それではあらすじを……指摘サンクス
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ある日、山岳部は部員の親戚の家である、洋館に招かれた。敦也、兄妹の翔太と由良、美保、奏、絵里、双子の光と明。
彼らは引率の馬場先生にバスで山奥の洋館へと向かった。だが、途中でバスの調子がおかしくなり、仕方なく歩いて行くことに。雨が降りながらの中、ようやくだどりつくも、いきなり正門の庭で、血に飢えた様な狂犬に襲われる。
なんとか無事に洋館に逃げ込んだものの、先生は怒り、洋館の人を探しに行く。みんなも自由に洋館を探索し始めるが、そこには命を落とす様な数々の罠が待ち構えていた。
罠を回避し、みんなが玄関ホールに集まった時、落ちて来たシャンデリアには惨殺された先生の死体が巻き付いていた…………
異様な雰囲気の洋館。彷徨う殺人鬼。その殺人鬼には、ある一人への異常なまでに深い愛情があった。その愛する人と二人きりになるまで、殺人は止まらない………
疑心暗鬼に陥る仲間。恐怖のあまり逃げてしまった明。錯乱に陥り、敦也に依存する美保。仲間同士の信頼も、内側と外側、両方から崩れて行く。
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以上がヤンデレスレでのあらすじです。修羅場ってよりホラーよりだ………orz
「姫様!俺の後ろに!」
姫様を自分の背後に隠して襲ってくる矢を捌く。
――――囲まれた!
馬を失った馬車を囲むように俺たちは陣形を組んだ。
何処に隠れていたのか、山賊たちがワラワラと草むらや岩の陰から出てくる。
「マローネッ、弓兵を頼む!」
弓兵たちの第二射をやり過ごすと、後ろに控えていたらしい帯刀した男たちが剣を構えて襲い掛かってきた。
数が尋常じゃない。
「くっ!」
振り下ろす賊の剣を左の剣で受け流し、右の剣で男を袈裟斬りにする。
次の瞬間には別の男が俺に刺突を放っていた。
「お兄ちゃんッ!」
すぐ近くから爆音とその男の胸が爆ぜる音。マローネのマスケットだ。
「助かった!マローネ!」
三人目の賊の腹を薙ぎながらマローネに礼を言った。
……このままじゃジリ貧だ。とてもじゃないがこの数は相手に出来ない。
依然として増え続ける山賊。ざっと百人はいる。
山賊のくせに一人一人が精錬されている。戦争した隣国の正規兵が子供に思えてくるくらいだ。
おまけに……
「ッ!!」
こめかみを押さえながら苦渋を漏らす団長の声。
相手の喉に剣を刺す彼女に目をやると少し辛そうな表情を浮かべていた。
二日酔いが祟ったか。
早くなんとかしないとみんな殺される。
先ず何より脅威なのが統率の取れた奴らの動きだ。これを潰さないと。
頭を潰して相手の足並みを乱す。そうすれば今より活路は見出せるはずだ。
両の剣で二人の男の頭蓋を同時に割りつつ、賊たちの顔を確認していく。
――――首魁は……どいつだ。
それらしい男の姿を捜して目をしきりに動かす。
俺の目が、一人の男で止まった。山道の先で高みの見物と洒落込んでいる隻眼の男。
…あいつかッ!!
確信してその男の顔を見たとき。
ズクン。
胸に激痛が走った。
あの、男。あの男は。あの男は!あの男はあの男はあの男は!!!
ひとりでに自分の太刀筋が荒れ狂ってきたのが解る。
思考と肉体が乖離し始めた。
頭は止せ、と言っているのに身体は暴れだそうとする。
隻眼の男への殺意を抑えようと唇を噛んだが、次の瞬間それが無駄になった。
隻眼の男が、俺たちの苦戦ぶりを見てにやりと口を歪め。
その表情を引き金に俺の記憶が無理矢理掘り起こされた。
『……ふぅ…まぁまぁかな』
アリマテアを出て以来。
『五月蝿せぇよ、糞ガキが』
鎖で雁字搦めにしていたはずの俺の火箱が。
『ちッ、メソメソ鬱陶しい女だな。もう用も済んだし殺っちまうか?』
もう捨てたと思っていた、俺の中の怒りの火箱が。
『暴れるんじゃねぇよ、この!じっとしてろ!』
俺の意志を無視して。
『ウィル!助けて!!お願い!!た―――』
爆発した。
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ーーーーーッッッッッ!!!!!!!」
喉が引き千切れそうなほどの咆哮。
これは、俺の、声、か…?
身体が異常に熱い。目の前がチカチカする。
思考が、黒一色に、塗り、つブ、さレる。
そしテ、俺の意志トは関係なく、全身ノ筋肉が勝手に躍動シ始メタ――――――
「あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ーーーーーッッッッッ!!!!!!!」
頭痛と吐き気を抑えながら賊の剣戟を捌いていたとき、脇から誰かの叫び声が聞こえた。
その声がスイッチだったかのように私の視界の隅が赤く染まる。
……なに?
不思議に思って振り返ると。
「邪魔だぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!!!」
ウィルが鬼の形相で回りの賊たちを殺しまくりながら一直線に進んでいた。
ウィルを中心に、腕や首が次々に舞う。その度に一瞬赤い花が咲いた。
まるでつむじ風のように走り回る二本の剣。
周囲の男たちがそれに巻き込まれ切り刻まれていた。
戦争していた頃の彼と同じ…いやそれ以上の姿だった。
ウィルが一直線に進む先―――片目の男に向かって赤い絨毯を敷いていく。
「ウィル!何やってんだッ!!」
おじさまが声を張り上げるが山賊の相手で手一杯らしく彼に駆け寄ることができない。
いけない。完全に意識が“飛んで”しまっている。
我を失って陣形から外れ、独りで敵陣に特攻するウィル。
「ウィル!戻りなさいッ!」
私の言葉が届かない。ウィルが徐々に孤立していく。
どうして急にあんなことになったのか解らないけど、とにかく早く彼を連れ戻さないと。
このまま放って置けばウィルは自滅する。
焦ってウィルを連れ戻そうと私も馬車から離れた。
それがいけなかった。
「放せぇぇぇッッ!!」
馬車を離れた私の背後で姫様が喚く。
自分に失態に気付いて振り返るが、男が姫様を担ぎ上げて連れ去った後だった。
以上十一話でした。
バトル後編はまた夜に。
姫様ぁぁぁぁぁ((;゚Д゚)ガクガクブルブル
やべぇ、これは先が気になってしょうがない切り方だ
作者様GJ
姫さんやっぱり足を引っ張って……
>>627 やべえモカさんラブリー過ぎ。GJ
モカさん最高!!!!
でも返信するシロウにも萌えてしまったのは内緒だ
『第六話』
さっきはアレでも猫を被っていたほうなのか。浅羽さんの剣幕は恐ろしかった。
美人なだけに青筋を立てて怒鳴るその姿は鬼のよう。
「・・・・・・そういうあなたこそ・・・・どういうつもりなんですか・・・・・・大体・・・・・あなた馨さんの何なんですか・・・・・」
「私はねぇ、馨の幼馴染なの!!!ずっと昔からそばにいるのよ。
だからねぇ、アンタみたいなネクラ女にいつまでも縛られてる馨が気の毒でたまらないの!!!」
「幼馴染なら・・・・・いいじゃないですか。
わたしには、馨さんしかいないんです。親も、友達も、親戚もいません・・・・でも、そんなわたしを、馨さんは見捨てませんでした・・・
だから、もう、もう、・・・・・駄目なんです・・・・・馨さんじゃないと・・・・だから、だから、馨さんをわたしから盗っていかないで!!!」
自分でも言っていることは意味不明。
でも、ここで退いたら負けだと思った。
「ホント汚い女・・・・・そんな可愛い顔して・・・・・最初の事故だってあんたがちゃんと気をつけてれば大したことなかったんでしょ。
それなのに、ずるい言葉で馨の良心を利用して・・・・!!昨日の怪我だってわざと階段から落ちたんでしょ。医者が言ってたわ。
どう考えてもあの怪我の仕方は変、ってね!!!」
「そんなことどうでもいいんです・・・・
馨さんが、馨さんがそばにいてくれれば!!!
私は馨さんが好きなんです。愛しているんです。
だからただの幼馴染のあなたには関係ないでしょう!!」
「ならはっきり言ったらどうよ!!!今まで自分の想いを隠すために事故のことを利用してたってね!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!」
――――――――――――――――真実を抉られた。
どうしてこの人はまるで心を読むようにピンポイントで核心を突けるのか疑問に思ったが、それ以上に心のダメージが大きい。
浅羽さんの剣幕に押されないように、恐怖で凍りつく表情で睨み返すのが精一杯だった。
「何も言い返せないのね。まぁ当たり前か〜そんなこと馨に話したらもうお見舞いに来なくなっちゃうかもしれないし、最悪二度とあなたの前に現れないでしょうね〜
アイツ見かけによらず繊細で、素直だし。あのときだって最後まで慰めてあげたのは私なの。そうよ、馨のことで世話を焼いたり手を繋いだりキスしたりセックスして、アイツを愛せるのは私だけなの!!!
だから・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう二度と加害者被害者の関係以外で馨に関わらないでくれる!!!??」
この人・・・・・馨さんと、したことあるの?・・・・・
嘘よ、嘘、嘘・・・・・・
「帰って!!!帰ってよ、この薄汚い牝犬!!!性の匂いを漂わせて馨さんを誘惑して!!汚らわしい、厭らしい、排泄物以下の病原菌!!早く消えてよ!!
貴女なんて死んじゃえばいいのよ!!馨さんが貴女なんかに手を出すはず無いじゃない!上手く陥れたんでしょ、卑怯者!!!!」
負けたと解っても心は抵抗を続ける。
頭に浮かんだ罵詈雑言を口の回る限り垂れ流し、右腕で狂ったように枕を振り回す。
「ふん・・・襲い掛かってきたのは馨のほうよ。まるで動物みたいに息を荒くして、私の体を力任せに組み敷いた後で狼みたいに全身舐りまわしてくれたわ。
途中で理性を取り戻して、照れながら『愛してるよ』って囁いて中に熱いのをくれたときはホント初めてなのに飛びそうになったわ〜オンナの悦びってヤツ?
―――――――――まぁ、安心してよ。アンタは未来永劫絶対味わうことはないでしょうから」
――――――――――――――――馨さんの照れた表情が脳をフラッシュバックする。
――――――――――――――――あの笑顔が、優しさが、ぬくもりが、指先が、吐息が・・・・
――――――――――――――――全部この女のために・・・・・・!!
目の前が真っ赤になって、頭の中を白が埋め尽くす。
―――――――――――――それより先は覚えていない――――――――――――
言い負かしてやった。
あの女、私の虚言で意図も簡単に壊れた。
私の願望を事実のように語ってやったら泥棒猫は憤怒と絶望の表情を交互に繰り返した。絹のような穢れを知らない肌が真っ赤に染まったり死んだように青ざめるのはとても面白かった。マンガみたい!!・・・・
今思い出すだけで噴出してしまいそう。
そして最終的には明暗順応しているわけでもないのに大きな瞳をこぼさんばかりに見開いて瞳孔を広げたり閉じたりしていた。
徐々に暗くなっていく瞳を睨みつけていると、声も出さずに涙をぼろぼろ流して動かなくなっちゃった。
そのまま放置してきたけどまさか手首切ったりはしないわよね?
階段から飛び降りた前例があるから油断できないけど担当医が見張ってるからまぁ平気でしょ。
それに私は死んでもらったほうが嬉しいけど、馨がこれ以上傷ついたら嫌だからせいぜい廃人程度で済ませて欲しいもんだわ。
あの女には意気揚々と語ったけど馨とはキスまでしかしたことがない。
それも彼が寝ているときにした、触れるようなキスだけ。
ずっーーーと、そばでアピールし続けているのに馨はいつまでたっても気づかない。
私の性格がいけないのかもしれないけど、来年には大学を卒業しなくてはならない。だからそろそろ私たちの関係にも区切りをつける頃なのかも。
さぁて、今日は行きつけのブティックで目一杯買い物して帰りましょ♪
――――――――本格的に馨を陥とすにはイロイロ準備も必要だしね
あははは〜楽しみぃ〜
改行失敗した・・・・
毎度のことながら読みづらくて申し訳ありません。
投下します
生きここのアナザーです
24話からの分かれます
それと外伝もなかったことになっています
IFという考えが近いかもしれません
暗くなった窓の景色の向こうに誰かが居る
全身が凍りついたように強張り頭に逃げろと命令が駆け巡った
俺は額の汗を拭うとできるだけ平静を装った
「詩織さん・・・・奈々さん・・・・」
二人の肩を掴んでドアに向かう
かつかつと三人分の足音が響いた
速く・・・・速く!俺は焦りのあまり窓を見やってしまった
気づかれた・・・・そう思った瞬間、物陰から姿の見えない黒い人影が大きな窓に向かっていく
刀先がガラスにめり込みヒビが入る
刀を引き抜くと思い切り蹴り上げる
もろい窓は崩壊し、身体の半分を焼かれその手には見覚えの確かにある刀が握られていた
もしかして・・・・彼女が?
再び俺の記憶がフラッシュバックした
覚えている・・・・少し髪が伸びているが・・・・確かに俺はこの人を知っている
怖い・・・・逃げたい・・・・・そんな考えしか浮かばない
なにをやっているんだ!俺が二人を護らなきゃいけにんだぞ?
自分をしっかり持て!逃げるな!逃げるな!逃げるな!逃げるな!
二人は最低二股やろうの俺を純粋に愛してくれてるんだ・・・・
護るんだ・・・・俺が!
「久しぶりね・・・・仁さん」
口元を緩めて彼女はにっこりと笑んだ
月の光が彼女の背後から差し込み影を作っている
「でも、雌犬二匹はあなたの子供を身篭ってしまったようね・・・・」
刀を握っていない左手の指が火傷の線を伝っていく
驚くほど細く美しいその指が不意に止まった
「仁さん・・・・・あなたは許してあげる、でも・・・・あんたら二人は許さない!」
射抜くような眼光だったその威圧感が明らかに殺意に変わった
刀が振り上げられた・・・・俺は迷わず彼女の懐に飛び込んでいた
な・・・・なんだ?身体が勝手に・・・・
自分がボクシングをしていたという話を考えていたが0秒と1秒の間に消えた
俺が彼女の腹を殴りつけようとした時だった
頭上から刀の柄が俺に向かって降りてきた
後頭部に激しい痛みが走り俺は頭を抑えてその場を倒れた
「ふふ・・・・仁さん・・・・・」
俺の顎を掴んで少し引き上げると彼女は・・・・香葉さんは自分の唇を舐めて俺に近づけてきた
俺の唇と香葉さんの唇が重なり彼女の舌が俺の口の中に侵入してきた
抗おうとしてもがくが頭をモロに打たれ脳が反応してくれない
香葉さんのしなやかな指が俺の胸を通り抜け全身を愛撫する
「これ以上仁くんを汚すな!」
がちゃん!ガラスの割れる音がした
視界が開くとそこには割れたガラス瓶を持った詩織さん
そして頭から血を流して必死でもがく香葉さんを奈々さんが抑えている
「く・・・・・」
ふらふらとした足つきで俺が立ち上がると詩織さんが駆け寄って俺を支えてくれた
「大丈夫?」
上目使いで俺を見つめて詩織さんは頭をさすってくれた
「大丈夫・・・・それよろ速く・・・・」
逃げろ・・・・その言葉が出る前に香葉さんを抑えていた奈々さんが振り下ろされた
「きゃ!」
「死ね!」
刀を掴んで奈々さんに向ける
「やめろ・・・・やめろ!!!!!!」
俺がタックルすると華奢な香葉さんの身体はよろめきその場に倒れた
「仁さま!詩織さま!奈々さま!!!!」
高田さんが騒ぎに気づきようやく来てくれた
俺は香葉さんを必死で抑えて高田さんの方を見て叫んだ
「はやく二人を!」
高田さんはしばし唖然としたあとすぐに状況を理解して二人の手を取った
「仁さん!仁さん!どうして邪魔するの!私はあの雌犬二匹の腹にいる汚物を引き出して!」
「やめて・・・・ください・・・・香葉さん・・・・・」
俺の涙が彼女の頬を濡らした
香葉さんはしばし俺を見つめた後にすごく悲しそうな顔をした
「そんなに・・・・大事なの?」
「はい・・・・・」
それを聞くと彼女は微笑んだ・・・・もう大丈夫なのかな?
俺が戒めを解くと彼女はゆっくり立ち上がった
「愛しているのね・・・・・二人を」
「はい・・・・・」
「なら、こんな世界に生きていても・・・・仕方ないか」
彼女は刀を再び握ると自分のノド元に向けた
「香葉さん!」
「来るな!」
爆発しそうな彼女の感情から来る声が聞こえ俺は思わず身体の動きを止めてしまった
「忘れさせない・・・・私を・・・・私を!」
不意に彼女から力が抜けて膝が折れた
首から血が噴出し反対側からは刀の先が突き出されて隙間から血が滴っている
事切れる前に香葉さんはにっこりと笑んだ
俺は・・・・俺は!
なにも出来ない・・・ただのアホだ・・・・最低だ・・・・最悪だ
この人は本気で俺を・・・・思い悩んでそれで・・・・
自分に惚れてくれた女の人一人や二人護りたい?
俺はボクシングを始めたきっかけを思い出しながら自負の念でいっぱいになった
俺は・・・・護りたかったんだよ
自分のせいで狂ってしまった少女の前で俺は何度も謝り続けた
あれから一ヶ月・・・・俺は無気力に過ごしていた
詩織さんと奈々さんの出産も近い
二人の世話以外のときは俺はこうやって空を見上げてまた自負の念を抱く
忘れられない、俺のせいで狂わせてしまった少女の最後の笑みを思い浮かべて
「少しは気晴らししてみてはいかがですか?」
少しやつれた俺を心配して高田さんがそう言ってくれた
詩織さんと奈々さんも俺を心配げに見つめ少し微笑んでくれた
その言葉に甘えて俺は久しぶりに屋敷から出てみた
そういえば一人で屋敷の外に出たの何ヶ月ぶりかな?
することもなく小さい頃よく詩織さんと遊んだ公園のブランコに腰掛けた
ブランコに揺られてまた彼女の最後の笑みを思い返した
他に道はなかったのか?あれは仕方ないことだ・・・・
カッコ悪いな・・・・俺、なに言い訳してるんだよ・・・・はは
このまま消えてなくなってしまえるならどれだけ楽だろう
また逃げた・・・・最悪だ・・・・詩織さんと奈々さん・・・・それにお腹の子がいるのに・・・・
最低・・・・最悪・・・・クソやろう・・・・
「泣いているんですか?」
か細い少女の声に俺はいつの間にか泣いていたのに気づいた
「す、すいません・・・・」
恥ずかしくなって俺が目元を拭うとそこには綺麗な少女が立っていた
金髪の髪をかき上げて少女は両手を合わせてにっこりと笑んだ
「お久しぶりで・・・・仁さま」
区切ります
不安を胸に玄関のドアを開いた
秋乃さんが入院中彼女に無理言ってずっと病院に居た
だから家には一度も帰っていない
両親がいたらストッパーになってくれたのだろうけど
二人は8年前に他界していて今は三人だけ
きぃ・・・と音を立ててゆっくりと家の中をのぞいてみる
真っ暗だ・・・・中に入って居間に近づいていく
とんとん・・・とんとん・・・・料理の音?
規則正しい包丁の音に導かれて僕はゆっくりと廊下と居間を繋ぐドアを開いた
「あら、お帰り〜涼ちゃん」
一瞬自分の目を疑った
どういうこと?
その光景は僕がまだ秋乃さんと付き合うまえ・・・・あの穏やかな時間が流れていたときと・・・同じだった
「お兄ちゃんどこ行ってたの?私お腹ぺこぺこだよ〜」
無邪気な笑みが僕を迎えてくれた
「こら、冬香ちゃん・・・・はしたない」
暖かな笑みが僕を迎えてくれた
「さ、お料理できたわよ・・・・涼ちゃんも早く座って」
料理のいい香りに釣られて僕は指定席に腰掛けた
その後はいつもと変わらず
間延び声で僕に甘える夏姉ちゃん・・・・
無邪気に僕にじゃれつく冬香
あの出来事が夢だったのではないかと思えるほど
なにも変わらない・・・・あの時のままだった
今日は待ちに待った涼さんとの初デート♪
し・あ・わ・せ・・・・あぁ
幸せに浸りつく前に私は涼さんにお二人の様子を聞いてみた
涼さんの答えは晴れやかな笑みと思いがけない一言だった
「え・・・・そうなの?」
私が小首をかしげると涼さんはうんうんとうなずいた
「僕もびっくりだよ・・・・でも、これで元通りだよ」
嬉しそうな涼さんに私も思わず笑んでしまった
よかった、二人は涼さんが以前話てくれた二人に戻ったのね・・・・
少し痛い思いをしてしまったけど、二人とは仲良くやっていきたい
それと謝らなくちゃ・・・・二人を病気だって決め付けちゃって
「今度、お家にお邪魔して・・・・良いかな」
「ほんと!あぁ、楽しみだな・・・・いつのする?」
最近元気がなかったけど・・・・ようやく涼さんは本来の明るさを取り戻してくれた
私の気持ちも軽くなって鼻歌なんてしながら私は涼さんの腕を取った
「う・・・・秋乃さん?」
「いいでしょ?私たち・・・・こ・い・び・と」
鼻先にちょんと指を乗せて私は笑んだ
「なんだからね♪」
恥ずかしそうに頬をかきながら涼さんは私の肩に手を回してくれた
少し人通りの多い商店街で私たちはつい最近まで羨ましいと思えてならなかった恋人たちのように肩を寄せ合った
幸せ・・・・・
でも、楽しい時間はすぐに過ぎてしまった・・・・
デートの王道の映画そのあと昼ごはんをお洒落なお店で食べて・・・・
それで・・・・・もうおしまい、私の家に着いちゃった
「ここが秋乃さんの家か・・・・」
興味津々といった感じで涼さんが私と家を交互に見た
「じゃあ、もう夜も遅いし・・・・帰るね?」
しばらくして涼さんは私にそう言うと手を振って背中を向けた
「ま・・・・ま、ま、まま・・・・・・・待って!」
いかにも動揺していますよっていう声で私は彼を引きとめた
「よ・・・・よよよよ、よ・・・・・よか・・・・ったら家・・・・寄っていかない?」
涼さんは少し戸惑って見せてケータイを取り出した
「あ、夏姉ちゃん?僕・・・・今日遅くなるから・・・・うん、ご飯はいいよ」
なんどか涼さんはうなずくとケータイを切った
そして私の方を見て微笑んだ
「じゃあ、少しお邪魔させてもらおうかな・・・・」
あ、はは〜・・・・頭の切り替えが大変だ〜
くるくる回る〜
生きここAnotherキタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
姉妹日記キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
作者様同時進行お疲れ様です
BLOODもハピネスもあって浮気症ッぷりが
凄い勢いでアビス殿の死亡フラグを確立していく
アビス殿はどの子に刺されるのかしら・・・
GJ!日本代表よりも続きに期待しています!
投下します
――連れてこられたのは、東棟の端の部屋。
囚人部屋のように殺風景な部屋ではなく、広々として豪奢な意匠の部屋だった。
来賓者をもてなすための場所だろう。
そしておそらくは――東棟の特産物を使って、“もてなす”ための場所。
気を遣って消臭しているのだろうが、私の鋭敏な嗅覚は、饐えたニオイを嗅ぎ取ってしまう。
さて。
こんな所に呼び出したくせに。
呼び出した本人の姿は、見当たらなかった。
「ビビス様はまもなく到着します。失礼の無いよう座っていなさい」
“銀の甲冑”が、部屋の中央の椅子を指した。
そこに背筋を伸ばして座っていろ、ということか。
素直に言われたことを聞くのは、何故だか妙に癪に障るが、ここで暴れても得はない。
渋々と、豪華な椅子に腰掛ける。
扉を背にする形なので少々落ち着かないが、まあ話の流れ的に、
扉から突然襲撃者が現れるということもないと思うので、そのままぼんやり待つことにした。
思い起こすのは、先程のやりとり。
血塗れ竜が、こちらに向けていた、あの目。
一つの意思が明確に込められた、ある意味純粋な瞳だった。
――ユウキに近づくな。
笑いたくなってしまう。
王者の滑稽さにではない。
その願いは、むしろ自分のものだということに。
控え室での、あの光景は、腑が煮えくり返るのに充分だった。
ユウキさんの足の間に腰を下ろし、ごろごろごろごろ発情期の雌猫のように擦り寄るあの様。
10秒に一回は己の体を彼に擦り付け、あまつさえ幾度と無く頭を撫でられているではないか。
あんなに優しそうに、柔らかく。
髪を撫でられている間の血塗れ竜はまさに至福といった様子で、羨ましさに奥歯が砕けそうだった。
王者は特別待遇だとは聞いていたが、特別すぎて殺意すら覚えた。
しかし。
自分が王者になることができたら、アレをそのままそっくりいただけるのだ。
ユウキさんの胸の中に収まって、頭を撫でられる自分を空想する。
…………えへ。
おっといけない。涎を垂らしてしまった。
感触を想像するだけで、ごはん三杯はいける。
最初は、話の通じる暇つぶし相手――ってだけだったのに。
日を重ねる毎に、彼の人となりは、私の琴線に幾度となく触れてしまった。
現状に絶望しているのに、優しさを捨て切れていないところとか。
どんな相手でも、素直に応対してくれるところとか。
頭はいいのに、隠し事が下手なところとか。
気付いたときには、既に好きになっていた。
彼と一緒にいたい。
彼に甘えてみたい。
彼と触れ合いたい。
そして何より。
彼を、手に入れたい。
そのためにはどうすればいいか、考えた。
結論は――至ってシンプル。
私が、血塗れ竜になればいい。
今の王者が居座る場所こそが、私の求めているモノなのだから。
「――変な顔をするのを止めなさい。
ビビス公爵がもうじき来ますよ」
銀の甲冑の声で、我に返る。
思索に耽りすぎて、だらしない顔を晒していたらしい。
慌てて表情を引き締めて、呼び出し主の到着を静かに待つ。
ビビス公爵。
私を、ここに連れてきた人。
目論見が外れて私が勝ってしまい、さぞかし腹を立てていることだろう。
呼び出した目的は何だろうか。
こんな場所に呼び出すということは、私のことを犯すつもりなのだろうか。
――否。あの中年親父は不能である。
私が最初にあいつの城に連れられたとき、それなりに整った容貌の私を前にしても、欠片も色めいた視線を寄越さなかった。
後で話に聞いたところ、ビビス公爵は性的に不能で、代わりに人間が殺し合うところを見るのが大好きらしい。
故に、帝都の闘技場にちょくちょく己の領地の囚人を送り込み、殺される様を見て興奮するとのこと。
……闘技場の囚人じゃ無理だから、兵士に殺させるつもりだろうか?
しかし、私としては、囚人も兵士も大差ない。
この国に来てから、私のことを殺せそうな奴といったら――せいぜい血塗れ竜くらいしか目にしてない。
今この部屋で待機している兵士連中も、束になったところで驚異にすらならない。
ただ――私のすぐ側にいる、銀の甲冑。
こいつだけは、わからない。
強いとは、思う。少なくとも弱くはないはずだ。
しかし、実力を計れない。
大抵の相手なら、噛み殺す様子を鮮明に想像できる。
それはあの血塗れ竜ですら変わらない。奴の喉笛を食い千切るプランは少ないが立てられる。
それが、この銀色だけは不可能だ。
私がこいつに勝てる状況が想像できない。殺される気はしないが、勝てるかどうかもわからない。
この、銀の甲冑だけが、不安要素だった。
――と。
背後の扉が、開く気配。
「来ているな。まったく、よくも私の顔を潰してくれたものだ」
聞き覚えのある、ビビス公爵の声。
しかし、その声は――内容とは裏腹に、嬉しくて飛び跳ねているかのようだった。
趣味の悪い高級そうな服を纏った中年親父が、正面の豪奢なソファーに腰を下ろす。
ふん、と鼻息を吹いた後、私のことを見下ろすような表情で、
「まずは、私の顔を潰した罰だ。――セツノ」
「はい」
刹那。
がつん、と。
横っ面を強打された。
「――ッ!? あぎっ!」
あっさりと吹っ飛ばされて、10足以上離れた壁にぶち当たる。
何よ今のは!?
私は少なからず警戒していた。
なのに、当たる直前まで、攻撃を全く察知できなかった。
銀の甲冑がすぐに近くにいたから、気を付けていたはずなのに。
とにかく――まずは立ち上がって、体勢を整えなければ。
「……あ、れ……?」
ぐわんぐわん、と視界が揺れていた。
脳がぐちゃぐちゃにかき回されている。やばい。このままじゃ戦えない。
揺れる視界で、必死に対象を探し出す。
――いた。
私が座っていた椅子の真横に、黒装束の女が立っていた。
あいつに、殴られたのか。
私の五感は常人のそれを上回る――が、それでも感知できなかった。
「安心しろ。罰はこれで終わりだ。――戻れ、セツノ」
「はい」
中年親父の声が響くと同時、黒装束の女の姿は、かき消えた。
衝撃でくらくらしていることを差し引いても、女の動きは私には捉えられないものだった。
「さて。異国の女よ。まずは名前を聞こうか。
私の領地にいた頃では、結局聞けず終いだったからな」
言葉が通じなかったのだから当たり前だ――と、言おうとしたが。
ぐるぐる回る視界が気持ち悪く、うまく言葉を紡げなかった。
「彼女の名前はアトリです、公爵」
銀の甲冑が口を開く。……何故知ってる? 私の名前は、先程までユウキさんしか知らなかったはずなのに。
「そうか。では、アトリよ。
お前にはこれから、闘技場で活躍してもらう」
「……は?」
「私のお気に入りを喰い殺してくれたのだ。
――お前が、代わりを務めるのが筋だろう?」
にやにやと脂ぎった笑みを晒しながら、中年親父はそう言った。
全然筋ではない気もするが、闘技場で戦うことに異論はない。
「しかし……今の様子を見ると、それほど期待はできなさそうだがな」
いきなり殴らせておいて、なんて言い草だろう。
とはいえ、逆らってもいいことはなさそうなので、代わりに口の中のものを吐き出した。
からん、と。
手甲の一部が床に転がる。
「何だそれは? ……!? セツノ! 右手を見せてみろ!」
「……はい」
再び、黒装束が表れた。その表情には、悔しげなものが滲んでいる。
黒装束――セツノとやらの手をしげしげと眺めた後、中年親父は満足そうな笑みを浮かべた。
「それではアトリよ。これからお前の生活は、私が保証しよう。
勝ち続ける限り、お前の望みのもそれなりに配慮しよう。
好きなものをくれてやる。だから代わりに――相手を喰い殺せ。いいな?」
中年親父の目には、ギラギラとした興奮の炎が燃えていた。
……なるほど。先程の私の戦いが、こいつの琴線に触れてしまったらしい。
「……別にいいけど」
まあ、食事の量を増やしてもらえれば充分だけど。
「ただ、な」
「?」
「私は、お前がどの程度強いのかよくわからん。
中堅どころを倒したといっても、まぐれだったのなら期待はずれだ。どうせなら、今の王者に近づいて欲しい」
……王者、ねえ。
可笑しくて、つい笑いそうになった。
わたしは――それになるつもりなのに。
「だから、お前の強さを見せてみろ。
ちょうどいいところに、化物姉妹が手に入ったところだ。
――お前にはこの、セツノと戦ってもらう」
姉妹?
ということは、もう一人……?
「姉のユメカは、現王者の血塗れ竜と戦うことが決まっている。
今宵、血塗れ竜が負ければ話は流れるが――そうはなるまい」
へえ。
それじゃあ、つまり。
「私と血塗れ竜の、戦いぶりを、比べたい、と?」
「そういうことだ。まあ、セツノもユメカも、私が見る限りでは、良い勝負をすると思うがな。
――そういうことだ、セツノ。
お前かユメカ、どちらかが勝った場合は、お前の村の要望を聞き入れよう」
「はい」
頷いたセツノの視線は……まっすぐ、私を射抜いていた。
うわあ。今から殺す気満々だねえ。さっきの血塗れ竜を思い出しちゃうよ。
事情はよくわからないけど――この状況、利用しない手はないだろう。
向こうが条件を出してきているのだから、こちらが出しても受け入れられる可能性は高い。
「その代わり、こっちも条件を一つだけ。
私がそこの黒いのを食べたら――ひとり、ある監視員を私の所に通わせて欲しい」
「なんだ、そんなことか。
構わんぞ。お前が勝ったら、その監視員とやらをお前専属にしてやろう」
今度こそ。
笑いを堪えきれなかった。
毎回無駄に長くなってしまってすみませんorz
アトリ視点に挑戦してみました
次回、白視点
>>667 アトリ素晴らしすぎる!!
でも白の依存っぷりの方が好きだ
このスレにはもっと血に飢えた修羅場スキーがいると思ったけど
案外ラブコメちっくなのもOKなんですね。
とりあえず投下してみます。
うふ、うふ、うふふふふ…だめだ、考えただけで笑いがこみ上げてくる。
今が3時だから、あと2時間で樹さんが講義を終えてこの門から出てくるわ。
本当は5時に講義が終わって、6時待ち合わせの予定だったのだが
待ちきれなくて2時間も早くきてしまった…。
でもこうやって樹さんのことを考えながら待っていれば
時間なんてあっというまに過ぎちゃうわ。
それに待っているのもデートのうちだし。
んふふふ、今日はどうしようかしら。とりあえず今日公開の映画を見る予定だったわね。
樹さんが見たがっていたけど、どんな映画なのかしら。
チケットを見ると「Thief cat」と書いているわね…
Catってことは猫が主人公なのね。動物映画なのかしら。
でも樹さんが言うにはサスペンスホラーらしいし…
それにチケットには女性が鋸を振り回しながら女性を追いかける絵がのっているわね…。
猫に鋸?うーん、いまいちピンとこないけど、ホラーならキャーとか言って
手握ったり、抱きついたりと怖がるふりして暗闇に乗じて色々できるわね。
えへ、えへ、えへへへ…っといけないいけない、想像したら涎が。
その後はちょっと小奇麗な所で食事をして、夜の静かな公園で
愛を語り合い、そしてその後は近くのホテルであんなことやこんなことを………。
うふふふ、今夜は徹夜ねー……っといけないいけないつい興奮しすぎて鼻血が…。
しかも今回は秘策を用意しているのよね。
最近ゴムばかりだから前回のデートの時に樹さんの財布に入っていたゴムを
隙をみてこっそりと針で穴を開けているんだから。
まあゴムに穴が開いているかなんて、私が付けてあげている限り気づかない
だろうし、生も何回かしているからその時にもしかして…って思うわね。
しかも今日は危険日というこの2つの条件が揃えば
できるかもしれない。いいえ、できてみせるわ!!
そして万が一できちゃえばこれをきっかけにして学生結婚も夢では……
学生…結婚…結婚…結婚!!!!!!
キャー!キャー!!いいわっ!!夢が現実に!!……っといけないいけないつい
暴走しちゃってアソコが濡れてきちゃった。
大体樹さんも悪いのよ。いっつも私が結婚しようよとか
いつ両親に挨拶に来てくれるの?とか聞いているのに、曖昧な返事でかわされちゃうのよね。
だからこんな方法をとっちゃうんだから。
もしかして樹さんは、結婚ということに対してちょっと引いているのかもしれないわね。
まあそれならそれで既成事実を盾に迫れば、優しい樹さんだから責任をとって結婚を了承するわね。
ふふ、バッグには私の名前と判が押された婚姻届けも入っているから、
できちゃったらすぐ書いてもらって役所に持っていかなきゃ。
…………っと気が付けばもう4時だ。時間がたつのが早いな…。
ってなんで通行人のくせに私をジロジロ見んのよ。
見せもんじゃないからさっさと行きなさいよ!!ったく……ん?
一匹の「害虫」が私に近づいてくるわね。なに?彼氏なんかほ
っといてカラオケにでも行こうだぁ?なんで私がアンタみたい
な「害虫」とカラオケに行かなきゃいけないのよ。
「人間」の「男性」としかお付き合いはしませんので。…まあ
その人は樹さんしかいないのですが。とはいえあまりはっきり
言っても可哀想なので少しオブラードに包んで言ってあげましょう。
「害虫はとっとと自分の巣に帰って下さい。シッシッ」
うん、どうやら私の言葉を理解できたようね。それぐらいの知
能はもっていて良かったわ。帰り際なにか叫んでいたようだっ
たけどなに言っていたのかさっぱり解らなかった。
全く…巣から出てこないでほしいです。
時計を見るとそろそろ5時になりそうだ。
ああ………早く…早く来て…樹さん…。
一方そのころ………
あの爆発事故で奇跡的にかすり傷で済んだ俺と弥生さんは、
埋まっていた教授を救出して改めて部屋を見渡してみた。
機械は壊れ、壁は崩れ、窓ガラスや薬品が入った瓶などは全部
割れて、すでに原型を留めないぐらい破壊されてしまったようだ。
しかしこのへやの現状よりも今は弥生さんが大変だ。
「少し状況を整理しましょう。」
「そうだな樹くん。」
「………………………」
一回深呼吸して
「まさしく部屋は全壊、機械も薬品類も木っ端微塵なのですが、みんなかすり傷
ですんだのは幸運でした。」
「うむ、まったくだ」
「………………………」
そこでさっきから黙っている弥生さんを見て
「ただ…弥生さんが………。」
「ん?弥生くんがどうかしたか?実験は成功し、ちっちゃくなって可愛くなった
ではないか。うんうん」
ブチッ
ん?今なにか紐が切れたような音が…
「こんのロリコン教授が!!死ね!!」
「や、弥生さん!!落ち着いて!」
いきなり弥生さんが教授につかみかかったので、羽交い締めにして引き離した。
「樹!離せ!人をモルモットがわりにして!許さん!」
そう、教授が作った「若返り薬」は見事に成功し、それを
(騙されて)飲んだ弥生さんは(外見は)10歳児ぐらいになっ
てしまったのだ。
「ち、ちょっと弥生さん、教授を殺したら元に戻れなくなるかもしれませんから
乱暴はやめましょう?」
「うっ………たしかに。」
ひとまず落ち着いたところでこれからどうするか話合った。
まずこの部屋はもう使えないので、元に戻す薬の製作は別の実験室でやり、その
実験室は教授の方で探すとのことだ。そして俺と弥生さんは今日の所はとりあえず帰ることにした。
門に向かう帰り道……
「しかしあの教授、服まで持っているとは…」
「呆れてものもいえないわ」
このままでは帰れないことを言うと、教授は別の部屋からぴったりのサイズのト
レーナーとスカートを持ってきたのだ。
「でもよく似合いますよ」
「似合っちゃダメだろ!…たく」
元気をだしてもらおうと思って言ってみたが、言葉はともかく少し表情が和やか
になったようだ。よかった。
「で、これからどうしますか?」
「樹はこれからデートだろ?私は当座の寝床を探さないとな。」
「え?なんでですか?」俺がそういうと弥生さんは複雑な表情で
「樹も知っていると思うが、私の家は親が道場を開いているのは知っているな?」
「ええ、たしか親父さんが師範をしてるとか…」
そう、弥生さんの親父さんは総合格闘技の師範で、年末の格闘技イベントに出場していかつい外人を
蹴りでばったばったとマットに沈めてたっけ。
「闘うことしか頭にない親父の家に娘がちっちゃくなって帰ってみたらどうなる
か…わかるだろ?なに、電話で富士の樹海に籠もるとでも言っとけば怪しまない
しな」
なにげに凄いこと言いってるがそれで納得する親も凄いな。まぁたしかに家に帰れないのはわかったけど、でも寝床っていってもホテルじゃ
お金がいくら掛かるかわからないし、泊めてくれる友人がいるかどうかも……そ
うだ!
「弥生さん!いいこと思いつきました。当座でいいなら俺の家にきませんか?」
「は?」弥生さんは驚いているようだ
「俺の家だったら大学にも近いし、部屋も一つ空いているから遠慮することない
ですよ」
「待て待て、そう言ってくれるのは嬉しいが樹には彼女がいるだろ?無用の誤解
を招くことになるだろ。」
弥生さんはそう言うがやはり心配だ
「でも…」
「そんなに心配するな。寝床くらいなんとでもなるさ。それよりも自分のことを
考えな。ほれ、門の所で身を捩っている子がそうではないのか?」
見ると門の所に晴香が頭をブンブン振って奇声をあげているのが見えた。
な、なにをしているんだ?
すると弥生さんが笑顔で
「早く行ってやれ。これ以上待たせるとあれ、通報されるぞ」
そう言う弥生さんを見ると笑顔ではあるけれど、なんか淋しそうに見えた
「でも……。」
「まったく…そんなんじゃハゲるぞ。大丈夫だって、寝床も大事だがまずは元に
戻ることが先決だからな。」
それはまあそうですけど…
「このあと実験棟1にいる後藤教授にことの次第を説明して相談するから、当座
の寝床も大丈夫だ。だから安心して行ってこい」
そうは言ってもなんか一抹の不安はあるけれど、俺なんかよりもしっかりしてい
るから大丈夫だろう。
「わかりました。弥生さんが大丈夫と言うのでしたら大丈夫なのでしょう。」
「心配してくれてありがとう。大丈夫だから」
「でも約束して下さい。なにかあったら遠慮なく電話して下さい。飛んで行きま
すから」
「よく覚えておくわ」
そう言うと俺は門の所に向かって歩きだした。
その時後ろの弥生さんからぼそっとなにか独り言が聞こえたような気がしした。
「樹、あなたのその優しさは彼女だけに向けなさい。私に向けたら…期待しちゃ
うじゃない」
第2話「い、い、一緒に住むぅ?」完
次回第3話「あんなヤツに遅れをとるとは…」
おかしい…書けば書くほど晴香がどんどんキモくなってくる。
最初はもっと普通な子だったのに…
このスレ的にはこっちの方がいいのかな?
一途で可愛らしい娘じゃないか。
おいおい、残りキロ数一桁切ったぞ?!
次の作品の投下は次スレ?
それとも前スレに戻るのか?
個人的には白言葉様から黒言葉様にある過程が大好き
女の子は可愛いさは黒く病んでゆくことにあると思う
8スレ目がまだ48kbとも残っているw
誰だ早漏スレ立てしたの
ごめん48kb→×
38kbでした
>>667 (・∀・)イイ!!
アトリのしぶとそうな感じがたまらない。
修羅場はもちろん、バトルSSとしても楽しみになってきた!
682 :
埋めネタ:2006/06/18(日) 19:54:11 ID:q9Z0zLZO
消灯された病室、9スレの苦しげな吐息だけがその空間に響いていた。
いや、病室に近づく足音が、一つ
───ガチャリ。
「七誌?」
嬉しげに呟いた9スレの表情は訪問者の顔を見て般若もかくやと言う顔に変わった。
「8スレ・・・!!!何しにきた!!!」
「あなたを嗤いにきた、と言ったら怒るかしら?」
「何を───ぐぅっ!!」
「ほら、あんまり興奮すると、すぐ埋まっちゃいますわよ?」
「ぅふふふ・・・アンタも・・・大して変わんないくせに!」
「でも、埋まるのはあなたのほうが先でしょう・・・?」
「・・・埋まってたまるか!!七誌を・・・父さんの代わりにしか見てないあなたに!!あなたなんかに!!」
血を吐くような叫び。それすらも8スレは表情を変えなかった。
「・・・七誌さんは言ってくれました。私が今でもあの人のことを愛していてもいいよって。
僕があの人を愛してる私の心ごと好きになってみせるって。」
「・・・フン・・・」
「でも、私は七誌さんの中にいるあなたをきっと愛せない。許せないって思ってしまうでしょうね。
わたしは、七誌さんには私のことだけを思ってて欲しい。私のことだけを見て欲しい。私のことだけを感じて欲しい!
だから、あなたが埋まって、七誌さんを、七誌さんの心を縛り付けるのは絶対に許せない。」
「とうとう本性を現したわね。この・・・泥棒猫!!」
「私もあなたに七誌さんを譲るつもりなんてありませんから。」
「何様のつもりよ!!」
「あなたこそ、一体何のつもりなんです!!埋まる埋まるって・・・七誌さんを苦しめる事ばかり・・・」
「・・・私が埋まったってアンタだけには絶対七誌は渡さない!!絶対に!!」
煮え滾るような殺意さえ混じった視線と、透き通った氷のような見下した視線が
交差し、薄暗い病室に濁りきった憎悪が充満する。
しかし、次に8スレの発した一言はその異空間すらあっさりと崩壊させた。
「・・・七誌さんにはまだ言っていませんけど、今、私のお腹の中には
七誌さんの子供が宿っているんです。」
「・・・嘘───」
「あなたが信じるかどうかなんて、どうでもいいことですけど・・・」
8スレは愛おしそうにお腹を撫でた。
「あなたがこのまま死んでしまえば、七誌さん優しいから、
ずっとあなたの事、引きずって生きていくでしょうね・・・
でも、もしそのときに私が身ごもってることを知ったら?」
「!!!!」
「・・・もしも、私がその赤ちゃんにあなたの名前を一文字借りて・・・
そうね、10スレにでもしようかしら?」
「自分の子供まで道具みたいに・・・アンタは!!!」
「きっと、あなたの生まれ変わりだとに思って
いっぱい愛情を注いでもらえるでしょうね・・・
この子を通して、時々七誌さんはあなたを思い出すんでしょうけど・・・
でもそれすら、時間が経つにつれて、七誌さんの心は
ゆっくりと、そこにはいない『あなた』から、すぐそばにいる
『あなた』じゃない『あなたと似た名前』の私達の愛の結晶に移り変わっていくの・・・」
想像ことすらおぞましい未来に9スレは言葉を発する気力も失い、
ただ8スレを呆然と見つめた。
「そして、七誌さんのあなたとの記憶は『思い出』っていう箱にしまわれて、彼の心の奥に小さく、本当に小さくなって収納されちゃうの。」
「!!!」
「でも、奥に大事にしまわれたその箱は、やがて埃をかぶって・・・
長い年月を経て、どんどん劣化して・・・そのうち虫食いだらけの、
ぼんやりとした、意味の成さないものになるのよ。」
「・・・」
「だから、───そう、あなたのその姿があまりにも惨めで哀れだから
最後くらい、夏が終わるまで私の七誌さんをあなたに貸してあげます。」
「あなたのじゃ・・・ない・・・七誌・・・は・・・」
「あなたがどんなに七誌さんに追い縋っても、あなたが死んだら私が引き摺り下ろしてあげますから、どうぞご心配なく。」
8スレがゆっくりと立ち上がり、氷のような瞳が9スレを射抜く。
「・・・じゃ、遅くなると、七誌さんが心配しますから・・・さようなら。」
8スレが去った病室には一晩中すすり泣く9スレの声だけが響いていた。
誰かが言ってた義母ネタ
やっぱし難しかったので埋めネタで再利用してみた
>>667 アトリで思い出したが.hackのアトリもなんか黒いらしいな。
妙だ…
私が入院してからもう二週間…あの日以来健斗が全くお見舞いに来ない。
最初は忙しいのかとも思っていたが、土曜も日曜も来ないのは合点がいかない。
嫌な予感がしていた、とてつもなく嫌な予感がしていた。
そしてそれと同時に嫌な妄想が私の頭に湧き上がった。
誰か知らない女に微笑む健斗。
誰か知らない女と手を繋ぐ健斗。
誰か知らない女と抱き合う健斗。
誰か知らない女に誘惑される健斗。
誰か知らない女とホテルに入る健斗。
誰か知らない女の××を×××て××××…
「駄目だっ!それだけは駄目だっ!」
「何を訳のわからん事を言っている…」
「不撓!?いつから居たんだ?」
いつの間にやらベットの側に不撓が立っていた。
「お前が悶えている間はずっとな。そんな事より何を考えていたのだ?」
「えっと…」
確かホテルに連れ込んだ後に…
「誰か知らない女の全身を強打してとどめを…」
「もういい…」
無論、主語は『私』だ。
「もういい…」
一週間の間に私の予想よりも多くの人が見舞いに来てくれた。
中には初対面の人物まで居た程だ。
それでも二度以上見舞いに来る人物は非常に稀で…それでも毎日見舞いに来てくれた人物が一人だけ居た。
「だいたい怪我人は怪我人らしく大人しくしていたらどうだ?」
…こいつだ。
不愉快な事に、こいつだけが何故か毎日ここにやってくる。
「私が五体不満足になったのは誰のせいだ?」
「…すまん」
最初は不撓の顔が見えるたびに恐怖が蘇ってきたものだ。
だが今は慣れたのか不撓が理不尽な暴力を振るう奴ではないとわかったからか、どちらにせよ今の私は普通に不撓と話せるようになっていた。
まぁ、それが良いか悪いかはこの際置いといて…
「なんでわざわざ毎日現れるんだ?」
「前にも言っただろう、償いを済ませねば気分が悪いと」
不撓は何を今更、とでも言いたげに言う。
「だから何度ももういいって言っただろう、しつこいぞ」
「ほぅ…それは残念だな、病院食は不味かろうと思って軽食を用意しておいたのだが…無駄だったか」
「………」
「………」
ぐうぅ…
「食べる…」
「そうこなくてはな」
不撓の言う通り、病院食はあまり美味しくない上に量が少ない。
それに誰が作っているのかは知らないけど、不撓の持ってくるお弁当は以外に美味しいのだ。
私はようやく少しづつ動かせるようになった両手でそれを受け取った。
蓋を開ける…うん、悔しいけど美味しそうだ。
「不撓、そういえばこれは誰が作ってるんだ?」
「俺だが…それがどうした?」
…は?
「不撓が作ったのか!?これを」
「そうだが…どうしたのだ?」
欝だ…
私の料理の腕はまだまだ発展途上だが、まさか男に負けるなんて…
「一応聞くけど、なんでこんな事までできるんだ?」
「学べる物は何でも学ぶのが俺の信条だからな」
「なぁ不撓…もしかして暇なのか?」
「さあ、どうだろうな」
「暇なのか…」