【隅っこ】無口な女の子とやっちゃうエロSS【眼鏡】
爺さんwうぇww
そういやそろそろ450KBいくなぁ
誰が次スレ立てる?
480KB超えたらでいいと思われ
次スレのテンプレでも考えとくか
とりあえずこのスレを立ててみて、無口=引っ込み思案ではないということが分かったので、
隅っこは×だな。
こんばんは。トリップつけました。一ヶ月ぶりです。
以下に投下します。
今回は縁シリーズではなく短編です。ちょっと思い付いたので書いてみました。
楽しんで頂ければ幸いです。
『隠し事』
梶谷壮(かじやそう)が藤村都古(ふじむらみやこ)に初めて会ったのは九月の末だった。
まだまだ日射しの強い放課後の屋上。
「えーと……」
壮は多少弱まった西日を横に、一人の少女と相対していた。
小さな少女である。壮よりも三十センチは小さい。短い髪を小さくまとめ、心なしかうつむいている。スリッパの色は藍色なので、一年生ということになる。一つ下だ。
ここに来たのはクラスメイトに呼ばれたからである。しかしいざ来てみれば、この縮こまった下級生がいるだけで、他に人影はない。
(ヨシの奴……)
壮は困惑して軽く頭を掻く。
少女が顔を上げた。
「あ……の、」
「うん?」
「私……その……」
随分と小さな声だ。顔を真っ赤にして懸命に言葉を紡いでいる。
これはひょっとして、よくテレビや漫画でやっているあれだろうか。壮は他人事のように思う。まさか自分がこんな場面に立つとは。
いやいやと居住まいをただす。相手は見た感じ真剣だ。こちらも真面目に、
「好き、です。付き合って……下さい」
真摯な眼差しを向けられて、壮は一瞬たじろいだ。が、すぐに持ち直して、
「えっと……藤村さん、だったね」
「は、はいっ」
予想外に大きな声が返ってきた。少女ははっとなってうつむく。まるで自分で出した声に驚いたかのようだ。いや、実際そうなのかもしれない。
おとなしい印象は悪くない。というか結構好みだ。
しかしこれが初対面なのである。軽い気持ちで応えるのは、少しかわいそうだと思った。
「気持ちは嬉しいんだけど、俺、まだ君のことをよく知らない。だから、その……申し訳ないんだけど……」
少女の体がびくりと震えた。
「……まずは友達からでいいかな?」
震えはすぐに止まった。
「……?」
「いや、その……急に付き合うのはちょっと早いかなって思うんだけど……ダメかな?」
ぶんぶんと首を振られた。
「よ、よろしく……お願い……します」
蚊の鳴くような小さな声。
「う、うん。こちらこそ」
少女はぺこりと頭を下げると、足早に階段へと駆けていった。壮はそれを何とはなしに眺めていた。
無難な答えを返したが、よかったのだろうかと壮はしばし悩んだ。告白なんて初めての体験だったから、緊張もした。
これが二人の馴れ初めだった。
井上至統(いのうえよしつな)は壮の中学からの友達である。
気のいい男で、多くの友人関係を築いている。容姿、成績共に並。多少運動が得意なくらいで、履歴書には平凡な経歴しか記されないだろう。
しかし、なぜか印象に残る男だ。なんというか、振る舞いや言葉に自信が満ち溢れているようで、人を惹き付ける力がある。面接で強いタイプだ。
壮は少し苦手にしていた。嫌いではないが、常にペースを握られているような気がして困る。
だからこの日の昼休みも、壮は正直至統との昼食に乗り気ではなかった。
「カジ、どうしたの?」
至統は弁当箱から顔を離し、壮に問いかけてきた。
「いや、別になんでもない」
首を振り、ごまかすように焼きそばパンを頬張る。
至統は肩をすくめ、
「僕に気があるとか?」
「何でそうなるんだよ。そんな趣味はない」
「じゃあなんで僕とメシ食ってんのさ?」
「お前からこっちに来たんだろ」
「そうじゃなくて、藤村と食べればいいのに」
壮は言葉に詰まった。
至統は首を傾げ、
「最近どうなの?」
「どうって……」
「藤村とさ。うまくいってる?」
「まあ……それなりに」
言われて壮は都古のことを思い浮かべる。
告白から一ヶ月。二人はそれなりの関係を続けている。
何度か一緒に帰ったり、休日にデートもした。あまり喋りが得意ではないらしく、必要最低限な会話しかしなかったが、壮は、おとなしく控え目な娘がタイプなので、むしろ好ましかった。
まだはっきり返事をしたわけではないが、壮の心は八割方付き合う方向に傾いている。
至統が都古の相談を受けて、一ヶ月前のあの場を作ったわけだが、それに関しては壮は何も目の前の友人に言っていない。礼の一つでも言うべきなのだろうが、至統はあまり気にしないようにも思える。
代わりに言ったのは別のことだ。
「あの子、普段どんな感じなんだ?」
これを訊くためにわざわざ昼食を共にしているのである。壮は己にそう言い聞かせた。
至統はきょとんとした。口の中の唐揚げを噛み潰し、ゆっくりと呑み込む。
「何?」
「だから、普段の様子だよ。何か他と違ったりとか」
「趣味とかかな。本人に聞けばいいんじゃない? ていうか、聞いてないの?」
「テレビドラマが好きらしい。他には特に聞いてない」
至統の目が細まる。
「……何やってんのさ。君ら本当に付き合ってるの?」
「まだ付き合ってるわけじゃない」
「まだ、ってことは付き合う気はあるんだね」
「……」
即返されて、壮は押し黙る。やっぱり苦手だこいつは。
「……なんか、わからなくてな」
「相手のことが?」
頷くと、至統は肩をすくめた。
「わかり合うのはこれからじゃない?」
「いや、そうなんだけど……あの子、なんか隠してるように見えるんだ」
そうなのだ。
壮は都古の振る舞いに小さな違和を感じていたのだ。
話すとき、触れ合うとき、都古は極端におとなしい。というより無口になる。聞けば答えるし、話を振れば合わせてくれる。しかし基本的に口数は少なく、物言いもはっきりしないことが多い。
そういう性質だと言えばそれまでだし、それだけなら壮にとって別に気にかかることではない。
しかし、都古の所作はどこか変だった。
どこがと訊かれると、はっきりとは答えられない。
ただ、例えば会話の途切れた後にふと見ると、なぜか顔を曇らせていたりするのだ。疑問に思って尋ねてみると何でもないとばかりに首を振るだけで、答えてはくれない。
あまり心眼は鋭くないが、その表情は何かに悩んでいるように思えた。
始めは自分に問題があるのかもと自己を省みたが、特に思い至ることはない。
ならば都古自身の問題か。彼女に何か悩みがあって、それは知られたくない類のものなのかもしれない。
あくまで想像内の話だ。
それでも気のせいと言うには、あの表情は深刻に過ぎるように見えた。
「あんまり好きでもないの? ひょっとして」
言われて壮は眉をしかめた。
「なんで」
「嫌ってはいないけど、決定的に好きになるほどの理由がない。そういう風に見えるよ」
「……」
全てを見抜かれているような気がした。壮は諦めたように溜め息をつく。
自信家というわけでもないのだろうが、至統はこの言い切りの力が強い。自身の直感的な眼力がおおよそ見誤らないことを、自信ではなく事実として捉えているのかもしれない。
それは、おそらく正しい。
苦々しく思わないでもないが、壮は素直にそれを受け止めていた。
付き合う方向に八割傾いた理由。それは多分に都古自身には関係ないのかもしれない。なぜなら、それは都古そのものを見てのものではないからだ。
おとなしい性格。控え目な態度。かわいらしい容姿。そういったものがたまたま自分の好みにマッチしただけで、壮はろくに相手のことを知らない。
それは少し恋愛とはズレているのではないか。もっと本質的な部分で相手を好きになる、そんな深さが足りない。
別にそれがなしだとは思わない。海のように深い愛情がなくても、浅瀬でパチャパチャ遊ぶ恋愛も存在する。どちらかというと児戯やごっこに類する。往々にして楽しかったりする。
しかしそれでは相手の本気に応えられない。本質に関わる残りの二割は決して軽くない。
ならばはっきり断った方が彼女のためなのかもしれないが、その選択肢は壮の頭の中にはなかった。結論を出すためにまずは理解しようと思ったからだ。
今のところ理解は深まっていない。
「違和感を覚えているのか……」
至統は一人ごちると、水筒からコップにお茶を入れた。落ち着いた動作でそれを飲み込むと、気楽な口調で言い切った。
「カジ。君はとてもいい奴だから、藤村とも絶対うまくいくよ。保証する」
「な、なんだよ急に」
「そのうち違和感なんて綺麗になくなると思う。喉に引っ掛かった魚の骨みたいなものだ」
「……そうだといいけどな」
壮は曖昧に答える。
「藤村が仮に何か隠し事をしていたとして、それは多分君に許せないことではないんじゃないかな。君は優しいから」
「……気持ち悪いな。何か知ってるのか?」
どうにも含みのある言い方に、つい疑念が生まれる。実はこいつはその隠し事とやらを知っていて、自分に黙っているのではないか。
壮は悪人を見るような、疑いの目を向ける。
至統は少しも動じなかった。
「今日は帰りどうするの?」
「さあ。向こうが誘ってきたら付き合うけど」
「たまには自分から誘ってみたら? きっと喜ぶよ」
それは、考えの一つとしてあった。
「そうしてみるよ」
「頑張れ。実際さ、好きかどうかは別にして、藤村のこと結構気に入っているんでしょ」
また言い切られた。
「他の人なら簡単にOKするところだけど、君は変に真面目だから、真剣に向き合おうとする。今は気持ちを整理してる段階かな」
「おい」
「ホントいい男だなー。藤村もそんなところに惹かれたのかな?」
この男にしては軽い口調だった。ひょっとして、からかわれているのか?
壮は焼きそばパンを一気に口に入れると、あっという間に嚥下した。
「……ほんっと嫌な奴だよお前は」
至統はおかしそうに笑った。
放課後。
靴箱の前で待っていると、やがて都古が階段から下りてきた。
壮の姿を認めると、都古はひどく驚いた顔になった。急いで側まで駆け寄ってきて、ぺこりと頭を下げる。
「いつも誘ってもらっているから、今日は俺から誘おうと思って」
「……うれしい、です」
小さな声で囁くと、恥ずかしそうに顔を伏せた。
靴を履き、外へ。並んで校庭を横切り学校を出る。
十月の風はどこか寂しい。寒くはないが、心に吹き荒ぶような印象を残して、淡く響く。
アスファルトに落ちるいくつもの紅葉は、秋真っ只中を嫌でも感じさせてくれる。昨日の雨の水溜まりに、ひらひらと葉が紙のように落ちた。
一ヶ月前まではまだ暑さも残っていたが、今はさすがに気温も落ち着いてきた。すぐにこれから列島は厳しい寒さに覆われる。四季の変化をはっきりと肌で感じとれるだろう。
壮は都古の歩調に合わせてゆっくりと秋の帰り道を進む。
(二人で歩くには少しコツがいる、か)
好きな歌詞だ。君の歩幅は狭い、と心の中で続ける。今は冬ではないが。
カラオケでも誘おうか。ただいっしょに帰るだけというのはもったいない気がした。
彼女がいいと言うならば、どこかに連れていってあげよう。カラオケは無口な彼女には合わないかもしれないから、他のところでもいい。もっと触れ合うことで理解を深めたい。
「あの、さ」
都古が顔を上げた。身長差三十センチは頭一つ分では埋められない。完全に見上げる形になる。
「時間あるなら、どこか遊びに行かないか? ゲーセンとかさ」
都古の目が見開かれた。
しかし、すぐに顔が曇る。
「ごめん……なさい」
「え、ダメ?」
「……家の用事が」
心底申し訳なさそうな様子に壮は居心地が悪くなった。
慌てて手と首を同時に横に振る。
「ああ、いやいや、気にしないでくれ! いきなり誘ったのが悪かったな。用事あるならしょうがない」
どうもうまくいかない。申し訳ないのはこちらの方なのだ。
「……」
「……」
一足早く冬が訪れたかのように、二人の間に沈黙のカーテンが引かれる。
壮は気まずい思いでいっぱいになった胸を掻きむしりたくなった。
この沈黙は駄目だ。何か話題を振らないと、
「うれしい……です」
不意の言葉は、なんのことかわからなかった。
「な、何が?」
「一緒にいるだけで、楽しいです。……嬉しいです」
急にはっきりとものを言われて、壮は呆けたように都古を見やる。
一瞬目が合う。恥ずかしかったのか、都古はすぐに視線を逸らした。
壮は内の気まずさをあっさりと忘れる。代わりに胸の奥が温かくなるのを自覚した。
誰かに真剣に想われるって、こんなに嬉しいことなんだ。
あまり相互理解にこだわる必要はないのではないか。彼女の誠実な想いの前には、いろいろ難しく考えるのが愚かなことに思えてくる。
都古の顔が淡い赤に染まっている。
壮は穏やかに微笑み、口を開いた。
「藤村」
初めてさん付けせずに呼ぶ。小さな後輩は再び顔を上げた。
「ありがとな」
「……?」
怪訝な表情をされる。
特に意味はなかった。自然と口から生まれただけで、壮自身にもよくわからない言葉だった。向けられる好意に応えたかったのかもしれない。
壮はしばらく何も言わなかった。都古も同じく口を開かなかった。
さっきまでの気まずい沈黙とは違った。主観だが冬を越えたような気がした。
斜陽が民家の紅葉の色を深める。少し離れて公園内では公孫樹の葉が舞い散る。街路樹の合間を縫って雀達が茜色の空へ飛び立っていく。
緩やかな足取りで二人は歩く。
しばらく進み、やがて駅前の交差点に辿り着いた。バスに乗らなければならない都古とはここで別れる。
「それじゃ、また明日」
丁度いいタイミングでやって来たバスを見て、壮は都古に軽く右手を振った。
都古は、
「……先輩」
そのとき浮かんでいた表情は、壮がこの一ヶ月間気にしてきた顔だった。
何か言いたいことがあるのに言い出せないような、怯えの色が浮いた顔。
壮は急に現れた事態に言葉を失った。
何をやっている。壮は己を叱咤する。彼女にそんな顔をさせてはいけない。早急に話を訊かないと。
「藤、」
「また……明日です」
壮が何か言う前に都古は挨拶を残し、バスに乗り込んだ。
ショートカットの後ろ髪がドアの向こうに消え、バスが走り去っていく。
呼び掛けの言葉は中途半端に喉に残ったままで、壮は道の先を不抜けたように眺めた。
壮は家までの道を歩きながら、心を決めていた。
明日、返事をしよう。
翌日。
昼休みに壮は一年三組の教室へと向かっていた。都古は確か三組のはずだ。
昨日、返事をすると決めた。
出来れば放課後の方がよかったが、また用事があるかもしれない。返事以外にも彼女と話すこともあった。
壮の答えは『付き合う』だ。
適当に決めたわけではない。残りの二割が完全に埋まったわけではないが、自分の心が少し見えたからだ。
昨日の帰り道、都古から向けられた想いにあてられたかのように胸が温かくなったとき、彼女のことを好きになれると思った。
少しずつ心がはっきりとした形を取っていく。まだ未来形でしか言えない想いだが、今は彼女そのものを見つめることが出来る。
あとは時折見せるあの顔をなんとかしたかった。
何か悩みがあるとして、彼女がそれを打ち明けてくれないのは、こちらがきちんと答えを返してないためではないのか。そのために不安が先立って言い出せないのではないか。
ならば早く安心させてやりたい。彼女の想いに応えて、あの表情を消し去ってやりたい。
緊張で高鳴る心臓を軽く叩き、壮は一年の教室が並ぶ二階へと下りた。
一年三組の教室に都古の姿はなかった。
中にいた生徒に尋ねると、体育館で前の時間に使った用具の片付けをしているらしい。
しばらく待とうかとも思ったが、周りの後輩から好奇の目を向けられたので、その場から離れることにした。その足で体育館に向かう。
すると階段に差し掛かったところで、後ろから誰かが横に並んできた。
「カジ、どこ行くの?」
苦手な声に壮は辟易した。
「どこだっていいだろ」
「つれないな。せっかく大物を釣ろうというときに」
「掛け詞か? それになんだよ、大物とか釣るとか。藤村に失礼だ」
「誰も藤村のことだなんて言ってないよ」
「思ってるだろ。今から体育館に行くんだ。邪魔するなよ」
「それは残念。僕は購買部だ。弁当忘れちゃって」
すぐに一階。頼むから今は視界から消えてくれ。
その念を聞き分けたかのように、至統はあっさり壮から離れて購買部へと向かう。壮はほっとして体育館に繋がる渡り廊下を渡ろうとして、
「カジ!」
予想外に強い声が耳を打った。引っ張られるように呼び掛けに振り向くと、至統は随分と真面目な表情だった。
「藤村のこと、ちゃんと見てやってほしい」
「は?」
「もしも見失ったりしたら、絶対に許さない。僕は君ほど寛容じゃないから」
言い切られた。
刹那、背筋が波打つように震えた。
息を呑んだときには、至統は購買部へと走り去っていた。
壮は友人の残像を目の中で見つめる。思えば彼が怒りのような感情の起伏を露にしたのは、知り合って初めてのことだった。
おそらく彼は──。
優しいのはお前の方だ。そう心中に呟くと、壮は一息に渡り廊下を渡った。
扉のガラス窓から見える体育館内には二つの人影があった。まだ片付けは終わってないようで、壮は入り口で二の足を踏む。
手伝おうかとスリッパを脱ごうとして、その体が止まった。
中から話し声が響いてきた。
「それで、みやちゃんは悩んでるんだ?」
二人しかいないせいか、広い空間でありながら声は明瞭だった。
「本っ気の本気だもん! 馬鹿みたいだけど、それでもそうしないといけなかったんだから!」
さらに強い声が耳を打った。よく通る、耳に心地いいまでの声量だった。
強烈な違和感を覚えた。
声の主は確かにあの都古だった。しかし彼女は、こんなにはっきりものを言う娘だっただろうか。
声がまた響く。
「私、本気で梶谷先輩のことが好きなんだもん……仕方ないじゃない! でも先輩と接点なんてなかったから、私は」
何の話だろう。自分のことが話題にされていて、壮はひどく落ち着かなくなる。都古の毒々しいまでに濃い気持ちが伝わってくる。思わず後退してしまいそうだ。いや、嬉しいが。
もう一人の女生徒の、清廉な声が返す。
「でもみやちゃんは、もう騙したくないんでしょう?」
「うん……」
「じゃあ謝ればいいよ。私も彼氏と色々あったけど、お互いにぶつけあったらすっきりしたよ」
「幼馴染みが相手でしょ? ゆかりちゃんみたいにうまくはいかないよ」
都古の声はどこか気落ちしていたが、よく通っていた。どうも彼女のこれまでの態度と結び付かない。
壮は中の様子をもう少しはっきり見ようと、扉に近付き、
都古と目が合った。
「!」
壮は慌てて扉の陰に身を隠す。話に惹かれて迂濶な真似をしてしまった。
気付かれていないことはないだろう。距離があったとはいえ、たかだか十メートル程度だ。こちらが向こうを確認出来たのだから、向こうも出来るはずだ。
会話がしばし止まる。
それからすぐに足音がこちらに迫ってきた。シューズが床に擦れてきゅっ、と高く鳴る。
壮は観念して扉を開いた。
壮が館内に向けて姿を現す。体操着の知らない女子が一人、目の前に立っていた。
視線を奥にやると、少し離れて都古の姿。
青ざめた顔で立ち尽くしている。壮は頬を掻き、考える。立ち聞きしていたことを謝らなくてはと言葉を探す。
「藤、」
瞬間都古は背中を向け、脱兎のごとく駆け出した。
「え?」
壮はいきなりの出来事に呆然となる。
「みやちゃん!?」
女生徒が都古の突然の行動に驚きの声を上げる。
逃げた。そのことを遅れて理解する。
「梶谷先輩、ですか?」
横から急に呼ばれて、壮は軽く目を見開く。
「そうだけど」
「みやちゃん泣いてました。先輩、追い掛けて下さい」
「きみは?」
「私は邪魔なので戻ります。先輩が一人で行かなきゃダメだと思います。みやちゃんの話を聞いてやって、そして許してあげて下さい」
「は、はあ?」
わけがわからなかったが、壮は言われるままに館内に入る。都古の逃げた先、舞台裏へと走った。
広く静かな空間に、足音が響いた。
舞台の上手側の袖に都古の姿はなかった。
ただ、奥の階段から小さくすすり泣く声が聞こえてきた。階段は舞台真下に当たる地下の用具倉庫に繋がっている。
「藤村ぁー」
声量を抑えて呼び掛けたつもりが予想以上に響き、壮は声を押し殺した。
地下倉庫に下りると、充満する埃に出迎えられた。日陰の冷たい空気に少し体が震える。
横に付いていた電気のスイッチを押す。一つきりの電球が真っ暗な空間を明るく照らした。
隅の安全マットの上で、小さな体が縮こまっていた。
体育座りで顔を両膝に埋めている。小さくすんすんと泣く姿は、小動物のように怯えて見えた。
壮は『本当に』困り果てた。ここに至っても、都古がなぜこんな体を見せるのか、まるで見当がつかなかったからだ。
しかしいつまでも黙っているわけにもいかない。都古に歩み寄りながら、何かうまく励ませる言葉はないかと必死で頭を動かす。
「──」
都古が何かを呟いた。
泣き声の混じったそれを、壮は聞き取れなかった。
「……ごめん、何か言った?」
出来るだけ優しい声で尋ねる。
都古の細い腕に力がこもった。
「……ごめん……なさい」
かろうじて聞こえた言葉は、謝罪だった。
「…………え?」
混乱。
理解が及ぶ前に、都古が顔を上げる。
「私……先輩を騙してました」
「……いや、なんのこと?」
「ごめんなさい……先輩に気に入られたくて、馬鹿なことしました」
「いや、だからさ、説明してくれ」
混乱しきった頭を整理出来ずに、壮は頭を振る。
「私……その、」
都古は数秒躊躇う素振りを見せてから、意を決したように口を開いた。
「私……無口でもおしとやかでもないんです」
どれほど驚愕すべきことを言われるだろうかと身構えていた壮は、そのあまりに意外なあっけなさに目を丸くした。
「……………………は?」
都古はついに言ってしまったという顔をしている。
「先輩って……おとなしい子が、好きなんですよね……?」
「え……まあ、タイプだけど」
頷きながら頭の中をまとめる。
「ヨッシー先輩からそれを聞いて……私、気に入られたくて、おとなしく見えるように振る舞って……」
「……」
彼女の悩みとはつまるところ、『嫌われたくない』、という一点に尽きたのだろうか。
「でも、騙しているのが心苦しくなって……そのうちちゃんと言おうと思ってたんですけど、でも……」
本当に些細なことだった。
しかし壮は、ようやく都古のすべてが見えたような気がしていた。
「藤村」
「は、はい」
「付き合ってほしい」
「……え?」
実にあっさりした口調で、少年は言った。
都古は涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げて、ぼんやりと壮を見つめる。
自然と笑みがこぼれた。
「会いに来たのは、ちゃんと返事をするためだ。だから、言えてよかった」
都古は肩を震わせると、不安げに問う。
「せ、先輩……怒ってないんですか?」
「ああ」
「それに付き合う、って」
「え、ダメ?」
ふるふる、と首を振る都古。
「嬉しい……けど私、先輩の好きなタイプからかけ離れてます」
壮は肩をすくめた。
「付き合う相手が好きなタイプである必要はないだろ。俺は型じゃなくて人を見て判断する。まだ藤村のこと少ししか知らないけど、これからたくさん知っていきたい。だから──」
壮は都古の正面に膝立ちになると、小さな肩を優しく掴んだ。
「俺と、付き合って下さい」
都古はしばらく上目遣いに見つめてきたが、やがて小さく頷き、夏のひまわりのように笑んだ。
目の端に残った涙の欠片が、淡い電球を受けて微かに光った。
しばらくして、都古が顔を伏せた。
「どうした?」
問うと、少女は腰を起こした。そして体を少年の方に傾けた。
壮は慌てて支える。
胸で抱き止める格好になり、壮は少し戸惑った。急であることもそうだが、体操着越しに伝わる体の柔らかさが、
「……先輩」
「な、何?」
「キス……してもいいですか?」
心拍が一気に跳ね上がった。まるで試験前のような緊張が全身を覆う。
「あ……」
頷こうとしてうまく首が動かなかった。
都古はおかしげに笑うと、返事も待たずに顔を近付けてきた。
小さな顔が、視界を暗く遮り、
「…………」
五秒間、温かい感触が唇を包んだ。
都古の顔が離れる。甘い匂いと柔らかい触りは壮の脳を麻痺させるには十分で、とても惜しく感じた。
都古は嬉しそうに微笑むと、続けて言った。
「……先輩、次の時間サボりません?」
「な?」
唐突な申し出に、大いに困惑する。
都古は深呼吸をすると、壮の胴に腕を回した。体がさっきよりも密着して、壮は意味もなく焦る。
「せっかくの二人っきりですし、その……お、おしたおしますっ」
意味を悟る前に壮の体は後方へと倒されていた。
膝立ちから一瞬で仰向けになった壮の目に、舞台の床を支える木と鉄の骨組みが映った。この上で校長が長々と喋ったり、演劇部がリハーサルしたりするんだな、と今の状況とはズレたことを考えた。
都古は顔を赤くしていたが、やめるつもりはないようだった。
「ふ、藤村」
「服、脱がします」
白く小さい指がカッターシャツのボタンにかかる。たどたどしい手付きがゆっくりと下に移動していく。
上から丁寧に外し終えると、都古は露になった男の裸にごくりと息を呑んだ。見られながら、壮はどうにか拒絶の方法を考える。
「厚い、ですね。男の人の胸板って」
岩盤の肌触りを確かめるように、掌が固い胸を撫でる。心臓の位置に来ると、早鐘を感じ取るように手を止めた。
「藤村、誰か来たら……」
「次の時間、どこも体育はないですよ」
「なんでそんなこと把握してるんだよ……。君……お前、自分のしてることわかってるか?」
呼び方を微妙に変えたが、都古はそれだけで嬉しそうだった。
「わかってます。先輩に処女あげますから、押し倒されて下さい」
「……」
手が微かに震えている。大胆な行動の裏に、やはり怖さはあるのだろう。壮は天井に向けて溜め息をついた。
随分と頼まれ事の多い日だ。すべてをこなしている自分は結構頑張っているのではないか。
「一応言っとくけど童貞だぞ」
都古の目が細かく瞬いた。
「じゃあ初めて同士ですね」
「だから加減の仕方を知らない。痛いかもしれないぞ」
「それは怖いですけど、死んだりはしないと思いますから大丈夫です」
「……女は度胸か?」
「意地ですよ」
即答されて、少年は苦笑。
「男は見栄だ。俺はあんまりないけど、少しはかっこつけたくなる。女の前では特に」
「私も意地はあんまりないですけど、無理やり出します。臆病だから」
壮は体を起こすと、都古を真正面から抱き締めた。
都古は目を瞑ると、壮の胸元で安堵の息を吐いた。
冷たい空気の中で二人は、互いの体を暖め合うように抱き締めていた。
体操着姿の小さな少女が、安全マットの上に仰向けになっている。
その上には、少女よりもずっと大きな体格の少年。
壮はおもむろにカッターシャツを脱ぐ。
「ボタンが一つ外れかけてましたよ」
「ん? ああ、まあな」
「あとで直してあげます」
都古は下からにこりと笑む。
リラックスを心掛けているのだろう。壮は手早く行為に入ろうと思った。
明るい黄緑のショートパンツが目に映る。脱がそうと手を掛け、やめる。そして右手を腹の下から中に滑り込ませた。
「あっ」
短い悲鳴。
「あの、脱がさないんですか?」
「体操着は着衣の方が興奮する」
「そ、そういうものですか。……ひゃっ」
下着の隙間から中を探る。柔らかい股の肉はしっとりと汗がついていた。体育の後だからか。
右手が恥毛の茂みに触れた。この奥だろうか。分けいって入っていくと、下の方にそれらしき感触を探り当てた。縦に筋が延びているようで、人差し指でなぞる。
都古の顔が小さく歪む。
往復してなぞりあげると、今度は指で押してみた。
「っ……あの、多分もう少し下の方、」
少し苦痛の呼気が漏れた。言われるままに指を下に滑らせる。意外と難しいものだ。
思いきって人差し指を中に進入させてみる。
「ひあっ」
都古の体が硬直した。下半身にまで力が入り、中の指が締め付けられた。
「大丈夫か?」
「は、はい、多分」
壮は都古の右手側に膝をつくと、左手で上の木綿シャツをめくりあげた。水色のブラジャーが小さな胸を隠している。
「え? あ、あの」
戸惑いと羞恥の声を上げる都古。壮は構わずブラジャーに手を掛け、上にずらした。
二つの膨らみは体に比例するように小さい。谷間と呼べるほどのフォルムはなく、仰向けでは重力に負けて平に近付いてしまう。
都古は泣きそうなくらいに顔を真っ赤にしていたが、壮にとっては気にするほどのことでもなかった。興奮を煽るには、好きな娘の体というだけで十分過ぎる。
小さな丘の先端に舌を這わせた。
「ん、くすぐったいです……」
左乳首を舌で舐め回しながら、左手で右を摘む。
「ん、く、ん……」
短い呼気を漏らす都古を見て、壮はさらに止めていた右手の動きを再開した。
指を先程よりも深く進入させる。相変わらず締め付けはきついが、少しずつぬめりが増してきている。
「先輩……キスして下さい」
「ああ、俺もしたい」
興奮が高まっていく中、二人は二度目のキスを交わす。
お互いに唇を深く深く押し付け合い、やがてどちらからともなく舌を絡ませ始めた。
唾液や口唇の熱が頭にまで上ってくるようで、壮は風呂上がりのようにのぼせた。
唇を離したとき、都古の目が惚けているように見えた。熱で浮かされているのかもしれない。
右手にじっとりと粘りつく量が増した。ぬめった秘所の内側を擦り上げる。
「ひっ、あっ、んん……っ」
股間の弄りが徐々に大胆になってきているのを受けて、都古の叫声にも色が混じり始める。苦痛の印象はなく、ひょっとしたら快感にまで達しているのかもしれない。
「どうだ。痛いか?」
都古は幼さの残る肢体を悩ましげにくねらせながら首を振った。
「いえ、……でも、あついです」
「熱い?」
「こんなにすごいのはじめて……」
精神的な昂りが性的快楽に繋がっているのかもしれない。こんな薄暗い地下の隅っこで、二人っきりで授業をさぼって、情事に耽っているのだ。
端的に、狂い出しているのだろう。もちろん壮も含めて。
理性は時間が経つごとに薄まっていくようで、壮は秘所をほぐすようにかき回し、胸を触り、乳首に吸い付き、体中にキスの雨を降らせた。
都古の体はどこもかしこも柔らかく、何度見ても、触っても飽きないだろうと思った。どこかを触る度に色っぽさがどんどん増していく。
体全体が桃色に上気していくのを見て取り、壮はようやく秘唇から右指を抜いた。体を離し、都古の顔を見つめる。都古も荒い息を吐き出しながら壮の顔を見つめた。
視線が重なり、意思の疎通が図られる。次のステップへという思いが互いに伝わって、二人は同時に頷いた。
壮はズボンを脱いでいく。トランクスも脱いですべてを晒すと、屹立したものが自己主張をしていた。
「うう……」
都古はまじまじと凝視した。どこか不安げな声を出す。
「怖いか?」
「……不便そう」
ずれた感想に壮は苦笑。
「そういうこともある。急所だから痛いしな。でも気持ちいいことも出来るわけだし、不便でもないぞ」
「それが、入ってくるんですよね、私の中に」
「『気持ちいいこと』をするためにはな」
お願いだから『やっぱりやめる』なんて言わないでくれ。壮は内心で呟く。
都古はまた深呼吸をした。先程よりも深く、長かった。
「……どうぞ」
都古は仰向けのままぎこちなく微笑んだ。
壮はズボンのポケットから財布を取り出すと、中からコンドームを一つ抜き取った。箱ではなくバラの袋だった。
「……準備いいですね」
「い、いや、これはだな、その、駅前でたまたまキャンペーンを、」
「そんな必死にならなくても」
「……。あー、すぐ着けるからちょっと待っててくれ」
果たして逸物は薄い膜に包まれた。
ショートパンツから右脚だけ抜いて、都古も下半身を空気に晒す。
生の異性の性器を初めて目撃した。少々未発達なためか思っていたよりグロテスクではなかった。それどころか綺麗な桃色の花弁は感動すら覚える。
右手で軽く開いてやると、中のまっさらな襞々が透明な液でぬめっていた。
「入れるぞ」
都古の頷きを確認すると、壮は肉棒を陰部に押し当てた。
都古の体が強張る。
壮は何も言わなかった。何を言っても痛くさせてしまうだろうから、挿入は一気に終わらせた方がいいと思った。
しかし簡単には行かなかった。
亀頭が名前通りの遅さで膣内に入っていく。締め付けが強すぎて奥まで進むのにひどく力がいる。
「いっ……痛、いっ、あっ」
苦痛に都古が悶えた。足をばたばた動かそうとして、それが逆に痛みを助長させるので、顔を歪めて叫ぶしかない。
「いっ…あ、くぅっ、ああっ」
かわいそうなくらいに都古は泣き叫ぶ。壮はうろたえかけたが、すぐに気を張って耳元で囁く。
「藤村、落ち着け。痛いだろうけど、」
「抜いて、抜いてっ、だめなの」
言葉は届いていない。苦しげに呻き、首をぶんぶん振っている。
「痛いよ、せん、ぱいッ……いや、こんなのっ」
「都古!」
壮は両頬を手で挟み込むと、都古の声をかき消すように叫び、じっと小さな顔を見つめた。
都古が声をなくす。痛みと恐怖で混乱していたのだろう。何も捉えていなかった涙目の焦点が次第に定まっていく。
「せん……ぱい?」
「痛いなら叫んでもいい。暴れてもいい。でも、俺をちゃんと見ていてほしい。今は一番近くにいるから」
「……」
壮の言葉に都古はおずおずと頷いた。
「せんぱい……」
「ん?」
「……キスして下さい」
間髪入れずに唇を合わせた。安心させるために優しく送り込むと、少女は微かに笑んだ。
「き、来て下さい。今度はもうちょっと頑張りますから」
「無理すんなよ」
行為を再開する。腰を慎重に押し進めていく。
相変わらずきつい。抵抗感が抜けずに進入を拒まれているみたいだ。
それでも少しずつ、奥へと入っていく。襞々がゴム越しに絡み付き、陰茎を強く刺激する。
都古はかなり苦しげな表情を見せていたが、なんとか声を呑み込んでいるようだった。壮にとってはありがたい。
しばらくして、ようやく肉棒全体が中に入った。
「入ったぞ、全部」
「……」
言葉が返ってこなかったのは余裕がないためか。
壮は呼気を漏らすと、腰をゆっくりと引き始めた。内側の肉が擦れて気持ちいい。
「都古、すげーたまらない」
「……ほんと?」
「ああ。最高だ」
都古が嬉しげに笑う。
緩慢な腰遣いで往復を繰り返した。前立腺が反応し、射精へと向けて余裕を奪っていく。
出来るだけ長くこの快楽を味わいたい。その思いに引っ張られて動きがますますのろくなっていくが、焼け石に水だった。
「俺もう限界だ……」
「ん……じゃあ、最後は好きにして……」
その申し出に壮は目を見開く。
「馬鹿。そんなことしたらお前が……」
「いいの……そうしないと、たくさん出せないんでしょ? 大丈夫、ですから」
「都古……」
壮は唇を結ぶと、遠慮なく腰の動きを早めた。
狭い膣内を激しく動くと、凄まじい快感が脳内を犯した。
「ひ、んっ、あっ、うんっ、いっ、あっ、ああっ、ああ────」
都古の喘ぎが大きくなるに連れて、壮の射精感も一気に高まっていく。
決壊の瞬間はあっけなく訪れた。
「みやこ……!」
「んっ、んんっ、あ、あっ、ああぁぁ────────っっ!!」
ぐっ、ぐっ、と腰を押し付けて最後の一滴まで絞り出す。薄いゴムの中に白濁液を吐き出すと、壮は強烈な脱力感に襲われた。
大きく息をついて都古の上に倒れ込む。どんなベッドよりも柔らかい感触に、不思議な安らぎを覚えた。
「先輩、おもいー……」
都古のぼやきが耳元に響いたが、壮は疲労で返せなかった。
二人は服を着直すと、マットの上で身を寄せていた。
「まだ何か挟まってるみたいです」
都古に横目で抗議されて壮はうつ向いた。
「ごめん……」
「先輩ばかり気持ちよくなって不公平です」
「……ごめん……」
それしか言えない。実際その通りなのだから反論出来ない。
すると都古は小さく舌を出した。
「冗談ですよ」
「え?」
「私から誘ったことですから、いいんです。それにちゃんと出来たことが嬉しいから」
明るい笑顔に壮は胸がいっぱいになった。
都古の肩に手を回し、小さな体を引き寄せる。
「次はお互い気持ちよくなろうな」
「はい」
二人はにっこり微笑み合う。
誰もいない地下倉庫。冷たく埃に満ちた空間は決して良い環境ではなかったが、二人っきりの静かな場所はとても心地よく感じる。
授業をさぼって過ごした時間は、二人にとって忘れられないものになるだろう。互いの繋がりを強くすることが出来たのは、何よりも素晴らしいことのように思えた。
「そういえば先輩」
都古が何か思い出したのか口を開いた。
「どうして私と付き合おうって決めたんですか?」
尋ねられて、壮は答える。
「決まってる。好きになったからだ」
「なんで好きになったんですか?」
さらに突っ込まれて、壮は答えに窮した。
しばらく考えて、それから小さく笑う。
「な、なんですか?」
「都古のアタックがあまりに真剣だったからかな」
都古は眉根を寄せた。
「それ、なんだか私自身の魅力とか関係ないような……」
「いやいや、ひた向きさに負けたってことで」
「もう、真面目に答えて下さい!」
壮はへらへら笑って受け流す。都古が怒って肩や背中をばしばし叩いた。
別に冗談ではないのに。
都古のどこを好きになったと訊かれたら、答えに困るのは当然だ。理由なんて、『都古が都古であるから』以外に存在しないのだから。
都古のことをはっきり理解出来ずに想いを抱けなかったのも昨日までの話。今は等身大の藤村都古がきちんと側にいてくれるから、確かな想いを胸の中に持つことが出来る。
外枠だけの八割と、確かな中身の二割とが、しっかりと合わさって想いを作っていた。
逆に尋ねる。
「都古はなんで俺のことを好きになったんだ? 一ヶ月前まで、こっちはお前を知らなかったのに」
目に見えて都古は狼狽した。
「……秘密です」
「なんだそりゃ」
「人を好きになるのに理由なんかありません!」
「反則だろそれは」
「いいの。女の子の心は繊細で複雑なんだから、言葉なんかじゃ表せないの」
ぷいとそっぽを向く恋人に、壮は苦笑いを浮かべる。
「俺はもうちょい言葉少な目のおとなしい娘が好きなんだけどな」
「! 蒸し返さないで下さい!」
強い視線で睨まれて、壮は肩をすくめた。
(言えないよね……)
都古は怒ったふりをしながら中学の時を思い出す。
体育祭の組別対抗リレー。二年生でアンカーを任された都古は、途中でバトンを取り落としてしまった。
結果最下位に終わり、都古はひどく落ち込んだ。周りのみんなは慰めてくれたが、よく頑張った、最後まで諦めなかったなんて言われても、少しも自分を肯定出来なかった。
だが体育祭の後に、知り合いの井上至統からこんなことを聞かされたのだ。
『藤村のことをすごく褒めてるやつもいるんだよ』
どうせ他の慰めと変わらないだろう。聞き流そうとしたところに、彼はこう続けた。
『背筋が伸びて、すごくフォームがかっこいい、だってさ』
その、場面に合わない評価が、都古の心になぜか残った。
気付いたときには、至統に相手のことを尋ねていた。
次の年には同じ競技でリベンジを果たしたり、その先輩が進学校に行くと聞いて、同じ所に行くために一生懸命勉強したりと、他にもいろいろあったが、すべてはあの時の言葉に集約されるのだろう。
かっこわるかったのに、かっこいいなんて、
直接言われていたら、きっと残らなかったと思う。伝聞だったからこそ、それは心に響いたのだ。
そんな些細なことがきっかけだ。今更答える気もない。
それは、自分だけの大切なきっかけ。
「壮先輩」
都古に初めて下の名前を呼ばれた。嬉しさを隠して平静に応える。
「なんだ?」
「改めて言ってもいいですか?」
「何を」
都古は小さくはにかんだ。
「大好きです、壮先輩」
真っ向から言われてつい呼吸を忘れた。
やがてそれに応えるように、壮は言葉を返した。
「俺も好きだ、都古」
小さな後輩は、日のように輝いた笑顔を浮かべた。
God job!!
以上で終わりです。相変わらず投下に時間がかかります……。
>>371のアイデアを使わせて頂きました。
「どこが無口っ娘なんだよ!」とも思いますが、自分なりに頑張ったつもりです。
次は縁シリーズ。……だと思います。
順調にペース落ちてきているので、なんとか戻さなきゃ。
>>601 それはアリ。かなりアリ。
GJ!
寝る前にいいものが読めた。
相変わらずの品質にGJ!
さすがに次スレが必要な時期ではあるまいか
10KBを切ったあたりに次ってところだろうな。
つまりあと一本はいけそうだ。
はいはいハニワハニワ
誤爆
じゃぁ短めのオチもエロ
も何もないものを投下
●月×日
今日はいい日だ
朝から彼女の声を聞くことができた
彼女は滅多にしゃべらないから
とても珍しい
おまけになんだか
彼女は今日機嫌がいいらしく
ちょくちょくしゃべってくれたし
笑顔も見せてくれた
多分一年に一回あるかないかの日だろう
そのおかげで僕もとても機嫌がいい
●月▲日
今日は打って変わって
彼女は機嫌が悪い
彼女は機嫌が悪いと
なんか微妙に顔がふくれっつらになる
まぁそんな彼女もとても可愛いので
そんな顔になっていることを指摘しない
●月□日
今日は彼女の買い物に付き合う
こうやって買い物に付き合うたびに
いつも思うのだが
なんでこんなに物を買うんだろう?
とても不思議だ
「…」
「おーい、何見てるのって… 人の日記!?」
彼女は無言でうなずく
そしてぽつりと一言
「…あんまりおもしろくない」
「だったら最後まで読むなー!」
僕の叫びにまたぽつりと一言
「……近所迷惑」
はいそのとおりです
いやそれはおいといて
「人の日記を勝手に読むなよ」
「…駄目?」
彼女が首をかしげる
うわぁかわいい…じゃなくて
駄目だから叫んでるんですが。
とりあえず彼女から日記をとりあげる
「…ひま」
そしてごそごそと
「僕の部屋をあさるなーー!」
そんな彼女とのいつもの一日
終わり
はいなんか…自分で書いといて…
微妙でした
642 :
名無しさん@ピンキー:2007/05/13(日) 19:39:16 ID:46L7Hjx8
いや、それなりだとは思うぞ
俺は結構好き
ひっそり投下してみたり
高牧真一は、疲れ切っていた。
「……あのなぁ、お前ら」
ベッドに横たわる真一の左右には、愛らしい少女が二人、裸身のまま寝転がっている。
右側にいるのは、真一の通う大学でも滅多にいないだろうと思われるほどスタイルの整った少女。
肩口ほどの金髪をツインテールにして、真一の脇腹にその豊かすぎる双丘を押し当ててくる。
当たってるんだけどと言ったとしても、表情だけで当ててんのよと返してくるであろう義妹・李守美の姿に溜息を吐く。
同時に、左側から伸びた繊手が股間に伸びてきたことに気づいて、その手を押しとどめた。
左側に向けた視界には、年齢相応の蕾のような愛らしさを残す体型の、腰まである長い金髪をストレートに下ろした少女が、楽しそうに笑っていた。
李守美と同じ顔立ちの少女、言うまでも無く双子の片割れ、朔耶の愛らしい笑みに、こめかみが痛みを覚える。
「ったく……」
「〜〜!」「――?」
なんか文句でもあるの! と、言いたげな表情で睨んでくる李守美と、
まだ欲しいんですか? と、剣呑な意志を笑顔にくるむ朔耶に、
更に深い溜息を吐いて。
真一は今日の事を思い出した。
ここ数日、ゼミが異様に忙しくて、ついでにバイトも鬼のように忙しかった。
女顔に華奢な体躯、身長も男性平均を下回っているとは言え、真一は体力だけは人に数倍するのだ。
それでも疲労でノックダウン寸前になっていた辺り、その忙しさは想像するにあまりあると言うもの。
だから、今日は早くても昼過ぎまでは眠っておこうと思ったのも故ないこと。
だけど、ソレを許してくれるほど運命は甘くなかった。
ぴんぽーんっ、といきなり電子音が響く。
「……んだよ」
外見に似合わない言葉遣いだなと、友人一同に言われる荒い言葉遣いのまま、真一は枕元の時計に視線を向ける。
時刻はまだ八時を少し回ったところ。
こんな時間に、わざわざ此処に来る知り合いなどいない。
だから、無視してもう一度まぶたを閉じた。
ぴんぽーん、ぴんぽーん。
二回もわざわざ鳴らす人間の非常識ぶりを無視して、眠りに落ちようとする真一。
ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーん。
断固無視する。その決意を表すようにしっかりと瞼を閉じて、布団を頭まで引き上げる。
ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽぴぽ……
「だーーっっ! 五月蠅ぇっ!」
とうとう布団を跳ね上げた真一は、未だにやかましく鳴らされるチャイムに苛立ちながら、玄関に向かう。
こういうときワンルームの構造は便利だなと、そんなことを考えながらばんっとドアを一気に開けた。
「うっせえぞ、この野郎! ……って」
ジーパンにラグランTシャツ姿でむーっとふくれっ面を浮かべる李守美と、
真っ白なワンピースを着てにこにこと笑ってる朔耶が立っていた。
「……なんでこんな時間にウチに来るんだよ、お前ら」
「〜〜っ!」「――――」
わざわざ来てやったのにその態度は何なのよ! と両手をぶんぶん振り回して顔を真っ赤にする李守美。
お兄様のお疲れを解しに参りました、とにこにこ笑顔を浮かべる朔耶。
そんな対照的な二人に溜息を吐く。
「良いから帰れ」
「! っ!! っっっ!!」「――ぅ」
速攻で返した瞬間、李守美が顔を真っ赤にして詰め寄ってきて、今にも泣き出しそうな表情で朔耶が見詰めてくる。
「帰れ」
「っっっっ!!!」「――っく」
二人同時に目尻に涙を浮かべる。
放っておくと必ず泣き出す。
それが理解できたから。
「あ〜もう、解ったから入れよ」
言った瞬間、仕方ないから入ってあげると表情で告げてくる李守美とにゃぱっと嬉しそうに笑う朔耶。
まいどの事ながら、結局この二人の言うとおりに動かされている自分に苛立ちながら、ベッドに戻る。
「好きにすればいいが、俺は寝るからな」
それ以上は何も言わずに、ベッドに戻る真一。
背後でばたばたと暴れている二人を無視してパイプベッドに横になる。
くいっとパジャマの背中を引っ張られても、あくまで無視する。
くいくいと、布団を引っ張られても相手にしない。
下手に反応すれば調子に乗るのが目に見えているからだ。
「〜〜〜〜」「――」
微妙に不穏当な気配を感じて、ゆっくりと振り返る。
「だーっ! お前ら何やってんだー!」
二人して、床に突っ伏してベッドの下に頭を潜り込ませていた。
思わずベッドから降りて、二人の襟首を掴んで無理矢理引きずり出す。
「あー、何持ってんだ! 良いからしまえ、もとあった場所に置き直せ!」
「〜〜」「――」
ニヤリと口元をゆがめる李守美と恥ずかしそうに顔を赤らめる朔耶。
その手に持っていた真一秘蔵のエロマンガ――特に近親ネタで有名な的吉未来の『夢幻相克』――を奪い返す。
「どっからそんな無駄知識を仕入れたんだ、こら」
布団の中にソレを放り込みつつ、二人を同時に睨み付ける。
「〜〜っ」「――」
こっちが先に言い出したと、指先を突き付け合う二人。
……まともに聞いても答えが返ってこない事だけは理解できた。
「ったく、いいから大人しくしてろ。言っとくが、どこかに出掛ける気もないし、お前らと遊ぶ気は当然ない。俺は疲れてんだ」
「〜〜〜〜〜〜」
遊んでくれないアンタが悪いんでしょ、と思い切りふくれ面で睨んでくる李守美。
溜息を吐きながら首を左右に振る。
「そんな不機嫌そうな顔をしたって、駄目なもんは駄目だ」
「――――? ――」
そんな変なことしてないですよ? むしろお疲れを解しにきたんですから、とにこにこ笑いながらマッサージの仕草をする朔耶に、こめかみを押さえた。
「あのなぁ、お前らが来てる時点で余計に疲れるだけだろうが」
「〜〜! っ! っっ!!」「――――すん」
途端に、顔を真っ赤にして怒り始める李守美と、泣き出しそうな上目遣いで見詰めてくる朔耶。
「お前らな」
抵抗する気力すら消え失せて。
真一は渋々体を起こした。
「ったく、あのばばぁも来させるなってのが解ってないのかよ」
二人に聞こえないように小さく呟き、義母優美の事を思い出す。
どんなに上に見てもせいぜい二十代前半にしか見えない外見と、どう考えてもおかしいとしか思えない十代前半としか思えない言動。
どちらかというと、まだ李守美と朔耶の方が年上に感じられるときさえある優美に、真一は自分が家を出る理由をはっきりと伝えているのだ。
……血が繋がっていないとは言え、妹に異性を感じたから家を出たのだと。
普通、そんなことを聞いたら、絶対に近寄らせたりしないだろう。
実際、あれ以降真一は一度も実家には近寄っていない。
だと言うのに。
「……ほとんど毎週来やがるし」
深い溜息を吐く。
「〜〜」「――」
不機嫌そうな李守美とにこにこと笑う朔耶の視線を受けて、もう一度深い溜息を吐いた。
「飯、何喰う気だ? 言っとくが、俺はオケラでインスタントも一人分しかないんだぞ」
「〜〜!」
顔を赤くした李守美が、取り出した携帯の画面を見せつけてくる。
「……何々、ドミンゴピザ、携帯メール注文二十パーセントオフ。って、お前なぁ」
聞いた話だが、産声すら上げなかったと言う程に徹底した無口――身体機能に異常はないらしいのだが――の癖に、時々出前を注文していた理由が理解できた。
「って、無駄なことにばっかり知恵回しやがって」
「――――」「っっ!! っっっ!! 〜〜〜〜〜〜!」
お兄様の為ですからとジェスチャーする朔耶に、耳まで真っ赤になりながら李守美がくってかかる。
「はぁ……」
全く持って人の話を聞く気のない二人に、真一はもう一度深い溜息を吐いた。
真一のパソコンを勝手に立ち上げて、ネットの対戦パズルをはじめる二人。
その襟足から覗く項に心臓が高鳴って、また溜息を吐く。
本音を言えば、李守美と朔耶と顔を合わせるだけでも嬉しいのだ。
ただソレを認めるわけにはいかないだけ。
「ったく」
これじゃ、実家にいた頃と変わらないな、と苦笑を浮かべて二人を見詰める。
そう、初めて会った時から何故かなつかれて、ずっといつでも側にひっついていた。
一緒にお風呂に入りたがったり、同じベッドで寝たがったり、正直、色々と精神的に追いつめられる原因でもあった。
それでも、二人に手を出せるはずが無くて。
「〜〜?」「――?」
いきなり振り向いてきた二人に胸が高鳴る。
「なんでもねーよ」
「〜〜〜〜」「――」
別に私も何にも想ってないとそっぽを向く李守美。
朔耶はなぜかにこにこと笑っている。
「ったく、いい年して兄貴の家になんか入り浸ってんじゃねぇよ」
「〜〜っ」「――」
李守美が不機嫌そうな表情で、折角来てやってるのに、その言葉は何? と睨んでくる。
一方、迷惑なんですか? と、少し身を屈めて上目遣いになった朔耶が見詰めてくる。
その仕草に、思い切り深い溜息を吐く。
「大体だな。お前らその気になればどれだけでも男捕まえられるくらい可愛いだろうが。わざわざ兄貴ん所に来るんじゃねぇよ」
「!? 〜〜!!」「? ――――!」
いきなり、二人が顔を真っ赤にして、思わず自分の失言に気づいた。
「あー、いや、可愛いってのは一般論の話だぞ! ってこら、人の話を聞け!」
二人が立ち上がったかと想うと、いきなり真一に向かってにじり寄ってくる。
その目が本当に可愛いと思ってる? と問いかけていた。
だから、慌てて視線を逸らす。
「だから、まぁ、一般的な視点では可愛いなと見えるだけの話だ! それだけだっての!」
思い切りあさっての方向を向いて怒鳴りつける。
そうでもしなければ、二人の嬉しそうな笑顔を見れば、一線を越えてしまいそうだったから。
「〜〜〜〜」「――――」
傍らでコクコクと頷き合う気配を感じながら、真一はそれでも二人の方を向く気にはなれなかった。
時々、こんな失言が無かったわけではないけれど、しらばっくれていればまた元に戻る。
そう思っていた。
「〜〜っ」「――」
不穏な空気と同時に、なぜか衣擦れの音が聞こえた。
イヤな予感と共に顔を向けて。
「な、なんて格好してる、お前ら!」
下着姿になっていた二人がいきなり抱きついてきた。
ってことで、>599が元ネタっぽいのをこっそり投下。
てか、二人同時無口&ツンデレ無口は難しいですよ。
エロは多分倍くらいになりそうなので、また次スレにでも。
では、次回のエロシーンまでご機嫌よう
∧_∧ GJ!
( ・∀・)/ヽ
ノ つつ ●i
⊂、 ノ \ノ
し′
梅
あ、容量制限か・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さよなら
あなたが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すき。
「……」
「……」
「……あー、なんだ。お前その格好どうした」
「……?」
「いや、そんな小首傾げられても。というかどうやって俺の部屋に入った」
「ピッキ――」
「あ、警察ですか。実は不法侵入者が」
「ッ!?」
「いや嘘だから掛けてないからだから潤んだ目で腕にしがみつかないでください!」
「……ほっ」
「……で、最初の質問に戻るが、なんだその格好は」
「……?」
「無限ループって怖いね。他にリアクションはないのか」
「……!」
「いや驚かれても。驚いてるの寧ろ俺だし」
「……☆」
「お前がそんなキャピキャピした顔するとすげえ違和感があるな」
「……♪」
「……」
「……?」
「……あ、すまん。素で笑顔に見惚れてた」
「……」
「あ〜、その照れた顔もたまらん……って、自分で脱線してどうする。てか、お前この話題については触れさせない気か」
「……嫌い?」
「いや、好きか嫌いかで聞かれると……まあ、好きだが――って、どわっ!」
「……しよ」
「し、しよって……その格好でか」
こくっ
「……まさかと思うが、そのために?」
こくっ!
「さっきよりも勇ましく頷いたな」
「……」
(あーもう、自分で言っといて赤くなるなって。まじで理性抑えられんのですが)
「……ぅぅ」
「……もう一つ聞いていいか? 周りにお前の着替えがないところから察するに……そのままここまで来たのか?」
こくり
「……恥ずかしかったろ?」
…………こく
「……」
「? ――んッ!?」
「よし決めた。今晩はその恥ずかしい格好のまま弄り倒す。拒否権は無し」
「……へんたい」
「にしては嬉しそうな顔ですがね」
「……」
「ん? まだ言いたいことあるのか?」
「…………どうぞ召し上がれ」
「お知らせ。俺の理性はもう0です。いただきます」
埋めついでに小ネタ。
服装に関してはあえてぼかした。各々好きな服装で妄想してください。
GJ!バニーで想像したよ
それは既に新スレでやったネタだ
とてとて……
「よう、おはよう」
――にこ
「ん。さて、早速で悪いんだがお前に話がある」
きょとん
「実は昨晩あいつがとても愉快な格好で俺の部屋に侵入してたんだが」
こくこく
「……お前だろ。あんなこと吹き込んだのは」
ぎくっ
「やっぱりか」
ぴゅ〜♪
「口笛吹いてごまかすっていつの人間だお前。全く……」
にやにや
「……なんだよニヤニヤして」
どすっどすっ
「肘で横っ腹つつくな。……はあ。ああそうだよ、昨日はお楽しみでしたよ。これでいいか?」
ふるふる
「なんだ、まだなにかあるのか」
ちゃりーん
「……へいへい、昼飯はなんでも奢ってやるよ」
にぱぁ
「しかし……なんだ。お前にはいつも世話になってるな」
きょとん
「俺があいつのことでいつも相談して。デートの場所とか気遣い方とか……あー、あと色々」
えっへん
「よく考えたら、あいつと一緒にいられるのお前のおかげなんだよな。ほんと、ありがと」
にぱっ ばしばしっ
「痛い痛いっ。……ああそうだな、お前は最高の『親友』だよ」
――ずきっ
「ん? どうかしたか」
ふるふる にこっ
「そうか? ならいいんだけど……」
ピコーン!
「今度はなんだ」
あせあせっ
「ああそっか、今日は日直だったな、お前」
こくこく
「それじゃあまた後でな」
びしっ
「わかってるって、昼飯はちゃんと奢るよ」
にこ たったったっ……
(それにしてもさっきのあいつ、泣きそうな顔してたな……)
埋めネタその2。擬音無口ってのもありだと思うんだよね。