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名無しさん@ピンキー:
前スレ561-591の者です。長すぎて申し訳ない……
最後の1レスだけ残してスレが容量切れになってしまいました。
最後の1レスだけ新スレに貼るのもなんなので、頭から貼り直させていただきます。ご容赦ください。
――けたたましいプロペラ音を立て、一台のヘリが夜の静寂を蹂躙していた。
場所は埼玉県某所上空。ヘリは見るからに自衛隊仕様の塗装もなければ、何か事件を聞きつけてきたマスコミのものというわけでもない。こんな夜間になぜ飛んでいるのかも判らぬ、私用らしきものだった。
ヘリは迷いなく、真っ直ぐに一筋の軌道を描いて飛ぶ。行き先が明確である証拠だ。
そして、そのヘリを追う影がひとつ。
それは『人』だった。
うっすらと銀嶺を思い起こさせる軌跡を描き、空中を飛んでいる生身の人。
余人から見れば、あまりに非現実的な光景がそこにはあった。
「追ってきたか」
ヘリの操縦桿を握る人物は、ぽつりと独りごちる。男性にしては高く、女性にしては低い呟き。
ちらりと背後を省みると、空を飛び来る小さな人影がその目に映る。
少女だった。
白と薄いピンクを基調とした、およそ実用的とはお世辞にも言えないひらひらとした服をまとい、ツインテールにまとめた柔らかな栗色の髪を夜の大気になびかせている。銀嶺が尾を引いて飛んで来るその姿は、まるで幻想的な翼をはためかせているようだ。
人が見れば、美しいとも、滑稽とも思うだろう。
だが、ヘリの乗り手は驚かなかった。
「こうも早く感づかれるとは、さすが『智者』と言うべきか……使うのは惜しいが、止むを得んな」
言うや、傍らから取り出したのは、血で染め上げられたように赤黒い宝石。
窓を開くや、それを空中へと投げ出したのだった。
風を切り飛び来る少女は、前方を飛ぶヘリにしっかりと視線を定めていた。
ひらひらとした衣服で、片手には両端に宝石のそなえられた白い杖。どこからどう見ても、いわゆる魔法少女だとか呼ばれるような格好だ。
だが、こうしてヘリに引き離されない速さで空を飛んでいる。信じがたい超常的な姿だが、少女は明らかに『本物』であるらしい。
「ねえ、本当にあのヘリで間違いないんだよね?」
ふわりとしたツインテールの髪と、たわわに熟している事が薄手の服の上から見て取れる胸を風に揺らし、彼女は尋ねるように何者かへと呟く。
刹那、杖の先端にある深緑色の宝石が淡く光る。そして、低く深みのある声がこだますように穏やかに響いた。
『間違いないぞ、真央。我々の敵が、あれに乗っている』
人間であれば唇が動いたであろうように、ほのかな光を放つ杖は話し、諭す。
真央と呼ばれた少女の表情は複雑なものだった。いくらかの緊張感と、憂いが同居したようだ。
「うーん……もし間違いで普通のヘリだったりしたら、どうしよ……」
『有り得ん。我等が天敵にも等しい奴等の気配、この智者アルトクレスが間違えるはずも無い』
「ホント自信まんまんだよね……」
はふぅ、と嘆息。思うに、こうも尊大な相棒に付き合っている自分もよほどのお人好しだと真央は思う。
なぜこんなけったいな棒切れに付き合う事になったのかを、ふと彼女は思い出していた。
事の起こりは、ほんの2週間ほど前の事。その日まで桜坂真央は、公立の学園に通う普通の少女だった。
歳に比してもあどけない顔立ちと、その割には胸ばかり過剰に発達気味な体のせいで、少なからぬ数の男子から注目を集める存在ではあったが……
それとて現在のように荒唐無稽な事をこなしているのに比べれば、ずいぶんと比較的に普通だったはずだ。
しかし、出逢いとはいつも唐突に訪れるものであるらしい。
このけったいな棒切れは、その日真央が自室に戻ると、さも当然であるかのように部屋の真ん中に鎮座していたのだ。
真央はそれに見覚えは無かったが、小さい子供の頃の玩具か何かだろうかと判断して――それが一般人として当然の認識だろうが――捨てようとしたところ、突如頭に響いてきた声に呼び止められたのだ。
『我は智者アルトクレス。娘よ、話を聞いてはくれまいか』
限りなく偉そうな第一声だった事を真央はよく覚えている。時代がかったしゃべり方をするものだから、その印象はなおさらだ。
真央は正直ひどく驚いたもので、その時上げた素っ頓狂な声のせいで母親がフライパンの返しを失敗し、夕飯のチャーハンが台無しになったりもした。好物を食べ損ねた事は、真央の胸の内深くに確かに今も刻まれている。
ともあれ、冷静に話を聞いてみると、アルトクレスと名乗った杖の言い分はこのような事だった。
――今、人間の世界に、魔界の悪逆な魔人たちが侵攻しようとしている。
――この杖はその危機を伝え、共に戦う人間を求めて来た。
まるでマンガかアニメのようなその言葉、始めはにわかに信じられなかった。だが実際に杖がテレパシーか何かのように自分の心に語りかけてくる以上は真っ向から否定もできず、真央は半信半疑でいたものだ。
そんな真央に対して続けられた言葉も、言ってしまえば、また実にわかりやすいものだった。
『娘よ、我が主となって、奴等と戦ってはくれぬだろうか?』
至極わかりやすい展開に、むしろ真央は納得してしまったほどですらある。
だが、承諾するかどうかとは別問題だったのは、言うまでもない。
『お前は我が主となり、戦えるだけの素養を持っている』
『もしお前が戦わねば、お前の身の回りの人々に危害が及ぶかも知れぬのだぞ?』
半ば脅迫めいた説得だったと言うほかはない。
もちろん真央は渋った。そも、人類の敵が来るなどというのなら、警察なり自衛隊なり、日本のごく一部に居座っている某国の軍隊なりが相手をすればいいのだ。
一介の学園生に過ぎず、体力や運動能力に関してはおそよ人並み以下ですらあった真央に何ができるというのか。
しかし、その疑問にも、智者を自称するこの杖はさらりと答えてのけた。
『心配はない。お前の持つ多大な潜在的な力、我が導き出そう』
『それに、我が能力によって練成された着衣をまとえば、傷など負う事もない。たとえ火の海に飛び込もうが、大斧で頭をかち割られそうになろうが、決してな』
やたらと生々しい例えに逆に真央はヒいたが、それが本当なら断るのも悪いかなと思ってしまったのも事実。
そして、それが運の尽きだったとも言える。
もともとどうにも押しが弱く、頼まれると断れない性格だった真央は、熱意に押し切られて丸め込まれるようにして、アルトクレスの使い手になる事を承諾したのだ。
もっとも、真央はお人好しと言うかで、自分の知らぬ所で自分の友人・知人が何か危ない目に逢うかもしれないと聞かされた以上、何もしないのも落ち着かない。変に正義感が強いと言うか、不器用な性格ではあるが……
ともあれ、アルトクレスの言う通り、練成された着衣をまとった真央は、何があろうと傷ひとつ負う事はなかった。アルトクレスとともにこれまで二度ほど魔の者と戦った時も同様で、真央としては一安心である。
唯一の誤算は――その『着衣』が、あまりに少女趣味というか、こう、可愛らしさを強調しすぎたような服だった事だろうか――
『――真央、ぼうっとするな! 来るぞ!』
頭に強く響くアルトクレスの声で、真央は現実に引き戻される。
はっとヘリに視線を戻す。ふと見えたのは、ちらりと見えた赤い煌き。
(宝石?)
真央は目の良さには自信がある。両目で1.3の視力で見通したのは、色こそ濁っているものの、間違いなく赤い宝石だ。
何故そんな物を、と真央は一瞬だけ思ったが、すぐにその疑問は氷解する事となる。
落下していくかと思われた赤い宝石は、浮き、その場でかすかな音を立てて砕ける。
突如赤黒い煙が発生したかと思うや、その中からは――
「怪物!?」
そうとしか表現できない、人でない何か。
そこに現れたのは醜悪な肉塊だった。とぐろを巻く毒々しい色合いの肉、その真ん中に大きな目玉を備え、節々から不気味に蠢く触手を備えている。
そんな物体が、どういう原理でか空を飛び、真央を睨むように視線を注いでいるのだ。
「うっわぁ……」
気味の悪さに、思わず真央は声を漏らし、眉をひそめる。正直、あまり長い事直視していたい物ではない。
『気を引き締めろ、油断しているとやられるぞ』
アルトクレスは諭す。そしてその言葉が示したとおり、その怪物が先手を取るように動いた。不気味な色合いの触手が本来以上に伸び、掴みかかるかのように襲い来る。
『防げ!』
「わ、わ、っと!?」
慌てて杖を突き出す真央。と、杖の先端を中心として、空間に波打つような歪みが生じる。突き出されてきた触手は、その歪みに突き当たって、弾かれた。
『無事だな、真央?』
「う、うん」
どこまでも冷静に問いかけてくるアルトクレスに、真央は頷きを返す。
『とにかく冷静になれ。いつも通りにやれば、負けるような相手ではないぞ』
「うん」
再び頷く。杖の握りを確かめ、目線は目前の怪物に。
銀嶺の翼を広げ、真央は自ら怪物めがけて飛び込んで行った。
真央を叩き落とすべく次々と伸びてくる触手。
それらをかいくぐるように飛び、かわし、懐へ潜り込む。
『真央、上だ』
「OK!」
アドバイス通りに急上昇し、狙いを定めて急停止。薄桃色のケープとスカートが、花が咲いたかのようにふわりと広がる。
杖を握る手に意識を集中する。両端の宝石からやがて杖全体へと、淡い光が包んでいく。
アルトクレスはかつて真央に教えた。これこそは真央が生まれながらに持ち得た、魔に属する者を打ち滅ぼす魔法の力だと。
それを教え知らしめ、そしてその力を引き出すのが彼のような『智者』なのだと。
杖を握り締めたまま、急降下。
「ったぁぁぁぁぁーっ!!」
気合一閃。掛け声とともに、光り輝くアルトクレスを振り下ろす!
荒っぽいようだが、魔力を直接叩きつけるこの方法こそが最も簡単で、そして有効なのだ。
真央の手に、確かな手応え。
怪物は真央の眼前で、音もなく綺麗に真っ二つに斬り捨てられた。
肉塊と化した怪物が制御を失い、地上へと落ちていく。その姿は空中で幻のように掻き消え、影も形もなくなっていった。
「やった……!」
『残念だが、やってはいない』
歓喜の声を漏らした真央に、冷静にアルトクレスは言い放つ。
『ヘリに逃げられた。まんまと時間を稼がれたな』
言葉に次いで、嘆息するような息遣いが真央には聞こえてきた。
「あ……ご、ごめん、うっかりしてた」
『謝る事ではない。注意の行き届かなかった私の失策でもある。それより……』
真央の眼下には、夜の街が広がっていた。真央が生まれ育った、馴染み深い街。
怪物に気を取られている隙にどこへ逃げられたか判らないが、ヘリが向かったのはこの街のどこかだろう。
『注視すべきは、この街のどこかに魔の者が入り込んだという事だ。常日頃から気をつけるのだぞ』
「……うん」
真央は頷く。自分の日常の中に、あのような怪物を操る者が侵入して来る事を恐れながら。
「ふわあぁぁぁ……」
ヘリを取り逃がした翌朝、大欠伸をしながら道を行く真央の姿があった。
髪はゆうべと同じ、ふんわりとしたツインテールのままだが、服装は半袖のブラウスに濃紺のプリーツスカート。胸元にはオレンジ色のリボンを結んでいる、学園の制服姿だ。
薄手の生地をメロンのように大きな胸が押し上げており、幼い顔立ちとあいまって熟しきらない色気を我知らずかもし出していた。
片手には鞄。もう片方の手は、背中に回した剣道の竹刀をしまうための袋を担ぐためのベルトに添えられている。
とはいえ彼女は別に剣道などやっているわけではない。見られると厄介で、持ち運びにも不便な相棒を抱えているがゆえの荷物だ。
『真央、日頃から気をつけろと忠告したはずだぞ?』
眠そうな真央の様子を見咎めてか、その相棒の声が厳かに響く。
むぅ、と真央は頬を膨らし、不満げな表情になる。
「だって、夜中までヘリなんか追いかけて、目が冴えて寝れなかったんだもん……」
しょぼつく目をこすりながら、真央は小声で返す。アルトクレスの声は真央にしか聞こえないらしく、あまり大声で喋っていると変人扱いされかねないためだ。
『眠れんのは心身の鍛えが足らん証拠だ。真央、魔の者からこの街を守れるのはお前だけだという事を自覚し、また同時に自信も持たねばならんぞ』
「そんな事言われても、急には実感湧かないよ」
いくらか憮然と、真央は答える。
「それに、自信とかもよく判らないよ……まだ、なんか妙な事になっちゃったな、って感じがするばっかりで。
そもそも、アルトは『魔の者』って呼んでるけど、あいつら一体何しに来てるの?」
『端的に言えば、繁殖だ』
アルトクレスはきっぱりと答える。
『この世界の生き物も皆そうだが、生き延び、そして種を存続させるために最善を尽くすだろう。そのための手段は多様にある。医療の発達、多産、環境へ適応した進化、好ましい環境への移住……
奴ら魔の者にとっては、この世界こそが良い餌場という事だ』
「餌場って……どういう事?」
真央は重ねて問う。
しかし、アルトクレスはそこで押し黙り、返答は帰って来なかった。
「真央ちゃん、何か考え事〜?」
その時、横合いから聞こえて来た声に、はっと真央は振り向く。
明るめの色合いの髪をサイドポニーにまとめた少女。同級生として見知った、真央の友人だ。
「あ、ううん、別に何でもないの。おはよ、美杜ちゃん」
慌てて手を横に振り、笑顔を作って真央は答える。
美杜は高等部に入学した時からの真央の友人である。たまたま席が近かった事から友人になり、今に至るまで、頻繁に一緒に遊びに出かけたりしている仲だ。ちょうど家が近かったというのも仲の良さに拍車をかけたものだった。
真央が遊びに行く先を決めて、美杜は笑顔のまま着いて行く。おおむねそんなパターンが定着し、今の二人の関係に至っている。
「真央ちゃん、眠そうだけど大丈夫?」
「あ、うん、ちょっと……でも大丈夫だよ。ちょっと夕べ、テレビ見すぎてただけだから」
真央は眠気を振り払うように、にぱっと笑顔を見せる。美杜も安心したように微笑を返してくる。
「そっかぁ、なら良かった。真央ちゃんが元気ないと心配だもん」
「ん……ありがと」
真央はツインテールの髪を揺らしながら、照れ臭く鼻の頭を掻く。
一見ぽやっとしているようで、普通なら言いづらいような言葉もさらりと言ってのけてしまう。美杜のそういう裏表のなさが、真央は好きだった。
「でも、体調悪くなったら言ったほうがいいよ? 一時間目体育だし」
「あ、そう言えばそうだっけ……あーぅー」
一時間目から体育と聞いただけで、早々と真央は疲れきったように肩を落とす。正直な話、運動は苦手なのだ。夕べはあれほどの大立ち回りを演じたとはいえ、あれは魔法の力と、それを引き出してくれるアルトクレスによるところがほとんどだ。
そんなうなだれる真央の背中に、そっと美杜が手を添える。
「とりあえず、早く行こっか。ギリギリになって、生徒指導の先生たちに怒られてもヤだし」
「ん……そだね」
頷きあい、二人は少しだけ足早に学園への道を歩み行く。他愛のない会話に興じながら……
その一方、竹刀袋の中でアルトクレスは臍を噛む思いをしていた。
(真央の友人に気取られたくなかったとはいえ、説明が中途半端なままで終わってしまったな)
本来なら智者として、自分の使い手たる真央には教えておかねばならない事だ。真央に警戒を呼びかける意味でも。
(……まあ、後で話せば良いか。我が真央の傍にいる限り、そうそう致命的な事態にはなるまい)
アルトクレスは楽観視していた。魔の者も昨日ようやく逃げ切ったばかりで、そうすぐに事を起こしはしないだろうと踏んでいたのだ。
一時間目の体育の授業に際して、一度は美杜に励まされた真央の気持ちはまた沈みかけていた。
体育の授業内容は、水泳だった。真央の嫌いな種目である。
別に泳げないわけではないのだ。一応クロールで息継ぎはできるし、25mもなんとか泳ぎきれる。
問題は、そこではないのだ。
「はふぅ……」
ひとつ嘆息しながら、物憂げにプールサイドに歩み出て来る真央。
紺のスクール水着に押し込んだ胸は窮屈と言うほかなく、それでいて下着もないこの状態では、歩くだけでもたぷたぷと揺れる。何かのはずみで布地からこぼれ落ちてしまいそうなほど豊かな膨らみだ。
それでいて胸のラインから続く肢体は年齢以上に幼く見えるもので、見る者に背徳感にも似た興奮を抱かせずにはいられない。
そんな刺激的な光景に、クラス中の男子たちからの視線が集中していた。
(いっつもこうやって、ジロジロ見られるんだもん……)
恥じらいにあどけない顔を俯かせ、胸元を庇うように腕を回す。教師を待ちながら準備運動をするクラスメイトたちの陰に隠れるようにして、真央はプールサイドの隅へと座り込んだ。
そして、またひとつ嘆息。
真央は体育、とりわけ水泳がこのために嫌いだった。毎度毎度見世物にされているようで、恥ずかしくてたまらない。自分の胸が大きすぎるのは自覚しているが、だからこそいやらしい目で見られるのが嫌なのだ。
こうなると、早く水の中に入ってしまいたいものだ。泳いでいる最中だけは、変な視線を注がれずに済む。
(……そう言えば、美杜ちゃん遅いなぁ)
ふと、更衣室に目をやる。
美杜は真央と一緒に更衣室に入ったはずだったし、もう既に美杜以外の女子はみなプールサイドにいる。
美杜の着替えの遅さは真央も知っている。にしても、そろそろ授業が始まってしまう。いくら何でも遅いのではないか……
(……待ってれば来るよね)
脳裏をよぎった一抹の不安を振り払うように真央はかぶりを振った。それでなくとも、今立ち上がって女子の集団の中から一人外れて歩くのは、またいやらしい視線を送られそうで躊躇われたのだ。
「あぅ、急がないと……」
美杜は独り取り残された更衣室の中、携帯電話の時計を見て焦っていた。
授業開始まであと2分もない。着替えはもともと遅いのだが、今日はとりわけ手が覚束ない。
ようやくにして下着まで全ての着衣を取り終えると、改めて紺の水着に脚を通す。
美杜の肢体は、真央とはまた違った意味で魅力的なものだ。全体的に幼い印象の中、胸ばかりが過剰なほど豊かな真央と違い、背はさほど高いわけではないが全体的にバランス良くふっくらとした体のラインをしている。
「んしょ、っと」
大きな胸を布地の中に詰め込むようにして、やっと肩から袖を通す。そうしてスクール水着を着終えた時には、既に残り時間は1分を切っていた。
美杜は急いで更衣室を出ようとして――
ガタ、と音がした。
「ふぇ?」
振り返る。特に異常はない。物音がするとしたら、今しがた自分が慌てて制服を詰め込んだロッカーぐらいのものなのだろうが、そこから服や小物がこぼれ落ちた形跡もない。
(気のせい……かな?)
美杜は疑問符を浮かべ小首を傾げたが、それで事態が解決するわけでもない。
とりあえず、今は授業に遅れないように……そちらへ考えを切り替えると、美杜は再び更衣室のドアに手をかける。
その瞬間だった。美杜の脚が、何者かに掴まれたのは。
「ひゃっ――!?」
上ずった声。そして、脚を掴む恐ろしい怪力。
美杜は脚を取られ、うつ伏せに倒れ込んだ。かろうじて腕をつき、顔から倒れ込むのは避けた。大きな胸が地面とぶつかり合い、押し潰され歪んで形を変える。
「ちょ、や……な、何、誰!?」
立ち上がる事もできないまま、美杜は上体をひねって振り向く。
そして、次の瞬間には目を見開き驚いた。
そこにいたのは、怪物。
無数の触手がまるで糸ミミズの群れのように絡まり合う、見ているだけで吐き気を催すような異形の生物だった。
「ひ……っきゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」
狭い更衣室いっぱいに響き渡る、美杜の悲鳴。
だが、聞きつけた者は誰もおらず、誰かがここに来る事もなく――
やがて、数え切れないほどの触手が美杜に狙いを定め、掴みかかって来た。
「いやっ! やぁ、やめて……!」
美杜はもがく。しかし触手はいずれも恐るべき怪力で、美杜を放そうとはしない。
触手の一本が、腕を絡め取った。べとつく粘液をまとった生暖かい触手の感触が気味悪い。
その触手は自身を使って美杜の腕を縛り上げ、頭上に持ち上げて拘束する。美杜としては腕を縛られ、吊り下げられたような格好になった形だ。
「やっ、やぁ……」
美杜は涙を浮かべて頭を横に振る。しかし物言わぬ触手はそんな事を意に介さない。
美杜の眼前に一本の触手が突き出された。その異形の器官の先端は赤黒く腫れ上がっており、男根そのものの形状を呈している。
「やっ、やぁ! いや……ん、ふぐぅっ!」
悲鳴を上げ続ける美杜の口を、触手が塞いだ。独特の周期と苦じょっぱい味が、美杜の口の中いっぱいに広がっていく。
その触手は美杜の口の中、乱暴に前後運動をして……やがて、どぷっと熱いものを吐き出した。
「んうぅ!?」
美杜にとっては初めての感覚であり、味だった。口を塞がれ吐き出す事もできず、断続的にどぷどぷと放たれ続ける熱い粘液を少しずつ飲み干させられていく。
最後の一滴まで口の中に吐き出され、ようやく触手が口から引き抜かれる。口の中に残っていた飲み残しの粘液が、美杜の唇を伝って胸に落ちた。
「けほ、けほっ……」
咳き込む。あまりに異様な味、そして言いようもない不快感だった。
だが、息つく暇もなく、触手はさらに伸びて来て――
「ふぁん!?」
今度は両足をからめ取られた。そのままM字に脚を開かされ、全身を宙吊りにされる。
ぬる、と音を立てるかのように体液をぬめらせ、一本の触手が美杜の股間に近づいた。
ただの触手ではなかった。先端は赤黒く充血し、全体に血管が浮いた……肉の凶器とでも表現すべき形状。美杜の目にはそう映った。
そして、何をしようとしているのか、美杜は判らずにいられる年齢でもなかった。
「やだっ!? だめ、それだけは……やめて、お願い、いやぁ!」
必死の思いで美杜はもがく。だが、触手の怪力には抗えなかった。
やがて、触手はスクール水着の股間部へ潜り込む。美杜のそこには、受け入れる準備を示す濡れなど欠片も見ては取れなかったが……
おかまいなしに、触手は、美杜の未開通な膣へと入り込んでいった。
「ひぁ!? や、あ、痛いっ、痛、ひぅぁぁぁぁ!?」
ひとすじの血が滴る。その血を潤滑剤にして、触手は欲望のままに美杜の奥を荒々しく突き上げる。
やがて、下腹の奥で、ごぷりと熱いものが弾けた感触……
美杜の意識は、そこまでで途絶える事となったのだった。
「アルト、どういう事!?」
帰宅するなり、真央は相棒の杖に向かってがなり立てた。
――美杜が女子更衣室で何者かにレイプされた。
誰かが侵入したような形跡もない、まさしく密室殺人ならぬ密室陵辱だ。学園は突如今日の授業を全て取り消して学生全員を帰宅させ、騒然となった場をとりあえず静めた。
美杜は家に運ばれ、意識を失ったまま寝床に着かされている。今頃は警察が事件を調べている事だろう。
だが、警察がいくら捜しても犯人など浮かび上がってくるはずはないのだ。
『真央、これは魔の者の仕業だ』
「そんな事わかってるって! どうして、何で美杜ちゃんが……!」
アルトクレスに怒鳴っても仕方ない事だ。だが、真央は理不尽なこの事件に対する憤りを、何かにぶつけなければ収まらない気持ちで一杯だった。それが後々、この相棒とギクシャクする事が目に見えていたとしても……
『……真央、お前に魔の者たちの目的を言いそびれていた私の非だ。すまなかった』
しかしアルトクレスは、真央の想像に反してそう謝った。
てっきり、真央の怒りをよそに、冷静に解説をするのではないかと真央は思っていたのだ。だがアルトクレスは神妙に、本当に申し訳なさそうに謝ったのだ。
「あ……ん、えと……ごめんアルト。怒鳴ったりして」
毒気を抜かれたかのように、真央は怒りがスッと引いていくのを感じた。もちろん美杜を犯した者への怒りまで消えたわけではないが、今後どうすべきかまでを考える程度には落ち着いた。
アルトクレスは、自分が率先して謝る事で真央を落ち着かせようとしたのだろうか。だとすれば真央はこの杖にいいように扱われている事になるが、今だけはそれでも良かった。
「聞かせて。魔の者っていうのは、何をしに来てるの? なぜ美杜が狙われたの?」
『順を追って説明しよう。奴等にとってこの世界は格好の餌場、そこまでは説明したな?』
真央は頷く。その言葉の意味するところまでは、まだ聞いていなかった。
『奴等は繁殖と繁栄のために、この世界にある物を利用できるのだ。中でもとりわけ奴等が狙うのは、母体にできる人間の娘だ』
「母体……って」
『簡単に言えば、孕ませるのが奴等の目的だという事になる』
孕ませる。
言葉にすると簡単だが、その響きは重々しい。それでなくとも出産は女性にとって生来の大仕事だが、陵辱される事、その結果できた子供など、陵辱を受けた側の人生を大きく狂わせるだろう。
美杜も――実際に、そのような目に逢ったのだ。
ふつふつと煮え立って来るかのような怒りに、真央は硬く拳を握り締めた。
『魔の者は、大別して『魔人』と『魔物』の2種類がいる』
アルトクレスは言葉を続ける。その言葉で真央の怒りをごまかすように。
『これはこの世界で言うなら、人間と動物の違いのようなものだ。知的生命体とそうでない動物、その違いだと考えればいいだろう。
今まで我々が相手取ってきたのは、みな知性を持たない魔物……魔の者としては下位の存在だ』
「知性を持たないって……じゃあ、どうして女子更衣室なんかに?」
『そのミモリという少女を襲った魔物は、魔人に遠隔的に操作されてその場に現れたのだろう。学園に魔人が潜んでいると見て間違いないようだ』
「ひょっとして、夕べのヘリの……?」
『恐らくな』
真央は息を飲む。美杜が陵辱された裏に、魔人と呼ばれる存在の思惑があるとしたら……それは今までのような戦いではない、より気を引き締めなければならない相手に違いないのだ。
『だが、逆に言えば、学園に魔人が潜んでいる事は明確になった。被害が広がらぬうちに探し出し、叩くぞ。直接戦闘になればこちらに分がある』
「うん」
美杜の仇とばかりに、真央は口を結び拳を握った。美杜の貞操を踏みにじった相手など、許す気は全く無かった。
『重ね重ね言うが、気をつけるのだぞ。奴等は恐るべき相手だという事、真央にも判ろう?』
「大丈夫、私は絶対やられたりしないよ……アルトもいてくれるし、それに、あの服がある限り怪我とかもしないんでしょ?」
服と言うよりは衣装……ややもするとコスチュームと言ったほうが適切かもしれないあの服の事を真央は引き合いに出した。あの衣装を着た真央はあらゆる手段でも傷を受けなかったのは実験済みの事、それだけは自信を持って言えた。
『……過信は禁物だぞ』
アルトクレスは、ただそうとだけ答えた。
「ん、大丈夫。明日から早速探して回るよ」
真央の返事は、明らかに忠告が耳に入っていないものだった。親友を陵辱された怒り、そう簡単には鎮まりそうもなかった。
その日の夕方、学園の近くに位置するゲームセンター。
学園の制服を着崩した数人の不良学生が、そこにたむろっていた。
ブームの過ぎ去ったシューティングゲームの筐体を囲むようにして、菓子や缶飲料――その一部はアルコール入りのものも混じっている――を飲食しながら、ぺちゃくちゃと雑談に興じていた。
彼らはみな共通して、今日、学園で起こった事件と、それに伴って授業が中止になった事を親に報告していない。早い話が、学園で授業を受けているかのように装って遊んでいるのだ。
「しかし今日はラッキーだったよな、いきなり授業全部ナシとか言ってよ」
彼らの言い分はそんな所のようだ。同じ学園に通う少女一人が純潔を汚された事など、赤の他人の彼らにとっては、至極どうでもいい事だった。
「ラッキーと言えば、あれよ。ほら、コレ見てみ」
言いつつ、一人が携帯電話の画面に画像を表示する。
表示されたのは、水着姿の真央だった。見返り構図でうまく撮れたそれは、年齢に比しては抜群に大きい胸を強調すると同時に、細いウェスト、きゅっと締まった尻のライン、細く幼さを感じさせる四肢を余すことなく捉えていた。
「おー、すげー。よく撮れてんじゃん」
「すげーよな、コイツ。パイオツでっけぇ。FかGか、そんぐらいカップあるよな」
「どんだけ揉まれてヤりまくったら、こんなでっかくなんだかなー?」
卑猥なた言葉と視線を映像に投げ、不良たちは下卑た笑いを浮かべる。
――と。
「その子に興味があるのか?」
尊大さを窺わせる、高いとも低いとも言い切れない声が彼らの耳を刺した。
一斉に振り返る不良たち。そこに立っていたのは、ゲームセンターと言う場にはおよそ似つかわしくない、ビジネススーツ姿の長身の女性だった。
「んぁ? 何だ、アンタ?」
「私が誰であるかは、君たちには関係の無い事。それより、その映像の子に興味があるようだが……
君たちさえよければ、整えられる段取りもあるぞ?」
くす……と、唇の片側を吊り上げた蟲惑的な微笑み。
不良たちは、背筋にぞくりと寒気が走ったのを感じた。恐怖と、未知への好奇心から。
「……話を聞かせてもらおうじゃんか」
不良たちの中でもひときわ体格の良い、リーダー格らしき男子が前に進み出て言う。
目の前の女性の瞳に秘められた酷薄さに、彼らが気づく事は無かった。
翌日の放課後、真央はアルトクレスを収めた竹刀袋を担ぎ、学園中を探し回った。
警察が現場の保全をしているプールの女子更衣室には入れないとしても、それ以外の場所……特に潜伏に適した、あまり使われない特別教室や倉庫のたぐいまで念入りに調べていく。
しかし、行き当たりばったりにも等しいやり方だというのは否めない。
『駄目だな。ここにも魔の者の気配はない』
人気のない旧校舎の隅に位置した未使用教室でも、アルトクレスの言葉が空しく真央の頭に響く。
はふ、と真央は溜め息をついた。
どこに敵が潜んでいるかは判らないし、そもそも敵がじっと待っている保証もない。わかっていたはずだが、実際にこうも見つからないと精神的に疲れて来る。ゴールの見えないマラソンほど辛いものは無いのだ。
と、背後から真央の肩をそっと叩く手がひとつ。
振り返ると、スーツ姿の女性が立っていた。身長150cmに少し足りない真央より、頭ひとつ分は背が高い。
「え、と……?」
真央は少し驚き、次ぐべき言葉をわずかの間見失う。自分の記憶に間違いがなければ、教師の中にこんな人物はいなかったはずだ。だとしたら、学園の外部の人間だろうか?
「桜坂真央さん……だな?」
男のような口調で言い、微笑む。その表情は穏やかを装ってはいるが、どこか隠し切れない……抜き身の刃物のような、剣呑な鋭さを感じさせる。
「あ、はあ、そうですけど、何か……」
生返事を返す真央の目に、目の前の女性の胸元についた、小さなバッジが留まった。
銀製だろうか、陽の光を受けて鈍く輝くそれは、『四菱重工』と文字が書かれている。
その名前は真央にも聞き覚えがあった。この街に本社を持つ大企業のはずだ。街の中央に大きなビルを建て、その屋上には幹部クラスが使うらしいヘリの発着場まであるという話が……
「……まさか」
そこまで思い至って、真央は一歩、後ずさる。
に……と、目の前の女性の笑みが愉悦を含んだものへと変わっていく。
『真央! この女、魔人だ!』
切羽詰まったアルトクレスの声が響く。
目の前の女性の背中に蝙蝠の翼が広がったのは、その一瞬後だった。
「自己紹介ぐらいはしておくべきか」
人気の無い旧校舎の教室の中、漆黒の翼を広げ、爪は刃物のように鋭く伸び、瞳は爛々とした紅。まさに人外の、魔性の美をたたえた姿となって、魔人と化した女は言う。
「私の名はベルダ。先日は、せっかくの手駒をひとつ使わされた借りがあったな」
たっぷりと借りを返す。そう言わんばかりに、ベルダの瞳は嗜虐心を秘めて怪しく輝く。
真央は竹刀袋からアルトクレスを取り出した。いわゆる魔法少女という存在である事……とりわけ傍目に恥ずかしい、あの少女趣味もどぎついばかりの服を見られるのは御免被りたいところだが、幸いここは旧校舎。人目はなく、遠慮の必要はどこにもない。
杖を、高々と掲げ上げる。
先端の宝石から広がった光が真央を包むや、その光は真央の着ていた制服を覆うように宿る。
そして、弾け。
一瞬、太陽がそこに生まれ出でたのかと思うほどの輝き。それが止んだ時、そこには白と薄桃色の衣装を身にまとった真央が、凛と立っていた。
「あなたこそ美杜ちゃんを傷つけておいて……許さないから!」
杖を両手で握り締め、真央は猛る。
「ミモリ? ああ、あの着替えの遅い娘か」
さも可笑しそうな微笑みを浮かべるベルダ。その嘲笑が、真央の怒りをさらに掻き立てる。
「何が可笑しいのよ!?」
真央は怒りに任せ、杖を振り上げ飛び掛る。銀嶺のような淡い光彩が尾を引き、普段の真央からは想像もつかないほどの瞬発力で懐へ飛び込んでいく。
そして振り下ろされる、刃と化した光を伴う杖。
ベルダは避けようともしなかった。ただ、ポケットから何かを取り出し、それをかざす。
パリィン――と、乾いた音。
ガラスのように砕け散った宝石。刹那真央の視界が陰に覆われ、突き飛ばされたような感触と共に後ろへ吹き飛ばされる。
「っく……!?」
突然そこに生じた質量に、真央は壁まで叩きつけられた。鈍い痛みが、背中を侵食する。
痛みを堪えて急いで立ち上がると、視線を戻す。
そして、そこにあった巨大な陰に真央は戦慄した。
「喜べ、桜坂真央。この魔物はお前のような、智者の主となった娘を倒すための特性の魔物だぞ」
そこには、得体の知れない怪物。その高さ、2メートルにも及ぼうか。
糸ミミズのように絡まり合う、真央の二の腕ほどの太い触手の群れの塊があった。
「っく……そんな魔物なんか出して来たって!」
真央は杖を再び握り締め、床を蹴るようにして突進していった。
『いかん、真央、冷静になれ! あの魔物は智者の主を倒すためのものと言った。恐らく――』
「黙っててっ!」
アルトクレスの言葉を振り払い、真央は触手の怪物に向かっていく。
数本、触手が伸びて来た。襲い掛かって来ようとする真央を迎撃しようという動きだ。
「そんなもの――!」
真央は無造作に、触手の一本を腕で払いのけた。あらゆる危険から真央を守ると言われた衣装の一部、上腕までを覆う長手袋。それに包まれた腕は、やすやすと触手を弾き飛ばす。
(どんな魔物だか知らないけど、この服さえ着てれば大丈夫! こんな魔物早く倒して、あの魔人も……!)
次々と迫り来る触手を、払いのけ、杖で叩き落し、あるいは斬り飛ばし、一気に接近。
一昨日の夜に倒した魔物同様、一刀両断と斬り捨てるべく、ふわりと上昇。あの時ほどの高さは取れないが、勢いをつけるには充分だ。
杖全体を伝っていく魔力の光。あとはこれを、いつもどおりに叩きつければ――!
渾身の力を込めて振り下ろされた一閃。そして、深々とした手応え。
やった、と真央は思った。会心の一撃とも言うべきこの手応え、間違いなく相手を倒した確信がある。
見れば、絡まり合う触手たちの根元に、ざっくりと大きな断面が生まれていた。
「次ッ……!」
ふわりと床に降り、ベルダに斬りかかるべく歩を踏み出そうとして。
――しゅる――
「!?」
真央は驚愕した。間違いなく仕留めたと思った魔物が、さらに触手を伸ばして真央の腕を絡め取ったのだ。
「はははは、頭の悪い……言っただろう、そいつは智者の主を倒すための魔物だと?」
ベルダの嘲笑が真央の耳を突いた。得意気に腕を組み、泰然と言葉を続ける。
「お前たち智者の主は、我々魔の者に対して直接的戦闘では絶対に有利……そんな事は判っている。わざわざそれほど相性の悪い敵に、単純な雑魚をぶつけるほど我々も愚かではないぞ。生命力だけなら、そいつは飛び抜けていてな」
「くっ……!」
自分の浅はかさを呪いながらも、真央は右腕を掴む触手を振りほどこうと力一杯もがく。
だが、触手は恐るべき怪力で真央を放しはしなかった。服に守られていなければ、骨が砕けていたかもしれないほどだ。それだけあって、真央の細腕から生まれる力ではいかんとも動かしがたい。
せめて掴まれたのが左腕ならまだよかった。アルトクレスを握っていた右腕を掴まれては、杖で斬り落とすこともできない。
「では、桜坂真央。こいつがお前ら智者の主を倒すための者だという事……その身で味わうがいい」
そう言って笑うベルダの瞳は、この上なく残酷な光を帯びていた。
ぬるつく体液を滴らせながら、さらなる触手が伸びて来る。
真央はそれらを何とかして振り払おうとしたが、左腕一本では多勢に無勢。やがてその左腕も触手に捕まり、左右に大きく腕を広げる格好で捕らえられてしまった。
両腕を広げた格好になると、自然と胸を突き出した体勢になってしまう。服の上からでもありありと判る、片方でもメロンほどの大きさとかすかな上向きの美形を備えた豊かな双丘が、強烈にその存在を主張する事となった。
「フフ、いい格好だな、桜坂真央。見応えのある胸だぞ?」
「っく……」
真央は奥歯を噛み締めて屈辱に耐える。小柄な割にはあまりに大きすぎる胸は、先日のプールでのように男から変な目で見られやすいのも含めて、コンプレックス以外の何者でもない。恥辱に頬を染めながら、真央は視線を逸らしていた。
『真央、奴に耳を貸すな……!』
アルトクレスが助言を続ける。さきほどまで以上に、切羽詰まった声音だ。
『奴も、真央を傷つけられん事は承知している。恐らく奴の狙いは――』
「うるさいぞ、そこの棒切れ」
ベルダが言い放った一瞬後には、真央の手から力強い触手によってアルトクレスが奪われていた。
それきり、アルトクレスの声は途絶えた。離れてしまうと、その声が聞こえなくなってしまうのだろうか……
だが、ゆっくりとそんな因果関係を考察している暇などない。
「智者よ、貴様はここでおとなしくしていろ。そして、自分の選んだ娘の行方をしっかりと見届けるのだな」
ベルダは愉悦の笑みを浮かべ、触手からアルトクレスを受け取る。
と、触手が再び動いた。逃げられない真央を焦らし、恐怖を与えるかのように、ゆっくりと。
「っ、やっ、来ないでよっ!」
真央はより一層の力で抵抗を試みるが、しょせん歳相応以上にも華奢な真央の腕ではこのような怪物に敵うはずもない。痛みこそないものの、ぐいぐいと腕を締め付けるように掴まれて、逃げようがなかった。
ゆっくりと近づいてくる触手は、いったい何をしようというのか。服に覆われていない肩や頭などを握り潰そうとでもいうのか……真央は恐怖にかられ、その脚は小刻みに震え出してしまう。
だが、やがて近づいてきた触手は――べとつく体液をすり込むように、真央の胸を這い始めた。
「きゃっ!?」
予想だにしていなかった触手の動きに、真央は素っ頓狂な声を上げる。
だが、同時に思い出していた。女子更衣室に倒れていた美杜の胎内から溢れるほど出ていた白濁の光景、そして魔の者の目的は繁殖だというアルトクレスの説明……
(まさか、私も……!?)
予想して然るべきだったと、気づいてから思う。しかし、まさか真剣に戦おうとしている最中にもそのような事をしてくるとは、完全に真央の予想の斜め上の行動だった。
真央が驚き呆気に取られている間に、触手は真央の胸に巻きつくように絡む。
そして、真央のたわわな胸をきつく絞り上げた。
「ひぁ……!」
悲鳴が漏れた。ギリッ……と、柔らかな布地が軋む音を立てる。
痛みは感じなかった。だが、それでいて胸を押し潰され形を歪まされる感触だけは伝わってくる。真央にとっては未だ経験した事のない感触が、強制的に与えられていた。
触手はやがて力を緩め、しかしまたすぐに力を込める。緩急をつけたそれは、荒々しい愛撫のようであった。
「やっ、ちょ……っふぁ、何をっ、んぅぅっ!」
身をよじって抗おうとするが逃げられず、真央はされるがままに胸を絞り上げられてしまう。
やがてそのうちに、がくがくと足腰が立たなくなってきた。揉み上げられている胸から全身へと、未知の感覚が駆け巡っていくようだった。
「っちょっ……く、はぁ、はぁっ、何、これ……」
それは、真央が今まで味わった事のないほどの大きな快楽の波だった。あまりに膨大なその快感に、真央の頬は赤く上気し、吐息もいつしか熱を帯びていた。
「智者の主は、殺せない。傷ひとつつける事すら、容易ではない」
ベルダは真央の痴態をじっくりと眺めながらも、口調は冷静なまま呟く。
「だが、智者の主に選ばれるのは、いずれも歳若い娘ばかり。ならば、殺せずとも……簡単に堕とす事ができる。
その魔物は、そういった用途に特化して作られた魔物でな。じっくりとその責めを味わえ」
「……ッ!」
火照った思考の中、なんとか残っていた理性が、真央にその言葉の意味を理解させた。
快楽で狂わせようという事か。そしてあわよくば美杜のように陵辱し、種付けしてしまおうと……
「やっ! や……!」
真央は首をぶんぶんと振り、襲い来る快楽に必死に耐えようとした。
だが、ベルダも、触手の魔物も真央の仕草など意に介さない。
真央の口元へと、新たな触手が伸びて来た。
「ふぐ、んっ、んぅぅぅっ」
真央の口へと、太い触手が力任せに侵入して来る。
ひどい味だった。苦さと、鼻をつくすえた匂いが混じったようで、ひどく不快。そこに加えて、ぬめった体液と生暖かい体温が追い討ちをかけてくる。
真央は歯を立てて抵抗した。それが今彼女にできる唯一の抵抗だった。
だが、そんなささやかな抵抗など気にした様子もなく、触手は真央の舌の上を伝い、口腔の奥まで無遠慮に侵入を続けていく。
「んっ、んっ、んぅーっ!」
必死で嫌がる声を真央は立てるが、物言わぬ触手がそれでどうにかなるわけもない。
触手は真央の暖かな口の中、舌と頬の肉の柔らかさを堪能するように、隅々まで蹂躙していく。
真央の頬を涙がひとすじ伝った。美杜の仇も討てないどころか、熱くなってアルトクレスの助言にも耳を向けず、その結果として敵の思うつぼにはまってしまった……あまりにも情けなく悔しく、溢れ出る涙を堪えきれなかった。
やがて、ごぷごぷっ……と、熱い粘液が真央の口の奥へと放たれる。
「んんん!?」
真央は再度驚きに目を見開く事となった。生臭く苦じょっぱい味が舌の上で広がり、そして喉の奥へ直接放たれたそれは吐き出す事もかなわない。
こく、こく……と、真央の喉を熱く粘っこい液体が通っていった。
思うさま真央の口内へと放出しきった触手は、真央の唾液を滴らせながら、ようやくにして真央の口を解放する。
ようやくにして酷い味と口内の陵辱から逃れおおせた真央は、口の中の異臭を吐き出し、新鮮な空気を大きく吸い込む。やっとの思いで解放された安堵から、がっくりと真央の体からは力が抜けてしまった。
「まったく、いいカモだな」
嘲笑をたたえたまま、ベルダは言葉で真央を嬲る。
「勝手に怒って、勝手に引っかかってくれるとは。これほど安易な獲物もない……智者の主と言うだけあって、もう少し用心するべきかと思っていたが、その必要もなかったか」
「な、にを……っ!」
真央は涙をぬぐい、顔を上げてベルダを睨みつけて言った。――いや、睨もうとした。
だが、できなかった。眉根にまるきり力が入らない。
「あ、ぅ、ぁっ……!?」
眉は垂れ下がり、口からだらしなく涎が垂れてしまう。瞳もじっとりと情欲をたたえている事が、傍目には明らかに見て取れた。
「い、いったい、なにを……」
漏れる声も呂律が上ずり、殊更に幼い。その様子を見て、ベルダはなお嘲笑を深めた。
「あの魔物の体液はな、媚薬の効果があるんだ」
「びや……く……?」
「股が濡れて、いやらしい事がしたくてたまらなくなる薬という事だよ」
鬼の首を取ったかのように勝ち誇った微笑み。そしてベルダはポケットから赤い宝石を取り出すと、傍らで蠢く触手の魔物にそれを押し当てる。
と、その魔物は宝石の中に吸い込まれるように消えていった。
腕を掴んでいた触手という支えを失い、真央の体が床にくずおれる。腰が落ち込むと、べちゃっと水音が立った。
「は……ぅ」
床に腰をついた真央は、その時自分でも初めて気づいた。下着が、びしょびしょに濡れている。
真央は――明らかに、性感を感じていた。
体が芯から火照ってきているようで、胸と下腹の疼きが治まらない。それが媚薬によって強制的にもたらされたものだと頭ではわかっていても、体の疼きは止められそうになかった。
「さて、はしたなく発情した智者の主よ。お前とお近づきになりたいという者たちがいるのだが」
「え……?」
我知らずとろんと蕩けた瞳で、真央はベルダを見返す。
木製のドアが開け放たれたのは、その瞬間だった。人のいない旧校舎の未使用教室であるはずのここのドアが、人為的に開け放たれる……
「待たせたな」
ベルダは入ってきた人物たちを顧みて言う。
「ああ、いや、桜坂とヤらせてくれるんなら文句はねーぜ」
ニヤニヤとした笑いを浮かべながら入ってきたのは、制服をだらしなく着崩した、不良だった。それも1人2人ではない、5人もがぞろぞろと連れ立って入室してくる。
「見ての通り、彼女の方はもう準備万端だそうだ。好きにしてやるといい」
ベルダが真央を指して言う。不良たちはみな一様に、ねぶり上げるかのような視線を真央に送った。
「ありがたいねー。思わぬタナボタだ、こりゃ」
「うっはぁ、何だよあのカッコ。コスプレ……?」
「いいじゃんいいじゃん、そーゆーのも楽しいって」
「てゆーか桜坂、そーゆープレイが好きだったのかー。こりゃ楽しませてもらえそうだぜ」
好き勝手な事を言いつつ不良たちは歩み寄り、そして真央を取り囲む。
「……な、なにを……」
何とか切り抜けないと。アルトを取り戻さないと――真央は頭ではそう考えていたが、下半身にまるで力が入らないのだ。そのうえ、放っておくとどんどん体の内側から、言い表しようのない熱気がこみ上げて来るかのような感覚に襲われて止まない。
魔物から受けた媚薬の効果は、確実に真央を蝕んでいた。
そして、そんな事を知るよしもなく。
「さて、桜坂。たっぷり楽しもうぜぇ?」
不良たちの手が、真央に伸びていった。
体にまるで力が入らず、真央は床にあっさりと押し倒された。
「あ、やっ……」
真央は伸び来る手を押し返し抵抗しようとするが、その腕は弱々しく、逆に男たちの劣情を誘う効果をもたらしただけに終わってしまう。
「おーおー、可愛い声出してくれちゃって。盛り上げてくれるじゃん?」
「そーかいそーかい、そんなにヤってほしくて仕方ねえんだな」
好色な笑いを隠そうともせず、男たちは真央に身を寄せてくる。そのうち一人が真央の胸元に手を伸ばすや、ぐっと服の胸元を掴んだ。
「さて、ご開帳〜」
そして、無造作にビリビリと破いていく。
「! やぁ……!」
押し込められていた服の布地から解き放たれ、ぷるりとメロンほどの大きさのふたつの膨らみがその姿をあらわにする。まるで包装を解かれた上質の菓子のように一点の汚れもなく、見事な釣鐘型を保った柔肉の上に、桜色の先端が屹立を見せていた。
「うは、でっけぇ〜。すげぇな、片手で収まりきらねえじゃん」
横合いから伸びて来た手が、真央の胸をわしづかみにする。
「んうぅっ!」
乳房が指の形に添って淫猥に歪む、その刺激だけでも今の真央にはたまらないほどの快感となって襲い来る毒だった。真央は思わず目を伏したが、漏れ出る声は留めようがなかった。
(な、何で……? どうして、この服が簡単に……)
淫蕩に惚けさせられていく頭で、真央は必死に考えを手繰り寄せる。
この服は、あらゆる傷や痛みから自分を守ってくれる無敵の鎧だったのではなかったか。なのに今は簡単に、魔の者ですらない、こんなただの不良ごときにいいように破り捨てられて……
(……魔の者じゃ、ない……?)
ふと、真央はひとつの考えに至った。
アルトクレスは、この服を着ている限り、あらゆる魔の者から守られると言った。事実、魔物と戦おうが何をしようが、傷を負った事もこの服が破損した事も今まではない。
だが、よくよく考えてみる。
さきほど触手の魔物と戦ったとき、吹き飛ばされて、壁に背中をぶつけ……
その時、感じた痛み。
(まさか……魔の者以外からは、守ってくれない?)
熱く火照った体の中で、頭だけからは、すぅっと血の気が引いていくように真央は感じた。確かにそれならば、ベルダがこの不良たちと面識を持っていた事、そしてこの場に招いた事も納得がいく。
だが、納得すれば、それは瞬時に絶望へと変わった。
今の自分は智者の主でも何でもない、不良たちの毒牙にかかろうとする無力な一人の少女でしかないのだと。
真央が思考をまとめていると、いつしかその胸を不良たちが強く揉み込んでいた。
「ひぁぅっ! ちょっとっ……や、ふぁ、やめっ……」
「んー? やめて欲しいって?」
一人、ひときわ体格の良い男が真央の脚を掴み、開かせる。
「ひゃっ……!?」
抗う事もできないまま脚を開かされた真央。スカートの中に隠された白いショーツは、既に快楽を現す透明の粘液でぐっしょりと濡れそぼっていた。
「コッチの口はやめてほしいなんて言ってねえみたいだぜ?」
言いつつ、げらげらと笑う。
「……ッ!」
真央はあまりの羞恥に耐え切れず、視線を逸らした。
「そ、それは私のせいじゃ……! さっき、変なの飲まされて……」
「いーっていーって。言わなくてもいいぜ、桜坂はしょうがねえ淫乱なんだってなぁ?」
言葉で嬲りながら、体格のいい不良は真央の乳首をつねり上げた。
「ひぅっ!?」
びくん、と一瞬痙攣したように体が反応してしまう。かすかな痛みと、それを上回る電気が走ったような快感。
思わず呼吸は荒くなり、頬は自分でも感じられるほど、燃えているのではないかと思うほどに熱く火照りあがっていた。うっすら空けられた目は羞恥と情欲を同時にたたえ、見る者を誘惑せずにはおらないようですらある。
「乱暴にされて感じちゃってるってか〜? スゲー淫乱M女なんだなぁ、桜坂?」
「ちがっ……」
ふるふると首を振って否定する。だが、それで不良たちに伝わるわけもない。
「へへ、実はそうやって誘ってんだろ? その方がクるもんなぁ……よくわかってるじゃん」
言いつつ、正面に立ったリーダー格らしい不良は、真央のスカートの中に手を差し入れる。
「ゃ……!」
咄嗟に真央は脚を閉じて抵抗しようとした。だが、脚の間に男の体が入ってきていて、それもままならない。
やがて、腿を下っていく衣擦れの感触。そして股間が外気に晒されていく事が判る……
「うは、すげぇ、毛ェ生えてねーじゃん!」
「っ!」
真央は再び襲い来た羞恥に耐えさせられる事となった。
真央はこの歳になっても、一切の陰毛が生えていない……俗に言うパイパンだった。胸以外は幼い体つきとあいまって、真央にとっては密かなコンプレックスのひとつだったのだが、それすらもが暴露されてしまった。
そして、こういうものを目にした不良たちの反応は決まっていた。
「スゲーなあ、桜坂。剃っちまってるんだろー? やっぱマニアなセフレとかいたわけ?」
再び、嘲笑……真央はそれ以上を聞くに堪えられそうになかった。
「ま、ともあれそろそろ本番いこうぜ。もう桜坂はびしょ濡れで待ちきれねえみたいだしよ?」
ヂヂヂ、と金属製のジッパーを下ろす音。
そして、真央の目の前に、赤く充血した肉の槍が姿を現した。
「ひっ……!?」
真央にとっては、初めて直視する男性器だった。子供の頃、父親のものをかすかに見てしまったようなおぼろげな記憶がある程度……そんな真央にとって、そのペニスは強烈すぎるほどの印象を脳裏に焼きつけた。
それは成人男子の平均から比しても長大だった。真央の小さな手では掴むのもやっとというサイズで、肉の凶器とさえ表現できそうだ。そんなものが真央の方を向いて、これ見よがしに見せつけられているのだ。
「ほーら、桜坂、じっくり見とけよ? 今からコイツをお前の中にブチ込んでやるからな」
「え……や、いや、やぁ! ちょっ、やだ、やめてっ!?」
具体的に言われて、ようやく真央はそれが何をするための器官なのか思い出す。少なくともこの場においては、真央を陵辱し屈服せしめる凶器そのものなのだ。
真央はもがき暴れ出した。腕をばたつかせ、脚でリーダー格の不良を蹴るかのように。
「おら、暴れるんじゃねえよ、おとなしくしろ!」
しかし、無駄だった。腕は押さえつけられて何もできず、脚の間にリーダー格の不良の体を割り込まされているままでは蹴る事もままならない。
「何だよ、誘っといて今更嫌がってんじゃねーぜ?」
「いや……ちがぅっ……」
その言葉も伝わりはしない。リーダー格が真央の腿を内股から押さえつけ、大きく脚を開かせた体制のまま体をがっちりと固定する。
「そらいくぜ、濡れ濡れの桜坂サンよぉ? アンタの欲しがってたモノだ、しっかりくわえ込みな」
みちっ……秘肉が軋むような感触。
そして、熱く太いものが真央の中へと入っていった。
「いっ……!」
体を真っ二つに引き裂かれるような感触に、真央は思わず身をすくめる。
さきほどまで体を支配していた快感はまだ残っているが、今は恐怖と痛みがそれにとって代わっていた。
痛い。痛い痛い痛い……
まるで焼きごてを膣に突き入れられているようだった。女性として一番大切な部分に、消えない刻印を焼き入れられているようだ。
やがて……ぶち、と胎内の奥で弾けた感触。
「――!!」
激痛に、真央は涙を流していた。
「うひゃ〜。すげぇわ、名器ってーの? キツキツで気持ちいいぜ」
ぐちゅぐちゅと音を立てながら、リーダー格の不良は巨根で真央を突いていた。
「マジかよ。うは〜、早くヤりてえ。代わってくれよー」
「っせぇな、ちょっと待ってろ。つーか、最初は俺って決めただろーが」
「心配しねーでも全員最低一周は回るだろっての」
好き勝手な事を言って下品に笑い合う不良たち。
真央には彼らの言葉を聞く余裕などなかった。それだけでもパンクしそうになるような羞恥に加え、何も考えられなくなるほどの下腹の痛みが真央の全身を支配していた。
「ったく、すげーわホント。こんなズブ濡れであったけーのに、なんでこんなキツいか……お?」
幾度か真央の最奥をジュプジュプと突いて、ようやくリーダー格の不良は気づく。
真央と自分の結合部から、ひとすじの赤い血液が真央の尻を伝っている事に。
「うは。マジかよ、桜坂って処女だったん……?」
驚いたように、リーダー格の不良は言う。
真央は、力無くこくこくと頷いた。何か理性的な判断があったわけではない。だが、それを知ればもしかしたらこの痛みから解放してくれるかもしれない……自分を痛めつける者に対して許しを請うてしまう、生物としての本能が真央にそうせしめたのだ。
だが、リーダー格の不良は、ニヤリとした笑みを浮かべる。
「マジか。ラッキー! 桜坂のバージンもらっちまったよ、俺ってツイてる〜!」
――真央は、思わず死にたくなった。
自分を犯し、自分の人生を狂わせたであろうにもかかわらず、何か玩具でも買ってもらった小さな子供のような喜び方しかできないこんな奴らに腹が立った。
そして、そんな連中に少しでも許しを請うような態度を取ってしまった自分が、あまりにも情けなかった。
だが、そんな感慨も一瞬の事。リーダー格の荒々しい腰使いで肉の杭が打ち込まれる。
「へへっ、やっべぇ、俺コーフンしてきたわ、マジ止まらね」
グチュッ、ズチュッ、ブチュッ……さきほどより派手な音を立て、しぶきを立てる激しい律動。
「あっ! やっ! 痛っ! はぁっ……!」
真央には、痛みに耐える事しかできなかった。それ以外の手段など、ついさきほどまで処女だった真央には判るはずもない。
「うは、すげ……エロすぎ」
「やっべ、俺ももう勃っちまってどうしようもねーわ」
周囲の不良たちも、真央の処女喪失に興奮してか、ジッパーを空け、あるいはベルトを外す。
「じゃあ、ヤればいいじゃねーか。穴はひとつじゃねーんだからよ」
リーダー格は真央に杭打ちを加えながら、そのように言う。
「へへ、それもそうだな、ありがとよ!」
残る4人も、一斉に真央に群がって行った。餌にありつく、飢えた獣のように。
真央の口に、いきり立った剛直が咥えさせられた。
「んむぅっ!? んー……!」
さきほど口腔を蹂躙して来た触手同様の、生臭い味。だが、真央はそれに噛みかかろうという気が起きなくなっていた――いや、そう抵抗するだけの余力がなくなっていたと言うのが正しいか。
「あ、畜生、口取っちまいやがった」
「しょーがねえ。ホラ、握れよ、桜坂」
真央を性欲処理のための道具としか見ていない口調で言い、不良たちは各々のペニスを真央の体に摺り寄せて来る。膣と口を塞がれただけでなく、両手に一本ずつ剛直を握らされ、横合いから胸にもペニスを押し付けられる。
伝わってくるペニスの熱さが、真央に残された理性を溶かしていくようだった。まるで全身が性器になったかのような錯覚さえ覚える。
そんな中、リーダー格らしき不良が、尚も真央の胎内を貪るように蹂躙していた。
「おー、どんどん滑りがよくなってくぜ」
リーダー格はそう言って律動を加え続ける。その言葉は当を得たもので、現に結合部から溢れる液体は、見た目にもその量を増していた。
「桜坂はやっぱ淫乱だな。5人にマワされて濡れてんだからよ〜」
「はぅ、やっ……違っ」
息も絶え絶えに伝えようとしたその言葉、満足に声にすらならない。
実際の所真央が濡れているのは、媚薬の効果と、膣内を蹂躙される事に対しての自衛的な体の反応でしかない。だがそれを判ってくれるほど、不良たちは理解に富んだ人間ではなかった。
「ほらほら、どうした、手がお留守だぜ? ちゃんとシゴけよ」
「歯ぁ立てんなよ、ちゃんと舌使え。できるだろ、淫乱な真央ちゃ〜ん?」
「ん――っ!」
首を振って否定しようとしたが、組み伏せられ、頭を押さえて口を犯されている状態ではそれもままならない。涙をこぼしながら唸りを上げるのが、真央にとっての精一杯だった。
「マワされて感じてりゃ世話ねえやな……おら、出るぜ!」
リーダー格は一方的に言い放つ。そして、一度強く真央の奥を突き上げた。
「ひぐぅっ……!」
上ずった声とともに、真央の体が弓なりに反る。
硬く充血したペニスの先端が、真央の子宮の奥に密着させられた。体を串刺しにされたような感覚に次いで、どくどくっ……と熱い子種の液が真央の奥深くへと放たれる。
「んんぅ!?」
胎内に流し込まれたものの熱さに、真央はびくんと体を跳ねさせた。
断続的に放出される熱い粘液が、最後の一滴まで残さず真央の胎内に放たれた。
「ふぃー……たっぷり出してやったぜ、桜坂よ」
少女の純潔を奪って満足げにリーダー格は言うと、ゆっくりと真央の膣からペニスを引き抜く。
破瓜の血と愛液と精液がでたらめに混じりあった液体が糸を引き、ぷつりと空中で切れる。少しだけ遅れて、膣内からは白濁とした濃い精液が溢れ、こぼれて来た。
「んんぅっ……ふぁ、あ……」
真央は溢れてくる悔し涙を止められなかった。熱くなって周りが見えなくなった結果、陥れられ、純潔を奪われ、そして誰とも知れない男の精で種付けをされてしまった……
屈辱だけではない、そこに恐怖ものしかかって来る。孕まされてしまったかもしれない恐怖。
真央は、ただでさえ熱に浮かされたような頭の中がぐちゃぐちゃに混乱して、もうどうしていいかわからなくなっていた。ただ、悔しく情けなく、しかし何もできず身を任せる事しかできなかった。
「くぅ、やべ、俺ももう出そ」
真央に手を使ってしごかせていた不良も、腰使いを荒げながら言う。
「だな、こっちもそろそろだ」
こちらは、真央の口へペニスを押し込んでいた不良。真央の頭を掴む手に力が込もり、自らも腰を使って真央の口を遠慮なく犯していく。
「さーて桜坂、俺らからもロストバージンの記念のプレゼントだぜ。たっぷり受け取れよ……!」
「ん、んんっ!」
真央は嫌がり、顔を背けようとした。だが四方を取り囲まれ、どこを見ても自分を犯す男たちの顔を見せ付けられてしまう。
そして、真央の視界いっぱいに白が爆ぜた。
真央の喉奥を、あどけない顔を、桜色の唇、細い指、豊かな胸、白い腹……余す事なく不良たちの精液が真っ白に汚していった。
「んはぁ……!」
全身に浴びせかけられた精液の熱さに、真央は驚き、吐息を漏らす。
白くべとつく汚れの中、まるで瀕死のように浅い呼吸を繰り返しながら真央は倒れ伏していた。未だ血の滴る股間からは痛みが引かず、それでいて体を蝕む媚薬の効果がまだ残っているのか乳首は勃起したまま、膣の秘肉もわななき続けていた。
「まだまだ元気そうだなぁ。んじゃ、選手交代といくぜ〜?」
息も苦しげに胸を上下させる真央、その膣に別のペニスがあてがわれた。さきほど真央の左手を犯していたそれが、今度は膣にゆっくりと入っていく。
「ひぁっ……! や、だめ、やめて……」
「今更カワイコぶるなよ、たっぷり楽しもうぜ、公衆便器の真央ちゃ〜ん?」
ねちっこく、いやらしい笑い。
真央にとって生涯で2本目の男根が、咥え込まされていった。
……三十分ほどして、真央はまだ犯され続けていた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
視線は虚空をさまよい、破瓜の血の跡もすっかり乾いてしまっている。ただ際限がないのではないかと思えるほど放出され続けた精液だけが、生新しく臭気を放って真央を汚していた。
「ふー。や、たっぷり出したなー」
真央の膣から引き抜きながら、不良の一人が言う。
「全員2週ぐらいはしたな、こりゃ」
真央を見下ろしながらリーダー格は言う。真央の周囲には池のように白濁が湛えられており、性向のあまりな壮絶さを思わせる。
生臭くて仕方ないほどのその輪の中へ、しずしずと歩み出てくる人影――ベルダだ。今まで事を静観していた彼女が、何を思ってか不良たちを押しのけるようにして、真央へと歩み寄る。
「無様なものだな、桜坂真央?」
愉悦と嗜虐に満ちた微笑み。そして、ベルダは真央を抱き起こす。
「っ……」
何をされるのかと真央は警戒しようとしたが、まるで力が入らなかった。処女を失った痛みと輪姦された疲労が、真央から全ての力を奪ってしまっていた。
「フフ、そう怯えるな」
ベルダはそう言うが、無理な相談と言うものだった。その微笑みの奥には、背筋も凍てつくほどの冷たい何かと、熱くたぎるような欲望が見え隠れしている。
「私も少々、あてられてしまっただけでな……」
言いつつ、ベルダの手が怪しく輝く。
と、ばたばたと不良たちはその場に倒れていった。外傷はないが、死んだのか、あるいは気を失ったのか……真央には判別がつかない。だがいずれにしても、彼らに気を回している余裕など真央には無かった。
ベルダが、スラックスのジッパーを下ろす。
「……!」
真央は、信じられないものを見た。
ベルダの股間から、男根が生えているのだ。逞しく勃起したそれは、不良たちのものよりも一回りは大きい。
(男……!?)
真央は驚いて、ベルダの顔を見上げる。だがその造作は女性のもので、胸も真央におとらずたっぷりとした重量感をたたえてそこに存在している。
「ふたなりを見たのは初めてか? まあ、お前たち人間には馴染みも薄かろうな……」
明らかに人間を、そして真央を下等生物とばかりに見下している口調だった。
だが、真央にはベルダを拒絶するだけの力は残っていない。抗おうと心は思っても、媚薬に溶かされた体が犯されることに順応しようとしてしまうのだ。
「そら、いくぞ」
ベルダは精液まみれの真央をぐっと抱きしめるように、体を密着させ、あてがう。
そして、立った体勢のまま真央の膣内奥深くまで、ふたなりペニスを埋めていった。
「はぁぅ……んぁぁぁぁ!」
真央は思わず大きく声を漏らしていた。
ベルダの男根は、リーダー格の不良のものよりもさらに大きく硬く、真央を貪って来た。自然と膣は窮屈になり、ぎゅうぎゅうに締め上げていってしまう。
「なるほど、名器などと言わしめただけの事はある。いい穴だよ、お前は」
ベルダは愉悦もあらわに、真央の腰を掴んで乱暴に上下させる。
貪られる真央の膣からは、ぼたぼたと5人分の白濁した精液がこぼれていた。それだけの子種を注がれてパンパンになった子宮を、さらに魔人の強靭なペニスが貫いていく。
真央は体が精液袋になったような錯覚を覚えさせられていた。これだけ中に出されて、なお荒々しいセックスを強要される……完全に人ではなく、道具の扱いだ。
「ほら、もっと自分から腰を振ってはどうだ? いやらしい肉便器め」
ベルダは殊更に体を密着させ言う。互いの豊かな胸が潰れて形を歪ませ合い、何とも淫靡だ。
「はっ、んぁ、んんぅぅ」
真央は下腹を抉られる感触に必死で耐えていた。その剛棒はまさに凶器と言うに相応しく、貫かれると言うよりも内腑を抉られると言った方が正しい。それほどに魔人のモノは強壮だった。
まるで、抗おうとする真央の意志など、膣ごと壊してしまうのではないかと思えるほどだ。
「ほら、もっとはしたなくよがってみろ。これほどむやみに大きな胸をしていて……」
至近距離から、ベルダの手が真央の胸を荒々しく掴み、捻り上げるように乱暴に揉みしだく。
「ふぁぅぁっ!」
「生まれつきに淫乱にできているんだろう、お前の体は? それが証拠に、肉壷の具合もいい」
精液まみれの柔らかな胸を力任せに揉みながら、ベルダは律動を加え続ける。
赤く火照りあがった真央の頬に、ベルダが唇を落とす。顔にこびりついた不良たちの精液をベルダが舐め取る、その仕草はあまりに淫猥だった。
「お前は私の奴隷になれ。一生をかけて、そのいやらしい体で私に奉仕し続けろ」
真央の耳元で、ベルダは囁く。聴覚をくすぐるような甘い響きの囁きだった。
「奴隷になると誓うならば、いくらでも可愛がってやるぞ?
何を不自由させる事もなく、お前は何も考えなくて良くなる。世の中の一切のしがらみから断ち切られ、ただ私に奉仕し、こうして抱かれ続ければそれでよくなる。
楽だとは思わんか? そして幸福だとは思わんか? それ以上望むものなど、人の短い生涯にはあるまい?」
ベルダは幾度も囁き続けた。真央に残された理性を打ち崩さんとするかのように。
真央は必死で抗った。首を横に振り、ベルダの剛直から逃れようと腰を離そうとして……しかし体は言う事を聞かず、逃れる事はできない。
抵抗の素振りを見せる真央を愛おしげに見つめ、ベルダは言葉を続けた。
「まあ……いい。今は心まで屈しなくともな。毎日じっくりと私の子種をつけながら、一日中犯し続ける生活を送らせてやれば、そのうち考えも変わるだろう」
くすりと、さも愉快そうに笑う。その微笑みの奥に、真央は底知れない恐怖を味わう。
「さあ、しっかりと受け止めろよ。永世、お前の主人になる者の精をな……!」
ぐい、とベルダの巨根が真央の最奥にまで押し込まれる。
どくどくどく……どくどくどくっ……いつ果てるとも判らないほど長い放出。
「ふぁ、ぁ……!」
中に出される端からこぼれて床へと落ちていく精液。まるで真央が小水を漏らしたかのように、それはとめどなく出続けていった。
「これで、お前は私のものだ。よかったな、私のような優しい主人に種付けされて?」
勝ち誇ったようにベルダは言う。その言葉を否定もできず、真央は残った全ての力さえも奪われてしまっていた……
「そこまでにしておいて貰おう」
突如低い声が響くや、横合いからベルダは肩を掴まれ、真央と引き剥がされる。
「なっ……!」
ベルダは驚愕してそちらを見る。掴まれた肩はスーツが破け、その下の肌は火傷のようにただれて無残な姿を晒していた。
(……だ、れ……?)
真央は虚ろに消え行く視界の中、その声の主を見やる。
男だった。長身で痩せ型、精悍な容貌……白い厚手の法衣のような服を着込んだ青年だった。
真央にとっては初めて見る顔のはずだった。しかし、いつも顔を合わせているかのような既視感。
「魔の者よ、その娘は貴様の奴隷ではなく、我が主だ。やすやすとは渡せん」
その声は――
真央にとっては聞き慣れた、智者アルトクレスの声。
「あると……?」
真央はぽつり呟く。その声が聞こえたかどうか、アルトクレスは真央を顧みて、かすかに微笑む。
やおら、アルトクレスの右手が光り始めた。真央が見たその光は、いつも魔の者を撃退していた、杖をまとっていた光。
それで、掴みかかる。
「っくあぁぁぁぁぁ!?」
響き渡ったのは、ベルダの悲鳴。掴まれた腕が溶かされたように、ずたずたに崩れていた。
その場に倒れ込むベルダ。アルトクレスは、冷然とその姿を見下ろしていた。
「……魔の者よ、立ち去れ。真央は貴様に渡すわけにはいかん」
ベルダは答える言葉もなく、唇を噛んで悔しさをあらわにしていた。
左腕と右の肩を使い物にならないほど痛めつけられて、痛々しいとさえ言える姿。先ほどまでの高慢な態度は何処へやらで、そこにある姿は敗者のものだった。
「……ち。桜坂真央、そしてそこの智者。今日の事は忘れんぞ……この借り、いつか返す!」
歯噛みするように言ってから、ベルダは虚空に魔法陣を描く。
やがてベルダの足元から、毒々しい紫色の光の柱が立って……
それが消えた時には、ベルダの姿はもうそこには無くなっていたのだった。
「……真央、大丈夫か?」
ベルダが去ったのを確認して、アルトクレスが真央に歩み寄り言う。
アルトクレスの目に映った真央の姿は凄惨を極めているものだった。髪のてっぺんから爪先まで、余す事なく精液で漬けられたかのようにドロドロで、可愛らしかった衣服は胸元から乱暴に引き裂かれ、豊満な胸を露出させられ……
それでいて、度重なる陵辱によって熱に浮かされたように、あどけない瞳はぼうっと呆けてアルトクレスを見ていた。
「真央?」
アルトクレスが再び声をかける。
真央はようやくにして気がついたように目を見開き、やがて精液まみれのその顔に、ぱっと花が咲いたような笑顔が取り戻される。
「アルトぉ……!」
緊張の糸が切れたように。舌すら上手く回らぬ幼い口調でその名を呼びながら、真央はアルトクレスに抱きついていった。
真央が自宅に戻ったのは、それから小一時間ほどしての事だった。
「でも、アルト……なんですぐあの姿になって助けてくれなかったの?」
シャワーを浴びて全身の汚れをすっきり落とし、パジャマ姿になった真央が言う。
アルトクレスは普段の杖の姿に戻っていた。ベッドの上に置かれたそれの先端の宝石が光り、真央の言葉に答えていく。
『あの姿になるには、時間がかかる上、大量の力を消耗するのだ』
アルトクレスはいつも通り、静かに深みのある声で答えた。
『それに、あの魔の者の不意を討つ必要もあった。そうしなければ真央を助けられないと思ったからな。機を見計らっていた』
「それは……ありがとうなんだけど」
どこか憮然と真央は答える。
半ば異常に熱くなってしまった自分の自業自得とは言え、処女を失い、誰とも知らぬ男たちや魔の者の子種を子宮一杯に吐き出されてしまったのだ。痛みもまだ尾を引いているし、下腹の中がたぷたぷとしていて気持ち悪い。
『それにあの姿は消耗が激しすぎて、長持ちせんのだ。最後にあの魔の者を追い返した攻撃でも、全ての力を振り絞っていたようなものだからな。
私はあくまでも智者。すなわち智をもたらし、警鐘を鳴らすだけの者。膨大な魔力を持つ主とひとつでなくては力を充分に発揮できん存在なのだ』
「ん……ごめん」
真央は謝り、うなだれる。アルトクレスの助言を無視してベルダに突撃し、罠に陥ったのは真央の不覚なのだ。
ぼふり、と真央はベッドに倒れ込む。傍らになった杖を抱き寄せるようにして。
「私がもっとしっかりしなくちゃいけないんだよね。美杜ちゃんの分まで……」
『そうだな、それが理想だ』
アルトクレスはきっぱりと答える。真央は、小さく頷きを返した。
『もっとも、真央はずいぶん酷い目に逢ってしまった事でもあるしな……もし我が主を辞めたいと言うのなら、止める権利も無いが』
「大丈夫。私まだアルトと一緒にやっていくよ」
ぎゅ、と手の中の杖を握る。
「今日私を助けてくれたみたいに、私もアルトを助けてあげなきゃ不公平じゃない……それに美杜ちゃんの分もまだあいつにお返ししてないし、第一今アルトを手放したら、私があいつに襲われて危険じゃない?」
『それもそうだが……』
「心配しないでいいよ。私、もうちょっと頑張ってみようと思うから」
『……そうか。判った、よろしく頼むぞ、我が主よ』
答えるアルトクレスの声は、決して軽いものではなかった。
智者の主は殺せない。ならば犯し堕とすのが最善手と、魔人たちは皆考えるだろう。
ならば真央が犯されるのも今回だけではないはずだ。油断さえしなければ危険性は減らせるだろうが、魔の者が罠を敷かなくなる事はありえない。
これからの戦いの中、真央がどこまで汚され、堕とされていくのに耐えられるか……アルトクレスとしては、今日の戦いを見る限り気が気ではないほどだった。
「アルトがいてくれるなら大丈夫だよ。だから、心配しないで」
アルトクレスの心配を、知ってか知らずか。
真央は、今は杖となっている相棒の、その先端の宝玉に優しく口付けた。
ひとまず以上です。
大量投下&前スレ使い切ってしまって誘導もできなかった事をお詫びしつつ、名無しに戻ろうと思います。
どうも失礼致しました。
GJ!
大量投下については謝る必要は無いと思いますよ
自分の糞SS落とすためだけに糞次スレ立てたのかよ
結構恥ずかしい奴だなw
読んでないけど
長いのはとっかかりで拒否られる危険はあるけど
読み出せばスルメのように味が出てくる利点があるから一長一短
なかなか面白かったので今後も継続的にお願いします
そうすることがファンの開拓でありスレの発展につながるのれす
プ
スレの占有化を図るための姑息な自演ですか?
心配しなくても誰も読んでいませんよ
誘導されてもいないのに、
わざわざ次スレを探して煽ってるツンデレがいますね(*´Д`)ハァハァ
それはそうと職人さんイイヨイイヨー
魔法少女モノって実はこのスレじゃ少数派だったりするのよね
この糞SS投下するためだけに他の書き手を追い出したのか?
魔法少女イイヨイイヨー面白かった!
続きが是非読みたい。最終的にはアルトとの純愛とか…
ともあれ乙!
今日になってこのスレに気付いた・・・
前スレは容量オーバーしてたのね
他にも気付いてない人居るんだろうか?
アルトって誰?
自分で自分のSS褒めるのは結構つらいだろうに
本人は心の底では、このSSがどこかの出版社の目にとまって、
文庫本か何かでデビューできるんじゃないかと夢見てるんだから。
他人のささやかな夢をブチ壊すようなこと言っちゃダメ。
仲良く汁。
>>1 スレたて&作品投下 GJ!
あいかわらず、このスレには作品投下されるたびに作者に絡む粘着が住み着いてるみたいですね。
作者さん、彼は1人で何役も演じる構ってチャンなのでスルーが良いです。続きの投下をお待ちしてます。
49 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/20(火) 23:53:34 ID:8XeXCG+6
ブルームーンマダー??
かなりツボなのだが…
作者様お願いします
題一話の時みたいな堕ちモノ満載の流れを期待しつつ保守
二次エンドはもうたくさんだ!!!!!!!!!!!
51 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 16:13:18 ID:01cuqFsx
ブルームーン凄惨期待AGE
長編一気投下の後で自作SSを投下しにくくなった、ブルーなんとかの作者の必死の叫びを聞けよ。
二度も恥ずかしい自作自演の期待上をするなんて本来なら許し難い行為だが、彼を責める気にはなれない。
魔法少女の作者よ、少しでも人としての心があるなら、自らの犯した罪の深さを知るがよい。
SS書きを持ち上げる書き込みは何が何でも自演にしたいのねw
それはそうと続きマダー?
54 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 20:52:21 ID:01cuqFsx
作者様方、妬み煽りに負けずに頑張ってください
あらしをするひとは普段の生活が面白くない可哀相な人なんですよ
まぁ、書き手にはそう思わせとかないと
無料のズリネタ手に入れられないからな
56 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 21:29:40 ID:MG2H4OcC
何このスレ
過疎なのにこんなに殺伐としてるスレってなかなか無いよね。
58 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/21(水) 23:47:18 ID:01cuqFsx
まあまあ
前スレが落ちてることに今気がついて追いかけてきた俺が来ましたよ。
60 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 09:47:23 ID:nH22kAY2
只の冷やかしさ
62 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/22(木) 13:38:24 ID:nH22kAY2
残念(´・ω・`)
スマソsage忘れた
64 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/23(金) 20:40:37 ID:4MORUPh8
揚げ
65 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/25(日) 09:53:45 ID:xHXBB5Rc
神はまだかな…
セラムンスレの神といい勝負していて楽しみだが…
66 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 15:19:09 ID:K/VRk1SX
>>65 セラムンスレの神
申し訳ありませんが、該当スレに誘導お願いします
67 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/26(月) 15:55:37 ID:yGNaSU5c
オリジナル魔法少女スレでも立てりゃいいのに
スレ違いな作品投下するから読んでくれないし、叩かれたりするんだよ
エロシーンよりもヒロインが痛めつけられて
ピンチに陥るシーンの方が好みだって人いる?
エロゲの変身ヒロインモノって、殆どが無傷で捕まって
あとは犯されるだけのシーンが多くて物足りないと思う。
このスレ的にスーパーヒロインの定義ってなんだろう
セーラームーンみたいなヒロインが許されるなら魔法少女も有りだと思うんだけど、なんでそんなに叩いてるのか不思議だ
別に魔法少女もスレ違いではないでしょ。
SS職人叩きは頭のかわいそうな子が
独りで粘着して頑張ってるだけだから、気にすることは無いと思う。
自演とかスレ違いとか、叩くのに使いやすい言葉を短絡的に使ってるだけだしね。
まともな批判なんて出来ないし、する気もないんだろう。
「また頭のかわいそうな子が的外れなこと書いてるよ」程度に考えて、スルーするのが吉。
人を知恵遅れに仕立て上げ、特殊学級送りにしようと思ってもそうはいかないよ。
臭いものに蓋をできないのが現代社会の原理であり、また歪みを生み出す病巣なんだよ。
因みにセーラームーンなんて糞がスーパーヒロインなんて認めた覚えないからね。
じゃあ72が読みたいスーパーヒロインの例を挙げてみてくれ
どんなヒロインが大ピンチな状況に陥る話が読みたいんだ?
74 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 01:10:50 ID:O7yk5anQ
>>69 俺もそう思う。
同感の作者が頑張って書いてくれたのが前スレのブルームーン。
しかしこれからってときに行方不明…帰ってくることを信じたいが
俺は基本的に薬や洗脳などでは勃たないから、なかなか良SSにありつけないんだよな
>>74 となると、戦闘によるズタボロな敗北がツボか?
>>69 エロゲだとエンシェル・レナっていうのは
結構痛めつけられたりでいい感じですよ
ちなみにセーラームーンは超好きです
78 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/28(水) 17:45:35 ID:O7yk5anQ
>>75 YES。
自信過剰なヒロインが男にやられる様がいい。
エロは流れさえあればよいがAV並のくだらないワンパターンは秋田
ぜいたくかな?
なんとも舌の肥えたお客さんの多いスレだな
81 :
名無しさん@ピンキー:2006/06/30(金) 09:08:38 ID:7+bTHob3
あげ
僅かな期待を……
82 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/04(火) 00:18:11 ID:G+7j0sOS
もうだめだろ、このスレ
職人を袋叩きにするようじゃ誰も投下しないって
叩いているのはこの手のスレに必ず現われる自演好きの奴一人だと思うけど、書くほうにとってはたまらないよね。
書き手の人も気にせずに投下してほしい
それは無理だろ・・・
86 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/13(木) 03:44:07 ID:bYwu6a6v
ほす
88 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/14(金) 18:30:07 ID:ByrHvivS
(高田)神の中の神たちよ、でてこいやぁ!!
PRIDE神祭り2006これより開幕
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
∧_∧
Σ(;・ω・)
O┬O )
◎┴し'-◎
油断をすると背後に登場する少女。その実体は正義のヒロイン・スーパーミニだったのです。
場面変わって夜の老人ホーム。部屋番号は601号室。
物語の主人公、早乙女ジュン(77)はぐっすりと寝ていた。
その寝顔の先。窓の外に一面と広がった県指定の森林公園。その一本の大木の袂で
妖しく光る赤い眼光。 もう1時間以上もその場所に留まっていた。
「見つけた、ついに見つけたぞ」
シルクハットに黒いマント。手元には自慢のステッキ。
枝つたいに走るリスが男の顔をなにげなく覗き込んだ。
「あぁ?リスさんかぁ。可愛いなー」
「チ!・・チュゥーッ!!」
毛を逆立てて必死に飛び上がるリス。脱兎のごとく森の奥へ消えていった。
「おやおや逃げなくてもいいのに?おかしなリスさんだね」
暗闇で見えないはずの男の口元が白く光る。
(ギリギリギリギリギリギリ)
森の木が無気味に揺れはじめた。地獄の底から聞こえるかのような何かを擦り込む音。
それはシルクハット男の歯ぎしりだった。
異様な殺気を感じ、止まり木で就寝していたカラスやスズメたちが一斉に飛び立った。
「フフフ、やっと見つけたぞ。早乙女ジュン・・いや、スーパーミニ!」
視点があっちに行ったりこっちに行ったり
今どの場面で誰が何をしているのかよく分からなくて読みづらい
もう一度最初から、推敲しなおしてくれや
常に読む人のことを意識し続けたら、こんな駄文は書けるはず無い
独り善がりの文は、一番悪質な荒らしと同意義だ
ただでさえ過疎なのに職人さんが逃げるようなこと言うなよ…
そもそも
>物語の主人公、早乙女ジュン(77)
ってあたりでネタっぽいんだがwおばあちゃんかよ!
>>91 視点があっちに行ったりこっちに行ったり →場面は二回変わるが視点はかわってねーぞ?
今どの場面で誰が何をしているのかよく分からなくて読みづらい →んなこたない
独り善がりの文は、一番悪質な荒らしと同意義だ→お前のことだね
おまいら落ち着け!縦読みだ!
どこをたてよみ?
97 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/21(金) 01:56:04 ID:BKB2aGyz
浮上
98 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 20:46:50 ID:ADjhi1q+
一気に再浮上
99 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 23:31:40 ID:AI6Tl+T4
さらに浮上
100 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/23(日) 23:34:41 ID:5pyaaWup
100
101 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/25(火) 20:03:29 ID:Rctu5VtQ
前は良スレっぽかったのに粘着と粘着叩きが台無しにした。
このスレもうだめかもわからんね。
復活キボン…。
102 :
2〜33:2006/07/25(火) 20:15:52 ID:v8HfAvJL
容量切れに気づかず、誘導もできなかった当方の失敗でもありますね……
つくづく申し訳ないと思う次第です。すみませんでした。
1もテメェだろうが
糞垂れ流すために便所作りやがって
こんな過疎スレを常にチェックして、いつ現れるかもわからない
SS書きの人の書き込みを待ち続け、
書き込みを見つけると大はしゃぎで即レス。
まさにツンデレwww
106 :
名無しさん@ピンキー:2006/07/27(木) 19:45:23 ID:nLchd/MV
ツンデレ出現age
月の光に照らされた男の表情は満面の笑顔。だが、顔の端の筋肉が激しく痙攣を繰り返している。
見るからに不自然な笑顔だ。それはおさまりのつかない憤怒で狂い死なないようにと、
笑顔で激情を押さえて生きてきた男の後遺症。
今、男は猛烈に怒りが込み上げてきているのだ。
への字に笑う目から涙がとめどなく溢れ出ている。
「ぐぶびぶへ、な、長かった・・(ギリッ)こ、今夜ついに、積年の怨みを果たせる・・、
(ギリッ)ブラックデーモンの同門の仇、(ギリリッ)清算、そしてっ!死!」
黒スーツの胸ポケットに手を忍ばせて何かを取出す。古びた写真だ。総勢50人は写っている。
かつて一世を風靡した悪の秘密結社ブラックデーモンの全隊集合写真だった。
「スーパーミニ、おまえさえいなければ・・我々は・・ブチッ」
太平洋戦争とポツダム宣言と戦後復興───。
終戦後、歴史の表面には出てこないアンダーグラウンドの激闘が秘かに存在していた。
暴力と武力と恐怖で社会を築こうとした秘密結社ブラックデーモン一団と、
マッカーサーの指示のもと連合統治・GHQが送りだした1人のスーパーヒロイン。
当時、連合軍の先鋭科学者たちが結集して、身寄りのない戦災少女を実験体に選定した。
少女の名は「早乙女ジュン」。かくして実験は成功し、最強人間兵器“スーパーミニ”が誕生する。
在留軍をもってしても勢力を抑えられなかったブラックデーモンだったが、スーパーミニが現われてからは
戦況は一変する。トレードマークの超ミニスカートをひるがえしながら次々と一味を打破した。
2ヶ月もかからないうちに連中を壊滅に追い込み、この世から消しさった。
まさに風に舞う正義のミニスカート、スーパーミニ。
なんかつまんなさそな設定('A`)
自分は長期に渡って放置していたくせに
突っ込みが余りに亀過ぎて笑えるぞw
まさか………作者本人か?
だったら尚のこと笑えるなwww
112 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/05(土) 20:48:19 ID:ZLTsueuW
晒しage
■抑制と解放とオルガスム
放課後。
グラウンドでテニス部が練習を始める。ポールを立て、ネットが張られていく。手馴れた様子の部員が、ロープを縛れば完成。
トラックを走る陸上部の一団。まだ陽は高く、夕方にはほど遠い。
「どうしたの、元気ないね」
と、リカコが話しかけてくる。リカコは最近髪の毛を茶髪にしたばかり。彼氏は大学生で、今度一緒に海へ行く。
「え、そんなことないよ…」
と、ユウコは言った。ぼんやりと窓からグラウンドを眺める後姿は、本当に落ちこんでいるように見えたから。リカコの笑顔に比較しても、ユウコの顔は沈んでいる。
「らしくないじゃん。さ、帰るよ」
「う、うん」
はきはきと動くリカコが眩しい。ユウコは鞄を手に、友達の後を追った。
「今年で卒業かぁ…なんか信じられないよね」
「リカコは行き先、決まってるの?」
「う〜ん、全然。ユウコみたいに成績良く、ないしね。短大でも行って花嫁修行でもすっかなぁ」
「彼氏も出来たし?」
「ああん、それはあるよねぇ。人生もっと楽しむには現実はまだ厳しいからさ」
「彼氏かぁ…」
と、ユウコは言葉を途切れさす。恋。いつも恋に憧れている。だけど、誰かを心底好きになったことは、ない。
何故だろう?ユウコは最近、いつもそれを考えている。体の底で何かが進行している感じ。ただ闇雲に、解放されることを望んでいる感じ。でもそれがどうやったら解き放たれるモノなのか、分からない。
美少女仮面として町内の平和のために戦ってきた、忙しい毎日の中で、そんな暇がなかったから?
重すぎる使命の前に、色恋沙汰なんて消し飛んでしまうから?今までは、そう思ってきた。だけど…憂鬱な気分だけが募っていく。
「ねぇ…」
と、屈んだ姿勢でリカコが見上げる。
「絶対、変だよ。なんか元気なさ過ぎ!」
どん!と肩をドつかれる。止めてよ、痛いじゃない。合わせて笑う。制服の胸元からリカコの下着が見える。彼氏は、リカコのこの胸を触ったのだろうか?
この下着を脱がせて、裸の肌に触れただろうか?友達のあられもない姿を想像している。そしてその姿は、自分に重なる。村上ユウコの、まだ誰も触れていない乳房にしなやかな手が重なり、その手がゆっくりと力を込めていく。
きっといつかはそういうことになる。ユウコは鼓動が少しだけ早くなったことを隠そうとして、走った。
と、その時…ペンダントに反応があった。
<コスモマジックペンダントが何かを察知している…>
大宇宙の悪人ディアブルが去ったからと言って、ご町内の悪が滅びたわけではない。美少女仮面はことあるごとに現れ、些細な悪事と戦い続けている。
ユウコは立ち止まり、ペンダントを握り締める。
「どしたの?携帯?」
「うん…まぁ、そんなとこかな」
「ひょっとして、男の子?…なんだよ隅におけないなぁ」
誤解でも笑っておいた。ちょっとした意地だけど、誤魔化すにはちょうどいい。ユウコは、ごめんねちょっと、と言って逆方向に走った。
公園の大きな木の陰まで走り、辺りに人目がないことを確かめる。
「コスモマジック・メタモルフォーゼ!」
ペンダントに込められたコスモエネルギーが満ちて、美少女仮面のコスチュームがユウコを包む。
「近いわ…裏山の方ね」
ポワトリンはそう言った。手首に嵌めたコスモブレスが悪事が行われている場所を知らせる。
長いマントを翻し、ポワトリンはそこに向かう。村上ユウコの憂鬱を背負ったままに。
「ああん…なんだお前?」
「俺たちに用かよ。ん…兄ちゃん」
「舐めてるとボコにすんぞ、お前」
いかにも柄の悪い、ロンゲ、金髪、ピアスの若者。ハルシオンとバイアグラを片栗粉に混ぜて売る、えせドラッグディーラーたち。
「おい…見てるんじゃねえよ!」
「真面目ぶった面、デコボコになるぞ!」
この手のチンピラは簡単に手を出してくる。ヒカルは伸びてきた手に詰襟の胸倉を掴まれた。男にしては線の細い、端正な顔は微動だにしない。
チンピラはそれを<舐められている>ととった。弱い者ほど、冷静な相手に逆上する。バタフライナイフが閃き、ヒカルの頬に赤い筋が走る。それでも、少年は無表情を崩さない。
「野郎…泣かすぞ!」
中でも大柄の男が拳を振り上げた。
「おやめなさい!」
ぐい!と男の手首が掴み取られた。そのまま捻りあげられる。背後からいきなり関節を極められて、何が起きたのやら分からない。
「お、お前は…」
「美少女仮面ポワトリン!愛ある限り戦いましょう!」
純白のコスチュームに包まれた聖なる美少女仮面が、チンピラたちの前に突如現れた。この町にポワトリンがいる限り、チンピラどもの商売はいつもビクついていなければならないのだ。
言わば宿敵の出現に不良どもは色めき立った。
「畜生…出やがったな」
と、ヒカルの胸倉を掴んでいた男が叫んだ。端正な顔に一筋の傷が。そこから溢れる赤い血が、もう止まっている。
男はヒカルを突き飛ばすと、ポワトリンに向かった。
「こんなところでインチキドラッグを売る算段をする不良ども。たとえ厚生省のお役人が許しても美少女仮面ポワトリンは許しません。お覚悟!」
「う、うるせえ!」
乱闘が始まり、ポワトリンのキックが一人を吹き飛ばす。突き飛ばされ、尻餅をついたヒカルにポワトリンが駆け寄る。
「大丈夫ですか?もう安心ですよ」
「…」
ヒカルはポワトリンに答えず、ただ微笑んで見せた。あまりにも眩しく、見る者の心を虜にしてしまいそうな、笑顔。
なんと美しい笑顔なのでしょう。新鮮な驚きにポワトリンは感動し、言葉を失った。詰襟の学生服を着た少年。間近で彼の微笑を見たせいで、胸がキュンとなる。
ときめき以上の痛みにも似た感覚を覚えて、ポワトリンは息を呑んだ。
「何見詰め合ってるんだよ!」
動きが止まったポワトリンの背後を、チンピラの木刀が襲った。ゴン!と肩を痛打され、仮面の下の顔が苦痛に歪む。
うっ…肩を押さえるポワトリンの手を、別の男が乱暴に引き上げる。隙を突かれたポワトリンが危機に陥る…同時に3人が飛びかかり、ポワトリンは動きを封じられた。
どかっ!
ばきっ!
一人がポワトリンを羽交い締めにすると、残る二人が容赦なく蹴りつける。純白のコスチュームに小悪党の攻撃がヒットする。その度に、小柄な体が浮いた。
「うっ!…くっ!…」
痺れた右手で、スティックを引き抜く。まず背後からその首を押さえつける腕を叩いた。
「ぎゃっ!」
悲鳴をあげてチンピラの手が離れた。目の前の男に膝蹴りを食らわせる。木刀が飛んできた。
スティックでそれを受け止めると、樫の木で作った木刀の方が砕け散る。
「うわ…」
攻勢は一瞬のことだった。それでも油断を衝いたとは言え、ポワトリンに一撃を与えられただけでも幸運なのだが…チンピラどもは恐怖に顔を引きつらせた。
「そう簡単にポワトリンは倒せませんことよ」
とは言うものの、ポワトリンの肩も痺れていた。超人的なパワーを与えられているとはいえ、ポワトリンはあくまで生身なのだ。スティックを構え、引き伸ばす。
カチャリ。それはサーベルに姿を変え、チンピラを威圧する。蛮勇を奮ったロンゲが、首筋にサーベルを食らい、昏倒した。チンピラどもが後ずさる…
「お、覚えてろよ!」
「馬鹿野郎!」
二人のチンピラが、気絶した仲間を引きずり逃げ出していく。深追いする必要はない。ポワトリンはスティックをしまうと、痛む肩を押さえた。
「うっ…」
<油断が生んだピンチでしたわね…それにしても>
と、ポワトリンは自分が救った少年を見た。あまりにも端正な横顔。それなのに、どこか冷たく無表情で、正体が掴めない。
「ご心配をかけてしまいましたが、もう本当に大丈夫ですわ…うっ…」
少年の肩に手を伸ばそうとして、右肩がズキンと痛んだ。ポワトリンは顔をしかめ、痛みに耐えようと葉を食いしばる。
大きな木の下で、木の葉に遮られた太陽の光がまだらに二人を照らしている。
「痛む?」
と、少年が口を開いた。
「あ…」
ガラス細工のように繊細で、細い指が肩を押さえるポワトリンの手に重なった。サテンを思わせる光沢を持つ、青い手袋に包まれた掌が、少年の体温を感じた。
<なんて温かいのでしょう…この手は>
もう一度、少年が微笑んだ。それはまるで花が開く様を見ているようだ。鮮やかに咲く、完璧な微笑み。
ポワトリンは少年の微笑みに引き込まれていた。そして、その目に。
<目を…逸らせない。この方の目から…>
戸惑いながらも、ポワトリンは少年の手の温もりを感じつづけていた。知らぬ間に、右手を胸元にあてがう。大きなリボンの下に、胸の膨らみがある。
ポワトリンは自分の胸に右手を添えて、きゅっ、とそれを押さえた。
「痛みが…消えていく」
「もう大丈夫…痛くない」
<そ、そんな…>
驚きと共に、疑問が沸き起こる。少年は、いったいどんな力を使ったのだろう。
「傷が…」
ポワトリンの眼前で、少年の頬に刻まれた傷が閉じていく。滲んだ血も消え去り、そこには何もなかったように綺麗な、白い肌があった。
「あ、あなたは…一体?」
「ボクはヒカル」
「ヒカル?ヒカルさん…」
「さぁ、もっとよくボクの目を見て」
言われなくても、ポワトリンの目はヒカルの目に釘付けだった。漆黒。その瞳の奥にとてつもなく深い奥行きがあるような、黒。
相手の目に映るものを探ろうとして、かえってその深さに引き込まれてしまう。頭の奥がぼんやりしてきて、はっきりとしない。それなのに胸は早鐘を打つ。
とくん、とくん…鼓動と吐息がひとつになる。
ヒカルは、美少女仮面の唇が艶やかに輝くのを満足そうに見ていた。
「んっ…」
いつの間にか、ヒカルの手がポワトリンの胸に伸びていた。真っ白なワンピースの上から、細く長い少年の指が美少女仮面の乳房を優しく押さえる。
<だ、だめ…こんなこと>
と、心のどこかが抗うのだが、動くことは出来ない。包み込むように、後ろから抱きとめるヒカルの体温が心地よい。
ポワトリンは顔をヒカルに寄せて、うつむいている。恥ずかしさより、心地よさの前に太刀打ちすることが出来ない。
くい、とヒカルの指が動く。柔らかな乳房が、その分だけひしゃぐ。赤い口紅を塗ったポワトリンの唇が、少し開いた。
「あ…」
ヒカルはポワトリンの手を握った。たったそれだけのことだけど、体の奥がぴくんと震える。驚くほどに鮮明な快感が、まだ何一つ性の経験をもたない体を衝きぬける。
ヒカルはその手を動かしていく。まったく無表情に、何かを確かめるかのように、慎重な手の動き。決して理性を覚まさぬように、その手は快感だけを呼び覚ます。
大きく開いたノースリーブの肩口から、コスチュームの中に手が忍び込んでいく。その先は、神聖なる領域。
「はぁ、はぁ…」
自分の吐息が荒くなっていることに、ポワトリンは気付かなかった。仮面の下の瞳が、濡れて潤んでいる。長い睫毛がその目を隠すように伏せる。ゆっくりと、ゆっくりとヒカルの手が這い進む。
汗ばんだユウコの肌。肩口から伸びる下着の肩紐。やがて、フリルのついたブラジャーの縁に、指先がたどり着いた。
「あっ…」
と、ポワトリンは声を漏らした。その瞬間、自分の手で生の乳房に届いたヒカルの手を、白いコスチュームの上から強く押さえた。もっと強く、その手でそこを揉みしだいて欲しい。
言い知れぬ悦びが少女を支配していく。美しい謎の少年によって、ポワトリンは禁断の領域に踏み込もうとしていた。痛みとも、くすぐったさともつかない乳首への刺激に、ポワトリンは顎を引いた。
体を丸めるように、腕を閉じる。ブーツを履いたつま先が、土を踏んで揺れる。ヒカルの手が、そっと乳房を抱える。そして、ぎゅっ、と力が込められる。
「あふっ…んん…」
少し大きな声。ポワトリンはその声にたじろいだ。自分は今、見知らぬ少年に胸を揉まれ…それも裸の胸を揉まれて感じてる。頬を赤らめ、よがり声を漏らしている。
こんなことが許されるはずがない。それなのに…なんと気持ちが良いのだろう。美少女仮面が官能の虜となり、喘ぎ声を漏らしている。
ポワトリンの動揺を察したのか、ヒカルの手が再び伸びた。手袋に包まれた小さな手を掴み、引き寄せる。コスモブレスを嵌めた手が伸びていく。手繰り寄せられるその先には…
「あっ!…ああ…」
熱く硬い肉の感触。ポワトリンが掌で感じたものは、ヒカルの勃起したペニスだった。
<ダメ!ダメ!>
激しく首を横に振り、ポワトリンは初めてヒカルに逆らった。脈打つペニスの感触が、ポワトリンの体の芯に送り込まれてくる。
いや…涙が溢れて、仮面の下を伝う。
「畏れることはない…これは自然なことなのだから」
と、ヒカルはポワトリンの耳たぶに語り掛けた。優しい声。
「ああ…」
「さぁ、感じるままに、楽に…」
「だめ…だめ…」
「まだ、先だ…ここから先が…」
「わたくしには…出来ません…私は…」
「ふふふ、無理強いはしない」
「はぁ、はぁ、はぁ…」
ひときわ強く、自分の体を抱きしめた。ポワトリンが最後に感じたのは、尖った乳首を潰すヒカルの指先の感触だった。そして跡形もなく…
「ヒカル…?」
少年の姿が消えていた。
バスルームを湯気で満たすと、ユウコは鏡の前に立った。
水滴を溜めた右肩。そこには傷ひとつなく、痛みも違和感もない。
「嘘…」
あれが夢でなかったのなら、痛みの記憶はなんだったのだろう。シャワーが熱いお湯を落とし続けている。ユウコは鏡をもう一度見た。
降り注ぐシャワーの刺激で乳首が立っているのを認め、言い知れぬ恥ずかしさを味わう。今まで、こんなことを感じたことは…
違う。
と、ユウコの心が否定する。
いつも、それを思っていたくせに。と、なじられたような気がした。
お前は18歳になる普通の女の子で、えっちなことをしたがっているんでしょ?
でも…
美少女仮面だからと言って、生身の人間であることに変わりはないのよ。
だけど…
清純ぶっていてもだめ。お前はえっちで、どうしようもないくらい感じやすい。
いや!いや!
自分の心の声に逆らい、ユウコはシャワーを止めた。ぴちょん、ぴちょん、と湯気が水滴になり滴る。体が火照っているのは、お湯のせいだけじゃない。
ユウコはバスタオルを巻くと自分の部屋に戻った。ドアを閉めて、ベッドに横たわる。
「ヒカル…」
と、その名前を思い出すだけで体に異変が起きるのを感じた。濡れた髪をかき揚げ、バスタオルを解いた。裸の体がシーツの上に伸びている。
ユウコは自分の裸を天井から眺めている気分になる。さっき、美少女仮面に変身したまま、この胸に触られた。乳首を突つかれ、喘ぎ声を漏らした。
でも、その相手は…ヒカルと名乗った少年はかき消すように姿を。
「あなたは、何者なの?」
と、呟きながら、いつもより膨らみを増している気がする乳房に手を添えた。ヒカルは、ここを優しく包んだ…そして、ここを…と、自分でその行為を繰り返してみる。
風呂上りのユウコの手は、ヒカルの手と違っていた。いや、それ以上に何かが決定的に違う。ユウコが裸になって自分のおっぱいを揉んでも、あれほどの官能は得られそうもない。何が違うのか?
「まさか…私が…」
美少女仮面だから?と呟いた。小さな声で。
神様から選ばれ使命を与えられた聖なる美少女仮面、ポワトリン。普通の高校生村上ユウコとしてではなく、美少女仮面としてのユウコがそれを感じたのか。
机の上に置いたコスモペンダントをその手に掴み、ユウコはじっと目を閉じた。
<私は…いったいどうしちゃったの?>
胸が焦げそうなほどに、欲しい。あの心地よさをもう一度味わいたい。ユウコはその欲望にかられていた。そしてたどり着いた妙な考え。
ユウコはポワトリンに変身している時だけ、あの感じを得られる?
意を決して、ユウコは裸のままペンダントを首に掛けた。そして、祈るような気持ちでそれを手に取る。
<神様…ユウコは、ポワトリンはおかしくなってしまいそうです>
「コスモ・マジック・メタモルフォーゼ…」
ペンダントが輝き、ポワトリンに変身する。こんなことのために変身してしまった。ユウコは激しい自己嫌悪を抱いたが、燃え盛る欲望には逆らえなかった。
そのままベッドに横たわる。マントが広がり、不思議な感じが蘇る。
「やっぱ…り…」
と、ユウコは確信した。ポワトリンに変身し、メタモルフォーゼすることによって、全身の感覚が鋭敏になる。頭脳は明晰に、運動神経は超人に、そして感度も…
「ああっ!…か、感じる」
ポワトリンは自分の手で胸を揉み、足を擦り合わせて悶えた。ミニスカートの上から、股間を押さえた。ワンピースの中に手を忍ばせ、ヒカルがしたように乳房を包んだ。
「あっ…ああ…」
初めてのオナニーはいつだったろう?まだポワトリンになる前だった。それからも、時々試してみたが、どこかでオルガスムを恐れていた。ベッドに擦れて帽子がずり落ちた。
髪の毛がほつれて、頬にかかる。ポワトリンは唇に触れた髪を舐める。そして右手に触れたもの。それは、コスモスティックだった。
<これを使えば…>
とんでもなく馬鹿らしい思い付きに恥ずかしくなったが、ユウコはそれを試さずにいられなかった。赤いクリスタルを先端につけた、スティックを眺める。
もしこれがそこにあてがわれたなら…
ゆっくりとスティックを近づけていく。コスモエネルギーが満ちたその先端が、ポワトリンの一番大事なところに近づいていく。
そして、真っ白なタイツが腿までのソックスに変わっていることに気付いた。
「コスチュームが変化してる…」
ポワトリンのコスチュームが、ユウコの欲望を反映してか変容していた。行為に至るために。そうとしか考えられない。
その意味するところを深く考えるより先に、ポワトリンはスティックで軽く突いた。白いパンティの上から、美少女仮面の聖域を。
「あっ!…」
しかし最初の一撃はあまりに消極的過ぎた。単に、棒で押しただけの感じ。ポワトリンは唇をすぼめ、意識を集中する。
<もう一度…>
再び、スティックが股間を押した。ぐい、と一度押し付けてから、再び強くそこに力を込めた。
「あはぁああああっ!」
コスモマジックエネルギーが体を逆流する衝撃が、足の付け根から膣を突きぬけ内臓を掻き回して脳に至る。目の前で火花が散って、マスクが吹き飛んだ。
ベッドに横たわるポワトリンの足が腰を持ち上げていく。弓なりに反り返り、パンティを通して透明な液体が噴出してくる。ぷしゅっ!と、まるでシャンペンを抜いたように。
<気が狂いそう…>
「あうううあああっあああっ!」
びくん、びくん、びくん、と反り返ったまま愛液を噴出させると、今度はいきなり力が抜けた。その勢いで、ポワトリンはベッドを転げ落ちていた。
どすん!と、床に落ちたポワトリンの手から、コスモスティックが落ちた。仮面が飛んで晒されたユウコの顔。大きく見開いた目には、白い霞みがかかって何も見えていなかった。
遂に知ってしまったのだ。許されるはずのない絶頂を。そのエクスタシーは、あらゆる理性を吹き飛ばす超新星のように激しい。
「ヒ、カ、ル…」
半ば意識を失ったポワトリンの唇から泡が溢れ、美しい少年の名前が呟かれた。
数日後。
ゲームセンターの裏口で、気弱そうな少年が数人からたかられている。遊ぶ金欲しさに、恐喝まがいの脅しをかけられているのだ。
「お前、財布持ってるんだろ?」
「痛い目に遭いたくねえよな」
「大人しくしてりゃぁ、怪我はしないんだぜ」
性質の悪いチンピラに絡まれ、少年は泣き出しそうな顔で下を向いていた。
「お、お待ちなさい!」
「なんだ?」
「あっ!また出やがった」
「ん?様子が変だぜ…あいつ」
美少女仮面ポワトリンが颯爽と登場…というわけにはいかなかった。変身はしたものの、体が重い。
ポワトリンはふらふらと手すりに捕まっている。その目は熱にうなされているように潤んでいる。濡れた目で、呼吸も絶え絶えの美少女仮面は見ているだけで色っぽい。
それも、その辺の尻軽とは違い、清純さを保とうとするけど落ちていきそうな危うさが、絶妙の香りを撒き散らしている。
「一人を大勢で脅すなど…たとえ警視庁の公安課が許しても…うっ…」
と、ポワトリンの声が途切れた。
「美少女仮面が許しません、ってか?」
様子のおかしいポワトリンを、チンピラはにやにやと嘲笑した。どうやら本当に具合が悪いようだ。
ということは…あのお高く止まったポワトリンを、ひいひい言わせるチャンスかも知れない。くっくっく…チンピラのリーダー、タカシが笑う。
美少女仮面ポワトリンをヤってしまえば、随分この町も楽しくなるだろう。大体、こういうお嬢言葉を使う女は、実のところ乱れやすい…
「おい…やるぞ」
「ああ…面白くなったぜ」
チンピラの只ならぬ様子をポワトリンも察した。やはりコスモマジックメタモルフォーゼを利用したオナニーなど、許されるはずもない。
変身したものの、力は萎えて立つのも辛い。体が敏感になりすぎて、秘所が濡れているのを感じた。勢いづいたチンピラを牽制しようと、スティックを抜き、引き伸ばすとベルサーベルを構える。
「くっ…あなたがたに負けるほど、このポワトリンは…うっ」
「なんだよ、立ってるのも危なっかしいじゃねえか」
「いつもの元気はどうしたんだぁ?」
タカシが笑う。よろけた動作でポワトリンがスティックを振った。いくらなんでもこんなひょろひょろした攻撃を食らうわけがない。
難なく避けると、美少女仮面の腕を捉えた。
「ああっ…」
「これはお前の大事な武器なんだろう?へへへ…」
ベルサーベルを取り上げるのも簡単だった。悔しそうな顔でポワトリンがこっちを見ている。タカシはその体を仲間に向けて突き飛ばした。
どすっ!
チンピラの膝がポワトリンの腹に突き刺さる。体を丸めたポワトリンを再び突き飛ばす。格闘ゲームの真似をして、ローリングソバットを放つ。
見よう見真似の大技が、普通なら決まるはずもないが、弱りきったポワトリンはちょうどいいサンドバックだった。そして、チンピラのキックはモノの見事に美少女仮面の首筋を打った。
バキッ!と景気のいい音がした。
「あぐっ!…ううっ…ああっ…」
ごろごろごろ…ポワトリンが地面に転がった。ビルの裏路地。壊れたネオンがバチバチと鳴っている。美少女仮面は路上で一度顔を持ち上げ、うっ、とうめいて気絶した。
「おい、勝っちゃったぜ、俺たち」
「美少女仮面ポワトリンをノックアウト?」
「とどめはオレのキックだったよな」
うつ伏せに倒れたポワトリンを、タカシは蹴飛ばした。ごろん、と転がり仰向けになる。ポワトリンは、ぴくぴく、と震えていた。
その顔を覗き込む。まだ幼い…17か18くらいの顔だ。
「さて、お約束だな」
「ポワトリンの味を見てみるか…」
仲間たちがポワトリンを抱きかかえ、座らせる。良い匂いがするぜ。顎を掴み、上を向かせた。すべすべして、柔らかい肌だ。
ぴちぴちした太ももを抱えて、ミニスカートの奥を拝んだ。シルクの、真っ白いパンティをつけている。
「うおぉ…興奮するぜ」
「おい、オレにもやらせろよ」
コスチュームを脱がそうとするのだが、どこにもジッパーやボタンの類が見当たらない。ベルトさえ外すことが出来なかった。
仕方がないので、肩の袖口から手を差し込む。薄手のアンダースーツの中に手が入った。ブラジャーを持ち上げ、その中に手を入れた。
「ポワトリンの生ちちだぜ」
「けっこう大きな胸してんなぁ」
「う…うう…」
うっすらと、ポワトリンは目を開けた。乱暴なやり方で、胸を揉まれているのが分かった。誰に?…そうだ、私は不良にノックアウトされて…
「あっ!…何をしているのです…お、おやめなさい!」
どんなピンチでも、お嬢言葉は消えることがない。ポワトリンは体を硬くして、チンピラたちに抵抗した。しかし、力ではまったくかなわない。
腕を捕まれ、胸を揉まれつづける。足を閉じて、スカートを下げようとするが、無理やりめくり上げられてしまう。
「おやめください!…こ、こんなこと…私にしたらただではすみませんよ!」
「ば〜か、どうするってんだよ。この状況で」
「お前、天然か?」
不良たちのリーダー、タカシがベルサーベルを持っている。どうにかしてアレを取り返さないと…しかしポワトリンは両手を拘束されて身動きが出来ない。
しかも…乱暴に胸を揉まれつづけて体が熱くなってきている。
<なんということでしょう…私の体はこんな野獣どもに反応してしまっている>
目が霞み、目蓋が重くなってくる。ポワトリンは困惑し、恥辱に耐えようと歯を食い縛る。気持ち良くなんかない、感じてなんかいない…ポワトリンの目に涙が浮かんだ。
「ほ〜ら、ぶるぶるぶるぶる!」
ポワトリンを抱きかかえる男が、胸をまさぐる手を勢い良く震えさせた。
「ああっ!いやぁ!」
コスチュームの中で、ユウコのおっぱいが揺れる。膨れた乳首がアンダースーツと擦れる。じゅん!と股間が熱くなり、胸の先っぽが針で突かれたように感じる。
「おやめくだ…さい…はぁあああ!」
「感じてるぞ、こりゃあ…」
「お、オレ…もう我慢できねえ!」
「お、オレもびんびんだぜ」
タカシの手がシルクのパンティに伸びた。
「や、やめて!」
「おりゃ!」
ぐいっ!と力任せに下着がずり落ちていくのをポワトリンは感じた。ついに、チンピラどもの前にポワトリンは聖なる秘所を晒してしまった。しかもそこは、熱く濡れて輝いていた。
ぷつ、ぷつ、と縦に割れた肉のひだから、透明な液体が漏れている。濃い陰毛が、愛液で濡れて光る。
「ぽ、ポワトリンのまんこ見ちゃった」
「ぴ、ピンク色だぁ」
<助けてください…神様…こんな仕打ちはひどすぎます…ポワトリンは、ポワトリンは今、野獣どもに恥ずかしいところをイタズラされています…>
ユウコは必死で願った。この絶体絶命の窮地を逃れることを…耐えがたい屈辱から逃げ出すことを。しかし、何も起きることはない。
せめて、せめてベルサーベルを取り返して…ポワトリンはタカシが手に持つ愛用のスティックを見た。
「お前、これ見てるな…」
「それは貴方がたのような野蛮でゲスな者が触れて良いものではありません」
「なんだと!」
ばしん!とタカシは平手を振るった。ポワトリンの頬が歪み、激しく揺れた。頬を打たれた痛みより、こんな不良に太刀打ちできない自分が情けなくて、涙がとめどなく溢れる。
ぐったりしたポワトリンを抱えあげると、チンピラは自分のペニスを握った。もはや、両手を掴んでおく必要もない。裏腿から抱えあげると、その柔らかい体の中心に狙いを定める。
まずは指を、ゆっくりと挿し込んでみる。じゅぶ、と指が包み込まれた。ポワトリンの体内に、汚れた指が入ったのだ。抱えあげたポワトリンが、自分の指を唇に沿えている。
よほど気持ちがいいらしい…
「い、入れるぜ…」
「はぁ、はぁ…」
ぬぷっ…
「はうっ!」
ずぷぷっ!
「あ…ああっ…」
ずぷっ!
「あっ…いやぁああああっ!」
遂にチンピラはペニスを美少女仮面の中に収めた。まだ処女のせいか、中は固かった。しかし愛液が大量に溢れているせいで、それほどきつくはない。
めくれ上がったスカートからはみ出た尻を抱え、チンピラはポワトリンをバックから犯した。
「こ、こりゃぁ最高だ!…き、気持ちいいぜ」
「くそ!が、我慢できねえ!」
もう一人のチンピラは、目の前で揺れるポワトリンを前に、我慢の限界でオナニーを始めた。ポワトリンの手を掴み、自分の一物を握らせる。
小さな、柔らかい手がナニに触れるのは、たまらなく気持ち良かった。
どぴゅっ!
早漏気味のチンピラは一瞬で果てた。勢い良く飛んだザーメンが、ポワトリンの顔まで飛んだ。白く濁った液を顔に浴びたポワトリンの顔は壮絶だ。
処女膜を破かれる衝撃に、ぐったりしているポワトリン…チンピラのペニスを挿し込まれ、上下に揺さぶられる。
数分後、3人のチンピラにかわるがわる輪姦されたポワトリンの体が、ごみのように路地に放り出された。体中に精液を浴び、股間から処女の出血が筋を引く。
「うっ…ううっ…」
最後に、タカシはベルサーベルを放り投げた。ガチャン、とスティックが路地に転がる。チンピラどもの足音が遠ざかる。
ポワトリンは体を丸めて泣いていた。股間に残る異物の感触が消えない。結局、オルガスムを味わうことはなかった。美少女仮面はレイプされてイったり、しない…
埃で汚れたマントで体を隠し、ポワトリンはよろける体で立ちあがろうとした。カツアゲされていた少年が、頭を抱えてうずくまっている。
とにもかくも、彼を守ることは出来たわけだ…虚ろな心で、それだけは良かったと思った。
「わ、わたくしはどんな目に遭おうとも…」
錆びた鉄のダストボックスに寄りかかり、ポワトリンは呟いた。気弱そうな少年が、少しだけ顔を上げて、ボロボロにされた美少女仮面を見上げた。
彼はポワトリンがレイプされている間、ずっとああして恐怖に耐えていたのか…
「もう大丈夫です…早くお帰りなさい。わ、私のことならご心配なく」
心も体も最悪に傷ついていたが、美少女仮面のプライドがその言葉をつむぎ出した。少年は、目を見開いて見上げている。
「さぁ、早く…」
と、ポワトリンが言い掛けた時だった。
「うわぁああああああっ!」
いきなり、少年は立ち上がり、駆け出した。なんと、チャックを開けて白い貧弱なペニスを屹立させ、ポワトリンの眼前に立ち塞がったのだ。
「な!何を…!?」
ポワトリンの顔に恐怖の表情が浮かんだ。唾を飲み込む。こんな、こんなことがあっていいのだろうか?
「うわぁあああっ!」
「むぐっ!」
少年はうずくまるポワトリンの頭を引き掴むと、いきなり自分のペニスを突き出し、彼女の口に挿し込んだ。じゅぽっ!と音をたてて、貧弱なペニスがポワトリンの口に含まれる。
ポワトリンとヤりたいのは…少年も同じだったのだ!!
じゅぽんじゅぽんじゅぽんじゅぽん…・
少年は乱暴に、見よう見真似に、ポワトリンの頭を揺さぶり、強制フェラチオを続けた。ユウコの口の中に、生臭い少年の味が広がる。
あまりのことに、何も考えることが出来ない。金色のピアスが揺れて、その度に少年の快感は高まった。
「うっ…で、出る!」
「むごごっ!」
大量の、ムカつく生暖かい粘液が、ユウコの喉に溢れた。
「かふっ、ごふっ!」
少年は、ポワトリンの頭を捕まえたまま仁王立ちに。ぶるるっ、と小便でもしたように震えた。どくん、そくん、と脈を打ち、精液が美しいポワトリンの喉に送り込まれていくのを感じる。
やがて少年はポワトリンの頭を放した。少年のザーメンと、ポワトリンの唾液が混ざって糸を引く。
どさり…
ゆっくりと、ポワトリンの体が地面に落ちていくのを少年は見下ろした。その美しい唇から、白く濁る自分の精液を垂らしているのが見えた。そして、チャックを閉めながら白目を剥いて横たわる美少女仮面を横目に、青白い少年は一目散に走り去っていった。
<神様…私をなぜここまで追い詰める必要があるのですか?>
一週間後。
ユウコは学校にいた。
あれ以来…コスモペンダントの反応には応じていない。小さな悪事はプティットに任せておけば、良い。ポワトリンは…もう戦えない。チンピラどもに敗北し、陵辱の限りを味あわされた挙句に、必死で守ったはずの少年にさえ裏切られ、蹂躙された心。
その傷は癒しようもなく、誰に打ち明けることも出来ない。
<美少女仮面ポワトリンは、私の中で死んだのです。もう、蘇る気力はありません>
ユウコは、首から下がったコスモペンダントに祈った。
授業を終えて、休み時間だった。校庭では、短い時間を惜しむように遊ぶ生徒たちがはしゃぎ声をあげている。仲間に加わる元気が出せず、ユウコは廊下の窓からそれを見下ろしていた。
と、その時…視界の端に見覚えのある顔を見た気がした。
「はっ!」
それは…ユウコが体に異変を感じるきっかけとなった少年、美しい顔の、ヒカルの後姿ではないのか。慌てて振りかえり、廊下を見渡した。
少し長めの黒い髪が、階段を降りていく。
「待って!お願い…ヒカル」
ユウコは駆け出した。ヒカルともう一度会う事が何を意味するのかは分からない。だけどユウコには確信があった。彼が、同類であること。
何かしら、ユウコに、ポワトリンに変化をもたらす存在であること。その目的がなんであれ、ユウコはそれを確かめる必要がある。
階段を足早に下りる。ヒカルの後姿が踊り場の向こうに消える。ユウコは確かめ、その姿を追った。
「体育用具室?」
やがて体育館の脇にある、その部屋の前でヒカルを見失った。授業が始まる。しかし今は、ヒカルに会う事が先決だった。彼はこの中にいる。
ユウコは不安を押しつぶし、重たい鉄の扉を開いた。
「ヒカル…ここにいるんでしょ?」
部屋に入ると、背後で扉が勝手に閉じる。小さな明り取りの窓から入る光だけを頼りに、ユウコは細長い部屋の奥へ進んだ。
体操で使うマットの、饐えた匂い。汗とか、涙とかが染み込んでこういう匂いになるのだろうか?
「ヒカル…」
彼は、跳び箱の上に座っていた。
「やぁ、また会ったね…ユウコ」
「あの時は…」
「いいんだ…分かっているから」
と、ヒカルは告げた。やっぱり彼は、ユウコがポワトリンであることを知っている。コスモペンダントを手にして、彼に近づく。涼しげな笑顔。
しかしその奥にある心が、見えない。
「あなたは…何者なの?」
と、ユウコは聞いた。
「これから教える…さぁ」
はぐらかすような言い方で、ヒカルは手を伸ばした。ユウコの手を握る。それだけで、電気が走った。
「…あ…」
跳び箱に腰掛けるヒカルが、ユウコの手を握っている。その手は、柔らかく包んでくれる。異常なまでの優しさ、温もり。
ユウコが求めていたものはこれだったのだろうか。ヒカルの手に包まれているだけで、ユウコは胸が高鳴るのを感じた。
「立っていては、話が出来ないだろ」
「え?」
ヒカルの手に引かれるままに、ユウコは彼が腰掛けているその上に座らされた。ヒカルは、この前と同じ詰襟姿。
背が高く、座っていてもユウコの首くらいまであった。不思議な安息感に包まれ、ユウコは大人しくしていた。これからヒカルがすることも想像がついている。期待通りに、彼はユウコの体に手を伸ばす。
「んっ…」
制服の胸に、ヒカルの手が伸びてくる。ブレザーのボタンが外れて、ブラウスの上から、乳房がそっと包まれる。ユウコは、ヒカルの手に自分の手を添え、少し力を込めた。
「あなたは…神様なの?」
「少し違うけど…同じようなものだね」
「同じような?」
「焦ることはないよ」
ブラウスのホックが外れ、ヒカルの手が再び伸びる。ブラジャーがフロントホックだということもお見通し。あっと言う間に金具が外れて、ユウコの胸がこぼれた。
チンピラどもが乱暴に扱ったせいなのか、また少しおっぱいが大きくなったような気がする。
裸を見られることよりも、レイプされた体であることを意識して、恥ずかしさがこみ上げてくる。ユウコが体を固くすると、ヒカルの手の温もりが下の方に移動していく。
ブラウスの中を、もっと下へ…やがてその手は、スカートの中に届いた。
「あ…あぁ」
ヒカルの指が、クリトリスを正確に探し当てる。その指は、出来たばかりの傷口に触れるような慎重さで、しかも確実に感じさせる術を知っているようだ。
溢れつづける愛液が尻を伝い内腿まで濡らしていく。
唐突に、ヒカルはユウコを抱き上げた。一転して、突き放すような。腰の辺りが浮ついていて、足がもじもじと閉じられない。
はだけたブラウスから、ユウコの胸が覗いている。
「ヒカル?」
「君はもっとすごいことを知ってる」
「…」
あの夜試した、愚かな行為を見透かされている…ユウコは後ずさった。体育用具室の壁に追い詰められた。
ヒカルはユウコの目の前に迫り、首にかかるペンダントを持った。
「さぁ…恐れることはない」
「…はい」
「真実はそこにあるんだ」
「真実…」
ごくり、とユウコは息を呑んだ。ヒカルが現れたことの意味。ユウコが味わった苦しみからの解放。そこにどんな真実があるというのか?
ユウコは意を決してペンダントを握った。
「コスモ…マジック…メタモルフォーゼ」
二度と変身しないつもりだったポワトリンに、もう一度。七色の光の中で。光の粒子が結晶となって、純白のコスチュームを織り上げる。
美少女仮面ポワトリンに。やがて光が消える。そしてユウコは…あまりにも無残に変容したコスチュームを身に着けていた。
「こ、これは!?」
今度は、本当に驚いて腰が抜けそうだった。ポワトリンのコスチュームはボロボロに擦り切れ、そこら中が破けていたのだ。
まるで金ヤスリで時間をかけて擦ったかのように。
「それが今の君だよ…心に反映しているんだ」
「私の…心に?」
「そうだ」
ヒカルは頷いた。その静かな表情には小波さえたてず。
「君は少女から女へと成長している。その不安定な心と体のアンバランスな中で、光と闇の拮抗が生まれた…美少女仮面が避けることの出来ない、人間としての迷い」
「迷い?」
「その体が求める欲望が、官能が、善であるのか、悪であるのか判断出来ずに苦しみ、弱い自分を知る羽目になる。そうだろう?」
言葉が意思となってユウコの心に染み込んでくる。ヒカルの声そのものに力がある。ユウコは擦り切れたポワトリンのコスチュームをまとい、頷いた。ヒカルは、きっかけに過ぎなかった。
いつも一人で悩み、苦しみ、だけど求めていたこと。それを暴き立てられて、溺れた。抗いようのないほどに強い好奇心が、禁断の領域へと導いた。
その報いが、最悪の事態を引き起こしたのだと、分かる。
「さぁ、目を閉じるんだ…そして、ゆっくりと開けてごらん」
ポワトリンは言われるままに、目を閉じた。そして、ゆっくりと…薄明かりを確かめるように目を開けた。
「こ…ここは!?」
「少し時空に細工をした。最悪の状況に輪をかけて、ここは絶望の場所だ」
「い、いやっ!」
と、ポワトリンは叫んだ。恐怖。それも極上の恐怖。体の中に恐れと不安だけを塊にした内臓が出来たよう…ゲームセンター裏の、あの路地。
ボロボロに破けたポワトリンのコスチュームに涎を垂らす、最悪の思い出たち。いや、それは思い出などではなく、今繰り広げられている現実の重さを感じさせる。
「ヒカル!どうしてこんなことを…お願い、これだけはいや!」
しかし、ヒカルの姿はそこにあっても、彼だけ密度の薄い霧のように透けている。ユウコにここで何をさせようと言うのか?
あの、凶悪なチンピラどもが…悪鬼のように見える男たちが怒張した男根を隠しさえもしないで向かってくる。対するポワトリンは、胸元がほころび下着が露わに、ワンピースのスカートさえ裾がほころびパンティが見えている。
こんな姿で戦えと言うのか?
「げはははは!いろっぺぇなお前!」
「サービスしてくれんのか?」
「たっぷりイカせてやるからな」
アレを再現しているようで、どこか違っている。そもそも連中は、ここまで狂暴ではなかったはず。ユウコの心に刻まれた恐怖が、思い出をさらに残酷な情景へと変えているのだ。
ホウキのような金髪を揺らして、男が迫る。手が伸びる。
「うっ!」
ポワトリンは男に首を捕まれた。なんという力。たちまち呼吸が止まりそうになる。分かった、戦うしかない。
恐怖に立ち向かえと言うのね?ポワトリンはやけっぱちで、ベルサーベルを抜こうと右手を伸ばす。
「うあ!」
しかしその手は、別の男が押さえ込んだ。たちまち3人掛りで拘束された。ベルサーベルが奪われ、チンピラのリーダーがそれを口にくわえる。
今やポワトリンは、ボロボロのコスチュームのまま男三人に襲われ、全身を舐めまわされている。ブラジャーがずり下ろされ、乳房が弄ばれる。
「お前の武器で、可愛がってやるぜ」
「うぐ!…ううっ!」
<だ、駄目だわ…やっぱりヤられてしまう…>
「そりゃ!」
「ひぐっ!」
「ほれ!」
「あふっ!」
ベルサーベルがポワトリンの乳首を突くたびに、悲鳴とも呻きともつかない声が出た。赤いクリスタルでパンティを引っ掛け、すりおろしていく。様相は違うが、ヤられていることに違いはない。チンピラが押さえつける。
四つん這いにされて、バックから挿入しようと、入り口にあてがう。ポワトリンの顎にベルサーベルを突きつけ、美少女仮面を犯すカタルシスに酔う野獣の群れが、歓喜の涎を垂らす。
「うあ…ああああああああっ!」
それは強引に、ポワトリンの体内に挿入された。焼け火箸のように熱い、邪悪な塊が腹の中で暴れ、屈辱を産み付ける。掻き回し、前後に揺さぶる。
容赦のない暴力が増幅されて、魂までを恥辱で泥まみれにしていく。
「助けて…ヒカル…お願い…こんなことは…もう…イヤあっ!」
体内の肉棒が、さらに膨れ上がった感じがした。すでにそれは、人間のサイズを超えている。裸の乳房が地面に擦れる。
Gスポットを擦る男根の暴虐に、体中の細胞が屈服しようとしている。抑えようもない快感が突きぬける。そんなはずはない。ポワトリンは思った。美少女仮面が悪者にイかされてしまうはずが…
<だ、駄目…も、もう…目が…目の前が…し、白い!>
ズコン、ズコンと突き続けるチンピラの前に、突如影のようなモノが現れた。
「な、なんだ?」
ペニスを通じて伝わる快感、体を震わせ、そこにまとわりつくような滑る肉の感触が、突如摩り替わった。それはまるで、板を突いているような。
「うわっ、いてえ!いててててて!」
地面に横たわっているのは、北海道に行くとアイヌ村で売っているような、木彫りの熊だった。黒々としてゴロンと転がるその股間に無理やりペニスを擦りつけ、自慢の男根は無残に折れた。
「ばばばばっ…なんだこりゃっ!?」
「お前たちにはちょうどいいだろう」
と、それはすでに影ではなく、背の高い少年の青空のように澄み渡る微笑み。どういう手品だか知らないが、とにかくコイツが美味しいご馳走を奪った。それだけは瞬時に理解して、手を出す。
「なっ!?」
その手が、少年の体を突き抜けている。幻などではなく、それが腕を絡め取り抜き差しならなくなっている。
「ヒカル…」
何時の間にか、ポワトリンはヒカルの手に抱きかかえられていた。ひどい目にあっていたはずなのに、体に違和感はない。気がついた。神様から与えられたそのコスチュームさえ、今は白く輝き回復している。まるで何もなかったかのように。
「これは…どうしたことでしょう?」
「それが君の本当の力なんだよ」
「わたくしの…本当の力?」
「さぁ、やるべきことをするんだ」
はい、とポワトリンは頷いた。地面に落ちたベルサーベルを拾いあげ、今度は恐怖に目を見開く不良たちに制裁を与える。クリスタルが放つコスモエネルギーが打つのは、彼らが心に秘める邪悪なモノ。
蓄積した膿のような邪悪が剥がれ、身体から飛び出す瞬間、激しいショックを感じて昏倒する。力を取り戻したポワトリンにとって、男たちは敵にならない。しかし、そういう弱い者たちに負けたのも自分なのだ。
「たとえ私を犯し、暴虐の限りを加えても、このポワトリンが滅びることはありません。あなたがたはそれを知りなさい」
ベルサーベルが閃き、男たちの眉間を打つ。バシン!と大きな音をたてて、折れたペニスを押さえるチンピラのリーダーが白目を剥いた。
そして…シナリオ通りならポワトリンにとどめの陵辱を加える役どころになる少年を見下ろした。
「さぁ、悪人はもう倒しました。しかし私がいつも駆け付けるとは限りません。ご注意するのですよ」
「は、はい!」
「それでは、ごきげんよう…」
と、いつもの極め台詞を囁いた。再び、霧の中へ。
体育用具室には、やはり饐えた匂いが漂っていた。
「ヒカル…あれは私の迷いが生んだ悲劇だったのでしょうか?」
「迷ってこそ人間。いつも強い存在ではいられない」
「しかし美少女仮面がそんなことでは」
「挫折や屈折を知ってこそ、人は強くなるのではないかな?」
「美少女仮面ポワトリンであっても?」
「もっと不幸なことが、この世の中には溢れているのだからね」
ヒカルの笑顔に抱きつきたい衝動を、ユウコは必死で抑えなければならなかった。もう一度、ポワトリンは自分の全身を眺めた。
輝く白いコスチュームは、まるで新調したかのように整い、身体にぴったりとフィットしている。それだけではなく、身体そのものが羽根のように軽い。
力が満ちて、どんなことでも出来そうな感じ。
「君は大人になり、やがて子供を産むこともあるだろう」
と、ヒカルの手がポワトリンの仮面に伸びた。優しく、マスクを取り去る。ユウコの素顔がヒカルの瞳に映っている。
「身体が欲しがることは悪いことではない。それを押し込めることによって起きる害を、君は知ったのだ」
「では…それならば…私は欲しいものがあるのです」
「そう言うと思ったよ」
と、ヒカルの手がユウコを招くように広がった。抱きとめられ、温もりに包まれる。求め合うことの悦び。
これが大事なことなのね?ユウコは感じた。乳房を包む温もり、股間に忍び込む指先の刺激。密かに押し殺すことなく、それを感じる開放感。
美少女仮面ポワトリンとしての使命に押し潰されていた欲求が、今、弾けていた。
「はぁ、はぁ…こんなに気持ちいいものなのでしょうか?大人とは」
「…まぁ、そればかりでもないのだが」
と、ヒカルは苦笑した。彼は…神様は神様でも好きモノの神様に違いない。きっとそうだろう。そして古来から神様は「そういうモノ」らしいことが神話にも記されている。
ヒカルはそれを伝えに来たに違いない。ユウコはヒカルに抱かれながらそう感じた。
やがて、体育用具室の中という学園ドラマでも使い古されたようなシチュエーションで、ポワトリンは最初のオルガスムを迎えた。想像通り、ヒカルのペニスが与える快感は太陽に焼き尽くされるようだった。
そして村上ユウコがまどろみから目覚めたとき、時間はいつものように優しく流れていた。
コピペ乙。じゃあ次行ってみようか
>>127 コピペなんですか…?コピペの元を教えて下さい
ポワトリン好きなので…
ヒカルが実は神様の化身だったというのはいいとしても、
中の人が鈴木清順だと思うと・・・・・・・・・・
>>128 ず〜っと前に特撮板のポワトリンスレで同じの見たような気がするな。
そこでも別の場所からの転載だと突っ込まれてた気がするけど。
本当の出典はよくわからん・・・。
odenだったか?
お…おでんですか…?あの事件を思い出しますね…
私も被害者の一人ですよ、たいした被害じゃないけど
133 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/12(土) 16:37:02 ID:Lj8cOnlw
どしたウィルスが貼ってあったのか?
134 :
前スレ521:2006/08/13(日) 05:42:54 ID:y9vAXAB+
前スレ521です。大変間が空いてしまってすいませんでした。
ブルームーンの続きです。苦痛描写がやや濃いかもしれませんので苦手な方はお気を付けください。
右腕を押さえ身体を震わせながらようやく立っている様子のブルームーン。その彼女にテルトグラスが無造作に歩みを向ける。
彼女は未だ敗北の衝撃から覚めず、痛む手首から瞳を放せなかったため近づく獣に気づかない。目の前まで近づいたテル
トグラスの巨体が形作った影がブルームーンを包む、ようやく危機に気づいた彼女は視線を上げ、影の元凶の姿を捉えよう
とした瞬間。
ガギッ!
「うっ!?むぐっうぅぅーー!?」
突如、彼女の視界は闇に閉ざされた、テルトグラスの左掌に顔を鷲掴みにされたのだ。捕らわれ、視界を失った恐怖からか彼
女は痛みを忘れ、手足を振り乱しながらくぐもった叫び声を上げる。
そんな抵抗を意に介さず、テルトグラスは彼女の身体をそのまま吊り上げる。ジタバタさせている脚が地から離れる。
ピシッ!キキッ、キシッ!
「むぅ!?うっ!うむぅぅーーー!」
獣が掌に込める力が増したのか、ブルームーンの通信機が内蔵されている耳当てやバイザーから軋むような音が聞こえ、とうとう
バイザーにひびが走る。痛みはさほど無いが、闇一色の視界がさらにひび割れたことで彼女の暴れようは増す。
「レディーにふさわしい品のある立ち居振る舞いはどこに行ってしまったのですか?ブルームーン嬢。まぁ猫のように暴れられる
あなたを制しようとするのもおもしろそうですが。」
そう必死で抗うブルームーンを茶化しながらテルトグラスは自分の体長のさらに上まで左手を上げ、捕らわれの女戦士の身体を
高く掲げる。
そして右手を、ちょうど彼の腹のあたりの高さに浮いている彼女の股にまわす。プロテクター越しだが陰部を触られたことでブルー
ムーンの身体が一段と強くビクンと跳ねる。
「では、無粋な物を剥がさして頂きましょう。」
淡々とそう告げたテルトグラスは女戦士の陰部のプロテクターを握る手に力を込める。
「ぐうむぅぅーー!っぐぅぅーー!」
ピキンッ!パキッ!
プロテクターとスーツに保護されているとはいえ、女陰をそれごと握られているのである。激しい痛みに脳髄を焼かれ苦悶の叫び
を張り上げるブルームーン。彼女を護る鎧から徐々に破壊音が漏れ伝わり、戦士の心を恐怖で染めていく。
「こんな豊かな乳房が目の前で揺らされているとしゃぶりつきたくなりますね。」
ガキッ!
テルトグラスは暴虐の手を緩めず、ブルームーンの双胸のプロテクターに噛り付き、そのまま噛み砕こうとする。
「むうぅぅーー!ひうぅぅーー!」
陰部と乳房、過敏な部分の激痛に彼女は身を悶えさせる。その凛とした柱が通っていた精神も、自分を護る鎧が破かれようとし
圧倒的な強さを持つ野獣に身を触れられていることで崩れかかろうとしていた。
ブルームーンの蒼き鎧が軋む音と彼女の苦悶の呻き声は長い間続いた。
プロテクターを破壊する音が止み、静かになった室内。
先ほど振り回していた手足はだらりと下がり、ブルームーンは身動き一つしない。テルトグラスの巨掌に覆われた頭からは荒い息
遣いの音しか聞こえなくなっていた。そして蒼き狩人の女としての部分を護っていたプロテクターはその身から引き剥がされ、彼女
の足元に砕け散った破片を晒していた。プロテクターの下の白いスーツもたわみ、ほつれ、無残に汚されていた。だがまだ雅の身
を護る衣としての力は失われていないようだった。
「さて、どうしたものでしょうかね。やっかいですねこの衣は。噛み千切れず、我が爪でも切り裂けず……おやっ!?」
ブルームーンの裸体を隠す強靭な衣を破く手段を思案していたテルトグラスは何かを視界の端に留める。身を少し屈め右腕を伸
ばし、床に転がっていた剣、ムーンブレイドを手にした。手中に収めた敵の武器を笑みを浮かべながら見つめ、楽しそうな口ぶり
で捕らわれの女戦士に告げる。
「ブルームーン嬢、人間の世界には『矛盾』という故事があるそうですね。この機会に試してみたくなりました、あなたの”矛”と”盾”
どちらが勝っているかをね。」
すると彼は右手に持った剣をブルームーンの左胸のふくらみに当てる。僅かに彼女は身じろいだが意に介さず、そのまま刃を横に
右胸まで滑らせた。一瞬の後、刃が通った後のスーツが裂け、そこからたわわな双乳が弾けるように飛び出した。その白肌には傷
はついていない。衣のみが切り裂かれたのだ。
「おやおや、”矛”の方が勝ってたのですか。では下のほうも試してみましょう。」
その言葉を耳にしたためか、それとも胸に違和感を感じたためか、ブルームーンは弱々しく身を捩じらせて刃から逃れようとする。
だがその動きも空しくムーンブレイドの刃は彼女の臍の下に押し付けられた。
「動かない方がいいですよ。手元が狂ってあなたのピンク色の腸が飛び出すなんてこともあるかもしれませんから。」
その言葉に恐れを抱いたのか、ビクッと身体を跳ねさせたのを最後に再び動きを止めるブルームーン。
そして刃はすぅーと下に引かれた。股の覆っていた白いスーツの裂け目から黒い下着が姿を覗かせる。刃が身体から離されたため
か再び束縛に抗うブルームーン。そんな彼女をテルトグラスは壁に向かって放り投げた。
ドスッッ!
「ぐうぅっっーー!」
背中から叩きつけられ、彼女の身体は壁にもたれ掛かったまま床に尻餅をつく。身を起こすことも出来ず息を求めて喘ぐその顔は
涙、汗、鼻水、涎と獣の掌に掴まれているうちに噴き出したあらゆる体液に塗れていた。荒い呼吸のため激しく上下させている胸は
何にも護られずに白肌を、腿の間も同じように下着が晒されている。もはや女としての身体を護るすべを完全に失ってしまった雅
だが座り込んだ彼女に近づくテルトグラスに向けた眼差し、ひび割れたバイザーから覗かせた瞳はまだ薄っすらと光を放っていた。
「ほぅ、まだそんな眼が出来るんですか。いつまで持つか楽しみです。」
「……!?やっ、やめ!放せっ!このぉ!」
弱々しく抵抗する雅を意に介さず、テルトグラスは今度は彼女の脇腹を掴んでその肢体を持ち上げる。ちょうど『たかいたかい』の
格好で雅は宙に浮かされた。さっき持ち上げられた時よりも体の間隔が近いため、彼女は脚をジタバタさせながらテルトグラスの体
を蹴りつける。
獣の足を蹴っていた彼女だが、何度目かに振った太腿に彼の硬い足とは違う感触の何かが触れた。いぶかしげに下に視線を向ける雅。
「ひっ!!……」
体を震わせた彼女の視線の先に在ったのは、テルトグラスの股から突き出た巨根だった。彼女の膝から腰あたりまでの長さがあり
そうな生殖器が太腿にその先端を触れさせていたのである。
「驚かれましたか。縮ませて収めておいたのですが、あなたのはだけた胸を見て抑えられなくなったもので。早速これであなたの
女陰を貫いて差し上げましょう。」
「いっ!いやっ!…やめっ」
「冗談ですよ。素晴らしい苗床が壊れてしまったら私も困りますからね。まずは残っている邪魔なものを剥がしますか。」
そういうとテルトグラスは蜘蛛の脚を二本前に伸ばし、器用に操って股間のスーツの裂け目を広げていく。下腹部の白肌が見える
まで切り開いたら次は下着とその下の女陰の間に一本の蜘蛛の脚をかき入れる。それから生えるざらついた繊毛が陰唇をひっかき、
雅は僅かにかすれ声を上げる。その脚でテルトグラスは彼女の秘所の最後の護りである黒いショーツを引き千切った。その情景を
雅はただ身体を震わせながら見つめることしか出来なかった。
あらわになった彼女の秘所、その周りの茂みは汗で湿って黒光りを増していた。そこに下着を剥ぎ取った蜘蛛脚が再度向けられる。
小刻みに震える桃唇にそれは当てられ、なだめる様に周りをさすられる。
「次は私の生殖器を受け入れられるよう、膣中をほぐさせて貰います。」
「えっ……!?いぃっ、ぃいいいーーー!!」
穏やかな動きから一転、いきなりその脚は雅の桃唇に突き込まれた。悲鳴を奏でる彼女の口唇。その彼女の身体を両脇に廻した
腕を動かし上下に揺らし始めるテルトグラス。上に持ち上げられた時には中ほどまで引き抜かれた蜘蛛脚は、雅の身体が再び
落とされたときにいっそう激しく彼女の膣中に突き入れられる。
「はひっ!いっ…」
グチュッ!グチュリ
上下に身体を揺らされるごとに喘ぎ声、それと水っぽい音が響く。彼女の秘毛、そしてその秘所に出入りを繰り返すテルトグラスの
蜘蛛脚は雫にまみれ、そこから滴り落ちたもので足元には黄色い水溜りが出来ていた。雅の膀胱は異物を肉洞の捻じ込まれる衝撃
そして恐怖に耐え切れず失禁してしまっていたのだ。
「これはありがたい。ブルームーン嬢、あなたが漏らしてくれたお陰で突き入れやすくなりましたよ。」
「ぎいぃ!……こ、の…ゲスがっ…いぎっ!…あ…あた、しは…これぐらい……なんとも…無い……」
テルトグラスの嘲笑に彼女が応えたものはどう見ても強がりだった。蜘蛛脚が突き入れられるたび、ある程度は彼女の尿で濡れている
とはいえ硬さを失わない繊毛が淫襞をこすっていく。その今まで経験したことの無い痛み、そして疼きが敗れ去った女戦士の脳を焼いていく。
「なんとも無いなら、手早く済ませるためもう一本いきますか。」
「くひぃ!……はっ!ぁあ……?……アッ!ガァ…!ギイイィィーーー!!」
軽い口調で宣告したテルトグラスはもう一本、蜘蛛脚を前に廻し、既に隙間など無い雅の桃唇を強引にこじ開けてそれをも捻じり入れる。
肉洞を獣の脚で完全に埋められてしまい、彼女は声にならない絶叫をあたりに響かせる。
再びテルトグラスは上下の抽送を始めるが脳髄を苦悶で占められた彼女は舌を突き出し、涎を溢れさせる口唇からかすれ声しかあげる
ことしか出来ない。その蒼きバイザーの向こうの眼も大きく見開かれ、瞳は澱んだ影に覆われていた。
「おや、コワれてしまいましたか?あの気高い精神は見込み違いだったんですかね?まぁいい、身体だけででも楽しませてもらいますか。」
バトルスーツの裂け目から突き出された雅の左胸にテルトグラスは舌を近づけ、その頂のうっすらと桃色に染まった乳首をチロリと舐めあげる。
すると上向きに頂を舐められたことで乳房そのものがプルルンと震える。その挑発のような動きに衝動を駆られたテルトグラスはしゃぶりつくが
如くその白桃を口に含み、ざらついた舌で舐めまわし、その白肌を唾液で汚していく。苦悶の表情はいくらか薄らいだものの、代わりに虚ろさ
をその美貌に張り付かせてしまっている雅は自らの豊乳が汚されようと為すがままになっていた。
やがて柔らかな乳肉の感触に物足りなさを感じた獣は尖った桃豆に舌を向け、コリコリとした硬さを味わい始める。舌の上で転がして芯の通った
それを楽しんだ彼は次に歯応えを確かめようと、鋭い歯で甘く噛む。するとかすれ声がどこからか聞こえた。
「ぁ……あたし、は……まけ…ない……おまえ…なん……かに………」
頭上から聞こえた蚊の鳴くような声に気づき、テルトグラスは乳房を口に含んだまま視線を上に向ける。そこにはなんとか決意を込めた言葉を
紡ごうとする雅の姿があった。まだ醒めきってない瞳に僅かだが再び光を宿し、テルトグラスを見据えている。言葉を吐き終え、口唇を閉じた
彼女は一瞬の後、再び口唇を開き眼下の獣に唾を吐きかける。勢いは弱く、まるで雅の顎に垂れかかるようだったがどうにか届き、テルトグラス
の頬にビチャリと降りかかる。
「…ふ、ふふっ……いい、ザマ……ね…」
「まだ、そんな目が出来るとは…。すばらしい、本当に素晴らしいです、ブルームーン嬢。本当はもっとあなたで楽しみたいが、お仲間が
来ると厄介ですからそろそろ本題といきますか。」
雅の左乳から口を離したテルトグラスは笑みを浮かべるほど高揚した口振りになる。頬に垂れかかった雅の唾液を舌なめずりするように
舐め、彼女の秘径から蜘蛛脚を引き出す。ズブジュと濁った音と共に荒々しく引き出され、雅は咽喉をくぐもらせる。引き出された脚は
朝露を浴びたかのように、彼女の愛液や小水で繊毛を湿らせていた。
彼女が男性のモノを受け入れた経験は何度かあったこと、そして腕輪の加護のおかげで異物の挿入に何とか耐えきった秘所は楚々と
した桃色だった唇を朱色に濡れさせ、淫豆も芯を通らせている。暴虐が去った雅の身体と心が休息を求めるがテルトグラスがそれを許す
ことなどあるはずが無かった。
引き出した双脚で彼女の腿を押し上げて股を広げ、その隙間に巨根を突き伸ばし、淫唇を撫でる。
「いっ!ひぃぃっー!?」
なかなか静まらず、息を求めるかのようにひくつかせている淫唇を固い感触で撫でまわされて雅は戸惑い甲高く叫ぶ。彼女の眼に入った
のは今まさに突き入れられようとする獣の巨大な生殖器だった。
ギブシュ!!ジュシュ!!
何の躊躇もなく捻りこむようにその巨棒は柔らかな雅の淫唇に突きこまれ、まるで肉を引きちぎるかのような擦過音が響く。
「あっ!?ぐうううぅぅっーーー!」
いくら先にほぐされたとはいえ、彼女の肉洞にそれは大きすぎた。雅の痛覚のリミッターは弾け飛び、よりいっそう深く突きこまれる度に
視界がバチバチと電光で覆われる。
そんな彼女にお構い無しにテルトグラスは抽送をさらに激しくする。とうとう彼女の柔肉も耐え切れなくなったのか茶色の肉棒とそれに
引っ張られ、押し潰される朱色の唇の間から鮮血が幾筋も流れ出て彼女の腿の白肌に滴り落ちる。
「いぎっ!ふっとぉ、太いっ!ぐっ、ぐるじぃ……」
痛みに耐えかね頤を振り乱し、端麗な顔を崩す雅。その彼女の身に更なる痛打が加えられる。
ブチュリ
「ぐっ!?うっぅぅぅーーー!!」
股のスーツの裂け目から捩子いれ、尻のすぼみに蜘蛛脚を突き込まれたのだ。粘った音と共に拘束された女戦士の身体が跳ねる。
蜘蛛脚のざらざらとした繊毛に刺激され、彼女は必死に腰をよじらせる。
「こちらの穴に脚を入れると皆、生殖器の締めつけが強くなるのですよ。あなたもそうみたいですね、ブルームーン嬢。」
テルトグラスの言葉に答える余裕も無いのか、荒い息づかいで単節音を吐き出しながら雅は身をくゆらせる。もう彼女の身体には暴虐に
立ち向かう余力など無かった。双穴への乱入者がよりいっそう突き込まれる度に桃尻から背筋をピンと仰け反らせても双腕は力無く垂れ
下がったまま、俯いた顔からは影になって表情は読み取れない。
やがて繊毛に腸膜が傷つけられたのかスーツと脚の間を鮮血が流れ落ち、彼女は身を揺らすたびに汗や血を周りに飛び散らせる。
「ヒッ…………」
その時、テルトグラスはかすかな音を耳にした。その音を耳にした瞬間、彼の心は歓喜に塗りつぶされていく。その音の源に顔を上げた彼が見たものは
「ヒック……も、もう…痛いのはいや……ック」
涙をぼろぼろと頬に流し、詰まりながら弱音を吐く雅の姿だった。
「これはブルームーン嬢、勇ましい狩人である貴女がそのような振る舞いをなさるとは。」
「いや………お願い、もう…ゆるして……」
彼女は首を嫌々するように振りながら哀願する。ツリ目がちだった目尻は下がり、長い睫毛からは雫が垂れる。
「クックックックッ、これはいい!弱々しく震える貴女の姿、そそられますよ。」
「エグッ、いたいよぉ………?なに……!?」
雅の姿に欲情を刺激されたテルトグラスはよりいっそう抽送を激しくする。突きこまれる度に彼女の柔肉が押し潰され、白肌をきしませる。
その苦悶にむせび泣き、まるで幼女のような呻きを漏らす雅だったが苦痛しか感じなかった肉襞が何か違和感を捉え、瞳を震わせながら
疑問の眼差しを股に向ける。
その視線に気づいたのか、テルトグラスは女戦士に絶望的な言葉を告げる。
「もう耐えられなくなりましてね、そろそろあなたの膣中に出さしてもらいますよ。私の精子をね。」
「えっ!?…………いや…そんなのイヤッ!!絶対イヤよ!!」
肉壷に差し入れられ、彼女の身体に絶望をもたらそうとしている肉棒から彼女は腰を振り、何としてでも逃れようとする。だががっちりと獣の
腕に捕えられた身体は言うことを聞かない。身に纏っていた鎧だけでなく蒼き女戦士としての心の鎧も打ち砕かれ、只の娘としての姿を晒す
雅は破局から逃れようとその朱唇から獣への屈服の言葉を口にする。
「おねがい!お願いしますぅ。それだけはやめて、膣中には出さないで!もう…ヒドイことしないでぇ……グスッ…」
必死に哀願する雅。恐怖からか次第に言葉は途切れ、くぐもった泣き声に埋められる。その姿からは狩人の面影は消え失せ、普段の彼女の
立ち居振る舞いからは想像もつかないものだった。
しかし雅がプライドをかなぐり捨てて懇願したのにも関わらず、肉壷の中の剛棒がいっそう膨れたように感じたことで彼女の口唇が呻きを漏らそう
とした瞬間、熱い何かで肉壷が埋め尽くされた。
「くっ……!?いっ、イヤヤァァァァーーーー!!」
部屋の中に絶叫が響き渡る。雅が顎が外れるのではないかと思うくらいに口唇を大きく開けて悲鳴を奏でたのだ。
「ごほっ!……あがっぁ!……」
もう彼女は肉根の暴虐に逆らうことは出来なかった。さらに桃襞を白濁液で汚すためにテルトグラスが腰を突き動かすたびに、口からは唾の飛沫と
共に聞くに耐えない呻きが漏れる。やがて獣の動きが静まったときには彼女の口唇は『ヒィーハヒィー』とかすれた音しか漏らさず、その双眼も大きく
見開かれ、瞳の光は絶望に塗り潰されていた。
ズチュリ!
粘ついた音と共にテルトグラスの巨根が引き抜かれる。白液に塗れたそれが今まで挿入されていた雅の女陰は無残な姿を晒していた。
まだ後穴に蜘蛛脚を差し込まれたままだが幾分苦痛から逃れられたためか、張り詰めていた首筋を緩めうなだれる雅、だが彼女の悪夢は終わりを
見せなかった。
「スッキリしましたよ、ブルームーン嬢。さて、この調子で孕んでいただけるまでお付き合いいただきましょう。」
「あぅ……はぁ……あっ……えっ!?」
テルトグラスの口から放たれた言葉、それに応じて首を持ち上げて彼の顔を注視した雅の容貌は蒼白に染まっていた。
「い、やめて……もう、ゆるしてよぉ。妊娠なんてイヤだよぉ。みやび、壊れちゃうょ……」
「ブルームーン嬢、あなたの本名はミヤビとおっしゃるのですか。ではミヤビ嬢、たっぷりと私の子種を注ぎ込んで進ぜましょう。」
身体を縮こまらせ、眉をハの字に崩した雅が弱音をつぶやく。その姿からは戦士としての矜持は完全に感じることは出来ない。もはや彼女-瀬原雅-
は獣に狩られる乙女でしか無かった。そして無力な少女に無情な宣告がなされた。
「イ、いやっ、いやぁ!ひっ、アギィィィーーーー!!」
部屋の中に何かが叩きつけられるような音と共に甲高い絶叫が響き渡る。そのうちにか弱い嘆願の声が悲鳴の合間合間に聞こえ、やがて巨体を動か
す音の他には何も聞こえなくなった。
私はこんなに自らの無力さを悔いたことは無かった。窓の向こうでは3人の”守護者”さんたちが謎の”複合体”と闘っているのに何も出来ない。この近くで
雅先輩が助けを待っているかもしれないのに”複合体”が排除されるまではこの装甲車から出ることすら出来ない。
最後に雅先輩にテレビ電話でからかわれてから何時間も経っていないのに、とってもセンパイに会いたい。センパイに抱きついて胸に飛び込みたい。
『さっすがセンパイ!”複合体”が相手でも逃げ足速いですね、心配して損しちゃいましたー。』
そんなことを言ってみてセンパイに小突かれたい。センパイなら私達がここにたどり着くまでの間、スピードを活かして逃げ切っていたと信じたい。だけど
現実、私の目の前のモニターはブルームーンの変身制御装置の腕輪の内部にある発信機が前方200m、戦いの場の向こう側のビルの内部で微動だに
していない事を知らせていた。
「くっ、さすがに3人も相手にすると苦労しますね。まぁいい、ミヤビ嬢はひとまずお返ししましょう。」
”複合体”がそんな捨て台詞を吐いてビル伝いに飛び去っていく。残された3人の”守護者”さんたちも傷つき、疲れ果てて追撃は無理みたい。今は雅
先輩の救出を優先するべきだし仕方ない。
……あれ、…何であの”複合体”はセンパイの名前を知っているの……?
目の前のモニターを小脇に抱え装甲車の扉を開けて地面に飛び降りる。心がが締め付けられるように痛みを訴えているけど、こんな心配杞憂ですよね。
そんな風に言い聞かせながら走る。そうしないと怖くて足を進めることが出来無そうだったから。
「セナちゃん、危険よ!私たちが捜索するからあなたは来ないで!」
”守護者”さんの一人が大声をあげたけど構わず暗い路地に飛び込む。モニターを持ち上げ目をはしらせると、この路地に沿ったビルの中に雅先輩の
発信機の反応はあるみたい。
やがてビルの壁面が崩れた一角が見えてくる。モニターを抱え直して瓦礫を踏み、意を決して恐る恐る中を覗きこんでみる。
ガチャリ!
重いものが叩きつけられるような音が遠くから聞こえる。……いや、私がモニターを落としちゃったんだ。ドジだな〜私。やっぱオペレーター失格ですか?センパイ?
頭の中がはっきりとしない。何故だろう?何かが小部屋の中の暗がりに見えるけどぼぉーっとした頭が受け付けてくれないからよく見えない。
………っと!!
ようやく衝撃から覚めた頭が指令を出す。私はその”何か”駆け寄った。そして
「…い、いや…センパイィィィーーー!!」
今まで出したことが無いくらいの大声が私の口から飛び出た。仰向けに横たわる雅先輩の傍に膝をつけ、センパイの身体を抱きかかえる。
…軽い
確かにセンパイはスタイルを維持するのにすごく気を使っていたけど、でも軽すぎる。まるで大切な何かを失ってしまったかのように……。
急いで人差し指をセンパイの口元に回す。柔らかな上唇が触れ、それと共に僅かだが息の流れを感じた。最悪の想像は否定され、少しほっとする。
でも瞳に入った来た先輩の姿が私の心を再び黒く塗りつぶさせる。
ブルームーンとしての雅先輩を護っていたスーツはあちこちが傷ついていた。特に胸部のプロテクターは引き剥がされ、スーツも切り裂かれそこから
白いおっぱいが飛び出ている。その白肌には赤い跡でくっきりとつき、ねっとりとした液体に塗れていた。
そして、センパイの最も大切な場所。そこのプロテクターも引き剥がされ、白い液体に浸かっていた。目の前の現実が信じられなかった。無意識のうちに
右手をそこに廻し、白い汚液から少しでもセンパイの身体をキレイにしようと夢中でセンパイの肌を手で掃いていく。だが、手を動かしても動かしてもセン
パイの身体の中からそれが溢れ出して来る。
ポトッ
センパイの頬に幾滴もの雫が落ちていく、何だろう……わたしの涙だ。そう気づいてから涙は止まらなくなった。泣きに泣いた。自らの無力さ、センパイの
無残な姿、様々なことが心の中を巡っていく。
ふと、何か音が聞こえた気がした。涙に濡れた目を開ける。……センパイの唇がかすかに動いている!急いで私はセンパイの口元に耳を近づけた。
「……ユ、ユルシテ、クダサイ……オネ、ガイ……ダレ…カ…タスケ、テ……ミヤビ…ノコトヲ、タスケテ……」
私は信じられず、動揺して顔を離した。その拍子にセンパイの壊れかけたバイザーに当たり、それを弾き飛ばしてしまった。
現れたセンパイの眼は大きく見開かれたままで、その瞳は暗く沈み、何も映していなかった。
崩れた壁から射し込んだ月光に照らしだされる中、私は先輩の身体を抱きかかえたままいつまでも泣き続けた。
ブルームーンの続きキテター!GJです!
お姉さん悲惨。・゚・(ノД`)・゚・。
あまりにズタボロで最後の方はちょっと可哀想になってきちゃったよ・・・
ここまでやられては、もはや正義のヒロインとしての再起は不可能でしょうな
待った・・・待ち続けた甲斐が・・・あった・・・・・・・っ!!
GJ!苦痛のみもいいもんだなあ…
147 :
名無しさん@ピンキー:2006/08/19(土) 16:59:51 ID:zB/oJhcw
良作に感謝!!
ほし
149 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/02(土) 22:34:32 ID:MGT1HmXL
アゲ♂
150 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/08(金) 20:27:08 ID:BaK+Eqpd
ブルームーン続編キボン
個人的にかなりツボ
女対女やクスリ等の甘っちょろい話はもういらんな
なに勝手なことほざいてるんだこのガキ様は?
てめぇひょっとしてブルームーンとか言う糞SSモドキの作者か?
他の作品荒らして書き手を追い出そうとしたことぐらい分かってんだぞ
住民までいなくなったのは計算外だったろうけどな
まだこんな過疎スレに粘着してるのかよw
154 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 00:58:58 ID:G78cxfAn
ここはオリキャラOKですよね?
魔女ッ子以外なら
156 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/11(月) 14:57:06 ID:Wj5wZnbN
他人なんか信じなくてイイ
自分を信じていれば
158 :
名無しさん@ピンキー:2006/09/12(火) 19:22:05 ID:HLs+uGL7
何だ、ここは特撮板で以前にあった、【もがけ苦しめ!】の延長か、その流れを
組む所なのか。