのうち分かるさ。仕事、行くぞ?」
「あ、はい」
銀二のことだ、また何か変わった趣向があるのだろう。
期待と不安半々に、森田も銀二の後に続いて部屋を出た。
移動中の車内で、ついつい森田はポケットに入れたキャンディの缶を取り出してしまう。
勿論、キャンディが美味だということもあるが、何よりも銀二が仕掛けた趣向が気になって仕方がない。
気になりつつも、やはり一粒摘んでは口の中に放り込んでしまう。
缶が小さい分内容量も少ないので、このままでは、今日中に食べ尽くしてしまいそうだ。
勿体無いけど、もう一つ…と、一粒摘むと、缶の中に何かきらりと光る物が見えたような気がした。
「…あれ?」
キャンディをかきわけて光の源を探ってみると、明らかにキャンディとは違う質感の物が、指に当たる。
「…何?」
摘み上げてみるとそれは、キャンディと同じ色と形をした、明るい黄緑色の宝石。
トリリアント・カットと呼ばれる三角形に磨き上げられた、大粒のペリドット。
「…ええ!?」
「…どうやら、見つけたようだな」
後部座席で大声を上げる森田に気付き、運転席の銀二が忍び笑いを漏らす。
「ぎ…銀さん!」
「お前の誕生石だ。指輪なりペンダントなり、好きに細工するといい」
「で、でも、どうして?私がこれを貰った時、ちゃんと封緘のシールが貼ってありましたよ!?」
「だから、特別製だと言っただろう?それを作っている工房へ行って、そいつを入れて貰ったんだ」
「ええ!?」
「欧米人は、こういうユーモアが解るから、助かるな。快く引き受けてくれた」
森田には、返す言葉がない。
そう言えば先日、仕事だと言って銀二が単独で欧州へ出掛けた事があった。
その時に、この趣向を思いついたのだろうか。それとも…、
「まさか銀さん、これだけのためにヨーロッパへ出張したんじゃないですよね?」
「当たり前だろう?それは、仕事のついでだ」
さらりと答える銀二だが、旅先でそんなに簡単に、同じ色と形のキャンディと宝石出会う偶然があるだろうか。
絶対にどちらかを先に…おそらくは宝石を…見つけて、それに合う物を探していたに違いないのだ。
銀二はそれを「ユーモア」の一言で片付けてしまうが、その労力が如何なるものか、想像に難くない。
「もう…銀さんたら、かっこつけすぎですよ!」
こんなことをされて、心が動かない女はいないだろう。もっとも、喜ぶか呆れるかは、女の性分によるだろうが。
信号待ちで車を停止させると、銀二は森田の方を振り返った。
「さて、どうする?右へ行けば、馴染みの宝石店。左へ行けば、レストラン。まっすぐ行けば、俺の家だ」
最後の最後まで、隠し球がある。この選択をさせるために、銀二がわざわざこの道を選んだことは、疑う余地がない。
「じゃあ、左へ」
「おいおい、色気より食い気か?」
呆れたように笑う銀二に、森田は反論する。
「だって、家に帰っても、冷蔵庫空っぽですよ?それに宝石は腐りませんし、何に使うか、考える時間があるでしょう?」
「仰せの通りだ。じゃあ、まずは腹ごしらえだな」
銀二は笑いながら、ハンドルを左へ切った。
以上、お粗末さまでした。
以下、チラシの裏。
バレンタインは、うっかり忘れておりましたw
森田の方から銀さんへプレゼントというのは、萌えるシチュエーションではありますが、
はてさて、銀さんには何を送ったら喜ばれるのか、森田も自分も頭を悩ませるところですw
くそっ!!また銀さんにしてやられた
思わず『欧米か!!!11!1!!』と叫びそうになったw
くやしいっ!でも…GJです!!
GJ…!!1!1
銀さんかっこいいな〜
バレンタイン、今からでも遅くない…!!
萌え期待っ…!
保守!!
378 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/03(火) 01:43:45 ID:ZH1EZzMs
ほす
☆
星が降りたかな
明日のために保守!
保守がてら投下します。
お花見終わった後の赤木家にて
****
「どこ行くの」
「…二階」
二階に行こうとして立ち上がると、頭がぐらぐらした。
胃のあたりが気持ち悪い。気分も悪い。
やっぱりお酒飲み過ぎた。
後ろからシゲルに声をかけられたけど、ロクに返事ができなかった。
おじさん達の手酌をさせられた時に、花見の席だから、今日は無礼講だからとか言われては色んなお酒を飲まされた。
いくら飲んでも酒の味なんか全然わからないし、美味しいとも思わない。
でも、みんなが楽しげにお酒を飲みながら歓談しているのを見ると、その雰囲気を壊すのが申し訳なく思えてなんだか断りきれなかった。
とにかく二階で休みたい一心で、少しおぼつかない足どりで居間から出て行く。
一度泊まらせてもらったことがあるから、だいたい部屋の間取りはわかる。
泊まらせてもらった時は客間みたいな空きの部屋で寝かせて貰っていた。
布団は…ひいてないだろうけど、そんなのもういい。とにかく横になりたい。体を落ち着かせたい。
居間を出て、おぼつかない足取りで階段まで歩く。
階段の電灯をつけると、うすぼんやりとだいだい色の階段がぐにゃりと歪んで見えた。
何だか足元もふわふわする。
…一人で昇れるのか、これ。
右手で手摺りをしっかり持って、恐る恐る一つ目の段に片足をのせると、後ろから左手を強くひっぱられた。
「その分じゃ一人で昇れないでしょ」
シゲルだった。
さっきまで居間にいたのに、いつの間にか自分の背後にいた。
そんな事ない、って言いたかったけど、酔いがまわってる今の身体じゃまるで説得力がない。
お兄さんやお姉さんはともかくシゲルの手を借りるのは癪だったけど、
他人様の家で怪我をするのも嫌だから、仕方なくシゲルの手を引いた。仕方なく。
でもシゲルだって、おじさん達と一緒に色んな種類の酒を、まるで水みたいに呑んでいた。
焼酎だの日本酒だの洋酒だの地酒だの、それも度数のきついやつばっかりで種類は無駄に豊富だった。
それなのに、今も顔を少しも赤くせずにけろりとしている。
お兄さんもお姉さんもおじさんもそうだ。みんな全然酔ってない。
この家は酒に異常に強い家系なのかもしれない。
でも花見から帰って来て、大人がまた家で地酒をあけて二次会だーって騒いでるのを見たときは
流石に胃に悪そうで、なんだかこっちの胃が痛くなってきそうだった。
「そこ、段差」
「わかってるって…」
シゲルはあたしの手をひいて、一段上るとシゲルも一段上っていちいち後ろを振り向いてくる。
そこまでひどく酔ってはないのにひどく気をつかってくるから、まるで孫に手を引いてもらって階段をのぼるおばあちゃんみたいな感じだった。
今みたいに、シゲルは時々優しい。
普段がそっけないだけに、急に優しくされるとなんだかくすぐったいような、少し恥ずかしい気分になる。
他人と違って、シゲルのは馴れ馴れしい優しさじゃない。
さりげなく、自然に手を差し伸ばしてくるから、ついついその手を握ってしまいそうになる。
でもあたしは、握りそうになる手を直前でぐっと握る。シゲルの手は握らない。その優しさに慣れるのが恐いから。
…今はしっかり握ってるけど。
にしても、こうやって握ってるシゲルの手はすごく冷たい。
今の自分の手が熱いのもあるけど、それを抜きにしても、まるで血が通ってないんじゃないかと思うくらいに。
お兄さんもお姉さんも、みんな手は冷たいのかもしれない。
階段を昇って廊下に出ると、シゲルに促されて一体誰のかわからない部屋に入れられた。
何で客間に、って思ったけど、今はとにかくどこでもいいから横になりたい。
シゲルが白昼色の明かりをつける。部屋の隅にベッドがあった。
ベッドが見えると、迷わずベッドに向かってだらしなく身体を投げ出した。
ベッドに沈み込んだ身体は足の指先までほてって熱い。少し汗もかいていたぐらいだった。
こんな状態で布団なんかかぶれない。
なにか身体をちょっとでも冷やせるような、冷たいものが欲しい。
…冷たいもの。さっき階段でシゲルの手が冷たかったのを思い出して、そばにいるシゲルの手首を掴んだ。
それから、シゲルの手のひらを首もとにあてる。
「…つめたい」
さっきまで手を握っていたのに、氷を掴んでたみたいに冷たくて気持ちがいい。
あんまり気持ちがいいから、頬やおでこだとか、まるで氷のうみたいに熱を持った所にぺたぺたとシゲルの手をくっつけた。
嫌がるかと思ったら、シゲルは全然手を離そうとしない。
普段だったら何か言いそうなものなのに、じっとして一体何を考えてるのかわからない目であたしを見下ろしてるだけだった。
口や顔に出さないだけで、本当は馬鹿にされてるのかもしれないけど。
「…ごめん」
何だかばつが悪くなって、シゲルの手を離した。
柄でもないことをしたと思うと、何だか無性に恥ずかしくなった。
きっと酒が入ってるからだと、自分の中でむりやり納得させる。
シゲルもシゲルで、いつもみたいに冷やかしなり何か言えばいいのに黙ったままだから間が悪い。
そう思ってると、シゲルがベッドにのぼってきた。
それから、そのままあたしの体の上に覆いかぶさる。
予想外の行動にびっくりしていると、今度はあたしの服の裾をめくってそこから手を入れてきた。
「ここ、まだ熱いじゃない」
「…ちょ、何やってっ…!」
冷たい手でお腹を触られて、ぶわっと腕に鳥肌がたった。
シゲルの手がお腹からだんだん上に移動して、胸をつかまれた時、はっと我に返ってシゲルの腕を止めようとした。
でも酔ってるせいか腕に力が上手く入らなくて、シゲルの腕はまだあたしの服の中に入ったままで動かない。
「ちょっと、シゲル!あんた、何やって…っ!」
「何って…だいたいわかるでしょ」
突然のしかかられて、その上身体を触られて、何がしたいのか判るわけが無い。
しれっと言うもんだから、かっとなって目の前にある顔を一発殴ろうとした。
けど、やはり酔いのせいか動きがにぶくて、拳が顔面に届く前にシゲルに手首をつかまれた。
掴まれた手首をぎゅっと強く握られる。思わず顔をしかめた。
「…あんまりでかい声出すなよ。下に聞こえるぜ」
そうシゲルが耳元で囁いた。でもこっちはもう訳がわからない。
でもまだ酔いがまわっているからロクな抵抗はできないし、シゲルがあたしの体の上に覆いかぶさっているから身動きもとれない。
どけてよ。そう言おうとする前に、シゲルに唇をふさがれた。
****
涯子とは酔ってる時ぐらいにしか…
384 :
お花見の後:2007/04/17(火) 00:49:44 ID:2X7W1zb9
すいません、カップリング表記を忘れてました
シゲル×涯子で
385 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/17(火) 06:42:36 ID:jz/ECQdn
GJ・・・!!!
酒に弱い涯子に萌えた
素晴らしいっ…!!1!
GJGJ!!!!
顔に出さないだけでシゲルもドキドキしてたんだろうなー
それを考えると萌える
387 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/23(月) 23:13:03 ID:tH098nW+
保守
・ アカギと、女体化吉岡本(15) の小話を投下
・ 出血ネタ、注意
それは桜の花びらが舞い散る、とある日の夕刻。
「なぜ、ここまでついて来るんですか…! 車から降りてください…!」
先に鷲巣邸からの送迎車に乗り込んでいた吉岡本は苛立ち、
当たり前のように後部座席に乗り込もうとする、赤木しげるの体を押しやった。
懸命に押している最中、彼――アカギは、うつむき肩を振るわせ、くつくつと笑い始めた。
(こいつめ!何がおかしい!)
吉岡本は唖然とし、隣で腕組みして何やら楽しそうに笑い続けるアカギを睨みつけた。
「吉岡本、貴様…」
アカギに続き、
座席に滑り込む鷲巣衣和緒の冷たい視線を浴び、吉岡本はむきになり叫んだ。
「し、しかし……お嬢様!」
そう言いかけた吉岡本の喉元に杖の先端が突きつけられ、とっさに吉岡本は顎を上げた。
「お…おじょ…」
彼女の額に、脂汗がぷつぷつと噴き出す。
「…貴様は前に移れ…… やかましくてかなわん」
吉岡本は呆然とした。
「………はい…」
隣で腕を組み、杖から身をかわし、のけ反ったままのアカギに見送られ、
しょんぼりと車から降りた吉岡本は、のろのろと助手席に乗り込み、ドアを乱暴に閉めた。
涙をこらえ、悔しさのあまり両拳を膝の上で握りしめた吉岡本は、
バックミラーに映るアカギの姿を鋭く見つめる。
彼女の心の中は、どす黒い不満で一杯になった。
(どうして、こんなふざけた男に好意を寄せておられるのですか? 衣和緒お嬢様…
……この吉岡本のほうが、強く、強く、お嬢様のことをお慕い申し上げておりますのに…!)
唇を噛みしめた吉岡本は、フロントガラス越しの眺めを鋭く見すえた。
まだ明るい放課後の女学院を後にし、鷲巣邸からの送迎車は滑るように走り出した。
所変わり、鷲巣邸。
衣和緒嬢が中座した直後の、吉岡本とアカギ、二人きりの部屋。
「ですから……」
吉岡本は椅子から立ち上がり、煙草の煙を吐いたアカギに向かい声を荒げた。
「……迷惑なんです!あなたに付きまとわれることは、決してお嬢様のためにならない…!
………お嬢様には、もっと他にふさわしい方がいるはず!………ですから!」
灰皿に煙草を押しつけたアカギを、吉岡本は苛立ちを募らせ眺めた。
「…別れろ……か…、ふふ」
「はい…」
とたんに重苦しい空気が吉岡本を包む。
「あんたに…」
ふと、吉岡本はアカギに目を向けた。
彼は、くすくす笑いながら灰を落とし、新たな煙草をくわえている。
「…ずいぶんと嫌われたもんだな……オレ…」
吉岡本は、アカギから顔をそむけた。あまりの厚かましさに頬が歪む。
「私が……あなたを好きとか、嫌いとか、そういった問題ではなく…!」
彼女は唾を飲み込んだ。
胸中の苦しく、イライラしたものが急速に膨れあがり、
そして、己でも予想しえぬ………暴発。
「…………ええ、嫌いです…!
……ここにこうして、同じ部屋の空気を吸っているだけでも、正直、寒気がしますっ…!!」
言い放ったとたん、吉岡本の身体を廻る血液が逆流した。
(しまった…! ついうっかり 本音 をっ…!)
一瞬、気が遠のき、心臓が早鐘のように鳴り、
そして鼻からは、何かがぬるりとこぼれて落ちた。
「へえ…」
アカギが表情一変。薄笑った。
吉岡本は立ちすくんだ。
薄ら笑いのまま、アカギが椅子から立ち上がり、ゆっくりとこちらに向かい近づいてくる。
「は??」
吉岡本は慌てた。
鼻をすすり、思わず指先や手の甲を当て、流れ落ちるそれを鼻の下にすりつけた。
後ずさる拍子に椅子がガタリと音を立て、彼女の身体にぶつかり傾いた。
「吉岡本さん」
椅子が倒れる轟音に驚く様子も見せず、吉岡本の目の前まで迫ったアカギ。
吉岡本は壁際に追いつめられた。
アカギのくぐもった笑い声と、彼女の震え声が重なる。
「…な、何ですかっ…??いったい…」
口角を上げ、自分を見下ろすアカギの瞳が鋭く光っている。
吉岡本の視界がぐにゃりと歪む。
(…い、いくらなんでもあれは言い過ぎた…!
『同じ部屋の空気を吸っているだけでも寒気がする』だなんて、
そんなゴキブリ扱いしたような言葉、面と向かって言われたら怒るに決まっている…!)
体が小刻みに震えた。
目は潤み、膝はわらい、体中の毛穴という毛穴からは、次々と冷や汗が噴き出す。
ついでに鼻の穴からも、鼻水らしきものがつたい落ちた。
「ぷっ…!」
アカギの顔がわずかに赤らみ、肩が小刻みに震えた。
(こっ、これは!戦意高揚の笑みか…??
怒っている!奴は怒っている、のか…! もしかしたらわたし…… ぬっ殺される…!?)
大きな不安が、そして恐怖が。じりじりと吉岡本の心と体をむしばみ始めた。
「いや、別に…ただ」
そう言うとアカギは、にたり、と笑った。
「……気づかないの?」
「なっ、なっ…! なにが、ですか?」
吉岡本は錯乱のあまり、盛んに両手で鼻水らしきものをぬぐい、顔中になすりつけた。
両手で顔を触ると、少しだが気が落ち着く。
「……わかった、わかった…… 教えてやるから…」
再びアカギの肩が震え、頬がわずかに引きつった。
「とりあえず、それ…、顔になすりつけるのやめなよ」
「……教えてやるからさ…
…………せいぜい 仲 良 く やろうぜ………吉岡本さん」
ふいに、アカギにポンと肩を叩かれ目を覗き込まれ、吉岡本の心臓は大きく跳ねた。
唇が歪む。
(……ふ、ふん!仲良くなどしてやるものか…!
……邪魔してやる…!とことん邪魔してやるぞ…!衣和緒お嬢様は渡さない…!)
そう言いたいものの、アカギが発する殺伐としたオーラと、湧き来る恐怖には勝てず、
こわばりきった頬をぎくしゃくと動かし、彼女は何度も頷いた。
「よし、わかった、吉岡本さん… あんた…」
そこまで言いかけたアカギは視線を外し、口を押さえ、唐突に吹き出した。
「……ブゥフゥ―――――ッ」
「なんですか…!失礼なっ…!もったいぶらず、とっととおっしゃって下さい…!!」
その瞬間、吉岡本の鼻から、ばたばたばたと生暖かいものが噴きこぼれた。
量は、さきほどの比ではない。
慌てて両手で受けとめた吉岡本は、それを覗き込み、卒倒しそうになった。
そこには血まみれの掌がふたつ…! 掌のくぼみにたまる、小さな血の池地獄が点々と…!
(………あぁあ!!!)
吉岡本は目を白黒させ、その場で固まった。
小さな手鏡を持つ、自分の手が震える。
「……吉岡本さん、あんた、鼻血が出てるね……」
鏡面は偽ることなく、自分自身のおぞましい顔を写し出す。
「さっきから鼻血がすごいよねって…、あらら、もう遅いか……」
「あらら、じゃ、ありませんよ! この悪魔っ…!」
顔中、血糊で真っ黒テカテカした吉岡本は涙をこらえ、アカギに詰め寄った。
「どうしてすぐ、鼻血のことを教えて下さらなかったんですか…! あんまりですっ…!」
(恥ずかしい…!!!こんなみっともない顔…!!!)
吉岡本は両手で顔を覆い、さめざめと泣きだした。
「えっ? ……だんだん似てくるから、面白くて…… 見れば見るほど…」
吉岡本は顔を上げた。
彼女と目があったアカギは、ニヤリと薄笑った。
「……… チョコボーイ山口にさ…」
「あぁ! ス――――ッ」
吉岡本は声を上げ、鼻をすすった。
目を剥いた吉岡本は、手鏡をアカギめがけて投げつけ、彼はフワッ…とばかりによけた。
鏡面が割れ、破片が周囲に飛散した。
……この後、衣和緒を巡る二人の(低レベルの)言い争いは激化。
それは、私服に着替えた上機嫌の衣和緒嬢が、この部屋に戻るまで続いた。
(終)
393 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/26(木) 16:58:42 ID:ORcsK3LV
久しぶりに見たらハテコとにょた吉岡本が降臨していて萌えたwwwwwwwwww
394 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/30(月) 17:45:02 ID:U49gTmxA
きたぜ・・・ぬるりと・・・`_ゝ´
保守だ…!
ほっすほっすしとくぜ…ぬるりと
倍ぷっすだ
初めてきたけど保管庫とまってる?
倍押しだ…
赤木家の母(故人)はゆきみ、に一票
職人去ったな…一時期あちこちで晒されまくってたからなあ…
ひろ×しげみの続きとか読みたいんだが
保守
403 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 06:18:31 ID:EEQcu2XJ
大分過疎ってるなぁ・・・
404 :
名無しさん@ピンキー:2007/06/25(月) 17:43:59 ID:yRsoZl8Q
これ、ラブコメにこだわらず福本二次SSの総合スレにしてほしい。
ラブコメとジャンルが決められているから、それ以外のSSを投下したくてもできない。
自分はネタはあるけど、ラブコメじゃないから投下できないもので…
エロパロ板しか二次創作SSの場がないからこんな提案をしてみる。
自分としては別にそれでもいいと思うけどなあ<福本二次SS総合
スレの趣旨が立てたときと違っても、活用できるなら構わないし。
ラブコメ以外でもOKだと思うけど。つか読みたい。
投下プリーズ。
407 :
名無しさん@ピンキー:2007/07/07(土) 11:27:18 ID:5RNfQTcE
七夕に保守
七夕=一年に一度の逢瀬=女南郷さんの前にひょっこり現れるアカギ(19)
を妄想して保守
まあ麻雀にも川ってあるもんな
七夕にゆきみが黄泉還りして来ればよかったのにっ‥!