コヨーテラグタイムショーでエロパロ

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603名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 19:06:01 ID:a9RCdHlx
その市きっての高層ビルは、アールデコ様式とビザンチン様式が折衷された壮麗な尖塔で、その都市に蔓延する奔放な快楽主義を誇示していた。
そして今、そのビルの最上階にあるフロアーでマダム・マルチアーノとエイプリルは間違いなくパーティーの主役だった。
肌も露わなドレス姿でいずれ劣らぬ海千山千の男達と笑顔で談笑する「お母様」を見て、素直に敵わないなとエイプリルは思う。
実際のところ配下の賭博場が相次いで襲撃を受けたうえメイが行方不明、ジュライは得体の知れない情報提供者とベッドを共にしているという
状況でタフな女ボスを演じなければならない重圧はどれほどのものだろうか?
かくいうエイプリルはといえば、先刻からしきりとモーションを掛けてくる脂ぎった大男に向かってドレスの下の太腿に装着したホルスターに
収まった愛用のゴールデンルガーを引き抜き、引き金を引こうとする衝動を抑えるのにありったけの忍耐力を動員していた。
エイプリルがその男に気付いたのは、自分に付き纏っていた大男が飲み物を取りにいった時だった。その男は目立たないスーツ姿でフロアの隅
にただ佇んでいたが、軍隊風のクールカットに刈り込まれた髪型と整ってはいるが剣呑に顰められた顔付きは男を牧羊犬の中に紛れ込んだドー
ベルマンのように見せていた。
「楽しんでるかしら?」
黒髪に黒のドレスを纏った目の醒めるような美少女に話しかけられた男は表情を変える事もなく
「それなりに」と答えた。
男の素性に興味を持ったエイプリルが会話を続けようとしたとき、怒り狂った大男が割り込んできた。
「一体何をやってるんだ?」
大男はまだ青年といってもいい男の襟首を掴んで引き寄せると凄みを利かせた声でいった。
「こいつは一体何のまねだ?」
「ただおしゃべりしていただけよ」
大男はエイプリルの前で自分の大物ぶりを見せ付けるいい機会だと考えたらしく、彼女の言葉を無視すると青年に向かってまくし立てた。
「いいか、よく聞けよこの青二才。このお嬢さんはな、俺のフレンドなんだ。てめえみたいなケチな三下が口をきいていい相手じゃねえんだよ。
わかってんのか、あ?」
「よく分かってますよ旦那」
「てめえを虫ケラみたいに踏み潰してやってもいいんだぞ、だが今日のところはこのお嬢さんに免じて見逃してやる。ありがたく思うんだな。
わかったか、このヒヨッ子(チキン)」
「わかりましたよ」
「俺は17人殺してる」大男は身を乗り出していった。「てめえは何人殺した、腰抜け?」
「ざっと400人から450人といったところだ」
青年が答えると大男の顎ががくんと落ちた
「ついでにいうと俺が殺した連中はみんな俺を殺そうとしていた。奴らは榴弾砲や戦闘ヘリやATを持っていた。あんたが殺した連中は多分
自宅のソファに寝そべって『NYPDブルー』でも観てたんだろう」
馬鹿にされたと感じた大男は即座に反応した。彼は知性よりも容赦のない凶暴性をもって現在の地位を築いた男で、
実際17人のうち8人は素手のストリートファイトで殺している。
だが青年は大男の大振りのパンチを上体の動きだけで躱すとショートレンジから放った右のジャブの一撃で大男の肋骨を叩き折っていた。
大男が鼻血を出して崩れ落ちると人ごみを縫って上等なスーツを着た垢抜けた男が近づいて来た。
「君の仕事は私をトラブルから守ることで君がトラブルを起こすことじゃないんだぞ!」
「正当防衛ですよベッカーさん」
優男はエイプリルに気が付くと一瞬ぎょっとした顔になり、
「失礼しますよお嬢さん」とそそくさと退散にかかる。
気が付くとエイプリルは優男に続いて立ち去ろうとする青年に声を掛けていた。
「貴方、名前は?」
「キリコ、キリコ・キュービィだ」
604名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 19:13:12 ID:E94JBNeh
盗まれた過去を探し続けて〜
605名無しさん@ピンキー:2006/11/15(水) 20:11:38 ID:8XDMbqaC
相も変わらずのゴッタ煮ぶりが素敵だw
606名無しさん@ピンキー:2006/11/16(木) 20:50:04 ID:7PjDPUNs
翌朝
マルチアーノ邸の食堂ではテーブルについた三つ子の前に
あいだに茶色がかった赤を挟んだ白い長方形が運ばれてきた
「またコンビーフサンドイッチ〜?」
「ご免なさい、すぐジャニアリィと朝のパトロールに出なきゃいけないの」
メイが行方不明になってからというもの殲滅戦にしか使えない三つ子を除く姉妹達は
多忙を極めている
フェブラリィなどは市の交通システムから家庭の防犯カメラまであらゆる回線に侵入し
情報収集を行っていたのだが電子脳にヤヴァイ負荷がかかったらしく突然
「銭形警部と五右衛門が伝説のヌーディストビーチであくせЖ&*Ф@%¥ふじこ!!」
と叫び出し現在ニルソンのラボで入念なメンテを受けている
「ヘイヘイヘイ、今時スパムの缶詰なんてクラウト(ドイツ野郎)だって跨いで通るぜ」
「ルーズベルト供与いらな〜い」
「シェフを呼べシェフを!!」
あまりといえばあまりな物言いに思わず拳を握りしめたセプの背後からゆらりと進み出た
影ひとつ

ガカァ!!

ペ●サ▲流■拳のような効果音とともにジュライの両眼が見開かれる
「コンビーフサンドイッチダイスキー」
「コンビーフサンドイッチサイコー」
「アーメンハレルヤファッキンワンダフル」
恐怖にこわばった顔に無理矢理笑みを浮かべてサンドイッチを頬張る三つ子の姿を見て
ジュライだけは決して敵に回すまいと固く心に誓うセプだった
607双子編も途中だというのに:2006/11/18(土) 09:03:57 ID:o+aeU/BB
録画しといたBLACK LAGOON見たら猛烈に銀さん×ジュライがやりたくなってきた
608名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 11:09:02 ID:8t7xdWCK
ここにいる、7氏の作品や
>>277
からスタートした「脱出スイッチが無かった場合」を読んで、SSに興味を持って、
初めてSS書いてみてたんですが、文章力の低さとエロパロではない普通の2次創作なので、
投下したいんですが、スレ荒れちゃいますかね?

話の内容は、グレイスランドの一件が終了した、その後の話となっています。
609名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 22:41:01 ID:06ZS/X5K
>>608
とりあえず、どこかのアップローダにテキスト型式で上げて、お試し版みたいな形で
読んでもらうってのはどうかな? (パスワードかけておけば、ここ見てる以外の他人に
読まれる心配は殆どなくなるし)
610608:2006/11/19(日) 17:40:06 ID:VmazdEYB
試しに最初の部分をアップしてみました。
エロはなしです。

ttp://up2s1.jpn.org/src/fuj0197.txt.html
611608:2006/11/19(日) 17:41:21 ID:VmazdEYB
すいません、
ragtime
キーです。
612名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 00:45:11 ID:u5MOK2Na
>>611
読んだよ。キャラクタの特徴が上手くかかれていて、いいんじゃないかな。ジュライも活躍してるし。

ただ、個人的には台詞以外の部分でも、12姉妹の呼称は本名の方(ジャニアリーetc)の方が
作風に合ってるような気がした。(あくまでも個人的な意見だけど)
613608:2006/11/20(月) 01:04:58 ID:UrU9YC5U
>>612
そうですね、書き始めた最初のほうは結構ふざけて書いていたところがあって、
9月とか10月とかって書いてたんですけど、
途中で直そうかなと思ったけど、量が多くて大変なのでそのままっすね。

614名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 01:07:47 ID:u5MOK2Na
>>613
エディタの置換機能を使えばいいのでは?
615608:2006/11/20(月) 10:02:22 ID:UrU9YC5U
ありがとう、恥ずかしいけど、そういう機能があるの知らなかった。
616名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 00:23:31 ID:PMxUO/Sy
>>614
ガンガレ! 内容的には全然問題ないと思うから、>>612の指摘箇所を直せば
ここにUPしていっても良いと思われ。


っていうか、燃料ください…orz
617608:2006/11/21(火) 01:39:11 ID:YDickdcj
>>616
では、指摘箇所を直し次第、投下します。
また、608のお試し版は削除します。
618608:2006/11/21(火) 01:42:11 ID:YDickdcj
〜 前置 〜
アニメの最終回のその後のストーリーです。
ただし、セプは死んでいないという点が変更されています。

主人公は一応セプです。(主人公っぽくないけど)
設定に好感が持てるのに、アニメでの扱いが、あまりにもかわいそうだったので、情が移りました。

後、オリキャラは登場しません、(正確にはオリジナルの固有名詞)
従って、新たに出てくる敵等(ギルドの追っ手etc)は名前でなく、役職名とか男とかで表記されます。
読みにくいかもしれませんが、ご了承ください。
619608:2006/11/21(火) 01:43:16 ID:YDickdcj
 グレイスランドで、マルチアーノが空に散ってから、3ヶ月が経っていた。
 エイプリルは、母親である、マルチアーノの敵を討つべく、ミスターの後を追う事を決意、
しかし、生前マルチアーノは、ギルドに反旗を翻したため、12姉妹はギルドから追われる身となっていた。
 ハンター・ベネットが敗北してからというもの、静観していたギルドであったが、マルチアーノの死を知り、反撃に転じたのである。
 今までは、政治家を抱きこみ、12姉妹に、銀河連邦警察(以後GP)の手が及ぶことはなかったが、
敵対したため、指名手配の身となり、GPから追われる身ともなっていた。
 また、ギルドは12姉妹に多額の懸賞金を懸け、また情報提供者にも、金を払い。姉妹の居場所がわかれば、処刑隊を差し向けていた。
 12姉妹のリーダーであるエイプリルは戦力を二手に分け、一つはミスターの追跡、もう一つは、追っ手の迎撃に回していた…。

 とある惑星の、人里から10キロ以上離れた所にある廃工場。
 工場といっても、鉄筋コンクリートで出来た様々な施設が立ち並び、広さは200メートル四方程、中学校くらいの広さ、
既にこの惑星の恒星は沈み、辺りは既に暗くなっている。
 荒野の中にポツンとある廃工場は30年程前、汚染が問題になって閉鎖されて以来、放置状態である。

「ここに本当にマルチアーノ12姉妹が潜伏しているのですか?」
「ああ、間違いない、レーダーで確認したところ、居るのはどうやら4人だけの様だが…。
まあ、一網打尽にできないのは残念だが、逆に言えば戦力が分散しているともいえる」
 この男は、現・ギルド処刑隊・隊長である。(以後・総隊長)ギルドの構成員と工場を前にし、会話を続ける。
「いっその事、ナパーム弾でも落として、工場ごと吹き飛ばして、終わりとしたいところだが、流石にそれをやれば、
この惑星の警察も気づくだろう、下手すれば、GPが動くかもしれんし、いちいち政治家どもに金を渡すのもあほらしい」
「しかし、爆弾などの広範囲の兵器を使えないからといって、多すぎやしませんか? まるで、軍隊ですよ」
 集められたギルドの構成員は、10人一組の部隊を32隊編成していた。1部隊の3人がRPG-7(メイを爆破したやつ)を装備している。
 完全武装された部隊は、軍隊に見えなくもない。
 ギルドの部隊は、既に工場の四方を包囲していた。4×4の16部隊がバリケードを作り包囲網を形成している。
「4人といっても、相手はマルチアーノ12姉妹、見つけたからには、確実に始末しておきたい、
前処刑隊、隊長のハンター・ベネットは、艦隊一つまるごと動員しながら、マルチアーノ艦一隻に敗北している」
 総隊長は、油断はできないといった顔をしている。
「全力を尽くすというわけですね」
 ギルドが移動手段に使用した、装甲車等は、全て黒色に塗装され、夜の闇に溶け込んでいた。
「そういう事だ、できれば何基かギルドヘリを上空に飛ばして置きたかったが、流石に目立つからな。警察にでも気付かれたら面倒になる。
では、これより突入を開始する、レーダーで確認したところ、工場の中心に近い所に3人、残りの1人が離れた所にいる、
3人の方に、1〜12番隊が向かえ、残り4部隊は残りの1人の始末に向かえ」
 残りの16部隊が、総隊長の指示を受け、工場に突入した…。
620608:2006/11/21(火) 09:39:07 ID:YDickdcj
 工場にある、建物の一室、フェブラリーは床に手を置き、周りにいる人間の生体反応を確認していた。
 12姉妹で情報処理を担当するフェブラリー、彼女の特殊能力は、半径500メートル以上の生き物を探知することができる。
 単純に生き物の反応を調べるだけでなく、体温や脈拍、その生き物の形(身長や体重)、といった様々な生体のデータも知る事ができる。
 従って、他の生き物と人間を混同する事なく、人間を感知できるし、人物や特徴を照合させ本人かどうかを確認するのにも使える。
 これは、姉妹達を作った技師ニルソンが独自に開発した、一種のレーダーで、この機能により、
12姉妹は、他の殺し屋集団を出し抜き、死の天使と呼ばれるようになったといっても過言ではない。
 ただし、平らな床に手を置かなくてはならず、またかなりの神経を集中させてしまうため、この機能を使用する時は、無防備といえた。

−−ギルドの連中が突入してきました。生体反応データによると、敵は342人、兵隊は320人の模様、
その内160人がこちらに向かってきています。残りの160人は工場を包囲、
私の方に向かっているのが40人、10人1組で行動−−
 フェブラリーは、現在この場にいる姉妹に、感知したデータの情報を伝える。
 姉妹達は、自分の伝えたい事を自由に無線で伝える事ができる。ただし、範囲が決まっているため、離れすぎていると使う事はできない。
 一般的な電話よりも、高性能で、伝えたい相手を限定する事もできれば、全員にまとめて伝達する事もできる。
 人間の使うインカムやトランシーバー、携帯電話などと、違って、声を発する必要も無い。

−−各部隊の位置は、座標にして、X121 Y132 Z0, X43 Y38 Z0…………−−
−−そう、わかったわ、私達3人が敵と接触したら、全員、ステルスを貼るのよ、フェブラリー貴方は少し遅れてからステルスを貼る事を忘れないでね−−
 フェブラリーの通信に答えたのは、ジャニアリー、彼女は今回、エイプリルに福リーダーを任され、今回のギルド迎撃の任務の責任者だった。
−−はい、お姉様−−
 ステルスとは、今回のギルド迎撃の為に、ニルソンに作ってもらった。レーダー妨害機能である。
 ギルドはアンドロイドである姉妹達が発している電磁波を分析し、12姉妹のみを完全に識別できるレーダーを開発した。
それに対抗するための機能である。
621608:2006/11/21(火) 09:40:46 ID:YDickdcj
 ジャニアリーとオーガストは、建物から屋外へ出る、また、マーチは建物からは出ずに屋上へ向かう、
 マーチがフェブラリーへ通信を送る。
−−フェブラリー、今私達から近い所にいる部隊を教えて−−
−−座標にして、X100 Y122 Z0 マーチの位置からだと、2時の方向−−
 マーチは建物の屋上に出ると、フェブラリーより教えてもらった5番隊に対し、M249 SAWによる、弾丸の雨を降らせる。
「まずは、一つめ…。」
 瞬く間に1つの部隊を全滅させると、ボソリと呟いた。
−−マーチ、ジャニアリーお姉様のいる建物が、5部隊によって、包囲されています。援護をお願いします、3時の方向へ向かってください−−
 ジャニアリーは、10uくらいの大きさの建物に閉じこもり、FNP90を乱射しながら、篭城戦を繰り広げていた。
 敵が一定の距離以上近づくと、オーガストに手榴弾を投げさせ、部隊を近寄らせない。
「お姉様ー、これ以上は防ぎきれないわー」
 激化する攻防に、オーガストが叫ぶように話す。
「泣き言、いわない」
 ジャニアリーも叫ぶ…、
 今回、ギルドは姉妹の潜伏している工場を見つけ出し、突入したと思っているわけだが、これは、姉妹側が仕組んだ事であった…。
 あえて自分達の潜伏場所などの情報を流す事で、ギルドの処刑隊をある意味挑発したのである。
 ジャニアリーは、まず、1ヶ月という時間をかけ、戦場を何処にするかから探し、そしてそこを自分達の戦いやすい様にしていたのである。
 ギルドから逃げるだけなら、12姉妹にとっては、さほど難しい事でもないが、ミスターの捜索を邪魔されるのを嫌がり、
 この度、余裕を持って、ミスターを捜索するため、しばらく動けなくなるぐらい、ギルドに打撃を与える事にしたのである。
 町から離れた廃工場、少々騒いだ所で誰も来ない、そういう場所をあえて選ぶ事で、
ギルドに軍隊といっても差し支えないくらいの部隊を差し向けさせる。
 これを完膚なきまでに叩きつぶす事で、ギルドに打撃を与えようというわけだ。
 ただし、これは、ハイリスク、ハイリターンでもあり、かなりの危険も伴うともいえた…。
「建物ごと、吹き飛ばせ!!」
 各部隊長が叫ぶ、ジャニアリーにいる建物に向かってRPG-7による、包囲攻撃が行われた。
 建物は一瞬にして瓦礫と化していた。
「これなら、アンドロイドといえど、ひとたまりもあるまい」
「しかし、今回の任務は残骸の回収が義務付けられている。これを掘り起こすのも厄介だな…」
 ギルドの4番隊・部隊長は、瓦礫と化した建物を見て呟いた。
「よし、残るは2体だ…」
 次の標的を定めるため、各部隊が動こうとしたその時、
 その瞬間、その場に駆けつけたマーチによる、屋上からの攻撃により、4番隊の10名が射殺され壊滅する。
「2つめ…。って、建物が…、既に遅かったわね…」
 ジャニアリーのいた建物が、崩れているのをみて、歯軋りするマーチ
「くそ、4番隊が全滅した、上だ。気をつけろ!!」
 屋上にいるマーチに気付いた部隊は、すぐさま、標的をマーチに定める。1部隊がマーチに向かって発砲し、残りは屋上へ上る為、建物に入ってゆく…。
「4番隊が壊滅しました。壊滅させたのはマーチ、屋上にて確認。これより追撃いたします」
 3番隊・部隊長は、総隊長に報告を入れる
「了解…。」
 現在2部隊の全滅が確認されている。
 しかし、立て篭もったジャニアリーとオーガストは建物ごと吹き飛ばし、残るは2体、残る2体のうち1つはマーチと確認済みである。
 マーチと攻守のコンビであるフェブラリーが残る最後の一体であり、
おそらく少し離れた所にあったレーダー反応の主である事は想像はついたが、どうも負に落ちない。
 というのも、報告の途絶えている部隊があまりにも、多いからであった…。
 通信機が壊れたのかと、思われたが、2隊、3隊と報告が無くなってくると、全滅していると考えたくもなってくる。
 さらに、通信の取れている部隊とはちゃんと通信が取れる、妨害電波の類ではない。
「いやな、予感がする」
 総隊長は、思わず呟いた…。
622608:2006/11/21(火) 09:42:39 ID:YDickdcj
「総隊長、14番隊の全滅を確認しました。」
 少し離れたレーダー反応の方に向かった15番隊から、連絡が入る。
 14番隊は、先ほどから連絡が取れなくなっている部隊の1つであった…。
「死因は?」
「首と胴が切り離されている死体が沢山あります、何か大きな刃物できりつけられたのではないかと」
 恐怖の混じった声である。
「了解、周囲に気をつけて、進め」
(大きな刃物…。ジュライか? 最後の反応は、フェブラリーとばっかり思っていたが…。)
 そんな、思いがふと頭をよぎる。
 その時、再び、通信が入る
「標的を確認しました。特徴から、フェブラリーと判断、始末します」
 通信を手短に済ませると、15番隊部隊長は、隊員に命令を下す。
 フェブラリーは床に手を置き、生体反応データに読み取っていた。無防備ともいえる状態に15番隊は横一列に並ぶ

 撃て!!
 そう叫ぼうとした時、列の真ん中にいる部隊長を含めた3人の人間の首が切断された…。
 切断したのは、12姉妹の1人、ジュライである。手には日本刀が握られていた。一太刀で、3人の首を刎ねたのである。
 すかさず、ジュライは部隊長がいた位置に進む、隊員はとっさに銃をジュライに向けたが、縦一列の状態となっており、後ろ側にいる3人は銃を向けられない。
 反対側にいる4人と、同士討ちになる事を懸念してしまう、そのとまどった、瞬間を逃さず、ジュライは、隊員の胴を薙いでいく。
 胴を薙がれ、持っている銃に一瞬力が入り、発砲する、ジュライは弾丸が当たらないように姿勢を低くする。
 パニックった隊員は隊員同士で撃ち合いを始めた…。
 瞬く間に15番隊を壊滅させたジュライは、笑みを浮かべながら、フェブラリーに話しかける
「うふ、流石に私が居る事が、バレましたかしら?」
「もう、笑い事かしら、ここの部隊に、おそらくジュライの斬った隊員の死因を報告されてます。
極力、ジュライの存在は気付かれないようにというのが、ジャニアリー姉様の指示の筈よ、
まあ、敵もいずれはレーダーの反応以外にも私達が潜んでいる事に気付くでしょうけど…。」
「既に、私の存在がバレても戦況には影響しないと思いますわ。」
「そう単純な問題かしら、戦いには万全を尽くすべきです。」
「それにしても、今回わたくしは、護衛なんて、地味な仕事ですわ」
「大事な仕事です。私は、生体反応データを読み取っている時は、その場から動けませんのよ、それに私をエサにしての人斬りを楽しんでいるように見えましたわ」
「あらそうかしら」
 常に笑みを浮かべているジュライは、何を考えて喋っているのかわからない。
 フェブラリーはからかわれているように思った。
「後、私を狙っていると思われる部隊が後1部隊いて、こちらに向かってきてますから、そちらの始末もお願いします」
「わかりましたわ」
 フェブラリーは、ジュライに次の標的の部隊の位置を教えると、ジャニアリーに向けて、通信を入れる
−−お姉様、ご無事ですか?−−
−−何とか無事よ、さっきはやばかったけど、いざという時の為に隠し通路を作っておいて正解だったわ−−
 この工場には、工業排水の流れる下水道が地下にあった、無論、各建物の下に流れているわけではない。
 しかし、ジャニアリー達は、ギルドとの抗争に備え、建物の下に穴を掘り下水道への抜け道を各所に作っていた…。
 抜け道を作る事で、部隊の背後に容易に回り込みやすくするためである。これにより、より有利なゲリラ戦を展開する事ができた…。
623608:2006/11/21(火) 09:44:23 ID:YDickdcj
−−お姉様、ジュライの存在がおそらく敵側に気付かれたと思います−−
−−そう、でも問題ないわね、敵は既に混乱し始めているわ−−
 そう通信すると、ジャニアリーは不適に笑った。
「さ、オーガスト、今までは、守りや敵を引き付けるのに徹していたけど、そろそろ攻めに転じるわよ」
「きゃは、お姉様、そうこなくっちゃ」
 攻めに転じる事が嬉しそうなオーガスト 
−−オーガスト、貴方の真上に1部隊います、3時の方向に向かって移動中−−
 フェブラリーから情報が入る
−−OK−−
 オーガストは、手榴弾のピンを抜き静かに構える
 部隊が手榴弾を爆発させたい位置を通り過ぎそうになったとき。
 部隊の前に、既に地上に出たジャニアリーが姿を現した。

「ハァーイ、私はまだ死んでないわよ」
 堂々と姿を見せ、部隊を挑発するジャニアリー。
 下では、手榴弾をオーガストが下水道の天井目掛けて投げている。
「12姉妹だ、撃て!!」
 そういって、銃を構え動きを止めた時、手榴弾が天井に最も近い位置で爆発し、地面が陥没する。
−−流石ね、オーガスト−−
 爆発までの時間と飛距離、そして相手の位置をすべて計算に入れて初めてできる芸当である。
−−当然よ〜ー−−
 と、通信を送るオーガスト
 その時、ジャニアリーの背後から、足跡が聞こえた。
 ジャニアリーが振り向くと、そこには、1人のギルド兵がいる、
「撃つな、私だ…。」
 といって、ギルド兵はつけている頭部に付けている。ゴーグルなどの装備を外した。
 そこには、12姉妹の1人、ジューンの顔があった。
「言われた通り…、隊員には気付かれないよう、部隊長のみを殺している……。残った隊員は指揮者を失った事と、恐怖により敗走を始めている……」
「そう、ご苦労様、予定通りね」
 戦場で多い死因の一つが、味方による誤射である。
 統率者を殺す事で、隊員に統率の消失と恐怖を与え、パニックを起こさせ自滅させるというのが、ジャニアリーの狙いであった。
 ジューンは、ジュライと同様、レーダーに感知されないように最初からステルスを貼っていた。
 伏兵となったジューンは物陰に潜み、各部隊長を暗殺していたのである。1人目を殺してからは、来ているものを剥ぎ取り、隊員に化ける事で効率を上げていた。
 気付かれないように、相手に近づき喉を裂く…。

 屋外で、部隊を引き付け最前線で戦うジャニアリー
 屋上などの建物の上から、援護するマーチ
 下水などの地下から、手榴弾による地面を爆破し、援護するオーガスト
 部隊に紛れて、部隊長を暗殺し、部隊を混乱させるジューン
 そして、この4人の無駄の無い連携を可能にするフェブラリー

「はあ〜、暇ですわね〜」
 フェブラリーに向かってきた部隊を全て殺し終わったジュライは、死体に腰掛け、ため息をついた…。
624608:2006/11/21(火) 09:45:28 ID:YDickdcj
−−フェブ、状況は?−−
 ジャニアリーは状況確認のため、フェブラリーに通信を入れる。
−−こちらの狙い通り、統率者を失い敗走を始めた部隊は同士討ち等を始めています。マーチが今、敗走する部隊を狩ってを楽しんでます。
 また、私のレーダー反応に向かってきた部隊は、皆ジュライが斬り捨てました。今の所、予定通りです。−−
−−集合よ、マーチ、敗走している兵は放っておきなさい、それに全部殺してしまったら、元も子もないわ、
フェブ、生体反応データの収集はもういいからこちらまで来なさい次の作戦に移るわよ−−
 ジャニアリーは、召集をかける。一番近くにいた、オーガストがやってきた。
「あれ? ジューン姉様は?」
 さっきまで、ジャニアリーと一緒にいたはずのジューンがいなくなっている事に気付いた。オーガストが問いかける。
「ジューンにはもう一仕事頼んだわ」
「そうなんだ、あ、フェブラリー姉様達が来たわ」
 フェブラリーとジュライがやってくる。やってくるなり、フェブラリーが口を開く。
「一先ず、予定通りに事が運んでますね、しかし、あの包囲網を突破するには少し骨が折れるのでは?」
 フェブラリーは心配している事を口にした、明らかに、劣勢と思われるの状況を跳ね返した事には違いないが、
包囲網を突破できなければ、持久戦に持ち込まれる。
 既に、ジュライの伏兵は、バレているし、敗走した隊員の中には、下水道と隠し通路の存在に気付いている者もいるかもしれない。
 アンドロイドである以上、食料の心配をする必要はないが、弾薬などには限りがある。
 長引けば、長引くほど状況は悪化していくといえた…。
 また、こちらが、勝っているのは、奇策による効果が大きい、種がばれてしまえば、その効果は減退していく…。
「フェブ、心配しなくても、大丈夫よ…」
「お待たせ…」
 マーチが戻ってくる。
「本当に殺らなくていいの、結構な数が、向こう側に逃げ帰っているわよ、一度、包囲網まで行けば、混乱から立ち直るわ」
「それも作戦の内よ」
 フェブラリーは、笑みを浮かべながらそう考える。
 痺れを切らしたオーガストがジャニアリーを問いただす
「お姉様ー、いい加減もったいぶってないで、次の作戦を教えてよー」
「うふ、わかったわ、お姉様はきっと津波を使って包囲網を突破するのですわね?」
 唐突に沈黙していたジュライが口を開く
「誰が、あんなイカれていると言われる事を喜ぶような変態コヨーテの作戦を使うものですか!!冗談じゃないわ、とりあえず、ジューンを待つわよ」
 と言ったとき、ジューンが戻ってくる
「待たせたな…、ジャニアリー姉様に言われたように、部隊長を殺し、隊員も1人残らず殺した、
10名の死亡を確認…、また、その現場は見られていない。」
「お疲れ様、ジューン、名前と部隊名と総指揮を取っている者の名もちゃんと聞いたかしら?」
「それも問題ない…」
「準備は整ったわね、それでは次の作戦を言うわよ…」
625608:2006/11/21(火) 09:46:46 ID:YDickdcj
 その頃、ギルドの包囲側では、隊員が総隊長に被害状況を報告していた。
「総隊長、突入した部隊は総崩れ、9隊の壊滅が確認されています、残りの7隊の内、4隊が部隊長を失い、残った隊員が敗走をしています。
残る3隊の通信も途絶えています。また、現場では同士討ちの等も行われている模様。
さらに、仕留めたと思われていた、ジャニアリーとオーガストも生存が確認されました。」
「くそ、馬鹿な!!」
「加えて、敗走してきた隊員の報告によると、ジュライの存在も確認されたとか。レーダーに反応していなかった、姉妹もいる模様です。総隊長、いかが致しますか?」
「…………。」
 総隊長は、退くか、包囲している部隊を突入させるか、そのまま包囲網を張りつづけるか悩んでいた。
(突入させたところで、あの工場はやつらの城、おそらく、手際の良さから、この度の抗争そのものが奴らの仕組んだものである可能性も…、
あそこで戦うのは不利、かといって誘い出せる手段も無し、撤退したところで、再び捜しだすのも…、任務失敗という事実が残るだけ…)
「仕方あるまい、このまま包囲は崩さず、ギルドヘリからによるナパーム弾を投下、工場ごと破壊する、
政治家にいくら金をくれても構わんここで奴らを仕留めるのだ。ハンターベネットが負けた理由がわかった気がする」
 総隊長はそう言い放つと、今回の12姉妹処刑の首謀者であるギルドの幹部に連絡を入れた。
「申し訳ございません、既に100人以上の死傷者が確認されております。
このまま部隊を突入させるのは無駄に死なせるだけ、どうかナパーム弾投下の許可を…」
「ぬう……。相手があの12姉妹となれば仕方あるまい、いまから、ヘリを一基そちらにまわす」
「ありがとうございます」
 連絡を終えると、総隊長は隊員に状況を再度確認した。
「あれから、向こうの動きはまだありません」
「ギルドヘリがこちらに到着するまで30分はかかる、決してそれまでは目を離すなよ」
「は、わかりました」
「今から全部隊に伝達……、」
 ナパーム弾の投下を全部隊に伝えようとした時、
「総隊長」
「何だ!? 今から、重要な事を伝えようとしているのに…」
「先ほど帰還した、11番隊長が総隊長に大至急お伝えせねばならない事があると申しております。」
「わかった通せ…」
「それが、かなりの負傷を負ってまして、息も絶え絶えです。現在、6号の装甲車で、治療を受けております。」
「仕方がない、すぐに戻る」
 総隊長は装甲車を降り、6号の装甲車に向かった。
626608:2006/11/21(火) 09:48:17 ID:YDickdcj
 6号の装甲車では、マットに寝かされた隊長がいる、周りには治療をしている隊員が1人いるだけである。
 総隊長は装甲車に入るなり、漂う強烈な血の匂いに吐き気がした。
「大至急報告したいという事とは何だ」 
「あ……う……く……」
 何を言っているのかよく聞き取れない、総隊長が11番隊長に目をやると、その顔は火傷で爛れている、そして口をパクパクしている。
 内心、気持ち悪いと思ったが、仕方なしに耳を近づける。
「チェックメイト」
 倒れている隊長は、そう言い放った瞬間、突然、総隊長の首をつかみ喉元にナイフを突きつける
「な!?まさか」
 その時、治療をしていた隊員が装甲車の扉が閉めた。
 隊員がは付けているゴーグル等を外す。
「12姉妹!!」
 そこには、ジャニアリーの顔があった、
「ハーイ、貴方には色々とお伺いしたいことがあるのよ、だから、すぐには殺さないであげるわ」
 笑いながら、ジャニアリーが言い放つ
「な、誰…がっ…」
 助けを呼ぼうとした時、首を掴んでいた手の握力が強くなる、寝ている部隊長が口を開く
「大声を出せば殺す…。」
「とりあえず、猿轡をつけさせてもらうわね」
 猿轡をつけられて、縛られる総隊長
「ジューン、迫真の演技だったわ、オーガストとは大違いよ、一先ず、その顔を拭きなさい」
 といって、ジャニアリーは倒れている、部隊長に変装したジューンにタオルを渡す。
「ふう…、もうこんな本物の血を使った、特殊メイクはやりたくないな…」
 顔を拭きながら、隊長に変装した、ジューンが答える
「しょうがないじゃない、男装できるのは貴方だけなんだから…、私のなんかの場合は身長が低いから、バレる危険性が高かったけど、何とかなったわね」
 戦闘直後なら血まみれになっていたり、火傷で顔がわからなくなってても不思議ではない、
 瀕死の状態を演じれば、何処に総隊長がいるかわからなくても、向こうから来るようにする事が可能である。
 ジューンは、瀕死の負傷兵を演じ、助けに来たギルド兵に、聞きだした部隊長の名前を名乗るだけで、部隊長に成りすます事ができた…。
627608:2006/11/21(火) 09:49:22 ID:YDickdcj
「全く、正直不安でしたわ」
 運転席に座っていた、隊員の格好をしたジュライが振り向く、不安と言いながらも、顔は笑っている。
「猿轡を外すわよ、いい? 死にたくなかったら大声を出さない事ね」 
 といって、ジャニアリーは総隊長の猿轡を外した。
「とりあえず、貴方達の次の作戦を聞かせてもらえるかしら?」
 問いただすジャニアリーに対し、
「その前に、お前達は何人だ、既にこちらに全員来ているのか?」
「ふう、何か貴方わかってないわね」
 そう言った瞬間、ジャニアリーの靴底が総隊長の顔面を捉えていた。
「質問しているのは、こっちよ」
 口は笑っているが、目はマジである。
「がはっ、はあはあ、おそらく貴様らは、全員はこちらに来ていない、少なくても小柄なオーガストやマーチはまだ工場内にいる筈だ…」
「それが一体どうしたってのよ?」
 イラついた感じで、ジャニアリーが問いただす。
「今から、あの工場には、ナパーム弾が投下される、これで少なくてもオーガストとマーチは確実に始末できる」
「何ですって。」
 流石に驚きの色を見せるジャニアリー
「自分達の置かれている状況がわかったようだな、既にナパーム弾を積んだギルドヘリはこちらに向かっている。
止めて欲しかったらこっちの言うことを聞け!!」
 総隊長は、12姉妹が仕事ではおそろしく冷酷であるが、家族に対しては深い愛情を持っていることを知っていた。
「ハッタリかも…。」
 ジューンがボソリと言う、考え込むジャニアリー、微動だにしないジュライ
「ふん、信じる信じないは貴様らの自由だ…。」
−−どう思う?−−
 総隊長に聞かれないように、通信機能を使ってジューンが聞く
−−嘘を言っているようには見えないわね−−
 ジャニアリーが答える。
「総隊長さん、そのナパーム弾はいつごろ投下されるのかしら?」
 ジュライが問いただす。
「おそらく、後十五分くらいで到着するだろう。言っておくが、撃ち落とそうなどとは思わないことだ。
ナパーム弾なんて物騒な物を積んでいるヘリだ、ミサイル対策などは万全をきしてある」
 沈黙する3人、しばらくして思いつめた表情していたジャニアリーが口を開く、
「仕方ないわね、妹達の命には変えられないわ、貴方の命はひとまず保障するから、投下の時間を先延ばしにしてもらえないかしら? 交渉はそれからよ」
「いいだろう」
 爆弾が投下され、妹達が死ねば、それは同時に人質を失うことでもある。
 妹達が死ねばジャニアリーは迷わず総隊長を殺すだろう。先延ばしにする事に異論は無かった…。
「先延ばしにする理由は、そうね、現状こちらの部隊が混乱し敗走しているのは事実だが、既に3体破壊し、残っているのが2体と伝えるのよ、
包囲している部隊を突入させれば勝てるから、ナパーム弾の投下はひとまず見合わせると。」
「? わかった」
 何かを企んでいるとは思ったが、他にいい理由も思い浮かばなかったので、総隊長は承諾した。
 再びマスクをつけた、ジューンがナイフを周りから見えないようにつきつけ連行する。
628608:2006/11/21(火) 09:51:07 ID:YDickdcj
 車を出ようとした時、ジャニアリーが声をかける
「ジューン、そいつが逃げようとしたり、こちらが言った事を言わなかったり、大声を出しそうになったら迷わず殺すのよ」
「了解」
 ジューンは、総隊長ともともと総隊長がいた通信機材のある装甲車に向かっていった
「ここだ」
 と言い放ち、二人は装甲車に入る。
−−ジャニアリー、通信機材の置かれている車に入った…−−
 ジューンがジャニアリーに報告を入れる。
−−ジューン、その車内にいる人間を、外部の人間に気付かれず、皆殺しにできるかしら? わかってると思うけど総隊長は殺しちゃだめよ−−
 車の中には3人いた。それぞれが、沢山あるモニターに釘付けになっている。
−−可能だ…−−
−−そう、まずは、総隊長が先ほど伝えたメッセージを言わせる。そしたらジューン、全部隊を工場に突撃させて−−
−−やってみる…−−
 総隊長に気付いた隊員が口を開いた
「総隊長、遅かったですね、それで、11番隊長は何を?」
「ああ、彼は、12姉妹があの工場には現状2体しかいないということを伝えてくれた、
既に3体破壊したというわけだ。だが、現状突入した部隊は混乱し、統制を欠いている。一旦体制を立て直し、再び突入すれば、
目的を達成できると息も絶え絶えに伝えてくれた…、ナパーム弾は投下しなくても良くなりそうだ…。」
「そうですか、それはよかった。」
 その時、総隊長の隣にいるジューンが口を開く。
「では君、全部隊に伝達してくれ、残る敵は2体、これより、怪我人を除いた全部隊による総攻撃をかける。」
 総隊長が、口を開きかけたが、背中に突きつけられているナイフの切っ先がちくりと背中を刺し、恐怖で口を閉じさせる
 耳元で、ジューンが笑いながら囁いた。
「ふ…、黙らないと…。死ぬぞ…」
 隊員はジューンより受けた伝令を疑問に思いながらも承諾する。
「わかりました。(おかしいな、普段なら基本的に各部隊への指示は、総隊長自らがしているのに、まあいいか)」
 隊員が伝達を始める。
「全部隊に伝達、11番隊長の決死の報告により、敵は残るは2体、これより怪我人を除いた全部隊による、総攻撃を開始する、突入!!」
 突入の支持を受け包囲している部隊が動き出す。
「動いたわね、ジュライ、車を出して、工場まで行くのよ」
「了解しましたわ」
 突入のどさくさに紛れて、工場から妹達を脱出させるため、工場に向けて車を出す
629608:2006/11/21(火) 09:51:51 ID:YDickdcj
−−フェブ、マーチ、オーガスト、聞いての通りよ、今から迎えに行くわ、なるべく気付かれないようにしたいから、
全員、ブカブカでもいいから、隊員の服とゴーグルを付けなさい−−
 ジャニアリーは、工場内にいる3人に連絡をいれる
−−わかりましたわ、お姉様−− 
「もー、私こんなん着れないよー」
 隊員の服を着ながら、文句を言うオーガスト
「仕方ありませんわ、私達の服は目立ちますし…」
「今だけの辛抱よ、私だっていやよ、汗臭い男が来た服なんて…」
 ぶつぶつ文句を言いながら、着替える3人
 フェブラリー達が潜伏している工場の建物の前まで来て、車を止める
「速く車に乗って」
 ジャニアリーは、3人を車に乗せると
「ジュライ、出して、急いで工場から離れるのよ」
 3人を乗せた装甲車は、工場から離れ出した。
 離れ始めると、ジューンに指示を送る。
−−工場から離れるわ、ジューン、そいつらは用済みよ、殺しなさい、総隊長は生かして連れてきて−−
−−了解−− 
 ジューンは気付かれないようにナイフをもう一本取り出す。
 その時、ギルドヘリから通信が入る。
「こちら、1号ヘリ、10分程で着きます、現場に到着しだい投下します」
 隊員の1人がその通信に答える。
「ただいま、現状が変わり、ナパーム弾の投下を見合わせます。ヘリは上空で待機してください」
「その必要は無い」
 と、ジューンはその隊員の首筋を掻っ切った、それに気付いた隊員二人が仲間を呼ぶよりも速く、ジューンの投げた2本のナイフは隊員の顔面に突き刺さった。
 貴様騙したな!? と言おうとした時、ジューンは、総隊長の顎に一発フックを入れKOする。
「こちら1号ヘリ、何かあったのですか? 応答してください」
 異変を感じ、通信が入る。
「こちら処刑隊本部、申し訳ございません。ちょっと情報の食い違いがありまして、問題なく予定通り、ナパーム弾の投下をお願いします」
「? 了解」
 ドタバタした音を不信に思いながらも、ヘリの操縦者は承諾した。
 ジューンはそのまま運転席に行き車を出す。
 姉妹達が工場を離れた10分後、ナパーム弾は投下され、突入したギルドの部隊もろとも、工場を破壊した……。
630608:2006/11/21(火) 09:52:48 ID:YDickdcj
「結構きわどかったわね、まさか、ナパーム弾を投下するとは思わなかったわ…」
 吹き飛ぶ、工場を見ながら、呟くジャニアリー
「でも、その結果、ギルドの処刑隊約300人を始末できたのだから、今回のギルド迎撃は成功ですね」
 ファブラリーは、満足そうにしている。
「きゃは、エイプリル姉様喜んでくれるかしらー」
 早く今回の成功を伝えたそうにいうオーガスト。
「でも、また、服がボロボロになったわ…、それに今着ている服は、ギルドの服だし、早く着替えたいわね」
 マーチは現状着ている服に不満そうである。
「みんな、勝利の余韻浸るのは、もう少し先よ、まだ仕上げが残っているわ」
「仕上げ?」
 表情を全く変えず、ジュライが聞き返す。
「今回、処刑隊を300人程、始末したわけだけど、ギルドの総勢は12万、全部が処刑隊じゃないにしろ、撃退したのはほんの一握りに過ぎないわ」
 と、勝利の喜びに浸る妹に水をさすジャニアリー
「も〜、それならなんで、わざわざ、罠を貼ってまで、撃退したのよ〜、ギルドに打撃を与えられないなら意味ないじゃない。」
 怒ったように言うオーガスト
「大丈夫よオーガスト、言ったでしょ、まだ仕上げが残っていると、まずはジューンと合流しないとね、
ジュライこのまま、私達の艦の止めてあるところまで、行ってちょうだい」
 ジャニアリーは意味ありげにそう言った。

 その頃、ジューンが運転している車に通信が入る。
「総隊長、応答しろ、ナパーム弾を投下した、結果を報告しろ、12姉妹は破壊したんだな?」
 ジューンは車を止めて、車内の通信機に向かう
「今度から、ナパーム弾を投下するなら、投下すると事前に言ってくれないか…、工場各所に仕掛けた爆弾が全て無駄になってしまった…
結果は同じだが、爆弾も決して安いものではないからな…」
 ジューンをそういうと通信を切った。
 縛られている総隊長が、ジューンに対し問いただす。
「今回の抗争は、最初から仕組まれてたということか?」
「そういうことだ、ギルドの執拗な追っ手にはうんざりしている。最も予定では、ナパーム弾ではなく、
こちらの用意した爆弾で吹き飛んでもらうつもりだった…」
 完全に踊らされていた事がわかり、敗北感が顔に表れる総隊長。
「もっとも、危ない所もあり…、綱渡り状態ではあったが…」
 もし、ナパーム弾決断が30分早ければ、工場ごと吹き飛んだのは自分達になっていただろう…。ジューンはそう思った。
 ジューンは、運転席に戻り、車を出す。
 工場から、200キロ程はなれた所にある平地に車を止め、ジャニアリー達と合流する。
631608:2006/11/21(火) 09:53:46 ID:YDickdcj
「やったな…、これでギルドも少しは懲りただろう…。」
「そうね、さて」
 そういうと、ジャニアリーはリモコンを取り出し、スイッチを入れる。
 すると、カモフラージュされ、透明になっていた、艦が姿を現す。
「マーチ、艦からビデオカメラとってきていただけるかしら」
「わかったわ、お姉様」
「何するのー?」
 オーガストがジャニアリーに問いかける
「ふふ、メインデイッシュは終わったけど、最後のデザートがまだ残っているのよ」
 ジャニアリーは、うれしそうに勿体付けて答える。
「ジューン、奴を連れてきて」
「了解」
 ジューンは、車に入り、総隊長を連れてくる
「お姉様、カメラ持ってきたよ」
 マーチが戻ってくる
「そう、じゃあ、マーチ早速、ビデオを回してくれる?」
「OK♪」
「さ、今回の総指揮を取っていた貴方なら知っているわよね? 今回、お母様の死に乗じて私達を始末しようなんて浅はかな事を考えたのが誰か?」
 総隊長の顔がたちまち蒼白になる。
「そ…。それを言ったら私は殺されてしまう。」
 ジャニアリーは薄気味悪く笑うと、
「わかってないわね、貴方は今回の首謀者に殺されるのではなくて、私達に殺されるのよ、だからそんな心配はしなくていいわ。」
 ジャニアリーはチラリとジューンに目をやった、ジューンはジャニアリーの意を察し、総隊長の手を掴む
「何をする気だ…」
 ジューンは、総隊長の言うことには全く耳を傾けず、爪と指の間に、ナイフの切っ先を突っ込み、てこの原理で爪をひっぺがす。
「あ…ああああああ。」
 苦痛に顔が歪む、総隊長
「勿論、貴方にも今回の首謀者を喋るメリットはあるわよ、今回の首謀者を教えてくれれば、
ここにいるジュライが一瞬にして首を刎ねてくれるわ、苦しまないで殺してあ・げ・る」
 既に、総隊長の顔には死の恐怖が表れている。
 この時、総隊長は12姉妹が、死の天使と呼ばれ恐れられる理由がわかった気がした。
「さ、誰なのか教えて貰えるわね?」
 プライドからなのか、総隊長は口を割らない、2枚目の爪が剥がされた…。
「首、首謀者の名前は、バスター・モドリッチ」
 痛みこらえながら喋る総隊長。
「フェブ、どうかしら?」
「脈拍、心拍数、発汗、目の動きなど、生体反応を分析すると、90%の確立で嘘ですね」
 淡々と答えるフェブラリー
「嘘はだめよ、ジューン、右手の爪は全部剥がしちゃっていいわよ、まだ、足のも入れて15枚あるし」
 からかうように、言うと、立て続けに、3枚の爪が剥がされた。
「きゃは、ばっかねー、死の天使ってあだながついている私達を相手にするとこういう事になるのよ」
 オーガストは馬鹿にして喋る。
 8枚目の爪が剥がされたとき、総隊長は、口を割った…。
「どうやら、この先ほど喋った人物が首謀者である可能性が高いようです。」
 そう告げるフェブラリー
「そ、わかったわ、ジュライ」
「うふ」
 ジュライが笑ったかと、思った瞬間、総隊長の首は一瞬にして切断された。
632608:2006/11/21(火) 09:55:22 ID:YDickdcj
 オーガストが疑問に思ったことを口にした
「お姉様ー、自白剤とか使えば、直に口を割ったんじゃないの」
「オーガスト、それじゃあ、いい映像ができないのよ」
「映像? そういえば、どうして、マーチお姉様に、カメラを回させたの?」
 さらに問うオーガスト
「この映像は、ギルドに与える警告になるのよ、私達を狙うってのがどういう事になるのかをわからす警告にね」
 確かに誰も拷問なぞ、されたくはないだろう…。
 ジャニアリーはそういうと、艦に向かって歩き出す。
「ジューン、申し訳ないけど、今回、最後の仕事よ、この拷問を一部始終おさめたDVDをギルドまで配達してくれないかしら、
勿論、ポストは首謀者の体の中よ」
「わかった…、」
 ジューンは、無表情のまま答えた…。
「さ、エイプリル達と合流するわよ」
 と言って、ジャニアリーが艦の近くまで歩いたとき、何かにつまずくわけでもなくジャニアリーが倒れた…。
「お姉様?」
 慌てて駆け寄るフェブラリー、服を脱がしてみると、かなりの数の弾痕が見つかる
 そこらの銃では、傷1つつける事のできない、12姉妹の体であるが、ギルドは今回12姉妹を倒すため、高性能のマシンガンを多数用意していたのである。
「結構、もらちゃってたみたいね…」
 笑みを作りながら、喋るジャニアリー
「もー、無理しすぎなんだからー、完全武装のギルド兵を一度に50人は相手にしすぎよ、私も、何発かもらっているけど…」
 オーガストがぶーたれる。
「肩をかそう」
 そういって、ジャニアリーを起こすジューン
「わたくしも」
 ジュライも、ジャニアリーに肩をかす。
「見事な采配だった…。」
 ボソリと言うジューン
「わたくしもそう思いますわ」
 ジュライも続けて言う
「きゃは、そうよねー、ジャニアリーお姉様って、すぐキレるから、指示とか判断とか向かないと思ったけど、大丈夫そうよね」
 オーガストは毒を吐く
「自分だって、すぐ怒るくせに…」
 ボソボソとオーガストに突っ込むマーチ
「臨機応変に、判断くだしてましたね、お姉様、お見事です。」
 フェブラリーも褒める、
「や、やめてよ、照れくさいじゃない」
 恥ずかしそうにするジャニアリー
「そうね、でも今日勝てたのは、皆のおかげよ、今日は勝利を祝って乾杯しましょう」
 ジャニアリーはそういって、妹達の労をねぎらうことにした…。
(続く)
633608:2006/11/21(火) 15:35:27 ID:YDickdcj
>>610
お試し版でアップローダに投稿した部分を投下しました。

この冒頭の部分は全体の5分の1くらいです。
また、現在、まだ完結していないため、もうちょっと増えます。
結構な量になったのですが、何も問題なければちょくちょく投下します。

この後、エイプリルサイドに話しが移ります。
634名無しさん@ピンキー:2006/11/21(火) 20:05:12 ID:E438qrPl
>>633
おつ〜 戦闘の描画とか拷問とか拷問とか拷問とかのシーンがとても素敵です
635608:2006/11/23(木) 00:10:47 ID:Ah35qDOH
 エイプリルが現在使っている母艦では…
 エイプリルはジャニアリーから入った通信を受けていた。
「エイプリル、ギルドの追っ手はひとまず、迎撃したわ、300人程だけど…。
ジューンは現在、単独で今回の私達を始末しようとした首謀者を消しにいってるの、
私達は先にアクエリアに向かうわ」
「わかったわ、ところでジャニアリー傷の方は大丈夫なの?」
「傷、何のことかしら」
「フェブラリーから聞いたわよ、随分無理をしているそうじゃない、弾痕もかなりあるとか」
「……、戻り次第、ニルソン様に診てもらうわ」
 余計な事を、とジャニアリーは思ったが、もはや言い逃れはできないので、そう答える。
 ジャニアリーは弱いところをエイプリルに見せたくなかった…。
「了解、ではアクエリアで落ち合いましょう」
 そういって、通信を終える。
 姉妹達の総指揮を取っているのは、エイプリルではあるが、ジャニアリーを副リーダーとして、二手に分ける時は、ジャニアリーに片方の部隊を一任していた。
 現在、エイプリルは、メイ、セプ、オクト、ノヴェ、ディッセと行動を共にしている。
 あからさまに偏った分け方ではあったが、エイプリルからしてみれば、指揮を執るといった経験の少ないジャニアリーには、
早く第2世代に的確な指示を出せるようになって欲しかった。
 通信を終えた、エイプリルは、妹達に、今後の事を伝える。
「ジャニアリー達と合流するまで、待機姿勢を取ります。ここ数日、休む間もなかったし、休息を取りましょう」
 エイプリルは、そういうと、自室に戻っていった。
 久しぶりの休日? である。
 自室にある、椅子に腰をかけるエイプリル、メイも一緒に部屋についてきた。
「大丈夫か? あまり無理すんなよ」
 そういったのは、メイである、マルチアーノが死んでからというもの、ギルドとの抗争は激しくなる一方であった。
 今まで、姉妹達は母親の命令を忠実にこなす暗殺者であった、しかしその母親が死んでしまったため、心の拠り所を失ってしまったのである。
 唯一、姉妹達の心を支えるものは、母の敵を討つことであった。
 そんな最中、ギルドの猛攻、GPからの指名手配、懸賞金目当てのならず者のお相手と、いわゆる四面楚歌にされ、エイプリルは心身ともに疲れきっていた。
「ええ」
 エイプリルの返事には元気が無かった。メイの心配はますます強くなる。
 エイプリルの抱える問題には、資金面の問題があった、ギルドに反旗を翻してからというもの、当然ギルドからの収入は無くなる。
 また、抗争による出費は、エイプリルの予想を遥かに超えていた。
「メイ、貴方には言っておくけど…」
「なんだよ、遠慮なく言えって、一人で抱え込むな」
「このまま、行くと、お母様から受け継いだ遺産も、半年以内に無くなってしまうわ…」
「そっか、母艦とかの維持費とかってすげーからな…。」
「ジャニアリーに任せた、ギルド迎撃の任務だけど、出費が20万宇宙ドルを超えているわね…、頭が痛いわ…」
 メイは、エイプリルを励まそうと思ったが、かける言葉が見つからなかった。
「とにかく、無理はすんなよ、いざとなれば色々縮小するのもありだと思うぜ」
 メイはひとまず、自室に戻ることにした。
 エイプリルはメイが部屋から出たあと、しばらく今後の事を考えていたが、極度の疲労のため、いつしか眠ってしまっていた…。
636608:2006/11/23(木) 00:12:49 ID:Ah35qDOH
 現在、姉妹の殆どが、疲れを癒すため、自室で休んでいる。しかし、ここに疲れを知らない者がいた、三つ子達である。
 どの姉妹も自室に鍵はついているのだが、エイプリルは鍵をかけていなかった…。
「ねーエイプリルー、遊んでー。」
「あ、エイプリル、お昼ねしてる」
「ほんとだー、起きて〜、暇でつまらない」
 三つ子は、しばらく眠っている、エイプリルを起こそう揺さぶったが、爆睡しているエイプリルは起きなかった…。
 その時、オクトが何かを閃く、三つ子は3人で、ヒソヒソと密談すると、部屋を出て行った。
 しばらくしてから、用意を整えたのか、ラジカセ、テープ、赤いセロハンでできた眼鏡を持って戻ってくる。
 まず、部屋の隅にテープを入れてラジカセを仕掛ける。そして、赤いセロハンで作った眼鏡をエイプリルに顔にかける。
 ラジカセにスイッチを入れ、心の中でカウントを数えているようだ。
 そして時間が来たのか、小さい声で
「「「せーの」」」
 と合わせると、大声で
「「「敵襲だ〜〜!!」」」
 叫んだ後、ラジカセから、銃声やら、警報のサイレンやらが鳴り響く、
 これには、流石のエイプリルも目を覚ました。視界は赤に染まっている。
 そして、容赦なく鳴り響く銃声や爆発音
「な、何事!!」
 思わず、愛用のルガーP08を抜こうとするが、休息していたため、銃は携帯しておらず、そのままバランスを崩して、椅子から落ちてしまった。
 予想以上の反応を見せたエイプリルを見て、成功といわんばかりに笑い出す三つ子達、そして、エイプリルが起き上がる前に、ダッシュでその場を退散した。
「こ、殺す!!」
 何がおきたのかを把握したエイプリルはラジカセのスイッチを切り、机に閉まってあった、愛用のルガーP08の装飾モデルを取り出した。
 爆発音を聞きつけた、メイが部屋にやってくる。
「おい、すげー音してたけど、何かあったのか?」
 メイが部屋でみたものは、こめかみを押さえ、銃を抜き、血走った目をしているエイプリルだった。
「えーと…。(勢いで来ちまったけど、こりゃ、来ない方が利口だったかな)」
 内心、部屋にかけつけた事を後悔しているメイに目をやるエイプリル
「何かあったみたいだね、それじゃ私は自室に、戻りまーす。」
 さわらぬ神に祟りなし、といわんばかりにその場を立ち去ろうとするメイ。
 しかし、エイプリルをそれを許さない。
「メイ、丁度いい所に来たわ、今すぐ、セプを呼んで来て貰えるかしら?」
 殺気の様なものを感じ取り、メイが振り返る、本来なら、自分で行けよと言いたいところだが、キレているエイプリルに何か言う気にはなれなかった。
「わ、わかった、わかったからとりあえず、それしまおう」
 メイはセプと、言われて、何となく何が起きたのか、想像がついた、エイプリルを適当に落ち着かせると、そのままセプの部屋に向かった。
 セプは、三つ子の世話を任されている、そのセプを呼んで来いということは、先ほどの一件は三つ子が何かしたという事は容易に想像がついた。
「しかし、それでとばっちりを受けるセプも可愛そうだな」
 メイはこれから怒られるであろうセプの事を思い、身を震わせた…。
637608:2006/11/23(木) 00:14:57 ID:Ah35qDOH
 メイはセプの部屋の扉にノックをして、声をかける
「おーい、セプいるか〜?」
「開いてるわよ」
 メイが部屋に入ると、こたつに入って、せんべいをかじりながら、録り溜めした2時間サスペンスを見ているセプの姿があった。
「ちょっと、待ってね、後少しで終わるから」
 メイは言われたまま、ぼんやりTVを眺めていた
 セプは2時間サスペンスを見ながら、
「どうして、いつも、何気ない日常から、ヒントを得て犯人のトリックを暴くのかしら」
「犯人はやっぱり、この人だと思ったのよね、この人よく犯人役やってるし」
「まぬけね、どうして、犯行現場を見た人は、いつもいつも犯人を揺すって返り討ちにあうのかしら、私だったら、もっとうまくやるのに」
「……………………。(だったら、見なきゃいいだろ)」
 ボソボソと感想を漏らすセプに対し、メイは突っ込みたい衝動を押さえ。用件を口にした。
「エイプリルが呼んでたぜ、多分、オクト達が何かしたんだろーけど、かなり怒ってた」
 流石に、セプの顔がひきつる。
「はあ、全くあの子達は…」
 セプは、TVを切り、エイプリルの部屋へと向かった。
「お姉様、お呼びだそうで」
「そう、セプ、皆には待機して休息をとる様にいったんだけど、流石に、ジャニアリーがギルド撃退を成功させているのに、
何もしないで休んでいるというのアレだから、ちょっとオクト達を連れて、
引き続きミスターの追跡をお願いしたいの、できるかしら?」
「はあ…。(完全に、嫌がらせだわコレ)」
「わかりました。ただ、戦闘ならともかく、隠れているミスターを探し出すという任務は、オクト達には向いてませんので、ここは私一人で…。」
「いえ、オクト達も連れていって、これは命令よ」
 怒り抑えているのが容易に見て取れるため、セプはエイプリルの言うことを素直に聞くことにした。
「…………。わかりました」
 セプは部屋に戻ると、ため息をついた。
「「「セプ、また怒られたんだ〜」」」
 見計らったように、部屋に三つ子が戻ってきた。
「貴方達のせいでしょーが、一体、お姉様に何をしたの!? それに呼ぶ時はお姉様と呼びなさいっていつも言ってるでしょ」
 笑っている三つ子を見て、余計にゲンナリするセプ。
「さ、エイプリルお姉様からの命令よ、私達だけで、ミスターを引き続き探す事になったわ」
 仕事の話を聞かされて、一斉に喚きだす三つ子達
「え〜」
「せっかくのお休みだったのに〜」
「どうして私達だけ〜」
 何故そうなったのか? という所を全く考えずに、三つ子達は納得がいかないといった感じである。
「あなたたちがお姉様を怒らせるからでしょ。さ、早く準備しなさい。」
 セプは三つ子に、ミスター捜索の準備を促した…。
638608:2006/11/23(木) 00:16:47 ID:Ah35qDOH
 仕度している所にメイがやってきた。
「あら、どうしたのメイ」
「なあ、セプ、理不尽な話だけど、エイプリルの奴には自分からも言っとくからさ、
セプも知っているとは思うけど、エイプリルの奴、そうとう疲れてる。
とりあえず、ミスターなんか探さずに、ガキンチョ連れて、適当にアクエリアで羽を伸ばしてこいよ」
「うん、わかってるわ、それにエイプリルじゃなくても悪戯されれば誰でも怒るもの」
「まあ、ジャニアリー達が帰ってくる、ちょい前ぐらいには戻ってくればいいと思う」
「そうね、ミスターなんて、探しても見つかってくれる相手でもないし、そうするわ、わざわざ、ありがとう」
 そういうと、セプは三つ子の方を向き
「ねえ、何処行きたい?」
 といって、アクエリアの観光ガイドを三つ子に渡す
「好きな所、連れてってくれるの?」 
 とノヴェが聞く
「そうよ、お姉様が行きたい所に連れてってあげる」
「やった〜」
 うれしそうにするディッセ
「えーとね、えーとね、何処がいいかな〜」
 といいつつ、オクトは観光ガイドをめくる、
「ふふ、慌てなくても、いいわよ」
 セプは、嬉しそうにしている三つ子を見て、自然と笑みがこぼれた。
 三つ子達は、しばらく、ここでも、ここでもないと、観光ガイドを見ていたが、3人納得するスポットが決まった。
「「「ここがいい!!」」」
 三つ子が指差した紙面には、旅行会社が一押しする、ヤシの木と綺麗な海岸の写真が載せてある観光スポットだった。
 アクエリアと言えばここ、と言っても過言ではないくらいの有名スポットである。
「海水浴か…、わかったわ、ここにしましょ、使えそうな物は艦に積んで、足りない物は途中で買うことにしましょう。」
 流石にいつも使う、戦闘ヘリは目立つので、キャンピングするのにも便利なアウトドア用の艦を使う事にした。
「まあ、何かあるといけないし」
 一瞬、持って行くかどうか迷ったが、愛用のM6バヨネット(銃剣)を着剣したスプリングフィールドM14とHK MP5K(サブマシンガン)も3丁持って行くことにした。
「あくまで、念のためよ…」
 独り言を呟きながら、必要なものを艦に積む…。
 セプは、三つ子を連れてアクエリアの観光に向かったのだった…。
639608:2006/11/23(木) 00:21:11 ID:Ah35qDOH
何か、冒頭の部分と雰囲気が違うので投稿を躊躇いましたが、
まあ、予告みたいな事言っといて投下しないのもアレなので投下しました。

もともと書き始めたのが、ここからで、普通に4月とか書いてました。
拷問の様な、エグい内容や、戦闘を期待していた人、すみません。

7氏とかは、もうこないでしょうか?
学園の後半待っているんですが…。

気長に待ちます。
640名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 00:33:38 ID:ZDM/8IpC
>>639
GJ まったりとまってますよ〜

俺もさっさと書き上げないと… >>559の続きです


〜これまでのあらすじ〜

ミスターに吹っ飛ばされ記憶媒体のみになったセプは辺境ギルドの元トップの男と女に拾われ
新たな体を手に入れた マルチアーノを追うべく男と女ともにグレイスランド行きのゲートのある
ビッグピンクへ向かい情報収集のためドックの管理エリアへ向かった

〜ドック管理区域〜

『ダッダッダッ』 三人の足音が管理エリアの簡素な通路に響く 時々現れる職員をのしては
中枢へと走っていった

セプ「おらぁ!」セプがドアを蹴破る 蹴破った瞬間後ろから男が何かを投げ込む次の瞬間それは炸裂し
まばゆい閃光が部屋の中を満たした 閃光に目をやられ転がる職員をよそに男が上に向かってウージーを発砲する
ジェーン「はいはい皆聞いてくださいね 大人しくしてたら危害は加えませんのでじっとしててくださいね」
女はそういうと職員一人一人に手錠を掛けていった
ジェーン「ほら!セプも見てないで手伝う!」いきなり話を振られたセプはビクッとして「えぇ…」と
戸惑いながら返事をすると職員に手錠を掛けていった

ジョン「さて…」男はそういうと管理エリアの端末を操作し入出航リストを呼び出した 男は無言のままリストを眺める
ジョン「よし…ちょうどよさそうだ 二人ともこっちに来い」男は二人を呼び寄せる
セプ「何かいい案でも浮かんだのか?」男はパネルを指差す
ジョン「これをいただく!」 男が指差したのはグレイスランドへ向かう軍の小型補給船だった
セプ「正気か!? ギルドの力は使えないのか?」セプが驚きをあらわにして意見する
ジョン「もちろん本気だ 辺境ギルドにそんな力はないからな さぁ行くぞ!」男は二人を引き連れ部屋を出る

〜係留ドック〜

三人が係留ドックに着くとかなりピリピリとした雰囲気が伝わってきていた 三人乗りの小型補給千だが
二人が警備に当たり残りの一人が最終メンテナンスを行っていた セプがそっと兵士に銃口を向けるが
男によって制止される
セプ「なぜ止める」
ジョン「慌てるな とりあえず怪しまれないために必要だからな」あまりセプは納得いかないようだった
ジョン「ジェーン マスクは持ってるか?」男が防毒マスクを手に持ち女に確認する
ジェーン「ちゃんと持ってるよ」
ジョン「なら良かった それじゃセプこれを投げてくれ」男はセプに投てき型の催涙弾を手渡した
セプ「わかった 足元あたりに停止する様に投げればいいんだな?」男はうなづくとマスクをつけた

カラカラ〜 兵士の足元に催涙弾が転がり白い煙が噴き出すと辺り一体が白い煙に包まれ
兵士たちのげほげほというむせる声が響く
ジョン「今だ!」男と女がマスクを着けて兵士たちの下へ駆け出す
白い煙が晴れるころ兵士たちは男と女の足元に崩れ落ちていた
兵士たちには特に外傷は無くただ気絶しているだけであった

数分後

兵士3人は全裸に剥かれマニアックな縛り方をされて気絶していた その傍らには嬉々としてその姿を
写真に収める女が居た そしてその姿を見てやれやれとうなだれる男と顔を真っ赤にしてどこかを見ているセプが居た
元々は兵士たちを言いなりにするためのネタにするはずだったのだが全裸では生ぬるいと女が言い出し
慣れた手つきで兵士たちを縛り上げたのだ
ジェーン「セプ〜 そんなところにいないでこっちにいらっしゃいよ 結構いい体してるわよ!」
セプは赤くなったままその場を動こうとはしないがたまに兵士たちのほうをチラチラ見ているようだった
ジェーン「う〜ん この子タイプだからちょっと悪戯しよ セプ!手伝って」女組二人はそのまま小型船の荷台へ消えていった
ジョン「まったく… さてと俺はこいつ等に服を着せて尋問した後に車の回収か…」男はため息をつくと作業を始めた
〜続く〜
641608:2006/11/24(金) 01:20:52 ID:kLq/N/7f
>>640
久々の投下ですね〜。
お疲れ様です。
そういえば、やっぱし、ミスターというか主人公側とかアンジェリカ側は人気ないんですかね?
どのスレ見ても、書く人っていうか触れる人が殆どいない…。

最悪、よくわからんけど、プロキシがどうたらこうたらで
規制された・・・。
書き込めん、orz
642名無しさん@ピンキー:2006/11/24(金) 01:27:15 ID:W4rRVjPa
>>641
マイナーなプロバイダを使っていると規制されることがあるのかもしれません
といってみるテスト
643608:2006/11/24(金) 02:08:43 ID:IJ1iUohs
 艦を運転しながら、ナビに目をやるセプ
「結構ここからだと、遠いわね、途中で、水着とかも買ったほうがいいのかしら」
 呟くセプ
 後部にいる三つ子達は待ちきれないといった様子。
「ねーまだ〜?」
「私もう、待てない」
「Zzzzz」
 ディッセは眠っている。
「後、少しだから、オクトもノヴェもディッセを見習って、眠ってなさい、着いたら起こしてあげるから」
 面倒くさそうに答えるセプ
「ディッセはこの前、ジュピターに向かう途中眠って、エイプリルに怒られていたよ」
「そうだよ〜、セプ〜、私もう待てない」
 といって、ジタバタし始める、オクトとノヴェ
「ふう、とりあえず、好きな物でも買ってあげて黙らせよう」
 ため息をつきながら呟いた。
 航路の途中にある、適当な商店街を見つけ、艦を止めるセプ、
「さ、お買い物よ、降りなさい」
 三つ子達を降ろし、水着を売っている店を探すセプ
 先頭を歩いていたセプだが、ふと気がつくと、三つ子達がいなくなっているのに気がついた。
「あ、あら? 何処いったのかしら、あの子たち」
 セプは早足に左右を見ながら来た道を戻る、その時
「こら〜、待たんか〜」
 と叫ぶ声が聞こえた。声の方に目をやると、三つ子達が早足で何やら追いかけられている。
 見た目が、7〜9歳くらいに見える三つ子達だが、アンドロイドである以上、逃げ足は速い、あっという間に声の主を振り切り、人ごみに消えた。
「はあ、はあ、何て逃げ足の速いガキだ…」
「あの、何かあったんですか?」
 思わず、声をかけるセプ
「ああ、今のガキども、うちの店から万引きしていきやがった…」
「万引き?」
 一瞬、眩暈のするセプ、気を取り直し三つ子達が消えていった方向に向かって走ろうとしていったその時
 後ろから、店の主に服を掴まれる。
「あんた、あいつらとどういう関係?」
 怒りが伝わるかのように聞いてくる店の主
「あ、いえ姉です。」
 反射的に答えるセプ
「そうかい、あんたじゃあ、払ってもらおうか、1ドルの桃缶3個で3ドルだ。」
「は、はい」
 慌てて、ハンドバッグに手を入れるセプ、
「は、しまった、財布を艦に忘れてきてしまった。」
 驚愕の事実に直面するセプ、
「お譲さん、大人を舐めるとどうなるか…」
 いつの間にか、店の主の怒りの対象が、セプに変わっている
「わ、わかりました。」
 そういうとセプは渋々手につけている、レディースウォッチを外し、店の主に渡す。
「ブランドものの腕時計です、今はお金が手元にありませんのでこれで」
「ブランドもの〜? ゲームセンターの景品じゃねえのかコレ?」
 一瞬、むかついたので、目の前にいる男をしばこうかとも思ったが、
 それでは、死の天使とまで呼ばれるマルチアーノ12姉妹の名に傷がつくと思い、行動には移さない。
「まあ、盗まれたものは桃缶だし、全部で3ドルだ、これで手をうってやるよ」
 といって、店の主は背を向ける
「ふう、誇り高いマルチアーノ12姉妹が、3ドルの桃缶を万引きした事実が知れ渡れば、お母様の名誉も失われる。
それに万引きなんてセコイ事はコヨーテがする事」
 自分に言い聞かせるように言うと、セプは三つ子達の足取りを追った…。
644608:2006/11/24(金) 02:11:21 ID:IJ1iUohs
 三つ子達はブランコと砂場があるだけの小さな公園にいた、ベンチに座り困った顔している。
「貴方達、万引するなんて、全く何考えているの? あんな屈辱受けたの、生まれて初めてよ」
 問いただすセプ、しかし、問いには答えず、
「あ〜、お姉様いいところにきてくれた〜」
 といって、ノヴェが駆け寄ってくる。
「な、なによ?」
 思わず聞き返してしまうセプ、
「開けて」
 といって、手に持っている桃缶を差し出した。
 三つ子達は、盗んだまでは良かったが、缶が開けられず困っていたのである。
 一瞬で脱力するセプ
 5分ほど、三つ子達に説教をすると、来た道を戻り、先ほどの三つ子達が桃缶を盗んだ、1ドルショップへ行く…。
「あの、すいません」
 店の主に声をかけるセプ
「ああ、あんたか、お金を持ってきても、あの腕時計はかえさねーぞ、ブランドものって事実も確認できたしな」
「……、それは別に構いませんので、缶きりを譲ってもらえませんか?」
 1ドルの缶きりを譲ってもらうと、桃缶を三つ子達に開けてあげた。
 財布を取りに戻ってから、必要な物を買い揃え、艦に積む…。
「気を取り直して、海岸に向かうわよ、これからはいい子にするのよ、いい? いい子にしないと観光は止めて、ミスターの捜索に変わるわよ」
 と三つ子達に釘を刺すセプ
「「「はあーい」」」
 桃缶を食べれて、上機嫌なのか、元気よく答える三つ子達。

 セプ達が商店街を離れた、10分後…。
 三つ子達が万引きした1ドルショップでは
「確かに、マルチアーノ12姉妹です。着ているものと特徴からして、三つ子とセプですね、正確な行き先まではわかりませんが、
何故か隣の店で水着等の海水浴グッズを買っていました。」
 店の主は、ギルドに垂れ込んでいた…。
(続く)
645608:2006/11/24(金) 02:15:23 ID:IJ1iUohs
ZERO-3をモデムにして投下…。
すげー時間がかかる。

規制解除申請したけど、一週間くらいはかかるらしい…。
orz
646名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 23:27:24 ID:hyZcEuSO
12姉妹って、感情があったり、涙を流したりと、わりと人間っぽいところがあるわけだが、
実際、ダッチワイフみたいな機能はついているのだろうか?
647名無しさん@ピンキー:2006/11/28(火) 23:39:31 ID:SZZhJQMz
コミック版ではそういう機能が付いている事を匂わせる描写はあったな。
6487:2006/11/29(水) 00:10:06 ID:lAi6Rzs8
7です。学園の後半は細々と続きを書いておりますので、もうしばしお待ちを…orz
649名無しさん@ピンキー:2006/11/29(水) 15:45:12 ID:XVQAUUI9
久々の降臨ですね。
お待ちしています〜。
650名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 00:39:47 ID:tLTFHDvp
O蟲×4月マダー?
651名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 22:25:38 ID:tmeqbK92
このスレって、保存庫を作る話はないの?
652名無しさん@ピンキー
宇宙港に隣接する殺風景な埋立地に「マトソンズ・モンスター・カーニバル」のステージ&宿舎を兼ねた宇宙船「アルゴノーツ」は着陸していた
「マトソンズ・モンスター・カーニバル」はサーカスと見世物小屋を足してシェイクしてエログロで味付けしたような一風変わった一座であちこちの惑星を回っては興行と新しい芸人のスカウトを行っている
今、船内で芸人の溜り場として使われている船倉(アルゴノーツは元々は高速輸送船で密輸業者からの押収品を競売で落札したものだった)では未開の惑星で一座に加わった半裸の青年がやはり最近スカウトされたばかりの老人形師とチェスをしていた
「ほれ、チェックメイト」
「ガウ!?!」
自らの勝利を宣言する人形師
これで人形師の十二連勝である
ジャングルで育ったといっても青年は決して魯鈍ではない
むしろ頭の回転は速いほうである
だがルールを覚えたばかりのゲームで老獪な人形師に勝つのは流石に無理だった
「モ、モウイッカイ!!」
たどたどしい言葉で再度勝負を挑む青年だが人形師は首を横に振った
「悪いがこれから団長と会う約束があるのでね」
『ミスタ・トゥーロン、ボスがお呼びです』
図ったようなタイミングでアナウンスが流れる
「じゃ、私はこれで。後は『彼ら』に相手をしてもらいたまえ」
歩き去る人形師
後に残されたのは腰布一枚のマッチョな青年と「パペット・マスター」アンドレ・トゥーロンの「作品」達
ジェスターは顔のパーツを組み替えて露骨な蔑みの笑いを浮かべ
ブレイドは「やれやれだぜ」と言いたげに肩を竦める
シックスシューターは何か撃っていいものはないかと辺りを見回し
トネラーはひたすら頭のドリルを磨き続ける
ピンヘッドが「ま、気を落とすな」なんて感じで青年の肩をポンと叩いたところで青年は急に立ち上がった
下層甲板から上がってきた少年と少女−青年より前から一座で働いている双子だった−から微かに匂ってくるものがある
それはごく僅かな匂いだったが獣並みの嗅覚を持つ青年が「それ」間違えることはない
それは血の匂いだった