零総合 捌

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849名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 23:03:58 ID:FHzfLzzS
俺の中の紅い蝶

繭、最後の告白:

いつも約束してたよね。ずっと一緒だって。
でも・・・。わかってたよ。
どんなに強く想ってても、私達は別々の人間で、
別々に生きて・・・、死んでいく。
だから・・・・・・。

いいよ。

して・・・。

私を。
 犯して・・・。

心を
 犯して・・・。

身体を
 犯して・・・。

私の中に入ってきて。

犯して・・・。
犯して・・・。

とろとろに溶けて、
深く深く、絡み合って。

そうして、最後に・・・。
ね、澪。私とひとつになろ・・・?
850名無しさん@ピンキー:2007/11/12(月) 23:08:52 ID:stk7TWgM
このスレも容量オーバーで終わるのか、1000まで行って終わるのか…
それともry

新作出ないし潮時なのか…
851名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 05:25:30 ID:9kwQrq2S
今のテンションだと1000までいっても次は立たないんだろうなぁ。

……どれ、最後のたむけに何か書くか。
852名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 19:27:36 ID:HNoFHi8G
>>851
誰かが立てそうな気がするけどねw

SS待ってるよ
そいやそろそろクリスマスだなぁ

まだまだか
853名無しさん@ピンキー:2007/11/13(火) 23:14:29 ID:INUbNbiC
ん、まぁ投下されなくても俺が立てると思うw
突発的に書きたくなるかもしれんから

あと何となく雑談用?
854名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 00:55:03 ID:KDyi1uJw
4月16日 晴れ
大学時代の先輩から依頼されていた仕事が終わった。
四国地方の民俗学には精通しておらず、調査は難航すると思ったが、
螢の助力もあり、3ヶ月という短期間で片付ける事が出来た。
明日は怜が、ささやかながらお祝いをしてくれるらしい。楽しみだ。

4月17日 晴れ
怜が昨日のお祝いにと、苦手ながらも頑張って手料理を作ってくれた。
最近は仕事の関係上、外食が多かったので、とても嬉しかった。
食事中、ふと怜の手を見ると指先が黒ずんでいた。
一瞬、痣かと思い聞いてみたが、仕事中にインクが付いただけらしい。
「最近、とても仕事が忙しくなった」と嘆いていた。
彼女の仕事が終わったら、今度は僕が料理を作ってやろう。
855名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 01:44:17 ID:KDyi1uJw
5月2日 晴れ
怜の助手をしている雛咲深紅さんが、今日から住み込みで働く事になった。
最近、僕も仕事が忙しく、怜には寂しい思いをさせてしまっている。
彼女の同居は、きっと良い方向に働くだろう。
「よろしくお願いします」と差し出された彼女の指先は、やはり黒ずんでいた。

彼女を見ていると、失踪した真冬の事を思い出す。
色々と手を尽くしてはいるが、見つかる気配は一向にない。
本当に神隠しにあってしまったのだろうか。

5月20日 曇り
リビングでテレビを見ていると、深紅さんから妙な質問をされた。
「戦国時代には、戦場で信頼できる者同士が女性以上の絆を求め合った
ケースがあるが、現在の男性にもそういった感情はあるのか」というものだった。
否定すると、彼女はどこか寂しげな表情で自室に戻って行った。
僕は質問の解釈を間違えたのだろうか。
856名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 03:03:33 ID:18dj4/ln
5月21日
深紅が『大奥の世界はどうなのか。夜の友にされない者同士、傷を舐めあったりするのか』とかきいてきた
正直、訳が解らなかった
だが、『その時代は色んな意味で寛容ではないのでは?』と返答してみた
やっぱり寂しそうな表情をして部屋に引っ込んだ

何をどうしたいのだろう深紅は…
857名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 03:09:03 ID:KDyi1uJw
6月15日 晴れ
夜、風呂から上がると歯を磨いていた怜が、鏡越しに僕の体をチラチラ見ていた。
「夜の営み」の合図だと悟り、疲れていたが久しぶりに体を求めた。
だが、彼女は僕の股間や尻をいじるのには異様な積極性を見せるも、
挿入してからは、何かに考えを巡らせているのか上の空だった。
彼女の手は所々、僕の陰茎よりも黒ずんでいた。

6月18日 雨
最近、夕食が終わると怜は、深紅さんと一緒に自室に篭ってしまう。
写真の選定が忙しいらしく、昨日も朝方まで作業を行っていた様だ。
以前は僕に手伝いを頼んでくる事もあったが、深紅さんが来てからは、それもなくなった。
少し寂しいが、深紅さんは僕よりセンスも良いし、それだけ信頼が置けるという事か。
858名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 03:58:28 ID:KDyi1uJw
7月6日 雨
相変わらず、怜たちは夕食が終わると自室に篭ってしまう。
最初は写真の選定が長引いてるのかと思ったが、どうもそうではない様だ。
部屋の前を通ると時折、クスクスと笑い声が聞こえてくるのだ。
仕事に厳格な怜が、談笑しながら作業するとは考えにくい。

仕事と言えば、彼女の手の黒ずみも気にかかる。
インクが付着したと言っていたが、写真の選定とインクでは接点がなさすぎる。
仮にレポート等を添える作業があったとしても、壊れた万年筆でも使わない限り、
あそこまで手がインクで汚れる様な事にはならないだろう。

あれは本当にインクなのだろうか。
彼女たちは、何か隠し事をしている様な気がする。
それとも、僕の考えすぎだろうか…。

7月8日 曇り
どうやら、僕の予感は的中してしまった様だ。
彼女たちの会話内容を知るため、気付かれないようドアの前で聞き耳を立てたのだ。
正直、気が引けたが、今思えば聞かなかった方が良かった。

「ふふ…こんなに濡れてきた」 「そんなに力を込めないで…もっとやさしく…」
「もっと…もっと激しく擦り付けて…」 「ああ…あ…締まる…堕ちる…」

僕はどうしたら良いのだろう。
怜を問いただすのも、このまま黙ってるのも恐ろしい…。
                                                (続く)
859名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 07:20:17 ID:rCBGQKO/
GJ!!
シリアスな感じでいいね
860名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 11:16:13 ID:vNdaZS0E
これ優雨の立場だったら怖すぎるなw
普通に謀殺されそうw
久々の投下真に乙であります!
861名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 11:25:58 ID:18dj4/ln
しまった…続いてたのに
横槍刺しちゃった…

なにはとめあれGJです!!
そしてゴメン
862名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 17:47:48 ID:Frijjpip
なぁ…
優が事故死した原因って…
863名無しさん@ピンキー:2007/11/15(木) 21:24:04 ID:SLGQ20BN
行き過ぎた好奇心は身を滅ぼす


ねーいりゃさーよーはーたーてー……
864名無しさん@ピンキー:2007/11/16(金) 02:57:33 ID:v8lxOwXo
約一年前に書いた「雨音スクウェア」の続きです
普段はサイトで書いているもので、話の繋がりなどアレな感じですが
クリスマスに向けてスレに活気が戻ればとの願いを込めつつ、投下させてください
865夜行性の怨霊4匹 (1/6):2007/11/16(金) 02:58:51 ID:v8lxOwXo
 はじめは不満に思っていたことでも、しばらく我慢を続けていれば次第に慣れてくるもので、夕食
を済ませた後、ビールを一本か二本空け、我が物顔でリビングを占領している居候たちの話し声を聞
くともなく、子守唄の代わりにしてソファで軽く横になる、そんな生活パターンに、私はすっかり馴
染みつつあった。
 どこどこのランチが美味しいだとか、なんとかというブランドのコートが可愛いだとか、現役女子
高生である澪ちゃんたちがするような話をしていたかと思えば、一転、日本経済の先行きの不透明さ
論じてみたりと、話題が尽きないところがすごい。
 ところが、この日は少し様子が違った。
 眠りの深度と共に曖昧になってゆく雑音が突然、消えたのだ。
 私が眠りに落ちてしまったわけではなく、本来、そこにあるべきはずの音が不自然に途切れたこと
によって、私は無意識的に浅いまどろみの淵から呼び起こされることになった。
 電池でも切れたか? と、身を起こして目をやると、それまでぎゃーぎゃーと騒いでいたはずの居
候たちは皆、声の出し方を忘れたかのように押し黙っていて、水面はごくりと唾を飲み、雨音はどこ
か張り詰めた表情、時雨は唇を軽く噛んで険しい顔、氷雨だけは興味なさげに頬杖をついているが、
その視線は他の三人と同じように、壁に掛けた時計の方に固定されていた。
「怜さん、しーっ!」
 まだ一言も喋っていないのに、私が目を覚ましたのに気付いた時雨が、唇に人差し指を当てて沈黙
を要求してきた。
「あんたたちが時間を気にするなんて珍しいこともあるわね。何が始まるの?」
 訊ねてみるも、答えは返ってこなかった。時雨は私を無視すると、向き直って再び時計の方に顔を
戻してしまう。
 霊という存在ゆえか、時間に対しては比較的ルーズな四人が、ここまで時計を気にするというのも
珍しいことで、いつもとは違う、どこか不自然な雰囲気がリビングに漂っていた。水面の頭に乗せら
れたルリもそれを敏感に感じ取ったようで、伏せていた顔を持ち上げて、辺りをきょろきょろと見回
している。
(まさか、成仏の時が近いとか――)
 いつになく真剣な面持ちの四人に、ふと、そんな予感が走った。
866夜行性の怨霊4匹 (2/6):2007/11/16(金) 02:59:34 ID:v8lxOwXo
 四人の真似をするように時計に目を向けてみると、時刻は23時59分、秒針は30秒を少し過ぎ
た辺りで、もうすぐ日付が変わろうかという頃だった。
(ああ……なんだ)
 しばらく考えた後、私はなるほどと納得した。
 今朝、深紅が急に大掃除を始めたのも、夕食が妙に手抜きチックな蕎麦だったのも、今、キッチン
でおせちらしきものを作っているのも、今日が12月31日、大晦日だと分かれば説明がつく。新年
がもうすぐそこまでやってきているのだ。
 四人が成仏するなんてつまらないことを考えてしまったのは、きっと寝起きの頭のせいだろう。
 深紅と二人「今年もいろいろあったわね」などと一年を振り返る余裕はすでになく、秒針は一定の
リズムで時を刻んでゆき、やがて、56秒、57秒、58秒――その時がやってきた。
「とうっ!」
 秒針が真上を指した瞬間のことだった。
 それまでの静寂を打ち破るような力強い声と共に、ソファに座っていた時雨がぴょんと高く跳躍し
た。時雨はそのまま数秒ほど滞空した後、ドンと大きな音を立てて着地し、
「ねえ、見た? 私、地球にいなかった! 年が変わる瞬間、地球にいなかった!」
 新年早々、自身のウザさを周囲に再アピールした。
「子供じゃあるまいし。お正月くらい、静かに迎えられないの?」
 そう言って今年一発目の溜め息を漏らしたのは、ヒーターの前に座り込んで温風を独占している氷
雨だった。文明の利器・石油ファンヒーターの温もりを知ってしまった彼女は、よほどのことがない
限りそこから動こうとしない。
「氷雨ちゃんはわかってないねー」
 時雨がちっちっと指を振って、氷雨の隣にどすんと腰を下ろす。
「年越しジャンプは日本古来から伝わる伝統行事だよ。一年の変わり目という貴重な瞬間を空中で過
ごすことで去年一年分の穢れを落として、着地と同時に新たな自分に生まれ変わる儀式なの。それだ
けじゃないよ。こうやって一度、地上から離れてみることで、私たちは生きてるんじゃなくて、生か
されてるんだってことを再認識してるの。太古の昔から自然との共存をはかってきた日本人の精神性っ
ていうのかな。大切にしていきたいよね」
「どうせ適当に喋ってるんでしょ」
 苦々しげな表情を隠そうともせず、氷雨は蝿でも払うように手を振った。
867夜行性の怨霊4匹 (3/6):2007/11/16(金) 03:00:16 ID:v8lxOwXo
「深紅さーん、あけおめ!」
 謹んで新春のお慶びを申し上げている霊たちの姿に、彼女たちには喪という概念がないのだろうか
と、至極どうでもいいことを考えながら、私は足元に置いていたハンドバッグを指先で引き寄せた。
「お?」
 その動きをめざとく見ていた水面が、何かを期待をするような目をしてこちらにやってきた。
「なんだ? おとしだまでもくれるのか?」
「そう言われるとあげたくなくなるんだけど……」
 その厚かましさに呆れながらも、私は四人を呼び寄せ、水面が推測した通りのものをそれぞれに差
し出した。
「あけましておめでとう、無駄遣いしちゃだめよ」
「……いいの?」
 一人前に遠慮をするのは、困惑の表情を浮かべた氷雨だ。
「こういうのは素直に受け取るものよ。今年もよろしくね」
「う、うん……じゃあお言葉に甘えて。ありがと」
 戸惑いながらも受け取ると、氷雨は唇の両端をわずかに持ち上げた。笑顔のつもりらしい。
 何やら感慨深い気持ちにさせられる。生意気と生意気を足して生意気で割ったような氷雨がここま
で変わるとは、半年前、彼女がこの家で暮らし始めた頃には想像できなかったことだったからだ。こ
れならもうしばらく家に置いてやってもいいかと、つい私らしくもないことを考えてしまう。
「ありがとーございまーす!」「あざーす!」
 一方、馬鹿と馬鹿を足して馬鹿を掛けたような時雨と水面はまったく変わっておらず、叶うなら今
すぐにでもこの家から追い出してやりたいところだ。
 強いて言うなら、水面が私に向けていた謎の敵意が消えたことが唯一の変化だろうか。さっそくポ
チ袋の中身を確認しては「すくねー!」などと嘆いている水面は、あの頃に比べるとすっかり丸くなっ
たように見える。
「あの、怜さん……」
 最後にやってきたのは、今日は普段に輪を掛けておとなしい雨音だった。
868夜行性の怨霊4匹 (4/6):2007/11/16(金) 03:01:01 ID:v8lxOwXo
「えっと、昨年中は……いろいろご迷惑をおかけしました」
 妙に含みのある言い方をするのは、先日のクリスマスの一件のことを気にしているせいだろう。
 あれは12月24日――いや、明けて25日のことだった。
 その日の朝、私がホテルで目を覚ましたとき、すでに螢は部屋におらず、代わりに「先に帰る」と
の書き置きだけが残されていた。私はベッドで気絶していた雨音の母親・鏡華を追い払い、ひどく惨
めな気持ちに押し潰されそうになりながら、部屋中に散らばった髪の毛を一人で片付けた。
 その間、螢が何をしていたかというと、あろうことか彼は雨音と二人でドライブに出掛けていたと
いう。以前から約束していたという二人の初デートは、しかし、わずか三十分足らずで終わってしまっ
た。雨に濡れ、冷えた体のまま出掛けた雨音が途中で熱を出したのだ。
 私が家に戻ってくると、螢は雨音をソファに寝かせ、付きっ切りの看病をしているところだった。
 汗を拭い、額に乗せたタオルを交換し――と今まで見たことのないような必死さで雨音の世話をし
ている螢を見ているうちに、言葉では言い表せない、何かもやもやとした感情が沸いてきて、私はす
ぐさま彼を追い出した。以後、連絡も取っていない。
 当然、熱が下がり次第、雨音にもきついお灸を据えてやろうと考えていたのだが、うわごとで繰り
返し螢の名を呼ぶ彼女を見ていると、何故だかその気も失せてきてしまい、結局、天倉家に泊まって
いた深紅たちが帰ってくるまでの間、私が雨音の看病をするはめになったのだった(万葉丸を飲ませ
ると一瞬で回復した)。
「本当に螢とは何もなかったんでしょうね?」
 じっとりとした視線と共に訊ねると、雨音はこくりと頷いた。
「はい、まだ……何もしてないです」
 わざわざ「まだ」を付けて言うところに、雨音の諦めの悪さが感じ取れる。母親のDNAをしっか
りと受け継いでいるようだ
「もう終わったことだからうるさくは言わないけどね。熱が出たくらいで済んだから良かったけれど、
肺炎にでもなったら大変でしょう、あんたまだ子供なんだから、あまり無茶しちゃだめよ」
「はい……以後、気をつけます」
反省しているのかいないのか、雨音は感情のこもっていない声と共に頭を下げ、仲間たちの輪へと
戻っていった。
(まったく……)
 螢を巡り、鏡華だけならまだしも、娘の雨音まで参戦してくるとは。私の知らないところで螢との
約束を取り付けていた雨音は、ああ見えて積極的なところがあるらしい。今や時雨や水面に並ぶ問題
児。この半年間で一番変化があったのは雨音なのかもしれない。
869夜行性の怨霊4匹 (5/6):2007/11/16(金) 03:01:34 ID:v8lxOwXo
 やがて四人は、邪魔だとばかりにテーブルを部屋の隅に寄せ、磨いたばかりのフローリングに札を
撒き散らして、かるた遊びに興じ始めた。
「くぜのおみやに ゆきはふりつつー」
「ふるさとさむく かべうがつなりー」
 聞いたことのない句ばかりだ。一般的に知られている百人一首とは少し違うらしい。
 疲れが溜まっているのだろうか、読み手の氷雨は相変わらずヒーターの前に陣取ったまま、細い目
をさらに細くして眠たそうにしているが、時雨は水面と二人、手に持った羽子板で羽根突きをしなが
ら札を取り、雨音はも書き初めの準備でもしているのか、墨を擦りながら札を取りと、それぞれ生き
急ぐように正月を満喫している。
 そんな彼女たちの邪魔をしないようにと気を遣いながらキッチンへ入ると、そこでは深紅が重箱に
おせちを詰めているところだった。食料品の買出しから大掃除、そしておせち作りに至るまで、黒澤
家のお母さんこと深紅の辞書に正月休みの文字はない。
 私はポケットに忍ばせていた五枚目のポチ袋を取り出して、こっそりと深紅に差し出した。
「もうそんな年齢じゃないですから」
 予想通り深紅は断ってきたが、私は何も言わず、彼女のエプロンにそれを押し込んだ。
 そもそも、氷雨たちにお年玉をあげるようにと提案してきたのは深紅だった。その中には深紅から
の出資分も含まれている。子供たちにお年玉を与える気など毛ほどもなかった私としては、せめてプ
ラマイゼロにしておかないと面子が立たなかった。
「これ、深紅が作ったの?」
 なおも断り続ける深紅の声を遮るために、私はおせちに目を向けながら分かりきったことを訊ねた。
 深紅はふっと諦めの溜め息をついてから説明してくれた。
「ええ、氷雨ちゃんと雨音ちゃんも手伝ってくれました。それから、この昆布巻きは雨音ちゃんが持っ
てきてくれたんです。雨音ちゃんのお母さんから預かってきたみたいで、お裾分けだそうです」
「鏡華が……? 毒でも入ってるんじゃないでしょうね」
 私は箸で昆布巻きを摘み上げ、疑いの眼差しで観察した。
「まさか、毒なんて……そんなことするような人じゃないですよ」
「深紅は知らないのね。そんなことするようなやつなの、あの女は」
870夜行性の怨霊4匹 (6/6):2007/11/16(金) 03:02:16 ID:v8lxOwXo
 と言いつつも、寝起きで小腹の空いていた私は舌の根も乾かぬうちに昆布巻きを口の中へと運んだ。
「……ふーん、まあまあね。深紅には負けるけど」
 味付けが少し薄い気もするが、悪くはない。毒も入っていないようだ。
「それにしても……なんだか負けた気分だわ」
 どうして私の周りには料理上手ばかりが集まるのだろう。深紅といい、静さんといい、ライバルで
あるところの鏡華、雨音といい……。私はといえば、先日、氷雨たちのためにと腕によりをかけて作っ
た肉じゃがが見向きもされず、その後、帰宅した深紅には目の前でゴミ箱に突っ込まれ「怜さんは料
理を冒涜してます」とまで言われ、すっかり自信をなくしている状態だ。
「そうそう、このお魚は水面ちゃんが釣ってきてくれたんですよ」
 ヘコむ私を見て、深紅は話題を逸らすように、重箱の隣にある白い大皿を指差した。そこにはダラ
イアスに出てきそうな不気味な色形をした魚の煮付けが盛り付けられていた。
「釣ってきたって、どこで……」
「はたて」
 カウンターの向こうから、釣り人・水面がにょんと頭を出して答えた。
 涯。久世の宮の地下に広がる、あの重油を垂れ流したようなドス黒い海のことだ。そこで釣ってき
たというこの魚は、深紅の手によって一応、料理として昇華されているようだが、それでもグロテス
クな面影が存分に残っていて、とても食べる気にはなれない。
「大丈夫なの……? 汚染とか……」
 口に入れた瞬間、ねいりゃさよするのではないかと、食の安全性を指摘する私に、
「れいのつくったにくじゃがよりはましだろ」
 水面はそう言い残して、またにょんと頭を引っ込めた。
「おせちもいいけどロックもね!」
 怒りに震える私をよそに、リビングの時雨が、べべん、とベースの弦を叩いていた。
871夜行性の怨霊4匹 (7):2007/11/17(土) 00:50:05 ID:SF3eg/He
 今年一本目のビールを片手にリビングへ戻ってきた私は、遊び終わった札を片付けている氷雨たち
に声をかけた。
「家には帰らなくていいの? 明日、早いんでしょ?」
 久世の宮はああ見えて一応、神社であるらしい。明日は朝から忙しくなるだろうからと「帰れ」の
意味をやんわり込めた声で言うと、久世の宮の跡取り娘、雨音が意外な答えを返してきた。
「私たち、三が日はお休みなんです。どうせ参拝客も来ないですし、家の人たちもみんな、暮羽神社
にお参りに行くみたいで……」
 雨音の瞳には深い悲しみの色が湛えられていた。
「暮羽神社って、皆神村の?」
 いつだったか澪ちゃんが話していたのを覚えている。社の奥から村の外へと続く道に出ることがで
きるとかで「あの時は本当にお姉ちゃんを置いて村を出ようと思いました」と、当時の心境を語る天
倉澪さん(16)の目は結構マジだった。
「ふうん。神社業界も大変なのね。でも、夜ももう遅いんだから、帰るか寝るかしなさい」
 母親のような厳格さをもって二階を指差すと、突然、水面と時雨が反抗期を迎えた。
「ばかいってんじゃねーぞ! しょうがつだぞ、ねてられっか!」
「怜さん、それ本気で言ってるんですか? まだ初詣にも行ってないのに!」
 羽根突き、百人一首ときて、次は初詣に行きたいらしい。
「今から行く気なの……?」
「初詣なんて朝になってからでもいいでしょ。非常識にもほどがあるよ」
 こういう時、良識派の雨音と氷雨は頼りになる。二人の声に乗るように、私も反対意見を表明した。
「あんたと水面はサボってばかりだから分からないでしょうけどね、氷雨も雨音も深紅もみんな疲れ
てるの。明日ちゃんと連れて行ってあげるから、今日はもう帰りなさい」
 しかし、この程度の説教で諦めるような時雨ではなかった。
「はー、氷雨ちゃんも雨音ちゃんも怜さんも、まったくわかってないですねー。そんな寝ぼけたこと
言ってたら御利益がなくなっちゃいますよ。そもそも初詣の歴史を紐解いてみるとですね――」
 再び講釈モードに入る時雨。何がそこまで彼女を突き動かしているのだろう。
「あはは……私なら大丈夫ですから、少しだけ行ってみましょうか」
 見かねた深紅が、濡れた手をエプロンで拭いながら言った。
「さすが深紅さん、わかってますね! 急いては事を仕損じます、さっそく出掛けましょう!」
 ことわざの使い方を完全に間違えている時雨の頭を押さえつけながら、私は深紅に言った。
「深紅、甘やかしちゃだめよ。時雨のためにならないでしょ」
「そうそう、怜の言う通り。時雨も少しは我慢ってもんを覚えた方がいいよ」
 氷雨は初詣うんぬんよりも、この寒空の下、外に出るのが嫌なだけのように見える。
「だって、お正月にお休みなんて、鎮女になってから初めてのことだもん。私、どうしても初詣に行
きたいんです。お願い、怜さん!」
 時雨がおててのしわとしわを合わせながら頼み込んできた。しかし、私は首を横に振って答える。
「……わかりました。それなら、私と水面ちゃんだけで行ってきます。怜さんたちは家でお留守番し
ててください。……私たちが悪い人たちに誘拐されても知りませんからね!」
 捨て台詞を吐くと、時雨は「水面ちゃん、行こ!」と、リビングを出て行こうとした。水面は夜更
かしこそしたいものの、初詣に対してはあまり乗り気ではなかったようで「めんどくせー」とぼやき、
頭上のルリをそっと床に下ろしてから時雨の後を追っていった。
「怜さん……私、時雨ちゃんたちについていきますね。やっぱり心配ですし……」
 そう言って、深紅はエプロンを外し、ソファの背に掛けていたコートを羽織った。
 時雨が言うところの「悪い人たち」に襲われたとしても、時雨と水面だけなら刺青木なりなんなり
で対処できるだろうが、深紅の場合はそうはいかない。時雨のように、新年だからといって浮かれて
いる連中もいるだろう。
「もう! まったく、仕方ないわね……」
 年の頭から変な事件に巻き込まれても困る。保護者としての義務は果たさなくてはいけない。
「ほら、あんたたちも準備して。さっと行ってさっと帰るわよ」
 二人だけ家に残しておいても仕方がないので、氷雨と雨音も巻き添えにする。二人を急かすように
ヒーターのスイッチを切ると、氷雨は一瞬、絶望的な顔で私を見上げた後、諦めたように立ち上がり、
自室へと上着を取りに行った。
872夜行性の怨霊4匹 (8):2007/11/17(土) 00:50:45 ID:SF3eg/He
「寒い……行きたくない……」
 外に出た途端、ニット帽を深く被り、マフラーを首に巻き、モコモコの白いダウンジャケットを着
て巨大化した氷雨が震え始めた。
 無理もない。天気予報によれば、今日は暖冬の続く近頃にしては珍しく、最低気温が0度を下回る、
氷雨でなくとも無駄な外出は控えたい冬日だそうで、厚いコートの上からでも、突き刺すような寒さ
を感じてしまう。
 深紅が洗ってくれたのだろう、ガレージの車は静かに月光を反射している。運転席には深紅が座り、
助手席には私が、後部座席には氷雨、時雨、雨音の三人が座り、不運にもジャンケンで負けた水面は
「しんねんそーそーついてねー」
 と嘆きながらトランクに入っていった。
「可及的速やかに参りましょー」
 時雨が腕を振り上げて発進を促した。
 彼女は「初詣の参拝者数日本一」という理由だけで明治神宮へ乗り込むことを強く希望していたが、
そこまで足を伸ばす気力は私たちにはなく、多数決の末、家からそう遠くない場所にある中堅の神社
へ向かうことになった。
 それでも、この辺りには時雨と似た思考回路を持つ人間が多いようで、ハンドルを握ると性格が変
わる深紅をイラつかせる程度の人出があり、手頃な駐車場もなかなか見つからない。
「混んでますね……」
 深紅の運転は荒くなっていくばかりで、ようやくコインパーキングに空きを見つけて車を停めたと
きには、トランクの中の水面はすでにグロッキー状態になっていたが、やはり万葉丸を飲ませてみる
と一瞬で回復した。
873夜行性の怨霊4匹 (9):2007/11/17(土) 00:51:28 ID:SF3eg/He
 いつもなら街灯だけが寂しく灯るこの通りも、今日ばかりは商店のシャッターも下りておらず、真
夜中であることを忘れそうな光景だ。緩やかな石畳の坂を上っていくうちに体も温まってくる。
「うお、すげー!」
 階段を上って境内に入ると、道を挟むように並んだ出店の照明や、木々の枝に通されたライトが煌
々と灯り、そこそこの賑わいを見せていた。
「久世の宮もこれくらい人が来てくれたら……」
「無理でしょ」
 久世家の再興を願う雨音に、氷雨が現実を突きつけた。
「あんな山奥、立地条件が悪過ぎるよ。それにあんたも知ってるでしょ、久世の宮が幽霊屋敷呼ばわ
りされてることくらい。ねえ、怜? それでうちの写真、撮りにきたんだもんね」
 私が幽霊屋敷の名に惹かれて取材に行ったことが、氷雨にはお見通しのようだった。
「……否定はしないけどね。おかげでひどい目に遭ったわ。本当、興味本位で足を踏み入れちゃいけ
ない世界よね」
 螢が今でもぴんぴんしているのは何かの間違いとしか思えないが、古くは柏木秋人、宗方良蔵、そ
れから深紅のお兄さん・真冬さん、そして、優雨。民俗学に関わる者が早死にする法則は、危うく私
や深紅にまで適用されるところだった。
 拝殿前の集団に混じり、しばらく待っていると順番が回ってきた。それぞれ思い思いの額を賽銭箱
に放って、手を叩く。この年齢になってまで神頼みするようなことが私にはなかったので、適当に世
界平和などを願って早々に切り上げ、他の参拝客の邪魔にならないように、そこから離れて皆を待つ
ことにした。
「………………」
 不機嫌そうに鼻をすすりながら手を合わせている氷雨は、時雨や水面がもう少しおとなしくなるよ
うにとか、早く冬が終わって暖かくなって欲しいとか、そういったことを願っているのだろう。
 きゅっと堅く目を閉じた雨音の願いは、合わせた手の力の入り具合から見て、螢絡みのことだと推
測できる。鏡華と雨音が螢から離れますように、と願っておくのを忘れていた。
 水面はどうやら賽銭箱を狙っているらしく、境内と拝殿を仕切るロープを乗り越えようとして深紅
に制されていた。
 時雨は意外にも、仏みたいに穏やかな顔で、静かに何かを願っている。参拝を終えた面々が列を離
れてこちらにやってきても、彼女だけはじっとそこに留まり、ようやく顔を上げたのは数分ほど経っ
てのことだった。
「へへ、お待たせしました!」
「おせーよ、ばか」
 あれだけ初詣に行きたいとごねていた時雨だ。願い事が山のようにあったのだろう。
874夜行性の怨霊4匹 (10):2007/11/17(土) 00:52:21 ID:SF3eg/He
 それから私たちは自由行動をとることにした。
 深紅と雨音はおみくじを引きに、水面と氷雨は出店の方へ、私は時雨がふらふらと何か誘われるよ
うに歩き出したので、仕方なくそれを追うことにする。
 時雨が向かった先は社務所の隣にある開けた場所で、そこではすでに家でしこたま呑んで来ている
と思われる酔っ払いたちを相手に、お神酒を振舞っている巫女さんの姿があった。お行儀よく列に加
わった時雨の隣に私も並ぶ。
「駄目でしょう、あんた未成年なんだから……」
「大丈夫です。こう見えても私、明治生まれですから」
 明治生まれという言葉が嘘でないところが彼女たちの面倒なところだ。氷雨も雨音も水面も千歳ちゃ
んも、見た目が見た目なのでつい忘れがちだが、私や深紅よりずっとずっと年上なのだ。
 やがて順番が回ってくると、案の定、巫女さんは子供丸出しの時雨を見てためらっていたが、時雨
の「こう見えても明治生まれです」理論が炸裂し、無事に紙コップ入りのお神酒を入手できた。
 待ち合わせの場所にはまだ誰も戻ってきていなかった。目印にした太い樹の幹に背を預けるように
して、時雨と二人、ちびりと紙コップの中身をすする。横目で時雨を眺めながら、近頃ビールの減り
がやけに早いのは時雨が勝手に飲んでるせいだろう、と推理していると、
「怜さん、今日は私のわがままを聞いてくれてありがとうございました」
 時雨が急に改まった調子で言うので、私は吹き出しそうになった。
「そう思うなら少しは回りに合わせなさいよ。ずいぶん真剣に祈ってたけど、何か欲しいものでもあ
るの? この神社、あんまりご利益ないことで有名なのよ」
 すると、酒が入ったせいか、頬をほんのり赤く染めた時雨は答えた。
「いえ、そういうのはないんですけど。氷雨ちゃんたち、怜さんたち、螢さんたちと、これからもみ
んなで仲良く過ごせたらなーって、いろいろお願いしてたら長くなっちゃいました」
「なんだか時雨らしからぬお願い事ね」
 それは氷雨たちの願いでも、深紅の願いでも、螢や澪ちゃんたちの願いでもあるだろうし、面と向
かって言うのは恥ずかしいが、私の願いでもある。
「私たち、まだ子供のうちに死んじゃったでしょう? あの頃も十分楽しかったけど、生きてたらま
だまだたくさん楽しいことがあったんだろうなって。多分、その後悔が大きすぎて、霊なんかになっ
ちゃったんだと思うんです。今はこうして元気に暮らせてますけど、またいつ同じようなことが起こ
るかわからないでしょう? だから、今度は後悔のないように生きようと思って。嬉しいことも悲し
いことも全部、楽しめるうちに楽しんでおきたいんです。いつまで私たちがこっちに留まっていられ
るかもわからないですから、できることはできるうちにやっておきたいんです」
 時雨たちが家に入り浸るようになって、それまで辛い出来事が続きすぎていた反動か、こうして皆
と一緒にいられる生活が当たり前のように思えていた私だったが、この平和な日々も、ひょんなこと
から崩れ去ってしまう日が来るのかもしれない。
 時雨は誰よりも自分たちの今とこれからのことを考えている。久世の宮の呪いに囚われ、生と死の
淵を彷徨い、他の誰より生きていることの有難さを感じていなければいけない私よりも、ずっと真面
目に、真剣に。
 普段、そんな素振りを微塵も見せない時雨は、今の今まで私が思っていたような、ただのバカでは
ないのかもしれない。
「それでですね、怜さん。ひとつお願いがあるんですけど」
「なあに?」
 時雨の新たな一面を目にして、子供の成長を実感する母親のように、ほんわかとした暖かい気持ち
になっていた私は、どんな頼みでも聞いてやるつもりで時雨の言葉を待った。
「私、初日の出を見に行きたいんです。ここまで来たんですから、この勢いに乗ってお正月のイベン
トは全部こなしちゃいましょう。文献を紐解いてみますと、そもそも初日の出というものはですね」
 満面の笑みで講釈を垂れ始める時雨。さすがに「いい加減にしてくれ」と思った。

おしまい
875名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 01:28:56 ID:5Wi39Gct
グッジョブ!!
相変わらず読みやすく、時折ニヤリとさせられますな
俺もこういうのを書いてみたいぜっ
書けないけど…
876名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 04:42:36 ID:+4ozH+sU
グッジョブ!

うおおおっ、時雨が・・・時雨がかわいいっ!
877名無しさん@ピンキー:2007/11/17(土) 06:36:41 ID:dqKhfA45
読んでる途中は氷雨の動向に心惹かれてたけど最後の最後で時雨がかわいいと思った
878名無しさん@ピンキー:2007/11/18(日) 22:00:46 ID:mVlRZHNG
じゃあ氷雨は俺が貰っていきますね。
879名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 11:50:06 ID:Hn1bS15M
・・・くっ、遅かったか!

ならオレは千歳ちゃんと・・・ルリをさらって逝くか!
880名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 18:46:23 ID:PfFu4dJ2
厨二病澪

澪「貴様には・・・貴様には負ける訳にはいかないのだ!私は!私はこんなところで倒れはせぬ!!」
紗重「にゃにゃにゃ?体はお化けで出来ている〜」
澪「怒りの右ストレートという名のォォォォォォ!ジャスティスゥゥゥォォォォォォァァァアアアッ!!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・キュウィゥゥ〜ン!ドゥオガォァァァアアアッ―ァァァォォォォォォアアアッ―――ンッッ!!

紗重「グビュンヌゲボァグドゥンジュガハァァァァアアアッ!!」
ベチャッ

澪「貴様程度では役不足だ。出直して来い。姉は返して貰うぜ、お嬢ちゃん。
 繭とはCoCo壱番屋行く約束とCLEVER SLEAZOIDを一緒に歌う約束を前世からしてるのでね」

THE END
881名無しさん@ピンキー:2007/11/19(月) 18:58:09 ID:PfFu4dJ2
厨二病あねさおば@方言

繭「ぐぁ・・・なんだここは・・・!落ち着け・・・落ち着けよ、右腕・・・っ!!」

ビキビキ・・・ゴォォォォォォ・・・!

澪「おのれぇ!前世からの因縁か!!繭こと苦しませるのならこんげな村など消えてしまえ!ヌゥォォォォォォァァァアアアッ!!」

ビュゥゥン!ブシュァッ!!ギギギィィイィイィイイイィィィインッッッッ!!
チュゥゥォォオオンッ!ズドグァァァァァァァァァァアアアアアアォォォォォォンッッ!!!!

澪「大丈夫か、繭!?」
繭「っ・・・あぁ、おここかな・・・へっ、俺とした事がこの程度の事で格好わーれぜ」
澪「気にするな。はよ行こうぜ。多分ババア達が待ってるらろうしな」
繭「あぁ、そうだな。心配してるかもしれねれしな」
882名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 17:17:23 ID:pqmUd3As
元ネタが判らんorz
883名無しさん@ピンキー:2007/11/20(火) 21:44:49 ID:pbj5CPC8
オレも一個しか分からぬorz

・・・しかも猫。
884名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 10:00:47 ID:+/WEpJOF
元ネタ俺もわからんw厨二病姉妹というより漢前兄弟にみえるwW
885名無しさん@ピンキー:2007/11/21(水) 23:40:53 ID:ewvH0O9s
>>854-855 >>857-858の続きです。
当初の予定よりも長くなりそうなんで、今回からタイトル入れます。

>>861
時間を空けて投下した俺が悪い。気にする事ナス!
886雨色の日記 二(1/4):2007/11/21(水) 23:42:51 ID:ewvH0O9s
7月15日 雨
怜に何も聞けないまま、1週間が過ぎてしまった。
彼女たちの「作業」が終わる気配はなく、僕は夕食後のリビングに取り残される。
ソファーで寝転び、雨音を聞きながらぼんやり天井を眺めていると、
「あの会話は聞き間違いではないか」…そんな都合のいい事ばかり考えてしまう。
実際、その可能性はゼロではないが、今の僕に再びそれを確かめる勇気はない。
築き上げたものが崩れ去るのは、一瞬あれば事足りるのだから。

7月17日 晴れ
今日から数日間、高知に滞在する。
以前調べた四国の民間伝承に地元の取材を加え、研究の整合性をより高めるためだ。
取材は初日から順調。このペースで行けば3〜4日で終わるだろう。
仕事に没頭すれば、彼女たちを忘れる事が出来るかも知れない。
例えそれが、一時の逃げに過ぎないと分かっていても。
887雨色の日記 二(2/4):2007/11/22(木) 00:06:22 ID:b773gAaA
7月18日 晴れ
高知取材2日目。
新たな仮説に対し、作家という観点から意見を求めるため、螢に連絡を入れる。
電話での短時間のやりとりにも関わらず、有用なアドバイスを与えてくれた。
細かい資料が見たいと言うので、1週間後に会う約束をした。
螢と久しぶりに会えるのは勿論だが、彼女たちの事を相談出来るのが何より嬉しい。
螢ならきっと力になってくれる。

(7/25 20:00〜 居酒屋『月子』予約)

7月19日 晴れ
高知取材、最終日。
予定より早く仕事が終わり、明日帰ると怜に連絡を入れた。
お祝いに、週末食事に行こうと提案してくれたが、螢との約束があるため断った。
残念そうな彼女に、仕事の話だからと「嘘ならぬ嘘」を付く僕。
写真の選定は順調かとの質問に、当分終わりそうにないと答える怜。
こんな関係こそ、早く終わらせなければ。
888雨色の日記 二(3/4):2007/11/22(木) 01:25:58 ID:b773gAaA
7月20日 雨
高知と違い、こちらでは連日の雨続きで、夜はまだ肌寒い。
家では怜と深紅さんが、豪華な夕食と共に僕の帰りを待っており、土産話をせがんだ。
だが、僕が自室に戻ってしばらくすると、やはり彼女たちは部屋に篭った様だ。
「邪魔者」が居なかったこの3日間、彼女たちは気兼ねなく「作業に」勤しめただろう。
そう考えると、取材中は忘れていた「あの感情が」甦り、体が震える。
僕が抱いているのは恐怖?嫉妬?
今は、それすらも分からない…。

7月21日 雨
螢に仕事が入り、週末会えなくなった。
僕の外出中、彼からの電話に出た深紅さんの話では、「後日また連絡する」との事。
おそらく、いつもの様に連絡が来るのは数週間先になるだろう。

この1ヶ月、部屋で何をしているのか聞き続けて来たが、答えは仕事の一点張りだ。
会話を再び確かめようにも、雨音のせいで内容は聞き取れず、親友に相談も出来ない。
限界だ。これ以上、こんな生活は続けられない。
覚悟を決めよう。明日、部屋に踏み込もう。
889雨色の日記 二(4/4):2007/11/22(木) 02:06:12 ID:b773gAaA
7月21日 晴れ
意を決して踏み込んだ部屋で行われていたのは、写真の選定ではなかった。
だが、僕が懸念していた様な行為でもない……ただの「漫画製作」だった。

深紅さんが、子供の頃に見ていたテレビ番組「縄っ娘!キリちゃん」を元にした
漫画(同人誌というらしい)の製作活動を趣味としており、
それに興味を持った怜が、文字通り「作業」を手伝わせてもらっていたのだ。
仕事と嘘を付いたのは、偏見視される事が少なくない自分の趣味を、
あまり知られたくないと考えている深紅さんへの配慮だった。

「こんなに(ベタが)塗れてきた」「もっと(ペン入れは)やさしく」
「激しく(トーンを)擦り付けて」「(印刷所が)閉まる、(原稿が)落ちる」

インクで黒ずんだ指を原稿に向け、「このページ、私が描いたんだよ」と
無邪気に笑う怜を前に、「2人が愛し合ってると思った」などと言えるはずもない。
「嘘を付いてごめんなさい」と涙を浮かべながら必死にあやまる深紅さんを見て、
僕は部屋に踏み込んだ事を激しく後悔した。

今思えば、彼女たちを信じて、もう少し様子を見るべきだったのかも知れない。
本当に愛し合ってるなら、写真の撮影を理由に外出した方が、よほど合理的だ。
ここ1ヶ月の自分が、酷く滑稽に見えて仕方がないが、
最悪の事態は免れ、全ての不安は取り除かれたのだ。これで良しとしよう。
今夜からは、ぐっすり眠れそうだ…。
                                             (続く)
890名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 02:12:19 ID:b773gAaA
最後の日付を間違えました…orz
性格には7月22日です。
891名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 04:51:34 ID:CMnrsIpM
おぉぅ
日本語って難しいネー
主語が抜けるだけでエロ小説ヨー!!
こういうのって、日常的でエロくて妄想しやすくて好きだ
続き待ってるぜっ

892名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 05:34:55 ID:ufJwyzdi
(続く)って…w
これはまだまだ期待できそうだぜ!
893ハイテンション・クリムゾン@方言:2007/11/22(木) 09:46:56 ID:Thg0yUX1
@蔵
「説明は良いからそこから出てよ」
そうゆうと、長々と何ぞこと語っていた多分わってよりかは年上かなぁ〜という白髪の少年はおここ、どうしょば笑顔こと浮かべたて。
「出られねれんがの、八重」
なるほど。そう言えばこの蔵、入口鍵しまってたわね。
何だかなぁ・・・へーれ。ややこしいよね、この村ってさ。
「仕方ないなぁ・・・。ちーとばかし下がっててね」
「え?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

わっては久しぶりに解放する力にゾクゾクと背中こと快楽が突き抜けるのこと感じたて。
「邪気眼・・・発動ォォォォォォ!破ァァァァァァアアアアアアッッッ――――――!!!」

ゴゴゴゴ・・・キャウゥゥ〜ンピュゥグォオンドゥルルラァアンヌォァイァァァアアァァァアアアォォォォォォン・・・ドゥグォォォォォォォンッッ!!!!

よし、何とか壁こと吹き飛ばせたて。少年は若干固まっていたて。
それはそうよね。わって、邪気眼の使い手のしょ間だもの。
「さぁ、一緒にあねさこと探しに行きましょう」
「ちっとばか見ない間に随分と強くなったね、八重・・・」
苦笑こと浮かべ、少年はゆーたて。
「えへへ♪」
こうしてわっては立花一樹君とあねさこと探すのね。

続く・・・のか?
894名無しさん@ピンキー:2007/11/22(木) 20:25:26 ID:dhdoanzc
あげ
895ハイテンション・クリムゾン保守:2007/11/23(金) 20:10:54 ID:EgEgRW2u
@黒澤家・・・の前
「もうやめてくれァァァアアアッ―――!!」
「離して!この奥にお姉ちゃんが消えたのよ!見たでしょ!?私が、私がどれくらいお姉ちゃんを好きか知らないでしょ!?」
「鍵一緒に探すからッ!これ以上村を破壊しないでくれッッ!!」
私と樹月君はとにかく言い争っていた。邪気眼を使って姉が向こうへ消えた門を破壊するしないでの口論だ。
「・・・仕方ないなぁ・・・」
私は必死に頼み込んでくる樹月くんに根負けした。
そして冷静さを欠き、理性を殺してしまった自分にやれやれと呟いた。
ふとその時―――どくんっ―――射影機の探知機(?)が赤く光った。
「っ!?」
振り向くと三人の村人が迫っていた。明らかな殺気を伴って。
「逃げ道がないね」
樹月くんが苦々しく呟く。確かにその通り、だけどSKN(そんなの関係ねぇ)!!
「私はァ・・・お姉ちゃんにLove!Love!!Loveなのォォォォォォッッッ!!だから強行突破ァァァアアアッッッ!!!!」
私は射影機に邪気眼の力を込めた。
「破ァァァァァァアアアアアアッッッ!!!!」
強大で強大な力を放った射影機は破壊の波動を纏った。

ゴァグォブゥォドゥオォォォォァァァォォォォォングウォォォォォァァァォォォァォォォォォッ!!
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!

よし、37564コンボ決めた。
「片付けた事だし、さぁて、鍵探しに行こうか」
「うん!」

・・・・・・続く、のか解らない。
896名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 19:22:41 ID:1msrWDR/

                      il ー )ヽ)、'´,'´__,ィ,
                      , -‐゙      ´  "ニ、
                 , '/            ヽ_`,
                i、、_!             ン´
                ヽ、゙     ,  , 、 、  、 ヽ
                    ,', - /, '  i ,' ヽ ヾヾ、、`i 'l
               、_彡' ' ,'i,'_l、ヾ l、l_l」i, ,  ミー
                 _ン ゝ、ilrlモi=、 lr'iモiゥ,イ,イン、´     乙だぜ
                      '´,ゝi ー‐' `ヽー‐'l',ィ'、`
               ,  -‐ ´/i,iヽ  __   ,イlヽ、` ‐- 、
               ,<´      /l ' 'l i` 、'/゙`/!l ' lヽ    `ヽ,、
              /  ヽ     /l   ヽ "`´   /   l、ヽ     /  ヽ、
            /   ヽ   /l   ヽ     /   l 、    /    l
         | , '    ヽ  / l /|\ヾ  '/ィ'`iヽ、 l 、,  /    、 l
           /   、  ヽ l` '、´  | i i`V´i l  | _ >' i / ,  i   ヽ
        |,     l   l l   > |  l l ゚//   | \   ヽl l l     ヽ
        /     、ヽ l,l/ , '´    |  l´゙"7   |  \  ヽl l       ヽ
       /  ー- ヽヽ、l/  \   |  ├┤  |     /  ヽ l,__‐--   `、
        /        `〈    \  |   l l   |   /    〉´        ヽ
     〈           \   ヽ  |  l  l  |   /     /           l
        i..、            \  `、 | l  .l |  /   /           /|
      | \            \  l | l  l |  l  /         /::::::|
        |:::::::\         `ゝ、| l   l | l∠         /::::::::|
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        |:::::::::::::::::::::::::::\/、 /ヽ    ヽ /    r'、ヽ/、/:::::::::::::::::::::::/
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       /   V∧::::::::::::::::::::::::::::::l::::゙-'ー'i-'i:::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::| ´ l、
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`ヽ、 _   /--――‐フ< `ヽ、   )、 ̄   ̄`l    , -‐ヽ、___ _ヽ       ヽ
       ̄      , '´   `ヽ ヽ, ィ'-'l      l`ー-、/ , '´ ̄ヽ     `ー――‐'  ̄
             i゛='、____, ゝ‐'ニ-‐´       ヽ _、`´、   , ,',i
           `ー ニニ-‐'´               ヽ 、`二ニ-'
897名無しさん@ピンキー:2007/11/26(月) 19:24:08 ID:1msrWDR/

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    と、ノ     ・゚  ・゚     +゚    *  ヽ、 ⊃
     ~∪    *゚  *゚      *    +゚    ∪~   ☆
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898名無しさん@ピンキー





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