【涼宮ハルヒ】谷川流 the 19章【学校を出よう!】
立て直さんでもいいのに
20章って名前のスレが二つあるけど誘導してあるほう以外は放置して
そういう混乱するこというな。
>>738 お前が宣言せずに立て直すからこうなるんだ、ぼけ
743 :
誘導:2006/07/14(金) 16:32:01 ID:2FD/fykT
744 :
誘導:2006/07/14(金) 16:35:24 ID:JDLw8uM/
19にはすでに誘導レスがはられています。20−2が本スレになります
注意:重複荒らしに反応しないでください
消費の早いスレなので時間順に使っても問題なく使えます
消費順は
>>741,743を参照してください
>>747 他重複スレでも誘導補助ありがとう
2行目にはあまり突っ込みたくないんだけど
君が根っからの悪い奴じゃないみたいだから言うね
>>712のスレ立て宣言が最初、立った順番でも712が立てたのが最初
2番目にたったのが宣言なしに立てられた重複スレッド
君が立てたのが3番目だけど、混乱を避けようとしてやってくれたのはわかる
ただレス番号違いくらいは次で修正すればいい話だから
次からは今みたいになっても乱立せずに冷静に誘導してやってくれ
>>749 >マナーとして俺はなっていない
それが全てだよw
混乱してしまうけど立った順番通り使うのがルールだろ
便宜的に取り計らってやったのに歯向かうなよ。
あの段階でそのままにしておけばすんなり一本化できたのに。
あとから順番どおり使うのがルールとか言い始めたから混乱しちゃう子が20にでてきたんよ
つーかこの程度で混乱すんなよ
頭弱すぎwww
まあでも20スレも落ち着いてるようだし順番どうりでいいかもね。
俺が20スレにもう一回警告かいてそれで終いにすればいいね
とりあえず、ころころID変わってるからまとめとくよ
ID:Rp40nkna=ID:JDLw8uM/=ID:U6g1DYJ/=ID:MTAQXanP
が今のところレスから確定ね
で、ヒントにこれも置いとく
8 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/07/14(金) 16:08:11 ID:Rp40nkna
かづきって書いただけでこんなになるとは思わなかった
もうわかるな?
合言葉はスルー みんなよろしく
>>751 君誰?
議論したいならID変えないで下さい。
>>752 ハゲドウ
単純に時間順に使えばいいだけなのにね。
まあスレ番号で違和感があって気持ち悪いのは分かるけど、大したことでもない。
756 :
755:2006/07/14(金) 18:19:13 ID:H0Nhv6ma
>>754 おkd
ここ以外ではスルーしとく。
もしここに埋めネタが投下されるならここでも完全に黙る。
スレ番を間違っただけで放置するとか別スレ立てるとか
サーバーに負担かけるだけだっつーの
放置したところでどうなるわけでもないし
かづきって書いただけでってコネタの作者って意味なんだけど?!
確かにそんなトコしか見所のないコネタでしたよ〜だ。
だからって変なトコで盛り上がりすぎだっつーの
一応俺が悪いのかなっていろいろやってあげたのに何?
なんか変な流れだけど投下します
ある漫画のパロというかパクリというかなんというかを思いついたので書いた
たぶんコメディ
タイトルは『キョンとドッキリ大作戦』
「急に進路指導中止なんてなー」
放課後、俺はSOS団の部室に向かいながら誰ともなしにつぶやく。周りから見たら怪しいやつに見えるかもしれないな。
実は今日、進路指導なんていう正直くだらんミニイベントがあるはずだったのだが、先生の方になにやら急用ができたらしく中止になったのだ。
一応ハルヒには今日は遅れると言ったのだが、ハルヒのことだ、「そんなの知ったこっちゃないわ!」とか言って何か罰を俺に与えるに違いない。
ホント、理不尽な団長さんだよな……
そんなことを考えている間に部室前に到着した。古泉が廊下にいないということは、中で朝比奈さんが着替えをしていることはおそらくないのだろう。
まあ念には念をだ、ノックはしておこう。
そう思い、ノックをしようとした瞬間、
「会議よ」
といういつになく真剣なハルヒの声が部室から聞こえた。
不意をつかれてあげた手が止まってしまった。
……なんだ? 会議? 今日そんなものがあるなんて俺は聞いてないぞ。まぁ今までに前もって聞いていたことがあったかどうか怪しいもんだが。
なんか入るタイミングを逸してしまったような気がする。しかしどんな会議をするのかも正直少し気になる。
……よし、ここは気づかれないようにドアを少しだけ開けて様子を伺おう。そこ、変態とか言うな。
中にはハルヒ、長門、朝比奈さん、ついでに古泉がテーブルを囲んで座っていた。
「これは綿密なる計算と繰り返しの実験が必要よ。キョンが進路指導から帰ってくるまでにすべてを完璧にしなくちゃならない」
「そうですね、急ぎましょう」
ん? なんだ? 実験? 俺が帰ってくるまでに? どういうことだ?
次々と浮かんでくる疑問をよそにハルヒは続ける。
「それじゃあまず、キョンが部屋に入ったら頭上に鉄球を落とすわ」
……………………はい?
「これを入り口に吊るしておくわ」
今気づいたが、ハルヒの足元には鎖付きの鉄球が置かれてあった。直径50pくらい。うん、こんなん喰らったら軽く死ねるね。
「タイミングが命ですね」
古泉、殴るぞ。
「でもキョンはこのくらいはよけるわね」
「そうでしょうね」
無茶言うな。
「この作戦はキョンがよけてからが本番よ! キョンが鉄球をかわして前方に飛んだその位置に落とし穴を掘ってあるわ!」
……………………
「しかし大丈夫ですか? 後ろか横に飛んだりしませんでしょうか?」
「鉄球をいつ、どういう角度で落とすかよね。よし、キョンが戸を閉めてから落としましょう!」
「……横から振り子のように落とせば逃げ場は前しかなくなる」
長門……
「なるほどね、さっすが有希! よし、さっそくワイヤーの調節ね。みくるちゃん、そっちもって」
「あ、は、はい!」
朝比奈さんまで……
「そしてキョンが落とし穴に落ちたら、爆竹と電流を同時にぶちかますわ」
「す、すごい仕掛けですね〜」
「ふふ〜ん、密かに一カ月がかりで作ったのよ!」
「さすが、涼宮さんですね」
……………………
「そしてびっくりしているキョンの上にはなにかの紐があって、引っ張ると大量のみくるちゃんコスプレ写真がくす玉から出てくるの!
これが『びっくりさせられたけどみくるちゃんコスプレ写真いっぱいで±0のドッキリ作戦』よ!」
…………………………………………
「そそそそんな写真いつのまに撮ったんですかぁ!」
「そんなこと気にしないの! じゃあ早速リハいくわよ!」
「わかりました」
「ぅぅぅ……は、はぁい……」
「…………(コク)」
……とりあえずここから離れるとするか……
ズドン!! バリバリバリバリ!!!!!!
パンパンパンパンパーン!!!!!! ドン!!!!
バキバキッ!!!! ドゴッ!! バリバリバリ!!!!
「きゃあ!」
「うわっ!」
「大丈夫!? 古泉くん、みくるちゃん!」
「はいっ」
「な、なんとかぁ〜」
「……」
「みんな、頑張るのよ、頑張りましょう……そうすればもうすぐキョンの驚く顔が見られるのよ……」
最後にそんなやり取りが聞こえた。やばい、こいつら、マジでマジだ――
それなんて清村くんと杉小路くんと?
一時間後――
ああ……結局戻ってきてしまった……
俺は再び部室前に立っていた。本当はあのまま家に帰ろうとも思ったのだが、そうしたらそうしたで後で更なる地獄が待っているかもしれないと考えたからだ。
覚悟を決めるんだ俺! ただし死ぬ覚悟じゃない! 生き抜く覚悟をだ!
深呼吸をして俺はドアをノックした。
「はぁい」
甘ったるいエンジェルヴォイスが聞こえる。しかし俺は知っている。そこは天国ではなく、地獄であるということを――
最後にもう一度深呼吸をしてドアを開けた。
そこにはわざとらしいほどの笑顔をした(実際わざとなのだろう)ハルヒ、いつもの嫌な微笑を携えた古泉、顔の引きつった笑いをしている朝比奈さん、そして無表情の長門がいた。
全員どことなくぼろぼろのように見えるのは見間違いではないはずだ。
「ずいぶん遅かったわね」
平然とそんなことを言うハルヒ。
「ああ、悪い……」
そう返事をし
俺は
ドアを
閉めた
刹那、かつて感じたこともないようなプレッシャーが俺の右から迫ってきた!
いや、俺はこの感覚を知っている。これは朝倉に殺されかけたときと似――なんて回想してる場合じゃねえ!
「ぅぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
今まで出したことのないような雄叫びをあげながら、俺はとにかく前にジャンプした。
それこそ立ち幅跳びの世界選手権があったら六位入賞はできるくらいの勢いで。
『ブゥーン』と重い風が、俺が一瞬前までいた場所を通ったのが感じられた。マジ危ねぇ……
そして無事に俺は着地をした。何の変哲もない床へ。
……あ、あれ?
どうやら落とし穴が掘られた床を跳び越したらしい。
そぉっと目の前に座っている四人の顔を見る。
ハルヒ、古泉、朝比奈さんは口をあんぐりと開けていた。信じられないようなものを見る目で……古泉のこんな顔はレアだな。ちなみに長門はやっぱり無表情。
いや! そんなことよりもどうする! この空気! 俺にはどうすることも……
否! 答えなんぞ最初からわかっている! やるしかないんだ!
「う、う、うわあすべったァアア!!!!」
言うが早いか、俺は後ろに向かって飛んでいた。そう、落とし穴に向かって!
ズドォン!!!!
今度こそ俺は落とし穴にはまっていた。さらば、我が人生!
「うわあーーしびれるーー!!!! 爆…ばく…ば…あ、あれ?」
電流が走り、骨が透けて見える体になるかと思いきや、何も起こらなかった。
しかし俺の足元にはちゃんとそれっぽい装置が置かれている。
つまり、これは
不発――――――
「…………あ……こ、これなんだ?」
完全に固まっている三人(+一人)を一瞥して、目の前に垂れていた紐を引っ張る。すると上にあったくす玉が割れ、中から二十枚はある朝比奈さんのコスプレ写真が出てきた。
「うわー! 朝比奈さんの写真がいっぱいだー! こりゃびっくりしたけど嬉しいから±0だー! うわはははは、は、は……は…………」
「……………………」
「……………………」
「……………………」
「……………………ユニーク」
ど完
元ネタ知らないとなんだこりゃって感じかもしれない……
まあいいや
増えたな
ID:Rp40nkna=ID:JDLw8uM/=ID:U6g1DYJ/=ID:MTAQXanP=ID:TDO6aaUC
か
あのノリは小説じゃ伝わらんて。
まぁ、埋めネタ乙。
スレが終末じゃなければきっと叩いてた。
>>767 うんごめん。元ネタしらないからなんだこりゃ状態
けど、流れを変えようとしたあなたは勇者
乙です
スレ埋めにきました。3レスいただきます
[2章]
暑い。全身の汗腺がフル稼働を始める。
何故なら今は初夏で俺は冬服を着ているから、当たり前だと言われれば何も言い返すことが出来ずに
ただ黙ることしか出来ない。
ブレザーは脱ぐことができるが、冬ズボンだけは当然のことながら脱ぐことが出来ず、汗で裏地が
ぴったりと密着する。毎度の事ながらこればっかりは慣れないね。
余談だが、この時間に来る際古泉は目隠しをしていた。本人いわく「そこまでしなくても決して目を
開けませんよ」と抵抗したのだが、すったもんだの末朝比奈さんの「ごめんなさい。強制コード
なんです」というお言葉に肩を落としつつも従った。やはり薄目で見るつもりだったのか。
さて、俺たちが今どこに居るのかというと……東中学校、ハルヒと谷口の母校の屋上に居る。下を
見下ろせばもちろんハルヒの地上絵(といっても描いたのは俺だが)が、あるわけで……しみじみ
思うね。
ああ、またこの時間に来ちまったんだなぁと。
「これ」
長門が銀色の小さな塊を差し出してきた。手の平に隠れるサイズの拳銃みたいなものだ。俺にこれを
使えってことか?
「情報統合思念体とのリンクを切断するプログラム」
それだけを告げ、朝比奈さんの手を引いて屋上出口へと歩き出した。「ひゃぁっ!?」と可愛い疑問形の
悲鳴を上げつつ引きずられていく。
ああ、可愛らしいなぁと和みながらそのお姿を見送っていたわけだが、眼福に浸っている場合ではない。
我に返り慌てて呼び止めた。
「おい待てって長門。どこ行くんだ?」
ぴたりと静止し、振り返った。
「あななたちはここでジョン・スミスを阻止する。私たちはあなたの保全に向かう」
「俺の保全?」
「ジョン・スミスがあなたに取って代わる場合、あなたが北高に入られては不都合。過激派はあなたに
対する情報操作を行うと思われる」
なるほど。俺が北高に来られたら困るのはわかる。兄弟でもないのに同じ顔が二つあったら誰だって
疑問に思うだろうしな。でもどんな情報操作を受けるんだ?整形か?
「学力レベルを下方修正すると思われる。程度としては北高に入学出来ないレベル」
すまん。現状ですら遠まわしに予備校を薦められるくらいのきわどい学力なんだ。それをさらに
引き下げられると……そうなった時の母親の態度を想像するだけで血の気が引く。おまけにあの谷口よりも
下のレベルになる現実を想像するだけで……すまん、首吊りたくなってきた。テルテル坊主になって何もかも忘れ去りたい。
「えぇと、キョン君の頭を悪くするってことですね?」
ごめんなさい朝比奈さん。長門とともに是非とも俺のなけなしの学力を守ってやってくださいませんか。
その後、長門は思い出したかの様にこれから現れるジョン・スミスのことを俺と古泉に伝え、朝比奈さ
んと連れ立って屋上を後にした。
長門の説明によると、ジョン・スミスは過激派が神人を解析して作った、長門とは異なるタイプの端末
だとか、その都合上閉鎖空間を発生させてその中から出現するとか、長門にしては珍しく饒舌だったが
……まあ、俺が理解できるはずもない。
なんたって俺は一発っきりの弾丸を必中させなければいけないという、背後に人を立たせてはいけない
人もしくは赤いコートの平和主義者みたいな芸当をしなくてはならない訳だ。
古泉が理解しているならそれでいい。今は狙撃のことだけを考えさせてくれ。
忌々しい閉鎖空間が発生するまでの待機時間。俺は銀色の銃を睨みつつ狙撃のシミュレートをしてみた
わけだが、当然のことながら俺に狙撃の経験などない。強いて言うなら縁日の射的を数回経験したこと
くらいだが、それで何か景品を獲得した記憶など何処を探しても見つかりはしなかった。動かない標的
にすら当てられないこの腕前で一体、動く敵をどう狙えばいいというのか。
具体的なイメージが湧かないまま時間だけが過ぎて行き、まあ、なるようにしかならないさとポケット
に銃を押し込んだ。
手持ち無沙汰になりふと古泉の方に目を向ると、奴もそれに気付いたらしく微笑を投げかけてくる。
……やめろ気持ち悪い。この状況の何が楽しいんだ?
「あなたは慣れているでしょうけど、僕にとっては初めてのことでしたからね」
「何がだ」
「時間移動ですよ。まさか僕が当事者になれるとは思っていませんでした」
「ああ、お前はタイムトラベラー志願者の気があったな」
「半ば諦めていたんですけどね。しかしあれは衝撃的でした。不謹慎ながら、朝比奈さんとこの状況を
作り出してくれた長門さんの敵には心から感謝したいですね」
そう笑顔で話す古泉は興奮冷めやらぬようだった。まあこんな状況ながら夢が叶ったんだ。こいつの力
が必要になるまではこの余韻に浸らせてやってもいいだろう。
「後は、時間移動する瞬間を目撃できれば思い残すことはないんですけどね……」
心配するな。帰りもきちんと目隠しをするよう、朝比奈さんには申し添えしておくさ。
「さて、僕たちも出番のようです」
今までの幸福そうなニヤケ面から真剣なニヤケ面へと表情をメタモルフォーゼさせ、古泉がこちらへと
近づき手を差し出してきた。
「つかまって、目を閉じてください。すぐに終わりますから」
わかってるよ。お前とちがって他人の秘密を暴こうなんてしないさ。
そう言いつつ古泉の手を握り目をつむる。しかし、朝比奈さんの時も緊張するが、お前の時も緊張する
な。
誓って言うが、朝比奈さんの時は俺の青少年の心がドキドキし、こいつの時は「他人が見たら誤解する
んじゃないだろうか」とビクビクする訳だ。誤解なきようお願いしたい。
「では、行きます」
と、古泉が進むのに従い俺も足を動かす。数歩進んだところでストップ。手を離し目を開けてみると、
何度か踏み入れたことのある灰色世界が迎えてくれた。ずいぶん久しぶりのことなのに、ちっとも懐か
しくないのはどういったことだろうね。
しかし、そんな非常識空間に思いを馳せるよりも先にやらなくてはならないことがある。
「敵は?」
閉鎖空間内に現れるはずのジョン・スミスは屋上には確認できなかった。ということは、ここではない
何処かに奴は居るということだ。
「どうやら、アレがそうらしいですね」
古泉にが校庭へと視線を下ろしているのを見て俺もその方向を向いた。
ハルヒ絵の中央付近に青い光が集まっているのを確認し、俺たちは階段を駆け下り校庭へと躍り出て、
それを目撃した。
「な……」
「おやおや、やはりですか」
わかっていたけど、それを見てやはり驚いた。だってそうだろ?そこには俺と瓜二つ、服装まで全く同
じ奴がいたんだから。
ただ、俺が銃をポケットに入れているように、奴も武器をしっかりと右手に携えていた。
ジョン・スミスは、何処かで見たようなナイフを握り、めんどくさそうな目をして立っていた。またナ
イフか。朝倉といいこいつといい本当にナイフが好きな奴らばっかなんだな、長門の親玉の親戚は。
>>773 GJ 続きを激しく所望する
>>767 俺は元ネタ知らなくても楽しめたよ
住民の中には一部厳しい奴もいるが、感性なんか人それぞれだしな
次の投下をwktkしてる
なにはともあれGJ
GJ!!
778 :
18-352:2006/07/14(金) 19:31:35 ID:7rrRgapN
お粗末な埋めネタを。超即興なのでまとまってないのは正直スマンカッタ。
『重複世界』
真っ赤な布に直進する闘牛も真っ青の勢いで文芸部の部室に飛び込み、ドアを閉めてその場にへたり込む。
まったく、どうなってやがる……。
髪をくしゃくしゃになるまでいじっていると、荒くなっていた息もすっかり落ち着き、
こんなときでも文芸部室で本を読んでいるのが逆に有難い万能宇宙人に事の次第を話すことにした。
だが……困った。何から切り出したらいいかわからない。
「長門、大変だ」
数少ないボキャブラリーから簡潔に今の状況を示す言葉を探す。長門に説明するためというよりは、自分を落ち着かせる行為に近い。
そして一足先にクールダウンした俺の口は台詞を紡ぎだす。
「世界が重複してる」
本当に突然のことだった。何が原因だったのか、今をもってしてもわからない。
しかしそれでも、最終的に「そうか、ここはパラレルワールドなんだ」という結論に達した俺の頭脳に拍手だ。
何より混乱したのは、どこの世界に行っても何も変わっていないということだった。
だってそうだろ? SFにおけるパラレルワールドとは、間違い探しのような微妙な違いがあってこそのはずだ。
そして混乱のタネがもう一つ。同じく全ての世界に共通していることは「まともに進行しない」ことだった。
どの世界においても俺は同じシチュエーションを繰り返し、同じ日付のまま別の世界へと飛ぶ。翌日が来ることは決してなかった。
長門は黙って俺の話を聞いている。いや、聞いているだけだった。
今になっても何かを始めようとする気配はない。
こうして手を拱いているということは、大して慌てなくてもいい問題なんだろうか。
「何か、俺たちにできることはないのか」
「全ての決定権は涼宮ハルヒにある」
またハルヒか。まあ、予想はしていたがな。
「涼宮ハルヒに気に入られた世界のみ、時間の進行が許される」
なら、他の世界はどうなる? 同じ日を延々とループした挙句に消えちまうのか?
初めて体験した「異世界」で出会った、俺の袖を引っ張った儚い文学少女の記憶がフラッシュバックする。
「わからない」
長門の口からだけは、最も聞きたくなかった言葉だった。
「一つの世界が選ばるのと同時に姿を消すか、来るべきときまで存続して新たに主導権を握るか、わたしには判断しかねる」
ハルヒが決定するとは、どういう意味だ。
「涼宮ハルヒの存在が最初に確定した世界が、現行する中での真の世界となる」
お前は……俺たちはどうすればいい。
「わたしは彼女の意思に追従するのみ。恐らく、あなたも、SOS団も。その他の住人も」
……やれやれ。
「心配はいらない。どの世界が選ばれようとも、わたしたちは何も変わらない」
それだけだな、救いと言えるのは。
それに、と長門は続ける。
「どこに行っても、わたしは皆といられればそれでいい」
目眩がしたね。できれば皆ではなく。俺を指名してくれればなお良かったが。
「……してほしい?」
妄言だ。流してくれ。
長門はいつもより長く三点リーダを生成したのち、「そう」と言って読書に戻った。
やれやれ。
正直に言おう。俺も長門と同意見だ。
場所が変わっても、ハルヒやSOS団、アホの谷口や国木田、それにあんたらスレの住人と一緒にいられるならそれに越したことはない。
そのうち、ここの扉を開いてあの迷惑我侭トンデモ女が騒ぎ出すだろう。
それがどの世界なのか、引いては、俺が今いる世界と同じ場所なのか、それは誰にもわからないがな。
まあ、ハズレでも気長に待つさ。
ハルヒが来なくても、いずれあんたらが動かしてくれるんだろう?
荒れに乗じてメタ全開のネタを書くのも、人によっては敬遠されるんじゃね?
埋めネタ。面白くもなんともないんでアレだが、まあ、埋めってことで、3レス。
その日、部室にいたのは俺と長門だけだった。
ハルヒは用事があるとか言って、さっさと帰ってしまったし、朝比奈さんは部室に顔を出した後、
迎えに来た鶴屋さんと一緒に帰宅した。たぶん、一緒に何かの買い物にでも行くんだろう。
もうすぐ夏だしな。古泉はバイトらしい。大方、例の機関とやらの用事に違いない。
ハルヒ絡みでなければ良いのだが。
長門は窓際でパイプ椅子に座り、例によって分厚いハードカバーに視線を落としている。
静かな部室の中に、一定の間隔でページを捲る微かな音が流れる。
俺は、何となくそんな長門の様子を視界の隅に捉えつつ、その向こうに見える窓を眺めていた。
窓を濡らす水滴。土砂降りって程ではないが、結構な勢いで雨が降っている。
気だるい気分で、俺は長テーブルに向い、頬杖をつきながら思わずため息を漏らした。
季節は梅雨だ。雨が降って当たり前の季節だ。梅雨に雨が降らないと、水不足やらで作況指数が
悪化し、その結果、農作物高騰やらで、母親の機嫌はバブル崩壊後の株価のように低迷することは
間違いない。それは、バタフライ効果のごとく俺のサイフの中身に影響を与えるだろう。
母親が、やりくりの最終手段の四つ手前くらいで、俺と妹の小遣いをターゲットにすることは
高確率で予測できるからな。だから、雨が降ることには何ら文句はないし、
よって、雨が降っていること自体に文句を言うつもりもない。
しかし、これだけは言わせてくれ。なぜ今なのかと。
雨粒が窓を叩く音が大きくなったようだ。湿った空気が身体に纏わりつくような気がする。
この鬱陶しさは何とかならないものかね。俺は、湿度が高いと気が滅入ってくるんだ。
いや、気が滅入っている最大の理由は湿度ではない。そんなことは解っているさ。
そう、実際の問題は、傘がないことだ。傘がない。何十年前の曲だ、それは。
歌ってたのは、アンドレ・カンドレだっけ?
さて、どうしたものか。結局、濡れ鼠になるのを覚悟するしかないのか。
できれば、あまり濡れずに家まで辿りつきたい。
びしょ濡れになるのは気持ちが悪いし、風邪引くをかもしれない。
それに、雨の中を走るのは危険だ。雨の中で傘を差さずに踊るのはもっと危険だ。
別に俺は、自由とはどういうことか、なんて崇高なことを考えているわけじゃないんだからな。
校舎内に置き傘がないか探そうとも思ったが、誰のものか解らないものを勝手に借りるのは
まずいだろうと思ってやめた。後々気まずい思いをするのは御免蒙りたい。
国木田や谷口は、もう帰っただろうし、そうなると、俺の知っている、俺が頼れる人間は、
ここにいる長門だけってことになる。いや、長門は人間じゃないんだけどな。
長門に頼んでみるか。そう思いながら、俺は、寡黙な読書少女の横顔に視線を向けた。
黙々と読書に励む文芸部員。その横顔を見ているうちに、こんなことで長門を頼りにするのは
人として間違っているんじゃないだろうか、そんな思いが湧いてくる。
長門は、ネコ型ロボットなんかじゃないんだ。こんなことで長門に頼むなんてどうかしてる。
ここは、天は自ら助けるものを助くの精神で、危険の少ない、できるだけ濡れずにすむ帰宅方法を
考えることにしよう。
どうしたら最小限の被害で家に帰れるかをうだうだと考えていた俺の脳ミソに、ある考えが浮かんだ。
よく考えてみると、雨の中、歩いても走っても、結局、同じ距離を移動するわけだから、
濡れる量は一緒なんじゃなかろうか。なら、危険を冒して走って帰るよりも、
歩いて帰った方がいいのではないだろうか。
そう思った俺は、あまり考えずに、その疑問を口に出していた。
「やっぱり雨の中、傘を差さずに移動する場合、走ったほうが濡れないんだろうか」
何を訊いているんだ俺は。そんなことは当然じゃないか。すまん、長門、聞き流してくれ。
実際、傘持ってない状態で、いきなり雨に降られれば、みんな走るし、俺も走る。
理屈は知らん。でも、当たり前のことだろ?
そうさ、当たり前だ。あたり前田のクラッカー。これも古いな。
現実逃避気味に、どうやったら悪事に手を染めずに数十億の借金を二十年で返済することが可能に
なるのか、という高尚な問題に囚われそうになる思考を、どうやって出来るだけ濡れずに家まで
帰るかと言う当初の問題に引き戻しつつ、何気なく顔を上げた俺の視線は、長門の穏やかなとも
思える視線と絡み合った。
長門の唇がゆっくりと開く。
「水滴が静止しているものと仮定する」
いや、それは、別に答えを期待してたわけじゃないんだが……。
というか、走ったほうが濡れないと思うのは、当たり前だろ?
なぜかと訊かれてもちゃんとは答えられないが、たぶん、早く着くからだ。
「その中を移動する場合、濡れるのは身体の進行方向のみ」
続けるのか、長門よ。まあ、暇だから付き合うさ。そもそも俺が訊いたことだしな。
で、濡れる部分か。たしかに、雨粒が全て空中で静止しているとするとそうなるな。
降ってこないのだから、身体の上は濡れないわけだ。
「その場合、濡れる量は、進行方向に向いている身体の表面積に比例する。時間は関係ない」
そうだな。雨粒が静止しているなかを進んだとき、受ける雨粒の量は、痩せてる人は
少ないだろうし、太った人は多い。うん、それは解る。
なんだか物理の授業を聞いてるような気もするが。
「時間が関係ないのだから、それは、移動速度とは関係しない」
え? そうか。走っても歩いても、同じ距離なら、確かに俺が受ける雨粒の量は同じだ。
同じ表面積なんだから。と言うことは、走っても歩いても濡れる量は一緒ってことか?
「現段階の前提は、水滴が静止していること。実際には、水滴は降り続けている。
降り続ける水滴によって濡れる量は、水滴を受ける部分の表面積と、経過時間に比例する」
そりゃそうだ。雨の中に十秒いるときと、十分いるときでは、濡れる量は明らかに違う。
と言うことは、つまり、走った場合と歩いた場合では、身体の表面に受ける雨粒の量に違いは
ないけど、雨粒の中を移動している時間が長いほど、より頭が濡れるってことだな。
「そう」
じゃあ、やっぱり走ったほうが濡れる量は少ないのか。なるほど。
と言うことは、今までわけも解らず、雨が降ってきたら本能的に走ってたけど、
それは、理に適った行動だったわけだな。ほほぉ、よくしたものじゃないか。
あれか、昔からの言い伝えは、実は、理に適っているとか言うアレだな。少し違う気もするが。
でも、少しばかり感動したぜ。
……で、だから何だというんだ。
理屈が解ったからと言って、目の前の問題は何一つ解決してないわけだ。
さて、どうしたもんか。
走って帰ろうが歩いて帰ろうが、雨に濡れることは規定事項だ。どちらの方法が、より濡れずに
済むかなんてことの理由を知ったところで、濡れて気持ち悪い思いをすることには違いはない。
「はあ……」
俺は、ため息を吐いて、テーブルに突っ伏した。
パタンと言う本を閉じる音がして、長門が動く気配を感じた。
長門は傘持ってきたのかな。そう思いながら、いや、こいつのことだから、傘がなくても
濡れたりしないで家に帰れるだろう、なんてことを考えていると、後ろから肩を突付かれた。
「え?」
そう言いながら振り向くと、そこに長門が立っている。
ぼんやりと立っている長門は、帰らないのか、そう訊いているようだった。
「俺、傘持ってなくてさ。もう少し小降りになるまでここにいるよ」
そう言った俺の目の前に、長門が折り畳み傘を差し出してきた。
意味が解らずに、差し出された傘に見入ってしまう俺。
「貸してくれるのか? お前はどうするんだ?」
「一緒に」
「なんだって?」
「わたしの家まで一緒に来れば、ビニール傘がある」
なるほど。相合傘で長門の家まで行って、後は、長門の家にあるビニール傘を借りて帰れば
いいってことか。そうだな、そうするか。
「助かるよ、長門。ありがとな」
「いい。それに、先程の話で気になることもある」
「なんだ?」
「濡れる量は、時間経過と反復回数に比例し、到達点において最大となる」
「…………」
「濡れることは気持ちの悪いことばかりではない。それを確認したい」
……それは一体、何の話でしょうか?
__ __
/:::::::::::::::ヽ
_/ ;;ヘ-、
〈/:::::::::::::::::::::::::::;;V/
/l::::/:::::,'::::::::i:::;;l:;!:ハ 中はだめ
~|::::l:::::/:::::::::l:::;;l;;i:!」
ヽ:{::::{:::::::::/;;;;/;;;:リ 後ろもだめ
,,.-ト{八::::/リj/V-..,
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