【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】

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1名無しさん@ピンキー
主要登場人物のほとんどが
女というこの作品のエロパロがないのはおかしいと思うんだ。
2名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 20:09:41 ID:Z8+7jymg
2ゲトー
3名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 23:32:11 ID:MgpubUxQ
3ゲット。       》1乙です。       では、職人を待ちますか。
4名無しさん@ピンキー:2006/06/17(土) 23:32:30 ID:uO3j9Lod
いや、マイナーすぎだろ。
まだ4冊しか出してないぞ。
5名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 00:10:55 ID:eGVIfEpF
1冊や2冊ならともかく、4冊も出てれば妄想のネタは充分じゃないか?
6名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 10:18:00 ID:DnQ44O2T
目隠れ二重人格委員長奴隷ロリボーイッシュ妹眼鏡などなど。記号は十分。  さあ、誰か書くんだ!!
7名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 16:17:41 ID:w9xAyCSA
じゃあ雪姫SS書くからシチュをリクしてくれ。
細かく指定された方が楽なのでこだわってくれた方がありがたい
8名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 18:33:31 ID:eGVIfEpF
>>7
じゃあ、ジュウの寝込みを襲うという話で
97:2006/06/18(日) 18:58:57 ID:w9xAyCSA
刃物持たせた方?普通に陽気な方?
10名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 19:23:55 ID:eGVIfEpF
じゃあ、刃物持った雪姫がジュウの服を切り裂いて
あれこれとリードしていくが、ふとした拍子に刃物を奪われ、逆襲されるというのを。
117改め伊南屋(いなみや) :2006/06/18(日) 20:30:59 ID:w9xAyCSA
コテハンは別スレで使っているモノを。
とりあえずバイト終わったから今から書きます。今日明日中には投下する予定。
12名無しさん@ピンキー:2006/06/18(日) 20:33:18 ID:wUd25471
需要は決して少なくはない、そこは否定しないが独立は早いのではないか?
13伊南屋:2006/06/19(月) 03:36:12 ID:PsOrgJf+
今から投下します
14名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 19:17:45 ID:53c+AVxu
関連スレ ラノベ板より・片山憲太郎「電波的な彼女」「紅」6人目
ttp://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1147106318/801-900

神待ち
15伊南屋:2006/06/19(月) 20:20:33 ID:PsOrgJf+
投下しようとしたら寝落ち。
んで今読み返したら直したいとこあったんで修正中。
その他諸々の事情もあって投下は多分日付が変わるあたりになりそうです…。
16名無しさん@ピンキー:2006/06/19(月) 21:11:02 ID:lJXMXcvD
正座をして、待たせて頂きまツ!(b^ー°)
17伊南屋:2006/06/20(火) 04:02:26 ID:vGs3P5Lu
『夜を這うもの』

 柔沢ジュウが目を覚ましたのは、体にのし掛かる重みを感じたからだ。
 暗闇に微かに浮かぶ影に、体を強ばらせる。
 強盗、という可能性が脳裏によぎる。この世の中にあってそう珍しい事ではなく、いつ自分に降り懸かってもおかしくはない。だからと言ってそれを受け入れる事など勿論できない。ジュウは抵抗しようとした。しかしそれは首筋に当たる冷たい感触にとどめられる。
「抵抗しない方が良い」
 ジュウにのし掛かる影は少女の声でそう言った。姿の見えない侵入者、その声にジュウは聞き覚えがあった。
「雪姫、か?」
 その瞬間、風にカーテンが揺らめき、射し込んだ月灯りが影を照らす。
「正解だ、柔沢」
 そこにいたのは白いリボンで黒髪を結い、ジュウの学校とは違う、ブレザーの制服に身を包んだ少女。斬島雪姫だった。
 夜の寝室で美しい少女にのし掛かられる。普通なら喜ぶべきシチュエーションだろう。首筋で光るナイフさえなければ。
 もっともこのナイフがなければ自分は喜んでいたのだろうか? そうジュウは考えて、しかしそんな事を考えている自分に苦笑する。そうじゃないだろう。今考えるべきはそうではない。
「お前にいくつか質問がある。良いか?」
「ああ」
「まず、どうやって入ってきた?」
「簡単だ。雨と同じで窓からだ」
 見れば部屋の窓が開いている。さっきカーテンが揺れたのはそこから入り込んだ風だったか、とジュウは納得した。
「だかちょっと待て。雨の時は工場の足場があったが今はそんなのないぞ?」
 そう、外壁の塗装工事が終わった今、かつての様に侵入を助ける作業用の足場はもうない。条件は揃っていないのだ。
「うむ、だから壁を直接な。おかげでナイフが何本か駄目になってしまった」
 事も無げに淡々と話す雪姫。しかしそれは並大抵の事ではない。ジュウは改めてこの斬島雪姫という少女の恐ろしさを感じた。
「質問は以上か?」
「いや、もう一つ」
 そのもう一つの問いこそが核心。ジュウは雪姫を見据え問う。
「一体何の用だ?」
 正直、何故いきなり寝込みを襲われ、ナイフを持った少女に生殺与奪を握られなくてはならないのか分からない。と言うか分かったらそれはそれで問題があるように思う。
「ふむ、何の用か……か。まあ聞くよりは体で理解した方が良いだろう」
 何の事だ。と言おうとしたジュウの口が塞がれる。目の前には零距離で雪姫が瞼を閉じている。
18伊南屋:2006/06/20(火) 04:27:29 ID:vGs3P5Lu
「ん……こういう事だ」
 雪姫が顔を離し、囁く。
「な、お前……今キス……」
 キスを交わしたという事実にジュウは混乱する。
「おや? ちゃんとしたキスは初めてだったか。……安心しろ私もだ」
「や、そうじゃねえ……って言うか本当に何のつもりだ?」
「ここまでして分からないか。さすが雨の想いに気付かないだけはあるな。驚異的鈍さだ」
 なにを言ってるんだこいつは。なんでキスをした? 最近になって理解不能な人物や状況にはそれなりに遭遇してきたが、その中でもこれはかなり理解に苦しむ。
 もっともそれはジュウの“そういった事”への疎さ故に来るのだが本人に自覚は全くない。
「仕方無い。勝手にやらせて貰おう」
 そう言い、雪姫はジュウの首筋に当てていたナイフを首筋から離す。ジュウが安堵したのも束の間。闇を切り裂くように銀閃がジュウの胸元を走る。
 斬られた。そう思ったがそれはすぐに否定される。全く痛みがないからだ。視線を胸元に向ければ切り裂かれていたのは寝間着代わりのTシャツだけだった。
 ジュウの額を冷や汗が流れる。ほんの後数ミリ、いや、それ以下の誤差で自分の胸まで切り裂かれていたかもしれない。
「おま……! アブねえな!」
 しかしジュウの抗議の声を聞き流し、雪姫は裂けたTシャツの隙間からその細い指をはだけた胸板に這わせる。
「少し落ち着け。興が冷める」
 そう言うやいなや雪姫は再び唇を重ねてくる。薄く開いた瞼から自分を見つめてくる瞳と、自分の肌を這う少し冷たい手の感触にジュウは寒気にも似た感覚を覚えた。ただそれは決して深いなどではなく、むしろジュウの奥底に訴える何かを持っていた。
「落ち着いたか?」
 たっぷり十秒以上の口付けか解放し、雪姫が聞いてくる。
 ジュウは言われて初めて自分が先程よりも落ち着いているのを自覚した。それは思考の麻痺なのかもしれない。しかし、確かにこれ以上不用意な抵抗をしようとは思わなくなっていた。
「それで良い」
 大人しくなったジュウを見て雪姫が笑みを浮かべる。その表情は例えるなら妖艶。その一語に尽きた。
 再び、しかし今度はゆっくりと雪姫がナイフでジュウの体を撫でていき、ナイフの軌跡をなぞるように布地が裂けていく。絶妙な力加減で肌の上を走るナイフはまるで指先でなぞられているかのような快感すら伴う感覚をジュウに与えていく。
19伊南屋:2006/06/20(火) 04:28:24 ID:vGs3P5Lu
すごい半端だけど一旦ここまで
20名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 12:00:37 ID:0mAm+LmE
ジュウが攻めに転じたら・・・(o^∀^o)
21名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 12:09:12 ID:54n04svn
伊南屋さんGJ!!     続き楽しみにしてます。
22名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 17:32:12 ID:Wq+lT73D
23伊南屋:2006/06/20(火) 20:41:35 ID:vGs3P5Lu
『夜を這うもの』続き

「っく……」
 思わずジュウは声を漏らす。
「柔沢……そんな声を聞かされたら抑えが利かなくなるじゃないか」
 雪姫が笑みを一層深くする。それにジュウは何かを感じるが遅い。次の瞬間には再三の口付けが交わされる。だが今度は先の二回とは違った。
 ジュウの唇を雪姫の舌先が突ついてくる。それに驚き、息を呑もうとしたがその拍子に雪姫はジュウへの侵入を果たした。
 ジュウの歯や歯茎、唇の裏側が雪姫の舌に撫でられる。更にそれは歯と歯の間を通り、ジュウの舌を絡めとろうと深く挿し込まれてくる。
「ちゅっ……ちゅぷ……んぅ、ちゅぱっ」
 雪姫とジュウの唇の隙間から唾液の絡められる音が漏れる。
 ――やばい、気持ちいい……。
 ジュウの正常な思考が奪われていく。一方的だった舌の動きは無意識の内に双方からの物となり、ジュウも自らの舌先を雪姫に絡め、口中へ挿し込む。
「ふむっ……ちゅぅ、ふは……っ。柔沢もノってきたじゃないか」
 頬を朱色に染め、瞳を潤ませた雪姫が、ジュウと繋がる透明の橋を吊し、口端から唾液を垂らしながら微笑む。
 ジュウはもやがかかったようにぼんやりとする頭の中でその媚態を美しいと感じていた。
 そうすると途端に体が情欲を訴え、目の前の雪姫を我が物にしたいという感情が鎌首をもたげる。
 そして、やられたままというのはジュウにとって望むところではない。
「雪姫……お前に、触りたい……」
 包み隠さず本心を晒す。だがそれは。
「だめだ」
 と、あっさりと雪姫の拒否を受ける。
 しかしそれで諦めるジュウではない。同意を貰えないならいっそ、勝手に触ってしまえ。雪姫だってそうしているのだ。文句は言えないだろう。
 ジュウは雪姫の太股の下敷きになっていた腕を力任せに抜き取り、雪姫の腕を掴む。それと同時、雪姫の手に握られたナイフを取り上げ、取り返されないように部屋の隅に向かって投げつける。
 部屋の端へと転がっていったナイフを見届けたところで視線を雪姫へ戻す。
 そこにはナイフを失ったことで、先程とは打って変わった、切なげな表情の雪姫がいた。
「柔沢……君」
 雪姫が熱を帯びた、うっとりした視線をジュウに投げかける。
 その様子にジュウは更に征服欲を駆られ、体を引き起こすと一気に雪姫との体勢を上下入れ替える。
 
24伊南屋:2006/06/20(火) 21:17:23 ID:vGs3P5Lu
「やっ……!」
 雪姫が小さく悲鳴をあげるも、それに構わず腕を雪姫の体に近付ける。しばし躊躇したものの、結局は自らの欲には逆らえず、衣服越しに雪姫の胸に触れた。
「くぅんっ……」
 雪姫が甘い吐息を漏らす。
 ジュウは初めて触れる女性特有の柔らかさを手のひら全体で堪能する。制服越しでも分かる極上の感触。これに直接触れたら自分はどうにかなってしまうんじゃないか。どうしようもない好奇心に忠実にジュウは雪姫の制服の胸元、そのネクタイに手を掛ける。
 雪姫は何も言わず、ただそれを見ている。ジュウは拒否がないことに安堵しつつ、ネクタイを解き、抜き取った。
 そのまま淀みなく手を動かし、ブレザーのベストのボタンを一つ一つを外していく。
 脱がし進めていく度、興奮が高まっていくのを感じる。慎重に脱がす自分がじれったい。それと同時、長く楽しみたいと思う自分がいる。
 ベストを脱がせ、ブラウスを脱がし始める。これを脱がせば残すはブラジャーのみだ。
 視線を雪姫の顔に向けると、脱がされる羞恥に耐え、顔をトマトのように紅潮さすた雪姫と目が合った。
 その表情が堪らなく愛しく、ジュウは今度は自分から唇を重ね合わせた。
 自然と互いに舌を絡め合わせ、唾液を交換し、それを嚥下する。
 その間にもジュウはブラウスのボタンを外し、雪姫の肌を露わにしていく。最後のボタンを外し終え、雪姫の上半身は前の開いたブラウスと胸を覆う下着だけになる。
 唇を離すと唾液が糸を引き、それが途切れ、唾液が胸元を濡らす。
 淫靡なその光景にジュウの興奮が際限なく昂ぶっていく。
「はぁ……柔沢……くん」
 雪姫の切なげな声を引き金にジュウは最後の一枚である下着に手を掛ける。持てる知識を動員し、背中のホックに腕を伸ばす。手探りでホックを見つけ、それを外そうとするがなかなか上手く行かない。それでも手こずりながら何とか外す事に成功する。
 戒めから放たれた雪姫の乳房が小さく揺れる。
「っやぁん……」
 軽く表面に触れただけで雪姫は敏感に反応し、身を捩らせる。その反応をもっと引き出したくて、ジュウは更に力を込め指先を食い込ませるように動かす。
 そうする事により雪姫の薄桃色の先端が硬さを増していく。ジュウは吸い寄せられるように舌でそこに触れた。
25伊南屋:2006/06/20(火) 23:05:44 ID:vGs3P5Lu
「やあぁ……」
 雪姫が体を震わせてジュウの頭を抱き締め、胸元に押し付けるように寄せる。
 舌全体を使って乳首を中心とした一帯を愛撫すると雪姫は更に体を震わせ、浅い呼吸を繰り返す。
 ジュウは空いた手を下へと運び、雪姫のスカートをたくし上げた。
 腰の部分に巻き込んでたくし上げた状態でスカートを固定すると、手を雪姫の股間に向かわせる。
 そっと下着の上から触れてやると雪姫が体を軽く痙攣させる。指先で触れたそこはやや湿っているようだった。
 ショーツの上から割れ目にそってなぞる。すると徐々にだが湿りが増していくのが分かった。
「感じてるのか?」
「きかないで……よぉ……」
 羞恥に顔だけでなく全身を薄く紅に染めながら雪姫が答える。
 そんな反応が眩むほどに愛しい、可愛いと感じる。そんな思いに駆られたジュウはショーツの中へと指を潜らせる。
 直接触れるとそこは驚く程に熱く、濡れていた。
 そっと、中指を沈み込ませると。くちゅり、という水音を立て、指先に雪姫の愛液が絡む。ジュウは更に中指を動かした。
「ひぃっ……んくぅ……ふはぁっ……」
 雪姫が悲鳴にも似た喘ぎ声を上げる。
 その声がジュウの耳朶を打つ度、ジュウの中で雪姫を手に入れたい、深く結びつきたい。という情念が高まる。
 その感情をもはや隠せなくなったジュウは雪姫の耳元に口を寄せ、囁く。
「雪姫……良いか?」
 なんの芸もない言葉だったが雪姫はそれに肯いて応える。
 了承を得たジュウはショーツの腰部分に指をかけ、引き下ろしていく。
 右足を抜き、左足の足首にショーツを引っかけておく。
 互いの腰の位置を合わせ、既に痛い程に勃起したそれを取り出し、雪姫にあてがう。
「行くぞ……」
 その最終確認に雪姫は潤んだ瞳でジュウを見つめ返す。
「いい……よ、きて。ジュウくん」
 その言葉を合図に、ジュウは雪姫へと腰を沈めていった。
 熱を持った雪姫の秘所がジュウの侵入を拒む。
「っ……くぅ」
 雪姫は目尻に涙を浮かべ、破瓜の痛みに耐える。その表情にジュウの中で躊躇いが生まれた。
「……止めるか?」
 情欲よりも、雪姫を苦しめたくないと思い、その言葉を口にする。
 しかし雪姫は気丈に微笑むと「構わない」という風にジュウを抱き締めた。
 ならばいっそ苦しみは一瞬であった方が良い。
 一息にジュウは雪姫の深くまで刺し貫いた。
26伊南屋:2006/06/21(水) 02:16:41 ID:snwicfet
「ぐ……っぅ!」
 雪姫がくぐもった悲鳴を上げる。
 ジュウは腰を止め、上半身だけを動かし雪姫の目尻の涙を舐めとる。両の目から涙を拭うと、ジュウは雪姫と唇を重ね、舌を挿し込む。
 それらの行動はジュウにとって無意識に近い行動だったがその結果、破瓜による苦痛から雪姫の意識を逸らし、痛みを和らげる結果となった。
 しばらく互いの舌を絡め、唾液をすり合わせる。混ぜ合わされた粘液を啜り、逆に流し込み、二人はそれを嚥下する。
「ふぅ……っはぁ。動いて……いいよ?」
 その言葉を受け、ジュウはゆっくりと出来る限り痛みを与えないように腰を前後させる。
 まだ男を受け入れたばかりの雪姫の秘裂は狭く、それだけの動きで耐え難い快感がジュウの背中を走る。すぐにでも遠慮などなしに腰を打ちつけ、快感を求めようとする本能をかろうじて押しとどめ、焦らぬように抽挿を繰り返す。
 しばらくそうしていると雪姫から甘い吐息が漏れてくる。雪姫は徐々に感じ始めているらしい。そうさせているのが自分だて思うと、嬉しさがこみ上げてくる。
 その喜びを腰の動きに反映させ、少しずつ運動を速めていく。
 最深部突き上げ、根元まで引き抜く。それに合わせて雪姫の体が揺れ、形の良い乳房が雪姫の上で震えていた。
「ジュウく……ひあぁっ!」
 痛みがなくなり、雪姫に残ったのは快感だけ。その感覚をより深く味わおうと細い太股がジュウの腰に絡められ、より深く、強い結び付きを促す。
「ふあぁ……ジュウく、ん。ジュウくぅん……っ」
 譫言のようにジュウの名前を繰り返す雪姫。その雪姫の断続的な締め付けに限界へと導かれる。
「っく……雪姫……もう、出るっ……」
「はっぁぅ……、いいよ……? このまま、膣中に……」
 その言葉と同時、一際強い締め付けがジュウを襲う。それに抗う術もなく、雪姫に限界まで深く突き入れ、最奥に精を放つ。
「あ、ひゃあ……! 出てぇ……出てるよぉ!」
 子宮口を叩く感覚に、雪姫は大きく体を震わせて達する。
 ジュウに回された腕にも力がこもり、それに応えてやる。
 長い射精が終わったのを感じ、慎重に雪姫から抜き取ると、微かに痙攣したそこら、ジュウが吐き出した精液と、破瓜の血が混ざった薄紅色の液体が零れた。
 その淫猥な光景を眺めていたが、疲れによる眠気に襲われ、ジュウは雪姫の隣に体を横たえる。
 そうするとろくに眠気に抵抗も出来ず瞼を落とし、ジュウは寝息を立て始めた。
27伊南屋:2006/06/21(水) 02:34:43 ID:snwicfet
 柔沢ジュウが目を覚ましたのは耳元で囁かれたからだ。
「おはよう」
 少女の声で囁かれ、ジュウはゆっくりと瞼をを開く。ジュウの目がまっさきに捉えたのは見慣れた天井ではなく一人の少女だった。
「おはよう柔沢」
「雪姫」
 その手に包丁を携えた斬島雪姫であった。
「顔を洗ってこい。勝手にだが朝食を用意した」
 だから包丁か。妙に納得しつつ、ジュウはその言葉に従った。

 顔を洗い、意識がクリアになるとジュウは昨夜の事を思い出し狼狽えた。
 まとまらない思考を引きずり雪姫の待つテーブルに向かう。
「あ〜、なんだ、その……」
 どう声を掛けるべきか考え倦ねるジュウに雪姫が先制して言った。
「すまなかったな」
「え?」
「無理にあんなことをしてしまって悪かった」
 あんなこと。を思い出して赤面しながらジュウは答えた。
「いや、その……別に嫌じゃねえし、むしろ気持ち良かっ……じゃなくて。最後の方は俺からだったし……」
 しどろもどろになりながら謝罪は必要ない事を告げる。
「というか、その……そういう事なんだな?」
 その問いに雪姫は視線を手元の包丁に落とす。心持ち、冷淡な表情に赤みが差した気がした。
「皆まで言わせる気か?」
「あー……、いやそうだな、すまん」
 ジュウとて流石にここまでして気付かないわけではない。
「俺が好き……って事で良いんだよな?」
 雪姫が首肯し肯定。
 意志を確認したのだ、応えねばなるまい。そしてジュウの中で応えは既に決まっていた。
「じゃあ、俺からもだ……斬島雪姫」
 名前を呼び、自らも佇まいを正す。
「……俺と付き合って欲しい」
 それはジュウの偽らざる本心。
 雪姫の頬の赤みが増していく。そして、しばらくしてから聞こえるか聞こえないかという小さな声で雪姫が答えた。

「……よろしく、たのむ」

Fin.
28伊南屋:2006/06/21(水) 02:37:47 ID:snwicfet
投下完了
投下の間隔が長かったですね……。
とりあえずご意見、ご感想、リクエストは随時募集させていただきます。
以上『夜を這うもの』をお送りした伊南屋でした。
29名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 03:31:39 ID:8JCaGxIz
ご苦労様でした。
雪姫・・・可愛す(*^o^*)
30名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 06:52:25 ID:R6fuB5Ix
GJ!さぁガンガン来い
31名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 16:36:07 ID:snwicfet
あげ
32名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 20:16:52 ID:Ta4fcCO1
伊南屋さん、スゲエ! 巧い! エロい!
雪姫が可愛いっス。
弱陵辱系とかでもいけるなら、まだ本編前で、竜士にいろいろ弄ばれちゃってる紫とか希望!
33名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 20:53:39 ID:hnQqsZfc
作者さんGJです。
どちらの雪姫もいいですw

光×ジュウとかも見てみたいです
34名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 22:01:52 ID:R6fuB5Ix
てめぇぇぇらぁぁぁぁ!!
・・・・雨乞い
35名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 00:29:02 ID:E7bGKmSG
うん、雨も良いね。
井原達5人に拉致され、抵抗もせず犯される雨、その様をただ見つめるだけのジュウ・・・そんな萌えるストーリー。
36名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 17:43:21 ID:L9brdai0
俺は円とジュウによる全裸での組み手を希望する。
37伊南屋:2006/06/22(木) 17:53:06 ID:Jf+yy9Do
ジュウと円の全裸組み手ってギャグ?
いや、想像つかんから多分書かないけど。
それにカップリングは自然な方が良いし。
38名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 18:26:01 ID:L9brdai0
>>37
いや、ギャグと言えばギャグなんだが
意味合いとしては「ベッドでプロレス」。
39名無しさん@ピンキー:2006/06/24(土) 19:47:08 ID:QiRPd5LN
青いシーツのジャングルで
40名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 01:58:22 ID:uO9sB2i/
吠える野ジュウで無法者
41名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 09:28:29 ID:eJjH46w2
>>28
GJ

その後の雨の反応が欲しいのは俺だけか
42伊南屋:2006/06/25(日) 10:55:44 ID:Gp214pZE
じゃあ続き物にして書きますかねぇ…
43名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 12:18:33 ID:Sgckxpn+
確かに今後の雨の動向が木になる。
それに雪姫の対応とかも
44名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 12:48:21 ID:WXSijA9x
伊南屋氏はGJ!
しかしこの展開のあとがどうなるか、ちょっと想像つかないんだが。
45伊南屋:2006/06/25(日) 13:49:36 ID:Gp214pZE
ジュウと雪姫の純愛で続けるかみんなが電波出してハーレムになるかのどっちかかと…
どっちが良い?
46名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 14:22:08 ID:Sgckxpn+
純愛も捨てがたいけどやっぱりいろんなキャラが楽しめるハレムかな
47名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 16:55:37 ID:fdbmJ+wh
光とかのキャラのも読みたいしな
48名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 18:31:38 ID:jqsKeXmd
光との絡みは読んでみたい。
でも、このまま雪姫と純愛でいくのも、先の展開が興味ある。
49名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 19:11:23 ID:/nOJqVN/
じゃあ間を取って2ルートとも書いてもらえば良いじゃない
50伊南屋:2006/06/25(日) 20:53:31 ID:Gp214pZE
なっ…2ルートだと……!
何てことふっかけやがる……!
O.K.!やってやろうじゃねえか!そんなん言われたらやらざるを得ないしなぁ!
そんな自爆スキーの俺。
51名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:03:55 ID:4/kjajVf
い、伊南屋さん、あんた神か!
52名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:07:06 ID:Sgckxpn+
ブラボー!ブラボー過ぎるよアンタ!!
53名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:20:10 ID:fdbmJ+wh
スゲエ反骨だ!尊敬するぜ!
54伊南屋:2006/06/25(日) 21:20:11 ID:Gp214pZE
さて、差し当たってはどちらを先に?
55名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:20:39 ID:/nOJqVN/
言ってみるもんだ・・・・(*゚Д゚)
楽しみにしてます!!
56名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:31:21 ID:N7HoaC3V
ハレムに一票
57名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 21:47:40 ID:Sgckxpn+
俺はこのままの流れで純愛に一票
58名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 22:01:42 ID:Q+2PSpB9
純愛で最後までいって、一回リセットしてハーレムお願いします。
59名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:31:52 ID:eZ5z3nV5
円&光スキーの俺はハーレムに一票
60名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 23:45:35 ID:fdbmJ+wh
迷うが…ハーレムかなあ
61伊南屋:2006/06/26(月) 02:01:45 ID:l9xEq+Ij
票が割れてますが、とりあえず58の案を採用という事に。
62名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 06:30:01 ID:TfE2V0XA
期待しております……。
63名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 08:59:32 ID:LCjDXBnX
頑張ってくんさい
64名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 17:55:26 ID:ujTWvzVO
「お姉ちゃん、あのさ、アイツもうウチに来ないの?」
「アイツって?」
「柔沢よ、柔沢!!」
「光ちゃん、ジュウ様の事を呼び捨てにしちゃ駄目よ」
「でもさぁ・・・・」
「光ちゃん」
「分かったわよ、もう! で、来ないの!?」
「光ちゃん、ジュウ様が来るの待ってるの?」
「そそ、そんな、そんなそん、そんなわけないでしょ!! 来たら一言文句言ってやろうと思っただけ!」
「残念だけど、来られる予定は無いわ」
「そうなんだ・・・・。ところでお姉ちゃん、その荷物は何?」
「次の試験範囲よ。一緒に勉強でもと思って。じゃあ行ってきます」
「ふーん。行ってらっしゃい」



「あら光ちゃん、ただいま」
「お姉ちゃん、アイツの「光ちゃん」っ、柔沢、さんの家に行ってたの!?」
「ええそうよ」
「何で!?」
「試験勉強するって言ってたでしょ?」
「雪姫ちゃんや円さんとすると思ってたの!!」
「学校が違うから範囲が違うわよ」
「ア「光ちゃん」柔沢さんの家に行くなら一言言ってくれれば良いのに!!」
「光ちゃん、ジュウ様の御宅へ行きたかったの?」
「そそ、そんな、そんなそん、そんなわけないでしょ!! お姉ちゃんが襲われない為の見張りよ!!」
65名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 19:23:28 ID:WlLY7uTA
本編の裏でありそうな話だ……。
66名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 20:25:53 ID:PsIu5pAu
>>61
期待してます

>>64
相変わらずいいツンデレだ、光w
GJです。
6764:2006/06/26(月) 21:04:12 ID:ujTWvzVO
昨日の49です
伊南屋さんが2ルート書いてくださるそうですので
私も何とかがんばってみました
68名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 21:09:54 ID:/yiNJB3q
こういうのもありだ。GJ!
69伊南屋:2006/06/28(水) 00:23:53 ID:J6Wp070e
 雨というものはどうしてここまで自分を憂鬱にさせるのだろうか。
 小雨の降る土曜、柔沢ジュウは喫茶店の窓から外を眺めながら、そんな事をぼんやり考えていた。
 そう言えば雨は喫茶店に入ってから降ってきたので傘を持ってきていない。
 ジュウは外に向かっていた思考を喫茶店の中に引き戻した。
 窓際の席にはジュウと堕花雨が向かい合って座り、ジュウの隣には斬島雪姫がいる。その向かい、雨の隣に円堂円が陣取って、四人掛けのテーブルを占めているというのが今のジュウ達の状態だった。
 ジュウを憂鬱にさせているのは天気の雨だけではない。目の前にただ黙して座る雨という名の少女も原因だった。
 何故、彼女が自分を憂鬱にさせるのか分からない、深く考えてない。しかし確実に自分は憂鬱になっている。
 雪姫と今度こそ付き合うことになった旨を告げるのを躊躇っている。
 そう、そのためにジュウ達は集まっているのだ。話がある。そう言って雨と円に来てもらった。言い出したのはジュウだ。別に黙っていても問題はないのだろうがこの二人には浅からぬ縁と恩がある。伝えるのは当然のような気がした。
 しかし、いざとなると沈黙してしまう。それの根底にあるのは恐れだ。
 ――恐れ? 一体何を恐れることがある。何もやましいことはない。
 ジュウは意を決して口を開いた。
「雪姫と付き合うことにした……」
 殆ど呟くようにして告げる。その言葉の伺い、向かいに座る二人に視線をやる。
 二人とも見た目には変わらないように思える。雨は平然と佇み、円はあまり興味なさそうに、どこへともなく視線を投げ、沈黙ゆ保っている。
 ジュウが静けさに耐えかねた所で沈黙を破ったのは雨だった。
「それは本当なのですか? また以前のように、二人で何か調べているのでは?」
「いや、本当だ」
「そう、ですか」
 そこに落胆を読み取ったのは、自分の希望的観測か、こんなにも罪悪感を覚えるのも錯覚か、ジュウは判別がつかなかった。
「雪姫も、間違いないのですか?」
 ジュウに向けられていた視線をその隣に移し、確認する。ジュウはそこに縋るような雨の弱さを見た気がした。
70伊南屋:2006/06/28(水) 00:51:29 ID:J6Wp070e
「うん、本当……」
 あまり減っていない紅茶に視線を落としながら雪姫が答える。
 今回の事に雪姫はあまり乗り気ではなかった。それは気恥ずかしさのようなものではなく、もっと負の感情――例えば“後ろめたさ”等のものであるように思えた。
「一つ気になったんだけど良いかしら?」
 不意に今まで興味なさそうにしていた円が割り込んだ。
「なんで雪姫と付き合うことにしたの?」
 何気ない、至極当然の疑問にしかし、ジュウは即答しかねた。
 無論、あの夜の事を有りの儘に話すわけには行かないだろう。だからと言ってどう誤魔化せばいいのかジュウは分からなかった。
 答えあぐねるジュウに助け船を出したのは、意外にも雨だった。
「あまり無粋な事を聞くものではないでしょう。ジュウ様、この事には答えずとも宜しいですよ?」
「あ、そう……か」
 その言葉に安堵しつつも、どこか彼女達に嘘をついている気になってしまう。
 ――いや、本当の事を言っていないということでは同じか。
 いつしか思考に自己弁護が纏わりつく。母ならこんな自分を嘲笑するだろう。自分自身が自嘲の笑みを浮かべてしまいそうなのだ。あの母なら尚更だろう。
「で、話ってそれだけ?」
 円が苛立たしげに切り出す。
「あ、あぁ……そうだ」
「まったく……まさかのろけ話を聞かされる為だけに呼び出されるとはね。寄りにもよって……まあ良いわ、止めておきましょう。お幸せに、お二人さん」
 そう言って円はもう話はないとばかりに立ち上がる。
「午後から稽古があるから失礼するわ」
 円は自分の分の代金をテーブルに置くと、喫茶店から出ていった。
「のろけ話か……」
 成る程、客観的に見ればそうなるのか。円に言われるまでジュウはそうは思ってはいなかった。これはあくまで報告であり、自慢ではない。そう思っていた。
「ジュウ様、私も今日は用事がありますのでこれで」
 雨が立ち上がり財布から紙幣を数枚抜き出す。
「おい、これ……」
 置かれた紙幣は全員の飲食代を合わせた分を払える金額だった。
「これは私からのお祝い。ということにしておいて下さい」
「雨……」
 雪姫が少し、物悲しげな表情を浮かべる。その視線は差し出された紙幣を捉えたまま固定されている。
「雨、こんなの受け取れないよ……」
「では、これはお祝いではなく、私なりのけじめです。それなら受け取ってくれますか?」
71伊南屋:2006/06/28(水) 01:22:01 ID:J6Wp070e
「けじめ?」
 ジュウはその言葉の真意が分からなかったが、雪姫と雨は通じるらしい。ジュウの知らぬ所で意志の疎通がなされ疎外感を感じる。
「分かった。柔沢君も、良い?」
「……雪姫が良いって言うなら」
 正直、納得しかねる所はあるものの、単純に厚意から来ることなら無碍に断るのもはばかられる。例え、そこにそれ以上の意味が込められていても。
「それと、もう一つ」
 雨が雪姫と、そしてジュウを見る。
「私がジュウ様の下僕で有り続けることを許して頂きたいのです」
 その言葉は嘆願でありながら、拒否を許さないような強さが込められていた。
 ジュウはそれに、ただ頷く事でしか応えることは出来なかった。

 * * *

「二人とも、帰っちゃったね」
 喫茶店に残された二人は立ち上がる事はせず、そのまま席に着いていた。
「これからどうしよっか」
 時刻はこれから昼になろうかという程度。このまま帰るにはまだ早い時間だ。
「どっか……行くか?」
 別に行く宛もなく街を歩くのも良いだろう。なんなら雪姫にプレゼントの一つも買ってやるのも良い。財布の中身は心許ないものの、それくらいはしてやれる。
 しかし雪姫は首を横に振った。
「私の家にこない? 私は柔沢君の家に行ったことはあるけど、逆はないでしょ?」
 そう言って、ジュウの顔を伺ってくる。
「別に俺は構わないけど……良いのか?」
「私が誘ってるんだよ。じゃあ決まりだね。行こう」
 雪姫が席を立ち、一瞬躊躇って雨が置いていった紙幣を取り、レジへと向かう。その顔は複雑な陰を帯びていた。
 清算を済ませる雪姫に追いつき、その横に並ぶ。店を出る頃には雪姫の憂いは晴れていた。
「柔沢君、あのさ……」
 雪姫がジュウを見ながら聞いてくる。
「なんだ?」
「名前で、呼んで良いかな?」
「構わない」
「それと……はいっ」
 雪姫が差し出してきたのは手だった。
「手、握らない?」
 差し出された手を見つめたジュウはやや赤くなりながらも、そってその手に自らの手を重ねた。
「ふふっ」
 嬉しそうに微笑む雪姫を見て思う。
 こんな雨降りでも、いずれ雨も上がるだろう。雨が止むように、あの少女も自分の元を去るときがくるかも知れない。それでも、雪姫となら平気かも知れない。そう思えるのはきっと幸いな事なのだ。
 ジュウは灰色に煙る空を見上げ、そんな風に思った。
72伊南屋:2006/06/28(水) 01:26:33 ID:J6Wp070e
以上純愛ルートAパートでした。
Bパートは雪姫の部屋で……な予定。
ただハーレムルートを書くのを先にするかで迷い中。
73名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 03:53:30 ID:EYFAYa8q
スゲエ、本格的だ……。
伊南屋さん巧いっす!GJ!
74名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 05:43:01 ID:gFoNKzqF
うまい!えっ、本人?
75名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 14:23:16 ID:NKyBTVKd
なんですと!本人ですと!?
76名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 20:54:38 ID:dtyotSBN
そうか、本人だったか
77名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 23:55:21 ID:XaGYBTPe
本人かどうかはともかくGJ
78伊南屋:2006/06/28(水) 23:59:05 ID:J6Wp070e
何故本人とか言われてるのか…
とりあえずお褒めに預かり恐悦至極。
しかしBパートが蛇足な気が…どうしよう?
79名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 00:32:53 ID:Bxb+xgpS
確かにここで終っても一応話としては問題無さそうだな。
まあ雪姫が可愛ければどっちでもOKですけど。
80名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 03:55:14 ID:N/QyWSsy
上手い、ちゃんと恋愛ものになってる!
Bパートも気になるなあ……。
81名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 15:57:54 ID:HDvMrmEC
雪姫も好きだがそれ以外がもっと好きな俺は
ハーレム!ハーレム!と猛る心を静めるのに忙しく
82名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 18:17:44 ID:EFF/XsqJ
本編では絶対立たなそうな円フラグを・・・・・・
83名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 18:53:00 ID:+CtISv1E
絶対、円か雨が後ろを歩いてるな 追跡追跡!!
84名無しさん@ピンキー:2006/06/29(木) 20:48:32 ID:/e8qbdo6
>83
それはむしろハーレムルートのフラグのような気がしないでもない。
85名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 07:37:51 ID:Wgpgm3j0
円をまぜるのはキツくない?
86名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 14:40:56 ID:avr0SDhv
イラスト的には円が一番好きなんだが、シチュをひねり出すのが難しいな。
87名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 14:45:35 ID:JoE1xudA
まず男嫌いだし、ジュウに対してどういう感情を抱いてるのかもイマイチ分からないし、その性格形成の裏にある
事情も判然としないので書くのが難しいんだよな。
88名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 20:00:17 ID:avr0SDhv
ヤるなら……そうだな、雪姫辺りに薬を盛らせるくらいしか……
89名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 00:12:17 ID:mhTQSYzK
酒に酔わせるという手も・・・。
90名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 00:53:21 ID:MsCUg6th
古典的に雪山辺りで二人きりで遭難させて…
91名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 02:40:11 ID:zZcOQzKu
雨が遭難させない(…遭難する時は雨込みで三人じゃね?)
92名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 05:02:46 ID:Q8rGkLox
つまり

雨「三人で暖め合うしかありませんね」
円「冗談」
ジュウ「いや流石にそれは」
雨「ジュウさまのお命の御為です」
円「死んだ方がマシよ」
ジュウ「無理強いは」
雨「二人よりは三人の方が暖かいに決まっています」

以降ほぼ問答無用
93名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 13:34:49 ID:fPYFLi9+
で、置いてかれた雪姫が後で暴れる、と
94名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 18:01:30 ID:mhTQSYzK
光もな。
95名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 18:18:12 ID:WqrxLkZu
「私の、息子に、何やってんだっ!!」
ここでママン参戦
96名無しさん@ピンキー:2006/07/01(土) 23:12:18 ID:/RC1gC75
むしろ 「いい経験だろ?」 と放置しそう
97名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 00:18:00 ID:tlP+GZvx
 「で、話をかいつまんでまとめると、図体ばっかりデカくなって頭の方は未だお子様なバカガキは、なし崩しに他人様の娘を

4人程まとめて傷物にした挙句、誰を選ぶ事も出来ずに結局法律ブッ千切ってハーレムの主に収まる羽目になった、と」

 「……すまん」

 「……ふん、まあこれも人生経験と言うやつだ。お前には4人どころか自分一人の人生ですら荷が重そうだが、まあせいぜい

気張ってみろ。途中で投げ出すような真似したら殺すぞ」

 「ああ。……ありがとう」

 「で?」

 「は?」

 「は?じゃないだろうが。相手の名前は?一応親としてそれぐらいは聞いておくぞ。まあ一人目はあの堕花雨だろうが」

 「あ、ああ……それと後雨の妹の光っていうのと……」

 「姉妹丼か、なかなかやるな」

 「……それと、斬島雪姫っていう……こいつは雨の親友なんだけど……」

 「……斬島?」

 「ああ、それと円堂円っていう、これも雨の親友の……なんだよ、その顔は」

 「なあジュウよ、お前世界征服でも目指してるのか?」

 「はあ!?」



こんな感じですか?分かりませ(ry
98牛男:2006/07/02(日) 00:20:58 ID:ae79nUNt
(1)

 大きく息をついてから、ジュウはゆっくり身体を起こした。
 自分の胸にすがりつく少女の嗚咽はまだとまらず、服から手を離そうともしない。
 ジュウは雨の耳元で、ささやくように呟いた。
「もう、泣くな。俺は、大丈夫だから」
 自分でも驚いてしまうくらい、優しい声。
 それでようやく雨の泣き声がとまり、ジュウの胸からそっと顔を離した。前髪の隙間から覗く深い瞳が、ジュウの姿を映し、潤んでいる。吸い込まれそうな瞳だ。
「ジュウ様……」
 濡れた頬に思わず手を当てたところで、ジュウははっと我に返った。
 なんだ、この、ドラマのような展開は。
 柄にもないことをして急に気恥ずかしくなったジュウは、何気ない仕草で周囲を見渡した。
「警察、来ちまったな。説明が大変だぞ、こりゃ」
 道路に突き飛ばされて、絶体絶命だったジュウ。しかし、危ういところでトラックがよけ、白石香里とともにブティックに突っ込んだ。
 事実としてはそうだのだが、何故、白石香里がジュウを突き飛ばしたのか。どのように説明したものか。まさか幸福値うんぬんの話をして、警察を納得させられるとは思えない。
99牛男:2006/07/02(日) 00:22:04 ID:ae79nUNt
(2)

 だが、ジュウの心配は杞憂に終わった。
 当事者であるはずのジュウは、警察署に連れて行かれることもなく、簡単な事情を説明するだけで、開放されたのだ。もちろん、住所と電話番号を知らせる必要はあったが、それにしても破格の扱いである。
 おそらく円堂円が警察の上層部に話をつけたのだろう。よくは分からないが、あの男嫌いの少女は警察を意のままに操ることができるようだ。
 十分な礼を言う間もなく、ジュウは帰宅することになった。
 全身傷だらけで、精神的にもショックを受けている。今日は早く家に帰って、ゆっくりとお休みになる必要がありますと、雨に説得されたのだ。
 ひとりで帰ることもできたのだが、今回ばかりは雨が許してくれなかった。
「わたしがついていなかったばかりに、ジュウの命を危険にさらしてしまいました」
 もちろん、雨に責任などあるはずがない。ジュウ自身にしてみれば、馬鹿げた話である。
 だが、雨は深く後悔したようだ。まるで我侭な子供のような頑迷さで、ジュウのそばから離れることを頑なに拒否した。
 仕方がない。今日くらいはいいだろう。
 雪姫と円に別れを告げ、二人はジュウのマンションに向かった。
100牛男:2006/07/02(日) 00:23:03 ID:ae79nUNt
(3)

 傷だらけで土ぼこりにまみれたジュウを、道行く人たちが注目したが、何故か気にはならなかった。
 ジュウの身体を支えるように、しっかりと寄り添い、心配そうな瞳で見上げてくる少女。そんな姿を見ていると、これまで経験したこともないような、不思議な感情が沸き起こってきた。この気持ちはなんなのだろう。やはり、錯覚にすぎないのだろうか。
 おそらく、他人どころか身内にすら優しくされたことがないので、心が戸惑っているだけなのだろう。無理やりそう思うことにした。
 人知れず葛藤しているうちに、マンションに到着した。
「今日はすまなかったな。もう大丈夫だから。また、明日、な」
「いえ、お部屋までお供いたします。傷の手当も必要ですから」
 こんなのつばをつけときゃ治ると答えたものの、やはり押し切られてしまう。
 雨の迫力に負けたということもあるが、今日くらいはまあ、こいつに甘えてもいいかと、妥協した結果でもあった。
 雨に聞かれないように、そっとため息をつく。
 やれやれ、自分はいつからこんな軟弱者になったのだろうか。
101牛男:2006/07/02(日) 00:24:08 ID:ae79nUNt
4)

 部屋に入り電気をつけたが、当然のことながらそこには誰もいなかった。
 今日も紅香は戻らないらしい。こんな情けない姿をあの母親にだけは見せたくなかったので、正直、ジュウはほっとした。
「とりあえず、ソファーにでも座ってくれ。お茶くらい出してやる」
「いえ、ジュウ様。それはわたしが……」
「いいから、座ってろ」
 以前も同じようなやりとりをしたような気もするが、家の中の仕事を客人に任せる気にはなれなかった。冷蔵庫で冷やしていた麦茶をグラスに注ぎ、テーブルに置く。
「ありがとうございます」
「別に礼をいうほどのもんじゃねぇよ」
 時計の針は午後六時三〇分を少し回ったところ。雨の家では夕食の支度がされているだろう。年頃の女の子を、あまり遅くまで引き止めておくわけにはいかない。
「家の人が心配してるんじゃないのか?」
 そう言ってジュウは「お茶を飲んだら帰るんだぞ」と続けるつもりだったのだが、
「いえ。今日は両親ともに旅行に出かけていますので。光ちゃんには遅くなるから先に夕食を食べておくようにと伝えてありますし、じっくりと手当てをすることができますよ」
 ……やぶへびだったか。
 この少女の頑固さは、ジュウが一番よく知っている。こうなったら、さっさと手当てをさせて、帰らせるしかないようだ。
 ひとつため息をついて、ジュウは救急箱を出すために立ち上がった。
102牛男:2006/07/02(日) 00:26:25 ID:ae79nUNt

作者がちっとも書いてくれないので、
俺が書くことにしました。
「電波的な彼女 〜 幸運ゲーム エピローグ 〜」です。
少しずつ書きますので、気長に待っていてくだはい。
103名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 00:30:45 ID:tlP+GZvx
>>102
GJ!GJ!
雨ものですか。何気に雨はジュウとの関係が主従で固定されてしまってる分それ以上の関係に行く展開は非常に書きにくいと
思うのですが、どう料理するか期待してます。
104名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 02:03:15 ID:7CYmP72w
このスレはレベル高い人が揃ってるなあ
105名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 02:12:47 ID:eRn92bM7
上手いなあ
伊南屋?もかなり作者の文体を踏襲してるし
106名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 02:15:14 ID:j34YVP8P
>>97
雪姫や円の事は犬の人から報告無かったのだろうか、という気持ちは(ry
107名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 02:23:22 ID:A6t1/sea
妙な女に変な癖を付けられないように、犬の人にジュウのチェリーを奪わせて色々指導させる過保護ママ。
108名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 03:21:37 ID:eRn92bM7
西尾っぽい世界感で、世の中は悪いことだらけですよー、って書き方なのにレイプシーンが未だにないのが許せない
109名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 03:27:19 ID:7CYmP72w
>>108
次の巻辺りで出るかも
ていうか円の男嫌いの原因それじゃね?
ちょっとベタだが
110名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 03:37:39 ID:j34YVP8P
美夜の事は忘れてんのか皆
111名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 03:40:12 ID:7CYmP72w
忘れてたw
となるとネタ被るからレイプネタはもうないかもな
円の男嫌いは別の原因になるのか
112名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 06:24:41 ID:Df2jk71Y
>男嫌いは別の原因
父も祖父も妾を囲ってて従兄弟の許婚はホモと噂される
113名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 07:23:10 ID:4EwAi2mB
>>97>>102
どっちもイイヨイイヨー

>>112
それなんて小笠原家?
114名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 08:06:08 ID:IVEiGJLw
>>97
ナイスw
115伊南屋:2006/07/02(日) 16:25:55 ID:3Sp3jBsE
お久しぶりの伊南屋にござい。
結局純愛ルートはこれにて(要望あれば続く)としてハーレムルートに移りたいと思います。
そんで、それに関して以下のことを宣言します。

・好き勝手書かせてもらう。文体なんかは今回は真似ません。
・整合性はとりあえず無視。みんながぶっ飛んだ行動をします。つかそうでもしなきゃハーレムとかならん。
・ストーリー性は保証しない。ただヤって終わるかも。

そして最後に、ハーレム参加キャラをアンケート。
死んじゃった人とか獄中の人とか実の母とか七才の幼女とか。
出す場合は設定ぶっちぎる必要がある人を出すか迷い中なんで。

皆さんの欲にまみれた意見を大募集!

以上、伊南屋からのお知らせでした。
116名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 17:36:54 ID:tlP+GZvx
>死んじゃった人
藤嶋の事か…… 藤嶋香奈子の事か―――!!!(AA略

まあそれはそれとして。
参加キャラはまあ、俺はメイン4人だけども満足なんだが……どうしてもと言うならあえて紅香ママンもしくは犬の人を。
117名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 18:55:59 ID:LUjkpDaH
じゃあダメもとで……紫を。
いったいどんな手でどう濡れ場に持ち込むのか、スゲエ興味ありますわ。
118名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 20:59:25 ID:KyGdyzcC
獄中の人をよろしくお願いします。
どんな展開になるんだろうw
119名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 21:01:08 ID:f7sK7ZdI
崩月 ミタイ オネガイシマス。
120伊南屋:2006/07/02(日) 21:09:24 ID:3Sp3jBsE
ここで一つ言わなきゃいけないことが…。
俺まだ紅読んでないからそっちのネタは無理です…。
121名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 21:11:22 ID:f7sK7ZdI
OTL ゴメン 
122名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 21:21:25 ID:j34YVP8P
俺も犬の人がいいなあ
123名無しさん@ピンキー:2006/07/02(日) 21:28:45 ID:j34YVP8P
ごめん、リロードしてなかったよ。
じゃあ死んじゃった人(学級委員の方)で。
124名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 03:05:54 ID:anpPm1w0
藤嶋香奈子ー
125名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 05:34:28 ID:U+AiEMt5
とりあえず光
なにはなくとも光
126名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 11:21:06 ID:nJjObVWl
光はデフォで入ってるんじゃないのかい?
127名無しさん@ピンキー:2006/07/03(月) 14:27:05 ID:KkpZfhxK
桜じゃないほうの幼女で
128名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 03:19:14 ID:mrGqiJwu
>>107を受けての繋ぎの小ネタ

「ねーねー、柔沢君。そのたらこスパゲッティ美味しそうだねー」
「……半分やるから、そんな欠食児童みたいな顔でこっちを凝視するな」
「わーい、ありがと!お礼にチューしたげる」
「遠慮しておく」
「むう。溜め込んだ溢れんばかりの若い情熱を持て余す柔沢君は、チューだけじゃ満足
出来ませんか。しからば雪姫ちゃん自慢の胸でもっとダイレクトなご奉仕を」
「止めんかはしたない」
「ジュウ様、溜まっているのであれば私が処理を」
「だからそもそも溜まってないって」
「貴方達、ここファミレスの中だって解ってる?もう少し静かにしてちょうだい」
「はーい」
「すいません」
「ああ。悪い、円堂」
「……にしても」
「?なんだよ、人の顔じっと見て」
「貴方、本当に性欲が無いの?」
「お前もかよ」
「そういう訳じゃないけど、客観的に見てあまりにも淡泊と言うか、枯れ果てて見えるもんだから」
「枯れ……。いや、まあ確かに性欲とかそういうのに関しては、なんもせんでただ
寝て起きただけで妙にスッキリしてたりするが」
「なに?夢精っすか?若いねえ」
「いちいち反応するなお前は。しかも下ネタばっかり」
「なるほど、夢精で済ましてるの」
「円堂も納得せんでくれ。違うから」
「でもさあ、真面目な話寝るだけで性欲解消しちゃうのは健康な男子としてマズくない?」
「何かの病気かもね」
「ジュウ様、病院へ行きましょう」
「これって逆セクハラって言うんじゃないかって言うかもう勘弁してくれ」


「で、今週はジュウの奴どうだった?」
「味、量共にやや減退気味です。お疲れのようですね」
「しょうのない奴だな。次帰った時にはなんか精の付く料理でも作ってやるか。
引き続き“処理”の方は頼んだぞ、弥生」
「はっ」
129名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 17:09:35 ID:BYlfMDeQ
弥生さんのことだから、気付かれずかつ快感を与えるという絶妙なテクを駆使しているのか?
130名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 18:09:33 ID:wG/4nG4c
きっと薬や鍼を使って、ちょっとやそっとじゃ目が覚めないようにしてから……
131名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 00:19:33 ID:SBE4xK/0
ウラヤマシィ酔うな怖いような
132名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 01:28:53 ID:yo0ZNBNQ
何が怖いって母親が一番こえぇ
133名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 01:33:00 ID:j6dEnZf0
そういう体調の確かめ方はどうかと思うぞ犬の人
134名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 01:37:02 ID:st4ueTbQ
>>128の人、良い仕事です。
135名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 18:40:32 ID:j6dEnZf0
女キャラ各人のスタイルは

雨→全体的にちっこい
雪姫→ボンキュッボン
円→長身、スレンダー、モデル体型
光→年の割には発育がいい
紅香→ゴージャス

でいいのか知らん
136名無しさん@ピンキー:2006/07/05(水) 19:47:49 ID:5U544/gh
>>128
ちょっ・・・GJwww
これは意外な展開だが良すぎる
137名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 03:51:19 ID:2yCFz4Hc
 「あのー、円先輩」
 「あら、光。どうしたの?伊吹の所ならともかく女子部(こっち)に来るなんて珍しいわね」
 「えっ、えーと、まあその、ですね」
 「何かあったの?」
 「あったと言うか……ちょっとその、聞きたい事があって」
 「私に何を?」
 「円先輩ってその、アイツと親しいんですよね」
 「アイツ……?」
 「えーと、ほらあの……柔沢ジュウ」
 「……まあ、赤の他人とは言えない程度には親しいわね。で、彼に関して何か?」
 「え、えっとぉ、アイツの好きな物とか知りません?」
 「……光、雨が後で怖いからそれは止めておきなさい」
 「ちっ、違いますよ!これはあのただこないだアイツになんか世話になっちゃったしあんな性悪そうな奴に借りつくったまんまだと
後々恩に着せられてなんかネチネチ言われたりするかも知んないからなんか先んじて礼を言ってなんかプレゼントでもしてそれで
チャラにしちゃったりした方がいいんじゃないかなって考えたりした訳でこれは別にあのお姉ちゃんがどうとか雪姫先輩がどうとか
そういう理由で円先輩に相談した訳でもなくてだからそのつまりあのその」
 「解ったから落ち着きなさい」
 「あぅ」
 「まあ大体話は解ったけど、私も彼の趣味嗜好までは詳しくないわよ」
 「あ、そ……そうですか」
 「まあ彼も所詮男だから、キスの一つでもしてあげれば喜ぶでしょうけど」
 「!!」
 「そんなに真っ赤にならなくても。冗談に決まってるでしょ」
 「あ、いえ、その……」
 「……?ああ、そう言えばキスはもう」
 「わわ―っ!わ――っ!」
 「だから冗談だって。……そんなに睨まないでよ。ああ、そうだ。彼が喜んでた事と言えば……」
 「えっ!?な、何ですか!?」

 ピンポーン
 ガチャッ
 「お、おはようございます、ご主人様。よろしければ今日は、ちょ、朝食を作らせて頂きたいと」
 バタン
 「ちょ、ちょっと、なんでいきなりドア閉めるのよ!!」
 「……悪夢だ」

 「いつか作ったメイド服が残ってたんで着せてみたら意外と似合ってたのよ」
 「それで柔沢君ちに差し向けた、と。成る程成る程♪(シャキッ)ところで円よ、ちょっとそこの裏路地まで付き合ってもらえないか?」


繋ぎの小ネタ2。駄目だ、エロくならなかった orz
伊南屋さんまだかなー。
138名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 06:17:35 ID:ixUHE0Dp
笑わせて貰ったw
GJ。

もっとやってw
139名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 16:59:37 ID:buADQtJe
>>137
gj

ハーレムを期待する心に嘘偽りは無いが
片山の二次創作って個人的にはエロあんまいらんね
140名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 22:21:54 ID:Tb5Qx+wP
あげ
141伊南屋:2006/07/06(木) 22:38:56 ID:k1ZHklDF
新作のコールしときます。
ハーレムルート第一弾「雨の場合」
今日明日中には……投下したい。
いや、する。するよ!
142名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 23:11:11 ID:iqD+vpy4
期待して待ってるよ。
143名無しさん@ピンキー:2006/07/06(木) 23:49:52 ID:2yCFz4Hc
>>138,139
サンクス。また暇があったらなんか書きますよー。

>>141
繋ぎの甲斐があったw
期待してますよ。
144名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 01:05:28 ID:BOky1hvD
繋ぎ等と言わず書いて頂きたいと思う、今日この頃。
145伊南屋:2006/07/07(金) 01:44:44 ID:XYpFiFIr
 何故、こんな事になったのか。いや、そんなのは些末な問題だ。
 そんな事よりも、今目の前で起きている事。それこそが重要なのだ
 腕の中の少女が流す涙。少女の名が示すように、大粒の雫が止めどなく流れている。地を濡らす雨のように。
 彼女、堕花雨が滅多に見せる事の無い、自分を想ってくれるが故の、真摯な涙。
 それを見た柔沢ジュウは強い罪悪感に苛まれていた。
 涙の理由が自分である事と、今から雪姫という恋人を裏切ろうとする自分が居る事に。
 ――最低だ、最悪だ、こんな弱みにつけ込むようなこと。大切な人を裏切るようなこと。
 雨が望んだのはただ一つ。そのたった一つを満たしてくれれば良いと言う。
「私を抱いて下さい」
 雨はそう言った。だからその言葉通りにしてやれば良い。
 だけど、それはその場しのぎの逃避ではないのか? 今ここで抱いても、これからの雨の想いをどうするのか? そして何より、雪姫を裏切って良いのだろうか?
 雨の家に呼ばれ、まさか自分を求められるとは思っていなかった。無論、そんな求めに応える準備などしていよう筈もない。
 良くも悪くも、今まで雨はそういった対象ではなかったのだから。
 だけど、と思う。雪姫だってそうだった。それなのに自分は求められるままに抱いた。雪姫を求めた。そして今も雨を抱きたいと思った。思ってしまった。
 ――最低だ。最悪だ。
 思考がループする。負に沈む、螺旋を描く。
 不意にそれを止めるものがあった。
 感触。唇に感じる、柔らかい温度を持った感触。
 それがキスだとジュウが気付いたのはたっぷり十秒程して、感触が消えてからだった。
「雨、お前……」
「申し訳ありませんジュウ様」
 呆けたジュウの鼻先十センチ。互いの息が掛かる距離に、涙に濡れた雨の顔があった。
「一度、一度だけで良いのです。ですからジュウ様……どうか御慈悲を……」
 応える間もなく、雨の唇が再び重ねられる。
「ん……ふぅ」
 更に深く求めるように強く唇を押し付けてくる。その口付けが、ジュウを支えていた理性を削り取る。
 胸に添えられていた雨の手が、引き寄せるようにジュウの服を掴む。布越しに胸元に感じるその動きすら、甘美な疼きをジュウに与える。
 そして、その疼きに抗うには、ジュウはまだ若過ぎた。
 衝動のままに雨を抱きすくめる。
「あ……っ」
 微かに漏れる雨の吐息が耳朶をくすぐり、ジュウの理性を更に崩す。
146伊南屋:2006/07/07(金) 02:10:08 ID:XYpFiFIr
 重ねられた口唇が開かれ、雨の舌がおずおずと差し出される。ジュウはそれに応え、自らの舌を絡める。
 小さな雨の舌はほのかな甘さすら感じられ、ジュウはそれを味わう為に、より強く舌に吸いつく。
 くちゅり、と唾液の混じる音が口元から聴こえる。薄く開いた瞼の向こうに、顔を朱に染めた雨が見えた。長い前髪の隙間から覗く瞳はもう涙を流しておらず、代わりに熱に浮かされたように潤み、ジュウを覗き返していた。
 愛しい、と想う。目の前の少女を大切だと想う。
 だけど、こうする事で胸が痛む。罪悪感に責め苛まれる。脳裏によぎるのは雪姫の顔。
「ジュウ様、今だけは……私の事を」
 表情から思考を読んだのか、雨がそう言ってくる。
 背中に回された細い腕に力が込められる。
 それに応え、ジュウも雨をより密着させるように抱き締める。
 ――こんなにもこの少女は華奢だったのか。
 腕の中にある、後少しでも力を込めたら折れてしまいそうな体に驚く。
 いつも自分を守ってくれていた少女が、急に儚い存在だったのだと思わされる。そして、それ以上にその脆さが雨が女である事を強調する。
「くぅ……ん」
 雨が切なげなうめきを漏らす。普段なら絶対に聞くことのない声。それをもっと聞きたい。そう思い、ジュウは雨の胸に触れてみた。
 制服越しに伝わる感触が、その体同様、小振りな作りである事を知らせてくる。
 間違っても痛みを与えないようにジュウは指先に力を込める。
 小さいながらもしっかりと指を押し返す弾力にジュウは否が応にも昂ぶっていく。
 もっと、もっと。そう思う内、知らず知らずジュウの手はセーラー服をたくし上げ、下着に包まれた雨の胸元を晒していた。そして唯一、胸元を隠す布もずり上げ、その白い膨らみを露わにする。
「っん……」
 指先が雨に触れた瞬間、その体が弾けたように震える。
 強く触れすぎたわけではない。初めての刺激に驚いただけだとジュウには分かった。
 だから躊躇わず愛撫を始める。こねるように、ゆっくり、早く。
「ふぅ……あぁ」
 雨の甘い吐息が一層強くなる。それは明らかな官能の悦びの声だ。ジュウは更にその声を引き出すために、桜色の頂点に舌先を触れさせる。
「ひぁっ!」
 悲鳴に近い声を上げ、雨が悶える。
 しかしそれにすら構わず、ジュウは胸元の愛撫を激しくしていく。手のひらで揉みしだき、舌先で乳首を転がし、時に軽く歯を立てる。
147伊南屋:2006/07/07(金) 02:51:39 ID:XYpFiFIr
 その一挙手一投足に雨は敏感に反応する。
 半開きの口からは、荒い息と切なげな声の両方が漏れる。それらは徐々に大きくなり、雨の昂ぶりを知らせてくる。
「はっ……あぅっ、ひぁ……んぅ」
 その昂ぶりを更に加速させる為にジュウは片手を下半身へ向かわせる。
 背中から回した腕を這わせ、下着に包まれた雨の臀部を撫でる。
 小振りながら柔らかいのは胸と同じで、触り心地に酔いそうになる。
 しばらくその感触を楽しんでから指先を更に下、足の付け根、その中心に進める。
 そこはじっとりと湿っており純白のショーツに小さなシミを浮かばせていた。
 布地の上からほじるようにして触れると。にちゃり、という粘性の水音がした。
「ふぅ……ん、ジュウ……様っ」
 不意にジュウの体が後ろ向きに倒れる。雨に押し倒されたのだ。
 のし掛かる雨の顔は上気し、潤んだ瞳をジュウに注いでいる。
「ジュウ様、ジュウ様」
 譫言の様に名を呼ぶ雨。その雨にジュウは服を脱がされていく。はだけられた胸元に雨の手が這わされる。
 少し冷たい指先から甘美な刺激が与えられる。
 雨の手が先程ジュウがそうしたように、下半身へと向けられる。
 金属の擦れる音がして、ベルトを外され、あっという間にジュウのいきり立ったモノが外気に晒される。
「もう、我慢出来ません」
 雨が軽く腰を浮かしたかと思うと、ショーツをずらし、そのままジュウのペニスに手を添え上に向けたそれに腰を落とす。
「……っくぅ!」
 雨が仰け反り、痛みに耐える。しかし、その痛みに耐える表情すらどこか陶然としている。
「はっ……、はっ……」
 短い呼吸を繰り返し、ジュウの上で雨が静止する。
「おい、大丈夫か……?」
 実際、前戯が十分だったとは言い難い。雨が無理にしなければ十分な前戯をしてからするつもりだった。
 しかし既にジュウは雨の中に侵入してしまった。ならばここからは出来る限り苦痛を与えないようにするだけだ。そのつもりだった。
 だが雨はその意志とは逆にすぐに腰を上下させる。
 その表情は苦痛に歪み、呻くような声を上げている。
「ばっ! お前、無理すんな!」
 声でそう制するものの雨が上位に居るためこちらから動きを止める事は出来ない。
 雨は止める事はせず、むしろ一層激しく腰を振りたてる。
 苦痛に喘ぐ声に艶が混じるようになるまでそう時間はかからなかった。
148伊南屋:2006/07/07(金) 03:09:29 ID:XYpFiFIr
 労りもない、一方的な交わりにも関わらず、雨は女の悦びを感じ始めているのだ。
「ジュウ様……、ジュウ……さ、まぁ……」
 まるでジュウをくわえ込んで離さないとばかりにきつく締め上げられる。それは強烈な刺激をもってジュウを追い詰める。
「くっ……! 雨……っ」
 必死に迫り来る快感を抑える。このまま膣中に出すのははばかられるからだ。
 その事を伝えようと開いた口を、ジュウが声を発するより先に雨の唇が塞いだ。
 そのまま舌を絡められ、互いの唾液を擦り付け合い、混ぜ合わせる。
 頭の内側から響く水音に、掛けようとした言葉が霧散する。
 それと同時。堪えていた快感が背筋を駆け上り、脳髄を痺れさせる。
 その次の瞬間、ジュウは雨の膣中で果てていた。
「はっ……はっ、はぁ」
 どちらからともなく唇を放し、呼吸を整える。
 しばらく荒い息を付いていた雨だったが落ち着いてくると重ねていた上体を起こし、腰を上げる。
 ぬるり、という感触があり、ジュウが雨の中から引き抜かれる。
 履いたままのスカートで中心は見えないが、雨の太股に赤い鮮血と白い精液が伝い流れるのが見えた。
 その淫靡な光景が、ジュウの性欲を再び刺激し、萎えかけていたジュウのペニスが再び硬度を取り戻す。
「まだ……出来るんですね」
 雨が微笑む。
「でも、その前に」
 そう言って雨が視線を向けたのは部屋の入り口。
「出てらっしゃい。光ちゃん」
「なっ……!」
 驚きに硬直するジュウが見たもの。それは顔が上気しきった、滴る程に太股を愛液に濡らした光だった。

続く
149伊南屋:2006/07/07(金) 03:12:31 ID:XYpFiFIr
お久しぶり伊南屋にございます。

今回の時系列は不定。
純愛ルートの報告後だとは思いますが。
ついでにここに至るまでの経緯も不定。そこは番外編故のいい加減さって事で許して下さい。

次は一回時間を巻き戻して光の覗き自慰ネタ。それから姉妹丼です。
150名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 03:26:38 ID:ydRA5SMi
おおう、鉢合わせることが出来たとはなんたる幸運。
今回もGJな代物ありがとうです。
151名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 03:50:41 ID:fDmv3g+D
ここまでコメディネタとエロネタが映える作品もなかなかないな

伊南屋GJ!面白かった
152名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 10:19:16 ID:5Pj/SlvR
姉妹丼……いいなあ姉妹丼……
153伊南屋:2006/07/07(金) 14:19:36 ID:XYpFiFIr
 それは全くの偶然だったと言って良い。
 姉に呼ばれ、のこのこやって来た柔沢ジュウと、姉である雨が不用意に接近しないように飲み物をダシに部屋に入ろうとしたのだ。
 異変は雨の部屋。その扉の前に立ったときに起こった。
 うめき声のようなものが聴こえた。
 一体何があったのか。光は扉を微かに開き、中を窺った。
 光の目に飛び込んで来たのは抱き締め合うジュウと雨。その唇は重ねられ、舌が絡められている。
 時間が止まった気がした。恐れていた事が起こってしまった。
 逸らしたいと思いつつ、視線は二人に固定されてしまう。ジュウと雨の動きを目が追う。
 ――ダメだ。ここにいてはいけない。
 最早止める事など考えず、ただその場を逃げだそうとする。
 だがその一瞬。立ち去ろうと動かした足、その付け根に違和感を感じた。
 ――ウソ……濡れてる。
 自ら気付かぬ内に男女の営みを見せつけられた光の体は反応していた。
 荒い息をつき、太股をしとど濡らしている。
 それを一度意識してしまうと途端に体が快楽を求める。視線を室内に戻すとジュウの手が雨に触れていた。
 それを見た瞬間、光の内で官能が弾けた。ジュウの手が雨ではなく、自分の胸に触れている想像が快楽の火を強くする。
 気が付けば光の手は自らの股間に触れていた。布地越に熱くなった中心をなぞり上げる。その刺激に、上げそうになる声を必死に抑える。
 いけない、と思いつつその手は止まらない。自らを慰めるその手もジュウであるかのように感じられ、一層光を追い上げる。
 室内の二人はいつの間にか雨が上位になり交わっていた。光もジュウの上にのしかかる雨を自分に置き換え自慰に耽る。
 光の手はいつしかショーツの内に潜り込み、淫らな水音を盛大にたてる。右手をショーツの内へ、左手は平均以上に発達した乳房に添えられる。
 自らが最も感じる部分を貪欲に貪る。高揚感と自らの動きが光の意識を白に染めていく。
 目だけは室内に注がれ続けたままだ。ジュウの上で跳ねる雨の姿に自分を重ね、その動きを指先にシンクロさせる。
 強く、深く、掻き回す指で自らをを高く打ち上げる。
 そして、室内の雨にジュウの精が注がれると同時。光は声無き絶叫を上げ達した。
 どれくらい脱力していのか。永劫とも思える気怠さから引き戻したのは他でもない雨だった。
「出てらっしゃい。光ちゃん」
 その呼び掛けに光はゆっくり室内に踏み出した。

続く
154伊南屋:2006/07/07(金) 17:48:32 ID:XYpFiFIr
ちとやっつけ仕事になってしまった……
どうしても一レスに納めたくてカットした描写もあるし。
まぁ代わりというか次の姉妹丼は持てる力を注ぎ込むつもりです
155名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 18:08:08 ID:XacGHihk
勃った
156名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 19:20:40 ID:5Pj/SlvR
GJ&続き期待
157名無しさん@ピンキー:2006/07/07(金) 19:39:33 ID:4cgpqkoa
ある種、最高のほめ言葉だな
158名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 08:24:04 ID:Lb4lyCS9
伊南屋先生GJ過ぎます!!!!
159143:2006/07/08(土) 15:48:56 ID:sXuodskc
伊南屋さんのが終ったら、俺も光もので一本書こうかしらん。
160名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 15:50:22 ID:sXuodskc
あー、また雑談掲示板とチャットに煽りが。
なんか順調に荒れてきちゃってるよ。ヲチコマ早めに何とかしないと拙いぞ。
161名無しさん@ピンキー:2006/07/08(土) 15:52:19 ID:sXuodskc
ゴメンよ、ちょいと誤爆した。
162名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 10:26:32 ID:QNqjOOds
伊南屋さんともども期待してます
163名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 19:57:11 ID:6Lapnd8L
光×伊吹って皆はアリ?
俺は個人的にナシなんだが。
164名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 20:51:44 ID:xcQ8kPBd
>>163
カプを否定したいわけじゃないが、今のままじゃあナシだな。
伊吹がジュウっぷりに身体を張って光を守ったりしたら、アリかもしれん。
165名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 20:58:11 ID:6Lapnd8L
一応「見た目だけの男じゃない」と言われてはいるが、正直今までの話の中での行動を
ジュウと比べるとなあ……。
166前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:39:12 ID:xcQ8kPBd
中途半端に、ジュウ×藤嶋が出来たので投下。
まあ、いなみん…もとい伊南屋氏レベルの文章力を期待しているのなら
スルー推奨。設定もむちゃくちゃ。
とりあえずIfで、事件で藤嶋が生存していた場合を、どぞ。
167前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:42:17 ID:xcQ8kPBd


 病院を退院してから一週間ほどが経っていた。
 ジュウはすっかり身体の傷を癒し終え、新学期になってからは一学期と同じように登校できるまでに身体機能が回復していた。
 担任の中溝はかなり驚いていたが、ジュウの心に余計な刺激を与えたくないのか、
 ただ「元気になってよかったな」と一言伝えただけだった。
 無理はない。クラスの中から連続猟奇殺人事件の犯人とその被害者を出してしまったのだから。
 新学期になって久しぶりに見る彼の顔は確実に痩せ細っていた。
 この夏はジュウにとって、心に痛いトゲを残す結果となってしまった。
 だが、その一方で良い報せもあった。被害にあった同じクラスメイトの藤嶋香奈子が来週から再来週までには戻ってくるとのことであった。
 重症は負っていたものの、被害に遭ってから短時間にジュウが発見したのが功を奏したらしい。

 そして、今、ジュウは自分が入院していた病院にいた。
 流石に三週間も入院していた病院だけあって、中の勝手はよく知っている。
 目的の病室を迷うことなく目指し、病室前に辿り着くとぶっきらぼうに扉を引いた。
「よっ、元気にしてるか?」
「柔沢……」
 まるで事件が起こる前のように、軽々しくジュウは挨拶をした。
 妙に気遣うのは香奈子があの事件のことで落ち込んでいるだろうから、と思っていたからだ。
 案の定、香奈子はこちらに顔を向けることもなくぼんやりと窓の外を眺めていた。
 実は、ジュウが彼女の見舞いに来たのはこれが初めてだ。それまではジュウ自身も入院していたし、
 退院してもまだ完全に本調子ではなかったため、来る機会を逃していたのだ。
「…あ、あんた、学校は!? まだ授業中でしょう?」
 だが泣き出すのかと思えば、いきなりジュウに対して怒りを露わにしてきた。
 らしいな、とジュウは心の中で呟きながら、窓際にある彼女のベッドへと歩き近づこうとした。
「そんなもん、サボってきた」
「さ、サボったってあんたねぇっ…!」
 何かを言おうとしていた香奈子だったが、ふと気づいたように視線を下に向けて強ばった声をあげた。
「…! 柔沢、来ないで!! 今の…私の顔、見られたくないから」
「…………」
 ぴた、と進めていた足をジュウは押し止めて、分かった、と小さく呟いた。
168前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:44:09 ID:xcQ8kPBd

 ジュウが襲われた彼女を助けたときには、香奈子の顔は酷いものだった。
 何度も殴られたためか、あちこち血まみれになっており、目元や頬は腫れ、お世辞にも女の子とは呼べないようなものだった。
 醜く変形した顔は誰だって見られたくないものだ。治療は進んでいるとはいえ、まだ痣はところどころ大きく残っている上に、
 腫れも完全に引いているわけではないのだろうと判断した。
 もちろん、ジュウはそんなことを気にするタイプではなかったが、香奈子のことを考えるとそれ以上足を踏み出すことはできなかった。

「……あいつが言っていたぞ。『治療に専念してください』ってな」
「あいつって…堕花さんのこと? ……そう、分かった、って伝えといて貰える?」
「ああ」
 そんな短い会話を交わして、ふたりの間に沈黙が下りる。
 なんて無力なんだ。ジュウは自分のコミュニケーション能力を恨んだ。
 もともと人付き合いの悪いジュウにとってコミュニケーションを取るということは苦手だった。
 だからこういうとき、どんな声をかけてやるのが一番いいのかが分からなかった。
 そわそわと視線を彷徨わせ続けていたが、もとより自分は考えることが苦手なのだ。
 なら、考えても仕方がない。自分が思うままに、ジュウは行動にうつした。

「なぁ、やっぱりそっち行って良いか?」
「なっ、来ないでって言ったでしょっ! このバカッ!」
 彼女の声色には怒りが含まれている。
 当然だろう。これ以上心を傷つける気はないが、彼女の言いつけを無視すれば、結果として彼女は落ち込んでしまう。
 だが、それでもジュウはそれを無視して強引に彼女のベッドに「よっこらせ」と腰をかけた。

「俺にはよく分からないがな、気にすんな」
「何言ってるのよっ…、こんな顔、アンタだって気持ち悪がるわ」
「そんなこと誰が決めた?」
「誰がって…見れば誰だって分かるわよ。こんなヒドい顔…」
「それは俺の意志じゃない」
「……」

 あまりに強固な態度を取るジュウに香奈子は沈黙して、投げやりに、真正面から睨みつけた。
 成程、確かにあちこち青痣がまだ残っている。腫れはそれなりに引いているようだが、
 香奈子が敏感に気にしてしまうのも無理はないと思った。


169前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:46:51 ID:xcQ8kPBd

「どう…、ヒドいものでしょう?」
「そうだな」
「……だから言ったのに」
「お前の顔が、じゃない。 何も出来なかった俺が、だ」
「何を…」
 言っているの、とはこれ以上香奈子は言葉に出来なかった。ジュウの顔があまりにも悲痛だったからだ。

 もし、賀来羅と美夜の企みが事前に妨げることが出来たのなら、香奈子もこんな目に逢わずに済んだのかもしれない。
 これは自負になってしまうが、他のクラスメイトよりは美夜との関係は深いものだったと思う。
 ならば少しでももう少し他人に興味を持っていたら、彼女も香奈子も救えたのではないかと。
 今となってはただの妄想にしかすぎないのだが、それでも目の前の少女を見ると、
 自分に出来たことはあったのではないかと後悔してしまう。

「俺は結局何も出来ない中途半端な野郎だよ。おまえの言うとおりな。
 雨の協力がなけりゃ、俺もバットに殴られて今頃はあの世だ。……本当にすまねえ」
「…アンタが謝ることじゃないでしょ。ほら、離れて。もう、これ以上見られたくない」
 香奈子はベッドの縁に腰掛けるジュウの背中を押しのけようとするが、背中から腰まで堅い釘で
 ベッドに打ち付けられたかのように、動こうとはしない。
「お前は藤嶋香奈子だ。俺に説教してやがった藤嶋香奈子だ。
 お前っていう「もの」は何も変わってやしない。今のお前を否定する奴がいたら、俺がぶん殴ってやる」
「柔沢……」
 
 …ああ、そうだ。今の俺に出来ることはそれぐらいしかない。
 彼女とは別に関係が良かったわけではないが、クラスの中で皆がジュウを避けるなか、
 唯一真正面からぶつかってきたのが、美夜と香奈子だった。
 そこに特別な感情があるわけではない。たしかに夏休み前は、危篤状態になった香奈子を襲った犯人に対する怒りが
 ジュウを突き動かしていた。けれども、それだけだ。
 香奈子は美夜のような友人でもなければ、雨のような印象の強い不思議な存在でもなかった。
 ただ、自分にはない何かを持っている彼女は時々羨ましく、眩く見えたことがあるぐらいだ。
 
 だから、慰めることはできない。そんな関係であるジュウが慰めの言葉をかけても、余計に香奈子の心に傷を与えるだけだ。
 ならば、自分に出来ることは、今のあるがままの香奈子を受け入れることだ。
 だから気にするな。そう言おうとして振り向いた瞬間、包帯と薬の独特の匂いと、
 それとあまりにも不釣合いな柔らかい感触が唇に伝わった。

 情けないことに、これがジュウにとってのファーストキスだった。
170前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:48:31 ID:xcQ8kPBd

「藤嶋…おまえ…」
「ごめん、迷惑だった……?」
 驚き動揺するジュウは何から聞けばいいのか混乱するばかりで、口をぱくぱく金魚のように動かすだけだった。
 香奈子はというと、怪我を負う以前のように気の強そうな表情のまま、じっとジュウの瞳を覗きこんでいた。
「迷惑っていうか…、何で…?」
「……あんたが初めてよ、そんなこと言ったの」

 ぽつぽつと香奈子は語りだした。ジュウが見舞いに来る前にも、何人かのクラスメイトは香奈子の見舞いに来たそうだ。
 だが、香奈子の顔を見るなり、彼らはぎくしゃくした態度になり早々に帰っていったという。
 まともに会話できたのは、「よかったなぁ、よかったなぁ」と号泣した担任の中溝と、今日のジュウだけだったらしい。
 事件の関係者というだけでも余所余所しさを感じるものだが、その残酷さを目の当たりにして、
 クラスメイトたちはショックを受けてしまったのだろう。分からないでもないが、
 それがどれだけ香奈子の心を傷つけているのか計り知れないのか。
 そのクラスメイトに怒りとまでは行かないまでも、嫌悪感を感じながら深々とジュウは溜息を吐き出した。

「そりゃあ、珍しいな。まあ、俺は不良だから」
「何よそれ」
「さあな」
 ふっと口元を緩めると香奈子は吹き出して笑った。ようやく明るい顔を見せたか、面倒をかけさせる奴だ。
 そう思うジュウの顔も珍しく笑みで溢れていた。
「……だから、ちょっと甘えさせてよ。柔沢…」
「甘える…?」
 気づけば香奈子は俯き加減にこつんと額をジュウの背中に押し付けていた。
 そして、ジュウが何のことかを尋ねる前に、その背中から香奈子の嗚咽が聞こえてきてしまった。
 ジュウは何も言わずただ彼女の奏でる悲しみに耳を傾けていた。


171前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:51:05 ID:xcQ8kPBd

 どれくらい経ったのかジュウには分からなかった。数十分か、それとも数時間か。
 何を話したのか、まったく覚えていない。けれども、それはきっと穏やかな時間だったと思う。
「さて…そろそろ帰るか。面会時間は過ぎてるしな…」
 鞄を持って立ち上がろうとしたジュウの服の裾を香奈子が引っ張り止める。
「おい、なんだよ?」
「…今日は一緒にいて」
「……は?」
 それは無理だろう。いくらクラスメイトだからといって、身内でもない人間が面会時間も過ぎてここに留まれるわけがない。
 個室なので他の患者に迷惑をかけることはまずないだろうが、消灯時間もとっくに過ぎている。
「…一人でいるのが怖いの」
「藤嶋……」
 ぎゅっとジュウの服の裾を引っ張る香奈子の指先が震えているのが、服を通じて分かる。
 あんな目にあったのだ、暗闇の中に一人でいることが怖くなってしまうのも当然かもしれない。
 だが、困った。医者や看護師の見回りがあるかもしれない。そこで見つかればどう言い訳すればよいのやら。
 まあ、そのときにはそのときだ。適当に言い訳をして逃げるか。
 
 仕方がない、と呟くと再びジュウは彼女のベッドに座りなおした。


「……ね、柔沢のキスっていつが初めてだった?」

 それからというものの、他愛も無い話をふたりは続けた。
 小学校の頃の話、親の話、今の学校生活についての話。いろいろ話したが、
 淡白な年少時代をすごしてきた自分とは違い、香奈子の過ごしてきた日々はごくごく普通であったが幸せそうなものだった。
 そして、辿り着いたのがこの話だった。

「キス? そりゃあ、おまえ……さっきのがはじめてだよ」
 よく自分からキスしておいて聞けるな、とある意味女という生き物について感心させられるジュウは、
 思わず正直に答えてしまった。よく考えてみれば当然なのだが、
 昔からいじめられ、今では不良として周りの人間とは疎遠だった彼が、誰かと付き合い接吻を交わすなどありえるはずがない。
「…あ、そ、そうなんだ。柔沢、ゴメンね」
「何で謝るんだよ。別に俺は構わない」
 確かに意外ではあったが、ジュウはそれほど「初めて」に拘っているわけではないし、むしろ少し胸が熱くなったぐらいだ。
 これで浮かれるほどジュウは初心でもなかったが、それでも男としては気分が悪くなるものではない。
 だが、ジュウは後にこの判断を後悔することになる。

「なら…、私のこと、抱いてよ…」



「はい?」




172前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:53:54 ID:xcQ8kPBd

 やはりバカだな、俺って。
 母親にさんざん言われ続け、自分でも自覚していたこと。それを今日改めて自覚させられた。
「……本当に俺なんかでいいのか?」
「あんたじゃなきゃダメなの」
 これから情事に及ぼうというのに、香奈子は気丈にもきっぱりと言い返した。
 こうしてみれば、香奈子はこういうことに慣れている、と思わせるがそんなはずはない。
 生真面目な彼女が気を許した相手以外と行為に及ぶことはないだろうし、
 むしろ、雨に言わせれば、こういう態度も彼女の意地っ張りによるものかもしれない。

 香奈子は、自分を受け止めてくれたのはジュウだけだと告白した。だから、今は甘えさせて、とも。
 おそらくこの行為はその延長線上にあるのだろう。
 場慣れした男であれば、優しく彼女をエスコートすることも可能なのだろうが、情けないことに、ジュウはこれが初体験だった。
 普段は不良という看板を立てて生きている彼が、異性との行為はしていないと他人に知られたらどうなるかと
 思うだけで憂鬱になったが、香奈子は「え、そうなんだ」と、どこか嬉しそうに反応していた。

 兎も角、ジュウとしては複雑なのである。
 別に男としての性的欲求がないわけではない。ただ、香奈子はあとで後悔しないのだろうか。
 こんな不良もどきに処女を奪われ、こんなつまらない人間と行為に及んだことを。

 だが、悩んでいても仕方がない。
 それに自分を求めてくれている女を袖にする程、ジュウもフェミニストではなかった。


「脱がすぞ?」
「…ええ」
 乱暴にならないように、不器用ながらもジュウは彼女のパジャマを脱がしていく。
 彼女らしい水色のシンプルなパジャマを出来るだけ丁寧に彼女から取り去ると、香奈子の裸体が露わとなっていく。
 これまたシンプルな白いブラに包まれた乳房は、彼女の興奮または羞恥によるものか、ほんのり赤くなっていた。
 だが、そこでもジュウは現実を知る。顔と同じく点々と小さいながらも青痣が出来ており、
 彼女が味わった痛みと悲しみがそこに現れていた。ジュウはあえてそのことには触れず、そっと香奈子の二の腕を撫でた。
「ん…っ…」
「すまん、痛かったか?」
「違う…、嬉しいのよ。バカ」
 恥かしげに視線をジュウから外し、ぼそぼそと呟く香奈子の言葉にジュウは気をよくして、
 その細い腕から鎖骨、胸へと指先を滑らせる。そして遠慮もなく、そのままブラと乳房のなかに潜り込ませて、
 下から揉みあげるように香奈子の乳房を愛撫していった。
「んっ…ぁっ、じゅう…さわっ…!」
「おまえって思ったよりも胸、あるんだな」
「ばかっ…!」
 あまりにもストレートな物言いに、香奈子も恥かしさを覚え自らの乳房から視線を外し、そっぽを向く。
 だが、そんな彼女に構わずジュウはブラのホックを外し、直接に彼女の乳房を揉みしだく。
 彼女の乳房は思った以上に柔らかく、少し触れただけでも指の形に崩れてしまう。
 緩急をつけながら、少しでも彼女を気持ちよくさせようと、鍵盤を叩くように優しくかつ強く指を動かした。
173前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:56:14 ID:xcQ8kPBd

 特別、香奈子の乳房は大きいわけではないが、普段はどこかか細い印象のある彼女。
 だがこうして改めてみてみるとそうではないことが分かった。
 ジュウが少し力をいれて香奈子の胸に指を食い込ませると、彼女はひっ、と小さく甘い声を漏らしてしまった。
「気持ち良いか?」
「わ、分かるわけがないでしょっ! こんな、のっ…!」
 香奈子はそういうが、歯ごたえは確かでジュウが指を動かすたびに、彼女は過敏に反応してくれる。
 彼女の乳房を揉めば揉むほど、もっと強く揉み解したいという欲望に駆られてしまう。
 だが、それではレイプまがいだ、とジュウは溶けつつある理性を振り絞って自制しながら、
 マシュマロのような柔らかさを持つ香奈子の乳房を愛撫していく。

「ひゃっ、んにゃぁっ…!」
「おまえ、可愛い声、出すのな…っ」
「ほ、ほっといて…よぉ…!」
 不器用だが優しいジュウの手つきに、香奈子も感じているのか、普段の姿からは想像もできないような
 可愛らしい声をあげ、快楽に翻弄されつつあった。現に彼女のピンク色の乳首はぷっくりと膨れており、
 触られるのを待っているかのように自己主張をしていた。
 それに気づいたのか、香奈子は身体をくねらせてジュウの手から逃れようとする。

「おい、じっとしてろって…」
「だ、だって、こんなの、恥かしい…」
 何を今更、ともジュウは思ったが、いつもとは違う香奈子の側面を見ているようで、
 もう少し意地悪がしたくなってきてしまった。逃れようとする香奈子の臀部を捕まえると、
 そのまま下着の中へぶっきらぼうに片手を入れ、割れ目を中心に、指先、手のひらを駆使して撫で回していく。
 乳房と臀部を同時に愛撫されている香奈子は、快楽のためか目尻に涙を浮かべ、そっとジュウの背中に腕を回していた。

174前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:57:24 ID:xcQ8kPBd

「んぁ…! そんなところ、触らないでよ…きたないから…っ」
「なんでだよ…、綺麗にしてるんだろ?」
「う…、そりゃあ、そうだけれど…」
 乳房を愛撫されるよりも、臀部を触られる方が香奈子の羞恥心を刺激してしまうのか、少しばかりの抵抗を見せる。
 だが、力は入っておらず、それほど嫌っているようにも見えなかった。
 そこでジュウは乳房を愛撫していた手を臀部へと動かし、ずるりと一気に下着ごとパジャマのズボンをずり下ろした。
「なっ…ななっ、何をしてるのよっ! 柔沢!!」
「おいっ! 声が大きい…!」
「あ…」
 いくら個室だからとはいえ、あまりに大きな声を挙げれば隣の病室や外の廊下に聞こえてしまう可能性は高い。
 少しばかりお互いに気まずくなったが、それでも愛撫の手が止められることはなかった。
 香奈子の臀部は、小ぶりだがそれでもその柔らかさは乳房と同等かそれ以上で、
 少し指で触れるだけでもシーツに波立たせるように、臀部は小さく震える。
 それがなんだか可愛く思えてきて、ジュウは思わずそちらばかりに専念しはじめてしまった。

「ん…ふぅぅ…んっ…! お尻…ばかり、触らないで、よ…っ」
「これは……悪ぃ」
 ついつい調子に乗ってしまったようだ。香奈子は目尻に涙を浮かべたまま、ほんの少し怒りの片鱗を見せていた。
 だが本人としても快楽を味わうことが出来たのか、二言目にはこんなことを言い出してきた。

「わ、私だけ気持ちよくなるのはずるいから……柔沢、あんたのも気持ちよくしてあげるっ!」
「………へっ?」

175前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 22:59:40 ID:xcQ8kPBd
……今回は以上です。
藤嶋の怪我の病状や、病院のシステム、藤嶋に光や銀子が入ってるんじゃないかなど、
突っ込みどころはたくさんあるでしょうが、見逃してやってください…orz

…そして誰か、エロい文才を分けてください。

176前世はきっとナマケモノ:2006/07/09(日) 23:00:50 ID:xcQ8kPBd
追伸……。
続きは書きます。書くつもりでいます……たぶん。

最後に、あまりエロくなくてごめんなちゃい。
夕乃おねえさんにシゴかれてきます。
177名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 23:02:59 ID:6Lapnd8L
いや、充分エロいっす。
てかこっちが分けて貰いたい位。いやマジで。
続きも楽しみにしてます。
178名無しさん@ピンキー:2006/07/09(日) 23:46:33 ID:RQDYBVj9
GJGJ
電波的な彼女は、リタイアしちゃったキャラも魅力的だから困る
中溝センセも結構良いキャラだよなー
179名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 00:05:00 ID:2pM05qpc
アアー(*´Д`)ーン!!
180名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:30:31 ID:WgGP7M0U
>>178
一子タンとか生徒会長とかもかい?
181名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 01:39:37 ID:R6y6jJeF
充分イイです。
GJです。
続きwktkで待ってます。

しかしアレだよな、担任が何気にイイ奴だなw
182名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 02:16:46 ID:eHmVjd/w
>>180
モチ
病んでるヒロインてかわいくね?
183名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 03:44:26 ID:WgGP7M0U
病んでると言うかトンでるのでちょっと……
184名無しさん@ピンキー:2006/07/10(月) 16:21:04 ID:2QIrvjl2
電波的ってことはそういうことだ
185名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 02:00:05 ID:bTjun5aQ
いちこは売女だしな
こなれた感じでジュウを逆レイプしてほすぃ
生徒会長は・・・・基本的にメガネ女は殺したいくらい嫌いだから輪姦されて死ね
186名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 20:47:34 ID:ktHCmNnv
銀子は助けてやってくれないか?
187名無しさん@ピンキー:2006/07/11(火) 21:56:17 ID:Nfa0ASqO
ツンデレな銀タン、ハァハァ・・・
188名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 02:59:47 ID:9MjSbJTx
そう言えばこれまでの所紅ネタで書く人はいないな
189名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 06:04:46 ID:Ra97b/bI
>>188
お前はそんなにロリが見たいか!
190名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 14:55:41 ID:YeqsFkW1
あれだろ?
「痛いのと気持ち良いのは同じなんだな」から始まるロリSMだろ?
191名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 15:10:12 ID:T+u3fsJL
>>189
逆に考えるんだ。
思う存分しごいてもらいたいと考えるんだ
192名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 17:24:06 ID:l8qLSEYC
めんどくせーからそっちもハーレムでよくね?
193伊南屋:2006/07/12(水) 21:46:46 ID:2LfSn8TS
 何なんだこれは。
 ジュウは果てしない混迷の中に居た。
 今ある状況が理解出来ない。思考が断絶される。
 淫らな媚態を晒す雨と、色情に浮かされた光と。これは何かの夢なのか。
 しかし、それらは圧倒的なまでのリアリティを持って、その思考を否定し、これが現実であることを知らしめてくる。
「光ちゃん」
 雨が部屋に入って数歩で立ち止まってしまった光に歩み寄り、声を掛ける。ただ、その声は妹に対するには、過分に媚びを含んでいた。
「光ちゃんも、ジュウ様に抱かれたいの?」
 光の傍らに立ち、耳元に囁き掛ける。光はまるで催眠術にでもかかったかのように、虚ろな瞳で、ゆっくりと肯いた。
 雨は横目にジュウを見ると、やんわりと微笑んで見せた。
「ジュウ様、宜しいですか?」
 今度はジュウが催眠術にかかる番だった。ジュウの目は、雨の妖しく蠢く唇を見つめ、その言葉の意味を吟味する事もないままにジュウは肯いていた。
「しかし……そうですね。みんな多少汗をかいたりで汚れていますし、お風呂に入りましょうか」
 実際は愛液、精液、血液による汚れだが、雨は敢えてそれをぼかした。それは雨に微かに残された羞恥心から来るのか。ジュウには測りかねる事だった。

 * * *

 先に雨と光が浴室へと入った。雨の言い付けでジュウは暫くしてから浴室に入る事になっている。そして、二人が浴室に消えてから十五分程が経過していた。
 具体的に時間を指定されたわけではないため迷ってはいたものの、ジュウは決意を固め脱衣場で身に纏っていた衣服を脱ぎ去り、俗に言う“産まれたままの姿”になった。
 未だ残る躊躇いを払拭する為、深呼吸して気分を落ち着ける。
 そうして、脱衣場と浴室とを隔てるドアの取っ手に手を掛け、ゆっくりと扉を開いた。
 ジュウがまず感じたのは異様なまでの女臭さ。そして、目に映ったのは姉妹で睦み合う雨と光の姿だった。
 唇は重ねられ、桃色の舌が絡め合わされている。二人は湯に浸かりながら、互いを貪っていた。
「んふ……ジュウ様」
 二人とも水に濡れ、光は今はアップに纏めた髪を下ろしている。
 雨も普段以上に艶やかな漆黒の長髪を湯に散らしていた。
 こちらに気付いた雨が糸を引かせながら唇を離し、潤んだその瞳にジュウを映す。光も、名残惜しそうに雨の唇を目で追っていたが、やがてジュウに視線を向ける。
194伊南屋:2006/07/12(水) 22:13:48 ID:2LfSn8TS
 二人の痴態をまざまざと見せつけられ、ジュウの牡が強く反応する。既に垂直近くまで起ち上がったそれは、今か今かと快楽の期待に打ち震えていた。
「さあ、光ちゃん。ジュウ様も来ましたし、始めましょう?」
「……うん」
 光は既に理性を殆ど失っているのか、雨の言うが儘に動く。
 雨と光はジュウの手を引き、浴室椅子にジュウを座らせる。ジュウは雨と光に挟まれる形で腰を降ろし、二人のなすが儘に任せた。
「まず、私達がジュウ様の身を清めますね?」
 雨がボディソープを手に取り泡立てる。ジュウはそれだけでこれから何が行われるか把握出来た。
 その期待通り、泡立てられたボディソープは雨自らの手によって雨の全身に広げられていく。その反対では光が同様に、その発達の良い裸体に泡をまぶしていた。
「それでは失礼します」
 その言葉を皮切りに、雨がジュウの胸元にその身を預け、背後では光が胸を押しつけるようにして背中へ、それぞれ泡を擦り付けてきた。
 雨と光による全身をスポンジに見立てたその行為は、ジュウの思考を蕩けさせ、二人に挟まれた全身、その全身が性感帯になったかのような快感を与えてくる。
 膨らみは少ないながらも、絹のように滑らかな肌が、ソープにより一層滑り、ジュウの胸元を撫ぜる。光は姉よりも豊かに発達した肢体。特にその胸元の膨らみを使い、ふくよかな女の柔らかさを伝えてくる。
 二人はその表情を悦びに綻ばせ、熱心な肉体奉仕を捧げる。
「如何ですか? ジュウ様」
 雨が上目遣いにジュウの顔を覗き込み、絶え間なく体を擦り付けながら聞いてくる。その問いに応える余裕はジュウには既に残されていない。
「ほら、光ちゃんも。ジュウ様に聞いてご覧なさい? “ジュウ様。私の身体、気持ち良いですか?”って」
 妖艶な笑みを浮かべ、雨が光を促す。
「ジュウ……さま。私の身体……気持ち良い、ですか?」
 いつもの光には無い従順さで雨に言われた言葉を繰り返す。それだけならまだしも、更に熱に浮かされたように言葉を紡ぐ。
「ジュウ様、どうですか? 私の、胸……。私……は、気持ち良いです、乳首擦れ、て……気持ち……良いです……っ」
 光らしからぬ淫らなその声と、言葉の内容にジュウの色欲が激しい揺さぶられる。
「そろそろ良いでしょう」
 雨がシャワーを手に取り、行為の終わりを告げる。雨と光、二人の体が離れ、シャワーの温水がジュウ達の身体から泡を洗い流す。
195伊南屋:2006/07/12(水) 22:42:24 ID:2LfSn8TS
「それではジュウ様、私達を可愛がって下さい」
 それは本格的な交わりの開始を告げる合図。ジュウは二人を自らの自らの元へ引き寄せ、口付けをした。
 最初さ雨に。そして光に。交互に成される口付けは交代の間隔が狭められ、ついには三人の唇が同時に重ねられる。
 三人分の唾液が混ぜられ、舌が蠢き絡み合う。最早どれが誰の唇で舌なのか、誰にも解りはしなかった。
 クチュクチュという水音と、それぞれの荒い息が浴室に響き、そこに時たま漏れる雨や光の声が混じる。耳朶を打つそれらの音のハーモニーは等しく三人の心を昂らせ、より深い交わりを求めさせる。
 最初に口付けから離れたのは雨だった。その唇と舌とを、徐々にジュウの体を、下に進ませていく。
 その先にあるのは先程から痛いまでに膨張しているジュウのペニスだ。
 ジュウの鍛えられた腹筋を滑り、薄く残った傷跡をなぞる。そして臍を越え、雨がそこに達する。
 逡巡もせず、雨がそれに舌を這わせる。その瞬間、ジュウの意識が真っ白に染められる。浮遊感すら伴う快感が脊髄を駆け昇り、ジュウの体を震わせた。
 漏れ出そうになる声と、今にも暴発しつしまいそうな射精感とを歯を食いしばり必死に堪える。
未だ軽く舌が触れただけなのにジュウの体が顕著な反応を見せたことに、誰よりジュウが驚いていた。
 雨はそれに手加減するような事はせず、舌をジュウの肉幹に絡め、根元を白く、細いその指でゆるゆると扱く。
 そうして与えられる快感から意識を逸らす為、ジュウは光との口付けに耽る。口蓋の奥深くへ侵入し、舌へと吸いつく。
 唾液を交換し、それを舌上に広げ味わう。唇が僅かに離れる度、二人の口端から銀糸の橋が二人を繋いだ。
 不意に、下半身を温かい何かに包まれた。
 雨が、その小さな口でジュウをくわえ込んだのだ。それを視界の端に捉えていると、今度は重ねられていた光の唇が離れ、姉を追うようにジュウの股間に頭を埋めていった。
 雨がジュウの亀頭を唇に収め、その下では光が竿を、舌を使って扱きあげる。息の合ったその動きは急速にジュウを絶頂に導こうとする。
 鈴口から先走りが止めどなく流れ、雨の口元を汚す。雨はそれを啜り、嚥下していく。それでも溢れた先走りが幹を伝い、竿に口唇奉仕を捧げる光の元へと流れ着く。
 光もそれを必死に舐め取り、飲み干していく。
196伊南屋:2006/07/12(水) 22:59:21 ID:2LfSn8TS
 二人が上下を入れ替え、奉仕を繰り返す。未だぎこちないながらも、その行いはジュウにとっては至上の悦楽をもたらす。近付く限界をそれでも耐えられたのは最早奇跡に等しい事だった。
 雨と光の舌が同時に鈴口を刺激し、止めと言わんばかりに射精を促す。今までよりも鋭い刺激に、遂にジュウの堤防が決壊した。
 大きくのた打ち、その先端から濃厚かつ大量の精液が迸る。天井に付くかと言う程に高く飛び、まさにシャワーの如く雨と光に降りかかり、顔と言わず、胸と言わず、その全身を白濁した粘液にまみれさせた。
 収まらない射精に、雨が先端をくわえる。小さな口内はすぐに溢れ、思わず口を離した雨の顔に直接ジュウの牡汁が張り付く。
 入れ替わりに光が唇の内にジュウのペニスを収める。ジュウが何度もその中に射精し、溢れ出した所でようやく律動が収まっていく。
 尿道の残り汁も残さぬよう吸い上げ、光はジュウを解放した。
「光ちゃん……」
 雨の声に応え、光は粘つく液体を含んだまま唇を雨に重ねた。精液が互いの舌を伝い口中を行き来する。その度それぞれの唾液も混合され、口元から淫猥な水音が奏でられた。
 やがて口唇が白濁した糸を引きつつ離される。雨と光は口内に残ったジュウの体液を嚥下していく。
 そういった痴態が眼前で行われ、ジュウは萎えかける事すらなく、硬く自身を直立させたままとなっていた。

続く
197名無しさん@ピンキー:2006/07/12(水) 23:00:58 ID:c8loiMeZ
さっきからおにんにんのボッボッが止まらん('A`)b
198伊南屋:2006/07/12(水) 23:03:41 ID:2LfSn8TS
前後編に分けました〜。
いやまあ分ける必要は本来ないんですが携帯なんでまとめて投下するのは大変なんすよ……。

現在続きを鋭意執筆中。近日中には投下できる……かな? できると……いいな?

とまぁそんな感じです。
以上、伊南屋でした。
199名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 00:24:00 ID:t3n4N+oL
GJっす。楽しみにしてます。
200名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 03:14:25 ID:Z7deqYXg
一生ついていきます先生!!
悶々しながら続編お待ちしておりまっす
201名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 09:25:53 ID:6SqHlkCJ
オッキしちまったじゃねーか









しゃぶれよ
202名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 10:04:02 ID:mZ9pZacb
雨・・・なんてエロい子!
203名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 19:27:24 ID:uY6VVMs7
伊南屋さん巧いっす!GJ!
204『巷に雨の降る如く』:2006/07/15(土) 02:19:53 ID:N0W7iSJW
 窓越しに見上げると、空には灰色の雲が垂れ込め、夕時の暮れと相俟って日の長いこの季節にも関わらず
既に夜の気配を忍ばせつつあった。
 眼下の公園で木立がびょうびょうと風に撫でられる音を聞きながら、柔沢ジュウはしばらく憂鬱そうに外を眺め
ていたが、やがて雨が途切れ途切れに窓の向こうに糸を引き始めると、溜め息を一つ吐いてカーテンを閉め、
缶入りの炭酸飲料を片手に椅子へと腰掛け、TVの電源を入れた。
 「雨、か」
 ポツリと呟いて、自分で言ったそのセリフから自分の「従者」を思い浮かべ、つい苦笑した。なんだか最近アイツ
の事を考える事が多くなっている気がする。
 それはそれであまり悪い気はしなくなってもいるのだが、この場合には無論ジュウの言ったのは単純に今しも
窓外で徐々にその勢いを増しつつあると音でも知れるそのものであり、そちらの雨は未だにジュウは苦手なのだった。
 洗濯物は既に取り込んで、半乾きのそれらは乾燥機に放り込んである。買い物も学校の帰りに済ましてあるし、
特にこれから出かけるような用事は無い。だがそれでも……雨の日は夢見が悪くなる、というその一点だけはどう
しようもなく、何かに責められているかのような気分で眠る事を思うだけでも気分は重くなった。
 どれ程か、そうして取りとめも無く思考を彷徨わせながら、ブラウン管に映るニュースを見るとも無く眺めていた
ジュウの耳にインターホンの音が届いたのは、既に雨音が荒々しく地面を殴りつけるような轟音へと変っていた頃だった。
 自分の家に訪ねてくる者などそう多くは思い当たらないので、ジュウはなんとなく「友人」の顔を幾つか思い浮かべ、
その内の誰かだろうと予想をしながら応答に出て……そして少し意外な人物の声を聞いて戸惑った。
 そして戸惑ったまま玄関のドアを開けたジュウは、その途端に眼前の人物から大音声を浴びせられる事となったのである。

 「遅いっっ!!!」

 勇ましく腕を組んで胸をそびやかし、真っ直ぐこちらを睨みつける少女。
 堕花光がそこにいた。

≪続く≫
205143:2006/07/15(土) 02:22:49 ID:N0W7iSJW
短いですけどとりあえず「触り」だけ、ということで。
次回はもっとちゃんとした分量で書きますんで。
206名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 17:56:40 ID:zHEOKZot
よしキタコレ
207名無しさん@ピンキー:2006/07/15(土) 21:23:49 ID:rSDO+OD1
よしよし、まだツンツンしてるぅ〜。
208伊南屋:2006/07/18(火) 17:13:19 ID:AVDbP5CY
「ジュウ様、それでは光ちゃんに」
 何を、とは聞かない。ここまで来てやることは一つだ。
 腰をかけたまま光を抱き寄せ、膝の間に座らせる。光の背中が預けられ、ジュウの胸や腹に密着する。勿論、未だ硬さを保った男根にも。
 その微かな刺激を無視し、ジュウは両手を光の、年不相応に育った胸に這わせる。
「ひゃ……」
 指先が軽く先端を撫でただけで、光は過剰なまでの反応を見せ、矯声をあげる。
 ジュウは更に、豊かに実った双丘を掬いあげるように揉みしだいた。
「あふ、ひぁん……」
 与えられ快感に光は敏感に反応し、体を震わせ、悶える。
 ジュウに耳たぶを甘噛みされ、更に喘ぎを大きくする。
 光はまるで上質の楽器のようにジュウの挙動に応え、その身から悦楽の声という音楽を奏でる。
「光ちゃん……」
 それまでただ見ていた雨が光に近付き、足元に跪く。
 吸い寄せられるように光の股元へ顔を沈め、雨は舌を這わせた。
「ひゃぁあ……ん」
 それまでの行為によって昂まり、蜜を溢れさせたそこが雨の口元を汚す。雨はその口元を汚す粘液を雨は全て舐めとろうとするかのように、熱心に舌を這わせる。
 ジュウの両手と、雨の舌技とで、光の体は快感の渦に囚われる。
「くぅ……っ! も、ダメぇ。ほし……欲しいよぉっ。我慢……出来ないのぉ」
 未だに男を受け入れた事のない体にも関わらず、光は自然とそれを求めた。
 その訴えにジュウは迷いなく応える。
 光の体を持ち上げ、ジュウの性器を光の入口、その真下に置く。
「雨……」
 ジュウの声に、雨が応え、ジュウのそれに手を添え、入口にしっかりあてがってやる。
「よろしいですよ。光ちゃんを可愛がってあげて下さい」
 その言葉と同時、光の体が降ろされ、ジュウの侵入が始まる。
「くあっ……!」
 光が苦悶の籠もった声をあげる。繋がった部分からは一筋、赤い液体が伝っていた。
「……痛いか?」
 耳元に囁きかけるようにジュウが尋ねる。その問いに返ってきた言葉はやや意外なものだった。
「あんまり……痛くない。むしろ……少し気持ち良い」
「え?」
 見れば、結合部から流れる血液は今までジュウが処女を奪った二人のそれより幾分少ないようだった。
209伊南屋:2006/07/18(火) 17:46:17 ID:AVDbP5CY
「光ちゃんは空手をしていますから。もしかしたら激しい動きによって膜が破れかけていたのではないでしょうか?」
 雨の場にそぐわない冷静な指摘は黙殺する。ここにきてそんな理屈など意味を成さない。
「何にせよ、あんまり苦しめずに済みそうで良かった」
 言葉に光の紅潮した顔が更に朱を増す。思いやられている喜びと、それに対する照れのために。
「動くぞ」
 ジュウが抽挿を始める。少ないとは言え、それでも痛みを与えぬよう、ゆるゆると出し入れする。
 鈍い痛みと、それを若干上回る快感に光の口から声が漏れる。
「いぁ……ひゃうっ! んはぁ」
 薄れていく痛みと、入れ替わりに増す快感に光の思考がぼやける。
 そこに追い討ちとばかりに、雨が再び舌を股間に這わせ、結合部の上。完全に勃起し、剥き出しとなったクリトリスへ刺激を与える。
「ぁああん! ダメ! そんな、強いの……ダメ、らめ、ひゃめぇ!」
 悦楽に圧倒され、呂律が回らない。光の思考は定まらず。確かなのは与えられる快感と、それぞれの体温だけだった。
 自ら腰をくねらせていることにも気付かず、ひたすら性感を貪る。
「んぁ! く、くるの。わた、わた……ひぃ……いっちゃ、イっちゃぅ!」
 光の体が大きく跳ね、密壺はジュウのペニスを一際強く締め付ける。
 それに伴いジュウの射精感も高まり、精を放とうとする。
「く……」
 限界まで堪え、光の内から自らを引き抜き、自らを解放する。
 光の尻、腹と、雨の顔に白濁液がぶちまけられ、それらを白く汚す。
 射精が収まったところでジュウは三度目にも関わらず、十分な量と濃度をもったそれが二人を汚す様を見ながら、先までの硬さは無いものの、それでも萎えない自らに違和感を覚えた。
「雨、まさかお前俺に何かしたか?」
 この少女なら薬なりを気付かれずに盛りかねない。そう思ったのだ。
 自らに掛かった精液を指で掬い舐め取りながら雨が妖艶に微笑む。
「……少しでも長く楽しみたいと思いましたから」
 それは肯定。ともすれば光の事も含め、全て雨の手中だったのか。
 ジュウはこの少女の底知れなさを改めて痛感した。
「さあ、ジュウ様、続きを」
 どうにもこの少女からの解放はまだ先になりそうだと、ジュウは内心苦笑しながら呟いた。
「これじゃ、どっちが奴隷だか……分かりゃしねえじゃねえか」

fin.
210伊南屋:2006/07/18(火) 17:47:59 ID:AVDbP5CY
とまぁ一応終了。
前半と後半書くのに間が開いてしまい前半の勢いとか雰囲気とか後半に繋がりませんでした……orz

すいません精進します。
211名無しさん@ピンキー:2006/07/18(火) 17:54:48 ID:8eoQdyEt
伊南屋さんGJ!雨がエロ&微妙に黒いのがいい感じでした。
212名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 08:18:35 ID:GNfLUfuC
伊南屋さんGJ! 次は雪姫との修羅場ですか!!
213名無しさん@ピンキー:2006/07/19(水) 17:57:05 ID:nKTJ7EWY
まだ読んでないけどGJ!

糞、今から出掛けなきゃなんねーんだ
214『巷に雨の降る如く』:2006/07/20(木) 18:09:38 ID:Cu2l/gul
 「で、いきなりやって来て何の用なんだ?」
 ジュウが訊ねると、光は、それまで頬杖をつきながらTVの方へと向けていたぶすくれたその顔をこちらへと
返したが……そのまま何か口を開きかけてまた止め、より眉間の皺を深くして、バラエティー番組を映し出す
TV画面へと視線を戻した。
 その様にジュウは深く溜め息を吐き、手に持ったホットミルクで満たされたコップを光の前に置いた。
 以前に来た時と同じように、雨に打たれてきたらしい彼女の姿を見て用意したそれに、黙って手を伸ばす
様子を見届けながら、ジュウは先程の事を思い出した。ドアを開けると同時に自分を怒鳴りつけた光は、こち
らが何かを言うよりも先にジュウの身体を押し退けてずかずかと無遠慮に部屋に上がりこんできた。慌てて
バスタオルを用意して彼女の頭に被せながら、ジュウはとりあえず混乱した頭で事態の把握に努めようとした
が、牛乳を温めるまでの間では全く見当も付かなかったので本人へと訊ねてみた。その結果はと言えばまあ
先程の通りである。
 そもそも、自分を蛇蠍の如くに嫌い、何かにつけてはケダモノ扱いするこの少女が、一体何故一人でこの部屋
を訪ねて来たものか……おまけにこの間の「幸せ潰し」事件の解決後にブン殴られて以来、偶にあっても碌に
会話すらしなかったものが、一体どういう風の吹き回しか、と首を捻りながら何とか会話の切欠を探していると、

 「泊めて」

 「……は?」

 突然の爆弾発言に空転していた思考が停止し、ジュウは丸っきり阿呆の調子で聞き返していた。
 こちらを見もせずに言い放った光は、ややあって返事の無い事に焦れたのか、今度は目と目を合わせてハッキリと
 「だから、今夜一晩ここに泊めてちょうだい」
 「な……なんで?」
 未だに正常な思考が働かないジュウにはこんな事しか言えなかったのだが、光は何故だかその問いに一瞬だけ
苦しそうな表情を浮かべると、ぷい、とそっぽを向いて「何でもいいでしょ……」と、ぎりぎりジュウの耳に届くぐらいの
声で呟いた。
215『巷に雨の降る如く』:2006/07/20(木) 18:11:04 ID:Cu2l/gul
 「……いや、良くねえだろ」
 ようやくそれだけの言葉を搾り出したジュウをきっと睨み、
 「何でよっ!」
 「何でも何もお前、そんな事してまた伊吹にでも伝わって誤解されたらどうする気だ」
 反駁する光にやっとそれだけ返した所でジュウは、意味が分からないと言いた気な彼女の視線と鉢合った。
 「……アンタ、何も聞いてないの?」
 「何がだよ」
 「……もういいわ」
 疲れたように項垂れた光を不思議そうに見ながら、ジュウは尚も言う。
 「とにかく、とりあえず傘ぐらいは貸してやるし、着替えなら家の母親のを使ってくれて構わんから、とっとと帰れ。
雨も心配するぞ」
 俯いたまま、僅かに光の肩が震えた。
 「やだ」
 「おい」
 「……やだったらやだ」
 「我が儘言うな」
 「……」
 顔を上げようともせずに黙りこくってしまった光を持て余したジュウは、席を立つと電話へ向かい、雨の携帯に
掛けようと受話器を上げかけた所で、横合から手首を二本の細い腕に押さえられた。
 「おい」
 流石にやや厳し目の声色になるが、じっとこちらに縋り付くような光の目を見るとどうもそれ以上言えなくなって
しまってジュウはまた溜め息を吐いた。つくづく何と言うか自分は甘くなった、と自嘲しながら、
 「とりあえず風呂入ってこい。今日は寒いしそのままじゃ風邪ひくぞ」
 「……うん」
 「あ、そっちが母親の部屋だから。服とか下着とかは勝手に持っていってくれ」
 「うん」
 言われた通りに着替えを取って風呂場へと向かいながら、光は消え入りそうな声で「ありがとう」と呟いた。
 しばらくして、シャワーの音が聞こえてくると、ジュウはもう一度電話に向かった。事情はよく飲み込めないが、
光が所謂家出をしてきたらしい事は確かだ。光るには悪いが、雨やあの人の良さそうな両親も心配している事
だろうし、とにかく連絡はしておかなければ。
216『巷に雨の降る如く』:2006/07/20(木) 18:11:49 ID:Cu2l/gul
 そう思いながら受話器に手を伸ばした所で、一瞬早く着信の音が響く。
 慌てて出ると、聞き慣れた落ち着いた声が流れるようにして耳へと届いた。
 「もしもし、ジュウ様ですか?」
 「雨!?どうした?」
 「誠に失礼なのですが、ひょっとして光ちゃんがそちらにお邪魔していませんか?」
 まさかと言うこのタイミングで掛かってきた上にズバリとそう問われて驚いたが、まあこの少女の事だからさも
ありなん、と妙に納得しながらジュウが頷くと、雨は「やはり」と安堵を声に滲ませながら、光との口喧嘩が高じて
彼女が家を飛び出すに至った事を語った。
 「しかしお前等が喧嘩するなんて珍しいな。一体何が原因なんだ?」
 「それは……」
 珍しく歯切れの悪い雨を不信に思いながらも、光が出て来ない内に話を済ませなければいけないのを思い出して
ジュウは言った。
 「まあともかく、なんとか説得して帰すようにするから、心配すんな。なんなら俺が送って行くさ」
 「いえ、それが……」
 「どうした?」
 「只今、大雨洪水警報が発令中ですので……」
 言われて点けっぱなしのTVを見ると、確かに警報発令中のテロップが流れている所だった。
 「申し訳ありませんが、そちらに光ちゃんを泊めてやってくれませんか?」
 「いや、俺の方はいいんだが、マズイだろ仮にも年頃の女子が……」
 「家の親には雪姫の所に泊まった、とでも言っておきますので」
 「いや、おい」
 「お願いします」
 ……まあこの雨では傘の意味も無さそうだし、確かに危険だろう。そう思い直して、とりあえずジュウは頷く事にした。
雨は「ありがとうございます」と言った後、一瞬だけ沈黙して、しかし「では、光ちゃんをよろしくお願いします」とだけ
言って、そこで通話は途切れた。
 受話器を置いてジュウが今日何度目になるか知れない溜め息を漏らし、もはや見る気のしないTVを消すと、室内
にはそれっきり音が途絶え、ただシャワーの音とそれを掻き消さんばかりの雨音が、部屋と外の世界とを隔絶させん
ばかりに続いていた。
217143:2006/07/20(木) 18:12:27 ID:Cu2l/gul
今回はここまで。次回か次々回にはHシーンまで……。
218名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 19:53:32 ID:f4MvBGpJ
円が「仲間はずれは嫌なの…」といってジュウを押し倒す夢を見たんだがHシーン行く前に目が覚めたorz
219名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 19:57:40 ID:Cu2l/gul
その続きを君の想像力で補って形にして見せてくれると我々はとても嬉しい
220名無しさん@ピンキー:2006/07/20(木) 21:06:03 ID:LZ8fyjgW
光たんメイン話来ましたー、続き待っちょるけぇ。
221218:2006/07/24(月) 22:30:59 ID:9rIhbNFv
駄目だエロがかけない
222名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:35:27 ID:IUYX1Z/X
がんば
223名無しさん@ピンキー:2006/07/24(月) 22:48:38 ID:+rzT/T+h
wktk
224名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 01:23:20 ID:MtxOOC9K
wktk!"!"!"
225名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 18:12:31 ID:P5pqRuwm
円堂「柔沢君」
ジュ「何だ?」
円堂「あのときの責任とって」
堕花「ジュウ様、何の事でしょう?」
斬島「ナニナニ? 卑猥なコト?」
ジュ「何の事だ!?」
円堂「私に股間を握らせた」
堕花「ジュウ様、それはあまりにも非道うございます」
斬島「ウヒャー、王様は変態だー!! 柔沢君の外道ー!!」
ジュ「雨、違う、雪姫は黙れ!! そもそも円堂さんが」
円堂「あの時はあれが一番君をおとなしくさせるのに効果的だった。
    そんな状況にしたのは君の責任。だから君が悪い」
ジュ「・・・・?(そうか? そうなのか? 俺が悪いのか!?)」
226名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 18:24:16 ID:bSEsiGFe
笑ったw
227名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 22:59:37 ID:yJXUE7hZ
>>225
ちょっ・・悲しい気持ちを一瞬忘れさせてくれて、サンクス。
リン姐・・・p(´△`q)
228名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 23:18:47 ID:TSWf89EX
…断言されると弱いよなw>柔
229名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 14:38:00 ID:RYPM7eeE
>>225
GJw どう責任を取らせる気なんだろうか、円。

ところで、紅二巻も発売された事だしそっちで書く人はいないんだろうか。
例えば今回首チョンパになった人とか。
230名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 17:57:29 ID:ZiLxJC7t
切彦で書くのは難しそうだな
231名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 18:19:08 ID:4CIC9jMZ
紅って面白くない
2巻はますますつまんない
買って損した
232名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 18:44:12 ID:dGhmVkEW
『影≒光』が売ってるのに『紅2』売ってない・・・・














どういうこと?
233名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 20:17:23 ID:rPBCdaly
俺は紅から片山作品に入ったんだが
電波の方でも『斬島』の一族や裏十三家の人間出るのか?
234名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 20:50:56 ID:UZGwaTwv
雨や光は堕花、円は円堂、雪姫は斬島。
完璧にリンクしてるって言うなら、堕花は廃業、斬島は営業中(切彦は雪姫の姉?)、円堂はどうだろうか?
235名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 21:35:32 ID:nrtxOE76
「真九朗、アクメとはなんだ?」
「っ!!(あの馬鹿大学生めぇ!!)・・・・大人になると会う人を夢中にさせる悪魔の事だよ」
「真九朗はもう会ったのか?」
「・・・・まだだよ」
「そうか、私と同じだな。いつか一緒に会えると良いな」
「・・・・・・・・(なんて答えよう?)」
「真九朗?」
「あ? ああ、うん、そうだね、うん、さあちょっと早いけど食事にしようか」



「夕乃と銀子はもうアクメにあったか?」
「「!?」」「!!」
「まだなのか?」
「ねえ紫ちゃん、もう少し詳しく説明してもらえる?」
「いやそれは「あんたはちょっと黙ってなさい」いやでも」
「ふふん、私は昨日真九朗と約束したのだ、一緒にアクメと会おうな、っと」
「いやちょっと聞いて「真九朗さん、ちょっとこれから道場へ行きましょうか?」いや待って
説明させて「ロリコン」銀子もお願いだから話を聞いて「・・・・嘘なのか? ・・・・約束したのに」
いや紫さん約束というかそれは「真九朗さん」ちょっと待って夕乃さん「ロリコン」銀子お願いだから
話を聞いて「真九朗・・・・っ!」ああ紫泣かないで!!(俺が泣きたいよ)」
「真九朗さん?」「あんたとの縁もこれまでね、ロリコン」「真九朗っ!!」
(・・・・どうしよう)
236名無しさん@ピンキー:2006/07/26(水) 22:02:10 ID:95qgXT7g
>>235
片山先生早く電波を書いて下さいw

うん、凄く上手いw
237名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 18:55:14 ID:wERRjKXX
>>235
日常的にありえそう
238143:2006/07/27(木) 21:17:09 ID:UKosvuwi
>>235GJ
そして俺はとりあえずリンちゃんへの弔意を込めた小ネタを
※紅2巻P.235、5行目から分岐して壊れ真九郎ネタ


「あの、ところでリンさんに一つ聞きたい事があったんだけど」
「なんだ?もうあまり無駄話をしている時間は無いぞ。手短に言え」
「時代劇好きって言ってたけど、ひょっとして剣を始めたのってそれが理由なの?」
「……無駄話をしている時間は無いと言った筈だが。貴様そんな事聞いてどうしようと言うんだ」
「いや、なんとなく気になって。それが聞ければもやもやした気分もちょっとはスッキリするんじゃないかと」
「……一応、Yesと答えておいてやる」
「あ、マジで?」
「……もう気は済んだだろう?早く出てい」
「じゃあさ、ひょっとして蓮丈の爺さんの側に仕えてるのって水戸黄も」
「よし、とりあえずそこに直れ紅。なるべく楽に死なせてやるから」
「ゴメンナサイ助さん」
「誰が助さんじゃああぁ――っ!!」

「騒がしいと思って見に来てみたら、人の警護ほっぽって何遊んでんのかしら、あの人達……」
239名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 02:32:23 ID:8ShCAbTd
「あ、真九郎さん丁度いい所に」
「あれ、夕乃さん?」
「ええ、ちょっと真九郎さんに聞きたい事があって」
「? 俺に答えられる事なら答えるけど……」
「はい、ありがとうございます真九郎さん。じゃあいきますね、真九郎さん、お風呂好きですか?」
「?? そりゃあ好きだよ?」
「はい。結構です、じゃあドンドン行きますね」
「真九郎さんは環さんをどう思ってるんですか?」
「はい?」
「いいから答えてください」
「えーっと別に何とも思ってないよ。そりゃあ嫌いじゃなけど紫の教育に良くない事ばかり教えるし……」
「ふむふむ、じゃあウチの母様は好きですか?」
「うん。大好きだ。今まで凄くお世話になったし今の自分があるのも冥理や師匠、夕乃さん達
 崩月家や銀子、紅香さんのおかげだよ」
「紅真九郎さんは崩月夕乃の事をどう思ってますか?」
「え〜っと前にも言ったと思うけど……」
「もう一度です」
「好きだよ。あ、勿論家族としてだけど」
「じゃあ私と真九郎さんの関係は?」
「う〜ん、姉弟かな?あとは師弟関係もあると思う」
「じゃあ村上銀子さんはどうですか?」
「え?銀子?」
「はい」
「う〜ん……なんていうか、一言じゃ言えないな……お互いの良い所も悪い所も知り尽くしてるし。でも頼りになるヤツだよ
 今までも数え切れないほど助けてもらったしね」
「じゃあ紫ちゃんは?」
「なんていうか真っ直ぐな心を持ってる。」
「じゃあ柔沢さんはどうです?」
「なんていうか憧れかな。俺の目標でもあるし」
「真九郎さんは蟹がダメでしたよね?」
「あーあの何とも表現し難い無愛想な顔がちょっとね。身は美味しくて好きなんだけど」
「じゃあミジンコはどうです?」
「え、ミジンコってあの微生物のミジンコ?」
「はい、そうです。そのキジンコです」
「小さすぎてあんまり興味があるとは言えないよ」
「はい。質問はこれでお終いです。ありがとうございました真九郎さん」
「??よく判らないけど夕乃さんの役に立てたなら嬉しいよ。じゃあ俺は帰るね」
「はい車に気をつけて帰ってくださいね」
240名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 02:34:12 ID:8ShCAbTd
                     数日後 崩月家では


『紅真九郎さんは崩月夕乃の事をどう思ってますか?』
『好きだよ。大好きだ。』
『じゃあ私と真九郎さんの関係は?』
『う〜ん……なんていうか、一言じゃ言えないな……お互いの良い所も悪い所も知り尽くしてるし。でも頼りになるヤツだよ
 今までも数え切れないほど助けてもらったしね』
『じゃあ村上銀子さんはどうですか?』
『あーあの何とも表現し難い無愛想な顔がちょっとね』
『じゃあ紫ちゃんは?』
『小さすぎてあんまり興味があるとは言えないよ』


「出来た……ついに出来ました!!私と真九郎さんの愛を証明する録音テープが!!
 これを紫ちゃんや村上さんに聞かせれば………うふふふふふふふ」



「どうした真九郎。顔色が悪いぞ!?」
「あぁなんでも無いよ。ちょっと言い様のない寒気がね」
241名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 02:35:11 ID:8ShCAbTd
勢いだけで突っ走った
今では反省している
242名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 03:16:22 ID:Pql2SIS4
夕乃さんは本当に黒いなあw
243名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 06:34:22 ID://SepU4A
ワロタw
244名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 19:03:39 ID:I2gU6IDo
これエロく無いけど、凄ぇ〜イイわw
245名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 19:16:40 ID:BbCmLTP6
真っ暗な部屋の中で笑ってる夕乃さんが鮮明に想像できる・・・
246名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 22:15:33 ID:5U36D9Fh
やっぱり夕乃さんかわいいよ夕乃さんw
247名無しさん@ピンキー:2006/07/28(金) 23:43:38 ID:Cyw5Qt6A
>>238
リンは惜しいキャラだった。南無。
248名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 01:54:59 ID:RfPUdCyg
堅物なだけかと思ったら、結構洒落の通じそうな所も見えただけに残念だ
249名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 03:01:53 ID:wafObVKM
案外崩月家では夕乃さんよりも散鶴の方が『戦鬼』としての
実力や才能があるとかいう脳内設定が浮かんだぜ
250保守とネタふり:2006/07/29(土) 22:47:11 ID:SqDp4Spo
紫が受けそこなった、性教育授業や熱心に読んでいた官能小説をつかったネタで、真九郎×紫とか…


「あれから色々勉強して、わかったんだ」

「なにを?」

「おとこは『なかだし』がとても気持ちよいらしいのだ」

ニコニコと無邪気な笑みを浮かべ紫…

「は、はいぃ?」

「いつかは、真九郎との赤ちゃんは欲しいが、まだわたしは小さい…『せっくす』して赤ちゃんができても、養い育てる事ができないとおもうんだ…」

「…………」

「だか、まだわたしには『初潮』が、きていないから『なかだし』しても大丈夫だぞ!」
251名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 22:56:41 ID:SqDp4Spo
誰か文才ください…

いや誰かこのつづきをば…
252名無しさん@ピンキー:2006/07/29(土) 23:40:25 ID:XDzPyxEB
真九朗「じゃあ、遠慮なくいただきます」


fin
253名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 00:18:12 ID:tCvC1J6k
誰か不憫なリンのSS書いてやって下さい。
254名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 01:52:13 ID:evyRxW1o
>>253
お前が書け
255名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:11:41 ID:NQM7s7Tn
リン「ところで真九朗、私を抱いてくれ」

真九朗「7歳以上は守備範囲じゃないので、お断りします」

fin
256名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:14:15 ID:ynoNfcKc
>>255
それだと、紫も今年限りになってしまうが?

しかし、渡瀬の陰陽でもあったけど、教育ネタはそそるなぁ。
257名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 02:14:57 ID:0w1htLLZ
>>255
銀子「ロリコン」
258名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 07:45:26 ID:NQM7s7Tn
      /             `\
     r'´                 ヽ
     ノ  ,.ヘ、   ,. ‐'^ヽ、         l
    (.  /   /'l,ィi ´      ゝ      |
   ノ ,'   |l |l \、     ヽ     ヽ
   (  |    l' ヽ、 `'ー   _(      }
   ヽ. |´`==。、  ー=='。、  } ,r‐、  ノ
      )|.    }        { {,r‐.| 〈
.    ヽ|    ノ         } } ;,リ  ノ     ああ、ロリコンさ。
.       |   !._        ル'_ノ <´      ロリコンで何が悪い!
      l.  `__         |_,r'´
       l   ヽニニ二)     |
         ヽ   ー    /   |
        ヽ.     _, ‐'´  _|、
259名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 16:19:22 ID:UQDbx+8V
>>255
>真九朗「7歳以上は守備範囲じゃないので、お断りします」
7歳以上だから、7歳の紫も守備範囲外
つまり真九朗は散鶴狙い
260名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 19:14:54 ID:2sm9JuUu
つまり真九郎はペド野郎って事でFA?
261名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 21:06:43 ID:/qJ5CW2f
真九郎×紫じゃないが>>250の続きを書いてみよう。

「そ、そうか……でも、紫、そういうことを覚えるのはまだ早いよ」
 真九郎は紫の頭を撫でて曖昧に笑い誤魔化す。
 こんな純粋で無垢な彼女を、穢れさせるのは人間として失格だよな、と溜息をつく思いで彼女の髪を撫でる。
 もちろん、彼女がこの事実を知るのは時の問題だろう。九鳳院の特殊性を考えれば猶更だ。
 これは、自己満足に過ぎないのかもしれない。それでも、彼女の高潔さを守りたいと思った。
「そうか…、わたしが覚えるには早いか…。理由は分からぬが、真九郎が言うのならそうなのだろうな」
 残念そうに呟く彼女に、少しだけ嬉しさを覚えた。
 事実を伝えないのは卑怯で、臆病なのかもしれない。でも彼女は自分のことを信頼してくれている。
 ならば、自分の正しいことをしようと思った。それがせめてもの彼女の信頼に対する報いることだと思う。

「……やらしい」
「ぎ、銀子!」
「おおっ、銀子! また遊びに来てくれたのか!」
「ええ、このバカを迎えに来たついでにね。相変わらず、元気そうで何よりだわ、紫ちゃん」
 …ええい、この天邪鬼め。子どもに優しいのはいいのだが、それぐらい普段から自分にも優しくしてくれないのだろうか。
 真九郎はそう思ったが、言葉にはしなかった。
 どうせ言ったところでバカにされるだけだろうし、お互いにそんな甘えれるほどの関係でもない。

 それに、こうして銀子が紫に優しくしているところで自分は幸せなんだろうと感じていた。
 クラスメイトには決して見せないその姿。それを見られる自分はそれだけでも満足している。
 本当の彼女の姿を知っている、そのことに。

「いいわね、紫ちゃん。真九郎に頭をなでてもらって」
「うん? 銀子は頭を撫でて貰えないのか?」
「そうね。昔はあったかもしれないけれど、最近は特にないわね」
 そう肩を竦める銀子。その様子に紫は不可解そうだ。
「何故だ! 真九郎、意地悪はするな。母様もそう教えてくれた。
 銀子も頭を撫でてやれ!」
「「ええっ…!?」」
「なんだ? ふたりとも嫌なのか?」
「…そういうことじゃないけどね、紫ちゃん」
 流石にこれには面食らっているのか、いつになく銀子が狼狽しているように見えた。
 狼狽しているのは銀子だけでなく、真九郎もだが。
「母様が言っていたぞ。頭を撫でて貰えば、嬉しい気持ちになると!
 さあ、銀子! 真九郎になでて貰え!」
 まるで、天使のような笑顔。ああ、これだけには絶対に叶わないな。
 仕方がないと言わんばかりに、真九郎は肩を竦めると、ぽんと銀子の頭を撫でた。
「ほらよ、銀子ちゃん。 こうしてると昔を思い出すよな。
 昔はよく泣いてた俺を銀子がこうして撫でて、慰めてくれたよな」
「……バカ」

ごめん、エロくなかった。
262名無しさん@ピンキー:2006/07/30(日) 21:55:52 ID:0w1htLLZ
萌えたので無問題
263名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:10:57 ID:OyK0eBev
・・・やらしい
264名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:32:43 ID:RCtrMugl
>>261
GJ!!

しかし、やべぇよな夕乃さん。一番ヒロインっぽいのに、紫にその座を奪われ、
銀子にも蹴落とされ、色物系に走っているよ。
265名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 00:56:17 ID:xOOpvNxD
>261
すげえ心温まった。GJ!!
266250:2006/07/31(月) 02:51:02 ID:rwOM901R
GJ!
ありがとうございます!
銀子は紫にくらべて、『台詞』や『ふいんき』の描写がむずかしく萌やしにくいのに…ナイスです
267名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 10:30:14 ID:U0dn0Xek
更なる精進を願ってこれだけは言わせて欲しい。
「ふいんき」ではなく「ふんいき」だ。
268名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 18:51:17 ID:/59pgJfK
銀子にモエタ
269名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 21:42:08 ID:36vYOGDg
>>267
俺…さすがに釣られとくわ。 マジで言ってる? いや2ch的に
270名無しさん@ピンキー:2006/07/31(月) 23:56:01 ID:wVCw557L
「本当に、あいつは紫ちゃんにいらないことばかり教えるんだから」
 銀子はあれから真九郎と口を利いてやらなかった。
 七歳の幼女にヘンなことばかりを教えて―もちろん本当に真九郎が教えたとは思っていないが―、どうするつもりなのだろうか。
 そこでふと考える。本当に真九郎はそういうケがあるのだろうか。
「まさか、ね」
 馬鹿馬鹿しい。
 それに、あいつが紫ちゃんのことをどう思っていても関係ない。
 ロリコン、とは言うが、彼女は普通の七歳児とは何かが違う。
 ひょっとしたら、そこら辺の大人たちよりも精神的に大人なのかもしれない。
 だから、あいつが本当に紫ちゃんのことを好きならそれはそれでいい。紫ちゃんならあいつを幸せにしてくれる。
「……バカね、あたしも」
 それは自分に対する評価。これではまるで紫に嫉妬しているみたいではないか。
 確かに真九郎に対しては、他の人間とは違う感情を抱いているかもしれない。
 だが、それは普通の女子生徒が抱くような恋愛感情とは違うはずと、銀子は考えている。しかし、本当のところはどうなのだろうか?

 それにそうだとしても、紫に対してそんな醜い感情は持ちたくない。
 あの子は、とてもいい娘だ。そんな下劣な感情を抱いていい対象ではない。
 銀子はその考えを振り払うように、首を軽く振った。

 しゅるり、とリボンを解き、制服のベストを脱ぎ姿見の前に立つ。
「あいつ、胸があるほうが好きなのかしら」
 何を言っているんだろう、と自分でも呆れながらも、シャツのボタンを外し胸の前を肌蹴させてみる。
 崩月先輩に柔沢紅香、武藤さん。なぜかあいつの周りにはスタイルいい女性ばかり集まるのよね、と溜息をつきながらシャツを脱ぐ。
 身に着けているのは質素な純白のブラジャー。あまりカップは大きい方ではない。
「紫ちゃんのこともあるから、一概には言えないけれど」
 もし、自分に色気があれば真九郎も少しは態度を変えるだろうか。
 試しに今度オシャレな露出度の高い私服でも来てあいつに見せてやろうか。
 そう考えながらも、そっとブラジャーに包まれた自分の乳房を押さえ溜息をつく。今日のあたしはどうかしている、と。
 このままではもっとよからぬ妄想でも抱いてしまいそうだ。今日のところは早いところ寝よう。

>>261にエロも色気もなかったので、続きを書いてみた。
………ごめん、またエロくないorz 漏れにはエロ電波が届きにくいようだ。もしかしたらアンテナも壊れてるかもしれない。
271名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:11:58 ID:dRTydzFF
>270面白かったからがんばってみてくれ
272名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:16:24 ID:XIesh6bk
>>270
大丈夫、普通に続きが読みたい。GJ
273名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 00:49:54 ID:aPmK8J4e
>>270
安易にエロくないところが気に入った。GJ!
274名無しさん@ピンキー:2006/08/01(火) 17:44:58 ID:pzQ0NsEj
ていうかこれが俺の銀子のデフォ内心なったので
その分の責任は取ってくれ
275名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 01:40:39 ID:g+mGdaKa
なんとなく思いついた小ネタを投下。

〜男の落とし方講座〜

「紫ちゃーん、ここでこう少ーし胸元をはだけるだけで男は落ちるんだよー?」
「なるほど、勉強になる」
「やめてください環さん」
「少女よ、私の経験上この手の男はちょっとつれない素振りをするだけで十分落ちるのだよ」
「もっとやめて下さい闇絵さん」
「うむ。実際効果的だったしな」
「ほう、やるな少女よ」
「流石ね、紫ちゃん」
「ロリコン」
「やめてくれ紫、ってなんで銀子がここに?」
「不潔です真九郎さん。私のこすぷれにはそこまで反応しなかったくせに・・・」
「やらしい」
「・・・・・・」
真九郎はやっぱり神様なんてろくな奴じゃないと思った。


エロくも面白くもなくて申し訳ない。
276名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 17:39:14 ID:KiI7V89z
まあ真九郎はそういうシーンが一番映えるしな
277名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 20:03:23 ID:d+jZeLrM
やはり、ジュウと同じタイプだな・・・
278名無しさん@ピンキー:2006/08/03(木) 21:29:31 ID:PD3EbadV
柔は切れて言い返す 苦労は言えずに終わる
279名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 03:05:10 ID:4cCet4IJ
エロくは無いが、萌える…?
280名無しさん@ピンキー:2006/08/06(日) 00:27:36 ID:s2HLBodg
>>217
続きどうなった?
281名無しさん@ピンキー:2006/08/07(月) 19:51:26 ID:zdEVsbHc
>>280
気がはやい
282名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 17:52:16 ID:T0hjFCdM
夕「私、二人は幸せになれないと思います 
  二人を幸せになんか・・・・しませんから   
  だって、私は、ずっと真九朗さんを好きでいますから
  永遠に・・・・」

建物の奥に消える夕乃に背を向ける真九朗と銀子
銀「絶対諦めないってことかしら」
ヘタレ「大丈夫だよ、きっとわかって
    ―ガシャン―
銀「・・・・? あれは」
ヘタレ「夕乃さんの携帯?」

振り返る二人の目の前で、さかしまに飛び降りてきた夕乃が――――――――






ビターン!!

夕「・・・・痛いです」
銀「・・・・崩月先輩、丈夫ですね」
ヘタレ「(流石は生粋の鬼!!)」
283名無しさん@ピンキー:2006/08/08(火) 21:01:56 ID:lkEh+tDD
エロくはないがなんかほのぼのとして気に入った。
しかしそれはそれとして最近俺の中で夕乃さんは出オチキャラというイメージが定着しつつある。
284名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 11:20:05 ID:6IQvr2xT
原作での扱いも似たy(ry
285名無しさん@ピンキー:2006/08/09(水) 23:50:20 ID:QhIDKVk7
>>284が全身骨折の状態で発見されました。
286伊南屋:2006/08/10(木) 14:11:03 ID:unIIJw2u
 場を、重い沈黙が支配していた。
 以前、雪姫と付き合う事を、雨と円に告げた店。
 今回は円の代わりに光が入り、四人掛けの座席を占めている。
 何故こんな事になったのか。
 簡単だ。ジュウが全てを雪姫に話したのだ。
 どうにも黙っていることが出来なかった。
 その後、雪姫と雨の間で話がなされ、このように集まる事となった。
 最初に口を開いたのは雨だった。
「ごめんなさい雪姫、それにジュウ様も。私のワガママでこんな事……」
 テーブルの上で頭を下げる雨に、ジュウがどう声を掛けるべきか迷っていると。
「頭を上げて、雨」
 意外にも雪姫が雨に優しく声を掛けた。
「私も悪いんだよ。ジュウ君を最初に横取りしたのは私だから……。雨の気持ちを知ってて裏切ったのは私だから」
 ジュウはただ黙ってそれを聞く。胸の底に言い知れぬ不安を抱えながら。
「だからね、雨。こうしない?」

「ジュウ君をみんなのもの……。ううん、みんなでジュウ君のものになろう?」

 時が止まった。少なくともジュウにはそう感じられた。
「そ、それはつまりその……あの……」
「ハーレム、ですね」
 そうだ。つまりはそういう事だ。
 バカげてる。有り得ない。そんな事だれが納得を……。
「それで雪姫は良いのですか?」
「うん、雨と光ちゃんさえ良ければね」
「私は、良いです。ジュウ様のものになれるのならば、それは嬉しい事です」
 その答えにジュウは絶句する。すがるように光に目を向ける。
 光なら断るはずだと。
「光ちゃんは?」
「お姉ちゃんが……そう言うなら」
「うん、じゃあ大丈夫だね」
 光が、あの光ですら納得した。ジュウはこれが夢でないのかと疑心暗鬼になる。
「雨。薬は持ってきてる?」
「はい、ここに」
 自らの意志を乖離し進む事態に思考が追い付かない。
「じゃあ、4P頑張ってね? 御・主・・人・様」
 それでもジュウは、目の前で微笑む雪姫は夢ではないのだと、自分の手を握ってくる雨と光の感触は現実だと。
 心の底で納得し、理解していた。

続く。
287伊南屋:2006/08/10(木) 14:13:15 ID:unIIJw2u
紅メインの流れをぶったぎり忘却の彼方より復活。

すいません。4P書き終わる頃には紅のSSも書けるようになってるんで今はご容赦を。
288名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 14:32:02 ID:JjA2d2Ge
>>287
くわっ 生殺〜し。
289名無しさん@ピンキー:2006/08/10(木) 14:43:49 ID:uHKhVjc6
>>287
期待しております
290名無しさん@ピンキー:2006/08/11(金) 23:07:28 ID:nffOU/qb
ここから電波メインの流れ期待
291名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 01:02:46 ID:W8gbBD61
ho
292名無しさん@ピンキー:2006/08/14(月) 22:39:57 ID:RaVVOA79
まったく関係はないんだが
>258をみて
少し泣いた
293名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 08:27:35 ID:xg78uMMz
紫は近親相姦じゃないと妊娠しないんだよな?
294名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 13:14:57 ID:VoM1RvW1
実際どうなんだろうな?
男方の問題なのか女方の問題なのか。はたまたその両方か。

まぁ紫は七歳なのでどっちみち妊娠しねーけどな。
295名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 21:44:47 ID:j3dZTLmW
汚れた顔のパートナー(?)たる超能力娘は今の紫ぐらいで、身篭らなかったっけ?
296名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 21:52:00 ID:VoM1RvW1
いやまぁそうだけどさ。
でもそれはギネスの世界じゃん。
世界一に出来るから他もできるってのは極論すぎないか?
297名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 22:07:25 ID:AzRwJsuw
手を出されてなかったんだから、とりあえず初潮はきてない
298名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 22:19:09 ID:RIfDKxrc
いきなりで悪いが本スレから移住ww
ある日の出来事…。

夕乃__「ほらっ、真九郎さんの大好きな網タイツで扱いてあげますからねぇ」
紫___「なにを言っている真九郎が好きなのは、私のニーソックスだ」
銀子__「やらしい」
夕乃&紫「「とか言いながら、なんでわざわざ靴下を履き替えてるの?」」
散鶴__「お兄ぃちゃんって変態さんなの?」
真九郎_「ぐはっ!!」
299名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 23:13:43 ID:DJ9bMDsV
>>294
普通の女とはどれだけ交わろうと子供は生まれない、ってあるから男は確定。
後は、真九郎と紫との結果次第だな。
紫は九鳳院の中でも変り種みたいだから、九鳳院の常識は通じないかも知れん。
300名無しさん@ピンキー:2006/08/17(木) 23:36:18 ID:j3dZTLmW
>>298
続きをplz


>>299
紫は九鳳院の実情を知っているのかな?
小学校で保健体育の授業があった日に、紫は真苦労にせまりそうな予感。
もっとも、環がその前に教えちゃうかもしれないけど。
301名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 15:45:12 ID:NaP5XaHj
>>300
2巻最後で、銀子と一緒に性教育をせがんでいたけど。
しかし紅って同人誌出そうな本なんだが、今回のコミケで2次創作本って
出なかったのかな?
302名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 16:34:09 ID:fO79XWwe
ラノベの同人って、アニメ化しないと出回らなくね?
ハルヒもアニメ化前はほとんど見なかった覚えがあるんだけど
303名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 17:55:12 ID:o85aTvMl
で、喪前らはどんなエロパロだったら、即ゲトなのか?
304名無しさん@ピンキー:2006/08/18(金) 19:09:52 ID:HV6arGMJ
光が途中まで強気
 ↓
ジュウの裸をみて赤面、とたんに弱気に
 ↓
ジュウもドキドキするが覚悟をきめる
 ↓
(中略)
 ↓
夜明けのコーヒー





 ↓
「光ちゃん、絶対、許さないから・・・・」
305名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 01:31:57 ID:9eYO9lXh
> ↓
>「光ちゃん、絶対、許さないから・・・・」


ワロタ。
リネア様化した雨、怖いよーw
306名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 10:42:23 ID:KcCTA8Cg
こんな感じかな?

雨__「光ちゃん。どうしてジュウ様と2人して裸なの?」
光__「そっ、それは…」
ジュウ「雨、聞いてくれっ。これは全てオレが…」
雨__「ジュウ様、申し訳ありませんが 私はいま光ちゃんと話をしてるんですが」
ジュウ「…っ!」
雨__「どうしたの光ちゃん。何をしていたのか言えないの?」
光__「だって…。」
雨__「ふぅ〜んそうなんだ…。で、ジュウ様に抱いてもらったご感想は?(薄笑)」
光__「お姉ちゃん…。」

雨 怖すぎ…orz。
307名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 19:05:58 ID:veqNIUcB
「紫・・・・!」覚悟を決める真九朗
 ↓
「し、ん、ん、九朗、もっ、もっと、優しくっ、してくれ!」
「ごめん、紫、でも止められないんだ!!」
 ↓
(二時間半程中略)
 ↓
「ごめん、乱暴にして本当にごめん!!」
「もう良い。その代わり、きちんと責任は取ってもらうぞ?」
「それはもちろん。何があっても俺は紫の「・・・・さん」?」
 ↓
ドアの隙間から覗く瞳、漏れる声
「真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん
. 真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん
. 真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん真九朗さん・・・・」
308伊南屋:2006/08/20(日) 11:35:51 ID:7xroZaf6
「それじゃ、はい、ぐいっと」
 そう言われても……。
 ジュウは躊躇いを隠せないでいた。
 目の前には錠剤。雨の説明によればこれは以前使った薬であるという。
 前回は粉にして溶かして使ったので錠剤のまま服用すれば更なる効果が期待できるらしい。
 今四人はとある宿泊施設にいる。
 繁華街からやや奥まった路地。そこは所謂ホテル街だ。無論、ジュウ達が居るのもそのホテル街の一角にあるラブホテルの一室である。
 その部屋で、全裸の美少女三人に囲まれ、薬を勧められている。
 異常な状態にホテルに入る時にすれ違ったカップル。その男の方が向けてきた驚愕と羨望の混じった視線を思い出す。
 あの男に言ってやりたい。
 そんなに良いもんじゃない、と。
 少なくとも自分はこの事態に困惑しか出来ない。
 そんな思考に逃げていた意識を現実に戻す。
 そこには変わることなく錠剤と、それを流し込むための酎ハイ。
 正直こんなもので飲み込んで命に関わったりしないだろうか?
 まあ雨が何もも言わないので大丈夫なのだろう。
 しかし、だからといって飲むわけではない。ジュウはただ錠剤を睨み付け黙り込む。
 痺れを切らしたのは雪姫だ。全裸のまま立ち上がり、ジュウの目の前のものを奪い、一気に口に流し込む。
 次の瞬間にはジュウと雪姫の唇は重ねられていた。
 それだけでなく、雪姫は唇を割開き、ジュウの口中に自らの中にあったものを流し込んでいく。
 炭酸とアルコールの味に混じって微かな苦味がある。恐らくは錠剤が溶け出しているのだ。
 雪姫は唇を離さない。飲め、ということだろう。
 もはやそれしかない。ジュウは諦めて口の中のものを飲み下した。
 瞬間。ジュウの体を熱が支配する。喉から胃を焼くアルコールと、それとは違う内から滲むような、疼きにも似た熱。
 酩酊感と高揚感が同時に押し寄せてくる。それらに意識を混濁させ、ジュウの理性が失われていく。
 理性の後に残ったのは体の火照りと、思考すら支配する獣の衝動だけだった。
 ジュウは衝動に任せ、雪姫の体を掻き抱いた。荒々しい抱擁に雪姫が息を詰まらせる。
 それでも抵抗を見せないのは服従の証か。むしろ切なげに雪姫は瞳を伏せた。
「ジュウ様……」
 ジュウの背に雨が体を重ねてくる。全体的に小振りな作りのその体から体温と鼓動が伝わってくる。
 それはジュウを安心させる、まだ幼い母性。
309伊南屋:2006/08/20(日) 11:58:44 ID:7xroZaf6
 しかし、母性というものを求めて止まなかったジュウにとってはそれで十分だった。
「わ、私もっ!」
 光が絡み合う三人に身を割り込ませ、ジュウの腹の辺りに抱き付く。
 まるで幼い子供が父親に甘えるように身をすり寄せる光に、ジュウは手を差し伸べ頭を撫でてやった。
 唇を雪姫に、背を雨に、腹を光に。
 それぞれに触れあわせ、その感触に酔いしれる。
 真っ先に異変に気付いたのは光だった。
「あ……」
 腹のその下、ジュウの股間で熱を含んだ塊が鎌首をもたげ始めていた。
 全員の視線がそこへ集まる。
 雄々しくそそり立つそれに、思わず雪姫、雨、光の三人が顔を赤くする。
「いつもより……おっきい?」
 そう口にしたのは雪姫だった。
 なる程、言われてみればジュウのそれは普段よりも心持ち猛々しくその存在を主張していた。
「ここはやはり……」
 雨がそれに手を伸ばしつつ言う。
「みんなで、でしょうか?」
 雪姫と光がその意を汲み取り頷き合う。
 三人は同時にジュウの足元に跪き、それぞれ舌を差し出す。
 亀頭、幹、付け根に舌が這わされる。
 それらは位置を替えながらジュウに刺激を与え、射精へと追い立てる。
 くぐもった鼻息と、唾液の立てる水音が室内に響く。
 熱心に舌をジュウのペニスに絡め、三人は競い合うようにジュウを頂点へと導く。
 そして、それは呆気ないまでに唐突に訪れた。
 先端から大量の精液が迸り、三人の顔を白く染める。
「少し、薬が効きすぎましたか」
「そだね、ちょっと早いかな?」
「でもさ、ほら……」
 顔の精液を拭いながら言葉を交わす雨と雪姫に、光が指差してみせる。
 そこには変わらずに硬さを保ち、その身を痙攣させるジュウの牡の証があった。
「ねえ、誰から行く? 私もう出来るんだけど」
 そう言った雪姫は自らの指を股間に這わせている。そこから既に十分に濡れているのが分かる程に淫らな音を立てている。
「ここは一応正妻の雪姫からで」
 雨の言葉に異を唱えるものはいない。雪姫は嬉しそうに微笑むとその身をジュウに擦り寄せる。
 性欲に支配されたジュウは雪姫をベッドに俯せに組敷く。
 そのままジュウは雪姫の背後から侵入した。
 抵抗も少なく、雪姫はジュウをその身に受け入れる。
「ふぅ……っん」
 ジュウが腰を前後させると、それに合わせ雪姫の体がビクビクと痙攣する。
310伊南屋:2006/08/20(日) 12:21:49 ID:7xroZaf6
 しばらくゆるゆると動かしていたジュウだったが、その動きはすぐに激しい、責め立てるような激しいものになった。
 腰と尻がぶつかり小気味良い音が響く。猛烈な突き込みに、雪姫はあっと言う間に限界まで追いやられる。
「はっ、はっ……! くうぅん、い……くっ……いくぅっ!」
 雪姫の背が大きく仰け反る。体を震わせ、雪姫が絶頂に達する。しかし。
「ひゃあ!? や、だ……めぇ」
 ジュウは動きを止める事なく腰を打ちつける。雪姫の敏感ぬった体は、与えられる刺激に先より更に高く絶頂に打ち上げられる。
「くっ……う。やぁ、また……いっちゃ……ひゃうっ!」
 雪姫の体が跳ねる。強い性感に意識が白く染められ、雪姫は体をぐったりと横たえた。
 雨と光が戦慄する。
 最初こそ驚く程に早かったジュウだが今は簡単に満足しないらしい。
 加えて激しい責めでいともたやすく絶頂に追いやる。
 もしかしたら自分達は薬で増強された性欲が果てるまで責め立てられ、何度もその身を捧げなくてはならないのではないか。
 そこまで考えて、自分の体が熱く情欲を訴えているのに姉妹は気付いた。
 既に身も心も奴隷なのか。しかし二人はそれが不快ではなく、むしろ誇らしくすらあった。
 ジュウは雨を自らの方へ引き寄せる。その背を抱き抱えるようにすると、雨の腰を浮かせ、下から突き込む。
 それは丁度、雨と光を同時に相手した際に光を抱いた時と同じ体勢。
 ジュウは光に目で合図を送る。
 その意を読み取った光は、かつて姉がそうしたように、結合部へと自らの舌を這わせた。
「はぁぁっ!」
 自らが与えた、しかし与えられるのは初めての刺激に、雨の体は顕著な反応を見せる。
 止めどなく愛液が溢れ、妖しく蠢く秘壷は奥へ、奥へとジュウを誘う。
 舌を雨とジュウの繋がりの部分に這わせる光は自らの中心で指を闇雲に動かし快感を得るための自慰に耽る。
 不意に這わされる舌が増える。
「ひゃぁ! 雪っ……姫ぇ!」
 それは先までぐったりとと体を横たえていた雪姫だった。
 虚ろな表情で舌を這わせる彼女は自らの行いを把握しているのか。
 ただ確かなのはその行いが雨の性感を無慈悲なまでに高めたという事だ。
 雨は悲鳴にも似た矯声をあげ、体を激しく痙攣させた。
「かはっ……はぁ、はぁ……」
 ジュウとの結合が解かれると、雨は荒い呼吸をしながら倒れ込んだ。
 それには一瞥もくれず、ジュウは光を瞳に捉えた。
311伊南屋:2006/08/20(日) 12:36:46 ID:7xroZaf6
 ジュウは無造作にその手を掴むと、自分は仰向けに横になる。
 手を引き、光をその上に跨らせる。
 そのままジュウは動かない。
 光は意を汲み取り、手をジュウに添え、自らの入り口にあてがう。
 しばし、そのまま躊躇したが、決心と同時、腰を沈めた。
「や、はぁっぁん!」
 自らの膣中を抉られ、光がたまらず声をあげる。その声は無意識に振り立てる腰の動きに合わせて大きくなっていく。
 その声を、雪姫が唇を重ねる事で抑える。
 深く差し込んだ舌を絡められ、喘ぎ声の代わりに唾液の混ざる音と、漏れる息の音が響く。
 それを眺めていたジュウにも雨が口付けをする。
 さらにジュウの手を自らの下半身に誘い、愛撫させる。
 ジュウの指が雨を愛撫するのを横目に見た雪姫も、残った片手を同じように自らにあてがう。
 全員が唇を交わし、性感を貪り合う。
 ジュウは指先と自らの男根を縦横無尽に、女達を責め立てる。
 深く突き込まれ光が。
 一度絶頂に追いやられ性感を高められていた雨と雪姫が。
 三人が同時に達するまでそう時間は掛からなかった。
 ベッドの上に三人が身を投げ出す。
 荒い息をつきながら、ぼんやりとした思考の中で三人はあることに思い至った。
 ジュウが最初の一度以来、一度もイっていないのだ。
 改めて時計を確認して愕然とする。
 殆ど、そう言って良いほどに時間が経過していない。
 つまり、それだけの短時間に、三人で五回もイカされたのだ。
 このままジュウが満足するのはだいぶ先だろう。それまでに自分達はなんど絶頂を味わうのか。果たして自分を保っていられるだろうか。
 恐怖と、期待と、不安と歓喜と。それらがない交ぜになった複雑な感情に心を置きながら。
 三人は自らも気付かぬ内に、笑みを湛えて、自らの主を見つめていた。

 END
312伊南屋:2006/08/20(日) 12:39:36 ID:7xroZaf6
出来上がり。
時間かかった割にはそんな長くないぜ〜。

忙しかったんです…。
つうかテンションおかしいです。


さて、次はようやく書けます「紅」SS。
いつものようにシチュエーションその他リクエスト募集します。
ただし複数プレイだけは今回勘弁して下さい。

以上伊南屋でした。
313名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 13:27:36 ID:jUD3TaXu
伊南屋氏GJ!
あんたうめえよ……。
紅ネタは、やはり真九郎×紫を希望!
シチュは二巻の性教育ネタを実践するとか、どうでしょ?
314名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 15:49:14 ID:n3a1QssL
ってことは、銀も一緒か
315名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 15:54:52 ID:qzeE/yep
伊南屋さんGJ
相変わらずエロいな。

リクエストの方は、銀子かもしくはリンでお願いします。
316名無しさん@ピンキー:2006/08/20(日) 18:59:41 ID:KUZgPig5
なんてブラボー!!(*´Д`)
317名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 16:42:14 ID:opy2TjCI
伊南屋さんGJです。相変わらず上手いですな。

リクエストは夕乃さんや闇絵さんで。
要望が少なそうだけど。
318名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 17:09:34 ID:NYFb1Gji
>>317
闇絵のことをすっかり忘れてたw
319名無しさん@ピンキー:2006/08/21(月) 18:09:18 ID:P2k1D0CZ
夕乃がほかのキャラに嫉妬して真九郎を襲うといったのを希望
320伊南屋:2006/08/23(水) 15:33:24 ID:cqw8CQmU
今書いてるんだけど、オリジナルキャラ、リン生存フラグでのオリジナルストーリー、最悪エロなしになりそう。
それでも良いすか?
321名無しさん@ピンキー:2006/08/23(水) 16:15:25 ID:Af5aT0Z5
リンが生きててくれるんなら何でもイイっす
322名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 15:25:29 ID:vu/wyi4o
勿論それ揉みたいが
できれば銀子!銀子!銀子!との純愛も
323名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 15:26:43 ID:3RrNeU2X
揉むのか
324名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 16:41:17 ID:2/rPvdTO
何を揉む気だ
325名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 20:14:42 ID:xn9Yjmwg
銀子の尻
326名無しさん@ピンキー:2006/08/24(木) 23:47:17 ID:ou+I70zm
ならば俺は日々の情報屋仕事でコリにコった銀子の肩を揉むとしよう。
327名無しさん@ピンキー:2006/08/26(土) 23:09:43 ID:fnjo4GaP
ならば俺は胸を
328名無しさん@ピンキー:2006/08/29(火) 22:23:47 ID:/6qPsHnk
の、脳?
329名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 15:42:04 ID:jV4WJQHs
脳みそコネコネコンパイル。
330名無しさん@ピンキー:2006/08/30(水) 23:59:05 ID:49CpXawM
銀子の冷たい眼差し
眼球
眼球揉む
ハァハァ
331名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 02:43:31 ID:+jIkD20M
まて>330、むしろ銀子の疲れきった眼球を癒すためのツボマッサージを優先すべきだ。
332名無しさん@ピンキー:2006/08/31(木) 23:19:22 ID:fpZGdKA+
ブルーベリージュースを差し入れ
333名無しさん@ピンキー:2006/09/01(金) 16:10:18 ID:8u9To/ti
相性の良いヨーグルト。しかも、カスピ海産ヨーグルトを差し入れ。
お代は760円
334名無しさん@ピンキー:2006/09/04(月) 01:08:34 ID:4rXcqyBU
保守
335名無しさん@ピンキー:2006/09/06(水) 20:10:55 ID:Lj0XaLDk
なんかいきなり流れが止まったな
336名無しさん@ピンキー:2006/09/10(日) 23:38:31 ID:kNv3j9TY
ここらで誰か話題を
337名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 02:13:57 ID:LVWBlm/O
では。


電波の新刊まだー?!
338名無しさん@ピンキー:2006/09/14(木) 22:40:38 ID:ox6ZzCNI
保守
339名無しさん@ピンキー:2006/09/15(金) 01:26:54 ID:DRhznSts
雨はジュウ様でおにゃにーするんでしょうか?
340名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 06:02:28 ID:2euKV1ze
妄想の赴くままに
341名無しさん@ピンキー:2006/09/16(土) 18:29:56 ID:3FhzPzhA
ジュウ様でおにゃにーしたくなって、ジュウに許可を求める雨
342名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 07:24:55 ID:N0BxWkb2
奴は思想的に「どうせ現実には手に入らないのですから妄想くらいは許してあげましょう」だからな
自分にもそこらへん甘いのかもしれん
343名無しさん@ピンキー:2006/09/18(月) 21:23:50 ID:5iZ2nau5
「ジュウ君ジュウ君柔沢君、一個聞いて良い?」
「何だ?」
「あたしらでオナニーしたことある?」
「ブッ、いきなり何を・・・・っ!!」
「ジュウ様、あるのですか?」
「無い、無いぞ、全く無いッ!!」
「そうですか・・・・」
「あーん、雨、信じちゃ駄目よ、男は誰でも狼なのよ!!」
「ジュウ様、そうなのですか?」
「雨、だから信じるな、そして雪姫は黙れ!! 円堂さんからも何か言ってやってくれ!!」



「・・・・やらしい」
「!?(何だ、一瞬で眼鏡をかけたぞ!?)」
「!?(ここでそのネタを持ってくるなんて、円、恐ろしい子!!」
「!?(万能キャラの座を取られた!!)」
344名無しさん@ピンキー:2006/09/23(土) 13:29:02 ID:NKPAWo/r
白目になってる雪姫が見えるw
345名無しさん@ピンキー:2006/09/24(日) 23:16:53 ID:e9O1p8uv
保守
346なに:2006/09/25(月) 20:52:47 ID:StgAEZ5t
保守
347名無しさん@ピンキー:2006/09/30(土) 19:51:09 ID:xWZcSVnj
電波新刊マダー?
348名無しさん@ピンキー:2006/10/01(日) 23:20:27 ID:k+vIMflc
真紅朗×銀子モノマダー?
349名無しさん@ピンキー:2006/10/02(月) 23:28:38 ID:fvSBINxP
銀子ハァハァ
350名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 21:55:05 ID:t/lh8X/y
「ひぇぇん…銀子ちゃぁぁん」
「はぁ…いつまで泣いてるのよ、バカ」
 鼻水と涙を垂れ流しにしている幼い男の子。
 弱気で、ケンカも弱く、それなのに人一倍正義感の強い男の子、それが紅真九郎だった。
 家族ぐるみで付き合っていた銀子はよくそのことを理解していた。
 今日とて真九郎は、野良犬を虐めていた男の子たちを止めに行ったはいいものの、返り討ちにされてしまったのだ。
 それを聞いた銀子はすぐさまその男の子たちを追いかけて、結果的には真九郎や野良犬を守ることになった。

「まったく…、何かあったらあたしに言うのよ。アンタはあたしが守るんだから」
「う、うん…」

 こいつだけは私が守らなくちゃ。こいつはいいヤツなんだから。

 漠然とした思いではあったが、幼いながらもその小さな身体に似合わず強固な意志があった。


 だが、その意志はあっさり折られることになる。
 紅家を巻き込んだ飛行機事故、立て続けに起きた銀子たち自身を巻き込んだ拉致未遂事件。
 結局何も自分が出来ることはなかった。真九郎を守ることが出来なかった。
 事件が起きた当時は悔恨し、自分の非力を責めてばかりいた。どうしてあの時真九郎を守ることができなかったのかと。

 そして、真九郎は崩月家に引き取られていった。
「初めまして。私、崩月夕乃と言います」
 そう言って見知らぬ老人と共に真九郎を引き取りに来たのは、自分よりわずかばかり年上の少女だった。
 けれど、容姿は自分よりも大人びていて、ふとしてみれば真九郎の姉と雰囲気が似ていた。
 これもまた悔しいことだが、真九郎は自分たちよりも彼女たちといた方が幸せになれるのではないかと思ったのだ。
 それで幸せになれるのなら、仕方が無いと諦めていた。―――真九郎が揉め事処理屋をはじめると言いはじめるまでは。
351名無しさん@ピンキー:2006/10/03(火) 21:55:40 ID:t/lh8X/y

「…崩月先輩、真九郎になんてことをさせるんですか」
 中学校も卒業しようかという頃、銀子は夕乃を問い詰めた。
 もちろん、揉め事処理屋を始めるということを決めたのは真九郎自身だということは銀子とて理解している。
 だがしかし、そのきっかけを与えたのは柔沢紅香、その力を与えたのは崩月家に違いない。
 柔沢紅香が、崩月家がどれだけ凄いのかは銀子は知らなかった。知らなかったが、どれだけ凄くても自分たちを巻き込んで欲しくなかった。
「…村上さん? 私とて真九郎さんに危ない目には遭ってほしくありません」
「よく言いますね。真九郎にあんな力を与えたのは、あんたじゃないですか…!」
 自分の言い分の方が理不尽だということを理解していながらも、銀子は珍しく自分の感情をコントロールすることができなかった。
 眼鏡の奥から鋭く夕乃を睨みつけて、憎悪を叩き付ける。
「ええ。ですが、それすらも真九郎さんが決めたことです。
 心身ともに、まだまだ未熟ですが、真九郎さんのその意志は尊重すべきです。…そうではありませんか、村上さん?」
「綺麗ごとを! 真九郎が命を落としたらどうしてくれるんですかっ!」
「心配しないで」
 スッと夕乃は双眸を細めて、銀子の瞳の奥を見据えた。ぞく、と寒気が銀子の背筋に走る。
 武道の経験のない銀子でも「それ」が危ないものだということは理解していた。
「真九郎さんを脅かすものは何であれ、私が殺します。
 もちろん、真九郎さんも崩月の技を覚えているからには、そうそう簡単に手助けは致しませんが。
 ……本当に彼の命に危険が及んだ場合、その相手を地の果てでも追いかけて殺します」
 静かではあるが、そこには鉄よりも固い意志が秘められていた。そう、かつて自分がそう意志を固めていた頃よりもずっと固く。

「真九郎さんは、私が守ります」


 負けてたまるものか。
 
 真九郎を守るのはあたしの役目なんだから。
 それからだ。銀子が情報屋を始めたのは。もともとインターネットにおける情報収集は趣味として行っていたし、
 自分の祖父が名高い情報屋だということは前から知らされていた。敷地はばっちり。あとは行動あるのみだ。
 ……出来ることなら、ひとりの女の子として幸せになりたかった。

 でも。

 その一緒に幸せになりたいヤツがそういう道を選んでしまったのなら仕方が無い。
 とことん、付き合ってやる。あいつが揉め事処理屋なんて荒事を諦めるまでは。
 なんとしてでも、ラーメン屋を継がせてみせるんだから。

 …。

 そんな、懐かしい夢をみた。気づけば、スズメの囀りが聞こえ、既に夜は明けていた。
「……バカね、あたしも」
 さて、いつになく機嫌が悪いわけだが、この苛立ちはあのバカにぶつけてやろう。
 すべてはアイツが悪いのだから。


そんなわけで書いてみた銀子モノ。
え、エロがないって? うんごめん、そこまで考えられなかった。
まあ、スレ活性化を祈ってネタ投下させてもらうよ。矛盾があっても知りませんヨ?
352名無しさん@ピンキー:2006/10/05(木) 13:52:33 ID:8PpMIMsm
GJ!!
スレはともかく俺の妄想は活性化した
353名無しさん@ピンキー:2006/10/05(木) 21:58:13 ID:De3TM5Nw
GJです。実に良い銀子ですな。
本編の裏で本当にやってそう。
354名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 01:49:14 ID:JqaOVgUs
GJ. エロがなくても十二分に満足できた
355伊南屋:2006/10/08(日) 19:52:59 ID:A4j4qjb8
 何時からだったろうか。
 幼なじみの少年に恋したのは。
 崩月流を学び、逞しく成長してから?
 かつて誘拐されかけた私を庇ってくれた時から?
 幼い、幸せな時を共に過ごしていた時から?
 いや――きっと、俯き私の目の前に現れた時。その手を無理矢理引いた時から好きだったのだ。
 そして、今でも。
 彼は知らない――。
 私の想いを。
 ならば知らせればいいのだ。
 彼にぶつけてやろう。
 私の想いを。
 たった一つの変わらぬ想い。
 ――貴方が好きです。
 その、たった一言を。

『紅・外伝〜銀(しろがね)〜』

 紅真九郎は、いつもより早く目を覚ました。
  隣を見れば、九鳳院紫がすやすやと穏やかな寝息をたてている。
 昔の自分からは信じられない。しかし今では日常となった朝。
 真九郎が早く目覚めたのには理由がある。
 誘われたのだ。デートに。
 よりにもよって、村上銀子に。
 よりにもよってと言うのは、嫌だからではない。意外なのだ。あまりにも。
 これが単に、一緒に出掛けよう。と誘われたのなら。外面的にはデート。当事者にとっては友人同士のお出掛け。で済む。
 終わりに近付いてから銀子に。
「これってデートよね」
 と、からかわれ、真九郎があたふたするということはあった。
 こういったようなデートなら幾度かあった。
 しかし今回は、最初から。
「デートに行きましょう」
 と、誘われたのだ。一緒に出掛けた結果、デートなのではなく。最初からデートとして出掛ける。
 この差は余りにも大きい。
 色恋沙汰に免疫の無い真九郎が緊張したのは当然の帰結と言える。
 今にして思えば、銀子は自分にとって、かなり比重の大きい存在である。
 しかし、それが愛情、特に恋愛感情なのかは――正直計りかねる。
 もしかしたら家族愛に近いのかもしれない。もしくは親友に寄せる信頼、友情。
 自分でも分からなかった。
 分からないままに、今日を迎えた。
 ならば今日確かめるしかない。
 銀子の真意は分からない。何故デートなのか。
 銀子は自分に好意を寄せているのか。
 もとより他人の感情を察知するのは得意ではない。
 だから、それらも含め確かめようと思う。
 そう覚悟して、真九郎は二人分の朝食を作り始めた。
356伊南屋:2006/10/08(日) 20:17:12 ID:A4j4qjb8
 紫を自宅へと送り届け、待ち合わせ場所へ向かう。
 紫には今日の事を話していなかったはずだが「浮気はするなよ」と釘を刺された。
 下に恐るべきは女の勘か。
 もっともその事は大して気にしていない。紫は結局、妹のような存在だし。いずれ自分以外も見るだろう。
 そうなったら寂しいかもな、と思いつつ。結局は子供の戯言と思うことにした。
 街の中央付近に位置する自然公園。そこにある噴水前が待ち合わせの場所だった。
 余裕を見て出掛けた真九郎は待ち合わせ時間の十数分前に着いた。
 しかし、銀子は既に待っていた。
 ただ、以外な姿で。
「え?」
 そう漏らしてしまった。というより最初、それが誰か気付けなかった。
 待ち合わせしていた噴水の前には、着飾った銀子が佇んでいた。
 私服の銀子は見慣れているが、それは所謂普段着という奴で、地味なものばかりだった。
 しかし今は違う。
 なんと言うか。
 あの銀子が女の子している。
 真九郎の頭ではそれくらいしか形容出来なかった。
 おとなしめのデザインの薄手のワンピースにミュール、と言うのだったか。それを履いている。
 首元には派手になりすぎない感じでネックレスがかけられている。
 こんな銀子は初めて見た。
「あ……」
 銀子がこちらに気付く。
「おはよう。……どうしたの真九郎?」
 挨拶を返す事すら出来なかった。
 なんとなく声をかけるのが躊躇われたから。
「な、何か変? 私の格好」
 そんな風に少し照れた様子も見たことがない。まるで知らない誰かの様にすら感じられる。
「あ……いや、変……じゃない。すごい似合ってる。その……どっかのお嬢様かと思った」
 その言葉は偽りではない。
 事実、今の銀子は深窓の令嬢といった言葉がよく似合った。
 本物の令嬢の紫より、今の銀子の方が余程それらしい。
「そっか……良かった」
 銀子がそう言って微笑む。そんな笑顔も久しく見ていなかった事に気付く。
 思わずドギマギしてしまう真九郎の手を取って、銀子はその手を引く。
「さ、行きましょう」
 手を引かれるままに歩きだした真九郎は。まるで初めて会ったときみたいだ。
 そう思った。
357伊南屋:2006/10/08(日) 20:58:24 ID:A4j4qjb8
「そう言えば、どこ行くんだ?」
 歩き出して数分。迷いなく歩む銀子に真九郎は尋ねてみた。
 手は握られたまま。先を歩くのが銀子なのもそのまま。
「一応スタンダードに映画」
「なに観るんだ?」
「……ラブストーリー」
 微かに頬を朱に染めた銀子の様子が新鮮で、真九郎の鼓動が跳ねる。
「そうか……」
 まさか、自分がデートにラブストーリーの映画を観るなんてベタな事をやろうとは。それも銀子と一緒に。
 そんな事を考えている間に、なんとなく言葉を交わさないまま映画館に着いてしまった。
 チケットを買い入場。二人並んで席に腰を降ろす。
 始まるまでの間を保たせようと真九郎が切り出した。
「どんな映画なんだ?」
「とある男女が出会うの、雨の中ね。だけどそれは一方的なもので女の方は気付いていないの。
 それから数年経ってから二人は改めて出会う、仕事の同僚として。最初はぎこちないけど二人は互いと過ごす時間に居心地の良さを感じ始める。
 それから互いの距離は縮んでいき、やがて二人は付き合い始める。
 だけど実は女の方は前の恋人を忘れられないでいて、あるきっかけから前の恋人によりを戻そうと言われるの。
それから二人の関係にズレが生じ始め……」
「ストップ」
 思わず真九郎は銀子の言葉を遮る。
「お前まさか、ラストまで知ってるのか?」
「え……うん」
 銀子がこくん、と肯く。
「それ、調べたのか?」
 やはり首肯。
「お前……それじゃ話分かっちゃって映画詰まんないだろ」
「あ……」
「気付かなかったのか?」
「だって、真九郎が退屈しないようにって」
「それでお前が楽しめなかったら意味ないだろ……何やってんだよ、らしくない」
 銀子が顔を真っ赤にして俯いてしまう。
 その、やはり新鮮な反応に胸を高鳴らせつつ。言い過ぎたか、と思う。
「あ〜……その、なんだ? お前が俺に楽しんで貰いたかったのは嬉しいからさ」
 そう言い切ると同時、薄い照明だけが点いていた場内が、暗闇に落とされる。
「ほら、始まる。……ちゃんと楽しんで観よう。な?」
 黙ったまま銀子が頷き、視線をスクリーンに向ける。
 やがて、後方から光が投射され、白いスクリーンに色を与える。
 真九郎は銀子に向けていた視線を、ようやくその時になって、遅ればせながらスクリーンへと向けたのだった。
358伊南屋:2006/10/08(日) 21:28:49 ID:A4j4qjb8
「映像がつくだけであそこまで違うものだとは思わなかった」
 映画館から出た二人は、昼食を摂るために入ったファミレスで先程観た映画の感想を交わしていた。
「確かにな、そんな映画詳しい訳じゃないけど、なんて言うか映像美ってものを感じた」
 結局の所、銀子も映画は楽しめた。映像だから表現できる部分は、やはりネットの文章を介する説明、批評では実感出来ない。
 その部分が良くできていた作品だったために、銀子も十分満足出来たのだ。
 その内感想の交換は。
「最後に主人公と出会う女性のシーンは蛇足」
 だとか。
「一部の登場人物が濃すぎて主人公カップルが飲まれてるシーンがある」
 といった批評に発展した。
「――でさ、序盤で消えた人がラストでまた戻ったきて余韻がぶち壊しみたいな……」
「……ふふっ」
「え?」
 唐突に笑いだした銀子に、真九郎は戸惑ってしまう。
「俺なんか的外れな事でも言ったか?」
「ううん……ただ、単純に楽しいなって。裏の世界で生きてる私達が、こんな普通なことして楽しんでるのが嬉しくて」
 クラスメイトは絶対に知らない銀子の柔らかな表情。真九郎ですら、ここの所お目にかかった事のない。普通の女の子としての笑顔に、また胸が高まる。
 今日は銀子にドキドキさせられっぱなしだ。と真九郎は思う。
「ねえ、真九郎。出よう。色々見て回りたい」
 そう言って、伝票を持ち銀子が立ち上がる。
 つられるように真九郎も立ち上がり会計を済ませる。
 それから二人は街の中を歩き回った。雑貨店に入ったり、露店を冷やかしたり、屋台で軽食を買ったり。
 それは、真九郎にとって、もっとも縁遠いと思っていた。“普通”の高校生の姿。
 幸せというものの、最も分かりやすい形だった。
 やがて、日が傾き。どちらからともなく、歩みは家路に向かう。
 その途中、銀子が立ち止まった。
「真九郎。もう一度、公園に行きたい」
 待ち合わせの公園。今日の始まりの場所を、今日最後の場所にしたいと。銀子が言った。
「分かった。行こう」
 ある意味、助かった。
 真九郎はそう思った。
 銀子に話たい事が出来たのだ。ただ、いつ切り出すか、ずっと迷っていた。
 公園に着いた時がチャンスだ。
 ――真九郎は知らなかったが。それは銀子も同じだった。
 今日話すべき事を、公園に着いたら話そう。
 二人は互いの想いを胸に、公園への道を歩んだ。
359伊南屋:2006/10/08(日) 21:54:42 ID:A4j4qjb8
 空は濃紫に覆われ、夜の近付きを予感させる。
 公園の中は薄暗く、街頭が頼りなく並木道と、そこに並ぶベンチを照らしている。
 そのベンチの一つに、銀子と真九郎は並んで座っていた。
 そこにあるのは沈黙。切り出すべき言葉を探す迷いと、切り出すべきタイミングを計る躊躇い。
「「あの……」」
 重なった言葉は気まずさを生み、再びの沈黙を運ぼうとした。
 しかし、意を決した銀子がそれを赦さなかった。
「話があるの……」
「……どうぞ」
「真九郎にとって大切な人って誰?」
「……色々居るよ。紫。崩月のみんな。五月雨荘の人達。紅香さん。それに勿論、銀子も」
「じゃあ」
 銀子が真っ直ぐに真九郎を見据える。
「その中で一番は?」
 言葉に、詰まる。
「なあ、銀子……」
「答えて」
 強い、言葉だった。
 此処に来て、今更迷う事など出来ないのだと悟る。
 弱い人間だと思う。紅真九郎は弱い人間だ。覚悟したはずなのに、今、迷おうとした。誤魔化そうとした。
 だけど、それは許されない。いや、許されなかった。
「俺は、きっと銀子が一番大切だよ。いや、きっとじゃない。確かに村上銀子が大切だ。比べるものではないと思う。それでも、素直な紅真九郎の意志として、銀子が大切だよ」
 ――言えた。なんの誤魔化しもない自分の想いを。
「……銀子は?」
 自分の想いは伝えた。では、銀子は?
「……」
 銀子は黙ったままだ。それでも真っ直ぐ瞳は真九郎に向けられている。
 やがて、銀子の口が開かれる。
「私……も」
 一度漏れた言葉は溢れ出す。
「私は、ずっと前から……きっと最初から真九郎が好きだった。
 でもそれを言葉にする事はおろか、自分で認めることすら怖かった。
 なんでかは分からないけど。怖かった。
 だけど、頑張ってる真九郎を見て、逃げちゃ駄目だって思ったの。自分のことを認める事から始めなきゃって。
 それで、言おうって思った。好きだよって。それで、どうすれば良いか分からなかったから、調べたの。
 私は調べる事しかできないから……それで、調べた結果、今日の事を考えた」
 それでか。なる程、映画の事を調べすぎたのも。あまりにも当たり障り無いデートコースも、それなら納得がいく。
 それに気付いた瞬間、不意に思ってしまった。
「銀子……お前、可愛いな」
「なっ……バカ! 何を言ってっ……」
 ようやく、いつもの銀子になった。
360伊南屋:2006/10/08(日) 22:11:41 ID:A4j4qjb8
 それでも一度感じた愛しさは薄れなかった。
 今こうして不機嫌そうにそっぽを向く銀子も、今日見た、普通の女の子の銀子もやはり同じ銀子。
 だから、やはり愛しい。
「真九郎、覚悟は出来てる?」
 不意に銀子が言った。
「覚悟?」
「そう、私と付き合うのよ? 生半可な覚悟じゃ無理よ?」
 ――なる程、確かにお互い裏社会に生きる者。特に自分は揉め事処理屋。命のやり取りだってある。
 だが、だからこそ矢面に立つことで銀子を守れる。
「ああ……守るよ。銀子を」
「何言ってんの? あんたが守るべきは私よりも家の看板よ?」
「は?」
「ちゃんと美味しいラーメン作れるようになってね? ――二人で足洗って平和に生きるんだから」
「……は、ははっ」
 そうか、そんな生き方も在ったか。
 なる程、生半可な覚悟じゃ無理だ。
 だってよく言うじゃないか。
「普通が一番難しい」
 って。
 ああ――でも、悪くない。悪くないな。そんな生き方も。
「分かったよ、銀子。日本一旨いラーメンを作ってやる」
「バカ」
 そう言うけれど。銀子は笑っている。
 それを見ると、やっぱり愛しいと思う。想いが、止まらない。
 手を、握る。
 引き寄せる。
 唇が近づく。
「…やらしい」
 銀子が呟く。
「……嫌か?」
「嫌じゃない」
 唇が触れた。

 気が付けば、夜が来ていて、頭上には銀色の月が昇り、二人を照らしていた。
361伊南屋:2006/10/08(日) 22:16:05 ID:A4j4qjb8
あい、どうも久方振りの伊南屋に御座います。
久方振りな上に予告とは違うわ、銀子のツンデレがラストにちらっとだけだわ。なんかやっちまった感はバリバリ。

こんなんで良かったら感想とか下さい。
あと毎度ながらリクエストは取ります。
今度こそ早めに上げますんで。

以上、伊南屋でした。
362名無しさん@ピンキー:2006/10/08(日) 22:55:52 ID:xI66WJ1U
オォォオ!!!GJです伊南屋さん!!
リクですか?ここはあえて一回も上ってない真紅朗×夕乃でどうか一つお願いします!!
363名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 03:04:52 ID:OxChMZZx
「嫌じゃない」

何て言うか、うん、その、良いね。
また書いて下さい。出来れば!出来れば銀子でエロありを!
………あ、勿論夕乃さんもどんとこいですはい。
364名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 13:05:03 ID:OxChMZZx
神が来てくれたというのに何だこのすたれようは……。
とりあえず伊南屋さんGJ!
真紅朗の内面描写が原作とそっくりで良かったと思います。
出来ればエロまで行ってほしかった……。リクは上と一緒で。
365名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 17:22:55 ID:FYf0JUij
久々にのぞいたら投下されてたとは…
やはりいいですね
できれば後日談も見てみたい。そして夕乃さんに期待
366名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 18:35:07 ID:xtaeNaYN
>おとなしめのデザインの薄手のワンピースにミュール、と言うのだったか。それを履いている。
>首元には派手になりすぎない感じでネックレスがかけられている。
この辺の描写が俺には出来ない……単純にファッションに詳しくないという事もあるだろうが…
367名無しさん@ピンキー:2006/10/10(火) 21:01:02 ID:OxChMZZx
神はまだ我々を見捨てていなかった!









という訳で上げ。
368名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 03:50:11 ID:CS10PJjt
なぁ……本当に何なんだ?このすたれようは?折角神が来たというのに。

まぁとりあえずそんな訳で、伊南屋さんGJ!
リクは銀子か夕乃さんでどうかお願いします!
369伊南屋:2006/10/11(水) 04:28:15 ID:UPcvsXXA
 真九郎は目の前に意識を集中する。
 揺らぐような動き。微かな予兆。一瞬のタイミング。全て見逃さぬよう。
 構えた腕に力を込める。
 一時の静寂。
 そして――。
「はっ!」
 瞬間、真九郎の腕が跳ね上げる様に振るわれる。
 飛沫を上げ、“それ”が水面下より現れる。
 そのまま手首を返し、今度は腕を下へ薙ぐ。
 びしゃっ。と熱を孕んだ液体が地に飛び散った。
「……どうです?」
 真九郎が傍らに立つ男へ視線を向ける。
 逞しい腕を惜しげもなく晒し、やはり分厚い胸板の前で組んだ男は、その厳めしい表情に更に険を現す。
「……悪くはねえ、だが……」
 真九郎はただ、男の次の言葉を待つ。
「麺を茹でるだけで力み過ぎだぜ、シンちゃん」
 男が苦笑いを浮かべた。
 真九郎はその言葉にがっくりと肩を落とし、腕に握ったザルから麺を丼へと移した。
「シンちゃんはどうも真面目過ぎていけねえ。もっと気楽にやって良いんだぜ? 第一、麺の茹で加減自体は申し分ねえ」
 慰めるように男――村上銀正が真九郎の肩を叩いた。

 ――あれから、真九郎は揉め事処理屋の仕事を減らし、その分の時間をこうして楓味亭でのアルバイト兼ラーメン屋修行にあてていた。
 今は、閉店後の指導。
 と言っても、ラーメン作りに関して真九郎は全く素人同然。そのため初歩として麺茹でから入った。
 とりあえず一通りの指導を受け、最後に簡単なテスト。
 結果は、見ての通りである。
「まあ十分合格だ。後はやっぱ肩の力を抜くこったな」
 銀正は豪快に笑い、厨房の片付けを始める。
 真九郎もそれに習い、片付けの手伝いをする。
「私も手伝う」
 それまでカウンターで一部始終を見ていた銀子も、真九郎の隣に立ち、それに加わる。
「あんた、バカなんだから下手に考えない方が良いんじゃない?」
 銀子が呟いた。
 付き合う事になった今も、こういう所は変わらない。
 しかし、真九郎も言い返す。
「そう言うなよ。お前の為にやってるんだぞ?」
 お前の為に、という部分を強調して言う。
 銀子が、ぼっ。と顔を真っ赤にした。
「うるさい、バカ!」
 偶然洗っていたお玉で額を打ち抜き、銀子は逃げるように店から出て行く。
「言うねえ」
 銀正がぽつりと呟く。
「はい、嘘じゃ無いですから」
「ますます言うじゃねえの」
 そう言って銀正が笑う。

 日常は変わり、真九郎自身も変わりつつあった。
 ――そして、周りも。
370伊南屋:2006/10/11(水) 05:10:53 ID:UPcvsXXA
「真九郎さん」
 昼休み、たまたま廊下ですれ違った崩月夕乃に真九郎は呼び止められた。
「銀子さんと、お付き合い始めたんですって?」
 別段隠しているわけでもない。真九郎は「はい」と頷いて見せる。
「そうですか……」
 夕乃の表情に陰りが見えたのは気のせいか。真九郎は何となく次の言葉を躊躇う。
「真九郎さん。今日、家に来て下さい。私と、お祖父ちゃんから大切な話がありますから」
「……はい」
 答えた真九郎を見て、夕乃はあっさりと行ってしまう。いつもならもう二、三言葉を交わすのに。
 それでも、そんな事も有るか、と真九郎も歩き出す。
 歩む足取りは新聞部。銀子の下へ。
 手に下げた弁当を揺らさぬよう。それでも一時でめ早くと。
 真九郎は足を早めた。

「――ってわけだからさ。今日のバイト遅れるっておじさんに言っといて」
 先の廊下での一件をに伝えると、銀子は一瞬だけ眉根を寄せるたが。
「分かった」
 と言った。
 付き合い始めて以来、銀子も変わってきている。
 銀子も情報屋としての仕事は減らしているらしく。PCを弄る姿はめっきり減った。
 そして、今日の様に弁当を作ってくれたりも。
 朝、手渡された弁当を机に置く。
 本来ならば今渡されるべきだったのだろうが。朝の内に何でもないかのように渡されてしまった。
 それはさておき。とりあえず開けてみる。
 中は派手さはないものの、どれも美味しそうに見えた。
 銀子らしい。と思った。
 卵焼きを箸で掴み頬張る。
 僅かな甘味が口の中に広がる。
 ふと、隣を見ると銀子がじっ、と真九郎を見つめていた。
 無表情ではあるが、内心不安なのだろう。それが分かった。
 だから真九郎ははっきりと言ってやった。
「美味い」
 と。
「――そう」
 親しく付き合ってきた真九郎にしか分からない微かなレベルで、銀子が安堵に表情を緩める。
 それから、互いに言葉を交わしながら弁当を食べた。
 時折弁当を褒めながら。
 その度、銀子がくすぐったそうにするのが伝わって。真九郎も嬉しくなった。

「あ――」
 弁当を食べ終え、くつろいでいた所でチャイムが鳴った。
「……行くか」
 立ち上がり。歩み出そうとした真九郎を、ほんの微かな抵抗が留めた。
 見ると銀子が袖を摘むように掴んでいた。
 それだけで全て伝わる。
 真九郎は一度だけ。軽くキスしてやる。
 ――先の卵焼きの名残か。
 微かな甘みが唇にした。
371伊南屋:2006/10/11(水) 05:13:10 ID:UPcvsXXA
今から寝るんで一旦ここまで。
続きではリクエスト通り夕乃さんとのエピソードと銀子とのえちぃシーンまでやる予定。多分だけど。

以上伊南屋でした。お休みなさい。
372名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 09:22:28 ID:IpDCIiUw
うぉ!?三日と待たず新作ですか!相も変わらず素晴らしい作品っす
冒頭のシーン。言葉は少ないのに張り詰めた様な雰囲気が読んでて伝わってきました。最初は素晴らしい戦闘描写とも取れる修行のシーンに、崩月流の修行かと思いましたよw
後、二人とも甘いですw甘甘ですwww
それでは長くなってしまいましたが、次の投下まで大人しく待ちます。色々と
373名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 15:11:21 ID:CS10PJjt
最初の描写、角がでるやつかと思っちまったじゃないか……。

やってくれるぜこの野郎……!!!
374伊南屋:2006/10/11(水) 20:34:53 ID:UPcvsXXA
 放課後。真九郎は崩月の屋敷を訪れた。
「お邪魔します」
 いつも通り玄関から上がる。既に懐かしいとすら思える崩月の家に微かな安堵と。これから話される事を思う。
「いらっしゅい、真九郎さん」
 奥から夕乃が現れる。いつにない凛とした雰囲気に真九郎は一瞬呑まれた。
「あ、夕乃さん……」
「お祖父ちゃんが待ってますから、どうぞ」
 そう言って真九郎を居間へと促す。
 すっ、と床を音少な歩む夕乃は、居間の前に着いた所で真九郎を振り返った。
「お祖父ちゃんが中で待ってますから」
「夕乃さんは?」
「一対一が良いそうです。ですから私からはまた、後ほど」
 それだけ言い、夕乃は去っていった。
 一人残された真九郎は、茫としていても仕方無い、と。襖を開け居間へと入る。
 そこには確かに、崩月法泉が一人。真九郎を待っていた。
「来たか。まあ座れや真九郎」
 その言葉に従い。法泉と向かい合う形で真九郎は腰を下ろす。
「裏稼業、辞めるって? 女の為に」
 いきなりの核心。しかし、真九郎は迷いなく応える。
「はい」
「そうか……相手は村上の所の娘だって?」
「知って……るんですか?」
 法泉が村上の氏を出した事に驚き、真九郎は尋ねる。
「まあな、あそこの爺が有名だし、その息子もある意味じゃ有名だ。銀次の孫娘についても、それなりにはな」
「そうでしたか」
 確かに、あの家は裏稼業ではそれなりに名の通るのだろう。法泉が知っていてもおかしくはないと言える。
「しかし……銀次のせがれに続いてお前も足洗っちまうか。どうにも、あそこの女は男を変えちまうらしい」
 そう言う法泉はしかし、嬉しそうに笑う。
「まあ、別段俺は反対しねえから安心しな。大体そんなのはてめえで決めるもんだ。他人が口出しするもんでもねえ」
 ただ、と置き。法泉は表情を引き締める。
「覚悟はあるのか? 一人との立ち位置を変えれば、それに伴い周りとの立ち位置も変わっちまう。
 例えば九鳳院の嬢ちゃんはどうする? 子供でも女は女。あれはマジだぞ。お前の事」
 そう言われ、真九郎は考え、応える。
「確かに、紫を傷付けてしまうかもしれません。それでも……俺は銀子と居るって決めましたから」
 ただ公平でいられる事は出来ないのだ。人を好きになるという事はそういう事だ。
 それでも真九郎は決めた。あの夜に。
 だからはっきりと応える。
「俺は銀子が好きだから」
「……そうか」
 法泉が笑った。
375伊南屋:2006/10/11(水) 21:17:25 ID:UPcvsXXA
「俺の話は終わりだ。後は道場に行け、夕乃が待ってる」
 法泉の言葉に真九郎は立ち上がった。
 一礼して居間から出る。
 と、廊下に出た所で法泉が真九郎を呼び止めた。
「……一つ言い忘れた。
 “角”な、使い時はお前が決めろ。封印するんだろうが、もしかしたら使わざるを得ない時が来るかも知れねえ。
 そん時は迷うな、全部失ってからじゃ、遅いぞ」
「……はい、先生」
 再び、深く一礼して真九郎は道場へ向かった。


 道場に着いた真九郎を迎えたのは紅袴を着た夕乃だった。
「夕乃さん、その格好……」
「真九郎さんが似合うと言ってくれましたから」
 にこり、と笑みを浮かべ夕乃が答える。
「いや、あの……」
「真九郎さんがっ! 似合うって! 言ってくれましたから!」
 急に、夕乃が声を張り上げる。
 真九郎は戸惑いながら、夕乃に一つの異変を感じ取る。
「夕乃さん……泣いてるの?」
 目尻に浮かぶ微かな涙が、夕乃が泣いてるいる事を知らせる。
「泣いてます。……なんでか解りますか?」
 真九郎は黙する。言葉が見つからない。
「好きだからですよ。真九郎さんが。銀子さんに、負けないくらい」
 震える声でそう言うと、夕乃は構えを取った。
「真九郎さんも構えて下さい。――稽古をつけて差し上げます」
 真九郎は、両腕を掲げ、構えを取る。
 言葉での応えは求められていないと、解ったから。
 この“稽古”は、所謂けじめなのだろう。互いにとっての。
「参ります」
 すぅ、と夕乃の顔から表情が消える。流れる涙はそのままに、ただ表情だけが消える。
 一つの結末が、始まりを告げた。

 たん。
 軽い音しかしなかった。
 それだけで夕乃は真九郎との距離を零に詰める。
 貫手の形を取られた右手が振るわれる。
 真九郎は後ろへ飛ぶことでそれを回避。しかし僅かに及ばず胸元を夕乃の手が掠める。
 たったそれだけで真九郎の胴着と胸板の薄皮が斬り裂かれる。
 ちりちりとした緊張が首の後ろを走った。
 思わず、真九郎は呻きを上げた。
 立ち止まる暇はない、逐一立ち位置を変え、間合いを計り、機を窺う。
 僅かな、ほんの一瞬にも満たない僅かな隙を突き夕乃が距離を再び詰める。
 右の貫手を放つ。真九郎が半身になりそれを避わしたと同時。夕乃の脚が払われ、文字通り足元を掬われた。
 バランスを崩した所に両の掌が叩き付けられ、地に打ち付けられる。
 
376伊南屋:2006/10/11(水) 21:53:10 ID:UPcvsXXA
 追い討ちの掌を、地を転がり避ける。その勢いのままに全身のバネを使い、跳ねるようにして立ち上がる。
 背後へ跳びすさり、距離を置く。
 ぜぇぜぇと息が乱れる。先の掌が効いている。肺が軋みを上げているようだった。
 ジリ貧になっていけない。こちらからも攻めなくては。
 脚に力を込め、不規則に跳ね、攪乱しながら距離を詰める。
 間合い。真九郎は身を沈め、足払い。
 夕乃は後退しこれを回避。しかし真九郎は止まらない回転の勢いは殺さず、むしろ加速するように身を起こしながら、その勢いで裏拳を放つ。
 ぶん、と風を纏った一撃が夕乃を襲う。しかしそれも夕乃の手に受け止められ、逆に腕を取られた真九郎は投げられてしまう。
 全身を床に叩き付けられ、真九郎は息を詰まらせる。
 身を起こした真九郎は、再び接近。掌を夕乃目掛け打つ。僅かに首を傾げるだけでそれを避けた夕乃はカウンターの一撃を放つ。
 しかし今回は真九郎もそれを見越していた。腕でそれを受け止める。
 ずしん、と肉と骨を伝う衝撃に耐え、カウンターのカウンター。即ち後の後を取る一手。胴目掛けての膝。
 確かな手応えと共に膝が夕乃に突き刺さる。
 女性とは言え夕乃も崩月の人間。手加減はしていない。
 しかし、夕乃は何事も無いかのように真九郎へ更に掌を打つ。
 顎を下から撃ち上げ、胸を刺し貫く様な一撃を入れる。
 更に足払い。真九郎が地に這わされる。
 それで、決着はついた。

 結局、真九郎は一撃しか入れられず、それすら有効打とはなり得なかった。
 それが悔しい。弱い自分が。
 こんな事は初めてだった。
 今まで夕乃にどんなに打ちのめされても、実力差を感じても悔しい事はなかった。
 しかし、今は弱い自分が情けなかった。
 こうして地を這う自分が情けなかった。
「真九郎さん」
 見上げれば夕乃が居た。真九郎を仰向けに寝させ、額から瞼にかけ、濡れタオルを当ててやる。
 視界を覆うタオルが、心地良かった。
「これは、倒れている真九郎さんに、勝手に私がする事です。ですから真九郎さんは悪くありません」
 タオルに隠れた視界の向こうで夕乃がそんな事を言った。
 不意に、唇に柔らかいものが触れた。
「……大好きでしたよ。真九郎さん」
 余りの事に茫然とする真九郎を残し、足音が道場から去っていく。
 一人残された真九郎は、唇に残る感触と、銀子に逢いたいという事で頭が一杯になっていた。
377伊南屋:2006/10/11(水) 21:54:39 ID:UPcvsXXA
夕乃さんパート了。
今から銀子パートに戻ります。

翌朝くらいに投下予定。

以上伊南屋でした。
378名無しさん@ピンキー:2006/10/11(水) 23:11:15 ID:m+PyuJPE
銀子大人気だなあ。やっぱ死んじゃあおしまいだよなあ、リン……
379名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 01:42:25 ID:MbOHHdr0
>「真紅朗さんがっ!似合うって!言ってくれましたから!」


正直、泣いた。
でもGJ。朝まで寝ずに待ってます。
380名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 18:24:53 ID:MbOHHdr0
………ふわぁ、眠たいぃ。



たが俺は待つ!
381伊南屋:2006/10/12(木) 21:13:44 ID:NPBYUogr
 どれくらい経っただろう。
 一人残された真九郎は立ち上がり、道場を後にする。
 体の至る所が悲鳴を上げ、思い通りに動かない。
 ふらつく体を引き摺り、庭へ出る。井戸の水を汲み上げそれを体に掛けると、痛みに伴う熱が引いていくのが分かった。
 二度、三度と頭から冷水を浴びる。
 ろくに拭いもせずに、空を見上げる。
 陽はまだ落ちきっていない。にも関わらず、目を凝らせば月が見える。
 薄紫の空に紛れる様な月を眺めていると、銀子の事を思い出した。
 夕乃を傷付けた。きっと紫も、これから傷付ける。
 その代償に手に入れた彼女を想う。
 無性に逢いたくて、どうしても逢いたくなかった。
 相反する感情を持て余してしまう。
 どうするべきか。この後楓味亭へ向かうのは気が引けた。
 傍らに置いてある着替えと共に、携帯電話も置いてある。
 それを取り、アドレス帳から銀子を呼び出す。
 数度のコールの後、スピーカーから銀子の声が漏れ聴こえた。
「もしもし、真九郎?」
「銀子。今日は楓味亭に行けないっておじさんに言って置いてくれ。明日は行くからって」
「分かったけど……なにかあったの?」
 鋭いな、と思う。まるで銀子は真九郎という人間を全て把握しているかのような、そういう鋭さを見せる。
「いや、ちょっと崩月の用事が長引きそうだから。銀子が心配する事はないよ」
 勿論、嘘だった。
 全ては終わっていて、取り戻せない。取り戻そうとも思わなかったが。
「……そう」
 銀子はまだ何か言いたげではあったが、一応の納得を見せる。
「そういうことだから、じゃあ。また明日、学校で」
「……うん」
 終話ボタンを押し、電話を切る。
 真九郎は服を拾い上げ、庭から屋敷へと入る。
 銀子の事を想いながら、真九郎は着替えを始めた。
 それを終えると、居間の法泉に帰ることを告げる。

 ――夕乃は、最後まで現れなかった。
382伊南屋:2006/10/12(木) 21:45:59 ID:NPBYUogr
 屋敷を去った真九郎だったが、真っ直ぐ五月雨荘には向かわなかった。
 宛てもなく街を歩き、時間を潰す。
 静かなあの部屋には、帰りたくなかった。色々と考えてしまいそうで。
 コンビニで立ち読みしたり。ゲームセンターに入り、何をするでもなく煌びやかな光と音の渦に身を置いたり。
 ただ、何も考えないようにと街を歩いた。
 気が付けば、時間は十時を回り、一層夜は深まっていく。
 そこで漸く真九郎は足を五月雨荘へと向ける。
 部屋に着いたら眠ろう。それだけを考えて。

 真九郎が五月雨荘に着くと、自分の部屋の前に人影があるのが見えた。
 それは、良く見覚えのある少女だった。
「銀子……?」
 少女の名を呼ぶ。銀子はこちらに気付くと、真九郎に歩み寄る。
「……おかえり」
「……ただいま」
 そのやりとりに不思議な安堵を感じる。
「待ってたのか?」
「うん」
「どうして?」
「……あんな弱々しい声聴かされたら、心配になるに決まってるでしょ。バカ」
 心配かけてしまう程に声に現れていたのか。真九郎は心配をかけまいとして、それが裏目に出たことを知らされた。
「……とりあえず、入るか?」
「うん……」
 ポケットから鍵を取り出し、中に招き入れる。灯りをつけ、真九郎は座るように促した。
「……何があったの?」
 電話でも尋ねられた事を、再び銀子が尋ねた。

 真九郎は、崩月の屋敷であったことを全て話した。夕乃の事も、包み隠さず。
「そう」
 全てを聞いた銀子が言ったのはそれだけだった。
 代わりに、身を寄せる。
 俯く真九郎に声を掛ける。
「こっち向いて。真九郎」
 言葉通り、顔を上げた真九郎の唇に銀子のそれが重ねられた。
 永く、永く重ねられる。やがて銀子が、舌先で真九郎の内を割開く。
 抵抗する間もなく、舌が絡められた。
 ぎこちない舌の動きは、それでも真九郎を深く求め蠢く。
 頭の中に、くちゅくちゅという音が響く。
「……はっ」
 永い口付けから銀子が離れる。
「銀子、お前……」
「知ってるでしょ? 私が負けず嫌いなの」
 だって、と繋ぎ銀子が言う。
「崩月先輩と同じラインだなんて我慢出来ないもの」
 そして銀子は真九郎をじっと見つめ、呟いた。
「真九郎に覚悟があるなら、抱いてよ。私の事」
 真九郎は銀子の口の端から伝う唾液を見ながら、ゆっくりと、頷いた。
383名無しさん@ピンキー:2006/10/12(木) 23:39:46 ID:MbOHHdr0
………はっ!



つ、続きは!続きはまだかー!?
384名無しさん@ピンキー:2006/10/13(金) 01:21:17 ID:bPrj26VW
伊南屋さんGJです。相変わらずレベルが高いっすね。
それにしても続きが気になって仕方がない。

385名無しさん@ピンキー:2006/10/13(金) 20:12:16 ID:BKhL60zv
焦らすのがお好きな人だなwww
386伊南屋:2006/10/14(土) 18:56:03 ID:fS6Nk2Pf
 灯りの消えた部屋の中。照らすのは月光だけ。銀色の光だけ。
 その中に浮かぶのは、最愛の人。
 ただ、美しいと思った。
 優しく口付ける。啄むように何度も、何度も。
 徐々に熱を帯びていく口付けは、やがて互いを深く求め、舌先を絡めるそれへと変わっていく。
 頭の中に響く水音に。海の中に居るみたいだと思った。
 互いが溶けて、一つになる感覚。
 唇を離すと。つ、と糸が引いた。
 それが月光に照らされ銀色の橋のように光る。
 何も言わず抱き締める。好きな人の体温を直に感じる。
 それだけでこんなにも心地良いものだと、真九郎は初めて知った。
 指先を、銀子の服。その胸元のボタンに掛ける。
 銀子に視線を送ると、頷き肯定を示してくれた。
 一つ、一つ外していく。銀子の白い肌。華奢な躰が露わになっていく。
 そして、白い布に覆われた小振りな胸も。
「がっかりした? 小さくて」
 銀子がそんな事を聞いてくる。
 そんな事、あろう筈もない。真九郎は銀子に軽くキスして。
「綺麗だよ」
 と言ってやった。
 露わになった肌へ指を這わす。
 時たま体を震わせる銀子が、くすぐったがっているのではないと、すぐに気付いた。
 感じてくれているのだ。
 それが嬉しくて、またキスをしてやる。
 指先が胸元に辿り着く。布地の上から触れただけで銀子は体をぴくりと震わせた。
 自分と隔てる布地が煩わしい。
 真九郎は銀子の胸元を隠す下着を外した。
 改めて指先で触れる。
 ふに、と柔らかい、男には有り得ない感触に真九郎は恍惚となった。
 銀子を見ると、紅潮した顔で自らの胸元を這う指を潤んだ瞳で追っていた。
 真九郎は力を込め、弾力の中に指先を沈める。
 また銀子の体がぴくりと跳ねた。
 加減など分からないなりに、指先を使い銀子の胸をこね回す。
「……あっ」
 耐えきれず銀子が声を漏らした。
 その声を引き出すために、更に強く刺激を与える。
「は……っ、あ……ん」
 徐々に昂まる声に、真九郎は酔い痴れていた。
 自らは無意識のまま、舌を銀子の胸、その桜色の中心に這わす。
「んんっ……」
 突起を舌先で弾く、潰す、こねる。
 その度、銀子の唇から押し殺したような声が零れた。
「声、我慢するなよ」
 そう言ってやる。五月雨荘の壁は薄く、音は漏れやすい。
 それでも構うものか、と思った。
 歯を立て、強く吸い立てる。
「ひぁぁ……っ! しん……くろぉっ!」
387伊南屋:2006/10/14(土) 19:23:12 ID:fS6Nk2Pf
 銀子が矯声を上げ、悶える。
 それを聞き届け、真九郎は口を離した。
 自分をとろんとした目で見つめる銀子に、何度目だろう。口付けをしようとして、今更ながら真九郎は気付いた。
「……銀子、眼鏡……外していいか?」
 その言葉に銀子は少し考えて答えた。
「ダメ」
 と。
「外すと、真九郎が見えなくなるから。だから外したくない」
「そうか……」
 眼鏡はそのままに、キスをする。
「ねえ……真九郎」
 銀子が真九郎の手を取った。
「ここ……触って」
 誘われたのは、銀子の下半身。胸と同様。白い下着に覆われた中心だった。
 真九郎は躊躇わない。
 指先をそこに触れる。
 下着越しに触れたそこは、それだけで熱いと分かった。
 くち、と音がした。
 既に潤っているらしい。
 下着の上から指の腹を擦り付ける。上下する指の動きに合わせ、銀子が躰を痙攣させ、声を上げる。
 徐々に潤いは増し、下着からは水分が染み出し始めた。
 指先にぬめる液体が絡みつく。
 直に触れたい。
 真九郎は指先を銀子の下着、その端に掛け、ゆっくりと引いた。
 覆われた最後の部分が露わになっていく。
 白い下腹、その下には薄い陰毛。そして、既に濡れそぼり、月の光を淫らに照り返す秘裂。
 それらに真九郎の目が釘付けになる。
 僅かにひくつく中央の割れ目。そこから止めどなく溢れる淫水。
 不意に頭が叩かれた。
 視線を上に向けると銀子が顔を羞恥に真っ赤にしていた。
「あんまり、見るなバカ」
「悪い」
 そう言ってまたキス。指先は銀子の下半身へ。一番敏感な部分を刺激する。
 絡みつく舌と、指を這わす淫裂。
 二重の水音が耳朶をくすぐる。
「はっ……、ふはっ、ん……」
 動かす舌と唇の隙間から銀子の声が漏れる。
 それも加わり、至高の、淫らなオーケストラが完成する。
 快感に身を震わす銀子の体を片腕で支え、真九郎は指先と舌先をより一層激しく蠢かす。
「んっ……! ふっ、ひぅっ! うんんっ!」
 加速度的に銀子の息が荒げられていく。それすら意に介さず、真九郎は更に苛烈に責め立てる。
「はっ……! ぅぁあ! あ、あ、あ!」
 びくん! と銀子の躰が大きく跳ね上がった。
 脱力し、真九郎の胸元に身を預ける。
 はぁはぁと荒い息をつく銀子。
 イッたのは明らかだった。
「しんくろぉ……」
 微かに涙を浮かべる銀子は、本人の意に関係なく、真九郎の理性を奪い去った。
388伊南屋:2006/10/14(土) 19:49:48 ID:fS6Nk2Pf
 ぽすっ、と布団に銀子の体を横たえる。立てられた膝を割り、そこに真九郎は膝を着いた。
「……良いか?」
 我慢の限界だった。
 愛しい人の淫らな姿を見せられ、そしてそうしたのが自分で。我慢出来る筈がなかった。
 それでも、塵芥に散った理性の、ほんの少し残った部分が、真九郎に確認を取らせた。
 銀子は、涙目のまま、頷いて見せる。
 真九郎は、銀子の中心。未だに痙攣し、絶頂の余韻を見せる其処へ狙いを定めると、一息に貫いた。
「――っぐ……!」
 声にならない悲鳴を銀子が上げる。
 腕は真九郎を掴み、必死でしがみついた。
 真九郎はそれでも止まらなかった。止まることが出来なかった。
 銀子の膣中の熱が、ひくつく膣壁が、絡みつく淫液が真九郎に残された微かな理性すら洗い流す。
 頭が真っ白だった。
 ただ最愛の人、その体から与えられる快感を貪欲に貪る。
 幸いだったのは銀子の膣が十分に濡れていたことだ。
 引っ掛かる事なく、銀子の膣は初めての真九郎を受け入れた。
 膜が破られた痛みはあれど、それも引きつつある。
 その証拠に銀子が上げる悲鳴には、徐々に甘いものが混じりつつあった。
「くっ……! んっ! あっ……ぐぅ」
 声の割合はやがて甘い矯声が増え、確かな快感に銀子が溺れて行くのを示した。
「あぁっ! しん……くろっ……ぉ、しんく、ろお! ひぁっ! はっ、あん!」
 銀子の内は、更に深く真九郎を求め、誘う動きで蠢き、締め付ける。
 互いに高みへと昇り詰めて行く。
 押し寄せる射精感に真九郎は更に腰を速める。その激しい突き込みに銀子が翻弄され、快感に耽る。
「銀……子っ」
「しん……しんくろぉっ!」
 それまでで一番強く、銀子の膣中が締まり、真九郎にとどめを刺した。
 一番深くまで自らを差し込み、真九郎は精を放った。
 どくどくと、脈打つ陰茎から濃厚な精液が流れ込む。
 体の奥にそれを受け止めながら、銀子も絶頂を味わう。
 びくびくと膣が痙攣し、流れ込む精液を更に奥へと運ぶ。
 やがて精を放ち終えた。真九郎は銀子の内から自らを引き抜いた。
 どろり。と破瓜の証である血液混じりの精液が銀子から零れ落ちた。
「銀子……」
「真九郎……」
 互いに名を呼び合い。二人は何度も口付けあった。
 改めて、二人の繋がりを感じ、いつまでも、いつまでも口付けあった――。
389伊南屋:2006/10/14(土) 20:04:37 ID:fS6Nk2Pf
 月灯りだけが照らす部屋。真九郎と銀子は重なるように腰を降ろしている。
 共に見上げるのは二人を照らす、大きな月。
「真九郎は、弱くないよ」
 銀子がぽつりとこぼした。
「そうかな?」
「だって、真九郎は私を守ってくれるんでしょ? だったらきっと真九郎は絶対に私を守ってくれる。そう信じてる」
「……ああ」
「だから真九郎は弱くない。誰かのためならいくらでも強くなれるもの」
「……ありがとうな」
「ううん……」
 ぎゅっと、銀子を抱き締める。
 そうだ。自分は約束した。銀子を守ると。
 それだけじゃない。二人で平和に生きていくと。
 守るのは何も敵を倒す事だけではない。
 闘わないという守り方もある。
 かつて銀子の父である銀正がそうしたように。
「銀子……」
「なに?」
「好きだよ」
「……知ってる」
「銀子は?」
「知ってるでしょ?」
「でも聞きたい」
「……好き」
 ――大丈夫だ。自分は守れる。これで守れなかったら嘘だ。
 だって、此処に愛する人が居る。
 それは大きな支えだ。大きな力だ。
 そして、自分は弱くなどない。そう思える。
 根拠なんか要らない。守れると信じる。
 銀子が信じてくれるのだ。なら自分も信じられる。
「銀子……」
「なに?」
「ずっと一緒に居よう」

 これは、約束。一人、勝手な約束。
 ずっと一緒に居る。
 ずっと変わらずいつまでも。
 この月に誓おう。この銀色の月に。

 銀子が小さく呟いた。

「そんなの、当たり前」

 空に浮かぶ銀色の月が、二人をいつまでも照らし続けていた――。

Fin.
390伊南屋:2006/10/14(土) 20:08:57 ID:fS6Nk2Pf
はい、どうも伊南屋にござい。

まず言い訳。

焦らしたりするつもりはなかったんです。つうか夕乃さんのシーンが終わったら一気に終わらせるつもりだったんです。
だけど寝落ちしたり、書く暇なくなったりでなんか細切れに投下することに。
すいませんっした。

さて、謝った所でリクエスト取ります。
あれの続き読みたい。とか新作が良い。とか。
あったら言ってみて下さい。善処はします。

以上、伊南屋でした。
391名無しさん@ピンキー:2006/10/14(土) 20:34:27 ID:23sKiCWU
キテター!(・∀・)

超GJ!
392名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 09:08:31 ID:XO3ZXWaU
GJです。それはもうGJです!何はともあれGJです!!

リクは、夕乃さんに日の目をどうか………。
393名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 17:52:21 ID:gHJt1Gpj


                        !llllii,_
                     : lllllllli
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       ゚゙゙゙゙°               lll゙
             様
             有
             難
             う
             ご
             ざ
             い
             ま
             す
394名無しさん@ピンキー:2006/10/15(日) 23:23:08 ID:z49vhJ35
夕乃さんものキボン
395名無しさん@ピンキー:2006/10/16(月) 18:23:34 ID:THOJE9Z/
なぁ、次の新巻が出るのが来年っていうのは本当なのか?

だとしたら結構ショックなんだが………。
396名無しさん@ピンキー:2006/10/17(火) 11:30:37 ID:sIY065Qu
まぁそんなに短期間にポンポン出せるもんじゃないだろ
やっぱデータが吹っ飛んだのは痛かった
397伊南屋:2006/10/18(水) 19:37:05 ID:xEonZaqd
 それはほんの些細な事が原因だった。
 夕乃が真九郎の目が覚めるより早く、五月雨荘に着いてしまった。それだけの事。
 真九郎が目を覚ます時間は夕乃も知っている。部屋の中で寝息を立てているだろう真九郎を想い、笑みを零す。
 そんな折、夕乃はとある事を思い付いた。
 それを実行に移す為、極力音を立てぬよう慎重に扉に鍵を差し込み開ける。
 部屋に入ると、中はカーテンに光が遮られ未だ薄暗い。その部屋の中、真九郎が布団にくるまり眠っていた。
 あどけない真九郎の寝顔をしばらく眺め、幸せに浸る。
 充分寝顔を堪能してから夕乃は、さっき思い付いた“真九郎さんを起こしてあげて新婚気分”作戦の実行に移る。
 布団の傍らに立ち、布団に手を掛ける。
 夕乃はそれを一気に捲り上げる。
「さぁ、真九郎さん! 朝で……」
 絶句。
「え……ゆ、夕乃さん? ……うぁっ!」
 真九郎も絶句する。
 布団の中に在ったもの。
 それは、朝の生理現象で膨らんだ真九郎の股間。
 真九郎はなんとか隠そうとするも、布団は夕乃が掴んでおり叶わない。
 あたふたしつつ、仕方なく手で包み隠すも、それは余りに頼りなかった。
 気まずい沈黙が部屋中に漂う。
「あ、あの……夕乃さん、これは」
「真九郎さん!」
 必死で紡がれた真九郎の言葉は夕乃の一喝に妨げられる。夕乃は更に言葉を繋いだ。
「私、言いましたよね? どーしても我慢出来なくなったら、私に言って下さい。と」
 そう言うと夕乃は真九郎の正面に膝を着く。表情に悲しみを含ませる夕乃に真九郎は無条件の罪悪感を感じる。
「ゴメン……」
 今日の放課後、道場に行くよ。
 真九郎がそう言うより早く、夕乃が言った。
「分かりました。今から徹底的にしごいて差し上げます」
「今からって……。これから学校だし」
「時間は真九郎さん次第です。……あ、でも上手く出来ないと言うことも……」
「痛む体で学校行くのは辛いし」
「痛くしないよう、頑張ります」
 どうにも認識にズレがある。
「稽古するんだよね?」
 確認の言葉に夕乃が首を振る。真九郎の股間に視線を送り言う。
「今から扱いて差し上げるんですよ? 真九郎さんのソレを」
 ――そっちか!
 てっきり稽古でしごくという意味だと思っていた。確かに、どの様にしごくかは言われていなかったが――。
398伊南屋:2006/10/18(水) 19:59:37 ID:xEonZaqd
 確かに、夕乃は真九郎にとって最も異性というものを感じる存在だ。だけど、だけど、だけど。
 混乱する真九郎に夕乃が身を寄せる。
「真九郎さん」
 本人の意志に関係なく手は取り払われ、膨らんだままのそこへ、布越しに夕乃の手が触れる。
 むず痒い、それでいて痺れるような快感が真九郎を襲う。
 その刺激に、真九郎のソレがびくん、と跳ねた。
「スゴい、今動きました……」
「夕乃さん、もう止め……」
 制する真九郎の言葉が聞こえていないのか、夕乃は真九郎のパジャマとパンツの両方に手を掛ける。
「……苦しそうです」
 そう言い、一気にずり下げる。
 真九郎の下半身が外気に晒される。ひやりとした朝の空気に真九郎は身を震わせた。
「これが真九郎さんの……」
 堅く、天に向かうソレに夕乃の指先が絡められる。
 新しいオモチャを買って貰った子供のように、好奇心に満ちた瞳で真九郎の下半身を見詰める夕乃。その表情が余りにあどけなくて、真九郎は背徳感と興奮を覚える。
 もはや夕乃を止めようとは思わなかった。それよりもこれから与えられ快感に想いを馳せる。
「こうするんですよね?」
 夕乃の手が真九郎をきゅっ、と握る。掌の柔らかさと、体温が伝わる。
 それだけでも充分に心地良いのに、それはゆっくりと上下を始める。
 ゆるゆると扱かれる度に、今にも暴発しそうな快感が真九郎を苛む。先端からはすぐに先走りが零れ始めた。
「何か……出て来ました」
 手を休め、夕乃がそれを指先に絡める。ぬるぬるとした液体を指先で弄び、糸を引かせ、匂いを確かめる。
「これ……何ですか? 精液とも違うみたいですけど」
「なんていうか、気持ち良くなると出てくるんだ」
「じゃあ……今、真九郎さんは気持ち良かったんですか?」
「うん……かなり」
 言葉に、夕乃が微笑む。
「じゃあ、もっと気持ち良くなって下さい」
 夕乃による手淫が再開される。先走りが潤滑液となり、新たな快感が真九郎に与えられる。
「くっ……」
 思わず声を漏らす真九郎。その声を聞いた夕乃は更に上下を早める。
「気持ち良いですか? ぬるぬる、沢山出てきてます」
 夕乃のその言葉通り。真九郎の先端からは先走りが流れ、夕乃の掌の上下に合わせ、くちゃくちゃと淫らな水音を立てている。
「夕乃さん……っ」
「出したいですか? 精液。良いんですよ? 出しても。その為にやってるんですから」
 
399伊南屋:2006/10/18(水) 20:16:47 ID:xEonZaqd
 夕乃の掌に微妙な力が込められる。
 真九郎を責め立てる夕乃の掌に、真九郎は我慢の限界が近付く。
「スゴい……びくびくってしてます」
 痙攣するような真九郎の動きに夕乃が笑みを浮かべる。
「真九郎さん、出して下さい。真九郎さんの精液、見せて下さい」
 にちゅにちゅと音を立て、更に手の動きが早められる。
 それだけでなく、時に緩められ、力の強弱と合わせ絶妙な刺激を与えてくる。
「くっ……! 夕乃、さ……っ」
 限界だった。
 一際大きく真九郎が跳ね、先端から白い粘液を迸らせる。
 量、濃度とも充分以上のそれは、高く飛び、夕乃を頭上から白く染めた。
「す……ご……」
 初めての精液の感覚。粘つく触感と、独特の香りに夕乃が呆となる。
 ただ、手の動きはそのままで。
「ぅあっ! 夕乃さんっ、止めっ……!」
 射精中にも関わらず、与え続けられる刺激に、真九郎は身を悶えさせる。
 射精は止まらず、絶頂が永続的に続くようだった。
 遂には真九郎は強すぎる刺激に身を仰け反らせた。
 その時点でようやく夕乃は手を離した。
「す、すいません。大丈夫ですか?」
 心配そうに声を掛ける。
「こ、腰が……」
「え?」
「腰が抜けた……」
 ――そう、真九郎は強すぎる刺激に、腰が抜けてしまっていた。
 しばらくは一人で立つことは出来ないだろう。
 夕乃はその事が分かると、心配するどころか、逆に笑って見せこう言った。
「では、今日は学校を休みましょう。私もこんなにベタベタでは行けませんし。代わりに今日一日中は真九郎さんのぼんのーを絞り出しましょう」
 ――真九郎は恐怖に怯えながら、それでも再起し始めた自身が限り無く情けなかった。

 まだ時計は七時前。
 今日と言う日は余りにも長い。

fin.
400伊南屋:2006/10/18(水) 20:19:30 ID:xEonZaqd
毎度、伊南屋です。

おぉ、自分でびっくりするくらい早い。
これでスレが活性化すると良いな。
そしたらまたリクエストとるし。
まあ、しばらくは執筆から離れるかもだから今回はすぐ書けるか分からないですが。

以上、そんな感じの伊南屋でした。
401名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 21:35:00 ID:RDz+XoAZ
伊南屋先生GJ!!!
スレはともかく、俺の妄想は活性化した
402名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 21:54:33 ID:ET9hOpdu
しごきktkr

GJであります
403名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 22:31:39 ID:5PkuSFTQ
夕乃さんは、なんというかこういうドタバタネタが似合うなあ。


……ヨゴレの宿命か……
404名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 23:17:59 ID:cpJ4OWj6
>>403
     __.. -―─ 、__
    /`       三ミー ヘ、_
  ゝ' ;; ,, , ,,     ミミ  , il ゙Z,
  _〉,..    ////, ,彡ffッィ彡从j彡
  〉,ィiiif , ,, 'ノ川jノ川; :.`フ公)了
 \.:.:.:i=珍/二''=く、 !ノ一ヾ゙;.;.;)
  く:.:.:.:lムjイ  rfモテ〉゙} ijィtケ 1イ'´
   〕:.:.|,Y!:!、   ニ '、 ; |`ニ イj'  逆に考えるんだ
   {:.:.:j {: :} `   、_{__}  /ノ
    〉イ 、゙!   ,ィ__三ー、 j′  夕乃さんは万能キャラ
  ,{ \ ミ \  ゝ' ェェ' `' /
-‐' \ \ ヽ\  彡 イ-、    と考えるんだ
     \ \.ヽゝ‐‐‐升 ト、 ヽ、__
      \  ヽ- 、.// j!:.}    ` ー 、
       ヽ\ 厶_r__ハ/!:.{
          ´ / ! ヽ
405名無しさん@ピンキー:2006/10/18(水) 23:22:48 ID:5PkuSFTQ
>>404
流石です、ジョースター卿。そうか、夕乃さんは小娘共と違って万能なんですね!
406名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 00:52:49 ID:humVz3u4
夕乃さんの武道のしごきはスパルタである
ということは、床の上のしごきも……

真九郎にげてー!
407名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 08:25:06 ID:IyzDfhGs
とりあえず一日中そんなことヤってたら、環さんとか気付くと思うの
408名無しさん@ピンキー:2006/10/19(木) 15:52:51 ID:n8szaEMr
と言うかむしろ自らも参加しますでしょう。


乱交ktkr。
409名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 02:19:21 ID:srZMgfrD
つ「闇絵さん」
410名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 09:34:04 ID:wdaen5TP
闇絵さんのエロってマニアックそうですよね
411名無しさん@ピンキー:2006/10/20(金) 20:28:48 ID:POLtCUHO
闇絵さんは雰囲気がエロい
412名無しさん@ピンキー:2006/10/21(土) 21:38:50 ID:go2Dx5ow
堕花「萩原朔太郎は言っていた」
ジュウ「え?」
堕花「『おわあ、こんばんは』『おわあ、こんばんは』」
ジュウ「いきなりどうしたんだ!?」
堕花「『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』」
ジュウ「円堂さん来てくれ、雨がおかしいんだ!!」
堕花「『おわああ、ここの家の主人は電波です』」




円堂「雨、電波じゃなくて病気よ」
堕花「いけない、そうでした」
ジュウ「(わからん、意味が全くわからん!!)」





斬島「ジュウ君ジュウ君柔沢君、元ネタは歪んだ妄想だよっ!!」
ジュウ「そんなん知るかっ!!」
413名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 19:44:47 ID:RXoMUZ+0
元ネタが全く解らない俺は負け組......orz


ていうか今思ったんだが、紫ってツンデレじゃね?
414名無しさん@ピンキー:2006/10/23(月) 22:19:45 ID:LEK2xjTm
村上「真九朗、みんなは真九朗のこと情けないって言うけど、
    私は真九朗のことちゃんと判ってるから」
ヘタレ「銀子・・・・(じーん)」







村上「なーんて私が言うと思った!?                            このギャルゲーの主人公気取りが!!
    甘ったれるな!! 他人に夢を見るな!! 自分以外はみんな敵だ!! 
    以上!!」
ヘタレ「・・・・・・・・・・・・」
415名無しさん@ピンキー:2006/10/24(火) 00:39:09 ID:7c9CBAFG
>>413
バロック 歪んだ妄想 というゲームを調べてみればわかる。
416名無しさん@ピンキー:2006/10/28(土) 22:30:39 ID:7AUZEiJM
紫がツンデレなのはいまさらいうまでもないこととして・・・
伊南屋先生GJ
夕乃さんメインでほんわかしたのが読みたいとおもた
気が向いたらヨロです
417sage:2006/10/28(土) 22:35:54 ID:7AUZEiJM
sage進行だっけ?
418名無しさん@ピンキー:2006/10/29(日) 22:17:48 ID:FhPvlxGk
別段強制ではないけど、ageると妙なのが沸くこともあるし。
419416:2006/10/29(日) 23:54:30 ID:eVd+3M+q
りょーかいッス
ご指導サンクス
420名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 16:20:21 ID:MEr/3mdq
てか、過疎るの早くね?
421名無しさん@ピンキー:2006/10/30(月) 20:27:39 ID:OLP2OIxG
新刊出ないしな
422名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 07:40:47 ID:iJF0CWaC
新刊来年でしょ?
423伊南屋:2006/10/31(火) 08:09:13 ID:0skTBNNt
 暖かな日差しの中、目を細めながら隣を歩む女性(ひと)を見る。
 長い髪をそよ風にたなびかせ、彼女は微笑んで空を見た。
「綺麗ですね」
 見上げる空はどこまでも蒼く、雲一つない。
 それを綺麗と形容したのは極自然な感情だと思う。
 自分も視線を高くに向け、紅真九郎はそんな事を考えていた。
 街の中央に程近い自然公園。
 今日は崩月夕乃と一緒にここを訪れていた。
 所謂デートだ。なんの芸もないが、二人ならどこだって構わない。そう思えるから公園を選んだ。
 数ヶ月前から二人は付き合い始めた。
 口に出すのは躊躇われるが、ひょんな事から二人は付き合う事になった。
 公園の遊歩道を二人は歩いていた。手は互いに重ねられ、指を絡め繋いでいる。
 繋ぐ手は暖かく、不思議な安心感を与えてくれる。
 それは幸せとも言える安らぎ。
 穏やかな日常。真九郎が求め、憧れたもの。
「夕乃さん」
 真九郎は真っ直ぐ夕乃を見つめ言葉を紡ぐ。
「好きだよ」
 夕乃は少し頬を赤らめながら。
「はい、私もです」
 そう、笑って言った。
 今この瞬間のなんと幸せな事か。愛する人と想いを通わせる。簡単なようでいて難しい。
 ふと、夕乃と付き合い始めた頃の紫を思い出した。
 泣きに泣いていた。どうして自分では駄目なのかと。どうして夕乃なのかと。
 紫は真九郎という好きな人と、想いを通わせる事が出来なかった。そうしたのは自分だ。
 自分が一人を選んだから。自分が他を選ばなかったから。選択の痛みを、真九郎は知った。
 その事で悩みもした。
 しかしそれも、今は過去の事だ。
 悩む代わりに一つだけ決めた。
「ねえ夕乃さん」
「なんですか?」
 真九郎は瞳を空に向けながら言う。
「一緒にいようね」
 夕乃は握る手に力を込めて言った。
「……はい」

 高い空、その下を二人は歩く。
 穏やかな日差しに照らされ、ほんの小さな幸せを感じ。
 ずっと一緒にいると、そう信じ。

 歩む道は、まだ長い。
424名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 12:04:29 ID:Td+zt1up
ほのぼの最高っす!GJっす伊南屋さん!

前回のアレの後日談ですか。というかアレで付き合い始めましたか真九朗(笑)
425伊南屋:2006/10/31(火) 19:46:58 ID:0skTBNNt
告知忘れてました、毎度伊南屋にございます。

また色々書こうかなと思いまして。リクエストなんぞを募集する次第にございます。
電波、紅のこのキャラで、とかこんなシチュエーションで、等々ございましたら遠慮なくどうぞ。

以上、伊南屋でした。
426名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 20:24:37 ID:50Vcwyzw
伊南屋さん、いつもながらGJっす。
リクエストは、光でジュウにちょいラブ(?)な感じのほのぼのがいいですね。
427名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 20:35:37 ID:uSbRycf9
なんか癒されたッス 伊南屋さんいつもながらGJ!!
ついでにリクエストで切彦のエロいやつなどを・・・
428名無しさん@ピンキー:2006/10/31(火) 20:50:13 ID:tWOAkuOa

     ...| ̄ ̄ |< GJ!!……ええーい!雨は?雨はまだか?
   /:::|  ___|       ∧∧    ∧∧
  /::::_|___|_    ( 。_。).  ( 。_。)
  ||:::::::( ・∀・)     /<▽>  /<▽>
  ||::/ <ヽ∞/>\   |::::::;;;;::/  |::::::;;;;::/
  ||::|   <ヽ/>.- |  |:と),__」   |:と),__」
_..||::|   o  o ...|_ξ|:::::::::|    .|::::::::|
\  \__(久)__/_\::::::|    |:::::::|
.||.i\        、__ノフ \|    |:::::::|
.||ヽ .i\ _ __ ____ __ _.\   |::::::|
.|| ゙ヽ i    ハ i ハ i ハ i ハ |  し'_つ
.||   ゙|i〜^~^〜^~^〜^~^〜|i

429名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 04:07:19 ID:boZqPYgv
>>423
夕乃さんカワユス
紫とかフられることになるキャラについての描写は、あんまり要らなかったかな
心情モノを描く上では、この手の描写を入れた方が厚みがでるのは確かだけど、
ほのぼのラブラブを書くなら無いほうが素直に萌えられる
まあ、話に落差がある方が好きな人もいるだろうし、個人の好みの話だけどね

次作も期待しとります
リクは夕乃さんプッシュな俺としては本来エロエロな夕乃一択なんだけど、
流石に連続はアレなんで雨に一票かな
擬似新婚みたいな雨が押せ押せのラブラブで更にラブみたいなの
430名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 04:08:27 ID:boZqPYgv
あれ、sageが認識されて無い……
原因は分からないけど、ageスマソ
431伊南屋:2006/11/01(水) 21:30:49 ID:COYqlhoF
 アパートの中。
「くっ……はぁ……」
 熱の籠もった吐息が、少女の唇から洩れる。快感に身を震わせる声と合わせ、律動する体は自然と喉を震わせる。
 洩れる吐息にこの部屋の主でもある男は官能を見て取り、ならばと更に繋がりを深め、最奥を抉る。
「ぅああっ……ん!」
 絞るような声を上げ、少女は体を跳ねさせる。子宮口を突かれ、強い圧迫感と刺激に軽い絶頂を感じる。
「ジュウ……っ」
 名を呼ばれ、男――柔沢ジュウは、動きを緩めた。
「……何だ?」
 優しい声音で訪ねる。その間も腰はゆるゆると動き、強すぎない程度に互いの快感をもたらす。
「好き……だよ」
 その言葉に微笑み、口付ける事で応える。
 ただ、内心では普段からこれ位甘えた態度を取ってくれても、と思う。
 しかし、それは言葉にせず胸に仕舞う。
 なんとなく、不意にしか見せないからこういった態度を嬉しく感じるのかも知れないと思ったからだ。
 目の前で熱に浮かされたように身をくねらせる少女――堕花光のそういう素直でない部分に愛しさを感じるのもまた確かな事なのだから。
「なに、考えてるの?」
 ふと掛けられた言葉に光を見る。朱に染めた顔に訝しげな表情を浮かべ見つめ返される。
「ニヤニヤして。なに考えてるの?」
「……お前が可愛いなって事」
 ジュウの言葉に光は更に顔を赤くする。
「な……っ! 何を言ってっ……!」
 こういう真っ直ぐな言葉に光は弱い。すぐにうろたえ言葉を詰まらせてしまう。
 それを知っていてジュウは、敢えて口にした。ちょっとした意地悪だ。
 クスクス笑うジュウを見て、光が恥ずかしそうに呟く。
「……いじわる」
「悪い」
 詫び、と言うべきか。ジュウは緩やかだった動きを再び激しいものへと移す。
 深く、光は身の内を抉られ嬌声を上げる。
「や……っ! んぁうっ、あぁん!」
 一突きする度、体の奥から零れるように声が出る。
 その声がまた艶めかしく、ジュウは自身が昂るのを感じる。
 理性が薄れゆくのを感じながら、ジュウはただ、目の前の光に目を奪われていた――。


「う〜〜……」
 光が睨んでいる。
「…………」
 ジュウは黙り込んでいる。
「三回もした……」
 光の言葉に、ジュウが身を小さくさせる。
「三回とも膣中に出した……」
 ジュウの身が更に縮まる。
「止めてっていったのに止めなかった……」
 光の言葉がジュウに突き刺さる。
「……けだもの」
432伊南屋:2006/11/01(水) 21:38:00 ID:COYqlhoF
「すいません」
 ジュウ、土下座。
 ――あれから。理性が飛んだジュウは、光が形容したように獣となった。
 抜かず三発。しかも了承なしだ。
 光は絶頂を迎えても休ませて貰えず、数回意識が飛んだ。
 今も光の秘裂からはジュウの精液が大量に逆流してきていた。
 それだけならまだしも。
「しかも……まだ大きいし」
 光が見るのはジュウの股間。正座する脚の付け根には、三度も出したにも関わらず、未だ硬さを保ったモノがある。
 淫液と精液にまみれたそれは、獲物を探すかのように、その亀頭を震わせ上下に揺れている。
 まさしく獣と言わざるを得なかった。
「本当にすまん」
 一応ジュウ自身、誠意を持って謝ってはいるのだが。股間がそれでは些か説得力に欠けた。
 しかし、光はジュウが真面目に謝っている事が分からない訳でもない。
 一度溜め息を吐くと。
「まぁ、今日は大丈夫な日だったし取り敢えず許すけど……」
 と言った。言って更に「ただし!」と付け加え。
「ただし! 今度したら許さないからね! それと今度のデートの時は私の好物だけでお弁当作ってくること! 分かった!?」
 と叫んだ。
 ジュウはようやく許して貰えた安堵に表情を緩め。
「分かった。約束する」
 そう答えた。
 ――余談ではあるが。この二人の場合。ジュウの方が料理スキルがあるので手作り弁当を作るのはもっぱらジュウだった。
 閑話休題。
「さて……」
 光が呟いた。
「取り敢えずソレ、なんとかしなきゃね」
 差したのはジュウの陰茎。この間にも収まる事はなく身を震わせていた。
「えと……口で良い? 流石に疲れちゃって……」
「ああ、頼む」
 その言葉を合図に光が、ジュウに身を寄せる。
「ぅわ……べとべと」
 淫液、精液でデコレートされたジュウの性器は指先で触れれば糸を引く程だった。
 ただ、それがローション代わりとなり、手淫をスムーズにした。
 光の掌がジュウを包む。にちゅ、と音がした。
 ゆっくりと、手が上下を始める。掌の動きに合わせ。にちゃにちゃと淫らな水音がする。
 包む手を根元へ移し、代わりに亀頭を光の唇が包んだ。
「んむっ……ちゅっ」
 すぐに糸を引かせながら光が唇を離す。
「スゴい……えっちな味がする」
 ジュウと自らの体液の混合物を舐めとり舌の上で弄びながらそう呟く。
「もっとするね」
 
433伊南屋:2006/11/01(水) 21:42:05 ID:COYqlhoF
 その言葉と同時、再び唇が亀頭を包む。そのままジュウの性器が飲み込まれていく。
 飲み込まれながら、光の舌先にジュウにまぶされた体液が舐め取られていく。
「ちゅっ……んむっ……じゅる」
 舌が絡められ、吸い付かれる。みるみるうちにジュウの幹を濡らすのは光の唾液だけになっていく。
 それに合わせるようにジュウ自身の快感も昂っていく。ジュウが光にまみれる度、幹は喜びに震えるように身びくびくと律動させる。
 唇に扱かれ、舌先はそれを補助するように蠢き微かに掠める歯ですら鋭い刺激となってジュウを追い立てる。
「ふむっ……ちゅぅっ……ちゅぱっ、じゅるっ、ちゅぅぅうっ」
 吸い立てる光に、ジュウは絶頂に導かれる。
「く……っ! 出るっ……」
 光の頭を抑え、喉奥までくわえ込ませる。そうして、光の口内にジュウは精を放った。
「んんっ……んぶっ、んくっんくっ」
 唇から溢れそうになる精液。四度目だというのに相も変わらず大量に放たれるそれを光は必死に嚥下していく。
「ん……ちゅぅっ……ちゅぱ」
 むしろ勢いが弱まれば、もっととねだるように強く吸い付く。
「くぉっ……!」
 絞るような光に、ジュウが身を震わせ。これが最後とばかりに精液を吐き出す。
 それを飲み下し。舌で幹に付いた精液をこそげとった所で光は唇を放した。
「なんで……っ、まだ、こんなに、でるのよ……っ」
 息荒く、途切れ途切れに光が言う。
「でもお前に美味そうに飲んでたじゃないか」
 先の光の吸い付きを思い出しジュウが返す。
「なっ……! あれはっ! なんていうか無意識に……」
「無意識、か? なら余計エロいな」
 かーっ。と顔を真っ赤にさせ光が黙り込む。
 返す言葉も無いのだろう。それでも何か言い返そうと口をぱくぱくさせている。
 その様子が微笑ましくて、ジュウは思わず笑ってしまう。
「な、何を笑って……っ!」
「なんでもない」
 そう言って光を抱き寄せる。
 互いの体は火照っていたが、暑苦しいというような事はなかった。むしろ、その温かさに安堵を感じる。
「今日はもう寝ようか」
「……うん」
「明日の朝飯は何が良い?」
「なんでもいい。ジュウが作ってくれるなら」
「そうか」
 横になった体。その腕の中。光の温もりを感じる。
「さっき言った弁当の話。明日にするか。朝から弁当作って、二人で出掛けよう」
「うん」
 
434伊南屋:2006/11/01(水) 21:43:28 ID:COYqlhoF
 徐々に、意識が靄がかる。それは光も同じようで、半分閉じたた瞼の向こうでやはり光も瞼を閉じかけていた。
 薄れいく視界の中、最後まで互いを見つめ合いながら二人は呟いた。
「……おやすみ」
 間を置かず、室内に響くのは二人の寝息だけになった。

 ただ緩やかな眠りに二人は沈み、朝になれば目を覚ます。
 そうして二人は日々を重ねる。
 幸せな恋人としての日々を――。

fin.
435伊南屋:2006/11/01(水) 21:48:22 ID:COYqlhoF
 はい毎度伊南屋にございます。

 取り敢えず(といったら何ですが)ジュウ×光で書きました。
 なんで付き合い始めたとか、他の人はどうなったとか、時系列なんかは気にしないでいただくととても有り難いです。

 一応他のリクエストもありますがまだ募集はします。
 一応自分でもとある話は考えますがいつ出来るかは分からないのでそれまではリクエストを書き続ける所存です。

 それでは以上。伊南屋でした。
436名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 22:30:45 ID:sGPe0wfM
伊南屋先生GJ!
おっきしました!
437名無しさん@ピンキー:2006/11/01(水) 23:23:22 ID:yGqktR1s
エロイ。うん、エロイ。
なんと言うかアレだ、GJ>伊南屋氏
438名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 16:16:45 ID:EV4VAzLW
ベタな所で雨×ジュウが見たいです
439名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 17:25:11 ID:NqcdYGyv
雪の降るベランダから無言で二人を見つめる雨

ふと右を見るとしまい忘れた大工道具が――――
「ふふっ、あはははは、あははははははははあはははあははははははははっ!!』
440名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 21:23:04 ID:1hGfp7yd
伊南屋先生GJ!
いやホント、ジュウ様には幸せになって欲しい所存で……見ていて和みました!エロスなのにw

リクエストは色々と溜まっていたジュウ様に雨が奉仕するものをw
441名無しさん@ピンキー:2006/11/02(木) 22:22:53 ID:ZS3eLkAX
しんくろーがアパートの年上女二人とさんぴー。
442名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 02:09:29 ID:h1pLBq+4
伊南屋さんGJです。
リクはあえてジュウ×円で。
443名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 14:30:00 ID:NknyF05U
じゃあオレもジュウと円で。エロはあってもなくてもイイっす。
444伊南屋:2006/11/03(金) 16:00:47 ID:raYm8cxX
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』

 焦土を、風が吹き抜けていく。
 端々が灼け焦げ、破れた軍旗がそれに煽られ、ばたばたとたなびいている。
 そこに満ちた、噎せ返るような死臭は風が吹けど晴れることはなかった。
 昨日まで此処は戦場だった。幾千、幾万の命が一塊の駒として扱われ、散って逝った。
 その戦場跡には勝者も敗者もなく、等しく死のみが在った。
「また、人が死んだな」
 荒野を見ていた青年が呟いた。所々、泥で汚れながらも金色の髪だけは輝きをそのままに風に揺れている。
「戦乱の世にあって人が死ぬのは仕方の無いことです」
 青年の後方。影のように付き従う少女が答えた。
 その少女は長い黒髪を垂らし、身を包む鎧を血に汚していた。
 今回の戦争の勝者である王が青年であり、戦いで最も武勲を挙げた剛の者が少女であった。
 青年は少女の言葉に溜め息を一つ吐き。その瞳に愁いを込めて零した。
「それでも、やはり哀しいのだ。人の命が喪われるのがどうしようもなくな」
「でしたら」
 少女は応える。
「王が、世を統べれば宜しい。私共はそれを願い付き従っているのですから」
 その言葉に青年は決意とも取れる表情で。
「そうだな」
 と呟いた。
「さあ、皆が待っております。お戻りになって下さい」
「……ああ、分かった」
 一度だけ、青年は焦土を眺め回すと身を返し歩み始めた。
 傍らに少女を従え、重い足取りで一歩毎踏みしめるように。
「俺が、統べる世か……」
 だれにも聴こえぬ声で青年は洩らした。

 それは、一人の王が世を統べる、少し前の話。
445伊南屋:2006/11/03(金) 16:04:57 ID:raYm8cxX
 ジュウ×雨を変化球でやってみよう。
 と言うわけで雨が語った前世の話という設定。

 長くなりそうなんで合間にリクエストに応えたりしつつやりたいな、と。

 そんな訳で電波キャラや紅キャラ(予定)の前世が入り乱れる仮想軍記『レディオ・ヘッド リンカーネイション』をお送りして行きたいと思います。お楽しみに――して貰えると有り難いです。

 以上、伊南屋でした。
446名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 16:34:46 ID:k/uV9vEi
とんでもない剛速球がきたなw
ところどころに現世の描写も混ぜるといいと思うよ
447名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 18:01:33 ID:KLMvwpRY
とりあえず叫ばせて貰いたい

 

ジュウ様―――――――――――――!!!!
448名無しさん@ピンキー:2006/11/03(金) 18:21:07 ID:kS/F7VW7
ジュウ様の名前は何になるんでしょう
発音できないYIGとかYHVHになるんでしょうか
449名無しさん@ピンキー:2006/11/04(土) 00:49:47 ID:ss0M80an
ちょ、伊南屋様、前々から凄い方だと思ってはいましたが。


今までで一番楽しみだ…>前世話
450伊南屋:2006/11/05(日) 16:56:15 ID:qL2oc5oa
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
T.
 クラウチ大陸東部に位置する小国。ギミア。
 小国、と言うのはかつての事であり。今はいくつかの隣国を武力で平伏し、列強の仲間入りを果たしたばかりの今最も勢いのある国である。
 年若き王は『獣王』と呼ばれ、古くから続く大国には野蛮な侵略国であると疎まれている。
 ただ、実際に武力を振るい他国を侵略したと言えるかは微妙な所であった。


「――以上で、拠度の“防衛戦”の戦果報告を終わります」
 兵卒が手にした目録を読み上げたことを告げる。
 被害、得た領地など今回の戦にまつわる収支である。
 それを質素な、一応は玉座となっている席で聞いていた青年は盛大に溜め息を吐き出した。
「これで……何度目だ」
 傍らに控える少女に声を掛ける。声を掛けられた少女は事も無げに。
「六度になります」
 と答えた。
 ――六度。六度に渡りこの国は侵攻を受けた。
 その全てを退け、逆に攻め入ってきた国を落とし、この国はその版図を広げてきた。
 そして、ただの一度として自ら攻め入るということは無かった。付け加えるならば、本来この国に戦争をするだけの余裕は無いはずだったのだ。
 それでも生き残れたのは、一騎当千の武人であると同時に、無二の知謀を持つ軍師である。今、王の傍らに控える少女に拠るところが大きい。
 そして、そんな綱渡りのような戦争をこの国は繰り返してきた。
「いい加減……俺は疲れたぞ」
 故に青年が漏らしたその言葉は偽らざる本心であったと言えよう。
「今日はもう、休む。後を任せるぞ」
 傍らの少女にそう残すと、青年は立ち上がり私室へと引き返した。


 私室に戻った青年は、わき目も振らず寝具へと身を投げ出した。
 数週間にも渡る戦を終え、王ながらも前線に立ったその身には疲れが堆積しておりすぐにでも眠れそうだった。
「お疲れだね、ジュウ様」
「…………雪姫か」
 視線を巡らせば部屋の片隅に、部屋に入る前から既にいたのだろう。少女が立っていた。
 長い髪を後頭部にまとめ、背に垂らした少女は瞳に悪戯な光を湛え微笑んでいた。
「なにをしてる。まがりなりにも此処は王室だぞ」
 ジュウ。そう呼ばれた王は眠りを妨げられた不愉快さも露わに少女を睨む。
 少女――雪姫は苦笑すると、寝具の端に腰を下ろした。
「一応、ジュウ様の事を労いに来たんだけど……邪魔だった?」
 
451伊南屋:2006/11/05(日) 16:58:54 ID:qL2oc5oa
 雪姫は王を相手にしながらも対等に話す。ジュウもそれを嫌がるでもなく、対等の言葉で返す。
「邪魔だ」
 その言葉に雪姫はむっ、と頬を膨らませる。
「そんな事言うジュウ様は嫌いだな〜」
「別に構わない。だから寝かせてくれ」
「あ〜。ウソ嘘、嘘だから。そんなふてくされないでよ」
 余りに素っ気ないジュウの態度に、一度は見せた不機嫌な態度をあっという間に軟化させる。
 ジュウは投げ出した身を起こし、雪姫に改めて聞いた。
「それで、結局何しに来たんだお前は」
「だから言ったでしょ? 労いに来たんだって」
 そう言って雪姫は身を擦り寄せる。ジュウは軽く身を引きながら。
「……夜伽など、侍頭のお前がする事ではないだろう」
 言って、雪姫を制した。
 ――そう、この雪姫という少女は侍頭の地位を与えられた、歴としたこの国の武人である。
 侍頭・斬島雪姫。うら若き女性なれど、この地位まで昇り詰めた実力は確かなものである。
 そのような女性が、今更身を売るような真似をするとは考え憎い。
 そして、それ以上に。
 彼女がふざけているのだとジュウは個人的な付き合いの中から、経験則的に察知していた。
 しかし、結局腹の探り合いに置いては雪姫に一日の長がある。
 ジュウは一言を返した時点で、既に雪姫の術中にはまっていた。


「う……」
 声が上がる。それはジュウが発したものだ。声音には心地良さそうな響きが含まれている。
「ふふ……」
 ジュウの上には雪姫が跨っている。その身を使い一心にジュウへと快楽を与える。
 雪姫は微笑みながら身を屈め、ジュウの耳元に唇を寄せた。
「夜伽が……なんだっけ?」
 その言葉にジュウは顔を赤くする。枕に顔を沈め雪姫には見えぬようにはしているが雪姫は雰囲気でそれを察知したようだった。
 くすくすと笑いながら腕に力を込める。
「ふ……っう」
「どう? 気持ち良いでしょ?」
「……ああ」
 ジュウは与えられる刺激に、心地良さと屈辱感を同時に覚える。
「やらしいねジュウ様は。“労る”って言っただけで夜伽を連想するなんて」
 雪姫が更に力を込める。
「私は、こうしたかっただけなのに」
 ジュウの背中に体重が載せられ、圧迫される。
「ねえ、ただのマッサージなのに」
「分かったって言っただろう!」
 余りに執拗な雪姫にジュウが吼える。先からマッサージの最中。ずっとこの調子なのである。
452伊南屋:2006/11/05(日) 17:03:14 ID:qL2oc5oa
 確かにマッサージは上手いが、これでは身体が休まれど心は休まらない。
「暴れちゃ駄目だよジュウ様。……間違って変なツボ圧しちゃうかも知れないから」
「なんだその“変なツボ”って……」
「んふふ、知りたい?」
「……いや、遠慮しておく」
 雪姫は「残念だな」と呟くと再びマッサージに集中する。
 黙ってさえいればこのマッサージは極上だなとジュウは思った。
 確かに凝り固まった筋肉が解され、詰まっていた血が流れていくような気になる。
 加えるなら、背に跨る雪姫の太ももにしても、柔らかく甘美な刺激となっているのだが。
 それについてはジュウ自身が心中で必死に否定していた。
「はい、おしまい」
 最後に肩の辺りを平手でぱんぱんと叩き、マッサージの終了が告げられる。
 ジュウの背中から雪姫が降りる。
「……一応礼は言う。ありがとうな」
「ん、どういたしまして」
 雪姫はそう言って立ち上がる。
「それじゃ、後はゆっくり眠って疲れを取ってね。王様が体壊しちゃだめだよ?」
 ジュウは、分かっている。とばかりに頷いてみせる。
 それを確かめると雪姫は廊下へ繋がる扉に向かい。取っ手に手を掛ける。
 そこで雪姫は思い出したようにジュウを振り返った。
「言い忘れてたけど」
 そう言って、あの悪戯な笑みを浮かべ。
「夜伽さ。ジュウ様が望むなら、お相手するからね?」
 それだけ言って扉を開け。ジュウが何か答える前に出ていってしまう。
「……あいつは」
 最後の最後でどっと疲れさせられた気気がする。
 残した台詞は考えないことにして、ジュウはまどろみの淵に身を浸す事を選んだのだった――。

続く
453名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 18:59:22 ID:dC+XoSX/
最っ高っす!伊南屋さんGJっす!
ジュウ様が雪姫に押し倒されかと思ってしまいしてやられました 
 というか雪姫のアレは絶対に確信犯だw
454名無しさん@ピンキー:2006/11/05(日) 21:28:01 ID:JKlLs1Hx
王になっても総受け体質変わらないな、ジュウ様w
455名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 07:40:54 ID:JaocUxLS
伊南屋さん……あんた神だよ……ひたすらに、GJ!!
456伊南屋:2006/11/06(月) 19:31:13 ID:pPyBBiTT
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
U.
 夜の帳をランプの灯りが掻き消す室内。執務机の上、黙々とペンを走らせる音だけが聞こえる。
 その音の主は、常に王の傍らに控えていた少女だ。
 名を堕花雨という。
 本来は騎士団長であり、斬島雪姫同様この国の武の要であるはずの彼女が片付けているのは国政に関する書類の山である。
 元来は王であるジュウが片付けるべきものではあるが、雨が王直々に判断を下すまでもないとしたものは、代わりに雨がその裁量にあたっている。
 今は戦が終わったばかり、細々とした雑務から大規模工事。国の方針決定などするべき事は山とある。
 必然。雨が受け持つ仕事も多くなっている。
 暫くはろくに休めまい。そんな個人的な心配と、国に関するあることを憂い雨は小さく溜め息を吐いた。
「珍しいね。お姉ちゃんが溜息なんて」
 雨に茶を差し出し、雨の妹――光が声を掛けた。
 光は雨の側近として、せめてもの雑用くらいはと雨を手伝っている。そんな側近として、また妹として。稀に見る姉の溜息に心配をしたのだ。
 礼を言いながら茶を受け取り、雨は答えた。
「心配なの。この国は今、とてつもない勢いで大きくなっている。それは良いことなのだけれど……勢いが強すぎるの」
「どういう事?」
「国の基盤が整わない内に、否応なく巨大化しているのよ。このままでは細部に手が回らなくなって国が荒れるわ」
 事実、国政の人員配備は十分と言えず。辺境等は現時点でしても手が回りきっていないのが事実だ。
 雨の言葉通り、このまま国が肥大化を続ければ、いずれ国は瓦解してしまいかねない。
 雨はそれを憂いているのだ。そして「それに」と付け加え続ける。
「地方領主の中には国属を拒否する姿勢の者もいるわ。彼等を説得しなければ税の徴収もままならない」
 ――つまり、この国は肥大化の速度に追いつけず末端が機能していないのだ。
 生物は末端が機能しなければそこから壊死を始める。
 国も同様だと雨は考えていた。
 綱渡りなのはこれまでの戦以上に、国政の現状であった。
「幸いと言うべきか。ある地方領主が巨大な権力を有していて、そこさえ説得出来れば他の領主の多数も従えられるわ。
 だから近い内、そこへ説得に赴かなくてはならないわ」
 そこまで言って雨は二度目の溜息を吐いた。
「またジュウ様には苦労をかけてしまうわ……」
457伊南屋:2006/11/06(月) 19:33:22 ID:pPyBBiTT
「良いのよ、どうせ飾りの王様なんだから。こういう時くらい役に立ってもらわなきゃ」
「光ちゃん」
 光の言葉を雨が強い口調で遮る。
「あの方は決して飾りなどではないわ。たしかに今は未熟な王だけれども。いずれは、この戦乱の世を平定するに足る大器をお持ちよ。
 ……だからこそ私はあの方に仕えているのだから」
 そう強く語る雨の想いは真っ直ぐで。例え妹である光といえどそれ以上は何も言えなかった。
 雨は執務机に向き直ると。
「今日はもう遅いわ。光ちゃんは先に眠りなさい」
 と言って、自分は再び書類と格闘を始めた。
 光は無言でそれに従い寝室へと向かった。
 光が去り、雨一人となった室内。
 ただ、ゆらゆらとたゆたうランプの炎だけが、雨を照らし続けていた――。

続く
458伊南屋:2006/11/06(月) 19:55:09 ID:pPyBBiTT
『レディオ・ヘッド補足授業』

「作者が未熟なので本文で追い切れていない設定について補足する本コーナー。司会兼講師の堕花雨です」
「……早速だが質問だ」
「なんでしょうジュウ様?」
「前世の話なのに名前なんかが全く一緒なのは何でだ?」
「実は前世は言語体系など全く違う文明の国です。ですから前世は前世で名前があるのですが名前が違うと誰が誰か混乱する為に現世の名前を本文では用いています」
「なるほど」
「というのは建て前で本当は名前が思い付かなかっただけらしいですが。
 ちなみに私はレイン・フォールブルームと言う名前が用意されていたそうです。まんまですね」
「……」
「他に質問はありませんか?」
「はいはいはいっ!」
「雪姫、どうぞ」
「実際ジュウ君が治めている国はどんな国なのかな?」
「本文内の文明レベルは中世ヨーロッパ……という事ですが一概にそうは言えないようです。
 特にジュウ様が治める国は柔軟に他国の文化を受け入れ様々な思想、文化が入り乱れています。
 そのあたりは現代日本みたいですね」
「私の前世が侍頭だったり雨の前世が騎士団長みたいに色んな体系がごっちゃになってるけど?」
「それも上記の理由ですね。前世世界において戦国日本に似た国がありますからね。
 そこから大和式戦術とでも言うべきものを吸収したのでしょう、騎士団は昔からあったようです。逆に侍衆は最近出来た部隊ですね」
「お姉ちゃんが国政をやってるみたいだけどやっぱりアイツは飾りなんじゃないの?」
「それはやはり間違いですよ光ちゃん。実際、国政の深くに関わる部分はジュウ様が直に裁量を下しています。
 私の前世がやっているのはそれこそサインをするだけの書類や私が裁量を下しても問題にならない程度のものです」
「ふーん」
「さて、今日の補足授業はこの辺にしましょうか」
「まだ質問があるんだが……」
「いけません。あえて今回は一部ぼかした部分もありますからこれ以上突っ込んだ質問をされると作者的にはネタバレとなってしまいます」
「そ、そうか……」
「申し訳ありませんジュウ様」

「(伊南屋)と言うわけでレディオ・ヘッド リンカーネイション。今暫く……長くなりそうではありますがこれからも宜しくお願いします。次回はレディオ・ヘッド続きかリクエストになるかと思われます。それではまた。
 毎度、伊南屋でした」
459名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 20:13:43 ID:P0artZud
伊南屋さんGJ!!
やっぱ雨はいいなぁ
460名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 20:30:25 ID:N5GBwfk8
とりあえずヤンデレきぼん
461名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 20:32:14 ID:OlzFrn1N
つまり一子×ジュウか
462名無しさん@ピンキー:2006/11/06(月) 22:40:37 ID:71PpLZ9I
>>461
お前
天才だな
463名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 09:03:32 ID:DohaxYBN
すいません、私はジュウ様総受けを妄想してました
464名無しさん@ピンキー:2006/11/07(火) 16:15:07 ID:18HfMiCP
ジュウ様は何ていうか、あれだけ翻弄されまくりな御方ですから。
総受けが一番似合うでしょやっぱ。

頑張って果敢に攻めてくれれば、それはそれで萌えるけども。
465名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 20:41:25 ID:+GJuawtp
押し倒される>必死の反撃頑張って攻める>やっぱり反逆で受け

これでしょう
466名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 20:45:11 ID:xWuUjy8b
というか、あれだけ女性に攻められるのが似合う不良系主人公ってジュウ様だけだと思うの
467名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 20:46:11 ID:jfS8zEbP
まあ見た目と喧嘩強い所意外はあんまり不良っぽくないし
468名無しさん@ピンキー:2006/11/08(水) 20:53:19 ID:yO4OEJU5
一巻で髪の毛染め直しちゃった時点で運命は決まってたようなw
469名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 11:33:50 ID:kFQCxRh8
>>468
髪染め直してふふんどうだこれ?って顔で雨に見せに行くジュウ様きっとすげえ楽しそうな顔してたんだろうな
470名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 14:32:07 ID:5BPiaiq6
そして見事に目論見が外れるジュウ様w 

 だけど、そんな所が貴方様の魅力なのです
471名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 22:17:52 ID:WEHPJeyB
そんなジュウに萌えてきた俺は駄目人間か……orz
472名無しさん@ピンキー:2006/11/09(木) 23:59:55 ID:8krF+Q+8
人としてとても正しいです、と雨さんが肯定してくれるでしょう。
473名無しさん@ピンキー:2006/11/10(金) 07:53:13 ID:Krm+sSco
実際問題 
ハーレムと総受けは紙一重だと思うんだ。ジュウ様の場合
474伊南屋:2006/11/10(金) 18:48:11 ID:ekNWcoY5
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
V.
「何故、私が……」
 がたがたと揺れる馬車。御者が、不服たっぷりに呟いた。
 森の中、殆ど野道のような通りを馬車が走っている。向かうは西方。とある地方領主の治める集落である。
 朝早くから城を出た馬車だったが今は日も暮れ掛けている。
 その長い時間。ジュウは御者が漏らす割と短い間隔で聞こえてくる呟きを聞き続けていた。
「しょうがないよ。騎士団長は国を離れられないんだしさ」
 今回の遠征に護衛として同行している雪姫がもう一人の同行者たる御者に慰めともつかぬ言葉を掛けた。
「私が交渉の同行をするのは良い。だけど国政は王にやらせて団長が交渉にあたればいいって言っているの」
 ぶっきらぼうに答える御者――騎士団副長・円堂円に雪姫は溜め息を交え言った。
「だから〜……ジュウ様が直接交渉にあたる事で誠意を見せて少しでも説得を確かなものにする。そう雨に三回、私からは十回以上説明したよね?」
 道中何度もこのようなやり取りが繰り返されている。
 ジュウはそれを聞きながら、そう思うのも仕方ないかと思った。
 自分は未熟者。加えて円は自分を、いや男というものを嫌っている。
 雨が国政を行っているのだから雨に王権を譲れと、本気で迫られたこともある。
 と、そこまで考えて自分が敬意の対象になりえていない事実を思い出す。
 円然り、雨の妹の光も自分を嫌っている節がある。雪姫は友好的ではあるが、それは敬意には程遠い。
 唯一雨だけがはっきりと自分に対して敬意を払ってくれている。
 しかし、ジュウは第一に自分が敬意を払うに値する人間だとは思っていないので、この状況を別に悲観するでもなく受け止めていた。
「なにぼーっとしてんの? ジュウ様」
 遠く思索に耽っていた意識が引き戻される。
「なにか考え事?」
 覗き込み、訪ねる雪姫に対して、ジュウは事も無げにさらりと。
「お前達の事を考えてた」
 と答えた。
「……」
 暫くの沈黙。しかしそれは長く続かない。
「やぁーっだ! ジュウ様何言ってんの、やだ恥ずかしい〜!」
 実に嬉しそうに身を捩らせながら雪姫がジュウをばしばしと叩く。
「そんな事さらっと言うからダメなんだよ〜?」
 自分が言った言葉の破壊力に気付かず、ジュウはただ痛みを訴え戸惑うばかり。
「あ〜ん、も〜。雨や光ちゃんにも聞かせてあげたい〜。ジュウ様ったら凄いカッコイい〜」
475伊南屋:2006/11/10(金) 18:49:29 ID:ekNWcoY5
 異様な雪姫の反応にジュウは更に戸惑いを深める。
「……これだから男は」
 呟く円の棘のある言葉も、何故そんな事を言われるのか分からない。
「なん……なんだ?」
「ねえ、ジュウ様」
 戸惑うジュウなどお構いなしに雪姫がジュウに言った。
「今日一緒に寝よっか?」
「なんでそうなる!?」
「あ、一緒に寝たらむしろお互い眠れないかも」
「だからなんで!?」
「……優しくしてね?」
「いや、聞けよ!?」
「バカなこと言わないでよ。特に王」
「俺かよ!」
 そんな風にして一向を載せた馬車は西へ西へと進んでいく。
 馬車からは絶えず馬鹿馬鹿しい会話が漏れ聞こえたという――。
476伊南屋:2006/11/10(金) 18:53:14 ID:ekNWcoY5
 毎度、伊南屋に御座います。

 ぽつぽつと細切れに投下。読み手の皆さんはイライラしてるでしょうね。すみません。
 並列で書いてたリクエスト用より早く書き上がったのでまずはこちら。
 リクエスト用SSは明日、明後日中にはなんとか……って感じです。

 こんな感じでちまちま書いてます。後は書き手が増えると嬉しいな。
 以上、伊南屋でした。
477名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 13:42:12 ID:JX/SO8Sd
堕花「ジュウ様、口を御開けください」
ジュウ「一人で食える」
斬島「ジュウ君ジュウ君柔沢君、あ〜んしてっ!!」
ジュウ「せんから口に突きつけるな!!」
光「あの、その、えと、残したら勿体無いから全部食べなさい!!」
ジュウ「だったら皿がテーブルに乗り切らない量を作るなよ」
円堂「ま、誕生日プレゼントなんだから私が食べて手伝うわけもいかないし、
    残さず召し上がれ」
ジュウ「はあ、わかったよ、ありがたくいただくよ」




紅香「オイ馬鹿ムスコ、美少女を侍らせていい御身分だな。何処の王様のつもりだ?」
堕花「王様のつもりではございません」
紅香「なに?」
堕花「実際に王様なのです」
紅香「・・・・そうか」
堕花「はい」
478伊南屋:2006/11/11(土) 17:03:53 ID:Sca6bjxO
 幸せを願って。
 その為に努力した。
 そうして私は手に入れた。
 何を?
 ――分からない。
 今この手で掴んだものは。

 本当に“幸せ”なんだろうか。


『HAPPY(is the)END』


 生徒会室。
 一体何度踏み入っただろうか。
 自分は知っている。この中には今、一人しかいない。
 そしてその一人は自分を見て、どこまでも優しい笑みを浮かべ迎え入れるのだろう。
 扉を開く。足を踏み出す。視線は床。それを上げる。映る。少女。同級生の、少女。微笑っている。愛しい者を見る目。
「待ってたわ。柔沢くん」
 初めて会ったときとは違う。それは柔らかい声。蟲惑的な響き。自分の何かを麻痺させる毒。
 綾瀬一子。かつては反目しあい。今は、自分の恋人。
 一子が歩み寄る。ジュウも吸い寄せられるように近付く。
 距離が縮む。やがて零になり、接触。
 胸元に一子が頬を埋めた。柔らかな体温に安堵を感じる。同時に言い知れぬ不安も。
 いつからか繰り返されている逢瀬。その度にこんな気分になる。
 一子は縋るようにジュウを抱き締め、その身全体を擦り寄せる。くねる動き。男の中の獣を誘う動き。
 それに耐える。情欲を抑え込む。彼女はまだ望んでいない。その動きは無意識だ。まだ、抱き締めてはならない。
「今日のお弁当は私の番だね」
 そう言って、一子は二つの布に包まれた箱を取り出した。片方は水色。もう片方は桃色。
 弁当はジュウと一子が交代で作る。そういう約束だ。
「……ありがとう」
 食欲がないとは言えなかった。決して、言ってはいけなかった。
 布を解き、中の弁当箱を取り出し、並んで会議机に腰を下ろす。
 中は可愛らしい。女の子らしい弁当だ。御飯は桜そぼろでハートが描かれ、赤いウィンナーはタコの形。デザートのリンゴはウサギ。
 絵に描いたような弁当。美しいそれはどこか歪んで見えた。
「さ、食べよう?」
 笑顔で一子が促す。ジュウも手を合わせ「いただきます」と口にした。
 口に運んだそれらはどれも美味い。確かに美味いのに。どうしてだろう。吐き気がする。
 それでも全てを嚥下する。時折、互いに食べさせ合いながら。
 誰かが見れば、失笑とともに暖かい目を向けるであろう。幸せな恋人達の姿だったはずだ。
 一足先に弁当箱を空にして、今日の弁当が美味かった事を殊更強調して伝える。
 彼女は満面の笑顔に照れを浮かべ喜んでくれた。
479伊南屋:2006/11/11(土) 17:06:05 ID:Sca6bjxO
 こんな笑顔を見る度に思う。良かったのだと。これで、間違えていないと。
 ジュウも笑顔を浮かべる。
 浮かべた笑顔は歪になっていなかっただろうか。
 やがて、一子も弁当箱に若干中身を残し完食を告げる。ジュウはその残った分を代わりに食べ、両の弁当箱を空にした。
 暫く、会話に興じる。今日あった事。昨日のテレビ。何気ない世間話。どこまでも普通な会話。
 気が付けば、一子はジュウの手に自らの手を重ねていた。ジュウはその手を握り締めた。
「ねえ、柔沢くん」
 一子がジュウに顔を寄せ、口付ける様な距離で囁く。
「……好きよ」
 囁きながら、一子は自分の席から立ち、ジュウの膝元へ向かい合う形で跨る。
 若干ジュウが見上げる形になりながら、唇を重ねた。
 柔らかい感触がジュウを痺れさせる。粘膜を擦り合わせるようなキス。
 一子の手はジュウの首筋、鎖骨を緩やかに撫で回す。
 閉じられたままの唇が、くすぐったい様な甘い刺激に開かれる。
 一子が間髪入れずに舌を滑り込ませた。
 蕩けるような舌の愛撫。なにもせずとも舌が絡められ、一子の咥内に誘い込まれる。
 温かい。ぬるぬるとした咥内は一子の体温をダイレクトに伝えてくる。
 互いの唾液が溶け合い、舌と唇を伝い行き来する。
 甘いとすら感じるそれは極上の媚薬となってジュウを昂ぶらせる。
 昂ぶりはジュウの下半身を奮い立たせ、制服のズボンに膨らみを作る。
「ふふ、おっきくなったぁ」
 一子がそれを察知する。跨った腰をくねらせ、幾重の布地越しに互いの性器を擦り付ける。
「んっ……」
 一子が甘い吐息を漏らす。押し付けるような腰の動きは更に貪欲に刺激を欲し激しくなる。
 ジュウは下半身への刺激を一子に任せ、両手を一子のセーラー服の内側に潜り込ませた。
 腹、脇腹、あばら骨と指先は撫で上げ、そして胸に辿り着く。
 触れたそこは真っ先に肌の感触を伝えてきた。
「着けてなかったのか」
 問うジュウに、一子は顔を真っ赤にさせ頷く。
「そうか」
 それ以上何を言うでもなくジュウは胸への愛撫を始める。
 指先で捏ね、形を変え弄ぶ。
「ふ、はぁっ」
 一子から洩れる吐息は熱くなり、上半身、下半身それぞれから与えられる刺激に歓喜を示す。
 ジュウの指先はそれを更に引きだそうと、先端を摘み、捻る。
「く……んはぁっ!」
 痛みすら伴う強い刺激に、一子が示したのは快楽の調べだけであった。
480伊南屋:2006/11/11(土) 17:08:41 ID:Sca6bjxO
 くねる腰も一旦動きを止め。身を仰け反らせ快感に浸る。
 ジュウは掌全体で胸を掴み、ぐにぐにと揉みしだく。
 絶え間なく与えられ、変わり行く刺激に身を震わせて一子は溺れる。
 再び動き出した腰も、先よりも激しく擦り付けてくる。一子の下着を透かし、更に溢れる愛液はジュウの制服を濡らしていた。
 ぐちゅぐちゅと音を立て、ぬめった腰を滑らせ、擦る。
「ん……足りない」
 一子が呟いたかと思うと、彼女の両手は下半身に伸び、鮮やかな手際でジュウの性器を取り出した。
 性器に、それまで同様に腰を擦り付ける。
 幹に伝わるぬめりと布地の摩擦。
 その快感に応えるよう、ジュウは胸元への愛撫を強める。
 唇を片方の突起に近付け、舌先を伸ばし愛撫する。
 強く吸い付き、時に噛みちぎらんばかりに歯を立てる。
 一子の身が震える。
「かっ……あはっ、んぁっ! んはぁぁああ!」
 声を上げ、絶頂に身を戦慄かせる。
 ひくひくと震える体は熱く火照り。下着は更に愛液に濡れた。
 ジュウの下半身には下着越し、ひくつく一子の秘裂が感じられた。
 耐え難い。そう思ったジュウは片手を下半身に向ける。指先は下着。その秘裂を覆う部分に触れ、横へとずらす。
 露わになった秘裂へ、ジュウは自らを突き刺した。
「んはぁあ!」
 絶頂の余韻も覚めやらぬタイミングで貫かれた一子は更に身を仰け反らせる。
 がくがくと体は揺れ、焦点の定まらぬ瞳は天井を見るばかりだ。
 口の端からは涎が垂れ、締まりのない表情を更に際立たせている。
 白痴の様な表情とは裏腹に、下半身はジュウの動きに合わせ、妖しく蠢いていた。
 膣中は深くにジュウを誘う動きを示し、甘く締め付けてくる。
 ジュウはそこから与えられる刺激に耐え、がむしゃらに一子を突き上げる。
 一突きする度に愛液が溢れる飛沫を散らす。
 淫らな水音は大きさを増すばかりだった。
 ただ一心不乱に一子は腰をうねらせる。誘う動き。射精を促す。
 ジュウは耐える。耐えて、一子を翻弄する。跳ねる躯。抑え込み、深く突き刺す。
「あはっ! ひゃうっ、うんんっ!」
 白い喉を震わせ、一子が嬌声を上げる。その声を我慢し、一子が耳元に口を寄せた。
「ん……ふふ、私は幸せ……なのかな?」
 ジュウに何度となく浴びせられた問い。ジュウを責め苛む言葉。
「お前は幸せだよ」
 繰り返す。問われる度に。一子に言い聞かすように。自分に言い聞かすように。
481伊南屋:2006/11/11(土) 17:11:48 ID:Sca6bjxO
「うん……っ。しあわせ、だよぉっ」
 吐息に声を途切れさせながら。一子は言う。
 ジュウを縛り付ける言葉。
 一子が幸せを願う限り。一子が幸せを感じる限り。ジュウは一子を手放せない。一子もジュウを手放さない。
 絡みつく躯と心。繋がりは深く、致命的。
 ただ、ただ繋がる。それだけが証と信じて。
「あぁ……んっ」
 浴びせられる熱っぽい息は、ジュウの顔をくすぐり撫で、正常な思考を削り取る。
 狂っている。狂ったように踊る。身を重ね、狂楽に耽る。異常な愛情。依存する愛情。
 一つ貫く度に跳ねる一子の身体。肌に指を這わせる。
 柔らかい胸に指先を沈め、感触を楽しむ。
 なのに、その肌がぐずぐずに腐っているように感じた。
 一瞬の腐臭。
 フラッシュバック。
 母親。死体。腐乱。山道。遺棄。共犯。
 浮かぶ映像と単語。
 それらを掻き消す為に、遮二無二腰を打ち付ける。
「あっ! うぁっ……ん。いい、よぉっ。ゴリゴリってぇ!」
 叫ぶ一子の声も聞こえない。思考を停止し、ただ肉欲に堕ちる。
「ゴリゴリしてる。あんっ! ふかい……っよぉ!」
 身を震わせる一子。絶頂しているのだろう。何度も強い収縮を繰り返す。
 ひくつく膣壁は内に在るものから、中のものを差し出せとばかりに絡みついてくる。
 それでも耐える。
「ひゃぁっ! も……だめ、わけわかんないっ……ふぁあん!」
 ジュウの首筋にしがみつく。顔面に押し付けられる乳房に噛み付く。
 歯形を残すほど強く噛み締める。舌は乳首を弾き、潰し、回す。
「はぁぁああん!」
 痛いはず。なのに漏れるのは歓喜の声ばかり。
 そうだろう。彼女は思い込めばそれが全て。与えられるねは快感だけと思えば、痛みなど感じない。
 全ては思い込み。
 それを知ってなお、ジュウは快感を与える事に従事する。
 強く、強く打ち付ける。叩きつけられる恥骨が僅かに痛む。構わない。更にぶつけるように突く。
 激しく痙攣は止まない。与えられる刺激は強く。恐らくもう長くは持たない。
「そろそろイク。良いか?」
 問うのは義務感から。答えはいつも決まっている。
「あぁっ……いいよ。来て、中に……あはっ! 膣中に、出して。全部出してよ……んはぁっ! あんっ、わたしの中。いっぱいにして。白いので、ぜんぶっ! ひうっ! あくっぅ……。出して! 出して、出して、出してだしてだしてぇ!!」
 分かっている。
482伊南屋:2006/11/11(土) 17:13:32 ID:Sca6bjxO
 ジュウは応えるようにラストスパートをかける。激しく打ち合う腰は水気のある破裂音を響かせる。その間にも一子は何度目だろう。絶頂に達し、ジュウを甘く、甘く締め付ける。
「くっ……!」
 限界、刹那に溢れ出す精液。どくどくと一子の膣中に溢れる。一番深く。子宮口のその向こう。
 一子の痙攣する膣中も、精液を奥へ運ぶための蠢きを見せる。
「あはっ……いっぱぁい」
 一子は自らを満たす感覚に笑った。
 ジュウは知っている。一子が自分との子供を望んでいると。その為に膣中に射精させるのだと。
 なぜなら。子供が出来るというのは、分かりやすい幸せの形だから。幸せに貪欲な一子はそれを望んでいる。
 高校生だから等関係無く。幸せの形を手に入れたがっている。
 しばらく、繋がったまま一子は自らの下腹部を撫でていた。祈るように。まだ見ぬ子供を幻視して。
 一子の瞳は、慈母のように穏やかだった。
 穏やかに、狂った輝きを放っていた。

 きっといつか。自分達の子供が出来るだろう。一子はそれまで諦めない。
 そうして自分は、柔沢ジュウという人間は綾瀬一子の描く幸せの部品として消耗される。
 パズルの一ピースのように。全体のたった一ピース。
 それで良い。そう思い込む事にしたのだ。一子のように。
 ただ目の前のものを即物的に選んでいく。
 それが幸せだと信じて。
 幸せだと思い込んで。
「大好きよ。私の、私だけの柔沢くん」
 一子が呟いた。

「――幸せにしてね?」


fin.
483伊南屋:2006/11/11(土) 17:17:41 ID:Sca6bjxO
 毎度、伊南屋に御座います。

 微妙にリクエストのあったジュウ×一子のヤンデレです。ヤンデレになってるかは微妙。
 鬱々した雰囲気を出すために文体変えましたがかえって読みづらいかも……。
 そこんとこは未熟者故と思って多めに見てください。

 次回はレディオ・ヘッド続きにしようか別なリクエストにしようか悩み中。どっちが良いとかあったら言ってください。
 以上、伊南屋でした。
484名無しさん@ピンキー:2006/11/11(土) 17:23:09 ID:tj9XmEXT
>>477
紅香納得しちゃったよオイw

>>483
うん、何て言うか病んでる感じが凄くよく出てる。
てかどんどんと片山世界を書くのが上手くなってると思う。
GJでした>伊南屋氏
次作は、円ものがいいかなあ……。
485名無しさん@ピンキー:2006/11/12(日) 12:28:42 ID:iBp2ekVF
毎度毎度、伊南屋さんすごいですね!!神以外の何者でもないですよ!!一子好きになっちゃいました!!
自分も円をリクしますm(_ _)m
486名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 00:10:43 ID:3KHT1ygL
貴方はやはり神だな。
もうなんていうか神だな。ヤンデレスキーな俺にはこれ以上無いくらいの良作ですた!

リクは……やっぱり円かな?
487名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 00:53:42 ID:J76oRD+G
レディオの続きが気になって仕方がない、今日この頃。久しぶりですよ、続きが気になる読み物は、ですので続きをお願いします。
488名無しさん@ピンキー:2006/11/13(月) 02:04:15 ID:ajOvcVlz
何だこの微妙に自演臭い円リクは…www
まあ円も好きだから良いけどさ

個人的にはレディオは息が長そうだし、
雨辺りのリク消費をお願いしたいところ
489名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 23:20:38 ID:cy0/c2hW
確かにwwwwww

まあリクに異存は無いが。
490名無しさん@ピンキー:2006/11/14(火) 23:35:18 ID:lD4PeQp1
単純に雪姫、光、雨らは既に書いてるから、って事じゃね?
491名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 02:30:32 ID:oeA7nAQQ
それにしても、片山世界は本当に男キャラが少ないよな
492名無しさん@ピンキー:2006/11/17(金) 08:53:19 ID:63Vn5dBt
まぁ男キャラ出す意味があんま無いと思うけどな 
 
それでも紅は電波と比べると結構出ていると思うが?イラストが無いから影が薄いかもしれんがな……
493名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 10:59:12 ID:13O+gqu3
竜士とか、フランクとか、騎馬とか、法泉とかー?

……いや、竜士は何気にイラストあるんだよな。
494名無しさん@ピンキー:2006/11/18(土) 21:34:36 ID:reOI8HAm
紫×しんくろーのこりゃペドい組み合わせで一つ
495名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 19:27:52 ID:RQ9PAyXL
むしろ和むほのぼの物の方が………。
496名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 22:40:02 ID:vPfD2N43
いい加減なシチュでジュウ×円を書いてみる


 ジュウがその日、全く無目的に立寄った公園でたまたまそんな状況に遭ったのは全く偶然であった。
 すなわち、彼の「友達」の一人である円堂円が所謂不良の集団に絡まれているという全く既視感を覚えるような
状況であり、むしろそこから二人で共闘して哀れな獲物たちを完膚なきまでに叩きのめした所まで含めてお約束
と言えるかもしれない。
 しかしながら往々にしてイレギュラーとは起きる物であって。

 「捕まえたぞ!」
 「っ!」
 自分の担当側の最後の一人を倒した所で、突如背後から聞こえた叫びに振り返ると、先程自分が倒した一人が
何時の間にか起き上がって、鼻血を垂らしながらも円を背後から羽交い絞めにしている所だった。加減しすぎたか
、とジュウは舌打しながら駆け出す。
 もがく円だが、流石に組み付かれると体格差のせいで動きが封じられてしまっているようだ。
 と、その前でフラフラと立ち上がる円に腹を打たれ蹲っていた男。その目は怒りに燃えて血走り、そしてその右手
には特殊警棒。それが大きく頭上へと振り上がり、そして……激突!
 間一髪、円を背後の男ごと突き飛ばして割り込んだジュウは、その瞬間、頭部への衝撃と同時に目の前に火花が
明滅し、意識が暗くなりかけたが、何とかこらえて手を泳がせ、とりあえずそれに当った物を掴んで踏み止まった。
頭を一つ振って未だチカチカとする視界に自分の手を捉えてみれば、その掴んでいるものは正しく今自分の脳天へ
と振り下ろされた凶器と、それを掴む男の手。それをゆっくりと上へ辿ると、やがて呆然とした男の顔に行き当たった。
 ニヤ、と凶暴な笑みを浮かべる。
 今度こそ男の顔が恐怖に歪むのを確認する暇もあらばこそ、ジュウの全力を込めた拳は、確かに歯を砕く感触と
共にその真ん中へと叩き込まれていた。
 そしてそのまま、ガクリ、と前のめりに膝をついた。背後からは、倒れて体制が崩れたのを利用して戒めを解いた
のだろう円が、自分の名を呼びながら駆け寄ってきていた。

 「なあ、もう大丈夫だって」
 「いいからじっとしていなさい」
 “下から見上げながら”抗議するジュウにも構わず、円はそう言ってそっと彼の額に手を当てた。そのひんやりとした
感触が心地よくて、思わずジュウは目を閉じた。
 あれから、円はジュウに肩を貸して、先程の場所から少し離れたこの小さな公園にやって来た。そして自分のハンカチ
を水で濡らしてジュウの頭の血を拭いてくれたのだが……。
 「あなたが丈夫なのは知ってたけど、特殊警棒で殴られてこの程度の怪我で済むなんてね」
 「だからもういいって。もう血も止まってるし」
 前には金属バットでぶん殴られた事だってあるしな、とは流石に言わなかったが。
 「頭部への怪我は一見大丈夫に見えても後でどうなるのか分からないのよ。きちんと病院へ行って検査しなさい。代金
はこっちで出すから」
 からかいではなく真剣な面持ちで諭す円に気圧されながらも、ジュウは費用については丁重に断る。が、円は何故か頑
として譲らない。なんとなく、自分に借りを作っておきたくないのだろうか、と判断して、少し寂しいような気持ちになりながら
もジュウは引き下がった。
 「……」
 「なあ」
 不意に落ちた沈黙になんとなく話題を探したジュウは、とりあえずさっきからの疑問を口に出した。
 「なんで膝枕なんだ?」
497名無しさん@ピンキー:2006/11/19(日) 22:41:09 ID:vPfD2N43
 「嫌だった?」
 照いも無く、平然とこちらを見下ろしながら聞く円に、なんと答えればいいのやら、ジュウは口篭もる。いきなり力ずくで
頭をベンチに座ったそのしなやかな太腿の上まで持っていかれた時に感じた気持ちや、今こうして存外に柔らかいその
感触を感じているのは正直嫌な気分とは程遠かったけれど。
 「まあ、私みたいな男嫌いの空手女よりは雪姫や雨に膝枕された方が柔沢君もそりゃ嬉しいだろうけど。無いものねだ
りは良くないわ」
 「いや、ねだってねえよ」
 なんだかコイツは一体自分をどういう目で見ているのだろう、と心中不安に感じながら、人が通らないかを気にしてみる
。幸いここは表の通りからは奥まった所にあって、入り口の木と藪で視界も遮られてあるので、この状況を他人に見られ
る心配はあまりないようだ。
 とりあえず忠告を聞いて大人しくしておくか、と思い直し、何とは無くぼんやりと円の顔を見上げた。改めて見ると、綺麗
な顔をしているんだな、と思う。冷気すら漂わすような整った面長の顔。鋭く、深い輝きを放つ切れ長の黒い瞳。短く整え
た髪型のせいで一見すると美少年にも見えがちで、しかし柔らかな晩夏の木漏れ日を浴びてそっと目を閉じた彼女は
まるで白石の彫刻の様な女性的な美を感じさせた。
 思わず見とれていたジュウの視線を感じたのか、円が瞼を上げた。ハッとして、ジュウはつい目を逸らす。
 「どうかしたの?」
 「いや、なんでもない」
 気恥ずかしくて顔も見れないまま、ジュウは答えた。いつも開けっ広げで大胆な雪姫などとは違い、氷のような円に「女」
を感じてしまった事で、妙に恥ずかしさが湧き上がってきて、そうなると何かもうこの状況が一刻も耐えられないような気持
ちになってきて、
 「あの、もう、ホントに大丈夫だから、もういいぞ」
 「そう」
 今度は存外に素直にそっと手をどけた彼女に不審がる余裕も無く、ジュウは身を起こすと手早く立ち上がった。
 「じゃあ、とっとと病院行くか」
 「そうね。家の関係の所なら安く済むし、色々と話が付けやすいから案内するわ」
 「ああ、すまねえな」
 「私の方から言い出した事よ」
 こちらを一顧だにせずにそう言い置いてサッサと先に立ち歩き出す円は、既にすっかりいつもの彼女だった。


今日はここまで。続きはまた今度。
498名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 07:15:23 ID:r7au2UVr
うーんGJ!!
続き待ってるよー。全裸で。
499名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 10:30:11 ID:fY6Sojm/
そして円堂さんは王様の金属バットをくらうのです
500名無しさん@ピンキー:2006/11/20(月) 19:46:48 ID:os+Ryvxa
やらしい
501名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 02:14:10 ID:qltEXOSj
夕乃さんにムラムラする日々
502名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 08:16:33 ID:OoR/LLCe
そういえば紅のハーレムってまだないよな?
503名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 14:56:15 ID:HTUThMSV
どいつもこいつも嫉妬深そうな上に戦闘手段というか外敵排除能力を装備してそうだからなぁ。
504名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 18:45:03 ID:F4zqrmO6
真九朗さんどいてください その女を殺せません
505502:2006/11/23(木) 21:35:30 ID:OoR/LLCe
嫉妬とかそこらへんは上手く真紅郎がまとめてさ。イッてもイッても終わらない快楽地獄、みたいなw
506名無しさん@ピンキー:2006/11/23(木) 22:30:33 ID:pP9kWAW3
逃げてー、真九朗さん逃げてー!!
507伊南屋:2006/11/25(土) 14:13:35 ID:0v0a0v87
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
W.
 夜――。
 辺りは暗く。月は隠れ、地を照らすのは星灯りだけ。
 重い緞帳を落としたような闇の中、一向の馬車は足を休まざるを得なかった。
 予定していた街に辿り着けず、仕方無く街道の脇で野宿をする事になった。
 焚き火の爆ぜる音、橙の炎を囲み、三人は腰を下ろしていた。
「下らない足止めを食ってしまったわね」
 呟いたのは円だ。つい数刻程前の出来事を思い出し、忌々しげに毒づく。
「山賊なんて、数ばっかり揃えた烏合の衆に時間を取られるなんて……」
 円は最後に、これだから男は。と付け加えた。
「数ばかり居て手間取るんだよね〜。ましてやこちらは三人しかいないし」
 応えて呟いた雪姫に、ジュウが反論する。
「……なんで俺が頭数に入ってるんだ」
 言ったジュウは、所々にかすり傷が目立つ。先の襲撃ではジュウもその身を危険に晒しながら戦ったのだ。
「良いじゃん、戦争の時だって前線にいるんだし」
「まあ……それはそうだが」
 しかし、だからと言って一応は王なのだ。その辺の三流武人に遅れは取らない、ましてや山賊なら楽に倒せる程度には戦えるとは言え、それも精々が一対三あたりまで。
 それ以上となればある程度は捨て身になり、それなりの怪我は覚悟しなければならない。
 今のように、十五人を相手に一人当たり五人などと言って、更にその五人を倒しても、無傷で息一つ上がらない円や雪姫とは訳が違うのだ。
 それでも、そこまで口にしないのはジュウの、プライドや意地と呼ばれるものからだった。
「ただ、一つ気になるんだよね」
 珍しく声に真剣さを帯びさせた雪姫が言った。
「あいつら、山賊にしては動きが整いすぎじゃなかった?」
「それは私も感じたわね」
 雪姫と円は、山賊の動きがそれらしからぬ事に気付いていた。
 それ自体はおかしくはない。敗戦国の残党が徒党を組んで山賊行為に走るのはよくある話だ。それならば山賊でも統制の取れた動きは納得がいく。
 しかし、二人は更に彼等の動きが妙に戦い慣れたものであると思った。
 しかも、それはエリート兵卒の、研ぎ澄まされた刃のように洗練された動きではない。
 むしろ、使い慣らされた鉈のような、野戦に合わせた動きであると感じた。
 そんな戦い方をするのは大方、傭兵と呼ばれる人種だ。
 しかし傭兵ならば、この戦乱の世。戦争のある国に雇ってもらい、そこで戦った方が収入は多い。
508伊南屋:2006/11/25(土) 14:17:18 ID:0v0a0v87
 つまり、傭兵ならばわざわざ山賊に身をやつす必要はないのだ。
 となれば、考えられる事は限られてくる。それは例えば――。
「山賊に見せかけた、私達を狙っての襲撃?」
 円の弾き出した答えもその一つ。ジュウと領主の会談を快く思わないもの。もしくは領主その人からの差し金か。
 いずれにせよ会談を阻止せんと何者かが暗躍している事になる。
「もしくは、なんらかのトラブルのとばっちりを受けたって所かな?」
 雪姫の答えもまた、可能性の一つ。狙いは自分達ではなく他の誰か。
 その理由が何にせよ、自分達はただの巻き添え。
 もっとも、これらの答えのどちらかが答えだとすれば、いずれにせよ不穏な気配は変わらない。いつ再び襲われないとも限らないのだ。
「まったく……今日は寝ずの番でもするか?」
「そうね、呑気にキャンプ気分で野宿って感じではないわ」
「じゃあ三人交代ね。出発は日の出と共にしよう」
「って、また俺が頭数に入ってるのかよ」
「当たり前でしょ。自分の身は自分で守りなさい」
 あっと言う間に段取りが定められる。
 ジュウが反論する間もなく見張り番も定められた。
 もっとも、ジュウも反論する気はさしてないので不満はない。第一、一応文句は言ったがどの道見張り番はするつもりだったのだ。
 焚き火を消し、最初の見張り番となった雪姫を残し、ジュウと円は馬車の幌に入り、眠る事にした。
「なんかしたら殺すわよ」
「なんもしねぇよ」
「ジュウ様、私と一緒の時は襲って良いからね!」
「見張ってろ!」
 一通りツッコミ終えたジュウは、何事もなければ良いと、切実に願いながら眠りに落ちる。
 月を隠す雲はさらに広がり、星も隠し始めている。
 更に闇は深くなりつつあった――。
509伊南屋:2006/11/25(土) 14:21:11 ID:0v0a0v87
 どうも二週間ぶり、伊南屋にございます。

 今回はレディオ・ヘッドW.になります。なかなか話が進まなくてスイマセン。次ではキャラ増えますんでお楽しみにして頂ければ幸いです。

 そして消化率悪い癖にリクエストは相変わらず取ります。
 そんな訳で伊南屋でした。それではまた。
510名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 00:27:16 ID:z/C6r8j6
うほっ 伊南屋さんお久しぶりのGJ!!!
相変わらず飛ばしてますなーw
なにはともあれ新作乙でした。続きも楽しみにしております

最近ここ読んでて円もありかと思い始めた俺ガイル orz
511名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 19:39:59 ID:hCmu9Dqg
伊南屋さん乙です
しかしやっぱり円はフラグを起こしにくいキャラですよねw
男嫌いもありますが、何を考えているか一番わかりませんし……
512伊南屋:2006/11/26(日) 21:10:32 ID:OZntjXEf
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
X.
 闇の中、なお影に沈む森を駆ける足音。息荒く、地を踏みしめる足はただ前を目指す。
 より速く、より遠く。逸る気持ちは汗を滲ませ、心の中で焦れていく。
「くそっ!」
 漏れるのは悪態。苛立ち紛れの、誰に向けたわけでもない言葉。
 いや、向ける人間はいた。今、一歩でも遠ざかろうとする追手。
 どれくらい引き離したのか。振り返る事は出来なかった。
 まるで、すぐ後ろ。肩に息が掛かるほどの距離に、敵がいる気がして。
 違う。耳にかかる息は、背に負った少女だ。自分が守ると決めた少女だ。敵じゃ、ない。
「もうすぐ、街道だ……」
 街道に出れば、後は領主を頼る為に街道を進むだけ。そうすれば、或いはこの少女を救えるかもしれない。
「見えた……っ」
 闇の中に浮かぶ、僅かに薄い闇。常人には気付けない明度の差から、森の出口を悟る。
 一息に駆け抜ける。壁のような左右の樹が消える。現れるのは、雲に覆われた空。
 闇から闇に出た。
「っはぁ!」
 足を止める。まだ走れる。なのに足は震えていた。
「こんな時にっ!」
 膝を叩きつけ、頭を上げる。見えたのは馬車。
「こんな所に……?」
 何故、馬車が。いや、それよりこれは天の助けかも知れない。
 乗せて貰えれば自分の脚より速く、領主の下へ向かえる。
 幌の中で野宿をしているだろう主に声を掛けようと歩み寄る。
「大丈夫なのか?」
 背から、声。心配そうに少女が呟いた。
 言われて気付く。先回りした追っ手かもしれない。気付いて身が強張る。一度は止まった震えがぶり返す。
 その時、風が吹いた。
 風は雲を運び、雲の切れ間を作る。
 そうして月が夜空に曝された。
 月光に浮かび上がる。馬車の傍らに佇む人影。
 朧気な人影は女性のものだった。
 その姿は段々とはっきりし、少女の姿を象る。
 そして、少女は言った。
「君、如何にも普通じゃないけどさ……」
 笑みを浮かべ。
「君は敵かな?」

 ***

「君は敵かな?」
 雪姫は、森の向こうから現れた人影に向かって言った。
 丁度、雲の切れ間から月灯りがその姿を照らす。
 自分達と同年代だろう。
 どことなく、初めてとは思えない雰囲気を感じる少年だった。
 その背には、まだ十にもなっていない、精々が七つか八つの幼い少女。
 二人とも何かに怯えているようだ。
 少なくとも自分と、それ以外の何かに。
513伊南屋:2006/11/26(日) 21:12:43 ID:OZntjXEf
 答えない少年に、再び雪姫は尋ねた。
「君は、敵なのかな?」
「……それはこっちの台詞だ」
 強がり。雪姫には分かる。その態度が虚勢だと。しかし、だからと言って油断することはない。気を抜けば、急鼠猫を噛む。手痛い反撃を喰らいかねない。
 何故ならば、少年の怯えた雰囲気とは裏腹に、佇まいには隙がない。闘いと言うものを知っている者の姿だ。
 ならば虚勢はそうと悟らせる芝居。油断をさせる構えか。
 故に雪姫は穏やかに応えた。
「多分、敵じゃないと思うよ。私達はここの領主に仕事で会いに来ただけだし。昼間、山賊だか傭兵だかに襲われたから一応警戒してるんだ」
「山賊……?」
「分かんないけどね。事実としてあるのは、私達が襲われたって事だけ」
 少年はしばし思案して問いを返した。
「その中に、無駄にえばり散らした奴と両腕にガントレットをしたデブを見なかったか?」
「随分な言い方だね。……見てないよ。少なくとも私達を襲った連中にはね」
「そうか……」
 再び思案に耽ろうとした少年を、雪姫は制する。
「今度はこっちの質問に答えてよ」
「……答えられる事なら」
「うん、じゃあ追われてるんだよね? なんで追われてるの?」
 少年は背負った少女を振り返る。暫くそうして考えたのだろう。再び雪姫に向かい答えた。
「悪いが、答えられない」
「う〜ん、そっか……。じゃあ理由は良いとして、誰に追われてるの?」
「悪いがそれも……」
「困ったな〜。こういう時に雨が居れば効果的な質問が出来るんだけど」
 呟きながら腕を組み頭を傾げる。
「ん〜……じゃあ名前、名前は? あ、あたしはね雪姫って言うの」
 少年は一転して無関係になった質問に目をぱちぱちさせた。
 余程拍子抜けしたのか口まで開いている。
 少女は自分でそれに気付き、慌てて表情を引き締めた。
 そうして、少年はようやく質問の答えを一つ答えた。
「俺は、真九郎。紅真九郎だ」

 ***

「紅真九郎くんか……」
 雪姫と名乗った少女は真九郎をまじまじと見つめながら呟いた。
 その視線にどこかくすぐったいものを感じてしまう。まるで品定めされているようだとも思う。
「それで、その娘は?」
 視線が真九郎の背後に移る。肩越しに少女達の視線が絡んだ。
「真九郎、降ろしてくれ。このまま名乗るのは失礼にあたる」
 その言葉に従い、背中から降ろしてやる。しっかりと確かめるように足を踏み締める。
514伊南屋:2006/11/26(日) 21:16:09 ID:OZntjXEf
 彼女はずっと負ぶわれていたので久方振りの地面なのだ。
「しっかりした娘だね」
 微笑みを浮かべる雪姫。その一瞬、真九郎はあることに気付く。
「私は……」
 今まさに名乗らんとする所を、真九郎は遮った。
「こっ、この娘は俺の妹で紅……紅紫だ」
「真九郎?」
 振り返り、訝しげな表情を浮かべる少女に、真九郎はしゃがみ込み耳を寄せる。
「……お前の名字は出さない方がいい……」
「……相手は悪い人間ではない。真九郎も分かるだろう?」
「……それでもだ。お前が九鳳院の人間だとは悟られない方がいいんだよ」
 真九郎の言葉に一応の納得をしたのか、紫は不承不承頷く。その渋い表情も一瞬で消し去り、改めて名乗った。
「紅……紫だ」
「紫ちゃんか、よろしくね?」
「……よろしく」
 雪姫と紫、互いに微笑みを浮かべる。割とこの二人、仲良くできそうだ。
「さて……次の質問と行きたい所だけど」
 雪姫が言った。
「ちょっと長話が過ぎたかな?」
 言葉と同時、気配。
「なっ……?」
 気配の数は、二十前後か、取り囲むように配置され逃げ場はない。
 驚くべきは今の今まで存在を察知させなかった手腕。一人一人が手練であると分かる。
「山賊まがいの傭兵に、隠密暗殺部隊。どうやら予想は私が当たったみたい。……嬉しくないけどね」
 雪姫が真九郎には分からない言葉を漏らす。溜め息を一つ吐くと馬車の中に居るらしい仲間を起こす。
「起きて! ジュウ様、円! 敵襲!」
 中に声を掛けると真九郎の方へ向き直る。
「紫ちゃんを馬車の中に!」
「あ……ああ!」
 急ぎ、紫の手を引き馬車に駆け寄る。辿り着くと、馬車の中に紫が引き込まれる。
 入れ替わりに出て来たのは、金髪の少年と、ショートカットの少女。
「……誰?」
 本当に眠っていたのか疑いたくなる程はっきりと少女が雪姫に尋ねる。
「説明は後、こいつら片付けてからね」
「また、戦うのか……」
 金髪の青年はいかにも起き抜けといった風情で、欠伸を噛み殺している。
「ほら、しゃんとする!」
 雪姫に言われ、背筋を伸ばした少年に、真九郎は何か近しいものを感じた。
 似た者同士の共鳴というか、とにかくそういった物を。
「さあ、来るよ!」
 雪姫の声に、真九郎は身を緊張させる。
 包囲の輪は狭まり、戦闘態勢は完成している。
 刹那の静寂。
 風が吹いた。
 それを合図にそれぞれが駆け出す。
 闘いが、始まった。
515伊南屋:2006/11/26(日) 21:22:18 ID:OZntjXEf
 毎度、伊南屋にございます。

 いやね、こんな早く書けんなら書けよって話ですよ、はい。
 今回で紅キャラ二人が登場しました。多分これからも増えます。あのキャラをあのポジションでみたいなのは考えてありますんで。

 なんとなく半端な所で切れましたが本日はここまで。
 それではまた、と言うことで。
 以上、伊南屋でした。
516名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 21:26:29 ID:aLCbOCds
主人公二人揃い踏みか。確かに女難の相は相通じるものがあるなw
とまれGJですた。
517名無しさん@ピンキー:2006/11/26(日) 21:44:10 ID:HuwhqZrJ
電波と紅の世界間の時間軸ってどうなってるんだろ。
俺の妄想では電波は紅の10年後ぐらいの話だと思ってるんだが、何となく。
もしそうだとすると紫は17歳の女子高生。
で、真九郎は26歳。
………………これはアリか?いや、アリだな、うん。



アリだよな!?
518502:2006/11/26(日) 22:51:44 ID:pThyoOw+
俺の考えだと15年くらいかな?
真紅郎が紅花に「お子さんはどうですか」的な話しをしていたからジュウが産まれてそんなに経ってないように思える。
でも産後そんなにないならないで色々と小さな矛盾が出てくるし…………作者よ!!早く「電波」と「紅」を繋げてくれ!!!!
519名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 02:35:29 ID:+EHVK97V
授業参観がどうとかって話してなかった?
だから「紅」時、少なくともジュウ様は小学校には入ってるんでは。
光と円の道場(?)のこともあるし。
まあ「紅」は二冊共一度通読したきりなんで記憶あやふやだけど。

というか、何で当たり前のようにジュウ「様」なんだ自分。
まあでも珍しいことじゃないよね。
520名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 02:38:05 ID:+EHVK97V
いけね、書き忘れ。連投失礼。

伊南屋さん、例によってGJです。
やっぱり楽しいなあこれw
521502:2006/11/27(月) 07:10:06 ID:dWdj+4dU
そうすると、紫とジュウが同い年の可能性が高いな〜
522名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 07:55:05 ID:WUjO6jtg
俺も同い年だと思ってる
理由は
・環さんのセリフで道場に光と円が通っている→早くて小学校低学年。これは紫と同じくらい。
・先述の通りジュウ様も父兄参観がある。
・電波に転校生などとして紫が出て来て欲しかったりする。
上記の理由で推理した。
523502:2006/11/27(月) 12:17:46 ID:dWdj+4dU
紫が転校してきたりするってことは、騎場さんも必ず登場するってことじゃない?かなり面白そうw
真紅郎が26って銀子も26…夕乃が27…さて、「紅」メンバーはどうなるんだろ………
524名無しさん@ピンキー:2006/11/27(月) 16:06:15 ID:rx+7ZwsW
そういう話は
片山憲太郎 「電波的な彼女」 「紅」12人目
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/magazin/1161064335/l50
でやろうじゃないか。
525502:2006/11/28(火) 06:58:32 ID:OzfsVxP5
スマソ
526名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 02:39:12 ID:rVRPp7V4
>>524
しかし、高校生真紅郎と小学生電波三人娘や、
社会人夕乃さんと高校生ジュウの絡みとかの話題はこっちじゃ無理だ
527名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 08:45:44 ID:cjAEeiUo
そうかなあ。
あの本スレは結構何でもありな印象があるよ。
(本気かネタかはこの際措いても)おおっぴらに幼女ハァハァもしてるし。

偉く伸びてると思ったら荒れてたりするし、そう云う意味では、
(ちょっと話ズレるけど)少なくとも自分には、
こっちの方が落ち着いててマターリ色々話せる感じがするんだけどなあ。
528名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 08:51:03 ID:SgISV+pq
同意
529名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 19:38:18 ID:IkS3VtKa
>>572
だがスレ違い
530名無しさん@ピンキー:2006/11/30(木) 20:05:01 ID:MkpZZIky
別にいいんじゃないの?
伊南屋氏のSSで電波と紅のキャラが共演する事になって、要はその延長線の話題なんだから
531名無しさん@ピンキー:2006/12/01(金) 19:16:32 ID:x3Vj2Vfn
そんな事より、皆でwktkしてようぜ。
532名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 21:15:12 ID:f9MfJ/8K
土日なのに誰も来なかった件について
533伊南屋:2006/12/03(日) 21:37:36 ID:7YYS353k
 五月雨荘。そこは世間から隔絶された異空間。
 まるで、そこに住まう者を隠すかのように存在する、不可侵の領域。
 世と地続きであり、世と関係しない場所。
 なればこそ、そこでは背徳が侵されるのか。
 人の目の届かぬ、禁裏のような場所。ここはそういったものなのかもしれない。

紅・異伝『宵闇』

 紅真九郎は、幼女趣味ではない。それは真九郎自身が下した自己評価であり、事実として、幼い少女に劣情を持つ事はなかった。
 それは過去形で表される事実。即ち、かつては。の話。
 その、かつての自分。ほんの数週間前の自分が、今の自分を見たらなんと思うか。
 下劣、畜生、汚物。
 どんな悪口雑言でも足りない。
 殴り、蹴り、襤褸雑巾のようにしても足りない。
 自分は、守ると決めた少女を、この手で穢した。
「しんくろぉ……」
 仰向けに横たわる自分、その胸の上から声がした。
 目をやれば、蕩けたような表情の紫がいる。
「紫……」
 その頬に手を添えると、紫はその指先を、可憐な淡い唇に挟み、舌を這わせた。
 ぞくりとする感覚。
「ん……」
 微かな声を漏らし、紫が身体を上下させる。
 それに合わせ、真九郎の下半身に熱い快感が広がった。
 姿勢だけ見れば、跳び箱に失敗し、それでも箱を越えようともがく姿に見えなくもない。
 しかし、それは違う。
 一糸纏わぬ互いの身体は、性器で繋ながれている。
 紫が身体をくねらせる度、接合部からは粘着質な音が真九郎の耳に届いた。
「紫……苦しくないか」
「大……丈夫だ。はぁっ、しんく……ろ」
 言葉の中途。ぐい、と腰を押し上げる。真九郎の男根が紫の身体にねじ込まれ、狭すぎる膣道を押し開く。
「かはっ……! あぅあ……っ」
 悲鳴のような声。
 悲鳴では、ない。
 証に、奥深くを貫かれた紫の顔は淫らに崩れている。そこに痛みに耐えるような表情は見てとれない。
 長い黒髪を振り乱しているのは苦痛だからではない。
 自分の内の快楽に打ち震えているからだ。
 ただでさえ狭い紫の膣口が、きゅうっ、と切なく締まる。
 真九郎はきつく締め上げられる感覚に腰を震わせた。
「真九郎……きもち、い……いか?」
 途切れ途切れに紫が尋ねてくる。蕩けた瞳は真直ぐに真九郎を見つめてきた。
 真九郎は問いには答えず。紫の、わずかな膨らみもない、まさにまな板のように薄く平坦な胸を愛撫した。
534伊南屋:2006/12/03(日) 21:39:41 ID:7YYS353k
 膨らみはないので、乳房と身体の境目がない。故に性感帯としても未発達なその部分の中、唯一敏感な部位である乳首に触れる。
 既に堅く凝った乳首を指先で捏ね回し。時には摘み上げる。
「ひぁうっ!」
 軽く摘む度に紫の身体がびくびくと跳ねる。
 ここまで淫らで敏感な反応を見せる紫が、少し前までは痛みを訴え、泣き叫ぶだけだったとは思えない。
 そうしたのが自分であると分かっていながら、紫の変化に驚いてしまう。
 無理矢理に組み敷いて以来、何度も身体を重ね、その度に紫は淫欲に目覚めていった。
 今では自ら求め、こちらに快楽を与える程に。
 今も、先に色欲を訴えたのは紫からだった。
 その細い指を真九郎の股間に這わせ、欲しいと呟いた。
 真っ赤な顔に期待を浮かべる紫は、どうしようもなく真九郎の興奮を誘ったのだった。
 そうして気が付けば紫と繋がっていた。抱き合い淫蕩に耽る。
「しんくろぉ、しんくろぉっ!」
 紫が、一体何度目だろう身を痙攣させ、絶頂の近付きを報せてくる。
「イキそうなのか?」
「あ、ぁ……イク、イクぞ、しん……くろぉっ」
 淫部から伝わる痙攣は更に激しさを増し、真九郎も同時にと、絶頂を誘う。
 断続的に収縮を繰り返す紫の中に、欲望をぶちまけたくなる。
 真九郎はそのために、腰の突き上げを強めた。
「くぁっ……あぁ、ひゃ! しんくろぉ、しんくろ……う。もう……ひゃう!」
 びくん、と紫の身体が大きく仰け反る。全体を震わせ、絶頂した事を伝える。
 真九郎はそれを見届けると、堪えていたものを吐き出した。
 紫の膣中に盛大に白濁を注ぐ。びゅくびゅくと跳ねる肉幹を、あっと言う間に満杯になった膣中から逆流した精液が伝い、白く染める。
「あは……っ、ぅぁ」
 天を仰ぎ見るように身を沿った紫が快感に浸る。
 愛する男に満たされる悦楽に陶酔し、その幼い身体で真九郎の欲望を受け止めた事を悦んでいる。
 紫は身体が落ち着いたのか、視線を自らと、真九郎の下半身に向けた。
「たくさん出したな……真九郎」
 接合部から溢れる精液を指先で掬い取り、指先に絡めそれを舌で舐めとる。
 わざわざ見せびらかすように、ゆっくりと舌先で絡めとる。
 わざとらしく卑猥な音を立て啜る。
 そんな紫の仕草に、またどうしようもなく、自分の獣が哮るのを真九郎は感じた。
 自らの身の内で硬さを取り戻している真九郎に気付いた紫が、結合を解く。
535伊南屋:2006/12/03(日) 21:47:28 ID:7YYS353k
 栓が抜けた秘穴から、ごぽりと精液が零れ落ち、真九郎の幹を更に白くまぶす。
「ふふ……真九郎の、まだ硬いな」
 幹に、紫の小さな手が添えられた。真九郎の白濁液をローション代わりに、亀頭を撫で回す。
 紫の手が、亀頭を這う度にぬちゃりと淫らな水音がした。
「今度は直接口にくれ、真九郎を……」
 言って、紫は身を屈め真九郎のそこへ唇で触れた。
 薄いピンクの唇が開かれ、真九郎をそこへ受け入れる。
 浅く、小さな紫の咥内には亀頭までしか収まらない。
 それでも紫は真九郎に快感を与えようと細い舌で精一杯に舐る。
「うっ……」
 射精直後の性器は、はしたなく快感に打ち震えた。真九郎は声を上げ悶える。
「ひもふぃいいは?」
 口の中に真九郎を含んだまま紫が尋ねてくる。
 真九郎は頭を撫で、頷く事で応えた。
 紫が嬉しそうに表情を綻ばせる。
 その無邪気な表情と、行動のギャップに、紫の猥雑な痴態が引き立ち、一層真九郎を興奮させる。
 この分なら、遠からず絶頂を迎えそうだ。証拠に、すでに射精感が込み上げ始めており、下半身を疼かせている。
 紫は口に収まらない竿の部分を両手を使い扱き立て、時折睾丸へのマッサージを交えてくる。
 全て真九郎が教えた事だ。それを忠実に実行し、責め立てるように射精を促す。
「んちゅ……ちゅぴ、ちゅぱっ……んふぅ。ふむっ、ん」
 舌の動きも激しさを増し、紫の口の端では先の精液が泡立っている。
 真九郎は自身がどうしようもなく昂ぶっているのを感じていた。
 背徳を犯すスリルに全身を粟立つような悦楽が走る。
「紫……紫っ」
 限界だった。腰が跳ね、白濁を撒き散らす。急に押し上げられた肉棒にえずき、紫が口を離した。
 そこへ真九郎の精液が浴びせかけられる。紫はそれを恍惚の表情で受け止めた。
 頭頂、顔面、胸元、腹部、太股、脹脛。文字通り、紫の頭から爪先までが真九郎の粘液に白く染められる。
「あは……」
 紫が、笑った。
「たくさん、たくさん出たぞ真九郎……ぜんぶまっしろだ」
 紫が身体に振りかけられた精液を指先で伸ばし、自らに擦り込むようにした。
 矮躯が余すことなく子種汁を浴び、ぬらぬらとぬめる。
「しんくろおの、匂いでいっぱいだ」
 妖しく微笑む紫は、到底七歳とは思えない、魔性とも言える色香を発していた。
 再三、真九郎の雄が哮る。
 紫色の宵闇が近付いていた。
 狂宴はまだ、終わらない。
536伊南屋:2006/12/03(日) 21:51:38 ID:7YYS353k
 毎度、伊南屋にござい。

 続かないし前日談もない。ただ紫のエロネタがやりたかっただけ。なんか暗くなってしまったのは自分では反省点。
 次に紫ネタやるときはもっとラブがコメしたものを書きたい。
 つうか文体の硬さに未だ引っ張られてます。

 というわけで今回はこれにて。
 今は頑張ってバトルシーン書いてます。そろそろ投下したいなと思いつつ、以上、伊南屋でした。
537名無しさん@ピンキー:2006/12/03(日) 22:07:41 ID:cENxDD2R
GJ!!!っすよ伊南屋さん!
紫は紅で一番好きなキャラなんでことさらGJです。ハイ。
538497:2006/12/03(日) 23:28:08 ID:HXPs6qsf
>>497の続きを一つ

 「意外と片付いてるのね」
 というのが、まず自分の部屋に入った彼女の第一声であった。そしてジュウはそれに対して沈黙をもって答えた……
と言うよりはまだ事態の展開に頭がついて行かなかったのだが。
 とりあえず落ち着こう、とジュウは微妙なムズ痒さを感じさせる頭の包帯を手の平で擦りながら軽く目を閉じた。
 今日あった事を思い返す。円&不良達との遭遇。乱闘。一撃。出血。ハンカチ。膝枕。仄かに香る優しい匂い。
美しい顔……。
 (違う違う)
 脇道に逸れそうになった思考に、思わず首を左右に振る。まとまらない思考に、不意に外界からの声が割り込んだ。
 「どうしたの?」
 思わず目を開けると目の前に円がいて、そっとこちらの額に細く白い指を当てる所だった。
 「まだ痛い?」
 「いや、ちょっと痒くて」
 「そう。だからって掻いちゃダメよ」
 へどもどするジュウに対して円の方は平然としてそう言い置くと、
 「お茶、いただくわね」
 返事も待たずに冷蔵庫から麦茶を、水屋から白いコップを取り出すと悠然と喉を潤した。
 半ば呆然と意識を飛ばしながらその様を見つつ、ジュウの脳裏には先程の事が蘇っていた。
 すなわち病院へと二人揃って入り、何やらお偉い方に直接話をしたらしい円に紹介された篤実そうな中年の医師から
丁寧な検査を受け、一先ず何事も無く治療を終えた後に連れ立って院外へ出ると、折しも晴れ渡っていた空の向うから
一面雲涌き立って天上を覆わんと近付きつつあった。それを見たジュウは、とりあえず舌打しながら家に向かって走ろ
うという決意を固めたのだが、そこで円が自分の折り畳み傘ならば二人入っていける、と言い出したのだ。それでは相々
傘ではないか、とジュウは固辞したが、とりあえずジュウの家まで送ると言う円に遂に押し切られ、今又何故か家の中まで
済し崩しに進入を許したのは全く激しい夕立に後押しされた勢いの為としか言い様が無い。
 だがそもそもあの円が膝枕をしたり、相々傘を勧めたり、ましてやこうして自分の……男の家に自ら上がり込んだりする
等とはそもどうした事か、という事にジュウは今更ながら大いなる違和感と疑問を抱かざるを得なかった。その違和感を
どのように伝えれば良いものか、と考える内にこのような事態にまで至った事は最早どう思っても詮無い事ではあるが
さて事ここに至っても彼女の目的がイマイチよく判らない。
 よってこれからどう対応すれば良いのやら、困り果てて見つめた円の横顔には、何も浮かんではいない。
 感情も表情も、ただ無機質な仮面の内側へと押し込めてまるで何かを待ってるような表情で、じっと窓の向こうを見て
いる。何故かその姿に訳の分からない悪寒を感じて、一つ身を震わせる。
539497:2006/12/03(日) 23:29:30 ID:HXPs6qsf
 「これじゃあ帰れないわね」
 「……通り雨だろ。すぐ止むさ」
 二人の間の沈黙に、ざあざあと壁一枚向うの雨音が侘しさを添える。
 もし二人の関係がもっと違うものならば、これもまた別の感慨をもった沈黙となるのだろうか、と益体も無い事を考え
ながらしかしこれ以上気の無い息苦しいような受け答えを続けるのは御免蒙りたかったので、ジュウはシャワーを浴びる
事にした。
 円が濡れないように、と気を使って傘を相手側に傾けていた為、ジュウの肩は一方だけとは言えかなり雨を被ってしま
っていた。濡れて肌に張り付くシャツが気持ち悪い。着替えを取って浴室へ向かいながら、雨が止んだら勝手に帰って
くれていい、と円に向かって言う。
 彼女は、どこか霞でもかかった様な曖昧な瞳で、こちらを見るとも無く見ると、こっくりと頷いた。
 それでジュウは安心したのだが。

 蛇口を捻ると冷たい水が噴射される。時間をおいて徐々に温もるのを待って、ジュウはそれを肩から浴びた。汗と、雨と
重苦しい空気すらもかけ流して、冷えた身体の内側まで染透っていくような熱にほうっと溜め息をついて、ジュウは頭から
それを浴びたくなったが、生憎とまだ包帯は巻かれたままだ。勝手に取ると円が怒るだろうな、と思って、苦笑した。
 今日の“らしくない”彼女には戸惑ったが、なんだかんだと言っても、自分の身体を心配してくれているのだからやはり
いい奴だな、と思う。男嫌いだと言うし、実際自分に対する普段の態度も冷淡極まりないが、それでもただの嫌な奴では
ない。むしろ自分よりも余程上等な人間だろう。強くて、聡明で、やや鋭利過ぎるものの凛とした美貌は男女問わずに誰
の目をも引く。雪姫にせよ雨にせよそうだが、何故そんな彼女等が何故自分といるのか、ジュウにはどうにも理解し難か
った。他人を惹き付ける魅力、そういった物が自分にあるとすればそれはなんだろう?
 「馬鹿馬鹿しい」
 再び苦笑。そんな物はある訳が無い。雨は妙な妄想からくる思い込みが高じての事だろうし、雪姫はただの面白半分だ
ろう。いずれは消えてなくなるものなのだ。では円は?彼女とはより何も無いようにしか思えない。二人に対する付き合い
の内なのだろうか?
 「柔沢君」
 陰鬱な思考を切り裂くような鋭い、しかし平静な声が浴室の扉の向うから響いてきた。
 「円堂、雨止んだのか?勝手に帰ってくれて構わないって言ったのに」
 模糊の海から意識が突如引きずり出され、ジュウはハッと我に返って問い返したが、続く言葉に絶句した。
 「私も一緒に入っていい?」
 唖然としたジュウの眼前で、濡れた扉が開き、そして止める暇もあらばこそ。
 漂う湯煙の中に、白い裸身が浮かび上がり、こちらに一歩を踏み出した。


<続く>
540497:2006/12/04(月) 00:06:07 ID:FW3HBOQ5
書き忘れてたが伊南屋さんGJ
ロリーはいいよウン
541名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 06:40:03 ID:4HK5d/1K
なんでそんな良い所で切りますか(*´Д`)気になるぜチクショウ
542502:2006/12/04(月) 08:13:29 ID:IPD2QJs7
伊南屋さん、497さん、本当にGJ!!乙です!!
543名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 09:07:55 ID:yh1rL60k
とうとう紫が来ましたか……イヤやっぱ伊南屋様は神っす!
あんだけダークなのも、いくら相思想愛でも7歳をヤッたら(無理矢理)暗黒面に墜ちるよと納得 
 
そして497氏。寸止めとはやってくれるぜコンチクショウ! 大人しくお待ちします。全裸で。
544名無しさん@ピンキー:2006/12/04(月) 18:16:31 ID:KtEmE+Eg
>>540
GJ。もー最高。
焦らしと言うか、ジュウの微妙な心理が非常にイイんですが、ここで切る貴方は鬼か悪魔か(w
545名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 02:14:50 ID:Os6II47Y
夕乃分が不足してきた…
546497:2006/12/07(木) 19:21:54 ID:H3JPZtxU
どうも、また半端な所で切れてしまいますが、次回こそは多分終わりですんで。
それでは本編をどうぞ↓


 視覚情報が脳に伝わってからジュウが行動に至るまでに一瞬ならず間があったのは単純に驚きのためかと言われ
れば、そうとばかりも言い切れない。つまりは、眼前にたおやかな裸身を晒す円に慌てて背を向けたジュウの視界には
その直前まで確かにその全てが捉えられていた。見とれていた、と言い換えてもいい。
 白く、内側から自ら輝きを放つような瑞々しい肌。あの強烈な蹴りを放つそれと同じとは思えないように、スラリと伸び
た長く細い脚。長身痩躯、とは言っても、骨の浮き出るようなという程ではなく、また逆に見るからに筋肉質という事でも
ない、むしろ女性らしい丸みを胸や、腰から下に帯びさせたままでその他無駄な肉を一片までも削ぎ落としたような、
芸術的なまでに完成度の高い姿態は、胸の先の薄桃色や品良く黒々と生え揃った下腹部の茂みも含めてジュウの目
にしかと焼き付いていた。
 目を閉じてもその映像はより鮮明に蘇り、鼓動を五月蝿いほどに高め、また息は情けないまでに乱れた。あるいは昼
間に頭部に喰らった衝撃よりも強烈かも知れないインパクトが、舌をも縺れさせる。
 「なっ……、どっ……、おま・・・・・・!?」
 「もうちょっと落ち着いたら?何言ってるか分からないわよ」
 むしろなんでお前はこの状況でそんなに冷静なんだ、とジュウは悲鳴を上げたかったが、生憎と声にはなってくれ
ない。とりあえず搾り出した言葉は
 「……なな、何を?」
 という全く意味する所の汲み取れないものだったが、円は理解したらしく事も無げに言う。
 「私もシャワー借りたくなったの」
 「俺が出るまで待てよ!」
 「一緒に入った方が節約になるわ」
 至極当然のように答えると、二の句の継げないジュウを尻目に悠々とシャワーを浴び始める。
 浴室はそれ程狭くはないが、二人で入っても十分なほどに広くもない。よってジュウの背にも時折円の身体が僅かに
触れることになる。ジュウはその度にビクリと大袈裟なほどに身を竦ませて、なおも混乱を深くした。
 なんだこれは、なんでこんな事を。俺に見られる事は何とも思ってないのか。答えの出ない自問はひたすらに堂堂
巡り。そんなジュウに
 「早く体洗ったら?」
 円が呆れたように言う。その言葉に、彼女が今自分の裸の背を見ているのだと思い至って、突如堤防の決壊するよう
にこの状況がどうにもたまらなくなったジュウは、円の方に顔を向けないようにしながら
 「お、俺、もう出るから」
 ドアノブに伸ばしたジュウの腕を、横から伸びた手が押さえた。
 思わず振り向いてしまったジュウの目の前に、自分とあまり変わらない身長の円の顔があった。
 「ダメよ」
547497:2006/12/07(木) 19:22:55 ID:H3JPZtxU
 幸いにもと言うべきか、近すぎて見ようと思わなければその顔以外の部分は視界の外にあったが、こんな間近で全裸
の円に見つめられる、という状況自体がもうジュウの羞恥心に対する負荷の限界を超えている。目を逸らす事も出来な
いままに、後ずさりつつ何とか言い訳を試みる。
 「いや、お前が出た後でもっぺん入る事にするから……」
 「そんな事してたら風邪ひくわよ」
 ジリ、と腕を掴んだまま円もこちらへと近付く。
 「い、いやあの……」
 また一歩を下がり……と、そこでタイルに足が滑る。
 「おわっ!」
 「……っ!」
 仰向けに倒れるジュウを追うように、その腕につられて円も倒れかかる。咄嗟にジュウは、自分の体を下敷きにする
ように彼女の体を引き寄せた。一瞬の浮遊感の後、背と後頭部とが床と壁に打ち付けられる。
 「痛う……」
 「大丈夫?」
 心配そうに声をかける円に、ああ、と返そうとして思わずジュウは固まった。
 上半身を起こしてジュウの頭部にそっと繊手を這わす円。彼女は包帯の巻かれたそこを気遣っての事だろうが、二人
の現在の体勢・位置的に、頭だけを起こしたジュウの目の前には、大きくはないが形良く整った二つの白い膨らみが
迫って見える。腹には重みと共に、水分を含んでしっとりとした柔らかな太腿と、くすぐったいような恥毛の感触。
 「少しこぶが出来てるわね。血は・……どうしたの?」
 ジュウの態度を不審げに見て取って尋ねた円は、そこで初めて彼の目線の先に気付いたらしくそっと体をジュウの
上からどけると
 「あ、いや。これは……」
 「柔沢君」
 何やら真っ赤な顔で言い訳を始めようとしたジュウを冷然とした一言で押さえ、すっと視線を横に滑らした。
 「立ってる」
 隠すものとて無い全裸で横たわったジュウの体の一部は、あまりにも明らかな自己主張をしていた。無理も無い。
ジュウとて健全なる青少年である。今までは驚きと混乱が先に立って気にしている余裕など無かったのだが、それが
こうして円と密着してしまった事でその感触に反応してしまったものと見える。
 理屈はともあれ、思わず隠す事すらも忘れてジュウは半ば絶望的なうめきを漏らした。終わった。何の事かは知れず、
とにかく自分は最早終わった。そんな感慨が浮かんできて、もうどうにでもしてくれ、という気分だ。
 「柔沢君」
 円が再び自分の名を呼ぶ。その顔はいつもと同じく冷静だが、頭から全身湯に濡れて光る姿は何か艶然とした物を
感じさせずにはいられない。そしてその姿で円は言う。
 「私と……したいの?」
 「え?」
 その意味を理解できずにいる間に、返事も聞かず彼女はジュウの体へと覆い被さってきた。
548497:2006/12/07(木) 19:23:25 ID:H3JPZtxU
 「なっ……ちょ、ちょっと待て!」
 恐慌に近い反応を示す示すジュウにも構わず、円はどうやったのか体重をかけて彼の動きを抑えると、そっと耳に
舌を這わせた。熱くぬめる感触が、弾けるような水音とともに脳の中へと入り込むような快感をジュウに与えてくる。
 「あぅ……んっっぐ、あ、や、止め……」
 ぞくぞく、と全身を震わせる快感に、抵抗の気力も体力も萎えていくのを感じたジュウは
 (拙い……このままじゃ……)
 そんな事を考えながら朦朧となる意識を必死に繋ぎ止めようとしたが遂に空しく、見る見る死んだように脱力し、荒い
息を吐くしか出来なくなった彼の首筋へと円の舌は下りていく。
 「う……ぁああ」
 そこから胸へ、そして腹へ、更に股間を迂回して足へと続く円の奉仕――それは正しく王に傅く奴隷の奉仕さながら
だった。ただ当のジュウからしてみれば拷問に近かったろうが。あまりの快感に、ジュウは危うく触れられてもいない
股間から放出しそうになった。だがその度に円は絶妙な加減でそれを到達させずに止めてしまう。
 「円堂……も、もう」
 「我慢できない?」
 こくり、と必死の思いで頷くジュウを流石に少し熱っぽく潤んだ目で見た円は、屹立した怒張にそっと根元から舌を伝
わせる。
 「うぁっ」
 それだけでジュウの身体はビクリと跳ねた。円は更に柔らかな手でそのものを掴むと、ゆっくりと上下させ、先を舌で
チロチロとくすぐる。熱を受けた蝋細工のように、自分の物がドロドロと芯から溶けていくような恐怖と相半ばする快感に
のたうち、最早息も絶え絶えになりながら、ふとジュウはかつて何とはなしに聞いた雪姫の言葉を思い出した。
 『ちなみにね、フフ、この三人の中に処女は三人います。さて誰でしょう?』
 そうだ。あの時雪姫は確かに円も処女である、という意味の事を言っていた筈なのだ。なのに、この手慣れたような
愛撫はどういう事だろう。雪姫が嘘を吐いた?いや、そんな意味の無い事をする彼女ではない。ならば円がそもそも雪
姫に嘘を吐いていたのだろうか。それも考えられない。意味が無い。そもそも何故円が自分にこんな事をするのだろう
か。いったい彼女は男嫌いだった筈ではないのか。
 分からない。何も分からない。
 「ん……ぷ、んぅ」
 やおら、円がジュウの物を口に含む。それだけで全身を快感が苛み、思考は千々に乱れた。ジュウの悲鳴に近い声
を聞いているのかいないのか、円はその染み一つ無い雪白の顔をゆっくりと上下させる。
 「はぷ……ん、ぅっ、ふぅっ」
 うっとりとした声を漏らし、目を閉じたまま自分の行為に没頭しているらしい円の横顔は、ぞっとする程に美しい“女”の
顔だった。だが、ジュウはそんな感想を述べるどころではない。先程にも倍するような快感。肉棒を苛む円の口中の蠢き
は、ジュウの弱点を全て知り尽くしたかのように的確で、苛烈だ。
 「円堂……も、もう……っ!」
 切羽詰った声を上げるジュウの声を切欠にしたように、円は口に含んだものを、より深く、根元までくわえ込んだ。喉の
奥まで突っ込まれた肉棒は、舌で、頬の粘膜で、嬲られ、捻られ、引き絞られる。最早ジュウに耐えられる筈も無かった。
 「あああっ!あぐっ、ん、うあぁ!」
 「んぅっ!んっ、んン……」
 爆発するような勢いで溜め込んだ欲望の塊を解き放つ。腰が抜けるかと思う程の、初めての他者の手による絶頂の
快感に放心状態のジュウの放出を全て受け止めたらしい円は、何度か喉を鳴らしていたが、ややあってゆっくりと顔を
上げた。今の手際にも似ず、やはりまた同じく惚けたような顔で座り込んだまま、呆然としている。
 荒い息を吐く二人の体を、シャワーの飛沫が叩いていた。

<続く>
549名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 19:42:04 ID:z7IGLvCI
なんてやらしい(*´Д`)
550名無しさん@ピンキー:2006/12/07(木) 21:53:29 ID:L7ouHhNm
>>548
GJ!GJ! 
一方的にやられっぱなしの光景がエロス。掴みづらいキャラである円の雰囲気もそれっぽくてイイ。
やっぱりジュウは翻弄される側ですな(w
551名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 02:08:45 ID:wutgwnxQ
GJ!
しかしなんでこんなにジュウ様は受けが似合うんだろう。
552名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 02:53:17 ID:OnMZMqq6
ジュウ様だからだよきっと。
553名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 07:24:44 ID:YNtS4XcS
男に対してはS
女に対してはM
こんな感じじゃね?
554名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 08:14:43 ID:chM1+zEX
>>553
> 男に対してはS
でも、草加に虐められたり伊吹に殴られたりと男相手にも散々だったぞ
555名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 14:01:12 ID:RygT8ECx
やっぱアレじゃん?自称不良なのに女の扱いがぶっきらぼうで純情だから、苛めがいがあるというか…… 
 これが真九朗とかなら。ヘタレとか甲斐性無しとか言われそうなのにそうならないのがジュウ様ですw 
 
 まぁ電波的な彼女の真のヒロインはジュウ様っつー事は周知の事だろうしな
556名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 16:09:50 ID:chM1+zEX
それは無論デフォです
557名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 20:55:11 ID:RygT8ECx
感想書き忘れてたぜ。スマソ
GJっす497さん!やっぱジュウ様は女性に苛られて赤くなるのは最高です!
……ってかここで止めですか!相変わらず寸止めが好きな方だせw だが待つ!裸で
558名無しさん@ピンキー:2006/12/08(金) 22:31:59 ID:Ap4a3rG1
もうそろそろ風邪ひくぞw
559伊南屋:2006/12/09(土) 13:38:53 ID:p5PvNOIM
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』

Y.
 人の何かが切り替わる瞬間というものがある。
 真九郎はかつて、それを見た事があった。一人の少女が刃を持った瞬間、それは起こった。
 人という存在の特異点。あれは世の中にある“そういったもの”の一つだった。
 なればこそ、二度と見る事は無いだろうと、そう思っていた。
「雪姫、抜いて良いぞ」
 金髪の少年の一声。それを聞き、雪姫は腰に差した倭刀を引き抜いた。
 刹那、まるで氷水に叩き込まれたかのように全身が粟立った。襲撃者すらその足を止めてしまっている。
 雪姫から噴き出す、圧倒的に濃密な空気。真九郎はそれを知っていた。
 それはかつて、“あの少女”が放っていたものと全く同質のものだった。
 人の持つ負の感情の中でも、最も昏く忌避される感情。
 それを、殺意と言う。
 他者の命を蔑ろにし、奪い、棄てる。その明確な意志。
「斬島雪姫、参る」
 初めて聞く雪姫の氏。それは“あの少女”と同じ氏だった。
 刃を扱う為に存在する、斬島切彦という、あの少女と同じだった。
 全てが、同一。酷似した存在。
 雪姫は悪辣な笑みを浮かべた。
 人の全てを否定する笑み。
 そこに来て、襲撃者達は再び動き出した。雪姫に呑まれた空気が、再動する。
 次の一瞬、光刃が交差する。
 血が、糸を引いて散った。


「疾っ!」
 裂帛の声に合わせ、ジュウに刃が振るわれる。煌めく銀閃。それが弧を描く。
 ジュウはそれを、腕に填めた鋼鉄の小手で拳を放ち、受け止める。
 火花を散らせ、甲高い鋼同士の激突音が響いた。鐘を打つかのように鐘音が鳴り渡る。
「うおぉっ!」
 弾かれた刃が再び振るわれる。だが遅い、遅すぎる。刃より速く、逆の腕で拳を握り渾身の一撃を襲撃者の顔面に叩き込む。顔の中心、鼻が砕かれ血糊を盛大に撒き散らしながら襲撃者の一人が無様な悲鳴を上げ倒れた。
 それを見届けたジュウが息吐く間もなく背後、更に一人がジュウに斬り掛かる。高速の大上段からの振り下ろし。刃が肩を深く抉る軌道で迫る。ちりちりと首筋を灼く緊迫感をジュウは感じた。
 反応したジュウが身を避わし、振り向こうとするも間に合わない。完璧な死角からの攻撃に身体が付いていかなかった。
 迎撃は土台無理と見たジュウは更に体を傾げる事で刃の軌道から外れる。
 軸のずれた体は辛うじて刃を掠めつつも逃れた。
 
560伊南屋:2006/12/09(土) 13:40:10 ID:p5PvNOIM
 掠めた刃はジュウの肩を薄く斬り裂いていた。血が俄かに噴き出し、ジュウの肩口を赤く染める。しかし、それをものともせずにジュウは体を建て直す。
 脚は地を強く踏み締め、崩れた体に力を漲らせ、直立させる。
「くっ!」
 力んだ事でジュウの肩口から更に血が溢れた。
 襲撃者の振り下ろした刃が、返す軌道で斬り上げに変わる。その刹那。
「これ以上、手前に斬らせる肉はねえ。だがな――」
 ジュウの口角が吊り上がり獰猛な笑みを象る。
「骨は二、三本貰っとくぞ」
 胴への拳。突き上げる角度で打ち込まれたそれは、肋骨を数本へし折り内臓に突き刺さる。肉の潰れる音が体内から漏れ聴こえる。
 内臓の潰された襲撃者の口からは鮮血が吐き出させれた。
「がはっ……」
 自らの吐いた血溜まりに襲撃者が沈む。
 それを見下ろし、ジュウは呟いた。
「まったく、肉を斬らせて骨を断つなんて、割に合わねえんだよ」


 円堂円は丸腰だった。騎士ならば持っているだろう剣も、今は馬車の中。
 しかし円は恐れていなかった。
 例え眼前に三人の襲撃者が居ても、それは変わらず、揺るがない。
 自らに対する確固たる自信と、襲撃者に対する如実な蔑み。
 前者は兎も角、後者は円の男嫌いから来る感情だ。
 それを感じ取ったのか否か、襲撃者に剣呑な気配が漂う。
「まったく……丸腰の女相手に大の男が寄ってたかって。刃物振り回さなきゃ戦えないの? これだから男なんて嫌いなのよ」
 それを挑発と受け取ったか、襲撃者達は色めき立ち、包囲の輪を縮める。
 じりじりと迫る襲撃者達に、円は横柄に言った。
「めんどくさいから早くしましょう。まとめて掛かって来なさい」
 その一言は致命的だった。
 弾かれた様に襲撃者達が円へ肉迫する。応じ、円も動いた。
 三人の内一人、その懐に潜り込む。
 その男には世界が回った様に見えた筈だ。
「あが……?」
 背に衝撃。見えた夜空に仰向けに倒れた事を知る。
 立ち上がろうとするも、出来ない。身体に力が入らない。視界が揺れ、酷い吐き気が込み上げた。
「脳を揺らしたわ。しばらくは立てないでしょう」
 そう言って円は冷めた瞳を男に向けた。
 円がしたのは単純な事。懐に潜り込み、掌で男の顎を撃ち上げた。それだけ。
 それだけの単純な事だが、簡単な事ではない。
561伊南屋:2006/12/09(土) 13:41:23 ID:p5PvNOIM
 目にも留まらぬ速さと寸分違わぬ正確さ、それがあって初めて、一撃で脳震盪による戦闘不能に陥れる事が出来る。
 まさに、達人の動きであった。
「――次」
 呟き。同時、円は再び動き出す。
 襲撃者は身構え、迎え撃つ一撃を見舞う。
 横薙の一振りを身を低くする事で避わす。大きく開いた胴へ、拳。
 鳩尾へ振るわれたそれは、柔らかい腹に抉り込まれる。
 ジュウの肉体破壊の一撃とは違い、この攻撃は内臓破壊の一撃。臓腑への衝撃に襲撃者は吐寫物を吐き散らし倒れる。
 身を痙攣させ蹲るこの男もやはり、一撃で戦闘不能。
 圧倒的だった。
 恐怖に身を竦ませる最後の一人に、円が一歩踏み出す。
「ひっ!」
 恐慌に陥った男は後じさる。
「……ここで捨て鉢になって掛かって来るならまだ救いもあったのに。――情けない」
 一瞬で男の顔面に円が現れる。少なくとも男にはそう見えた。
 身に戦慄が走る。
「だから男って嫌いよ」
 衝撃。それは恐ろしい苦痛を伴って、下半身から全身に伝わった。
「あ……っが!」
 円の膝が、容赦なく男の股間に突き刺さっていた。それだけならまだしも、ぐりぐりと穿っていた。
 男が泡を吹き、白目を向き倒れる。
 場合によっては金的はショック死すら引き起こす。
 こと男に対しては、最も残虐な攻撃であった。
 それでも円は終始変わることのない冷淡な表情で佇んでいた。
「……情けない」
 ――いや、こればっかりは無理です、流石に。
 その場にいた男が全員そう思ったのは言うまでもない。
562伊南屋:2006/12/09(土) 14:00:34 ID:p5PvNOIM
レディオ・ヘッド補足授業二時間目
「と言うわけで二時間目です」
「随分いきなりだな……」
「お気になさらず。では今回も一問一答で行きましょう」
Q.雨が電波一巻で前世は魔法や魔物のある世界と言っていましたが?
「そういやそうだったな」
「はい。これについては作者の責任です。しっかりと読み返していなかった為、忘れ去られていました。恐らくその内何事も無かったかのように世界がファンタジー化して行くと思われますね」
「良いのか、それ?」
「まあ未熟者だと思い流してあげてください」
「……そうか」
Q.ジュウと真九郎が同年代のようですが?
「作者は現世においてはジュウ、紫同年代説を推していますが作中においてはジュウ、真九朗同年代でやっていますね」
「なんでズレるんだ?」
「一応解説としては“決して転生のサイクルは一定ではない”と言うことらしいですね。つまり現世への転生はジュウ様の方が遅かったためズレが生じた。と言うことらしいです」
「なる程」
「それに作中より年を重ねた紅キャラだとクロス感が出ない。と言うのもありますね」
「演出上の理由か」
「はい」

「少ないですが今日はこの辺にしておきましょう」
「そうか」
「ちなみ補足授業は作品が進むにつれ何度か行われると思います」
「未熟者故……か」
「はい。なお本コーナーでは皆さんからの質問を募集します。質問には次回の補足授業で、答えられる範囲で答えますので遠慮なくして下さい」
「……なんの番組だよ」
「作者がバカですから、仕方ありません」

続く
563伊南屋:2006/12/09(土) 14:04:12 ID:p5PvNOIM
 毎度、伊南屋です。

 やっとお届け出来ましたレディオ・ヘッドY。今回は正確には前編になります。ですからバトルシーンは今しばらく続きます。と言っても次で終わりますが。
 慣れないバトル描写に悪戦苦闘しましたので、なんか変になってるかもしれません。その辺は平にご容赦を。

 というわけで今回はここまで、相も変わらずリクエストは募集。補足授業への質問ね。
 以上、伊南屋でした。
564名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 16:46:17 ID:iRw5sdPI
伊南屋さん、相変わらず上手いなあ。
俺も戦闘描写が上手く書けるようになりたい……。
565名無しさん@ピンキー:2006/12/09(土) 21:26:46 ID:d9XLitlS
ヤバいっす!サイコーっす!血沸き肉踊る感じでした!
しかし真九朗の戦闘は今回ありませんでしたね。こちらの真九朗はビビり癖があるか気になる所です……
あ、それと気になったというか早速質問なんですが。
ジュウ様は剣を執らないんでしょうか?己の拳のみで敵を薙ぎ倒すのもジュウ様らしくて好きなんですが……力強い剣で敵陣を走り抜く御姿を見てみたい気も……っていうか単なる要望ですねw……スイマセン
566497:2006/12/10(日) 20:36:07 ID:cVAdv5FO
 ……室内には出しっぱなしの放水の音が雨のように満ち、その合間に二人分の荒い呼吸音が混じる。ジュウはやや
あって、むっくりと身を起こした。体全体にまだ痺れるような快感の余韻が残っていたが、それが疲労感よりもむしろ己
が獣欲を掻きたてるのを彼は感じていた。その視線の向ける先は、いまだ稀にも見ぬような白痴のごとき顔で座り込む
少女、円。その、頼りなげに見えるほどの細身を、匂い立つような女の身体を、滅茶苦茶にしてやりたいと、彼の本能
からの叫びはそう言っていた。
 蒼白いほどの手首を掴むと、びく、と一つ震えてゆっくりとこちらを見る、その瞳。いつもはまるで鋼のような冷たく鋭い
輝きをもってこちらを射るそれは、いまや確かな熱を湛えて揺れている。それを見た瞬間にもうジュウは堪らなくなり、
そのまま円に覆い被さっていった。そしてそのまま床に組み敷いた円の柔らかい身体の、二つの丘陵へと己が指を……
 「や……」
 ほんの微かな、聞き逃してしまっても可笑しくないような声だったが、それは確かにジュウの耳へと届いた。頼りなげな
、儚い声。視線を上らして円の顔を見て、ジュウは頭から湯ではなく水を浴びた思いになった。
 円が、怯えていた。
 目を両手で隠して、瞑った口元は僅かに戦慄き、ギュッと身体を縮こまらせている。あの、円が。その様はどこか、叱
られた幼子をすら思わせるほどに弱弱しかった。
 みるみると、猛る性欲は己が分身と共に萎え、代わりに言い様の無い罪悪感が襲い掛かってくる。それはまるで信仰
する偶像を自ら汚したかのような、心深くまで突き刺さるような痛みであった。
 黙ったままで、身を起こし、背を向ける。気配で、背後の円が自分を見るのが分かった。どういう目で見つめているのか
、想像したくなくて、ジュウはただ、すまん、と一言だけを残して浴室を出た。

 着替えて自室に戻ったジュウは、ベッドに腰を下ろした。そしてそのまま、俯き、じっと動かない。電気も点けず、薄暗い
部屋の中でなお判るほど悄然たる顔で、ジュウはただひたすらに後悔と自己嫌悪に金縛りにあったように身動きも取れ
ず固まっていた。
 馬鹿野郎、何をやってる、なんで俺はあんな事を。何が王だ、何が騎士だ。ほんの僅かにあったはずの信頼を自ら踏み
躙るようなただのスケベでバカな猿じゃないか。救えねえよ、死んじまえ。
 ……冷静に考えればジュウが悪い訳は無く、普通に考えても全くしようの無い事だったのだが、円に酷い事をした、と
いう思いは、一切の理屈をも飛び越えてジュウの心をギリギリと締め付け、軋みを上げさせた。恐らくは良くも悪くもそう
いう部分こそがジュウのジュウたる所以なのだろうが。
 「……柔沢君」
 何時の間にか部屋の仕切りが僅かに開いて、逆行と共に円の顔が覗いていた。黒く影になってその表情はよく見えない
が、その声は微かに震えを帯びて、か細い。その声を聞き、恐る恐るといった様子で彼女が部屋に足を踏み入れた途端
、ジュウは立ち上がると頭を下げた。
 「すまんっ!」
 「え?」
 唖然とした呟きも耳に入らぬまま、ジュウは続ける。
 「謝って、済む事じゃないのは解ってる。お前の言う通りだ。俺は、お前や、雨達と付き合っていて良いような、そんな
人間じゃない。勘違いしてたよ。居心地が良くて、もしかしたらずっとこんな生活が続いていけるのかも知れない、なんて
そんな馬鹿な期待をさ……」
 「ちょっと待ちなさい」
567497:2006/12/10(日) 20:36:48 ID:cVAdv5FO
 何時の間にか、目の前まで近付いてきていた円が、呆れ返った声で遮ると、グイ、とジュウの肩を押して顔を上げさせ
る。薄ぼんやりとした明かりの中、ジュウのそれと相対した瞳は、既にいつもの冷たい輝きに戻っていた。いや、いつも
よりはよく見れば幾分か柔かい物を感じさせる。
 「おかしいでしょう。何故あなたが謝るのよ」
 「え、いや、だってお前の事を襲おうとして……」
 「わたしが誘惑して、先にあんな事までしたのよ」
 「……ああ」
 そう言えばそうだった、と今更ながらに思って、ジュウはようやくそれだけを口に出した。円は、何やらもう色々と馬鹿
馬鹿しくなった、とばかりに大仰な溜め息を一つ吐いた。

 さて、そうして、二人で暗室の中で二人して言うべき事が途切れて、しばし沈黙の帳が下りた。
 何か緊張のようなものを孕んだそれを破ったのは、ジュウの一言だった。
 「なあ」
 「なに?」
 「『誘惑して』って、今言ったよな」
 「ええ」
 円の声は、挨拶でもするように普段と変わらない。ジュウの声は、訝しげにくぐもっていた。
 「なんで、だ?男嫌いのお前が、なんで?」
 円は、しばし黙してから、皮肉気に笑いを刻んで答えた。
 「聞いたら軽蔑するわよ?」
 黙りこむジュウの反応をどう見たのか、そのまま続ける。
 「あなたをね、公園で膝枕してた時。あなた、私の事を“女”として見たでしょう?」
 ぎくり、と実際に音にも出そうなほどにジュウの心臓が跳ねた。バレていたのか、と今更ながらに頬に血が上る。部屋
の暗いのがせめてもの幸いだった。
 「その時にね、ふと思ったのよ」
 目を伏せる。
 「あなたを誘惑して、そしてあなたが私の物になったのなら、雨は、雪姫は、あなたから離れるんじゃないかって……」
 「な……」
 それきりジュウは絶句した。円が、彼女がそこまで自分の事を嫌っていたのか、という思いよりも、むしろ彼女がそんな
下劣とも言えるような発想を抱くとは信じられなくて、だ。
 「あなたの事は……少なくとも以前ほど、他の男ほどには嫌いじゃあないわ」
 相手の反応など気にも止めないように円の口は言葉を紡ぐ。
 「でも、あなたは危険。あなた自身の事だけではなく、周りの事が」
 それはいつかも聞いた言葉。
 「あなたは、人の内側まで、自身でも気付かないうちに入り込みすぎる。そのくせ、相手を自分の内側までなかなか受け
入れたがらない。だから、雨も、雪姫も」
 そこで少し口篭もって
 「そして多分、光も、皆何時の間にかあなたに近付きたいと思う。そうなってしまう」
 「そんな……」
568497:2006/12/10(日) 20:37:25 ID:cVAdv5FO
 ジュウの言葉を遮って円の言葉は続く。
 「だから、これ以上皆があなたに近付く前に、って、そうすれば……」
 「待てよ」
 堪りかねてジュウは言った。かつて雨との関係について『二人の問題』だと言ったのは円ではないか。それを何故今
頃になって……と捲し立て、なおも言い募ろうと肩に手を置いて、ふと気付いた。首を垂れて俯いた円の肩は、僅かに
震えていた。
 「そうね……なんでかしら。自分でもよく解らない」
 寂しそうな笑いを含ませた声で、そう言った。
 「あなたに偉そうな事を言えるような人間じゃなかった、って事ね、私こそが。あの子達に相応しくないのは、私の方
だわ。馬鹿馬鹿しい。最低ね……」
 それだけ言って、黙り込む。ジュウは、そこで初めて掴んでいる肩の華奢さを意識し、そうして悄然とした円のその消え
入りそうな姿に言葉を失った。円堂円は、もっと強くて、自分など及びもつかないような自制心を持っている少女だと
思っていた。でも、それは間違いだったのか。彼女もまた葛藤し、迷い、悩み、時に間違うのか。いや、人間ならば、や
はりそれが正しいのだろうか。
 ふと、ジュウの心に一つの疑問が涌いた。
 「なあ、円堂」
 「……なに?」
 既に気死したかのような声でそう問う円に、ジュウは疑問をぶつけた。
 「だったら、なんでさっき俺に『先に自分が誘惑した』なんて言ったんだ?」
 「え?」
 予想もしていなかった事を言われた、という顔で円が振り仰ぐ。
 「お前の考えとは違ったけれど、俺は自分からあいつ等と離れようとした。だったら、お前の目的通りじゃないか。なんで
わざわざ否定するような事を言ったんだ?」
 「……なんで、かしら」
 本当に分からない様子で、円は視線を彷徨わせた。ジュウは続けた。
 「俺が警棒で殴られて怪我した時に手当てして、膝枕してくれたのはなんでだ?」
 「分から、ない……」
 首を横に振る。イヤイヤをするような仕草だった。
 「なんで、今そんな、言わなくてもいいような告白を、俺にしてるんだ?」
 「……」
 祈るように、ギュッと胸の前で手を組んだまま、円は沈黙する。
 「なあ円堂、俺は、弱い人間だ。今までだって色んな事件に遭うたび、いつも途中で投げ出そうと、逃げ出そうとした」
 円は黙っている。
 「でも、雨が、雪姫が、光が……お前がいてくれたから、俺はそうしなかった。一人じゃ何にも出来やしねえけど、誰かが
助けてくれたから、支えてくれたから闘えた。こんな情けない俺でも」
 円の顔を覗き込むようにしてジュウは続けた。真剣な顔で。
 「お前は、強くて、賢くて、カッコ良くて……でも、一人じゃ寂しいんだよな。俺も雨に言われたよ。強いってのと寂しい
のは違う、って」
 何となく力を入れるのが癖になっている眉間を緩める。
 「だから、アイツらの事もう少し頼ってやれ。言いたい事はもっと言えばいい。そんで、頼りないかもしれないけど、お前
を悩ませるだけかもしれないけど……もし良ければ俺の事も頼ってくれ」
 ほんの10cm程の距離で、二人の視線が交わった。
 「お前は俺の事どうでもいいって思ってるかも知れないけど、俺はお前がいい奴だって知ってるし、お前の事が好きだ」
 円の目から微かな灯りを反射して雫が滑り落ち、僅かにカーペットを濡らした。
 「ごめん、ごめんなさい……」
 堪え切れない嗚咽を漏らして、円はジュウの肩に顔を伏せた。そこから温かい染みが広がるのを感じながら、ジュウは
その合間の一言を確かに聞いた。
 「……ありがとう」

<続く>
569497:2006/12/10(日) 20:37:57 ID:cVAdv5FO
結局今回も終わんない〜♪おまけに円のキャラ違う〜♪
えー、そういう訳でですね、なんか今回最後まで行く予定だったんですが、いらん会話にスペ−ス取られてまた半端な
所で切れる事になってしまいました。
次回こそは、次回こそは必ず完結させますんでどうかあと一回お付き合いの程を。

>伊南屋さん
過不足なく戦闘のシーンが書けるのはホントに羨ましいっす。
あと、質問ですが、紅香や犬の人は出てくる予定あるんですかね?
570名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 21:40:33 ID:AtJT3QCw
チクショウ、生殺しか(*´Д`)ハァハァ
571名無しさん@ピンキー:2006/12/10(日) 22:16:33 ID:S7wp3uBf
ジュウ様マジいい子
572名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 00:36:36 ID:jERzGa/3
GJ。ジュウ様の心情が可愛すぎて萌えますw
というか途中スッゲー納得というか感心する台詞があったんですが 
 
 「そのくせ相手を自分の内側に入れたがらない」 
 いややっぱこれはジュウ様のトラウマから起用してますからね。小さい時に色々と傷付いて、泣き疲れて。その結果の結論が
「俺は、一人でいいんだ」
に繋がっている訳ですからね。
一人は寂しい癖に、皆居なくなる事を覚悟しているせいで無意識に人を内側に寄せ付けないようにする
イヤスッゲー納得しましたわ
573名無しさん@ピンキー:2006/12/11(月) 00:45:14 ID:4vaZag1i
ジュウ様は油断してるとナチュラルに殺し文句を吐くw
574名無しさん@ピンキー:2006/12/12(火) 01:11:58 ID:E4gd1Vs2
なんか皆やっぱりジュウ様が可愛くて仕方ないのねw
いや、俺もそうだけど。
575伊南屋:2006/12/13(水) 09:24:19 ID:HnrrQztF
 柔沢ジュウは不良少年だ。周囲はそう認識しているし、自分でもそう思っている。
 それは何も考えずに済む、楽な生き方を選んだ結果だ。それは逆に言えば、そういった生き方をしなければ深く考えすぎてしまうジュウの性格の裏返しなのだが。
 ただし、取り敢えず今、大切なのは別な部分だ。
 つまり、今大切なのは、柔沢ジュウが不良少年であるという事実。
 そのことなのだ。

『電波的な彼女と彼女』

 土曜日の朝、目を覚ましたジュウはベッドから身を起こした時、違和感を感じた。
 何だろう、何かが足りない。
 未だ眠気で、働きの鈍い脳では、何が足りないのか分からない。仕方なく、ジュウはいつものように思考を停止させた。
 顔でも洗えば思考がクリアになって、何が足りないのか分かるかも知れない。そう考えて立ち上がり、洗面所に向かうことにする。
 やけに体が軽い。しかし、どこか頼りない感じもする。
 体調が良いんだか悪いんだか。今日はとことん変な感じだ。
 そんな事を思いつつ洗面所に入る。

 そこに、少女が居た。

 ボーイッシュな少女だ。
 単純にボーイッシュと言えば、ジュウには二人心当たりがある。
 一人は身長も高く、スラリと伸びた肢体と、短く切り揃えられた黒髪が特徴のクールビューティ。円堂円。
 もう一人は自らの従者の妹。竹を割ったような真っ直ぐな性格が少年のような少女。堕花光。
 しかし、そこに居たのはそのどちらでもない。
 そして、初めて見るその姿は、嫌と言う程見覚えがあった。
 身長は高くなく、それこそ自分と同年代の女性の平均程度ではなかろうか。
 こちらを見つめ返す、その強気な視線は光に似ているかも知れない。ただそこに若干、母親のような苛烈さも若干見て取れる。
 目を引くのは髪の毛だ。やや短めの髪は円ほどは短くはないと言った程度。
 そして、その髪は金色に染められていた。
 そこでようやくジュウの思考は現実に焦点を合わせた。
 茫然と佇むジュウの見つめる少女。
 そんなジュウを、やはり茫然と見つめ返すその姿。
 それは、鏡に映った自分の姿だった。
「マジかよ……」
 呟く声は、いつもより数段高かった。

 事態がハッキリしてしまえば足りない物も自ずと分かって来る。つまり、男には在るが、女には無いもの。それが足りない物の正体なのだろう。
 一応、“足りない物”の確認はしておくべきか。
576伊南屋:2006/12/13(水) 09:26:08 ID:HnrrQztF
 恐る恐る、手を股間に伸ばす。そっと下着越し、無論自分のトランクスの事だ。兎に角、下着越しに触れてみる。
「……ああ」
 思わず嘆く。無い、やはり無い。
 今まで、あっても嬉しいとは思わなかったが、無いなら無いで寂しいものだった。
 それにしてもどうしたものか。幸いにして今日は休日なので時間はある。
 だからと言って時間を掛ければどうなると言うわけでもない。
 完全に八方塞がりだ。
 頭を抱える。何から考えねばならないのかすら分からない。
 そんな時だった。玄関のチャイムが鳴ったのは。


「じゅ〜ざ〜わく〜ん。あ〜そび〜ましょ〜」
 ドアの向こうで雪姫の声がする。
 ジュウは迷う。出るべきか否か。
 迷って、決めた。出る。そして、助けを求めよう。素直に助けてもらおう。
 縋るような気分でアパートのドアを開ける。
「あ、ジュウくんおは――」
 ドアの向こう。待ち構えていた雪姫が固まった。
「お、おはよう」
 自分で何度聞いても慣れない声でジュウが挨拶する。恥ずかしさで顔が赤くなっているのが容易に分かった。
「ジュウくんが……」
 真っ青な顔で雪姫が身を震わせる。そして、近日中に響き渡る声で絶叫した。
「ジュウくんが女の子を家に連れ込んでるーー!!」
「違ぁう!!」
 ジュウも、絶叫で返した。
 しばらく後、管理人に大声について注意されるのだが、それはまた別のお話。


「というわけは……ジュウくんなの?」
 訝しげな視線で雪姫が指差す先にはジュウ。
 ジュウは小さくなった顔を前に傾げる事で肯定を表した。
「成る程……」
 取り敢えずの納得をしたのか、雪姫は大仰に頷いた。
「しかしまあ、なんというか……」
 ずいっ、と迫られジュウは顔を赤くする。それをみて雪姫は更に何かを考え込む。
「な……なんだよ」
 身を軽く引きながらジュウが訪ねると、雪姫は溜め息を吐いた。
「ジュウくんさ……可愛いよね」
「は?」
 唐突の言葉に呆気にとられるジュウ。それを無視して、雪姫の指がその頬に添えられる。
「ジュウくんの体、確かめて良いかな?」
 自分の体を確かめる?
 その意を計りかね、しかしすぐに答えに至り、ジュウは困惑する。
 ――確かめるっていうことは、例えば実際に見たり、触ったりするって事なんだろう。
 しかし、良いのだろうか。自分は男で雪姫は女で。つまりは異性な訳で、それなのに肌を晒すって言うのは。
577伊南屋:2006/12/13(水) 09:27:55 ID:HnrrQztF
 いや、今の体は女だから関係ないのか? でも心は男な訳で、こうして間近に雪姫の顔が迫っていることに、添えられる指に自分はドキドキしていて――
「えい」
「ひゃあああ!」
 前置き無く、体が縮んだ事でダボダボになったTシャツを捲られ、ジュウは存外可愛らしい悲鳴を上げてしまった。
 無論、ブラジャーなどしているわけなど無く、形の良い、若干小振りな胸がふるん、と揺れた。
 それを見て初めて気付く。
 自分の確認が、精々下着越しに“無い”事を確かめただけだったことに。
 自分のものながら、初めて見る胸の膨らみに目を奪われる。
 見つめながら考える。ジュウは“在る”事を確かめていなかった。
 つまりは取り敢えずは確認された胸と、まだ確かめてはいない、女性器の存在を。
「ふむ……どれどれ」
 雪姫の指先が乳房に触れる。
「ひんっ!」
 また可愛らしい悲鳴。それはやはりジュウのものだった。
 未知の感覚に思わず声を上げていた。指先が触れた部分が熱を持って痺れる。
「本物だね……」
 言って、雪姫は指先を離し今度は下へ。ジュウにも、すぐに意図が分かった。
「な、ちょっ。タイム! ストップ、ストップだ!」
 制する腕を避わし、他の部位同様に小造りになったウェストでは緩すぎるトランクスが下げられる。
 露わになったのは、極薄い茂みに覆われた、自らの秘部。
 ああ、やはり無い。そう思ったのも束の間。ジュウの視線と思考は、その茂みに囚われる。
 男として生きる限り拝むことのない、女性主観で茂みを見下ろす。
「“無い”ね……でも、代わりに“在る”のかな?」
 伸びる腕は下半身。太股の内側へ。
 囚われたままのジュウの思考は抵抗など考えもしなかった。
「ひぅ……」
 再三、悲鳴。
 男には一生賭けても分からない感覚を、ジュウは今、感じた。
 触れる雪姫の指先は恐る恐る、やがて大胆にしっかりとそこへ触れてくる。
 触れる力が増す度、感覚も明瞭になっていき、それが快感だとはっきりと分かるようになっていく。
 そうなると、生理反応が起こるのが人体のセオリーだ。
「……濡れた」
「え……?」
 雪姫の呟きに、ジュウが反応する。
「ジュウくん、気持ち良いの?」
 問われて、詰まる。
 確かに気持ち良かった。しかし、それを言葉にするのは当然躊躇われる。
 ただ、この場合沈黙こそが肯定だった。
「そっか」
578伊南屋:2006/12/13(水) 09:30:18 ID:HnrrQztF
 つ、と真っ直ぐ伸ばした指先が入り口に当てられる。
「続き、したい?」
 続きとは、触れるだけだった指先を中に挿入すると。そういう事だろう。
 ぐ、と浅く指先が沈められる。それだけで、秘部を中心に熱いものが広がった。
 正直、欲しいと。そう思った。
 しかし。
「だ、ダメ、ダメ、ぜったいにダメだ!」
 慌てて雪姫の指先を払いのける。
「ダメだ。それは、間違ってる。オレは男で、今身体は女だけど、根本的にはやっぱり男だ。だから、これは間違ってる。間違ってるんだ」
「ふぅん……」
 ヤバい、怒らせたか?
 黙り込む雪姫に不安になる。
 だけど、良いのだ。やはり、あのまま続けるのは間違ってる。
「やっぱりジュウくんみたいだね」
「は?」
 今日一体何度目だろう。ジュウは呆気に取られた。
「ジュウくんはさ。楽に生きようとしてるのに、そうしたがらないんだよ。今だって、流されちゃう方が楽なのにそうしなかった。そういう所でやっぱりジュウくんなんだなあって思った」
「……試したのか?」
「そういう訳じゃ無いよ。あれは可愛いかったから思わず悪ノリしちゃっただけ。でも反応みてジュウくんなんだなって、そう感じたんだよね」
「オレの話を信じて無かったのか?」
「正直、最初は全く。話を詳しく聞いて半分くらい信じる気になった。それで今ので八割かな?」
「まだ、八割なのか」
「仕方ないよ。やっぱりこんな状態は現実離れし過ぎてるからね。完全に信じるのは正直、ちょっと難しいかな?」
 申し訳なさそうに言う雪姫を見て、ジュウは気の抜けた溜め息を吐く。
「実際、そんなもんか……オレだってまだ信じられない。いや、信じたくないってのが正解か」
 だけど、と置く。
「それとは別に、さっきみたいなのは止めてくれ。正直、保たない」
「うん、ゴメン」
「……そういや」
「ん?」
「お前、そんな風に思ってたのかオレの事」
 ――楽に生きようとしてるのに、そうしたがらない。
 雪姫はそう言った。
「……知った風な口利いちゃったね」
「そんなことねえよ。案外、的を射ていると思うしな」
 言ってジュウはもう一つ思う。
 それに、人に理解されてるって言う感覚は案外、悪くない。
 それは言葉にしないでおいた。
「取り敢えず、どうするか考えなきゃね」
 そう言って、雪姫はジュウを再び見る。今度は真摯な瞳で。
「まずは……服かな?」
「え?」
579伊南屋:2006/12/13(水) 09:31:42 ID:HnrrQztF
「流石にそれはマズいよ。男物のダボダボTシャツにパンツだけってのはね」
 言われて気付く。確かに、今の自分の格好は際どい。
「自分の服じゃサイズ合わないだろうし……仕方ないかな」
 雪姫は、至って真面目な顔で言った。
「私の服貸すから、それ着て」
「は?」
 ジュウもはや癖のようになった間抜けな声を上げて、やはり呆気に取られるしかなかった。

 続
580伊南屋:2006/12/13(水) 09:36:16 ID:HnrrQztF
 毎度、伊南屋に御座います。

 やっちまった……。ジュウ様女体化ネタ。
 しかも続くし……。
 だけど、だけど、だけど……。

 仕方ないじゃないか楽しいんだから!
 職人デビュー後は百合専門だったしな。
 ビバ、おにゃのこ同士の絡み。

 所でこの後エロメインにするか迷い中。意見あったら言って下さい。

 そんなわけで以上、久しぶりに百合書いてテンション上がった伊南屋でした。
581名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 09:42:47 ID:mt/qJcTU
女ジュウ様に萌える気持ちと、ジュウ様は男だからこそジュウ様、という気持ち
が半々ぐらいでせめぎ合うこの微妙な気分w
とりあえずここは一つエロメインでお願いします。
582名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 17:25:09 ID:m9xMHbKk
おぉ…神作品が………毎度、伊南屋さんGJです!!女ジュウ、かなり萌えます

円、雨、光、雪姫、女ジュウの乱交百合を希望します
583名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 20:14:59 ID:JQHWOA7e
斬島「ねえねえ雨、色仕掛けの色って桃色って感じだよねぇ?」
堕花「私はそうは思いません。色仕掛けをするような下品な輩の
   腹の内や一物は真っ黒だと思います。だから色仕掛けの色は黒です」
斬島「それはちょっと偏見じゃあないのかなぁ?」
堕花「雪姫の考えが古臭いんですよ」
斬島「だったら第三者に決めて貰おーじゃない!!」
堕花「望むところです」



斬島・堕花「「どっち?」」
柔沢「俺に聞くな!!」





円堂「やらしい」
柔沢(なんで俺が非難されるんだ・・・・?)
584名無しさん@ピンキー:2006/12/13(水) 20:17:36 ID:HTRyh30A
おぉ……!遂にジュウ様女体化来ましたか!女の子の体になってしまったジュウ様の行く先を思うと今から楽しみで悶えてしまいますw
 まぁ少し弱気というか感度良すぎというか……いきなり女の子の体になれば動揺位しますよね!
 いや、ぶっちゃけジュウ様は強気っ娘だ(ry
585伊南屋:2006/12/14(木) 23:26:36 ID:/lVOO1FV
「ああ……」
 激しく鬱。真逆、こんな格好をする日が訪れようとは。
 鏡に移る自分は服を着ていた。それによって、女であることを更に明確にしている。
 沈む思考をなんとか働かせ、ジュウはここに至るまでを回想していた。

 ――あれから、一度決めてからの雪姫は実に迅速だった。一旦家に帰り、紙袋を抱えるとすぐに戻って来た。
 紙袋の中には女物の衣服が数着。全て雪姫の服だと言っていた。それを差し出し、雪姫は着替えるようにと言い、部屋にジュウを残し出て行った。
 それだけならまだ良かった。
 雪姫が持って来た服は、いわゆるレディースに寄った物ではなく、デザイン自体は男物と大差ないものが多かったからだ。
 これを着ればボーイッシュ少女が一人出来上がる寸法だ。
 別に、それは良い。別にその服に着替えるのは耐えられる。
 問題は、それ以前。先に着るものにある。
 つまり、下着の存在。紙袋には数着の衣類と共に、女性用下着が入っていた。
 ぶらじゃーとぱんつ。
 頭の中で発音を思い浮かべる。今までの人生でそれを、パンツは兎も角としても、一体何度口にしたことがあるだろうか。恐らくは相当少ないはずだ。
 そう断じられる程に馴染みの薄いものだった。
 加えて、確認こそしていないが服がそうであるように、下着も雪姫の着た物ではないのだろうか。
 そんな考えと同時、下着姿の雪姫が脳裏によぎる。
 ――無理だ、絶対に無理だ。いや、むしろダメだろう。
「なあ、雪姫。この下着なんだが……」
 ドアの隙間から顔を覗かせ、待機していた雪姫に声を掛ける。
 気付いた雪姫は、ジュウが何か言うより早く部屋に入ってきた。
「下着の着け方が分からないの? じゃあ教えてあげるね」
「いや、ちょ……待て、違うって!」
 完璧に誤解だった。しかし、雪姫はこちらの意図などお構いなしに話を進める。
「じゃあまずは脱いで」
 言うが早いか身ぐるみを剥がされる。
「ブラジャーはね。こうやって……」
「うひゃぁ!」
 胸に触れられ、ブラジャーが着けられる。
「こうしてこう、分かった?」
 抵抗虚しく、鮮やかな手際で下着を着せられてしまったジュウは、鏡に映る自分を見て大切な何かを失った気がした。
 何というか男として大切な何かを。
 しかし、この身体、変に敏感ではないだろうか。
 軽く触られただけで電流が流れたようになってしまう。
586伊南屋:2006/12/14(木) 23:28:40 ID:/lVOO1FV
 恐らくだが、流石に着替えだけで感じてしまうほど女の身体は繊細かつ敏感では無いと思う。
 となると、やはりこの身体が異常なのか。
「なにボーっとしてるの? 早く着替え終わらせようよ」
「ん、あぁ……」
「じゃあはい、コレ」
 言って渡されたのは、紙袋の中から見つけた時に、絶対に着るまいと決めていたデニム地のミニスカートだった。
「……どうしたの?」
 動かないジュウを見て雪姫が首を傾げる。
「いや……」
 コレは勘弁してくれないかと言おうとして、躊躇う。
 雪姫は自分の為にこの服を用意してくれたのだ。ここで拒否するのはその厚意を無にする事になるのではないか。そう思うと断るわけには行かない。
 もっとも、それは考え過ぎな感があるが、ジュウはそうは思わない。義理堅さが裏目に出た結果の決断。
 ジュウは仕方なく、黙ってスカートを受け取ると、渋々ながら着替えを始めた。

 そして現在。鏡の中には女物の服に身を包んだ自分が居る。それを見ているとやるせない気分になってくる。
 何が一番辛いかと言ったら、服が似合ってしまっている事実が辛かった。
「うん似合う、似合う」
 言って微笑み掛ける雪姫。そこには何の裏も見れず、それが単純に思い付いた感想だと分かる。だが、それがまた辛い。
 かのロシア文豪も言っていた。思わず言っただけに余計重大なのだ、と。
 なんの世辞もなく言ったと言うことは、それが客観的事実である何よりの証だった。
 激しく鬱、再び。
「しかし、私の服がここまで似合うなんてね〜」
 落ち込むジュウを無視しての、雪姫のその言葉はジュウにある事を思い出させた。
 雪姫の服。そう、雪姫の服なのだ。
 そして、自分は何故、着替え中に雪姫を呼んだのだったか。
 思い出して硬直する。再度よぎる、雪姫の下着姿。
 意思は淫らな妄想に耽る。
 身体は女でも、心は限りなく男のジュウであった。
 そして、精神は肉体に作用する。妄想に耽る思考は身体にも変化をもたらした。
「……っ!?」
 しまった、とジュウは思う。何だかんだでこの身体に慣れ始めていたのかも知れない。
 男の身体なら股間の膨張を恐れ、そうそう淫らな妄想には耽らない。しかし今はどうだ。
 その恐れは無く、実際見た目に変化はない。
 だが、それでも変化はあるのだ。見た目には現れないだけで、明らかな変化が。
587伊南屋:2006/12/14(木) 23:29:56 ID:/lVOO1FV
 身体に、さっき雪姫に与えられた熱がぶり返してくる。疼きは下半身を中心に広がり、秘部を濡らした。
 躯が興奮を訴える。
「どうしたの?」
「えっ!? い、いや。何でもない」
 悟られてはならない。ジュウは必死に取り繕い笑顔で返した。
 しかし、変なところで勘が良い。雪姫は顔をジュウに寄せ、鼻を鳴らす。
「ん〜? えっちな匂いがするよ?」
 そんな事が分かるのか。
 下に恐るべきは女の勘か……いや、絶対に違う。
 これは単に雪姫の嗅覚が異常なのだ。そうでなければ、自分の中の女性像が壊れてしまう。
「どれどれ」
 雪姫がスカートを捲し上げる。
「うわっ!」
「……あ〜、やっぱり濡れちゃってるね。沁みになってる」
「あ……いやコレは……あぅ」
 もはや言い訳は利かず、ジュウは口を噤んでしまう。
 顔を真っ赤に紅潮させ俯く。
 それでも疼く体は収まることはなく、ジュウは太股をもじもじさせる。
「ねえ、ジュウくん……いや、“ちゃん”かな?」
 雪姫が、蕩けた様な笑顔をジュウに向ける。
「確かに我慢しちゃう所がジュウちゃんらしいんだけどさ、全部我慢しなくて良いと思うよ?」
 その甘言は、ただでさえ異常事態に疲弊しといたジュウの心を揺るがした。
 良いのだろうか? 耐えなくても自分は良いのか。
 分からない。なんでこうなったのか、これからどうなるのか。不安に揺れる心は脆く、甘えるに易い言葉に傾く。
「あ……ぅあ」
 目尻には涙。気丈に振る舞えど、やはり不安は消えてなどくれない。耐える心は軋みを上げて、歪みを曝す。
「ふ……っう」
 限界だった。
 意地で固められた堤防は決壊し、感情の奔流が溢れ出す。
「大丈夫……せめて今だけは忘れさせてあげる。気持ちよくして、何も考えられなくしてあげる」
 雪姫の顔に浮かぶ笑顔は、慈愛に満ちていた。そう見えた。
 それが錯誤でも、偽りでも構わないと、ジュウは思った――。

 続
588伊南屋:2006/12/14(木) 23:34:12 ID:/lVOO1FV
 毎度、伊南屋に御座います。

 ジュウ様女体化ネタ続きになります。
 すんげえ寸止めですね。
 ま、次の投下はレディオ・ヘッドだったりもするんですがね。
 並行でやってるからこんな事になってます。もう少し投下タイミング考えろ俺。

 とまあ続き物が二つに増えてしまいました。つっても女体化ネタはすぐに終わると思いますが。
 そんな感じで以上、伊南屋でした。
589名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 03:25:06 ID:rPVo3jt+
女体化とか百合って、基本的に苦手な方なんですよ。
でも読まされちゃったw やっぱり上手いなあ…凄い。
本当に他に言葉出て来なくて申し訳無いけど、GJです。
590名無しさん@ピンキー:2006/12/15(金) 07:41:56 ID:h835MMWc
伊南屋さんGJです!!次の投下wktkしてます
591名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 12:59:02 ID:MTJt58S8
チクショウ、女になってもやっぱりジュウ様はネコなのか!!(*´Д`)
592名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 13:27:33 ID:lEzHaFU3
ジュウ様可愛すぎw(誉め言葉) つまりは、伊南屋氏GJッス!
そして>>591
593名無しさん@ピンキー:2006/12/16(土) 13:30:50 ID:lEzHaFU3

やっぱジュウ様にはネコ耳だよな? 
 
書き込み失敗してスマソ
594伊南屋:2006/12/16(土) 18:21:11 ID:jr5NPNkQ
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
Y・2.

「うわぁ……」
 思わず呟いた真九郎が見る先。そこには体を痙攣させ地をのた打つ男。
 円に股間を潰される一部始終を見ていた身としては、男ならではの同情を禁じ得なかった。
 それは自らが対峙する男も同じ様で、顔を蒼白にしながら視線を無様に転がる仲間に向けていた。
 しかし、それも短時間の事。互いにすぐに気を取り直し、仕切り直しとなった。
 こうして改めて向かい合うと、やはりただ者ではない。
 浅く身構える姿は一分の隙もなく、その実力を窺わせる。
 滲み出る闘気に、体の芯が震え出す。それは真九郎の悪い癖だった。
 どれだけ肉体を鍛えようとも、精神は薄弱なまま。容易く怯え、身を竦ませる。
 真九郎は舌打ちして、自分の不甲斐なさを嘆く。いくら崩月の技を磨こうと、遂に崩月の戦いに置ける心構えは身に付かなかった。
 躊躇ってしまう。傷付ける事に、傷付けられる事に。
 だが、退く事は出来なかった。
 角を――肘に埋め込まれた崩月の力を解放すれば、対等以上に戦えるだろう。だが、それで自らが崩月の関係者であると知られてはならない。
 紫が九鳳院であると知られてはならないのと同様。それはマズい。
 それでも決めたのだ、守ると。あの、幼い少女を、濃紫の闇に沈められていた少女を。
 他の誰でもなく、この自分、紅真九郎が。
 少女――紫の事を想う。誓いを思い出す。
 それで、震えは止んだ。
 がくがくと揺れていた脚は、確かに地を踏み締めていた。
 一つ、深呼吸。大きく息を吸い、呼気を腹に溜める。丹田、臍のすぐ下にエネルギーがあるイメージ。
 脚を浅く曲げる。溜め込んだ力を、全て下半身に伝える。
 爆発するように、力を解放。水平に近い角度で身を跳躍させる。
 一瞬、距離は零に。しかし敵も超反応を見せ、身構える。
 身体を狙った真九郎の拳は、辛うじて掌に受け止められる。
 男はそのまま肩を引き、真九郎を引き寄せるように腕を取る。
 体勢を崩し、よろめいた真九郎の背中に肘が撃ち込まれる。衝撃に肺が潰れるような感覚に襲われ、息が詰まる。
「かはっ……!」
 微かに洩れたのは喉に引っ掛かったような呻き声だった。痛みにそのまま倒れ込みそうになる。
 それでも、倒れるわけにはいかない。
595伊南屋:2006/12/16(土) 18:22:55 ID:jr5NPNkQ
 片膝を付き、両手で体を支える。不格好に跪くが、倒れだけはしない。自分が倒れたら紫を守れないと、己に言い聞かせ踏ん張る。
「おぉっ!」
 立ち上がらない。跪いたまま、腕を相手の腰へ。低くから突き上げるタックル。
 均衡を失い、襲撃者もろとも倒れる。もつれるように転がり、真九郎と襲撃者は共に土を纏った。
 そこからは美しさも何も無い、まるで子供の喧嘩だった。
 上に乗った方が殴り、時に上下を逆転させ、互いに拳を振るい合う。
 それは、戦闘技能など無視した、ただの殴り合いだった。或いは我慢比べ。殴り勝つまで殴る。それだけの戦い。
 真九郎は怯えていた。相手の力量に。
 ならば、その力量の関係のない戦いにすれば良い。最初はタックルし、そのまま地に転がすつもりだった。
 それを、手痛い反撃を受けたが、結果的には目標は達成した。
 後はスタミナ勝負だった。
 複数人相手では通用しない、稚拙な策を真九郎は成し遂げた。或いはそれは、真九郎に運があっただけなのだろう。
 しかし、要は勝てば良いのだ。そこに至る経緯など気にしない。気にする余裕など無い。
 ただ殴る。殴り、殴られ。それでも殴る。
 勝つために。
 勝って、紫を守るために。それだけのシンプルなロジック。
 殴って、殴って、殴って、殴って。
 やがて、襲撃者は動かなくなった。どうやら真九郎は勝った、らしい。
 自らも鼻血を垂らし、顔を腫らし、内出血で肌を紫色に変色させながら、それでも真九郎は勝ったのだ。
 自らの誓いを、今は守ることが出来た。不思議と力が溢れてくるようだった。
 そうだ、自分でも戦い、勝つことが出来る。不細工で格好悪くとも。それでも勝てる。
 真九郎には未だ、美学と呼べるものがない。戦いに置けるそれならば尚更だ。
 だからこそ、ただ勝利だけに拘って戦える。諦めず、泥に汚れながら、血を流しながら。
 ただ、勝てば良い。
 ――なんだ、簡単じゃないか。
 恐れはいつの間にか無くなっていた。
 それは単に高揚がもたらした、感覚の麻痺なのかも知れない。だが、真九郎は構わなかった。
 気が付けば、周りを数人の男が囲っていた。一人が倒され、警戒を強めているようだった。
 怖くない。それだけで良い。今の自分に必要なのは恐れない事なのだから。
 真九郎は、自分でも気づかぬまま唇で弧を描いていた。
 そうして、名乗りを上げる。
596伊南屋:2006/12/16(土) 18:24:10 ID:jr5NPNkQ
「崩月流甲一種第二級戦鬼、紅真九郎」
 他の誰にも聞こえぬよう小さな声。だが、そこに込められる意味は変わらない。その代わり、次の言葉は強く、力を込めて言う。
「さあ、次はどいつだ」
 肘の角は未だ腕の中。それでも真九郎は、死んでも引かない覚悟を決めていた。

 圧倒的だった。銀閃が煌めく度に血煙が飛沫く。痛みなど感じる間もなく、男達は己が身を、命を欠落させていく。
 そこは戦場ですらない。ただの処刑場だ。それも私刑による殺戮でしかない。何の正義もなく、ただ屍が積み重ねられる。
 薄い笑みを張り付けたまま、雪姫は刃を振るっていた。
 刀を突き刺し、そこを狙われれば襲撃者から刃を奪い、それで返り討ちにする。
 全て急所。必殺の一撃だった。雪姫に向かった襲撃者はことごとく斬り捨てられている。
 最初から異様な雰囲気を放っていた雪姫に、最も多くの人手が割かれたがそれも無意味であった。
 むしろ、悪戯に死者を増やすだけだ。
 雪姫の周りに転がる死体。ジュウ達には無い、絶対的な差だった。
 実力では、そこまで差が開く訳ではない。体術で言えば円とはほぼ同等。
 なのに、この差はなんなのか。
 簡単だ。意識の差。殺すか殺さないかの選択の差だ。
 ジュウも、真九郎も、円でさえも。誰一人殺していないのは殺す意志がないからだ。
 しかし、雪姫にはそれがある。
 たったそれだけの差が、屍を生み出していた。
 刃がある限り、雪姫は止まらない。殺す事を止めない。
 ただ、返り血の雨の中を往く。
 それだけの事だった。

 ジュウ達はひたすら、襲い来る襲撃者達を倒し続けた。しかし事態は好転しない。
 それは、物量の差。人数の差故だった。倒しても倒しても、襲撃者は更に仲間を増やす。
 一体、これだけの人数を動かすどんな理由があるのか。
 馬車の中の少女が関係するのか。事態を把握しきれないジュウには判断出来ない事だった。
 しかし、解ることもある。このままでは不味い。
 戦い続けるにも限度がある。そして、それは近い。
 止む無し、ジュウは声を張り上げた。
「このままでは無理だ! 正面突破する! 円は馬車を走らせろ。雪姫は進路の確保、活路を斬り拓け! 真九郎と行ったな。お前は馬車に乗り込め!」
 言葉に、全員が動き出す。
 馬車に向け全員が駆ける。
 雪姫は前に立ち、立ち塞がる者を斬る。円の捌きに応え馬が嘶き、馬車が走り出した。
597伊南屋:2006/12/16(土) 18:26:13 ID:jr5NPNkQ
 ジュウと真九郎は幌に駆け込む。
「行くぞ! 進路は領主城! 雪姫は道が開いたらすぐに乗り込め!」
 怒号の中、ジュウの声が凛と響き渡る。
 進路が開く。雪姫は指示通り、馬車へと乗り込む。それを円は確かめると、手綱を引き馬を全力で走らせる。
 加速する馬車に、襲撃者達が追いつこうとするが、間に合わない。
 徐々に離れていくその姿に、全員が安堵する。
「逃げ切れた……のか」
 呟いたのは真九郎だった。へたり込み、肩で呼吸をしている。
「まだだ、まだ安心は出来ない」
 否定するジュウの声に、真九郎がジュウを見る。
「少なくとも領主城に辿り着くまではな」
「そう……だな」
 確かに、いつ再襲撃があるか知れない。ならば、一刻も早く安全な所まで行かなくてはならない。
「円。馬は走れそうか?」
「疲れているとは思うけど大丈夫。朝まで止まらずに走れば領主城に着くでしょう」
「そうか……さて、と言うわけで俺達はこのまま領主城に向かう。お前達にはそれまでに降りて貰うわけだが……」
「大丈夫。こっちも領主城に用があるんだ」
 真九郎の応えにジュウは眉をひそめる。
「領主城に用?」
「悪いが言えない。こちらからも何も聞かないから、それであいこにしてくれないか?」
「……まあ、良いだろう」
 聞かれて不味いのはジュウも同じ。まさか、王であると名乗るわけにも行くまい。今回はあくまで忍びの旅なのだ。
「すまない」
「気にするな」
 二人の少年は互いに口を噤む。
 ただ、馬車が領主城へと走る中。沈黙が場を支配していた。
 虚偽と隠蔽。それらを抱えながら、二人は肩を並べる。
 それは、後の世から見れば運命的な、二人の英雄の出会った夜であった。

 続
598伊南屋:2006/12/16(土) 18:30:16 ID:jr5NPNkQ
 毎度、伊南屋で御座います。

 要約レディオ・ヘッドYが終わり。慣れないバトル描写に七転八倒しましたよ……。
 ここが終わったので次はジュウ様女体化ネタ続き。ぶっちゃけ早く書きたくて仕方なかった。
 今から速攻で書きます。そして明日には投下する。そんなテンション。
 
 そんなこんなで以上、伊南屋でした。それではまた明日。
599名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 10:32:54 ID:KUSaAbEo
伊南屋氏GJっす!相も変わらず戦闘描写上手です。ってかアレで戦闘描写慣れてないんですか!? 
 
 ……才能とかやっぱあるんですねぇ 
 それにしても、今回はジュウ様が王様らしかったです!イメージ的には幻水って感じだなぁ。 
レディオ・ヘッドの世界観もそこら辺なのですかね?それともベルセルクとか……
600名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 14:07:21 ID:ekZSp2t3
いつもながら素晴らしい作品…GJ!


素朴な質問なのですが、ここの保管庫ってありますか?
エロパロ保管庫覗いてみたのですが見つけられなかったので…

携帯からの初心者なのでよく解らなくて…
こんな質問してすみませんm(_ _)m
601名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 15:05:36 ID:w0hrI1aa
ここの保管庫は、まだ無かったよーな。確か。
602伊南屋:2006/12/17(日) 21:45:35 ID:+wZjnwjD
 体の芯が甘く痺れている感覚に、ジュウは陶酔していた。
 自らの内側を弄る雪姫の指先は、どこまでも優しく。彼女の言葉通り、ジュウの不安を忘却させてくれた。
 ただ快感に耽る。意識的にそうする事でジュウは他を考えないようにする。
 水音、吐息、衣擦れ、唇から漏れる声。それが聴覚に届く全てだった。
 最初は違和感が先にあった女性としての性感は、今やそれが当然と受け入れられる。
 入り口をなぞる指先も微かな悦びを与えるだけ。それに対する抵抗は既に無くなっていた。
 深くまで挿れすぎないように気を使っているのだろう。緩やかな指遣いは最早、物足りなくすらあった。
「ゆき……ひめ」
 掠れ声をジュウが零す。常ならば野太いその声も、体が女になった今は艶を帯びた、切なげな少女のものだった。
「ジュウちゃん……」
 応え、雪姫が唇を近付ける。ジュウは瞼を閉じ、桜色の唇は薄く開き、その行為を受け入れた。
 柔らかく口が塞がれる。甘美な感触はジュウの心を更に麻痺させ、甘く締め付ける。
 暖かな温もりに溺れる。鼻腔から微かにそよぐ互いの呼吸すら、ジュウの疼きを増す一因になった。
 不意に、ジュウの下唇に濡れた感触が滑る。雪姫が自らの唇で甘噛みし、隙間から舌先でジュウの唇を舐めていた。
 熱を持った塊が掠める度に、そこを中心に切ない疼きが広がる。本能的な接触への願望が肥大化していく。
 ジュウは自ら唇を開き、雪姫の舌先を導く。しかし雪姫は、それには従わずひたすら唇への愛撫を続ける。
 確かにその愛撫は心地良い。しかしそれだけだ。充足感には程遠い。ジュウが求めるのは充足感。雪姫の愛撫は生殺しだった。
 我慢できず、ジュウは自ら舌を雪姫の中へと侵入させる。舌を絡めとり、口腔で深く繋がる。
「ん……ちゅ、ふむ……んふっちゅ……ぴちゅ」
 唾液を流し込み、舌で絡め、飲み込む。互いの唾液の混ざった、甘い蜜にジュウの理性はどろどろに蕩かされる。
 より深く繋がる為に、舌を差し伸ばし絡める。貪欲に蠢く舌は、更に淫らな音を口の端から漏れさせる。
 重ねられた唇から微かに唾液が零れ落ちる。顎を伝うそれは跡を残し流れていった。
 互いの舌がうねり、どちらのものかも解らなくなるほど激しく絡まる。
 小さな歯をなぞり、歯茎をくすぐり、頬の内側を撫でる。
603伊南屋:2006/12/17(日) 21:47:10 ID:+wZjnwjD
 その間にも雪姫はジュウの秘口への愛撫は止めていなかった。口付けに昴ぶっているのは雪姫も同じか。慰める指遣いは一層熱心なものに変わっている。
 ジュウの体もそれに反応し、はしたなく其処から涎を垂らし、ひくついていた。
 身体の反応はそれだけに留まらず、ジュウの小さな胸の頂きは桜色の芯を堅く尖らせている。
 その事に気付いた雪姫は、空いた片手を其処に向かわせ、つんと凝り立った乳首を無遠慮に摘み上げた。
「んんんっ!」
 唇は重ねたまま、ジュウはくぐもった悲鳴を上げる。
 それでも、より強く捻られる刺激に耐えられず遂に唇を放した。
「くぁっ……雪姫、いた……い」
 涙目でジュウは訴えたが、それに返って来た雪姫の反応は小さな笑みだった。
「本当に痛いだけかな?」
 言って、下半身の愛撫をしている指を、膣中で曲げてみせる。同時、再び乳首がぎゅっと摘まれる。
「痛いの、気持ち良いんじゃない? 乳首虐める度にえっちな汁、零れてきてるよ?」
 雪姫の言葉にジュウは答えない。
 ただ顔を真っ赤にして俯くだけだ。
「それに――」
 雪姫が今までで一番強く、指先に力を込める。
「んはぁぁああっ!」
 鋭すぎる刺激にジュウが嬌声を上げる。
「今、アソコがきゅぅうって締まったよ? 気持ち良いんでしょ?」
 最早、ジュウにそれを否定する事は出来なかった。紅潮した顔で、ただ頷く。
「ふふ……痛くされて感じるなんて、ジュウちゃんはMなのかな?」
「そんなことっ……!」
「これでも?」
 雪姫の唇がジュウの胸元に近付く。薄く開いた唇は頂きを挟み、それに歯を立てる。
「――っ!」
 甘噛みではない、強い噛み方。しかしジュウの身体は顕著に反応を見せる。
「……ほら、また締まったよ? それに涎も溢れてきた。……これでも否定する?」
「くっ……」
 否定など出来る筈がなかった。事実、自分は痛みと同時に快感を覚え、身体ははしたなくその快感を訴えているのだ。
「ふふ……可愛い」
 再び、口付け。雪姫の柔らかい舌が潜り込み、ジュウを内側から愛撫する。
 頭の中に響く水音。まるで母の胎内で羊水に浸かっているような安心感に包まれる。
 ――どうでもいっか。
 そんな考えがよぎる。全て投げ出して、雪姫に甘えて。
 そんな風にしたい衝動に駆られる。マゾだからなんだというのか。それでも良いじゃないか。
604伊南屋:2006/12/17(日) 21:49:01 ID:+wZjnwjD
 麻痺した思考は簡単な結論だけを弾き出す。疲弊した精神はそれを疑問になど思わず、受け入れる。
 堕落。
 堕落していく。
「ちゅ……ぱ、んむっ。は……ぁ、ゆき……ひ、めぇ」
 蕩けた瞳で雪姫を見つめる。それだけがジュウに見える全て。そうであるかのように。
 雪姫の指が、深く膣中に沈められる。内壁を引っ掻くように曲げ、ジュウの快感を引き出す。
「んぁっ! あはぁ……っ!」
 ひくひくと身体が痙攣し、ジュウの絶頂が近い事を知らせる。
 雪姫はそれを感知し、更に愛撫を強め、絶頂へ更に近付ける。
「雪姫、雪……ひめ、ゆきひめぇ……っ」
 がくがくと身体を揺らし、与えられる快感に身を投げ出す。
 最後とばかりに、雪姫は胸を、膣を強く刺激する。
 それで、容易くジュウは昇り詰めた。
 頭が真っ白になる。膣を中心に全身に快感が広がり身体は言うことを聞かなくなる。
 背を弓なりに反らし、白い喉を晒しながらジュウは不規則に荒い呼吸を吐く。
「あ……あはっ、うぁ」
 何かを言おうとするが言葉に出来ない。ただ白痴のように不明瞭な声を出すだけだった。
 ジュウは強い絶頂にただ驚いていた。
 女性の絶頂は男性のそれの、およそ八倍であるという。
 ジュウがそれを知る由もないが、ジュウはそれを体感した。
 ただ、身を焦がす快感に陶然となりながら、呼吸を整える。
 やがて、快感に伴う熱が引き意識もはっきりしていく。
「どうだった?」
「ゆ……きひめ」
 虚ろな表情でジュウは雪姫を見る。笑みを浮かべる雪姫は優しくジュウの身を抱き締めた。
 温もりに、ジュウは不思議なまでの安堵を覚える。
 ――大丈夫、なのか。
 なんの保証が有るわけでもない。しかし、雪姫の声を聞いているとそれだけで大丈夫な気がしてくる。
 ――じゃあ、大丈夫なんだろうな。
 安心感。そして絶頂直後の倦怠感。それの板挟みに、ジュウは強い眠気を感じる。
「大丈夫だから……今はおやすみ」
 耳元に微かに届く雪姫の声。
 それを遠くに聞きながら、ジュウは深い眠りに沈んでいった。

 続
605伊南屋:2006/12/17(日) 21:52:23 ID:+wZjnwjD
 毎度、伊南屋に御座います。

 というわけで女体化ネタ続き。更に続きますよ。
 次はね、百合ハーレム(総受け)にするか破瓜(伊吹あたりと)にするか迷い中。つかいつも迷ってるな俺。

 と言うわけで以上、伊南屋でした。ご意見、ご感想お待ちしてます。
606名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 22:11:23 ID:M/7cI8so
是非総受けで!!(*´Д`)
607名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 22:12:08 ID:w0hrI1aa
>破瓜(伊吹あたりと)
それはなんと言うか色んな意味で勘弁していただきたいw
本編に関してはただ一言。おっきしました。
608名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 23:04:17 ID:9Pf5+2WS
自分も総受けでお願いします!!(*´Д`)=з ハァハァ
609名無しさん@ピンキー:2006/12/17(日) 23:30:16 ID:KUSaAbEo
伊南屋GJッス!相変わらずエロイッス!
それはそうと自分も総受け希望ッス。 
 やっぱ相手が男は流石に抵抗あるというか羨まし(ry
まぁ雨とかも性転換してとかならアリだとは思いますが
610名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 08:55:54 ID:mHHWWs0M
男ジュウ様がなぜか登場!…ってなったら百合苦手ぎみな自分には最高なんですが。
611名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 20:12:25 ID:M9dPIA3a
ここは総受けしかないでしょう伊南屋センセ!!!
伊吹なんてどーでもい(ry

なにはともあれGJッス伊南屋さん
612伊南屋:2006/12/18(月) 21:07:35 ID:pAdyQqLO
 予想以上に破瓜ネタの反発が多いな……。反発自体は予想していたがこれほどまでとは。
 とりあえず皆さんの意見通りジュウたん総受けで書きます。

 ところでまた単発ネタ書こうと思ってるんでリクエスト募集します。
 ご要望には可能な限り応えますんで。

 それではまた。伊南屋でした。
613名無しさん@ピンキー:2006/12/18(月) 23:39:10 ID:GSwNkkeL
じゃあ犬の人×ジュウ様とか無茶言ってみる>リク
614名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 07:34:43 ID:DdSTaTAQ
613氏に賛同!!是非、逆レイプもので…(ry
615名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 15:19:07 ID:EHTzaxVw
雨とジュウの精神入れ替わりネタ希望します
616名無しさん@ピンキー:2006/12/19(火) 23:53:47 ID:QM5b7MUT
ジュウ様IN雨はともかく、その逆は色々と恐い者があるような……w
617名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 07:37:57 ID:7U09eVbC
入れ替わりものなら、ジュウ×雨より雨×光のほうが面白そうじゃない?
618名無しさん@ピンキー:2006/12/20(水) 10:43:15 ID:YRkkgOUM
>>617
想像したらワロス(w
619497:2006/12/23(土) 01:46:20 ID:PFoG3msv
遅れたけど続きを


 ややあって円の激情の波も引き、落ち着きを取り戻すと、あとはただ耳の痛くなるような静寂の中、ジュウは何時の間に
かなんとなく抱き合うような格好になっている二人の体勢に思わず赤面し、先程の勢いに任せた自分の恥ずかしいセリフ
をも思い返して石のように固まってしまった。頭と体が熱くなり、耳で知覚できるほどの拍動が鐘のように頭の中で反響し
、モーター音にも似たノイズと化して鼓膜を圧迫する。
 が、円の方ではそんな事に斟酌するでもなく、やおら彼の肩から顔を上げ、グイと胸を手で押しやるようにしてあっさりと
身を離した。抱いていた仄かな温もりが去って言われぬような寂しさを感じた事に驚きながら、しかしジュウの身体はなお
燃えるような熱を抱えたままだった。
 「……迷惑、かけちゃったわね」
 それが、少しばかり胸から肩にかけて感じる濡れたシャツの感触に対する物なのか、それともそれも含めた今日の全て
に対する物なのか、ジュウには判断が付かなかったので、
 「迷惑なら、俺だってお前に色々かけたからな」
 「……本当に、変な人ね」
 無表情に、じっとジュウの顔を見つめていた円は、不意にフッと困ったように笑うと、そんな風に相変わらず褒めている
のか貶しているのかよく分からない事を言った。
 「それじゃあ、迷惑かけっぱなしのままでなんだけど、今日はそろそろ失礼するわね」
 「もう帰るのか」
 「ええ。このままいても、あまりお互いにとって愉快な事にはなりそうもないしね」
 そこで一旦言葉を切って
 「それとも……さっきの続きでもしたいの?」
 たちまち沈黙するジュウに、
 「まあ、今あなたにそう言われたら私からは断れないけど」
 冗談ともつかないような事を呟く。そして続けた。
 「……みっともない所も見られちゃったし、今更格好つけるでもないけど、この借りは今度きっちり返すから、そのつもり
でいて」
 「いや、別に俺はそんな気にしてないから」
 「私が気にするのよ。……何を笑ってるの?」
 普通に礼を述べる筈が、挑みかかるような口調のせいか、妙に不穏当に聞こえた円のセリフについ笑ってしまったジュ
ウは、鋭い視線で睨まれるが、涙の跡も消えきらない少し赤い目ではいつものような迫力が無くて、彼は苦笑しつつ「すま
ん」と謝った。それをなおも睨んで……はあ、と諦めたように一つ溜め息をつくと、
 「元は私が悪いんだから、別にいいけどね」
 とぼやく。
 まずかったかな、と思いつつも、拗ねた口調が少し可愛らしく思えたが、それを口に出して言うとなお不機嫌にさせてしま
う事は分かっていたので、そしらぬ顔をして横を向き、シャツの胸元を摘んでパタパタと風を起こす。なにか、先程よりも体
が熱いような気がしていた。円が涼しげなのに対して何故自分だけが?と疑問も浮かんだが、とりあえずは場所が悪いの
だろう、とドアを開けて居間に出る。
 「丁度、雨も止んだみたいだな」
 カーテンを引いて窓を開けると、外は既に軒とそれに程近い草木から夕立の余韻が垂れ落ちるだけで、空は既に曇天一
掃されて夕暮の赤光と忍び寄る宵闇とが彼方で混じり合って紫色に変じつつあった。
 「そうね、いいタイミングだわ」
 振り返ると、自分の後について部屋を出てきたらしい円が壁に片手をついてこちらを見ていた。
 「それじゃあ、お邪魔したわね。さようなら」
 一瞬だけ目が合って、しかし彼女はそう言うとあっさり踵を返し、止める間も無くその長い足を玄関の方へと向けて踏み
出して、はたと立ち止まり、黙って振り返った。ジュウを見るその瞳には、やや迷いの色が覗く。疑問符を浮かべるジュウ
に向かって少し口篭もってから、彼女はゆっくりと口を開いた。
620497:2006/12/23(土) 01:47:19 ID:PFoG3msv
 「柔沢君」
 「……なんだ?」
 「今日は、色々と、あの……ありがとう」
 照り返す夕日のせいか、赤く染まった顔に、純粋な感謝の微笑みを浮かべた円は、有り体に言って非常に魅力的で、
ジュウは跳ねるように高まる鼓動を感じつつ照れ隠しのように
 「下まで、送って行こうか」
 そう言って彼女の方へ一歩を進め……ようとして、不意にその場に崩折れた。
 「柔沢君?」
 驚きの声を上げる円の事も気にする余裕も無く、ジュウは全身から脂汗を流しつつ酸素を求めて喘いだ。喉が収縮して
息が詰り、ドクン、ドクンと心臓が飛び出しそうに大きく、速くその拍音を打ち鳴らし続ける。ずっと感じていた熱は既に異様
なまでに高まって全身を炙るように苛み、脳をも沸き立たせ、溶かし尽くすような灼熱と化している。目の前が時折真っ白
い光で満ちて、それが苦痛よりもむしろ恍惚と快感を伴っているのにジュウは恐怖した。そして虫の羽音のような物で塞が
れた聴覚に、時折何者かが呼びかける声が響いた。
 ……セ。
 それは、徐々に強く、獰猛な響きを持って近付いてくるように思われた。
 ……カセ。
 それが、知らずしてとても恐ろしい物だと気付いてジュウは耳を塞ごうとしたが、それは明らかに己の内側から響いてくる
声だった。
 ……オカセ。
 その時、丁度彼の肩にほっそりとした優しげな手が置かれた。反射的に、ジュウはそれを掴む。そして顔を上げた。
 目を丸くしてこちらを覗き込んでいる少女と目が合った。最早それが誰なのかすらも思い出せないほどに混濁した思考
の中で、なおも声が叫ぶ。それはまさしくジュウ自身の声であった。
 この女を、犯せ。
 それが、この灼熱に晒され、乾ききった己の求める物なのだと、飢えを満たす物なのだと気づいた時、ジュウの身体は
理性を裏切って少女の体を引き寄せ、床へと組み敷いていた。そしてそのまま、襟元へと手をかけて力任せに引き千切っ
た。ボタンが幾つも飛び散り、裂けたシャツが大きく捲れ上がって、シンプルだが品の良い青いブラジャーに包まれた真っ
白い胸が露出したところで、呆然としていた少女がようやく我に返ったように短く悲鳴を上げた。抵抗しようとするが、両手
首をジュウが掴み、馬乗りになっている状態では何も出来ない。
 だがうるさい。煩わしい。そう思って、ぐいと片手で彼女の両手を纏め上げると、空いた方の手で拳を作り、振り上げた。
びく、と一つ震えて抵抗が止む。こちらを見上げるその見開かれた目に、怯えと共僅かに涙が盛り上がったのを見て、不
意にジュウは拳を止めた。頭を何かが過る。これと似た光景。この娘を泣かしてしまった。もうそんな事は嫌だと思った筈
の、そんな光景がどこかで……。
 衝動と、理性とが再びせめぎあう。頭の傷口が割れそうに痛む。他人には想像も付かないような脳内の地獄変。だが遂
に抗し得ないと判断したジュウの理性は、最後の力で歯を食いしばらせ、唇の端を噛み千切った。鋭い痛みと共に鉄の味
が口の中に広がる。そしてその合間から、縺れた舌が言葉を紡ぐ。
 「な……ぐ、れ……おれ、を……な、ぐ……て」
 その一瞬に、手の力が緩み、そしてするりと蛇のようにそれをすり抜けた感触と共に、ジュウは下から顎を突き上げる
ような衝撃を感じて、それを最後に彼の意識は闇に溶けた。
621497:2006/12/23(土) 01:48:32 ID:PFoG3msv
 どう、と自分の体を掠めるようにして前のめりに倒れこんだジュウの体を苦労して仰向かせながらその下から這い出して
、円はふう、と一つ息をついた。ジュウは完全に失神しているようだった。自由になった両手で、斜め下から顎を掌打で打
ち抜いたのだから無理も無いが、下半身を押さえられた状態で咄嗟にそんな真似が出来たのは彼女なればこそだろう。
ついでに言えば、ジュウがやや前屈みの状態で、全くの無防備でいた事も幸いした。
 それにしても、と円は思った。一体彼の変貌はどういった訳なのだろうか。
 ジュウがこんな事をする人間ではない、という事は、円には痛いほどよく分かっていた。それぐらいならば最初の自分の
思惑が図に当っていた筈である。だが、最後に自分に向かって「殴れ」と言った彼はいつもの彼だったように思えた。
 そう言えば、と円は彼の顔を上から覗き込む。唇の端が裂けて痛々しい傷口を見せてはいるが、それよりも心配なのは
頭の傷の事だった。咄嗟の事で気遣う余裕も無かったが、今の打撃で傷口が開いたりはしなかったか、またそうでなくとも
何かしら影響があったかもしれない。病院での検査では異常は無かったが、だからと言ってこう一日に何度も頭部への衝
撃を受けては、喩え丈夫な彼でも危険だ。
 そう思って、穏やかな顔で目を閉じたジュウの額にそっと手を伸ばしかけた所で、彼が不意に苦しげに顔を歪めた。心配
が当ってしまったか、とやや青褪めて急いで携帯を取り出そうとした円の目線は、しかしある一点で止まった。それはジュ
ウの天を衝くように自己主張をするその分身であった。ズボンの上からでもはちきれそうに張り詰めている事が分かるそれ
は、あるいは先程の異常な行動とも併せて頭部の以上の証左なのかとも思えるが、それよりも円には強く、これがそう言
った事とは別の事として、自分のせいである、と思えた。
 ≪円堂≫の家は、紅読者の諸氏には言うまでもない事だが、裏の世界においての名門である裏十三家の一派である。
どの家も、各々凶悪と言っていいような能力を持ち、それを主に血によって引き継いでいる点では共通するが、全てが全
て戦闘を生業とするかといえばそういう訳でもない。≪円堂≫などはその典型であり、それが故に表の勢力と融和する事
にも成功した。
 すなわち、≪円堂≫の女子は、生まれながらにしてその身体そのものを男性に対する最大の武器として備えて生まれる
のだ。その身体で男を蕩かし、骨を抜き精を搾り取り心までも我が物とする。或いはそのまま全ての精を吸い尽くして木乃
伊としてしまう事も出来る。喩えその肉の誘惑から逃れようとしても、その体液は性的興奮の高まる所たちまち男を誘う媚
薬と化し、大気にも溶けて男を獣に変える。美しき食虫花。円がジュウを自分の体で誘って自分の物としようとしたのは、
決して彼女の傲慢でも自惚れでもなかったのだ。
 それが叶わなかったのは、円が≪円堂≫が表に交わった後数世代を数えた為かやや血が薄まっていたせいで、≪円堂
≫の家でもそれは分かっていたので、それを目覚めさせるべく苦心惨憺した。如何に生まれながらの能力とは言え、子供
の頃からあまり無茶な事をする訳にはいかなかったからである。だから、特殊な性教育をまず知識として詰込み、幼い彼
女を洗脳して自分達の都合の良いように育てようとした。だがそれは破れ、円にはその家に対する反発と男への嫌悪感だ
けが残ったのだ。家を飛び出さなかったのは、何処まで逃げても遂に逃れる事叶わず、という確信を持たせる≪円堂≫の
手の長さの故である。そして、途絶した事により中途半端なものに終わった円の自らの体への知識は、その媚薬効果につ
いてはほとんど知らなかった。だから、それがジュウの変貌に関わっている事を確信したのは、ほとんど本能に基づく直
感のような物である。
 ともあれ、円の愛撫は直接体液をジュウの体内へと注ぐ事は無かったが、その全身を舐めつくした。即効性においては
さほどでもないが、全身を覆い尽くすようなそれは徐々に内側へと染み入って、ジュウを獣へと変えたのだ。そして、気を
失った状態でもなおそれは彼を責め、苛んでいる。
 時折苦痛のうめきを漏らして、背を逸らすジュウを見る円の目には、後悔の痛みだけがあった。
 「……ごめんなさい」
 一瞬だけ決然とした光を宿した目を伏せてそう言い、そっとジュウの手を握る。外側はゴツゴツとしているが、掌は存外に
柔かかった。それをそっと、自分の胸へ当てる。
 「ッん……!」
 少しだけの嫌悪が混じった快感の声が吐息のように漏れる。深層心理から来る抵抗の意思が少しだけ彼女を躊躇させ
たが、それもすぐに快楽に取って代わられる。
622497:2006/12/23(土) 01:49:14 ID:PFoG3msv
 「くっ……ふぅ、ン……」
 声を出さぬように努めながら、ジュウの手をつやつやとして引き締まった己が腹に、腰に、脚に這わせる。同時に、片手
で器用に彼の腰のベルトを外し、下着まで取り去ると、勢いよく隆起したジュウの物がまろび出た。一瞬息を呑んで、改め
てそれに繊手を添えると、
 「ぅあっ」
 ジュウの叫びと同時、不意にそれは大きく震えて、大量の白濁した液を吐き出した。それは円の手を汚し、ジュウ自身の
腹にまで垂れてようやく止まったが、なおその硬度は全く衰えを見せない。
 うっとりとそれを見つめ、噴き出した物を甘露の如くに舐め取りながら、ジュウの指を下着越しに自らの秘部へと触れさせ
る。
 「ひあっ!」
 電気の走ったような、形容しがたい感覚につい叫んで、しかしそれを恥ずかしがるような余裕も無く、円は小刻みに震え
ながらなおもジュウの指でそこを擦りたてる。くちゅ、と湿った水音が響き、やがてそれが大きくなってくる。ジュウの胸に
顔を伏せて声を殺し、寄添うようにしながら、ひくひくとその身を痙攣させていた円は、やがて気だるげに身を起こし、膝立
ちになるとその下着を取り去る。粘液の糸すら引きつつ取り去られたそれを無造作に放ると、彼女はそっとジュウの体を
跨ぐ。
 ジュウは変わらず治まらぬ勃起に苦しみ、うなされている。放っておけば、その苦しみだけで気がおかしくなってしまうし、
また普通に射精させていては出す物が尽きるまで射精を繰り返し、やがて死に至る。それを防ぐ方法は、一つしか無かっ
た。だが無論円は知識としてそんな事は知らない。ただ自分が原因でこうなったのならば、自分の体でしか彼を救えない、
という事だけは分かっていた。
 ゆっくりと照準を合わせて腰を降ろし、しとどに濡れそぼった部分を勃起に宛がう。
 「んっ、う……」
 何の感慨も、躊躇も無く、そのまま下半身を沈める。一瞬ぷつりと何かが弾けたような感覚と共に、ジュウの物が最奥に
到達し、円は声にならぬ叫びを上げて仰け反った。それは愛液と共に流れ出た一筋の血の痛みではなく、むしろ背骨を通
って脳まで貫き通るような圧倒的な快感による物だった。
 「っは、あ、あん……やあぁぁ……」
 意味の取れないあえぎが口を突いて出る。背を丸め、必死に声を殺そうとするが、彼女の膣はそれを嘲笑うように蠕動し
、ジュウの物にゆるゆると巻き付くように蠢き、またその次にはキツく締まって扱きたてた。それに連動するように、彼女の
腰も本人の意思とは無関係に自然と動き始める。
 「あっ、ふぅっン、くっああ、んぁっ、い……ひン……!」
 当然今のジュウに一たまりのある筈も無く、夢現に絶頂の声を上げて、あっさりと欲望を吐き出した。だがそれまでの絶
頂と違ったのは、それが容易に止まらなかった事である。円の子宮へと直接熱泥の如き白濁が叩きつけられ、それがみる
みるとそこを満たしていくのを感じて、彼女は悲鳴を上げた。
 「あっ、やあ……ダメ、熱、子宮、熱い……!」
 噴出はやがて止まったが、円の子宮口とジュウの鈴口は接着したように離れずにいた。そしてそこから、まるで互いの
性器が溶け出して混じり合っていくような感覚が襲ってきた。二人の間の境目が、ジュウと円の、男と女の、二つの生命の
間の垣根ごと溶けて、一つに還っていくような、それは丸きり未知の快楽で、円は気が遠くなって前のめりに倒れかけ、寸
での所でジュウの顔を両手で跨ぐようにしてつき、体を支えた。涙と涎が吹き零れて、ジュウの顔にぱたた、と降りかかる。
 だが円は絶頂には達していなかった。彼女の自制心は、それを許さない。円にとっての空手は、強くなる事よりもむしろ
自身を律し、制して、己を、円堂円を守る事に眼目を置いていた。≪円堂≫の家の人形とならない為に。それは彼女にとっ
ての唯一の武器であり、また頼りでもあった。
623497:2006/12/23(土) 01:49:54 ID:PFoG3msv
 だからこそ、風呂場でジュウに押し倒された時、いや、それよりも先に自らがジュウを押し倒した時も、肉欲に溺れて本
能の赴くままに快楽を貪っている、それを受け入れようとしている自分自身に恐怖し、怯えた。自分の修行の日々は、何
だったのか。全てこの身の内の忌々しい血の前では、無駄な努力だったのか。考えてみると、その事ばかりではなく今日
の自分は全く自らを律せていない。まるで何も知らなかった、あの無力な子供の頃のようだ。
 忌まわしい記憶と共に快楽に止め処も無く襲われて、波の中の小船のように円の意識は揺さぶられ、持ち上げられ、
叩きつけられてその中へと沈みゆく。
 「だめぇぇ、ダメ……うああぁぁんっ!」
 白い、上質な陶器のような喉を反らして泣き叫ぶ。もうダメだ、と心の片隅で思った。自分は壊れてしまう。その心に纏
った鎧ごと壊されて、剥き出しにされて、そうしたら自分は人形になってしまう。男の都合の良いように弄ばれ、道具として
使われる人形に。
 助けて。誰か助けて。
 心中の叫びに応えるように、見下ろしていたジュウの瞼がゆっくりと開き、霞んだようなぼうっとした目で円を見上げた。
だがそれは、円にとって今の自分の姿を一番見られたくない相手だった。
 「見ないで……!」
 泣きながらそう言った円は、直後不意にジュウの腕が頭の後ろに回されるのを感じた。


 ジュウは、夢を見ていた。
 最初は、闇黒淵の中で何か得体の知れないモノに責められ、弄ばれる夢だった。それは快楽を伴いながら、けして満た
されぬ渇きだけをジュウに与え、もどかしさに気も狂わんばかりになってジュウは悶えたが、やがてそれは眩いような光と
共に一変した。万華鏡の如き華美なる光景が明滅し、幾つも自分の周りを流れてゆき、天来の福音が耳を打ち、ふわふ
わとその中で浮きつ流れつ、ジュウは恍惚の中にいた。そしてその果てに……。
 (ここは、何処だ?)
 手足を縮こまらせて、ジュウは自問した。狭苦しい、だが何故か居心地の良い、そこは水で満たされていた。その中でプ
カプカと浮かびながら、しかしジュウは息苦しさを感じなかった。それが、母の胎内なのだ、と気づいた時、ジュウは泣きた
いような笑いたいような気持ちになった。
 自分は、ここに環りたかったのか。あんな横暴な、暴力的な、身勝手な、気まぐれのような優しさしか振り撒かないような
あんな母親の中に……。
 だが、それも長くは続かなかった。彼はその居心地の良い場所から引きずり出された。ジュウは泣いて嫌がったが、抗し
難い力で外の世界の荒渦へと放り込まれた。そしてその中で、揉みくちゃになりながら、ふと声を聞いた。それは遠く、微
かな泣き声だった。誰かが泣いている。そちらへと泳ぎだして、ひょいと水槽でも見るように覗き込む。
 泣いていたのは、母だった。
 傲慢な母が、強い母が、あの不敵な母が、自分を抱き締めて泣いていた。
 それは一体何時の記憶か。一体何があったものか。ジュウには全く覚えが無い。或いは夢の中の、幻影だったのかもし
れない。しかし、その光景は酷くジュウの心を痛めた。
 泣かないで。お母さん、泣かないで。ジュウはどうすればいいのか分からなくて、何時の間にか覗き込んでいた自分が
子供の自分の視点と同化している事にも気付かず、ただ母を抱き締め返した。自分の思いが通じるように。お母さんが泣
き止みますようにと。


 ジュウは目を開けた。目の前に、泣いている女の子がいた。それが誰だかは分からなかったが、何故だか彼女が泣いて
いると胸が痛んだ。だからそっと彼女の事を抱き締めて、そして言い聞かせるように言葉を紡いだ。
 大丈夫だよ、泣かないで。
 身悶える彼女の耳元で囁く。
 守ってあげるから、もう泣かないで。
 恐れるような、喜ぶような、或いは赤子の産声のような嬌声を彼女が上げた。そして、ジュウは不意に彼女の名前を思い
出した。
 好きだよ、円。
 そう言うと、彼女は顔を起こしてジュウを涙で一杯の目で見つめ、不意にその唇をジュウのそれに重ねた。
624497:2006/12/23(土) 01:50:36 ID:PFoG3msv
 円の舌がジュウのそれと絡み合い、そこから二人の熱が一つになって、繋がり合い、円の涙も、ジュウの言葉も、全てが
ただ一個の炎熱と化した。
 円の背に震えが走って、合わせた唇の間からくぐもった声が漏れた。それは生まれて初めての、彼女の心からの快楽
の声であった。それは長く、長く続き、そして二人の唇が離れてもなお続いた。
 「イクぅ、イクイクイクっ!もうダメ、柔沢君、もう……!」
 円の顔は恍惚に蕩け、しかしそれは女としての幸福を確かに表していた。ジュウはそれを単純に、綺麗だ、と思った。
 「あぁぁぁあっ、イクぅぅっ!」
 そして二人は同時に目の前が真っ白になったのを最後の思考としたまま、夢も見ず深い眠りに就いた。


 翌朝早く。ジュウは目を覚ました。
 「ようやくお目覚め?」
 「ん……あれ?円堂?」
 寝ぼけ眼で声のした方を見やると、円がテーブルに頬杖をついてこちらを半眼で見ていた。
 「なんだ?一体何が……」
 「貴方の服、借りたわよ」
 言われて見ると、円の着ている服は確かにジュウの物だった。混乱して、一体何があったのか聞くと、円は何故か少し
安堵したような顔で説明してきた。どうやら昨日円を見送ろうとした所でジュウは貧血で意識が朦朧として倒れかかり、そ
れを支えようとした円の服に、頭部の傷口が開いて漏れ出た血が付いたらしい。そんなに血は出なかった筈だが、とジュ
ウが首を捻ると、円は平然と
 「一部に血が集まりすぎてたからじゃない?」
 などと言ってきたので、かえってジュウの方が赤面した。
 ともあれ、自分のせいで服を汚してしまったからには弁償を、と彼が申し出たが円は、借りはこっちにあるから、と取り合
わない。そうしている間にもジュウは何か引っ掛かる物を感じ続けていたが、それが形を成す前に円が
 「それじゃあ、柔沢君も起きたみたいだし、そろそろホントに帰るわね」
 と言ってきたので、慌てて立ち上がろうとして、ヨロめいた。
 「まだしばらくは寝てた方がいいわよ」
 何か頭よりも腰に力が入らないようだ、と思いつつもジュウはその声を無視して立ち上がり、円の方へと歩き出した。彼
女は既に背を見せて歩み去りつつあり、玄関まで行ってそれに追いすがる。
 「一晩も付き合わせちまって、悪かったな。ありがとう、円堂」
 「大した事じゃないわ。でもまあ、どういたしまして」
 肩越しに、片頬と片目だけ覗かせて円はそう言った。声の調子は柔かいが、何故か此方を真っ直ぐ見ない彼女。考えて
みると、起きてからこっち一度もまともにこちらに顔を向けようとしない。一晩も面倒をかけられていたのなら、もう呆れて自
分の顔など見たくなくなっても仕方ないのかも知れないとは思うが、なにかそういう感じでもないような気がする。
 「なあ、円堂」
 「……なに?」
 靴を履きながら、答える円。
 「なんで、こっち見ないんだ?」
 「……見てるわよ」
 白々しくそういう彼女に何となく気になって、ジュウはその肩に手をかけた。
 「なあ」
 「……っ!触らないで!」
 反射的にそれを振り払って、その勢いに思わず自分から手を離した為に勢いあまって振り返ってしまった円と、ジュウの
目が合った。
 瞬間、白蝋のような頬に薄く朱が差す。それを呆然として見つめつつ、ジュウは思わず口走っていた。
 「円……」
 「……!名前で……」
 何故だか泣きそうな顔で、円は叫んだ。
 「呼ばないでっ!」
 物凄い勢いで円の蹴りが正面から腹に炸裂し、ジュウは数メートルも吹っ飛んで壁に激突した。円はその間に、振り返り
もせずにドアを開けて走り去っている。
 ゆっくりとドアが閉まるのを見送りつつ、ジュウは、やっぱり女は分からない、と思った。

<終?>
625497:2006/12/23(土) 02:32:37 ID:QMU7o2Bp
円堂の家の設定に付いては、まあアレだ。勝手な妄想ですよ、ウン。
まあエロパロだしね。なんか九鳳院と微妙に被ってるような気もしたけど、個人的には
山田風太郎忍法帖を意識してます。と、PCの調子が悪くなったんでケータイから
あとがきと言うか言い訳じみた事を書いてみたり。
とまれこうまれ、最後までお付き合いいただいた皆様、本当にありがとうございました。
626名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 00:15:36 ID:yMB/hlQJ
円! 円!
627名無しさん@ピンキー:2006/12/24(日) 18:32:25 ID:tioeZYlQ
円がこんなにエロいとは
628伊南屋:2006/12/25(月) 14:05:01 ID:xc1rdrDU
「メリークリスマス。真九郎さん」
 自室へと入った真九郎は、そう声を掛けられた。
 灯りはついていなかった。全くの不意打ち。それでも声の主は夕乃だと、気付く事は出来た。
「夕乃さん?」
 何故、部屋を暗くして待っていたのだろう。そう言えば今日はクリスマス。
 なら灯りをつけると部屋がクリスマスパーティーの飾り付けをされているのだろうか。
 淡い期待を膨らませ、灯りをつける。
 「あ……」
 絶句。
 狼狽える真九郎に夕乃は言った。
「クリスマスプレゼントですよ。真九郎さん」
 成る程、確かに真九郎の期待はある意味では的を射ていた。
 しかし、飾り付けられていたのは部屋ではなく、夕乃だった。
 一糸纏わぬ真っ白い肌に絡む赤いリボン。それが、乳首や秘部を見えるか見えないかのギリギリのラインで隠している。
 いつもはまっすぐ垂らした黒髪は、幅の広い緑色のリボンでポニーテールにまとめられている。
 白、赤、緑。見事なクリスマスカラー。
「サンタガールとどっちにするか迷ったんですよ?」
 ――いや、聞いちゃいねえよ。
 うっかり、一瞬キャラが崩れる程の動揺。真九郎はこんな暴言キャラではない。
 というか。
 目の前の光景は何なのか。淫夢、妄想、現実。
 一体、どれなのか。
「真九郎さん?」
 す、と音もなく夕乃が距離をつめる。
 いや、それ崩月の足捌きですよ夕乃さん。
「お願いがあるんです」
「な、何です……か?」
 唇を真九郎の耳元に。熱い吐息が耳朶を掠める。そして、夕乃は少し切なげな声で。
「真九郎さんの真っ白いクリームで、私の事、――デコレーションしてください」
 切れた。そりゃ切れる。真九郎だって健全な青少年で、それは性少年と揶揄されるようなお年頃で、処理しても処理しても溜まる一方で――。
「夕乃っすわぁーーん」
 覚醒。ルパンダイブ。キャラが崩れた真九郎に不可能はない。
 ふくよかな胸の膨らみにダイブをキメる。そのまま、お誂え向きに敷かれていた(恐らくは夕乃が用意していた)布団に押し倒す。
 夕乃は軽く悲鳴を上げたが、顔は笑っていた。
「夕乃さん、夕乃さん」
 馬鹿みたいに、阿呆みたいに、餓鬼みたいに、赤子みたいに。ひたすらにひたむきに乳房を貪りしゃぶる。
「あっ、真九郎さん……」
 乱暴ながらも感じているのか、夕乃がきゅっ、と真九郎の頭を抱え、胸に押し付ける。
629伊南屋:2006/12/25(月) 14:06:28 ID:xc1rdrDU
 稚拙な愛撫は、夕乃が感じる場所を見つけ、学習していく。短時間での成長、否、性長か。
 確実に夕乃の“ツボ”を突く愛撫は、最早素人童貞のそれではなかった。
「あっ、あっ、あぁん! し、真九郎さん!」
 背を逸らし、快感を訴える夕乃。それを見て真九郎は――。
 笑っていた。
 嗜虐的な笑みを浮かべていた。
 調子に乗った真九郎の愛撫は肢体を撫でながら下へ下へ、下半身へ。
 そこに、触れる。
 くちゅ、と音がした。ひく、と蠢いた。驚く程に、熱かった。
「あぁっはぁ!」
 身を震わせ夕乃が悶える。
 真九郎は止まらない。中指を浅く沈める。入口付近を引っ掻き回す。更に、奥へ。
「くぅぅっん!」
 ひくん、と身を痙攣させる。それ以上に膣中は激しく痙攣していた。
 軽く、イったらしい。
 深く挿し込んだまま指を止める。
「っはぁ、はっ、はふっ」
 不規則な浅い呼吸を夕乃は続ける。
 それが徐々に落ち着くにつれ、夕乃はもじもじとし始めた。
 膣中で静止した指が違和感と疼きの塊となって夕乃を責め苛んでいるのだ。
「真九郎さん……」
 艶を帯びた声はしかし、真九郎には響かないのか。ただ相変わらず嗜虐的な微笑を、真九郎は浮かべるだけだった。
 耐えられず、夕乃は自ら腰を降りたてる。それは半ば以上無意識、無作為の事だった。
 真九郎の指をディルドーに見立て、快感を欲するままに腰を振る。
 それを見て真九郎は。
 ――やっべー! マジ? マジで? マジっすか!? ヤバいって夕乃さんエロ過ぎ。も、もう辛抱堪らんて!
 嗜虐的な笑みは仮面。根でヘタレであることは変わらない。見せつけられ痴態だけで既に射精寸前だった。
「う、うおぉお!」
 限界なんてとうに過ぎている。最後の理性と余裕。その全てをかなぐり捨て、ルパンダイブ・トライアゲイン。
 掴むのは双つの柔肉。いや、そんな表現は意味を成さない。
 それは乳だ。男の果てぬ夢と希望が詰まったおっぱいだ。
 掴んだそれの谷間に自らを挿し込む。
 即ちパイズリマウントポジション。そうして、真九郎は自分で腰を動かし、双乳で扱きたてる。
 ここで再び確認しよう。真九郎は、夕乃の痴態だけで既に射精寸前だったのだ。
 つまりは。
「うっ!」
 盛大に射精。夕乃の願い通り、その美貌が白濁した男ミルクでデコレーションされる。
 それを夕乃は恍惚の表情で受け入れていた。
630伊南屋:2006/12/25(月) 14:08:14 ID:xc1rdrDU
 それだけでなく、先端を精液で濡らした真九郎の陰茎に舌を這わせる。
「ちゅ、んふっ、はふっ、ちゅぅぅう……」
 尿道に残った精液まで吸い出す。それら一連の動きは、真九郎の肉幹を再び上向かせるには十分過ぎる。
「あはっ、おっきくなりました」
 もはや意識など獣の本能に支配された真九郎は躊躇わない。一瞬で体勢を整えると、自身の切っ先を夕乃の膣口にあてがう。
「来て……下さい」
 言われずがなとも。真九郎は一息に深く突き立てる。
 何かが弾けるような、破れるような感触も一瞬。容赦なく腰を降りたてる。
「あ、あ、あ。真九郎さ……ゆっくり、あぐっ!」
 痛みを訴えようが構わない。ただ、貪る。
 絶頂は再び、短時間で訪れた。
 早漏と言う無かれ。極限の興奮状態、それは詮無き事だ。
 代わりに、復活も早い。射精する肉棒は萎えず、夕乃を貫き続ける。
 そして、今回の射精はプラスに働いた。
 精液が潤滑油の役割を果たし、夕乃の痛みを和らげる。
 それから、夕乃が快楽の嬌声を上げるまでそう掛からなかった。
「やっ……はあ、んんっ! 真九郎さ……っん。あぁん!」
 しがみつくように腕を回し、深く繋がることを求める。膣中も、誘うように蠢き、互いの性感を高める。
 抱き締め合う温もりは心を満たし、繋がり合う熱さは体を満たす。
「真九郎さ……わたし、もうっ!」
「夕乃さんっ!」
 拠度の絶頂は同時。夕乃が甘く切なく真九郎を締め付け、二人は同時に昇り詰めた。
 真九郎は自らを引き抜き、精液を夕乃の全身に振り掛ける。三度目とは到底思えない大量の精液が、真っ白から薄桃色に紅潮していた夕乃の肢体を白く染め直す。
「熱……い。真九郎さんの……精液」
 そう呟いた夕乃は、性交の疲労と、絶頂による倦怠感で微睡みに沈む。
 それは真九郎も同様。幾分理性がもどり、冷えた思考でこれからどうするかを考え、結論を出す前に睡魔に屈した。
631伊南屋:2006/12/25(月) 14:09:10 ID:xc1rdrDU
 翌朝。
 真九郎はおしぼりで夕乃の体を拭いていた。
 風呂のない五月雨荘ではこれが限度。ある程度拭ったら銭湯に行くことにしている。
「あ……」
 不意に、夕乃が声を漏らした。
「真九郎さん?」
 若干怒りの含まれた声音。
「今、えっちな触り方しましたね?」
「いや、そんな事は……」
 それは事実。真九郎は意識していない。
「いいえ触りました。」
 言って、夕乃は身を寄せる。
「だから真九郎さんのせいで、“スイッチ”入っちゃいました」
 ――そういうことかい。
 内心で苦笑。もっとも嫌なはずもない。
「分かりました」
 夕乃を抱き寄せ、口付ける。
 熱い粘膜を繋ぐ、深い口付け。

 ――全く、銭湯に行くのはもっと後になりそうだ。


632伊南屋:2006/12/25(月) 14:13:05 ID:xc1rdrDU
 テンション一つで駆け抜けろっ! 毎度、伊南屋に御座います。

 さて、一日遅れのクリスマスネタ。いや本当は25日だから合ってんのか。
 かなり暴走してみましたが如何でしたでしょうか。
 酒が抜けきらないテンションですのでおかしいのは分かっております。
 それでも、楽しんでいただけたら幸いです。

 それではまた、以上伊南屋でした。
 メリークリスマス!
633名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 19:36:27 ID:hSy7u6Bh
いやすっげー楽しみましたよ?
まさかここでギャグがくるとはw
相変わらずなGJッス伊南屋さん!!
634名無しさん@ピンキー:2006/12/25(月) 21:24:57 ID:lUbw8ECB
伊南屋さん、貴方と云う人はっ!!

何てGJなんだ、笑わせて頂きましたw
自分もギャグが来るとは思いませんでしたw
635名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 01:45:38 ID:MXmnhwgh
やったー! 夕乃さんだー!!!!!
残業で疲れて帰ってきた身に、素晴らしいプレゼントをありがとう
636名無しさん@ピンキー:2006/12/26(火) 23:42:03 ID:HohcyNPN
伊南屋さんは何でも面白いですね!!すばらしいクリスマスプレゼントをありがとう!!GJです!!
637名無しさん@ピンキー:2006/12/28(木) 12:47:14 ID:/BChVIot
保守
638名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 09:32:10 ID:XLujEUo3
ほっしゅ!
639名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 11:51:00 ID:5jR3OvsJ
皆さん良いお年を!!
640伊南屋:2006/12/31(日) 12:07:31 ID:4l9gF13N
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
Z.

 空がうっすらと白み始め、朝の訪れを告げる。
 夜通し馬車を走らせた一行は、疲労の色も露わにしながらも、目的地への到着を知った。
 ギミアの東部に位置する都市、クスル。商工業が発達する一方、武芸の盛んな都市であり、名だたる武人を輩出している事で知られている。
 この周辺の都市、集落と合わせ、クスルを治めているクスル領主との会談がジュウ達の目的であった。
「なんか、久しぶりだな」
 呟いたのは真九郎だ。その表情は懐かしい景色に、微笑んでいるようだった。
「お前、ここの出身だったのか」
 問うジュウに、真九郎は肯いて応える。
「ああ、生まれは違うけどな。ここで戦い方も学んだ」
「なる程な」
 相槌を返しながらジュウは辺りを見渡す。まだ早朝だと言うのに街は既に活気に溢れ、ざわめきを生んでいる。
 時折遠くに聞こえるのは道場の修練の掛け声だろうか。
「良い街なんだな」
 呟くジュウに、真九郎は微笑みを浮かべる。
「良い街だよ。良い人ばかりで平和だ。豊かではないけど貧しいって訳じゃないしな」
 領主が善政を行っているのだろう。やはり、周囲の領主を纏めるだけはある。一角の人物であるらしい。
 ならばこそ。ジュウとしては領主と話し合い、友好的な関係を築きたい。
 それが国の為になる。
 内部に亀裂を入れたままではやはり、これからの国政に不安が残る。
「円、後どれくらいで着く?」
「街に入ったし、もうすぐね」
 昨夜から馬を捌き続けた円は、それでも一行の中、ただ一人疲れを感じさせない様子で答えた。
 答えを聞き、ジュウはさっさと眠ってしまった雪姫に声を掛ける。
「起きろ、雪姫」
 声に、雪姫は小さな呻きを上げ、目覚める。
 しかし、まだ幼い紫が眠っているのは仕方ないとして。また何時襲撃されないとも知れない状況で、さっさと眠ってしまうのはどうなのか。
 ジュウは自分の護衛の信頼性を、改めて疑わざるを得なかった。
「そういえば真九郎も領主に用があるんだったな」
 何気ない問いに、真九郎は苦い表情を浮かべる。
「ああ、だけどその用については――」
「分かってるさ」
 ジュウは苦笑して答える。一度言われたのだ、それについては理解している。
 正直な話、大して興味があるわけでもない。説明されたとしても「そうなのか」と思う程度だろう。
「……何か聞きたい事があるんじゃないのか?」
641伊南屋:2006/12/31(日) 12:08:44 ID:4l9gF13N
 苦笑いを浮かべるジュウに真九郎が尋ねる。
「いや、単に確認したかっただけだ。他意はない」
 答えるジュウに「そうか」とだけ真九郎は返す。
 そんな時だ。不意に円が口を開いた。
「さあ、着いたわよ。領主邸に」
 言われ、外に視線を向ける。
「ここか……」
 領主の屋敷が、ジュウの視界の中、迫って来ていた。

 クスル領主、その氏を崩月と言う。
 古くから伝わる武術の名門。しかし、その技は門外不出。崩月の家系にのみ伝わる技は、その家系の者にしか使えないという。
 ただ、武芸の名門であったのは過去の話。今は領主として施政を行い、武家の側面はなりを潜めている。
 ジュウが予め与えられていた情報はその程度だった。
 こうして屋敷の前に立って、自ら情報を書き加えていく。
 屋敷は極東建築。木を基調とした造りだ。
 これはギミアの東に隣接する国、ヤマトの建築様式である。
 クスルは国内でも東、つまり隣接するヤマトに近い位置にある為、珍しい事ではない。
 屋敷はまるでそこだけ空間を切り取った様な雰囲気を醸し出している。
 ただそれは違和感ではない。どこか郷愁を誘うような佇まいだった。
 馬車に残ると言う円を残し、ジュウ達は門の前に降り立つ。
 真九郎が一歩踏み出した。門を潜り、玄関へと歩いていく。迷いなく歩くその姿は自分達が感じる郷愁とは別の、より親しい懐かしさを感じているようだった。
 黙して真九郎は歩みを進める。
 そう言えば、とジュウは考える。
 最初、領主城へ向かう筈だったジュウ達へ、邸宅に向かうように進言したのは真九郎だった。
 領主である崩月法泉は城にいることは稀で、常は邸宅にいるらしい。
 領主に用があり、かつその領主との関係を仄めかす真九郎。何か複雑な事情があるのだろうが、それを語ってくれるとは考え難い。
 ならば、今は何も言わず付き従うしかないだろう。
 玄関へ向かい、幾ばくかの庭を歩む一行に掛けられる声があった。
 凛としていて、かつ穏やかな響きを持つ声で、
「真九郎さん?」
 と言った。
 視線を声の方に向ける。
 そこに少女が居た。
 年は真九郎同様に同年代。その落ち着いた雰囲気から真九郎よりは年上を思わせる。
 見目は美しい。すらりと伸びた肢体は豊満な曲線を描いている。黒々と輝く髪を垂らすその姿は、さぞかし異性を引き付けるだろう。
「夕乃さん」
642伊南屋:2006/12/31(日) 12:10:14 ID:4l9gF13N
 真九郎が少女に返す。少女の名は夕乃と言うらしい。名を呼ばれた夕乃は、柔らかな笑みをその美貌に浮かべた。
 そこにある暖かい空気に、ジュウは憧憬を抱く。分かり合っている関係。家族のような、そんな暖かさ。
「……こちらは?」
 夕乃が真九郎の背後に視線を寄越す。つまりジュウ、雪姫、紫の三人だ。
「こいつは紫。今日はこの娘の事で話があってきたんだ。それでこちらは――」
 振り向く真九郎。その表情は互いに詮索しあわない事にした故にジュウ達の説明に困っているようだった。
 仕方なく、代わりにジュウが自ら名乗る。
「柔沢ジュウだ。こちらの当主に用があって出向いて来た」
「柔沢……ジュウさん。ですか」
 呟く。夕乃は柔沢の氏が示す意味を捉えたらしい。柔らかな表情を、凛としたものに変えた。
「そうですか、貴方が……。分かりました。では中でお待ち下さい」
 言って、夕乃は玄関を開け一同を誘う。
 躊躇うべくもない。
 ジュウは、崩月の屋敷へと入っていった。

 客間に通されたジュウは待たされていた。理由は簡単。真九郎の要件が先になった為だ。
 当主の間では現在、真九郎が紫と共に事情を話しているらしい。しばらく経ってはいるが一体どんな話なのか。
 興味が無いと言えば嘘になろう。だからと言って無神経に根掘り葉掘り聞くほど不粋ではない。
 突き放した言い方をすれば、これから関わる事もないと思う。所詮は行きずり、その程度の関係性だ。
 ならば、深く関わらないべきか。
 そこまで考えて、ジュウは思考を放棄した。今は関係の無いことだ。
 ふと天井を見上げる。極東建築の常として、それは低い。恐らく、ジュウが立って手を伸ばせば触れてしまうのではないか。
 それでも、そこに圧迫感はない。素朴な造りで、むしろ落ち着く。
 住む者の暖かさを連想させるに充分だった。
「失礼します」
 声と共に夕乃が襖を開け、入ってくる。手には盆を抱え、その上には湯呑み茶碗が乗っている。
「どうぞ」
 差し出された茶碗を受け取る。緑色の液体はヤマトの茶、緑茶であった。
「柔沢ジュウ様……でしたよね?」
 傍らに盆を置きながら夕乃が尋ねてきた。
「ああ、そうだが」
「やはり……。真九郎さんったら気付かなかったのかしら」
「分かって……るんだな」
「それはもう。むしろ気付かない真九郎さんがおかしいんです」
 溜め息混じりに話す夕乃はまるで、不出来な弟を嘆く姉のようだった。
643伊南屋:2006/12/31(日) 12:12:05 ID:4l9gF13N
 苦笑しながら夕乃が続ける。
「真九郎さんは、なんというか世間知らずと言うか、世間擦れしてない所があって……。疎いんですよ全体的に」
 真九郎を憂う夕乃の様子に微笑みながらジュウは答えた。
「でも、良い奴ではある。ほんの少しの付き合いだが、それが分かるくらいには真っ直ぐな奴だと思う」
「そう思いますか」
 夕乃も苦笑を単なる微笑みに変えてみせる。
「ところで」
 不意に表情に硬さを持たせ、夕乃が問いを口にした。
「一国の王が、どういった御用向きでしょうか」
 何気なく踏み込む。問いにジュウは、一呼吸置いて答える。
「それは当主殿に直接」
「あら、大丈夫ですよ。私、次期当主夫人の予定ですから」
「なにを勝手なこと言ってんだよ夕乃さん!」
「あら、真九郎さん」
 唐突に真九郎が乱入同然で客間に入ってくる。その後ろには老人。
 恐らくは当主、崩月法泉。
「話は済んだのか」
 ジュウの質問に、今にも夕乃に掴み掛かりそうになっていた真九郎は若干冷静さを取り戻す。
「ああ、一応はな」
 一応、と言う真九郎の顔色がやや不満気だったが、それについては触れずに置く。
「済まないな、待たしちまって」
 老人が会話に割って入る。改めて見て、正直大層な人物には見えない。
「当主の間は散らかっちまってるから話はここでって事で一つ頼む」
 本当にこの人が崩月法仙なのかと、ジュウは自分の認識を疑いたくなった。
「先生、俺は……」
「残れ」
「……はい」
 老人の言葉に真九郎は肯いて応える。
 今、真九郎は先生と言った。
 確か崩月では外部から弟子は取らないのではなかったか。それとも武道に置ける師弟関係ではないのだろうか。
 もっとも、詮索しても詮無いこと。これもジュウは思考の停止をする。
 考える事は得意ではない。答えが見つからないなら投げるのも手段の一つと思うことで自分を納得させる。
「さて、前置きはなしにしようや。ズバリ、何の用だ?」
 腰を下ろしながら法泉が言う。
「……貴方に、力を貸してもらいたい。国を纏めるための力を」
 力強く答える。真摯な想いを口にしたつもりだ。
「ふむ……随分評価されてるみたいだな。そりゃあれか、俺がこの辺の元締めみたいな事してるからって事か」
「まあ、そうなる」
 法泉はふん、と鼻を鳴らした。
644伊南屋:2006/12/31(日) 12:13:20 ID:4l9gF13N
「まあ、俺としては反抗するとかそんなつもりじゃなくてな。ちぃっと見極めようと思ってたわけだ。そうしたらどうだ。お誂え向きな厄介事抱えた真九郎と一緒に来やがる」
 全くおもしれえ。最後に法泉はそう呟いた。
「少し話が見えないんだが」
「つまりはこういうこった。俺はお前さんに従うに吝かじゃねえ。面白そうだしな。ただしそれには条件がある」
 そこで人差し指を立て、それを真九郎に向ける。
「こいつが抱え込んできた厄介事を片付けてくれねえか。こいつには話は通してあるからもう受けるんなら話してくれるだろうよ。
 嫌だっつんなら仕方ねえ。俺はお前さんには従わねえ。そん代わり反発もしねえがな。国相手に戦争するほど暇じゃねえからな」
 ジュウはやや迷ったが、すぐに回答を提示してみせた。
「良いだろう。その話、受ける」
「いいねえ、決断が早いのは良いことだ」
 法泉が満足気に笑う。
「じゃあ聞いてやんな。真九郎の話を」
 言葉に真九郎が動く。
「覚悟してほしい。今から話す内容を聞いたらもう引けないし、内容事態が胸糞悪い話だ」
 真剣な面差しで語る真九郎に、ジュウは確かな意志を持って答える。
「話してくれ」
 その言葉に真九郎は、その重い口を開いた。

645伊南屋:2006/12/31(日) 12:40:36 ID:4l9gF13N
『レディオ・ヘッド補足授業』

「またやって来ました本コーナー。早速ですが質問に入りましょう」
「おう」
Q.ジュウ様は剣を執らないんですか?
「答えは“執る”だ。本来戦争なんて素手でやるもんじゃないしな。円にしたって馬車の中に剣を忘れただけだ。
 なので勿論、俺も剣を振るう」
「因みにジュウ様は大剣使いです」
Q.雨が出ませんね?
「只今私は国政に追われている……はずです」
「はずってなんだ」
「それはお答え出来ません」
「……そうか」

「今回はこの程度ですね」
「だな」
「本コーナーでは引き続き質問をお待ちしています」
「なんなら展開に関する要望でも可だ」
「それではまた来年」
「良いお年を……ってか」
「ジュウくん、私も私も!」
「お姉ちゃん! またこいつと2人っきり!?」
「私はお呼びじゃないかしら?」
「とりあえず引っ張られてきたんだけど……なんなんですかこれ?」
「あら、真九郎さん。折角の年の瀬ですから。みんなで祝いましょうよ」
「そうだぞ! そして年が明けたら“ひめはじめ”だと環が言っていた!」
「……やらしい」
「ジュウくん私達も姫始めならぬ雪姫はじ――っ痛!」
「あなたアホでしょ? 雪姫」
「なんつうか、色々お疲れ様です……」
「お互いにな……」
「はーいそこ、BL禁止!」
「黙れ雪姫!」
「なあ夕乃、BLってなんだ?」
「紫ちゃん、世の中には知らなくていいことがあるのよ」
「……なんでこんな事に?」
「楽しければ良いのよ光ちゃん」
「楽しいの、お姉ちゃん?」
「ええ」
「で、男二人が女六人も侍らしてなんだこの騒ぎは」
「てめえ……」
「紅香さん!」
「騒がしいですね」
「……誰?」
「弥生さんまで……」
「さぁ皆さん、収拾がつかなくなる前に挨拶だけはしておきましょう」
「雨、お前が仕切るのか」
「まあ良いじゃないですか、あの人しか纏められませんよ実際」
「……だな」

「それでは皆さんまた来年も宜しくお願い致します。最後に今年一年の感謝の気持ちを挨拶に代えまして――」

『一同:良いお年を!!』
646名無しさん@ピンキー:2006/12/31(日) 19:38:12 ID:lltCFEho
イヤ〜続きが気になりますねw 紫との関係はオリジナルですか
最後のギャグもオモシロでGJっす!
647伊南屋:2007/01/01(月) 00:31:26 ID:FpcLao1K
 除夜の鐘が聴こえる。長く重い響きが、新たな一年の訪れを告げる。
「明けましておめでとう御座います」
 正座しながら言ったのは雨だ。振り袖を着飾り、いつもは野暮ったい長髪も綺麗に纏められている。
「ああ、おめでとう」
 無意識に見蕩れながらジュウも返した。
「おめでとう! ジュウくん!」
「ああ、雪姫も、明けましておめでとう」
 やはりこちらも雨同様に振り袖。本人曰わくコスプレみたいなもんだとか。
「私からも一応。おめでとう柔沢くん」
「おめでとう」
 何も変わらぬ円の言葉にジュウは微笑んで返して見せた。
「い、一応。明けましておめでとう……」
「今年もよろしくな」
 顔を真っ赤にしながら憮然とした態度で言う光に苦笑して答える。
 皆が新年を祝う。この宴の席のもう一方でも、それは変わらない。
「明けましておめでとう御座います。真九郎さん」
「おめでとう夕乃さん」
 宴の始まりから着物姿だった夕乃が、真九郎の傍らに座り新年を祝う。
「ん……あけましておめでとうだぞ。真九郎……」
「うん、おめでとう。よく寝ないで頑張ったな紫」
 慣れない夜更かしに、紫は船を漕ぎながらなんとか起き続けていた。その事を労い頭を撫でてやる。
「毎年だけど、おめでとう」
「今年も宜しくな。銀子」
 素っ気ない言葉だが、そこに安心感がある銀子の挨拶が、真九郎には嬉しかった。
 去年から続く忘年会も、日付が変わり新年会へ。皆が行く年を惜しみ、来る年を祝う。
「酒はもうないのか?」
「どうぞ、紅香様」
「ん……」
 一種別空間を作る紅香と弥生も心なしか鐘の音に耳を澄ませ、新たな年に思いを馳せているように見える。
 それを複雑な目で見るジュウと、憧憬の瞳で見つめる真九郎。
 それぞれ今年も一悶着ありそうな気配。
「さあジュウくん! 雪姫始めをっ!」
「やらん!」
「真九郎さん、如何ですか?」
「夕乃さんまでっ!?」
 どたばた、ぎゃーす。
「ちょっと、そこウルサい!」
 鶴の一声。それにジュウは驚く。
「藤嶋……?」
 きっ、と。責任感に満ちた眼差しで、ジュウをレンズ越しに見つめる少女。
「まあまあ。宴の席なんだし」
「美夜子まで……」
 快活な笑顔で微笑みながら藤嶋加奈子を宥める少女。ジュウの、想っていた少女。
「なんで……」
「良いじゃん。今は楽しもうよ」
「そういう事だ。気にすることはない」
「リンさん!」
 次に声を上げたのは真九郎だった。
648伊南屋:2007/01/01(月) 00:32:36 ID:FpcLao1K
 あの、二刀の剣士がそこにいた。
「今は全てを忘れ、来るべき明日を祝う席だ。過去は全て忘れて楽しもう」
 ジュウにとっても、真九郎にとっても。それは幸せな夢。あり得たかもしれない未来。
「そう言えば挨拶がまだだった」
「「「明けましておめでとう」」」
 加奈子、美夜子、リン。
 三人が声を揃える。
 それに、ジュウと真九郎は精一杯の笑顔で応えた。
「「明けましておめでとう!」」
 そうして、今年最初の夜は更けていく。幸せな夢に微睡みながら。
 幸せな日々を夢見ながら――。


 ただ、目を覚ませば夢は醒める。
 朝、目を覚ましたジュウと真九郎はそれを思い知る。
 そこにあるのは、食べ散らかした跡と、幸せな夢の残滓だけだった。
 一体、どこからが夢だったのか。それを思い、しかし直ぐに止める。そんな事は無意味だ。
「おはよう御座います。お二人とも」
 いつの間にか、傍らに雨が居た。
「初夢は如何でしたか?」
 まるで、全て知っているかのような雨の問いに、ジュウと真九郎は互いに目を見合わせる。
 そうして、苦い笑みを浮かべながら言った。
「一富士二鷹三茄子なんて目じゃねえよ」
「そうですか」
 あれは、あり得たかもしれない未来。
 だけど、あり得なかった過去。
 それでも、垣間見た世界は幸せだった。
 今は、それだけで十分。
 これから、この一年でどれだけの幸せを掴むだろう。どれだけの苦難に涙するだろう。
 今年最後に、今日見た夢よりも、幸せで在りたいとジュウと真九郎。二人は切に願う。
 窓を見れば、朝日が新しい世界を照らしていた。

649伊南屋:2007/01/01(月) 00:35:19 ID:FpcLao1K
 毎度、伊南屋で御座います。

 大晦日ネタから続いてます。
 新年会ネタ。少し湿っぽい感じです。

 短めですが今回ここまでで。
 以上、伊南屋でした。
 最後に、明けましておめでとう御座います!
650名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 01:37:30 ID:IOFCYk18
連続投下の二作いつもながらGJです!!!!
あけましておめでとうございますm(_ _)m
651名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 22:03:08 ID:t4d2o9OZ
ネタ投下。電波的な彼女世界でのクロスオーバー的な何か。

 ジングルベール、ジングルベール……
 クリスマスも近づく12月の上旬、柔沢ジュウはひとり商店街を歩いていた。
 今日の夕飯の買出しついでに寄ってみただけだったが、
 暢気にかかっている陽気なクリスマスソングが耳に入ってくると、もうそんな時期になるかとぼんやりと思った。
 と、言ってもジュウにとってはただの風物詩みたいなものであって、クリスマス自体になんら興味を惹かれるものはなかった。
 あの母親―――紅香が自分のためにクリスマスプレゼントを与えてくれたことは無かったし、
 まだ幼少であった自分に「サンタクロースなんてふざけた不法侵入者はこの世の中にいねぇよ」と断言し、
 いとも簡単に希望も夢も打ち砕いてくれた。
 それが母親のすることか、と毒づくジュウだが、それはそれでよかったかもしれないと思うところがある。
 子どもが想像するサンタクロースの正体は親。サンタクロースに夢を抱く子どもがそれを悟ってしまったときの落胆と絶望は計り知れない。
 そういう意味では、紅香は嘘偽りなく真実を語ってくれたのだから、まだマシなのか。誰に話すでもなく、そうひとりごちると、いつも通うスーパーへと足を伸ばした。

 誰だっていつかはこの世の中が決して綺麗ではないことを知る。
 自分はただそれが早かっただけだ。
652名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 22:04:54 ID:t4d2o9OZ
「ジュウ様、どうかされましたか?」
「いや、なんでもねぇよ」
 翌日の下校途中、いつものように雨と共に帰路についていると、彼女は心配しているのか訊ねてきた。
 そんなに不機嫌な顔をしていただろうか。眉間にしわを寄せて首を傾げる。まあ確かに機嫌がいいとは言えなかった。
 12月に入ってクリスマスや冬休みが近づいたせいからだろうか、クラスの連中があちこちでその予定について
 楽しく浮かれたように喋っていた。まるでそれが自分へのあてつけのように聞こえたのだ。
 別に羨ましいわけではないが、孤独である自分を嘲笑されているようで癇に障る。

 自分のことながら度量のない男だと実感する。他人は他人、自分は自分と割り切ればいいものを、
 この年になってまで何かを期待しているのだろうか。馬鹿馬鹿しい。
 だからいつまでも紅香に舐められっぱなしにされているのではないのだろうか。
 そのことについてはあまり考えないようにしようと、自分のなかで勝手に結論付けると、ジュウは今度はこちらから話題を振った。
「…お前はクリスマス、何か予定でもあるのか?」
「はい、家族でクリスマスパーティーを開くつもりですが…。
 良ければジュウ様もいらっしゃいますか? 私はもちろん、母も喜ぶでしょうし」
「いや、遠慮しておく。折角の家族水入らずを邪魔したくないからな」
 ジュウの返事に雨は「そうですか」と残念そうに呟いた。確かにあののんびりとした彼女の母親なら自分を受け入れてくれるかもしれないが、
 まず自分のことを嫌っている雨の妹の光がそれを嫌がるだろうし、父親も厳格な人間と聞いている。
 同性ならまだしも異性でこんな不良ぶった自分を受け入れてくれるとは思えなかった。
 娘にスタンガンをプレゼントするような人間だ、出会うなりぶっ飛ばされかねない。
 そして、なによりもそんな幸せな家庭の雰囲気に自分が馴染めるとは思えない。そう思ったジュウだがあまりにも残念そうな雨の表情に気づき溜息をついた。
「…分かったよ。お前には何度か借りがあるからな。折角のクリスマスだし、何かプレゼントを持って少しだけ邪魔させてもらう」
「ジュウ様…っ」
 鬱陶しい前髪からはあまり表情を読み取ることは出来ないが、高くなった声のトーンを聴けば彼女が喜んでいるということが分かる。
 俺なんかからプレゼントを貰って嬉しいものなのだろうか、それともよほど欲しいものでもあるのだろうか?
 円堂円や光がいる場で口にすれば蹴り飛ばされそうなことを思い浮かべながら不可解そうに首を捻った。

 …それにしてもこいつが喜ぶようなプレゼントって何だ?
653名無しさん@ピンキー:2007/01/01(月) 22:10:10 ID:t4d2o9OZ
「…そうだ。ラーメンでも食べて帰るか? 今日は俺が奢る」
「はい、喜んで」
 偶然差し掛かったラーメン屋が視界に入って、ジュウは雨を誘った。
 12月にも入ると、寒さは厳しさを増すばかりであり、普段は暑さや寒さに文句を言わないジュウも流石にこの寒さが身に染みる。
 熱いラーメンでも食べれば寒さを和らげることぐらいはできるだろう。
 雨のため、というよりは自分のためであったが、奢ることで差し引きゼロだ。
 そんなことをぼんやり考えながら、ジュウたちはそのラーメン屋の暖簾を潜った。
「へい、らっしゃい!」
 暖簾を潜ると、威勢のいい従業員の声がふたりにかけられた。
 『楓味亭』―――それがこの店の名前らしい。そういえばクラスの連中も時々この店の噂をしているな、となんとなくジュウは思い出した。店内は昔ながらの素朴さでどこか懐かしさを感じる。
 ふたりでカウンターの席に座ると、ここの従業員がことりと水の入ったコップとおしぼりを二人の手元に置いた。

「…ごゆっくり」
「ありがとう………え?」
 不意に顔を上げると、そこには鋭い眼光を眼鏡越しに光らせるエプロン姿の女性。
 その顔はジュウも雨もよく見知っていた人間のものだった。
「せ、先生?」
「下校途中の飲食店の立ち寄りは学校の規則で禁止されているはずよ。
 まあ、今日は私の店だったから黙って見過ごすけど、次はないからね」
 愛想もない従業員はぼそりとそう呟くとメニューをふたりに配って厨房へと戻ってしまった。
「なんで、村上がここにいるんだよ………」
 校則違反という以外には悪いことをしていないはずなのに、予期しない遭遇にジュウは憂鬱そうに溜息を漏らした。

 村上銀子。情報処理技術の授業を担当しているジュウたちの学校の女教師。
 ショートヘアを揺らし、小柄ながらもきびきびとした仕草やきりっとした顔立ちはモデルか女優を思わせる。
 鋭利な目つきもその容姿に凛々しさを持たせている。
 性格は簡単に生徒に対しても教師に対しても毒舌を吐くことから、少々キツ目だが生徒への愛情は確かなものがある、とジュウは評価している。
 口では厳しいことを言っても、授業が理解できない生徒には個別に丁寧に教えているし、きちんと課題をこなしたら褒めもしてくれるからだ。
 銀子のことをジュウは嫌いではなかったが、少々苦手であった。大抵の教師は不良である自分のことを敬遠しているのに対し、
 銀子の場合は出席日数が足りなくなりそうになると容赦なく職員室に呼び出し、言いたいことをずばずば言いのけてしまう。
 だから、ジュウとしてはあまり関わりたくは無い人種ではあったのだが。

 少しばかり苦渋に顔をしかめるジュウに雨はきょとんとした様子で見上げた。
「村上先生はここのラーメン屋のご主人の娘さんなんですよ」
「お、おい……、雨、おまえ知ってたのか?」
「申し訳ありません。以前クラスの方がそう噂しているのを聴いていましたので」
「あ、別に謝ることじゃねえ……。それにしても随分賑わっているんだな」
 ぐるりと背中を捩って店内を見渡した。テーブル席にも多くの中高生やサラリーマンが
 雑談あるいはラーメンを啜っている賑やかさを見て、へぇとジュウは感心したように溜息を漏らした。
「当然でしょ。私の父が経営しているんだから」
 注文を取りに来た銀子に声をかけられた。そう断言するということはよほど父親を誇りに思っているのか。
 少しだけジュウは銀子が羨ましくなった。おそらくは彼女も雨と同じように幸福な家庭環境に育ったのだろう。
 立派な父親がいて、優しい母親がいる。ジュウには想像してもできない家庭だ。
 それよりも注文は? そう言わんばかりに軽く睨まれて、ジュウはメニューに目を落とした。
「それじゃ俺はもやしラーメン、大盛りで。おまえは?」
「では私はネギラーメンを」
 わかったわ。銀子はそう承諾すると厨房へと戻っていった。

この後、雨が巷で騒がられている誘拐犯に浚われて、彼女を助けるために
雨が抜けた穴を銀子が補う形で、事件を追う……そこからエロにもって行こうと考えたがあまりに長くなりそうなので断念した。
やっぱり、伊南屋氏のSSを見ると創作意欲が沸くのだが……おいらには難しいみたいだよ? orz
654名無しさん@ピンキー:2007/01/02(火) 11:23:49 ID:SGi0s5++
正直、銀子の先生はやり過ぎ感が否めなかったが、サンタのくだりは良かった
紅香さんのその発言が当たり前に感じるわw
しかしジュウ様。
今日日の餓鬼は例えサンタの正体に気付いてもプレゼントを多く貰う為に気付いて無い振りをする奴らばっかりですから!
だけど、そんな事を考えてしまう純粋さが貴方様の魅力でっていうかぶっちゃけ萌えで(ry
655名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 00:25:55 ID:2FOYQfFH
やっぱジュウと雨はいいな
1番好きなカップリングだ
656名無しさん@ピンキー:2007/01/03(水) 09:00:07 ID:95/2gqsa
ジュウと雨はまさに「正統派異端系」カップルって思うのは俺だけか?
657伊南屋:2007/01/03(水) 10:46:31 ID:4ASEDexw
 一つ自分のミスを見つけたので訂正します。
 レディオ・ヘッドVでジュウ様達の進路は西ってなってましたが東でした。
謹んでお詫び申し上げるとともに訂正します。

 最後に、次のSSの投下はもうちょっと待ってください。
 以上、伊南屋でした。
658名無しさん@ピンキー:2007/01/05(金) 18:36:30 ID:NqDxirkE
一応保守
659伊南屋:2007/01/05(金) 21:08:44 ID:j1ILVdq9
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
[.

 九鳳院と言う一族がいる。大陸の中でも特に強い、通称「三國」と呼ばれる中の一つ、アルハザト聖国を治める王族である。
 古くから続く血脈に、彼らは誇りを持ち、自らが選ばれた一族であり、世を統べるのは我々だと、強く主張している。
 その九鳳院。その闇の産物が紫である。
 九鳳院に代々続く風習。近親相姦。
 言ってしまえば古い王族にはそう珍しい話ではない。優れた血をより濃くするために近しい者同士で交わる。
 そんな話は枚挙に暇がない。
 しかし、それもかつてはの話である。
 かつては許された事も、今の倫理に重ね合わせれば到底許されない。
 だが、その時点で九鳳院は致命的な問題に直面した。
 近親でしか子を作れなかったのだ。いくら外の血筋を取り入れようと子が産まれない。だから近親相姦を続けるしかなかった。
 それを通すために、九鳳院は一つのシステムを作り上げた。
 奥の院と呼ばれる施設がそれである。
 そこに、近親で作った女子を入れ、世間から隔離するのである。
 表向きには外から妃を取り、結婚する。だがそれでは子は産まれない。
 そこで奥の院にいる女子と交わり、産まれた子が男子であれば、表向きの妃との子として表の世界で育て、女子ならば奥の院に入れ、次代の子を産む為に育てる。
 紫はそこで産まれ、育てられた。
 それも、現国王・九鳳院蓮丈の実子であるという。
 真九郎は、九鳳院蓮丈が国外遠征していた隙を見て、とある筋からの手助けを得て脱出した紫を保護した。
 真九郎はその身の上を知った上で紫を助けたいと思った。
 紫に、奥の院なんて狂ったシステムに組み込まれて良いはずがないと思ったのだ。
 無論、そんな思いだけで彼女を救えるなら苦労はない。
 仕方無く真九郎は、崩月に頼ることにした。
 しかし、それはなかなかに叶わなかった。九鳳院――否、それは九鳳院全体の総意ではない。
 アルハザト聖国第二王子、即ち紫から見て次兄にあたる九鳳院竜士が傭兵を雇い、個人的な追跡を始めたのである。
 何故、九鳳院の力ではなく外部から傭兵を雇い入れて追うのか。
 紫本人の口から聞かされた。
 曰わく、紫を自分の物にするため。紫に自分の子を産ませるため。そして、次期国王になるため。
660伊南屋:2007/01/05(金) 21:10:01 ID:j1ILVdq9
 今まで奥の院のルール――初潮前の女児に手を出してはいけないと言う規則が邪魔したが、この混乱した事態に乗じて、紫を犯す。
 そう、考えているらしい。
 だから、逃げるのだ。九鳳院から、それ以上に竜士から。
 その話を、紫は泣きながら語ったという。


「成る程ね……」
 重い沈黙を、ジュウが破った。
「確かに胸糞悪くなる話だ。近親相姦に幼女趣味ね……。まったくヘドの出る話だ」
 忌々しげなジュウの言葉は、重みを持って響く。
 子供に甘い――無論やましい意味でなく、純粋な意味で――ジュウとしては、相当に頭に来る話だった。
 子供は汚れていない。何の罪もない。だから、何も悪くない子供が不当に辛い目に会うのは許せなかった。
「そう思うんなら、手を貸して貰いたい。どうか頼む」
 頭を下げる真九郎に、ジュウは応える。
「最初っからそういう話だろ? っていうか、今更聞かなかった事にしてくれって言われたって勝手に手を出してやる」
 その言葉に、真九郎は頭を上げ、ただ感謝の気持ちを込めて、しっかりと言った。
「……ありがとう」


 クスルの街外れの森。
 とある一団があった。
 一人の少年を中心に集まる集団だ。
 少年は森の中の切り株に腰を降ろしている。その切り株は今し方出来たものだ。証に切り口は真新しく、傍らには切り倒された木が転がっている。
 そこに、何の予兆もなく一つ、低い声が響いた。
「あいづらみんな、やしき、はいっだ」
 酷く濁ったその声を受け、少年が「そうか」と呟いた。
 いつからか少年の傍には巨人が立っていた。ついさっきまで存在していなかった筈なのに。
 少年はそんな事は気にせず、軽く溜め息を吐いた。
「あーあ、面倒くさいよねえ。よりによって崩月だもんなあ」
 そう言いながら顔は笑っている。
「ま、いいよね。所詮は子鬼だし」
 少年は立ち上がる。
「うん、決定。善は急げって言うし。今夜、今夜だ。紫を奪還する」
 周囲に言い聞かせるように。自分が、命令を出すことが当然だと、人の上に立つのが当然だという表情で少年は語る。
「屋敷を襲撃する。全部ぶち壊して構わない。刃向かう奴は殺せ。ただし紫には絶対傷つけるな。髪の毛一筋でも怪我させた奴は殺す」
 味方すら殺すと言ってみせる少年だが、不満の声は上がらない。
「特に斬島のお前。お前が一番危なそうだ。気を付けろよ」
661伊南屋:2007/01/05(金) 21:10:53 ID:j1ILVdq9
 声を掛けられたのは少女だ、小柄な少女。無気力な瞳で少年を見つめ小さく頷く。
 その足元には、鋸。
「鉄腕は僕の護衛。ビッグフットは襲撃中に紫を回収して来い」
 言われた各々が頷いて応える。
「さあ、思い知らせてやる。“刃向かう者は潰せ”って言う、九鳳院の掟をさ!」
 そう言って少年は――九鳳院竜士は笑い出す。
「ははっ! 紫。お前は僕の物だ。それを分からせてやる。はははっ! あはははははは!」
 まだ日の高い昼。それでも暗い森の中。九鳳院竜士の高笑いが木霊した。
662伊南屋:2007/01/05(金) 21:13:48 ID:j1ILVdq9
 毎度、伊南屋に御座います。

 ようやく事態が動き出しましたレディオ・ヘッド[。如何でしたでしょうか?
 紫の事情関連は現在踏襲しつつ少しアレンジされてます。あらかじめ事情を明かしておくって感じに。

 とりあえず何気に[まで来たなあとか思いつつ、以上伊南屋でした。
663名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 08:44:47 ID:9oJO74e1
毎度本当にGJです。

ジュウ様カッコヨスw
664名無しさん@ピンキー:2007/01/06(土) 10:34:19 ID:/696wIWX
伊南屋さんGJです!!続き気になります!!
665伊南屋:2007/01/07(日) 20:12:42 ID:xjybrmRf
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
\.

「そう言えば紫は?」
 話が一段落した所で、ジュウは姿の見えない紫の事を尋ねた。
「今は風呂に入れてる。ここの所走り通しだったから、大分汚れてたし」
「そうか」
 成る程、言われてみれば紫と行動を共にしていた真九郎もそれは同じらしく、服の至る所が破れ、泥に汚れている。
「紫ちゃんが上がったら、次は真九郎さんですからね」
 微笑みながら夕乃が声を掛ける。それに真九郎は、
「はい、ありがとうございます」
 と応えて見せた。
「宜しかったら後で柔沢さまもどうぞ」
「すまない。それと、俺はジュウで良い」
 応えるジュウに、夕乃は驚いた表情を向ける。
「……不思議な王様ですね。普通はそんな事言いませんのに」
「いや、畏まられるのは苦手でな」
 言って、自分の従者を思い出す。
 あいつの態度は長い時間で慣れてしまった。これに関してだけは、いきなり態度を改められたりすれば自分は面食らうだろう。
 下らない想像に微笑を零す。
「ん? 真九郎っ!」
 廊下の向こうから元気な声がした。木の床を駆け紫がこちらに向かってきている。
 辿り着くと、紫は相好を崩した。
 こうして改めて見れば、実に美しい少女である。濡れた黒髪など幼いながらに色香のようなものを漂わせている。
 確かにこの美貌は幼女趣味には堪らないものがあるのかも知れない。
「体は綺麗にしたか?」
 嬉しそうにじゃれつく紫に、真九郎は尋ねる。
「ああ、真九郎に裸を見られたって今は平気だぞ!」
 刹那、空気が凍る。
「……真九郎さん?」
「真九郎、お前……」
 ジュウと夕乃。訝しげな視線を二人が送る。
「え? いや、誤解だって! 俺は紫の裸に興味は――」
「真九郎は私の裸を見たくないのか? 私の裸が汚いからか?」
「ああ、いやそうじゃないよ。紫の裸は綺麗だって……って夕乃さん!? 痛い痛い耳は痛い! お願い引っ張らないで!」
「不潔です不健全です不健康です。その真九郎さんの性根、私が叩き直して差し上げます」
「いやだから聞いて。これには不幸な誤解と誤謬があああぁぁ!」
 屋敷の奥へ消えていく夕乃と真九郎を見つめるジュウ。
 苦笑まじりに嘆息する。
 勿論、真九郎が幼女趣味だと信じたわけではない。正直、際どいとは思うが。
 夕乃が信じているかは――まあ、微妙だが、それはそれだ。
 遠く廊下の向こうから、
「お風呂はお先にどうぞ〜」
666伊南屋:2007/01/07(日) 20:14:31 ID:xjybrmRf
 と夕乃の声が聞こえてきた。
 それと共に真九郎の悲鳴も。
「なあ、真九郎は一体どうしたんだ?」
 足元の紫が心配そうな声を掛けてくる。ジュウはしゃがんで紫に視線を合わせる。
「なんでもないさ。お前が心配する事はない」
 紫の頭を武骨な掌で、優しく撫でながら言う。それに安心したのか紫は「そうか」とだけ呟いた。
「さてと」
 口に出し、ジュウは立ち上がる。
「お言葉に甘えて風呂に入るかな」
 ジュウも昨日は野宿なので風呂に入っていない。不快な汗を流したいと思っていた所だ。
 しかし、よく考えれば風呂場がどこなのか分からない。
 ふと、足元を見る。
 そう言えば紫はさっきまで風呂に入っていたんだったか。ならば風呂の場所も分かるだろう。
「紫、風呂場がどこにあるか、分かるよな?」
「ああ、分かるぞ」
「じゃあ、案内してくれないか?」
 優しく聞くジュウに、紫は笑いながら頷く。
「こっちだ! 付いて来い!」
 誘われるがまま。ジュウは紫の後を付いて。屋敷の廊下を歩き出した。

 ***

 話も落ち着き、各々が席を立った客間。
 真九郎の悲鳴を聞きながら、未だに席に着いているのは当主・崩月法泉と、珍しく黙り込んだ斬島雪姫だけであった。
「なあ嬢ちゃん」
 法泉が口を開いた。
「真九郎から聞いたが。お前さん、斬島なんだって?」
「そうだよ。斬島雪姫。それが私の名前」
 軽い口調の法泉に、雪姫はやはり軽い口調で答える。
 法泉は「そうか」と呟やく。その表情から内心を慮る事は難しい。
 こめかみ辺りを掻き、次の言葉を探す。
「まあ、落ちこぼれだけどね」
「うん?」
 法泉が何か言うより早く、雪姫が漏らす。その言葉の意を、法泉は計りかねた。
「私の家は、斬島からはぐれたんだよね。お父さんが才能なくて。半ば勘当みたいに本家から放り出された」
 そこまで言って溜め息を吐く。
「まあ、その娘の私が斬島の血を強く受け継いでるんだから皮肉だよね」
 その言葉通り、雪姫の“斬島”としての才能は、殺しを生業とする直系。天才『切彦』に及ばずとも、劣らない。
「先祖返り……ってやつか」
 法泉は深く唸りながら呟いた。
 先祖返り。或いは隔世遺伝。
 代を重ねた血筋が、幾代かをおいて、かつての血筋を強く受け継ぐ事を言う。
 才能の無さ故に斬島を追われた者の子が天才。
 蛙の子は蛙に成らずとも、その子は蛙と成る。
 正に、皮肉な話であった。
667伊南屋:2007/01/07(日) 20:17:07 ID:xjybrmRf
 しかし、それだけで話は終わらない。
「ある日ね、私の事を知った本家が、私を消す為にやって来たの」
 自分達が追いやった血族。落ちこぼれの家系に生まれた天才の存在を察知した本家は、雪姫がいずれ本家に楯突くと判断したらしい。
「そんな事、する訳無いのにね。私は勿論、お父さんだって本家を怨んだりはしなかった」
 それでも、本家は雪姫を消そうとした。それも直系、切彦を使ってまで。
「逃げたよ。沢山逃げた。足が痛くなるまで、ううん足が痛いのか分からなくなるまで、それでもずっと」
 それを拾ったのが、ジュウだった。
「私達家族を拾って、私に自分の国の軍人っていう仕事もくれて」
 たがら今笑ってられるのはジュウ様のおかげ。雪姫は最後にそう締めた。
「成る程ねえ」
 法泉が漏らす。
「裏十三家が廃れ始めてから互いの家の事は分からなくなってたが、そんな事になってたか……」
 思いを巡らす法泉。そこにあるのはかつての記憶。
 崩月も、似たような家系だ。他人事ではない感慨もある。
 だからこそ感じる思いを、法泉は笑い、口にする。。
「良い男を、主に持ったなお前さん」
「うんっ!」
 雪姫は満面の笑みでそれに応えた。

 ***

「はぁっ!」
 ずしん、と崩月の道場に重い響きが木霊した。投げられること二十二回。真九郎がまた地に伏せた。
「今日はここまで。お疲れ様でした真九郎さん」
 実ににこやかに真九郎を見下ろしながら夕乃が言う。汗一つ掻いた様子もない。
 彼女がさっきまで真九郎をちぎっては投げ、ちぎっては投げしていたと、一体誰が信じようかという程の余裕振りだった。
「あ、ありがとう……ございました」
 真九郎が、体に残響するダメージを抑えながらなんとか立ち上がる。意識が遠くなりながらも挨拶は欠かさない。
「それじゃあ真九郎さんはお風呂に行ってきて下さい。着替えは用意しておきますから」
 冷たい水で絞った手拭いを渡しながら夕乃が言う。
 それを受け取り、体を拭きながら、真九郎は「分かりました」と答えた。
 一度、庭に出て井戸から水を汲み上げる。桶にたまった冷水を、真九郎は勢い良く体に掛けた。
 熱と痛みとが水に流されるかのように引いていく。
「ふぅっ……」
 恐らく、この後風呂に入り、上がる頃には痛みなどないだろう。夕乃はそうなるように手加減していた。
「敵わないよなぁ……」
668伊南屋:2007/01/07(日) 20:18:10 ID:xjybrmRf
 手加減した上でそこまで考えられる夕乃に、圧倒的な力量差を感じる。
 ――まだまだ未熟だ。
 改めて自らの実力を思う。体が出来ていても技が未熟。そして何より心が薄弱。
 その事を痛感する。
 しかし、それが紫を守れない理由になっても、守らない理由にはならない。
「守るんだ……絶対に」
 例え今は未熟でも、いずれ必ず強くなる。
 ただ今は出来る事を出来る限りする。
 それを胸に誓う。
「っし!」
 自らを一喝。
 誓いを新たに、真九郎は歩き出す。
 ――今はまあ、取り敢えず風呂場へと。

 ***

「あれ?」
 真九郎が風呂場に入ると先客がいた。
 湯船に浸かるのは金髪の少年王・柔沢ジュウ。
 しかし、脱衣所に服は見当たらなかったはずだが。
「服はついさっき持ってかれた。洗うというから断ったが、何せこっちは全裸。出て行って止めることも出来ずに無理矢理だ」
 苦笑いを浮かべたジュウが、真九郎の疑問に先回りして答える。どうやら先にこちらに来た夕乃がジュウの服を持っていったらしい。
 だから脱衣所には服がなく、ジュウが中にいると気付けなかったのだ。
「あ……悪いな、じゃあ上がるまで待ってる」
「俺なら構わない。入ってけ。疲れてんだろ」
 崩月家の風呂は広い。ジュウと真九郎が同時に入っても、まだ余裕がある程だ。
 ジュウの言葉に「じゃあ」と真九郎は従う。
 真九郎は腰を下ろし、まずは湯浴みをする。
「しかし凄いな、お前」
 呟いたのはジュウだ。真九郎の体を見つめながらぽつりと零す。
「俺がか?」
「ああ」
 まさか、といった風に真九郎が肩を竦めてみせる。
「何も凄くなんかないさ」
「いや」
 卑下する真九郎をジュウが否定する。
「お前は戦う力を持ってるじゃないか。そして、それを自らが正しいと思う事に使える。それは十分凄いことだと、俺は思う」
「それを言うなら、ジュウの方が……すまない。柔沢殿の方が凄いと思いますが」
「止せ、さっきも言ったろう。そういうのは苦手なんだ。ジュウ、で構わない。勿論敬語も要らない」
「そうか……。でもやっぱりジュウの方が凄いだろ。何せ一国の王だ。何でも出来るじゃないか」
 湯浴みを終え、湯船に浸かりながら真九郎が言う。
 その言葉に、ジュウは苦い表情を浮かべた。
「凄いのは周りの奴らだよ。戦争も、政治も、周りの奴らが居るから出来る。俺一人じゃ、子供一人守ることすら出来ない」
669伊南屋:2007/01/07(日) 20:19:11 ID:xjybrmRf
「でも、ジュウの周りに居る人はお前を慕って集まってるんだろ? だったらそれは、ジュウの力じゃないか」
「……そうかも知れない。だけど、俺はやっぱり一人で戦う力を持つお前が羨ましい」
「それを言ったら、俺は一人じゃ絶対出来ない事が出来るジュウが羨ましいよ」
 よく似た二人は、しかし互いに羨み合う。
 その事に、自然とある言葉が二人から苦笑と共に零れた。
「「所詮は無い物ねだりか……」」
 重なり合う二人の呟きは、風呂場の壁に反響して消えた。
670伊南屋:2007/01/07(日) 20:22:37 ID:xjybrmRf
 毎度、伊南屋に御座います。

 今回は嵐の前の静けさ、のような風景。
 実はそろそろエロも書かな行かんなあと思ってます。だから次はエロネタ(予定)

 そんな感じで以上、伊南屋でした。
671名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 02:53:13 ID:ZOWgIZeZ
次回wktk
672名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 12:53:07 ID:vf/iZ6cW
GJッス伊南屋氏!
なかなかオリジナル臭が出てきましたね!
色々と妄想を掻き立てられる伏線がありますし……
斬島VS斬島とか
真九朗とジュウ様のどちらが竜士をブッ飛ばしてくれるのかとか!
 
しかし九鳳院の娘は紫一人しか居ないんだから自動的に跡継ぎも一人しか居ないんだよな……
竜士もそこに漬け込み自分が王になろうという事ですか
673名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 15:49:48 ID:nXtUc4TO
2ヶ月ぶりに来てみれば大量に神キテルー!!
674名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 17:46:50 ID:kDxAJyDt
いやぁ、良いですわ伊南屋さん。単行本でまとめて読みたいですね。
にしても次はエロですか、粘液質で獣じみたエロエロをお願いしたいも。
675名無しさん@ピンキー:2007/01/08(月) 22:13:04 ID:ZOWgIZeZ
誰かここのSSまとめたサイト作らないかな
676名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 15:31:51 ID:t8zLNQUe
だれか保管庫作れるエロい人いるのか?
677名無しさん@ピンキー:2007/01/11(木) 21:00:04 ID:cMX1mkg8
保管庫ってけっこう需要ありそうな気がするけどな……どうですか?
678名無しさん@ピンキー:2007/01/12(金) 11:45:54 ID:H2906W95
需要なら有り余ってい(ry
679名無しさん@ピンキー:2007/01/13(土) 19:21:02 ID:KPlSWjQc
誰か建ててくれる方いますか?
680名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 11:39:06 ID:Sf+AUMJ6
誕生日プレゼントネタを妄想してみた

雨「護身用のスタンガンです。改造して電圧があがってます」
ジ「上がってるって………ちなみにどれくらいだ?」
雨「最大で2000Wほど」
ジ「………そういうのは持たない主義なんだ。」

雪「実用性たっぷりの同人誌50冊セット!主にヒロインがポニテのを中心に選んだよ!」
ジ「持って帰れ」

円「適当にお菓子の詰め合わせを買ってきたわ。」
ジ「やっとまともなのが………ありがとな」
円「まあ、これがメインではないのだけれど」
ジ「?」

光「ああああああああああ、あの、あ、う、ご、御奉仕するにゃん!」
ジ「………それは、誰に教えてもらったんだ?」
光「えーと、円堂先輩に」
ジ「前言撤回だ、このやろう!やっぱまともじゃねえ!」






紅「実用性たっぷりのエロ本50冊セットだ!部下に選ばせた。嬉しいだろ、うん?」
ジ「持って帰ってその部下に渡してくれ」
681名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 16:23:23 ID:jf3Kf77E
>>680
えらくはっちゃけた真九郎だな、と思ったがお袋か。
682伊南屋:2007/01/14(日) 19:37:47 ID:BcE2TeyK
 それは、紫が持ってきたお菓子が始まりだった。
 やや派手な箱に入ったチョコレート。どうやら外国のものらしかった。
「真九郎。チョコレートだ! 食べるか?」
 それは質問でありながら命令だった。
 視線が強く、真九郎に食べて欲しいと訴えていた。
「うん、食べるよ」
 真九郎は何ら疑う事なく、箱に詰められたチョコレートを一つ摘み口にした。
 それを見て紫も一つ食べる。
「うん、美味いな」
「ああ!」
 こうして甘いもの一つで満面の笑みを浮かべる紫を見て、やはり子供だと思う。
 それとも“女の子”と言うべきか。
「ところで、このチョコレート一体どうしたんだ?」
 実際、紫がお菓子を持って来るなど珍しい。ふと浮かんだ疑問を口にする。
「うむ、実はこれは環から貰ったのだ。なんでも“がらな”チョコレートと言うらしい」
 何気なく言った紫の言葉に、真九郎が固まる。
「環が、一緒に食べた人と仲良くなれると言っていた。やはり環は良い奴だな!」
「む、紫? なんか身体が変になったりしてないか?」
「ん? いや、別になんともないぞ。少し暑いくらいだな」
 直感。これは、本物だ。
 ガラナチョコレート。
 エロ系通販でたまに見掛けられる怪しいグッズの一つである。
 ガラナエキスの入ったチョコレートの事で、男性に対する強精作用を持つ。
 もしくは。
 狭義に、催淫作用のあるチョコレート菓子の事。
 全て英語で書かれたパッケージだ。無論に、真九郎に読めるはずもない。
 しかし、恐らくこの場合は環の事だ。後者に決まっている。
 そんな事を考えている内に、紫が二つ目に手を伸ばすのに気付いた。
「だ、駄目だ紫っ!」
 慌てて箱ごと取り上げる。しかし、一つは紫の手に握られていた。
「何をするのだ真九郎!」
 抗議の声を上げる紫。真九郎はどう話すべきか迷う。
 本当の事を言って、紫に分かるとは思えない。かと言って機転の利いた嘘をつける程、真九郎は頭脳の回転が早くなかった。
「ああ、そうか」
 不意に、紫が合点が言ったように手を叩く。
「なんだ、真九郎は独り占めしたいのだな? 全く、駄目な奴だな。しかし喜べ真九郎。私はそんなお前のわがままを、今回だけとはいえ許してやろう」
 薄い胸を反らし、紫が言う。
 それに反論するか真九郎は迷った。
683伊南屋:2007/01/14(日) 19:39:15 ID:BcE2TeyK
 そういう事にしておけば紫は食べないだろう。後で食べると言って、紫が帰ってから処分すれば良い。ついでに環に文句も言おう。
 ならば決定。その方針で行く。
「そ、そうなんだよ。悪いな紫。貰っちゃって」
「なに、構わない。真九郎が喜ぶなら私はそれで良いのだ」
 ――御免、紫。
 内心で、嘘をついた事を詫びる。
 でも、これも紫の為なんだ。
 この子を守るためならいくらでも嘘つきになってやる。真九郎は自己にそう言い聞かせる。
「さあ、遠慮せずに食べろ。真九郎」
 さっき握った二つ目を口に放り入れながら紫が言った。
 ああ、二つも。そんな事を思いつつ、真九郎は答えた。
「折角だから後で食べるよ」
「……本当に食べたいのか、真九郎?」
 紫が訝しげな視線を投げる。その視線に気付かされる。
 忘れていた。この子は本来、非常に鋭い感性を持っているのだ。虚偽を見破るのは特に上手い。
「ほ、本当だよ」
 焦って取り繕うが疑いの色は更に濃くなっていく。不味いと、真九郎は感じた。
「では食べれば良いではないか。遠慮は要らないぞ。それとも私に意地悪がしたかっただけか?」
 逃げ場は、無かった。
「そ、そんなこと無いよ。ありがとう。それじゃ遠慮なく」
 一つ摘んでは口に。また一つ摘んでは口に。
 みるみる箱からチョコレートが消えていく。中身が減るのに反比例して、真九郎の身体をを熱が襲う。
 ――ヤバい。これはヤバい。早く完食して、理性が保てる内に紫を帰さなければ。
 必死で笑顔を作りながら食べる真九郎。その笑顔とは裏腹に思考は悲鳴を上げ始めていた。
 猛る情欲。体は疼き、快楽を求める。
 気が付けば紫の肢体を舐めるように見つめる自分が居た。
 ――何を、考えてるんだ俺は。
「大丈夫か、真九郎? 顔が真っ赤だぞ」
 真九郎の異常を感じ取り、紫が身を寄せる。身を乗り出した紫は額同士を接触させた。
「熱は――無いみたいだな」
 そう呟く紫の声を、しかし真九郎は全く聞いていなかった。
 目の前には接近した紫の顔がある。長い黒髪が揺れる度、少女の体臭が甘く鼻腔にそよぐ。
 吐息は鼻先をくすぐり、鳥肌の立ちそうなぞくりとした感覚が背筋を走る。
 瞳を少し下にずらせば、紫の柔らかそうな、桜色に綻ぶ唇があった。
 それを見て、触れたいと思った。
 口付けたいと、どうしようもなく思ってしまった。
 だから、触れた。
 唇を、重ねた。
「――!?」
684伊南屋:2007/01/14(日) 19:40:51 ID:BcE2TeyK
 小さく紫の身体が跳ねる。しかしそれだけだ、抵抗はない。
「ん……」
 唇を離す。紫が顔を真っ赤にしていた。紅潮した顔は、熱に浮かされたように蕩けていた。
 そう言えば、チョコレートは紫も食べていたしな。そう、どこか遠くで考える。
 例えば、風邪薬一つ取っても小児は量が少なくて済む。体が小さいから少量で効くのだ。
 それと同じ。たった二個でも、紫には十分過ぎる程に十分だった。
 催淫作用に酔っているのは紫も同じ。
 どちらも、止まらない。
 真九郎も理性の枷は外れている。最早、紫を抱くことしか考えていなかった。
 紫はこれから自分に何が為されるか理解していないだろう。あるのは、本能的な衝動。無理矢理こじ開けられた官能だけだ。
 再度、唇が触れる。柔らかい唇の感触。真九郎は更に、その唇を割開く。
「――っ!」
 声のない悲鳴を紫が上げる。それを無視して、狭い口腔内を真九郎の舌が這い回る。
 小ぶりな前歯をなぞり、歯茎、頬の裏、そして紫の小さな舌に絡める。
 それだけで、紫は気が抜けたように脱力した。微かに身を震わせるも、拒否はしない。
 性の知識のない紫に、自分から舌を絡めるという発想はなく、ただ行為を受け入れるだけだ。
 だが、それだけで真九郎も紫も意識を陶然と昂ぶらせる。
 思考は停止し、肉欲が思考を支配する。互いの身体を求め合い、触れ合いたいと願う。
 服が二人の間を遮った。だから脱いだ。
 肌を触れ合わせたかった。だから重ねた。
 もっと深く互いを感じたかった。だから抱き合った。
 それでも足りなかった。だからまた唇を重ね舌を絡めた。
 身体の求めに応じ、満たす。満たされた傍から更に欲しくなる。再現なく高まる欲求は、やがて“繋がりたい”に行き着いた。
 言っても紫は分からないだろう。だから真九郎はただ、
「行くぞ」
 とだけ耳元で囁いて、紫への侵入を始めた。
 きつい。幼い身体の密壷は、十分濡れていたがそれでも真九郎の侵入を拒む。
「っ……たぃ」
 紫が微かに悲鳴を漏らした。それでも真九郎は止まらない。止まれない。
 拒む入り口を割開き、自らを埋没させていく。
「あ……は……っ」
 喉から絞り出すような呼吸音。紫の顔が苦悶に歪む。
 長引かせるのは可哀想だ。真九郎は一息に根元まで貫いた。
「――――っ!!」
 背を仰け反らせ紫が悶える。見開かれた目、その目尻には大粒の涙。
 接合部を見れば、紅い鮮血。
685伊南屋:2007/01/14(日) 19:43:18 ID:BcE2TeyK
 余りに、痛々しい眺めだった。
 真九郎は紫を労るように、その額に――唇では体の大きさの関係で苦しい――キスをした。
「しんく……ろ……ぉ」
 紫の細い腕が、背に回される。やはりこれもサイズ差の関係で回りきらないが、それでも必死にしがみつくように真九郎を抱き寄せる。
「動くからな」
 一言を残し、真九郎は腰の前後を始める。催淫効果と膣の狭さが相俟って、強烈な快感が走り、真九郎は腰が砕けそうになった。
 それを必死で耐え、前後を続ける。
 動く度に紫が悲鳴を上げたが、それを気遣って行為を止める余裕は真九郎には無かった。
「ひっ! ……は……しん……くろっ、お!」
今は直ぐにでも紫を解放するために、自らを絶頂へと、ひたすらに導く。
 幸いにして絶頂はそう遠くない。真九郎は自らを満たすため、紫を突き上げる。
「むら……さきっ!」
 一際強い快感が背筋を走る。それに堪えきれず真九郎は絶頂に辿り着く。
 突き刺したまま果てた性器は、紫の中に白濁を吐き出す。大量の精液はあっと言う間に紫の子宮を満たし、余剰分が溢れかえった。
 その時だ。短時間の性交で果てた真九郎は唐突に罪悪感に襲われた。
「紫っ!」
 慌てて性器を引き抜く。栓の外れた膣口から、ごぼりと紅混じりの精液が逆流した。
「ごめん! こんな、こんな事っ!」
 激しい動揺と自責の念に、涙すら浮かべて真九郎が謝る。
 体をぐったりとさせた紫を抱き寄せ、譫言の様に謝罪を繰り返す。
 しかし、それを遮る声が、聞こえるか聞こえないかという小さな声が真九郎の耳元でした。
「いいんだ……真九郎」
 紫が、真九郎の首に腕を回し頭を抱えるように抱き締める。
「私は……嬉しいんだ」
「むら……さき?」
「真九郎が私を抱き締めてくれて、口付けてくれて、嬉しかったんだ」
 真九郎は何も答えられない。
「真九郎、聞こえるか?」
 何だろう? 耳を済ませてみる。
「あ……」
 ――聴こえた。
「どきどきしているだろう? 私の心臓。嬉しくて、こんなにどきどきしている」
 とくとくとくとく。
 小さいけれど、確かに早鳴る紫の鼓動が聴こえた。
「私は……これからもどきどきしたい。真九郎とどきどきする事をしたい」
 そこまで言って、紫は真九郎の頭を放し、視線を向かい合わせた。
「真九郎は、いやか?」
 声もなく真九郎は、首を横に振った。
686伊南屋:2007/01/14(日) 19:44:54 ID:BcE2TeyK
「じゃあ、しよう。これからも。さっきのはかなり痛かったけど、少しだけ気持ち良かった」
 ――だから泣くな。
 そう言って、紫は真九郎の頬を濡らす涙を、唇で拭った。

 ***

「やあ青少年」
 ある朝。声を掛けてきたのは環だった。
「ん〜、おめでとう……なのかな?」
 にやりと笑って環が言う。
「でもこれで君も犯罪者の仲間入りだね〜? ――そんな怖い顔で見ないでよ。大丈夫、五月雨荘の決まり通り通報なんかしないから」
「……環さんが仕掛けた事でしょう」
「――何のことかな?」
 あくまでしらばっくれる環に、溜め息を吐く。
「いえ、なんでも」
「あはは。まあ君が怖いのは警察よりは……九鳳院だろうけど」
 意地悪く笑う環に、強い視線で応える。
「関係ないですよ。例え九鳳院でも、最後の最後まで足掻きますから」
「……少しは強くなったかな?」
「誰かさんのお陰で」
「にゃはは」
「じゃあ、もう俺は行くんで」
「あっそ。気を付けてね」
 一礼して去って行く少年を見送り、不意に環は空を見上げた。
「……青いね〜」
 それは、さっき去って行った少年に向けた言葉か、空を形容して言った言葉か。
 環はただ、いつも通りの気楽な笑顔を浮かべるだけだった。

687伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/14(日) 19:50:56 ID:BcE2TeyK
 毎度、伊南屋です。

 これからはトリップ付けようかと思ってたのに本編の時は忘れていました。

 今回は真九郎×紫です。ラブラブネタのつもり。
 しかしここまでの真九郎のカルマ値が高いとこの後に紅・異伝〜宵闇〜に分岐したり。

 とりあえず今回はこれまで。
 以上、伊南屋でした。
688伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/14(日) 19:58:28 ID:BcE2TeyK
追記
 保管庫は自分も良いと思います。
689名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 21:32:48 ID:hopBvbmc
GJ!

つか片山憲太郎作品のスレがあること自体に驚いた
690名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 21:33:07 ID:9qEJKmHo
伊南屋さんGJです!!紫、ヤバいですw

691名無しさん@ピンキー:2007/01/14(日) 22:44:19 ID:6uXFgUFh
伊南屋さんGJっす!
しかしやっぱ紫がこんだけ幼いと真性のペド野郎でない限り、どこか暗い話になりますよね……
692名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 02:02:17 ID:3QVzz/LF
>>680
どうでも良いけど、電圧なのにWって…
正にwwwwwwwwwwwwwww
693名無しさん@ピンキー:2007/01/15(月) 10:52:21 ID:yGiJfFaI
どなたか保管庫(サイト)を作っていただけませんか
694名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 01:46:37 ID:vkOBAabC
崩月姉妹モノが見たいなあ…
695名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 08:48:07 ID:RWnRPRMj
>>694
ロリコン
696名無しさん@ピンキー:2007/01/18(木) 20:57:08 ID:urqnKCEi
>>694
激しく同意!!!!!!!!!
697伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/20(土) 23:13:00 ID:Su7byAgy
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
].

「へい、らっしゃい!」
 店内へと足を踏み入れたジュウに、威勢の良い声が浴びせられる。同時、鼻孔を刺激するスープの香り。
 真九郎に案内された店は宿も兼ねた大衆食堂。楓味亭という名のこの店はなかなかに繁盛しているらしく、昼時らしい賑やかな喧騒に溢れていた。
 それを見て、ジュウは内心辟易する。人混みは余り得意ではない。王として、それなりの経験を経ているジュウにとって、それだけは幼少から変わることのない事実だった。
 真九郎は紫を連れ、さっさと空いた席を見つけ腰を下ろすと、ジュウに手招きをした。
 ジュウは溜め息ひとつ。味は、せめて混雑しているだけはあるんだろうなと考え、真九郎の向かいに座り、この店に来るまでの経緯を思い返し始めた――。

 ***

「お昼は如何なさいますか?」
 そう問うたのは夕乃だった。柔らかい笑みを浮かべ、風呂上がりのジュウと真九郎に尋ねてくる。
 言われてみて気付いたが、よく考えればジュウ達は今朝から何も口にしていない。今までは忘れていたが、一度意識してしまうと空腹感が襲ってくる。
 それは真九郎も同じようで、盛大に腹の虫が存在を主張した。
「あらあら。ふふ、ではご飯の準備しますね」
「いや」
 否定の言葉を口にしたのは二人同時。真九郎とジュウだった。
 重なった言葉に互いを見やり、次の言葉を先に口にしたのはジュウだった。
「風呂まで借りて、これ以上迷惑は掛けられない。俺達は外で食べるから心配しないでくれ」
「……そうですか」
 若干、寂しそうに夕乃が呟く。
「俺も」
 そこに真九郎も言葉を重ねた。
「村上の所に挨拶も兼ねて飯を食いに行くよ。だから、俺も遠慮しとく」
「挨拶ですか……」
 二人の答えに不満気ではあったが、夕乃は納得したらしく頷く。
「分かりました。そういう事でしたら仕方ありませんね」
 そう言って、不満気だった表情を朗らかな笑みに変える。
「じゃあ、もう行くよ」
「はい、お気を付けて」
「一つ良いか?」
 割り込むようにジュウが質問する。夕乃は真九郎からジュウに視線を移した。
「雪姫はどこにいる?」
「まだ客間のはずですが」
「すまない」
 一言を残し、ジュウは足を客間に向ける。
 その後をなんとなくだろうか。真九郎と夕乃が付いて歩いた。
 客間に着いたジュウは、襖を開ける。
「雪姫、出掛ける……ぞ」
698伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/20(土) 23:14:54 ID:Su7byAgy
 最後の方が歯切れ悪くなったのは中の光景に嘆息したからだ。
「ふぉふぉふぃ?」
 恐らくは「どこに?」と言ったのだろう。しかし口の中に食べ物を詰めた状態では、発音は不明瞭極まり無かった。
 しかもその隣ではいつの間に屋敷に入ったのか。円も膝の前に置かれた膳を黙々と口に運んでいた。
「如何なさいます?」
 夕乃が苦笑混じりに尋ねてくる。
「……外で食べるさ。すまんがこいつらは頼む」
「護衛をお連れにならなくて宜しいんですか?」
「勝手に飯をたかる奴が護衛とは認めたくないんでな」
「そうですか」
 襖を閉じ、二人の付き人を視界から消し去る。
 そのまま玄関へと真っ直ぐ歩き出そうとした時だ。
 木張りの廊下の向こうから軽い足音が聞こえた。ぱたぱたと言うその足音は紫だった。
「真九郎! 出掛けるのか?」
「ああ」
「ならば私も付いて行くぞ!」
 宣言し鷹揚に頷く紫だが、真九郎は内心困っていた。
 街に連れ出せば紫は危険に晒すことになる。まして、付いていられるのは自分一人。
 悩む真九郎の肩を叩く手があった。
「あ〜……なんだ。俺も着いてくから連れて行ってやらないか?」
 それは、子供には甘いジュウの見せた優しさであった。

 ***

 ――ということがあって今。ジュウ達は楓味亭に来ていたのだ。
「いらっしゃいませ」
 席に着いたジュウ達に、抑揚の少ない声が掛けられた。
 声の主に視線を向けると、そこには一人の少女が無表情に立っていた。
「よう、銀子」
 真九郎が親しげに声を掛ける。知り合いらしい。親愛の情を露わに、真九郎は笑顔を浮かべ銀子と呼んだ少女に笑いかけた。
「帰ってたのね」
 真九郎とは対照的に感慨もなさそうに返す銀子にジュウは疑問を投げかけた。
「真九郎の知り合い……なのか?」
 その問に答えたのはしかし、銀子ではなく真九郎だった。
「こいつは村上銀子。楓味亭の店主の一人娘。俺の幼馴染みってとこかな?」
 その答えにジュウは成る程、と思う。だから真九郎はあんなに親しげに声を掛けていたのか。
 銀子はそうでもないように見えるが、逆に親しいからこそ、余計な気を張る必要が無く、素っ気ない態度を取れるとも言えるかも知れない。それ以上の感情も或いは、あるのかも分からないが。
「ところで真九郎。この子は?」
 銀子の視線が紫を捉える。
「私は九鳳院紫だ!」
699伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/20(土) 23:16:21 ID:Su7byAgy
 答えようとした真九郎より先に紫が名乗る。九鳳院という単語を出した事に真九郎とジュウ。二人は冷や汗を流した。
 まわりを眺めれば、紫の声は店内の喧騒に紛れたらしく、こちらを注視している者はいない。
 銀子も一瞬、驚きの表情を見せたが騒ぐ事はせず、しゃがんで紫に視線を合わせると柔らかい笑みを浮かべた。
「よろしく、紫ちゃん」
 ジュウはそれを見て意外に思う。冷徹そうだった表情から一転、慈母のような微笑みを浮かべる事が出来たのか。
 それを見てなんとなく、短い時間ながら銀子という少女の少女の人となりが分かったような気がした。
 冷静沈着、しかし情に厚く思いやり深い。それが銀子の本質であるように思う。
「じゃあ、アレってあなた達絡みなのかしら」
 呟いた銀子の台詞に、ジュウと真九郎は疑問符を浮かべる。
「アレってなんだ?」
 真九郎の質問に、銀子は若干声を落として答えた。
「街外れの森で、怪しい奴らが集まってるって話。“商売柄”そういう情報が入ってくるから。」
 そこで銀子は溜め息を一つ漏らす。
「そこにこんな大物二人を――名乗らなくても紫ちゃんでない方が誰かは分かるわ。その二人を連れて真九郎が来たのよ。関係を疑っても仕方ないでしょ」
 その答えにジュウは驚く。夕乃もそうではあったが、銀子の今の口振りからすると自分が誰であるか一目で看破したらしい。
「まあ周りは気付いてないけど、もう少し自分の身を隠す事を覚えたらどう?
ジュウ“様”」
 確定だ。名乗っていないジュウの名と、それに様を付けた事実。それは言外に自分が国王・柔沢ジュウであると知っている事を物語っていた。
「まあ、そんな事はどうでも良いのだけれど。……真九郎」
 瞳に真剣な光を宿して、銀子が言った。
「早く注文してくれる? 今、忙しいのよ」

 続
700伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/20(土) 23:20:20 ID:Su7byAgy
 毎度、伊南屋です。

 今回は少々短め。間が空いたクセにこんなんでスミマセン。
 いやしかしレディオ・ヘッドも]まで来ました。長いなあ……なんて自分で思いました。

 今回は以上。次はもっと早く、かつ文量を多くして投下します。
 それではまた、伊南屋でした。
701伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/20(土) 23:55:04 ID:Su7byAgy

 ***

「なあ、飯なんか食ってて大丈夫か?」
「ちゅるちゅる」
「ああ、大丈夫だ」
「むぐむぐ」
「しかし、飯食うより情報をだな……」
「ず〜っ、んくっんくっ」
「飯食わなきゃ情報を教えて貰えないんだよ」
 結局。
 あれ以上詳しい話は銀子から聞けず、ジュウ達は昼食を食べていた。
 真剣な話し合いのはずが、紫がラーメンをすすり、スープを飲む音で緊張感に欠けてしまっている。
「実を言えばな、銀子が今すぐに教えないって事は、一分一秒を争う事態じゃないって事だ。だからむしろ安心すらしている」
 真九郎の言葉にジュウは質問を返す。
「銀子だったか。大分信頼してるよな、確かに情報通ではあるみたいだが」
「“通”なんてもんじゃない。歴としたプロだよ」
「プロ?」
「……村上銀次って知ってるか?」
 唐突な話題転換に戸惑いながらもジュウが応える。
「ああ、名前と噂くらいは」
 ――村上銀次。
 伝説の情報屋の名だ。彼は噂話から国家機密に至るまで大量かつ精確な情報を集め、売ったという。
 大分前に亡くなったらしく、ジュウ自身彼から情報を買ったことは無いが、昔は彼からどれだけの情報を買えるかが知略戦の勝敗を分けたと言う。
「村上――待てよ、村上って事はまさか」
「そう。銀子は村上銀次の孫娘。二代目だよ。祖父から受け継いだ膨大な情報とその情報源、ネットワーク。それを使い銀子は情報屋を運営しているんだ」
「成る程……」
 それならば真九郎の信頼も頷けるというものだ。
「しかし、お前も変わった人脈を持ってるな……」
 崩月。村上。そして九鳳院。
 ただの少年が持つには強烈過ぎる人脈。無論、その人脈を持つ真九郎がただの少年ではない事は明らかだが。
「実際助かってるよ」
「それは良かった」
 不意に降ってきた声に視線を向ける。そこにはいつの間に居たのか。銀子が相変わらずの無表情で立っていた。
「失礼するわね」
 そう言って、ジュウ達の席に、銀子も腰を降ろす。
「仕事は良いのか?」
「忙しい時間も終わりかけだしね」
 言われてみれば、入ってきた時ほど人は多くない。僅かながら空席も見られた。
「だからまあ、大丈夫。それで、聞きたいんでしょ?」
「ああ、教えてくれ」
「構わないわ」
 そう言うと銀子は情報をまとめたらしい、数枚の紙を取り出した。
「助かる」
「良いのよ、有料だから」
 さらりと述べる銀子に真九郎は苦笑して応える。
702伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/20(土) 23:56:20 ID:Su7byAgy
「……プロだから、か?」
「……プロだから、よ。あんたもその辺ちゃんとしなさいよ?」
「分かってるよ……」
「どうだか」
 そう言って銀子は真九郎を見つめる。なんの感情も込められていないように見えるが、ジュウには銀子が真九郎を案じているのが感じ取れた。
「折角だから説明しながら読むわ」
 言って、銀子は街外れの不審者について、ゆっくりと話し出した――。

 続
703伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/20(土) 23:57:32 ID:Su7byAgy
 すいません。本編変な所で切れてました。追加文です。
 これで本当に]は終わりです。
704名無しさん@ピンキー:2007/01/21(日) 00:01:11 ID:NPt6P1XY
GJ!!

でも、雨の出番が無い(´・ω・)
705名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 04:35:23 ID:Gc13eEA5
キヤァー、足りない足りない、物足りないわ〜続きが気になって眠れないじゃないのっ!
・・・・酷い伊南屋(ひと)・・・でも、そんな貴方が・・好・き♪
706名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 07:18:24 ID:fzA2saEr
伊南屋さんいつもながらGJです!!
このスレが700超えたのは伊南屋さんの力が大きいのでは…GJ!!
707名無しさん@ピンキー:2007/01/22(月) 10:38:12 ID:a0cX6lrp
伊南屋氏GJッス!ってゆーかこんなハイペースで良質のSSを大量生産するなんて神以外の何者でも無いっすよ!
708伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:16:06 ID:w014PtwQ
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
]T.

 夜。
 雲が月を覆い、闇を深くしている。
 影はその漆黒に身を潜め、蠢く。
 嫌な空だ。ジュウは嘆息を漏らした。
 崩月邸。その庭でジュウは今宵起こるであろう惨劇に思いを巡らせていた。
 銀子の情報は予想以上に深くまで掴んでいた。
 大まかな人数と今夜、襲撃を掛けるであろう事。更には襲撃者の中には裏では名の知れた戦闘屋も含まれる事。
 具体的にそれが誰かまでは分からなかったが、これは十分に大きな収穫と言える。
「しかし、昨日の今日で仕掛けてくるか……」
 ジュウが漏らした呟きに返す者があった。
「今回は次男坊の独断専行。時間掛けるのはあっちにもマイナスってこったな」
 日本酒を杯で飲みながら、崩月法泉がジュウの傍らに立っていた。
 不戦を表明しているとは言え、余りにも余裕の態度であった。
 ちなみに不戦の理由は「俺が傷つくと涙する女性がいるから」だそうだ。
 真九郎や夕乃は、そんな理由を聞いても、既に慣れきっているらしく反論はしなかった。
「さて……そろそろ月も真上に来る。見えちゃいないが多分そうだ。――来るぜ。奴ら」
 法泉は目を細め、そう言った。
「――らしいな」
 ジュウの呟きに呼応するように。屋敷を包む空気が一変する。ちりちりと首筋を焼く気配。
 敵意――或いは殺意。
「始まるか……今夜は長くなりそうだぜ」
 酒臭い息と共にこぼされた法泉の言葉は、生温い風に溶かされ、虚空に消えた。

 ***

 崩月邸――正門

 襲撃者の多くは、侵入者を拒むために聳え立つ門の前に集結していた。無論、玄人である所の彼等が無策に正面から仕掛ける筈はない。
 陽動である。数十人を攪乱に回し、その他ほんの数名が屋敷に侵入する。
 例え陽動であると分かっていてもこの人数。人手を割かぬ訳にはいかない。そう見越しての配置だった。
 裏門にも数では劣るが、やはり多くの陽動部隊が配置されている。
 だが、この布陣に不満を上げる者もいる。
 曲がりなりにも全員が手練れ。素人などは断じて混じっていない。それなのにたかが子供一人を攫うだけ。
 ましてや厳重な護衛が敷かれて居る訳でもない屋敷を攻めるのに、この大人数、しかも陽動の為である。
 敵を侮るつもりはないが、やはり慎重過ぎると思う。
 それがこの部隊の過半数が抱える疑念であった。
709伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:17:27 ID:w014PtwQ
 しかし、やはりそこは玄人である。与えられた仕事はこなす。
 時間が、やってきた。
 襲撃者達は動き出す。まずは門破りだ。
 先陣を切って走る一団が門に辿り着かんとした時だ。
 破る筈であった門が、内から開かれた。その向こうに立っていたのは、少女。
 長い黒髪を闇に溶かし、身に纏うは紅袴。
 いわゆる巫女装束であった。
「ようこそいらっしゃいました……と言いたい所ではありますが、少々礼に掛けるお客様のようですね」
 あくまで穏やかな微笑を浮かべ、少女――夕乃は淡々と語る。
「申し訳ありませんが、お帰り願いますか?」
 夕乃の言葉を疑いながらも、襲撃者の一人が一歩踏み出す。
 或いは彼が昨晩。ジュウ達と手を合わせた者であれば。相手が少女であっても油断はせず。不用意に近付いたりはしなかっただろう。
 ――もっとも。慎重に動いたからと言って何が変わるわけでもないのだが。
「退け、女。退かぬなら容赦はしない」
「退きません。あなた方を通す訳にはいきませんから」
「……ちっ」
 男が、音もなく駆け、距離を一瞬で詰める。手にした刃は容赦なく、夕乃の細く白い首を捉え振るわれた。
「あら」
 軽い言葉と共に、男の動きが止まる。
「些か短気ではありませんか?」
 刃を持った腕は、夕乃が掴んでいた。男は抵抗しようとするもビクともしない。
「お帰り下さい」
 言って、夕乃の腕が振るわれる。それは男を掴んでいた腕だ。
 軽々しく男の体が宙に舞い、背中から叩きつけられる。と、同時。鳩尾に固く握られた拳が、深々と突き刺さる。
「あっ……がっ!」
 口から血を吐き、男が痙攣して横たわる。
「もう一度言いますね? ――お帰り下さい」
 その言葉は強く男達を怯ませた。しかし、引く者は誰一人いない。それはプロの意地。
 それを見つめ、夕乃は溜め息を吐く。
「仕方ありませんね……」
 それでは、と呟き。そこで夕乃は初めて構えをとった。
「次代崩月流当主・紅真九郎夫人予定。崩月夕乃。――参ります」
 告げる夕乃の顔は、少し恥ずかしげな笑顔を浮かべていた。

 ***

 崩月邸――裏門

「本当に来たのね。それもまあゾロゾロと」
 円は冷ややかな視線を、眼前の一団に向ける。その声は気だるげに響き、次いで漏らされた溜め息に吹き飛ばされた。
 崩月邸裏門。正門同様に陽動部隊が展開されたそこは、既に緊張の糸が張り詰め今にも決壊しそうであった。
710伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:19:18 ID:w014PtwQ
「まったく。うちの王様のお人好しにも困ったものだわ。これが雨ならもっと楽に話は着いていたんでしょうに」
 目の前の危機を危機とも思わず愚痴を漏らす。常と変わらぬ円の姿がそこにあった。
「貴様は……っ!」
 一団の中から一人の男が声を上げた。
「あら、貴方……」
 その男を視界に捉え、円は記憶を掘り返す。それは昨夜、股間に膝を打ち込んでやった男であった。
 男はその顔を憤怒に染め、円を睨み付けている。
「……ふん」
 しかし、それを見た円は鼻を鳴らすだけであった。詰まらない物を見たとでも言うように視線を逸らす。
「やるなら早くしましょう。退屈なのよ」
 相も変わらず自信と侮蔑に満ちた言葉を投げる。張り詰めた緊張は一気に弾け、対峙の場を戦場に変えた。
「おおぉっ!!」
 男達の怒号が響く。
「下らない……」
 円はただ嘆息し、鞘に仕舞っていた剣を抜き放った。
 刹那。無数の剣刃が交差し、悲鳴を生む。
 倒れたのは数名の襲撃者。対する円は傷一つなく、息一つ荒らげてすらいない。怜悧なその表情は、ただひたすらに余裕。始まる前と変わるところは無い。
 ただ一つの変化。手にした刃だけが血に濡れていた。
「さて、どれくらい貴方達が持つかしら?」
 その言葉を呟いた時。ようやく円の顔に、表情らしいものが浮かんだ。
 それは、蔑み。ただ対峙する男達が邪魔で仕方ないといった表情。
 憎しみではない。そんな感情などぶつけてやらない。そう物語っているような顔。
 煩わしい。それだけ。
「次、来なさい。早く終わらせたいの」
 再び怒号が響く。
 それは夜の闇空を突き、長い戦いの夜の始まりを、今になって告げているようであった。

 ***

 崩月邸――中庭

 怒号が聴こえる。襲撃者達が動き出したらしい。今は夕乃と円がそれぞれに当たっているだろう。
「始まったみたいだね」
 ジュウの傍ら、「寝る」と言って中に下がった法泉の代わりに立つのは雪姫だった。
 緊張するでもなく、鞘に収まった倭刀の鍔を指で弾いている。今すぐにでも抜きたい。そう言っているようだった。
「陽動……だな」
「だね、あまりにも騒ぎ過ぎだもの」
 恐らくはそろそろ、屋敷に別働隊が侵入してくるだろう。紫の側に真九郎が付いているとは言え、決して油断は出来ない。
「――来たんじゃないかな?」
 雪姫が常人離れした鋭敏な感覚で、侵入者の存在を察知した。
711伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:20:32 ID:w014PtwQ
 それを証明するように、塀を越え、中庭に二人の人影が降り立つ。
 闇に慣れた瞳に映ったのは、黒い肌に、肩まである鋼鉄のガントレットを装着した巨漢と、口元をマフラーで隠し、胡乱な瞳をした少女であった。
「よし、雪姫。抜いて良いぞ」
 敵を確認し、ジュウが雪姫に戦闘許可を出す。雪姫はそれと同時。刹那の内に抜き身の刃を晒していた。
 空気が一変する。さっきまではただの少女であった“ソレ”から、殺気が溢れ出す。
「ほう……」
 巨漢が興味深げに呟いた。
「こいつは斬島か?」
 巨漢は雪姫と、自らの傍らで呆っと突っ立っている少女を見比べた。
「なんだ、詰まらねえ仕事かと思ったら案外イカしたアトラクションがあるじゃねえか」
 そう言って巨漢は、携えていた包みを少女に渡した。
「女の子……?」
 その様子を見ながらジュウが訝しげな声を上げる。敵にも少女が居るのか。
 無論、だからといって手加減はしない。女を殴れば目覚めが悪いが、ここは既に戦場。情けは掛けられない。
 ましてやこちらに至っては戦力の多くが女性である。今更驚いた位で、なにが変わる訳でもない。
 だが、ジュウは更なる驚きを少女から与えられる事になる。
 マフラーをした少女が包みを解く。中から出てきたのは鋸であった。
 なんの変哲も無い。木を切り倒す為の工具。或いは刃とも言える。
 少女がその鋸――刃を持った瞬間。場に満ちる殺気が倍加した。
「なっ!?」
 余りのことにジュウは声を上げる。
 似ていた。余りにも似ていた。
 吹き上がる殺気は、二人の少女から。互いの存在を否定するその気配はぶつかり合い、質量すら伴って場を圧倒する。
 そして、ぶつかり合う殺気は、とてもよく似ていた。
「まさか……斬島なのか? あいつも」
 気だるげな目をした少女は――今や笑っていた。
 楽しそうに笑っていた。
 驚いた様に笑っていた。
 泣いた様に笑っていた。
 嬉しそうに笑っていた。
 そして、心の底から憎そうに笑っていた。
「てめえ……何だ? なんで斬島が此処にいる」
 雪姫は、答えない。
「答えなし……か。普通、斬島ならオレの仕事は邪魔しないんだがな?」
 そこで少女は一つ思い当たったように「ああ」と頷いた。
「そういや先代の時だったか。勘当した無能が、バカ強え斬島を産んじまって、斬島全体でそいつを消そうとしたらしいな。するってえとアレか。お前がそうなのか?」
712伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:21:53 ID:w014PtwQ
 少女は愉快そうに、また笑った。
「あっははははは! 先代の唯一とちった仕事を、オレが片付けるってか!」
 その声は、明らかな歓喜の声。
「良いねえ。先代切彦を良いとこまで追い詰めたらしいじゃねえか。そん時の怪我のお陰で存外早くオレに切彦の襲名が回ってきた」
 切彦。その言葉に、雪姫が表情を変える。
「切彦……」
「そーだよ、切彦だ。現当主ってとこか。だからまあ、一族の不始末をつける義務? そういうのがあんだよ」
 そう言う切彦はあくまで楽しそうだった。実際、義務なんかは建て前で、殺し合えるのが嬉しくて仕方ない。そんな笑みを浮かべていた。
「んじゃま。始めようぜ、はぐれ野郎」
 その言葉を皮切りに、二者の殺気は更に膨れ上がる。
「《斬島》第六十六代目切彦!」
「ギミア国軍侍頭・斬島雪姫!」

「「参る!」」

 名乗りを上げる二人。告げた名は高らかに。
 斬島の正統と、斬島の異端。二つの刃が打ち合う音が、闇夜の空に響き渡った。

 ***

「さて、こっちも始めるか」
 笑みを浮かべて巨漢が言った。鋼の拳を打ち鳴らし、戦闘への意欲を見せる。
「……戦ったりは好きじゃ無いんだがな」
 呟いたジュウの言葉は偽らざる本心だった。戦うという行為は酷く疲れる。わざわざ疲れる事を進んで行う程、ジュウは物好きでも自虐嗜好者でもない。
 それでも。売られた喧嘩を買わない程に、大人しくもない。
 ジュウは、足元に置いていた物を拾い上げた。
 それは、長く巨大な鉄板だった。その一端には握りとなる部分がある。
 否、それは鉄板等ではない。幅広の大剣だ。なんの装飾もなく。柄もただ、布が適当に巻かれただけ。
 しかし、飾りがないからこそその剣は、ただひらすらに武骨な暴力性を主張していた。
 それをジュウは構える。
 軽く揺するだけでまるで空気が震えるような圧迫感を醸し出す大剣を見て、巨漢は笑っていた。
「ほお……そいつで壊すってか。良いねえ、壊し合いは望むところだ」
 ――壊し合い。殺し合いではなく、壊し合い。人を肉塊としか見ず、ただ潰す。
 その言葉を使った巨漢は、今までそういった戦い方をしてきた。そう告げるような物言い。
「てめえ、外道だな」
「斬島の嬢ちゃん達程じゃないさ」
 
713伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:23:24 ID:w014PtwQ
 そう言って、皮肉な笑みを浮かべながら、男は拳を突き出した。
「折角だから名乗るとしようか」
 ずしん、と四股を踏むように脚を鳴らす。それを見て、ジュウも瞳に真剣な光を宿し巨漢を睨んだ。
「《鉄腕》ダニエル・ブランチャード! ――お前さんは?」
「ギミア国王・柔沢ジュウだ。覚えとけ薄らデブ」
 瞬間、弾けるは《鉄腕》の巨漢。自らの巨体を一塊の砲丸として突進する。
 ジュウは大剣を強く握り、それを迎え討つ。
 地を揺るがす衝撃が、二人の間で激突した。

 ***

 崩月邸――当主の間

 外は既に戦場になっているらしい。無数の怒号が邸内にまで聞こえている。
 真九郎は紫を胸に抱きながらそれに耳を傾けていた。
「真九郎……」
 怯えているのだろう。聞こえるか聞こえないかと言うほどにか細く、震えた紫の声が真九郎を呼んだ。
「なんだ?」
 恐怖を払拭させる為、優しく聞き返す。紫は不安に声を揺らしながら答えた。
「みんな、大丈夫だろうか?」
 紫は、皆を案じていた。
 狙われているのは自分なのに。一番危ないのは自分なのに。それでも尚、周りを案じていた。
 優しい娘だと、真九郎は思う。だから、そんな娘を不安にさせてはいけないとも。
「――大丈夫だよ。みんな大丈夫だ」
 真九郎は言う。紫に言い聞かすように。自分に言い聞かすように。
「みんな、強い。負けたりしない。勿論、紫に手を出させなんかしない」
 自分でも驚く程、力強く断言できた。或いは、ジュウ達への信頼がそうさせたのか。
「そうだな。真九郎」
 紫が、真九郎に抱かれながら笑みを浮かべた。満面の笑みだ。
「ありがとう」
 そう言って紫は真九郎を抱き締めた。
 紫の腕が伝える感覚に、真九郎は自分も安心していくのを感じていた。この娘の為に戦えおうと、改めて思う。
 その時だ。真九郎は自分の顔から笑顔が消えるのが分かった。
「……な?」
 いつの間にか。巨体が視界を遮っていた。いや、それは巨体などと生易しい物ではない。余りに巨大なその姿は人ではなく、むしろそう――怪物を思わせた。
 腕だけで真九郎の胴程もある巨体。
 それが、何故ここに?
 ジュウ達が既にやられたとは思えない。証拠に外の騒ぎは収まっていない。
 ならば見逃した? この巨体を?
 有り得ない。本来ならば。
 しかし、たった一つ分かる事実。
 こいつは、敵だ。
「紫。巻き込まれないように下がってろ」
714伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:24:31 ID:w014PtwQ
 紫を庇うように真九郎は立ち上がる。
 離れていく紫を背後に感じながら、真九郎は目の前の大男を睨み付けた。
「にげ、る。むらさき。にげる」
 濁った声で呟きながら、大男は紫を目で追いかける。
「どこを見てる」
 真九郎が、大男に声を掛ける。その瞳にはありありと敵意が浮かんでいた。
 守る。紫を。
 その為には、こいつを倒さなければ。
 今、真九郎に出来るのは、外を守っているジュウや夕乃を信じること。そしてこの侵入者を排除すること。
 深く息を吐き出し、構えをとる。
 それを見て大男は、笑みを浮かべた。獲物を見つけた獣の瞳。
「おまえ、じゃま。じゃまする。ころす」
 たどたどしく言葉を並べる大男は、全身に力を行き渡らせる。
 まるで巨大化したと錯覚する程に気が膨れ上がる。
 気圧されそうになるが、なんとか踏みとどまる。
「へえ……《ビッグフット》を見てビビらないなんてね」
 不意に、大男の背後から声がした。
「彼、フランク・ブランカって言うんだ。《ビッグフット》っていう二つ名を持ってる戦闘屋なんだ」
 楽しそうに言いながら、フランクの背後から現れたのは、細身の少年。
「に、兄様……」
 遠く、様子を伺っていた紫が呟く。
 それだけで真九郎は全てを察した。こいつが、紫の兄。紫を穢そうとしている糞野郎か。
「お前……」
「さあ、《ビッグフット》と。この無知な下郎に、身の程を教えてやれ」
「お、おう!」
 フランクの巨体が、躍動した。
 丸太のような腕が振るわれる。真九郎はそれを腕で防御するが、身体ごと弾かれ後方に吹き飛ばされる。
 壁を打ち砕き、真九郎の体が瓦礫に沈んだ。
「真九郎っ!」
 紫の悲鳴が木霊する。
「――大丈夫だ」
 真九郎が瓦礫の中から立ち上がる。
「大丈夫だよ、紫。こんなの大した事ない」
 真九郎は、口の端から血を垂らし、しかしその顔は、あくまで優しい微笑を浮かべ、紫を見つめていた。
 それもすぐ消え、フランクに真剣な目を向ける。
「まだだ」
 見つめる視線は真っ直ぐに。
 倒すは二人。巨人と首領。とりあえず今は、巨人を先に。
 真九郎は、その身体を低く、巨人に突進させた。

 続
715伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/23(火) 00:29:11 ID:w014PtwQ
 毎度、伊南屋です。

 レディオ・ヘッド]T。決戦・導入編って感じです。一応シリーズ最長レス消費。
 書いてる途中で「もはや前世とか関係なくね?」って思ったけど気にしない。
 ついでに「国の名前センスなくね?」って思ったけどこれも気にしない。
 代わりに面白い物を頑張って書きたいと思ってるんで許してください。

 嗚呼、こんなんばっかだ。今日はもう寝る。すいません。
 以上。伊南屋でした。それではまた。
716名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 04:05:45 ID:XsYK079A
うはっ♪ 総力戦開始ですな。夕乃の角が出るのか気になる所ですよ、本当毎度良い仕事されます。
717名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 09:40:50 ID:L7GdLAIu
オールスター戦開幕ですね!!本当に面白いです!!GJ!!
718651:2007/01/23(火) 19:37:18 ID:kxMXrFlA
伊南屋先生に刺激されて>>653の続きを書いてみました。
まあ、ネタってことで。

「美味しかったな」
「ええ。……それではジュウ様、私はこちらになりますので」
 ラーメン屋からの帰り道、ふたりは十字路に差し掛かり家の方角のために別れることになった。
 気をつけて帰れよと一言雨に声をかけ、ジュウは今夜の夕食の買出しに行くことにした。
 
 しかし、雨と二人きりでどこかに食べに出かけるのは初めてだったかもな、と柄になく思う。
 いつだったか、雪姫と三人でカフェに入ったことはあるが、こうしてふたりで何の事件の絡みもなくどこかに食べに行くというのは
 改めて意識してみると、今までなかったような気がする。雨も案外喜んでいたみたいだし、またどこかに行くか。
 そうとめどもないことを考えながら、ジュウは商店街の街道を歩いていた。
 先日と同様、やはりクリスマスも近づいているということで商店街は多くの人で賑わっていた。
 主婦はもちろん、子供連れの親子、恋人であろう男女、あるいは友人グループ、サラリーマンの男性などその種類は様々だった。

 …そういや、あいつへのプレゼントも考えなきゃな。
 まだクリスマスに時間があるとはいえ、時間というのは案外流れるのが早いものだ。
 何も考えずにぼやっとしていたら、あっという間にクリスマスを迎えてしまう。
「適当に定員に見繕って貰えば、何か見つかるだろ……」
 買う買わないにせよ、あの地味な雨にも似合いそうな装飾品が見つかるかもしれない。
 そう考えたジュウは、なんとなく足をアクセサリー屋へと向けることにした。

 冷たい空気を身体に浴びながらも、足を進めていくとひとりの少女が目を輝かせてショーウインドウを覗きこんでいる姿が視界に入る。
 別に何も珍しいことではないのだが、あまりにも『興味津々』と言わんばかりに覗き込んでいるため、少しジュウには奇妙に思えた。
 子どもならいざ知れず、どう見ても彼女はジュウと同世代ぐらいだ。
 それぐらいの年頃の女の子ならこういう洒落たショーウインドウには見慣れているだろうに。
 ふとその中に視線を向けると、豪華ではないが洗練されたデザインのカーディガンだった。

 基本的に他人とは関わりを持ちたくないジュウは一瞥しただけで、その場を立ち去ろうとした。
 この間の痴漢騒ぎもあったことだし、妙な誤解を招くと後々厄介なことになり得る可能性だってある。
 面倒なことはもうこりごりだ。そう思い視線を少女から外し、目的であるアクセサリー屋へと向かおうとする、が。

「よぉ、嬢ちゃん。今ひとりかい?」
「オレたちとどこか遊びにいかない?」
 どこの一昔前のナンパ野郎だ。
 ジュウは内心苦笑すると同時に、その声の主をちらりと見た。
 いかにも女性とは無縁そうな性質の悪い軟弱そうな不良たちが数人、先ほどの少女を取り囲んでいた。
 少女はきょとんとしていて、状況を飲み込めていないのか首を傾げている。
「ふむ、だが私は人を待たせている。
 ついつい夢中になっていたが、そろそろ急がないと待ち合わせ時間に間に合わなくなってしまう。
 ……すまないが、そこを通してくれないか?」

 透き通るような声。だがその声に耳を傾けず、連中はわざと少女の行く手を遮っている。
 その表情は卑しく、目的が何なのか他人の気持ちの機微を察することが得意ではない
 ジュウにも分かるほどありありと映し出されていた。
719名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 19:42:40 ID:kxMXrFlA

(早速面倒ごとかよ……)

 どうしてこうも自分の前には厄介ごとがごろごろと転がっているのか。
 もちろん、それらを全て無視して生きれば、自分ももっと楽に生きることができるのだろう。
 だが、柔沢ジュウという男はその厄介ごとを無視出来るほど、大人でもなく賢くない人間ではなかった。

 辺りを見渡してみると、多くの通行人がその様子に一瞥をくれるも、
 その少女を助けようとする人間は誰一人としていなかった。
 中には体格のいい男も何人かいたが、係わり合いになるのは面倒なのか素通りばかりしていく。
 そしてついに、ジュウは口を開いてしまった。

「おい、お前らそいつが困っているのがわからないのか?」

 ああ、やっちまった。自分の不機嫌かつ怒りの篭った声を聞きながら、ジュウは心のなかで己にあきれ返る。
 自分は他人とは関わりたくないというのに、雨という少女と出会ってから
 自分はどんどん他人の事情に首を突っ込んでいるような気がする。

 でも、やってしまったものは仕方が無い。男たちが不機嫌そうな文句をこちらに次から次へとぶつけるが、
 それは関係ない。犬がぎゃんぎゃん吠えているのと同じだ。それで威嚇しているつもりなのだろうか。
 やけに自分が落ち着いているのが分かる。
 今まで自分が首を突っ込んできた事件に比べたらこんなものたいしたものではなかった。

 拳を鳴らし、構えを取る。
 連中もやっと自分たちが相手にしている人間がどれだけ喧嘩慣れしているのか理解したようだ。
 衆人環視のなか、空気が張り詰める。
 連中は標的をあの少女から自分へと変更し、周りを取り囲んだ。
 それはまるで獲物を駆るような猛獣かのように。

「へっ…、上等だ」

 久しぶりの高揚感。雨と出会ってからは忘れかけていたが、やはり自分はこういう人間だということを自覚する。
 ジュウと連中の決定的な違いは独りかそうでないかということだ。

 どれだけ雨たちと馴れ合ってはいても、柔沢ジュウという人間の本質は孤独であり、
 誰かと一緒にいるというのは幻想だったのだ。
 どこか、心のなかで寂しさを感じたような気もしたが、それはたぶん気のせいだ。
 だって自分はその寂しさと喪失感を味わないように生きようとしているのだから。
 そこで気分を切り替える。そんなことを考えても仕方が無い。
 今はただ、目の前の厄介ごとを片付けてしまえばいい。

 ――――先手必勝。

 相手が警戒しているうちに強烈な拳撃を、ジュウの正面にいたひとりの顔面に叩き込む。
 男は仰け反り激痛の走る顔面を押さえながら、もんどりうって悶え苦しむ。
 それに逆上した他の仲間は一度に襲い掛かってきた。
 さすがに複数人を相手には多少のダメージもやむなしか、骨の一本や二本は覚悟しないとなと腹をくくるジュウ。
「ほら、早くかかってこいよ…いくらでも相手になってやるぜ?」
「このクソガキぃぃぃっ!! ……ぶごろぁっ!?」
 だが次の瞬間、襲い掛かってきた男のひとりが横っ飛びに蹴り飛ばされる。
 誰かと思いジュウはそちらに視線を向けてみた。すると、そこには見知った顔があった。
「……相変わらずみたいだな、柔沢」
「伊吹?」
 光雲高校空手部で光の思い人――伊吹秀平がそこには立っていた。
 彼もまた部活を終え学校の帰りなのか、制服姿のままで無愛想にこちらを見つめていた。
 あれから―――幸せ潰し事件から顔をしばらく会わせていなかったが、相変わらず精悍な顔立ちをしていた。
720名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 19:46:50 ID:kxMXrFlA
 だが、そんな世間話をしている場合じゃないよな、と内心呟くとジュウは辺りを見渡す。
 残りの男たちも血気盛んに怒りと敵意を剥き出しにして、今にも殴りかかってきそうな勢いだった。

 伊吹と背中合わせに構える。
「いいのかよ? 空手部のエースが一般人を蹴り飛ばして」
「この場合は正当防衛だろう。それに手加減はしている」
 そう軽口を叩き合うとお互いに不敵な笑みを浮かべ、二人は動いた。
 その動きと拳撃の嵐はまさに疾風迅雷。
 襲い掛かる男の拳を上手く受け流しながら、的確に一撃一撃を男たちの身体に打ち込んでいく。
 数分とかからず、男たちは全員地面に倒れ伏せてしまった。

「これに懲りたら、女を騙そうとしないことだな。……そうだ、そこのあんた大丈夫か?」
 ジュウと伊吹は着衣を整えると、男たちに絡まれていた少女へと振り返る。
 彼女はにっこりと天真爛漫な笑顔を浮かべていた。
 姿は白シャツにその上から薄い青色のジャケットを羽織っており、下はジーンズとやけに男っぽい格好だったが、
 その格好が逆に少女の溌剌さを映えさせているように思えた。

「おぉ、すまない。邪まな気配はあったが、なかなか通してくれなかったのでな。
 助かった。礼を言うぞっ」

「………なぁ伊吹」
「なんだ」
「こいつは天然か?」
「………」

 ジュウも伊吹も閉口する。外見とは裏腹にどこか時代がかった口調に、ジュウは雪姫のようにこの少女が
 何かのアニメやマンガのキャラクターを演じているのか、とも思った。
 が、それにしては自然な口調であったしどこか演じるような節も見当たらない。

721名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 19:47:58 ID:kxMXrFlA
「まあ、気をつけろよ。このご時勢だ。どっかのバカに殺されても文句は言えないぞ」

 ジュウは忠告する。
 妊婦刺殺事件、女子高生拉致事件、金銭詐欺、銀行強盗…
 昨今頻繁に起きている犯罪を例に挙げればきりがないくらいに、この街、いやこの国は犯罪で満ち溢れている。
 一見は平和を繕っているこの国だが、蓋を開けてみれば
 そこは偽りと憎しみと狂気が掻き混ぜられた毒液で満ちている。
 胸糞が悪くなることばかり。やっぱりこの世の中は綺麗なんかじゃない。どろどろとした泥沼が覆い尽くしているばかりだ。
 ジュウはそう言葉にしたわけではないが、そう感じた。

 この少女はどこか間が抜けていると思う。言い換えれば純粋そうとも言えるのだが。
 せめてこの忠告を聞いて、この少女が身を守ることができるのなら
 自分のちっぽけな正義感も少しは救われるのではないだろうか。
 そこまで考えて、ジュウは馬鹿馬鹿しいと思った。偽善にも程がある。
 他人のことに無関心である自分が誰かのことを案じるなんて、間抜けで滑稽だ。

「ああ、ありがとう。やはりわたしは外に出てよかった。
 世界はこんなにも醜くて残酷だが、たしかにそこには温もりがあるな」

 だが、少女は嬉しそうに微笑む。その微笑はジュウだけが知る雨の笑顔とどこか似ている、と感じた。

「……よければその待ち合わせ場所まで送りますが、どうしますか」
 そう問いかけたのは伊吹だった。妙な言い回しに彼も気後れしていたようだが、
 やはり彼もこのまま少女をひとりで行かせるのは不安だったのだろう。言葉に優しさを持たせてそう問うた。

 やっぱり俺とこいつは違うな、と漠然と思った。伊吹は本気で他人を心配し、それを行動に移す。
 自分の感情のために動く俺とは全然反対だと苦笑を浮かべる。女子からの人気が出るのも当たり前か、とも。
 けれども、少女は首を横に振った。

「なに、知り合いとの待ち合わせ場所はすぐそこなんだ。気遣い感謝する。
 それではそろそろ時間なので、これで失礼するぞ。いろいろと迷惑をかけたな」
 ――――純粋無垢。そんな言葉を思わせるような笑顔を浮かべると、
 たたっとその少女はその場を駆け去っていった。

722名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 19:50:56 ID:kxMXrFlA
……まぁ、こんな感じで。ただ単に伊吹を出したかったのは内緒。
地の文ばかりで読みにくいけれど。……もっと上手になりたいな。
723名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 19:52:08 ID:w014PtwQ
GJ!
是非続きも頑張って下さい。
724名無しさん@ピンキー:2007/01/23(火) 20:31:45 ID:wpHi1SMp
ん?ん?んー?……紫?
725名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 07:16:42 ID:FcUWfYVX
紫……かな?
726名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 15:03:55 ID:O32DOB9/
オトコマエだな、誰かは分からんが
727名無しさん@ピンキー:2007/01/24(水) 16:29:07 ID:uFujRtMH
GJ!!!!!!!!!
続き期待です。
728名無しさん@ピンキー:2007/01/27(土) 08:40:29 ID:aKaDtlKg
全体的に期待age
729名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 00:16:15 ID:59j2+jWy
一つ執筆してもいいかな?
……時間かかるけど
730名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 00:24:59 ID:+32Vm2VX
当たり前じゃないかブラザー!
731名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 00:33:51 ID:59j2+jWy
OK
期待しないで待っててくれーい
732名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 16:20:04 ID:pUqww61F
全裸で待つ!!!!!!!!!!!!
733伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/29(月) 20:09:50 ID:+32Vm2VX
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
]U―“斬劇”

 閃くは剣刃。ただ殺意を成すために、全ての刃を死神の鎌へと変える一族が衝突する。
「ぅらぁぁあああ!」
 裂帛。そう言うにはあまりに獣じみた咆吼を上げ、切彦が鋸を振るう。
 一見すれば素人の動き。勢いに任せただけの突撃だが、事実は違う。
 最短距離を最速で駆ける。命を刈り取る為に、最も効率的な攻撃。
 剣士の敵と揶揄される斬島。武道とは懸け離れた殺人術の発露。
 しかし、雪姫も斬島である。故に、その動きは予想の範囲である。
 雪姫は庭に立つ石灯籠を盾にするように後退した。
「邪ぁ魔ぁぁあああ!」
 再び咆吼。鋸が石灯籠に激突する。
 普通ならば、それで止まるはずだった。
 異常だから、それで止められなかった。
 鋸が、激しい火花を散らし、削擦音を立て、振り抜かれた。
 斬島とは刃を扱うのがただ上手い。それだけの血族である。だが、それだけの事を異端となりえるまでに高めれば、どうなるか。
 その一つの解答がこれであった。
 何の変哲もない。工具の鋸で、石灯籠を一刀両断する。
 削り斬られた断面は美しいまでに平坦。辺りに粉塵を巻き上げ、分かたれた灯籠が落下した。
「……化物が」
 その光景に雪姫が忌々しげな声を上げる。
 これが、斬島の正統の力。ただ殺す為に、壊すために刃を振るう者の姿。
 戦慄が背筋を駆ける。
 しかし、雪姫は気圧されず、凛と立つ。
 刹那、前進。自らの最速をもって、距離を零に。
 闇に銀の光が疾る。
 高く澄んだ音を響かせ、刃が交錯した。
 数瞬と置かず、再度銀閃が交わる。
 一合、二合、三合。
 神速で閃く刃は激しく打ち合う。
 雪姫が大上段から振り下ろせば、それを切彦が下から弾き上げる。
 切彦が返す刃で横抜きに刃を迸らせれば、雪姫の倭刀が辛うじてそれを受ける。
 押し合い、弾き合う。
 開く距離は、互いにとって未だ間合い。
 雪姫が、切彦が駆ける。交錯する刃は紫電の如く火花を散らした。
「ははっ! 良いねぇ。そう易々とは斬られてくれねぇか」
 切彦が哄笑に口端を歪ませる。それを見て雪姫は苦い表情を浮かべる。
 ――強い。
 例え態度は巫山戯ていようと、その実力は本物。油断など微塵も出来ない。
 それでも、雪姫は負ける事は考えていなかった。
734伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/29(月) 20:11:40 ID:+32Vm2VX
 それは、自分の強さを信じてではない。詰まる所は“斬島”の血が成せる業。
 一度刃を持てば、斬り刻む事しか考えない狂戦士となる。
 狂気をもって凶器を振るう。唯それだけだ。
 雪姫の切先が躍る。狙うは切彦の首。弧を描き刃が迫る。
 それを、切彦は上体を反らすだけで躱した。体制を崩しながら、刀を振り抜き隙の出来た雪姫の胴に、鋸で斬りつける。
 回避。しかし切彦の刃は恐るべき鋭さで、雪姫の服を掠めた。
 それだけならまだしも、直接刃が触れていない肌を、剣風で薄く裂いていた。
「くっ……」
 思わず雪姫は呻きを漏らした。
 痛手ではない。しかし、不安定な体勢から繰り出された剣戟でこの威力。
 直接身に受ければ容易く両断されるであろう。
 冷汗が背を伝う。
「ははっ!」
 切彦が跳躍する。背を反らし、力を溜める。
 それを見上げ、雪姫は構える。
 空中では、刃から逃れる術はない。身を塞ぐものも、躱す為の足場もない。
 明らかな無謀。しかし、切彦は哄笑っていた。どうしようもない愉悦に、酔っていた。
 戦う事の歓びに、口端を亀裂のように歪ませていた。
 瞬間。切彦は反らした背を弾けさせる。バネの様に弾けた躯は、満身を持って刃を降らす。
 直下。炸裂する刃はまさしく、断頭台の如く。
「う、うぁぁあああ!」
 切彦は躱すつもりも、防ぐつもりもなかった。ただ、刃を振るう為だけに、その身を使った。
 雪姫は倭刀を頭上に掲げ、振り降ろされた刃を受ける。
 刃金が打ち合う音が鳴り渡る。
「くぁ……っ」
 凄まじい衝撃が雪姫を襲う。受けた両腕が痺れていた。
 そして、雪姫の命を守った刃。倭刀が、半ば近くから断たれていた。
 刃を振るう限り、全てを切り裂く。例えそれが刃でも。
 鈴のような音を立て、断たれた切っ先が地に落ちた。
「はんっ……ギリギリ生きてやがる」
 必殺のつもりだったのであろう。切彦は忌々しげに吐き捨てた。
「まあ、その得物じゃあもうケリは着いたようなもんだな」
 言って、鋸を雪姫に向ける。
 半ばまでの倭刀では、それまで保たれた均衡は続かない。
 リーチの差。それは、たった一寸でさえ絶望的な差であった。
 そして、その差はそのまま勝敗の、或いは生死の差であった。
 雪姫もそれは悟っていた。
「そんじゃま。――仕舞だ」
 軽い足取りで切彦が駆ける。それは一瞬で神速に達し、ただ命を奪う軌道を辿る。
735伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/29(月) 20:12:54 ID:+32Vm2VX
 雪姫は、勝機はないと理解している。
 しかし、敗北はないと信仰している。
 斬島だからではない。
 “雪姫”と言う少女として、自身を信じている。
「はぁあっ!」
 水平に跳ぶように疾駆する。地を踏みしめ、欠けた刃を前に、暴風の如く、目掛けるは、切彦。
 己が総身を一刃に変え、雪姫は極限の刺突を繰り出す。
 刹那に被我の距離差は零に。
 剣戟が激突する。
 未だ腕は痺れている。それでも構わない。この一撃だけ、柄を握っていられればいい。
「やぁああああ!!」

 ――切彦に失策があるとするならば、認識の欠如であろう。
 切彦も、雪姫も、斬島の天才と言われる存在である。
 殺人術に長け、刃を殺人の為に使う。
 効率よく、失敗なく。
 切彦も、雪姫も、それは同じであった。
 しかし、それが全てではない。
 切彦は、雪姫を斬島と見ていた。
 故に、雪姫の最後の一撃の意図に気付けなかった。

 鋸が、根元から折れた。切彦の目の前で。

「え?」
 驚愕に、気の抜けた声を漏らす。
 切彦の認識の欠如。
 それは、雪姫が斬島の異端児であるという事実。
 目の前の斬島は、唯の斬島では、無い。
「なん……で」

「なんで“あたしの命”を狙わなかった!」
「――刃を砕くため」

 雪姫の一撃。それは、斬島ならしない、“命を狙わない”攻撃だった。
 斬島は刃を振るい命を刈り取る。
 ならば、刃がなければどうか。
 論ずるまでもない。
 そんなものは所詮、爪も牙も無い獣も同然だ。
 雪姫の刺突は、切彦の鋸の根元を突いていた。
 それにより、元来武器としての強度は無い鋸は折れる。
「――あ」
 切彦の身から溢れんばかりの殺気が霧散する。
 そこには、ただ呆然と一人の少女が佇むだけだった。
「……負けた」
「……引き分けだよ」
 悔しげに言った雪姫の倭刀。それも、刃を失っていた。
 切彦の一撃でダメージを受けた刀身は、先の一撃に耐えることしか出来なかった。
 雪姫の身からも殺意は消えていた。
 かくて、二人の斬島は同時に刃を失う。
 ただ、二人の少女が立ち竦むだけだった。
「もう、私は戦えませんね……」
 獰猛だった面影はなく、切彦が胡乱に呟く。
「……じゃあね」
 雪姫は踵を返す。
 向かうは主の元へ。
 いつの間にか大分離れてしまっていた。
「……止め、刺さないんですか」
「刺せないからね」
736伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/29(月) 20:13:56 ID:+32Vm2VX
 刃もなく、戦えはしない。まして痺れた腕では殴る事すらままならない。
「そうですか。――ではいずれ生きている限り、また戦う事になるかも知れませんね」
「――その時は勝つよ。きっとね」
「楽しみにしてます」
 最後に、あの獰猛な気配を垣間見せ、しかしそれは直ぐに幻の様に消え去り、切彦も踵を返した。
「……しーゆーあげいん」
「……さよなら」
 まるで、何事も無かったかのように切彦は闇に溶け、何処へかと去っていく。
 雪姫はそれを追わない。
 ただ、脚を主の元へと歩ませる。
 二人の斬島は背を向け合い離れていく。
「きっと勝つよ。――きっと」
 もう一度強く呟き、雪姫は屋敷の中へと駆けていった。
 再び、刃交える時を想いながら。少女は、ただ駆ける――。

 続
737伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/01/29(月) 20:18:30 ID:+32Vm2VX
 毎度、伊南屋に御座います。

 レディオ・ヘッド]U―“剣劇”でした。
 斬島VS斬島でした。如何でしたでしょうか?

 今回サブタイに“剣劇”と付いているのは]Uがいくつかに別れているからです。
 これ以降サブタイが変わって同時刻に起きていた戦いが描かれる予定です。
 投稿ペース下がりそうなんですが今しばらくバトルシーン、お付き合い下さい。

 それでは今回はここまで。
 以上、伊南屋でした。
738名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 22:41:28 ID:pQgwy44A
GJ!GJ!!GJ!!!
伊南屋さん最高です!!
739名無しさん@ピンキー:2007/01/29(月) 22:56:49 ID:oiPe4qML
伊南屋さんGJッス!
相変わらず戦闘描写が素晴らしく所々惚れ惚れます
 普通ならば、それで止まるはずだった。
 異常だから、それで止められなかった。のフレーズ特に好きッス!
戦闘の結果も、雪姫の逆転の発想でスゲー納得いきました!
740名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 10:21:41 ID:8tzKyZkp
いつの間にか毎回楽しみにしている俺がいる。
741名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 19:21:06 ID:UDda/I2p
堕花「ジュウ様、最近お顔の色が優れませんがどうかなさったのですか?」
柔沢「なんだか最近見られてる気がする」






堕花「敵ですか?」
円堂「ああ、言っとくけど雨じゃないわよ。最近はずっと私たちと一緒にいるから」
斬島「うわ〜、ジュウ君自意識過剰!!」
柔沢「(やっぱり馬鹿にされた・・・・言うんじゃなかった)」







××「お姉ちゃん、あんなに楽しそうにあいつとお喋りしてる
    ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい


             お姉ちゃん、ずるいよ」
742名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 19:35:57 ID:uUIYnH25
その、なんだ
意外にも黒化光に萌える自分にびっくりだ
743名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 20:47:21 ID:8lANbkCU
ヤンデレ光とは新しいw
744名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 22:34:04 ID:F4mTivD/
黒光という新たなジャンル(?)が生まれた!!
そういえばヤンデレってなに?
745名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 23:10:46 ID:+T/+x2pU
>>744
デレデレ状態が行き過ぎて心を病んでしまうヒロインまたはその状態。
詳しくはヤンデレスレがあるのでそちらでどうぞ。
746名無しさん@ピンキー:2007/02/03(土) 23:30:18 ID:hRhFvXrD
自分744ではないんだが。

「病んデレ」だったのか!
ヤンキーじゃないよなあ、でもなーとか思ってたw
747名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 00:03:34 ID:WUbwJcmy
意外とその勘違いをする者は多いぞ
かくゆう俺も始めて見たときそう勘違いしたしw
748名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 00:23:11 ID:3z4Bkhvz
流れをぶった切らせて貰って、>>721の続きを投下。
他の職人さんのつなぎぐらいに気楽に読み流してもらえると幸い。

 少女を見送った後、ふたりは並んで街中を歩きはじめた。
「そう言えば伊吹。お前、何でこんなところにいるんだ? お前の学校は離れてるだろ」
「………」
 伊吹は最初どこかバツの悪そうな表情を浮かべたが、すぐに答えは返って来なかった。
 世間話程度に話を持ち出したのだが、嘘をつくなり話題を逸らすなりすればいいのに
 真面目に迷うところはこいつらしいな、と思いちらりと伊吹の顔を覗き込んだ。
「……この間の件はすまなかった」
「…あ、光のことか。別に、俺に謝るようなことじゃねえだろ。
 俺にだって向こう見ずなところがあったし、お前は光に謝っていただろう? …それでいいじゃねえか」

 あまりに沈痛な伊吹の表情にため息をついた。
 以前、円は伊吹のことを『良くも悪くも、真面目で潔癖な奴』と評価した。
 成る程、謹直なのはいいがそれが故に、些細なことでも拘ってしまうということか。
 その性格で光を傷つけたのは確かだが、悪いのはそれを仕掛けた幸福クラブの人間たちで、
 更に言えばそんな誤解を招くようなところを見られてしまった自分自身にも落ち度はある。
 今更伊吹だけを責めるというつもりは全くなかった。

 その意を伝えると、若干伊吹は表情を緩めて苦笑いした。
「……そうか。堕花さんにも同じようなことを言われた。
 『先輩に誤解させるようなことをしてしまってすみません、あの不良バカは気にしなくていいですから』……とな」
 あのときの会話の内容は知らないが、成る程あいつならそう答えるかとジュウは口元を緩めた。
 これで、元の鞘に収まったわけだ。これから二人がどうするかはジュウの関知するところではない。
 あとは光自身がどう行動するか、ただそれのみだ。

「それで、今日は彼女に謝罪の意味も含めて、クリスマスプレゼントを選びに来たんだ」
「………お前もか。俺は……いつも世話になってる奴に贈ろうと思って。
 お前も知っているだろ? あの時に雪…斬島と一緒にいた光の姉ちゃん。前髪の鬱陶しい…」
 ジュウが伊吹に再び説得しに行ったとき、散々サンドバックにされた場面を雨にも見られている。それは自分から彼女たちへ頼んだことだったが、いざ思い出してみるとどうも情けなさが先行してしまう。
「ああ、彼女か。……上手く行くといいな?」
「おい…? お前、何か勘違いしてないか?」
 やけに爽やかに笑う伊吹を見て、ジュウは不機嫌そうに眉をしかめた。
 時折、自分たちの学校でもジュウと雨はカップルだの何だの謂れのないうわさをされることがあるが、
 ジュウはそういった噂話が大嫌いだった。
「……? だとしたら、おまえたちは一体どう言った関係なんだ?」
 だが不思議に思った伊吹がそう尋ねると、ジュウは言葉に詰まった。
749名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 00:25:48 ID:3z4Bkhvz
 確かに恋人ではない。けれども、それ以外の友人や仲間と言った言葉にも当てはまらないだろうと感じた。
 今まで敢えて意識することは避けていたが、改めて関係を尋ねられると一言で言うのは難しい。
 雨に言わせれば主従関係と言うことになるのだろうが、ジュウとしてはどうにも釈然としない。
 前世云々は今でも彼女の妄想だと信じているし、
 事実であったとしてもそのような記憶がない限りはどうしても信じようがなかった。
 とすれば、一体自分と雨の関係はどういったものなのだろうか。
 雪姫のような友人感覚でもなければ、円のように見知りあい程度というわけでもない。

「……ただの知り合いだ」
 捻り出した答えがこれだった。我ながら情けないとも思いつつ、無難な答えを答えるしかほかないだろう。
「…そうか」
 ジュウの曇った表情から心情を察したのか、伊吹はそれ以上追求することはなく小さくひとつ頷いた。
「……ただ、気をつけたほうがいい。
 最近は物騒な事件が多発している。いつ…おまえやあの人が事件に巻き込まれるか分からない。
 これは飽くまで俺の予測だが、その時、あの人を守れるのはきっとおまえだけだ」
「………」
 既にいくつかの事件に巻き込まれている、とは言えなかった。
 それに、これから先、あいつが俺に守られることなんてあるのだろうか、とも。
 むしろ助けられてきたのはジュウ自身であり、彼はいつもその度に自分自身の無力さに嘆いてきた。
 ただ、その時あいつを守れなかったら俺は本当のろくでなしになるな、と何となく心の中でその思いがよぎった。
750名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 00:29:43 ID:3z4Bkhvz
 結局ふたりはそこで別れ、ジュウはアクセサリーショップに寄ってみたが
 いいものが見つからず、結局手ぶらで帰ってきてしまった。

 まあ、まだクリスマスまでには時間がある。じっくり考えて選べばいいだろう。
 ジュウはぼんやりそう思いながらアパートの郵便受けを開けた。あるのは何通かのダイレクトメールや広告のみ。
 …と思いきや一通の茶封筒がそのなかに紛れていた。
 基本的に外の世界にはあまりつながりを持たないジュウにとっては
 珍しいことだったが、もしかしたら紅香宛てのものかもしれない。
 彼は不思議そうに首を傾げながら、自分の部屋の中に上がってからその封を調べてみた。
 一見すると『柔沢ジュウへ』としか書かれておらず、差出人も明記されていなかった。
 封を切ると、その中には一枚のA4程度の大きさの手紙が入っていた。

「雪姫からか?」
 雨は毎日学校で会うし、円は間違っても必要なこと以外は自ずからジュウと連絡を取ろうとはしないだろう。
 とすれば、思い当たるのは雪姫ぐらいなものだが、
 その雪姫もジュウの自宅の電話番号も知っているはずだし、雨からメールアドレスも聞いているはずだ。
 不思議に思いながらも、その手紙を開き読み始める。
「ええと、何だ……?」
 しかし、その中に書かれていたのは、次のようにワープロ打ちで一文かかれていただけだった。



『聖なる夜、あなたの一番大切なものを奪います    ―――『常識破り』より』



「……は?」
 一瞬ぽかんとする。そしてもう一度茶封筒の宛先を確認する。何度見ても自分宛だ。
 聖なる夜…つまりはクリスマスか、またはイブか。………それにしても、大切なものを奪う?
「…俺の一番大切なもの?」
 今日は何でこうも難しいことを何度も考えさせられるのだろうか。憂鬱げなため息をついてかぶりを振った。
 妥当に考えれば母親の紅香ということになるのだろう。
 悔しいことだが、どう天地が引っくり返っても自分の母親はあの女以外には有り得ないわけで、
 唯一無二の存在なのは事実だ。
 どれだけ一般的な母子のあり方として違っていても、心の奥底では彼女を認めるしかなかった。
751名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 00:34:31 ID:3z4Bkhvz
 ……とはいえ、あの女は他の誰かにやれるような殊勝な女だっただろうか。
 ジュウのなかで知る『最強』は母親の紅香であって、加来羅清よりも、円堂円よりも、伊吹秀平よりも、
 強烈で過激で獰猛で、そして何より最初から最後まで自分を貫く――、柔沢紅香とはそういう人間だ。
 彼女を負けさせる人間がいるとすれば、そいつは世界で一番の異常者だ。
 柔沢紅香という人間はありとあらゆる『常識』を超越した傍若無人。
 『常識』に捕らわれる限りはあいつを叩きのめすことなんてありえるわけがない。

 それにしても、どうしてこのような脅迫文が送られて来たのだろうか?
 ふと以前に遭った幸福潰しが頭の中をよぎったが、首謀者である綾瀬一子は自首、
 そのメンバーも『暗木』の不在によりバラバラになった。
 白石香里のようにそのうちの一人が綾瀬一子の『真理』とやらの考えを引き継いでいたとしても、
 この一文はそれとは何かが違うものが感じられる。
 以前、雨の家で見せてもらった脅迫文やいやがらせの手紙にしては前回の幸福潰しと同様、
 憎しみや怨嗟のようなものは感じられない。だが、何故だろうか。
 この手紙からは確実に実行するという強い意志と、まるで自分には不可能はないと言わんばかりの余裕が見える。
 そう、どこかプロ意識を露骨に見せる人間のような、何かが。
 ―――何にしても、嫌がらせ、で処分できそうにはない。

「明日、雨にでも相談してみるか…」

 ジュウは手紙を茶封筒に入れなおすと夕飯の準備に取り掛かった。



……と、こんな感じで。
長々しく、キャラの口調がおかしかったりとへんてこなところは多いですが、
暇つぶし程度に読んでくださるとコレ幸い。
以下続く。かも。
752名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 01:36:07 ID:lE7sV37g
これで続かないなんて俺が耐えられない。
753名無しさん@ピンキー:2007/02/04(日) 07:27:22 ID:pHnZ9LuF
続きが気になる(;´Д`)
754伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/02/05(月) 00:07:11 ID:lE7sV37g
『レディオ・ヘッド リンカーネイション』
]U―“撃滅”

 《鉄腕》ダニエル=ブランチャードは考える。
 ――坊ちゃんにも困ったもんだ。
 自分に護衛を任せた癖に、いざその時になれば勝手に《ビッグフット》に付いて行く。
 あの巨漢は繊細な行動は出来るが、繊細な思考は出来ない。
 無論、護りながら戦う事など考えもしないし、当然の如く出来はしまい。
 別に《鉄腕》は、九鳳院竜二に忠誠を誓っている訳ではない。
 今こうして彼の身を案じているのも、単に依頼主に何かがあって報酬の支払いに問題が発生しては困るからだ。
 ――全く、こっちの身にもなって欲しいもんだ。
 内心で嘆息する。
 とりあえず今は目の前の敵。障害を排除しなくては。それから竜二を追い掛ける。
 ――しかし。
 《鉄腕》ダニエル=ブランチャードは考える。
 ――まさか獣王が出張っているとは。
 今、最も勢いがあるであろう国の王。それがこうして、目の前に立ちはだかっている。
 噂では自ら前線で剣を振るう王との事らしいが、成る程。その噂は真実と見える。
 油断は、出来ない。
 その気迫は本物だ。
 《鉄腕》は、柔沢ジュウを戦士であると、己が敵足り得ると認識する。
 プロとして驕らず、ただ眼前の敵を刈り取る。
 なればこそ――。
 《鉄腕》ダニエル=ブランチャードは、自らの二つ名を示す、その義腕を、全力で振るった。

 ***

 地が爆砕する。
 まるで大金槌が穿ったような衝撃に土が捲れ、粉塵を撒き散らす。
 局地的に地面が揺れるほどの拳撃。
 それは、《鉄腕》の放った一撃であった。
 《鉄腕》の手甲は尋常の物ではない。超重量を持ち、腕の骨格すら鋼に変えた義腕にして一つの武器である。
 《鉄腕》の只ならぬ筋力により振るわれるそれは、常人が受ければ総身の骨を粉微塵に砕き、潰す程の威力がある。
 その必殺の一撃を、ジュウは後方に飛び退り躱していた。
 朦々と立ち込める土煙の中、そこに立つ《鉄腕》に、ジュウが反撃する。
 地に着いた脚を踏ん張り、両手で握った大剣を、全身で使い、振るう。
 風圧を纏った斬戟が、《鉄腕》に襲い掛かる。
「はああぁぁっ!」
 裂帛の気合い。こちらもやはり常人ならば骨肉纏めて断ち斬る刃。
 持てる最大の胆力でもって疾らせた大剣による一撃。
 それを――
「ふんっ!!」
 ――《鉄腕》は両腕で受ける。
755伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/02/05(月) 00:08:39 ID:KoEzCqF9
 鋼同士が撃ち合う衝突音が響き渡る。 鮮やかな残響を残し、ジュウの渾身の一撃は《鉄腕》に止められた。
「なかなかの攻撃だ」
 せりあう拳と剣。
 それを視界に捉えながら《鉄腕》が口角を吊り上げ笑みを象る。
「むん!」
 腕に力を込め、大剣を弾いた。
「こっちの番だ!」
 刹那、《鉄腕》の右腕がジュウを襲う。ジュウは大剣の腹でそれを防御。
 しかし《鉄腕》の剛力に、大剣毎吹き飛ばされる。
 庭を囲う塀に叩きつけられ、背後に罅を造りながら、ジュウは壁に埋もれる様にして止まった。
「どすこい!」
 《鉄腕》の追撃。身を低く、突進する。ジュウは立ち上がる事すら儘ならぬ内に《鉄腕》の巨体と塀に挟まれる。
 巨大な鉄塊が、岩盤を打ち砕くのにも似た轟音が上がり、塀は蜘蛛の巣状の罅を更に広げる。
 《鉄腕》の体当たりを受け、身が軋む激痛に声すら上げられず、ジュウは膝から崩折れた。
「まあ、こんなもんか」
 常人ならば骨が砕け、肉が潰れているだろう。
 まず死んでいるだろうし、よしんば生き残っていたとしても身体は機能せずいずれ死ぬ。
 即死か、いずれ死ぬか。どちらにせよ命は無い。
 《鉄腕》は自らを遮った障害の排除を確信すると、踵を返し、屋敷の中に居るであろう竜二を追おうとした。
 追おうとして、立ち止まる。
「……っ痛ぇな、コンチクショウ」
 カラカラと、乾いた音を立て塀が欠片を落とす。
「……なに?」
 背後の呟きに、《鉄腕》は疑問を浮かべる。
 確かに、全力で当たった。ミンチになってもおかしくない衝撃だったはずだ。
 それなのに――
「まあ、クソババアに殴られるよりはマシか」
 ――何故、立ち上がる。
「何勝手に終わりにしてんだよ。それとも降参って事か?」
 ――何故、笑っている。
「ほら、続きしようぜ? ニガー(黒人兵)」
 ――何故、俺が恐れる。
「おぉぉっ!」
 咆吼。《鉄腕》が、巨体を砲弾の如く炸裂させる。
 ジュウは、大剣を大きく後ろに降りかぶる。
「っだらぁぁあああ!!」
 豪快なスウィングで大剣が降り抜かれる。《鉄腕》は突進の勢いはそのまま、拳を大剣に叩きつける。
 激突、紫電、軋み、歪み、鋼が裂ける。
 それはジュウの大剣か、或いは《鉄腕》の義手か。
 二人は同時に、反動に吹き飛ばされる。
 しばしの静寂。立ち上がったのは、両者同時。
「ぐっ……う」
756伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/02/05(月) 00:10:27 ID:KoEzCqF9
 まさか、自分の突進すら利用されるとは。《鉄腕》は己の勢いも乗せられた一撃を受け、そのダメージによろめく。
 ――しかし、それは相手も同じ。ただでは済んでいないはず。
 ならば、今が好機。先に仕掛けた方が圧倒的有利だ。
 《鉄腕》は腕を降りかぶり――それが出来なかった。
「なにぃ!?」
 鋼の義手は、今や無様なブリキ細工の如くひしゃげていた。
 先の一撃に耐えきれなかったらしく、関節部を中心に、大破している。
 ――バカな。
 《鉄腕》が、破られた。その事実に驚愕を抑え切れず呻く。
「なんなんだ、貴様ぁっ!」
 有り得ない。
 自分の攻撃に耐え、あまつさえ《鉄腕》を砕く。
 戦闘屋でもなければ、生粋の戦士ですらない。
 その気迫は本物なれど、詰まるところは一人の国主。戦いが本業ではない。
 では何故、戦闘屋の自分が追い詰められるのか。
 有り得ない。有り得ない。有り得ない。
 ぐるぐると混乱する思考。恐怖に囚われたそれは冷静を欠く。
「お、うぉおっ!」
 腕は動かない。《鉄腕》はショルダータックルをかます。
 しかし――
「ぅらあっ!」
 ジュウは、それをタックルで迎え撃った。
 投げ出された大剣は、先の激突の影響だろう。所々刃こぼれしていた。
 肉体と肉体が激突する。
 根本的な質量の違いに、ジュウは弾かれそうになるも、脚を踏ん張り耐える。
 地を抉り、ジュウの足元が沈む。
 ぎりぎりとせめぎ合う両者は互いに一歩も退かない。
「ふんっ!」
「おぉっ!」
 力比べ。まるで極東の格闘技“相撲”の様に、二人は押し合う。
 均衡は《鉄腕》から崩れた。
「はぁっ!」
 四つに組んだ体を離し、脚を蹴り上げる。ジュウは側頭部を強打され、よろめく。
 再びタックル。ジュウの体が、今度は弾き飛ばされる。
 地を転がり、止まる。
 ――今度はどうだ。
 頭部への打撃。それは致命傷になりうる必殺の一撃だった。
 そのはずなのに――
「何故、立ち上がる……」
 ――金髪の少年は不適な笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がる。
「何故、立ち上がる貴様ぁっ!」

「寝てる理由が無いからな」

 血を流し、泥に塗れても。それでも少年は立ち上がる。
「……っ死ねぇ!」
 絶叫。《鉄腕》が、再度ジュウに突撃する。
 だが、それは届くことはなかった。
「がっ……!」
 《鉄腕》がくぐもった悲鳴を上げる。その胸に咲くは、一輪の紅い花。
757伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/02/05(月) 00:11:33 ID:KoEzCqF9
 鮮血が、大輪を咲かせた。
 《鉄腕》が、地に倒れ伏せる。
 それの傍らには、いつからか小さな影。
 小さな影は、怜悧な声音で言い放った。
「付け足すならば――」
 その声は、少女。
「立ち続ける事は条件だからです。如何なる戦いにあっても勝利し続け、最後まで立ち続けた者を指して人はこう言うのですから――」

「――即ち、“王者”と」

 血を払い、剣を鞘に収めるその姿は、獣王の、柔沢ジュウの従者。
 百戦錬磨の大強者――堕花雨。
「お迎えに上がりました、ジュウ様」
「……結局、来るのかよ」
「主君をお迎えするのもまた、従者の仕事ですので」
「……まあ、礼は言おう」
「お気になさらず」
 あくまでも普段通り。戦場であっても、それは変わらない。
「事態は粗方把握しています。どうやら屋敷内に侵入を許したようですね」
「何?」
「ジュウ様のせいではありません。あれの侵入を止められる者などそう居ませんから」
 ――いずれにせよ危機である事に変わりはない。
「更に、屋敷内には敵の首領も居るようです。決着を付けるにはお誂え向きかと」
 成る程。重要人物は揃っている。クライマックスには相応しいだろう。
 ジュウは踵を返す。向かうは屋敷内。真九郎と紫の元だ。
「――終わらせるぞ。付いて来い」
「御心の儘に」
 従者を得て、少年は王者となる。
 今もまた。
 獣王が、戦場を歩む。その傍らに騎士を従えて――。

 続
758伊南屋 ◆WsILX6i4pM :2007/02/05(月) 00:16:06 ID:KoEzCqF9
 毎度、伊南屋に御座います。

 やっと、やっと雨を出せた……っ!
 “ヒーローは遅れてやってくる”をやりたくてずっと出番無しだったけど、ようやく物語が雨の出番に追い付いた。
 後はもうクライマックスまで突っ走るだけ。
 役者は出揃い、雨というデウス・エクス・マキナまで登場。
 長かったお話もなんとか終わりそうです。

 それではまたいずれ。
 以上、伊南屋でした。
759名無しさん@ピンキー:2007/02/05(月) 12:25:28 ID:nP9M6axc
雨・・・こんなにかっこいい登場の仕方なんて卑怯だよ!!
伊南屋さんかっこよすぎます!毎度のようにですがGJ!!
760名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 10:44:57 ID:p0SNbE1e
しっかし雨の登場に全く違和感を感じなかったw
まぁ主の危機に必ず駆けつけるのは来世でも同様だし。何が言いたいかとゆうと伊南屋氏GJ!
761名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 16:39:01 ID:h8QPepVi
姉の事が好きだった
昔から他の人とは少し違っていたが、それでも優しい姉が好きだった



好き『だった』


姉よりも好きな人ができた。
姉はその人の従者だそうだ。 だから常に横にいる。


もし、姉が、いなくなれば、換わりに、自分が、あいつの、横に、立てるのでは、ないだろうか?
あぁ、そうだ。 間違いない。 きっと、そうだ。


姉は何でも出来る。多分自分の空手も敵わないだろう。
でも、そんな万能な姉にも弱いものがある。
それは朝、寝起き。

丈夫 紐を用 した。  の細い首    りと巻き け







あははははははあははははははあはははぁはははははははははははあぁはは
ははぁあはははあははあはぁあはぁはははははははあはははははははははは
ははあぁあぁああああぁぁぁぁあはははは



                          これで、あいつの横は、自分の物
762名無しさん@ピンキー:2007/02/06(火) 17:03:54 ID:xvhz/RlV
闇光GJ
763名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 07:08:25 ID:dqYtDvut
ヤンデレGJ!!
764名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 10:46:11 ID:v54TMclT
ヤンデレと言えば美夜もヤンデレだよな
765名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 17:51:11 ID:dqYtDvut
>>764
その名前すごく懐かしいw
766名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 20:54:02 ID:xUTiT80Y
ちょwwww光黒いなwwwwwwww
767名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 21:22:29 ID:zodQKf+l
流れぶった切るがそろそろ次スレ立てた方がよくないか?
自分は立てられないが。
768名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 22:02:55 ID:dqYtDvut
新スレか…いつの間にかこんなレス数にw本当に「急成長」って感じがする(特に伊南屋さんが現れてから)
769名無しさん@ピンキー:2007/02/07(水) 22:03:04 ID:v54TMclT
同意。
俺も立てられないが。
770名無しさん@ピンキー:2007/02/09(金) 07:06:18 ID:p9eFV7zi
保守
771名無しさん@ピンキー
スレ立て代行依頼で立ててもらいました。
みんなで感謝。

次スレ誘導
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1171037946/

テンプレとかラノベのほうから流用しようかと思ったけど、
何か怖いことになりそうだったから止めに。
ストイック?にエロパロしましょ。

よって既刊リスト、関係スレは2レス目以降で
記載する、しないの判断は皆に任せる。